衆議院

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第11号 平成29年5月11日(木曜日)

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平成二十九年五月十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北村 茂男君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君

   理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 稲津  久君

      赤枝 恒雄君    伊東 良孝君

      伊藤信太郎君    池田 道孝君

      小里 泰弘君    岡下 昌平君

      加藤 寛治君    神谷  昇君

      笹川 博義君    瀬戸 隆一君

      武部  新君    津島  淳君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      西川 公也君    古川  康君

      古田 圭一君    細田 健一君

      前川  恵君    宮路 拓馬君

      森山  裕君    八木 哲也君

      簗  和生君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    岡本 充功君

      金子 恵美君    佐々木隆博君

      重徳 和彦君    篠原  孝君

      宮崎 岳志君    村岡 敏英君

      中川 康洋君    真山 祐一君

      斉藤 和子君    畠山 和也君

      吉田 豊史君    仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       山本 有二君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   内閣府大臣政務官     武村 展英君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   経済産業大臣政務官    井原  巧君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         境   勉君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            佐藤 速水君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           西郷 正道君

   政府参考人

   (林野庁長官)      今井  敏君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 一雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    森岡 泰裕君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     津島  淳君

  勝沼 栄明君     中谷 真一君

  笹川 博義君     八木 哲也君

  宮路 拓馬君     古田 圭一君

  岡本 充功君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     池田 道孝君

  中谷 真一君     岡下 昌平君

  古田 圭一君     宮路 拓馬君

  八木 哲也君     笹川 博義君

  篠原  孝君     岡本 充功君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     赤枝 恒雄君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     神谷  昇君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     勝沼 栄明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官水田正和君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長佐藤速水君、政策統括官柄澤彰君、農林水産技術会議事務局長西郷正道君、林野庁長官今井敏君、水産庁長官佐藤一雄君、内閣府地方分権改革推進室次長境勉君、内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君、厚生労働省大臣官房審議官土屋喜久君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、国土交通省水管理・国土保全局下水道部長森岡泰裕君、環境省大臣官房審議官早水輝好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川康君。

古川(康)委員 自民党の古川康でございます。

 今回の改正案、農村地域の発展と日本経済の好循環を生み出すことにつながる大変意義深いものであると評価をするものでございます。

 また、今回の法改正に至るまで、政府を挙げてさまざまな努力と工夫をしていただいたことにも心から感謝を申し上げる次第でございます。

 この農工法の問題については、私は知事時代から幾つかの提案をしてまいりました。これまでの経緯の確認、残された課題、そして今回の改正の目指すところのものについて、地方自治体での経験を踏まえて御質問をさせていただきます。

 まずは、農工法の対象地域についてであります。

 農工法というのは、非常に力強い法律であります。一体に、地域振興立法と呼ばれるものは、往々にして古い時代につくられたものが大変力があります。例えば新産業都市、過疎法といったものもそうでありましょうし、新しい財政支援制度などがそのころ次々と出されました。昭和四十六年につくられたこの農工法も、今見れば非常に力強いものだと改めて感じます。

 自治体においては、この農工法というのは大変人気の制度でございました。企業から見れば、力強い税制や金融上の措置がありがたいという声もいただいておりましたし、また、自治体の現場の担当者から見ると、私は、一番の魅力と思われていたのは、農地法の農地転用の特例がきくこと、農振法の農用地区域からの除外ができること、青地で開発ができる、そういったことが人気の秘訣ではなかったのかなと思っているところでございます。

 これだけ他法令にかかわって特例をつくるようなことというのは、今の法律をつくる苦労を思うと、なかなかできることではないと思います。これだけ人気のものでありますから、逆に、野方図な運用をやると、どこもかしこもこの農工法の規定を使って、農工法の適用をして、どんどんどんどん開発を進めていくということになりかねないという課題もあります。

 一方で、この農工法ができた理由というのは、農業関連も含めて農村地域で暮らす方々の所得をふやしていくためには、農業だけでなく、農業以外の他産業への転換を認めていくことも必要だ、そういう考え方に立っていたと思っております。そういう微妙なバランスの中でこの制度は運用されてまいりました。

 でありますので、この制度の適用が受けられるのは一定の自治体に限られているというのが現在の法律の建前です。いわば困っている自治体と言うべきでありましょうか。もちろん、三大都市圏などは外れておりますし、人口が増加している一定規模以上の市や、人口が二十万人以上の市なども外れています。ある程度の規模になれば、この農工法の制度に頼らずとも自立的に発展せよということかと思います。

 しかしながら、人口二十万人以上といっても、もともとから二十万人以上だったところもあれば、最近の市町村合併で二十万人を超えるようになったところもあります。例えば佐賀市です、選挙区ではありませんが。合併前は約十七万人と、二十万人に達していなかったのが、市町村合併で今や約二十四万人になりました。このため、農工法の規定では、二十万人を超えるということで、それまでは農工法の対象にならないということになっていたわけであります。佐賀市と合併した町や村の中には、それまで農工法の適用地域だったにもかかわらず、合併したら人口要件で適用地域から外されてしまった、そういうことが実際に起きています。

 そこで、お尋ねをさせていただきます。

 農工法の適用地域に関し、このような対象外となっている人口二十万人以上の自治体について、旧郡部の地域が市町村合併によって対象から外れてしまったことについては対象とすべきではないかと、平成二十七年三月十八日に私はこの委員会で質問をしました。

 このことは、かつて佐賀県あるいは九州知事会から内閣府に、地方分権に関する提案募集制度の中で提案されたものであると理解をしていますけれども、いかがでありましょうか。

境政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年の地方分権改革に関する提案募集におきまして、佐賀県を含みます九州地方知事会から御指摘の提案がなされております。

古川(康)委員 これに対して、当時、政府としてどのような対応をとることとされたでしょうか。お願いします。

境政府参考人 御指摘の提案につきましては、まず、平成二十七年一月三十日に閣議決定されました平成二十六年の地方からの提案等に関する対応方針におきまして、「農村地域に係る人口要件の緩和を含めて見直しを検討し、平成二十七年中に一定の結論を得る。」とされました。

 さらに、その年の十二月二十二日に閣議決定されました平成二十七年の地方からの提案等に関する対応方針におきまして、「農村地域に係る人口要件については、政令を改正し、平成二十八年度中に緩和する。」とされたところでございます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 ということで、平成二十八年度中に政令を改正するとされたところでありますけれども、その後、そのことが実際にどうなったのか、農水省からお答えを願います。

佐藤(速)政府参考人 市町村合併によりまして人口が二十万人以上となった場合には、委員御指摘のとおり、対象から除外されることとなっておりました。しかしながら、地方の要望を踏まえまして、人口要件の算定を平成十三年一月一日現在の市町村合併の前の旧市町村単位で判断できるように、平成二十八年三月に農工法の施行令の一部を改正いたしまして、翌四月一日から施行したところでございます。

古川(康)委員 地方からの要望をお酌み取りいただき、対応していただいてありがとうございました。

 こうして再び農工法の対象となった地域においては、これを何とか活用したいということで、現在も農業と他産業との調和を目指して調整中であります。

 次に、農水省が行っておりました、自治体への農工法についてのアンケートというものがございます。この中において最も声が多かったと思われる要望についてお尋ねをいたします。対象業種の問題であります。

 もともと、農工法というぐらいでありますから、農工法を適用する業種は工業に限られていたわけでございますが、昭和六十三年に法改正によりまして倉庫業などが追加されました。ただ、産業構造が変化していく中、対象業種をさらに広げてほしいという声が出ておりました。

 そこで、お尋ねをいたします。

 同じく内閣府にお尋ねしますが、先ほどと同じ地方自治体からの提案募集制度において、山梨県から農工法の対象業種の弾力化についての提案がなされていたと思いますけれども、どのような内容でしたでしょうか。

境政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年の地方分権改革に関する提案募集におきまして、山梨県から御指摘の提案がなされております。

 提案の内容でございますが、工業、道路貨物運送業、倉庫業、こん包業及び卸売業の五業種に限定されております農工法の工業等の業種に、企業誘致をより一層進めることができるよう、例えば、植物工場やバイオマス発電施設など雇用が期待できる業種、あるいは団地内へのエネルギーの安定供給に寄与する業種を追加することを求めたものでございます。

古川(康)委員 そのような内容に対して、政府としては、当時、どのように対応することとされたのでしょうか。

境政府参考人 御指摘の提案につきましては、平成二十八年十二月二十日に閣議決定されました平成二十八年の地方からの提案等に関する対応方針におきまして、農工法に定める「工業等の業種については、対象を拡大する方向で検討し、平成二十八年中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる。」とされたところでございます。

古川(康)委員 とされたところでございますが、では、これについて農水省にお尋ねしますが、これに対してどのような措置を講ずることとなったのでありましょうか。

佐藤(速)政府参考人 お尋ねの件につきましては、今般、まさに農工法の対象業種の限定を廃止することを内容とします本法案を提出して、御審議をいただいているところでございます。

古川(康)委員 まさにこれまでの地方自治体からの要望、そうした声に今回応えていただいて、法改正によって実現しようとされているものであるわけであります。しかも、小出しにして少しずつ対象業種をふやしていくというものではなく、抜本的に、根本的に見直した上で、産業全般に広げるというものであります。もちろん、一定のルールや方針のもとでという条件はありますが、自治体の声を聞き、専門家の検討を経た上での今回の大胆な見直しを私は高く評価するものであります。

 さて、次であります。

 先ほど述べました農水省による自治体アンケートにおいて、対象業種の弾力化の次に多かったと思われる項目、それは事務手続の簡素化でありました。

 お尋ねをいたします。

 農工法の運用通知というものがあります。昭和六十三年八月十八日付の農林水産省構造改善局長初め関係省庁局長連名による通達です。農工法の運用全般にわたっての通知でございまして、自治体の担当者が仕事をする際のルールブックの一種になっているものであります。

 この運用通知において、都道府県や市町村が農工法の実施計画をつくろうとする際の手続について記載がかつてなされていました。それについては平成二十七年に改正がなされたわけでありますが、その改正が行われる前には、都道府県や市町村の実施計画の作成や変更する際の手続的な留意事項としてどのような規定が置いてあったのか、農水省に伺います。

佐藤(速)政府参考人 平成二十七年改正前の通知におきましては、都道府県が市町村の実施計画の同意協議に応じようとする場合ですとか、都道府県みずからが実施計画の策定などを行う場合に、都道府県の担当部局があらかじめ地方農政局等の国の関係支分部局と十分連絡調整を行う旨が記述をされていたところでございます。

古川(康)委員 国の機関と十分連絡調整を行うこととされておりました。

 この、十分連絡調整を行うことというのが非常に微妙でございまして、現場の職員から聞いていたのは、連絡調整というのは、本来、何か連絡をする、通知をする、そういったような意味合いというか響きがあるわけですが、現実には、連絡調整ではなくて、合意を要する協議としか言いようがないぐらい大変厳しいものがあったということでございました。

 本来、このような手続を求める場合には、法律によって規定がなされるべきだと私は考えます。一片の通知で実質的な協議義務を課すというのは、地方分権の観点から問題がないのか、内閣府にお尋ねをいたします。

境政府参考人 お答えいたします。

 国の関与につきましては、平成十一年に成立いたしましたいわゆる地方分権一括法によりまして、国の関与の法定主義に関する規定が地方自治法第二百四十五条の二として追加されております。この条文では、国と地方公共団体の関係は対等、協力の関係が基本であるという考え方に立ちまして、「普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。」と規定をしております。

 したがいまして、この規定に照らしまして、法律またはこれに基づく政令によらない国の関与は、不適当なものであると考えております。

古川(康)委員 すなわち、関与の法定化が法律に明記された平成十一年以降は、こうしたことは許されなくなったということかと存じます。

 ところが、農工法に関するこのことについては、これが続いておりました。

 そこで、お尋ねをいたします。

 法律ではなくて通知によって関与が義務づけられている、このことをおかしいと当時私は考えました。佐賀県から内閣府に対して、先ほどの提案募集の中で、この廃止を提案しました。その結果がどうなったか、教えてください。

境政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の佐賀県からの提案につきましては、平成二十七年一月三十日に閣議決定されました平成二十六年の地方からの提案等に関する対応方針におきまして、農工法の運用通知上、「あらかじめ地方農政局、経済産業局、都道府県労働局、地方運輸局等と十分連絡調整を行うこと等とされている事項については、廃止する。」とされたところでございます。

古川(康)委員 ということで、廃止をされました。農水省におかれては、この指摘に真摯にお取り組みをいただき、この規定が削除されたものであります。平成二十七年三月三十一日にそのことを内容とする通達が出されたと理解をしておりまして、感謝申し上げる次第でございます。

 ということで、農水省に念のためにお伺いします。

 ということであるとするならば、現在は、都道府県及び市町村の実施計画の策定や変更の際には、国の機関との協議は行われていない、このように理解してよろしいでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 委員御指摘のとおり、この通知につきまして、平成二十七年三月に改正を行いまして、地方農政局等の国の関係支分部局との連絡調整に係る規定は削除したところでございますので、御指摘のとおり、協議は行われておりません。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 このことについての最後のお尋ねになるわけでありますけれども、今までの話は、実施計画についてのものでございました。

 一方で、農工法の基本計画については、都道府県が作成し、国と協議をするということになっています。これは法律に規定がございます。

 これまでのこうした経過を踏まえて、この基本計画に関しても、策定や変更の手続、これについて、少なくとも迅速化に努めるべきではないか、このように考えておりますが、いかがでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 都道府県が策定いたします基本計画、これにつきましては、国が定める基本方針に即して定めることとされております。その制定または変更をしようとするときは、国と協議をし、その同意を得なければならないということが法定をされております。

 今般の農工法改正に伴い、基本方針も変更されることになります。都道府県も基本計画を変更していただくことになりますが、国に協議があった際には、その事務手続をできる限り迅速に進めてまいりたいというふうに考えております。

古川(康)委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 地方自治体、特に市町村は、仕事はふえている一方で、職員は削減されて、一人で何役もこなされながら仕事をされています。しかも、市町村職員の場合、往々にして地域での役をこなされていることも多く、役場での就業時間が終わったからといって自由な時間が保障されているわけでもありません。調査物にしてもしかり、アンケートにしてもしかりでございますけれども、これを出すことで現場の職員にどれくらいの時間的な手間暇をかけさせているのか、こうしたことについても常に頭に入れておいていただきたいと思いますし、特に民間企業を相手にしていく仕事の場合、お金もさることながら時間がかかることを嫌がられることが非常に多うございます。どうかその点も御理解ください。

 さて、次に、農工法の運用についてお尋ねをさせていただきます。

 佐賀県内で、仮の名前でA、B、C、三町村合併でできたABC市みたいなところがあります。これも選挙区ではないんですが。ここの、仮の名でA町に、農工法を適用した工場団地がありました。大規模史跡の近くの工場団地でございましたので、販売も慎重に行わざるを得なかったということもあり、工業用地としては売れ残っておりました。一方、市町村合併前から、旧B町に、農工法の適用を目指して工場を立地させようという構想がありました。そして市町村合併が行われました。

 その後、旧B町地域でこの農工法の規定を使って工場用地を整備しようとしたところ、同じ市の中に売れ残った用地があるのに新たにつくるのはいかがなものかという指摘が、どこからとは言いませんが、関係行政機関から出ました。市町村合併せずに市町村が別だったら農工法の適用が可能だったのに、合併したばっかりに適用ができないという嘆き節まで聞こえてきていました。

 ということで、こうした場合の運用について幾つかお尋ねをします。一自治体の中の二つの地域で農工法を適用するということは認められるんでしょうか。合併して一つの自治体となった場合、旧自治体単位では別の地域に既に農工法の適用の地域があった場合はどうなんでしょうか。こうした点について教えていただければ幸いです。

佐藤(速)政府参考人 現行法におきまして、同一の市町村内に複数の実施計画を定めることを妨げる規定はございません。また、一市町村内での産業導入地区の数を制限する、限定するような通知も発出をしておりません。このことにつきましては改正後も変わらないというふうに考えてございます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 妨げにはならないということなんですが、そうやって複数つくろうとする場合に、売れ残りがあると、あそこが売れ残っているのにこっちでつくるのはいかがなものか、気持ちはわかるわけでありますけれども、そうしたことが行われて、実質的には、基本的に門前払い的なことも行われているという話もあるわけでありますけれども、それらについてはいかがでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 そのような実態にあることにつきましては、今委員の御指摘を受けて知ったところでございますので、実態をよく調べてみたいと思っております。

古川(康)委員 私も、安易に農地を転用して工業団地にするということについては慎重であるべきだと考えておりますが、地元の自治体がそれぞれの事情に応じてそうしたことを考えるというのは、単純な思いつきでやるということはないだろうと思っているところでございまして、ぜひそういう地方の立場に立って協議を受けていただくようにお願いをしたいと思います。

 さて、次です。

 この対象業種が今回大きく広がるということは、私は、農村地域に代表されるような地方部のこれからの発展にとって大きな意味があると思っておりますし、地方創生の関連部局とも協力をして進めていただくことを期待しています。

 昨日、自民党の経済構造改革に関する特命委員会のメンバーが、私も事務局次長として同席しましたが、最終報告書を自民党総裁である安倍晋三内閣総理大臣に手渡して、その実現方を求めました。

 その大きな柱の一つが、超精密ターゲティングポリシーによる地域中核企業支援というものでございました。ちょっと余り聞いたことない名前ではあるんですが、地域の未来、経済の牽引のためにどの企業がその地域において経済的な役割をどれだけ果たしているのかをRESASなどを使って判断し、支援が必要な企業に対してターゲットを決めて支援をしていくというものでございます。

 昨日から審議の始まっている地域未来投資促進法はそのキーポイントだと考えています。

 今回の地域未来投資促進法の成立によってどのようなことを実現しようとしているのか、経済産業省にお尋ねをいたします。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 地域経済の好循環の実現のためには、将来成長が期待される第四次産業革命分野あるいは農林水産分野、観光分野、航空機部品などの先端物づくり分野など、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域経済を牽引する取り組みが全国津々浦々で生まれるよう強力に支援することが必要と考えております。

 具体的には、地域の物づくり企業の技術を結集した製品開発、あるいはグローバルな販売展開を行う先端物づくり事業を初めといたしまして、あるいはインバウンド需要を取り込むための地域ぐるみでのイノベーションを行う観光事業、農林水産品の輸出に向けたコールドチェーンの構築や販路開拓事業など、さまざまな成長分野におきまして地域経済を引っ張っていく投資、いわゆる地域未来投資を促進するための、今回の国会に審議をいただいております地域未来投資促進法案で、地域経済牽引事業、人、物、金、情報、規制改革等の政策パッケージによって集中的に支援をしていきたいと考えております。

 なお、自民党から具体的な提案をいただいておりますけれども、地域経済牽引事業の中心的な担い手であります地域の中核企業候補を後押しするために、地域経済分析システム、RESAS等の活用に加えまして、地域からのさまざまな情報を積極的に活用いたしまして、事業者の選定、公表、さらには自治体への情報提供を行いまして、効果的に対応してまいりたいと考えております。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 この地域未来投資促進法は地域の未来を開くことになるものと期待をするものでございますが、そこで農水省にお尋ねをします。この地域未来投資促進法の制定と今回の農工法の改正はどのようにリンクしているのでありましょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 まず、古川先生におかれましては、特に佐賀県の農林水産業の振興について、日ごろから大所高所の観点から御指導いただいていることにまず改めて心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

 今御指摘ありました地域未来投資促進法案でございますが、これは先ほど精密ターゲティングポリシーというようなお言葉もございましたけれども、いわゆる産業政策の一環として、地域経済を牽引する事業、地域経済牽引事業というふうに呼ばれているようですが、に対して、政策資源を集中投入して支援をすることを内容とするものというふうに認識をしております。

 私どもが今回御審議をお願いしている農工法の一部改正法案でございますが、これは、農村振興のために農村地域への安定的な就業機会の確保を図るとともに、農業と当該導入産業との均衡ある発展が図られる産業の導入を促進するということを内容としておりまして、特に支援対象としては地域経済牽引事業に限定されるものではないということをぜひ御理解いただきたいと思っております。

 経済産業省の法案、そして私どもの法案に規定されるそれぞれの制度は、目的や支援対象が異なり、それぞれの役割を持っております。これを、それぞれ基礎自治体がその計画をつくって事業を実施するということになりますが、この基礎自治体が、対象となる産業または事業に応じてそれぞれの制度を活用することにより、私どもとしては、農村地域における産業の立地の導入、就業機会の確保を図られるということが重要であろうというふうに考えております。

古川(康)委員 ありがとうございました。非常に先々のことが見えてきたような気がいたしているところでございます。さまざまな分野における新規のチャレンジ、これに大きく期待をしたいと思います。

 最後の質問になります。

 今回の法改正を、農村地域を初めとする地方の経済社会の発展、さらにはそのことを通じての農業、農村の発展にどのようにつなげていくのか。産業全般にわたって幅広い知識経験をお持ちの齋藤副大臣に御決意をお願い申し上げます。

齋藤副大臣 私も、古川委員のように知事ではありませんけれども地方自治体で勤務した経験がございまして、今日、農村において高齢化や人口減少が進展して、地域コミュニティー機能の維持すらままならないというようなところが出てきているという現実をよく見せていただいてきました。

 このような中にありまして、農村をこれ以上の疲弊から救い、さらに振興していくためには、農村地域のさまざまな農業者や地域の住民がその地域で住み続けることができるということがすごく大事になっていまして、そのためには、まずは農業そのものが魅力ある産業として成り立っていくということが大事ですけれども、それ以外に、農業以外の選択肢を用意することによりまして、就業機会の一層の創出と所得の確保を図っていくということが今や大変重要な課題になっているんだと思います。

 そういった意味で、四十六年以降、いろいろ改正もしてきたわけでありますが、今や産業構造は変化しまして、全就業者に占める工業等の就業者数のウエートというものはかなり低下をしてきておりますので、今言った趣旨で、農村地域の就業機会を確保していく上には、一番いいのは地域に賦存する資源を活用した工業等以外の産業で成り立っていくのが一番いいんでしょうけれども、それ以外でも、工業等以外の産業の立地促進、導入を促進していくこと、これが非常に大事になってきているということが今回の改正の趣旨なわけであります。

 ただ、この改正を契機に、私はより一層大事だと思うのは、内閣府の地方創生推進室ですとか経済産業省等ともよく連携をして、地域の実情にふさわしい就業機会の確保というものにつながっていくように努力をしていきたいと思っております。

古川(康)委員 終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 おはようございます。公明党の真山祐一でございます。

 本日は農工法の審議でございます。

 農工法の法案の質疑に入ります前に、一点、ちょっと確認をさせていただきたいことがございますので、これは林野庁にお伺いをさせていただきたいと思います。

 今、東北地方におきまして非常に大きな山火事が発生しておりまして、山火事自体に関してお聞きするわけではございませんけれども、林野庁にお聞きしたいのは、福島県浪江町、双葉町で発生いたしました山火事について、これは四月二十九日に浪江町の帰還困難区域で発生したわけでございますけれども、隣の双葉町まで広がりまして、十二日目となる昨日、やっと鎮火をしたというような状況でございました。

 私も連休中、現地の対策本部をお伺いさせていただいて、さまざまな状況を聞かせていただいたところでございまして、人的被害、集落への影響はなかったわけなんですけれども、看過できないのは、今回の林野火災によって、周辺の、ここは帰還困難区域でございますので、いわゆる放射線の環境モニタリング、これを常にとっておりますけれども、これは周辺地域に全く影響がない、数値に変化がないにもかかわらず、何かあたかも放射能が拡散しているかのような発信といいますか、特にSNS上で発信がなされておりまして、そのSNSで発信されている写真は、全く今回の火事と関係のない、しかも海外の写真が使われて発信をされている。これはかなり看過できない話でございまして、しかも、一部の地方新聞社におきましては誤解を招く報道もしておりまして、全く事実と異なることが情報発信されているのはちょっと看過ならないなと思っております。

 地元の対策本部にお伺いしたときも、鎮火後の環境影響調査をしっかりとしていただいて、それをやはり迅速に早急に発信を、この発信も、単にホームページに上げるとかだけではなくて、しっかりと全国民に向かって発信してもらいたいと強い要望をいただいたところでございます。

 これについて林野庁の方で早速検討をしていただいているというふうにお聞きをしておりまして、この双葉、浪江の山火事における鎮火後の速やかな環境影響調査について、これは林野庁にちょっと答弁をお願いいたします。

今井政府参考人 お答えいたします。

 四月二十九日に福島県浪江町の国有林で発生いたしました林野火災につきましては、福島県を初め関係自治体の消防部局及び自衛隊の懸命な消火活動の結果、五月の十日十五時五分にようやく鎮火に至ったところでございます。

 今回の山火事に関しましては、福島県が、放射線の空間線量率につきまして火災現場周辺のモニタリングポストで測定してきておりまして、これまでのところ、山火事による空間線量率の大きな変動は確認されておりませんけれども、農林水産省といたしましては、今後、現地への立ち入りが可能となり次第、森林内の放射性物質の動態に詳しい専門家等と連携しまして、火災現場の空間線量率や土壌の放射性物質濃度等を調査するべく関係機関と調整をしているところでございまして、なるべく早期に調査を実施したいと考えております。

 なお、本調査で収集しましたデータ等につきましては、関係自治体等と共有しつつ、正確な情報提供に努めてまいりたいと考えております。(発言する者あり)

北村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 真山祐一君。

真山委員 ぜひ、林野庁におかれましては、先ほど答弁いただきましたとおりでございますけれども、早急、迅速な対応をお願いさせていただきます。

 それでは、今回の農工法の法律案の内容に入らせていただきます。

 まず、農林水産大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、農村地域工業等導入促進法、いわゆる農工法に基づく農工団地、これは平成二十六年三月末日時点の数字でございますけれども、約九千社が操業し、約六十二万人の雇用を生み出しまして、農村に新たな就業機会をつくり、これまで一定の成果を上げてこられたものと評価をしております。

 やはり、農村において新たな就業機会、そして新たな所得機会をしっかりつくり出していくことが農業と工業の均衡ある発展を目的とするこの農工法の趣旨でございまして、これは時代は変われど、農村にとっては今も必要な目標だというふうに認識をしております。

 一方で、近年、農工法に基づく農工団地の申請件数は年にゼロ件、一件、二件というそのぐらいの数字であるようでございまして、一方で、新たな立地ニーズが寄せられているのは先ほどの質疑の中でもお話があったところでございます。

 そうした中で、今回の改正案は、対象となる業種が現在、工業、道路貨物運送業、倉庫業、こん包業及び卸売業の五つに限定をされているわけでございますけれども、日本全体の、また農村の社会構造の変化にも伴いまして農工団地へのニーズも変わってきていることから、対象業種の制限を廃止するということで幅広い農工団地の活用を可能とするものと理解をしております。

 農村地域は人口減少、少子高齢化、非常に顕著でございまして、農村に働く場が確保され、やはりある程度の生活を営むことができる所得を得られる環境がなければ、なかなかこの流れ、人口減少、少子高齢化の流れというのは今後も加速していくものだというふうに理解をしております。

