衆議院

メインへスキップ



第13号 平成29年5月18日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十九年五月十八日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 北村 茂男君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君

   理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    小里 泰弘君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      笹川 博義君    助田 重義君

      瀬戸 隆一君    武部  新君

      中川 郁子君    西川 公也君

      古川  康君    細田 健一君

      前川  恵君    宮路 拓馬君

      森山  裕君    簗  和生君

      山田 美樹君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    岡本 充功君

      金子 恵美君    佐々木隆博君

      重徳 和彦君    宮崎 岳志君

      村岡 敏英君    中川 康洋君

      真山 祐一君    斉藤 和子君

      畠山 和也君    吉田 豊史君

      仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       山本 有二君

   内閣官房副長官      萩生田光一君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高田  潔君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        藤原  豊君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口 英彰君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           大野 高志君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     助田 重義君

  古川  康君     山田 美樹君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     笹川 博義君

  山田 美樹君     古川  康君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口英彰君、大臣官房総括審議官水田正和君、消費・安全局長今城健晴君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、生産局畜産部長大野高志君、内閣官房内閣審議官高田潔君、内閣府地方創生推進事務局審議官藤原豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤拓君。

江藤委員 おはようございます。自由民主党の江藤拓でございます。

 本日は、畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案、これについて質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 質問することになりまして、書き上げたんですけれども、自分のしゃべる分だけで一時間分ぐらいありまして、これはちょっと、三十分しか時間がありませんのでどうしたものかと思っておりますが、一生懸命やりますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。

 加工原料乳生産者補給金及び指定団体制度、これは、昭和四十一年に加工原料乳生産者補給金等暫定措置法、いわゆる不足払い法が施行されて以来、現在に至るまで、長きにわたりまして我が国の酪農の発展に重要な役割を果たしてきたということであります。

 そして、このたび政府は、補給金等の交付に関する措置について、これまでの暫定措置ではなくて、畜産経営の安定に関する法律に恒久的な制度としてこれを位置づけ、補給金の交付対象を拡大する等の改正案を提出したところでありますけれども、生産者の中には、今回五十年ぶりの改正でありますので、どんなふうに変わるんだろうということで、不安の声、疑念もあるというのも事実でありますので、丁寧な、そして誠実な御答弁をよろしくお願いいたします。

 私が言うまでもありませんが、生乳は、毎日生産されまして、腐敗しやすく、そして貯蔵性がない特殊な生産物であります。さらには、季節などによって需給が変動するといった特徴もあります。

 指定団体は、生産者にかわりまして乳価交渉を行ってまいりました。輸送条件等が不利な地域も含んで集乳をきちっと引き受けて、需給変動に応じた適正な生乳販売の実現、そのための機能を十分に果たしてまいりました。これまでの指定団体が果たしてきた機能、これは高く評価されるべきものであって、今後ともこれは維持されなければならないということをまず申し上げておきたいと思います。

 熊本でも震災がありましたけれども、指定団体があればこそという声はたくさん私は聞かせていただきました。

 北海道の話を少しさせていただきます。

 北海道で生産される生乳の八割は今加工用に回っております。都府県は九割が飲用に回っているということであります。

 根室を例に挙げさせていただきますが、その厳しい気象条件から、牧草などの自給飼料に立脚した酪農、これが地域のいわゆる主たる産業となっております。農業産出額の実に九二%、これが酪農というのが現実の姿です。ひっくり返して言えば、酪農がだめになってしまったら根室地区は地域が崩壊すると言っても私は過言ではないということだと思っております。

 生産者の心理についても若干触れておきます。

 補給金十円五十六銭は出してはおりますけれども、やはり生産者としてはどうしても飲用に売りたいというのは当たり前であります。大体飲用だとキロ当たり百十五円、しかし、チーズ用だとキロ当たり八十円、バターだとキロ当たり大体九十円というのが現実の姿だということを指摘させていただきます。

 これまで指定団体が担ってきた生乳の需給調整機能、これが弱体化するというようなことになってしまいましたら、北海道は主に加工原料乳、そして都府県は飲用乳をというこのすみ分けがきちっとできておったわけでありますけれども、これが崩れてしまうのではないかということが恐れられております。こういったことにもきちっと法案の内容で応えてほしいと思います。

 昨日、大臣の方から趣旨の説明等をいただきましたので、重複するかと思いますけれども、私は一番手ですので、改めて大臣に、この法律の目指すところ、その趣旨についてお話をいただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 近年、我が国の飲用牛乳需要が減少傾向にある一方で、生クリーム、チーズなどの乳製品の消費は今後も増加が見込まれております。消費者ニーズに対応すれば、酪農経営は発展の可能性が十分ございます。

 そのためにも、特色ある牛乳・乳製品の生産による付加価値の向上、これを図っていかなきゃなりません。酪農家が創意工夫を生かせる環境の整備、これが重要な課題だというように捉えております。

 こうしたことを踏まえて、本法案によりまして、補給金の交付対象を拡大する、現在の暫定措置法に基づく制度を恒久措置として位置づけるという見直しをしたところでございます。

 こうしたことによりまして、生産者の生乳の仕向け先の選択肢が広がり、みずから生産した生乳をブランド化し、加工、販売する取り組みなど、創意工夫による所得向上の機会を創出しやすくなる。現在の指定団体である農協、農協連につきましても、生産者の選択に応えるため、流通コストの削減や乳価交渉の努力を促すこととなる。また、これまで補給金をもらえないため飲用向け一辺倒だった者をバター等乳製品向けにも販売する方向に誘導することができるもの、こういうメリットがございます。

 今回の制度改正によりまして、需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保あるいは畜産経営の安定、これを図るものでございます。

江藤委員 今大臣からいろいろ御答弁いただきました。ありがとうございます。

 消費者のニーズに応えなきゃいけない。これは当然のことであります。

 その内容、しかし、我々は、今年度から補給金制度の改正、もう既に行っております。生クリームなどを追加しまして、補給金の対象をほぼ全ての乳製品にもう既に広げております。単価も一本化しまして、現場からは大変高く評価されている。皆さん御存じのとおりであります。

 付加価値の向上も大事です。ブランド化も大事です。しかし、これは日量三トンという上限、これがなくなりますから、工夫の幅も広がってくるんじゃないかというふうに私も期待します。

 党内で大変議論となりましたのは、補給金の交付対象の拡大でありました。齋藤副大臣はよく御存じであります。

 実は、九州を含めた、現在は、指定団体に出荷されている都府県の生産者、こういった方々からも、この交付対象は拡大してほしいという要望書、これは実は昨年の段階で我々のもとにそれが届いております。ですから、生産者からもこの対象の拡大は求められていたということを指摘しておきたいと思います。

 そして、恒久法にしていただくということでありますから、これはもう毎年毎年、年末は財務省と行ったり来たりして単価交渉するわけですけれども、根拠法を持てますからやりやすくなるなということで私はほっとしております。

 それでは次に、制度改正後の補給金交付等の流れについて確認をさせていただきます。

 まず、補給金の対象者の年間販売計画について伺います。改正畜安法の第何条第何項に規定されているかも示した上で、具体的にお答えください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法の法案の第五条第一項、第二項に基づきまして、補給金の交付を受けようとする対象事業者は、月別、用途別の販売予定数量等を記載した年間販売計画を策定いたしまして、裏づけとなる乳業者との契約書の写しを添えて、大臣に提出いただきます。

 その後、五条三項に基づいて、農林水産大臣は、計画が一定の基準を満たしていると認める場合には、対象事業者ごとの交付対象数量を通知いたします。

 なお、五条五項に基づいて、事業の実施状況、需給状況を踏まえまして、必要があると認める場合には、その交付対象数量を変更することができるということにされております。

江藤委員 まず年間販売計画は乳業者との契約の写しを大臣に提出するということでありますが、出されたものをはいはいと受け取るのではなくて、やはりその相手方、乳業者に対してもその内容が正確かどうか、これは確認する必要が私はあると思います。ダブルチェック。このことについてどう思いますか。

枝元政府参考人 改正法案におきましては、農林水産大臣は、加工原料乳の生産者、販売業者に報告また立入検査をすることができます。また、求めた報告をせず、もしくは虚偽の報告をする、検査を拒む等の場合には、三十万円以下の罰金に処する。また、偽りその他不正の手段で補給金の交付を受けた者は、三年以下の懲役、百万円以下の罰金ということになってございます。

 こういう法制上の規定はございますが、補給金を適切に交付するためには、乳業者との契約書も含めた販売計画の入念な確認も重要でございまして、議員の御指摘も踏まえ、関係者の意見を聞きながら、引き続き検討してまいりたいと存じます。

江藤委員 ありがとうございました。

 契約書の内容についてはダブルチェックをすると。それから、検査を報告しない、もしくは虚偽の報告をする、検査を拒むといった場合には、罰金があったり、三年以下の懲役があったり、百万円以下の罰金があると。大変厳しくこれはやるということが確認されました。それは大変結構なことで、きちっとやっていただきたいというふうに思います。

 今御答弁いただきました中で、計画が一定の基準を満たしていると認める場合には交付対象とするということでしたが、この一定というのもなかなかつかみづらい部分がありますので、具体的にはどのようなものになるのか、お答えをいただきたいと思います。

 また、対象事業者ごとの交付対象数量を変更することもあるわけですね。途中でですね。四半期ごとに。具体的にはどのようなタイミングで、どのように変更するのか、お答えをいただきたいと思います。

 そして、事業年度途中で計画の内容と実際の生乳仕向け、これが乖離している、著しくといいますか、乖離をしているといった場合にはどのように対応するのか、局長に伺います。

枝元政府参考人 御質問ございました一定の基準でございますけれども、提出された計画につきまして、乳業者との契約の裏づけが確認でき、また、年間を通じた用途別の需要に基づく安定取引であると認められること、生産者補給金の交付業務を適正に行えること、用途別取引を行っていることなどを考えてございます。

 対象事業者ごとの交付対象につきましては、七条一項、二項で、四半期ごとに実績を確認いたしまして、飲用牛乳や乳製品の需給動向に応じて、実際の加工原料に仕向けられている量が計画より少ないのであれば交付対象数量を削減、多いのであれば増加するということを考えてございます。

 また、例えば計画に比べて実績が大幅に乖離、減少しているような場合には、その理由を事業者に確認し、天候、災害等やむを得ないと考えられる事情がない場合には、交付対象数量を削減することなどを検討しているところでございます。

江藤委員 きちっと御答弁をいただいたと思います。やむを得ない事情もありますよね。夏、暑くて、酷暑で乳量が極端に落ちたとか、自然災害が発生したとか、いろいろあるかもしれません。しかし、中には悪質な、意図的な人も私はいるんじゃないか、いないことを望みますけれども、それを若干危惧しているわけであります。

 ですから、交付対象を変更すること等を検討していますということでありましたけれども、ちょっと私は甘いんじゃないかなと思いますよ。

 先ほど御答弁で、報告しなかったりしたら三十万だ、虚偽であったら百万だというような話がありましたけれども、こちらについては変更するだけということでありますね。変えれば済むということであれば、途中で変えればいいんだという甘い計画を出しかねませんから、余り悪質な場合については、次年度また申請をしてきても断るというぐらいの毅然とした態度で臨むことが必要だと思います。もう答弁は求めません、時間が足りなくなってきましたので。

 聞きたいのは、先ほどちょっと言いましたけれども、大幅に乖離している場合、この大幅な乖離というのは、どのような幅を考えていらっしゃるんですか。

枝元政府参考人 補助事業におきましては、事業計画の変更を求める際に、その条件を事業費の三〇%以上の増減としている場合が多くございます。年間販売計画と実績確認における具体的な基準については、こうした考え方も参考に、国会での御審議も踏まえまして、関係者の意見を聞きながら、引き続き検討してまいりたいと存じます。

江藤委員 だから、三〇%というのは甘々ですよ。局長が今答弁された三〇%というのは、あしたの農業新聞に載るかわかりませんが、これは考え方として私は間違っていると思います。

 確かに、一定のマージン、振れ幅、これは必要かもしれません。しかし、この補給金というものは、播種前契約で、そして実績払いでしょう。入り口と出口で。それで三〇%もぶれるというのは異常な世界ですよ。もっと厳しくあるべきだと私は思います。いかがですか。

枝元政府参考人 御指摘も踏まえまして、検討してまいりたいと存じます。(発言する者あり)

江藤委員 いやいや、こっちは一応与党ですから。また党内で厳しく局長を追及するなり、議論を重ねさせていただきたいと思いますが、やはり、正直者がばかを見ないように、すき間を狙ってずるくもうけようとするようなことは許さないということは、とても大事なことだと私は思います。

 一定の基準を満たしている条件の一つとして、年間を通じた用途別の需要に基づく安定取引であると認めることということを挙げられておりました。

 安定取引というのは、具体的にはどういうものを指しますか。お答えください。

枝元政府参考人 多くの事業者がみずからの利益を最大化させようということで、飲用需要の多い夏には、飲用向けに需要を超えて極端に多く出荷し、需要の少ない冬には、乳製品向けに極端に多く出荷するという行動をとった場合には、飲用の廉価販売につながりかねない、また、夏も一定程度存在する乳製品の需要に応えることができないだけでなく、冬には乳製品工場の処理能力を超えるおそれがある等、酪農経営に悪影響が生じ、乳製品のみならず、飲用向けを含めた生乳生産全体に支障を来すことが懸念されます。

 こういう、個別の事業者がみずからの利益を最大化するため、例えば冬に極端に多く乳製品向けに仕向けるような場合でも交付対象として認めることは、多数の事業者の同様の行動を誘発し、結果として全体に影響を与えかねないことから、適切ではないというふうに考えてございます。

 こういう考え方を念頭に、具体的な基準につきましては、国会での御審議も踏まえ、関係者の意見を聞きながら、引き続き検討を行ってまいります。

江藤委員 今、夏期と冬期についての指摘がありました。冬の時期の不需要期の廉価販売、これは大変問題です。品質的にも若干どうなのかというような指摘もありました。工場も、一気に集中すれば処理能力の限界がありますから、このことについても指摘があったことは評価をしたいと思います。

 計画は、個々出すわけでありますけれども、国に全部届けられますよね。しっかりそれを集計して、そしてハンドリングをしていかないと、バッファーがなくなってしまうことになります。非常に難しいですよ。国が直接ハンドリングするんだから、その責任は重大であるということを私は指摘させていただきます。それでよろしいですね。うなずいているから、もう答弁は求めないことにします。

 二十八条では、農林水産大臣は、対象事業者に対して、酪農経営の安定を図る観点から、必要な指導助言を行うことができるというふうになっておりますが、この指導助言とは、どのぐらいの効力といいますか実効性があるのか、お伺いをします。

枝元政府参考人 今御質問がございました指導助言でございますが、酪農経営の安定を図る観点から、個別に判断すべきものと考えてございます。

 一般的に、行政指導の内容は、行政手続法三十二条に基づきまして、あくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものでございますが、制度の運用につきましては、本法案の目的である、需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保、畜産経営の安定が図られるように、相手方の協力を得られるように対応してまいりたいと存じます。

江藤委員 やはり、この二十八条の指導助言は弱いなという印象を受けました。

 行政指導の内容は、あくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものである、これは行政手続法の第三十二条ですか、法律でもありますから、それは理解しますけれども、せっかくこの法律に書いてあるんですから。中には、いろいろな人がいますよ。指導されても助言されても、はあはあ、そうですか、聞きおきます、そういう変に腹の据わったやつがいないとも限りません。ですから、そういうことについてもきちっと考えて、今後はやっていただきたいというふうに思います。

 そして、先ほど御指摘があった三十一条、それから三十二条の罰則規定に比べると、いろいろ意見もあると思いますが、また改めて時間のあるときに話をします。

 私は、生乳流通にかかわる経費の見える化、この努力をすることは、今後は大変必要になってくるというふうに思っています。

 指定団体におきましては、乳業メーカーが実施する受け入れ検査に加えまして、自主的な乳質検査にも取り組んでおりますし、さらなる品質向上、それから安全管理にも常に努力をしております。

 こういったことについては、新たに入ってくる事業者の方々も含めて、生乳流通にかかわる全ての者がしっかり取り組むべき大事な責任だと思いますが、いかがですか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 農畜産業振興機構から生産者補給交付金の交付を受けた全ての生乳の受託や買い取り販売を行う事業者は、その事業の実績等を農林水産大臣に報告しますとともに、委託または売り渡しを行った方へ報告させることとしております。

 また、指定団体が乳業メーカーの受け入れ検査に加えて実施しております自主的な乳質検査は、酪農家の所得の向上はもとより、消費者の方々にとっても、安全で信頼されるという観点から、重要な取り組みであると認識しております。

