第17号 平成29年6月1日(木曜日)
平成二十九年六月一日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 北村 茂男君
理事 江藤 拓君 理事 小泉進次郎君
理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君
理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君
理事 小山 展弘君 理事 稲津 久君
伊東 良孝君 伊藤信太郎君
池田 道孝君 小里 泰弘君
加藤 寛治君 勝沼 栄明君
勝俣 孝明君 瀬戸 隆一君
武部 新君 中川 郁子君
西川 公也君 古川 康君
細田 健一君 前川 恵君
宮路 拓馬君 森山 裕君
八木 哲也君 簗 和生君
山本 拓君 渡辺 孝一君
岡本 充功君 金子 恵美君
佐々木隆博君 宮崎 岳志君
村岡 敏英君 中川 康洋君
真山 祐一君 斉藤 和子君
畠山 和也君 吉田 豊史君
仲里 利信君
…………………………………
農林水産大臣 山本 有二君
農林水産副大臣 齋藤 健君
農林水産大臣政務官 細田 健一君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 澁谷 和久君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 大澤 誠君
農林水産委員会専門員 石上 智君
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委員の異動
六月一日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 勝俣 孝明君
笹川 博義君 八木 哲也君
同日
辞任 補欠選任
勝俣 孝明君 池田 道孝君
八木 哲也君 笹川 博義君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
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○北村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官水田正和君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、内閣官房内閣審議官澁谷和久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○北村委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。簗和生君。
○簗委員 自由民主党の簗和生でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
今回のこの農業災害補償法の一部を改正する法律案につきましては、大きく二つ議題があると思います。一つが、農業経営収入保険事業、いわゆる収入保険の創設。それから、従前の農業共済事業の見直しということであります。
きょうは、ちょっと質問を多く準備をしておりますので、早速入りたいと思います。
この収入保険については、多くのメリットがあるというふうに言われています。自然災害による収量の減少のみでなくて、価格低下等も対象になる。また、収穫後の出荷、販売、これが不可能になった場合も対象になる。それから、対象品目が限定的で農業経営全体をカバーすることができなかったということが改善をされる。特に、農業共済の対象外であった野菜等の生産、販売に取り組む農業者、また複合経営に取り組む農家にとってもメリットがある。また、ナラシなど、地域データに基づいて補填される現行の品目別の対策とは異なって、個人ごとの収入減少に応じた保険金の支払いがなされるということも利点だというふうに言われています。
こういうふうに聞くと、非常にいいことずくめのように思えるんですけれども、実際に制度を運用していくに当たって、幾つか重要な確認すべき事項があると思いますので、順次確認していきたいと思います。
まず一つ目が、農業者が自身にとって適切な、最良な制度を選択することができるかということになると思います。
従前の農業共済、それから、いわゆるナラシと言われる収入減少影響緩和対策、そして野菜価格安定制度等、既存の類似制度というものと並立して、その中で選択をするということになりますので、実際、自分にとって最適な選択というものはどういうものなのかということ、これをしっかりと農業者が自身で理解をしていかなければいけないですし、そして、それをするに当たっては、実施主体等がこれを丁寧に説明できる、そういった環境整備も必要になると思います。
そういう意味で、国として、こうしたことをどのように考えて具体的にこれから進めていくのか、まずお伺いしたいと思います。
○細田大臣政務官 まず、簗先生におかれましては、栃木県の農林水産業の振興を初め、農林水産行政全般について大所高所の観点から御指導いただいていることに、まず改めて心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
今まさに先生御指摘になったとおり、私の地元でも、いわゆる既存制度と新しい制度、これはもうパンフレットを渡されて自分で選べと言われても全くわからない、収入保険制度とその類似制度の掛金や保険金などが、きちんと自分のこととして比較できるようにしてほしいという声が非常に強く上がっております。
したがって、私どもとしては、一般の例えば生命保険の会社が、生保レディーというような方にいろいろなシミュレーションを、こっちの保険だとこういう形になる、あっちの保険だとこういう形になるというような、シミュレーションのような形で加入を促進しておられるというようなことがございますが、あれと類似をして、法案成立後に、農業者ごとに、収入保険制度とその類似制度のそれぞれについて、幾らの負担でどのような場合にどれくらいの補填を受けるのかということが簡単にわかるようなシミュレーションのソフトウエアをつくりまして、例えば、それをタブレットでごらんになっていただいて、見ていただくというようなシステムを開発して、それを農業者の方にぜひ活用いただくような形で運用したいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、わかりやすい形で各制度を比較していただいて、主体的に農業者の御自身の判断で選んでいただくというような形の運用を図るように、また引き続き先生の御指導をいただきながら制度を推進してまいりたいというふうに考えております。
○簗委員 今お話しいただいたようないろいろな準備を進めていただきたいと思いますが、後で質問しますけれども、非常に準備期間というものも短いというふうに私は思っておりますので、そういう意味で、実施主体の、実際に現場で農業者の皆さんと接する人たちが実際にちゃんとスキルを持って制度が始まったときに対応できるように、そうした国の支援をお願いしたいというふうに思っています。
次ですけれども、収入保険、これが実際に安定的に制度が運用できるかというところ、そういうことを懸念する声もあります。
今、青色申告を実施している人しかこの収入保険、申請すること、加入することができないということでございまして、平成二十七年の数字ですけれども、青色申告をやっている農業者は四十四万人ということでございます。総農家数で見ると二〇%程度、販売農家を分母にして見れば三五%ということで、この数字をどう見るかということになると思いますけれども、これをもっと高めるということになると、実際には青色申告の加入、普及促進というものもやっていかなければいけないということになると思います。
青色申告がまずできるということに加えて、では、実際に収入保険に入るかと、次の段階になったときに必要になるのが、掛けたお金、保険料に見合った支払いというものが実際なされるかということになるというふうに思います。これは、単純に言えば、保険料負担がどの程度に抑えられるかということになると思います。
また、もう一つ考えなければいけないのは、では、支払い機会が多くなればそれだけいいのかということもまた一方で考えなければいけない。支払い機会が多くなるということは、支払いが多くなるということは、実施運営側にとってはまたそれは保険料を高くしなければいけないということで、加入者の負担になって返ってくるわけですけれども、その辺、どのようなバランスでなし得るのかということが一つポイントになると思います。
そこで、まずお伺いしたいんですけれども、これは国費の負担も当然この制度の中であるわけですから、実際、予算要求をしていくことになります。その中で、実際、その母集団、収入保険の加入者というものはどの程度になるのか、その見立てがあれば教えていただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
先生、さまざまな論点を御指摘されました。
まず、どういうふうに適正な規模を考えるか、これはなかなか難しゅうございます。現在の農業共済制度、これは共済組合別に行っておりますけれども、極端な例でございますけれども、ある品目では数戸でも共済の制度として成り立っている例もございます。
我々はどう考えたかといいますと、やはりこれは、最終的には、農家負担との関係で、農家の方がこれなら払えるよということはどの程度か、それを必要な国費等々を考えて勘案いたして、制度として農家の方が魅力がある制度か、こういうことが一番大事だと考えました。
農業のプロの集団であります日本農業法人協会、これは去年の八月に要望を出しておりますけれども、この際には、一%程度の掛金率であれば加入促進につながるんだということで、一%程度の掛金率にしてくれという要望を出しております。
我々、それを踏まえまして制度の検討を重ねた結果、この保険について、二分の一の国庫補助、積立方式については四分の三の国庫補助、こういうことを含めますと、保険料率の試算、農家負担は一%になるということでございますので、これはあくまで試算ですけれども、一%程度の、一番下の一・〇%でございますので、これは制度として成り立つのかなということで提案させていただいているところでございます。
実際にどういうような規模なのかということについても、これはまた、制度自体がほかの制度と選択制でございますので、こうだというふうに決めますと、ではほかの制度からこちらの制度に何万人移れとか、そういう話になっておりまして、自由な選択で選んでいただくという建前と少しそごを来すことになりかねませんので、今の段階で国が加入規模はどの程度かということを示すということは考えてございません。
ただし、予算は当然見積もりが必要でございますので、これから法案をお認めいただいて成立した後に、いろいろな普及活動をしながら、あるいは先ほど政務官のお話ししましたタブレット等で、どっちがいいかというのを普及促進をしながら、いろいろな説明をする中で具体的なニーズの把握を行いながら検討し、算定してまいりたいというふうに考えてございます。
○簗委員 ありがとうございます。
安定的に制度が運用できるということが前提になりますので、その辺しっかりと、精緻な分析も含めながら、制度づくりをしっかりとやっていただきたいというように思います。
もう一つ懸念すべきところが、これは当然、保険に入る人、自分がその支払いがよくなされる、収入保険でいえば、基準収入を下回るという機会が多くある人は、進んでこの保険に入ると思うんですが、実際にそういう支払いがなかなか発生しない人にとっては、保険料負担だけということになってしまう。積立方式という部分も含めて今回制度づくりしているので、ある程度そういうところは緩和される部分もあるんですが、どうしてもやはり、支払いが多くなされる人だけがその制度に残って、加入が非常にそういう人たちに偏るということも想定されます。そうすると、ますます保険料も上がりますから、支払いが多くなるということは非常に悪循環が生まれてくるということも懸念をされるわけであります。
そういう意味では、今回、危険段階別ということで、非常にそうした支払いが多くなる人と、ほとんどない人ということで差をつけていくというふうに想定をしているということでございますけれども、その辺の実際の格差というものをどのようにつけていくのか、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
これも今後の検討課題だと考えておりますけれども、一つ参考になる例を申しますと、例えば、沖縄県農業共済でサトウキビがございますが、これでいきますと、基準のものから大体三十段階ぐらい危険段階をつくっております。ほかの品目でもそういうものが多いですが、それより少ない、十以下の段階というのもございます。これはもう本当に、現実をよく見て、適正に決定していきたいというのが思いでございます。
ちなみに、このサトウキビでありますと、一番低い段階の掛金率は、基準となる掛金率の四割程度に設定されてございます。そういうことをやりまして、非常に被害の少ない方がメリットがあるということを感じていただきまして、この危険段階掛金率を導入した後、加入率は、平成十八年段階、導入前は二七%だったのが、導入後、平成二十七年、十年で四九%まで上がったということもございますので、こういうことも参考にしながら、今後詰めてまいりたいというふうに考えてございます。
○簗委員 非常に制度が複雑になりますから、この辺、非常に難しい運用になってくると思いますけれども、やはり何といっても、これは農業者にとってのセーフティーネットですから、しばらく例えばそういった支払いの対象になる状況が起こらないということになると離れてしまう、脱会してしまう、そういうことがあります。そのときに、いざ大きな自然災害が起こって、入っておけばよかったなということになるんですよね。ですから、そういう意味で、いざというときのセーフティーネットだということで加入し続けてもらえるような、負担の公平感、こういうものの担保も含めて制度づくりをやっていただければと思います。
そして、次なんですけれども、先ほどちょっと触れました。これから、複雑な制度になってきて、農業者に対して制度をしっかりと説明して、最適なものに入っていただくということもしなければいけない。農業共済団体、実施主体として、非常に業務が、負担がふえるということが想定をされます。人員的に大丈夫なのか、それから準備期間、実際に募集を始めるのが、この法律が通ると、来年の秋口ぐらい、十月、十一月ぐらいから加入申請を受け付けるということになりまして、もう一年ちょっとの期間で制度を始めなければいけないということになりますから、そういう意味で、準備期間的に大丈夫なのかとか、その辺、現場の負担感に対して、どのように国は応えていくのか。そういったものを含めて、体制整備について、今のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
今回の収入保険制度につきましては、現行の農業共済とは違いまして、できるだけ現場確認を行わないということで、書類チェックを中心にしたいということで、簡素にしたいとまず考えております。
それから、今回の共済の見直しの中で、一筆方式の廃止、家畜共済の手続の簡素化など、事務の効率化措置も講じておりますので、そういうものを全体として見ていただくと、農業共済団体、事務的には今の体制で大体大丈夫かなというふうには考えております。
ただし、職員を対象にした研修、それから例えばタブレットのような、政務官のお話ありましたような普及のツール、こういうこととあわせて検討していきたいというふうに考えてございます。
○簗委員 そうはいっても、制度を全部理解してやるということになると事務負担というものはやはりふえますよ、これは確実にね。ですから、そういう中で追加的な事務費を国は予算として手当てしていくのか、それについて考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
事務費につきましては、まず、今のような収入保険制度はできるだけ簡素にするということをしながら考えていかなければいけないと思いますけれども、まず平成二十九年度予算におきましても、前倒しで推進体制を整備するという観点から、法案成立が前提でございますが、農業者に対する制度の内容の周知、それから加入申請書の作成方法に関する相談対応、こういうことをまず措置しております。
今後の事務費につきましては、そのようないろいろな事務を簡素化する中でまた検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○簗委員 それから、加入促進を図る上で、これはいろいろな窓口が想定をされます。今までだったらもう共済ということで一本、共済の事業者のところに、各共済組合のところに農業者は行けばいいんですけれども、今回広く農業経営全体を対象にした収入保険ということで打ち出していますから、当然JAさんとか農業委員会さん、こういうところにも相談が入ると思うんですね。この辺の連携というもの、これは国として想定しているということですけれども、具体的にJAや農業委員会さん等にどんなことをやっていただくのかという想定があれば、また今はどういう動きを既に始めているのか、この辺ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
農業競争力強化プログラムを昨年十一月にまとめて以来、JAの方、農業委員会の方にも、この青色申告の加入促進のパンフレットをつくっていただく中で、共済事業についても、新しい収入保険も含めまして説明をいただいているところでございます。
今後につきましても、今、JA、農業委員会ともに青色申告の推進に現状でも取り組んでおりますので、その際の税務申告相談会の開催等々において、普及の促進を協力してやっていただきたいというふうに考えてございます。
○簗委員 ぜひお願いをして、連携を強化していただきたいというふうに思います。
それで次ですけれども、これもちょっと大きな話になります。これ、しっかり制度設計をぜひしていただきたいんですけれども、いわゆるつなぎ融資のお話です。
今、この法律案の百七十五条の2の二項に、被保険者に対しては、「保険金の支払が見込まれるものに対し、その見込額の範囲内で、当該被保険者の農業経営の安定に必要な資金を貸し付ける事業」ができるというふうに書いてあります。これは想定としては、自然災害等が発生して急場で資金繰り対策が必要になるというときに融資をするということになるというふうに思います。
この収入保険は、確定申告を経た後に支払いがなされますので、翌年の三月から六月ぐらいというふうに言われていますけれども、そうするとどうしても、その災害発生時の直後の資金繰りというものが大変苦労する、そういう状況も想定されます。そこにおいてこの融資制度があるというふうに理解をしておるんですけれども、では、先ほど条文について読み上げました、その支払い見込み額というもの、これをどのように算定するのかというものは大きなこれからの議論になるというふうに思います。
