衆議院

メインへスキップ



第2号 平成28年11月17日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十八年十一月十七日(木曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 北村 茂男君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君

   理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    小里 泰弘君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      木村 弥生君    今野 智博君

      笹川 博義君    助田 重義君

      瀬戸 隆一君    武部  新君

      長坂 康正君    西川 公也君

      鳩山 二郎君    古川  康君

      細田 健一君    前川  恵君

      宮路 拓馬君    森山  裕君

      簗  和生君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    岡本 充功君

      金子 恵美君    佐々木隆博君

      重徳 和彦君    宮崎 岳志君

      村岡 敏英君    中川 康洋君

      真山 祐一君    斉藤 和子君

      畠山 和也君    吉田 豊史君

      仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       山本 有二君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   財務大臣政務官      三木  亨君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    吉井  巧君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           北島 智子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           西郷 正道君

   政府参考人

   (林野庁長官)      今井  敏君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 一雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         田村  計君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  中川 郁子君     長坂 康正君

  前川  恵君     助田 重義君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     前川  恵君

  長坂 康正君     鳩山 二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     今野 智博君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     木村 弥生君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     中川 郁子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官水田正和君、消費・安全局長今城健晴君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農林水産技術会議事務局長西郷正道君、林野庁長官今井敏君、水産庁長官佐藤一雄君、内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君、消費者庁審議官吉井巧君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長北島智子君、国土交通省大臣官房総括審議官田村計君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊東良孝君。

伊東(良)委員 それでは、時間もありませんので、早速質問させていただきます。

 規制改革推進会議農業ワーキング・グループが、十一月十一日に、農協改革に関する意見、そして生乳改革に関する意見を取りまとめたところであります。二年前の答申を受けまして、農協が課題の検討を進めてきているところでありますが、本年四月より改正農協法が施行され、農協の自己改革が推進されているところであります。今回は、その改革では足りないから、さらに改革を進めよというものであります。

 中で、この冒頭から、全農の購買事業、これは、農業者の立場から、共同購入の窓口に徹する組織に転換するため、外部のプロフェッショナルを登用し、生産資材メーカーと的確に交渉できる少数精鋭の情報・ノウハウ提供型サービス事業へと生まれ変われ、このようにされております。新たな事業においては全農は生産資材の仕入れ販売契約の当事者にはならない、さらに、農業者には情報・ノウハウ提供に要する実費のみを請求する、このようにされているところであります。

 ここでちょっとお聞きしたいのでありますが、三年前の数字でありますが、全農の購買事業の売り上げは二兆六千六百五十二億円でありました。最終的には、末端のJAの購買事業売り上げは三兆四百五十七億円になっております。

 そこで、このワーキンググループが言う生産資材は、このうちどのくらいを占めているのか、まずお聞きいたします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、全農の平成二十五年度の購買事業の供給高は二兆六千六百五十二億円でございますが、このうち、生産資材の供給高合計は一兆五千三百三十八億となってございます。

 また、同様に、先生御指摘のとおり、JAの同事業年度の購買事業の供給高は三兆四百五十七億円でございますけれども、このうち、生産資材の供給高合計は二兆二千二百十二億円でございます。

伊東(良)委員 今お聞きのとおり、現在、膨大な生産資材を取り扱っている全農であります。これを、共同購入の窓口に徹する組織にせよ、あるいはまた少数精鋭の情報・ノウハウ提供型事業にせよ、全農は仕入れ販売の当事者にはならない、こう言っているわけでありますけれども、果たして、この膨大な商品数、金額、さらにその商品の性能、効能、この違いをどうやって農家に説明し、どうやって少数精鋭でやるというのか、もう少しわかるように説明をしていただきたいと思います。

齋藤副大臣 規制改革推進会議の農業ワーキング・グループでは、今、伊東委員御指摘のような提言がなされているわけであります。共同購入の窓口に徹せよ、少数精鋭の情報・ノウハウ提供型サービス事業へ生まれ変わりなさい、仕入れ販売契約の当事者にならないと。

 この背景は、彼らの説明によれば、「全農が行う生産資材の購買事業については、生産資材の農業者への取次ぎ規模に応じて手数料を得る仕組みとなっており、生産資材メーカー側に立って手数料収入の拡大を目指しているのではないかとの批判がある。」というふうに書かれているわけであります。

 私どもがこの提言について解説をする立場にはありませんけれども、こういう表現の背景には、もしこの提言どおりに全農が販売契約の当事者として行っていた資材の売買等の業務を縮小し、そして、生産資材メーカーとの交渉のためにさまざまな新しい知識を必要とするということであれば、少数になって精鋭になるだろうというふうに推測をされるわけでありますが、申しわけありませんが、解説する立場にはございません。

伊東(良)委員 今言いました組織体制を一年以内に新しくつくれ、こう言っているわけであります。

 通常、経済行為でありますから、不採算部門を縮小したり、あるいはまた売却したりすることは、これは経済原則であり得る話でありますから当然でありますが、今、十分に機能を発揮し、農業者のためになっている通常の事業まで人員の配置転換あるいは他への譲渡、売却まで言及するのは、これは自由経済の原則に反する私は提言だというふうに思うところでありますけれども、農水省の見解をお聞きします。

齋藤副大臣 生産資材価格の引き下げにつきましては、農業を成長産業にしていく上で私どもも極めて重要な課題であると思っておりますし、今回の農政改革の重要なテーマであろうと思います。

 この問題につきましては、生産資材業界の業界再編というものが重要であると思っておりますけれども、同時に、全農の生産資材の買い方の見直しがこの生産資材業界の業界再編を進める上でも重要であるというところは私ども考えているところでございます。

 ただ、この農業ワーキング・グループの意見につきましては、「生産資材メーカーと的確に交渉できる少数精鋭の情報・ノウハウ提供型サービス事業へと生まれ変わる。」とされておりまして、その中で、当然、人員の配置転換や事業の譲渡、売却もあるということが記載されていると思いますが、農林水産省としては、この提言があったので、よく省内で検討していきたいと思っているところでございます。

伊東(良)委員 これは本当に自由経済への挑戦ではないかという思いがするぐらいであります。

 もう一つお聞きしますが、全農の農産物販売についてでありますけれども、一年以内に委託販売を廃止し、全量買い取り販売に転換すべき、このように言っているわけであります。

 北海道の例えば私の地元でありますが、大規模農家を初めといたしまして、農業地域は莫大な生産量になっております。例えば、私どもの隣の十勝地方、これは北海道で一番の、あるいは日本で一番の畑作地帯でありますけれども、農業生産額、この一地方で三千四百億を超えるわけであります。三千四百億というと、新潟県やその周辺の農業県をはるかに上回る生産額でありまして、地域の農協がそれらを全量買い取りするなどということはできるわけのない話でありますし、どのような規模と状況を想定してこのような提言をされているのか、農水省の受けとめをお聞きするものであります。

齋藤副大臣 大変申しわけありませんが、規制改革会議の内容を解説する立場ではないんですけれども、この問題意識は、農産物の流通、加工構造の改革というものが農業の成長産業化に重要であるということと、そのためには業界再編を進めていく必要があって、全農の農産物の売り方の見直しもそのうちの一助になるんじゃないかという趣旨の御提言であるというふうに理解しております。

 ただ、農産物の売り方の見直しが効果が上がるよう、販売事業の見直しは必要だと思っておりますが、具体的な事業のあり方につきましては、あくまで全農、農協が自己改革の中できちんと進めていくというのが一つの方向だろうと思っております。

 いずれにいたしましても、私どもとしては、よく彼らの提言の内容を検討いたしまして、しっかりとした結論を出していきたいと思っております。

伊東(良)委員 委託販売をやめて全量買い取り制度などというのは、現実にはもう不可能な話でありまして、ここら辺をきちっと認識しなければならぬと思います。

 なぜかというと、この後についてきている言葉が、着実な進展が見られぬ場合、新組織、第二全農の設立推進、これを国がせよということでうたわれているわけであります。これは、改革を促すというより、極めて品のないおどしにしか聞こえない、私はそう思います。

 大体、政府への政策提言にこんな書き方をするのは恥ずかしいわけでありまして、こんなのは事務方がやめさせるべきであります。この点についての農水省の見解を聞きます。

齋藤副大臣 繰り返しますが、解説する立場にありませんが、この記載内容を好意的に考えれば、まずは全農の改革の推進を期待しているということだろうと思います。

 いずれにしても、農林省は農林省として検討を進めていきたいと思っております。

伊東(良)委員 次から次と本当に腹立たしい話ばっかり出てきているわけであります。

 地域農協の信用事業、これを農林中金へ譲渡せよということであります。三年後をめどに半減させる、みずからの名義で信用事業を営む地域農協を半減させるとしているところでありますけれども、地元に金融を取り扱うのは郵便局と農協しかなくて、またお金を借りられるのも農協だけということで、頼りにされている地域もたくさんあるわけであります。

 都会は金融機関が山ほどありますけれども、田舎はそうではありません。農林中金がカバーできない地域の実情を熟知した対応も農協の組合員のために必要だ、このように思うわけでありますけれども、この点についてどうお考えか、お聞きします。

齋藤副大臣 地域によって農協が唯一の金融機関であるという地域がたくさんあることは承知をいたしておりますし、そういう地域で信用事業が行われなくなるということは、農林水産省としても、あってはならないことであると考えております。

 今回の農業ワーキング・グループの提言は、これまでも累次、彼らの提言の中にありますけれども、直接農協がリスクを負って貸すのではなくて、これは中金の方でリスクをとって、あとは窓口として手数料を取ってやっていった方が経済事業に集中できるんじゃないかという考えの中で出てきている提言だろうとは思いますけれども、やはり、タイミングですとか唐突感も我々としては否めないところでありますし、選択肢があるということが農協にとって大事だと思っておりますので、しっかり検討を進めていきたいと考えております。

伊東(良)委員 この中で、一部地域で行われている、これは北海道で行われている組合員勘定、組勘についてでありますが、これは、農業者の農産物販売を統制し、毎年一定の期日で債務の完全返済を義務づける、そして農業者の経営発展の阻害要因になっている、こう断じていて、これをやめろと言っているわけでありますけれども、北海道は農家の約七一%がこの組勘を利用しております。強制されているものでもありません。制度として農家の経営を支え、これが十分に機能している、このように農家は皆さんそうおっしゃっております。

 これ、三万四千戸ぐらいあるんですけれども、この組勘制度が廃止されると、三分の一から、多ければ半分くらいの農家まで極めて重大な影響がある、このように言われているわけであります。

 本州は兼業農家が多いわけでありますが、北海道は大規模農家、そして冬期間は雪に閉ざされるわけでありまして、一年間の計画、まさに農協と一体となってこの勘定をしているところでもありまして、組勘を利用する人の声も聞かず廃止せよというのは、一体これはどういうことか。余りにも横暴であります。

 規制推進会議に何の権限と本当に根拠があるのか聞きたい。政府はそこまで関与すべきでないと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

山本(有)国務大臣 現在の組勘制度につきましては、北海道の約七割の農業者が利用されております。そして、農業者が必要な運転資金を円滑に調達できるように、歴史的に重要な役割を果たしております。

 一般的に、組勘制度、これにつきまして、約定書に、農畜産物を営農計画に基づき農協に販売する旨定められているため、農協を利用しない販売がしづらいとか、あるいは、勘定の精算を毎年行う必要があるため、一年間では出荷に至らない畜産農家などには利用しづらいとかいった問題点が指摘されていることは、また他方であることでございまして、その意味で、農林水産省としましては、組勘制度が果たしている機能を、指摘されている問題点も踏まえつつ、規制緩和のワーキンググループの意見の内容を検討しつつも、この農林水産委員会の皆様の御意見も聴取しながら、しっかりと検討を進めてまいりたいというように思っております。

伊東(良)委員 組合員勘定、これにつきましては、ぜひ実態を聞いていただき、農水省としても理解をしていただきたいと思う次第であります。

 大体、規制改革推進会議なるところが、農業ワーキング・グループが組勘なんという言葉を知っていることも不思議でありますし、誰か裏で手引きしているのがいるのではないかと私は推測するわけでありますけれども、こういう極めていいかげんな、なおかつ強引な進め方というのはよくないわけでありまして、もう一問だけ、牛乳・乳製品の指定団体制度についてお伺いをするものであります。

 このたび、規制改革会議は、いわゆる加工乳、加工原料乳の生産者補給金制度、また指定団体制度についてのメスを入れました。すなわち、生産者がみずから自由に出荷先を選べる制度とする改革、こう言っているわけでありますけれども、飲用乳と加工原料乳の年間の消費量、販売量というのは、極めて厳密に需給調整がなされているのであります。

 日本の生乳生産量、昨年でありますけれども、七百四十万トン、全国の過半数になる三百九十万トンが北海道から飲用乳と乳製品用に、加工乳用に出荷されているわけであります。これが、自由に出荷する、あるいは高いところに売れということであれば、本州に持っていけば飲用乳は百十五円で売れるわけです。しかし、これを飲用乳のだぶつきを抑え需給調整をすることによって、例えばチーズ用で六十七円、あるいは生クリーム用で七十七、八円、そういう数字になってくるんです。そして、二十三円くらいの輸送費をかけて、約二割は本州に飲用乳として送られている。これで日本の国の牛乳のバランスがとれているんです。これを支えているのは、まさにこの指定団体による制度であり、さらにまた補給金によってなされているわけであります。

 私は、この状態から、規制改革会議が言うように、自由に高いところに売っていいというんであれば、北海道の酪農家はみんな本州に攻め込むことになるでありましょう。これを昔から南北戦争といって恐れられていたのであります。ですから、こうした需給調整を無視して、加工乳に回したら補給金をもらえます、あるいは、飲用乳は高いところに売って構いませんなんということを、こんなことを提言して、日本の酪農をめちゃくちゃにするような乱暴な話であります。

 農家に、農協がその生産の調整をすればいいじゃないかなどという話で、一農協や農家が、自分たちの販売先を報告したり調整したりして、これが需給調整が図られるなどということには全くならないわけでありまして、これについて、こんなことを言うことを許して、私は、農水省として日本の農業を守る責任は全く果たせない、こう思いますが、農水省の見解を伺います。

齋藤副大臣 指定生乳生産者団体制度の是非や現行の補給金の交付対象のあり方を含めた抜本的改革について、平成二十八年秋までに検討し、結論を得るというのが、ことしの六月に閣議決定された規制改革実施計画に定められているところでございます。

 農林水産省といたしましては、先ほど伊東委員が御懸念を示されたような声を十分留意しながら、この閣議決定に基づいて結論を出していきたいというふうに思っております。

伊東(良)委員 もう時間でございますので、最後に一言言わせていただきますけれども、今回の提言につきましては、農協改革の続編と生乳指定団体の提言取りまとめということでありますが、この手法も内容も極めて乱暴きわまりないものだ、このように思うものであります。

 およそ政府の諮問機関とは思われぬ進め方でありまして、まさに、我が国の自由経済を脅かし、民間経済システムに譲渡や廃止や再編を迫り、言うことを聞かなければ別の組織をつくって潰してしまうぞと言わんばかりの、提言という形のおどし以外の何物でもありません。これは、法的根拠も、国民から承認された、あるいは選ばれた議員でも何でもないグループが、この提言の制度の実施主体であり、まさに、農水省として、御自分たちのシステムにここまで踏み込まれているわけでありますから、真摯にこれを受けとめ、検討し、国会の議論をしっかり反映させて政策の遂行に当たっていただきたいと要望しまして、私の質問とさせていただきます。

北村委員長 次に、古川康君。

古川(康)委員 ありがとうございます。

 ただいまの伊東良孝委員の御発言を聞いておりまして、私も、規制改革会議農業ワーキング・グループの報告書について一言申し上げなければならないと思っております。

 私は、農業もしっかりとした改革をしていかなければならない、そういう立場であり、そういう気持ちであります。これまで、与党の議員の一人として、農協改革であれ、あるいはTPPであれ、農家の方々に対しても、さまざまな苦しい局面がありながらも、それなりに説明をし、また賛意を示してまいりました。しかしながら、今回のようなこうした報告書が出てきてしまうと、本当に今政府は何を考えているのか、そういう静かな怒りの声が届けられています。

 私は、かつて長野県庁に昔お世話になっておりました。そのころに聞いた言葉に働きと稼ぎという言葉がありました。木曽の山の中で何十年も林業をしておられた方は、自分のことをこうおっしゃっていました。おら、何十年も山で働いていた。息子さんはどうされていますかと聞いたら、せがれは町に稼ぎに出ている、こういう言い方でした。自然を相手に山で働くのがまさに働きであり、そして、生活をするために町で働くのが稼ぎ、こういう言い方に、自然を相手に働いていく第一次産業従事者としての誇りを感じたものでございました。それは、今風に言えば、なりわいと営みといった表現にもなるのかもしれません。

 今、政府は、このなりわいとしての農業、コスト、利益、マーケット、そういったものだけに集中をしていて、もともと農業が持っている、いや、農という営みが持っている部分についての視点が、視座が全く足りていないのではないかと思わざるを得ません。

 もちろん、私も、農業には改革が必要、農協にも改革が必要と思っております。しかしながら、今、伊東委員が御指摘されたような、このような乱暴な言い方がまかり通ってしまうのでは、農業者は本当に希望を見出すことができません。本当にこういうことをやっていくのか、地元に帰るたびにこういうことを言われています。思ったより農業者の声が小さいね、こんな声もあると聞きます。冗談じゃありません。みんなあきれて物も言えないだけです。本気になって反対されたらどういうことになるのか。私は、国会議員になって、まだまだよわいを重ねておりませんけれども、しかしながら、この農業に関係する方々のふつふつとした思いを日々感じているところでございます。

 大臣、今回のこの報告書を受けて、そして農政の責任者として、どのようにされようとしているのか、一言お聞かせください。

山本(有)国務大臣 農政改革は不断の努力が必要でございます。規制改革会議の意見によって農業に携わる人たちの不安をいたずらにあおるようなことがないように、しっかり落ちついた議論ができるよう、そうした農林行政であるために、なおこの規制改革の提言も一つの意見として聞きながら、しっかり地についた改革を進めていきたいと思っております。

古川(康)委員 平成二十六年、七年、農協改革法が可決をされ、そして今、全中、全農を初めとして農業の関係する団体やいろいろな組織は、まさに改革に向けての一里塚、二里塚というロードマップの中にあります。そういう中にあって、さまざまな努力をされている中でこういうものが出てきているということに対しての疑問ということでございます。どうか、大臣におかれては、政治力を発揮していただくよう心からお願いするものでございます。

 さて、二問目は、タマネギのべと病対策についてお尋ねをいたします。

 先日、鳩山邦夫先生が他界されました。私ごとで恐縮ですが、私は佐賀県の選出でありますが、先生はお隣県の福岡県の選出でございました。文部科学委員会でも席がお隣ということであって、時々話しかけていただいていました。

 平成二十七年の四月か五月に、先生からこんなことを尋ねられました。古川さん、地元に時々行く肉のレストランがあるんだけれども、ここはつけ合わせの野菜、特にタマネギがおいしかったんだよ、聞いたら佐賀の白石のタマネギという話だった、ところがね、最近ちょっと味が違うんだよ、ことしのはどうもできが違う、随分タマネギがとれなくなっているんだ、そういうお話だったんだけれども、そうなのかいということを聞いていただきました。

 大ベテランである鳩山邦夫先生からのお尋ねでしたから、非常に驚きましたけれども、そのとおりでございました。何とか、先生、きちんと対応しておいしいタマネギをお届けします、そのときはこう申し上げましたが、残念なことに、ことしのべと病による被害は前年をさらに上回る大きさ、対前年比でも出荷量ベースで三五%減であります。力強い復活を御報告することもかなわないまま、先生は本年六月二十一日、他界されました。

 べと病が余り発生の見られなかった三年前、平成二十五年産は、佐賀県全体の出荷量は八万トンを超えていました。それが三年後には四万トン弱と半分以下に減っています。その原因がべと病というものであります。

 今回の大きな被害を受けて、生産者、JA、市、町、県そして国と関係機関が動いてさまざまな対応策を講じてこられました。この間の政府のお取り組み、あるいは御支援については心から敬意を表し、感謝する次第でございます。

 そこで質問いたします。

 まず一点目が、地元としてあるいは県としてやらなければならない対策をいろいろ講じておりますが、一方で、国として行っていただきたい対策もございます。よく言われているのが、べと病に強い、新しい品種開発をしていただきたい、あるいは、べと病かどうかが簡単にわかる判別法の確立をしていただきたい。こういうことについて、まず政府としてどのように取り組んでおられるのか、お尋ねします。

西郷政府参考人 御指摘のタマネギべと病については、ことしのタマネギ生産において佐賀県などで大きな被害が発生したことから、今後、被害の軽減に向けて早急な対策が必要であると存じております。

 このため、私どもといたしましては、この九月に、革新的技術開発・緊急展開事業という研究事業におきまして、佐賀県農業試験研究センターを中核として、国の農研機構なども参画いたしました研究コンソーシアムが実施いたしますタマネギべと病に関する技術開発に支援を講ずることとしたところでございます。

 この中では、今先生のお話にございましたような、土壌中の病原菌密度の測定法の開発、あるいは発病のメカニズムの解明、あるいは効果の高い薬剤の選定や防除適期の検討などの防除対策の確立、また、その効果の高い防除技術を組み合わせた総合的な防除体系の実証と普及といったことをやることとしております。これらにおきまして、タマネギべと病の被害軽減に向けた技術開発をまず推進してまいりたい。