 こうした取り組みをより多くの事業者に拡大するよう、農林水産省としても推進してまいりたいと考えているところでございます。

江藤委員 今、より多くの事業者に拡大するように働きかけていくですか、まあ、働きかけることは当たり前なんですけれども、これはやはり、生乳の流通にかかわる人間はみんなやらなきゃだめですよ。ほとんど義務化、当たり前にやらなきゃいけないことということにやらないと、私はイコールフッティングという考え方にも反すると思いますので、きちっとやっていただきたいというふうに思います。消費者の方々に対して、高品質で、適正な価格で乳製品をお届けする、この責任を果たさなければならないということを指摘しておきたいと思います。

 現在は、指定団体に出荷する者はインサイダー、それ以外の方々はアウトサイダーというふうに呼ばれておりますけれども、生産者の立場に立って言えば、生乳を高く買ってくれて、きちっと集送乳して、そのまま安全管理もして、消費者に届けてくれるんだったら、インもアウトもなく、この人はいい人なんです。

 ですから、この機会に、やはりアウトサイダーという言い方は、この際やめておいた方がいいというふうに思います。ただ、アウトサイダーというと、副大臣、大体、映画でも悪者じゃないですか。今度は、新たな事業者も、補給金を受ける事業者も、指定団体の方々も、一緒のステージに立って、酪農を盛り上げていくという意識を持っていただかなきゃならないんだから、これを分断するような物の言い方というのは不適切であるので、これはやめておきたいと思います。

 それから、党内の議論で最も問題となりました、いいとこ取りについてやらせていただきます。

 このいいとこ取りは許さないということの懸念に応える部分は、この条文ではどういうふうになっているんですか。お答えください。

枝元政府参考人 生産現場の懸念を踏まえまして、部分委託につきましては、現場の生産者が不公平感を感じないよう、また、場当たり的な利用を認めないようにする観点から、指定事業者が生乳取引を拒むことができる正当な理由を省令で定めるということにしているところでございます。

 また、飲用向けと乳製品向けの調整の実効性を担保できるものとするため、年間販売計画の提出を月別、用途別のものとして義務づけ、基準に適合するものであると認められる場合に対象数量を通知いたします。

 これにより、いいとこ取りがされるのではないかという懸念に対応することとしてございます。

江藤委員 きちっとしたものについて対象とするということでありますが、拒むことのできる正当な理由を省令で定めるということでありました。これがとても大事ですね。これは、今後の課題となって、内容を詰めていかれることであると思いますけれども、農業新聞には極めて詳しく、こんなイメージだと書いてありましたけれども、きちっとした省令を書いていただきたいということを申し上げておきます。

 私からは、そもそも、いいとこ取りなんというのは、本法の第一条の目的規定にある畜産物の需給の安定、すなわち生乳の需給の安定に反するということでありますので、これはもともと最初からだめということを指摘しておきたいと思います。

 では、副大臣、随分長いつき合いになってまいりましたので、先ほど局長からは不適切だというような話もありましたが、少し意地悪な質問をさせていただきたいと思います。

 仮に、月に百一トン生乳を引き受けている事業者がいたとしますね。需要期には、百トンが生乳向け、一トンが加工に回っています。不需要期になったら、七十トンが生乳向け、牛乳向けですね、三十一トンが加工に回る。平たく言えば、夏もちょっと出しています、年間を通じてきちっと我々は加工に出しているので、この法案の趣旨にかないますというような、何かアリバイづくりをするかのようなそういう業者というのは、私はこのケースは不適格ではないかと思うんですけれども、率直にどんな感想をお持ちか、お答えください。

齋藤副大臣 事業者から提出された販売計画に基づいて国の方で補給金を交付するかどうかの決定をするその基準については、先ほど答弁したように、これから省令で、関係者の意見を聞いて決めていくということですので、このケースがいいとか悪いとか、この場でお答えするのは適切ではないと思いますけれども、今、江藤委員がおっしゃったケースはかなり極端なケースでありまして、需給に与える影響は、もし同じようなことを追随する方が多数出てきたケースにおきましてはかなり全体の需給に影響を与えるということも考えられますので、適切ではないのではないかと考えております。

江藤委員 ありがとうございます。

 先ほど、牛乳に出した場合は百十五円、バター、チーズだと八十円、九十円という話をしました。ですから、私はこういうことを言っているわけでありますよ。ですから、全体に与える影響をきちっと考えて、政令、省令、局長通知ですか、ここら辺も精査をしてやらなければならないということを指摘しておきます。

 次に、集送乳調整金について伺わせていただきます。

 種子島、鹿児島ですね、酪農が盛んに行われておりますが、今、島までの輸送費、キロ当たりが大体六円二十九銭かかります。しかし、今は、指定団体ががっちりプールしていますので、キロ当たり四円二十三銭の負担で済んでいるというのが現実の今の姿です。もしこういった仕組みが壊れてしまいますと、離島の酪農は成り立たなくなってしまいます、輸送コストががんと上がってしまうわけでありますから。

 そして、平成二十九年度の加工原料乳生産者補給金の単価、これは十円五十六銭となっておりますけれども、改正後、この集送乳調整金を加えた満額、ことしでいえば十円五十六銭です、これを交付されるようなものはどういうものが想定されるか、局長、お答えください。

枝元政府参考人 法案におきましては、知事または大臣の指定を受けた事業者は、集送乳調整金の交付を受けることができるということに十四条にしてございまして、この具体的な要件が十条一項に規定してございます。

 具体的には、定款等で、正当な理由なく一または二以上の都道府県の区域において、生乳の委託または売り渡しの申し出を拒んではならない旨が定められていること、業務規程において、集送乳に係る経費の算定方法等が基準に基づき定められていることなどが要件となってございます。

江藤委員 正当な理由というところもなかなか、突っ込むと時間がないのでやりませんが、一または二というのもなかなか微妙な表現ですよね。また改めてやらせていただきます。

 加えて、集送乳調整金の算定についてお伺いします。

 集送乳調整金は、現在の補給金の内数ということでいいですね。もう時間がないので、うなずいていますから内数だということを確認させていただきました。大切なポイントであります。

 先ほど指摘をしましたけれども、離島もありますし、例えば、工場から百キロ離れているといっても、道路がばんと通っている百キロもあれば、十キロしか離れていないけれども、山越えの十キロもあるわけですよ。となると、算定というのは非常に難しくなってくるんじゃないかと思っています、年末に向かっての議論だと思いますが。

 一つの考え方として、これは私の個人的な考え方ですけれども、牛マルキン、これは地域算定とそれから全国算定がありますね。こういった考え方もあり得るんじゃないかと思いますが、質問したいんですが時間がないので、一応聞くだけにしておいてください。

 今回の法改正によりまして、畜安法に基づいて乳製品の過剰供給分を市場から隔離する調整保管、これが廃止されることになります。これまで一回しかこれは発動されておりません。余り実績がないということですね。まして、今後は、ALIC法に基づく畜産振興事業により、調整保管はやはり行われるという方針でありますけれども、こういうこと自体なかなか難しいですが、乳製品の国内の生産がばんとふえたとかそれから新たな貿易協定で輸入量がどっとふえたという場合に、この調整保管がきちっと行われるのかということを不安視する声が生産者にありますが、このことについて御答弁ください。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 畜安法に基づく調整保管は非常に硬直的な仕組みであるために、昭和五十五年に、より迅速に実施できるALICによる調整保管が設定された経緯がございます。

 その後、御指摘のとおり、畜安法の調整保管は使われず、ALIC事業の調整保管のみが発動しておりますことから、今回の法令改正を契機として、畜産業振興事業の調整保管に一本化いたしますが、実質的に影響はなく、今後とも、その適切な運用に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

江藤委員 牛肉、豚肉の調整保管と同様だということをきちっと現場に伝えてください。このことが伝われば、不安は払拭されるのではないかというふうに思います。

 今回の改正法案は、最初、いろいろ指定団体の廃止だとか激しい話から始まって、私も随分河野当時の大臣のところに意見具申に伺ったり、いろいろなことがありました。ですから、きょう私は質問に立ったわけでありますけれども、法案を読めば読むほど、これは情熱を込めてつくった法律ではあるんですけれども、法律、これはまだ成立するかどうかわかりません。できれば全会一致で成立してほしいと願っておりますが、法律成立後の大臣の責任は極めて重いですよ。報告はまず大臣に上がる、その後も、指導助言もしなきゃならない、いろいろなことがあります。それから、政令、省令をつくらなきゃいけない、局長通知もやらなきゃいけない。ですから、大臣の責任は重いので、最後に一言だけ大臣の御決意を伺って質問を終わります。

山本(有)国務大臣 暫定措置法制定から五十年経過しました。社会の環境が大きく変化する中で、新たなこうした時代に対応するため、所要の改正を行うものでございます。

 法案が成立した暁には、引き続き、生産現場の意見を十分踏まえつつ、新制度の的確な運用に最大限努力したいと決意しておるところでございます。

 今後とも、酪農経営がさらに発展すること、消費者のニーズに応じ得るような体制をつくること、牛乳・乳製品が安定的に供給できるよう努めてまいりたいというように思います。

江藤委員 終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 きょうは、畜産経営安定化法、これについて、通告に従いまして、順次質問をさせていただきたいと思います。

 本題に入る前に、酪農経営の現状の認識、それから直面する課題について、まず大臣の御認識をお伺いしたいと思っておりますが、我が国の酪農、これは生産者や関係団体等の皆さんの大変な御努力で、あるいは規模拡大を図る中で発展をしてきた。酪農は今や我が国の農業生産額の約一割を占めるまでに至っております。

 一方で、生乳生産量の減少が大きな課題で、その要因についても、きょう御参会の委員の皆さんも御承知のとおりでございますけれども、生産者の高齢化、それから後継者不足、また人手不足、そのほかに、飼育頭数が減ってきたり、あるいは逆にふえていって手が回らなかったり、飼料価格が上昇したこともありまして、総体的に言ってみると、生産基盤の弱体化が挙げられるのかなというふうに思っております。

 特にきょうここで私があえて申し上げておきたいのは、後継者不足、それから現場での人手不足、これが大きな問題で、離農に拍車をかけているということ。

 酪農の戸数の減少はずっと続いておりまして、平成二十八年度は、今全体では一万七千戸の酪農戸数ですけれども、前年比でいうと四%減っているということ。

 特に私の住んでおります北海道は酪農王国と言われていますけれども、毎年二百戸以上の酪農家の離農が続いている中で、これが十年以上続いていますから、そうすると二千戸の酪農家が離農していて、御家族を含めると数千人単位で離農しているということですから、現実には、例えばちょっとした小さな自治体がなくなってしまうようなことにも匹敵するわけです。

 こうした酪農の現場での直面する課題、特に今私が申し上げました後継者不足、人手不足、この問題について、大臣の御認識をまずお伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 我が国の酪農は厳しいものがございますが、国民への新鮮な飲用牛乳の供給を担っておりますし、多様な消費者ニーズに対応した乳製品生産を支えております。また、地域の基幹的な産業として地域経済社会の維持に重要な役割を果たしていると認識しております。

 御指摘のように、一戸当たりの飼養規模が拡大している一方で、全体では飼養戸数や飼養頭数が減少しております。生乳の生産量が減少傾向で推移しておりますし、生産基盤の強化が最優先の課題と認識しております。

 特に、生産現場において、人手不足、後継者不足、乳用後継牛の不足、労働負担の軽減、こういったことが喫緊の課題となっております。

 こうしたことを踏まえまして、酪農の生産基盤を強化する、これを必要とするわけでございますので、さまざまな施策を講じております。

 一番に、畜産クラスター事業による新規就農や規模拡大に向けた地域の取り組みの支援。二番に、雌の性判別精液の活用等による乳用後継牛の効率的な確保に向けた支援。三番目に、酪農家の労働負担を軽減する楽酪事業による搾乳ロボットの、酪農家の労働負担軽減、省力化に資する機器の導入に対する支援。四番目に、外部支援組織、コントラクター、TMRセンター等の活用によって、労働負担の軽減やコスト削減の支援。五番目に、酪農ヘルパー事業による就農に必要な知識、技術の習得に対する支援などを措置しているところでございます。

 これらの施策により、生産基盤の確保、強化に向けた取り組みを一層強力に推進してまいりたいというように考えております。

稲津委員 今大臣から、現状の認識とあわせて、具体的なこれまでの農水省がとってきた支援策ということを御答弁いただきました。

 そのことを踏まえた上で、さらにもう一点ここに関して深掘りで聞きますけれども、特に今私が申し上げました後継者不足、人手不足の課題の解消なんですけれども、かつては、酪農家については、親の農場を受け継ぐ場合のほかに、酪農家を志す意欲のある新規の参入というのが少なくなかったわけでございまして、これが結構な担い手になってきた。しかし、現在では、やはり子牛の価格が高いとか、それから飼料、資材の高騰ですとか燃料の高騰ですとか、特に初期投資に莫大な費用がかかるということで、なかなか、こうしたものを踏まえていくと、難しい面がある。

 ただ、そのほかに、もっと根本的な問題として、飼育技術の習得ですとか就業環境の整備ですとか、いわゆる技術を習得していく過程におけるキャリアアップの問題とか、こうしたことが散見されまして、よって、ここできょう私が申し上げたいのは、中長期的な人材育成を図るという根本的な対応が必要じゃないかということなんです。

 そのために、個別の酪農家での対応というのは限界があるということから、法人や農業団体での取り組み、これはよく、研修農場ということで設置されているところもありますし、今まさにそこを計画しているところもあります。

 そうしたことに私は大いに期待をしていきたいと思っているんですけれども、ここで、やはり研修の中身もそうですし、それから今の若い方々に合ったシステムですとか、そういったことも含めてしっかりやらないと多分だめなんだろうと思うんです。

 そうした法人や団体への支援ですとか、農水省としての今後の具体的な取り組みについてお伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 酪農経営における新規就農者あるいは後継者の確保、育成、これは本当に重要なことでございます。経営に対する知識や高度化する飼養技術の習得が、さらにこうした意味で重要な課題というように認識しております。

 このため、農林水産省では、新規就農者等が酪農経営や飼養管理技術に関する知識を習得できますように、酪農情勢、飼料生産、畜産環境対策等に係る基礎から最新の情報までを体系的に学べる研修の開催を心がけておりますし、さらに、新規就農希望者等の経営力向上のためのセミナーの開催も試みております。そして三番目に、牛の能力を最大限に引き出すための飼養管理技術の実践に関する講習会の開催も取り組んでいるところでございます。

 また、酪農現場での飼養技術の習得のため、畜産クラスター事業により、研修生を受け入れる酪農経営の規模拡大を支援する、また新規就農者の技術習得を支援する農場を整備するというようなことも必要と思っております。

 さらには、酪農ヘルパー事業によりまして、後継者や酪農ヘルパーが多様な酪農経営の取り組みを経験して、就農や経営発展に必要な知識、技術を習得する取り組み、これも支援していきたいと思います。

 いずれにいたしましても、今後とも、新規就農者や後継者のキャリアアップにつながりますように、新規就農者等のニーズや知識、技術の習得に応じた支援策を効果的、総合的に展開してまいりたいというように考えているところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 大臣、最後のところで、研修農場ですとか畜産クラスターをしっかり拡充していきながらそのようなシステムを応援していきたいという具体的な御答弁をいただきましたので、ぜひ期待を申し上げたいと思います。

 農水省の新規就農者の調査というのが出てまいりまして、これを見て非常に感慨深いものがあったんですけれども、いわゆる新規就農者、これは三十九歳以下で見ると、平成二十七年度、親元のいわゆる新規就農は全国で七千八百九十人、それから、今度は親元でない新規就農者、三十九歳以下、八千二百二十人ということで、これは上回ったわけですね、親元以外というのが。こういったところに、実は農業に従事したいという現場のニーズというのは実際高まってきているというふうに見ることもできると思うんです。ぜひ、この酪農の中長期的な人材不足をしっかり解消していくという視点に立って、これらの御支援をお願い申し上げる次第でございます。

 これから先は本法案の中身に具体的に入ってまいりますけれども、先ほど江藤委員からも質問がありまして、一部重複するところがありますけれども、党を代表してということで御理解いただきたいと思います。

 この加工原料乳についての生産者補給金制度、これは昭和四十一年、当時の生乳生産量及び飲用牛乳需要の増大を背景にして、当分の間、暫定の措置として開始をされて、今や暫定というよりはもう恒常的な仕組みになってきておりますけれども、一方で、生乳の生産量それから飲用牛乳の需要は減少傾向で推移をしてきて、こうしたことを踏まえて、今回、生産者の経営安定それから需給状況に応じた安定供給の確保を図る、こういうことが本法案の一番大事な目的であると思っております。

