第3号 平成29年3月8日(水曜日)
平成二十九年三月八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 北村 茂男君
理事 江藤 拓君 理事 小泉進次郎君
理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君
理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君
理事 小山 展弘君 理事 稲津 久君
伊東 良孝君 伊藤信太郎君
池田 道孝君 小里 泰弘君
岡下 昌平君 加藤 寛治君
勝沼 栄明君 北川 知克君
小島 敏文君 笹川 博義君
助田 重義君 瀬戸 隆一君
武部 新君 津島 淳君
中川 郁子君 古川 康君
細田 健一君 前川 恵君
宮路 拓馬君 森山 裕君
簗 和生君 山本 拓君
渡辺 孝一君 岡本 充功君
金子 恵美君 佐々木隆博君
重徳 和彦君 宮崎 岳志君
村岡 敏英君 中川 康洋君
真山 祐一君 斉藤 和子君
畠山 和也君 足立 康史君
吉田 豊史君 仲里 利信君
…………………………………
農林水産大臣 山本 有二君
内閣府副大臣 松本 洋平君
農林水産副大臣 齋藤 健君
厚生労働大臣政務官 馬場 成志君
農林水産大臣政務官 細田 健一君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 開出 英之君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 藤江 陽子君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 松尾 泰樹君
政府参考人
(文化庁文化財部長) 山崎 秀保君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 和田 純一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 坂口 卓君
政府参考人
(厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長) 北島 智子君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 山口 英彰君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 今城 健晴君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 井上 宏司君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 大澤 誠君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 佐藤 速水君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 柄澤 彰君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 西郷 正道君
政府参考人
(林野庁長官) 今井 敏君
政府参考人
(水産庁長官) 佐藤 一雄君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君
農林水産委員会専門員 石上 智君
―――――――――――――
委員の異動
三月八日
辞任 補欠選任
伊藤信太郎君 北川 知克君
武部 新君 津島 淳君
西川 公也君 小島 敏文君
前川 恵君 助田 重義君
吉田 豊史君 足立 康史君
同日
辞任 補欠選任
北川 知克君 伊藤信太郎君
小島 敏文君 岡下 昌平君
助田 重義君 前川 恵君
津島 淳君 武部 新君
足立 康史君 吉田 豊史君
同日
辞任 補欠選任
岡下 昌平君 西川 公也君
―――――――――――――
三月七日
農業機械化促進法を廃止する等の法律案(内閣提出第二二号)
主要農作物種子法を廃止する法律案(内閣提出第二三号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農業機械化促進法を廃止する等の法律案(内閣提出第二二号)
主要農作物種子法を廃止する法律案(内閣提出第二三号)
農林水産関係の基本施策に関する件
特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案起草の件
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○北村委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口英彰君、大臣官房危機管理・政策評価審議官塩川白良君、消費・安全局長今城健晴君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長佐藤速水君、政策統括官柄澤彰君、農林水産技術会議事務局長西郷正道君、林野庁長官今井敏君、水産庁長官佐藤一雄君、総務省大臣官房審議官開出英之君、文部科学省大臣官房審議官藤江陽子君、大臣官房審議官松尾泰樹君、文化庁文化財部長山崎秀保君、厚生労働省大臣官房審議官和田純一君、大臣官房審議官坂口卓君、医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長北島智子君、環境省大臣官房審議官早水輝好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路拓馬君。
○宮路委員 皆さん、大変力強い声でお支えをいただきまして、まことにありがとうございます。また、質問の機会を頂戴したことに感謝を申し上げたいと思います。自由民主党の宮路拓馬でございます。
本日は、まず特殊土壌地帯対策について御質問をさせていただきたいと思います。
いわゆる特土法、何となくありがたいような気がする名前でありますが、この場合の特土、特殊土壌といいますのは、我が鹿児島でありますれば桜島の火山灰から成るシラス土壌、シラスあるいはボラ、コラ、ヨナ、何の名前だというふうに聞こえるかもしれませんが、こうした土壌自体が、特土法の条文に、第二条、特殊土壌地帯の指定ということで、国交大臣、総務大臣、農水大臣が、そうしたシラス、ボラ、コラ、アカホヤ等特殊な火山噴出物等の、特に侵食を受けやすい性状の土壌で覆われて、そして農業生産力が著しく劣っている区域を指定するという法律がございます。
今回、本委員会の質疑の後に特土法の改正案について委員長により起草していただくということになっておるということでございますが、この特土法、実は昭和二十七年にできた法律でございます。我が郷土の大先輩、上林山栄吉衆議院議員、あるいは宮崎県の瀬戸山三男衆議院議員が中心となって、議員立法でできたものでございます。
したがいまして、それから六十五年たっているわけでありますけれども、先ほど申し上げたとおり、台風の来襲頻度が多く、また雨量も多い、そして、そうした特殊土壌に覆われているがゆえに災害が頻繁に発生し、また農業生産力も低い、そうした地帯について、国としてしっかり後押しをしていこうという趣旨でつくられた法律でございます。
六十五年たって、特土法に基づいてどのような対策が講じられてきたのか、どの程度の事業が行われてきたのか、この点について、まず政府の考えをお聞かせいただきたいと思います。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
特土法に規定いたします特殊土壌地帯対策事業計画というものがございます。この計画に基づきまして、特殊土壌地帯対策といたしまして、治山治水などの災害防除対策、また、かんがい排水ですとか、畑地整備などの農地改良対策、こういったものを昭和二十七年から継続して実施しているところでございます。
昭和二十七年度から平成二十八年度までのこの特殊土壌地帯対策の事業費の合計でございますが、十三兆六千四百十六億円というふうになっております。
○宮路委員 実に十三兆以上の多額の事業費をかけてこれまで事業を進捗させてきたということであります。それによって、災害防除、予防であるとか災害対策であるとか、あるいは農地改良等の事業が進められてきたということであります。
十三兆かけてきたんだからもう相当程度進んでいるだろう、もはや時代の役目は終えたのではないかという声も一方であろうかと思いますが、ただ、またその一方で、我が鹿児島においては毎年のように、台風あるいは多量の豪雨によりまして土砂災害が発生している状況に変わりはありませんし、また、記憶に新しいところでは、広島市において発生した大規模な土砂災害。私も当時、内閣官房の職員として、災害発生時、現地対策本部に要員として派遣されてその対応に当たった経験がございますが、広島も、真砂土と言われる花崗岩風化土に覆われた、まさに特殊土壌地帯に該当するわけでありまして、やはりその一例をもってしても、いまだそうした災害は発生しているというのが実際のところだと思います。
この点について、今の特殊土壌地帯の現状、いわゆる農業生産力はどうなのか、あるいはまた災害の発生状況がどうなのかについて、現状をお聞かせいただきたいと思います。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
特殊土壌地帯におけます災害の発生状況についてでございますけれども、全域が特殊土壌地帯として指定されております県が五県ございます。奄美を除く鹿児島、宮崎、高知、愛媛、島根でございますが、この五県と全国の状況を比較した場合、対策を講じた地域におきましては被害の軽減効果が確認をされております。しかしながら、依然として土砂の災害危険箇所が多く、平成十八年から平成二十七年の十年間を見ますと、土砂災害の発生件数は全国の約二割を占めているという非常に高い状況でございます。
また、農業生産力の現状について見ますと、今申し上げました五県と全国の水稲の収量を比較した場合、全国平均を依然として下回っている状況にございます。
そういった状況にありますものですから、例えば鹿児島県などにおきましては、高収益作物への転換による畑作振興を図るために、畑地かんがい施設等の整備を進めているという状況でございます。
○宮路委員 実に五県で全国の二割の災害が発生しているということ、あるいはまた農業生産力においても依然として劣っている。だからこそ、工夫を凝らし、水稲あるいは小麦の生産においては劣るけれども、それ以外の作物、鹿児島ですとカライモや果樹、野菜などになるのかと思いますが、そうしたものの生産でそうしたハンディを補っている。それを後押ししていただいているのがこの特土法だということであります。
今般、今年度で期限が切れるということで、またこの改正について、私も議員懇談会の事務局長として、与野党の農水委員の先生方にも大変御協力をいただきましてその作業に当たらせていただきました。この委員会の最後の方で起草をしていただくということでございますが、委員各位の皆様の引き続きの御協力をよろしくお願いしたいと思います。
続いて、中山間地農業について御質問させていただきたいと思います。
中山間地、私も地元は鹿児島の薩摩半島の東シナ海に面したところであります。ザ・中山間地であります。特に、海から陸地、平地はほとんどなくいきなり山になるといったようなところでありますし、その山の中、まさに中山間地において、これまで営々と人々の生活が営まれてきた、まさに中山間地。私はミスター中山間地見習いというふうに言われているわけでありますが、この中山間地、やはり、その名が示すとおり、なかなか農業生産においては不利な面があります。しかし、この中山間地こそが日本の農村の伝統、文化を守り、あるいはまた景観、そしてまた多様な農業生産を育んできたという点は皆さん御承知のとおりだと思います。
今般、私、中山間地農業を元気にする委員会という自民党の委員会ができまして、その事務局次長を拝命いたしまして、昨年末、山本農水大臣にその提言書を手交させていただきました。
その中に、中山間地ルネッサンス事業、何かひげの生えたおじさんがグラス片手に叫んでいるようなことが想像されますが、むしろ、ルネッサンスというのは、皆さん御案内のとおり、古代のギリシャ文明などに光を当てて、そして、よきものをしっかり再認識して、その価値を改めて発揮させる、そういう思いで我々がつけさせていただいた名前でありますが、その中山間地ルネッサンス事業、大変地元においても期待の大きい事業でございます。この事業の内容について、趣旨、概要についてお伺いしたいと思います。
○細田大臣政務官 御質問いただきまして、ありがとうございました。
昨年十二月に党の方から御提言をいただきまして、御提言の取りまとめに当たって、宮路先生、事務局の次長として大活躍をされたというふうに承っております。改めて御尽力に心から敬意を表します。
この提言の中で、中山間地、非常に厳しい状況にはありますが、他方で、清らかな水、冷涼な気候、豊かな森林、すぐれた景観など、平地にはない価値を有する地域でもあって、これを宝として捉えて磨き上げていこうというようなことが記載されておるわけでございますが、これは私どもの認識と全く同一でございます。
私ども、党の提言、また、さまざまな地域の取り組みも踏まえまして、先生御指摘の中山間地農業ルネッサンス事業は、事業の優先採択枠等々、四百億円の枠の設定でございますが、これを平成二十九年度当初予算に初めて計上させていただいたところでございます。
これは、地域の特色を生かした収益性の高い農産物の生産、販売の取り組み、あるいは、六次産業化や都市農村交流等の取り組みなどについて、地域の方々が一丸となった取り組みを総合的、優先的に支援するというものでございます。また、その他補助率の見直し等々、制度面での手当てというものも行っております。
私どもとしては、まさに地域の宝を磨き上げるという気持ちでこのような取り組みを推進することで、中山間地をまさに元気にするために頑張ってまいりたいと思っております。引き続きの宮路先生からの御指導、御鞭撻をぜひよろしくお願いいたします。
○宮路委員 ありがとうございます。
今回、ルネッサンス事業ということで、優先枠等を設定しての対応をしていただくということで、私の地元、実は鹿児島はお茶の生産が全国第二位であります。なかなか、静岡だとか京都がお茶の産地だというふうに思われているんですが、実際は鹿児島は第二位の生産量を誇るところでありまして、私の選挙区内にも多数いいお茶をつくっているところはあるんですが、やはり中山間地なんです。
これまで、強い農業づくり交付金であるとか、なかなか採択要件を満たさないというところであったんですが、今回、こうした中山間地優先枠等が設けられることによって、またその活用の道が開けたよ、これでまた頑張っていけるんだという声を聞かせていただきました。ルネッサンス事業、今回がこれで終わりではなく、これからさらに深めていくということで、提言の方にも書かせていただいたところでございますので、引き続き、中山間地農業を元気にする委員会、その名のとおり、中山間地農業を元気にすべく頑張ってまいりたいと、この場をおかりして申し上げたいと思います。
そして最後に、農政の基本的考え方についてお伺いしたいと思います。
先般の山本大臣の所信におきまして、農水省が抱えている課題、あるいは農政に対する考え方をお聞かせいただいたところでございます。農業競争力強化プログラムをまとめ上げて、そのもとに今般も多数の法案が提出される農水委員会は、まさに動いている委員会だというふうに思っておりますが、その中で、日本の農業が抱えている問題というのは、人口が減少し消費が減っていってしまう、後継者が不足している、あるいは肥料や農薬などのコストがどうも高いんじゃないか、そういったさまざまな課題を克服していく中にあって、一つには輸出の促進ということで、日本というとこれまで食料を輸入する国だったわけでありますが、これまで先人の皆様方が築き上げてきた安心、安全、高品質な日本の農林水産物というのは、今や世界の憧れの的になりました。
そうした状況の変化もありまして、今後は攻めの農業というものもまた一方で大切なわけでありますが、先ほど特殊土壌の問題あるいはまた中山間地農業の問題等も取り上げさせていただきましたが、一方で、やはりしっかり対応すべき部分はあるということであります。
そうした日本の農業の特殊性を捉えた中で、どのような形で今後の農政を進めていくのか、政府の、できれば大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
○山本(有)国務大臣 農政を分析的に考えますと、産業政策と地域政策の二つに分類できるかと思います。
まず産業政策でございますが、農業の生産性向上、高付加価値化、こうしたものによりまして成長産業化というものを図っていきます。そして農業者の所得向上を実現していくということが重要だろうと思っております。
特に、農地中間管理機構による担い手への農地集積、集約化の促進をこれによって図らせていただいて、さらには、六次産業化や輸出促進というような各種施策を進めていきたいと思っております。
そして、昨年十一月に農業競争力強化プログラムを取りまとめさせていただきましたが、農業者が自由に経営展開できる環境を整備するとともに、農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決するため、農業資材価格の引き下げ、流通、加工構造の改革、生乳流通改革、土地改良制度の見直し、収入保険制度の導入等の諸改革を盛り込んでおります。
こうした産業政策と同時に、多面的機能の維持に資する地域政策も重要だと考えておりまして、まず農地、水路等の維持管理を行う共同活動を支援する多面的機能支払い、あるいは農業の生産条件が不利な地域における農業生産活動を継続するための御指摘の中山間地域等直接支払い、さらには農泊を観光ビジネスとして実施する地域を創出するための支援、そして深刻化する鳥獣被害対策の推進、こういうことを総合的に講じているところでございます。
今後とも、これらの施策を着実に実施していくことによりまして、強くて豊かな農林水産業、美しく活力ある農山漁村、こうしたものをつくり上げていくことにしたいというように考えるところでございます。
○宮路委員 ありがとうございます。
ただいま大臣より、産業政策の側面、そしてまた地域政策、その両方をしっかり進めていく、まさに車の両輪として進めていくというお言葉をいただいたものと思っております。
農政新時代ということで、努力が報われる、私も今大変汗をかいておりますが、その汗が報われる、汗をかける、努力ができるような環境をしっかり整えていくということもまた大事なことであろうと思います。
今後とも、大臣、副大臣、政務官、皆さん一丸となって、そうした努力が報われる、そして努力ができるような環境をしっかり整えていただきたいと思います。
きょうは、質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。
○北村委員長 次に、真山祐一君。
○真山委員 公明党の真山祐一でございます。
きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
