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第6号 平成29年4月5日(水曜日)

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平成二十九年四月五日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 北村 茂男君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君

   理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    小里 泰弘君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      木村 弥生君    笹川 博義君

      瀬戸 隆一君    武部  新君

      中川 郁子君    中村 裕之君

      古川  康君    細田 健一君

      前川  恵君    宮路 拓馬君

      森山  裕君    簗  和生君

      山本  拓君    渡辺 孝一君

      岡本 充功君    金子 恵美君

      佐々木隆博君    重徳 和彦君

      篠原  孝君    宮崎 岳志君

      村岡 敏英君    中川 康洋君

      真山 祐一君    斉藤 和子君

      畠山 和也君    吉田 豊史君

      仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       山本 有二君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口 英彰君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            佐藤 速水君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           西郷 正道君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     木村 弥生君

  瀬戸 隆一君     中村 裕之君

  村岡 敏英君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     勝沼 栄明君

  中村 裕之君     瀬戸 隆一君

  篠原  孝君     村岡 敏英君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農業競争力強化支援法案(内閣提出第二一号)


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農業競争力強化支援法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口英彰君、消費・安全局長今城健晴君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長佐藤速水君、政策統括官柄澤彰君、農林水産技術会議事務局長西郷正道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田達夫君。

福田(達)委員 おはようございます。自由民主党の福田達夫でございます。達夫でございます。(発言する者あり)ちょっと内輪受けをいたしました。

 きょうは与党で三十分の時間をいただきました。正直、与党はなかなか順番も回ってきませんし、来ても十分、十五分という時間なものですから、三十分という時間配分にちょっとなれておりません。もういっぱい用意しましたものですから、時間が間に合わないかもしれませんので、ちょっと早口になるかもしれませんが、やらせていただきたい。場合によりましては、幾つかのものは諦めて掘り下げをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(発言する者あり)はい、ありがとうございます。

 私は、もともと国会議員になりましたのも、地域というものをもう一遍見直してみたい、地域というものを見直した上で、その集合体である国というものを外交、安全保障などの国政でもって守るという形、これを見直してみたいということで、まず第一歩目を、地域の柱である中小企業というものに着目をいたしまして、岸本先生やなんかとともに、経済産業委員会では何回か御質問申し上げましたけれども、今回、縁がありまして、農業関係、農政を勉強させていただいていました。

 地域というものは、やはり中小企業と農、この二本、最近、観光というものも入っておりますけれども、インバウンドを含めて観光も入ってきますけれども、やはりこの農と中小企業というものが柱なんだと思います。この二つがしっかりと立って初めて、我々の地域というのは、自治体で数えても千七百、そうじゃなくても、気候風土で数えれば、もっと多様な文化、風土、生活がある。これに基づいた新しい価値というものを発信できる、それだけの可能性がある国だというふうに思っています。

 その点におきまして、今回の農業競争力強化支援法案というのが、私がやっておりました中小企業とそれから農というものがちょうどクロスする、私としましては大変やりがいがある法案の審議ということでもって、一発目をやらせていただくことを本当にありがたく思っております。

 というわけで、まず、今回の法案の意義というものを、一番最初の口あけなので、ぜひ齋藤副大臣の方からお願いしたいと思います。

 と申しますのも、今回、一連の農政改革のうちに、生産資材と農産物流通、加工に関して国が講ずべき施策、または関連事業強化への支援策を法制化したものだと認識していますけれども、わざわざ法制化する必要はないのではないか、または、経済産業省の方で似たような法律があるのではないかというような議論があると思いますけれども、今回の新法制定の目的及び背景について見解をお願いいたします。

齋藤副大臣 福田達夫委員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 我が国の農業が将来にわたって発展していくためには、農業の競争力の強化、これは待ったなしの課題になっておることは御案内のとおりでございます。そのためには、農業の構造改革の取り組みとあわせて、農業者の努力では解決できない、農業資材の価格の引き下げや農産物の流通、加工構造の改革、こういった構造的課題の解決に本腰を入れて取り組むことが必要でございます。

 一方で、現在、農業資材については、メーカーの生産設備の稼働率が低い、多くの銘柄が少量ずつ生産されているなど、非効率な生産構造となっていること、また、農産物の流通、加工につきましては、複数の事業者が介在する多段階構造となっているなど、現在の多様化する実需者、消費者のニーズに対応した構造とは必ずしもなっていないのではないかといった問題を抱えているところです。

 これらの課題を解決するためには、政府として、規制の見直しを初めとする農業生産関連事業者の事業環境の整備を行うとともに、事業者の自主的な事業再編等を促すことにより、良質で低廉な農業資材の供給や農産物流通等の合理化を実現するために本法案を提出したところでございまして、こういう意識で関係者が頭をそろえて前進をしていくということが非常に重要だなということがこの法案の裏にあるわけでございます。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 今の副大臣の御答弁の中に事業者というものがございましたけれども、一番初めの質問なので確認をしておきたいんですが、本法案が念頭に置く対象者がどういうものかということを確認したいと思います。

 四条に、農業生産関連事業者の努力規定というものが規定されていますけれども、この農業生産関連事業者というのは主にどういう事業者を言うのか、このことの確認をお願いいたしたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 農業生産関連事業者の主たるものは、農業生産資材のメーカーでございますが、その数ですとか出荷額の傾向につきまして御報告いたしますと、メーカーの数に占めます農協系統企業の割合はごくわずかないし少数でございます。また、肥料、農薬、農業機械、配合飼料の四資材のメーカー出荷額のうち、農協系統以外の民間事業者の出荷額が占める割合が約八割となってございます。

 このため、本法案の対象となる農業生産関連事業者といたしましては、主に農協系統以外の民間の事業者が多くを占めるものというふうに考えてございます。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 取扱高でいうと八割を担う民間事業者というものが今回の法案の主な対象であるということでありますけれども、そうはいっても、五条に、農協にも努力義務が課されておるわけであります。ただ、そもそも農協法で既に農協に対する努力義務というのが課されておりますし、また、先般発表されました全農の自主改革、これは、きょうここに理事としています小泉進次郎理事を初め、党の方でも相当みっちりとこの半年間詰めてきた話もあり、それを受けとめた全農さんが自主改革というものをつくられているというふうに理解しております。

 ここにおいて、今回の支援法がさらにここに追い打ちをかけるというか、新たな何か強制をするという意図があるのかどうかの確認をさせてください。

齋藤副大臣 今委員御指摘のように、全農や農協につきましては、農業協同組合法の方で、第七条第二項において、「その事業を行うに当たつては、農業所得の増大に最大限の配慮をしなければならない。」と既に規定をされているところでございます。

 一方、本法案におきましては、国が全農や農協に対して新たに何かを強制する、そういう意図はありません。そのような規定は含まれていないわけでございます。

 政府といたしましては、全農につきましては、自己改革を通じて、農業者の立場に立ち、共同購入のメリットを最大化した農業資材の調達や、農産物のさまざまな価値を消費者に届けるための販売体制の強化等に取り組んでいただくことを大いに期待しているところでございます。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 というわけなので、先ほど販売額ベースで八割というふうに枝元さんの方から御答弁ございましたし、昔の資料をひっくり返しますと、大体、事業者数でいうと三千三百社ぐらいだと思いますけれども、その民間事業者というものが今回の支援法の主な対象だというふうに考えております。

 そうしますと、先ほどの地域という目線に立ちましても、やはり、農業生産関連事業者と農業者というものの関係性というものがしっかりバランスがとれているものじゃなければならないというふうに私としては理解ができます。

 やはり、農業者という視点からだと、農業関連の事業者の方が持っている利益を回してくるという考え方が成り立つのかもしれませんけれども、農業者の方々も大体は地域に住まれている、その地域における地の力というものがふえていかなければ、なかなか農業者の方の持続的な生活もしくは業が成り立たないというふうに考えますと、やはり、農業生産関連事業者と農業者の方々がともに手をつなぐようなことでない限り、例えば農業生産関連事業者の努力によるだけであっても、やはりこれは限界が出てくると思っています。この点、実はちょっと、後ほどまた触れたいと思います。

 そこで、ちょっと話をかえまして、この議論の、支援法の中でもって考えられている理念的なものでありますけれども、生産資材価格の引き下げもしくは流通コストの削減がなぜ農業者の所得向上につながるのかという、この基本的な考え方をちょっとただしておきたいと思います。

 と申しますのは、私はもともと商社の人間でありますけれども、やはり物事というのは、最終的には、生産者じゃなくて販売者が買う価格、これによって物事というのは今決まっている。

 正直申し上げます。物づくりの観点からしますと、これが正しいのかどうかというと、僕は正しいとは思ってはいません。ただし、今現状のリアルな経済の状況というものがそうである以上は、やはり販売価格というものに着目しなければいけないというふうに思っています。

 資材価格の引き下げというのは、短期的には農業者のためになると思います。一年、二年というのは資材価格が下がって、そして、コストが下がることによって、販売価格が変わらなければ利益がふえるというふうに思いますけれども、農業者の世界というものは、一方でもって中間流通、加工があり、卸があり、販売があります。その、ほかのプレーヤーの方々が、下がったコスト分の利益を買い取り価格の引き下げという形でもって要求してくる可能性は十分にあり得ると思っています。

 また、二番目としまして、中間流通のコストが引き下げられても、農業者の方は中間流通のコストが下がる手前でもう売っていますから、中間流通の方々が高く買ってくれない限り、もしくは今までどおり買ってくれない限り、値段というものは、もしくは利益というものは農業者に残らないはずであります。

 ここについて、考え方を示していただきたいというふうに思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、農業資材の価格引き下げや農産物の流通、加工構造の改革といった農業者の努力だけでは解決できない構造的な問題を解決するために、国による事業環境の整備や事業者の自主的な事業再編の取り組みを後押しする措置を講ずることとしております。

 農業資材につきましては、本法案に基づきまして、稼働率が低い工場を再編したり、規制の見直し等の事業環境を整備することによりまして生産性が向上する、それによって農業資材の価格の引き下げが可能となると考えておりまして、それがひいては農業者の生産コストの削減につながるものと考えております。

 一方で、先生今御指摘がございましたように、流通業者や小売業者の立場からいたしますと、こういう資材価格等の引き下げ、低下で、生産コストが削減できた分については、農産物の販売価格の引き下げに充てたいということが考えられるわけでございますが、現在の農産物流通においては、量販店の安売り競争などもございますし、農産物の再生産を困難にする、こういった状況も見られるわけでございます。

 このため、生産者、産地の努力やその創意工夫を十分に理解して、生産者のパートナーとして適正な価格で農産物の取引ができる、いわゆる協力していただける流通業者、小売業者、こういう方を多く出していく、多くできていくということが重要でございまして、そういう方々から消費者の皆様が農産物の価値に応じた価格で農産物の購入をしていただく、これが重要かと思っております。

 こうした観点で、本法案では、農産物の品質等の特性が適切に評価されるようにするための措置を講ずるとともに、流通業や小売業につきまして、事業再編等により体質強化を図るとともに、生産者にもメリットを与えることができる事業者に対しましては支援をする、こういう形をとっておりまして、農業者の所得の向上につなげてまいりたいと考えております。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 すなわち、農業者が真に力をつけるまでは、やはりそのパートナーである事業の方々が相当農業者に寄り添う形が必要になります。ですので、この法案の第一条で、国が農業競争力の強化の取り組みを支援する、もって農業及び農業生産関連事業の健全な発展に寄与すると書かれていますけれども、このことがとても重要になると思うんですが、そのときに、やはりこの関連事業者の方々が、どういうふうにこの支援法の中からメリットが得られるのかということがなければ、なかなかその努力というのも続かないだろうというふうに思います。

 私が考えますに、もともと中小企業政策ばかりやっておりました人間からしますと、実は、この関連の事業者そのものも大変弱い業種であります。中小というよりも、小規模も随分多い世界であります。ただ、中小企業のこの問題と、今回取り上げていただきます農業の強化の問題というものを、実は同じ課題でもって解決ができると思っています。

 ただ、そのためには、農業者のために再編もしくは関連産業の強化というのではなくて、まずは持続可能な中小企業・小規模事業者群をつくる、まずそこから入っていただいた方が段階としては正しいのではないかなというふうに思っています。

 その次の段階で農業者の価格交渉力の向上、これがやはり最終的には一番重要であるわけでありますけれども、これは三つほど手法があると思っておりまして、一つは、やはり肝であります農業者御本人が価格交渉力をつけていただくということでありますけれども、その前提で、先ほどから申し上げておりますように、この産業群、関連事業者の方々が農業者をサポートしようというその意思を持って、なぜならば、彼ら自身であっても、パートナーである農業者がいなくなれば仕事ができなくなるわけでありますから、しっかりと力をつけて、再編ができた関連事業者群がパートナーとしての農業者を守る、この二つの段階を得るということが必要なのかなというふうに思っています。

 さらに言いますと、一番実は我々としてはお願いがしたかったのは、JAグループ、全農さんにこの機能をしっかり果たしてもらうということなのでありますけれども、やはり競争の世界であります。一つだけのプレーヤーが強くなるとどうしても競争力が落ちていく、生産性が落ちていくということでありますので、JAさん、全農グループというものがある中で、商系というものがしっかりとこの仕事というか役割を担えるという構造をつくっていくというのは長期的にも意味があるかなというふうに思いますが、ここで大事なのは、関連事業者の自主性というものがどういうふうに担保されているかということだと思います。

 関連事業者というのはもともと民間事業であります。誰かに強制されて、もしくは誰かにやらされてやっているわけではない、みずからの判断でやっていることであります。ところが、どうもこの支援法というものが議論されている段階から、各団体さんから、どうも政府が強制してくるんじゃないか、そういうような、杞憂というふうに思いますけれども、お声が出てきています。

 一応、条文を読む限り、基本的には、まず、国が促進すべきことの規定というものがありまして、また、四条においては、事業パートナーである農業者に対して当然払われるべき努力の規定というものが農業関連の事業者にも示されておりますけれども、ただ、国が何らかの取り組みを強制するということが規定されているというようには読みにくいとは思うんですけれども、この辺について改めて見解を問いたいと思います。

山口政府参考人 本法案は、先ほども申しましたが、農業者の努力では解決できない農業資材価格の引き下げや農産物の流通、加工構造の改革という構造的な課題を解決するためのものでございまして、国としては、この規制の見直しを初めとする農業生産関連事業の事業環境の整備を行うとともに、関連事業者の皆様には自主的な事業再編等を促す、こういった構成になっているわけでございます。

 その際、国は、農業生産関連事業者に取り組みを強制するものではございませんで、その自主的な努力を支援することによって、民間の活力とその創意工夫を生かした取り組みを促すこととしております。

 このように、本法案には、国が事業者に何かを強制しようという意図はなく、またその旨の規定もございません。

福田(達)委員 一応確認なんですが、自主的な努力の支援という基本的な方針は、先ほど一番最初にも副大臣の方からもございましたけれども、確認ができたと思いますが、細かいですけれども、九条とか十二条を見ますと、「国は、」という主語で、「事業再編又は事業参入を促進することその他の必要な措置を講ずる」とありますし、特に十二条には、農産物の卸売または小売の事業や、製造または加工の事業について、「事業再編又は事業参入を促進する」というふうに結構断定的に書いてあるんです。

 これはちょっとさらに踏み込んでいるように見えますが、これでもやはり基本は事業者の努力、事業者の自主性というものを尊重しているということで、その上でのことだというふうに理解してよろしいんでしょうか。

山口政府参考人 先生御指摘のように、本法案第九条や第十二条におきましては、国は事業再編または事業参入を促進することについて必要な措置を講ずる、こういった旨の規定がございます。

 一方で、この法案の中では、第七条というのがございまして、そこで、留意事項といたしまして、国は農業生産関連事業者の自主的な努力を支援する旨の規定がございます。

 こういったことで、この法案で国が再編等を強制するという意図はないということでございます。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 このことは、中小企業政策をやっていた人間からすると何度確認しても足りないということでありますので、改めて確認いたしました。

 一方で、これまで産業界で合理化が進んできた、例えば製造業の世界などで合理化が進んできたという歴史に鑑みると、今回、産業再編もしくは資材価格の合理化等の話が出ておりますけれども、合理化だけをやっていると実体経済のデフレだけを進めてしまうというのは、これは火を見るより明らかだというふうに思っています。

 きょう、配付資料を一枚、ちょっとけちりましたので、済みません、両面でもってつくりましたけれども、一と右下に書いてある資料を見ていただきますと、棒グラフになりますが、これは我が国の飲食料の最終消費額の推移ということであります。

 見ていただきますと、顕著なように、九五年、五年単位ですので、九〇年代半ばをピークにして我が国飲食料の最終消費額というのは下落しております。二〇一一年までの十六年間の間でもって七兆円ぐらい減少しているという状況になります。これは、家庭食から中食への代替が進んでいるというのは一般的な理解がありましたが、代替が進む一方で価格が下がっているという状況がこれで見てとれるというふうに思います。

 食品関連産業の合理化というのがこれ以上進みますと、よかれあしかれ、少なくとも一時的には食関連の産業もしくは市場というのはさらに縮小いたします。市場の縮小というのは、そこで働く人の減少、もしくはそこで働く方に対する処遇の低下につながりまして、これは、中期的には我が国の農を支える構造的な足腰の弱体化につながるというふうに思っております。

 これを防ぐためには、合理化をしっかりと進める一方、もしくは同じく、あるいはそれ以上に売るという努力というものをする必要があるのでありますけれども、そのためには、新しい魅力的な商品の開発とか、より利益がとれるような高付加価値化商品をつくり出して市場を拡大する、そして、さらにそれをマネタイズし続ける商流というものをつくっていくということが必要なのでありますが、今回の法案は、どちらかというと合理化というものに特化しているということでもありまして、その論点がちゃんとされたのかな。

 今回、こういうふうに食市場というものが減っていく中において、さらに合理化を進めることによって食関連市場というものが小さくなることが加速する一方で、それをカバーするような売り上げの増加というものをどこでもって担保していっているのだろうかということについて、政府の考えを求めたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 国内におきまして人口減少が進む中で、国内におきましても高付加価値化への取り組みを行うとともに、アジアを中心に拡大する海外の食市場を獲得していくことが重要な課題であると認識をしております。

 このため、消費者ニーズに合った商品を適切な価格で販売できるように、今回御提案を申し上げております法案に基づいて行う流通構造の改革と、さまざまな流通ルートの取引条件を比較、選択できる流通の見える化等の取り組みを行うほか、魅力的な商品の開発に向けた六次産業化、また、四月一日に創設をされました日本食品海外プロモーションセンター、JFOODOによりますオール・ジャパンのプロモーション、ブランディング活動、さらに、地理的表示やさまざまな規格・認証の活用等によりまして、国内外の需要に対応し、また需要を開拓し、付加価値を高く農産物、食品を販売することを実現して、農業者の所得向上につながるように努めてまいりたいと考えております。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 この一のグラフの下に表がございますが、生鮮品、加工品、外食というふうに書いてあります。これはCPIなんですが、家計物価なんですけれども、見ていただくとわかりますとおり、生鮮品が下落しておりますが、加工品、外食も下落しています。デフレという状況の中においては、なかなかCPIが上がることは難しいという中において、やはり我々がデフレに苦しむ二十五年間の間しっかりと経済成長をし続けてきたアジアからその活力を巻き込むというのは非常に重要であると思っております。

 ちょっと今回の支援法とは関係ございませんけれども、なかなか輸出というものはハードルが高くて難しいというのが現状だと思いますけれども、しかし、それを乗り越えてでも海外の需要を取り込まないと、我が国の農を取り巻く環境というものは好転しにくいということは、この農水委員会におきましても基本的な考え方というふうに思っていいと思いますし、今のような、ちょぼちょぼやっているというレベルではなくて、もっと段階を、二段階、三段階上げていかないといけないというふうに思います。

 飢餓輸出等の話もございますけれども、飢餓輸出の前にこの部分がふえなければ、農関連の働く方がふえないということに着目すると、やはりこの棒グラフが伸びていくということをしっかりやらなければいけないというふうに思うので、ぜひこの支援法でもってやります合理化の話、それ以上に市場をふやしていくということについても議論を深めていただきたいというふうに思っております。

 というわけで、そうしますと、どうやって稼ぐのか。当面は、そういう輸出市場等というのはこれからも議論するわけでありますし、しっかり努力するわけでありますけれども、なかなか大きくふえる中でないという中においては、やはりその関連事業者の方々の生産性、効率性が上がっていくということが必要でありますが、実は、これは中小企業政策のとても難しい話であります。

 というのは、中小企業は小規模事業者が多いわけでありますけれども、このバラエティーが余りに多過ぎる、千差万別過ぎて、これはまとめにくいんです。国政でやってこれほど難しいことはないというのを、議員になってから四年間でありますけれども、過去二十年間ぐらいやっていて非常に強く感じております。

 重要なことというのは、企業というものをどうするかという議論というよりも、どういう新しい商流をつくって、その商流を高度化させつつ管理運営するにはどのような形が最適かという観点で議論をする必要があるのでありますが、なかなか実は、この農水委員会の話を聞いていると、売るという議論であるとか売るための仕組みづくりという議論が余りなされないなというふうに感じています。どうしても、生産側、供給側を維持拡大しようという議論が多いと、当然のことながら、需要がふえない、もしくは減っていく中においては、こちらが維持拡大されていく中においては、どうしても、これは需給バランスですから、価格は落ちます。ぜひ、これは、売るという方法をしっかり議論しなければいけないのであります。

 あともう一個、大規模化という議論がどうしても出るのでありますが、ちょっと、きょうは時間が少しなくなってしまったので簡単にだけ触れます。

 きょうの資料の一枚目の下とそれから裏側、これは鹿児島県鹿児島市にございます錦江湾飼料という餌屋さんなんですけれども、再編というと、どうしても、大きくしていこうという議論が前に進みがちでありますけれども、実は、この錦江湾飼料さんというのは非常に小さい餌会社であります。シェアで見ていただきますと、餌全体が二千三百七十三万トンの契約数量がある中で、わずか〇・五%しか持っていないという餌会社であります。

 当然これは淘汰されるべきというふうに雑に見るとなってしまう会社であるんですが、これを裏返していただきますと、この会社、実はアクシーズという会社の一部門でありまして、このアクシーズという会社が、ケンタッキー・フライド・チキンに対して確固たる商流を持っている。ケンタッキーさんというのはどうも小型の鶏を欲しがっているらしいんですが、これの生産に非常に強みを持っている会社ということで、最終的な商流をしっかり握っている中において、このアクシーズさんがつくる鶏に対して餌を供給しているという感じで、地域における、ある意味、地域商社というか、地域財閥みたいなものをつくっておりまして、これは非常に安定しています。しかも、販管費、販売とか営業とかもしくは管理というものはアクシーズが全部やっているので、この錦江湾飼料は異常に生産性が高いという企業になっています。

 すなわち、小さくてもしっかりとした商流を握っていれば経営は成り立つといういい例だと思っております。

 実は、これは農業にも生きてきます。中山間地農業というのはどうしても弱いというふうに思われますが、一番最初に申し上げました、気候風土等が全く異なる中において、それぞれの特産品が生み出せる環境があるところであればあるほど、そこの地域ではお金がないから高く売れません。しかし、お金がある地域に持っていけば高く売れる可能性が十分にある。

 最近、日本百貨店というものを見ている方がいらっしゃるかもしれませんが、日本じゅうにありますそういういいものというものを東京という金があふれているところに持ってきて、それで売っているのでありますが、これは、熊本県だったらば一粒十円にもならないような栗というものが、日本百貨店の東京駅の店に行きますと、一個三百九十九円で売っています。一粒です。

 そういうような形でもって、小さいものでもその機能というものや価値というものをしっかりと出していけば、そしてそれに商流をつければ、まだまだ売れるチャンスが十分あるんだということ、このことをこの錦江湾飼料という会社はしっかりと示していると思います。

 また、裏側の下の図を見ていただきますと、ケンタッキー・フライド・チキンは三菱商事グループ、偶然ですけれども、の関連会社でありますけれども、三菱商事グループは二十兆円の会社です。一方で、アクシーズグループは全体でも百八十四億円。これがしっかり対等な議論をしています。

 なぜかといいますと、二十兆円といえば大きく見えるかもしれませんけれども、実は、その中の事業部というのはそんなに大きいわけではない、それほど大きいわけではない。実は、大きい大きい、もしくは小さいといって議論するんじゃなくて、その大きいものの中のしっかりと区分けをした中で細かく議論をしていけば、実は小さいものでも生きる道はある。場合によっては、その大きい力というものを小さい会社が使うこともできるということの観点から、今回の産業強化というものを考えなければいけないというふうに思っています。

 そういう中におきまして、先ほど申し上げました難しさ、中小企業施策の難しさに対して、もしくはこういういろいろな考え方があるということを踏まえた上で、政府が今後どういうふうな方針で引っ張っていこうと考えているか、確認させてください。

山口政府参考人 先生の方から、中小企業施策に対するいろいろなお考え、思い、深く我々感じ入ったところでございます。

 産業の体質強化を図るということにつきましては、先生もおっしゃったように、中小企業も農業も同じでございますし、地域に根差した産業ということであれば、やはりこれは農業でも学ぶべきところは多いんじゃないかというふうに思っております。

 いずれにしろ、まず、産業の体質強化ということでいえば、企業活動としてみずから認識しまして、みずからの努力でやっていただくということが基本だというふうに考えております。

 この錦江湾飼料、アクシーズという会社でグループをつくっておられますけれども、ここも、合併等によって事業規模を大きくするというよりも、いろいろな他産業の関連産業をグループ化することによって、特色ある取り組みができる、KFCさん、ケンタッキー・フライド・チキンさんとも取引ができるような、そういう経営資源、機能を持たれたということで、非常に我々としても参考になるものだというふうに思っております。

 今後の政策においては、こういう企業の自主的な努力、こういったものを農業の世界でもやはり大事にしていかなければいけないと思っておりますし、また、そういう個々の努力だけではかなわないようなもの、こういったものにつきましては、この本法案のように、ある程度国なりの支援、こういったものも措置しながら、企業の発展、特に、販売力の強化という観点でいろいろな支援の方法については考えていきたいというふうに考えております。

福田(達)委員 質疑時間が終わりましたので、最後に一言だけ申し上げます。

 とにかく、世界じゅうで今はもう基幹産業だとか売れる商品が明確では全くない時代、これは世界じゅうでそうであります。ということは、次の売れるネタというのは、試行錯誤もしくはイノベーションをしなければいけない。この観点を農業に入れれば、私は、この国の農業、特に中山間を中心に非常に魅力があると思っていますし、そのための魅力ある種を見つける、そういう関連事業者をしっかりつくっていただきたいというふうに思っております。

 以上です。ありがとうございました。

北村委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして、以下、本法案、順次質問をさせていただきます。

 まず一点、これは大臣にお伺いしたいと思っておりますけれども、JA全農の事業改革方針についてなんですが、これはさきの臨時総代会で、JA全農は農家所得の増大に向けた事業改革方針を決めたところということで、生産資材の購買事業の競争入札の方式への転換、また、販売事業の直接販売方式への切りかえなど、これは既に報道にもありましたし、いろいろと声もあったところでございますが、これに対して農水大臣は、歓迎しながらも、具体的な点がまだ十分示されていないといたしまして、現時点では評価は難しいと、取り組みの具体化を求めるという意味でお話をされたと思います。