 御指摘の品種開発でございますが、タマネギべと病の抵抗性品種につきましては、非常に残念ながら、これまでの研究では既存の品種の中では強い抵抗性を有する有望な品種は見つかっていない状況でございますので、正直申しまして、抵抗性品種の育成にはかなり時間を要するということでございますが、中長期的には一生懸命頑張ってまいりたいというふうに存じているところでございます。

古川(康)委員 なかなか難しいと思いますけれども、しっかりと開発をお願いしたいと思います。

 続いて、現在でも地上の散布が許可されているべと病対策用の農薬についてお尋ねをいたします。

 例えば、ザンプロと呼ばれているような農薬について、これは、べと病が発生した際に使う農薬なんでありますけれども、地上での散布は許可されていますが、べと病が発生した際に雨が降ると、機械が圃場に入れません。どうやって散布したらいいのかということで、農家が大変苦労をしておられます。

 これを無人ヘリやドローンで散布しようとすると、地上とは違って新たに許可が必要になると伺っています。どういう手続が必要となるんでしょうか。

今城政府参考人 お答えいたします。

 既存の農薬におきましても、タマネギべと病に普通に散布するのは六十剤ぐらい登録がございますが、いわゆる無人ヘリコプターあるいはドローンを使って散布するという場合には、使用方法が異なります。濃度等も異なります。したがいまして、そういう場合には、該当する使用方法でいわゆる薬効、どれだけ効くか、あるいは薬害がどれだけあるか、それから残留がどうなるかということの新しい方法による試験というものをしていただく必要がございます。

 これは、通常、信頼性のあるデータを得るために、二年間にわたり六カ所で試験を行っていただくというのが原則になっております。

古川(康)委員 近年、このタマネギをめぐる生産の環境は極めて厳しいものになってきています。このべと病でやられているところの対策は待ったなしだと思います。

 今、そのようなお話でございました。六カ所の栽培実績と二年間という試験期間。こうしたものの簡素化というものは何とかできないでしょうか。こういうものこそ規制改革でやっていただけないでしょうか。

今城政府参考人 お答えいたします。

 先ほどのことでございますが、登録の方法といたしまして、仮に、その使用時期や使用回数、これが同じであって、空中散布をするために、普通、濃度を濃くして使うものでございますから、それだけが唯一違っているという場合には、その試験のことを簡素化しております。薬効、薬害については一年間で二カ所以上、残留試験については一年間で三カ所以上でよろしいということにしております。

 したがいまして、こういうことを活用していただいて、農薬メーカーから、先日、無人ヘリコプターによる使用方法を追加する登録申請を私どもはいただいております。

 したがいまして、農林水産省といたしましては、来年の防除時期に使用できるよう、迅速に登録手続を進めてまいりたいということでございます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 昨年のできが非常によくなかったものですから、ことしの秋に作付を積極的にしていただけるのか大変不安でしたが、それにもかかわらず、北海道の産地の一部が不作だったということもあって、何とか自分たちが生産を確保しなければという思いで、佐賀県の生産者はことしも積極的にタマネギの作付をしていただきました。

 しかしながら、秋にかなりの長雨があって、今の段階でも大変厳しい状況にございます。今のべと病の農薬についての簡素化の件、農家にとってみたら非常な朗報かと思います。ぜひとも積極的なお取り組みをお願いしたいと思います。

 さて、最後の質問であります。飼料用米の行方についてでございます。

 飼料米や大豆の生産について、本当にこれからも今のまま政策が続くのか、こういう質問をよく受けます、特に飼料用米について。政府としての意思決定は食料・農業・農村基本計画におきまして明らかにされている、これはもちろん承知をしております。しかしながら、それを実現するために、具体的に現在のような交付金の政策が続けられるという保証は書かれておりません。しかし、どういう政策がとり続けられるのかということがわからなければ、安心して飼料用米への転換を進めていくことができないのではないか、このように思っております。

 政府は、努力目標とおっしゃっています。この努力目標を実現しようとするのであれば、それが可能となるような政策を続けていくことが必要となるわけでございます。現在の交付金の水準を続けていくということも政府の努力目標なんでしょうか。

 そこで、お尋ねをいたします。まず第一点、そもそも現在の交付金の水準は、どのようにして、どうやって決められているのでしょうか。

齋藤副大臣 水田活用の直接支払交付金の交付単価につきましては、当該作物の生産コストと当該作物の販売収入、これを前提といたしまして、主食用米との所得差が生じないようにすることを基本として設定をいたしているところでございます。

 現在の交付金の仕組みが始まった平成二十二年度以降、例えば麦、大豆につきましては、三・五万円・パー・十アールの交付単価としてきているほか、飼料用米につきましては、委員御案内のように、当初は八万円・パー・十アールの交付単価であったものを、二十六年度からは単収の実績に応じて最高十・五万円・パー・十アールまで交付単価が変動する数量払いに変更してきた経緯がございます。

 基本的考え方は、先ほど申し上げたとおりでございます。

古川(康)委員 御丁寧に説明がございましたが、主としては主食用米の所得との関連で決定されていくということであろうと思います。

 では、次のお尋ねでありますけれども、平成三十七年に百十万トンというのが政府の生産努力目標だと理解をしているところですが、飼料用米として活用されているのは、主食用米からの転換分だけではなくて、MA米や援助米の活用分もあります。これらはこの政府目標の百十万トンという数字に含まれているのでしょうか、いないんでしょうか。

齋藤副大臣 この生産努力目標の百十万トンは、飼料用とするために生産される米である飼料用米についての目標でありまして、MA米や備蓄米から飼料用に供給されるものは含んでおりません。

古川(康)委員 ということで理解をいたしました。いずれにしても、しっかりとした所得を確保するためにこの政策が行われている、そういったことを理解できたところでございます。

 しかしながら、平成三十年の生産調整廃止という大きな転換点を前に、このタイミングで何か大きな変化があるのではないか、そう感じておられる農家も多いというのが私の実感であります。

 よもや平成三十年を前に、今御説明いただいた政策の見直しが行われるということにはならないでしょうか。飼料用米へのシフトも、佐賀県ではJAが大変熱心にお取り組みをいただいて、全国平均以上に作付がふえています。その農家が不安に思うことのないように、副大臣、政治家としてのお言葉でどうか農家に語りかけていただければと思います。

齋藤副大臣 これから米の需要も人口が減るにつれて残念ながら少しずつ減っていくということが見込まれる中で、しかし一方で、水田は維持をしていかなくちゃいけない、フル活用していかなくちゃいけないということを考えますと、この食べるお米から飼料用米にかえていくということは極めて重要な政策だと考えておりまして、農林水産省としては、この転換が円滑に進みますように、最優先課題の一つとして、不退転の決意で取り組んでいきたいと思っております。

古川(康)委員 ありがとうございました。

北村委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 本日は、大臣の所信に対する質疑ということで、TPPの委員会にも私所属しておりましたので、山本大臣には引き続きということになりますが、現場の不安を払拭するという観点から、基本的な点について主に三点にわたりきょうは質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 初めに、本年八月に閣議決定されました経済対策から、具体的には、農林水産業の競争力強化と農林水産物の輸出促進について何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 一点目、先ほど古川委員からも御指摘がありましたが、この農林水産業の競争力強化に関連して、私も飼料用米の生産拡大について確認をさせていただきたいと思っております。

 この飼料用米の生産拡大については、本年三月に農水省がまとめた「農政新時代」の中の検討の継続項目の中で、「農家が安心して飼料用米に取り組めるよう、食料・農業・農村基本計画に明記された生産努力目標の確実な達成に向け、生産性を向上させながら、飼料用米を推進するための取組方策」を検討すると明記をされております。

 私は、この飼料用米の生産拡大については、水田農業の収益力の向上に向け、平成三十年産からの主食用米の需給調整を円滑に進めるためにも、この飼料米の生産に対する交付金などの支援を長期的かつ安定的に行うことが大変に重要であるというふうに思いますが、まず、この点、農水省に改めて確認をしたいと思います。

山本(有)国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、食料自給率、食料自給力、この向上のためには、かかる制度が不可欠でございます。特に、飼料用米などへの転換による水田のフル活用、これは欠かせられない米政策の一環だろうというように思っております。

 食料・農業・農村基本計画の三月の閣議決定、これに基づく三十七年百十万トンとする生産努力目標、これに向かって、決意を新たに頑張りたいと思っております。

 そして、水田活用の直接支払交付金による支援、多収品種の開発導入や新たな栽培体系の実証、畜産農家への供給に至る流通の効率化、これもあわせ実現していかなければならない課題だろうというように思います。

 いずれにいたしましても、先生おっしゃるこの大事な飼料用米の作付、そして自給力の向上、こうした点に取り組んでまいりたいと思っております。

中川(康)委員 ありがとうございました。大臣から今力強い御発言をいただいたと思っております。

 私は三重県でありますけれども、私どもの三重県の鈴木知事も、やはり三重の農政を鑑みた場合、この部分に対して強い要望をいただいているところでございますし、やはり現場を回っておりますと、ほかの先生方も同じだと思いますけれども、この飼料用米に取り組まれた方、どこまでこの制度は続いていくんだろうという不安を持たれている方は正直おられるというふうに思います。

 財務省からこれからどんな意見が出てくるかもしれない、そういった中で、やはり、農家の方々が予見可能性を持って、安心して飼料用米の生産に取り組める、こういった環境をしっかりとつくっていくこと、これはやはり農水省としては非常に大事であるというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいというふうにも思います。

 続いて、同じく農林水産業の競争力強化に関連して、いろいろなところでも議論が出ておりますが、収入保険制度の検討状況についてお伺いをいたします。

 我が党でも今検討をさせていただいているところでございますが、この収入保険制度につきましては、現在、昨年三月に閣議決定をされました食料・農業・農村基本計画を根拠に、鋭意御検討いただいているというふうにも思っております。

 私は、この収入保険制度の検討に当たっては、全ての農産品目を対象とし、できるだけ早期に制度を創設するとともに、恒久的な制度となるような法制化、これも非常に重要であるというふうに思いますが、その点、お伺いをしたいというふうに思います。

 また、あわせて、この制度の補償内容における基準収入の考え方については、過去の経営実績にとらわれずに、経営規模の拡大や新規就農にも柔軟に対応できる、そういった制度にすることが非常に肝要であるというふうにも思っておりますが、この点、あわせて御答弁を願いたいというふうに思います。

大澤政府参考人 検討状況ですので、事務方からお答えさせていただきます。

 収入保険制度について検討状況の御質問がございました。

 収入保険制度の検討につきましては、御指摘の基本計画にも書いてございますが、農業共済制度の見直しとともに検討するということにされております。

 そこで、まず共済制度について見てみますと、現在の農業共済制度につきましては、自然災害による収量減少を対象としており、価格低下を対象としていないこと、また、対象品目は収量を確認できるものに限定されておりまして、農業経営全体を対象としていないことというような課題があるというふうに認識しております。

 そこで、平成二十六年度から収入保険の事業化調査を行っているわけですが、その基本的な考え方といたしましては、農業経営全体の収入に着目したセーフティーネットを構築するという観点から考えているところでございます。

 先生御指摘の基準収入の考え方、あるいは新規就農、経営規模の拡大ということについての考え方でございますけれども、二十六年から行っております事業化調査の仮スキームにおきましては、青色申告を五年間継続し、経営管理を適切に行っている農業者を対象とし、過去五年間の平均収入を基準収入とすることを基本に検討を行ってまいりました。

 ただ、先生の御指摘のように、まず、新規就農者のように五年間青色申告の実績のない者についてもどうすべきか、これは重要な論点の一つとして今検討をしているところでございます。

 それから、経営規模を拡大していく方々、これについても、収入保険制度の機能を生かすためには基準収入を上方修正した方がいいのではないか、そういうような御指摘もあるところでございまして、これらを踏まえまして、なるべく使いやすい制度にするように検討していきたいというふうに考えております。

 それから、恒久的な制度ということでございますが、今後の検討次第でもございますけれども、できる限り法制化も含めて恒久化をすべく、検討しているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。懸念とするところについて具体的な答弁をいただいたかというふうにも思っております。

 従来の制度ですと、全体をやはり補償対象としていないということで、私も今まで不勉強だったんですが、今回の北海道とか東北の台風被害の中で、品目によっては対象とならないというような議論が具体的にされたところでございます。

 そういった意味においては、やはり全てを対象とする中でのセーフティーネットをつくるということ、これは非常に重要であるというふうにも思っておりますし、やはり、いろいろな方が入ってこられるような、これから新規就農者、特に若い方々がどう農業に参入してくるかという意味においても、柔軟な制度に構築をしていただきたいという、こういったことも要望させていただき、この辺のところについての確認をさせていただきたいというふうにも思っております。

 次に、三点目に、農林水産物の輸出促進に関連して、少し具体的なことをお伺いしたいと思っております。

 今回、特に、私の地元でもある三重県でも多く生産をされております生きているカキの輸出促進、よく、通称生カキ、生カキと言うんですけれども、農水省とやりとりしたら、生きているカキというふうに言ってくれというものですから、きょうは生きているカキというふうに言いますが、この促進に向けた、輸入国、具体的にはシンガポールですが、ここに残る規制の緩和についてお伺いをしたいというふうに思います。

 この輸出促進に向けた輸入規制の緩和については、一にも二にも、これは相手国との二国間協議を今後も戦略的に大きく加速させること、これが重要であることはもう間違いありません。現在、シンガポールへの生きているカキの輸出については、オーストラリア、さらにはカナダ、フランス、アイルランドなど八カ国が認められておりますが、日本からの輸入についてはいまだ認められている状況ではございません。

 この生きているカキにつきまして、通称生カキですけれども、現在、シンガポールにおいて、高級ホテルなどで需要が堅調に推移しているということを伺っております。私、行って食べたことはないんですけれども。

 私は、この輸出については、必要な制度等に関して早急に日本としてシンガポール政府との交渉を進めるべきであり、この点、やはり輸出の促進を進めるべきであるというふうにも思いますが、現在の交渉の状況及び今後の見通しについて御答弁を願いたいというふうに思います。

佐藤政府参考人 中川先生の御質問にお答えいたします。

 今先生御指摘いただきましたように、シンガポールに生きたカキを輸出できる国は八カ国ということになっておりまして、このため、我が国が含まれておりませんから、シンガポール政府に対しまして、生きたカキを輸出するための要件について照会してきたところでございます。

 実は、先般、十一月の七日でございますが、シンガポール政府の方から返答がございまして、二つの項目がございまして、一つは、輸出を希望する国が自国の貝類衛生プログラムをシンガポール衛生当局へ提出し、審査を受ける必要があるといったこと、それと、このプログラムには、生産海域モニタリングの方法、あるいは、貝毒発生時の対応策、衛生証明書の発行方法等が盛り込まれていることが必要だといったようなことが判明したところでございます。

 現在、我が国において具体的な対応を検討しているところでございまして、現時点でシンガポール政府との交渉の具体的な見通しをお示しするのは困難でございますが、関係省庁、関係県ともよく協力いたしまして、先生御指摘のように、できるだけ早く輸出が実現できるよう頑張っていきたい、このように考えているところでございます。

中川(康)委員 佐藤長官、大変にありがとうございました。

 これはまだ時間はかかるんだと思うんですけれども、一歩前進をしたかなと。それで、いわゆる相手国の示す条件をどう示させるのかというのは、これはやはり国の役割だというふうにも思いますので、まずは国が窓口となってしっかりとそこのところをおやりいただく、そして、その情報を、いわゆるこの輸出をしたいと考えておる対象県であるとか対象地域にしっかりと情報を提供していただきながら、この条件をクリアしていくような環境、ここをおつくりいただきたいなというふうにも思っております。

 元来、日本のいわゆる生きたカキというのは、非常に良質なものが多いというふうにも思っております。私ども三重県でも、浦村カキというのは非常に有名でして、その時期になると、全国から、さらには本当にインバウンドの方々も食べ放題に来るわけですけれども、やはり、これを、そういった需要が堅調に伸びている国に対して輸出ができないというのは非常に大きなバリアだというふうに思いますので、まずは国が先頭に立って、加えて、対象の都道府県、さらには現場との情報交換をしっかりとしていただいて、そういった輸出ができることを願いたいなというふうにも思っております。

 佐藤長官も、以前は三重県にもお越しいただいておりましたので、三重県の状況をよく御存じかというふうに思いまして、その状況においての前向きな答弁をいただいたということで、感謝を申し上げたいなというふうにも思っております。

 それでは、次に移らせていただきます。

 私も、ここで、指定生乳生産者団体制度、指定制度について、今、伊東委員も御指摘をされましたが、改めて確認をしておきたいというふうに思っております。

 この指定団体制度ができた背景及びこの制度が果たしている役割について、政府にお伺いをしたいというふうに思います。

 昭和四十年以前の生乳取引というのは、現在のような一元集荷の仕組みではなくて、酪農家は個人や各地域の生産者団体を通じて取引を行っていたために、取引の主導権は、いわゆるメーカー、乳業メーカーにあったというふうに伺っております。そのため、酪農家の意向というのは十分に反映されずに、当時の需要も安定していなかったために、酪農家の経営は大変に不安定であったというふうに聞いております。

 また、昭和三十七年以降は、毎年のようにいわゆる乳価紛争が勃発をし、これが酪農経営における大きな問題となっていたために、これらの問題の解消及び酪農生産の安定と酪農家の所得の増大のために、指定団体による一元集荷と補給金の交付、これを目的に昭和四十一年に施行されたのが、加工原料乳法、通称不足払い法というふうにも伺っております。

 そこで伺いますが、大臣及び農水省は、この指定生乳生産者団体制度、指定制度ですね、これができた背景及びこの制度が酪農生産に果たしている役割についてどのような御認識をお持ちなのか、この点、改めてお伺いをしたいというふうに思います。

齋藤副大臣 この指定生乳生産者団体制度を規定しております加工原料乳生産者補給金等暫定措置法は、牛乳・乳製品の需要の動向と生乳の生産事情の変化に対処するために、生乳の価格形成の合理化、牛乳・乳製品の価格の安定を図るために昭和四十年に制定をされまして、我が国酪農の発展に極めて重要な役割を果たしてきたと認識をいたしております。

 この法律に基づきまして、生産者は指定生乳生産者団体を通じて補給金の交付を受けることとされておりまして、この仕組みには、農協、農協連合会の販売事業の機能を活用、強化して、一つは輸送コストの削減、条件不利地域の集乳、乳価交渉力の確保という機能が果たされている。また、補給金を通じまして、飲用向けと乳製品向けの仕向けの調整の実効性を担保する機能が果たされているというふうに認識をいたしております。

 この六月に閣議決定で、指定生乳生産者団体制度の是非や現行の補給金の交付対象のあり方を含めた抜本的改革について、平成二十八年秋までに検討し、結論を得るとされているところでありますので、農林水産省といたしましては、関係者の皆さんの意見をよく拝聴いたしまして、対応を検討していきたいと思っております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今、齋藤副大臣から御答弁をいただいたところでございます。自民党の委員の伊東先生もこの点を御指摘されましたけれども、やはり、今の副大臣の答弁を伺うと、この現在の指定団体制度、これはもう、これまでも、またこれからも、生乳及び乳製品の安定供給、さらには酪農生産の安定及び所得の向上に重要な役割を果たしているんだなというふうに私も認識をしたところでございます。

 我が党もやはり、その思いに沿って、この議論、しっかりと継続をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最後に、残った時間、漁港漁場整備の長期計画における漁港、漁村の強靱化対策についてお伺いをしたいというふうにも思っております。

 この計画では、全国の漁港、漁村の防災、減災対策及び強靱化対策をその基本的な考え方の一つに、平成二十四年から五カ年の計画で今整備が進められているところでございます。

 そこで、まず初めに確認いたしますが、この計画の具体的な成果目標として掲げられている、一つは、陸揚げ岸壁が耐震化された水産物の流通拠点漁港の割合について、これは平成二十一年度末二〇%だったものを二十八年度末には六五%達成という目標を掲げておりますが、この達成状況を端的にお伺いしたいと思います。

 また、同じく、防災機能の強化対策が講じられた漁村の人口比率、この指標については、二十一年度末四四%であったものが二十八年度末には八〇%まで持っていきたいという目標を示しておりますが、現在の達成状況について端的に御答弁ください。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、第一点の、陸揚げ岸壁が耐震化された水産物の流通拠点漁港の割合でございますが、六五%を目標としておりますが、二十七年度末では四六%と相なっております。

 また、防災機能の強化対策が講じられた漁村の人口比率でございますが、二十八年度までに八〇%の目標でございますが、二十六年度末で五五%と相なっているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 長官から御答弁いただいたところでございますが、今の答弁を聞くと、やはり目標に対しての進捗が余り進んでいないという実態が明らかになったのかなというふうにも思っております。当然、御努力はいただいておる、ここはもう評価をするところでありますが、ちょっと目標達成が非常に厳しいかなという認識をいたしました。

 これはやはり、南海トラフ地震など切迫する大規模地震とか津波、さらには近年巨大化をしております台風に、漁港施設の耐震とか耐津波化、さらには孤立漁村の解消など、この漁港とか漁村の強靱化対策を行うということに対しては、どう取り組んでいくのかということが非常に大事だというふうにも思っております。

 また、漁港並びにそこでのなりわいとなる漁業を継続させていく、さらには、その地域に住まう人々の命をどう守るかという意味においても、この対応は非常に重要であるというふうに私は認識をしております。