というのも、これは結果的に年間通じてのトータルで見たときに、結局は、その一つの農作物については災害でやられてしまって保険金の支払いが発生する状況になっていたとしても、ほかの作物で収入が上がってカバーできれば、トータルで見たときに収入保険としての支払いがなされないということが想定をされる、そういうこともあるわけですから、では、支払い見込み額というのは実際どうやってはかるんですかということになるわけです。
もう一つ言うと、これを、では、有利子で融資するか無利子で融資するかということも大きくなる。この利子部分についてはいずれにしても自己負担で返していくことになるわけですから、それだけ多くのものを必要以上に借りてしまうようなことがあれば、後で、その利子の負担部分がどうしても過剰になったな、そういう感覚も生じることが想定されるわけであります。ですから、この融資額というものをどのように算定するかということは非常にこれから議論しなきゃいけないなと思います。
実際には恐らく、その実施主体の方が現場に行って、減収相当額を算定するとかそういうことになってこざるを得ないというふうに思うんですよね。そうしないと実際はわからないわけですからね、どれだけの被害が出ているかというのが。
ですから、そういうことも含めて、このつなぎ融資について、これからどういう議論をして制度設計を詳細にしていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○大澤政府参考人 今後の制度設計のポイントの一つになるところだというふうに考えてございます。先生のおっしゃったようないろいろな論点が出てまいりますので、一般的な収入の減少の見込みだけでつなぎ融資をやるというのはなかなか難しいのではないかなと思っておりますが、自然災害であれば生産ができなくなるわけでございますので、ですから、つなぎの融資制度につきましては、やはり自然災害による収入減少という明らかな収入減少になるということを基本に考えておきたいと思います。
それで、それをどう算定するか。厳密に算定すればするほど、これはまた事務が大きくなりまして、農業共済との違いが、メリットが発揮できなくなりますので、収入減少全体をつなぎ融資で見るのか、それとも少なくてもいいから早く算定した方がいいのか、いろいろな論点があると思いますので、そういう観点を踏まえて、今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○簗委員 農業共済、今あるこの制度は、やはり、迅速に損害評価をやって、そして早期に支払うという意味で非常に農家の皆さんはありがたがっているんですね。ですから、このいい部分は引き続き農業者が恩恵にあずかれるように、収入保険になるとどうしても一年間終わってからの、トータルでの、合算での補填ということになるので、またその辺で、これまでのいいものが引き続き収入保険に入った人も残れるような、そんなことをしっかりと議論しながら制度をつくっていただきたいというふうに思っております。
それから、ちょっともう時間もかなり来ていますので幾つかあれして、基準収入の設定のお話をしてみたいと思います。
過去五年間の平均収入、五中五で算定をするということであります。ただ、この場合、当年の経営面積を拡大する場合及び過去の収入に上昇傾向がある場合は上方修正を行う。また、逆に、当年の収入が過去五年間の平均収入よりも低くなると見込まれる場合は下方修正を行うというふうにあります。
これは、基準収入が上がればそれだけ支払いの機会がふえる可能性が高まるので、進んでそういった修正をみずから申告するということが想定されるんですが、下方修正する場合にはなかなかそうしたインセンティブも働きにくい面もあるのかもしれない、そういうふうに思えるので、この辺を制度的にどのようにしっかりとチェックをして、そして運用していくのかというところ、この辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
確かに、下方修正の場合には、先生のおっしゃるような、なかなかインセンティブが働かないという観点がございますので、こういう場合には、やはり、営農計画を見る際に、必要に応じて実施主体によるチェックというのが必要になってくる、現地調査等が必要になってくるのではないかと思います。
なお、申告を偽った場合には保険金の支払いを免責するという規定もございますので、そういうことも適正に運用しながらやっていきたいというふうに考えております。
○簗委員 ありがとうございます。
次に、農業共済事業の見直しの二つ目の大きな柱の方に移りたいと思います。
この見直しの背景としては、先ほど来お話がありました、事務コストを効率化、合理化して、国の負担あるいはその加入者から取る賦課金というものの負担を抑制したいという思いが一つある。それから、農家の方が担っていただいている損害評価員、こういう方が非常に減少してきていたり、あるいは高齢化してきているということで、この制度の維持が非常に難しくなるんじゃないか、そういう見込みがあるということで、こうした制度の改正を行うということが背景にあるということです。
一方で、農業者のニーズにきめ細かく対応していく、要するに、使いやすい制度にして、加入を促進する、そして多くの皆さんがセーフティーネットの恩恵に浴していただくという意味で、ここは、非常に双方がなかなか折り合いをつけるのが難しい部分も私はあるのかなというふうに思っています。
ざっくりと非常に簡素化してしまえば、それは事務負担が楽になると思うんですけれども、そうすると、今まで例えば特定危険方式などで果樹なんかでやっていたものが、オールリスク対応型になるということになって、今までは、ひょう害とか凍霜害というふうに特定することで掛金負担を下げて加入を促進していたという面が一方であるわけですから、その辺をどういうふうに折り合いをつけていくのかということも一つポイントになるというふうに思います。
その中で一つまずお伺いしたいのは、大きな話としては、当然加入が廃止される。今、農作物共済の米と麦については、一定以上の面積を耕作している農家は必ず加入するという当然加入制度がとられていて、これが任意制になるということでございます。
そうすると、入らない、無保険になるという人が出てくる可能性もあるわけですね。今、当然加入で入っていても、本来であれば必要ないから入りたくないんだけれどもという人も中にはいるかもしれない。その場合に、無保険になる人も想定されるので、この辺を、どのようにそれを防ぐ手だてを考えていくのか、お考えをお聞かせください。
○細田大臣政務官 制度の根幹にわたって非常にポイントをついた御指摘を幾つかいただきまして、本当にありがとうございました。
いずれにいたしましても、現場でわかりやすく、また農業者の方のためになる制度を構築してまいりたいというふうに考えております。
当然加入制が任意の加入制に移行する、これは先生の御指摘のとおりでございますけれども、まず、私どもとしては、基本的には、当然加入制で入っていただいている方全ての、全戸に、きちんと訪問いたしまして、新しい制度のメリット、デメリットを含めて御説明をして、加入を促進したいというふうに考えております。
また、制度的な手当てといたしましては、集団単位で簡易に加入できる方式の改善、あるいは毎年の加入手続を省略できる自動継続特約などを導入するというようなことも考えております。
いずれにいたしましても、こういう現場での取り組みを含めて取り組みを行いまして、共済への加入というのを促進してまいりたいというふうに考えております。
○簗委員 次に、一筆方式、こちらも移行期間を設けて廃止をするということであります。そうすると、農業者は、全相殺方式、半相殺方式、また収入保険というものに切りかえを行っていかなければいけないわけですけれども、円滑に切りかえがなされるのか。
この辺、ちょっとどのように考えているか、お伺いしたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
一筆方式につきましては、経過期間を経た上で廃止した上で、ほかの半相殺方式、全相殺方式などに移行していただく、あるいは収入保険に入っていただくということを考えてございます。
共済の中での措置といたしましては、ほかの方式に、目で見て、目視をして、圃場ごとに半分以上収穫が落ちているな、これは半分以上であれば誰でもわかりますので、そういうことになれば一律五〇%減収として共済金を支払いましょうという、一筆半損特例と呼んでおりますけれども、こういう特例を設けることといたしております。
実際に、一筆方式にメリットを考えておられる方は、鳥獣被害で山際のところが特にやられる、毎年のようにやられるという場合でございますが、我々が試算しましたところ、例えばほかの方式に一筆半損特例を設けた場合には、一筆方式で共済金支払いを受けた方の九割が、ほかの方式であっても、全相殺方式であっても支払い対象になるということが試算として出ております。
こういうことをよく丁寧に農家の方に説明をいたしまして、また負担も同じぐらいですので、そういうことをよく丁寧に説明いたしまして、円滑な移行に努めてまいりたいというふうに考えております。
○簗委員 確かに、一筆方式は、被害圃場の全筆を現地調査を行って損害評価するという方式ですから、損害評価員にとって負担が非常に大きい、そういう今状況にある。それを、農林水産省さんが指摘をして、今回いろいろな見直しを行おうということでありますけれども、ただ、現場の声を聞くと、ちょっと違う部分もあります。
これは、確かに現行の損害評価というのは当然大変な仕事なんだけれども、苦とは感じていない、農業者のセーフティーネットとしての機能を果たすべく、より加入しやすい制度、きめ細やかなセーフティーネットを提供できることこそが喜びである、そういうことをおっしゃる方も実際にいます。
農業者がよいと思う制度、方式というものは極力残していただいて、加入促進をして、そしてセーフティーネットとしてちゃんと機能するように、そうした部分をぜひお願いしたいというふうに思っています。
もう一つ、先ほどちょっと触れましたけれども、特定危険方式も廃止をするということで、これまで暴風雨、ひょう害、凍霜害といった特定の自然災害に特化して掛金を負担するというこの方式について、過去に例のない災害が発生する中で、補償対象外の自然災害によって損害を受けるケースも多くなってきていて、補償の総合化を図るために廃止する、そういう見解を農水省さんはお示しになられていますけれども、本当にこの特定危険方式のニーズはないのかというところを伺ってみたいというふうに思うんですね。
今、果樹共済、これは加入率が二四%と非常に低い状況にあります。特定危険にして掛金負担を抑えてもこの数字ですから、今後、掛金負担が上がるということになると、またこの加入率が非常に心配されるという状況にもなりますので、この辺どのように考えているのか、ちょっとお聞かせください。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、果樹共済自身がまず二四%と非常に低い、農業者がメリットを感じておられないというところがございますが、今回の収入保険制度になりますと、特に果樹の方から我々非常に熱い期待をいただいているところでございますので、まず、価格低下対策が今までなかったということも含めて、果樹の方には収入保険になるべく入っていただくということを進めてまいりたいというふうに考えてございます。
それから、共済を引き続き選択する場合においても、自然災害、水害を外してみたら水害が起きちゃったというようなことが今回なくなるんだというメリットといいますか、安心感もかなりのものがあると思います。加えて、危険段階別掛金率を導入することによって、掛金も一定の方は下がる、こういうことをよく説明してまいりたいというふうに考えてございます。
○簗委員 もう時間になりましたので最後締めたいと思いますけれども、いずれにしても、今回、農家の皆さんにとって、セーフティーネットとして多くのメリットを享受していただこうということで制度改正を行う、そして、その中で国としても極力負担を抑えられるようにしていくということで、双方いろいろな形で思いがあっての制度改正になるわけでございますけれども、一番やはり考えていただきたいのが農業者のセーフティーネットとしていい制度にするということですから、農業者にとって入りやすい、使いやすい、これを一番に考えて、これから詳細な制度設計をして、そして、残り準備期間、非常にタイトな状況でもありますけれども、実施主体になる農業共済団体の皆さんとしっかりと協力をして、農林水産省においては取り組みをしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○北村委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。
早速質問に入らせていただきたいと思いますけれども、まず、収入保険の方から入りたいと思いますが、この収入保険制度導入の意義についてということで、これは大臣にお伺いしたいと思っています。
この農業経営者のセーフティーネット、これはしっかり盤石にしていきたいというところから、品目の枠にとらわれずに、農家の経営全体を、収入全体を見て総合的に対応するということで、この制度を導入ということで今議論が始まったわけですけれども、我が党として、これまでもこの収入保険制度の創設については大変強く主張し、党内でも議論を重ねて検討してまいりました。さまざまな取り組みの中で、この制度について、今回閣法として提案されたところでございますけれども、私どもといたしましては、しっかりこの委員会の議論を経て速やかに成案をされたい、このように思っているところでございます。
現行の農業共済、ナラシの仕組みについては、これはこれで非常に有効であるというふうに思っております。ただもう一方で、価格の下落、野菜や花卉などが対象外ということで、実際に農業総産出額に占める農業共済対象品目の割合は五六%ぐらいと伺っておりまして、そういう状況を踏まえると同時に、一方で、農業を取り巻く環境というのは大きく変化してきているんだろうと思います。
例えば、この委員会でも私も何回か質問させていただいた人手不足の問題ですとか、それから経営の多角化の問題、問題というか、むしろそういう方向性ですね、大規模化、六次化も進展をしてきているということ。こういうことを考えていったときに、今後の農業の将来展望も踏まえて、今回のこの収入保険のことというのは大変時宜を得た法案である、このようにも思っております。
そこで、大臣にまずお伺いしますけれども、今回の収入保険制度の導入の意義について改めて確認をさせていただきたいと思います。
○山本(有)国務大臣 今後、農業の成長産業化を図るという意味におきまして、御指摘のように、自由な経営判断に基づいて経営の発展に取り組む農業経営者を育成することが何より必要だというように考えております。
こうした中で、現行の農業災害補償制度、これは随分頼りになるいい制度でございましたけれども、自然災害による収量減少が対象でございます。価格低下等は対象外である、そういう性質を持っておりました。また、対象品目が限定的で農業経営全体をカバーしていないという側面がございます。
こうしたため、品目の枠にとらわれず、農業経営者ごとに収入全体を見て総合的に対応し得る収入保険制度を導入することによりまして、新規作物の生産や新たな販路の開拓等のチャレンジを促進し、農業の成長産業化を図るというような趣旨でこの制度導入に踏み切ったわけでございます。
以上でございます。
○稲津委員 ありがとうございました。
大臣、最後のところで、今後の農業の成長産業化に資するものであるということで、私も全く同感でございます。
この間、我が党の農林水産部会で福島県へ参りまして、農業の情勢についての視察をさせていただきました。JAふくしま未来、それから果樹農家の方のところへ伺いまして、さらに福島県の農林水産部とも意見交換してまいりました。この果樹農家の方のところは、お米も生産していますけれども、やはり福島の、フルーツ王国というか、桃それからリンゴ等を大変大規模にされていらっしゃいまして、その中でいろいろな意見交換してきたんです。
まず、JAとの意見交換の中で、この収入保険のこととは別なんですけれども、やはりいまだに風評被害があって、大変苦労なされているということ。お米の話もありましたけれども、放射性物質のことについて、米は福島県産のものは全量全袋検査をしている、したがって、最も安全で安心なお米の一つであるというふうに、こう認識しているんですけれども、しかし一方で、やはりそうした風評被害はまだまだあって、それとの戦いが続いているというお話もあって、これは、この農林水産委員会の機会に改めて私の方からもそのことを申し上げておきたいと思います。
それから、ここで一つ話題になったのが青色申告の話。青、白問わず、白であっても収入とそれから経費のところはちゃんと分類しているので、そこをもう少し見てくれないかどうかという話。それから、やはり兼業農家が多くて、青色は専業それから集落営農法人化というところが主になると思うんですけれども、そこをどう見ていくかという話もありました。一方、青色申告を進めていくために、マネジメント契約をして、JAも積極的にここにかかわっているということ。記帳の代行もするようなことも実は協力をしているという話もありました。
非常に特徴的だったのは、果樹農家の方のところへお伺いしたときに、この収入保険制度はどうですかとお話を申し上げました。こう申されていましたね。収入保険制度は、やはり大規模農家それから複合経営には大変有効である。
したがって、導入時はもとよりですけれども、将来的なことを見据えていったときに、まさに、農業の成長産業化を図る中では、こうした制度の仕組みをつくっていくということは非常に大事だなということを、今回この視察を通じて、改めて感じてまいりました。
ちょっと前置きが長くなりましたけれども、そこで、青色申告についてまず伺っておきたいと思いますが、収入保険制度の対象者について、青色申告を行っている農業者としている理由についてお伺いしたいと思っているんです。
この収入保険制度、繰り返しになりますけれども、農業者ごとの収入減少を補填するものであって、制度を適正に運営するためには、当然、農業者の収入の状況を正確に把握することが必要である、これは大変理解ができます。そのために、この制度では、経営管理を適正に行っている個人それから法人農業者としている。そこで、保険の資格者は、農業を営む者で、簡易な方式も含むけれども、青色申告を提出する個人、法人の農業者、こうしているわけでございます。