 このことに関連して、さきの農林水産委員会では、民進党の小山理事が御質問されまして、その答弁で、改革が着実に進むようフォローアップをしていきたい、このように大臣は述べられました。

 そこでお伺いしますけれども、農水省として、どのようにこのJA全農の事業改革方針をフォローアップしていくのか。さきの質問と答弁の中にもそこは一部出ておりましたけれども、もう一度明確に、かかわり方も含めてお伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、今回、全農が、農業生産資材の価格引き下げや農産物の有利販売に向けた年次計画を公表していただきました。これを歓迎するものでございます。

 また、全農の生産資材の買い方あるいは農産物の売り方の見直しを行っていただく、そういう方向性も見えてきたわけでございます。

 また、全農におかれましては、競争入札、こういう方法を取り入れながら、有利な生産資材メーカーから購入するスキーム、あるいは、中間流通を通すのではなくて農産物の直接販売を拡大していくスキーム、こういったものを明確にしていただきました。

 そうして、農業者が成果を実感できるようにしていただくことが何より必要でございますので、今のこの体制に向けて、さらに着実に具体化していただくようにフォローアップをするという必要が農林省としてはあるだろうというように思っております。

 そして、さらにお願いをしていきたいと思っている向きは、農業者の立場に立つという役職員の意識改革を頂戴したいし、また、新たな事業スキームを実行し得る外部人材の登用もお願いしたいし、さらに、新たな事業スキームに対応したスリムな組織体制の整備も不可欠だ、こういうように思っております。

 全農におかれましては、私どもに対しまして、さまざま、そうした具体的な取り組みについての御相談や情報提供をいただいておりますので、そうした機会を通じながら、フォローアップをしっかりしていきたいというように思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 今大臣の御答弁の中で、役職員の意識改革、それから外部人材の登用について、ここはこれまで以上に少し明確にお答えいただいたのかなと思っていますし、それから、全農からの相談もある、また情報提供もあるということで、そこのところがしっかりしていかなければいけないんだろうな、このことは私も常に感じておりました。

 こうしたことを踏まえて、私は、ここにおいて大事なのは、JAグループ全体の理解、それから調整、また、農水省の、今大臣が御答弁を最後になされたところの、これを支援と言うかどうかというのはあれかもしれませんけれども、そのかかわり方がやはり非常に大事なことになってくるというふうに思っております。そのことで大臣に御答弁いただきましたけれども、ぜひ取り進めていただきたいと思います。

 次に移りますけれども、本法案に関して、産業競争力強化法との相違についてということを伺っておきたいと思います。

 既に、産業全般に関しての支援措置を講じることについては産業競争力強化法がありますけれども、今回のこの農業競争力強化支援法との違いは何かということなんです。そこに、すなわち、本法の必要性というものがより明確になってくると思っております。

 農業競争力強化支援法には、A―FIVEからの出資、それから日本政策金融公庫からの融資、それから中小企業基盤整備機構からの債務保証とありますけれども、これは、産業競争力強化法にも、日本政策金融公庫からの融資、それから中小企業基盤整備機構による債務保証もあるわけで、ここのところが非常にわかりにくくなっているということなんです。

 それからもう一点、これは直接は自治体支援になると思いますけれども、地域未来投資促進法、こういうのもございます。あわせて、この相違についてお伺いしておきたいと思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘ございました産業競争力強化法でございますが、これは、企業の生産性向上によりまして、その産業自身の競争力の強化、これを図ることを目的としておりまして、対象も全産業ということで、規模の大小も問わないというものになっております。

 その支援措置につきましても、日本政策金融公庫が指定金融機関に貸し付けた資金、ツーステップローンと言っておりますが、こういったものを長期低利の大規模融資として融資するようなことを措置しているものでございます。

 一方、地域未来投資促進法案、今国会に提出されておりますが、これに基づく支援措置につきましては、地域の成長発展の基盤強化を目的に、地域の特性を生かして高い付加価値を創出して、地域経済を牽引する事業に係る計画承認を受けた事業者に対します支援をするということでございまして、こちらについては、地域経済活性化支援機構、REVICと申しますが、そこや中小企業基盤整備機構によるリスクマネーの供給、また税制上の措置、こういったものを講ずることとしておるわけでございます。

 これに対しまして、本法案では、農業者による農業の競争力の強化を支援することを目的に、農業資材、また流通加工業界に対しまして、この事業再編計画の認定を受けた事業者に対する支援を行うということになっております。

 金融面では、農業や農業生産関連事業に対する審査能力を有します農林漁業成長産業化支援機構、いわゆるA―FIVEによる出資や、日本政策金融公庫の農林水産事業からの融資を行うこととしております。

 こういったことで、それぞれ法の目的や業界の実態に合った支援措置となっているところでございます。

稲津委員 かなり具体的に答弁していただけましたので、ここは明確になったと思います。

 さて、次に、今度は具体的な条項の中身に入っていきたいと思います。

 まず、一番最初に伺っておきたいのは、これは先ほどの議論もありましたし、これまでも本会議等でも議論があったところですけれども、重ねてお伺いしますけれども、農業者の努力について伺っておきたいと思います。

 本法の五条第一項、「農業者は、農業資材の調達を行い、又は農産物の出荷若しくは販売を行うに際し、有利な条件を提示する農業生産関連事業者との取引を通じて、農業経営の改善に取り組むよう努めるものとする。」こういうふうにあります。

 このことは、これまでの議論の中でも理解をするところなんです。それは、一般的な理解というところでは十分理解できるんですけれども、この努力規定で何を目指すのかということなんですね。そこのところをはっきりさせていかなきゃいけないだろう。

 農業者の努力について定めるその意義について、これはぜひ大臣に御答弁いただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 この規定を、確かに、一つだけ、この条項だけを取り上げて読みますと、この法案が、上から目線的に農業者に何かを強いているというような、そんな不遜な態度に見受けられるわけでございますが、この条文全体に覆っている思想性からしますと、農業者を経営者として見詰めておりまして、かつまた、農業者ができるだけ有利な条件で農業経営をしてほしいというように書いてあります。

 まずは資材の調達、そして出荷あるいは販売というような全てのことをくくって「取引を通じて、」というように書いてありまして、このことからすると、民民の契約の相手方当事者ということになるわけでございますので、他方者を、ひとつ資材を安くするようにというように要求するならば、また取引するときの相手方もその誠意を酌んで、そうした取引に応じてほしいという意味での契約当事者という位置づけのもとに、努力という、そういう表現を使わせていただいたというように理解をしているわけでございます。

 このため、農業者に対しても、このような努力を行う事業者との取引を通じて農業経営の改善に努めるというように規定を置くということに至ったと御理解をいただきたいと思います。

 これらの規定により、それぞれの関係者が求められた努力を行うことにより、良質かつ低廉な農業資材の供給や農産物流等の合理化の実現が図られるというように、お互いの努力が必要だという意味でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 つまるところはやはり、農業者に、今お話あった、例えば有利な条件、ここをしっかり提示ができるような仕組みにもしていくべきだということも触れていただきましたし、かなり具体的にお答えいただきましたので、明確になったというふうに思っております。

 そこで、それでは、有利な条件が出ましたので、そのことについてお伺いしておきたいと思いますけれども、有利な条件とは何なのかということなんですね。

 わかりやすく言うと、例えば価格、これは非常にわかりやすい。ただ、もう一方で、実際に資材の調達をするときに、現場的にはやはり地域の地域性を考慮したりすると思うんです。それから、単に安い高いじゃなくて、例えば農業機材なんかを購入するとなると、アフターサービスをきっちりやっていただけるのかとか、それから、今現在、政府で推し進めている地方創生という観点もありますし、地域企業の振興とか、さまざま広げるといろいろな形の考えがあると思うんですけれども、この有利な条件というのはこの条項の中でどういうことを具体的に指しているのか、このことについて御答弁いただきたいと思います。

山口政府参考人 法案第五条の有利な条件でございます。

 農業生産関連事業者が提示いたします有利な条件といいますのは、先生からも今御指摘ございましたように、価格のみを指すということではございませんで、例えば農業資材の場合でいいますと、資材の品質の問題、また機械等の性能の問題、また例えば配送条件、どちらのところまで届けてもらえるか、また機械等の場合のメンテナンス、そういったアフターサービスの問題、こういったものが考慮余地、考慮対象になるかと思います。

 また、農産物流通等の場合につきましては、取引期間、どれぐらいの期間、取引をしていただけるか、また決済サイト、いつにお金が振り込まれるか、また、これは農業ではよく起こりますけれども、気象変動等の不作によりまして欠品が出たときにどういう対応になるか、こういったことを総合的に勘案して有利性を判断していただくということを考えてございます。

稲津委員 さらに関連して、今度は五条の二項のところに移りたいと思いますけれども、二項では、「農業者の組織する団体であって農業経営の改善のための支援を行うものは、前項の取組を促進する観点から、支援を行うよう努めるものとする。」とされています。

 その後、五条三項は、今度は、農業者の農業所得の増大に最大限の配慮をしなきゃいけないと書いているんですけれども、ここで一つポイントになってくるのが、農業者の組織する団体というものは具体的にどういう団体を指すのかということなんです。

 私もいろいろな関係者と懇談しておりますけれども、ここのところは結構、努力規定のところとあわせてよく聞かれるところで、本委員会でここは明確にしておきたいと思うんですけれども、例えばJAなのか、土地改良区なのか、農業委員会なのか、あるいは生産法人なのか、生産組合なのか、いろいろありますので、ぜひここのところを具体的にお示しいただきたいと思います。

山口政府参考人 この農業者の組織する団体でございますが、法案第五条第二項におきましては、「農業者の組織する団体であって農業経営の改善のための支援を行うもの」と規定されております。

 ここに想定しておりますのは、例えば日本農業法人協会、これは農業法人の集まりでございますが、こういった団体や、営農指導、経営指導を行う各事業ごとの事業協同組合、さらに単位農協を含めた農協、こういったものを想定しております。

 また、法案第五条三項においては、「農業者の組織する団体であって農業生産関連事業を行うもの」というものを規定しておりますが、これにつきましては、農業資材事業や農産物流通等の事業を行う、これも、事業協同組合、さらに農業協同組合、そういったものを想定しているものでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 ここまで五条関係についてお伺いしてまいりましたけれども、次は、十一条の卸売市場の意義について伺っていきたいと思うんです。

 十一条の一号には、農産物流等に係る規制について、経済社会情勢の変化を踏まえた見直しを行うこととされておりまして、これは農業競争力強化プログラムにおきましても、経済社会情勢の変化を踏まえて、卸売市場法を抜本的に見直す、こうされております。

 確かに、今、流通の形態というのがいろいろ変わってきている、多様化してきている。その中で、この卸売市場の経由率というのは、確かに低下しているのは事実だと思います。それで、中央卸売も地方卸売も、市場の数もそれから業者の数も減少してきている、これは実態としてあると思います。

 ただ一方で、卸売市場というのは、品ぞろえとか価格の形成機能とか、それから代金の決済機能とか、特に生産者の方にとっては非常に便利、有利というかわかりやすい、そうしたものもありまして、この機能はある意味重要な役割を果たしている、このように理解をしております。

 卸売市場の業者それから仲卸業者の果たしてきた役割についてどのように認識をされているのか。また、農産物流の今後の方向性についてどのように考えておられるのか。この点についてお伺いしておきたいと思います。

山本(有)国務大臣 国内の生産者の生産額が九・二兆円で、卸売市場に入っていく取扱高が六・七兆円でございますから、大体、青果で六〇%、水産で五四%の市場経由率ということでございます。そのことを考えれば、これは欠かせられない大変重要な存在であるという認識でございます。

 出荷側に立って集荷を行って、出荷者にかわって全量の販売を受託する卸売業者が、全国各地の生鮮食料品等を品ぞろえするという意味におきましては、今後、輸出も品ぞろえをここでやるという重要な役割を果たしていただきたいと思っております。

 また、卸売業者と、消費者、実需者側に立って商品を買い受ける仲卸業者との間で需給や品質に応じた価格を形成しながら、食料の安定供給を通じた国民生活の安定に貢献していただきました。この仲卸が新しい販売ルートを考えていただくことによって、消費者にまた、楽しみや、あるいは趣味、嗜好に応じたそうした売り方もお考えいただきたいと期待しておるところでございます。

 また、出荷者側の立場から考えていきますと、卸売業者が代金を回収していただく、このことにおける安定感、あるいは早期決済によって安心感、そういったものが醸成されてきたというように評価をしているものでございます。

 他方、先生が御指摘のように、様子は激変しつつございまして、インターネット通販とかあるいは産地直売だとか、流通経路の多様性というのは本当に今著しく変化を遂げつつございます。そんな中で、市場を経由する生鮮食料品の比率は低下傾向にございます。そんな意味で、新しい市場の考え方というものをこれからもよく見据えて対処していかなきゃなりません。

 そんな意味で、卸売市場法を抜本的に見直すことによって、さらに生産者が所得を向上しながら、しかも輸出も促進できるというようなことを図りたいというように思っております。

稲津委員 大臣からの御答弁で、最後のところが少し気になるんですけれども、確かに抜本的に見直すというふうにあるんですが、抜本的に見直すというのは、もっと具体的に言うと、例えば、生産者それから市場関係者、それから全体の流通の中でどういうような位置づけをしていくのかということを詰めた議論をしていかなければいけないと私は思っております。

 今大臣から、途中、御答弁が冒頭の方でありましたとおり、水産とか青果では、卸売市場の経由率というのは今でも五〇%以上あるという、このことに着眼していくと、やはりこの業界というのは、それなりにきちんとしたそういう仕組みの中で大事な役割を果たしていると思うんです。

 私は、今回、このことに関して、北海道の中央卸売市場、それから地元の地方卸売市場の関係者と努めて意見交換してまいりました。今の業界の変遷というのは十分熟知した上で、その中で果たすべき役割は何なのかということを真剣に考えていらっしゃる。例えば、地方の卸売でいうと、ローカルスーパーなどの小規模な小売業者にとっては欠かすことのない存在であるということ。それから、生産者と実需者を結ぶ中で、食文化というのをしっかり支えているという側面も明確に伝えていただきました。

 それから、よく言われるところの手数料率、これは一%に満たないわけでございまして、中間マージンを搾取するのを防ぐのが、逆に言うと卸売市場の原則である、こういうことも受けとめられるというふうに思っています。

 特に、地方の卸売のところでは、御意見としては、今、随分我々の役割も変わってきている、仕事の仕方も。だから、スーパー等の小売、ここに対して意見をしっかり聞いた上で、この小売業者ができないことをやっている。例えば、産地に直接出向いて、そこでいわゆる必要な産品等についてもしっかり情報を把握してくるということ。それから、集配機能をもっと強化しなきゃいけないと努力しているということ。

 こういうことで、ぜひこうした観点も含めて、ここはしっかり取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。

 次に、時間が大分経過してまいりましたので、予定していた肥料業界の再編については、済みません、ちょっと飛ばさせていただいて、事業再編による雇用の安定についてということで、三十二条関係をお伺いしておきたいと思います。

 三十二条におきましては、事業再編計画の認定を受けた事業者は、「事業再編を実施するに当たっては、その雇用する労働者の理解と協力を得るとともに、」「失業の予防その他雇用の安定を図るために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」このようにしてあります。

 事業再編は、多かれ少なかれ、やはり労働者の雇用に影響を及ぼすという可能性が存在することは否めないと思っています。そのことを踏まえた上で、十八条の中では、「当該事業再編計画に係る事業再編が従業員の地位を不当に害するものでないこと。」このようにしております。

 そこで、この雇用の安定を図るために事業者が講ずべき措置はどのようなものを想定しているのかということ。それから、国の措置なんですけれども、ここも、国は、認定事業再編事業者の雇用する労働者について、失業の予防その他の雇用の安定を図るための措置を講ずる、こうしてあります。具体的にどのような措置を講じようとしているのか。この二点についてお伺いしておきます。

山口政府参考人 お答えします。

 先生からも御指摘ございました事業再編を促進する上で、労働者の雇用、こういった問題が生ずる場合があるわけでございますが、この労働者の雇用の安定を図ることは重要な課題であると認識しております。

 このため、本法案第十八条の事業再編計画の認定に当たりましては、主務大臣は、当該事業者が労働者側と十分に話し合いを行っているか、こういったことを確認し、また、雇用の安定に十分な配慮を行っているか、こういうことを確認することとしておるところでございます。

 また、本法案第三十二条では、認定事業者は、雇用する労働者の理解と協力を得るとともに、雇用の安定を図るために必要な措置を講ずると、認定事業者にまず努力を求めておりますが、一方で、国といたしましても、認定事業者に雇用されている労働者に対して、失業の予防、就職のあっせん、職業訓練の実施等の必要な措置を講ずるということになっております。

 このような措置として具体的なことを申しますと、再就職支援の窓口を設置したり、また各種雇用調整の助成金、こういったものの使用をあっせんしたり、こういったことを考えていきたいということでございまして、いずれにいたしましても、雇用の安定については、厚生労働省とも密接に連携しながら、国としての支援策を考えていきたいと考えております。

稲津委員 時間がほぼ参りましたので、残余、予定していた通告の質問は、きょうは、申しわけございません、させていただかないことにいたしますけれども、今の雇用のことについて、最後、一言だけ触れて終わりますけれども、これまでも、例えば戦後の大きな流れの中で、ちょっと規模は全然違いますけれども、産業の大きな変遷というのは、おのおのあるわけですね。そのときに、やはり一定程度時間をかけて、こういう雇用問題に大きな影響を与えないように、国としては対策を講じてきました。

 それは例えば、ちょっと規模はでか過ぎますけれども、炭鉱の閉山対策とか、それから基幹産業を大きく変えていく、例えば、仮に、大きな高速道路等とか、例えば河川もそうです、改修も、そういったことによって地域が大きく変化をしていく。そうすると、そこの産業も変わらざるを得ない。そういうときに、ここもやはり一定程度の期間を設けて、時間をかけて、そこの雇用対策や地域対策をしてきたというのも事実ですから、そのこともぜひしっかり配慮した上で政策を取り進めていただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 久しぶりに農林水産委員会で質問させていただきます。一時間も時間をいただきまして、ありがとうございます。

 前の農協法、農業委員会法のときは、質問させていただいたんですが、あのときは、私の考えるのとちょっと違うし、現場感覚と違うなというのがありまして、質問させていただきました。

 今回の法律も、よく見させていただきましたけれども、よくわけがわからないんですね、いろいろなものがみんな入り過ぎていて。事務方にいろいろ聞いたんですけれども、それでもよくわからないというのがありますので、まず、法案について、半分、三十分聞かせていただきまして、あとはそもそも論についてまた聞かせていただきたいと思います。

 まず、法案についてですけれども、前の農協法、農業委員会法も似たようなものでしたけれども、現場からの声、我々は現場の声を聞いて政治をやっていかなくちゃいけないと思いますけれども、この農業資材、生産資材、流通業界も同じですけれども、関連業界から事業再編や事業参入について政府に何かしてほしい、援助してほしい、やっていられない、何とかしてほしいという要望はあったんでしょうか。

 どうも私が感じているところでは、余りそういうのはないのに、上から目線で勝手にやっているような気がするんですけれども、言ってみれば、この法律はおせっかい法案じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

齋藤副大臣 肥料業界におきましては、生産業者数が多く、これまでも自主的な再編に取り組むなど再編のニーズがあったところでありますが、昨年十一月には、再編に伴う設備投資や廃棄に係る税制、金融支援の要望を私どもいただいているところでございます。

 また、同様の業界構造にあると思われます飼料業界におきましても再編のニーズがございまして、昨年十一月には、設備投資に係る税制支援の要望を受けているところでございます。

 また、寡占状態にあります農業機械業界におきましては、建設機械メーカーが水稲直播栽培用のICTブルドーザーの開発ですとか、電機メーカーが野菜の自動収穫ロボットの開発等の取り組みを行うなどしておりまして、異業種からも新規参入について関心が寄せられているところでございます。

 このような事業再編、参入に向けたニーズを踏まえまして、本法案による支援措置というものを講じさせていただいたところでございます。

篠原(孝)委員 前半はちょっとあったようですけれども、肥料や飼料は。

 普通こういうのは、構造改善業種とか不況業種とか円高対策とか、困った業界が、再建していかなくちゃいけないのでやらせてほしい、それに援助してほしいというのが出てくるわけです。だけれども、後者の事業参入なんというのは勝手にやればいいのであって、後で触れますけれども、そんな援助して入ってもらうというのはないので、人工知能とか利用してやろうとかIoTとかやるんだったらどんどんやってもらえばいいのであって、国がそれをバックアップする、研究開発とかいうのはしなくちゃいけませんし、参入規制があったのだったら参入規制は取っ払わなくちゃいけませんけれども、ここはやらなくてもいいような気がするんです。だから、非常にひとりよがりの法案です。

 次は、事業再編と事業参入と一緒の法律だなんというのも、これはごちゃまぜ法案で、なかなか理解しがたいんじゃないかと思います。片方は絶対再編で、片方は新規参入は必要ない。肥料だって餌だって、ほかの段ボールとかビニール資材とかいろいろありますけれども、新規参入があったっていいんですよ。だけれども、どうも焦点がぼけているような気がするんです。

 それで、今の肥料ですけれども、肥料を韓国と比べて高いと。私は、それは当然だと思いますね。韓国は半島で、気候も土壌も、全く一緒だとは言いませんけれども似ているんですよ。日本のは北海道から九州、沖縄まで、バラエティーに富んだ気候ですし、土壌条件も違うし、生産は米とかを除けば少量多品種生産になっているんです。ですから、肥料業界は農家の要望に応えて、せっせといろいろな肥料をつくったんです。必然的にそうなっているんです。それを再編すると。

 これが高いというのも、牛肉を考えてみていただきたいんです。日本の神戸ビーフとか、極端過ぎますけれども、ああいうものと、その辺のステーキ、量で勝負する肉と、質が違うというのはみんなわかっていますよ。肥料にだってあるんだろうと思います。高くてもそれだけ肥効が、肥料効率があるから買っているのであって、もちろん、農家に聞けば、農機具だって餌だって肥料だって農薬だって、何だって安い方がいいと言いますけれども、それは違うんじゃないかなと。非常におせっかいです。

 それで、農業も多様化してきている、いろいろな作物をいろいろなところで、特徴あるものをつくっていけといっているのに、肥料だけそれに逆行して、いや、そんなものは一本化して同じ肥料でつくればいいんだというのはどうも矛盾しているんじゃないか、矛盾に満ちあふれた法案じゃないかと思うんですけれども、大臣、この点についていかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 矛盾に満ち満ちているかどうかは別としまして、やはりちょっと肥料が高いという現実は、私は否めない事実もあるような気がします。

 おっしゃるとおり、地域地域で気候とかあるいは栽培体系、そのほかさまざまな要因がありまして、広大な面積を一律に生産するというような、そんな農業じゃありませんので、特徴に合わせた肥料が需要と供給を生むわけでございまして、そうした意味でのコストの高どまりだけではないような気がしております。

 私の地域で現実にあったことなんですけれども、特に農家の皆さんに価格情報が極めて少ないという点がありまして、その意味において、農家の皆さんは、言われたとおり言われたままに団体から購入しておった。そうすると、全く同じものが県を越えてホームセンターとかあるいは他のJAでもっと安く売られていたというようなことを見ますと、がっかりするわけですよね。そのがっかり感を私は残念に思います。

 そんなことで、団体も農家も、より具体的に農家所得が上がるような体制をとってほしいということに逢着するわけでございまして、その意味で肥料業界を見てみますと、輸入の肥料の要因もありますけれども、地域地域に、肥料工場、その稼働率、そういったものをつぶさに検討していったときに、やれることがいっぱいあるのではないかなというようなことで、新規参入だとか業界再編だとか、あるいはそのほか価格の情報を見える化するだとかいうような努力を今回してみて、その上でもう一回検証してみたいというように思っておるところでございます。

篠原(孝)委員 肥料の価格を下げるのは大賛成です。やっていただきたいと思いますけれども、ほかにもっとやることがあるんじゃないか。

 今、大臣おっしゃったのでは、あちこちに肥料工場があると。やはり、肥料も重いですし、北海道から九州へ運んでいったら輸送コストがかかり過ぎですよね。地域地域にあった方がいいんです。

 私が使い始めた地産地消は、食べ物の世界だけじゃなくて、今、再生可能エネルギーの世界でも使われているんです。実は、これは工業製品も同じで、余計なことですけれども、トランプ大統領がアメリカ人の使う車はアメリカでつくれと言うのも理にかなっているんですよ。最終消費地の一番近くで最終製品にするのが一番効率がいいんですよ。

 だから、一緒くたにしてあちこち運ぶとなると、事故があったときも対応できません。例えば、ガソリン。三・一一のときの重油、石油とか、ああいうものが調達できなかったのを見ればわかると思います。ですから、国が余りしゃしゃり出て、でっかくしろしろとか言うのもよくないんじゃないかというふうに思います。

 それで、矛盾について、大臣、ちょっと突っかかられましたのでいいますと、では、肥料業界、いいですか、わからないんですよね。経産省に聞いてもわからなかったです。私の記憶では、かつては住友化学とか、でっかい会社が、日本窒素とか、肥料をつくっていたはずなんです。そういうところがやめていったんですよ。大きな原材料だけで、小まめな対応は小まめな、そこそこの、中ぐらいの企業がつくったらいいんじゃないですかといって、まさに見えざる手が動いてそうなっていった気がするんですよ。

 片方で多過ぎるのはいけないと言って、片方で、例えば肥料が四社になったらどうするんですか。四社になったら、いや、四社じゃ寡占状態だから新規参入するようにすると言うんですか。これは僕は矛盾だと思います。よくこの二つのものを一緒にしてやっているなという気がするんです。

 では、肥料メーカーが再編されて大きな企業になったら、安くなっていくんでしょうか。そういう見通しは立つんですか。

細田大臣政務官 御質問いただきまして、ありがとうございました。

 我が国の農業競争力の強化をするためには、コストを引き下げるというのが非常に重要な課題であるというふうに考えております。

 私の選挙区はいわゆる新潟の農村地帯でございますが、農家を回っておりますと、先ほど先生から御指摘があったように、やはり農機が高い、肥料が高い、飼料が高いという声を多く耳にするところでございます。これは先生も同じ状況であろうというふうに考えております。

 私どもとしては、これら農家の声に真摯に応えて、農業生産資材価格の引き下げを行うということでこの法律を提案させていただいているということを、まず、ぜひ御理解を賜りたいというふうに考えております。

 先生から御指摘ありました肥料や飼料の製造の構造でございますが、例えば、メーカーが乱立をして工場が各地に点在していること、また、多銘柄を少量ずつ生産をしているため、工場の稼働率が非常に低く、高コストな生産構造になっているというふうに考えております。

 このため、本法案に基づきまして、あくまでメーカーの自主的な判断に基づく業界再編による早急な体質改善を後押ししたいというふうに考えております。ぜひ、この点について御理解をいただければと思います。

篠原(孝)委員 稼働率の話もされましたけれども、ほかの業界と違って、農薬もそうです、肥料もそうですけれども、農薬なんかは特にそうですけれども、防除期間というのがあるわけです。防除暦があるんです。製品の暦もあるわけです。だから、その期間に出さなくちゃいけないというのがありますから、ほかのものと違って稼働率に季節性があるのは仕方がないんだろうと思いますよ。だから、国がそんなにしゃしゃり出るのはよくないなという気がする。いや、いろいろやられるのはいいんですけれども、もっとほかにやることがあるんじゃないかなという気がします。

