衆議院

メインへスキップ



第8号 平成29年4月18日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十九年四月十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北村 茂男君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君

   理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    小里 泰弘君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      小松  裕君    笹川 博義君

      瀬戸 隆一君    武部  新君

      津島  淳君    中川 郁子君

      西川 公也君    古川  康君

      細田 健一君    前川  恵君

      宮路 拓馬君    宗清 皇一君

      森山  裕君    八木 哲也君

      簗  和生君    渡辺 孝一君

      岡本 充功君    金子 恵美君

      佐々木隆博君    重徳 和彦君

      宮崎 岳志君    村岡 敏英君

      中川 康洋君    真山 祐一君

      斉藤 和子君    畠山 和也君

      吉田 豊史君    仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       山本 有二君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   財務大臣政務官      三木  亨君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局次長)         川上 尚貴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           松尾 泰樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           北島 智子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口 英彰君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            佐藤 速水君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (林野庁長官)      今井  敏君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 一雄君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     小松  裕君

  笹川 博義君     八木 哲也君

  古川  康君     津島  淳君

  宮路 拓馬君     宗清 皇一君

同日

 辞任         補欠選任

  小松  裕君     池田 道孝君

  津島  淳君     古川  康君

  宗清 皇一君     宮路 拓馬君

  八木 哲也君     笹川 博義君

    ―――――――――――――

四月十七日

 土地改良法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 土地改良法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口英彰君、消費・安全局長今城健晴君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長佐藤速水君、政策統括官柄澤彰君、林野庁長官今井敏君、水産庁長官佐藤一雄君、内閣府地方創生推進事務局次長川上尚貴君、文部科学省大臣官房審議官松尾泰樹君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長北島智子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明君。

斎藤(洋)委員 自由民主党の斎藤洋明でございます。

 本日は、農林水産関係の基本施策に関する件につきまして質問をさせていただきます。

 私自身も、水田作農業主体の新潟県の出身であります。農政の主体は、主人公、主役は、言うまでもなく農家、農業者であります。

 きのうも新潟県の胎内市鍬江集落というところの農家組合の総会に出席をさせていただいて、意見交換してまいりました。この集落は、水田が五十二町歩、七十世帯の中山間地域でありますが、生き残りをかけて、一生懸命、今、水田作農業に取り組んでいますし、また、将来の展望を自分たちの手で描くためにさまざまな努力をしておられます。そういった意見交換の成果も踏まえながら、きょう質問させていただきたいと思います。

 まず第一に、新潟県の水田作農業ということにつきまして、この新潟県の水田農業の発展に向けた決意をぜひ新潟県出身の細田政務官からお伺いしたいと思います。

細田大臣政務官 御質問いただきましてありがとうございました。

 まず、斎藤先生には、日ごろから新潟県の農業振興について大所高所から御指導いただいていることに改めて心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

 豪雪地帯でもある私どもの地元の新潟県は、低湿地帯を多く抱え、畑作物への転換が難しい地理的条件のもと、全国屈指の米の産地として発展を図ってまいりました。

 私も、大臣政務官としては日本全体の農業、農村振興について考えるべき立場ではございますが、新潟県選出国会議員として、新潟県の米農業振興にかける思いというのは斎藤先生と全く同一でございます。

 今後とも、斎藤先生とともに、新潟県の農業、特に米農業の振興を図ってまいる所存でございます。ぜひ、引き続き御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 今お話ありましたとおり、積雪地帯かつ低湿地ということで、なかなか他作物への転作が難しいという部分がございます。かつ、新潟県のコシヒカリのその年の値段が全国の主食用米の価格を決めるリーダーになっているという部分もありますので、これは全国の水田作農業の発展のためにも、ぜひ新潟県の水田作農業の発展に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 二点目に、いわゆる三十年問題についてお伺いをしたいと思います。

 三十年以降、生産調整がどのように進むのかということにつきまして、多くの農家、農業者の方が御不安を感じておられると思います。そこで、三十年度以降の生産調整に向けた決意をお伺いしたいと思います。

細田大臣政務官 今御指摘のあった米政策の見直しについてでございますが、米の直接支払交付金を二十九年度限りで廃止し、三十年産を目途に、産地、生産者みずからの経営判断により需要に応じた生産が行われるようにすることとしております。

 私ども農林水産省といたしましては、三十年産以降もきめ細かな情報提供や水田フル活用の支援等を行い、農業者の皆様方に安心して需要に応じた生産に取り組んでいただけるよう全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 三十年産米以降の生産調整につきましてはいろいろな御意見をお伺いしますが、私自身は、三十年産米以降、生産調整については順調に進むのではないかということを楽観的に捉えております。

 その根拠としまして、二十七年産、二十八年産の生産数量目標は達成をできたということがあります。この背景には、一つには戦略作物の助成など政策誘導もありましたし、また、二十六年産米の主食用米が非常に厳しい値段になったということで、農家自身がまさに経営判断をしていただいたということがあると思っております。

 ですので、三十年産米も作付過剰が解消されて、米価が安定をする方向に行っていると思いますし、政府にはぜひそういう取り組みを引き続きお願いしたいと思っております。

 続きまして、この生産調整と関連しまして、戸別所得補償、経営安定対策において、米の直接支払いと生産調整をリンクさせた制度となっておりました。この成果を実際どういうふうに評価すべきなのかについて政府のお考えをお伺いしたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 戸別所得補償制度の評価でございます。

 これはさまざまな御意見があろうかと思いますが、一般的に、私どもとしては、まず、全ての販売農家を対象とすることで農地の流動化のペースをおくらせたという側面がある。また、米については過剰生産の傾向を助長させ、ひいては米価格の低下傾向を加速させたという面がある。また、予算の配分でございますが、農業基盤整備の予算を結果として大幅に削減したために、我が国の米の生産基盤が崩壊するおそれがあったというふうに考えております。実際に生産数量目標も達成されず、農地流動化のペースも停滞したといった状況が続いておりました。

 私どもとしては、現在、戸別所得補償の減額とともに、強い農業の実現に向け、農地中間管理機構による担い手への農地集積や、需要のある麦、大豆、餌米等の生産振興を図ることによって農地のフル活用を図るなど、前向きな政策を強化したところでございます。

 引き続き、農業の成長産業化を実現し、農家の所得を向上させるための政策を、斎藤先生にも御助力をいただきまして、力強く推進してまいる所存でございます。

 ありがとうございました。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 農業政策は、これは我が国だけではなくて、欧米もさまざまな取り組みをして、あるいはあるときには政策効果が上がらなかったり、あるいはまた耕作環境が変わって政策転換するということもございます。ですので、経営安定対策、戸別所得補償につきましては一定の意義はあったとも考えますが、一方で、今御答弁いただきましたとおり、土地改良予算を確保できなかったりですとか、あるいは生産過剰の問題を解決できなかったという点で限界があったと私は考えております。

 よく十アール当たりの単価で議論をしますが、玄米六十キログラム当たりに換算しますと、一万五千円が例えば千七百円ぐらいの補助ということになります。この千七百円の補助は得られたけれども、土地改良予算につきまして、これも生産数量で割りますと、一俵当たり土地改良予算が二千円以上削減されて、確保した財源を使ったというふうに私は理解をしております。

 もちろん、農家にとっては、直接支払いでもありがたいし、米価が上がることによって収入が上がることでもありがたい、土地改良予算ももちろんつけてもらわないとこれは生産環境が整備されないということで、ジレンマの中で、今の米の生産環境からすれば、私の意見としては、今後は米価をしっかり安定させるということに努めていただきたいのと、それから、土地改良予算を確保してもらって土地改良事業をしっかり進めてほしいということを考えておりますので、ぜひお取り組みをお願いしたいと思っております。

 続きまして、農家の所得を向上させるには収入をふやすか、さもなければ支出を減らすしかないということは自明の理でありますが、その支出を減少させるためのコスト削減に向けた意気込みを政府からお伺いしたいと思います。

齋藤副大臣 農業者の所得向上を図っていくためには当然生産コストの削減というのが重要であるわけでありまして、昨年十一月に策定されました農業競争力強化プログラムにおきまして、生産資材価格の引き下げ等を図ることとされているところでございます。

 これらの取り組みを進めるために、現在、農業競争力強化支援法案を二月十日に国会に提出し、御議論いただいているところであります。この国会で早期成立をお願いいたしているところでありますが、成立した暁には、本法案に盛り込まれた施策を着実に実施していくことによりまして、農業の競争力強化を図り、農業者の所得向上の実現に努めてまいりたいと考えているところでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 農家の支出に占める農業資機材の割合は極めて高いという統計からしましても、ぜひこのコスト削減に向けた取り組みをお願いしたいと思っております。

 例えば、きのうお伺いした中では、積雪地ではトラクターを除雪用にもアタッチメントをつけて使いますが、除雪作業中に三十馬力級のトラクターが故障したと。調べてみたらキャタピラの部分が切れていた。キャタピラの修理で見積もりが五十万円。よく見たらシャフトも折れていたと。折れたシャフトの破片がミッションの中にかみ込んでしまっていて、ミッションを完全に分解しないと修理ができない。この見積もりが百万円。それで百五十万円。それで、ディーラーの方に相談したら、もうこれは新品を買った方がいいでしょうということで、三百二十七万円の三十二馬力のトラクターを購入したということがありまして、これでは経営は圧迫されます。ですので、ぜひ、農業資機材の値下げということについて、政府を挙げて取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、いわゆる農業改革の中でJAの改革というお話がありました。今、例えば農林水産省のアンケート調査によりましても、農業者の七割の方が農協から農業資機材を購入していて、多くの評価項目については高い満足をしていると。ただ、価格につきましては、できればもう少し頑張っていただきたいというような結果であったということを伺っております。

 JA改革はまさに自己改革ということを既に位置づけていただいたところでありますが、その自己改革の成果への政府の期待を御答弁いただきたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 随時御答弁を差し上げているとおり、農協は農業者によって自主的に設立された民間組織であり、その改革は自己改革が基本であるというふうに私どもも考えております。

 今回の農協改革においては、農協は事業の実施に当たり農業所得の増大に最大限配慮するといった理念に沿って、現在、各農協で自己改革の取り組みが行われているというふうに承知をしております。

 私ども農林水産省としましては、こうした改革が着実に進み、成果を上げることにより農業者の所得の向上につながることを大いに期待しているというところでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 私も、多くの現場の農協職員の方も知っていますし、また役員の方々とも意見交換をしますけれども、非常に一生懸命、農家自身が生き残れなければ農協もまた生き残れないということをしっかり頭に入れて努力をしていただいておりますので、我々もその自己改革を応援するという立場を徹底したいと思います。

 次に、土地改良事業、これは今後も不可欠であると思っています。ましてや、農家のコスト削減ということと、それから条件不利地でも水田作農業を続けていくためには不可欠だと考えておりますが、土地改良事業に向けた意気込みをお伺いしたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 御指摘のとおり、農業の構造改革を進めていくためには、農地の大区画化等により生産コストの削減や担い手への農地集積、集約化を加速化することが必要であり、土地改良事業はこのために非常に重要なものであるというふうに考えております。

 今後とも、斎藤先生の御意見も踏まえて、土地改良事業の地域からの要望に応じられるよう、計画的かつ安定的な事業の推進に必要な予算の確保に全力で努めてまいりたいというふうに考えております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 この土地改良事業、圃場整備が進んでいない地域におきましては、平場であってもかなり小規模、小区画の田んぼで、一日じゅう機械を上げたりおろしたりしているというような声もありますし、また、条件不利地でも、せめて圃場整備をやってもらって、あとはしっかり経営努力で頑張っていきたいという声も多く伺いますので、ぜひこの土地改良事業は力を入れて進めていただきたいと思います。

 最後に、直接支払いの廃止後、三十年以降の水田作農業の将来について、もちろん、我々自身も、地元で将来の展望の持てるような説明もしなければいけませんし、また、そういう政策を今後ともつくっていかなければいけませんが、ぜひ、米農家の所得向上ということに直接向けた決意を大臣からお伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 我が国の農業は、ちょうちょう申し上げるまでもなく、平均年齢が六十六歳を超えておりますし、耕作放棄地も年々ふえております。こういった中で、こうした農業の活性化が待ったなしの喫緊の課題であるということは申し上げるまでもありません。そのための改革を進めさせていただいているわけでございます。

 また、戸別所得補償制度も改めて、新しい農業への組み込み、つまり、強い農業の実現、あるいは農地中間管理機構による担い手への集積、需要のある麦、大豆、飼料米の生産振興を図るというような考え方のもとに政策を展開していきたいと思っております。

 特に、三十年産を目途に米の生産調整を見直すということとしておりまして、農業者がマーケットを見ながらみずからの経営判断で需要に応じた生産が行われるようにということでございます。

 先ほど細田政務官も申し上げましたとおり、コストを削減し、そして、農業の成長産業化をさらに実現する、輸出に注力するというようなことで、農業の競争力強化と農家の所得向上、これを図っていく所存でございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございました。

 時間が来たので終わりますが、私は、水田作農家の経営を支えるものはやはり米価の安定、これに尽きると思っています。米価の安定のためには国内の需給を締めてやる必要がありまして、そのためにも直接支払いではないやり方でしっかり米価を安定させるんだということが必要だと思いますので、そのメッセージも引き続き私も発信をしてまいりたいと思っております。

 きょうはどうもありがとうございます。

北村委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 おはようございます。公明党の真山祐一でございます。

 本日は、農水委員会におきまして一般質疑の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。せっかくの機会でございますので、現場を回りながら感じていること、またお聞きしたことを中心にお聞きをさせていただきたいと思います。

 まず一点目は、本年の雪害対策についてお伺いをさせていただきます。

 本年は、総じて雪が多かったわけではございませんけれども、局所的に、また短期間で集中的に降ったこともございまして、各地で雪害が発生をしております。ビニールハウスの倒壊であるとか枝折れとかが発生しておりまして、また、西日本においても例年になく雪が降りました。

 先般の本委員会の大臣所信質疑におきましても、同僚の中川議員がこの雪害対策について政府の対策を求めたところでもございますし、また各地からの要望も上がってございます。また、自由民主党様におかれましても、雪害対策に関する提言、取りまとめをされているとお聞きしております。

 私は比例東北ブロック選出でございますけれども、ふだんから例年から雪の多い東北地方におきましても日本海側を中心に雪害に見舞われまして、私自身も山形県の天童市とか河北町、寒河江市、また朝日町等、特に雪の多い地域を中心に雪害の状況を訪問させていただきました。ハウスの倒壊も複数件発生しておりますし、また果樹の生産地でもございまして、やはり倒木、枝折れ等の被害状況を確認したところでございます。

 雪も大分落ちつき、春となりまして、この被害状況が明らかになってきておりますけれども、本年の雪害に対する政府の対策について、農林水産大臣に答弁をお願いいたします。

山本(有)国務大臣 ことしの一月、二月を中心といたしまして、大雪等により、東北地方、近畿地方、中国地方等の二十八府県におきまして局地的な被害が発生いたしております。

 具体的に申し上げれば、果樹の倒木、枝折れで七・一億円、農業用ハウス等の損壊で三十七・九億円、農林水産関係全体では約五十九億円の被害が発生しております。

 農林水産省では、地方公共団体等からの要望を踏まえまして、被災農林漁業者の一日も早い経営の再開に向けまして、まず一番目に共済金等の早期支払い、二番目に被害果樹等に対する支援、三番目に農業用ハウス等の導入の支援、これらの支援対策を三月三十一日に公表したところでございます。

 この中で、果樹の倒木や枝折れへの対策につきましては、被害を受けた木の撤去や苗木の購入への助成、改植後の未収益期間における管理のために必要な肥料代や農薬代に対する助成を措置いたしました。また、通常の支援の場合には、優良品目への転換や新品種への改植を一定面積をまとめて行うことが要件となっております。しかし、自然災害時の特例といたしまして、この要件を緩和いたしまして、被害樹と同一品種への改植、被害を受けた木ごとの改植、そうしたものを可能とするようにいたしたところでございます。

 農林水産省としましては、このような支援を通じ、被災されました農林漁業者の方々が希望を持って営農を継続できるよう、なお支援をしっかりしてまいりたいというように思っております。

真山委員 ありがとうございます。

 ただいま御答弁いただきました内容、先ほど冒頭申したとおり、雪が決して総じては多くない中で、でき得る限りの対策を今回講じていただくことと思います。まさに大臣最後におっしゃいましたとおり、安心してこれからも営農を続けていける、そういった意味では本当に農業者に対して希望を送るものだというふうに思いますので、引き続きまして御支援をお願いいたします。

