衆議院

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第13号 令和8年5月29日(金曜日)

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令和八年五月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 國場幸之助君

   理事 石橋林太郎君 理事 小田原 潔君

   理事 高木  啓君 理事 穂坂  泰君

   理事 星野 剛士君 理事 近藤 和也君

   理事 青柳 仁士君 理事 深作ヘスス君

      伊藤  聡君    井原  隆君

      今岡  植君    岩屋  毅君

      内山 こう君  英利アルフィヤ君

      大西 洋平君    小渕 優子君

      尾身 朝子君    川松真一朗君

      島田 智明君    中曽根康隆君

      東田 淳平君    前川  恵君

      松島みどり君    山田 基靖君

      金城 泰邦君    原田 直樹君

      横田 光弘君    佐々木真琴君

      木下 敏之君    宇佐美 登君

    …………………………………

   外務大臣         茂木 敏充君

   外務副大臣        国光あやの君

   外務副大臣        堀井  巌君

   外務大臣政務官    英利アルフィヤ君

   外務大臣政務官      大西 洋平君

   外務大臣政務官      島田 智明君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 遠藤  剛君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 三宅 浩史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 貝原健太郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 上田  肇君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            金井 正彰君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局南部アジア部長)      宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    熊谷 直樹君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    北川 克郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房エネルギー・地域政策統括調整官)           佐々木雅人君

   政府参考人

   (国土交通省海事局次長) 河野  順君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 松尾 智樹君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            小杉 裕一君

   外務委員会専門員     山本 浩慎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  伊藤  聡君     内山 こう君

  新藤 義孝君     井原  隆君

  西銘恒三郎君     尾身 朝子君

  木下 敏之君     谷 浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  隆君     新藤 義孝君

  内山 こう君     伊藤  聡君

  尾身 朝子君     西銘恒三郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 日本国の自衛隊とオランダ王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 日本国の自衛隊とニュージーランド国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とニュージーランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 刑事に関する共助に関する日本国とカナダとの間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)


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     ――――◇―――――

國場委員長 これより会議を開きます。

 日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国の自衛隊とオランダ王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国の自衛隊とニュージーランド国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とニュージーランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び刑事に関する共助に関する日本国とカナダとの間の条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房審議官三宅浩史君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

國場委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

國場委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。原田直樹君。

原田委員 おはようございます。中道改革連合の原田直樹です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私からは、今委員長からございました、本日議題となっております四本の協定と条約について質問をさせていただきます。

 まず、物品役務相互提供協定、いわゆるACSAについて、相手国によらず共通する論点について最初にお伺いをした上で、その後、フィリピン、オランダ、ニュージーランド、三か国それぞれとの協定について個別に確認をしていきたいと思います。その後、最後に日加刑事共助条約についてお伺いいたします。

 全体としては、私は、今回の各協定や条約について、協力そのものの意義というものをしっかりと認めつつ、一方で、その実効性、対象範囲の限定、透明性、そして国会への説明責任、こうした点についてこの国会の場で確認をさせていただきたい、そういう立場から質問をしてまいります。

 それでは、まず、ACSA一般について伺ってまいります。

 ACSAというのは、御承知のとおり、日本の自衛隊と相手国の軍隊との間で物品や役務を相互に提供する際の手続の枠組みを定めるものであると理解をしております。共同訓練やPKO、また人道支援、災害対応、そうした様々な場面を想定して、協力を円滑にするための仕組みであると理解をしております。

 そうした理解の上で、改めてお伺いをいたしますけれども、なぜ今、各国との間でACSAを広げていく必要があるのか、そうしたACSA締結の意義についてお伺いをしたいと思います。

 協力関係を深めていくことは大事でありますけれども、一方で、そうした一般論以上に、現場での運用上、どうしたことが、何が必要で、どこに具体的なメリットがあるのか、そうした点について、まずは政府の基本認識をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 我が国が締結をしておりますACSAでありますが、委員御指摘のとおり、自衛隊と相手国軍隊との間で物品、役務の提供を行う際の決済の手続等の枠組みを定めるものでありまして、出すか出さないかというより、出したときにどういう決済をするかということを定めるものであります。これによりまして、相手国軍隊との間で物品、役務の提供を円滑に行うことが可能となり、自衛隊と相手国軍隊とが共に活動に従事する現場で、より緊密な連携が促進をされております。これだけ安全保障環境が厳しさを増す中で、同志国等との連携というのは今まで以上に重要になっている、こういったものを踏まえているわけであります。

 ACSAを適用する具体的な例としましては、自衛隊と相手国軍隊が、共同訓練であったり、災害派遣、国際緊急援助活動等に従事している際の燃料や食料の供給に加えまして、宿泊、運送、基地支援、修理・整備、そのほかにも幾つかありますが、こういった分野での協力が挙げられます。

原田委員 御答弁ありがとうございました。

 今、大臣からも、出す出さないではなくて、出したときの手続の簡素化について進める、そうした条約であると御説明ございました。もちろん、おっしゃっていただいたとおりであると思います。概念上は私も理解はできるんですけれども、一方で、仮に国民の皆さんから見たときに、具体的に何がどれだけ簡素化されるのかということが、なかなか直感的には分かりにくい面もあるのかなというふうに思っております。

 協定がなかったとしても相互の提供ということはできると理解しておりますけれども、協定がある場合とない場合を比較したときに、例えば、提供の要請、そこから調整をし、決済をし、返還をしていく、こうした実務の流れがどのように変わっていくのか、可能な範囲で、実例等も交えながら御説明をいただきたいと思っております。現場で自衛隊の皆さんが運用されると思うので、現場にとっての利便性がどういったところにあるのか、御説明をお願いいたします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 ACSAを締結していない国との間で、国内法上の要件を満たせば物品の提供は可能ではございますが、相応の手続が必要となります。具体的には、国有財産を提供する場合には、物品管理法や財政法の定めによりまして、原則として、無償ではなく有償での貸付けということが基本となります。したがいまして、貸付料などの適正な対価について、相手方とその都度交渉を行い、徴収をするという手続が必要になります。

 これに対しまして、ACSAを締結することにより、相手国との間で適正な対価について都度交渉を行うようなプロセスというものが不要となります。例えば、双方が参加する共同訓練や国際平和協力活動などにおきまして、自衛隊と相手国軍隊との間で物品の提供を円滑に行うことが可能になり、現場レベルでのより緊密な連携が可能になるというふうに考えてございます。

原田委員 分かりやすい丁寧な御答弁をありがとうございます。

 続いて、今、一部御答弁の中でも言及がありましたけれども、ACSAと国内法の関係についてお伺いをしたいと思います。

 これは過去に別の国とのACSAの審議でも確認をされてきた点でありますが、ACSAを結ぶということ、それ自体が何か自衛隊の活動を、新たにACSAを結んだことで何か新しいことができるようになる、そういうことではなくて、あくまで相互提供の、今御説明いただいた、手続の枠組みを定めるものであって、自衛隊の活動は日本の国内法にその根拠を持つ、こういう整理であると理解をしております。

 ここは非常に重要な点だと思っておりまして、協定があるから何でもできるといいますか、新しいことができるというわけではなくて、国内法上で許される活動のあくまで範囲内で運用される理解でよいということなのか、改めて確認をしたいんです。ACSAと国内法、自衛隊法を始め様々ありますけれども、国内法とACSAとの関係ということを改めて政府として御説明をいただけますでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 ACSAは、自衛隊と相手国軍隊が活動を行うに際しまして、両者の間で物品、役務の相互提供に適用される決済手続などを枠組みとして定めるものでございます。

 自衛隊が相手国軍隊との間で物品、役務の提供や受領を実施するための法的根拠につきましては、あくまで自衛隊法を始めとする我が国の国内法令になるというふうに考えてございます。具体的には、共同訓練における物品の提供につきましては、自衛隊法第百条の八第一項第一号などにその根拠が定められてございます。

 このような例にございますとおり、自衛隊による物品、役務の提供や受領に際しましては、それぞれの国内法令に基づきまして実施されることになるというふうに考えてございます。

原田委員 御答弁ありがとうございます。

 続いて、物品、役務の提供対象の範囲についてお伺いをしたいと思います。

 ACSAが提供の対象とするのは何が対象となっていて、何が対象外となるのか。とりわけ、弾薬と武器の扱いというものは、これまで過去の国会の中でも何度か確認をされてきた論点だと承知をしております。日本と相手国との間での安全保障協力の実効性を保っていくという観点と、他方で、必要な限定や歯止めをしっかりかけていく、こうした観点の両方に関わる、非常に大事な点であると思っております。

 そうした点を踏まえてお伺いいたしますけれども、現時点で政府として弾薬と武器の扱いをどのように整理をしているのか、従来の国会答弁との整合性も含めて、改めて御説明をお願いいたします。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今国会に提出させていただいております三つのACSAの適用対象となる物品、役務といたしましては、燃料、食料、水、宿泊、輸送、基地活動支援、修理・整備業務、弾薬などが挙げられます。武器は含まれておりません。

原田委員 弾薬は含まれていて、武器は含まれないということでしたけれども、その辺り、理由も含めてもう少し具体的に御説明、よろしいでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一六年に施行されました平和安全法制におきまして、武力攻撃事態その他の各種事態や平素の活動に際しまして、関係法令に従い、弾薬を提供することができるようになりました。こうしたことを踏まえまして、日印ACSAを除く各国とのACSAにおいて、自衛隊が関係法令に従って相手国の軍隊に対して弾薬を提供する場合に、あらかじめ定められた決済手続などを適用して円滑に提供を実施できるようにするために、弾薬を適用対象といたしました。

 一方、武器に関しましては、消耗品ではなく、予期せず不足する状況が想定し難いこと、それから、他国軍隊が使用する武器の提供を受けたとしても、操作方法などに熟練しなければ直ちに使用することが困難であること、このような理由から、各種の事態等においても武器の提供を行うことは想定されませんので、このような理由で、関係法令及びACSAの適用対象とはなっていないところでございます。

原田委員 御説明ありがとうございました。

 続いて、第三国移転の制限についてお伺いをしたいと思います。

 日本と相手国の間でお互いに物品、役務を提供するわけですけれども、日本が仮に例えばニュージーランドに提供した物品や役務が、そこから先、更に第三国に渡ったりですとか、あるいは本来想定をしないような形で使われたり、そうしたことを防ぐということは非常に大事な点であり、国民の理解を得るという点でも非常に大事であると思っております。

 この点について、適切に運用するということだけではなくて、具体的に、第三国移転を防ぐためにどういった事前同意の仕組みがあるのか、またどういう管理措置があるのか、それによってどのような歯止めが利くのか。こういった点について、可能な限り具体的に御確認をしたいと思います。お願いいたします。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今国会に提出させていただいております三つのACSAにつきましては、いずれも、協定の下で提供される物品、役務を、提供締約国政府、日本でございますが、提供締約国政府の事前の同意を得ないで受領締約国政府の部隊以外の者に移転してはならないことが規定されております。また、提供される物品、役務の使用に関しましても、国連憲章と両立するものでなければならないことも規定してございます。

原田委員 御答弁ありがとうございました。

 では、ここまでACSAに関する、相手国を問わず共通する論点を伺ってまいりましたけれども、ここから、各三か国について個別に質問してまいりたいと思います。

 まずは、フィリピンとのACSAについて伺います。

 ちょうど、昨日、マルコス大統領が国賓として訪日をされまして、国会でも歓迎行事がございましたし、また、高市総理との首脳会談も行われました。

 高市総理からは、本年、日本・フィリピン国交正常化七十周年であること、そして、そうしたことを踏まえて、また今回、両国関係を包括的、戦略的パートナーシップに位置づけることで一致したということが述べられておりました。我が国にとって最も緊密な同志国の一つであるという位置づけもされておりましたし、また、報道なんかを、今朝の新聞等を見ておりますと、準同盟国といった表現もされており、そうした踏み込んだ協力を進めていく、そうした内容でございました。安全保障の面を見ましても、秘密軍事情報保護協定の正式交渉開始、また防衛装備移転に向けた防衛当局間のやり取りの加速など、かなり踏み込んだ前向きな動きが確認をされたと承知をしております。

 こうした一連の日・フィリピン関係の進展を踏まえますと、今回のACSAは、あくまで物品、役務の相互協定でありますけれども、日・フィリピン関係全体がもう一段進んでいくための重要な一こまであるのではないか、こんなふうに受け止めをしております。

 その上で、お伺いをいたします。

 政府として、今回の、今審議をしております日・フィリピンACSAを、両国間の安全保障協力の積み重ねの中でどのように位置づけているのでしょうか。また、この協定によって、両国間の協力が具体的にどのように深まると見ているのか、大臣に御説明いただきたいと思います。

茂木国務大臣 委員御指摘のように、現在、フィリピンのマルコス大統領が国賓として訪日をしていただいているところでありまして、昨日は、国会での演説、そして日・フィリピン首脳会談も行われたところであります。

 フィリピンは、シーレーン上の戦略的要衝に位置をいたしまして、我が国と基本的な価値や原則を共有する包括的、戦略的パートナーでありまして、近年、我が国は同国との安全保障、防衛協力を強化してきたところであります。OSA等も、近年、フィリピンとの間では毎年実施をしてきている。

 こういった中で、日・フィリピンACSAにつきましてもこういった様々な協力の一環ということになると思いますが、自衛隊とフィリピン軍の間で物品、役務の提供を行う際の決済手続等の枠組みを定めることになるわけであります。この協定によりまして、両者の間で物品、役務の相互の提供を円滑に行うことが可能となり、両者が共に活動に従事する現場で、より緊密な連携が促進をされるということが期待をされるわけであります。

 こうした中、昨年発効いたしました日・フィリピンRAAに加えまして、ACSAを締結をする、このことは、我が国の安全保障に資するのみならず、両国がインド太平洋を始めとする国際社会の平和と安全により積極的に寄与することにつながるものだ、このように考えております。

原田委員 御答弁ありがとうございます。

 続いて、フィリピンから更に広げて、ASEAN諸国との関係についてお伺いをしたいと思います。

 日・フィリピン二か国の間では、今大臣からも御答弁いただいたとおり、RAAに続いて、今回はACSA、また、昨日も様々な協力について会談がなされました。安全保障の協力が具体化を進めてきているわけですけれども、今後、こうした動きがフィリピン以外の、ASEANのほかの国々にも広がっていくのかどうか、そうした点は当然関心のあるところであると思います。

 ただ、ACSAに限って今回は質問いたしますけれども、ACSAの拡大は、当然、拡大ありきで広げていけばよいという話ではなくて、やはり、相手国との信頼関係を始め、また、これまでの協力実績、実務上の必要性、そして地域の安定への寄与、そうした点を丁寧に見ながら判断していくべきではないか、そのように考えております。

 そうした問題意識を踏まえて、お伺いをいたします。

 今後、フィリピン以外の、他のASEAN諸国との間でACSAを検討していく場合に、どういった観点を重視し、また、これは可能な範囲ですけれども、どういう国からどういう順序で考えていくのか。拡大ありきではない、基本的な考え方、観点、方針について、御説明をいただきたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事実関係から申し上げますが、現時点においてACSAを交渉しているASEANのメンバー国はございません。

 その上で、政府といたしましては、今お聞きになっている基本的な方針でございますけれども、各国との安全保障、防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係、また自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、それから具体的ニーズなども踏まえながら、必要なACSAの締結等については取り組んでまいる考えでございます。

原田委員 御答弁ありがとうございました。

 では、フィリピンに続いて、次にオランダについてお伺いをしてまいりたいと思います。

 オランダは欧州の、地域的に、地理的に離れた国でありますけれども、近年、インド太平洋地域への関与を強めており、日本との安全保障協力も進んでいる、そうした印象、認識をしております。

 そうした意味でも、今回のACSAというのが、単に日本とオランダの二国間の技術的な協定というだけではなくて、まさにインド太平洋と欧州の安全保障がつながっている、連関しているということをある意味で象徴するような協定でもあると思っております。

 そこで、お伺いをいたします。

 政府として、日・オランダACSAをどのような戦略的な意義を持つものとして位置づけているのか。先ほどのフィリピンのときの質問ともかぶりますけれども、実際の共同訓練や運用協力、またさらに情報共有や相互支援、こういった面でどのような効果を見込んでいるのか、大臣にお伺いをいたします。

茂木国務大臣 四年前にロシアによりますウクライナ侵略があったわけであります。特に、それ以来、インド太平洋と欧州大西洋の安全保障というものは表裏一体だ、こういう認識が深まっているのは間違いないところだと思っております。

 その上で、日本とオランダの両国は、自由、民主主義、人権及び法の支配という基本的価値を共有する戦略的パートナーであります。また、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて取り組む意思、これをオランダとの間では共有をいたしております。

 近年、両国間では、安全保障、防衛分野での協力が大きく進展をしております。具体的に幾つか例を申し上げますと、二〇二四年の六月には、オランダのフリゲート艦が長崎港に寄港するとともに、海上自衛隊との間で初となる二国間共同訓練を実施いたしました。その後も、本年三月の三沢でのF35も参加した共同訓練など、共同訓練の機会は増加をしてきているところであります。

 こうした中、今回のACSAを締結をすることは、我が国の安全保障に資するのみならず、両国が国際社会の平和及び安全により積極的に寄与することにつながるものだ、そのように考えております。