三日後に東日本大震災から六年の節目を迎えます。私は比例東北ブロック選出でございまして、まさにこの被災地に思いをはせて、きょうはせっかくの機会でございますので、この被災地におけるさまざまな諸課題について質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、福島のことについてお伺いをさせていただきます。
御承知のとおり、福島県におきまして原発事故が発生をいたしまして、それによります、農林水産物に関して言えば根強い風評被害、そしてまた、今月末そして来月初旬には、多くのいわゆる双葉郡の避難指示区域において、帰還困難区域を除く地域が広く解除される予定でございまして、この区域の営農再開、こうした課題もあります。また、そのほかにも、全域の一部地域におきましては、山菜や野生キノコなど、こうしたものがまだ出荷制限が続いているような状況もございまして、依然として農業を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。
だからこそということもあると思いますけれども、やはり地元を回っておりますと、特に首長さんの皆様から、今改めて、農水省に対する期待といいますか、ぜひ頑張っていただきたいというお声をよく聞いております。
平成二十九年度の予算案におきましては、この風評被害払拭に力を入れるために四十七億円の予算を計上して対策に当たることになっておりまして、今回の風評対策、これまでより一歩踏み込みまして、特に食品の流通段階における対策を講じていくという方向性が打ち出されているわけでございます。
福島県産の農林水産物、市場に出荷はされているわけでございますけれども、この買い控えということもございますけれども、一方で、流通の中でのいわゆる買いたたきがあるのではないかということが言われておりまして、実際、農産物の価格につきましても、震災前と比べて全国平均からやはりかなり乖離が出ているというのが、これまでの実態調査の中でも出ているところでございます。
また、先ほど言いましたとおり、双葉郡の多くの自治体でこれから営農再開が進んでいくわけでございまして、これにつきましては、平成二十八年度第二次補正で予算を組んでいただいておりますけれども、これもまだまだこれからという状況でございます。
さらに、漁業につきましては、これまで慎重にしながら試験操業を続けてまいりましたけれども、直近の話題としては、福島第一原発から半径二十キロ圏内は操業自粛海域としておりましたところではありますけれども、これを十キロ圏内に縮小するということで、いわゆる漁場の海域の拡大をしていくということでございます。ちなみに、当然、今試験操業でとれている海産物で基準値を超えたものはございません。これは慎重を期している状況でございます。
また、さらに、いわゆる福島復興の夢と希望の柱と言われる福島イノベーション・コースト構想がございます。こちらにつきましては、いろいろな幅広い分野にわたるわけでございますけれども、農林水産業分野にも期待が大変膨らんでおります。
先日、国と県、官民合同チームによる会議でも、「「福島イノベーション・コースト構想」更なる推進へ向けた三つの方向性」というのが示されまして、その一つがいわゆる農業イノベという、これが一つのポイントとして指摘がされているところでございまして、また期待をされている分野でございます。
実際、南相馬市では、ドローンによる鳥獣の被害調査を行う実証実験も進んでおりますけれども、こうした最先端農業による再生ということについても、やはり農林水産省が、ある意味もっと指導していただいて、もっといろいろな実証実験も寄せていただいて、これを推進していただきたい、このようにお願いしたいところでございます。
東日本大震災から六年の節目でございます。福島県の農林水産業の再生に取り組む農林水産大臣の御決意、また、先ほど言いました福島イノベーション・コースト構想にどのように農水省として取り組んでいくお考えか、農林水産大臣の御所見をお伺いさせていただきます。
○山本(有)国務大臣 前段の御質問の、農林水産省の決意でございます。
まず、東日本大震災から間もなく六年でございます。避難指示区域の解除に向けた取り組みが進んでおります。農林水産省は、福島県の農林水産業の再生に向けまして、営農再開への支援、森林・林業の実証事業、試験操業への支援などに全力で取り組んできたところでございます。
この結果、南相馬市など五市町村におきまして、二千五百ヘクタールで米の作付の再開が可能となりました。また、楢葉町など六市町村におきまして、森林・林業の再生に向けた実証事業の実施が可能となりました。さらに、福島県沖での試験操業におきまして、対象種の九十七魚種への拡大、そして、今月から東京電力福島第一原子力発電所から半径十キロから二十キロの水域での操業の開始など、農林水産業の復興は着実に進展してきております。
また、日本産の農林水産物、食品に対する輸入規制を行っている国、地域に対しまして、政府一丸となって撤廃、緩和の働きかけを行ってまいりまして、その結果、規制を設けている国、地域の数は事故後の五十四から三十三と減少いたしました。
さらに、昨年、被災十二市町村の認定農業者、約五百二十名でございますが、を個別に訪問いたしまして、要望調査や支援策の説明を行うとともに、被災十二市町村における機械、施設、家畜等の導入を支援する事業、あるいは、生産から流通、販売に至るまで風評の払拭を総合的に支援する事業等を措置しているところでございます。
今後も、現場の皆様の気持ちに寄り添う形で、単なる復旧にとどまらない、将来を見据えた福島の復興、創生に全力を挙げて取り組んでまいりたいというように考えております。
後段の御質問でございます。
福島イノベーション・コースト構想、どうこれに取り組むかでございますが、福島県は、浜通りを中心とする地域の自立的地域経済の復興のため、福島イノベーション・コースト構想の一つの柱として農林水産プロジェクトを掲げていただいております。
農林水産省は、このプロジェクトの実現のために、平成二十九年度予算案におきまして、まずは、トラクターの自動走行技術、のり面用除草ロボット、農業用アシストスーツ、苗木植栽ロボットの研究開発及び現地実証を行いたいと存じております。そして、放射性物質に関連する研究や水産業の復興に資する研究を行う水産試験研究施設の建設に要する経費等を予算案で計上しているところでございます。
今後とも、農林水産プロジェクトの実現に必要な支援を行うことによりまして、イノベーション・コースト構想の実現を支援してまいりたいというように考えるところでございます。
○真山委員 この福島また東北の復興につきましては、国が前面に立つというふうに安倍総理もおっしゃっていただいております。農林水産省におかれましても、ぜひ現地に足を運んでいただいて、ともどもにこの復興の後押しをしていただきたいと思いますので、お願いいたします。
そして、これから行われる予定でございます福島県産農産物の流通実態調査について、一点だけ確認をさせていただきたいと思っております。
先日農水省から御説明いただきまして、こんな調査をやりますという案が示されました。その調査品目の中を確認いたしますと、農畜産物、林産物等というような書き方になっておりまして、今少し触れました水産業につきましては明確に書いてございません。
これはさまざまな試験操業の状況等を勘案してのことと私は信じておりまして、水産物についても取り扱うというふうに思っておりますけれども、この水産物に関して農水省の実態調査に対象として加えるか否かについて、農水省の見解をお伺いいたします。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の福島県産農産物等流通実態調査事業でございますけれども、これは平成二十九年度の予算案で新たに計上をさせていただいているものでございまして、主要品目ごとに生産、流通、販売等の実態調査と販売不振の場合の要因分析等を実施するものでございます。
その具体的な調査品目につきましては、福島県と調整の上決定をしてまいりたいと考えておりますけれども、予算の成立をいただきましたならば、水産物も対象とする方向で調整を図ってまいりたいと考えてございます。
○真山委員 ありがとうございます。
いろいろ考慮しなければいけないことがあるのは重々承知ではございますけれども、これから水産物に関しても、これまでの方式から一歩踏み込んで、いわゆる入札、競りを行うということでございますので、そうなりますと市場に水産物も回っていきますので、ぜひお願いしたいと思います。
そして、最後の質問になります。
これは福島県に限った話ではございませんけれども、被災地全域にかかわる話でございまして、いわゆる水産業及び水産加工業の復興再生のために水産業共同利用施設復興整備事業が創設されまして、これは非常に補助率も高くて好評でございます。
しかしながら、一点、今ちょっと現場でお聞きするお声が、この採択要件の一つに、当然、水産加工の設備でございますので、原料を仕入れるわけなんですね。しかし、この加工に使う原料の仕入れ総額の五〇%以上は被災地から要は仕入れてください、調達してくださいという項目があります。
これはやはり漁業者、漁師の皆さんの再生を促す意味でも必要な措置であると思いますし、私も重々理解しているつもりではございますけれども、しかし、昨今の状況からしますと、原料不足によって、福島がまだ本格操業に至っていないということもございますし、やはり被災地だけから原料を全て調達するというのはなかなか難しいというお声をいただいていまして、当然、利用した事業者の方はこのルールを一生懸命守るために、各地を回って、何とか原料調達しよう、調達できなかったら施設は稼働しない、フル稼働させないというような、そんな状況があります。
これだけ補助率の高い補助金でもありますし、また、政策効果の観点からも必要というか重要な採択要件の一つ、ルールであるとは思いますけれども、しかし一方で、それによってなかなか稼働が困難だということが実態としてあるのであれば、その要件緩和も視野に入れていいのではないかというふうに私は思っておりますけれども、これについて農林水産省の見解をお伺いさせていただきます。
○佐藤(一)政府参考人 真山先生の御質問にお答えします。
今先生の方から御指摘いただきました水産業共同利用施設復興整備事業につきましては、事業の開始から五年後までに、加工、販売する商品の原材料となる国産水産物について、被災地域等から仕入れ金額の五〇%以上を安定的に調達することを要件としているところでございます。
したがいまして、先生の方から今お話ございましたように、被災地域内からの原料調達が困難である場合には国産水産物を被災地域外から調達することは可能でございまして、遅くとも五年後までには五〇%の要件を達成していただけるよう、本事業を実施している自治体によく連携をとりながら助言していきたい、このように考えているところでございます。
○真山委員 今、国産のものでも可というようなお話がございましたけれども、ぜひ、そういったことも現場の実態等よくお話を聞いていただいて、水産庁としても取り組みを進めていただきたいと思います。
時間となりましたので、終わります。ありがとうございました。
○北村委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 民進党の岡本でございます。
きょうは、一般質疑、農林水産委員会での時間をいただきまして、質問を進めていきたいと思います。
まず初めに、今回の予算案でも計上されておりますし、これまでも農林水産省が取り組んでこられました農業分野における障害者就労の問題について取り上げたいと思います。問題というか課題ですね。
特に農業の分野でその力を発揮される障害者の方も多いという状況を私も聞いておりますし、また、農業現場でこうした皆さんのお力をかりたいという経営者の皆さんもいらっしゃる。ここをどうつなぐかというのがポイントだと思います。
現在走っているいわゆる農福連携、福祉農園の開設について農林水産省が支援をされていますが、ソフト、ハード面、それぞれで要件にかなうものにお金を出すという話になっていますが、そもそも、二十七年、二十八年と行ってこられましたこれらの事業で一体どれだけの障害者雇用ないし就労が進み、そして現実にどういった満足感を現場に与えているのか、こうしたことについて私はきちっと評価がなされていないんじゃないか、きのう農林水産省の担当の方と話していてこう思いました。
農林水産省として、こうした評価をどのようにしてきたか、またこれからどのようにしていくのか、まず御答弁いただきたいと思います。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
農業は障害の特性に応じた作業が可能でございます。また、一般就労に向けた体力、精神面での訓練が可能であるといったようなメリットがございますので、障害者の就労訓練、雇用の場として農作業というものが非常に有意義だというふうに思っております。そういった観点から、現在、農林水産省におきまして、農福連携のための事業で支援をしているところでございます。
この農福連携の事業の実施に当たりましては、事業実施の翌年度以降毎年、高齢者ですとか障害者の雇用ですとか、売り上げ等の目標を設定していただいております。この目標の達成度合いにつきまして、有識者が構成する第三者委員会で意見を伺いながら、事業評価を行っているところでございます。
また、こういった事業評価とは別に、各地方農政局ごとに、行政ですとか福祉、農業者等の関係者で構成されます協議会を設立いたしまして、障害者を初めとした農福連携の取り組み実態ですとか課題の把握に努めているところでございます。
そういった事業評価ですとか関係者からの課題の把握等を踏まえまして、これまでの事業の成果や意見を踏まえまして、農福連携施策の充実に努めていきたい、かように考えてございます。
○岡本(充)委員 二十七年度に行った事業についての評価が四月の上旬に出る、こうきのう聞きましたが、それで間違いないのかどうかも確認をしたいですし、その際にはやはり、雇用、就労の形態、それから賃金、工賃の実態、さらには、そこで働く障害を持つ皆さんやまた経営者の皆さん方の満足度、こういったことなんかも評価の指標に入ってくる、こういう理解でよろしいのでしょうか。
○佐藤(速)政府参考人 二十七年度に行いました事業の業績評価につきましては、四月十日に取りまとめをするということでございます。
その上で、この評価の中身でございますけれども、それぞれの事業実施地区ごとに、地区の現状と課題、その地区の将来像、そういったものを踏まえた上でのこの事業の活用による評価をしたいと思っております。
具体的には、福祉農園等における交流人口ですとか、そこの売り上げですとか、雇用ですとか、そういった指標を目標として立てていただきまして、その目標がどのくらいの達成割合かといったようなことにつきまして、各地区ごとに評価をしてまいりたいと思っております。
先生御指摘の評価項目につきましても念頭に置きまして、きちんと評価をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○岡本(充)委員 ぜひそうした評価を踏まえて二十九年度の予算が本来拡充されるべき話だと思いますが、先に予算の拡充が来て評価が後になるというのは、私はやはり順番が逆なような気がします。
そういう意味で、一年と言わずに、二十八年度の評価についても早急にやはりしていただいて、三十年度予算につなげていくという観点でやるべきことがあるのではないかと思っています。
ところで、このいわゆる農福連携というのは、厚生労働省でもいろいろ予算をつけているようであります。障害者の就労促進ということでこの予算がついているわけでありますが、さまざまな事業が重複していないのかどうかについて改めて確認をしていきたいと思います。
厚生労働省で行われているいわゆるキャリアアップの助成金などでのオフJT、OJT、いろいろありますけれども、こうした農業におけるキャリア形成というのも、これは当然助成対象になるのではないかと思いますが、農林水産省とのすみ分けはどのようになっているのか御説明いただけますか。
○和田政府参考人 お答えします。
厚生労働省では、先生御指摘のキャリアアップ助成金あるいはキャリア形成助成金、こういった取り組みによりまして、事業主が、雇用する労働者に対して職業訓練等を行う場合には、その訓練に係る経費の一部を助成しておるところでございます。
この農福連携の推進に当たりまして、農林水産省の方で具体的にどういった取り組みあるいは経費について支援をしていくのか、よく情報を頂戴しながら、しっかりと連携をして、適正な実施に努めてまいりたいと考えております。
○岡本(充)委員 それは、現時点で協議していなかったということなんですか。
いや、これは、農林水産省でも、農業経営者等が福祉農園の運営に必要な障害者の労働管理等の知識を習得するための研修実施の費用を見ていたり、福祉施設等の職員が、福祉農園の運営に必要な農業生産技術、それから施設利用者等に対する農作業、加工作業の指導等の知識、いわゆる六次産業化等について研修を受ける費用を見ているわけでありますけれども、これはまさに完全にかぶっていると思うんですね。その点について農林水産省はどのように整理をしていますか。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
農林水産省におきましては、障害者の農業活動の取り組みを推進するということで、福祉農園の整備によりまして、障害者の働きやすい環境の整備、あわせて農業に関する技術支援を中心に行っているところでございます。
この中で、例えば、委員御指摘の社会福祉法人の職員に対する研修の講師謝金ですとか、障害者の受け入れ研修を行う農業経営体への謝金、これにつきましては、厚労省のキャリアアップ助成金などと当省の農山漁村振興交付金、いずれも支援対象になり得るということでございます。
したがいまして、二重補助とならないように厚生労働省とも調整しながら適切に対処してまいりたいと思います。具体的には、要領、要綱の中でそういうダブルの助成にならないようにしっかりと記述をしつつ、適切に指導してまいりたいというふうに考えてございます。
○岡本(充)委員 つまり、過年度、二十七年度、そして私がきょう質問するこの時点まで、そうした協議を行っていなかったというわけでありまして、大臣、やはりこれは、きちっと予算をつくるときに、二重で補助が受けられるような仕組みが残っているというような予算立てはまずいと思いますよ。
しかも、これから調整してまいりたいと思いますと言っていますから、これまでしてこなかったわけですから、ここについて、ほかの予算についても、農林水産省はたくさんの事業をやっています、かぶらないようにしていく、そして、二重に補助が行くというようなことがないように、今、どこかの学校法人の話が話題になっていて、その補助金が適正だったのかという話が議論になっていますが、国の補助金の二重支給が行われないようにチェックをしていく取り組み、大臣、ぜひ決意と、そして今後しっかり調査をしていくことをお話しいただきたいと思います。
○山本(有)国務大臣 御指摘の点について、大変大事なことだと思っております。
私の存じ上げる知的障害者施設でも、農業を積極的にやっていただいておるわけでございますが、そうした施設側そして障害者の立場に立った意味で、どういう観点でどうすべきか、検討していきたいというように思っております。
