第16号 平成29年5月31日(水曜日)
平成二十九年五月三十一日(水曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 北村 茂男君
理事 江藤 拓君 理事 小泉進次郎君
理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君
理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君
理事 小山 展弘君 理事 稲津 久君
青山 周平君 安藤 裕君
伊東 良孝君 伊藤信太郎君
池田 道孝君 うえの賢一郎君
小里 泰弘君 大西 宏幸君
加藤 寛治君 勝沼 栄明君
笹川 博義君 瀬戸 隆一君
武部 新君 中川 郁子君
西川 公也君 古川 康君
細田 健一君 前川 恵君
宮路 拓馬君 森山 裕君
簗 和生君 山本 拓君
渡辺 孝一君 岡本 充功君
金子 恵美君 佐々木隆博君
鈴木 義弘君 宮崎 岳志君
村岡 敏英君 角田 秀穂君
中川 康洋君 真山 祐一君
斉藤 和子君 畠山 和也君
吉田 豊史君 仲里 利信君
…………………………………
農林水産大臣 山本 有二君
内閣官房副長官 萩生田光一君
文部科学副大臣 義家 弘介君
農林水産副大臣 齋藤 健君
農林水産大臣政務官 細田 健一君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 岡田 隆君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局長) 佐々木 基君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 藤原 豊君
政府参考人
(警察庁長官官房総括審議官) 斉藤 実君
政府参考人
(金融庁総務企画局審議官) 天谷 知子君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 松尾 泰樹君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官)
(農林水産技術会議事務局長) 西郷 正道君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 今城 健晴君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 井上 宏司君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 大澤 誠君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 佐藤 速水君
政府参考人
(林野庁長官) 今井 敏君
政府参考人
(水産庁長官) 佐藤 一雄君
政府参考人
(経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長) 飯田 陽一君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 吾郷 進平君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 梛野 良明君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 石田 優君
参考人
(株式会社商工組合中央金庫代表取締役社長) 安達 健祐君
農林水産委員会専門員 石上 智君
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委員の異動
五月三十一日
辞任 補欠選任
古川 康君 安藤 裕君
宮路 拓馬君 大西 宏幸君
森山 裕君 うえの賢一郎君
岡本 充功君 鈴木 義弘君
真山 祐一君 角田 秀穂君
同日
辞任 補欠選任
安藤 裕君 青山 周平君
うえの賢一郎君 森山 裕君
大西 宏幸君 宮路 拓馬君
鈴木 義弘君 岡本 充功君
角田 秀穂君 真山 祐一君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 古川 康君
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五月三十日
農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
同日
農業者戸別所得補償制度の復活に関する請願(畠山和也君紹介)(第一四四四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
農林水産関係の基本施策に関する件
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○北村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣山本有二君。
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農業災害補償法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○山本(有)国務大臣 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農業災害補償制度につきましては、昭和二十二年の制度創設以来、七十年以上にわたり、災害によって農業者がこうむる損失を補填することにより、農業経営の安定に大きく貢献してまいりました。
しかしながら、現行の農業災害補償制度は、自然災害による収量減少を対象とし、価格低下等が対象となっていないほか、対象品目も限定されているといった課題がございます。
また、農業者へ提供するサービスの向上を図りつつ、効率的な事業運営が求められております。
このため、平成二十八年十一月に改定されました農林水産業・地域の活力創造プラン等に基づき、自由な経営判断に基づき経営の発展に取り組む農業経営者のセーフティーネットとして、農業収入全体を対象に総合的に対応し得る新たな保険事業を創設するとともに、農業共済事業についてその実施方法の改善を図るため、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、農業経営収入保険事業の創設についてであります。
農業経営収入保険は、青色申告を行い、経営管理を適切に行っている農業者を対象に、その農業収入の減少について保険金を交付する事業としております。
また、この農業経営収入保険は、特約により、保険料に基づく保険金のほか、農業者の積み立てに基づく補填を受けることができる仕組みとしております。
さらに、農業者の保険料及び積み立てに係る国庫負担のほか、農業経営収入保険に係る保険責任につきまして政府の再保険を措置することとしております。
第二に、農業共済事業の見直しについてでございます。
農作物共済の対象となる米麦を取り巻く状況の変化を踏まえ、農作物共済の当然加入制を廃止し、他の共済事業と同様の任意加入制に移行することとしております。
また、家畜共済を死亡廃用共済と疾病傷害共済に分離し、農業者の経営事情に応じて別々に加入できるようにするとともに、農業者の被害率に応じて共済掛金率を設定する仕組みを全ての農業共済組合に導入することとしております。
第三に、全国連合会の設立についてでございます。
農業共済団体は、全国を区域とする農業共済組合連合会を設立し、農業経営収入保険事業のほか、農業共済団体の事業を補完するための共済事業等を行うことができることとしております。
また、農業共済事業の効率化を図るため、農業共済組合の合併等に関する規定を整備することとしております。
以上の見直しに伴い、法律の題名を農業保険法に改めることとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容でございます。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。
以上でございます。
○北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○北村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る六月六日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○北村委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として株式会社商工組合中央金庫代表取締役社長安達健祐君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として農林水産省大臣官房技術総括審議官・農林水産技術会議事務局長西郷正道君、消費・安全局長今城健晴君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長佐藤速水君、林野庁長官今井敏君、水産庁長官佐藤一雄君、内閣官房内閣審議官岡田隆君、内閣府地方創生推進事務局長佐々木基君、地方創生推進事務局審議官藤原豊君、警察庁長官官房総括審議官斉藤実君、金融庁総務企画局審議官天谷知子君、文部科学省大臣官房審議官松尾泰樹君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長飯田陽一君、中小企業庁事業環境部長吾郷進平君、国土交通省大臣官房審議官梛野良明君、大臣官房審議官石田優君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路拓馬君。
○宮路委員 自由民主党の宮路拓馬でございます。
もう既に先生方のお手元にもこの緑のお茶があって、大変うれしく思います。この農水委員会でのお茶の提供については、小山先生がその扉を開いてくださり、それを受けて森山先生がその後を受けてくださり、そして、満を持して、私、自分で言うのもなんですが、きょうこのお茶を用意させていただきました。
地元の知覧茶でございます。そして、これは非常に色が濃い。いろいろ研究を重ねまして、茶っ葉をうちの秘書がしっかりすり潰して、茶っ葉も含めたお茶となっております。どうぞ皆さん、御賞味ください。小山先生、まことにありがとうございます。(拍手)
そして、私、先週末、地元において、質問に当たっていろいろ準備をする中で、ちょっと二冊本を読んでまいりました。一つは、小泉先生も帯になっております「農業新時代」、西川先生もこの本の中で多数登場されます。あるいは、生源寺先生の「日本農業の真実」。
この本を、実は私、地元の下堂薗茶舗というカフェで読んだわけでありますが、そこはお茶屋さんがやっているカフェであります。そして、お茶を急須で提供しているわけでありますが、そのお茶、急須一杯、本当にちっちゃな急須なんですが、六百五十円でありました。六百五十円出して飲んだお茶は、私にとっては初めてでありました。がゆえかもしれませんが、大変おいしく感じました。
ただ、これはいつも森山先生もおっしゃるんですが、お茶はやはりお金を出して飲んでいただくような時代になってほしいと。これは、いい面、悪い面あるかもしれませんが、我が国においては、お茶というのは無料で提供されて当然なものということで来たわけでありますが、よく考えてみると、ウーロン茶はお金を払って飲みますし、あるいは、カフェに行けば、紅茶はお金を払って飲むわけであります。
同じく、お茶、緑茶にしてもそうした価値が認められてしかるべきだというふうに思っておりまして、海外ではそういう提供のされ方もされているようでありますが、我が国においてもぜひそうした文化が広まってほしい。これは、我々消費者もそういう意識に変革しないといけないと思いますが、生産者、消費者ともに我が国の、日本の農業をしっかり支えていくというマインドになっていけばいいなというふうに思っております。
では、質問の方に入らせていただきます。
これは先日になりますが、私も地元で、ある葉物の軟弱野菜の生産農家のところに行ってまいりました。そこは、桜島の降灰対策事業を活用して、ハウスで軟弱野菜、具体的にはコマツナであるとかあるいは京野菜のミズナ、そうしたものを栽培している農家でありました。
かつて、京野菜、ミズナが大変はやったころには、ミズナの栽培というのは非常に取引価格も好調で、農家の皆さんとしても大変やりがいがあったということでありましたけれども、昨今、これははやり廃りもございますので、なかなかミズナ自体の価格も苦戦している。
そして、また軟弱野菜ですから、やはり鮮度が命であります。農産物は、集荷をして、その後輸送して消費者のもとに届くわけでありますが、御案内のとおり、鹿児島というのは日本の最南端に位置しておりまして、やはり輸送コストの面でハンディを負っているわけであります。
そして、さらに言えば、昨今、人手不足によりましてトラック輸送の運転手もなかなか確保が難しいということもありまして、輸送業界自体がそのやりくりに窮しているような状況であります。特に、運ぶときに積載されている、しかし帰りは、荷物をおろした後は空で戻ってくるというのは輸送業者にとっても非常にそれは避けたい事態だということで、今、一生懸命、行きも帰りもしっかり積載できるような形でやっているわけでありますが、残念ながら、鹿児島というのは、先ほど申し上げたとおり、南端に、端に位置しておりますので、そうしたやりくりも難しいということがまず一点あります。
そしてまた、やはりこれはブランド力と申しましょうか、軟弱野菜については福岡が割と生産地として盛んにやられているわけでありますが、そうした福岡産のミズナであるとかコマツナであるとかがやはりブランド力が高い。鹿児島産のものは、品質には自信があるんだけれども、やはりそうしたブランド力で劣っているがために、なかなか販路の開拓にも苦戦しているというような話でありました。
そこに加えて、人手不足であるとか、あるいは、生産資材、肥料、農薬の価格が高騰している等々重なって、なかなか厳しい状況だという話でありました。
その中でも、工夫をして、人のやりくりあるいは生産資材をいかに安く確保するかというところで努力をしているということでありましたが、私は、ふとそこで思ったわけであります。確かに、ハウスを活用して先進的な栽培を行っている、そうした努力はあるわけでありますが、そもそも、鹿児島という地理的場所においてそうした鮮度が求められる軟弱野菜をつくるということが、果たしてふさわしいのかどうかという点もあるのではないかということでありました。
週末私が読んだこの「農業新時代」、さまざまな事例も取り上げられておりました。その中で私が関心を持ったのは、韓国でありました。
韓国は、御案内のとおり、各国とのFTAの締結によって国内農業が打撃を受けた。これは、我が国も大変似たような状況に地理的にもあるいは国土的にも置かれておりますので、韓国の例というのは大変参考になるわけでありますが、韓国におきましては、そうした経済連携協定が早期に締結された余波を受けて、韓国国内の農業も大変大きな打撃を受けたわけでありますが、その韓国の農家が取り上げられていたわけであります。
具体的に言うと、パプリカ農家の取り組みでありました。
パプリカは、国内においてもイタリア料理、イタ飯という言葉もありますが、大変イタリア料理は人気がありますので、国内においてもパプリカの消費というのは大変盛んで伸びているわけでありますが、その大半が海外からの輸入に頼っているわけであります。オランダからの輸入が多く占めるわけでありますが、そこに目をつけた韓国農家がいたわけであります。オランダと比べれば、当然韓国は地理的に日本に非常に近いわけでありまして、ここで勝負できるのではないかということで、その農家はパプリカ栽培に取り組んだということでありました。
先見の明があったと申しますか、その農家がつくるパプリカは、今、日本において大変取り扱いがふえておりまして、韓国でも非常に成功した農家というふうに見られているというくだりでありました。
ここに私は、まさに今般の農政改革の中でもキーワードになっておりますマーケットインという思想があるのではないかと思いました。市場が何を求めているか、それとともに、その地域において何を栽培するのがふさわしいのか。そうした思想で韓国のその農家さんはパプリカを選び、日本に輸出をするという思想でありました。
一方で、私が訪れた農家、頑張ってはいますが、なかなか苦戦をしているという中で、このまま軟弱野菜でいいのか、あるいは、鹿児島の地理的な特徴を踏まえた上で別の作物に転換すべきなのか等々あると思います。
農家の皆さん方は、一生懸命、目の前の作物の栽培に取り組んでおりますが、やはり、そうした思想のもとに、自分が何をつくるべきなのかというのをわかった上で努力をすれば、よりその努力が報われる、流した汗が報われることになろうかと思っております。
そうした中でお尋ねをいたします。
今申し上げたように、マーケットインの発想で、その地域において何をつくればいいのか、そういうことが今非常に重要であると思います。そうした方向性を導いてくれるようなガイドブック、あるいはガイドライン、あるいは最適生産物マップ、そういったものがあれば、そうした農家の後押しをできるのではないかというふうに思っておりますが、現在、農林水産省において、国内向け、あるいは輸出向けを含めて、マーケットインの発想での地域における最適な農産物、生産物の選択に向けて、現状どのような政策支援を行っているのか、お伺いしたいと思います。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
国内向け、輸出向けを問わず、消費者また実需者のニーズを的確に把握いたしまして、マーケットインの発想で農産物の生産に取り組むことは重要というふうに考えてございます。
このために、需要動向を的確に把握している実需者と産地が直接連携いたしまして、売れる農産物を求められる品質で安定供給する体制を構築する必要があるというふうに考えてございます。
このため、農林省といたしましては、まず、マーケットのニーズに対応した作物の選択、また、新規作物を導入する際の実需者と産地のマッチングの支援、あとは、実需者、生産者、普及等が一体となりまして高品質な新規作物を安定生産するための技術習得の支援、例えば、野菜におきましては需要が拡大しております加工、業務用への転換のための機械化一貫体系への導入支援、果樹におきましては高品質な新品種、品目への転換のための改植の支援など、品目の特性に応じまして、マーケットインで農産物の選択を行う農業者と産地の取り組みを支援しているところでございます。
○宮路委員 ありがとうございます。
現状においてもいろいろなそうした転作支援というものは行っているということでありますが、今後の日本農業の発展のためにはさらにそうした思想を持って農政を進めていくべきと考えますけれども、我が国の将来の農業のあり方についての、できれば大臣の決意といったものをお聞かせいただければと思います。
○山本(有)国務大臣 御指摘のように、今後の国内農業の振興に当たりましては、人口減少等の社会構造、ライフスタイルの変化、国内外の新たな市場開拓の可能性を踏まえて、消費者に選択される農産物や加工品の供給に取り組んでいくことが重要というように私も考えております。
このため、ライフスタイルの変化に対応した加工、業務用需要への対応、機能性農作物の活用等を通じた医福食農連携の推進、食品産業と連携した高付加価値商品の開発支援、また、海外のニーズの把握や需要の掘り起こし等を踏まえた戦略的な輸出拡大の取り組み、さらに、農業者自身が価格決定を行い、消費者ニーズをより的確に把握できる直接販売の拡大等に取り組むこととしております。
今後とも、マーケットインの発想によりまして、国内外の多様なニーズに対応した国内農業、食品産業の改革を強力に推進してまいる所存でございます。
以上でございます。
○宮路委員 ありがとうございます。