 平成二十六年に行われた内閣府による農山漁村に関する世論調査では、農山漁村地域への定住願望実現のために必要なことの一つに「生活が維持できる仕事があること」がございまして、それは第一位の医療機関の存在に続く第二位なんですね。六一・六%という数字で、非常にニーズが高いものでございました。こうした調査からも、やはり農村における働く場の充実は定住人口をふやす鍵であることは言うまでもなく、そういったところに農工法があるんだというふうに理解をしております。

 それでお伺いさせていただきますけれども、平成二十七年三月にスタートした農村における就業機会の拡大に関する検討会、この議論を踏まえて、今回、農工法、改正をするわけでございますけれども、今回の農工法改正の目的について改めて確認をさせていただきたいと思いますが、やはり今回の目的というのが、これからの農村振興のある意味あり方、ビジョンを示すものだというふうに考えておりますので、ここは大臣に答弁をいただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、今日、農村におきましては、高齢化、人口減少が都市部に先駆けて進展をしております。地域コミュニティー機能の維持等に影響が見られるようになってもまいりました。

 こういう中にあって、農村を振興するため、農村地域のさまざまな農業者や地域住民が地域で住み続けられるよう、農業を魅力ある産業にしていくということがまず第一に必要でございますが、農業以外の選択肢を用意することによって、就業機会の一層の創出と所得の確保を図ることも必要となってきているというように思っております。

 一方、農工法の対象業種は、工業等五業種に限定されております。産業構造が変化して、全就業者に占める工業等の就業者のウエートが低下をしている中で、農村地域に就業機会を確保するためにこれを考えますと、地域に賦存する資源をさらに活用して、産業や立地ニーズの高いサービス業など、シフトする必要があります。

 そういった意味で、工業等以外の産業を立地、導入することが一つ必要である以上、これらを踏まえた形で、農産物の直販所など、地域資源を生かした地域内発型の産業、あるいは福祉、介護サービスなど、立地ニーズの高い業種の立地、導入、こういったものが必要となろうと考えたところでございます。

 今般の対象業種の限定を廃止することを内容とする改正でありまして、時代のニーズに即して、農村地域の発展、これを目指すものでございます。

真山委員 ありがとうございます。

 答弁の中でいただきましたとおり、本当にこの農村の地域資源を活用して、それを産業化して、まさに地域内発型の産業振興を図る、そしてまた立地ニーズの高い事業所を誘致することで農村振興を図る、こういった取り組みはこれまでも進めてまいったところではございますが、改めて今回の法改正をもってさらに強化されるというものである、そういったふうに私も理解させていただきました。

 一方で、この農工法については、ちょっと懸念の声も当然寄せられておりまして、やはりこの農工法によって、いわゆる農地転用の特例、農振法の農用地区域からの除外が可能になるわけでございまして、対象業種が広がり、立地ニーズが広がることによって、優良農地が積極的に農地転用されていくのではないかということに対して、結構大きな懸念の声が上がっているのも、これも事実でございます。

 そうした中にありまして、先ほどの大臣から御答弁いただいた今回の法案の目的と、一方でこの優良農地をどう確保していくのかということは、これは両輪としてしっかり守っていかなければいけない、このように思っておりまして、この優良農地の維持に対する農林水産省としての考え、今回の法律案を踏まえての考えと、そして、あわせて、本法律案が成立後に策定される国の基本方針、これにやはり優良農地の維持についてしっかりと書き込むべきではないかと考えますけれども、こちらも農水大臣にお伺いさせていただきます。

山本(有)国務大臣 優良農地の維持は、これはもう大変重要な話でございまして、農地というのは国民に対する食料供給のための生産基盤でございます。今後とも優良農地を確保していくという基本に変わりはございません。

 その上で、農業以外の土地利用への要請に応えるということのために、土地利用調整のルールを定めて、それに即して農地転用に係る調整を行う、そういう決め方をしたいというように考えております。

 今般の農工法改正法案では、対象業種の限定を廃止するということとしておりますが、優良農地を確保するということについて、農業と導入産業との均衡ある発展を図る観点から、市町村が実施計画を策定するに当たりまして、産業の施設用地と農用地との利用調整がこれまで以上にしっかりと行われるような仕組みを設けることが必要だと考えております。

 具体的に申し上げますと、国が策定する基本方針において、農業と導入産業との土地利用調整を行います。一つは、農業上の効率的な利用に支障が生じないようにすることの確認、次に、導入産業の面積規模が最小限であるということの確認、三番目には、既存の産業導入地域内に造成済みの遊休地がある場合にはその活用を優先させるということが条件、さらには、農用地区域外での開発を優先する、そして、導入産業の立地ニーズや事業の実現の見通しを踏まえたものとするということを書き込むようにしております。

 また次に、都道府県が策定する基本計画がございますが、この同意協議を通じて主務大臣が基本方針に即していることを確認するということをさせていただきます。

 次に、市町村が策定する実施計画がございますが、この立地ニーズや実現の見通しを十二分に踏まえて、導入業種、規模、あるいは導入地区の区域等を定めるとともに、都道府県が実施計画に係る同意協議を通じて基本計画に即していることを確認するということとなっております。

 このように、基本方針に示されました国の考え方は市町村の実施計画に至るまで貫かれておりまして、こうしたことによりまして適切な土地利用調整が行われるものというように考えるところでございます。

真山委員 今回、優良農地を守るということについてもかなり具体的に今御答弁いただいたと思いますけれども、やはり農村側、農業者側、そしてまた自治体側、そして地域一体となって安心して取り組めるという環境づくりが重要かと思いますので、ぜひ引き続きましてよろしくお願いしたいと思います。

 次にお聞きさせていただきますのは、遊休工業用地の件についてちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

 これまで農工法に基づく農工団地が整備されてきたわけでございますけれども、一方で、先ほども少し議論がありましたけれども、遊休工業用地が発生しているというお話もございます。要因はさまざまあろうかと思いますけれども、やはり農村の産業構造、人口構造も変わってきているということも当然一つの要因だろうというふうに思っておりますけれども、そういった農工団地における遊休工業用地対策について、これまで農水省としてどのように対策を講じてきたのか。そして、今回の五業種の限定を外すことによって、五業種以外に具体的にどのような立地ニーズがあるのかについて、これはあわせて御答弁いただきたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 遊休工業用地の活用でございますが、平成二十七年度に改正されました地域再生法におきまして、地域再生計画に記載された業種は、農工法の対象業種以外であっても遊休工場用地に導入可能というふうになりました。

 これまでに、この特例措置が盛り込まれた地域再生計画でございますが、山形県、秋田県、二件が認定されております。山形県では十五地区の農工団地で約八十一ヘクタール、秋田県では四地区の農工団地で約七十七ヘクタールが計画に盛り込まれております。

 新たに導入する産業の業種でございますが、電気業ですとかコールセンター、社会福祉、介護事業、こういったさまざまな産業が位置づけられているというふうに承知をいたしております。

    〔委員長退席、福田(達)委員長代理着席〕

真山委員 この遊休工業用地対策、これからも当然進めていかなければならないと思うわけでございます。そしてまた、それに関連してさまざまな立地ニーズがあるわけでございますので、そこを有機的にやはり政策としてしっかりと組み合わせていくことが重要かと思っております。

 そして、次の質問に移らせていただきますけれども、先ほども少し議論がございました地域未来投資促進法案について関連してお伺いをさせていただきたいと思います。

 地域未来投資促進法案、これは経産の方で審議されておりますけれども、いわゆる地域牽引事業に対して支援をする取り組みでございまして、当然、承認されれば、設備投資、財政、金融などの支援を事業者が受けられるものでございます。この地域経済牽引事業の五つの例示がございまして、その一つに農林水産そして地域商社、これは農林水産品の販売に関するものでございますけれども、農林水産、地域商社、これに該当いたしますと、農地転用許可、市街化調整区域の開発許可に対する配慮、そういった特例が受けられるということでございまして、今回の農工法とあわせて、この地域未来投資促進法が、これもやはり優良農地を積極的に転用してしまうのではないかという懸念の声も上がっているところでございます。

 こうした懸念に対しまして、これについても安易な農地転用はされないというふうに理解はしておりますけれども、これも農林水産省の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 地域未来投資促進法案についてでございますが、この法案は、地域経済の発展を図る上で重要な法案であると考えております。丁寧な土地利用調整を図るための計画制度を措置することとしておりまして、これによりまして優良農地の確保が図られることを前提といたしまして、農地転用許可等についての配慮規定を置くことにしたところでございます。

 具体的には、まず、国が策定する基本方針におきまして、土地利用の調整につきまして、農用地区域外での開発の優先、遊休地があればその活用を優先する、農業の効率的な利用に支障が生じないようにする、必要最小限の規模とするなどのことを明確化しているところでございます。

 また、都道府県及び市町村が作成する基本計画につきまして、国の基本方針に適合するものとして、農林水産大臣を初めとする主務大臣の同意を必要といたします。

 また、市町村が作成いたします土地利用調整計画につきまして、この基本計画に適合するものとして、都道府県知事の同意を必要としているところでございます。

 このような仕組みを通じまして、優良農地の確保を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

真山委員 次に、農工団地をつくるに当たっての意見のとり方についてちょっとお聞きをさせていただきたいと思うんですが、国が基本方針をつくりまして、県が基本計画を策定して、そして市町村が実施計画を作成する、そういった構造になっているわけでございますけれども、やはり、農工団地を開発する際に、当然、農地提供者の方々とのいろいろな協議をされると思いますし、それも当然重要ではございますけれども、やはり農工団地を中心とする農村地域全体の意見をどう反映していくのかということが非常に重要ではないかというふうに思っております。

 農工団地活用方法、また誘致業種、こういったものも地域としっかりコンセンサスをとって実施計画をつくっていくということが重要であり、先ほど大臣から御答弁もいただきましたけれども、目的である地域資源を活用した地域内発型産業を創出するとか、そういった観点でも、やはり地域と共同でつくり上げるということが重要であると考えておりますけれども、この市町村の実施計画策定においてどのように地域の意見を反映していくことになるのか、これも農水省に確認をさせていただきたいと思います。

    〔福田(達)委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤(速)政府参考人 この農工法に基づきまして市町村が実施計画を策定するに当たりましては、関係者の意見を広く聞くことが重要と考えております。このため、これまでも、国が策定する基本方針におきまして、市町村の実施計画策定段階から農業団体、商工団体等の関係団体の参画を募りまして、工業等の円滑な実施が図られるよう努める旨の記載をしているところでございます。

 改正後におきましても、国が定めます基本方針に同様の趣旨のことを記載してまいりたいというふうに考えてございます。

真山委員 地域等の意見をしっかり聞いて、そして計画を立てるということがやはり農村振興の一番重要なポイントだと思いますので、そこを明確にしていただきたいと思います。

 そして、この農工団地の開発が地域の農林水産業と相乗効果が生まれるような方向性が必要だというふうに思っておりまして、これは先ほどの農村の就業機会のあり方検討会の中でも非常に重要なテーマであったというふうに理解をしております。例えば直売所を設置するとか、そこで地域で生産された農産物を直接販売ができるような販売所をつくるとか、またさらには加工施設をつくるとか、それによって六次産業化、さらには農商工連携の取り組みが期待をされるわけでございます。

 例えば、私、福島県在住でございますけれども、福島県は果樹王国というふうに言われておりまして、非常に果樹の生産高は高いわけでございますけれども、しかし、それを加工する加工場というのは決して多くはなくて、生産した果樹を近隣県で加工しているような実態も聞かれるところでございます。そういった意味で、まさにこうした農工団地の開発というのがそういった地域の少し弱い部分を、弱点をチャンスに変える一つの契機になるのではないかなというふうに思っておるところでございます。

 先ほど来お話しいただいておりますけれども、地域資源を活用した地域内発型産業の創設を掲げておりますけれども、この点について、今後具体的にどのように取り組むお考えかを農水省にお伺いさせていただきたいと思います。

 あわせて、六次産業化になりますと、やはりいわゆる農林漁業成長産業化支援機構、A―FIVE、これの活用も当然想定をされると思います。このA―FIVEは、六次産業化・地産地消法に基づき、農林漁業者が地域資源を活用した新事業に取り組む場合に資金繰り等を支えるとともに、やはり経営支援を行うという点で、非常に活用した農業者の方からも好評の声を私もいただいております。

 こうした農林漁業者が農工団地において六次産業化・地産地消法に基づく新事業を立ち上げるような場合には、このA―FIVEの活用も当然できるものと考えておりますけれども、この点もあわせて御答弁をお願いいたします。

佐藤(速)政府参考人 農村全体の雇用の確保と所得の向上を図る上で、地域の農林水産業を核とした六次産業化ですとか農商工連携の推進、極めて重要であるというふうに認識をしております。

 このため、今般の農工法の改正によりまして、工業等五業種の限定を廃止いたしまして、農林水産物等の地域資源を活用したさまざまな産業、例えば農産加工施設ですとか、農産物販売施設、農家レストラン、農泊施設等の立地、導入もできるようにすることにしております。

 また、あわせて、国が定める基本方針におきまして、地域の農林水産物といった地域資源を活用した地域内発型産業の創出に努めるべき旨を規定したいというふうに考えてございます。

 また、その際には、農山漁村振興交付金におきまして、産業導入地区を対象とした地域資源を活用いたしました施設等の整備を支援する、そういった関連予算措置の充実を図るとともに、委員御指摘のA―FIVEの活用も含めた支援措置等に関する相談窓口を、これは各地方農政局に設けることとしておりまして、これらの取り組みによりまして、地域内発型産業の導入にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

真山委員 最後の質問になりますけれども、今、地域資源を活用した地域内発型産業の育成の話をさせていただきました。

 一方で、立地ニーズの高い事業所の誘致という観点でいいますと、いろいろな工場等、先ほどコールセンターなどの話も出ましたが、一方で、やはり農村地域、もともと人手が足りないといいますか人口自体が少ないわけでございまして、やはり、そうした大規模施設になりますと、そもそも人手を集められないということも事業者の側は経営リスクとして捉えているようでございますし、また、農業者の皆さんというのは当然農繁期がございますので、それによって変わってしまうと困るというようなのも事業者の側の声としてあるところでございます。

 そういった意味でいいますと、立地ニーズの高い事業所を誘致するに当たっては、やはり、ある意味人ごと移住をできるような誘致を、また、そういったことが可能であるような事業所、例えば、必ずしも東京で仕事をしなくても仕事ができるIT産業なんかもこういったものに含まれてくると思いますけれども、こういった農工団地の開発の方向性の中で、立地ニーズの高い事業所を誘致していくに当たって、人ごと、人も一緒に移住してくるような産業誘致が必要だと考えておりますけれども、この点について農水省の見解をお伺いします。

佐藤(速)政府参考人 今回の改正法案も含めまして、農工法は、農村からの人口流出を防止し定住を促進するということのほかに、都市から農村への人口流入を図ること、こういったことが必要であるために、さまざまな人が地域で暮らしていけるように、地域資源を活用した産業ですとか地域の立地ニーズのある業種の立地、導入を促進しようとするものでございます。

 市町村が定める実施計画におきましては、農業従事者の安定した就業機会の確保に資することとされておりますけれども、導入産業の雇用対象は農業従事者に限定されるものではございません。新たな就業機会が確保されなければ農村から流出することが懸念されるような、そういった方ですとか、就業機会が確保されれば都市から農村に来られることが期待される方、そういった方なども想定をいたしております。

 具体的な導入産業につきましては、事務所とともに人も一緒に移住してくるような産業の導入も含めまして、農村地域に就業機会が確保されることによりまして地域コミュニティー機能が維持されるなど農村の振興が図られるような産業を、これを地元の実情を最もよく知る立場にある市町村が実施計画に定めるというふうにしております。

真山委員 以上で終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。民進党の篠原でございます。

 お時間をいただきまして、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。

 まず、この法律、法律改正とか予算を組むとかいうときは、大体、こういうふうにしてほしい、ああいうふうにしてほしい、ここが問題だというのがあって、そして、ではやろうかというふうになっているはずなんですが、私は、今どき農村に工業を、あるいは工業だけじゃ足りないから産業を導入という。六次産業というのがあるわけです。これはわかるわけです、地域資源を活用して自前でやっていこうという。今どき落下傘の、パラシュートの導入。パラシュートというのは、都会からだけじゃなくて地域のところをまとめてというのもあるんでしょうけれどもね。どうなのかなと思って、民進党の中の部門会議で聞きましたら、千二百八十七市町村のうちの約一割の市町村にアンケート調査をした、そうしたら、業種の指定が厳しくて、それを広げてくれたらもっとあるんじゃないかというのでこれをやろうとした、やることにしたと。

 どうも腑に落ちないんですね。最近の農林水産省の行政を見ていると、本当の農民の要請、農業関係者の要請なり消費者の要請に応えてやっているのかどうか。規制改革推進会議というもの、どういう組織かわかりませんよ、不鮮明なところから突然おりてきて、嫌々ながらやらされているというような気がするんですけれども。

 これは、どういう動機で、どういうきっかけで法律改正するようになったんでしょうか。大臣からお答えいただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 もう委員にちょうちょう申し上げる必要はありませんが、高齢化とか人口減少とか、コミュニティーの減弱崩壊、あるいは農村振興のために、どうしても、農村への流入あるいは定住、そういったものを促進する必要がございます。そんな意味で、農工法の活用の機運というものが省内におのずから湧いてまいりまして、それで、検討をする必要があるのではないかということになりました。

 平成二十七年三月に有識者による農村における就業機会の拡大に関する検討会、これを立ち上げることができまして、この皆さんに検討いただきまして、平成二十八年三月に中間取りまとめをいただきました。

 この取りまとめにおきまして、農工法のあり方について御指摘をいただいたわけでございますが、三点、一つは、対象とすべき業種について、地方自治体等の要望等を十分に踏まえる必要がある、二点目には、就業機会確保のための施策としては、農村の活力創出に資するものが求められていることを踏まえる必要がある、三点目に、地域の実情に即した対策がとられる必要があるという御指摘をいただきました。

 こうした経緯を経まして、今般、農工法の改正案を提出させていただいた次第でございますが、なお、二十八年十二月に、農工法の対象となる千二百八十七市町村に実施したアンケートによりますと、実施計画策定済みの七百三十二市町村において、過去五年以内に百二十九の市町村に対して現行の五業種以外の業種について立地の照会があったというように回答を得ておるわけでございまして、その意味におきまして、時代の変化に応じて我が省独自で考えたこの法律の改正案であるというように御理解いただきたいと思います。

篠原(孝)委員 内発型法案提出というお答えでしたけれども、この前に質問させていただいた農業競争力強化支援法案はそんな雰囲気が全然なかったですけれども、まあ、そういうことでしたらそれでいいかと思います。

 それでは、ちょっと時間がかかったんですが、実はこれは、A3の紙を見ていただきたいんですが、きのうの地域未来投資促進法の審議でも一時間ほどいただきまして質問したのを、ちょっと農林水産委員会用に修正して提出させていただいているものです。これをよく見ていただきたいと思います。私、大臣官房企画室企画官というのを三年ほどやったことがあるんですが、それになったつもりでつくってみました。結構時間がかかっているんですよね。

 大臣が今お答えになったこと、こういう理由で改正する必要があるんだ、それはみんな手にとるようにわかりますよ、必要ですよ。地方と都市の格差は拡大するばっかしなんです。ずっとやってきているんですよ。それが成功しているかどうかというのを、いつからかというのですけれども、一九六〇年、今「ひよっこ」というテレビ番組をやっていますけれども、あれは同じ世代で、私なんか共感を覚えて見ているんですけれども、農村から都会に出てというものですね、そのころですよ。

 それが今、二〇一五年と一九六〇年、比べてみていただきたいんですが、人口集中はよくないと、東京、三大都市圏とか、それを是正するんだということでさまざまな政策が打ち出されてきました。この農村工業導入法も一九七一年、この網かけの、このころなんですね。では、成功しているかどうかというのを、人口とそれから県民所得でちょっと分析してみました。

 人口の点では全くだめですね。五十五年前と比べて、全国で一・三倍になっている。三大都市圏が一・八。それでも、東京はもう満杯なので東京圏に行っている。四つ、東京都と三県、何で選び出したのかおわかりだと思います。大臣の御地元の高知県は〇・九と減ってしまっているんですね。千葉県は高度経済成長をまともに体現してきた県だと思います。千葉県は二百三十一万人で、一九六〇年のところを見ていただきたいんですが、人口では長野県とそう大して変わらない県だったんです。三十万人ぐらいしか違わないのに、今や六百二十二万人、二・七倍にふえている。長野県などは途中ふえて今は減っている、減り始めた。去年もおととしも同じぐらいなんですけれども、二千六百九十人とか二千六百とか、大体二、三千人ずつ人口が減っています。これがずっと続いていくはずなんです。

 では、今度、一人当たりの県民所得を見ていただきたいんですけれども、上位三県と下位三県。東京が一番なのはずっと同じです。愛知県など、愛知県、静岡県、太平洋ベルト地帯は調子がいい、神奈川県とか滋賀県とかですね。上位は定着しています。下位三県も、南九州や山陰で下位に定着してしまっているんですね。ただ、下位三県の方が、五十五年前と比べると、一番右端ですけれども、倍率でいうとちょっとはましになっている。だから、下の最下位と一位との差、一九六〇年は二・八だったのに、今は二・一に減っている。県民所得の点ではまともになってきていると思います。

 この裏側をちょっと見ていただきたいんです。これはきのう提出したものですけれども、いろいろやってきたんですよ、努力はしてきたんです。ですけれども、もうこの表の方を見ていただければわかると思いますけれども、惨たんたる結果ですね。先進国でこういうぶざまな政策をそのまま続けている国はありません。一極集中、国連の統計によると、東京メトロポリタンエリアというんです。ここが世界最大の集中地帯なんですね。集中が起こっているのはメキシコシティーとか、こっちは、言っては悪いんですが、発展途上国の状況なんです。日本はまだ発展途上国と同じ状況を平気で続けて、政府はそれをとめられない、それを是正し切っていない。

 経産省は同じようなことをやってきました。

 まずは、新産業都市建設というのがあって、この名前を覚えている方はもう本当に少なくなったと思いますけれども、これは私の高校のころですよ。下にありますけれども、松本諏訪地区が内陸でたった一つ指定されたといって大喜びしていたんです。しかし、どういう結果を得たかというのは、ほとんど何も得られるものはなかったような気がします。このころ、三全総とかいうので、苫小牧東、一万ヘクタール開発した。むつ小川原、五千ヘクタール。何もいかない。そして後者の方は、六ケ所村で核燃料サイクル、簡単に言うと押しつけられたみたいな、原子力船「むつ」の寄港地、そういうことしかできなかった。同じころ、工業再配置法、農村工業導入法というのをやってきたんです。その後、テクノポリス、頭脳立地と、ずっと来ている。経産省の堕落ですね。名前だけで関心を引こうと。

 私は、農林水産省は真面目だと思いますよ。農村工業導入促進法と、漢字ばかり並ぶ、ダサい名前といえばダサい名前ですけれども、そのままずばりの名前をずっと使っている。経産省は、手をかえ品をかえ、歓心を買おうと、テクノポリス、頭脳立地、この次は足裏立地法というのができていくのかと思ったらそうじゃなかったですね。何を意味しているのかよくわからない。

 そして、きのうの法律は僕は反対したかったんですけれども、しようがない、反対と言って立ち上がりましたけれどもね、心の中でつぶやきながら。地域未来投資促進法、未来なんて、こういうところへ入ってくるとぞっとするんです。思い出されませんか、原子力、明るい未来のエネルギー。こういうごまかしをし始めているわけです。口先だけですよ。

 ただ、農林水産省は真面目ですよ、農村工業導入法を農村産業導入法にするという。律儀で朴訥で、心がけは私は経産省よりはずっといいと思います。

 どこが問題かというと、本当に情けなくなるんですけれども、さんざん農地を荒らしておいて、全然それをちゃんと使おうとしていないんですよ。これが僕は許せないんですね。腹が立つんです。

 質問をさせていただきたいと思いますけれども、農村工業導入法のもと、資料で説明を受けましたけれども、九千社が進出したと。進出したといっても内発型ですね。その地域に根を張った産業が進出しているんです。

 私の選挙区でどういうところに農工団地があるかというのを調べたら、四カ所、私の地元中の地元の中野市に高丘団地というのがありました。隣の飯山市に三つほどあるんです。ネットで調べるとちゃんと出てくるんです。グーグルマップでやると上から見えるわけです。どこがあいているか、どこが埋まっているかというのはみんなわかるんです。今、便利になっていますよ。

 見ますと、中野のところはあいていない。中野の方が南なんです。北の飯山市、三つもやっていますけれども、すかすかで、かわいそうに分譲中と書いてあるんです。どういう企業が来ているかというのも書いていないんです。すかすかなんです。本当に悲しい限りです。

 どれだけ行ってどういうふうになったのかわからないんですが、今、九千社で六十二万人雇用した、これは非常にいいことだと思います。この現状は一体どうなっているかというと、僕が興味を持つのは、そこから撤退してしまった企業がいっぱいあるんじゃないか。どのぐらい撤退しているのかというのを数字を聞いたりしているんですが、わからないんですけれども、農林水産省は把握しているんでしょうか。

 僕はこれも農林水産省は大したものだと思ったんです。経産省がでたらめなんですけれどもね。あいている工場用地はどのぐらいあるかと。そうしたら、各県が、市町村がやっているのでわかりませんという。

 ところが、農林水産省はちゃんとしっかりしていまして、今までどれだけ開発したか、計画があったか、どれだけできたか。千四百三十三ヘクタールが遊休農工団地だと数字をちゃんと把握しているんです。経産省はさっぱりそれを把握していない。そしてまたでたらめをしようとしている。農地を食い物にしようとしている。私はこれはもう本当に許せないことだと思います。

 農林水産省は、そこは立派なので、自分のところのエリアのはちゃんと把握されているはずですけれども、どんな感じになっておりますでしょうか。撤退というのはなかなか把握しにくいんですけれども、調査して数字を持っておられますでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 農工団地の立地企業数の統計というのがございます。これが、平成二十年三月時点で、八千九百件の立地の件数がございまして、その六年後、平成二十六年の三月時点でも同様に八千九百件となっております。この間に新規に立地した企業の数の統計でございますが、これが約千八百件でございますので、この間に撤退した企業は同数の約千八百件ぐらいあるだろうというふうに推計をしておるところでございます。

篠原(孝)委員 大体そんなにでっかい団地じゃないですから、私の地元の限りでいえば、パラシュート企業じゃなくて、地元のところであちこちに散らばっていたのを便利だからといって行った。だからそういうところがちゃんと生き残っているんじゃないかと思います。やはり内発型のでやっていくのが一番いいんじゃないか、それに尽きるんじゃないかと。

 もっとも、条件のいい千葉だとか神奈川とか愛知だとか、そういうところは別ですけれども、長野県のように、日本の工業の縮図になりますけれども、外国から原材料を輸入して、それを加工して輸出するといったら内陸には重厚長大型の産業なんて存在し得ないですね、輸送コストでパンクしちゃいますから。だから長野のはみんな軽薄短小の企業ですよ。

 しかし、次に副大臣に、前のお仕事の経験も踏まえてお答えいただきたいんですけれども、今どき農村に工業という需要があるのか。だから工業だけではなくて産業だ、第三次産業だというんですけれども、それは無理なような気がするんです。

