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第12号 平成29年5月17日(水曜日)

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平成二十九年五月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北村 茂男君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君

   理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    小里 泰弘君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      笹川 博義君    助田 重義君

      鈴木 隼人君    瀬戸 隆一君

      武部  新君    中川 郁子君

      西川 公也君    古川  康君

      細田 健一君    前川  恵君

      宮路 拓馬君    森山  裕君

      簗  和生君    山田 賢司君

      山本  拓君    渡辺 孝一君

      岡本 充功君    金子 恵美君

      佐々木隆博君    重徳 和彦君

      宮崎 岳志君    村岡 敏英君

      中川 康洋君    真山 祐一君

      斉藤 和子君    畠山 和也君

      吉田 豊史君    仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       山本 有二君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   財務副大臣        木原  稔君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        青柳 一郎君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 荒川  隆君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            佐藤 速水君

   政府参考人

   (林野庁長官)      今井  敏君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 一雄君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     助田 重義君

  瀬戸 隆一君     山田 賢司君

  前川  恵君     鈴木 隼人君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     笹川 博義君

  鈴木 隼人君     前川  恵君

  山田 賢司君     瀬戸 隆一君

    ―――――――――――――

五月十六日

 畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長荒川隆君、消費・安全局長今城健晴君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長佐藤速水君、林野庁長官今井敏君、水産庁長官佐藤一雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。

笹川委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の笹川でございます。

 また、きょうは、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 それでは、早速に質問の方に入らせていただきます。

 まず、鳥獣駆除について、水増し等々の事案について各地からさまざま報告があるわけであります。その中で、農水省さん、四月に全国の各自治体に対して補助金申請時の検査の徹底等も含めて通知を発出したということであります。今月中の取りまとめに向けて動いているらしいんですが、それも含めて、不正の現況について今のところどのように把握をしていらっしゃるのか。それからまた、この不正防止のために具体的な改善策を施さなければなりませんが、現時点でのお考えをお答えいただきたいのと、また、不正に申告をし、不正に受給をした方から、これについていわゆるお金の返還があったのかどうか、そのこと。この三点についてのお考えをまずはお聞きをしたいと思います。

佐藤(速)政府参考人 現在農林水産省が把握しております捕獲活動経費の不正受給でございますが、補助金返還の対象となる事案は兵庫県佐用町の事案と鹿児島県霧島市の事案の二件でございます。いずれも捕獲写真の使い回しによる偽装と見られております。

 補助金返還でございますが、兵庫県佐用町の事案は、国費分二十七万二千円を本年四月十四日に近畿農政局に返還済みでございます。鹿児島県霧島市の事案につきましては、不正が確定次第、交付金の返還手続を行う予定でございます。

 こうしたことを受けまして、農水省として、四月十四日に担当課長名で鳥獣被害防止総合対策交付金における捕獲確認方法等に関する全国一斉点検を実施する旨を通知いたしまして、全ての事業実施主体、約九百ございます、に対しまして、確認方法の点検と不正防止等の徹底を指示したところでございます。

 点検の報告期限、委員御指摘のとおり五月末となっております。この結果を踏まえまして、不正事案の発生防止に向けて必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えてございます。

笹川委員 一点だけ確認なんですけれども、現時点で、不正防止について、今の確認作業がありますよね。これについて、何かしら具体的な改善策についての検討はなされていないですか。

佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。

 点検の報告期限が今月末となっております。それを踏まえまして必要な措置を検討してまいりたい、講じてまいりたいというふうに考えてございます。

笹川委員 わかりました。

 いずれにいたしましても、鳥獣の駆除、特に、鹿、イノシシにつきましては二〇二三年に半減をするんだと。また、環境省においても保護から適正な管理という形の中で、国の方針もかじを切ったわけでありますから、そういう意味において、今回の事案というのは甚だ遺憾なことであります。

 特に、この鳥獣害のために汗をかいている人たちに疑いの目が向けられるということは、私は甚だよろしくないというふうに思っています。各自治体は非常に鳥獣駆除について、鳥獣害被害についての対策に頭を抱えておりまして、真剣に取り組んでいる。

 これからも、ぜひ、そういう意味では、鳥獣による農作物の被害の削減、そして安心した生活、さらには作業の確保、このためにはこういう不正が二度と起きないようにしていかなきゃなりません。そのためには、こういう事案があった以上は対策に努めてもらって、やはり不正が起きない、具体的な改善策を速やかに策定していくということが大切でありますので、改めて農水省さんにそのことを強く要望させていただきたいと思います。

 続きまして、外国人労働者と農業の関係であります。

 昨日ですか、特区のこと、採決がされたわけでありますので、いずれにしても、私自身もこの問題には関心を持って取り組んでおります。

 その中で、今、労働力不足に悩む生産地、加工業者も含む地域に専門学校を、例えば日本語学校ですとか、そういうものを設立して人手不足の一助にという動きがあるということでありますが、農水省さんとしてこの実態についてどのように把握をしているのか、まずは御所見をお伺いしたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 日本語学校自体は農水省の所管ではございませんけれども、まず、農業分野で、そういう日本語学校等の生徒として日本に来た場合に、資格外活動許可ということで、週二十八時間以内で働くことは認められております。

 そういう資格外活動が農業分野に従事する外国人労働者の中にどれくらいいるかということについては、厚生労働省の統計がございます。農業関係全体で外国人労働者総数二万三千六百八十三名、これは平成二十八年の数字でございますが、そのうちの資格外活動というのは三百五十一名ということで、一定程度限定的なのかなとは思っております。

 そういう中で、各種報道等で、日本語学校の一部でそういう制限の時間を超えて就労活動させている事案があるということは承知しておりますが、今までのところ、農業分野においてそういう報道なり実態が生じているという形では把握していないところでございます。

 今後、この問題につきましては、法務省におきまして、日本語教育機関に対する実態調査、それから当該機関在籍者への資格外活動の状況調査、これを実施するという方向が出されておりまして、現在調査中というふうに聞いております。それに応じて必要な措置を検討する方向であるというふうに承知しておりますので、農林水産省としても、所管分野で違法な就労が行われることのないよう、こういう政府全体の動きの中で連携して取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

笹川委員 留学生における不正な労働、不当な労働、これについては、実は農水の現場以外のところでは非常に今、事例とすればウナギ登りというふうに言っていいと思います。過去にこうだったから多分限定的だろうという発想はやめた方がいい。こういうものは堰を切ったように事例がふえる可能性は非常に高いというふうに思います。

 特に農水の現場においては、今般、技能実習制度が改正をされ、さらには特区制度を導入したということでありますけれども、しかし、実際に農水の現場において労働力が不足をしている、このことについてどう対処していくかということだと思うんです。

 その中で、今、農水省を挙げてGAP制度というものを認証取得に向けて大きく踏み出したわけであります。このGAP制度の中に人権に関する項目というものがあるわけなんですね。賃金であれ作業環境であれ、非常に配慮しなければならない。でなければ、これは取れないということでありますので、本来、このGAPの取得をしたところについては、そういうものはクリアしている。

 今回、外国人労働者の問題として一番問題なのは、不当な賃金、それから劣悪な労働環境の中で働かせる、このことが大きな問題なんですよ。国際的にも、日本の技能実習制度については、そういう点からも厳しい指摘がある。この点について、農水の現場でこういうことが起きては絶対にならないというふうに思うんです。

 これから我々は、農産品を外国の人に買ってもらうんだ、日本の農産品はすばらしいんだという中で、やはり一番のお客様になり得る可能性があるのは、日本に来てくれた人でしょう。それは観光であれ、仕事であれ、勉学であれ、日本のこの地に来て、日本の農産品に触れて、そして初めて、ああ、すばらしいとお客様になって、母国に帰ってお客さんになっている。このことが好循環を生むと思いますので、日本に来て悪いことしか経験ができなかった、体験できなかったということであるならば、これは大変なことであります。

 そういう意味において、これから外国の皆さん方に、さまざまな方に、バイトであれ何であれ、もし汗をかいてもらうのならば、こういうGAP制度、このことをやはり念頭に置いて農水としては制度を考えていかなきゃならないというふうに思いますので、今後の展開でありますが、ぜひ検討していただきたいと思うんですが、ちょっと私の意見についての農水省さんとしての御所見を聞かせていただければというふうに思います。

齋藤副大臣 国際水準のGAPに関しましては、今、笹川委員おっしゃるような効果があります。

 GAPそのものは、持続的な農業生産を確保するために、食品安全や環境保全を確保する取り組みのみならず、この中には、作業者の労働安全確保や人権保護の観点から、例えば、作業者に外国人がいる場合は、理解できる言語や絵等で教育訓練を行うことですとか、適切な労働条件を設定することが必要な取り組みとして事項が定められているわけでありますので、国際水準GAPを取得するということは、農業分野における外国人受け入れの環境を整える上でも非常に有効な手段だろうというふうに考えております。

 こういう点も含めまして、生産現場に周知することによりまして、国際水準GAPの取り組みや認証取得の拡大を積極的に推進してまいりたいと考えております。

笹川委員 ありがとうございました。

 今後の展開について大いに期待をしたいと思いますが、農水省さんにおかれても、厚労省それから法務省と、関係省庁との連携も密にしてやっていただければと思います。

 最後の質問でありますが、農作業の死亡事故の現況についてであります。

 これは、民進党の岡本委員も質問がありました。私も、実は自分の選挙区で大変お世話になった方が死亡事故ということで亡くなられてしまいまして、御家族の方から非常に悲しい思いを寄せられました。

 この点につきましても、データを見ると、残念ながら、農水省さんの今までの取り組みは何だったのかなというような指摘をされてもいたし方がないという状況が続いていることはあります。

 それについてでございますが、特に労災について、一番なのは、やはりなれなんですね。これは製造現場でもそうです。なれから生じた一瞬のすき、油断、ここから重大な事故に派生することが間々あります。

 そういう意味において、農作業、いわゆる農機具、これについては、例えば一年に数度しか使わないとか、年齢がいけば、残念ながら肉体的な衰えもあります。しかし、それを自覚するかどうかが実は問題でありまして、そういう点について、やはりまだまだ、高齢者、これは実は農業においては非常に貴重な担い手であって、同時にまた、農業のすばらしいところは、生涯現役、このことも体現をしているわけでありますから、しかし、この対策がまだまだ後手だということがちょっと遺憾だというふうに思いますので、今後、この高齢者に対しての対策をどのように考えていったらいいのか。

 もう一つは、安全対策が未装備な旧型の農機具なんですよ。これについてどう対処していくのか、対応していくのかということが大切だと思いますので、その点についての御所見をお聞かせいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話ございましたとおり、農業での死亡事故は近年三百五十件程度ということで、この状況が続いてございます。特に、平成二十七年は三百三十八件でございましたけれども、このうち六十五歳以上が八四%、八十歳以上が四七%ということで、やはり高齢農業者の割合は極めて高い状況となっております。

 私どもといたしましても、労働安全衛生の専門家を交えた事故情報の分析ですとか、機械の安全装置の改良、実用化の促進ですとか、警察庁と連携をいたしました事故防止の啓発促進、あと、厚生労働省ですとか関係団体とも連携しまして、農業者個人でも加入できる労災保険特別加入制度の周知、加入促進等に取り組んできているところでございます。

 今御指摘ございましたように、高齢者のお話、あと、機械の話は非常に重要でございます。

 事故情報の収集、分析はこれまでやってきておりますけれども、今回、調査様式も改定いたしまして、さまざまな情報がとれるように強化したいというふうに考えております。これらの情報を農業機械メーカーに提供いたしまして、安全設計を一層促していきたい。また、高齢農業者を初め農業者の安全意識の向上を図っていくというために、これらの分析結果も活用したチラシの作成等、啓発活動を強化していきたいということで、関係省庁、団体と連携して取り組みをさらに強化していきたいというふうに思っております。

 なかなか、旧型の機械をどうするかというのは、啓発のところまでしかまだ思い至っておりませんけれども、これからまたいろいろ検討していきたいと思います。

笹川委員 ありがとうございました。

 もう時間が参りました。二点だけお願いします。

 対策は結果でありますので、しっかり結果を出すように努めてもらいたいということと、それから、対策を練るに当たっては、高齢者目線、現場の目線、このことを大切にして対策をぜひ練っていただきたい。このことを強く要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

北村委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 先ほど笹川先生から国際認証GAPの御質問がありました。私も、今回、GAPの質問もちょっとさせていただきたいと思っていますので、きょうはGAP続きでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最初は、東京オリパラへの食材供給を通した農業の競争力の強化について、具体的には、国際水準GAPの認証取得に向けた国の支援についてお伺いをしたいと思います。

 現在、私の地元であります三重県を初め各都道府県では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会への農産物等の供給を目指し、国の支援事業であります国際水準GAP等取得拡大緊急支援事業や、さらには、平成二十九年度当初予算でのGAP体制強化・供給拡大事業などを活用し、国際水準GAPの指導人材の育成や、また、国ガイドラインGAPの認証体制の整備、さらには、GAP認証取得に向けた産地の体制整備、これを進めていただいているところであります。

 こうした取り組みは、東京オリパラへの農産物の供給を目指しての取り組みだけではなくて、ひいては地元農産物の輸出の促進や、さらには消費者ニーズの多様化などを見据え進めることが重要であるために、国は、今後も、都道府県が国際水準GAPの認証取得に向けた体制を整備し、さらには生産現場において的確な普及指導に取り組んでいけるよう、引き続きの支援の継続強化を図っていくことが私は重要であるというふうにも思っております。

 特に、今後は、農業者や法人等がグローバルGAPやJGAPアドバンスなど、いわゆる国際水準GAPの認証を取得することへの支援を強化していくことが重要でございまして、具体的には、毎年度の認証費用やICTによる記帳技術の導入、さらには認証対応のための施設改修、これらが必要になってくることから、国は、これら産地を対象にした初期段階における総合的な支援、これをこれまで以上に継続強化していくこと、私はここが非常に大事になってくるというふうにも思っております。

 農水省の今後の都道府県及び産地に対するGAP認証取得促進に向けた支援の方向性について、大臣の御見解を賜りたいと思います。

山本(有)国務大臣 まず、中川委員の御地元の三重県が、全国に先駆けてGAPの認証制度について随分意欲的な取り組みをしていただいているということに高く敬意を表する次第でございます。

 国際的に通用するGAP認証取得の推進は、国産農産物の二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会への供給のみならず、輸出拡大や農業人材の育成など、我が国の農業競争力の強化を図る観点から極めて重要であるというように考えております。

 このため、平成二十八年度補正予算で措置いたしました国際水準GAP認証取得支援事業によりまして、審査費用、コンサルタント費用等、認証取得に要する費用について支援を行い、集中的にGAP認証取得を進めてきたところでございます。

 今後の方針といたしまして、まずは、GAPが農業者の経営改善上必要な取り組みであることから、GAPを実践する農業者の拡大が重要であると考えておりまして、生産現場への周知徹底、GAP指導体制の構築などを進めていくこととしております。

 その上で、GAP認証の取得につきましては、みずからの販売・経営戦略、取引先の要請等に基づき経営者が判断することを前提といたしまして、その拡大を推進することが重要と考えております。

 認証取得体制の強化といたしまして、必要な審査員の増大、審査費用を軽減するため団体認証の促進などを進めるとともに、引き続き、補正予算の執行状況を踏まえつつ、切れ目のない支援が可能となりますように努めてまいりたいというように考えておるところでございます。

中川(康)委員 今大臣から御答弁をいただきまして、大変にありがとうございました。

 今、三重県のお取り組みも御紹介いただいたところでございますが、特に、私どもの地元、昨年五月には伊勢志摩サミットを開催させていただきまして、いわゆる県内のすばらしい食材を世界に発信することができたわけでございます。これをやはり東京オリパラでありますとか、さらには世界への輸出につなげていきたいということで、このGAPに対する取り組みを本県も始めたわけでございます。

