第9号 平成29年4月20日(木曜日)
平成二十九年四月二十日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 北村 茂男君
理事 江藤 拓君 理事 小泉進次郎君
理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君
理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君
理事 小山 展弘君 理事 稲津 久君
青山 周平君 伊東 良孝君
伊藤信太郎君 池田 道孝君
小里 泰弘君 大西 宏幸君
加藤 寛治君 勝沼 栄明君
笹川 博義君 瀬戸 隆一君
武部 新君 中川 郁子君
西川 公也君 古川 康君
古田 圭一君 細田 健一君
前川 恵君 宮路 拓馬君
森山 裕君 八木 哲也君
簗 和生君 山本 拓君
渡辺 孝一君 佐々木隆博君
重徳 和彦君 玉木雄一郎君
中島 克仁君 宮崎 岳志君
村岡 敏英君 横山 博幸君
中川 康洋君 真山 祐一君
斉藤 和子君 畠山 和也君
吉田 豊史君 仲里 利信君
…………………………………
農林水産大臣 山本 有二君
農林水産副大臣 齋藤 健君
農林水産大臣政務官 細田 健一君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 澁谷 和久君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 佐々木康雄君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 今城 健晴君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 大澤 誠君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 佐藤 速水君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 柄澤 彰君
農林水産委員会専門員 石上 智君
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委員の異動
四月二十日
辞任 補欠選任
笹川 博義君 青山 周平君
古川 康君 古田 圭一君
前川 恵君 大西 宏幸君
岡本 充功君 中島 克仁君
金子 恵美君 横山 博幸君
宮崎 岳志君 玉木雄一郎君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 笹川 博義君
大西 宏幸君 前川 恵君
古田 圭一君 八木 哲也君
玉木雄一郎君 宮崎 岳志君
中島 克仁君 岡本 充功君
横山 博幸君 金子 恵美君
同日
辞任 補欠選任
八木 哲也君 古川 康君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
土地改良法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
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○北村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、土地改良法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官水田正和君、大臣官房危機管理・政策評価審議官塩川白良君、大臣官房統計部長佐々木康雄君、消費・安全局長今城健晴君、経営局長大澤誠君、農村振興局長佐藤速水君、政策統括官柄澤彰君、内閣官房内閣審議官澁谷和久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○北村委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬戸隆一君。
○瀬戸委員 おはようございます。
本日は、質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。
最初に、日米経済対話についてお聞きしたいと思います。
先日十八日、日米経済対話が開催されました。ペンス副大統領は会合終了後の共同記者会見で、両国の対話がFTA交渉に発展する可能性があると発言したとのことです。今後の対話で農産物や自動車等の市場開放を日本に強く求める可能性もあるのではないかと言われております。日本の農業者の中には、今後の日米経済対話の行方を心配していらっしゃる方もいるようであります。
そこで、大臣にお伺いします。
今後の日米経済対話の中で、農業分野において国益をしっかり守っていく、そういった意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
○山本(有)国務大臣 今回の第一回の日米経済対話では、貿易及び投資のルールと課題に関する共通戦略、そして経済及び構造政策分野での協力、そして三番目に分野別協力の三本柱で議論を進めていくことでキックオフが行われました。
次回、第二回の対話は、年内に米国での開催に向けて調整が行われることとなったと聞いております。今後の対話につきましては、どのように議論を進めていくかにつきまして、関係各府省と連携を図りつつ対応をしていくことになるであろうというように思います。
いずれにいたしましても、農林水産省としましては、我が国の農林水産業をしっかりと守っていくとの決意のもとで、今後の日米経済対話に関する議論に、関係府省と連携しつつ、しっかり取り組んでまいる所存でございます。
○瀬戸委員 今回は農業分野とか具体的な話は出てこなかったということでございますので、また今後どのようなことになるかもわかりません。しっかりとまたお願いしたいというふうに思っております。
それでは、今度の土地改良法の改正についての法案の質問をさせていただきたいと思っています。
今、農業従事者の平均年齢はもう六十七歳というところになっております。高齢者の中には、もう体力的に農業を続けることができないという方も中には出てきておりまして、そういった方の関係もあり、耕作放棄地もふえてきております。このままでは地方の中山間地は荒れてしまうという、大変なことになってしまう地域も出てきそうです。
農地は、保水機能、いわばダムの役割も果たしているというふうに考えられます。農地が荒れることは、そのダムを失い、災害にもつながりかねません。地方に農業で稼げる場をつくることが、若者を地方に引きとめるためにも、また呼び込むことにもつながっていくというふうに思っております。そのためにも、基盤整備によって稼げる農地をふやしていくということが必要と考えております。
今回の法案では、中間管理機構が借り入れている農地について、農業者からの申請によらず、都道府県が農業者の費用負担や同意を求めずに基盤整備事業を実施できるということでありますが、大臣にお伺いしたいと思います。
今回の土地改良法の改正によって、日本の農業をどのように強化しようとしているのか、お考えをお伺いします。
○山本(有)国務大臣 まず、我が国の農業の競争力を強化して、持続可能なものにするというのが喫緊の課題でございます。
平成三十五年度までに担い手への農地利用の面積シェアを八割に引き上げるという政府目標を掲げました。それに向けまして、農地の集積、集約を加速化していくということが重要であると考えております。
また、御指摘のように、自然災害の脅威等におびえることなく、安心して安定的な農業経営が行えますように、豪雨、地震などの災害に対する地域の防災・減災力の強化を図るということが重要であろうというように思います。
このために、今回の土地改良法の改正におきまして、農地中間管理機構が借り入れている農地につきまして、農業者の申請、同意、費用負担、これらによらず、都道府県が基盤整備事業を実施できる制度を創設することによりまして、担い手への農地の集積、集約化が加速化できるというように思います。
次に、農業用の用排水施設の耐震化あるいは土地改良施設の突発事故への対応、これについて、原則として、農業者の申請、同意、費用負担によらず、国または地方公共団体が事業を実施できる制度を創設することによりまして、防災・減災対策を強化するというように考えております。
この措置を講ずるということによって、農業の競争力強化、防災・減災力の強化、これに資するものというように考えるところでございます。
○瀬戸委員 まさに競争力の強化、そして防災・減災、非常に大切なことでありますので、この制度を通じましてさらに進めていただきますようお願い申し上げます。
次に、この事業ですけれども、どういった場面でこういった事業が使われるのかについてお聞きしたいというふうに思っております。
今回の事業は、中間管理機構が借り入れている農地に関しましては、一定の要件を満たせば、農業者の費用負担や同意を求めずに基盤整備事業が実施できる制度ということであります。また、ほかに、現行の基盤整備においては、いわゆるこれは促進費というものですかね、中心経営体農地集積促進事業を使えば、農家負担分なしで基盤整備できるという場合があります。基盤整備事業のオプションがふえるということは非常にいいことだというふうに思っております。農業者にとっても大変ありがたいことではないか。
この二つの制度について、どういった場合にどちらの制度を使えばいいのか、お伺いしたいというふうに思っています。今回の農地中間管理機構関連事業と促進費を使っての現行の基盤整備事業との関係についてお伺いしたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
機構関連事業は、担い手がまとまりのある形で農地を利用できるようにするということと、長期間安心して経営ができるようにする、こういったところの環境整備をするとの考え方に立っております。そのために、一定の要件を設定いたしております。
一つは、一定規模以上の面的まとまりがある、機構が借り入れた農地であること。二つ目に、機構の借入期間が相当程度あるということ。三つ目に、担い手への農用地の集団化が相当程度図られるということ。四つ目に、地域の収益性が相当程度向上する。こういう要件を設定いたしておりまして、その要件を満たす場合に、従来の農業者負担分を国が負担するということにしております。
一方、現行の圃場整備事業におけます委員御指摘の促進費でございますが、これにつきましては、担い手への農地の利用集積を促進させるという考え方に立ちまして、事業完了後五年以内に、担い手への農地の集積率が八五%以上で、かつ集約化率が八〇%以上となる場合に、事業費の一二・五%、農家負担分でございますが、これを国と地方が折半で促進費として交付をいたしまして、農家負担を実質ゼロとするというものでございます。
機構関連事業と現行の促進費を比較して、担い手の長期的かつ安定的な経営に資するものということが機構関連事業では言えると思います。
いずれにいたしましても、どちらの事業を選択するかというのは、地域の実情に応じて選択されるものというふうに考えてございます。
○瀬戸委員 いずれにしましても、現場のニーズというのをまたしっかりと調べていただいて、やっていただきたいというふうに思っています。
そこで、今回、面積の話がありました。私の地元香川県なんですけれども、香川県の農業は三反、五反農業とも呼ばれています。いろいろな農業関係の補助金メニューがあっても、面積要件をクリアできずに該当できない場合というのが間々あります。
今回の制度は、農地中間管理機構に預けられた農地を何とか有効に活用しようという制度だというふうに思っています。
現行制度の面積要件は、平場で二十ヘクタール以上、中山間で十ヘクタール以上となっていますが、香川県とかにするとなかなか大変な面積ではないかというふうに感じております。
そこで、お伺いします。
中四国、特に香川県のような農地の狭い地域など、できるだけ多くの地域が恩恵にあずかれるように、面積要件についても十分検討していただき、この制度をつくり上げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
現行の圃場整備事業につきましては、ただいま委員御指摘なさいましたように、各団地の農地面積の合計が、平場で二十ヘクタール以上、中山間地域で十ヘクタール以上あることを採択要件としております。
この機構関連事業につきましては、農地中間管理機構が借り受けている農地につきまして、担い手が経営をしやすくなるように、一定規模以上の面的まとまりのある農地を対象に実施することとしております。したがいまして、面積の規模要件につきまして、既存事業よりも引き下げるという考えでございます。
面積要件につきましては、地域の実情ですとか担い手の経営状況、意向などを踏まえつつ、今後詰めてまいりたいというふうに考えてございます。
○瀬戸委員 十分に検討していただきたい、そのように思っております。
それから、この制度は転用防止措置がとられております。借り手である担い手が落ちついて農業ができるように、中間管理権の期間を十分にとるべきとも考えております。
そこで、お伺いします。
今回の農地中間管理機構関連事業では、農地中間管理権が設定されている期間は農用地区域からの除外はできないと聞いていますけれども、設定期間はどれぐらいと考えていらっしゃるのでしょうか。
○齋藤副大臣 機構関連事業は、農業者の申請、同意、費用負担なく、担い手への農地の利用集積を加速化する公共性、公益性の高い事業でございますので、整備した農地が直ちに転用されるということは避けていかなくちゃいけないと思っています。
このため、改正法案におきましては、本事業で整備した農地の農用地区域からの除外は農地中間管理権の存続期間中はできない、おっしゃるとおりの措置をしているところでございます。
この農地中間管理権の期間につきましては、機構から農地を借り受けた担い手が長期にわたり安心して経営に専念できるようにするとの観点から、工事完了後から一定期間を確保するということが大事だと思っておりますけれども、今後、適切な期間を検討していくということにしていきたいと思っております。
○瀬戸委員 担い手が落ちついて農業ができる、そういった期間をニーズを見ながら設定していただきたい、そのように思っております。
それでは、ため池についてお伺いしたいと思います。ため池等の耐震化事業についてお聞きします。
兵庫県、広島県、香川県はため池が多く、香川県は一万四千ものため池があります。ほとんどのため池は築後二百年から三百年たっているというふうにも言われておりまして、平成十六年の大型台風では、八百三十四カ所のため池が被災を受け、決壊が百十四カ所もあったということであります。しかし、ため池の耐震化は思うように現在進んでおりません。
今回の改正によりまして、どのような問題点があって、どのように解決されるのか、お伺いします。
○細田大臣政務官 ありがとうございます。
改めまして、今回の土地改良法の改正案の策定に当たりまして、瀬戸先生から大所高所の観点から前向きな御意見をいただいたことに、まず改めて御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
今御指摘がございました、下流に住宅や公共施設等が存在し、地震発生時に甚大な被害が懸念される防災重点ため池のうち、耐震性能が不足しているものについては早急に耐震化工事を実施する必要がある、こういうふうに考えております。
従来の土地改良法の手続においては、三条資格者である農業者の申請及び同意取得が必要であるため、関係する農業者が多い場合には同意取得に時間を要し、迅速かつ円滑な事業実施に課題がある、こういうふうに考えておりました。
このため、今回提出させていただいております改正法案においては、農業者からの申請によらず、国または地方公共団体の発意により、原則として農業者の同意を求めず事業を実施できるようにすることにより、手続の簡素化を図り、その結果、迅速かつ円滑な事業実施が可能となるというふうに考えております。
今後とも、瀬戸先生の御指導もいただいて、ため池等の耐震化を迅速に図ってまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。
○瀬戸委員 使い勝手が非常によくなったのではないかと思っています。一つ、香川県の場合は、そういった中でも農家の負担は若干、責任を持ってもらうという意味を含めて払ってもらうということになっているようではありますけれども、ただ、全体的には非常に使い勝手がよくなったのではないかというふうに思っています。
そういった中、大臣にお伺いしたいと思います。
まだまだため池の修繕が終わっていません。今回の改正によりまして、ため池等の耐震化事業の利用がふえる可能性が高いというふうに考えられますが、耐震化事業の予算の確保をしっかりお願いしたいと思います。意気込みをお伺いします。
○山本(有)国務大臣 東日本大震災などの巨大地震が日本各地で発生しております。今後、南海トラフ地震等が発生する可能性も高まっております。農村地域の安全確保に向けまして、ため池の耐震化事業を迅速かつ機動的に実施していくことは喫緊の課題だというように認識しております。
このため、このため池の耐震対策に関する地方公共団体等への補助を含む農村地域防災減災事業、この予算は近年大幅に増額いたしまして、積極的に支援しているところでございます。平成二十七年には二百八十億円でありましたものを、二十八年には五百八億円と一八一・二%の増額を図っているところでございます。
今後とも、改正法の仕組みが活用され、ため池の耐震対策が一層進められますように、必要な予算の確保に努めてまいりたいというように思っております。
○瀬戸委員 一八〇%になったということでありますが、今後とも、この予算、しっかりと確保をお願いしていただきますようよろしくお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○北村委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。
きょうは、土地改良法等の一部を改正する法律案ということで、主に三点、御質問をさせていただきたいと思っております。
まず、土地改良の予算の推移についてお伺いをしたいと思っています。
私は、この土地改良関係予算については、実は今でも忘れられない事実がございます。それは、平成二十一年の民主党政権の誕生により、この予算が当時の幹事長の判断によって半分に減らされた、こういった事実がございます。当時私は地元三重県で県会議員をしておりましたが、この土地改良の関係予算の半減は、政権交代の象徴的な出来事として地元でも大きな話題となりました。
現在の自公政権においては、平成二十四年の十二月の政権再交代以降、一貫してこの土地改良の関係予算の復活に取り組み、当初予算また補正予算を含め、徐々に回復させてきたわけでございますが、今回、平成二十八年度の補正さらには平成二十九年度の当初を合わせての予算は、まさしくこの政権交代前の平成二十一年度当初予算の五千七百七十二億円と同額のレベルになったわけでございます。
ここまでの道のりには、地元関係者や関係団体初め、多くの方々の努力やまた取り組みがあったと思いますが、私も地元で地方議員を務め、関係者から要望を伺ってきた一人として、今回の予算の回復は大変に感慨深いものがございます。
そこで大臣に伺いますが、これまでのこの土地改良の関係予算の紆余曲折も含めた推移に対する感想、さらには今後に向けての決意について御答弁を賜りたいと思います。
○山本(有)国務大臣 農業農村整備事業関係予算につきまして、平成二十二年度に大幅減額となりました。新規着工の見合わせなど、農業生産基盤の計画的な整備に大きな影響が生じたことでございました。これは御指摘のとおりでございます。
このような中で、平成二十五年度以降、農業生産基盤整備のおくれを取り戻すべく、関係予算の回復に努めているところでございます。平成二十九年度において、御指摘のように、四千二十億円を計上し、二十八年度二次補正予算と合わせますと五千七百七十二億円、いわばやっと回復のめどがついたというところでございます。
