衆議院

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第10号 平成29年5月10日(水曜日)

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平成二十九年五月十日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 北村 茂男君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君

   理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    小里 泰弘君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      金子万寿夫君    笹川 博義君

      瀬戸 隆一君    武部  新君

      中川 郁子君    西川 公也君

      古川  康君    細田 健一君

      前川  恵君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    森山  裕君

      簗  和生君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    岡本 充功君

      金子 恵美君    佐々木隆博君

      重徳 和彦君    宮崎 岳志君

      村岡 敏英君    中川 康洋君

      真山 祐一君    斉藤 和子君

      畠山 和也君    吉田 豊史君

      仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       山本 有二君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   会計検査院事務総局次長  岡村  肇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         加瀬 徳幸君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         中山 隆志君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 矢野 康治君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口 英彰君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            佐藤 速水君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 一雄君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     金子万寿夫君

  古川  康君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     池田 道孝君

  務台 俊介君     古川  康君

    ―――――――――――――

五月九日

 農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口英彰君、大臣官房総括審議官水田正和君、経営局長大澤誠君、農村振興局長佐藤速水君、水産庁長官佐藤一雄君、内閣官房内閣人事局内閣審議官加瀬徳幸君、人事院事務総局職員福祉局次長中山隆志君、財務省大臣官房審議官矢野康治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、会計検査院事務総局次長岡村肇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民進党、宮崎岳志でございます。

 本来の質問に入ります前に、一点、私は、山本農水大臣に御確認を申し上げ、また苦言を申し上げなければならないことがございます。

 それは、昨日、参議院の農水委員会の審議で、ちょっと看過ならない答弁がございました。

 といいますのは、加計学園の問題でございますけれども、加計学園が昨年の八月二十三日に大臣室に御挨拶に来られた、加計学園の加計孝太郎理事長と文教フォーラム常務理事の豊田三郎氏、加計学園理事でございますが、御挨拶に来られた。そのときに、獣医学部を四国において新設することを検討している話もあったと。

 これは、私が四月二十五日の衆議院の地方創生特別委員会で農水省の小川政府参考人に質問をし、そのような答弁が明確にあったわけであります。別に私が恫喝をしたわけでも、あるいは何か引っかけ質問をしたわけでもなくて、素直にお答えいただいたことだと思います。

 それについて、そういうことはありましたかという質問を森ゆうこ参議院議員から受けられて、覚えていないとか、そういう話が出たか出なかったかも言えないとか、そういう話をされました。

 大臣御自身の面談について、農水省の政府参考人がはっきりありましたというふうにお答えになったものを、大臣自身が覚えていないとか、あったかどうかも言えないということをおっしゃられたら、審議の意味もなくなりますし、今後全ての質問を農水大臣にしなければならなくなります。政府参考人にしても、あるいは副大臣、政務官にしても、その答えが後で大臣本人がひっくり返されるということになると。

 これは、きちんとその議事の最中で御確認いただいたかと思うんですけれども、八月二十三日に面談をされて、大臣就任の御挨拶ではあったけれども、獣医学部新設についての話もあったということでよろしいんですね。

山本(有)国務大臣 委員も御理解いただけるだろうと思いますが、記憶というのはそうきめ細かくはないので、私もその意味で申し上げたわけでございます。

 その後、確認をいたしました。そして、他の委員会での発言ということもありましたので、再度きちっと整理をしまして、その上で、宮崎委員のおっしゃるように、加計学園の理事長さんがそういうお話をしたということを確認できましたので、答弁をそうさせていただきました。

宮崎(岳)委員 地方創生特別委員会の四月二十五日の審議に当たっては、私も質問通告を詳細に出しまして、事前にお調べをいただいた上で御答弁をいただいていることなんですね。突然質問して、何かの記憶に頼って御答弁を求めたわけじゃないんです。

 かつ、加計孝太郎氏は加計学園という大きな学校法人の理事長だそうですけれども、そういう方が、もちろん文部科学大臣にもお会いに行っています。就任の御挨拶です。文科省に行くことは、まあ当たり前といえば当たり前ですね。会っていただけるかどうかはともかく、学校法人の理事長であり、そして同席した豊田三郎さんは文教フォーラムの常務理事ですから、とりあえず文科大臣がかわれば御挨拶に行こう、そういう話はわかります。

 農水大臣、普通、学校法人の理事長で、獣医学部でも何でも、農業に関係ないところであれば、農水大臣に学校法人の理事長が御挨拶に行くということ自体がそもそもあり得ないじゃないですか。もともと何か相当お知り合いだったりするわけですか、この方と。だから、別に獣医学部の件がなくても、何の件がなくても、農学部の件がなくても御挨拶に来るような間柄なんですか。お知り合いなんですか、どうなんですか、そこ。

山本(有)国務大臣 面識はございました。そして、どういう理由で私のところに来られたかという相手の気持ちまでは私はよくわかりません。

宮崎(岳)委員 では、どういう面識ですか。御挨拶に、おめでとう、ぜひ会いたいと。そして、向こうが一方的に会いたいといって、大臣ですから会えるものじゃないですよね。大臣の方で、挨拶に来るというんだからぜひこの人に会いたいと思わなければ会わないですよね。

 もともとどれぐらいのおつき合いなんですか。どういう面識なんですか。

山本(有)国務大臣 私は、かつて高知大学の職員でありました豊田さんと長くおつき合いをしているという関係でございます。

宮崎(岳)委員 では、文教フォーラムの常務理事であった豊田三郎氏と懇意であった、そういうことで加計孝太郎氏にも紹介をいただいて、面識があったと。その二人が、大臣就任で、山本さんおめでとうということで会いたいというので、旧知の仲でもあるからお会いした、こういうことでよろしいんですか。

山本(有)国務大臣 そのとおりでございます。

宮崎(岳)委員 承知しました。

 大臣が豊田三郎さんの方と相当親しかったということはよくわかりました。あるいは加計学園がどうして豊田三郎さんを理事にしたのかという理由も若干推測できたような気がしてまいります。

 それでは、通告どおりの質問に参ります。

 まず、TPPについてお伺いをさせていただきます。米国抜きの十一カ国のTPPというものが今にわかに浮上している。当初から言われていたことでありますが、ここへ来てやはり具体化するのかなということだと思います。

 月曜日の予算委員会で、福島伸享委員に総理が御答弁をしたので、その現実性についてはここで改めて問うまでもないということなんですけれども、あらゆる選択肢を排除しないで進めていくということでございました。

 さて、米国抜き十一カ国の協定が具体化した際ですが、農業分野で、国内への影響は全体のTPPに比べてどのようなものになるのか、あるいはメリットというのはどの程度ということになっているのか。

 かつて試算は発表されていますが、必ずしも国別になっておりません。輸入の例えば分量とか、あるいは税率とか、国ごとに定められている部分も結構ありますが、当然米国分を除いた影響というのが出せるんだということで理解しますので、通告してあります、どのような影響をお考えでしょうか。大臣、答えられるでしょう。

水田政府参考人 事実関係についてのお尋ねの部分もございますので私から答弁させていただきますが、我が国の、まず輸入の関係につきまして御説明させていただきます。

 二〇一五年におきます我が国のTPP参加国からの農林水産物の輸入総額は四・二兆円になっているところでございまして、このうちアメリカからの輸入は一・九兆円ということでございまして、TPP参加国の中で約四五%を占めているところでございます。

 また一方で、我が国のTPP参加国への輸出の方でございますけれども、農林水産物の輸出総額は一千九百八十三億円となっておるところでございまして、このうちアメリカ向けの輸出でございますが、一千七十一億円と、五四%を占めているということでございます。

 以上のとおり、我が国にとりまして、アメリカでございますが、TPP参加国の中で農林水産物の主要な貿易相手国であるというふうに言えるというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、TPPにつきましては、各国と緊密に連携し、あらゆる選択肢を排除せず、何がベストか、主導的に議論を進めていくのが我が国の立場というふうに承知をしているところでございます。

宮崎(岳)委員 ちょっとお答えが不十分だと思います。

 今のは輸出入のそれぞれの総額だと思いますが、TPPによって関税が変わる部分、あるいは輸入額が変わる部分、こういったところがTPPによる影響だと思うんです。もともと関税がゼロのものがある程度あったとして、もともと輸入関税がゼロであれば、TPPが締結されようが発効しようが関係ないわけであります。

 TPPの発効による影響ということによるとどうなんでしょうか、十一カ国TPPですね。もし仮に米国抜きTPPというのが発効した場合の国内農産物への影響をどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

水田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたのは全体の総額の関係でございますけれども、TPPの今後につきましては、いずれにいたしましても、まさに今月下旬、二十日、二十一日にAPECの閣僚会合が開かれる際に、ハノイにおきましてTPP関係閣僚会合も開くということでございまして、そこで、アメリカがTPPに戻ってくることも含めまして、あらゆる選択肢を排除せず、各国と議論していくこととなるというふうに承知をしているところでございます。

 その内容、結論につきまして、御指摘の米国抜きといったような点も含め、予断を持ってお答えすることは差し控えたいというふうに考えておりますが、農林水産省といたしましては、TPPの今後の方向性についての議論に関しまして、内閣官房、関係府省と連携して、アメリカの出方も注視しながら、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 最初からそこはお伺いしませんと言っているじゃないですか。TPPの米国抜きのものが実現性がどれだけあるかとか、どう進めているかというのは、そこは聞かないというふうに言っているんだから、そこを答えないでください。

 農林水産省で試算を出していらっしゃいます。試算を出す段階で、国別で計算して積み上げて、国内への影響を試算を出したはずです。ですから、その米国抜きの部分はどの程度ですか、こういうことを伺っているわけで、別に細かい数字までということはないですけれども、全体の何割ぐらいだ、ざっとこれぐらいだ、その程度のお答えはいただきたいんです。水田審議官、いかがですか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 TPPの際に影響試算を出しておりますけれども、それにつきましては、この試算では、TPPで獲得いたしました関税撤廃の例外ですとか国家貿易の維持とか、そういったものも含めて、そういった措置とあわせて対策を打っております。そういったものも踏まえまして出しているところでございまして、この際には、品目ごとにそういった影響を試算いたしまして、それを合計して出しているということでございますが、全体の中で、先ほど申し上げましたような獲得した措置、そして国内対策、こういったものを踏まえて、国内生産が維持されるということで出しているということでございまして、品目ごとに出したものを積み上げているという形になっております。各国ごとという形ではございませんが、品目ごとという形になっているということでございます。

宮崎(岳)委員 品目ごとに出すのに、この国に対しては関税何%、この国に対しては何%ですとか、この国は輸入量がどれぐらいとか、品目ごとに各国のものを積み上げて出しているじゃないですか。違うんですか。

 事前に通告もしていますし、趣旨もきちんと、きのうレクに来た方にお伝えもしたし、そんなに難しいことも聞いていない。かつ、そんな、下一桁まで出せなんていう話じゃなくて、ざっくり何割程度ですかとかというぐらいのことなんですから、お答えくださいよ。

水田政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたTPPによる影響試算ということでございますが、これは、TPPの交渉した結果の合意を踏まえて出した影響試算ということでございまして、十二カ国が入ったTPPということでございます。

 今先生から御指摘のございました十一カ国のTPP、いわゆるTPPの今後ということでございまして、これはまさに、先ほど御答弁させていただきましたように、今月下旬のハノイにおきますTPP閣僚会合におきまして議論をした上で、どういった形になるかということでございますので、まだ形が見えているわけでございません。そういったことでございますので、予断を持ってお答えすることは……(宮崎(岳)委員「最初から、だから聞いていないでしょう、そんなことは」と呼ぶ)ええ、まだこれからでございますので、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

宮崎(岳)委員 だから、冒頭、そこは月曜日の予算委員会で安倍総理から回答があったから聞きませんと言っているんですから、そこを答えないでください、そういうふうに申し上げています。

 では、大臣。これは大臣にお伺いします。

 十一カ国のTPP、実現するかどうかわかりませんけれども、米国抜きの部分で、国内農業への影響はどの程度なんですか。重大な影響があるんですか。それとも軽微なものなんですか。もちろん対策はいろいろこれまでどおりのものをとるという前提かもしれませんけれども、米国が入った場合と入らない場合、どの程度の影響の大きさがあるのかということをお答えいただけますか。

山本(有)国務大臣 例えばお米であれば、TPP参加国のうちの米国は九〇%、小麦で五〇%、砂糖はゼロでありますが、牛肉で三八%、豚肉で五四%、こういうように品目ごとにかなりのウエートを占めているわけでございますので、米国が外れるということになりますと、いわば貿易相手国としての四割から五割のウエートの国が外れるという認識でおります。

宮崎(岳)委員 そうすると、先ほど申しましたとおり、米などは影響は大幅に少なくなるであろう、一方で、小麦や畜産、牛や豚、こういったものには一定の影響がある、総じて考えれば半分程度の影響が残るのではないかと。ちょっと今意訳になりましたけれども、こういうことでよろしいでしょうか。

山本(有)国務大臣 そのとおりでございますが、しかし、今後、米国が、十一カ国をもしTPPとして仕上げた後、二国間協議なり、さらにそのほかの関係で我が国との貿易についてどういう対応をされるかということに対しましてまではまだ分析をしておりませんので、私が断言するわけにはまいりません。