 ゆえに、私は、現在検討されている次期、次の漁港漁場整備長期計画では、この漁港、漁村の強靱化対策については、これまで以上に一層の取り組み、さらにはその目標値の設定、さらには予算の確保、これは非常に大事な取り組みになってくるのではないかというふうに思っておりますが、その点について、最後、御答弁をください。

細田大臣政務官 御質問いただきまして、ありがとうございました。

 ただいま先生から御指摘があったとおり、南海トラフなどの切迫した大規模地震、津波や、昨今の異常な天然現象などに対して、漁港、漁村の強靱化に向けた対策は非常に重要であるというふうに認識をしております。

 このため、自然災害に強く、安全で安心な漁業地域の実現に向けて、一つは、漁港施設の耐震化や津波に対して粘り強い構造を持つ防波堤などの整備、第二に、被災時においても水産業の早期再開が図れるような業務継続計画の策定など、ハードとソフトの一体的な取り組みを推進することが重要であるというふうに考えております。

 私どもといたしましては、これらの考え方に基づきまして、先生の御指摘も踏まえ、来年三月閣議決定予定の次期漁港漁場整備長期計画においては、主要施策の一つとして漁港、漁村の強靱化を取り上げ、重点的に検討を進めてまいる所存でございます。

 また、二〇〇九年の政権交代に伴って、以後、水産基盤整備事業の予算が相当程度削減をされておりますが、私どもといたしましては、今後とも必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えておりまして、ぜひこの点についても先生の御支援をいただければというふうに考えております。

 ありがとうございました。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私ども三重県でも、例えば大紀町とか南伊勢町とか漁港はあるんですが、その奥にやはり生活の拠点があるんですね。その多くのところで不安の声を聞いております。ぜひとも取り組みをよろしくお願いしたいと思っております。

 今回、公明党の質問、生産者、さらには現場の皆さんの不安を少しでも取り除く、そういった質問をさせていただきました。大臣、委員会の皆様、大変にありがとうございました。

 以上で終わらせていただきます。

北村委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 民進党、秋田県出身の村岡敏英でございます。

 農水委員会は一カ月ぶりということで、私もTPP特別委員会の委員だったので、大臣とはやりとりさせていただきました。

 ちょっと二つだけ、TPP特別委員会でまだお話が聞けず、強行採決されてしまいましたので、それをお聞きしたい、こういうふうに思っております。

 一つは、SBS米の中で、私は、調整金を受け取ったというところの会社と受け取らなかったという会社、この受け取らなかった会社は恐らく名義貸しだろうと。ですから、その名義貸しした人は調整金は知らない、手数料を一%か二%取って、調整金は知らなかった。このシェアをとお話ししたんですが、これはなかなかお答え、調べていない。それで、理事会で検討ということで、事務当局の方から、対策として、SBS米が、調整金を契約した人はだめだということだけじゃなく、しっかりと、この調整金なるものがはびこらないように大臣含め農林省が取り組むという事務当局からの後での話でありますけれども、大臣もそのような答弁でよろしいでしょうか。

山本(有)国務大臣 SBS米の取引において、いかなる農家への不安も発生するようなことではまかりならぬという立場から、契約内容の変更をいたしまして、個々のSBS米取引について、調整金名下の金銭のやりとりを禁じたところでございます。

村岡委員 事務局や理事会の報告でいきますと、この対策だけでは足りないので、しっかり取り組みます、大臣からも言われています、こういう答弁なんです。

 実は、卸売問屋の中で、もちろん正規のきちんとした取引をしている方々もいます。しかし、米の卸売問屋というのは、当然、国産米も外国産米も両方使います。その中でやはり、企業は利益を追求するという中で、少しおかしな取引をしようと思う人がいるんです。

 これは、大臣、江戸時代からの、時代劇を見てください、おぬしもワルよのうという人が中にはいるんですよ。そういう人たちに対して、甘いだけではだめなんですよ。やはりしっかりと、米の価格に影響がないということのために、事務当局は、大臣とも話して、この対策以上にしっかりするというようなお話だったんですけれども、そうではないんですか。

山本(有)国務大臣 契約内容の変更とともに、SBS米の入札有資格者、これに対しまして、報告をいただく、あるいは特別にまた意見をお伺いするというようなことを重ねて、心配のない、生産者が営農について不安のない形でのSBS米取引にしていきたいという決意でございます。

村岡委員 九五年からWTOで始まったMA米、SBS米なので、ここはしっかりとやっていただきたい、こう思っております。

 さらには、四日の日、強行採決と言うと、強行採決じゃないと。竹下委員長も認めましたから、強行採決と言わせていただきますが、十一月四日の日に、先ほども話題になっていた、財務省の財政審議会から飼料米の予算削減を提案、まさに衆議院での採決が終わったら、この削減の話が財政審議会から出てまいりました。

 私も、あのTPP特別委員会の中で、飼料米政策、本当にお金が、予算を確保できるんですかと何回も聞きました。大臣は、米政策の基本であって、飼料米政策をしっかりやっていきたい、このように話しておりました。そのとき、具体的な金額も出しました。今現在、飼料米の交付金が、四十二万トンで六百七十二億出ています。そして、三十七年度で百十万トンというと千六百億から千七百億、このぐらいかかる予定になります。これは本当に確保は、大臣、大丈夫でしょうか。

山本(有)国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、閣議決定いたしました国の基本的な物の考え方、食料・農業・農村の計画の中でのしっかりした位置づけをもらっております。

 ただ、財政の、予算の決定は単年度主義でございますので、その都度その都度、全力を挙げてきちっとした見通しを立てていきたいという決意でございます。

村岡委員 これと加えて、先ほども出ましたが、MA米の七十七万トン、SBSが十万トン行けば六十六万トンですけれども、これも現実にほとんどが今飼料米になっている。八十万トン、九十万トン、備蓄米も含めてですけれども、それに八百億とか九百億、年によっては違いますが、赤字が出ています。合わせれば、これは八百億、九百億出るとすれば、二千五百とか六百億とかになります。

 しかしながら、飼料米政策によって米の基本的な政策を守るという、これは単年度予算なんですけれども、政治としてこれは確保を必ずやるんだという意思がなければ、農家の人たちはこの米政策についてきません。そして、非常に不安に思っているということをぜひ認識していただきたい、このように思っております。

 さて、農協改革、昨年、ちょうど私も農林水産委員会におりましたので、議論させていただきました。その中で、急激な変化に対して、これはなかなか難しいなと思いながら、私、当時維新の党でしたけれども、賛成をいたしました。

 しかしながら、賛成したのは、自主的な取り組みを必ず推進するという、私が修正案を出したんです。その修正案に、江藤委員長でしたけれども、しっかりと与党の方々も賛成していただき、この委員会で通りました。そして私は、参議院で安倍総理大臣と並んで答弁側にいました。そして、質問を受けたときも、この修正案によって、農協みずからが自主的な改革をしていくんだと。

 その農協に対して、今回の規制改革会議の農業ワーキングチームのこの御意見に対して、大臣はどうお思いになりますか。

山本(有)国務大臣 二十七年六月二十五日衆議院農林水産委員会、これの附帯決議、その真ん中、一番目に、「農協改革の最大の目的である農業所得の増大のための農産物の有利販売・生産資材の有利調達が確実に達成されるよう、改革の趣旨に沿った自主的な取組を促進すること。」この目的のために、我々は改革の努力をしなければいけません。

 ただ、規制改革会議の意見によって生産現場が不安に陥ることのないように、また他方、しっかりお互いが情報の共有をしていくという努力も必要でございます。

 しかし、いずれにしましても、この附帯決議の趣旨を全うできるように頑張りたいと思っております。

村岡委員 附帯決議ももちろんあるんですが、私は修正案提出者として、これまで、安倍内閣になって閣法で修正したのは三つしかありません。その中の一つで、これは修正案の中で附則としてしっかりとついているものなんです。そこを認識していただかないと、附帯決議というのは比較的、努力目標ですけれども、修正案として入っているということを認識されていますか。

山本(有)国務大臣 御指摘のとおり、五十一条第一項、自主的な取り組みの推進という規定がございます。歴然と法案に書かれた、きちっとした取り決めでございます。この法を守るということがまた行政の長としての私の立場であろうというように思っております。

村岡委員 この修正案のときには安倍総理もこの農水委員会に来て聞いておりますから、安倍総理にもぜひ農林大臣からお伝え願いたい、こう思っています。

 そして、さらには、農協という組織、協同組合。協同組合はどういうものだと大臣は認識していますか。

山本(有)国務大臣 協同組合は、その協同目的に沿って人的なつながりを持つ一体的な組織であろうというように思っております。

村岡委員 基本的には同じ考えですけれども、株式会社の利益追求とは違います。

 そしてさらに、協同組合は、相互扶助の精神で、組合員の出資額にかかわりなく議決権を付与し、民主的運営を行っています。協同活動を通じて組合員の暮らしを向上させることが事業目的です。そのため、会社と違い、出資配当は年八%以内と制限され、つまり、組合員は出資者であり利用者である。事業利用者を強制することはできませんが、組合員の意思に関係なく変更を強いられるものではない。このような形で協同組合はあります。

 そして、林農林大臣のときも何回もお聞きいたしました。農協は民間の団体であるので、これは自主的にやらなきゃいけない。しかし、この提言を見ると、例えば、農協がこの改革に従わなければ第二全農をつくるとか突きつけて、変えなきゃいけないということをやっています。これで本当にいいと思いますか。

山本(有)国務大臣 改革に向けてのそれぞれのお立場からの御意見があるということは理解をしております。

 いずれにいたしましても、生産現場が不安を感じないような、安定した、地についた改革をしてまいりたいというように思っております。

村岡委員 その上、中身は、先ほど出ておりましたけれども、総理が、この改革提言に関して、私が責任を持って行っていくと言っております。このメッセージは、農家は、規制改革会議の農業ワーキングチームのとおりにやっていくとしか受け取られません。これに関しては、大臣は総理と話していますか。

山本(有)国務大臣 話をさせていただいております。

村岡委員 それはどのようなお話ですか。改革を進めて、規制改革会議のとおり、その方向でやるというお話ですか。

山本(有)国務大臣 これは、私の方から申し上げる話ではなくて、また先生から委員会等で総理に聞いていただきたいと思っております。

村岡委員 大臣、本当に、TPPは、きょうですか、あすですか、総理が次期トランプ大統領と話すので、どうなるかはわかりません。しかし、根本の農協改革、そして全農の改革、いろいろな押しつけの中で、農林大臣は、その指導をして、そして農業をしっかり守り成長させていくという立場です。総理に対して、例えば規制改革会議の内容に関して何か言わなきゃいけない。それは隠す必要がないんじゃないですか。どうでしょうか。

山本(有)国務大臣 二人だけの話を、一方当事者の私が許しもなく開示するというような立場にはありません。

 農林水産大臣として、内閣の一員として、しっかりとこの改革に取り組んでいくということ以上のものではありません。

村岡委員 例えば、その中身のやりとりで、どう方向性が、そこは言わなくてもいいんですが、例えば全農が全量買い取りだとかそういうのは今の現状ではとても無理だとか、いろいろな詳しい説明はしなかったんですか。

山本(有)国務大臣 何度も申し上げますが、ぜひ総理に直接お伺いしていただきたいと思います。

村岡委員 農水委員会で求めてもいたし方ないんですけれども、集中審議でもやらなければそれは総理には聞けないということであれば、違うポイントに行きたい、こういうふうに思っております。

 その中で、一つ、指定団体制度の件でありますけれども、指定団体制度は問題ありと大臣は考えていらっしゃるんですか。

山本(有)国務大臣 指定団体制度の歴史的な意義あるいは機能、これは大事でございます。私ども、中山間地域の多い、特に山間地域の多い、しかも酪農家の皆さんが小規模というようなところでの条件不利地域の集乳、集荷というようなことに対しては感謝をしているところでございます。その意味における機能については、高い評価をしておるわけでございます。

 ただ、他方で、この制度のままでは、なお、新しい、努力をする、意欲ある方々の新規参入というようなものも、これを排除することになっていないかという提言に対しましては、やはり謙虚に、率直に耳を傾ける立場ではないかなというようには思っております。

村岡委員 三%ぐらいの、指定団体にこれを納めていない方々がおりますけれども、三%の方々の意見だけを聞き過ぎているんじゃないか、こう思っております。

 そこで、例えば、これがどちらでも選べるようになれば、よく新聞でも出ておりますけれども、いいとこ取り、こういうような可能性が十分あり得る、そして需給バランスを壊すような形になるのではないか、こう思います。その点についてはどうですか。

山本(有)国務大臣 なお、この物の考え方につきましては、時間をかけて検討をしていただけるものなりというように思っております。

 現場の声、また、生乳という極めて保存の難しい、特異な生乳業というもののあり方の中での需給調整というものについて、非常に私も関心がありますし、そこをどう取り扱うかにつきましては、関係者の皆さんのかなり踏み込んだ合意が必要だろうというように思っております。

 今のまま、距離のあるままに何かを決定するというわけにはいかないというように思っておりますので、ぜひとも、これからの議論をさらに尽くさせていただいて、いい方向で決着できればというように思っております。

村岡委員 もちろん大臣も知っていると思いますけれども、英国の指定団体制度みたいな形のものが崩壊した結果、需給のバランスが崩れ、そして酪農の農家の人たちも大変苦労した。この轍を踏まないでくれと英国の酪農家も言っている、その点はしっかり踏まえていますか。

山本(有)国務大臣 他国の例も踏まえ、慎重に、この点、合意ができるところまで議論を重ねさせていただいて、決着をしたいというように思っております。

村岡委員 改革がありきで、改革をするのが何か全て農業がよくなるような雰囲気、これは間違えていると私は思っています。

 そして、TPPの特別委員会でも出しましたが、明治時代の秋田の農業指導者であった石川理紀之助さんが、寝ていて人を起こすことなかれ、こういうので、まさに現場を知らずして、何か改革すれば農業がよくなるような雰囲気の中で、規制改革会議がいろいろなことを提言しています。現場を知らない。その現場を知らないということを踏まえれば、大臣がやはりしっかりと規制改革会議にも現場のことを伝えなきゃいけない。でも、全く伝えている様子が新聞紙上やマスコミ紙上ではわからないんです。

 先ほど、中身のことは言わなくても、まあ言えない、二人だから聞いてくれ、それはわかりました。しかし、しっかりと現場のことは伝えていますね、総理に、そして規制改革会議に。

山本(有)国務大臣 伝えておりますし、これからもしっかりとお伝えしたいと思っております。

村岡委員 やはりその点が、この規制改革会議の農業ワーキングチームの提言はとても容認できない。これは暴論だとしか言いようがない。

 農業者にとっては、TPPがどうなるかまだわからない中、そしてさらには、農協改革は昨年しっかりとやろうということで、自己改革を含めて農協は取り組んでいます。その取り組んでいるところに、あなたたちがやっているのは全くだめだからこうやれと押しつける。

 先ほど言ったように、大臣、民間の団体です。その団体に対してあそこまで強烈な、一年以内、このようなことを言い、そしてだめなら第二全農をつくる、このようなやり方が農林省としていいと思っていますか。それをちょっともう一度お答えください。

山本(有)国務大臣 規制改革会議の皆さんのお立場や意見、それはそれとして、やはり生産者、現場の声という人たちが納得できるよう、不安のないような改革でありたい、地についた改革をしたいというように思っております。

村岡委員 農協の方々は、こういうハンドブックを見たと思いますけれども、TPPに関してもいろいろな問題があることをしっかりと勉強しながら、実際には反対です、しかしながら、これが来たときにどのような対策を自分たちで取り組むのか、そしてまた、農業改革に関しても農協改革に関しても真剣に取り組んでいます。この矢先に、昨年通したばかりです、そして自主的な改革をしてくれという文言も修正案に入っている。この状況の中での規制改革会議の提言に関しては、本当に怒り心頭というふうになっていることを認識していただかなければなりません。

 そして、例えばJAの経済事業というのは、組合員の経費の負担を極力抑えるために、種苗センターやカントリーエレベーターの利用料金を最低ラインに設定しており、慢性的な赤字になっているんです。これをカバーしているのが信用や共済事業などの組合事業となる。それができなくなれば利用料金を上げてよいのか。農協自体が赤字になると、それは成り立たなくなりますから。

 その農業所得の増大にむしろ逆行するような提言がたくさん出されています。この部分もしっかりと認識していただきたいんですが、むしろ所得の増大にはつながらない、こういう認識もこの提言を見て感じられているかどうかお聞きしておきたいと思います。

山本(有)国務大臣 規制改革会議の皆さんが努力されて出した提言を批判するということはできません。それも一つの意見としてお聞きしながら、生産農家が不安のないような、地についた改革を進めたいと思っております。

村岡委員 大臣、批判をするわけじゃなくて、現場を知らない、現場の状況を知らないということはやはりしっかり伝えなきゃいけない。そして、この農協改革を含めた昨年からの議論の中で、農水委員会ではこういう議論があって、そして農協の方も自己の改革に努めようといった努力をし始めているんです、こういう説明はしないと。批判ではないんです、どういう実態なのかということをしっかり伝えなければ、ただ単に政府の中にある審議会が伝えたことをそのまま新聞に書かれて、総理がそれに関して自分が責任を持ってこの提言をやり遂げる、このような言葉があれば、当然もう進むんだろうと思うのが普通です。そうじゃなければこれだけの不安は広がっていませんし、そして、この改革が進んだときには、農協もそして農業自体もこれは衰退していく方向に進むんじゃないか、こういう不安だらけなんです。

 そして、二十四日まで、もう短期決戦だという言葉も出ています。この短期決戦という言葉に関して、短期決戦だと思っていらっしゃいますか。

山本(有)国務大臣 あくまで農家不安がない、地についた改革を願っております。ぜひとも、規制改革会議の皆さんも、現場の声をよく聞きながら、そして、新しい時代にふさわしい、農家収入の上がる改革に努めてもらいたい、こう願っております。

村岡委員 短期決戦なんという形じゃなくて、これは真剣に一つ一つの現場の意見を聞いてもらって、とてもこの改革で進められるようであれば、与党の先ほどの伊東委員もあのようなことを言って、同じ認識ですので、ぜひそれは、進めていっては困るので、我々も議論をしていきたい、こういうふうに思っております。これはもう本当に集中審議か何かしなければならない問題だと思っておりますので、この件はここでやめておきます。

 そして、つながることではあるんですけれども、全農が努力していた中で、総理が、八億人市場というTPPを前提にした中で、海外で食品を売っていこうと。この中で、全農なんかが英国の食品卸を買収していく、こういうふうないろいろな改革を自分たちでしていっているんです。こういうことに対して推進して、自己改革の部分をぜひ国から応援していただきたいんです。こういうことに対しての応援こそが、これが農家の倍増にもなるし、そして農業の成長にもつながる、こういう認識を持っていただきたいんです。大臣、どうですか。

山本(有)国務大臣 十一月七日に、JA全農と農林中金が、英国の食品卸会社SFGホールディングス・リミテッドの買収を発表いたしました。

 JA全農によりますと、今回買収する英国の食品卸会社は、英国内の飲食店や小売、卸売会社等に対するアジア・エスニック食材の販売に安定した実績を築いておりまして、その買収によりまして、日本産農畜産物の輸出拡大を目指すこととしておられます。

 農林水産省としましては、輸出先国における現地法人の設置などによる拠点の整備やサプライチェーンの確保は、日本産農林水産物、食品の販路開拓の手法の一つとして重要な取り組みと考えております。

 今後も、さまざまな主体による取り組みが進められることを期待しておりますし、こうした全農の新しい意欲ある事業展開については全力で応援していきたいというように思っております。

村岡委員 大臣、そのような形で自己の努力をしているところにしっかりと農林水産省が後押しをしていく、こういう形こそが昨年通した農協法の基本のはずです。

 そこに、何も今までの経緯も知らず、そして、農協を含めてそれぞれの団体が自己改革を進めている途中に、まさに関係なく、どこも現場も知らない、経緯も知らない人たちが、いきなりこうやれ、そして強制的にやるようなことを言っている、それに対して総理が、この提言を責任を持ってやり遂げるみたいな、これはおかしい。このおかしさを、しっかり農林大臣含めて農林省がこれに抵抗してください。この部分は抵抗していく。当然、我々も支えていきますよ。こういうことをぜひお願いしたい、こう思っております。

 そして、ほかの問題にちょっと移ります。

 これは豊洲の問題、東京都でありますけれども、この東京都の青果卸売市場の部分には、農林省はこれに対して補助金なり交付金なり、お金は出していますでしょうか。

山本(有)国務大臣 補助金ではなく、交付金を出しております。

村岡委員 そして、同僚の玉木議員がお聞きしたんですけれども、農水省の交付金でお金を出している、この交付金を出したときの設計図に既に地下空間はあったのではないかということを質問して、まだ答えはもらっていないんですが、これはどうでしょうか。

山本(有)国務大臣 交付金の交付に際しまして、地下空間の存在につきまして、東京都から説明は、受けた者は確認されていないという報告でございます。

村岡委員 もちろん、その当時、設計図とかそういうよりも、環境とかそういうのが中心だったとは思います。しかし、こういう問題が起きた以上、やはり国の税金を出す以上、しっかりと設計図も見ながら、東京都の意見も聞きながら、こういうふうな形にこれから変えていくというお気持ちはありますか。