確かに、青色の方は、白色と比べると、複式簿記が義務づけられたり、そういう意味では帳簿の信頼性がさらに高まっている。ただ、そこでも、先ほどもちょっと触れましたけれども、やはり白色でも実際の農家は収入とそれから経費のデータは持っているわけですね。
ですから、ここのことを考えていったときに、改めて伺いますけれども、なぜ青色に限るというふうにしたのか、この理由について確認をさせていただきたいと思います。
○齋藤副大臣 収入保険制度が、委員おっしゃるように、青色申告を行う販売農家を対象にしているという理由ですけれども、まず、国費を投入して収入減少を補填するという制度は、他産業にはない制度でありまして、したがいまして、国民の皆さんの理解を得るためには、収入把握の正確性というものが肝になっているんだろうと思います。それに加えて、青色申告は、日々の取引を残高まで記帳するという義務がございますので、在庫等と帳簿が常に照合できるということがあって、不正が起こりにくい。一方、白色ではそこまでの義務がかかっていないという、そこに大きな違いがあると思っています。
したがって、青色申告への切りかえを促進するということが大事だと思っていますので、収入保険制度では、青色申告の実績が一年あればいいですよということにしておりますし、また、委員御指摘になりましたけれども、簡易な方式による青色申告も対象として、とにかくスタートをさせていきたいというふうに考えております。
我が省としても、農業共済団体、農協、農業委員会、青色申告会等と連携して、青色申告の推進にまずは全力を挙げていきたいと思っております。
○稲津委員 それで、青色申告について、もう一点伺っておきたいと思います。
本法律案では、農林水産省令で定める期間を通じて青色申告を行うことを求めて、具体的な年数は省令に委ねるとしております。
競争力強化プログラムでは、期間については、平均的な収入を適切に把握する観点、五年間継続していることを基本にしていますが、今副大臣からお話ありましたように、実績が加入時に一年分あれば加入できるようになっている。
しかし、五年青色申告してきた方と一年の方と同じ扱いでいいのだろうか、そういう見方もあって、補償内容についても全く違いもないのか。違いがあるということも検討しているというふうにも伺っておりますけれども、この点についてお示しいただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
青色申告、五年に満たない、一年分あれば加入できるようにスタートするということを考えておりますが、その際、青色申告が五年に満たない方につきましては、やはり五年の青色申告実績がある方との違いを考慮いたしまして、補償限度額を少し違いを設けまして、申告実績が五年になるまで、最初は少し、例えば一割程度低くスタートして、五年になるまで徐々に引き上げていくということを現在検討しているところでございます。
○稲津委員 そこはわかりました。
それで、もう一点は、またさらに青色申告について伺っておきますけれども、収入保険制度の実施は平成三十一年度産の農産物が対象になってくる。そこから始まるわけですね。保険加入を望んで現在青色申告をしていない場合、新たに一年間の青色申告の実績が必要で、そのことは、今繰り返し副大臣、局長からもお話がありました。
現時点で一番早く青色申告に加入するには、既にことしの三月十五日、この時点で青色申告の承認申請書を税務署に出していなければできないわけでございます。本法案の提出時期からすると、ちょっとタイミングが決していいとは思えないわけでございまして、そんなことを言ってもしようがないけれども、例えば臨時国会で法案が成立していると三月十五日までの間に日数がありますので、そこの紹介ももっとスムーズにいったのかなと思いますが、この三月で新たに青色申告を申請した農業者はどの程度いるのかということも一つの疑問なので、もし答えることができれば答えていただきたいですし、それから、これまでの理解では、農業経営体数に占める青色申告の実施農家数、これは先ほどの簗先生の質問にもありましたけれども、販売農家の三割強にとどまっていると承知をしております。
保険の安定運用には、何といっても分母のところ、母集団の確保が欠かせません。そこで、どこまで青色申告を普及していくのかというのが、私は、この法案成立と同時に、運用と同時に、何よりもここが一番の大事な点だと思っていますけれども、実際、この保険適用をどのような母集団の確保で考えているのか。
もう一つ、青色申告制度の加入促進のこれまでの取り組みと、それから法案成立後、今後の取り組みについて、ここも伺っておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
平成二十九年三月十五日までに青色申告の申請をした農業者の数につきましては、今税務当局にも集計をお願いしておりますけれども、税務当局でも今集計中ということでございまして、現時点でお話しできる数字がございません。
それから、母集団の確保、これは非常に大事なことでございますけれども、先ほど簗先生の御質問でもお答えしたとおり、これにつきましては、ほかの制度と選択制ということにしておりますので、あらかじめ国が目標数を示すということは考えておりません。法律成立後、現場ニーズを把握いたして必要な予算要求を行っていきたいというふうに考えてございます。
現在までの青色申告加入推進でございますけれども、先ほどもお答えいたしましたとおり、農協、農業委員会にパンフレットをつくっていただいて普及推進に努めておりますほか、税務署の協力もいただきまして、税務署にもポスターなりパンフレットを配布して、収入保険制度の導入について普及に努めているところでございます。
○稲津委員 ぜひ、加入促進のそうした取り組みを法案成立後も積極的に取り組んでいただきたい、このことを強く申し上げておきます。
次は、対象となる農業収入の範囲についてなんですけれども、この収入保険制度については、農業者が生産している農産物の販売収入全体としておりまして、一方で、補助金については販売収入に含めない、また、畑作物の直接支払交付金、甘味資源作物等の数量払いは販売収入に含めるとしている。どのような基準を基本にしているのか、これはかなり生産者から声も出ていますので、確認しておきたいと思います。
それから、加工品の扱い、事前の説明等々については、精米、餅、それから荒茶、梅干し、干しシイタケとか、簡易な加工を施したものはよいとして省令で定めるとしています。ただ、農業者が混乱しないように基準を明確にすべきだ、それから周知もしっかり図っていくべきだと思いますけれども、この点についてどうでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
基本的に、農業収入、それも税の仕組みに乗っかっておりますので、税務当局が農業収入として見ているもの、これを基本にいたしますが、例えば農業共済での数量払いについては基準収入に入れておりますし、そういうような既存の制度を見ながら、その原則のもとで幾つかの補償を行っているというのが基本的な考え方でございます。
加工農産物の範囲でございますが、これも具体的には、精米、荒茶、梅干し、畳表、干し柿、干しシイタケ、牛乳など、こういうような加工品について、農業者がみずから生産した農産物を加工して販売しているような場合、こういうような場合は所得税法上の農業所得として申告されているというふうに理解しておりますので、そういうものを対象にしているというふうに考えております。
今後、農業者にわかりやすい説明ができるような方法を、先ほどお話ししました例えばタブレットも含めて検討したいというふうに考えてございます。
○稲津委員 引き続き、少し具体的なことをまたさらに確認させていただきたいと思いますけれども、収入減少の範囲について伺っておきたいと思います。
本法律案では、農業収入減少の要因として、災害による事故、その他の不慮の事故及び農産物の需給の変動その他の事情、こうしたものを挙げられております。この収入保険制度の対象となる事故について、自然災害は農業共済事業における事故の種類と相違はないと思うんですけれども、どうだろうかということです。
それから、ここがちょっとポイントなんですけれども、その他不慮の事故やその他の事情、こういう書き方になっているんですね。ここはもう少し明確にしていかなきゃいけない。
当然、今後、通知等も含めて、省令等で示していくのかもしれませんけれども、これはこの委員会の中でもある程度ここは確認させていただきたいと思いますので、御答弁いただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
農業者が農業経営を進めていく際には、さまざまなリスクが想定されます。収入保険制度では、自然災害による収入減少に加えて、価格低下など農業者の経営努力では避けられない収入減少を補償の対象とすることといたしております。
自然災害による収量減少、価格低下以外の御質問でございますが、例えば、病気や機械の故障、それから農産物の収穫後の保管中に生じた事故などによる収入減少も補償の対象になり得るというふうに考えてございます。
その際は、営農を継続するための通常の努力を行っていたかどうかなど、必要に応じて個別に事情を確認しながら判断していきたいと考えております。また、判断が主観に陥らないように、今後、客観的かつ具体的な判断基準についても検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○稲津委員 そのことに関連して、もう一点、不正受給に対する対応ということを伺っておきたいと思います。
今、私も質問し、御答弁いただきましたけれども、収入保険制度の収入減少の範囲について、自然災害による収量の減少ですとか価格低下、そうした農業者の経営努力では避けられない収入減少、これが補償対象だということだと思うんですが、ただ、言われるところの捨てづくりとか意図的な安売り、それで生じた収入減少は当然補償の対象外だというふうに理解していますが、具体的にはどのような場合が考えられるのか、その基準はどうなのか、それから誰が調査をするのか、ここも確認しておきたい。
それから、もう一点、これも非常に大事なことですけれども、意図的で計画的な場合はやはりペナルティーを科す必要があるだろう。それは、例えばそういう事態が確認できた場合は、当然保険適用にならぬのは当たり前として、相当期間程度は再加入できないとか、それぐらいのことは私はあってしかるべきと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○大澤政府参考人 制度を適切に運用することは、この制度では非常に大事だと考えております。
御指摘の捨てづくりの具体例でございますが、このチェック方法でございますけれども、捨てづくりにつきましては、例えば加入者から事故発生の通知があった際に、事故発生というのは要は収入が下がりましたということですが、必要に応じて、周辺の圃場と比べて明らかに生育状況がおかしくないかとか、農作業日誌をチェックして、普通行われているようなことがされていたかどうかとか、そういうことをチェックして判断したいというふうに考えております。これは具体的には共済組合がチェックをしていくということでございます。
意図的な安売りにつきましては、例えば、加入者が加入申請時に計画していた販売価格に比べて大幅に下がっている、こういう場合に、同じものの市場価格との関係の検証、取引先への聞き取り、こういうことによって判断していくということを考えてございます。
それから、捨てづくりや意図的な安売りに該当する場合には、保険の適正な運営を確保するために、保険金の全部または一部を支払わないという措置を考えておりますし、重大な不正があった場合には、翌年以降の加入を禁止する、こういうことも措置する必要があるというふうに考えてございます。
○稲津委員 ぜひ、この保険制度の安定的な運用、それから信頼性を確保するためにも、そうした措置はしっかりやるべきだということを申し上げておきたいと思います。
次に、補填金の支払い時期についてということで、これは農業競争力プログラムでは、収入減収の補填金の支払いは、収入算定期間終了後の税申告後、すなわち、個人でいうと翌年の三月から六月、こうしているわけでございます。本法律案では具体的に規定はございません。多分そういうことになると思うんですけれども、可能な限り早期に支払われることが当然望ましい、こう思っておりますし、農作物の共済の方では共済金は原則年内に支払われる。
こういうことを踏まえていくと、この収入保険制度における補填金の支払い時期はどうなるのかということをお伺いするのと同時に、損害の発生から補填金の支払いまでの期間の融資措置も、これはしっかりと検討していただきたい。その制度設計についてお伺いしておきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、収入保険制度は、農業者ごとの収入を税務関係書類のもとで確認して補填金を支払うという仕組みでございますので、補填金の支払い時期は、個人の場合は収入算定期間の翌年三月から六月ぐらい、法人の場合には事業年度終了後数カ月後というふうになる見込みでございます。
そういう場合に、やはりつなぎ資金が必要だという場合、特に自然災害等の場合に当座の資金が必要だという場合もあると思いますので、法律上、実施主体がつなぎ資金を融資するということを検討してございます。これにつきましては、損害が明らかな、例えば自然災害のような場合に、農家の負担ができるだけ少なくなるような形で、無利子の形も含めて検討を今しているところでございまして、早急に明らかにしたいというふうに考えてございます。
○稲津委員 ありがとうございました。
ここまで収入保険のことについて伺ってまいりましたが、この後は、農業共済制度の見直しについて質問させていただきたいと思います。時間が大分迫ってまいりましたので、一筆全損特例等については、ここは通告していましたが、ちょっと飛ばします。家畜共済を伺っておきます。
本法律案では、死亡廃用共済と疾病傷害共済を分離することとしている。これまでは、死廃事故と疾病事故が一体として加入する仕組みであったということですが、性格の異なる損失の補償を一つにして選択ができない制度を改変することの利点も考えられますが、共済加入の安定性は確保できるのかどうかということについて確認をしたい。
さらに、屠畜場で発見される牛白血病の扱い、これは業者に販売した牛についても対象となるか。共済加入者間で取引された家畜導入直後の事故の取り扱いはどうなるのか。見直し等の政令対応についてお伺いしておきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
家畜共済は、今回、死廃共済と病傷共済、病気の場合、死んだ場合を分離するということでございますけれども、現在でも、今、基本は一体でございますが、死廃事故のみで加入することはオプションとしては認められております。つまり病傷事故を除外するということはできておりますが、現時点においては、ほとんどの農業者は病傷事故を除外しないでセットで入っているところでございます。
ですので、今回の見直しは、むしろ、その二つの制度について、例えば補償割合を変えるとか、そういうような柔軟性を含めることになるのではないかと思っております。また、病傷事故のみに入るという方々はあるかもしれませんので、いずれにしろ、安定的な制度運営には支障はないのではないかというふうに考えてございます。
それから、農業競争力強化プログラムに定められましたとおり、具体的には政省令等の領域になってくると思いますけれども、御指摘のとおり、牛白血病につきましては、家畜商が購入した牛の場合については、現在、共済金の支払い対象となっておりませんけれども、これも対象とするように見直しを政省令で規定したいというふうに考えてございますし、それから、最初の二週間、家畜導入後二週間に生じた事故については原則として共済金が請求できないというのが現在の仕組みでございますけれども、共済加入者間で取引された家畜につきましては、導入前の家畜の飼養状況について共済組合によるチェックが行われているということを考慮いたしまして、これについては最初の二週間の事故であっても共済金を請求できるように見直しをしたいというふうに考えてございます。
○稲津委員 最後に一点だけ確認します。無事戻しです。
無事戻しは、生産者が被害防止に努めて掛金の一部が戻る仕組みで、掛け捨て感を緩和している。本法律案では、共済金の一部を払い戻すことができる規定を削除し、無事戻しを廃止している。
この無事戻し制度の廃止の理由をお伺いしたいと思います。そして、今後の事故低減のインセンティブの考え方についてお伺いしまして、私の質問を終わります。
○大澤政府参考人 いわゆる無事戻しの廃止と危険段階別共済掛金率の導入というのを我々はセットとして考えておりまして、全体として事故低減のインセンティブを高めて、農業者の掛金負担を少しでも合理的に安くできるということになるのではないかというふうに考えてございます。
今まで行われておりましたいわゆる無事戻しにつきましては、過去の共済金の支払いが少なかった農業者に対して掛金の一部を払い戻すということなんですが、これは共済組合単位で行われておりますので、共済組合に積立金の余裕がなければ実施されないということでございました。積立金があっても、共済組合が判断してくれなければできないということなので、個々人にとって事故低減のインセンティブは結局少ないという論点があったかと思います。
そういうこともありまして、これを一定期間経過後廃止することにいたした上で、全ての共済につきまして危険段階別共済掛金率、個人単位で見まして共済金を使わなければ掛金が下がるという仕組みを導入することとした次第でございます。
○稲津委員 終わります。
○北村委員長 次に、小山展弘君。
○小山委員 おはようございます。
きのうに引き続きまして質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
きのうはやや多彩な質問になりましたですが、いろいろ御理解をいただきましたことを御礼申し上げたいと思います。
きょうは収入保険制度のことについて質問させていただきたいと思いますが、この収入保険制度は、特に私もよくお茶の話をさせていただきますけれども、茶農家にとりましても、初めてこういった価格低下に対する保険の制度ができるということで、期待の声も大変多く聞かれております。これは本当に、与野党を超えて、農業、農家の皆様のための制度を考えていくという意味で、ぜひ私たちも建設的な提案をさせていただきたいと思っております。