宮崎(岳)委員 もちろん、大臣おっしゃるとおり、米国が今後どうするかということはあります。ただ、それは、今の段階では、当然トランプ政権は二国間だということを言っておりますが、具体化もしていない段階ですので、今考えることでもないのかなというふうに思います。

 いずれにせよ、まず米国抜き、十一カ国ということで、これももちろん実現するかどうかはわからない、これから細目を詰めていくでしょうし、当然今の米国入りTPPとは違った交渉も予想されるということでありますが、総じて言えば農作物への影響は半分ぐらいで、そして、米のようにほとんど影響のないところと、一定の影響が出る畜産のようなところがあるということを、その趣旨をもう一度確認願えますか、大臣。そういうことですね。

山本(有)国務大臣 TPP十二カ国の中で四割から五割を占める米国でございます。この米国が外れた中で、十一カ国のTPPを締結するということにおける貿易影響というものは、もう一度新たに考えるべき話だろうと思っております。

 また、交渉担当者であります重要閣僚の麻生大臣は、二国間協議と多国間協議で内容はおのずから変わってくるであろうというようなコロンビア大学での講演もされているわけでございますので、その意味におきましては、他の閣僚との調整も必ず必要となってくるだろうというように思いますので、私といたしましては、これ以上の御答弁をさせていただくことには少しちゅうちょがございます。

宮崎(岳)委員 ちょっと質問と答えが食い違っていたような気もしますが、時間もありませんし、大臣からは一定の方向性は示していただいたと思っておりますので、これでこの問題については終わりたいと思います。

 もう一つ、今審議しております国家戦略特区法の関係ですが、農業支援外国人受け入れ事業というのがございます。

 事実上、これは労働移民制度と言ってもいいんでしょうけれども、農家で働く外国人ですね。日本では、基本的には外国の方が日本に来て働くということは、ごく少数の例外を除いてできないわけでありますけれども、事実上、農業については全面解禁ということになる。もちろん、特区制度でございますので、地域を絞ってということだと思います。

 これの歴史を見ますと、やはり農業実習生の制度があって、これは労働ではない、実習である、こういう建前のもとで、現実的には貴重な労働力ということで農家の方が活用してきたという背景があります。それが農業支援外国人受け入れ事業ということで、ある意味で置きかわるという考え方も実際のところはできるんだと思います。

 さて、それを行いますと、例えば群馬県でも、こういう地域が国家戦略特区でというところもあるわけでありますが、ただ、一つの地域が、では外国人の方を使って大規模な農業をやる、あるいはその加工や販売までも外国人の方がある意味自由に働くことができるという環境の中でやり出したときに、やはり国内的な格差が広がるのはやむを得ないことだと思うんですね。例えば群馬の一部地域でやりました、ところが、同じような野菜づくりをやっている栃木や茨城の方では外国人が使えないということになれば、価格競争力において大きな差が出てまいります。

 これは国家戦略特区ですけれども、国家戦略として考えると、外国人を使うということが国家戦略なのかというのはちょっとよくわからないところがありますが、いずれにせよ、こういう制度が地域限定で導入をされたけれども、今後一般化をしていくのか、全国でこれがうまくいけば、特区で実験的にやるわけですけれども、うまくいったならばこれを全国的に展開をしていく、地域を限らずにそういう形になっていくということも考えられると思います。

 私があえて、今はどちらがいいとか悪いとか、賛成だとか反対だとかは申し上げるつもりはないんですけれども、外国人が農業に従事するという形が普遍化され、一般化されるということについての考え方はどのように思っていらっしゃるか、これは大臣の見識をお伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 本特例措置と申しますのは、全く新しい制度でございます。まずは特区において適正に事業が運営されていくことが重要でございます。

 この国家戦略特区基本方針で、「国家戦略特区において措置された規制の特例措置は、その実施状況等について適切な評価を行い、当該評価に基づき、その成果を全国に広げていくことが必要である。」というようにされております。

 本特例措置におきましても、今後の評価においては全国展開が検討されるというように考えているところでございます。

宮崎(岳)委員 そうしますと、ここははっきり御答弁願えればと思うんですが、法律の仕立てとしては、うまくいけば全国展開するということだと思います。しかし、国家戦略特区ですから、国家戦略としてこの地域だけでやっていくという考え方も、これは構造改革特区と制度の仕組みが違いますので、これもまたありなのかなという気がしております。

 今の大臣の御答弁でいいますと、今回の農業支援外国人受け入れ制度においては、基本的には、うまくいけば全国展開をするんだという理解でよろしいんでしょうか。

山本(有)国務大臣 その評価が全国展開にふさわしければ、そうなる可能性は十分あります。

宮崎(岳)委員 もしうまくいってこれが全国展開されたときの農業のあり方はどのように変わっていくんだろうか、あるいは、ますます農業の振興につながるとか、そういう見方を大臣としてはされているかどうか、いかがですか。

山本(有)国務大臣 私の地元でも農業の人材として研修生、実習生を受け入れておりますし、また、一番早かったのは、漁業のカツオ船にマルシップ等で入っていただきました。こういう経験のもとに、それでは高知県がどう考えているかというと、今は抑制的に考えております。

 しかし、全国を見ますと、茨城県のように積極的に展開されているところもあるわけでございますので、それぞれ実施いたしましての、後は評価の問題と対応という、すぐれて政策的な判断が必要だろうというように思っております。

宮崎(岳)委員 大臣のある意味前向きなニュアンスというか、そういったものは十分伝わったかなというふうに思っております。

 続いて、東北農政局のOBの談合問題についてお伺いをいたします。本日の審議は、この談合事件を中心とした集中的な一般質疑ということであると思います。

 まず、これは前回の質疑でお伺いしたんですが、お答えをいただけませんでした。東北土地改良建設協会の加盟各社ですね、事前にその一覧表は以前もお渡しをしたかと思います。OBの再就職の状況についてお示しをいただきたい。

 前回伺ったときは、これはOBのいわゆる再就職規制の届け出の対象になっていない人は言えないということだったんです。ところが、東北農政局の土地改良事業所というのは、所長以外は皆さん、だから、いわゆるキャリアとか企画官級以上という方ではありませんから、再就職者はほとんど届け出対象じゃないんですね。ところが、今回の談合の仕切り役といいますか、登場人物たちというOBは、みんなそのランクというか職位より下の方ですから、そこが出せないとなると、そもそも問題の実態だってわからないということになります。

 ぜひ、個人名を言えとかそういうことじゃございませんが、どういう会社に何人ぐらい行っているとか、この会社には行っているとか、それぐらいはちょっとお示しいただきたいと思うんです。いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 型どおりの答弁になるかもしれませんが、国家公務員法に基づいて再就職の届け出がなされております平成二十年十二月から平成二十八年十二月までの間、農林水産省農業土木系の元職員のうち、東北土地改良建設協会へ再就職した者はございません。

 他方、国家公務員法においてOBに対する再就職の届け出義務が設けられております。これは、憲法の保障する職業選択の自由や個人のプライバシーの保護と、国民の関心が高い管理職職員であった者の天下り対策とのバランス等も踏まえて、七級二種、八級以上の元管理職員に対し、退職後二年に限って届け出義務が課されているところでございます。

 一方、それ以外、七級二種未満のOBについては届け出義務は課されておりません。

 したがって、法令に基づく制約、再就職の届け出義務という意味での制約、これの対象となっていない職員に対して、職業選択の自由が保障される一般の民間人であるという認識でございますので、このOBに対して、再就職状況の把握のために農林水産省が特別に調査を行うことができるというようには考えておりませんので、届け出対象以外の農政局OBの再就職につきましては把握をするところではありません。

宮崎(岳)委員 大臣、いいかげんなことを言わないでくださいよ。だって、一般的に聞いているんじゃないんですよ。この東北土地改良建設協会の加盟社間での談合事件が発覚したんですよ。そして、農政局に調査委員会をおつくりになって、この背景をお調べになっている。そこの会社に、しかもOBが主人公になって談合を仕切っていたわけでしょう。その仕切っていたOBたちについて、では、どこの会社にいるんですかということを聞いているわけで、一般論として聞いているわけじゃないんですよ。何から何まで明らかにしろと言っているわけでもないし。

 既に公取も入っている、農政局管内にも調査委員会を設けて調査をされているわけですよね。そこについて、では、どこの会社に入っていて、そういうところに談合にかかわった者がいるのかいないのか、そういったことを伺っているんです。それさえ言えない、こういうことですか。

山本(有)国務大臣 委員のおっしゃるのは、談合の嫌疑がある、談合は違法でございます、違法性がある疑いがある、そして、一般的に全てのOBについて疑いをかける、そして、それを調査するのは農林水産省の当然の調査権であるというわけでございます。

 これは、現役職員であればそのとおりでございますが、OBになりました場合に、先ほど申し上げましたように、民間人でございまして、この民間人を疑いがあるということで調査する権限は、農林水産省には持ち合わせがございません。それはすぐれて、警察権力あるいは検察あるいは公取、そういったところが、現在既に細かく調査をしているわけでございますので、逆に、その調査と絡めて我々が調査することの意味は、むしろ調査の妨害にすらなる可能性があります。

 そんな意味で、我々は、こうした調査に対しては、むしろ抑制的にすべきだろうというように思っております。

宮崎(岳)委員 調査することが調査の妨害になる、そんなロジックは通用しないですよ。これはすぐれて、もう官製談合に近い形ですよ。東北農政局の事業について、OBが相談をしてその受注先を決める、OBを受け入れられなければ入札で有利に戦うことはできない、こういう事件じゃないですか。それを、自分たちが調査したらむしろ妨害にもなりかねないので、調査そのものをしません、あるいはしたことを明らかにできませんという話は、私は大変奇妙なロジックであるというふうに思っています。

 では、東北農政局内に調査委員会を三月二十四日につくられたということです。

 これはもともと、朝日新聞の一連の連載、震災利権、復興利権についての一連の連載の中で、この東北農政局の談合事件のことが出てきたんですね。報道主導だったと思うんです。その取材があったから、新聞に載る前だったのかもしれませんけれども、調査委員会を設置した。実際には、調査委員会を設置したのは新聞に載った後ですけれども、まあまあ、内部調査は新聞に載る前に始めたのかもしれません。

 いずれにせよ、調査委員会が現段階で一定の調査をしていると思います。その調査の中間状況で結構ですので、現状どのような状況になっているか、お示し願えますか。

山本(有)国務大臣 本件につきまして、東北農政局に設置をされております公正入札等調査委員会、三月二十四日に開催いたしておりますが、調査内容、範囲等を決定し、現在調査を進めているところでございます。

 調査におきましては、多くの民間企業等について事情聴取する必要がございます。その過程で得られた情報についてお答えするということは、直ちには不可能でございます。今後の聞き取り調査の対象となる者に対して調査の狙いや進捗状況を類推させてしまい、事実判明に影響を与えるおそれがあるというように現在考えるところでございます。

 したがいまして、この調査は進めているということははっきり申し上げたいと思いますけれども、調査内容に関してはお答えは差し控えさせていただければと思っております。

 なお、調査の結果につきましては、入札談合情報等マニュアルに即して、随時、公正取引委員会及び警察庁へ通報する、そういう仕組みになっておりまして、両者の活動に支障を生じさせることがないように十分配慮しつつ、開示できる資料は開示するという姿勢で適切に対応してまいりたいというように思っております。

宮崎(岳)委員 前回の答弁でも、開示できるものは開示するというようなことでおっしゃっています。開示できるものを開示してください。何が開示できますか、大臣。

山本(有)国務大臣 現在、まだ開示できるものはございませんので、鋭意、調査の進行に基づきまして、談合の調査の推移を見ながら、できるだけ開示をさせていただきたいというように思っております。

宮崎(岳)委員 大臣、公取の調査や警察の捜査を自分たちが情報開示する理由にはしないでください。

 私は、申し上げたのは、公正取引委員会とか警察の意向で、これは通告で言っております、明らかにできない、それはわかりました。では、何を公正取引委員会や警察からは明らかにしないでくれという意向が示されているのか、具体的にそこを示してください。

 一般論としてみたいなことではないと思いますよ。むしろ、公正取引委員会や警察から言われてもいないことを、それを理由に隠しているんじゃないかという疑いを持っていますので、何を明らかにしてもらったら困ると言われているのか、それについてお示し願えますか。

山本(有)国務大臣 公正入札等調査委員会を開催いたしまして公正取引委員会及び警察庁へ随時通報するというたてつけでございますが、さらに入札等監視委員会という外部組織との意見交換をしながら、報告をしつつ、調査を進めておりますので、専門家の皆さん、弁護士さんや公認会計士さんや税理士さん等が入った入札等監視委員会の皆様とも協議して、さらには公正取引委員会、警察庁への確認もしながら、開示できる資料があるならば開示したいというように考えております。

宮崎(岳)委員 何にも言っていないじゃないですか。

 では、警察や公取にはもはや何回か通報したわけですね、今の調査内容。それだけお答えください。

佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。

 新聞報道がありまして、その新聞報道に基づいて公正入札等調査委員会を立ち上げるに当たりまして、公正取引委員会並びに警察庁に情報提供をいたしております。

宮崎(岳)委員 立ち上げるに当たって情報提供したって、それは委員会で調べたことを情報提供したんじゃないじゃないですか。委員会で調べたことを通報したんですか。

佐藤(速)政府参考人 大臣が御答弁申し上げましたとおり、公正競争入札等調査委員会におきまして得られた事柄につきましては、適時に公正取引委員会並びに警察庁に通報するということになっております。