○岡本(充)委員 いや、補助金が二重に支給されるようなほかの事業がないかどうか、農林水産省はもう一回チェックをするべきだ、この観点は。
○山本(有)国務大臣 同じ事業に同じ税金というのは合理性がありません。その意味で、二重に重なった事業があるかないか、もう一回検討したいと思っております。
○岡本(充)委員 ぜひ、その結果については御報告をいただきたいと思います。大臣からうなずいていただきましたので、では、御報告をお待ちしています。
その上で一点確認をしたいんですが、この事業自体が私はけしからぬと言っているわけではありません。重なっていることの問題点を指摘したまででありますが、この事業を通じて、私はぜひ広めていきたいと思っていることがありまして、それは、各地にある特別支援学校の生徒さんの就職先に、農業がその就職先になれないのか。
就職先を本当に探してみえる特別支援学校はたくさんあります。そういった意味で、私も先日、地元の特別支援学校にお邪魔をして、お話を聞いてきました。農業、大変関心あるんですけれども、圃場までが遠い、圃場まで行く交通費がなかなか出ない。また、農業経営者の皆さん方の話を聞くと、なるほど、障害を持つ若い皆さん方に働いてもらいたい、こういう経営者の方がいる。この二者を、接点を持たせることが重要じゃないか。
特に、障害を持つ皆さん方の障害は多様性がありますから、経営者の皆さん方も、実際にその方に来てもらって、実際、障害があるというのはどういうことなのか、そしてまた、その方と一緒に働くというのはどういった課題があるのか、それを学んでもらう必要もあると思います。
そういう意味でいえば、今回の福祉農園の予算、農林水産省が計上しております今回の予算、また二十九年度も引き続き都市農村共生・対流及び地域活性化対策として計上しておりますこの予算を使えば、農業経営者が、いわゆる障害を持つ皆さん方の実態とはどんな感じなのか、実際に働くとどんなことなのかという意味でのまさに研修の講師として特別支援学校の皆さん方に来ていただいて、実際に農業を経験していただく、こうした場合には、まさにこの生徒さんたちが農業経営者の講師となり得るわけでありますから、こうした形での謝金を支給して交通費を出すことも可能ではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、この見解について農林水産省はどのようにお考えでしょうか。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
特別支援学校の生徒さんを現場で受け入れるというのは、農林水産省としても非常に大切な取り組みだと思っております。
農業経営におきまして障害者の方を受け入れるに当たりましては、段階を追って取り組んでいただくということが現実的だと思っております。
まず最初に、特別支援学校の実習受け入れによって農作業体験をしていただく。そうしますと、農業経営をする側にとりましても、障害者の特性、適性、こういったものがわかるようになってまいります。その上で、次のステップとして、障害者施設との農作業の請負契約、さらには障害者の雇用にまで至る、そういったプロセスを経て、障害者の方がしっかりと働けるようになるのではないかと思っております。
そういった観点からの支援でございますけれども、就労施設等におきまして福祉農園の施設を整備する場合の支援とあわせまして、その就労施設の職員や施設を利用している障害者に対する農業技術の習得に必要な支援を行っているところでございます。
この福祉農園を運営いたします就労施設が特別支援学校の生徒や先生を農場に受け入れて、農業の専門家による研修を行う場合に、指導に当たる専門家に対して指導料として謝金を支払うといったことは可能でございます。
ただ、しかしながら、特別支援学校の方から福祉農園までバスの賃借料等の交通費を支援することにつきましては、ここは自己負担となっておるところでございまして、その点、支援の可否につきましては引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
○岡本(充)委員 大臣、やはりこれは、講師、専門家といっても、専門家、農業のスペシャリストみたいな方に来てもらうその費用、講演料、それは出せるというんですね、講師料は。ただ、現実に福祉農園をやる上での重要な講師は障害を持つその当事者本人ですから、その方にも、要するに講師のいわゆる交通費は出せる、謝金は出せるのであれば、講師として障害者の方を農業経営者が迎え入れて、実際に経営をしている方、職員の方と一緒に働いて、農業経営者がその福祉農園の実体験をする、これは重要な研修だと思うんです。
そういう意味で、研修の講師として特別支援学校の生徒さんを含む障害を持つ皆さん方を受け入れる、これは可能かどうか、ぜひ前向きに答弁いただきたいと思いますが、いかがですか。これがなかったら、結局進まないんですよ。行けないんだもの、遠くの圃場まで。足がない、交通がない。どうですか。
○山本(有)国務大臣 講師の概念を広げていくことによって、補助金の適正化についての厳格性が曖昧になってまいります。
他方、岡本委員御指摘のような、重要な、障害者として専門性の知識や経験を持っておられる方々からさまざまなまた学習ができるという意味でのそうした講師としての資格要件について、格別、外形的なものがあるわけではありませんので、どうしたらいいかということについての調和をまた検討してみたいというように思います。
○岡本(充)委員 ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思いますし、きょうは文科省にも来ていただいていますけれども、特別支援学校の就職先としてこうした農業を一つ大きな視野に入れていくということについて、ぜひ積極的に周知をしていただきたいと思います。それについていかがでしょうか。
○藤江政府参考人 お答え申し上げます。
特別支援学校高等部では、農業に関する基礎的な知識ですとか技術を習得し、地域の農業の担い手の育成を図ることを目的とした農業科というものが設けられておりまして、平成二十八年五月現在、全国で八百八十七人の生徒が農業に関する学科で学んでいるところでございます。
委員御指摘のように、こうした特別支援学校の農業科におきまして、地域の農業従事者等と連携いたしまして実習が充実していくということは大変有意義なことであると考えておりまして、教育委員会及び特別支援学校に対して、特別支援学校に在籍する生徒の実習先あるいは就労先としてこの事業等の取り組みを活用できるということを、農林水産省とも連携しつつ、周知してまいりたいと考えております。
○岡本(充)委員 農業科だけじゃないです、普通科の生徒さんを含めて特別支援学校全体という理解でよろしいですか。ちょっともう一回確認です。農業科の生徒に対する農業支援じゃないんです。普通科の生徒にも農業を就労先としてほしい、こういうことです。
○藤江政府参考人 普通科も含めてということで結構でございます。
○岡本(充)委員 ぜひ、省庁の垣根を越えて、こうした事業を進めていただきたいと思います。
続いて、二つ目の質問、食の安全について少しお伺いをしていきたいと思います。
食の安全、いろいろな課題があって、これまでもさまざま私は質問をしてきたんですけれども、きょうはちょっと、いろいろ調べていると、農薬の許認可、それから、いわゆる農薬取締法に基づく調査というのは一体どうなっているんだろうと甚だ疑問に感じることがありましたので、少しお尋ねをしたいと思います。
皆さんのお手元にお配りをしております資料をめくっていただきますと、大変恐縮です、難しい数式が四ページ目に書いてありますけれども、上が、我が国における、農林水産省がさまざま農薬の使用法を決めて、そしてそれに基づいて厚生労働省が残留の基準をつくっているわけでありますけれども、その残留の基準の数式であります。
その次が、五ページ目が、平成二十四と書いていますが、二十三年度の農薬の残留を米について調べたものであります。
さらにおめくりいただきますと、見開きで六ページ、七ページが、これはスルホキサフロルという農薬品をちょっと例にとりましたが、現実的に厚生労働省で定められようとしている基準値案が左、そして、二段あけて、国際基準と、米国を中心とした外国基準というのが載っています。
二ページにわたって載せているのは、皆さんに見ていただくと、例えばこの農薬に限って言えばですけれども、国内で定められようとしている基準値案が国際基準よりも高いという、どの食品についてもそのような傾向が見えるわけであります。
なぜそもそもこうした差が生まれてくるのか、そして、日本が定める基準というのは一体どうしてこういう基準値になるのかということについて、きのう、農林水産省それから厚生労働省からるる説明を受けました。
そもそも日本の基準値案というのは、どうやら、農林水産省が試験をする、この六ページ目にありますように、例えば米をとって言いますと、米を実際に育てて、農林水産省が言うところの用法に基づいて実際にこの農薬を使うと、右にあるような〇・三〇から〇・四八ppmの残留が現実的にありました、そして、数というのは四検体調べました、こういう話で出てきたものに基づいて、この四検体について実際に出てきた数字と、それから、基準値案となる数字は四ページの数式に基づいて出すと言っているんですが、そもそもこの数式で出てくるのは、残留試験の株数、これが、二株やったのか、三株やったのか、四株やったのか、五株やったか、六株やったか、それによって出てくる数字のもととなる、二株やった場合に出てくる残留基準の数値と、そして実際に基準値案となる数値、黒枠で囲っているところと、一番左でありますが、この間には数式がなく、過去の経験則に基づいて決めていると。ここが最も科学的じゃない。
そこまではかなり科学的な話をしていたのに、最後の最後の根っこが経験則に基づくという話になってくると、この下の小難しい数式は一体何だったのかという話になるわけでありますけれども、農林水産省ではないです、これはまず厚生労働省です。そもそも、経験則に基づいて決めるなどということを国際的にはやっているんですか。
○北島政府参考人 お答えいたします。
国際的には、OECDが定める算出方法により基準値を設定する場合が多いと承知しております。
○岡本(充)委員 その基準がOECD・MRLカルキュレーター、この下のものでありますね。それで間違いありませんね。うなずいてみえます。
それで、このカルキュレーターをするためには、これまた難しいんです。数式でいうとこの三つの、最も高い残留をしたものか、それからもしくは平均値に標準偏差の四倍を足し合わせたものか、もしくは補正係数とミーンの三倍を掛けたものか、この三つのうち最も高いものを出すということになっていますが、いずれにしても、サンプル数が相当程度なければこの数式は正確な数字が出てこない。
したがって、少なくとも八検体以上のサンプル数をOECDカルキュレーターは求めている、これでよろしいかどうか、確認をお願いします。
○北島政府参考人 OECDの基準につきましては、議員御指摘のとおり、八検体以上でこの数式を使うというふうに定められております。
○岡本(充)委員 翻ってみて、農林水産省の先ほどのスルホキサフロルの話にまた戻るんですけれども、別にこれだけというわけじゃないですが、そもそも、八検体以上で調査をした食品というのは一体どれになるんですか。
○今城政府参考人 お答えいたします。
委員おっしゃるとおり、農薬の残留については、同じ農薬を同じ方法で使用しても、作物の状態、気象条件によりばらつきが生ずるということで、的確に厚労省さんの方で残留基準を設定するためには、できるだけ多くの作物残留試験のデータが必要なのは当然でございます。
その上で、私どもの農薬登録申請時に必要な作物残留試験の試験数、これにつきましては、かつて一作物当たり二例の作物残留試験データが提出されれば申請を認めておったということでございますが、これを平成二十六年四月一日から、米、リンゴなどの生産量の極めて多いもの、これについては六例、カボチャ、コマツナ等の生産量の比較的多い農産物については三例という作物残留試験データの提出というふうに、例数をふやしたところでございます。
八例よりは少ないという御指摘でございますが、現時点ではそのとおりでございます。
○岡本(充)委員 これが一つやはりOECDとの差になっていて、要するに、実際に残留していた実験結果と、そして現実的に基準とされる数値との間に大きな乖離があると、結局、その幅の中で、農薬の使用方法が不適正でも許される可能性が出てくるという幅が出てきてしまうわけなんですね。
つまり、本来、農薬の使用法としてこのような使用をしましょう、農薬取締法で定めている、法律に定められている使用の方法について、定めているにもかかわらず、それと違った使用方法をしても残留基準としてセーフになってしまうという作物が出てくるという話になると、やはり消費者としても不安になってくる。できれば、実際の試験の結果と基準値案が近ければ、その差は小さくなるわけですから、消費者も安心するという話になるのかなと、私は聞いていて思うわけであります。
したがって、日本のように、国際基準を満たすような検査がなかなかできなく、結果として基準値案も緩目にできる、緩目に出てきたがゆえに消費者も不安に思う、この連鎖はよくない。根源はやはり、先ほどお話をしたように、試験の数をどれだけとるかです。
今、きのう聞いたところによると、どうやら米だと、一反つくって一つの株として考えて、一つの農薬を検査する。一反はなかなか広いね、何種類ぐらい出てくるの、いや、もう六十ではきかないと。そうしたら六十反分つくらないと一年の農薬の試験が終わらないという話で、これではさすがに、八検体やれと言われたらさらにそれより広い圃場が必要になるわけで、これはなかなか難しい。
やはりどういう方法で農薬検査をするのが適正かつ、そして効率的なのか。もう昔からこの方式で、ずっと同じやり方で農林水産省はやっていますという話ですが、検体の数をふやすのも結構ですが、こうした農薬の検査のサンプルをとる圃場の面積のあり方や検査の方法についても研究をするべきではと言ったら、そういった研究はしていない、こういう話なんですね。それではやはりまずい。
こうした研究、手法を含めて、もう一度しっかり科学的に検証していく必要があるのではないかと思いますが、それについて御答弁をいただきたいと思います。
○今城政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおりの状況でありますが、まず、試験数をふやすということについてお話しさせていただきたいと思います。
我が国では、やはり欧米に比べて農地が少なく、試験圃場も限られるという条件があるので、残念ながら欧米の八例以上というところにまで達していないというのは御指摘のとおりでございます。
このような中で、先ほども申し上げました二十六年四月に導入した残留試験の数というのを直ちに増加させるというのは困難なんですけれども、国際的に行われている作物群での農薬登録ということについて、本年四月から果樹類についても可能とするということで、新たな仕組みを順次導入することとしております。
これにより、結局、作物群に含まれる代表作物、例えばリンゴとか梨とか、作物残留試験数そのものが、例えばリンゴ、梨で合わせて十二例とか、そういうことで増加することとなりますので、そういう意味で、残留基準の算出に用いる残留濃度の範囲をより精度よく把握できるということにつながるものと考えております。
ただ、御指摘いただいたとおり、農薬登録の際の作物残留試験の試験数ということについては、重要な課題であると思いますし、その試験方法も含めて、やはり科学的根拠に基づいてよく検討していく必要があるというふうに考えております。
○岡本(充)委員 今の答弁、ぜひお願いしたいんですが、続いて、では、実際、農薬の使用状況、残留状況について、農林水産省はどれだけ調べているのか、こういう話であります。
厚生労働省は、市場で販売されている食品を集めてきて、検体として、残留基準を超えていないかという観点で検査をしています。先ほどお話をしましたように、残留基準は、実際に作物残留試験で出た成績よりかなり高い値が基準値になっている。それは、それ以上食べると体に影響があるという数字を示しているからです。
一方で、農林水産省は、適正に使用すればこの範疇におさまるという情報を持っていながら、実際に、農薬取締法では十二条で農業者の適正使用をうたっていますが、しかし、現実にそれに基づいて検査をするということはほとんどないようであります。これまでの検査はどうやってやっていたのか。
これは事実ですか。例えば、平成二十八年の四月にプレスリリースした「国内農産物における農薬の使用状況及び残留状況調査の結果について」、これによると、三千九百四十八戸の農家に対して、記入簿への記入または聞き取りを行うことで農薬の使用状況を調査したところ、この中で不適正使用が二件だけ、〇・〇五%でありました。そして、残留農薬についても検査をしましたけれども、こちらについても残っていたのは少なかった、一検体だけが食品衛生法に基づく基準値を超えていたけれども、一検体を除いて、四千七百三十七種類の農薬と作物の組み合わせ、一千検体は大丈夫でした、こういうふうに公表して、これだけ聞くといいかなと思うんですが、農林水産省、そもそも、あなたのところはことし農薬の検査をしますよということを事前に通告している、それは事実ですか。
○今城政府参考人 お答えいたします。
農林水産省におきましては、おっしゃるとおり、約四千戸の農家に二十六年度使用状況調査というものをお願いしたわけでございます。
しかしながら、お願いするときに、しっかりと、いろいろな作物について適切に使用されているか、その使用回数あるいは希釈濃度というものを記入していただき、適正作物に適正使用されているかということをお願いするものでございますので、その調査票については事前に農家にお願いするということで進めております。
○岡本(充)委員 そしてなおかつ、適宜適切に中途で状況を聞いたりしながら調査をしている。これは言いかえれば、きょうは、あなた、後ろにパトカーがついていきますよと言って車を走らせて、スピード違反をした車はいませんでした、こう言っているのと同じですよ。事前に後ろからついてくることがわかっていてスピード違反する人がどれだけいるか。考えれば……(発言する者あり)〇・〇五%ですよ。これでスピード違反は世の中にはありませんでした、こう胸を張っているのと等しいと私は思うわけですね。
これは大臣、農薬の適正使用の検査のあり方は、こうして事前に、今年度あなたのところは調査に入りますよと言ってから調べに行って、〇・〇五%の違反でしたから適正でしたと報告するのは、やはりちょっとこれ、やり方は見直した方がいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
○山本(有)国務大臣 食品中に、残留農薬基準、定められた使用方法に従って適正に農薬が使用された場合に残留し得る農薬の最大の濃度として、厚生労働大臣が食品衛生法に基づいて設定しているのがこの残留農薬基準でございます。この残留農薬基準設定の考え方というのは、日本も国際的な標準も同じだろうというように考えております。