農業農村整備事業関係予算につきましては、今後でございますが、農地の大区画化、水田の汎用化、畑地化を通じた担い手への農地集積、集約化の加速化、野菜等の高収益作物への転換による農業の競争力強化、さらには、農業水利施設の長寿命化、耐震化や農村地域の防災・減災対策を通じた国土強靱化、これらの施策を進めるために必要不可欠でございます。
地域からの要望に応えられますように、今後とも必要な予算をしっかりと確保してまいる所存でございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。大臣から今後に向けての決意もしっかりと伺ったところでございます。
私も、地方議員をしておりまして、あのときは非常に、本当に驚愕するような予算の半減があったわけでございます。今回、当初と補正合わせて同レベルに来たわけですけれども、やはり、願わくば当初予算でその当時のレベルまで持っていく、そして現場が予見可能性を持ってさまざまな土地改良の計画を進めていく、こういった方向性をおつくりいただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それでは、具体的なところで、今回の新たな土地改良事業の要件等について、幾つかお伺いをしたいと思っています。
今回の土地改良制度のまず一つ目に、原則を変更することへの必要性及び妥当性についてお伺いをいたします。
これまでの土地改良事業は、公共投資さらには社会資本形成の意味合いを持ちながら、基本的には、農業者の私的財産である農用地の利用関係に影響を及ぼすため、例えば農業者の申請、同意や受益農業者の費用負担、これを求めることを制度の原則としてまいりました。しかし、今回の新しい制度では、基本的にはこれまでの手続や費用負担を求めないなど、その原則を大きく変更してきているところでございます。
そこで伺いますが、今回の新制度において、農業者の申請、同意や費用負担を求めないことなど、これまでの制度の原則を変更することの必要性、さらにはその妥当性について、農水省の見解をお伺いしたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
農業の成長産業化のためには、担い手への農地利用の集積、集約化が極めて重要でございます。平成三十五年度までに担い手への農地利用の面積シェアを八割に引き上げるという政府目標を設定しているところでございます。
そうした中で、今後高齢化がますます進行する中で、農地中間管理機構への貸し付けが増加することが見込まれておりますが、基盤整備が十分に行われていない農地につきましては、担い手が借り受けないおそれがございます。
一方、農地中間管理機構に農地を貸し付けた所有者でございますが、基盤整備のための費用を負担する用意はないと考えられますので、このままでは基盤整備が滞りまして、担い手への農地の集積、集約化が進まなくなる可能性がございます。
こうした中で、担い手への農地の利用集積、集約化を加速化するためには、農地中間管理機構と圃場整備事業の連携が不可欠であると考えてございます。そういったことから、今般、農業者からの申請、同意、費用負担によらないで、都道府県が基盤整備事業を実施できる制度を創設したいということでございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今、その必要性並びに妥当性を確認させていただいたところでございます。
そこで、そうなってきますと、この農地中間管理機構への農地の借り入れをやはり促進していくことが大事だと思うんですね。というのは、今回のこの新しい制度は、その対象があくまでも農地中間管理機構が借り受けている農地に限られる、こういった状況になるために、やはりこの制度の創設を機に、今後さらに、機構にこの農地の借り入れをどう増していくのか、ここが非常に重要になってくると思いますが、そこに対する農水省のお考え及び決意を確認させていただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
農地中間管理機構、担い手へ農地を集積するための最も重要なツールだと考えておりますけれども、制度発足当初から、土地改良事業、農地整備事業との連携というのは鍵の一つだと考えておりまして、これまでも、モデル地区におきます農地整備事業予算の優先配分、担当者会議の場でのいろいろな説明、そういうことを現場段階でしっかりと行ってきたつもりでございます。
それから、今回の土地改良法の改正につきましては、農業競争力強化プログラム、昨年末まとめていただきましたプログラムの一つになっておりますので、そのプログラムの説明という形で今までも、都道府県あるいは市町村の担当者、機構、土地改良区の職員、担い手農業者に対しまして説明会を開催しておりまして、現場でも関心が高まっているというふうに承知しております。
そこで、先生の御指摘のとおり、今回の改正を契機といたしまして、一層の連携を深めるということが機構の実績を上げるためにも大事だと考えております。なので、土地改良区との連携、それから、今後、現場レベルで流動化を促進するものとして農地利用最適化推進委員、この任命が本格化してまいります。ことしの七月には、ほとんどの地域で委員が任命されます。こういう方々と連携をいたしまして、現場へのしっかりとした周知を行いまして、機構への活用を促していくということで集約化につなげてまいりたいと考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今回の機構への借り入れの促進において、この新しい制度の創設というのは非常に重要なポイントになると思うんですね。ですから、今回の制度の創設を機に、これが大きなインセンティブとなるような、そういったお取り組みをまた引き続きお願いをしたいというふうにも思っております。
そこで、一つ確認なんですけれども、実は、今回の新しい土地改良制度においても、換地を伴う農地整備については、引き続き農業者からの同意を求める方向であるというふうにも伺っております。
私は、現場でのこれまでの状況、さらには今後の農地整備を想定した場合、例えば、換地を伴わない農地整備が果たしてどれだけあるのか。逆に言えば、今後の新たな農地整備、申請も同意も費用負担も要らないということなんですが、換地を伴わない農地整備というのは非常にないというふうに思っていますので、新たな農地整備においても、そのほとんどの整備は換地を伴うものであり、引き続き農業者の同意を求めることになるのではないかと思います。
なぜ、今回の新しい土地改良事業においても換地を伴う農地事業については農業者の同意を残したのか、その意味について、農水省の御見解を伺います。
○佐藤政府参考人 換地計画に基づく換地処分でございますが、これは、工事前の土地、従前地でございますが、これと工事後の土地、換地でございますが、それに係る個々の権利関係の変動がございます。言ってみれば、財産権の変動を伴うものでございます。そのために、その実施に際しては、個々の権利者の同意、不同意をしっかりと確認する必要があると考えておりまして、現行の土地改良事業におきましても、換地計画につきましては関係権利者の同意を必要としているところでございます。
この点で、土地の権利関係の変動と関係のない土地改良事業実施時点での同意とは異なるものというふうに考えてございます。
このようなことから、土地改良事業である機構関連事業につきましても、土地の権利移動の変動と関係ない事業開始時点での同意は不要といたしますが、事業完了後の換地計画につきましては、引き続き関係権利者の同意を要するというふうにしているところでございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
現場からの声として、今回、同意を求めないという状況であるんだけれども、換地を伴う内容については同意が残るんだというような声を聞いたわけです。それできょう確認をさせていただいたわけですが、その同意の、厳密に言うと中身が違うということのお話でございました。
これまでは、費用負担を確定するための、こういった部分においての同意が必要であるということであったわけですけれども、それは基本的にはなくなる。しかし、やはり権利関係、特に財産権の変動を伴うゆえに、その部分については当然同意が必要なんだというところを改めて確認をさせていただいたわけでございます。
当然、言葉が同じでございますので、そういったところで、現場がさまざま迷わないようにというか、非常にスムーズに物が進むように、また御説明を賜ればというふうにも思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
最後に、一点御質問をさせていただきたいと思います。
除塩事業及び土地改良施設の突発事故被害復旧事業の災害復旧事業への位置づけ、これについてお伺いをしたいと思っております。
実は、先般、国土交通省では、大規模災害時において早期に住民の安全、安心を確保するために、大規模災害時の災害査定の効率化とか事前ルール化を発表いたしました。私、国交省は今回非常にいいことをされたなというふうにも思っております。
それに同じような改正が今回農水省の方でもされておりまして、今回の土地改良事業の改正案でも、例えば津波や高潮による海水の浸入により被害を受けた農用地の除塩事業、これを土地改良事業に基づく災害復旧事業として位置づけ、これをしていただいているところでございます。
さらには、土地改良施設の突発事故被害の復旧を災害復旧の手続と同一の手続で進める、こういったことを明記していただいているわけですけれども、このような内容は、対象となる住民や農業者の生活やなりわいを一日も早く戻すという意味において大変重要な改正であるというふうにも思っております。
私は、今回の改正は大変高く評価をしておりますけれども、今回の改正によって、例えば調査の期日とか査定に要する日にち、さらには復旧の工期の短縮、こういった部分が具体的にどのような効果としてあらわれてくるのか、その効果を確認させていただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
除塩事業につきましては、これまで土地改良法に位置づけられておりませんでした。東日本の震災時には特例法を制定した上で実施をしたところでございます。
今後、南海トラフなど巨大地震が発生する可能性が高くなっております。津波により農地に大規模な塩害が発生した場合に、迅速かつ機動的に復旧に着手できるようにするといったことが大事でございますので、土地改良法上の災害復旧事業としてこの除塩事業を位置づけるということでございます。
また、土地改良施設の老朽化が進展しております。パイプラインの破裂など、自然災害によらない土地改良施設の突発事故が年々増加してきております。
そうした中で、突発事故被害について、早期に復旧できるように、災害復旧事業と同一の手続で実施できるようにすることが必要であるというふうに考えてございます。
これらの措置を土地改良法に盛り込むことによりまして、被害を受けられた農業者の方がもとの経営に早期に戻れるようにする、そういった効果があるというふうに考えてございます。
○中川(康)委員 大変にありがとうございました。
やはり、制度を改正することによって、さまざまな災害とか事故というのはあるわけですけれども、そのような状況の中で、一日も早く通常の生活、またなりわいに戻す、これを制度を変えることによってできていく、これは非常に、我々国会側の立場としても取り組まなければいけない問題であると思っております。そこに今回しっかりと手を入れていただいて改正をしていただいた、私は非常にここは高く評価をしているわけでございます。
今回、土地改良法等の一部を改正する法律案、さまざまな内容が盛り込まれております。これが現場においてスムーズに進んでいくように、さらには、担い手への集積が進んでいくこと、これを非常に願うわけでございますし、特に、冒頭申し上げたとおり、今回の土地改良関係予算というのは、非常に政治の流れ、政権交代によって紆余曲折がある内容でございました。
そういったことが今後ないように、そして安定的に、また予見可能性を持って、現場で頑張っておられる方々が前に進めるようなこと、そういった部分を願いながら今回の質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。
○北村委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 玉木雄一郎です。久しぶりの農林水産委員会で、懐かしい思いがいたします。
きょうは、幾つか、この間、農政に関して気になること、また、土地改良法を中心とした閣法の内容についてお伺いしたいと思います。
農政は与野党ないと私は思っております。現場に適応した農政をどうやっていくのか、これが与野党を超えて問われることだと思いますが、若干、政局的な対立が少し目立つのが残念だなと思うこともありますので、そういった観点も踏まえて、きょうは質問したいと思います。
まず、日米FTAについて伺います。
ペンス副大統領が来日をされ、記者会見の中で、今回の日米経済対話がFTA交渉につながるだろうという話をされました。
また、米国食肉輸出連合会のフィリップ・セング会長は、二国間の方向に注力してほしい、そして、TPPの水準、これがスタートになると言う人もいるというような発言をしております。
農水大臣に伺います。
これから二国間交渉に入っていくということ、可能性がありますが、その際、TPPの水準を超えるような譲歩は認めないということを明言いただけますでしょうか。
○山本(有)国務大臣 二国間交渉となった場合というお話でございます。残念ですけれども、仮定の質問でございますので、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思っております。
その上で、農林水産分野における対外政策の方針について申し上げれば、農林水産省としては、引き続き、我が国の農林水産業をしっかりと守っていくため、農林水産品について、貿易、生産、流通実態等を一つ一つ勘案しながら、そのセンシティビティーに十分配慮して対応していくという方針でございます。
○玉木委員 不思議ですね。何で答えられないんですか。
仮になった場合でも、TPPの水準、これは国会でも決めたわけじゃないですか。我々は反対しましたけれども、立法府を通っています、衆参。そのレベルをまず農水大臣としては死守する、それはほかの担当大臣はいますよ、ただ、農産物を守る、農業を守る農水大臣が、まず、私としては少なくともこのTPPの水準を守ると言わないで誰が守るんですか。明言してください。
○山本(有)国務大臣 相手国があることでございますし、まだ農林水産物、農林分野についてのやりとりがあるわけではありません。そのときに、私どもが勝手に自分の、自国の手口、あるいは相手方の交渉の仮定的な話というものに言及することは得策ではないというように思っております。
○玉木委員 懐かしいですね。TPPの交渉が始まったときに、当時、林大臣に同じような質問をしました。お手元に資料一があります。これは、平成二十五年三月十九日の農林水産委員会の私の質問、林大臣の答えです。
私はこのときに何を提言したかというと、守るべきものを明確にして、それを立法府で決めて、交渉材料に使う、あるいは、少なくともこれが国益なんだということを明示しながらしっかり交渉に向き合うべきだということを申し上げました。
そうすると、手のうちを明かすからできないとか、米とか砂糖とかを新たに書くことはなかなか難しいというのが当時の林大臣でありました。
ただ、私は、これは絶対やるべきだと言って、後に与野党合意します重要五項目の国会決議に至ります。ちょうど一カ月後の四月十九日にまず衆議院で決議が行われますけれども、実はこれは、ちょっとだけ自慢すると、私が言い始めたんです。つまり、自民党内からもなかなか出ないし、政府からも言えないし、ただ、振り返ってみると、衆参の農林水産委員会で決議したことが、結局、交渉の大きな武器となり、それは私は全部これが守られたと思いませんよ、ただ、与野党で決めた衆参の国会決議が、やはりTPPのあの大筋合意と結論に至る一つの大きな日本側の武器になったと思うんですよ。
その意味では、今同じなんです。デジャブを感じますよ。仮定のことは言えないし、手のうちを明かすからとTPPのときにも言っていました。同じようなことが起こります。今度のトランプ政権は侮れないですよ。
だからこそこれは、政府あるいは立法府を挙げて、しっかりと農業を守るということを示さないと、もっと食い込まれます。
ですから、これはきょう、衆参の委員の先生いらっしゃいますが、ぜひこの農水委員会で、もし仮に二国間の動きが始まるのであれば、同じような決議をしっかりやるべきだと思います。そして、立法府としての意思を示し、それを政府の交渉材料にしてもらうぐらいの戦略的な取り組みを、農水委員会としても、衆議院としてもやるべきだと思います。このことは提案をしておきたいと思います。大臣、しっかりお願いしますね。
その上で、TPP11の話が出ています。
澁谷審議官、長くお疲れさまでした。私、与党のときから野党のときから、もう長きにわたってこのTPPには携わってきましたので、この間、最後こういうふうに、トランプ大統領の登場ということで今こういう形になっていますが、いろいろ意見は対立しましたけれども、この間の事務方の中心として澁谷審議官が果たしてこられた役割については、心から敬意を表したいと思っております。
その上で、従来、安倍総理は、アメリカ抜きのTPPは意味がないと。確かに、発効条件にGDPの八五%以上、半数の六カ国以上ということがあるので、アメリカの抜けたTPPは意味がないというのは従来おっしゃってこられたし、私もそう思います。
ただ、ここに至って、二国間交渉に対する一つの防波堤、とりでとして、あるいはアメリカという国も相対化する意味で、TPP十一カ国で一定の水準のものをまとめて、場合によってはそこに新たな、韓国とか台湾とか戦略的なパートナーを入れて、我が国の国益をより守る形のルールをつくった上で、アメリカや中国に対しても、この両国を相対化させる中で戦略的に迫っていくという一つの一歩として、TPP11というのは私は一つの考えではないかと実は思っております。
これまでアメリカ抜きのTPPということには完全否定の立場でありましたけれども、さまざまなオプションを考えるということで、最近さまざまな関係者の発言が変わってきていると思いますが、トゥエルブ・マイナス・ワン、このTPPイレブンについての政府の考えを教えてください。
○澁谷政府参考人 お答え申し上げます。
TPPにつきましての我が国の立場は、先月チリで開催されましたTPP閣僚会合などの場で明確にしているところでございますが、我が国が持つ求心力を生かしながら各国と緊密に連携し、あらゆる選択肢を排除せず、何がベストか主導的に議論を進めていくというものでございます。
三月のチリの会合では、出席した十一カ国の結束が確認をされました。
今後、五月にベトナム・ハノイにおいてTPP関係閣僚が再度会合を持ち、今後の方向性について議論をする予定となっております。また、その準備のため、事前に事務レベルの会合を行い、協議することとしております。
今後、そのような場を通じまして、TPPで合意したハイスタンダードなルールを実現するためにどういうことができるか、各国と議論していきたいと考えております。
○玉木委員 確認します。あらゆる手段、方策を排除しないということであれば、TPP11ということも選択肢の一つにあるという理解でよろしいですね。
○澁谷政府参考人 あらゆる選択肢を排除しないということでございます。
○玉木委員 そこはこれまでの方針と変わったのかなと思いますが、戦略的に向き合っていっていただきたいということで、TPP11、これは我が党内にもまださまざまな考えがあるし、整理がついていませんが、私は一つの選択肢として考えていくべきではないかなと。日豪EPAもありますから、オーストラリア、ニュージーランドという大農業国、あるいは乳産品をつくっている国との関係で一定の水準が合意できれば、私は、これは大きな、日本の国益を守る枠組みの一つになるのではないかと思っております。
次に、土地改良法に移りたいと思います。