 したがいまして、いつ時点でどのような情報を通報したかにつきましても、両機関の捜査に影響を与えかねないということでございますので、申しわけございませんが、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

宮崎(岳)委員 内容を言えと言っていないですよ。既に何度か適時に通報されているんですかというふうに聞いているんです。いかがですか。

佐藤(速)政府参考人 先ほど答弁申し上げましたとおり、公正入札等調査委員会は常設の委員会でございますが、その実施に当たりまして、調査を開始するに当たりまして公取及び警察庁に通報するといったことがマニュアルに書かれております。そのマニュアルにのっとって、農水省としてはこれまで調査を進めている、こういうことでございます。

宮崎(岳)委員 いや、何のお答えにもなっていないじゃないですか。今言ったのは、こういうことの調査を始めましたよと向こうにお知らせしたというだけの話でしょう。違いますか。

 ちょっと農水省さん、これは自分たちのかかわっている、自分たちの職員の不正だ、OBかもしれませんけれども、でも、現役と通じていなければ談合は成立しないわけですから、自分たちの不正だということを御理解いただいていないんじゃないでしょうか。どこか違うところでやっている、こういう話に思っているような感じがしてなりません。当事者ですよ、皆さん。

 もう一点、お伺いします。

 一般社団法人土地改良建設協会というものがあります。いわゆる、今回問題になった東北土地改良建設協会の全国組織といってもいいと思いますが、ここには農林水産省のOBあるいは現役出向、どのような方々がいるんでしょうか。

 また、農林水産省の中で、OB組織、これはもちろん一般的な広い意味での全員が入るOB組織というのはあるかもしれませんが、土地改良とか農業土木分野の方が特に集まっているような組織、あるいは土地改良建設協会と関係を持っているような組織、こういったものはあるんでしょうか。これについてお答えください。

山本(有)国務大臣 国家公務員法に基づきまして再就職の届け出がなされている平成二十年十二月から平成二十八年十二月までの間におきまして、一般社団法人土地改良建設協会に再就職している者は二名、専務理事と技術顧問というようになっております。

 なお、現役出向はございません。

 農林水産省農業土木系職員OBの全国組織であるか否かにつきましては、民間人でございますし、また、民間人による私的な活動という位置づけをさせていただいております。農林水産省として、これを調査する権限はございませんので把握はしておらないということでございまして、これ以上の詳細については不明でございます。

宮崎(岳)委員 二名、専務と技術顧問がいらっしゃるということでございます。この方々の現役時代の職名とか、あるいは、いつ入ったか、その情報をお示しください。

 また、全国組織があるかないかについて、詳細な内容までとは言いませんけれども、これは農林水産省の発注の工事についてOB団体が談合を仕切っていた、その際に、始終現職の、もとの職場に出入りをして情報をとっていた、こういう疑惑ですから、民間人だから調べられませんとか、プライバシーがあるからどうこうという話じゃないんじゃないですか。自分たちの発注工事に関する疑惑ですよ。

 ですから、少なくともそういう団体があるかどうか、それだけでもお示しください。

 以上の二点、お願いします。

佐藤(速)政府参考人 一般社団法人土地改良建設協会に再就職している二名の退職時の最終職歴ということでよろしゅうございましょうか。

 一名は北陸農政局長、もう一名は農林水産省農村振興局整備部設計課の土地改良情報分析官でございます。

宮崎(岳)委員 もう一つのことをお答えください。そういう団体はありますか。

佐藤(速)政府参考人 大臣からお答えしたとおりでございます。OBの全国組織があるか否かにつきましては、そもそもOBは民間人でございます。民間人による私的な活動について、農林水産省として調査、把握はしてございません。

宮崎(岳)委員 あなた、個人的に御存じでしょう、あるかどうか。それだけでもお話しください。

佐藤(速)政府参考人 恐縮でございます。この国会の委員会というのは、個人的な意見ではなくて、役所の見解を述べる場だと承知をしておりますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

宮崎(岳)委員 当たり前と言いましたけれども、隠蔽しているから言っているんですよ。

 OB組織が農水省の事業で談合を仕切っていた、こういう疑惑ですよ。ではOB組織があるんですかといったら、それは個人のプライバシーです、やめた人の自由ですから、職業選択の自由です、そんなばかな話ないですよ。疑惑があるから聞いているので、何にもないところで聞いているわけじゃないんだから。

 そういう組織があるでしょう。ありますよね。ないんですか、局長。

佐藤(速)政府参考人 繰り返しで恐縮でございます。OBとはいえ、民間人でございます。その私的な活動について農水省として調査、把握はしてございません。(発言する者あり)

宮崎(岳)委員 今、よしと言ったけれども、よしと言わない方がいいですよ、そういう答弁に対して。

 最後、時間になるので、一問だけお伺いします。

 この北杜会という、東北農政局の東北土地改良建設協会と一体的な存在であるOB組織北杜会というところが今回の談合の仕切り役とされております。

 一々の職員、末端まで全てとは申しませんが、縦のライン、つまり農政局の局長、局次長、農村振興部長、設計課長、それから土地改良建設事務所の所長、次長、各課長、こういった方々が、マージャンしたりゴルフしたり、そういう関係でこの団体とおつき合いがありましたかということだけ最後に確認させていただきます。いかがでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 この東北農政局のOBが関与した談合事案の有無につきましては、現在、公正入札等調査委員会で調査をしているところでございます。

 北杜会につきましても、聞き取り調査の結果、一般的な民間の親睦団体であるということは承知しております。

 さらに、一般論として申し上げますれば、現役職員がOB親睦団体など民間団体の行事に参加することやOBと接触することにつきましては、国家公務員倫理法など関係法令ですとか綱紀保持マニュアルなどを遵守していれば問題ないものと考えておりまして、個々の職員がどのようなOBと交流を持っているか逐一把握しているものではございません。

 なお、一般論といたしまして、国家公務員倫理法等の関係法令に違反しない範囲での交流、例えば会合で同席した際に挨拶をしたり飲食をともにするなどの交流はあるというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 何か一般論としてみたいな話ばかりされますけれども、一般論じゃないですよ。その北杜会というところが談合を仕切っていた組織ですから。そして、現役から事業に関する情報をとっていた、こういうことですから。その情報をとるタイミングというのはどこだったんですか、こういうことをお伺いしているわけです。

 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民進党の岡本です。

 きょうも、なかなか、秘密主義で、情報開示を進めようという意思が見られない農林水産省に質問をする。本当に、先ほどの宮崎委員の質問に対しても、真摯な答弁をしているとは到底思えないこの対応、組織のまさに擁護に走っているんじゃないかと思わざるを得ない。

 私は、最後にも言いますけれども、今回この話が出てきたのは、恐らく、農林水産省の技術系の皆さん方、大変厳しい農林水産省の中でのポスト争いがあって、そして、残念ながら、幹部クラスはみんな事務官が占めているというこの状況。

 そして、もっと言えば、再就職先がなかなか見つけられない。いや、かつては局長級だって技官の人いたわけですよ、大臣。今もう局長級で技官がなるポスト、どうなっているのか、こういったことを考えていかないと、これは構造的な問題として解決しないと思います。

 だから、何も私は責めている一方ではなくて、きょうは、そういう改善策をとっていかなければならないんじゃないかということもあわせてお話ししたいと思います。

 そういう意味で、たくさんの農林水産省の技官の皆さんも、この審議を見たり、もしくは聞いたり、後で読んだりされるでしょうから、私は、そういう皆さん方にもしっかりメッセージとして残すような審議をしていきたいと思います。その上で、真摯に答弁をぜひしていただきたい。

 今回、資料をまず配りました。大臣が、四月の五日の時点で北杜会という活字に出会って存在を知ったとしていますが、そのとき、会見で、これは四月七日の会見ですけれども、「東北農政局OBの親睦会というものであることは本省の局の中でも認識していたように聞いております。」こう言われているんですね。これは一体誰から、いつ、そう聞いたんですか。

山本(有)国務大臣 まず、北杜会につきまして、三月十九日の朝日新聞の報道、「復興工事 天下りOBの影」という見出しを受けまして、東北農政局に設置されている公正入札等調査委員会を開催した二十四日の時点で、東北農政局として当該OB親睦団体の存在を確認いたしました。

 その後、四月五日の朝刊の記事を拝見して、本省から東北農政局に連絡をとって、本省としても当該OB親睦団体の存在を確認したということでございます。

 しかしながら、組織の内容、構成員、活動内容、そういった具体的なことについては承知をしていないわけでございまして、報道以前に誰も知らないということはあり得ないのではないかということを聞きましても、個々の職員の中にOB親睦団体の存在を知っていた者もいたと思われるけれども、組織の内容についてまではそれは認識していなかったということでございまして、すぐれて、この北杜会についてのこの名称については四月五日の報道で確実に組織として知り得た、こういうことでございます。

岡本(充)委員 いや、東北農政局OBの懇親会というものであることは本省の局の中でも認識していたように聞いております、こう大臣は言われているんです。

 誰から、いつ聞いたんですか。

山本(有)国務大臣 こうした記事についての、いわば事情について問い合わせたところ、すぐれて、会話をしてこうしたレクを受けるのは農村振興局の局長さんではないかと思いますが、事実が違っているかもしれません。

岡本(充)委員 いつですか。

山本(有)国務大臣 恐らく、この記事が掲載された日の午後だろうというように思います。

岡本(充)委員 ここは重要なんです。四月五日より前に、朝日新聞が名前は出していないけれども報道していた。この段階で聞いたのではなくて、四月五日の文字を見てから局長から聞いた、こういうことですか。

山本(有)国務大臣 そのとおりでございます。

岡本(充)委員 なぜ、その三月の段階で、前ぶれの記事がある段階でレクを受けなかったか。そのときに、この記事は一体どういうことなんだとレクを受けたんですか。

山本(有)国務大臣 この三月の段階の記事については、こういう疑いの観測、臆測記事であるというように私どもは判断し、東北農政局がそうした入札については正確を期し、適正を期しているというようにその段階では思っておりました。

岡本(充)委員 ここははっきりさせてほしいんです。大臣として、危機管理としてどうだったのか。

 三月の段階で、記事が出た段階で、では、事務方から一切説明を受けなかった、説明を求めなかった、大臣、それでいいんですね、信じていたから。

山本(有)国務大臣 事務方から説明を受け、そしてそういう事実についての確認等をしながら、そういう認識でありました。

岡本(充)委員 ここは重要です。

 では、大臣、今、事務方からレクを受けたわけですね、三月の段階で。そのときに、こうした農政局の中でOB団体があるか、あるや否や、聞かなかったんですか。

山本(有)国務大臣 この段階では聞いておりません。

岡本(充)委員 この記事が事実なのか、この記事が間違っているのかというときに、農政局のOB団体が、もしくは農政局に関連する団体が談合にかかわっていた疑いがあるという観測記事なわけですから、当然、何でそこで、事実関係、こういう団体が本当にあるのか、それをなぜ聞かなかったんですか。

山本(有)国務大臣 OBのそうした団体があり、そうした影響をしており、かつそうした入札に不正をする意図でつくられたものみたいな、そうした予断は全く覚えておりません。

岡本(充)委員 いや、これは極めて重要な案件、農林水産省として大きな問題になるんじゃないかという話のレクの内容を覚えていない、そういうことですか。

山本(有)国務大臣 そのOBの団体が、談合あるいは入札不正、そういった働く中心的存在という認識をしていなかったということでございます。

岡本(充)委員 きょうは局長に来てもらっています。大臣にどういうレクをして、どういう説明をしたんですか。

佐藤(速)政府参考人 まず、本件につきまして最初に報道がなされた三月十九日の朝日の報道でございますが、これは先ほど大臣から見出しを御紹介しましたとおり、「復興工事 天下りOBの影」と。OBの関与ということでございました。

 それで、このOBの関与という疑いがあると少なくとも新聞報道でなされていたということでございますので、農政局に常設されている公正入札等調査委員会、これをしっかりとここで調査をする必要があるのではないかというような御相談をし、御指示を受けたところでございます。

 その後、四月の五日の同じ朝日の朝刊でございますが、この朝日の四月五日の記事で北杜会というような名称が報じられまして、それで、この北杜会なるものの事実関係を本省から東北農政局に問い合わせ、東北農政局で把握していたことを、この北杜会についてのことを大臣の方に御報告を申し上げたということで、その経緯については先ほど来大臣が御答弁されているとおりでございます。

岡本(充)委員 では、局長は、本省の局の中でも認識していたということを大臣に説明したわけですね、四月五日の午後に。

佐藤(速)政府参考人 この四月五日の報道を見まして、本省から東北農政局に問い合わせをして、このOB親睦団体である北杜会の存在を確認した、この事務方として確認したということも含めて大臣に御報告をしたということでございます。