山本(有)国務大臣 これは、東京都がみずからの意思で開設するものでございますので、市場開設者である東京都が今現在責任を持って対処しておられます。特に、専門家会議等でこうした地下空間の問題、あるいは土壌の問題等に積極的に取り組んでおられます。

 その意味で、私ども、認可をするかどうかについては、その後、東京都の御判断を見ながら手続に入りたいというように思っております。

村岡委員 これだけ都民のみならず全国が注目している問題なので、やはり農林省も、お金を出す以上、認可を与えるときに、しっかりとした調査をしながらやっていかなければいろいろな問題が起こるということをぜひ認識していただきたい、こう思っております。

 それともう一つ、これは新聞紙上で話題になっておりましたが、動物ワクチンの違法販売というのが報道されました。

 日生研という動物ワクチンを製造している会社が、無資格の会社に対して、六年間ずっと動物ワクチンを売っていた。その動物ワクチンは、結局、海外に全て売られている。この事態をどう認識されておりますか。

山本(有)国務大臣 まず、医薬品医療機器等法という法律がございます。これに基づきまして、動物用医薬品の卸売販売業の許可を日生研は受けております。この法律で認められた販売先以外の者にワクチンを販売するということは、法令違反行為でございます。その意味におきまして、かかる事実はまことに遺憾な事実だろうというように思っております。

村岡委員 関係者にお聞きしますと、日生研は、その前にもやはり無資格業者に販売していたということがわかりました。そしてさらには、新しい海外の売り先を、販売路を広げるという中で、無資格の貿易会社みたいな形の会社に対して六年間ずっと売っていた。

 そして、その中で、その貿易会社というか、開発会社と新聞では書いていますが、その中の社員が、しっかり農林省に、これはおかしいんじゃないか、違法ではないかということを、これは内部告発といいますか、正式に農林省に言っていますけれども、それは把握しておられますか。

今城政府参考人 お答えいたします。

 事実関係で私ども把握しておりますのは、昨年に、その当該日生研の方から、相談したいことがある、中身はおっしゃっていただけませんでした、一週間後に農水省に行きたいという話があったのみでございまして、中身はわからない。その一週間後に、まだ具体的に、何時で、どういう案件かというのはわからなかったものですから、そのときにさらにお聞きをしたら、中身がようやくわかりました。

 その時点で、これは販売業の許可の違反であるということの内容だということがわかりましたので、東京都に情報提供をした、こういう事実関係でございます。

村岡委員 大臣、先ほどの豊洲市場もそうですけれども、SBS米の件もそうですけれども、農林省、少ししっかりと、法令違反であったり、それから調整金は法令違反じゃないと言いましたけれども、現実的に、その中で御迷惑をかけている人や、そしてまた違法販売しているという中で、もう少し危機管理がしっかりしていないと思うんです。

 内部からその訴えをした人は、どうももうやめさせられているようです、ここはしっかりとした確認ではないんですが。それで、実は、それは経営者が直接やっていたようなお話と聞いております。その場合、販売の業者は無資格で、別に何の法的な責めは負わないそうです。そして、製造のこの日生研は、一応、農林省から注意勧告ですか、それだけですか。

今城政府参考人 ただいま御指摘の点、これはちょっとこの法律の許可制度の中身にかかわるものですから、少しそのお話をさせていただきますと、いわゆる製造業者、これに対しては農林水産省の許可ということになっております。

 一方、この許可の仕組みが、いわゆる営業所ごとに、その営業所が卸売販売業を行っているという営業所であれば、それは卸売販売業の許可を得るということになっております。したがいまして、そちらの方は東京都の許可ということになりますので、今回の販売業者の違反ということに対して、東京都の方で指導しているというふうに承っております。

村岡委員 ちょっと、わからない人はわかりにくいと思いますけれども、日生研というところが、製造メーカーとしての許可と卸売業者としての許可がある。この中で、日生研は卸売販売のところだけ東京都に責められた。でも、製造の認可をしているのは農林省なんです。ということは、製造の認可をしたところの人が卸売販売をやっているが、卸売販売の方だけが東京都に調べられていて、この製造しているところが全く関係ない。何か豊洲市場みたいに、東京都に任せているから東京都でやればいいじゃないかと。

 日本の動物ワクチンというのは非常に優秀で、世界にこれまた、家畜に、病気とかそういうのを含めて、非常にこれを売るチャンスは幾らでもあるんです。だけれども、法令違反であることを、また東京都だけの問題だといってこれをほっておくと、東京都だけの問題でいけば、例えば日生研は、極端にいけば、販売卸業者の部分だけ業務停止とかあっても、製造のところはそのまま残っているわけです。

 現実的に、無資格業者はもう取引の中に入っていないようですが、そのまま、無資格業者の販売ルートで売った海外のところには、今直接売っているそうです。そうすると、これまた全く日生研には罪がないということなんですけれども、それは農林省は関係ないというのは余りにもおかしい、こういうふうに御指摘させていただきたいと思うんです。

 大臣、ちょっとこれ、販売方法が複雑なので、後で確認して、ぜひ、やはり農林省が、危機管理能力の部分で大切なことなので、それを大臣から事務当局にも言っていただけませんか。

山本(有)国務大臣 危機管理体制について確認をし、また、こうした動物医薬品の製造許可におけるそうした甘い面がないかどうか、そういったものをまた検討させていただきます。

村岡委員 最後に、最後にといいますか、この問題に関して、日生研の社長は取材に対して、輸出先に迷惑をかけてはならないと思い、無資格と知った後も販売した、そのようなコメントなんですよ。これに対して、東京都の問題だと言うんじゃなくて、製造の許可をしているのは農林省であり、これは家畜のワクチンですから、農林省がしっかりとそこは管理をし、そしてそういうことがないようにすることが大切だ、こう思っております。

 そして、時間もなくなってきましたが、大臣のもとにも届いていると思いますが、農業団体の方から農協改革に対する意見、コメントが出ています。一円でも多く生産者手取りを確保し、一円でも安くよい資材を供給するという農業協同組合の原点に立ち、組合員の声をもとに実践しています。農協改革については、自己改革を原則とすることを基本的考えとして、平成二十六年六月、与党の取りまとめや規制改革実施計画が決定されている。現在進められているTPP関連対策の具体化や農協改革のフォローアップにおいて、その原則や取りまとめ等を超えることは決してあってはならない。私もまさにそのとおりだと思うんです。

 その部分を、大臣、最後に、この農協改革は自己改革が基本である、このことだけはお答えしていただきたいんです。

山本(有)国務大臣 十一月十一日に全農、全中等が発表されましたこの農協改革についての御意見の中で、創造的自己改革に努める、こういう文章がありましたが、まさにそうした団体の意欲、さらに熱意、こういうものを大事にしていきたいと思っております。

村岡委員 もう時間がないので最後にしますが、大臣、農業者の方々は全員、今本当に、六十七歳以上の平均年齢、そして農業人口も二百万人を切ってしまうような状況、こういう中で農業を改革しなきゃいけない。団体や農家一人一人も含めて頑張ろうとしているやさき、このような規制改革会議の、水を差すというか、もう全部をひっくり返すような意見を、農林省、そして農林大臣として、しっかりとそこは自己改革をしていくのを後押ししていく、このことに徹していただきたい、このように思っております。

 いらっしゃらないですけれども、人間はストレスをかけて甘くはなりません。余りにも激しい改革をやれば、これは誰もが諦めてしまう、そのことをしっかりと認識していただきたい、このように思っております。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民進党の宮崎岳志でございます。

 本日は、TPPの関連で質問させていただきたいと思いますが、まず、マルキンについて伺います。

 TPPの国内対策として、牛、豚のマルキンの法制化と充実がうたわれておりますが、先日、TPPの特別委員会で我が党の福島伸享議員がこの件について質問をいたしました。

 しかし、そのときと大きく状況が変わりまして、TPPは、アメリカの大統領選の結果、非常にTPPを批判していたトランプ氏が次期大統領に決まり、そしてオバマ大統領と会談をし、少なくとも、いわゆるレームダック期間中にこれを議決することはしない、批准することはしないということが確認をされております。すなわち、TPPというのは発効しない可能性が高くなっております。

 そして、マルキンについては、TPPの発効をもって法制化が、施行されるということになっておりますので、今のままではたとえ法案が成立したとしても発効しない、こういうことになると思います。

 これについては、もしTPPが発効しない場合は、マルキンはもうこれ以上充実はしないということでよろしいのでしょうか、確認させてください。

山本(有)国務大臣 まず、アメリカの新大統領の就任、それに合わせて、仮にTPPが発効しない場合、政府の方針が変更となるかどうか、こういうことでございます。

 まず、紋切り型ではありますが、発効を目指していく方針というものには、我が国は変わりはありません。そして、今国会での協定承認と関連法案の成立に向けて真摯に対応していくというこの方針にも変わりはありません。

 また、議員御指摘の法制化、これも丁寧に生産農家に説明をし、かつまた、不安解消、総合的なTPP関連政策大綱に基づいた経営安定の方策というように位置づけておりまして、これへの説明もしっかりやっていきたいというように思っております。

宮崎(岳)委員 マルキンというのは、そもそも法律があるものではございません。現時点でやっておりますが、これは予算措置でやっていることで、別に、法律ができれば制度として安定化すると思いますが、絶対に法律が必要だというわけではない。それでこの点を伺っているわけなんです。

 そうすると、TPPが発効しないという場合は、予算措置も含めてマルキンの充実強化は行わないということでよろしいんですね。

山本(有)国務大臣 先ほども申し上げましたように、発効を前提とした物の考え方をとっておりまして、これに変更がないということを御理解いただきたいと思います。

宮崎(岳)委員 私どもは、TPPとマルキンは直接関係ないではないかと。マルキンというのは価格変動対策でありますし、TPPというのは、関税が低くなれば、価格が変動するということではなくて、長期低落していくであろうというふうに予想されますが、価格変動対策というマルキンと、確かに国の支出が多くなるという点では全く関係なしとはしませんが、しかし、直接の関係はない。ですから、別にTPPが発効しようがしまいが安定化対策としてやればいいのではないかというふうに思って、法律案も既に提出をしているところなんです。

 きょう明確にしていただきたいのは、つまり、マルキンの、法制化はともかく、予算措置だけでできる部分についても、これを充実というのは、これはTPPの発効が前提であるからTPPが発効されない限りしないということであれば、そう明言していただきたいということです。お願いします。

山本(有)国務大臣 何度も申し上げますとおり、発効しなければという仮定を置いた物の考え方をとっておりませんので、あくまで発効を前提として経営安定対策に取り組むという中で、このマルキン事業についての法制化、予算化等を行いたいというように思っております。

宮崎(岳)委員 では、発効をしないという仮定がないということですが、二年後には発効が確実に、しない、あるいはするということが判断されるわけですが、そこまでマルキンについては手をつけないということでよろしいんですか。お答えいただけますか。

山本(有)国務大臣 それはあくまでも、予算編成の過程の中において考えたりする、そしてまた、国内農家、特に畜産農家の経営状態等について判断して、影響があればまたそうした措置も必要かというような、そういう時期もないとは言えないとは思いますが、今のところ、TPPの発効に対して経営安定化という政策であるということを御理解いただきたいと思います。

宮崎(岳)委員 としますと、二年後には発効するかどうかが確定をするわけですが、それまでの間に、特段の、例えば価格変動が激しくなるとか何かの事情によって、予算編成過程でマルキンの充実というのを行う可能性も、これはなしとはしないということでよろしいんですか。

山本(有)国務大臣 国内農家の経営安定という目で見たときに必要とあらば、私は、そういうこともないことはないだろうというようには判断しております。

宮崎(岳)委員 未来永劫ということであれば、これはないことはないとか、将来いろいろな可能性があるということはもちろんですけれども、たった二年ぐらいのことですから、その間でも可能性としてはあり得るんだ、予算措置としてマルキンの充実をすることは、二年という短い単位の中でも場合によってはあり得る、こういうことでよろしいんですね。

山本(有)国務大臣 繰り返しになりますが、あくまで発効を前提とした措置として、政策として、経営安定のためにこの法制化をするつもりでございます。

宮崎(岳)委員 法制化を言っているのではなくて、予算措置としてどうかということですが、今のお話ですと、この二年間の間に予算措置としてやることはこれはあり得るんだ、こういう御回答で、今うなずいていらっしゃいますので、そういうことであろうかと思います。

 さて、では、ちょっと観点が変わって恐縮ですが、質問の順番を変えまして、大臣の政治資金の問題について質問をさせていただきます。

 先週号の週刊文春に、「「冗談からクビ」山本有二農水相に新たな金銭スキャンダル」という記事が掲載をされました。一連の暴言や失言を除いても、大手の新聞や雑誌に掲載されただけで四つ目のスキャンダルということになろうかと思います。そして、その中でも二件は、いわゆる四国談合事件に関与していた企業からの、あるいはその関係者からの献金についてということであります。

 四国談合問題というのは、歴代の河川国道事務所あるいは国道事務所の副所長が七人懲戒免職になるという、一種前代未聞とも言える大事件だったわけですけれども、そのことについて前回TPPの特別委員会でお伺いをいたしましたが、高知県四万十町の株式会社I組の関係者からの献金というものがあった。御本人も、それは不適切だということで、返還をする手続を進めるということを表明されたわけであります。

 まず、その後お調べになったと思うので、このI組なりその役員からの献金とかパーティー券の購入等の資金提供、その日付や金額等、わかる範囲で明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 生田組の社長さんから献金された個人献金がございましたので、談合事実が判明した後、直ちに返金いたしました。

 そして、生田組の社長さんのお母様からまた個人献金がございましたので、それについては、役職員という認識がありませんでして、宮崎委員からの質問で役職員であるということがわかりましたので、道義的見地から、違法ではないものの、直ちに返還手続をして受領をいただいたということでございます。

宮崎(岳)委員 私はI組と申し上げたんですが、大臣御本人が生田組とおっしゃったので、そういうことで質問させていただきますが、その二〇一一年の社長さんからの献金については、これは、では、受け取ったのは談合問題の発覚前ということでよろしいんですか。

山本(有)国務大臣 受け取ったのは談合事実が判明する前でございます。

宮崎(岳)委員 二〇一一年の十二月六日にいわゆる一斉立入調査が行われてこの件が表に出るわけですけれども、その前ということでよろしいですね。

山本(有)国務大臣 そのとおりでございます。

宮崎(岳)委員 そうしますと、その後の返金分というものは、どこからどこまでの何にまつわるもので、お幾らになりますか。

山本(有)国務大臣 十二月七日以降に判明いたしましたので、その個人献金分について返金いたしました。

宮崎(岳)委員 それは二〇一一年のものだと思うんですが、百万円を献金されていて、それを返還したと。

 その後、前回の私の質問あるいは新聞社等からの取材に基づいて返還手続に入ったということでありましたけれども、その分は、いつからいつまでにいただいた幾らについてということでしょうか。

山本(有)国務大臣 お母様から、平成二十四年百万円、二十五年八十万円、二十六年四十万円、個人寄附を受けておりまして、十月二十八日、朝日新聞記者から指摘を受けまして、職業を会社役員として寄附が行われていたこと、また、その業者について談合に関する係争があり、二十六年、その敗訴が確定していたことの事実の認識をいたしました。その上で、合法とはいえ、道義的見地からその三年分を全額返金したところでございます。

宮崎(岳)委員 三年分、二百二十万円を返金したということですが、これはいつ返金されたんでしょうか。

山本(有)国務大臣 その後でございます。恐らく十一月上旬だと思います。

宮崎(岳)委員 日付は把握しておられないんですか。

山本(有)国務大臣 十月三十一日に返金しております。

宮崎(岳)委員 それでは、続きまして、今回週刊文春に取り上げられましたミタニ建設工業からの献金等について伺います。

 これについては時期的に少々異なっておりますけれども、一連の四国談合事件の中心的な人物、歴代の副所長がこちらの会社の社主にその情報を漏らすことによって官製談合が行われていたという、まさに中心人物が経営する会社ということになろうかと思いますが、こちらについて、週刊文春では、ミタニや関連会社から少なくとも六百九十万円の政治献金を受けているということですが、これについては事実そのとおりということでよろしいか。また、返金等の措置を行うという予定はございますか。

山本(有)国務大臣 談合の事実が報道され、発覚しましたのが平成二十三年の十二月七日以降でございます。私がこのミタニ建設から献金をいただいたのが平成八年から平成二十年でございまして、談合の事実の三年ほど前にいただいてからは献金はいただいておりません。

宮崎(岳)委員 すなわち、その六百九十万円を、政治献金を受けたのは事実であるが、談合事件の発覚の前であるということで、返金はしないけれどもそういうことだということでよろしいんでしょうか。

山本(有)国務大臣 そのとおりでございまして、当時私ども、政治資金を適正、合法に受け取っておりまして、談合を知る由もありませんでした。

宮崎(岳)委員 そのほか、二〇一〇年六月三十日に、大臣が所有している土地をこのミタニ建設工業の関係会社に売却していたという報道がありましたが、報道によれば、売却額四千万円内外ではないか、こういう報道でございます。これは事実でよろしいんでしょうか。

山本(有)国務大臣 私の親の相続財産でございますが、売却したのはミタニ観光開発という会社でございます。

宮崎(岳)委員 事実ということでよろしいですね。

山本(有)国務大臣 談合当事会社ではございません。

宮崎(岳)委員 大臣がこの土地を売却された年の二月から二カ月間、こちらの会社は別の件でいわゆる指名停止の処分を受けておられますが、その件については認識をされていますか。

山本(有)国務大臣 当時は認識しておりませんでした。

宮崎(岳)委員 その後、認識はされているということですか。

山本(有)国務大臣 委員の御指摘によって認識をいたしました。

宮崎(岳)委員 建設関係の会社と政治の関係というのは非常に古い問題でありますが、ちょっと古い議事録でございますけれども、私も、平成五年、当時ゼネコン事件の議事録がございまして、ちょっといろいろ見ていたんです。法務委員会の関係です。そこからちょっと引用させていただきます。

 「三千三百の地方公共団体、市町村、全部選挙が行われております。そういうときに、脆弱な業者が何とかして工事が欲しい、そして営業努力をしていってもらうわけでありますけれども、指名に入れてもらわなければならぬ。指名に入れていただくことが最初であるとするならば、選挙のときに手伝ったらどうか、こういう営業努力につながってくるわけであります。」こういう質問が行われているんですね。

 どなたの質問かというのは覚えていらっしゃいますか。

山本(有)国務大臣 記憶にありません。

宮崎(岳)委員 続きを引用させていただきます。

  それでは、選挙のときに手伝いましょう。人を応援して、例えば私だったら山本有二をよろしくとどんどん宣伝してくれる。そして、それがひいては企業の存亡につながってくる。公共事業だけで食っている、あるいは公共事業で会社の従業員の一人分、二人分出てくる、こういうことになりますと、どうしてもとりたい、こういうのが人情でございます。こういったことが業者側の論理。そして、例えば市長さんの論理であるならば、これまた、さあ、おれは市長選挙に出た、勝たなければならぬ、勝つためにはポスターも要る、電話も引かなければいかぬ、事務所もつくらなければいかぬ、そういうことを考えたときに、政治献金をもらう。献金だけで済めばいいけれども、業者としては、その応援する市長さんが負けたならば食いっぱぐれ、指名から外れる。勝ったならば、指名に入れてもらって公共事業が入るかもしれない。生殺与奪、企業存亡をかけ、また当落を考えて、どうしてもそこに一つの大きな大きな業界体質と選挙というものの特質と日本人の精神構造、意識構造、社会風潮、そういったものが一緒になって、いわゆる業者と政界の癒着という問題が出てこざるを得ないという問題があろうかと思います。

 どなたの質問か覚えていらっしゃいますか。

山本(有)国務大臣 私の固有名詞が出てまいりましたので、私かもしれません。

宮崎(岳)委員 当時の三ケ月法務大臣に対する質問ということであります。

 大変含蓄のある言葉だと私は思っておりまして、こういうことが積み重なって政治不信というものが出てきているんだろう。当時野党でありますから、歯切れよく質問させていただいて、私も他山の石とはしなければならないわけですけれども、やはり政治不信を招いているということは、これは否定できない事実かと思います。

 その上で、国土交通省、この四国談合事件について、山本有二農林水産大臣の、御本人あるいは事務所関係者等から、問い合わせとか事実照会とか、そういったことはあったかどうか。前回判然としなかったので、事実関係だけ確認をお願いできますか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 高知談合に関し、山本有二議員事務所から国土交通省に対しまして、指名停止に係る事前照会等があったかどうかということにつきましては、改めて省内において調べたところ、そのような事実は確認できませんでした。

宮崎(岳)委員 大臣、生田組からの献金については、当然、この会社が指名停止になったということは幅広く報道されておりますし、とにかく、高知県内の主要な会社のほとんどが指名停止になっている状況であったところでございますので、当然、その認識は当時あったというふうに想定されると思います。

 そういう中で、高知県からの指名停止期間が短縮をされたということがございますが、それについては、大臣、御存じですか。

山本(有)国務大臣 記憶にございません。

宮崎(岳)委員 平成二十五年の四月に、これらの業者の指名停止期間が短縮をされております。短縮されないところもありますが、十九の会社については二カ月ですか、大体一カ月から二カ月、三十以上の会社について、指名停止期間が高知県の方で短縮をされている。