 それで、資料が、肥料の方はわからなくて入手できなかったのですが、そこそこ入手できたのが農業機械業界ですね。資料を皆さんのお手元にお届けしてありますので、これを見ていただきたいと思います。

 ちょっとここの、四社四社、寡占だ寡占だと非常に悪いことのように言っている。それは確かに高度寡占で、これだけ寡占状態があるのは、ガラス業界とかいうのもちょっとほかの業界ではあるかもしれませんけれども、珍しいと思います。しかし、一九八〇年以降でどんなぐあいだったかなと思って見ると、ここに書きましたように、かつてはコマツ、トヨタ、ホンダ、石川島芝浦とかやっていたんですよ。佐藤造機というのが三菱になったりしている。ところが、一九九一年、九四年で、このころに今の四社体制ができ上がっているんですね。

 ですけれども、皆さんこれは誤解があると思うんですが、四社だけで、何かこれだけでやっているかというと、自動車業界と同じで、いろいろなふうに細かな対応をしなくちゃいけないので、提携をして、そしてやっているんですよ。もっと細かな対応が必要なはずなんです、いろいろなアタッチメントや何かで。非常によくできている業界じゃないかと思います。

 しかし、高いというのがあるんです。どうして高くなっているかというと、単純なんです。大型トラクターは、北海道なんかはジョンディアだとか、ああいうところのを輸入していますので、日本でつくってもいいと思うんですけれども、需要が少ないからと。

 しかし、田植え機だとか、バインダーだとかコンバインだとか、あれは、東南アジアの国々は、ああいう高い機械を買う能力、使う能力がまずは農家にはないでしょうから。これからは輸出市場として有望だとは思いますけれどもね。だから、日本だけのものだから、日本だけで決められるというので高くなっていると僕は思います。

 それは原因を考えるとよくわかるんです。この農業機械需要の変遷という表を見ていただきたいんです。五年ごとにやってあります。

 まず、農業機械総生産額というのを見ていただくとわかるんですが、農業が調子よかったときは、米を増産していくというころ、高度経済成長のときはすごいんですよ。オリンピックの翌年、一九六五年、七〇年、ばあっと倍増し、それから七〇年から七五年、まさに高度経済成長の波に乗って、高くても売れたんです。米価も高くなりました。それで、ピークが、五年ごとのですけれども、本当はちょっと違うんですけれども、一九八五年です。

 その後、でっかい農家だけが買えたのに、小さな農家も買い出したので、九〇年代はまだそこそこ保って、それから更新期に来たというのもあって、二〇〇〇年に入る前は七千億円台を維持してきましたけれども、後は、米価が下がり、それからこれは日本の農業構造とセットですけれども、大規模専業農家と片手間の兼業農家に二分化していく。ですから、市場が縮小していくということですから、出荷額、これはパラレルですけれども、減る。

 内需、輸出も結構あるので、内需というのにしてあります。トラクターの普及状況も、一九九五年の二百三十二万台から今は百四十九万台。出荷状況に至っては、一番調子のよかった一九七五年十八万台、それの四分の一ぐらいの四万八千台しか出荷していない、こういう状況なんです。

 ここから大事なので、ちょっと私のレクチャーみたいなものを聞いていただきたいんですけれども、何でこんなふうになっているか。例えば、三百万円の農機具、こんなのは、農業収入だけでこれを全部賄うには五十年やらなくちゃならない、それでも買うんですね。

 何でそんなふうになるのかというと、農林水産省、お役人さんもそうなんですが、私はそうじゃないと言っているんですが、皆さんだめなんです、兼業農家はだめだだめだと言って捨てようとする。だけれども、農家は農家全体の収入で見ているんです。これは、言ってみれば、兼業対応で個人所有なんです。働きに出る、そのためには二、三日で全部の作業を仕上げなくちゃいけない、そのために買っていいんだ、兼業収入の三分の一、半分つぎ込んだっていいんだ、そういう状況でやっているんです。おわかりになりますでしょうか。

 それはばかだとか経済性がないとか言って、すぐ産業競争力会議の委員とか行政改革推進会議のメンバーはそういうことを言うんですけれども、違うんです。トータルで見ているんです。自分の家を守るためにそういうことをしているんです。これが、何でこういうのがわからないのか。農業経営だけの収益を考えているんじゃないんです。農家全体の収益で考えているから、農機具にも過大な投資をして、それで日本の農機具業界はやってこられたんです。

 だから、生産費に占める農機具費と労働費の割合というのはほとんど変わりないんです。これはわかりますか。労働費と代替関係で、いろいろあるんですけれども、約六〇%で、違わないんです。生産費に占めるコストが、肥料が占める割合が高くなったときもあれば、農機具が高くなったときもあるんですけれども、農機具代と労賃、労費は大体六割程度でずっと一定なんです。これが農家全体の収益で考えているという証拠なんです。

 ですから、ここのところはどういうことかというと、もっと極端に言えば、農業機械化を農家が何でこれだけするか、一年に二、三日しか使わないのに何でそんな無駄なことをするかというのは、農外所得を獲得するための手段だったかもしれないんです。おわかりいただけますかね。そうやって考えていただかなくちゃいけないんです。

 そこで、こうやって見るとどうなってくるか。それなりに頑張ってきていますし、高い部分はあると思いますよ。高い部分があると思います。ありますけれども、相当頑張ってやってきているんですね。

 それで、今度、この農機具業界、私は聞きましたけれども、本当に新規参入するのがあるんだったら勝手にやってくださいと。国に援助されてやっとこさ事業参入する企業なんというのは、撤退が目の前にある企業じゃないですかね。やってやろう、あるいは、やってやろうだけじゃなくて、日本の農業に貢献してやろう、少しでも安く、例えばコマツがまた参入しようとしているというのは週刊ダイヤモンドにありました。いいことだと思います。今度は撤退しないで、本当に、ほかの分野でもうけたものを、安い農業機械を提供することによって日本の農業に活力を与えてやろう、農業競争力をつけてやろう、そういう企業があっていいんだろうと思います。

 これはほかの業界にもあるんですよ。私はいつも言うんですけれども、外食産業界ですね。みんな外国の原材料を使って食べさせている。こんなのはないんです。だけれども、モスバーガーは、ライスバーガーをつくり、テリヤキバーガーをつくり、有機農産物をつくりと、国産のものを使ってやるんです。僕は、なるべくああいう全国チェーン店には入らないようにしていますけれども、入るときはモスバーガーしか入りません。そういう矜持があっていいんだろうと思うんですね。コマツがやってくれるんだったら、いいことだと思うんです。

 しかし、政府は、それはバックアップするんだったら、僕は、研究開発はなかなか難しいですから、一企業や何かには、農家はもちろんできません。できませんというか、工夫はやって、でき上がったら、ここを直してあげる、こういうふうにやった方がいいというのは農家がみんなやってくれます。だけれども、新規参入を図るなんというのは、農機具メーカーは怒っているんじゃないかと思うんですけれども。何でわざわざ新規参入をさせる必要があるのか。

 これは、大臣、大事な点なので、こんな、わけがわからないというのは、僕は、ここなんですよ。何でそんなことをする必要があるのか。よく考えてのことなんでしょうか。

山本(有)国務大臣 まず、アンケート調査、意識調査をさせていただきました。そのときに、農業用機械が高いとおっしゃった農家は六五・六%、そしてやや高いと思っている農家が一九・八%、合計いたしますと八五・四%の方々が、農業用機械が高いのではないかというような御指摘をいただきました。

 そして、ブルドーザーを農業現場で導入することができないかという研究を、石川県と福井県、二県にわたる農業現場で実験いたしました。そうすると、機械コストが三分の一になったという事実がございます。

 どういうことかと申しますと、ブルドーザーの耐久性はかなりございます。汎用性の高いトラクターとしてもし改良が可能であれば、農閑期は建機として活用することで大幅削減できるのではないか。いわば使い方だとか仕様だとかそういったことを見直すことによって、農業機械分野における低減が図られるのではないか。

 こういうようなことを考えていきますと、我々としましても、農家の所得向上のためにコストを下げるという意味では研究に値するし、また、参入も促すということは実があることではないかというように思っております。

篠原(孝)委員 今大臣はユーザーの方のアンケート調査だけで言われましたけれども、僕が聞いたのは、メーカーの皆さんたちにそういう声があったりするのかと。ないんだろうと思いますけれども、そんな、資材が高いなんて、高いか安いかと聞いたら、安い方がいいから、高いと言うに決まっていますよ。そういうのだけを信用しちゃいけないと思います。私も、議員報酬が高いか安いかと聞かれたら、私は十分だと言いますけれども、ほかの人は違うと思いますよ。そういうようなものですよ。

 だから農業機械業界も、実は農協の組織の販売率は、でこしゃこしているんですけれども、そんなに高くないところなんですよね。かつて二〇%ぐらいだったです、みんな。それが一旦五〇%ぐらいになって、それで、全農と県と単協があるんですけれども、全農はやはり、そんなに高くなるのはよくないよと価格交渉をかわりにやってくれているんですよ。そういう仕組みが存在するのは日本だけですけれどもね。

 全農が全て悪い、全農がかかわっているから高いんだなんて、逆なんですよ。せめても、全農が、こんなに高いのはよくない、もっと安くしてと、全農号というブランドもつくったりしました。そうやって安くしてくれている。そうじゃなかったら、さっきちょっと申し上げましたけれども、田植え機、田植えは八十八手もあって機械化できないというのを、日本人は工夫して機械化してしまったわけです。やればできるんですよ。だけれども、高くなっていった。これを少しでも安くというのは、全農が農家の声を代弁して交渉してくれたから安くなっているんですよ。

 それから、皆さん、韓国と比べて高いと言いますけれども、韓国の農家は、僕の方が知っていますよ、日本の農機具を買おうと言うんです。高いけれども故障しないと。故障しないしサービスもきちんとやってくれると。だから、それは三倍、四倍とかすると、ばか高かったら買わないけれども、一・五倍ぐらいだったら喜んで買うと。

 肥料も同じなんですよ、実は。ただ肥料でごちゃごちゃにして、何でも構わないでやっているんじゃないんです。日本のは精緻にできていますからね。そっちの方が、ちゃんと篤農家的な人は、日本の肥料を使いたい、日本の農業機械を使いたいと言うんです。そういうのがあるんですよ。だから、バラエティーに富んでいるので、そんなにここの部分はあれこれ言う必要はないんじゃないかと私は思いますよ。

 それで、次に、これはまた大臣にお伺いしたいんです。

 種苗も、燃料とか燃料価格があるわけですね、燃料は余り出てきませんけれども。燃料価格なんかは安くしてほしいと思うんですけれども、どうもそういうのが一つも出てこなくて、主要農作物種子法を廃止して、それで今度、変な一文があるわけですね、今まで公的機関が担ってきた種苗を民間に提供しろと。それでよくなっていくんだったらいいですけれども、だけれども、民間企業はどうするか。民間が悪だと言っているわけじゃないんですよ。どう考えるかというと、それでもって新品種を開発するでしょう。種苗登録するでしょう。もとの品種のもの、もとのものは国や県や何かなのに、自分がそこからもらったので、今度農家に売るときは、はい、自分のものですよと言って高く売るんです。矛盾していませんか。

 TPPなんかでは、なくなったからよかったですけれども、ますます知財の権利者だけがいっぱい懐に入れて、本当に困っている人たちのところにはいかない。

 私はウルグアイ・ラウンドの新分野を担当したことがあるんです。そのときに立派な議論が行われていました。今それを全然言ったりしているのを聞きませんけれども、発展途上国はベーシック・ヒューマン・ニーズというふうに言っていました。

 どういうことかというと、人間が生きていく上に基本的なもの、そして、食料と医療については、特許についてはもっと緩く、なしにしてくれと。特に医療なんかは、すぐおわかりだと思いますけれども、高くてその薬が買えない、特許料が薬代の九五%も占めている、これじゃやっていけない、命にかかわるんだということをやっていたわけです。そういうのがあるんです。

 日本で、種が、主要作物の米でいえば、あちこちの県が、これはやり過ぎだと思いますけれどもブランド米ばかりに走っている。これは競争原理が働き過ぎだと思います。それで、やっていると。だけれども、今度、それが民間にといったら、民間は高いお金にする。職務開発品種、県やなんかは、いいですよと出さないようにしているけれども、出てきますよ。しかし、民間企業は高くするんじゃないですか。

 この矛盾はどういうふうに考えておられますでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘の向きの御心配、これは当然あるかというように思いますし、委員は全ておわかりの上でお尋ねだろうというように思っております。

 今回の農業競争力強化支援法案の新規参入支援措置、ここに、民間企業の種子生産への新規参入が促進される、そして種子生産に係るコスト削減も図られる、あるいは種子価格の引き下げにつながるというようにうたわれているわけでございます。

 民間事業者が種子生産を行っている品種について、現状でも都道府県が生産に関与する種子と比較して価格が高いものもありますけれども、収量性も高く、そして栽培する上において非常に、農業者の所得がかえって上がるというような、そういう品種も現にございまして、そのことにおいて、我々としましては、一歩でも先に進むような、技術開発があるような、そういう環境を整えたいというように思っております。

 供給される品種が多様化するなどというようなことが、個々のそれぞれの農業者の、生産者の立場に立ってみればメリットは大変大きいものになるのではないか、そういう考え方のもとにやらせていただいておるわけでございます。

篠原(孝)委員 時代に逆行している法案ですし、財界の方におもねり過ぎていると思います。

 種子はパブリックグッズです、公共財です。どこの国もそうしています、種子資源をどうやって維持するかと。国だけじゃなくて、皆さん御存じかどうか。ビル・ゲイツとか、あの手の人たちは財団をつくって世界のために尽くす、そういうことをやり出している。ビル・ゲイツとメリンダといいますか、財団をつくって、この人が北極で種子を保存するというようなこともしています。

 企業がやったらどうなるかというと、モンサントの実例がありますからね。遺伝子組み換え種子をつくり、その遺伝子組み換えでつくった自分のところの開発した種子にだけは幾らまいたってぴんぴんしている除草剤を買わせ、そして農薬もつくりと、全部一緒くたに、全部自分のところから資材を買わせて、農家や生産者は、ただそれでちょっとだけ働いて、ちょっとだけ利益を得る、それだけになっています。こういうことになりがちなんですね。

 私は、国が、種子なんかについては、主要農作物だけじゃなくて、ほかの種子も相当意識して、きちんと抱えていかなければいけないんじゃないかと思います。

 皆さん御存じのノーリンテン、稲塚権次郎が育てたノーリンテンはアメリカに行き、ヨーロッパへ行って、そして小麦の十アール当たりの収量を二百五十キロぐらいから一気に五百キログラムにしたんです。そして、小麦が突然余り出して、輸出補助金をつけて輸出し出したので、ウルグアイ・ラウンドが始まったんです、アルゼンチンやオーストラリアが怒って。

 種子というのは、そうやって一挙に農業の状況を変える可能性を持っているんです。やはり国が、公的機関がきちんとやっていかなくちゃいけないものだと私は思います。それを肝に銘じておいていただきたいと思います。

 それで、半分はそもそも論にさせていただきたいと思います。ちょっと、想定問じゃないんです。想定問というか、お届けしていませんけれども、大臣、これをちょっとお答えいただきたいんですね。

 フランスではパンがおいしいんです。ところが、隣のイタリアはパンを余り食べずに、スパゲッティとかマカロニとか、ああいうものなんです。何でこうなっていると思われますか。フランスがパンで、イタリアは麺、ああいうもの、何でだと思われますか。

山本(有)国務大臣 食習慣だとか、産地における小麦の種類だとか、そして、先生御指摘の、その種子が地域に合って、そしてその地域で、パスタに合ったものなのか、パンに合ったものなのかで、それでそれぞれが加工した結果、パンになり、パスタになったというように理解しております。

篠原(孝)委員 さすが農林水産大臣ですね。

 私はパリに一九九一年から九四年までいたんですけれども、子供に聞いたら、お父さん、ばかだね、そんなのわからないの、フランス人はパンが好きで、イタリア人はスパゲッティが好きだからだよと答えましたけれどもね。

 これは、今大臣がおっしゃったのを正確に言いますと、フランスは水がカルキ臭くてというか、お湯を沸かすと、一回か二回やると、やかんに真っ白になるわけですね。だから、そういうのが入っていない水が必要で、ペットボトルがはやっているんです。日本でなんか必要ないのに、まねしてやっているんですね。無駄だと思いますけれども。あそこでは、できる小麦が麺類には向かないんです。パンに向くんです。そのかわり、おいしいパンに、硬質小麦。

 イタリアは火山灰土壌で、酸性土壌のところはパンに向く小麦ができないんです。イタリア人はそれをわかっているから、パンよりも、自分のところでできた、要するに大臣の言われたとおりなんです。合っている。

 そして、違いが、ちゃんとフランス人はこよなくフランスを愛しておるからなんだろうと思いますけれども、フランスの料理は何でもうまいんです。アメリカの日本料理なんて食べられたものじゃないです、アメリカを差別しているわけじゃないですけれども。フランスに行くと、どこの国の料理もうまいんです。日本料理だって本当に洗練されてくる。

 ところが、唯一だめなのはスパゲッティの類いなんです。なぜかというと、理由は簡単なんです。イタリアの小麦を使わないんです。フランスの小麦でパスタ類をつくろうとするからなんです。だから、ぐちゃっ、だめなんです。合わないんです。ですけれども、自分の国の小麦を使うという。そういうのが外食産業界にも国民にもあるんです。

 ですから、日本の農業の競争力を高めるというんだったら、僕はぜひしていただきたいのがあるんです。みんな、それは強制できないとか言われますけれども、私は、やはり日本国民に日本の国のものをちゃんと食べるようにしてくださいと。米が、百二十キロも食べなくたっていいんですが、わかりませんけれども、六十キロを切る。七百万トンぐらいになりそうだ。片っ方で、小麦が五百万トンから六百万トンで、日本でつくっているのは百万トンぐらいだ。日本でちゃんと日本のものを食べてください、日本の食は。ドイツ人は芋が好きですよね。オートミールとか、かたい黒いパンを食べている人たちもあります。みんな地産地消で地元のものを食べるようにしているんですよ。日本はそういうことを忘れている。

 もし、資材産業、流通業界にもっと効率化して農家に安い資材を提供して云々ということを言われるんだったら、私は、グリーンコンシューマーですね。グリーン、わかりますよね、地元のものを使え。外国から、遠くから輸入されたものよりも、日本のものを食べた方がCO2を出さないんですよ。健康にもいいんですよ。質もいいんです。質ももっとよくしなくちゃいけませんけれども。そういうことをしなくちゃいけない。これを何で呼びかけないのか。農業外の人で日本の農業の競争力を強めるというんだったら、こっちの方がずっと効くと思いますけれども、こういう政策はお考えではないでしょうか、大臣。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、この日本の豊かな食を維持発展させていく、そのために、農業者による農業の競争力の強化のための取り組みを支援しろ、そして国内農産物を選択して購入していく、そういうことが農業者を支え、日本の食を支える基礎となるのだ、そして消費者の皆様の理解を深めることがもっと手前手前で重要なのではないかという重要な御指摘でございます。

 このため、農林省といたしましても、そういう見地にも立って、フードアクション・ニッポンなどを通じて、消費者に対して国産農産物のよさを紹介しておりますし、フェイスブックや動画配信で農業生産の現場や日本の食についての情報発信にも取り組んでおります。

 今後も、こうした国民に向けた取り組みを農業者の支援とあわせてやっていくことが何より重要だというような認識に立っておる次第でございます。

篠原(孝)委員 ちゃんとやっていただきたいと思います。

 それでは次に、資料二ページを見てください。

 どっちの業種に入っているのか僕はわかりませんけれども、製粉業界。製粉業界はどっちなんでしょうかね。事業参入が必要な業界なのか、あるいは事業再編が必要な業界なのか、よくわかりません。しかし、その前にやることがあるんじゃないでしょうかというので、表をちょっと、これはいろいろなところにあるものですけれども。武部さん、よく聞いていてください。

 北海道で一番小麦を生産しているのはどこなんでしょうか。道東ですよね。それを、道東に工場がないんですよ、製粉工場が。

 私が地産地消を言い出して、あちこち土日に、講演に来てくれというので、女房に怒られながら回っていたときに、十勝平野、十勝に行きました。行ったら、篠原さん、俺は大正メークインも大正金時もみんなうちで食べているけれども、生まれたときからつくっている小麦、一回も食べたことはないと言うんです。何ででしょう。せっかくつくった小麦、日高山脈を越えて江別製粉に行っちゃって、江別製粉に行くと、日本の国産小麦が欲しいという人がいっぱいるんです。生活クラブ生協です。生活クラブ生協は、外国の小麦は扱わないとか、そういうところもあるんです、有機農産物中心で。だから、そういうところがぜひ欲しいといって売っちゃうので、帯広に戻ってこない。

 そして、学校給食に米飯給食を導入して、今や、うまいという名声というか評判をかち取りつつありますけれども、きらら三九七をみんな食べている。ところが、道東でつくっている小麦でもってパンをつくっていないんです。それで、倉本聰さんの「北の国から」とかありますから、北海道へ旅行に行った人たちが言っているわけです、さすが北海道でできた小麦でつくっているこのパンはおいしいわねと。だけれども、全然そんなことはないんです。つくられていないんです。地産地消から外れているんです。だから伸びない。

 何でそうなのかというと、また農林水産省は小麦をつくれなんて言っているけれども、また小麦は要らないと言うかもわからないと。精米だったらすぐ簡単にできますけれども、製粉はそう簡単にできないから、億単位のお金が必要だから、怖くて手が出せないわけです。これじゃよくないから、こういうところに、私はこここそ農林水産省、政府が手をかすことだと思いますよ。

 父、武部大臣のときに私は強烈に言って、大臣の間にぜひやってくださいと言ったんですけれども、大臣のパワーをもってもできていない。いまだもってできていないんです。どこかずれているんです。地産地消、せっかく小麦をつくっても、その場で製粉しなかったら、学校給食にも使えないじゃないですか。うどんもみんな江別製粉、そうなっています。

 江別製粉、下にありますけれども、さすが国産麦比率。これは、佐々木さんのところ、旭川の方で小麦は余りつくっていないですよね。(発言する者あり)つくっている。まあまあ、旭川はまだ近いからいいんですけれども。こういうところ、ずれているんですよ。こういうところを目配りしていただきたいと思います。みんな、でかい工場は外国から輸入しているので、沿海立地型です。

 長野県にも、柄木田製粉というのと日穀製粉というのがあるんですよね。つくっているんですけれども、青息吐息です。かわいそうだと思いますよ。こういうところをちゃんとやれるようにして、政策がきちんと、小麦も、百万トンじゃなくて二百万トン、三百万トンにするんだ、その流通体制も整えるというふうにやっていただきたいんです。

 こんな、上から目線で再編だ、事業参入だというのじゃなくて、ここに事業参入になるかもしれませんけれども、あるいは、ほかのところに、江別製粉に頼んで網走にでもつくってほしいといってやったらいいんだろうと思うんですけれども、あるいは十勝、帯広でもいいですよ。そうなっていないんですよ。何でそうなっていないか、僕は不思議でならないんです。

 きちんとバックアップするところは幾らでもあると思うんですけれども、ぜひ山本大臣のときに、齋藤副大臣のときに、細田政務官のときに実現していただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 中小製粉企業がございます。地場で生産される国内産小麦を積極的に引き取って、産地と連携してブランド化して、特色ある製品を製造販売するという、非常に現代風のヒット作品を数々つくられたところもございます。

 例えば、北海道の小麦を使用したパンとかパスタだとか、そうした工夫をされておりますし、また四国でも、讃岐うどんの小麦を五千トン、全国十六位でございますけれども生産して、うどんの需要はそう多くないわけですが、地元の製粉工場を持っておったり、九州の、ラーメンのための小麦生産を五万八千トンしておられる、そしてまた製粉企業も二社、三社あります。

 そんなふうな地域の特色を生かした小麦生産、地元産品、そしてその加工を含めた新しい系統的なマーケットインの発想でブランド化することが可能となって、高付加価値になっているという事実がございます。

 こんなことをさらに推し進めていくことによって、今までにない新しい、力強い農業が誕生するというように私も思っておりますので、委員と力を合わせまして、情報交換しながら、しっかりした地域地域のブランドや製粉工場、また再編や設置を可能とするように、少し研究させていただきたいと思っております。

篠原(孝)委員 私の陳情です。道東の皆さんに成りかわって、ぜひ製粉工場をつくっていただきたいと思います。

 これは、時間があったら、畜産関係の法案も出てきますからやりますけれども、餌米をいっぱいつくっているんです。餌米をつくったといったって、畜産農家がいなくなったところで餌米ばかりつくってどうするんですか。これもやはり地産地消なんです。それで、やはり有機質の肥料が必要ですし、餌米に応じた畜産農家が必要です。

 消費者に聞いてみてください。牛乳、やはり近くで絞りたての牛乳といって、消費者、お母さんたちは望みますから、いや、乳牛が全然いなくなっちゃった、近所に見られない、乳牛を復活させてやるんだったらお金でも出してもらってもいいというふうに、消費者はそういう理解を示すと思いますよ。そういうことをやっていただくのが先決じゃないかと思う。

 あっちの方は相当ミスマッチが進んで、そんなに高くもないものを大量にトラックで運んでいったら、地球環境は汚しますし、無駄ですよ。だから、その場で畜産で使えるように、これを真剣にやる。法案をつくってください。すべきだと思うんです。ただ餌米だけつくって、後は知らんぷりしているのはだめです。やるんだったら、僕はあんなものにあれだけやるのは余りよくないと思います。

 次、三つ目の提案。代表の指示に従いまして、提案型の質問をさせていただいております。

 三つ目の資料は、どこかの週刊誌で読みましたけれども、小泉農林部会長がちらっと言っておられましたので、スペシャルでつけ加えました。さっきまでおられなかったのでやめていたんですけれども、来られたので。ちゃんといて聞いていた方がいいですよ、私の質問は。

 ちょっと見てください。これはもうやったことがあるんですよね。小泉パパにもやったことがあるんですけれども、平均寿命は長野県が一番です。男女とも一番になりました。

 大事なのは、医療費です。

 農業の多面的機能というと、皆さん、洪水防止機能、水資源涵養機能とか、そういうことばかりおっしゃるんですけれども、僕は保健機能が、一番、二番とつける必要はないと思いますけれども、相当あるんじゃないかと思っているんです。つまり、年をとって自然に触れて、それだけじゃなくて、生産に携わって、そして貢献しているという生きがいを持ってやれる。

 後期高齢者一人当たりの医療費を見てください。福岡の順位、福岡が一番高いんです。これは、麻生副総理に対していつも嫌みを言っているところなんですが、幸い、この農林水産委員会には福岡県の出身の方がおられないので安心して言えるんですけれども、一番高いんです。

 長野県は、一番低かったこともあるんですが、今は岩手が、一四年時点の最新の数字ですけれども、それは直してありませんけれども。長野県は、びりから四位で、下の方なんです。

 生活態度。高齢者就業率、二七・三%というのことで、長野県が一番なんです。農業なんです。なぜかというと、農業地帯はいっぱいありますけれども、長野県の農業は、野菜だとか果物だとか、手間がかかるんです。手間がかかるので、農家の手が必要だ。