 よって、これを制度化、制度を恒久的なものにする、こういうことであると思っておりまして、主な内容、事項について、あえてここで整理するわけではありませんけれども、一つは、やはり需給の安定というのをしっかり新しい制度の目的の中にきっちり明記するということ、それから、いわゆる指定団体以外にも生乳の一部を販売する部分委託は、現行の日量三トン、この上限を取るかわりに、国がしっかり評価をして指導や助言ができるようにするということ、それから、国が生乳需給の総合調整を担う、こうした三つの大きな主要事項があるというふうに思っておりますが、先ほど江藤委員からも御指摘がありましたように、具体的な事項は省令に負うところが非常に大きい、それから、通知も恐らくこれから出てくると思っております。

 その意味で、この委員会において、質疑を通してしっかりここの整理をして、より精緻な制度設計を求めていきたいという趣旨で順次質問してまいります。

 まず一番目、年間販売計画と交付対象数量についてですけれども、本法案では、現在の指定団体以外の者が新たに生産者補給交付金を受けようとする場合に、これは以下、対象事業者というふうに読ませていただきますけれども、要件を課しているということ、すなわち、年間販売計画、それから月別、用途別の販売予定数の報告、それから月別の乳製品向けの数量の増減が季節変動を超えない、そして品質の適切な確保、いわゆるいいとこ取りができないという考え方に立つものというふうに私は承知をしておりますが、ここは極めて大事なところで、ここをしっかり実施していかなければいけない、このように思っております。

 具体的にどのような要件設定になっていくのか、このことについて、まずお伺いをいたします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、飲用向けと乳製品向けの調整の実効性を担保できるものとするため、事業者に対しまして、月別、用途別の販売予定数量等を記載した年間販売計画の提出を義務づけ、農林水産省令で定める基準に適合するものであると認められる場合には、交付対象数量を通知することとしてございます。

 具体的な基準といたしましては、年間を通じた用途別の需要に基づく安定取引であること、生産者補給金の交付業務を適正に行えること、用途別取引を行っていることを定めることを考えてございますが、国会での御審議も踏まえ、関係者と調整の上、法案成立後、できるだけ速やかに定めたいというふうに考えてございます。

稲津委員 そこをしっかりやっていただきたいんですけれども、あわせて、このことと同時に、本法案の第五条の年間販売計画と交付対象数量について改めて伺っておきたいと思います。

 本法案では、生産者補給交付金を受けようとする対象事業者については、毎会計年度、生乳等の年間販売計画、これは月ごとの生乳の用途別の販売予定数量等を記載するものでありますが、これを農水大臣に提出することになりますが、この年間販売計画のほかに、その他農林水産省令で定める事項の記載も必要、このようにされておりますが、それはどのような記載となるのか、ここで改めて確認をさせていただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な基準としては、用途別の需要に基づく安定取引であること以外に、生産者補給金の交付業務を適正に行えること、また、用途別取引を行っていること等を定めるということを考えてございますが、国会での御審議も踏まえまして、関係者と調整の上、法案成立後、できるだけ速やかに定めたいと思っております。

稲津委員 もう少し具体的に詰めていかなければちょっといけないのかな、今御答弁を聞いて、そのような認識もございますけれども、今答弁の中に、国会での審議も踏まえてということですから、私がきょう質問する中で提案したことも含めて、回答を最終的にいただける、このように承知をしておきたいと思います。

 次は、報告です。

 本法案では、この対象事業者は、対象事業の実績、それから要した経費、省令で定めたものを農水大臣に報告しなければいけない、このようにされております。報告をしなかった場合どうなるか。三十万円以下の罰金が定められている。

 そこで伺いますけれども、罰則が適用されることとなった場合、生産者補給金は、これは当然交付されないことと考えますが、どうでしょうかということです。

 それから、罰則適用となった場合、それ以降、ある程度の時期までは、私は、交付対象とされない等の措置も必要じゃないかと。要するに、改善が確認され、適切なそうした対応ができているということがしっかり確認されるまでは、そういう対象としない。

 さらに、ここが大事なポイントなんですけれども、計画と実績報告にそごがあった場合どうするのか。このそごというのは、意識した場合とそうでない場合があると思います。そうしたことも含めて、交付金の返還等も場合によっては当然あると思うんですけれども、そのような措置でよろしいかどうか、お伺いします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、最後におっしゃられました計画と実績が乖離した場合でございますが、まず、この交付金につきましては、改正法案の七条におきまして、最終的に加工原料乳として仕向けられた実績数量を、農林水産大臣または都道府県知事が、乳業等にもきちんと確認の上、認定をいたしまして、その数量に応じて交付することとしておりますので、実績よりも多く補給金を交付するということにはならないということでございます。

 もちろん、この過程で補助金適化法等に違反するような場合には、返還等々そういうことはございますが、基本的にはそういうことでございます。

 なお、法令に違反した場合等を交付対象外とすべきというお話もございました。

 本法案の目的に鑑みまして、関係者の意見も聞きながら検討を行ってまいりたいと存じます。

稲津委員 そうした意識的な上でそごを起こしたり罰金を科せられるものがあった場合は、当然これは今お話があったような対応で対応していただきたいと思うんですけれども、もう一方で、先ほどの報告の前のいわゆる販売計画、ここのところをきっちりやっておくことが大事で、そこのところをしっかりやはり農水省として、先ほど答弁いただきましたけれども、精緻なものにして、事業者にきちっとお示しをしていくということを、ぜひこれはしっかりやっていただきたいと思います。

 次は、部分委託と全量委託についてお伺いをしたいと思います。

 飲用乳と加工乳のバランスの問題、このいわゆる需給調整、これはこれまでも大変重要な課題であったということです。本法案の施行によって、仮に無条件の部分委託を認めれば、現在の指定団体の集乳の力が低下をして需給調整ができなくなるだろう、こういう懸念が当初からありまして、私もここが一番肝心なところだと思っています。いわゆる場当たり的、いいとこ取り、それから不公平を感じるような取引があってはならない。こうしたことを、どのように対応を考えて、そして省令などの位置づけになるのか。

 さらに、現在生産局長通知で示されています全量委託はなくなるということになってしまうのか。このことについても確認をさせていただきたいと思います。

齋藤副大臣 委託契約につきましては、契約当事者間の合意により締結をするということになるわけでありますが、全量委託につきましても、契約当事者間で合意があれば当然可能でございます。

 部分委託につきましては、今、稲津委員おっしゃいましたように、現場の生産者が不公平感を感じないよう、また、場当たり的利用を認めないようにする観点から、この法案におきましては、指定事業者が生乳取引を拒むことができる正当な理由を、しっかり省令で、関係者の御意見を伺いながら決めていきたいと考えております。

稲津委員 今、副大臣から御答弁いただきましたけれども、まさにこの部分委託、全量委託というところは、需給調整が大前提になっていて、これが崩れてしまうと全体がバランスがおかしくなりますから、今御答弁いただいたことをきっちりやっていただきたい、このことを確認させていただきます。

 次は、集送乳調整金についてです。

 本法律案では、集送乳経費がかさむ地域を含む都道府県単位以上、一または二以上の都道府県の区域内で集乳を拒否しない場合、現在の指定団体以外の者も対象事業者として集送乳調整金の交付対象となる、このようにございます。

 これは、正当な理由がある場合を除き集乳を拒否しない、場当たり的な対応を禁ずる趣旨として理解してよいと思いますが、どのような規定にするのか。それから、そのような正当な理由のない拒否をした場合に、集送乳調整金の交付がされない、それから補給金の交付にも影響がある、このように考えていいのかどうか、この点も御答弁いただきたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 今、先生から御指摘があったとおり、本法案の十条一項二号において、指定事業者が生乳取引を拒むことができる正当な理由を省令で定める、こういうふうにしているところでございます。本省令の規定は、法案の成立後、関係者との調整の上、できるだけ速やかに制定したいと考えております。

 現在のところ、生乳生産の季節変動を超えて変動する取引である場合、短期間の取引である場合、特定の用途仕向けへの販売を条件とする場合、生乳の品質が指定事業者の定める統一基準を満たさないものである場合等の場合には、生乳販売を拒否することができる、こういう規定としたいと考えております。

 なお、御指摘のように、指定事業者が正当な理由に該当しない理由で委託等を拒否した場合には、改正法案第十三条第二項第二号において、都道府県知事または農林水産大臣は指定を解除することができるとされており、そのような場合には、当該事業者は集送乳調整金の交付を受けられないということになると考えております。

 いずれにいたしましても、先ほどお話があったとおり、本法案において、指定事業者等に対する指導及び助言の権限が与えられたところでございます。このような権限も必要に応じて有効に活用しつつ、制度の円滑かつ適切な運用に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 今、いわゆる正当な理由というのはこういう理由であるということでお話もいただきまして、その上で、十三条の指定の解除の話もありましたので、ここのところは明確になっているという認識でございました。

 それで、あと残りの時間で数点、またさらにお聞かせいただきたいと思うんですけれども、次は生産者補給金等の単価についてなんです。

 本法律案では、生産者補給金の単価は農林水産大臣が定めるものとされている。これは現行の暫定措置法の第十一条、第十二条、いわゆる生産費、需給事情、物価動向など、これと同様の規定なのかな、このようにも認識しておりますが、今後、本法施行の平成三十年度以降も、補給金の決定に当たっては、現行の仕組みと同じでよいのかどうか、これは関係者、非常に関心の高いところですので、改めて確認させていただきたいと思います。

大野政府参考人 生産者補給金の単価につきましては、ただいま御指摘のように、改正法案第八条第一項におきまして、「農林水産大臣が、生乳の生産費その他の生産条件、生乳及び乳製品の需給事情並びに物価その他の経済事情を考慮し、生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保することを旨として定める」、こうしておりまして、これは現行の暫定措置法第十一条第二項と同様の規定でございます。

 具体的な算定については、法案成立後、来年度、畜産物価格決定の際に決定していくことになります。

稲津委員 現行と変わらずということで、確認をさせていただきました。

 それで、次は、生産者補給交付金の予算措置についてということでお伺いしたいと思います。

 これは、現行の暫定措置法において、補給金の交付は、生産者積立金の積み立てを行う生産者の生産した加工原料乳に限定されると。ちょっとそのまま読んでいますけれども、これは暫定措置法の五条ですね。

 これは、財政事情から、生産者の経営努力を鑑みたことからくるものだ、このように考えますが、本法律案では生産者補給金の積み立ては前提にされていない、このように思っておりますが、新制度ではこれは見直しの上での実施になるのかどうかということです。今後の考え方について、この点の確認をさせていただきたいと思います。

大野政府参考人 乳製品向け乳価の下落に備える加工原料乳生産者経営安定対策事業、いわゆるナラシでございますが、酪農経営のセーフティーネットとして今後も継続するものでございます。

 なお、加工原料乳生産者補給金につきましては、これまで、ナラシへの加入を義務要件とすることで、経営安定に向けた備えを講じる取り組みの推進が図られてきたところでございますが、本事業も十分浸透してきておりまして、今般の補給金制度の見直しにあわせてこの要件を外し、経営安定に向けた生産者の方々の選択の幅を広げる、こういうこととしております。

稲津委員 わかりました。

 それで、もう一点、交付対象数量の算出について伺っておきたいと思います。

 これは、現行では、指定団体が販売に係る見込み数量に応じて案分をして、指定団体ごとに数量が算出をされている、こういう仕組みになっていると思いますが、本法案では、対象事業者ごとの交付対象数量が年間販売計画に基づいて算出されるが、その総合計が交付対象数量を上回った場合はどうなるのか、こういうことなんです。基本的なことかもしれませんけれども、この点についてもお示しいただきたいと思います。

大野政府参考人 事業者の方々から提出されました年間販売計画につきましては、改正法案第五条三項の定めによりまして、省令で定める基準に適合するか、あわせて提出される乳業者との契約書の写し等とそごがないか、こういうことを確認して、各事業者の交付対象数量を算出することとしております。

 そのような確認を行った上で、例えば、各事業者の確認された数量の合計が総交付対象数量を上回った場合、この場合には、事業者間の公平性の観点から、数量の合計と総交付対象数量の比率を算出して各事業者ごとに案分する、これによって事業者ごとの交付対象数量を算出するといった方法が考えられますが、引き続き、関係の方々の御意見を頂戴しながら検討を行ってまいりたいと考えます。

稲津委員 時間が来ましたので、以上で終わらせていただきますけれども、先日、私は、別海町に酪農家の方を訪ねて、訪問して、意見交換をしてまいりました。もちろん、日ごろから、地元の選挙区の天塩町を初め各地域の方々とも意見交換しておりますが、今回のこの法改正、法の整備について、非常にやはり関心と、一方ではどうなるのかという若干の不安もあるというのが現状でして、そこをしっかり解消していきながら、今の需給をきちっと維持できるということ、それから、いいとこ取りをさせないということ。これはやはり基本であるということと、あわせて、先ほど私が申し上げましたような、もっと根本にある、酪農現場の抱えている課題、後継者不足、人材不足、先ほど大臣からもクラスター事業の拡充ですとか、それから研修農場の支援ということも具体的にいただきました。

 そういったことをしっかりやりながら支えていただきたいし、きょうの質疑の中で、今後の議会での議論を踏まえて、省令等をしっかり整備していきたいということもございましたので、ぜひ、本日私が質問させていただいたことについてもそうした理解をしていただいて、省令等を整備していただきたいことをお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民進党の宮崎岳志でございます。

 本日は、畜産経営安定法改正案の根幹でございますのは畜産経営安定でございますけれども、そのためには、獣医師の需給のバランスについて大切だということで、特に、加計学園による獣医学部の新設問題について、法案の根幹にかかわるものとして質問をさせていただきます。

 昨日、「新学部「総理の意向」」という、このような資料を御用意させていただきましたが、記事が朝日新聞に掲載をされました。

 本日、幾つかパネルを御用意していたんですが、事前の理事会で、そのパネルを使うことはまかりならぬという御指摘をいただいて、取り下げております。これまで予算委員会や地方創生特別委員会で同様のパネルを使っておりまして、内容的には特に問題がないものかとは思いますが、なかなか、こういう報道があった後で、与党としては認めがたい、こういうことなんだろうと推察いたしますけれども。

 まず、けさ、続報として新しい記事が掲載をされました。昨日の段階で、菅義偉官房長官が、この加計学園問題について新たに出てきたペーパーについて、どういう文書か、作成日時だとか作成部局だとかが明確になっていないのではないか、これは怪文書のようなものだ、こういった発言をされました。すると、新たに、その作成日時、作成者、出席者等の明記された文書が出てきた、こういうことになります。

 内容についてまずお伺いをしたいんですが、けさの新聞でございますので、けさになって追加の質問通告をさせていただきまして、事実確認だけお願いしたい、これが事実かどうか、本物かどうかということで聞いております。当然、この報道があったわけですから、我々が質問通告するまでもなく、役所の方ではお調べになっていることと思いますが、まず伺います。

 文部科学省義家副大臣、この平成二十八年九月二十六日に内閣府と文科省で協議を行ったという事実はございますか。

義家副大臣 お答えいたします。

 まず、きのう、きょうと新聞で報道されている資料についてですが、現時点で、事実関係を確認しているところであります。

 また、一連の議論の中で、さまざまな調整、さまざまな議論は行われてきたというふうに思っております。

宮崎(岳)委員 九月二十六日に内閣府と文科省で会議を持ったということはありますかという御質問です。あればあったで、なしはなしで、このペーパーの真偽とは無関係にお答えいただければいいのかなと思います。

義家副大臣 日程を確認しないと、ちょっとわかりません。

宮崎(岳)委員 日時はわからないけれども、ここに載っているようなメンバーで会議をその前後に行っていたということはございますか。

義家副大臣 正式な会議という形ではなくて、この期間でさまざまな調整やさまざまな話をしていたことは事実でございます。

宮崎(岳)委員 この文書、内閣府審議官、記事では伏せられております、「○○内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)」、こういう表題がつけられております。

 この内閣府審議官というのは特区担当の藤原豊審議官だということだと認識をしておりますが、藤原審議官にも本日おいでをいただいております。この文書の真偽はともかくとして、九月二十六日にこのような会合を持たれましたか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、報道で取り上げられておりますこれらの文書につきましては、文科省にも確認をしておりますが、出元もわからず、その信憑性も定かでないということでございまして、内閣府としてお答えする立場にはございません。