 どうしてかというと、一九七〇年、七〇年というか六〇年、農村に余剰人口があったわけですよ。僕の同級生なんかもいっぱい、全く「ひよっこ」の子と同じで、集団就職しています、上野駅に来ていた、そういう時代でした。だから、あったんです。だけれども、就業構造が変化して、人がいないんです。まず、この人がいなくなったところに進出して、労働力が不足しているところに、どうやってそういうのができるんでしょうか。農業だって人手不足になっている。

 私は、今度の法律で、都道府県の計画はもうやるものがないから廃止した、これは現実に合っていると思います。

 余りこういう需要はないんじゃないかと思うんです、今どき。だから、経産省のあっちも未来とか変な用語を使って、私から言うと、だまくらかしていると。こっちはまだましだと思いますけれども、本当に需要が見込まれるんでしょうか。副大臣、いかがでしょう。

齋藤副大臣 平成二十七年六月に、これは委員も御案内だと思いますけれども、アンケートを実施いたしておりまして、市町村担当者からどのような業種を導入したいのか聞き取るということをさせていただいた結果、最も多いものはやはり製造業でありました。

 また、平成二十八年十二月、これも先ほど来御答弁させていただいていますが、農林省において農工法の対象となる千二百八十七の市町村に対してアンケート調査を実施いたしまして、実施計画を策定した七百三十二の市町村において、過去五年以内に工業等五業種以外の企業から立地の照会があったものというのが百二十九市町村で、二百八十三件あったということでありますので、地域の市町村レベルでそういう話、引き合いがあるということは、需要の裏返しではないかと認識をしております。

篠原(孝)委員 みんなにやってそれだけというのは、そんなに多くないと思うんです。とにかく両方お答えいただきたいんですけれども。

 では、具体的に、今ある五業種以外でどんなものがあって、それから、第三次産業、第三次産業と言うけれども、サービス業というのは具体的にどういうものが予想されるんですか、それで、どういうものが要望として上がってきているんでしょうか。

細田大臣政務官 今、齋藤副大臣の方から御説明を差し上げました昨年十二月に行いましたアンケートの調査結果でございますが、まず、製造業の関係でございますと、木質バイオマス発電等の電気業や農産物直売所等の小売業、あるいは情報通信産業などの引き合いがあったということでございます。

 また、農林水産業を核とした六次産業化の関連として、農家レストランあるいは農泊等の立地、導入というのも見込まれているという回答を得ております。

 特に、サービス産業ということであれば、今申し上げました農産物直売所、農家レストランあるいは情報通信業、医療福祉などの立地、導入の引き合いがあったという回答を得ているところでございます。

篠原(孝)委員 今、具体的な例示があった中で、農家レストランとか直売所というのはぴったしですよね、地域の農業をバックアップするというので。こんなのは今まで対象外にしている方がおかしいので、それはとっととやらなくちゃいけなかったんです。

 一九八八年に改正したときの附帯決議の中で、業種を拡大するんだといって書いておきながら、それから三十年たっているんですね。遅々として進まなかったんだろうなと思いますけれども、逆を言えば、そんなに需要がなかったと。

 工業団地というのは、どっちかというと、みんなそうですけれども、ちょっと中野のは違いますけれども、飯山の方のは離れたところにあるんですよね。だから、サービス業には向かないところに立地しているので、なかったんだろうと思いますけれども、そうでもなくて、だんだん住宅ができてきたりして、適地になっているところもあるんですね。そういうところを有効活用していけばいいんだと思うんです。

 次に、経産政務官にも来ていただいておりますけれども、ちょっとじっくり聞かせていただきたいので、きのうは大臣ともこれをやっていましたのでできなかったんですが、きのうの議論を紹介いたしますと、僕はしつこく、一点に集中して議論をしたんです。そこらじゅうに遊休工業用地が余っているではないか、それを有効活用しないで、何の縛りもなく農地法の特例を認めろ、それが法律に書いてある、こんな尊大な法律は許せない、一体遊休工業用地はどれだけ把握しているんだと聞いたんですが、数字は全然ないんです。

 A4の方の資料をちょっと見ていただきたいんですが、「空き○○の有効活用比較」というもの。みんな今、リフォーム時代ですし、あいているところはいっぱいあるんです。空き家、空き地、商店街もあいています。空き工業用地、そして空き農地。

 ところが、経産省は、あいている工業用地というか、全然把握していないんです。言いわけは、各県、市町村が勝手に工業団地というのをつくっている、それは把握できないと言うんです。それは怠慢だと思います。そして新しいところをと。まずあいているところを有効活用せよ、それを法文上書き込むべきだと。いやいや、法文上は書き込みませんけれども、国のつくる基本方針にはそれを明確に書き込みます、そういうなまくらな答えなんです。調査もしないのかということに対してぐちゃぐちゃ答えたので、何を言っているんだと言ったら、さすが大物大臣ですよ、慌てて手を挙げて、確実に調査をさせていただきますということになって、これは細田政務官はお聞きになっていたと思いますけれども。それはそうですよ。統計数値がなかったら先へ進まない。

 僕は嫌みを言ってやろうと思いました。それは控えましたけれどもね。どういう嫌みかというと、調査すると膨大な遊休工業用地が出てくるんです。さっき言いました。自分たちの責任じゃないと。責任じゃないというのは、新産業都市、三全総、四全総とか、あっちで勝手にやったので、経産省は手を染めていないと言いわけするかもしれませんけれども、苫東、むつ小川原が代表ですけれども、ミニ苫東、むつ小川原がそこらじゅうにあるんです。いっぱいあるので、一つエピソードを御紹介いたしたいと思います。

 私は、今は、全国各地へ行きますけれども、同僚議員の応援ばかりに行っております。しかし、農林水産省の現役時代は、いろいろ物を書いたりしておりましたし、ファンがそれなりにいましたので、土日に女房に怒られながら講演に行きました。それもなるべく小さな会合で僕の話を聞きたいというところへ、二十人か三十人のところを選んで行きまして、県庁所在地というのは避けました。それで現場を見せていただいてというのをずっと十年間ぐらい続けていたんです。今それができなくなって残念なんですが。

 そこでおもしろい質問を受けたんです。夜を徹して議論したりもしました。そういったときに、篠原さん、これから景気どうなるんだいと聞くんです。僕は、景気を聞くので、先ほど、どこだかわかりません、真山さんは福島で火事だと。火事だと、景気がよくなると御贈答用に高級な果物が使われるので、そういうのかなと思って答えたら、全然違ったんです。いや、景気よくなってもらっちゃ困るんだと言う。何でですかと聞いたら、工場用地をいっぱいつくったけれども何も来ない。草を生やすと、市長はでかい口たたいて団地をつくったけれども全然工場は来ないじゃないかとみんなに文句を言われている。だから、頼むからここで小麦でもつくってくれと言われて、十ヘクタール、何ヘクタールか忘れましたけれども、ともかく相当大規模な畑作、小麦をつくっていた。景気がよくなって工場がどんどん来るようになると、それをすぐ返さなくちゃいけない。返さなくていいように景気が悪いままの方がいいんだと言うんです。そういうのもあるんです。そこらじゅうにそうやって遊休農地があるんですよ。

 この数字、これの空きのところを見ていただきたいんですが、そうしたら、三、四日前に、真ん中です、総務省が、これも自分の仕事の延長線で、地債でもって土地開発公社の抱えているお金を工面していいということになって、余りにもひどいのでというので調査している。保有金額、こちらの方に興味があるわけですけれども、保有面積で六千百ヘクタールで、五年以上保有、十年以上保有、つまり、どうして役人言葉で、本当は遊休で何にも使われていないと書けばいいのに、遠い言い回しでこうやってちょろまかしているんですね。何にも使われていないのがあるわけです。これがまたおもしろいんですが、五年以上と十年以上、ほとんど変わらないですね。五年以上になったらもう十年以上になるのは運命づけられているという証拠なんです。使われていないんです。隠れた遊休地がいっぱいあるんです。

 ですから、農林水産省もぜひ知っていただきたいんですが、まず、この法律、いいですよ、やるんだったら。しかし、今あいている遊休、千四百三十三ヘクタールを把握しているんです、それだけ立派だと思いますよ、これをまず使うということ。遊休農地も活用するというのは、もう農地中間管理機構等でやっています。だから、農林水産省の方がずっと姿勢として真面目ですね、自分たちの所管するところを使おうと。経産省はつまみ食いです。あとは知らぬ、これは無責任きわまりないんです。その無責任きわまりない役所に突然政務官として赴任されて、びっくりされているだろうと思います。愛媛県の真面目な人たちばかり相手にしてきたのにと思いますけれども。

 まだ参議院があるので、僕はしつこく参議院で法案修正してもらいたいと思っていますけれども、法文上、遊休工場用地を最優先使用すべきだ。どうしてそれを言うかというと、これを使っちゃいけないとまで言わないと思う。どうしてもとなったらやってもいいけれども、姿勢として、余っているところを絶対使うべきだと明確に書けない。

 きのうは、ぐじゃぐじゃ言って、これについてはさすが大臣、お答えになりませんでしたけれども、今は大臣になりかわって、経産省の見解をお聞かせ願いたいと思います。

井原大臣政務官 お答えを申し上げます。

 私も経済産業政務官をさせていただいていますが、大臣と同じ農業の、四国の出身でありまして、そこで市長をさせていただいていたので、先生の先ほどのお話の、農地の重要性というのは非常に理解と、そしてまた、懸念については十分理解しているところであります。

 そこで、一つは、昨日の委員会に引き続いての、おさらいということにはなりますけれども、地域未来投資促進法案ということですが、まず、基本的なフレームとしては、しっかり農林水産省とも連携をしながら、法律上の枠組みの中で、農業上の土地利用との調整のための仕組みを導入しているということ。二点目に、国の策定する基本方針において、優良農地の確保を明確化するということといたしております。

 具体的には、かなりフィルターもかかっております。法律上の枠組みとして、国の基本方針に都道府県及び市町村が作成する基本計画が適合することを確認すべく、基本計画は主務大臣の同意を得ることが必要とされている。同様に、国の基本方針等に市町村が作成する土地利用調整計画が適合することを確認すべく、都道府県知事への同意を得ることが必要とされています。

 その上で、法律上、これらの基本計画及び土地利用調整計画は、農業振興地域整備計画との調和が保たれたものでなければならないということは、これは明記をするということになっております。

 そこで、先生が御指摘されている遊休地等について、法律の中に書き込めないか、こういう話になってくるわけでありますが、この枠組みの導入の中で先生が御指摘されていることは、昨日、世耕大臣がお答えをしたと思いますが、法律の文案ではなくて、国が定める基本方針の中で明確化するというふうなことを答弁させていただいております。

 農用地区域外での開発を優先するなどの言葉を明記せよということでありますけれども、土地利用の調整に関しては、御指摘の内容以外にも、例えば環境の保全とか国土形成計画等との調和などのさまざまな観点から、具体的な記載が必要となります。その全てを法律上記載せずに、一部の優良農地の確保に関する内容のみを例えば記載するということでは、バランスを失するというふうに考えております。

 他の立法例におきましても、具体的な土地利用の調整に関する考え方は、一般的に法律上には規定されておらず、これらについて法律上明記すべきものではないというふうに考えております。

 なお、昨日、先生からの御指摘をいただいて、経産委員会での御議決をいただくときに、本法案附則の修正により、「政府は、土地利用の調整の状況について検討を加え、優良な農地が十分に確保できないと認めるときは、所要の措置を講ずるもの」というものを加えたところでございます。

 以上でございます。

篠原(孝)委員 おさらいの答弁でしたけれども、全然進捗ないんですね。だめですよ。

 それで、僕は不思議なのは、これは農林水産省として姿勢をちゃんと明確にしなくちゃいけない。

 今、ほかの前例の法律と言いましたけれども、前例の法律は、これは福島議員がきのうの委員会でも指摘しているんですが、農業の健全な発展とかいうような、いろいろなところに書いてあるんですよ。そういうのが大半なんです。そんなことは地域未来投資促進法には何も書いていないんです。それで優遇しろという。これはやはり農林水産省の姿勢として問題で、こういう前例があるからといって、これからもこんなことばかり行われるんじゃないかという気がしているんです。

 なぜこれを心配するかというと、またこの一番最初の表に戻っていただきたいんです。下の農地面積のところを見てください。

 日本の農地面積の推移。一番右側、日本は五十五年前と比べて七四%、二六%農地面積が減っているんです。フランスは八三%、イギリスは八七%、どこの国も減っちゃっていますけれども。ただ、左側のイギリスのところを見てください。イギリスはふえているんですよ。減り方も、もともと日本はフランスの農地面積の五分の一か六分の一、イギリスの四分の一か五分の一。ずっと守らなきゃいけないのに、ルーズだと。

 それから、各関係県。高知県は半分になっちゃっているんです。これは乱開発じゃないんですね。千葉県が相当、東京に近いところは農地なんかすかすかになってだめになっているかと思ったら、房総半島の先の方は違うんですよね。六五%を維持している。長野県も、高知県よりかましですけれども、五八%になっている。

 長野と高知に共通なのは、もう農業をやれなくなって、ほったらかしにされてしまったところなんです。一番悲惨なんですね。住宅とか工場用地というのは、工場用地と道路というのはかつては物すごく多かったんですが、それは少なくなっているはずなんです。高知県に工場用地がそんなに必要なわけじゃないですし、宅地もそんなにあるわけじゃないですから、荒廃農地なんです。これは政治家の怠慢ですよね。そこの選出の議員も余りちゃんと働かなかったからかもしれないんです、私も含めてですよ。本当にここはよくないと思うんです。ですから、ぎちっとやっていかなくちゃいけないんです。

 ちゃんと各省折衝、役所の課長補佐クラスがやったりするんですけれども、農林水産省として政務の皆さんも目を光らせていなくちゃいけないと思うんですが、副大臣か政務官、目を光らせておられたんでしょうか。

 なぜ副大臣、政務官と言うかというと、両方の立場、両方のいろいろなものがおわかりになる方だから言っているんです。今、農林水産省の副大臣であり、政務官なんですから、圧倒的に、我がサイドに立ってやっていただかなくちゃいけないんですが、ここはどうなっているんでしょうか。

細田大臣政務官 今先生から御指摘があったとおり、農林水産大臣政務官として、優良農地の確保には全力を尽くさなければならないというふうに考えております。

 さらに、その前提に立って、地域未来投資促進法案について申し上げれば、先ほど先生から幾つか、農林漁業の健全な発展という文言がないのではないかというような御指摘がございましたけれども、地域未来投資促進法案においては、都道府県等が定める基本計画及び市町村が定める土地利用調整計画の農業振興地域整備計画との調和というのが明記をされておりまして、私どもとしては、非常に強い土地利用調整のための仕組みが実態的に明記されているというふうに理解をしているところでございます。

 法案そのものの検討においては、経済産業省から当省に対して、農地法等に係る配慮規定を設けられないかという御相談がございました。

 私どもとしては、今申し上げました丁寧な土地利用調整を図るための計画制度を実態的に規定するというようなこと等々を前提として、農地法等に係る配慮規定を設ける検討に協力を行ってまいりました。これは十七条でございます。

 この結果、地域未来投資促進法案は、これは昨日の経済産業委員会の質疑でもいろいろな御説明があったところでございますけれども、優良農地の確保を基本としながら、地域の成長発展の基盤強化を図るものになっているというふうに考えております。

篠原(孝)委員 ちょっとなまくらな対応ですね。

 では、ちょっとお伺いしたいし、僕は今回ので感心したのがあるんです。地域創生関係ですよ、地方創生。山本幸三大臣のところで検討会を同じようにやっていたと、一年間。どういうのかというと、やはり地域雇用ですよ。地方大学の振興及び若者雇用に関する有識者会議、これは、まち・ひと・しごと、ちょっと順番を忘れちゃいましたけれども、そこの中で、一極集中を避けるというので、三十万人の若者の雇用を創出する、東京への集中を抑えるんだ、二〇二〇年までに東京の出入りをゼロにするんだと。今はちょっとずつふえている。だけれども、また最近、東京の一極集中が始まっているんです。首都圏の一極集中はもっとですけれども。それを直そうとしているんだけれども全然直らないということで、数値目標を見直すことにしておりますけれども、その一環として、立派だな、やればできるんだなと思ったんですけれども、二十三区内の大学の定員をもうふやしてはいけない、もし新しい学部、新しい学科をつくるんだったら、既存の学科・学部の人数を減らして、スクラップ・アンド・ビルドしなくちゃいけないと。

 それで、きのう農業新聞にも出ていたんですけれども、そうしたら農業新聞に詳細なことが書かれている。不思議だなと思いますけれども。それを法定化すると。要するに、政策はあめ、補助金でこういうふうにやったりした方がいいですよというものと、むちでもってこれはだめだというもの。私は、農地を潰してはならないというのはむちで、絶対にしなくちゃいけないと。

 それを、山本幸三大臣は、ちょっと聞いていないんですが、アメリカにちょっと日米議員交流プログラムというので行っていて一緒だったんですけれども、これは知らなかったんですけれども、今度会ったら、励ましというか、ぜひちゃんとやってくださいと言おうと思っています。これで十分、学芸員をないがしろにした失言を取り消していると思います。コンペンセーションしていると思います。なかなか大したものだと思います。ぜひ、こういう思い切ったことが必要なんです。

 どうしてかというと、若者云々というのが定着しないし、仕事といったら、やはり仕事の前に大学。長野県は、残念ながら、高校卒業生の流出率が全国で五位、五番目に、県外に行くのが多いんです。一番が何と和歌山県だったんです。長野県は教育熱心なのにかかわらず大学がないので外に行かなくちゃいけなくて、帰ってこないというのが拍車をかけているんですね。それに歯どめをかけるというのは非常に立派だと思いますよ。

 そうしたら、農林水産省はどういうふうにするか。農林水産大臣も、TPPをめぐっては、農民がぎょっとするようなことを、私がぎょっとするようなことをいろいろ言っておられたんです。ぜひ、大臣、ずっとやっておられるわけですから、農村のために、農業のために思い切ったことをしていただきたいと思うんです。

 そうしたら、資料の中に、農地中間管理機構関連事業を実施した農地は本法の産業導入地区に含めるのは適当ではないというふうに書き込むと。何を言っているかと。適当ではないじゃない。そんなことを言っているんじゃなくて、もう農地中間管理機構でやって土地改良で投資したところは、絶対こんなところをほかの産業の導入云々なんというところに使っちゃいけないというふうに私はすべきだと思います。

 これは大臣じゃなくていいです、副大臣でいいですから。どうしてこういうことを、自分の役所のできることなのにしない。地方創生、必死なわけです。大学生はこれ以上東京に来なくていい、そのかわり地方をやるというので、長野は、長野大学という上田にあったのを公立大学にしています。諏訪理科大学というのも公立大学にする。公立偏重がある。それから、ほかにも、新潟薬科大学というのが長野に薬学部をつくりたいとかそういうのがあって、それをみんな受け入れるようにしています。二年の短大、長野県立短大を四年の県立大にすると、一生懸命やっています。

 そういうことが必要だと思うんです。農林水産省ももっとぴしっとやって、だめというのをほかの省庁にきちっとやっていただきたいと思うんです。まして、中のことで、農地中間管理機構でやっているところは適切じゃないじゃなくて、これは一切産業導入地区にしてはいけないというふうに運用してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

齋藤副大臣 法律のたてつけに従ってお答えしたいと思いますけれども、国が策定する基本方針、ここにおきまして、今般の土地改良法改正案に基づいて農地中間管理機構関連事業で費用負担を求めずに事業を実施した農地については、農地中間管理権の存続期間中は産業導入地区に含めないとはっきり基本方針に明記をしたいと思います。

 法律のたてつけがありますので、都道府県が策定する基本計画には国への同意協議がございますので、主務大臣がこの基本方針に都道府県の基本計画が即していることを確認いたします。それから、市町村が策定する実施計画については、同意協議を通じて、また都道府県が基本計画に即していることを確認するというたてつけになっております。

 したがいまして、今般の土地改良法改正案に基づいて農地中間管理機構関連事業を実施した農地につきましては、農地中間管理権の存続期間中は産業導入地区に含まれることはないということになる、この点につきましては、篠原委員と同意見でございます。

篠原(孝)委員 三重丸の答弁ですね。経産省の地域未来投資促進法にもそれを明記するように言ってください、絶対に同じように基本方針に書いてそうするようにと。そういうふうにしていかないとだめですよ、バツになる。

 質疑時間、五分前ですけれども、ちょっとお許しをいただいて、村岡さんから長くやってもいいと言われていますので、委員長、お願いいたします。

 それで、もっと意欲的に取り組んでいただきたい。ここからは大臣です。提案いたしますから、ちゃんと答えてください。山本幸三大臣はちゃんとコンペンセーションしたんです。山本有二大臣もちゃんとコンペンセーションしていただいて、リカバリーショットを打っていただきたいということで、提言いたします。

 私は、農林水産省がやるべきことをもっとちゃんと早くやってほしい。やはり地域資源というか、地元のものを活用してやっていくということをすべきですよ。それだったら、人のふんどしで相撲をとるみたいな感じじゃなくて、自前でやる。産業を興すんだったらこうだと。

 文章はちゃんと書いてあるんですよ、まち・ひと・しごと総合戦略のところで。そこから引っ張ってきて、活力ある農山漁村づくり検討会報告書があって、農山漁村のところで、「地域資源を活かした雇用の創出と所得の向上」「農林水産業の関連産業を農山漁村に取り込み、「むら業・山業・海業」の創出を図らなければならない。」あんまり変な言葉だと思いますね、これは。

 つまり、農林水産業の関連産業を農山漁村に取り込む、そういうことを考えたら、そんな五業種をほか全産業に広げるというのも、それは必要じゃないとは言いませんけれども、第一に六次産業であり、あとは、今、議員立法でやろうとしている。同僚議員の務台さんが一生懸命やってきて、僕のところにも相談に来るんですけれども、農山漁村の体験学習ですよ。これとか、今、民泊、民泊なんて言っていますけれども、はるかかなた昔から農家民宿、漁家民宿があるんです。

 資料の二ページのところを見てください。

 済みません、経産省はいつも遅いんですけれども、答弁者が夜中にしか来なかったので、網かけしてありませんでした。愛媛県のところを網かけしなくちゃいけないんですけれども。僕はびっくら仰天しました。農家民宿、漁家民宿、どれだけあるかといったら、これっぽっちしかないんですよね。

 さすが我が長野県は立派です。全国一、農家民宿が多いんです。私なんかは、政治家になりたてのころ、これを規制緩和でやるようにと一生懸命やったんです。その成果が多少あらわれているんです。だけれども、ほかはこれっぽっちしかない。

 高知県は二十四。山本大臣の地元に私も行ったことがあります。四万十川。

 中国人は爆買いに来るばかりじゃないんです。もうわかった人たちが、日本の美しい自然、おいしい食べ物、そういうところに興味を持ち始めているんです。そういうところで滞在して、ゆっくりして、日本の自然を味わっていきたい、そういう方向になっているのに、全然そういうことをしていないんですよね。

 何で、全産業に拡大するとかいう前に、農業体験で小学生、中学生に一週間泊まってということを、そっちをしないのか。何で民泊、民泊って、それで言っていたら、あっちの言葉に引っ張られて農泊とか言っている。やめてください、農家民宿、漁家民宿と昔から言っているんですよ。民泊と同じようにいかがわしいものもいっぱい入っていると思われますから、農泊なんて使わないで、農家民宿というのでこれを振興してください。

 どうしてかというと、ここから聞いていただきたいんですが、僕の話を聞きながら、この三ページ目と四ページ目の二十年前の日経の一番後ろの文化欄の、フランスの農家民宿、人情三つ星というのを読みながら聞いていただきたいと思います。

 フランス政府はどうしたかというと、中山間地域の振興に、私が一生懸命やりました農業者戸別所得補償、これで、地域でもう中山間地域はやっていけないから、百万、二百万の単位で所得補償をしているんです。だから、あちらには限界集落がないんです。

 そればかりじゃないんです。自前で食べていけるようにというので農家民宿を奨励しているんです。奨励の仕方も、百万、二百万の直接所得補償だけじゃなくて、半端じゃないんです。私は調べてきて、そして、やろうと思ったんです、フランスにいたときにいっぱい行きましたので。どうしているかというと、びっくら仰天です。五百万の無利子融資です。いいですか、よく聞いてください、無利子の融資。

 それで、ちょっとこの数字は正確じゃないですけれども、五年間か十年間で百人だか、毎年五十人だか忘れましたけれども、ともかく数字があるんですが、それをやったりしたら返還しなくていいということなんです。どうしてかというと、自分の家の新築にだけ、改築にだけ使っちゃう悪い人がいるので、そうじゃなくて、それでどういう判断かというと、美しい農村の癒やし、それを都会の皆さんに提供する、それだけでもいいと。それで収入にもなるということ。それを今百人だとしたら、百人で五百万だって安くない。一人受け入れるのに一万の補助と同じなんです。都会の人たちもそれで楽しく過ごしていく。

 二十数年前の数字ですけれども、フランスの国内旅行の四分の一は農家民宿を利用しているんです、特に家族連れは。一週間単位の休みがとれるというのもあるんですね。こうしたことが日本ではほとんど行われていないんです。需要はいっぱいあるんです。足りないのはバックアップなんです。

 大臣、これについてどのようにお考えになりますでしょうか。

山本(有)国務大臣 しばしば篠原委員に高知県への激励をいただきまして、ありがとうございます。

 自慢にはなりませんが、鉱工業出荷額、全国統計で順位をつけますと、四十五位が沖縄、四十六位が徳島、四十七位が徳島の半分でございます高知県であります。つまり、鉱工業ではまるっきり農村振興も地域振興も都市振興すらできないという宿命化された高知県でありますから、この意味では、農工法の改正で、ありとあらゆる産業、何が何でも地域振興しようということの手だてという意味では、私は、この法律は我々高知県におきます一つの時代の変化に応じた救いの手というように考えるところでございます。

 また、先ほど篠原委員からの御指摘でございますが、農家民宿あるいは民泊、こういったもののニーズというのは少しずつ、力強くふえているというように思っております。

 中川昭一農林大臣のころ、息子さんが小学生、その小学生が高知県土佐清水に宿泊するということを昭一大臣から聞きまして、何で高知県に来るの、こう言いますと、慶応義塾幼稚舎のいわば授業で、幼稚舎の全員が漁村に行って宿泊するということ、船で太平洋をずっとめぐっておられました。土佐清水市窪津の漁協の組合長の家に中川さんの息子さんが泊まって、そのことにおいて、ずっとそうしたことをやろうという風土が清水の窪津では根づいております。

 そんな意味では、私ども、地域がもう一回再生するときのよすがに必ずなるだろうというように思います。

 つい最近、四万十川の上流の旧西土佐村というところで、奥さんが、もうそろそろ定年になったから家に引っ込んでいようということで、夫婦ともに七十代なんですが、民泊を始めました。そうすると、大阪から来た方が子供を連れてずっといたいということになって、子供が絶対に大阪へ帰らないというように宣言をしながらずっといて、だだをこねるぐらいそこを気に入った。何にもないところですよ。本当にただの田舎というか、僕らが魅力を感じないところを感じてくれる、そういう方々もたくさんいられるということを私も実感しておりますので、これからではないか。フランスぐらいの、そういう休みが多い、そして、学校も休みで会社も一緒に休めるというような風土、文化があるような時代になれば、私は可能ではないかなというように思っております。