 次の質問をさせていただきますけれども、これは原発事故に伴う、特に原木の露地栽培のキノコの件についてお伺いをさせていただきます。

 原木の露地栽培キノコにつきまして出荷制限がかかりましたが、放射性物質低減のための原木きのこ栽培管理に関するガイドラインがつくられまして、これに基づいて適切な栽培管理を行うことで解除が可能でございます。

 しかし、先日、宮城県の生産者をお伺いさせていただきましたところ、やはり、このガイドラインのプロセスが非常に細かく多岐にわたる、これは栽培管理をするときには当然のことではあるんですけれども、一人一人の生産者にとりましては、対策を講じることがなかなか負担が重いということに加えて、この対策を講じることによる追加の費用負担、これが重くのしかかって、なかなか前向きにこのガイドラインに基づく取り組みがしづらいというのをお聞きをいたしました。そういう意味では、きめ細やかな人的な支援も必要かと考えております。

 また、露地栽培ではなくて、野生キノコまた山菜についても出荷制限が続いております。この野生物は確かに生産、流通、管理が非常に難しいということは私も重々承知をしておりますけれども、やはり農山村で暮らす農業者にとりましては貴重な生活の糧であり、また生きがいでもございました。それが六年間も続いているというのは異常事態と言わざるを得ないというふうに思います。

 これまでも別の委員会でこうした質問を私も何度もさせていただいてまいりましたが、政府にも対策を求めてまいりましたけれども、この件について、ぜひ農林水産大臣に御認識をいただいて、そのイニシアチブで対策を講じていただきたいと思いまして、本件に関する農林水産大臣の御所見、御決意をお伺いさせていただきます。

山本(有)国務大臣 東北地方の農家の複合経営にとりまして、キノコというのは大変重要な作物であろうというように思っております。

 原木キノコの生産につきましては、平成二十五年の林野庁の策定で、放射性物質低減のための原木キノコ栽培管理ガイドラインを定めております。これは、生産現場におきまして、原木につきましては放射性物質が一キログラム当たり五十ベクレル以下のものを使用すること、原木やほだ木はシートにより被覆すること、キノコの出荷前には放射性物質検査を行うこと等を実施するよう指導を徹底したところでございまして、順次、出荷制限の解除がこの分野で進んでおります。

 こうしたガイドラインを遵守する過程で、現場で生じる御指摘の労力負担、経費負担、こういったものを軽減するために、農林水産省では、生産者に対しまして、原木洗浄等に必要な機材導入への支援を行うこととともに、関係都県に対しまして、負担の少ない栽培管理手法を開発、提供し、生産者指導の支援を行っているところでございます。

 また、御指摘の野生のキノコや山菜についてでございますが、栽培キノコに比べまして出荷制限の解除が大幅におくれておりました。平成二十七年十一月に、出荷制限の解除に向けましたモニタリング検査の実施期間や検体数等の運用方針を関係都県に通知いたしまして、都県と連携して出荷制限解除を推進してきたところでございます。この成果もありまして、既に青森県のナラタケ、岩手県のセリ等で出荷制限が解除されております。

 今後とも、現場の実態を踏まえまして、原木キノコや野生キノコ等の出荷制限の解除にしっかり取り組んでまいりたいというように思っております。

真山委員 キノコ、また山菜、これは露地栽培も含めて、野生物も含めてでございますけれども、決して農業者の数は多くはありません。また、産出額も決して多くはない領域ではございますけれども、ぜひ生産者の皆さんのお声をよくお酌み取りいただいて、これまでも随時農水省としてお取り組みいただいておりますけれども、さらなるきめ細やかな御支援といいますか、そういった機会をつくっていただきたいとお願いをさせていただくところでございます。

 それでは、少し時間が迫ってまいりましたので、ちょっと順番を入れかえさせていただいて、先に、通告の四番目でございました輸出の件に関してお伺いをさせていただきたいと思います。

 先般、衆議院を通過いたしました農業競争力支援法の議論の中でも、参考人の方から、輸出に関するいろいろ論述、陳述がございました。

 また、先般、公明党といたしましても、JA全農さんから事業改革に関するヒアリングを行わせていただきました。そうした取り組みの中に、やはり米の輸出に関する項目がございまして、「米の輸出用産地(低コスト多収栽培)の育成」というのが一つの項目として全農さんの事業改革の中でも上がっているわけでございます。

 実は、私が住む福島県喜多方市、会津地方でございますけれども、喜多方市で、要は輸出用米の産地づくりの実証地区になっておりまして、私も現地の視察と、生産者、JA関係者、また行政の取り組み、それぞれヒアリングをさせていただきました。

 そこで生産された県のオリジナル品種のお米であります天のつぶというのがございますけれども、昨年、EU圏においては初めて、ちょっとEU離脱の話もございますけれども、イギリス・ロンドンに輸出が二トン、初めて実現をいたしました。

 こうした米の輸出の取り組み、可能性について、これまでも本委員会でたびたび議論がなされてきたわけでございますし、また、単に精米、玄米として輸出するだけではなくて、日本酒、またパック御飯といった、要は加工品として米の輸出を図っていく、こうした取り組みも今農水省として大いに推進しているところでございますし、またさらなる推進が必要と考えてございます。

 また、こうした取り組みを推進していくためには、やはり国際競争力のあるお米の産地づくり、これが重要であると考えておりますけれども、私の認識不足かもしれませんけれども、輸出用米の産地づくり支援という観点ではまだちょっと支援の手が手薄いのかなというふうに感じておりますけれども、この米の輸出、産地づくりについて農林水産省の見解をお伺いします。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、我が国のマーケットが主食用米の需要が減少しておりますので、主食用米以外の作物への転換とあわせまして、海外における日本産米の需要を拡大していくことが重要でございます。

 昨年の輸出量を見てみますと、平成二十八年九千九百八十六トンということで、前年から三一%増ということで堅調に伸びているということでございます。

 こういった米の輸出の拡大を図るためには、まだまだ日本産米の受け入れの余地があると思われます海外マーケットに対しまして現地ニーズに応じたプロモーションを行う、また、御指摘ございましたように、炊飯器がなくても日本で食べるのと遜色なく食べられるいわゆるパック御飯などの加工形態での商品、売り方の多様化、さらに専用の産地づくりというようなお話もございましたが、担い手への農地集積なり資材費の低減による生産コストの削減ということが重要な課題でございます。

 その際、お尋ねがございました、輸出を前提とした産地づくりを行うという観点から、私どもいろいろな事業を活用しまして、高品質な状態で米を長期輸送、保管するための真空包装設備などを備えました乾燥調製貯蔵施設の整備などを国の事業として御支援申し上げているところでございます。

 今私ども、米、米加工品を合わせまして輸出目標六百億円ということで目標を掲げておりますので、この可能な限りの前倒し達成に向けて全力で引き続き取り組んでまいりたいと存じます。

真山委員 先ほど御答弁の中にもございましたとおり、やはりこれから米の需要拡大を図る一つのマーケットを海外にも求められるわけでございまして、そういった観点でも、この米の輸出の産地づくり、やはり強化していくべきだと私は考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 時間となりました。以上でございます。

北村委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会の吉田です。おはようございます。ありがとうございます。

 きょうは、御配慮いただきまして、朝一番の質問とさせていただきます。本当にありがとうございます。

 前々回、漁業というところで、攻めの漁業として養殖というものを取り上げさせていただきましたが、引き続きそこを少し深めていきたいというふうに考えております。

 最初から恐縮ですけれども、山本大臣、きょうのお昼御飯はもう決まっていらっしゃいますか、何を食べるか。

山本(有)国務大臣 日常、大体おそばを食べております。

吉田(豊)委員 きょうは私はウナギの質問をしますので、そばじゃなくてウナギにしようかなと思っていただけるぐらいに、少し情報を皆様に御提供したいなと思っております。

 漁業の養殖業というところで、我が国はやはり海洋大国ですので、全て漁業というと常に海を思い浮かべるわけですね。けれども、世界全体を見てみますと、養殖という話になったときに、海面、海洋での養殖というところが主流かというと、そういうわけでもない現状があるということを前回確認させていただいて、今回は特に内水面の養殖というところで少しお聞きしたいと思うわけです。

 改めて、この内水面の養殖業、我が国において、これがどのような位置づけであり、どのような概要になっているのか、ここを確認させていただきたいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 近年、世界の内水面養殖業の生産量につきましては増加傾向にございまして、平成二十二年が三千六百万トンであったわけでございますが、平成二十七年になりますと四千八百万トンということで、五年間で千二百万トンほど増加しております。

 他方、我が国の方を見てみますと、平成二十七年でございますが、日本の内水面養殖業の生産量は約三万六千トンということで、この五年間おおむね横ばいで推移しているところでございます。

 我が国における内水面養殖業は、今先生の方からお話ありましたウナギあるいはコイといったような和食文化と密接にかかわる食用水産物を供給するほか、河川への放流種苗の生産を通じて、釣り場等の形成に重要な役割を果たしておりまして、豊かな国民生活の形成に大きく寄与している、このように考えているところでございます。

吉田(豊)委員 今ほどの長官の答弁にありましたように、内水面、我が国でいうとやはりウナギが出てくるわけです。

 ウナギというのは、よく御存じの方も多いと思いますが、近年まではどこで卵を産むのかさえわからない状況にあって、そして、通常、例えば魚でいうとサケとかは、私たちの頭の中のイメージにも、川に戻ってきて卵を産むところから始まって、それから川を下っていって、海に行って一回りして戻ってくる、こういうサイクル、全体像がわかるんですけれども、ウナギについてはそれさえわからない状況にあったというところ。それから、ウナギを今、我が国の内水面での養殖は中心に置いてやっているという現実もあるわけで、改めてウナギということの重要性を確認したいなと思います。

 いつも申し上げていますけれども、私たちが扱う農林水産業は全て、産業という位置づけからすれば、当然消費者がどのようなニーズを持っていらっしゃるかというところ、そこからきちっと攻めていく、そういう考え方が実は一番大事なわけですね。それで一つ一つを、どこにニーズがあるのかと、それを把握した上で攻めの農林水産業に入っていく、こういうプロセスになると思います。

 その意味で、ウナギというのは国民全体にとって非常に人気のある食べ物であることは間違いないし、何よりも和食、食が今非常に注目されているという中にあっては、ウナギというのは、僕は断言してもいいんですけれども、世界が注目する。今、日本食といえばすしとかてんぷらとかすき焼きとか言っていますけれども、ウナギというのは必ず世界はきちっと我が国の食べ物、日本食のトップスターの一つになる、こういうふうに考えています。歴史がある、それから食べ方、それから我が国の中でも東西にも違いがある、そして非常にシンプルなものである、こういうところ、本当にいろいろな要素をたくさん持っているわけです。

 ぜひ、ウナギにかかわる部分の生産、消費を拡大していきたい、こう思うわけですけれども、それに当たっては、天然物ということの難しさがもともとのベースとして前提にあるわけで、それから、天然物となると、非常にこれは需要が高まっているということからすると、とればとるほど今度はその先のことの将来が不安になっていくということも間違いないわけです。

 改めて、ウナギ、これについては、ワシントン条約という言葉が最近よく出てきます。一方では、今現在はさまざまな生物をきちっと保護していかなくちゃいけない、こういう流れも並行して進んでいるという中にあって、ウナギというものの消費、それがワシントン条約という関係において何か考えるべきことが今目の前に起こっているんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、改めてこの状況について現状を確認させていただきたいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から御指摘ございましたワシントン条約でございますが、これは輸出国と輸入国とが協力して、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制するといったことを、そしてその保護を図ることを目的とした条約でございます。

 それで、具体的に申し上げますと、附属書1といったものがございまして、ここに掲げられた種は国際商業取引が原則禁止となります。例えばミンククジラあるいはウミガメ、こういったものでございます。それともう一つ、附属書2といったものがございまして、ここに掲載された種は国際商業取引に当たりまして輸出国による輸出許可書の発給が必要となる、こういうような仕組みになっておるところでございます。

 我が国は、国内で食用として最も一般的に流通しているニホンウナギについては、年により変動はあるものの、製品の六割程度、養殖用種苗の五割程度を輸入しておるところでございます。このため、仮にニホンウナギが附属書1に掲載された場合には、養鰻業あるいは国民の食生活、食文化に非常に大きな影響を与えることが予想されるところでございます。

 また、このニホンウナギが附属書2に掲載された場合でも、輸出許可書の発給について輸出国側がどのように判断するかは不明でございまして、我が国の輸出量がどのように変化するかを含め、現段階でその影響を正確に予測することは困難でございます。

 我が国としては、ニホンウナギを含みますウナギ種の保存管理は、ワシントン条約の附属書掲載による国際取引規制ではなくして、中国あるいは韓国といったような関係国、地域間の協力に基づく資源管理の取り組みによりまして行われるべきものと考えておりまして、東アジアの関係国、地域に対する働きかけを含めまして、ニホンウナギを含むウナギ類の資源管理に引き続きしっかりと取り組みまして、次回締結国会議でニホンウナギの附属書掲載が提案されないよう努めていきたい、このように考えているところでございます。

吉田(豊)委員 しっかりとそういう状況を把握された上で、ただ、私が思いますのは、鯨のときもそうだったと思うけれども、結局は世界というのはある意味勝手なんですね。何か気づいて、そして自分たちがこうだと思ったら、それを数の力で、各国の固有の食文化とかそういうことについては全く配慮をせずに、一つの大きな生物の保護、そういう題目、あるいは、まあまあ保護という言葉になるんでしょうけれども、そこで全てを白か黒か結論を出していく、こういうのが歴史なわけですわ。

 だから、いつ、別にウナギのみならず、さまざまな私たちにとって大切な食材がそこのリストに載っけられて、そしていきなりだめだと言われる可能性はあるわけで、そうなると、もちろんそうならないための努力も必要だけれども、平生からのどういう準備をしていくのかということ、そして、養殖というもの自身が、そこに私たちが食文化を継続していく道での新たな可能性という、唯一の新しい道かもしれないということの重要性も、ぜひ、より認識していただいて進めていただきたいと思うんです。

 改めて、今、ここの部分を含めて、国が、ウナギの資源管理という意味で、漁業は資源管理も含めてあわせて行っていくことの重要性ということを確認させていただいておりますが、大臣から御認識を伺いたいと思います。

山本(有)国務大臣 ウナギの養殖に用いるシラスウナギでございます。日本から約二千キロ離れました西マリアナ海嶺で生まれます。黒潮に乗って、我が国を初めとした東アジアに来遊するものでございます。

 我が国でのシラスウナギの捕獲量は、昭和五十年代後半以降、低水準かつ減少傾向でございます。その持続的利用を確保するためには、国内外での資源管理が重要であることは申し上げるまでもありません。

 このために、ニホンウナギの国際的な資源管理につきまして、平成二十六年九月、同じ資源を利用する日本、中国、韓国、台湾、この四カ国・地域で、池入れ数量の制限に取り組むことを決定いたしました。毎年各国、地域の池入れ数量の上限を設定し、資源管理に取り組んでいるところでございます。

 国内におきましては、内水面漁業の振興に関する法律に基づきまして、平成二十七年六月、ウナギ養殖業を許可制にしたところでございます。また、ウナギ養殖業者、シラスウナギ採捕業者、親ウナギ漁業者、この三者が三位一体となって池入れ数量の制限、シラスウナギ採捕期間の短縮、親ウナギ漁獲抑制等の資源管理を現在進めているところでございます。

 このような国内外の取り組みを両輪といたしまして、ニホンウナギの資源管理を推進してまいりたいというように思っております。

吉田(豊)委員 今ほど大臣に御紹介いただきましたように、ウナギの一生という意味では、非常にエリアが大きいんですね。想像を絶する大きさでウナギ自身が移動している。我が国にいているウナギがどこに行って卵を産むかというと、二千キロというと、もう日本列島よりも長い、それだけの距離をいつの間にか動いてマリアナまで行って、そこで卵を産んで、そこからまた回ってきて、ただ、回ってくるときに、黒潮とおっしゃったように、潮流ですから、そのときそのときの季節あるいは毎年の気象によってどこにどう流れていくかがわからないという根本的な不安定要素があるということも今明らかになっているわけです。

 その上で、養殖するために、今現状は、稚魚をとってそれを育てていくというやり方しかないわけで、そうすると、どこの国の方にその稚魚が流れていくかということによって、それぞれ受け入れようと思っている国の中でもさまざまな問題になるという、実際そうでしょうから、よりここの部分について安定させていくその努力というのは必要だということを確認させていただきました。

 そうなると、当然、養殖というところをどう視野に入れて一日も早く確立していくかということに話はなると思います。

 養殖というときに、完全養殖という言葉がありますが、完全とつくと、どういうことかというと、一サイクル回して、そしてその親が卵を産んで、その卵をもってもう一回次に回していく。これが自己完結しているという意味で完全養殖という言葉になると思いますが、実は、このウナギの完全養殖ということを考えると、幾つかボトルネックになる大きな問題があるということをお聞きしておりますので、まず、そこをちょっと確認したいので、御紹介いただきたいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 ウナギの完全養殖、これを商業化するために今取り組んでいるわけでございますが、四つほど大きな課題がございます。