マーケットインの思想で作物を変える、言うはやすく行うはかたしであろうと思います。今まで栽培してきたものを変える、その品目を変えるというのは非常に勇気の要ることであろうと思います。その勇気を持って一歩を踏み出す、それを後押しするのが政治の役目だと思っておりますので、ぜひとも、経営マインドを持って取り組める、その後押しを農水省としても行っていただきたい、そのように考えております。
ちょっと時間がございませんが、最後に一点だけ質問させていただきたいと思います。
これもまた先週末の話になりますが、私、地元で、ある畜産農家のところを訪問いたしました。その畜産農家は、本当に山の上に一戸だけある農家でありました。あわせてWCSなども栽培しておりまして、いわゆる耕畜連携で取り組んでいる農家であるんですが、驚くべきことに、最近子牛の価格も大変高くなっております。生産も行っているんですが、子牛の競り市で買ってきた牛を肥育してもいるわけであります。大変子牛の価格が高いものですから、その農家さんは平均価格以下の子牛を買ってくるわけでありますが、大変その環境が恵まれているんでしょうか、あるいは育て方が非常にすぐれているのか、そうした平均価格以下で買ってきた子牛を立派に育て上げて、ほぼA5の牛として出荷をしている。A5以外が二十頭中一頭出るか出ないか、そういった割合で、驚くべきことではありますが、そうした農家の話でありました。そしてその牛は、枝肉は、マカオの方に輸出をされているということでありました。
中山間地中の中山間地で、そうした家族経営の農家が世界を相手に頑張っている。しかも、後継者は娘さんです、女性。その女性が頑張っているということであります。
TPPを受けての畜産クラスターの事業がございましたが、その活用も考えているということであったんですが、残念ながら、今年度の当初予算にはクラスターの予算は計上されませんでした。
確かに、TPP対策と銘打ってやってきたわけですので、TPPの行方がわからなくなってしまった以上そうなってしまったのかもしれませんが、しかし、TPPのいかんにかかわらず、そうした中山間地で、しかも世界を相手に戦える農家を応援する、強みを生かす農業、これがやはり我が国の進むべき道だと考えております。
その意味で、畜産クラスターの事業、これは大変期待も大きく、そして農家を後押しする重要な政策であると思います。ぜひその点について、国の予算獲得に向けた決意も含め、答弁をお願いしたいと思います。
○細田大臣政務官 ありがとうございます。
まず、宮路先生におかれましては、日ごろから、特に鹿児島県の農林水産業の振興について大所高所から御指導いただいていることに、改めて心から御礼を申します。本当にありがとうございます。
御指摘の畜産クラスター事業については、TPPの発効を前提とせず、必要な畜産、酪農の体質強化を促進するというために、毎年度の通常の対策とは別に追加的な措置を講じているものでございます。御指摘のとおり、平成二十七年度補正予算六百十億円、二十八年度補正予算で六百八十五億円を措置させていただきました。
御地元の鹿児島県は、これまでに五十二の畜産クラスター協議会が設立されたというふうに承っておりまして、これは北海道に次ぐ全国二位の数でございます。積極的に地域ぐるみで取り組んでいただいていることに、改めて心から御礼を申し上げたいというふうに考えております。
我が国の畜産、酪農の生産基盤の強化のためには、規模拡大や外部支援組織の活用等による生産性の向上が必要であるというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、引き続き本事業の適切な実施と、また必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。その必要な予算の確保については、ぜひ宮路先生からも御支援をいただければというふうに考えております。
ありがとうございました。
○宮路委員 大分時間を超過してしまいまして、申しわけございませんでした。本当に日本の農業がこれから羽ばたいていくために、ぜひ国を挙げて、委員の皆様とともに、私も頑張ってまいります。
ありがとうございました。
○北村委員長 次に、真山祐一君。
○真山委員 公明党の真山祐一でございます。
今、政府におかれましては成長戦略を取りまとめつつある段階にございますけれども、農業分野において、これから農業の未来を切り開いていく上で重要な柱と私が考えておりますスマート農業について質問をさせていただきたいと思います。
いわゆるAI、人工知能やIoT、ビッグデータなどの新しいICT技術、またそれを搭載したロボット、こうした先端技術が進展、発達をしていることによって、これが農業分野においても活用されつつあるわけでございます。近年では、AIの画像認識と深層学習を活用して、熟練農業者の生産技術を見える化しようという取り組みも進んでいると思います。
これは、私も、慶応大学の神成先生とNECソリューションイノベータが開発を進めております取り組みを、ちょっと現物を見せていただきましたけれども、熟練農業者の方がアイカメラをつけて、例えば剪定作業をする、また摘果作業をする、収穫をする際に、どういった視点に注目をして、そして判断をしているのか。その画像データを積み上げて、それを分析して、熟練農業者の、なかなか聞いても言葉であらわしていただけないスキルを見える化しようという動きが、取り組みが進んでおりまして、また、それをもとにした学習支援ソフトも開発がなされているわけでございます。
こうした、農業、特に経験に基づく熟練農業者の生産技術、たくみのわざを、学習支援ソフトを通して、未経験者であっても導入しやすい、また学習しやすい仕組みづくり、こういったことも今進んでいるわけでございます。
そのほかにも、ICTを活用して生産工程管理が行いやすくなることによって、GAP等の認証の取得、これも取りやすくなるわけでございまして、こうした、まさに攻めの農業を推進するに当たって重要なツールが開発されるわけでございまして、これはいわゆる農業の人手不足解消にも寄与するものというふうに考えております。
この農業分野におけるICT、ロボット等の先端技術を導入する意義、そして、その研究開発や導入支援に関する農林水産省の見解をお伺いさせていただきます。
○西郷政府参考人 人工知能、AIやICT、ロボット技術といった先端技術が急速に進む中、農業分野におきましても、こうした技術を積極的に活用いたしまして、人手不足などの現場の課題を解決したり、生産性の向上等につなげていくことが重要と考えております。
このため、農林水産省では、人工知能、AIやロボット技術等を活用いたしまして、トラクターの自動走行システムや、収穫作業など多くの人手を要する作業のロボット化などの研究開発を進めるとともに、今御指摘いただきました、熟練農業者のノウハウを見える化して新規就農者が学習できるシステムの構築などに取り組んでいるところでございます。
また、最先端の技術であってもコストが高ければ導入できないといったことがございますことから、例えば、五十万円以下で買える除草ロボットのように、農業者が導入しやすい価格などを目標として研究開発に取り組むなど、現場への導入が進み、問題解決に役立つものとなるよう、今後とも取り組みを進めていきたいと考えております。
○真山委員 次に、いわゆる次世代施設園芸についてお伺いをさせていただきたいと思います。
平成二十五年度補正予算から次世代施設園芸導入加速支援事業が実施されまして、全国十カ所に次世代施設園芸拠点が整備をされました。
その一つ、宮城県石巻市のデ・リーフデ北上、実は私、先日行ってまいりまして、ここは、御承知のとおり、先ほども議論がございましたが、オランダのフェンロー温室でパプリカとトマトを生産しております。さらに、木質バイオマスを活用いたしまして、また地中熱のヒートポンプも活用いたしまして、温度管理、また二酸化炭素、CO2、こういったものも環境制御型で実証している拠点でございました。
そのほか、栽培方法にもいろいろ工夫を重ねておりまして、その結果、事業立ち上げ時は結構心配をされた事業であったんですけれども、今現状は、パプリカもトマトも大幅に目標数量を上回る数量を実現しておりまして、事業者の方も今後の事業拡大にも非常に意欲を燃やしておりました。
この次世代施設園芸導入加速支援事業は、これは当然オランダの施設園芸を参考にしているわけでございますけれども、一方で、オランダ型の単に収量を求めるだけではなくて、日本らしい、食味であるとか品質にこだわりを持つとか、また、日本は台風が多いわけでございまして、耐候性の維持であるとか、さらには、先ほど言いました、エネルギーを木質バイオマスにするとか、日本型にアレンジして展開していこうということがこの事業の大きな柱だというふうに理解をしております。
高度な環境制御技術によって生産性が向上し、また地域エネルギーを活用することによってエネルギーコストを下げる、また温室の大規模化を図る、こういったことによって農業者の所得向上、また農村における雇用創出に貢献している様相を私も視察をしてまいりました。
そこで、お伺いをさせていただきますけれども、まず一点目が、この次世代施設園芸導入加速支援事業を十カ所展開してきました。その成果に対する農林水産省の見解。そして二点目に、今後、この成果をもとに全国展開を図っていくに当たって、どういったふうに取り組んでいくのか、財政支援も含めて、農林水産省の見解をお伺いさせていただきます。
○齋藤副大臣 今委員御質問いただきましたように、次世代施設園芸、オランダが先輩なわけでありますけれども、オランダの場合は、とにかく収穫量を上げるというのが最大の目的でやっているように私も視察で感じましたが、日本の場合は、委員おっしゃるように、日本型ということで、やや違った道を追求していく必要があるかなと思っているわけであります。
御指摘のとおりでありまして、ICTによる高度な環境制御と地域資源エネルギー、こういう活用を図りながら、需要に即した収益性の高い農業経営の実現というものを目指すのがこの次世代施設園芸でありますので、まさに攻めの農林水産業を推進する上で重要な施策だと思っています。
今、この次世代施設園芸導入加速化支援事業は、全国十カ所で整備した次世代施設園芸拠点のうち、委員が御視察された宮城県の拠点では、まだ一サイクルの生産を終えていないという段階でありますけれども、全国平均の収量と比較すると、既にトマトで二倍、パプリカで一・三倍の収量を上げるということでありまして、御案内のように、高い生産性を実現しておりますので、成果が出てきているなというふうに感じております。
全国展開のお話もございました。平成二十九年度予算におきまして、次世代施設園芸拠点の成果を情報発信するセミナーですとか、次世代施設園芸への転換に必要な技術の実証ですとか研修ですとか、そういったものを予算措置させていただいておりますし、また、強い農業づくり交付金の活用によって先進的な大規模園芸施設の整備等も支援できることになっておりますので、今後とも着実に推進をしてまいりたいと考えています。
○真山委員 ありがとうございました。
次に、今の次世代施設園芸、石巻の事例なんかはいわゆる太陽光型植物工場と言われるわけですけれども、一方で、人工光型、閉鎖型の人工光型植物工場についてもお聞きをさせていただきたいと思います。
報告によりますと、人工光型植物工場は、その半数が赤字であるというふうに言われております。人工光植物工場は、定時、定量、定品質、定価であるとか、あとは、可食部分、食べられる部分が非常に多いという部分もありますし、また、鮮度維持管理、鮮度の維持も、日もちがするというメリットもありまして、通常の露地栽培より高付加価値であることは間違いがないわけでございます。
しかし、やはり初期投資が非常にかさむということ、また光熱水費等の運営費が非常にかさむということもありまして、さらには、環境を制御する植物工場を運営する技術、これもまだまだ検討の余地があるようでございまして、そういったことが赤字の要因ではないかというふうに言われているわけでございます。
一方で、しっかりと収益を上げている工場があるのも事実でございまして、生産数量を上げているというこの技術はやはり世界が注目をしているようでございまして、私もつい先日、京都の工場を立ち上げた方にお話をお聞きいたしましたけれども、技術力の高さから、施設園芸の本家であるオランダもそうですし、またアメリカ、こういったところからも非常に技術提携の引き合いが強いというお話をお聞きしまして、改めて日本の技術力の確認をさせていただいた次第でございます。
また、その事例は、販路もしっかり開拓をしておりまして、全国の各スーパーにブランド化をしてしっかりと販売をしている。しかも、結構、小売もそうですし、またメーカーとしても非常に利幅も多いようでございまして、やはりそういった成功事例は間違いなくあるということを確信しているところでございます。
また、さらに、こうした植物工場も、より実需者の近くで生産を目指して、いわゆるコンテナ型のタイプをつくる、こういった取り組みもございますし、さらには、廃校であるとかそういった既存の施設を活用した取り組みもありまして、今後、まだまだこれからの産業かとは思いますけれども、非常に可能性は秘めているというふうに感じております。
この人工光型植物工場は、どちらかというと経済産業省が力を入れているように私は感じているんですけれども、やはり農業生産でございますし、品種開発や栽培技術、販路に精通した農林水産省の役割、視点というのが非常に重要なのではないかというふうに感じてございまして、人工光植物工場についても、研究開発を進めることであるとか、また販路まで含めたパッケージの導入支援、こういったことも必要ではないかと考えておりますけれども、農林水産省の見解をお伺いさせていただきます。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
人工光型の植物工場は、閉鎖された環境で高度に環境を制御いたしまして、野菜などを季節や天候に左右されずに定時、定量、定品質、定価で供給できること、また、お話ございましたとおり、可食部の割合が多い等の利点がございます。
また、太陽光を利用いたしませんので、コンテナですとか廃校等を活用して設置することも可能ということで、いろいろな可能性を有しているというふうに考えてございます。
他方で、人工光型植物工場は、施設の設置、運営コストが高いということ、また、コンテナですとか廃校等の利用の場合には断熱性とか気密性を高めるような施設の改修が必要である等々の課題もございます。
農林省といたしましては、強い農業づくり交付金で、先生から販路のお話もございましたが、費用対効果を確認した上で人工光型植物工場の整備を支援いたしますとともに、農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業等によりまして、人工光型植物工場も含めまして、施設園芸の高度化に資するすぐれた研究開発を支援してまいりたいと存じます。
○真山委員 時間も迫っておりますので、最後の質問を大臣にさせていただきたいと思います。
これまで取り上げてまいりましたとおり、ICTを活用した熟練農業者の生産技術を見える化する、こういった取り組み、また、太陽光型、人工光型問わずに、次世代施設園芸における高度な環境制御による農業生産技術など、農業分野における生産性向上のための技術が蓄積されつつあるというふうに私は感じております。
こうした農業生産技術、ノウハウをしっかりと集積し、官民ともに、農業分野における、コンサルティングという表現が正しいかわかりませんけれども、コンサルティング機能、体制を強化しながら、次世代農業者の育成を図っていかなければならないと思います。
また一方で、こうしたICTによって見える化されるノウハウ、技術であったりとか、先ほどの環境制御の技術、こういったことをしっかり知的財産として守っていく必要性も感じているところでございます。
今後の農業分野における生産技術の集積をしっかり図りながら、このコンサルティング機能また体制を強化し、そしてまた、農林水産分野における知的財産戦略について、農林水産省の見解、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
○山本(有)国務大臣 さまざまな新しい試みを御披露いただきまして、我々も力強く感じた次第でございます。そして、御指摘のように、農業者の技術習得、そして官民のコンサルティング機能を強化する、大変必要なことだろうというように思っております。
まず、熟練農業者の技術あるいはノウハウをAIによりテキスト化する、若手農業者が短時間で技術を身につけられるシステムづくり、これが大事です。そして、新技術を有する民間企業、研究機関と農業者や普及指導員、JA営農指導員等が直接情報交換を行って、最新の技術情報を入手できるセミナーの開催、あるいは環境制御型の施設園芸等の高度な技術指導に、そのシステムに精通した専門家が直接農業者を指導する、そうした体制づくりが必要だと思っております。
また、AIやICT等を活用したデータの知財保護が課題となっておりますし、今月十六日に知的財産戦略本部で決定されました知的財産推進計画二〇一七におきましても、データ利活用のための知財制度の構築が位置づけられているところでもございます。
農業分野におきまして、同計画に基づき、すぐれた農業技術やノウハウの知的財産としての価値や重要性を広く普及啓発するとともに、知的財産としての保護に関するガイドライン等を作成するなど、適切な知的財産保護のための措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○真山委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○北村委員長 次に、小山展弘君。
○小山委員 民進党の小山展弘です。
きょうは、一般質疑ということで、経産省さんや金融庁さん、あるいは商工中金の安達社長にもお越しをいただきまして、ありがとうございます。また、これはJAの、あるいはJFマリンバンクの信用事業を考える上で、ぜひきょうは、なぜ不祥事やこういった不正というものが起きてしまうのかということを考える意味で問題提起をさせていただければと思って、きょうお越しいただいた次第でございます。
それと、何よりも、きょうはその前に、宮路議員からお茶の差し入れがありまして、また過分なお言葉も私も賜りまして、ありがとうございます。またぜひこれからも、毎回でなくても時々でもこのようにお茶に親しんでいただければ、委員の先生方にも親しんでいただければというふうに思っております。
冒頭、ちょっと二問だけ。
前回の審議の際にちょっと質問をせずに、また前々回のときにも時間切れでお尋ねできなかったことなんですが、ちょっと嫌らしい質問で申しわけないんですけれども、確認的にお尋ねさせていただきたいと思います。
これは加計学園に関係することなんですけれども、前、私も山本大臣に三月の終わりぐらいか四月の初めぐらいに質問させていただいたこともありましたが、獣医学部の新設の要請とか国家戦略特区諮問会議の審議について、獣医学部の新設の件について、農水省事務次官はいつの時点でこのことを知ったのでしょうか。これは事実確認をまずお願いしたいと思います。
といいますのも、二〇一六年の五月の農水大臣の答弁では、獣医師の数は足りていると、獣医学部新設には否定的な答弁をなさっておられます。二〇一六年の十一月の国家戦略特区諮問会議では、山本大臣が特別議員として招かれ、その場で発言もされておりますが、これは特段の反対はしない、容認をするということでございます。
農水省さんは、全体の数は足りている、だけれども、地域によって偏在があるので、そういう答弁で、立場は変わっていないというような解釈ですけれども、見ようによっては、二〇一六年五月の答弁では新設を認めないというような方向性ではないか、それが容認、黙認するという立場に変わったようにも見えるんですね。この間、農水省の事務次官が、この獣医学部の新設や国家戦略特区会議からの要請に対して何らかの判断をされたといったことがあったのか。