 そのもとになったのは、高知県議会で、二〇一二年の十二月定例会で、この指名停止期間を短縮してほしいという請願が採択をされているんですね。このことは御存じですか。

山本(有)国務大臣 記憶にはありませんでした。

宮崎(岳)委員 その会社の関係者から大臣のところに百万円の献金があった。それと前後する期間に、高知県議会で、これは反対する会派もあったけれども、もちろん大臣の所属する自由民主党の会派も含めて賛成して、賛成多数で、県内経済に大きな影響があるし、コンプライアンスも徹底しているのでこの期間を短縮せよというのが、もう発覚して、二カ月ぐらいで、つまり、処分が下って一月、二月の間に採択をされているんですね。

 大臣は、当時、恐らく自民党の県連の何らかの役職につかれていたのかと思いますが、二〇一二年、ちょうど選挙のあったころですけれども、十二月はどんな役職につかれておりましたか。

山本(有)国務大臣 県連の会長か副会長ではないかと思います。

宮崎(岳)委員 私も十分、自民党県連の人事までは押さえておりませんが、恐らくその前の時期には会長をやられていた。その後おりられて、副会長になられたのか、まだ会長だったのかはわかりません。

 しかし、大臣は県議会の出身でもございます。そして、その指名停止になっている業者が、まさに建設業協会挙げて、この指名停止期間を短縮してくれというお願いを、運動を展開して、そして県議会に持ち込み、自民党県議団はそれを是として、当然、他の会派も賛成したところがあったのかもわかりませんが、指名停止を短縮しろという請願を採択し、そして翌年、実際に指名停止期間が短縮をされている。

 こういう事情を見るに、私は、大臣の献金に対する取り扱い、とりわけ、その会社の経営者の親族だということを認識していながら、それを、会社じゃなくて個人だからということで受領していたというのは、私は、大きな問題でもあるし、非常に軽率な行動ではないかと思いますが、大臣、何か言うことはありますか。

山本(有)国務大臣 県議会の請願に対する採択、不採択、こういったことについては詳細には存じておりませんし、また、県議会独自の御判断でなされるものというように思っております。

 また、談合等、こうした独禁法にかかわる問題はあってはならないことでございますし、そうした被疑事実があるならば、再発防止に私どもの立場から努めていく、そういう責任があろうというように思っております。

宮崎(岳)委員 大臣、私、本当に誰もわからないような小さな話について言っているんじゃないんです。高知県政界あるいは建設業界がひっくり返るような大事件だったんですね。

 ですから、このまま指名停止があれば、県内経済がもうもちませんというロジックまで使って指名停止期間を短縮した、こういう事実がございますので、私は、大臣の責任、極めて大であるというふうに指摘をさせていただきます。

 時間も限られてまいりましたので、次の問題に参ります。

 SBS米の価格偽装問題の対象企業からの資金提供についてでございますが、前回、大臣はこの件について、卸売業者からの献金がありましたということを御説明されました。その後、理事会等で、報告の中で、それは勘違いで、輸入業者からであったというような御説明もされたというふうに伺っています。

 私は前回の質問のときに、ある程度長いスパンといいますか、過去にさかのぼって、その業者からの献金があったかどうかということを伺っておりますから、その後、お調べになったことだと思います。その結果はいかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 今回のSBS関連の調査は、まず、食糧法上の違反ではない事実に関する任意の調査でございます。また、当該調査の対象の業者から献金等があったといたしましても、政治資金規正法上はもちろん、道義的な意味においても問題はないというように言えようか、そう思っております。

 その上で、さかのぼって調べた中では、議員が指摘された企業と同一のものかどうかを分別できませんが、調査対象となった輸入業者一者から献金を受けているということが確認できました。ただし、当該企業から献金を受けたのは平成十九年、二〇〇七年でございまして、九年後の、ことしの九月、十月に行ったSBS関連の調査とは結びつきようもありませんし、その献金額は五万円でありました。

宮崎(岳)委員 私が指摘した業者と同じかどうかわかりませんが、この年だけじゃなくて、ある程度のスパンをもって、少なくとも、近年は献金額によっては公表されないということもございますでしょうが、ある程度長い期間、その一年だけということではないのではないか、同じ企業であればですね、ということは指摘をさせていただきます。

 最後に、大臣、やはり、特に談合の問題で企業から献金を受けていたということについては、私は、大臣の政治責任大ではないかというふうに改めて指摘をさせていただきます。

 なぜなら、私の調べた限り、その生田組の社長さんから二〇一一年に、多額の献金があったのはこの年が一番最初の年です。その年はこの談合問題が発覚した年でもあります。それをお返しになった、当然不適切だという認識があったから当時お返しになったんだと思いますが、そのお母様からまた翌年以降も献金を受け続けられている。しかも、国と係争になり、公取と係争になり、異議申し立て等をやっているその前後、あるいは指名停止期間を短縮してくれという働きかけを建設業界を挙げてやっているその前後でございます。

 私は、大臣、これは潔く身を引かれるべきかというふうに思いますが、お答えいただけますでしょうか。

山本(有)国務大臣 この種の事件があったことの不明は恥じますけれども、しかし、農林大臣としては、なおこの職で、誠心誠意、TPP及び農政に対し真摯な努力を続けさせていただきたいというように思っております。

宮崎(岳)委員 時間となりましたので終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 重徳和彦でございます。農林水産委員として初めて質問に立たせていただきます。

 風前のともしびとなりつつあるとも言われているTPPでありますが、私自身は自由貿易圏を拡大するべきだという立場に立っております。ただし、農業振興策と食の安全、これに万全を期さない限り納得はいかない、こういうふうに考えております。

 私は、愛知県三河地方の出身でございまして、物づくりのメッカでありますが、同時に、愛知県は農業の大変盛んな県でもございます。

 それから、私は、前歴が総務省という役所の職員でありまして、その間に青森県、山形県、広島県に赴任をいたしまして、大変農業の盛んな地域でもありますし、農家の皆さんともさまざま語らい合いながら過ごしてきた日々を思い起こしながら、やはり農業地域、もう本当に地場産業中の地場産業でありますので、こうした日本の農業が衰退するようでは、地域密着、そして国を守るという使命をしょっております私ども保守政治家としての使命は全うできない、このように考えております。

 そこで、まず、大臣の基本姿勢を問いたいんですけれども、大臣所信では、TPPの推進とともに輸出戦略の重要性を語っておられます。

 ですが、地域では、やはりTPPといえば、農作物が大量に流入するということばかりでありまして、これからは輸出だということを国会の場で幾ら表明しても、現場にはなかなかこれは伝わりません。

 やはり大臣には、ぜひ農家の皆さんの暮らし、人生を支える、あるいは、TPP推進ということに対して農家の皆さんが怒り、また苦しみ、悩んでおられる、そういった農家の皆さんの立場に立って農政を進めていただきたいと思っております。

 その意味で、大臣の所信表明の中で、これからは輸出だという言葉は、地域にはまだまだむなしく聞こえていると思います。TPPに対する懸念が専らであります現場の皆さんに対しまして、そして、農家の皆さんは平均年齢が六十七歳であります、そういう皆さんに、果たして大臣の海外市場への進出が不可欠といった言葉が本当に届いているのか、届けることができるのか、そのあたりについて、大臣の所信を、決意をお聞きしたいと思います。

山本(有)国務大臣 日本の農林水産の生産額は世界十位でございます。輸出額は世界六十位でございます。こうしたアンバランスというものは、恐らく世界の人たちが日本の農林水産物について御存じないからではないかなという意識を持っております。もし海外の皆さんが日本の生産物を手元にとられ、そして食していただければ、私は、輸出が必ず可能になってくる時代が来る、そう思っております。

 したがって、先ほどの御質問にありましたとおり、全農もイギリスの卸を買収するというような考え方に出ていただいているというように思っておりますので、さらに、輸出に関する相談窓口を各農政局ごとにつくっておりますけれども、一年間で一万件を超える農家の方々からの問い合わせがあるわけでございまして、徐々に輸出に関する理解というのが進んでいっているだろうというように考えております。

 そしてまた、本年五月に農林水産業の輸出力強化戦略というのを策定いたしまして、輸出の意義、戦略の理解を深めていただいているわけでございまして、特に、全国、地方での説明会を既に開催しておりまして、また、情報誌、農林水産省の広報誌、農業ビジネスマガジン、民間誌、こうしたところの輸出に関する登録が一万人を超えました。

 そういう周知がされつつございますので、私どもは、なおジェトロとさらに提携いたしまして、商談スキルセミナー、あるいは初心者向けのマーケティングの基礎講座、そういったものを手がけていきたいと思っております。

 また、具体的には、愛知県豊明花き地方卸売市場で、中部国際空港や物流業者等から成る協議会を設立いただきまして、本年九月にセミナーの開催とか海外バイヤーの招聘を行うなど、愛知県の御地元でも輸出の取り組みを強化していただいていることに感謝をするものでございます。

重徳委員 地元の農協の幹部の皆さんと話をするにつけても、やはり各地域ごとの取り組みに任されても、これからはチャンスです、チャンスですといったって、そんなものはどうやって進めていいかもわからない、情報もないというような状況であります。

 今大臣がおっしゃった施策、これは全体の一端かもしれませんけれども、もちろん、それが広がっていくことを期待はいたしますけれども、私は、もっともっと、災害分野でもことしは熊本地震に対してプッシュ型の支援というものが行われたように、やはり農家の方々、担い手がそもそも六十七歳なんですから、そういう方々に対してもっときめ細かな情報提供を行うべきだと思っております。

 要するに、その地域では何をつくっているのか、自分がつくっているものがどこの国に売れるのか、TPPが仮に、これはわかりませんけれども、発効されたら、その関税はどうなるのか、こういったことはまさにTPPに直結することでありますし、それから、私の地元で西尾市というところがあるんですが、お茶の生産、抹茶の生産が非常に多いところでありますけれども、海外に輸出しようとしたら、海外では日本で使っている農薬が使用が認められていないとか、こういういろいろな課題があるわけなんですね。そして、それを、そういう問題を抱えているけれども、誰に言ったらどう解決してくれるのかも、現場で一生懸命やっておられるわけですから、簡単にわかるはずもないというのが今の状況であります。

 補正予算、この国会ももう大分期間がたったのでちょっと忘れてしまうぐらいですけれども、補正予算がこの国会の冒頭にありましたけれども、その中には、輸出に関連するものとしては、輸出施設の整備とか、グローバルGAP、HACCPの取得、インストアショップの活用などなど、用意はしましたよ、メニューはあるからやる気のある人はいつでも来てください、こういうような姿勢が見られます。

 先ほど言いましたように、もっともっとプッシュ型で、これは主体はどこになるんでしょうか、県なのか農政局なのか、そういうところを、農協でもいいです、それから農業の現場でもいいです、そういうところにもっと具体的にきめ細やかに政策を進めていくということに取り組まなければ、とてもじゃないけれども進まないと思います。いかがお考えでしょうか。

山本(有)国務大臣 輸出につきましては、先ほども申し上げましたとおり、全中、全農もかなり積極的に取り組んでいただくように決意をお伺いいたしておりますし、また、各都道府県の知事さん方からも、地域横断的に、例えば東北地方、あるいは四国地方、近畿、中国地方というようなレベルで連携しながら、オール・ジャパンで売り込みをかけていきたいというような考え方も御披露いただいているところでございます。

 そういう中で、地域における取り組み支援を行うために、ジェトロと農林水産省に相談窓口を設置いたしました。相互に連携して、農林漁業者などからの相談に対応しておるところでございます。

 さらに、ジェトロが、新輸出大国コンソーシアムという名目で、輸出や海外展開に取り組む農林水産物、食品事業者へのアドバイス、支援というものを既に行っていただいております。

 輸出サポートのさらなる強化のために、海外の消費者や飲食店、小売店のニーズを詳細に把握した上で、その情報を産地に伝達して、輸出向け商品づくりなどのアドバイスを行っていただいて、生産者と商社、物流業者のマッチングを支援することもメニューの中に入れさせていただいております。

 また、日本食のレストランが世界にほぼ九万軒ございまして、その人たちの連携やあるいは協力もいただこうというように考えておるところでございます。

重徳委員 いろいろとおっしゃっておりますので、私も地元では懸命に頑張っていきたいと思っておりますが、ぜひ今の意気込みあるいはさまざまなメニューを積極的に地域に展開していっていただきたいと思います。これはこれからの話も含めてですので、ぜひここはバックアップをお願いしたいと思います。

 次に、今回のTPPの特別委員会でもさんざん話題になりました。また、実は私、ことしの通常国会、二月二十九日の予算委員会でも取り上げたテーマですが、成長促進ホルモン剤、そしてラクトパミンの問題であります。

 委員の皆さんも御承知と思いますが、牛肉、豚肉が、米国やオーストラリア、カナダといった国においては、成長促進ホルモン剤とかラクトパミンという飼料配合剤が使われている。そして、TPP、どうなるかわかりませんが、これが発効すれば、牛肉に関して言えば三八・五%の関税が最終的に九%になるということでありますから、これは大量に輸入がふえるでありましょうし、それでなくても、九〇年代から日本では牛肉、豚肉の輸入が大変拡大しているわけであります。

 このホルモン剤やラクトパミンは人体の健康に影響があると言われておりまして、今言いました九〇年代、日本に輸入が拡大した時分から、消費量も当然数倍になっていますから、ある研究によりますと、ホルモン依存性がん、子宮がん、乳がん、前立腺がんですけれども、こういったものがふえているという状況、これについて安全性はどうなんだということを塩崎厚労大臣にお尋ねいたしましたところ、その予算委員会におきましては、国際的な委員会でございますコーデックス委員会が科学的なリスク評価の結果に基づいて設定した国際食品規格というのがある、それを踏まえて日本の薬事・食品衛生審議会などで審議をした上で、食品中の残留基準を設定しているので、この残留基準の範囲内であれば、牛に使用されたとしても食品の安全性は確保されているという位置づけでございますということで、語尾をやや濁しているんですよね。

 一方で、きょう資料でもお配りしておりますけれども、これもさんざん皆さん御承知と思いますが、日本では輸入が認められているこのホルモン剤やラクトパミンでありますが、EUでは国内使用も輸入も認められていないわけです。そして、輸出を行っている米、豪、カナダは、もちろん国内での使用も認めているわけです。マルかバツかどっちかならわかるんですが、日本は国内では未承認または未指定でありまして、だけれども、輸入だけはオーケー、こういうダブルスタンダードになっているわけであります。

 そこで、ここからは厚労省や消費者庁の皆さんへのお問いでありますが、ぜひ山本大臣にもしっかりとお聞きいただきたいので、よろしくお願いします。

 塩崎大臣が、コーデックス委員会が科学的なリスク評価の結果に基づいて設定した国際食品規格があるんだというふうにおっしゃっているわけですが、この科学的なリスク評価に基づく規格基準、この決め方に大変私は疑問を持っております。なぜならば、これは異例の採決によって決めたという経緯があるからなんです。

 このコーデックス委員会での採決の経過、その背景について御答弁願います。

北島政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の肥育ホルモンやラクトパミンの基準設定の経緯につきましては、当時、WHOとFAOが合同で設置をしております専門家から構成される国際的なリスク評価機関が、科学的根拠に基づきリスク評価を行い、その上で基準案を作成し、コーデックス委員会に提出しております。

 コーデックス委員会では、この案の提示を受け、コーデックス基準としての採択について議論いたしましたが、その際、EU等は、直ちにコーデックス基準として採択するのではなく、決定を延期しようとしたため、意見の集約に至らず、投票によって決めることとなったものでございます。

 この投票につきましては、肥育ホルモン及びラクトパミンの残留基準設定の採択につきましては、肥育ホルモンは一九九五年に投票が行われ、日本は残留基準値の設定に賛成をいたしました。また、コーデックス委員会が公表している会議の報告書によれば、投票における他国の立場は記録が残されておらず、確認できませんでした。

 一方、ラクトパミンにつきましては、二〇一二年に投票が行われ、日本は残留基準設定賛成に投票しました。また、コーデックス委員会が公表している会議の報告書によれば、中国、ノルウェー、EU、ケニア、エジプト、トルコ、クロアチア、イラン、スイス、ロシア及びジンバブエが、ラクトパミンの残留基準値を設定するという決定について留保、つまり反対の立場を表明しております。

重徳委員 採択に当たっての、採決の何対何というのも出ているはずなんですけれども、これは私も予算委員会で一回お尋ねして、塩崎大臣もそのとおりだというふうに答弁した経緯があると思うんですけれども、それをもう一度お願いします。

北島政府参考人 お答えいたします。

 肥育ホルモンの残留基準値の賛成は三十三、反対が二十九、棄権七で基準値を採択。ラクトパミンの残留基準値につきましては、賛成六十九、反対六十七、棄権七で採択となっております。

重徳委員 今部長がおっしゃったとおりなんですね。まさに国際政治の中で、採択するかどうか、ホルモン剤は三十三対二十九、ラクトパミンは六十九対六十七であります。言ってみれば、日本は賛成しているわけですから、反対に回ればこれはイーブンになったというぐらいのぎりぎりの採決だったわけであります。

 北島部長にもう一回お尋ねしますが、日本は賛成したということですが、なぜ賛成したんでしょうか。お答え、できたらお願いします。

北島政府参考人 詳しい経緯については承知しておりませんが、コーデックス委員会では、国際的なリスク評価機関が科学的なリスク評価に基づき作成した基準を採択するかどうかという投票でございましたので、科学的な基準を設定するということで賛成したと承知しております。

重徳委員 詳しくは承知されていないということですが、しかし、こうやって決まった基準なんです。これに従って、外国からはホルモン剤、ラクトパミンを使った肉が入ってくるということであります。

 大臣にちょっとお尋ねしますが、大臣、これは本当に科学的なリスク評価の結果であり、客観的に安全であることは国際的にも認められているということを農家の皆さんに対しても胸を張って言えますか、大臣。

山本(有)国務大臣 まず、肥育ホルモン及びラクトパミンにつきまして、先ほど厚労省の部長さんがおっしゃられたとおり、食品中の残留基準を設定されているわけでございます。輸入食品がこの基準に適合するかどうかの監視、検疫でありますが、指導を農林省としては行わさせていただいております。

 その意味において、今後とも食品の安全の確保に万全を尽くしていく所存でございますけれども、根っこの部分についての知見、あるいは科学的なやりとりについては、私の方としては少し不案内でございます。

重徳委員 そういうことなんですよ。つまり、今部長も詳しい理由は承知していない、それから、食の、農作物の担当大臣であります山本大臣もそこについては不案内という状況ですから、堂々と胸を張って、農家の皆さんに、畜産農家の皆さんに、これからTPPが発効すれば、最終的には関税が物すごく下がって、九%になってたくさん入ってくるけれども、だけれども、そこはフェアな競争なんだから理解してくれなんということをとても言えない状況だと私は思いますよ。

 これはどうすればいいと思いますか、大臣。

山本(有)国務大臣 すぐれて、コーデックス基準であり、また我が国における食品の安全性でございます。また、表示の方法等によりましても、消費者への周知徹底も行われるわけでございますし、そうした総合的な取り組みの中から、国民が安全、安心ができる食品が輸入されるということを確保するということでございます。

重徳委員 もう完全にしどろもどろなんですよ。こういう状況を農家の皆さん、畜産農家の皆さんに見せたら、どう思われると思いますか。

 そして、食品表示について、現行の食品表示の仕組みでは不十分だという議論がさんざん委員会でも取り上げられたにもかかわらず、過剰規制だ何だかんだと、科学的根拠があるんだとか安全なんだということをもって、これまでの答弁を乗り切ってきている。私は乗り切っていないと思いますけれども、そういう答弁に終始されるわけですが、今申し上げましたように、科学的根拠、客観的な根拠だという割にはぎりぎりの僅差ですよ。日本が、どこかの国が一つ二つひっくり返れば、完全にこれは採択されなくなる、こういう決め方でありますし、まして表示の仕方もいろいろと工夫ができると思うんです。

 海外では、ホルモンフリーの表示というものがあると聞いておりますが、消費者庁の方から御答弁願います。

吉井政府参考人 お答えいたします。

 肥育ホルモン剤などの使用が認められている米国、カナダ及びオーストラリアにおきましては、肥育ホルモン剤などを使用している、あるいは使用していない旨の表示につきまして、義務化はされていないものと承知をしております。

 一方、肥育ホルモン剤などの使用が禁止をされておりますEUにおきましては、域内に流通をしている牛肉は全て肥育ホルモン剤などが使われていない牛肉であります。したがいまして、消費者のためにあえて肥育ホルモン剤などを使用していないという表示を行うことの必要性は乏しいというふうに考えられることから、EUにおきましてもそのような表示は義務化されていないというふうに承知をしているところでございます。

重徳委員 EUのことを言われても、EUはそもそも国内にもあるいは輸入にも全部ホルモンフリーなんですから、もう議論する必要もないんですよ。

 だから、アメリカ、オーストラリア、カナダにおいて、今の御答弁では、義務化はされていないということをおっしゃいましたが、義務づけていないというところまではわかりましたが、現にホルモンフリーという表示をしている、任意かもしれませんが、している事実というものはあるんじゃないですか。その点を披瀝願いたいと思います。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 私どもの方で把握している限りにおきましては、オーストラリアで、スーパー等が任意で表示を行っているという状況は把握をしてございます。

重徳委員 もともとオーストラリアは、国内でも輸入でも、いずれにしても認められているわけですから、全部認めているわけですから、そういう中で任意の表示をしているスーパーがあるということなんでしょうね。