 ただ、報道にあるような、昨年秋ごろということであれば、第一回目の分科会、今治市分科会が開催されたということもございまして、関係各省とその後の進め方などにつきまして事務的な議論は行っておりました。ただ、その日程それから内容につきましては確認がとれておりません。

 また、内閣府として、官邸の最高レベルが言っているとか総理の御意向だと聞いているなどと申し上げたことは一切ございません。また、総理からもそういった指示等は一切ございません。

宮崎(岳)委員 確認します。

 この一連の報道によると、官邸の最高レベルの指示だとか総理の意向だとか、この発言は内閣府側から行われたということになっています。そして、その協議において、内閣府側の窓口は藤原審議官。発言したとすれば藤原審議官御本人が発言された可能性も大いにあるということかと思いますが、総理の意向だとか官邸の意向だとか官邸の最高レベルの言っていることだとかというようなニュアンスのことも含めて、一切発言をしたことはないということで言い切れますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 総理からの御指示を受けたり総理の御意向を確認するということは、そもそも、私個人でいえば、政府内の一職員でございますから、そういった、総理から指示を受けたり、あるいは御意向を正確に確認する立場にはございません。

 また、そういった総理の意向を不正確な形で万が一伝えることになってはいけないため、仕事をする上で、そういったこと、総理のお考えなどには一切言及しないことを心がけているところでございます。

 私ども事務方といたしましては、総理の御発言、御指示を受ける唯一の機会は、特区の諮問会議でございます。高い頻度で、一、二カ月に一度、総理にも御出席いただきまして、そこで御指示を頂戴しておりますけれども、かなり、二回に一回ぐらいの頻度で、特区における規制改革、これはスピード感を持って進めるべきだという旨の御発言をされております。個別の項目や個別のプロジェクトではなくて、全体の幅広い規制改革項目をできるだけスピーディーに実現するということを御指示をいただいておりますので、私どももそれを受けて関係省庁とも議論を進めているところでございます。

宮崎(岳)委員 何か最初の方を聞くと言っていないような答弁なんですが、最後の方まで聞くと、言うこともあり得るというような御答弁でしたね、今のは。それは、特区の諮問会議とかそういう会議の場でいろいろそういうニュアンスのことを聞いているので、そういうことが反映されたことかな、言ったとしてもと、こういうニュアンスの言葉だと思います。

 当然、私どもも、藤原審議官が総理から直接の指示を受けたなどということは言っておりませんし、新聞記事にもそのようなことが書いてあることではございません。ただ、内閣府側にこれは総理の意向だというニュアンスが強く伝えられたということを裏づけるのではないかという文書が発見されたということで、そういうことについてお伺いをしているまでであります。

 さて、まず、ちょっとそんなこともあって質問の順番は変わりますけれども、萩生田副長官にお伺いしたいと思います。その前に、義家副大臣。十月七日ですね。十月七日、義家副大臣と文科省側の皆さんが萩生田副長官と面会をされましたでしょうか。

義家副大臣 萩生田副長官とは常に政治のお話をしております。政策のお話もしております。

 その十月七日がどうであったかということでございますけれども、私自身、さまざまな声が届きますので調べてみましたところ、日程としては別の日程を行っておりました。(宮崎(岳)委員「別の日程」と呼ぶ)はい。つまり、お会いしておりません、十月七日については。

宮崎(岳)委員 その日についてはお会いしていないということです。

 十月七日、萩生田副長官御発言概要ということがあって、これは文科省側からまとめられたとされている文書でありますが、義家副大臣の名前が必ずしもあるわけではございません。そこで、当然、同席しなかったということが言いたいのかなというふうに思いますが。

 萩生田副長官、十月七日、文科省側のスタッフと会ったことはありますか、ありませんか。

萩生田内閣官房副長官 昨日の文書の中でそのようなメモがあることは確認をしましたけれども、この文書につきましては、その内容が精査をされている最中でありますので、現時点でコメントする立場にはないと思っております。

 内閣官房副長官として日々さまざまな省庁の担当者と頻繁に連絡をとり合っておりまして、その日に文科省の皆さんと会ったか会わないかは、確認をしてみないとちょっとわかりません。

宮崎(岳)委員 これは通告済み。十月七日に会ったか会いませんかということは、明確に通告文の中にも明記してあります。

 お調べいただいているものと思います。会ったか会わなかったか、お答えください。

萩生田内閣官房副長官 私の公式日程につきましては、法令にのっとって、一定期間保存をした後は処分をしておりまして、きょう、この委員会に出席するまでの間に確認はできておりません。

宮崎(岳)委員 今のは、処分したという意味ですか、調べなかったという意味ですか。

萩生田内閣官房副長官 きのう、報道があった時点で、その日はどんな日だったのかというのは自分なりに手帳などで確認はしてみたんですけれども、確認はとれません。

宮崎(岳)委員 副長官は、公務で他省庁の人とお会いになるときに、御自分で手帳に記録する以外に記録をとらないんですか。そんなことはないでしょう。

 夜の会食で例えば義家副大臣と会う、こういうときには、いろいろなケースがあって、記録をとらないケースもあるかと思いますが、少なくとも、例えば昼日程で、官邸で会うとか、文科省に出かけていくとか、そういったときは、御本人じゃなくて、記録をとられるんじゃないでしょうか。

 これは官房に聞いていることですから、お答えいただけないでしょうか。

萩生田内閣官房副長官 日々の公務でさまざまな人たちとの面談あるいは決裁等々、もちろん、日程にのっとって、時間にのっとって、一連の表がございます。ただ、これは法律にのっとって保存をしておりまして、昨年の日程でございますので、きょうの段階では確認ができなかったということでございます。

宮崎(岳)委員 廃棄したという意味ですか。

萩生田内閣官房副長官 廃棄した可能性もありますけれども、きょうの時点では確認がとれていません。

宮崎(岳)委員 意味がわからないんですよ。

 日付順にとじてある公文書でしょう。日付順にとじてある公文書でしょう。そのページを開いて、あるかないかじゃないですか。

 開いたんですか、そのページを。そのファイル、日程表の。

萩生田内閣官房副長官 昨日通告をいただいて、事務方の方で一応確認はしましたけれども、きょうの時点で確認がとれていないということでありまして、廃棄している可能性もあります。

宮崎(岳)委員 ちょっと今のは甚だ不誠実な御答弁だと思います。

 そもそも、公式の日程について聞いているわけです。プライベートのことについて聞いているわけでもなければ、政務の、政治的な日程について聞いているわけでもございません。

 役所のお仕事として、官房副長官が、義家副大臣ではないにせよ、文科省の方と会って意向を伝えたか否か。それは別に夜飲みながら、一杯飲みながらやるものじゃないと思います。昼間、役所に来てもらって、あるいは出向いて行うことだと思いますので、その日程を質問通告をしているのに、廃棄したというのでもひどいと思いますけれども、廃棄したかどうかもわからない。というのは、調べていないということじゃないですか。

 先ほど文科省も、義家副大臣もおっしゃいました。この文書が本物ともにせものとも言えない。そういうことですよね。これは本物ともにせものとも言えないと。否定もしていないんですよ。

 まあ、義家副大臣の方はお調べになって、そういうことだと思うんですよね。まだ本物ともにせものとも外部に言えない、こういうことだと思います。なぜなら、新しい文書がこれから出てくる可能性がありますから、軽々ににせものだと言ってしまって、本物だったということだとこれは困る、こういうことだと思いますけれども、今の萩生田副長官の御答弁は甚だ不誠実です。

 この文書の中で、平成三十年は早い、無理だと思う、要するに、加計学園が誰も文句が言えないようなよい提案をできるかどうかだな、構想をブラッシュアップしないといけないというふうに萩生田副長官が文科省側に発言をしたとされています。このような発言はされましたか。

萩生田内閣官房副長官 日々、各役所の皆さんと懸案事項についてさまざまな意見交換をしておりますけれども、本件についてここまで詳しいやりとりをしたという記憶は、私はございません。

 一通り見てみましたけれども、福岡六区の補選が云々とか、あるいは、獣医師会、農水省関係議員と協力が必要だ、私の方で整理しようというような発言も記述にありましたけれども、大体、我々のところへ、官邸に最終的に上がってくるものというのは各省の調整がついたものでありまして、それを途中で私が引き取って私が調整しようというやりとりは、文部科学省に限らず通常はございませんので、おかしな言い回しだなと思ってきのう読ませていただいたところでございます。

宮崎(岳)委員 これは通常の扱いじゃないから総理が関与しているんじゃないかという疑惑がずっと言われてきた、こういうことだと思うんですが、萩生田副長官は、今の話でいうと、このペーパーを見ても、自分がこのような発言をした記憶は何もないし、自分とは関係がないと。この文書が本物かにせものかまだわからないとされていますが、もし本物だと確認されていても、自分としては記憶がない、こういう意味なんでしょうか。

萩生田内閣官房副長官 文書の信憑性について疑念を持っているということでありまして、例えば本件については再興戦略で二年前からずっと継続的にやってきたことですから、十月ごろに突然何か私に説明をするということではありませんので、基本的には、例えば前段の部分については理解できる内容もあるんですけれども、こういった一連の話を私がどなたかにしたかと聞かれれば、した記憶はないということでございます。

宮崎(岳)委員 義家副大臣、もう一度伺います。

 これは通告内容にあることなのでお答えいただきたいんですけれども、十月七日という日は、これは義家副大臣はないということでしたけれども、文科省としては萩生田副長官と協議をしたということはございますか、記録は。

義家副大臣 繰り返しになりますが、この問題についてさまざまな議論を私自身もしてきました。それが十月七日であるとかないとか、萩生田副長官とでいえば、ちょうど国会の本会議の議席も前と後ろでございまして、さまざま懸案を抱えている中で、相談することもあれば、いつもそういった話をしておりますので、十月七日に文部科学省と萩生田副長官と何かあったかどうかというところには、記憶として、私自身は実は別の日程で動いていたわけですけれども、そのことについては承知をしておりません。

宮崎(岳)委員 これはぜひお調べをいただきたい。担当者は限られていますので、別に文科省の全職員について調べろと言っているわけではございません。文部科学審議官の文科担当、その下が高等教育局長、その下が審議官ですかね、担当審議官、そしてその下が専門教育課長、その下が担当課長補佐、こういうことになると思いますが、四、五人の話でございます。それぞれの方、特に役がついている方については、日々のスケジュール、特に他省庁との交渉については全て記録されているはずでございますので、この日に少なくともそういう面会があったかどうか、御確認をいただきたいというふうに思います。

 さて、もう一点、この文書の中に十月四日というものがございます。

 十月四日、義家副大臣レク概要。そこで義家副大臣が、私が萩生田副長官のところにちゃんと調整してくれと言いに行く、アポ取りして正式に行こう、シナリオを書いてくれ、二ポツ目が、齋藤健副大臣に、農水省が需給の部分、ちゃんと責任を持ってくれないと困るよと話した際には、何も聞いていない、やばい話じゃないかという反応だった、こういう文書です。

 十月四日に、この問題について役所の方々から義家副大臣はレクを受けましたでしょうか。

義家副大臣 レクは随時受けていますし、指示は随時出しております。

宮崎(岳)委員 十月四日はレクを受けたということでよろしいですね。

義家副大臣 十月四日にレクがあったかどうかは確認できておりませんが、私自身、随時、担当部署からレクを受け、そして指示を出しているということであります。

宮崎(岳)委員 確認できておりませんというか、確認してくださいという質問通告なんですから、確認したらわからなかったという意味なんでしょうか、確認していないという意味なんでしょうか。どっちでしょうか。

義家副大臣 そもそも、この文書が事実の文書であるかどうかわからないわけでありまして、事実であるかどうかわからない文書で、仮に、では、私がこれを指示したとしましょう。しかし、私自身、こういう指示をしました、これはこの文書でよろしいですねという決裁さえしていないわけですね。つまり、何月何日何時に何を言ったかということを、そもそも、副大臣レクで私の発言であったとしても、これは正式な文書でも何でもないわけです。仮に私がこう言っていたとしてもですね。

 さまざまな指示は、随時連絡、特にこの時期は、連日のようにお話をして、連日のように指示を出しているところでございまして、この文書あるいはこの資料に基づいて、このときレクがあったかどうかといえば、ほぼ連日のようにお話はしていたので、あったかもしれないし、しかし一方、なかったかもしれないし、この文書は正式な文書ではないということであります。

宮崎(岳)委員 文書の信憑性について確認したいと思っているから質問しているんじゃないですか、私の方はね。

 ですから、十月四日はそういうレクがあったんですかというふうに聞いていて、別にこの文書の内容が本当ですかというのはまだ聞いていないんです。十月四日、そういうレクがあったのかどうか確認してくださいというふうに質問通告に明記したわけですから、それは、あったかどうかぐらいはお答えいただかないと困るんですけれども。

義家副大臣 私自身、通告されているという認識がございませんので、十月四日については自分の公務として調べておりませんけれども、随時レクを受け、随時指示を出していたということであります。

宮崎(岳)委員 通告文を読み上げましょうか。義家副大臣は十月四日に本件でレクを受けているか、こういう通告文ですよ。通告されていないというのはおかしくないですか。通告したけれども、調べなかったんでしょう。

義家副大臣 今、レク通告のものを事務方から見せていただきました。通告がございました。

 その上で、十月四日、何をもとにして質問されているのかわかりませんけれども、十月四日であろうが五日であろうが六日であろうが、さまざまなレクを受け、判断を仰がれ、そして一つ一つの指示を出しているということでございまして、例えば一日文部科学省にいると、膨大な、要は、公的なもの、ちっちゃな相談、深刻な相談あるいは法律について、さまざまな議論、会議が行われるわけですね。何時から何時まで○○というのは、公的なものは入っていますけれども、仮に、飛び込みで入ってくるものもございます。飛び込みで入ってくるものは自分のスケジュール帳にはございません。だから、十月四日に飛び込みで入ってきたかどうかということについてはわからないということでございます。

宮崎(岳)委員 副大臣、私、副大臣の個人の、プライベートな手帳のことを言っているんじゃないんですよ。役所が日程管理をしている役所のスケジュール、そして、公的な記録として、記録をされるんでしょう、公文書として、そのことについてお伺いしているということなんですよ。

 ですから、ここは、副大臣日程ちゃんとつくられていると思いますよ、御存じでしょうけれども。別に、何かプライベートで誰と会ったとかどうこうという話をしているんじゃない。これはまさに公務そのものでありますから、その公務の日程について、副大臣付の職員が、皆さんちゃんと確認をしている、そのことについてちゃんと調べてほしいというふうに申し上げているわけであります。

 もう一つお伺いします。

 この義家副大臣と齋藤健副大臣のやりとりとされるもの、これを義家副大臣が後から振り返っているものという文書が出ております。これは、義家副大臣が、農水副大臣にも、需給はおたくの話でしょう、話してみるというふうに言って話しましたら、齋藤農水副大臣が、そのような話は上がっていない、確認をしておくと言っていたと。また、別の部分でも、同じやりとりのことだと思われますが、先ほど申し上げましたけれども、義家副大臣が、文科省として、農水省が需給、これは獣医師の需給ですけれども、需給の部分、ちゃんと責任を持ってくれないと困るよと話した際には、何も聞いていない、やばい話じゃないかというふうにお答えになった。このような経過であるということなんですね。

 このようなやりとり、覚えはございますか。齋藤副大臣。

齋藤副大臣 随分前の話でありまして、これは多分、役所とかではなくて、立ち話か何かであった話じゃないかと記憶しております。そのときは、農林省にも関係する話だからという問題提起をしていただいたというように記憶をいたしております。

 その際、私がどういうふうに答えたかよく覚えておりませんが、その段階でやばいとかまずいとか言ったというふうにはちょっと思えないところがあります。

宮崎(岳)委員 今の話でいうと、よく覚えていないけれども、この問題に関する話は立ち話等でしたと。ただ、やばいとは、私が言ったという記憶は、まあまあどうも曖昧であって、ないんじゃないか、こういう話だと思います。

 それはやばいんですよ、麻生副総理が反対されているんだから。この文書を見ますと、麻生副総理が反対されたりとか、石破元大臣が、前任の特区担当でございますけれども、党のプロセスに何でかからないんだ、総務会に持ち出されるべきじゃないか、持ち出さないのなら私が自分で持ち出すから、いつやったらいいか教えろとか、こういう協議までやっている話でございますので、当然やばい話だと政治家であれば誰もが感じる話じゃないかというふうには思いますが、もう一点お伺いします。

 この一連の文書を見ますと、平成三十年四月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい、これは官邸の最高レベルが言っていることであるとあります。また、大臣御確認事項に関する内閣府の回答には、最短距離で規制改革を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理の御意向だと聞いているというふうにあります。