 特にこれから、産地、農業者等が手を挙げて頑張っていきたいというところに対しての具体的な支援、ここを次年度以降も継続的につくり上げていくこと、ここがやはり国内においてGAPが広がっていく一つの大きなファクターになるというふうにも私は思っておりますので、その部分についてきょうは御質問をさせていただいたわけでございますので、今後の農水省の取り組み、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 もう一点、次は、GAPに対する消費者理解の促進についてお伺いをしたいと思っております。

 正直、私自身も、GAPについては、その名称及び内容について最近まで余り深く知らなかった一人でございます。小泉委員が御質問されたときに初めて私も伺いまして、ああ、そういう取り組みがあるのかというふうに感じたわけでございますが、農水省が平成二十四年に行った意識調査では、GAPについて知っていたという数字は一三%にとどまっております。

 今後、国及び都道府県はGAPに対する取り組みをさらに普及拡大していこう、こういった流れであるというふうにも思っておりますけれども、基本的には、このGAP取得の恩恵を最終的に享受する消費者の認識が低ければ、今後、国際水準に取り組む農業者の努力というのは評価されない可能性もあるわけでございます。

 そこで私は、GAPに対する消費者の理解については、その取り組みに対する農業者の努力がしっかりと評価されていくよう、今後は東京オリパラ等を活用した情報発信に取り組み、これまで以上に消費者理解を促進することが重要であるというふうにも思っておりますが、ここの部分に対する農水省のお考えと今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 国際的に通用するGAPの認証取得を拡大するためには、流通、小売のみならず、消費者にはGAP認証の意義、メリットを理解いただきまして、GAP認証を得ている農産物が高く評価されるようにしていくことが重要だというふうに考えてございます。

 このため、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会を絶好の機会と捉えまして、GAP認証の価値を共有するためのオール・ジャパン体制の構築等を通じまして、消費者と直接接しておられる小売の関係者ですとか産地と小売をつなぐ流通関係者と一体となって、GAP認証の意義やメリット等の情報発信に努めてまいりたいと思います。

 また、消費者ですとか流通加工業者のGAP等に対する意向、また、そういうものの購買意欲等を調査することによって、その調査結果を施策に反映することも検討してまいりたいと思います。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今後、引き続き、その拡大に努めてもらいたい、促進に努めてもらいたいと思いますが、やはり幾ら農業者が頑張っても、その先にある消費者がGAPそのものの理解がなければ、その努力が評価されないような、そういった状況があるんじゃないかなと思いますので、その理解促進をこれからどう広げていくのか、ここの部分をぜひとも御注力いただきたいというふうにも思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 大きな二点目といたしまして、水産業の経営安定に向けた取り組みについて、二点ほどお伺いをしたいと思います。

 一点目は、サンマの不漁原因の究明と資源管理の強化についてお伺いをいたします。

 先週、当委員会におきましても、お隣、愛知県選出の重徳委員から、伊勢湾のイカナゴの不漁が続いているということの指摘がございました。私も同じような認識がありますが、実は、近年、サンマの漁獲量も減少傾向にございまして、私の地元であります三重県熊野灘においても、この漁獲量というのが年々減少するのとともに、昨年、実は漁期の漁獲量はほぼゼロでございました。

 この不漁の原因については、現在さまざま言われているところでありますが、サンマというのは北太平洋の回遊性魚類であり、広い範囲で漁獲をされているために、例えば三重県を初め我が国の漁業者のみの努力で資源管理は完結しないような状況がございます。今後のサンマの不漁原因の究明や国際的な資源管理の強化、これはやはり国として取り組むべき課題であるというふうに私は考えております。

 そこで、まずお伺いをしたいと思いますけれども、水産庁としては、この近年のサンマの不漁原因、これをどのように分析されているのか、その部分についてまずお伺いをしたいと思います。

佐藤(一)政府参考人 中川先生の御質問にお答えいたします。

 サンマの近年の不漁の主な原因でございますが、一つは日本近海の資源量の減少、もう一つは、道東沖に暖水塊が形成された結果、三陸沖への親潮の張り出しが弱くなりまして、サンマの群れが日本近海に近づきにくくなったといったことが考えられますが、これらに加えまして、やはり外国船の漁獲量増加による影響も排除し切れないのではないか、このように考えているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 先ほど長官からは、資源量そのものの減少があるとか、海における海水の暖水域の影響であるとか、さらには外国船がふえている、こういった部分を三点ほどお伺いをしたかというふうにも思っております。やはり回遊魚でありますので、我が国だけで資源管理に努めても、ここに限界はあるというふうにも思うんですね。

 それで、サンマの資源管理の強化について、もう少し具体的にお伺いしたいと思うんですが、サンマの資源管理につきましては、二〇一五年八月に、北太平洋漁業委員会、いわゆるNPFCが第一回会合を開きまして、現在のところは、新たな保存管理措置がとられるまでの間、暫定的に各国の漁船の許可隻数の急激な増加を抑制する保存管理措置がとられているというふうにも伺っております。

 それで、本年七月には札幌において再度のNPFCの会合が予定され、その場においてサンマなどの回遊魚の国際的な資源管理に向けての何らかの合意が図られる方向であるというふうにも伺っております。

 私は、この七月のNPFCの委員会での議論及び合意が今後のサンマを初めとした回遊魚の資源管理において大変重要なものになるというふうにも捉えておるわけでございますが、この札幌での七月の会議では、具体的にどのような議論がなされ、いかなる合意が図られようとしているのか、この具体的な内容について御答弁を賜れればと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生の方からお話ございましたNPFCにおきましては、平成二十七年でございますが、我が国の提案によりまして、資源評価に基づく新しい保存管理措置がとられるまでの間、漁船の許可隻数の急激な増加を抑制するといったこと、もう一つは、公海で操業する許可漁船については毎年事務局に登録するということ、もう一つは、公海で操業する漁船に漁船位置監視装置、いわゆるVMSの設置を義務づけているところでございます。

 我が国といたしましては、これらの措置について各国等の遵守状況を確認して、違反が認められる場合には、NPFCや二国間協議等の場を通じて必要な対応を行っていくこととしているところでございます。

 また、漁獲量の制限等の新しい保存管理措置を早期に講ずべきとの立場から、本年七月の年次会合におきましても、引き続きリーダーシップを発揮して、科学的な資源評価に基づく国際的な資源管理の強化を推進していく、このように考えておるところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 NPFCでの会議、やはり日本とかロシアというのは老舗でございますので、ぜひこの議論のリーダーシップをとっていただいて、我が国にとって少しでもプラスになるような、我が国にとってプラスと言ったら変ですけれども、資源管理が進むような形をよろしくお願いしたいと思っております。

 最後に、東日本大震災に起因する諸外国、地域の日本産水産物の輸入規制の撤廃について、残り時間、お伺いしたいと思います。

 東日本大震災に起因する日本産水産物の輸入規制については、発災当初、五十を超える国、地域で何らかの規制が行われておりましたけれども、その後の農水省及び水産庁の二国間協議の努力により、現在では、多くの国、地域でこの撤廃、緩和がなされております。

 しかし、中には、依然、何らかの輸入規制が継続している国、地域も少なくなくて、例えば私の地元であります三重県からの水産物の輸入、これについては、中国、韓国、インドネシア、コンゴ共和国で放射性物質検査証明書、さらにはレバノン、オマーン、サウジアラビア、バーレーンの四カ国では放射性物質検査結果報告書の添付を求めているわけでございます。

 しかし、これら三重県産の水産物からこれまで放射性物質は一度も検出をされておることはございません。この検査証明にかかる手間と費用、これは基本的には事業者の負担であるために、この添付が結果的に輸出促進の障壁になっているというふうにも言われております。

 私は、このように水産物の輸出促進の障壁になっている放射性物質検査証明については、例えば本件の三重県のように一度も検出されていない状況があるのであれば、輸出先国に対して科学的根拠に基づいて早急にその撤廃を働きかけるべきであると考えますが、最後、この部分についての水産庁の御見解を賜りたいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 今、先生の方からお話ございましたように、放射性物質検査結果あるいは海洋のモニタリングデータ、こういったものを提供しながら、二国間あるいはWTOのSPS委員会の場等で規制の撤廃、緩和を働きかけてきたところでございますが、引き続きまして、あらゆる機会を捉えて、科学的根拠に基づく輸入規制の撤廃、緩和が進むよう粘り強く働きかけを行っていきたい、このように考えているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 やはりこれからも科学的根拠に基づいてお取り組みをいただく、そのことを最後に申し上げ、私の質問を終わります。大変にありがとうございました。

北村委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 おはようございます。民進党の岸本周平でございます。

 きょうは十五分間ですけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 きょう、この後、岡本委員からも質問をさせていただくわけですが、東北農政局の職員OBらによる談合の疑いのある事案が発生をしております。農林水産省の内部でも調査委員会を立ち上げていただいて、しっかりとガバナンスをきかせた調査をしていただいているというふうに伺っております。

 一方で、文部科学省の方では現役の官僚が絡んで天下りの問題も取り沙汰をされておりまして、ある意味、いっときは霞が関の皆さんも襟を正されて、天下りであるとか、あるいは談合であるとか、そういうことの事件は鳴りを潜めていたわけでありますけれども、何といいますか、そこにおごりがあるのか緩みがあるのか、よくわかりませんけれども、幾つかの事案が偶発的とはいえ重なってきているわけであります。

 私も官僚のOBとして、ぜひそこは農林水産省みずから襟を正していただいて、自浄作用をぜひとも発揮していただきたい。これは、ある意味、農林水産省の側に立ってずっとお願いをしてきております。今、農林水産省がみずから自浄作用を発揮されることが国民の皆さんからの信頼をかち得る何よりの方策ではないかと思っております。

 しかしながら、この間の国会での審議の状況、大臣の御答弁、さらには、私ども、農林水産省の事務方といろいろとやりとりをさせていただく中で、残念ながら、不誠実な対応をしばし見受けることがございまして、ぜひともここは、与党、野党、関係ありません。我々は立法府、ハウスとして、やはり行政に対して監視をする立場であります。それに対して行政の側としては、みずから積極的に自浄作用を発揮していただいて、今現在都合が悪いかもしれないけれども、そのことを克服していただく中で、何とか国民の信頼を回復していただきたいと思っております。

 その意味で、実は理事会協議になりました案件が幾つかあるんですけれども、一つだけ整理をさせていただきたいと思いまして、きょう質問をいたします。

 これは五月九日付の農林水産省の、理事会協議に提出していただいたペーパーであります。

 これは岡本委員が質問をさせていただきましたけれども、近畿農政局の職員OBの会があります。丹後会といいます。丹後地方を中心とする、土地改良に関係した職員OBの皆さんの会だというふうに伺っておりますけれども、この丹後会といういわゆるOBの会に対して、歴代近畿農政局の農地整備課長が総会などに来賓として出席をされている。これらは、インターネット等でもその事実が明白にオープンになっているわけでありますので、事実であろうと思います。

 このことに関して岡本委員から、休日に開かれた丹後会の総会に出席をした近畿農政局農地整備課長の行動が公務なのか私用なのか、そこに公私混同はなかったのか、こういう質問が行われ、明快なお答えを委員会でいただけなかったものですから、文書で理事会に提出をいただいたものであります。

 この文書も二転三転しまして、最初は木で鼻をくくるような文書であったんですけれども、宮腰筆頭、さらには北村委員長の御指示もあって、ある程度、事実関係も詳細に書いていただきました。

 この中で、その農地整備課長の行動がどうなのかということについての事実確認をしていただきました。

 農林水産省の言い分としましては、休日であった、それから、公私の別でいえば私用である、公用車は使っておりませんということで、案内状もない、先輩から電話で頼まれたということで、当然、局内の決裁も行っておりませんし、同行する職員もいないということでありまして、全くの私用であるということで文書をいただいております。

 一方で、丹後会通信の記事を見ますと、まず、平成二十八年度丹後会の総会は、来賓としてお迎えした、二人来賓がおられまして、丹後の土地改良地区の理事長さん、そして近畿農政局の農地整備課長さん、お二人が来賓として御挨拶をいただきましたということであります。

 そして、土地改良区の理事長さんの御挨拶では、今回行われる参議院選挙の比例代表に立候補されています進藤金日子氏を、私たち改良区といたしましても、理事を初め地権者、営農者を含め一生懸命応援に取り組んでいるところでございますということを御挨拶され、過日も理事が手分けをしてポスターを張ったり看板をつけたり、ポスターも丹後市の最も目につきやすい場所に張り、支援の輪を広げているところであります、私たちも一生懸命取り組んでいきたいと思いますという御挨拶をされています。土地改良区の目的が、一つの政党の、参議院の比例の候補を応援することにあるのかと見まがうような御挨拶をまず来賓としてされました。

 その後を受けて、近畿農政局の農地整備課長が来賓として御挨拶をされています。

 その中で、この整備課長さんは明白に、「近畿農政局としましても、これまで農業基盤整備促進事業等で支援を行ってまいりましたが、今後も現場の声を踏まえながら各種補助事業で支援して参りたい」と言い切っておられます。

 私用であります。大学の先輩に頼まれて、中年のおっちゃんが、単に先輩の縁故で、個人として、私用として行っておりながら、近畿農政局を代表して、補助事業の予算をしっかりつけますということを明言なさる。これは明らかに、国家公務員倫理法第三条第二項、「職員は、常に公私の別を明らかにし、」という条文を読んだときに、明らかに公私混同であるということを、これは常識的にそのように感じざるを得ないわけであります。これは恐らく、国民の皆さんお一人お一人に聞いたときに、これをもって公私混同と言わないという感覚は多分ないと私は思います。

 これに対して、農林水産省からは、形式的なへ理屈の論理は当初から官僚の皆さんから聞かされまして、メモをとれということでメモを最初はとらせていただきましたけれども。これは大臣、幾ら何でも国民の常識と少し違う。

 私も霞が関におりましたので、先輩と後輩、現職の関係、あるいは、時代も変わりますので、その時々の役所や役所のOBをめぐる国民の感覚あるいはマスコミの取り扱い、それぞれ違ってきています。それは、だんだんだんだん厳しくなってきているんだろうと思います、肌感覚で。

 私も霞が関に二十三年間身を置きましたけれども、昭和五十五年に入省して以来、毎年毎年官僚に対する目が厳しくなり、OBに対する目が厳しくなる中で、これは個人ででしたら呼ばれないですよ、たとえOBの会といえども。私も現職の課長時代、税務署長の時代、OBの会によく呼ばれました。個人では呼ばれません。それは肩書で呼ばれるんです。肩書で呼ばれるから肩書で挨拶するんです。まさにこの整備課長は肩書で挨拶しているじゃないですか。整備課長として来賓で近畿農政局を代表して、予算をつけると言っているじゃないですか。これは明らかに公私混同であります。このようなことをやっているから、国民の目が大変厳しくなる。

 東北農政局の談合事件は、これは調査を見なければわかりません。疑わしきは罰せずであります。私たちは、そんなことはないと信じたい。しかし、このような問題、さらには、この後、岡本委員が御質問されますけれども、NPO法人美しい田園21、五百人の農政局OBだけのNPO法人があって、そういうことが国民の目から見たときにどうなんだろうということでありますので、これは本当に残念なことであります。

 大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。

山本(有)国務大臣 もとより、国家公務員は廉正そして公平公正でなければなりません。そうした意味において、常に緊張感を持って、規律正しく職務に遂行していただきたいと思います。