 それからもう一つ、農業に直接関係ないんですけれども、一万人当たりの公民館数が断トツトップなんです。全国平均は一・二なのに、一万人当たり六・四個もあって、そして、公会堂に行って、格調高いこともしておりますし、飲んだくれているのもあるんですけれども、コミュニケーションをして楽しんでいるということなんです。

 そして、下を見てください。この医療費の差を見ていただくと、福岡県、長野県、全員が福岡県のときと全員が長野県人、四十万円の差ですよ。全国平均だと十三・四万円の差。そして、数字はちょっとずれるんですけれども、人口は二〇一七年三月の最新の人口です。全員が長野県人の場合と全員が福岡県人の場合の医療費の差は後期高齢者で幾らかというと、六・九兆円です。平均でやると二・三兆円。そして、六十五歳以上、これだと三千五百万人いるんです。十年後に七十五歳になります。十三・九兆円、四・八兆円。

 つまり、いつも大規模、今度のものも、これは矛盾しているんですけれども、肥料や餌も、でっかいメーカーにでっかいもの、大規模にばかり行く。だけれども、小さくたって一生懸命真面目にやっている人がいるんです。高齢専業農家だっていいんですよ。これで医療費が低くなって、社会保障費が低くなったら、どれだけ国家財政に貢献するか。

 こういうことを考えたら、幾らでも、こちらの方をないがしろにする、高齢専業者をやめてくれ、やめてくれと。それは田植え機で回ってやるのは高齢者は無理でしょう。だけれども、野菜や果樹は高齢者ができるんですよ。これについて、どういうふうにお考えでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございました。

 御質問にお答えする前に、篠原先生は非常に懐の深い方だと思いますので、やや脱線するのをお許しいただきたいんですが、慶応大学の金子先生という方がお書きになった「コミュニティのちから 「遠慮がちな」ソーシャル・キャピタルの発見」という本があります。この本の中で、今御指摘があった、長野県が非常に高齢でかつ医療費も少ないということの事実が分析されております。

 その本の中で分析されております非常に重要な指摘として、長野県のいわゆる保健婦制度といいますか、保健婦制度が非常に長野県では発達をしていて、彼女たちの非常に闊達な活動によりまして、例えば食事の制限であるとかあるいは運動療法であるとか、そういうことが非常に大きく、特に地域社会において浸透していったという事実、これが長野県の高齢者が非常に健康であるということの原因になっているのではないかというような指摘もございます。(篠原(孝)委員「委員長、委員長」と呼ぶ)済みません。

 したがって、そういうさまざまな要因があるということが考えられると思いますが、先ほど御指摘がありました適切な営農活動は健康の維持増進につながるというふうに一般的には考えられております。

 私どもとしても、これらの活動を促進するためにさまざまな支援策を講じているところでございまして、一般的には、このような農業の多面的な役割にも十分に配慮した上で、さまざまな政策を打っていきたい、こういうふうに考えております。

 ありがとうございました。

篠原(孝)委員 医療制度もあるんですけれども、そんなものを言っていると時間がないのでやめたんですけれども、若月俊一さんという農村医療に命をかけた人がいましたし、今は保健指導員というのがいたりする。そういうのがみんな、いろいろな要素があるんだけれども、どれが一番だというのはないと思います。真面目に働くということが大事だということなんです。

 ですから、今機械化で、ロボット、全自動化と。自動運転よりも、僕は農業のところの力仕事なんかは機械化してもらいたいと思いますよ。

 例えば、果樹農家は、六十五、私の同級生の半分ぐらいは腰を痛めるか膝を痛めるんです。何ででしょうか。リンゴを三脚に乗ってとるわけです。それで、かごにいっぱいあって、力があるから、そこへいっぱいになるまでとっている。そして、それを持ってきて、箱のところへ持っていく、収穫箱のところに持っていく。物すごく重いものを持っているから、膝か腰に無理が働くんです。僕なんかがやっても、痩せているから重いものを持てないから、腰に余り負担がなくて大丈夫なんですけれども、大体農業をやっているとがっちりしてきますから。だから、そういうものをやってもらう。

 だけれども、もう一方で、高齢者が土に親しんで安全なものをつくると。例えば、嫌みで言いますと、農業生産関連資材が高過ぎる、高過ぎるんだったら、そういう資材を、余り農薬も化学肥料も使わないでやる農業があるじゃないですか。有機農業ですよ。有機農業を振興してもらえばいいんですよ。そして、そういうのは需要があるんですよね。

 ですけれども、有機農業と農業機械は、雑草を今除草剤で防いでいる。だけれども、そうじゃなくて、あの草取り作業というのを機械でやってもらったらどうか、そういう代替措置がある、そういうのを考えていただきたいと私は思います。やりようは、どうにでもなるんです、あるんですよね。そういうことを考えていただきたいんです。

 この有機農業の振興というのは、真面目に、今嫌みでちょっと言ったんですけれども、どうでしょうかね。生産資材が高い、生産資材がなかなか高いんだったら、有機農業をやって。

 新規参入の人たちのアンケートをとると、半分以上、人によって違うんですけれども、一もうけしようともいう人もいるかもしれませんけれども、農業に参入しようとしている人たちは、自然に親しんでそこそこの生活ができればいい、ゆったりとした生活をしたい、だから有機農業でというふうになるんですね。

 ところが、そういうところに対して余り援助措置が講じられていない。三日ぐらい前に、下山久信さんという千葉県の山武農協の人のが紹介されていました。そこに、四十五人ぐらいもう育ったといって書いてありますけれども、ああいう人たちに対するバックアップなんかが必要なんじゃないかと思います。生産資材を本当に使わないんです、有機農業でやって。あとは、ただ、販売のネットワーク、あの場合は大地の会がやってくれているのでいいんですけれども、そっちの問題があると思いますけれどもね。

 私は、有機農業なんか本当に振興してもらったらいいと思うんですが、これは大臣、お答えいただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 肥料、農薬、いわゆる生産資材の投入というのは、これは大事なことかもしれませんが、逆に、それをコスト低減のためには減らしていくということも大事でございます。

 おっしゃるように、化学肥料、農薬の使用を抑制した農業を持続的なものとしていくためには、有機農業、そうした環境保全型の農業を推進していくことは、私は今後の世界の潮流の中で非常に大事なことだろうというように思います。

 日本の有機農業の農産品の市場は千三百億円と言われておりますが、ドイツ一国だけで一兆円だと言われておることを聞きますと、やがて世界の先進国のそうした希望や望みというのは有機農業に移ってくるのではないかなというように思っております。

篠原(孝)委員 外国と比べるといって、韓国とばかり比べてこの法案がつくられているようですけれども、ドイツも比べていただいて、有機農業を振興していただきたいと思います。

 それから、最後。この法案の内容とかを見てみますと、秋の農業競争力強化プログラム、その前もいろいろあった。私は、いいんですよ。自民党が農林水産業骨太方針策定PT、それから公明党で農林水産業活性化調査会、こういうところで、与党で検討してやって出してきたものもいいし、農林水産省からちゃんと検討して出してきたものもいいと思いますよ。皆さん、それは一生懸命やっていられるわけですからね。

 ところが、よく見ていると、産業競争力会議とか、それは最近出てこなくなりましたけれども、規制改革推進会議、そこがあれこれ言っていると。僕はこれはよくないと思いますよ。二重国籍はよくないですけれども、二重行政はもっと悪いですね。余りよくないところがあれこれ言い過ぎて、そこをちゃんと打ち消していただきたいと思いますよ。

 規制改革推進会議がぎゃあっと言って、あれやれ、これやれと言ってくる。何でそんなことに一々かかわって、それで、そこに従って法案をつくらなければならないのか。私は私の後輩がかわいそうだと思います。ぴしっと、農林水産省なり、ずっとやってきた人たち、そしてこの農林水産委員会なりが、あるいは与党の、野党も一緒になってもいいんですけれども、農政はそんなに変わりありませんから、我々国会議員がつくり上げるべきですよ。それにもかかわらず、何か、農政のプロなんかろくすっぽいなくて、思いつきでぱっぱぱっぱ、あれやれ、これやれと言っている。これは絶対よくないと思う。この行政システムをぜひ変えていただきたい。

 いいんですよ、官邸に設けても。ですけれども、そのときは農業関係者も数人入ってとかいうふうに、どうしてそうならないんですか。何かワーキングチームのところに、ちょっと変わった言葉、変わったというか非常にどぎついことを言う人たちがぽろっと入っている、それでつくられている。公平性を失していますよ。そういうゆがんだ政策のつくり方をしてはならないと私は思います。

 皆さんに、ここは森山さんとか宮腰さんとか、自民党の農政を支えてこられた方がおられます。私は、一昔前の農政は本当にいろいろな人たちがいて、その人たちが必死になってやっていましたよ。ほかの人たちの言うことなんか、それを聞かないからだめになったとか言う人もいるかもしれませんけれども、少なくとも、プロがプロの矜持を持ってやっていたんですよ。それがなくなってきつつあるんじゃないかと僕は残念でなりません。

 別にけちをつけるわけじゃないですよ。たまにはいいと思います。三人とも農政に余りかかわりがなくて大臣、副大臣、政務官になっているわけです。今までは、もうまさにプロ中のプロしか農林水産大臣にはなれませんけれども、我が政権で一人ちょっと違う人がいたりしましたけれどもね。だけれども、それは考えていただかなくちゃいけないと思う。だから、ちょっとずれたような法案が出てくるんだと思います。

 ぜひ考え直していただくことをお願いいたしまして、コメントがありましたら答えていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 二重行政との御批判のないように、国家を挙げて、内閣を挙げて取り組む課題にしっかりと、これを研究、研さん、努力を重ねていきたいと思っております。

篠原(孝)委員 ありがとうございました。

 そのつもりでしっかりやっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

北村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。村岡敏英君。

村岡委員 民進党、秋田県出身の村岡敏英です。

 きょうは農業競争力強化支援法案にかかわることに質問したいと思いますが、質問の前に、大臣にちょっとお答え願いたいんですが、昨日、農林水産省東北農政局が発注した東日本大震災復興事業などの入札で談合していたんじゃないかと、公正取引委員会が、独占禁止法の違反の容疑で、ゼネコン十八社、東北支店や本社などに立入検査をしたということですけれども、記事としては情報が入っていると思いますが、どのような受けとめ方をされているでしょうか。

山本(有)国務大臣 東北農政局発注の農地復興事業に関しまして、談合の疑いで受注会社に公正取引委員会の立入検査が行われたという報道がありました。こうした報道は承知しておりますし、今後、公共工事の談合はあってはならないことでございます。

 農林水産省としましては、公正取引委員会の調査に積極的に協力するなど、適切に対応していきたいというように考えておるところでございます。

村岡委員 大臣、記事ですからわかりませんよ、農水省のOBがつくっている組織が深くかかわっていると。このことに関してどう思われているか。

山本(有)国務大臣 OBの件につきましては、今、文科省で天下り等、大変厳しい世間の評価がなされております。こんなさなかにOBが天下りというようなことは断じてあってはならないことでございまして、そうした面も含めまして、今後、公正取引委員会の調査に積極的に協力しつつ、事案が明らかになりましたら、その面におきましての対応もしっかりさせていただきたいというように思っております。

村岡委員 これは農林水産省の方にお聞きしたいんですけれども、記事でいくと、十八社がかかわっていたと。

 この十八社に対して、農林水産省のOBは何人行っているでしょうか。当然、きのうから記事があるので、もう調べていると思いますが。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日の報道では、公正取引委員会が十八社に立入検査に入ったという報道でございました。

 委員お尋ねの再就職の会社との重複といいますか、それにつきましては、まだ、我々、十八社が具体的にどこの会社なのか、こういう情報が把握できておりません。したがいまして、十一社と十八社との関係は、現時点ではわからないというところでございます。

村岡委員 文科省の天下り問題というのがあって、各省、この天下りに関しては、官邸の指示で、全ての天下りに関して、きちんと、どういう形のものを、法を守っているかというのを調べなきゃいけない。そういう中でいますから、これは、今、現時点では通告もなかったのでわからないと。すぐわかりますね。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 この十八社がどこなのか、公正取引委員会の方に問い合わせはしてみたいとは思いますが、公正取引委員会から必ずしも十八社がどこなのかという情報提供がいただけるかどうか、これは現時点ではわかりませんので、そういう意味では、直ちにわかるかどうかも含めて、ちょっと現時点ではわからないということでございます。

村岡委員 その十八社に限らず、ゼネコンに対して、就職している人はわかると思いますので、早急にちょっと調べていただきたいと思うので、理事会でもそれをぜひお願いしたい。

 やはり、復興の事業でこういう問題が起きるということになれば、公正な競争をしていないということになりますので、これはしっかりと認識していただきたい、こう思っております。

 過去にも、私も東北ですけれども、東北では、ゼネコンでの、宮城や仙台でも逮捕者が出るとか、いろいろなことがあったわけで、特に、震災復興で、東北がもう一回立ち上がろうと言っているときにこういう状況があるというのは全く許せないことなので、大臣もしっかりと、天下りまたは再就職した人を、農林省に言って、まさか現職はかかわっていない、こう思っておりますけれども、もう一回しっかりと調査するということをおっしゃっていただければ。

山本(有)国務大臣 しっかりと調査し、違法なことが絶対にないように監督管理していきたいと思っております。

村岡委員 これはまだ私自身も記事でしかわかりませんので、いろいろな状況によってはまた質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 本題に入りたいと思いますけれども、大臣に、農業競争力強化支援法、まず、これをつくるということの中に、どういう方向に日本の農業を持っていきたいのか、これが見えてきていないと私は思っているんです。この強化支援法だけじゃなく、いろいろな組み合わせが今国会で八本出ていますけれども、日本の農業は、世界各国でいろいろな農業の形がありますけれども、どんな農業にしたいと思っていらっしゃいますか。

山本(有)国務大臣 まずは、先進国並みの平均年齢、若者が雇用できる、しっかりとした産業として位置づけられる自助自立の産業であってほしい。そして、国の食料の安全保障、そういったものを担っていただきながら、食の安全に大いに貢献し、また、日本食という大変世界に珍しい、食味が、微妙な色彩や、そして芸術的な、そういう料理を発展させる原動力になってほしいというように思っている次第でございます。

村岡委員 大臣、先進国並みという、先進国というのはどこを狙っているかによって、アメリカ型の農業なのか、EU型の農業なのか。それとまた、日本国内は人口減の中で需要が減っていく、こういう中で、輸出を活発化させるための競争力、ここに重きを置いているのか。それがないと、ただ先進国並みというのはちょっとわかりにくいと思いますので。

山本(有)国務大臣 簡単に言いますと、G7の国でございます。

 特に、農業生産と輸出がアンバランスではなくて、ほぼ平衡になっているというように認識しておりますので、そういった意味で、健全な農業経営というのはそうありたいなというように思っております。

村岡委員 大臣、もちろん御存じでしょうけれども、例えば、農産物の輸出大国というのは、ほとんどが食料自給率一〇〇%を超えているんです。大量に、機械化や品種改良で、自国で食べる食料よりも多くできたものを他国に売っているというのがほとんどです。その中で違うのがオランダで、自給率は低いわけですけれども、しかしながら輸出大国である。

 例えば、原料を他国から買ってきて、それを今度は加工品にして売っていく、自分で全部つくれなくても、それも輸入してつくる、そういう農業を目指しているのか。それとも、自給率は高めていって、その中で、日本では消費できないものでいいものを他国に売ろうと思っているのか。基本的な考えを教えていただきたい。

山本(有)国務大臣 おっしゃるとおり、オランダの農業は、自国の生産よりも輸出が圧倒的に高いわけでございますが、しかし、イギリスよりも、イタリアよりも、ベルギーよりも、ドイツよりも、中国よりも輸出の額が余りにも小さいということは、農家の皆さんに二つの販路のうち一つを閉ざしているというように私は考えておりますので、できるだけ輸出を、生産が八兆五千億であるならば、八兆円近くを輸出に回せるようなことにおいて、そして農家所得がかなりふえていくというような、そういう未来像を私は描きたいと思っております。

村岡委員 日本の農業という中で、これはカロリーベースですけれども、四〇%を切っている状況、この中でいけば、日本人の食全体を日本の農業だけではまずはカバーできていない。それは自由貿易の中で海外から輸入することも、これは自由主義の国ですから当然といえば当然なんですが、基本的には、輸出しなくても、国内の消費がしっかりしていれば、これは売れるはずなんですね。

 その中で、例えば米とかそういうのとかを含めて、みんな農業者の人たちが所得が割と低いということで大変だという中でいくと、一番は、なかなか努力してつくった結果の農産物が正しい評価を受けていない。ここが、農業者の人たちが一番所得が苦しくて、そして、消費者に理解を求める、そういう安全性からブランド品から何からいろいろ努力しても、最終的に売るときに評価が低い、この問題に関して取り組まなきゃいけない、そこが大きなまず一歩だと思っているんですけれども、どう思われますか。

山本(有)国務大臣 評価が低いと同時に、多段階で、なかなか、生産から消費まで行き着く先にマージンがかかるというようなこともあるかもしれません。そんな意味で、トータルで改革を起こしながら、そして輸出ができるだけバランスよく伸びていくことによって農家収入がふえるというようにしたいと思っております。

村岡委員 中に入っていきますけれども、これを前提にしながら、資材や肥料や農薬なんかをなぜ韓国と比較したんですか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国農業の競争力を強化するためには、農業生産資材を農業者に少しでも安く供給していくことが必要でございます。他国と比較することによって、我が国の農業生産資材のコスト構造ですとか課題を分析することが重要と考えております。

 韓国と比較することにつきましては、我が国と気象条件が近く、水稲など水田農業が中心であること、我が国と同様に肥料などの原料を他国に依存していることなど比較しやすいことから、一つの参考としてお示ししたものでございます。

村岡委員 そこが理解できないんですよね。稲作もやっていて気候も同じだ、そういう条件で韓国を選んだとすれば、先ほど前提で言った、どういう農業を目指すかというところで、全くこれは違う方向に行ってしまう。

 それは何かというと、韓国って輸出大国になっていますか。韓国って日本より先端的に進んでいますか。ある一面の、資材とかそういうのが高いだけを見て、韓国のまねをするんですか。韓国がどういう農業をやっているかという把握をしておりますか。韓国なんか、農業は日本よりももっと大変な状況になっていますよ。

 ある一面だけ見て比較する、それだったら、オランダや、目指す方向がもし先ほど言ったように海外をふやすといったら、違うところのどういう仕組みになっているかという根本を比較するのが当たり前じゃないですか。それは大臣、どう思われますか。

山本(有)国務大臣 農業の構造的なものは韓国の方により日本は近くて、オランダよりは韓国にニアリーだろうというように思います。しかし、ただ単に比べる、そして比べたからというのではなくて、農家の皆さんの日常思っていらっしゃる意識調査でも、少し高いのではないか、そういう御懸念もございます。

 そんな意味で、我々が環境整備することによって農業資材が一円でも安く手に入る、そして全農も協力をそういう意味でいただけるということになるならば、私は農業所得というのは確実に上がってくるものなりというように考えるところでございます。

村岡委員 もちろん、午前中、篠原委員も話しましたけれども、それは、費用、コストが下がるのは農家の方々も喜びますよ。しかし、どういう農業を描いてそれに向かっていくかという構造改革がなければ、農業は成長しませんよ。その中で、なぜ韓国なのかというのがまずわからない。韓国がすばらしい農業で、日本が目指す方向の中で一つコストの部分だけ参考にしようというのならわかりますよ。

 ところが、大臣がよく言われているように、また安倍総理も言われているように、日本食は安心、安全ですばらしくて、そして世界各国で日本食ブームの中で、日本の文化とともに食を届けよう、こう言っています。そこには、実はコストはかかるんですよ。丁寧につくっているんですよ。丁寧に、肥料でも農薬でも、それからハウスでも、いろいろなものが、やはりそこの土地に合ったもの、その作物に合ったもの、それは、そこが付加価値をつけながらいいものができているんです。

 そのことを韓国と比べても、日本がすぐれているというふうに一方で農産物を言っているのは、決して、ただ単に生産者だけじゃなくて、生産者がしっかりとコストをかけている、こういうこともあるわけです。なのに韓国と比較しているというのが、これは解せないなと。最初から費用を、高いというところを狙って調べているような感じがあって、本当の意味での農業の成長のためのところの比較をするべきだと思うんです。

 EUをもっと調べなきゃいけないんです。日本と同じように、それは陸続きとかいろいろ貿易条件は違いますけれども、狭いながらやっている農業、そういうものを調べ直すということは考えていませんか。

山本(有)国務大臣 もとより、EUの農業のシステム、特に農協と同じような機能を持った団体、そうしたものの機能や、大学の役割、地方の公共団体、州の役割、国家の役割というようなものも、日ごろ農林省の皆さんと議論をしながら、日本の農業はどうあるべきかということも我々は考えているところでございまして、また、最近は、EUの農業大臣も地元の話をしに私のところにも寄っていただけるようになりましたし、というようなことから、より、EUにおきましても、アジアにおきましても、一つ抜けた農業を目指すという方向で頑張っていく所存でございます。

村岡委員 ちょっと答えになっていないんですが。

 例えば大規模化をどんどん進めていく、効率をよくする、そのためには、大量に買えばいろいろなコストが下がっていく、いろいろな効率化が図られる。一方でその方向も正しいですけれども、先ほど私が言ったのは、やはりコストをかけてしっかりいいものをつくろうという農家たちもいるんです。その農家の人たちに、この政策は、産業化の方向に進む農業には応援をする、しかしながら、職人肌というか、しっかりいいものをつくりながら日本の農産物が評価されている、個々の家族経営であったり、そういうことに対しては余り政策が行き届いていない。こういうやはり二つを組み合わせなきゃ、日本の農業が世界に誇る、安心、安全でいいものだという評価は、今度だんだんなくなりますよ、産業化だけを狙っていったら。

 そこのところが認識が違うんだな、こう思っていますけれども、そこに対しては、大臣、どう考えていらっしゃるか。

山本(有)国務大臣 産業化を最初から目指しているわけではありません。とにかく頑張っていらっしゃる地域の成功例の横展開、こういったことを考えるわけでございます。

 例えば、加工品において、わずか四百人の人口の高知県馬路村も、ごっくん馬路というところで三十億円も売ることができたというこの実績、そういったようなかけがえのない農産物をさらに高付加価値で売る、そういう農業から始まって、やがてそれが大規模化したり、あるいは大企業化したりするわけでございまして、最初からでかいというわけではありません。むしろ、地域農業がさらに力をつけることによって、どこにも負けないそういう強い農業ができるわけでございまして、大企業だけが残るという農業が我々の理想ではないということを申し上げたいと思います。

村岡委員 そうなると、ちょっとこの法律的なものが、どこを支援しているのか、向いているのか、よくわからないんですよ。

 やはり、そういうふうに頑張っている、今大臣が例を出したところなんかにも、そういうところがもっと頑張れるように支援するならわかるんですけれども、何か産業化の中で、決まった規格の中に入っていったところだけは推すというふうなやはり印象がありますし、実際、農家に対しても責務なんかを言って、そんな、安いものを買うのは、言われなくたって安いものを選ぶようにしますよ。しかしながら高いものを買っていたとすれば、先ほど言った職人肌の人が、これの方が土壌に合う、そしていいものができる、こう思って高いのを買っている場合が往々にして多いんです。

 そこで、これがもう一つあるんですけれども、先ほど産業化と言ったのが、これも週刊ダイヤモンドの昨年六月十八日、農林省の奥原次官が、これは週刊ダイヤモンドに載っていますから、そういう考えだというのを否定していないので、こういう考えだと思いますけれども、「農業が産業化し、農水省が要らなくなるのが理想だ」、こう言っているんですけれども、大臣も同じ考えですか。

山本(有)国務大臣 奥原次官からそのような話は聞いたことがありませんし、奥原次官も、小規模な家族農業については大事にしようという御意見を頂戴するわけでございまして、その記事が真意を伝えているかどうか、少し私は疑問に思っております。

村岡委員 真意じゃないとすれば、やはり農家の人たちはこれを見ているんですよ、これはそろそろ、産業化だけ言って、普通に農業をやっているのはもうやめろということなんだろうと。これはちゃんと確認して、否定するなら否定してください。ちゃんと週刊ダイヤモンドに昨年載って、それが六月ですから一年はたっていないですけれども、それを目指して走り出したんだな、こういう印象になっているわけですよ。

 そして、午前中、篠原委員が質問しましたけれども、規制改革会議を追ってこの農業競争力支援法なり八本なりできている、官邸をそんたくしたみたいな感じの発言をされていましたけれども、私は逆で、この産業化の発言を週刊ダイヤモンドで見ると、初めから農林省が規制改革会議のようなことを話せば、自民党の農林族が大騒ぎになる、ですから、先に規制改革会議に言わせて、そしてその方向に持っていこう、むしろそっちの方向じゃないかとこれは思える記事なんですよ。

 農林省がそのまま法案として山本大臣が出してきて、規制改革会議のような、株式会社化とか、信用事業をやめるとか、そういうことを言ったら、大騒ぎになって最初から全部潰れる、だから規制改革会議に先に出させて、そして、そこの中で、最後には理想に持っていくということはあるけれども、途中で落としている。これを裏づけるような、産業化、もう農林省は要らなくなるのが理想だ、こういうような印象につながっていくわけです。

 しっかり確認してください。もう一度。

山本(有)国務大臣 奥原次官の件につきましては、確認するまでもなく、私が自信を持って、そうではないということが言えると思います。

 それから、名目GDPに占める日本の農林水産業の生産額の割合は一・二%でございます、二〇一五年。一・二%のGDPの部分について、私は、国家が、成長産業化でGDPを上げるというために、なおかつここにむちを打つということはあり得ないというように思っておりまして、むしろ、私としましては、縦割りの農林水産省という省庁を全日本の国家的なそういう力で思い切り支えようというつもりがそういう内閣全体の考え方の中から生まれているように思っておりまして、今が逆に大きな、日本農業が飛躍するチャンスだというように私は捉えております。

村岡委員 大臣初め官邸はそう捉えていますけれども、農業者の人がそう思っていないということが、これは両者でやっていかなきゃできないですよ。その部分が理解されない流れが、ずうっと、もう三年ぐらい前からある。

 私は、林農林大臣のときに、農協改革のときに、自主改革という修正案を、修正案の責任者として、当時違う党でしたけれども、自民党と相談して、修正案にしっかり自主改革を入れたんです。この修正案に入れたのに、違う方向にどんどん行っているんです。そこに入れるのをやめていて、これはもう国が主導して農業は全部変えるんだ、こう言うならいいんですが、そのとき入れた精神はどこに行ってしまったんですか。

齋藤副大臣 農協改革法の審議の際には、私は自民党の農林部会長で、理事をさせていただいておりましたので、経緯はよく承知をしております。当時、維新の党から、政府は農協の事業や組織の改革については組合員等の自主的な取り組みを促進する旨の修正案をいただきまして、同法にその修正が反映されたという経緯についてはよく承知をいたしております。

 一方、今回の法案につきましては、確かに農業者等の努力規定というものは設けておりますけれども、午前中も答弁させていただきましたが、これを根拠に、国が農業者や農協に何かを強制するという性格のものとは考えておりませんし、国の施策のあり方の見直し規定につきましては、資材や流通の実態に即して国がPDCAサイクルを回していくための規定でありまして、今回の全農改革も含めまして、農協や全農に改革を強制するというものとは考えておりません。