そして、農薬の残留基準に関しまして、地方自治体の衛生部局が実施している市場流通品の検査もございまして、残留基準を超過する食品が流通しているかどうかを確認していただいておりますし、残留基準を超過する結果が出た場合には不適正使用があるということを把握するというように承知しております。
一方、農林水産省では、農業者の農薬の使用状況を調査いたしまして、生産段階における農薬の残留基準の超過の有無を確認して、その結果を広く国民に情報提供することによりまして、農薬の適正使用に係る理解を促すとともに、適正な指導を通じて農薬の不適正使用の防止を図っているところでございます。
さらに、都道府県が農業者に対して農薬の適正使用に関する指導も行っていただいております。
今後、農林水産省としましては、農薬の適正使用が図られるようにするために、使用状況調査の一層効果的な実施方法について先生の御指摘も含めて検討させていただいて、引き続き、都道府県や厚生労働省と連携しまして、市場流通品の検査の結果も踏まえ、農業者に対する適切な指導をしてまいりたいというように考えるところでございます。
○岡本(充)委員 大臣、指摘しておきますけれども、厚生労働省は、人体に影響があるかどうか、安全かどうかというのを見ているんです。農林水産省は別の法律です。農薬取締法に基づいた、十二条で農業者に対して適正使用を求めていて、それを農林水産省としてしっかりウオッチしていくというこの観点に立った場合は、厚生労働省からの情報でもちろん動くのは当たり前ですが、適正使用との間のアローアンスがあるわけですから、その幅の中でどういうことが行われているかしっかり見ろという話をしているんですから、大臣、前段はちょっと長過ぎますよ、答弁が。お願いします。限られた時間で効果的に議論を深めたいと思います。
続いて、獣医さんをめぐる課題についてちょっと聞きたいと思います。
なかなか、いろいろ話を聞いていて、獣医師の皆さん方は御苦労されているなと本当に思います。
現在、そうした、全国で獣医師の養成はおよそ千人ほどと聞いておりますが、獣医師の現状として、獣医師が足りない、偏在はあると聞いていますが、総数として足りないという認識が農林水産省にあるのかどうか、まず御答弁いただきたいと思います。
○今城政府参考人 お答えいたします。
獣医師が足らないかどうかというお尋ねでございますが、まず、平成二十七年の犬、猫あるいは家畜の頭数は、いずれも平成十八年の頭数に比べて下回っているという現状にございます。
ただ、当然、獣医師の就業状況あるいは業務の状況ということにつきまして、頭数だけには限られないということもございますので、一概に犬、猫、家畜の頭数が減っているから獣医師の需要も減少しているので特段困っていないと言うつもりはございません。
獣医師全体の数はさておき、産業動物獣医師、これについては、現場の方からその確保が困難であるというような声が上がってきておるというのは十分承知しておりまして、そういう状況であるというふうに考えております。
○岡本(充)委員 いやいや、平成十九年、きょう皆さんの資料にもつけました十ページ目ですけれども、これは農林水産省が、結局、獣医師の需給に対する検討会の報告で入れていますが、この十九年当時、将来推計、二〇四〇年だそうですけれども、産業動物の数を見据えると、産業動物の必要医師数は二〇四〇年に足りなくなる可能性がある、こういう推計をしているんです。
一方で、現実の産業動物の数はどうかというと、最後のページです、平成十八年度の頭数で見ますと、乳用牛が百五十九万頭、肉用牛が二百八十一万頭、そして二十七年度の見込みは、それぞれ百六十二万頭、三百四十八万頭とふえる見込みでしたが、実際に、乳用牛は百三十七万頭、肉用牛は二百四十九万頭とそれぞれ減っています。
なぜ減っているかはまた次の機会にやりたいと思いますが、現実に減っている状況の中で、産業動物に必要とされる獣医師の数も当初の見込みとは違って、逼迫している、こういう状況ではないという認識でいいわけですね、現状では。
○今城政府参考人 お答えいたします。
平成十九年のときの報告書について御言及ございましたが、このときの趨勢が、確かに動物の数がふえていくというちょうどその趨勢のときだったので、そこに委員から御指摘のあったような趨勢の数になっておりますけれども、現実にはそうなっていないというのは事実でございます。
その上で申し上げますけれども、産業動物獣医師全体としてどうかというのはなかなか申し上げにくいところなんですけれども、現実問題として、採用しようとした数の獣医師が充足されないというような地域があるというのは現実でございますので、地域的に偏在があって、採用がきちんとできていないような地域もあるという状況でございます。(岡本(充)委員「総数では」と呼ぶ)総数では、今申し上げたとおり、数そのものと診療状況の中身というものが必ずしも一対一で対応するものではございませんので、産業動物獣医師の総数としてどうかということはなかなかお答えしにくいところでございます。
○岡本(充)委員 いや、それでは獣医師の養成の話に行かない、獣医師の養成がどうあるべきかという話、これは文科省も困るわけですよね。
過去も、昭和五十年代も、獣医師の数が、当時の農林省でしょうか、獣医師需給について昭和五十一年三月に報告書を出して、それを受けて五十四年に文科省で獣医師の養成についての数を出している。それから、十九年についても、現状で、獣医師の需給の逼迫について、ないという話になって、将来推計は別として現時点ではそうだという話になって、二十三年三月の答申に基づいている。つまり、獣医師の需給が獣医師の養成の数に連動している、これは文科省として間違いないですね。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
獣医学部の新設につきましてはそのとおりでございまして、獣医師の需給等の観点から検討させていただいているものでございます。
○岡本(充)委員 したがって、農林水産省は、獣医師の活動分野の偏在だ、こう言っているわけです。つまり、総数が足りないと言っていないんです。偏在があると言っているんです。それで正しいのかどうか、そこです。小動物も含めて総数としてはいるんだけれども偏在があるのが課題だ、総数はいいけれども偏在が課題だ、そういうことですよね。
○今城政府参考人 お答えいたします。
ペットも含めて数の趨勢としては減っているという状況の中で、獣医師全体の総数としての不足という状況にはないと考えておりますけれども、先ほど申し上げたとおり、地域的な偏在があり、確保にままならない地域があるということでございます。
○岡本(充)委員 そういう意味でまず総数がどうかという話をしたんですが。
もう一つ、中身。なかなか、臨床研修している獣医師の先生も少ないんじゃないか。
現状をいろいろ調べました。獣医師の卒後研修ができるのは、北海道を除くと、どうです、協同で連合会をつくってやっているところは、宮城、山形、千葉、兵庫、島根、岡山、広島、そして飛んで沖縄ですよ。つまり、獣医学部のある、獣医学科のある大学の県でも臨床研修ができていない。
しかも、臨床研修を大学病院はどうやってやっているか。岩手大学のホームページを見たら、若干名、半年かもしくは一年。これだけの研修で本当に獣医師としてきちっとしたスキルが身につくのか。いやいや、なかなか私は疑問だと思っています。
そういう意味で、獣医師をめぐる質の確保についても、これは農林水産省の重大な仕事の一つですから、きちっと整備をして、そして質の担保を図っていく。最後に決意を大臣から求めて、私の質問を終わりたいと思います。
○今城政府参考人 お答え申し上げます。
獣医師の臨床研修を含め、その質の確保というのは非常に重要な課題であるというふうに考えております。
したがいまして、獣医師法においても、大学の診療施設または指定する民間の診療施設において研修をするよう努めることとされており、二十九年三月現在で百三十七カ所で研修が行われているというふうに承知しております。
今後とも、民間の診療施設の協力を得ながら、臨床研修の受け入れ施設の拡大、それと臨床研修の充実、これに努めてまいりたいというふうに考えております。
○山本(有)国務大臣 質の確保等についてさらに検討を深めてまいりたいというように思っております。
○岡本(充)委員 終わります。
○北村委員長 次に、小山展弘君。
○小山委員 民進党の小山展弘です。早速質問させていただきたいと思います。
きょうは一般質疑ということですので、ふだんの法案審査、法案審議では触れられないテーマも伺っていきたいと思います。
きのう、質問通告のときに大変時間がなくて順番の打ち合わせが十分にできていなかったものですから、ちょっと順番が入れかわりましたら大変申しわけないんですが、お願いしたいと思います。
まず、食育について伺いたいと思っております。
農水省の皆さん、ここにおられる皆さんにはまさに釈迦に説法ですけれども、まさに肉体的にも精神的にも食事というのが非常に大事だということが大変注目をされてきまして、今、人間形成の原点として、また日本文化を継承する観点からも、この食育というものが大変重要な役割を担っているということで再評価するような意見が多いかと思っております。特に子供の成長、発達に与える影響は大きい。
ところが、この食育について、各地域で食育推進協議会、ボランティアの女性や御婦人方中心の、もちろん御婦人方だけではないんですけれども、そういう活動を非常に活発に行ってきているわけなんですが、まず、農水省として、この食育推進協議会、こういったグループの活動をどのように評価しているかということ。
あわせて、近年、自治体なんかでこの予算を、僕は本当にけしからぬと思っているんですけれども、一番こういうところが、すぐに目に見えない、目に見える効果がすぐに出ないということで、どんどん予算を削っている自治体があるんですね。こういうところで地域の食育推進活動というものが非常に衰退をしてきている。実際、メンバーもどんどん減ってきているというようなことが言われております。
これだけ農水省さんが食育というのは大事だと。大事だという認識が広まってきているのに、活動自体は、メンバーが減ったり、衰退してきている。ぜひ、農水省さんとしての予算の確保とともに、こういう自治体への指導、対策も含めて、食育を推進している皆様へのエールも含めて、大臣の意気込みと対策、政策についてお伺いしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 御指摘の食育基本法におきまして、地方公共団体は、国との連携を図りつつ、地域の特性を生かした食育推進のための施策を実施するというようにされております。
現在、地方自治体におきまして、食育を推進する際の基本となる食育推進計画の作成が進められているわけでございますけれども、当該計画のもとで、関係者の連携を図りつつ地域の特性を生かした食育活動を推進していくためには、各地の食育推進協議会の役割が重要であるというように認識しております。
この現場の要望を踏まえて、都道府県が、食育推進協議会の構成員となり得る食育推進ボランティアあるいは農業協同組合などが実施する地域レベルの食育活動を支援する事業、こういったものを必要とします。そこで、二十九年予算案において、新たにこの予算を計上しているわけでございます。
さらに、食育白書や表彰事業を通じて、地域で取り組まれている優良な食育活動事例を地方公共団体や食育関係者に広く普及させていただいております。
そうしたことを通じて、地域がさらに熱心に取り組んでいただくということを我々は切に期待しておりまして、今後も、地方公共団体が熱心に取り組んでいただきたいというように思っております。
○小山委員 食育推進協議会で活動されている方々はほとんどボランティアで活動しているんですが、ボランティアといっても、事務連絡とか最低限の事務局的な機能というのは必要でして、そこに対する経費の負担でこれだけの推進活動というのができるということを考えますと、その部分は少し支援をしていただいてもということは、今までやってきていただいているわけですが、ぜひそういう方向でこれからも、大臣、農水省からの御指導をお願いしたいなと思っております。
次に、海岸防風林について伺います。
津波対策の防潮堤、特に東日本大震災の後、建設していきたいという希望の強い地域もあります。ところが、津波とかこういった防災は一義的には県ということになりますが、県もなかなか、全県一気に防潮堤はつくれない。だけれども、住民の皆様からすると、特に私の地元の静岡なんかは南海トラフ地震、大臣の地元もそうですね、高知県も、いち早く防潮堤、レベル2、L2に対応する防潮堤をつくりたいというような要望があって、県が予算を使わなくても自分たちの自治体でつくっていきたいよというようなことで動いているところがあります。私の近くでいいますと、浜松市であるとか掛川、磐田がそうなんですけれども。
ところが、防風林がございまして、その防風林を守るための防潮堤、防波堤というのはあるんですけれども、なかなか、新たに防潮堤を建設していくというときに、今実際に工場があったり、ゴルフ場があったり、農地があったりというところに、内陸につくるというと、かなりの用地買収費用もかかってしまう。何とかこの防風林も、一時的に防風林の機能が少し低下するということはあるかもしれないですが、この防風林を含めて防潮堤を、防風林が今あるところに防潮堤をつくっていくということも、将来的には防風機能も維持を条件に、何とか調和を図っていきたい、そういう意見もあるんです。
こういった防潮堤の建設と、防風林への今の用地での、実際に木を切るというようなことにもなるわけなんですが、その点について、どちらもこれは住民の生命財産を守るものであるものですから、ぜひ農水省の見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○細田大臣政務官 ありがとうございました。
もう小山先生よく御存じだと思いますけれども、まず、一般論といたしまして、海岸部にある保安林は、先生御指摘のような、風を防ぐ、あるいは飛砂、風害、潮害等の防備などの多様な機能を発揮しておりまして、各地域で地元の方々がその森林の健全な管理のために御努力をされているというふうに認識をしております。
そしてまた、さらに一般論として、松枯れ被害等もなく、機能を発揮している保安林に堤防を建設しようとする場合にあっては、保安林を一度伐採すると、数十年にわたって飛砂や風害等を防止する機能を発揮できなくなるという点に十分配慮する必要があるというふうに考えております。
御存じのとおり、森林法という法律がございまして、この法令に基づいて保安林の指定を行うわけでございますが、他方で、現行法でも、地元の意見を尊重しつつ、海岸部の民有保安林の指定、解除の権限を持つ都道府県の判断のもとで、保安林の指定を解除する、あるいは保安林の機能を阻害しない範囲で盛り土を行うという方法は十分とり得るというふうに考えております。
したがいまして、ぜひ、御地元の御意向を確認していただき、また海岸部の民有保安林の指定、解除権限を持つ都道府県の意向等を十分に踏まえて、私どもとしては適切な対応がなされるように努めてまいりたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、御地元の意見ということ、また地元の静岡県さんの御意見というものがあろうと思いますので、その点も踏まえた十分な対応が必要であろうというふうに思います。
ありがとうございました。
○小山委員 今ちょうど進めている話で笑い話みたいな話があって、松くい虫の被害が出てしまったところは、松くい虫を伐採する、そのときにあわせて十二メーターの防潮堤をつくれる、ところが、松くい虫の被害対策で農薬散布に協力してきたところは、松が枯れないものだからできない、何であっちの町はできるんだというような、ちょっとそういう話もありまして、きょうの政務官の答弁をもとに、また地元の方でも調整を図っていただけるのではないかと思っております。ありがとうございます。
次に、JAの信用事業について伺いたいと思っております。
きょう、松本副大臣にもお忙しいところお越しいただいておりますが、昨年十一月、規制改革推進会議の提言の中で、これは最終的に落ちたんですけれども、三年間で代理店を半減化というような提言も最初出てまいりまして、その後、最終的な意見のところでは数値目標はなくなったわけなんですが、農水省は、このJAの信用事業のあり方についてどのような認識、展望を持っているのか、信農連や農林中金によるJAの信用事業の代理店化についてどのような行政指導を行っていく考えを持っているんでしょうか。
○山本(有)国務大臣 まず、信用事業における代理店スキームの活用でございます。
既に、二十六年六月、政府・与党の取りまとめにおきまして、その活用を積極的に進めるというようにされております。これに基づきまして、行政指導を現在行っているところでございます。ただし、代理店スキームを活用するかどうかは、あくまで農協の選択に基づくべきものというように位置づけております。
今後の農協の信用事業についてでございますが、人口減少、高齢化、金利の低下及び高度化する金融規制等によりまして、経営環境は大変厳しいものがあるというように認識しております。また、今回の農協改革を踏まえまして、今後、各農協は、農業者の所得向上に全力を投球するために、信用事業の負担やリスクを極力軽くしまして、人的資源を経済事業にシフトできるようにすることが必要であろうというように思っております。
今後、信用事業のあり方については、以上のことを十分踏まえまして、各農協において真剣に検討していただき、自主的に方向を決め、実行に持っていっていただきたいというように考えるところでございます。
○小山委員 きょうは余り突っ込んでお話しできるようなところでもないかと思っているんですが、僕は、今のお話の中で、経営環境が変わっている、金融技術が、多分フィンテックのことなんかも話していると思うんですけれども、これはある意味、別の見方をすれば、先進国ではフィンテックのようなものを新たに導入して入れるというような設備投資のコストよりも、全くそういう金融のインフラのないようなアフリカなんかで入れるという場合には、インフラを最初からつくっていかなきゃいけないですから、その場合には大変経済成長が早くできるというようなことで効果があるんですけれども、日本の場合にはある程度、もう既にいろいろなフィンテック的な機能を果たしているインフラがありますから、そのことでどれだけ日本の金融環境が、信用事業の環境が変わっているかというと、私はそれほどでもないんではないかという見方も十分できると思っておりますし、そういう現場の声も聞いております。
私は、そういったことで信用事業がむしろ収益がとれなくなるというようなことをあおるような空気がどうもちょっと一部にあるんじゃないだろうか。むしろ、今、JAの中における営農指導事業の赤字をもしその部門だけで、指導部門だけで賄おうとすれば、手数料を上げなきゃいけない。というのは、これは農家の方々にとっては負担増となるわけですね。
その部分を信用事業で賄っているということと、その信用事業の中にも本来業務としてもともと、この後、伺おうと思っておりますが、ライファイゼンバンク、ライファイゼン協同組合は信用事業から始まって、信用事業が経済事業に兼営をしていったんですね。ですから、まさに信用事業は本来業務であると私は思っております。