原田委員 御答弁ありがとうございます。

 続いて、欧州諸国とのACSAの拡大についてお伺いをいたします。先ほどASEANについてお伺いをしましたが、欧州との拡大についてお伺いいたします。

 欧州との連携を深めていくということは、自由、民主主義や法の支配、航行の自由といった基本的な価値観、基本原則を共有する同志国の関係強化という意味で、昨今の国際情勢も踏まえて、非常に大きな意義があるというふうに私は捉えております。

 その一方で、先ほどのASEANのところと少しかぶりますけれども、そういった基本的な価値観が近いからといっても、直ちにACSAの協定を拡大ありきで増やしていくということではなくて、やはり、実際の協力の実績があるかどうか、運用上の需要があるのか、また双方にとって実効性があるか、こうした観点を踏まえて考えていくことが必要であると思っております。

 そうした点を踏まえてお伺いをいたしますが、今後、欧州諸国とのACSAを検討する際に、政府としてどういった判断基準や優先順位を持って考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事実関係ですけれども、現時点でACSAを交渉している欧州の国はございません。

 そういった中で、委員も御指摘のとおり、欧州諸国は基本的価値を共有する重要なパートナーでありますけれども、そういった国々との間で、政府といたしましては、各国との安全保障、防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係や、自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、具体的ニーズ等も踏まえながら、必要なACSAの締結に取り組んでいく考えでございます。

 いずれにしましても、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障がますます不可分となっている中、進化した自由で開かれたインド太平洋、FOIPを含めて、様々な分野で欧州諸国との協力を強化していくことが重要だと認識しております。

原田委員 ありがとうございます。

 あわせて、もう少し大きな視点でもお伺いをしたいと思います。

 先ほど、大臣の答弁の中でも、ロシアによるウクライナへの侵略以降、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障が表裏一体であるというお話がございました。そういった意味でも、欧州諸国がインド太平洋に関与を深めることについて、日本政府は一貫して基本的には前向きに評価をしてきたと思いますし、FOIP、自由で開かれたインド太平洋の考え方とも親和的であると私は考えております。

 その上で、政府として、欧州諸国のインド太平洋への関与が日本の外交、安全保障にとって具体的にどういった意義を持つと考えているのか。単にメッセージ性があるということ以上に、例えば、抑止、ルール形成、地域の安定、国際世論の形成といった様々な観点からどういった意味を持つのか、御答弁をいただきたいと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の方から、欧州諸国は、ルールですとかメッセージ性ですとか、そういったいろいろな部分で日本と協力をする上で重要なパートナーという御指摘がございましたけれども、先ほど私が申し上げました日本の自由で開かれたインド太平洋、FOIPとの親和性につきましても、少し敷衍して申し上げたいと思います。

 進化したFOIPにおきましては、FOIP提唱以来の中核的な理念であります自由、開放性、包摂性、多様性、法の支配、こういったものを堅持しながら、昨今のより厳しさを増す国際情勢を踏まえて、地域の国々の自律性、強靱性を高めて、同盟国、同志国と連携をして、域内各国が必要とする具体的な協力を行うことにより、地域全体として共に強く豊かになることを目指しております。

 こういった点で、EUは、二〇二一年にインド太平洋戦略を策定し、公表いたしまして、その中で、インド太平洋の状況が欧州の安全保障及び繁栄に直接の影響を及ぼし得る、この地域への関心、関与を強化する、こういった方針を明らかにしております。

 このように、今、国際社会が激動して、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分となっている中で、インド太平洋地域において、このように基本的な価値を共有し、信頼できるパートナーとして国際社会の課題に共に取り組む欧州諸国、機関がプレゼンスを強めることは、FOIPの実現にもつながるものであると考えております。

 こういった観点も踏まえて、欧州諸国、機関との間で幅広い分野における対話と連携を強化していきたいと考えております。

原田委員 御答弁ありがとうございました。

 続いて、ニュージーランドとのACSAについて質問をしてまいりたいと思います。

 ニュージーランドも、日本と価値観を共有する大切なパートナーでもありますし、また、地理的に見ても、オーストラリアも含めて、オーストラリアもACSAを締結済みであると認識をしておりますが、オーストラリアとも連携をしながら、南太平洋地域を含めた幅広い地域協力の中で重要な役割を果たしている国であると認識をしております。

 そうした意味において、今回の日本・ニュージーランドのACSAを持つ意味というのは、二国間の物品、役務の相互提供にとどまらず、日本の地域協力、南太平洋への関与、そして、今御答弁の中でもありましたけれども、同志国ネットワークの強化という文脈でも捉える必要がある、そのように考えております。

 そこで、改めてお伺いをいたしますけれども、政府として、日本とニュージーランドとのACSAの協定の戦略的意義をどのように見ているのか、大臣にお伺いをいたします。

茂木国務大臣 自由で開かれたインド太平洋、これを実現していくためには、東南アジア諸国と同時に、太平洋島嶼国は極めて重要な地域だと考えております。そして、委員の方からお話がありましたオーストラリア、そしてニュージーランド、地理的な関係もありますし、様々な協力関係、また人的な関係等もありまして、太平洋島嶼国とは様々な協力関係を結んでいるところであります。

 そういった中にあって、日本とニュージーランド両国は、自由、民主主義、人権及び法の支配という基本的価値を共有するインド太平洋の重要な戦略的協力パートナーであります。また、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて取り組む意思、これをニュージーランドとの間では共有をしているところであります。

 そして、近年、両国間におきましては、安全保障、防衛分野での協力が大きく進展をしておりまして、例えば、二〇二五年、昨年十月には、ニュージーランド空軍の哨戒機が海上自衛隊主催の多国間訓練にも参加をいたしております。

 こうした中、この協定を締結することは、我が国の安全保障に資するのみならず、両国がインド太平洋を始めとする国際社会の平和及び安全により積極的に寄与することにつながると考えております。

 これは日本とニュージーランドの間のACSAでありますけれども、もう少し視野を広く持って、太平洋島嶼国、今、様々な形でいろいろな国のアプローチがある中において、しっかりと日本としても関与していく、こういう観点からも、極めてニュージーランドとの関係は重視をしていきたいと考えております。

原田委員 丁寧な御答弁をありがとうございます。

 ACSA自体は物品、役務の相互提供のための協定でありますけれども、それにとどまらず、地域の面的な外交を進めるための一つの戦略として是非進めていただきたい、そんなふうに思っております。

 続きまして、ちょっとニュージーランドとの協定については、少し細かい点になりますが、経緯について、事実関係を少し丁寧に確認しておきたいと思います。

 日本とニュージーランドとの間では、二〇一四年七月、首脳会談、プレスリリースの時点で、ACSA、物品役務相互提供協定について、安全保障、防衛関係を、協力を発展させる方途について検討を促したというふうに確認をしております。つまり、二〇一四年、今から十年以上前ですけれども、この段階で、既に両国の間でACSAの可能性そのものには言及があったというふうに認識をしております。

 他方で、実際にACSAの締結に向けた交渉の開始で一致をしたのは、昨年の七月でしょうか、日本・ニュージーランドの外相会談であり、ここをちょっと、レクのときに少し認識に違いがあったみたいなので、改めて確認をしたいんです。

 私が確認した限りですと、昨年の七月に交渉開始で一致をして、同じく昨年の十二月には署名に至った。十年以上前に言及はあったものの、ある意味そこからずっと寝かされてといいますか、具体的な動きがないまま、昨年になって交渉開始そして署名という動きであったと理解をしております。ですので、これは交渉が長引いたというよりも、可能性や研究について十年以上前に言及をされていたところから、実際の交渉までかなり長い期間を要して、逆に交渉に入ってからは比較的短期間で署名まで進んだ、そういった経過をたどっていると私の方では理解をしております。

 そうした認識の上で、お伺いをいたします。

 この間、言及をされてから交渉開始までに、なぜ長い期間を要したのか。また、逆に、なぜこのタイミングで一気に交渉が開始し、署名まで進んだのか。何かしら状況や条件の変化があって動きがあったというふうに思っておりますので、地域の安全保障環境の変化、若しくは日・ニュージーランドの関係の変化や成熟といいましょうか、そうした点も踏まえて、政府から御説明をお願いいたします。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ニュージーランドとの間では、二〇一四年七月に、日・ニュージーランド首脳会談におきまして、ACSAに関する研究を含む後方支援等の分野における検討を進めることを確認して以降、継続して検討を行ってまいりました。

 自衛隊とニュージーランド国防軍との間では、共同訓練、実務者会合を含む活発な防衛協力、防衛交流が実施されてきておりまして、二〇二四年九月には、ニュージーランドとの間で初めての二国間共同訓練が行われた次第でございます。

 そうした中で、ACSAの必要性に関する認識が両国間で共有されるようになりまして、二〇二五年七月、日・ニュージーランド外相会談において、ACSAの交渉を開始することで一致した旨を歓迎したところでございます。委員御指摘のとおりでございますが、その後、二〇二五年十二月、東京において茂木外務大臣とコリンズ国防相との間で署名するに至った次第でございます。

 交渉開始に至るまでのやり取りの詳細につきましては、外交上のやり取りでもございまして、詳細はお答えを差し控えたいと存じますけれども、その上で申し上げれば、国際安全保障環境が一層厳しい中で、自衛隊とニュージーランド国軍とが一緒になって行動をしよう、こういう認識のすり合わせが一層進んだ結果、このように署名に至ったというふうに理解してございます。

原田委員 ありがとうございます。

 今の御答弁で、詳細といいますか、なかなか、一気に進んだということが、ちょっと理解は余りできませんでしたけれども、外交上のやり取りでお答えができないということで理解をいたしました。

 続いて、朝鮮国連軍活動を適用外としている理由、この点についてお伺いをしたいと思います。ニュージーランド軍が参加をする朝鮮国連軍としての活動がACSAの適用対象外とされているという点であります。

 この点について、最初に誤解のないように申し上げますと、私はここで、対象拡大をするべきじゃないか、それを求めているというよりは、そうではなくて、なぜ対象を限定をしているのか、その理由や政府の整理をきちんと確認をしておきたいという趣旨で質問をさせていただきます。

 なお、この点については、ニュージーランドだけではなくてフィリピンも同様であり、フィリピンとのACSAでも同じ整理になっていると理解をしております。一方で、オランダについては、朝鮮国連軍参加国ではあっても、国連軍地位協定の締約国でないため、日本とオランダのACSAには国連軍地位協定に関する規定自体がそもそも置かれていないと承知をしております。

 こうした前提の認識の上でお伺いをいたしますが、ニュージーランドとの、またフィリピンとの関係で朝鮮国連軍としての活動を適用対象外としているのは、あくまで現時点の実務的必要性や運用実態を踏まえた整理ということで理解してよろしいのでしょうか。また、あわせて、フィリピン、オランダ、ニュージーランドの違いを含めて、それぞれ、改めてもう一度分かりやすく御説明をいただけますでしょうか。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の朝鮮国連軍につきましては、国連軍地位協定に基づきまして、日本国内に七か所でございますけれども、在日米軍施設・区域の使用が認められてございます。この朝鮮国連軍は、横田飛行場に後方司令部要員五名を置いてございますけれども、部隊は配置されてございません。また、朝鮮国連軍内部の連絡調整等の後方支援のための航空機等の一時的な立ち寄りの際にこれらの施設・区域を使用することはございますけれども、その際の物品、役務の提供は専ら米軍が実施しているのが現状でございます。

 このような現状に加えまして、オーストラリア、イギリス、フランス、カナダ、イタリアとのACSAにおきましては、一九五四年の国連軍地位協定に基づいて朝鮮国連軍を構成する部隊として行動する相手国軍隊を適用対象としていないことも踏まえまして、今般御審議賜っておりますフィリピンとのACSA、そしてニュージーランドとのACSAにおいても、これを踏襲したものでございます。

 なお、委員御指摘のとおりでございまして、オランダにつきましては、国連軍に参加をしておりますものの、国連軍地位協定を締結していないために、今回御審議いただいておりますオランダのACSAの中ではこのような同種の規定を設けていない、そのような次第でございます。

原田委員 御答弁ありがとうございました。

 では、ACSAについての質問は以上とさせていただきまして、最後に、日加刑事共助条約についてお伺いをしたいと思います。

 このカナダとの間の条約ですけれども、捜査、訴追その他の刑事手続に関する共助を、中央当局間の直接の連絡を通じて、より迅速かつ確実に行うためのものであると承知をしております。国際犯罪や越境的な犯罪が複雑化をする中で、こうした法的枠組みを整えていくこと自体、大変重要であると考えております。

 その上で、今回の日加条約によって、従来に比べてどのような点で証拠収集、情報連携、手続の迅速化が進むのか、政府として考える具体的な実益というものをできるだけ分かりやすく御説明をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 近年の国境を越えた犯罪の増加に伴いまして、これらの犯罪に一層効果的に対処していく、こういった観点から、捜査等に関する国際的な協力を緊密に行う必要性というのは間違いなく高まってきているところであります。

 この条約の締結によりまして、カナダに対して請求する共助が条約上の義務として確実に実施をされる。これと同時に、これまで外交当局を介して行っていたやり取りを、中央当局、日本でいいますと法務大臣及び国家公安委員会等であります、またカナダは司法大臣等でありますが、この中央当局間で直接行えるようになることで、共助の効率化、迅速化が期待をされるところであります。

 では、どれくらい迅速になるかということでありますけれども、これは事案ごとに異なってきますので、一概には、どれぐらい縮まります、こういうことは言えないところでありますけれども、少なくとも、今まで外交当局間を介してやっていたものが、直接中央当局間でやるということになりまして、迅速化されることは間違いない、こんなふうに考えております。

原田委員 御答弁ありがとうございました。

 続いて、双罰性についてお伺いをいたします。

 今回のような国際刑事共助では、日本と相手国との制度の違いはある中で、円滑に協力を進めていくことが重要であります。他方で、我が国の、日本の法制度や権利保障との整合性ということも同じように重要であると考えております。

 そこでお伺いをいたしますが、要請の対象となる行為が日本の法令上は犯罪を構成し得ない、つまり、カナダから要請があって、その該当する行為がカナダの法律では犯罪を構成するような行為であっても、日本国内の法律では必ずしも犯罪を構成しない、そういう双罰性を欠く場合に、政府としてどのような考えで要請に応じて共助を行うか否か、その可否を判断するのでしょうか。この点は国民の権利や日本としての法秩序とも関わるところですので、基本的な考え方について改めて御説明いただきたいと思います。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 この条約におきまして、被請求国は、双罰性がない場合であっても、共助の実施に当たり裁判所の令状等の強制措置を要しないときには共助を実施する義務を負うというふうに規定されております。一方で、被請求国は、双罰性がない場合であって、共助の実施に当たり強制措置を要するとき、このときには共助を拒否することができると規定されております。

 仮に、この条約に基づきカナダから請求された共助に係る犯罪について、双罰性がなく、我が国が共助を実施するに当たり強制措置を要する場合、すなわち我が国として共助を拒否することができる場合ということで申し上げますけれども、この場合において共助を実施するか否かということにつきましては、我が国の中央当局、この場合には法務大臣でございますが、個別の事案において判断するということになります。

 このような判断に当たりまして、一般には、当該事案の内容、性質、我が国の法秩序との整合性、それから、求められている共助の内容、共助を実施する場合の関係者に対する負担や不利益、こういった要素を総合的に考慮するものと承知しております。

原田委員 ありがとうございました。

 では、最後に、今後の刑事共助条約のネットワークの拡大についてお伺いをいたします。

 近年、こういった、今審議をしている、今日はカナダとの条約でありますが、刑事共助条約の締結先、着実に広げてきていると認識をしておりますが、今後についても、これはちょっとACSAのときの質問とも似通ってしまうんですが、ただ数を増やせばよい、拡大ありきということではなくて、やはり実務上の必要性や我が国の法執行上の利益、相手国の司法制度との整合性、そして実効的に機能する見込みがあるかどうか、こうした点を踏まえて戦略的に考える必要がある、そのように考えております。

 そうした点を踏まえて、お伺いをいたします。政府として、今後、どのような基準や優先順位、考え方で刑事共助条約の締結拡大を進めていこうとしているのか、政府としての方針をお伺いいたします。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、近年の国境を越えた犯罪の増加に伴いまして、捜査等に関する国際的な協力の重要性が高まっているということだと思っております。

 このことに鑑みまして、既に条約を締結した国・地域以外の国・地域との刑事共助条約の締結についても、必要性を踏まえて検討していくということだろうと思っております。具体的に申し上げますと、各国あるいは地域との条約の締結の意義、必要性、相手国の刑事司法制度、実施可能性等を総合的に勘案の上、これから判断していく必要があろうかと思っております。

原田委員 御答弁ありがとうございました。

 本日、ACSA、また日本とカナダの刑事共助条約について質問をさせていただきましたが、いずれも、冒頭にも申し上げましたが、協力自体は非常に重要なものであって、あくまで実効性や対象範囲の限定、透明性、それから国会への説明責任という観点から、重要だと思う点について確認をさせていただきました。

 政府におかれましては、今後の運用、また国会への報告も含めて、国民に分かりやすい説明というものを引き続き継続していただくよう求めまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