北村委員長 篠原君ですが、各委員にその前に申し上げます。

 会派持ち時間の割り当ての中で時間調整をしておりますことを、この際、御報告を申し上げておきたいと思います。

篠原(孝)委員 委員長、御配慮ありがとうございます。

 大臣の言われたとおり、大臣もいっぱい感じられることはあるんだろうと思います。今言われたのは、デュアルスクールというんですね。デュアルライフというので、月曜日から金曜日までは東京で仕事をしているけれども、土日は山梨や長野のところ。これは、フランスではもうとっくの昔から定着しているんです。ところが、これでデュアルスクールというので、今大臣が言われた子供さん、お孫さんが来たら、もう東京の学校に行くのは嫌だ、ここでおじいちゃん、おばあちゃんとずっと学校に行きたいと言う。僕は、子供たちにとってはその方が幸せだと思います。多分、中川昭一ジュニアは非常に立派な、いい子に育つんだろうと思います、そういう経験をしているので。ですから、こういうことをやっていただきたいと思います。

 だから、お約束いただきたいと思います。来年は、農家民宿、漁家民宿促進で、農山漁村体験というのも含めた法律をぜひ、一年間検討して、やっていただきたいと思います。やったらできるんです。そうしたら、全然違いますよ。そんな山のところで、何にもない山奥のところ、僕は、山奥のところの方が景色がいいですし、いいんですよ。真っ平らなところが平たんで農業には向いていますけれども、そういう農家民宿には向いていないんです。ぜひそれをやっていただきたいと思うんです。

 この文章をお読みいただきましたでしょうか。これはネタをばらすと、ばらしちゃいけないと言われているんですけれども、見ればわかるんですけれども、私の女房が書いた文章なんです。

 私は、本当は農林水産省の現役の役人のときにこれをやろうと思ったんですが、帰ってきてこういうのを、水産庁企画課長となって二百海里とかやっていて、これをやっている暇がなくて、それで今、国会議員になっちゃっている。だから、心残りなんですよ、これ。私が大臣になったらすぐこれをやるんですけれども、そういう状況になっていませんので、大臣にはぜひやっていただきたいと思います。

 もう一つ、具体的な提案。逆転の発想でやってください。さっき言いましたように、そこらじゅうに遊休工場用地がいっぱい残っているんです。真っ平らです。整地されています。水を持ってきて田んぼには復帰できないでしょうけれども、日本の自給率が低い麦か大豆、菜種はつくれるんです。ぜひ逆転の発想で、こういう用地を農業に活用していくんだ。ほったらかしになって、草ぼうぼうなんです。中山間地域の草ぼうぼうのところは、じいちゃん、ばあちゃんばかりでできないですけれども、平らなところ、工場用地ができているところはできるんです。これを逆に攻勢に出て、ここを麦、大豆、菜種、ソバをつくらせろと言ってやるようにしていただきたいと思う。

 これについてのお答えをいただいて、質問を終わらせていただきます。

山本(有)国務大臣 対象業種の限定の廃止にあわせまして、優良農地を確保する観点から、農用地等との利用調整、これをしっかり行う必要がございます。国が策定する基本方針、あるいは産業の立地に当たっては造成済みの遊休地の活用を優先するということを書き込んでまいりたいというように思っております。

 さらに、なお、実施計画面積と立地済み面積の差、四千七百九ヘクタールのうち、千四百三十三ヘクタールについては造成済みでございます。農地に戻すことはこれは困難でございますが、それ以外の三千二百七十六ヘクタールにつきましては未造成の土地でございます。これまでにも、実施計画を縮小して、農地として利用している例もございます。

 また、この改正法で農地転用を伴う農業用施設の設置も可能であるということから、植物工場などの利用あるいは立地ということも有効だろうと思っております。

 いずれにしましても、この農工法の改正法案のもと、国が策定する基本方針に基づく適切な土地利用調整を通じて、優良農地を確保し、そして遊休地の活用も図ってまいりたいというように思っております。

篠原(孝)委員 ありがとうございます。その意気でやっていただきたいと思いますが、農林水産省の所管なのは当然ですけれども、全然農村に対する温かい思いやりのない経産省やその他の省庁にも、あいている土地はちゃんと農業に使わせろという姿勢で臨んでいただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 民進党、秋田県出身の村岡敏英でございます。

 篠原教授の後に質疑をさせていただきます。

 十八分となりましたので、大臣、よろしくお願いしたい、こういうふうに思っております。

 先ほど篠原先生が、経産省の、いろいろな名前、新産業都市建設促進法とか工業再配置促進法、テクノポリス法とか、いろいろと、この名前の変遷というのは何か日本歌謡史みたいな感じで、そのときそのときにはやりを追ってやって、それで、私も部門会議で聞くんですが、それなりに成果はあった、それなりにというんですね。では、何かこのことによって都市と地方の格差が縮まったとか、その地域がどういう職業構成になって変わっていったとか、それは何の分析もしていない。そして、新しいことだけ目指す。

 結果、これまで、私の秋田でもそうですけれども、多分、全国各地で工場団地をつくって、もちろんそれなりに工場が配置されているところもありますけれども、全く来なかったところ、それから撤退したところ、たくさんまだまだあると思うんです。ただ、過去の実績をつかまないで全部ふたをしてしまう。それでは、実態をつかんでいないで新しいことを行おうとしているんじゃないか、こういうふうに思わざるを得ないところがあります。

 その意味で、経産省のこれまでのいろいろな対策は別にして、農工法のこれまで果たしてきた役割、そしてどのような結果だったのかということをもう一度改めて山本農林大臣にお聞きしたいと思います。

山本(有)国務大臣 高度成長期にありました昭和四十六年、国土の均衡ある発展の観点から、太平洋ベルト地帯以外の地域への工業再配置の政策が講じられるその一方で、農業、農村サイドからは経営規模の拡大等、農業の構造改善を図る必要がありました。

 このため、工業を農村地域に導入するということによって、農業従事者等、農村地域の地元住民の雇用を創出して、これと相まって農業構造改革を促進するための措置を講ずることによって、農業と工業との均衡ある発展を図ることができるというようなことを目的として農工法が制定されました。

 これまで三十五の府県及び七百三十一の市町村が農工実施計画を策定しておられまして、一万九千四百十四ヘクタールに立地が済んでおりますが、八千九百二十一社の操業、六十一万六千人の雇用が生まれたわけでございます。

 しかしながら、我が国の産業構造の変化がございました。工業から第三次産業へと重心が移動いたしまして、工場立地面積も平成二十七年には平成三年の四分の一に低下をしております。最近の農工法の活用を見ますと、農工実施計画の新規策定数が一桁台で推移するとともに、工業用地として造成されたものの活用されていない農地、いわゆる遊休工業用地が千四百三十三ヘクタール存在しているということにもなってしまいました。

 このため、農村地域の就業機会を確保する、そして農村の振興を図るという観点からこの法律の改正をしていくわけでございますが、今までの役割が十分かなえられ、そしてやがて終わろうとしているというように捉えているところでございます。

村岡委員 私も、実は秋田の中で、私の地元の地域は、この農工法というのは成功している方だと思うんです。

 というのは何かというと、TDKという会社があります。創始者が、にかほ市という、私、由利本荘市とにかほ市が地元ですけれども、ずっと創始者の方が、衆議院議員もやられて、科学技術庁長官もやって、農工一体というのを訴えて議員もやられていて、それでTDKのマザー工場もあるということで、いろいろな、バブルが崩壊しても何にしても、創始者のところだというので残っていて、農業だけではなかなかこれは飯を食えない、工業もしなきゃいけないという理想のもとでやっています。ところが、違う地域はやはりそうはいっていない。創業者の志とかそういうことで。

 そういう部分でいくと、今成果があったということですけれども、役割もその部分では変えていかなきゃいけない、確かにその面もあります。しかし、今、農業、農村社会の実態は、もう六十五歳以上になって、もう人手不足になっている。そして、地域から例えば農業をやっていない人をその農村社会に残ってもらうために雇用機会ということなんですが、実はなかなか、地方に来る企業で、その企業に勤めて、その給料で結婚して子供を産んでというほどの企業が、実態は来ていないんですよ。

 それをどういうふうに考えられているか、大臣でも副大臣でも、お願いしたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 農工法でございますけれども、農村からの人口流出を防止して定住を促進する、それとともに、都市から農村への人口流入を図るために、さまざまな農業者あるいは地域住民が地域で暮らし続けられるように、地域資源を活用した産業、地域の立地ニーズのある産業などの立地や導入を促進しようとするものでございます。

 市町村が定めます実施計画におきましては、農業従事者の安定した就業機会の確保に資することとされておりますけれども、この導入産業の雇用対象、必ずしも農業従事者に限定されるものではないと考えております。

 例えば、新たな就業機会が確保されなければ農村から出ていかなければならないといったことが懸念されるような方ですとか、就業機会があれば都市から農村に移りたいといったことが期待される人、こういった人たちが想定されるのではないかというふうに考えております。

 このような方々の就業機会が確保されるようにすることによりまして、移住の促進などとあわせて、農村の振興が図られるのではないかというふうに考えてございます。

村岡委員 文書を読んでいただきましたけれども、実態は、先ほど、農工一体の部分が非常に進んでいる、こういうふうに私の地元の地域は言いました。でも、それは農業と工業両方の収入で何とかやっていけるんです。ところが、その農村社会にいる人が農業をやらずに、ただ単に工場が誘致されて、そこに勤めて、例えば幾らというのは余り言いたくないですけれども、非常に安いんですよ、実は。ですから、考えていることが、実態のところを見に行っているかどうかなんです。

 きのう、全国、農業新聞の九十周年で、大臣がいい挨拶をしました。ネクタイを外して農政をやらなきゃいけない。そういう意味では、農林省の人たち、文章は考えているけれども、実態、行っていますか。これまで農工法である一定程度の役割をした、それはどんな状況なのか。農業と工業両方の収入で何とか家族で過ごしてこれた。それが、農村社会の人たちが、その来た企業だけで、結婚して子供を産んで、そういうことができるかどうかという実態を見に行かなきゃいけないんです。頭の中で考えているだけじゃないか、こう思っています。

 大臣、篠原教授のときは四万十川の件で非常に生き生きとして、書類を見ないで話していましたので、そのことをどう思いますか。実態、政治家ならある程度わかると思うんですが、どうでしょう。

山本(有)国務大臣 先生のところも立派な経営者が生まれて、私のところも生まれまして、岩崎弥太郎さんの御子孫に三菱電機の誘致を頼んだら、来ていただきました。また、南国市で頑張っておったカシオさんに頼んだら、カシオの工場もつくってくれました。今、二つともありません。ですから、なかなか厳しい現実の中で、海外に工場が移転する、そういう今の産業のあり方の中で、農業と工業が相携えてダブルの収入で何とか地域に残るというようなことが不可能になってきつつあるということは、現実そのとおりでございます。

 しかし、また他方で、何とか工夫をしながら、道の駅に出荷しながら、あるいは、子供さんが少し遠いけれども高速道路がついたので高知市まで働いてやがて四万十へ帰れるんだというようなことで、工夫しながらやっておいでるというその努力は、やはりこれからもあるだろうというように思います。

 それを支えるために、何とかこうした手段で可能となるような地域社会、特に農村振興、農村の活力、こういったものを図るということが、最も大事なこの法の目的ではないかというように思っております。

村岡委員 ぜひ農林省の方も、そういう実態を、現場を見に行ってみてください。

 大分、十年、二十年前だと、出稼ぎも冬は来ていたんですね。でも出稼ぎもほとんど行かなくなったんです。その理由は、大企業の中で季節労働者というのも余り採らなくなったんですね。それとともに高齢化になった。

 いろいろな実態が実際に変わっていることを見た上で政策をとっておかないと、せっかく農林省、先ほど篠原さんは褒めていました。経産省と違ってしっかりと政策をやって、結果も、そしてその後のフォローもしていると。ところが、これが全くだめになる可能性がありますから、生かしていくんだとすれば実態を見に行ってください、いろいろな県の農村社会。そこが大事だというふうに思っていますので、その点はお願いしたい、そう思っております。

 それで、次になりますけれども、先ほど私自身から、農工の均衡ある発展ということを言っています。その農工均衡ある発展、また雇用構造の高度化とかいうのを書いていますけれども、これはどんなことを意味しているんでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 目的規定にございます雇用構造の高度化でございますが、この雇用構造の高度化とは、生産性の低い部門から高い部門へ労働力の移転を図るという意味でございます。

 より労働生産性の高い業種の導入を促進するという考え方は、今回の法改正の前後で変わるものではございませんので、導入すべき産業を具体的に選定、決定する際の指針とすべく、引き続き、この雇用構造の高度化といった文言を目的規定に規定しているというところでございます。

村岡委員 雇用構造で効率いい企業をということなんですけれども、どんな企業を一体想像しているんですか。

佐藤(速)政府参考人 これから市町村が実施計画を策定するに当たりまして、立地、導入する産業の種類ですとか規模ですとか、そういったものをこれから市町村を中心に検討していくことになるかと思います。そのときに、雇用構造の高度化に資する産業なり施設の立地、導入、こういうことを考えていただく、そのための指針として、この雇用構造の高度化というようなことを念頭に置いてやっていただくという趣旨でございます。

村岡委員 先ほども出ましたけれども、市町村にアンケート調査をとって、工業等五業種以外のものということで、電気業というのが九十三件ということで一番多かった。木質バイオマスとかそういうのもあるんですけれども、太陽光なんていったら、これは農地の優良地の、一番いいところが一番日差しがいいわけですね。これは何も高度化の産業じゃないんです。こういうのを求めてくるんですよね。太陽光というのは全国でもいろいろな会社の方が手がけていますよ。これは優良農地を狙っているしかないんです。日陰のところなんかは行きませんから。

 そしてまた、その中で、小売業の農産物直売所、これは全国に出ていて、大臣からお話があったように、非常にいい試みを、自分のつくったものがどのぐらいの値段で売れて、どんな評価を得ているか、これがわかるということは非常に、昔の、市場に農家の人は出していた、それが当然だったのが、なぜか自分のつくった生産物の価格も味の評価も評判も何も聞かなかったのとは変わって、これはよくなってきたことです。

 だけれども、コールセンター、これも別に悪い仕事と言ってはいません。やはりこれは利益率は余りないので給料はなかなか抑えられる。そしてさらに、産業廃棄物処理業なんというのも求めているというのがあります。そういう意味で、高度化のものが来るかどうかというのは、市町村も非常にこれは厳しいと思うんですね。

 この辺のところを、農林省が国としてこの政策を進めていくときに、各都道府県が計画を立てることはもちろんわかります、どんなフォローをしていきたい、こう思っていますか。

佐藤(速)政府参考人 実際に市町村が産業を導入するに当たりましては、農山漁村振興交付金などによりまして、なるべくそういう雇用構造の高度化に資するような施設の支援、こういったものに努めてまいりたいというふうに思っておりますし、また、市町村におけます実施計画のフォローアップ、これを国としてもしっかりと行う。そういう市町村がみずからフォローアップといいますか定期的に評価をする、それを県を通じて国もフォローアップする、そういったことにつきまして国の基本方針にしっかり書き込んで、委員御指摘の雇用構造の高度化の観点からのチェックも含めまして、しっかりとフォローしていきたいというふうに思っております。

村岡委員 その点が大変心配ですけれども、これはもう本当に、農村社会が崩れていくのをそのまま見過ごすわけにはいかないわけですけれども、そういう、企業がしっかりと農村社会で一緒になってやっていけるのかどうかというのは不安ですけれども、その辺のフォローアップはしっかりしていただきたい、こう思っています。

 このフォローアップで、農工法から離れます。

 規制改革会議の農協フォローアップ、これは大臣にお聞きしたいんですが、この規制改革会議というのはフォローアップする権限があるんですか。

山本(有)国務大臣 広く一般的、抽象的に、国の制度、仕組みについてのPDCAサイクルを回すという意味では常にフォローアップをしていただいているという認識でございますが、個別の農協についての、農協が改革する、あるいは全農が改革するということについての具体的なことについてのフォローアップは、私ども農林水産省とともに情報交換しながらやっていくというたてりになっているというように考えております。

村岡委員 もう時間が参りましたので、きょうはこれで終わりますけれども、このフォローアップも、規制改革会議、農協ももちろんです、それから、きょうの新聞で、漁業に関しても規制改革会議が何か入り込んでくると。

 これが、きのう、農業新聞で、大臣はお忙しいからお帰りになったと思いますけれども、各テーブルを回っていると、規制改革会議って何だと。規制改革会議のメンバーになった方が国会議員になるよりも大臣になるよりも、そしてまた農林省の役人になるより、そっちの方がいい、国会議員なんか何のために必要なんだ、こんなことも言われました、テーブルで。

 その点を最後申し述べて、やはり農林大臣、農林省そして農林水産委員会のメンバーがしっかりと農業を引っ張っていく、また林業、漁業をと、こういう思いでやりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 きょうは農工法の改正案審議ということですので、通告に従って、その中身について質問をしていきたいと思います。

 農工法ですが、御存じのように、制定は一九七一年です。余談ですが、私も一九七一年生まれです。まあ、それだけの話なんですが。ですから、高度成長期において、農業と工業の均衡ある発展を図る要請から、農村地域における工業の立地を促進して新たな雇用を創出するものとして制定されたわけでありました。

 それで、一九八八年に改正が行われて、このときに現在の五業種、工業、道路貨物運送業、倉庫業、こん包業、卸売業に業種指定が拡大されたわけです。当時ですけれども、我が党は、農村地域での切実な雇用への要求から見て、賛成いたしました。しかし、この二十年間の検証は必要であるというふうに思っています。

 そこで、初めに何問か、この間の経過を、数字も含めて質問したいと思います。

 先ほどからも出てきていますが、まず、農工団地における企業の立地動向の推移について、前回改正以降、三十年の範囲で結構ですから、新規立地及び撤退数の両方について傾向を述べてください。

佐藤(速)政府参考人 平成二年から平成二十年までの間の動向でございますけれども、新規立地企業数、平成二年は約七百社でございました。平成七年以降は毎年おおむね三百社前後となっております。

 他方、撤退企業でございますが、平成二年は八十社、平成十二年以降はおおむね二百社となっておりまして、新規立地企業数が撤退企業数を上回っている、こういう状況でございます。

畠山委員 私も資料の方を見ましたけれども、今答弁があったように、新規立地が二百から三百台で推移はしていきますが、同時に撤退も二百前後ぐらいあって、差し引きとしてはプラスにはなってきていることは承知しています。

 そこで、先ほどからも議論がありましたが、撤退も一方では二百前後ある。その撤退の理由というものをどのように掌握しているでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 先ほどお答え申し上げました数字、平成十七年までは農村工業センターというところが調査をしておりました。

 農工団地における企業が撤退した理由は、残念ながら把握をしてございません。しかし、一般的には、企業の海外進出に伴う工場の海外移転ですとか、景気の後退局面による工場の閉鎖等によるものではないかというふうに考えてございます。

畠山委員 既に議論されているように、海外移転、進出に伴うものが撤退では大きな理由だろう、これは理解できるものと思うんですね。そういうことだと思うんです。それで、そうなると、法の目的である雇用の創出、就業機会の確保というものが生まれては消える、生まれては消えるということが繰り返されていくことになってしまうわけです。これでは、農村での人口定着ということはもちろん成り立たなくなってしまいます。

 そこで、実際に操業企業の雇用状況を調べている統計もありました。それも確認したいんですが、このように、進出してきた企業のところでの総雇用者数のうち、いわゆる地元雇用と呼べる方の割合を調べている統計もありましたが、その推移についても答弁してください。

佐藤(速)政府参考人 農工団地におけます操業企業における総雇用者数、地元雇用者数、その割合でございますが、昭和六十年におきましては、総雇用者数が約二十二万四千人、そのうち地元雇用が約十八万四千人、率にして八二%でございました。直近の平成二十年の総雇用者数でございますが、約五十九万六千人、うち地元雇用が約四十五万三千人、率として約七六%という状況でございます。

畠山委員 今出されたデータの方も私も持っていて、もう少し詳しくすれば、今紹介のあった一九八五年の時点で、いわゆる地元率が八二%で雇用がされていたわけですけれども、十年単位で見ると、その後、九五年が八一・八%、維持はされるんですが、その十年後、二〇〇五年が七九・二%、そして、今直近で、答弁があったように七六%と、徐々に徐々にですが、このいわゆる地元率も下がってきているということが数字の上でも明らかとなってきていると思うんです。地元雇用率が漸減傾向となっているのでは、これまた人口定着も難しくなってきています。

 それで、では、どういう就業の場があればいいのか。農村地域で、もちろん就業の場が欲しいという切実な要求に応えつつも、安定して定着できる就業の場を求めているわけですから、それをどう検討するかが課題です。

 これも先ほどから出ていますが、農水省がアンケートをこの間行っていて、二〇一五年に全市町村を対象にしたものもありました。このアンケートも興味深く読ませていただきましたが、非常にその検討すべき内容として注目するものがあると思っています。

 例えば、就業機会の創出で、地域の資源を活用した内発的な産業の育成、または地域外からの工場等の誘致、どちらを重視するか。つまり、内発型か誘致型か、選ぶんだったらどっちですかという二者択一の質問をした項目があるんですね。それを分析していて、いわゆる過疎地域の市町村と三大都市圏の市町村とで違いがあることがきちんと書かれておりました。

 その内容について答弁してください。

佐藤(速)政府参考人 平成二十七年の十二月にできました農水省内の検討会におきまして、地方自治体にアンケート調査をとっております。全国の千四百六十五市町村を対象に、今委員が御指摘のような問いを発出したところでございます。

 その結果でございますけれども、地域の資源を活用した内発的な産業の育成、それと、どちらかというとそういう内発的な産業の育成、これを合計した数字でございますが、過疎地域ではこれが約七割の回答を占めております。

 これに対しまして、人口が五万人未満のところにつきましては約六〇%弱、さらに人口十万人未満の市町村ということで見ますと約五五%、十万人以上ということで見ますと約五〇%、さらに三大都市圏ということで見ますと約四〇%ということで、過疎地域が最も大きく、人口が多くなるに従って内発型を志向する市町村が少なくなっていく、こういう傾向が見てとれます。

畠山委員 つまり、いわゆる過疎地域は七割超が地域内発型の産業を求めている。それに比して、三大都市圏は地域外からの工場等の誘致を重視している、これは約六割だというアンケート結果になっているわけです。だから、こういう結果が出るのも私は当然だと思います。

 先ほどから話がされているように、生まれては消える、生まれては消えるという就業の場が、二十年、三十年を経て実体験としてあってきたわけですよね。だから、工場誘致はもちろんしてもいいんだけれども、それにとどめず、やはり地域内発型の産業を重視している、特に過疎地域がふえてきているということは重視する必要があると思うんです。

 今、中小企業振興基本条例が広がってきていて、四十道府県で制定されてきています。市区町村では百八十以上の自治体にまで広がってきています。大企業の工場や事業所を誘致しても、大資本の論理あるいは海外移転が当然という経済状況にあります。そこで、地域資源と個性を認識した内発型産業を住民ぐるみで発展させようという地域の意思が強まっているのも当然ですし、それが今答弁されたアンケート結果に出ていると思います。

 私の地元の北海道でも、ある町の条例も見させていただきましたが、日本一の食料生産基地への発展のために、中小企業が生産、流通、消費など経済活動の全般にわたって重要な役割を果たしてきたとして、町、事業者、経済団体、町民が一体となって中小企業の振興を宣言して取り組んでいるところがあります。

 一般的に、工場を誘致して、北海道ですから、交通、さまざまな運輸コストなどもかかる中で、やはり地域の内発型の産業を重視するということも、地域に根づいて就業の場を確保するという観点から、そういう方向に目が向いているというふうに、実際に動きがあるんですね。

 ですから、この立場から、今回の農工法の指定業種の拡大についても、慎重に進める必要があるということを述べておきたいと思っています。

 それで、実際の改正案の中身について質問したいと思います。

 その対象業種は、今回、工業等の五業種から全業種へ一気に拡大することとなります。

 資料の一をごらんください。それが「目的」の中で、この後議論したいものでありますけれども、法の目的として、下から二行目、これは改正案も現行法もそうですが、なぜこの法があるかといえば、農業と工業の均衡ある発展をするためだと。改正案では「農業とその導入される産業との均衡ある発展」と変わりますので、今後、便宜的に農業と産業の均衡ある発展と私は言いますけれども、これがなされるかどうかが大事なことだと思います。

 これは法の制定から変わらぬ重要な基本方針だと思いますが、これは大臣に確認します。法の制定時からこの改正案に至るまで変わらぬ重要な基本方針であることは間違いありませんね。

山本(有)国務大臣 間違いありません。

 今回、農村において、担い手への農地の利用集積等が進む一方、高齢化、人口減少の進展により、地域コミュニティー機能の維持に影響が見られるようになってきております。

 このような中にあって、農村を振興するためには、農村地域のさまざまな農業者や地域住民が地域で住み続けられますように、農業が魅力ある産業になるとともに、農業以外の就業機会の選択肢があることが必要であると考えているところでございます。

 今般の農工法の改正後におきましても、農業と導入される産業との均衡ある発展を図るという目的は変わらないところでございます。

畠山委員 農業と産業の均衡ある発展は重要なものであるということは確認しておきます。

 その上で、現状を見てみたいと思います。

 現在、都道府県が持っている基本計画は、もちろん国による基本指針をもとにつくられたものでした。前回、一九九六年、平成八年のもので改めてそれを読み直してみると、その中に「農業構造の改善」という項目があって、これはもちろん、法の目的にそう書かれているわけですから、基本方針においては、認定農業者等に対する農地の流動化に積極的に取り組むことを掲げて、そのための農工法なんだというふうに基本方針には定められています。

 こういうふうに具体的には書いていますね。「また、農地の流動化の推進に当たっては、導入された企業への雇用期間が長い者や役職等の要職に就いている者等の安定的な就業機会が確保されている者からの農地提供を促進する等重点的かつ効果的な実施に努める。」というのが今の基本指針です。

 つまり、企業で安定的に働ける人は、農地提供を促進するためだと。つまり、企業で安定的に働ける人は農地を出してくれれば流動化が進むということが今の国の基本方針の中に書かれているわけです。

 北海道の基本計画の方を改めて読みましたが、やはりこれに基づいて、認定農業者等地域の担い手に対する農用地の利用の集積を促進というふうに記されているわけです。

 改正案で基本計画への記載事項が変えられることとなります。農業構造改善に関する目標は、今まで任意的記載事項でしたけれども、今度は義務的記載事項に変わることとなります。

 つまり、農地の流動化を進めるための目標を各自治体に義務的記載事項として持たせるということになるんでしょうか。これは事実としての確認で、答弁してください。

佐藤(速)政府参考人 この法案の第五条第二項におきまして、「産業の導入と相まって促進すべき農業構造の改善に関する目標」、第四号でございますが、これを任意的記載事項から義務的記載事項にすることとしたところでございます。