この二点について、事実確認と、この関与についてお尋ねしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 まず、前段の需給でございますけれども、かつて、二〇一六年、あるいはその前でもそうでございますが、一般的に申し上げれば、需給の数については、バランスはとれておって、過不足はないという認識でございます。
ただ、農林水産省が責任を持って考えなければならない分野、つまり、基本的な計画をさせていただいている分野は産業動物医と公務員獣医師でございます。この需給についてはしっかり見ていかなきゃなりません。この需給は偏在がございまして、特に、畜産業が盛んな地域で不足感が著しいということは、かつて、十年前でも、今でも、変わりがないわけでございます。
その意味におきまして、我々にとりまして、畜産農家や酪農経営、それを基本とする日本農業というようなことを考えたときに、人材としてベーシックな生産に当たっていただける不可欠なものというのが産業動物医、公務員獣医師でございます。これが不足すると畜産業の振興ということには至らないわけでございますので、我々といたしましては、しっかりとここは確保したいわけでございます。そういうことを申し上げてきたわけでございます。
そして、事務次官が関与したかどうかでございますけれども、国家戦略特区における獣医学部の新設の議論に関しましては、消費・安全局が私に報告、説明を行う前に、事務次官にも報告、説明を行っているということでございました。その際に、事務次官は消費・安全局の報告、説明を了承しておりまして、事務次官自身は、それ以外の関与はないということを言っておったことを報告申し上げます。
○小山委員 きのうの通告の時点では、二〇一六年十月三十一日か十一月の一日、あるいは、その以前に八月ぐらいではなかったかというようなことでお話もありましたけれども、それこそ、去年、ことしですか、農業競争力強化プログラムなんかでも、かなり規制改革会議さんとも非公式の会議もある、それについては公式の会議ではないので把握はしていないと。
そういうところで、かなり奥原次官も剛腕をもってマスメディアにも報道もされておりますので、この件でも相当リーダーシップを発揮された部分があったのではないか、そんなことをちょっと推測した次第ですけれども、この非公式の打ち合わせといったものも事務方で事前にあったんでしょうか、なかったんでしょうか。あるいは、そこに奥原次官も出席されたりといったこともあったんでしょうか。
○今城政府参考人 お答えいたします。
まず、平成二十八年十一月九日の国家戦略特区諮問会議、ここの取りまとめに向けて、これは当然、私の方から大臣に、こういう形で取りまとめになりますという御報告を申し上げまして、それで大臣御自身の御了承をいただいたわけですが、当然、その前に、私から事務次官にも御報告申し上げ、了承いただいておるということでございます。
逆に言いますと、それ以外のいわゆる事務的な打ち合わせとかそういうものは行われておりませんので、奥原事務次官がそれ以外に何か非公式にかかわったということはございません。
それから、さらに申し上げますと、いつというお話がございましたけれども、最初に、平成二十八年九月二十三日に、日本獣医師会の皆様が山本農林水産大臣のところにこの獣医学部新設の件で陳情に来られたということがございまして、その件につきましての、その陳情書の内容というものが事前にわかりましたので、それを農林水産大臣に御説明する際に、私から事務次官にも、こういうような要請がございますということを御報告申し上げたというところでございまして、奥原事務次官がいつお知りになったかというお問い合わせでございますれば、そのときに初めて私から報告したということでございます。それ以外ございません。
○小山委員 ありがとうございます。
大変、規制改革会議の際にも、実は会議の提言書の作成にもかなりかかわっていらっしゃるんじゃないかというような、これはうわさですけれども、流れたこともありましたものですから、国家戦略特区会議とか規制改革会議、こういったところとの関係でもあったのではないかということを推測した次第でしたが、邪推でしたら大変失礼なことを申し上げたかもしれませんので、それは御容赦いただければと思っております。
それでは、きょう、せっかく経産省さんや金融庁さん、そして商工中金の安達社長にもお越しいただいていますので、この点、機会をいただければ経済産業委員会でまた質問をさせていただきたいと思っておりますが、きょうはさわりの部分だけお願いしたいと思っております。
まず、中小企業庁によって検査を商工中金さんにやっておりますね。その際に商工中金さんの今回の不祥事を発見できなかったのはなぜでしょうか。
○吾郷政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省といたしましては、これまでも、主務省といたしまして、二、三年ごとに定期的に商工中金の本支店に対して数カ月にわたる長期の立入検査を行いまして、業務の実施状況を確認してきたところでございます。
平成二十七年十二月から二十八年六月にかけても、経産省、財務省等が共同で立入検査を実施しております。その際には、審査等の業務手続の内容、内部監査及びそのフォローアップの取り組み状況、危機対応業務における要件の確認の妥当性、こういったことの実施状況の確認をしたということでございます。
他方で、今般の不正事案につきましては、検査の対象となる資料そのものが、あたかも適正な業務運営がなされているかのように不正に改ざんされていたということ等から、当該検査も含めて、過去複数回の立入検査などにおいても判明しなかったということでございます。
結果といたしまして、今般のような不正事案を防げなかったことについては、主務省として大変重く受けとめておるところでございます。
五月九日の日に商工中金に対して業務改善命令を発出いたしておりまして、全件調査の実施、問題の所在とその根本原因の特定などを求めているところでございます。
また、五月二十四日からは、金融庁、財務省等とともに立入検査を開始しております。根本原因の特定や法令等遵守態勢、経営管理態勢及び内部管理態勢等の検証を行っていくこととしております。
こうしたことを通じて徹底的に問題を洗い出しまして全容を解明していく中で、国の監督のあり方についても検証いたしまして、その結果を踏まえまして、立入検査を不正リスクを踏まえたものとしてその頻度をふやすことはもとより、あるべき検査体制についても検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○小山委員 私は、ちょっと正直、中小企業庁さんの検査が半年前にあったのは大変びっくりいたしました。
私がそれこそ前職にいたころには、農水省の水産庁常例検査とか農水省の検査が入ってくるとびくびくしまして、また、水産庁の検査官なんかも、これで我々がしっかりしたことができなければ、山本大臣が前に所管されていた金融庁に入ってくると、もっとこれはいろいろ別な観点からも問題を指摘されかねない、だから我々のところがしっかりやっていくんだという話だったんですけれども、きのうのお話では、かなり性善説に立っていた部分があったのではないかということだったんですが、ここはぜひ、きょうは余りここは本題ではございませんので、また向上させていっていただきたいと思います。
今度、商工中金さんに伺いたいと思いますが、資料一をごらんください。
資料一の下のところに、自己査定の債務者区分残高というところでありますけれども、これは二〇一七年三月期、中間期ディスクロージャー誌からコピーをさせていただいておりますが、二十八年九月末で要注意先が二九・一%、正常先は六六・四%の比率ということになっております。
これはプロパー貸し出しということで伺っておりますけれども、大体こういう貸し出しなんですが、危機対応貸し出しと言われている今回の案件、この件数については大体どのぐらいの比率で要注意先があったんでしょうか、正常先だったんでしょうか。
○安達参考人 お答え申し上げます。
まず初めに、国費が投入されていた危機対応業務におきまして不正行為を発生させてしまい、危機対応業務の指定金融機関としての信頼を大きく損ねてしまったことにつきまして深く反省しております。この場をおかりして、心よりおわび申し上げます。
お尋ねの要注意先以下の貸し出しでございますが、先生が今御説明になったこの表は、全体で要注意先は約三五%でございますが、これはプロパー融資及び危機対応融資を合わせた全体の数字でございます。そして、危機対応貸し付けにおける要注意先の比率はこれよりも少し高いものとなってございます。
○小山委員 ですので、危機対応融資というものは大体三割ぐらいあるわけですね。要注意先とかあるいはその先の破綻懸念、実質破綻先、これは二・六%、一・三%になっておりますが、この要注意先とか破綻懸念先のように業況の悪いお取引先様になるほど審査は厳しくなっていきます。ですから、支店決裁から本店審査部の審査ということになっていきます。
資料二をごらんください。これもディスクロージャー誌の方からきょうお配りをさせていただきましたが、この資料二の下の部分に商工中金さんの組織図が載っております。
一番左が与信統括部となっておりまして、左側から二番目に審査本部とありますね。審査第一部、審査第二部、審査第三部ということになっておりますけれども、格付が低くなっていったり、債務者区分が要注意先とか破綻懸念先になっていくほど、これは本店審査、まさに審査本部というところで、審査第一部から第三部までで厳しく審査をしていくというふうになっていきます。
そこで、お尋ねしたいと思います。
今回、危機対応業務というのは、これは定義どおりいけば、他行から借りることができない、資金繰りに困っているお客様、一時的とはいえ、ただ、一時的といったって何が一時的になるのか長期的になるのか、これはわかりません、基本的にやはり業況が苦しいお客さんが多いと思います。そういう危機対応業務の中で、本店審査部審査案件というものは一件も存在しなかったんでしょうか。加えてまた、改ざんというものがあった案件について、本店審査部審査案件は一件もなかったんでしょうか。
○安達参考人 お答え申し上げます。
危機対応業務のうち、本店審査部が融資審査した案件は約一割でございます。
今回の事象は、融資審査の前段階に当たる危機対応業務の要件確認において不正行為が発覚したものでございます。本店審査部で融資審査した一割の案件についても、事業性評価を踏まえた将来見通しの検証等を行っておりますが、不正があるという、不正リスクを踏まえたチェックをしていなかったため、見抜けなかったものでございます。
いずれにいたしましても、不正リスクを前提とした管理体制を築けず、不正行為を防げなかったことは深く反省しておりまして、危機対応業務に限らず、二度とこのような事態を起こさないよう、再発防止に努めてまいりたいと考えてございます。
○小山委員 今、安達社長からお話があったんですけれども、私は、特に今回の案件について、ほかのマスメディアさんとか、あるいはほかの方とちょっと違った意見を持っておりますのは、銀行員というか融資審査というのはどういうものかということなんですけれども、これは、企業の財務分析とか、企業がどういう業況にあるかという判断をする、ここの企業からお金が返ってくるかどうか。もう一つは、企業が、よかったり、大規模であったり、小規模であったり、あるいは悪くても、お金自体は、貸しても、つなぎ資金みたいに返ってくるものもあるわけですね。
例えば、格付が要注意先とか、あるいは場合によっては破綻懸念先であっても、行政に関係するような仕事で確実にお金が返ってくる、一週間でも、あるいはというものであれば、返ってくるお金であれば対応するという場合もあろうかと思います。これはそれぞれケース・バイ・ケースだと思いますけれども。
その中で、企業の財務分析をしていく中では、粉飾決算を見抜くというようなことも、当然これは融資審査の審査担当の者としては要求される資質だと思っております。多分、商工中金さんでも、貸し出しの研修なんかで、粉飾決算の見抜き方みたいなことをやっていらっしゃると思うんですね。そういうことをやっていらっしゃった中で、審査役やあるいは支店審査、支店の店内検査といったこともやっていると思うんです。
そうしますと、お客様が決算書を改ざんしたという場合には、これは粉飾決算になります。その粉飾決算をもとにして格付とかをやっていくと、これはどうも数字がおかしいということで、粉飾決算をやると必ず、一見つじつまがいいように見えても、例えば、経常収支比率であるとか、資金繰り表とか、資金移動表とか、あるいは回転率とか、さまざまな経営指標と見比べた場合に、どこかでつじつまが合わなくなるんですね。つじつまが合わないところから、これは粉飾しているんじゃないかということでわかっていくわけです。
今回は、お客様、取引先さんが改ざんをしたわけではないわけですけれども、大変、こんなことを、傷口に塩を塗るようで言いたくないんですが、商工中金さんの職員さんがこういう改ざんをしてしまった。だけれども、その改ざんしたデータをもとに、試算表であっても決算書であっても、それをもとに審査をするということであれば、これは当然、粉飾決算と同様なわけですから、審査担当としては見抜けるはずなんですね。
あるいは、一件や二件見抜けなくても、なぜこれを支店長が、支店であっても、あるいは本店審査案件であったとしても、この改ざんといったもの、いわゆる粉飾決算を見抜けなかったというのと同様だと思うんですが、なぜこれが見抜くことができなかったんでしょうか。
○安達参考人 お答え申し上げます。
融資審査は、決算書等を総合的に勘案した内部格付を基礎としつつ、事業性評価を踏まえ、足元の業況の確認及び将来見通しの検証等を加えて行っているものでございます。
このたび当社の職員が不正を行いましたのは、融資審査の前段階で、危機対応に至っているかどうか、その要件を確認する、その段階で自作をしたりしたものでございまして、融資審査はその後に始まるものでございまして、融資審査については、今申し上げたように総合的に行っているということでございます。
ただ、いずれにしても、融資審査でも試算表は一応使うわけでございますから、その試算表について、それが改ざんされている、不正がされているということを前提としたチェックをする観点がそもそもなかったものでございますので、不正行為を防げなかったことは深く反省してございまして、二度とこのようなことが起きないように、再発防止に努めていきたいというふうに考えてございます。
○小山委員 もしお客さんが改ざんをしていたとすれば、これは粉飾決算を見抜くということで、これも審査の対象なんですね。今回、お客様ではなくて、商工中金の職員さんがやっていたわけですが、粉飾決算の決算書であることには変わりはないわけですね。それをなぜ見抜けなかったのか。
審査担当の人は、試算表自体も手書きで変更されていたというものもあると聞いていますので、それ自体もおかしいということは気づけるはずですし、その他の財務分析の指標と見比べて、これは粉飾しているということはわかるはずなんですね。
実は、きのうの事前通告の段階でお尋ねした際には、結局、お客様の業況が悪いものをよく見せかけたというのは、これは粉飾決算だと見抜ける。財務分析の、今はすごいですね、システムに入力したら、これは粉飾決算の疑いありとアラームが鳴るというんですね。いや、これはさすがだなと思って。ただ、逆にそこに僕は頼り過ぎていたところがあるんじゃないかと。やはり指標はおかしいものが出てきますから。
それと、確かに悪いものをよく見せかけるということはなれている、だけれども、いいものを悪く見せていたという粉飾決算、改ざんについては見抜くことが難しかったというのはわかるんですね。だけれども、それでも、指標を丁寧に見ていれば、おかしいと異変に気づいたはずだと思うんです。
ちょっと金融庁さんに伺いたいんですけれども、これは審査担当としては見抜けなきゃいけないと思うんですが、あるいは、全部の案件が見抜けなくても、これだけの件数があれば、私は、誰かしら気づくことができたんじゃないだろうか、見過ごしていたというような疑惑もあるんじゃないかと思っていますけれども、商工中金の上席者が営業担当者のこういった改ざんを融資審査過程において発見できなかったことについて、金融庁さんはどういうふうに認識していらっしゃいますか。
○天谷政府参考人 お答えいたします。
まず、今回の商工中金の不祥事につきましては、金融庁といたしましても、預金者保護、信用秩序の維持の観点から、経済産業省及び財務省に加え、監督の一部を担っていたところでございまして、商工中金においてこのような不祥事事件が発生したことはまことに遺憾であるというふうに考えておるところでございます。
今お尋ねの、なぜ発見できなかったかということについてどのように認識しているかということでございますけれども、危機対応業務の要件を確認するために顧客から提出される試算表等の書類が、多くの支店及び職員により長期間にわたって多数改ざんされているということを踏まえますと、営業店における審査体制あるいは本部の検証体制等の内部管理機能の発揮というところで何らかの問題があったものというふうに考えておるところでございます。
現在、主務省共同で立入検査を実施中でございまして、上席者による内部牽制の状況等も含めまして、その実態を確認しているところでございます。
いずれにいたしましても、金融庁としては、業務改善命令や立入検査を通じて特定された根本原因等を踏まえて、内部管理態勢の整備強化等に関して適切な対応をとってまいりたいと考えております。
○小山委員 確かに、悪いものをよく見せかける粉飾ではない、よいものを悪く見せかけるというところが、先入観があって、こんなことはちょっと気づきにくかったというのはわかるにしても、でも、これは、丁寧に試算表と経営指標分析、資金移動表などを見比べていけば、ちゃんとした審査能力を持っていれば見抜けるはずなんです。これを見抜けないというのは、審査能力がないと言われちゃうことですよ。だから、僕はこれは非常に重大な問題だと思っております、むしろ審査能力として。
そこで、きょう結論の部分なんですが、農水省さんの方にお尋ねしていきたいと思うんですけれども、今まで農協、漁協に対して、体制整備不足ということで、不祥事が発生するから例えば専門職員を三人置かなきゃだめだとかそういうことで、いろいろな店舗を削ってきたんですね。
例えば前々回に私が御質問の際に出させていただいた和歌山県信漁連、五十七あった店舗のうち、今残っている店舗はたしか四店舗ですね。五十店舗以上の店を閉めてきたんです。これはなぜかといえば、職員がちゃんといなければ不祥事が起こるからだ、だからだめなんだと。
あるいは、貯金量十億円のちっちゃな漁協がありました。名前を出します、三尾漁協というところです。ここに、信用事業を譲渡してくださいと僕らは言った方なんですね。そのときに、その組合長は、五十年間一度もうちの漁協は不正を出していないんだ、だけれども、何で、専門職員が三人いなきゃだめなんだということが理由になって、体制ができていないといって、不祥事が起こるかもしれないからといって譲渡しなきゃいけないんだ、おかしいじゃないかと。
ちょっと収支の方も将来的に不安もあったので、そちらの方でぜひお願いしたい、御理解いただきたいということを申し上げて、今もう信漁連への譲渡はしたんですけれども、だけれども、そのときの組合長さんのお話です。
それで、地域の信用事業の店舗がなくなったということで、当時、郵政民営化の後でしたから、郵便局もなくなるんじゃないかという不安もありました。農協はその前に、とっくの前にもう店舗がなくなっていました。そうやって地域の金融インフラというものが失われていったということもあろうかと思っております。
今回、社長を目の前にして申し上げにくいんですが、体制もしっかりしている、そして東京やあるいは鹿児島といったような県庁所在地の支店でこういう事件が発生をした。私は、体制さえ整えれば不正は発生しないということは言い切れないんじゃないだろうか。