岡本(充)委員 それは答えていないんです。私が聞いているのは、その後段の詳しい内容じゃないんです。

 東北農政局にOBの親睦会というものがあるということは本省の局の中でも認識していた、つまり、東北農政局に聞くまでもなく、本省の農村振興局の中でも認識をしていた、こう大臣に説明をしたから、こう大臣は会見で言っているんですよ。これは会見の事実と違うということですか。どちらですか。

佐藤(速)政府参考人 会見におけます大臣の御趣旨といたしましては、今私が御答弁申し上げましたとおり、四月五日の新聞報道を受けて農政局に確認をした、その確認をしたことを農村振興局として大臣に御報告申し上げた、こういうことでございます。

岡本(充)委員 ちょっとこれは、繰り返してもしようがないです。

 僕が聞きたいのは、繰り返し同じことを時間がかかるからやらせないでくださいよ。本省の局の中でも東北農政局に聞く前に認識していた、こう大臣は答えているじゃないですか。認識していたのかいないのか。東北農政局に聞く前に、詳細は別にして、そういう団体があるということを本省の局の中でも認識していたのか、そこだけ、しっかりちゃんと委員長、答弁させてください。

北村委員長 はい。

 それでは、佐藤農村振興局長。

佐藤(速)政府参考人 大臣に御報告を申し上げた際に、一言一句記憶が定かではありませんので正確ではございませんが、個々の職員の中にはそういうものがあるということを知っていたと思うけれども、組織としてきちっとこういうことを把握できましたというような、そういう御報告を申し上げたというふうに記憶をしております。

岡本(充)委員 その個々の職員というのは局長自身も入るわけですか。

佐藤(速)政府参考人 私自身は、今回のこの東北農政局への問い合わせを受けて知るに至ったところでございます。

岡本(充)委員 整備部長はその認識を持ってみえたんでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 今直ちに本人に確認しないとわかりませんので、若干お時間をいただければと思います。

岡本(充)委員 では、しっかり調査をして、委員長、報告を求めてください。いいですか。

北村委員長 はい。

岡本(充)委員 では、その上で、これは事前にみんな職員は知っていたんじゃないか。

 私、いろいろ調べてみたら、ページをめくっていっていただいて、六ページ目ぐらいから、美しい田園21という組織があることを知りました。NPO法人です。NPO法人をつくっています。

 いろいろお話を聞きたいんですが、まずそもそも、九ページ目に役員、これは二十七年度です、二十八年度はこれからなんですけれども、きっと公表されるんでしょうけれども、二十七年度の役員、この中で、農林水産省のOBもしくは現職、どなたと、どなたと、どなたですか。もしくは、どなた以外はみんな、こういう言い方でもいいです。

 ちょっととめてよ、通告しているんだから。

北村委員長 時計をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 佐藤農村振興局長。

佐藤(速)政府参考人 まず、この北杜会の存在を四月五日以前に整備部長が存じていたかどうか、これにつきまして本人に確認いたしました。私と同様、承知をしていなかったということでございます。(岡本(充)委員「いや、名前じゃないよ、OB会自体も知らなかったのね」と呼ぶ)ええ、私と同じ状況でございました。

 次に、この資料の九ページにございます理事のうち、農水省のOBの出身者でございますが、一番上の林田直樹、三番目の田島明彦、その下の中川敬夫、一つ飛んで、監事の清水洋一、その下の勝山達郎、以上の五名がOBでございます。

岡本(充)委員 その下の窪豊則さんという人は、出先の機関の事務所の次長か何かじゃありませんか。

佐藤(速)政府参考人 今お答え申し上げました五名といいますのは、国家公務員法上の再就職の届け出の義務が課されている方でございまして、課されていない人につきましては、申しわけございませんが、承知をしていない。窪氏につきましても同様でございます。

岡本(充)委員 いや、恐らく、私がざっと調べたら、これ、ほとんど農林水産省の地方支分部局の、出先の機関の出身者、それが地方の支部長になっているんですよね。これ、農林水産省のOBの職員の名簿と、かつていた人の名簿と照らし合わせてください。

 では、同一人物かどうかは別として、この名前がかつて農林水産省の職員として存在をしたかどうか、それだけは答えられるでしょう。

佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。

 名前が一致しただけで直ちに本人かどうかわかりませんので、確認をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 いやいや、名前が一致するかどうか。だって通告しているんだから。ちょっと大至急確認してください、同じ名前がかつていたかどうか。その上で質問していかないと。

 ちょっととめてください。

北村委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 佐藤農村振興局長。

佐藤(速)政府参考人 今、職員の名簿が手元にございませんので、ちょっと直ちに確認するといったことは、申しわけございませんが、できません。調べまして、御報告を申し上げたいと思います。

岡本(充)委員 これ、通告しているんだから、農林水産省のかつての職員の名簿を見たらすぐわかるでしょう。

 例えば先ほど言った窪豊則という同姓同名は、北陸農政局常願寺川沿岸農地防災事務所の所長として私も見つけることができた。ただ、同じ人物かどうかはわかりません。ただ、同じ漢字のこの方がいる、こういうことです。それを調べてくださいと私は言っていたんですから、通告しているんですから、ここで答えてもらわないと、ほかの質問をしてくださいと言われたって困ります。委員長、お願いします。

 とめて。

北村委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 佐藤農村振興局長。

佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省のOBは在籍しているのかどうかという通告をいただいていたというふうに承知をいたしております。

 そこで、私ども、昨日になりますけれども、公務員法上の再就職の届け出義務がかかっている人間に該当するのかどうか、これを委員お配りの資料と照らし合わせて確認したところでございますけれども、この窪氏が職員として在籍していたかどうか、これにつきましては調べていないというところでございますので、ちょっと確認にお時間をいただきたいと思います。(岡本(充)委員「ちょっと待ってください。だって次の質問に入れない、それじゃ。通告していたんですから」と呼ぶ)

北村委員長 もう一度、では、そのことを言ってください。岡本君。

岡本(充)委員 この人たちが農林水産省に在籍をしていたかどうかということを聞いているのであって、何も国家公務員法上の再就職の届け出義務があったかどうかとは聞いていないんです。この人たちが所属をしていたか、これを聞いているだけですから。そういう意味では通告しているので、この質問を、答えられないというなら、これは、委員長、別の機会をつくってもらわないといけないし、どうされるのか、ちょっと決めてください。

北村委員長 時間がかかりますか。とめなくて、すぐ行けますか。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 では、速記を起こしてください。

 佐藤農村振興局長。

佐藤(速)政府参考人 恐縮でございます。至急お調べいたしますが、ちょっとお時間をいただきたいと思います。この岡本先生の持ち時間の間には御回答申し上げたいというふうに思います。(岡本(充)委員「そうしたら話が前後しちゃうから、それなら待っています。だって、すぐ見つかるんでしょう。五分、十分でしょう」と呼ぶ)

北村委員長 それを行かないと次へ行けないんですか。(岡本(充)委員「次へ行けない。だって、次のも同じ話だもの」と呼ぶ)

 では、時計をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 では、速記を起こしてください。

 それでは、答弁をさせます。農林水産省佐藤農村振興局長。

佐藤(速)政府参考人 この理事でございますけれども、窪氏、この方は、今委員が御紹介なさった官職にいたということが確認をできました。そういう方がいたということを知っている人がいたということでございます。

岡本(充)委員 そんな一つ一つ各駅停車じゃなくて、ほかの人はどうなんですか、ほかの人。同じような観点で調べてくださいよ。

 それから、その次の、社員のうち十人の名簿、次のページです、十ページ目。これも同じように、農林水産省にいた人ばかり、もしくは現職がいるんじゃないですか、この中。どうなんですか。はっきりさせてください、それは聞いているんですから。

佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。

 この九ページ及び十ページ目につきまして、現職の人は含まれておりません。

岡本(充)委員 元職でもいいんです。だから、同じ人かどうかは別として、同姓同名の人が農林水産省に在籍していたんですかと聞いているんです。もしくは現職はいませんでしたかと言ったら、現職はいないというんだったら、元職はいるんですか、どうですか。そこは、今の窪さん以外も含めて、ちゃんと答えてくださいよ。

佐藤(速)政府参考人 申しわけございません。確認をいたすには、同姓同名の方がいたかどうかも含めてきちんと調べるといったことが必要でございますし、また、届け出義務がかかっていない人について調べる権限、そういったものもございませんので、なかなか難しいというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 いや、同一人物かとは聞いていないです。同姓同名の人がいたかと聞いているんです。同一人物かどうかはわからないです、それは確かに、届け出していないんだから。

 だから、同姓同名の人がかつて農林水産省にいたかどうかは職員名簿を見ればわかるでしょう、どうなんですかと聞いているんです。

佐藤(速)政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、OBとはいえ、一般の民間人でございます。再就職状況の把握の対象でない人にまで農水省が特別に調査を行うといったことは難しいのではないかというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 でも、窪さん、答えちゃいましたよ、もう。答えちゃったよ。だから、それはもう答えたんですから、いたかどうかは職員に聞けば今わかったと。本当に短い時間でわかったんですから、残りの人だって、同姓同名の人がいたかどうかだけですよ。

佐藤(速)政府参考人 窪さんについては同姓同名の名前があるということがたまたま確認できましたけれども、今私が申し上げたように、再就職の届け出義務がない人につきまして、きちっと組織として確認をするということはなかなか難しいのではないかというふうに考えてございます。(発言する者あり)

北村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの岡本議員の質疑で、民間団体の者を直ちに調査する権限もなければ、できないというような状況の話でありましたので、これは後刻、理事会で協議をすることにさせていただきたいと思います。

 岡本君。

岡本(充)委員 例えば成田総一郎さんという理事の方も、調べると、関東農政局霞ケ浦用水農業水利事務所の所長をやっていたんじゃないかと私は思うんです。

 先ほどの宮崎さんの話じゃないですけれども、こうした人たちはみんな届け出義務がないんですよ。各農政局それぞれ、この人たちがOB組織の支部長をやっているんじゃないか、理事をやっているんじゃないかと疑わせるようなものであって、これは調べていったら、みんな農林水産省のOBなんじゃないですか、このNPO。NPOを隠れみのにしているんじゃないか。

 そして、社員十人のこの人たち、少なくとも何人かを調べたところ、これも結果として、先ほどの窪さんもいますけれども、農林水産省のOBでできている、こういう組織ではないかと思っているわけです。

 ちなみに、先ほど、冒頭あった林田さんという方は、しかし、国家公務員のいわゆる届け出義務を見ると、十一ページ、農林水産省の振興局次長だった林田直樹さんは、全国農村振興技術連盟、そして農業土木会館に就職をしている、こういう形になっていますが、この経緯は一体どういうことなんでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 このNPO法人を所管しております東京都、都庁のウエブサイト上にこの法人の事業報告書が載っております。それを見ますと、この法人の役員は全て無報酬であると記載されております。

 国家公務員法に基づく再就職の届け出が必要な公務員は、管理職以上であっても、報酬百三万円以下の人は届け出の適用除外というふうになっております。

 そういったことから、この法人の理事としての記載がなされていないのではないかというふうに思料をいたします。

岡本(充)委員 確かに無報酬なんです。だから、きょうは内閣人事局にも来てもらっているんですけれども、こうしたいわゆる無報酬とか報酬が低いからといって、ある意味、利害関係のある団体の役員につく。このマニュアルを見ると、NPO法人等も営利企業等に含まれる、こういうふうに書いていますし、その営利企業の中でも、利害関係企業についてはよりしっかりと再就職管理をするというふうになっていますが、今の農林水産省の説明でいいんですか。

加瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の再就職規制につきましては、在職中の求職の規制、あるいは他の職員の再就職依頼の規制、あるいは再就職者による依頼等の規制、働きかけの規制等ございます。

 それ以外に、管理職職員であった者が再就職した場合の届け出という規定が百六条の二十四というところにございます。その場合、届け出の中身、届け出の対象となる者につきましては、有給で営利企業以外の事業の団体の地位についた場合、有給で事業に従事することとなった場合または事務を行うこととなった場合、三点目として、営利企業の地位についた場合ということでございますので、今回、個別のケースについては存じ上げていないところでございますけれども、該当するとすれば、有給ではない形で営利企業以外の事業の団体の地位についた場合ということに該当するのかと思っております。

岡本(充)委員 だそうです。どうですか、局長。

佐藤(速)政府参考人 法律を所管するところの責任者の方の御見解だというふうに承りました。

岡本(充)委員 時間があるからって、そんな答弁はふざけていますよ。

 給料がなくても営利企業等に入っていたら、これは再就職の報告をするんでしょう。NPO法人も営利企業に含まれると内閣人事局は言っているわけですよ。何でこれは載っていないんですか。

佐藤(速)政府参考人 載っていない事情を直ちに承知をしておりません。

岡本(充)委員 さっきの答弁をまず撤回しなさいよ。百三万円以下だからいいと思いましたって、それは違うでしょう。間違った答弁をして私の追及をかわそうとしたわけですよ。それはまず最初、撤回してください。(発言する者あり)

北村委員長 では、とめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 では、速記を起こしてください。

 佐藤農村振興局長。

佐藤(速)政府参考人 国家公務員法に基づきます管理職職員であった者が再就職した場合の届け出でございますが、手元にある資料によりますと、届け出が必要となる場合、一つは、有給で営利企業以外の事業の団体の地位についた場合、こういったものがございます。その届け出が不要な場合といたしまして、このような有給で営利企業以外の事業の団体の地位についた場合で、一定額、これが百三万円でございます、以下の報酬を得る場合というふうな規定がございます。