それでは質問に入らせていただきたいと思いますが、まず、今までの質問の中にもあったかもしれませんが、収入保険制度の加入者目標というものは、現時点での政府として持っていらっしゃるものがあるんでしょうか。これは当然、保険制度ですから、加入者の割合が多ければ多いほどこの制度の効率性、有効性というものも高まっていくわけですけれども、政策評価といった観点からも、三年後、五年後の加入者数の目標というものを立てる必要があるのではないかとも考えますが、どのようにお考えになっていますでしょうか。
○細田大臣政務官 ありがとうございます。
先ほどの簗先生の質疑のときにもお話が出たと思いますが、現在、収入保険制度の対象である青色申告を行っている農業者は、現時点では約四十四万人であるというふうに把握をしております。
しかしながら、収入保険制度と他の類似制度は選択制として、農業者がみずからの経営形態に合った制度を自由に選んでいただくということを基本的な考え方としておりますので、現時点で国が加入目標を示すということは適当ではないというふうに私どもとして考えております。
ただし、制度導入に当たって、当然、予算の編成を行わなければなりません。これについては、加入者数の見積もりが必要となりますので、法案の成立後、制度の内容を農業者の方々に対して現場において説明する中で、具体的なニーズの把握を行いながら検討し、その算定を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○小山委員 割とこれからも、多分、法案が通ってからというような御答弁が多くなってこようかと思いますけれども、現場の農家の方々や団体の方々も、具体的にどういう制度になっていくのか、それを見て、今回特に任意加入ですので、判断していきたいというような、そういう声も聞かれるものですから、ぜひ、加入目標、政策評価という観点からも目標を立ててやっていく必要があろうかと思いますので、またお示しをいただきたいと思います。
これも実は簗先生の質問を伺っておりまして、かなり近い御質問があったかと思いますけれども、収入保険の加入推進に当たって、もちろん農業共済団体さんがかなり中心的な役割を果たすところがあろうかと思いますけれども、これは非常に大きな、農家の方々に対して説明をしたりというような事務が発生しようかと思います。この際に、農協や農協職員の協力を要請するといったことも検討していらっしゃるんでしょうか。
○齋藤副大臣 農協初め関係の皆さんに御協力いただきたいと思っています。
それで、この収入保険制度は、青色申告を行うことが加入条件となっているものですから、そういう意味では、加入の促進に当たりましては、青色申告の推進と連携をしていくということが非常に有効であろうというふうに考えております。
青色申告に関しましては、現在、地域において、私の地元もそうですけれども、農協や農業委員会などが税務申告相談会などを開催して、農業者からの青色申告に関する相談に応じているというところが多くあると承知しております。そのような取り組みと連携していくことが効果的だろうと考えておりまして、このため、農協においては、従来行われている税務申告相談会の場等を活用して、青色申告の普及とあわせて収入保険の加入促進というものを行っていただくのがいいのではないかなというふうに考えています。
○小山委員 今のことでもうちょっとお尋ねできればと思うんですが、青色申告会での相談会とか、青色申告に絡めた、今、齋藤副大臣から答弁のありましたこと以外に、農協に対して、あるいは農協職員に対して協力の依頼をするというようなことが、考えられている、検討されていることがありましたら、具体的なものがもしありましたらお示しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤副大臣 農協あるいは農業委員会において、税務申告相談会など青色申告の推進に向けて自主的に行っておられることはよく承知しておりますし、二十九年度の予算におきまして、収入保険制度の加入申請や青色申告等に関する相談体制づくりなどの支援をするための予算も計上しておりますので、この執行を働きかけていくとか、そういうことはやっていきたいと思っています。
○小山委員 平成二十七年の農協法改正の際には、これは与党の取りまとめということで、この委員会でも話題になったことが、私は記憶しているんですけれども、行政は、単位農協を安易に行政のツールとして使わないことを徹底し、行政代行を依頼するときは、公正なルールを明示して、相当の手数料を支払って行うものとする、これはたしか附帯決議か附則にもあったと思いますけれども、農協に収入保険の加入推進を、協力する際には、こういった手数料的なものというか、その協力を要請した、事務負担をお願いしたものに見合った対価の部分の、そういうものを支払うというようなこともこれは検討されているんでしょうか。
○齋藤副大臣 まずはっきりさせておかなくちゃいけないのは、本件導入の働きかけを農家にしていただくというのは行政代行ではないということは、はっきり申し上げておきたいと思います。
その上で、先ほど申し上げましたように、従来から、税務申告相談会など青色申告の推進に向けて、農協のみならず農業委員会の皆さんも自主的にやっていただいておりますので、その相談体制づくり等の支援ということで、二十九年度の予算で措置をさせていただいているということでございます。
○小山委員 余り嫌みっぽいことは、きょうは言わないと思っておりますので。
ただ、国でできる制度ですし、国の資金も入りますし、先ほどの協力を要請する主語は政府かとも思いますので、政府にとって行政代執行というわけではないという、この辺のところは詳しく、法的にはどうなるのか、私もちょっと整理してみたいと思いますけれども、ここはぜひ各団体ともいい関係を構築していただきたいと思いますのと、まだ法案通過前に、生産部会の名簿を出してほしいとかそういう要請が実際に来ているという話も聞きますものですから、これは法案が通った後にしっかりお互いやっていきましょうというふうに、そんなふうなお答えをしたというようなこともちょっと聞いております。これはぜひ、いろいろな意味で、この法律をやっていくのは、行政だけとか特定の団体だけでできるものではないと思いますので、また適切な関係を築いていただきたいと思います。
それと、加入者をふやしていくのに、これは提案的に申し上げたいと思っておりますけれども、農業者の方が青色申告を行うインセンティブとして、例えば、全国青色申告会連合会が、毎年、これはかなり古くから要望しているそうですが、税制改正要望している事業主報酬制度、これは、同族法人企業の場合には役員に報酬を払うことは認められるけれども、個人事業主の場合には認められていない。例えばこういったものも導入するように、農水省としても、税制改正要望で省庁要望として求めていくといったこともいいのではないかということも、農水省さんが提案することを我々から提案したいというふうにも思いますが、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 収入保険制度は、青色申告を行う販売農家を対象とする制度でございます。青色申告自体は、農家に限られず、産業横断的な制度でございます。
収入保険制度を普及するためには、青色申告を普及している全国青色申告会総連合との連携の強化が不可欠であると考えております。御指摘の点を踏まえ、具体的にどのような連携が適切かどうか、よく検討してまいりたいというように思っております。
○小山委員 青色申告会の運動も大変意義があるものだと思っておりまして、こういう財務的なところというのは、農家の方も、中には青色申告をさらにすることによって、自分の経営管理、把握がもっと進む方も出てくると思いますので、この動きは本当に、青色申告会とも産業横断的にやっていくというようなことになっていくのはいいことだと思っております。
また、特に仮払金のことで今度はお尋ねしたいと思うんですけれども、今、国の制度の中では、被害があった年に融資をする。青色申告でやると税務申告が確定するまでに時間がかかりますので、災害が発生したり大きな所得減少が起きてから実際の青色申告で確定をして、それをもとにして支払いをするということなので、それまでの間、融資をするということになっておりますけれども、これですと、被害があった年に収入がないものですから、実際に、融資をして、収入保険から保険金が入ってくるという年が、この年に例えば、いいことですけれども豊作になった場合に、そこにさらに保険金の収入が入るものですから、そうすると、その年の税務負担というのが大変重くなるんですね、その次の次の年に。そういった問題も発生してくるのではないか。
やはり、できれば収入が上がっていくようなことがあった方がいいと思いますので、そういう想定をさせていただいているんですけれども、ですから、融資ということではなくて仮払金という形でお支払いをすれば、これは被害のあった年の収入として計上されますので、こういった収入保険の保険金支払いからくる収入増、税負担増といったことも解消できるのではないかということもありまして、仮払金として支払うということを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 収入保険制度に関する税制措置につきましては、法案が成立後、平成三十年度税制改正要望の中で検討することとしております。
また、御指摘のとおり、保険金の支払いが翌年になりますと、翌事業年度の税負担が大きくなるという課題もございます。
そうした課題の検討を含めまして、収入保険制度が、農業者ごとの収入を税務関係書類により確認した上で保険金を支払うということにしております。当年に仮払いを行うということは、収入が確定しないうちに支払いを行うことになるわけでございまして、収入保険制度にはなじまない仕組みであるというように整理をしております。
ただし、御指摘のとおり、保険金の支払いが翌年になると、繰り返しになりますが、税負担が大きくなるという課題の認識はございますので、農業者の負担が過大にならないような方策について、仮払いの問題としてではなくて税の負担の問題として、今後検討していく所存でございます。
○小山委員 ぜひ税負担の問題というところでは検討を進めていただきたいと思いますが、仮払金の問題としてではなくて、仮払金のことも含めて、ぜひ、逆に仮払金の問題についてもこれは検討しなければいけないと思うんですが、幅広く検討をいただければと思います。
今大臣からもお話がありましたが、仮払金支払いがもし困難だということになった場合でも、これは税制上の対策を立てていかなければいけないと思いますが、果樹共済の場合は、収入保険で支払われる保険金が、災害を受けた作物の収穫期に属する年の農業所得に認定されているということですけれども、これは、同様の措置というのは、少なくとも果樹共済と同程度の税制上の措置というものはぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤副大臣 収入保険制度に関する税制措置については、先ほど大臣が申し上げましたように、保険金が翌年払いになる問題への対応がありますが、それのほかにも、今委員御指摘のように、既存の農業共済を参考に、保険料についての必要経費、損金算入ができないかですとか、全国連合会が実施することになります収入保険事業についての非課税措置ができないかなどを検討しているところでありまして、加入者の負担軽減を図り、加入しやすい制度としていくように、税制措置についても検討を深めていきたいと思っております。
○小山委員 税務当局も、きょうは、岸本筆頭は今いないですけれども、なかなか手ごわい人たちも多いので、ぜひ農水省、頑張って、しっかり折衝していただければと思っております。そこの出身という意味で申し上げましたけれども。
収入保険制度の保険料率のことについてちょっとお尋ねしていきたいと思いますけれども、今、国庫補助後の農家の負担率は保険料率一%ということで、いろいろな説明、見込みとして御説明されているかと思います。正確な保険料率というのは、いつごろ、どの程度になりそうかということで決まるのでしょうか。結構、実は、見込みですと言っていて、制度が発足したらもっとふえましたということがあるんじゃないかという不安がどうもあるようです。
いつぐらいに正確な、だんだん変動するところはあると思いますけれども、最初の保険料率が決まりそうか、そのいつごろかという見込みをまずお尋ねしたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
実際に適用する保険料率につきましては、法案成立後、さらにデータ収集を継続して検討を行いまして、平成三十年秋の加入申請前までには決定したい、なるべく早く決定したいというふうに考えてございます。
○小山委員 それと、これも確認的にお尋ねしたいんですが、これから先も、国庫が半分を負担して農家が半分を負担していく、この負担の比率ですね、半々でやっていくということについては、これからも変わらずにやっていきますでしょうか。
○大澤政府参考人 まさに今回御審議いただいている法律案の中に、国が保険料の二分の一を負担する旨が法定されておりますので、法律改正がない限りは、この率でございます。
○小山委員 その保険料率が今後変更することもあり得るというような説明も、収入保険制度の制度説明に当たって、各地で、そういうことがあるということでやっていらっしゃるということなんですが、保険料率の、今後、今わかる範囲の中で、どんなふうに変わっていくというふうに見込みがあるでしょうか。それとも、基本的には変わらずにいく、先のことはわからない、現時点の見込みで示している数字のままでそのままいくことが前提であるということでしょうか。
○大澤政府参考人 これは現在の農業共済でも同じでございますけれども、やはり、過去の加入者の状況でありますとか、加入者の一定年間の被害率の状況、こういうものを見て改定していくというのが保険の基本的な考え方だと思っております。
基本的には、農業共済の共済掛金率と同様に、収入保険につきましても三年ごとに改定するということを考えてございまして、そういう事情でございますので、将来の推移見込みというのは、保険である以上、なかなかこれは作成するべきものではないというふうに考えてございます。
○小山委員 逆に言えば、現時点で上がるとも下がるとも言えないということかと思いますので、特別、上がることが何かもう最初から埋め込まれているということはないということだと思います。ちょっと邪推し過ぎかもしれませんが、済みません。
それと、保険料は、自動車保険のように危険段階別に設定されるということでありますけれども、ここも若干不安の声が上がっておりまして、どこまで危険段階別の中で保険料率がふえていくのかと。保険料率は最大でもある程度の、何%までというような上限というものを制度開始時に農家に示しておくべきではないかとも思いますが、これについてはいかがでしょうか。
○細田大臣政務官 ありがとうございます。
先ほどから御説明をしているとおり、制度発足時点においては、保険料率は全国一律の率を設定して制度をスタートするということにしております。
同時に、その後の保険料率は危険段階別に設定することとしておりますが、危険段階別の保険料率は、制度発足時点から上限や下限を設定するという方向で検討しております。
なお、制度を安定的に運営するため、三年ごとに、収入保険制度の加入者の過去一定年間の被害率の状況を踏まえて保険料率を改定していくという考え方で運用を行ってまいります。
先生御指摘のとおり、制度を安定的に運用するためには、保険料率が農家の期待を超えて高くならないようにする必要がございまして、これはできるだけ加入を促進して、安定的な母集団を形成する必要があるというふうに考えております。
○小山委員 次に、収入保険制度の運営に係る経費についてお尋ねをしたいと思います。
漁業共済のように、この経費については賦課金として加入者の方に負担をしてもらう予定でしょうか。もしそうであるとすれば、賦課金はどの程度の負担割合になる見通しでありますでしょうか。
○齋藤副大臣 今委員御指摘のように、運営には当然事務費がかかってくるわけでございまして、この事務費につきましては、加入者の賦課金と国庫補助で対応をするということにいたしております。
それで、経費として徴収させていただく賦課金につきましては、加入申請や保険金支払い等の事務手続のボリュームがどういうふうになっていくかということと、何よりも本制度の加入規模がどの程度になるかということによりまして大きく影響されるものだと考えております。
したがいまして、現時点でその加入規模がはっきりしていませんので、その負担の程度というのを明確にすることは難しいわけでありますけれども、法案成立後、制度の詳細の詰めを行って、加入者数等が見えてきた段階ではっきりさせていくということにせざるを得ないのかなというふうに思っております。
○小山委員 やはり、大数の法則ではないですけれども、できる限り多くの方に入っていただくということが必要かと思っておりますし、ナラシと今回の農業共済を比べますと、米農家の方にとっては結構ナラシの方が有利なのかなというようなところもありますが、いずれにしても、今回発足するということに大変意味はあると私は考えておりますが、できる限り簡素で、また多くの方が加入していただいて、コストというか経費が、負担が結果として軽くなっていくような、そういうものを目指していただきたいと思っております。
その関連で、政府の広報で保険料率は一%ということで、結構そういうつもりで農家の方はいらっしゃると思うんですね。そういう中で、保険料率が上昇していかないように、また経費見合いの賦課金が増加していかないように、できる限りコスト低減対策というものを講じていくという必要もあると思いますけれども、現時点でこのコスト低減のための施策というものを、農水省としてもし考えているものがありましたら、お示しいただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
コストといいますのは、具体的には事務に係るコストになろうかと思いますけれども、現行の農業共済、先ほどお話ししたとおり、坪刈りでありますとか、損害評価員を活用するでありますとか、収入保険についてはこういうものがございませんので、基本的に書類チェックを中心にするということでございます。片や不正対策というのは大事でございますけれども、できるだけ現場確認を行わないなど簡素な仕組みにしたいというふうに考えてございます。
○小山委員 それと、農水省作成のQアンドAには、機械の故障とか病気、けがによる収入減少が補償対象なんですけれども、一方で、営農を継続するための努力を行っていたかどうかを判断ということも書いてあります。
