第5号 平成29年3月29日(水曜日)
平成二十九年三月二十九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 北村 茂男君
理事 江藤 拓君 理事 小泉進次郎君
理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君
理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君
理事 小山 展弘君 理事 稲津 久君
伊東 良孝君 伊藤信太郎君
池田 道孝君 小里 泰弘君
加藤 寛治君 勝沼 栄明君
工藤 彰三君 笹川 博義君
瀬戸 隆一君 武部 新君
中川 郁子君 西川 公也君
古川 康君 細田 健一君
前川 恵君 前田 一男君
宮路 拓馬君 森山 裕君
簗 和生君 山本 拓君
渡辺 孝一君 岡本 充功君
金子 恵美君 佐々木隆博君
重徳 和彦君 宮崎 岳志君
村岡 敏英君 中川 康洋君
真山 祐一君 斉藤 和子君
畠山 和也君 吉田 豊史君
仲里 利信君
…………………………………
農林水産大臣 山本 有二君
農林水産副大臣 齋藤 健君
農林水産大臣政務官 細田 健一君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局次長) 川上 尚貴君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局審査局長) 山本佐和子君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 四方 敬之君
政府参考人
(国税庁長官官房審議官) 山名 規雄君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 松尾 泰樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 和田 純一君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局安全衛生部長) 田中 誠二君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局雇用開発部長) 坂根 工博君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 山口 英彰君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官)
(農林水産技術会議事務局長) 西郷 正道君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 今城 健晴君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 井上 宏司君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 大澤 誠君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 佐藤 速水君
政府参考人
(林野庁長官) 今井 敏君
政府参考人
(水産庁長官) 佐藤 一雄君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 土田 浩史君
農林水産委員会専門員 石上 智君
―――――――――――――
委員の異動
三月二十九日
辞任 補欠選任
伊東 良孝君 前田 一男君
瀬戸 隆一君 工藤 彰三君
同日
辞任 補欠選任
工藤 彰三君 瀬戸 隆一君
前田 一男君 伊東 良孝君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
農業競争力強化支援法案(内閣提出第二一号)
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○北村委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口英彰君、大臣官房総括審議官水田正和君、大臣官房技術総括審議官・農林水産技術会議事務局長西郷正道君、消費・安全局長今城健晴君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長佐藤速水君、林野庁長官今井敏君、水産庁長官佐藤一雄君、内閣府地方創生推進事務局次長川上尚貴君、公正取引委員会事務総局審査局長山本佐和子君、外務省大臣官房参事官四方敬之君、国税庁長官官房審議官山名規雄君、文部科学省大臣官房審議官松尾泰樹君、厚生労働省大臣官房審議官和田純一君、労働基準局安全衛生部長田中誠二君、職業安定局雇用開発部長坂根工博君、経済産業省大臣官房審議官土田浩史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前川恵君。
○前川委員 自由民主党、前川恵です。
本日は、長寿国日本の食育、そして、福島県産の農林水産物など、原発事故による風評対策について質問させていただきます。
私は、これまで、食を通じて心も体も健康で元気な日本をつくるということをモットーに、食の安全、食品ロス削減、食文化の発信など、食育を中心にさまざまな観点から提案を行ってまいりました。
日本は長寿国として男女とも平均寿命が延び続けています。高齢化が進む日本においては、平均寿命を延ばすだけでなく、健康寿命との差を縮めていくことが重要であり、健康で生き生きとした生活を送る高齢者をふやすためにも、高齢者の食事、まさに高齢者の食育が大切だと考えます。
食育というと子供に対してのイメージが強いですが、高齢者に対する食育により、元気な高齢者が現役で活動できるようにすることで、日本の社会全体の生産性を高め、人口が減少しても持続可能な社会保障にもつながると考えます。高齢者の食育というものがこれから特に重要な課題となっていくと思います。
まず初めに、大臣に、食育の重要性について、そして現在、食育をどのように進められているのかお伺いします。
○山本(有)国務大臣 食育は、御指摘のとおり、生きる上での基本でございます。知育、徳育、体育の基礎でございます。国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育む上で重要な要素だと考えております。食育基本法及び食育推進基本計画に基づきまして、現在も関係する施策の推進、充実に取り組んでいるところでございます。
このような中で、第二次食育推進基本計画では、生涯にわたるライフステージに応じた間断ない食育の推進ということを掲げておりまして、第三次食育推進基本計画では、高齢者が健康で生き生きと生活できるよう、生活の質にも配慮し、食育に取り組むというように明記されております。
農林水産省といたしましては、関係府省庁、自治体等と連携をいたしまして、地方農政局等の組織もフルに活用させていただきまして、これまで以上に食育の普及推進に積極的に取り組んでまいりたいというように考えておるところでございます。
○前川委員 ありがとうございます。ぜひとも、日本の食育を国内外に向けてどんどん広めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
その食育の中で、高齢者と一くくりにしていますが、七十代、八十代、九十代、そして百代、それぞれの年代に合わせた食育というものがあるべきだと考えます。生活スタイルや地域ごとの特徴を生かした高齢者への年齢別の指導があるとよいと思うのですが、政府の御見解はいかがでしょうか。
○今城政府参考人 お答えいたします。
おっしゃるとおり、我が国において高齢化が進んでおりまして、世帯構造等の変化が進む中で、単身高齢者の栄養不足あるいは孤食化等の課題が顕在化している、こういうことであろうと思います。
そのため、第三次食育推進基本計画におきましても、まさに健康寿命の延伸ということに向けて、そのライフステージ、年代、また地域、そういうことの個々の高齢者の特性に応じた生活の質の向上が図られるよう食育を推進するということとされております。
具体的には、例えば地域において、食生活改善推進員による健康づくり活動としての高齢者の低栄養ということに対する予防教室、そういうことを初め、また、NPO法人などで行われております食を通じた地域のきずなづくりにつながる触れ合い、そういう食事会の開催ですとか、あるいは、年代別、さまざまなステージはあろうかと思いますけれども、そういう高齢者の自活を支援する教室など、地域の特性や状況にあった食育が展開されているというところでございます。
今後とも、より一層きめやかな対応、あるいは食育を推進しやすい社会環境づくりが重要になっているということですので、その年齢構成あるいは地域の特性にも配慮しながら、食育の普及推進に取り組んでまいりたいと考えております。
○前川委員 引き続き、きめ細かい取り組みをお願いいたします。
日本の食育の海外への展開について伺います。
食育を海外に発信することで、日本の食材や和食文化なども発信でき、食品の輸出にもつながると思います。食育の海外への取り組みについてお聞かせ願えますでしょうか。
○井上政府参考人 御指摘をいただきました食育の海外展開につきましては、昨年の三月に策定をされました第三次食育推進基本計画にも位置づけられておりまして、政府一体となって必要な施策を講じることとしております。
具体的には、例えば当省と外務省では、在外公館におきまして、食育関連トピックや日本の食文化の紹介、あるいは日本産の食材を用いた日本食の提供などを通じまして、我が国の食育の考え方や取り組みなどを積極的に海外に発信をしているところでございます。
このような日本の食育や食文化の海外への発信は、海外の方々の食生活の改善に貢献するとともに、海外における日本食文化の理解増進につながるものでありまして、日本の農林水産物、食品の輸出拡大にもつながるものとして、今後とも積極的に推進してまいりたいと考えております。
○前川委員 海外と連携をとりながら、来る二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本の食育をより充実したものにして、食を通じて海外の方々の健康もサポートし、食育のよさをしっかり海外展開していくのが大切だと思います。
次に、食育を充実したものにするためには、食材が安心できるものでなければなりません。そこで、東日本大震災後、六年間が経過した今も国内外の方々から心配の声を聞きます。
現在、香港、台湾、中国などが日本産の食品や農林水産物に対する輸入規制をしていますが、現状はどのようになっているのか、そして、規制の撤廃や緩和に向けてどのように取り組んでいくのか、対策を伺います。
○井上政府参考人 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴います放射性物質に関連する輸入規制につきましては、これまで政府として緩和、撤廃に向けた取り組みを進めてまいりました結果、昨年一年間ではインド、クウェート等五カ国で規制が撤廃されるなど、規制を設けている国、地域の数は、事故後の五十四から三十三と今はなっております。
主要な輸出先国であり、また福島県産品等につきまして輸入規制を行っております香港、台湾、中国に対しましては、これまでも、農林水産物、食品の放射性物質検査結果や海洋のモニタリングデータを提供しながら、二国間あるいはWTOの関係の委員会の場等におきまして規制の撤廃、緩和を働きかけてきたものでございます。
引き続き、あらゆる機会を捉えまして、科学的根拠に基づく輸入規制の撤廃、緩和が進むように粘り強く交渉を行ってまいりたいと考えております。
○前川委員 引き続き、取り組みにより一層力を注いでいただき、輸入規制の撤廃や緩和につなげていただきますようお願いいたします。
国内においても、福島県産の農林水産物の安全性は検査によって確保されているにもかかわらず、福島県産の農林水産物の価格がいまだに震災前の水準まで戻っていないということですが、この件についてどのような対策を講じていくのか、お答え願います。
○細田大臣政務官 御質問いただきましてありがとうございました。
まず、福島県産の農林水産物は全く問題なく安全であるということ、これをまず力強く申し上げておきたいというふうに思っております。
その上で、福島県産の農林水産物の価格は、キュウリでは震災前の水準まで回復してきた一方、米などの主要農産物では震災前の水準まで回復していない状況であり、風評の払拭は引き続き重要な課題であるというふうに認識をしております。
このため、風評の払拭に向けた取り組みをより一層強化すべく、平成二十九年度予算において、復興庁とも御相談をさせていただいて、新たに生産から流通、販売に至るまでの総合的な支援に必要な予算を計上したところでございます。
具体的には、安全で特徴的な農林水産物の生産に向けた取り組み、農林水産物の放射性物質検査の推進、流通実態調査の実施、販路拡大、販売促進に向けた取り組みなどについて支援を行うことといたしております。
今後とも、風評の払拭に向けて、復興庁を初め関係省庁と連携し、政府一丸となって取り組んでまいる所存でございます。ぜひ、前川先生からも御指導いただきますよう、よろしくお願いをいたします。
○前川委員 ありがとうございます。
風評対策をより強化していただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
本日は、高齢者の食育、そして原発事故後の農林水産物について質問をさせていただきました。健康という概念は人それぞれではありますが、健康な人からは健康な発想が生まれ、その発想をもとに健康な考え方の社会ができ、その社会が健康な国をつくり、世界をつくる、そのように思います。そして、その源は食べ物であり、食べ方や食材の組み合わせも大切と感じます。安心、安全な食材によって日本がこれからも長寿国であり続けられるよう願って、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○北村委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。
自民党の前川先生の気品ある質問の後にちょっとやりづらいところもありますけれども、きょうは品格を持って頑張りたいなというふうにも思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
短時間ですが、三点にわたりまして、一点目は日・EU・EPA交渉、これについて大臣の決意などをお伺いしたいというふうに思います。
まずは、この日・EU・EPA交渉は、EPAは、戦略的なパートナーシップ協定とともに日・EU関係の重要な基盤となり、両者の戦略的関係をさらに強化するものとして、私の承知しているところでは、二〇一三年ころより実質的な協議が開始されるのとともに、先日の二十一日には、安倍総理がトゥスク欧州理事会議長、さらにはユンカー欧州委員長との日・EU首脳会談を行いまして、この中で、できる限り早期の大筋合意に達するとの強いコミットメントが再確認されたところであります。
この交渉のポイントとしてその特徴的なものを少し挙げますと、まず日本製の乗用車の市場拡大、ここにおいて大きなメリットがあると言われている反面、EU側は農産物の市場アクセスの拡大に関心が高いと言われておりまして、具体的には、チーズとかチーズ以外の乳製品、さらには豚肉や木材などにおいて影響が大きいのではないかとの声がございます。
そこで、冒頭、大臣にお伺いをしたいと思いますが、農水省としては、今後の日本の農林業への影響を見据え、守るべきものは守る、このような立場から、どのような姿勢で最終段階と言われているこの交渉に臨もうとしているのか、大臣の交渉に向けた決意をお伺いしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 日・EU・EPA交渉につきまして、平成二十五年春から開始されまして、これまで十七回交渉会合が開催されております。
三月二十一日に行われました日・EU首脳会談におきまして、安倍総理がユンカー欧州委員長及びトゥスク欧州理事会議長と会談を行いました。日・EU・EPA交渉の可能な限り早期の大枠合意に向けて、双方が精力的に取り組んでいくことへの強いコミットメントを再確認したわけでございまして、御指摘のとおりでございます。
また、EUは畜産物を中心に世界有数の農業地域でございます。農林水産省としましては、引き続き、我が国の農林水産業をしっかり守っていくということを念頭に、農林水産品につきまして、貿易、生産、流通実態等を一つ一つ勘案しまして、そのセンシティビティーに十分配慮しながらしっかりと交渉に取り組んでいく所存でございます。
また、EUは五億人の人口を擁しておりまして、農林水産品の輸出戦略上の重点地域であることを意識しながら、攻めの観点からもしっかりと交渉に取り組んでまいりたいというように思っております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
この前、二十一日に総理自身が首脳会談を行いまして、コミットメントを表明したということで、やはり最終段階に入っているというところのお話がされております。課題は課題として残っておるわけですけれども、重要な課題がやはり最後に残ってきている。そういった中で、やはり守るべきものは守る、そして攻めるべきものは攻めるというTPPの交渉と同じようなスタンスで、農水大臣のお立場でぜひともこの交渉にまた臨んでいただきたいというふうにも思っておりますので、そのことを御要望申し上げたいというふうにも思います。
そうしましたら、次に、今も少しお話がありましたが、EUへの輸出の拡大について少しお伺いをしたいと思います。
EUからの主な農林水産品の輸入額、これを見ますと、二〇一五年実績で一兆九百七十五億円であるのに対して、実はEUへの日本からの農林水産物の輸出額については同じく二〇一五年実績で四百億円という、輸入に対して輸出の率は実にパーセンテージにすると三・六%に過ぎないという状況がございます。
それで、我が国は、農林水産物の戦略的輸出目標として二〇一九年に輸出額一兆円、この目標を掲げているわけですが、対EUへの輸出拡大、ここについて国は今後どのような取り組みを展開していこうと考えているのか、この部分をお伺いさせていただきたいというふうに思います。
○井上政府参考人 御指摘をいただきましたEU向けの農林水産物、食品の輸出額でございますけれども、昨年は四百二十三億円となっておりまして、対前年比五・七%増でございます。
EUへの輸出、これまで多い品目は、アルコールや緑茶といった飲料、あるいは調味料、このほかホタテや牛肉などの単価の比較的高い食材が多くなっておりますけれども、昨年の五月に策定をいたしました輸出力強化戦略におきましては、こうした産品に加えまして、水産物、ユズ、ワサビ等の日本特有の食材、米などを有望品目としまして、まずは、日本文化の認知度が比較的高く食に関して影響力のある国、フランス、英国等でございますけれども、こういった国を中心に日本食、日本食材の普及と販路拡大を図りまして、ヨーロッパ各国への輸出拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
このために、大きな影響力を有する見本市、商談会への出展、あるいは在外公館や現地のレストラン、料理学校等を活用しました日本産の食材の紹介、普及、あるいはEUの衛生基準等を満たす食肉・水産加工施設の整備等に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