そういう観点からも、ぜひ、最後にお話しになられた原理原則のとおり、確かにもうこれはどう考えても赤字になりそうだ、あるいは、やはり隣の農協さんと地域合併というのが本来だと思うんですけれども、なかなかそれもできないという場合は、万やむを得ない場合に、信農連やあるいは農林中金への代理店化ということではないだろうか。あくまでもそれもJAさんが自主的に決めることだと思いますので、ぜひ、これこれまでに代理店化を数値目標を示してやれというようなこと、まして、県連とか全国連、農林中金、信農連に求めていくというようなことは行政指導としてやらないでいただければな、これは今あるかどうかは知りませんけれども、そう思っております。
国家戦略特区について伺いたいと思います。
きょうの農業新聞にもたまたま、これはきのう僕が通告しているんですが、出ているんですけれども、外国人派遣労働者の農業への参入ということが検討されていると伺っております。
外国人派遣労働者が多く日本国内農業に従事する、入ってくるということになれば、安価な労働単価で農産物を生産する地域がどんどん出てくるということに、特区が広がっていけば、なっていくということで、これは需要低迷の日本の農産物市場においてさらに過当競争が起きかねない、そういう状況も招きかねないと思っております。結果として、日本の国内の農業の衰退を招きかねません。
農水省は外国人派遣労働者の日本農業への参入の影響について、どのような認識を持っていらっしゃるでしょうか。ちょっと質問の順番が入れかわっていたら申しわけないです。
○山本(有)国務大臣 農業者の減少、高齢化、これは急速度で進んでおります。農業経営体が経営を発展させる意味で即戦力となる人材がかなり不足しております。これを背景といたしまして、複数の自治体から、技能実習制度とは別に、国家戦略特区制度を活用した農業分野の外国人材の受け入れに関する提案がなされてきていることは事実でございます。
これを踏まえまして、政府といたしましては、地域限定の事業といたしまして、適切な管理のもと、技能等を有する農業分野の専門外国人材の就労を可能とする国家戦略特区法等改正案を本通常国会に提出する方向で検討しているところでございます。
この法改正により、農業分野での労働力として外国人材の受け入れが可能となりますれば、農業の成長産業化に必要な人材が確保され、経営規模の拡大、生産性の向上等が一層促進されるものと考えておりまして、農業の競争力強化が図られることを期待しておるものでございます。
また、日本人の雇用が失われるという点にも十分配慮しつつ、この法案の推移を見させていただいているところでございます。
○小山委員 競争力が強化されるということですけれども、農産物は、もちろん海外に輸出というようなことも進めているということなんですが、どこと競争するのか。むしろ、国内間の過当競争がさらに進むという要素の方がやはり大きくなるんじゃないかな。過当競争が進むということは、農産物を買っている農家の人たちは消費者でもあるわけですから、まさにほかの産業でも起きているような、所得が下がる、あるいは国民の購買力が下がる、そのことが一層マーケットの縮小を招いていくというような方向の効果というものも出てくるんじゃないだろうか。
それと、「特区追加に前向き」ということで、きょうも農業新聞一面に出ております。これは今、きょう、特にけさの新聞を見てですので、大臣でなくても構わないんですけれども、この追加がどんどんされていくということについては農水省はどうお考えですか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
本日の新聞につきましては、これは農林大臣の発言ではないのでコメント自体は差し控えさせていただきたいと思います。
国家戦略特区につきましては、法案を今国会に提出予定でございますが、詳細につきましてはまだまだ検討中のところが多うございますけれども、少なくとも、労働水準につきましては日本人の農業者の方々と同等以上ということを考えてございますので、賃金が極端に低いとかそういうことは想定していないところでございます。
その上で、むしろ日本人の雇用というよりも、まず各地域において、そもそもどんな雇用者であれ、日本人であっても雇用が少ない、なかなか働いてくれる人がいない、こういうニーズに応えて申請が各地から上がってきておりますので、まずは特区での申請、こういうものについてどうしていくかということを今後議論していくということになろうかと思います。
ただ、全国のニーズは非常に強いものがございますので、そういうところもよく見ながらやっていきたいというふうに考えてございます。
○小山委員 特区がどんどん追加ということになっていきますと、これは影響が限定的ということでなくなっていくかもしれないし、ここからなし崩し的に全国に広がるということも考えられます。
それと、きょうはこれは通告していないので、余り申し上げるわけではないんですが、賃金は変わらないと今参考人がお話しになりましたが、一方で大臣の今の答弁の中では、競争力がついていくんだと。賃金が変わらないんだったらどうして競争力がつくのか。人手不足への対応だということであればわかるんですけれども、そういうところも、これから法案が出てきたときにはぜひしっかり質問していきたいと思っております。
それと、今までも言われてきたことではあるんですけれども、国家戦略諮問会議においてこの外国人労働者の参入を認めるという検討をしている中に、人材派遣会社の会長を務める竹中平蔵氏が委員となっているんですけれども、まさにこれは利益誘導とか、公平公正な判断ができないんじゃないかという批判もあって、それは私は一理あると思うんですけれども、この点について内閣府はどのような認識を持っていらっしゃるでしょうか。
○松本副大臣 お答えをいたします。
特区諮問会議の有識者議員でありますけれども、これはあくまでも、経済社会の構造改革の推進による産業の国際競争力の強化などに関しまして、すぐれた識見を有する者を任命させていただいているところであります。
また、調査審議に当たっては、当然、個別企業の利益ではなくて、そのすぐれた識見を有するという立場から御意見を賜っているところであります。
竹中議員の特区諮問会議における御意見は、経済社会の構造改革の推進の観点からのものであり、個別企業の利益に関するものではありません。
また、今回の農業の外国人派遣労働者の従事に関するものでありますけれども、これに関しましては自治体からの要請に基づくものでありますし、この要請前に竹中議員から何らかの発言があったということはありません。
したがいまして、委員御指摘のようなことはなく、公平公正な判断に基づく議論がなされているものと理解をしているところであります。
○小山委員 今、松本副大臣の話でも、産業競争力強化のためというのが目的ですから、やはり人手不足対応ではないということで、賃金が本当に日本人と同等だということで確保できるのかどうかというのは、これから焦点になるんじゃないかなと思いますし、仮に、今、松本副大臣のお話のとおりの姿勢を竹中さんが示していたとしても、やはり、李下に冠を正さずではないですけれども、知見を有する方はほかにもたくさんいらっしゃると思いますので、僕は利害関係者の方は議論からは、その委員会の議員というのはやはり辞退するというのが節度というものではないかな、少なくともそう思います。
それと、次の質問に移りたいと思うんですけれども、済みません、また順番が入れかわったら申しわけないんですが、農業競争力強化法、これのところで、今までのいろいろな一般質疑の質問とちょっと角度を変えた形で伺いたいんですが、農業者の組織する農協に課される努力義務というのはどういうものが想定されているんでしょうか。
○齋藤副大臣 この法案では、もう委員御案内のとおり、農業者の努力のみでは解決できない農業資材価格の引き下げ、あるいは農産物流通等の合理化を図るために、農業生産関連事業者、農業者、農業者の組織する団体等に対して、それぞれの立場から、その実現に資する行動を求めているという構えになっております。
農協は幾つかの側面を持っていますので、まず、農業者の組織する団体でありますけれども、一つの側面として、組合員のため営農指導の事業を行う場合、この場合には、農業者が有利な条件を提示する事業者との取引を通じて農業経営の改善に取り組む、こういった支援を行うよう努める、そういう旨の規定が適用されることになります。
また、もう一つの側面として、組合員のため農業資材の供給や農産物の販売等を行う、こういう場合には、良質で低廉な農業資材の供給、あるいは農産物流通等の合理化の実現に資するよう取り組む、これとともに、その取り組みを持続的に行うように努めるということが規定されておりますし、また、農業者の農業所得の増大に最大限の配慮をするよう努める、こういった旨の規定が適用されると理解しております。
○小山委員 幾つかにまたがるということなんですけれども、参議院の予算委員会でも、行政指導というものはどういうことかということで、藤末健三議員との議論があったということで伺っておりますが、また、計画数値を出すというようなことも、農業競争力強化法の中にも、これは国の方が三年、五年でチェックをしていくんだということがありましたですけれども、こういった義務というものも明確にしながら、ぜひ適切な行政との関係というものを築いていただきたいと思います。
それと、畜産経営安定法の改正について伺いたいと思うんですが、今回、指定生乳生産者団体制度を変更して、指定団体以外にも条件つきで補給金を給付する、部分委託を認める制度変更を今検討しているということでありますけれども、この法制度の変更によって、本来の目的であるはずの酪農家の所得の向上、酪農の生産基盤の強化、あるいは発端となったと考えられますバター不足の解消にどのように結びついていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○山本(有)国務大臣 今回の改正法案は、今後需要の増加が見込まれる乳製品に生乳を仕向けしやすい環境を整備する、そして、需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保、酪農経営の安定、こういったものを図る目的でございます。
現在の指定団体以外の者も補給金の対象とするというようなことによりまして、飲用向け一辺倒ではなくて、バターなどの乳製品向けにも販売する方向に誘導することができて、需給の安定が図られ、ひいては酪農家の所得の向上に寄与することになるというように考えております。
また、生産者にとりましては、仕向け先を自由に選べる環境を整備する今回の改革によりまして、みずから生産した生乳をブランド化し、加工、販売する取り組みなど、創意工夫による所得向上の機会を創設しやすくなるというように考えております。
このように、今回の改革によりまして、バターなどの消費者のニーズに応じた多様な牛乳・乳製品を安定的に供給していくということが大変重要なものであろうというように思っておりますので、改革についての目標を達成するべく、真摯に取り組んでいきたいというように思っております。
○小山委員 需給が安定することによって所得が向上するというお話でしたが、そこのところは、どう酪農家の方々の所得が向上していくかというところとしては、今の御説明だけではちょっとわかりにくいところがございました。
またこれも、次の法案が出てくる際には、どういうロジックで、どういう法律の改正によって酪農家の所得に具体的に結びつくのか、ぜひ答弁いただければと思っております。
それと最後に、畜産について、現状、子牛価格が非常に高騰しております。肥育農家は高い子牛を購入して肥育しているんですけれども、枝肉価格が低下した場合に、子牛価格と肥育費用に見合った販売収益を確保できない、そういう可能性もある。人によっては、これは今バブルじゃないかと言う人もおります。
このことについて、子牛価格の異常とも言える高騰に対する認識と今後の対策について、政府としてどのように認識、対策を講じていらっしゃいますでしょうか。
○齋藤副大臣 委員御指摘のように、肉用子牛価格が高騰している中で、繁殖雌牛の増頭などによって肉用牛の生産基盤の強化を図っていくことは重要な課題であると認識しています。
このような中で、繁殖雌牛は、平成二十八年に五十八万九千頭と、六年ぶりに増加に転じました。前年比九千頭の増であります。雌牛を肉用としてではなく繁殖用に仕向ける割合、これも上昇傾向にございます。こういったことから、肉用牛の生産基盤は回復の兆しが見え始めているのかなと感じているところでございます。
農林水産省といたしましては、畜産クラスター事業を活用いたしまして、子牛の育成部門を外部化して増頭を可能とするためのキャトルステーション等の整備、優良な繁殖雌牛の増頭や導入に対する奨励金の交付、繁殖雌牛の増頭に必要な簡易畜舎等の整備、情報通信技術等を活用した発情発見装置や分娩監視装置等の導入の支援、こういった措置を行っているところでありまして、生産回復に向けた動きが確固たるものとなりますように引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
また、委員御指摘のように、肥育農家の経営安定対策といたしましては、枝肉価格が下落し、粗収益が生産コストを下回るようになった場合には、その差額の八割を補填します牛マルキン、これを措置しているところでございます。
○小山委員 もう時間が来たので終わりますが、このまま頭数がふえて、価格も今の枝肉価格が高いまま行ってソフトランディングすればいいんですけれども、もしもの場合もあるので、マルキンの法制度化、これは私どもも議員立法で提出しておりますので、これに乗っていただいて、一日も早い、もしものことが起きなきゃいいですけれども、起きたときのために、ぜひこれは私どもの提出しておりますマルキン法制度化に賛成をしていただければと思いまして、それを申し上げて終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○北村委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史と申します。
ちょっと飛び入りでございますが、御容赦をいただきまして、二十分時間を頂戴しますので、質問させていただきたいと思います。
農水委員会は経験はあるんですが、しばらくというか、ふだんは別の委員会で活動しておりまして、久しぶりに来させていただくと、そういえばと言ったら怒られますけれども、齋藤副大臣、細田政務官には役所時代にお世話になっておりまして、ありがとうございます。役所の話を余りすると好評ではないのでもうしませんが、きょう井上局長もおいでをいただいていまして、よろしくお願いします。
きょうは大臣に通告させていただいていますが、ここは俺だというところはやっていただいて、あとは局長にいろいろやっていただければ、気楽にのんびりやっていただけたらと思います。
また、小泉進次郎議員、御無沙汰しております。政務官をやっていらっしゃったときに大変お騒がせをしまして、申しわけありませんでした。重徳委員ともども、ニューヨークのコロンビア大学の同窓ということで、関係ありませんが、またよろしくお願いします。ちょっとたもとを分かっていましてね、重徳さんとは。何で民進党に行っちゃったのかなと今でも思っていますが、まあ、いろいろあるんでしょう。
さて、時間が余りありませんから、豊洲の話ですね。東京都の自治事務ですから、関係ないと言われれば関係ないんですが、これは大変国民の関心も強い、大きなものがございます。また、卸売市場というのは東京だけじゃありません。大阪の私の地元にも大阪府の卸売市場がございまして、うちは地下水はどうなっているんだみたいな話になっていまして、結構これは物議を醸しているわけであります。
時間がないので結論を急ぐと、私は、これは東京都はちょっと二重基準じゃないか、こう思っているわけですね。築地でもいろいろ議論が出てきています。
ちょっと簡単にレビューすると、簡単ですよ、土壌汚染については国の法律があります。土壌汚染対策法。東京都は、東京都の環境確保条例という、土壌汚染とかを含む条例が、二階建て。一階の部分は国の法律、二階は都の条例。その三階に、豊洲市場だけに適用される地下水基準というのがあるんですね。三階建てなんです。ところが、東京都は、豊洲には地下水基準を適用しているけれども、築地には適用していないんです。これはおかしくないですかというのが質問なんです。
土壌汚染対策法を持っている環境省にもきょうはお越しいただいていますが、卸売市場を所管、所管というか、卸売市場法を持っていらっしゃる、認可等の権限を持っていらっしゃる農水省、農水委員会ですから、その両方から、これは二重基準じゃないのかということについて御見解をお教えいただきたいと思います。どちらからでも結構ですが、どっちから行きましょう。では、農水省から。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
東京都におきましては、築地市場については、土壌汚染対策法等の法令上の問題はなく、人の健康に影響を与えることはないとしております。
他方、豊洲市場への移転につきましては、現在、市場開設者である東京都の設置した専門家会議、また市場問題プロジェクトチームにおきまして、土壌汚染対策を含めて議論がなされているというふうに承知をしてございます。
私どもの認識といたしましては、土壌汚染対策法につきましては、形質変更時要届出区域ということに現在豊洲はなっておりますので、この現在の区域指定を前提とすれば、例えば将来卸売市場法の認可申請が出てきたときに、この点だけをとってみれば、認可の障害になるというふうには考えてございません。
いずれにしましても、中央卸売市場におきます食の安全性の確保につきましては、まずは開設者である東京都が責任を持って対応することが必要と考えておりまして、将来、豊洲市場への移転について東京都から認可申請がなされた場合には、農林水産省としても、卸売市場法の認可基準に従って厳正に審査を行ってまいりたいと考えてございます。
○早水政府参考人 お答えいたします。
以前もお答えしておるところでございますけれども、豊洲市場の予定地は、土壌汚染対策法に基づきまして形質変更時要届出区域に指定されております。当該区域において掘削等を行う場合には、都道府県知事等に届け出て、施行方法等に問題がないことの確認を受ける必要がありますが、利用用途を制限する規定はございません。
それで、豊洲市場において実施されております土壌汚染対策につきましては、卸売市場における食の安全、安心を確保する観点から、豊洲新市場整備方針に基づいて東京都において独自に実施をされているものでありまして、その必要性につきましては卸売市場を開設される東京都において判断されるものと考えております。
○足立委員 きょうはもう何回も往復する時間がないのでこっちから言いますが、要すれば、両方のマーケットとも、市場とも、法律と条例は守られています。要は、一階と二階はクリアしているんですね。これはもうほかの委員会で確認しています。
問題は、繰り返し言いますが、さっきの三階なんです。豊洲市場に適用されている、今いみじくも環境省の早水官房審議官の方から、いや、これは豊洲市場の食の安全、安心を確保するための基準なんだ、こう紹介がありました。井上局長、これはおかしくないですか。もし、この地下水基準が豊洲市場の、卸売市場の食の安全、安心を確保するために必要な基準なのであれば、これを築地市場にも適用すべきじゃないですか。