先ほど中川先生から、民主党政権時代に土地改良予算が随分削られたという話がありました。確かにそうです、二十二年度当初予算は減ったんですが、私は当時、民主党内で数少ない土地改良予算を担当する人間でありまして、やはり、北海道を中心として、いろいろな意見を聞きました、困ると。あるいは国営かん排事業も、いろいろな継続事業に障害があるということで、その間、これは与党の先生も、わかっている人はわかっていただいていると思いますが、随分、予備費と補正で戻しました。加えて、二十三年度は、何といっても東日本大震災がありましたので、累次の補正によってかなりここは積み増したということは事実としてお伝えしたいと思います。
ただ、今もそうなんですが、やはり当初予算のレベルがなかなか戻っていないということは事実でありまして、ここは真に必要なものをいかに確保していくのかということについては、与野党を超えて、頭を、知恵を絞っていかなければならないなと思っております。
その上で、土地改良法の改正について何点か確認したいと思います。
先ほども話がありましたが、ため池、これは二十三年度の三次補正予算で、今も覚えていますが、福島県の中通りで藤沼池という池が決壊をしました。それで、人が亡くなりました。あのとき、津波の被害に対してどう対応するのかは日本じゅうの関心が集まっていましたけれども、私は地元にため池がたくさんあることもあり、陸地において最も居住空間に近いところの水の塊はため池なんですね。これが非常に耐震が不十分なものがあって、大規模地震の際にはそれが決壊すると大きな被害を住民に及ぼす、非農家も含めて。これを早急に対応しなければいけないということで、二十三年度の三次補正予算でため池に使える国費の予算を、当時、たしか二十四億円でした。最初は小さい予算でした。ただ、その根っこの予算をつくっていただいて、それが約十倍の二百四十億になり、それが先ほどもあったように五百億台になってきたというのは、私は、この間の、自民党政権、安倍政権になってからの努力も高く評価をしたいと思っています。
ただ、あの当時問題だったのは、何が耐震性があるため池で、どのため池が耐震性がないのかという現状把握さえなされていなかったんです。それで、二十五年、二十六、二十七と三カ年において総点検を各都道府県の協力も得てやってもらいました。
まず伺います。現時点において、耐震不足が確認されているため池は全国に幾つありますか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の八月に公表いたしましたため池一斉点検の結果でございますが、下流に住宅や公共施設が存在する防災重点ため池、全国で約一万一千カ所存在することが確認されました。この防災重点ため池のうち、都道府県におきまして、これまで三千三百カ所で耐震性に係る脆弱性評価、いわゆる耐震調査でございますが、これが実施されまして、約一千八百カ所で耐震性能の不足が確認されたところでございます。
○玉木委員 一千八百三十七カ所ですね。防災重点ため池で現時点において耐震不足と認定されているのがこんなにたくさんあるんですよ。いざ何かあったら、これは人の命を奪うような災害につながる可能性があるということですね。
実は、これ以外にも、防災重点ため池以外にも、耐震不足が確認されたものは六百十五カ所あります。全国に耐震不足だと少なくとも国が認めたため池は二千四百五十二カ所あります。これ、国として認知しているにもかかわらず対策を打たなくて何か人が死ぬような災害が起こったときには、場合によっては私は賠償の対象にもなりかねないと思うんですよ。だって、国として認識しているわけですから。ですから、重点的な予算配分をしていかなければいけない、そう思っています。
その上で、今回の法律の中で、そうした緊急を要する耐震化を目的としたため池の整備に関しては申請なく実施できる、費用負担、同意が要らないということになりましたが、この法律の八十七条の四を見ると、これはできますと書いてあるんですが、要件がかかっているんです。何かというと、国土強靱化基本法第九条第五号に規定する脆弱性評価の結果、地震に対する安全性の向上を図るために必要なものとなっていて、国土強靱化基本法九条五号に規定する脆弱性評価を受けないとこの事業の対象にならないように読めるんです。
この三カ年でやった、先ほどあった防災重点ため池の一千八百三十七カ所、プラスそれ以外の六百十五カ所でありますけれども、これは国土強靱化基本法に基づく調査でやったものではないですね。
ここで質問なのは、今回耐震不足だと言った、では防災重点ため池に限りましょう、一千八百三十七、これは法八十七条の四に規定する整備すべきため池の対象に全てなりますか。これを確認させてください。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の改正法案の第八十七条の四の第一項に規定しております脆弱性評価でございますが、これにつきましては、今後点検、調査等を新たに実施するものだけではなくて、既に実施した耐震調査も含まれるというふうに考えてございます。したがいまして、委員お尋ねの一千八百三十七カ所の耐震不足の重点ため池についても該当するというふうに考えてございます。
○玉木委員 ありがとうございます。該当しますね。
ですから、この規定、いい規定ができたと思います。ぜひそこは柔軟に、運用に当たっては現場の実態を見ながらやっていただきたいなと思います。例えば私の地元の香川県では、防災重点ため池のうち、耐震不足が確認されたものは二十五カ所あります。うちの近所の池なんかもあったり、意外に立派な池もあったりして、ああ、こういうところが結構耐震不足なんだなというところもありまして、そこはぜひ柔軟な運用をお願いしたいなと思っております。
もう一つ、この法律に関して、今度は柔軟な運用を余りしてもらいたくないものがあるんです。
さっき齋藤副大臣の答弁で若干気になったのは、今、これは別途議論しますけれども、農工法の審議が始まりますね、間もなく。もう一つ、経済産業省が出している、きらきらネームがついている地域未来投資促進法案というのがありまして、要は、農地を潰して、地域を牽引するような新しい産業の施設をつくりやすくするというような法案なんです、この経産省の法律は。農工法は、御存じのとおり、五分野に限定していた各種施設が、五分野を取っ払って、何でもいいから農地にそうした施設が建つ、立地ができるということなんです。
私の質問というか疑問は、税金を入れて、自己負担なく、同意もなく整備した土地が、数年たったら、ショッピングセンターとかパチンコ屋か、何かとにかく地域が元気になるという理由のもとに、平気でほかに転用されてしまう。
聞きたいのは、さっき、中間管理権の設定をしている間はないという話がありました。ただ、その期間が幾らなんだというと、明確なお答えがなかった。この委員会でかつて私、中間管理機構法をやったときに質問したのを覚えていますが、十年とか一つの基準があるんだけれども、今現場で聞くと、八十代のおばあちゃん、おじいちゃんが、中間管理機構を使ってくださいと言うと何を言われるかというと、十年とか言われるともう私は生きていないかもしれない、もうちょっと短くしてくれたら出せますという話があって、地域に応じてこの長さについては柔軟に、もっと言うと短くしてもいいんじゃないかということが結構現場では上がってきているはずですよ、農水省は把握していると思いますが。
そうなると、税金を突っ込んで整備して、こんな優良な圃場整備ができたのに、数年たったら、非常に平地できれいにしているから、ほかのものに幾らでも使いやすいですよ。コンビニになっていましたとか、あるいは福祉施設になっていましたとか、平気で転用されるのは私はまずいと思うんです。
そこで、法律上、こうして農家の負担なく整備されたような農地については、例えば十年以上、十年間は、あるいは十五年間は転用しないということをきちんと定めるべきだと思うんですが、法律にそういうことは書いていますか。
○山本(有)国務大臣 法律には書いておりません。
特に他用途に転用されるということは、容易にこれはすべきではありませんし、この事業において不適切でございます。
このため、土地改良法改正案について、農用地区域から除外規制を強化するという考え方のもとに、都道府県が機構関連事業を実施した農地については、農振法の現行の除外要件を全て満たすというものに加えて、その土地について農地中間管理権の存続期間が満了していなければ農用地域から除外することができない。
御指摘のように、現行の中間管理権の実績を見ますと、十年間以上のものが九六%でございます。
そうしたものに加えて、構造上、まず国が策定する基本方針に基づいて、農業上の効率的な利用に支障が生じないようにするという要件が一つ。また、導入産業の面積規模が最小限である、そういう考え方が一つ。また、既存の産業導入区域に既に造成済みの遊休工業団地等がある場合は、それの活用を優先させなければならないという順序が一つ。そして、機構関連事業を実施した農地につきまして、中間管理権の存続期間中は産業導入地区に含めないということを書き込むこととしております。
国のこうした基本方針に加えて、都道府県の基本方針で、国の方針に即して策定するというようにされておりまして、この基本計画は大臣の同意が必要だということになっております。さらに加えて、実施計画は市町村でつくるわけでございますが、都道府県知事が同意をするということにたてつけがなっております。
こうした計画の全てを総覧した上に、機関関連事業を実施した農地について、中間管理権の存続期間中は産業導入地区に含めないという取り扱いが徹底できると考えております。
基本方針は、土地改良法ではなくて、農工法改正法で定めるわけでございます。
以上でございます。
○玉木委員 法律上は決まっていないんですね。
中間管理権が設定している間はそうだということなんですが、さっき指摘したように、ここは結構柔軟になるし、十年未満のものもあり得るわけですね。
国の基本方針に書くということでありますけれども、これは立法上の措置ではありませんから、時の政権によって基本方針は変えれば幾らでも変わります。つまり、我々立法府のコントロールが及ばなくなるということは、私はこれは重々注意すべきだと思いますよ。
今までももちろん、整備された土地が気がついたらコンビニになって、立派なパイプラインがあるような立派なものだって変わっているような例はいっぱいあるんですが、今回は、自己負担もなく全額公費でやるものがある一定の条件を満たしたら変わってしまうということは、より厳格な転用規制というか、これを入れなければ、どんどんどんどんほかのものに使われる可能性があるということは、よくよく注意をしてもらいたいなと思います。
もう一つ言うと、これは全体に言えるんですけれども、やはり人・農地プランとの連携とかをしっかりとってもらいたいんですね。地域の未来の設計図、もっと言うと、どんな作物をつくるんだということについてもよく考えてやっていかないと、とにかく整備しましたということだけれども、整備した上で、さらにいっぱい補助がないとさらに持続可能がないようなそういう農業だと、何のために整備したかわかりませんから。
ですから、やはり、誰がどのような作物をどのような形でつくるのかということを、非農家も含めて地域の未来の設計図をきちんと描いた上で、だったらここはしっかり整備をしようということで入れていかないと、虫食い的にやっていくことは私は厳に慎むべきだと思います。
ですから、地域のありよう、農村のありよう、こういったものをしっかりと計画を描いた上でやっていくということが重要だということも、あわせて指摘をさせていただきたいと思っております。
次に、もう一つ気になることを聞きますが、二毛作助成についてであります。
これは私、何度もこの委員会で二毛作助成のことを申し上げました。きょう、与野党の議員の中でどれだけ西日本の先生がいるかどうかわかりませんが、二毛作ができるところはそれだけでいいじゃないかということも言われるんですけれども、特に麦です。自給率が低くて、戦略作物としてこれをいかにふやしていくのかということは極めて大事。にもかかわらず、二毛作助成、これは裏でつくると一万五千円、出なくなるんですね、十分な額が。私がずっと言っていたのは、裏でつくろうが表でつくろうが、例えば反当たり三万五千円出したらいいじゃないか、そしたらもっと麦をつくると。
例えば、うちの香川県だと讃岐うどんが有名ですけれども、それに使うような、ほとんどASWで入ってきますから、オーストラリアの小麦がほとんど使われていますけれども、国産の小麦を使うということを奨励していけば自給率の向上にもつながるということで、むしろ、反当たり一万五千円を、裏でつくろうが表でつくろうが、麦をつくったら三万五千円でいいじゃないかと。特に今度、戸別所得補償の半額部分の七千五百円がなくなりますからね、二重にもらったということはなくなるので、麦をつくったら、裏だろうが表だろうが、戦略作物として反当たり三万五千円出せばどうだということを言ってきましたけれども、驚くことに、去年からというか、今年度から減っているんですよね、この二毛作助成が。約八掛けぐらいになっている。
これは結構、現場で皆さん聞きませんか、西日本の方、南西方面の方は。せっかく営農継続してある程度経営が安定してきたというのに、どんと削られて、水田フル活用じゃないのかということも言われるわけであります。
これは何で削ったんですか。このお金を餌米の補助に回すとかという話もあるんですけれども、これは飼料用米偏重が過ぎませんかね。どうして減額したのか教えてください。
○柄澤政府参考人 お答え申し上げます。
まず、全体の事実関係でございますけれども、水田活用の直接支払交付金の二十九年度の予算につきましては、まず、御指摘の麦も含めまして、大豆、飼料米など戦略作物助成の統一単価、これはしっかり維持しております。その上で、二十九年産の作付面積などを見通した所要額としまして、全体として、前年度から七十二億円増となります三千百五十億円をしっかり確保しております。
一方、今御指摘ございました二毛作助成でございますが、これは、裏作、年に二回つくるということで麦などの作物を作付した場合に、統一単価に加えまして一万五千円のエクストラな助成を申し上げるということでございますが、この二毛作助成につきまして、昨年、財務省が予算執行調査に入っております。この予算執行調査の中で、二毛作助成の取り組みについてはほぼ定着しているのではないかということで、財政支援を受けずに取り組みを継続するような仕組みに変更すべきというような厳しい御指摘をいただいたわけでございます。
私どもとしましては、この御指摘は御指摘として受けとめながら、地域ごとの取り組み内容や定着状況の違いなどが反映できるように工夫をいたしまして、実は、二十九年度予算におきましては、各県の配分額の範囲内で、各県の裁量に基づきましてある程度自由にお使いいただけます産地交付金の仕組みがございます。この産地交付金を、二十八年度予算の八百六億円から千十六億円と二百億円以上大幅に増額いたしまして、この産地交付金の中で各県が工夫していただいて、柔軟な形で、二毛作に対する助成も含めまして御支援いただけないかということで、かなり工夫をいたしました。
他方、この産地交付金につきましては、年度当初に二割を留保するという運用をとっておりますが、これは、当年産の作付状況がまだわかりませんので、二割を留保した上で、必要に応じて戦略作物助成に留保分を充当して、残余分を産地交付金として追加配分するということでございますが、これは、委員もよく御案内のとおり、予算額の範囲内で執行するという原則の中で、私どもの執行上の工夫、運用として行っております。
いずれにしても、二十九年度予算につきましては、しっかり各県でお取り組みいただく十分な額を確保しておりますので、これを踏まえて水田フル活用の取り組みを行っていただきたいと考えております。
○玉木委員 柄澤さん、苦しいですね。定着したからやめると言いましたよね。これは助成があるから定着しているんですよ。やめたらまただめですよ、これ、だって。財務省はいろいろ言いますけれども、私は、ここは頑張るべきところだと思いますよ。
山本大臣、同じ四国なのでわかると思いますけれども、やはり高知もそうだけれども、二毛作できるところは水田フル活用やったらいいんですよ。特に麦のような、これからやはり、頑張っているところは応援したらいいと思うんですよ。
私が言いたいのは、餌米政策も悪くはないですよ。ただ、冷静に考えてみたときに、動物様が食べるお米に反当たり最大十万五千円出してやるのもそれはどうなのということを、これは余りやり過ぎると言われますよ。しかも、動物が食べるお米をつくるために、さっき言った全額公費で圃場整備って、これはどこまで本当に納税者の理解が得られるんですかね。そろそろある程度考えていかないと、ちょっと異次元の飼料用米政策になっているんじゃないかなと思ってね。
我々の政権のときも、転作奨励、転作として飼料用米政策をやっていました。ただちょっとこれは、バランスをもう少しとった方がいい、そう思いますね。しかも、その財源で、二毛作助成なんかの本当にやらなきゃいけない戦略作物に対する支援が削られているのは、ちょっとどうかなと思うんですね。
山本大臣、ちょっと頭の片隅に入れておいていただいて、同じ四国人の叫びとして聞いていただいて、これは大事だと思うんです。なかなかふやせないまでも、削らんとってほしいなということで、ぜひ二毛作助成のことを考えてもらいたいなと思いますね。
飼料用米の話が出たので、ちょっと飼料米の話を伺いますが、お手元の資料に、四枚目の資料、これをちょっと見ていただきたいんですが、この間、先ほど言ったように、飼料用米の助成を拡充することによって餌米の作付がふえていますね。ふえているんですけれども、ふえて、主食用米の米価がかなり高い段階で維持できている。これはこれで一つの政策効果なんでしょう。
ただ、一方で、純粋なミクロ経済学の理論からいうと、物の値段が上がると需要は下がるんですよね。だって、高いものはなかなか買えないから。米価を維持することは、一見、農家にとってはいいし、そういう政策、ある程度安定的な米価を維持することは大事なんですが、過度に引き締めて高どまりさせることによって需要を冷やしていないか。
よく、年間八万トンずつ減っていきます、これは人口減少と高齢化によってある程度トレンドですということをずっと説明を受けるんですが、ただ、果たしてそうなんですか。物の値段、米の値段を高どまりさせることによって、必要以上に需要を冷やしているんじゃないのかという問題点。
もう一つは、これは現に私はお米屋さんでも聞きますけれども、業務用米が足りていないですね。結構高くなって、肉でいうと、A5の十一とか十二みたいないいのもいいですよ。ただ、F1で、手ごろでおいしいものを食べたいというニーズは大きくある。米もそうで、ブランド米のいいのもいいですけれども、非常にボリュームゾーンの、特に中食なんかに使われるような業務用米がかえって不足する、あるいは高くなっていて、コンビニでおにぎりの一つの量を減らすとかというようなことも現に起こってきていると聞いております。
この飼料用米政策をやることによって主食用米の値段を上げることが、需要を必要以上に冷やす効果があるのではないか。逆にもっと言うと、SBS米の話が随分話題になりましたけれども、相対的に輸入SBS米の価格競争力を高めることに協力しているんじゃないのかということもあると思うんですね。
こういった点についてどのようにお考えなのか、大臣のお考えを聞かせてください。
○山本(有)国務大臣 米の値段が上がりますと、トレンドとしての八万トンの需要減、これに対してさらに拍車がかかるという傾向は否めない事実だろうというように思っております。
ただ、平成五年の六十キロ当たりの米価格が二万円を超えておりました。現在は、二万円というものではなくて、一万一千円から一万四千円の推移でございます。その意味におきましたら、やはり長期トレンドの八万トンの圧力というのはかなり強いものがあるだろうというように思っております。ですから、主食用米をつくり過ぎる、あるいは需給バランスを考えていなければ、私はかなり厳しいものになってくるだろうというように考えております。
そこで、いろいろな考え方、見方、やり方があると思いますが、御指摘の業務用米の不足に対しては、やはりしっかり対応していくということは大事だろうというように思っております。特に、中食の業務用ユーザー等から、希望する価格での調達が難しいという声が圧倒的に寄せられておりまして、主食用米の三割超がこの業務用米でございます。