 一つは、先生から御指摘がありました天然の卵が入手できない、もう一つは、繁殖に用いるウナギの性と成熟をコントロールできない、また、稚魚の餌、そしてまた稚魚の飼育に当たっての水の管理といったことが課題になっているところでございます。

吉田(豊)委員 大きく四つ今出してもらいましたけれども、特に私がやはり一番びっくりしましたのはというか認識不足だったのは、魚の養殖は、どうしても、サケ・マスの卵、川に上ってきたそれを採卵して、やなでも何でもいいですけれども川でとって、そしてその卵を回していくという、全てその全体像を人の管理の中に置けるんですけれども、よくよく考えてみますと、このウナギというのは卵を産む場所が日本じゃないということが全く違うんですよね、通常のサケ・マスの魚と。そうすると、卵を確保しようと思っても、マリアナ海溝の海の底に行かないととれないとなれば、もともと物理的にもそれは不可能な話で、そこから、ではどうやっていくのかというこの課題が幾つも出てくるわけです。

 今四つほどおっしゃいましたけれども、その中で、結局は完全養殖に向けての技術を確立するということが、世界の中で日本がやはりトップレベルにあって、そしてその技術を持つことができれば、先ほど大臣が御紹介いただいたように、ウナギについては当然需要があるわけですから、いろいろなところでそれを材料にしてビジネス化していこうという可能性はあると思いますが、結局は、今国会でも上がりました種子法という意味でいうと、種子、その一番もとになるものを押さえたところがその分野を制する、そういうことだと思うんです。

 ですから、このウナギ一つをとっても、卵のところからきちっとその管理ができる、そういうことを技術を持つということこそが我が国の内水面の部分の優位性につながる、こう思うわけで、改めて、この四つの中で、とにかくこのボトルネックをどう解消するために我が国が動いているのかというところの状況をお聞きしたいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げました四つの点でございますが、一つ、天然の卵が入手できないことでございますが、これについては今先生御指摘のとおりでございまして、大量に成熟した卵を確保することは困難でございますので、このため、陸上で親魚から卵を採取、ふ化する完全養殖の技術の開発が必要となっております。

 また、二つ目の繁殖に用いるウナギの性と成熟をコントロールできない点がございますが、ウナギは養殖下ではストレスが原因で全て雄になるといったようなことによりまして、養殖場における飼育下におきまして雌化や性成熟させることが困難でございます。このため、この雌化や性成熟させるためのホルモンの開発が必要となっているところでございます。

 また、三つ目の稚魚の餌でございますが、現在、アブラツノザメの卵をその餌として用いているわけでございますが、このアブラツノザメの卵を安定的に入手できないことから、これにかわる有効飼料が必要となっているところでございます。

 四つ目の稚魚の飼育に当たっての水質管理でございますが、ふ化直後のウナギの仔魚というのは、大海の清浄な環境下にあることから、飼育するためには、餌等による水の汚染を防止するため、きれいな澄んだ清浄な飼育水を大量に確保する必要があるといったような点でございます。

 現在、水産研究・教育機構を中心にいたしまして、産学官の連携によりまして、先ほど申し上げました採卵技術の開発等含めまして研究開発に取り組んでいるところでございまして、今後とも、ウナギの人工種苗の量産化の早期実現に向けてしっかり取り組んでいきたい、このように考えておるところでございます。

吉田(豊)委員 今ほど四つのことについては幾つかの技術的なボトルネックを御紹介いただきましたが、私は今努力していらっしゃるということは確認させていただきました。

 けれども、結局のところ、これは、卵から稚魚の部分については、結局は植物でいうと植物工場のようなレベルでの管理をしていかなくてはいけないという話だと思うわけです。

 実際、我が国は、農業のときもそうでしたけれども、養殖の技術というところからすると、例えばオランダだとかあちらの方がよっぽど、一つの箱の中では、さまざまなものを管理していくということについては進んでいたんですね。それって、我が国がやはりもともと農林水産業については恵まれた地域にあるというところだと思うんです。だから、恵まれていたから、そういう意味では非常にいろいろなことについては進んでいるんだけれども、改めてそれを技術化していく、そういう理論化していくとなったときには、またやらなくちゃいけない部分というのは多いでしょうし。ただ、理論化になれば、それこそ我が国の得意分野だと思うわけです。

 ここをぜひ、改めて、きょうの流れの中をとっても、いつこれがどうなるかわからないということと、もう一つは、やはりウナギ自身というものに特化してでも、これをどう主要な内水面の我が国のスター、宣伝のトップに持ってきて、それをやっていくためには、やはり大事なことは、生産できるというベースをつくらないことには、どれだけ宣伝しようと思っても、いや、実は数が足りないんですという話になってしまっては困るわけです。

 教えてもらいましたが、近年と十年前で、我が国のウナギの消費量というのは、今、三分の一か四分の一ぐらいしか食べていないんです。十年前ぐらいというのはもっともっとスーパーにもたくさんウナギが並んでいて、それは多くは中国からとか、あるいはよそからの輸入もありましたけれども、実際、ウナギというのは、我が国の消費一つとっても、潜在需要というのは本当にどれだけあるかわからないぐらいのものだと思うので、改めて、きょう幾つか難しい部分は出てきたということを確認しましたけれども、この部分について、より強力に、急いで、そして技術開発とコントロールのトップのところに行く、そういうことを私はぜひ進めていただきたいと思いますけれども、大臣、どうでしょうか。

山本(有)国務大臣 食べ物の憧れあるいは王者と言ってもいいぐらい、皆さんウナギが好きでございます。その意味で、高付加価値の漁業をする、あるいは農業関連というような位置づけをすれば、ウナギが盛大な産業になり得るというように思います。

 その意味で、先ほど水産庁長官が申し上げましたように、完全養殖、その分野の研究が進めば、この世界で非常に資源管理が問われている分野でございますけれども、そうした観点から、我々日本のウナギ産業というものを興せるのではないかと私も期待しておりますので、ひとつ御協力をよろしくお願いします。

吉田(豊)委員 皆様、ぜひお昼にはウナギを食べていただきたいとお願いしまして、これで終わります。よろしくお願いします。

北村委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民進党の岡本です。

 きょうも、農林水産省所管の基本施策について聞いていきたいと思います。

 まずは、以前より聞いておりますけれども、農林水産委員会で私も聞きましたが、農水省OBの談合疑惑について、大臣、資料がちっとも出てこないんですよ。

 それで、調査委員会で調査をするんだというのも結構ですが、これはきちっと国会に対して説明をする責任、大臣、あるんじゃないでしょうか。調査委員会で結果が出なければ資料が出せないとか、調査委員会がまず先だということではなくて、やはり国会でも求められた資料を出していく、そういう姿勢が必要だと思いますが、大臣、いかがですか。

山本(有)国務大臣 おっしゃる意味で、行政の中身は本来透明であるべきであるという観点、原則がございます。しかしながら、今回のこの談合疑惑、今、公正取引委員会での調査案件でございまして、またさらには、東北農政局に設置されました公正入札等の調査委員会は、公正取引委員会及び警察関係と密接に連携をとりながらこの調査をしているわけでございますので、そういった意味で、強制的な調査に支障のないように、我々としましても、その範囲の中でできるだけ情報開示したいというように考えるところでございます。

岡本(充)委員 では、大臣、この間、私の指摘を受けて、できるだけ公開した資料というのは一体何があるんですか。従前より公開していなくて、私が求めた結果、この当委員会で求めた結果、公表した資料というのは何がありますか。具体的に言ってくださいよ。

山本(有)国務大臣 まず、農林省OBが再就職している会社のリストに対応して、落札価格一億円以上の工事、そして仙台東地区の過去の事業一覧ということでございます。

岡本(充)委員 私が今回指摘をして公表することになったものを聞いているんです。従前より公表しているものじゃない。私が指摘をして公表したものは何ですか。言ってください、全て。

山本(有)国務大臣 こうした公表資料を先ほど御紹介させていただきましたが、再度、繰り返しになりますけれども、公正取引委員会の調査が入っておりまして、その了解、あるいは警察の捜査が並行して行われているというように想像しておりますけれども、その人たちの、関係者の御了解等が得られた部分につきましては公開していきたいというように思っております。

岡本(充)委員 違う、私が指摘をして公開した資料は一体何なんですか。できるだけ公開したいと言って、全然開示していないじゃないですか。何を公開したか、ちゃんと全部言ってください。

山本(有)国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、落札価格一億円以上の企業別工事一覧表、そして仙台東土地改良建設事業所で実施した工事一覧表、それを御提出させていただいているところでございます。

岡本(充)委員 二つだけですよ。ほとんど、全くゼロ回答。幾つも要求している。一体どこにOB会があったのか、例えばこれ一つとっても、公表することができないと言っている。

 でも、皆さんのお手元にお配りをしている資料をめくっていただきますと、私は調べました、四ページから、これはインターネットに出ています。「かわら版丹後会通信」。この丹後会通信、去年の夏です。去年の夏に総会をやっている。これは、書いてありますように、農水省の近畿農政局のOB会です。

 現にここに、五ページ目を見てください、近畿農政局の農地整備課長が行って挨拶している。しかし、これもわからない、あるのかどうかわからないと言っている。そしてまた、六ページ、秋になると今度は、またもや丹後会、開催をされています。丹後会は、ここにまた近畿農政局の同じく農地整備課長を招いて会を開いています。

 委員長、この農地整備課長、ぜひ国会へ呼んでいただきたいんですが。

北村委員長 後刻、理事会で協議いたします。

岡本(充)委員 農水省は知らぬ存ぜぬ、わからないと言っているけれども、現役の職員が行っているじゃないですか。これは、それこそ私人として行ったんですか、公務として行ったんですか。どちらですか、大臣。

山本(有)国務大臣 一般論として申し上げれば、現役職員がOB親睦団体など民間団体の行事に参加することやOB職員と接触することにつきましては、国家公務員倫理法等関係法令や綱紀保持マニュアル等を遵守していただいているわけでございます。仮に、これらの法令等に抵触するような行為を行っているとの情報が得られれば徹底して調査するということでございまして、入札等談合マニュアルに従って公正取引委員会へ通報するなど、そうした場合には適切に対処してまいりたいというように思っております。

 また、九州農政局のホームページの話でございますけれども、九州農政局のホームページに掲載されている活動の実態について調べさせていただきましたところ、南部九州土地改良調査管理事務所の職員五名が参加をしております。これは、平成二十八年七月二十四日の日曜日に行われたこともございまして、これらの職員はボランティアとしてプライベートで参加したということでございました。

岡本(充)委員 いや、私が聞いたのは、それは次ですよ、大臣。早いんです。丹後会は近畿農政局です。読むところを間違えないでください。恥ずかしいですよ。

 近畿農政局のこの課長の挨拶は、公務で行っていますか、プライベートですか。

山本(有)国務大臣 プライベートでございます。

岡本(充)委員 そうしますと、この会に参加しているときには、課長はみずからの車なり交通機関で行き、ここで何かがあってもこれは公務災害とされない、こういう整理でいいんですか。日程調整も全く農政局はタッチしていない、完全にプライベートで呼ばれているんですか。プライベートで呼ばれているものに対して、こんな、課長挨拶として挨拶していいんでしょうか。どうですか。

山本(有)国務大臣 この丹後会につきましてでございますが、休日でございまして、また公用車を使用しておりませず、プライベートであくまで参加をしたということでございます。

岡本(充)委員 ちょっと待ってください。課長としてこれは挨拶しているんですよ。来賓として呼んでいるんですよ。単なるプライベートなわけないでしょう。

 こういった職員の参加はほかにもあるんじゃないですか。これは本当にプライベートと言っていいんですか。ここで何かあって、行く途中に何かあっても、公務災害じゃないんですか。いいんですか、それで、大臣。

山本(有)国務大臣 あくまで、近畿農政局農地整備課長、これは休日に、公用車を使用せず、プライベートで参加した、こういうことでございます。

岡本(充)委員 それで、こういう課長としての挨拶を載せることはいいんですね。

 これは、全く無許可で載せられているんですか、それとも、当然、内容はこれでいいですかと確認を受けていますね。どうですか。

山本(有)国務大臣 これはあくまで民間のホームページでございまして、私ども、これについて確認、許可する筋合いのものではございませんので、民間の親睦団体にプライベートで参加した、そういう位置づけでございます。

岡本(充)委員 これは、出るに当たって、農政局の中で連絡をとって調整した人がいるでしょう。課長の携帯電話に直接かかってきて、いついつ来てくださいと友達みたいな感じで言ったんですか。違うでしょう。局の中で、これに出ることについて、課長が出るということを決裁とっているでしょう。どうなんですか。それもなく、勝手に行っているんですか。

山本(有)国務大臣 この経緯につきましては、詳細把握しておりませんので、確認をして御報告させていただきます。

岡本(充)委員 ほかにもこうやって行っている人たちがいるんじゃないんですか、各農政局の職員が。調べたらいいじゃないですか、こういう同じポジションにある人たちが現に行っているのか。それぐらいは聞いてもらえますよね。どうですか。各農政局の農地整備課長に該当するような課長級の皆さんが、こうした農林水産省のOB団体にどのくらい出席しているのか、当然、局の中で管理されているはずです。それを調べていただきたいと思いますが、大臣、調べていただけますか。

山本(有)国務大臣 プライベートで休日に行く、そうした行動について、我々としまして把握するという認識にはございません。

岡本(充)委員 これは、挨拶の内容が、これが本当に正しいのだとすれば、局の課長として、最後のところでも、各種補助事業で支援してまいりたいと思いますというのは、これは間違いなく課長じゃなきゃ言えないですよ。個人として、各種補助事業で支援してまいりたいなんという言葉は言えないはずですよ。これが個人の会なんですか。同窓会に行っているのと同じですか、これは。違うでしょう。

 なおかつこれは、さらにすごい話で、この上の段を見ると、これは土地改良区の理事長の挨拶の中ですけれども、ここの会で、何と、過日も十三名の理事が手分けして、四十枚の看板、六十枚のポスターを京丹後市地内の各地域全てで最も目につきやすい場所に、支援の輪を広げているところでございますと。これは何かというと、今回行われる参議院選挙の比例代表に立候補されます候補者を私たちも応援してまいります、こういう会ですよ。

 こんな会に出ていて、本当に国家公務員法の、倫理規程に違反しないんですか、どうなんですか。

山本(有)国務大臣 あくまで休日のプライベートな参加でございますし、発言の内容が正確なものかどうかについても、このインターネットのホームページ、作成者、日にち、また作成名義人等を把握するものではありませんし、インターネットを検索したという、そうした事実が正確なものかどうかについて知りようもございませんので、答えようもございません。(岡本(充)委員「ちょっと待って、調査するかどうかちゃんと答えてください、調査するか答えて」と呼ぶ)

北村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を始めてください、起こしてください。

 岡本委員、今の要求については理事会協議といたします。

岡本(充)委員 ひどい話ですね、本当に。ひどい話ですよ。大臣が誠実に調査する気もない。国家公務員がこうした政治活動をしていれば、休日といえども国家公務員法違反でしょう、国家公務員が選挙運動をやっていたら。それは、やはりこれは違反なんですよ。

 もっと言えば、ここに来ているのは、それぞれの市の職員も含めて、私は勝手に来ていると思えない。秋の会だって、この記事がうそ八百並べているんじゃなければ、それぞれ、京都府の室長、京丹後市の農林水産環境部長も来ている。こうした人たちが偶然、たまたまプライベートで集まるということはやはり考えにくい。日程調整を絶対しているはずですよ。それを、ぜひ、あったかなかったか、局内での決裁がどうなっていたか、確認を求めたいと思いますので、委員長、お願いいたします。

北村委員長 後刻、理事会協議をいたします。

岡本(充)委員 あわせて、各農政局管内のOB会、一体何があるのか。近畿農政局の丹後会というのは、このエリアに限っての話のようです。ほかにも近畿農政局にこうしたOB会があって、そこに現職役人が出ていって、懇ろになっているんじゃないんですか。その疑いがあると私は思いますよ、このペーパーは。

 ほかの農政局、もちろん近畿農政局でも丹後会以外のこうしたOB会があるのかどうか、これについても調査を求めたいと思います。

山本(有)国務大臣 繰り返しになりますが、休日に国家公務員がプライベートで参加する団体での活動について、私ども、公の調査をするということは、それは、調査をするあるいは確認をする、そういう根拠は格別見られませんので、我々としましては、調査をする意思はございません。(発言する者あり)