やはり輸出戦略となると、これまではアジアとかアメリカというところに意識がされてきたわけですが、この日・EU・EPAの交渉が最終段階に入っているとなると、やはり欧州への輸出を具体的にどう考えていくかというのは非常に重要なポイントになると思いますので、具体的に的を決めてお進めいただきたいなというふうにも思います。
その中で今、多いものとして、アルコールと緑茶というお話がありました。このアルコールと緑茶について、具体的にもう少しお伺いをしたいと思います。
それで、まずアルコールにつきましては、農林水産品、食品の輸出の中でアルコール飲料の輸出額、EUへは、二〇一五年実績で五十五億円を占めております。この数字は二〇一三年の実績に比べて一〇五%というふうに伸びておるんですが、しかし、中身を見ますと、ヨーロッパ諸国への輸出は、日本のウイスキーは人気が高いというふうに言われておりますけれども、残念ながら日本酒の認知度はいまだに余り高くなく、今後は、日本酒の魅力をどうPRし、認知度や需要の向上をいかに図っていくか、これが重要であるというふうにも思いますが、そこのところをお伺いしたいと思います。
ちなみに、昨日二十八日に、政府は、日本酒を初めとした日本のお酒の輸出促進に向けた新たな指針を取りまとめる日本産酒類の輸出促進会議、これを開催したとも伺っておりますが、あわせて御答弁を願いたいと思います。
加えて、緑茶については、近年、欧州ではオーガニックでの日本茶の引き合いが高くて、加えて、健康志向からノンカフェインのほうじ茶、これも期待されているというふうにも伺います。日本酒にあわせて緑茶の輸出拡大についても今後どのように展開していくのか、この部分もお聞かせを願いたいと思います。
○山名政府参考人 お答え申し上げます。
まずお酒の関係でございますけれども、日本産酒類全体の輸出金額、輸出数量はともに年々増加しておりまして、平成二十八年の輸出金額は対前年比約一一〇%の約四百三十億円、輸出数量は対前年比約一〇七%の約十二万四千キロリットルとなっておりまして、いずれも過去最高を記録しております。また、清酒の輸出金額、輸出数量につきましてもともに年々増加しておりまして、平成二十八年の輸出金額は対前年比約一一一%の約百五十六億円、輸出数量は対前年比約一〇九%の約一万九千キロリットルとなっておりまして、いずれも過去最高を記録しております。
こうした中、国税庁では、日本産酒類の輸出促進に向けた取り組みとして、第一に、日・EU・EPA交渉などの国際交渉を通じた日本産酒類の関税撤廃やGI日本酒などの地理的表示の保護等の要求、第二に、伊勢志摩サミット等の機会を活用してPRを行うなどの日本産酒類の情報発信の強化、第三に、駐日外交官といった発信力のある者に対する酒蔵視察などを通じた日本産酒類に関する正しい知識の啓発等を行っているところでございます。
さらには、平成二十九年度より、訪日外国人旅行者等に対する酒蔵ツーリズムの推進を図るための、酒蔵等で販売した酒類に関する酒税免税制度が開始されることから、今後はこういった新制度の周知啓発にも努めていきたいと考えております。
こうした取り組みは政府のクールジャパンの一環として取り組んできておりまして、先生に御指摘いただきましたとおり、昨日開催された日本産酒類の輸出促進連絡会議におきましても、政府全体としての対応方針が取りまとめられたところでございます。
今後とも、国税庁としては、関係省庁や関係機関と連携しつつ、日本酒を初めとする日本産酒類の輸出促進に努めてまいりたいと考えております。
○枝元政府参考人 緑茶についてお答え申し上げます。
緑茶の輸出も順調に伸びてきてございますけれども、最大の輸出先はアメリカでございますが、EU向けの輸出につきましては、ドイツ、フランス、オランダを中心に、昨年度は二十三億円、前年比一四%増というふうになってきてございます。今御指摘ございましたとおり、EUは所得水準も高くて、食品の安全、安心への関心も高いということで、日本産の緑茶にとって非常に有望な市場だというふうに考えてございます。
農林省としては、輸出相手国に対して産地が行います茶製品のプロモーション活動ですとか、海外ニーズが高い抹茶の生産拡大などを支援しているところでございます。
特に、EU向けの緑茶につきましては残留農薬基準をクリアすることが課題となってございますので、残留農薬基準の設定の申請、また、それをクリアできる防除体系の確立に向けた取り組みを加速化させまして、さらなる輸出拡大を図ってまいりたいと存じます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
日本酒については、私の地元であります三重県での伊勢志摩サミット、ここで非常に人気が高かったということも伺っておりますし、また緑茶については、私は三重県ということで、やはり緑茶の生産も非常に多くあります。この部分をしっかりとまた普及促進をお願いしたいというふうに思います。
残り二つほど質問したいと思うんですが、ちょっと二つ行けないかなと思いますが。
次に、真珠の普及振興について確認をしたいというふうに思います。
きょうは真珠の質問ということで、昨年五月に開催されました伊勢志摩サミット、ここで安倍総理を初め各国首脳の胸を飾りましたアコヤ真珠をあしらったラぺルピンを私もちょっと胸につけて出席をさせていただいておりますけれども、この普及振興につきましては、昨年六月に真珠の振興に関する法律が可決、成立をしたところでございます。また、平成二十九年度の予算には、真珠関連の予算として、農水省は新たに真珠養殖業等連携強化・成長展開事業を計上していただいております。
そこでお伺いをしますが、この展開事業の具体的内容、どんな内容を新規事業として計上いただいているのか、また加えて、今回の事業に昨年六月に成立した真珠の振興法の趣旨がどのように生かされているのか、この部分を確認させていただきたいというふうに思います。
○佐藤(一)政府参考人 中川先生の御質問にお答えいたします。
今先生から御指摘ございました真珠養殖業等連携強化・成長展開事業につきましては、平成二十九年度予算におきまして予算化したものでございますが、これについては三つの取り組みに対して支援を行うこととしております。一つは、国、地方公共団体、事業者、研究機関等から成る全国協議会の開催、運営、二つ目は、母貝の安定生産あるいは真珠生産技能者の育成及び輸出の振興等に関しまして全国協議会が策定する行動計画、三つ目は、全国協議会が認定する真珠産業の次世代を担う人材が取り組む活動等に対しまして、支援を行うこととしております。
この事業につきましては、先生の方からお話ございましたように、伊勢志摩サミットが開催された直後の昨年六月に制定されました真珠振興法第四条におきまして、国、地方公共団体、事業者、研究機関等の関係機関が相互に連携を図りながら、真珠産業及び真珠に係る宝飾文化の振興に取り組むことがうたわれておりますことから、真珠産業の関係者の連携強化が重要でございまして、全国レベルで展開する必要があると考えて予算化したものでございます。
今後とも、真珠振興法の趣旨にのっとりまして、必要な予算の確保に努めまして、真珠産業の振興を図っていく所存でございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
新規事業として、額は二千五百万ぐらいなんですけれども、この振興法の趣旨を生かす形で、いわゆる生産から加工、販売まで一気通貫の流れができるのではないか、このようにも思っております。そして、その一つの象徴が、今回のこの伊勢志摩サミットのラペルピンではないかなというふうにも思っておりますので、そのラペルピンをつけながら、真珠の普及振興について質問をさせていただきました。
ちょっときょう、農業競争力の質問をしたかったんですが、それはまた法案の方の審議に移して、以上で質問を終わりたいと思います。大変にありがとうございました。
○北村委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 民進党の岡本です。
きょうは、農林水産委員会で一般質問をさせていただきますが、それに当たって、法律の審議のときに本来聞くべきなんでしょうけれども、農業競争力プログラムについてどう考えるかということを少しお聞きしたいと思います。
そもそも、大臣、どうでしょう、日本の農業を規模拡大していこう、そういう方針を政府として持っている一方で、中小でやっている、もっと言えば家族でやっているような農家というのは、これからの日本の農業にとってどういう存在であるべきだとお考えでしょうか。大臣、どうですか。
○山本(有)国務大臣 御指摘の観点は大変重要だというように思っております。
我が国の農業の安定的な発展を図るためには、担い手が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立することが重要でございます。
意欲と能力のある農業者であれば、経営規模の大小、あるいは法人、家族経営の別、こういったものにかかわらず地域農業の担い手に含まれていくというように考えております。
農業者の経営発展のために講じている諸般の施策におきましても、家族経営と法人経営を同等に扱うべきだろうというように考えております。
特に、昨今、家族経営の見直しにつきましては、他の産業にはないすぐれた面があるというように評価をされていると思っております。緊密な一体性があること、あるいは世代間の連携があること、あるいは非孤立的な連帯性があることというようなことからすると、私は、すぐれた一つの産業分野ではないかというように思っております。
○岡本(充)委員 そうした中小、特に家族経営でやってみえるような農業に対して、農林水産省は具体的にどういう支援を今行っていき、そしてこれからどういう支援をしていくのか。規模拡大はもちろん一つの政策としてある一方で、こうした経営体の農家の皆さんにもしっかりと支援をしていくんだというメッセージが私は欠けていると思います。そこをお願いします。今やっていることと、これからやることですね。
○山本(有)国務大臣 我が国の農業を安定的に発展させるため、そうした家族経営の皆さんの支援ということは忘れてはならない分野でございます。
経営所得安定対策、そういう観点から、全ての販売農家を一律に対象とする施策体系ではなくて、経営意欲と能力を、担い手を対象とするというように位置づけておりまして、平成二十六年の担い手法の改正におきましても、経営所得安定対策の対象要件について、認定農業者、集落営農に加え、認定新規就農者も対象とすることといたしまして、いずれも規模要件を課さないということが大事だろうというように思っております。そして、将来に向けて農業で生計を立てていく意欲と能力のある農業者、この方々を、経営規模、年齢等にかかわらず幅広に本対策に加入できるようにしたこと。
さらには、新規就農支援事業におきましても、親元就農という位置づけをして支援することといたしましたり、あるいは青年就農給付金につきましては、四十五歳限度を四十九歳まで例外的に緩和をするなどというようにしておるわけでございまして、将来的に、家族経営が地域を支え、また農村の文化を支えていただけるというように期待するところでございます。
○岡本(充)委員 その親元就農、私の地元ではやはり薄いんじゃないかという声が結構あるようです、私、聞いて歩きましたけれども。
親元就農、具体的に、実際どのぐらいやってどのぐらい実績が上がっているか、大臣、御存じですか。
○山本(有)国務大臣 正確な数字は把握しておりませんが、親元就農で資金が出るということに気がついていない方々が相当多いものでありますので、できれば周知徹底をし、かつまた、その認定を市町村にお任せしているわけでございますので、地域地域でのきちっとしたそうしたルールが確立されることによって、さらに伸びていく分野だろうというように思っております。
○大澤政府参考人 青年就農給付金の、実際の親元就農の方の利用状況についてでございますけれども、現在、利用者の方の大体半分ぐらいが親元就農の方が利用されてございます。
要件といたしましては、やはり、実質的にこれは外から入ってこられる方の生活資金を見るということを原則としておりますけれども、親元就農の方でも、経営を実質上分離したりして、同様な場合には補助することにしておりまして、実際の数字は約半数となっております。
○岡本(充)委員 いや、まだまだこれは少ないんですよ。それで、やはり周知もされていない。大臣も残念ながら御存じなかったぐらいの状況でありまして、これはやはりしっかり周知をしていく必要があるということは、大臣、認識していただいたと思います。
繰り返しになりますけれども、農業競争力プログラムで、資材の価格を引き下げて農業の所得を上げる、言ってみれば、ああ、そうかなと思う話でありますけれども、例えばこれ一つとっても、どういうコストが削減されて、農業所得がどういうふうに上がるのかという試算が実際になされているんでしょうか。いかがでしょうか。数字として出ているなら、その数字を教えていただきたいと思います。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
競争力強化プログラムを受けまして、資材の引き下げに向けて、具体的には、資材メーカーにつきまして、国際競争に対応できる生産性の確保を図るための業界再編、あと資材に関する法規制ですとかその運用の見直し、また資材価格の見える化等を推進することとしてございます。
これら施策の効果につきましては、個々の事業者の自主的な取り組みであること、また、肥料ですとか飼料は、原料価格そのものが、輸出先国の、その時々の生産状況や為替等の影響を受けることなどから、一律に見込むことは困難でございますけれども、良質かつ低廉な資材を農業者に供給できるように、プログラムの具体化を図ってまいりたいと存じます。
○岡本(充)委員 いや、モデルケースでいいから、これはモデルケースを示すべきですよ、大臣。法案の審議に当たって、こういうイメージになるんだと。できるかどうかちょっとまず検討して、できるようであれば数字をその審議のときには出していただきたい。大臣、いかがですか。検討してください。
○山本(有)国務大臣 どこまでできるかわかりませんが、生産資材価格の引き下げの必要性が如実にわかるようなそういう資料を用意できれば、できるだけの努力をしたいというように思っております。
○岡本(充)委員 よろしくお願いします。
それとあわせて、所得向上のためには販売価格を上げる方が重要ではないかという指摘もあります。
農業競争力強化プログラムでは、「量販店等の不公正取引について徹底した監視を行う。」とありますけれども、きょう公取にも来てもらっていますけれども、個別の事案には答えられないということになるということはきのうの質問の調整の中でも言われていますので、個別のことを聞いているわけではありませんが、不正があれば厳正に取り締まる、これもお決まりのフレーズですから結構ですので、一点だけ教えていただきたいのは、まだまだこうした情報、十分に集まっているわけではないので、いろいろな工夫をしてこれからもこうした情報を拾っていく必要がある、現状そういう認識でいいということで確認をしたいと思います。端的にお答えください。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、公正取引委員会といたしましては、独占禁止法に違反する疑いのある事実に接した場合には、独占禁止法の規定に基づきまして厳正に対処することとしております。
そのための情報収集の強化を目的としまして、昨年の四月に農業分野における独占禁止法違反被疑行為に係る情報提供窓口を設置いたしまして、全国の農業者の方々などに周知を行っているところでございます。今後、この窓口についてより積極的に広報活動を行いまして、さらに情報収集に努めることとしておるところでございます。
○岡本(充)委員 現時点でまだやはり情報が十分集まっているという状況ではないということをまさに今お話をされたわけでありまして、そういう意味では具体的な事例があるわけではないようでありますが、こうした監視はどうやって行っていくのか、なかなか難しいものがあろうかと思います。その困難性についても認めていただけますか。なかなか難しいものがある、大変だ、そういう認識でいいですか、公取の方として。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
不公正取引ということになりますと、被害を受けている方々がみずから声を上げるということは、一般的に申しましてなかなか難しい面もあろうかと思います。
そうしたことも考えまして、私どもとしましては、この窓口を広報しまして、広く情報を寄せていただくように働きかけることとしたいと考えておるところでございます。
○岡本(充)委員 ぜひ、また法案の審議のときにこうした観点、聞いていきたいと思います。
さて、今度、話はかわりまして、先日、私、都内のハローワークに行ってきたら、これは理事会で掲示してよいと言われたので出しますが、これだけたくさんの、もう本当に山ほど、農業、林業、漁業につきませんかというパンフレットがありました。物すごくあります。
もうこれは本当にいっぱいあってお示しできないぐらいでありますけれども、残念ながら、これだけあって、私が滞在していた一時間ちょっとの間、農業、林業、漁業につきたい、関心があると言ってこられた方は見えずに、専用の部屋があるんですけれども、誰も来られずの状況でありまして、ハローワークの職員の方に大変丁寧に、たった一人の私のために対応していただきました。逆を言えば、やはりこれは、これだけのものがあって、職員二人がそこで専従をしていながら、問い合わせに来る人いないのかなと不安に思ったわけであります。
なかなかいろいろな事業があるんですが、その中でもちょっときょう聞きたいと思っているのは、一つは、きょうは厚生労働省にも来てもらっていますけれども、農業を求職者支援訓練として行う、いわゆる農業人材育成や技術習得といったプログラムは、どのくらいの定員に対しての応募があり、そして結果として就農に至っているのはその定員に対してどれだけで、そして最終的にその人たちが離職せずにそのまま職についている、一体どのくらいなのか。
最初の定員、そして応募、そして実際に行った人、さらには、結果として就農し離職しなかった、最後に残った人はどのぐらいになっているのか、お答えいただきたいと思います。
○和田政府参考人 お答え申し上げます。
農林分野における求職者支援訓練の実施状況につきまして、平成二十七年度におきまして十四のコースが開講いたしました。定員数で申し上げますと二百十八名、これに対して受講者数は百十四名でございました。また、平成二十七年度に修了したコースの就職率は八三%、雇用保険適用となる就職をされた方の率は四〇・五%でございました。
○岡本(充)委員 ということは、最終的に雇用保険対象になる、つまり厚生労働省として把握している、就労を継続している方は、定員に対して最終的に何%になるという計算でいいんですか。
○和田政府参考人 定員二百十八名に対して就職者数が四三%でございますので、定員対比、おおむね二〇%かと存じます。
○岡本(充)委員 この二〇%というのは、ほかの訓練コースに比べて低いですよね。その確認をお願いします。
○和田政府参考人 職種によってその率は区々でございますので一概には申し上げられませんが、必ずしも高い数字ではないと申し上げることはできると思います。
○岡本(充)委員 いや、これはかなり低いはずなんですよ。そういう答弁だと、では、これより低いものは何がありますかという話になっちゃうぐらい、これは本当に低いんです、大臣。