 私どもは、所管官庁であります東京都のホームページに載っておりますこのNPO法人の性格からして、営利企業に当たらないというふうに思っておりまして、したがいまして、この場合、百三万円以下の報酬の場合には届け出が不要ではないかというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 内閣人事局さん、営利企業等の中に、NPO法人等も営利企業等に含まれますと。これは、国家公務員再就職の規則、内閣府が出しているパンフレットに書いていますね、文字として。どうですか、それ確認。

加瀬政府参考人 お答えを申し上げます。

 営利企業等の中に、NPOなども届け出の対象になる場合もございますが、その場合につきましては、一つは、先ほどの答弁にちょっと不備がございまして、有給で営利企業以外の事業の団体についた場合であっても、一定額の報酬を得る場合、つまり百三万円以下の場合についての届け出は不要ということに法令上なっております。

岡本(充)委員 では、NPO法人は営利企業になりますか。

加瀬政府参考人 NPO法人自体は営利企業というものではございませんが、届け出の対象という意味で申し上げれば、NPOについても対象となる場合があり得るということでございます。そういった場合、有給ということでございます。

岡本(充)委員 給料を全くなしにしていたら、NPOで利害関係があったとしても、そこに再就職することは公表しなくていい、そういう理解ですか。

加瀬政府参考人 現行法令上はそういうことでございます。

岡本(充)委員 だとすると、きのう私が聞いていた話と違ってくるんですけれども。

 もう一回そこは整理させてもらいますが、局長、もう一回ちょっと聞かせていただきます。

 この林田さんという人は確かに無給でした。私も見ました。しかし、表向き、就職しているのはこの二つ。そもそも、土木会館というところにこの美しい田園21というのは入っているんですよ。この土木会館に入り、この土木会館、ここだって、そもそも、そういう意味でいえば、ある意味、農林水産省とどれだけの利害関係があるかはよくわかりません。

 ちょっと調べてくれという話をしましたけれども、例えば全国農村振興技術連盟とか農業土木会館、農林水産省と何らかの金銭上の契約関係はあるんですか。

佐藤(速)政府参考人 お尋ねの農業土木会館でございますけれども、農林水産省からの補助金ですとか委託費の支出、会議室の賃借につきまして、農水省本省にあります二年間の記録を調査したところ、そのような事項は確認をできませんでした。ございませんでした。(岡本(充)委員「連盟の方は、連盟も」と呼ぶ)

 失礼しました。農村振興技術連盟でございますが、これにつきましては、農水省からの補助金や委託費の支出につきまして、同様に二年間の記録を調査いたしましたが、そのような事項は確認をできませんでした。

 ただし、この連盟が出版する業務に必要な図書の購入などにおいて公費を支出した実績は確認をいたしました。

岡本(充)委員 それは幾らですか。

佐藤(速)政府参考人 技術連盟に対する図書購入、二年分でございますが、八十一万円でございます。

岡本(充)委員 こういう形で、図書購入をしているところ、もしくは金銭的な関係のあるところに農林水産省の幹部だった人が天下り、そしてその人が、先ほどお話をしている、無報酬だからといって、職員OBばかりが理事を務めている団体、NPO、これは隠れみのにしているんですよ、NPOだからということで。

 それで、これはいろいろ問題があるんじゃないかと思っていまして、さらにいろいろ調べていくと、私、突き当たった団体がいろいろあるんですが、その前にちょっと確認したいです。

 美しい田園21、これはいろいろ通信を出しているんですよ。七ページを見ていただくと、総会を去年やっていまして、去年の総会には農村振興整備部長が来賓として出席をされております。

 ことしの総会には出席されましたか。

佐藤(速)政府参考人 ことしの総会には出席をしていないというふうに確認をいたしております。

岡本(充)委員 さすがに、しないでしょう。

 しかし、それ以前、過去何年間か出席をし続けていると思うんですね。

 これは、公務で行っているんですか、プライベートで行っているんですか。

佐藤(速)政府参考人 このNPO法人の総会への出席でございますけれども、このNPO法人から案内状もいただいておりまして、業務の都合がつく範囲で、公務として参加をいたしております。

岡本(充)委員 こうした指定職の方が、ほぼ例年、公務として出席をするNPO法人というのはほかにあるんですか。

佐藤(速)政府参考人 農村振興局の中だけの話で恐縮でございますが、NPO法人自体が非常に数が少ない、この法人ぐらいしか承知をしておりませんので、そういった意味では、農村振興局関係ではほかにはないとは思いますが、省全体ではちょっとわかりかねるので、お答えはいたしかねます。

岡本(充)委員 大臣、これは結局、農村振興局とずぶずぶの関係なんですよ。毎年、部長が、指定職が挨拶に行き、そして、メンバーは実質みんな技官ですよ、僕が見た限り。農林水産省の技官が退職後にこうした会をつくる。

 そもそも、設立総会からどうだったのかという過去をいろいろさかのぼってみると、この設立総会からして農林水産省が音頭をとっていたんじゃないかと思わせるような内容になっています。

 そういう意味で、これは五ページ目です。後で聞きますが、ARICという団体、これもなかなかなものなんですけれども、この設立については、やはり当時の整備部長が設立のお祝いをしてNPOに対する期待の言葉を述べている、こういう状況のもと、集まった議事録署名人も含めて、これは農林水産省のOBばかりが集まってこういうものをつくっている。

 これは、つくった実態、そのときに農林水産省はかかわったのか、大臣、ぜひ調べてもらいたいと思います。どうですか。

山本(有)国務大臣 この種の団体の設立について、悉皆調査という意味だろうと思いますけれども、その意味において、正確に悉皆調査ができるというには、NPO法人あるいは任意の団体等でございます、これにつきまして、しかもOBということでございますので、私ども限界がございますが、その限界を承知でこの調査をしてみるということにおいて御了解がいただければ、わかる範囲で資料をお出しするということであれば、調べてみたいというように思っております。

岡本(充)委員 いや、そんなの、大臣、ここのを見てくださいよ。この記事が間違っていたら別ですよ。農村振興整備局の齋藤整備部長が設立のお祝いに行った。下に書いてある、まだ生まれたてのNPO、何の実績もない、初めてできたNPOの設立総会にいきなり農林水産省の部長が行って、お祝いとNPOの法人活動に対する期待の言葉を述べられた。

 これはやはり、ちょっと異様なんですよね、こんなNPO法人って。私も聞いたことがない。できるときから役所の指定職が行って期待の言葉を述べるNPO法人って、大臣、記憶にありますか、政治人生の中で。大臣、ありますか、どうですか。

山本(有)国務大臣 さまざまな任意団体、民間の方々の集まりというのはあるわけでございますので、一概にないとも言えないというように感じておるところでございます。

岡本(充)委員 長い政治人生の中でこんな話は聞いたことがない、記憶にないはずですよ。極めて特殊ですよ。

 それで、なおかつ、このARICという団体もなかなかな団体でして、農業土木関連の会社が法人として会員に入る団体です。

 ちなみに、このARICという団体のホームページには水土の礎というコーナーがあって、実はこのホームページのコーナーの執筆を行う活動を先ほどの美しい田園21がやっている。何でわかったかというと、東京都に報告されているNPO法人の活動報告、事業報告を見たら、資源保全事業として「国営事業の伝承に資する「水土の礎」の執筆を行った。」として、事業費百七万三千円をいただいている、こういう報告書を上げているわけであります。それが、金銭的なやりとりの部分だけをピックアップしましたけれども、皆さんのお手元、八ページです。

 こうした活動を通じてARICから、ARICのホームページ上の執筆をするという執筆料という形で、美しい田園21にはいわゆる土地改良事業をやっている建設業者が集まる団体から執筆料が支払われ、そしてNPO法人の活動費に充てられる、こういった実態。これがまさに、OBの団体とそして土地改良事業をやっている企業との大きな金銭的な関係がある実態を、これは、それぞれの文書は別々のところにありますから探してこなきゃわからないけれども、こういう実態があったんじゃないんですか。

 この美しい田園21という団体は、そもそもから農林水産省がかかわって設立をし、設立をした後もそうした農業土木の関連企業の団体から執筆料というお金が回り、そしてNPOという名前で、無報酬だからといってそこの役員もわからない。先ほどの話で、そういった隠れみのを使って、もしかしたらここ、就職あっせんをしていませんか。文科省で話題になった文教フォーラムと文教協会と同じ話じゃないですか。

 ちなみに、ARICには顧問として農林水産省のOBが就職していますよね。どうですか。

佐藤(速)政府参考人 この一般社団法人農業農村整備情報総合センターでございますけれども、再就職の届け出がなされている二十年十二月から二十八年十二月までの間に、管理職職員だった農業土木系の職員四名が再就職をしております。

岡本(充)委員 それだけじゃない。

 会計検査院もきょう来てもらっています。

 ひどい話です。会計検査院の審議官だった人がこのARICに顧問として再就職をして、会計検査院の検査を受けるときの心得を説いていますね。

 会計検査院の幹部職員だった人が再就職をして、その心得を説くということは適切な行為なんですか、どうなんですか。

岡村会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 ただいま先生がおっしゃいました事実関係については、突然のお尋ねでございまして、確認できないところでございます。

 一般論で申し上げたいと存じますが、例えば、検査に対する適切な資料の提出を行わないなどの対応をとるというようなことにつきまして対応法ということでございますれば、非常に不適切でございます。ただ、内容次第でございまして、各団体等における会計規程の整備あるいは内部監査の業務に携わるというようなことでございましたら、これは各団体等における適正な会計経理を進めるという意味でも特段問題がないと考えているところでございます。

 会計検査院といたしましては、いずれにいたしましても、厳正な検査を行っているところでございます。

岡本(充)委員 これはお知らせしたと思いますけれども、平成十八年十二月六日の衆議院決算行政委員会における質疑において、会計検査院の院長から、過去には、会計検査の実施初日に個別の検査に先立ち行われる業務の実施状況等についての概況説明において、検査対象団体に再就職した会計検査院の元職員が陪席していたことがあったと聞いている旨の答弁がなされているということを会計検査院としても承知をしているんです。

 したがって、こうした検査の日に、職員が、そこにOBがいて、かつての自分の上司がそこにいて、そして会計検査院の検査を見るというようなことは不適切だとして、これは、退職に関する国家公務員法の規定等についてとあわせて、検査対象団体に再就職した場合には会計実地検査の立ち会いを行わないことを周知しているというふうにしています。

 しかし、これは検査対象団体に再就職した場合なんですよ。検査対象団体ではないんです、このARICは。ここに集っている企業が検査対象団体なんです。

 したがって、個々の団体のいわゆる集合体である一般社団に天下って、そこで関係会員に会計検査のときの心得をひもとくというのは、この観点から考えても不適切だと考えられるんですが、その点についてはいかがですか。

岡村会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 ただいま先生がおっしゃいましたような行為について、私どもとしては一切確認しておらない、承知しておらないところでございます。

 それから、私どもといたしましても、検査の手法につきましては日々工夫を凝らしているところでございまして、検査に支障が生じるようなことはないというふうに承知しております。

岡本(充)委員 いや、それは検査に支障があったら大問題なんです。

 支障がないようにするために、今お話をしましたように、何もここで、これは後で確認をしてください、衆議院の質問主意書、百九十二回国会第一四一号、これは伝えているはずです、この主意書の中で会計検査院が答弁しているんですから。さっき言ったとおりの文章が載っているんです。

 検査対象団体に再就職した場合については会計実地検査の立ち会いを行わないというふうにしていますが、検査対象団体ではない、先ほど言った、検査対象団体等が集う団体で再就職し、そしてそこで指導するというのも同様に不適切だと考えられますので、そこについてはこうしたいわゆる退職に当たっての指導の中できちっと適切に周知をするべきではないかと考えていますので、それについての御答弁をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

岡村会計検査院当局者 お答えを申し上げます。

 繰り返しでございまして恐縮でございますが、私どもとして、そういったような不適切な対応ということについて確認しているところはないということでございます。

 周知ということにつきましては、今後検討させていただきたいと存じます。

岡本(充)委員 ぜひ、今指摘をしておきましたので、こういう関連団体に天下って、その関連団体の中での指導をするというのも私は不適切なのではないかと思いますので、検討いただきたいと思います。

 さて、農林水産省にもう一回戻ります。

 この話、なかなかOBの組織が明らかになってこなかったですが、この間いろいろ調べさせていただいて、少なくともこの美しい田園21というのが、農林水産省のOB、それも技術系の職員が集まる会になり、そしてそこには技術系の職員のトップである整備部長が出向いて毎年挨拶を行う、そしてそこへの役員は、農林水産省のやはり幹部がいるNPOになり、その隠れみのに対して、関係する企業の集まる一般社団から執筆料という形でお金が流れている、こういう構図がこの間で明らかになってきたわけであります。