 そして、岸本委員が御指摘のとおり、国民の国家公務員に対する目は日に日に厳しくなっています。その意味において、農林水産省の関係当局もかなり厳しい目で見られているということを前提に、さまざまな行政行為を行っているということを感じているところでございます。

 近畿農政局農地整備課長の聞き取りの結果は、国家公務員倫理法に違反していない、また、国家公務員法の政治的行為を行ってはならないことにも違反していないというように認識をしております。

 そしてさらに、丹後会総会に農政局農地整備課長として紹介され、挨拶を行ったことにつきましては、職務上の行為という発言ではないというように考えております。

 特に、国営丹後地区での営農状況を紹介し、整備された土地改良施設が適切に維持されていることを感謝するということが主たる趣旨であったという挨拶の内容。これとあわせて、これまでも農業基盤整備促進事業等で支援を行ってきたことを紹介しつつ、今後も現場の声を踏まえながら各種補助事業で支援するといった一般的な農業施策を紹介しているというところでございまして、特定の便宜を図ったりする等の意図は全くないというように思います。そこで国家公務員法上の信用失墜行為の禁止あるいは守秘義務等に違反していないということを確認しているところでございます。

 以上のように、国家公務員法及び国家公務員倫理法で規制される事項に該当する事実はないというように考えております。

岸本委員 山本大臣、大変残念であります。大臣としてのお立場で、役所を守るための御答弁と思いますが、官僚の書いた文章をそのままお読みになる、大変つらいお気持ちであろうかと思いますが、大変残念であります。

 近畿農政局としては、一般論じゃありません、近畿農政局としては補助事業をやっていきますと。一般論じゃありません、個別論で、予算をつけますと言っているわけですよ。これは公私混同だと思いますが、水かけ論になります。これは議事録に残して、ぜひ、このインターネット中継を見ている国民の皆様にもしっかりとお訴えをして、私の質問を終わり、岡本委員につなぎたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。

    ―――――――――――――

北村委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進事務局審議官青柳一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民進党の岡本です。きょうも質問の時間をいただきました。

 大臣、今の岸本委員とのやりとりを聞いていて、本当に私も残念でならないんですよ。大臣、問題点を率直に認めて改善するべきは改善をするということをやらなければ、やはり国民の信頼は得られませんよ。

 組織を守ることにきゅうきゅうとしている今の体制。結局、きょうも、残念ながら、大臣、農村振興局長が答弁に立たれないという決断を農水省みずからがしました。私は局長の答弁について不可と言ったわけではありませんから、それは最終的に農水省の組織として、局長答弁をしないという決断をしましたということの連絡を深夜にいただきました。こういうある意味組織を守る論理に、大臣がその方向性に、了という方向性を出したとするのであれば、これは大きな間違った判断だと私はまず冒頭指摘をしておきたいと思います。

 さて、きょうは急な質問通告で申しわけありません。朝の新聞を見て驚きました。十二ページ目、いきなり一番最後から、資料ですけれども、朝日新聞のけさの朝刊一面に、文科省に加計学園計画記録文書、内閣府、早期対応を求めるというふうに記事が出ておりました。

 きょうは内閣府の審議官にもお越しをいただいておりますが、こうした文書に書いてある、例えば、一番最後の方でありますけれども、「今治市の区域指定時より「最短距離で規制改革」を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている。」と記されている文書が文部科学省にあったそうでありますが、こうした話を文科省とした、これは事実でありますか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 まず、報道にある文部科学省の文書とされております文書につきまして、文部科学省に確認したところ、出元もわからず、その信憑性も定かでないということでございまして、まずは内閣府として、この文書についてお答えする立場にはございません。

 その上で、報道にありますようなやりとりが行われていたかどうかについては、現時点では確認できておりません。

岡本(充)委員 いやいや、ちょっと、では、審議官自体はこうした総理の御意向があるということを承知していましたか。

青柳政府参考人 お答えいたしますが、私個人という立場におきましては、承知はしておりません。

岡本(充)委員 これは、文科省や首相官邸の幹部の実名、加計学園という具体名が記されたペーパーであったという記事でもありますし、具体的に十月四日という日付も入っていたという記事でありました。

 ここは農林水産委員会ですから、今度は角度を変えて、獣医学部新設について、獣医師の需給の問題について、内閣府もしくは他の府省から、これは官邸の意向であるから結果を出すように、もしくは官邸の意向だということについて、農林水産省の中で認識をしていた事実はありますか。

今城政府参考人 お答えいたします。

 獣医師の需給と申しますか獣医師の現状について、特区でそういう議論が行われているということで、求めに応じて現状を御説明するということはございましたけれども、総理云々あるいは官邸云々というようなお話は一切承知しておりません。

岡本(充)委員 では大臣、総理もしくは官邸の意向として、獣医学部の新設、加計という名前はともかくとして、こういう意向があるということは大臣は御存じでしたか。

山本(有)国務大臣 大臣就任後、そうした意向について認識をいたしました。

岡本(充)委員 大臣の言っていることとちょっと違いませんか。官邸の意向、総理の意向、大臣は承知をしていた、局長は承知していない、そういうことでいいんですか。

今城政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、獣医学部の新設について特区で議論が行われているということで、内閣府から、求めに応じて、獣医師の現状なり、そういうことについてワーキンググループ等で担当課長がヒアリングを受けるということはございましたけれども、その際に、この新聞で書かれてあるようなお話、要するに、総理はこういう意向であるのでスケジュールはこうだとか、こういうことで進めるようにとかいうお話は一切承知しておりません。

岡本(充)委員 そういう限定はつけていないんです。官邸もしくは総理の意向として、獣医学部の新設を進めたいという意向があるということは、局長、把握をしていたか、広い意味で。

今城政府参考人 そういう意味では承知しておりません。

岡本(充)委員 これは不思議なんですね。大臣は承知をしていた、局長は承知をしていなかった。つまり、大臣だけ承知をしていて、局長には大臣はこれをお話しされなかったということなんでしょうかね。

 どういうふうにして大臣はそういう意向があるということを承知しておいて、省内ではどのようにそれをお伝えになられたか、全く伝えずに自分だけで抱えていらっしゃったのか。

山本(有)国務大臣 官邸の意向というよりも、加計学園の方々がいらっしゃったときに、そうした意向があるということを加計学園から聞いて認識をしたということでございまして、総理に確認したわけでも、また、官邸のスタッフに確認したわけでもありませんし、総理あるいは官邸のスタッフからそのような意向があるということを聞かされたわけではなく、八月下旬に加計学園の皆さんからそのような話題が出たというところでございます。

 また、今城局長とその件について議論をしましたのは、戦略特区の会議に呼ばれた折に、私の発言についての調整をしたときに、正式にさまざまな議論をさせていただいた、こういうことでございます。

岡本(充)委員 それはいつの話ですか。

山本(有)国務大臣 国家戦略特区の会議に臨時委員としてお招きをいただいて、発言をする二、三日前だろうというように思っています。

岡本(充)委員 ということは、そのときに既に局長は、官邸もしくは総理の意向があるやに加計学園が言っているということを承知されたということですか。かみ合っていないじゃないですか。

今城政府参考人 済みません、私が申し上げておりますとおり、ただいま大臣が御答弁されたように、十一月九日には諮問会議に大臣が臨時委員として出てくださいという依頼がございましたので、そのときにどういう発言をするかという打ち合わせをされたというお話でございまして、そのときに、官邸の意向がこうであるとか、そういうお話をしたというわけではないということでございます。

岡本(充)委員 もう一度確認させてください。

 そうしたら、加計学園から総理ないしは官邸の意向としてそういう意向があるということは聞いたけれども、大臣として総理ないし官邸のスタッフには確認はとっていない。しかし、そういう意向があるということを加計学園が述べていたということについて、局長にその打ち合わせの中で大臣は伝えられた、こういう理解じゃないんですか。それとも、それすら伝えずに、加計学園から聞いた話というのは誰にも言っていない、こういう話ですか。

山本(有)国務大臣 八月下旬に加計学園の皆さんがお越しになった折に、大学設置の話題になりました。あらかじめ、陳情ではなくて、単に挨拶ということで来られました。また、加計学園の皆さんから、総理の意向だとか官邸の意向だとかいう話をお伺いしたことはありません。

岡本(充)委員 では、もう一回確認です。

 冒頭伺いましたけれども、加計学園がということではなくて、要するに今治の特区で獣医学部をつくりたいという意向が、加計かどうかはともかくとして、総理、官邸の意向であるということについては大臣は聞かれていた、そこまでは間違いないわけですね。

山本(有)国務大臣 いまだに総理からこの件の話をお伺いしたことは一切ありませんし、官邸スタッフから何らかのこの件に関する連絡や情報の提供も一切ありません。

岡本(充)委員 では、私の冒頭の質問に対する答弁は一体何だったんですか。

山本(有)国務大臣 私は、国家戦略特区で今治に獣医学部ができるかどうかについていつ知ったかという問いだというように思っております。

岡本(充)委員 では、今治に獣医学部をつくる特区の話があることを知ったのは八月であって、それ以前は特区をつくる話があることすら知らなかった、これでよろしいですか。

山本(有)国務大臣 そのとおりでございます。

岡本(充)委員 その上で、改めて確認です。

 加計学園から、総理ないしは官邸の意向として、加計学園に獣医学部をつくってほしい、もしくは獣医学部をぜひつくってもらいたいなどの話があるんですよというような情報提供を含めて、総理からじゃない、官邸からじゃない、加計学園からそういう話を聞いたことはあるんですか、ないんですか。

山本(有)国務大臣 加計学園からもありません。

岡本(充)委員 ここの議事録を後でちょっと確認させていただいて、もう一度整理をしたいと思いますが、ということになると、もとの話にもう一度戻ります。

 きょうは内閣府の審議官にもお越しいただいていますが、もう一度改めて確認しますが、現在、内閣府としてそういう働きかけを文科省にやったかどうか、働きかけもしくは回答を行ったかどうかについては調査をしている最中であるが、農林水産省に対してはそうした意向の伝達等を行った事実はない、ここまでが当委員会で確認できることでよろしいんでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省とのやりとりについてはきちんと確認をする必要があるというふうに認識しておりますが、農水省との間で、特段、総理の働きかけ云々というような話は承知しておりません。

岡本(充)委員 ということは、やはり内閣府との間には何らかのやりとりがあったけれども、それがどういうことか事実関係は確認しているけれども、農林水産省に対してはそうした意向の伝達は行っていない、これで正しいかどうか、これだけ。正しいかどうか、いかがですか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 御質問の趣旨が、ちょっときちんと正確に認識しているかというところはございますけれども、農水省との間で官邸の意向云々というようなやりとりについては承知しておりません。

岡本(充)委員 承知をしておりませんというのは、個人として承知をしていないんじゃなくて、組織として、農水省に対してのいわゆる官邸の意向、もしくは総理の意向などのいわゆる説明や伝達はしていない、以上でいいですか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 ございません。

岡本(充)委員 わかりました。これも後ほど議事録として残りますから、農水省に働きかけがなかったということであれば、それは農水省の話ではなくて文科省との話ということになるでしょうから、また後刻の展開を追いたいと思います。

 急にお呼びをしましたので、内閣府の青柳審議官、もしあれでしたら退席をしていただいて結構であります。

 それでは、本題に入らせていただきますが、きょうの本題は、美しい田園21の状況について、いろいろ農林水産省に伺いました。前回の質問を経ても、残念ながら、調査をするという意思や調査をするという意欲も感じられないというか、申しわけないですけれども、組織防衛に走っているなという気がしてならないわけです。

 私の方で調べさせていただいた資料が、結局、六ページに、美しい田園21の事業報告書に基づく年間役員及び社員のうち十人以上の者と、農林水産省に在籍していたと思われる者の同姓同名の対比表というのをつくってみました。

 いや、見事なばかりに、全員、農林水産省の職員に同姓同名の名前があったという現実です。これはすごいことです。全くの偶然とは思えないんですけれども、大臣、農林水産省のOBの団体だったということ、これは認めざるを得ないでしょう。どうですか、この資料を見て。

山本(有)国務大臣 これは東京都に届け出の特定非営利活動法人でございます。こうした法人の設立というのは自由でございますし、活動についての定款等で示された項目は、社会教育や、まちづくり、学術、文化、芸術、スポーツ、環境保全、災害救援、子供の健全育成、経済活性化というようなことでございます。

 こうしたOBが団体をつくるということに対しては、私ども関知するところではございませんし、また、この目的のとおり活動していただければ、我が国にとって大変有益ではないかというように思います。

岡本(充)委員 何か大臣、本当に電話帳みたいな分厚い答弁書を持って、それを一生懸命読んでいるんじゃなくて、これは私も役所の人に言ったんですよ。それは組織防衛したい気持ちはよくわかるけれども、これは本当に、やはりここの委員会の場で率直に議論をして改善点を見つけていかなきゃいけないんじゃないか。

 大臣、それは組織防衛のための電話帳ですよ、その分厚さ。すごい。私は、それをつくっていただいた事務方の人たちには申しわけないけれども、大臣、これは政治家の議論として、この国のあり方としてこれで本当にいいのかということを考えて答弁していただきたい。

 私のつくったこの資料を見たら、これは農林水産省のOBの団体だと言われても仕方ないですよね、こう聞いています。何も、この目的は聞いていません。これを見たら、農林水産省のOB団体だ。しかも、技術系の皆さん方ばかりですよ。事務官がいない。こういう団体だと言わざるを得ない。そうですよね。

山本(有)国務大臣 委員がそういう御認識であるということは承知をいたしました。

 ただ、この団体の定款で、会員の入会について特に条件の定めがないということでございますし、必ずしも役所OBだけを入会させるという決まりではないということは明らかでございますので、その意味において、私どもがこの団体について評価をするという立場にはございません。

岡本(充)委員 残念だね、大臣。まだそれを読むんですね。

 だって、これは、これだけ全員、役員、代表社員、農林水産省のOBですよ。それは入会が自由だ、退会が自由だ。入会も会長の許可がなきゃ入れないんです、この団体。したがって、これは全く自由じゃないんですよ。

 なおかつ、この役員を見たら、これは全くの偶然だと思いますか。一般の団体だったら、ほかの人もいてもいいでしょう、役員に。いないじゃないですか。それは一般の会員は知りませんよ。これだけ役員全員が農林水産省のOBであるという事実を突きつけても、まだなおOB会だということすら大臣は認めない。

 OBの親睦団体かどうかは別として、OBを中心とした会なんだろうということぐらいは、これは認めたらどうですか。それすら認めない、その姿勢を国民の皆さんに見せるのなら、どうぞ、もう一度同じ答弁をされたらいいと思います。

山本(有)国務大臣 OBの団体というなら、OBに限定した何か規約等があるように思いますが、同団体の定款を見る限りは、一般のNPO法人というように認識せざるを得ないというように思っております。

岡本(充)委員 大臣、本当に、これじゃまともな議論ができないですね。組織を見直していく、その意思がない。もう役人に言われたとおりの答弁をしていますね。

 では、ちょっと聞き方を変えましょう。

 この組織のいわゆるお金の出入りについて、これは農林水産省が所管をする団体からどのくらいお金をもらい、そして、結果としてどういう収益になっているか、それは説明を受けていますか。

山本(有)国務大臣 この団体に対して、直接、補助金等の支出はありません。

岡本(充)委員 私は事前に聞いているはずですよ。この団体にお金を出している団体に対して農林水産省はお金を出していますよね、それはどういう状況になっていますか、平成二十八年、二十七年、二十六年、どういう状況になっていますかということを事前に通告しています。どうですか。