これは既に、農林水産省と厚生労働省が連携して行っていくと四月一日の厚生労働委員会でお話をいただいているんですが、これは過去にもこうした指摘はあったかと思います。現実的に、農業に就農する人をどうやって呼び込むのか。現実的な話として、これだけパンフレットをつくっていても、申しわけないですけれども、結びついていないと言われても仕方がないと思います。
ちなみに、漁業については資料の四を見てください。「ザ・漁師」、漁師になるためのガイドブックという、これはすごいですよ、フルカラーで三十三ページにわたるこんな資料ができていました。
この資料を見ると、船の写真から始まって、漁師の皆さん方のインタビューもありますが、沿岸漁業とは何なのか、定置網漁とは何なのか、釣り漁とは何なのか、養殖業とは何なのかなど、こうやって書いてあります。
結局、漁師になるための話は何かというと、最後の一ページに何と書いてあるか、ここに書いてある、まずは、情報を集めよう、ステップ二は行動を起こそう、三番目は求職情報を探そう、四番目は決定、漁師へのスタート。重要なところが抜けているじゃないですか。これ一枚で、三番と四番を見てくださいよ、求職情報を探そうから、いきなり決定ですよ。三十三ページあって、この中身。これで、じゃ、漁師になろうかという話に本当になるのか。
私は、こうした支援制度と称しながら、ある意味お金だけ使っているんじゃないかという気がしますが、これについては税金は入っているんですか、このパンフレットをつくるのに。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
税金は投入されておりまして、かかりました費用は二十四万円と相なったところでございます。
○岡本(充)委員 いや、これだけあるわけで、いろいろなパンフレットが山ほどあります、本当に。
パンフレットだけつくって、結局、では一体漁業にどれだけの人が新たについて、そしてその人たちは一体どのくらい定着しているのか、そういったことについて水産庁として把握をされていますか。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
水産業の関係で、毎年の新規就業者につきましては、大体二千人程度ということに相なっているところでございます。それで、この関係の皆さんの定着率については、七割程度というふうに聞いておるところでございます。
先ほど先生の方からお話ございましたが、先ほどのパンフレットにつきましては、二十七年度の就業支援フェアということで、こういった関心のある方々に集まっていただきまして、そこでいろいろな説明会や何かをやっておりますが、千三百十一人の方が来場されまして、そのうち、長期の就業といったことで入った方が五十一人といったようなことに相なっているところでございまして、私ども、いろいろな機会を捉えまして、新規就業に向けてのPRに努めていきたい、こんなふうに考えているところでございます。
○岡本(充)委員 その五十一人の方は、今でも継続してお仕事をされているという理解でよろしいですか。
○佐藤(一)政府参考人 申しわけございません。この五十一人の方々の、どのようになったかについては、まだちょっと掌握してございませんので、また掌握をぜひともしたいと思っております。
○岡本(充)委員 後でも指摘をしますけれども、やはり働いている人たちにちゃんと国として目をかけていくということをやらなければ、結果として、事業だけ打って、フェアだけやって、そして、やった感を出して、結論、どうなっているかわかりません、こういう話じゃまずいと思うんですね。
これは林業も同じです。きょうは時間の関係で林業をちょっと十分やれませんけれども、農業、漁業、林業それぞれ、大臣、しっかりやはり、こういうフェアをやって、税金を使ってやっているんですよ。それで一体どういうような結果に結びついているのか、このパンフレットが果たして本当に仕事につくのに適切なパンフレットなのか、やはりそういうことについてもきちっと目くばせしていく必要があると思います。大臣、御答弁いただきたいです。
○山本(有)国務大臣 昔の、戦後間もないころの農林大臣の石黒忠篤さんが、農林水産省の職員と現場とは距離がある、これを埋めることが今後の課題だと言われていましたが、まさにそのとおりであるというように思っております。
○岡本(充)委員 だからこそ、きちっと心を込めて、対応がどうなっているのかを調べてもらいたいし、精査をしていただいて、また御報告いただきたいと思いますが、それについていかがですか。
○山本(有)国務大臣 できるだけその意に沿うような形で努力してみたいと思っております。
○岡本(充)委員 ぜひお願いをしたいと思います。
この農業、漁業、林業に新たについてくださる方をどうやって呼び込んでいくのかというのは、本当に重要な観点であり、先ほどの話ではありませんが、情報がないがゆえに、本当にこうした機会を失っている方もいると思います。
ちなみに、厚生労働省にもきょう来てもらっていますけれども、安定局にも来てもらっていますが、雇用開発の方ですから直接ではないかもしれませんが、ハローワークの中で、結局、主な部屋があって、そこから何か裏の方に入っていって、細い暗い廊下を抜けると農業の部屋がある、これがそのハローワークの構造でした。そこへ入っていこうと思うと、少し、ここでいいのかなと思うような奥にあるわけですね。
もっとちゃんと厚生労働省も工夫して、そこは農業のブースへ行きやすいようにしていくとか、そういったブースがどうなっているかというのも、きょうお越しの政務三役の皆さんも一回ぜひ見に行ってくださいよ、どういう状況で、どういうふうになっているか。やはりそういうことを含めて、ちゃんと厚生労働省と連携をとっていっていただきたいと思います。
さて、今度は、話はかわりまして、日本産の農水産品の輸入規制についてちょっと聞きたいと思います。
私の資料五ページからですけれども、WTO委員会で中国、台湾の食品規制の不当を訴えた、こういう話が出ています。原発事故後の諸外国の食品等の輸入規制は、現実的に、六ページからありますように、中国そしてまた台湾などを中心に、まだまだ農産品の輸入停止をしている国があります。特に、七ページにありますように、中国は、長野や新潟を含む十の都県で、いまだに全ての食品そして飼料の輸入停止が続けられています。これは他国と比べても極めて広い範囲でありまして、これは、科学的知見に基づかない、ある意味、非関税障壁ではないか。
我が国も、かつてBSEの問題が起こったときに牛肉の輸入規制をかけました。アメリカ側から科学的根拠を示しながら粘り強く回答をいただきつつ、我が国の理解を進めるという過程を進めたわけでありますが、今、中国からも科学的知見を求められていると私は聞いています。それに対してきちっと応えた上で、それでも輸入停止が継続され、例えば長野県なんかは、ここに書いてあるとおり、停止しているのは中国だけでありますから、それは、これから先、攻めの農業だ、輸出だと言っているのに、片一方で、輸出停止になっている措置をそのまま残しておくというのはあり得ないと思います。
ぜひ、ここは大臣、今お話をしましたように、科学的知見をきちっと、今まだそろえられていないと聞きました。何でそろえられないのかと思いますけれども、きちっとそろえて、そして、そのそろえた上でもまだだめであれば、それは粛々とパネルに訴えるべきじゃないか。この考えについて、大臣、いかがですか。
○山本(有)国務大臣 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴いまして、諸外国、諸地域におきまして、我が国の農林水産物、食品、こういったものに放射性物質に関する輸入規制が設けられております。
こうした輸入規制につきましては、政府一丸となって、撤廃、緩和に向けた取り組みを鋭意進めてまいりました。その結果、昨年一年で、インド、クウェート、ネパール、イラン及びモーリシャス、五カ国で日本産食品に対する規制が撤廃されるなど、規制を設けている国、地域の数は、事故後の五十四から三十三というようになっております。
しかしながら、台湾、中国、韓国、これまでも、農林水産物、食品の放射性検査結果や海洋のモニタリングデータを提供しながら、二国間の場等で規制の撤廃を働きかけるとともに、WTOのSPS委員会に、非関税障壁に当たるのではないかとの懸念を表明してまいっております。
こうした交渉の内容そのものにかかわる事項でありますので、二国間での協議の状況についてのコメントはできませんが、引き続きまして、あらゆる機会を捉えて、科学的根拠に基づく輸入規制の撤廃、緩和が進みますように、粘り強く働きかけを行ってまいりたいというように思っております。
○岡本(充)委員 いや、これは大臣、働きかけするだけじゃなくて、やはり、科学的根拠に基づいた向こうからのリクエストがあるのなら、それに応えなきゃいけないんですよ。それに応えられないものがあるのか。
もしくは、向こうのリクエストが、科学的根拠に基づかない、ある意味、言い方は悪いですけれども、いちゃもんをつけてきている、こういうような話であれば、それはそれで、科学的根拠に基づかないわけでありますから、それについてもきちっとWTOの場で訴えるということをする。
本当に科学的根拠に基づいて、確かに必要なデータであれば、それはちゃんと返さなきゃいけないと思いますよ。そういう仕分けをして、返せていないものがあるときのう聞いたから、返せていないものがあるんだったら、それはなかなか今は訴えることができないよねという話になっちゃう。
なぜ返せないのか、そして、どうしたら返せるのか。見通しは立っているんですか。
○山本(有)国務大臣 例えば、香港政庁、今回、ラムさんが当選されましたけれども、去年の八月以降、私もその政庁との輸入規制についての緩和要請をずっとやってきました。
その中で、科学的根拠というような指摘もございましたので、食料産業局の局長さんと定期協議を開始したところでございまして、その折にも科学的根拠をしっかり説明しているわけでございますが、相手方の科学的根拠とこちらが提出する科学的根拠が、少しミスマッチの状況が長いこと続いているというような感じでございまして、特に米の対中国輸出につきましてもそのような傾向がございます。
そうしたことを乗り越えるだけの努力を今後もさせていただきたいというように思っておるところでございます。
○岡本(充)委員 本当に科学的根拠として必要なデータなのかどうかということをきちっと仕分けをする作業をやらなきゃいけない。事務方でもいいです、それでも答えられないものがあるんでしょうか。それとも、我が国としては、科学的根拠に基づくデータとしては全てそろえてもう返している、こういう認識なのか、そこはお答えいただきたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
中国等との関係では、科学的根拠に基づく規制なのかどうかというのを議論するために、必要な検査結果でありますとかデータについては累次こちらから提供しておりますが、その過程でさまざまなやりとり、さらなる質問等ございまして、そういう中で引き続き協議をしておりますけれども、必要なデータ、検査結果等については今後とも提供しながら、二国間での協議を進めてまいりたいと考えております。
○岡本(充)委員 今の答弁ぶりは微妙ですけれども、提供しながらということは、まだ提供でき切っていないと。きのうもそんな話を事務方の人と話をしていて、出し切れていないという認識だという話だとすると、これはWTOに訴えても我が国が不利になるわけでありますから、出し切れていないなんということがないように、我が国としては必要なデータは全部出したんだと言えるように、早急に、大臣、やるべきだと思います。それについてお答えください。
○山本(有)国務大臣 こちらが獲得し得る科学的根拠については全部出し切ったという交渉をしていきたいと思っております。
○岡本(充)委員 ぜひ、それを早急にやるべきだと思います。
その上で、きちっと、要求を受け入れられない場合には、非関税障壁だという扱いでパネルに訴える、この方針で間違いないですね。
○山本(有)国務大臣 輸入規制を強化している例えば韓国に対して、一昨年九月、我が国の要請に基づきまして、WTO協定に基づくパネル、紛争解決小委員会、これが設置されました。現在、パネルにおいて検討をしているところでございます。
現時点において、その他の国、地域についてWTO提訴の方針を決定しているわけではありませんが、科学的根拠に基づかない輸入規制に対しては、そうしたWTO措置というようなことを考えていきたいというように思っております。
○岡本(充)委員 ぜひ、そこはしっかり対応していただきたいと思います。
当然のことながら、きょうお示しをしているほかの国々も、きょうは触れませんでしたけれども、台湾、香港などもまだ日本に対して大きな輸入停止措置をとっているようでありますから、こうしたところについても同様に対応していただきたいと思います。
さて、今度は、農林水産業における安全な働く環境ができているのかという観点で少し質問をしていきたいと思います。
この問題は、私、昔も取り上げまして、今から十年ほど前も農林水産委員会でこの問題を取り上げました。
現実的には、八ページですけれども、業種別の死傷年千人率の推移ということで、平成八年以降の数字を出させてもらいました。数字が高いほど、仕事中のけが、また死亡などが多いということになってくるわけでありますが、これで見ますと、一般的な仕事の平均と比べて明らかに農業が高く、そして漁業、林業とさらにその数字は悪くなるわけであります。
こうした状況の中、一体どういう対策をとっているのか、これについて教えてほしいという話をしました。そうしたところ、さまざまな取り組みを行っているんだという話はありましたけれども、しかし、現実的な結果として、十ページにもありますように、労働災害の発生は、農業、漁業、林業、いずれも高いままであり、特に死亡者数について言えば、これは数字が変わっていないんです。
もう少しお話をしますと、めくっていただいて、厚生労働省がまとめている、十二ページです、第十一次労働災害防止計画、これはもう既に平成二十年度から二十四年度までの五年間に実施をしたものでありますけれども、ここでは、三番目のところに林業対策というのが盛り込まれていました。
この第十一次の労働災害防止計画が定まる前に私は質問をさせていただいていまして、平成十七年です、十四ページにありますけれども、平成十七年の六月九日の農林水産委員会で、中段でありますけれども、政府側から、「林業における労働災害防止は大変重要な課題」、こういうふうな答弁をいただいていますし、また、十五ページの方には、私の、第十一次のときにはきちっと林業を、トラックの運転手さんやそれ以外の危険なお仕事と同様に重要な対策とするよう農林水産大臣に求め、これをきちっと対策の重要なポイントとして盛り込むよう内閣でも提言してくれと言ったら、時の農林水産大臣は、大変ごもっともな提言だと思います、「結論からまず申しますが、私は、これをやはり最重要グループといいますか、最重点グループの中に林業を含めてもらう努力をまずお約束をしたいと思います。」、こう答弁されて、結論として十一次は確かに載りました。
ところが、十二次になったら、これは二十五年四月からなんですけれども、林業がすぽっと抜けている。何で林業が抜けたんだと言ったら、林業は事故の発生数が減ったというんですよ。いや、違うんです。事故の発生数は減っていないんです。先ほどお話ししたように、林業作業中に亡くなられている方は決して減っていない。確かにけがをしている人は減ってはいるけれども、そもそも林業への従事者が減ってきている、林業で働く人の数が大幅に減る中で死んでいる人は変わらない、この状況でありますから、当然のことながら、その危険度は増しているわけであります。にもかかわらず、第十二次で外れてしまっているというこの状況。
大臣、これは、所管をしているのは厚生労働省ですけれども、こうした林業の実態を踏まえて、もう一度厚生労働省ときちっと協議をして、厚生労働省側からの対策を求めるべきではないですか。いかがですか。
○山本(有)国務大臣 御指摘の労働災害防止計画でございます。
十一次、これは平成二十年から二十四年にかけての計画でございますが、御指摘のとおり、労働災害多発業種に位置づけております。ところが、十二次になりますと、平成二十五年から二十九年、これは重点業種として位置づけから外れてしまいました。
労働災害の中で最も危険である林業、こうした林業が、労働災害発生率が高いにもかかわらず、重点業種として位置づけられなかったことは、私どもとしては非常に落胆しているところでございます。
業界としまして、林業と木材製造業の事業主等で構成する団体等は、十二次労働災害防止計画を踏まえた形で防止計画を策定したりしておりまして、いわばこの十二次の労働災害防止計画の中に入っているものなりというような期待感を持って対策をしているわけでございます。
その意味においては、厚生労働省にもう一回考えを新たにしていただきまして、こうした措置、特に労働災害については、厚生労働省もかなり関心事項だろうというように思っておりますし、振動病等についての認定についても、随分踏み込んだ形の対処をしていただいておるわけでございますので、その意味で、林業の安全というものに、新たに考え方を、その対策をとっていただきたいという要請をしたいというように思っております。
○岡本(充)委員 これはどういう経過で落ちてしまったのか。農林水産省は、落ちるということをあらかじめ知っていたんじゃないでしょう。結局は、落ちてからこの事実を知ったんですよね。協議として外すよということをあらかじめ聞いていたわけではないですよね。その確認をお願いします。
○今井政府参考人 お答えいたします。
第十二次の労働災害防止計画につきましては、林野庁として協議にはあずかっておりませんでした。
○岡本(充)委員 これはだから、やはり全然連携ができていないということが明らかになったわけですよね。やはり、大いにこれは厚生労働省にも反省してもらわなきゃいけない話であります。
その上で、きょうは厚生労働省にも来てもらっていますけれども、そもそも、先ほどからお話をしているように、漁業も大変千人率が高いにもかかわらず、十一ページにあるように、いわゆる災害の発生の頻度、それから、発生した災害がどのくらい重篤かというのが強度率です。こうしたデータ、漁業はとっていない。何でとっていないかといえば、三十人から九十九人の区分の事業所が少ないから漁業はとれないんだ、きのうこう言われました。
いや、違うんですよ。農業だってとれているんです。農業だって、三十人より多い労働者を雇っている法人はどれだけあるか。少ないですよ。それでもデータはとれているのに、なぜ漁業はとらないんですか。
漁業の実態を明らかにして、漁業での災害を防いでいく、何をするべきかということを、ちゃんとやはりデータに基づいて解析していく必要があると思います。多くの人が漁業では死んでいるんですよ、現に。
したがって、厚生労働省にこれは求めたい。きちっと漁業についても調査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○田中政府参考人 お答えいたします。
業種ごとの労働災害の度数率あるいは強度率といった統計数字につきましては、毎年、厚生労働省の労働災害動向調査によりまして調査をしております。
この調査では、対象とするサンプル数に制約があるために、労働者数とか、あるいは労働災害の被災者数などを勘案して対象業種を決定してきておりまして、現時点では、漁業はその調査対象としておりません。