 大臣、ここまでの話を聞いていて、大臣は私が今指摘をしているような事実、知らなかったでしょう。事務方は説明してくれましたか、美しい田園21。

山本(有)国務大臣 委員がこうして資料を示して御説明いただくまで存じ上げませんでした。

岡本(充)委員 冒頭もお話をしましたように、大臣、これは最初のときに、疑いがある段階で事務方は知っていましたよ。だけれども、北杜会の名前はさておき、それは細かなことはわからなかったかもしれないけれども、OB団体があることは絶対知っていた。なぜなら、OB団体に毎年挨拶に行っていたんだから。にもかかわらず、あたかも知らない、こういうふうに言い、なおかつ、結果としてそこには関係する団体からお金も流れてきているというこの構図。

 私、これは本当に、もう一度調べるべきだと思いますよ。ここの美しい田園21と、今、本省の職員、案内状のやりとりはあったといいますけれども、これは、職員の退職情報等を共有したり、つまり、文科省の問題であった文教フォーラムと一緒ですよ。ノンキャリの職員がフォーラム、協会をつくって、これを隠れみのにして、ここが退職情報を得ている、そして人をそこから出していく、この構図と同じ構図が農林水産省にもあるんじゃないんですか。この美しい田園21に登録をすることによって、そこで退職者の名簿、官職を管理して、そこが再就職先に人を紹介していませんか。誰が退職を近々するかという情報を農林水産省とやりとりしていませんか。

 これは、大臣、調べるべきだと思います。どうですか。

山本(有)国務大臣 重要な岡本委員の指摘でございます。こうした不正のないように、予防措置として検討を重ねていきたいと思っております。

岡本(充)委員 調べていただけるということですか。調査をしていただけるということですか。

山本(有)国務大臣 もう一度調査内容を細かく教えていただきたいと思います。

岡本(充)委員 美しい田園21というところを隠れみのにして、これは、職員、OBがみんなNPO法人に三千円の会費で入っているんですよ。三千円会費で名簿を登録しておいて、そして登録していたその職員の名簿をもとに、再就職をここがあっせんしているんじゃないんですか。なおかつ、もっと言えば、この美しい田園21、NPOが、農林水産省本省と、誰が近々退職するかなど、人事情報を含めて共有していたんじゃないんですか。

 これがまさに文科省の文教フォーラムのパターンでしたよ。文教フォーラムも、ここが退職者の情報管理をして、そして、文科省の人事課と退職者の情報を共有しつつ、退職のあっせんをしていた、こういう構図だったでしょう。

 これはおかしいじゃないかといって、一月二十日に総理が再調査を指示して、三十一日に内閣人事局が外部メンバーも入れて調査委員会を立ち上げて調査をして、年度内に発表しました。しかし、そのときには、残念ながら、美しい田園21の言葉は農林水産省から出てこなかった。

 これは、調査が行き届いていなかったんじゃないか。内閣人事局に聞いてもいいんですけれども、まずは農林水産省本省でこれは調べるべきじゃないですか、そう聞いているんです。

山本(有)国務大臣 まず、再就職について、農林水産省として調べるか否かについて、私も検討いたしました。特に、東北談合で公取が立入検査に入るという段階で、ゆゆしき問題だというように認識いたしました。

 そこで、農林水産省自身で調べるという以上に、折しも文部科学省の再就職規制違反事案がございまして、山本幸三公務員制度担当大臣の方で詳しく、それぞれの省庁が調べる以上に、より第三者機関も含めて調査をするというときでございましたので、私ども農林水産省から内閣人事局、特に山本大臣のところに赴きまして、こうした問題について特に詳しく調べるようにお願いをしたわけでございます。

 その意味において、この調査を待ちたいというように思っております。

岡本(充)委員 いや、自分のところでも調べるべきですよ。

 つまり、自分のところの、農林水産省の人事部局と美しい田園21が退職者情報についてやりとりをしていた事実があるのかないのか、それだけでも調べたらどうですか。

山本(有)国務大臣 私ども、ありていに言えば、なれ合い的調べにならないように工夫いただいている山本幸三国家公務員制度担当大臣のもとでの調査、それに私ども委ねたというところでございまして、それは農林水産省全体がその認識でございますので、それを待ちたいというように思っております。

岡本(充)委員 いや、大臣、極めて消極的ですね。これだけ問題があるということを私が指摘して、こうした団体が外にあって、NPO法人をつくって、そこである意味OBを登録させて、その登録している五百人近いOBが、しかもこれは技術職の人ばかりが登録されているこういうグループがあって、これはどう見ても私は問題があるんじゃないかと思うんですよ。

 この蓋然性を考えてみても、これだけ聞けばいいじゃないですか。職員の、その人事担当の者に、美しい田園21と退職者情報についてやりとりをしたことがあるかないか、この一点だけでもいい、それだけでも聞いてもらえませんか。

山本(有)国務大臣 各種法令に基づいて適宜適切に対処をしていくという方針に変わりはありません。

岡本(充)委員 もしやりとりしていたら、これは国家公務員法の先ほどの退職の倫理規定違反ですから、調べていただける、こういうことですね。わかりました、うなずいていただきましたので。

 私は、もう残りの時間が少ないから、ほかにもいろいろ聞きたかったんですけれども、これは本当に根深い問題だと思うのは、農林水産省はたくさん職員がいらっしゃる、その中でも技術系の人たちがたくさんいる、冒頭もお話をしましたけれども。この人たち、この方々が、それぞれ大変優秀な方がいるにもかかわらず、省内でのポジションのあり方がやはり問題じゃないですかね、大臣。いや、私は彼らの応援をするつもりでこれをやっているんですよ、本当に。彼らを何も責めているわけじゃなくて、本当に、こういうやり方に逃げざるを得なかったんじゃないかという思いがしてならないんです。

 大臣、今の人事のあり方を見て、どうですか。技官の人で指定職、部長とかはいますけれども、局長級そして次官、誰でしたっけ。

山本(有)国務大臣 技術系、事務系の職員の採用システムというようなもので官僚としての人生が全て決まるようなそのシステムについては、私も疑問を持っております。特に、文科省におきましても、国交省におきましても、農水省におきましても、経済産業省におきましても、そういう事実を見るにつけ、どうしたらいいのかなというように悩んでいるところでございまして、農林水産省においてもそういう問題はあるわけでございます。今後、鋭意検討をさせていただきたいというように思っております。

岡本(充)委員 これも通告しているから、ではちょっと聞いておきますけれども、きょうお配りしたこの美しい田園21のホームページ、二ページ目、局長で結構ですよ、ここにバナー広告を載せているいろいろな企業があるじゃないですか。この企業、農林水産省のOBが再就職していたり、もしくは農林水産省のさまざまな事業を落札したり、金銭的やりとりがある企業、どれですか。

佐藤(速)政府参考人 このNPO法人のホームページには、九社、一協会の広告バナーがあることは承知しております。

 ここに対する再就職の状況でございますが、届け出がなされている二十年十二月から二十八年十二月までの間に、土木系の元職員のうち、これらの企業への再就職者は六社で計十名というふうになっております。

岡本(充)委員 契約している金額は幾らですか。

佐藤(速)政府参考人 これは民間団体と民間企業の間の契約関係でございますので……(岡本(充)委員「いや、農林水産省が契約している」と呼ぶ)農林水産省とこの企業との契約でございますか。済みません、それは直ちに、手元にデータがございませんので、お調べしたいと思います。

岡本(充)委員 これも通告していますよ。

 それで、とにかく今の話で、ここのホームページを見て、広告を出している会社も、農林水産省のOBが天下っている会社ばかりがこうやって広告を出して、そこには恐らく多くの事業が発注がなされているんだと思います。こういう構図、技術系の皆さん方はこの枠の中でやっていかなければならないというこの状況が、私は今のこの状況を生んでいると思います。

 厚生労働省は今度、医務技監というのをつくるという法律を出しまして、医務技監をつくりました。次官級ですよ。農林水産省だって、これだけたくさんの技術系の人がいるんだから、局長級、次官級、いないわけでしょう、新しくそういうポストをつくっていく、そのポストの再編をするぐらいの意欲的な取り組みをされたらどうですか、大臣。これは指導力を発揮するいいチャンスですよ。そして、もっと言えば、技術系の職員の皆さん方が省内で頑張っていく目標ができますよ。

 私は、そういう意味で、厚生労働省のこの医務技監は大賛成だったし、今回できたことは大変、参議院の審議は残っていますけれども、衆議院は通過しました。大臣、どうですか、同じように農林水産省でも考えてみたらどうですか。

山本(有)国務大臣 検討に値すると思いますので、しっかり検討させていただきます。

岡本(充)委員 幾つかの資料について引き続きの話が残りましたので、当委員会でまた質疑をさせていただきたいと思います。

 きょうは、時間になりましたのでこれで終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 きょうは、先ほどから質問があるように、東日本大震災で被災した農地復旧事業にかかわる工事で公正取引委員会が立入検査を進めた件について、私からも、農水省の自浄能力という角度から質問したいというふうに思います。

 この対象とされている復旧事業は、仙台東土地改良事業所が発注した震災復興工事で、入札談合の疑いがかけられているものであります。立ち入りを受けたゼネコンは十八社とも二十七社とも報じられています。その総額も、報道によれば約五百億円という巨額の工事となりました。

 そこで、まず確認しておきたいんですが、復旧工事でありますから、今なお国民には復興特別税が課されていて、これが原資となってこの事業は進められているわけです。談合によって受注調整がされて、工事金額の高どまり、また公正な取引がされていないとなれば、復興事業に対する信頼や特別税の徴収の意義にもかかわる問題だと思います。

 そこで、きょうは財務省からも来てもらっていますが、まず事実を確認します。

 このいわゆる復興特別税は、これまで幾ら税収として組み込まれてきて、改めての確認ですが、それは何年まで続くことになるか、答弁してください。

矢野政府参考人 お答えいたします。

 復興特別所得税と復興特別法人税の税収でございますが、平成二十四年度から二十九年度までの合計で申し上げますと、復興特別所得税が一・九兆円、復興特別法人税が二・三兆円、合計四・一兆円という数字を見込んでございます。

 それから、いつまでかという御下問ですけれども、平成二十五年から平成四十九年までの二十五年間が復興特別所得税の継続期間でございます。

畠山委員 法人税の方は先に終了しましたけれども、これまでで四・一兆円。ですから、相当な税収であります。しかも、復興特別所得税の方は、先ほど、平成でいえば四十九年、二〇三七年まで続くわけですから、その信頼性というものは当然確保されなければいけないと思います。

 いろいろな税金がもちろんありますけれども、この復興特別税については、しっかり復旧に使うんだったらやむを得ないと考える国民も少なくないと思います。ですが、先ほど述べているように、談合や不当な取引制限によって税金が食い物にされたということであれば、何のための増税かとなるのではないのでしょうか。

 そこで、山本大臣に、これは一般論で構いませんが、まず認識を伺います。

 なぜ談合がいけないのか。とりわけ今回は復興復旧事業ですから、そこで談合や受注調整など当然容認できないと思いますが、一般論で構わないので、まず基本認識を答弁してください。

山本(有)国務大臣 私が、談合について、いけないということに対して、非常にいい言い方、文章だなと思っているものがあります。

 そこで申し上げますが、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律の解説書を大鹿さんという方が書かれておられまして、その一文に、入札談合は、公正な競争をし、それによる経済的な調達を行うという入札の根本原則を否定するものであり、かつ、予算の効率的な執行を妨げ、国、地方公共団体等の調達が国民の貴重な財源をもとに行われることに鑑みれば、結果として国民の利益を損ねる行為である。これが私は最も適切な表現だろうというように思っております。

畠山委員 大臣の談合についての認識として、重要な認識を今伺いました。

 そこで、今回の件ですが、その受注調整に農水省のOBが関与していた疑惑があることも極めて重大であるのは先ほどから指摘されているとおりです。その舞台となったと報じられているのが、OB親睦団体北杜会です。農水省の提出資料によれば、この会は、会員相互の親睦等を図るために、総会、懇談会、研修会、囲碁、ゴルフ、マージャン、釣り等の部会活動を行っているものとされています。

 この北杜会なるものは、いつ発足されたかということは把握しているでしょうか、していないのでしょうか。その事実だけを確認します。

佐藤(速)政府参考人 北杜会でございますけれども、東北農政局に設置されております公正入札等調査委員会が、調査対象である入札参加企業への事情聴取を行う中で当該企業に在籍しているOBの情報を得まして、当該OB数名に連絡をして、ヒアリングを行って、組織の概要を確認したところでございます。

 その中で、お尋ねの北杜会がいつ発足したかということにつきましては、このヒアリングにおいて尋ねはいたしましたが、確認はできなかったというところでございます。

畠山委員 ということは、ヒアリングをして、答える方もわからないほど前からあったというようなことでよろしいんでしょうか。

 つまり、何を言いたいかというと、最近、直近にできた組織ではないということは明らかだと思うんですね。入居している東北土地改良建設協会で場所を借りて、そこで賃料を払うみたいな形で契約があるわけですから、その入居契約を調べれば、少なくともその時期から活動していたということはわかると思います。きょうはこれ以上この点について聞きませんが、いずれにしても、発足から一定の年数がたっていることは想像がつくわけです。