そこで、外食、中食の実需者と産地とのマッチングを支援する、あるいは各産地に対して、業務用ユーザーの声にも耳を傾けながら、適切に生産、販売するということのための全国キャラバン等の機会、そういうように、需給がミスマッチではなくてマッチするような形で考えを進めていきたいと思っております。
また、全農が農産物の売り方を見直して、安定的な取引先を確保して、実需者、消費者への直接販売中心にシフトするということを考えておられまして、その意味で、米の流通分野においても販売体制が新たな段階を迎えてきていただけるというように期待をしているところでございまして、おっしゃる業務用米の品薄感というものも、市場にとって非常に重要な観点だろうというように思っております。
○玉木委員 私はこれもかつて何度か指摘をさせていただきましたけれども、安倍総理が減反を廃止するということをおっしゃったんですね。これはいろいろなメッセージがあって、私は必ずしも減反廃止には賛成はしていませんけれども、それはそれで一つの方向性で改革を進めていくのかなと思ったんですが、今やっていることは、多額の税金を使った減反の強化になっていませんか。主食用米の需給を、餌米というものに誘導することによって、それである種、強制的、人為的に業務用を含む主食用米の供給を抑えていく。
価格や量のコントロールに国家が過剰に介入してマーケット、市場原理を曲げていくということからできるだけ脱却していって、補助に頼らないような農業に変えていくというのが期待された改革の方向性だったのではないんですか。
当面、百十万トンぐらい飼料用米をやるんですか。一千六百億ぐらい予算が要るというふうに聞いていますけれども、そういう見通しでよろしいですか。
○柄澤政府参考人 お答えいたします。
今御指摘ございましたように、一昨年、二十七年三月に閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画におきましては、飼料米につきまして、平成三十七年度に百十万トンにするという生産努力目標を掲げているところでございます。
その際の財政負担については、いろいろな変数があるのでぴたっと確実に申し上げることは難しいわけでございますけれども、一定の前提を置いて試算しましたところ、千百六十億円程度から千六百六十億円程度だという一定の試算をお示しした経緯がございます。
○玉木委員 民主党政権時代に、いわゆる戸別所得補償制度の固定払いの分、あれはかかったお金が約一千五百億です。ばらまき、ばらまきと言われました。一千五百億です、固定払いの分は。その半額が残っているから、今七百十億とか七百五十億というのが反当たり七千五百で残っている、こういう規模、オーダーですね。
私が申し上げたいのは、人間が食べるお米をつくって反当たり一万五千円を支払ったことに対して、ばらまき、ばらまきと言われましたが、人が食べない、家畜が食べるお米をつくるのに反当たり十万五千円も出して、しかも一千六百億、民主党政権時代の戸別所得補償を超えるような額を入れることが、私は本当に合理的な政策なのかと思うんです。
しかも、マーケットをゆがめています。需要に応じた生産をする、つまり、業務用米が欲しいというニーズがあるのに、それが供給できない。無理やり税金を使って餌米に誘導するから、本来なら人様が食べるお米でおにぎり用が欲しいと言っているのに、十分な供給がない。随分マーケットをゆがめている政策がこの間進んでいると思いますよ。
いろいろな改革で進んでいるものは評価するものはありますが、少しこの政策については見直した方がいいと思いますよ。二毛作助成を見直すんだったら、餌米政策を少し手を入れた方が私はいいと思います。
最後に伺います。
資料の最後にもつけましたけれども、農協改革についても伺いたいと思います。これは日経新聞の記事なんですが、一番最後の資料を見てください。これは平成二十六年ですね、「JA全中の指導権限廃止は必須条件だ」。当時もありましたけれども、全力投球できていないから全力投球させるというのがJA改革でした。しかも、中ほどに書いていますが、賦課金を集めている制度もなくすべきだと。JAの、全中改革すれば賦課金がなくなります、上納金とも言う人がいましたね、六十億ぐらいあったと思いますが、こういうことがあるからけしからぬとか、あるいは、全中が、ここに書いているように、経営指導で地域の農協を縛る権限があるから、創意工夫が生かされなくて、自由にできなくなると。
農協改革が行われ、法施行がされ、今改革の途上ではありますけれども、法律は施行されました。今から冷静に振り返ってみて、こうした指摘、改革によって解消されていますか。
伺います。この全力投球できていなかった単協が、この改革によって何か新たに全力投球できるようになった事例を一つでもいいから教えてください。
○山本(有)国務大臣 各地の農協改革の進捗状況につきまして、各都道府県に対して毎年実施しているヒアリングなど、さまざま機会を通じて把握に努めておるところでございますが、平成二十八年から、肥料、農薬の予約購買において、最大二〇%程度の割引により品目の集約を図っている事例がございます、奈良県農協。農薬について、二十八年から入札対象品目を拡大して、一定量以上のロットのある農薬について販売価格を引き下げている事例、これは宮崎県でございます。また、特産物のユズは農家から全量買い取りしまして、加工品を商品化して、ブランド化して、頑張っている高知県の例がございます。
こうしたことを考えていきますと、さまざま自己改革をやっていただいて、さらに、平成三十一年五月まで改革集中期間として、全体を、改革を推し進めていただいていることは、我々にとりましても心強い全力投球ではないかというように考えておるところでございます。
○玉木委員 肥料の値段を下げたり全量買い取りすることが、全中の指導権限のもとでできなかったんですかね。賦課金についても、六十億あるのを、これは改革すればなくなるということですが、まだ六十億以上ありますね。私は、それはなくす必要は特にないと思いますが。
申し上げたいのは、イメージで改革を始め、イメージで改革を進めることをそろそろやめるべきではないかと思うことです。改革を進めるべきところが実は進んでいなくて、むしろ逆行しているような面、先ほどの餌米政策、需給に対するコントロールを強めていくこと、あるいは農水省やJAがむしろ現場に対して深掘りをしろと言って回っていくこと、これも本当に改革なんですかね。
こういうことについてもう一度整理をして、見直しをし、本当に現場の農家と農業に対して役立つ農政を与野党ともに進めていくこと、このことをお願い、お誓い申し上げて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○北村委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 おはようございます。民進党、秋田県出身の村岡敏英です。
きょうは土地改良法の一部を改正する法律案ということで質問させていただきますが、その前に二点だけ、ちょっと大臣にお伺いしたいと思います。
ことしの二月十五日、大臣に質問させていただきました。フラワーバレンタインデーでバラとカスミソウを奥さんに贈ったことも聞きましたが、そのことはお聞きしません。お聞きしたいのは、そのとき、京山の米の偽装疑惑というのがありました。その後、記者会見で、大臣も、中間報告はしないと。これはいいと思うんですね。しっかりと調べ切って報告しなければならない。
ただ、そのときに私が言ったのは、農家の方々が、秋田でももう雪が解けて種まきが始まっています、新しい作物をつくろうと今年度やっている最中であります。そういう意味では、ある程度時間を決めてしっかり調べなきゃいけないということで、中間のことは報告しなくても結構ですけれども、いつまでにということはもう決められているのかどうか、御発言をお願いしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 農林水産省としましては、現在、米の出入り等に関する事実関係、これを京山の取引先業者を含めまして徹底的に調査をしております。これはまだ続いておりまして、いつごろまでに調査を終えることができるかについて、現時点で見通すことはいまだ難しいというように考えております。
しかしながら、できるだけ早く明らかにしていくという決意で対応させていただきたいというように思っております。
○村岡委員 なぜそれだけ時間がかかっているのか、ちょっとわからない。我々委員には、業者側からはいっぱい、偽装疑惑はなかったという資料だけがどんどん積み上がっていくんですけれども、農林省もそこはしっかりしていただかなければ、農家の方々は心配していますし、農業界全体に影響、信頼を失うことですので、これはいち早く本当に調べ切っていただきたい、こういうふうに思っております。
それともう一点、きょうの農業新聞に載っておりますけれども、大臣が日商会頭と、農業成長について、お会いして話をした、三村明夫会頭と初めて会談したということですけれども、新聞紙上で書かれておりますけれども、どんな目的で、またどんなことで日商会頭とお会いして、どういうお話をしたか、教えていただければと思います。
○山本(有)国務大臣 三村会頭は、農林水それぞれ成長産業というように捉えていただいております。そのことにおいて、商工会議所で現在取り組んでおられる農林水の事業についての物の考え方等を御披露いただきました。また、各単位農協との連携も商工会議所が深められておられまして、各地域地域で単位農協の組合員の皆さんが商工会議所のメンバーになるというようなことがほうはいとして起こってきているという事実を報告いただきました。
その意味において、これから、商農連携、そうしたことを目指してともに頑張っていこう、そういう会合でございました。
○村岡委員 お取り組み自体は、農商工連携というのは大切ですし、やはり六次産業化なんかでも、その企業のノウハウを持っているものを地域地域で一緒に連携していくことは大切だ、こう思っております。それはぜひ進めていただきたい。
ただ、一つ気になったのが、新聞記事ですけれども、会頭が話している中で、「勘に頼った農業から、データを活用した科学的な農業への転換が必要」、こう述べられているんです。勘に頼った農業から。そんなことないんです、もう農業界。全ての経営のためにいろいろなことを農業の方々も研究しておりますし、農業団体もやっているんです。
どうも経済界に、農業は丼勘定でやっている、こういうイメージがあることが規制改革会議の中のいろいろなところで、彼らには経営感覚が一切ないんだというような、こういう認識のもとで、やはりそこは農林大臣として経済界にも、農業には、その政策の中、それから地域の中で、いろいろなもので頑張っていることを伝えないと、何か何十年前の話を経済界が思っているから、現場にそぐわない改革案も出てくる。
ここの部分は、大臣、認識を持った方がいいです。経済界の人が言っているから、そうだな、農業界は勘に頼っているな、そうだなと聞き流すんじゃなくて、ここはしっかり言っていただきたい、こう思っていますが、どうでしょう。
○山本(有)国務大臣 その件につきましては、一つの事例を挙げながらの御披露がございまして、ある非農家から農家に移られた方が、農場の各地点地点における気象条件を過去の分も含めてずっとデータを積み重ねていくことによりまして生産性が上がった、そういうことでございますので、そういう農業を披露するために、農林省は気象条件のビッグデータを簡易にそうした営農されている方に提供しろという御意見もございまして、技術会議等で可能な限りそうしたことをお互いやっていこうという情報共有のそういう話が枕にあった上での話だというように思っております。
私としましては、できるだけ農業に科学性というようなことは必要だと思っておりますし、その意味において、さまざまな事例の発表というものもベースにあったというように思っております。
○村岡委員 その前提があれば少しは認識が違いますが、しかしながら、経済界全体に多少はあるんじゃないか、これが規制改革会議でも、今まで農業界は何も努力してこなかったような認識のもとで改革を言ってくるということが現実的にあるんじゃないかと思っていますので、そこは気をつけていただきたい。また、大臣からも農業界の説明もしっかりしていただきたいと思います。
企業でも株価とかそういうのは、ある程度それは勘もあるんですよ、経営ですから。そういう意味では、どのところにも勘はあるんです。そして、必ずこれは改革していって新しいところに進んでいる、この部分は農業界もやっているんだということは伝えていただきたい、こう思っております。
では、本題に入らせていただきます。
今回の土地改良法の一部改正というのは、望ましい農業構造の姿という中で、担い手の利用面積の割合で五割から八割に平成三十七年を目標にしている、その中の一環だと思います。そして、今までの基盤整備事業でやってきた中ではどうしてもなかなか集積が進まないという認識のもとだと思いますが、中間管理機構を使って農家の負担をなくす、このことによって目標に向かって農業の構造改革をしっかり進めていくということでこの法律が新しく提案されたと思いますが、大臣の認識はそのような形でよろしいでしょうか。
○山本(有)国務大臣 まず、農地の担い手の農地利用集積を進めなければならないというように思っておりますが、平成二十七年度の農地中間管理機構の実績は、初年度と比べますと三倍程度拡大しております。また、担い手の利用面積も、二十七年には八万ヘクタールでございましたが、その八万のシェア、担い手へのシェアが五二・三%になるというような実績がございます。
他方で、今後、高齢化の進行がございますし、基盤整備が十分に行われていない農地がさらにいわば放置されるという危険性もございます。そうした意味で、機構への貸し付けを希望する所有者も増大すると見込まれておりますものでございますから、所有者に基盤整備のための費用を負担する用意がない場合や、あるいは、結果的に担い手への農地の集積、集約化がこのままでは進まなくなるというようなおそれが現状ございます。
今回の土地改良法の改正によりまして創設される機構関連事業において、機構が借り受けた農地について、農業者の負担や同意を得ずに基盤整備を実施できる制度を導入するということになりますと、先ほど申しましたように、集約化して担い手への利用を促進する、そのことにおいて新しい農業、力強い農業が展開できるというように思っておりますので、この法案が必要だというように感じるところでございます。
○村岡委員 目標に対する方向性としては大臣が考えているとおりの部分もあるんですが、ただ、担い手に八割面積が集約されるということになると、結果的には、農林省で描いている姿というのは、大体、今、農業就業者の必要数というのは平成三十七年ぐらいですと九十万人でいい、大体そのぐらいでいける。これは、農村社会とかそういうのは集約することによって効率性が上がる、そのためにやらなきゃいけないということはわかりますけれども、将来の農村の姿、今は二百万人切ったところですけれども、九十万人ぐらいで大体できるという姿というのは、農村社会を考えた場合には、人口減がさらに進んでいく中で機械化をやって農業がよくなっても地域が崩れていくんじゃないか、こう思いますが、それはどう考えていらっしゃいますか。
○山本(有)国務大臣 今、現状、平均年齢六十七歳で、しかも六十七歳以上の方々が六七%であるという現実からしますと、十年後を考えたときに、日本の農業というのは、九十万人といえどもなかなか、今の現状のままの農地、現状のままのやり方で今後展望が開けるかというと、私は、力強い農業、すなわち、営農可能な永続可能な農業を確立するということを考えたときに、農地の面でこうしたアプローチが必要であろうということは否めない事実でございますので、小規模農家や家族農業を切り捨てるという意味じゃありません、あくまでも効率的に農家収入、効率的な営農をやっていただくことによってコストを削減して農家収入が上がり、そこに若者就労、そういったものが促進されていくことによって産業として力強いものに展開できるのではないかという考え方でございまして、あくまで家族農業、零細農業、小規模農業、そういった方々の地域政策というものにもしっかり支援をしていきたいという考え方のもとでの話でございます。
○村岡委員 方向性のところで少し違うところがありますけれども、社会的な部分の中で地域にあるということもしっかりと配慮していただきたい、こう思っています。
法案の中身に入りますけれども、法案の中身で、除塩事業の土地改良法上の災害復旧事業への位置づけということで、今度は恒久法に位置づけられるわけですけれども、除塩事業なんかで、国庫負担を含めて除塩事業が変わってくると思うんですけれども、この事業がこの法律の変化によってどのように変わっていくのかお答え願いたい、こう思っています。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
除塩事業でございますけれども、これまでは土地改良法には位置づけられておりませんでした。過去の東日本大震災を初めとする大震災時には、特例法を制定して実施してまいりました。
今後、いろいろな地震が発生する可能性が高くなっております。地震に伴う津波によりまして農地に大規模な塩害が発生するといったことは十分予想されるところでございます。
そのような場合に、既存事業でこの除塩ができるということであればよろしいのですが、現在の土地改良法に位置づけられている既存事業で除塩事業を実施できるものはございません。したがって、迅速かつ機動的に復旧に着手できるようにするといった観点からは、今回の改正法案におきまして、土地改良法上の災害復旧事業として除塩を位置づけるということが、迅速な復旧という観点からは望ましいのではないかというふうに考えてございます。
○村岡委員 これは東日本大震災での教訓を生かしていくということで、ここは、いろいろな大地震が予想される中、そこにはしっかりと取り組んでいただきたい、こういうふうに思っております。
次に、突発事故ですね、塩害だけじゃなくていろいろな突発事故があります。この突発事故で、今度は、法律の中で、土地改良施設の突発事故被害の復旧について、災害復旧と同一の手続で行うことができるものとすることと改正があります。では、この突発事故というのは一体どんなことを農林省の中で想定しているのかお教え願いたい、こういうふうに思っております。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
突発事故でございますが、年々施設の老朽化が進んでおります。例えば、パイプラインなどがある日突然破裂をして水しぶきが噴き上がるといったような、そういったいわば自然災害によらないような、施設の老朽化に起因するような、ある日突然起こるような、そういったような突発事故を想定いたしてございます。
○村岡委員 そういうことを想定しているとすれば、この法律の中で、施行してすぐじゃないんですね。突発事故でそういうパイプラインが破裂したりそういうことになれば、すぐ対応しなきゃいけないです。これはなぜ、そのようにすぐ対応できるような法律にしていないんでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
この突発事故に対応するための事業でございますけれども、あらかじめ、都道府県と市町村において費用負担の割合を調整して、これを条例として定めておく必要がございます。それで、地方議会の日程などを考えますと、条例の成立は早くて九月以降であるというふうに見込まれますことから、この部分につきましても、施行日を公布日から六カ月以内というふうにしているところでございます。
それで、この突発事故対応事業について、現行の国営施設応急対策事業の中で、暫定的な被害拡大防止対策が可能でございますので、必ずしも公布日即施行日としなければならないという状況ではないというふうに考えてございます。
○村岡委員 施行日とちょっと違うということなら、農家の方々が私のところにも聞いてきまして、では、今起きたらどうなるんだとか、そういう形になるので、そこはしっかりと対策をとっていただきたい、こういうふうに思っております。