漁業を労働災害動向調査の対象とするかどうかは、先ほど委員からもお話がありましたが、サンプル数の関係とか事業所規模の関係とか、技術的な問題もありますが、御指摘も踏まえまして、その必要性、可能性を検討してまいりたいと考えております。
○岡本(充)委員 ぜひ対策をとってもらいたいと思います。
一方で、労災防止をどうするのかという話があって、きのうも大分、水産庁の職員と議論しましたけれども、今度からライフジャケットの装着を義務化する、国交省の方で。したがって、船の上で作業するときはライフジャケットを着るんだから、死亡事故は随分減ると。海におっこって命を落としているわけですから、海に落ちてもライフジャケットがついていたらいいじゃないかという話をされましたが、これは大臣、実は、海に落ちても、冷たい海だとすぐ心臓がとまっちゃうんですよ。浮いていたって死んじゃうんですね。冷たい海に落ちたときに、きちっと保温効果のあるライフジャケットを着てもらわなきゃいけない。
その話を私はちょっとしたいと思って、議事録を持ってきました。これも今から十年以上前、平成十七年六月九日、私がこの農林水産委員会で指摘をした話でありますが、当時、林業の死亡は何が多いか、これは林野庁と議論したら、蜂に刺されて死ぬんだと。蜂に刺されて死ぬから、蜂対策をやらなきゃいけない。
私はこの委員会で、当時、蜂に刺されてショックになった人は自分でエピネフリンを打たなきゃいけなかったその規制を緩和して、他人も打っていいようにしたらどうだ、他人も打てるようにしたら、ショック状態になってふらふらこいている人が自分に打てるはずがない、だから他人でも打てるようにするべきだという指摘をして、そのとおりだというので、他人が打てるようになった。
では減ったかというと、もとに戻ってください、この私の指摘を受けて、では林業における死亡者数は減ったのかというと、もとに戻りますけれども、これは八ページ、九ページでもそうでありますけれども、さらにお話をさせていただくと、それ以降の労働災害の現状というデータを見ても、実際には死亡者数は減っていないんですよね。
あのときも、蜂だと言ったから蜂対策をやろうよとやったけれども、減らなかった。同じで、今回、ライフジャケットを着るというだけでは不十分で、着たけれども、結局、水産業における死亡者は減らなかったという話になるんじゃないかという懸念をしていて、しっかり保温対策のあるライフジャケットの着用を義務づける方向で、ぜひ農林水産省として国交省に申し入れるべきじゃないですか。漁業で働いている人の命を守りましょうよ。どうですか。
○山本(有)国務大臣 冷たい海での作業、ライフジャケットは必須でございます。ただ、寡聞にして、保温対策のあるライフジャケットをどこまで普及できるかについてはまだ研究しておりません。
その意味も含めて、冷水対策がどのような形で、ライフジャケット以外でもあり得るのかどうか、そして、ライフジャケットしかなければ、保温対策用のライフジャケットの普及をどう図るのかというようなことを勉強してみたいというように思っております。
○岡本(充)委員 ぜひスピード感を持ってやっていただかないと、結局、ライフジャケットは普及したけれども死亡者数は減らなかったという話になりますよ。言っておきますよ、これ。
十ページをもう一回見ていただきたいと思います。農業における死亡者は、労働災害としては、例えば、二十人前後、毎年、農業で命を落として亡くなられています。
最後のページを見てください。一方で、これは労働者以外で農業で死んでいる人がどのくらいいるのか。二十二ページを見てください。これで見ると、何と、平成二十七年、三百三十八人の方が農業に起因して死んでいるんです、全国で。
労働者の数で見ると二十二人、しかし、実際に農業で死んでいる人は一年間に三百三十八人もいる。これは、労働者ではないというくくりの中で、農業を原因にして死んでいる人が漏れているんですね。この人たちに対しても安全対策をするべきだと思うんです。
では、漁業と林業はどうなんだと言ったら、結局、データがなくてもらえませんでした。つまり、漁業と林業も、労働者として何人死んでいるかというのは先ほどお話をしましたように統計として出ていますが、それ以外に、ここの、私の十ページにあるように、林業、漁業は、平成二十七年、三十八人、漁業十人死んでいますけれども、この亡くなっている方以外、労働者じゃない方を含めてどれだけ亡くなっているかわからないんです。きちっと調べて、対策をとるべきだと思いますけれども、大臣、どうですか。いや、大臣に。農林水産省で調べるべきじゃないですか。
○山本(有)国務大臣 労働災害についての実態については、重要な観点でございます。
特に林業施業について実態を見ていきますと、まず、携帯電話が届かないところでの作業が多い、そしてさらには、たった一人での作業も多いというようなこと、それから、携帯電話が届いたとして、救急車が到達しない、路網整備がきちっとできていないところが多いというようなさまざまな要因が重なり合っております。
したがいまして、そういう特徴を踏まえて林業についての労働災害についてつぶさに検討する、勉強することによって、またその死亡者の回避を図ることができるのかもしれません。
特に、私ども、ヘリコプターの利用、救急救命の活用というようなことも現場では随分やっております。そんな意味を含めて、市町村や県と相図ってこの実態の数字を正確に把握したいというように思っております。
○岡本(充)委員 ちょっと大臣、答弁がずれているんですよ。私が言っているのは、まず人数の把握をしないと話が始まらない、そして、どういう理由で亡くなっているのか。農業だって、先ほど言ったように三百三十八人亡くなっているけれども、労働者として亡くなっている、労働者として死んでいると言われているのは二十二人なんですよ。それ以外に三百三十八人、十倍以上の数が亡くなっているじゃないですか。一体どういう形態で何が問題なのか、同じことを漁業も林業もやるべきだ、その調査をするのは、労働者じゃないですから、農林水産省がやるべきだという話をしているんです。ぜひ調べてください。
○山本(有)国務大臣 御要望に沿うように、調査をさせていただきたいと思っております。
○岡本(充)委員 それは当然のことですよ。たくさんの人が亡くなっているかもしれないわけですよ。ぜひ、しっかり調べて、対策をとるべきだというふうに思いますので、調査結果を待ちたいと思います。
最後に、ちょっと残った時間で、獣医師の養成について一点だけ。
きょう、内閣府にも来てもらっています。
今回、獣医師の養成の大学の新設が決まりました。特区というのは、そもそも、これから先、特区がうまくいっているということであれば、全国展開するんです。
新たなニーズがあるということで、今回、特区に認められましたが、まず一点、獣医師でなければできない新たなニーズ、医師ではだめ、獣医師でなければできない新たなニーズとは一体何なのか、それについてお答えいただけますか。
○川上政府参考人 お答え申し上げます。
今回の獣医学部の新設でございますけれども、近年の感染症拡大に係る危機管理意識の高まりを受けて、地域の水際対策や新薬の開発などの先端ライフサイエンス研究の推進など、獣医が新たに取り組むべき分野の具体的需要が高まっているということを踏まえたものでございます。
その中で、先生お尋ねの、獣医師でなければできないという業務の範囲でございます。
私ども内閣府としましては、専門家である先生の御質問でございます、必ずしも詳細は承知してございませんけれども、例えば、地域の水際対策の強化や創薬プロセスにおける必要な実験動物の管理、あるいは、人の疾患の治療法の開発につなげることを目的とした臨床研究などの担い手としましては、獣医師の知見を豊富に備えた人材に対する養成ニーズがあるものというふうに承知をしているところでございます。
○岡本(充)委員 また時間がなくなっちゃったんですけれども、もう一回だけ、ちょっと確認させて。
獣医師でなければできないことではないですね。それは医師でもできる。いや、実験動物なんか私だっていっぱい飼っていましたよ。私は医学部の大学院のときにいっぱい飼っていた。医者でも飼っていますよ。実際、実験動物を使っていますよ。
実験動物の管理が獣医師でなければできないことは何ですか、具体的に言ってください。それで質問を終わります。
○川上政府参考人 お答え申し上げます。
獣医師でなければできないかという厳密なところは私ども詳細は承知してございませんけれども、今申し上げたように、獣医学部における養成を通じまして、今申し上げたような新たなニーズ、具体的には、地域の水際対策でございますとか実験動物の管理、あるいは人の疾患の治療につながるような臨床研究についての新たなニーズに対応できるということで、今回、認識をしているところでございます。
○岡本(充)委員 答弁になっていないよ、これ。把握しているのかしていないのか、ちゃんとそこだけ答えてくださいよ、もう時間が終わっているんだから。ないんでしょう。把握していない。はっきりちゃんと言ってください、それで終わりますから。端的に。
○川上政府参考人 お答え申し上げます。
獣医師のニーズ自体につきましては農林水産省の御所管と承知しておりますけれども、獣医学部で養成するニーズということで私ども申し上げておりまして、その中では、今申し上げたような新たなニーズがいろいろあるだろうということで、今回、認識をしているところでございます。
○北村委員長 時間が終わっております。
○岡本(充)委員 時間ですのでやめますけれども、このとおり、皆さんおわかりのとおり、ニーズがないということがわかりました。
以上で終わります。
○北村委員長 次に、小山展弘君。
○小山委員 民進党の小山展弘です。
それでは、質問させていただきます。
きょうは、実は、私の選挙区の人は少ないんですけれども、ちょうど小学生が傍聴に来ていまして、また、彼らも与野党とか関係なく政治に関心を持ってもらいたいなと思っておりますし、また、御配慮いただきましたことを大変感謝申し上げさせていただきたいと思います。
質問の順番をちょっとかえまして、最初にお茶のことをお尋ねしたいんですけれども、よろしいでしょうか。
ことしのお茶の生育状況、もし可能であれば在庫状況とかことしの見通しとか、可能な範囲で、今、中期的な天候の見通しなんかも気象庁さんからいろいろ聞かれて調べることもできるかと思いますけれども、ことしのお茶について、ぜひ大臣から政府の認識をお尋ねしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 現時点でのお茶の生育状況でございます。
収穫の早い産地でございます鹿児島県、ここにおきましては、新芽の出芽、芽が出るというのが三月上旬から中旬のところでございますが、気温が低く推移しておるところから、平年より七日程度生育がおくれているというように把握しております。
また、御地元の静岡県、ここでは新芽はまだ出芽をしておりませんけれども、芽の形成は平年並みに推移しているところでございます。
お茶の作柄と申しますのは、出芽後、収穫までの数週間の気象の影響が大きいと言われておりまして、農林水産省といたしましても、引き続き各産地の状況を注視してまいりたいと思っております。
また、御指摘のように、気象庁の予報、これは大事でございますが、今後一カ月の気温というのは、北日本を除き平年より低く推移する可能性が高いというところでございまして、降霜、霜がおりるという気象災害が懸念される場合もございます。その意味では、お茶の産地に対して適切な指導を行ってまいりたいというように思っております。
○小山委員 去年、おととし、去年は少し底を打ったというようなところもありましたが、森山大臣からも大変力強い御答弁を当時も、去年いただきましたけれども、ぜひ適切な指導をしていただきまして、また在庫もかなり調整が進んできているのではないかという話も、これは不確かですけれども聞くものですから、ことしこそ少し上向くようにまた御指導いただければと思います。
それと、いつもお茶農家の人から言われるのは、公の場で、例えばこういう委員会とか国会とか、あるいはよくテレビなんかで多分与党の自民党の先生方の勉強会なんかも出ると、ペットボトルが並んでいると。そうじゃなくてリーフのお茶が、なかなか、女性の事務員なんかかなり手間取るものですから、私も多分、自分の事務所の女性から嫌がられているだろうなと思いますけれども、なるべくそういうものをという話がよく言われるんですね。多分、森山先生や宮路先生も御地元でお茶農家から言われているんじゃないかなと思いますけれども。
そこで、参議院の農水委員会では牛乳が何か出る、飲めると。また、ちょっとこれはけしからぬなとも思うんですが、参院の決算委員会で、コーヒーと紅茶が飲めて、選べるということを聞いておりますと、何で緑茶がないんだろうということでございまして、ぜひ……(発言する者あり)ありがとうございます。与党の先生からも声を上げていただきました。
このお茶を、テレビにちょっとでもお茶を飲む姿が映ってほしいということで、この中に冷茶パックを入れてもらう、水出し冷茶を入れてもらう、そうすればお茶が飲めるということで、ぜひ、これは、委員長、理事会で協議をしていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
済みません、少しほのぼのとした質問をさせていただきましたが、それでは、昨日の三月二十八日に全農が自己改革プランを発表いたしましたけれども、これについて少し、きょうの農業新聞にも山本大臣のコメントが記載をされておりますが、改めてこの委員会の場で、この全農の自己改革プランに対する大臣の評価、感想を伺いたいと思います。
○山本(有)国務大臣 全農が、自己改革について一歩踏み出して、ペーパーを具体的に出していただいたということは、高く評価しております。
今回、全農が、農業競争力強化プログラムを踏まえた形で、農業生産資材の価格引き下げ、農産物の有利販売、これに向けまして数値目標等を含めた形で年次計画をつくられたものというように承知をしております。
この年次計画で全農が具体的にどのような事業スキームに改めていくのか、まだはっきりしていない部分がございますので、直ちに評価するわけにはいきません。今後は、この計画をベースにして、真に農業者の立場に立つことが明らかな事業スキームというようになるように明確化を図っていただけるというように期待しておるところでございます。
また、具体的に申し上げますと、競争入札などによる農業者にとって有利な生産資材メーカーから購入するスキーム、あるいは、中間流通を通すのではなくて、消費者、実需者への農産物の直接販売を拡大していかれるスキーム等を明確にしていただいて、これを実践することによって農業者が成果を実感できるようにしていただきたいと期待しております。
また、こうしたことを実現するためには、まず、役職員の意識改革を行っているということが一つ。また、新たな事業スキームでございますので、外部からの人材登用も必要だろうというように思います。またさらには、新たな事業スキームに対応した組織体制の整備及びスリム化というのが不可欠でございまして、いずれにつきましても、具体的な取り組みがこれからあるものというように期待しております。
こうしたことを踏まえまして、全農改革が着実に進みますように、適切にお互いが情報交換をしながらフォローアップができるようにしていきたいというように思っております。
○小山委員 けさの農業新聞によりますと、自民党の部門会議の方でも、坂本先生などから評価するという声も上がったというふうに伺っておりますが、今、山本大臣のお話の中でも、役職員の意識改革とか外部の人材登用といったような、新聞に出ているようなコメントがございました。
私の方から自己改革についてどのような評価、感想をお持ちかということをお尋ねしていて、それで、これから申し上げるようなことを申し上げるのも恐縮なんですけれども、あくまでも全農というのは、繰り返し申し上げておりますとおり、民間出資一〇〇%の団体であって、そしてまた、かつてのJALのように、赤字で国の出資が入っているとか、そういう団体ではないわけですね。そこが、例えば外部からの人材登用とか、人事まで役所の方からコメントを出されるというのは、僕はやはりちょっと行き過ぎではないかなということを思います。
今のコメントも、恐らく、山本大臣御本人というよりも、役所の中で文書ができて、それを多分お読みになられたんだろうと思いますけれども、むしろ、見方によっては、けさもちょっと私どもの党の部門会議でいろいろやりとりがあって、経産省と比較して、ペーパーがもうちょっと丁寧にあった方がいいんじゃないかというようなこともありましたけれども、農水省の全ての職員さんというわけではないですが、農水の役人だって意識改革が必要なんじゃないかと思われるところもありますし、ぜひ、スリムな組織体制というのであれば、まず農水省さんが率先垂範すべきじゃないかということも言われてしまいかねないと思います。
一方で、全農も、先日の審議で、品種開発でも、はるみという、他の一般企業がどこも開発できなかった、これはおいしいお米でないとまず奨励品種になりませんので、そういうのも開発もしていますし、ぜひ問題点のところだけではなくて長所も見つけていただいて、全体の中で、系統に対する指導というようなこともありますけれども、適切な指導をぜひお願いしたいと思っております。
それと、JAの信用事業の収支見通しについて、どのような認識を持っておられるか。定量的な評価もあるかと思いますが、示すことができれば、数字も用いてお示しいただければと思います。
○山本(有)国務大臣 一組合当たりの信用事業の収益構造、これを平成二十六年でとりますと、収益は十四・一億円ございます。そこから事業費用等を差し引いた収支というのは三・八億円でございます。収益の内訳を見ますと、貸出金の利息が四割、農林中金等から預け金利息が四割、こういう内訳でございます。
今後の見通しでございますが、貸し出しや農林中金等への預け金のもととなります農協の貯金量自体が、営業地盤であります地方の人口減少と高齢化による減少傾向が如実に見られます。さらに、金利低下の中で、貸出金による収益というのは大幅に減少傾向でございますし、現実に減少しております。農林中金等の預け金利息につきましても、外貨調達コストが上昇しておりますし、近年の低金利の影響でその水準の維持が困難となります。
そうしたことから、信用事業収益の減少は否めない事実でございまして、今後どうしていくか、御一緒に考えていく必要があろうというように思っております。
○小山委員 いろいろな角度からお話をいただいて、確かに貯金量とかそういうところは、地方の部分が、人口の減少、高齢化ということで減っていくと。
だからこそ、私は、きょうはちょっと質問からある意味外したというか、しなかったんですけれども、本当にJAがJAだけでやっていくというのではなくて、例えば、これは頭の体操として、漁協、信漁連、これが今度、和歌山と兵庫県が合併をいたします。だけれども、垂直に漁協が県連と統合して県連が広域で統合する、兵庫と和歌山でかなりこれは頑張ると思うんですけれども、兵庫の本店がどれだけ和歌山の潮岬のことを考えられるんだろうか、それで地域金融機関と言えるだろうかと思うと、例えば、私はこの漁協系統のことを考えるときに、もっと水平合併ですね、漁協と農協の信用事業あるいは県連の信漁連の信農連への信用事業の統合といったようなことも、なぜ考えられなかったんだろうか。新潟ではこれは一件あるんだそうですね、ちょうど今離席中ですけれども、この間伺いましたら。
ですから、農協系統が農協系統だけで貯金事業をやっていくというような体制の思想というものが、ともすると、農水省の中の農業部門と水産部門で、同じ農水省であっても縦割りの弊害になっているんじゃないだろうかということもちょっと感じる次第でございます。