そして加えて、今、農協系統も漁協系統も体制整備などで多額な管理費を計上しております。この管理費の部分がもうちょっと例えば緩和されれば、収支もこれは変わってくるんですね。収支が変わってくれば、今話題の信用事業譲渡の判断といったものも変わってくるんです。
だから、そういう意味で、僕は非常にこれは重大な問題だし、金融庁さん、これはちゃんと対処しないと、中小金融機関はみんな金融行政を信用しなくなります。そのぐらい重大な問題だと思っております。
そこで、今後、今回の商工中金さんの案件も受けて、系統信用事業のあり方について、やみくもに体制整備を過度に求め過ぎるのではなくて、収益性の悪化も招きかねない指導はせずに、適度な人員配置ということはすべきですけれども、このあり方というものを再検討していくべきではないかということを、これは提案的に御質問させていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 組合員等から大切な貯金をお預かり、運用している系統金融機関で一たび不祥事件が発生すると、信用失墜、風評等によりその経営に重大な影響を及ぼすだけでなく、貯金者に不利益が生じたり、JAバンクシステム全体の信頼性に影響が生じる懸念がございます。
このため、我が国金融システムの一翼を担う系統金融機関におきましても、貯金者保護の観点から、他の金融機関と同様に、内部牽制体制や内部監査、監事監査といったチェック体制の整備が不可欠であると考えております。今後とも、金融庁と共同でしっかり指導を行ってまいりたいというように存じておる次第でございます。
○小山委員 時間が来たので終わりますけれども、ただ、一方で、不正というものが完全にゼロになるということはないと思っているんですね。ですので、いかにこれを少なくしていくかということかと思いますけれども、それと、地域で果たしている金融インフラとしての役割、このバランスをとっていくことかと思いますので、ぜひ、体制さえ整えれば不祥事は発生しないということではなくて、これからもバランスのとれた体制整備についての指導をお願いしたいと思います。
以上で終わります。
○北村委員長 次に、鈴木義弘君。
○鈴木(義)委員 二年ぶりに農水委員会で質問させていただきまして、ありがたいと思っております。
二年前と変わったなと思うのは、お茶の粉末が入ったんですかね、やはり農水委員会だなというふうに思います。午前中、経産委員会で三十分質問してきたものですから、本当にありがたいと思っております。
私は埼玉県の三郷市というところの出身で、今でも、葛飾に隣接しているものですから、都市農業が盛んで、葉物野菜を中心に今営農をしている農家の人がたくさんおられます。都市型農業の質問をしてくれというふうに言われたものですから、そこを中心に御質問したいと思っております。
農林水産省が出しているいろいろな取り組みのペーパーを見せていただくんですけれども、都市農業の現状と振興に向けた取り組みというふうに題して、農林水産省の資料にいろいろつづられてはいるんです、現状分析ということでは。しかし、それを振興していこうとする対策であればその対策がそこに掲載されていなければいけないんだと思うんですけれども、現状どのような対策をお考えになっているのか、先にお尋ねしたいと思います。
○佐藤(速)政府参考人 お答え申し上げます。
都市農業は、食料生産だけではなくて、農作業体験の場ですとか災害時の避難場所の提供といったような多様な役割を果たしております。その振興は重要な課題であると認識しております。
政策でございますが、農林水産省といたしましては、一つは、災害時の避難場所としての農地の活用のために防災用の井戸や進入路の整備、また二つ目に、宅地などと近接する都市農地の周辺環境等に配慮した防薬ネット、農薬を防ぐ防薬ネットの整備、さらには、福祉農園等の開設、充実に必要となる施設等の新設、改修、こういったことに対しまして支援をしているところでございます。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
私は先週末、地元の農家の四軒の方に、では、都市農業、今やっている仕事を通してどういうふうにお感じになっていますかというふうにリサーチをさせていただきました。
その中で、ある方は、昔から築地に野菜を納めている農家の方なんですけれども、今は枝豆をつくっております。冬場は天カブ、大きなこんなカブなんですけれども、今、築地に天カブを卸している農家さんは三軒ぐらいしかないというふうに聞いています。昔は何かいっぱいつくって持ってこられたんですけれども。
それで、今、枝豆の時期になっているんですけれども、築地に持っていくと一束五百五十円。船橋だと七百円から八百円で売れているんだそうです。築地の方が安いんですね。
これは何で築地の方が安いのかと尋ねたら、築地に地方からいっぱい荷が集まるんだそうです。需要と供給のバランスで金額が決まっていきますから、ですから値段が下がるんだと。
高値で取引していると、全国から荷が集まってくる。どこの市場もそうですね。あそこの市場が高値で取引しているよというふうにいけば、わあっと荷が集まる。行けば値段が下がる。これは、需要と供給のバランスで値段が決まっていくんだと思っています。だから、逆に言えば、荷が薄いところの地方の方が高値で取引されているという逆の効果が出ちゃうわけです。
該当する先生方がいらっしゃったら大変恐縮なんですけれども、山形県は、減反の反動で、一面枝豆畑なんですって。今まで枝豆をつくっていないところが枝豆をつくるようになっちゃった。減反してくれという農水省の方針があって、今いろいろ取り組みをされていると思うんです。そういったところが、減反をやめて枝豆をわあっとつくるんです。それが一どきに全部築地に来るんですね。今まで一把七百円、八百円で取引していたものが、五百五十円になっちゃっている。
地方はJAを通さないとだめなんだそうです。これは何でか、いろいろあるんでしょうけれども。個人で納入したいというふうに市場に、築地の市場なら築地の市場にかけ合ったときに、相手にしてもらえないんだそうです。
その方は、自分のところの地先で、一把四百円で枝豆を売っています。朝どり枝豆。これが飛ぶように売れて、固定客がついてしまって、自分の畑でとれた枝豆はほとんど自家販売で買ってもらっている。
この農家の方にお尋ねしたら、都市農業は、現在は流通網だとか情報網の発達によって、消費地近接といってもメリットがなくなっちゃっているんじゃないか。先ほど答弁をいただいたんですけれども、防災だとか避難だ云々というのは、それは全体のことから見れば大事なことかもしれませんけれども、事農業の振興ということに関して言えば、全然それはナンセンスな話だと思う。だって、なりわいにならない。
もう一つ、自由競争で、遠い昔から、過去から、これは過去の農林水産委員会でもお尋ねしましたけれども、先ほども申し上げましたように、需要と供給で値段が決まっているシステムで、今日までその制度でやっています。ですから、荷が集まれば安くなる、荷が集まらなければ高くなる、当たり前だと思うんです。
三番目、個人の努力が反映されない市場の仕組みや制度のあり方。今申し上げましたように、一生懸命つくって、いいものをつくっても、市場に出せば、全国から集まれば値段が下がる。その仕組みを少し変えていかない限り、農業振興にならないんじゃないかというふうに過去にもお尋ねしたんですけれども、そのときの答弁は、自分でいろいろな売り先を考えて売ればいいじゃないかという答弁だったと思うんです。
それから少し考え方は変えてもらったのかどうかわかりませんけれども、お尋ねをしたいと思います。
○細田大臣政務官 多岐にわたる論点を御提示いただきまして、本当にありがとうございました。
基本的な考え方といたしましては、私ども農林水産省は、さまざまな農業を取り巻く制約要因の中で、農業者の方々が安心して農産物の生産あるいは販売が行われるような環境整備に努めていくということだというふうに考えております。その上で、各農業者の皆様方がそれぞれ創意工夫を凝らして農産物の生産あるいは販売をしていただくということが基本であろうというふうに思います。
先生からお叱りをこうむるかもしれませんけれども、その点でいえば、先ほど先生がお話しになったように、ぜひいろいろな知恵を絞って、より高く売れるところで販売をしていただきたいと思います。
先ほどの例でいえば、大変恐縮ですが、素朴な疑問としては、とれたての枝豆を一束四百円でというお話があったんですが、例えばこれを五百円あるいは六百円で売るということも十分可能ではないかというふうに思いますし、また、そういう固定客がついておるのであれば、そういうことも十分可能ではないかというふうに考えるところでございます。
いずれにいたしましても、個別のさまざまな政策メニューについてはまたお問い合わせをいただければきちんとお答えをさせていただきたいと思いますけれども、基本的にはそういう考え方で私ども行政を行っているということをぜひ御理解賜れればというふうに思います。
○鈴木(義)委員 今御答弁いただいていることはネットで流してくれていると思うんですね。そういう答弁をいただいて、地元の農家の人がどういうふうに感じるかなと思います。
もう一つ。その方は不動産収入のある方なんです、倉庫を幾つか。市街化の中で営農をやっていますから、兼業農家だから結局農業が続けられているとこの方はおっしゃるんです。それは、その他の不動産収入があるから、農業が、枝豆をつくったり天カブをつくったりできるんですけれども、今、地域によって多少差がありますけれども、うちの方で一反当たり七十万から八十万の固定資産税を払うんです。もうけを七十万、八十万出すのがどれだけ大変なのかというのが想像つくかということです。
息子さんが今サラリーマンをしているんですけれども、後を継ぐかどうかはまだわからない。もう七十五ぐらいの方なんですけれども、私と話をさせてもらっている人は。それで、新規就農支援の百五十万が、自分が農業をやっていて、息子がサラリーマンをやっていて、やめて後継ぎになったら百五十万はもらえないんですよね。これはおかしくないかというふうに言われました。国は大規模化でコストを下げろと言うんですけれども、自分自身の年齢、今営農している方の年齢によって、息子か娘さんが継ぐか継がないかで、将来どうしようかというふうにみんな悩むんです。
それと、農家をやっていると、これは私が言っているんじゃないんですよ、この方が言っているんです、嫁が来ない、嫁さんが来ても農家の手伝いをしてくれない、だから生産性が上がらないし、施設園芸をやるにもハウス代が高過ぎる、こういうふうにおっしゃられるんです。
これをトータルすると幾つかの点にまとめられるんですけれども、都市農業の振興を図るのであれば、一番の要望と課題は、固定資産税、相続税などのやはり税金の問題だというふうに思うんです。
もう一つ。新規就農者支援の百五十万の助成対象、これも特定の人に決まっちゃっているんですね。農家の息子さんなんかにも支給できるんだったらさせてあげたらいいんじゃないかと思うんです。それと、助成をした後ずっと営農を続けてもらっているのかどうか、それが全然数字であらわれてこない。
もう一つ。市街地や市街化調整区域で、農地が点在していて、集約化して規模を拡大するというのはなかなか難しいということなんです。周りが宅地化されちゃっているということですね。農地が点在している。それで生産性を上げろといっても、これはなかなかうまくいかない。
それで、今申し上げたように、嫁さんが来ないという、農業をやっていて。
私のところも昔農家だったんですけれども、この辺の対策をどういうふうに講じる考えでいらっしゃるのか。都市農業の将来、自分で販促を拡大するということなんでしょうけれども、国としての支援策をどう考えているのか、まずお尋ねしたいと思います。
○細田大臣政務官 ありがとうございます。
まず、都市農地の税負担の問題でございます。
これは、生産緑地の指定を受けることにより、相続税納税猶予の適用や固定資産税が農地評価、農地課税となるなど、税負担の軽減が図られるということになっております。
これは、国土交通省と連携し、この生産緑地制度の活用、あるいは現在いろいろ議論されておりますが、その制度の拡充を図ってまいりたいというふうに考えております。
次に、先生から御指摘ございました新規就農支援についてでございますけれども、農業次世代人材投資事業において、親の経営とは独立した部門経営を行う場合は、親元に就農する農業者も支援の対象としております。実績といたしまして、資金の交付終了後も約九七%が就農を継続しているという実績がございます。
こういう取り組みを含めて、農業における新規就農者の支援というのを引き続き行ってまいりたいというふうに考えております。
また、先生から御指摘ございました都市の農地の集約化についてでございますけれども、これは、都市農業が小規模かつ分散した農地を生かして行われるという特徴があることから、確かに、面的集積による効率的な農業経営の実現というのはなかなか困難であるというふうに考えております。
一方で、食料の生産のみならず、都市住民への災害時の避難場所や農作業体験の場の提供、農業に対する理解の醸成等、多様な機能を発揮しているということから、保全するべきものとして、先ほど申し上げたような生産緑地制度の活用あるいはその税制面の支援を通じて、そのための施策を打っていきたいというふうに考えているところでございます。
いずれにいたしましても、私の地元でも農家の方は多数いらっしゃいまして、先生から御指摘のあったような悩みはよく伺うところでございますけれども、基本的には、やはり農家収入をふやすということでいわゆる後継ぎをふやすということだろうと思っております。
このために、また、農業競争力強化支援法等の審議をお願いしたりしたところでございますが、こういう取り組みを通じて収入を上げるあるいはコストを減らすということで農家の収入の増加を政府一丸となって図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○鈴木(義)委員 この収入を上げるというのが至難のわざで、だから、一番農家の人は困っているんです。消費者は、大体水曜日とか木曜日にスーパーのチラシが入って、一円でも安いところのスーパーに買い物に行くんです。そこがやはり、なかなか理想と消費者の行動というのは違うんだと思うんですけれども。
もう一方、市街化の中で、ハウス栽培で一年じゅうコマツナだけつくっている農家の人にお尋ねをしたんです。
この方もやはり今築地にコマツナを出しています。市場に出して競りにかけると、誰がつくったものなのか、それがおいしかったのか、そうでなかったのか、生産者に伝わらないという問題点があるんです。これは当たり前の話ですよね。だから、逆に言えば、箱に、育成の条件、農薬を何を使ったとかどのぐらい入れたとか、肥料は何を使ったとか、そういった情報を記入させて、一回食べたらおいしかったというふうに思ってくれればまた買いに来てくれると言うんです。
自分ではコマツナの成分表を添付して納めているんだそうです。これがまた、成分表をつけるのがよさそうに見えるんですけれども、今の消費者は、数字を自分で調べるか、保健所か何かに持っていくんだそうですね。そうすると、数字に差異があると、すぐデータが違うじゃないかとクレームをつけてくるんです。季節によってその成分のばらつきがあるんですけれども、それを説明すれば消費者は納得してくれるんだそうです。
そういった工夫をして、少しでも高値で買ってもらいたいというふうに生産者はやっているんですけれども、市場に出すということで、逆に言えば、そういった情報が伝わりづらいというのもあります。
先ほど生産緑地のお話もいただいたんですけれども、税制が今のままでいけば、市街化内で農地をやっている人はみんなやめていくんじゃないかというふうに言っておられます。
それともう一つ、築地に納めているんですけれども、東京都が運営している東京青果株式会社に八・五%の手数料を払っているんだそうです。手数料は自由化したというふうにいいながら、ほとんどこの手数料が変わっていない。これは会社がやっていることだから、農水省がどうこう言える立場じゃないんですよと答弁すればそれで終わっちゃう話なんですけれども、結局、この八・五%の手数料が重くのしかかるんです。
それともう一つ、消費税の免税額の一千万を超えないように考えて作付している人もいる、こういう話なんです。免税業者だから超えた場合は消費税の八%を納めなくちゃいけないんですけれども、だから一千万にならないように抑えちゃうというんです。現実の話です。
市街地の農地を防災に使用するため、市が今野菜の補償の算定をし始めているんだそうです。災害があったときに、そのハウスの中で、人が避難してきたときに、作付してあればそれを踏み潰しちゃうわけですから、そこの補償をどのぐらいにしたらいいのかというのを市が中心になってやっているという。
それと、あと、今お話をいただきましたように、生産緑地の制度を今後どうするのか。平成三年にスタートしました。当時の、バブルが発生したときに、土地の価格を抑制するために市街地にある農地を解放して、少しでも土地の価格を冷やそうじゃないかというのが生産緑地の考え方の一つだったと思うんです。災害のときにそこを避難場所にするとか緑の環境を残すとかといういろいろな目的はあったんでしょうけれども、あと三年ぐらいでタイムリミットを迎えます。
生産緑地法は、御案内のとおり、三十年たてば市町村が買い取るというような法律のたてつけになっていたと思うんです。でも、生産緑地の指定を受けていた人が、一度、制度上は市が買い取ってくださいというふうに申し入れをしても、市は買えませんから、どうぞ好きに処分してくださいという形で、大体建て売りに化けているんです、マンションとか。だから、今後その生産緑地をどうしていくのかということです。
農業所得を倍にするのは、単純に言えば、野菜の値段を倍にすればできるんじゃないかと言うんです。だから、所得倍増、所得倍増というふうに農水省の方はおっしゃられるんですけれども、野菜の値段を倍にすればいいんだけれども、倍にならないんです、単純に言えば。
市街化で土地を持っている方は農業はやりたくない、私が言っているんじゃないですよ、この方が言っている。そういう声が多いということですね。できれば土地は売りたくないけれども、貸したいという人が多いと言うんです。税金が高い、この方も同じことをおっしゃっています。
先ほどと重複するところは省いて質問をさせていただきますけれども、流通としての市場の役割はあるんでしょうか。今申し上げましたように、個人の努力を情報として伝える工夫が必要じゃないかということ。
それと、市場の手数料八・五%が適正かどうか。
それと、農地を災害のときに活用するのであれば、それまで持ち続けている、保全するためのコスト、それを行政がきちっと手だてできるかどうか。
四番目、生産緑地の制度が平成三年からスタートしているんですけれども、三十年の満期になるまであと二、三年、これをどういう方針に変えていくのか。この方がおっしゃっているんですけれども、三十年の再延長をするのか、逆に終身制にするんじゃないかというふうにその方はおっしゃっていました。
五番目、農業はコストがかかり過ぎという議論ばかりで、値段を倍にするというのを全然議論していないんじゃないかというふうに私に問いかけられたので、質問させていただきたいと思います。
以上五点、お願いしたいと思います。
○細田大臣政務官 ありがとうございます。
冒頭お話がありました顔の見える農業といいますか、私もたまに近所のスーパーに買い物に行ったりしますけれども、そこの例えば野菜に、生産をされた農家の方の顔写真と、どういう方がというようなプロフィールが張ってあったりする商品、そういうものは特に最近の消費者にも求められていると思いますし、また、農業者あるいは流通業者の皆様方がそういう努力をされて、実際にどういう生産者がどういう形でつくられているかという情報を消費者に提供するような取り組みというのは非常に重要であるというふうに考えているところでございます。
先ほどお話がありました、いわゆる手数料の問題でございます。