 このような、官邸の最高レベルが言っているとか、総理の御意向だというようなニュアンスの話を、これは義家副大臣に限らずだと思いますが、文科省は内閣府側から聞かされたことはありますでしょうか。

義家副大臣 まず、今議論されているもとの文書については、確認できておりません。そしてまた、私自身、その文書を見たことがございません。

 また、官邸、総理から直接指示があったことも全くございません。

 大学の設置認可というのは、かなりプロセスがしっかり定められておりまして、そのプロセスの中ではさまざまな調整も当然必要なことから、農水省やいろいろなところとの調整も行ったところでございます。

宮崎(岳)委員 だから、見たことがございませんというのが困るんですよ。

 これは、私どもの側から、この文書、三回お渡しをしています、文科省側に。一回は、議運等からを通じて、きちんと真偽を確認しろということでお渡しをしています。二回目は、夕方のヒアリングにおいて、これは民進党が文科省等を対象に行ったヒアリングですが、松尾審議官にやはり同じものをお渡ししています。そして、三回目は、質問通告の段階において、私がきちんと、文科省で見て、これに基づいて答弁されたいということで、やはり同じものをお渡ししています。三度同じものをお渡ししているのに、見たこともないという回答は余りに不誠実じゃないでしょうか。

 見ていないんですか、本当に。

義家副大臣 本当かどうかわからない文書については、目を通しましたが、それが事実であるかどうかということは、私自身、本当の文書かどうかもわかりませんので……(発言する者あり)本当の文書かわかりませんので、この文書についてお答えする立場にはございませんが、官邸、総理から直接指示のあったことは一切ございません。

宮崎(岳)委員 見ていないと言ったんですが、見たということですね。虚偽答弁ですよ。

 それで、もう一つ、官邸、総理から直接の指示を受けていない、何の答えになっているんですか。これは内閣府から、これは総理の指示ですよと伝えられたという話でしょう、間接的に。直接の指示を受けていないというのは、何の答弁にもなっていなくないですか。もう一度お答えください。

義家副大臣 何を言われておられるのか、ちょっと理解ができないわけですけれども、先ほどから、いつ、誰とどんな会議があったとか、そういう質問ばかり、ちょっと理解できないんですが、まず、この提出された資料について、私自身、これを見て、ああ、こういう文章だねと了解したことはないんです。(宮崎(岳)委員「それはそうでしょう」と呼ぶ)ないんです。その了解していない文章を、私が評論する立場にはないわけです。今、本物か本物じゃないか、事実なのか事実じゃないのかの確認作業を行っているわけでございます。

 そして、少なくとも、私が担っている仕事の中で、○○の指示でこれを進めなければならないということは一切ございませんし、仮に、私の強い意向があったとして大学をつくろうとしても、制度、手続上、しっかりと踏まなければできませんので、誰かの指示で大学ができて、誰かの指示で大学ができないという構造ではないということを付言しておきます。

宮崎(岳)委員 どうも御理解いただいていないようですね。意向だということをニュアンスとして伝えられたことがあったかというふうに聞いているのであって、あるならある、ないならないでお答えいただければいいんですよ。それによって曲げることは不可能だ、あったとしても曲がらないみたいな話を聞いているわけじゃないんです。

 官邸の最高レベルの話だとか、総理の意向だとかというニュアンスのことを内閣府側から間接的に伝えられたことがありますか、たったこれだけの質問ですので、きちんとお答えください。

北村委員長 時間が来ておりますので、そろそろまとめてください。

義家副大臣 平成二十八年十一月十八日から行われた内閣府との共同告示のパブリックコメントに用いた概要に、平成三十年四月開学との文言が盛り込まれているところでございますが、まず、パブリックコメントの手続については内閣府が実施したものでありますから、内閣府にお聞きしていただきたいと思います。

 また、平成三十年度開設ということについては、平成二十八年十一月十六日に内閣府から、平成三十年度開設を含む告示の素案を御送付いただきました。内閣府から、直ちに制度改正を行う旨の追加規制改革事項が盛り込まれておりましたが、早期にパブリックコメントを行いたいということでありましたが、文部科学省としては、この送付のあった告示案の内容に関して、審議の時間を要するため、概括的な概要案ということでなければ対応が難しい旨をお伝えした上で、文部科学省において概要の原案を提案し、その後、内閣府において概要を用いたパブリックコメントを行うことが判断されて、平成二十八年十一月十八日からパブリックコメントが開始されたものと承知をしております。

宮崎(岳)委員 会派の時間の中で、村岡議員に少々お時間をお与えいただくことになりましたので、少々だけではありますが、このまま続行させていただきます。

 そうしますと、今のは、これは何度も私の方からいろいろな省庁、特に内閣府に聞いていることなんですが、はっきりしないんですけれども、平成三十年四月開学ということについては、突然パブリックコメントで出てくるんですね。突然です。ほかの文書に全く出てこないで、突然パブリックコメントが出てくるんです。

 このものについては、十一月十八日にパブリックコメントが出るわけですが、その二日前に文科省側に伝えられた、こういう意味でしたか、今の御答弁。

義家副大臣 素案を御送付いただいたのが十六日ということでございます。

宮崎(岳)委員 では、素案を送付する前に、平成三十年開学ということについては長いやりとりがあったということでよろしいんでしょうか。

義家副大臣 当然、重要なことでございますので、さまざまな議論が行われたというふうに承知しております。

宮崎(岳)委員 そして、その議論の中で、文科省側から内閣府に対して、平成三十年では早過ぎる、いろいろな準備を考えれば、三十一年目途にするべきじゃないかというような御提案を言われたということは、これはあるということでよろしいですね。

義家副大臣 昨日の衆議院の文部科学委員会において大臣からも御発言がありましたが、設置の時期を改めて書き込むということは審議会との関係においていかがなものかという話をした記憶がある、これは大臣の答弁でございますけれども、まず、高等教育で問われるのはしっかりとしたエビデンスでありまして、場所や研究所、それから教授陣、人員、さまざまなもの、それだけではなくて、例えば獣医師であったならば、文科省は需給の関係から新学部設置を抑制してきたわけです。しかしながら、国家戦略特区で新たなニーズという形の決定が行われた。そういう意味では、当然、需給のバランスについても農林水産省としっかりと議論しなければ、勝手にいついつと出てきて、調整がついていませんでした、これは大変無責任な話になりますので、さまざまな調整は行っていたということであります。

宮崎(岳)委員 つまり、この文書に出てくる三十年四月開学では早過ぎるという調整については、それはあったということでよろしいかと思います。

 最後に一点だけ大臣にお伺いしますが、このパブリックコメントで三十年四月という話が初めて出てくるんです。極めて異常なことなんですね。開学時期がほかの会議に一切出ずに、パブリックコメントの案で出てくる。

 このパブリックコメント、三十年四月という開学なんですけれども、獣医師の需給については農林水産省の担当なんです。そうですね。農林水産省の担当です、所管です。では、農林水産省が、このパブリックコメントに平成三十年開学ですよというものが載りますよという御連絡を受け、あるいは調整があったのはいつでしょうか。

山本(有)国務大臣 この共同告示案の概要につきましては、内閣府から十一月二十一日月曜日に当省に対して、このパブリックコメントが開始された旨の事務的な連絡があったところでございます。

宮崎(岳)委員 ちょっと確認します。

 今の日付というのはパブリックコメントの開始より後ですよね。平成三十年四月、この学校をつくります、農水省が獣医師の需給については担当している、その開学時期について、パブリックコメントが開始されてから農水省に一応お知らせしますということでお知らせがあった、こういった意味で本当にいいんですか。

山本(有)国務大臣 十一月十八日からパブリックコメントとして政府のホームページに掲載されたということはこちら側で承知しておりますが、十一月二十一日に当省に対して、パブリックコメントが開始された旨の事務的連絡は、あくまで二十一日月曜日にございました。

宮崎(岳)委員 これで終わりますけれども、今の話を聞いても、いかに異常な手続でこの開学が行われようとしたかということが明らかだと思います。

 獣医師の需給を所管している省庁に対して、三十年四月にこの学校は始まりますよということについて一切連絡がないどころか、パブリックコメントが行われたことをホームページで知り、そしてその後に、この中には平成三十年開学ということが入っていますよと。

 本当にこれは、山本大臣あるいは齋藤副大臣、怒るべきことだと思いますし、農林水産省を代表する立場でありますから、我々も農林水産委員として、やはりこのような特に内閣府の対応については怒りを持って対応していかなきゃならないというふうに思います。大きくうなずいていただいて、齋藤副大臣、ありがとうございます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、村岡敏英君の質問に入りますが、先ほどの会派配分の時間の枠の中で調整をしたものと理解をしておりますので、御理解の上、質疑に入ってください。

 次に、村岡敏英君。

村岡委員 民進党、秋田県出身の村岡敏英でございます。

 通告もさせていただいていますが、畜安法に入る前に、地元秋田県湯沢市で大きな降ひょうの被害がありました。

 秋田県湯沢市は、秋田県の県南部で、ジオパークというユネスコの指定も受けて、自然豊かな地域で、特に農業は、稲作だけじゃなくサクランボやリンゴやネギや野菜関係、そしてセリと、非常に多角的に経営している地域であります。

 ここに、十五日午後四時ごろ、たった五分なんですが、ビー玉のようなひょうが降って、サクランボは、六月、高速道路から通ると宝石のような赤い玉が見える地域なんですけれども、まさにこの五月にこういうような状況になり、まだ被害状況は全くわかっておりませんが、例えばサクランボ、五十ヘクタールやっているんですが、八割、九割被害があるんじゃないか、そしてまたリンゴは、二百十五ヘクタールあるうち、百ヘクタールぐらいが被害に遭っている、こういうふうな状況であります。

 さっき言った多角的なというのは、山本大臣の四国では讃岐うどんというのがありますけれども、ここは稲庭うどんということで、農家をやりながら稲庭うどんの職人の方もいますし、本当にいろいろな意味で農業と六次産業化も含めて頑張っている地域で、今、市や県が被害状況を把握いたしております。

 農林省も、実態の把握と、そして自然災害の被害対策に関してぜひ考えていただければ、こう思っていますが、大臣の見解をお願いします。

山本(有)国務大臣 秋田県湯沢市で被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 五月十五日、局地的な降ひょうによりまして、サクランボの果実の傷みやシャクヤクの茎折れ等の被害が発生したと承知しております。

 現在、農林水産省としては、県とも連携しながら、詳細な被害状況の把握に努めておりまして、被害に伴う今後の生育状況も踏まえつつ、どのような対応が必要か検討してまいりたいと存じます。

 また、秋田県からの聞き取りによりますと、正式の被害報告がまだこれからだということでございますので、その報告を待って対処をさせていただきまして、営農が継続できるよう、しっかりと応援したいというように思っております。

村岡委員 ぜひよろしくお願いしたいと思っています。

 今、サクランボがこういう被害ですけれども、これから田植えをやって、そしてリンゴもやっている地域なので摘果もやって、そして、この地域は野菜も植えて、秋には米を収穫して、冬にはセリという鍋のものをつくって、一年じゅう、雪国なのに作物をつくりながらやっている地域で、その中でサクランボは名産ということなので、ぜひ応援をお願いしたい、こう思っております。

 次に、もう一点お聞きしたいんですが、二十日、二十一日、ベトナムのハノイでTPPの閣僚会合が行われるということですけれども、私もハノイに参ります。いろいろな状況を知ってこの農林水産委員会でもいろいろ御質問をしたいと思って行く予定ですけれども、内閣官房の方にお聞きします。

 このTPP11と言われるものにどう取り組んでいく方針なのか、お教えください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 TPPにつきましては、我が国が持つ求心力を生かしながら各国と緊密に連携し、あらゆる選択肢を排除せずに、何がベストか主導的に議論を進めていくのが我が国の立場でございます。

 アメリカの離脱通知を受けても、モメンタムを失わずに、アジア太平洋地域に自由で公正な経済圏をつくるため、TPPで合意した高いレベルのルールをどのように実現していくか、我が国が主導して各国と議論していきたいと考えているところでございます。

村岡委員 当たり前のことを言っていただきましたけれども、大臣、これはアメリカ抜きの、六〇%のものを抜いたときの十一カ国、特に、ここは農水委員会ですから農産物、セーフティーガードから、いろいろな問題があると思います。決して十一カ国で、TPPと同じようなことになれば、次にアメリカとのFTAというのがどうなるかわかりませんけれども、いろいろ懸念されることがあります。

 農林大臣として、このTPP11に関してどのようなお考えをお持ちかお聞きしたい、こう思っています。

山本(有)国務大臣 TPPにつきましては、各国と緊密に連携して、あらゆる選択肢を排除せずに、何がベストか主導的に議論を進めていくのが我が国の立場でございます。

 TPPの今後につきまして、カナダで開催されました準備会合での議論も踏まえまして、今月二十一日に予定されているハノイでのTPP関係閣僚会合において議論されることとなっております。

 その議論の結果を待たなければなりませんけれども、私の立場としては、日米間の議論の積み重ねの成果であるTPP十二カ国の経緯、あるいは、今後の米国の出方や他の国々へ与える影響も注視をすること、さらに、我が国の農林水産業を守っていく上で何が望ましいかという観点から、農林水産物のセンシティビティーを十分に踏まえて、しっかりと対応していくということを必要としているところでございます。

村岡委員 もう一つ大臣にお考えを聞きたいんですが、TPP特別委員会というのは、法案が可決されたことによって、委員会は事実上なくなったということなんですが、これは、六〇%もの米国が抜けて、そして十一カ国でもし条約を進めていこうということには、全く条件が変わるわけですね。これは、本来であれば、もう一度特別委員会を設けて、いろいろな条件を詰め直さなきゃいけない、いろいろな法案を出さなきゃいけない、こう思っていますけれども、大臣のお考えはどうでしょうか。

山本(有)国務大臣 十二カ国で合意したものが直ちに十一カ国で全て通用するというようには思っておりません。したがいまして、慎重な審議と、また国内の農業のセンシティビティー、これをしっかり検討して、判断していかなければなりません。

 そんな意味で、これからの問題というように捉えて、しっかりと腰を据えて分析、検討を図っていきたいというように思っております。

村岡委員 二十日、二十一と私もハノイの方に行きますので、今後、このTPP11、そしてアメリカとのFTA、いろいろな面で議論していきたいと思いますので、お願いいたします。

 それと、もう一点だけ。これは非常にこれから進むと稲作農家にとってもいいなというのが、きょう農業新聞に載っていたのが、西川元大臣、中国との、これは前にも農水委員会で質問したんですが、薫蒸というものがあって、これがなかなか日本が実際には中国には米の輸出が難しいということがあります。

 これがいろいろな意味で緩和されれば、中国は一億トン以上消費量がある。今は五百トンしか日本のは輸出していない。それが、日本全体で八百万トンぐらいの米をつくっているわけですから、そういう世界に米を売っていくという中の大きな市場であることは確かだ、こういうふうに思っております。

 特に、私が従来から言っているとおり、輸出というのは本来、一番得意で一番つくれるものを輸出するのが、大臣が輸出が大事だという意味での中では、ここはどのように農林省としては進めていくつもりか、お答え願えればと思います。

山本(有)国務大臣 けさの日農新聞によりますと、中国の米消費量は約一億五千万トンでございます。そして、日本からの中国への米の輸出量は、二〇一六年で三百七十五トンでございます。そんな意味で、これからさらに輸出をさせていただきたいという重要な相手国でございます。

 薫蒸工場の指定に向けまして、西川農林・食料戦略調査会長らが行って交渉をいただいたということは高く評価しておりまして、また、この新聞によりますと、検査員が来日調整をしていただいているということで、一歩踏み出し、さらに解決に向けて打開策が検討されているということを高評価するところでございます。

村岡委員 これは本当に、海外への輸出の中で米というのは、やはり農業全体の中で米をどうするかというのがずっとこの農政の課題ですから、その中でいけば、これを伸ばしていくことは非常に農業全体の政策にいい面を与えると思いますので、農林省としてもしっかり取り組んでいただきたい、こう思っております。

 それでは、畜産経営安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興法の一部を改正する法律案を質問したい、こう思っております。

 先ほど午前中、与党の江藤議員や稲津議員の話を聞いていて、お答えを農林省の方々もしていましたけれども、最初から余りやりたくなかったんじゃないかなと。廃止から何となく一部改正になったので仕方がないかな、こういう感じのような私は印象を受けました。