 また、農業競争力強化プログラムにある全農改革につきましても、政府及び与党が進捗をフォローアップするとされてはおりますけれども、あくまでも全農の自己改革についてその自主的な取り組みを我々はフォローさせていただくということでありますので、前回の修正内容とそごを来すようなことにはなっていないと考えております。

村岡委員 強制していないと思っているのは政府の方で、農業側は、強制されている、将来もっと強くなるだろうと思っているということを認識しなきゃいけない。

 そこで、そのときは私は参議院の方で安倍総理と並んで答弁者になりました。あのとき総理が隣で、全部答えていいと言うから、もっと答えておけばよかったなと今反省していますけれども、自主改革を強く、そのとき参議院のところで一緒に答弁者になって言ったので、これはやはりちょっとおかしいな、こう思っています。

 時間がなくなってきたので、先ほどの競争力のことで話しますけれども、大臣、当然知っていらっしゃると思いますけれども、いろいろな資材を安くするとか、そういうことに別に反対するわけじゃないです。それは理由があって、何か違う理由で高くなっていたら、製品をよくするためじゃなかったらそれは安くする、そういうことは必要だと思うんです。

 ただ、これだけで競争力がつくかというと、アメリカの農業の補助制度、よく知っていらっしゃると思いますけれども、例えば、主要穀物、綿花などに対して、米の生産の半分以上をアメリカが輸出できるのは、目標価格と販売価格との差の九割は政府が補填する不足払いをしているわけですね。それで各国に行けるんですね。本来であれば、タイとかベトナムなんかの米より高いわけです。そういう対策の中で外に輸出しているんです。

 さらには、その額というのはどのぐらいかというと、米、トウモロコシ、小麦だけで四千億にもなるんですね。そういうのが、補填して輸出させている。ただこれは、輸出補助金に何で当たらないのかというのは、輸出しない米にもお金をやっているからと、ちょっと詭弁だなと思うようなこういうので競争力をつけているんです。

 さらには、輸出信用や食糧援助。輸出信用は、焦げつくのが明らかな相手国に米国政府が保証人になって食料を信用売りし、結局焦げついて、アメリカ政府が輸出代金を負担する仕組み。それから、食糧援助は、全額補助の究極の輸出補助金。加えれば、多い年には、隠れたと言われている輸出金が総額一兆円規模なんです。こういうところと競争するんですよ。

 その認識は、アメリカとかいろいろな国の、どういう制度の中で輸出大国になって、どういう制度で農業を守り、また農業を成長させているのか、しっかり調べておりますよね。

山本(有)国務大臣 もとより、アメリカの二〇一四年の農業の直接の支援措置、家計補助と価格補助、これの選択制というような改正があったこともわかっておりますし、EUが新たに、クオータ制度を二〇一五年に廃止して、酪農家に対して方針を転換したというようなことを逐一農林水産省も調査し、また検討し、また、それが日本農業にどういう影響をし、日本農業は何をどう支援していかなきゃならぬかということを日々検討を重ねているわけでございます。

 海外がしたからすぐに何か同じことをしなきゃならぬというわけではなくて、地域地域、非常に狭い地域での特色ある農業でございますので、海外では、日本の農業は逆にまねができないというような特色もあります。そんな意味で、どういう日本型の直接支払い制度やあるいは支援制度をやっていくかについては、今までの歴史や、それぞれの御意見を聞きながらしっかりやっていきたいというように考えております。

村岡委員 もう時間が来ましたのでやめますけれども、本当に競争力をつけて、輸出の方、それとまた小規模農家ということには、これはいろいろなところのを参考にしないと。この大改革を四、五年後振り返ったら、もう農業が衰退の一方になったとさせないためにも、これからも議論していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 民進党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 今ほど村岡委員からもありましたけれども、被災地にかかわる件で、復興の事業の件で農水省のOBが談合にかかわったというようなニュース、本当に残念でなりません。昨日は復興大臣が記者会見で暴言を吐いたということで大きく取り上げられていたわけでありますけれども、私も、被災地の人間といたしましては、このような状況では復興に水を差すのではないかというふうに懸念しているところでもございます。

 ぜひしっかりと調査をし、そしてこのようなことがないようにしていただきたいと思いますが、一言、何かあればお願いします。

山本(有)国務大臣 公正取引委員会が立入調査に入りましたし、また、新聞で報道をされた疑いがございます。そんな意味で、農林水産省に公共事業に関する入札契約や発注に疑義があるということのないように徹底的に調査し、そして、公正取引委員会の求めに応じて積極的に調査に協力したいというように思っております。

金子(恵)委員 よろしくお願いいたします。

 前回も質問に立たせていただきましたときに、今の政府は、内閣はどのような農業を本当に進めようとしているのか、どういう農業を目指しているのかということは質問させていただきましたが、繰り返し申し上げさせていただきますと、本当に改革後の農業の将来像が見えない状況だというふうに私は思っております。規制を撤廃する、緩和するということには熱心であるように見えますけれども、食料自給率の向上とか農村振興とか、国民の食料をどのように確保していくというその本来の役割については、私は、その取り組みについては置き去りにされているような気がしてならないんです。

 ですので、そういう視点からも、どのような農業改革を本当に目指すのか、あるいはこういう形での改革でいいのかということも含めておただしさせていただきたいというふうに思います。

 まずは、この農業競争力強化支援法を初めとした農水関連法案は、そもそもTPP発効に備えて検討されてきた規制改革推進会議農業ワーキング・グループの意見、提言をベースとした農業競争力強化プログラムを踏まえ、国内農業を強化する中長期的政策と位置づけられてきたというふうに思います。

 すなわち、農業者の所得向上を図り、農業者が自由に経営展開できる環境を整備するとともに、生産資材価格の引き下げと流通、加工の構造改革が必要として、全農改革を迫る農業競争力強化プログラムを具体化、実現化するための法案であるというふうに認識をしているところでありますが、この間の議論の推移を見ますと、TPP発効も見込めないという状況の中で、法案自体の背景、根拠が変わってきているというふうにも思います。このことについてどのように考えているのか。

 まず行うべきは、関係法案の審議の以前に、TPPの現段階における評価とか対応方針とか、そういうものを明確にすべきだったのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 まず、農業改革が待ったなしであるという点につきましては、農業就労者が六十七歳という平均年齢で、かつ六十七歳以上の方々がほぼ七〇%近いシェアを占めていらっしゃる。やがては、この国の農業というのは、離農、廃業していかれる方々ばかりで、新規農業就労者が青年たちがいないということになるならば、自立型の産業として存在できないのではないかという危機感がございます。

 その意味で、競争力強化ということは、持続的な農業が続けられるかどうかということに尽きるわけでございまして、持続的に、さらにこの国で次の世代が農業に参入していけるような道筋を立てたいというように思っております。

 そこで、TPP協定は、確かにまだめどが立っておりません。そんな意味で、この構造改革というのは、生産資材引き下げ、流通、加工構造改革、土地改良の見直し、収入保険制度の導入、こういったものは、我が国の農業が永続できるように、若者が就労できるように、力強いパワーを得るための農業の強化策というように私は位置づけるものでございまして、TPP協定の発効の見通しが立たないからやめるという筋合いのものではないというように思っております。

金子(恵)委員 一日の産経新聞で報道されていたと思うんですけれども、TPPをアメリカ抜きで発効させる方策の検討に入ったということが報道されていました。これは事実ですか。

山本(有)国務大臣 TPPにつきまして、一月三十日、米国通商代表部がTPPの締約国となる意図がない旨の通知を行ったということは承知しております。

 我が国では、引き続き、米国に対しては、TPP協定の戦略的、経済的意義につきまして腰を据えて理解を求めるというように総理からお伝えをいただいております。

 また、米国以外のTPP署名国に対し、我が国が持っている求心力を生かしながら、今後どのようなことができるかを議論していくということは、会合でもそれを御披露させていただいておるわけでございまして、今後、米国政府から二国間FTAについての要請、こういったことがペンス副大統領と麻生さんの中で行われるかどうかは別といたしまして、我が国は、どのような交渉がありましても、強い農業を背景に、しっかりと守るべきものは守るという考え方で臨みたいというように思っております。

金子(恵)委員 先ほど、魅力ある農業をつくるということを前提だというふうに思いますけれども、やはり次世代に向けて、次世代の方々の農業者をどのように育成していくのかということを含めての御意見だったというふうには思うんですけれども、つまりはなかなか後継者がいないという、農業者の高齢化というお話をされたというふうに思っています。

 実際に、農業人材力強化総合支援事業というのがありますね。こういう事業をしっかりと活用しながら農業者を育成するという仕組みはとても重要だというふうには思うんですけれども、例えば、新規就農者に対するそういう助成金が、補助金があるということは意外と周知されているところでありますけれども、私は、この間、地元で農業者の方々のお話を聞いたときに、自分の跡取りに何かないんだろうかという御意見をやはりいただいたわけです。

 実際に、これは親元就農の場合でも恐らくこういうものを活用することはできるというふうに思います。つまり、後継者に対する支援というのはできるんだと思います。ただ、これについて、いろいろな縛りがあったり、条件があったり、使いにくかったり、そしてまた、それがしっかりと周知されていなかったり、こういうことがあるんだというふうに思うんです。

 実際に農業を継ぎたいと思っている人たちに対する支援が行き届いていないという状況があるのではないかというふうに懸念するところでもありますけれども、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 農業就農への支援事業の中に、親元就農について、各地域で御不満があったり、使いにくいと言われることがございます。

 その中で、経営リスクをとるというような文言がその要件の中に入っているように思われている市町村長も大勢いらっしゃいまして、それは、親元で親と全く同じことをする農業ということでは給付できませんが、新しい販路を開拓する、例えば、系統出荷だけでなくて、直販所あるいは道の駅に出すというだけでも、新しい販路、新しい考え方ということで就労資金が出るようになっております。

 そんな意味で、私がお伺いしたところによりますと、市町村長との連絡調整の中で、地元に合った親元就労というのは、それぞれの地域で、新しい形、そして運用において不満のない形、それがとり得るものであるというように考えるところでございます。

金子(恵)委員 私が申し上げたいことは、やはり、農業を愛する農業者の方々が後継者をしっかり現場から育成することができるような仕組みというのが必要だというようなことであります。

 五条において、農業者の努力や農業者団体の努力というのが求められているわけなんですけれども、この農業者には法人経営が含まれていて、そこには農業参入した多くの流通資本や一般企業も存在しているというふうにも思います。全体としては、先ほど来お話がありますように、農家数が減少して参入企業が増加する中で、この農業競争力強化プログラムで言われている、自由に経営展開できる環境を整備しているとして規制緩和を進めているのではないかというふうにも思いまして、そうであれば、こうした流通資本や一般企業に対しての規制緩和と言えるんだというふうにも思うんです。

 私は、繰り返しになりますが、このように参入した企業をただ単に救っていく、あるいは支援していくということではなくて、本当に今まで農村を守ってきた、地域を守ってきた農家をしっかりと支援する仕組みを継続していかなくてはいけないというふうに思います。そして、拡充していかなくてはいけないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございました。

 第五条に定めます農業者というのは、先生おっしゃるとおり、大規模なものから、また地域で中小規模で頑張っておられる方も含まれる概念であるというふうに考えておりますし、私どももまた、経営規模は小さいながらも頑張っておられる農家に対してはきちんと応援をしていく必要があるというふうに考えております。

 その前提に立ちまして、この第五条の農業者の努力についてでございますが、本法案では、農業生産関連事業者に対して、良質で低廉な農業資材の供給や農産物流通等の合理化の実現に資する取り組みを持続的に行うよう努めることを求めておりますが、取引相手である農業者がこのような努力を行う事業者を利用しなければ、その実現にはつながりません。

 したがって、農業者に対しても、このような努力を行う事業者との取引を通じて農業経営の改善に努めることを求める旨の規定を置くこととしたものでございます。

 このように、本規定は、本法案の目的を実現するために必要であるというふうに私どもは考えておりますが、国がこれを根拠として何かを強制しようとするものではないということもまた御理解をいただければというふうに思います。

 なお、食料・農業・農村基本法の第九条におきましても類似の規定を置いております。こういうこともまたぜひ御理解をいただければ、こういうふうに思っております。

 ありがとうございます。

金子(恵)委員 法案の「目的」、一条、もう繰り返しませんけれども、中身は、国としての責務と講ずべき施策を定めること、そして、事業再編または事業参入を促進するための措置を講ずることとしています。そして、「定義」の第二条では、今話もありましたけれども、農業生産関連事業を農業資材事業と農産物流通等事業と定義し、事業者から農業者を除外しているということです。

 このように、強化支援法自体は、農業者以外の事業者に関する事業の合理化、事業の再編、参入にかかわる国の責務等を規定したものであるわけですから、五条にある農業者の努力というのは必要だというふうには思えないんですけれども、いかがでしょう。

細田大臣政務官 ありがとうございました。

 今答弁をさせていただきましたとおりでございまして、いわゆる農業に関連する生産資材、流通の合理化の実現に対しては、農業者がこの五条に書かれたような努力を行っていただくという必要があるというふうに考えておりまして、いわゆる努力義務、訓示的な規定として盛り込ませていただいたところでございます。

 ただし、あくまでも努力義務、訓示的な規定でございますので、先ほど申し上げたように、本規定によって、国がこれを根拠として何かを強制的に行っていただくという規定ではないという趣旨であることをぜひ御理解いただきたいと思います。

金子(恵)委員 今も申し上げましたように、二条で、事業者に向けての今回のこの法律をつくり上げるというような中身だというふうに思っていますので、そうであれば、事業者から農業者を除外というふうに言いつつ、そして、一方で農業者の努力というのを規定しているということに、私は矛盾を感じるところでもあります。

 五条のところの一項にある、先ほども質問された方がいましたけれども、有利な条件というものは何なのかということであります。

 先ほど御答弁があったようですけれども、農業資材の品質、能力のレベルというのは、当然、価格だけではなく、そういうものも含まれる。そしてまた、先ほどメンテナンスという話もありました。アフターサービスも考慮して有利性についての判断が求められるものだというふうに理解をしているところでありますけれども、これはどのような基準で有利な条件というふうに言えるんでしょうか。

細田大臣政務官 これはまさに、個々の農業者の方がまた判断されるということに最終的にはなるというふうに考えておりますけれども、今委員がお話があったとおり、価格のみではなく、例えば農業資材の場合であれば、品質、性能、あるいはメンテナンスの条件、農産物流通の場合であれば取引期間や決済サイト、あるいは不作で欠品が出たときの対応等々を総合的に勘案して有利性が最終的に判断されるものであるというふうに考えております。

金子(恵)委員 今おっしゃっていただいたように、農業者が判断するものだということなんですよね。

 実際に有利な条件を提示する事業者と取引を行うのは、経済活動では当たり前のこと、一般的なことなわけで、それをあえて農業者等の努力、農業者の努力とすることはおかしいのではないかというふうに思います。

 あえてこれを入れて、そして、いかにも農業者の方々が間違いのない判断をすることができないような、そういう印象づけというのは、やはり上から目線だというふうに私は思いますが、いかがですか。

細田大臣政務官 ありがとうございました。

 先ほど来答弁を差し上げておりますが、この施策については、売り手である関連事業者がそのような努力を行っていただくとともに、いわゆる買い手である農業者の方がそういうサービスを主体的に利用するということがなければ、そういう条件の取引というのが実現をいたしません。

 したがって、強制的な義務ではなく、訓示的な規定としてそういう努力義務を入れさせていただいたということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 また、再度申し上げますが、農業・農村基本法においても同様の一般的な訓示的な規定を入れさせていただいているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

金子(恵)委員 訓示、その言葉を聞くと本当に極めて残念でならないんですけれども、改めて、農業者の自立性とか自主性とか主体性というものを尊重しているとは思えないものです。

 もう何度聞いても残念でならないので、真っ向からこのことについては反対をさせていただきたいというふうに思っています。

 次に行かせていただきますけれども、卸売市場のあり方等について少し質問させていただきたいんですけれども、十一条に、「農産物流通等に係る規制について、経済社会情勢の変化を踏まえた見直しを行うこと。」というのがあります。

 実際に、平成十年に全国で八十七あった中央卸売市場数も平成二十七年には六十四に減っています。そして、地方卸売市場数も、平成十年に一千四百六十五あったものが平成二十六年には千九十二に減ってしまっているという状況にあります。

 しかし、一方では、卸売市場は、我が国の生鮮食料品等の流通における基幹的なインフラとして、生鮮食料品等の円滑かつ安定的な流通を確保する観点から、本当に重要な役割を担ってきたというふうにも思っています。引き続き、国民の皆さんへ安定的に生鮮食料品等を供給する使命を果たすことが求められているというふうに思います。

 そして、さらには、実際には、やはり少子高齢化に伴う人口減少の進展等による食料消費の量的な変化とか、社会構造の変化に伴う消費者ニーズの多様化とか、また農林水産物の国内生産、流通構造の変化、生鮮食料品等流通の国際化、東日本大震災の経験を踏まえた災害時対応機能の強化等の社会的要請の高まりなども、大きく変化というものが見られるところでもあります。

 こういうことも含めまして、どのような役割をこれから担っていくべきなのかをお伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 まず、卸売市場で、卸売業者、仲卸業者の皆さんが果たしてきてくれた役割というのは認識をしていかなけりゃならぬと思っております。青果でも五割を超えているシェアがあります。水産も五割を超えております。

 そんな意味で、特に、卸売業者が全国各地の生鮮食料品の品ぞろえをしていただいている。そして、仲卸業者が、需給や品質に応じた価格を形成しながら、食料の安定供給を通じて国民生活の安定に貢献し、消費者にも喜ばれてきた。さらに、卸売業者の皆さんが代金を回収していただいて、そして、生産者にそれを円滑に迅速に決済していただくというようなことにおいて生産地の財政的安定が図られたということは、もうそのとおりでございます。

 ただ、流通が変化をしている、多様化しているということも見ていかなきゃなりません。産地の直売やインターネット通販、そのほかの新しい売り方、契約における販売というようなこともございます。そして、卸売市場を経由する生鮮食料品の比率は年々低下していることも事実でございます。

 こうした意味で、新しい卸売市場がさらに全体的な国民利益になるようにどう整理していけばいいかということを、社会情勢の変化も踏まえつつ、市場関係の意見も丁寧に聞きながら、合理的な理由がなくなっている規制は廃止するなどして、卸売市場法の抜本的な見直しを行ってまいりたいというように思っております。

金子(恵)委員 仲卸業者は仕入れ業者側に立って、そして卸売業者は生産者、出荷者側に立って、両者の間での公正な取引というものが行われていくわけなんですけれども、卸売市場に係る規制の見直しについては、やはりこの価格形成等の機能の維持というのをしっかりと考慮するべきだというふうに思っています。その観点からしっかりと検討していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょう。

山本(有)国務大臣 まず、流通エリアが広域化しておりまして、輸送量が飛躍的に増大しております。主要な輸送手段でございますトラックのドライバーに負担がかかっているという業界内の実情もございます。そしてさらに、流通の広域化や大ロット化が進む中で、産地から大都市の中央卸売市場へ輸送した後、改めて地方都市に転送する、そういう非効率も指摘されているわけでございます。

 また、取引の中身でございますが、委託販売に対して、集荷段階で卸売業者が、買い取り集荷が増加しているということもありまして、競りをまた行うことがなくなりました。個別の取引ごとに価格決定をする相対取引が圧倒的になってきております。価格形成の態様も変化しつつございます。

 しかしながら、生産者を守る立場から、卸売市場における価格形成機能、そういったものを維持しつつ、生産者の手取りが多くなるというような物の考え方に立って、新しい市場法の改革を進めてまいりたいというように思っております。

金子(恵)委員 繰り返しになりますが、生産者、出荷者側に立つそういう取引がきちんとでき得るかどうかということが鍵でありますので、ぜひ、その部分を最重要な部分と考えていただいて、検討をしていただきたいというふうに思います。

 十二条の一項に、農産物の卸または小売事業について、適正な競争のもとで効率的な農産物の流通が行われることになるよう、事業再編または事業参入を促進することとしているわけなんですけれども、専ら中小事業者の合併や統合などを通じた規模拡大のみが規定されているというふうに思いますが、一方で、大規模な量販店が幅をきかせて、ひとり勝ち的な状況があるというふうにも思うわけで、そこの部分についての問題点というのは指摘されていない状況にあります。その是正の方向も示されていないわけで、大変偏りがあるのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 我が国の量販店の状況でございますが、上位五社のシェアを合計しましてもスーパー業界の市場規模で三割程度でございます。欧米に比べまして過当競争と言えるかもしれません。また、多数の量販店等による安売り競争が生じやすい体質もありますし、また、価格の引き下げ圧力が強い状況にもございます。

 こういった状況の中で、本法案が、流通業者の自主的な事業再編等を後押しする支援措置、これを講ずるわけでございますが、過当競争を脱し、品質に応じた適正な価格で販売をしていただくというモデルが構築できれば理想でございます。

 他方、再編により流通業者が大型化して、価格交渉力が強まることも懸念されております。事業再編計画の審査に当たって、法案十八条の六項に基づきまして、他の事業者の利益を不当に害するものでないこと等を確認しながら支援を行いたいというように思っております。

 なお、量販店等の不公正な取引につきましては、言わずもがなでございますが、公取の徹底した監視が必要だというように考えるところでございます。

金子(恵)委員 関連させていただきまして、福島の風評被害対策について質問させていただきたいと思いますが、先ほど来、適正な価格をしっかりとつけていくというような課題があるということであります。

 福島県産の農林水産物については、震災前の価格まで全く戻っていない状況にありますが、このような状況に鑑みまして、昨日審議が始まりました福島復興再生特措法の改正案では、福島県産の農林水産物等の風評被害の払拭に向け、販売等の実態調査や当該調査結果に基づく指導助言等の措置を講ずることを法律に位置づけているものであります。

 予算は四十七億円計上されている、そして流通実態調査事業を行うということでありますけれども、この調査はどのような手法で行われるんでしょうか。

 ある意味、先ほど来流通の問題を質疑させていただいていたんですが、その部分で私は重なるところが多くあるというふうに思っておりますし、また、指導助言というのを具体的にどのように行っていくのかお聞かせいただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 放射性物質による汚染の有無またはその状況が正しく認識されていないということに起因して、福島県産の農産物等の販売等の不振が生じているわけでございますが、そのために、平成二十九年予算におきまして、新しく福島県産の農産物等の流通実態調査事業というのを開始させていただきまして、米と牛肉と桃、この主要産品、これは福島県庁と打ち合わせていくところでございますが、そこで三つの項目を出させていただきました。

 流通、販売の実態調査、販売等の不振の要因分析、そして積極的な販売等の優良事例の把握ということをさせていただくところでございます。

 具体的に申し上げましたら、福島県内のほか、首都圏、関西圏を中心といたしまして、卸売市場関係者、小売業者、外食、中食業者を対象にしまして、取引量、取引価格、取引相手の反応、積極的な販売等の優良事例等を調査する、そして、消費者に対して、福島県産品の印象、購入の意向を調査するようにしております。

 今後、この調査結果を踏まえまして、当該商品の販売等を行う者に対しまして、必要に応じて指導助言等の措置を講じて、福島県産品が普通に、そして実力に応じた評価をいただけるような形になるように努力をしていきたいというように思っております。

金子(恵)委員 福島産というだけで買わない方々がいた。福島県産の農産物は検査をしっかりしていて、恐らく日本で最も安全、安心なものだというふうに思います。それをしっかりと御理解いただくために、その流通の中でどの部分で問題があるのかということを含めてしっかりと調査をしていただきたいというふうに思っていますので、ぜひその部分についてお願いを申し上げ、強く求めて私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民進党の佐々木でございます。

 競争力強化支援法について質問させていただきたいんですが、午前中からずっとこの審議がされておりますので、質問の内容が重複することはお許しをいただきたいというふうに思いますので、そこはよろしくお願いを申し上げます。今回の八法の中で最も中心的な法律でございますので、全体的な位置づけについてどうしても私もお伺いをしなければならないというふうに思ってございます。

 その点で、まず、先ほど来質問がありますが、この基本計画の位置づけ、とりわけ審議会の意見、農業関係者の意見、消費者の意見、こうした意見を具体的にいつ、どういうふうに、どのぐらいな規模でそのニーズを把握したのかということについてまずお伺いをしたいと思います。

山本(有)国務大臣 まず、計画についての位置づけというものと審議会等の話からさせていただきたいと思います。

 食料・農業・農村基本計画というものは、我々日本農業の今後十年程度先までのビジョンを示したものでございます。現行の基本計画というのは、平成二十七年三月に改定されておりまして、平成三十七年を見通したものでございます。

 そして、昨年十一月に取りまとめた農業競争力強化プログラム、これは、食料・農業・農村基本計画が示す農政の基本方向を踏まえて、ここ数年で実現すべき具体的な施策でございまして、スパンが短いものでございます。

 基本計画を定めるに当たりましては、食料・農業・農村基本計画に基づきまして、食料・農業・農村政策審議会、これの意見を聞いて定めております。基本計画が示す農政の基本方向を踏まえた農業競争力強化プログラムにつきましても、審議会の意見を尊重した形になっていると考えております。

 また、プログラムの策定に当たりましては、農業者や関連業界の方々などからの意見を聞いて、そのニーズを踏まえて取りまとめたわけでございます。

 このプログラム策定に当たっての農業者の意見についてでございますけれども、各地域の全国説明会、あるいはサテライト説明会、こういったものを開きまして、あるいは与党におけるキャラバン隊の巡回、そしてその説明等を通じてプログラム策定に至ったというように考えるところでございます。

佐々木(隆)委員 基本計画はもちろん審議会の意見を聞かなければならないことになっていますから、それは当然聞かれたんだというふうに思いますが、今の説明だと、プログラムはそれに沿って、沿ってというか後で合わせてというか、つくったということの説明ですよね。

 説明会とかキャラバンというのは、それは決まってからやる話であって、ニーズをどうやって聞き取ったのかということを私はお聞きしたわけで、これは大臣でなくても結構ですが、そういうニーズがこの以降に出てくるいろいろな業界にどういう形で聞いて、どのぐらいな規模で聞いて、それはいつごろ聞いたのかということについて、そんなに長い答弁は要りませんけれども、端的にそこをお答えいただきたいと思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 この農業競争力強化プログラム、これの策定をする前の段階におきましては、与党の方でもPTをつくっていただきまして、そこの場でいろいろ関係業界の方々からのヒアリングをやっていただきまして、その場に我々役所の方も出席させていただいておったわけでございます。

 具体的に言いますと、昨年の一月ぐらいからヒアリングを実施しておりまして、例えば、生産資材、流通、加工に関しましては合計七十名の方々、人材力、原料原産地表示等の問題につきましては二十四名、また輸出やチェックオフの関係については二十七名の方々、その分野につきましても、農業者、また流通加工業者の方々、また資材メーカーの方々、あと農協の組合長さん、その他役員の方々、あとまた学識経験者、こういった方から御意見を伺っているところでございます。