 これは、農業の成長産業化を図る上で、農業の構造改善を図ることが喫緊の課題であります。また、今般の改正によりまして対象業種の限定を廃止するに当たりまして、従来以上に、農村地域の就業機会の確保と、農業と導入産業との均衡ある発展が図られることが重要となることを踏まえまして、義務的記載事項としたものでございます。

畠山委員 従来以上に均衡ある発展が必要だから、今回、義務的記載事項にしたという理屈がよくわかりません。何で義務的記載事項にしたのか。だって、結局、農地の流動化を進めるという点では前回と変わらないわけですから、そうであれば、なぜ前回は任意の事項になっていたのかということにもなると思うんです。

 改めて、義務的記載事項にした理由をもう少しわかりやすく答弁してください。

佐藤(速)政府参考人 二つございます。

 まず一つは、農業の成長産業化を今図っております。そのために、担い手への農地の集積、集約化を進めているところでございます。

 そういった農業の成長産業化を図る上での農業の構造改善、これを図ることにつきましては、今政府として喫緊の課題として取り組んでいるといったことから、任意的記載事項から義務的記載事項に移すこととした理由の一つでございます。

 それと、二つ目といたしまして、今般、対象業種の限定を廃止いたします。廃止をいたしますと、業種の幅が非常に広がります。そういった中で、先ほど議論になりましたような雇用構造の高度化といった視点がやはりこれまで以上に大事になってくる。

 そういう意味では、農村地域の就業機会の確保というようなことを、雇用構造の高度化といったことも念頭に置きながら進めていただく。その際に、農業と導入産業との均衡ある発展が図られるといったような視点もまた重要でございますので、そういったことを考慮いたしまして、これは任意的事項から義務的事項に変更するということでございます。

畠山委員 まだそれでもよくわからないんですね。

 これは、資料に出している第一条の目的規定ともかかわることなので、もう少しこの資料に基づいて質問したいと思うんです。

 だから、法の目的に、今度こういうふうに書かれるわけですよね。下線部は変更する部分でありますけれども、第一条、「この法律は、」改正案の方です、「農村地域への」云々かんぬんで、二行目ですが、「従ってその導入される産業」、これが今まで「工業等」でしたからいいんですが、その「産業に就業することを促進するための措置を講じ、並びにこれらの措置と相まって農地の集団化その他農業構造の改善を促進するための措置を講ずることにより、」「均衡ある発展を図る」というふうに書かれています。

 現行は、「導入される工業等に就業することを促進するための措置を講じ、」「これらの措置と相まつて農業構造の改善を促進する」と書かれているんですね。

 だから、今答弁されたように、均衡ある発展ということで、現行法では、工業等を導入することとあわせて農業構造の改善と均衡ある発展というふうに書き方は読めるんですけれども、今回は、就業の促進を講じたことに相まって農地の集団化に係ってくるわけです。それで、その他として農業構造の改善というわけですが、ちょっと何を書いているのかよくわからない、私だけかどうかわかりませんが。就業促進と相まって進めるのは農地の集団化と規定されているわけです。

 ですから、広く就業機会を確保して、農業と工業、今回産業ですが、これが均衡ある発展をするという農村の姿とはちょっと異なる集団化、集約、大規模化を促進するために、どのような業種でもいいから企業立地を進めるということになっちゃっているんじゃないんでしょうか。ちょっとここの意味も含めて理解できないんです。なぜ農地の集団化に係って相まってとなっているのか、答弁してください。

佐藤(速)政府参考人 委員のお尋ねは、今回の改正案におきまして、この農業構造の改善の前に、農地の集団化その他というようなことがつけ加わった、それによって意味が変わってきているのではないか、こういう御趣旨だと理解をいたしました。

 そこにつきまして申し上げます。この農業構造の改善という言葉を追加いたしましたのは、昭和三十六年に制定された農業基本法には、この農業構造の改善という言葉が盛り込まれておりました。その中身でございますが、農業経営の規模の拡大、農地の集団化、家畜の導入、機械化その他農地保有の合理化及び農業経営の近代化、これらを総称して農業構造の改善ということが昭和三十六年に制定された農業基本法に記述をされていて、昭和四十六年に制定されております農工法においては、わざわざ農業構造の改善の例示をしなくても中身についてわかるだろうということで、この農業構造の改善という言葉をそのまま規定していたところでございます。

 しかしながら、この農業構造の改善という言葉が、現在の食料・農業・農村基本法においては用いられておりません。また、この農業構造の改善という言葉の指すところが一般的に自明とは言えないのではないかというような法制局での議論がございまして、この農業構造の改善という概念を明確化するために、旧基本法の規定も踏まえまして、「農地の集団化その他農業構造の改善」と修正をして、いわば農業構造の改善の例示といたしまして農地の集団化というようなことで改正をしたわけでございまして、決して農地の集団化を進めるために企業立地を行うという趣旨ではございません。

畠山委員 なぜこういう書き方になったのかなというのを、いろいろなものを読んで、昨年三月に出されている農村における就業機会の拡大に関する検討会中間取りまとめでこんなふうに書いているんですね。「農村における就業機会拡大に関する基本的考え方」というところがあります。ちょっと読み上げます。「産業政策と地域政策を車の両輪として進めるとの観点及び農村における雇用と所得の場を確保し、農村の活性化に繋げるとの観点から、就業機会の拡大に当たっては、TPP政策大綱に位置づけられた施策が今後推進されることも踏まえ、以下の視点から検討を進める必要がある。」といって、具体的な、今回の流れに至るようなことが展開されているんです。

 つまり、法においては、農業と産業の均衡ある発展ということはもちろん法の大前提ですから残しておかなきゃならないけれども、そこに要素としてTPPを前提としたまちづくり、政策大綱の中の一環として今回出されてきているわけで、今回の改正案もそのような位置づけとしてされていると思うんです。農村は農村として維持しつつ、競争に打ちかてる農村と農業という新たな車の両輪づくりということになるのではないんでしょうか。

 ただ、もちろんそれぞれの地域で就業の場が必要とされている、要求がある状況は変わりはありません。今回の改正は、農業と産業の均衡ある発展ということは残っておりますし、新たな就業機会を確保する上で、全業種に産業を拡大するという今日的意義も明記されてきているとは思います。

 大臣に伺いますが、しかし、これらの行く末が、農地の集団化、それは、今日的に意味するのが、TPPにおける農業競争力強化と一体のものだ、そういう性格を伴った改正ではないのか、その点を伺います。

山本(有)国務大臣 今日、農村において、高齢化、人口減少、これが進んで、地域コミュニティー機能の維持にも影響が見られております。農村を振興するため、農村地域のさまざまな農業者や地域住民が地域で住み続けられるような農業、これを展開していただいて、魅力ある産業にしていただくということは大事です。

 農業以外の選択肢を用意することによって、就業機会の一層の創出と所得の確保を図ることも課題となっているわけでございます。工業等以外の産業の立地、導入を促進することが必要であることから、今回の法改正に至ったわけでございまして、地域政策、産業政策、それぞれ大事でありまして、どちらかに傾いたということでもありませんし、今、農村の活力が失われつつあるときに、私どもは、農村にまさしく活力を与えるような施策であればどんどん導入していくことが大事だというような観点でございまして、TPPと直接関係するものではございません。

畠山委員 危惧しているのは私だけではないです。

 資料の二枚目をごらんください。これは、北海道農業改良普及協会が毎月発行している「農家の友」という雑誌です。ことし五月号で、先日出されたものですが、「農政時評」というコーナーですけれども、ここで北海道大学の清水池義治先生が「農村地帯における生活経験から」という表題で論述をしていて、農村地域における雇用の状況などをどう考えたらいいかというので、非常に大事なことを書かれているなと私は思いましたので、資料として紹介をさせていただきました。

 いわく、その下に書いていますが、やはり農村地帯で生活する若者に足りないのは雇用機会だということは、これは当然です。その上で、先生は、名寄市というところにいた生活のことも引き合いに、実際に何が必要かということを論じているわけなんですけれども、ページをめくっていただきまして、下線を引いているところだけをごらんいただきたいと思うんです。

 「重要なのは農村地帯の人口扶養力をどう高めるか、具体的には若者の雇用機会をどれだけ確保できるかである。 その点で、現状の農業・農協改革には違和感がある。農業分野における競争強化を通じて、農業生産コストを削減し、農業の国際競争力を高めるという改革の方向性は、産業政策として完全に間違っているとまでは言えない。」としつつ、「ただ、実際に打ち出されている政策を見ると、実態は農業経営の選別政策の色合いが濃い。」少し飛びますが、「経済効率性を求めた農業改革をひたすら進めていくと、農村地帯で働く人の数はますます減少していく。大規模化や機械化で働く人数を減らしていくので、それは当然だ。産業政策としては正しくとも、それが農村社会の存続にはつながらない可能性もあるのである。要は、農村社会の維持・発展を考慮した農業の産業政策が必要なのであるが、現在の農業・農協改革にはそういった視角はあまり見られない。」

 以下、参考にしてEUのCAP政策とか出てくるんですけれども、今回はそれは触れません。

 それで、この間、一連の農業、農協改革は、TPPは実際は頓挫している状況ではありますけれども、それに伴って、その経済環境を前提とした農業競争力強化ということが大きな柱でありました。

 それで、大臣が先ほど答弁したように、地域においては就業機会の確保ということは切実な要求でもありますし、農村自体を成り立たせるために、今、田園回帰などと言われるような方々で地域で雇用の場をつくるという政策はもちろん大事なことだろうとは思うんです。ただそれは、農業と産業の均衡ある発展を掲げている中での話であって、TPPについては今後どうなるかわかりませんけれども、首相みずから、今後の通商政策はTPPがスタンダード、これを基準にするんだということを言っている以上、その経済環境が前提となってしまうことにほかなりません。

 そういう中での農地の集団化が、今回、法の目的で例示という形で先ほど答弁されましたけれども、最優先事項となっていないか、農業の強靱さの基盤である多様性が失われることになりはしないかということが、この先生の途中の文章の中でも出てきます。ですから、このような形で目的規定を変えたことについての危惧を表明しておきたいと思います。

 それで、ちょっと最後に、大きなテーマのところで、進出する企業や優良農地の確保の問題について質問しておきます。

 先ほど私も取り上げた昨年三月に出された中間取りまとめでは、「就業機会拡大の対象となる産業の考え方」というところもありました。地域の中での経済循環型産業も大事だということは触れているけれども、その先に列挙しているのが、まち・ひと・しごと創生総合戦略でありました。このまち・ひと・しごと総合戦略は二〇一四年十二月二十七日の閣議決定で、何が引用されているかというと、こんな部分が引用されていました。本社機能の一部移転等による企業の地方拠点強化が必要な政策として掲げられている、ここを引用しているんですね。

 つまり、大手企業から見れば、地方拠点を強化する上で農工法も活用できるということになります。農水省の側からいえば、地域の就業の場の確保のために今回のような改定をしようということに、裏表の関係になると思うんです。そうなれば、何だかますます農業と産業の均衡ある発展というところからかけ離れてくるんじゃないかというふうに思えるわけですが、まず確認したいのが、そのような企業にまで農工法上の支援措置をする必要があるのかどうかということです。

 まず、事実を確認します。

 農工法上の支援措置は、企業等に対して資本力などでの制限や要件があるのかないのか、どうなっているか、まずお答えください。

佐藤(速)政府参考人 この法案に基づく税制、金融の支援措置といたしまして、一つは、個人が農用地等を譲渡した場合の所得税の軽減措置がございます。また、立地企業による設備取得に要する資金につきまして、日本政策金融公庫による低利融資がございます。

 このうち、企業が活用可能な日本政策金融公庫による低利融資についてでございますが、これにつきましては、資本金の額が三億円以下または常時使用する従業員の数が三百人以下の中小企業者が、工業等導入地区において三名以上の雇用創出効果が見込まれる設備を取得する場合に貸付対象となるということでございます。

畠山委員 今回、新規となる農山漁村振興交付金も新たなメニューとして追加されますので、その点についても同様に確認のための答弁を求めたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 この農山漁村振興交付金におきまして、農工法に基づく実施計画を策定した地域を対象としたメニューを創設することとしておりますけれども、このメニューを企業が活用するためには、その企業が、地域再生推進法人やPFI事業者の認定を受けているか、あるいは資本金の額が三億円以下または常時使用する従業員の数が三百人以下の中小企業であることを要件とする予定でございます。

畠山委員 関係するものを読みましたけれども、中小企業という言葉がありますが、資本金三億円が基準ですから、それ自体は相当な資本力であろうとも思うんです。

 どこまでの金額がいいかということはもちろんあるかと思いますけれども、この後、地域未来のことについてもかかわって述べたいと思いますが、資本力のある企業が進出する際にこのような支援が本当に必要なのか、どこまで支援する必要性があるのか、その考え方について、これも改めてちょっと聞いておきたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、資本金の額三億円が大きいか小さいかという評価はあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、日本政策金融公庫による低利融資並びに農山漁村振興交付金における支援における企業の要件といたしましては、中小企業であるといったことを要件としたいというふうに考えてございます。

畠山委員 それで、進出するところに対する支援との関係で、これもきょう出てきました地域未来投資促進法案との関係で質問していきたいと思うんです。

 農水省の提出されたポンチ絵の説明でも、関連施策との連携強化が掲げられています。その中に、農村地域における産業導入を支援するため、経済産業省において検討中の地域未来投資促進法案(仮称)による地域経済牽引事業への支援を活用と記されています。

 私もきのう経済産業委員会に出ていまして、民進党の篠原議員の質疑もきょうと合わせて二時間ずっと聞いていたんですけれども、やはりこの優良農地の扱いについて相当な議論になっていたんですね。

 結局、きのう法案では修正がかけられて可決されましたけれども、改めて、やはりここでその中身ということは徹底的に質疑する必要があると思うんです。

 まず基本を確認しますが、この地域未来投資促進法案によってどのように農地を活用できることになるのか、概要を説明してください。

佐藤(速)政府参考人 まず、農地転用規制を定めました農地法の五条二項でございますが、ここにおきまして、第一種農地については原則として転用許可はできないとされております。ただ、そのただし書きにおきまして、政令で定める相当の事由があるときには許可できるということにされております。この政令で定める相当の事由として、農工法、地方拠点法等の地域整備法に基づく施設を整備する場合を規定しております。

 地域未来投資促進法案が成立した場合には、ただいま申し上げました農地法施行令を改正いたしまして、地域未来投資促進法に基づく市町村が作成する土地利用調整計画に位置づけられた施設を整備する場合、こういった場合を追加することによりまして、他の地域整備法と同様に、第一種農地における農地転用許可を可能とするということでございます。

 今回、この地域未来投資促進法案におきまして、丁寧な土地利用調整を図るための計画制度を措置することによりまして、優良農地の確保が図られるようにするといったようなことをしたところでございます。

畠山委員 明確にわかりやすくしておきたいと思うんですけれども、農地法の関係でいえば、第一種農地は第二種農地並みとなる、農振法の関係でいえば、農業生産基盤整備事業が完了後八年たたなければ転用禁止のところを適用除外にする、そういうことでよろしいんですよね。

佐藤(速)政府参考人 そのとおりでございます。

畠山委員 ですから、第一種農地も転用可能となるわけです。

 農工法の今回改正で来られる企業、事業所が地域未来投資促進法における地域の牽引事業として認定されることとなれば、第一種の農地もしたがって転用できる、だから、こういうことになるんですよね、事実の確認として。

佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりではございますが、農工法に基づく実施計画によって企業、産業を立地する場合につきましても、同様の農地法の配慮が働くということでございます。

畠山委員 これもきのうの経済産業委員会から随分と議論になりましたが、手続上においては、丁寧にとか、先ほどからあるように、国が基本方針に盛り込むんだとかいうことがありますけれども、実際上は、理屈としてこれが可能になるということは今の質疑で確認できたと思うんです。

 それで、きのう経済産業委員会で我が党の真島議員も質問して、細田政務官にもお答えいただきましたが、これは重要なやはり中身ですよね。

 日本農業新聞で、四月三日付でしたか、激しい論戦が委員会でも予想されるというほどの中身を持ったものだと思うんです。

 それで、今、どういうふうにするかということは先ほどから議論がありますけれども、少なくとも、これにかかわる関係団体、関係者あるいは農業者などから意見を聞く、パブリックコメントなどがこれほど重要な中身にされてきたのか、されていなかったのか。この点はきのうの経済産業委員会で真島議員から質問もさせていただきましたが、このパブコメというのはどういうふうにこの間やってきたのか、どうするのか、答弁してください。

佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。

 農地法施行令の改正でございますけれども、これにつきましては、パブリックコメントを実施することによりまして広く国民の意見を聞いた上で、最終的な案文を作成して、閣議決定してまいりたいというふうに考えてございます。

畠山委員 つまり、これまでやっていなくて、これからやる、簡単に言えばそういうことですね。

佐藤(速)政府参考人 御指摘のとおりでございます。

畠山委員 だから、懸念の声がこのようにあふれ返ってくるわけです。

 こうなってくると、最初に戻りますが、農業と産業の均衡ある発展の姿とかけ離れていく懸念はやはり拭えなくなる。しかも、地域未来投資促進法は優良農地を転用可能としている一方で、今回の改正案は、是非はともかく、農地の集団化を目的とするわけですから、優良農地の取り扱いが矛盾することになってしまわないのか。それは地域、市町村ごとの実施計画で決めることなんだ、市町村が考えることなんだというふうになるでしょう。

 ただ、最後ですからこれは大臣にやはりお聞きしたいと思うんですが、優良農地の確保は、その集団化がどうかは別としても、何より農水省としての最優先課題であることは間違いないはずです。何でこんなふうに地域未来投資促進法案で優良農地転用可能となったのか、そういうもとでどうやって優良農地をきちんと維持し守っていくことを考えているのか、きちんと答弁をしてください。

山本(有)国務大臣 農地は国民に対する食料供給のための生産基盤でございます。今後とも優良農地を確保していくことが基本でございます。

 このため、農工法改正法案あるいは地域未来投資促進法案におきまして、産業の施設用地と農地との土地利用調整がこれまで以上にしっかりと行われるような仕組みを設けるということが大事だと思っております。

 優良農地を確保しながら農業と導入産業との均衡ある発展を図ることが何より重要だというように認識しつつ、この法案を位置づけているわけでございますが、両法案とも農業振興地域制度及び農地転用許可制度を適切に運用するということを中心としまして、今後とも優良農地の確保を図ってまいりたいというように考えているところでございます。

畠山委員 新たな誘致を、農村の現状と関係なく、牽引事業という形などと結びつけて支援するとなれば、こんなことが起きてしまうんだと思うんですよ。

 ですから、大臣も食料の生産基盤として必要だということを認められている以上、その責任を国が果たせなくなるのではないかということに強い危惧を持つわけです。農村地帯における就業の確保は必要ですが、慎重かつ地域の実情に見合った形で進めることを求めます。

 なお、今回の改正案は、TPPを前提にした競争力強化という流れの中で進んでいるもとで、出発点から違う道を歩んでいるように思います。農業と工業の均衡ある発展とかけ離れていくことに強い懸念を表明しまして、私の質問を終わります。

北村委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十六分開議

北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小山展弘君。

小山委員 民進党の小山展弘です。

 まず、きょうは、質問に入る前に、衆議院の農林水産委員会の全ての先生方、とりわけ衆議院農林水産委員会の理事の先生方には、きょう、マスコミでも幾つか取り上げていただいたようですが、冷茶の提供ということで御理解、御配慮を賜りましたことを心から御礼申し上げます。ありがとうございます。(拍手)

 伊東先生、ありがとうございます。これには宮路拓馬先生と森山裕前大臣、また江藤拓先生にも大変後押しをいただきまして。

 といいますのも、参議院では牛乳が飲める、あるいは参議院の決算委員会ではコーヒーや紅茶が飲めるというようなこともお話ししましたが、茶業振興の観点から、ぜひ新茶の時期だけでもお茶を出させていただけないだろうかと。宮路先生なんかもよくおっしゃっていましたけれども、ペットボトルが会議に並んでいる。国会の中の委員会でペットボトルが並んでいることはあり得ないんですけれども、行政の会議とかあるいは政党の会議なんかではある。何だこれはということでよく怒られて、リーフで飲むお茶が並んでいるような、そういうところを見たいと。

 静岡県は、この後、質問を一、二させていただこうと思っているんですが、大変ことしもお茶が悪いということで、このことで国会がお茶の関係者、茶業者の方を向いているんだという姿勢を示せたということが、これは党派とか、まして私個人のどうこうではなくて、大変、茶業関係者の励みにもなるかと思います。本当に、どうもありがとうございます。また、委員長、ありがとうございます。(拍手)

 そこで、まず最初に質問で伺いたいと思いますのが、きょうは、かなり農工法の質問で同じ質問がかぶっておりますので、ちょっと農工法以外のところを伺いたいんです。

 直近だと日経新聞の四月十九と二十日に記事があったんですが、さまざまなところで、JAグループの農業貸し出しが、総資産に占める比率の中では少ないと。これはよく規制改革推進会議なんかでも指摘をされているところであります。

 しかし、GDPに占める農業生産額の比率なんかを考えても、JAバンク、JAグループの貸出金の割合が全体から見て一方的に少ないというのは、物事の一面でしかないんじゃないだろうか。

 一方で大事なのは、農業融資におけるJAグループの貸し出しシェア、これも重要な指標だと思いますが、これはどのぐらいの貸し出しシェアになっておりますでしょうか。

細田大臣政務官 私どもが把握しております、いわゆる農業経営向け融資というのは、日本全体で約二兆五千億円ほどありますが、農協系統はそのうちの約半分、一兆二千五百億円程度というふうに認識をしているところでございます。

小山委員 今、貸し出しシェアは約半分ということで、これは先日話題になった農機業界であれば寡占状態と言われるようなところかと思いますが、この農業融資に占めるシェアというのもやはり一緒に考えていかなきゃいけない。

 それと、私、きのう夜遅くに農水省の方から資料をいただいたのですけれども、農協系統が約一〇%シェアを下げている、融資が積極的じゃないんじゃないか。その新聞記事なんかにも、一般金融機関が融資を伸ばしているんだと。ところが、二十五年と二十七年の比較では、一般金融機関は二%マイナスになっているんですね。では、何がマイナスなのか。全体の資金需要も一%マイナスになっています。では、どこか伸ばしているのか。何と、政府系金融機関、日本政策金融公庫等が一〇%伸ばしているんですね。

 こういうこともありまして、これは、場合によっては民業圧迫にならないようにしていかなければいけないですし、それだけ農業の今現状が苦しいのかなということも示しているかと思っております。

 また、商工中金の不正融資の案件がございました。これは、きょうは余りというか、このことで尋ねるつもりはありませんけれども、しかし、農協、漁協の信用事業のあり方をどうしていくか。特に、ある程度これは進んでおりますけれども、漁協の店舗について、リスク管理体制が十分ではない、審査体制が十分ではない、不正が起きるんだということで、どんどんどんどん、多分、山本大臣の御地元の高知も随分これは漁協の店舗を閉めて、その地域にお住まいの方、漁業者の方、不便になった部分があろうかと思います。

 これは、不正が起きないようにということだったんです。ところが、商工中金のような大政府系金融機関で、しっかりとした人数、体制があるところが、今回、大変なコンプライアンス違反、不正を起こしているわけですから、やはりこの不正というのが何で起こるのかということをもう一度原点から考え直して、その上で、ちょうど山本大臣は金融担当大臣もなさっておられましたので、この地域金融、協同組合金融についても考えていくべきではないかということも、きょうは問題提起させていただきたいと思っております。

 ところで、ちょっと冒頭で、お茶のことで今お礼を委員の皆様にも委員長にも申し上げましたが、大臣、お茶を飲んでみて、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 飲ませていただきました。ありがとうございます。

小山委員 大臣の御地元にもお茶業もあるということで、今回、本当に御配慮をいただきまして、ありがとうございます。

 ことしも新茶の季節になったんですけれども、先ほども申し上げましたとおり、私も、ゴールデンウイーク、お茶工場を回っておりますが、非常にことしは厳しいと。何が厳しいか。気候が、皆様、委員各位の先生方も御承知のとおり、ことしは桜の開花も遅くて、全体的にちょっと冷えたというか、寒いまではいかないんですが、冷えた気候だったかと思っております。

 凍霜害、霜の害が出るほどまでには至らなかったんですけれども、しかし、葉っぱが伸びなくて、収量が約三割減ということでございます。収量が少なくて、だけれども、品質はどちらかというといいんですね、例年よりも。品質がよくて収量が少なければ、普通は価格が上がるはずなんですね。ところが、いろいろこの後またお尋ねを政府の方にさせていただきますが、価格が上がらないということで、単純に収入、所得が三割減ということになっております。

 去年、おととしも決して単価が高かったわけではないですから、これは非常に茶農家、茶生産者の経営が苦しくなってきているということかと思っておりますが、本年のお茶の生育状況とかあるいは価格の見通し、茶農家の、これは全国的なということでありますけれども、所得の見込み等について、現状についての政府の認識をお尋ねしたいと思います。

山本(有)国務大臣 委員会に配付されるこのお茶ですが、静岡茶だそうでございます。それから、やぶきたの中でも水出し茶という、お湯で出すお茶と水で出すお茶はカテキンの質が違うようで、水で出した方が健康にいいようでありまして、お茶どころは長生きだというのは水出しを飲んでいる地区だけだそうでございまして、その意味では非常にありがたい措置だというように思います。

 それから、この生育状況や価格でございますが、定期的に情報把握を行っているところでございます。

 現時点での本年産の一番茶につきましては、品質はよく、価格につきましては昨年並みで推移しております。また、収量は、収穫途上でございまして明確なことは言えませんけれども、平年並みから若干減少傾向となっております。

 なお、静岡県において収量が若干減少傾向となっているのは、生育が昨年よりおくれているにもかかわらず、地域によっては、茶商の要望に応えるため、収穫適期よりも早く収穫するところがあったためというように考えられております。

 また、茶農家の所得についてでございますが、本年の茶期が全て終了していない状況で見通しは困難ではございますけれども、お茶の価格向上のためには需要拡大の取り組みが重要でございますので、農林水産省といたしましても、新たな需要開発や輸出の促進など、国内外における需要拡大に積極的に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、府県とも連携しながら、各産地の作柄や価格動向を注視してまいりたいと存じます。

 以上です。

小山委員 お茶のことにも触れていただきまして、ありがとうございます。私よりもお詳しいんじゃないかと思いますけれども。

 今、収量等の見通しについてはお話をいただきましたけれども、一番茶のときが一番の書き入れどきでございまして、それで、もうこの時点でかなり刈ってしまっておりますから、二番茶あるいは秋冬の秋冬番茶というと、ここまでの収入の、一番茶ほどの確保ということは難しいですので、やはり私は、このまま推移していく。所得もそれほど、せめて去年、おととし並みまで回復していくというところまでは、少なくとも、私も他県については余り現場は知りませんけれども、静岡については難しいのかなと。相当、回っておりましても、ことしでもうやめるという声も聞いておりますので、かなりこれは深刻な状況に、ことしのお茶が凍霜害だったというわけではなくて、経営という観点からすると、二年、三年間続いてきていますので、深刻ではないかというふうに思っております。