 実際、酪農において、本来、補給金の話だけじゃなく、酪農全体でいけば、人手不足、飼養頭数の減少、飼料価格の上昇、こういうことが経営に大きな影響を与えていて、ここに光が当たりながら変えていかなきゃいけないというのが、何か補給金の方に行ってしまっている。本来であれば、その三つが大きな生産、経営基盤の脆弱を生んでいる、こう私は思っているんですが、大臣はどう思うでしょうか。大臣でなくても、農林省でも。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたとおり、酪農の現状、飼養規模は拡大してございますけれども、飼養戸数、飼養頭数が減少し、生乳生産量が減少傾向で推移してございます。そういう意味で、生産基盤の強化というのは非常に大きな課題だということで、人手不足、後継者不足、乳用後継牛の不足、労働負担の軽減などの対応が喫緊の課題というふうに考えてございます。

 また一方で、酪農の需要を見ますと、加工の方に需要がふえているという観点からすると、補給金は非常に大きな手段でございます。

 これらの改革も含めてやっていくということでございますし、プログラムの中では、補給金の改革、あと労働時間の改革ということで、具体的に六十億の予算をセットさせていただくとか、さまざま取り進めているところでございます。

村岡委員 この改革は何で始まったかというと、規制改革会議から、補給金の、指定団体以外の三%、九七%が指定団体で三%、この人たちに補給金が行っていないのはおかしいじゃないか、指定団体は何か公平じゃない、不公正なことをしているんじゃないか、こういう疑いの中、廃止というところまで論議が出て、このような落ちつき方をして、部分委託でもオーケー、こういうふうになったわけですけれども、そもそも、指定団体が不公平感やそれからいろいろな不正を犯したという認識はないんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。

枝元政府参考人 不正ということはないかもしれませんけれども、指定団体の会員、組合の方々からも、やはり指定団体のさまざまな、段階が多いとか、あと経費の面について不透明性があるとか、そのような意見はいただいてございますし、また、指定団体に出されている方々からも、もう少し創意工夫を生かして自由な経営がしたいとか、さまざまな意見があるというふうに承知をしてございます。

村岡委員 それを直接法律改正と考える、それは指導の部分だと思うんですね。法律改正とはまた全く別問題だと思うんですよ。

 その中で一番の問題は、朝の段階での早い時間で、いいとこ取り。いいとこ取りなんという言葉自体が、何だか政策の論議をしているのかどうかよくわからないところになるんですね。結果的にいいとこ取りになるというのは、やはり需給のバランスやそれから季節によっての部分で、自分にとって、飲用だけでやっていくのもつらくなってきた、加工でも集めてお金をもらいたい。何か農業の、酪農の経営基盤を全体的に高めるための法律じゃない、こういうふうに感じるんですが、大臣はどう思われますか。

山本(有)国務大臣 経営基盤を高めるかどうかについての議論はまた別だろうというように思いますが、村岡委員御指摘のように、不公平感があったということに対する措置としては、部分委託を認めたということで不公平感は私はなくなるだろうというように思っております。

 次に、酪農の現状を見ますと厳しいというところでございます。しかしながら、酪農の中でも、乳製品についてさまざまな工夫や商品開発が行われておりまして、高付加価値を得ている酪農家も数いるわけでございまして、そういう意欲ある酪農家を伸ばしていく制度というようなことを考えましたときに、あわせて、この改正でそうした人たちを応援することができないかな、こういうように考えました。

 私ども、輸出を一兆円にするときにおいて、乳製品も輸出の戦略物資として大いに活躍をいただきたいという願いがございます。来るべきアジア市場があきましたときに、EU製品に負けずとも劣らない、そんなふうな商品を開発していただきたいという念願を込めまして、私ども、今後のこうした加工原料乳生産者補給金の支払い方やあるいは酪農への支援というものを行っていきたいというように思っております。

村岡委員 仮に、加工乳をしっかりとふやして輸出のためにやるという大臣のお話、それはそのとおりいけばいいことだとは思っております。

 しかしながら、「酪農スピードNEWS」というので一つあるんですが、アウトサイダーの会社なんですが、乳価を下げようと。この中に、補給金の交付を受けられれば酪農家の手取りは変わらない、むしろふえる可能性もあると重ねて説明して、下げる方向のこともこのニュースには載っているんですが、農林省の方々にはお話ししたので、それはどういう見解ですか。

枝元政府参考人 具体的には承知をしてございませんが、報道の方は見てございます。

 ここの業者とすれば、これまでは飲用だけの方に仕向けていた業者さんだろうというふうに承知してございます。今度、補給金をもらうということであれば加工の方に取り組んでいくということでございますので、飲用の乳価と加工用の乳価に差がある中で、全体としての生産者に対するプール乳価というのをどういうふうにするかということを御検討の上、生産者と御議論されているんじゃないかというふうに思います。

村岡委員 このような一つの事例だけじゃなくて、今度は、指定団体がやっていた需給のバランスから含めて計画を、農林省が今度はその報告を受けて調査するということですけれども、膨大な事務量にならないですか。指定団体だけじゃなく、いろいろな形の部分委託もオーケーとなれば、九七%の、三%の部分が五%だ、一〇%だとなっていくと、膨大な量の計画をしっかりと確かめながらやっていくということでよろしいんですか。

枝元政府参考人 法律を通していただきましたら、しっかりやりたいと思います。

村岡委員 先ほど与党の議員とやっていましたけれども、例えば政令、省令、局長令、この法律もうできているのにまだ何も決まっていない、これは大変な状況じゃないですか。しっかりやっていきますという言葉だけはいいですけれども、本来であれば、四十年、五十年続いてきた制度を変えていくというときに、どういう基準でやるのかということを示さなければ、生産者も、そして販売業者も、それぞれが悩むんじゃないですか。まだ決まっていないのが現実ですよね。

枝元政府参考人 法律は今御審議いただきまして、その法律に基づいて政令とか省令とかございますので、それは、法律が通り次第、今先生御指摘のとおり、例えば販売計画を出していただくとか、あと、指定事業者に関しましても、例えば今の指定団体は、要件から見ると新しい法律の指定団体になれるというふうに思いますけれども、新たに指定をする必要がございますとか、さまざまな事務が出て、我々もそうですし、生産者の方々、団体の方々もそうですので、関係者の方々と議論して、できるだけ早くお示しをしたいというふうに思ってございます。

村岡委員 例えば、先ほど事例で、江藤議員が、百一トンですか、この部分を挙げましたけれども、何も決まっていないんですよね。その計画で、これがおかしい、これはこうしなきゃいけない、それはどういう基準で、例えば、今決まっていなくても、どんな基準で決めようとしているんですか。

 それともう一つ、罰金の三十万円。三十万円を払えば、補給金はもらえるんですよね。もらえないんですか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの、虚偽の申告に基づいて補給金が交付された場合には、補助金適化法の対象となりますので、これは返還ということになると考えております。

村岡委員 返還してもらうにしても、でも、しっかりとしたその基準がなければならない。その基準が今決まっていないわけですよね。

 ただ、この罰金の部分の、罰金でいえば、これはそのまま受け取るんじゃないですか、今のところの法律は。そうじゃないですか。

枝元政府参考人 ちょっと話を整理いたしますと、まず、用途別、月別の年間の販売計画というのを出していただいて、それについて、法律上書いてある言葉と省令に委ねられているところがございます。

 省令につきましては、今三点考えてございまして、年間を通じた用途別の需要に基づく安定取引であると認められること、また生産者補給金の交付業務を適正に行えること、用途別取引を行っていることなどを考えてございますが、これらについては、法律成立後、関係者の方々ともさらに議論を進めて、できるだけ早く決めていくということでございます。

 それで、私どもとしては、これは法律に書いてあることでございますけれども、ちゃんと乳業との契約書が出ているとかそういうこと、あと、これから決めることも含めて条件をきちっと確認した上で計画を認めます。その上で、四半期ごとに実績を確認して、補給金自体は後払いでございますので、そういう変なことが起こらないというふうに思っておりますけれども、万一詐欺的なことでそういうことがある場合は、さっき先生おっしゃったような罰金だとかそういう話になってくるということでございます。(村岡委員「罰金は払って、補給金もやらない」と呼ぶ)それは、補助金適化法の世界に入ってくるんだろうと思います。

 適化法上の話として、もし返還事由に該当するのであれば返還ということでしょうし、それは個々の事案によるのではないかというふうに思います。

村岡委員 罰金か返還かよくわからないんですが。

 でも、そういうところもしっかりしなければ、やはりこの新しい制度を悪用しようという人もいるのかもしれない。そのことはしっかりと農林省が把握していかなきゃいけない。それはお願いしたい、こう思っています。

 そして、部分委託のルール、何人かもう先生方もお聞きしましたけれども、正当な理由がある場合というので、全部読むと時間もなくなるので、五つの理由を挙げていますが、これでいいとこ取りを排除するということになっているわけですけれども、この部分委託のルールについて、現在の検討状況というのがどうなのか、余りはっきり出ていないんですね、先ほど言ったように、省令とか政令とかいろいろなところで。

 それらが、現場の生産者が不公平感を感じないこと、また場当たり的な利用を認めないことをどうやって担保するのか。出ていない中でも、どのような担保ができると思っていますか、いいとこ取りさせないために。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的に、生乳の取引につきましては、契約当事者間の合意によりまして、生乳取引契約を締結することとなります。

 この中で、部分委託につきましては、現場の生産者の方々が不公平感を感じないように、また場当たり的な利用を認めないようにする観点から、この法案におきましては、指定事業者が生乳取引を拒むことができる正当な理由、御指摘のとおり、農林水産省令で定めることとしております。

 省令の規定は法案の成立後できるだけ速やかに定めたい、こういうふうに考えておりますけれども、骨子といたしまして、生乳生産の季節変動を超えて変動する取引である場合、あるいは短期間の取引である場合、特定の用途仕向けへの販売を条件づけて委託、買い取りを求められた場合、生乳の品質が指定事業者の定める統一的基準を満たさないものである場合、また生産した生乳のうち売れ残ったものを持ち込むような取引を求められる場合、こういう場合には、生乳受託販売を拒否することができることとしたい、こういうふうに考えているところでございます。

村岡委員 そういう説明も丁寧にしてもらわないと、暫定法の中でずっとやってきたわけで、相当不安を感じていることが現場の農家の意見ですので、そこは大臣、しっかりとこの説明はしてください。そして、これはいろいろな部分で混乱も多少起きると思いますので、そこにもしっかりと御指導願いたいと思っています。

 まだまだ畜安法も質問したいことはあるんですけれども、ちょっと事情があって時間が少なくなりましたので、あと二問ほど違うことをお聞きします。

 これもたまたま地元なので申しわけないんですが、ソーラーシェアリング。今までも畑とかそういうところである程度、七百ぐらいの施設でやっているようですが、資料の四ですけれども、今度、田んぼでも今までの事例もあると思いますが、秋田県で、田んぼの上に、稲作もしながら、ソーラーシェアリングで上に太陽光パネルをつけるということを実験しようとしていますけれども、これは大臣、どのような認識で、ソーラーシェアリングは農林省でどう取り組んでいくのか。

山本(有)国務大臣 地域の資源を活用した再生可能エネルギーの導入、これは地域の活性化に寄与することが期待される取り組みでございます。

 その一方で、食料の生産基盤である優良農地を確保していくこと、これも重要な課題でございます。

 こうした中で、営農型太陽光発電、いわゆるソーラーシェアリングは、営農の適切な継続と売電収入による農家所得の向上が期待できる取り組み手法であるというように評価をしております。

 私の地元の高知県でも既に、四万十町、土佐郡土佐町あるいは長岡郡本山町で、実験あるいは実際の事業が始まっているところでございます。

村岡委員 これは、優良農地の確保がまず前提にありながら、農家の収入をふやしていくということの中で、実験をしっかりと見きわめて進めていただきたい、こう思っております。

 最後に、大臣に質問なんですが、日本農業新聞で見ますと、内閣府の松本洋平副大臣が、政府の規制改革推進会議の提言に法的根拠はなく、法律の決定事項が優先されるとの認識を示した。全く提言には拘束はない、このようなことで参議院の農林水産委員会で答えているんですけれども、大臣の認識を。

山本(有)国務大臣 規制改革会議は審議をする機関でございます。そして、総理に意見を申し述べる機関でございます。それに基づいて総理が何らかの指示をするということにおいて生かされるものというように考えておりまして、相矛盾するような、そういう同じ政府の機関があるということの認識はございません。

 法に基づかないというのは、それはそうではなくて、法に基づいた規制改革機関であり、それは審議会という位置づけでありますし、そして権限は、総理に意見を申し述べるというようにしっかりと書かれているというように認識しておりますので、私ども農林省も法に基づいて行政執行しますし、そうした規制改革会議も総理に意見を法に基づいて述べられるというように理解をするところでございます。

村岡委員 大臣、規制改革会議の提言は法的な根拠はないんじゃないですか。(山本(有)国務大臣「総理に意見する」と呼ぶ)だから、意見するだけですから、法的な、提言が法的根拠はないんですよ。(山本(有)国務大臣「いや、設置は法律にありますから」と呼ぶ)設置はありますけれども、提言です、提言。提言は、山本農林大臣が農林政策としてしっかり法律にのっとってやっていただくということを最後にお聞きして。

山本(有)国務大臣 かねて言われました問題点は、農林行政について農林大臣がしっかり執行するわけで、規制改革会議は執行権はない、こういう整理でございます。

村岡委員 終わりますけれども、そのように進めてください。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 畜産、酪農をめぐる情勢にかかわって、法案の質疑に入る前に、TPPと日・EUのEPAにかかわって質問をしておきたいと思います。

 まず、TPPです。

 二十一日に開かれるベトナムでの閣僚会合において、日本は米国を除く十一カ国によるTPPの年内大筋合意を提案するとの報道がありました。また、共同声明の原案も準備されていると報道もあります。さらに、きょうの日経新聞で、ニュージーランドの首相が「日本と推進 強調」という表題がつきまして、品目別の関税など、合意した内容の再交渉はしないとの明言もあったということなどを含めて報じられてもおります。

 進展しているわけですけれども、今ありました報道の中身も含めて事実なのかどうか、まず現状について報告していただきたいと思っています。

高田政府参考人 お答えいたします。

 ベトナムで開催される予定のTPP閣僚会合では、十一カ国が結束を維持しつつ、TPPの今後の方向性について明確に打ち出すとともに、ある程度の検討の時間軸を示すことも重要であると考えているところでございます。

 いずれにしても、こうした点も含めて、ハノイでの閣僚会合において各国としっかり議論してまいりたいと考えているところでございます。

畠山委員 年内の大筋合意を目指すという方針ですか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 現時点で閣僚会合における議論の内容や結論について、予断を持ってお答えできるものではないと考えているところでございます。

畠山委員 今後も引き続き質問していきたいわけですが、一つ、事実で確認したいことがあります。

 関連法案で、昨年成立していますが、マルキン法など十一本の法案があったと思います。これは十一カ国によるTPPの発効でも関連法は施行されるということでよろしいんですね。確認しておきます。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 TPPの今後につきましては、今週末のハノイにおけますTPP閣僚会合におきまして、あらゆる選択肢を排除せずに各国と議論していくということで、今内閣官房からも答弁がございました。

 御指摘のTPPの関連法の取り扱いにつきましても、TPPの今後についてこれから議論する段階であり、予断を持ってお答えすることはできないことは御理解いただきたいと存じます。

畠山委員 いや、今後の話じゃなくて、もう関連法として昨年成立しているわけで、そこには、十一カ国であろうが十カ国であろうが、そういった国の数は前提となっていないはずです。

 私、単純に事実だけを確認して聞いただけなんですけれども、そんな答弁になるとは思っていませんでしたが、改めて、いや、この後何かこれの問題で追及するというものじゃなく、ただ事実として確認したかっただけなんですが、十一カ国の合意でもこれはそうしたら発効しない可能性があるということなんですか。

枝元政府参考人 関連法につきましては、TPP協定の施行ということになってございます。

 このTPPにつきまして、これから閣僚会合等におきまして、例えば米国がTPPに戻ってくることも含め、あらゆる選択肢を排除せずに各国と議論していくことになるということでございます。そういう意味では、TPP関連法の取り扱いにつきましては、TPPの今後についての議論を踏まえて対応を考えていくということだろうと思います。

畠山委員 いや、対応を考える話ではなくて、単純に、十一カ国のときで施行日になるんでしょう、それだけの話。これは内閣府に聞いたらいいんですか、そうしたら。今、難しいことは何も聞いていないですよ。

高田政府参考人 お答えいたします。

 昨年御審議いただいて成立しました関連法は、TPP協定発効の日が施行日になっていると承知しております。

畠山委員 いや、だから、十一カ国で発効してもそれはそうなるんですよねというだけの確認なんですが、そういうことですよね。

高田政府参考人 お答えいたします。

 質問の十一カ国の国がどこを指しておるかちょっとわからないんですけれども、TPP協定の、昨年御承認いただいた協定に基づいて、六カ国以上ですとかGDPの何%以上とかいうのを満たした場合にはTPP協定が発効いたします。その場合には関連法案が発効するということでございます。