これは、制度の側面から申し上げれば、平成二十一年に国が定める上限というのを廃止しておりまして、料金自体は自由化をされております。これも大変恐縮な言い方になりますが、手数料の額が高いということであれば、またさまざまな出荷ルートを御検討いただくということも一つの方法としてあり得るのかなというふうに考えております。
生産緑地については、先ほどお話を差し上げました。先生御指摘の問題も含めて、現在、制度の拡充についての検討を行っているところでございまして、できるだけ早く検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
いずれにいたしましても、先ほど申し上げたとおり、いわゆる収入を上げて、またコストを下げるということで、農家経営の安定を図っていきたいというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 要するに、野菜の値段を倍にするにはどうすればいいかと尋ねたときに、今お考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
○細田大臣政務官 現在、農水省といたしましては、いわゆる価格支持を行うという政策は採用をしておりません。基本的には値段というのはいわゆる市場の中で決定されるものというふうに考えております。
ただ、例えば大幅な価格の乱高下によって農家の収入が不安定になるというのは当然のことながら望ましくないということでございまして、これについては、例えば今般提案をさせていただいている、いわゆる経営安定のための保険制度の創設、運用などを通じて収入の安定を図るということであろうか、こういうふうに考えております。
あるいは、さまざまな全国的な市場の機能を活用することによって、全国レベルでの価格の安定を図るということであろうというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 では、次の方は、調整区域でコマツナをほとんど一年じゅうつくっている、私よりも少し若い方なんですね。まだ二十年先まで働けるぐらいの方なんですけれども。この方がおっしゃるには、都市農業を続けていくのであれば、不動産収入三から四対農業の収入を七から六、第一種の農家でやっていきたいというふうに答えられている農家の人なんです。
野菜で一人当たりで作付できる面積というのが大体経験値の中で出ていて、二・五反から三反が限界だと言うんです。だから、面積をどんどんふやしたからといって、一人で作付できる面積というのはもう決まってきちゃうということですね。それで、規模を拡大するには息子が後継ぎになるかどうかで、まだ学生だから将来どうするかは聞いていないし、他人を雇い入れてまで農業は続けたくないという方なんです。
コマツナは、一昨年、二年前のときは値段がよかったんですけれども、ことしは茨城産のコマツナがたくさん入ってきているんだそうです。この方は大田市場に荷物を出していっています。業界では、茨城産の作物が入ってくると、値段がみんな暴落するんだそうです。量がたくさん来ますから。だから、先ほど冒頭申し上げましたように、需要と供給なんですね。だから、地元の選出の議員の方には大変恐縮なんですけれども、自由につくって自由に売ってくれといったら、値段は下がり続けますよ、今のやり方のままでいけば。確かに消費者は喜ぶんでしょうけれども。
だって、なぜコマツナかというふうに言われたら、江戸川区の小松川というところでつくっていた菜っぱだからコマツナなんですよ。それが今、埼玉もそうですけれども、千葉でも茨城でも群馬でも栃木でも、福島、全国でコマツナをつくるようになってきているんだそうです、地球温暖化によって。それをずっとつくり続ければ、値段はどんどん安値安定化しちゃうんです。だから、所得倍増にしろといったって、コマツナの値段が倍にならなければ所得は倍にならないんです。幾ら種代だとか肥料だとか施設園芸の建て方の金額を下げたとしても。
だから、先ほど申し上げましたように、一人で作付ができる露地の大きさというのは決まっちゃうということなんです。
過去の農水委員会でもお尋ねしたかもしれませんけれども、売り上げは、単価掛ける数量。だから、単価を上げない限りは、数量をどんどんつくったからといって、農家の収入は上がらないということなんです。そこの原理原則がわからないで、自由なところに売りに行けばいいじゃないですかと言うだけで、それで所得倍増になるかといったら、そんな単純にはいかないんじゃないかと思うんですけれども、もう一度御答弁いただきたいと思います。
○細田大臣政務官 ありがとうございます。お答えになるかどうか。
私、新潟が地元なんですけれども、新潟県の例でいいますと、基本的には積雪寒冷地で水田の単作地帯でございます。御存じのとおり、お米の値段というのがここ本当に長い期間下がり続けておりまして、これは日本人の米の消費量が総体として非常に長く減少し続けているというような状況にあるわけでございますが、その意味で、新潟県の農家は非常に厳しい状況でございます。
ただ、一方で、専業で農業を本格的にやるという農家の皆様方は、国の当然支援もあるわけですが、例えば、飼料米に転換する、あるいは枝豆に転換する、あるいは園芸作物に転換するというようなまた努力も一方で続けていて、収入を上げるというような努力もされておられます。
確かに、さまざまな要因の変化、変動ということがあると思いますけれども、ぜひ国の支援を活用して、それに対応するような形で個々の農家の方には努力をいただきたいというふうに思います。
なお、いろいろと細かい制度的な支援メニューというのは本当に農水省はたくさん持っておりますので、これらについては、またお尋ねがあれば、きちんと説明をさせていただきたいというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 時間が参りましたので。
農家の方が言っていました。やはり風と雨、これが一番大事なんだそうです。やはり露地で野菜をつくった方がおいしい野菜はつくれる、施設野菜よりも。だから、そっちの方向に向けていこうとするのか、機械的に、野菜工場みたいなものでつくって、収量だけつくればいいのかというのをやはり考えなければならない時代に入ってきているんじゃないかと思うんですけれども、最後に大臣の御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 都市農業の御苦労を随分詳しくお伝えいただきまして、本当にそのとおりだというように思っております。
コマツナの生産農家の御苦労、また市場に出すときの御苦労、全部私も理解させていただきました。それぞれ、さまざまな生産者とまた消費者、市場、そのほかステークホルダーがたくさんおられますけれども、今後我々は、市街化区域にある農地につきましては、これまでやがて宅地になるものというように位置づけておりましたが、今度新たに大都市、三大都市にもこれはあるべきものというように位置づけを変えました。
その意味におきまして、徹底的に支援をさせていただきたいというように思っておりますので、短い時間でございますが、支援をするという決意を申し上げまして、答弁とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○鈴木(義)委員 よろしくお願いします。終わります。
○北村委員長 次に、宮崎岳志君。
○宮崎(岳)委員 民進党の宮崎岳志でございます。
獣医師の需給にかかわる問題ということで、加計学園問題について質問をさせていただきます。
まず、お手元に資料をお配りいたしました。五月三十日の朝日新聞、「首相補佐官から要求 「総理は言えないから私が言う」」という。中身は、和泉首相補佐官が前川当時の文科省事務次官に対し、総理は言えないから私が言うというふうに言って、この加計学園の特区での獣医学部新設を早く認めるよう迫った、このような内容の記事であります。
もともと、五月二十七日土曜日に毎日新聞のスクープから始まりまして、三十日火曜日、より詳しい記事が朝日新聞に掲載をされ、さらにはその後、前川氏本人が書面で、この発言があったのは事実であるということを報道陣に発表されたというふうに伺っております。
これを聞きたいということで、和泉補佐官を答弁者として要求いたしましたけれども、与党の方は受けられないということで、和泉補佐官をこの場に呼んでいただけませんでした。
また、これに関連して、その前川前事務次官の個人的なスキャンダルに関する記事が新聞に載った。その出元はどこなんだろうということであったら、前川次官御本人が、去年の秋に首相官邸の杉田官房副長官からこの件について注意を受けたと。そうすると、その情報の大もとは、どういう経緯かわかりませんが、大もとは首相官邸なんだろう。
さらに、一部の週刊誌報道でございますけれども、北村情報官のお名前もこの件に関して登場していましたので、杉田官房副長官、また北村内閣情報官、このお二方についても、和泉首相補佐官とともにこの委員会にお呼びをして御答弁をいただきたいというお願いをいたしましたが、このお二人についても、与党の反対で拒否ということであります。
民間人だから出せないという理屈はまだわかりますが、幹部公務員、なぜ出せないのか。法務委員会では、こちらが要求もしていない刑事局長を無理やり採決をしてまで呼んだじゃありませんか。大臣も答弁できる、副大臣もできる、各局長もできる、審議官もできる、しかし、和泉補佐官や杉田副長官や北村情報官は出せない、こういうことを言っている与党の態度、政府の姿勢には、大変、事態の解明を妨害せんとする意思を私は感じてならない。私も、こういう質問をしていると、ある新聞などにスキャンダルを書かれるかもしれませんけれども、これはゆゆしき問題であるので、きちんと解明をしたい。参議院の方でも答弁を要求しております。
ぜひ、皆さん、これを真摯に受けとめていただいて、やはり、きちんと当事者にお話を聞くということが大切だと思うんですね。特に、和泉補佐官は報道陣には回答しているんですよ。報道に答えられて、なぜ国会で発言ができないのか、私は理解に苦しむ。
そういうことでありますが、まず質問に入ります。
本日、そういう皆さんのかわりに、萩生田副長官がぜひ来たいということで、おいでをいただいたわけなんですけれども、まず、萩生田副長官、御本人について先ほど新しいお話が若干出たので、確認をしておきたいんです。
かつて、本物だと言われる八枚の資料というものの中に、十月七日に萩生田副長官が文科省の幹部というか担当の方々と会って、こういう発言をした、そんな内容の資料がありましたね。
きょうの民進党のプロジェクトチームの方で文科省の松尾審議官にお伺いをしていましたところ、十月七日には、確認したら確かに萩生田副長官と文科省の高等教育局長が面談をしたという事実が確認できました、こういう御回答がありました。
そこで、確認できたということなので、萩生田副長官、このときに何をお話しされたのかということを含めて、詳細をお示し願えますか。
○萩生田内閣官房副長官 まず、宮崎先生から、私が出たくてこの委員会に出てきたという御指摘がありましたけれども、国会の求めに応じて出席をしましたので、そういうことではございません。
十月七日の件ですけれども、前回、この委員会に呼ばれたときに、詳細についてお答えできませんでした。きちんと確認せよということでありましたので、私の方でも確認したんですけれども、私の官邸の日程につきましては、翌日破棄というルールでやはり処分をしておりましたので、そちらでは確認できませんでした。
私の会館の事務所の方で、その控えといいますか、違うバックアップなんですけれども、それを確認しましたところ、夕刻に義家文科副大臣と面談予定という日程が確認できました。しかし、義家副大臣に確認しましたら、その日はもともとアポを入れたんだけれども、予定ができてお会いできなかったということだったので、ああ、そういうことなのかと思いましたら、先ほど、今説明がありましたように、高等教育局長が私のところにお見えになったということでございます。
恐縮ですけれども、そのときにどういうテーマで、どういう話題でしたかというのは、ちょっと記録も記憶もございません。
○宮崎(岳)委員 萩生田副長官がいらっしゃった経緯について申し上げれば、そういう方々はみんな来られないというんですよ。では、質問は誰にお答えいただけばいいんですかと聞いたら、答弁する者は誰もいなくなりますという回答が首相官邸から来たんですね。誰もいないというわけにはいかないでしょうということで萩生田副長官になった、このような経緯でございますので、私どもは、確かに形式上こちらから呼んだということかもしれませんけれども、官邸、内閣官房の求めに応じて萩生田副長官に来ていただいた、こういう理解なんでございます。
さて、面会についてはお認めになったということで、内容については覚えていない、そういうことでありますが、文書の信憑性、今さらどの程度信憑性があるのかというようなものをもう論じる場合ではないぐらい確認をされたということだと思っております。
それを踏まえてちょっとお伺いしておきたいんですが、当時の前川喜平文科事務次官に対して、和泉洋人首相補佐官が、まさに総理は言えないから私が言うというふうに発言をしたとされています。
では、萩生田副長官、かわりにお答えいただけるということだと思いますが、前川氏とこの時期、杉田さんが会われて、このような発言をされたということはありますか。違う、和泉さんです。済みません、和泉さん。
○萩生田内閣官房副長官 和泉総理大臣補佐官からは、前川前文部科学事務次官との面会について、記録が残っておらず、確認ができないと聞いております。
なお、総理は自分の口からは言えないから私がかわって言うと発言したとの報道がありますが、大臣補佐官からは、そのような発言をした記憶はなく、本件について総理から指示を受けたこともないと聞いております。
○宮崎(岳)委員 会ったことはお認めになるんですね。和泉補佐官が前川文科事務次官とこの時期に会ったということはお認めになりますね。
○萩生田内閣官房副長官 記録が残っておらず、確認できないと聞いております。
○宮崎(岳)委員 記憶もないんですか。
○萩生田内閣官房副長官 確認ができないというふうに聞いております。
○宮崎(岳)委員 時期はともかく、獣医学部の新設の件について、和泉補佐官が前川当時の事務次官とお会いになったことはございますか。
○萩生田内閣官房副長官 本件について、直接文部科学事務次官とお会いをしたという記録や記憶は確認はできないというふうにお聞きをしております。その上で、報道にあるような、総理から指示を受けたり圧力をかけたという事実も、本人としては全く記憶にないということでございます。
○宮崎(岳)委員 記憶がない割には、随分そこだけ強く否定できるんですね、記憶がないのに。
結局、記憶もない、記録もない、こういうことですね。随分と都合のいいお話だなというふうに思います。
では、同じく、杉田官房副長官から前川文科事務次官に私生活上の問題点について注意を与えたことは、昨年秋、ありましたでしょうか。
○萩生田内閣官房副長官 御指摘の点につきまして杉田官房副長官に確認したところ、昨年秋、前川前次官がいわゆる出会い系バーと言われる場所に出入りをしているとの情報があったことから、前川氏本人に確認したところ、事実であると認めたため、厳重に注意したと報告を受けております。
○宮崎(岳)委員 随分都合のいいところだけ、記録も記憶もございますね。
では、この件について、首相官邸の誰かがマスコミにこの話を連絡した、話した、そういうことはありますね。
○萩生田内閣官房副長官 報道や臆測は別として、お答えするのであれば、政府においてこの情報を収集し、情報をマスコミにリークしたという事実はないと思います。
○宮崎(岳)委員 では、その注意を与えたもとになった情報は、どのように知り得たものですか。
○萩生田内閣官房副長官 その詳細は、私、存じ上げません。
○宮崎(岳)委員 通告しているわけですから、それについてきちんと、どのように把握され、どのようにマスコミに情報が流出したのかという通告をしております。
杉田副長官や北村情報官にこの件を確認していただきましたか。
○萩生田内閣官房副長官 きょう答弁に当たるにつきまして確認をしましたけれども、今申し上げたのが全てでございまして、どこからどういう情報を得たということは、私の方ではお聞きをしておりません。
○宮崎(岳)委員 聞かなかったということですか、あえて。
○萩生田内閣官房副長官 情報源については、私に対しても説明はできないというふうに承知しております。
○宮崎(岳)委員 どうも今の答弁を考えてみると、結局この情報は、官邸において把握をして、前川氏本人に注意をして、それが前川氏がインタビューをする前日に新聞に載ったけれども、なぜそういうふうに流出したかはわからない。
この情報がなぜマスコミに漏れたかについて、官邸内あるいは内閣官房で、内部で調査をする考えはありますか。
○萩生田内閣官房副長官 官邸から情報が漏れたという前提でお話をされていますけれども、そのような認識がございませんので、あえて調査をするつもりは現時点ではございません。
○宮崎(岳)委員 そんな、前川氏の私生活上のことをほかの誰が知っているんでしょうか。官邸で把握していた情報なんですよね。違うんですか。
○萩生田内閣官房副長官 さまざまなところからさまざまな情報というのはございますので、この話はちょっとにわかに信じがたいお話ではありましたけれども、副長官が確認したところ、本人が認めたということで、その情報源がどうしたということよりも、本人に対して、文科行政を預かる事務次官としていかがなものかということで注意をされたというふうに報告を聞いております。
○宮崎(岳)委員 もう本当にこういう質問をしなければならないこと自体が大変恥ずかしいし、じくじたるものがございます。政治の世界ですから、敵もいて味方もいるわけでありますが、やはり私は、その中にもきちんとしたルールやマナーというものがあってしかるべきではないかというふうに思いますので、強い怒りをここで表明しておきます。
さて、これはちょっと森友学園の関係になりますけれども、一応事実だけ確認させてください。
和泉補佐官が、平成二十七年度サステナブル建築物先導事業、木造先導型というものに対して、国土交通省や一般社団法人木を活かす建築推進協議会とやりとりをしたことがあるか、また、森友学園の申請代理人であったキアラ建築研究機関及び藤原工業等の関係者と面識はあるか。本人がいれば詳細に伺えるんでしょうけれども、いないということなので、通告分の範囲内で事実確認だけさせてください。お願いします。
○萩生田内閣官房副長官 和泉補佐官に確認をしたところ、御指摘の平成二十七年度のサステナブル建築物等先導事業に関して、補佐官が国土交通省及び一般社団法人木を活かす建築推進協議会とやりとりをした事実はないとのことでした。
また、補佐官は、キアラ建築研究機関及び藤原工業の関係者とは一度も面識はないということでございます。
○宮崎(岳)委員 もう一点、これは昨日の参議院での質疑との関連でありますが、安倍総理、また萩生田副長官が、加計学園から、いわゆる給料ということになるんでしょうけれども、何らかの報酬をこれまで受け取っていたということは、各紙で報道になり、また御本人たちもお認めにはなっておりますが、その総額はいかばかりか、確認をしたいと思います。お答えいただけますか。
○萩生田内閣官房副長官 総理につきましては私からお答えする立場に本来ございませんけれども、昨日の参議院の法務委員会において、当選当初、一年間十四万円の役員報酬を受けていたと総理が答弁をしているものと承知をしております。
私自身につきましては、政府の一員として公職についている期間はもちろんのこと、国会議員である期間について加計学園から報酬を受け取ったことは一切ございません。
あえて申し上げれば、私が民間人だった時代に、客員教授としてその報酬はいただいていた事実はございます。
○宮崎(岳)委員 御本人が、落選中に客員教授を務められて月十万円の報酬を受けていたということを既にお認めになっていたかと思いますが、違うんでしょうか。