これは確かに、きのう、農水省の担当の方からも、質問の打ち合わせで事前通告した際に、基本的には収入が減ったら払うんだ、だけれども、捨てづくりとか、こういったモラルハザードが起きないように、そこはチェックしていかなきゃいけない、そのためにこの営農を継続するための努力を行っていたかどうかということを書いてあるんだということでございました。それは趣旨としてはそのとおりだと思っております。
しかし、一方で、QアンドAを読んだ農家の方からすると、この表現というのが非常に抽象的ではないだろうか、どういった時点で保険金が支払われたり支払われなかったりするんだろうかと。この営農を継続するための努力を行っていたかどうかということについて、もう少し定量的な、客観的な基準というのを示していくべきではないか。
確かに、利用する側からするとこれは不安に思うなというふうにも感じるんですが、この点について、現時点でお示しできるものがありましたら、お願いしたいと思います。
○齋藤副大臣 客観的かつ具体的な判断基準を検討していくということは、今後やっていかなくちゃいけないと考えております。
ただ、基本的考え方として、この収入保険制度におきましては、自然災害による収量減少に加えて、価格低下など、農業者の経営努力ではいかんともしがたかった、そういう収入減少を補償の対象とするというのがまず基本的考え方で、このため、機械の故障ですとか病気、けがによる収入減少についても補償の対象になり得るとしているわけでありますが、ただ一方で、ほかの機械で代替が可能だったりするようなケースというものはいかがなものかということもあるものですから、個別の判断も必要になってくるんだろう。
実際に制度を運用する際には、判断する方によって個別の判断が左右される、こういうことがあってはいけないと考えておりますので、今後、共済団体の実務のプロともよく相談しながら、冒頭申し上げましたように、客観的かつ具体的な判断基準となるように検討を深めてまいりたいと思います。
○小山委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
それと、今まで稲津先生や簗先生の質問の中にもあったかと思いますが、収入保険制度の運用に係る財源について、この確保について、ぜひ、これは大臣の意気込みを、確保していただきたいということと、どうやってこの財源をつくっていくかということをお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 既に、収入保険に至るまでの現在の農業共済、これも財源を確保してきたわけでございますし、その延長上にこの収入保険制度がございます。そんな意味では、財務当局との情報の共有というものはしっかりあると認識しております。その上で、毎年の予算編成過程でしっかりこれを確保するように、なお働きかけを行っていきたいというように思っております。
○小山委員 民主党政権のときのことを話すようで、ちょっと自虐的になるかもしれないですが、予算の組み替えということで、一方では非常にいい制度ができて非常にありがたい、だけれども、別の方の予算が大きく削られてしまってということになると、結果として支障が出てしまう、農村、農業をトータルで見たときに。そういうことになるのでは不都合じゃないかという声が結構聞かれたものですから、ぜひここのところは、毎年シーリングで予算削減要望が来ておりますけれども、これは財務当局としっかり交渉を頑張っていただいて、むしろ増額でこの予算を確保していただきたい。
この法案は本当に、規制改革会議提案ではない、農水省発の法案だとも思っておりまして、私ども、民主党政権のときからの経緯もあるものですから、ぜひこれは財源確保についても頑張っていただきたいと思います。
それと、きょうは若干時間も、私、大体いつも三十分なことが多いんですが、きょうは四十分いただいておりまして、ちょっときのうお尋ねできなかった、特に農水省の関係のことで、きょうはほかの省庁を呼んでおりませんので、少しお尋ねしたいと思うんですけれども、昨日、商工中金の話なんかもずっとさせていただいておりましたが、山本大臣は、今回、農協、漁協に対しても、体制整備不足ということを理由にして、結構JAとかJFの、きのう、ちょっと和歌山信漁連の話もしましたですけれども、信用事業譲渡ということを要請してきた、指導してきたというような経過があったと思います。
一方で、大変人数、体制も整っていて、しかも池袋や鹿児島というようなかなり大きな規模の支店において、政府系の金融機関の多くの行員が関与した不祥事が発生した。今、金融庁が検査に入っていますので、全体像というのはもうちょっと、明らかになるには時間もかかるかもしれないですが、このことについての山本大臣の感想、お考えというものをまず伺いたいと思います。
○山本(有)国務大臣 商工中金の当該事案について、私から言及するものではありません。
ただ、一般論として、先生がよく言っていただけるように、もと金融をかじった者としてどう思うかという、今現在の状況でございますが、私が担当しておりましたときには、金融における規制というのは二つの流れがありました。ルールベースとプリンシプルベースと、簡単に言うと二つでございます。
その中で、日本は、ベターレギュレーションという新しい発想を加えて、両方要るんだというような話をしましたが、その後、私が離れた間に、二つのルールベースでの深化があったと私は思っております。
これは、コーポレートガバナンス・コードというものとスチュワードシップ・コードという二つでございます。これは非常に金融の中身について踏み込んだ形だと思っておりますし、また、金融環境に応じたものだというように思っております。それは、MアンドA及び敵対的買収、こういったことに符合するものであろうというように考えております。
その上に立って、こうした深化はなぜ起こったのかというと、私は、すぐれて株式市場、金融市場の深化あるいは深みになってきただろうというように思います。
その中で、政府系金融機関は、こうした動きに、はっきり言いまして、余りこうしたルールを考える方面からは注視されなかったというように思っております。そのことにおいて時代的におくれがあるならば、早く取り返してほしいというように切望するところでございます。
○小山委員 大変専門的な、さすが金融担当大臣でいらっしゃったと言うと、失礼な言い方になってしまったら申しわけないんですが、お話をいただきました。ありがとうございます。
私はきのうも、繰り返しになりますけれども、やはり、何で不祥事が起こるんだろうかということを一度落ちついてゆっくり考える必要があるんじゃないかなと。今、金融庁も金融検査マニュアルを今度改定する。私は、ちょっとこれは振り子が反対の方に一気に振れるんじゃないかというようなことも懸念しているところではあるんですけれども。
今まで、体制整備不足ということで店舗を閉じてきた。確かに、体制整備ということもやっていかなきゃいけない。だけれども、体制整備をやっても、どこかで不祥事というのは、全くゼロになるというわけでもない。一方で、収益性の問題や地域の金融インフラの維持の問題もある。このバランスを図っていくことが大事じゃないだろうかと思っておりまして、この体制整備のためにかなり管理費を計上していて、そのことで収支が圧迫されている。その収支を圧迫していく、収支が悪いから、だから信用事業を譲渡しなさいというようなことも一部で言われているやに聞いているものですから、そもそも、この体制整備というところは収支にも影響がありますので、ちょっとこれは、金融庁も金融検査マニュアルを改定するということなものですから、ぜひこの際に検討いただきたいと思います。
もう一つ、実は、これは銀行関係の方からもいろいろ話をしている中で出たんですけれども、今回の商工中金さんの事案というのが、きのう私は、コンプライアンスの部分だけじゃなくて融資審査というところで、粉飾決算は常にあるかどうかということを審査しているわけですから、だけれどもそれがうまく出てこなかった、何でだろうかと。
これはどうも、国の資金、制度資金だから、かなり、自分たちはプロパーじゃないから安易に貸し出したところがあるんじゃないだろうか。これはちょっと、もし機会があれば別の委員会で商工中金さんの方にも、決して傷口に塩を塗るようなつもりは全くないんですが、お尋ねしたいと思っております。
それで、きょうは、実はこの話を今出しましたのは、政策金融公庫の貸し出しが非常に伸びているんですね。前も一度お示しして、きのう資料だけ配って、きょう配り忘れてしまったんですが、JA系統は一〇%シェアを落として、民間が伸ばしているかというと、民間も二%落としているんですね。公庫がひとり勝ちで、公庫は一一%、実は貸出金のシェアを伸ばしております。
こういう中で、与信審査というものが十分に行われているんだろうかというようなことが、あるいは、お客様というか、農家の方が多いかと思いますけれども、十分な経営指導、財務指導を行っている環境があるんだろうかというような懸念の声や、民業圧迫ではないかというような声も出ておりますけれども、これについてはいかがでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
本日、資料がないんですけれども、昨日先生がお配りした資料ですね、これは一つの資料に基づいてつくったものですから、一般金融機関はお話のとおりマイナス二%というふうになっておりますが、同じ資料の注の三というところをまた見ていただければと思うんですけれども、一般金融機関と表で出ている数字は都道府県農業信用基金協会の保証残高の合計でありまして、一般的には一般金融機関は農業信用基金協会の保証を受けておりませんので、ちょっと違う数字になっております。
同じではないんですけれども、日銀統計で、農業と林業が一緒になった融資残高はあるんですけれども、これでいきますと大体一〇%ぐらい伸びているということでございますので、そこは、データについてはまたよく見ていただく、我々も検討していく必要があるんじゃないかな、必ずしも民間、一般が落ちている中で公庫だけが上がっているということではないのではないかなというふうに考えてございます。
それから、審査のやり方でございますけれども、こちらにつきましては、制度資金でございますので、これは公庫がやる場合もございますし、一般、農協等のほかの金融機関がやる制度資金もございますが、これは共通の要綱を国が定めておりまして、経営者の能力を踏まえた事業計画の実行可能性、融資の返済可能性といった観点で審査が行われておりますので、その点で言う限り、これは同じ基準のもとで審査が行われているというふうに私らは理解してございます。
○小山委員 ぜひ十分な与信審査、これからも国としてもチェックをしていっていただきたいと思います。
それでは最後に、大臣に、金融検査マニュアルをどうも金融庁の方で変えるらしい、今回大きく変えると。今までよりもベストプラクティスの追求を求めて、顧客満足とか、担保をなるべくとらない融資姿勢、これも行き過ぎるとどうかなとは思いますけれども、こういうようなこと、あるいは地域経済の持続的成長を実現する必要性とか、こういう地域密着型の金融というものを目指していくんだということの方針が示されております。
こういった、まだこれも検討会の、諮問が出た段階で、詳しいものは出てないんですけれども、こういう動向を踏まえまして、今後、系統信用事業がむしろ今まで以上に地域密着、組合員密着で利用者満足を高めていくことも必要であると考えておりますが、これについての大臣の現時点での所感をお尋ねしたいと思います。
○山本(有)国務大臣 現時点で、委員のおっしゃるとおりだというように思っております。
特に、金融モニタリング有識者会議の報告書で、金融庁における検査、監督の目指すべき方向性として、最低基準の充足状況の確認にとどまらず、将来を見据えた持続的な健全性を確保する観点からの監督というように検査、監督の重点を移すと聞いております。
現在、こういう報告書を踏まえて、金融庁におきまして検討が進められていると承知しております。これについてのコメントは差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げれば、信用事業を行う上でも、経営の健全性を確保するためのさまざまな基準を満たすべく必要な監督を行うことは引き続き重要でございます。他方、今後の信用事業をめぐる厳しい環境を考えると、将来を見据えた観点から、信用事業のあり方を真剣に議論していかなければならないというように思っております。
いずれにいたしましても、農林水産省としましては、金融庁の動向も踏まえつつ、適切な監督に努めてまいりたいというように考えておるところでございます。
○小山委員 時間も来ましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
○北村委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 民進党、秋田県出身の村岡敏英です。
帰られましたけれども、千葉県松戸市の方、どうもありがとうございました。齋藤副大臣にお答え願いたいと思いましたが、ちょっと帰られましたので、大臣に。
きょうは、収入保険ということで、私は収入保険、自分の印象ですよ、非常にこれは農林水産省が意欲を持ってやる法案をやっと審議できるな。これまで、何か、どこかの上から降ってきたものの下請みたいな感じが、自信を持って答えている。これはきょうは本当にいい審議をしているな、こういうふうに思っております。
その中で、ちょっと、収入保険に入る前に、結果的にはつながることをお聞きしたいと思います。
五月の十九、二十日、ベトナムのハノイでAPECそしてTPP11、TPP11というのは何か日本のマスコミが書いていて、私、ベトナムやマレーシアやそれから各省庁のベトナムの方と会うと、TPP11というのは全く別物で、そんな言葉が本当にあるのかどうかということも話しておりましたけれども、このTPP、もしイレブンというふうになると、これは全く別物だという認識でよろしいんでしょうか、内閣。
○澁谷政府参考人 お答え申し上げます。
ハノイのTPP閣僚会合で出されました閣僚声明では、出席した各国がTPPの戦略的、経済的意義を再確認し、TPPの早期発効を追求すること、そのため、具体的な今後の選択肢の検討を政府高官、事務方に指示して、その検討を十一月のAPECの首脳会合までに完了させるというのが声明の内容でございます。
先生の御質問は、いわゆるTPP11というものがTPPとは別物なのかどうかということでございますが、まさに、この閣僚声明に沿いまして、十一カ国が結束を維持して、TPPの早期発効のためにどういう方策をとるかという選択肢についてこれから検討するわけでございます。七月に日本で開催する事務レベルの会合がその本格的な検討が始まる場になると思いますけれども、その内容によって、どういうものかということが変わると思います。
TPP、既に署名をしたものとまた別の形の国際約束となる可能性があるとは思いますけれども、いずれにしても、今後の検討ということになると思います。
○村岡委員 いや、可能性じゃなくて、それは昨年通ったのとは全く別物だという認識であります。
ベトナムとかマレーシア関係者に聞いても、やはりアメリカがいないTPPというのに関しては、ベトナムは特に議長国だったので、これを壊しちゃいけないという配慮はあったんですけれども、繊維を含めて、アメリカがなければなかなかベトナムもメリットがないし、もう一回国内にしっかりと説明しなきゃいけない。
当然日本も、TPP11を推し進めていくとすれば法案から予算づけから変わってくると思いますので、この点は、別物の可能性じゃなくて、内容が変わるわけですから、これは別物と考えていいですね。もう一度お答えください。
○澁谷政府参考人 ハノイの声明では、原署名国、アメリカを意識して、その参加を促すような方策も含めた検討ということになっております。したがいまして、可能性としてはアメリカが戻ってくる形のTPPというものもまだ残っているわけでございますが、いずれにしても、アメリカが入らない、また内容が仮に変わるというような形で合意するとすれば、それは新しい国際約束ということになると思います。
○村岡委員 これをすると収入保険ができなくなりますので、これはもう全く別物だという認識でいかなきゃいけない、こう思っています。
一つ、ベトナムに行って、大臣に言っていただきたいということで、前の農林開発大臣のファットさんと一緒に懇談しました。もちろん、ODAの中で道路や橋や鉄道というのもありましたけれども、農業分野での援助が非常にベトナムの役に立っている、その部分でいけば、農業技術という部分もしっかりとベトナムを応援していただきたい、このように言っておりましたので、ベトナムに対して何かありましたら。
○山本(有)国務大臣 ベトナムという国と日本は、かなり親密に農業分野でつき合っていただいているというように認識しております。
特に茨城県におきましては、ベトナム国と茨城県とが基本合意しながら外国人材を導入するということに踏み切っておられますし、また北海道でも、一部ベトナムに事務所を置いてJAが活動をしていらっしゃるということも聞いておりまして、そんな意味では、点から線にややなってきているのかなというように認識しておりますので、両国の人口構成からして真逆の人口構成でございますので、もしさらなる緊密な関係になるということにおいては、両方がウイン・ウインということは言えようかと思っております。
○村岡委員 農業分野ではほとんど争うことがないということですし、そして、大臣言われたように、平均年齢が三十・四歳という若い国で、九千万人の人口を持っているということですから、その関係は親日的ですし、農業分野でも大事にしていただきたいと思っております。
前の大臣でファットという農業開発大臣、今は共産党経済中央委員会の副委員長ということで、委員長になると十九人の中に入るみたいですけれども、そういう方が、また日本に来たとき、ぜひお会いしたいと言っておりましたので、お伝えしておきます。
では、収入保険に入らせていただきますけれども、これまでの議論で、収入保険と類似制度、どちらを選べばいいのかというのは、シミュレーションをしながらいろいろな数字を入れたら出てくるという形で丁寧にするということを言われておりました。
しかし、ここで気をつけなきゃいけないのは、もう四年ぐらい前になるんですか、米の概算金が九千円とかそういうふうになったときに、これはわかりにくいということで、農林水産省、百問百答というのをつくって丁寧に説明しました、私が質問したときにこう言っていました。私、百問読んでみました。一問一問はわかるんです。ところが、最後まで読むと何だかよくわからないんですよ。こういうのが多いんですよ、文章で。だから、これは直していくので、西川大臣のときでしたけれども、西川大臣が三回ほど変えて、やっと三回目ぐらいになってわかりやすくなる。
これは保険ですから、丁寧にやってほしいわけですよ。もう入ってしまってから、何だかよくわからなかった、こういうのじゃやはりだめなので、その丁寧さをしっかり、大臣、この収入保険にかける思いを。