次に、土地改良施設の更新事業における手続の簡素化ということで、法律の中に、土地改良施設の更新事業のうち、「当該土地改良施設の有している本来の機能の維持を図ることを目的とし、」という、この本来の機能維持、どの程度の機能向上を伴うものまで含まれるか、これはどういう意味なのかというのを聞かれるんです。これはどういうことなんでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
現行制度におきましては、土地改良施設の更新事業のうち、機能の維持を図るものであって、管理事業計画の同一性ですとか組合員負担の相当性、こういった要件を満たすものにつきましては、三分の二の同意にかえまして、総会での議決で事業を実施できるというふうにしております。
一般的に申し上げますと、昨今、施設の更新に当たりましては、以前に比べまして年数がたっております。近年の技術革新によりまして、そういった成果を取り込んで施設の更新事業をやることが一般的でございます。
例えで申し上げますと、省エネ型ポンプの導入ですとか、これまで手動であけ閉めをしていたゲート設備を自動化するですとか遠隔操作ができるようにするとか、そういったような近年の技術革新による成果を取り入れて更新事業を行うということが一般的でございます。
しかし、このような更新を行いますと、現在の条文上は、機能の向上が図られるものというふうになってしまいます。
こうしたことを踏まえますと、土地改良施設の更新事業のうち、技術の革新等に起因する機能向上を伴うものについては、早期の事業実施を図るといった観点から、三分の二の同意にかえまして、総会の議決でもって事業を実施できるようにするというようなことが適当ではないかというふうに考えて、今回法案に盛り込んでいるところでございます。
○村岡委員 進め方というのは、やはりその地域のものがあるので、全てが急げばいいというものじゃないので、そこはしっかりと相談していかなきゃいけない。
それから、中身に関しても、もちろん法律とかはそういうのを全部書けないですけれども、よく説明しないと、もうここ四年でどんどんいろいろなものが変わって、農家の方々も戸惑っているという現状があるので、しっかり説明していただきたい、こういうふうに思っております。
それで、今度はそれに関連してですけれども、土地改良事業の申請人数の要件の見直しということで、今度は、十五人がもう一人でも大丈夫だということなんですけれども、やはりこれは、これまで十五人そろってなきゃいけないということの中で進まなかった事例をしっかりとつかんでいるということで認識してよろしいんでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
国県営事業に係る人数要件の支障事例でございますけれども、例えば、受益地内の大部分を農業法人が耕作しておりまして、十五人の要件を満たせなかったために、市町村申請に切りかえて事業を実施した、しかし、市町村申請をするに際しましては、市の農振計画に位置づける必要がございますので、その手続に時間を要して事業の開始が当初予定よりもおくれたという事例があるというふうに承知をしております。
また、申請人数が十五人未満である場合には、そもそも申請ができないということで、申請自体を諦めてしまった事例もあるというふうなことを把握いたしております。
○村岡委員 現状把握の中で、もちろん早く整備しなきゃいけないところもあるんですけれども、必ずしも、多少の時間がかかっても、その地域合意を、かけなきゃいけないことも逆にある場合もあるんです。やはり地域地域のことをしっかり見ていかないと、急がせるために、結局できたものが地域の同意を得ていなくて、なかなか実際には進まないという場合もある、そこは慎重にやらなきゃいけない、こういうふうに思っております。
次に、この土地改良事業は、農業者の同意や負担を求めないで中間管理機構に預けてあるわけですけれども、その場合に、求めないものであるため、公共性や公益性を確実に担保する必要があり、現在、既存事業との不公平感が生じないように、これはすごくあるんですね。
実際に、今はもう中間管理機構に預けていなくて進んでいる土地改良基盤整備事業があるんですけれども、この不公平感というのは現場から聞いておりますか。
○佐藤政府参考人 これまでいろいろなヒアリングを行う中で、そういうような御心配をする声というものは存じております。
ただ、我々といたしましては、過去に基盤整備を行った農地でありましても、一定の要件を満たせば機構関連事業を実施することが可能であるというふうに考えております。
また、委員御指摘のとおり、現行事業におきましても、担い手への農地の集積、集約化率が一定以上となる場合には、促進費の交付によりまして農家負担は実質ゼロになるということにしております。
○村岡委員 従来のものでも、集積率を含めて八五%以上ですと、標準的な負担割合ですけれども、国が五〇%、都道府県二七・五%、市町村一〇%、地元で一二・五を促進費の中で、これは国と都道府県が出す。これで八五%以上なら、中間管理機構に預けて基盤整備事業をやったのと同じようにゼロになる、こういうふうな標準的な説明なんですが、実際には、これは都道府県によって、都道府県というより市町村によって、一〇%というところは差があるんです。一〇%満額出すところもあれば、そうじゃないところもある。
その中で基盤事業を進めていくときに、不公平感があるときに、町村が、田んぼですからまたがっているところもいっぱいあるんですね。またがっていると、一〇%のうち、こっちは一〇%出してくれて八五%の集積率で全部オーケー、こっちは七・五%ですから、こっち側の人は負担していかなきゃいけない。
ところが、これは中間管理機構が預かっているわけじゃないですから、所有者の中でそれぞれに不公平感、自分のまたいだところ、これなんかは、市町村の予算ですから、どうしようもないといえばどうしようもないんですが、これを何かもう少し促進するためのものは考えられないでしょうかね。どうでしょう。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員御指摘なさいましたとおり、圃場整備事業の市町村負担につきましては、その地域の実情によりまして、地方公共団体の負担割合についてのガイドラインで示す水準まで負担がなされていないという場合があることは承知をいたしております。
このガイドラインにつきましては、市町村の標準的な費用負担の水準を示すとともに、これに基づく市町村負担については、地方債や交付税が措置されているものでございます。このような制度の趣旨や内容について一層の理解の浸透を図りながら、事業の推進を図ってまいりたいと思っております。
また、その上で、さらにどのような対策が考えられるかということでございますが、例えば総事業費の抑制といったような工夫ができるのかどうか、そういったところで総事業費の抑制を図ることによって市町村負担の軽減につながるような取り組み、こういったものを検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○村岡委員 なかなか今の現状では難しいと思うんですけれども、その不公平感が大変地域の中で、今進めているところの中であることも現実です。しかしながら、今それを取り下げてもう一回中間管理機構に預けるとなると、これは一年以上かかってしまうということで、なかなかできないという現状もあるので、いろいろな把握をしていただきたい、こういうふうに思っております。これは、大規模化を進める上で、また効率化を進める上で、それが逆に進まない原因になるということもありますので、そこはしっかりと現状を把握していただきたい、こう思っています。
それから、転用の防止のことであれなんですが、この転用のものは、やはりせっかく税金をかけてつくった優良農地ですから、ここに関して言えば、転用をしないような禁止規定というのはしっかりしなきゃいけないと思うんですが、特別徴収金ですけれども、これまで実際にはそのような取られた事例というのはあるんでしょうか。
○佐藤政府参考人 特別徴収金のお尋ねでございますが、平成二十四年度から二十八年までの直近五年間ということになりますが、農林水産省で把握しております特別徴収金の徴収事例につきましては、都道府県営事業において四地区、面積で約十一ヘクタール、金額で一億三千九百万となってございます。
○村岡委員 そういう面でも、農林部門の中では農工法だとかいろいろありますけれども、経済産業部門のところで未来投資何とかとかいうのがありまして、農地転用のきらやか法案みたいなのがあるんですけれども、そういう中でいくと、転用のことは農水部門でもしっかりと、優良農地の転用が簡単にできるようなことをやはり進めちゃいけない、この農水部門の中でもそれを言っていかなきゃいけない、これは与野党ともにそういう中で協力していただければ、こう思っております。
大臣も経産部門の中の農地転用のところを見られていると思いますけれども、どのように考えられておりますか。
○山本(有)国務大臣 ともかく農地というのは貴重な生産手段でありまして、まず耕作に応じた土質がなければなりませんし、また用水の確保も必要でございます。一旦農地から雑種地等に形状が変化いたしますと、回復ということがほぼ不可能なことになるわけでございまして、その意味において、国家としての食料供給に多大な支障が必ず出てくるというように思っておりますので、一旦農地が確保されれば、それはほぼ永続して営農ができるということの確約が私はこの国の農業に対する信頼を生むというように思っております。
そんな意味で、安易な転用ということは決してやってはならないというように思いますし、地域未来投資促進法によって優良農地がずたずたになったりするような、そんな考え方で法律がもしつくられているならば、これは断固農地を守るという観点で、きちっとした考え方を出さなきゃならぬというように思っております。
しかし、地域未来投資促進法の法律の立て方からしますと、優良農地をいたずらに侵略、侵害していくというようなことではありません。ルールに従って、我々と十分な協議の上で、転用すべきは転用するという考え方に立っているというように理解しておりますので、私ども、今後、こうした調和的な農地の利用ということも考えていきたいというように思っております。
○村岡委員 時間が参りましたからやめますけれども、いたずらに転用すると書いてないんじゃなくて、やはり担保して、優良農地は農地として使っていくんだということの中で、それを踏まえながらしっかり農水部門としては申し入れして、優良農地を守っていくんだ、このことでやっていただきたいと思っております。
終わります。ありがとうございました。
○北村委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 民進党の佐々木でございます。
土地改良法について、この法律案についてきょうは質問させていただきます。
その前に、昨年、何度か大臣とやりとりをさせていただきましたが、北海道を襲った四回の台風があります。食料基地北海道にとっては大変大きな被害であったわけであります。食料基地というのは、一次産業の基地と言ってもいいんだというふうに思いますが。
被害対策について何度か質問させていただいて、その中で、共済の早期支払いよりも必要なのは被害の早期確定だ、そのことが農地を復旧させるためには必要なんだ、特に北海道の場合は雪がありますので、冬の間の工事というのはできませんので、そういった意味では早期確定をしてやっていただきたいということで、我々の近辺でも、秋に工事が既に始まっているところも散見をいたしました。
そのことについて、対策及び進捗状況をお知らせいただきたいというふうに思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
昨年北海道に襲来いたしました一連の台風によりまして、農作物、農地、農業用施設、林地、治山施設、林道施設、漁港、それから養殖施設などに甚大な被害が生じまして、被害額は現在八百億円という報告を受けているところでございます。
このうち、農地につきましては、土砂の流出、堆積などの被害が生じた農地約四千七百ヘクタールのうち、自力復旧が可能な農地を除きまして、被害が甚大な約五百ヘクタールにつきまして災害復旧事業で復旧を進めているところでございます。
これによりまして、本年の秋までに、自力復旧が可能な農地と合わせまして約四千六百ヘクタールで営農再開が可能となる見込みでございます。
それから、林野関係でございますが、被害が生じました林地百八十一カ所、治山施設二十八カ所、林道施設七百十七カ所、合計九百二十六カ所ございますが、このうち被害の甚大な百九十六カ所で現在災害復旧事業を進めておりまして、このうち、本年度中に百九十四カ所、それから残り二カ所につきましても平成三十年度中の復旧を見込んでいるところでございます。
それから、水産関係でございます。被害が生じました二漁港のうち、一漁港で現在災害復旧事業を進めておりまして、残りの一漁港につきましても工事に向けた準備を進めているところでございます。
それから、養殖施設でございます。被害が生じました八百四十五カ所のうち、甚大な被害を受けました市町村の施設二百九十七カ所で現在災害復旧事業を進めておりまして、残りの施設につきましても自力で復旧を進めているところでございます。
農林水産省といたしましては、被災された農林漁業者の皆さんが希望を持って経営を継続できるように、引き続き全力で支援してまいりたいと思います。
以上です。
○佐々木(隆)委員 御努力をいただいておりますことに評価をさせていただきたいというふうに思います。
農地についていえば、ことしじゅうには四千六百まで回復するということで、ほぼ回復をされるということになりますし、林地についても、あるいは水産についてもかなり進んでいるということについては評価をさせていただきたいというふうに思いますが、農業というのは一年一作、さっき二毛作の話もありましたが、基本的には一年一作ですから、一年とれるかとれないかというのはまさに死活問題でありますので、そういった意味では、早期に取り組んでいただきましたが、ぜひこれからも事業の推進をお願い申し上げておきたいというふうに思います。
それでは、土地改良法に入りたいんですが、土地改良法を改正するのはしばらくぶりであります。中間管理機構のときを除けば、新しい基本法ができた直後以来ということになるんだというふうに思います。
ただ、気になりますのは、片一方で農地法とか農業委員会法とかそっちの方をやたらといじくり回して、何か農地、先ほど大臣の答弁の中でもちょっとだけ気になったのは、重要な生産手段だと。それは確かにそうなんです。重要な生産手段であると同時に、農地は町土、もっと言えば国土という側面も持っておりますので、単なる生産手段として、このごろいじくり回し過ぎなのではないかということがちょっと気になっております。
そこでまず、基本法における土地改良法について、旧法の中ではいわゆる選択的拡大とか構造改善とかというのがメーンだったわけですね。しかし、それだけではなかなか今の情勢に合わないということで、一九九九年ですか、新しい食料・農業・農村基本法という法律ができた。そこのメーンは、農村振興局に限ってちょっと申し上げれば、農業の多面的機能の発揮ということが新たに加わって、そこが大きな柱に一つなっていると思うんですね。
そういった意味で、土地改良法もそのときに、〇一年に改正をされているわけでありますが、この基本法自体の理念あるいは目指すところというのが変わってきた、そのときに土地改良事業というものについても新法のもとでやはり変わってきたのではないかというふうに思うんですが、新法のもとでの事業展開についてお伺いをいたします。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず、昭和三十六年制定の農業基本法のもとでの話でございますが、この当時の農業基本法の第九条に「農業生産に関する施策」という条項がございます。そこで、「国は、農業生産の選択的拡大、農業の生産性の向上及び農業総生産の増大を図るため、」途中省略いたしますが、「農業生産の基盤の整備及び開発、」また省略いたしまして、「等必要な施策を講ずるものとする。」こういう規定がございました。
その後、委員御指摘のとおり、平成十一年に制定された食料・農業・農村基本法でございますが、この現行の基本法におきましては、第二十四条、この第二十四条は第三節の「農業の持続的な発展に関する施策」の節に属するものでございますが、この二十四条では、「農業生産の基盤の整備」ということで、「農地の区画の拡大、水田の汎用化、農業用用排水施設の機能の維持増進その他の農業生産の基盤の整備に必要な施策を講ずるものとする。」こういう規定になっております。
そういったことから申し上げますと、旧基本法あるいは新基本法を通じて、農業農村整備事業の枠組みにおいて、生産基盤の整備を中心に据えて事業を行ってきているというところの考え方は変わっていないというふうに考えてございます。
○佐々木(隆)委員 局長、変わったということではなくて、付加されたはずです、新しい基本法の中では。生産基盤をつくるというのは、それは未来永劫変わらない話です、土地改良において。だから、それを通じて、農村の維持とか、あるいは生活環境ということにも配慮しましょうよというふうに付加をされてきたというのが、新しい基本法の精神だと思うんですね。
私は、そこは新しい基本法の大変評価できるところだというふうに思っておりますので、そういった意味で、農村振興局が中心になってというか、農水省が新しい基本法のもとで取り組んできたものに、中山間対策とか環境保全の対策とかというものがあるわけですよ。それは、その精神に基づいてできてきているわけですよね。
その対策の中で、私はやはり農村の維持ということも大きな柱になってきたというふうに思うんですが、そこでお伺いをしたいのは、この間の農村集落というものは一体どうなってきたのかということをぜひちょっと教えていただきたいなと思います。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
農業集落の数につきましては、五年ごとに農林業センサス等で把握をいたしておりますけれども、二〇〇〇年までは農家数が五戸以上の集落を把握しております。このデータで御報告いたしますと、一九九〇年には十四万集落でございましたが、二〇〇〇年には十三万五千集落となりまして、四%弱減少しているところでございます。
その後、二〇〇五年からは、農家戸数の多少にはかかわりなく、農地等の地域資源がある集落を把握してきております。具体的な数字といたしましては、二〇〇五年には十三万九千集落でございましたものが二〇一五年には十三万八千集落となっておりまして、一%弱の減少となっております。
このうち、地域資源の維持管理を共同で行う等の、いわゆる集落機能がある農業集落の数を申し上げますと、二〇〇五年には十三万二千集落でございましたものが二〇一五年には十三万四千集落となりまして、二%程度増加をしているところでございます。
○佐々木(隆)委員 きのうも説明を受けたりして、ちょっと意外だったんですが、今の状況からすると、農村集落というのはずっと減ってきているのかなと思っていましたら、むしろ少しふえたりしているわけです。カウントの仕方が変わったということがありますので、単純比較はちょっとできないかとは思うんですが。
ただ、それにしても、二〇〇五年から二〇一五年の間でさえも若干、わずか二%とはいえども農村集落がふえているというのは少し意外な気がしたんですが、これについてはもうちょっと中身を分析して教えていただきたいんですが。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
農業集落全体の数につきましては、先ほど申し上げましたように、二〇〇五年から二〇一五年にかけまして一%程度の減少というふうにはなっているわけでございますけれども、その中で、いわゆる集落機能がある農業集落の数について見ますと、二〇〇五年以降二%程度増加をしているというところなわけでございます。