 そこで、今回の件については、公取委が調べているさなかなので、それに委ねるというのが農水省の基本的な態度であります。しかし、それ以外の件なら省として調査することに支障はないはずであります。今述べたように、一定の期間、昔からあったであろう北杜会ということが想像される中で、仮に、再就職、天下りOBが北杜会の設立当初から長く談合にかかわっていることがあるならば根が深い問題です。OBで民間人だから調査できないと言いますが、できる調査をきちんとして、そうでないことがわかれば、それはそれで農水省の信頼となる問題だと思います。

 大臣に、このようにお聞きしたい。

 今、公取委が調べている件以外に、仙台東土地改良事業所、あるいは、さらに広げて東北農政局などの発注事業について調査する必要性はないのでしょうか。

山本(有)国務大臣 東北談合事件につきましては、公正取引委員会の調査案件でございますし、また、東北農政局において設置されております公正入札等調査委員会において調査をしております。

 そうした調査の中で、さらに他の地域でもし入札談合等があるという情報があるならば、あるいはそこ等で知り得た事情で疑うに足る事情があるならば、私はぜひ調査を広げたいというようには思いますが、一般的に、通常行われている業務に対して談合があるかないかの調査につきましては、極めて、私ども、そうした権限もなければ必要もないというように考えるところでございます。

 あくまで、今後、再発防止のために、各入札にかかわる職員に対しては断固として公正公平な入札をするように指令をしていきたいというように思っております。

畠山委員 だから、ここから先が自浄能力の話になっていくわけです。

 農水省は、過去にも談合や天下りの問題が発覚をしてきました。

 我が党が国会で質問しただけでも、二〇〇二年一月二十五日、衆議院予算委員会で、総事業費二千四百九十億円の諫早湾干拓事業を受注したゼネコン三十九社に判明分だけで三十三人が天下りした件がありました。

 二〇〇二年三月十二日、参議院予算委員会で、BSE対策として全頭検査前の国産牛肉を国が買い取る事業で、ずさんなチェックで牛肉偽装を許すこととなった事業団や業界への天下りも発覚しました。このときに、武部勤当時農水大臣は、農水省所管の法人等について総ざらいをしなければならないと答弁を残しています。

 二〇〇七年は、依然として記憶も鮮明ですが、緑資源機構発注の官製談合事件で、林野庁が発注した林道整備事業の四四%を受注していた六つの公益法人に二百十七人が天下り、役員総数の四二%にも上ることも判明しました。これは二〇〇七年五月九日に参議院の決算委員会で我が党が質問したものに対する答弁です。

 それ以外にも、各党各議員が質問などをされておりました。

 これらは今の再就職の届け出の以前のものでありますから、その当時の数字だということはもちろんですけれども、まだまだありますが、こういうことが起きるたびに、歴代の大臣が天下りや談合は許されないという答弁をしてきたわけです。

 そこで、山本大臣に伺います。

 改めてこのような経過を見れば、先ほどから、省全体のキャリアをどうするかというのもありますが、やはり体質の根深さを痛感せざるを得ないと思います。だから先ほど、さらなる調査の必要性について質問をしたわけです。問われているのは、公取は公取でそれはやるんだけれども、農水省としての自浄能力をどう発揮するかということだと思います。この持たれている疑惑に対して大臣はどうしようとしているか、改めて答弁を求めます。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、過去、忌まわしい入札等による事件がございました。この種の事案については、独禁法による課徴金の納付命令や刑法による競売入札妨害や談合罪、あるいは不正の温床となる贈収賄、それから政から官への口きき、あるいは天下り等に関連するわけでございまして、決してこの公正や公平がゆがめられてはなりません。

 したがって、この入札契約において、従来より増して、一般競争入札の拡大あるいは発注者綱紀の保持等によりまして、透明性、公平性、公正性、これを確保していきたいと思っておりますし、また、この東北談合事件の全ての事実が明らかになった後で正確に分析を加えまして、そうした再発防止の措置がどういうようにとられるかということを検討してまいりたいというように思っております。

畠山委員 ちょっとこの後、諫早問題もやりたいので、きょうはここにとどめておくんですが、今回の件は、ちょっと個人的なことで申しわけないですけれども、私にとっても本当に残念で、あってはならないことだと思っています。

 それは、私自身も、今村前復興大臣の言葉によれば、あっちの方と言われた東北、宮城県石巻市の生まれ育ちの出身です。三月十一日に石巻市へ行きました。ちょっと農地の問題とは別になりますが。石巻市といっても広く、鮎川という地域の方に行きました。金華山まで出る船があるんですけれども、そこで仮設商店街の方にも立ち寄らせていただき、お昼にラーメンもいただきました。その店主さんが、鮎川の町、そうなんですけれども、早く工事しないとどんどん人がいなくなるよと。与党も野党も関係なく、私も怒られました。工事関係者がフル回転されていることももちろん承知はしています。ただ、まだまだ切実な実態が続いている。

 安倍首相は、全ての大臣が復興大臣ということをよく口にされます。震災からの復興は、被災地のみならず、国民的願いであることは間違いありません。その中であのような発言が出たことは本当に許されませんが、復興事業が食い物にされていることも、論外どころか、私は到底容認できません。農水省としての自浄能力を発揮されるように、改めて大臣にこれは強く求めておきたいと思います。

 それで、ちょっと後半、残っている時間で、わずかですが、諫早干拓問題にかかわっても質問しておきます。

 先月二十五日、山本農水大臣の談話として、長崎地裁が四月十七日に出した判決に対して控訴しない旨が発表されました。

 この判決には漁業者などから怒りの声が出されております。幾つか報道コピーも持ってきたんですが、紹介だけしておきたい。

 佐賀新聞、四月二十六日付で、佐賀県有明海漁協の専務さんの言葉です。国の控訴見送りに、「「内心「やっぱりか」という気持ちはあるけれど、残念な思いが強い」と悔しさをにじませた。農相が開門しない方針を明確にし、基金による和解を目指す意向を示したことには「自分たちが望んでいた方向と全く違う」」と述べたと報じられています。

 大臣が控訴見送りの会見をする前日に大臣に面会した漁業者の発言も載っておりました。「あの場は要望を聞く大臣のパフォーマンスにすぎなかったのか」、「農水省は「和解が一番いい」と言っていたのに、結局は口先だけ」かと憤りの発言も報道で紹介されています。

 首長のコメントも一つ紹介しておきます。鹿島市の樋口市長さん。「非常に残念。(門を)壊せと言っているわけではない。原因を知るために開門調査を求めているだけ」、「それもしないということは将来に禍根を残す」などなどであります。

 もちろん、大臣も報道でこれらのコメントは承知のことと思います。

 二十五日に参議院農水委員会で我が党の紙智子議員の質問に大臣は、和解協議について、「ぎりぎりのところまで歩み寄った」、「何とかその間を埋められないかというように今でも思っている」と答弁をしています。しかし、大臣の言うこの間というものが、埋まるどころか、今回の控訴見送りで広がってしまったのではないのでしょうか。

 これら報道なども含めた今の大臣の認識を改めて伺いたい。

山本(有)国務大臣 漁業者の皆さんなどの中で、今回の判断につきまして、納得できないという気持ちを持っていらっしゃる方々がおられること、これは承知をしております。

 他方、私の立場、国としましては、平成二十二年の開門を命ずる福岡高裁判決の確定後、開門義務の履行に向けまして、国も努力をさせていただきました。地元関係者の理解、協力を得るために努力を重ねたわけでございますが、事前対策事業、開門するに当たりまして被害を防止する事業でございますが、この事業の着手すら行えなかったという事実は委員も御承知のとおりでございます。また、同判決が確定した後、開門しない方向での司法判断が重ねられてきたことも御存じのとおりでございます。

 今回の長崎地裁の判決前に行われました和解協議におきまして、地裁から訴訟指揮において、開門によらない基金について漁業関係者との間で議論を重ねなさいということに対して私ども努力をしました。また、漁業関係者の皆さんが本当にありがたい形でこの会議、相談あるいは議論のテーブルに着いていただいたということに、心から感謝を申し上げるところでございます。

 そうした経緯をたどって、開門しないという方針で、開門によらない基金という、また基金の額まで訴訟指揮をいただいて、そして和解を目指したわけでございますが、これが合意に至らなかったということは大変残念でございます。

 長崎地裁における和解協議というのは開門によらない基金による和解でありまして、開門を求める方々と、何とかその間を埋められないかということは今でも考えておりますが、あくまで開門によらない基金案であるという訴訟の内容でございました。

 国として、今般お示しした考え方について、関係者の御理解と御協力を得られるように、今度は福岡高裁の和解の協議の場がございます、そうした場で、さまざまな機会を捉えて、さらに誠実かつ真摯に努力をして和解に至りたいというように願っている次第でございます。

畠山委員 いろいろ役人の方にも来ていただいて、誠実かつ真摯な対応という言葉はもちろん聞くんです。ただ、和解が成り立ちませんでした。

 和解のために努力してきたことは、今大臣が答弁されたように、繰り返し国の立場を言うんだけれども、では、何でこんなふうに和解が壊れたのか。国としての責任ということは具体的な話で聞かないし、そういうことがなければ先へ進めないという気持ちが出るのも私は当然だと思うんですよ。

 和解協議が壊れたことへの国の責任として、具体的に考えを、ちょっとこの点も答弁していただきたいと思っています。

山本(有)国務大臣 長崎地裁におきます立場は、あくまで開門によらない基金という和解の方針でございました。そこで、原告の皆さんとも協議をさせていただきまして、皆さんが、あくまで開門をしなければ和解のテーブルにはお着きにならないという立場でございました。その意味において、まずは長崎の地裁の和解に終止符を打つことしかないのかな、こう思っております。

 福岡高裁におけます和解は、開門によらないとか開門によるとかいうことのこだわりはございません。したがいまして、請求異議訴訟におきます森羅万象、ありとあらゆる法的な議論を尽くした後、さらに和解協議に進むという方向づけで、私は原告の皆さんと考えを一にするところでございます。

 したがいまして、こうした意味において、福岡高裁の和解協議に対して期待をかけているところでございます。

畠山委員 和解協議へ進むために障害は取り除かれなければいけないと思いますが、今大臣は触れませんでしたが、何回か前の委員会で私は想定問答集のことについて質問をいたしました。この問題は避けて通れないのではないかと思います。

 大臣は、先ほど私が引用した先日二十五日の参議院紙智子議員への答弁で、次のようにも述べています。「この全ての訴訟をひっくるめて和解での解決以外に根本的な解決はないというように考えております。」そうであるならば、そのための障害は取り除いていかなければいけないと思いますが、そこで、その一つとなっているのはこの想定問答ではないのですか。

 本当に和解に進みたいのであるならば、この問題、どうするつもりなのか。避けて通れないと思いますよ。大臣、いかがですか。

山本(有)国務大臣 諫早湾の干拓の開門問題につきましては、複数の訴訟が提起をされており、争訟中であることでございます。

 このため、交渉または争訟に係る事務に関しまして、国の当事者としての地位を不当に害するおそれがあること、そうした文書が存在しているか否かも含めてお答えすることが今はできない状況にあることに変わりはございません。

 国として、これまでも、漁業者等の関係者の御意見や御提案等に耳を傾けながら真摯に協議を重ねてきたところでございますし、引き続き、問題の解決に向けて誠意を持って最善の努力を図ってまいりたいと思っております。

 こういう立場に立ちますと、訴訟関係者、当事者に御迷惑がかかってはならないということをぜひ御理解いただきたいというように思います。

畠山委員 御迷惑をかけてはならないというふうに言うし、これまでも、相反する判決に国が挟まれてきて大変だみたいなことはいろいろ何回も聞いてきたんですが、私もかつて現地へ伺ったこともあります。苦しんでいるのは農水省ではなく現場の漁業者の皆さんですよ。

 農業、漁業、防災が両立するような提案もあったはずです。最後、佐賀新聞の論説がこのように出ていたことだけ述べておきます。「国は農業と漁業を両立させるための努力をしてきたとは言いがたい。開門しないことを前提にした案にこだわる以上、道は開けない。開門しても塩害を抑えて営農への影響を最小限にする方法があるはず」との論説です。

 農業、漁業、防災の共存へ、真に国として責任を果たすことを改めて強く求めて、質問を終わります。

北村委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会の吉田です。

 きょうもよろしくお願いいたします。

 きょうは最初に、天下り、談合のところをお聞きしたいと思います。

 常々、日本語は難しいなと私は思っておるんですけれども、天下りというのは、本当に外国語には訳しようがないだろうなと思いますし、また、天下りという言葉のつくりを見ても、天から下ってくる、こう書くわけですね。天とは何か、そしてどこから下ってくるのか、こういうのを考えるとなかなか本当に難しいなと思いますし、私、この委員会でここのところ漁業関係をやっておりますので、魚は海から川に上っていってそして下っていくという、これだけの簡単なことですし、ウナギもウナギ登り、それから、コイなんかも、コイは泳ぐけれどもこいのぼり、こういうふうにして、簡単に上っていく。人間も、立身出世を考えると、やはりそれは上に上に上っていくものだろう、こう思うわけです。

 それが、私たちのこの世界では、最終的に天下りというものがあるというのは、どこに下るのかなということも私はわからないなと思います。

 きょうのこの委員会でもこの問題が取り上げられておるわけですけれども、農水省OBによるこの談合疑い、そして天下り関連のこと、これについて、改めて、どのように全体像として認識なさっているか、副大臣にお聞きしたいと思います。