○山本(有)国務大臣 保険といいますのは、標準約款、細かい字でいっぱい書いてありまして、結局、がんになったからがん保険でというときには、外皮腫と中皮腫とが違うとか、えっ、そんなことあったのという、大概そういうお話になるわけでございます。そんな民間保険についても是正を促し、今日、改善されてきました。
そういうベースに立って、今度の収入保険、農家の家計を維持するというものは、民間のノウハウも蓄積した上での成果というように考えておりますので、満を持した、新しい、日本の農業を支える一つの大きなツールだというように考えておりますので、なお慎重に制度設計に努めてまいりたいというように思っております。
○村岡委員 それはぜひやっていただきたいと思います。
澁谷さん、どうぞ。結構でございます。
というのは、これは保険に入ってからのわかりやすさですけれども、手前に事業化調査等、やったと思います。各農家の人たちで、受けた方々に聞きました。膨大な資料で、とてもじゃないけれども、これは入るのが、書けないと。それは相当な事業化調査なので、説明を受けたわけですけれども、全国で相当な数の人が入るとなったときに、この入る書類を読み尽くして、自分に有利か不利か、これがなかなか難しいという意見なんですけれども、それは農林省、どう思っていますか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
事業化調査、三年間実施いたしましたけれども、我々も、これはある意味で事業化するためのシミュレーションという面もあったんですが、やはり、少しかた目に考えて、結果的には書類は非常に多くなってきたということでございます。
事業化調査に協力していただいた農業者の意見、アンケートをとりましたけれども、特に、やはり様式の書類が多過ぎる、記載事項も細かくてわかりにくいとか、電子化できる部分はないのかとか、それから、自然災害があったときに写真撮影、災害のときに写真撮影なんかやっている暇はないではないかとか、農作業が忙しいのでそういう写真も非常に負担があるというふうにアンケートをいただきました。
今回、今現在、それを踏まえた検討においては、事業化調査の段階から申請書類は三割カットをいたしております。それから、いろいろな補助フォームをつくりまして、このガイドに従えば税務書類から必要な数字が抽出できるような形にしたり、事故発生時における写真撮影の義務づけはやめにいたしました。
このような改善をしておりますけれども、さらに御意見を伺いながら改善を進めてまいりたいと考えております。
○村岡委員 やはり制度がスタートしたときには混乱が起きるので、ここは本当に丁寧に説明しながら、これは類似のものとどういうふうな違いがある、それから書類はなるべく簡素にしながら、しかしながら経営をしっかり見なきゃいけないということもありますけれども、そこはぜひお願いしたい、こう思っています。
それと、もう一つ。収入保険は保険制度で、ほかの類似制度が民間で考えれば損保みたいな形だとすれば、この二つが普通の民間だと争うんですよ、どっちかに入ってくれと、当然安定するために。そういう意味では、連携がなければいけない。
いいメリットがどっちなのかということはもちろん説明することは大切なんですが、連携がないと、これでどっちかに入ってくれと争ったら、これは過剰に宣伝しちゃうということになるんです。民間ならやっているんですよ、当然。うちの保険に入ってほしい、うちの損保に入ってほしいと。その部分は認識でありますか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
既存制度と類似制度とは選択制にいたしてございますけれども、同じ国の制度でございますので、それがお客のとり合いみたいなことになって、結果的に政策目的の遂行に支障があるということは困った事態ではないかと思っておりますので、今回、いろいろな制度を比較する際には、そういうことではなくて、数字をちゃんと示して、数字をちゃんと比較して農家ごとにお示しして、それでどちらがいいかどうか判断いただくという形をとりたいと思いますし、それを共済組合及び関係組織にも徹底してまいりたいというふうに考えてございます。
○村岡委員 そこでなんですが、今共済に入っている中で、水稲共済の契約数というのは何件でしょうか。
○大澤政府参考人 約百四十万程度でございます。
○村岡委員 百四十万件共済に入っているわけですけれども、その中で一ヘクタール未満の共済に入っている人たちは何件かわかりますか。
○大澤政府参考人 今調べておりますので、また後でお答えいたしたいと思います。
○村岡委員 いやいや、農林省からもらった数値があるんですが。
もう言います。いいです、いいです。実に七八・五%なんですよ、一ヘクタール未満。この現実の中で、米でいけば、収入保険、ナラシとあった場合に、これは当然加入だったところが全部抜けて自分で任意で入るわけですけれども、この制度を、一ヘクタール未満の七八・五%も占めている方々が当然加入がなくなって抜けていって、共済制度が成り立たなくなったりいろいろなことが起きませんか。どうでしょう。
○大澤政府参考人 水稲につきましては、非常にまず、最近は、平成五年以降、余り事故が起きないということもありまして、掛金もほかの共済と比べてもかなり低くなってございます。
そういう意味で、強制されているから入っているというよりも、いろいろメリット、万が一のときの保険という形で、従来から入っているから入っているというような、そういう考え方の方も多いんじゃないかなというふうに考えてございます。
現に、数字を少し申しますと……(発言する者あり)はい。数字を申しますと、同じような義務加入制、例えばNHKの受信料でありますとか国民年金の負担でございますとか、比べてみますと、例えば共済金について義務加入で実際に払っておられない方は一・五%でございますが、NHKの受信料になりますと二〇%を超える、こんなようなデータもございますので、制度としては、共済についてはかなり普及している、確立しているということでございます。
それに加えまして、今回、いろいろな、危険段階別の共済掛金の導入でありますとか、自動継続契約の導入でありますとか、制度を加入し続けやすくするような改善もいたしますし、また、いろいろな国の融資、経営発展を目的とした国の融資でありますとか補助事業の採択に当たっても加入の働きかけをしていくということで、全体としての加入者についてはそれほど減ることはないのではないかというふうに我々は考えてございます。
○村岡委員 何というんですかね、これは当然加入だから入っているんですよ。災害がなければ、もうこの際やめるという人が多いというのが現実だと思いますよ。そして、その部分も説明もしなきゃいけないですし、NHKの受信料とは全く違います。NHKの受信料で何か災害が起きるわけじゃないんですよ、それは自分で見るという選択ですから。そんなのと一緒になって答弁していたら、農村部の人から、何を農林省は考えているんだと、こうなりますよ。やはりそういう面が新しい制度で収入保険というのは方向性として非常に大事だと思っています。
しかしながら、この共済との関連で、どちらを選ぶかということも大切ですけれども、今まで当然加入だったのが当然加入じゃなくなる、そして、小さい農家の一ヘクタール未満が、百四十万の中の七八・五%も入っている。こういう認識を一つずつしなければ、せっかくいい方向に行く制度がこれは崩れてしまう。この認識はもう少し、甘く考えないでしっかりやっていただきたいと思いますけれども、ちょっと政務の方、三役で。
○齋藤副大臣 確かに、NHKの受信料とは違いますので、もっと現場の実態、気持ちに即して我々は対応していかなくちゃいけないと思っております。
それで、新しい収入保険制度も、これは農家の皆さんのためになる、よかれと思ってやっている制度であります。確かに、強制加入がなくなるという問題も大きな問題ですので、よく理解してもらうということも必要だと思うんですけれども、一方で、自分で改めてその自分の農業経営を見詰め直してみて、何が一番得なのかということを考えていただくということも非常に重要だと思っておりますので、現場で一生懸命汗をかいて皆さんに説明して、そしてきちんとした判断をしていただくというふうに持っていきたいなというふうに思っております。
○村岡委員 ぜひ認識を、せっかくいい制度が、まだまだいろいろな疑問点や不安点はありますけれども、これで進めようとするときに、従来の類似制度が残っているわけですから、それとの比較とともに、それぞれがしっかりと運営できるような形で、政治の方で、やはり農業の現場は政治家の方が見ていると思いますので、農林省ももっと見てください、それぞれの農民の感情も。そのところはよろしくお願いしたいと思っています。
ちょっと、収入保険につながることで、時間的なものがあるので。
この前、大臣に、降ひょうの被害で、湯沢、横手市地域のこと、私も視察をしてきました。資料をお渡ししましたけれども、資料の中で、赤い丸で囲っているところがあります。実は、見事に果樹、野菜地域だけ降ったんです。水稲の田んぼなら、まだ田植え前で関係なかったんです。見事に果樹や野菜だけあるところに降ったという状況です。
そして、二枚目、めくってください。サクランボの、桜桃の部分に二センチほどのひょうが降ったものですから、これから被覆をして、ビニールをかけてという手前のところだったので、直接全部サクランボに当たっています。そのような傷ができて、ほとんど落ちたものもあります。それから、傷をつければ当然、ここからそれが腐乱していくといいますか、それからさらには形が悪くなるということで、農業者の人たちも、ここはいろいろな品評会なんかでも、山形よりもいいものが、量は少ないんですけれどもできるとも言われる、日本一のサクランボ、こういうふうなことで、販売も何十年かけて東京方面に売っていたんです。でも、こういう状況ですから、先週は東京の買っていただくところに、ことしは無理ですと。この販売網も一回失ってしまうわけです。
そういう大変な状況で、そして、ここは、サクランボからリンゴからセリからいろいろなものをやって、一年じゅう農業を続けながら、雪国でありながら頑張っている地域で、当然そういう地域ですから田んぼも預けられて、十町歩とか十五町歩とかやる人がたくさんいるんです。
そして、若い担い手がいるんですけれども、この担い手の人たちも初めての大災害なんです。会ったら、やる気をなくしているから励まして、この前も、大臣、行って、しっかり県や市と連携しながらやるから頑張ってくれと。もう涙ながらに、ちょっと自信を失っているような状況なので、ここはしっかり農林省でもこの地域のこの被害をしっかりつかんで支援体制をとっていただきたい、こういうふうに思っております。
桜桃に至っては、湯沢と横手、湯沢市は七六%、横手は一五%ということで、そして、その方々とじっくり話していましたら、いや、村岡さん、今、収入保険の話をしているね、収入保険、これ、前にこういうのがあったら入っていたんだけれども、なかなか桜桃だけでは入れなかったという状況なので、大臣、しっかりと状況把握して、支援をお願いしたいと思っていますので。どうぞ。
○山本(有)国務大臣 五月二十三日現在の秋田県公表によりますと、桜桃だけで二・五億円の被害額というように承知をしております。
このほかにも、リンゴや桃などの果樹で被害の可能性があるわけでございますので、今後、秋田県におきまして、果実への被害について、さらに詳細な実態調査を行わせていただくとともに、病害虫防除費等への助成、あるいは無利子の営農資金による支援等を内容とする補正予算を措置したというように聞いております。
農林水産省といたしましては、被害を受けたサクランボ等を分別して出荷したり、加工用原料に仕向ける際のかかり増し費用を助成する支援措置等を用意しておりまして、今後の果実の成長に応じた機動的な対応が可能となりますように、これらの事業の内容を県や関係団体と共有させていただきまして、一日も早い営農復帰ができるよう努力したいというように思っております。
○村岡委員 ぜひ支援をお願いしたいと思っています。
写真で一つだけ。象徴的なものが一枚目にあるんですけれども、木が切ってある、これは桜桃の木ですけれども、これは実はこの地域で一番古いサクランボの木で、いいものがなるんでしたけれども、このひょうでショックを受けて切っちゃったんですよ。本当に残念なことで、象徴的な木で、それほど被害が大変だという状況でありますので、お願いしたいと思っています。
そのときに収入保険の話をしたんですが、実は、四年前、雪害があって、ことしから返済のときに重なっているんです。そういう状況があるので、そこはぜひお願いしたいと思っております。
もう一回収入保険の方に戻りますけれども、一年でも青色申告をしてこの収入保険に入るということですけれども、それは青色申告はいつの時点ですか、これが法案が通ってスタートすると。
○大澤政府参考人 青色申告につきましては、制度加入のスタート時は、加入申請時に一年分あれば加入できるようにということでございますが……(村岡委員「いやいや、時期、いつですか」と呼ぶ)時期といいますと……(村岡委員「ことしなのか、来年なのか」と呼ぶ)
この青色申告は、ことし申請をしていただいて、記帳をしていただいて、その分の申告をするのが来年になります、ことしから始めるとしまして。そうしますと、来年の後半にこの収入保険制度の申請が、申し込みが始まりますので、その申し込みの時点で、ことし時点で青色申告を始めていただいている方は、一年分の実績があるということで収入保険に加入できるということになります。
お答えはこれでよろしいでしょうか。
○村岡委員 ことし一年間のやつで来年青色申告でいいんですか。去年の分の三月十五日じゃないですか。ちょっとその辺、しっかり教えてください。
○大澤政府参考人 ことし二十九年ですので、二十九年分の収入を来年申告するということで、来年、実績が一年分あるということになると思います。
○村岡委員 来年申告するのは、三月の十五日以降ですよ。それはいいんですね、ことしの二十九年で。そこもちょっと混乱があるんですね。ことしの三月十五日までに出さなきゃいけないんじゃもう間に合わないんだ、こういうような誤解もあるんですけれども、大丈夫ですよね。ここも混乱があるんですよ。はっきりと言ってくださいね。これは本当に重要なことですよ。
○大澤政府参考人 二十九年分の青色申告を来年するためには、ことしの三月十五日までに青色申告をするということを税務署に届け出なければいけませんので、その届け出という意味では、ことしの三月十五日でございます。
○村岡委員 これがもう終わっていることを知らない人がいっぱいいるんですよ、実は。収入保険の審議をし始めて、じゃ来年三月十五日にやればいいんだ、じゃ収入保険入ろうかと、もう既に締め切っちゃって入れないんですよ。この実態をわかっていなくて現場は混乱が少し起きているんですよ。これは制度的にそうだといえばしようがないんですけれども、大臣、ここも混乱が起きているのを知っていますよね。ちょっとお答えを。
○山本(有)国務大臣 本来、五中五の実績が必要なところを、経過措置として一年分、こういうことになっておりますので、ことしの三月十五日に申請いただくということが筋だというように思っております。
○村岡委員 そうなると、審議してまだ通っていないものが、結局は、一年でできるって、できないということなんですよ、今やっと知った人は。ちょっとここは、制度的に、収入保険とナラシとか類似等調べてシミュレーションするというのもまだできていない段階ですよね。何もできていない段階で、もう既に、スタートする時点では、ことしの三月十五日までに青色申告をすると言わなかった人はもう入れないんですよ。
だから、シミュレーションの前に、そこの方が重要な、農村また農家の方々に、収入保険が例えば通った場合には、青色申告の一年というのはことしの三月十五日までに申告しなければだめですよという通知をもっと徹底するべきだったんですよ。もう、今シミュレーションしても、一年というのが、例えば来年の三月十五日に今度は申請すると言った人は、新制度ではだめですよね、当然。当然だめですから、そうすると、その人たちはいつから入れるんですか。
○大澤政府参考人 制度スタート後一年待っていただいて、翌年から入れることになると思っております。
○村岡委員 やはりそこは説明不足だったんですね。
それで、三月十五日まで、この制度がスタートをするので入ったのか、それとも、そうじゃなく、青色申告に変わっていったのかは別にして、どのぐらいふえているという把握はまだ、できていますか、できていませんか。
○大澤政府参考人 その点につきましては国税庁にも依頼しておりますけれども、国税庁の方で今確定申告が終わって整理している段階でございますので、もう少し時間がかかるというふうに御理解いただきたいと考えております。
○村岡委員 もう時間が参りましたのでやめますけれども、そうなると、スタート時に類似の制度を選ぶか選ばないかじゃなくて、三月十五日にやっていない人は、もう必然的にナラシとかほかのものでいくしかないんですよ。だから、やはりこういうところも、農林省、新しいみずから自主的につくった法律なんですから、しっかりと説明していくことを急がなきゃいけない、そのことだけを申し伝えて、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○北村委員長 次に、斉藤和子君。
○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
農業災害補償法の改正案について質問をします。
今回の農業災害補償法の改正案は、新たな収入保険制度の導入と、現在の農業災害補償制度の改正でなされており、論点が数多くあると感じています。今回質問し切れなかった問題は次回に回したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
今回の収入保険制度は鳴り物入りでまとめられたわけですけれども、農業関係者にはその詳細がほとんど知られていないなというふうに私も感じてまいりました。まず、その点、収入保険について質問をします。
今回の収入保険は、加入対象者について、先ほど来あったとおり、青色申告を行い、経営管理を適切に行っている農業者としています。
青色申告を行っている農業者は四十四万人程度であり、農家数は全体が二百十五万五千戸。全体にすると、青色申告を行っている方は二〇%弱。販売農家に限定をすれば、百三十三万戸ですから、約三三%になるわけです。つまり、今の段階で、七割、八割の農家の方は、今回の収入保険には加入できないということになります。
収入保険的要素を持っている、そして加入率も非常に高い、例えば漁業共済の積立ぷらすは青色申告を前提にしていません。それなのに、なぜ今回の収入保険は青色申告をしている人というふうに限定、対象にしたんでしょうか。