北村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 今の御指摘については、後刻理事会協議をいたします。

 岡本君。

岡本(充)委員 いや、本当にひどい話ですよ。これは選挙違反の可能性もあるわけですよ、指摘しておきますけれども。この場で参議院の比例候補のポスター張りの実績について報告がされているような会ですからね。何の疑いもない会ではないですから。これは当然調査をする必要がある会だということも指摘をしておきます。

 その上で、私は、仙台農政局が国営事業として行ったさまざまな事業の一覧表、全ての要求をしています。ほかの我が党議員からの要望もあり、仙台の一部の地域の土地改良区、東土地改良建設事業所で実施する地区についてはいただきましたが、そのほかについてもいただきたいし、そしてまたあわせて、きょうは大臣から御答弁がいただけると聞いていますが、OBが在籍した会社、そしてOBが在籍していなかった会社、それぞれの入札の決定率、そして落札率は幾つだったのか、数字について御報告をいただきたいと思います。そしてまた、その数字は有意な差があるという検定結果になったのか、検定方法とあわせて御答弁いただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 東北農政局及び入札情報サービスのウエブサイトにおける掲載データ、二十九年四月十日現在、これをもとに、仙台東土地改良建設事業所所管の二十七年から二十八年度発注工事二十七件を対象に整理をさせていただきました。

 各建設会社の受注件数を当該建設会社が入札に参加した全ての件数で割った値は、国家公務員法に基づく届け出がなされている農林水産省農業土木系の元職員が再就職した建設会社につきましては〇・一二八でございました。それ以外の会社につきましては〇・一九六でございます。

 また、落札率でございますけれども、国家公務員法に基づく届け出がなされている農林水産省農業土木系の元職員が再就職した建設会社につきましては九一・一%、それ以外の会社につきましては九三・一%でございました。

岡本(充)委員 それは全くもってごまかして、ずらしている。

 私が求めているのは、国家公務員法に基づいて届け出がなされていない職員がいたでしょう。つまり、届け出されているのは十三人ですよ。この十三人のところなんかは調べればわかるんです。そうじゃなくて、届け出がなされていない職員がいたところでの決定率と入札率を答弁するときょう聞いています。お願いします。

山本(有)国務大臣 届け出義務のないOBの再就職につきましては、農林水産省としましては把握していないところでございまして、把握していない以上は、調べることができませんでした。

岡本(充)委員 いや、ひどいですね。出ますという話をしていましたよ。

 もっと言えば、農林水産省OBが、届け出がないOBがいたかどうか、そのときに、そういう職員がいるかどうか、ちゃんと事情聴取しているでしょう。事情聴取をしていないというんですか。事情聴取の中身を出せと言っているわけじゃない。事情聴取をした項目の中にそういった項目があったということではないんですか。それすらここで隠すという話。

 これも全くゼロ回答、先ほどの公表されている数字をただ単に並べただけじゃないですか。全くもって、農林水産省で調査をした内容を出さないというこの姿勢は、私は大変厳しく非難されるべきだと思いますよ。大臣、秘書官からのメモばかり読んでいないで、こっちを見てください。

 私ね、こんな姿勢で本当にいいのかと。公表されていない職員のOB、いたでしょう。いたんだから、その人たちがいたところ、どこの会社とは聞いていません、その会社を分母、分子にして、それでもう一度調査をすることを求めますので、委員長、これも理事会で協議をお願いします。

北村委員長 後刻、理事会協議をいたします。

岡本(充)委員 いずれにしても、出せる資料を出すと国会で言いながらゼロ回答を続けるこの姿勢、言葉では出す出すと言って、ふたをあけたら、結局それは出せない、いるかどうかわからない、こういう対応を続けている姿勢が、まさに談合の温床を私は温めているんだと思いますよ。

 こういう姿勢でこれからもいくとすれば、それは不正を正すことができない組織を大臣みずから守っているということですよ。本当にそれでリーダーシップを持って調査しているんですか。言われるままの答弁をしているじゃないですか。本当に情けないと思います。

 さて、きょうは一般質問ですから、限られた時間でもう少しだけ質問したいことがあります。これまでも累次にわたって聞いてきましたが、質問が聞けなくて、毎回空振りをさせて申しわけありませんでした。今回は聞かせていただきます。

 獣医師養成の制度について改めて確認したいことがあって、三月二十九日の農水委員会で確認をしましたが、農水省として、獣医師の新たなニーズがあると認識をしているのか、その新しいニーズに対応するのが獣医師でなければならない理由は何か、前回尻切れトンボで終わりましたので、これをきちっと聞きたいと思います。どうでしょう。

山本(有)国務大臣 今回の獣医学部の設置につきまして、農林水産省の所管ではございませんが、昨年十一月九日、国家戦略特別区域諮問会議で、その取りまとめ文書がございました。その中に、創薬プロセスにおける多様な実験動物を用いた先端ライフサイエンス研究の推進、次に、地域での感染症に係る水際対策、こうしたものに、獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要に対応するためであるというようにされているところでございます。

 まず、創薬プロセスにおける新たなニーズについてでございますが、農林水産省の所管でございませんけれども、必ずしも獣医師の資格を必要とするものではないというように考えておりますし、また、獣医学部卒業者の知見が有用であることは言えようかというように思います。

 また次に、地域での感染症に係る水際対策でございますが、現在、産業動物獣医師や公務員獣医師が担っている分野でございます。越境性感染症対策として、国際協力面で大学に拠点があるのは有意義でございます。そうした拠点に勤務する者につきましても、必ずしも獣医師資格が必要であるとは言えないわけでございます。

 新たなニーズがあるということは言えようかと思いますけれども、獣医師でなくても可能な分野だというように思っております。しかしながら、農林水産省として、この考え方に対して異議を唱えるものではございません。

 したがいまして、獣医師の需給そのものに大きな影響を与えるものではないというように考えているところでございます。

岡本(充)委員 それは大臣、答えていないんです。消費・安全局長を登録しながら、あえて大臣が答弁をする政治的マターなんだと思います。

 新たなニーズとは何なのか、きちっと文書で出してください。

 委員長、これ、答弁していませんから。先ほどから、獣医師でなければならない新たなニーズはないということでいいのか、それとも、あるなら、獣医師でなければならないニーズとは何なのかということをきちっと文書で出していただきたい。

北村委員長 局長から答えます。

 農林水産省今城消費・安全局長。

今城政府参考人 お答えいたします。

 ただいま大臣から御答弁させていただきましたとおり……(岡本(充)委員「端的でいいよ、端的で」と呼ぶ)はい。

 いわゆる獣医師資格というものでございます。獣医師資格というのは……(岡本(充)委員「いいよ、もうそれはそれでいいから、端的にニーズだけ、このニーズだというのを。獣医師でなければならないニーズ」と呼ぶ)よろしいですか。

 獣医師であることが必要かどうかということについては、まず、創薬プロセスにおける新たなニーズ、ライフサイエンスということが十一月九日の文書に書かれております。その分野について、必ずしも獣医師資格がないとできないことばかりではない。要するに、獣医師を持っている方々が現実にそこの場についておられるということは承知しておりますけれども、必ずしもそれが獣医師資格が必要か、獣医師資格がないと獣医師法違反になるかと言われれば、そうではありませんということをお話し申し上げます。

 それから、二番目の地域での感染症、ここについては、現在、一旦鳥インフルエンザ等がありますと、産業動物獣医師ですとか公務員獣医師、これは我々国の動物検疫所の職員も含めて、獣医師資格を持った人間が対応している分野でございますけれども、この中で言われている越境性感染症対策についての国際協力の面で、大学について拠点が必要であるというようなニーズというのも含まれていると承知しております。そういったところについては、必ずしも獣医師資格が必要でない部分があるというふうに申し上げさせていただきます。

岡本(充)委員 その上で、今お話があったように、獣医師でなければならないニーズがないという中で、ちょっと確認です、ちょっと話がずれますが、国家戦略特区、構造改革特区において、いわゆる特区事業としてその成果が認められたら全国展開、認められなければ事業廃止となる、こう承知をしていますが、これでよろしいでしょうか。

川上政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区におきましては、国家戦略特区法及び特区基本方針に基づきまして、毎年、各区域会議が認定区域計画の進捗状況を評価することとしております。この評価につきまして、特区諮問会議において調査審議することとしてございますけれども、特に規制の特例措置の審議に当たりましては、規制所管省庁からの意見を聞いた上で、当該規制改革事項の全国展開の可否、要件の見直しの必要性等も含め検討することとしております。

 以下、一般論でございますけれども、仮に、毎年度の評価を行った結果、弊害が生じており、要件や手続の見直しによっては予防措置を確保することが困難な場合には規制の特例措置を廃止することもあり得るということではございます。また、特区が指定基準を満たさなくなったとした場合には特区指定の解除を行うこともあり得る、これも一般論でございます。

 ただし、仮に規制の特例措置が廃止をされたり特区指定が解除されたといたしましても、例えば今回、獣医学部の場合でございますと、獣医学部自体は既に学校教育法に基づく設置認可を受けていることから、直ちに学部の廃止につながるものではないというふうに承知をしてございます。

 なお、仮に学部が廃止される場合には、学生への影響を最小限にすることは当然でございまして、学生の修学機会の確保のための適正なセーフティーネットの構築に万全を期するよう、文科省とも適切に指導していくということになろうかと思います。

 以上でございます。

岡本(充)委員 ということで、これは廃止することは難しいと言っているわけですね。廃止をすることが難しい、つまり、弊害があっても、そして問題があっても廃止をすることが難しいようなもの、しかも、ニーズがあるかどうかもわからない、こんなことを本当に農林水産省は認めていいんですか。やはり現場に、むしろこれが弊害が出てくる、獣医師の質の問題で問題が出てくるというような話になってきたら、これはやめられないんですよ。

 私は、そういう意味で、農林水産大臣として、これは四国だからといって眺めているわけにはいかない問題だということを強く指摘をしておきたいと思います。

 ちなみに、文科省、そういった廃止をするときに学生をどうするのか、ちょっと説明してください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 国家戦略特区の評価でございますけれども、これは今内閣府の方から御答弁いただいたとおりでございます。

 区域指定の認定の取り消しまたは区域指定の解除が万が一されたということになりますと、結果として、場合によっては学部の廃止につながることも考えられます。

 そうなりますと、先生御指摘の、学生の将来に多大な影響も与えるということから、これはまずもって特定事業が適切に実施されるよう、区域会議において評価プロセスの中で適切に対応いただきたいということになろうかと思います。

 また、そのような事態が生じた場合には、基本的には、学校法人において、今治市とも連携し、転学を初めとした学生に対するさまざまな支援を、まずもって支援を行うということでございます。まずもって申し上げておきますけれども、極めて適切に対応いただきたいというふうに考えている次第でございます。

岡本(充)委員 時間ですので終わりますが、これぐらい文科省も、学校の特区を認めることに対して極めて慎重であるべきだという話をされ、そして、内閣府としても、これは問題があってもやめることができないと言っている。こんな特区制度はほかにないでしょう。そういう意味で、こうした学校法人、生徒に影響があるような特区については極めて慎重であるべきだと私は指摘をしておいて、質問を終わります。

北村委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民進党、宮崎岳志でございます。

 本日は、十五分ということでごく短いですので、本当に事実関係のみ、いろいろ確認させていただければと思います。

 東北農政局をめぐる談合事件についてお伺いいたします。

 この事件は東北農政局が出している復興事業をめぐるものでありますが、その舞台となったのは北杜会というOB組織、東北農政局のOB組織とされております。そして、その組織は東北土地改良建設協会の事務所に間借りをしていた、こういうことであります。

 先ほどの岡本委員の質問とも完全に重なるわけでありますが、東北農政局OBが再就職をしている会社、これはいわゆる土地改良建設協会の会員名簿をつけさせていただいております。これは四十二社あるんですが、実際、東北の方に支店を持っていないところもありますので、東北ということになると、このうち三十一社とかということが報道はされておりますが、それについて東北農政局OBがいるのかいないのか、これについて確認をしたい。

 ただし、前回出していただいた資料、これはいわゆる国家公務員法百六条二十四の届け出に基づくものということなんですが、実は、地方農政局の、今回の例えば土地改良事務所の担当課長とかというレベルだと、実は管理職員に該当しないんですね。いわゆる天下り規制のための、再就職規制のための公表対象じゃないんです、そもそも。

 そういうこともありますので、それに満たない方、また離職後二年超を経てからの再就職等、今回の届け出の対象にならない人についても、これは顔の知っている中の話ですからね、全国調べろという話じゃなくて、まさに職場の仲間として顔を知っていて、ああ、あの人はあそこに行ったねとわかるような範囲のことだと思うので、ここをぜひ、何社、東北農政局のOBが再就職をしているのか、教えていただけますでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員法に基づきまして再就職の届け出がなされている平成二十年十二月から二十八年十二月までの間、農業土木系の元職員のうち建設会社へ再就職した人は十一社で十三名でございます。退職時に東北農政局職員であった人はいないということでございます。

 また、国家公務員法に基づく届け出義務のない退職者の再就職に関しましては、農林水産省としては把握をしてございません。

 他方、東北農政局につきましては、談合を疑わせる情報があったために、現在、入札等談合情報マニュアル等に従いまして、公正入札等調査委員会におきまして、入札参加企業等に対する事情聴取を行って、談合の有無を調査しているところでございます。

 その過程におきまして、例えばOBに関する情報を得ることも可能性としてはあると考えられますので、この調査で得られた内容の一部といえども公にすることは事実解明にマイナスの影響を与えるおそれがあると考えますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

宮崎(岳)委員 事実解明にマイナスの影響があるんですか、OBがどこに天下っているか情報公開すると。そんなばかな答弁はないでしょう。

 山本大臣、それでいいんですね。OBがどこかの会社に天下っているということを公表すると事実関係の解明に支障が出るからしない、そういう言い方を大臣もされますね。

山本(有)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、十一社に対しまして幹部職員が十三名再就職しておりまして、退職時に東北農政局の職員であった者はいない。そして、幹部ではない方々について届け出義務がないわけでございますので、これについては把握しておりません。

 そうした意味で、できる限り把握をして、公開できるもの、公表できるものにつきましては、公表していきたいというように思っております。

宮崎(岳)委員 仙台東土地改良事務所、じゃ、今の話でいいますと、国家公務員法の百六条二十四の届け出の対象となる人って誰ですか、この事務所の。どれぐらいのレベルの方ですか。答えられますか、農村振興局長。

佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員法上の届け出義務がありますのは、七グレ二種以上ということになっておりますので、仙台東事業所で申し上げますと所長ということになろうかと思います。

宮崎(岳)委員 つまり、土地改良建設事務所では、部長も課長も対象にならないんですよ。

 現地の職員の方で、それは全国異動して東京へ来て局長になろうとか次官になろうとかという方の話じゃないんですよ、今回のケースは。地元の方々がそこに居残って、そして談合組織をつくっていた、こういう話なんですから、国家公務員法上の届け出があるかないかなんてことを言っていて、そこしか出しませんよなんて言っていたら、一切解明にならないんですよ。ほとんど対象じゃないんだから。所長だけでしょう。部長も課長もならないわけでしょう。ですから、ぜひこれは改めてきちんと調べていただきたい。

 それで、顔の見える範囲の方なんですよ。歴代の、そこの所長さん、次長さん、部長さん、課長さん、そこの限られた範囲のことですよ。その方々が、先ほど言った、いわゆる土地改良建設協会に、加盟社に天下っているんですか、いないんですかと。個人名を挙げろとも言っていません。会社がどこですか、ほとんどいるんですか、それともちょっとなんですかと。今名前の出された十一社は出され損ですよ。だって関係ないんだから、東京まで来てそこから天下っている人の話と。

 だから、そこを再度調査して公表することをしていただけるのか、それとも、先ほど振興局長から答弁ありましたとおり、いや、それは妨害になるから出しませんというのか、どっちなんですか。出していただけますか。

山本(有)国務大臣 再就職という観点から、この再就職行為規制に抵触する問題につきましては、現在、内閣人事局で全省庁的に調査を行っておりまして、農林水産省としましては調査に協力しておりますし、仙台東についての再就職につきましても重点的に協力をしているところでございます。

 次に、談合問題に限って申し上げれば、現在、立入検査、調査が進んでいるところでございますので、この公取の調査権限のもとに把握をされているだろうというように思っておりまして、また、農政局で調査をしている部分につきましては、公正取引委員会の了解が得られたものについてお出しができるというように思っております。そうした整理でございます。