國場委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 中道改革連合の近藤和也でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 昨日、フィリピンのマルコス大統領が国会で演説をされました。国賓として来日をされているということでございますけれども、私も、昨日、大統領の演説を伺っていまして、この七十年間の歩みといいますか、それ以前からの両国間の関係も含めて、現在、今を生きている方々が努力をされていることだけではなくて、その当時、いかに恩讐を乗り越えてということ、そして、当時を生きていた日本人も含めて、贖罪という表現が正しいのか分からないですけれども、友好関係を築いていく、それぞれの努力を乗り越えて現在があるんだなということをしみじみ感じながら伺っていました。

 くしくも大臣とほとんど同じ年数なんですね。一年前に大臣は生まれられたということでございますが、フィリピンとの七十年の国交、そして大統領が国賓として来られていることについての意義、また御所見について伺いたいと思います。

茂木国務大臣 五月の二十六日から本日にかけて、マルコス・フィリピン大統領が国賓として訪日中であります。

 一昨晩、皇居におきまして晩さん会が開催をされました。そこでのマルコス大統領の御挨拶、さらには昨日の国会での演説等を聞きまして、一九五六年、まだ非常に難しい状況にある中で、先人の英断といいますか、様々な努力によりまして国交正常化がなされたということでありまして、それ以来の歩みについて、非常に思いを込めて、お父様の話も含めて話をされていた、こんなふうに私も拝聴したところであります。

 フィリピンは、基本的な価値であったりとか戦略的利益を共有する、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた重要なパートナーであります。

 今年は、御指摘のとおり、両国の国交正常化七十周年、こういう節目の年でありまして、また、フィリピンは、今年、ASEANの議長国を務めている。私も一月にフィリピンを訪問させていただきましたが、マルコス大統領を今回国賓としてお招きできたことは大変時宜を得たものだ、このように考えております。

 昨日行われました日・フィリピン首脳会談におきましては、両首脳間で、両国関係をフィリピンにとって初めてとなります包括的、戦略的パートナーに格上げすることで一致をいたしました。また、これに基づきまして、国際環境の変動に左右をされない、揺るぎない確固たる信頼関係の拡充と深化、そして持続的かつ重層的な同志国関係の強化、発展を目指していくことになっております。また、安全保障、経済、海洋分野及び地域、国際情勢といった幅広い分野におきまして、協力の強化であったり、また認識の共有など、多くの成果を上げることができたと考えております。

 具体的に申し上げますと、安全保障分野におきましては、GSOMIAの交渉の開始であったりとかOSAの継続的な実施を確認いたしました。また、経済、エネルギー等の分野では、パワー・アジアの下で、両国の医療品等のサプライチェーンの強靱化、ASEANにおけます共同備蓄及びフィリピンにおける備蓄制度構築の支援強化等を確認したところであります。さらに、日・フィリピン経済連携協定、EPAの見直し交渉を加速化し、日・ASEAN包括的経済連携協定の見直しに向けて検討を進めることで一致をしたところであります。

 今回のマルコス大統領によります国賓訪問を通じて、次の十年に向けた両国の協力関係の方向性を示すことができたと思っておりますし、マルコス大統領は、次の七十年に向けて更に協力関係を深めていこう、国会演説でもそのような趣旨のお話をされていたと思います。現在やるべきこともそうでありますし、かなり中長期にどう関係を強化していくか、こういう観点からも、非常にいい二国間関係を築く、こういう基盤になったのではないかな、こんなふうに考えております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 フィリピンは、世界の中でも有数の海洋国家という言い方ができるのかなと。そして、日本とほぼ同じ人口ということも含めて、そして、今後の世界二大国といいますか三大強国になっていく、一つの、インドと中国のちょうど間ということも含めて、相当難しい立ち位置、そして日本にとっては大事な国なのかなというふうにも感じています。

 そして、私、石川県人的に言えば、戦国時代末期の武将の高山右近、彼が前田藩に預かりで来ていたわけですけれども、とうとう日本にいられなくなって、最後はマニラに行ったということも含めて、なじみがあるといいますか、何とかこの友好関係、特に、太平洋戦争においての日本の記憶といいますと、本当に、何とかの海戦とか何とかの戦い、そういうイメージだらけでございますが、そういう悲しいイメージから前向きなお互いの関係に、より築けていけたらなというふうに思います。

 そして、その上で、昨日の大統領の演説の中では、やはり中国を意識した、明確には中国という言葉は恐らくなかったのではないかなと思いますが、中国を意識をした、そういった発言がかなりあったのかなと。その部分については私も共鳴する部分がありましたが、一方で、中国ばかりではなくて、アメリカも大丈夫なのかなという、正直不安も感じた方もいらっしゃったのではないかなというふうに思います。

 それで、今朝、報道にございましたが、アメリカとイラン、停戦延長の暫定合意という報道が出ていました。不確定な部分もあるかもしれませんが、この報道について、現在、政府はどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。

茂木国務大臣 先ほどいただいた質問でありますが、答えられる範囲でここでお答えをさせていただきたいと思うんですが、日・イラン間の交渉について、大きな方向性として申し上げます。

 まずMOUを結んで、その上で濃縮ウランをどう処理するか等々を含めて残された論点について協議を行うという、二段階で合意を目指す方向で交渉が進められている、このように理解をいたしております。これに関連して、これは昨日、今日に限らず、様々な報道というのがあるということは承知をいたしておりますが、現時点で、米・イラン間で何らかの合意に達した、こういう確たる情報に接してはおりません。

 日本としても、事態の鎮静化に向けて外交努力を続けているところでありまして、私自身、先週の金曜日、イランのアラグチ外相とは二月二十八日の事態発生以降六回目となる外相電話会談を実施しまして、アラグチ外相に対して、イランが引き続き最大限の柔軟性を発揮して、米国との協議が早期に再開されることを働きかけたところであります。

 また、今週、ちょうど日米豪印、クアッドの会合がインドのデリーでありましたので、その際に日米外相会談を行いまして、ルビオ国務長官に対して、ホルムズ海峡の安定を含めて米・イラン間の合意が一刻も早く実現することが重要である旨を伝えて、日米で緊密に連携をしていく、このことを確認をいたしました。

 また、昨日の夕刻には、カタールのムハンマド首相、カタールは、伝統的に、非常に仲介外交というか、こういったことを進めておりまして、今回も、パキスタンであったりとかトルコ、さらにはエジプト等が行ってきた仲介努力を非常に力強く後押しをしている、こういう立場でありますが、このムハンマド首相兼外相と、事態の鎮静化、そしてホルムズ海峡の安定化に向けた協力であったりとか、カタールは日本にとっても重要なLNG等の供給国でありますので、エネルギー分野を始めとする二国間の協力の強化について一致をしたところであります。

 日本として、引き続き、米・イラン間の協議であったりとか仲介国の外交的取組を後押しするとともに、ホルムズ海峡における自由で安全な航行の回復に向けて、国際社会と緊密に連携しながらできる限りの外交努力を続けていきたい、こんなふうに考えております。

近藤(和)委員 ありとあらゆる情報の、何が正しくて、そうではないのかという判別も、大変難しいかというふうに思います。

 実は、今朝の何らかの情報でも、私も、どうかな、やはり情報というのも全てが正しいというわけではないのかなということを当事者として感じましたのは、フィリピンとのGSOMIA等々の記事が書いてあったニュースの中で、今日審議を行うこのACSAについてはもう既に締結という書かれ方もしている報道もございまして、やはり、全ての報道を、大事ではあるけれども、それが全て正しいというわけではないということも含めて認識をした上で、正しい選択を行っていかなくてはいけないのかなというふうに思います。

 その上で、情報が不確定である中であったとしても、日本政府として何らかの対応を特にこの中東情勢においてはしていかなくてはいけないんだろうというふうに思いますが、少なくとも政府は相当なシミュレーションをされていらっしゃると思いますが、立法府であるこの国会においても、ある程度の情報共有といいますか、丁寧な、その都度その都度の合意形成といったことも意識をしていただけたらと思います。

 それでは、ACSAについての質疑に入ります。

 先ほどの締結、署名等の違いが、まさに今日の報道でやはり確認しなければいけないのかなと感じたわけですけれども、フィリピンは今年の一月にACSAについて署名をいたしました。そして、オランダとニュージーランドは昨年の十二月に署名をいたしました。

 締結に向けて、それぞれの国は、どのような手続で、そして今はどの段階に来ているのでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 締結に向けた各国の国内手続及びその現状でございますけれども、まず、フィリピンにつきましては、議会による承認は必要ありませんが、大統領による承認手続が必要となり、現在、その手続を行っているとの説明を受けております。

 次に、オランダにつきましては、政府の諮問機関における審査の後、議会承認を経る必要があるとの説明を受けております。政府の諮問機関における審査は現在終了しておりまして、近日中に議会での審査を受けるとの説明を受けております。

 ニュージーランドにつきましては、議会における承認は必要とせず、国内手続は既に完了しているとの説明を受けております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 そうなので、フィリピンについては大統領の手続だと、オランダについては議会の承認待ちだということで、そしてニュージーランドはもう既に終わっているということですね。日本においては衆と参の審査を経てということで、ニュージーランドについてはもうその時点で発効ということですよね。(北川政府参考人「はい」と呼ぶ)はい、ありがとうございます。

 それでは、次に参ります。

 ACSAの締結国は、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス、カナダ、インド、ドイツ、イタリアの計八か国、今回でプラス三か国ということでございます。

 日本において初めて発効されたACSAは一九九六年のアメリカとでございますが、オーストラリアも改正が行われています。

 現時点で結ばれている全てのACSAにおいて、協定の適用対象や物品、役務の区分で、今まで変更が何度かあったのでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、我が国との間で発効しているACSAは、G7各国、オーストラリア及びインドとの間で締結した計八本のACSAでございますけれども、そのいずれにつきましても、各協定の発効以降、協定の適用対象や提供される物品、役務の区分を変更したことはございません。そのような事実はございません。

近藤(和)委員 重ねて伺いますが、適用対象や物品、役務の区分、この協定の中に書いてございますけれども、食料、水、宿泊、燃料、油脂等々ございますが、一つでも変更があれば結び直すということでよろしいんでしょうか。

茂木国務大臣 その一つでもという定義が、水を二つに分けるのかどうかとか、そういうものはありますが、基本的には、適用の対象であったりとか物品、役務の区分、こういったものを変更する場合には、当該ACSA、当然改正をする、こういったことが必要になります。

近藤(和)委員 必要になるということですね。ありがとうございます。

 それでは、今まで結んでいます八つの締結国との相互提供実績の件数や内容について伺います。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 ACSA締結国との相互提供実績につきましては、令和七年十二月末時点で、アメリカとの間で平成八年十月の発効以降一万四千六百四十九件、オーストラリアとの間で平成二十五年一月の発効以降二百八十九件、英国との間で平成二十九年八月の発効以降八十六件、フランスとの間で令和元年六月の発効以降五十一件、カナダとの間で令和元年七月の発効以降六十五件、インドとの間で令和三年七月の発効以降四十六件、それからドイツとの間で令和六年七月の発効以降八件、イタリアとの間で令和七年九月の発効以降ゼロ件となってございます。

近藤(和)委員 アメリカのみならず、相当、オーストラリア、イギリスとも件数があるのだなと思いますが、イタリア等はゼロ件というのは、これは、まだ結んで一年たっていなくて、共同訓練等、災害支援等を行っていないからという認識でよろしいんでしょうか。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 訓練等の有無につきましては、済みません、私から答弁はなかなか、ございませんけれども、今委員御指摘のとおり、イタリアに関しましては、令和七年、二〇二五年九月の発効以降でございますので、まだ日がたっていないということでまだ所要がないということでございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 次に参ります。

 第一条第一項e、「それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動」、この「その他の活動」に重要影響事態や存立危機事態を法理的に含むのでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、法理上は、存立危機事態の下での自衛隊と各相手国との軍隊との間の物品、役務の提供も含まれております。

近藤(和)委員 それで、実際の存立危機事態における物品又は役務の相互の提供を想定しているか、そして、条約交渉の際、存立危機事態の想定における物品又は役務の相互の提供について相手国と協議をしたかについて伺います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 現実の事態に際して、いかなる国といかなる協力を行うかにつきましては、関係国からの具体的な協力要請や国内法令の要件等を踏まえ、我が国として主体的に判断することになります。したがいまして、ACSAを締結することをもって、フィリピン、オランダ、ニュージーランドそれぞれとの間で存立危機事態における協力について具体的な想定がなされているということは意味しておりません。

 また、この三つのACSAが適用される対象には、法理上は、存立危機事態の下での自衛隊と各相手国の軍隊との間の物品、役務の提供も含まれるということを各相手国との間で確認はしておりますが、それをもって、各相手国との間で存立危機事態における協力について具体的な想定がなされているということは意味しておりません。

近藤(和)委員 確認はしているけれども、想定はしていないということですよね、今の答弁でいきますと。はい。

 それで、先ほどの答弁の中で、関係国からの具体的な協力要請や国内法令の要件等を踏まえ、我が国として主体的に判断するとのことですけれども、協力要請の内容によっては、できる、できないの判断が分かれることはあり得るのか。そして、国内法令の要件との関係も含め、もう少し分かりやすい、こういった場合はできる、できないですね、事例があれば示してほしいのですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 今回の三本のACSAを含めまして、締約国に対して、言ってみますと、自動的に物品、役務の提供を義務づける、こういうものではありません。

 ACSAの下で物品、役務を提供する際には、国内法との整合性はもとよりでありますが、相手国部隊が必要とする物品、役務の種類や数量、該当部隊の置かれている状況、提供の必要性や緊急性についても緊密に意思疎通を行うということになります。その上で物品、役務の提供の可否について我が国として主体的に判断をするということになりまして、提供できない、このように判断される場合には要請を受け入れない、こういうこともあり得ると考えております。

近藤(和)委員 受け入れないということもあり得るということですね。ありがとうございます。

 続きます。

 ACSAは平和安全法制を固定化するものなのか。いかがでしょうか。

貝原政府参考人 お答え申し上げます。

 ACSAは、決済手続、すなわち締約国それぞれの国内法令に基づいて実施される物品、役務の提供に際して適用する決済手続等の枠組みを定めるものであり、物品、役務の提供の根拠はあくまでも国内法でございます。

 今回御審議いただいているACSAによって、存立危機事態を含む平和安全法制に定める各種事態における物品、役務の提供が可能になるわけではなく、ACSAの締結が平和安全法制に影響を与えることはございません。

近藤(和)委員 固定化するものではないということですね。あくまでも決済手続だということですね。ありがとうございます。

 それでは、次に参ります。

 ACSAの適用が想定される活動の典型例は、共同訓練、PKOへの協力を始めとする平和協力業務、人道的な国際救援活動、大規模災害への対処等であると考えられると承知していますが、そのような場面で共同して活動する相手国との間にACSAが存在しない場合、物品の提供はできないのか、ACSAがないとどのような不都合が生じるのか、伺います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 ACSAを締結していない国との間で、国内法上の要件を満たせば物品の提供は可能だというふうに考えておりますが、相応の手続が必要になります。

 具体的には、国有財産の場合、物品管理法や財政法の定めにより、原則として無償ではなく有償での貸付けということになります。したがいまして、貸付料などの適正な対価について相手方とのその都度交渉を行った上で徴収をするという必要が生じます。

 ACSAについては、物品の提供を行う際の決済手続等を枠組みとして事前に定めておくものでございます。これによりまして、相手国と適正な対価について都度交渉するようなプロセスが不要となることから、相手国軍隊との間で物品の提供を円滑に行うことが可能となり、両者が共に活動する現場でのより緊密な連携が促進されるというふうに考えてございます。

近藤(和)委員 これらの国々と、存立危機事態を想定した訓練や存立危機事態における協議をしていますでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 フィリピン、ニュージーランド及びオランダとの間では、防衛協力を進展させるための、様々なレベルで防衛当局間での協議を行っておりますが、現時点におきまして、これらの国々との間で存立危機事態における行動を前提とした訓練や協力というものについて決まった計画があるわけではございません。

近藤(和)委員 ACSA締結国と共同訓練や災害支援を行っている途中において、何らかの事象、紛争などが発生した場合、ACSAに基づいての物品の提供等はされ続けるのか、やめる場合はあり得るのか、伺います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 物品、役務の提供の可否は、相手国からの要請を受け、我が国の国内法に基づきその都度主体的に判断することとなっております。

 したがいまして、例えば、自衛隊の活動中に何らかの事案が発生した結果として、それ以降の物品、役務の提供は行わないといった判断をすることもあり得ると考えております。

近藤(和)委員 その都度ということですが、例えばですけれども、国連憲章に違反する行為等が対象国に発生した場合は物品提供などを取りやめるということでよろしいのでしょうか。

茂木国務大臣 そのような理解で結構であります。

 我が国として、国連憲章上違法な武力の行使を行う国に対しては、協力を行うことはありません。

 実際、お尋ねの三つのACSA、いずれにおいても、第三条の1におきまして、「この協定に基づいて提供される物品又は役務の使用は、国際連合憲章と両立するものでなければならない。」旨、明確に規定をされております。

近藤(和)委員 そのような場合があったときには取りやめるということですね。ありがとうございます。

 自衛隊の具体的な活動において、例えば、救助活動でもいいんですけれども、その場所で日本が出動していて、そして、A国は協定を結んでいる国、そしてB国は協定を結んでいない国、これら二国と、同時に、また同区域で活動をするような場面は今まであったのでしょうか。