佐々木(隆)委員 そうなんですよ。これは私がそれぞれ地元で伺っても、聞かれたとか問い合わせがあったという話はほとんどありませんで、しかも、今のお話を聞くと、与党のヒアリングに出席したという話ですから、それはやはり幾ら何でもひどいのではないか。しかも、今の説明だと、業界の皆さん方に聞いたという話ばかりなんですよ。要するに、消費者とか農業者という視点がこれ全体に欠落しているんですね、この八法全体に。だから、我々が幾ら説明を聞いてもよくわからぬというのは、そこにそもそもの問題点があるんですよ。これは修正して何とかするという以前の問題です。

 私、先ほどもお話ありましたけれども、この八本は、下手すると、農林水産省解体法ですよ。農林水産省が要らなくなるという法律をつくっているんです、みずから。(発言する者あり)まあ、そこまでは言いませんが。それほど、今までの農水省の考え方からすると相当逸脱をしている法律が今回の八本。

 今までだったら、手続を少し簡素化しましょうとか、あるいは、農家のニーズに合っていないから少し直しましょうというところから徐々に始まっていくんですが、今回、一足飛びですから。一足飛びに業界ががあっと参入してこれるような、そんな仕組みをつくろうというのが今回の八法ですので、そういった意味では、聞いていて非常に違和感があります。

 その一番最たるものがこの競争力強化法ですが、今さら中学校の社会科みたいなことを申し上げるつもりはありませんが、生産の三要素というのがあります。土地と資本と労働。中学校の教科書みたいな話で恐縮でございますが、この生産の三要素というのは、土地と資本と労働、これは一般の産業も農業もある意味で同じです。しかし、決定的に違うところがあるんです。それは、土地自体が生産の一部を担っているということと、第一次産業の場合はその土地を移動できない、そこに住み続けてなりわいを続けなければならないという決定的な違いがあるんですね。だから、先ほど、経産省と一緒になればいいなどというのはとんでもない話で、決定的にそこが違うからこそ、農水省の意味があったんです。

 よって、それは何を意味するかというと、農業生産と地域政策、つまり農村政策、まあ、ほかの一次産業も同じですが、地域政策と産業政策が一体でなければ、農林水産省がやる政策の意味はないんです。業だけやれば、よくなればいいというんであれば、それは経産省と一緒でいいんですよ。しかし、それでは農林水産業は発展しない。地域政策と一体だからこそ、農林水産省というものの存在価値があったんですよ。それを今回はまさに捨てようとしている。農林水産省そのものの存在を捨てようとしていることにつながるんですよ。ここについてお答えください。

齋藤副大臣 委員御指摘のとおり、農業という産業は土地という生産要素と不可分でありまして、この土地をいかに地域政策として維持していくかということは極めて重要というか、密接不可分の政策だろうと思っております。

 ただ一方で、現下の状況を、今の農業の状況を見てみますと、これから国内の人口がどんどん減っていく中で、耕作放棄地も現実にふえてきているわけであります。それに対抗していくためには、やはり、農業をしていただく人の所得が向上していって、そこで農業をやっていこう、そういう気持ちになっていただかないと、この土地も維持できない、農地も維持できないという現実が今あるわけでございます。

 そのためにはいろいろなことをやらなくちゃいけないんですが、この法案では、農業をやる方のコストを引き下げるために、本人たちの努力ではどうしようもない構造問題に手をつけることによって、そこの生産資材のコストですとか下がるようにしていって、農業の所得がそれによって少しでも上がっていけば、また農地も維持をできるようになるのではないか、そこにフォーカスを当てているのがこの法律だということであります。

 農政全体でいいますと、もう委員御案内のように、農地をしっかり維持していくために日本型直接支払制度を平成二十五年に創設するなどいたしまして、地域政策は地域政策でしっかりやっているところでありますが、ただ、この法案のフォーカスはそういうところに当たっているということを御理解いただければと思います。

佐々木(隆)委員 副大臣、残念ながら理解できません。

 というのは、今、耕作放棄地もふえているというのは、それは事実です。農業者が高齢化しているのも、それも事実です。耕作放棄地が増大しているといいながら、これから多分出てくるであろう土地改良の見直しの中では、優良農地についてしか語っていないんですよ。耕作放棄地は何も語っていません、あそこでは。優良農地はもともと、耕作者が耕作しやすいところが優良農地ですから、それで耕作放棄地がふえている対策だということには全然つながっていないんですよ、今回の八本の中では。

 重要であるが、しかしと今副大臣はおっしゃったんですが、しかしというのは、それは前文を否定したことになるんですが、そういう意味でないとすれば、それとともにと表現しなければいけないのであって、しかしとおっしゃったんだから、前文を否定したわけですよね。

 直接支払いについても、私は今の直接支払いは少し違うと思っています。分離したという意味で違っているんです。そこはまた後で時間があれば議論させていただきたいと思うんですが、そういう意味で、本当に農村全体を考えた八法になっているかということについて、御意見をどうぞ。

齋藤副大臣 佐々木委員にも御理解いただけると思うんですが、これ以上耕作放棄地が増大することをまず阻止していくためにはどうしたらいいかということは重要な話でありまして、そのためには、今農業をやってくださっている方が引き続き農業をやっていこうという気持ちになっていただくためには、人口が減っていって需要が減る中で農家の所得をふやしていくという極めて難しい仕事に取り組んでいかなくちゃいけないわけでありますので、そこでは、コストを下げるための努力もしていかなくちゃいけないし、それから海外へ打って出る努力もしていかなくちゃいけないということは御理解いただけるんだろうと思います。

 私が、しかしということで全否定したということで受けとめられたのであれば、それは訂正させていただきますけれども、地域対策と産業政策と、両方今やっていかなくちゃいけないということが我々の考えだということは御理解いただきたいなと思います。

佐々木(隆)委員 思わず本音が出たのではなくて、たまたま言葉のあやだったということでありますから、そこは理解することにして、限られた時間ですから、少し中身に入らせていただきたいと思うんです。

 私がこの中で一番気になったところは、今度の基本計画の中でも、初めてと言ってもいいと思うんですが、初めて多用されている言葉があります。それは競争力という言葉です。これは基本計画で登場してきたと言っても過言ではありません。それまで全くなかったとは言いませんが、多用されています。所得増大、構造改革、まあ構造改革なんというのは前の基本法のときの話ですから、前の基本法の中の構造改革が、これでは農村はうまくいかないからといって新しい基本法をつくったんですよ。その何か前の基本法の話が今回やたらと出てきていたり、競争力という言葉がやたらと出てくるようになった。プログラムのところからそうなんですが。

 それでお聞きしたいんですが、誰と何を競争したいのかというのがよくわかりません。

 普通の産業、農林水産業以外の産業は、同じユーザーを相手にして商売をしますから、競争相手がなくなれば確かに売り上げは伸びるんです。それだけシェアも広がるんです。

 しかし、農業はそんな産業じゃありません。農家の隣が潰れたからといって、自分が何か豊かになるという産業じゃないんです。それは一次産業は全部同じなんですよ。だからほかの産業と農林水産業は違うと私は申し上げているんですが、誰と何を競争したいために第一条で競争力という言葉を使ったのか、お伺いします。

山口政府参考人 お答えいたします。

 本法案におけます農業の競争力といいますのは、農業の生産性を高め、高い収益力を確保することにより持続的な農業発展ができる力ということで考えているところでございます。

 先生からお尋ねのところでございます誰との競争かということでございますが、こういう持続的な農業が発展できるような力、これを蓄えることによりまして、輸入農産物を初め、外国の農作物との競争に勝てる能力をつけていく、こういったことを考えているものでございます。

 なお、本法案は、我が国農業全体の競争力強化を図るためのものでございますので、他の農家との競争に勝つとか、また他産業に勝つとか、こういったことは想定したものではございません。

佐々木(隆)委員 今のお話を聞くと、外国と競争するという話のようですが、それは先ほど村岡委員が質問をさせていただいたように、外国と今の日本、アメリカ農業やヨーロッパ農業と競争するんであれば、全くそれは施策体系がまるっきり変わっちゃうわけで、そこがないまま、ここだけ競争しなさいという話は、だから、政策体系としてきちっと整っていないんではないのかというのが、ずっと皆さん疑問に思って、午前中からその質問があるわけですよね。

 そういった意味では、今、競争する相手が外国という話だったから、外国ということであれば、全く政策体系を変えていただかないと、私はそれが正しいとは思わないけれども、でなければ一貫性がないということは、これは指摘をさせていただきます。

 そこで、先ほど直接支払いの話が出ました。先ほど農業と農村は一体だと私は申し上げたんですが、今の直接支払いは、車の両輪と言っています、日本型直接支払い。本来、車の両輪じゃないんです、地域活動は。農業と農村が一体だということは、生産活動と農村が一体だということなんです。だから、生産活動が活発になることが地域政策としても役立つという仕組みになっていないと、車の両輪として別個なものだ、これは本当の意味での一体にはならないわけですよね、片方を大きくしたり小さくしたりできるわけですから。それでは本当の意味での一体にはならない。

 目指すべきは農家の自立であって、競争ではないというふうに思うんですが、直接支払いも含めて、お答えをいただきたいと思います。

齋藤副大臣 今、佐々木委員がおっしゃいましたように、農業がしっかりしていかないと地域が守れないということはそのとおりだと思います。

 そのために、この法案はある点にフォーカスを当てて、そこにいろいろな手を打っていこうということでありますけれども、同時に、直接支払制度の創設等々を通じて、地域でも活性化していただくような施策を同時並行的にやっていって、農業の活力の向上とそれから地域の生産性の源である農地の維持とを両立できるようにというのが今我々が目指している方向でございますので、多分、おっしゃっていることと余り違いがないんじゃないかなというふうに思います。

佐々木(隆)委員 今、副大臣がおっしゃったことはほとんど同じです。同じですが、今の直接支払いは、農地維持のためには使われているわけじゃないですよね。みんなで共同活動しましょうとか、そういう方に使われているわけであって、農地とか農業と一体となっているわけではありません。

 地域活動も大切ですよ。コミュニティーもこのごろだんだん危なくなってきていますから、そういった意味では、コミュニティーもしっかり守っていかなきゃいけないということは大切なんですが、今の説明とはちょっと違う仕組みで支払われているというのが今の仕組みです。

 よって、申し上げたいのは、農業生産の中で、環境対策とかそういったものは農業政策の中で一体となって支払われなければ、本当の意味での、直接支払いという本来の意味とは違ってくるわけですよね。

 ですから、そういった意味で、今、土地改良の事業という説明は、それはそのとおりですけれども、それを直接支払いとは言っていませんから、今の農政では。今の農政ではですよ。我々のときは一体だったんですけれども、両輪にいつの間にか変わっちゃいましたから。そこはそういうことであります。

 そこで、今回の法律の中では、事業再編あるいは合理化ということがほとんどメーンになっているわけですよね、あらゆるものについて。先ほど農業者の努力のところについては質問がありましたので、少し飛ばさせていただきますが、農業者に対して、買い方、売り方、あり方というふうに書いてあるんですが、そんなことまで農業者に言う必要があるのかという、これは全く法律として、何でこんなことを書く必要があるのかということは、これは先ほど来お話がありましたので指摘をさせていただきますが、資材のところ、八条のところですね、農薬について申し上げれば、作物群というのを導入するとなっておりまして、作物群ということになると、これは今まで製品ごとに安全性を確認していたんですが、これがそうはならなくなるということで、安全性が確保できるのかという問題があります。

 肥料については、工場再編、これも前段議論がありましたので、あえて質問はしませんが、地域にあって、地域の工場として役立っているところはたくさんあります。

 それから、飼料についても、集約化をするということは、午前中の我が方の篠原委員の質問にあったように、輸入に頼るということになっていくわけです。輸入に頼ったときに何が起きるかというと、先ほど提出された資料でも明らかなように、飼料の一大産地、小麦の産地もそうであったように、どこに行くかというと、海岸に行っちゃうんですね、全部。農村になくなって、海岸に全部産地が移動しちゃうんですよ。要するに、輸入が中心になりますから。結局、それは格差が拡大するだけなんですね。結果として、地域循環というものができなくなっていく。

 それと、流通のところで申し上げれば、卸売の市場を再編すると何が起きるかというと、中小の小売店は、これは市場を頼りにしているわけですよ、そんな直接買い付けなんかできないわけですから。そういう地方の中小を本当に守っていただいているわけですよね、市場は。それと、こだわっている飲食店なんかも、やはり市場から直接購入するわけですよ。これから先、そういう人たちの役割というものを否定していくのかということ。

 それから、十五条にかかわりますが、JASについて触れているんですが、これを合理化するという意味がよくわかりません。JASというのは合理化するものでしょうか。合理化するというのは、どういう意味で合理化と言っているのか。

 全てがそういう方向に向けられているというのは、地場で頑張ってきた中小零細というものを全て否定していくことにつながらないか。我々の地域なんかでは、それぞれの地域で、鉄工場だったところが新しい農機具を開拓して、そして、そこで地域の中小企業としてしっかり頑張っているところが幾つもあります。ニンジンの掘り取り機だとか大根の洗い機だとか、いろいろなものがあるんです。そういうところこそ大事にしなきゃいけないという話と再編という話は結びついていかないんですよね。

 ここを説明していただきたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 この法案は、御指摘のように、地域で頑張っておられる中小企業を排除するというような意図は全くございません。

 例えば、肥料について申し上げますと、午前中の審議の中で福田達夫先生から御指摘のあったように、地域の肥料メーカーの中には、独自の製造加工技術により、地域の中核となって農業振興に貢献している中小メーカーさんが存在して、頑張っておられます。こういうメーカーさんには、ぜひ引き続き頑張っていただきたいというふうに私どもは考えております。

 ただし、今般の法案においては、生産資材産業のあり方は、農業の競争力の強化に非常に重要な役割を担うという認識のもと、日本全体として、例えば同産業のメーカーの工場の稼働率が低いということなどによる高コストな生産構造を改善し、良質かつ低廉な農業資材を農業者に供給するために、メーカーの規模にかかわらず、自主的な判断による、これはあくまでもいわゆる事業者の方からの申し出による自主的な判断による事業再編等の取り組みを後押しする支援措置を講ずるというふうにさせていただいているところでございます。

 あくまでも、先ほど来申し上げたように、いわゆる地域の農業者の方の、肥料が高い、農機が高い、あるいは農薬が高いという声に真摯に応えるために、この法案を提出させていただいているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

佐々木(隆)委員 政務官ね、それであれば何も法律をつくらなくたっていいんじゃないですか。何でわざわざ法律をつくって、再編に補助金まで出してやろうとしているのか。

 今の趣旨であれば、それはそのまま、ただ、いろいろな、通常の農政を進めていく中で十分やれる話であって、わざわざ法律をつくってやるような仕組みのものではないと思うんですが、まあ、いいです、時間がなくなってまいりましたので。

 もう一つだけお伺いをしたいと思うんですが、国内外の状況調査というのがありますが、今でも資材の調査というのは行われております。それを、見える化が十分でなかったというのであれば見える化することは重要だと思うんですが、国内外としたのはどういう意味なのか、よくわかりません。

 今まで国内外という言葉は、外という言葉はほとんど使われていないんですが、国内外の状況調査というものを実施するという。国内の物価を、資材の価格を見える化することは私も賛成です。それは今もやっていますが、それを充実すれば済む話ですが、それを今回わざわざ法案に書いたことと、もう一つわからないのが、最後の附則の部分です。

 最初の調査は一年以内、施策の検討は二年以内で、PDCAサイクルを回すためとしているということがあるんですが、当初、何か五年と計画されていたと聞いているんですが、何でこういうふうになったのか。

 要するに、PDCAサイクルを回すということは、これは今回の法律で対象にしているところを一年でちゃんとしっかりチェックするぜ、あと、それから二年たったら、やっているか、やっていないかもしっかりチェックして、政府の言うとおりやれよという意味でなければ、これをわざわざ書き込む必要がないと思うんですが、何でPDCAサイクルを回すためということまで書いてこの政府の関与条文をつくったのかというのが、これがよくわかりません。

 ここまで余分なことをたくさん書く必要がどこにあったのかという意味で、この法律は極めて農水省解体法だと私は言わざるを得ないということを含めて、答弁を求めたいと思います。

山本(有)国務大臣 農業資材の価格引き下げ及び農産物流通等の合理化、こうしたものを実現していくというのは、やはり実態を正確に把握する必要がございますので、国際比較を含めて詳細に把握するという意味で、内外ということを調査させていただくものでございます。

 また、本法十六条の国内外における農業資材の供給、農産物物流の状況の調査を行う旨の具体的な話は、市場規模や主要企業のシェア等の業界構造や、生産、流通、販売のフローとか、法規制の運用等、こういったものが我が国農業にも陰に陽に影響してくるものですから、これを調査を行うとしております。

 本規定に基づいて、国内はもとより、海外の市場や事業者も含めた広範かつ本格的な調査を行うことが、農業をさらに発展させるいい情報になるだろうと思っております。

 次に、附則二条において、最初の調査が一年、施策の検討については二年以内というように明記をされております。

 本法案におきましては、国が講ずる施策について、おおむね五年ごとに調査をするということでございますし、法律の施行の日からおおむね一年以内にさらに調査をすることにおいて正確性が担保でき、さらに、最初の必要な措置の検討についてはおおむね二年ぐらいで状況を見るというのがこの施策を打ったときの反省材料になるだろう、こう思っておりまして、総じて、国が講じている施策について、PDCAサイクルを回すということにおいて点検が必要でございます。そして、必要な見直しも必要でございます。

 こうした意味で、このような、五年、一年、二年というような区分けをつくらせていただいたというように考えております。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたのでやめますが、ずっと、これは農水省だけではなくて、気になっているのが、トップランナー方式とかあるいはインセンティブとかという仕組みとPDCAとセットになっていて、結局、地方の自治体で頑張っていない自治体なんかどこもありませんよ。みんな頑張っていますよ。そこに何かトップランナーだとかインセンティブだとかいって差をつけるというのは、私は違うと思う。しかも、それをチェックするシステムまでわざわざ書き込む、あるいは法律化するというのは、どんどん中央集権に一つなっていくことと、地方に格差を意図的につけていくということにつながるというふうに思うんですよね。

 農林水産省というのは、一つは、地方の村や町を守ることが仕事ですから、そういった意味では、中央集権的なやり方ともとれる、こういうものはぜひ見直していただくことを求めて、終わりたいと思います。

北村委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 民進党の重徳和彦です。

 ちょっと通告と順番を変えさせていただきますけれども、皆様方に配付している資料の二をごらんいただきたいと思います。これは、部品の供給の年限なんですね。例えば、トラクターについては製造中止後十二年、供給の年限をガイドラインとして一般社団法人日本農業機械工業会が定めているというものなんです。

 私からは、農業機械が高いから、新しく事業参入する企業、もう一つ参入させろという大仕掛けなことをする前に、やれることはまだまだその手前に幾らでもあるんじゃないかというその一例を提案させていただきたいと思います。

 トラクターに関して言えば、大体こういうのは五年でモデルチェンジをする、トラクターは七十馬力で大体七、八百万円というものでありまして、ですから、七、八百万円で買ったものを、二十年ぐらいであれば、十二年間の部品供給年限でも使い続けられるだろう。だけれども、これをもっと長くすれば、特にエンジン部分よりミッション部品が故障する、そういう部分を取りかえることができれば、二十年を二十五年、三十年と長もちさせることができるわけですから、そういうコストダウン、コストカットという手法があるのではないか。

 こういう部分について、もっと政府は、一般社団が定めている、もちろんメーカーの意向もあるでしょう、そういうことについて、年限を延ばして、もっと長もちするような農業機械を農家の皆さんが持てるような環境をつくる、こういうことをやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省の方でも調査をいろいろしてございまして、農業機械のコストを低減するために行っている、あるいは今後行いたい農業者の取り組みとしては、買いかえまでの期間を長くするということを七割以上の農業者が挙げていらっしゃいます。

 そういう意味では、今先生御指摘のとおりの取り組みが非常に大事でございまして、これらの取り組みを進めていくためには、一つは部品の耐久性を高めること、二つ目として補修用の部品が確実に供給されること、三つ目として部品の共通化なり標準化をしていくこと等の取り組みが必要でございます。

 御指摘の、一般社団法人の工業会の補修用部品の供給年限の延長の可能性も含めて、農業機械の業界ともいろいろ議論を行っているところでございます。もちろん、機械工業会といいますか、機械の企業の方は、当然、年限を延ばしますとコストがそれだけかかりますので、いろいろな御意向、御意見はありますけれども、そういうことも含めて議論を行ってございます。

 また、これまでメーカーのみが製造して、その部品をこの工業会の年限に従ってストックしていたんですけれども、廃番となった部品についても、町工場と一体となって修理や製造を請け負うことでその農業機械を再生するという取り組みも始まってございます。また、御指摘もございましたとおり、農研機構と農業機械メーカーの共同研究によりまして、耐久性の高い農業機械の開発にも取り組んでございます。こういう取り組みを後押ししてまいりたいというふうに存じております。

重徳委員 現場に近いところでいろいろなことを耳を澄まして聞くと、本当にいろいろなところに改善のヒントはあるわけです。本会議でも申し上げましたけれども、やはり物づくり、製造業では、現地現物という言葉があります。農業というのは、もちろん一年スパンで、お米だって年に一回しかとれませんから、そういう意味では若干年限は長くなるのかもしれませんが、しかし、日々の改善ということは、こういう工業会も含めて考えれば、幾らでもやることはあるはずだと思います。

 大仰な事業参入ということを考えることは結構でありますけれども、そのための法案というのは大げさな感じがします。まだまだやれることは幾らでもありますので、ぜひ取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。

 もう一つ、農業競争力といえば、一つ、強い農業づくり交付金というものがあるんですね。先ほど、佐々木委員の御意見では、余りトップランナーといろいろ差をつける、それを国が中央集権的にポイントをつけること自体どうだというような御意見もあったと思いますが、逆の観点からすると、せっかくトップランナーを走っているつもりでも、そのポイントのつけられ方によって、何だか認めてもらっていないような状況に陥ることもあるんです。

 例えば愛知県、私の愛知県は、花の生産日本一です。花卉の生産日本一。そういう中で、大変豊かな収量、そしてもちろん上位規格品というものがあるわけなんですが、そういうものを後追いで追っかけていって、後追いであればそれだけまだ伸びる余地があるわけですから、そういうポイントのつけ方が現状なんです。

 だけれども、トップランナーだと、さすがにこれから生産性を何十%上げろと言われたって、それは無理だ。だけれども、日本に冠たる産業であるわけですから、そういう事業者が施設を更新するというときに、いや、あなたのところは進み過ぎているからお金は上げられません、おくれているところにこそ手厚くするんだ。一つの考えかもしれませんけれども、逆の悪平等という観点からすれば、おかしいということになります。

 このポイント制度について、少しずつ改善もしているという御説明もきのう事務的には受けましたが、さらなる改善を求めたいと思うんですが、御見解をいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、強い農業づくり交付金の配分に当たっての基準の問題でございますけれども、以前から先生がおっしゃっているようなお声があることは承知をしてございまして、さまざまな改善をしてきているところでございます。

 まず、強い農業づくり交付金の配分に当たりましては、施設導入によります成果目標を事業実施主体がみずから設定をいただいて、その内容をポイント化して、ポイントの高い順に配分する、これは客観的にやらせていただいてございます。

 この成果目標につきましては、将来達成すべき目標、さっき先生がおっしゃった目標に加えて、現況の取り組み内容がどの程度先進的になっているか、そういうこともポイント化をいたしまして、先進的な産地が高い評価を得られる仕組みも盛り込んだところでございます。

 さらに、この成果目標については、産地として取り組みます目標に沿って、複数の成果目標の中から二つを選択するということにいたしておりまして、例えば、収量では既にもう先進的になって、これ以上はなかなか厳しいというような地域もございます。そういうところは、例えば品質の方でこういう目標を選ぶ、そのようなところで高いポイントを取得できるような仕組みにもしてきているところでございます。

 また、この成果目標につきましては、各地域、さまざま努力されておりますので、そういう先進的な産地も含めて現場の意見を毎年聞きまして、毎年度見直し、追加を行っているところでございまして、今後とも、よく意見を聞きながら、適切な事業執行に努めてまいりたいと存じます。

重徳委員 しっかり声を聞きながらという言葉がありましたので、そのとおりこれからも取り組んでいただきたい。そして、いろいろな声がありますので、それに応じた見直しをしていっていただきたいと思います。

 さて、それでは、農業競争力強化支援法案についてなんですが、まず大臣にお聞きしたいんですが、この本案は昨年の、資料一の方にありますが、皆さんおなじみの農業競争力強化プログラム、これに基づいてつくったという部分が多分にあります。そして、とりわけ、このプログラムの中には、「与党及び政府は、」全農の自己改革について、「その進捗状況について、定期的なフォローアップを行う。」このフォローアップというところがさまざまな疑念というか不信感を招いているということがあるわけですが、このフォローアップというのは一体この法案にどう反映されているんでしょうか。この法律に基づいてフォローアップを行うことができるような仕組みになっているんですか。

山本(有)国務大臣 御指摘の農業競争力強化プログラムにおける全農の生産資材の買い方や農産物の売り方改革につきまして、全農の自己改革という位置づけのもと、政府と合意の上でこれは取りまとめられてございます。このため、その進捗状況のフォローアップというのは、合意の実現という観点に立って、全農及び政府により、両方で行うものというように考えております。

 一方、この法案というのは、良質で低廉な農業資材の供給と農産物の流通、加工構造の改革を促進することによって、農業者による農業の競争力強化を支援するものでございまして、この法案を根拠に、自己改革に取り組む全農に対して、何かフォローアップをするというような構造になってはいないというように思っております。

重徳委員 大臣、お元気がないのがちょっと気になりますけれども、胸を張って答弁していただきたいと思います。

 今回、当の全農が三月の終わりに、自己改革という位置づけになるんでしょうね、このプランを出されました。「「農林水産業・地域の活力創造プラン」に係る本会の対応」ということで、その中、かなり新聞などでも思い切った改革になっているというような評価もあるし、さまざまな評価があると思うんですが、特に、去年の十一月、規制改革推進会議の農業ワーキング・グループでは、大変早急な、性急な改革を求めていた記憶があります。

 例えば、一年以内に全量買い取り販売に転換をするべしというようなものがある中で、今回の全農が出された年次計画を見ますと、例えば米穀、米については、目標は、この買い取り販売について言うと、二十九年度で一四%、三十年度二五%、最終的には三十六年度に七〇%ということになっておりまして、少なくとも、規制改革推進会議が言っていたテンポとは、スケジュール感とは随分違うなという感じがありますが、これについて、大臣は、随分のんびりした改革だなと受けとめておられるんでしょうか、それとも、しっかりとした改革案だというふうに評価されているんでしょうか。

山本(有)国務大臣 農業競争力強化プログラムで引用されております農協改革集中推進期間というのは、平成三十一年五月までというように理解しております。このプログラムにおいて、全農はそれまでには十分な成果が出るような年次計画を立てなければならないというようにしておられました。

 しかしながら、このプログラムで、全農が立てる年次計画の終期を定めているとしたものではございませんし、全農が自主的に年次計画の目標期限を三十六年度と定めること自体には格別私は問題はないというように思います。

 全農も、年次計画についての記者会見等でみずから、この一、二年が勝負だというように述べておられまして、農協改革集中推進期間内に十分な成果を出さなければならないという認識は我々と共通した意識だというように思っているところでございます。