こういったことも含めて、地域に根差した協同組合という側面がむしろ出てくるべきではないだろうかということで、もう一言だけちょっと嫌みっぽいことを申し上げますと、金利の低下というのはマイナス金利政策から来ているわけですね。これは他の信金さんとか信組さんとか地銀さんも同様の状況だと思います。人口減少と高齢化は、これは他の信金さん、地銀さん、これも同様な状況でありまして、JAの信用事業だけの特別の問題ではないと思うんですね。むしろこれは、マイナス金利政策は改めていただきたい、そういう声をむしろ農水省さんからも上げていただくことの方が先決じゃないかな。
それと、ぜひ、このマイナス金利を理由に信用事業の統合を進めていくとか譲渡を求めるというのは僕はこれは本末転倒だと思っておりますので、それは理由にしないでいただいて、むしろマイナス金利をやめることを提案していただきたいと思います。
そこで、最近、フィンテックと言われておりますけれども、このフィンテックの普及というのがJAの信用事業にどのような影響を与えると農水省では認識しておりますか。
○齋藤副大臣 ITを金融に活用したサービス、いわゆるフィンテックは、金融全般にかかわる問題であると認識しておりまして、当然JAの信用事業にもかかわる問題であると考えております。
フィンテックによりまして、決済サービス分野など従来金融機関が行ってきた分野において、新しい革新的なサービスを提供する動きがかなり活発化してきております。このような動きは、これまでの銀行業務やJAの信用業務のあり方について不断の見直しを求めるものとなっていると認識をしております。
政府といたしましても、御案内のように、このような動向を踏まえて、フィンテックに関連する銀行法等の改正案を提出させていただいているところでございます。
フィンテックの普及がJAの信用事業にどういう影響を与えていくかということは、今の段階で確定的にこうだということは申し上げる段階ではないんですけれども、金融庁の平成二十八年十月に出されました金融行政方針におきましては、フィンテックは単なる金融サービスのIT化にとどまらず、ブロックチェーン技術の活用等による金融取引の仕組みの変革ですとか、AI、ビッグデータ等、従来見られなかったIT関連技術の取り込みを通じて、金融の将来的な姿を大きく変えていく可能性が高いというふうに評価をされておりますので、私どもとしても注意深く見守っていきたいと思っております。
○小山委員 予見し得る将来というのがどのぐらいまでかというのが、多分、年々技術の進歩とかで予見し得る将来というのは近くなってきているんだろうとは思っております。ですから、遠い先であればあるほど見通しにくい。
先ほど岡本先生から林業の話がありましたが、一番大変だと思うんですね。自分のためじゃなくて孫とかひ孫のために木を植えたら、価格が全然違ってしまっていて、環境も変わって、今はむしろ木を切ると赤字になってしまうというようなことですので、なかなか将来のことは見通しづらいと思います。
地銀さんや信用金庫の中でも、フィンテックというものが相当経営に影響を与えるんじゃないかという見通しを出す方もいれば、あるいはシステムの開発などに携わっている人の中では、いや、実はアフリカとか全く金融のインフラがないところで導入するというのは大変大きな効果があるけれども、日本の場合にはある程度自動引き落としとかインターネットバンキングとかそういうものがあるものですから、では、そこが、どのぐらい入ることで、またJAの信用事業は特に、今でもパソコンなんか使わない農家、農家に限らず地域の利用者の方に対する貸し出しとか住宅ローンとかそういうのも多いですから、これがどのぐらい影響を与えるのかというのもなかなか読みにくい。
まさに注視をしながらというところだと思いますが、私が思いますのは、よく亀井さんが昔言っていた金融のコンサルタント的機能。ちょうどこれは山本大臣が質問されていて、当時、私、財金委員だったものですから覚えておりますけれども、コンサルタント的機能、こういうものはやはりまだ残るのではないかなとも思っております。
いずれにしましても、今は動向を注視ということですので、フィンテックを理由にして信用事業に余りあおるようなお話ではないかとは思いますけれども、ぜひ、ないようにしていただければと思います。
ちょっと信用事業のことをいろいろ聞きましたが、農水省では、貯金量とか自己資本比率とか、JAの信用事業を譲渡する指導を行う際の基準というものは持っていらっしゃるんですか。あるいは、なければないとお答えいただければと思いますが。
○山本(有)国務大臣 ほぼ金融庁と同じ、一般的な金融機関に対する基準でJAについても審査をしているところでございます。
○小山委員 貯金量で一律に、確かに、余り少ない貯金量とか、あるいは利益が保証金収入だけとか、そういう場合で、早目の勧告というものが全く必要ないとは思いませんけれども、ぜひそこは金融庁のとおりでやっていただければと思いますし、また、こういった数値目標を、再編強化法に基づいて、ありましたね、規制改革会議で三年で半分にしろとか。そういったものを逆に信農連や農林中金に求めるというようなことはあるんでしょうか。
○山本(有)国務大臣 金融一般論といたしまして、金融環境が随分変わっております。金利の面もそうでございますし、また貸し出しの体制についてもそうでございます。また、デフレ傾向にあるということもそうであります。また、運用面におきまして、海外に展開していくリスクというのも拡大しております。
そんな意味で、金融庁が一般金融機関に対して指導しているそうしたリスク通知みたいなことも、農林水産分野の各金融事業をやっていらっしゃる方々に共有をしてもらわなきゃいけません。しかし、今現在、システムリスクが農業関係の金融機関にあるかというと、それは全くありません。
ですから、今のうちに体制を整えたい、こういうことでございますが、ただ、先ほどおっしゃられた信用事業についての期待感でございますけれども、平成二十六年六月に、政府・与党の取りまとめにおきまして、JAバンク法に規定されております代理店方式の活用を積極的に進めるというように考えておりまして、農林中金の幹部の皆さんと意見交換した折にも、そうした意識は継続されておりました。
また、事業譲渡や代理店スキームを活用するかどうかについての農協の選択につきましては、農林水産省として、行政指導の面において一律の基準は設けておりません。
各農協におきまして、将来的な金融環境を踏まえて、今後、信用事業のあり方について自主的にお決めいただきたいという姿勢でございます。
○小山委員 大体、収支シミュレーションをして、このままでいくと大変ですよ、早く譲渡してくださいというような、こういうことをやられるのではないかなと想像しているんですけれども、このシミュレーションも、一個変数を変えると全部先が変わってきますから、楽観シナリオ、悲観シナリオ、あるわけですけれども、このあたりのところで、当時、竹中大臣のもとで、企業の貸し倒れリスクというところでどんどんこの数字が入ってきて、大変信用力の評価が変わったこともあったものですから、ぜひ、ここのところはあくまでも自主性というものを重んじていただいて、余り悲観シナリオに行き過ぎてしまって譲渡を促し過ぎるということがないように、ぜひお願いしたいと思っております。
それと、一、二問だけちょっと農機のこともお尋ねしたいと思っておりますが、済みません、きょうは二役の副大臣、政務官にも伺おうと思っていたんですが、ちょっとなかなかうまく、私も質問を絞ってしまって申しわけないんですが。
農業競争力強化法が今度出てくるわけですけれども、農機生産に参入するというような企業というのはどういう新規参入企業を想定されていらっしゃいますでしょうか。これは大臣にお尋ねしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 農業機械製造への参加でございます。
まず、二十八年度補正予算事業でございます革新的技術開発・緊急展開事業、これらを受けまして、建設機械メーカーが水稲直播栽培用のICTブルドーザーの開発に取り組んでおられるわけでございまして、これが参入いただけるというように思っております。
また、これまでメーカーのみが製造していた部品につきまして、町工場と一体となって改造、修理、製造を請け負う取り組みも進んでまいりました。したがいまして、地元地元で町工場で直せる、あるいは改造できるということになろうと思います。
そして、電機メーカー、この方々が野菜の自動収穫ロボットの開発に取り組んでおられます。
こうしたことは、労働環境が今変化しており、人手不足と言われているところを埋める大変期待感の高い参入だろうというように思っておりまして、さまざまな異業種の参入が期待されるところでございます。
○小山委員 ちょっと更問いで伺いたいんですけれども、これ、もしもうかるんだとしたら、何で今までそういった企業は参入してこなかったんですか。
○山本(有)国務大臣 農業機械界につきまして、平成に入って以降でございますが、メーカーシェアというのが上位四社で八割を超えております。その意味で、寡占状態が続いている中での新規参入というのは、この四社と同じぐらいのシェアが期待できなければ参入しても意味がないような、そういう市場の様相になってきておったので、参入が困難というような意識があったのではないかと想像しているところでございます。
○小山委員 大手が参入してくる、例えば、先日、もう具体名で申し上げれば、日経新聞にコマツさんとか、多分、建設機械メーカーというのはそちらのことではないかなと。あるいは自動車メーカーが入ってくるとか、電機といっても、大変大きな大企業ですね。あえてそういう大手企業が一部門として農機に参入してくるというのであれば、僕はA―FIVEの出資とかは要らないんじゃないかと。もうかる事業であれば、これはまさに民間にやらせていこう、民間の競争に任せていこうというような大きな方向性だと思うんですね、今回の思想というか考え方が。
一方で、今、農機メーカーの業界については、実際に野菜とかありましたけれども、トラクターとコンバインと田植え機についてが金額も大きいし、それについてはその大手四社が寡占状態だというような、数字的にはなっていますけれども、ただ、ここで私がこの質問をあえて申し上げましたのは、こういう大手の、例えばコマツさんとか、トヨタさんなんか一千万台ですね、自動車の販売台数が。農機の方なんかでは、国内出荷四万台ですよ。そうすると、農機の業界を見ると寡占化だ、大手だと言われても、例えばコマツさんとかトヨタさんと比べれば、農機メーカーは中小企業なんですね。
これはどういうことかといったら、例えばスズキ自動車の鈴木修さんは「俺は、中小企業のおやじ」という本を書いているんですよ。だから、超大手からすれば、これは中小企業なんです。そこに、大手のそういう自動車メーカーとか電機メーカーには、もうからないけれどもやってもらいたいからということで新規参入に出資をする。ところが、既存の農機メーカー、ずっと研究してきたところには出資がないということになれば、これは、ある意味、強きを助けて弱きをくじくということにもなりやしないだろうかと。
そして、やはり日本の田植え機なんかは、東南アジアなんかでもこれは大変使われていますし、また、海外で七割の利益を出している企業もあるというんですね。そんなところに入ってきて過当競争になれば、むしろ日本の農機のさらなる研究開発、高度化というものがおくれてしまう。研究開発に回せなくなってしまう。今でさえも余裕はないと聞いていますので、ぜひそんな観点も持っていただきたいなということを思っております。
また、きょうは、済みません、いろいろ肥料のこととかも質問も準備させていただいたんですが、競争力強化法で質問の機会をいただければまたお願いしたいと思います。
国家戦略特区について、専門性のある農業分野の外国人を受け入れる方向で法律変更を考えていると伺っておりますが、専門性を有する農業分野の外国人の中に農業の技能実習を経験した人は含まれるんでしょうか。
○山本(有)国務大臣 昨年十二月十二日の国家戦略特区諮問会議の決定を受けまして、国家戦略特区制度を活用して、適切な管理のもとで、技能等を有する農業分野の専門外国人材の就労を可能としております。今国会に関係法案が提出されて、審議がされるというように存じております。
受け入れる外国人材の要件でございますが、現在、関係府省で調整中でございます。即戦力となり得る農業に関する一定の知識経験を有する者ということだけは決まっておりますが、この中に技能実習を修了して帰国した者も含まれ得るというように考えるところでございます。
○小山委員 この技能実習生のところが、まさに技能実習の延長でこのまま農業分野における外国人の派遣労働者ということになれば、そもそも、農業実習制度が外国人を労働者として扱っていたんじゃないか、そういう批判も受けかねないですし、一旦帰国してということですが、アリバイ帰国みたいにしてビザだけ取ってまた戻ってきちゃったということにもなりかねないので、ここはぜひ慎重に対応していただければと思っております。
また、国家戦略特区関連でちょっと質問をさせていただきたいと思いますが、今、岡本議員からも質問のあった、関連する件なんですけれども、獣医師の、獣医学部の設置に関することでございます。
これは大臣にお尋ねしたいと思うんですが、平成二十八年五月十二日の参議院の農林水産委員会の答弁では、当時の森山大臣は、獣医の定員見通しについて、充足しておりますと。明確にではありませんが、そのときも、儀間参議院議員から、大型の産業動物専門の獣医学部の設置の必要性に対する質問について、明確に必要だとも必要でないとも発言はされておられないんですが、文脈上、それは否定されておられる。必要だとは言っていないわけですね。
平成二十八年の十一月九日の諮問委員会の会議では、山本大臣は、獣医学部の開設につきまして、地域的課題の解決につながる仕組みとなることを期待すると発言をされておられます。
直接的な判断ではないにしても、農水省の見解が変わっているように思うんですけれども、この半年の間でどういう議論を経て、どういう理由でこの判断が変わったんだろうかと思うんですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
○山本(有)国務大臣 農林水産省の獣医さんについての考え方は、森山大臣のころと私のころと変化はないというように私は捉えております。
家畜やペットの頭数が今減少しておりまして獣医師の需要が減少しているとは一概に言えないというようにまず捉えております。そして、獣医さんが数自体が不足しているということではないということは、森山大臣のときと私も同じでございます。
しかしながら、地域の畜産業にとりまして重要な産業動物の獣医師については、地域的に非常にその確保が困難なところがあるというように考えておりまして、森山大臣の答弁を拝見いたしますと、同趣旨のお答えが散見されているわけでございます。
また、今回の獣医学部の新設と申しますのは、もう何度も申し上げるところでございますが、先端ライフサイエンス研究、そして獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要、こうしたことに着目したわけでございまして、産業動物獣医師の確保が困難な地域があり、その偏在についての取り組みについて何らか対応を必要とするという認識でございます。
○小山委員 地域の偏在ということと、ペット、動物病院の院長、先生になっちゃう、実際、産業動物の方にはなかなか足りないというようなことと、あと、足りているとしても地域的に、それが東日本はいるけれども西日本が足りないというような二つの問題があるかと思うんですけれども、でも、地域的な偏在を解決するんだとしたら、何か創薬に資するとか、先ほど岡本先生が、お医者さん、医師だって実験動物をちゃんと飼っていたんだという話がありましたけれども、また、そういう獣医でなければできないということではないということなんですが、従来の獣医学部でいいんじゃないか、国際的な獣医学教育とか、それは地域偏在と関係ないと思うんですが、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 先端ライフサイエンス、創薬あるいは先端医療分野というようなことについては、格別私ども、お医者さんあるいは獣医さんに限らないというようには思っております。
しかし、私ども、地域にいる者にとりまして、例えば畜産経営、酪農経営、そうした方々から再三再四、獣医さんの確保の要望をいただいてまいりました。そしてさらに、飼養頭数をふやすというようなことの懸念の中に、獣医さんが来てくれないというような話もいただいております。
私の地域で県庁の獣医さんの募集をしましても定員割れでございまして、結局、都会に集中して地域になかなかそうした獣医さんが確保できないという大きな傾向の中での私ども苦労がございます。そんな意味で、四国等についての地域性から、何とか確保したい、そういう念願が随分ありました。
というようなことからして、日本地図をマッピングしてみますと、畜産経営の盛んな地域については獣医さんが多い、獣医さんというか大学が多いというようなこともありまして、愛媛県が対応されておったということも、私はむべなるかなというような気がしております。
○小山委員 でも、私は、従来の獣医学部の定員増で対応できるのではないかなと思いますし、都会に今獣医さんが集中するといってもそれはペットの話で、産業の獣医さんということをやっている方では、やはり東日本は多いけれども西日本は少ないということで、都会に産業の獣医さんが集中しているということではないと思うんですね。
そんな中で、今治に開設予定の大学の卒業生が四国にその後も勤務して、四国の獣医不在の解消につながるという期待を、それが実現するという見通しは立てられるんでしょうか。四国にあっても、そこからまた全国に散らばっちゃうかもしれないですよね。その点についてはどのように見通していますか。
○山本(有)国務大臣 それは卒業者等の自由な判断ですから、一概に言えようものではありません。
ただ、愛媛県、高知県、徳島県の三県が貸与制度というのを考えておりまして、特に、畜産協会を中心にしまして、学生のいわば確保、卒業後の就業の確保、高知県へ来てくれるならば幾ら出すよというような学生時代からの資金の援助、奨学金というような形で切実な産業医、動物医不足というものを解消しようとしている試みがあるわけでございまして、その意味では、この貸与制度の枠が徐々にふえているということも言えようかと思います。
○小山委員 今の貸与制度であれば、それは一定程度有効だと思うんですけれども、それは、でも、四国に新規大学をつくるということで地域偏在が解消されるということとは違うと思うんですね。貸与では、ほかの大学の獣医学部に行っても、また戻ってくる、そういうことになるんじゃないでしょうか。
○山本(有)国務大臣 大学があるなしと、地域にそうした卒業生が定住することというのは、本当に私も、なかなか困難な、一概に言えない問題だろうというように思います。
特に、高知医科大学があっても高知にお医者さんが残るというのはなかなか難しいというのは、よくお話を聞きます。ただ、土佐市というところに新規に、私の時代に、私の時代というか、十五年前にリハビリテーション学院というのを私立で設置することができました。そうしますと、県内のリハビリテーションの、OT、PTの皆さんが就職するというのは、大体その定員を満たすことができました。
そういうような他の学校の事例を見ていきますと、有利に展開はできるのかな、条件が少し好転するのではないかなという期待でございます。それ以上のものではないということは申し上げておきます。