上田(幸)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が御指摘の、自衛隊のこれまでの活動で、ACSAを締結している国と締結していない国、いずれとも自衛隊が活動した事例はございます。

 具体的な事例を申し上げますと、例えば、令和四年、トンガにおける国際緊急援助活動を実施しました際には、締約国であるアメリカ等のほか、非締約国のニュージーランド等が現地で活動しておりました。また、令和五年、トルコにおける国際緊急援助活動を実施した際には、締約国のアメリカ等とともに、非締約国のフィリピン等が現地で活動、また、令和七年、ミャンマーにおける国際緊急援助活動の際には、締約国のインドのほか、非締約国のフィリピン等が現地で活動といった事例がございます。

 こういった例を踏まえまして、一般論として申し上げますと、ACSAによって相手国との間で物品、役務の提供を行う際の手続等について事前に定めておくことは、実際の物品、役務の提供を円滑に行うことを可能とするものでございまして、意義があるものと考えてございます。

近藤(和)委員 令和四年や令和五年のときに簡単に融通し合うことができなかったニュージーランド等とスムーズに受渡しができるということですね。ありがとうございます。

 それでは、次に参ります。

 防衛装備移転三原則が見直されましたが、武器の支援ニーズが高まった場合、政府として、ACSAにおいて武器を適用対象に含めないとする、先ほど原田委員とのやり取りの中でも、武器と弾薬は違うんだというような質疑、やり取りがありましたけれども、武器を適用対象に含めないとする従来の方針を見直す余地があると考えているのかどうか、伺います。

茂木国務大臣 これまでの質疑の中でも答弁させていただいておりますように、ACSAは決済手続等の枠組みを定めるものでありまして、これと防衛装備移転三原則は性質、目的が異なっておりまして、防衛装備移転三原則やその運用指針の見直しを受けてACSAを改正するという関係にはない、このように考えております。

 また、今般の防衛装備移転制度の見直しに際しまして、我が国のACSAが対象としている物品の種類に武器を加えるような検討は行っておりません。また、現場においてニーズがあるとも承知しておりませんので、御指摘のような見直しを行うということは考えておりません。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 世界の情勢が混沌としております。日本の安全保障を取り巻く環境が依然として厳しい状況が続いていますけれども、民主主義、自由、人権、法の支配といった共通の価値観を持つ国々とACSAを締結する意義について伺います。いかがでしょうか。

貝原政府参考人 お答え申し上げます。

 ACSAにより、自衛隊と相手国軍隊が共に活動に従事する現場でより緊密な連携が促進されることが期待されております。

 その上で、国際社会や我が国を取り巻く安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に進む中、我が国として同盟国、同志国とのネットワークをより重層的に構築することが重要と考えており、ACSAはそうした取組を力強く後押しするものでございます。

 政府といたしましては、引き続き、ACSAを始めとする安全保障に関する協定の締結を含む様々な取組を通じ、同志国との連携を一層強化してまいる考えでございます。

近藤(和)委員 ACSAについては最後の質問に参ります。

 先ほど原田委員の方からも、このフィリピン、オランダ、ニュージーランドとの今回の締結に関してですけれども、フィリピンに関しては、ASEAN諸国とのこの拡大の在り方をどう考えているか、そして、オランダについては、欧州圏とのこの拡大の考え方はどうか、ニュージーランドについては、この太平洋地域の拡大についてはどうかということの質問がありましたが、実際には、そのときには、現時点で交渉しているところはありませんという、事務方の方であればそこまでしか答えられないのかなというふうにも思いますし、外交交渉のところでは、大臣であっても、今、内々に、水面下でやっておりますということは言えないんだろうなというふうに思います。

 その上で伺いますが、ACSA等の締結国の拡大等について、一般論、この必要性について、目指したい方向性、意気込みなどについて大臣に伺います。

 せっかく大臣が手を挙げているので。大臣に答えていただかないとよくないので。

 では、事務方が答えた上で。私、委員長じゃないですが、いいですか。

國場委員長 そうですか。

 では、最初に、宮本アジア大洋州局南部アジア部長。

宮本政府参考人 大変恐縮でございますが、まずは私からお答えをさせていただきます。

 ただいまも御審議いただいております中で議論になっておりますとおり、自衛隊が諸外国の軍隊と協力して活動を行う際に、物品、役務を相互に円滑に提供できる法的枠組みを整えておくことは重要な意義を有する、このように考えてございます。

 現時点で、ただいま例示いただきました幾つかの国々を含めまして、御指摘の国々との間でACSAの交渉開始が具体的に検討されているということはございません。

 これも先ほど来御説明しているとおりでございますが、政府といたしましては、各国との安全保障、防衛協力を進めていく中で、相手国との二国間関係、自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、それから、重要なことは、具体的ニーズがあるかといったことも踏まえながら、必要な検討について取り組んでいく考えでございます。

茂木国務大臣 今、極めて厳しい国際環境、戦後かつてなく複雑で厳しい安全保障環境に直面をする中で、日本として同志国等との連携を様々な意味で強化していく、このことは重要だと思っておりまして、それによって国際社会の平和と安定を維持強化していく。

 また、国際法をしっかり守るような体制をつくり、そして自由で開かれたインド太平洋を実現していくということは極めて重要でありまして、御指摘をいただいた地域というものはそこの中で極めて重要な地域になってくる、このように考えております。

 そういった中で、実際に、二国間関係もありますけれども、訓練等の実績であったりとか、実際にそういう物品、役務の提供のニーズ等々も踏まえながら今後検討していく、こういうことになると考えております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 実際にはニーズも含めてということなのかなというふうには思います。ありがとうございます。

 それでは、日本・カナダ刑事共助条約についての質問に移ります。

 政府は、本条約の締結の意義として、中央当局間の直接の連絡を通じた効率的かつ迅速な共助の実施が可能となることや、共助を条約上の義務とすることで共助の法的基盤を提供することのほか、インド太平洋地域の重要なパートナーであるカナダとの間で刑事司法分野における協力の更なる進展が期待されることを挙げています。

 また、二〇二六年、今年の三月に行われた日加首脳会談後に公表をされました日本・カナダ包括的戦略的ロードマップには、我が国とカナダの法執行に関する協力について、二国間の刑事共助条約の発効と実施に向けた取組を通じたものを含め、法執行機関の協力を促進すると明記されています。

 本条約を締結することにより期待される刑事司法分野における協力の更なる進展や法執行機関の協力を促進とは、具体的にどのようなことを想定をしているのでしょうか。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 近年の国境を越えた犯罪の増加に伴いまして、これらの犯罪に一層効果的に対処する観点から、捜査等に関する国際的な協力を緊密に行うという必要性が高まっているところでございます。

 この条約の締結によりまして、カナダに対して請求する共助が条約上の義務として確実に実施されるとともに、これまで外交当局を介して行っていたやり取りを、中央当局、日本では法務大臣及び国家公安委員会等、カナダは司法大臣等でございますが、この間で直接行えるようになるということで、共助の効率化、迅速化が期待されるということでございます。

 お尋ねの法執行機関間の協力ということでいいますと、これによりまして中央当局間での直接のやり取りが行えるようになるということによりまして、国境を越える犯罪に対して両国の法執行機関間で連携しての一層迅速な対応が可能になるということが効果としてあると思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 済みません、質問を二つ飛ばしまして、アジア諸国を中心としたところに少し話を移したいと思います。

 警視庁の資料によりますと、二〇二五年における来日外国人犯罪の国籍別検挙状況は、件数の多い方から、ベトナム、中国、タイ、ブラジル、フィリピン、カンボジア、スリランカ、インドネシア、ネパール、韓国の順となっています。実際、アジアの国が多いわけですけれども、この十か国のうち、我が国が刑事共助条約を締結しているのはベトナム、中国、韓国の三か国のみでございます。

 来日外国人の犯罪状況を踏まえ、ブラジルを除く、我が国が未締結の六か国に対して刑事共助条約の締結を積極的に働きかける必要性について、政府はどのように考えているのか。仮にこれらの国との刑事共助条約の締結を積極的に働きかける必要性がないと判断する場合、それはどのような理由か。

 また、タイとの刑事共助条約締結に関し、二〇二四年に、政府は、締結に向けた正式交渉会合の実施に向け調整を行っている旨説明していますが、現在、その状況はどのようになっていますでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、近年の国境を越えた犯罪の増加に伴いまして、捜査等に関する国際的な協力の重要性は高まっている、このように認識しております。

 委員御指摘の国々も含めまして、刑事共助条約の締結の必要性について、過去の共助実績、相手国等との経済的、社会的結びつき、法執行当局間の実務的な協力関係などを総合的に勘案いたしまして判断していくという方針でございます。

 その上で、御指摘のタイとの刑事共助条約につきましては、タイ側と正式交渉会合を開催すべく、外交ルートを通じて必要な調整を進めているというところに、まさに現在ございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 双罰性の質問、そのまま一緒なので飛ばしまして、ビデオ会議もちょっとまた飛ばします。

 そして、次ですけれども、関連するということで、犯罪人引渡条約とのことについて伺いたいと思います。

 国外逃亡被疑者等の追跡について犯罪人引渡条約がございますが、現在は米国と韓国との間でしか締結していません。今回議論している刑事に関する共助の条約につきまして、カナダに限らず、引渡条約を締結していることとしていないことに何か差異があるのか、また、犯罪人引渡条約を二つの国以外で締結していく動きや考えがあるのか、伺います。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、犯罪人引渡条約を締結するか否かにつきましては、相手国との犯罪人引渡しの具体的必要性の有無、相手国の刑事司法制度等諸般の事情を総合的に勘案して検討するということでございます。

 特に、犯罪人引渡条約につきましては、一定の要件の下で犯罪人の引渡しを相互に義務づけるということになります。したがいまして、相手国の刑事司法制度が適切に運用され、我が国から引き渡された者が不当な扱いを受けることがないかなど、諸般の事情について入念に検討する必要があるという具合に考えております。

近藤(和)委員 最後の質問になりますが、国際刑事裁判所について伺います。

 この国際刑事裁判所については、先週の質疑のときでも日本人の方がトップであるということも話として出てきましたけれども、この国際刑事裁判所の締約国は現在は百二十五か国、そして日本が最もお金を出しているということでございますが、世界の大国が入っていないことに対しての御所見はいかがでしょうか。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 ICCは、最も重大な犯罪を犯した個人を国際法に基づいて訴追、処罰するために、国家の刑事裁判権を補完するものとして設立されました常設の国際刑事法廷でございます。委員御指摘のとおり、二〇二六年五月の時点でICCの加盟国は百二十五か国となっているということでございます。

 ICCが真に普遍的かつ実効的な裁判所になるためには、締約国の拡大が不可欠であると考えておりまして、そのための環境を整備することが重要と認識しております。その観点から、各国に対しましてはICCへの加盟を働きかけてきております。

 今後とも、ICC普及のための方策を、ICCや他の締約国とも連携しつつ、不断に模索してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 共通の価値といいますか、世界の、作られてきているルールを守らない大国が出てきているような状況ではございますけれども、むしろ、こういうときだからこそ日本が主導的な役割を果たしていくということ、また努力をしていただきたいなと思います。

 ジェノサイド条約についていつも質問をしようかと思いながら、今回は元々挙げてはいませんでしたけれども、命を守っていくということ、虐殺等を許していかないということ等は、日本にとってはむしろ日本自身を守ることにつながっていくというふうにも思いますので、様々な形で努力をしていただけたらと思います。

 ありがとうございました。

國場委員長 次に、深作ヘスス君。

深作委員 国民民主党・無所属クラブの深作ヘススです。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 本日で、この外務委員会、今国会においては、法案の質疑、そして条約の審議、この残されていたものが本日で一定クリアになるということでございます。他方で、是非、委員の皆様とも、これからも、国際情勢が動く中において、定例日において開催をしていくということを是非皆様にも御検討いただきたいと思いますし、国際情勢がこれだけ動く中でありますので、外務委員会開催の意義というものを是非共有をさせていただきたいと思います。

 その上で、もちろん、大臣におかれましては、今、参議院が大変忙しい状況になっているということで、なかなか大臣の出席をお願いをするというのも厳しい状況が出てくるであろうということは想定をいたします。ただし、この外務委員会において、議員間の討議であったり、参考人の質疑を行ったり、あとは視察なども行うことができるというふうに思います。

 直近でいえば、六月三十日には横浜の中区、南区、磯子区をまたがる米軍の根岸住宅地区が返ってくる、返還が進んでいったり、あとは、来年、花博が行われる。これも、今日審議をしているような、条約に基づく、外交的な大きなイベントが行われるということでございます。

 こういったことの視察も行うことで、外務委員会を引き続き、是非、アクティブに開催をしていくことを皆様と一緒に議論をしていきたいと思いますし、委員長にも、今日が最後ではないということであると思いますので、是非お諮りをいただきたいと思います。

國場委員長 分かりました。理事会で協議させていただきます。

深作委員 ありがとうございます。

 では、本日の質問に入っていきたいと思います。

 本日、四つの条約について審議をするわけですが、今回、この条約全て、例えば、フィリピンであれば署名は本年の一月十五、オランダであれば昨年の十二月十八、ニュージーランドも昨年の十二月十九日、そして、日・カナダ刑事共助条約につきましても昨年の十二月と、半年以内に国会に対して提出がされているという状況です。

 前回、条約の質疑を行ったとき、南極であったり郵便の話であったり、あの中でも、与党の先生方も、野党からも、なぜこれだけ条約が実際に国会に出てくるまで時間がかかったのか、十年、二十年という時間がかかったということで。

 バイで行われるものは比較的国会にすぐに出てくる、そして質疑、審議を経て発効に向かっていくということがありますが、マルチのものに関しては時間がかかっている。先ほど原田委員からも、ニュージーランドの件、時間がかかっているというのはありましたが、これは署名をする以前の交渉の状況ですので、それは除いても、こういったマルチのものに関しても、先日、理事会での審議事項として御検討いただいていますが、是非、マルチのものも、今後、どういったものに日本が署名をしたのか、又は採択をされたのか、日本が関わるものについては、引き続き、理事会において審議をいただいて、できる限り表に出していただくというようなことを求めていきたいと思います。

 本日、まずは日加刑事共助条約についてお伺いをしたいと思います。

 この条約の中に、ビデオ会議を通じた聴取について明言をされています。他方で、ビデオ会議を通じた聴取というのは、条件次第では、明文規定、今回、条約にあえてこの規定を残さなくても実施をできた規定であるというふうに読むのが自然だと思います。

 そう考えたときに、ここにあえてこれができるというふうに記したその理由、背景、これはカナダ側の要望があったというような話を聞きましたが、是非その背景などについて教えてください。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のビデオ会議を通じました証言又は供述の取得に関する規定ということでございますが、御指摘のとおり、この条約の共助の対象に含めたいとカナダ側の方で意向がございましたので、双方で交渉した結果、規定することとしたものでございます。

 この種の規定の前提といたしまして、我が国におきましては、ビデオ会議を通じた証言又は供述の取得のための共助につきましては、刑事共助条約に規定がなくとも、対象者の証言又は供述の任意性等を含めまして、我が国の主権との関係性等が問題とならないということが確保できることを確認した場合には実施可能ということであります。

 一方で、その上ででございますけれども、この条約におきましては、ビデオ会議を通じた証言又は供述の取得のための共助を実施する条件等が、第十条になりますけれども、詳細に規定されております。したがいまして、このことによりまして、このような条件等の調整がより効率的かつ迅速に行われることになるということでございます。

 以上が背景でございます。

深作委員 ありがとうございます。

 本来であれば、法律もそうですが、本来不必要なものをあえて記すということには、そこに何かしらの意図がなければ、それをわざわざ文字として残す必要がないであろうと。今回、この条約が出てきて、そこの部分の一つの不自然さ、わざわざ書く理由は何なんだろうと。

 今御説明をいただきましたが、是非、こういった、不必要とまでは言いませんが、必ずしも必要ではないものがあえて明記をされているというところで、運用上何か問題が出るとは思えないんですけれども、この部分だけは指摘をさせていただきたいと思って御質問いたしました。

 続いて、ACSAについてお伺いをいたします。

 まず、各論として、各国との締結の意義について、原田委員から既にオランダについては大臣に御質問がありました。そこで大臣からは、基本的価値を共有することであったり、FOIPを進化をしていく話、そして共同訓練などが徐々に深まってきている、こういったことでオランダと結んだんだという御説明がありました。

 これだけをある意味で一つの条件としていけば、例えば二〇二四年に我が国が共同訓練を行った国、インドネシア、タイ、ブルネイ、セーシェル、スリランカ、マーシャル、南アフリカ、シンガポール、韓国と、いろいろな国があるわけですし、これらの国の中でも、基本的価値を共有をし、かつFOIPの進化に重要な国々はあるということは言うことができると思います。

 今日、先ほど近藤委員からも、どの国と今何をやっているのかは外交上お伺いするのは難しいということは承知をしていますが、先般の日韓の首脳会談の中でも、一部報道で、ACSAに向けた動きがあったのではないか、こういったことが出てくる中において、今回、あえてオランダと、基本的価値の話だけではなく、あえてオランダと締結をした側面的な意義がどういったところにあるのか。また、連携が深まっていく中で、オランダとの関係性にどういった影響をもたらしていくのか。半導体での協力なども強いオランダでありますので、そういった側面、サイドのところから見たこういった意義について、もし大臣からお答えいただけることがあればお願いいたします。