 だけれども、日本の場合は、繰り返しになりますが、日本だけダブルスタンダードなんですから、この状況下において、消費者の知る権利という立場からも、そして国内の畜産農家の立場を守るという観点からも、当然これは何らかの規制をするべきではないかと思うし、ホルモンフリーという表示そのものは世の中にあるわけですから、やりようがないということはないと思うんですね。これを日本でも表示することは、表示しようと思えばできるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 肥育ホルモンを使用いたしました輸入牛肉を避けたいという消費者ニーズを踏まえまして、肥育ホルモンを使用していないという表示を行うことは、現行の仕組みにおきましても、企業の任意で取り組めるというものでございます。したがいまして、肥育ホルモンの使用の有無につきまして、企業が情報を得ていれば積極的に表示がなされるものというふうに考えております。

重徳委員 今は何のルールもないわけですから、企業の任意であり、また情報を持っていれば表示ができる、これは当然のことだと思います。これを一歩進めて、国としてそれを何かしらルール化する際の課題は何でしょうか。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 肥育ホルモンの使用につきまして、それが含まれていないということも含めて表示を義務化するに当たりましては、食品表示基準違反、これは罰則の対象になるということでございます。したがいまして、使用している、あるいはしていないということを科学的に検証できることが前提になるというふうに考えているところでございます。

 肥育ホルモンは、投与の後、十分な時間が経過をすれば排せつされ、検出ができなくなるということでございまして、仮に肥育ホルモンを投与した牛肉に肥育ホルモン不使用という表示をしたとしても、投与したかどうか科学的に検証できないということでございまして、表示制度の実効性を確保できないことから、義務表示の対象とはなかなかできないということでございます。

重徳委員 これは何度もお聞きしている答弁ですね。ホルモンを使っても、売るときには、その肉の中にはもう既に入っていないかもしれないということですが、私がお聞きしているのは、ホルモン剤を使っていない、つまりホルモンフリーだということを、違反かどうかがわからないじゃないかということを今おっしゃっているんですが、そもそもその表示をするに当たって、確かにホルモンを使っていないということを検証、検証というか義務づけは、海外とのやりとりの間で、これは検疫条件の話だと思いますが、検疫条件において、そういったホルモンを使っていない形で育てた牛であることを相手国においてきちんと確認させた上で、それを何かしらの形できちんと示した、証明した上で、そのものについてはホルモンフリーという表示をすることはできるんじゃないか。それをやろうとするに当たってどんなハードルがあるんですか。私はそういう交渉をするべきじゃないかということを申し上げたいんですが、いかがでしょうか。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 先生御承知のとおり、我が国においては肥育ホルモンは使用されていないという実態がございます。したがいまして、生産過程で肥育ホルモンを使用したことについて仮に表示をする際に必要な情報というものは、我が国のものではなくて、生産過程である諸外国、アメリカだとかカナダ、そういったところの情報になるということでございまして、そういう意味で、表示を実効あらしめるための実行可能性という面から、現実的に表示を行うことというのは困難ではないかというふうに考えているところでございます。

重徳委員 今、困難とおっしゃいましたが、あり得ないんでしょうか、やりようがないんでしょうか。国民のために、消費者のために、畜産農家のために、それは困難だということを含めておっしゃっているんでしょうか。

 これは大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣、最後にちょっと、これはもう恐らく事務方の、現時点でお答えする職責を超えていると思いますので、大臣に政治家として御答弁願いたいと思います。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 明確に一〇〇%だめだというのはなかなか言えないかと思いますけれども、現実問題、非常に大きなハードルがあるというのは事実だと思っております。

今城政府参考人 ホルモンフリーのお話でございます。

 まずちょっと、いわゆる、それはきっちりとトレーサビリティーがないと、それが本当に肥育の状態でアメリカでどういう状態だった個体かというのがわからないということになります。現在、当然アメリカにはそういうトレーサビリティーはありません。我が国のように耳標をつけているわけでもなく、群れの中で生活して、生まれてきて、誕生日もわからないというのがほとんどの牛でございます。

 そういう中で、トレーサビリティーを相手に義務づけるということが結局要求されるということになりますので、それはコーデックスの規定上も、相手に、自国がやっているからといって、そのトレーサビリティーの義務づけを要求することはできないというふうに決められております。

 したがいまして、それを相手に要求すればできる、それはそうかもしれませんけれども、そういうことが国際上のルール上も、そういうことをトレーサビリティーではやってはいけない、こういうルールになっているということでございます。

山本(有)国務大臣 先ほど今城さんがおっしゃられたとおり、諸外国にトレサの情報伝達義務を課すということにおける現実性というものを判断した場合にかなり困難な面があるということはわかります。そして、残留農薬基準を設定しておき、なおかつ、また肥育ホルモンが残留していないという証明を我が国だけでできるかどうかという、そういう判断もあります。

 そうした中で、食の安全のための表示というもののあり方というのは、お互いこれから考えなければならない課題であるということだけは、私も委員と認識を共通するところでございます。

北村委員長 既に時間が来ております。

重徳委員 時間が来ておりますが、こういうことに突き当たるということぐらいわかった上で、コーデックス委員会で採択、採決のときに賛成するか反対するかは決めなきゃいけないと思うんですよ。何か理由もわからず、それで農水大臣も何かよく知らないけれども賛成しちゃいました、そういう過去があります、こういうことだから困るんですよ。日本の外交姿勢、国益を守る、私はトランプさんに学ぶべきところはあると思いますよ。

 そういうことを最後に申し上げまして、ちょっとこの問題は引き続きやっていきたいと思います。重要な問題だと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

北村委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 民進党の小山展弘です。

 私は、TPP特別委員会とか予算委員会には入っていなかったものですから、臨時国会初めての質問ということになります。

 十月の十七日に一度、大臣所信表明の質問があるということで、私は実は通告までしてしまっていたものですから、随分と前の質問といろいろと重なってしまっているところが事前通告であったかもしれませんが、きょうはちょっと順番とかを入れかえさせていただいたりはしますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、きょうは伊東委員や村岡委員あるいは古川委員からもお話がございました。大変、この十月にそれこそ質問通告したときから状況が変わっているんですが、私は、農業構造改革とか経済事業改革と言われているものに対してきょうは質問をしていきたいと思いますし、これについては、特に、党は違いますけれども、伊東委員が大変思いのある質問をされていましたが、私も大変憤りを正直感じております。

 JAは、言うまでもなく、これは郵政公社のように一〇〇%政府出資の組織ではありません。民間出資一〇〇%であります。まずは組合員さん、会員さんの方を向いて、あるいは利用者の皆さんの方を向いて仕事をしていく、事業を行っていく、これは当然であります。

 しかしながら、今どこを向いて仕事をしているか。規制改革推進会議とか、あるいは何とか何とか団体とか、あるいはどうもどこかの役所のトップの人じゃないかななんという、そっちの方の、国の方を向いて仕事をするような意識改革、括弧つきの悪い意識改革が進みつつあるんじゃないか、そんなことすら感じるわけでございます。

 私は、今回の規制改革推進会議の意見というものを見まして、幾ら何でも、事業のみならず組織とか人事にまで変えるように要求しているというのは、明らかにこれは過剰介入じゃないか。

 例えば別の会社で考えてみて、某国内最大手の自動車グループに対して、下請企業さんに対する買い取り価格が安過ぎるから、だから個人消費が伸びていかないんだ、だから高く買え、こういうようなことを要求するような例なんかないわけですね。あったら、これも通告してあるので教えてください。私は、これは幾ら何でも過剰介入だと思いますし、こういう過剰な介入をするような法的根拠というのは何なんでしょうか。

 あるいは、昨年六月の農協法の附帯決議、農協の組織の変更については選択であることを徹底する、あるいは、村岡委員からもお話のあった、自主性を重んじる、こういうものにむしろ反するのではないか。JAグループの自主性、自律性と行政指導の線引き、これはどこにあるのかということを山本大臣にお伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 農協、JAというものは、農業者にとって、自主的に設立された民間組織でございます。あくまで、政府が介入すべき話ではありません。その改革というのは、原理原則は、自己改革が基本であるという認識に立っております。

 一方で、農協の改革につきましては、二十六年六月の政府・与党取りまとめにおきまして、五年間を改革集中推進期間として、自己改革の実行を要請しているということでもございまして、昨年成立しました改正農協法附則で、政府は、改革の趣旨に沿った自主的な取り組みを促進するとともに、五年後に農協改革の実施状況等を見て制度の見直し検討を行うというように位置づけております。

 農林水産省といたしましては、こうした点も踏まえ、今回、規制改革推進会議農業ワーキング・グループの意見というのは意見として頂戴しつつも、地についた、生産農家が不安のない改革を進めていきたいというように思っております。

小山委員 きょう、ほかの先生方からの質問にも、意見として聞くけれども、農水省としてはそれを全面的に受け入れるというわけではないというような、これから議論していくんだということなんですが、これは、同じ政府の中でも、農家の側あるいは農業団体の側といったものの意見も加味して、ぜひ闘ってください。

 それと、いろいろな先生方からのお話もあった中で、山本大臣の御答弁を伺っていまして、もう一つ、ぜひ視点として持っていただきたいと思いますが、これは決して嫌みとかそういうことで言うわけではないんですけれども、ここで働いている人たちが二十万人いるんですね、職員さんたちが。単位農協も全国連も県連も含めて。よもや、この協同組合の職場がブラック協同組合になるようなことがないように、何か、何でもかんでもとにかく協同組合に負担を集めればいいということではないと思いますので、ぜひこの点も視点の中に、上位ではなくても、入れていただきたいということを申し上げたいと思います。

 その上で、言わずもがなのことですが、あえて大臣にお尋ねしたいと思います。

 この規制改革会議の答申の中で、例えば、きょうも話題のありました委託販売、団体の方から見れば受託販売ですけれども、これを全面的に廃止する、買い取り販売一本でいくんだということでございますけれども、こういった事業運営に対する提言もしております。

 それに従って、全農やあるいは系統グループの組織が事業を変えたとします。その後に経営不振になったとします。そのことが原因と、まあ、これは原因を突きとめるのは大変ですけれども、経営不振になってしまった。そういう場合、誰が責任をとるんでしょうか。お願いします。

山本(有)国務大臣 農協系統が経営不振に陥るようなことがあってはなりません。また、農林省の立場は、一番大事にしている生産農家、その生産農家と農林省の間に系統の皆さんやJAの皆さんがおいでて、より生産者に近い存在であるという位置づけと認識をしております。その意味において、経営不振に陥ることのないように、我々も、農林省といたしましても努めてまいりたいというように思っております。

小山委員 これについて、規制改革会議はどのようにお考えですか。

松本副大臣 お答えをいたします。

 成熟し多様化する国内市場、大きく拡大する世界市場に、魅力あふれる日本の農産物の真の価値を伝え、日本の農業を大きく飛躍させる重要な鍵は、農協組織自身が握っているものと承知をしているところであります。

 その上で、今回の農協改革に関する意見は、全農が行う事業を真に農業者の所得を向上させるものへと変えるため、このような提言がなされたものであります。むしろ、その価値に見合った手数料を得て、地域農協の経営拡大が可能であると考えているところであります。

 いずれにいたしましても、農協改革はJAグループによる自己改革のもとで進められていくものであります。どのような組織や事業がふさわしいかにつきましては、本意見を基礎といたしまして、各組織の実情を踏まえ、検討が進むことを期待しているところであります。農協は組合員たる生産者あっての組織であり、この観点で、生産者の経営環境には最大の配慮がなされるものと考えております。

小山委員 きょうは内閣府から、村岡先生のときには刀禰審議官、刀禰次長で、僕のときには副大臣にお越しいただいて、ありがとうございます。

 ただ、今の、済みません、申しわけないんですが、お答えいただいていないと思うんですね。

 もしも経営不振に全農なりJAが陥ったときには、普通に考えれば、私は、出資者責任であり、またその出資者に選ばれた役職員の責任ということになると。自己責任ですね。原則はそれだと思うんですけれども、どこが責任をとるんですか。これは単純な質問だと思うんですが。松本副大臣、お願いします。

松本副大臣 今回の提言につきましてはこれをぜひ尊重していただきたいというふうに我々として考えているところでありますが、あくまでも、農協改革自身はJAグループによる自己改革のもとで進められていくものというふうに認識をしているところであります。ですので、農協は組合員たる生産者あっての組織であり、この観点で、生産者の経営環境には最大の配慮をしていただきたいと考えております。

小山委員 やはりお答えいただいていないと思うんですね。

 逆に言えば、これは、では自己改革だということであれば、聞かなくてもいいということですか。聞いてしまって、規制改革会議さんが責任をとれないですよね。どう考えたって、提言をいろいろされていて、それを聞いておかしくなってしまったら、責任をとれないですよね。当たり前の話だと思うんですけれども、だから自己改革じゃなきゃいけないと私も思うんですが、だったら、聞かなくてもいいという権利はあるわけですね、JAの方には。

松本副大臣 今回の農協改革に関する意見の位置づけでありますけれども、前身の規制改革会議によりまして、平成二十六年六月の答申以来、農協改革に関し議論、提言をしてきた立場から、改革の現状をフォローアップいたしまして、農業ワーキング・グループとして、農協が自己改革によって目指すべき姿を示したものであります。

 本意見は農協に対して拘束力を有するものではありませんが、ぜひとも、この意見、提言の趣旨というものを御理解いただいて、自己改革に取り組んでいただきたいと考えております。

小山委員 何でこんなことを聞いたかというと、受託販売がこれだけになった歴史というものがあるんですね。昭和二十年代に米の買い取り販売を中心でやっていて、各単位農協が大変な赤字を出してしまった。そのことで、これは全国連や県連が指導をして、そして、なるべく受託販売というものに変えていこうということになったんです。

 これは何も昔の昔の話、小さい農協のときだけの話じゃないんです。去年の農協法改正のときにも私申し上げましたけれども、つい最近、他系統ではありますが、平成十年代まで森林組合が買い取り販売をたくさんやってリスクをとっていたんですけれども、それで大きな赤字を出したり固定化債権を出して、それのための赤字資金を金融機関が出して、経営改善計画をたくさんつくって、私も実はつくった一人なんです。そうやってだんだんだんだん経営改善をしてきて、今、森林系統は非常に、中にはぴかぴかになった組合や連合会もあります。ですから、買い取り販売をやればうまくいくというものではないんですね。

 そしてまた、協同組合というのは特定の一部の組合員さんだけのものではもちろんありません。全ての組合員さんのものでもあり、利用者のものでもあり、地域の大切なインフラなんですね。だから、山本大臣がおっしゃったとおり、これは潰しちゃいけないし、潰れないように経営をやってもらわなきゃいけない。そして、これはもうけが主じゃないわけですから、継続して社会インフラとしての役割を果たしていくことが目的だと私は思っております。

 そういう観点から、安定的な経営をやっていかなきゃいけない。そのことに、受託販売を全部やめて買い取り販売にするということがどれだけリスクがあることかということを、ぜひ、松本副大臣、いろいろお調べいただきまして、そのことも含めて議論をしていただきたいと思うのでございます。

 それと、ちょっと資料一のことは飛ばしまして、こういう質問をするのはちょっと嫌らしいんですけれども、お尋ねさせていただきたいと思います。

 規制改革推進会議のメンバーというのはどうやって選んでいらっしゃるんでしょうか。

松本副大臣 規制改革会議のメンバーでありますけれども、このメンバーにつきましては、専門の事項を調査させるため必要があるときに、当該専門の事項に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命することによって選ばれております。

小山委員 何をもって学識の知見のあるという者と判断するんでしょうか。

松本副大臣 当然、規制改革推進会議というのは、さまざまな分野に関しまして調査また提言を行うものでありますので、そうした意味におきましては、そうした幅広い分野の中から学識経験者並びに適した知識を持っている方をお選びし、内閣総理大臣が任命されているというふうに認識をしております。

小山委員 例えば、農業問題であれば鈴木宣弘さん、これはいろいろ賛否両論は皆様方からすればたくさんあるのかもしれないですけれども、たくさんの農業経済学者、農業学者がいらっしゃるわけですね。

 そういう中から今のメンバーが選ばれているというのは、これは政権の意向がかなり強く入っているんでしょうか。総理の意向がかなり強く入っているんでしょうか。それとも、事務方の方で公正公平に、こういう人たちがフェアじゃないかなということでリストを挙げて、それに総理が承認する、そういう形なんでしょうか。

松本副大臣 メンバーの人選につきましては、先ほど申し上げたとおりの趣旨に沿ってリストアップをし、そして、総理によって任命していただいているものと認識しております。

小山委員 皆さん、お配りしました表二をごらんいただきたいと思います。

 僕は、一億二千万人の中から極端に言えば学識経験者ということになると、どこまでの範囲が学識経験者になるのかわかりませんが、一定の人数があるにしても、規制改革会議の農業ワーキング・グループ、大変、きょうもこれだけの時間が農水委員会の中で私だけでなく費やされているわけですから、大きな影響を与えているわけですね。その大きな影響を与えている、さっき伊東先生が本当にいいことをおっしゃった、選挙で選ばれているわけでもない、官僚の皆さんのように試験で選抜されているわけでもない、そういう人たちが、わずか十人とか十二人とか八人の人たちがこれだけの大きな影響力を持つ仕事をしているんですね。

 それが、この農業ワーキング・グループについて言いますと、最初にできたのは平成十三年。今に至るまで、名前は変わっておりますが、政権が二回かわってここまで続いてきております。これを見てください。平成十七年度から今に至るまで、二回の政権交代を経て、かわっていない人が一名いらっしゃいます。本間正義さんです。今回は具体的に名前を出させていただきます。

 私は、この方がかわっていないことについて、政権がかわったときに質問しているんです、実は。当時の行政刷新担当大臣、今ではうちの代表ですけれども、何でかわっていないんですかと。大塚副大臣がこれに答えました。私どもというのは本当にばか正直だなと思ったんですけれども、かえるべきだったと思うんですが、そのときは何と言ったかというと、議論の継続性が大事だと。こういう会議というものは、できる限りいろいろな意見を入れて、公正公平にやっていくのが大事だと。そういうことで、本間さんはかわらなかったということだったんですね。

 ところが、もう一回政権がかわってもまだいらっしゃる。今もいらっしゃる。そして、議事録を見ると、この本間さんが議論を相当程度リードしている役割を負っているんですね。私は、これは幾ら何でもやり過ぎだと思う。ほかの委員はみんなかわっているんですよ。本間さんだけ十二年もかわっていない。しかもその人が影響力を持っている。この人こそ既得権益じゃないですか。この人こそ、私は、人格攻撃しちゃいけないですけれども、かえるべきじゃないですか。

 僕はこの人をかえるべきだと思いますけれども、松本副大臣、いかがでしょうか。

松本副大臣 本間専門委員につきましては、大学での研究を通じまして農業の諸分野に精通し、また、長年にわたりまして農業分野における規制改革に携わっていただいておりまして、とりわけ御経験が豊富であるということで承知をしております。

 現行の農業分野の制度や慣行、さらに規制についても、長きにわたる歴史的背景を有するものも多く、知識経験の豊富な本間氏を規制改革推進会議に設置した農業ワーキング・グループに所属する専門委員として任命したものであり、問題はないというふうに認識をしておりますし、既得権益ではないかという委員の御指摘は当たらないものと認識をしております。

小山委員 本間さんだけが学者ではないと思うんですね。もちろん、お選びになられるのは政権ですから、ですから、やはりこの規制改革会議のメンバー、そしてそのメンバーがある程度特定されればどういう結論が出るかは、これはある程度予想できますから、これは政権の意思だ、安倍総理の意思だということになってしまいますよ。

 私は、このことについて、やめるやめないということで言うつもりはありませんけれども、先ほど申し上げましたような議論の継続性ということであれば、何も本間さんだけがずっとこの委員でなきゃいけないという理由はないんですね。二回か三回ごとにそういう継続だということで前任を引き継ぐ方が一人か二人いらっしゃればいい。本間さんが十二年もやっている、しかも議論をリードする立場にある。それだったら、何でほかの人たちがどんどんかわっていったのか。

 僕は、やはり規制改革推進会議というのは一定の色があって、その色の方向に向かっているんじゃないかというふうに言われてしまうんじゃないか、そういうことから今申し上げているわけでございます。このことだけではなくて、いろいろお尋ねしたいことがあるので、次に行きたいと思いますけれども。

 規制改革会議の中で、今ちょっと、先ほど話をしましたが、全農が委託販売を全面的に廃止して買い取り販売にするということが出ております。農産物の販売価格というのは買い取り販売にすることでどのぐらい上がるというふうに規制改革会議は見込んでいらっしゃるんでしょうか。必ずそうならなくても、見込みで結構ですので、これは精神論ではなく、具体的かつ実証的に、幾らぐらい、ある特定の、米でも何でもいいです、品目について数値をもって示していただきたいと思います。

松本副大臣 全農の無条件委託販売が基本となっているものを買い取り販売にすべしという意見であります。これは規制改革会議の方の意見ですね。

 これに関しまして御説明をさせていただきたいと思っておりますけれども、この仕組みのもとにおいては、全農は、受託した農産物を需要者に販売する際の価格に応じた一定の手数料を得る仕組みとなっております。例えば、天候変化などの農産物に係るリスクにつきましては、全農自体がリスクを負担するのではなくて、むしろその変動のリスクが個々の生産者の所得にはね返るような、今はそういう設計になっているというふうに認識をしております。