その要因といたしましては、高齢化の進展等によりまして個人対応での地域資源の維持管理等が困難となりまして、地域での共同の取り組みによらざるを得なくなってきたという事情があること、他方で、二〇〇〇年以降、中山間地域等直接支払制度でありますとか、あるいは農地・水・環境保全向上対策等が順次実施をされてきているわけでございまして、こういった対策が地域の共同の取り組みを後押ししたという側面もあるのではないかというふうに考えているところでございます。
○佐々木(隆)委員 今御説明をいただきました、いわゆる高齢化、高齢化と、農水省の答弁に必ず高齢化と出てくるんですが、それは一生懸命やっている高齢者の皆さん方に大変失礼なので余り使わないでいただきたいなと、私自身もその年齢に近づいていることもありますが。六十七歳、六十七歳と言うんですけれども、片っ方で厚生省は七十五歳まで高齢者を延ばそうかと言っている時代ですから、平均年齢ですけれども、六十七歳、六十七歳ということを言うことは余りプラスにはならないというふうに思いますので、余り使わないでいただきたいというのが、これは希望です。
今のお話からすると、いわゆる中山間や農地・水で、共同作業などで集落が維持されてきた、ふえたというのも少しわからないんですが、そういうふうになってきた、いわゆる共同作業をやる集落がふえてきたというのが集落機能という分け方をした結果だというふうに思うんですね。
農村整備という中には、農地整備というのはもちろん基盤ですからこれはもちろんあるんですが、どんどんと混住化が進んできている、いわゆるリタイアした人も一緒にそこに住んでいたりするということもあって、混住化もあり、それから都市農業もあり、それから村づくりみたいなものもあって、全部ひっくるめて私は基盤整備だと思うんですね。それが新しい基本法の私は精神でもあるというふうに思っております。
そんな中で、今回の八法で気になるのは、旧法のやり方に少し戻ってしまったのではないか、いわゆる選択的拡大あるいは構造改革という言い方にどんどん変わってきているのは少し気になっているんですね。
旧法で何を反省したかというと、農業がよくなれば農村はよくなるという発想だったんですよ。ところが、農業がよくなったというか、それなりに発展しても農村はどんどん寂れていったというところに新しい基本法をつくった最大の私はポイントがあると思うんですね。あのときのあの審議会の座長を務められた先生のコメントにもそういうことが載っているわけですが、そこのところをぜひ大事にしていただきたいということを踏まえながら、中身を少し質問させていただきたいというふうに思います。
まずは、先ほどもお話がありましたが、更新事業における手続の簡素化という分野であります。
既に簡素化されているわけですよね、先ほど局長もお答えをいただきましたように、事業の同一性や負担の相当性が確保されているということをもとにして、総会の決議、総会の三分の二あるいは知事ということで簡素化の手続が既に行われているにもかかわらず、なぜまたさらに簡素化をしなければならなかったのかということについてお伺いをいたします。
○佐藤政府参考人 更新事業の簡素化の御質問でございますが、現在、この簡素化と申しますか、三分の二の同意にかえまして総会の議決で事業を実施できるというその範囲でございますが、これは繰り返しになって恐縮でございますが、更新事業のうち、機能の維持を図るものということでございます。極端な話、従前と全く同じ施設に更新する、こういう非常に狭い範囲に限られてしまいます。そこで少しでも機能向上が図られてしまいますと、現行ではこの簡素化の要件には該当しないで、三分の二の同意をとらなければいけない、そのために時間がかかるということでございます。
しかるに、土地改良施設を整備して、老朽化が進んでおります、要すれば、大分以前に整備した、それを現在の時点で更新をしようといたしますと、現在の技術で普通にやっていること、これを取り入れてやるということが一般的でございます。そうしますと、全く同じ施設を更新するということではなくて、先ほども申し上げましたような、ゲートをこれまでは手動でやっていた、これを自動化する、遠隔操作化できるようにする、そうしますと、これは機能の向上があったということで、現行法ではこれは三分の二の同意をとらなければいけないということになります。
そういう技術革新の成果を取り入れて、普通にその技術革新の成果をもとに更新を行って、その際に機能向上してしまうもの、これについては、三分の二の同意によらずに総会の議決で事業を実施できるようにすることが適当ではないか、そういう考え方でございます。
○佐々木(隆)委員 あわせて後でまたお伺いしたいんですが、もう一つ、中間管理機構についてです。
今回の改正では、中間管理の部分だけ全部抜き出してわざわざ別項をつくるほど中間管理に随分手厚い法律になっているんですが、私は、むしろ心配するのは、中間管理機構でないとこの先は土地改良事業もできなくなるのではないかというぐらい、何か手厚く法律が今度整備をされているんです。
その中で、中間管理機構というのは、中間管理設定をしているわけですね、要するに所有者から。本来は、土地をいじるんですから、本来の所有者の同意が必要だと思うんですよ。管理設定しているだけですから、中間管理は。その再設定をしなければならないのではないかというふうに思うんですが、その点と、先ほどもありましたが、既存の実施地区では負担が発生をしているのに、この事業では負担が発生しないというのはどう考えても不公平ではないかというのが、既存の事業を実施している人たちから心配の声も上がっておりますので、これらの懸念についてお答えをいただきたい。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
機構関連事業についての同意の必要性の御質問であったかと思います。
現行の土地改良法で、所有者等の三分の二以上の同意を得て事業を実施しております。その同意の意味でございますが、この土地改良事業の実施地域内の所有者等に費用負担を求めるために同意徴集を行っている、こういうことでございます。
今般創設を考えております機構関連事業は、所有者等に費用負担を求めないといったことから、同意を不要とするということでございます。
そういった意味で、先ほども御質問にお答え申し上げましたけれども、権利関係の変動がある場合、すなわち財産権の変動がある場合、こういった場合につきまして、先ほど申し上げました換地計画に基づく換地処分でございますが、これにつきましては、きちんと関係権利者の同意を一件一件とっていく、こういうことを考えてございます。
機構関連事業でございますが、機構が借り受けた農地を対象として実施するものでございます。機構が農地の賃貸借を行うに当たりましては、今般、機構に対しまして、あらかじめ所有者等に対して機構関連事業が行われ得ることを説明する旨を義務づけることとしております。これは中間管理事業法を改正することとしております。また、所有者等の側におきましても、この機構関連事業が行われ得ることを承知して機構との間で権利の設定が行われることになると考えられますので、所有者の同意を求めずにこの機構関連事業を実施したとしても問題はないというふうに考えてございます。
なおまた、不公平感の問題でございます。
既存の土地改良事業と今般の機構関連事業との間での不公平感の問題でございますが、私どもといたしましては、過去に基盤整備を行った農地でありましても、一定の要件を満たせばこの機構関連事業を実施することができるということでございます。
また、現行事業におきましても、担い手への農地の集積率ですとか集約化率が一定以上となる場合には、促進費の交付によりまして農家負担は実質ゼロになるようにすることとしておりますので、そういった面でも不公平感が生じないのではないかというふうに考えておりますが、なお現場では不公平感に対する懸念がございますので、そこはしっかりと御説明をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○佐々木(隆)委員 ぜひ丁寧な、今御答弁いただいたのは、これから新しくやる事業についてはそういうことが、その制度に乗っかればということになりますので、既に行われているものについては、それはそのままでありますので、その辺についての説明もきちっとしていただきたいというふうに思います。
なぜここを質問申し上げたかというと、中間管理機構というのは、先ほど来言っているように、農地を管理しているのであって集落の形成者ではないわけですよ。土地改良の設備といえ、負担を伴わないからといっても、みんなの共有の財産、集落の財産について、集落の代表者ではないわけですから、集落の形成者ではないわけですから、だから、その共有の財産を触る、あるいは変わる、機能アップだといっても何であっても、変わるんですから、本来であれば集落の形成者が全員納得をするというのが前提だと思うんですよ。そういった意味では、余りここを、費用を伴わないからということでネグってしまわないように、ぜひここはお願いを申し上げておきたいというふうに思います。
もう一点お伺いしたいんですが、今度は申請要件、先ほどもありましたが、申請要件、とりわけ人数要件ですが、十五人以上の人数要件を削除といいますか廃止しちゃう、これはちょっと乱暴過ぎないかというふうに思うんです。
何でこれは人数要件を緩和という発想がなかったのか。例えば半分にするとか五人にするとかという方法だってあったと思うんですが、何でこれは全廃ということになったのかということについてお伺いします。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
現行の十五人の申請人数要件をどうするかということにつきましては、委員御指摘のとおり、いろいろな考え方があろうかと思います。
今回、我々としても検討する中で、いろいろなオプションがございましたけれども、各地域では、大規模な家族経営ですとか集落営農ですとか農業生産法人など、さまざまな担い手が経営を展開しております。そういった方々の経営状況といったものは地域ごとにさまざまでございます。まさに千差万別でございます。そうした中で、申請人数について一定の線、一つの線引きをするということはなかなか困難ではないかというふうに考えるに至りました。
そういったことを踏まえまして、国県営事業に係る申請人数要件については廃止をするというようなこととさせていただくこととしてございます。
○佐々木(隆)委員 今、大規模化が進んでいて、集落の中でというか一つの区域の中でかなり大きな法人があった場合に、あとは小さな農家しかなくて、そういう場合に十五人というのは無理だというのは、まあ、それはあるのかもしれません。
ですが、例えば、非常に私は心配するのは、面積要件は満たしました、二人以上であれば申請できますということになると、メガ法人みたいなところが二軒寄って申請すればこれはできるということになっちゃうわけですよね、今度の仕組みからいうと二人いればできちゃうんですから。お願いします。
○佐藤政府参考人 この改正案によりますと、国、都道府県が行う土地改良事業の申請人数の要件を廃止いたしますので、一人でも申請が可能となるというようなことになりますので、経営規模が大きな法人も単独での申請が可能になる、委員御指摘のとおりでございます。
しかしながら、一般に土地改良事業を実施する場合でございますけれども、申請者が事業計画の概要を作成いたします。その中で、地域の農業者の三分の二以上の同意を得る必要がございます。また、換地を行う場合には、換地を行う場合が非常に多うございますが、その換地計画について関係権利者会議で所有者等の同意を得る必要があるということでございます。
そういったことを考えますと、経営規模が大きな法人が申請する土地改良事業の実施に当たりましても、引き続き、土地改良区が中心となりまして、集落の話し合いを進めて合意形成を図っていくという実態といいますか、実情になるものというふうに考えてございます。
○佐々木(隆)委員 いや、実態はそうなるというのは、局長、それはかなり希望的観測であって、だって、できちゃうんですよね、この法律上は。面積が要件が満たされて、二人いて申請をすれば、要するにこれから出てくるかもしれないメガ法人みたいな農業法人が寄って申請をすれば、これはできちゃう。
それがどんどんどんどん拡大解釈されていったときに、農村集落は一体どうなるんだというのを非常に心配するわけですよ。そうはいってもといったって、法律的にはそうなっていないわけですから、そういうふうにやったときに、とめられないというところを非常に懸念するわけです。
私は、土地改良の事業というのは、基盤というよりは地域づくりだと思っているんですよ。それを通して地域をつくっていくというのが土地改良事業だと思っております。だから、土地改良の理事長さんに首長さんがなっておられるところが時々あるんですが、まさにそれは地域づくりという視点があるからそういうふうになっているんだと思うんです。
今までは、集落の代表者が理事となって、理事会で諮って、そして土地改良事業というのを決めていたから、地域全体の合意というのが得られる仕組みになっていたんですよ。ところが、これがどんと一人でいいよみたいな話になっちゃったときに、そこのところをしっかり担保しておかないと私はいけないというふうに思うんですが、これは三役にお答えをいただきたいと思います。
○細田大臣政務官 ありがとうございます。
私の例えば地元であれば、例えば一つの村落で共同して一つの法人をつくりまして、ワークシェアリングの観点も含めて、恐らくほとんど全員がその農業経営法人に参加をして、村落の農地のほぼ全域を耕作しているという例もございますので、さまざまな、ケース・バイ・ケースで判断されるべき問題ではないかと思います。
いずれにいたしましても、強い農業づくりと並んで、農村の振興というのは私ども農林水産省の大きな政策の柱でございまして、また、そのための政策ツールというのは、土地改良法以外にもさまざまなツールがございます。こういうツールをきちんと駆使しまして、先生がいろいろ御指摘になっておられる農村集落の振興というのをしっかりと図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わりますが、新しい基本法というのは食料・農業・農村基本法で、その農村を担っているのは農村振興局です。そういった意味では、唯一村の部分を担っているというやはり自負心を持っていただいて、村づくりなんだという視点をぜひ忘れずに取り組んでいただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○北村委員長 次に、斉藤和子君。
○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
土地改良法等の一部を改正する法律案について質問をします。
そもそも、土地改良は農業者の私的財産に影響を及ぼし負担を強いる、だからこそ、地域の話し合いと合意形成をつくり、農業者の申請と同意を基本要件として進められてきたという原則があると思います。
本法案は、農地中間管理機構が借り入れた農地について、農業者の申請がなくても、都道府県が独自の判断で、合意をとらない、それから費用負担もなく基盤整備ができるとしています。つまり、費用負担を求めないことで、なかなか目標が達成されていない中間管理機構を通じた集積を推進しようというふうにも見えるわけです。
そこで、中間管理機構の現状について少しお聞きします。
機構は、本来、出し手から土地を借り受け、一定のまとまりをつくって意欲ある担い手に貸し出すという仕組みになっています。しかし、二〇一五年度の実績を見ると、目標が十四万ヘクタールに対して実績は約八万ヘクタールと、目標の六割にとどまっていて、担い手に八割というところにいくと、目標になかなか達していないという現状があります。
こういう状況、なかなか思うように進んでいない、この原因を大臣はどのように捉えていらっしゃるでしょうか。
○山本(有)国務大臣 この要因でございますが、農地中間管理機構についての出し手、この出し手へのPRが十分に行き渡っていなかったということ、それから、中山間地域あるいは果樹産地、ここにおいて、平場の土地利用型農業の地域と比べて担い手への農地集積がかなりおくれているという状況にあること、現場の機運を盛り上げるための農地中間管理機構と土地改良区などの関係機関との連携がいまだ十分でないという地域があるというような問題点があるためではないかと思います。
こうした課題の分析に基づきまして、今後ですけれども、都市部の住民を含めた農地の出し手への農地中間管理機構の一層のPR、あるいは優良事例の横展開などによる中山間地域での取り組みの推進や果樹産地における産地協議会と機構の連携による集積と改植の一体的推進をする、あるいは役職員体制の整備、そして地域の農業者の徹底した話し合いの推進、さらには農地整備事業との連携強化、こうした取り組みをすることによって理解を得て目標に達することができるのではないかというように考えるところでございます。
○斉藤(和)委員 二〇一五年の三月末で、農地中間管理機構の全体の集積率は五〇・三%と出ています。このトップが北海道の八七・六%、このほかの県の、北海道を除く県を見ると、平均は三三・五一%という現実があるわけです。
PRがとか、いろいろ地域の話し合いとか連携がというお話があったんですけれども、二〇一五年度の実績にある八万ヘクタールも、担い手同士の交換だったりだとか、利用権設定を解除して機構に出し直す、いわゆるつけかえ、こういう数字も含まれていて、こうしたものを除くと集積面積は二万六千七百十五ヘクタールとさらに小さくなるわけです。
現場で話を聞きますと、やはり耕作するのが大変だ、誰かにやってほしいという話は幾らでもある意味出てくるわけですよね、米価も下がっていますし。しかし、今中山間地や果樹というお話がありましたけれども、特に条件が不利な農地というのは、農地中間管理機構に出しても預かってくれない、返される、仮に受け取ってくれても借り手がつかなければ返ってきてしまう、こういうことを聞くわけですけれども、こうした実態を大臣は認識されているでしょうか。
○山本(有)国務大臣 そもそも条件不利地域等で、担い手がまずいないわけでございますし、農地の条件が悪いということから、結果として、借り受け条件に合わない、そして、農地中間管理機構が農地を借り受けることができない場合、ほったらかしになっていくというような現状、これは私も憂慮しております。
このため、機構が地域外を含めて農地の受け手の掘り起こしを行うということが必要でございますし、中山間地域の農業ルネッサンス事業などの支援によって地域農業の活性化措置を講じていく、そういう車の両輪が必要だろうというように思います。
現時点で機構が出し手に返却した農地は今のところありませんので、農地中間管理機構の機能や将来のあり方を考えたときに、集積は御理解をいただければ進んでいくものというように思っております。
○斉藤(和)委員 担い手じゃなきゃいけないのかという問題があると思うんですよね。やはり、一定の規模がなければ担い手にならないわけで、中山間地では、四ヘクタールの規模というのを一気に引き受けるというのは、なかなかそれはそれで大変なわけで、この辺はちょっと、担い手にという、農業をやりたい人は全て担い手、そういう私は意味づけをしていかないとなかなか難しいんではないかなというふうにも考えるわけですが、それはちょっとおいておきまして、この法案によって、要は自己負担なく基盤整備ができる、こういうことによって、なかなかうまくいっていない中山間地などの条件不利地、中山間地だけじゃないですけれども、条件不利地でも、借り上げて、基盤整備を進めて、そうすれば集積が進むというふうに大臣はお考えなんでしょうか。
○山本(有)国務大臣 農地の条件が悪いことによって担い手が農地を借り受けない場合、これが多いわけでございますが、このために、現在御審議いただいている土地改良法の改正案で、機構が借り受けている農地につきまして、当該農地が一定規模以上のまとまりのある農地であることなどを要件といたしまして、農業者の負担なしに基盤整備を実施できる制度、これを創設していただくわけでございます。