○井上政府参考人 中央卸売市場は食品流通の重要な基盤でございまして、食の安全性を確保しつつ、円滑な食品取引の機能を発揮していくことが重要でございます。したがいまして、生鮮食料品等の安全衛生面について確保していくことは当然といたしまして、取引の円滑な運営というのが行われるということも卸売市場法の認可基準にもなっておりまして、その意味で、取引が円滑に行われるような環境整備というのはまず開設者において検討されるものと考えてございます。
○足立委員 今、井上局長がおっしゃったように、日本の、日本のというか、卸売市場法の枠組みの中にも、安全という言葉と安心という言葉が出てきます。卸売市場法の指針だったかな、何かそういういろいろなものに書いてあるその安心という言葉は、今、井上局長がおっしゃったように、基本的には、食品の、何でしたっけ、そういう衛生面とか、そういうものを念頭に置いて安心と書いてあるのであって、土壌汚染、地下水の水質を念頭に安心と書いてあるんじゃないですね。そこだけ確認です。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
食の安全を確保するということが大前提でありまして、さらに、先ほども申し上げましたが、生鮮食料品等の円滑な取引等の機能を発揮できるように消費者の信頼を確保する等、行っていく努力も必要であるというふうに考えてございます。
○足立委員 井上局長、まことに申しわけないんだけれども、更問いをすると、そこには、今おっしゃった安心には、土壌に係る、土壌汚染とかあるいは地下水の水質とか、そういうものも、農水省としてそれは含んでいるということか、私は含んでいないと思っていたんですけれども、含んでいるということでしょうか。
○井上政府参考人 お答えを申し上げます。
中央卸売市場についての開設等の認可基準の中に関係法令に適合しているということがありまして、この関係法の中には土壌汚染対策法でありますとか食品衛生法というのがございますけれども、これらの法令に違反しているのかいないのかというところを審査するということになります。
○足立委員 繰り返しになりますが、安全と安心があるわけですね。先ほど井上局長からも御答弁いただいたように、土壌汚染対策法を満たしていれば、土壌汚染や地下水の水質がどうなっているかをもって認可に与える影響はないと。法令を満たしていれば、土壌汚染対策法を満たしていればそれでいいんだという先ほど御説明、一番最初の御答弁でいただいた。
もう切り離して、答弁しにくいのかもしれませんが、農水省がそもそも立法時に立法意思として想定していた安心というものに、もしそこに土壌に係るものが含まれるんだったら、先ほどの答弁と矛盾しますよ。先ほどの答弁は、土壌汚染対策法を満たしていれば、土壌汚染、地下水の水質に係る問題は認可上ないというのが最初の答弁です。矛盾していませんか。
安心には、要は、土壌、地下水については土壌汚染対策法を満たしていればそれでいいんだと。それにさらに安心を求めることは、農水省としては、全国の卸売市場にさらに上乗せして、そこに安心を求めていることはないんだとしか僕は理解できないんですけれども、どうですか。
○井上政府参考人 中央卸売市場の開設等についての認可を行う際の要件といたしまして、中央卸売市場整備計画に従っていることというのがございます。
この整備計画、一番新しいものは昨年の四月に策定をした第十次の中央卸売市場整備計画でございますけれども、この中におきましては、「中央卸売市場の整備に当たっては、災害等にも備えつつ、生鮮食料品等の安全を確保し、消費者等の安心につながるように留意する。」ということとしてございます。この記載は、生鮮食料品等の安全を確保すること、それが消費者の安心につながるという基本的な考え方を示したものというふうに認識をしてございます。
○足立委員 まさに今の御答弁、私はもう全く大賛成でありまして、安全を確保する、その安全を確保していることについて適切にリスクコミュニケーションをすることが安心につながる。
すなわち、安全基準の上にさらに安心基準というのを設けるのはナンセンスで、特に豊洲市場だけに適用される基準を設けるのは、東京都としての二重基準。日本国に四十七基準があるのは仕方ないですよ、地方の自治ですから。しかし、東京都という主体が東京都の中で別の基準をつくるのは私はおかしい、こう言っているわけですね。農水省に余り言っても申しわけないので、これぐらいにしておきますが。
次に、ここ数日、具体的には二月の二十八日に、日本維新の会あるいは私の事務所が東京都に情報公開請求をしてきた結果が東京都から届きました。それが二月の二十八日です。その情報公開請求の結果、築地市場の地歴というものを東京都は持っていたということがわかりました。
国会で私が言うのは気に食わないということだと思いますが、情報公開請求の資料が私の事務所に届いた同じ日の夜の九時に小池都知事は急遽会見を開きまして、いや、実は地歴がありましたということを発表されたわけであります。
この築地市場の地歴については、これは何のために、いつ東京都は把握したと承知をされていますか。
○早水政府参考人 お答えいたします。
その点につきまして東京都にお聞きをしたところ、築地市場の土地利用履歴に関する情報にはさまざまなものがあり、一概にはお答えしにくいということですけれども、環状二号線の工事に伴いまして、三千平方メートル以上の敷地において土地の改変を行う契機があったため、平成二十七年三月十日に、東京都環境確保条例の担当としての東京都知事に対して、築地市場に係る土地利用の履歴等調査届出書が提出され、築地市場の土地利用履歴が詳しく把握されたとのことでございます。
○足立委員 ありがとうございます。
今報道では、私が余りやっても、ネットには出るんですが、地上波とか新聞にはなかなか出ないので、なかなか苦しいところなんですが、もうマスコミに載るまで言い続けようと思っているんですが、マスコミに載っている限りの情報では、東京都がこれを把握したのは二十八年三月だ、だから、一年近く隠蔽していたのではないかという議論になっています。ただ、今まさに御答弁があったように、さらに一年、二十七年の三月の十日までには東京都は把握をしていたわけですから、二年近く隠蔽していたのではないかという疑惑があるわけであります。
この議論は余り歓迎されないんですよね、農水、大丈夫ですか。結構雰囲気がじめっとしていてやりにくいんですけれども、大丈夫ですか。与党も、やめろとかいう感じじゃないですよね。大丈夫。結構やめろと言われることも多いんですよ。いや、もう大変和やかで、村岡先生までいらっしゃるから、昔は尊敬していたんですけれども、今は党が違うのであれですけれども。
二年近く隠蔽していた。これはもう事実隠蔽していたんですよ。これだけ卸売市場の問題が国民的な大関心事になって、築地だ、豊洲だということになっているわけです。東京都のこの二年近くの隠蔽、問題じゃないですか。監督官庁として、どういう監督の仕方かちょっと法令のスキームはわかりませんが、問題だと言ってください。
○井上政府参考人 ただいまの地歴調査の件につきまして、東京都の中央卸売市場担当部局に確認をいたしましたところ、東京都の建設部局から東京都の環境部局に対して届け出が出された経緯は先ほど環境省からの答弁にもありましたとおりでございますけれども、東京都の市場部局としては、この届け出に関して情報を入手できるという仕組みに実はなっておりませんで、東京都の市場部局がこの地歴調査の具体的な結果といいますか報告の内容について知ったのは、今回の情報開示請求、二十九年の二月の件でございますけれども、この対応の過程で東京都の環境部局から情報提供を受けたということでございます。
なお、この地歴調査の結果については、法令に基づいて公表するということになっておりませんので、東京都市場部局によれば、隠すという意図はないけれども、積極的な公表は行わなかったということでございます。
○足立委員 大変わかりやすい、さすが井上局長でありますが、そのとおりだと思います。
ただ、結局、与党の皆様も、野党の皆様はどっちでもいいですが、御認識をやはり深めていただきたいのは、東京都というのはやはりまずいですね。だって、これだけ重要なことを、市場は、私が情報公開請求をして、それを手にする二月二十八日まで知らなかったというわけですよ。建設部局が環境部局に届け出をしていた。市場部局は知らなかった。二年近くですよ。
加えて、実は、もうほかのところでやっていますが、環境確保条例に基づく届け出義務が八件市場部局にあったのを、条例違反していたんですね、市場部局は。平成十三年以降ずっとです。だから、とんでもない伏魔殿という言い方がいいかわかりませんが、とんでもないんです。だって、政治家は一人だけだから、選挙で選ばれているのはね。区はありますよ、区は。
だから、私たち日本維新の会は、今回の築地市場の豊洲市場への移転問題については、今提言を取りまとめていまして、あす都庁を往訪して、出向きまして、日本維新の会としての提言を馬場幹事長からお持ちするということに予定をしておりますし、卸売市場法の改正についても改正案の策定を今しているところであります。
いずれにせよ、日本維新の会は、今最後に申し上げた都庁改革、都庁のガバナンス改革も含めて取り組んでいくことをお誓い申し上げて、この委員会での質問を終わります。
ありがとうございました。
○北村委員長 次に、畠山和也君。
○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
きょうは時間が短いですので、早速質問に入ります。
農業競争力強化の一端として、主要農作物種子法の廃止が閣議決定されました。法案としての審議は別の機会ではありますが、廃止の理由についてはきょうのうちに問いたいと思います。
種子法のもとで、基礎食糧である稲、麦、大豆の品種開発と安定供給が担保されてきました。都道府県ごとに気象や土壌条件が違う中で、その特性を踏まえて奨励品種を決めてきた仕組みは合理的だったと言えます。
そこで、廃止の理由なんですけれども、その一つに、地方公共団体のシステムによって民間の品種開発意欲が阻害されていることが挙げられています。具体的に何がどのように阻害されているのか、まず説明してください。
○柄澤政府参考人 お答えいたします。
主要農作物種子法第八条におきましては、都道府県に対しまして、当該都道府県に普及すべき主要農作物の優良な品種を指定するために必要な試験を義務づけているところでございます。
この試験を行って、普及すべき優良な品種、いわゆる奨励品種に指定されれば、都道府県がその種子の増産や審査に公費を投入しやすくなるということがございます。こういった状況の中で、都道府県が開発した品種が優先的に奨励品種になるということになっておりまして、例えば稲で見てみた場合に、民間企業が開発した品種で奨励品種に指定されたものは今までない状況でございます。このこと自体、今御指摘の、民間企業とそれ以外がイコールフッティングになっていない証左だというふうに理解しております。
このように、法律に基づきまして国が都道府県に奨励すべき品種を決定させる、こういう現行の枠組みを前提とする限り、民間企業の参入につながらず、マーケットのニーズを踏まえた種子生産を拡大していくことは困難であるというふうに考えているところでございます。
○畠山委員 今の答弁ですけれども、実態は、昨年ですか、神奈川県でも、全農のはるみという稲の品種が奨励品種とされました。また、農水省の資料でも、民間企業が開発したみつひかりは、三十八都府県で今や栽培されています。大手牛丼チェーンのニーズがあって、需要先の紹介とセットでPRすることで栽培面積が年々増加しているとまで書いています。
まず事実を確認しますが、それでは、民間で開発した品種が都道府県の奨励品種になれないんでしょうか。具体的に、これは事実の問題として確認したいと思います。
○柄澤政府参考人 民間企業が開発した品種につきましては、都道府県が試験を行って普及すべき優良な品種と判断して奨励品種に指定することは、現行制度上は可能でございます。
しかしながら、奨励品種に指定されれば県がその種子の増産や審査に公費を投入しやすくなるという状況の中で、どうしても都道府県が開発した品種が優先的に奨励品種になっておりまして、なかなか民間企業が開発した品種が奨励品種にならないということになっております。
そういった中で、今御指摘ございましたが、民間企業、一部、稲などの種子を生産しているところもございますけれども、そういった民間企業は、もう仕組み自体がそうなっているということを踏まえまして、この奨励品種を目指すということではなくて、むしろ、今御指摘ございましたように、実需者と結びついた形で販売先を確保するというような戦略をとってきている、そういう構造上の制度の中でそういうことをやっているということでございます。
○畠山委員 最初に聞いた、私は事実の確認だけだったわけです。現状でも奨励品種になることは可能であります。
それで、そもそも、農水省自身が種子法の意義を訴えてきた歴史があるわけですよ。これまでと説明が一変してきたというふうに思います。
規制改革会議が種子法を問題にしていた会議がありました。二〇〇七年ですが、四月二十日、規制改革会議地域活性化ワーキンググループの第二回農林水産業・地域産業振興タスクフォースです。当時の議事録を読むと、今私が前段に質問したようなことに農水省自身が反論文書を提出しています。
民間の新品種が奨励品種になることが極めて困難との指摘があるがとの問いに対して農水省は、奨励品種に採用する品種については、公的機関が育成した品種に限定しておらず、本制度が新品種の種子開発の阻害要因となっているとは考えていないと書いています。同じく、奨励品種制度が生産、販売、普及の妨げとなっているというような指摘にも農水省は、優良なものは積極的に奨励品種に採用するよう都道府県に対し指導している、奨励品種制度が新品種の生産、販売、普及の妨げになっていないと考えると明確に述べています。
民間の開発意欲を阻害しているとの指摘に対して、これまで明確にこのように否定してきたではありませんか。なぜ認識が変わったのですか。
○柄澤政府参考人 もとより、稲、麦、大豆が我が国の土地利用型農業における極めて重要な作物でございますし、その生産における基本的資材であります種子が重要な戦略物資であるという考え方については、今までも今後とも一貫しているところでございます。
ただ、そうした戦略物資として重要な種子の安定供給のための手段を考えてみた場合に、現行の主要農作物種子法におきましては、優良品種の指定ですとか、あるいは原種、原原種の生産を全国一律で法律に基づいて都道府県に義務づけるというスキームをとってやってまいったわけでございます。
しかし、近年の状況を見ますと、種子生産者の技術水準の向上等によりまして、種子の品質は安定しておりますし、むしろ、実需者のニーズを踏まえた民間企業の品種も開発されてきている。こういった現下の状況を鑑みました場合に、今後はこのような民間ノウハウを活用しながら種子の安定供給を図っていくことが必要であるという判断に至ったところでございます。
そういったことから、今般、主要農作物種子法を廃止しまして、都道府県による種子開発、供給体制を生かしながら、民間企業との連携によって種子を開発、供給していくこととしたところでございます。
○畠山委員 ですから、阻害をしているということについての根拠は薄いと思うんですよ。それならそれで、現行の法律に民間との連携を書き加えれば済むだけの話であって、その是非は別ですけれども、一体なぜ廃止するのかという理由は私は納得できません。
そこで、最後に大臣に伺います。
種子法の廃止に対しては、懸念の声が少なくありません。日本農業新聞二月二日付論説には、次のように書かれています。「民間参入を促す狙いだが、主食の種子は食料主権の根幹に関わると知るべきだ。」「生産者に十分な説明がないまま廃止に突き進むのは、国民無視と言わざるを得ない。まず、廃止の是非、必要性を広く議論すべきだ。」との論説です。もっともな指摘だと私は思いました。
基本的な農業資材である種子、今回は稲、麦、大豆ですが、そのものについて、種子についての認識を最後に大臣に伺っておきます。
○山本(有)国務大臣 稲、麦、大豆、これは我が国の土地利用型農業における重要な作物でございます。その生産における基本的資材でございます種子は、重要な戦略物資であるというように考えております。
このような稲、麦、大豆の種子につきまして、都道府県が中心になって種子の生産、普及を行ってきたところでございますが、近年、実需者のニーズを踏まえた民間企業の品種も開発されているところでございまして、今後はこのような民間ノウハウも活用して、多様なニーズに対応する必要があるというように考えております。
このため、今般、主要農作物種子法を廃止させていただきまして、都道府県による種子開発、供給体制を生かしつつ、民間企業との連携、これを深めまして、種子を開発、供給していくというようにしたいところでございます。
○畠山委員 時間ですので終わりますが、廃止する根拠として十分な説得力を持ち得ているとは思えません。慎重な審議が必要であることを委員各位にも呼びかけまして、私の質問を終わります。
○北村委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 民進党の重徳和彦です。
質問に入ります前に、ちょっと通告のない質問をさせていただきたいと思いますが、けさの朝日新聞朝刊に大きく載っておりましたので、恐らく大臣のお耳にも届いておりますので、大臣からのコメントをいただきたいと思います。
国営諫早湾干拓事業をめぐる和解協議で、堤防を開門しない案で決着を目指す農水省が、開門を求める漁業者を説得するための想定問答をつくり、地元漁業団体の幹部に示していたということが大きく取り上げられておりましたが、この件について農水省のお考えを述べていただきたいと思います。
○山本(有)国務大臣 けさの新聞の報道、これは承知しております。
諫早湾干拓開門問題につきまして、複数の訴訟が現在提起されております。今、長崎地裁で訴訟指揮をいただきまして、和解に向けた関係者の交渉が行われているところでございます。このような和解協議のもとでの三県の漁業団体との交渉に係る内容、これを申し上げることは、漁業団体との交渉に支障を及ぼす等、交渉当事者としての地位を不当に害するおそれもありますので、このことに対する言及は控えさせていただきたいというように思っております。
○重徳委員 私は諫早湾の地元の議員でもありませんので、農業者の方、漁業者の方、開門派、開門をするべきでないという、どちらにも明確にくみするという見識も持ち合わせません。そして、農水省もその訴訟の当事者である以上、一定の主張を持ち、そして説得をする、したい、これは決しておかしなことではないんじゃないかと思っております。
しかし、問題は、漁業団体の幹部の皆さんに対して、漁業団体というのは長崎、熊本、福岡、佐賀とあるわけですけれども、これらの漁業団体の幹部に対して想定問答を示したというその中身ですね、朝日新聞の取材が間違いないのであれば。