重徳委員 この目標年限が平成三十六年ということについて、問題ないという御認識のようでありますが、では、規制改革推進会議が一年以内なんと言っていたのは、やはり素人意見だなということになるんでしょうか。さんざんメンバーが、メンバーの中に農業の現場がわかっていない人ばかりだ、専門家がいないとさんざん言われておりますが、大臣の御認識はいかがですか、規制改革推進会議に対する御認識。

山本(有)国務大臣 規制改革会議の皆さんの意見は意見として謙虚に受けとめるつもりでございますけれども、改革というのは一足飛びにできるわけではございませんし、この全農の改革につきましても、具体性をさらにいただきたいというようにお願いをしております。

 そしてもう一つは、全農に対して、役職員の意識改革をぜひ頂戴したい、さらに、事業スキームを実行し得る外部人材も登用してほしい、新たな事業スキームに対応したスリムな組織体制も具体的な形で明らかにしてほしいというお願いをしておるところでございまして、その意味においては、規制改革会議とは違うかもしれませんが、やはり改革についての方向性というものは、全農も規制改革会議も我々農林省も同じ方向を向けたのではないかというように考えておるところでございます。

重徳委員 方向はいいんですが、一年と言っているのに対して、七、八年かかるわけなんです。そのスピード感というのは、やはり農業というのは、先ほど言いました、年に一回しか作物はとれません。そういう農業現場の感覚と、物づくりとかIT業界とか、もう一日一日で日々物事が速く改革されていくというその感覚というのはやはり違うわけでありまして、規制改革推進会議に対して、スピード感と言うと格好いいんですけれども、そうじゃなくて、やはり現場に根差した意見にはなっていなかった、規制改革推進会議は。

 方向性はいいんです、向かう方向は一緒だという御認識には、それは全く問題ないと思いますが、一年なんて簡単に言うなという思いはお持ちじゃないですか。

山本(有)国務大臣 そこまで対立感情はありませんが、一年というものを、年次計画を立ててというように直させていただいたということは、十一月十一日の意見と強化プログラムの十一月二十九日の意見で多少異なる面があるし、委員がおっしゃるように、現場の立場に立ったと言えば言えるかもしれません。

重徳委員 それで、少し戻りますけれども、フォローアップについてなんです。

 この法案は、いろいろと努力義務、努力義務というのはちょっといいかげんといえばいいかげんで、努力したかどうかなんというのは、余りはたから見てよくわかりませんし、それを義務づけるというのもいいかげんな話なんですけれども、しかし、やはり法文に農業者等の努力義務が位置づけられたことについては、さまざまな思いを持って現場あるいは農協関係者の皆さんはこれを見ているわけなんですね。

 そして、この法案で言うと、第九条では、国が行うこととして、国のいわば責務として、「農業資材事業について、適正な競争の下で高い生産性が確保されることとなるよう、事業再編又は事業参入を促進することその他の必要な措置を講ずるものとする。」とか、それから第十六条では、施策の検討ということで、おおむね五年ごとに、実情を調査、公表したり、施策のあり方について検討し、必要な措置を講ずる、こういう若干抽象的ではありますが、いろいろな道具を国は一応持ったことになると思うんですよ。

 こういうことに基づいてフォローアップするというたてつけではないとはおっしゃいましたが、しかし、こういうツールを用いてフォローアップする、フォローアップというのかな、フォローアップしつつ必要な施策を講ずるわけですから、何かしら、全農を初め農業界に対して、国が施策を行うということは当然あるわけですよね。この法案をもってフォローアップできますよね。できないとまで言われますか。

山本(有)国務大臣 この法案の十六条で、国が講ずる施策について、おおむね五年ごとに調査と必要な措置の検討、こうしておりますし、その意味におきましては、本規定に基づいて施策のフォローアップを行うということでありますが、あくまでこれは、一般論としての制度、仕組みのPDCAサイクルを回して、その制度、仕組みや、やっている施策についての効果の点検、検証だというような位置づけでございますので、具体的な箸の上げおろしまでのフォローアップではなくて、一般論のPDCAサイクルというように御認識をいただきたいと思っております。

重徳委員 この強化プログラムと法案の関係というのは非常に曖昧で、だから、関係あるようで関係ない、関係ないようで関係ある、いかようにも説明ができてしまうところがこの法案の曖昧さだと思うんです。

 例えば、法案では五条三項というのがあって、農業者団体についての努力義務が規定されているんですね。もともと、強化プログラムにおいては、全農の自己改革について規定というのか、示されていたのであり、そして、それについてのフォローアップを行うというふうになっていたんですが、農業者団体全般となると、当然、地域農協、単位農協も含まれてくるし、その他の類似の団体も含まれている、こういうたてつけになっているわけですね。

 もともと、全農の取り組みを促進し、フォローアップをしていくということを去年まで言っていたんだけれども、この法案になると、すごく、何でも、全員が対象だよ、そういう対象になっているわけなんですよ。

 このことについて、なぜ、全農なら全農の改革のための法案なんだ、これは一つあり得たことだと思うんですが、それがいつの間にか広がっている、そういう感覚を抱くのはおかしいですか。

山口政府参考人 お答えします。

 農業競争力強化プログラムで検討いたしまして、政策としてまとめたものでございますけれども、これは、農業者が自由に経営展開できる環境を整えるとともに、農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決するというためのものでございました。

 その中で、先ほど来出ておりますように、農業生産資材、これにつきましては、やはり価格が高い、または価格を引き下げてほしいという声が農業者の方々から多数出てきたわけでございます。

 また、流通、加工の問題につきましても、自分たちのつくった農産物が正当な価格で評価されていない、また、そういう価格で売れないというようなことで、そういった不満、要望が出てきたわけでございます。

 そういったことにつきまして、政府・与党で検討を進めてきたわけでございまして、それらが、生産資材価格の引き下げ、また流通、加工の構造改革というプログラムの項目として施策をまとめたものでございます。

 その中におきまして、農業者団体のお話がございましたけれども、この農業者団体、すなわち農業者の組織する団体であって、農業生産関連事業、ここで言う農業生産関連事業は今申しました農業生産資材の事業と流通、加工の事業でございますが、これを行うものに対しましては、農業者の御要望があるわけでございますので、農業者の農業所得の増大に最大限配慮するよう努めるという規定を設けたものでございます。

 したがいまして、農業資材の生産、販売や、農産物の製造、加工や販売を行っている単位農協につきましては、本項に定める農業者団体に含まれることになりますけれども、これはいわゆる全農の生産資材の買い方の見直しや農産物の売り方の見直し、ここの部分とは異なる対象として考えているところでございます。

重徳委員 では、確認ですが、この強化プログラムで示されている全農に対するフォローアップ、これは全農に対するフォローアップでしかないわけで、今回の法案をもって全農以外の地域農協、単位農協、その他の農業者団体に対してフォローアップをするということにはならないわけですね。

山口政府参考人 先生の御指摘がございましたこの競争力強化プログラムの中の全農のフォローアップの部分につきましては、これは農業競争力強化支援法案の対象とするところではないというふうに認識しているところでございます。

重徳委員 ちょっと今の御答弁、もう一度お願いしていいですか。

山口政府参考人 農業競争力強化プログラムに規定しています全農のこの改革の部分、ここにつきましてのフォローアップはこのプログラムの中に規定があるわけでございますけれども、法案では全農の改革の部分につきましてのフォローアップを行うことは考えていないということでございます。

重徳委員 これは、だから曖昧なんですよね。だから、大臣は、フォローアップといえばフォローアップだという御答弁だったんですよ。フォローアップすることはできるといえばできる、この法案をもって。でも、今の審議官の御答弁はフォローアップはこの法案ではしないというふうにおっしゃいましたよね。だから、ちょっとちゃんと整理していただきたいんですけれども。

北村委員長 それでは、確認をします。

 山口大臣官房総括審議官。

山口政府参考人 先生の御質問の趣旨が、まず、フォローアップ、この資料にございますフォローアップの部分だというふうに思っておりまして、その全農のフォローアップをすると書いてある部分につきましては、このプログラムの中の、これは(1)と(2)と分かれているんですけれども、この(2)の全農の買い方、また全農の売り方の改革の部分に関するフォローアップというふうにプログラムの中に明記されております。

 したがいまして、先ほどから申しておりますように、この法律自体は、農業生産関連事業者全体に対する支援措置を中心とした国の施策を講じながら支援措置を講じていくというこの法案の内容は、この(1)の方の部分の農業生産関連事業者を対象としているということでございますので、そういった点でこのプログラムに書かれているフォローアップに関してはこの法律では対象としないということを申しているところでございます。

重徳委員 何か言葉遊びみたいになっている感があるんですよね。

 どういうつもりでこのプログラムにフォローアップと書いたのかというところなんです。フォローアップというのは横文字だし、法律用語でもないから、だから大臣もフォローアップできるかのような御答弁がありました。

 だけれども、審議官は、その(1)、(2)と細かいところも持ち出して、何かできないようなことを言われますが、これは一体どっちですかね。これ以上御答弁がないのであれば、これはもう委員長に預けますけれども。この場でちゃんとフォローアップとこの法律上の文言と整理できますか。

北村委員長 山口大臣官房総括審議官、わかりやすく説明してください。

山口政府参考人 まず、全農改革のフォローアップ、全農改革の進捗状況のフォローアップにつきましては、これは先ほど大臣の方から御答弁がございましたように、これは全農と政府と合意の上で取りまとめられたものでございますので、その合意の実現という観点から、全農及び政府によってフォローアップが行われるということを申し上げたわけでございますが、法律に基づく、その十六条等に基づく施策のあり方の検討等につきましては、これは直接この全農の改革を対象としているわけではないということを申しておるところでございます。

重徳委員 直接という言葉が挟まりましたので、だから、フォローアップそのものではないけれども……(発言する者あり)間接的というのか、広い意味でできると。

 大臣、実際、現にそう答弁されているわけですから、ちょっと大臣、先ほどの答弁、撤回するのか、修正するのか。

山本(有)国務大臣 全く同じ答弁書を読ませていただいているので、矛盾はないわけでありまして、要は、プログラムに書かれたところは、全農の自主改革、そして政府もそれに合意して、そして全農、政府、両方で見詰め合って情報交換しながらやっていこうということで合意しておるわけでございますので、格別、法律の条文を根拠にして何かをしようという、これ以上何かするという形では、対全農ではありません。むしろ、私のところに説明に来てくれたり、また私の方で全農に要望を出したりというようなことの行き来があって、そういう情報交換がいわばフォローアップだろうというように考えているところでございます。

 そしてまた、全農の自己改革はかなり進んでいるという認識もありますので、この法案を根拠にして何かするというよりも、この法案はあくまで良質で低廉な農業資材の供給、農産物の流通、加工構造の改革、こうしたことは待ったなしでやっていかなければ、先ほど言いましたように、農業が危機に陥っているときに、農業所得をすぐに上げてもらいたいという意味で、一、二年というようなことを限っておるわけでございまして、全農とのフォローアップでも、一、二年でやってくださいよという部分と、そうでない、長期に目指して頑張ってほしいなという部分とがございます。

 それも合意して進めさせていただいているわけでございまして、特に本案の十六条、これにフォローアップというような言葉及び五年ごとに調査、必要な措置みたいなものが入っておりますものですから、これはちょっと紛らわしい話になるわけでございますが、先ほど答弁いたしましたように、一般論として、国の施策というのは、PDCAサイクルを回す、そういうようなものでなければならない。一旦つくったものは、すぐに次の日には古びるわけでございまして、制度、仕組みというのは常に検証が必要だという意味で、ここに五年というものを置かせていただいた。

 これと全農改革とは分けて考えていただきたいし、根拠は、プログラムが自主改革の合意事項というようなことでありまして、フォローアップの意味は、これは一般論である、十六条は一般論であるというように御理解いただければと思っております。

重徳委員 ちょっと、委員長、整理をお願いしたいと思います。

 今、御答弁、やはりしゃべり言葉だと、大臣も、ちょっと今、私なりに耳を澄ませて聞いていたつもりなんですが、この法案は、フォローアップというよりは、というよりもという言い方をしているんですね。だから、その趣旨は、どちらに重きがあるかというぐらいの話という御説明だったと思うんです。

 今、審議官も、フォローアップを直接やる根拠となる法案ではないという言われ方をされましたけれども、いずれも明確に違うとかフォローアップはしないとかいうことは言われていないわけでありまして、やはりどう考えてもフォローアップのツールになるはずなんですよね。

 だったら、そういうふうに明言していただくとか、そうじゃないなら絶対違うとか、ちょっと文面にして、これをお示し、農水省の見解、統一的な見解として出していただきたいと思います。

北村委員長 後日、その対応について理事会で協議をさせていただきたいと思います。

重徳委員 ほかにも質問事項はあったんですが、ちょっと時間をとられてしまいましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。

 農業競争力強化支援法案について質問をします。

 まず、法案に至る経過をお聞きします。

 政府は、確認なんですけれども、二〇一五年十月のTPP合意を受けて、関税の撤廃などにより影響を受けることが想定される農林水産分野の対策として、二〇一五年の十一月に農林水産分野におけるTPP対策を取りまとめました。その際に、継続の検討として、二〇一六年秋までに政策の具体的内容を詰めるとして、十二項目が明記されています。そして、その十二項目の検討を進め、二〇一六年の十一月二十九日に、農林水産業・地域の活力創造本部の会合において、一連の施策をまとめた農業競争力強化プログラムが策定をされました。

 この農業競争力強化プログラムの「1 生産者の所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みの見直し」、「2 生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立」、この二つを法案化したのが今審議をされている農業競争力強化支援法となったという理解でよろしいでしょうか。

山本(有)国務大臣 そのとおりでございます。

斉藤(和)委員 そのとおりであるという確認ができました。

 つまり、TPP対策としてまとめられたものが土台になって、この競争力強化支援法がつくられているというふうにも見られるわけです。それが、アメリカのTPPからの脱退で、現在、TPPの発足自体はめどが立っていない状況になり、破綻と言ってもいいような状況になっているわけです。そういう状況にもかかわらず、政府がこの農業競争力強化支援法、TPPをもとに考えられた、この成立を進めようとしているわけですけれども、現在はTPPはめどが立っていない。

 それで、その一方で、日米FTAということも言われているわけですけれども、この法案というのは、そうした想定され得る日米FTAの対策として機能させようと考えているのか。さらに、報道などでは、先ほどもありましたけれども、アメリカ抜きのTPP協定発足も検討しているというような記事が出ています。こういうことも想定をして、この法律を機能させようとしているんでしょうか。いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 農業競争力強化プログラムと申しますのは、TPP関連政策大綱を契機に検討されたものでございます。その内容は、農業者が自由に経営展開できる環境整備ということに重きを置いておるわけでございます。農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決していくための施策でございます。TPP協定の発効いかんにかかわらず、今後の農業の発展のために不可欠だというように位置づけております。

 したがいまして、プログラムに盛り込まれました施策のうちで、生産資材価格の引き下げ、農産物の流通、加工構造の改革の実現を目指したこの法案は、いわゆるTPP対策ではないというように考えております。

 御指摘の、先日の日米首脳会談における一連の会談を含めまして、米国政府から二国間のFTAにつきまして具体的な要請はなかったと承知しておりますけれども、いずれにしましても、この法案を、今後、貿易交渉に伴う対策として機能させるということは想定しておりません。

斉藤(和)委員 想定していないというお話でした。

 しかし、ちょっと振り返りたいんですけれども、二〇一三年七月に自民党の皆さんが参議院選挙の際に発表された公約、農業・農村所得倍増目標十カ年戦略というのがあります。ここでは、今議論されている良質かつ低廉な農業資材の供給によって農業所得の向上を図るといった視点は全く触れられていません。

 つまり、TPPによって関税撤廃がされる、そうした中で、農産物の価格が大きく引き下がる事態が想定される。そうなった場合に、農業資材の価格の引き下げを図らないと、農家の所得倍増目標が達成できない。こういうところから、今回の法案の提出に至ったのではないですか。

山本(有)国務大臣 農業者の所得向上を図っていく、そして生産コストの削減あるいは農産物の付加価値の向上、こういったことを重要だと考えるところは同じでございます。そして、農地の中間管理機構による担い手への農地集積、集約化の促進、六次産業化や輸出促進、こういう各種の施策を進めさせていただいております。

 一方、TPPにつきましては、交渉で獲得した措置とあわせて、体質強化策あるいは経営安定のための備え等の国内対策、それによりまして国内生産が維持されると見込んでいたところでございますが、この法案について、TPP発効いかんにかかわらず、農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決して農業の競争力強化を図るために国会に提出したわけでございまして、TPP対策と位置づけたものではない。

 そして、平成二十五年の自民党の農業・農村所得倍増目標十カ年戦略、こうしたことを踏まえた形ではありますが、繰り返しになりますけれども、TPP対策として位置づけたものではございません。

斉藤(和)委員 先ほどの、自民党の皆さんの政策である農業・農村所得倍増目標十カ年戦略を踏まえたものであると。つまり、農業者の所得を倍増していかなきゃいけないというところには重きが置かれているということだと思います。

 そこで、その十カ年戦略でも触れられている問題をちょっと次に見ていきたいんですけれども、農業者の所得というのはこの二十年間半減しているというふうに、この十カ年戦略の中でも書かれてあります。正確には、生産農業所得は、一九九四年は五兆千八十四億円、それに対して、二〇一四年は二兆八千三百十九億円と、ほぼ半減しております。それは、WTO協定締結以降の日本農業のあり方を端的にあらわしていると言えるのではないかというふうに思うわけですけれども、農林水産省としては、このWTO協定締結以降になぜ日本の農業所得がここまで半減したのか、その要因は何だというふうにお考えになっているのか。大臣、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、生産農業所得の推移は、平成七年は四・六兆円、二十七年には三・三兆円、随分減少しております。そして、農業総産出額が二十七年にはやや増加しているわけでございますし、資材価格が前年並みということであったことから、生産農業所得も二十七年には増大しております。

 ですから、一概に全て減ったというわけではなくて、二十七年にはふえているということも言えるわけでございますが、長期的には、やはりトレンドとして、米の需要が毎年八万トン減少しているというようなこと。そしてさらに、随分農業従事者が多かったわけでございますけれども、全就労人口の今や三%程度になっておりまして、昭和三十七年には三〇%程度だったわけでございますので、その意味では、十分の一ぐらいに農業従事者の割合が減っているというようなこともあります。農産物価格も低迷しているわけでございまして、その意味におきましては、農業がいわば産業として永続可能なものではないという危機に陥っているわけでございます。

 そんな意味におきましては、これから大きな改革を遂げて、自助自立、そして未来ある農業産業、そういう位置づけになり、永続できる、そして若者が雇用できるように変革が遂げられなければ、このトレンドを挽回することができないというような危機にあるというように思っておる次第でございます。

斉藤(和)委員 いろいろな要因があるけれども、価格も低迷しているというふうに答弁をされました。

 お配りしています資料にもありますとおり、大臣からもありましたお米の生産量で見ても、一九九四年が千百九十八万トンが、二〇一四年には八百四十三万トンに減っています。野菜では千五百四十九万トンが千三百七十六万トン、果樹で三百六十七万トンが二百七十七万トン。そのうち、ミカンは、一九九四年、百万トンを超えて百二十四万トンあったものが、二〇一四年には八十七万トンにまで減少をしています。

 品目の自給率で見ますと、果樹は自給率四七%が四三%、野菜も四七%が四三%になった。豚肉は六五%から五一%に。自給率も品目別に見ても下がっているということです。つまり、やはり全体として生産量が減っているということは見えるわけです。

 さらに、農業所得の減少というのは、生産量の減少だけではなくて、大臣も先ほど言われたとおり、農産物価格の低下、価格が下がってしまっている、ここにやはり大きな原因があるのではないかというふうに思うわけです。

 二〇一三年の「農林金融」に掲載をされました論文があります。「農業所得・農家経済と農業経営」という基礎研究部長の清水さんという方が書かれたものです。「農業所得減少の要因」として次のように書かれています。

 生産量が減少すると同時に、農産物価格も低下した。農産物価格指数、二〇一〇年を一〇〇として見ると、九〇年から一一年までの間に農産物全体で一八・六ポイント低下しましたが、品目別に見ると、米がマイナス五九・八ポイント、肉類がマイナス一一・七ポイントの低下幅が大きく、野菜、果実、牛乳はほぼ横ばいで推移している。

 農産物価格が低下した要因は、価格支持政策の減少、廃止、円高に伴う輸入農産物価格の低下であり、特に米はウルグアイ・ラウンド合意後に食管制度が廃止され政府による米買い取りがなくなって価格が大きく低下した。また、九一年より牛肉の輸入自由化が行われ、同時に進行した円高も相まって牛肉の輸入価格が低下し、国内価格の低下ももたらしたと指摘がされているわけです。

 こうしたもとで、WTO協定の農産物価格、海外からの圧力による低下によって、やはり農業所得全体が大きく減少したというふうに見えるわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 所得と価格の面は連動していると考えております。

 米については、消費が減少する中で、収穫量及び価格も低下しました。野菜については、御指摘のように、農家の高齢化等により、重量野菜、特に大根、白菜を中心として生産量が激減しております。畜産につきましては、経営体が減少する一方で、飼養規模の拡大により生産量及び産出額はほぼ横ばいでございますというような特徴がそれぞれございまして、一概には言えません。

 しかしながら、これからブランド化を図ったり、あるいは輸出競争力をつけたり、あるいは、そのほか、強い農業づくりの観点から、新しい時代を迎えれば、こうしたことに歩どまり感があるだろうというように思っておりますし、今後、我々は、国内市場と海外市場と両道に、倍の生産で価格が上昇していくというようなことも視野に入れながら考えていくということが大事ではないかというように思っております。

斉藤(和)委員 所得と価格は連動しているというお話がありました。まさに本当にそのとおりだと思います。

 論文でも指摘されていますが、「農業所得増大に向けた課題」として、生産コストの削減や六次産業化による付加価値の取り組み、農産物輸出増大の可能性を指摘するとともに、私、ここからが非常に大事だと思うんですけれども、所得の倍増と両立しない関税撤廃と価格所得政策の再構築、これが必要ではないかということが指摘をされています。この角度が私は非常に大事だし、当然のことだと考えるわけです。

 その一方で、TPPにしても、日米FTAなどにしても、重要品目も含めて広範囲に関税撤廃ということが言われている。そうした状況のもとでも強い農業をつくり、所得の向上を図るというふうにされているんですけれども、所得と価格、これは連動する、外圧によって価格が下がっているという実際がある。そういう状況の中で、この論文で指摘されているとおり、関税撤廃と価格所得政策の再構築というのはこの法案にはないわけですよね。そのもとで両立し得ないと思うんですね、所得の倍増というのが。この辺、大臣、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 一見しますと、関税を撤廃すると安いものがより安く入ってくるというような傾向にあることは否めません。しかし、必ず日本農業がそれで打撃を受けるかというと、そうではないというように考えております。

 我が国の農業の将来性を考えたときに、農業の構造改革の取り組みとあわせて、農業者の努力で解決できない今回の資材価格の引き下げとか流通構造改革とかいうものを図っていくならば、必ずしも私は世界に劣後する農業ではなくなっていくのではないか、こう思っております。

 特に、耕地面積が断然、我が国と比較にならないようなオーストラリアあるいはアメリカというような農業があくまで我が国に脅威かというと、我が国の農業は地域地域の特色を生かした農業でございまして、その意味で、例えば和牛でもアメリカに輸出が急増しておるわけでございますし、オーストラリアとFTAを結びましても、オーストラリア牛が格段に輸入が増加したというわけでもございません。

 そんな意味におきますと、農業というのは、私は、足の速い生鮮食料品を中心に考えれば、必ずしも輸入というものに脅威的な影響があるというようにも思っておりません。今後、我が国が体質を強化することによって、むしろ、どんなに関税を撤廃することによっても永続できる農業がこのチャンスに確立でき得るならば、打って出るということがむしろ容易になってくるような気がしておりまして、その意味において、今の改革、特に競争力強化法案というものはその支えになってくるだろうというように思っております。

斉藤(和)委員 ちょっと驚いたんですけれども、関税撤廃がさらにされてもということは、関税撤廃をしていくという方向を農水省は考えていらっしゃるということなんでしょうか。

山本(有)国務大臣 それは誤解を招きます。関税撤廃は、我々は、今現在何にも考えておりません。そして、それぞれの貿易交渉で我が国の関税はしっかりと守っていくつもりでございます。

 先ほど申し上げましたのは、強い農業という意味で、どこにも負けない、世界じゅうでただ一つの農業をつくっていきたいという希望を申し上げたところでございます。

斉藤(和)委員 やはり、関税撤廃を前提に物事を考えていくということ自体が私は非常にゆゆしき事態だと思いますし、やはり世界の農業が、先ほど質疑でもありましたけれども、再生産可能な価格や所得をどう保障していくのかということによって農家を支えているというのが世界の流れになっている。そこを抜きに所得を上げるんだと。コストを下げることはいいことだと思いますけれども、それによって全て万々歳、うまくいくという見方は、私はいかがなものか。それはあり得ないし、農業の所得向上には、はっきり言ってつながらないだろうというふうに考えるわけです。

 次に、本法案の中で、農協の問題。第四条と第五条で、農業者や農業団体に努力義務を課し、第十六条で、先ほどもありましたが、五年ごとに効果の検証と必要な追加施策を明記し、附則で、施行後一年以内に調査し、二年以内に施策を検討すると。政府によるチェックの仕組みを盛り込んでいるというふうに読めるわけですけれども、このことが、農協や全農に対する政府による強制的な介入を招くことはないのかという懸念があるわけです。

 ちょっとそこで、まずお聞きしたいのが、この委員会でも出されましたが、二〇一六年の十一月に協同組合がユネスコの無形文化遺産になったこと、これに対して、大臣の受けとめを改めてお聞かせいただけないでしょうか。

山本(有)国務大臣 ドイツからの申請で、昨年十一月、国際連合教育科学文化機関、いわゆるユネスコが、共通の利益の実現のために協同組合を組織するという思想と実践というものを無形文化遺産に登録することを決定いたしました。それは十分承知しているところでございます。

 登録内容にもありますように、協同組合は、まさに組合員の共通の利益を実現する、そのために組織されるものでございまして、農林水産省としては、その所管する農業協同組合等が、その本来の趣旨に即して健全に発展していただけるということは重要であるというように考えるところでございます。

斉藤(和)委員 無形文化遺産というのは、世代から世代へと伝承され、社会及び集団が自己の環境、自然との相互作用及び歴史に対応して絶えず再現し、かつ、当該社会及び集団に同一性及び継続性の認識を与えることにより、文化の多様性及び人類の創造性に対する尊重を助長するもの、非常に高い評価がされているものです。

 日本の協同組合連合協議会も、今回の決定を受けて談話を出されていますけれども、そこでも、今回の登録は、全世界で展開されている協同組合の思想と実践が人類の大切な財産であり、これを受け継ぎ、発展させることが求められていることを国際社会が評価したものと考えているという談話を出しているわけです。

 農協や全農も日本を代表する協同組合だと思いますけれども、当然、この協同組合に対して、こうした角度から、リスペクトを持って接すべきですし、そういう協同組合に対して、逆に、組合を潰したりだとか、行政が介入して自主性を損なうようなことがあっては決してならないと思うわけですけれども、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 常にリスペクトを持って臨んでいるつもりでございますが、一般論を申し上げれば、組合員によって自主的に設立された民間組織でございますし、その改革は自己改革が基本というように考えております。