○山本(有)国務大臣 御指摘のように、収入保険制度は、青色申告を行う販売農家を限定して対象にしております。
国費を投入して収入減少を補填する制度というものは、他産業にない制度でございます。収入把握の正確性、これが国民の理解を得るための一番大事な肝であるわけでございます。
青色申告というのは、日々の取引を残高まで記帳する義務がございますし、在庫等と帳簿が照合できるわけでありまして、不正が行われることがほぼないというすぐれた制度でございます。その一方で、白色申告ではそこまでの義務がないということでございます。
なお、青色申告への切りかえを促進する観点から、収入保険制度では、青色申告の実績が一年あれば加入できますし、簡易な方式による青色申告も対象としてスタートすることができるわけでございます。
特に、簡易な方式では、複式簿記までは求められておりませんし、現金出納帳等を整備し、日々の取引を残高まで記帳する方式であることでございますので、現在、白色を行っている方でも容易に取り組めるものだというように考えておるところでございます。
特に、先生御指摘の漁業共済、積立ぷらすについてでございます。漁業者の収入減少を補填する仕組みという点では同様でございますけれども、漁業等において、漁業者の販売数量及び販売金額を管理を漁協がしております。それを用いれば漁業収入を正確に把握することができるわけでございまして、両方とも同様に、税の申告の仕組みの厳格性、これをもって、共通の認識でございますので、そうした意味での漁業ぷらすと同レベルに今回させていただいたというように考えておるところでございます。
○斉藤(和)委員 つまり、青色申告は、必ずしも複式簿記だけではなくて単式の簿記でもいいという選択制になっている。しかも、二〇一四年の改正のときに、白色も帳簿をつけることになっているわけですね。そうしたら、収入をきちんと管理するというのであれば、白色でも私は十分可能ではないかと。先ほど大臣おっしゃられたとおり、白色の方であっても簡易な青色に行けるということは、白色でも可能だということではないかと思うので、必ずしも青色にこだわる必要は、私は率直に言って、ないというふうに思うわけです。しかも、対象がもう七割は今現在やっていない。それで、先ほど来あるとおり、ことしの三月十五日に申請しなければできない、そういう制度でそもそもいいのかなという疑問があるということを指摘したいと思います。
それだけではないということなんですね。青色申告をしている農業者であっても、農業共済事業の共済関係の存する者その他農業収入の減少について補填を行う事業を利用する者は保険資格者に該当しないものとすると。つまり、農業共済や収入減少影響緩和対策、ナラシ対策、野菜価格安定制度だとか加工原料乳生産者経営安定対策などの各加入者は、その制度をやめなければ今回の収入保険制度には入れない、加入できないというふうになっています。
なぜこれは加入できないようにしたのかということと、それぞれの加入者が今現在どうなっているかというのを明らかにしてください。
○細田大臣政務官 今、加入者についてのお尋ねということでよろしいですね。事実関係のお尋ねですので、私の方から回答させていただきます。
まず、農業共済でございますが、これは引受戸数という数字が出ております。農作物共済は約百四十八万六千件、畑作物共済は約七万四千件、果樹共済は約六万三千件、家畜共済は約六万三千件でございます。
収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策は加入申請件数という数字が出ております。これは約十一万件でございます。
加工原料乳生産者経営安定対策については、これは加工原料乳生産者補給金の指定生乳生産者団体への委託者数という数字が出ておりますが、これが約一万六千件でございます。
野菜価格安定制度については交付対象者数という数字が出ておりまして、これは約二十三万五千件となっております。
○斉藤(和)委員 加入できない、なぜ加入できないようにしたのかというところをお答えお願いします。
○山本(有)国務大臣 収入保険制度と申しますのは国費が投入されるわけでございます。農業者が他の国費が投入された類似の制度にも加入して、損失が起こった場合に二重に取得できるというようになりますと、これは損失のダブルカウントになります。これでは国民の理解が得られない。税金の二重取りというように批判されるわけでございます。このため、ナラシ対策、農業共済、野菜価格安定制度など、国費が投入されている類似制度との重複は避ける必要がございます。
また、農業者の経営形態がさまざまである中で、収入保険制度が導入されましても、従来の制度がよいという方のニーズにも対応できるようにするということは必要でございます。
このようなことから、農業者がそれぞれの経営形態に応じた適切なセーフティーネットを利用できますように、選択加入というようにさせていただきました。
ただし、マルキン等につきましては、収入保険制度やナラシ対策等と異なりまして、収入減少だけではなくコスト増も補填するという仕組みでございます。収入保険制度とは別建ての制度、仕組みでございますので、肉用牛などのマルキン等の対象品目は収入保険制度の対象外として、いわば二重に加入することができるわけでございます。
以上です。
○斉藤(和)委員 要は、マルキンは収入保険の対象外だということで、農業共済と重複加入は認められているわけですよね。これはちょっと矛盾があるのではないかと率直に言って思うわけです。だからマルキンやめろとか重複加入をやめろと言っているわけではなくて、要は、わざわざ税金の二重取りだからだめだというふうにおっしゃられますけれども、必要な制度はやはりしっかりと、災害時、あったことに対しては補償もするということとあわせて、やはり収入が減少したときに補償するということは必要なわけですから、そういう点で、これは整合性がいかがなものかなというふうに感じるわけです。
今、前段で人数を確認しましたけれども、農業共済に入っている方は延べ百四十八万件あるということです。ナラシも十一万。それから、野菜が二十三万五千、加工原料乳が一万六千。しかも対象品目から外されている畜産農家は五万六千というふうになっていることを合わせますと、共済を除いたとしても、約五十万以上の方々は既存の制度に残った場合は加入できないというふうになっているわけです。
さらに、今回の収入保険は今入っている制度をやめて加入するほどのメリットがある制度なのかというふうに疑問符がつくと、青色申告者であったとしても、今回の収入保険に加入する農業者は極めて限られてくるのではないかというふうに思うわけですけれども、農林水産省としては一体どれぐらいの農業者がこの収入保険に加入するというふうに想定されているのか、お答えください。
○山本(有)国務大臣 収入保険制度につきましては、他の類似制度と選択加入であるということでございますし、農業者がみずからの経営形態に合った制度を自由に選んでいただくこととしております。
国が加入目標を示すというように考えてはおりませんけれども、収入保険制度というのは、品目の枠にとらわれず、自然災害に加えて価格低下など農業者の経営努力では避けられない収入減少を補填の対象としております。また、青色申告を行えば、規模等の要件なく誰でも加入できるというようにしております。新規作物の生産、新たな販路の開拓、そういうようなチャレンジをしていただいている農業者の場合にはふさわしいセーフティーネットであるというように感じているわけでございます。
そのため、複合経営をこれから考える若手の農業者、こうした人たちが相当程度加入するというように見込んでおりますので、農林水産省としましてもこの加入を促進してまいりたいというように思っておりますし、農済、農業共済の団体の皆様も、こうしたことに理解を深めて勧誘の手だてをとっていただいているというところでございます。
○斉藤(和)委員 希望的観測で、複合経営の若手などが入ってくれるのではないかということですけれども、先ほど来あるとおり、目標を設定してではなくて選択制なのでという話なんですけれども、本当に運営が成り立っていくのかという疑問が払拭されないなというふうに思うわけです。
今後この制度はどう展開していくのかというところも非常に気になるところでありまして、ナラシだとか畜産、野菜の価格安定の今ある制度と選択制にしたということは、今後、このナラシだとか畜産価格の価格安定制度はなくしていって、収入保険一本にしていくんだ、そういうふうな制度の展開を考えていらっしゃるんでしょうか。
○山本(有)国務大臣 あくまで制度の並立という前提に立っているわけでございますが、今までセーフティーネットとしましては、収量低下に対する備えとしての農業共済、あるいは品目別の収入や価格の低下対策としてのナラシ対策、野菜価格安定制度などでございました。
けれども、農業共済は収量減少が外見で確認できるものに限定をされていることによって、露地野菜等が対象外でございました。ナラシ対策や野菜価格安定制度と申しますのは、地域の統計データを活用しておりまして、対象はデータがそろっているものに限定をされているわけでございます。ですから、いずれも対象品目として全てをカバーしていないわけでございます。
今回の収入保険制度の創設によりまして、初めて全品目、全ての品目で、農業をやっていらっしゃる方々がセーフティーネットの制度、仕組みのサービスを享受できるということにしたわけでございまして、既存の制度と選択加入ということとともに、個々の農業者ニーズ、実情に応じた対応も可能となりました。
こうしたことによりまして、本制度の普及を促進し、安定的に運営することによりまして、農業者の経営安定と農業の成長産業化、さまざまな工夫ある農業者がこれによって救われるというように思っております。
○斉藤(和)委員 全品目のセーフティーネットができると。
その一方で、農業者の選択を奪わないためにも、ナラシだとか畜産マルキンだとか野菜価格安定制度はなくさない、収入保険に全て集約して一本化することはないということでよろしいでしょうか。
○山本(有)国務大臣 御指摘のとおりでございます。
○斉藤(和)委員 一本化せずに農業者の選択の幅を広げる一つだというふうに理解をいたしました。
さらに、今回の収入保険は経営単位が対象になって、品目別の販売収入を対象にしていません。経営単位の収入保険では、先ほどもあった、複合経営している場合、ある品目が価格下落で損害を受けても他の品目の収入が増加すればトータルとして収入を見るため、相殺されて保険の受取額が小さくなるということもあるわけです。
現在の農業共済でも、全相殺方式、圃場ごとの減収分と増収分を相殺して保険金を支払うという方式がありますけれども、余り好まれていないという実態があります。
日本の農家でも、総収入を対象とした保険というのは余り普及していない、好まれていないというふうに指摘をされている専門家の方もいます。
収入保険の先進国のアメリカでも、品目別の販売収入を対象とした収入保証保険、RPと言われるようですが、これが収入保険全体の九五%を占めていて、経営単位での収入全体を保険の対象にするAGRという保険の加入者は少数にとどまっているという指摘もあります。
こうした現状を見ましても、今回の収入保険が経営単位になっているということが日本の農業者に受け入れられるというふうに考えておられるのでしょうか。
○山本(有)国務大臣 収入保険は、品目の枠にとらわれないというのが特徴でございます。農業経営者ごとに収入全体を見て総合的に対応し得るセーフティーネットという意味で、導入する価値があるものだというように考えております。
我が国で、単一経営でなくて、認定農業者を中心として複合経営に取り組む農業者がふえております。相当程度ニーズがあるというように考えております。
二十八年度に調査事業において調査をいたしましたところ、五千経営体に対するアンケートで四三%が収入保険の加入を考えていただいているということでもございました。
また、導入につきましての品目別収入保険制度というものについて御提案をいただいたわけでございますが、この保険に加入していない品目で十分収入を確保しつつ、保険に加入した品目については意図的に収入を減少させるというモラルハザードが発生するということを予測しております。これを防止するために、品目ごとに収入が減少した要因を詳細に確認するという事務コストが膨大になります。というように、品目別の収入保険は我が国ではなじまないというように思います。
アメリカでも、先物価格に応じて、先物対象品目に限定して、先ほど御紹介の品目別収入保険が存在するというように理解をさせていただいておりますので、今回のこの収入保険という制度、仕組みは、経営体の収入に着目し、かつ、正確な把握をすることができる青色申告、しかも簡易型でも可というようなことでございますので、まずはこうした取り組みによって農業を下支えさせていただきたいというように思っております。
○斉藤(和)委員 今、五千件にアンケートをとって、四三%加入を考えていると。これを高いと見るか、低いと見るかという問題もあると思うわけですけれども、経営体全体で収入を補填する全相殺というのが現在の共済制度の中でも余り好まれていないということはよく見ていただきたいなというふうに思うわけです。
同時に、四三%以外の方や、現に青色申告をされていない七割以上の農業者の方々は今後も農業共済に依拠することになるんだろうというふうに思うわけですけれども、ここも、収入保険を入れるのと同時に、農業共済の改正もこの中に含まれて、今回の法律の中に入っている。
先ほどもありましたが、加入者にとって、私は今回の改正というのは大きな問題が生じかねないというふうに思っているわけです。
まず、やはり、先ほどもあった、当然加入がなくなって任意加入になる点です。
作物共済、稲や麦は当然加入になっていて、保険において起こりやすい、皆さん入りますから、逆選択という、災害や事故など被害が多い人がより多く加入するという、逆選択と言われますけれども、これを防ぐ手法になっています。車の自賠責保険などが、車を持っている人は全員加入するという、ある意味、社会政策的な目的として保険がつくられている。これが今までの農作物共済の考え方だったんだろうと思うわけです。それで、農業共済でも米と麦は当然加入になっていた。
しかし、今回、これが任意加入になってしまう。そうなった場合、災害が多い地域では共済に入るけれども、そうじゃない人たちはやめていくというようなことも起こり得るのではないか。農業共済組合の、そうなってくると、財務、財政的に運営が大丈夫なのかということと、農村集落において、相互扶助の仕組みでこの共済制度というのはつくられてきた。相互扶助ですから、全員入っているので相互扶助という意味が働いていたわけですけれども、こういうところにも影響しかねないのではないかというふうに思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 今回の改正では、農作物共済の当然加入制につきまして、米麦を取り巻く状況の変化等を踏まえて、任意加入制度に移行することといたしました。
当然加入制を廃止いたしましても、危険段階別共済掛金率を導入することによりまして、共済金を受け取らない農業者ほど掛金が安くなるため、低被害の人でも継続加入しやすくなるというように思っております。
また、坪刈り等を要さずに目視による評価で一筆ごとの損害を補償する制度を導入いたしました。そのことによりまして、制度の改善を行うことができたというように考えております。
また、経営発展を目的とした融資及び補助事業の採択に当たって、共済等への加入を促すこととしておりますから、災害に遭いやすい者だけが加入し、共済事業の運営に支障を来すような事態にはならないのではないかというように考えるところでございます。
○斉藤(和)委員 本当にそれで大丈夫かというふうに懸念するわけですけれども、その理由は、日本の農業共済の大きな特徴というのは、農家みずからが組合員として組合の運営に参加をして事業の推進や損害評価を行っている。これは全員加入だから、大変だけれども俺やるよという、そういう力というか、そういうのが働いていたというふうに思うわけです。
具体的には、集落ごとに共済部長を選出し、共済部長は、加入申し込みの取りまとめだとか共済掛金の徴収だとか支払い通知の配付など、組合と組合員の間をつなぐパイプ役を果たしているわけです。全国に共済部長は十七万人いると言われておりまして、また、災害が発生した際に損害評価を行う損害評価員も十四万人選出されています。共済部長の報酬はごくわずかでありますし、損害評価員についてもほとんどボランティアのような状態で共済の業務を行っているという実態があります。
こうした集落を基礎とした農業共済の仕組みというのは、戦前、農会が組織した農家組合の機能を受け継いだものであり、農協組織と同様に日本の村社会の伝統の基礎になっているというふうに思うわけです。
こうやって農家の皆さんがみずから役員にもなり、評価もし、そしてみんなで支え合おうという仕組みによって、ある意味農家は自分たちがつくっている農業共済であるという意識を持つ、それがある意味モラルハザード、不正請求を防いだり、また推進費用の節約にもつながってきたのではないか。
農業共済の農村を守っていくという視点からも非常に大きな役割を果たしていたのではないかと思うわけですけれども、今回の任意制に移行することによって、こうした農業共済が果たしてきた非常に基礎的な、基本的な農村社会の基盤をつくってきた、こういうものを掘り崩すことになりかねないのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○山本(有)国務大臣 委員御指摘の農村社会を維持する人の輪というような、そういうものに裏打ちされたこれまでの農業共済の評価はそのとおりであろうというように思っております。
ただ、今回の改正につきましては、当然加入制につきまして、米麦を取り巻く状況の変化等を踏まえた形で任意加入に移行をさせていただきました。
現行制度では、当然加入制でございますが、農業者が現地調査に従事することにより損害評価を実施してきたところでございます。これは御指摘のとおりでございます。しかし、今後、農業者が激減しておりまして、その評価方法を継続することが困難な地区が散見されるわけでございます。
このため、出荷資料で減収量を把握する等、他の適切な損害評価方法を活用することによりまして、引き続き災害に対する農業共済の機能が発揮できるようにしてまいりたいというようにも思っております。
というような時代背景というものを踏まえた形で新しい仕組み、制度を導入させていただきました。
○斉藤(和)委員 それで、この任意制も問題だということとあわせて、私はさらに危険だと思うのは一筆方式をなくすことなんです。