この想定問答には、例えばこんなことが書いてあります。開門調査の旗をおろしていないのに開門にかわる基金を担うというのは矛盾しているじゃないかと問われたら、いや、開門調査の是非を棚上げするものであり、開門調査の旗をおろしたことにはなりませんというQアンドAがあります。あるいは、百億円では足りない、増額を要求すべきというクエスチョンに対して、自分、つまり会長、組合長としては、百億というのは十分な規模をとれたと考えている。あるいは、我々末端の漁業者の意見は聞いてもらっていないじゃないかということに対しては、まずは基金をかち取ることだから、任せてほしいと言っているなどなど、これらは、私は二つの意味において非常に不適切な想定問答だと思います。
一つは、漁業団体の幹部というのは、やはりその地域の漁業に対して責任を持つ立場であり、また、毎年国からさまざまな予算を獲得する、そういう立場でもあるわけですね。それができなくなったら責任問題、地元の漁業者に対する責任というのも生じる。そういう立場の方々に対して、国の言い分を、このような今申し上げたような内容を示すということが問題。
それからもう一つは、漁業団体の幹部というのは、その地域の漁業者を代弁しつつ、またそれをまとめる責任もあるわけでありますが、それをどういうふうにまとめるのかとか、漁業者からこう言われたらああ答えろというようなことを指図するというのは、こういった責任を果たせなくなる。
自分の言葉じゃないのに、国から言われたから、百億円で十分だと思っているというようなことを言わされる。こういう、中身以上に、こういったそれぞれの立場、役割というものを超えた想定問答というものを配るというのは、これは単に国の主張を述べて、主張して、説得するというその範囲を大きく乗り越えているというふうに思いますので、訴訟の内容にかかわる、かかわらないいかんを問わず、こうした、立場をわきまえないような紙を配るということについて、大臣としてどのように思われていますか。
○山本(有)国務大臣 三県の漁業団体それぞれが組織内の議論を積み重ねておられまして、国の提案しました基金の受け入れにつきましての御判断をいただいております。
いずれにしましても、全てこの件に関しましては、長崎地裁の訴訟指揮のもとにある和解に向けた関係者のお話でございますので、これに言及することは差し控えたいと思っております。
○重徳委員 ちょっと繰り返しになりますけれども、今私が申し上げたことはわかりますよね。百億円が十分かどうかなんということは、団体の幹部の皆さんが漁業者の方に対して、仮に、自分はこう考えると言って初めて、漁業者に対しては説明責任、まとめる役割というものを果たせるのであって、それが、この想定問答に影響されていようとされていまいと、こういうものが出たことによって、まとまるものもまとまらなくなるかもしれない。
こういうようなやり方をするということ自体、私たちからこう問われたときに、コメントは差し控えさせていただきたいと言うのであれば、それ以前に、漁業団体に対する物の言い方としても、こういったことは差し控えるべきではなかったかと思うんですけれども、もう一度お伺いします。
○山本(有)国務大臣 和解協議は大詰めでございますし、月内にもまた和解期日が入っております。非常に微妙な段階に来ておりますので、私からのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
○重徳委員 この想定問答を示したことが事実であれば、それは不適切だったというコメントになりますか。それすら述べることはできませんか。
○山本(有)国務大臣 いずれにしても、微妙な段階でございますので、控えさせていただきたいと思います。
○重徳委員 やはり、こういった内容に、私自身も、ずっと前から物すごく深くかかわっていたわけでもない私が見ても、この姿勢というのは明らかにおかしいんですよ。そういう認識をぜひ持っていただきたいと思います。
今お答えは、もう何遍聞いても同じ答えしかできないということなんでしょうけれども、この点については大変、地元の方にとっても、あるいは国の行政に対して、しっかりとした、私たちの立場からすると、国の行政に対して監視をする役割である我々議員としても非常にゆゆしきことだと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
さて、本題に入りますが、森林環境税、前回二月十五日のこの委員会におきましても、森林環境税について大臣の見解をいただきました。
基本的には、年末の与党の税制改正大綱に沿ったラインでこれから検討を進めるというような内容でございましたが、ちょうどその後しばらくしたら、皆様方のお手元にも配ってあります、これは日経新聞ですが、三月三日に森林環境税についての記事が掲載されました。これは新聞記事なので、そんな、めちゃめちゃ詰めた内容ではないとは理解しておりますが、少し気になる言葉があって、この内容について確認をしたいと思います。
まず、この記事の冒頭、「総務省は森林環境の保全を目的とする地方新税の検討に入った。」とあります。これ、地方新税といいますが、現在、三十七府県において、県民税という形で、超過課税という形で森林環境税が設けられております。ここに対して、本当に地方の税でいくのか。県税を重ねてということはないのかなと思いますが、それでは市町村税になるんでしょうか、どうなんでしょうか。
○開出政府参考人 お答えいたします。
平成二十九年度与党税制改正大綱におきましては、森林環境税、仮称でございますけれども、につきましては、都市、地方を通じて国民にひとしく負担を求めることを基本とし、市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てることとされております。
したがいまして、徴収した税収が森林整備等を実施する市町村に配分されることが重要であると考えております。
現時点で、どの税目にするかを含めて、森林環境税の具体的な仕組みについて方針が決まっているわけではございませんが、今申し上げた点を踏まえ、どのような税の仕組みがあり得るか、今後、地方団体の意見も十分伺いながら検討してまいりたいと考えております。
○重徳委員 これは仕組みを検討されるということでありますので、今、もちろん決め切ってはいないと思いますけれども、幾つかの考えられる仕組みがあると思います。
今申し上げましたのは、今導入されているのが県税でありますから、そしてその徴収も、個人市町村民税とともに県民税を徴収しているということでありまして、ここに乗せるのであれば、国税をここに乗せて徴収するというやり方が一つあると思います、これは前例がないんじゃないかと思いますけれども。
それから、市町村民税であれば、もともと取っているわけですから、そこに上乗せをするということがあり得るだろう。
しかし、市町村民税であるとした場合の課題は、当該市町村に対して徴収した税が配分されるかどうかわからない。つまり、都市部において、森林なんか全くない、そういう地域から市町村民税と称して徴収した税金がその当該市町村には全く配られないということであるにもかかわらず、それを市町村民税という名で徴収する、これは本当にいいのかどうか。
あとは、いまだかつてない仕組みじゃないかと思いますが、地方が共有する税金という新しい類型をつくって徴収するとか。
幾つか、現時点においても想定されるシミュレーションはあるんじゃないかと思いますが、現時点で、このあたりについて披露できる部分がありましたらお願いしたいと思います。
○開出政府参考人 お答えいたします。
仕組みにつきましては、今委員がおっしゃったような幾つかの方法があろうかと思います。
問題点につきましても今お話があったとおりでございまして、国税とする場合の課題といたしますと、仮に、住民税の均等割を活用するということが前提でございますけれども、地方税の特徴である応益性、負担分任性を最も反映する均等割を形式的とはいえ国税にするという点について、いろいろ議論があるところでございます。
また、市町村税とする場合には、おっしゃったとおり、一旦市町村に帰属した財源を他の市町村に移転させることについて課題があるところでございます。
今後、こういった点につきまして、地方団体の意見等も伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。
○重徳委員 非常に新しいというか、いまだかつてないような仕組みに、いずれにしても、どこかの点で新しい、こういう制度になると思います。こういったなじみのない制度であるがゆえに、そこに対する異論、反論なども想定されるものですから、私自身は推進派なんですけれども、ぜひ、数百億円という、かなり森林に携わる皆さんにとっては大事な財源になろうかと思いますので、そして与党税制改正大綱によれば、ことしじゅうには結論を出す必要があるというような方向性も出されていますので、ぜひお願いしたいと思います。
それからもう一点、この記事には軽く最後のところに「二重課税になる。」なんということが書いてあるんですが、これはちょっと言葉の定義上おかしな表現かもしれませんが、言いたいことはわかりますね。つまり、都道府県が今課税しているところに、同じような目的で、同じような使途で、国税あるいは市町村民税になるかわかりませんが、そういった課税をするわけであります。
このすみ分けについて、前回は農水省から一応お聞きしましたが、明確なお答えはありませんでした。制度を所管する総務省としての見解を教えてください。
○開出政府参考人 お話ございましたように、平成二十八年四月時点で、四十七都道府県のうち三十七府県におきまして、森林環境保全を目的として超過課税を実施しております。
新しく設けられる森林環境税につきましては、与党税制改正大綱におきまして、市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるためのものとされてございまして、基本的に市町村の財源になるものと考えております。
したがいまして、現在三十七府県の財源となっている超過課税との関係につきましては、一定の役割分担を行うことが可能であると考えてございますが、今後、超過課税を行っている団体の御意見やそれらの運用実態も伺いながら、新税の具体的な仕組みについて検討を行ってまいりたいと考えております。
○重徳委員 要するに、県税か市町村税かということ自体が、そのものがすみ分けだというような御答弁だったということでよろしいですか。要するに、市町村の財源なのか県の財源なのか、ここがすみ分けだということでよろしいですか。
○開出政府参考人 御指摘ありました点につきましては、今後、新税が市町村の具体的などの事務事業に充てられるのかということが明確になることが前提ということでございますけれども、基本的に、都道府県財源、市町村財源、そういったところで仕分けていくのかなというふうに考えております。
○重徳委員 ありがとうございます。
では次に、外国産の違法伐採木材への対応について質問をさせていただきます。
資料の二に、去年の五月に成立をいたしました合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律、クリーンウッド法と言われておりますけれども、この内容、概要の資料を添付させていただきました。
この法律ですが、ことし五月二十日施行ということであります。内容的には、これは議員立法でありますので、政府に対してその大枠について今さら四の五の言うことはできないのかもしれませんが、諸外国と比べると相当緩い規制になっていると思います。
当然、趣旨としては、世界各国においてもそうですが、生態系とか地球温暖化防止といった目的のために国立公園とか斜面、川岸を保護しなきゃいけない、こういう中で、無許可で伐採をしているとか、さまざまな違法な伐採が行われている、この状況を食いとめるという趣旨でございます。
違法伐採の実態というのは、いろいろな調査があって把握し切れておりませんけれども、数字によっては、一割、二割、三割ぐらいは違法伐採が取引の中で流通しているんだというような推定もあります。
これはもう国際的な問題でありますので、我が国もようやく一応の法律の形ができて施行されるということではありますが、本来、これは、国際的な問題という観点からすると、生物多様性とか気候変動と同様に国際的な条約、枠組みというものを設ける必要があるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、どのようにお考えでございましょうか。
○山本(有)国務大臣 御指摘のように、いわゆる違法伐採対策について、条約といった形での国際的な枠組みはないところでございます。累次のG7サミット等の国際会議における宣言文におきまして、対策の強化が確認されているところでございます。
我が国におきましては、平成十七年に英国で開催されましたグレンイーグルス・サミットの結果を踏まえまして、平成十八年に、世界に先駆けて、グリーン購入法によりまして、政府調達の対象を合法性が証明された木材とする措置が導入されているところでございます。
昨年五月に成立いたしました合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律第三十二条におきまして、国は、外国における違法伐採の抑止のための国際的な連携の確保など国際協力を推進するというように明記されておりまして、このような規定を踏まえて、引き続き積極的な国際協力に臨んでいきたいというように考えております。
○重徳委員 ぜひ積極的に推進していただきたいと思います。
現場の林業者の方々からすると、違法伐採の問題というのは、環境問題とかいうグローバルな問題もあるにはありますけれども、むしろ違法な安い木材が大量に国内に入ってきているのではないか、そういうものが入ってきているがゆえに木材の市場価格が低く抑えられているのではないか。逆に言うと、違法伐採をなくせば木材価格が一定程度上がるんじゃないか、こういうことに期待をする声もあるんですけれども、農水省としてはどうお考えでしょうか。
○今井政府参考人 お答えいたします。
違法伐採木材の価格に対する影響ですけれども、先生からの御指摘もありましたように、輸入された木材を見ただけではどれが違法に伐採された木材かということがわからないものですから、違法伐採木材の輸入が国内の木材価格にどの程度の影響を与えているかということは、なかなか把握がしがたいわけです。
今回、これまでグリーン購入法に基づきまして、政府が調達する木製品を対象に合法木材の利用拡大を進めていたものに加えまして、今度、民間での取引にも合法性の確認の取り組みが広がるということと、合法性の確認を行う事業者を登録できる制度を新たに設けるということで、関係者の期待も高まっておりますので、林野庁といたしましては、この法律の施行を間近に控えている中で、法律内容の周知徹底ですとか、省令案の説明ですとか、あと登録実施機関の体制整備、そういったことを着実に進めていきたいというふうに考えております。
○重徳委員 実態がわからないからどうかわからないというのはそのとおりなのでありますが、ある研究者によれば、七%ぐらい、違法伐採がなくなれば価格が上がるんじゃないか、こういう指摘もあるわけでありまして、そういう面からも期待をしたい取り組みなんですが、ちょっと緩いんですね、この法律。
この資料にもありますように、この法律で一応捉えている木材関連事業者というのは、全てなんです、非常に広いんです。輸入業者、川上から、製材業者、合板、流通、工務店に至るまで、あるいはパルプ、製紙業者とか、バイオマスも省令で追加するということでありますので、非常に広いんです。
ただ、この合法、違法の確認を義務づけられているのが非常に狭くなるんじゃないか。登録木材関連事業者という、登録をしない限りこの合法性の確認をする必要がないわけですから、登録という自発的な形で一体どれだけの方々が登録木材関連事業者になる見込みであるのでしょうか。御答弁をお願いします。
○今井政府参考人 お答えいたします。
先ほども申し上げましたように、現在、グリーン購入法に基づきます合法性の確認ということを行っておりますけれども、グリーン購入法に基づく合法性証明ガイドラインに基づく業界団体認定を行っている会員が現在約二万事業者程度ございます。今度のクリーンウッド法の施行に当たりましても、まず、今、グリーン購入法に基づいて業界団体認定を行っているこの二万事業者を出発点にしまして、これらの事業者や業界団体の会員を対象に登録木材関連事業者への登録を促していくということになろうかと考えております。
○重徳委員 欧米とかオーストラリアでは、基本的に、木材の輸出入とか出荷を行う者、つまり川上に位置する人全員を規制の対象としていますから、そこから川下に至るまで網羅がされているというたてつけになっていると思うんですけれども、百歩譲って、まずはここからスタートだということだと思います。
この合法性を確認するための判断基準も、今回、省令において定められるということでありますが、ちょっと、その内容については時間もないので問いませんけれども、合法性が確認できた木材とそうでない木材、これはどのように区別して取り扱って、それを何か書類上とか、あるいはその木材、最終的な製品に表示するとか、どういう仕組みでこの合法性の確認木材かどうかというのが示されるんでしょうか。
それから、合法性が確認できていないものについても、そのまま流すということに、そのまま、わかるように流通させるということになるんでしょうか。
○今井政府参考人 現在、省令案をパブリックコメントにかけておりますけれども、その中におきまして、確認につきましては、最初に国内で木材を取り扱う第一種木材関連事業を行う者というものと、それ以降に木材等を譲り受けて事業を行う第二種木材関連事業を行う者に分類した上で、第一種木材関連事業を行う者につきましては、取り扱う木材について、輸出業者等から提供を受けた情報だけでは合法性の確認をできない場合には、さらなる情報の収集や流通経路の確認などの追加的な措置を行い、その追加措置によっても合法性が確認できなかった場合には、当該木材を取り扱わないことにするか、または合法性確認に至らなかった木材等として流通させるということになろうかと考えております。
○重徳委員 要するに、合法性確認に至らなかった木材もそのまま市場で取り扱うということなわけでありますが、このまま施行して、漫然と施行するだけでは、この先につながりません。
そこで、大臣にお尋ねしたいんですけれども、やはり諸外国と比べて、少なくともスタートは緩いところからスタートする、これは否めないところだと思いますし、法律のたてつけがそうなっている以上、省令レベルでどうこうというわけにはいかないと思いますが、このままずっと緩いままじゃいけないと思うんですね。施行しながら、五月に施行になります、その後も、やはりできるだけ厳格化して、実効性のある制度にしていく必要があると思いますし、この法律そのものにも、五年後の検討、見直しという規定が附則にあるわけでありますので、施行後の取り組みとして、違法性のリスクが残る木材、これは当面市場で流通しますけれども、それにしても、それがどのぐらいあるのか、これをきちんと正確に把握して、そして、その状況を把握した上で、では何を目指していくのか、数値的な目標も含めて定めていくお考えがあるかどうか、お尋ねいたします。
○山本(有)国務大臣 この法律では、まず、登録実施機関は、登録実施事務の実施に当たり、省令で定める基準に適合する方法をとるということが要求されております。二番目に、現在パブリックコメント中の省令案では、当該基準の一つとして、登録木材関連事業者が、少なくとも毎年一回、合法伐採木材等の利用を確保するための措置の実施状況、これを登録実施機関に報告を行うということが求められております。