 買い取り販売に転換をすることによりまして、組合員たる農家が抱えるこのようなリスクを吸収することが可能となり、生産者たる農家にとってはより計画的かつ多様な農業経営が可能になることが期待されているというふうに理解をしております。また、全農自身がリスクに見合う十分な販路の開拓に尽力をすることによって、農家が生み出す農産物をその価値に見合った価格で販売できる機会もふえるものと認識をしているところであります。

 なお、お尋ねのありました農家の所得向上等々がどのような数字になるのかということにつきまして定量的な効果を示すのは困難ではありますけれども、これらのことが相まって、少なくとも現状よりも生産者の所得向上の機会が拡大するというふうに考えて提言をまとめさせていただいているということであります。

小山委員 私の事前通告の表現がちょっと丁寧でなかったのかもしれないですが、私が実は伺いたかったのは、委託販売でする場合と買い取り販売でする場合に、農家の所得の話もしましたけれども、それ以上に、全農がどのぐらい高く売れるかということですね。買い取り販売になったからって、どのぐらい高く売るのか。

 先ほどお話しになられた、リスクがあるので高く売るように努力するだろうということですが、私は、その前提条件が、それこそよく今金融緩和で話が出ていますけれども、金融緩和にすれば貨幣の価値が下がるから、だから貨幣の価値が下がる前にみんなお金を消費するだろう、だから個人消費が伸びるんだ、こういうアベノミクスと言われておりますけれども、これと同じように、みんながみんな、必ずそのリスクを全農がとるから職員が必死になって売って、それで価格が上がっていくというものじゃないんじゃないですかね。そこは受託販売であっても買い取り販売であっても、結局は職員の方々のモラールにかかっていると思うんですね。私は、そこは販売のやり方次第の違いのところであって、むしろ、そのリスクを負う分、これは全農という組織、協同組合、これの経営危機も一緒にリスクを負うということになってしまう。

 ですから、私は、買い取り販売をもっと頑張りなさいという去年の農協法のときであれば、ここまで言わないんです。だけれども、全部買い取り販売にしろと言っているんです。だから、これは行き過ぎだと思うんですね。

 資料一をごらんいただきたいと思うんですけれども、これは、実は今から二十年前、農業生産資材の内外価格差を埋めるために、農水省内に農業生産資材問題検討会というものがつくられて、ウルグアイ・ラウンド合意を受けて、安価な農産物に対抗するために、国と地方、業界が一丸になってコスト削減に努力しようと始まった。肥料銘柄の集約とか、低コスト段ボール箱の普及とか、低農薬の推進とか、対策に盛り込まれて、国と都道府県と全農、これは右下の方に団体が書いてありますが、行動計画までつくっているんです。

 ところが、これは真ん中ぐらいに、平成二十年と、私、マーカーで引っ張ってコピーがちょっと黒ずんでいるところがあるんですが、「資材価格高騰への緊急的な対策」とあるんですが、これは全部、資材価格高騰でパアになっちゃったんです。パアになっちゃったというか、そこに吸収されて、今はこんな計画があったんだろうかというふうに言われているんです。

 でも、これは内容を見てみますと、違いはあるということで、レクのときに聞いておりますけれども、何か今の経済事業改革に似ていないですか。

 このように、外部要因によってかなり変わってくるんですね。それをただ単に、買い取り販売にすれば全農がリスクを負うから、だから価格が上がって農家の所得も上がっていくんだというのは、僕はやはり乱暴だと思うんですね。受託販売だって、一生懸命農家の皆さんの農産物を高く売ろうという意識さえあれば高く売れるんです。今、それなりに頑張っているはずです。そういうこともぜひ加味していただきたい。

 先ほども申し上げましたが、森林組合は買い取り販売に注力して大赤字を出して経営改善計画を幾つもつくることになった、こういう歴史もあること、そして、協同組合は決して一部の人たちだけの、大赤字を出してしまうようなものを売った人のためだけの組合ではありませんから、その点もぜひ加味していただきたいと思います。

 それと、信用事業の達成度合いについては、単位農協が自主的に選択するものとされている。一方で、三年間で半減ということで、三年間で信用事業を半減するようにというようなことが規制改革会議の提言で言われておりますけれども、三年間で半減というのは、農林中金なり信農連なりが達成するといっても、これは各単位農協が選択するとなっていますから、一つの組織がどんなに頑張ったって、単位農協が選択するというふうになっているんですね。

 達成するかどうかというのはコミットできないんじゃないかと思うんですけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。

松本副大臣 委員御指摘のとおり、農協改革に関しまして、そして信用事業の達成度合いにつきましては、単位農協が自主的に選択をするものということになっているところであります。したがいまして、先ほどから申し上げていますとおり、あくまでも、この改革はJAグループによる自己改革のもとで進められていくものと認識をしております。

 他方、規制改革推進会議は、平成二十六年六月の答申以来、農協改革に関し議論、提言をしてきた立場から、改革の現状をフォローアップさせていただいているところでありまして、単位農協が目指すべき姿を示したものだということで御理解をいただきたいと思います。

小山委員 きょうはあえて質問しませんでしたけれども、単位農協さんが事業譲渡する際のシステム、こういったものも本当に対応できるのかどうかというのも、規制改革会議さんは多分確認されていないと思うんですね。ですから、自主的にということは確かにそうですけれども、もともと三年で半減なんというコミットは絶対できないですよ。そういうことも提言に、表に出されるわけですから、これは松本副大臣に申し上げるのは大変恐縮なんですけれども、規制改革会議のメンバーの方も、先ほど村岡委員の話もあったんですけれども、もっと現場の声を聞いて、できることをやはり提案しないと、三年間で半減なんというのは絶対無理です。

 しかも、先ほどこれも話がありましたけれども、今、経済事業で赤字を出している組合さんが八割です。その組合さんも、信用事業や共済事業の利益で黒字を何とか確保しております。そこのところが、では信用事業を半分というと、この赤字の組合さんは当然かなりかぶってくるわけなんですけれども、そこは、規制改革推進会議の皆さんが想定されている経済事業だけで黒字を確保していくというところまで行く前に、経済事業が赤字の段階で信用事業を手放したらどうなりますか。協同組合は全部、総合事業体としても赤字転落ですよ。だから、そういうことも含めて、提言するときにはちゃんと検討してやっていただきたいということをぜひ会議のメンバーの皆さんにもお話をいただきたいと思います。

 最後に、ちょっともう時間がないんですが、全農の購買事業からの事実上の撤退について、今まで私も繰り返して申し上げてきましたが、これも十一月十一日の規制改革推進会議からの意見まで一言も今まで触れられてこなかった。突然ここで触れられてきたというのは、これは議論の方向性に一貫性がないというふうにも感じられるんですが、いかなる理由によるものなんですか。

松本副大臣 全農の購買事業からの事実上の撤退ということで御指摘をいただき、質問をいただきました。

 全農の購買事業に関する議論、これは、本年の二月より検討しております生産資材価格の仕組みの見直しにおきまして、全農の役割が重要であることから、しばしば委員の間で議論をされており、全農が生産資材メーカーの販売代理店であるとの指摘がされているところであります。

 規制改革推進会議の議論におきまして、そのような全農の購買事業を改革する上で、組織のあり方を含めた対応が不可欠との結論に至り、十一月十一日に取りまとめた農協改革の意見に盛り込んだものであります。

 意見の取りまとめに当たりましては、一貫した問題意識のもと議論をしてきたことでありますし、また、議論の内容におきましても、全農が生産者や単位農協に対して有利な共同調達のため必要な情報提供等を行い、共同購入の窓口として機能が残ることに照らせば、委員御指摘の購買事業からの撤退、また議論の方向性に一貫性がないという指摘は当たらないものと理解をしております。

小山委員 一貫性がないというのは、十一月七日の発表のものまでは、ここまでの購買事業の大幅な縮小というようなことはずっと提言の中に入っていなかったんですね。それで突然出てきて、今までもいろいろな議論がありましたが、一年間でそれを達成せよというんですね。これはやはり極端だと思いますし、多事業を展開している経営体というのは幾らでもあります。セブンイレブンさんもそうだしイオンさんもそうだし、信用事業もやっていれば、あるいは、仕入れてきてそれを消費者の皆さんに販売する。なぜJAグループだけが、この事業はやめよとか、あるいは、この事業をやっているとこっちの事業に注力できないから、だから販売事業の方がおろそかになるとか、そんなことはないですよ。

 むしろ、購買事業の部門で、バイヤーの、販売店と言ったけれども、僕はそんなことはないと思っているんですけれども、いかに安く仕入れてくるかというところの人がいかに高く売るかという販売事業の部門に行ったって、そうそう簡単に目ききが必要な販売の方で、人員が異動したからといって販売事業がぽんと能力が上がるということではないと思うんですね。人材育成に数年から十年ぐらいかかります。そういったことも含めて、かなり私は乱暴な議論が行われているなということを申し上げたい。

 ちょっと時間が少なくて早口になってしまいましたが、またこのような機会をいただいて、議論をさせていただきたいと思います。

 以上で終わります。

北村委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 山本大臣が就任して、きょう所信質疑を行うということになりましたので、一言、やはり冒頭に、二度にわたる暴言については申し上げなければなりません。

 大臣という行政府に身を置く者でありながら、立法府に踏み込み、強行採決を促すような発言が一回目でした。それを撤回、謝罪しながら、あの発言は冗談だったと言ったあげく、パーティー参加の農業関係者に対して、農林省に来れば何かいいことあるかもしれないと利益誘導まがいの発言をしたのが二回目でした。

 農水大臣として容認できない発言であり、改めて断固抗議いたします。

 本題に、質問に入ります。

 大臣は、所信の演説で、TPP発効を前提に、攻めの農政の展開をまず掲げました。総合的なTPP関連政策大綱を着実に実行すると述べたわけですが、ここでは、交渉で獲得した措置とあわせて、経営安定、安定供給へ備えた措置の充実等を図るとしています。

 ここで書かれています交渉で獲得した措置というのは、政府がこの間言ってきましたセーフガードや長期間にわたる関税削減などと思います。しかし、TPP特別委員会で私からも、これらの措置は協定発効直後から見直しの対象とされるのではないかと指摘してきました。TPPは関税撤廃が原則だからです。

 そこで、大臣に聞きます。

 交渉で獲得した措置はすぐにでもなくなっていく、そうであれば、経営安定や農産物の安定供給に向けた対策を図るという政府の言い分の前提が崩れることにはならないのでしょうか。それでも大臣としてTPPへ引き続き固執するのか。まず初めに御答弁ください。

山本(有)国務大臣 御指摘のTPP交渉におきましては、国家貿易の堅持、セーフガード等の有効な措置を獲得したわけでございます。

 委員御指摘の協定の見直しというものがもしある場合に、ここに不安が残るというところであろうと思いますが、TPP協定に限らず、通商協定におきましては、発効後の見直しとか再協議に関する規定が設けられていることが一般的でございます。

 TPP協定に設けられております七年後の再協議規定につきましても、他の通商協定と同様に、協議が調わなければ約束内容を変更する必要はないというように承知しておりまして、双方が合意しなければ見直しは行われないことから、また、我が国に不利な形での改定は行われることがないというように認識しております。

畠山委員 参議院で審議もしておりますし、きょうはこれ以上のことは問いませんけれども、ただ一つだけ指摘しておけば、参議院の委員会でもありましたが、TPPの機構として、TPP委員会が附属書二―Dの表を検討することを任務としていることが先日取り上げられているはずです。それは、わざわざ括弧書きで、「(関税の撤廃時期の繰上げによる修正に限る。)」ことがTPP委員会の任務として書かれています。

 ですから、政府は、国益に反する交渉はしないとか、総理も、コンセンサス方式だから、今大臣が述べたように、一致しなければそれは議論として成り立たないというふうに答弁をしてきましたが、TPPの機構上、それは許されないのではないか。TPPからの撤退をこの場でも改めて表明しておきたいと思います。

 きょうの質問の中心的なテーマですが、私は、先ほどから議論がありましたように、やはり、十一月十一日に規制改革推進会議農業ワーキング・グループが出した農協改革に関する意見について問います。

 読みましたけれども、改革先にありきの暴論です。高いボールを投げたどころか頭を狙ったビーンボールで、野球でいったら退場物の中身だと私は思います。今後しっかり議論したいと思いますが、今は、北海道を中心に行われている組合員勘定制度、通称組勘制度について確認します。

 ワーキンググループの意見では、この組勘制度を廃止すべきとしています。

 大臣に確認します。この組勘制度とはどのような制度で、どのように始まったのか、経緯を御説明ください。

山本(有)国務大臣 組勘制度は、組合員が営農計画を立てることで経営の自己管理機能を高めるということを目的に、農協との取引を通じて経営の発展を図るということを目指しておりまして、昭和三十六年から北海道独自の決済制度として発達したと承知しております。

 仕組みといたしましては、先ほど申しましたように、組合員が作成しました営農計画書に基づきまして、農協が貸し越し限度額を設定し、その限度額の範囲で、組合員に対し、営農資金や生活資金がいつでも引き出せる、いわゆる当座貸し越しであるというように認識しております。

畠山委員 そこで、十四日の参議院のTPP特別委員会で組勘制度の認識を問われたときに、山本大臣が、農協を利用しない販売がしづらいとか、畜産などは少々利用しづらい、改善に向けた方策を模索したいなどとの答弁をしています。議事録を読みましたが、質問にかみ合っていない答弁だと私は思いました。

 そこで、きょうは質問時間もないので、ずばり聞きます。

 山本大臣は、ワーキンググループが提言している直ちに廃止という考えとは同じでしょうか、違うのでしょうか。

山本(有)国務大臣 北海道の方々の御意見、あるいはそのほか現場の方々の不安、そうしたものを体して考えていきますれば、規制緩和会議ワーキンググループからの意見、この意見はそれはそれとして、また独自で、地についた、農家不安のないような改革案というものも他方あるならば、それを模索しなければならないというように考えております。

畠山委員 ワーキンググループが直ちに廃止をすると提言している理由を見れば、組勘制度によって農家の自由度が奪われているというものです。全く歴史も現場もわかっていないと言わざるを得ません。

 北海道は、冬が長い、農閑期が長い地域で、自然条件が厳しいのは言うまでもありません。市中の金融機関から借りていた農家もありましたが、バブル崩壊などの影響もあり、融通がきかなくなった農家もいます。その中で、安定的に資金を調達し、計画書もつくって、営農指導と一体に進めてきたのが組勘制度でした。これが今の北海道での効率化や大規模化を進めてこられる土台にもなってきた経過はあると私は思います。

 ですから、組勘制度を廃止することは、北海道の農家を潰せと言っていることと等しいと私は受けとめました。大臣、そう思いませんか。

山本(有)国務大臣 七割の北海道の農家の方々が活用し、安定的な農家経営をされておられるということの機能の大切さ、重要さというのは、これは変わるものではありません。

 また、農協だけに販売しなければならない、こういう契約、約定というものに対する現代的な疑問というのも他方あるのかもしれません。

 そんな意味で、調和点が図られることを希望しております。

畠山委員 調和点というのが何を意味するか私は理解できませんが、ただ、直ちに廃止ということには大臣は今同意していなかったことを確認しておきます。

 昨年二月の予算委員会や農協法等の議論をした本委員会で、私は、組勘制度が廃止されようとする動きを告発してきた質問を行っています。

 去年の二月の予算委員会でも、私は、在日米国商工会議所が、JAグループの金融事業を制約せよ、さらに、日本政府及び規制改革会議と緊密に連携し、成功に向けてプロセス全体を通じて支援を行う準備を整えているとまで向こうは書いている。政府がいろいろ言おうとも、向こうの側はそういう形で来ているということを私は予算委員会でも取り上げました。

 営農指導と金融事業が一体化して農家の暮らしを丸ごと支えている組勘制度へのくさびを打つがための提言ではないか、私は到底こういうものは許されないということを強調しておきたいと思います。

 残りの時間で、指定生乳生産者団体についても伺っておきたいと思います。

 農業ワーキング・グループは同日、牛乳・乳製品の生産・流通等の改革に関する意見も出していて、その冒頭の「改革の原則」として、「生産者が自ら自由に出荷先等を選べる制度への改革」が掲げられています。

 これは事務方で結構ですが、今の制度で生産者は出荷先を選べないのでしょうか。

枝元政府参考人 制度について御説明いたします。

 現在、酪農家は、指定生乳生産者団体への出荷以外でも、みずからが販売業者を介して乳業メーカーへ販売するなど、自由に生乳の出荷先を選択することは可能でございます。

 ただし、現行制度では、指定生乳生産者団体に生乳を出荷しなければ加工原料乳生産者補給金を受け取ることができないものですから、このような出荷先の違いによりまして補給金の交付、不交付が決まるのは不合理であるという意見があることは承知をしてございます。

畠山委員 今ありましたように、現状でも自由な販売先があることを確認しておきます。

 それで、今答弁にありましたように、補給金をめぐることでワーキンググループが問題にしているんですよね。飲用乳はもちろん夏場に需要が、消費がふえて、冬場に消費が減る。そこで、供給過多を防ぐために加工へ回す。しかし、飲用に比べて価格が低いために、指定団体を経て生産者へ補給金が渡る。指定団体がこの交付を受けられるのは、加工を通じてこの需給調整を行う役割があるからであることは先ほど来議論もされてきたことです。需給という全体のリスクを指定団体が背負っていると言えると思います。

 しかし、規制改革推進会議では、出荷先の違いで補給金が出る、出ないというのは不公平だという議論になっている、おかしい話だとなっています。それなら補給金を受ける団体は同じように需給調整の全体の責任を背負わなければいけないことになるはずで、だから、ワーキンググループの意見を読んでいくと、新たな補給金を得ようとする生産者は、飲用、加工の年間販売計画などを国に報告することともしています。一体、今の制度と何が変わっていくんだろうかと理解不能になってくるような中身なんですが、そこで大臣に認識を確認したいんです。

 この補給金交付の現制度とワーキンググループの提起するこの制度で、一体、一番の違いは何だと思いますか。

山本(有)国務大臣 このワーキンググループの意見からしますと、まず、意欲ある生産者に公平に交付したい、あるいは条件不利地域の生産者からも確実に集荷されるようにしたい、あるいは一定の要件を満たす場合は補給金の加算もしたい、また、労働条件が過酷な場合にはそれも改善したいというような意見を言っているわけでございます。

 生乳の特色からすると、すぐに傷みやすいわけでありますし、生産調整が必要でありますし、北海道の皆さんの酪農と本州の酪農との違いも伊東さんの御意見からよくわかるわけでございますし、ここにつきましては、生産者の皆さんの生産に対する不安がないような形での意見の取りまとめ、さらに将来の合意というのを地道に求めたい、農林省としてはそう思っておる次第でございます。

畠山委員 多くの酪農家はみんな意欲を持って頑張っていますし、一番現場を不安にさせているのはこの意見、提言ですよ。

 それでも、この議事録やワーキンググループの意見を読むと、農水省側の意見に全くかみ合わせていない支離滅裂な意見ばかりで、何でこうなるかといえば、結論先にありきだからだと私は思います。

 指定団体を選ばせているのは強制だと決めつけて、「農協利用を誘導・強制する法制度は、農協改革の趣旨にもとるものである」と書いています。さきの組勘廃止についても、意見書のタイトルで改めて見れば、「農協改革に関する意見」という冠です。つまりは、農協を目のかたきにして、農協改革したいということが出発点になっていて、もう支離滅裂な中身になってきているのが私は本性だと思います。

 最後に、大臣に聞きます。ワーキンググループの言うような組勘の廃止や指定団体の改革は、本当に農協改革と大臣は思っていますか。認識を伺います。

山本(有)国務大臣 組勘廃止、あるいは指定生乳生産者団体制度の改革、この規制改革の委員会の御意見は御意見として、私どもは農家収入の向上という意味で捉えていきたいとは思っておりますが、しかし、何より、生産者が不安に思い、また将来の営農について懸念を抱くことへの不安の方が私どもとしては非常に大事、重要でありますので、できれば、地についた改革、そして、今の生乳生産者団体、こうしたものの皆さんが安心感をなお持てるというような改革を進めさせていただければというように思っております。

畠山委員 繰り返し述べますが、この規制改革推進会議ワーキンググループの出した意見を拒むことが一番の安心であるというふうに思います。

 昨日も、北海道の農家から要請も受けました。現場の実態を踏まえないで急進的に物事を進める規制改革推進会議への不満の声は相当強いと思います。この場に参考人として呼んで問いただしたいぐらいです。

 また次の機会に、これらの問題をじっくりと取り上げたいと思います。

 以上で質問を終わります。

北村委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。

 早速質問させていただきます。

 昨年、都市農業振興基本法が制定をされて、ことし五月に都市農業振興基本計画が閣議決定をされました。

 大臣は、残念ながら所信で都市農業には触れられていませんが、都市農業振興の基本計画が策定されたということは画期的なことだというふうに考えております。

 都市農業に対する大臣の認識と、施策を進めていく上での決意をぜひお聞かせいただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 都市農業は、食料生産だけではなく、いろいろな面で我が国の国民に寄与するところがあると思っております。まず第一に、農作業体験。子供たちは食べ物がどうやってできているかということを小さいうちから理解することができますし、災害時の避難場所の提供の面でも多様な役割がありますし、重要でございます。