○小山委員 時間もないので、内閣府にもちょっと聞きたいんですが、ただ、今回、今治にできるのは、何か今までの獣医学部とちょっと違って、国際的な獣医師養成とかライフサイエンスとか創薬とかで、地域偏在解消のための特区ではないんですね。だから、そこのところは、ちょっと僕は整合性がとれないんじゃないかと思うんです。
内閣府に聞きたいんですが、ライフサイエンスや創薬に資する獣医師の養成のための特区提案には、京都府と京都産業大学も手を挙げていますね。この提案については、平成二十八年十月十七日にワーキンググループで審議をされております。この京都府と京都産業大学の提案が実現に至らなくて、今治市の提案が実現に至った理由は何でしょうか。
ちなみに、十二月十五日の、この決定をした諮問会議の議事録が公開されていないと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
○川上政府参考人 お答え申し上げます。
今治市の提案と京都府の提案の比較の話でございますけれども、これにつきましては、事業の実現性が今治市の方が明らかに高いと判断し、まずは今治市の事業を優先したところでございます。
具体的に申し上げますと、一点目は、自治体のかかわりの強さでございまして、今治市は京都府と異なり、特区提案だけではなく、総合計画やまち・ひと・しごと創生総合戦略にも本件を位置づけているということがございます。
二点目には、水際対策への対応ということでございまして、両地域はともに創薬研究を柱とはしてございますけれども、水際対策に関しましては、先ほど農水大臣からもお話がございましたけれども、今治市の方が獣医学部の空白地域ということもございまして、より重点を置いているということがございます。
三点目には、計画の具体性ということでございますけれども、今治市の提案は京都府と異なりまして、コアカリキュラム数、必要教員数等を明確に示す具体的なものとなっているというふうに承知をしております。
ただし、今後といたしましては、国家戦略特区は規制改革の突破口でございますので、京都府の提案についても、今後の検討としては十分検討に値するものと考えております。
それから、議事録の関係でございますけれども、審議の内容等の公表につきましては、これは国家戦略特区のワーキンググループの審議の内容等の公表のお尋ねかと思いますけれども、これにつきましては、「ワーキンググループの内容等を適当と認める方法により、公表する。」とされておりまして、これに従って運用しているものと認識をしてございます。
以上でございます。
○小山委員 今の話はちょっと納得できないですね。というのは、京都府は、京都府と京都産業大学が一緒になってこの提案に行っているんですね。ところが、今治の方は、もう質問時間は終わりですので、私、言って終わりにしますけれども、今治がやっているんですね。この二つの比較だったはずです。その後、加計学園が出てくるのは、今治に対して、今治が決まってから出てくるんですね。
ところが、今治と京都の比較をしたら、これはもう諮問委員会のワーキンググループの資料の中にコンペの資料が出ていますけれども、明らかに京都の方が十倍以上資料が厚いですよ。
それと、水際対策ということであれば、より飛来してくる可能性の高い日本海とかあるいは琵琶湖に面している京都の方がむしろ立地条件としてはいいですし、あるいは創薬の関係であれば、大阪に製薬会社の本社があるので、そちらの方が地の利もいいはずなんですね。
むしろ、自治体とのかかわりの強さというところでは、前々からまるで加計学園と今治市がずっとじっこんにやってきたことを今証明したような発言じゃないですか。
私は、これはどうも、調べれば調べるほど、最初から今治ありきだったんじゃないか、そして、今治が余り詳しいことを出さないのは、最初から今治が加計学園ありきだったんじゃないかということが、これが非常に疑念を持たれている次第でございます。
質問時間も来ましたので、これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○北村委員長 次に、斉藤和子君。
○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
三月二十四日に宮城県と千葉県で高病原性鳥インフルエンザが検出されたことについて質問します。
二十七日には、鶏の殺処分と埋却処分、消毒などを完了したとされています。鳥インフルエンザが検出された場合、当該農場から半径三キロメートル以内は移動制限区域、三キロから十キロは搬出制限区域に設定され、鶏などの移動が制限される。しかし、農水省との協議によっては、この制限が解除される前にも卵やひななどの移動が可能になるようです。
この協議というのはどの段階で行われ、協議が調った場合は、何が移動が可能になるんでしょうか。
○今城政府参考人 お答えいたします。
三月二十四日、宮城県と千葉県で発生したということのお話、そのとおりでございます。
それで、ただいまのお尋ねでございます。移動制限区域及び搬出制限区域、それぞれ、三キロ、それから三キロから十キロ圏内が設定されます。その設定された後に、例外的に、極めて限定的にお認めしている場合がございます。
まず、制限区域内の農場ごとに都道府県の家畜防疫員が発生直後に行う臨床検査、これで異状がないというのを確認いたしまして、それから遺伝子検査や抗体検査、これによりまして病原体がその農場に存在しないということを確認します。
その上で、各農場において、農場から搬出される際の車両消毒、あるいは運搬時の病原体の飛散防止、都道府県が行っている消毒ポイントを必ず通っていただく、そういうための車両の搬出経路の指定、こういうことがきちんと確実に講じられるということをまず都道府県の家畜防疫員の方で確認していただきまして、それから、都道府県と私ども農林水産省がさらに協議をして、確認していただいた場合に限り可能であるという形にしております。
その場合は、移動が可能となった家禽の卵あるいはその生きた家禽を食鳥処理場に出すということになりますけれども、それは当然、通常のとおり、出荷先でさらに洗浄、消毒され、あるいは食鳥処理場で食鳥検査が行われる、こういうような形になっております。
○斉藤(和)委員 例外規定が設けられているということです。
移動制限と搬出制限に設定された場合、出荷ができないということが起こる。そうした場合に、損失が出た場合に補償する制度があります。これはどのようなものが対象になるんでしょうか。
○今城政府参考人 お答えいたします。
当然、移動が制限されるということになりますので、生産物である家畜を適期に出荷できない、そういうようなことで、コストの増加なり経営の大きな損失が生ずるという場合がございます。
このため、生産物を出荷できないことによる売り上げの減少額、それから、通常の出荷先に輸送ができないという場合に追加の輸送費がかかり増しになったり、あるいは出荷がおくれることにより通常の出す期間より長く肥育しなければいけないということで、追加の飼料費等のかかり増し経費、これも存在します。そういうことについて、その損失に対しまして、相当額を国二分の一、都道府県二分の一で負担するということで農家に交付させていただいております。
○斉藤(和)委員 当該農家だけではなくて、周辺を含めて補償されるということは非常に重要だというふうに思います。
ただ、事業主による申請が必要だと思います。中小の養鶏場もありますから、制度を知らずに損失をこうむることがないように、移動や搬出制限の正確な情報とあわせて、例外もあるというお話がありましたから、補償があることも含めて、周知とサポートを当該県とも協力をしてぜひ行う必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○齋藤副大臣 発生県の一つであります千葉県の選出議員であります私の方から御答弁させていただきますけれども、今おっしゃいましたとおり、発生した農場についても、また、その移動制限を受けた農場につきましても、この我々の手当てにつきまして周知を徹底して、御不便のないようにしていきたいと思っております。
○斉藤(和)委員 ぜひお願いをして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○北村委員長 次に、畠山和也君。
○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
きょうは、国営諫早湾干拓事業にかかわって質問いたします。
訴訟が長く続いていますが、その経過は省きまして、この問題にかかわっては、一昨日、二十七日、長崎地裁において、原告の営農者、被告の国、被告補助参加人の漁業者ら三者による和解協議が打ち切られました。
国は、昨年十一月に、総額百億円の有明海振興基金案、仮称ですが、を示しました。その後、農水省が漁業団体幹部に想定問答なるものを示していたとの報道もありました。そして、一昨日、和解協議が打ち切られたというのがこの間の一連の流れです。
まず、大臣に、和解協議が打ち切りとなったことについての受けとめを伺います。
○山本(有)国務大臣 まず、大変残念でございます。
三月二十七日の和解協議におきまして、長崎地裁から和解協議を打ち切るという判断が示されました。一年を超える和解協議におきまして和解に至れなかったことについて、大変残念でございます。
長崎地裁における和解協議は、昨年の一月十八日の和解勧告、これを受けまして、十五回に及ぶ協議を重ねさせていただきました。本年一月二十七日には、新たな和解勧告の御提示をいただくなど、和解に向けた裁判所の御尽力には敬意を表するものでございます。
また、漁業団体におきましては、国の提案した基金につきまして、これまでの経緯や立場を乗り越えていただいて、議論を尽くしていただきました。心から感謝を申し上げる次第でございます。
国としましては、引き続き、本件をめぐる一連の訴訟に対しまして適切に対応すべく、問題の解決に向けて真摯な努力を重ねていきたいというように思っている次第でございます。
○畠山委員 皆さん、委員のお手元に、先日のことにかかわっての資料を幾つか、報道各紙のものとしてもお渡ししていますので、ごらんください。
共通しているのは、国が責任を負って今こそ決断するべきではないかという指摘です。これまでも、何度も何度も転換あるいは決断の時期もあったかと思いますし、そのたびに、国のイニシアチブが必要だ、国の決断が求められるなどの声も上がっていたに違いありません。
資料一枚目は、毎日新聞西部版ですが、四角でくくっているところであります。成蹊大学武田真一郎教授の言葉が引用されていまして、最後に、「事態打開にはもはや国が決断するしかない状況だ。」と述べられています。
資料二枚目は、同じく西部版、朝日新聞ですが、佐賀大学畑山教授は、「漁業者と農業者の言い分を集約し、折り合う道を探るのは本来政治の役割。司法の混乱は政治の不作為ゆえの悲劇だ」と断じています。
我が党はこれまで、予算委員会や決算委員会などで、同僚議員が、国として、防災、あるいは農業者、漁業者などが共存できる道、農漁共存へ責任を負うべきだと主張もし、具体的な提案なども行ってきました。
この時点において国として今後どのように責任を果たすつもりか、これらの指摘も踏まえて、大臣はどのようにお考えになっていますか。
○山本(有)国務大臣 国といたしましては、長崎地裁によります開門を前提としない和解勧告を受けまして、有明海全体の漁業環境の改善に向けた総額百億円に上る基金の検討、漁業団体への意見聴取、あるいは、長崎地裁の訴訟指揮に従いまして、昨年一月以降、和解勧告に沿った和解の成立に向けまして、誠心誠意な努力を傾けたつもりでございます。
しかし、二十七日、長崎地裁の和解協議では、裁判所から、あくまで開門を前提としない和解勧告による解決、これが相当と考えているがということでございますが、開門派に受け入れていただくことができませんでした。開門にかわる基金、それと、開門について、した場合という並行協議、これについても裁判所が、和解の成立の見込みが高いとは言えないという御判断をいただきまして、和解協議が打ち切られるということになったわけでございます。
先週二十一日、今度は、福岡高裁の和解協議がございました。福岡高裁も、この長崎の和解協議の進行についてつぶさに認識されておられまして、福岡高裁の和解の方も審理に戻さざるを得ないという御判断の向きが伝えられたところでございまして、国としましては、今後、福岡高裁の訴訟指揮に従いつつ、本件をめぐる一連の訴訟の適切な対応あるいは問題解決に至れるように、なお知恵を絞ってみたいというように思っておるところでございます。
○畠山委員 適切な対応はもちろんですし、知恵を絞るとの話ではありますが、ただ、今から述べますように、この間の農水省の態度が非常に現場では不信感を生んだということは指摘しなければいけないと思っています。
農水省が漁業団体幹部へ示したとされる想定問答なるものの存在です。これは、ことし三月八日付朝日新聞一面で報じられたものでした。
その想定問答によれば、今農水省が示している百億円の基金については、組合員から増額の要求が出た場合に、会長、組合長さんの回答例として、自分としては十分な規模をとれたとの回答をするようになっていた。あるいは、末端の漁業者を聞いてほしいとの問いがあった場合には、まずは基金をかち取ることだ、任せてほしいとの想定問答というか回答がされていた。さらには、開門派原告団の弁護団長を名指しで、距離を置くよう求める回答までつくっていたとのことでした。事実であれば、本当にひどいものだと思います。
そこで、私が先日、二十三日の本会議で、想定問答なるものの公開を求めたのに対して、山本大臣は、交渉当事者としての地位を不当に害するおそれがあり、そうした文書が存在しているか否かも含めてお答えできないとの答弁でした。
状況が今変わりました。和解協議が打ち切られて、今なお不開示にする理由はどこにあるというのでしょうか。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
この三月二十七日の和解協議におきまして、長崎地裁から和解協議を打ち切るとの御判断が示されたところでございますが、本件につきましては、複数の訴訟が提起されております。争訟中であるということに変わりはないと考えております。
このため、交渉または争訟に係る事務に関しまして、国の当事者としての地位を不当に害するおそれがあります。そうした文書が存在しているか否かも含めてお答えすることはできないという状況に変わりはないというふうに考えてございます。
○畠山委員 訴訟が続いている、つまり、引き続き、かかわる関係者の皆さんとの、必要であれば和解協議という場面も出てくるかもしれないわけですよね。漁業者、原告団の方からも声明が出されて、今後の和解協議の道を完全に閉ざしているわけではないことなども当事者からも述べられているわけですよ。そのようなときに、これまでと同じような国の態度では不信感は払拭されないのではないのでしょうか。
開門を求めていた漁業者からは、この想定問答があったとして、漁業者をばかにしたやり方ではないかと現地の新聞などでも報じられておりました。漁協との関係でも障害を生み出したのではありませんか。例えば、組合員から、うちの組合長がこれに基づいて答えたのかと疑いを持つことだってあると思いますよ。組合長さん自身が、自分の説明を組合員が信用してくれないというふうになれば、組合長だってかわいそうじゃありませんか。
一般論で伺っておきます。協同組合という組合員の自主的運営で行う組織に対して、行政の側が問答集や答弁マニュアルのようなものをつくることはあるんですか。
○佐藤(速)政府参考人 お答えいたします。
一般論として申し上げますれば、国が、その任務または所掌行為の範囲内で私人のための助言行為を行うことは、例えば漁業者への技術的助言なども含めまして、国の事務に含まれるというふうに考えております。
○畠山委員 技術的な問題にはあり得るということでしたけれども、あくまでこの報道されている中身を見れば、技術的な問題以上の内容が含まれているじゃありませんか。
こういうような想定問答が報道されたことに対して、農水省としては抗議のことも言っていないわけですから、あったという前提で、私、質問しますけれども、このような想定問答なるものは協同組合の自主性を侵害するというふうには考えませんか。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
この和解協議に係ります漁業団体との交渉に係る内容につきましては、交渉または争訟に係る事務に関し、国の当事者としての地位を不当に害するおそれがあり、お答えすることはできませんけれども、漁業団体はそれぞれが組織内で議論を重ねて、国が提案申し上げました基金の受け入れの可否について自主的に判断されたというふうに承知をしてございます。
○畠山委員 ちょっとひどいですよ。
この想定問答は、中身を見れば、国の主張に沿わせようとしたがために、さまざまな問題をつくり出しましたよ。和解協議の障害をつくり出した、漁業者の中に分断を持ち込んだ、協同組合の原則まで踏みにじるような、とんでもないやり方じゃないですか。この想定問答が配られたであろうという時期は、漁業団体が開門にかわる基金案を拒否した後に、国が協議の継続を求めて、長崎地裁もそれを認めたときでした。この想定問答なども含めて、農水省が決着を押しつけているんじゃないかと不信感を持つのは当然だと思いますよ。
資料三枚目をごらんください。西日本新聞ですけれども、同じくこれも枠で囲っているところをごらんください。このように述べています。「最終局面では国の「失策」も明らかになった。三月に入り、農水省が漁業者説得のための想定問答を漁業団体幹部に示していたことが発覚。営農者側に肩入れするような姿勢が、地裁の和解協議打ち切りの判断に傾けさせたとも取れる。」こういうような現地の報道もされているわけです。
最後に大臣に確認しておきたいと思うんですが、これからまだ訴訟が続いているから不開示なんだということが答弁ではありました。確かにまだ続くでしょう。だからといって、国として、想定問答は不開示とするということだけにとどめていたら、解決の糸口、道筋というものは成り立たない、不信感が払拭されないのははっきりしていると思うんです。誠実な説明をきちんと責任を持って果たすべきだということを述べたいと思いますが、大臣、最後、答弁してください。
○山本(有)国務大臣 諫早湾の干拓開門問題につきましては、もう申し上げるまでもなく、複数の訴訟が提起されている大変難しい状況にございます。国としましては、問題の解決に向けて最善の努力を図っていく必要があるというように考えております。一方で開門の判決、他方で差しとめの判決、どのような判決をいただいたとしても、現場の解決というものは和解でしかできないというように考えておりまして、馬奈木弁護団長もそうした意見を述べられているわけでございます。
このような状況の中で、和解協議のもとでの漁業団体との交渉に係る内容を申し上げ、想定問答の存否を明らかにするということになりますと、交渉または争訟に係る事務に関しまして、国の当事者としての地位を不当に害するおそれがあり、また、漁業者に対する不安を惹起するというような懸念もございます。そうした文書が存在しているか否かも含めまして、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○畠山委員 ことしで堤防締め切りで二十年になりました。二十年というのはやはり年月としては重たい時間だと思います。開門を命じた福岡高裁の判決が確定している中で、まさしく国が今こそ解決への責任を果たすべきときであり、想定問答なるものの存在、公開も求めて、質問を終わります。