さらに、本法では、国は、登録実施機関や木材関連事業者から、必要に応じて合法性確認の実施状況などについて報告徴収を行うことができるというようにされております。
国におきましては、これらの措置によりまして、合法性確認の実施状況を的確に把握させていただいた上で、登録事業者や登録実施機関に対して必要な助言をするということによりまして、事業者による合法性確認の取り組みを定着させていくとともに、登録の推進を通じて、合法伐採木材等の流通及び利用の促進、これを図ってまいりたいというように考えております。
○重徳委員 ちょっと明確ではありませんでしたけれども、今後の目標を定めていく、そういった指針も指し示していくというようなお考えだというふうに今は捉えてよろしいですか。もっと明確な目標を定めていくのか。
○山本(有)国務大臣 まずは合法木材が優先するというような環境整備をしていくということでございまして、登録実施機関というものや、また登録実施事務というものを正確に行うことを中心に整備をさせていただきまして、その上で、また実施状況などの報告徴収義務を課していくわけでございまして、さらに必要なことがあれば、何らかまた措置を考えさせていただくというローリングになるわけでございます。
○重徳委員 現時点では施行前ですからその程度かもしれませんけれども、何らかと今おっしゃった中に、ぜひ、積極的に、これはグローバルな意味でも、そして現場の林業者の皆さん方のためにも、より厳格なルールの実行ができるように、実効性を高めていっていただきたいと思います。御要望申し上げまして、終わります。
○北村委員長 次に、斉藤和子君。
○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
食の安全にかかわって、消費者団体の中でも問題になっている、聞きなれないんですが、既存添加物の安全性の問題について質問します。
WTO協定を受けた一九九五年の食品衛生法改正で、それまで天然添加物としていたものを既存添加物としてから二十二年になります。
当時、千五十一品目あった天然添加物は野放し状態で、消費者からも、天然添加物の安全性を確かめて食品添加物の指定をすべきだという声が出されていました。
しかし、当時の厚生省は、一九九五年の食品衛生法の改正で、千五十一品目あった天然添加物を安全性のチェックもせずに全て既存添加物として食品添加物の中に位置づけています。当時、消費者団体からも抗議の声が出されました。
そこで、お聞きします。一九九五年の食品衛生法改正に際し、衆参の厚生委員会で附帯決議がなされています。この既存添加物に対してどのような附帯決議がなされているでしょうか。
○馬場大臣政務官 お答えします。
一九九五年の食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案に対して、衆議院におきましては、「食品添加物の指定及び規格基準並びに残留農薬基準については、国際的基準も考慮しつつ、科学的根拠による安全性評価に基づき指定及び策定を行うとともに、最新の科学的知見に基づき適宜見直しを行うこと。特に、既存の天然添加物については、速やかに安全性の見直しを行い、有害であることが実証された場合には、使用禁止等必要な措置を講じること。」との附帯決議が付されております。
また、参議院においても同趣旨の附帯決議が付されております。
○斉藤(和)委員 つまり、既存添加物について速やかに安全性の見直しを行い、有害であることが実証された場合には、使用禁止など必要な措置を講じるということが国会の意思として出されているわけです。
では、この附帯決議に沿ってどのような安全性の見直しがされてきたのでしょうか。また、安全性の評価がいまだにされていない既存添加物はどの程度残っているのでしょうか。
○馬場大臣政務官 お答えします。
平成八年度の既存添加物の安全評価に関する調査研究におきましては、既存添加物四百八十九品目について国際的な評価結果に基づき安全性の検討を行った結果、基本的な安全性が確認されていないなどから、百三十九品目については安全性の確認を迅速かつ効率的に行うべきとされました。
その後、百三十九品目につきましては、順次、国内外の試験成績を収集するとともに、新たに毒性試験を実施して得られた知見を踏まえ、毒性学等の専門家による意見を聞きながら、安全性の評価等を行い、現時点では百三十五品目について評価を行っております。残り四品目ということでございます。
また、現在、国際的な評価を含めた安全性評価がなされていない品目数は百十四品目であります。
○斉藤(和)委員 残り四品目というお話がありました。
二〇一四年、平成二十六年の「既存添加物の安全性見直しの状況」という表が出されています。これを見ますと、「基原、製法、本質等からみて安全と考えられ、早急に検討を行う必要はない品目」というのが百九品目あります。これは、平成八年度の厚生科学研究「既存天然添加物の安全性評価に関する調査研究」、林班報告書というふうに言われているようですが、で判断されたものが土台になっています。
このとき、当時、その厚生科学研究、平成八年の段階でアカネ色素はどのような評価になっていたでしょうか。
○北島政府参考人 事実関係でございますので、お答えさせていただきます。
アカネ色素は、平成八年度の既存添加物の安全性評価に関する調査研究において、その当時入手できた各種安全性試験の成績に基づき評価が行われ、平成八年当時においては安全性の検討を早急に行う必要はないものと報告されております。
その後、平成十年にドイツで実施された発がん性試験により発がん性を疑われる結果が得られたため、国立医薬品食品衛生研究所において新たに発がん性試験を行った結果、発がん性の可能性のある結果が得られました。
これらの状況を踏まえまして、食品安全委員会において、アカネ色素については発がん性が認められ、ADIを設定できないと評価されたため、既存添加物から削除し、添加物としての使用を禁止したものでございます。
○斉藤(和)委員 つまり、平成八年の段階ではアカネ色素は安全だとされていたけれども、二〇〇四年、平成十六年段階で、遺伝毒性と肝臓への発がん性が認められているということで、使用を禁止され、削除されました。ですから、アカネ色素を安全だとしていた平成八年度の厚生科学研究の妥当性そのものが私は問われているというふうに思うわけです。
その平成八年の段階で早急に検討を行う必要がないとされた百九品目についても、早急に安全性評価が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○北島政府参考人 お答えいたします。
平成八年度の既存添加物の安全性評価に関する調査研究において、国際的な評価結果や欧米での許認可状況等を踏まえ、基本的に安全性が確認されていないなど、安全性の評価が早急になされるべきとされた百三十九品目の既存添加物のうち、現時点では評価が終了していない四品目については、引き続き早急に検討を進めてまいりたいと考えております。
なお、流通実態のないものにつきましては、安全性の評価を行うまでもなく、食品衛生法に基づき既存添加物から消除することとなっております。
また、御指摘のその他の既存添加物につきましても、安全性に係る情報の収集、検討を進めてまいりたいと考えております。
○斉藤(和)委員 その他に係る問題、つまり、早急に検討を行う必要がない百九品目についても検討を、今後安全性の確認を行っていくという答弁がありました。
これは非常に私は重要だと思うんです。一番最初に附帯決議で読み上げていただいたところにも、「最新の科学的知見に基づき適宜見直しを行うこと。」というふうにされているわけです。科学の進展とともに新しい知見がわかれば絶えず更新される、そのもとで安全性を確かめていくということが必要だというふうに思うわけです。
過去の知見に安住せずに、謙虚に安全性の評価を進めていくことが国会の決議でもありますし、その立場で既存添加物の問題も進めていくというお立場でよろしいでしょうか。
○馬場大臣政務官 お答えします。
既存添加物は、御指摘のとおり、平成七年の改正食品衛生法附則第二条に規定されているものであります。これは、改正当時既に添加物として使用されていたものの取り扱いを定めたものでありますが、特に時限を区切った暫定的な制度とされているものではないと理解をしておるところであります。
また、食品衛生法においては、既存添加物については法第十条の規定は適用しないとされておりますが、しかし、委員御指摘のような点もありますので、既存添加物については、国内外の試験成績を収集し、その試験成績について専門家による評価を進め、その結果について公表を行うとともに、安全性に問題があると認められる品目や流通実態のない品目については順次販売、製造を制限し、また規格基準の設定を進め、添加物としての品質や使用方法等を規制していくこととしております。
こういったことにより、その品質や安全性を確保してまいります。
○斉藤(和)委員 品質や安全性を確保してまいるということです。
既存添加物というのは、そもそも、食品衛生法の附則に、既存添加物に関する経過措置というところで位置づけられています。本来食品添加物は食品衛生法第十条に基づき指定をされているわけで、だからこそ、既存添加物も安全性をきちんと評価し、本来の指定制度の枠内に整理統合すべきではないかというふうに考えるわけですけれども、どのように今後進めていくお考えなのか、明らかにしてください。
○北島政府参考人 お答えいたします。
既存添加物は、御指摘のとおり、先ほど政務官からお答えしましたとおり、平成七年の改正食品衛生法附則第二条に規定されているものでございます。これは、改正当時既に添加物として長年使用されていたものの扱いを定めたものでありますが、特に時限を区切った暫定的な制度としているものではないことから、法第十条の規定は適用されないという整理でございます。
○斉藤(和)委員 例外的にとして既存添加物が置かれている、それを私は整理統合して、しっかりと成分や規格、そして摂取量などもチェックをしていく、そういう方向にしていく必要があるのではないかというふうに考えるわけです。
食品添加物の成分だとか規格を決めている食品添加物公定書、この第九版が出版される予定になっていますが、既存添加物三百六十五品目のうち、ここに載らない、収載されない予定の品目は何品目あるでしょうか。そして、本来、第九版公定書作成の基本方針でも、既存添加物などの規格を積極的に収載することとされています。にもかかわらず、収載されないものがあるのはなぜなのか、今後どのようにしていくのか、ぜひ明らかにしてください。
○北島政府参考人 御指摘の第九版食品添加物公定書に収載される予定のない既存添加物は百五十二品目となる予定でございます。
食品添加物公定書への収載につきましては、その品目ごとに規格基準を設定する必要がありますが、そもそも天然物である添加物について、その特徴を踏まえ、含まれるべき成分とその量、色や形状等の物理化学的性質を決定する必要があること、また、流通している添加物を実際に入手して分析方法を開発する必要があることなどから、規格基準を定めるためには一定の時間を要するものもあります。
引き続き検討作業を進め、規格基準の設定を行ってまいりたいと考えております。
○斉藤(和)委員 百五十二品目あるというお話でした。
つまり、安全かどうか、現に使われているから大丈夫だということでいえば、平成八年の段階で大丈夫だと言われていたアカネ色素は発がん性があるということがわかったわけですから、この百五十二品目も、現に使われているから大丈夫だということではなくて、やはり附帯決議にあるとおり、最新の科学に基づいて早急に行っていく。私たちの口に入っていいという、ある意味お墨つきをつけているわけですから、その責任はぜひ感じていただきたいというふうに思うわけです。
最後に農水大臣にお聞きしたいと思います。
食品添加物は六次産業を推進する農業分野にもかかわる問題です。食の安全、安心について、ぜひ大臣の見解をお願いいたします。
○山本(有)国務大臣 御指摘の食品の安全確保、これに関しましては、農林水産省を初めとして、食品安全委員会、厚生労働省など関係省庁が一体となって取り組んでおるところでございます。
農林水産省は、食料の生産から消費までの段階におきまして、適切な安全性向上対策を策定し、普及を図るとともに、生産資材の適正使用を推進しておるところでございます。さらに、食品に対する消費者の信頼を確保するため、食品表示の適正化に取り組んでもいるところでございます。
具体的には、食品中の有害化学物質・微生物の含有実態の調査、科学的な根拠に基づいた生産から消費までの必要な段階における安全性向上のための指針等の策定、普及、農薬、飼料等の生産資材の適正使用のための規制、指導、食品表示法等に基づく適正な食品表示のための指導等を実施しております。
以上、食品安全についてはこれからも万全を期してまいりたいというように思っております。
○斉藤(和)委員 ぜひ、食は命にかかわる問題ですので、省庁を挙げて全体で取り組んでいただきたいということを重ねて強調して、質問を終わります。
ありがとうございました。
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○北村委員長 次に、特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、各党間の協議の結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。
本起草案の趣旨及び主な内容につきまして御説明申し上げます。
特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法は、特殊土壌地帯の保全と農業生産力の向上を図ることを目的として、昭和二十七年四月、議員立法により五年間の時限法として制定され、以後十二度にわたり期限延長のための一部改正が行われました。これにより、今日まで六十五年間にわたり、特殊土壌地帯における治山、河川改修、砂防、かんがい排水、農道整備、畑作振興などの事業が実施されてまいりました。
これらの事業により、特殊土壌地帯における災害防除と農業振興の両面において改善がなされ、本法に基づく対策は地域住民の生活向上に貢献してきたところであります。
しかしながら、台風の来襲に伴う集中豪雨等の回数が増加する中、依然として、特殊土壌地帯において大きな被害が発生していること、農業上不利な土壌や地形条件を有している中、地域の特色を生かした競争力のある農業振興を図る必要があることなど、今なお対応すべき多くの課題に直面をいたしております。
これらの課題に対応し、特殊土壌地帯の振興を図っていくためには、引き続き本法に基づく対策を強力に推進していく必要があります。
こうした観点から、本案は、所期の目的を達成するため、本年三月三十一日をもって期限切れとなる現行法の有効期限をさらに五年間延長して、平成三十四年三月三十一日までとするものであります。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
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特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○北村委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。農林水産大臣山本有二君。
○山本(有)国務大臣 本法律案の御提案に当たりまして、委員長及び委員各位の払われました御努力に深く敬意を表するものでございます。
政府といたしましては、特殊土壌地帯の現状に鑑み、本法律案につきましては特に異存はないというところでございます。
この法律案が御可決されました暁には、農林水産省といたしましては、関係府省と連携を図りながら、その適切な運用に努め、特殊土壌地帯対策を一層推進してまいる所存でございます。
委員長初め委員各位の御指導、御協力を引き続きよろしくお願い申し上げます。
○北村委員長 お諮りいたします。
特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○北村委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○北村委員長 次に、内閣提出、農業機械化促進法を廃止する等の法律案及び主要農作物種子法を廃止する法律案の両案を議題といたします。
これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣山本有二君。
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農業機械化促進法を廃止する等の法律案
主要農作物種子法を廃止する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○山本(有)国務大臣 農業機械化促進法を廃止する等の法律案及び主要農作物種子法を廃止する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
まず、農業機械化促進法を廃止する等の法律案についてでございます。
農業機械化促進法は、戦後、食糧の増産を図るため、国及び都道府県が主導して、一定水準以上の農業機械の開発、導入を進めることを目的として、昭和二十八年に制定されたものでございます。
近年、高性能農業機械の導入が進展したために、国及び都道府県が主導して開発、導入を進める制度の必要性が低下をいたしました。農業機械の型式検査につきましては、安全性の検査を除き、実績がない状況にございます。
このため、良質かつ低廉な農業資材の供給を進めていく観点も踏まえまして、農業機械化促進法を廃止するとともに、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法の一部を改正し、研究機構が、農業機械化促進法に規定されております農業機械に関する試験研究や安全性の検査等の業務を引き続き実施できるよう措置することといたしまして、この法律案を提出した次第でございます。
次に、主要農作物種子法を廃止する法律案についてでございます。
主要農作物種子法は、戦後、食糧の増産を図るため、農業の戦略物資である稲、麦、大豆の優良な種子の生産及び普及を促進することを目的として、昭和二十七年に制定されたものでございます。
近年、種子生産者の技術水準の向上等によりまして、種子の品質が安定してきている状況の中で、都道府県に一律に原種、原原種の生産や品種の試験を義務づける制度の必要性が低下している状況にございます。
このため、良質かつ低廉な農業資材の供給を進めていくとともに、民間事業者が行う種子の生産や供給を促進する観点も踏まえ、主要農作物種子法を廃止することとし、この法律案を提出した次第でございます。
以上が、これらの法律案の提案の理由及び主要な内容でございます。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
○北村委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十二分散会