齋藤副大臣 今回の東北農政局の談合事案につきまして、累次御答弁させていただいておりますが、整理してお答え申し上げますと、現在調査中の案件ですので、予断を与えるような発言、これは控えたいと思っていますが、土地改良事業等の公共工事は、国民生活の基盤となる社会資本の整備を行う、特に今回の場合は復興事業でございます、そういう整備事業におきまして、国民の信頼を揺るがす談合はあってはならないということで、厳しく考えております。

 今回、東日本大震災の復旧事業に関連して談合情報があったことから、農林水産省としては、累次御答弁申し上げていますように、公正取引委員会の調査に積極的に協力するなど、適切に対応をしていくということと同時に、入札談合情報に的確に対応するための入札等談合情報等マニュアル等に従い、東北農政局に設置されている公正入札等調査委員会において、OBの関与も含めて必要な調査を行っているところでございます。また、手続の各段階において逐次かつ速やかに公正取引委員会及び警察庁へ通報し、協力を密にしているところでございます。

吉田(豊)委員 そして、農水省関係で国家公務員法について違反する事例が新たにあるのかどうなのかということについて確認をさせていただきたいと思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省の事案の発生後、大臣の御指示によりまして、該当する人事担当者に対しまして確認を行いましたところ、国家公務員法に抵触するような情報提供を行ったことはないことを確認しております。

 また、談合に関する朝日新聞の報道後にも、同様に大臣の指示を受け、該当する人事担当者に対して確認を行いましたが、この場合も、国家公務員法に抵触するような情報提供を行ったことはない、これを確認しております。

吉田(豊)委員 ここのところ、この農水省のOBのことだけじゃなくて、いろいろな何か問題じゃないかなという話があったときに、一般の方がお聞きしていて、事件と事案というふうに言葉遣いがあるんですけれども、今ほど事案とおっしゃったのは、それはどういうふうにして使い分けなさっているかを確認させてもらってよろしいですか。

山口政府参考人 今、文部科学省の事案というふうな申し方、御答弁をさせていただきましたのは、文部科学省が、現役職員に対するいろいろな疑念、疑惑というのが、内閣府の再就職等監視委員会からの調査の結果としてそういう報告が出たということがございまして、そういった事案について同様に農林省の方でも調査をしたということで事案という言葉を使わせていただいております。

吉田(豊)委員 事案というのと事件というのは、これを一般の人が聞いたときには、事件と言うと、これは悪いな、でも、事案と言うと、何かよくわからないな、こういうようなところを感じるのも私は現実だろうと思うわけですね。

 何でこういうことにこだわっているかといいますと、きょうお聞きしていましても、結局、この天下りという問題がもし起こるとすれば、それはやはり仕組み全体の中から生まれてくるものだろうと思うわけです。それで、仕組みというのは、何かを動かしていくときにはルールをつくってそれに基づいてやっていくわけですけれども、それプラス、人間というのは必ず欲もあるし、さっき私は立身出世という言葉で言いましたけれども、そういうさまざまな思いというのはやはりあるわけですね、こういうものをどう仕組みの中でコントロールしていくかということの難しさだろう、私はこう思います。

 けれども、今、ここのところずっと発生している天下りあるいは談合の問題、さまざまいろいろな問題がありますけれども、全体としての仕組みについては、より厳しく縛っていくことができるものとできない部分というのがあって、縛り過ぎると今度はそういう意欲というものがそがれていくという可能性も当然あるわけです。だから、こういう中にあって、私は、一つ一つのことが起こったときにどう対応するかという、その姿勢こそが本当は一番大事なことじゃないかな、こう思うわけです。

 一方で、お聞きしていましても、農水省のみならず、さまざまな役所での経験、ノウハウ、そういうものが民間のところあるいは今後の将来のために生かされていくという視点というのは当然必要なものだと私は思うわけですけれども、どうその経験を生かしていくかということ、そして、そのことと、一方で、そのやり方を間違うと天下りという悪いことに行ってしまうという、ここのところをどのように農水省として考えていらっしゃるか、これを確認させていただきたいと思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 今の御指摘につきましては、国会の場でも御議論いただいているところでございまして、一般論として申し上げれば、国家公務員OBの再就職について、法令に違反することなく再就職して、公務部門で培ってきた能力や経験を活用して社会に貢献することには意味がある、こういった見解が示されていると承知しております。

 農林水産分野におきましても、OBが、長年、農林水産行政で培ってきた能力や経験を活用して社会に貢献することには意味があるものと考えております。

吉田(豊)委員 意味があるというのは間違いないですし、そしてその力を活用したいと思っている人たちもたくさんいるのも間違いないというところなわけです。

 では、これをどのようにコントロールしていくかという話になると思いますが、私は今システムという言葉を申し上げましたけれども、仕組みとして、全体のあり方自身が今がらっと変わるという可能性というのは、農水省一つとっても巨大な会社であり、それから政府というものはもっと大きな会社なわけですね、仕組みとすれば。だから、そういうシステムの中で、では、そこをどうやって今の問題について手を入れていくかということを考えるのは短期間では非常に難しいし、そしてそれをどう変えなくちゃいけないということは大きな影響もあるということも間違いないと思うわけです。

 私は、簡単にこれは、もう今のやり方でやっている以上、その都度その都度、本当の問題が出てきたら、それを目いっぱいたたく、そこにスピードのこと、クオリティー、それからやり方、全て一緒なんですけれども、問題が発生したときにはそれをきちっと潰す、そして、そのときにどう自浄努力を発揮するか、ここをやはり迅速にやるということの重要性を改めて感じているわけです。

 この天下りの問題のみならず、さまざまな仕組みの中で何か問題が発生するというのは、別にその人たちだけが悪いということでもなくて、そういうやり方でやっている以上、そういうことが起こるというのは、ある意味、運、あるいはタイミング、そういうことに左右されることも事実なわけです。だから、この天下りの問題一つとっても、これを今のタイミングでたたけといってたたくと、具体的にそれによって影響をこうむる人が目の前に現実におるわけですわ。でも、そのことは私はしようがないことだろうなと思います。

 政治をやっていたって、それは選挙区一つとったって、ではそれが自分にかかわることか、かかわらないことか、そんなことは自分で決められる話ではなくて、いろいろなことというのがやはりそのときそのときに、自分たちの力ではどうもならないけれども起こるということ、それを覚悟しながらやっていく。僕は、天下り一つとっても、自覚とリスクということも考えなくちゃいけないんじゃないかな、こう思っているわけです。

 そういう意味で、都度たたくという、だから、きょう、調査するんですか、調査するんですかと何度も聞かれている委員の方もいらっしゃいました。私は当たり前だと思うんですね。きちっと調査しなくちゃいけないし、言われなくてもいろいろな角度から調査すればいいし、そしてそのときそのときにきちっとはっきりしたことを出していって、そしてそこからまた新たに進んでいく、こういう作業をきちっとやることの重要性を私はお伝えしたいと思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

山本(有)国務大臣 いずれにしましても、入札契約において、やはり進化していく、改善していくということが大事だろうというように思います。

 会計法には入札において価格で決めるという方針がきちっとあるわけですが、私も入札についてかじったこともあります。予定価格を公表してみたり、あるいは事前に工期の工夫や、工法や人事管理についてのコンペをしてみたり、あるいは特殊工法においての随意契約に移してみたり、いろいろな方法があると思います。

 そんな新しい知恵も出しながら、入札談合がないように、そして、基本的には発注者の綱紀の保持とか、あるいは透明性、公正性や、誰に発注されてもそれが公正な発注であるというように国民が思えるような、そんな方法をとるようなことを考えていきたいというように思っております。

吉田(豊)委員 今ほど大臣からお話しいただいたのは、やはり仕組み自身の中で改善をしていくことの重要性をお訴えになった、お考えをお示しになったと思うんですね。それはもちろんそうやっていただきたい。でも、それというのはやはり時間がかかることだし、それから、一つの問題、目の前にある問題にきちっと対応する、その先のことだろうと思うわけです。

 ですから、私は、まず目の前の問題にきちっとどう対応するのか。それが、特に東北の大震災にかかわる、日本国民からすると全員が、これは余りにもひどい、こう思っておるわけですわ。だから、そのことについてどのように対応するかということをもう一度確認させていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 これは、公正取引委員会及び捜査機関等に対して精いっぱい調査に協力するということがまず第一点でございます。

 そして、東北農政局におきまして調査のシステムをつくっておりますので、その意味において、私ども、調査をすると同時に、我々が反省すべき点は反省しつつ、そして、公正取引委員会の調査結果を待ってさらに分析し、そして改善していこうというように思っております。

吉田(豊)委員 調査に入るという言葉が私は今すごく不安と言えばいいか、こだわりたいなと思うのは、もう一つ、私自身は安全保障委員会の方に今おります。安全保障委員会の方では、日報問題が出てきて、そして防衛の特別監察にもう入っているんですね。そうすると、とにかく全てはもうそこに預けたから、自分たちとすれば何もすることがないんですと。

 それは実際そうなんだろうと思うけれども、でも、そう言ってしまうと、今度は、ではそこに何かちょっとでもできることがないのか。あるいは、防衛監察一つをとっても、結果を少しでも早く出すということの重要性というのは、これは間違いないわけです、外的要因が今変わっていますから。これは、私は農水省の天下りの問題一つをとっても、公取がそうやっているからということの事実はわかりますよ。でも、そうだからといって、ではそこにお預けしますから、あとはできることが本当にあるのかないのかということについて、それこそ自分たちで何かできることはないかということを検討する、そういう場を設けていただくですとか、あるいは具体的なやり方はないのかということを改めて考えるということも私は重要だと思うんですけれども、それはいかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 入札行為において、民間企業の方々、また役所の方々、そして役所のOBの方々の存在の中で公共事業というのは入札されるわけでございます。そして、こうした談合事件、入札不正事件というものが発生しましたときには、それぞれの皆さんのそれぞれの思いというものがございます。私どもも、そうした点を踏まえて、こうしなければよかったというところが必ずあるわけでございますので、そのことにおいてしっかりと、今後まさに調査をしつつ、その点を、特に現役の皆さんが、公正公平という観点から、綱紀を守りつつ発注事務に携わるということにおいて、もし現役諸君に何らとががないとするならば、私はそれはいい役所の発注だというように評価をしたいと思います。

 その意味で、逆に言えば、何らか現役の諸君にとががあれば、私ども、しっかり反省しながら、また再発防止についての研究をこの委員会の皆さんと一緒に考えられるようにしていきたいというように思っております。

吉田(豊)委員 大臣がおっしゃるとおりだと思います。そして、政務三役、きょうお越しなわけですね。それから、政府参考人の皆様にもお越しいただいているという中で、この政務三役の思いをこうしておっしゃっている。私たちの責任という言葉も出ますけれども、それは責任ということの大きさ、あるいは現場の力ということからすれば、それは明らかに政府参考人の皆様の側の方でやらなくちゃいけないことというのは多いと思うんです。今ほどのやりとりをお聞きなさっていて、どのようにお感じかということをお聞きしてもよろしいですか。

山口政府参考人 ただいまの大臣からの御答弁を伺いまして、私ども、公務の執行においては厳正中立に行ってまいりたいというふうに思っている次第でございます。

吉田(豊)委員 そして、執行はもちろんなんですけれども、やはり、問題がどこにあるのかということ、そして自分たちの中でできることが少しでもないのかというところを、もう一度自分たちの方に省みるというところにお力を出していただいて、そして、信頼を回復、あるいはより信頼されるところに進んでいただきたいな、このように思うところでございます。

 終わります。

     ――――◇―――――

北村委員長 次に、内閣提出、農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣山本有二君。

    ―――――――――――――

 農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本(有)国務大臣 農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 農村地域工業等導入促進法は、昭和四十六年に制定され、工業及びその関連業種の農村地域への導入を促進し、これまで六十万人以上の新たな雇用を創出してまいりました。

 しかしながら、今日、産業構造が変化する中で、全就業者数に占める工業等の就業者数のウエートが低下する一方、農村地域に就業の場を確保するためには、地域に賦存する資源を活用した産業など、工業等以外の産業を導入することが必要となっております。

 こうした状況を踏まえ、平成二十八年十一月に改定されました農林水産業・地域の活力創造プランに基づき、農村地域工業等導入促進法について、優良農地を確保し、農地の集団化その他農業構造の改善を促進しつつ、導入促進の対象となる業種を拡大することによって、農村地域において就業の場を確保するため、この法律案を提出した次第でございます。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、農村地域への導入促進の対象となる業種の拡大についてでございます。

 現行では、本法による導入促進の対象となる産業の業種は工業等に限定されておりますが、農村地域における新たな就業の場の一層の確保に資するため、この限定を廃止し、対象となる産業の業種を拡大することとしております。具体的な業種につきましては、都道府県が策定する基本計画に即して、市町村が実施計画に定めることになります。

 第二に、都道府県が策定する実施計画の廃止についてでございます。

 現行では、工業等の導入に関する実施計画は、市町村のほか、大規模なものに限って都道府県も策定できることとされておりますが、近年の策定実績が乏しいこと等から、都道府県が策定する実施計画につきましては、廃止するものとしております。

 以上が、これらの法律案の提案の理由及び主要な内容でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。

北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明十一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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