山本(有)国務大臣 岡本委員が御指摘の、この団体の関係の企業ということを、この団体のウエブサイト、これにバナー広告を出している企業というように解釈をさせていただくならば、この団体にバナー広告をしている七社との契約額の合計は百億円でございます。

岡本(充)委員 それは単年度でしょう。三年分調べてくださいと言っているはずなんですけれども。

山本(有)国務大臣 二十六、二十七のデータにつきましては、ウエブサイトに掲載されておりません。したがいまして、各農政局の契約関係書類等、これをもとに集計、確認するというようなことは現在考えるところではありませんので、二十六、二十七についてのデータはお示しさせていただけないところでございます。

岡本(充)委員 これは契約額が出ないはずはないんですから、二十八年だけ出て二十七、二十六が出ないということはあり得ないんです。

 では、二十八の中身を聞きます。これは、随意契約、一般競争入札、期間入札など、契約方法の別にしてそれぞれ幾らずつですか、お金は。

北村委員長 細目、答えられますか。時間がかかりますか。

 山本大臣。

 ごめんなさい、時間はかからないそうですから。

山本(有)国務大臣 バナーの企業……。ちょっと待ってください。(発言する者あり)

北村委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 では、速記を起こしてください。

 山本大臣。

山本(有)国務大臣 NPO法人美しい田園21のホームページに広告バナーを載せている会社の契約金額を申し上げます。

 まず、NTCコンサルタンツ株式会社三十五億二千七百七十四万二千二百四十円、次に、サンスイコンサルタント株式会社十四億三千六百三十四万六千円、三番目に、丸栄コンクリート株式会社ゼロ円、四番目に、内外エンジニアリング株式会社十五億七千六百六十四万三千四百円、水・みどり環境技術協会ゼロ円、六番目、共和コンクリート工業株式会社ゼロ円、七番目、日化エンジニアリング株式会社五億六十六万六千四百円、八番目、チェリーコンサルタント二億六千五百八十四万二千円、九番目、三祐コンサルタンツ十九億二百十一万七千六百円、十番目、若鈴コンサルタンツ株式会社八億六千百四十万八千円。

 以上でございます。

岡本(充)委員 これは答弁を伸ばしているだけですよ。どういう方法で契約しているのかといって聞いているんです。それぞれの細目を出してください。

山本(有)国務大臣 契約方式は、品確法が成立した以降にさまざまな工夫がありまして、まず、簡易公募型プロポーザル方式が二百四十八件、四三・五%、二番目に簡易公募型競争入札方式、総合評価で、これが二百三十四件、四一%、三番目に簡易公募型競争入札方式が三十一件で五・四%、一般競争入札方式、総合評価が五十二件で九・一%、次に五番目が一般競争入札方式で二件、これが〇・四%、六番目が指名競争入札方式で一件、〇・二%、七番目に随意契約方式、緊急随意契約方式で二件、〇・四%、合計五百七十件でございます。

岡本(充)委員 それぞれの金額は幾らになるんですか。金額の内訳を聞いています。

山本(有)国務大臣 それは調査をいたしておりません。

岡本(充)委員 いや、きのうこれ、通告したはずですよ。この内訳について、一体金額が幾らで、そして落札率は一体どれだけなのか。

 落札率はそれぞれ出るんですね。

山本(有)国務大臣 まず、これらの会社及び団体における平成二十八年の契約額及び平均落札率についてでございますけれども、再就職先の名称を明らかにできるところでありますが、まず、飛島建設、契約額二十三億円、平均落札……(岡本(充)委員「違う違う。これね、これ。ちょっともう一回やり直しさせて」と呼ぶ)どうぞ。

岡本(充)委員 大臣、読んでいるところが違いますよ。私の資料の四ページ、これが先ほど大臣が読み上げた数字ですよ。この内訳で、今先ほどお話がありました、それぞれ一体どういう契約方式になっているか、そして、それぞれの落札率がどうなのか、こう聞いているんです。

山本(有)国務大臣 失礼しました。

 先ほど私が申し上げました落札方式、全五百七十件の業務の平均落札率は九二・七%でございます。

岡本(充)委員 それは、ここのOBが在職しているとか、まさに今先ほどお話をしましたこの四ページ、バナー広告を出しているところがかぶってくるわけでありますが、農水省からいただいた資料によると、一番のNTCコンサルタンツに三人、二番のサンスイコンサルタントに二人、それから、飛んで七番の日化エンジニアリングに一人、チェリーコンサルタントに一人、三祐コンサルタンツに一人、若鈴コンサルタンツに二人、これが累計の再就職OBである。これで間違いありませんか、大臣。

山本(有)国務大臣 間違いございません。

岡本(充)委員 つまり、契約金額があるところに見事にOBが再就職をしているというこの状況、そして、今出てきている七社で五百件以上の契約がある、二十八年度。これで間違いないわけですね。

山本(有)国務大臣 そのとおりでございます。

岡本(充)委員 これだけの、しかも一般競争入札は本当にごくわずかで、〇・四%という答弁もありました。そういう意味では、これはまさに、ガチンコ勝負というよりは、いろいろな意味での情報共有をしながら落札者を決めていく、そういう方式が圧倒的多数である、それは間違いありませんね。

山本(有)国務大臣 随意契約が多いということになっておりますが、いわゆる純粋随意契約というよりも、簡易公募型プロポーザル方式を適用している契約を類型別に分けると随意契約という分類になるわけでございまして、この契約方式というのは、入札参加者を公募して、参加表明書の審査を行って、評価の高い者から複数社を指名して、提出された技術提案書が最も高い評価を獲得した者と随意契約する方式でございまして、技術提案書を提出した者は平均で一件当たり二・九者となっているわけでございまして、いわば三人程度で入札をしている、競争しているという現実がございます。

 したがいまして、いわゆる随意契約、多いわけでございますけれども、公平公正な、しかも、品質面における公共事業の願いというものが込められた契約になっているというように私は思っております。

岡本(充)委員 いや、これは随意契約の形を変えている話であって、金額についてもそうでしょうし、どういうものを求めるかということについても相談をしながら決めていく、まさに、ここにOBがいて、現職とOBが一体となって、この事業をどこが進めていくか、それを決めていくことができるのがこの簡易型のプロポーザル方式じゃないですか。

 そういう意味で、これはまさに、現職とそしてOBの意思疎通が重要になってくる、そういう契約方式ですよね。

山本(有)国務大臣 もう委員つとに御存じのとおりでございますし、この契約方式というのは、会計法及び公共工事の品質確保の促進に関する法律あるいは公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議において定められた発注関係事務の運用に関する指針等に従って、重要構造物の計画調査あるいは高度な構造計算を伴う設計など、技術的に高度な専門知識が要求される業務に適用されるわけでございまして、何でもかんでもという意味ではなくて、かなりの専門性の高いものだけに限ってこうした方式をとらせていただいているという認識をしております。

岡本(充)委員 だから、私が言っているのは、技術の求めるものは何なのか、そしてそれにどう応えるのか、そこを打ち合わせをしながら決めていく、そういう決め方であることは間違いないですよね、そこについて確認です。

山本(有)国務大臣 総合評価方式の入札で再就職した企業が高評価になるようということの御指摘についてでございますけれども、全ての入札参加者にひとしく公表しつつ、工事に関する総合評価落札方式を実施しておりまして、個別に何か不正が介入するような、それが簡易入札方式ではないというように認識しております。

岡本(充)委員 大臣、それは、幾ら答弁書が分厚いからって、違うところを読んでいますよ。

 大臣、私が聞いているのは、技術が高い事業に対してどういう技術を求めていくかということについて、現職とそしてOBとが話をしながら、必要な、求められる工事の質やできばえを決めていくのがまさにこの方式でしょう、それは事実ですよね、それだけ確認なんです。そのとおりでしょう。

山本(有)国務大臣 OBの存在の有無により評価が変わるというように考えてはおりません。

 この入札方式については、さまざまな観点から、各省庁、英知を出し合って、より耐久性の高い、そして技術的要請に合う、そういう発注方式を考えた結果、こういうようになったというように思っておりますので、OB優遇の入札方式ということではないというように思っております。

岡本(充)委員 大臣、違うペーパーを、差し入れられたものを読まないでもらいたいんです。

 私が言っているのは、企業側と現職の農林水産省の技官が話し合いをしながら、その事業のできばえ、質を担保していく、そういう入札方式もしくは契約方式ですよね、その事実だけを確認しているんです。

山本(有)国務大臣 そういう現職とOBが連絡調整を……(岡本(充)委員「建設会社と言っているんですよ」と呼ぶ)建設会社……(岡本(充)委員「もしくは設計会社」と呼ぶ)

 コンサルや設計会社等、それは、入札前後、発注関係の役所の方々は丁寧に説明するということは間違いありません。

岡本(充)委員 そういう形で、まさに天下っていた企業と農林水産省の現職が事業について前後に打ち合わせをしている、前にも打ち合わせをしている、こういう方式だということです。これが圧倒的に多いという話であります。

 では、続いて七ページに行きます。

 この美しい田園21の二十七年度の事業報告書、東京都に提出をされている事業報告書によりますと、2の資源保全事業の中に、「国営事業の伝承に資する「水土の礎」の執筆を行った。」ということで、事業金額が百七万三千円立っています。全国で八百一人がこの執筆作業に当たったのではないかと思っていますし、受益の対象者及び人数は一万二千四百七十六人と書いてありますが、この水土の礎というのを出しているのが、書いているのが、ARICという農林水産省の事業を落札している建設会社の皆さんの集まりであります。

 この団体に所属する会員企業に対して農林水産省は一体幾ら契約をしているのか、これについてもお答えをいただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 質問通告をいただいていないようで、私どもは答えられません。

岡本(充)委員 通告しています。

 この美しい田園21にお金を払っている団体に農林水産省がどれだけの契約をしているかということを聞いているんです。したがって、ここも払っているわけですから、当然幾らなのかという話をしてあります。(発言する者あり)

北村委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 起こしてください。

 山本大臣。

山本(有)国務大臣 先ほど、美しい田園21に対して、関係団体に支出しているというのは、既にバナー広告の企業としてお答えをいたしました。

 それ以外につきましての調査あるいは答弁準備というのは、通告がない以上、できておりません。

岡本(充)委員 通告がないわけじゃない、私は言ったんです。美しい田園21にはお金を払っていない、農林水産省、それは聞きました。しかし、農林水産省がこの美しい田園21にお金を払っている企業に契約をしているんじゃないか、団体に契約をしているんじゃないか。農業土木会館の話も聞きました。こういう一連のかかわる団体についてどれだけの農林水産省が契約をしているのか、これについて、では大臣、調査していただけますね。

山本(有)国務大臣 水土の礎の寄附者という意味で特定をさせていただいて、それを調査する、そうじゃないんですか。

岡本(充)委員 ちゃんと聞いてください。

 水土の礎をホームページに上げているのはARICという団体です。この団体に所属している会員各社はいろいろいます。この会員各社とどれだけ、バナー広告を出している各社とどれだけ契約をしていたのか、出してもらいました。

 同じように、ARICもしくはARICに加入している会社、団体に幾ら契約しているか、調べてください。

山本(有)国務大臣 美しい田園21のバナー広告の企業について、私どもは把握をしておりまして、調査をいたしました。

 しかし、ARICのバナー広告の存在ありや否や、その広告を出している者がどなたであるや否や、そしてそれについての調査というようなことをまず調査し、そして田園21と同じ調査をかけるということは可能でございますので、調査期間をいただければ調査ができるだろうというように思っております。

岡本(充)委員 いや、これは大臣、ちょっともうごちゃごちゃになっている。美しい田園21のホームページはそうでした。

 ARICのホームページに水土の礎というコーナーがあって、このコーナーに恐らくOBが執筆をして執筆料を得ているのではないかと想定される事業報告書があります。

 このARICという団体はホームページをつくっていて、一般社団だったと思いますけれども、こうした団体として、会員各社入っています。ここの各社は、農林水産省の所管する事業を契約していると思います。もしくは、何らかのほかの契約も含めて行っているんだと思います。その金額を、美しい田園21のホームページにバナー広告で出していた企業と同様に、一つ一つ、契約、契約金額、落札率、そして契約方式などを調べていただきたい。それをお願いしています。

 委員長、よろしくお願いいたします。

山本(有)国務大臣 ARICの参加メンバーについて、まず承知をいたしておりません。したがいまして、そのメンバーがわかれば調査を行いたいということでございます。

岡本(充)委員 ARICに聞けばわかると思いますよ、それは。農林水産省と大変関係の深い団体でありますから、そういう意味で、聞いて調べていただけるということでよろしいですか。

山本(有)国務大臣 問い合わせし、かつ、わかる範囲で調査を行いたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひお願いします。

 恐らく、そうした団体にも農林水産省のOBが再就職しているんじゃないかというふうに思うわけでありますが、きょうは、官房長にも来ていただきました。お待たせをいたしました。

 そもそも、このOB団体、美しい田園21のメンバーの皆さんから、例えば現職職員の退職するであろう情報、もしくは近々退職する、こういった情報や、また、退職した職員の経歴等に対する問い合わせなど、こうした人事上全般の一般的な情報の問い合わせ、情報交換等をしたことはありますか、ありませんか。

荒川政府参考人 お答えいたします。

 まず、文部科学省の事案の発生後におきまして、大臣の御指示によりまして、私ども、人事担当者に対しまして確認を行いまして、国家公務員法に抵触するような情報提供を行ったことはないということを確認しております。

 さらに、今般の談合に関する朝日新聞の報道の後に、同様に大臣の御指示をいただきまして、同じく人事担当者に対し確認を行い、国家公務員法に抵触するような情報提供を行ったことはないということを確認しております。

岡本(充)委員 その人事担当者というのは、どこまでの範囲を指していますか。

荒川政府参考人 まず、農林省全体の人事担当者という意味では、事務次官、農林水産審議官、大臣官房長、私でございますが、それから秘書課長でございます。

 それから、朝日新聞の談合に関する件につきましては、農村振興局の整備部設計課長に確認をしたところでございます。

岡本(充)委員 だって、文科省の事案も、必ずしも課長じゃないんだよね、情報提供していた人たちは。もう少し広く聞くべきじゃないんですか。そういう意味では、もう少し広く聞いて確認をとっていただきたいと思いますが、官房長、いかがでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 職員の再就職の問題に関しましては、本件の談合の報道に関するものも含めまして、文科省の事案を契機にいたしまして、現在、内閣人事局が全省庁を対象にいたしまして調査を実施しておるところでございまして、私ども、これに誠実に対応してまいるというふうに考えておるところでございます。

岡本(充)委員 いや、私、きょう提出していませんけれども、今回の美しい田園21の中にも名前が出てきている方の再就職を見ていると、首を傾けたくなる人がいるんです。北陸農政局佐渡農業水利事業所長を経て平成二十四年三月三十一日に退職をされたのに、その九日後の平成二十四年四月九日には一般社団法人農業土木事業協会に就職している。わずか九日間ですよ。これは、現職のときに何らかのアクションを起こさずして、こんな九日で再就職するのは、やはりどだい無理だと思いますよ。本当に何にも就職活動をせずに三月三十一日に退職して四月の九日に就職をする、こういった実態が、農林水産省の公表している再就職状況を見てもあるわけですよ。これを、こういうものがあっても、課長にしか聞かない。

 そして、文科省の事案でも、課長補佐以下、ノンキャリの人たちがかかわっていたということも明らかになっているわけですから、ここは、何も管理職だけではなくて、きちっと調査をするべきではないか。もっと言えば、聞いてくださいと言っているわけですから、それは内閣人事局の調査に協力するのは当然のことですが、この委員会で委員から聞いてくださいという要請がなされたわけでありますから、それに対してきちっと調べる、聞くということは、聞くだけですから、これはどうですか。