このような農地の条件が整備された暁には、機構が地域外も含め適切な担い手を見つけ出すことが容易となって、担い手への円滑な農地集積が可能というようになると考えるのでございますが、それは地域地域でさまざまな条件やさまざまな要因があるというように思っておりますので、これにつきましては、その地域の市町村長さんあるいは土地改良区の皆さんの御意見等、そういったものを踏まえてさらに進化していくことができればというように思っております。
○斉藤(和)委員 一定の規模の要件を満たせば、土地改良、自己負担なくという話だったんですけれども、やはり実際問題として、条件不利地で、担い手もいなくて、中間管理機構も借りてくれずに返してしまっているというところが、本当にこの法律によって前進していくのかというところは、ちょっと実情からいってなかなか厳しい部分があるのではないかなというふうに私は率直に思っております。
同時に、機構が借り受けた農地に限って費用負担を求めずに基盤整備をする、その際に、この事業を受けるためには要件が必要だ。それは、今大臣がおっしゃったとおり、「機構が借り受けている農地で、かつ、一定規模以上の面的まとまりがあるものが対象であること」というふうにされているわけですが、この一定規模というのは一体何ヘクタールを想定していて、平地と条件不利地でどれぐらいにするというふうに考え、要件を決めようとしているのか。それ以外にも、機構の借入期間が相当程度であるとか、担い手への農用地の集団化が相当程度であるとか、収益性が相当程度向上など、一定規模以外にも要件が幾つかあるんですけれども、これは具体的にどのような中身になるんでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
面積要件でございますが、現行の都道府県営の圃場整備事業につきましては、各団地の農地面積の合計が平場で二十ヘクタール以上、中山間地域で十ヘクタール以上あることを採択要件としております。
今回の機構関連事業でございますが、農地中間管理機構が借り受けています農地について、担い手が経営しやすくなるように、一定規模以上の面的なまとまりのある農地を対象に実施することとしております。したがいまして、面積要件につきましては、先ほど申し上げました、平場で二十ヘクタール、中山間地域で十ヘクタールという現行の要件よりも引き下げる方向で検討していく考えでございます。
いずれにいたしましても、面積要件につきましては、地域の実情、担い手の経営状況、意向などを踏まえながら、今後詰めてまいりたいと考えてございます。
また、委員御指摘の面積要件以外の要件でございますが、これらの要件につきましても、現在鋭意検討している最中でございます。それぞれの要件を設けた趣旨等も十分に踏まえながら、今後、早急に詰めてまいりたいというふうに考えてございます。
○斉藤(和)委員 一定規模、現行のものよりも引き下げるということだったんですけれども、やはり法律をつくる上で、このぐらいの要件のところはこの法律が適用されますよというのがわかるようにしていかないと、自分たちの地区が対象になるのかどうかわからないというのは、ちょっと私はどうなのかなというふうに感じます。
次に、条件のいいところというのは、やはり機構を通さなくても、既に相対で、自分たちのやりとりだとか地域センターなんかを通じて貸し借りしている。やはり、要望の強い中山間地では機構が農地を受けてくれない。そういう状況にある中で、そもそもこの中間管理機構を通さないとというところにあえて持っていく必要があるのかというふうに思うわけです。
農家の実情や実態、地域の現状に合わせてというお話が先ほど来出ているとおり、やはり地域の集落の皆さんや、そこで暮らしている、そして農業をやっている、そういう皆さん方の話し合いと合意形成、そして自主的な話し合いの積み重ねの中で、この地域をどうしていこうか、何をつくっていこうか、そういう人と農地プランというのがずっとつくられてきていて、面的なまとまりがなければ、費用負担なしで、機構を通さなくても基盤整備できる、そういう仕組みをつくることこそが必要ではないかというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御提案の人・農地プランでございますけれども、この人・農地プランは、地域の関係者の話し合いを行いまして、地域農業を支える担い手は誰になるのか、担い手にどうやって農地の利用集積を進めるのか等々の問題を解決する、いわば設計図のようなものであると考えております。農地中間管理機構の活動や今回の機構関連事業に当たって、この人・農地プランというのは重視すべきものというふうに考えてございます。
しかしながら、人・農地プランは、必ずしも機構を介するものではございません。農地の出し手、受け手の相対協議による取り組みもございますが、この場合、農地の利用の分散の解消にはつながりにくいといった側面もあるのではないかと考えてございます。
農地中間管理機構は、このような問題を解消して、地域全体で担い手へまとまった形で農地を貸し付ける仕組みとして整備したものでございますので、この機構による担い手への農地の集積、集約を加速化するために、今般、機構関連事業を創設したいと考えているところでございますので、この機構関連事業を活用することが適当ではないかというふうに考えてございます。
○斉藤(和)委員 分散が解消しない側面があるというんですけれども、その側面にはやはり地域の都合があって、その地域の実情や、そこに暮らしている農家の皆さんの思いがあるから、そういう集積が簡単にいかない。
逆に言えば、農地中間管理機構に出しているところでも、人・農地プランでこういう集積しましょうねというところで中間管理機構に出しているというところもあるわけで、やはり、単純に機構に任せれば分散が解消するという見方は、本当にそれが実情に合っているのだろうかということは、少し、ちょっと指摘をさせていただきたいというふうに思います。
そもそも、なぜ、中山間地で農家になる人がいない、耕作放棄地がふえる、こういう状態になっているのかといえば、やはり根本に農政の問題が私はあるというふうに思っています。
農業競争力強化プログラムの参考人質疑でも、参考人から、日本で農業所得に占める補助金の割合は三〇%台、スイスでは一〇〇%、イギリスでは九一%、フランスでは九五%、ほとんど農業所得の全部が補助金で賄われている、アメリカでも、農家にとって必要な最低限の所得が確保されるように、それに見合う価格水準を下回ったら政策を発動させる、こういう仕組みもあるんだという指摘がされました。
しかし、日本では、こうした戸別所得補償も平成三十年度には廃止をされる、減反政策も廃止をする。今後どうなっていくのかという先行きの不透明感だけではなくて、米価は下がることはあっても上がることはないんじゃないかというのが農家の皆さんの思いなわけですよね。
そうした状況の中で、よし、担い手として自分は頑張るぞというふうに思えるのか。そもそも、息子に農業を継げとは言えないという実態があるわけですよね。私、現場で聞くのは、米価が二万円とは言わないが、せめて生産費が賄えるものがあれば今の問題というのは大体解決していくんじゃないかという声も聞くわけですよ。
欧米では当たり前のようになっている所得補償、せめて政府が責任を持って再生産可能な価格を下支えするということを今真剣に考えていかないと、やはりこの先、本当に持続可能な農業というのはなかなか見通せないというふうに考えるわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 米の農家への支援のお話でございますが、まず、諸外国からの話として、十分な国境措置が現在ございますし、生産条件の格差から生じる不利は、米に限って言えば余りない。そして、農地の流動化のペースをおくらせる、そういうマイナス面もございます。
そうした意味で、政策的課題を踏まえて、米の直接支払交付金、二十九年産までの措置としたわけでございますし、三十年産を目途に、行政による生産数量の配分に頼らずとも、生産者みずからの経営判断によって需要に応じた生産が行われるようにする。その実績が米の価格に反映されて、今のところやや上がり基調でございます。
その上で、農地中間管理機構による担い手への農地集積、あるいは需要のある麦、大豆、飼料用米の生産振興、こういったことを図ることによって、強い農業の実現に向け、前向きな政策を強化しているところでございます。
そうした意味で、我々としましては、農地集積等によるコスト削減に加えて、農業競争力強化プログラムに基づいて、生産資材価格の引き下げ、流通、加工の構造改革などを推進していくということでございます。
農林水産省としましては、これらを通じて、農業者が意欲を持って安心して需要に応じた生産に取り組んでいただいて、農業の競争力強化と農業者の所得向上を図り得るというように考えております。価格の下支えということは、今のところ、米だけに限ってするということの考えは持っておりません。
○斉藤(和)委員 世界では、農業の再生産可能なように国が責任を負っているというのが流れだ、そこに日本も踏み出していく、それがやはり、意欲を持って農業をやろうという人、担い手をつくっていく一番の近道だし、確実な持続可能な農業の発展につながるということをちょっと指摘しておきます。
本法案は、申請、同意不要という点が幾つかあるわけです。
政府が、二〇一四年四月の食料・農業・農村政策審議会において、農業生産の基盤の整備に関する資料というのを配付しています。それを見ますと、この中で、政府は、中間管理機構との連携によって集積、経営規模の拡大、大区画化、水管理の省力化を進めるという戦略を立てて、大規模経営体と土地持ち非農家への二極化が進む過程で、集落による農地や水の管理、土地改良区の組織運営、土地改良事業の実施等のさまざまな局面において新たな事態が生じる可能性があるというふうに言っています。そうした状況の中で、小規模農家等の無関心化、賦課金徴収の困難化、組合員間の意思の隔たりについて、課題の解消に向けた施策のあり方を検討していくというふうに書いてあるんですね。
この課題の解消というのは何なのかというところにいくわけですけれども、例えば、先ほども質問の中でありましたが、現在は換地は申請、同意が前提となっています。しかし、今回さまざまな部門で同意の要件を緩和しているわけですけれども、今後こうした換地についても申請や同意がなくてもできるような仕組みをつくっていく、そういう考えはないということでよろしいでしょうか。
○山本(有)国務大臣 そういう考え方はありません。
換地計画に基づく換地処分と申しますのは、工事前の土地、従前地と、工事後の土地、換地に係る個々の権利関係の変動、すなわち財産権の変動でございます。その実施に際しましては、個々の権利者の同意、不同意が必要でございます。
その意味において、土地改良事業である機構の関連事業、この管理権の処分と所有権の処分とでは全然、全く意味が違います。その意味で、今後ともこの考え方に変わりはありません。
○斉藤(和)委員 換地はあくまでも同意をとってやるんだ、所有権の管理に勝手に踏み込むことはないということです。それは当然だというふうに思います。
次に、ため池について申請、同意が不要というふうになっているわけですけれども、確かに、ため池の耐震化は喫緊の課題であって、申請を待っていては進まないというのはわかるんですが、これも、二〇一六年四月十五日に経済財政諮問会議における経済・財政一体改革推進委員会社会資本整備等ワーキング・グループの提出資料で、ため池を廃止することとあわせて、排水路の拡幅だとか、連結の水路を整備するというようなことが挙げられています。耐震化のもとにこうした整備事業を一体で進めるということが想定されているのかどうか。
ちょっと、時間が来たので次の問題も含めてやりますが、土地改良の施設の更新で、機能向上というのが挙げられています。先ほども、ICTで機能向上をさせると。これは、水利システムの構造転換を図る、機能向上だけではなくて、もっと大がかりな更新事業にも適用していくということはあり得るのかということ。そうなると、総会の議決もなくて同意もないままに、気づいたら賦課金だけが上がってしまった、そういうようなことになり得るのではないかという危惧があるんですけれども、そういう同意がないもとで賦課金が上がる、農家負担がふえるということはないということでよろしいでしょうか。
○佐藤政府参考人 一点目のため池の耐震化事業の話でございますが、ため池の耐震事業を単独でやるか、それとも、委員御指摘のとおり、ため池の耐震化事業とあわせて用排水施設の統廃合を行うか、これは現場の判断といいますか、受益者の皆様方の判断ということになろうかと思います。
一般的に申し上げますと、ため池自体の耐震化事業につきましては、非農家も含めた地域全体の安全確保に資するものであるといったことから、現在、国や地方の費用負担割合を示したガイドラインにおきまして、農業者の負担を求めていないという実態にございます。
一方で、耐震化事業とあわせて農業用用排水施設の統廃合を行う場合には、農家にとっても効率的な水利用が可能になるという意味で農業者としての利益がふえるということになりますので、その部分に関する費用の一部については農業者の負担が求められるということになります。
いずれにしても、地域の選択というふうに考えてございます。
次に、更新事業を行った場合に、賦課金が知らない間に上がってしまうのではないかということでございますが、今回、機能向上を伴うものであっても、三分の二の同意にかえて総会の議決で実施できるようにするという際には、管理事業計画の同一性、それと組合員負担の相当性という要件を満たす必要がございます。
委員の御質問は、組合員負担の相当性ということでございます。これはどういう意味かといいますと、更新事業を行った場合の組合員の賦課金が、更新事業を行わなかった場合の組合員の賦課金を上回らないということでございます。
したがいまして、更新事業を行って組合員の賦課金が上昇して、それが更新事業を行わなかった場合の賦課金を上回る場合には、これは要件を満たしたことにはなりませんので、その場合はきちんと三分の二の同意を得る必要があるということでございます。
○斉藤(和)委員 ありがとうございました。終わります。
○北村委員長 次に、吉田豊史君。
○吉田(豊)委員 先に御紹介しますが、きょうは、傍聴席のところに、北海道の十勝の方から見学にお越しいただきました。(拍手)
お聞きしましたら、勇足中学校という学校だそうで、勇足は勇ましいに足と、すばらしい名前の皆さんです。(発言する者あり)ありがとうございます。
いつもどおり、わかりやすい質問ということを心がけておりますし、きょうは、特に中学生の諸君が来ていらっしゃっていますので。
きょうの委員会は、土地改良法という法律、それをよりいいものにしていこう、そういうことで皆さん集まってやっているんですね。
十勝の皆さんのように、私、想像ですけれども、本当に大きな広い農園があって、農場があって、見渡す限り一つの農家でやっているとか、そういう地域も日本にありますし、もっともっといろいろな、この日本の中には、小さい小さい地面を、いろいろな人が、農家が集まって、そして一人一人所有者が違って、そして農業をしている、そういう地域も日本にはあるわけです。
今、日本では、農業をより元気に、強いものにしていこう、そういうことで皆さんで考えて頑張っているんですけれども、そのときに、ばらばらの小さい農地よりも、まとまって一緒にやっていった方がいいんじゃないか、そういう考え方のもとに農地を集約していく。そのためにどのようなことができるかということを、この法律でも、いいものにしていこうということで考えている、そういう時間になっているというふうに理解してもらえばいいと思います。済みません、生意気に。失礼いたします。
その上で……(発言する者あり)済みません。先生、失礼いたしました。
その上で、この法案ですけれども、農地中間管理機構というものが農地集約の中心の役割を今果たしていく、そういう考え方だと思いますが、改めて、農地集約に当たって、中間管理機構というものがどのようなものなのかということを、中学生諸君にわかるように説明いただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
先ほど先生の御指摘のありましたような、農地を農業者から担い手の農業者の方に集積していくための手段としてつくったものでございます。特別の法律に基づきまして、平成二十六年に各都道府県の段階に設置された公的な機関でございます。
役割といたしましては、農地中間管理機構みずからが農地の所有者、農地の出し手の方々から農地を借り受けます。その際、必要な場合、区画がちゃんと整理されていなくて機械が入らないような場合、こういう場合には機構が土地基盤の整備も必要に応じて行った上で、担い手農家に対して、その農家の意向に配慮しながらまとまった形で農地を転貸する、こういう形によって担い手農家の経営規模の拡大を図るための機関でございます。
○吉田(豊)委員 農地を集約していくということについてはさまざまな方法があると思うわけですね。その中で、農地中間管理機構というような仕組みをつくって、そしてこの法律をつくってそういうふうなものを用意したわけですけれども、その考え方をもう一度改めて確認させていただきたいと思います。
○大澤政府参考人 高齢化等によりまして、農業をもう続けないということで農地をほかの方に貸そうという方、それから、これから経営規模を拡大していこうという担い手の方々、そういう方々が、この制度ができる前は、相対取引といいますか、一人一人個別に協議をして、農地の売買ないし賃貸借、そういうことを行ってきたわけでございますけれども、地域全体として見ますと、やはり農家の出し手の方のいろいろな事情等がございましたりいろいろな心配事等がございまして、今までのそういう出し手と受け手の協議を前提とする仕組みでは、地域全体としてまとまった形で担い手農家の方に農地の利用が集約されるということになかなかなっていなかったわけでございます。特に都府県においてそういうことが多かったわけでございます。
中間管理機構は、そういう問題を解消するための仕組みとして設けられているわけでございます。
○吉田(豊)委員 その真ん中をつなぐ、そういう役割をきちっと担うということだと思いますが、平成二十六年にということですけれども、始まったばかりといえば始まったばかりですが、今までのところでのどういう実績があるのか、それを確認させてください。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
農地中間管理機構の実績でございますけれども、初年度である平成二十六年度は、転貸面積が約二万四千ヘクタール、そのうち担い手農家に新しく集積した面積は七千ヘクタールということで、所期の目標に比べますと少なかったわけでございますが、事業開始二年目の平成二十七年度は、転貸面積が約三倍になりまして、約七万七千ヘクタールになりました。担い手農家への集積面積も二万七千ヘクタールまで拡大してございます。
そういうものを含めまして、担い手の農地利用、日本の農地全体の中で約八万ヘクタール、平成二十七年度に増加しておりまして、担い手農家への農地の集積率という概念をつくっておりますけれども、それまでが五〇・三%だったものが五二・三%と二ポイント上昇するということで、機運が上がってきているというふうに理解してございます。
○吉田(豊)委員 そして、農地集約ということは、誰もが、それはそうした方が生産効率も上がるし、よい方向だということはわかるんですけれども、ただ、それがなかなか進まなかったというのは、やはりその出し手側、そこにさまざまな考えがあったということですね、進まないという理由。
これは、今回の中間管理機構という仕組みをつくることによって、出し手側が出しやすくなった、そういう仕組みをつくったことになると思いますが、一番大きな出し手側のメリットというのはどこにあったというふうに認識していますか。
○大澤政府参考人 御指摘のとおり、農地の流動化を進めるためには、出し手が安心して農地を提供できる環境を整えることが必要なんですが、農地中間管理機構は公的な機関だということで、まず、貸した際の地代の支払いが確実に行われるというメリットが出し手にとってございます。
それから、せっかく誰かに貸したんだけれども耕作放棄地になってしまっては元も子もないというふうに、農家の方は農地を愛しておりますので、そういうことの御心配もありますが、これは公的機関がやりますので、確実に耕作していただける方を見つけることができるということで、耕作放棄地にもなることもないということで、出し手にとっていろいろな心配事が解消する、安心して貸すことができるスキームということがメリットだと考えております。