○萩生田内閣官房副長官 私がその仕事についていたのは事実でありますけれども、民間人のときの報酬のことでありますから、大学側ですとか、現在同じようなポストで働いている方もいらっしゃって、その方たちの、言うならば個人情報にもつながるというふうに思いますので、国会の場でお答えするのはいかがかなと思いますので、できれば控えさせていただきたいと思います。
御質問の中身は決して間違っていないと思います。
○宮崎(岳)委員 国会の場で答えていたかどうか、全ての議事録を詳細に検討していないので私もわかりませんけれども、マスコミの場できちんと御発言をされているということでありますので、それをこの場で答えられないというのも。
事実としてはお認めになっていて、月々十万円、落選中、どれぐらいかわかりませんけれども、民主党政権が三年三カ月ありましたから、そのうちのかなりの部分ということなんでしょうか、そういう状況であったということなんでしょうけれども、マスコミの場に答えていただいているんですから、国会で答えられないというお話にはならないのではないんでしょうか。違いますか。
○萩生田内閣官房副長官 実はその記事は、再当選をした直後に、要するに落選議員が、どういう形で再起を期す、あるいは生活をどうしているのかということを聞きたいということで、極めて紳士的なお話だったものですから私もお答えをしたんですけれども、具体的な金銭の中身や何かにつきましては私の方では明確に申し上げたわけではないんですが、結果として活字になりましたので、そのことは、大きなクレームじゃないんですけれども、ちょっとその取材のやりとりのお約束と違うということで、私の方から申し入れした事実もございます。
○宮崎(岳)委員 取材が、記事の内容、テーマが、紳士的だから答えるとか、そうじゃないから答えないとかという種類のものでもないとは思うんですが、わかりました。事実関係としてはお認めになっているということだと思います。
さて、ちょっとテーマをかえます。
文部科学省についてなんですが、文部科学省が、昨年の十一月八日です、十一月九日に追加の規制緩和事項というのがまとまって、そこで獣医学部の新設の方針が決定をされたわけでありますけれども、その前日に、文科省から加計学園に対して、メールだと思うんですけれども、あなたのところはこういうところが足りないからきちんと直しなさいという文書が出ております。加計学園への伝達事項ということで、先日御説明いただいた構想につき文部科学省として懸念している事項をお伝えする、こういう内容であります。
例えば、既存の獣医師養成でない構想を具体化や既存の大学、学部では対応が困難な場合という観点から差別化できるよう、よく検討していただきたいとか、アドバイスですよ。括弧がついていて、(表現ぶりの工夫が必要、その際、ハードルを上げ過ぎないよう注意)、それから、国際性の特色を出す具体的な取り組みが十分に示されていなかったので再検討いただきたいとか、獣医高度臨床医の具体的需要も説明が必要であり御準備いただきたいとか。
これは、まだ加計学園に決まったわけじゃない、加計学園ありきじゃないと言っているんですけれども、いかに加計学園を通すかどうか、そのアドバイスを文科省がしているんです。
もともとこれは、文科省の内部で回ったメールなんですよね。その添付資料なんですよ。こういうものをまとめて、きょうじゅうに加計学園側に出して伝えなきゃならないと。伝える内容はこれでいいかどうか関係各所に確認をするという、そういう内容のペーパーなんです。
表書きが、表書きといいますか、メールの本文というのがあります。先ほど紹介したのは添付ファイル、こちらはメール本文です。高等教育局専門教育課の牧野さんという我々も面識がある課長補佐の方ですが、この方から設置室と私学部宛てに送られたとされています。
そして、いろいろな方にカーボンコピーでこのメールが送られて、そこに、皆さん、これを確認してください、何か追加で指摘すべき事項や修正があれば本日十三時半までに教えてください、十四時に先方から電話が来る予定です。先方というのは加計学園ということだと思うんですが、十三時半までに、皆さん、御意見があればどうぞ、こういうものなんですね。この中に、担当する方々のお名前がいろいろ出てくるんです。
そこでお伺いしたいのは、まずこの文書が、真偽がどうかということなんですが、出した方はいるということはわかっています。これを受け取ったとされる、広末さん、新木さん、丸岡さん、麻生さん、福島さん、辻さん、黒部さん、鳥居さん、小野さん、生方さん、こういった方々は文科省に実在する方ということでよろしいでしょうか。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの文書でございますけれども、これは入手経緯それから出所も不明でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、先生から今御指摘をいただいた個人名でございますけれども、三名を除きまして、同姓同名の者が文部科学省高等教育局高等教育企画課大学設置室または同局の私学部に現在在籍または過去在籍しておりました。
○宮崎(岳)委員 そうすると、ちなみに、三名の人は影も形もない、現在もいないし、過去にも存在したことはない、名前を見ても思い浮かばない、こういうことでよろしいんですか。
○松尾政府参考人 ただいま申し上げましたのは、七名につきましては、大学設置室、私学部に在籍していたか、あるいは在籍しているかということでございましたので、その二つの部署には在籍ないしは過去に在籍していたということはないということでございます。
○宮崎(岳)委員 では、文科省には、その二つの、私学部とか設置室以外にはいる可能性がある、例えば、まさに専門教育課とか、あるいは高等教育局内とか、そういうところにはいる可能性はあるということなんですか。
○松尾政府参考人 同姓同名の者はおります。
○宮崎(岳)委員 全員いるんじゃないですか。全員いるということですよね。ただ、その宛先の部署名に書いてあるところにいないけれども、その近くの部署、関係する部署にはいるということですよね。とすると、やはり極めてこの文書の信憑性は高いということだと思います。
そして、この文書を見ると、結局、石破四条件というのがありますね。獣医学部を新設するためには、この四つの条件を満たさなければなりません、この四つの条件を満たすのであれば、獣医師の需給を担当する農水省も、あるいは養成機関を担当する文科省も納得しますよというこの石破四条件。この石破四条件を満たさせるために、これは、文部科学省が一生懸命、加計学園に対してアドバイスをした文書だと思うんですね。
しかし、こういうことをやること自体が、つまり、後に公募をしているわけですよね、翌年に。翌年に、一月になって公募をしているものを十一月の段階で、こうしてください、ああしてください、こうした方がいいですよ、こういう提案にしてくださいなどとまとめること自体が、これは加計学園ありきということじゃないんですか。
義家副大臣、いかがですか。
○義家副大臣 まず、誤解のないように説明させていただきますと、文部科学省においては、学部の設置に係る相談や問い合わせをいつでも誰からも受け付けているところでございます。
この前提に立って、このことは、なぜかといえば、設置が抑制されている分野でも同様でありまして、実際に当該分野に該当する相談等があった場合は、抑制分野であるため、仮に申請があった場合には不認可になる旨も伝えてあります。
また、特区制度の活用によって抑制分野において新学部を設置したいという希望を持っている法人から、最終的には設置認可の手続が必要となるという見通しのもと、問い合わせを受けるのはあり得、その際、設置認可に至るプロセスの一つとして特区構想等の説明を受けることも考えられるところでございます。
そのような問い合わせについては、希望する誰でも開かれているところでございます。
○宮崎(岳)委員 今の御説明ですと、つまり、確かに今つくれない学部かもしれないが、いつでも相談は受け付けますよ、アドバイスもしますよ、それが私たち文部科学省の仕事だから、こういう説明だったと思うんですが、結論をいえば、では、加計学園にそういう指導はこの十一月ごろしていたということでよろしいですね。副大臣、副大臣。せっかくいるんですから。
○義家副大臣 学校法人加計学園からも設置認可の手続について問い合わせや相談があったというふうに考えられますが、その相談の状況については、公にすることにより当該法人等の利益を害するおそれがあるため、従来より、ほかの学校も含めて、お答えすることは控えておるところでございます。
○宮崎(岳)委員 まあ、控えるけれども、では、松尾審議官でいいでしょう。
この紙、では、にせものですか。
○松尾政府参考人 副大臣と同じ答弁でございます。
先ほども申し上げましたとおり、お尋ねの文書につきましては、入手経緯、出所も不明でございますので、コメントは差し控えたいと思いますし、一般論として、先ほど副大臣から御答弁させていただいたとおり、学部の新設を検討している学校法人から、設置認可の手続に係る問い合わせや相談が行われることはよくあることでございますが、本件、学校法人加計からも手続について相談があったと考えられる、これはよくわかりませんが、その相談の状況について公にすることにより当該法人等の利益を害するおそれがあるため、従前より、お答えすることは差し控えさせていただいております。
○宮崎(岳)委員 まあ否定はされない、こういうことだと思います。
今、義家副大臣と同じでございますという御答弁でありました。これはいい答弁で、逆に、金田法務大臣みたいに、役所の方の言ったことを、刑事局長と同じでございますと大臣が言うのは問題ですが、政治家が言ったことについて同じでございますと官僚の方が言われるのは、これは私は正しい態度だと思いますけれども、いずれにせよ、こういうことをやっていてもおかしくはないというか、事実上お認めになったことだと思います。
しかし、私は、このメールの本文部分を見ますと、昨日、大臣及び局長より、加計学園からに対して、文科省としては現時点の構想では不十分だと考えている旨早急に厳しく伝えるべきという御指示がありました。(局長からは先ほども、早く連絡して、絶対きょうじゅうと言われたところです)そこで、私から先方の事務局長に添付内容をお伝えしようと思っておりますところ、追加で指摘すべき事項や修正があれば、本日十三時半までに教えてください。十四時に先方から電話が来る予定です。大臣レク三枚物の懸案事項を引く形で作成しております。
こういうことでありますが、やはりこれは、通常の学部新設に係るそういう問い合わせとは違うんじゃないか。
やはり、このようなことを、お認めにならないでしょうけれども、ほかの大学にはやっていないと思うんですね、こういう相談への対応、こういうことであれば特区で認められますよと。なぜなら、それは、特区で認めるかどうかというのは内閣府の方の所管であって、そこに合うかどうかというのを文科省が、私、ここまでやるんだろうかというのは、やはり違和感がかなり残るところだと。
もう一枚別の資料についてお伺いしたいんですけれども、内容は、内閣府と文科省の間の、十一月九日の追加の規制緩和事項、この文言をまとめるための調整過程のペーパーの一つであります。
資料を一枚おつけしておりますけれども、これは東京新聞です、五月二十五日です、資料二というものですね。左下の方に年表みたいなのがついていて、何月何日何があったというのが書いてあると思います。
二〇一六年のところの十一月九日に、この諮問会議が獣医学部の新設を認める方針を出して、そしてそのときに「国家戦略特区における追加の規制改革事項について」という紙を出して、ここに、最近話題になっている、例えば、「現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度の改正を、直ちに行う。」これはまとまったときの文言、そういうものです。
これをどういうふうに見るか、私も何度も山本幸三大臣とかに地方創生特別委員会等で伺いましたが、まあ、これは関係ないとおっしゃるんですけれども、十月二十三日に福岡六区の補選があった。日本獣医師会の会長である蔵内さんの御長男が出馬をされて、鳩山邦夫さんも地方創生特別委員会の前委員長だったんですけれども、この息子さんと福岡六区補選をやって、そして蔵内さんの方が惨敗をされる。
そういう中で、ある意味、福岡県内も含めて、政治的な対立に一定の決着がついて、その中で、麻生さん、蔵内さんの力が低下をしたという状況の中で、そろそろとこの件が動き始めて、翌日、山本幸三大臣は、首相官邸に入って総理と面談をする。そして、十月二十八日、わずか数日後に、内閣府が文科省に対してペーパーを出して、こういうことでどうだというのを、十月二十八日に案の案というのを出す。
案の案を内閣府が文科省に出すんですけれども、それに対して文科省が回答した文書であろうというものが、こちらにあるものなんですね。お認めにはならないかもしれないけれども、こういうものを文科省は内閣府に返しているんです。
その返している内容というのは、幾つかの文言を追加せよというものなんですが、代表的なところは、その文章の中に、既存の大学、学部では対応が困難な獣医師養成の構想が具体化しという文章を冒頭につけてくれとか、それから、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地からという文章を途中に入れてくれとか、これが大きな二つのことなんですね。
この文章は、聞いておわかりのとおり、日本再興戦略改訂二〇一五の中に出てくる文章で、いわゆる石破四条件と言われるものなんですよ。つまり、石破四条件という閣議決定の文言があるので、そこから引いてきた文章を二カ所に挿入してくれというのが文科省の主張だったんです。ある意味で真っ当な提案かなというふうに思うんですけれども、結局、この文言は盛り込まれませんでした。
盛り込まれなかった理由というのを、特区担当、藤原審議官、お答えいただけますでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
今お示しいただいたこの資料につきましては、出所もわかりませんので、私ども内閣府としてお答えする立場にはないと思っておりますけれども、その上でお答えをさせていただきますと、日本再興戦略改訂二〇一五では、お話ありましたけれども、一応四条件をお示ししているわけでございますが、これは、検討に当たっての留意点を示したものでございます。
一方、昨年の十一月九日の諮問会議の取りまとめというものは、これらの留意点を踏まえまして、特区のワーキンググループ等におきまして、文科省、農水省と制度的な検討を重ねた結果、取りまとめに至ったものでございます。
日本再興戦略改訂二〇一五は、検討に当たっての留意点を示すものでございますので、それに対しまして諮問会議取りまとめは、検討を踏まえた制度の趣旨、概要を示すものでございます。
したがいまして、文言上、両者が一対一対応となっていないのは、このような性質の違いによるものでございます。
○宮崎(岳)委員 文章の内容についてはともかく、こういう御提案が文科省からこれあり、それはかくかくしかじか、今言った石破四条件は留意事項だから、こういうことでお断りした、こういうことでいいですね。藤原さん、これでよろしいですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府が提示した原案、その後の意見や修文の具体的な内容につきましては、お示しすることは差し控えさせていただきます。
昨年十一月の諮問会議取りまとめにつきましては、行政機関の意思決定が済んでいるものの、その原案などの途中段階での情報を公にしますと、将来の同種のさまざまな議論が存在する規制改革の検討におきまして、関係省庁間の率直な意見交換が困難になるといった影響を及ぼすおそれがあるということによるものでございます。
一方で、諮問会議取りまとめや、その議事要旨などは、ホームページ等で公表させていただいております。また、取りまとめに至るやりとりの時期、あるいは相手方のプロセスについては、できるだけ詳細に御説明してきているところでございます。可能な限り、情報は公にさせていただいております。
○宮崎(岳)委員 藤原さん、ここの場に来ていただいているので、一つだけお伺いしておきたいんですが、藤原審議官が、総理の御意向だというふうに言ったとか、あるいは、官邸の最高レベルが言っていることだというふうに言ったとかいう文書が出ております。文科省によると、それが本物かどうかは確認できないけれども、内容が全て事実じゃない、でたらめなにせものだということも言わない、これが文科省の対応なんです。
今、総理の名前を出したことがあるというふうに報道されているのは、藤原さんと先ほどの和泉補佐官、このお二人だけなんです。
藤原さん、総理が言っていないときでも総理のお名前を出して、これは総理の御意向だとかと言うことは、この件に限らずありますか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
委員が御指摘になりました報道に取り上げられている文書につきましては、文科省による調査の結果、確認できないということでございますので、内閣府としてお答えする立場にございませんが、この文書の有無にかかわらず、報道にあるような、昨年秋、九月、十月ということでございますが、第一回目の今治市分科会が開催されたということもありまして、関係各省と今後の進め方につきまして事務的な議論は行っておりました。
ただ、その際、本件獣医学部新設につきまして、官邸の最高レベルが言っている、総理の御意向だと聞いているなどとお伝えしたことはございませんし、また、総理からそうした指示等はございません。
仕事をする上ででございますけれども、総理のお考えなどにつきまして、私ども事務方にとって大変重いものでございます。こうしたことを不正確にお伝えする立場にはございません、確認する立場にございませんし、万一にも誤ってお伝えすることのないよう、こういったことには言及しないことにふだんから細心の注意を払っております。
他方、総理は、毎月のように高い頻度で開催されている特区諮問会議で、個別の項目や個別のプロジェクトではなく、規制改革全般についてスピード感を持って実現すべきという旨、重ねて発言されております。これはまさに、国家戦略特区法の基本理念、あるいは閣議決定されております特区基本方針に沿った趣旨のものでございます。
私ども事務方が言及させていただくことができるとすれば、この特区諮問会議での御発言、すなわち、個別項目や個別プロジェクトではなく、規制改革全般についてスピード感を持って実現すべきという範囲に限られるものというふうに考えております。
○宮崎(岳)委員 いや、私、文科省から内閣府に出した文書を拝見して、文科省は真面目に対応しているんだなというのはよくわかりましたよ、このときに。つまり、確かに獣医師会が既得権益でこういうことに反対していたという背景事情はあるんでしょうけれども、全く門前払いにしたわけじゃなくて、こういうものを入れたらどうでしょうか、こういうふうにしたらどうでしょうかという、ちゃんとした具体的な御提案を内閣府の方にしている。それを内閣府で門前払いをするような文章に私には読めるんですね。
石破四条件というのがもともと閣議決定された文書としてあるわけですから、それから文章を引っ張ってくるのは、何ら否定されるべきものでは私はないんじゃないかと思いますが、結局、修正理由という欄がここについているんですね。そこを読むと、何が書いてあるかというと、つまり、こういう石破四条件にある文言を入れることで、内閣府、文科省、農林水産省、厚生労働省において特定事業者に求められる要件について定め、公表すること、あるいは、新設可能な獣医学部の規模を示すこと、あるいは、日本獣医師会等の関係者の十分な理解と協力を得られるように農林水産省及び厚生労働省において責任を持って意見調整を行うこと。
三番目のものはともかく、一番目、二番目というのは、条件を決める、それから獣医学部の規模を決める、これを事前に決めてしまうと、加計学園は条件に当てはまらなくなる可能性があったわけですよ。だから、あえて石破四条件を外したというのがこのことの経緯ではないか。私は、この文章を見て、当然そのように理解されるというふうに思っております。