茂木国務大臣 若干これまでの答弁とどうしても重複する部分はあるということは御理解いただきたいと思うんですが、日本とオランダの両国は、自由、民主主義、人権及び法の支配という基本的価値を共有する戦略的パートナーであります。また、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて取り組む意思、これも先ほども申し上げておりますように、インド太平洋と欧州大西洋の安全保障は不可分である、こういう観点からも、こういった意思を共有しているところであります。

 同時に、経済安全保障の戦略的重要性が高まる中で、御指摘いただきました半導体であったりとか、重要鉱物のサプライチェーンを含めまして、同志国連携を進めていくということは喫緊の課題でありまして、オランダはそのような観点からも重要なパートナーであると考えております。

 そして、先ほど申し上げたように、両国の間では二〇二四年以降、実際に共同訓練とか、オランダのフリゲート艦が長崎に寄港する、こういった実績もあるわけでありまして、今回、協定を締結することは、我が国の安全保障に資するのみならず、両国が国際社会の平和、安全により積極的に寄与することにつながると思っておりますし、両国関係が強化をされることによって、安全保障、これも、経済安全保障も含めた裾野の広い安全保障の枠組みをつくっていく一つの大きな重要な要素になってくる、こんなふうに考えております。

深作委員 ありがとうございます。

 今回、そういった意義を持って、特に、オランダは、我が国の国家安全保障戦略上の位置づけとして具体的な言及があるわけではないにもかかわらず、このような連携を深めているということは、私は、大臣がおっしゃられたように、大変重要な一歩であると思いますし、今後そういった枠組みが増えていくということは大変重要であると思っています。

 これまで、我が国にとってのメリット、今回の締結のメリットということはほかの委員からも御指摘がありましたが、これはやはり両国間での合意でありますので、オランダ側にとっての締結のメリットを外務省はどのように評価をしているのか、是非、政府参考人で結構です、お答えください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、オランダといった他国の事情について有権的にお答えする立場にはございませんけれども、その上で、一般論として申し上げれば、我が国にとって、自衛隊が諸外国の軍隊と協力して活動する際、物品、役務を相互に円滑に提供する法的枠組みを整えておくことが重要な意義を有するのと同様に、相手国にとってもそのような同様の意義があるものと考えております。

 更に申し上げれば、オランダ政府は二〇二〇年に独自のインド太平洋ガイドラインを策定し、オランダ軍はインド太平洋地域での自衛隊との共同訓練を複数回実施するなど、オランダが同地域への継続的な関与を実施しております。

 インド太平洋地域から物理的に遠方に位置するオランダにとって、そうした訓練の際の燃料の調達等は大きな課題と思われ、ACSAによって自衛隊との間で物品、役務を相互に円滑に提供できるようになるということは、オランダ側にとっても意義のあるものと考えております。

深作委員 ありがとうございます。

 両国間の合意でありますので、しっかりと、相手側のメリットに対して私たちがどのような役割を果たしていくのか、こういったこともお答えいただいたということで理解をいたしました。

 では、ACSA、総論、全体的な話についてお伺いをいたします。既にこの委員会で今日触れられている部分であるんですが、もう少し詳しくお聞かせをいただきたいと思います。

 これは、武器と弾薬の話であります。先ほど来もう既に御答弁をいただいているように、武器は対象外であり、ニーズもない、だからそういう仕分なんだということは大変よく分かりました。理解をした上ででありますが、ただし、自衛隊法の第百十六条の三の中では、装備品の中に、いろいろ列挙されている中に、「武器(弾薬を含む。)」というような規定がされています。なので、弾薬は武器に含まれるというのが、国内法上、一つ、定義としてされています。また、防衛装備移転三原則の関連文書の中でも、「武器(弾薬を含む。)に該当する完成品」というような記載があります。

 このように、国際条約であるACSAと、国内法、防衛政策文書の間で、弾薬と武器について、含まれるか否かということが、定義にずれがあるというふうに見受けられます。これを政府はどのように整理をされているのか。また、国会の審議であったり国民への説明、理解を促進をしていく上で、用語の定義、これ自体の透明性を担保していく必要があると考えますが、お答えいただければと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、ACSAに関する自衛隊法上の武器についてでございます。まず、この定義にいたしましては、直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置ということで、これまでも御説明をしてきているところでございまして、ここには弾薬というものは含まれてございません。

 他方、今委員の方から御指摘のありました防衛装備移転三原則で言う武器につきましては、輸出貿易管理令別表第一の一の項に掲げるもののうち、軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるものを指しております。この中には弾薬というものが含まれるというふうに、これまでも御説明をしてきているところであります。

 また、自衛隊法第百十六条の三におきましては、武器に弾薬が含まれるということを明文上規定もしているところでございます。

 このように、法令における用語の具体的な内容につきましては、まずそれが規定されている趣旨、目的に照らしまして個別に定められているところでございまして、防衛装備移転三原則や自衛隊法の御指摘の条文などにつきましても、その趣旨や目的が異なることもありますので、それぞれにおける武器の用語というものを分かるような形で規定をするとともに、これまで御説明を尽くしてきているところではございますが、引き続き丁寧に御説明をしていきたいと考えてございます。

深作委員 ここはやはり定義、言葉で、現物があったときに、これはACSA上で見るのか、これは自衛隊法上で見るのかという、物そのものは同じなわけでありますから。仕切りをそうしなければいけないというところは十分理解をしつつも、そういう意味においては、その物が、こっちで見たら武器である、こっちで見たら武器でない可能性があるという仕切りはなかなか分かりにくいのではないかというのが、正直、思うところです。

 そうしたときに、なぜこの質問をしているかといいますと、先ほど来ありましたように、防衛三文書の改定であったり五類型の撤廃などが進む中で、これは私は必要なことでありますし、会派としても応援をしていく、やらなければいけないとは思いながらも、やはり、説明責任をどう果たしていくのか。そして、こういったACSAなどが進んでいったときに、日本がいろいろなものを提供できる、こういうものが際限なく進むのではないかというようなこと、そういった疑念に対しても、政府は正確に説明責任を果たしていく必要があると思っています。

 その中で、では、例えば弾薬についての、定義について少しお伺いをしたいと思います。

 ACSAにおいて、協定第二条第二項には、弾薬がここで定義をされているわけですが、第三項では、武器の提供を含むものではないというふうに、そこも線引きがされています。

 例えば、弾薬と武器、この線引きが難しいもの、先ほど弾薬は消耗品であるとおっしゃって、例えばミサイルでいえば、発射をする装置は武器なのであろう、そこに載っていく弾は多分消耗品なのであろう、そこで線が引かれるのかなというようなことは何となくイメージができますが、では、例えば、最近戦場で使われている自爆型のドローンであったりスマート魚雷、実際にオペレーションも自ら行い、そして消耗品でもあった場合、こういったものをどういうふうに今後定義をしていくのか。例えばこれは弾薬だから、これらは提供できるものなのかであったりというところは、時代が変わる中で、武器の中身が変わっていく中で、定義を常々していかなければいけないと思います。

 こういったものに対して、武器と考えるべきなのか、弾薬と考えるべきなのか、そういった線引きをどのようにされるのか、お答えください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、自衛隊法上における武器、弾薬の定義につきまして、先ほど武器の定義については申し上げたとおりでございます。弾薬につきましては、一般的に、武器とともに用いられる火薬類を使用した防衛の用に供される消耗品というふうに、これまで御説明をしてきているところでございます。

 その上で、様々な武器、弾薬に当たるものがございますけれども、これまでのACSAにおける相互提供の対象になるものにつきまして、例えば誘導ミサイルや魚雷というものにつきましては、これまでの協定、例えば日米のACSAの枠組みにおきましては、そもそも、米国の国内法令上、こういった誘導ミサイルや魚雷というものについて、国内法上、提供の対象とはなっていない、できないというふうになっていることから、相互提供の対象にはなっていないところでございます。

 また、ほかの国とのACSAにおきましても、こういった誘導ミサイルや魚雷というものについては、相互提供のニーズがないということで含まれていないというところでございます。

 また、これ以外にも、自爆型のドローンですとか様々な弾薬類とかというものが世の中にはございますけれども、これらにつきましても、これまで各国とのACSAを交渉する中で、ニーズがないということで、提供対象にはしてきていないというふうになっているところでございます。

深作委員 提供対象であるか、そしてニーズがあるかということではなく、これらが弾薬として扱われる可能性があるのかということなんですが、多分それは現時点ではすぐにお答えいただけるものではないのかなというふうに理解をいたしました。

 こういったものが進んでいく中で、どこに線があるのであろうか。先ほど既に御質問の中でも、勝手に拡大をしていくことを防いでいかなければいけないというのは、やはり国会の役割として、持つべき役割だと思っています。ここは、兵器の中身が変わっていく中において、しっかりと線引きをしていくということは、是非、政府の方でも行っていっていただかないと、武器、弾薬を含むのか含まないのか、これについても、こっちから見たらこう、こっちから見たらこうというわけにはなかなかいかなくなると思います。どこかのタイミングでそういった整理をしっかりしていくべきではないかということは、問題点として指摘をさせていただきたいと思います。

 その上で、先ほど近藤委員から大臣に対しても質問があって、今後、ACSAの中身で武器を含めていく可能性があるのかと。これは、ニーズもない、今後も考えていないということが明言をされましたが、では、少し技術的な話で、含めることを技術的にはできるのか、政府が考えているかどうかではなく、技術的にはできるのかについて、端的にお答えください。

貝原政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの点につきまして、あくまで理論上の論点として申し上げますが、仮に締結済みのACSAの適用対象や物品、役務の区分を変更する場合には、当該ACSAを改正するということをもって可能であるということだと考えております。

深作委員 ありがとうございます。テクニカルな話であれば、それは可能であると。

 そこで、今お答えをいただいたようにACSAの改定、そして、多分、関連法制でいえば、自衛隊法についてもこれは変えていかないと、今までの運用を変更するということはできないというふうに理解をしましたが、そのとおりか。では、お願いいたします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 こちらもあくまで理論上の話になりますけれども、仮にACSAにおいて武器の相互提供というものを適用対象にするというようなことになりますれば、現行の自衛隊法などの国内実施法の範囲を超えることになりますので、そのためにはこれらの実施法の改正が必要になるというふうに考えてございます。

深作委員 ありがとうございます。

 今回、ACSAの質疑に入るときに、我が党内でも、武器がどうなっていくのかであったり、特に五類型の撤廃などによってこれがどう進み得るのかという懸念が示されたところもありますが、そういう意味においては、自動的に拡大することはできない、もしそれを行う場合でも必ず国会の審議を経なければいけない、そこに必ずブレーキがかかるんだという御答弁をいただきました。

 そういう意味においては、これを進めていく上で、そこにしっかりと国会の目、国民の目が入っていくんだということが一つ明らかになったこととして御答弁をいただきました。

 それでは、最後にもう一点。ACSA第一条第一項のe、「その他の活動」の範囲についてお伺いをいたします。

 この項目では、「それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動」ということが記されていて、それが対象となると。比較的包括的な規定となっています。「その他の活動」ということにどういったことが含まれるのか、そして、「その他の活動」が既に適用された過去の事例があれば、それについてお示しください。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の「それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動」、これを目的とした物品、役務の相互の提供の実績につきましては、直近の五年間、令和三年から令和七年で合計で二十件ございまして、その内訳としましては、警戒監視、それから海賊対処行動、こういったことになってございます。

深作委員 ありがとうございます。

 そういう意味においては、「その他」についてですが、これを適用するタイミング、これは「その他」であるというタイミングの判断は政府の中で行われるということでよろしいでしょうか。

 一点、済みません。その上で、政府の中で行われて、それに対しての報告というようなものが国会に対して行われるのか。又は、こういった質疑において質することでそれが出てくるという理解でよろしいでしょうか。政府参考人で結構です。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、「その他の活動」について、具体的にもう少し説明をさせていただきます。ここに含まれる活動といたしましては、情報収集のための活動に伴って、特に現場に所在して同種の活動を行っている相手国軍隊に対する支援ですとか、海賊対処行動に伴い、共に現場に所在して同種の活動を行っている相手国の軍隊など、国内法令で実施をすることが決められている活動を行っている際に、こういったACSAの適用が前提になります。

 その上で、こういった活動を行う際に、ACSAに基づきまして相互提供を行うかどうかというのは、現場の相手国とのやり取りの中で実際に調整の上、行われることになります。その上、実際に行った場合には、先ほど答弁申し上げたような提供実績という形で、対外的にも御説明をしてきているところでございます。

深作委員 ありがとうございます。

 間もなく時間となりますので終わりますが、本日お伺いした中でも、やはり、弾薬と武器の扱い、その定義については、分かるようで分からないといいますか、その場面場面に応じて、武器又は弾薬が、見え方によって変わってくる可能性があるのではないかということについては、改めて、是非、政府の中でどのように見解を出していくのか、どこかのタイミングでそういった線引きをしっかりとしていただく必要があると思いますので、是非、今後の検討課題としていただければと思います。

 以上で終わります。

國場委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十五分開議

國場委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宇佐美登君。

宇佐美委員 大臣、お疲れさまでございます。ありがとうございます。今、参議院の本会議だったということでございまして、今日もまたいろいろな御質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど、近藤議員の方からアメリカ、イランの話などがありましたが、あえてもう一問させていただきたいと思っていますので、現状の御説明と、あと、先ほども隣の横田議員と言っていたんですけれども、やはり茂木大臣は忙し過ぎるので、政府専用機をつけた方がいいんじゃないかという話をずっとさっき議論していたんですけれども、それも含めて大臣の御答弁をいただけたらと思います。

茂木国務大臣 御配慮ありがとうございます。

 例えば、アフリカ出張に行きます場合は、商用便を使いまして主要空港まで行った後、アフリカ域内の移動につきましては小型のチャーター機等を使わせていただいて、できる限りその部分は機動的に活動できるように努めているところであります。

 その上で、米・イラン間の交渉の状況でありますが、一時間半ぐらい前に近藤委員の御質問にお答えをいたしまして、それから急遽状況が変わっているわけではないので、そんなに、どうしても似たお答えになるということを御承知いただきたいと思うんですが。

 大きな方向性として、米国もそうでありますけれども、イラン、また仲介国も、まずはMOUを結ぶ。そして、停戦の状態の中で、残された論点、高濃度のウランの濃縮、濃縮されたウランの取扱いであったりとか、制裁の解除をどうしていくのか、こういった点も残ると思うんですが、こういった論点について協議を行う。二段階で合意を目指すという方向で協議が進められている、このように理解をいたしております。

 これに関連して、様々な報道等が毎日のように出ているところでありますが、現時点で、米・イランの間で何らかの合意に達したという確たる情報には接していないところでありまして、これはこの委員会に入ります前にも確認をしたところであります。

 日本としても、事態の鎮静化に向けて外交努力を継続しておりまして、私自身、先週の金曜日には、イランのアラグチ外相と二月二十八日の事態の発生以来六回目となります電話会談を実施をいたしまして、アラグチ外相に対して、イランが引き続き最大限の柔軟性を発揮して、米国との協議を早期に再開されることを強く期待をしている旨、働きかけたところであります。

 同時に、ペルシャ湾内には、多くの日本関係船舶、また、日本人が、まだ三人の乗組員が乗船している船もありますので、そういった日本関連の船舶も含めて、全ての船舶の安全で自由な航行の必要性、こういったことも訴えかけをさせていただきました。

 また、二十六日、今週は、クアッドの外相会合がデリーで開かれましたので、その際に日米の外相会談を実施をいたしまして、ルビオ国務長官に対しまして、ホルムズ海峡の安定を含めて米・イラン間の合意が一刻も早く実現することが重要である、この旨を伝えて、日米で緊密に連絡、連携をしていくということを確認をいたしました。

 また、昨日の夕刻には、カタール、様々な形で仲介努力を行っておりまして、今回も、言い方としてはパキスタンとの仲介を後押しする外交努力、こういう言い方をされておりますが、こういったことを進めているムハンマド首相と、これも、今年の一月にお会いをして、また先日も電話会談をして、また、昨日、電話会談ということでありましたが、事態の鎮静化及びホルムズ海峡の安定化に向けた協力、さらには、カタールとの間では、LNGを始めエネルギーの我が国にとっての重要な供給源でありますので、これを始めとする二国間の協力について一致をしたところであります。

 こういったやり取りの中で、当然、情報の収集であったりとか、また情報についての共有、こういったことも行ってきておりますが、これは外交上のやり取りでありますので、詳細についてお話しすることはできないということは御理解いただければと思います。

 日本として、引き続き、米国とイランとの協議であったり仲介国の外交的な取組を後押しするとともに、ホルムズ海峡における自由で安全な航行の回復に向けて、国際社会と連携をしながらできる限りの外交努力を粘り強く続けていきたい、こんなふうに考えております。

宇佐美委員 ありがとうございます。

 本当にもう大活躍されているわけでございますが、その間、この前、超党派で和平調停議連というのも会長でやられたそうで、うちに声がかかるのかなと思っていたんですけれども、何かうちには連絡が来ていなかったみたいなので寂しいなと思ってはいますけれども。