 凍霜害みたいに、逆に霜の害とはっきり自然の災害ということが目に見えればいいんですけれども、今回のように、具体的な害までいかずに、生育不良というと、これは悪いとも言えない。また、茶商の関係もあって早目に刈ったということもありますが、ゴールデンウイークも朝晩がかなり冷えて、伸びなかったんですね。

 もう一番茶の季節はとにかく時期が終わりますので、これはぜひ緊急対策といったことも今から御検討いただいて、あるいは、きのう村岡先生がたしか日本農業新聞の九十周年というので行ったということで、関係者も来ておりまして、お茶の共済、茶共済の発動を検討していくべきではないだろうかという御意見もいただいたものですから、ぜひお願いしたいと思っております。

 それと、品質がそれほど悪くないのにここまで価格が上がっていかないということについては、政府は、価格の動向について、構造的な要因、ことしの特殊要因があろうかと思いますが、どのように御認識されているでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、本年産は、凍霜害等の影響も少なく、品質がよいと評価する声も多いものの、価格は昨年並みで推移しております。

 本年に限らず価格が上がらない構造的な要因としては、ライフスタイルの変化に伴う、急須で飲むお茶、リーフ茶の消費量が減少傾向にあるなど、需要が低迷していることが一因と考えております。ただ、緑茶飲料の消費は回復傾向でございまして、リーフ茶の消費も下げどまりが見られる状況でございます。

 そのような中、本年産は例年と比べ収穫がおくれたため、八十八夜、五月二日でございますが、前後の高い消費ニーズに応えるための出荷時期、四月下旬ころまでを過ぎてから出荷量が増加したことが主な原因だというように把握しております。

小山委員 きょうは農工法ですので、余りお茶のことばかり聞いていてはいけないんですが、飲料メーカー、ドリンクメーカーの中には、農家から生葉を買ったり、あるいは製茶工場、茶農協から荒茶を買ってドリンクをつくるというところだけじゃなくて、みずから茶園を買い取って、茶葉から一貫生産している企業もある。お茶の場合には、朝早くから深夜、あるいは徹夜をして、体力も限界まで使いながらやるような作業が、昼間はお茶を刈る、葉っぱを刈るわけですけれども、家族経営で自営だからこそできるところでもあるんじゃないかと思っているんですが、企業もそういうこともやり始めている。

 こういう飲料メーカーについては、労働者と経営側は当然、これは会社ですから、雇用契約を結んで、それで、そこで働いている人たちは労働しているわけですけれども、この製茶製造とか飲料の製造については、労働法規制、とりわけ労働時間規制というのは適用されて、遵守されているんでしょうか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げることになりますが、労働基準法等の違反が疑われる場合には、労働基準監督機関におきまして監督指導を実施しているところでございまして、法違反が認められる場合にはその是正を指導している、こういう状況にございます。

 お尋ねのような業態につきましても、引き続き指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。

小山委員 きのうの通告の際には、農業の分野については労働時間規制は適用されないというような、そういう役所の方の答弁というかお答えもあったんですけれども、そういうことは労働法に書いてあるんですか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員のおっしゃるように、労働基準法の適用に関しましては、農業、例えば植物の栽植、栽培、採取というような事業につきましては、労働時間法制の適用が除外をされている部分がございますけれども、事業場単位で適用を考えておりますので、おっしゃったような業態の場合、製造が主であるということになれば、労働時間法制の適用もある場合があるということでございます。

小山委員 生葉から荒茶にしたり、荒茶を最後製茶していくというのは、これは製造業の分野とも言えるし、むしろそちらの方が大きいかと思うんですけれども、いずれにしても、きょうはここは農工法の審議ですので余り深く突っ込みませんけれども、この農業の分野というのは非常に、確かにおっしゃるとおり、植物の栽培とかそういったことについては、余り時間で規制してしまってもということはある一方で、これから、農業法人とか、あるいは特区の中でそういった外国人労働者の方が入ってくる。

 そういう中で、雇用契約は結んでいるけれども、農業だからといって何をやってもいい、労働時間規制はありませんということになれば、これはそこだけすごいブラック企業で、安いコストで生産ができてしまうということにもなりますし、また、そういうブラックな状態を放置していいんだろうかということにもなってくるかと思いますので、ここはまたぜひ私も調べていきたいと思っております。

 そして、ぜひ今回、お茶のことで、最後、緊急対策をということで申し上げたんですけれども、こういうときに対策をして農家が潰れないようにやっていくということがやはり私は大事だと思うんですね。

 もちろん、市場原理もあったり、全く一生懸命やっていない人を支援するのかというような批判は必ず一方ではあるんですけれども、今回の農工法なんかでも、結局、農家の方が、兼業農家の方から専業農家に、担い手にと集まってきている。だけれども、農村には担い手の方だけでは、特に水田農業の水の管理を中心として、維持できない。やはり農村には人がいていただかなきゃいけないということがあって、そのために農工法の今回改正ということで、政府提出法案となっているかと思うんですけれども、やはりその大前提は、農家を守っていく、そこで農業をやり続けてもらうということが私は前提にあるんじゃないかと思っております。

 農業構造の改善を促すということがこの法律の目的になっておりますけれども、政府としては、農工法によってどのような農業構造の改善を促すことになるのか。兼業農家、専業農家のどのようなベストミックスを描いていらっしゃるんでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。

 農業構造の改善でございますけれども、現行の農工法におきましても、市町村の実施計画に、農業構造の改善に関する事項を記載することとされております。

 具体的には、農業構造の改善に関する目標といった記載事項がございます。ここには、農業就業者数ですとか認定農業者等の数、こういったものを記載するという状況でございます。

 また、農業構造の改善を促進するために必要な農業生産基盤の整備及び開発その他の事業に関する事項というものも記載事項としてございますが、ここにつきましては、農用地利用集積事業等が記載をされているというところでございます。

 改正後の農工法でございますが、改正後におきましても、これらの農業構造の改善に関する記載事項は、引き続き市町村の実施計画の記載事項として規定をするということを考えてございます。

 そのように考えてまいりますと、農業構造の改善について市町村の実施計画に定めることとすることによりまして、担い手への農地の利用集積を進めるとともに、農工法の諸手続に基づきまして、農村を振興する観点から、委員御指摘のとおり、担い手以外の農業者や地域住民にも就業機会を創出することによって、農業構造の改善と農村への産業の導入、これを両立させていきたいというふうに考えてございます。

小山委員 もう一度局長にお尋ねしたいんですけれども、農業構造の改善ということは、これは担い手に集積を、地方自治体によって計画を出して実施計画に基づいてやっていくんですよということですけれども、基本的な方向性としては、担い手に農地を集めていくということなんですか。専業化を進めていくということでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 農工法の目的でございますけれども、農村地域に、今度、改正後は産業を導入する、これを進めるとともに、それと同時に農業の構造改善のための措置をあわせて講じていく、それによって農村地域に就業機会の拡大と所得の確保を図る、こういう趣旨でございます。

 この農業構造の改善ということにつきましては、今政府が進めております農業の成長産業化、この大きな目標に沿いまして、担い手への農地の集積、集約、こういったものを進めていく、これがメーンであるということでございます。

小山委員 ここのところが私はちょっと考え方が違うというか、確かにおっしゃることもわかるんです。だけれども、担い手の人に集めて専業化を進めていって、それで、その場所で、兼業農家の人たちが土地を手放して農業をやらなくなった、その人たちにも、だけれども農村にいてもらわなきゃいけないから、雇用の場をつくるために、今回、もともと農工法もあったし、サービス業とか今までなかった業種も入れて雇用の場をつくっていくんだと。

 だけれども、もともと兼業の方にも多様な担い手ということで農業をやってもらうということが僕はやはり前提じゃないかなと。あるいは、専業農家の方々が、農業収入が少なくなってきたので、専業農家の方々の兼業化が進んでしまうということになるのかなというふうにも想像するんですけれども、この点については、大臣、どうでしょうか。

 本来は、私はやはり、専業化とわっと集めるというのも、もちろん自然となっていくことは否定しません。だけれども、私どもの党の部会でもよく声が出たのは、農業をやめてしまったら、その場所に住まないですよ。所得を得る、あるいは仕事をするというんだったら、都市に出ていきます。あるいは家からでも、先ほど大臣は、四万十から高知まで通えると。でも、なかなか、四万十からだと二時間半ぐらいたしかかかるものですから、結構遠いかなと思いますが、須崎ぐらいだったら通えると思うんですね。私、以前、何度か大臣の御地元は行ったことがあるものですから。

 それなものですから、やはりこれは外へかえって出ていってしまうのではないかということも思うんですけれども、むしろ、中小の農家、兼業農家の皆さんも農業をやってもらうということを支援していくべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 兼業農家の皆さんにとりましては一つの選択肢がふえるわけでありまして、その意味において、私は、農村の活力が増すというように、好結果を招くことになるというように思います。

 他方、局長がお話し申し上げましたように、集約化が図られるかもしれません。それは、中間管理機構という新しい制度、仕組みをつくって、それで高齢になったので作付については若い人にというような方々も当然出てくるわけでありまして、そして、その若い人たちは、自分の趣味、趣向や農業に対する考え方で、やはり自分としては新しい、できたところに行きたいというように選択される可能性もあります。ですから、農村に住まわれる方々の選択肢がふえるという意味では、すぐれて私は、新しい物の考え方というのは是とさせていただきたいというように思います。

 ちなみに、四万十町から高知市まで、高速道路ができましたので、三十分で行けるようになりました。

小山委員 失礼しました。私、中村とちょっと勘違いをしておりました。先ほど聞き間違えました。

 それと、もう一つ、この法律のポイントとして伺いたいと思っておりますが、きのう通告で十二番と申し上げたところなんですけれども、この法律の対象として、今回、業種を外す、主にはサービス業等も農工法の対象として加えるということでありますが、具体的にはどういう業種を想定しておりますでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 現在、農工法の対象業種は、工業等の五業種に限定されております。ただ、工業等の就業者数のウエートが低下している状況にございます。そういった中で、就業機会を確保するためには、地域に賦存する資源を活用した産業ですとか、立地ニーズの高いサービス業など、工業以外の産業を立地、導入することが必要となっております。

 そうした中で、昨年十二月に、農工法の対象となります一千二百八十七市町村に実施したアンケートによりますと、実施計画を策定しました七百三十二の市町村のうち、過去五年以内に、百二十九の市町村に対しまして、現行の五業種以外の業種の企業から立地の照会があったということでございます。

 こういったことを踏まえますと、サービス業として想定されますのは、農産物直売所などの地域資源を生かした地域内発型の産業ですとか、あるいは福祉、介護サービスといった立地ニーズの高い業種、こういったものが想定されるところでございます。

小山委員 実は、大変恐縮ですが、局長に通告していないんですけれども、お尋ねしたいんですけれども、今、福祉ニーズとか、あるいは、私も後からどこかで聞いたなと思って資料を見てみましたら、私どもの党の方に調査結果ということで、バイオマスとか、先ほど村岡先生からも話がありましたが、直売所とかいろいろ、こういうものがあるよということで伺いました。

 これは例えば、最初、レストランでやります、あるいは直売所でやりますといって申請をした、認可を受けた。そこに企業がつくりました、あるいはつくらずに企業が倒産しちゃった、あるいは企業がレストランをつくりますといって許可を得ておきながら農業をやり始めたら、これは農地法では規制できない農業にもなってしまうんじゃないかとか。それならまだいいんですけれども、もっと一番心配なのは、最初レストランと言っていて、別のものができちゃう、例えばリゾート施設ができちゃうとか、あるいは全然目的外のものができてしまう。

 私の地元でも、結婚式場といってつくって、みんなで結婚式場が来るんだったらいいよと判こをついたら、いつの間にか、結婚式場は十年ぐらいしたら葬式場になっちゃったというのがあるんですけれども、そういうようなことに対する歯どめというのはあるんでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 市町村が策定いたします実施計画につきましては、個別具体の産業を記述していただくことになっております。すなわち、どういう産業が立地されるか、その規模はどのくらいか、あるいはその産業が立地する区域、広さはどの程度のものか、こういったものを市町村がしっかりと、実現可能性ですとかを含めてきっちりと実施計画に書いていただく。それを書いていただいて、都道府県との同意協議が終わったものについては、農地法の配慮の規定はございますが、いずれにしろ農地法の転用許可を受けるということになります。

 その際に、計画に書かれていたものと違うものにつきましては、これは、許可前ですと許可できないことになりますし、許可した後用途が変わったということになりますと、これは違反転用ということになりまして、農地法に基づく所要の是正措置のプロセスに移っていくということになりますので、そういったことからいっても、委員御指摘のような事態は防げるというふうに考えてございます。

小山委員 もう時間もないんですが、例えば、許可を得た企業が潰れちゃった、あるいは買収されちゃったという場合にはどうなるんでしょうか。その場合に、もうそこは企業の土地所有になっていると思うんですけれども、その企業が潰れてしまったりとかそういう場合に、別の企業がその企業の破産の後だとかに入ってきて、そこを別のことに使ってしまう、こういうようなことが、特に北海道の議員で大変心配をしている議員もいるんですけれども、こういう場合の歯どめというのはきくんでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 お答えいたします。

 そこはまさに個別具体の案件といいますか、状況ということになろうかと思います。いずれにいたしましても、施設として計画に書かれていたとおりの用途に供されていないという状況になりますので、法令的には農地法違反の状況になるということが想定されます。

 したがいまして、その状態を、状況をどう改善するか、これにつきましては、地域の関係者が集まって、現実にそういう事例もございますので、いろいろと是正措置を地域の関係者で知恵を絞っていくというようなことになろうかと想定をいたしております。

小山委員 時間が来たので終わりますが、最後に、現実に今もあるということでお話があったものですから、ぜひ、この法律をトンネルにするようなことがないように、しっかり指導していっていただきたいと思います。

 以上で終わります。

北村委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 民進党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 大切な農地を守ることは、農村地域と地域の人々、そして文化を守ることでございます。平成二十七年十二月二十四日に公表されました農用地等の確保等に関する基本指針には次のように書かれています。「農地は農業生産にとって最も基礎的な資源であることから、集団的に存在する農地や農業生産基盤整備事業の対象地等の優良な農地については、農業振興地域の整備に関する法律に基づき、農用地区域として設定するとともに、当該農地を良好な状態で維持・保全し、かつ、その有効利用を図ることが重要である。 また、農地の確保と有効利用は、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等農村で農業生産活動が行われることにより生じる多面的機能の適切な発揮を図る上でも必要である。」

 農工法の改正によって、農村の風景が変わり、地域の文化をも、あるいは人々の生活をも崩壊させるというようなことがないようにしなくてはいけません。つまりは、ふるさとを失われる方々が出てしまう、そういうようなことを避けなくてはいけないというふうに思っています。

 まず初めに、平成二十一年六月に改正されました農地法、ここでは、農地制度の基本を所有から利用に移し、貸借による一般企業の農業参入を可能にした大改正がなされました。そして、このときに、同時に農地の転用規制を厳格化したという改正でございました。

 農水省のこの農地転用規制について、農地転用の厳格化という考え方については、この平成二十一年の農地法の改正の時点と変わらず、同じでよろしいでしょうか。

山本(有)国務大臣 農地転用の規制の厳格化、その考え方のもとに改正されたというように思っております。

 国、都道府県が設置する学校、病院等の施設整備のための公共転用に係る法定協議制度の導入、また、農用地区域からの除外要件として、担い手への農地利用の集積に支障を及ぼさないことを追加する等によって、農地転用規制を厳格化したところでございます。

金子(恵)委員 この農地法の改正案を審議した平成二十一年の四月九日の衆議院の農林水産委員会では、石破農水大臣はこのように答えていらっしゃいます。

 「これは、農地法の体系ができまして以来、最大の改正だというふうに私は理解をいたしております。農地を確保し、最大限に活用したいということであります。」中を飛ばします。「具体的には、一つは、農地転用規制を厳格化するということでございます。優良な農地が無秩序に転用されるということは防がねばなりません。罰則を引き上げます。」こういう強い決意があったというふうに思います。

 農地をしっかりと確保していく、農地を守っていく、これは今の農水省の意思であるというふうにも私は信じたいというふうに思っているんですが、残念ながら、今回の改正、農工法の改正案、そしてまた、経産省提案の、もうこれはきょう採決がされてしまいましたけれども、地域未来投資促進法案、これは実は農水省も共管であったということでありますけれども、こういうことに対しての農水省の姿勢というものを見ていきますと、当時の本当に農地を確保していくんだ、農地を守っていくんだ、そういうある意味の熱意というものが感じられなくなっている、そういうような気がしてならないんです。いかがですか。

佐藤(速)政府参考人 今般の農工法の改正法案でございますけれども、産業の施設用地、それと農地との土地利用調整につきまして、これまで以上にしっかりとした取り組みが行われるような、そういった仕組みを設けることとしております。

 具体的には、国の策定する基本方針におきまして、土地利用調整につきましてさまざまな要件をかけております。

 農業上の効率的な利用に支障が生じないようにするですとか、導入産業の面積が最小限度であるとか、あるいは造成済みの遊休地の活用を優先するですとか、農用地区域外での開発を優先するですとか、そういったことを書き込むことにしておりますし、また、主務大臣による同意協議、都道府県知事による同意協議、こういったものを通じまして、しっかりと適切な土地利用調整が行われたものについて農地の転用を認めるということにしてございます。

金子(恵)委員 済みません。時間が大変限られておりますが、私が本日答弁を求めましたのは大臣、副大臣、政務官のみでございますので、よろしくお願いします。

北村委員長 はい、わかりました。

金子(恵)委員 そうしますと、確認をさせていただきますが、平成二十一年の改正農地法の農地転用の厳格化と今回のこの二本の法律、法案は整合性がとれているというふうに考えていいのでしょうか。私は全く実は矛盾しているというふうに思っておりますが、大臣、いかがですか。

山本(有)国務大臣 先ほど局長も答弁されましたけれども、利用調整ということを正確に実施していくことによって、私どもは優良農地が守られていくという経過だろうというように思っております。

 そのもう一つ裏には、農村の疲弊、人口減少、高齢化、こういった社会の変化に対応するためには、今までの農工法のたてつけ等についても見直す必要がありますし、さらにその向こうには、言うように、バイオマス発電だとか、あるいは市町村の皆さんが、さらには道の駅等の小売店舗、あるいは直販所というようなこともあります。

 そして、スマートインターチェンジだとか、あるいはこれからのAダッシュの高速道路、地域高規格高速道路等の周辺の皆さんにとりましては、いわばインターチェンジのサービスの一つの受け皿というようなことを考えながら、さまざまな工夫をされております。

 そういったことに対応するためには、どうしても、こういう考え方の農地の一つの転用の仕方、それによって農村が活力を生み、ひいては農村の人口が歩どまり感をすることによって農業が振興される、その中で集約も結果的にされるというようなことを考えながら、この法改正であります。

 農地がいたずらにスプロール化したり、あるいは転用が乱雑、緩和されるということにはならないように、しっかり運用させていただきたいというように思っております。

金子(恵)委員 乱開発はされない、無駄な農地転用はされないということをおっしゃったんですが、どのようにそれが担保されるかということだというふうに思うんです。

 先ほど来、御答弁をお伺いしていると、基本方針にしっかりと盛り込んでいく旨等のお話をされていました。しかし、そもそものところの、根っこのところの、例えば、農村地域でなぜ人が今まで流出してきてしまったかとか、そしてまた、農業者の方々の、就業者の方々の平均年齢が上がっていってしまっていること、これについて、では、どのように今まで対策を練っていて、そしてまたその評価というのはどうなっているかということは余り触れていらっしゃらなかったというふうに思うんです。

 それで、先ほどもおっしゃっていますように、この農工法というのは、農業従事者の農外就業機会を確保し、そしてあわせて、農業構造の改善を促進するための措置を講ずることにより、農業と工業等との均衡ある発展を図ることを目的とした法律であるということは何度もおっしゃっていただいているんですけれども、そしてまたその上で、平成二十六年三月末時点では、約九千社が操業して、そして約六十二万人が雇用されたというような、そういう数字は出ている。

 しかし、先ほど来ありますように、参入した方もいれば、もう撤退した方もいたり、出たり入ったりということで定着というのが余りなかったというような状況であるということも伺っているわけなんです。

 そこで、これは平成二十七年の農村における就業機会に関する地方自治体アンケートです。この数字では、地域活性化等に寄与している点として、企業誘致による農業従事者の雇用拡大はなされたのではないかというふうに答えている自治体は二九・五%、そして、農村からの人口流出の防止は二三%というふうに答えていらっしゃるわけなんですけれども、しかし、気になっているのが、この法律の目的のところの農業と工業等の均衡ある発展の部分で、農業の部分の面から見ますと、やはり、担い手の経営規模の拡大を通じた農業の振興という部分は二・六%と大変低くて、つまりは、その評価はほかと比べると本当に低い状態になっているんです。

 ですので、繰り返し申し上げますけれども、農業と工業等の本当に均衡ある発展ということをおっしゃるのであれば、農業の部分、本当に農業構造の改善を促進するために、繰り返しにはなりますけれども、足りない部分があったのではないかと言わざるを得ないんですが、その点についてはいかがでしょうか。

齋藤副大臣 金子委員御指摘の点は、私ももっともだなと思うところがございます。

 この法律のみによりまして農業の発展を図るということは、それはやはり一定の限界があるんだろうと思っておりまして、ですから、さまざま、中間管理機構を含めて、農業がその地域で維持発展できるようにあわせてやっていくということが大事だなというふうに認識をしております。

金子(恵)委員 実際に、先ほども申し上げましたけれども、基幹農業従事者のうち、六十五歳以上の方々は六五%、一方で、四十代以下は一〇%の状況なんですね。著しくアンバランスな状態ということでありますので、やはり若い方々が新規就農できる、そういう環境づくりをしてこなくてはいけなかった。

 当然、新規就農のための制度等は今までもありました。そして、この間も申し上げましたけれども、親元就農の制度についてはもう少し充実させるべきではないかということは、我々と、現場を回っていての感覚と、そして大臣、副大臣、政務官、恐らく農水省の皆さん、全て同じ感覚ではないかと思います。

 であれば、そういう制度をやはり積極的にもっと変えていく、改善していくということをもっとどんどんやっていかなくてはいけないと思うんです。そういう努力というのをなされて、農地をある意味諦めるということになるのであれば理解をするところでありますけれども、本当にそうなのか。

 それで、そこは、繰り返しになりますけれども、私はやはり、ふるさとを失ってはいけない、ふるさとの風景が変わっていってはいけないというふうにも思っていまして、しっかりと農地を守る、そういう意欲というのは今までどおり持ち続けていただきたいというふうに思っているところでもあります。

 そこで、今申し上げましたように、基幹的農業従事者の六五%が六十五歳というような状況ではありますけれども、今、やはりコミュニティーの機能というのをいかに維持していくかということも大変重要であるということから、若い人たちも農村地帯に戻っていただくか、あるいは残っていただくようなそういう方策を考えていかなくてはいけないということで、雇用ですよね、雇用の対象になるのはやはり若い世代の方々だろうというふうにも思います。

 就業機会の創出については、もう離農してしまった、そういう方々に対してということは、そこの部分については必要性は低いんだというふうにも思いますので、そのことについてどのような見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 地域によってさまざまなケースがあると思いますけれども、例えば私の地元の新潟二区というところ、これは佐渡島を含む選挙区でございます。

 佐渡は今、推計で人口は大体五万七千人ぐらいでございますけれども、人口が年間千人ずつ減少するというような状況がございまして、このままいくと、五十年ぐらいたつと島のコミュニティー全体が消滅するんじゃないかと言われている。

 人口が千人ずつ減少する要因、これは御高齢の方も多いので自然減というのも多いんですが、教育機関が高校までしかないので、基本的には、若者は高校を卒業すると、就職あるいは進学のために外に出ていく。彼らは、島に残りたい人もたくさんいます。非常にいい環境の中で、それこそ先祖伝来の田んぼを耕しながら、年老いていく両親と一緒に過ごしたいという人もたくさんいるんですが、しかしながら、やはり雇用の引き合いがない、若い人間が働く場がないというので、これを何とかしてほしいというのがそれこそ本当に地域の農山漁村の切実な声であるというふうに考えております。

 こういう状況は、先生の御地元でも同一の状況があるのではないかと思いますが、まさにこういう声に応えるために、今回の農工法の改正というのを私ども審議をお願いしているということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

金子(恵)委員 若い世代の方々には、農村、そういうふるさとに本当に移住、定住したいという方々もいます。その方々が、ある意味自分の思っていたイメージと違った農村だったということにならないようにしていかなくてはいけない、そういう思いもあります。一方で、ですから、いかに魅力のあるふるさとに発展していけるかということが大きな課題だというふうに思っているんです。

 そこで、五業種ではなく、対象業種の限定というのを廃止するということでありますけれども、もう先ほど来もお話や御答弁がありましたので、改めて私から質問はいたしませんけれども、アンケート調査によって出てきたのが、一位になったのは電気業、そして二位は小売業というようなことで、先ほどから御答弁があったところでもあります。

 そして、やはり求められるのは、地域資源というものをいかに活用していけるかということなんですが、今ちょっと気になりましたのが、先ほど、例えば福祉の部分、医療とか福祉ということをちょっとおっしゃっていたんだというふうに思いますけれども、そういう業種が入ってくるということが前提であったとして、例えばそこで働く人たちをどうしていくか、どういうふうに育てていくか、どこからある意味本当に引っ張ってこれるか、言葉はよくないですけれども、そういうことも含めて、トータルして考えていかなくてはいけないというふうに思うんですね。

 例えば、業種の中で、特に介護関係で施設をつくりたいという方々がいたといたします。そうなりますと、私も、介護福祉士を育てている専門学校で今教鞭をとっている人間ではありますけれども、そもそもがまず人手不足、そういう業界もあるわけですね。介護もそうなわけです、実際に。そこで、国としてもしっかりとそこで働く人たちを育てていかなくてはいけないということにもなって動いているというふうに私は信じています。私たちは、少なくともそのような形で動かせていただいています。人手不足で苦しいのは農業の分野だけではない。

 そうしますと、やはりそういう部分でしっかりと本当にこの人口をふやしていけるのか、若い人たちをもっとこの農村地帯あるいは地域においでいただくような、そういう環境づくりをきっちりしていけるのかというのは、もっと大きな枠組みでトータルして考えていかなくてはいけないというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりであろうと思っております。

 ただ、この法律のたてつけといたしまして、いわゆる市町村が実施計画を作成することになっております。この実施計画の作成の段階で、まさに先生今お話があったような、いわゆる地域の将来像をどう考えるのか、地域の農業の将来像あるいは若者の方の雇用の将来像をどう考えるのかということを基礎自治体レベルでよく議論していただいて、その上で実施計画をつくっていただいて、実際にこの政策に基づいてさまざまな施策を実施していただくということになろうかと思っております。

 その意味で、まず個々の地域でそういう議論が深められるということを期待しておりますし、また、それに関連して、今先生が御指摘になったようなさまざまな政策が、この法律に基づくものに限らず総合的に導入されるべきであろうというふうに考えております。

金子(恵)委員 先ほど来ありましたように、雇用構造の高度化を目指すということであれば、本当に今申し上げたように、全体の話をしていかなくてはいけないんだというふうに思います。