さて、これは一応最後に文部科学省にお伺いしておきますが、各府省が、特定事業者に求められる要件について定めて公表しておくべきだ、あるいは、獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的な需要というのを踏まえて事前に新設可能な獣医学部の規模を示しておくべきだ、こういった主張は、この文書の真偽についてはいいですよ、今言った、要件を事前に定めて公表しておくべきだ、あるいは、規模についても示しておくべきだ、こういう要求は文部科学省の方から内閣府にしておりましたか。審議官、お願いします。
○松尾政府参考人 お答えいたします。
先生今御指摘の文書でございますけれども、入手経路、それから出所元も不明でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、あえて申し上げれば、これは以前も副大臣の方からも申し上げておったとおり、私どもとしては、一貫して、特区を所管する内閣府に対して、しっかりと調整していただきたい旨、これは常々需給の観点から申し上げてきたところでございます。
○宮崎(岳)委員 終わりましたが、確認だけなんですが、つまり、条件を事前に示すべきだ、規模、定員等を事前に示すべきだ、こういう御提案は、今の話は、ふわっとした中で、多分、そうですと言っているんでしょうけれども、条件をきちんと出せ、規模についても事前に出すべきだ、こういう話は、したのはしたということですね、何らかの段階で、要望は。
○松尾政府参考人 具体のやりとりにつきましてはコメントを控えさせていただきたいと思います。
○宮崎(岳)委員 時間となりましたので終わります。ありがとうございました。
○北村委員長 次に、吉田豊史君。
○吉田(豊)委員 日本維新の会、吉田豊史です。きょうもよろしくお願いいたします。
農林水産委員会、ずっといろいろ質問させていただいて、私の中で残っていましたのが、農をやって、それから水が終わりましたので、林が残っておったんです。
それで、林のことを取り上げたいなと思っておったところ、富山の方で先週末、五月の二十八日ですけれども、全国植樹祭が行われました。両陛下にも御来県いただいて、そして山本大臣にもお越しいただいて開催させていただきましたが、私たち、宮腰先輩も私も一生懸命、富山の方としておもてなしさせていただいたんですけれども、非常に、この植樹祭、天気も恵まれまして、私たちとすればいい大会になったかなと思っておるところです。
まず、山本大臣に、三日間富山の方にお越しいただいて、植樹祭のことも含めてどのようなことをお感じになったか、お聞きしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 五月二十八日に富山県で第六十八回全国植樹祭が開催され、私も出席させていただきました。その折、お世話になりましたことを御礼申し上げます。
また、全国植樹祭は、国土緑化運動の中心的な行事として、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、各都道府県の持ち回りで毎年春季に開催されているものでございます。式典では、両陛下のお手植えを初め、各種表彰などが行われておるところでございます。
今回、私も、天皇皇后両陛下のお手植えに合わせて、富山県が全国に先駆けて開発いたしました優良無花粉杉「立山 森の輝き」を記念植樹させていただくとともに、無花粉杉の苗木生産施設の現場や、富山県内でボランティア団体が取り組む花、樹木の維持管理活動を視察させていただきました。富山県民一丸となって緑化や林業振興に取り組む姿に感銘を受けたところでございます。
また、今回の出張では、森林・林業関係以外にも視察をさせていただきました。
まずは、地元産米を積極的に活用しているパック御飯の製造工場を視察し、その後、地元の町長やJA組合長にも御参加をいただきまして、意見交換を行うことができました。関係者一体となった御努力のもと、地域のおいしいお米を使って高度な衛生・品質管理技術で製造されるパック御飯は、国産米の輸出拡大の有力なツールであり、輸出拡大に向け、改めて意を強くしたところでございます。
また、富山県を代表する細工かまぼこの展示場や販売所も視察させていただきました。富山の海の幸を活用した伝統食材が今も県民の食生活、食文化に欠かせぬものとして受け継がれている姿に感銘を受けたところでございます。
私の高知県と違いますのは、立山連峰を背景とし、豊かな雪解けの水が扇状地帯を潤して、そして富山湾に流れ込み、さまざまな、魚種豊富な漁業の産地を形成しているというような、山、平地、海、三つが一体となったすばらしい地域だということを認識させていただきまして、非常に感動的でございました。
○吉田(豊)委員 本当に、目いっぱい褒めていただいてありがとうございます。そう言っていただくと、改めて、いいところに住ませてもらっているんだなと私自身が気づくことになるんですけれども。
林業が農林水産の中で私は特殊だなと思いますのは、やはり、一つ一つの行いに対して結果を見るのに時間がかかるという、もう全くタイムスパンが違うんですね。
今ほど大臣から御紹介いただいた無花粉杉「立山 森の輝き」ですけれども、こういうものを全国に先駆けて富山の方から出て試作して、開発させてもらったというのは非常に視点はよかったなと思いますけれども、実際、これが本当の意味で、植林されて、そして伐採の期を迎えて役に立つというときには、もう既に私たちの誰一人ここにはいないという、そういう時間がたってからの話になるわけで、そういうことを思うと、林業関係の国の施策というものは、非常に長いスパンを視野に入れて物事を考えていかなくちゃいけないという難しさと大切さということを私は感じるところでございます。
その上で、この植樹祭、非常に天候にも恵まれたと申しましたけれども、これを主催しているのは国土緑化推進機構というところだというふうに確認させてもらいました。国土緑化推進機構というのも、当然できて長い歴史があると思いますけれども、当初の役割と、今この現代にあって、植樹祭を含めて行っている、そういう役割というのはやはりいろいろ変わってきているんじゃないかな、こういうところも思うわけで、ぜひこのあたりについて、どのような認識で、この植樹祭を含め、今行われているかというところについて確認させていただきたいと思います。
○今井政府参考人 お答えいたします。
植樹祭の主催者団体であります公益社団法人国土緑化推進機構は、国土緑化運動を推進することによりまして、森林資源の造成、国土の保全及び水資源の涵養並びに生活環境の緑化などを図ることを目的とした団体でございます。
この目的を達成するために、一つは、全国植樹祭、全国育樹祭など国土の緑化行事の開催及び国土緑化の普及宣伝等に関する事業を行っておりますし、また、緑の募金の推進、そして緑の募金による寄附金の管理、そしてその募金を使った交付金の交付なども行っておりまして、一貫して、森林を初めとする国土の緑化や資源の循環利用に対する国民の意識の醸成等に大きく貢献している団体であるというふうに認識しております。
○吉田(豊)委員 今ほどおっしゃった循環ということ、これは実は新しい概念だと私は思っています。政策を立てていく中に当たって、循環というものの重要性、そういうことが表に出てきたのは、実はそんなに歴史がある話ではなくて、昔は、これは自然にあって当たり前のものだ、そしてそれを、いろいろなものを使っておしまいということだったのが、リサイクルという言葉もあわせて、物事は全て循環していくんだという中にあって、特に日本の場合は、森林率を考えましても、国土の大きなパーセントの森林がある、そこに降った雨が順番に下におりていって海に行くというところで農林水産業は全てにおいてかかわっていくという、これは循環そのものだ、こう思うわけです。
その中で、特に林野庁というところがこの国の森そして林業のところを支えていると思いますけれども、今一番何に重点を置いて、どういう考え方で国の施策を進めようとしているのかというところを、林野庁の存在意義を含めて確認したいと思います。
○今井政府参考人 お答えいたします。
林野庁の任務につきましては、農林水産省設置法に規定されておりまして、森林の保続培養、林業の発展、林産物の安定供給の確保、林業者の福祉の増進、国有林野事業の適切な運営を図ることを任務とするというふうにされております。
このような中で、林野庁といたしましては、戦後造成された資源が本格的な利用期を迎えている中で、この資源をまさに循環利用していく、そこに今重点を置いて施策を進めているところでございます。
○吉田(豊)委員 この委員会で、いつも私は参考人の方々に御出身をお聞きするんですけれども、今井長官はどちらの御出身なんですか。
○今井政府参考人 群馬県でございます。
○吉田(豊)委員 そうすると、長官にも今回、植樹祭の方に、富山の方にお越しいただきましたけれども、やはり全国それぞれ、林や森も顔が違うと思うんですね。
そういう意味で、群馬の森、それから富山の森、それぞれの森の違いとか、そういうことをお感じになったと思うんですけれども、群馬の中で、山の方にお住まいなんですか。
○今井政府参考人 北群馬郡吉岡町というところの生まれでございまして、そこは平地農村でございます。
○吉田(豊)委員 やはり、いつも同じことを言いますけれども、日本も広うございまして、大臣がおっしゃったように、富山にお越しになったときは、本当に山から海までずどんと落ちていくような、そういうところが富山の風景ですけれども、長官の方は、群馬は平地農村とおっしゃいましたか、山に囲まれた、そういうところということのイメージだと思いますので、やはりそれぞれ考えるベースが違うんだな、こう思います。
ただ、その上で、今一番大事なことは、こういう時間がかかる我が国の農林水産業の中での林業というその資産、森という資産、これをどういうふうにして管理して、そしてそれをどうつないでいくのか、それから、当然、私は、この委員会においては、やはり全て、攻めの農林水産業と言っている以上、林業においても、それをどう生かして次につなげていくのか、そういう視点が入った上で話が進まなくちゃいけない、こういうふうにも思うところです。
そういう中で、森づくりという活動、私は、やはり関係者、いろいろな人たちが、消費者という視点を入れるときには、今度は、では森については消費者は誰なのかというところを一番最初に押さえて、その上で、実際に森から生まれてくる木材だとかいろいろな効果、産出物、こういうものは消費者にとってどういう位置づけがあるのかというPRの世界は一番重要だろう、こう思うんです。
そういう意味での森づくりという活動、これが、植樹祭においても、非常に今活発に行われているということを私も間近に確認しましたが、この森づくりという活動について、今どのような位置づけ、そしてまた、森づくりについての活動をなさっている方々の好事例とか、皆さんが、ああ、そんなこともやっているのかというところがあったら、これは応援として御紹介いただきたいと思うんですけれども、お願いいたします。
○今井政府参考人 お答えいたします。
林業経営、なりわいとして林業を行うということではなくて、植樹祭等の際に見られましたような、自発的に植林や森林の手入れに取り組む、そういった森づくり活動が全国広く行われておりますけれども、そういった取り組みをなされている組織形態といたしましては、財団法人、社団法人、あるいはNPO法人、そして任意団体等、さまざまございます。
また、平成二十七年に林野庁の補助事業によりましてNPO法人森づくりフォーラムが実施した「森林づくり活動についての実態調査」によりますと、いわゆるなりわいとしてではなく、自主的な植林活動等に取り組んでいる団体は、全国に約三千余りあるというふうに把握をしております。
○吉田(豊)委員 その三千もある中にあって、もともとそういう活動が常にあったわけじゃなくて、徐々にやはりその必要性ということを感じられたということだと思いますけれども、植樹祭は、私は、一番大きな、やはり一つの森あるいは緑のPRの場所だろう、こう思うわけですね。
イベントというのは、いろいろなところで、特に地方自治においても行政は一生懸命いろいろなことをやるんですけれども、何かそのやることやることに追われてというか、ぼわれてと言えばいいか、本当の目的は何だったのかなというところをついつい見失いがちなところもあると思うんです、一方では。
その中で、植樹祭に富山県とすれば両陛下をお迎えして、富山県は非常にラッキーな県でございまして、二年前にも、全国海づくり大会のときにも両陛下にお越しいただいておるという、そういう非常に恵まれたタイミングで両陛下にお越しいただいておるんですけれども、今回の植樹祭のときに、両陛下に、大臣に御紹介いただきましたが、富山の無花粉杉を初め苗木を植樹いただいて、そして種をまいていただいたんですけれども、ちょっと私自身恥ずかしかったのは、私たちも代表の一人として植樹、もちろん大臣にも植樹していただきましたけれども、実際に植え終わって私たちが席に戻ったときには、まだ両陛下ともに一生懸命、丁寧に作業をなさっているわけですよね。
そういうところからも、いろいろなことというのは、自分たちの頭の中で何を考えているかということは、一つ一つの姿勢とか行動とかで見えてしまうなというところのいろいろなことも感じましたし、そういう中で、丁寧に一つ一つのことをイベントの中でも慈しんでやっていくこと、その重要性ということを訴えていらっしゃるところは、僕は改めて感銘したなというところがあります。
その上で、今さまざまなボランティア団体が活動してくれているというところ、それから、何でこういう林業、それから森林、森というものを大切にしていかなくちゃいけないのかということについて、先ほど長官の方からも簡単に御紹介いただきましたけれども、緑の募金というところもあるというふうにお聞きしたんですね。
緑の募金というのは、緑の羽根でいつも一緒に何かやっているその中の一環のことですけれども、やはり、ああいうことというのは、本当の意味でどういう意義づけがあるのかというところ、それは、一つ一つ説明されて納得してというところもあると思うので、緑の募金というところの今日的意義をもう一回私、押さえさせていただきたいと思います。
○今井政府参考人 お答えいたします。
緑の募金は、平成二十五年に国土緑化運動のシンボルとして始まりました緑の羽根募金を起源としておりまして、その後、平成七年になりまして、緑の募金による森林整備等の推進に関する法律という法律が制定されまして、その法律に基づいて、緑の募金運動が今展開されているということでございます。
緑の募金は、寄附者の自発的な協力を基礎としてやっておりますけれども、近年では、年間募金額が約二十一億円という水準でございます。
その内訳は、家庭募金、職場募金、企業募金、学校募金等で集められておりまして、募金の使途といたしましては、全体の二割が国土緑化推進機構からボランティア等の自発的な取り組みへの支援に活用され、全体の八割が都道府県の緑化推進委員会から活動団体に対して交付されているということでございます。
先ほど、平成二十五年というふうに申し上げましたけれども、昭和二十五年に緑の募金が始まったということでございます。
○吉田(豊)委員 そういう二十一億円という大きな金額がどのように使われていくべきかというところも改めてやはり考え直せばいいと思いますし、募金というものがやはり次につながる基金としての役割を果たしていくというのが一番私はいいんだろうと思っておるところなんです。
いろいろなことをやるときにいろいろな方々から応援をいただくという考え方の中に、この森づくりということについて地方公共団体が自主的にさまざまな活動を行っている、それの一つの好事例というものを私自身は確認させていただいています。
富山県においても、森づくりということで、県民の皆さんそれから企業の方々から、少しずつの額ですけれども、森づくり税ということで頂戴してやっていくということを、これで十年前、大分時間はたってきているかなというところなんですけれども、そういう中でのそういう活動というものがやはり一番、地元の人たちだからこそ、身近な森の大切さ、そういうことに理解があるということが私は非常に重要なことだと思います。
聞きましたら、こういう地域地域で始める森づくりに対する住民の方々からの税金という方針については、大臣の御地元の高知県が一番最初にそれをお始めになった先駆者ということもありますので、私は、こういうことについての地方自治体の取り組み、それから、この先どのような展開が望まれるのかというところについて、大臣のお考えを確認させていただきたいと思います。
○山本(有)国務大臣 森林整備等を目的として都道府県が条例によって独自課税に取り組んでいる実態についてでございますが、平成二十九年四月現在、三十七府県におきまして、府県民税の均等割に上乗せする形で徴収しているわけでございます。平成二十九年度税収見込み額は約三百億円でございます。
その税の使途についてでございますが、森林の整備、保全、木材利用の促進、森林環境学習、担い手育成など、各府県の状況も踏まえた多様な取り組みとなっていると承知しております。
三十七府県で実施されているこれらの取り組みは、森林を府県民全体で守り育てる意識の醸成、森林の公益的機能の維持増進に大変役に立っているものというように高く評価しているところでございます。
○吉田(豊)委員 三十七府県というと、本当に全国の中の大方ですよね。大方のところがやっているということでして、それに全体で三百億という大きな金額が使われていくということなんですけれども、こういう自主的な都道府県の取り組みについて、国としては、今これをどのような形でサポートしていこうと考えているのかというところを、もう少し踏み込んでお考えをお聞きしてよろしいですか。
○山本(有)国務大臣 森林の公益的機能あるいは環境への寄与というようなものを考えるのが、一つ地球的規模で必要だというように思います。
もう一つ必要なのは、森林資源を我が国が活用することができる利用期に来ている、それをうまく利用することによって、循環型の、大変この国になくてはならない産業として育成できるかどうかということがいわば迫られている大切な時期でございます。
折しも、昨年の与党の税制大綱の中に、平成三十年に森林環境税を整備するというような文言が記載をされているわけでございまして、そうした意味で、先日も町村会の大会において、さらにこれを進めていこうというような運動もございました。
その意味において、前進するものではないかというように思っておりますが、ただ、課税でございます。御負担をいただかなきゃなりませんし、また、ひいては、森林のない地域、また森林整備の必要性を感じていない日常を送っておられる市民の方々にも課税をしなければならない。
そういう特性の中でのこういう税の徴収形態、こういったものがなじんで、都道府県の皆さんにも協力をいただき、市町村の皆さんがそれによってさらに環境や森林整備、こういったものを進めることができる、計画がしっかりしたものであるということが大事でございますので、今後、そうした意味で、鋭意検討をし、御理解を国レベルでいただくように私も努力をしていきたいというように思っております。
○吉田(豊)委員 今ほど、幾つかの非常に大事なことをおっしゃっていただいた、私はこう思います。その中で、どのような形での、森の重要性、それからどう利用していくのかという部分についての具体的な検討、考え方、これについて、次回のときにまたお聞きしていきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○北村委員長 次に、畠山和也君。
○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
ほかの委員会の関係で、質問の順序を調整していただいた関係委員には感謝を申し上げて、質問に入ります。