 あと、政府専用機の話は、先ほどうちの隣の横田さんともしゃべっていて、今のプライベートジェットは、飛ぶ高さが、高度が高いので普通の飛行機より速く、私が学生時代、隣のゼミで機械とか飛行機とかの設計をやっているのに聞いたら遅かったんですけれども、今は全然速いし、一万キロ飛べるなんて話もあったので、ちょっと与党の皆さんたちも、やはり、もう外務大臣と防衛大臣は、政府専用機で、本当にどんどんどんどん仕事を日本国民のため、日本国家のためにやっていただけたらいいなと切に、真面目に思うところでございます。

 二つ目の質問なんですけれども、今回のACSAの三条約は、単なる個別の法的手当てにとどまらず、日米同盟を基軸としつつも、日本が米国以外の同志国との実質的な安全保障協力を可能にするための環境整備を急ピッチで進めている動きの一部と私は考えているんですけれども、政府の認識を問いたいと思います。

茂木国務大臣 まず、和平調停議連につきましては、お隣の深作ヘスス議員が事務局次長をお務めいただいておりますので、また御相談いただければ、こんなふうに思っているところであります。

 国際社会や我が国を取り巻きます安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に進む中で、我が国として、日米同盟を基軸としつつも、地域のパートナーとの連携を一層強化して、同盟国、同志国とのネットワークをより重層的に構築することが重要と考えておりまして、ACSAは、そうした取組、その一つとして力強く後押しするものであると考えております。政府としては、引き続き、ACSAを始めとします安全保障に関する協定の締結を含みます様々な取組を通じて、同志国との連携、一層強化をしていきたいと考えております。

 我が国の外交、安全保障の基軸は日米同盟にあるわけでありますが、同時に、基本的価値を共有する同志国との連携であったり、様々なサプライチェーンの構築も必要でありますし、同時に、国際社会で発言力を増しておりますグローバルサウスとの関係も重要だと。様々な観点から必要な取組であったりとか法改正等も進めていきたい、そんなふうに考えております。

宇佐美委員 ありがとうございます。

 では、深作事務局次長にもお願いして、というのも、油っこい議連なのかもしれませんけれども、少なくとも表題は和平調停ということでございますので、誰もが望むところだとも思っておりますので、お願いしたいと思います。

 今のお答えの中でも、私は、重要なのはやはりインテリジェンスの協力の基盤整備だとも思っておりまして、ACSAによって部隊間の兵たん協力が進んでも、共同訓練、海洋状況把握、サイバー、宇宙、経済安全保障、先端技術協力を深めるためにも、秘密情報を適切に保護、そして同時に共有するための情報保護協定が不可欠だと私は思っています。

 ニュージーランド及びカナダとの間では、既に情報保護協定が発効済みです。フィリピンについては、早期締結の重要性が確認され、政府間で議論が行われている。昨日の大統領と高市総理との会談でもあったのかもしれません。オランダについては、現時点で締結済みとは確認されていないと承知しています。

 国家情報会議及び国家情報局の整備により、日本国内のインテリジェンス体制もこの国会で強化されるということであります。フィリピンやオランダとの間では、情報保護協定をいまだ締結していない。これらの国との間でも、同協定の締結を喫緊の課題として、優先順位を高めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

宮本政府参考人 御質問いただき、ありがとうございます。お答え申し上げます。

 まず、政府といたしましては、各国との安全保障、防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係や協力の実績、また具体的ニーズなども踏まえながら、情報保護協定の締結に取り組んでいるところでございます。

 オランダに関しましては、現時点において情報保護協定を交渉している事実はございませんが、今後、協力の実績ですとか具体的ニーズなども踏まえながら検討していきたいと考えております。

 一方で、フィリピンに関しましては、先ほども御指摘いただきましたとおり、これまでのフィリピンとのやり取りを踏まえまして、昨日行われた日・フィリピン首脳会談において、秘密軍事情報保護協定の正式交渉を開始することで一致したところでございます。今後、精力的に取り組んでいきたい、このように考えております。

宇佐美委員 ありがとうございます。

 宮本部長は、生物の研究をされていたようでございまして、外務省さんの中で珍しい理系だということであるし、大変大きな期待をしているところでございます。私も理系出身なので、いろいろな視点で、法学部の皆さんたちのすばらしさもよく分かっていますけれども、理系は理系でまた視点も違うと思いますし、また、何か、総理大臣とか天皇陛下の通訳もされていたということで、外務省きっての語学力というのも伺っているわけでございますけれども、是非、宮本部長を始めとして、局長さんも含めて、もちろん大臣もそうですけれども、この協定を含めて進めていっていただけたらなというふうに思っています。

 続いて、カナダとの刑事共助条約について一つだけ聞かせていただきたいと思います。

 近年、我々若しくは私とかチームみらいがいつも申し上げている生成AIの、特に、残念ながら悪用するケースがいっぱいあるわけですけれども、これによる世論誘導とか、国際的なランサムウェア攻撃、たくさんの企業も日本で受けているわけですけれども、こういった国境を越えたハイテク犯罪が急増しています。

 こういった中で、中央当局間で証拠収集の協力を求める際、AI悪用犯罪や暗号資産の追跡といった高度なデジタルフォレンジックの必要な事件において、カナダ側と迅速に暗号化データやサーバーログなどの電子的証拠のやり取りができる互換性とか技術的体制というものが整っているのか。条約の枠組みが形骸化しないためにも、実務的な対応を求めたいと思います。警察庁さん、いかがでしょうか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 サイバー空間をめぐる脅威の情勢は引き続き深刻であり、ランサムウェア被害を始めとしたサイバー事案の捜査に当たっては、外国捜査機関との連携が不可欠であると認識しております。

 御指摘の電子的証拠の授受につきましては、従来より外国捜査機関とその方法等について事前に協議を行った上で実施しており、現在まで支障は特に生じていないところでございます。

 また、警察では、サイバー犯罪の捜査のほか、ランサムウェアによって暗号化された被害データを復号するツールを開発してユーロポール等に提供するなど、相応の実績を上げている情報通信技術を専門とする技官も有しているところであり、こうした技官の能力も活用し、資機材の整備にも配意しながら、条約の実効性確保を図ってまいりたいと考えております。

宇佐美委員 ありがとうございます。

 そうなんですよね。日本の、その点、暗号化技術をひっくり返すような、そういったところも本当にすばらしいと思うので、是非引き続き頑張っていただけたらと思います。

 続いて、先ほど来お話もある、今、フィリピン大統領を含めていらっしゃっている中で、南シナ海をめぐる緊張の最前線で、日本に対して海洋安全保障における協力への期待が非常に大きいということでございます。

 日本は、既に、RAAを進め、防衛装備品・技術移転協定も発効済みで、警戒管制レーダーの移転なども実施してきました。MDAの強化に向けて、AI、通信、無人機、衛星、センサー、データ融合といった先端技術協力を進める必要があるわけです。そのためにも、情報保護協定に加え、MDAの情報共有、通信安全、相互運用性に関する実務取決めの整備も必要だと思います。

 政府として、フィリピンとのMDA協力をどのように強化していくのか。また、情報保護協定の締結及び関連する実務取決めの整備について優先順位を更に上げていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 まず、宮本部長について、生物というお話がありましたが、正確に申し上げますと、平成六年の水産職の採用ということになりますが、決して水産分野だけをやっているわけではなくて、今、南部アジア部長として、例えばインドであったりとかインドネシアに対する愛は外務省の中でも一番強い一人じゃないかな、こんなふうにも考えているところであります。

 さて、フィリピンとの間では、これまでも、巡視船の供与を含みます海上法執行分野の協力を進めるとともに、能力構築支援、防衛装備・技術協力、共同訓練、OSAを通じた協力など、海洋安全保障を含みます安全保障、防衛協力を進めてきているところであります。

 これに加えまして、昨日行われた日・フィリピン首脳会談におきまして、情報保護協定の正式交渉を開始することで一致を見たところであります。

 この情報保護協定について、私、一回目の大臣のときに、日韓関係がかなり緊張しまして、韓国の側が一時これを停止をするという話もあって、これはやはり、日米韓、いろいろな意味で、北朝鮮をめぐる問題も含めて協力をしていく上で非常に重要だということで、それについては韓国の側も、関係が若干冷えている中でもこれについては継続するということになった、そういう重要な協定だと考えているところであります。

 我が国の安全保障を強固なものとし、自由で開かれたインド太平洋、FOIPを実現していくため、引き続き、フィリピンとの間でMDAを含みます海洋安全保障分野での協力推進をしていく考えであります。

宇佐美委員 どうもありがとうございます。

 本当に、フィリピンとの関係を含めて、どんどん強めていかなければいけないなというふうに感じているわけでございます。

 続いて、このフィリピン関係なんですが、南シナ海で中国の海警船から放水銃等の妨害を受けているわけでございますが、そこの最前線で対峙しているのは、実は、フィリピンの軍隊ではなくてフィリピンの沿岸警備隊、PCGであります。PCGは、フィリピンではふだんは運輸通信省に属しているわけですけれども、有事にはフィリピンの国内法に基づいて国防省の附属機関となる組織だとお聞きしております。

 平時において、自衛隊がPCGの船舶についてACSAに基づき燃料や物品を提供することは可能なのでしょうか。お願いします。

宮本政府参考人 恐縮でございます。

 お答え申し上げます。

 日本とフィリピンのACSAでございますけれども、こちらは自衛隊とフィリピン軍との間で物品、役務の提供を行う際の決済手続等の枠組みを定めるものでございます。

 フィリピン沿岸警備隊は、フィリピン軍とは異なるため、この協定の対象とはなってございません。そのため、仮に自衛隊がフィリピン沿岸警備隊に対しまして物品、役務を提供する場合においても、日・フィリピンACSAを適用することはできないということになっております。

宇佐美委員 ありがとうございます。

 とすると、昨年十一月十四日に、海上自衛隊の護衛艦「あけぼの」は、南シナ海において、米海軍、フィリピン海軍及びPCGとともに日、米、フィリピン共同訓練を実施しています。

 このような共同訓練の警戒監視の現場において、PCGに対してのみはこの対象でないということで、物品提供はできるのかできないのか。もしできない場合は、現場で、特にこれはACSAが通ってから、フィリピン海軍ではスムーズにできるけれども、PCGとはそれがないということでありますから、混乱が生じるおそれはないのか、また、その対応をどのように考えておりますか。お願いします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 これまで自衛隊とフィリピン沿岸警備隊との間で物品、役務の提供に関する具体的なニーズというものは示されたことがございませんので、共同訓練を実施するに当たりまして特段の問題は生じないものと思っております。

 また、ACSAの枠組みを使わずとも必要があれば国内法上の根拠を基に物品の提供を行うことができますが、これまでも御説明申し上げておりますけれども、国内法上の手続に従いまして一定の手続が必要になりますので、速やかな形で行うという場合にはACSAということがありますが、少なくともまずニーズがないということで、特段の問題はないものというふうに理解しております。

宇佐美委員 ありがとうございました。

 最後に外相からいろいろな話を聞きたかったんですが、質疑時間が終了しましたので、また今度の機会にとさせていただきます。

 今日はどうもありがとうございました。

國場委員長 次に、佐々木真琴君。

佐々木(真)委員 国民民主党・無所属クラブの佐々木真琴です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 皆さんから大きな意義についての質問はほぼほぼ出尽くしたというか、熟議が深まったなというふうに思っておりますので、私からはフィリピンについて何点かお聞きさせていただきたいなというふうに思います。

 まずは、全員は行っていないかもしれませんけれども、昨日のマルコス大統領の話、大変感銘を受けまして、この七十年の重みというものをとても感じさせていただいたところです。

 それと同時に感じたのが、私は岩手から来ているんですけれども、岩手県はこの月曜日が県政百五十周年でございまして、その中であった話と、昨日の大統領のお話がすごくリンクをしていて。そこで何があったかというと、歴史というのは過去と今との対話である、そこの対話のテーマは未来の話をしているんだという話を、県政百五十周年式典のときに、達増知事がお話をされたんです。昨日の話がすごく似ているなというか、リンクをすると感じておりました。だからこそ、私たちは未来の話を、過去からも共に学びつつ、共に未来に思いをはせていくことが必要なんだと思っております。

 今回のフィリピンとのACSAについてですけれども、意義については先ほど来皆様からありましたので、一点だけお聞きしたいこととしましては、中国の認識、中国がACSAについての動きにどういったことを言っているかというと、国家間の協力は第三国を対象とすべきではないということですとか、地域の平和と安定を損なうべきではないといった趣旨の発言を既にされております。

 もちろん、ここにいる皆さんが分かっておられることだと思いますけれども、地域やエリアの安定や、法の支配、航行の自由を守るためにこうした安全保障協力を進めているのであって、特定国を敵視したり軍事的対立を強めるためにこの協定があるわけでは決してないことは明らかなわけですけれども、一方で、こうした協力が第三国から違った形で受け止められて発信がされているというところは事実でありますので、そういったところも含めて丁寧に発信をしていくことは非常に重要だというふうに考えております。

 特に、日本は、東日本大震災を始めとする災害の経験や、アジア地域の平和と安定に対して果たしてきた責任と経験もすごく多様にありますので、こうした日本の責務や、平和国家として積み重ねてきた歩みも含めながら、しっかりとしたメッセージを発信していく必要があるのではと思っております。

 そこで、大臣に伺いますけれども、政府として、今回のフィリピンとのACSAを含む安全保障協力について、地域の安定のための取組であるということを国際社会にどのように説明し、発信していくお考えなのか、認識を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 まず、フィリピンを含めました東南アジアの国々とは、日本としてはODAを始め様々な協力の歴史があるわけでありまして、そこの中で、日本としては、それぞれの国がその時点で持っている、また将来抱える様々な課題を解決するために、その国に合ったテーラーメイドの支援というのを行ってきております。

 そこの中には、人材育成であったりとか産業の育成であったり、さらには、御指摘もありましたような、東南アジアもいろいろな意味で災害の多い国でありますから、我が国の防災の知見を共有したり、また、災害からの復旧を支援する、様々な協力を進めている、これは間違いない事実であります。

 これはASEANの国々、またそれ以外の国々にも、どうして日本はASEANと非常にいい関係にあるのかという中できちんと説明をさせていただいているところでありまして、決して安全保障に特化した協力をしていくわけではないわけでありますが、日本とフィリピンの安全保障分野での協力に関しまして、日本政府が国際社会に対して正しい情報を発信していく必要性については、委員と認識を共有いたします。

 私自身、同じ問題認識の下、外務大臣として外国を訪問する機会等で、各国のカウンターパートとの会談に加えまして、地元紙への寄稿等を通じまして、日本のインド太平洋地域や国際社会の平和と安定への貢献について積極的に広報しております。

 今週インドに行ってまいりましたが、インドの主要紙に寄稿させていただきまして、拝見、見ましたら、一面にきちんと私の寄稿が載っていたという形でありまして、これも、自由で開かれたインド太平洋、更にそれを進化させて、各国の自律性、強靱性を高めていく、こういったこともきちんと載せていただいていたというところであります。

 昨日の日・フィリピン首脳会談に際しましては、安全保障や経済を始め様々な協力を進めていくことで一致をし、こうした取組を通じて、進化した自由で開かれたインド太平洋、FOIPの下、日・フィリピン、さらには地域の自律性、強靱性を高めていく、こういう意思を両首脳の間で発信をしたところであります。

 引き続き、フィリピンとの安全保障分野での協力が両国のみならず地域の平和と安定に資することについて、積極的な発信を行っていきたい、こんなふうに考えているところであります。

 日本とフィリピンは、東シナ海そして南シナ海でつながった、海でつながった国でありまして、そして、この地域におきましては、力又は威圧による一方的な現状変更の試み、こういったものが強まっているという現実も踏まえながら、しっかりこの地域の平和と安定を守っていくために我々は協力していくんだ、こういったことをこれからもしっかりと発信していければ、こう思っております。

佐々木(真)委員 ありがとうございました。

 本当にまさにそのとおりで、茂木外務大臣を先頭に、顔の見える関係性を、人と人とが外交というものを結んでいくんだということを度々大臣から御発言がありますけれども、そこに向けて、様々な取組が総合的に関与して大きな輪になっていくんだなというところを感じておりました。

 次に、今、防災、災害の観点からのお話がありましたけれども、フィリピンとは、過去、二〇一三年の台風三十号の際にも自衛隊が支援に入っておりました。その前、東日本大震災のときには、逆に支援をいただいていたところでもございます。そのとき、サンカイ作戦というふうに自衛隊は名前をつけて、サンカイというのはフィリピンの現地の言葉で友達という意味だそうですけれども、これが防衛省の自衛隊のホームページにもしっかりと明記をされておりまして、そこに、東日本大震災の恩返しとして密接にこれからも協力していくんだという発信も明確にありました。

 是非ともこれからも、防災であるとか災害の分野に対してもACSAが影響というか寄与していくものであると思いますので、そこについても参考人に一問質問させていただきたいと思います。

 今回のACSAが、日本が被災した場合だけではなくて、先ほどの台風の件のように、フィリピンのような災害多発国についてもACSAはどのような役割を果たし得るとお考えなのかについて、一点、お伺いします。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 日・フィリピンACSAが適用される対象には、大規模災害への対処のための活動や人道的な国際救援活動が含まれております。また、自衛隊とフィリピン軍との間では、これまで、人道支援・災害救援共同訓練も行ってきております。