宮崎(岳)委員 自分たちの職員のことなんだから、聞けばわかるんじゃないですかと言っているわけですよ。歴代の土地改良の所長とか次長とか課長とか部長とか、あるいは本省の担当部署の課長とか、そういうレベルの話で、国家公務員法上のいわゆる天下り規制の、幹部公務員として公表されるような対象の人じゃない人が多いんですよ。

 それを調べていただけるのかということを言っているんですが、ちょっと水かけ論になりますので、これはぜひ委員長に引き取っていただいて、ぜひこれは調査して公表させるようにお願いできないでしょうか。

北村委員長 理事会協議が必ずしもふさわしいとは思わないので、本当はもう少しやりとりしてもらった方がいいと思うんですが。(宮崎(岳)委員「じゃ、答えてください。関係ないことを言わないで」と呼ぶ)

山本(有)国務大臣 届け出義務のない方々の調査、そうする根拠が、我々としましては、疑いが合理性があるというような話でないと、なかなか私どもの調査も及ばざるところにあるというように考えておりますので、任意で相手方が了解があるというような形で、しかも、公正取引委員会が、了解をとる、あるいは警察が了解というような手順を踏めたものがありますれば、公表したいと思っております。

宮崎(岳)委員 警察の了解が必要なんですか。ちょっとよくわかりません。検察ですか、何ですか。

山本(有)国務大臣 東北農政局に設置しております調査委員会は、随時、公正取引委員会及び警察署等々、警察関係者とこれを連絡調整するというように定められておりまして、その意味で、両機関の了解のないものにつきましては公表はできません。

宮崎(岳)委員 自分のところのOBがどこの会社に入っているかを警察に聞かなきゃ言えないなんて、そんなばかな話がありますか。ちょっとおかしい話だと思います。だって、自分のところの職員ですよ。全然関係ないところのことを言っているわけじゃないんですよ。自分のところの職員がやめた後、どこへ勤めたか。自分のところの現役とOBに聞いて、ここに行っていますよ、それだけじゃないですか。それを言っちゃいけないんですかね。私はちょっとよくわかりません。

 ちょっとこれは十数分、十五分のうちの十二、三分もう使っておりますので、次の質問をさせていただきますけれども、これは必ず出していただくように、お願いを改めて申し上げます。

 あとは、北杜会なんですけれども、北杜会について、仙台東土地改良事務所とか農政局管内のいろいろな出先機関、これは交流を北杜会と持っているということはありましたでしょうか、現役職員も含めて。例えば、イベントに北杜会の御協力をいただくとか、あるいは何か、この北杜会というのはゴルフとかマージャンとか囲碁とか釣りを楽しむ会だということですが、そういうゴルフやマージャン、囲碁、釣り等に参加するとか、そういった交流はありましたでしょうか。お答えいただけますか。

山本(有)国務大臣 一般論として申し上げますが、任意団体の総会や懇談会等に現職職員が参加することにつきましては、国家公務員倫理法等の関係法令や綱紀保持マニュアル等を遵守する限り、問題はございません。

 今回の東北農政局の事案につきましては、東北農政局に設置されております公正入札等調査委員会において必要な調査を行っているところでございまして、議員御指摘の事項につきまして、現在実施中の調査に支障が生じるおそれがあるため、お答えは差し控えるということでございます。

 調査の過程につきまして、仮に職員が国家公務員倫理法等関係法令や綱紀保持マニュアルに抵触するような行為をとったとの情報が得られるならば、徹底して調査いたしますし、入札等談合情報マニュアルに従って公正取引委員会等へ通報するなど、適切に対応しなければならないということを申し添えます。

 以上でございます。

宮崎(岳)委員 ちょっと意味がわからないんですけれども、何で、その北杜会の会に現役が参加していたりしたということがわかることが調査の支障になるんですか。ちょっと意味がわかりません。なぜ調査に支障を来すんですか、それで。お答えいただけますか。

山本(有)国務大臣 調査に支障を来すとかどうとかということではなくて、国家公務員法の法令に従っていただいておる限り、参加することは問題がないわけでございます。それを端的に申し上げたいと思っております。

宮崎(岳)委員 大臣、今、調査に支障があるからと言ったばかりですよ。もう一度、さっきの読んでください。

 国家公務員として別に民間のものに出ても不適切なことじゃなきゃいいわけだから、そういうことがどうかと別に調べる必要はないんじゃないか、こういう話ですね。

 そもそも、これは、OBが談合組織をつくっている、現職から情報をとっている、その情報をもとに談合していたという、今報道されている範囲の事案なんですよ。そこでゴルフやマージャンをやれば何が生じるかということですよ。昔、五五年体制のときは、与野党の国対間で、振り込んだり振り込まれたり、マージャンなんかもあったというふうに聞いていますけれども、結局、ゴルフで握ったり、マージャンでかけたり、そういうことを通じてお金が動いたりということがあるから、国家公務員でもゴルフやマージャンについて結構厳しく規制していたりとかいうことがあるわけですよね。

 そういうことも含めて、そもそもこの北杜会と交流があるのかないのか、どうなんですか。あるかないかだけ、わかっている部分だけで、具体的なことを言えとは言いませんけれども、この現役と北杜会の、あるいはその会員との交流というのはあったんですか、なかったんですか。どっちですか。細かいことはいいですよ。大臣、言ってくださいよ。

山本(有)国務大臣 国家公務員倫理法等の関係法令に違反しない限りでの交流はあったというように考えております。

宮崎(岳)委員 交流があったというお答えをいただきました。

 残念ながら時間が来ましたので、本日はここまでといたします。ありがとうございました。

北村委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 民進党の小山展弘です。

 早速質問させていただきたいと思います。

 何度も聞いて申しわけないんですが、いよいよお茶が、一番茶、新茶の季節に入ってまいりました。多分これは宮路先生、森山先生も、にこやかなエールを送っていただきまして、御関心のあるところだろうということで、野党の一議員としてではなくて、お茶産地の代表者として、宮路先生、森山先生の分も含めてお尋ねしたいと思いますが、ことしのお茶の生育状況あるいは今後の見通し、できれば在庫とか価格の見通しも含めて、政府の認識を伺いたいと思います。

山本(有)国務大臣 現時点でのお茶の状況でございます。

 収穫の早い産地である鹿児島県でございますが、平年より七日から十日程度生育がおくれております。四月上旬から収穫が始まっております。鹿児島県の市場取引は四月十一日から開始されておりますが、取引量がまだ少ないために、全体の見通しは立っておりません。現在のところ、品質はよくて、価格は昨年よりも高目に推移しているところでございます。

 静岡県でございますが、一番茶の初取引は四月二十四日というように聞いております。一番茶の新芽の出芽は始まっておりまして、今後、天候次第でございますが、収穫期は平年より一日から三日間早くなっております。生育が早かった昨年よりも六日から九日おくれているという状況でございます。四月十八日からJAグループ及び県が県内茶園の生育調査を実施しておりまして、生育状況や収穫時期予測を取りまとめる予定だそうでございます。

 そして、お茶の生育あるいは取引価格というのは、低温や降霜等の気象条件等による収穫変動や品質低下の影響を受ける場合もありますので、農林水産省としましても、引き続き各産地の作柄や価格動向を注視してまいりたいというように思っております。

 昨今、お茶の新たな需要拡大そして輸出促進が叫ばれておりまして、国内外における積極的なお茶に対する取り組みを進めてまいりたいというように思っております。

小山委員 ことしは価格が少し高くなることが見込めそうだということで、大変、去年、おととしと、去年はおととしと大体同じぐらいで、おととしがその前よりも相当下がったということで、かなり苦しい経営をしておりますものですから、ことしは価格が上がっていく工夫も、より一層対策をしていただきたいと思いますし、大変失礼しました、大臣の御地元の四国、高知県でもお茶を生産されているのも伺っておりますので、ぜひ今後も動向を注視して政策を打っていただきたいと思っております。

 きょうは、数日前に新聞報道にも出ましたJAの監査のことについて伺いたいと思います。

 これはおととしの農協法の改正についてもこのことが大きなテーマとなりましたが、今回、監査費用の調査が行われたということで、報告書では、JAが対策を講じれば監査費用負担を低減させることができるのではないか、決算の仕方を支店でそろえるとか内部監査とか監事監査の充実とか、いろいろそういうことが出ておりました。報道でもこれは出ております。

 だけれども、仮に監査費用そのものはふえなかったとしても、JAに対策を講じるということになるわけですから、これは実質的にJAの事務負担がふえたりとか、あるいはJAの職員の人件費がふえて、JAの負担というのがふえるんじゃないかと思うんですけれども、これについてはどのような御認識をお持ちでしょうか。

山本(有)国務大臣 JAの監査費用について、平成三十一年から農協が公認会計士監査に移行するということをいただいております。円滑な制度移行に配慮する観点から、調査委託事業として今回ちょっと調査をさせていただきました。

 御指摘のように、この調査で、監査費用を抑制するために農協側で実施できる対策として、業務手順の統一など効率化を進めるという御指摘でございまして、組合員のために事業を効率化する、農産物の販売事業等の的確な遂行をしていただく、農業者の所得の増大をそれで図ってもらう。短期的には支所間での業務手順の統一のための農協の事務負担等が増加したとしましても、長期的にはむしろ農協にこのことはメリットをもたらすというように考えるところでございます。

 いずれにしましても、スムーズな、円滑な移行というものに対して、我々もできる限りの支援をさせていただきたいというように思っております。

小山委員 確かに、中長期的に見て、内部管理体制の充実とか不断のこういった間接部門の業務改善というのが必要というところは、私もそのとおりだと思います。

 しかしながら、農協法改正の附帯決議では、あくまでも監査費用がふえないように配慮するというふうに定められておりました。実質的には、配慮ではなくて、JAに対策を要求するようなことになっていまして、まあ今回はまだ調査の段階ですけれども、この配慮が行われていないんじゃないか、こういうようにも受け取るんですけれども、これについてはどのようにお考えですか。

山本(有)国務大臣 この調査でございますが、民間事業体である農協の監査に関しまして、国費で調査を行わせていただいておるわけでございます。それ自体、改正農協法附則の配慮規定に基づいた実施であると位置づけております。

 また、この調査で提言されました対策というものは、農協にその実施を要求しているわけではありませんで、あくまでも各農協からみずからの判断で実施していただくことを前提としている内容でございます。支所間での業務手順の統一など監査費用の抑制のみならず、事業の効率化を通じて農協にメリットをもたらすというように考えておりまして、自主的な対応であり、かつ農協本体にメリットがあるだろうというように考えております。

 そして、この農協の対応策に加えて、農協に求めない分野としましては、公認会計士側がQアンドAあるいは研修等を通じて予備知識の習得にしっかり努めていただくようにお願いすること、あるいは中央会から監査法人への引き継ぎの仕組みを整備することも提言しておるわけでございまして、こうした観点から、農林水産省、金融庁、日本公認会計士協会及び全国農業協同組合中央会、こうした四者協議の場等を活用させていただきまして、対策を着実に実施し、公認会計士等の関係者になお円滑な、スムーズな監査ができていくように配慮をいただこう、こういうように思っておるところでございます。

小山委員 今、JAの対策については、あくまでも自己判断というか自主的な取り組みということですので、そうすると、今回の調査では、サンプル的に、全部の農協でやったわけではないわけですけれども、そのサンプルでやって、コスト削減が七割できるよということですが、そのとおり全国の農協でいかない可能性があるわけですね。

 そうすると、この後ちょっと伺おうと思うんですが、コストが低減できないJAというのがもっと三割以上に発生する可能性は十分考えられ得る。しかも、強制はしないということですから、七割もいかないかもしれないですね。なので、やはりこれはコスト、監査費用の負担はふえるんじゃないかなということになろうかと思っております。

 私はこんな嫌みっぽいことを余り言いたくはないんですけれども、実は、配慮というのがやれる方法というのはやはりないんじゃないですか、本音のところでは。今、JAの側、公認会計士の側でいかにコストを下げようと検討されていると思うんですが、実際にはやはりふえるんじゃないか。

 ふえた部分を今までと同じようにするためには、国が補助金を出すか、どこかが支援をするかということなんですが、なかなかその支援というのが、公認会計士協会でも、ほかの株式会社と違って、JAだけ国から監査費用補助が出ますなんてことはできませんので、なかなかその手がなくて今いろいろお困りなんじゃないかなということもちょっと感じるんです。これはまだまだこれからの話ですので、いろいろな機会があろうかと思いますが。

 今回出た調査委託事業の報告書で、内部監査や監事監査及び公認会計士監査の連携体制の構築ということが出てきておりますけれども、これはどういうことを指していらっしゃるのか。また、JAバンクのモニタリング体制、JAバンクシステムのものもあるんですけれども、そういったJAバンクシステムとも情報の共有とかは連動をしていくんでしょうか。お答えを願います。

齋藤副大臣 一般的には、企業等の監査におきましては、内部監査部門や監査役と公認会計士とが不祥事等に関する情報を共有することによりまして、財務報告における虚偽記載を未然に防ぐなど、監査の有効性及び効率性を高めることができる。これは一般論ですけれども、そういうことだろうと思います。

 農協の監査でも同様の連携を行う必要があろうかと考えておりまして、その点につきましては今回の調査においても指摘をされているところであります。

 加えて、農協につきましては、今、小山委員御指摘のように、JAバンク法に基づき農林中金が、委員、プロでいらっしゃいますが、その指導権限に基づいて各農協の経営改善指導を行っているわけであります。信用事業に係るシステムや事務手続の全国的な運営等も担っておられるわけでありますので、農林中金と公認会計士とが連携体制を構築することも重要であろうというふうに考えております。

小山委員 一般論としてということで内部管理体制のということで、確かにそれは一般論としてはそのとおりだと思うんですが、ただ、そういう中で東芝の粉飾決算事件が起きて、今東芝が大変なことになっている。やはりなかなか、こういう体制ができたからといって、それで不正やあるいは粉飾がなくなるということでもないのではないだろうか。

 それともう一つ、今、JAバンクシステムと公認会計士協会との連携ということがありましたが、これまで中央会の監査と業務監査ということで、おととしも議論がありましたが、情報共有をして、それで不正をかなり未然に防いでやってきた。これは当時の林大臣も、よくやってきたということで御評価いただいて、全くそういうものがなかったわけではないですけれども、大きな破綻事例とか、東芝みたいなことはなかったわけですね。そのシステムをなぜやめてしまうのかということがやはり今でも私は疑問に思うんです。

 この監査費用の調査において、先ほどもちょっと大臣のところに触れさせてもらったんですが、JAの七割は、こういった対策を講じれば実質的に負担が発生しない、だけれども、三割のJAについては負担がふえるんだということなんですけれども、この負担がふえるJAというのはどういうことで負担がふえるのか、それはどういったJAなのか、もう少し詳細に答弁願いたいと思います。

齋藤副大臣 今回の調査におきましては、提言された対策、これを実施すれば、中央会監査と比較した監査時間が最終的には二十三農協中約七割の十五農協で減少する、約三割の八農協では増加するという結論が得られているわけでありますけれども、この増加する八農協の監査時間も、これまでの中央会監査と比較して、その増加の幅は一〇%未満にとどまるということになっています。

 実際の監査では、監査人がそれぞれ専門家として監査時間等の必要性を判断するために、監査人によってある程度の差が生じるということはあろうかと思います。こういうことを考えれば、今回の調査結果で得られました一〇%未満の監査時間の差については、これまでの中央会監査とそう大きな差があるものではなかろうというふうに評価をしておりますが、ただ、これを全国展開した場合の委員御指摘の懸念につきましては、我々はこれからも注視をして、しっかり対応していきたいと思っています。

小山委員 監査時間のところは今御答弁いただきましたが、多分、多くの方が関心を持っているのは、最終的に費用のところですね。そうすると、監査時間掛ける報酬単価ということになろうかと思いますが、今までの中央会監査を行ってきた監査士と公認会計士というのは同額の報酬を得ていたのかということも関心があるんですけれども、この単価設定について、あるいは今までの監査士と公認会計士の報酬の事実としての違いについて答弁いただきたいと思います。

齋藤副大臣 この点につきましても、委員御指摘のように大変重要な点だと思っておりまして、今回の調査におきましても、監査の報酬単価についても、公認会計士の監査と全中監査の比較分析を行っているところであります。

 それによりますと、全中監査の報酬単価につきましては、全中の平成二十七年度のデータに基づきますと、時間当たり一万一千三百九十三円と算定されております。公認会計士監査の報酬単価につきましては、これも平成二十七年度の日本公認会計士協会のデータに基づきまして、これは規模によって幅があるわけでありますけれども、経済事業では一万百三十六円から一万二千四百六十七円の幅になっています。時間当たりです。信用事業でも九千八百九十九円から一万一千六百十三円の幅になっておりまして、ですから、全中と公認会計士監査のどちらかの単価が一方的に高いとか一方的に低いとかいう関係は認められなかったというのが今回の調査でございます。