 一方で、やはり、このアンケート調査の中では、電気業の中では木質バイオマス発電等が最も多かったということと、それから、小売業では農産物直売所ということ。恐らく、三十二件、三〇%、三割ぐらいはそういうふうにお答えになっているということですが、ある意味、先ほども申し上げました、もし農村の地域の資源を活用するということであれば、ここで農業関連に関してのニーズがあるというふうに考えていいわけです。そして、この数字にもやはりそれがあらわれているというふうに理解していいということであれば、なぜここで、今回の対象業種について、農業関連というふうなくくりにしなかったんだろうか、絞り込まなかったのだろうかと、私は、そこは疑問に実は感じるところでもあるんです。何でもかんでも、どんな業種でも入ってくる、でも、もうからなければ撤退する、そして、残されたそこの土地は残念ながらもうもとには戻らないということになっていきます。いかがでしょうか。

細田大臣政務官 確かにおっしゃるとおりな考え方もございますが、ただ、私どもの考え方といたしましては、業種に逆に限定をつけずに、ある意味、あらゆる業種に来ていただきまして、その農村地域の活性化を図っていただくということが必要だろうというふうに考えております。

 先ほどの佐渡の例で申し上げますと、とにかく、普通に働けるところであれば、何といいますか、余りぜいたくを言わずにぜひ仕事をつくってほしいというような声が本当に強い声として、もちろん若い人の希望というのはありますけれども、ただ、普通に働けて普通の収入が得られるような職場であれば、どういう会社でも佐渡に来てほしいというような切実な声というのも本当に一方ではございますので、そういうような地域の現実を踏まえた私どもの判断というふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 今の政務官の御答弁は決して後ろ向きではないとは思うんですが、現状をごらんになりながらだとは思うんですが、しかし、目標になっている雇用構造の高度化というところから考えますと、ちょっと残念な御答弁でもあるんですね。

 残された時間は、ちょっと震災からの復興について質問させていただきたいので、今とにかく、申し上げましたように、地域の声をしっかりと聞きながら、そのニーズに合わせた形でいろいろなことを御検討いただいて、そして、いずれにしましても、農地をしっかりと守り続けていただきたいというふうに思っています。

 そして、こちらで私が対応させていただいているように、農地を守りたい、農地を守っていただきたい、そういう思いを持ちながらも、東日本大震災によって、被災地においては農地が大変甚大な被害を受けました。

 それで、その復旧状況については、津波被災の農地は、二万百二十ヘクタールに対して、今八三%が復旧しているというような数字が出ています。しかし、残念ながら、福島県の津波被害農地は二千百九十ヘクタールだったんですけれども、その復旧率は四六%にとどまっているというようなことでもありまして、大変、福島県は厳しい状況にあるというようなことでもあります。

 今回、農工法の改正の議論の中で、農地転用というようなお話がある中で、私たち被災地では、農地をいかに復旧し、いかに確保していくか、そして農業をいかに続けていけるか、営農再開できるか、本当に現状としては厳しい中にありまして、農地を簡単に転用するということに深く深く疑問を今感じざるを得ない状況にあるんです。

 ですので、あえて、ふるさとの、東北の農地を守るという意味でこの質問をさせていただいております。御認識をお伺いしたいと思います。大臣、お願いします。

山本(有)国務大臣 平成二十三年三月、東日本大震災、この津波により被災した農地は、被災六県全体で二万千四百八十ヘクタール、おっしゃるとおりでございます。

 このうち、公共用地等への転用により農地として復旧しない箇所を除き、災害復旧事業の対象として復旧する二万百二十ヘクタールのうち、平成二十八年度までに八三%において営農再開が可能となっております。平成二十九年度は、八八%において営農再開が可能となる見込みを出しております。残りの農地につきましても、福島県内の避難指示区域等を除き、平成三十年度の復旧完了を目指しているところでございます。

 このように、東日本大震災に係る津波被災農地の復旧はおおむね順調に進捗しているものと認識しておりまして、農林水産省としましては、引き続き、地元地方公共団体等と連携を図りながら、早期復旧に努めてまいりたいというように考えるところでございます。

金子(恵)委員 福島県では、先ほども申し上げましたように、津波被害の復旧率は四六%。避難指示も解除された地域がありますけれども、しかし、まだまだ帰還困難区域という区域もありまして、この部分についてはどのような形で再生できるかというのは、大変今、まだまだ検討課題があるところでもあります。

 しかし一方で、今申し上げましたように、この春、帰還困難区域以外の避難指示が解除された浪江町、飯舘村、川俣町山木屋、そして富岡町も含めてどのように営農再開がなされていくかということで、本当に、これは農水省、もちろん大臣も含めまして、しっかりとウオッチしていただいているというふうには思いますけれども、たくさんの課題があります。ごらんいただいているかどうかわかりませんけれども、飯舘村では、もう農地にフレコンバッグが積み上がっている状態にある。放射性廃棄物が積み上がった状態になっています。

 しかし、やはりその農地をいつかはしっかりと再生させるんだろう、そういう願いを持ちながら、何とか農業を諦めないで頑張りたいと思っていらっしゃる方がいる。

 どのような支援をこれからも進めていただけるか、最後にお聞きしたいと思います。

山本(有)国務大臣 繰り返しになりますけれども、福島県におきまして、津波被災農地のうち、発災後、避難指示区域等に指定された区域外の二千七百六十ヘクタールにつきまして、平成三十年度の復旧完了を目指しております。

 一方、発災後に避難指示区域等に指定されました区域の二千百二十ヘクタールにつきましては、避難指示解除の見込みや除染の工程等を踏まえながら復旧の準備を進める必要がございます。

 このうち、平成二十七年九月に楢葉町におきまして、平成二十八年七月に南相馬市におきまして、避難指示区域等が一部解除されたところでございます。その千四百三十ヘクタールの農地を対象に、現在、計画的に復旧に取り組んでいるところでございます。

 また、このような復旧された農地も含めまして、環境省等による除染が行われた農地につきましては、営農活動が再開されるまでの間、福島県営農再開支援事業によりまして、農地の保全管理のための除草や地力増進作物の作付あるいは営農再開に向けた作付実証のための資材購入等の取り組みを現在支援しているところでございます。

 今後とも、福島県や地元関係市町村との密接な連携のもとで、できる限り早期に営農再開が可能となるように取り組んでまいりたいという決意でございます。

金子(恵)委員 時間ですから終わりますけれども、単なる支援ということではなく、本当に農地をいかに再生していくかというところからスタートでありますので、ぜひ、長い期間かかるかもしれませんけれども、これからも継続した形で寄り添っていただければというふうに思います。

 終わります。ありがとうございます。

北村委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 民進党の重徳和彦です。

 この委員会で水じゃなくてお茶が出されているということが大変話題になっておりましたが、私も愛知県西尾市というお茶どころでございますので、ぜひ御協力をさせていただきたいと思いますので、よろしくお取り計らいのほどお願い申し上げます。

 さて、きょうは農工法改正の審議でございます。優良農地を工業用地などや他産業に変更することによって、農業というのは本当に甚大な影響を受けるのではないか、こういう審議が続いているわけですが、きょうは私は、あえて、本来のテーマとは外れるものの、同じような構図で、我が国の工業化の影響を受けている漁業について少し質問をさせていただきたいと思います。

 言うまでもなく、港湾整備とか臨海工業地帯のための埋め立て、こういったことによって、全国の干潟とか藻場とか、内湾の漁業も大変大きな影響を受けているわけでございます。

 そこで、まず確認をしたいんですけれども、農地の場合は、どれだけ農地が他の用途に転用されたかは明確にわかるんですけれども、漁業の場合、干潟、藻場などなど、こういった漁業に使われていたエリアがどのぐらい影響を受けているのか、こういったことについて政府は把握をされているのでしょうか、お尋ねいたします。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 今、先生の方からお話ございました干潟や藻場の減少でございますが、高度成長期の沿岸域の埋め立てなどによりまして、昭和二十年から平成十年にかけまして、干潟の面積というのは三・四万ヘクタールということで減少しておりますが、その後、平成十年から平成十九年にかけては〇・一万ヘクタールの減少にとどまっておるところでございます。

 また、藻場につきましては、海水温の上昇などの要因により、いそ焼けが進行していることから、平成十年から平成十九年にかけて約二・一万ヘクタール減少しているところでございます。

重徳委員 そういった数字、きのう、役所との打ち合わせのときには何か把握していないという話でございました。きちっとしたそうしたデータは、その場で通告もさせていただいているわけですから、どういった質問をするかは伝えているわけですから、事務方の方からちゃんと提出していただけるように、こうやって委員会答弁で出てくるわけですから、これはちょっと、ちゃんと事務方の方にも御指示をいただきたいと思います。

 こういった、どういったような影響を受けているのか、ここを数字上で把握していくというのがまず基本中の基本であると思いますので、こうした統計をもとに議論をすることは大変重要なことだと思っております。

 そして、これも事前の打ち合わせのときに、端的にこの内湾漁業の、これまで数十年の間にどういう変化が生じているかということを示す一つの重要な、そしてはっきりとした数字が出ているのがアサリの漁獲量であるということがございまして、きょうは資料を用意させていただいております。

 この資料一をごらんいただきますように、アサリ漁獲推移というのは、一九八五年、およそ三十年前には全国で十三万トン以上とれていたのが、九五年以降は四万トン前後で推移しまして、二〇一五年には二万トンを切っているわけですね。

 そして、愛知県、これは私の地元でありますけれども、すなわち三河湾ですね。三河湾でとれるアサリというのがずっと一万から二万トン程度で推移しておりますから、近年、本当に全国一の、これは別に愛知県のアサリがふえたわけじゃなくて、全国が急激に減っているという結果を受けて、日本一のアサリのシェアを占めるに至っているということであります。

 しかしながら、この三河湾も、近年、アサリは激減をしておりまして、昨年来、壊滅状態と言ってもいいような状況になっております。本当に深刻な状況でありますので、まず水産庁に、直近の状況、この原因は一体どういうところにあるのか、お尋ねいたします。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 全国でアサリの漁獲量が減少している原因でございますが、幾つかあるわけでございますが、一つは、埋め立て、干拓、あるいは護岸工事などによるアサリの生息地の喪失といったこと。また、二つ目といたしましては、底質の泥化、要するに泥になってしまうといった泥化、あるいは貧酸素水塊や赤潮の発生など環境要因の悪化といったようなことが挙げられると思っております。また、三つ目といたしましては、ナルトビエイあるいはツメタガイなどによる食害といったものが考えられるところでございます。

 また、先生の御地元の愛知県でございますが、愛知県の水産試験場の情報によりますれば、最近の愛知県におけるアサリ漁獲量の減少の原因といたしましては、台風やあるいは冬の季節風による波浪の影響によりまして、地先の稚貝の定着、生残個体数が減少している、あるいは、ヒトデ、ツメタガイ等の食害の影響などが考えられる、このような報告を受けているところでございます。

重徳委員 そして、さらに言うと、近年ではウミグモですね、カイヤドリウミグモ、この点、今長官は言及されなかったと思うんですけれども、これが非常に大きなアサリに対する影響を与えていると言われております。

 私は地元ですからいろいろな方の声を聞くわけなんですけれども、本当に、若い漁師さんも、仕事がなくなっちゃっているものですから、アルバイトをしたり、廃業、転職、こういったことを余儀なくされているという状況であります。それから、ゴールデンウイーク中も、例年ですと大変多くの人が潮干狩りに来てにぎわっている地域でありますけれども、これは本当に行えないという状況でありまして、地元経済にも大変な影響を与えるものなんですね。さらに不運なことに、ごく一部の地域で行われる予定だった潮干狩りの地域でも貝毒が発生をして、これが急遽中止に追い込まれる。大変厳しい状況に拍車をかけているということです。

 何としてでも資源回復をさせなければならないと思っているわけなんですけれども、今長官が言われたさまざまな要因、そしてカイヤドリウミグモの駆除を含め、大臣の決意を述べていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 私の住んでいる地域もアサリが全くとれなくなりまして、非常に困っています。

 アサリ漁獲量の減少を踏まえまして、農林水産省が中心となって、独立行政法人水産総合研究センター、都道府県の水産試験場等をメンバーとして、平成十五年にアサリ全国協議会を立ち上げ、地域ブロックごとにアサリ漁業の現状に関して情報交換をまず行っているところでございます。

 そして、具体的には、アサリ稚貝の流出や食害防止のための網かけ等による着底稚貝の保護、育成、移植放流等の実証事業の推進、次にアサリの生育の場として重要な役割を担っている干潟の整備に対する支援、アサリの生育を阻害するカイヤドリウミグモの除去などの取り組みを支援しているところでございます。

 今後とも、資源量回復に向けまして、国、県、研究機関が緊密に連携しつつ、これらの事業をさらに進めてまいりたいというように考えるところでございます。

重徳委員 干潟という生息の場、これを保全あるいは回復、復旧させていくという言葉もありました。

 きょうのテーマとしてそういったことの重要性ももちろん欠かせないわけでありますが、一つ、最近、海がおかしいぞということに対してちょっと指摘をしたいことがあるんです。

 その前に、一つ、今アサリの被害のことを申し上げましたけれども、最近は全国でも似たような状況かもしれませんが、伊勢湾とか三河湾の状況を聞くと、イカナゴとかノリの不漁、減産ということもあるんですよね。これはどうなんでしょうか。この要因をどう分析されておられるんでしょうか。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘ございました伊勢湾あるいは三河湾におけますイカナゴでございますが、これにつきまして、毎年、愛知県と三重県が一月、二月に稚魚の発生量を調査しておるところでございますが、平成二十八年そして二十九年におきまして、稚魚がほとんど確認できなかったということから、両県の漁業者の協議会におきまして禁漁を決定したということを承知しておるところでございます。

 この不漁の原因でございますが、国立研究開発法人水産研究・教育機構によりますれば、イカナゴにつきましては、夏に砂に潜り、夏に眠るということで夏眠と呼びますが、夏眠を行う習性がございますが、平成二十八年、二十九年におきましては、前年の夏の高水温、二十五度C以上というようなことによりまして、夏眠中のイカナゴの多くが死滅したということが考えられるところでございます。

 また、ノリにつきましては二つほどありまして、一つは、成長期であります冬場の水温が上昇したことによりまして、養殖に適した期間が短縮されたということに加えまして、植物プランクトンの発生によりまして栄養塩の不足が生じたことが生産減少の主な要因ではないかと考えられているところでございます。

重徳委員 イカナゴについては水温が上がったこと、それからノリについてはこれも冬場の水温そして植物プランクトンがふえたということを要因と分析をされているようですが、私が聞いているところでは二つあると言えましょうか。

 まず一つは貧酸素ですね。酸素濃度が低くなってしまっているということがあるのではないかという声を聞いております。これはちょっと対策とその結果というものがどう結びついているのかということが十分明らかじゃない問題でありまして、いろいろな研究報告があるわけなんですけれども、一つ言われているのが、もともと、貧酸素ということの対策として、国や県では水質総量規制に基づいて下水道からの流入負荷削減というものを行う、そうすると、栄養塩類というんですかね、窒素とか燐とかそういったものが減るということなんですが、それによって貧酸素を改善しようということだったんですかね。なんですが、どうもそれは余り役に立っていないんじゃないかというようなことが言われています。

 それからもう一つは、そのように流入負荷を削減するということによって、今言った燐や窒素といった栄養塩類が減るわけで、そうすると植物プランクトンの餌が減る、つまり植物プランクトンが減るということが起こっているんじゃないかというような指摘があるわけであります。

 ですから、これは、私なんかは本当に、私自身こそ素人なのでわからない部分が多いんですけれども、そもそも、こういった流入負荷の規制をする、水質総量の規制をするといったことによって海に流れ込む栄養塩類の量に影響が出るわけですが、これと漁業生産との関係というのは一体どうなんだというところをいま一度この場ではっきりさせていただけないかというふうに思うわけであります。

 つまり、その規制がちょっとおかしいのであれば、もう少しそこのコントロールを、海域によって、あるいは季節、時期によって変えていくとか、そういった見直しが必要なのではないか、こういった声があるのですが、この点、大臣、いかが受けとめておられるでしょうか。

山本(有)国務大臣 栄養塩の減少対策でございますが、この栄養塩の重要性に着目いたしまして、平成二十五年度から、赤潮・貧酸素水塊対策推進事業、こういうものを打ち立てまして、栄養塩と漁業資源、特にノリとの関係につきまして調査を今進めてきたところでございます。

 そして、本年四月に閣議決定されました水産基本計画におきましても、漁場の生産力の回復に向けまして、栄養塩と漁場生産力の関係の科学的調査の実施、また、海域の漁業、養殖業の状況を踏まえた適切な栄養塩の管理に関する検討、こうしたことをするという政府のとるべき方向性を示したところでございまして、農林水産省といたしましては、この方向に沿って、アサリなどの二枚貝を含めた栄養塩対策をこれから取り組んでいこうというように考えるところでございます。

重徳委員 つまり、ここ数年で対策を講じつつ調査している段階だということでよろしいですかね。もちろん、わかっていないことがあるわけですから、調査は積極的にやっていただきたいと思います。今のが農水省あるいは水産庁としての御見解だというふうに受けとめます。

 その一方で、水質総量規制というのは、水質汚濁防止法に基づいて環境省が所管しているんですね。環境省の規制なんです。環境省としては、水質総量規制はどういう目的でやっているんでしょうか。

早水政府参考人 お答えいたします。

 水質総量削減制度でございますが、東京湾や伊勢湾などの、人口及び産業が集中し、通常の排水基準による事業場ごとの濃度規制だけでは環境基準の確保が困難であるような広域的な閉鎖性海域において、工場、事業場のみならず、生活排水等も含めた全ての汚濁発生源からの汚濁負荷量を総合的、計画的に削減するということで水質の改善を図ることを目的としたものでございます。

重徳委員 そして、その目的に沿って水質総量規制をやっているわけですが、その効果はどんなものでしょうか。

早水政府参考人 お答えいたします。

 水質総量削減につきましては、東京湾、それから伊勢湾及び瀬戸内海を対象に、昭和五十四年から五年ごと七次にわたりまして、国が定める総量削減基本方針及び関係都府県が定める総量削減計画に基づき実施をしてきておりまして、着実に、対象海域に流入する汚濁負荷量を削減してきました。

 それで、一次から四次までは有機物の指標であるCODのみを対象としておりましたけれども、赤潮、貧酸素水塊といった富栄養化に伴う問題に対応するために、第五次からは栄養塩類である窒素、燐も対象に追加したということでございます。

 その効果でございますが、水域によって異なりますけれども、例えば三河湾を含む伊勢湾で見ますと、まず汚濁負荷量につきましては、直近のデータがあります平成二十六年度と比較しますと、CODでは、総量削減制度を導入した昭和五十四年度と比べて平成二十六年度までに五四%、それから窒素では、同様に総量削減制度を導入した平成十一年度と比べて二三%、燐では四六%、削減されてまいりました。

 また、環境基準の達成率でございますけれども、CODにつきましてはおおむね横ばいではありますけれども、窒素、燐については改善しているということでございます。

重徳委員 そこでお尋ねしますが、農水省、水産庁としては、この栄養塩と言われる窒素、燐の状況と漁業資源との関係というのは調査をやります、やっているところですということなんですが、環境省としては、漁業資源という言い方よりは自然保護の観点からこの関係をどう捉えておられるんでしょうか。

早水政府参考人 お答えいたします。

 なかなか難しい問題でございまして、先ほど申し上げましたように、富栄養化ということでいいますと、栄養塩類である窒素、燐が増加すると富栄養化します。プランクトンが増殖して水質が悪化します。これによって、赤潮が発生したり、漁業被害が生じたり、また、夏場を中心に底層、底の方の水が貧酸素化して貧酸素水塊が発生する、底質の悪化を招くなどしております。これが、要するに、植物プランクトンが大量に増殖して、下に沈んで堆積すると、分解して酸素が減るので貧酸素水塊が発生して、これが漁業被害につながるということでございます。

 このため、貧酸素水塊が発生しているような海域では、流入負荷の削減が対策の一つではないかというふうに考えられるわけでございます。

 また一方、御指摘のように、栄養塩類が規制で低下したということで、漁業生産の低下につながっているという指摘もなされているのは承知しておりますけれども、例えばですが、伊勢湾で、燐酸態燐などの栄養塩類が低下することと漁業生産量との間に明確な関連性というのはまだ確認されておらないので、やはり、先ほど水産庁さんからもお話がありましたけれども、農林水産省さんからもお話がありましたけれども、科学的知見の蓄積が必要と認識をしております。

 また、この栄養塩類が増加すると、今度、赤潮が増加して、あるいは貧酸素水塊が発生することにつながるというおそれがありますので、そのあたりは慎重に対応を検討しなきゃいけないというふうに考えております。

 また、水産資源に影響を及ぼす要因として、ほかに、やはり藻場、干潟が減少するとか、あるいは、先ほども指摘がありました、気候変動に伴って水温が上昇しているとか、あるいは水産資源の管理方法とか、こういったほかの要因も指摘されておりますので、こういったものも含めた解析も必要ではないかと考えております。

重徳委員 わかりました。

 ところで、兵庫県の播磨灘、瀬戸内の海ということになるんでしょうか、ここで下水道の管理運転というものが現に行われているという話がございます。

 これは国交省所管だと思うんですけれども、漁業者とか自治体の水産関連部門の要望を踏まえ、また、そういった部署とも連携をしながら進めておられるんでしょうか。

森岡政府参考人 下水道の取り組みについてお答えをいたします。

 下水処理におきましては、放流先の状況等に応じ、有機物や窒素、燐といった栄養塩類の除去を行っておりますが、一般的に、その放流水質は年間を通じた基準というふうになっております。

 一方、先生御指摘のように、近年、漁業者の方々等から、特に冬場において海域の栄養塩類が不足しているという声が上がっている地域があるということは承知をしております。

 こういった地域では、水質環境基準の達成、維持などを前提に、漁業関係者や関係機関と連携を図りながら、例えば、ノリの成長期である冬場に処理水の栄養塩類の濃度を上げるといった弾力的な管理運転の取り組みを行っているところであります。

 平成二十九年三月までに、このような下水処理場の弾力的な管理運転を、御指摘いただきました播磨灘の、例えば兵庫県明石市二見浄化センターを初め、瀬戸内海、有明海沿岸等の三十三カ所の下水処理場で試行、実施をしております。

重徳委員 ありがとうございます。

 その結果はどうなんでしょうか。もしわかることがあれば、教えてください。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度の兵庫県立農林水産技術総合センターの報告によりますると、明石市二見浄化センターの下水処理水を冬季に管理運転し、処理水中の栄養塩濃度を上昇させたところ、沿岸部のノリ養殖場におきましても栄養塩の上昇が確認されたとのことでございます。

重徳委員 そういうデータがあるということですね。

 まだ始めたばかりの取り組みだから、実際の漁業資源への影響というのは今後見ていかなきゃいけないということですかね、そういうことですね。何かあれば。

佐藤(一)政府参考人 一般論といたしましては、貧栄養の状態にあれば、栄養塩の上昇というものが漁業資源に好ましい影響を与えるというふうに考えられますが、どのような状態でどのように影響するかについて、具体的な関係については、やはりしっかりとこれから解明に努めていく必要があるのではないか、このように考えているところでございます。

重徳委員 漁業者の皆さんは、本当に、実際はどうなんだろうということを皆さんいろいろと思い描いておられますので、ぜひしっかりと解明していただきたいと思います。

 ところで、これはどこの湾でもそうなんでしょうか、三河湾は、アサリの話は先ほどしましたが、ほかにも底生生物というんですか、底の方に住んでいる魚ですね、カレイとかクルマエビとか、メバル、アイナメに至るまで、どうも、漁業者の直観的な感覚も含めての話だと思いますが、やはり減少しているというんですね。

 そこで、最近、資料の二にある、環境省が新たな基準を設定されたということでございます。

 底層溶存酸素量の環境基準を去年の三月に設定されたということですが、この趣旨、そして検討に当たっては、環境省のものですけれども、水産庁とは十分連携をとりながら検討されたんでしょうか。

早水政府参考人 お答えいたします。

 閉鎖性水域におけます水質改善はいまだ十分ではなく、水域によっては貧酸素水塊の発生などによりまして水生生物の生息や水利用などに障害が生じている状況にありますことから、底層溶存酸素量、底の方の水にどれだけ酸素が溶けているかということですけれども、これに着目いたしまして、環境基準への追加を検討してきたところでございます。

 その結果、水域の底層に生息する魚介類などの水生生物やその餌生物が生存して、また再生産が適切に行われるような場を保全、再生するということを目的として、平成二十八年三月にこの底層溶存酸素量を環境基準に設定したということでございます。

 この設定に当たりましては、その検討過程におきまして、水産庁さんともよく相談をさせていただくとともに、環境基準について検討いただく中央環境審議会の専門委員会に国立研究開発法人水産研究・教育機構の研究者の方にも委員として御参画をいただいたところでございます。

 また、この環境基準は、保全すべき水生生物の、きょうの表にもありますように、貧酸素への耐性などに応じて三段階の基準値がありまして、今後、東京湾などから順次、どの範囲の水域にどの基準値を適用するかというのを定める類型指定という作業を行う予定でございまして、その際には、地域における水産関係者や水産の専門家からも御意見をいただきながら検討を進めていきたいと考えております。

重徳委員 そろそろ時間ですが、最後にお尋ねしたいんですが、今の環境省の定めた底層溶存酸素量、この基準の適用、今後のことであるという話ではございますが、今後どういう方向で取り組んでいかれるのでしょうか。

 要するに、きょうの話のテーマで、さらに厳しく規制をしていくという方向にならざるを得ないようなふうに受けとめられるんですが、そういう方向なんでしょうか。そして、それで本当にいいんでしょうか。これから調査をいろいろとやられるということですから、そういう科学的知見を集めつつここは弾力的に対応をとっていくべきではないかという私の意見も踏まえて御答弁いただけるとありがたいです。

早水政府参考人 お答えいたします。

 底層溶存酸素量の改善のための対策につきましては、環境基準を定めるときの中央環境審議会の答申におきまして、関係者が連携、協議し、従来の水質汚濁防止対策だけでなく、藻場、干潟の造成、環境配慮型港湾構造物の整備、深掘り跡の埋め戻しなどのさまざまな対策を組み合わせて、将来のあるべき姿を見据えつつ、中長期的な対策も視野に入れた総合的な水環境保全対策を進めていくことが必要とされております。

 この答申を踏まえまして、さまざまな対策を総合的に進めることによりまして、底層溶存酸素量の改善に向けた取り組みを進めていきたいと考えております。また、並行して科学的知見の充実にも努めていきたいと思っております。

重徳委員 わかりました。ありがとうございます。

 済みません、農工法の審議の時間でありましたけれども、冒頭申し上げましたように、やはり、日本の産業構造の変化に伴って、農業のみならず、漁業も大変な影響を受けてきております。漁業資源の回復という観点も、この委員会の委員の皆様なら重々そこは御承知だと思いますけれども、ぜひ気にかけながら、日本の農林水産業を発展させていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

北村委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会、前振りの吉田でございます。きょうもよろしくお願いいたします。