○吉田(豊)委員 その上で、今度は、集約して、それを担う側の受け手ですね。受け手にとっては、この仕組みによってどのようなよいことがあったというふうに考えますか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、農地の受け手である担い手にとりましては、それまで個別に議論していたのでは、ばらばらな農地を非常に遠くまでかかって耕作をしていかなきゃいけないということで、移動するだけでも大変だったという事情がございましたけれども、農地中間管理機構は、地域全体としてまとめて農地の出し手と交渉いたしまして、ある程度まとまった農地を手にすることになりますので、そういう中で、機構からまとまった農地を担い手の農家の方は受け取ることができるということと、先ほどお話ししたとおり、土地基盤整備も必要ならば行うというところがメリットだと考えております。
○吉田(豊)委員 あわせて土地基盤整備を行うという、さまざまなそういう意味でのサポートがあってメリットがあるということを理解するわけですが、始まったばかりとはいえ、もともとこういう問題意識があって、そこに政策を行った場合には、当然、関心を持っていた人たちが、初期のところから、まあ一年ぐらい様子を見ることはあるのかもしれませんけれども、この形でいけるという状況になれば、そこにきちっと乗っかってくるということは想定できるわけですね。
この上で、今、まだまだ計画のところまではいっていないということでしたけれども、改めて、この先に、中間管理機構というものを、どう、より実行力のあるものとして使っていく、そういうことを考えているのか、そのビジョンを確認したいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
考えているところが幾つかございます。もちろん、PRがまだ不十分だということがございますので、PRについては引き続き行っていきたいというふうに思っております。
それから、今まで、農地の問題になりますと、どうしても土地利用型農業、平地の農業を中心に行っておりましたけれども、中山間地域、果樹産地についての事情についても、今後、よく現場とお伺いしながら、どういうふうな形ならいいのか。例えば、ミカンとかリンゴについては木ごとに種類も違いますので、そういうところで、やはり植えかえてつくらなきゃいけない、植えかえた上で新しい人にということもありますので、そういう植えかえと農地集積とを一緒にやっていくというようなモデル的な取り組みも行っております。
それから、一番大きいのは、この事業の中で、農地を借りたいという方はいっぱいいらっしゃるんですけれども、出したいという方ももちろんいっぱいいらっしゃるんですが、やはり条件が合わないというのがございます。それの一番の問題は、やはり土地の問題でございます。農地としてはあるんだけれども、例えば水路のポンプが壊れていてなかなか進まないというようなところがあると、やはり担い手の方も、採算が合わないから、なかなかうまくいかないということがございます。
今回の御審議いただいております土地改良法の改正によりまして、農家の方の負担なく、機構が借り受けた農地について都道府県の判断で事業を実施することができれば、これがまた一つの起爆剤になり得るものと考えてございます。
○吉田(豊)委員 とても大事なところなんですけれども、土地を集約する、そしてそのときに生産の環境も含めて整備していく、土地改良というのはそこの部分を担っているということになると思いますが、PR不足という言葉も今出ました。それは確かにそうなのかもしれませんし、きょうの委員会でも出ていましたけれども、私自身は、やはり農地というもの、それが誰のものなのかということは、これは本来、原点に立ち返ると、農業をやっている農家のものだと断言できることでもないんですね、歴史的なことからすると。
農業を愛し、農地を愛しているという言葉も出ました。本当にそれはありがたいことだし、そうあるべきだと思いますけれども、愛していても、それが自分では生産できなくなっていくという土地になっていく場合もあるわけですね。それが、担い手というか、農業自身の今高齢化の問題という一番大きな問題がそこにあらわれていると思いますが、そこをどう考えていくかというときに、農業ができなくなったから、それがいつの間にかワンルームマンションが建っていた、これが僕は一番だめなことだろうと思うわけです。
そうならないために、いろいろな、農地の集約もする、あるいは土地改良もする、これは全てサポートして応援しているわけです。ですから、こういうことが仕組みとしてあって、そして農業にかかわっていた人が、農業に関して、将来のことについても土地の設定をできる、そういうことの重要さということをやはりそれは必死に訴えていただきたいし、少しでもそういう考え方を理解してもらうようなPRというか努力はぜひしていただきたい、こう思います。
少し視点を変えますが、法案のことなんですけれども、土地改良をずっとやってこられたと思いますけれども、中山間地という言葉が最近よく出るわけですわ、農業に関して。私は富山県なものですから、なかなか中山間地というのは、僕の見るところでは水田で平らなところが多いというイメージがあって、なかなか中山間地というイメージは私自身はとれないところがありますけれども、土地改良という部分については中山間地をどのように扱って対応してきたのかというところを確認させていただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 中山間地域におけます土地改良事業でございますけれども、これまでも、農業、農村の振興を目的といたしまして、中山間地は傾斜地が多うございます、そういった傾斜地等の条件不利に伴う工事費の増嵩にも配慮しながら、農地ですとか農業水利施設の整備を行ってきたところでございます。
幾つか例を申し上げますと、中山間でございますが、秋田県の大仙市では、水田の区画整理と排水改良を行いました。そこにブロッコリーやネギを栽培することによって、販売額が一・四倍になったというような成果もございます。また、群馬県昭和村では、基盤整備や安定的な用水確保を行いまして、そこにレタスやホウレンソウを栽培することによって農業所得が二倍になったというように、地域の農業所得が大幅に向上しているような事例が全国にございます。
中山間地域での農業農村整備事業の展開につきまして、全国各地でそういった取り組みができるように、引き続き支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○吉田(豊)委員 今ほど局長の方からいい事例を御紹介いただいたわけですけれども、特にやはり気になりますのは、水田だったところを、そうではない、新しい作物にかえていく、そういうことも含めて今やっているということも御紹介されたんですね。
実は、土地改良というのは、そういうふうな意味で、今までやっていた人は、例えば、米をつくっていれば米をつくるのが自分の農業だと思っているんですけれども、そこから、土地改良というチャンスを得ることによって、いろいろな新しい展開ができる、そういう大きなサポートにもなると思うので、つくる作物を含めて、それが最終的に、私がいつも申し上げているように、買い手、消費者が何を求めているかという話にやはり行くわけですけれども、そういう意味での、せっかくの土地改良というサポートをするときに、その全体像まで含めてサポートという、これをどのように考えていらっしゃるか、もう一つ確認させてください。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
中山間地域は、委員御指摘のとおり、高収益の作物の導入を行って、地域ブランドを確立して、収益力のある農業を営むことができる、そういった可能性を秘めた地域であるというふうに考えてございます。
中山間地域では、平場での事業に比べて工事費も増嵩いたしますので、補助率のかさ上げと受益面積要件を緩和して農地整備を実施してきているところでございますけれども、平成二十九年度の予算では、それに加えまして、高収益作物の導入を条件といたしまして、農地の集積要件を緩和する中山間傾斜農地型という事業を創設いたしまして、より事業に取り組みやすくしたところでございます。
これらの土地改良事業の生産基盤の整備とあわせまして、六次産業化の取り組みですとか、あるいは都市農村交流の取り組みなどに対しても支援を行いまして、中山間地域の振興を図っていくという考えでございます。
○吉田(豊)委員 土地改良、そして農地の集約というものも、ある意味ではインフラの整備なわけですわ。ですから、そうすると、今の時代、まだまだ社会インフラ、社会インフラというよりは、全ての我が国のインフラは整備しなくちゃいけないという考え方は、それはそのままなんですけれども、やはりせっかくやるからには、より意味のあるところに仕事を持っていく、そして、やって、それが使われてこそ、やってよかったねという話なので、やったところで、工事関係の仕事が出てよかったですね、それで終わりというのは一番よくないパターンなわけです。
こういうことを考えたときに、私自身も県議会におりましたので、よく、インフラとかというと、公共事業というと、必ずそれは建設、橋をつくったり道路をつくったりとか、こういうことばかり思うんですけれども、金額的なかさでいうとそれに匹敵するぐらい大きな、さまざまな予算も農業に関する、土地についても出している、それが現状だろうと思うわけです。
だから、あえて私は、こういうものについて、今後、日本の農業をより強くするために必要な部分というのは、当然そこに強く投資していかなくちゃいけないでしょうから、今後の部分、それから、今までよく話に出てきますのは、橋とかをとっても、もう耐久が来てメンテしていかなくちゃいけない、そういう部分のコストがどんどんどんどん大きくなっている、こういう話も一方ではあるわけですね。
このことについて、土地改良という部分について、今までやってきた部分の今後のメンテとかそういうことというのはどういうふうに考えていらっしゃるか、確認したいと思います。
○佐藤政府参考人 施設の老朽化の問題でございますが、基幹的水利施設の多くは戦後に新設をされまして、既に標準耐用年数を超えた施設が全体の二割に及んでおります。今後十年間で約四割に達するというほど老朽化が進んでおりまして、委員御指摘のとおり、維持更新が緊急かつ重要な課題になっております。
この老朽化対策といたしましては、施設の点検、機能診断を行った上で、一部の補修等で機能維持が可能なものについては、耐用年数が伸びるような長寿命化を図っております。また、部分的な補修では対応が困難な施設については、緊急性の高いものから更新を行っているところでございまして、これらの取り組みに対して、例えば、基幹水利施設ストックマネジメント事業ですとか、あるいは国営施設応急対策事業などで支援をしているところでございます。
○吉田(豊)委員 それでは改めて、最後ですけれども、やはり、より力を入れるところと、それからそうでないところはそうでないという、この温度差をきちっとはっきり出すという、それが今後の土地改良、あるいは農地集約、さまざまなことについてですけれども、生産の基盤となるものについて必要だろうと私は考えるんですけれども、大臣のお考えを、やるところとやらないところと、そこをはっきりする部分ということも含めて、お考えをお聞きしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 将来方向でございますが、昨年の閣議決定でされました土地改良長期計画にうたわれております。それは、農地の大区画化等による生産コストの削減、あるいは担い手への農地の集積、集約の加速化、次に、老朽化が進む農業水利施設の戦略的な保全管理と機能強化、豪雨や地震などの災害に対する地域の防災・減災力の強化等を挙げております。
今回のこの法改正は、農地の利用集積の促進と防災・減災対策の強化を図るものでございます。これを通じまして、強くてしなやかな農業、農村、この実現を図っていくという所存でございます。
○吉田(豊)委員 法案が、やる気のある農家に対してきちっと焦点が当たってということを期待したいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○北村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○北村委員長 この際、本案に対し、畠山和也君外二名から、日本共産党及び仲里利信君の共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。畠山和也君。
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土地改良法等の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○畠山委員 ただいま議題となりました土地改良法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
政府原案では、農用地の利用の集積の促進を図るため、農地中間管理機構が賃借権等を取得した農用地を対象に、農業者等からの申請によらずして、土地改良事業を行うことができ、その際、農業者等からは分担金を徴収しない制度を新たに設けることとしております。しかし、農地中間管理機構が賃借権等を取得する農用地は、その農用地につき担い手がいることが確実なものに限られているのが現状であることから、このような新制度を設けたとしても、もともと、農用地としての条件が不利な、例えば、中山間地域においては、農用地の利用の集積が図られることにはならないのではないかと懸念しております。
そこで、この新たな制度について、農業者等から分担金を徴収しないという点は維持しつつ、第一に、農地中間管理機構が賃借権等を取得した農用地ではなく、市町村を中心に地域の農業者等が協議を積み重ねた結果作成される人・農地プランの対象とされている農用地を対象とすること、第二に、農業者等からの申請があって土地改良事業が実施されることとすること等の変更を加えることとするため、本修正案を提出した次第であります。
以上が、この修正案の趣旨及び内容であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○北村委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。斉藤和子君。
○斉藤(和)委員 私は、日本共産党を代表し、修正案に賛成し、内閣提出、土地改良法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
内閣提出法案は、過疎化が進展し、農地の担い手不足に苦しんでいる地域の課題に応えるためには、本法案のように農地中間管理機構の活用に依拠せず、実態に見合った支援を強めるべきだからです。
内閣提出法案は、農地の集積を図るため農地中間管理機構を活用するとしていますが、実際は条件が不利な土地ほど機構は借り受けておらず、その実効性は疑問です。
農地中間管理機構の実績が上がっているところは、もともとプランの作成や現場の話し合いの積み重ねがある場合がほとんどであり、機構を条件とする必要はありません。地域の自主性を、取り組みを直接支援する仕組みこそ求められているのではないでしょうか。
また、基盤整備について、申請によらず、同意なしにできるという点も問題です。
土地改良事業は、地域で話し合って申請を行い、同意を集めるために努力を積み重ねて、民主的に行われるものです。だからこそ賦課金などの負担も合意が得られるものであり、同意要件の緩和は慎重に進めるべきです。
今、米価は再生産ができないレベルまで下落し、離農が進んでいます。土地持ち非農家がふえ、託された担い手の規模は拡大する一方で、賦課金を払うのも次第に難しくなっています。
本当に課題を解決するというなら、政府の責任で価格を支え、小規模な農家であっても経営を支えるべきであります。土地改良事業も、大規模、小規模含めた地域の自主的な取り組みを支援すべきです。
以上により、日本共産党は内閣提出法案に賛成することはできないことを申し上げて、反対討論とします。
○北村委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○北村委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、土地改良法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、畠山和也君外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○北村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○北村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○北村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、宮腰光寛君外三名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。
土地改良法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
最近の農業・農村を取り巻く情勢変化の中で、土地改良事業が、良好な営農条件を備えた農地・農業用水の確保と有効利用を通じて、農業の生産性の向上、食料自給率・食料自給力の維持向上、農村地域の活性化、国土の保全、防災・減災等に果たす役割は一層重要なものになっている。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 都道府県が、農地中間管理機構が農地中間管理権を有する農用地を対象とする申請によらない土地改良事業を実施するに当たっては、人・農地プランとの調和に十分配慮するとともに、整備された農用地が確実かつ円滑に担い手に貸し付けられるよう指導・助言を行うこと。
二 農業者の費用負担を求めない土地改良事業の実施に際しては、事業要件の適合性について透明性を確保しながら、農業者の費用負担を要する従前からの事業との間で不公平感が生ずることのないよう、既存事業における農業者の費用負担の在り方について、農業者の経営状況を勘案しつつ、検討を進め、その実質的な軽減が図られるよう配慮するとともに、農地転用防止措置の厳格な運用を図ること。
三 農業者からの申請によらず、農業者の同意を求めずに実施する土地改良事業については、現場の混乱を招かないよう、事前に十分な説明を行うとともに、丁寧な運用に努めること。なお、ため池等の農業用用排水施設の耐震化を目的とした事業については、事業の対象が必要以上に絞られることのないよう、弾力的な運用を図ること。
四 農業農村整備事業関係予算の配分に当たっては、農地中間管理機構関連の事業だけでなく、防災・減災対策に係る事業をはじめ、農村現場のニーズに応えた事業が確実に実施されるよう十分留意すること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○北村委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣山本有二君。
○山本(有)国務大臣 ただいまは法案を可決いただきまして、まことにありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
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○北村委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○北村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十二分散会