 御指摘のとおりでございまして、フィリピンはこれまでも自然災害により大きな被害を受けております。フィリピンとの間でACSAを締結しまして早期発効を実現することは、大規模災害への対処、また、それを想定した共同訓練における両国の部隊間の運用面での連携強化に資するものである、このように考えております。

佐々木(真)委員 ありがとうございました。

 では、ここからちょっと毛色を変えまして、フィリピンからは話を抜けて、ACSAの運用、過去の運用について伺っていきたいと思います。

 こうやって協定を拡大していくのであれば、それと同時に問われるのがガバナンスであるというふうに思います。安全保障のための必要な制度であるからこそ、税金の使い道、手続の透明性は、国会でチェックをしていくこと、厳しく問われていくものだと思います。今、防衛費の増額も進む中ですので、国民の皆さんから見れば、適切に管理されているのか、税金がルーズに使われていないのかということは、本当に非常に重要な観点だと思います。

 ここの点で、会計検査院から、過去のACSAに基づく取引について指摘がされております。

 ACSAに基づく提供に係る決済について、長年、長期間決済が完了していない事案があるということを指摘をされているわけですけれども、そこの中で大きく指摘されているのが、自衛隊が他国軍に対して提供した燃料等について、定められた決済期限を大きく過ぎても決済が完了していない事案が多数あり、未精算額が相当額というふうに表現されておりましたけれども、実際の数字でいくと一・三億にも上る未決済があったというふうな指摘がされております。

 この決済手続はルールも定められておって、条約もしっかり拝見させていただきました。そのルールがどういったものか皆さんと共有しますけれども、物品の提供に係る決済については、当該物品を返還することを原則としつつ、提供物品が消耗品である場合又は提供締結国政府が満足できる状態及び方法で返還することができない場合には、同種、同等及び同量の物品を返還することとしている。さらに、これでもできない場合には、提供締結国政府の指定する通貨により償還することとしているというルールに基づいて運用されているはずなんです。

 一・三億の未精算があるということは、このルールがうまく機能していないんじゃないかなというところも思ってしまいますので、今まさに対応されている、もう既に解決している部分が過去のACSAについてはあると思いますけれども、今、これからもACSAを締結していくわけですので、過去のACSAに基づく取引について、未精算、精算がされていないということがあった事案について、防衛省、外務省としてはどのように総括をしているのか、伺いたいと思います。

 また、今回新たにACSAを発効することになりますので、同じような未精算、請求漏れ、事務処理の遅れを防ぐためにはどのような再発防止策を講じるのかというところも併せて伺います。過去の報道等では、防衛省が、相手側の責任者が確認できなかったのでやり取りができなかったというような発言もされておりますので、誰とどのように交渉していくのかなどの手続の適正化の方針について、併せて伺いたいと思います。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、令和五年に会計検査院から防衛省に対して、過去の海上自衛隊のACSAの取引において、提供日から一年の期限を超過しても決済が完了せず、提供した燃料等の返還や償還が受けられていないものが百十件、金額にしますと、先生御指摘のとおり約一億三千五百万円ある旨の指摘及び是正改善の措置の求めがございました。

 その際、このような状況が生じた要因としまして、提供した物品、役務の決済に関する相手国の担当部署を十分に把握しておらず、決済の手続が進められなかったこと、それから、日本側及び相手国側の決済手続が円滑に実施されていなかったこと等が指摘されたところでございます。

 こうした指摘を受けまして、防衛省としましては、ACSAに基づく物品や役務の提供、決済を遅滞なく適正に行えるよう、物品、役務の提供に際しての各締約国の決済に関する担当部署や担当者の特定、それから決済手続の円滑な実施のための様々なレベルでの各締約国への働きかけ、それから、業務に従事する隊員に対するACSAの事務処理等に係る関連規則の教育等を徹底して行うこととしてございます。こうした取組の徹底により、指摘を受けた百十件の未決済の案件につきましては、令和六年に決済を完了したところでございます。

 引き続き、ACSAの適正な運用に努めてまいりたいと考えておりますし、御指摘ありましたとおり、フィリピン、オランダ、ニュージーランドと、締約国が増えてまいりますので、しっかりした対応をしていきたいと考えてございます。

佐々木(真)委員 ありがとうございました。

 既に迅速に対応なされたというところは、評価すべき点だと思っております。

 あわせて、今の答弁にお聞きしたいなと思うんですけれども、取組のルールも定めていったということでありますけれども、ガイドラインというようなものを作って、担当レベルですぐ対応できるようなものをしっかりと定めることがもう終わって、迅速に対応できる体制が整っているということでよいのか、併せてお願いします。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 業務に従事する隊員に対しましては、先ほど答弁させていただいたように、関連規則の教育を徹底しているところでございますが、今の委員御指摘のような、例えばマニュアルみたいな、ガイドラインみたいなものというのは、ちょっとまた今後考えていきたいと考えてございます。

佐々木(真)委員 ありがとうございます。

 属人的にならずに、担当が替わっても継続的に運用される仕組みというところが非常に大切だと思いますので、是非ともそういった点を検討いただければいいなと思ったところです。

 こちらについては以上とさせていただきまして、次の刑事共助条約の方に移っていきたいと思います。

 こちらについても数問出させていただいているんですけれども、通告では六番と出させていただいているんですけれども、サイバー犯罪と消える証拠への対応についてお伺いをしたいなと思います。

 今まさに、先ほどの宇佐美委員の方からもありましたけれども、犯罪の種類が変わっておりますし、サイバー犯罪等も増えておるところでございますので、デジタル時代の捜査で最も重要な点が、電子証拠をいかに迅速に確保するかという点だと思います。通信履歴、ログ、アカウント情報、IPアドレス等々、短時間で消えてしまうものもありますので、専門的にはこういったものをデジタル証拠の揮発性というふうに呼ぶようなんですけれども、要するに、放っておくと証拠がすぐに消えてしまうというところが、捜査上すごく大変なことになってくるというところです。

 日本の刑事手続には、逮捕から勾留、起訴まで、厳格な期限もございます。捜査機関は限られた時間の中で適正に証拠を集めていかないといけないとなったときに、国際共助に時間がかかり過ぎては、証拠が消えて立証が難しくなり、結果として取り逃がすというようなことにもなりかねません。

 そこで、質問としましては、電子記録であるとかデジタル証拠の取得、保全、提供については、今回の刑事共助条約がどのような実効的効果を持つのかというところをお伺いしたいと思います。サイバー犯罪やSNS等を利用した犯罪において、消滅のおそれがある電子証拠を適正かつ迅速に確保するために、この条約がどのように機能するのか、バックアップしていくことができるのか、具体的に教えていただきたいと思います。

 今後、デジタル証拠の国際的な取得や保全に対して、二国間条約だけで十分なのか、多国間の枠組みであるとか国際的なルールの形成が必要なのかどうかという大きな方針についても併せて答弁を求めます。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、この条約によりまして、電子的な証拠の迅速な確保も可能となるということです。

 もう少し説明していきますと、この条約によりまして、一方の締約国が他方の締約国の請求に基づいて、相手国における捜査、訴追その他の刑事手続において必要とされる証拠の取得等の共助を行うということを定めるものでございまして、請求の対象には御指摘のような電子的な証拠の取得というものも含まれるところでございます。

 この条約の締結によりまして、こうした電子的な証拠の取得も含めて、カナダに対して請求する共助が条約上の義務として確実に実施されるとともに、これまで外交当局を介して行っていたやり取りを中央当局間で直接行えるようになるということで、共助の迅速化、効率化が期待されてございます。したがいまして、電子的な証拠の迅速な確保というものも可能になるということでございます。

 それから、我が国でございますけれども、二国間の刑事共助条約のみならず、サイバー犯罪を含む特定の分野の犯罪につきましては、多数国間条約に基づきましても、捜査等において諸外国との協力というものを進めているところでございます。

佐々木(真)委員 ありがとうございます。

 では、関連してというか、続いてになりますけれども、SNS、海外プラットフォームの時代の犯罪というところについて伺いたいと思います。

 今、相手が、国際ロマンス詐欺などもありますし、海外のSNS型の投資詐欺等でも、LINEなどに誘導されて投資目的でお金をだまし取られるといったケースも多数発生をいたしております。ロマンス詐欺についても、海外にいる人物を装って信頼関係をつくり、送金をさせるといったケース。こういった被害は単なる個人の注意不足ということだけでは全然なくて、海外のサーバーであるとか海外の事業者、そして偽装されたアカウントなどが組み合わさった、極めて組織的な犯罪であるとも思います。

 そこで、今の世論というか、被害に遭った皆さんからすると、海外だから追えないというような国民の不安について、日本の司法、捜査の手は国境を越えて届くんだというところの実効性を今後どのように示していくのか、政府の見解を伺いたいと思います。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のSNS型投資詐欺を含めて、特殊詐欺等を敢行する犯行グループの指示役や首謀者の多くは、匿名性の高い通信アプリを用いて実行犯への指示等を行っております。首謀者等を検挙して犯罪組織の実態を把握するため、こうしたアプリの運営事業者から情報提供を受けることは重要であると認識しております。

 一般に、匿名性の高い通信アプリの多くは海外事業者が運営しておりまして、これら海外事業者からの捜査協力は、事業者の任意の下に行われているものであります。

 そこで、警察庁では、海外事業者に対し情報提供の迅速化のための働きかけを行うほか、海外事業者からの円滑な情報提供を得るために、警察庁のコンタクトポイントを通じて外国捜査機関等と常時連携をするとともに、二国間協議や国際会議への積極的な参加などを推進しているところであります。

 また、被疑者が海外に所在する場合には、外国捜査機関等との迅速な情報交換、ICPOを通じた捜査協力を推進しているほか、条約等を活用した国際捜査共助に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、国民の安全、安心を確保するため、こうした取組を強力に推進してまいりたいと考えております。

佐々木(真)委員 ありがとうございました。

 闇バイトというところも、私は今、国会に六名しかいない二十代議員の一人でもありますので、若者の課題として大きなところであります闇バイトについても、やはり、海外の指示役であるとか、大本は海外に行って、実行役しか捕まらないといったところの問題もございます。指示役、資金管理役、首謀者が海外にいる場合、なかなか国内で実行役を逮捕するだけでは犯罪の根を絶つことができないといった課題は、皆様も御承知のとおりであると思います。

 先ほども答弁がありましたとおり、SNSであるとか、すぐ消えてしまうような、どなたかが特定できないような暗号化通信を使って海外から日本の若者に指示を出す、匿名性の高い通信手段を使う、暗号資産で資金を動かす、そういった犯罪に対して、なかなかやはり日本国内だけでは捜査していくことに限界があるというふうに思いますので、先ほど答弁いただいたとおり、刑事共助条約の重要性が出てくると思います。

 先ほど近藤委員かどなたかの質疑の中にもあったと思いますけれども、日本は既にベトナムなどとは締結をしておりまして、報道等を拝見しましても、過去の刑事事件においては、条約を活用することで、従来よりも迅速に証拠取得ができたり証人尋問が進んでいるといった報道もしっかりとされております。つまり、条約があるということは、実際に国際捜査のスピードや実効性が変わってきているということも担保をされているんじゃないかと思います。

 つまり、逆に言えば、締結がない国との間では、外交ルートを通じた任意の協力に頼らざるを得ずに、なかなか長い時間を要してしまうケースがあるというふうにも指摘をされています。先ほど一問目の質問でもさせていただきましたけれども、デジタル証拠は揮発性が高いというふうに言われておりまして、時間との勝負になってしまう犯罪捜査であると思いますので、この差は非常に大きいものなんじゃないかと私自身は感じております。

 条約のない国が、犯罪グループにとっての、日本でメインで犯罪をしていこうとなったときに、そのグループが条約がない国に避難するというか、そこがセーフヘイブン、安全地帯になってしまわないかといったところも見ていく必要があるんじゃないかと思います。

 今回、カナダとの刑事共助条約を締結することはもちろん重要で、それと併せて、今後の方針、どういったところと締結していくかという方針も併せて伺いたいと思います。

貝原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、海外に拠点を置く犯罪集団にセーフヘイブン、安全地帯を提供してはならないと政府としても考えております。

 そうした観点から、これまで政府として、二国間の刑事共助条約に加えまして、サイバー犯罪条約や国際組織犯罪条約、こういった条約にも刑事共助に関する規定が置かれているわけですけれども、こういった条約の締結を含め、多数国間の枠組みに積極的に参加してきたところでございます。

 近年、組織的詐欺の問題を含め、国境を越える犯罪は深刻さを増しております。我が国としても更なる対策強化が必要であるとの認識の下、引き続き、様々な二国間及び多数国間の枠組み等を通じて、各国との更なる協力の強化に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

佐々木(真)委員 ありがとうございました。

 ちょっとまとめになりますけれども、今日話し合ったこの条約も含めて、我々は様々、条約を審議させていただきましたけれども、やはり私は、今の時代に必要な力というのは、一方的な力の強さよりも、つながり合う力こそが今後の世界をつくっていくというか、守っていくというか、そういう大きな力はつながり合う力なんじゃないかというふうに思っております。

 ACSAや刑事共助条約も、単なる各国との条約の数というところから次のフェーズにそろそろ入っていくというか、点が線になり面になって、皆さんでつながり合う力を持って、安全保障環境をより前に進めていくんだといったフェーズに入ってきていると思います。先ほども申し上げましたけれども、顔の見える関係が幾多にも重なることで、いざというときに、より強く、そしてしなやかに機能する抑止力になっていくんだと考えております。

 これからも、大きな一歩であると今回も思いますので、その一歩の歩幅を皆さんと一緒に少しずつ大きくしていけるといいなというところを共有させていただきまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

國場委員長 次に、木下敏之君。

木下委員 参政党の木下敏之でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。心から感謝を申し上げます。

 本日、私が取り上げますテーマは、日本とフィリピンのACSA協定についてでございます。マルコス大統領を国賓としてお迎えできたこのタイミングで日本とフィリピンの協力関係を深める質問ができることに、心から感謝をしたいと思います。

 間もなくアメリカとイランが停戦交渉を延長することに合意するというような報道もございますが、中東情勢が緊迫していることに変わりはございません。ホルムズ海峡をめぐる緊張、そして米軍戦力の中東方面への集中など、日本の安全保障に直結する事態が進行しているわけでございます。

 その一つとして、中国の動きでございますが、南シナ海におきまして、最近は比較的抑制していたと言われる、小さな環礁、島々がございますが、そこの埋立てを昨年の後半から再開をして、軍事拠点化の動きを再び強めているとの報道があるわけであります。

 今、日本を取り巻く安全保障環境は、中東リスクだけではなく、南シナ海リスク、それから、よく台湾海峡が言われますが、中国と台湾の間の海峡だけではなくて、台湾とフィリピンの間にありますバシー海峡、そこも含めて南シナ海全体のリスクが高まっているのではないかと思っております。その中で、日本とフィリピンの今後の安全保障協力をどう位置づけるのかということが問われているのではないでしょうか。

 武器輸出三原則が見直された今、日本は、同盟国、同志国への後方支援国家にとどまるのか、それとも主体的に安全保障を達成する国家を目指すのか。これは、積極的にフィリピンの防衛能力、特に対中国の防衛能力の強化を応援していくのか、その分かれ道に来ているのではないかと思います。

 その観点から、自衛隊とフィリピンの軍隊との物品又は役務の相互の提供に関する協定、さらには、南シナ海が封鎖された場合の我が国への影響について質問をさせていただきます。

 まず、一問目でございます。

 外務省に伺いますが、近年、中国は南シナ海において人工島建設とその軍事拠点化を再開したわけでございます。埋立活動を活発にしているということは先ほど申し上げましたが、外務省に三つお聞きいたします。

 まず一点目、最近の中国における南シナ海での埋立て、軍事拠点化の動きの現状はどのようになっているのか。二つ目、中国側の戦略的意図は何なのか。そして三つ目、米軍が中東に戦力を集中して、東アジア、東南アジアの戦力が手薄になったこととの関係があるのかないのかについて、どのように分析をされていらっしゃるでしょうか。

 アメリカのホルムズ海峡封鎖の動きを見て、中国側も南シナ海の支配強化に踏み込んできたとの見方もございます。それは、公海の航行自由の原則という考えをアメリカ自らが破ったのではないかという考えもございます。外務省の見解をお聞かせください。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおりでございまして、中国は、昨年十月以降の西沙諸島アンテロープ礁の大規模かつ急速な埋立てを含めまして、南シナ海において、力又は威圧による一方的な現状変更の試みや、地域の緊張を高める行動を継続、強化しております。

 その上で、御指摘の若しくは御質問の中国の戦略的意図についてでございますが、こちらにつきましては、我が国の立場から断定的にお答えすることは困難である点は御理解いただければと思います。

 南シナ海をめぐる問題は、紛争当事国だけではなくて、地域の平和と安定に直結する、国際社会全体の正当な関心事項でございます。我が国は、これまで一貫して海における法の支配の貫徹を支持し、南シナ海における力又は威圧による一方的な現状変更の試みや、南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも強く反対をしてきているところでございます。

 今後とも、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化するため、国際社会と連携していく方針でございます。