 各農協におきましては、このような調査結果も踏まえながら適切な監査人を選任していくということになるのかなというふうに考えております。

小山委員 今は公認会計士の方もかなり多い、ちょっとあぶれている、あぶれているというか、なりたくても監査法人に就職できないという方もいてということなんですが。

 一年目は監査費用を抑えたとしても、これは契約ですから、しばらく、二年、三年たって監査費用を上げる、単価を上げるかもしれない、そういうことも考えられますし、そうすると、いつまでの年限で配慮をしていくのか、こういったこともこれから論点になってこようかと思いますし、私は信用事業の単価設定というのはもっと高いんじゃないかなという感覚を持っていますが、これはちょっとまた、私もちょっと自分なりにいろいろ調べてみたいと思っております。

 それと、きょうは本当はマリンバンクのことを質問したいので、監査費用のところで最後に大臣に伺いたいんですが、先ほどもちょっと業務監査の話題を出したときに申し上げたんですが、結局、監査士と公認会計士さんでも、今の齋藤副大臣のお話だと単価は変わらない、今までも特別問題なくやってきた、だけれども、多くのJAでは負担が何らかの形でふえる。それは職員へのしわ寄せであったり、あるいは、どこかでコストが発生すればどこかでコストを吸収しなきゃいけないということになりますと、場合によっては組合員さんへの利便性の削減にもつながりかねないということになろうかと思います。

 何らかの形で組合員さんに負担が発生するんじゃないかと思いますけれども、こういったJAの負担がふえることについてどのように、本当に組合員さんのためになるんだろうかということを大臣にお尋ねしたいと思います。

山本(有)国務大臣 農協や公認会計士などの関係者の皆さんの取り組みや、監査費用をそこで抑制していただけるように図っていただけるということ、現行の全中監査とほぼ同じかそれ以下の監査時間になるというように現在は判断しておりますので、監査時間と監査報酬の推移から見ますと、むしろ負担は軽減される可能性も含まれているというわけでございます。

 ただ、しっかりとこの現実の費用について注視しながら、もし膨大な負担になるならば、何らかの配慮、支援策というのを考えていく必要があろうというように思っております。

 平成二十九年の調査委託事業を実施するということをさせていただいておりまして、引き続き、さまざまなケースの農協について検証を図って、そうした負担のないように配慮していきたいというように思っております。

小山委員 今までの全中監査では、割と否定をされてきて、要らないということになって、コンサルタント的な、経営指導的なことも含まれていたんですね。それとJAバンクシステムが情報共有をする、連動するということで、破綻防止あるいは経営悪化を未然に防ぐという機能も果たしてきたと思います。

 このコンサルタント的な、経営指導的な部分というのはまさになくなってしまうと思いますので、それからすると、私は、業務監査も含めていた全中監査と公認会計士の会計オンリーの、本来は株主のための情報が的確かどうかということを調べる監査と同列には論じにくいんじゃないか、やはり機能低下するということだと思いますので、ここはいろいろ考えるところはあるんですけれども、またここは引き続き御検討を配慮についてお願いしたいと思っております。

 農工法については、ちょっと時間が迫ってまいりましたので、次回か次々回に移させていただいて、きょうは漁協系統の信用事業についてお尋ねをしていきたいと思うんです。

 まず、漁協系統の信用事業が果たしている役割、社会的使命について大臣の評価を伺いたいと思います。

山本(有)国務大臣 漁協系統の信用事業についてでございます。

 相互扶助の理念のもとで、組合員から貯金として集めた資金を、事業、生活のために必要な組合員に貸し付ける役割を担っていただいております。

 水産業は一般に生産リスクが高く、借り手であります漁業者の信用力、担保力が低い状況にございます。このため、組合員の経営状況等をしっかり把握した上で、その事業や生活に必要な資金の融通を行う漁協系統の信用事業は、漁業、漁村の発展に不可欠な極めて重要な役割を今まで果たしてき、また今後も果たすだろうというように思っております。

小山委員 今、本当に大臣からいい御答弁を、特に、漁業の発展だけじゃなくて漁村の発展と。まさにマリンバンクも、漁業金融ということプラスやはり地域金融機関的な要素があるということだと思っているんですね。

 それと、きょうお配りをした資料の一番最後のページの右下の方を見ていただきたいと思うんです。

 これは誰が書いたか、ちょっと恥ずかしくて言いませんけれども、「JFマリンバンクは全国の漁協、信漁連、農林中金などの漁協系統金融機関です。県内漁業のメインバンクとして浜の暮らしを守ってきました…」と。この二重線を引っ張ってあるところなんですが、ですから、農林中金というのは、JAバンクだけではないんです、JFマリンバンクの機能も持っていて、まさに産業組合中金以来の伝統を持っている。

 その次に、「他の金融業態が容易に肩代わりすることが難しい漁業金融を守る」という使命感、まさにこれが、私は、マリンバンクがマリンバンクとして、大変少ない貯金量の中でもこれまで維持をしてきたことだと思っております。まさに大臣がおっしゃっていただいた、他の金融機関では肩がわりしづらいリスク分析をして、貸し出しのノウハウを持っている、そして相互金融機能も持っているということだと思っておりますし、また、そのことを誇りとして絶対に周りの地銀とか信金に負けちゃいけないと思っております、その職員さんの能力が。

 そういったことで、マリンバンクをやっているんですけれども、低金利とか全国連からの支援もあって近代化資金の利息は相当低くなっていて、漁業者は助かっているんですけれども、一方、保証料についてはなかなか難しいかと思います。助成がないということで、保証料の負担が大きいということがあるんですけれども、何とか保証料負担への支援というものは検討できないんでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 今先生からお話がございました、漁業者がいわゆる融資を受ける場合に、協会保証の仕組みがございまして、保証料を支払えば保証人を自前で調達しなくても融資が可能となることから、漁業者にとって有利な仕組みとなっております。保証料は融資額の〇・三から一・二%である、こういうふうに聞いております。

 保証料の助成については、そういう声があるということは十分理解をいたしますけれども、ただ、もうこれは先生十二分に御存じだと思いますが、仮にそのような制度がございますと、いわゆる安易な資金の貸し出しにつながって、金融機関が最終的な貸し倒れリスクを基金協会に委ねるということが容易になることから、基金協会にリスクが集中して、その運営に悪影響を与えるおそれというものも十分考えられます。したがって、私どもとしては、御指摘の点については慎重に検討していくという必要がある、こういうふうに考えております。

小山委員 金融機関もやはり貸し倒れリスクはちゃんと見て貸し出しをするわけですし、保証協会も担保をとったりするものですから、そこは、貸し倒れリスクに対しては、今度は保証協会の担保をとるかどうかということもやはり検討すべきだとも思いますので、またぜひ、金利の方はかなり低下していますので、何も新船建造でなくても、機械の換装資金とかそういうこともありますので、これはぜひ御検討いただきたいという要望的な質問でございます。

 それと、大変大きな出来事がマリンバンク業界では起こりまして、四月一日から和歌山信漁連、兵庫県信漁連の合併ということで、なぎさ信漁連が創設をされました。これについての山本大臣、政府としての評価、認識について伺いたいと思います。

山本(有)国務大臣 御指摘のとおり、兵庫県及び和歌山県の信用漁業協同組合連合会、本年四月一日に合併をされました。新たになぎさ信漁連として発足しております。信用事業を行う信漁連は各県単位に設置されておりまして、今回の県域を越える信漁連の合併というのは、我が国で初めての画期的な取り組みであろうというように考えております。

 新設されましたなぎさ信漁連につきまして、経営基盤を強化するとともに、サービスの質を高めるという方向性、並びに漁業者の事業や生活に即したきめ細かな金融サービスを提供するというそのサービスの内容、漁業、漁村の発展に大きく貢献していただけるという、こうした大目標を掲げて、私ども、期待をかけて今後の推移を見守っていきたいというように思っております。

小山委員 このなぎさ信漁連の貯金残高、貸出金残高、有価証券運用残高等について、どのような評価を政府として持っておりますでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 貯金残高は約千二百億円で、全国二十ある信漁連の中で第四位、貸出金残高は二百五十五億円で第八位、有価証券運用残高は四十三億円で第七位ということで、経営基盤は従来に比べ格段に強化されたものというふうに認識をしております。

小山委員 経営基盤が大変強化されていて、信漁連の職員さんというのは本当に一生懸命頑張っていると思うんですけれども、ただ、そうはいっても、兵庫県と和歌山県の全域ですね、長い海岸線、それを千二百億円の貯金量で収益のもとにして経営をしている。これは大変苦しいんですね。

 そのことについて、ちょっときょうは時間がなくなってきたので、あとちょっとお話ししたいということを話させていただきたいと思うんですが、相当これは彼らは苦労したんですね。和歌山信漁連の直近の貯金残高が、ディスクローズ誌を見ましたら四百三十億円ということで、この御時世で二十億ぐらいふえているんですね。これはすごいことだと思っております。

 そこで、きょうお配りの資料の一ページ目をごらんいただきたいと思います。

 「商品見聞録」ということで、ちょっと線を引っ張ったりしておりませんが、左側のページの2というところで、信漁連創立五十周年、これは二〇〇五年の資料なんですが、「伊勢エビプレゼント大口定期」ということで、こういった漁協系統の強みを生かした商品を、この文章の中に出てきますが、景品をやったりとか、あるいは、一番左側の上段の最後の方に書いてありますけれども、「週次で実績管理を行うとともに、実績・達成率や支店・営業店からのコメントが掲載されている会内報を作成して回覧するなど、目標達成に向けた仕組みや雰囲気作りを行い、職員一丸となって目標達成に向けて邁進しています。」ということで、こういったことを二〇〇五年からずっと取り組んできた成果があらわれてきている、ノウハウがあらわれてきている。

 ただ一方で、大変やはり漁協系統オンリーの貯金の体制というのは苦しいんです。この資料の一ページ目の、左側の上の方にも書いてあります。「五〇周年記念キャンペーンはただ今展開中ではありますが、魚価安等で貯金財源が先細るなか、何とか歯止めをかけなければと」、だからずっと貯金は減少していったんです。

 この減少は何かというと、魚価安もあるんですけれども、もう一つ、ちょうど竹中金融担当大臣のころに、とにかく店舗を減らせ減らせということで、信用事業を分離して、そして店舗で本来貯金の受け払いができたものができなくなっていった。そういう中で、利便性が悪くなったから貯金が流出する、貸出金も流出する、そこにまた信金、地銀が入ってくるというこの悪循環が続いていったんですね。ですから、信漁連は頑張っておりますけれども、なかなか厳しかったんです。

 この資料の一番最後の方にちょっと書かせていただいたんですが、実は、JFマリンバンクはJAバンクとも競合しているんですね。JAと競合しながらも、身の丈に合った推進ノウハウというものが必要だと。左側の方の二重線を引っ張ったあたりに書かせてもらっているんですけれども、こういうことで、大変厳しい中でやっているということを御認識いただければと思います。

 ここまで考えてくると、もちろん、なぎさ信漁連、あるいはほかにも広域信漁連の話が出てきているかと思いますが、私はやはり、JAとの合併とか地域金融的な要素、きょうまさに漁村の発展に資するということがお話ありましたが、そういったことも検討しながらやっていくべきではないかとも思っております。

 またちょっと機会がありましたら、このマリンバンクについて、建設的な提案も含めた質問をさせていただければと思います。

 きょうは終わります。

北村委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 民進党の重徳和彦です。

 昨今、国際情勢が大変不安定化してきておりまして、いわゆる安全保障、軍事的な安全保障と同時に、食料の安全保障、自給率、こういったことに改めて私たちは思いをいたす必要があるんじゃないか、こう認識をいたしております。

 そこで、まず最初に、食料自給率についてお尋ねしたいと思うんですが、食料自給率にはカロリーベースというのと生産額ベースという一応二種類あるわけですね。我々日本の主食といえば何といっても米であります。この食料自給率に対して米がどのぐらい今貢献しているのか、それをお尋ねしたいと思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 食料自給率は、国内生産でどの程度国内消費を賄えるかをあらわす指標でございまして、国内消費仕向けのうち国内生産の割合がどれだけあるかで計算しております。平成二十七年度の実績は、カロリーベースで三九%、生産額ベースで六六%となっております。

 お尋ねのございましたのは、この計算のもとになりました国内生産において、国産米、米の占める割合がどれくらいかということかというふうに考えておりますが、この国産米の占める割合につきましては、カロリーベースで五五%、生産額ベースで一五%となっております。

重徳委員 米の生産について、増産をして余ったら困るという議論もありますが、余ったらむしろ輸出をすることによって、いつでも、もし食料の輸入が困難な状態に陥ったら国内生産で十分に自給できる、こういう体制にするべきであるというような論もあるわけでありまして、この点については、ちょっと後ほど時間があればお尋ねしたいと思っております。

 いずれにしても、米が占める割合というのはカロリーベースで五五%ということですから、これは大変高い比率だと思っておりまして、米の生産というのは、日本の農業において本当に鍵を握ると思っております。

 ちょっとこれは、食料自給率というのか、いわゆる今御答弁のあった自給率というのは、あくまで、私たちの口に入る、いわば農業でいえば最終商品の自給率ということになるんですが、私たちがもう一つ考えておかなきゃならない食料安全保障における重要なポイントは、そもそも食料を生産するに当たって不可欠な要素は一体何かということです。

 主立ったことを言えば、基本的なことからいえば、それは農業人口ですね、最近不足しているという後継者。それから農地、これも、荒れてしまって耕作放棄地となっているところもたくさんある。それから水も、水資源というのも一つ重要な国内的な資源であると思います。さらに、ほかにも燃料とか肥料とか飼料、餌ですね、それから種です。こういったものについては、日本では必ずしも自給できない、あるいは日本に最初から存在しないものを海外から輸入せざるを得ないという状況でもあります。

 今言った幾つかの中で、燃料というのは要するに化石燃料ですから、これは農業に限った問題ではないので、きょうはちょっと別の議論とさせていただきます。

 そこで、残る三つです。肥料、餌、種、この三つについて、きょうはお尋ねしたいと思います。

 まず、肥料ですね。肥料の輸入の状況を含めて、輸入がもし閉ざされてしまった場合どのように対応していくのか、お尋ねいたします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、燐鉱石ですと全量、塩化カリですとほぼ全量というように、化学肥料の原料のほとんどを海外に依存してございます。仮にその輸入が長期にわたりまして途絶した場合には、農業経営、また、ひいては消費者への農産物の安定供給に大きな影響が生じるということが考えられます。

 このため、肥料原料の安定確保を図るために、全農等、肥料原料の輸入商社におきまして、海外の山元との関係の強化、資本の提携、また新興国での鉱山の開発等を通じまして、輸入相手国の多元化に取り組んでございます。

 一方、営農面では、土壌診断に基づきまして、燐酸、カリ成分を抑えた肥料の使用の推進、家畜排せつ物等の堆肥の利用、下水汚泥から回収した燐酸の肥料化の推進等に取り組んでいるところでございます。

 これらの施策を通じまして、農家への肥料の安定供給に取り組んでまいりたいと存じます。

重徳委員 肥料に必要な燐酸、カリというのは、特に国内での生産はゼロというふうに聞いております。これは輸入に一〇〇%依存しているという状況ですから、今局長が言われたような、やはり危機意識を持っていかないと、自前の肥料というのはなかなか考えづらいということでございました。

 これはこれで一つの大きな論点ではあると思いますけれども、次に参ります。

 餌ですね、飼料、これについて、食料の輸入あるいは餌の輸入、こういったものが閉ざされてしまったような場合にどのように対応するのでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の畜産でございますけれども、トウモロコシ等の飼料原料の約九割、八六%を輸入に依存してございます。仮にその輸入が途絶した場合には、畜産の経営、ひいては消費者への畜産物の安定供給に重大な影響が出るだろうというふうに考えてございます。

 このため、飼料原料の安定確保という観点から、輸入先の多角化等、飼料原料の調達力の強化に取り組むとともに、輸入への依存度を低減するために、飼料増産総合対策事業などの各般の施策を講じまして、飼料自給率の向上に努めているところでございます。

 また、輸入途絶等、不測の事態に備えまして、飼料穀物備蓄対策事業として八十五万トンのトウモロコシ等を備蓄しているところでございます。

 これらの施策を通じまして、畜産農家への飼料の安定供給に取り組んでまいりたいと存じます。

重徳委員 飼料についても輸入に八六%依存ということですから、これも安全保障上、大変重要な要素であるということが確認できました。

 そして、もう一つ、きょう少し改めて取り上げたいと思っているのが種であります。

 種子法の廃止、これはもう衆参を通ってしまって、来年の四月には廃止されるということが決まってしまいました。私はちょっと、決まってしまったものの、我が党は反対をいたしましたが、改めていろいろと調べてみたり、また、皆さん方、地元の皆さんの声を聞きますと、この法案の審議もあっという間でありましたし、安全保障という意味では極めて重大な禍根を残すのではないかという思いを持って、改めて、きょうは一般質疑の時間でありますから、これについて大臣にお伺いいたしたいと思っております。