畠山委員 ということは、アメリカ抜きでは発効しないということでよろしいんですか。

高田政府参考人 昨年御審議いただきまして成立しましたTPP協定と関連法につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。

 御指摘の十一カ国というものにつきましては、関連法の取り扱いにつきましては、TPPの今後についてこれから議論する段階であり、予断を持ってお答えすることはできないことを御理解いただければと思います。

畠山委員 ちょっと、ますますわからなくなってきましたよ、そうしたら。

 十一カ国ではTPPというのは発効できないということですか。そうなりますよね。一体何のためにそうしたら今から審議して、どういう方針で臨むんですか。もう一回答弁してください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 TPPにつきましては、我が国が持つ求心力を生かしながら各国と緊密に連携して、あらゆる選択肢を排除せずにというのが、何がベストか主導的に議論を進めていくのが我が国の立場でございますので、現段階でこういうものであるというふうに答弁することは差し控えたいと思います。

 先ほどの、昨年成立した法律あるいは協定の発効というのは、その協定の発効条件、また、それに基づきまして法律が発効する法律の規定になっているところでございます。

山本(有)国務大臣 マルキンにつきましては、十二カ国のTPP合意、そしてこれが発効しますと、これは直ちに改正して、実行に移したいというように考えております。

 ただ、十一カ国になりますと、十二カ国と全くイコールの合意内容ではないという認識でございますから、直ちにこれを発効すると今の段階で言えるものではありません。しかし、大方そうなるであろうというような見通しをつけながら対処をしているところでございます。

畠山委員 まさかここまで話が発展すると思っていなかったんですが、そうであるならば、後で議事録をきちんと精査したいと思うんですけれども、一つこれは確認しておきたいと思います。

 昨年に議論され、可決されたものにおいてという前提で話をしました。ということは、今これから行われる議論について、新たな状況のもとで新しく法律が議論される可能性があるということを含んだ答弁ということでよろしいですか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しますが、昨年成立しました関連法、あるいは御承認いただきました協定につきましては、その規定に基づいて、発効すれば施行されるというものでございます。

 今後につきましては、これから議論するものでございますので、現段階において予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。

畠山委員 では、これはもう一回確認します。

 ということは、今後、新たな枠組みということも否定しないということでよろしいですね。

高田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の立場は、各国と緊密に連携して、あらゆる選択肢を排除せずにというのが現段階での我が国の立場でございます。

畠山委員 いや、もうそれ以上答弁は出てこないんでしょうか。根本的に、私、関連法のことを聞きたくてこんなに準備していたわけではないんですけれども、今後のTPPの考え方、そして国の方針ということがさらにわからなくなりましたよ。全然理解できません。

 まだ答弁ありますか。同じ答弁だったら要りません。違うことを言うんだったら、答弁してください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 今後につきましてでございますけれども、我が国が持つ求心力を生かしながら各国と緊密に連携し、あらゆる選択肢を排除せずに、何がベストか主導的に議論を進めていくのが我が国の立場でございます。

 米国の離脱通知を受けても、モメンタムを失わずに、アジア太平洋地域に自由で公正な経済圏をつくるため、TPPで合意した高いレベルをどのように実現していくか、我が国が主導して各国と議論していきたいと考えているところでございますが、具体的にどうなるかにつきましては、現段階で予断を持ってお答えするのは差し控えたいと思います。

畠山委員 いや、だめですよ。全くだめな答弁ですよ、それは。求めてもいないし、違うことを言ってくださいと言ったじゃないですか。

 私、こんなに長くなると思わなくて、畜安法の審議をしたいんですよ。ここでやめて、次の話に進みますけれども……(齋藤副大臣「いいですか、答えて」と呼ぶ)登録していないんです、そもそも。ただ、整合性ある答弁でしてもらえますか。それなら齋藤副大臣を、登録していませんが、指名してよろしいでしょうか。委員長にお任せします。

北村委員長 では、齋藤農林水産副大臣。

齋藤副大臣 済みません、お許しが出たので答弁させていただきます。

 TPP11なるものが、今農林水産省として、どういうものになるかわかりません。そして、それが仮に合意した場合には、その条文そのものも国会で再度承認をしていただくことが必要だというのが今外務省から聞いている話であります。

 そういう姿がはっきりした時点で対策についてどうするかというのは固まってくるものであって、今の時点では、累次答弁させていただいておりますように、あらゆる選択肢を排除せずに、とりあえず交渉に臨むということだろうと思っております。

 御理解いただけたらありがたいと思います。

畠山委員 改めて議事録で精査したいと思いますが、新しい枠組みという、法律も含めて、可能性があり得ると認識しました。

 それで、予定していたこと、質問があったんですけれども、少し飛ばします。

 これは通告していなかったんですけれども、TPPにかかわって、きょうの日農ですけれども、農水省として、先日、TPP発効の場合、「乳製品輸入枠の数量や、牛肉などのセーフガードの発動水準を変更する必要性があるとの考えを明らかにした。」との報道がありました。

 乳製品でいえば、生乳換算で七万トンですから、アメリカが抜けたとしたら、その分本当は引いて数万数千トンとかいうことにならなきゃいけないはずなんですけれども、しかし、それが引かずに七万トンのままだとして、アメリカと今後FTAがどうなるかは否定もされていませんし、新たなアメリカとの輸入枠がつくられれば、七万トンプラス日米の分、アメリカからの分ということは理屈としてあり得るわけです。これはセーフガードの発動基準にも同じ考え方となると思います。

 今までの話も含めて、私は本当は、結局TPPを十一カ国でやるときにも試算は必要ではないのかということを求める質問は通告していたんです。きょう、朝、このような報道も出ました。そういったことも含めて、一体、農水省として、今後の方針については齋藤副大臣が述べたとおりかもしれませんが、与えられるであろう農産物への影響、そして対策について考えていることをちょっと総まとめで、これは大臣、答弁していただけますか。できますか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 TPPの今後につきましては、まさに今月二十一日のハノイでのTPP関係閣僚会議におきまして、米国がTPPに戻ってくることも含め、あらゆる選択肢を排除せず、各国と議論していくこととなると承知しております。

 その内容や結論について、米国抜きといったような点も含め、予断を持ってお答えすることは差し控えたいということではございますが、その上で、なお申し上げるとすれば、TPP合意におきましては、委員御指摘のアメリカを含むTPP署名国が共通に利用できる関税割り当てのほか、アメリカを含むTPP署名国が対象のセーフガードがございます。

 委員御指摘のようなものがございまして、これは、アメリカからの輸入も含んだ数量を前提とした制度でございます。委員御懸念の点、今御指摘いただきました。これらの取り扱いにつきましては、今後のアメリカの出方も注視しながら、我が国の農林水産業を守っていく観点からしっかりと対応していく必要があるというふうに認識をしているところでございます。

畠山委員 畜安法もそうですけれども、しっかり頑張りますという答弁が繰り返されるわけですが、TPPのときも、牛乳・乳製品は約百九十八億円から二百九十一億円という試算なども生産減少額として出しているわけですよね。

 今回、今の質疑を通じて、新しく状況が変わる、枠組みが変わるということなどもどうやら検討されていることが判明しましたので、改めてこの点の本委員会への報告なり答弁を正確にきちんとしてもらうということをとりあえずこの時点では求めておきたいと思っております。

 EUとのEPAは、時間の関係で省略いたします。法案にかかわった質疑を行います。

 改定案の中心の一つは、現状の指定生乳生産者団体制度のもとで、全国十ある指定団体以外にも、要件を満たせば、農林水産大臣または都道府県知事が指定事業者として指名することができるとするものです。その要件のある者は、年間販売計画の提出、また、生乳の受託販売等の事業を行うところに対しての補給金の交付業務が確実に実施できる、これらが要件となっているわけです。

 それで、二つのことを端的に聞いておきたいと思います。これはきょうの朝から出されていることですので、それは承知の上で質問します。

 一つは、年間計画の提出や、国が助言や指導をするにしても、適切な需給調整などが図られるのかということです。

 前の質問にも出ていますが、私からも改めて確認します。国の助言や指導に従わない、従えない場合に、罰則規定などはどうなっているのでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案の二十八条に、農林水産大臣が酪農経営の安定を図る観点から必要な指導及び助言を行うことができるということとなっておりまして、個別に判断していくことになります。

 一般的に、行政指導の内容は、あくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものでございます。制度の運用については、当該事業者のみならず、取引先の乳業者、関係する生産者とも連携をとりながら、本法案の目的である需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保、畜産経営の安定が図られるように、相手方の協力を得られるように対応していきたいというふうに思ってございます。

 罰則については、この指導助言に関してはございません。

畠山委員 指導や助言は、相手の協力で、任意であるということですから、強制力は持たないんですよね。だから、実効性についての疑念が先ほどから出されるわけですよ。本当にできるんですか、大丈夫なんですか。

枝元政府参考人 細かくは御説明いたしませんが、販売計画をきちっと提出いただき、それを大臣が承認し、加工に回されたということを四半期ごとに乳量も含めてきちっとチェックした上で、補給金を後払いで交付するという一連の流れになってございます。そういう過程の中で個別にさまざまな問題が出てきたときに、この指導助言ということを活用していきたいというふうに思っております。

 先ほど申し上げたとおり、強制力はございませんけれども、制度の運用については、当該事業者のみならず、取引先の乳業者や関係する生産者とも連携をとりながら、本法案の目的であります需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保、畜産経営の安定が図られるように、相手方の協力を得られるように努力してまいりたいと存じます。

畠山委員 担保として余りに弱いということを指摘しておきます。

 もう一つ、この指定事業者ですけれども、要件を満たせば、株式会社でも外資であっても、そのほか何でも構いませんが、構わない、これは事実として間違いありませんね。

枝元政府参考人 改正法案におきましては、年間販売計画を提出いただいて、要件を満たす事業者であれば、外資、株式会社を問わず制度の対象になりますけれども、補給金自体は事業者を経由して生産者に最終的に全額交付されるものでございます。

畠山委員 それで、補給金の仕組みは今答弁あったとおりですけれども、私が指摘したいのは、それで資本力のある事業者が新たな指定団体になることも可能であるという事実です。または、新たな指定団体を資本力のある事業者が傘下におさめることも可能であるということです。

 つまり、資本力を生かして乳業メーカーより安く提供することができれば、指定団体間の競争が苛烈になるおそれがあるのではないのでしょうか。そのような可能性はどう考えますか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、制度改正をいたしましても、多分、流通の中核は今の指定団体になろうかとは思ってはございます。ただ、今回の制度改正によりまして、生乳の受託販売、買い取り販売を行う事業者の方については、新規参入者であっても、既存の指定団体、また農協、農協連であっても、生産者の選択に応えるため、流通コストの削減、乳価交渉の努力を促していけるというふうに思っています。

 逆に言いますと、生産者は、このような事業者の努力を踏まえて、生乳の仕向け先の選択の幅を広げることが可能となるということで、生産者にとって選択の幅が広がる仕組みにしたところでございます。

畠山委員 生産者がそういうことを通じて所得が上がるようにということを一つの目的としているようなことは前から言ってきたわけですけれども、指定団体が幾つかできるのか、一つか二つか、予想されるのは、中核となるのは今の指定団体ということですけれども、明らかに生乳が分散していくことになれば、指定団体の価格交渉力が落ちたり、あるいは、先ほど指摘したように、資本力のある団体が低価格競争に持ち込めるとなれば、生産者の所得向上どころか、逆に所得低下を招かないのかということを指摘しておきたいと思うんです。

 そこで、これは大臣に、きちんと通告もしていますのでお答えいただきたいのですが、昨年十二月十三日の参議院農水委員会で、これは自由党の森ゆうこ議員に対する答弁ですが、「最も今回期待されますところが」、これにかかわってですね、「共同販売の実を上げる乳価交渉力の強化でございます。」と答弁しています。

 私は全く逆だと思うんですよ。乳価交渉力は生乳が分散されれば逆に弱まると。そういうふうに、乳価交渉力を強めるために集めてきたのが歴史であることなのだから、全く逆の答弁をしているんじゃないかと思うんですが、この答弁の心は一体何だったんですか。

山本(有)国務大臣 いわば、一元的に集荷して多元的に販売する。また、指定団体がない時代、昭和四十一年以前、それと比較すると、指定団体がどのように、酪農の皆さん、畜産農家、酪農家の皆さんにしっかりとした体制をつくってきていただいたかということを評価した上で、指定団体制度を崩すわけではない、特に、イギリスの一九九四年のMMBの改革案というものとは全く違って、我が国においては指定団体というものの機能を守る。その機能を守るゆえんは、価格交渉力、もっと強い交渉力でもって私は酪農家の皆さんに所得を向上していただけるように頑張ってほしいという意味を込めて、四十一年の前と比較し、かつ、将来的に頑張ってほしいという意味を込めて申し上げたところでございます。

畠山委員 つまり、乳価交渉力の強化は、大臣の激励によるものだということになるんでしょうか。頑張ってほしいという意を込めた答弁だと。

 だから、理屈で言えば、先ほど私が言ったように、乳価交渉力の強化にならないのではないかというのを、理屈として答弁で求めているわけですよ。

山本(有)国務大臣 その指導助言が空回りであったり実のないものであると、確かにそういうことになるだろうというように思っております。

 したがいまして、委員が御懸念のようなことにならないように、さらに、指導助言の中身について、あるいは今後の運用について、しっかりとした補完をしてまいりたいというように思っております。

畠山委員 でも、それが価格交渉力の強化ということとつながることがやはり私は理解ができません。

 この問題、改めて、そもそも農水省の基本方針から外れてきているのではないかということを、私、最後に指摘しておきたいと思うんですよ。

 一昨年、二〇一五年三月に発表された酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、酪肉近には、「生乳生産者団体の在り方と集送乳の合理化」という項目を立てて、今後の方向性を次のように書いております。「地域の関係者の合意により、生産者の収益性の向上を図るため、農業協同組合連合会、単位農協等の更なる再編整備を促すとともに、集送乳業務の指定生乳生産者団体への集約や一元管理への移行を進めるなど、指定生乳生産者団体の一層の機能強化と生乳流通コストの低減を図る。」

 私、この方針に同意はしないものですが、書いていることは指定団体の機能強化です。基本方針が、酪肉近が掲げているのは指定団体の機能強化であって、全く今進んでいる道は違うんじゃないんですか。だから、私、先ほど述べたように、歴史から見ても、価格交渉力を強化するためにできたのが指定団体であって、それが、今進んでいる道は違うんじゃないかということを指摘しているわけです。

 この基本方針とも含めて、全く整合性、私、違うと思いますが、いかがですか、大臣。

山本(有)国務大臣 再度申し上げますけれども、酪農の現状は、現在の体制、制度でも、極めて厳しいものがございます。したがいまして、新規就農者を求める、特に若手の参入を促すというようなことであるならば、新しい何らかの体制整備をしていかなければならないというのは、畠山委員も同様だろうというように思います。

 その中で、どうすれば所得が上がって、新規参入者を求めることができるかというと、もう一回洗い直すべきは、現行の指定団体制度、この指定団体制度で、輸送コストの削減、条件不利地域の集乳、乳価交渉力の確保、これは絶対に活用、強化しなければならない場面でございまして、また、補給金を通じて飲用向けと乳製品向けの仕向けの調整の実効性を担保する、こうしたことにおいて、私どもが考えておりますのは、農家所得がひいては上がっていく、そうしたことによって、指定団体の交渉力も、これは大勢の酪農家の皆さんから支持を受けるというようなことからして、乳業メーカーとの対比の中で、団体あるいは指定団体プラス生産者が、対乳業メーカーとの間での力関係が強くなっていくという意味では、私は、生乳の団体が価格交渉力を得るようなそういう将来像というものは、この改正でも十分得られるものだろうというように今でも思っているところでございます。

畠山委員 今回の指定団体改革が所得改革に資するものかどうかというのは、一つの論点です。私は、先ほど述べたように、逆の方向を行くと思っています。

 もう一つ、時間がないので答弁を求めませんが、言っておきます。

 農水省が、先ほど言った酪肉近を確定していくまでに、審議会を含めたところで何を言ってきたか。平成二十五年、二〇一三年度の食料・農業・農村政策審議会第四回畜産部会で生産局畜産部が提出した資料では、主要な改革の方向としてこう書いています。市場実勢を反映した適正な価格形成の実現について、指定団体の広域化等による生乳共販体制の強化を図りつつ、透明性の高い公正かつ適正な価格形成システムを構築と、共販体制の強化を掲げている上に、酪農経営の安定の確保においても、生産者団体による計画生産を一層効果的に実施して、全国レベル、ブロック内での需給調整機能を強化。指定団体の機能強化を前提に、これまで農水省は、酪肉近を含めてこのような方針の積み重ねをやってきたのではありませんでしたか。