 毎日毎日出てきまして、本当に申しわけないなという気持ちもありますが、頑張りますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは法案審議ということで、農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律案という、常に法案は長いなと思いながらですけれども、法案が出たときには、大抵の場合は略称というのがつくんですね。それで、例えば特土法とかになりますと、特殊土壌さまざまと長い名前が特土法と略される。今回のものは農工法というふうに略すというふうに、通称がそうなるんだろうと思います。

 それで、農工法と書いてありますが、法案は工業等と、等が入っておりまして、等が私は実は重要な部分ではないかな、こういうふうに感じるわけです。

 その上で、農工となると、私たち、歴史のときには、江戸時代は、士農工商、こういう言葉があって、そして、もちろん士は侍で、農、工、商と。これ、江戸時代にすごいなと思うのは、第一次産業、第二次産業、第三次産業まできちっと農、工、商という形で据えて、そして農村というものが一つの閉じた空間あるいは地域として物事が捉えられていた、そういう意味での士農工商だったろうと思うわけです。

 この国において侍がどんどん減っていっているのも残念なことだと思いますが、それはまた別の機会にお伝えすることだとしまして、農、工、そして商につながっていく、この部分をこの法案で私は確認していきたいと思います。

 法案につきましては、まず、この法案自身、昭和四十六年ということですから本当にもうすぐ五十年近くになるという長い歴史を持つ法案、これがブラッシュアップされていく必要性はあるということが大前提だと思うわけですけれども、農村地域において就業の機会ですとか雇用創出ですとか、それから地域の安定性、雇用の問題、さまざまな問題を今どう捉えているのかということを概論として確認させていただきたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 高度成長期でございました昭和四十六年当時でございますが、国土の均衡ある発展の観点から、太平洋ベルト地帯以外の地域への工業再配置の政策が講じられておりました。一方で、農業、農村サイドにおきましては経営規模の拡大などの農業の構造改善を図る必要がございました。

 こうしたことから、工業を農村地域に導入することによりまして、農業従事者など農村地域の地元住民の方々の雇用を創出いたしまして、これと相まって農業構造改善を促進するための措置を講ずることによりまして、農業と工業との均衡ある発展を図る、こういったことを目的として農工法が制定されたところでございます。

 これに対しまして、今日、農村におきましては、地域コミュニティー機能の維持等にも影響が見られるようになってきております。そうした中で農村を振興するためには、農村地域でのさまざまな農業者や地域住民の方々がその地域で住み続けられるように、まずは農業を魅力ある産業にしていく、あわせて農業以外の選択肢をきちんと用意する、こういうことによって就業機会の一層の創出と所得の確保を図ることが課題となっているというふうに認識をしております。

 ただ、産業構造が変化する中で、全就業者に占める工業等のウエートが低下しているところでございます。したがいまして、農村地域の就業機会を確保して農村の振興を図るためには、地域に賦存する資源を活用した産業など、工業等以外の産業の立地、導入を促進することが必要ではないかというふうに考えまして、このような状況を踏まえまして、今般、農工法の対象業種につきまして、工業等五業種の限定を廃止することなどを内容とするこの法律案を提出したところでございます。

吉田(豊)委員 そういうニーズがあるということなんですけれども、ちょっと改めて私が確認したいのは、いつも申し上げていますけれども、この日本という国も広うございまして、そして農村という言葉一つをとっても、実はここにいらっしゃる委員の皆様にとっての農村というイメージが一致しているかというと、私は、そうじゃないだろうな、こういうふうに思うんですね。だから、こういうところをどう捉えて、そしてその上でどう変えていくのかという、そこを私はもう少し明確にしていただきたいと思うわけです。

 私は富山県の出身ですので、富山において農村の風景というと、全国で一番の水田率の県でございますし、また、それプラス兼業農家率も日本一なんですね。そんなことからすると、農村地域の工業等導入促進法、これの恩恵あるいはその形を一番受けたのが今の富山県の農業の姿かな、そういう気持ちも持っているんです。ですけれども、私自身が思っている農村という姿がこの法案の中ではど真ん中におるわけでもないでしょうし、改めて、農村というものはどういうイメージで捉えていらっしゃるのか、それを確認させていただいてよろしいですか。

佐藤(速)政府参考人 この法律の農村地域の定義でございますけれども、農振地域、それと山村振興法に基づく振興山村、それと過疎法に基づく過疎地域、こういったところを農村地域ということでこの法律の対象としております。

 ただし、三大都市圏ですとか人口二十万以上の市、こういったところは農村のイメージからはちょっと離れますので除外をしておりますが、そういった地域を農村地域ということで定義をして、この法律に盛り込まれたさまざまな仕組みを適用する、こういうことにしております。

吉田(豊)委員 今ほどの説明は、私も確かにそのとおりだと思うわけです。

 そうすると、最初に私、前振りの方で申し上げました江戸時代の士農工商じゃないけれども、江戸時代にあったようなそういう農村の姿、イメージですけれども、そういうような、それを新しい、今にふさわしいものとして農村地域というものを組み立てるためのこの法案は一助になる、そういうような位置づけなのか。それとも、三大工業地帯を除くのは当たり前のことなんですけれども、そうではない、例えば富山も中核市ですけれども、実際のところ、工業ももちろん、それからさまざまな第三次産業以降の産業もある、そういう中での農村ということをイメージしているのか。

 もう少しそこの農村というものが、対象がきちっと囲われているのかどうか、それについてはどのようにお考えでしょうか。

佐藤(速)政府参考人 この農工法の仕組みといたしましては、市町村が実質的に実施計画というものを立てまして、その市町村が区域を設定して、どのような産業を導入するか、どのような区域を設定して導入するか、そういったものを基礎的自治体である市町村が策定をする。その際に、この農工法の目的でございます、農業の構造改善の措置をあわせて講じるということにしております。

 そういった意味では、市町村がそれぞれの置かれた状況に応じまして導入する産業、それと相まって講ずる農業構造の改善のための措置、こういったものを講じていくということになろうかと考えております。

吉田(豊)委員 そういう位置づけの上で、農村ということを考えたときに、農村のイメージは地方をまさに象徴していると思うんですけれども、今、政権は地方創生という言葉も表に出していらっしゃるわけですね。このときの地方創生ということと、今おっしゃった農村、そういう存在をよりブラッシュアップしたものとして捉えていくという、このことについて、農工法、今回の法案は地方創生の中に位置するものなのか、それとも、またそれとは別の考え方で捉えなくてはいけないのか、このことについてどのように考えていらっしゃるかを確認させていただきたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 農村を振興するために、地域のさまざまな方々が地域に住み続けられるように農業を魅力ある産業にしていく、あわせて、農業以外の選択肢を用意する、そのことによって就業機会の創出と所得の確保を図ること、これはまさに地方創生に資するものであるというふうに考えてございます。

 昨年十二月に閣議決定をされました、まち・ひと・しごと創生総合戦略というものがございます。その中におきましても、「農村地域工業等導入促進法の見直し等により、農泊や企業のサテライトオフィス、ICT関連産業、バイオマス関連産業、「生涯活躍のまち」関連産業など農村地域に賦存する豊かな地域資源を活用した農村地域での立地ニーズが高いと見込まれる産業を広く同法の対象業種に加えることで、遊休農地も活用しつつ農村地域における雇用と所得の創出を推進する。」と位置づけているところでございまして、まさに地方創生の中での位置づけということになっていると承知をしております。

吉田(豊)委員 そうすると、本当にこの地方創生というイメージ自身がいかに重要なもので、それをどう共有するかということの難しさというところも話は進むんだろうと私は思いますけれども、今の局長とのやりとりさせていただいた中でも、やはり私は、市町村に最終的には具体的な行動については委ねていくということのお話の重要性と、それから地方創生という話、あるいは地域において農村をどう捉え直してどう位置づけていくのかということ、これはやはりもっともっと意識として共有していくための努力というのが必要だろうというふうに考えるところなんです。

 それで、改めてこの法案について少し具体的に入っていきたいと思いますけれども、この本法案の対象業種については見直しをする、工業五業種の縛りを外すということなんですが、これについて、私は今、前段、幾つかの考え方をお伝えさせていただいたと思いますけれども、それにかかわらず、対象を見直すというこの狙いを確認したいんですが、大臣にお聞きしたいと思います。

山本(有)国務大臣 対象業種の見直しの狙いでございますが、工業等五業種に現在限定されております。産業構造が変化し、全就業者に占める工業等の就業者のウエートが随分低下傾向にございます。農村地域に就業機会を確保するためには、地域に賦存する資源を活用した産業やあるいは立地ニーズの高いサービス業など、工業等以外の産業を立地、導入することが必要となってきております。

 これらを踏まえまして、木材バイオマス発電、農産物直売所、あるいは農家レストランなど地域資源を生かした地域内発型の産業、あるいは福祉、介護サービスなどの立地ニーズの高い業種、これの立地、導入が可能なように、今般、対象業種の限定を廃止するというように至ったところでございます。

吉田(豊)委員 そして、具体的に、農業と工業、そしてそれ等、プラスですね。それから、プラスということは第三次産業以降も加えて対象にしていこう、それは全て、農村という一つの地域にこれをどう新しいものを導入していくかという考え方だと思いますが、新しい業種、産業を導入していくときに、もともとの農村というのは農業がベースになっている、農林水産業という一次産業がベースになっている。それはもちろん、自然に、土地であり、それから川であり海であり、林であり森であり、そこに根づいているところから始まるという、プラス何を持ってくるかという話だと思うんです。

 ここに農業に関連性のあるものを工等で持ってくるのか、それとも持ってくるものが全く農業に関連がないのかということ、これは私、大きな話だろうと思います。それは、地域としての一体性、それから新しいあるべき農村の姿、これを考えたときに、まず、関連性のない産業の導入の可能性、それから、これについてどのように考えていらっしゃるか、これを確認したいと思います。

佐藤(速)政府参考人 平成二十七年三月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画というものがございます。この中で、「食品製造業など農業関連産業の農村への導入等を通じた、農村における雇用と所得の創出を促進するための環境整備を図る。」と書いてございまして、委員御指摘のような記述がございます。

 ただ、私ども、この記述、農業関連産業に限るという趣旨ではなくて、農業関連産業以外の産業の立地、導入を否定するという趣旨ではないと思っております。

 現に、先ほど御紹介いたしました、まち・ひと・しごと創生関係でございますが、一昨年、平成二十七年十二月に閣議決定されました、まち・ひと・しごと創生総合戦略、ここにおきましては、「農村地域への農業関連産業等の導入促進により、地方における就業機会を拡大する必要がある。」とされておりまして、農業関連産業のみならず、その他の産業も含めて広く農村地域に就業の機会を拡大する必要があるというふうにされております。

 この農村地域の就業の場としては、委員御指摘の農業関連産業への期待が大きいということは確かでございます。ただ、それに限らず、就業の場の確保につながる産業の選択肢を広げることも必要ではないかと考えておりまして、例えば福祉、介護サービスといった立地ニーズの高い業種などの立地、導入を可能とする必要もあるのではないか、かように考えてございます。

吉田(豊)委員 何といいますか、最後のところで出てきました福祉ですよね、福祉関係のところ。これは別に農村に必要ないものかというと、当然、今の、これからの農村には必要なものだろう、こう思うわけです。ですから、関連がある、関連がないというそこのところをまずどう捉えるかということと、それから、例えば福祉、介護のサービス一つとったにしても、新しい農村にふさわしい介護の姿というのはこういうものだと思うということをやはりイメージを持たないと、実際に市町村にそれを今度やってくださいという話になったときに、あれもいい、これもいい、関連がないけれどもしようがない、これも出てきたからいい、こんな話は私はだめだと思うんです。

 やはり、きちっと、どういう姿に使われるものが望ましいということがあった上で、それは農林水産省として僕はあるべきだと思うんですね。それ以外に、プラスアルファ、まちづくりの問題ですとか地域の活性化の問題、それは地方創生の問題にも当然かかわってきますから、いろいろな観点から、この分野についてもこういう形であれば望ましいし、こういうふうで進めるということが本来のプログラムの狙いだということは、やはり私は農水省としてきちっと表に出していただく、この重要性を感じるんです。

 引き続いて、私はここで、やはり実際の農業の、関連しているというものをよりそこに、実際、関連していないものが来る可能性があるのもそれはわかりますけれども、それよりは、そうじゃなくて、関連している人たちが来たいなと思わせるプログラムだというためにはどのようなことを考えなくてはいけないか、それをお聞きしたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 農村全体の雇用の確保、所得の向上を促進する上で、委員御指摘の、地域の農林水産業を核としたような取り組み、六次産業化の取り組みですとか農商工連携の取り組み、こういったものの推進は極めて重要であるというふうに認識をしております。

 今般の農工法の改正によりまして、工業等五業種の限定を廃止いたしまして、農林水産物などの地域資源を活用したさまざまな産業、例えば農産加工施設ですとか農産物販売施設、農家レストラン、農泊施設等々の立地、導入もできるようにしたいというふうに考えているところでございます。

吉田(豊)委員 法案で言うところの農業関連産業、農業に関連がある産業、それが工であり商であり六次産業につながるものである、それはそのとおりなんですけれども、これをやはりもう少し明確に示すということ、具体的にはこういうことなんじゃないかなと思いますということの例はきちっと出していくということが、この法案によっていろいろな行動を行っていく方々にとっては、ああ、こういうイメージなんだ、それはこの法案で言うところの農村地域の新しい姿、そして工業等の導入を促進する理由はここにあるんだ、こういう絵面が求められているんだ、そうすると、私たちの一人一人の思うプランが、ああ、これは合致するなとかそうではないな、そういう判断もよりできるようになると私は思うわけです。

 ここで具体的に、農業関連の産業導入、これはやはり、局長おっしゃいましたけれども、六次産業化という言葉の中には、私は、バリューチェーン、いろいろなものをつなげていく、このことの重要性というのは、実際のこれを使われる方々あるいは農村の方々にとって理解していただくということは本当に重要だろうと思うわけです。

 具体的には、バリューチェーンというものをこの法案の中ではどう捉えるべきかということをお聞きしたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 この六次産業の取り組み、それによるバリューチェーンにつきましては、委員の御指摘も踏まえまして、この法律が成立して、改正法案が通った暁には、しっかりと趣旨を各地域に浸透するように努めてまいりたいというふうに考えてございます。

吉田(豊)委員 そして、これを実際浸透していくためには、しつこいですけれども、具体的にやはりイメージできるということが私は大事だろうと思うわけです。

 ですから、今、バリューチェーンについてできている例があるのかどうか、あるいは、具体的にそういう例を示すことによってよりインセンティブを出していく可能性、こういうことについてどのように把握されているか、お聞きしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、農山漁村の所得を向上させて雇用を創出していくためには、市場を意識して、消費者の需要に応じて農林水産物を生産、加工、販売していく、その際、マーケットインの発想に立って、必要な場合には商業や工業と連携をしていくといったような六次産業化の取り組みが重要と考えております。

 このため、農林水産省におきましては、六次産業化ネットワーク活動交付金によりまして、新商品の開発、販路開拓といったソフト面の支援とともに、加工販売施設等の整備といったハード面の支援も行ってきているところでございます。

 具体的な例ということでございますけれども、こうした交付金を活用して六次産業化に成功している例といたしまして一件だけ挙げさせていただきますけれども、例えば、富山県富山市の畜産農家が、できたものを売るという発想ではなくてマーケットインの考え方に立って飲食店や消費者側からの要望を直接把握したり、あるいは食肉加工業者と連携をするといったようなことで牛肉の生ハム、サラミ、ドライエージングビーフ等を製造して、また、試食会での意見等も踏まえながらさらに改良を行って販売を行っていくといったようなことで、最近十年間で売上高を倍増させているといったような例がございまして、こういった例の紹介なども含めながら、マーケットインの発想に立った、またバリューチェーンを見据えた六次産業化の取り組みについて積極的に支援、また普及を図ってまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 今ほど富山の地元の例をお出しいただいて大変恐縮ですけれども、実はこれは、皆さんからするとそんなにすばらしい例には、聞こえたかどうかわかりませんが、先ほど私が申し上げましたように、富山というのはもう本当に米一筋という米しかないところで、それで私は県議会議員におりましたけれども、そのときには地産地消という言葉がいっときはやりました。それで、地元の野菜を食べて、地元のものでという話をしたときに、富山は米しかないんですね。そうすると、カレーライスをつくろうと思ってもタマネギもなかったという、そういうのが富山の農業の昔の現状、いっときの現状だったと思うわけです。

 ですから、そこからすると、そういう極北にある富山の農業だったのが、今こうやって御紹介いただいたように、今のさまざまな取り組みによって、新しい、最先端の、日本の中でも進む挑戦をしているというのは非常に本当にありがたいことだな、こんなふうにも思います。

 それで、プラスアルファは、農と食、それから観光とか宿泊のことも含めて、いつも言っておる話ですけれども、こういうあるべき農村のイメージの姿の中でも、より本当に特化されたものという、こういうことは一つの、イメージづくりについては、やはりリーディングの例として重要だろうと思うわけですね。

 そういうことで、この方向性をぜひ私は、農林水産省側の方からプログラムをつくって、先ほども申し上げましたけれども、最初から例外のことについても言及されるよりは、やはりこれの本来の使い方はこういうふうにあってほしいんだということの方向性を出していただきたいと思いますけれども、改めて、この法案との考え方の関連について確認させていただきたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 ただいま委員御指摘の、農と食と観光と泊をつなげる、そういった取り組みでございますけれども、農山漁村において、古民家ですとか地域の伝統食、こういった地域に眠る資源を観光コンテンツとして磨き上げて、インバウンドを含む観光客を農山漁村に呼び込む、滞在していただくことによって地域の活性化につながる、非常に有意義なものだと思っております。

 例えば、兵庫県篠山市の中山間集落の丸山集落というところでは、古民家を宿泊施設やレストランとして活用して、地元産の野菜ですとかジビエといった食材を使用した食事の提供などによりまして宿泊客を増加させますとともに、この宿泊事業をきっかけにした交流活動を活発化させることによりまして、地域の耕作放棄地が解消して、UターンですとかIターンも増加している、こういった事例がございます。

 こういったような取り組みの横展開を図るということで、農林水産省では、二十九年度予算におきまして農泊推進対策五十億円を計上いたしまして、さまざまな支援、ソフト、ハード対策一体的な重点支援をすることにしております。

 こういった取り組みにおきましても、この農工法のスキームの活用といったようなことにつきまして、しっかりと各地域にPRをしてまいりたいというふうに考えてございます。

吉田(豊)委員 改めて私は確認したいなと思いますけれども、そういうこの法案の対象となる農村というものが、具体的には、本当に絵はがきになるようなイメージの農村であったり、一方では、そうではなくて、ほとんど市街地に近いようなところの農村というものも当然あるわけだと思うんですね。

 そのときに、絵はがきになるような方の農村というのは今ほどおっしゃった流れでいいと思いますけれども、具体的に、市街地の近くにある農村、あるいはそこからアーバン、サバーバンと広がっていくわけですけれども、こういう中にあって、エリア、エリアごとの農村の姿というものに、私は、景観上、あるいは都市計画上、やはりきちんとした見ばえのよさというものは常に今の時代は追求してもらいたい、こういうふうに思うわけです。

 その必要性というのは、例えば、よしんばですけれども、そういう一つの農村の地域の中に、農業には関連がないかもしれないけれどもというこの工あるいは工業等、その業種が入ってくるとしたときに、それが箱物であったならば、何か生産する工場だったとしますよね。工場やあるいは施設だったりする。こういうものが地域の景観になじむか、なじまないかということは、私は本当は一番大切な視点じゃないかな、こう思うわけです。

 こういうことをきちっと誰が管理するのか、あるいは誰がそれを誘導していくのかというところ、これは私は、我が国の都市計画、あるいは地域の景観というものを考えたときに、とんでもないちぐはぐなものが出てくる可能性というのはいつも否定できないし、現実にそういう場所を幾つも見るわけです。でも、やはり今の時代にふさわしい地域の景観ということが、特に農林水産省がリードするものであれば、そこについては最大限の配慮をしてもらいたい、こう思うわけですけれども、そのために何が必要かということ、あるいはどのようにお考えかということを確認させていただきたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 おっしゃる景観ということも、農村地域への産業の導入に際しては考慮すべき一つの大きな要素だと思っております。

 実際に、どのような産業を導入する、どういう仕方でどういった景観になるか、こういったものは、先ほど御答弁申し上げましたように、市町村が実施計画を策定する中で具体的な絵姿を描いていくということになろうかと思います。

 そういった中で、我々国の方といたしましても、市町村の取り組みをきちんと市町村みずから検証していただく、あわせて、市町村の実施計画に基づく取り組みを都道府県を通じて国の方もフォローアップしていきまして、農村への産業導入がしっかりと景観も含めて行われるようにそういったフォローをさせていただければ、そういったことを国の策定する基本方針にも書き込んでまいりたいというふうに考えてございます。

吉田(豊)委員 今ほど局長から答弁いただいたとおりだと私は思いますし、大臣に最後、私はお聞きしたいと思うんですが、せっかく新しい法案というかこの法案をリフレッシュさせて、そして今の時代にふさわしい農村あるいは農風景というものをつくっていくということを考えたときに、それを実際に、当然、お金を渡して、さまざまなことを誘導していくわけですけれども、やはり、条件をつけるという言葉がいいかは、それはわかりませんが、こういうふうな姿であってほしいということを私は常にリードしていただきたい、こう思うわけです。

 そういう意味で、農水省の役割というのは非常に、そこの部分が一番大切なことで、それが現実に、どういう町、どういう地域、どういう農村になっていくかという仕上がりに直結するわけですから、ここの重要性ということを改めてお聞きしたいと思います。

山本(有)国務大臣 この法案で、農産物の直売所など、地域資源を生かした地域内発型の産業の立地、導入、これを可能にするわけでございます。今般の改正を受けて、国が定める基本方針において、これらの地域内発型の産業の創出に努めるというようなことに誘導していきたいと思っております。

 しかしながら、すぐれて、それは地域に根差した、しかも景観に根差した、若者が憧れる、そういう美しさとか魅力とかいうものを踏まえた形でやっていただきたいというように思っております。

 モデルは、風車のあるオランダだとか、あるいは軒高ハウスの中でやっておられるすぐれたレストランだとか、そういうようなものを見ながら、やがてそういうような地域にも負けないような日本の農村になっていくということを目指していきたいというように思っております。

吉田(豊)委員 大臣のおっしゃるとおりだなと思いますし、また一方で、私が思いますのは、常に、農家レストランだとかあるいは農産物をつくったところで売る場所とか、そういうことだけで全ての農村が成り立つかといったら、もちろんそんなのは夢物語で、実際はそうではないというのが現実でしょうから、だから、なおさら私は、農村について、先ほどおっしゃったさまざまな農業にかかわりのない部分の産業や建物ができるときにも、それは、どういうふうに見せるかというところ、そういう施設をつくるときには例えば食事をより一層地域になじむようにするとか、いろいろな面での、どうなじませていくかという部分、これの重要性をより高めていただいて、そして推し進めていただきたい、このように思います。

 終わります。

北村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。重徳和彦君。

重徳委員 私は、民進党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論いたします。

 本改正案の趣旨や目的について、政府は、我が国の産業構造が変化する中、農工法の支援対象業種を拡大することによって、引き続き農村地域における就業の場を確保し、ひいては農業構造の改善、農村の維持発展を目指すのだと主張しています。

 確かに、農工法が制定された昭和四十年代においては、我が国の工業化が著しく発展する状況のもと、工業の地方分散政策が講じられる中で、農村地域が抱える過剰労働力を工業へ促すとともに、工業の導入を契機として農地保有の合理化を促進することにより、農業と工業の均衡ある発展を図るという大きな政策目的がありました。

 しかしながら、今日においては、法制定当時と比較すると、企業は海外も含め立地場所を選ぶようになり、また、農村地域では高齢化、人口減少が進展するなど、農工法をめぐる状況は大きく変容してしまっております。農工法は、その歴史的使命を終えたものと言っても過言ではありません。

 そのような状況の中、今回の法改正により、支援対象業種の枠を取り払い、その制限をなくすことが、なぜ農業構造の改善、農村の維持発展につながるのか、政府から合理的な説明はありませんでした。

 政府は、農村地域において就業機会を創出していくことにより、農村地域に人を呼び込むことになるのだと説明しておりますが、人を呼び込むだけでは必ずしも農業の持続的発展につながるとは限りません。農業従事者の高齢化や後継者不足が進む中、農業分野以外の雇用機会を増大させることは、むしろ農業、農村の空洞化につながりかねません。

 さらに、農工法に基づく土地利用調整については、農地転用許可の特例や農振法の農用地区域からの除外の特例が定められており、支援対象業種の枠を取り払うことによって、今まで以上に優良農地の維持、確保に支障を来すおそれがあります。

 食料自給率の低迷が続く中、我が国の農業は衰退の一途をたどっており、我が国の農地面積は、昭和三十六年には六百九万ヘクタールであったのに対し、転用、壊廃が進んだ結果、平成二十八年には四百四十七万ヘクタールまで落ち込んでおります。そのため、優良農地の確保は喫緊の課題であります。

 にもかかわらず、本改正において農地転用等の規制の緩和を行うことは、目指すべき改革の方向性とは真逆を向いていると言わざるを得ません。

 これらの理由により、本改正案については、我が国の農業の持続的発展に資するどころか、その弊害となりかねないと断じられることから、反対すべきであると申し述べ、私の反対討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

北村委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党を代表して、農村地域工業等導入促進法の一部改正案に反対する討論を行います。

 本改正案に反対する理由は、安倍政権が進める農業構造改革のもと、農地の集団化をさらに促進することを目的規定に盛り込むとともに、農村地域への導入対象業種指定を廃止することで、法の本来の目的である、農業と導入された産業の均衡ある発展が図られなくなるおそれがあるからです。

 安倍政権は、日本再興戦略で、今後十年間で全農地面積の八割が担い手によって利用され、米の生産コストを四割削減することを目標にしています。

 改正案は、政府が進める農業の構造改革に合わせることを明確にするため、目的に「農地の集団化その他」を加え、任意であった農業構造の改善に関する目標を義務規定に変えることで、都道府県の基本計画並びに市町村の実施計画に縛りをかけるものになっています。

 また、改正案は、農村地域への導入促進の対象業種指定を廃止することで、農産物販売所等の小売業、農家レストラン等の参入が可能になりますが、一方で、農地転用の許可権限が大臣から地方自治体に委譲されているもとで、安易な農地転用等が行われる危険性もあります。

 本法案の一方で、経済産業委員会で審議中の企業立地促進法の改正案では、優良農地の転用などを盛り込み、導入産業の支援まで呼びかけられています。この点からも、農業と産業の均衡する発展からかけ離れていくことになりかねません。

 そもそも、これまで農工法に基づいて整備されたものの企業立地が決定していない遊休工業用地が千四百三十三ヘクタールに上っています。全国で工場跡地が増加する中で、新たに企業誘致のために農地の転用を進める必要はありません。

 農業を基幹産業に位置づける自治体にとっては、地域に根づく地域内発型産業の発展が願いであり、そのための努力も強まっています。今必要なことは、この努力を力強く応援することこそ、政府に求められていることです。

 以上を申し上げ、反対討論とします。(拍手)

北村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

北村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時六分散会


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