 このため、政府におきましては、本年五月に都市農業振興基本計画を閣議決定しておるところでございます。

 都市農地につきまして、宅地化すべきものから都市にあるべきものというような、位置づけを変えたことも画期的でございます。

 都市農業振興施策を講じられますように頑張りたいというように思っております。

斉藤(和)委員 大臣からもありました、今までの宅地化すべきものから都市にあるべきものと農地の位置づけを大きく転換したということは、私も非常に重要だというふうに思っております。

 それを受けまして、農林水産省は、平成二十九年度税制改正要望で、都市農業の振興として、相続税、固定資産税の措置を挙げています。基本計画にある市街化区域内農地の保有に関する税負担のあり方と、貸借される生産緑地などに係る相続税納税猶予のあり方、この要望が農水省から出されています。

 それに対して、総務省、財務省は、それぞれどのような検討が今されているでしょうか。

三木大臣政務官 ことし五月に閣議決定されました都市農業振興基本計画におきまして、生産緑地が貸借された場合の相続税の猶予制度については、相応の政策的意義や公益性を有すること、また、土地の利用規制とのバランス等を考慮した上で税制措置が適切に講じられることが重要とされております。

 現在、生産緑地における土地利用規制等については、関係省庁において検討が進められている段階というふうに承知しております。具体的な提案がなされましたら、財務省としても真摯に検討していきたいと考えております。

冨樫大臣政務官 都市農業振興基本計画では、都市農業振興上の位置づけが与えられた市街化区域農地について、一定期間の農業経営の継続と農地としての管理、保全が担保されていることが明確なものに限り、その保有に係る税負担のあり方を検討することとされております。

 同基本計画にあるとおり、関係省において適切な土地利用規制等の措置について検討を深めていただき、それを踏まえて、総務省としても検討を進めてまいります。

斉藤(和)委員 今、財務省、そして総務省からお答えをいただきました。いずれにしても、土地利用の規制について、関係省庁からの提案を待っているという御回答でした。

 都市農業振興基本法では、第八条で、政府は、都市農業の振興に関する施策を実施するために必要な法制上、財政上、税制上、金融、その他の措置を講じなければならないというふうに定めているわけです。それを、ある意味、関係省庁、つまり農水省の出方を待っているというのは、政府全体としての構えが問われているし、消極的なのではないかというふうに私は思うわけです。

 いずれにしても、ここでやはり農林水産大臣のイニシアチブを発揮することが私は非常に重要だというふうにも感じるわけです。まさに、関係省庁である、その重要な一翼を担っている農林水産大臣が、政治的に決断をし、来年度の税制改正で固定資産税や相続税の軽減を実施する、この立場で都市農業振興を実現するためにイニシアチブを発揮することが大事だというふうに思うわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘の点、新たな都市農業振興制度の構築ということになろうかと思います。そのための税制上の措置というのはこれとセットで議論すべきものと考えておりまして、現在、国土交通省とも連携しつつ、新たな都市農業振興制度の検討を進めていきたいというように思っております。

斉藤(和)委員 連携して、検討していきたいというお話でしたけれども、来年度の税制改正に、この都市農業の一番かなめだと思うんですよね。やはり、相続税だとか固定資産税が高いがために、逆に言えば、相続税を支払う、それが払えないから農地を手放さざるを得ない、こういう状態が都市農業では進行している。

 だとしたら、来年度の税制改正大綱に盛り込むという、前向きなというか積極的なイニシアチブをやはり大臣に発揮していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 基本的に、農業振興地域あるいは農地等について、一義的に私に責任や権限があります。しかし、都市農業におきましては、都市ということでございまして、都市のあり方論、そういうものとの整合性も必要でございます。

 したがいまして、国土交通省の大臣とも連携しながら、この税制等、頑張っていきたいというように思っております。

斉藤(和)委員 都市のあり方の中に農地が大事だというふうに位置づけたわけですから、前向きに、積極的に、来年度盛り込まれるようにぜひイニシアチブを発揮していただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 その上で、地価が高い都市部において、振興にとって、宅地と同等の資産価値に見合う課税をした場合、農業収入で生計を立てることは困難である、だから、農地を保全すべき、このためには、保有コストを低く抑えることが必要だと基本計画にちゃんと書かれているわけです。

 そのときに、農地とあわせて大事なのが、農業用施設用地。私は、これも農地とみなして、相続税納税猶予の対象にすべきだというふうに考えているわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘の農業用施設用地は、固定資産税評価基準上、宅地等に当たります。農地と比べて、権利移転、転用行為に係る厳しい規制は存在しておりません。このような土地についてまで納税の格別な措置というものが納税者の理解を十分いただけるかどうか、少し不安がございます。

 そんなことから、市街化区域内か農業振興区域内かといった地域を問わず、そうした観点の検討が必要だと思っておりますし、委員御指摘の、農業用施設用地もあわせて何らか措置をする必要はわかりますけれども、総務省や財務省の課税の公平という観点からもまた問題を解決していかなければならないというように思っております。

斉藤(和)委員 今大臣から、必要性はわかるという答弁がありました。

 まさに、確かに、農家の施設用地だとかは広いわけですね。でも、それは無駄に広いわけではなくて、収穫したものを、泥を落とすために洗う、乾かす、仕分けして段ボールに入れる、それをやるために施設用地が必要だし、庭が広かったりする。やはり、農業をやっていく上で機械が必要、それをおさめる施設用地が必要、だから一体不可分なわけですよね。大臣も必要性を感じていらっしゃる。

 だとしたら、都市農業を守っていくという、せっかく閣議決定された今こそ、本気でやっていくという構えをぜひ大臣に発揮していただきたいということを最後に訴えて、強調して、質問を終わりにさせていただきます。

北村委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会の吉田豊史と申します。

 農水委員会の初めての質問になります。私は富山県出身でございまして、向かいにいらっしゃる宮腰先輩と同じ富山なんですけれども、大きな違いは、農業のエキスパートと、私はど素人だというところでございます。

 農水委員会で私がどんな一丁前の委員にしていただけるかということは、私の努力にもちろんかかっておるんですけれども、立ち位置というものも実は重要だと思っております。農水のエキスパートの皆様の話を、委員会の話を聞いておりまして、私は素人そして消費者というところに徹した考え方をお伝えしていきたいなというふうに思っておるところでございますので、皆様からの御指導をよろしくお願いいたします。

 TPPがありまして、攻めの農業という、攻めるという言葉が非常に私は印象に残るんですけれども、富山県は日本一の米の県でございますので、私は、米を中心とした攻めの農業というところで、消費者目線、消費者視線での質問をさせていただきます。

 おとついなんですけれども、私の地元の富山の方からJAの青年部の方々が東京の方に上京してこられまして、そして意見交換会をさせていただきました。そのときに、私は、さまざまな、具体的な農業についての困っている問題が出てくるのかと思いましたら、一番最初に提言されたことというのは、やはり農業というそのものについてもっと消費者の方々からの理解を得なくては、この先の農業というものがないんじゃないかということをおっしゃったわけですね。

 私は、確かにそのとおりだと思いました。いろいろな話として、例えば自動車のことでいうと自動車産業といいますけれども、それは、自動車をつくって自動車を売るというその循環の中に産業は成り立つ。そうすると、農業もやはり農産業じゃなくちゃいけないなと思うわけです。

 その意味で、農業の将来を考える、未来を考えるときに、私は、消費者目線というところ、そしてその消費者の方々にしっかりと応援してもらうところが、この攻めの農業にとっても非常に重要な観点ではないか、こう思うわけです。

 そこで、私はまず大臣に、農業というものをどう消費者に対してアピールしていくのか、この攻めの農業についての大きなお考えをお聞きしたいと思います。

山本(有)国務大臣 農業が成長産業になる、そして攻めの農業を進める、こういう前提の中での消費者というのはすごく重要な存在でございます。そして、将来の消費者あるいは生産者となる子供たちに対して我が国の農業をアピールして、また農業と触れ合う機会をつくることなどを通じて、消費者、子供たちが日本の農業の応援団になっていただくこと、こういう観点が必要だろうというように思っております。

 特に、人間の食の営みを支える産業であるということから、農業は国の基であるという位置づけがありますし、農業は生命産業でありまして、農畜産物の収穫の喜びとか楽しさ、あるいは厳しさ、これも教えてくれるわけでございます。自然環境の保全のための多面的機能の大切さも、農業から得られる大きな学習効果でございます。一連の農作業の体験の機会を提供する教育ファーム、あるいは子ども農山漁村交流プロジェクトの実施等、農林漁業に関する体験活動の取り組みも推進しているところでございます。

 こうした消費者、国民の理解が深まるような農政を進めることが、他方、我々農に携わる農林省としましては大事だというように考えております。

吉田(豊)委員 大臣のおっしゃるとおりですし、そしてお聞きしますけれども、大臣は、お生まれとかお育ちとか、それは例えば田んぼに囲まれているとか、農業に非常に近いところでお育ちになったんでしょうか。

山本(有)国務大臣 昔は、高知市から二時間かかり、かつ、その町の役場からさらに四十分かかるところがふるさとでございまして、中山間というより山の中というところでございます。そこから、小学校は高知市内でしたから都会でしたけれども、今は人口三万人足らずの、漁村に近いところで自宅を持って生活をしております。

吉田(豊)委員 そうしますと、聞くまでもありませんでしたけれども、大臣はもちろん、農林水産業全てにおいて身近な体験を持ってお育ちだということだと思うんです。そして、高知の町中の方に来られたということですけれども、それはやはり、子供のときにしっかりとした環境で育っていらっしゃるから、農林水産業に親しむという意味ですよ、それは自然に身につくことなんだと思います。

 私も、今四十六ですけれども、生まれ育ったときには、自分は富山の町中におりましたけれども、非常に農業は身近にありました。ですから、それこそ先輩と私は、年が少し同じではないとしても、言わなくてもそういう環境というのはあったわけですね。

 でも、それが今はもう、あえてそういう環境をつくらないと、子供たち自身が農業についての応援団になろうと思ってもなれないという現状があるということを、私たちは改めて認識しなくちゃいけないと思うわけです。

 ですから、農業の将来を考えるときに、農林水産行政関係のみで物事が進むかというと、私は、決してそうではなくて、例えば教育分野ですとかさまざまな体験、そして消費者としての目線、そういうものをミックスしていくということが必要だと思います。この考えはいかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 もうそのとおりでございます。

 やはり、全てにおいてつくる側、買う側の観点が必要だというように思っております。生産し、加工し、流通し、販売する、そういう流れの中で、農というのは大変魅力ある産業であるということを大勢の方々が知り、特に若者がもっと理解をしていただいて、販売次第では、単なるゴマというのがセサミンと言っただけで百億円を超える売り上げになるという可能性を持っているわけですから、その意味において、私は、これからの農業は必ず成長産業に生まれ変わるだろうというように確信をしております。

吉田(豊)委員 非常にいい例を出していただいたんですけれども、ゴマがセサミンという、その言葉の転換というのは、実はイメージ戦略にもなっているわけです。そのことを考えると、例えば自動車でも、自動車を売るときにはどれだけのコストをかけて営業宣伝をしているのかということ、それを農業のところでもやはりやらなくちゃいけないし、そして、将来の消費者になる子供たちに対してもそれだけの応援、そして準備をしていく、その行政が非常に求められていると思います。私なりに今後また提案させていただきたいと思います。

 ちょうど横文字が出てきましたので、攻めの農業というと、誰でもそうでしょうけれども、やはり、どこに攻めていくのかというと、国内の消費が停滞している中にあっては国外に対しても目先を向けていかなくちゃいけない、この話になると思います。

 それで、日本の米は非常に品質が高いということは、私も富山におりまして自負しておりますけれども、では、例えば米一つをとっても、質の高い素材を大切にして二次製品、三次製品に加工していく、そしてそれを海外に対して輸出していく、これは当たり前に考えられる作戦だと思うわけです。

 改めて、米それから米を素材とする製品として、具体的に日本酒ですとかみそとか米菓とか、そういうようなものは海外に輸出していくべきだと思うんですが、近年の推移について、現状どうなっているのか、そのことを改めて数値として教えていただきたいと思います。

井上政府参考人 米並びに米を原料とする日本酒、みそ、米菓の輸出の状況ということでございますけれども、昨年、平成二十七年の輸出量と、二十七年に至るまでの三年間の伸び率について御説明をさせていただきたいと思います。

 米につきましては、昨年の輸出量が七千六百四十トン、三年間の伸び率が二四七%でございます。それから、日本酒につきましては、一万八千百八十キロリットル、これが昨年の輸出量でございまして、三年間の伸び率が二八・七%となっております。また、みそにつきましては、一万三千四十四トン、これが昨年の輸出量でございますけれども、三年間の伸び率が二九・四%。米菓につきましては、三千六百七十九トンが昨年の輸出量でございまして、三年間の伸び率が一七・八%というふうになっておりまして、米並びにそれを原料とした加工品につきましては輸出が着実に伸びているという状況にございます。

吉田(豊)委員 今ほど紹介いただいた品目について、ついでに総輸出額についても教えていただけますか。

井上政府参考人 米につきましては、平成二十七年の輸出額が二十二億円となっておりまして、三年間の伸び率が二〇七・五%。日本酒につきましては、二十七年の輸出額が百四十億円となっておりまして、伸び率は五六・六%。みそにつきましては、輸出額が二十八億円となっておりまして、伸び率が三三・三%。最後に、米菓につきましては、輸出額が三十九億円となっておりまして、伸び率が三三・三%となっております。

吉田(豊)委員 今ほど紹介いただいた数字で私自身が消費者として思いますのは、米、米と言っていますけれども、実際には加工されたものというのが非常に金額とすれば大きい状況にあるということ、そして、それぞれが大きく伸びているわけですね。その中で、例えば米のお菓子なんかというのは、実は米単品あるいはみそとかよりもよっぽど大きな数字を出しているという現状がある。

 この中で、米を素材とした製品の輸出を広げていこうという攻めの農業という観点からしたときに、今の数字からすると、それではどのような具体的な戦略というものがイメージされるのかということを、アイデアをお聞きしたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 先生の御地元も富山ということで、私の地元の新潟と同じく、おいしい日本酒をつくる酒蔵が恐らくたくさんあるんじゃないかと思いますが、米の加工品の一つとして、例えば日本酒は重要な輸出産品であるというふうに私ども考えておりまして、本年五月に政府が取りまとめを行いました農林水産業の輸出力強化戦略に基づきまして、国税庁や内閣府等関係省庁と連携しながら、政府一体となった取り組みを進めているところでございます。

 この戦略に基づきまして、例えば、輸出の促進団体によるPR活動の取り組みに対する支援でありますとか、あるいは、ジェトロと連携した日本酒の輸出に必要な手続などに関するセミナーの実施、国内外での商談会の開催や海外見本市への出展の支援、あるいは、総理にも御出馬をいただくような国際会議の機会を捉えた日本食文化と日本酒などとの一体的な魅力の発信という活動を行っておりまして、これらの活動によりまして、政府一体となった日本酒の輸出促進に取り組んでいるところでございます。

 ありがとうございます。

吉田(豊)委員 今ほど御紹介いただいた、例えば日本酒、酒についての状況というのはそのとおりだと思います。

 それで、消費者からすると思うんですけれども、例えばワインでいうと、ボジョレーヌーボーとかそういうのを一つのイベントにして、そして、日本人でさえそれをやはり楽しみにして待つという状況があるわけですね。日本人は、もちろん新米の時期は楽しみにしています。ですから、そういういろいろな生産するときのイベントという、それを大きなチャンスに捉えていくというのも一つの作戦だろうと思います。

 それで、ワインでいいますと、私も素人ですけれども、例えば赤、白、ピンクですか、のみならず、どこどこの産地のどれがおいしいんだとかということを私たち日本人の方もうんちくを垂れて楽しむわけですね。そういうところが、今、世界にわたって日本の酒が非常に認知されつつあるというときに、そここそ本当は消費者とすればくすぐられるところで、そういうようなものをセットで考えていかなくちゃいけない、こう思うわけです。

 そのときに大事なことは、やはり、どこでつくられて、そしてどういうブランド力があるのかという、そのストーリーが一番大事なわけですね。改めて、米をつくるに当たっても、酒用の米があるわけで、それから、どのように管理されて、どのようにでき上がってきて、どういう酒蔵でという、このストーリーこそが一番大事だと思うんですが、これについての戦略と言えばいいか、考え方を少し、展開があれば教えていただきたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 先生おっしゃるとおり、ある一つのストーリー感を持って売り込みを行っていくということは非常に重要であろうというふうに考えておりますが、ただ一方で、現在の状況を振り返ってみますと、いわゆる酒といいますのは、日本食あるいは日本文化と一体となったものとしては認知をされておりますが、そこで、例えば富山のお酒がどうだとか新潟のお酒がどうだとか、そこまでの、各産地のブランドといいますか、それぞれの銘柄等々については、残念ながら、まだ海外でそれほど力強いブランド力を獲得しているわけではないというのが実態ではないかというふうに考えております。

 したがって、その現状認識に基づきまして、当面のところは、いわゆるオール・ジャパンで、日本酒というブランドあるいはロゴをつくりまして、おいしい日本酒というようなロゴをつくりまして、それを日本酒の輸出に役立てていこうというような形で今のところは取り組んでいるということでございます。

吉田(豊)委員 もちろん、オリンピックが控えていることもありますから、オール・ジャパンという考え方は私も賛同いたします。けれども、オール・ジャパンの先に必ず具体的な違いが出てこないと、既に外国からのリピーターのお客さんというのは、必ず細かいところ、私たち地元にいる人たちが知らない店さえ訪ねてくる、あるいは知らない銘柄さえ求めてくるという、これが消費者の今の思いなんですね。

 ですから、当然、そのスタートとして、オール・ジャパンという一つの大きなブランドを確立した上で、その中にきちっと細分化していくというそこの作業にも並行してぜひ当たっていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

細田大臣政務官 おっしゃるとおりだと思っております。恐らく段階的に取り組むべきものだと思っておりまして、ただ、現在のところ、今よく言われますのは、例えば日本牛といいますか和牛といいますか、例えば神戸ビーフもあればそれぞれいろいろなビーフもあるんですけれども、そういう各産地間がそれぞれ独自に取り組みを行いますと、いわゆる海外の消費者の方というのはかえって混乱をしてしまって、一体何だということにもなりかねないので、とりあえずは和牛というブランドで売り込む。さらにその先に恐らく先生がおっしゃるような、和牛の中でも特に神戸ビーフがどうだというような戦略が生まれてくるというふうに思っております。

 私どもとしては、そういう現状認識あるいは現在の段階の認識を踏まえて取り組んでおるということをぜひ御理解いただければ、こういうふうに思います。

吉田(豊)委員 もちろん理解した上でお伝えさせていただきたいと思いますが、私は、今の消費者の求めるものというのは、最初から細かいところに目線が行っているというのは間違いないことだと思っています。

 ですから、もちろん日本酒一つをとっても、既に国内では、それぞれのよさ、産地による違いというのははっきり出ているわけですから、それをより伝えやすいものにして、そして、海外の方々も認知することで外に対する攻めていく材料にしなくちゃいけないですし、国内でも、非常にそういう部分について興味を持っている消費者の方々は既に、実はコストじゃないんですね、価格じゃないんですね。やはりそのブランド力、その名前にお金を払っていく、これは間違いないことですので、私はぜひこれについてはより突っ込んだ考え方を進めていただきたい、このようにお伝えしたいと思います。

 それで、続きまして、今ほど御紹介もいただきましたけれども、輸出の促進という観点からすると、やはり、今世界じゅうでなぜ日本食がこれだけのブームになっているかという、その原点をきちっと捉えるということも大切だと思うわけです。そして、日本の食文化の一番のもととなるのが、米から始まるさまざまな製品、食品なわけですね。ですから、そこについて、米と食文化という、これの戦略的強み、そしてどのように進めていかなくちゃいけないか、このことについてのお考えをお聞きしたいと思います。

井上政府参考人 現在、米を含めました和食につきまして、世界的なブームになっております。平成二十五年には、ユネスコの無形文化遺産にも和食が登録をされております。

 和食の特徴といいますか強みと申しますか、これにつきましては以下のような点が挙げられると思っております。一つは、米を主食にした一汁三菜の献立によって、栄養バランスにすぐれ、健康的な食生活を実現している。それから、地域の多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用していること。また、自然の美しさや四季の移ろいを食事の場で表現しているといったこと。また、食と年中行事とのかかわりの中で家族や地域のきずなが育まれてきた。こういったことが和食の特徴、強み、あるいは海外からの評価の高いところでございます。

 こういうものを単に食材を売り込むだけではなくて、日本の米を含めた食文化と一体となってプロモーションしていくことが重要と考えてございまして、総理や閣僚によるトップセールス等におきまして、米を初めとした日本産食材、食文化の魅力を発信する取り組みを行ったり、また、外務省と連携して、在外公館に日本産米を提供して、レセプションで活用する等、日本食、食文化の魅力を効果的に発信していく取り組みを行っていきたいと考えているところでございます。

吉田(豊)委員 今ほど、米と食文化、その御説明をいただいたわけですけれども、もちろん、米と食文化というものは、いろいろな面で、外国からのお客さんにとっての米と食文化、あるいは私たちにとっての、最初の原点に戻りますが、日本人としての一番大切なアイデンティティーになる部分、そのことを含めて、やはり内側と外側両方にとって今改めて米というものが非常に大きな攻めのツールになるんだ、そのことを私たち自身が認識するところでまたアイデアが出てくるだろうと思います。

 きょうは、さわりだけさせていただきましたけれども、私なりにまた今度は提案するような意見も持ってまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

北村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.