木下委員 お答えありがとうございます。

 では次に、防衛省に伺いたいと思います。二つ伺います。

 まず一点目、今回、中国の人工島埋立ての再開、そして軍事基地化、これを戦力としてどのように評価されていらっしゃるでしょうか。埋め立てたところは何か所かあると思いますが、例えば、軍事施設がこれぐらい強化されたとか、配置されている武器が、こんなふうな武器が置いてあるとか。今お答えできる範囲で結構です。

 それから二点目、そのことによって周辺の諸国との軍事的なバランスがどれぐらい崩れてきているのかということですね。事前にお渡しした質問では、台湾周辺海域やフィリピン周辺海域においてどのような軍事的な影響があるか分析していますかという質問をお渡ししていると思います。

 昨日、私もフィリピン海軍だとかベトナム海軍の装備を見ておりましたら、これがどこまで正確か分かりませんが、古いフリゲート艦は四隻しかないとか、それから、ベトナム海軍も、古いフリゲート艦、ロシア製が四隻、潜水艦が古いものが六隻とか、戦力としては非常に弱いなと感じております。

 フィリピンも、今はアメリカ軍の駐留は、大規模な部隊はないと思いますが、実際、中国の軍事施設がどれぐらい強化されて、それが周辺の諸国とどれぐらい戦力差、アンバランスが生じているのか。そういったことについて、お答えできる範囲でお願いいたします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 中国は、南シナ海において力又は威圧による一方的な現状変更の試みや地域の緊張を高める行動を継続、強化しておりまして、我が国としてもこうした行動に強く反対する立場を表明してきているところでございます。

 その上で、中国は、二〇一四年以降、周辺国などと領有権について争いのある南沙諸島において、七つの地形で急速かつ大規模な埋立活動を強行してきており、一部の地形、具体的には、ファイアリークロス礁、スビ礁、ミスチーフ礁におきましては、大規模な港湾や、戦闘機、爆撃機が離発着可能な滑走路といった、軍事目的に利用し得る各種インフラを整備してきているところでございます。その上で、対艦巡航ミサイルや地対空ミサイル、哨戒機や早期警戒機の展開というものが指摘されているところでございます。

 また、西沙諸島においても南沙諸島に先駆けて軍事化を推進しており、ウッディー島においては、戦闘機の展開や地対空ミサイルの所在が確認をされているところでございます。また、二〇二五年五月におきましては、爆撃機の展開も指摘があるところでございます。

 こうした南シナ海における軍事化の推進は、周辺国との緊張をより一層高めかねず、また、我が国にとってもシーレーンの安定的な利用に対するリスクが増大しかねないということも含めて、安全保障上の影響が否定できないところでございます。

 また、南シナ海をめぐる問題につきましては、インド太平洋地域の平和と安定に直結するものであり、南シナ海に主要なシーレーンを抱える我が国のみならず国際社会全体の正当な関心事項ということもございますので、先ほど委員から御指摘ありました、この地域における軍事バランスがどのように変わるのかということも含めて、防衛省としても、この南シナ海における動向については引き続き重要な関心を持ってまいりたいというふうに考えてございます。

木下委員 お答えありがとうございます。

 防衛省にもう一度お聞きしたいんですけれども、軍事バランスはかなり、中国側の体制が強化されて、ベトナムやフィリピン側の強化が追いついていない、崩れているという認識でよろしいんでしょうか。

松尾政府参考人 中国側の軍事力の増強、これは質、量共にでございますけれども、急速に進んでいるという点については、今の南シナ海の状況も含めて御説明したとおりでございます。他方、東南アジア諸国においても、一定程度の軍事力の増強といった試みも確認はされてございます。

 こういったことについて、全体として軍事バランスが崩れているというふうに評価するかというところはなかなか申し上げにくいところではございますけれども、むしろ、我が国としては、地域の軍事的なバランスというものが不安定にならないように、地域における秩序を維持強化する観点から、特に防衛省といたしましては、各国の防衛当局との間で防衛協力を積極的に進めて、この地域の安定というものに貢献をしていきたいというふうに考えてございます。

木下委員 お答えありがとうございます。

 では、続いて、経済産業省とそれから国土交通省の政府参考人にお伺いしたいと思いますが、今、ホルムズ海峡が封鎖されていて、それで日本のシーレーンの確保は大丈夫なのかという議論が出ているわけでありますが、私は、ホルムズ海峡以上に、このマラッカ海峡と南シナ海のシーレーンの確保が重要ではないかと思っております。

 事前の経産省からのレクチャーでは、日本向けの原油の九七%、それから日本向けのLNGの一八%が南シナ海とマラッカ海峡を通過しているということでございました。

 仮に南シナ海情勢が深刻化をして、船舶の航行の制限ですとか、それから海運保険、海上保険の高騰、そういったことが発生した場合に、我が国への原油やLNGの供給にどのような影響が生じると試算されているでしょうか。マラッカ海峡そのものが封鎖された場合、それから南シナ海の出口のバシー海峡、そちらが封鎖された場合、いろいろな想定が考えられると思います。その場合には、フィリピンの太平洋側をぐっと大きく迂回するのかとかいろいろなことが想定されると思いますが、どのような想定をされているのかについてお答えいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、中東やアフリカ等から調達される原油やLNGについては、確かにマラッカ海峡、南シナ海を通過して日本まで運搬されることが非常に多いということであります。

 こういった状況の中で、例えば原油、LNGの運搬についてマラッカ海峡を通らず運ぶということになりますと、例えばロンボク海峡、マカッサル海峡を通って日本に来る、そういったことを考えるわけですけれども、その場合は、約千八百キロ程度、迂回するのに当たって追加の航海が必要となります。これは日数で申しますと三日程度になりますが、となれば原油やLNGの到達が遅延することとなり、こうした遅延が起これば、一時的には実質的な日本への原油、LNGの流入量が元の輸送距離からの延伸に比して減少することになります。

 したがって、こうした迂回ルートの活用により流入量が減少した分の原油やLNGについては、調達計画及び配船計画を変更していただき、他の航路からの調達量を増加させること等の措置を取ることで安定供給を図っていく必要があると考えております。

 いずれにせよ、今回のような中東情勢の緊迫化を始め、供給国における地すべりや火事といった自然災害等も含め、様々な供給支障の事態への対応力を備えることが重要であります。

 このため、政府としては、石油の備蓄確保、上流権益の確保、日本企業によるLNG取扱量の増加支援、緊急時におけるLNGの事業者間融通スキームの確立等、あらゆる事態に対応できるような事業環境整備に万全を尽くしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

木下委員 お答えありがとうございます。

 保守系の方のSNSなんかを見ておりますと、台湾海峡で封鎖された場合に日本は干上がってしまうようなことを書いていらっしゃる方も結構多いのですが、現実には、迂回していけば三日から一週間ぐらいの感じで日本にはちゃんと物が入ってくるという理解でよろしいでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたような、幾つかルートがございます。マラッカ海峡を通って南シナ海を通ってだけではないので、そのときの状況に応じて企業の方々はルートを選んでいらっしゃる、運んでいただけるものだと考えてございます。

木下委員 ありがとうございました。

 たしか、一九五〇年代に日章丸がイランから帰ってきたときがそのルートを、どちらかの海峡を通ったかというふうに聞いておりますので、懐かしく、その海峡の名前を伺いましたのは。

 続いて、国土交通省に伺いたいと思います。

 先般も経済産業省が御回答のように、LNGや石油の輸送に障害が生じるわけですが、では、南シナ海情勢が深刻化した場合に、中東からの物資だけではなくて、例えば、インド、マレーシア、それからインドネシア、オーストラリア、ほかにもタイ、フィリピンなどございますが、そういった国々から日本への輸出、日本向けの貨物船の運航、航行にどのように影響が生じると想定されているかを伺います。

 なぜ、中東からの石油だけではなくてインドやマレーシア、インドネシア、オーストラリア、そういった国の名前を挙げたかと申しますと、この後の質問に続きますが、火薬の原料だったりするわけですね。そういったところからの輸入が止まってしまうと、もう火薬製造が日本は大幅にできなくなってしまいますので、その観点から、中東からの荷物だけではなくて、インドやインドネシア、オーストラリア、そういった国々からの輸入にどのような影響が生じるのかについてお答えいただきたいと思います。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 南シナ海情勢が深刻化した場合という仮定の話について断定的にお答えすることは困難でありますが、一般論としては、民間商船は危険な海域での航行は困難であり、安全が確保された海域まで迂回するといった対応が想定されます。

 その上で、例えば、委員御指摘のように、南シナ海情勢の深刻化に伴い、マラッカ・シンガポール海峡と南シナ海経由ではなくて迂回航行がなされるとした場合、代表的な例で申し上げれば、先ほど御答弁がありましたが、中東地域からロンボク海峡を経由する迂回航行の場合、航行距離は片道で約千八百キロ程度、航行日数は、原油タンカーの場合、片道約三日程度増加します。また、インドから同じくロンボク海峡を経由する迂回航行では、航行距離は片道約千八百キロ程度、航行日数は、コンテナ船の場合、片道約二日程度増加します。また、マレーシアからですと、セレベス海を経由する迂回航行になりますが、この場合ですと、航行距離は片道約千四百キロ程度、航行日数は、コンテナ船の場合、片道約二日程度増加するものと認識しております。

木下委員 お答えありがとうございました。

 確認なんですけれども、オーストラリアからLNGを入れておりますが、オーストラリアからの輸送というのは、南シナ海を通ってバシー海峡を抜けて日本に入れているものなんでしょうか。その点についてちょっと更に教えていただければ幸いです。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 オーストラリアからのLNGの日本への航行につきまして、南シナ海を一般的に通っているか、それとも外側、東側を通っているかというのは、ちょっと今手元にデータを持ち合わせておりませんが、航行距離として、オーストラリアから日本への航行距離を考えますと、どちらを通ってもそれほど大きな差はないものと認識しております。

木下委員 お答えありがとうございました。

 南シナ海の場合は、ホルムズ海峡のように全く船が通れなくなるというわけではないわけでありますが、やはり非常に多くの物資が南シナ海経由で通っていることは間違いないので、戦力のバランスが崩れつつあるところにどれだけ日本が手をかすかということは非常に重要な問題ではないかと思っております。

 次の問いに入りますが、問い五は多くの方が御質問されておりましたので、最後に回したいと思います。

 では、続いて、また防衛省の方にお伺いをしたいと思います。

 政府は、近年、防衛装備移転三原則の見直し、同志国との装備協力、防衛産業基盤強化を進めておりますが、現実には、日本国内では、防衛装備品を製造する企業の撤退がこの十年続いていると思っております。

 造船業につきましても、中国との毎年の造船トン数の差が、これは軍事用の船ではありませんけれども、船の造船能力全体では既に、日本が百万トン、中国が三百万トンと、大きく拡大をしているわけでございます。

 そこで、改めて防衛省に伺いますが、仮に南シナ海で長期緊張が発生した場合、日本は、ミサイル、弾薬などを大幅に増産しないといけませんが、増産した上で、継続的に生産できる能力を持っておられるのでしょうか。

 例えば、火薬の製造ですね、これは硝酸、トルエン、それからコットンリンター、コットンリンターパルプが必要になりますが、原料はどれぐらい輸入に頼っておられるのか。そして、南シナ海が封鎖されたときにその原料が確保できるのか。確保できないとしたら、どれぐらい備蓄されているのかについてお答えをいただきたいと思います。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 南シナ海で長期緊張が発生した場合といった仮定に基づく質問についてはなかなかお答えしづらいところがございますとともに、御指摘の火薬の原材料の輸入の割合とか備蓄の状況につきましても、これを明らかにすることは我が方の手のうちを明かすことになりますので、お答えしかねます。

 その上で、ロシアによるウクライナ侵攻が四年以上、長期に及び、あらゆる種類の装備、弾薬が大量に消費される中、安定的な生産能力や増産能力の確保を含む持続的な対応能力の重要性が浮き彫りになっており、各国がその備えを急いでいると認識してございます。

 我が国におきましても、平素の防衛装備品の自衛隊への安定供給にとどまらず、状況に応じた増産も含め、持続的な対応能力を支えることができる生産基盤を構築することが重要であると考えてございます。

 そのためには、民間任せではなく、官がしっかりと役割を果たす必要があると考えておりまして、防衛省としましては、民需が見込めず安定供給確保が困難となる重要装備品の製造設備を国が保有することも含めた官による直接的な関与の強化とか、状況に応じて装備品にも転用可能なデュアルユース物資の供給力強化、さらに、供給網強靱化のための調達先多様化、代替素材、技術の開発、備蓄、同盟国等との協力強化といった施策も含め、力強い防衛産業の構築に向け、産業界や経済産業省等の関係省庁と緊密に連携し、検討を進めているところでございます。

木下委員 お答えありがとうございます。

 回答を差し控えられると思っておりましたので、公開情報で私なりに調べてみたんですが、どの物資がどの国からどれだけ輸入されているかというのは情報公開されておりますので。

 まず、硝酸ですけれども、アンモニアが必要なのですが、アンモニアは天然ガスから作りますので、原料はほぼ輸入です。それから、トルエン、これはナフサから作りますので、御存じのとおり、全て輸入になります。それから、コットンリンター、これは綿花の繊維ですね、これもほぼ輸入ですが、これはブラジルとインドから半々輸入されておりまして、ということは、インドから入ってくる分が輸入が滞る可能性があるわけです。それから、これは本当に軍需品の火薬に使われているかどうかの確証はないんですが、コットンリンターパルプは、六割が中国からの輸入、量でいうと七割が中国からの輸入でございまして、これが本当だとしたら早急に調達先を変えていく必要があるのではないかと思っております。

 防衛省からはっきりとこうだと言いにくいのはよく分かっておりますが、もし、現時点で、大量に弾薬、ミサイル、ドローンを消費する戦争に堪える力が今十分でないということであれば、こういったフィリピンなど同志国との装備協力を日本の防衛産業の生産能力や技術力の強化につなげていく必要があると思うんですが、その点について防衛省のお考えを聞かせていただきたいと思います。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、サプライチェーンを強化していくということだと思うんですけれども、多様化とか、それは非常に重要なことでございます。

 その上で、近年厳しさを増す安全保障環境の下にあって、防衛装備移転は、同盟国とか同志国の抑止力、対処力を強化するだけではなく、我が国の生産ラインの増加等を通じて持続的な対応能力を支えることが可能な国内の防衛生産基盤の維持強化につながるものと考えてございます。

 こういったことを生かしながら、先ほど言いましたサプライチェーンとかを維持強化していければいいなというふうに考えてございます。

木下委員 お答えありがとうございました。

 戦前は、例えば、私は福岡ですが、長崎には佐世保の海軍工廠、それから呉にも海軍工廠と、自前のいわば国営工場を持っておったわけでございますので、そういう国営工場を持っていれば、平時、稼働率が低くても、そういう大きな、民間企業だと稼働率が低いという問題が生じますが、そういうこともないので、これから先の選択肢として、自前の防衛装備品の製造設備を持つということも是非積極的にお考えいただきたいと思います。

 時間になりましたので、最後に大臣にお伺いしたいと思います。

 いろいろ申し上げましたが、フィリピンも軍事力が十分でございませんし、それからベトナムも古いロシアの潜水艦やフリゲート艦を持っているような状況で、南シナ海の安全を、シーレーンを守るといっても、圧倒的にそのバランスが崩れているのが現状ではないかと思っております。

 こういう現状を踏まえて、今回のフィリピンとのACSA、それから、先日、大統領が来られたわけですが、これからのいろいろな外交交渉を含めて、フィリピンを始めとする同志国との関係をどのような方向で強化していこうというふうにお考えなのかをお聞かせ願いたいと思います。対中国の防衛力の強化をできるだけ応援していくべきだと私は考えますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 この半年余り、様々な国際会議であったりとか会合に出席をしておりますが、その中でも、グローバルな課題について同志国間で、比較的というか率直な意見交換ができる会合、G7であったりクアッド、こういったものに出席しておりまして、昨年十二月のカナダでのG7、今年三月のフランスでのG7、そしてまさに今週のインドでのクアッド、こういうのに出席する中で、シーレーンの安全確保、さらには海上保安、監視能力の強化、こういったことに対する議論が間違いなく多くなっている。こういったことを強く感じるところでありまして、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面をする中で、今まで委員の方からも御指摘いただいたように、資源の多くを海外からの輸入に依存する我が国にとって、シーレーンにおけます自由で安全な航行の確保は極めて重要だと思っております。

 そして、シーレーン上の戦略的要衝に位置をしますフィリピンとのACSAを締結する、このことは、我が国の安全保障や経済成長、そして両国がインド太平洋を始めとする国際社会の平和及び安定により積極的に貢献することにつながると考えております。

 それぞれの国の持っている能力は完全なものではありませんから、それを補うために、防衛装備の移転であったりとかOSAの強化であったりとか、様々な手段によりましてシーレーンの安全をより確かなものにしていきたい、こんなふうに考えております。

木下委員 お答えありがとうございました。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

國場委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

國場委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

國場委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、日本国の自衛隊とオランダ王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

國場委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、日本国の自衛隊とニュージーランド国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とニュージーランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

國場委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、刑事に関する共助に関する日本国とカナダとの間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

國場委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

國場委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

國場委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五分散会


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