 大臣、ちょっとこれ……(山本(有)国務大臣「まず」と呼ぶ)まずじゃなくて、やっぱり大臣のこれは政治判断ですよ。だって、官房長が言う答えは見えています。内閣人事局の調査に協力していきたい、そういう話でしょう。どうなんですか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、最初に御質問のございました二十四年三月三十一日に離職をし、四月九日に再就職をしている云々の話でございます。

 これは届け出をされておる資料にもございますけれども、そのようなことになっておりますが、この届け出を行う際には、内閣人事局に報告をいたす前に私ども人事担当部局で届け出者の本人からお話をお聞き取りをして報告をするということになっておりまして、この報告によれば、在職中の就職活動はなかったというふうに承知をしております。

 それから、繰り返しになって恐縮でございますけれども、今回の文科省の調査につきましては、内閣府再就職等監視委員会から法律に基づいて調査要請が行われたものだというふうに承知をしております。一方、私ども、そういうことは受けていないわけでございます。

 いずれにいたしましても、職員の再就職問題につきましては、人事局の全省庁調査にしっかり協力をしてまいりたいと思っております。

山本(有)国務大臣 三月三十一日に離職し、四月九日に再就職、これは外形上疑われるべき期間だろうというように認識しております。

 しかし、このことにおきまして、それはもう私が認識する以前に、人事担当者が詳しく本人の聞き取り調査等、周辺を調べて確認して、経緯等の確認もいたしまして、在職中の就職活動はなかったというように承知をしておるわけでございますので、私ども、これは適正に就職し、あっせん、再就職における、就職における何らか行動規範に違反するものではないというように認識しております。

岡本(充)委員 大臣、私が聞いているのは、これは政治決断なんですよ。聞くだけですよ。今の官房長の答弁にあった、管理職にだけ聞いているというこの状況ではなくて、広くその下の職員にもなぜ聞くことをしないんですか。内閣人事局が調べているからと言いますが、当委員会でこれを聞いてくださいと言っているわけですから、その点についてだけ聞いて、理事会報告でいいじゃないですか。なぜそれが報告できないんですか。

山本(有)国務大臣 既に、三月に新聞の報道で、公正取引委員会の立ち入りがあったという報道を受けて、そして再就職、これについての疑義が疑われるというようなくだりもあったわけでございます。

 したがいまして、私といたしましては、内閣人事局にお尋ねをさせていただきまして、こうした発注にかかわるそうした再就職問題についても特にお願いしたいというように、あえて出向きまして、そして依頼をしたという経過がございますので、そのことをもって、私ども、徹底的に、農水省が農水省の職員を調べるのではない形での内閣人事局にお願いをしたということが既にあります。(発言する者あり)

北村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 それでは、改めて官房長から答弁をさせます。荒川大臣官房長。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 何度も同じことを申し上げて恐縮ですが、私ども、内閣人事局が行っております全省庁調査に協力をしていくというのは基本だというふうに考えております。

 しかしながら、今先生からお話がございました、秘書課長だけではなくて秘書課の課長補佐までということでございますれば……(発言する者あり)秘書課の課長補佐、係長、人事担当のということでございますれば、そういう方向で検討してまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 必ず聞いて、理事会報告していただきたいと思います。

 それはいいですね、委員長。

北村委員長 後刻、理事会協議といたします。

岡本(充)委員 私、きょうはもっと時間をかけて聞きたかったんです。

 いや、これ、現職職員と美しい田園21のNPOのメンバーと、かなりさまざまなところで交流を持っていますね。現職職員が勤務時間中に、勤務時間外、プライベートはわからないと言いますが、勤務時間中に美しい田園21の職員と接触を持っている事例は、官房長、把握をしているんですか。

荒川政府参考人 私、大臣官房長でございまして、所管部局の長ではございません。申しわけございませんが、今御指摘のあったことについては承知をしておりません。

岡本(充)委員 では一般論として、人事管理はしているわけですよね、官房長。職員が勤務時間中に事業所を出て、そして何らかの活動をする場合には、当然決裁が必要になりますね。それはどうですか。

荒川政府参考人 正確な答弁は、担当部局の長を参考人として招致をしていただければ御答弁をさせていただけることになると思いますけれども、一般論というお尋ねでございましたので、一般論で申し上げますれば、現役職員がOBの方々と接触することにつきましては、当然ながら、勤務時間内であれば年次休暇を取得することですとか、あるいは国家公務員法、倫理法等に違反しない形でそういう接触をされるということであれば、特段問題がないと考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、具体の何らか先生がお考えになるような話があるのであれば、これは徹底して調査をいたしまして、入札マニュアル等に従って調査をしてまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 東海農政局のホームページによると、平成二十六年十月十七日金曜日、国営中勢用水土地改良区の北幹線水路末端調圧水槽付近の草刈り、金曜日に現職の職員と美しい田園21とやりましたということを農政局のホームページに載せています。これは休暇をとって行ったということではないと思うんですね、ホームページに載せていますから。さすがにこれは私用だという話にはならない。

 ちなみに、過去の話じゃなくて、今月の三十日には、関東農政局那珂川沿岸農業水利事業所が連絡先となる、常陸大宮市、御前山ビオトープにおける共同活動、これは火曜日です、予定されています。

 こうした勤務時間内に行われる、これは連絡先が農業水利事業所になっていますからね、美しい田園21と並んで。こういうような活動は、当然のことながら、大臣、農林水産省として決裁をして活動に当たっていなければ、国家公務員の現職として問題がある、そういう認識で間違いないですよね。

荒川政府参考人 一般論で申し上げます。

 先生のおっしゃっておられる個別の事案については私承知しておりませんけれども、農政局ですとか土地改良区などが主催をいたしまして草刈りなどの環境美化活動に公務として参加している例があるということは、あるようでございます。

 これは、主に国が、まさに公の方が、公の主体が実施する施設管理の一環として、平日や休日を問わず、公務として実施している例があるというふうに聞いておるところでございます。

岡本(充)委員 その実態をぜひ、大臣、調査していただきたいです。それは、だから資料として決裁しているはずですから、いつ、どれだけ、どこで、どういうふうにして、そして、そこで美しい田園21のスタッフと、メンバーと出会っているはずです。

 現に、五月三十日、これは消えちゃうかもしれません、私が指摘したから。これからですよ、火曜日。これは、連絡先は美しい田園21のメンバーの名前と並列で関東農政局那珂川沿岸農業水利事業所の連絡先が書いてあるという、要するに併記になっているわけですね。

 これからもあるようです。現実的に今どういう決裁がなされ、そして過去にどういう事業があったか、これは調査をいただきたいんですが、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘のケースは官房長が答弁いたしましたように、ダムの施設管理で公務で赴いたというように思いますが、なお調査をしていきたいというように思っております。

岡本(充)委員 では、委員長、これ、包括的にわかる期間、三年なら三年、五年なら五年、どのくらい、こうした、いわゆる公務として、美しい田園21と一緒にさまざまな事業を現職職員がやっているのか、この実態を理事会協議としていただきたいというふうに思いますし、もちろん、美しい田園21以外のメンバーを含めてでも、実際、公務としてどれぐらいのこうした草刈りを行っているのか。つまり、事務所の職員が行くんですよ。草刈りの業者を依頼するんじゃない。事務所の職員が出ていって行っているのか、それを実態を報告いただきたいと思います。理事会で御協議いただきたい。

北村委員長 今の御提案について理事会で協議をいたします。

岡本(充)委員 きょうは、本当はマグロの問題もやらなきゃいけないぐらい大変大きな問題があって、やりたかったんですが、済みません、朝日の記事があった関係で、きょうも質問ができませんでしたけれども、これまた引き続きやらせていただきたいと思います。水産庁の皆さん、御準備いただきましたけれども、申しわけありませんでした。また次回、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 おはようございます。

 今国会で初めて一般質問をさせていただきます。

 今回は農業関係で法律がたくさん出ているものですから、水産や林務の皆さん方にお伺いする機会がなかなかなかったので、できるだけそちらの話に行き着きたいというふうに思っているんですが、与えられた時間が三十分しかありませんので、できるだけ頑張って質問しますが、答弁もできるだけ簡潔にお願いをしたいというふうに思います。

 最初に、先ほども、朝、質問がありましたけれども、国家戦略特区で農業支援外国人について受け入れるということが新たに、きのうですか、衆議院の特別委員会では採択をされたようでありますが、基本的に、外国人労働者の政策というのは、今日まで、専門的、技術的な分野は積極的に推進をする、それ以外の分野は慎重に対応するというのが基本線であります。入管法も同じようなことでありますけれども、今回の農業外国人の就労解禁と俗に言われているものについては、労働力不足というふうなことを理由になし崩し的になるのではないかという危惧があるわけであります。

 今日までの技能実習制度では、三号技能実習生、いわゆる三年間務めた方でありますが、三号技能実習生で試験の合格者に限ってその後の延長という、ある種、厳格な制度があるわけであります。

 諸外国の例ですが、外国人を受け入れる場合には労働市場化テストという制度を使って、常用邦人、自国の人たちの枠を超えない範囲で許可するという市場テストというのが一回あるわけであります。

 昨年の家事労働の特例は、これは請負方式というような仕組みがとられているというふうに認識をしているんですが、今回の農業外国人の就労解禁では、特定機関という、この機関も若干いかがわしいんですけれども、特定機関を使って複数契約も可能ということになってしまうのではないか、また技能実習生の方からの引き抜きが起きるのではないか、あるいは地域外の就労も可能になるのではないかなどなど、さまざまな懸念があるわけであります。

 きょうは国家戦略特区全体を束ねていただいております内閣府から来ていただいてございますが、これらの制度では、今申し上げたような懸念についてどのように担保されているのか、まずお伺いをさせていただきます。

松本副大臣 多岐にわたる御質問を頂戴いたしまして、ありがとうございます。御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の農業外国人の就労解禁につきまして、なぜ国家戦略特区として実施をするのかということでありますけれども、今回の農業外国人の就労解禁は、経営規模拡大などによる強い農業を実現するために、一定水準以上の技能等を有する農業外国人材の入国、在留を可能とするものであります。これによりまして、生産性の向上、農業分野の産業の国際競争力の強化が図られることが特区の目的に適合すると判断をしたところであります。

 一方、農業分野における外国人の在留に関しましては、技能実習制度におきまして多くの実習生の失踪や問題ある就労環境などの事案も生じているというふうに承知をしているところでありまして、これらを踏まえまして、入管法を所管する法務省、外国人労働者の保護を所管する厚生労働省、農業を所管いたします農林水産省の間で慎重に議論、調整を重ねてきた結果、まずは区域を限定いたしまして、十分な管理体制を確保した上で、実証的に特区で事業を実施するものとさせていただいたところであります。

佐々木(隆)委員 特区ですから、それは全国展開するわけじゃありませんので、地域が限定されるのは当たり前といえば当たり前でありますけれども。

 非常に気になるのは、農業の労働力不足だ、生産性向上だということが大きな理由になっているので、その分だけ、いわゆるなし崩し的な開放になっていくのではないかという懸念。それについては今のお答えでは必ずしも納得できないんですが、あわせて聞かせてください。

 さらにまた、外国人の労働の権利保障だとか、それから、特定機関というよくわけのわからない機関が今度できるんですけれども、それの監督指導というのが極めて厳格に行われなければ、先ほど私が申し上げたような懸念というものを払拭することはできないと思うんですが、あわせて内閣府の方からお答えいただければと思います。

松本副大臣 私の方からは、これは一体人手不足解消が目的なのかという御質問に対しましての回答をさせていただきたいと思います。

 農業分野の人材確保策につきましては、そもそも所管省庁におきまして、女性農業者の活躍推進などのさまざまな対応が行われているものと承知をしているところであります。

 今回の農業外国人材の就労解禁は、人手不足対策を目的としたものではありません。農業の成長産業化に必要な人材を確保することによりまして、産地での多様な作物の生産などを推進し、経営規模の拡大などによる強い農業を実現するために行うものでありますので、その点、御理解を賜りたいと存じます。

佐々木(隆)委員 人材確保と強い農業をつくっていく、それは、結果、人手不足という話なんだと思うんですが。

 そういった意味では、さらにまた今回は、技能実習制度に比べると縛りが極めて緩いんですよ。だからこそ、ひょっとすると、技能実習で三年を超えた方で試験にパスした人がそっちの方に流れていくという可能性もあるわけですよ。

 だから、技能実習制度とのとり合いみたいなものに歯どめをかけるということが実質的にできなくなるのではないかというようなこともあり、さらにまた、先ほど申し上げた労働者の権利とか特定機関の監督などについては、これは農水省でしょうか、その点をどう担保するか、ぜひお答えください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、特に技能実習生との違いも含めた人の関係でございますけれども、具体的には、これは今、政令で定めるということになっておりますので、政令につきましては今関係省庁で検討中でございますので、まず農林水産省としての考えを申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、基本的には、農業に関する一定の知識経験を有する者ということで考えております。

 技能実習生につきましては、まず、国際協力の観点ということで、技術を一から修得するという考え方で制度ができております。修了後は帰国して、その国の経済発展に寄与していただくということでございますので、我々の方では、即戦力となるような、現場を取り仕切る人材という形で考えておりますので、技能のレベルに一定の差があるものというふうに考えております。

 ただし、技能実習制度を何年か続けさせていただきますと、一定の技術は向上していくわけですので、その方が一旦帰国した上で、その国の経済発展にまず寄与していただいた上でもう一回来るということは、想定の範囲内に置いておるところでございます。

 いずれにしろ、技術の差というものが一定程度あるというふうに考えております。

 続きまして、監督体制、これは非常に大事なことでございます。

 こちらにつきましては、本事業実施に当たりましては、受け入れた外国人の保護が図られますように、今後関係者が講ずべき措置を指針において定める際に、適切に措置する必要があると考えております。

 具体的には、家事労働のスキームも参考にいたしまして、関係自治体及び国の行政機関が参画する適正受入管理協議会というものを設けまして、特定機関の労働関係法令の基準への適合性の確認でありますとか、監査、巡回指導、こういうことを行ってまいりたいというふうに思っております。

 加えまして、外国人材からの苦情相談窓口、こういうものも適正受入管理協議会等に設けたいという方向で関係省庁と連携して調整を進めているところでございます。

 以上でございます。

佐々木(隆)委員 技術レベルがある程度高い人で即戦力というのが大きな違いだと言っているわけでありますが、ということは、技能レベルを高めるまでは受け入れないということになるわけですよね。あるいは日本に来てどこかで修得をさせるか。

 だから、即戦力といったって、入国してすぐに使えないということになるわけで、そういう意味では、技能実習生で修得した人が一番引っ張られやすいという懸念はそこにもまだ残ってくるわけです。

 そこで、これは大臣、実は農業団体なんかでは、私の知っている限りでも、単協が海外へ行って、そこで長い間信頼関係をつくって、そこで何人か、家族にもお会いをして、そしてこっちに受け入れているという、ちゃんとした団体をつくってやっているところがたくさんあります。

 特に象徴的なのが北海道の小清水農協というところなんですが、ここは、現地に法人をつくって、研修施設を設立して、そこで何年間か育てて、そのことは現地の人たちにも大変喜ばれるわけですし、同時に信頼もされるわけです。そうして、今度は受け入れるときには、農協の職員として受け入れるんですね。

 ですから、もう身分は完璧にそこで保障されるという形で、実習生ですから、一人で出すなんということはせずに、ちゃんと技能実習をさせるという仕組みもつくって、農協ぐるみでそういうのをやっているというところは現実にもうたくさんあります。ですから、あえてここで特区でこれをやるというのが、かえって安易なところに流れていくのではないかなという大変心配をするわけであります。