 したがいまして、政府は、あくまでその自己改革を促す立場にございまして、決して強制に及んだりすることのないように考えるべきであろうと思っております。

 また、法的根拠もしっかり押さえていかなければなりません。農林水産省設置法四条、農業協同組合その他の農林水産業者の協同組織の発達に関することに基づいてというところの四条を根拠として、あくまで行政指導という任意の促しをもって、この改革について見詰めていきたいというように思っておる次第でございます。

斉藤(和)委員 あくまでも自己改革で促すんだと。でも、やっていることがそういうふうには見えないなというふうに感じるわけです。

 この間、規制改革推進会議が、改革の進捗が見られない場合は、国は、生産者のために第二全農なる新組織を立ち上げるというようなことが提言されたり、農協法の改正でも、協同組合であるJA全中の解体を強行したりしてきました。

 協同組合原則は、やはり重要な第一の原則として、自主自立だというふうに思うわけです。農協法の改正は、JA全中が自己改革案をみずからまとめていたにもかかわらず、規制改革会議を中心としてまとめられた改正案が押しつけられたものではないか。農協法の改正のときにも審議の中で指摘をさせていただきましたけれども、この改革案に対して、ICA理事会からも、法改正の方向は明らかに協同組合の原則を侵害するものと考える、そういう批判まで出されたわけです。

 協同組合がユネスコの無形文化遺産に登録されたわけですから、改めて、協同組合の重要な原則である自主自立を決して侵害することはしないし、政府はそうしたやり方はしないと。こうしたやり方は改めるべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 行政手続法の行政指導の三十二条というものには、行政指導に当たっては、「行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。」という条文がございます。この条文に従って、私どもは、団体等の自主性を尊重しながら、おつき合いをしていきたいというように思っております。

斉藤(和)委員 任意のものでなければならないしというふうなお話でしたけれども、明らかに強制的な介入をしているようなことが、先ほども紹介したとおり、あるわけですよね。

 今回の法案の中にも、非常にいかがなものかと思うものがあるわけですけれども、農協改革に関する意見が盛り込まれた農業競争力強化プログラムに基づいて、先ほども指摘をしたとおり、第四条、第五条で農業者や農業団体に努力義務を課し、十六条で、五年ごとに効果を検証する、政府によるチェックの仕組みが盛り込まれているということです。

 さらに、附則で、施行後一年以内に調査をし、二年以内に施策を検討するというふうにされているわけですけれども、これは、規制改革推進会議による農協改革案、二〇一四年の六月を起点として、五年間の農協改革集中期間というのが設けられていますが、その成果の期限が二〇一九年の五月なんです。そうすると、ちょうどこの法案に盛り込まれている附則の、施行後一年以内に調査して二年以内に施策を検討するというところと重なるわけですけれども、農協の改革とこの施策、附則で決められているところはリンクする、そういう仕組みになっているんじゃありませんか。いかがですか。

山本(有)国務大臣 時期が重なることはそのとおりでございますが、この法案において、国が講ずる施策について、おおむね五年ごとに調査と必要な措置の検討を行うとしていますのは、繰り返しになりますけれども、国が講じている施策に対するPDCAサイクルを回したということでございます。

 国としては、法施行直後の状況を把握しておくべきことである、そういう観点から、最初の調査、必要な措置の検討について特例をわざわざ設けて、調査について法律の施行日からおおむね一年以内、そして必要な措置の検討についてはおおむね二年以内に行うというようにしております。

 二十六年六月を起点とする五年が三十一年五月になり、また、この法案を六月に施行するというように万々が一仮定すれば、三十年五月までに最初の調査を行うということでございますので、三十一年五月までに最初の必要な措置の検討が行われることになります。

 しかし、これは偶然の話でございまして、わざわざここにリンクをさせるつもりでこの法案を国会に提出したというものではないということを申し上げます。

斉藤(和)委員 先ほどの民進党の議員の方の答弁の中で、全農が、農協の改革集中期間、この中でやらなきゃいけないというような認識を持っているという御発言が、御答弁があったかと思われるんですけれども、そう考えますと、やはり偶然だという話ではなくて、かなりリンクをされて、全農の方や農協の方も含めてやらなきゃいけないと思うような、そういう中身になっているというふうなことではございませんか。

山本(有)国務大臣 先ほど申し上げましたのは、全農の方の御発言の引用でございまして、御発言によると、一、二年でめどを立てたいという御発言もありましたという御紹介をさせていただいたわけでありますので、誤解をいただかないように、再度、全農の方の御意見だということを申し上げます。

斉藤(和)委員 あくまでも任意であり、強制ではなく、全農による、協同組合による自己改革なんだ、それに政府が強制的な介入を行うことはないという御確認でいいかというふうに改めて確認させていただきたいと思います。

 次に、昨年の十一月の当委員会でも、農業資材価格の引き下げ問題を取り上げました。そこでも指摘をしたんですけれども、我が党は、長年にわたって、この農業資材の価格引き下げをすべきだということを取り上げてきました。

 資材価格の引き下げ問題の本質というのは、メーカーによる独占価格にメスを入れられるかどうかだというふうに考えているわけですけれども、例えば機械の問題が午前中からもありましたとおり、寡占状態にある。

 例えばクボタの財務データを見ますと、総資産は、二〇一二年三月、一兆五千五百五十一億円が、二〇一五年十二月には二兆五千三百二十九億円と、三年半で一兆円ふやしています。

 日本の農業機械は、クボタやヤンマー、井関農機など大手の寡占で価格が高どまりしているという指摘に対して、昨年の十月十日の日本経済新聞電子版で、クボタの社長はこう言っています。「なぜそういう話になるのか理解に苦しむ。」「今の競争環境は適切だ」「価格が高いかどうかはお客様に判断してもらうことだ。」というふうに言っているわけですね。

 大臣として、もし本当に農業機械の価格が高いというのであれば、こうしたメーカーに対して直接指導をして、価格を引き下げるということをやるということが第一に考えられることではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 私が申し上げて下がるということであれば、幾らでも申し上げたいとは思っております。

 農林水産省として、やはり少しでも安い農業機械を調達できる環境を整えるということが大事だろうというように思います。

 そこで、異分野、異なる分野のメーカーの新規参入を促進したいと思いますし、また部品や仕様の共有化、あるいはメーカー間での互換性、こういったものが図られないかどうか、あるいは最低限必要な機能、装備のみを備えたシンプルな農機あるいは高耐久な農機の製造、販売もあわせていただけないか、あるいは農業機械を初めとする生産資材の見える化の推進もやっていただけないだろうかなと。

 このため、今後、こうした取り組みが実施されますように、農業機械メーカーに対して、関係団体に設置されています部会に農林水産省も参加した上で検討を行うなど、農業機械価格引き下げに向けた環境というものを率先してつくり上げていきたいというように思っております。

斉藤(和)委員 その適正な価格に農業機械を下げるために、事業再編、事業参入を推進するんだということがこの法案にもあるわけです。

 その農業機械で、コマツが、先ほどもありましたが、参入しようとしていますが、コマツは、ブルドーザーを活用して農業機械の参入をしようとしているわけですね。別に、コンバインとか田植え機をやろうとしているわけではない。

 こうしたことで農業機械の価格は下げられるんでしょうか。

山本(有)国務大臣 一つのヒントにはなるだろうと思います。

 ブルドーザーという建設機械を農業に導入することによって、稼働率は飛躍的に上がるわけでございますので、その他のトラクター等における、いわばふだん遣いというものが広がれば、そのコスト、あるいは効果というものが新しい分野で広がっていくだろうというように期待しているわけでございますので、一助にはなるかというように思っております。

斉藤(和)委員 一助にはなるかというお話なんですけれども、先ほどもあった週刊ダイヤモンドで、コマツの会長さんはこういうふうに言っているんですね。「日本の農家はすでに農業トラクターを持っており、ブルドーザーの農業利用は急には増えないでしょう。農機メーカーも国内で大儲けしているようには見えません。」と。ただ、何でそこに行くかといったら、「海外では将来有望なビジネスになる。」というふうに、海外を視野に入れていて、日本の国内の、要は農機具のコストを下げるというようなことを前提に参入してくるわけではないわけですね。

 こうした状況の中で、やはり農業機械を下げるというのは、参入によって下がるというふうには思えないわけです。

 さらに気になるのが、日本のような多様な農業が展開されている中で、さらに、機械だけじゃない、肥料や農薬も少量多品種生産がされている。銘柄が著しく多数であるために、その生産の規模が小さいから生産性が低い、これを、銘柄の集約に取り組むことを推進するということが第八条に書かれています。

 地域の農業に、ある意味、依存して、共存共栄のような形で肥料や農薬メーカーがあるわけですけれども、これが淘汰されかねないのではないか。そうなった場合に、地域営農や雇用に影響を与えないと言い切れるんでしょうか。

山本(有)国務大臣 肥料メーカーからは、多くの銘柄を製造することは、製造や在庫管理、包装資材等にかかるコストを増大させるというように、逆に農林省に伝えていただいております。銘柄の集約というのは、メーカー自身の経営改善にも寄与する面もございます。

 そんな意味で進めさせていただきますと、メーカー及びその肥料を使う、利用する農家も両方がいい結果になるだろうというように思います。

 また、メーカーが、持ちつ持たれつ、いわゆる地域雇用に非常に貢献しているという面でございますが、これにつきましては、事業再編計画の認定に当たりまして、当該事業者が労働者側と十分に話し合いを行っていること、雇用の安定に十分な配慮を行っていることについて確認しながらやっていきたいと思っておりまして、認定事業者に雇用されている労働者の皆さんに対しましては、失業の予防や就職のあっせんや職業訓練の実施等の必要な措置を講じながらこの促進を図ってまいるところでございまして、全ては、非常になだらかに、無理のない形での集約を図りたいというように思っております。

斉藤(和)委員 雇用に影響を与えるから、条文が入っているわけですよね。

 私、改めて思うんですけれども、本法案の目的というのが、農業及び農業生産関連事業の健全な発展に寄与することを目的としている。その前提となっている農業競争力強化プログラムにおいても、本法案の目的においても、食料自給率の向上とか、例えば、農業者の所得の増大によることも、それによって農業への参入希望をふやすことや、農業生産規模を拡大し食料自給率を向上に結びつけるというような方向性というのは全く入っていないわけです。

 逆に、TPPのような広範な農産物の関税撤廃を前提として、低廉な輸入農産物が流入しても、農産物の価格が下落しても経営も維持できる農業経営体だけが残ればいいんだというような目的に見られかねない法案になっているんじゃないかと思うわけですけれども、大臣、最後、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 二つの御指摘だと思います。大規模経営のみを支援するのではないかということと、食料自給率の問題等でございます。

 まず、大規模経営でございますが、これはあくまで、本法案というのは、持続的な農業発展ができる農家の力を強くするという意味でございます。競争力につきましては、価格競争のみを目指しておりません。品質の高さ、安全といった点も重要な競争力の要素だと思っております。

 このため、本法案は、農業者の努力では解決できない生産資材の価格引き下げや農産物の流通、加工構造の改革という構造的課題の解決を図って、農業者による農業競争力の強化の取り組みを支援することを目的にしております。その農業者は、大規模経営ではなくて、耕地面積が小さくても、農産物の高付加価値化や六次産業化に取り組む経営など、多様な担い手を対象としているということにひとつ御注目をいただきたいと思います。

 そして、食料自給率でございますが、カロリーベースで四五、生産額ベースで七三%に引き上げる目標を設定しております。これに向けまして、国内外での国産農産物の消費拡大や食育の推進、飼料用米の推進や消費者ニーズに対応した麦、大豆の生産拡大、優良農地の確保や担い手の育成の推進等の各種の施策を総合的かつ計画的に進めさせていただいております。

 この法案で、先ほど申し上げましたとおり、農業者の努力では解決できない構造的課題の解決を図っていくことによって、農業者による農業の競争力の強化の取り組みが支援できていくとするならば、本法案の施策にありますように、基本計画に定める食料自給率目標の達成に貢献がむしろできてくるというように考えておりまして、自給率の向上は常に図ってまいりたいというように思っております。

斉藤(和)委員 やはり全ての農家を支えるというものにはなっていないということを改めて指摘し、それでは食料自給率は改善されないし、発展しない。やはり全ての農家に視点を当てた農業政策こそが必要だということを最後に指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の吉田です。きょうもよろしくお願いいたします。

 いつも攻めの農業、攻めの農業と言っておりましたら、ついに、まさに攻めの農業にふさわしい法案が出てまいりました。

 農業競争力強化支援法案ということでございますけれども、きょうも朝から、福田委員の質問に始まり斉藤委員の質問まで、非常に私からすると勉強になる質問ばかりでございまして、そして最後の方、斉藤委員と大臣とのやりとりの間にリスペクトという言葉が出てまいりました。このリスペクトは、私にとってはちょっと、非常に重たい言葉でございます。

 私も地元に戻ると、幾つか皆さんの前で発言とか話をする機会があるんですが、成人式のときに地元で挨拶をいたしました。一年の中で、成人式の質問は、私が一番緊張する質問でございまして、地元の小学校の高い壇の上から新成人に対して何を私が言えることがあるのかな、こう考えながら行くんですが、ことしの私は、挨拶の中にリスペクトという言葉を入れました。よく若い方々がリスペクト、リスペクトと軽くおっしゃるんですけれども、これはどんな意味だと思っていらっしゃいますかということをお聞きしたわけです。

 リスペクトは、英語ではリ・スペクトになりまして、日本語で言うと、再び見るというただそれだけの言葉かなと思うんですが、この言葉に、尊敬する、あるいは相手に敬意を払う、こういう意味が込められている。これは非常に、何とも深みのある言葉だなと、リスペクト、思うんです。

 それで、きょうそのリスペクトという言葉が出たのを聞いておりまして、ここにいる皆さん全てが、これからの日本の農業が少しでもよくなればいい、こういう思いで質問をなさっているわけですけれども、そういう中にあって、現状の厳しさ、勉強すればするほど、やはり農業という現場が、一つ一つ、その規模も、それから状況も、それから扱う品物によって全然違うんですよね。

 こういうことの難しさということをわかった上で、では、どうやれば少しでも我が国の農業が力をつけることができるのか。その考え方の一つとして、今、農業競争力強化支援法案が出てきている、こういう思いで、この法案に対するリスペクトを持ちながら質問したいとは思っております。

 まず、とにかく何を言っても、競争力、競争するんですね、それから強化するということになると、何と競争して、それから何を強化していくのかという、数あるいろいろな視点あるいは選択肢の中から選んでいかなくちゃいけない。

 ここに来て、今法案が出てきているというところで、私は、やはり何をおいても、現場の農業をやっている方々が、いつも申し上げる、農産業ですから、産業として成り立つためには、かかわっている方々がきちっと利益を出していかなくちゃいけない、それから所得が上がっていかなくちゃいけない。こういう考え方のもとに、この法案はどのように役立とうとしているのかというところをまず大臣に確認させていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 この法案は、繰り返しになりますが、農業資材の価格引き下げ、あるいは農産物の流通、加工構造の改革といった農業者の努力だけで解決できるものではない構造的な問題の解決に当たっております。国による事業環境の整備、あるいは事業者の自主的な事業再編の取り組みを後押しする措置を講ずるためでございます。

 特に、農業資材につきましては、稼働率の低い工場を再編したり規制の見直し等の事業環境を整備することによって生産性が向上することで、農業資材の価格引き下げが可能となったり、農業者の生産コストの削減につながるというものに焦点を当てているわけでございます。

 他方、消費者の目線からしますと、量販店の安売り競争、生産資材が下がったからもっと安く売れというような面もあるかもしれませんが、これはいっときのことだろうというように思っておりまして、その意味において、農家所得が全体として価格が上がっていく、そのインセンティブになっていくだろうというように考えているところでございます。

 このように、農産物の品質等の特性が適切に評価されるということにつながり、流通業や小売業につきましても事業再編等により体質強化が図られるということになりますと、生産者も関係業界もともに強い体質ができ上がっていくことが我が国農業をさらに強くするというように考えるところでございます。

吉田(豊)委員 今ほど大臣の答弁の中に、消費者の立場からすると、生産者自身が物をつくるときにコストがかからなくなる、少しでも下がればそれはその分利益になっているはずだから、最終的なユーザーとすれば、その分安くしてよというのは一般的な考え方だろうなとも思うわけですね。

 この法案自身が、そういう生産者側のコストについての環境を少しでも応援しようというところでつくっていくんでしょうけれども、生産者とすると、そういう状況に、これはまた結局、甘んじるという言葉がいいかわかりませんけれども、受け身になる、そういうような不安がないのかなというところを、私は、やはり農産業だから、自分たちの、自立する、自助努力というところがベースにあるべきだろうと思うんですね。

 そのことと、この法案、今出していることの大臣の御説明と、どういうふうにして話が合っていくのかなというところについて、もう一回確認させていただいてよろしいですか。

細田大臣政務官 御質問いただきましてありがとうございました。

 まず、先生の御地元も同じだと思うんですけれども、私の地元の新潟で農家をめぐりますと、とにかく農機が高い、農薬が高い、肥料が高いといったような声、あるいは、午前中の質疑の中で、いわゆる正当な評価がなされていないというような話もございましたけれども、せっかくいいものをつくってある程度出荷をしても、市場で売られているものを見ると、自分が予想した以上の高値で売られていて、つまり流通の部分に相当程度の収益が吸い上げられているようで、これは非常に悔しいというような声を耳にするところでございます。

 私どもとしては、そのような現場の農家の声に真摯に対応するためにこの法案を提出させていただいているということをぜひ御理解賜りたいというふうに思っております。

 もちろん、先生がおっしゃったように、基本的には自由市場経済でございますから、自助努力、また、みずから頑張るという姿勢が大切でございますけれども、私どもとしては、そういう農家が所得を向上させるための環境を整備することで、農業者の所得の向上につなげ、農業競争力を強化したいというふうに考えております。

吉田(豊)委員 ちょっと私の質問の運び方が下手で、済みませんでした。

 続いて細田政務官にお聞きしますけれども、今ほどおっしゃった話の中で、焦点を当てたわけですよね、農業資材というところ、それから流通の部分とか。なぜそこに今焦点を当てるということにしたのか、そこのところをもう一回御説明いただけますでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 これは、先ほど大臣からお話があったとおり、農業経営を行う上で、農業資材価格が高い、あるいは流通が多段階で流通コストがかさむといった、農業者の努力では解決できない構造的な課題がございます。例えば、農業資材の分野においては、工場の稼働率が低い、あるいは銘柄数が多いといったような問題が指摘されているところでございます。

 したがって、このような課題を解決するために本法を制定し、事業環境の整備など国が講ずべき施策を定め、農業生産関連事業者の自主的な事業再編等を促すことで、良質かつ低廉な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化を実現することが、農業者による農業の競争力強化の取り組みの支援につながるというふうに私どもは考えております。

吉田(豊)委員 そうやって資材関係それから流通関係のコストについて着目してこの法案をつくると、この法案は、どういう作用によってそのことが実現されていくということになるのか、これをわかりやすく教えてもらっていいですか。

細田大臣政務官 例えば肥料について申し上げますと、そもそも銘柄数が多い、また、銘柄数が多くて少量多品種生産になっているというような現状が指摘されております。これを、銘柄数を集約して、少量の生産というのをある程度ロットを大きくしていくというようなことでコストを下げて、それが肥料の価格の低下につながっていくというふうに私どもとしては考えております。その比較的今よりも安い肥料が市場に出回ることで、それが農業者にとってのコストの低下につながるものというふうに考えております。

 なお、先ほど来申し上げておりますが、このような肥料の例えば銘柄集約を行うためには事業の再編等が必要であるというふうに考えておりますが、これらについては、あくまでも事業者の自主的な取り組みによって事業の再編集約等が行われるような環境を整備するというのが本法案の趣旨でございます。

吉田(豊)委員 政府参考人の方に少し確認させていただきたいと思います。

 今ほどの政務官のお話をお聞きしているこの先に、基本的にこの法案を進めていくことになった場合、これというのは、生産者、利益を得る方々は、こういう状況になっていくということを黙って待っていると自然にそうなるのか。それとも、こういう法案ができることによって、どういうふうな形でこのことの効果を本人たちが感じ得ることができるのか。どういう仕組みになっているかを御説明いただきたいと思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 先生から御指摘がございますように、農業生産資材業者、こういった方々が再編等によって生産性を向上させるということで、その分、資材価格が下がる。そうしますと、その分は、短期的に見ますと、農家の方々にとってみれば利益が上がるということになるかというふうに思いますけれども、実際にそれを続けていくためには、やはり最終販売価格といいますか、小売で消費者に行くまでの価格全体をどのようにシェアしていくかということが重要かというふうに思っております。

 そういった点でいいますと、生産者の皆さんも、単に売ってしまえば終わりということではなくて、やはり流通業者や小売業者、こういう方と、先ほどパートナーということを言いましたけれども、ある程度協力するような関係を築き上げていく。また、そういう自分たちがつくった価値のあるようなもの、創意工夫でつくられた特徴あるもの、こういったものがどういったものかということをよく流通業者や小売業者の方に情報を伝達しまして、そういったものを消費者にも納得していただいて、それでその価格で買っていただくということが、いわゆる買いたたき等を防止し、農業者の所得向上につながる、こういうふうに考えております。

吉田(豊)委員 今ほどの御説明ですと、結局、この法案ができて、その先に、この考え方をきちっと共有しなくちゃいけないというところ、それから、そのスタートになる着火点というか火をつける場所は、今ほどおっしゃった、実際の資材関係の生産者であったり、あるいは流通関係の方々である、そういう認識で正しいということでよろしいですか。

山口政府参考人 先生のおっしゃるとおりでございまして、そういったことで、この法律では、最初のスタートになるところでございます農業生産関連事業者に対するいろいろな措置、また支援を行うということを始めまして、そこからそういった効果が出るようなことを考えていきたいと思っております。

吉田(豊)委員 そうだとしたときに、今度は、やはり何をおいても、農産業の一番ベースになる主役は生産者なんですよね。この生産者自身がこういう形で今、応援されようとしているということについて、それはどういう姿勢で臨むことになるんですか。

山口政府参考人 そういったことで、農業者の側もやはりそれなりの努力といいますかが必要だということでございまして、この法律の中では、第五条の中で、生産関連事業者がいろいろな努力をして流通の合理化また資材の価格引き下げに取り組んでおられますので、そういった努力を行う事業者との取引を通じまして、それで農業経営の改善に努める、こういった努力をしていただくということをお願いしているところでございます。

吉田(豊)委員 何でも法案を、私、ここに来てからそう思うんですけれども、いろいろなことをよかれと思ってやるんですよね。だけれども、そういうことが、受け身では本当はだめなので、そうではなくて、きちっと一つ一つのことが何のために行われていくのかというところ、物事は何でもそうですけれども、仕組みを動かすということは、当然、このことによってメリットを得る人もおれば、それから困る人もおるということなんです。

 これは明らかに、今の御説明だとメリットがある人もいますけれども、デメリットの部分についてはそれがこの法案ではないのか、あるいは、あるとすればどういうことを考えなくちゃいけないのかというところについて、お考えをお聞きしたいと思います。

山口政府参考人 私どもといたしましては、やはりこの法案で、先ほどから申していますように、何か強制的なことを講ずるとか、そういったものではございません。

 これは、支援を受ける側の立場の方々、支援は国から行うわけでございますが、その支援を受けることによりまして、農業生産関連事業者も、またその取引をしておられる農業者の方々も、これは両方ともメリットが受けられる、両方がウイン・ウインの関係になるような、そういった制度としていきたいというふうに考えております。

吉田(豊)委員 そして、この法案の中で一つだけ取り上げますけれども、国が講ずべき施策の中の一つに、農産物について直接販売、直販の促進ということについて言及があるわけですね。

 直販ということは、当然、生産して消費者にということですが、それは流通の部分も含めて、生産者が直接流通をコントロールすることになれば、それも一つの直販の形だろうというふうに理解したいと思うんですけれども、これがこの法案によって、直販というものの可能性をどう捉えているか確認させてもらいたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 農業者と消費者をつなぐ直接販売でございますけれども、これは、消費者がみずから手にとって商品を選択できるような直売所での販売でありますとか、あるいはスーパーの店頭等への産地直送の販売、こういったものに加えまして、インターネットを活用した通信販売、宅配といったものがございます。

 これらの直接販売につきましては、農業者にとっては、流通のマージンを最小限に抑える、あるいは消費者のニーズを直接把握できるといったメリットがありますし、消費者にとっては、鮮度の高い農産物等を手ごろな価格で購入できるといったようなメリットがございまして、今回の法案の中にも規定がございますけれども、農林水産省といたしましては、農業者、消費者がみずから有利な販売先、購入先を選択できるように、農産物の直接販売ルートを拡大していくといったことに向けた環境整備に努めてまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 この直販というところで、今、生産体制というところ、それと販売体制という両面を見ていっていただきたいと思うんですけれども、直販というと、例えば道の駅ですとか、簡単にそういうのがイメージされますけれども、実は、そういうことはボリューム的にはそんなに大きな話ではないと思うんです。

 そうではなくて、直販という考え方が、結局は、生産者が消費者とどうつながっていくかという新しい形を生まなくちゃいけないわけですね。それも、生産者側から消費者側に向かっていく流通の考え方、でも逆に、今度は消費者側から生産者側に向かっていく、この両方の考え方をきちっと考えて、その上で、今、競争力をどう強化していくかというところに結びつけていくべきだと思うんですけれども、これについてもう少し詳しく、プランというか考え方をお聞きしたいと思います。

井上政府参考人 農業者等が取り組む直売所やインターネット通販、産地直送販売といった直接販売につきましては、消費者、実需者に販売する新たな流通の方式としまして、これまでも六次産業化法に基づく支援ということで、ハード面、ソフト面の支援を行ってまいりましたし、また、今後につきましては、こうした直接販売と、例えば卸売市場を通した流通等、さまざまな多様な流通ルートの中からみずからの有利な販売ができるものを選べるように、それぞれについての取引条件等を見える化するような情報システムの整備を今進めているところでございます。

吉田(豊)委員 大臣、最後にお聞きしたいんですけれども、今ほどのように、結局、何かをやるときには、その狙いがあって、それで、これを具体的に関係する人たちにはやはり知ってもらいたいわけですよね。

 そのときに、今回の話にしても、強化するために応援しましょうということをやっているわけですから、それがきちっと関係者のところに伝わっていってほしいんですけれども、そのことについて、やはり競争ということは必ず、勝つ人もおれば負ける人もおるというのが競争なんです。だから、情報を収集するということ自身、やはりもう戦いが始まっているぞ、そういうことをぜひ強くアピールしていただきたい、こう思うわけですけれども、そのお考えをお聞きしたいと思います。

山本(有)国務大臣 安倍内閣が推進している農業改革の目的は、農業所得の向上、これ一つにあるわけでございまして、特に生産者がこうした八本の法案をみずからの手でかち取るというような意識が大事であろうと思っておりますので、この法案が成功するかどうかも、生産者と一緒に考え、そして一緒に実行するという姿をとる、そういうことに心がけていきたいというように思っております。

吉田(豊)委員 おっしゃるとおりでして、とにかく口をあけて待っている、あるいは守ってもらっているという農業ではもう本当に先がないのはわかり切っていることですから、そういうことをきちっと主体的にやるべきだというところから、そこまできちっと落とし込むという作業をぜひお願いしたいというふうに思います。

 ありがとうございます。終わります。

北村委員長 次回は、明六日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


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