 さまざまな部分委託の問題など、論点も、次回質問したいと思っています。きょうは、ここで終わります。

北村委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会、吉田豊史です。きょうもよろしくお願いいたします。

 先般の委員会のところで、北海道から中学生の方がお越しになって、中川委員の御地元だったんですけれども、非常に好評を得ましたが、きょう、黄色いリボンをつけている二人が、おじさんとあんちゃんとおるんですけれども、富山の方から実は参っております。

 私はずっと日本維新の会で富山県唯一の、一人しか議員がいなかったんです。それが、先般の市議会議員選挙で二人が当選して、仲間がふえました。僕が本当に仕事をしているかどうかのチェックに行きたいということで参っておりますので、ぜひ、いい質問をしますので、いい答弁を頂戴したいと思います。

 それでは、入らせていただきます。

 きょうは、畜産経営の安定に関する法律というところで、法案の審議、質問をしていくんですけれども、私、農水に来まして、一番難しいし大事だなと思うのは、やはり、日本の農林水産業自身が、本当にグローバルな世界で、強いもの、全てが強いかというと決してそういう状況ではないという中にあって、それを改めて今のこの世界の中で、どう攻めることによって、足腰の強い、そして我が国の基盤を支える農林水産業をつくっていくのかという、これが本当の意味での大きな問題なんだろうと思います。

 そこにたどり着くまでには、やはり我が国特有のそれぞれの、土地が狭い問題ですとか人口が多いですとか、あるいはしっかりした技術があるとか、こういうような問題をどう生かしていくかということだと思うんですが、具体的にそれを応援していくときに当たっては、いい言葉かどうかわかりませんが、げたを履かせるということが必ず必要なわけですね。

 それをやっていくという中にあって、げたを履かせるという言葉は、きちっとした目標に向かってそこにたどり着くまでにサポートしていくという意味だと私は理解しますけれども、この畜産のことについては、明らかにこの法案は僕はげたを履かせる法案だろう、こう思います。

 では、どのようにげたを履かせるのか、そしてどういう人たちに対してげたを履いてもらうのか、こういう部分をきちっと根本のところを押さえていないと、それはただただ何か延命措置みたいな話になってしまっては困る、こう思うわけです。

 そういう意味で、改めて、最初のところで、加工原料乳の生産者の補給制度について、補給金対象の変更をしている、ここのところについて大臣の方から、この変更の根本の考え方、それを確認させていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 近年、我が国の飲用牛乳需要が減少傾向にございます。他方、生クリームやチーズなどの乳製品の消費は今後も増加が見込まれております。消費者ニーズに対応する酪農経営、これが求められているところでございます。

 そのためにも、特色ある牛乳・乳製品の生産による付加価値の向上、これが欠かせないところでございますし、酪農家の皆さんに創意工夫を生かせるように環境を整備していきたいと思っているところでございます。

 こうした議論を踏まえまして、本法案によりまして、これまで農協、農協連に限られていた補給金の交付対象を拡大します。まず生乳受託販売または生乳買い取り販売の事業を行う者、次にみずから生産した生乳を乳業者に対しみずから販売する者、次にみずから生産した生乳を加工してみずから販売を行う者とするとともに、現在の暫定措置法に基づく制度を恒久措置として位置づけ直すとしたところでございます。

 こうしたことによりまして、生産者の生乳の仕向け先の選択肢が広がるわけでございまして、みずから生産した生乳をブランド化して加工、販売する取り組み、あるいは創意工夫による所得向上の機会を創出するということにつながっていくだろうと思っておりますし、次に、現在の指定団体である農協、農協連につきましても、生産者の選択に応えるため、流通コストの削減あるいは乳価交渉の努力を促すということにもつながるわけでございます。また、これまで補給金をもらえないために飲用向け一辺倒だった者がバター等の乳製品向けにも販売する方向に誘導することができるもの、こう考えております。

 今回の制度改正によりまして、需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保あるいは畜産経営の安定、これを図っていきたいというように考えているところでございます。

吉田(豊)委員 大臣の方からは消費者ニーズに対応するという、私が常々お訴えしているところですので、本当にそこをきちっと押さえていただいた上での法案の改正、改良であるというところが非常に重要だと私も認識します。

 その上で、生産者補給金の交付についてということなんですけれども、それなりに、私なりに勉強するんですけれども、やはりこの法案はちょっと複雑といえばいいか、難しいといえばいいか、歴史的ないろいろな経緯があって、なかなか、消費者ニーズがいろいろな意味でふえる可能性があるけれども、新しく農業にかかわってほしいという人たちも一方では求めているわけですね。

 でも、その人たちがこれは本当におもしろそうだなとか、こういう形によっていろいろなサポートがあって、ここに農産業、そしてもうかるというビジネスとしてのチャンスがあるかどうかということになると、非常にこの法案自身が複雑だなということを私は感じるわけなんです。

 その上で、改めてきょうのお聞きしたいところは、まず、生乳生産者団体、これを指定するという意義について具体的に確認したいと思います。

齋藤副大臣 ただいま大臣から御答弁しましたように、生クリームやチーズなどの乳製品の消費、このニーズに対応していけば酪農の経営の発展の可能性がある、その環境整備が必要だというのと同時に、例えば酪農家の牧場所在地が乳業工場から距離が遠いことなどによりまして、相対的に集送乳経費を要する地域というのがありまして、そういう地域を含めて、あまねく生産者の生乳が確実に集乳される仕組みを講ずるということも同時にやっていかなくてはいけないということであります。

 こうしたことを踏まえて、本法案によりましては、酪農家が創意工夫を生かせる環境を整備するため、補給金の対象を拡大して、計画的に乳製品向けに仕向ける全ての生産者を補給金の対象とするということと同時に、あまねく生産者の生乳が確実に集乳されるように、定款等で、正当な理由なく一または二以上の都道府県の区域において生乳の委託または売り渡しの申し出を拒んではならない旨を定めるということにしておりますし、業務規程において集送乳に係る経費の算定方法等が基準に基づき定められていること、これらの要件を満たす生乳生産者団体等の事業者をその申請によって指定事業者として指定した上で、加工原料乳を対象に補給金とあわせて集送乳調整金というものを交付することがバランスを保つ上で必要だろうということで措置させていただいております。

吉田(豊)委員 今ほどの齋藤副大臣の御説明によると、そういう必要性、そこを感じるということなんですけれども、これは政府参考人の方にお聞きしますけれども、実際に現場にそういう声があって今そのような変化を起こそうとしているということなんですよね。それを確認したいと思うんですけれども、どうでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 指定団体にこれまで生乳を出されている方からも、そういう、より創意工夫を広げていきたいというような声はいただいているところでございます。

吉田(豊)委員 そして、そもそもですけれども、げたを履かせるということなんですが、生産者補給金の交付をする、これが本当に、これからの競争していくという、そこのことを考えたときに、今履かせるということの必要性、そしてそれが必要だという、そこの理由を改めて確認させていただきたいと思います。

枝元政府参考人 直接的には、加工原料乳生産者補給金につきましては、飲用向けに比べて乳価が低い加工原料乳に限って交付対象としてございます。これは、酪農家によります生乳の再生産を確保することを目的としてございます。

 これによりまして、飲用向けと乳製品向けの仕向けの調整の実効性を担保する機能もあわせて有しているということでございます。

吉田(豊)委員 ちょっと当たり前のことを聞きますけれども、生乳に対して乳価が低いという、何で乳価が低くなるんですか、加工用は。

枝元政府参考人 失礼いたしました。ちょっと言葉を間違ったかもしれません。飲用と加工用でございます。

 乳価自体は、一般的には、生産コスト、需給状況等を踏まえて決まる、これはほかのものと変わりません。

 それで、我が国は、生乳の仕向け先が飲用向けと乳製品向けで約半々という状況でございます。ほかの国は加工の方がすごく多いとかそういうことですが、うちの場合は飲用、乳製品向けが半量でありまして、飲用牛乳は鮮度が求められて、事実上、なかなか輸入ができませんので、輸入品との競合がなく、専ら生産コストですとか国内の需給状況の影響を受けてございます。他方、バターですとか脱脂粉乳、チーズ、こういった乳製品は、輸入品との競合関係があり、内外価格差が大きくて、品質面での差別化もなかなか困難ということもございまして、国際的な価格動向の影響を大きく受けるといった特徴がございます。

 このため、取引の乳価は、飲用向けに比べて乳製品向けが低くなっているところでございます。

吉田(豊)委員 ここは僕は本当に大事なところだと思うんですけれども、消費量をふやすということが一番本当は生産者にとっては、その需要がふえるわけだから、間違いなくいいことなんです。そのときに、日本の農林水産業の一番基本は米ですけれども、では、米の消費量を、通常、今の状況から倍にしろなんという話はなかなか、米を食べることだけでも減ってきているのにという中で、どうやって米を加工してという話なんですね。

 生乳、牛乳に対してもやはり同じことだろうと思います。牛乳を飲む量をどんどんどんどんふやせ、倍にしろと言ったって、そんなのはあり得ないことで、そうじゃなくて、畜産関係の需要をふやしていくときには当然加工しなくちゃいけないし、加工するというときに、どうやって国内の生産するものをふやす、あるいは生産したものを使って加工の方につなげていくか、ここのところが僕は一番大事だと思うわけです。

 それは、消費者として当然、国内品にこだわりたい、安心、安全な食べ物を食べたい、こういう追い風があるわけですわ。だから、こういうところをきちっと押さえた上での需要を高めていく、そしてそれに見合う生産もサポートしていく、こういうことのいい循環につなげていっていただきたいんです。

 そういう意味で、用途別の乳価というところの考え方、私はある意味可能性じゃないかなとも思うんですけれども、これについてどのように考えられるか、お聞きしたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと若干先ほどと重複いたしますけれども、我が国の生乳の仕向け先が飲用、乳製品向け半々という状況の中で、飲用は鮮度が求められて、事実上、輸入品と競合がないというようなことから、専らコスト、国内需給の影響を受ける。あと、乳製品については、輸入品との競合があって内外価格差が大きいというようなことで、国際的な価格動向の影響を大きく受けるという特徴がございます。このため、取引の乳価が飲用に比べて乳製品向けが低くなってございます。

 このような用途別の取引については、用途ごとの需給状況や乳製品の国際市況等を反映させて、また、消費者への牛乳・乳製品の安定供給を実現するといった意義があることから、こういう取引が行われているものというふうに考えてございます。

吉田(豊)委員 少し前になりますけれども、私は、生乳、牛乳のシリーズ、それからチーズのシリーズもやらせていただきました。大臣からは、とろけるチーズという、本当に一瞬とまるような、覚えておりますけれども。

 そういう中で、やはり、加工していって、それも国内の人たち、消費者が、日本の国内のものを食べたい、そういう思いというのは確実にあるんですわ。

 だから、そういうところを、よりどうやって生産者にアプローチしていくかということ、それをモチベーションにつなげてそこをサポートするんだというやはり筋と理屈をつけてほしいんですね。法案を改正していく、そのときには、きちっと、そういう方向性だから、私たちは国としても、あるいは全体として応援するんですよ、こういうところを、よくよくチャンスとして捉えていただくための説明の努力とか、いろいろなそういう物事を変えていくときに、やり方がこう変わるのはこのためですという、そこをきちっと押さえるところまで進めていただきたい、サポートしていただきたい、こういうふうに思います。

 続けて、畜産農家のコストについて、あるいは収益向上についてということなんですけれども、飼料価格の上昇、それから輸入飼料の代替策ということ、このあたりについて確認させていただきたいと思います。

 常々、国内で畜産をやっていくときに、与えるもの、食べ物についての問題というのは本質的な日本の国の条件の難しさだろう、こういうふうに思いますけれども、改めて、価格の上昇、それから輸入飼料についての代替策、このあたりをどう考えているのかということを大きく確認させていただきたいと思います。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の畜産につきましては、生産コストの四割から七割が飼料費、こういうことでございますが、特に配合飼料の原料となりますトウモロコシを初めとする穀物のほとんどを海外からの輸入に頼っておりまして、海外の生産状況ですとか穀物相場、あるいは為替、こういったものの影響を大きく受ける状況にございます。

 このため、輸入飼料に過度に依存しない、国内の飼料生産基盤に立脚した畜産経営の確立、これを図っていくことが重要でございまして、草地の生産性の向上ですとか稲発酵粗飼料等の生産、利用拡大、また放牧の推進、それから食品残渣、私どもエコフィードと言っておりますけれども、飼料利用の拡大、こういったことを支援させていただいております。

 この際、中山間の耕作放棄地等、こういうものも活用しながら自給飼料生産の拡大を図ることも有効である、こういうふうに考えているところでございまして、これらの取り組みを総合的に講ずることによりまして、国内での飼料生産の拡大を進め、畜産の飼料費の低減を図ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

吉田(豊)委員 素人ながらの思いですけれども、特に畜産というと、家畜を飼うわけですね。そうすると当然場所が必要だということになるんですけれども、その場所がないというのが我が国の状況だと思っていましたけれども、一方では耕作放棄地ですとか中山間地という言葉がいつも出てくるわけです。

 だから、こういうところの可能性をどう考えていくか。僕は、やはり現場というところできちっと実験しなくちゃいけないと思うし、そしてそれがどういうふうな成果を生むのかということは、時間がかかることだと思います。

 そして、消費者のニーズというものが、生産者は大抵、消費者が今目の前にあるどういうことを求めているかというところをベースに、何をつくろうかとか、何を育てようかとか考えていくんだけれども、今の時代はそうじゃなくて、つくりやすいものをつくるということを、それがどう売れるかというところまで持っていく、そういうアプローチの仕方が本当の意味では土地の有効活用にもつながっていくだろうと思いますし、新しい生産の拡大にもつながる、こういうふうに思いますので、ぜひそういう試みを進めていただきたい、こういうふうに思います。

 この法案に関して、畜産クラスターという言葉が出てきましたけれども、この畜産クラスターというのはどんなイメージでしょうか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 畜産クラスターの取り組みは、畜産経営ですとか外部支援組織等の地域の関係者の方々が連携していただいて、地域全体で収益性の向上に取り組む、こういうことを目的としております。

 畜産経営の収益向上を図るためには、規模拡大あるいは省力機械の導入により労働生産を向上させる、あるいは、飼料生産作業を専門的に行います外部支援組織に飼料生産を委託することによって良質な飼料を安価に導入する、こういった取り組みが効果的と考えておりまして、畜産クラスター事業におきましては、このような取り組みに必要なTMRセンターなどの施設整備、あるいは高性能な飼料収穫機などの機械導入を支援させていただいております。

 また、事業の採択に当たりまして、販売額の一〇%以上の増加ですとか、成果目標の設定を求めておりまして、これらの成果目標が着実に達成されるように適切に指導してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

吉田(豊)委員 このクラスターという言葉、私もしょっちゅう質問でも使っているんですけれども、いま一つイメージが、どういうもので捉えていいかという的確な日本語というのが出てこないなというところなんです。

 畜産クラスター、このクラスターというもの自身、それは規模に縛られるものなのか、そういう認識をされているかどうかを私は確認したいと思うわけです。小さいクラスターもあれば大きなクラスターもある、それは集約されたものと大きく広がっていくものもある、その辺についてどのようなお考えかということを確認させてください。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、規模拡大、省力化ということも申し上げました。先ほど採択に当たっての成果目標の設定を申し上げましたけれども、成果目標について挙げられているのが、販売額の一割増、生産コストの一割以上の削減、農業所得の一割以上の増加、こういうことでございまして、必ずしもその地域のクラスターの規模に応じて採択が決まるというのではなくて、どれだけの成果目標を上げるかということが採択のときのポイントだ、こういうことでございます。

吉田(豊)委員 このクラスターという考え方が非常に今後のやり方に大きく私は影響すると思いますけれども、このクラスターという言葉はわかりにくいと私は思っているんです。ですから、そういうことをどう現場の方々にわかりやすくイメージしていただくかということこそ、私ももちろん政治家ですからそうですけれども、大臣初め政務三役の皆様にも、もっとわかりやすい説明というのはこういうものなんだということをぜひ次回お聞きしたいなと思っておるところでございます。

 終わります。よろしくお願いします。

北村委員長 次回は、来る二十三日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.