 こういう方法にすべきではないかと私は思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。

山本(有)国務大臣 私ども、研修生、実習生のあり方で反省する点も非常に多かったわけでございます。その意味におきまして、北海道の小清水の例というのは、非常に傾聴に値するところでございます。

 また、船の、インドネシアの皆さんを送る機関につきましても日かつ連等が関与しているわけでございまして、さまざまな手段、方法があろうと思います。

 一つに限らず、有用なものは随時取り入れて、そして、両国間の関係が良好になり、かつ、両国が産業的にもウイン・ウインの関係になるというようなことを図っていきたいというように思っております。

佐々木(隆)委員 ぜひそのようにしていただきたい。

 だから、そういう仕組みがあるにもかかわらず、今回特区で、随分何か特定機関という新しいものをつくって、しかもそこは複数派遣も可能だみたいなことになっちゃうと、労働力が不足しているからといって、やはりちょっと趣旨が違うのではないかという気がいたしますので、今大臣、そこら辺も研究していくということなので、ぜひそこはお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 内閣府から来ていただいておりますので、この問題ではなくて、ついこの間、規制改革委員会で、この次は漁業と林業だということで、漁業、林業の規制改革の検討に着手と報道されておりました。

 これは、規制改革委員会というか総理というか、とにかく第一次産業と医療と労働が大きな成長戦略のターゲットになっておりますので、そういった意味では大変心配をしております。

 この規制改革委員会の検討に着手という報道について内閣府にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

松本副大臣 お答えをいたします。

 五月十日に開催をいたしました規制改革推進会議農業ワーキング・グループにおきまして、林業、水産業の現状と課題につきまして農林水産省からヒアリングを実施したところであります。

 具体的には、今井林野庁長官及び佐藤水産庁長官からヒアリングを実施させていただいたところであります。

 農林水産省からは、林業につきまして、森林の管理、経営を能力のある林業経営者に集積、集約化するための方策、また、これを補完するために市町村などが担う公的仕組みの検討状況などについて御説明をいただいたところであります。また、水産業につきましては、水産資源の不足が懸念をされる中、漁業の成長産業化や数量管理などによります資源管理の充実を進めるために必要な施策につきまして検討していくとの説明をいただいたところであります。

 これらの説明を踏まえまして、出席した委員、専門委員の間では、規制改革推進会議において引き続き検討すべき事項であるとの認識が共有をされたところでありますけれども、個別の改革項目についての議論にまでは至っていないというのが現状であります。

佐々木(隆)委員 副大臣、報道によりますと、何でしたっけ、企業参入を推進するんだ、漁業権の取得を推進するんだというようなことが報道されていたんですけれども、そんな話にはなっていないということでよろしいですか。

松本副大臣 今委員が御指摘された報道につきましては承知をしているところでありますが、先ほども御説明をさせていただきましたけれども、五月十日の農業ワーキング・グループにおきましては、個別の改革項目についての議論は行われておりません。漁業権の規制改革に向け検討に着手したとの報道は誤報であります。

佐々木(隆)委員 今副大臣が誤報とまで言い切ったので、それはそう受けとめさせていただいて、ぜひ本当に誤報になるように、これはぜひ農水省の三役の皆さん方、これからしっかり主張していっていただきたいというふうに思います。

 内閣府、どうもありがとうございました。以下、農水の皆さん方に質問させていただきますので、ありがとうございます。

 水産についてお伺いします。

 四月二十九日に、水産基本計画が閣議決定をされました。けさも部会で勉強会をさせていただいたんですが、二つあるわけですね。水産資源を持続可能な形でフル活用するとして、所得の増大と資源管理という二つの大きな項目を掲げて、以下、幾つかあるんですが、漁業経営体育成、養殖業の企業参入、数量管理による資源管理、IQも視野に入れるということですが、沖合漁業の規制緩和、流通機構の改革などなどが挙げられているわけであります。

 ここで私が心配をいたしますのは、ここにも企業参入というものが出てまいります。養殖業の企業参入。それと、もう一つ気になるのが沖合漁業の規制緩和ですね。

 特に養殖業ですが、沿岸の漁民の皆さん方は、主に漁協の皆さん方が中心になって、そこはみんなでとり合いにならないように、あるいは、潮の流れによっていいところ悪いところがありますから、そういうものを調整しているわけですよね。かつて宮城県がそこをちょっと、企業を参入しようとして大変な大混乱になったというときに、そのとき私も農水にいましたので、漁協の皆さん方に叱られて大変な目に遭ったんですけれども、そんなことをちょっと心配するわけですね、この表現だけだと。

 それともう一つ、沖合漁業の規制緩和というのも非常に気になるんですが、沖合と沿岸というのは永遠のテーマですから、ここに沖合の規制緩和と書かれると、沿岸の人は何かびっくりするんじゃないかと思うんですけれども、この二つについてお伺いをいたします。

山本(有)国務大臣 先月閣議決定いたしました新たな水産基本計画では、養殖業につきまして、漁業者が、必要とされる技術、ノウハウ、資本、人材、これらを有する企業との連携を図っていくことは重要であるとした上で、国として、浜と連携する企業とのマッチング活動の促進やガイドラインの策定等を通じた企業と浜との連携、参入を円滑にするための取り組みを行うとともに、浜の活性化の観点から必要な施策につきまして引き続き検討するというようにされているところでございます。

 また、資源管理や漁業調整上の必要性から、漁船のトン数制限等のさまざまな規制が存在しておりまして、効率的な操業を妨げている側面もございます。このため、沖合漁業につきましては、数量管理等による資源管理の充実を通じまして、沿岸漁業者など既存の漁業秩序への影響を勘案しつつ、資源管理の方法も含めまして、規制緩和のあり方等について引き続き検討することとしておるわけでございます。

 いずれにいたしましても、今後、多角的かつ丁寧に検討を深めてまいりたいというように考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 大臣の今のお答えである程度は納得できるんですけれども、結局、ここで積立ぷらすというのをかつてつくりました。これはどちらかというと、沿岸漁民の皆さん方は零細が多いですから、沿岸漁民の皆さん方に積極的に入っていただいて、そこに所得的な積立ぷらすをセットするという仕組みです。それはなぜかというと、農山漁村いずれも村対策なんですね。

 そこにたくさん残っていてください、できるだけという意味を込めて、遠洋とか沖合に行く方は中型、大型になっていきますので会社形式の方が多いので、そういった意味で、できるだけ零細な漁民の皆さん方が定着できるようにという思いを込めていたはずでありますので、その中で、やはり漁協の役割というのは私は非常に大きいと思うんです、そのときに。

 ですから、今大臣から御答弁いただきましたけれども、いずれも、とりわけ企業参入のときには、漁協との調整というのはやはり条件づけておく必要があるんだろうと。その後、たしかそこの一項目を入れたような気もしますので、ぜひそこは、そうしないと、後でトラブルになるというようなことはやはり未然に防ぐべきかなというふうに思いますので、ここは申し上げておきたいというふうに思います。

 もう一つは、水産関係ですけれども、先ほど岡本議員からも、きょうはマグロの話をしたかったという話がありましたけれども、そのマグロに限定する話はまた機会を見つけてやりたいと思うんですが、一つは、イカもマグロもサバも、魚種が今どんどんと変わっていっているんですね、とれる場所が。

 それによって、漁業というのはそれぞれの魚種によって加工場もセットになって全部ありますので、加工場が機能できなくなったりなんかするわけです。北海道でサバがとれ始めたときは、結果、岩手、宮城まで加工を持っていかなきゃいけなかった。今は自分らでやっていますけれども。そんなこともありますので、大変大きな変化が起きていると思うんですが、まず、このことについて調査されているのかというのが一つです。

 もう一つは、マグロがオーバーをして、年間漁業実績を削られるというような、半減という表現もありますが、というようなことも聞くわけですが、これは一つの例として、ここでもう一つ、水産基本計画で重要なのは、資源管理です。資源管理ということについて、海は世界じゅうのものですから、そんなことも含めて、世界の中で日本がやはりどれだけ水産国としてリーダーシップをとっていくかということも含めた資源管理が必要なんだというふうに思うんですが、この二点についてお伺いします。

佐藤(一)政府参考人 佐々木先生の御質問にお答えいたします。

 まず、資源関係の調査でございますが、水産庁では五十魚種八十四系群の資源評価を国立研究開発法人の水産研究・教育機構に委託して実施しておりますが、この主要魚種の評価に際しては、漁獲される魚種の変化についても調査を行っているところでございます。

 それで、今先生の方からもお話ございましたが、最近のスルメイカ資源の減少、あるいはマイワシやマサバ資源の増加などは環境要因の影響が大きいと認識しておりまして、本年度からでございますが、環境の変化を効率的に観測するため、新しい機器ということで、いわゆる水中グライダーといったものを導入するなどしまして、海洋観測体制の充実を図っているところでございます。

 また一方で、我が国周辺海域の資源のうち約五割がいわゆる低位水準というふうになっております関係上、今後、さらに、資源を適切な水準に維持するために、より効果的な取り組みを進める必要がある、このように考えておるところでございます。

 そのため、資源管理の高度化を推進して、効果的に資源回復を図っていく必要があるということで、一つといたしましては、主要水産資源ごとの資源管理目標等を導入するといったこと、二つ目は、複数の都道府県にまたがる広域資源につきまして、やはり国が積極的に資源管理の方向性を提示していくということ、三つ目といたしまして、TAC対象魚種の拡大や個別割り当て、IQ方式の導入の検討等について取り組んでいく、このように考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 マグロのことでもそうですが、世界じゅうにいろいろな協議体があって、日本は常に責められる側にいるわけでありますので、私もマグロの交渉で行ってきたことがありますけれども、やはり日本が世界に発信する立場にならないと、本当の意味で資源管理ができないというふうに思いますので、そこは、今、本格的な観測体制もつくるということでありますので、期待をしておりますので、ぜひ、しっかりとした管理体制を、世界に発信できるような管理体制をお願いしたいと思います。

 せっかく林野庁にも来ていただいておりますので、あと五分しかありませんので、本当は二つ聞きたかったんですが、一つだけお伺いしたいと思います。

 一つは森林環境税なんですが、これは提言だけにさせていただきます。

 要するに、来年、平成三十年の税制改正に間に合わせるということで、ずっと関係者もみんなそんな思いで進んできておりますので、そうしますと、もう間もなくであります。時間がありません。その中で、徴収の仕方と使い方と両面の話があると思うんですが、とりわけ差し迫っているのが徴収方法でありまして、既に実施をしている自治体の皆さん方との調整、それから都市部の自治体の皆さん方との調整、あるいは関係省庁の調整などなど、早急にこれは取り組んでいただきたい。これはもう与野党関係なく推進をしている課題でありますので、お願いを申し上げたいと思います。

 そこで、お伺いしたいのは例の違法伐採の話であります。

 クリーンウッド法などとも言っておりますが、施行の時期を迎えております。東京のオリパラでも環境保護の配慮ということが言われておりまして、これは目的は二つあります。違法木材輸入の規制ということが一つ、合法伐採木材の普及拡大ということがもう一つということで、この両方の目的と、そして、これを進めるための実施機関が必要でありますが、これらが政省令によるところが多いものですから、間もなく始まるという今の時点で、どのようにこれから進めていくのかということについて、その状況と決意をお伺いしたいと思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 合法伐採木材等流通利用促進法につきましては、本年五月二十日が施行日でございます。それに向けまして、既に、法律の施行規則、本法に基づきます基本方針、そして合法性の判断の基準に関する省令、それぞれの案につきましてパブリックコメントを終えたところでございまして、施行規則につきましては既に五月一日に公布を終え、基本方針と合法性判断省令につきましても、本法の施行後、速やかに順次公示、公布する予定にしております。

 これらの運用方針におきまして、まず一点目の合法性の確認についてでございますが、国内で最初に木材等を取り扱います第一種木材関連事業を行う者につきましては、樹種や伐採された国などの一般的な情報に加えまして、合法に伐採されたことを証明する書類を確認するということ、そして二点目、木材等を譲り受けて事業を行う第二種木材関連事業者につきましては、購入先から提供されました合法性の確認を行った旨の書類を確認するということを定めることにしております。

 また、これらの運用方針におきましては、二点目の合法伐採木材の利用の促進に関しまして木材関連事業者の登録制度を設けておりまして、これによりまして、取り扱う木材等につきまして適切かつ確実に合法性の確認を行う者の登録を着実に進めるということと、登録を受けた事業者に対しましては、毎年一回、事業の実施状況について報告を求める、こうした仕組みによりまして事業者による合法性の確認の取り組みを定着させていきたいということで、準備を進めているところでございます。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、ぜひ、世界の中でも少しこの違法伐採についてはおくれをとってございますので、今長官からお話のあったような点について早急に体制をつくって進めていただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。

 前回、四月十八日に引き続いて、貿易統計について質問をします。

 前回の質問で、財務省の貿易統計が全ての輸出輸入を示したものではなく、取引の単価など輸出入業者の営業上の秘密が営業上の不利益となる場合は公表しない場合があるという驚くべき答弁がありました。その質問以降、財務省に対して資料請求などを行い、貿易統計の輸出入貨物の処理がどのように行われているのかということを調べてまいりました。

 そこで、財務省にお聞きします。

 この貿易統計の秘匿処理が行われてきた過去三年分の件数、輸出、輸入のそれぞれで明らかにしてください。また、秘匿処理はどのような判断基準で行われてきたのか、この間の経緯と、今後この秘匿処理をどう対応していくのか、今後の方針についてお答えください。

木原副大臣 お答えいたします。

 まず一つ目の御質問でございますが、貿易統計の件数についてでございますが、貿易統計では、輸出入者からの要請に基づき、当該輸出入者の取引内容が貿易統計の公表によって明らかになってしまう場合には、法令に基づきまして、その品目の輸出入量や金額の一部または全部について公表を行わないこととしております。

 こうしたいわゆる秘匿処理を行った全国分の貿易統計の品目数は、過去三年ということでございますが、平成二十八年につきましては輸出十品目、輸入十九品目、平成二十七年が輸出七品目、輸入が二十二品目、平成二十六年が輸出十品目、輸入が二十五品目となっておりまして、それぞれの総品目数のおおむね〇・二%程度となっているものと承知しております。

 それと、判断基準についてでございますが、御指摘のいわゆる秘匿処理に係る申請を認めるか否かにつきましては、その輸出または輸入について、単価等個別の取引内容など非公表にすべき私人の秘密があるかを申請ごとに判断することとなっております。

 例えば、品目の輸出入実績が、申請者のみの場合や申請者のほかに一者しかいない場合など、貿易統計の計数が個別の輸出入者の数量や金額を明らかにしてしまうことになるときには、申請に基づきまして、貿易統計により私人の秘密が明らかになるものとして、非公表扱いとしているところであります。

斉藤(和)委員 今後の方針、どうされるのかということと、経過というふうに聞いたんですけれども、この秘匿処理というのはいつから行われているんでしょうか。(発言する者あり)

木原副大臣 失礼いたしました。

 非公表扱いというのはいつごろから行っているかということでございますが、法令の規定が整備された時期としては、現在の関税法の施行令が制定された昭和二十九年から同様の規定があるというところであります。

 また、今後の対応といいますか、見直しも含めた点につきまして、私どもとしても、現在、貿易統計の公表のあり方について考えているところでございますが、関係法令にのっとりまして、私人の秘密を公表することのないように配慮する必要があるが、その中で、統計の有用性を確保する観点から、どのような工夫が可能か慎重に検討してまいりたいと思っております。

斉藤(和)委員 昭和二十九年から秘匿処理が行われていたと。

 お手元に配付しました資料、これが財務省の輸出入貨物の秘匿処理の依頼書です。秘匿処理をしてほしい企業が、この依頼書に必要事項を記載して、財務省に提出することになっているようです。