 そもそも、種は今、飼料とか肥料と違って、とりわけ種子法は米、麦、大豆の話であります、その種は自国できちんと都道府県で生産をし、管理をし、供給をする、こういう体制になっているわけなんですけれども、この都道府県の種の生産の義務がなくなるわけですよね。そして、多くの関係者が懸念されているのは、民間企業、とりわけ多国籍企業がこの分野に参入するのではなかろうかということであります。

 種というのは本当に全てのもとでありまして、種子を制する者は世界を制するとか、遺伝子を制する者は世界を制するとまで言われているものなんですね。それから、米なんかの主要穀物の種というのは増殖率が野菜などと比べて低い、それから時間もかかるんですね。ですから、この安定供給のためにはやはり公的機関がきちんとかかわる必要があるということで、これまで法律があったわけですね。JAのノウハウなんかも欠かせないものである。

 だから、民間が参入するための障壁になっているんじゃないかという議論も、むしろこれはコストもかかるし、中小企業はなかなか参入できないということと同義であって、逆に、グローバルな大企業であればこの分野には参入できる余地が大いにあると見るべきではなかろうかと考えるわけであります。

 実際に、国際的な統計を見ると、ここ十年ほどで、世界各国で公共品種、公的農業試験研究機関とか大学とかでつくられる、生産される公共品種は減少の傾向がありまして、そして、民間品種、とりわけ遺伝子組み換え、GM品種が急増しているという状況であります。野菜、トウモロコシ、大豆、綿花、菜種、こういった分野でとりわけふえているということであります。

 少し、寡占という状況でありますので、具体的な企業名を申し上げますと、農薬企業からスタートしたモンサント、デュポン、これらはアメリカですね。ダウ・アグロサイエンス、これもアメリカ。シンジェンタ、スイス。バイエル・クロップサイエンス、これはドイツであります。それから、種子の専門企業は、リマグレンというフランスの会社、KWSというドイツの会社。こういった今挙げたぐらいの本当に一握りの企業が、世界の農薬市場の七割とか種子市場の六割を占めているというふうに言われております。

 農薬企業が中心になって業界再編を行った、それに伴って種子の企業の再編も行われたということでありまして、農薬と種子はもうセットなわけですね。そして、やはり危惧されるのは、農薬耐性、要するに除草剤に負けない、そういう種を開発し、そしてそれを育てるとともに、その農薬を使う、セットなわけなんですよね。そういう意味で、民間企業、グローバル企業の飛躍的なこの分野における成長というものが、今、現実、進んでいるわけであります。

 なので、今回の種子法の廃止というのは、民間企業のノウハウとか技術を活用するという意味で、その目的のために廃止されたということでありますが、その点について全面否定はしませんけれども、しかし、いきなり廃止、これはかなり、食料安全保障上、重大な過ちを犯しているんじゃないかと私は危惧をいたします。

 そういう状況でありますので、ちょっと大臣に改めて問いますが、やはり政府部門がちゃんと主要農作物については種を生産、管理、供給するべきではないかと思うんですが、こういう重要なことを政府部門、都道府県が手を引いて、法律上ですよ、実際に手を引くかどうかは都道府県は任意なわけですから、法律上、制度上は手を引いて民間に委ねる、こういう仕組みをとっている国というのは海外にどのぐらいあるんですか。海外の状況をお示しいただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 諸外国で主食となる作物の種子の管理、生産、これについてのお尋ねがございました。

 アメリカにおける小麦の状況でございますが、種子の開発、生産は、州立大学または民間企業等により行われております。州立大学の開発した品種は四割から五割程度でございます。民間企業の開発した品種は二割から四割程度のシェアとなっております。

 こうした中、原種、原原種の増殖、管理や、一般種子の増殖、販売につきまして、基本的に品種の開発者である州立大学または民間企業がそれぞれ担っていると聞いております。

 なお、連邦政府の役割でございますが、連邦種子法、これに基づきまして、種子の表示基準等を定める役割を担っているというように、分野別にそれぞれ役割が決められているところでございます。

重徳委員 アメリカ以外の状況はいかがでしょうか。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 ヨーロッパ等の状況、必ずしも詳細までなかなかわかりにくいところがございますが、一般論として申し上げますと、フランスなどを見ますと、やはり多くの企業が種子の分野で活躍をされているというふうに承知をしているところでございます。

重徳委員 詳細はわからないどころか、資料が出てこないんですよ。

 事前の役所のレクをいたしまして、海外の状況はどうなんですかと。これは食の安全保障にかかわる話でありますから、日本のことだけとして考えるべきではなくて、他国ではどうかということぐらい詳細に把握をし、検討した上で、今回の種子の管理、生産についてのあり方を決定していくべきではなかったかと思います。この点は、繰り返し言いますが、食料安全保障上、重大な過ちを犯しつつあるのではないかと私は思います。

 民間企業がどこの国でもやっていますよ、だからいいんですよと。そうじゃなくて、実際に、法律上、日本は、都道府県という政府部門が責任を持って義務づけをすることによって、きちんと安心な、そして地域ごとの条件に合った種子を適切に供給していたわけですよ。これをいきなり廃止、そして、他国の状況はよくわかりませんけれども民間企業が結構やっていますよねと。この程度ですよ。

 だから、この半年ぐらいの間に、この法案については急速に廃止する方向が定まって、そして国会での審議も印象としてはほとんどなされないままに、あっという間に廃止が決まってしまった。来年から廃止ですよ。こういうことについて、先々についてちゃんと責任を持てるのかと非常に強い疑念というか、本当に不安を覚えます。

 この手の質問をしても、不安じゃないですかと言っても、大抵、大丈夫だとかしっかりやるという御答弁しかないので、とりあえず次の具体的な質問に入ります。

 各都道府県は、現時点においては、種子法が廃止されたって都道府県には農業振興の責任があるからちゃんとやります、法律で義務づけられていなくても任意でやります、こういう状況で、大変立派な都道府県であります。しかし、国が責任を放棄している以上、これは必ずしも制度的に保障されているわけではないわけです。

 そして、都道府県の自治体の仕事である以上、これは、法律上の義務づけがあれば、財政措置、いわゆる交付税の算定にきちんと算入されるわけですね。だから、都道府県、大変今も財政厳しいですけれども、それでも、この種子の生産、管理、供給という部分について、きちんと国が財政的な面倒を見て、そして都道府県はきちっとやる、こういうことになるわけですけれども、これからは法律上の義務が何もない、位置づけがないわけですから、総務省と農水省のやりとりになるんだと思いますが、それにしても、何かの拍子で、ちょっとこれからは都道府県の自前の財源で、ある限りでやってくれ、国としては、法律に位置づけられていないんだから責任を持ついわれはないということで、いつ財政措置が打ち切られるかわからない、こういう状況だと思います。

 私が言いたいのは、この財政措置も含めて、先々に、これは子供たち、最近はよく言われるようにアレルギー持ちの子供がふえている、この原因も、はっきりわからない部分もあるけれども、最近、口にしているもの、食べているもの、お母さん方が、お父さん方が食べているもの、これも影響あるんじゃないか、こういうことも言われているわけです。食の安全管理というのは、きちんと国において責任を持つべきだ、先々まで含めて責任を持つべきだと思います。これは食文化にもかかわる話です。この財政措置含め、先々に対してどう責任を持つのか、お答えください。

山本(有)国務大臣 種子法を廃止しましても、各都道府県は、これまでと同様に、生産、管理、供給、そうした主要農作物の種子に対してしっかり継続していただけるということでございますので、私ども、地方交付税をしっかり獲得していく所存でございます。

 振り返ってみますと、平成九年まで措置されておりました補助金でございます。これは廃止されました。地方分権推進を図るという観点で一般財源化されてしまいました。ゆえに、補助金にはこれは対象になりませんので、地方交付税という位置づけでございます。

 また、廃止したとしましても、種苗法に基づいて都道府県が種子の品質確保のために必要な措置を講じるというような話でございますし、そうした意味において、財政的な影響が生じないように、私どももしっかり応援していきたいと思っております。

 特に、農業競争力強化支援法案を含め関連する法令の整備を行いつつ、先日、四月十三日でございますが、参議院農林水産委員会における附帯決議を踏まえまして、これらの事務に要する経費について、引き続き地方交付税措置がなされますように関係省庁と協議を始めたいというように思っております。

 地方交付税において法律によらずとも交付されるという分野は数々ございますので、その意味において、この分野も法律が廃止されましても所要の予算が確保されますように努めたいというように思っております。

重徳委員 大臣、それは全く筋違いな答弁ですよ。法律が廃止されてもしっかりやっていきます、だったら法律を廃止する必要はないわけであります。また、今、分権とか補助金廃止と絡めて御答弁されましたけれども、だったら都道府県に日本の食料安全保障の責務をきちっと法律で位置づけるべきですよ。だから、責任はどこにあるのか曖昧なままに、分権ですから、補助金も廃止されて、交付税措置になって、基本的に都道府県の役割になったんですからなんというのは、これは極めて責任を曖昧にする御答弁だと私は思います。やはり、ちょっといろいろな理屈を、まあ理屈がないからひねり出した理屈だと思います、今の答弁は。非常にこれは不満を覚えますね。

 さらに言いますと、種が民間に委ねられることによりまして、実際には、遺伝子組み換え、GMの品種というのは、コストが、つまり種の費用が上がっているという数字も出ております。つまり、GMが普及している分野の種とそうじゃないものの種との費用の格差、これが大きくなっていると言われております。

 ですから、今回、競争力法案でコストを全体に下げるんだ、こういう議論もあるんですけれども、というか、このためにやっている一連の改革のはずなんですけれども、逆に農家にとって負担が大きくなる懸念があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 農水省の各都道府県への聞き取り調査で、種子法廃止後も引き続き種子の生産、普及に関与するという回答をほとんど得ております。その意味で、都道府県の生産、普及する種子の価格自体が高くなるということは想定されておりません。

 そして、種子法の廃止とかあるいは農業競争力強化支援法案の新規参入支援措置等を通じて、民間事業者の種子生産への新規参入、また大規模な種子生産体制の導入、都道府県が行う種子生産の民間事業者への業務委託、あるいは都道府県施設の民間事業者との共用、そういったものを図っていくことによりまして、種子生産に係るコスト削減も図られるというように予測しております。

 そうなりますと、むしろ価格の引き下げにつながる要因もあるわけでございまして、民間事業者が種子生産を行っている品種につきましては、現状においても都道府県が生産に関与する種子と比較して価格が高いものがございますけれども、高いからといって農家に不利かどうかというと、収量性が逆に高くて、高い種であっても農家所得が上がるというものもございます。

 いずれにしましても、種子法の廃止によりまして都道府県と民間事業者の連携による種子生産が促進されることによりまして、民間事業者が開発した品種も含めて、供給される品種が多様化して、農業者の選択の幅が広がり、農業所得が上がるということにつなげていきたいというように思っております。

重徳委員 もう何か空想の世界のようにしか聞こえません。

 冒頭の質問で、国際的な、海外の状況はどうですかと申し上げたときに、きちんと把握をされていなかったですよね。実際、民間企業が参入して、民間企業が売り出している種に遺伝子組み換えが非常にふえてきているという状況などについてどう捉えているのかもはっきりとしません。

 大臣にちょっと更問いでお尋ねしたいんですが、今、収量がふえると。だから、多少高い種であっても量がふえるし、品質はどうか今お触れになりませんでしたのでどう捉えられているのかわかりませんけれども、だから、農家にとっても多少高い種であってもいいじゃないかという御答弁だったと思います。

 実際、世界で起こっていることは、確かに、大規模な農家にとっては、一定のコストがかかってもたくさんとれるのはいいじゃないかということもあるのかもしれませんが、しかし、そこはGMでありますから、除草作業が楽であれば大規模農業だって幾らでもできるわけですから、こんなにいい種はないわけであります。そして、GMがふえているということによって、農家にとっての選択肢も、そもそも、GMのシェアがふえてくればくるほど従来品種の種を入手することが困難になるわけでありますから、こういった農家の選択肢が狭まっているという状況もこれから出てくるんじゃないかと思います。

 ですから、今までは都道府県が責任を持ってきちんと安心できる種を供給する、ルートも含めて確保していたんですけれども、こういったルートが今後どうなっていくのか、これも空想のような御答弁になるのかもしれませんが、そこはきちっと責任を持った答弁をお願いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 諸外国の例の中に、モンサントとラウンドアップという、そういう遺伝子組み換え種子等作付の問題、これは南米のエクアドル等で散見されるわけでございますが、そうした意味で危険性があるということは、私も否定するものではありません。

 しかし、海外参入を種子法で阻止しているかといいますと、種子法はそうした状況ではありません。むしろ、国内の戦後の食糧不足に対応する種子法で、いわば量産体制を各県に担っていただいたということでございまして、各県に担っていただくということは、日本全国気候が違います、地形が違います、土質が違います。そんな意味において、それぞれの地域地域でしっかりやっていただきたい、こういう特殊性がこの国にはございます。

 したがって、逆に言えば、広大な農地にヘリコプター、飛行機で種をまいて、そしてラウンドアップで除草剤をまいてという低コスト構造の大規模な生産というものに合っていないということが、この国の農業の極めて特徴的なものでございます。したがいまして、これまでそうしたF1の種子において我々が犠牲にならなかったという利点もあるわけでございます。

 そうした意味において、今何が必要かといいますと、例えば新しい需要、輸出の需要あるいは業務用米の需要、そういったものに対して的確に対応するために、今のままの制度でいいのかということでございます。都道府県における奨励品種、この奨励品種がその県の試験場だけで区切られているのではないか。隣の県と一緒になって作付をすることによってより強い農業ができるという例もあるわけでございますし、民間の事業者との連携で新しいこともできるわけでございまして、多様な選択肢を農家の皆さんに提供するという意味において、今の制度で、全国で一律で、各都道府県それぞれ満遍なく全部やってくださいよ、そういう考え方がいいのかどうかというように反省していきますと、やはり種子法は改めて、そして、なおかつ新しい需要に対応するということは、廃止が適当だということに至ったわけでございます。

 御心配の、海外からの種子生産、特に民間事業者の我が国への進出、そういったものについては、これからも注視してしっかりやっていきたいというように思っております。

重徳委員 時間が来ました。

 このテーマは非常に重要だと私は思っております。きょうから日米経済対話も始まっております。日本が、種を守る、農業を守るという体制が制度として弱まっているところへいろいろな圧力をかけられたら、ひとたまりもない。これは先々、将来を見通しても大きな禍根を残すことになるのではないかという重大な懸念を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。

 きょうは、砂糖の需要や食の安全にかかわる人工甘味料スクラロースについて質問をします。

 スクラロースは、イギリスで開発をされた砂糖を原料とする甘味料です。日本では一九九九年七月に食品添加物に指定をされました。砂糖の六百倍の強い甘みがある一方で、カロリーは一グラム当たりゼロカロリー。このため、カロリーオフやカロリーゼロのダイエット飲料やガム、ドレッシング、デザートなど多くの加工食品に使用されていて、無意識のうちに結構私たちはスクラロースを口にしています。

 しかし、スクラロースは毒性の強い化学物質と同じ有機塩素化合物であることから、安全性への懸念を持っている方もおられたり、指摘もされている。こうした中で、人工甘味料不使用などの表示を目にすることもあるようになりました。

 そこで、このスクラロースの一日摂取許容量は体重一キログラム当たり十五ミリグラムとされているわけですけれども、スクラロースは、それぞれ使用する品目ごとに使用基準が設定されています。どのようになっているでしょうか。

北島政府参考人 お答えいたします。

 我が国におけるスクラロースの使用基準は、食品、添加物等の規格基準において、使用できる食品とその使用限度量が定められております。

 具体的には、生菓子や菓子については一キログラムにつき一・八グラム以下、ジャムについては一キログラムにつき一グラム以下、清酒、果実酒、清涼飲料水、乳飲料などについては一キログラムにつき〇・四グラム以下、コーヒー等に直接加え、砂糖に代替する食品として用いられるものについては一キログラムにつき十二グラム以下などとされております。

斉藤(和)委員 このように、スクラロースは、それぞれの使用品目ごとに使用量が設定をされているわけです。

 このスクラロースが一体どこで製造をされているのかということなんですが、日本では製造をされていないので、全て輸入されているという理解でよろしいでしょうか。

北島政府参考人 厚生労働省といたしましては、個々の食品添加物について国内製造量を把握しておりませんが、関係団体によりますと、食品添加物として国内で流通しているスクラロースにつきましては、全て輸入されているものであると聞いております。