きょうは、水産関係についての質問を行います。
まず最初に、北海道道南地方でのスルメイカ不漁と、噴火湾という地域の養殖ホタテへい死対策について伺いたいと思います。
というのも、あした、六月一日は道南スルメイカ漁の解禁日になっています。この地域での、もちろん地元の食を支え、経済も支え、観光資源にもなっています。函館では、夏祭りでいか踊りを踊る、地元の文化の上でも欠かせない資源になっています。
ところが、このスルメイカが不漁のために、加工場、飲食店などが困っています。昨年は過去最低の水揚げとなりまして、函館水産試験場の予測では、昨年を若干ことしは上回るものの、ピーク時でした二〇〇一年と比べて、現状、九分の一程度まで水揚げが減ったということですから、深刻です。
地域的な問題かと思っていましたら、きょう後半、漁業権の問題を質問するために五月十日の規制改革推進会議第十三回農業ワーキング・グループの議事録を読んでいたところ、佐藤水産長官が、今、生産高などの心配で、イカが大変不漁であるというふうに委員に訴えを行っていらっしゃるんですね。
議事録を読んで初めてうなずきながら読んでいたわけなんですが、この問題、少し現状を、この間の水揚げ高の経過や不漁となっている原因について水産庁の見解を求めたいと思います。
○佐藤(一)政府参考人 畠山先生にお答えいたします。
まず、北海道庁の公表資料によりますれば、渡島管内、いわゆる道南地方のスルメイカの水揚げ量と水揚げ金額の推移でございますが、平成九年には八・六万トンで百三十二億円であったものが、平成十九年には四・八万トンの八十九億円、平成二十七年には一・二万トンの四十四億円となっておるところでございます。
それで、近年のスルメイカの不漁の原因でございますが、さまざまな原因が考えられるわけでございますが、やはり海水温等の海洋環境の変化が一番大きな原因ではないかと認識しているところでございます。
スルメイカの資源の調査と評価を実施しております国立研究開発法人水産研究・教育機構によりますれば、スルメイカの資源量は近年減少傾向にございまして、特に平成二十七年及び二十八年でございますが、産卵海域でスルメイカの発生に適した温度帯が減少したことが主な要因となりまして、さらに、日本海の温度変化によりまして回遊ルートが変化しまして、沿岸に漁場が形成されにくくなったことが不漁に拍車をかけたと分析しているところでございます。
○畠山委員 道南のスルメイカは、日本海側を北上するものと太平洋側を北上するものが季節が分かれて来るんですね。それで、日本海側の方は、昨年、漁としてはよかった、太平洋側の方が非常に悪かったという調査もありました。
いずれにしても、当面の地域の経済などを支える上では重大問題でして、今月十七日には、函館の市長さんや経済界の皆さんがそろって農水省と経産省に要請を行いました。イカの輸入数量を制限する輸入割り当て制度、これの弾力的運用や、排他的経済水域での外国船による違法操業対策強化などが要請された柱となっています。
これは農水省、経産省両方から、これらの要請に対してどのように対応するか、答弁してください。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
今先生の方から御指摘ございましたが、函館市にとりましては、イカ加工業というのは非常に重要な産業でございまして、また、重要な観光資源であるといったことは承知しておりまして、昨今のイカの不漁によりまして、函館市を初めとする全国のイカ加工業者の皆様方が非常に厳しい状況に直面していると認識しているところでございます。
このような中で、加工原料の確保に資するため、昨年十二月には、イカの輸入枠について追加割り当ての発表を行ったところでございます。
水産庁といたしましては、今後とも、この輸入割り当て制度の機動的、弾力的な運用、そして、機器整備等への融資や助成等によりまして加工業者の皆さんに対する経営支援、それと、今先生の方からお話ございましたように、外国漁船による違法操業に対する取り締まりの強化、こういうものを図っていくというふうに考えておりまして、また、スルメイカ資源の変動要因の調査について努めていきたい、このように考えているところでございます。
○飯田政府参考人 お答えいたします。
五月十七日に、ただいま御紹介ございましたとおり、御要望をいただきました。
経済産業省関連といたしましては、イカの輸入割り当て制度の弾力的な運用、それからイカの加工業者に対する経営支援、こういったところで御要望をいただいたところでございます。
イカの割り当て制度につきましては、今水産庁から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、経済産業省といたしましても、水産庁と協力し、国内の生産量、消費量、輸出量、輸入量、こういったものの動向、見通しを勘案して、適切に輸入割り当て制度を運用してまいりたいと考えてございます。
あわせまして、追加枠の早期発給、あるいは、函館の加工業者を対象とした特別枠の新設について御要望もいただいております。
これにつきましては、追加枠の発給については、昨年の追加枠については先ほど御答弁申し上げたとおりですけれども、今後、水産庁と協議の上、可能な限り機動的に運用してまいりたいというふうに考えております。
ただ、函館の加工業者を対象とした特別枠という話がございましたけれども、イカの加工業者は全国に存在するため、需要者割り当てという、全国八つの加工団体を通じて配分しておりまして、引き続きこれを御活用いただきたいというふうに考えてございます。
また、水産加工業に関する支援ということで、御要望の中でも、函館が今後力を入れていきたいAIやIT、こういったものを活用した展開というような御要望もいただいておりまして、これにつきましては、地方版IoT推進ラボによりましてIoTビジネスの創出を支援する、こういったことを進めてまいりたいと思います。
あわせまして、地域資源活用、農商工連携等による中小企業・小規模事業者向けの新商品開発、販路開拓、こういったものを後押ししてまいりたいと考えている次第でございます。
○畠山委員 不漁の影響を受けた廃業や事業縮小など、水産加工業への影響が出てきているという報道もありまして、きのうですけれども、函館でも、一般財団法人函館国際水産・海洋都市推進機構が主催した講演会には、関係者約二百五十人が専門家の話を伺ったということですから、非常に関心が高いし、それだけ切実だということだと思います。
状況は今答弁されたとおりですし、きょうこれ以上は問いませんが、地域経済の重要性から鑑みても、当面の対策はもちろんですが、気候変動などの影響も考えられるだけに、研究体制としての充実も重ねて要望しておきたいと思います。
それで、もう一つ、水産長官が、先ほど紹介した農業ワーキング・グループの水産の中で、スルメイカも心配なんだがホタテも心配だということを続けて言っているんですよ。日本が輸出する際の水産関係はホタテと真珠が稼ぎ頭となっているだけに、それは承知するところですが、道南地方の噴火湾での養殖ホタテへい死も念頭にあることだろうと思います。
養殖ホタテのへい死は、この噴火湾だけでなく、陸奥湾とか三陸とか、各地で定期的に発生してきたものですが、今回、噴火湾での被害は昨年から発生してきたものです。昨年は、北海道を連続した台風が襲いまして、水産状況にもかなりの被害が出ました。私も、現場に行きまして、耳つりホタテをやるわけですけれども、これがだんご状に絡まってしまって、相当な被害が出たことに切実な声も聞いてきたわけですが、そのときに、同時に、このへい死対策を何とかできないものかということが寄せられていたんです。
この噴火湾地域の水揚げ、あるいはへい死の原因などについて、これもまず水産庁の見解を伺います。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
噴火湾のホタテのへい死でございますが、過去十年間の北海道噴火湾のホタテガイの水揚げ量の平均値というのは大体十万トン程度であったわけでございますが、平成二十七年には十二万トンを超える高い水準になったわけでございますが、平成二十八年には、養殖中のホタテガイの大量へい死によりまして、対前年比の四割減の約七万トンとなったところでございます。
この原因でございますが、北海道道立総合研究機構によりますれば、大量へい死の原因は、ホタテガイの養殖時期に生じた波浪による養殖施設の振動による影響、高水温、そして飼育密度の過多などの複合的な問題によるものと考えられているところでございます。
○畠山委員 噴火湾では、今挙げられましたへい死、それから数年前からザラボヤが、外来種と想定されていますが、くっついてきて脱落する、それを洗浄するための機械の購入だとか、さまざまなことで相当な苦労をしてきたわけです。ただ、水揚げが減ったために単価が少し上がったので何とかカバーしたという話も聞いてはおりますが、昨年は、今述べたように連続した台風、そして相次ぐへい死などで、相当現場での苦労は強まってきております。
それで、こちらの地域からもさまざまな対策の要望が上がっているかと思いますが、水産庁として今始めている事業があると伺っています。その中身を答弁してください。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
水産庁におきましては、ホタテガイのへい死被害の原因究明と拡大防止を進めるために、北海道庁、北海道立総合研究機構、そして地元のホタテガイ養殖業者の皆さんと現地意見交換会というものを開催しながら、平成二十八年度補正予算により、幾つか対応してきているところでございます。
具体的に申し上げますと、まず一つは養殖ホタテガイのへい死原因特定のための予備的緊急調査ということで、北海道道立総合研究機構を主体といたしまして、平成二十八年の十月からこの調査を実施しているところでございます。また、この北海道道立総合研究機構が中心となりまして、大学と漁業者と連携しながら、ICTを活用したホタテガイのへい死の被害を軽減するための技術開発を現在実施しているところでございます。
今後とも、関係機関と連携しながらホタテガイ生産の振興に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
○畠山委員 今述べられたICTによるモニター研究というのは、耳つりは一回一回上げないと中身が見られないものだから、水中カメラを置いて、それで三年間ほどですか研究事業をやってみて、それがうまくいけば漁業者の負担軽減にもなるんじゃないかという中身と伺っています。
ただ、先ほど述べたように、ザラボヤの洗浄を含めて、かなりの資金も含めた御苦労が現地でありますから、やはり現場の実態を踏まえた対応をお願いしたいと思うんですね。
そこで、大臣の方に確認したいことが一つあります。
海はもちろん一つにつながっておりまして、養殖ホタテもスルメイカでも心配なことがあります。
週刊水産新聞によれば、噴火湾だけでなく、陸奥湾でもことし成長不良があって、西湾の一部ではへい死もふえてきているということなんだそうです。昨年、過去最高の水揚げでしたから、平年並みに戻るぐらいかなという受けとめという話のようですが、実は噴火湾と陸奥湾の関係を調べている方がいらっしゃいました。
函館の水産試験場の調査研究部で研究結果を発表していて、似たような時期にへい死が起きているという調査を、たまたまなんですが、見つけたんです。この方いわく、これは数年前に書かれた論文ですが、周期から計算すると、噴火湾での稚貝のへい死は二〇一六年から二〇一八年の間に発生するだろうと。ちょうど発生しています。その年か、一年前後して陸奥湾でへい死が発生すれば、統計学的にも確からしい確率だと言えるということを書かれていたんです。読みながら、びっくりいたしました。
ただ、海のものというのは数年に一度しか起きない事象を蓄積して研究するわけですから、年月がかかるわけです。このような研究があってこその水産資源の安定的確保につながっていると思います。
そこで、大臣に伺いたいのは、研究はもちろん資金面も大事ですけれども、身分の安定がなければ長期的な研究というところにかかることはなかなかできないと思います。ましてや気候変動が確実に今進んでいる中で、自然を相手にする農林漁業の研究は重みを増しているので、応援してほしいと思っているんですよ。その重要性についての大臣の認識を伺いたいと思います。
○山本(有)国務大臣 地球温暖化等による気候変動は、我が国農林水産業へのさまざまな影響を及ぼすものでございます。影響を予測し、気候変動の適応や緩和のための研究を進めることは極めて重要であると認識しております。
このため、例えば海水温上昇に伴う赤潮の発生予測技術の開発、あるいは気候変動によるブドウ着色不良等の農林水産物への影響予測、あるいはリンゴの日焼け等を軽減する技術の開発、あるいは高温に耐性のある水稲品種の開発等の研究を推進し、その研究成果が着実に生産現場に普及するよう努めているところでもございます。
今後も、産学官の連携等によりまして、農林水産業を担う方々の不安を払拭し、安定的な経営が実現できますように、気候変動に関する研究開発を推進してまいりたいと思います。
当然、そうした研究開発分野に携わる方々の身分の安定も図っていきたいというように思っております。
○畠山委員 しっかり対応していただきたいと思っております。
水産長官みずから悩みだとおっしゃられているスルメイカと養殖ホタテのことをきょうは取り上げましたが、日本全国どこでもやはり水産業が安定的に続けられるような施策強化を求めておきたいと思います。
後半に、四月に閣議決定された水産基本計画と規制改革推進会議、また漁業権との関係についてただしておきたいと思います。
それで、今述べた前半の質問のために漁協や漁師の方などから話も伺ったんですが、今回の件とは別に、漁業権の見直しについてのさまざまな意見も出てくるんですね。明確に反対だという方もいらっしゃいました。
それで、最初に紹介した五月十日のワーキング・グループの議事録を読んでみると、水産庁がこのとき漁業権に触れなかったことが不満だと述べている民間委員がおりました。それに対して、漁業権の件について水産庁はどのように回答したのか、この場でも同じようにまず説明してください。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
農業ワーキング・グループでのやりとりでございますが、委員の方から、いわゆる特定区画漁業権について、なぜ漁協がその管理主体となっているのかという質問がございまして、これに対して、特定区画漁業権の対象となる漁業者が小規模で多数存在することが一般的であり、漁場利用の観点から、漁業者間の調整が非常に重要で、かつ困難であること等のため、漁業権の管理の観点から、地元の漁業者の大多数が組合員である漁協に優先的に免許が付与されている旨を説明したところでございます。
○畠山委員 ある漁協さんからは、北海道で余している海面はない、民間に入られるスペースはないとの強調のお話もありました。浜が分断されるようなことはもちろんあってはならないと思うんです。
そこで、水産基本計画の中身を読んでいきましたが、「魚類・貝類養殖業等への企業の参入」という項目があります。前回の基本計画にはなかった項目です。こう書かれておりました。「漁業者が、必要とされる技術・ノウハウ・資本・人材を有する企業との連携を図っていくことは重要である。」連携、参入の後に、「浜の活性化の観点から必要な施策について引き続き検討し、成案を得る。」と書かれています。
企業の参入にかかわって、「浜の活性化の観点から必要な施策」とは一体何を指すんでしょうか。漁業権との関係もあるのか、また、成案に向けて何を検討するというのか、具体的に説明してください。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
先月閣議決定されました新しい水産基本計画では、養殖業につきまして、「漁業者が、必要とされる技術・ノウハウ・資本・人材を有する企業との連携を図っていくことは重要である。」とした上で、私どもといたしましては、浜と連携する企業とのマッチング活動の促進やガイドラインの策定等を通じまして、企業と浜との連携、参入を円滑にするための取り組みを行うとともに、浜の活性化の観点から必要な施策について引き続き検討することとしておりますが、いずれにしても、今後、多角的かつ丁寧に検討を深めていきたい、このように考えているところでございます。
○畠山委員 多角的かつ丁寧にという一般的な答弁でありました。
私は、こういうときこそ基本に返る必要があると思うんです。
漁業権を定めている漁業法の第一条、目的規定には次のように書いてあります。「この法律は、漁業生産に関する基本的制度を定め、漁業者及び漁業従事者を主体とする漁業調整機構の運用によつて水面を総合的に利用し、もつて漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を図ることを目的とする。」と書いてあります。競争的ではなくて、民主的な漁業のあり方と漁業権が結びついてこの法律は成り立っています。
しかし、基本計画の特徴は、漁業の成長産業化を前面にしたことにあります。基本的な方針に、沖合漁業、遠洋漁業の国際競争力の強化とあります。これも、前回の計画にはありませんでした。
漁業における国際競争力とは一体何なんでしょうか。どこと、何を、どんなふうに競争しようということを指しているのか、これも明確に答弁してください。
○佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。
漁業における国際競争力の強化というのは、ただ単に水産物を大量に供給するというものではなくして、一つは、水産資源を持続的に利用しつつ、持続可能な収益性の高い操業体制の構築等によりまして、多様化する消費者ニーズに即した水産物をより低コストで安定的に供給する能力を高めていくことであると考えているところでございます。
先月閣議決定された新たな水産基本計画におきましては、このような国際競争力を強化することによりまして、我が国周辺の豊かな水産資源を持続可能な形でフル活用し、水産物の国内市場への安定的な供給や海外市場への輸出の拡大を図り、漁村地域の活性化につながるとの方向性が示されているところでございます。
○畠山委員 今の説明では、成長産業化ということと結びつかない答弁のように思えました。
具体的な施策については別の機会に質問したいと思いますが、最後に大臣に伺っておきたいと思います。漁業権についての認識です。
漁業権というのは、魚をとるという狭い概念ではないと思います。漁獲権ではない。海域環境の保全とか水産資源の管理などと結びついたものでありますし、先ほど法の第一条を読み上げましたが、民主的な漁村づくりにも貢献してきたことと思います。
競争力の強化や所得の向上を旗印に漁業権を開放することには、大きな懸念を持たざるを得ません。大臣の認識を最後に伺っておきます。
○山本(有)国務大臣 漁業における国際競争力の強化は、先ほど水産庁長官も申し上げましたとおり、水産資源を持続的に利用する、持続可能な収益性の高い操業体制の構築をする、多様化する消費者ニーズに即応するというような観点を意味したわけでございますけれども、先月閣議決定した水産基本計画で、数量管理等による資源管理の充実、あるいは漁業の成長産業化等を強力に進めるために必要な施策について、関係法律の見直しを含めて検討を行うこととしております。
こうした中で、漁業権といったような個別具体の項目内容についての検討にまで至っているわけではありません。また、漁業の成長産業化を図るために、沖合、遠洋、沿岸、そして養殖、こうした資源管理や生産性の問題を含めて多角的に、日本の漁業のあり方等を今後漁業権も含めて検討してまいりたいというように考えるところでございます。
○畠山委員 時間ですので、改めて別の機会に深めて質問したいと思います。
終わります。
○北村委員長 次回は、明六月一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時二十分散会