 しかし、さまざまな疑問が湧いてくるわけです。まず、この輸出入貨物の秘匿処理については、財務省のホームページにも、日本貿易会のホームページにも掲載されていません。一体、秘匿処理を行っている企業は、どのようにして秘匿処理の方法があることを知り得たのか。財務省としては、どのように秘匿処理ができることを知らせていたんでしょうか。いかがですか。

木原副大臣 企業に対してどのように周知をしているかということでございますが、現在は、輸出入者から相談を受けた場合に、いわゆる秘匿処理に係る手続の案内をしておりまして、財務省側から前広に周知はしていないというところです。

 ちなみに、初めて財務省へ相談をする輸出入者といいますのは、秘匿処理を依頼したことのある他の輸出入者や業界団体への問い合わせ等を通じまして、財務省に対して相談してくることがあるというふうに聞いております。

斉藤(和)委員 つまり、相談を受けたと。他の企業がこういう処理の仕方があるよと、業界団体からこういう処理があるよということを、要は秘密裏に、ネットワークがあるのかどうか知りませんけれども、行われて、秘匿処理が行われていると。

 つまりこれは、この理由についても、依頼書には何の限定もないんですよね。しかも、財務省は、これまで統一的な判断基準というのを、今おっしゃいましたけれども、私が求める段まで、文章として統一的な判断基準というのはなかったんですね。

 疑問に思うことは、輸出なんです。輸入対象貨物の場合は、輸入単価がわかるという点があり得るので、確かに輸入単価がわからないように秘匿処理をしてほしいということはあるんです。しかし、輸出の場合は、仮に日本側が秘匿処理をしたところで、輸出対象国では当然輸入統計の対象となって、輸入単価が一方の側では公表されていますから、秘匿処理をする意味がないわけです。

 問題は、なぜ輸入だけではなくて輸出の秘匿処理まで行っているのか。営業上の秘密は輸出単価の問題だけなんでしょうか。廃棄物や例えば武器輸出三原則に抵触するおそれがあるようなもの、こういうものが、営業上の秘密ということが理由となって秘匿されているというような危惧を感じるわけですけれども、輸出科目の秘匿処理の判断基準というのはどうなっているのか、そしてまた、過去に今私が指摘したような事例というのはないのかどうか、財務省、いかがでしょうか。

木原副大臣 委員が今御懸念の部分といいますのは、貿易統計において、企業が廃棄物とか武器の輸出等、海外とのやりとりの中で、その営業秘密を理由に秘匿申請した場合に認められるのか、また、これまでにこれらの品目が秘匿されたような実績があるのか、そういう問題意識かというふうに理解しました。

 貿易統計は、輸出入申請書をもととして作成しております。そのため、外国為替及び外国貿易法等の規定によりまして輸出入を規制されている廃棄物や武器につきましては、法令に基づく輸出入承認等を受けていない場合には税関が輸出入許可をすることもありませんので、そもそも貿易統計として計上されることはないものと考えているところであります。

 御指摘のように、関係省庁により輸出入承認を受けて輸入されれば、貿易統計に計上されることになりまして、仮に、こうした品目について、いわゆる秘匿処理の申請があった場合には、非公表にすべき営業秘密があるかをまた個別に判断することとなるというところであります。

斉藤(和)委員 つまり、今問題にしているのは、税関を通ったものが貿易統計から秘匿をされているということで、それは今副大臣がおっしゃられたとおり、個別に判断をして秘匿処理をしているということですから、税関を通り輸入された、輸出された、そのものの中に廃棄物や武器輸出三原則に抵触するようなものが秘匿されていることはないんだと言い切れるんでしょうか。

木原副大臣 個々の品目の貿易実績につきましては、非公表扱いをしているものがどれかとか、またあるいは、非公表としているかどうかということを明らかにすることは、そもそもいわゆる秘匿処理をしているということの趣旨に反しますので、この場において具体的に発言させていただくことは差し控えたい、そういうふうに思います。

斉藤(和)委員 つまり、否定をされないわけですよね。

 私、非常にこれは大問題だと思うんです。確かに、秘匿処理をされているのは、先ほど答弁あった〇・二%です。しかし、どの品目が秘匿処理をされているのかというのは、この処理をやっている方しか知らないわけですよね。そうなれば、貿易統計の何が消されているのかがわからない。そうなれば、貿易統計全体が本当に正確なものなのかというのを判断することが私たちはできないわけですよ。隠されているものがあるということは、全体の信憑性が疑われるということになりかねないということなんです。

 さらに問題なのは、疑惑が今深まったわけですけれども、財務省は輸出入貨物の秘匿処理について、財務省以外の他の省庁に、貿易統計で秘匿処理を行っている、こういう処理を行っているんですよ、貿易統計に書かれていないものがありますよ、そういうことを伝えていたんでしょうか。

木原副大臣 他省庁との関係性というところでございますけれども、一般的に、いわゆる秘匿処理については、他省庁から照会等があればこれは必要に応じてお答えすべきものとしてきたところでありますが、財務省の方から前広に他省庁に情報提供を行うことということは、そういうことはしておりません。

斉藤(和)委員 照会があれば答える、つまり、そこの存在を知っていれば答えるけれども、知らなければ貿易統計が全てだと他の省庁の方も思っていると。私は、これは政府間で本当にこれでいいのかということをやはり検討していただく必要があると思いますよ。農水省も含めて、このことを知らせてなかったというのはゆゆしき事態だ、怒るべきだと私は思うんですけれども、それはなぜかということなんです。

 貿易統計では輸入品目ごとの輸入数量と輸入金額が明記されています。これをもとに、各省庁は貿易統計に基づいてそれぞれの省庁に関係のある輸入品、例えば、農林水産省であれば農林水産物の輸入量、厚生労働省であれば食品添加物や輸入品などの輸入量を把握して、輸入量の急増が起こればセーフガードの発動だとか国内産業の対策というのを進めているわけです。

 しかし、その判断の基礎となる、ベースとなる貿易統計が、輸出入業者の利益上の秘密を守る、そのために、その輸出入実態が隠されているとなれば、個々の秘匿処理を知らない各省庁の政策判断を誤る事態になりかねない、非常にこれは重大な問題だと思うわけです。

 そこで、財務省にもう一度お聞きします。

 輸入単価を知られないように、一企業が輸入しているとなれば、輸入量と輸入金額がわかれば単価がわかってしまいますので、営業上の秘密になるというのは、確かにおっしゃられることはわかるんです。しかし、輸入数量は記載してもいいのではないか。輸入金額を秘匿すれば済むわけで、輸入数量も輸入金額も両方秘匿して、何の品目かもわからない、これは一刻も早く是正すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

木原副大臣 まず、私どもとしては、関税法施行令の第八十八条第二項に基づいて対応をとらせていただいておりまして、ちなみに、それは、「税関は、私人の秘密にわたると認められる事項については、証明書類の交付をせず、及び統計の閲覧をさせない。」そういうふうに明記されておりますので、それに基づいてさせていただいているということは申し上げたいというふうに思います。

 そういった中で、他省庁との関連でございますけれども、いわゆる秘匿処理を行ったことについて、今後いかなる形で関係省庁に情報提供するかについては、御指摘もありましたので、検討をしてまいりたいとは思いますが、しかし、あくまでもこれは私人の利益といいますか、私人の営業に伴う利益と国民の知る権利、公益性、これの比較考量だと思っていますから、慎重に判断をしなければいけないなというところは言えるかと思います。

 そして、最後に、数量まで秘匿する必要はないのではないかというような御指摘もございましたけれども、私も調べましたが、貿易統計においては、システム上、数量及び金額を一連のものとして計数を集計して公表しておりまして、いずれかの一方のみを集計することとしていないため、現状においては数量または金額の片方のみを秘匿処理できるものではない、システム上の問題が一つございます。

 それと、もう一つは、輸出入者の営業の秘密というものは、輸出入の取引自体が該当するものと考えられるところであって、数量のみを公表することで私企業に対し不測の損害を与えないよう十分配慮することが必要である。つまり、取引があったということを公表することが、もうそもそも営業の利益を害してしまう場合もあるというところは指摘させていただきたいと思っております。

斉藤(和)委員 私人の利益というのが国の政策のあり方を根本から誤らせるような事態が起こっている、やはりそういう認識を私は持つべきだと思います。

 システム上といいますけれども、つまりそれはシステムを変えればできるわけで、やはり早急にやる必要がある。少なくとも各省庁に、こういうことが起こっています、関連する品目がこうなっていますということは、私は即刻伝えるべきだと思いますよ。それは、今後の国の政策のあり方が問われているということだと思いますので、ぜひやるべきだということを強調したいというふうに思います。

 輸入輸出にかかわる統計の実態が隠されているということで、検討していくというお話もありましたけれども、この状態は、私は、今言ったとおり、早急に改善するということとあわせて、やはり過去に秘匿した輸出入貨物についても、品目名、輸出入数量もしくは価格、どちらかですね、明らかにするということをやるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

木原副大臣 こちらは、先ほど冒頭に申し上げましたように、昭和二十九年からの法律、また施行令ということでありますから、貿易統計の公表のあり方については、関係法令に我々はのっとらないといけませんので、そういった私人の秘密を公表することのないように配慮する必要をしっかりと守りながら、そのような中で統計の有用性というところも議員の御指摘のとおりだというふうに思いますから、その有用性確保の観点からどのような工夫が可能か、これは慎重に検討してまいりたいと思っております。

斉藤(和)委員 慎重に検討をしていきたいということがありました。

 今、総務省が、平成二十一年四月から全面施行された統計法に合わせて、公的統計が社会の情報基盤としての役割を十分果たすことを目指して、統計法に基づいて、公的統計の整備に関する基本的な計画というのを平成二十一年三月に初めて閣議決定しています。そこには、将来の基幹統計化について検討する統計という中に、今問題になっている貿易統計が位置づけられています。

 基幹統計というのは何かといえば、国勢統計、国民経済計算、その他、国の行政機関が作成する統計のうち総務大臣が指定する特に重要な統計であり、この基幹統計を中心として公的統計の体系的整備を図るとされていて、現在、この基幹統計は五十五あるわけですけれども、この基幹統計が非常に重要だということで、報告義務というのも課せられています。報告を拒んだり、虚偽の報告をしたりすることを禁止しており、違反した者は五十万円以下の罰金に定めると。

 この基幹統計に貿易統計をしていこうということが検討されている。そうなれば、まさに秘匿処理をしていることというのは真っ向から抵触することになるわけです。

 基幹統計にしていくということが検討されている今、本当に輸出入の秘匿処理の問題、極力明確化して、過去の分も振り返って明らかにしていくことが不可欠だと思いますけれども、いかがですか。

木原副大臣 平成二十六年三月二十五日に閣議決定した公的統計の整備に関する基本的な計画というものがございます。委員の御指摘のあったところだと思いますが、そこには、「貿易統計については、統計調査以外の方法により作成される統計であることから、その特性に留意するとともに、国民への情報提供の充実、本来業務への要請と両立し得るかという観点等も考慮し、引き続き基幹統計化の可否について検討する。」と。そして、これは「平成三十年度末までに結論を得る。」というふうになっておりますので、そういう観点も踏まえ、また、諸外国の例、EUなども秘匿処理を行っているということでございますから、そういう諸外国の例なども検証しながら、慎重にこの見直しを検討してまいりたいというふうに思っております。

斉藤(和)委員 慎重に見直しをということでした。でも、少なくとも他の省庁には早急に、こういう処理が行われているということを周知すべきではないか。

 最後に、大臣にお聞きします。

 四月十八日の質疑で、人工甘味料スクラロース、ここの輸入量から私はおかしいというところで貿易統計の秘匿処理があるということを明らかにしたわけですけれども、スクラロースは一%に満たないので砂糖業界に影響しないという趣旨の答弁がありました。

 確かに、人工甘味料スクラロースの輸入量が貿易統計では二十トン程度とされています。ですから、砂糖換算倍率、スクラロースは六百倍の甘みがありますので、一万二千トンということになります。砂糖の消費量は百九十三万五千トンですので、一%を満たしません。

 しかし、輸入量の秘匿処理をされたものが除かれた数字が大臣がおっしゃった数字なわけですね。厚生労働省が調査したスクラロースの食品向け出荷量は百八十トンですから、これは換算すると砂糖生産量の約五・六%になるわけです。

 他の人工甘味料、表にしましたけれども、人工甘味料全体を加えると、砂糖の需要量の一六%になるわけです。とても影響しないとは言えない。

 大臣の影響しないという認識を改めて、人工甘味料による砂糖業界への影響対策を真剣に検討すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 スクラロースの輸入量は、御指摘のとおり、貿易統計で二十・七トン、厚生労働省が把握している輸入量では百八十・四トン、こうなっております。砂糖換算で、それぞれ一・二万トン、十・八万トン、その二十七砂糖年度の砂糖消費量は百九十三・五万トン、これの割合はそれぞれ〇・六と五・六。また、先生御指摘のスクラロース以外も入れると一六%ということでございます。

 他方、スクラロースを初めとする人工甘味料につきまして、食品製造企業に対して人工甘味料の最近の使用状況を調査いたしましたところ、人工甘味料の使用目的というのはあくまでカロリーの低減化が主なものでございました。コスト削減のために砂糖の代替甘味料として使用している企業はほとんどないというように認識しております。砂糖とは風味が異なるため、人工甘味料への切りかえができないとする企業も現実にございます。現時点で、人工甘味料が砂糖と需要を代替する、置きかわるということはないというように考えております。

 その意味では、砂糖の需給について、この甘味料の影響はないというようにお答えをした時点と変わりないわけでございますけれども、なお人工甘味料の需給状況につきましては微妙な点もございますので、しっかりと注視してまいりたいというように思っております。

斉藤(和)委員 ぜひ注視してください。皆さんもお買い物をするときに、ドレッシングだとか、飲料水だとか、栄養ドリンクだとか、ガムだとか、ほとんどここに挙げられた人工甘味料が含まれています。それだけ多用されている。それが影響はないということは言い切れないと思いますので、そのことを改めて強調して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会の吉田です。きょうもよろしくお願いいたします。

 きょうは、私、キーワードは認証制度という言葉でいきたいなと思うんですけれども、今ほどの、一つ手前の斉藤委員の質問をお聞きしておりまして、統計をテーマに話をしておられたんですけれども、統計というのは数字であって、目に見えておるものなんですね。目に見えている、これが今のお話では信じられるのか、信じられないのかというところの大きな問題だなと思って聞いておりました。

 農林水産関係、私たちは特に食べ物について思うんですけれども、目の前に見えている食べ物がどういうものなのかというところをどうやって判断していくのか、それが認証というところとかかわることなんだろうと思いますけれども、この認証制度というものの存在自身が、私は、今の時代というのはいろいろな意味で難しいんだな、そういうことを率直に思います。

 一つ一つのものが、例えば人工甘味料の話もされましたけれども、幾つかあの表の中に名前が出ていましたが、基本的には粉だと思うんですね。それが目の前に出てきても、どれがどれであるかということは私たちの目ではわからない。そういうところに、具体的に説明があって、認証というものがあるんでしょうけれども、そこで実際それがどういうものかということが確認されていく、そういうことの難しさというのはいつまでたってもつきまとうし、そのことが、認証することによって安全、安心に直結して、そのための認証という仕組みになっていくんだろうと思います。

 改めてこの認証制度ということをきょう取り上げたいので、認証制度というものはどういうものだというふうに認識しているのか、そのことの確認から入りたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 認証制度とは、製品の特徴や生産、製造工程などが一定の要求事項を満たしているかを中立的な第三者である機関が確認をし、その証明を与える仕組みでございます。