○北村委員長 次に、吉田豊史君。
○吉田(豊)委員 日本維新の会、吉田です。きょうもよろしくお願いいたします。
水産関係の質問をさせていただきます。
富山は米どころ、米どころとずっと言ってまいりましたけれども、水産におきましても有名なところで、ブリですとかホタルイカですとか、さまざまな富山が誇る水産物もございます。
その中で、いつもどおり、攻めのという言葉をつけておりますので、私は、攻めの漁業ということで、今回、特に、この攻めるといったときに、世の中は漁獲量あるいは魚の資源そのものが非常に今は厳しい状況になっていますから、攻めるからといって余計たくさんとりに行く、そういう攻めではなくて、本当にその需要にかなう魚介類、そういうものを養殖という形で今新たに生産をしていくということは非常に当然であり、またそこに力を入れていかなくてはいけないことだろう、こういうふうに思うわけです。養殖について特に質問していきたいと思います。
まず、水産資源が減少しているということはもう明らかだと思うわけです。明らかに、私たちの食生活を見ましても、昔、二十年前、十年前でもそうかもしれませんけれども、回転ずしとかおすし屋さん一つをとっても、これだけ食べられる状況ではなかったわけですね。それが、もう当たり前のように、毎日どこからあれだけの魚が出てくるんだろうというくらいに、今私たちは魚、魚介類を消費している、こういう状況にあるわけで、本質的な水産資源の減少というか枯渇、あるいはそういうことについて心配に思うわけですけれども、まず、この状況をどのように捉えているのか、確認させていただきたいと思います。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
私ども水産庁では、我が国周辺の主要水産資源、これは五十魚種ございまして、太平洋側あるいは日本海側にすんでおりますので、それを分けまして、八十四系群というふうに呼んでおりますが、これについて、毎年資源状況の評価を実施しているところでございます。
本年度の資源評価結果におきましては、いわゆる資源が高位水準にあるものがマダラ、ブリ等の十四系統、中位水準にあるものがマイワシ、マアジ等二十系群となっている一方で、低位水準にあるものということで、スケトウダラ日本海北部系群というのがあるんですが、あるいはホッケ等が四十一系群となったところでございます。
魚種ごとの資源状況は、漁獲のほか、水温や海流の変化等の環境により年々変動するものでありますが、科学的な根拠に基づき適切な資源管理を行い、水産資源の持続的な利用を図ることが重要、このように考えているところでございます。
○吉田(豊)委員 そして、世界的にも当然ですけれども、とる漁業そして養殖する養殖業と、水産業は二つ大きく分かれると思いますけれども、今、世界全体そして日本において、漁業とそれから養殖業、この状況、バランス、そのようなものはどのように動いているのかということを確認させていただきたいと思います。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
まず、世界全体の漁船漁業の生産量でございますが、これは一九八〇年代後半以降横ばいで推移しておりまして、約九千万トンと相なっておるところでございます。
他方、世界全体の養殖業の生産量は、一九八〇年代後半以降、海面及び内水面の双方で大きく増加しておりまして、海面で申し上げますと、一九八五年六百六十五万トンが、二〇一五年には五千七百十六万トンと約九倍になっております。また、内水面では、一九八五年四百七十一万トンが、二〇一五年四千八百八十五万トンということで約十倍となっておるところでございます。しかしながら、FAOによりますと、今後、水質のよい水、あるいは養殖適地、あるいは餌や養殖種苗に限界があることから、生産量の増加率は下落すると予測されているところでございます。
今度は日本の漁船漁業の生産量でございますが、これは一九八四年の一千百六十一万トンをピークに減少してきておりまして、近年は下げどまってはおりまして、二〇一五年には三百五十八万トンとなっておるところでございます。
それで、日本の養殖業の生産量につきましては、一九八五年以降およそ百万トンから百四十万トン前後で推移しておりまして、二〇一五年には百十一万トンと相なっているところでございます。
○吉田(豊)委員 確認してみますと、非常に驚くべき数字が出てきていると思うわけです。ほぼ九倍、十倍という大きな量が生産されている、これは養殖によってということですね、それは海面、内水面を問わず。内水面というと、日本の場合はなかなか内水面での養殖ということをイメージしにくいんですが、世界では内水面というものが大きく動いている、こういうことも非常にこの先の情報ということからすると重要なことじゃないかなと改めて確認させていただきました。
それで、この先、日本の、我が国の養殖の実情ということを少し確認したいんですけれども、まず、どういう種類が今現実に養殖されているのかということ、そして、その養殖されている品種が選ばれる、種類が選ばれる、そこには当然養殖業者の経営面でのさまざまな判断が入ってくるというふうに思いますが、何よりもやはり生産コスト、そのような考え方から、今この日本の養殖の実情について、改めてポイントを紹介していただきたいと思います。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
我が国の魚類養殖生産量でございますが、約二十五万トンでございます。内訳でございますが、ブリ類、マダイ、クロマグロ、ギンザケ等が生産されておるわけでございますが、ブリ類、マダイ類がその大宗を占めておるところでございます。
他方、先生の方からお話ありました経営面の問題でございますが、この魚類養殖業ではやはり餌代がコスト全体の六割から七割を占めているわけでございまして、近年では、輸入魚粉を主原料といたします養殖用の配合飼料や国産生餌の価格が高水準かつ不安定ということであるため、養殖業者の皆さんの経営を圧迫しておる、こんなような状況にございます。
これに対しましては、養殖経営の安定を図るべく、引き続き、養殖用配合飼料の価格高騰対策、あるいは生餌の安定供給対策を適切に実施するとともに、魚の成長とコストがバランスした養殖用配合飼料の低魚粉化及び配合飼料原料の多様化を推進しているところでございます。
○吉田(豊)委員 そして、我が国の養殖技術の話に入りたいと思います。
どの分野でもそうですけれども、我が国というのは、非常に国民性としても熱心にさまざまなものについて突き詰めて、そして技術開発なり品種改良なり、それから育てることも含めてですけれども、を行うという、その国民性もあると思うわけですね。
ただ一方で、漁業に関しては、海洋大国である、海に囲まれた我が国である、そのことがベースとなって、基本的にはとるという漁業がまず大きく進んだ。
そこから、今、養殖という新たなところに行かなくちゃいけないわけですけれども、どちらにしても、我が国が海洋大国であるということ、それから漁業においても世界一の先進国であるという事実からすれば、養殖技術というところに当然世界に冠たる強みというものを持たなくちゃいけないし、持つポテンシャルはしっかりあると思うわけです。
こういう考え方で我が国の養殖技術を世界の中で比べたときに、どのように今認識されていて、何かはっきりとした強みがあるのか、どう分析しているのか、これを確認させてください。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
今、吉田先生の方から御指摘ございましたが、養殖業の競争力を強化するためには、やはり人工種苗の生産技術の開発、あるいは高成長、効率的な育種の開発、そして養殖用配合飼料の低魚粉化と配合飼料原料の多様化といったような技術開発を進めていくことが必要だというふうに考えております。
具体的な例で申し上げますと、資源の減少が問題となっている魚種ということでクロマグロあるいはウナギといったようなことで、天然資源に依存しない養殖種苗の安定供給を図るために、この二つのものについて現在研究を行っているところでございます。
クロマグロにつきましては、人工種苗の初期の餌の開発につきまして、仔稚魚期の生存率の向上を図るために、現在、国立研究開発法人の水産研究・教育機構を中心とする共同研究機関が、飼料としての大きさや栄養面を改良した動物性プランクトンでありますワムシといったものの品種開発に取り組んでおるところでございます。また、この幼魚の、小さい魚の消化吸収にとって効率のよい配合飼料の開発にも取り組んでいるところでございます。
また、ウナギでございますが、ウナギの人工種苗の量産化といったものが課題になっているわけでございますが、平成二十二年に水産研究・教育機構で世界で初めて完全養殖に成功いたしまして、平成二十五年には同センターが新しく開発しました一トン型の大型水槽、これまでは五リットルから十リットルの水槽であったわけでございますが、一トン型の大型水槽でのシラスウナギの生産に成功するといったような成果が得られておりまして、現在は、ふ化仔魚の生存率が約一・五%ということでございますので、なかなかまだ商業化が難しゅうございますが、この生存率の向上や新しい飼料開発等の課題を解決するために、現在、産学官の連携によりまして、水産研究・教育機構の方で取り組んでいるところでございます。
今後とも、クロマグロ人工種苗の初期飼料の開発やウナギの人工種苗の量産化の早期実現に向けましてしっかり取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
○吉田(豊)委員 今ほど二つ大きく、クロマグロとそれからウナギのことを御紹介されたわけですけれども、特にウナギについては世の中ずっと、これはどこで生まれて、そしてどういうふうにして循環して日本の川も含めてとれるかということがずっと謎だったわけですよね。これが解明されて、そして最終的に完全な養殖というものも可能になる時代が来る。今、目の前に来ている、目の前というか現実に来ているわけですけれども、大事なのは、先般の委員会の種子に関する質問のところで確認させていただきましたけれども、やはり一番最初のスタートのところをきちっと押さえる。このことが今後の商品開発あるいは販売全てにおいて、言葉がいいかわかりませんけれども、全て大もとを押さえるというこの力というのは何にもまさるわけです。
ですから、今回のウナギの生産という過程の中で、養殖も含めて、仔魚のところからの開発というのが我が国の本当に強烈な強みだということを改めて戦略的に、もう一度つかまえていただいて、そしてそれを生かしていくという、そこが、この話はタイミングだと思います。おくれると、やはりそれは価値がなくなってしまう。
先に押さえてしまう、そういうことをぜひ進めていただきたいんですけれども、この状況についてどのようにお考えですか。
○佐藤(一)政府参考人 今、吉田先生御指摘いただきましたように、早く技術開発というものをやっていく必要性というのは非常に高いというふうに考えておるところでございまして、しっかり研究開発に取り組んでいくことが必要だ、このように考えているところでございます。
○吉田(豊)委員 開発ということでは、いろいろなことを幅広くやらなくちゃいけないということの重要性ももちろんわかっていますけれども、実際にこれが水産業という産業というところから捉えれば、やはりきちっと需要があるところにピンポイントを当てて、そしてそこを開発していくという、そのバランスをきちっと働かせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
続いて、養殖技術というところの話で私が大事じゃないかなと思いますのは、消費者が何を求めているかということをきちっと捉えていくという中で、今やはり何をおいても安全であること、そして安心できるということ、これが一番重要なことだろうと思うわけです。
これをどのような形で、養殖というのは一つのシステムの中で動いていくわけなので、これをどう担保していくという考えなのか、品質管理という言葉がいいかもしれませんけれども、それについて、今の現状、それから日本がどれだけのことを取り組んでいるか、それを確認させていただきたいと思います。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
今、先生の方からもお話ありましたように、やはり今、消費者の皆さんにおかれましては、養殖において使用される餌あるいは薬の量あるいは種類、こういったものに対しまして、養殖魚の安全、安心についての関心が極めて高まっているというふうに考えております。
このため、養殖業者の皆さんみずからが、御自分の施設の状況、導入する種苗の時期とか種類、投与した餌や薬の量とか種類、あるいは出荷時期や数量といったものを記録、点検する養殖生産工程の管理手法の普及といったものに努められておるところでございます。
私どもといたしましても、こうした取り組みに対しまして、強い水産業づくり交付金、平成二十九年度からは浜の活力再生交付金というふうに名称変更をしましたが、こうしたものにより、こうした取り組みについて支援しているところでございます。
○吉田(豊)委員 安全、そして安心できるということは、消費者にとっては何よりもベース、当たり前のことですけれども、これをきちっと確保していただくという上に、今度は、では、消費者が養殖の魚を買うというときに何を重視するかというと、当然それは味だろう、こう思うわけです。
この味ということは、養殖というのは、天然に対する養殖という言葉もあるように、本物、それに準ずるもの、こういう考え方で大きく捉えてしまう部分があるんですけれども、実は養殖魚、そして養殖で出てくる魚、魚介類、海藻も含めてですけれども、これは、天然のものとそれに似せたものということではやはり違うと思うんですね。
本質的に、では、消費者が求める味というのは、養殖のものには養殖のものにしかない個性とかいろいろなことを感じていかなくちゃいけないと思うんですが、改めて、マーケティングですね、最終的に、消費者が何を買いたいと思っているのかというところ、それをどういうふうに捉えて今活動しようとしているのか、そこを確認させてください。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
今ございましたように、需要の拡大あるいは付加価値の向上を図るためには、やはりマーケティングに基づいた生産、販売を行うということが極めて肝要だというふうに考えております。
魚類養殖の生産者団体でございます一般社団法人全国海水養魚協会というのがございまして、この協会では、一般消費者との意見交換会等を通じまして消費者のニーズを捉えることに現在努めているところでございます。
このような意見交換会を通じまして、生産物の風味などの差別化に資する情報提供といったようなことで、付加価値を高める方法として一定の効果があるとするなどの知見が現在得られているところでございます。
○吉田(豊)委員 消費者が何を求めているかというニーズをマーケティングする、それは当然のこと。
そしてその先に、もう一つ今度大事なことは、消費者が、今魚の話だからじゃないですけれども、食いつく、消費者がこれを買ってみようかなと思う、そういうものをどうやって用意するのかということも実はとても大事な発想なんですね。
農産品のことでいうと、例えば、普通はピーマンは緑しかなかったのが、今は、品種が違うんですけれども、黄色いものや赤いものが当然出てきている。それから、イチゴでも、イチゴは赤いものがイチゴだ、こう私たちは思っていますけれども、白いところで熟して完成したイチゴというものも今あるんです、世の中には。そうすると、いつも赤いイチゴばかり食べていた人が、白いイチゴが出てくれば、それを買ってみようかなという、やはり購買意欲がそこで一挙に増すわけですね。
そういうさまざまな生産者側からの消費者へのアプローチ、提案をするということ、これをきちっと私は押さえて、そして、養殖だからこそ、それに傾注していただきたい、こう思うんです。
具体的に今イメージしていますのは、フルーツフィッシュという言葉を、私、この質問のときに勉強させてもらいました。そういうのが世の中に存在するということは、実は、済みません、富山におるだけに、いつも天然のものを食べていますので、なかなかそういう機会に恵まれていないということも、改めて私は何かそういう機会を逃していたのかなとも思うので、こういう消費者に対してアピールすることができる養殖魚が今あるということをぜひ御紹介いただきたいと思うので、よろしくお願いします。
○佐藤(一)政府参考人 養殖魚の商品の差別化、あるいは付加価値を高める方法といたしまして、生産者の皆さん方におかれましては、例えばかんきつ類やオリーブの葉等を餌に加えまして、かんきつ類の香りづけや肉質を改善した養殖魚の生産などに取り組んでおるところでございます。
具体的に申し上げますと、香川県のオリーブハマチ、あるいは愛媛県のみかんブリなどは全国的に認知度が高まってきている、このように承知しておるところでございます。
○吉田(豊)委員 オリーブハマチと聞いたときに、とにかく消費者は、基本的に脂のあるものをいいというところの嗜好があるんですけれども、そこにオリーブという非常に健康のイメージがある、そういうところと合致することで、やはり、食べてみたいな、どんな味なんだろうというふうに思うところはあると思うわけですね。
山本大臣にお聞きしたいと思いますけれども、大臣も、山も海も恵まれた御地元にいらっしゃいますから、天然物に囲まれているだろうなと想像するんですけれども、こういう話というのは、やはり、消費者に対して生産者がきちっとアプローチしていくという、この方法を支えるのが実は技術開発であったりというところ。こういうことの重要性が、攻めの漁業、攻めるということの価値じゃないかなと思うんですけれども、お考えをお聞きしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 私も、養殖漁業懇話会だとか全海水だとか、おつき合いさせていただきまして、この分野での研究開発の躍進ぶりというのはここ数年すごいものがございます。鹿児島の東町のブリ、鰤王というのは、日本が誇る、アメリカに対する輸出の主要品目になっております。さらには、ノルウェーの漁業が衰退したときに、ヨーロッパのEUに、五億人に対して何を売ればサーモンがよりおいしく大量に売れるかということを研究した後、現在では輸出一兆円になっております。
というようなことも踏まえて、今後の日本の漁業の中で、この養殖漁業がさらに飛躍、発展するということに対して、これは、農林省の努力もさることながら、全ての英知を傾けてやっていきたい分野だというように思っております。
○吉田(豊)委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
終わります。
○北村委員長 次に、仲里利信君。
○仲里委員 ハイサイ グスーヨー ウクタンデーネーミソーラニ。お疲れはございませんでしょうか。沖縄の方言でございます。
私は、沖縄四選挙区の仲里でございます。
きょうは、委員皆さんの御好意によりまして、一年ぶりに質問をする機会を与えていただきました。大変ありがたく、感謝をいたしております。
きょうは久しぶりの質問でありますので、質問が多岐にわたっております。そういう意味で、再質問はきょうはいたしません。そのかわり、後日、質問主意書でもってまた疑義をただしていきたい、こういうことを前もってお話を申し上げておきます。
それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。
最初に、沖縄県名護市辺野古地先の岩礁破砕等許可手続に関する問題について質問をいたします。
政府は、平成二十九年三月末に許可が失効する沖縄防衛局の岩礁破砕等許可について、名護漁協から共同漁業権の一部放棄が得られたことや、水産庁が不要との見解を示していることから、申請を行う必要がないと判断したとのことであります。
しかし、水産庁の見解等に基づくこのような判断は、昭和六十年五月二十五日付質問主意書第四一号に対する昭和六十年六月十四日付政府答弁に明らかに矛盾する内容となっております。
そこで、水産庁長官の答弁をお願いいたします。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
三月十日に、漁業権が一部放棄された漁場区域における岩礁破砕等許可の要否につきまして、防衛省の整備計画局長から当方の方に照会がございまして、十四日付で、漁業権が放棄され消滅した漁場の区域は漁業権の設定されている漁場内に当たらず、岩礁破砕等を行うために許可を受ける必要はない旨を回答したところでございます。
回答の内容につきましては、これまで水産庁が示してきた見解を踏まえたものであると認識しているところでございます。
○仲里委員 次に、沖縄防衛局が不申請の判断根拠に用いた平成二十九年三月十四日付の水産庁の見解は、平成二十四年六月八日付の「漁場計画の樹立について」を初め、これまで十年に一度の漁業権一斉切りかえの都度に水産庁が各都道府県に示してきた技術的助言と明らかに矛盾する内容となっております。また、これらの水産庁の技術的助言に基づいて都道府県が積み重ねてきた行政実績をことごとく踏みにじるものとなっておりますが、長官の答弁を求めます。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
今先生の方からお話があったわけでございますが、漁協が漁業権を一部放棄することができることにつきましては、過去に当庁といたしまして国会で明らかにしているところでございまして、漁業権者が漁業権を一部放棄すれば、その部分の漁業権は当然消滅する、このように考えているところでございます。
○仲里委員 再質問をやりたいところですけれども、先ほど宣誓したように、再質問はきょうは遠慮しておきます。
次に、水産庁が沖縄防衛局に回答した見解の後段で、この解釈のもと、沖縄県漁業調整規則を認可したと記述しています。しかし、これまでの水産庁の見解や各都道府県への助言の文書でこのような記述や説明を見たことはありません。そのような文書があれば、ぜひお示しをいただきたい。恐らく、今回の判断を取り繕うために強弁しているものと思われますが、その時々の都合で解釈と説明をころころ変えるならば、法の安定性が危ぶまれます。
また、政権による恣意的な法の運用であり、法治国家にふさわしくない行為と言わざるを得ませんが、水産庁長官の答弁を求めます。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
やはり法律の条文に沿って対応を考えていく必要があるかと思っておりまして、今問題となっておりますこの漁業権でございますが、これは漁業法の第二十二条によりまして、「漁業権を分割し、又は変更しようとするときは、都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない。」というふうに二十二条一項で書かれております。
それで、放棄でございますが、この変更の中に放棄が入るかということになりますが、三十条で、読み上げますと、「漁業権は、第五十条の規定により登録した権利者の同意を得なければ、分割し、変更し、又は放棄することができない。」ということで、漁業法の三十条では、分割、変更と、放棄といったものについては、これは書き分けておるところでございます。
したがいまして、放棄する場合については、「都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない。」というこの二十二条の規定は適用されないというふうに考えられるわけでございまして、私どもの考えとしてはこうしたことでございます。
○仲里委員 次に、漁協における共同漁業権の一部放棄手続が辺野古地先と同様に行われている那覇空港滑走路増設工事では、放棄後に岩礁破砕等許可申請が行われております。今回の判断と明らかに異なる対応となっていることから、政府内部で二重基準による法的対応を行っていることになります。
一方、このことに対する照屋寛徳議員の質問に対して、政府は、那覇空港の事業は工事区域の一部に漁業権が設定されているので許可申請を行ったと答弁しておりますが、全くの詭弁であり、辺野古地先と同じ考えとするならば、申請を行う区域と行わない区域に分けて対応すべきではないでしょうか。
なお、これらの判断は、いずれも水産庁の見解に基づいているものだと思われますので、水産庁長官の答弁を求めます。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
今、仲里先生の御指摘でございますが、これについては、国土交通省あるいは防衛省がこの事業の実施に際しまして、沖縄県に対して岩礁破砕等許可を申請するか否かを判断したところでございまして、恐縮でございますが、私どもとしては、その判断の理由について、詳細について承知していないところでございます。
○仲里委員 次に、今回の政府の判断は、平成二十五年三月十一日に名護漁協が埋立区域の漁業権一部放棄を決議し、これに基づいて沖縄防衛局が同年十二月二十七日に公有水面埋立免許願書を提出していること、さらに、今回問題となっている岩礁破砕等許可の最初の手続として、平成二十六年五月三十日に名護漁協が工事に係る全ての岩礁破砕行為の同意を決議し、これに基づいて沖縄防衛局が同年七月十一日に申請書を提出していることから、漁業権の存在と岩礁破砕の許可手続の必要性との関係から、明らかに矛盾する手続及び内容となっておりますが、長官の答弁を求めます。
○佐藤(一)政府参考人 今先生の方から事実関係等について御指摘があったわけでございますが、全てつまびらかに私ども把握しておりませんが、繰り返しますが、恐縮でございますが、先ほど申し上げました現在の漁業法、この体系のもとに現在、先ほど言ったようなお答えを申し上げたところでございまして、これ以上ちょっと答弁することについては差し控えたい、こういうふうに考えております。
○仲里委員 次に、法定受託事務である水産資源保護法に基づく沖縄県漁業調整規則における岩礁破砕等許可手続に関して、沖縄防衛局が沖縄県を無視して水産庁に見解を求め、水産庁もこれに答えることは、法定受託事務の制度の趣旨を損なう行為であると思われますが、長官の答弁を求めます。
○佐藤(一)政府参考人 私どもといたしましても、これまでにも、今先生がお話ございました防衛局以外の、国等による事業者の立場からの漁業法等の解釈に関する問い合わせに対しまして、必要な解釈を示してきているところでございます。
○仲里委員 政府は、これまでの岩礁破砕等許可申請や行政不服審査請求を行う沖縄防衛局は一般私人であると主張してきたわけでありますけれども、一般私人が岩礁破砕等許可の権限を有する沖縄県の見解に異議を唱え、上級庁の水産庁にいきなり見解を求めることは本来あり得ないし、行われたとしても、水産庁は、まず一般私人が沖縄県に申請をし、その後、県が不許可等の行政処分を行った場合に、その一般私人が、それを不服であるならば、水産庁に対してしかるべき法手続を踏むよう一般私人に指導すべきであり、水産庁がいきなり県の考えは誤りだとすべきものではないと思われますが、長官の答弁を求めます。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
今先生の方から御指摘ございました沖縄県の漁業調整規則でございますが、この規則につきましては、漁業法そして水産資源保護法の規定に基づきまして、法定受託事務として農林水産大臣の認可を受けて制定されたものでございます。
このため、沖縄県が沖縄県漁業調整規則に基づき事務処理をするに当たりましては、漁業法及び水産資源保護法を所管する農林水産省が示す解釈の範囲内で行われる必要がある、このように考えているところでございます。
○仲里委員 次は、漁業権は、水面の総合利用の観点から、漁業生産力の発展と漁業の民主化を図るという漁業調整の一手段としての範囲で認められた公的性格を持った権利であります。
そのため、知事が漁業権を免許する場合には、漁場計画の樹立や漁業調整委員会への諮問、同委員会による公聴会の開催、知事への答申、公示、申請受け付け、適格性や優先順位等の審査、関係機関、法令との調整等、極めて厳密、厳格な手順と手続が漁業法で定められております。
また、漁場計画や免許内容の変更を行う場合にも同様な手続を経る必要があるとされており、判例や政府見解もそのようになっております。
したがって、漁業権の免許を受けた者がその権利の一部の行使を放棄することを議決したとしても、それはあくまでも当事者間の私的な合意であって、漁業権の免許に至るまでの手続を再度踏まない限り、公的、法的に認められたものとはなり得ません。だからこそ、水産庁のこれまでの技術的な助言や政府の答弁では、漁業権の一部の放棄が決議されたとしても、そのことにより漁業権が当然に変更されるものではないとしてきたのではないでしょうか。
さらに敷衍いたしますと、同様な考え方は、農地法において、農地の売買や賃貸借の権利移動は農業委員会の許可を受けなければならないとされ、実際に農業委員会の許可を受けないで行われた売買の効力が生じないこととされていることに端的に示されているのではないでしょうか。
なお、沖縄県は四月以降、沖縄防衛局が無許可で岩礁破砕を行い続けるのであれば、刑事告発をすることも視野に入れているとのことでありますし、農地法との関係もありますので、農水大臣及び水産庁長官の答弁を求めます。
○山本(有)国務大臣 御指摘の農地の所有権の移転につきまして、農地法上、農業委員会の許可を受けないとその効力を生じないということは、そのとおりでございます。農地法三条に「その効力を生じない。」というように明記もされております。
しかし、漁業権の放棄につきましてでございますが、これは漁業法上、知事の許可や同意は必要とされていないわけでございまして、漁業権は、漁業法二十三条、ここにおきまして、物権とみなすというように規定されております。漁業権の放棄につきましては、行政庁の免許等を受けなくても、他の物権の放棄と同様に、権利者の放棄の意思表示で消滅するものとなっております。
以上です。
○佐藤(一)政府参考人 ただいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。
○仲里委員 次に、日台民間漁業取り決めの問題点について質問いたします。
本事案は、クロマグロ等の好漁場として沖縄の漁業者が日常的に操業していた地域に、中台の連携、共闘を阻止するため、官邸主導で沖縄の漁業者等の頭越しに、台湾漁船の操業水域の提供という政治的決着を強行したことが問題の発端であります。取り決めが発効してから三年が経過したにもかかわらず、沖縄の漁業者の存在と権益が大きく損なわれている事態に変化はなく、改善の見通しも立たないありさまであり、政府の交渉能力や姿勢、意欲に対する沖縄県側の不満は募る一方であります。
本来ならば、この間の経緯は、どうしてこのようなことになったのか、その理由などを問いただしたいところでありますが、冒頭で述べたように後日質問をさせていただきます。
三月末の交渉の合意事項として、一、二〇一八年漁期の八重山北方三角水域の操業ルールについて、関係当局、漁業者団体を含めた専門会議をことし九月までに開催し徹底的に議論していくことを前提に、今期は実質現状維持とすること、二、平成二十六年三月の合意事項である昼夜交代ルールで、はえ縄漁業の投縄、揚げ縄の開始時間を明確にすること、三、操業の安全確保のため、日台双方がAIS装置を奨励することの三点であるとしておりますが、政府も同様な認識であるか、そのための協議のスケジュールを含めて今後どのような対応をなさるかについて、外務省及び水産庁長官の答弁を求めます。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
三月三日に開催されました日台漁業委員会におきましては、先生が今御指摘いただきましたように、まず、日台双方の漁船が安心して操業できるよう、日台双方の漁船への船舶自動識別装置、いわゆるAIS、この搭載を推奨するといったこと、もう一つは、従来、漁業者間の口頭合意に基づき曖昧でありました投縄、揚げ縄の開始時間を操業ルールに明記すること、三つ目といたしましては、八重山北方三角水域の操業ルールにつきまして、関係当局、漁業者団体を含めた専門会議をことしの九月までに開催し徹底的に議論することなどで一致したところでございます。
私ども農林省といたしましては、二〇一七年の漁期について台湾当局へしっかりと働きかけを行い、AISの搭載の推奨を進めるとともに、今般操業ルールに明記された投縄、揚げ縄の開始時間などの操業ルールが適切に実施され、取り決め適用水域における操業秩序の維持が図られるよう全力を尽くしていきたい、このように考えているところでございます。
また、二〇一八年漁期、平成三十年漁期の八重山北方三角水域の操業ルールの確立に向けまして、引き続き、沖縄県などの漁業者と緊密に連携しながら、速やかにしっかりした準備を行い、我が国漁業者が安心して操業できるよう全力を尽くしていきたい、このように考えているところでございます。
○四方政府参考人 既に水産庁長官から御発言がございましたとおり、今般の日台漁業委員会におきまして、議員御指摘の各点等が日本台湾交流協会と亜東関係協会との間で一致された経緯がございます。特に焦点となりました八重山北方三角水域の操業ルールにつきましては、二〇一八年漁期の操業ルールに向け、本年九月までに専門会議を開催し、今回の漁業委員会の議論に引き続き、日台での公平利用の実現を目指して徹底的に議論していくことを前提に、実質現状維持とすることで一致されたところでございます。
外務省といたしましても、今後も、操業ルールが適切に実施されることをしっかりと確保し、我が国漁業者が台湾漁船とトラブルなく、安心して操業できるよう、全力を尽くしてまいりたいと存じます。
また、二〇一八年漁期の八重山北方三角水域の操業ルールの確立に向けまして、引き続き、関係各省庁とともに、沖縄県などの漁業者と緊密に連携しながら、我が国漁業者が安心して操業できるよう、全力を尽くしてまいりたいと存じます。
○仲里委員 時間が来たようでございますので、それで終わりますけれども、通告をしておりました、南風原町の南風原花織が、このたび国の伝統的工芸品に指定をしていただきました。町民も大変喜んでおります。きょうもその質問もやるつもりでありましたが、後ほどまた質問主意書でさせていただきます。
沖ノ鳥島の件も、これも、日本政府がどうも台湾に遠慮してか、あるいはおもんばかってというんでしょうか、わかりませんが、沖ノ鳥島周辺も、まだ、岩を島として認めるのであれば、台湾の漁業権を認めるというふうなことまで伝え聞こえるものですから、国として、しっかりとそこのところは、漁業者のためにも、毅然とした態度で臨んでいただきたいことを望みまして、私の質問を終わります。
きょうは本当にありがとうございました。ニフェーデービル。
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○北村委員長 次に、内閣提出、農業競争力強化支援法案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣山本有二君。
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農業競争力強化支援法案
〔本号末尾に掲載〕
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○山本(有)国務大臣 農業競争力強化支援法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
政府におきましては、これまで、我が国農業を将来にわたって持続的に発展させるため、その構造改革を推進してまいりました。
一方で、農業のさらなる成長を目指すためには、農業者に良質で低廉な農業資材が供給されることや、農産物の品質等が適切に評価された上で効率的に流通、加工が行われることなど、農業者の努力では解決できない構造的な問題に対処することが必要不可欠でございます。
このため、平成二十八年十一月に改定されました農林水産業・地域の活力創造プラン等に基づき、国の責務や国が講ずべき施策等を明確化し、良質かつ低廉な農業資材の供給と農産物流通等の合理化の実現を図ることによって、農業の競争力の強化の取り組みを支援していくため、この法律案を提出した次第でございます。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、国の責務等についてでございます。
国は、国内外における農業資材の供給及び農産物流通等の状況を踏まえ、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化を実現するための施策を総合的に策定し、これを着実に実施する責務を有することとしております。
さらに、これらの施策が円滑かつ効果的に実施されますように、主務大臣及び関係行政機関の長は相互に連携を図りながら協力するものとしております。
第二に、国が講ずべき施策についてでございます。
国は、農業資材事業及び農産物流通等事業につきまして、良質かつ低廉な農業資材の供給または農産物流通等の合理化を実現するため、規制や規格の見直しを初めとする事業環境の整備、適正な競争のもとで高い生産性を確保するための事業再編または事業参入の促進、さらには、農業資材の調達先や農産物の出荷先を比較して選択する際の価格等の情報を入手しやすくする措置等を講ずることとしております。
また、政府は、おおむね五年ごとに国内外における農業資材の供給及び農産物流通等の状況に関する調査を行い、施策のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。
第三に、事業再編または事業参入を促進するための措置についてでございます。
良質かつ低廉な農業資材の供給または農産物流通等の合理化を目的として行う事業再編または事業参入を促進するため、主務大臣は、実施指針を策定するとともに、事業者が策定した計画の認定を行うことができることとしております。
その上で、主務大臣から認定を受けた事業者は、その計画の実施に当たり、農林漁業成長産業化支援機構による出資、日本政策金融公庫による融資、中小企業基盤整備機構による債務保証等の支援措置を受けることができることとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容でございます。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
○北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○北村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る四月五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十七分散会