斉藤(和)委員 全て輸入だということです。

 このスクラロースというのは、イギリスのテイト&ライル社というところによって開発をされました。なので、製法の特許があるために日本ではつくられていないということで、全て輸入だということです。

 日本でつくられていないということですので、繰り返しますが、今私たちが食している食品添加物として加工品の中に入っているスクラロースは、全て輸入から入ってくるということでよろしいでしょうか。

北島政府参考人 ただいまお答えいたしましたとおり、全て輸入されているものであると関係企業から伺っております。

斉藤(和)委員 それで、このスクラロース、食品添加物については、その生産量と輸入量に基づいて、摂取量調査というのが行われています。

 平成二十六年三月にまとめられたものがあるわけですけれども、平成二十五年、厚生労働科学研究費補助金で行われた食品添加物の規格試験法の向上及び摂取量推定等に関する研究、分担研究、食品添加物規格試験法の向上と使用実態の把握等という中で、食品添加物の生産量統計調査を基にした摂取量の推定に関わる研究、その一、指定添加物品目、第十回最終報告というのがあります。これが摂取量調査では最新のものだというふうに思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

北島政府参考人 御指摘の研究につきましては、研究としては最新のものであると認識しておりますが、平成二十七年度に実施された、実際に流通している食品の調査であるマーケットバスケット方式による一日摂取量調査の結果では、スクラロースの一人当たりの一日摂取量は〇・八二五ミリグラムとなっております。

斉藤(和)委員 マーケットバスケット方式で二十七年があるというお話でした。その前に、研究調査としては二十六年三月にまとめられたものが最新だということですので、この研究調査に基づく、この平成二十六年三月にまとめられた調査結果、ここでスクラロースの状況はどのように記載をされているでしょうか。

北島政府参考人 御指摘の研究報告書によりますと、純食品向け出荷量は十八万キログラム、純食品向け査定量は十四万キログラム、摂取量は十一万二千キログラム、一日一人摂取量は二・四ミリグラムとされております。

斉藤(和)委員 つまり、十八万キログラムということですから、スクラロースの純食品向け出荷量は、トンに直すと百八十トン、純食品向け査定量が百四十トン、摂取量が百十二トン。百トンを超えているわけです。

 スクラロースは、先ほど御答弁があったとおり、確認したとおり、全て輸入されているわけですから、この二十六年の調査によれば百八十トンのスクラロースが輸入されていることになります。

 そこで、財務省にお聞きします。

 スクラロースの輸入量は、貿易統計上、二〇〇〇年から二〇一一年まで、毎年どのようになっているでしょうか。

三木大臣政務官 斉藤委員の御質問にお答えいたします。

 貿易統計におけるスクラロースの輸入量につきましては、二〇一一年の統計から区分を変更し、スクラロース単独での輸入数量の方を記載させていただくようになりました。このため、それ以前のスクラロースのみの輸入量は把握しておらないところでございます。

 御質問のあった期間のうち、貿易統計においてスクラロースの輸入量が把握されているのは二〇一一年のみでございまして、輸入量は約十六・六トンでございます。

斉藤(和)委員 二〇一一年から区分を変更したというお話がありました。

 そのスクラロースの区分、HSコードで検索をしますと、まさに今おっしゃったとおり、二〇一一年より前は輸入量がゼロの記載なんですね。

 そうすると、区分を変更されたということですが、区分を変更する前は、ではそのスクラロースという区分で輸入量は把握していないということなんでしょうか。

三木大臣政務官 お答えいたします。

 二〇一〇年以前はその他の非縮合フラン環というものの中に含まれておりまして、スクラロースのみの輸入量は把握しておりません。

斉藤(和)委員 スクラロースのみの輸入量は把握していないという御回答でした。

 ただ、二〇一一年、今言われているのは、記載されているのが十六トンというお話がありました。厚生労働省の数量でいえば、先ほど確認したとおり、スクラロースの純食品向け出荷量は百八十トンなわけですね。貿易統計では、今のお答えだと十六トン。だから、十数トンぐらいで推移しているわけです。桁が違うわけですね。

 国内で生産されていないということで全量が輸入されているわけですから、非常に、どうなっちゃっているのか。無から有は生まれないわけで、理解に苦しむわけです。

 厚生労働省はこの点、どのように受けとめられますでしょうか。

北島政府参考人 御指摘の研究報告書による数量については、アンケート方式により、国内の企業から申告をされた数値を積算したものであり、調査対象年度を平成二十二年度としております。

 一方で、財務省の貿易統計におけるスクラロースの輸入状況につきましては平成二十三年以降から統計がとられているものであり、単純に比較はできないものと認識をしております。

 また、貿易統計につきましては、税関において申告された数値をもとに集計しているものと承知しており、先ほどの研究における推計方法とは異なるものと認識しております。

斉藤(和)委員 それにしても違い過ぎるわけですね。

 スクラロースは、一九九九年七月から食品添加物に指定をされて、先ほど紹介したとおり、多くの加工食品に使われていて、流通をしているわけです。いろいろ、さまざまな調査が行われているわけですけれども、十年間はスクラロースとしては把握をしていないというお話でした。

 実際に輸入されていたが、特定の企業の依頼で、特定の国からの輸入量を、財務省は財務省統計から削除したり反映させないということはあるんでしょうか。

 昨年の財務省貿易統計資料で見ますと、中華人民共和国からの輸入のみで、その数量は一万八千百三十八キログラムというふうにされています。最大の輸入国である、つまり、イギリスから特許をとって工場をしているのがアメリカなんですが、このアメリカからの輸入量というのは記載がないんです。財務省、どういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。

三木大臣政務官 委員の御質問にお答えさせていただきます。

 貿易統計におきましては、貿易取引の実態を極力正確に示す必要がある一方、例えば取引の単価など、輸出入業者の営業上の秘密が明らかとなることで不測の損害を与えないように十分配慮する必要がございます。

 このことから、経済統計に関する国際条約、その議定書の第一編の(2)においても、「個個の事業所に関する情報を漏らす結果となるような事項を収録し、又は発表するいかなる義務も課するものではない。」とされているところでございまして、また、こうした点を踏まえまして、関税施行令においても、「私人の秘密にわたると認められる事項については、証明書類の交付をせず、及び統計の閲覧をさせない。」とし、営業上の秘密に配慮することとしているところでございます。

 このため、品目別のデータなどにおきましては、貿易統計の計数が輸出入量などの総数に満たないことということはあり得ることでございます。

斉藤(和)委員 つまり、私人の利益にかかわるものは貿易統計には記載しない、そういう要請が企業側なりからあれば貿易統計には載せなくていい、公表もしないという理解でよろしいでしょうか。

三木大臣政務官 委員の質問にお答えします。

 取引の単価など、輸出入業者の営業上の秘密が明らかとなることによりまして営業上の不利益を与えないために、こういったことは公表しない場合もございます。

斉藤(和)委員 財務省の、貿易統計とは何か、どのようなことがわかりますかというホームページにこういうふうに書かれているんですね。「貿易統計は、経済統計に関する国際条約及び関税法に基づき、我が国の貿易の実態を正確に把握し各国の外国貿易との比較を容易にすることにより、国や公共機関の経済政策、私企業の経済活動の資料に資することを目的に作成、公表及び閲覧されるもの」というふうに書かれているんです。

 つまり、我が国の経済政策をつくる上で、この貿易統計はもとになって経済政策がつくられる、要はそういう役割に資する目的で作成されている、こういうふうに財務省のホームページにも書かれているわけですけれども、実際に、スクラロース、これは食品化学新聞社というのがレポートを出しているんですけれども、ここでも、大体需要量は百トンを超えているんですよね。しかし、貿易統計では十数トン。だから、桁が違ってしまう。

 では、この桁が違ったものをもとに国は経済政策をつくるのかということになるわけですけれども、非常にこの経済統計そのものの信憑性というのが問われると思うんですが、いかがでしょうか。

三木大臣政務官 委員の質問にお答えします。

 委員御指摘のとおりの目的で貿易統計というものは出させていただいておりますので、貿易取引の実態を極力正確に示す必要があるというのは、もう議員御指摘のとおりでございますけれども、そのことによりまして、国内企業の営業上の秘密が明らかになることによって、不測の損害を与えかねない事態も予想されることでございますので、こういった場合には、統計に関する国際条約、ここにもありますとおり、この考え方に基づきまして公表を差し控えさせていただいているところでございます。

斉藤(和)委員 財務省貿易統計の記載事項の変更あるいはホームページに記載される事項の変更というのは、先ほど御答弁があったとおり、私企業の営業の秘密に当たるものであれば消せるということですよね。

 そうすると、例えば、関西のある企業が近畿財務局にお願いをすれば、ホームページに掲載されない、貿易統計には載らないということがあるということなんでしょうか。

三木大臣政務官 お答えいたします。

 そういった数字を明らかにすることによって、その業者の営業上の秘密が明らかになり、その業者にとって不利益になる、また不測の損害を与えかねない場合には、公表を差し控えさせていただいている場合があるということでございます。

斉藤(和)委員 いや、もう本当に、そういうことをやっていたら、何を一体私たちは信じて統計を見るのかということになるわけですよね。

 厚生労働省の調査では、先ほどもあったとおり、自主申告に基づいて、輸入量の大半を占めているある一企業の数量も記載をされている。財務省は、逆に言うと、輸入量の大半を占めている一企業の数量を除外して、その他の企業の数量を記載しているというふうにも見えるわけです。二つの省庁でそれぞれ真逆のデータを公表している。

 事は、国民の口に入る、しかも、安全性に不安を感じている食品添加物で、人工甘味料の摂取量にかかわる問題なわけですから、これは明確にしていく必要があると思うんです。

 食品添加物に限りませんけれども、貿易統計上、こういうふうに営業上不利益をこうむる場合、秘密にするということで明らかにしていないケースというのがほかにもあるのか、これを全てやはり明確にしていただきたい。何が出していないのかというところをはっきりさせていただかないと、私たちは一体何を見て議論すればいいのかという話になるわけですよね。ぜひ、その辺、いかがでしょうか。

三木大臣政務官 委員の質問にお答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、営業上の秘密が明らかになる場合、また不測の損害を与えないように公表を差し控えさせていただいている品目はございますけれども、個々の品目の貿易実績について非公表扱いにしているものがどれか、あるいは非公表扱いにしているかどうかということは、この場ではお答えを差し控えさせていただきます。

斉藤(和)委員 この場ではお答えを差し控えるということでしたので、ぜひ調べていただいて、どんな品目が非公開になっているのか、これをぜひ資料として提出していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

三木大臣政務官 委員の質問にお答えさせていただきます。

 個々の品目の貿易実績について非公表扱いにしているかどうか、あるいはそれがどうかということは今回お答えを差し控えさせていただきたいと思いますので、どうぞ御理解いただけますようよろしくお願いします。

斉藤(和)委員 非公表ということで、これではやはり議論できないわけですから、ぜひ、営業上の損害にならないような形で、せめてどれぐらい数量が、正確に、輸入されているのか、これぐらいは、やはり国民に責任を持つ政府として、私は提出すべきだと思うんです。

 ぜひ、委員長、お取り計らいをお願いします。

北村委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

斉藤(和)委員 ぜひよろしくお願いします。

 最後に大臣にお聞きします。

 人工甘味料、これは甘味料ですから、砂糖の需要にも影響をするわけです。

 独立行政法人農畜産業振興機構が、近年における人工甘味料の動向だとか甘味料の需要実態調査というレポートをまとめているんです。そこでも、食品化学新聞社は、国内の需要量は百トンを超えている、しかし、貿易統計では十数トンになっちゃって、一体これは何が起こっているんだろうかというような、例えばこういうふうに書かれているんですね。世界市場の圧倒的なシェアを誇るイギリスのテイト&ライル社の生産拠点がシンガポールやアメリカなどにあることを踏まえると、これらの国から輸入されたスクラロースが他のHSコードに分類されている可能性も考えられると。要は、実態把握がよくわからないよということを農畜産振興機構もこのレポートに書いているわけですね。

 甘味料ですから、繰り返しますが、砂糖の需要にかかわる。TPPの議論の中でも、重要品目の中に砂糖は位置づけられていたわけです。しっかり、この人工甘味料スクラロースの調査、実態を明らかにしていく。砂糖の需要にかかわる問題として、大臣としても責任を持ってやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 スクラロースの輸入量等に関する両省のデータが違うという点については不案内でございますけれども、食品添加物の安全確保に関しましては、厚生労働省がしっかり対応していただいているものと承知しております。

 そこで、農林水産省としましては、食料の生産から消費までの段階において、食品の安全性の向上に取り組んでいるわけでございますので、引き続き、食品安全委員会や厚生労働省、関係省庁と連携を組んで、国民のニーズに応えたいというように思います。

 それから、スクラロースを初めとする人工甘味料についての砂糖の業界への影響でございます。最近の調査で、人工甘味料の使用目的が、カロリーの低減化が主な目的であるということ、コスト削減のために砂糖の代替甘味料として使用している企業は少ないということでございました。また、砂糖とは風味が異なるために、人工甘味料への切りかえができないとする企業もあります。そういう観点から見まして、現時点では、人工甘味料が砂糖の需要を代替しているとまでは考えておりません。

 また、一説によりますと、二十七砂糖年度における人工甘味料スクラロースの砂糖換算値で見ると一・二万トン、そして砂糖消費量は我が国は百九十三・五万トンですから、一%に満たないわけでございます。

 そうした需給の状況からしましても、今後検討をしつつも、この人工甘味料の需給の影響についての心配は今のところないというように思っております。

斉藤(和)委員 需給に影響しないというような御答弁で、私は非常に驚いているわけですけれども、やはり、幾ら入ってきているのかというのを政府全体が輸入量としてつかめていない、統計を見てもわからない、こういう実態は異常だと思います。

 ぜひ、しっかり実態も調査をして、影響がないというのであれば、その事実を数字としても示していただきたいということを最後に強調して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

北村委員長 次に、内閣提出、土地改良法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣山本有二君。

    ―――――――――――――

 土地改良法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本(有)国務大臣 土地改良法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 農業の成長産業化を図るため、農地中間管理機構による担い手への農地の利用集積を促進しているところでございます。今後、高齢化の進行等に伴い、農地中間管理機構への農地の貸し付けは増加する見込みとなっておりますが、その際、基盤整備が十分に行われていない農地につきましては、担い手が借り受けないおそれがございます。その一方、農地中間管理機構に農地を貸し付けた所有者は基盤整備のための費用を負担する用意はなく、このままでは基盤整備が滞り、結果として、担い手への農地の集積、集約化が進まなくなる可能性がございます。

 また、農業用用排水施設につきましては、今後十年間で、ダムなどの基幹的な施設の約四割が標準耐用年数を超過する見込みでございます。こうした中で、近年、東日本大震災等の巨大地震が日本各地で発生しており、ため池等の農業用用排水施設の耐震化事業を迅速かつ機動的に実施していくことが求められております。

 さらに、近年、パイプラインが破裂する等の突発事故が増加しており、突発事故に迅速かつ機動的に対応していくことが必要でございます。

 こうした状況を踏まえ、平成二十八年十一月に改定された農林水産業・地域の活力創造プランに基づき、土地改良制度について、農地の利用の集積の促進、防災及び減災対策の強化、事業実施手続の合理化に関する措置を講ずるため、この法律案を提出した次第でございます。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、農地の利用の集積の促進に関する措置であります。農地中間管理機構が借り入れている農地について、農業者からの申請によらず、都道府県が、農業者の費用負担や同意を求めずに基盤整備事業を実施できる制度を創設することとしております。

 第二に、防災及び減災対策の強化に関する措置であります。ため池等の農業用排水施設の耐震化について、農業者からの申請によらず、国または地方公共団体が、原則として農業者の費用負担や同意を求めずに事業を実施できる制度を創設することとしております。

 また、土地改良施設の突発事故への対応について、農業者からの申請によらず、国または地方公共団体が、災害復旧事業と同一の手続で事業を実施できるよう措置することとしております。

 さらに、除塩事業を土地改良法上の災害復旧事業として位置づけることとしております。

 第三に、事業実施手続の合理化に関する措置であります。国または都道府県が行う土地改良事業の申請人数要件を廃止することとしております。

 また、土地改良施設の更新事業のうち、技術革新等に起因する機能向上を伴うものに係る同意手続を簡素化することとしております。

 さらに、土地に共有者がある場合等、代表者一人を選任し、共有地に係る一人の事業参加資格者等とみなすこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。

 以上でございます。

北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.