 食料品に関連する認証制度といたしましては、例えばGAP認証、HACCP認証、JAS、日本農林規格といったようなものがございます。

 こうした認証制度によりまして、生産、製造工程の安全管理、あるいは品質といった見えない価値を見える化するという機能がございまして、こうした認証制度を活用することによりまして、製品や組織などの信頼性を高めたり、あるいは、確認をする行為が効率化されることによって取引の円滑化や合理化等が図られるという効果が期待されるものでございます。

吉田(豊)委員 ここのところ水産関係を取り上げておりますので、認証制度、具体的に水産物の認証制度について少し確認していきたいと思います。

 まず、我が国における水産物の認証制度ということなんですけれども、水産エコラベルとかいろいろ言葉はありますが、衛生管理面での認証制度、それから資源管理の面からの認証制度ということ、特に、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックがあるということで、こういう一つ一つの食品について、どういう由来のものなのか、素性のものなのかということの確認というのが必要だという機運は高まっておるという中で、改めて、衛生面それから資源面をあわせた認証制度について確認させていただきたいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 まず、水産物の衛生面に関しましては、食品の安全性をより高めるために国際的に推奨されております工程管理システムでございますHACCPがございます。

 また、資源管理に関する認証には、水産資源の持続的な利用や生態系保全に係る取り組みを促進することを目的とした水産エコラベル認証といったものがございます。

吉田(豊)委員 このHACCP、よく出てくる言葉ですけれども、改めて、水産物に対してということもあると思うんですが、これをもう少し詳しく確認させていただきたいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 HACCPにつきましては、国際機関でございますコーデックス委員会からそのガイドラインが発表されまして、各国にその採用が推奨されている衛生管理の手法でございます。

 具体的に申し上げますと、まず、原材料の受け入れから最終製品までの各工程ごとに、例えば微生物による汚染あるいは金属の混入などの危害要因の分析を行った上で、二つ目に、危害の防止につながる特に重要な工程を重要管理点と申しまして、この点につきまして継続的に監視、記録する工程管理システムとされているところでございます。

 このこと全部をHACCPと呼んでいるわけでございますが、これまでの品質管理の手法である最終製品の抜き取り検査に比べまして、より効果的に問題のある製品の出荷を未然に防ぐことが可能ということ、また、監視結果等を記録、保存しているために、危害原因の追及を容易にすることが可能と承知しているところでございます。

 水産物につきましては、米国やEUでは、国内の事業者にHACCPに基づく衛生管理を義務づけた上で、輸入水産食品についても、輸出国の水産加工施設にHACCPに基づく衛生管理を求めているところでございます。

吉田(豊)委員 そうすると、このHACCPというのは、工程、プロセス自身をコントロールしていこう、そういう発想だと思うんですけれども、今説明がありましたが、世界的にこのHACCPというものが一つのスタンダードとして認められていっている、そういう理解でよろしいでしょうか。

佐藤(一)政府参考人 御指摘のとおりかと思っております。

吉田(豊)委員 そして次に、水産エコラベルというところを確認したいんですが、国内の認証、それから海外の認証と、HACCPの場合はグローバルにこれが一つの基準になっているということを確認しましたけれども、水産エコラベルについて、これはどのような理解がされるべきかということを確認したいと思います。

佐藤(一)政府参考人 水産エコラベルでございますけれども、これは、生態系や資源の持続性に配慮した方法で漁獲、生産された水産物に対して、その旨確認しまして、ラベル表示を行うことができる仕組みでございます。

 現在、日本国内に本部を置く水産エコラベルとしては、まず一つとして、一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会というところが運営する漁業に関する認証でございますMEL、マリンエコラベル、メルというふうに呼んでおります。それともう一つが、一般社団法人日本食育者協会が運営する養殖に関する認証でございますAEL、エルと呼んでおりまして、アクアカルチャーエコラベルが存在しているところでございます。

 また、今度、海外の民間団体が運営いたします水産エコラベルといたしましては、代表的なものとして二つありまして、一つが、イギリスの海洋管理協議会が運営する漁業に関する認証であるMSCといったもの、オランダの水産養殖管理協議会が運営する養殖に関する認証でありますASCといったものが存在しているところでございます。

吉田(豊)委員 いつも思いますのは、英語ですよね。例えばMEL、御紹介いただきましたが、マリンエコラベル、マリン・エコラベル・ジャパンがMELになって、それから養殖の方はAELと書いてエル、アクアカルチャーエコラベルということだけれども、スーパーに買い物に行く人が、毎回毎回、多分、読み解きのチャートみたいなものを持って、実際に買い物をするときには、シール、この略字はどんな意味なのということを確認しながら進めなくちゃいけなくなるような、そういう難しさという、本当に複雑なことになっていくなとも思います。

 もう少し省略したものが私たち日本人として日本語になじみのあるところにつなげていくということも、私は認知度のことを考えると非常に重要なことじゃないかなと思うんですけれども、生産者に対して、幾つかの水産エコラベルを広げていく、それから消費者に対しての認知度を高めていく、このことについて今どのように認識していて、どうそれに取り組むのかというところを確認したいと思います。

佐藤(一)政府参考人 先般、農林水産省が実施した調査によりますれば、MELやAELを含む水産エコラベルにつきまして、マークの意味を知っている方の割合が出ておりまして、農林水産行政に関心のある二十歳以上の方々から成る消費者モニター、そして、個人経営の漁業者モニターの方のいずれにつきましても、約一〇%がエコラベルといったものを、マークの意味を御存じだといったような結果が出ているところでございます。

 他方で、水産エコラベルにつきましては、二〇二〇年に開催されます東京オリンピック・パラリンピック競技大会におきまして、水産物の調達基準の一つとして位置づけられておりまして、社会的な関心が高まりつつあるところでございます。

 漁業者の認知度向上に向けましては、認証の取得に向けた講習会等を実施しているところでございます。

 また、先生の方からお話ありましたが、消費者に向けましては、MELやAELの水産エコラベルが貼付された商品を消費者が手にする機会がふえていくように、一つといたしまして、流通加工業者等との連携による商品数の増加を図るといったようなこと、また、いろいろと魚の消費拡大の関係のイベントがございますので、そうしたイベントの機会を活用したアピール活動を実施しているところでございまして、今後とも、認知度の向上に向けまして、このような取り組みを進めていきたい、このように考えているところでございます。

吉田(豊)委員 そして、生産者の方の立場になると、認証を取るということは、一つまたプロセスがふえるということなんですけれども、これについてどのようなメリットがあるのか、当然費用もかかるということも考えなくちゃいけないけれども、これをどう捉えていくべきかということを確認したいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 まず、今現状でございますが、MELにつきましては、最初の認証が取得されました平成二十年にはわずか一件であったわけでございますが、これが平成二十九年三月現在は二十八件ということになっております。また、AELの方でございますが、これについては、最初の認証が取得された平成二十六年では二件だったわけでございますが、これが平成二十九年三月現在、十九件というふうになっているところでございます。

 水産エコラベルの認証を取得した場合には、やはり流通事業者あるいは消費者へのアピール、あるいは輸出を含む販路の拡大といったメリットがあるというふうに考えているところでございます。

 私どもといたしましては、漁業者がこういったメリットを実感できるよう、引き続き流通事業者、消費者等の認知度向上に努め、認証の取得を希望する事業者がふえていくよう取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 なお、今後、エコラベル認証を取得した事業者に対しまして、取得の動機あるいは売り上げの変化等についての調査を実施しまして、その結果を踏まえまして、さらなる対応を検討していきたい、このように考えているところでございます。

吉田(豊)委員 ほとんどゼロに近いところから、短期間にこれだけ認証しようという生産者がふえているということなんですけれども、これということが、日本全体の中で見たときに、地域的な偏りだとか、あるいはそれだけの、シールを張って認証を取るということをやる体力のある業者というものもそれなりに限られてくることなんだろうとも思いますけれども、実際にそういう試みがある中で、消費者がMELであったりAELだったりということがわかる水産物を購入する機会というところにしっかりとつながっているのかどうなのか、それは現状、どうでしょうか。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘がございましたMELやAELの認証を取得した水産物について積極的に取り扱っていただいている事業者というのは徐々には増加していると思いますが、やはり一般の消費者の方の目にはなかなか日常的に触れるところまでは至っていないんじゃないかというふうに考えております。

 このような現状も踏まえまして、イベント等のさまざまな機会を捉えまして、MELやAELの着実な普及に取り組んでいきたいというふうに考えておりまして、例えば例示でございますが、これは全漁連や大日本水産会が開催しておりますが、日比谷公園で年一回、十月ごろか十一月になりますが、日本じゅうの魚のよりすぐったものを選びます、そういうFish―1グランプリといったようなものが出ておりまして、やはりそこに大勢のお客さんがいらっしゃいますので、そういった方々にこのMELあるいはAELの意味合いといったものをPRしていければなというふうに考えているところでございます。

吉田(豊)委員 こういうふうにしてお聞きしてくると、やはり生産者に対しても、MEL、AEL、そういうものの認証を進めていくという政策を行っていて、そして、実際にそれが消費者の目に届くところにいっているかというと、それなりの時間をかけても、まだそこのところには、基本的にそういうことが消費者としての判断材料になっているところまではいっていないということなんですが。

 ちょっともう一度確認したいんですけれども、もともと、特に水産関係に限った話としてでいいですけれども、やはり認証という、そういうラベルを張る、エコラベルを張るということ、これを、生産者も消費者も、本来それがあってほしいという本当の意味でのニーズがあってこうなっているのかどうなのかというそこのところ、あるいは、ニーズはなくてもやらなくちゃいけないことだというふうに考えているのかというところを確認したいと思うんですけれども、どうでしょうか。

佐藤(一)政府参考人 先生の御指摘でありますが、今後の水産物の消費動向等、こういったものを考えました場合に、やはり今進めておりますMELあるいはAELといったものは非常に大事なことかと。とりわけ、資源管理といったようなものの充実を図っていく上で、草の根的なそういった展開にもつながっていくというふうに考えているところでございます。

吉田(豊)委員 そのMEL、AELというもの、これが、国連食糧農業機関、FAOですね、ここのガイドラインに準拠しているかというところも少し確認したいと思うわけです。

 これは、基本的に、今、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックというところ、食べ物についても非常にそれが一つの契機となって、いろいろなことを進めていこう、普及させていこうという、そのいいチャンスだろうとも思うんですけれども、このあたりについて、FAOとの関係、これをどのように捉えて、どう準備しているのかというところを確認したいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 我が国の水産エコラベル認証でございますMELあるいはAELでございますが、これについては、先ほども出ましたが、持続可能な水産業の取り組み指針を示したFAOの水産エコラベルガイドライン等に準拠した規格として作成されて、運営されているところでございます。

 他方、こういった認証スキームにつきましては、この透明性を高めるといったようなことが求められておりまして、現在、一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会におきましては、認証に当たっての審査文書等の管理規程、あるいはロゴマーク管理規程、あるいは利益相反を排除するために必要な規程等をさらに整備するといったようなことによりまして、認証スキーム全体の見直しを行っているというふうに聞いておるところでございます。

 これらを整備するということは、結局は、持続可能な水産物の生産、供給を目的として設立されました国際機関であるGSSIという、グローバル・サステナブル・シーフード・イニシアチブ、GSSIというところからMELやAELが国際的に通用するとの承認を受けることにつながるというふうに考えておりまして、輸出の拡大といったような大きな課題もございますが、私どもといたしましては、MELやAELがGSSIの承認を受けて国際的に通用する規格となるよう、しっかり支援していきたい、このように考えているところでございます。

吉田(豊)委員 最後のところは私は特に重要だと思いますけれども、また新しいのが出てきました。GSSI、グローバル・サステナブル・シーフード・イニシアチブということなんですけれども、実際スーパーに消費者として行きますと、例えば、水産物、タコを買いたいなと思って行っても、大体、日本でいう有名な明石のタコだとかそういうのが並んでいるわけではなくて、モロッコ産だとかいろいろなところのタコが日本のスーパーにも来ていらっしゃるんですよね。

 そういうところからすると、最初のところで御紹介いただいたMEL、AELというのは日本としての国内の仕組みとして今やっている、それからイギリスの例とかも紹介されましたが、こういうことについて、やはり統一した、GSSI的な、そこがどれだけの権威があるかということも含めてですけれども、やはりわかりやすい、同じ基準でのラベルという、あるいは認証というものの位置づけというものの必要性を私は強く思うんですけれども、これはどのように考えていらっしゃいますか。

佐藤(一)政府参考人 先ほどお話し申し上げましたように、MELあるいはAELといったようなものにつきましては、まだ生まれてから間もないといったような状況かと思っていまして、これをしっかりと育て上げていくといったことがまず第一の課題かと思っております。

 そういう中で、先ほど先生御指摘ございましたGSSIというところにつきましては、これはこれで国際的に一つの通用するところというふうに考えておりますので、そういったことで、いろいろと今取り組んでいらっしゃる方も多いと思っておりますが、やはりこうしたものにつきましては、今後、どのような、また世界の中でのGSSIの位置づけといったものがどういうふうになっていくといったようなものもよく注意しながら今後の展開といったものを考えていく必要があるんじゃないか、このように考えているところでございます。

吉田(豊)委員 世界の中での認証制度というところについてはまた深めてまいりたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

北村委員長 次に、内閣提出、畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣山本有二君。

    ―――――――――――――

 畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本(有)国務大臣 畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 加工原料乳生産者補給金制度は、昭和四十一年に、当時の生乳生産量及び飲用牛乳需要の増大を背景として、当分の間、暫定的な措置として設けられたところでございます。この生産者補給金制度は、酪農経営の安定、牛乳・乳製品の価格の安定に重要な役割を果たしてまいりましたが、近年、生乳生産量及び飲用牛乳需要が減少傾向で推移していることから、需要が増大している乳製品に生乳を仕向けやすい環境を整備し、需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保等を図る必要があります。

 こうした状況を踏まえ、平成二十八年十一月に改定された農林水産業・地域の活力創造プラン等に基づき、生産者補給交付金等の交付に関する措置について、畜産経営の安定に関する法律に恒久的な制度として位置づけるとともに、その交付対象となる事業者の範囲を拡大する等の措置を講ずるため、この法律案を提出した次第でございます。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、生産者補給交付金等の交付に関する措置についてであります。

 これまで、指定生乳生産者団体を通じて生乳を委託販売する生産者のみを対象としていた生産者補給交付金等について、その交付対象を拡大し、生乳を計画的に加工に仕向ける全ての事業者に交付することができることとしております。

 これに伴い、生産者補給交付金等の交付を受けようとする事業者は、年間販売計画を作成して農林水産大臣に提出し、農林水産大臣は、その計画が一定の基準に適合すると認める場合には、交付対象数量を通知することとしております。

 第二に、集送乳調整金の交付に関する措置についてであります。

 都道府県知事または農林水産大臣は、農林水産省令で定める正当な理由がある場合を除き、一または二以上の都道府県の区域において委託または売り渡しの申し出を拒まないなどの要件を満たす事業者を指定するとともに、指定生乳生産者団体などの指定を受けた事業者に対して集送乳調整金を交付することができることとしております。

 第三に、独立行政法人農畜産業振興機構が行う指定乳製品等の輸入等の措置について、畜産経営の安定に関する法律に位置づけるとともに、同法に規定されている価格安定措置等については廃止することとしております。

 これらの改正に伴い、生産者補給交付金等を交付する業務等について独立行政法人農畜産業振興機構法に位置づけるとともに、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法は廃止することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。

 以上でございます。

北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

北村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十三日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明十八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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