今でもやはり災害が少ないところでは、もういいやというような声も、任意性になればやめるわという声も聞かれる。しかし、一筆方式が残っていれば、何かあったときにというのでまだとどまる要因になると思うんですけれども、これさえ廃止してしまう。
収穫共済の一筆方式というのは、御承知のとおり、被害圃場の全筆を農業者が現地調査などを行って損害評価する方式です。収穫共済の八割が一筆方式に加入している、補償単位が圃場ごとである点が特徴であって、三割の減収でも補償されるという、非常に小規模の農家であっても圃場ごとに損害が受けられる非常に私はいい制度だというふうに思うわけです。
収穫共済の引き受け方式が圃場単位であることはこの一筆方式だけなわけで、半相殺だとか全相殺だとかありますけれども、補償単位がほかのものは農業者全体になるわけですね。
今回の一筆方式の廃止で、圃場ごとの被害補償がなくなるということは、きめ細かい補償ができなくなるというふうになると思うんです。今回、新たに一筆の特例というのも設けられますけれども、五割以上の減収というのは、農業者の方に、ええっ、五割ってそれは何だよという反応を私は聞きましたが、やはり現行の一筆方式から明らかに後退だと思うんです。これはやはり農業者にとって不利益になるというふうに考えるわけですけれども、いかがでしょうか。ぜひ、一筆方式を残していただきたいと思うんですけれども。
○山本(有)国務大臣 一筆方式につきましては、現在、特に米で普及した制度でございます。農業者による損害評価やいわゆる坪刈りによる査定方式など、事務コストが逆にかかる、そういう将来に向けて継続するということが逆に困難な状況となっております。こうした背景を考えて、これを廃止するということとしたわけでございます。農業者にとってメリットがある措置で、結果的にそうなるだろう、メリットがあるだろうというように考えております。
一筆方式をこの際廃止しましたが、廃止したとしましても、他の方式の中で簡単な査定で一定の場合に一筆ごとの損害を補償する一筆半損特例、御指摘のとおり、これを設けております。こうしたことによりまして、他の方式に移行した場合、より安い事務負担や掛金で、従来一筆方式で補償されていた一筆ごとの被害もかなりの程度補償されることとなるわけでございます。この点でも一筆方式の廃止が農家に不利益をもたらすことにならないようにと考えるところでございますし、一筆方式をとったこれまでの英知は受け継がれているというように考えているところでございます。
○斉藤(和)委員 いずれにしても、やはり小規模な農家も含めて災害があったときにきめ細かく受けられる共済制度というのがやはり地域を守ってきたと思うんです。そこを掘り崩すようなことはぜひやめていただきたいなということを強調して、次に質問させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○北村委員長 次に、吉田豊史君。
○吉田(豊)委員 日本維新の吉田です。きょうもよろしくお願いいたします。
先ほど、地元の事務所の方から私の方にファクスが届きまして、何かなと思ったら、きのう質問しました質問のことが地元の二つの新聞紙に載っていますよということだったんですね。それで、タイトルが、「全国植樹祭で富山の農に感銘」、衆議院委員会で山本農相がお答えになった、それからもう一つの方も、「富山の緑化に感銘」、植樹祭で山本農相がお答えになったと。これはうれしかったんですけれども、よくよく考えると、これは私が前振りでした部分でして、私が質問した中身についてはほとんど、本当に何といいますか、前振り議員だと言った宿命だなと思いながら、感謝しつつ、きょうも質問してまいりたいと思っております。
きょうは、農業災害補償法というところの一部を改正する法律案についてお聞きするんですけれども、きょうの委員会のやりとりの中で、小山委員がお聞きになっていました金融関係のところ、言葉がちょっと私に難しくてわかりにくいところもありましたけれども、ルールとプリンシプルというところを大臣はおっしゃったと思うんです。これは、常々私も、このプリンシプルがあってそのルール、それからルールがそのプリンシプルとどう関係するのかというところは非常に重要な考え方だろう、こう思うわけです。
法案は、常にそういうバックボーンがきちんとあった上で、そこに物事が進んでいくというところじゃないかなと思いますし、いつも私が申し上げていることですけれども、攻めの農業は大賛成なんです。そのためには、攻めるということは、では、具体的にどう攻めるのか、守るとなれば何を守るのか、やはりそういう一つ一つが明確になっていないと、それは最終的に、いつも申し上げる、消費者であり国民の理解、応援を得られないということになってしまうというふうに思いますので、この法案にしても、やはりこれは一つの、げたを履かせるという言葉とはまた違うかもしれませんけれども、セーフティーネットを張っていく、あるいは守っていくということには間違いないと思うんですね。
ただそれは、守るということは攻めとどう関係するのかという、背反することではないのか、こういうふうにも思ってしまう部分がありますので、ぜひ、短い時間ですけれども、このことについても後ほど大臣にお聞きしたいと思っております。
まず、この農業共済制度について大きく変更するということですけれども、具体的に、これはどういう考え方でどう変更していくのかというところを確認したいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
農業災害補償制度につきましては、災害対策の基本として、全ての農業者を対象に、自然災害などによる農作物の収穫量の減少、園芸施設の損壊、家畜の死亡、病傷事故の補填を行うことによりまして、農業経営の安定を図ってきた制度だというふうにまず認識しております。
他方、近年、自然災害が多発する中で、農業災害補償制度の機能を引き続き発揮させるためには、農業者の減少や高齢化、保険ニーズの多様化といった時代の変化を踏まえて、農業者へのサービスの向上、それから効率的な事業執行による農業者への事務費の負担の軽減、こういうものを図る必要があるというふうに認識した次第でございます。そういう認識のもとに幾つか改正をいたしております。
具体的な内容としては、当然加入制の廃止、これは米麦をめぐる諸情勢の変化等を踏まえてございます。それから、家畜共済の補償範囲の拡大、これもさまざまな畜産農家のニーズを踏まえたものでございます。それから、組合員の負担軽減のための危険段階別の共済掛金の全国的な導入、こういうような見直しを行うこととしているところでございます。
○吉田(豊)委員 そして、もう一つの柱は、農業経営収入の保険制度を導入するということですけれども、これについても、導入の考え方、背景、目的、大きくわかりやすく確認したいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
今後、農業の成長産業化を図る、これが非常に大事なことでございますが、そのためには、自由な経営判断に基づいて経営の発展に取り組む農業経営者、こういう方々を育成していかなければいけないというふうに考えてございます。
こういう観点から見た場合、現行の農業災害補償制度では、幾つか課題があると考えております。一つは、自然災害による収量減少が対象でございまして、価格低下等は対象外であること。二つ目は、対象品目が限定的でありまして、農業経営全体をカバーしていないということでございます。
このため、品目の枠にとらわれずに、農業経営者ごとの収入全体を見て総合的に対応し得る収入保険制度を導入することとした次第でございます。
○吉田(豊)委員 この法案の改正の二つの柱、確認させていただきましたけれども、やはりこういうふうにいくというところには、根本的に、我が国の農業がどのようにあるべきかというところの確認というのは欠かせないと思うわけです。
それから具体的に、この二つは、私が思うに、やはりセーフティーネットという形の方法だろうと思うんですけれども、これは、チャレンジした人を救うのがセーフティーネットであって、チャレンジしているかどうかわからない人を守るのはセーフティーネットではないと私は理解しているんです。ですから、そういう意味での今回の法の整備というものが、チャレンジするというところにつながっていかなくちゃいけないとやはり思います。
その意味でも、大臣がこの法案についてどのようなお考えを持っていらっしゃるか、それを確認させていただきたいと思います。
○山本(有)国務大臣 おっしゃるとおり、農業には産業として個別にリスクがございます。全世界的に共通なのが天候リスク、そして価格リスクでございます。
しかし、チャレンジするとするならば、品目を新たに選びたい、センリョウつくりたい、マンリョウつくりたいというような、野菜共済にはない新しい品目を発見して取り組むというような方々には、現在の農業共済では救われません。そういうような人を救うには、こうした家計の収入保険というものでなければならないわけでございます。
そういう意味におきまして、農業の成長産業化を図るために、自由な経営判断に基づいて、マーケットインの発想で新規農作物の生産、販路の開拓等にチャレンジし、または経営発展に取り組む農業経営者を育成するということが背景にございます。
収入保険は、品目枠にとらわれず農業者ごとに収入全体に対する保険でございますし、青色申告を行えば、規模等の要件なく誰でも加入できるということでございますので、農業者が新たなチャレンジを行う場合にふさわしいセーフティーネットであるというように考えております。
○吉田(豊)委員 もう少し質問させていただいて、後にまたチャンスがあれば確認したいと思います。
今大臣からもありましたけれども、品目別の経営安定制度というものがまたある上で、それにプラス今回は収入保険というところも考えていくということなんですが、それぞれ、我が国の品目に応じてセーフティーネットを張っているということだと思いますけれども、これにプラス今の収入保険という考え方が今示されているということなので、ぜひここはきちっとその意義、新しく追加する意義というところを確認したいんですが、齋藤副大臣にお聞きしたいと思います。
○齋藤副大臣 今までのセーフティーネット対策としては、収量低下に対する備えとしての農業共済、品目別の収入や価格の低下対策としてのナラシ対策、野菜価格安定制度などがありましたけれども、農業共済は、収量減少が外見で確認できるものに限定せざるを得ないということで、露地野菜などは対象にはなっていなかった。また、ナラシ対策や野菜価格安定制度は、地域の統計データを活用していますので、対象はデータがそろっているものに限定せざるを得なかったということから、いずれも対象品目として全てがカバーされているわけではございませんでした。
今回の収入保険制度の創設によりまして、初めて全品目についてセーフティーネットが張られるということになったところでありまして、また、既存の制度と選択加入とすることにより、個々の農業者のニーズ、実情に応じた対応も可能になる。
つけ加えますと、全てをカバーしてくれるということであれば、新しいことをやってみようかという意欲にもつながっていくのではないかと思っております。
○吉田(豊)委員 そして、今回の法案の改正において、農業共済事業についての加入者は対象外とする考え方だということなんですけれども、これはなぜそういうふうになるのかというところを確認したいと思います。
○大澤政府参考人 農業共済のカバーする範囲は、先ほどから議論されておりますとおり、自然災害による収入減少でございます。それから、収入保険でカバーされる範囲は、自然災害による収入減少、価格低下など農業者の経営努力では避けられない収入減少ということでございます。
そういう意味で、カバーする範囲、補填の範囲で自然災害というのがダブっているわけでございます。機能が重複しているということで、両制度ともに国費が投入される制度であるということで、国費の二重助成とならないように、農業共済の加入者は基本的に収入保険制度の対象から外れているということでございます。
ただし、幾つか違う性格のものが農業共済にもございます。例えば家畜共済、これは死んだ場合とか病気の場合ですが、ちょっと性格が違います。それから園芸施設共済、これはハウスの補填ですので、これも性格が違います。こういうものにつきましては、収入保険制度と同時に加入できることとしております。
○吉田(豊)委員 自然災害という言葉は、何となく納得いく話なんですけれども、農業で自然災害が起これば、それは当たり前だと。
ただ、私は、この農業が農産業だというところに行くというときには、これはやはり全て、産業ということからすると必ずリスクはあるわけですので、それが農業であっても、自然にかかわるものが大きい、それはそういう初期条件なんだと思うんですわ。
ですけれども、そのことからすれば、どのような産業であっても、それぞれの産業に応じたリスクというのがあるから、そこにビジネスのチャンスが生まれてということは当たり前の話なので、だから、それをどのように、自然災害も含めてこれをリスクとして捉えていくかということに、私は、今のところはこれで対応していくんだろうということは理解していますけれども、この先に、では、本当にその方向がずっと維持されていることなのかというところはきちっと考えないと、災害が起こったときの対応ということが、例えば、日本でいうと、台風が来て大水が起こって、そしてその地域一帯が被害に遭ったときに、別にそれは農地だけが被害に遭っているわけじゃないんですよね。
いろいろなところについて被害が起こるというときにどう対応していくのかという対応の仕方、そんなことも含めて、私は極力、この農産業についても、げたの履かせ方、あるいはセーフティーネットの張り方を、大方の目が見ているところの中で、納得いくところに、ミニマムなものにしておくということも私は大事だろうと思っています。
そういう意味でのこれから先のところを、展望というのはぜひ、お考えになっていると思いますけれども、その上で、より認識した新しい一歩というのも私は必要だろうと思うんです。その意味で、今ずっとこの農水委員会で私が勉強するなりに、幾つもの制度があって、そして、いろいろな形でサポートするということになっているんですけれども、そういうものもわかりやすいものに収れんしていく、そういうことも私は必要だと思います。
これについての将来展望をどのように考えていらっしゃるかを、今の段階でわかることをお聞きしたいと思います。
○大澤政府参考人 先ほど来、大臣、副大臣がお答えいたしておりますとおり、この収入保険制度の導入によりまして、初めて全品目をカバーするセーフティーネットの形が整ったわけでございます。
他方で、既存の制度をまだ、非常に使いやすいというような方々もいらっしゃるわけでございますので、現時点では、両者相まって、それぞれの農業者の方々のニーズ、実情に応じた対応ということが基本になるのではないかと考えておりまして、そういう観点から、まずは、収入保険制度の普及を促進しまして、いろいろな全品目をカバーする制度についての理解を促進していくということが大事なことではないかというふうに考えてございます。
○吉田(豊)委員 そういうことをしていくに当たって、先ほど、ほかの委員の方も質問なさっていましたが、農業収入全体を対象とした収入保険というその考え方、これについての実際の見込みはどのように想定しているかということを確認したいんです。
そのためには、やはり、農業をやっている一人一人が一つの経営者だという意識からすると、自分が与えられている、あるいは持っている土地であれ環境であれ、それをどのように使うかということを自分自身で考えて、そしてオウンリスクでやっていくというところこそ本当の本質的な話なので、そういうことも含めて、農業収入全体というところで把握していくということはもちろんそうだと思いますけれども、これについて、その見込みをどう想定しているかということを確認したいと思います。
○大澤政府参考人 先ほど来御説明申し上げておりますとおり、初めて全品目をカバーする制度として導入するわけでございますが、他の類似制度とは選択加入ということで、むしろ農業者の方々が経営判断をしていただいて、それぞれの経営形態に合った制度を自由に選んでいただく、こういうことが大事だと思っておりますので、国が加入目標を示すということは考えていないところでございますけれども、制度導入に当たっての予算編成では、加入者数の見積もり、これが大事になってまいります。これにつきましては、法案成立後、制度の内容を地域に説明する中で、具体的なニーズの把握を行いながら、検討して算定してまいりたいというふうに考えてございます。
○吉田(豊)委員 そして、この法案のもう一つのキーワードは、私は青色申告だと思うんですけれども、この青色申告というのは、中小零細の企業は全て、税制のことになれば、当然、青色申告、白色申告、一番最初のスタートのところで、どっちにしますかと選ばせられるんですね、会社をつくったときというのは。
これは本当に大きく違っていくんですけれども、きょうの質疑のやりとりをお聞きしていましても、この青色申告というものをどう捉えるかということは、やはりそれは、農業の主体である経営者、農業者自身がこれからの将来をどう捉えているかということともはっきり直結していることだと私は思います。
その上で、うまいこと、青色と白色というのは上手につくられたなと思います。これが青色と赤色申告だったら、やはり赤色はちょっとまずいのかなと思うと私は思うんですね、信号じゃないけれども。でも、こういうことというのは、青色は誰のためといったら、自分の経営のために当たり前にやっていかなくちゃいけないということじゃないかなと思います。
そのところをぜひ、今回ここで導入されているというところが、それがいいインセンティブになるのか、それともどのようなアピールになるのか、ここら辺のところをどのように考えられて今この法案を改正しようとなさるのか、細田政務官にお聞きしたいと思います。
○細田大臣政務官 ありがとうございます。
今先生から御指摘のあったとおり、青色申告については、損益だけでなく、資産、負債の状況を詳細に帳簿に整理することにより、自分の経営を客観的につかむということができるという特徴があると考えております。
このため、農業者の皆様方には、やはり経営というものを常に意識していただきたいと思っておりまして、この機会に、従来青色申告をされなかった方々にはぜひ取り組んでいただきたいというふうに考えておりますし、それがひいては農業者の方の経営感覚を磨くということにつながっていくというふうに考えております。
○吉田(豊)委員 その上で、今回の法案が青色申告を一つの基準としているわけですけれども、そのことによって、今までこれを強く認識していなかったいわゆる白色申告の農業者について、これが、意識が高まって移動していく、そういうことになるというふうに考えていらっしゃるかどうか、確認させてください。
○細田大臣政務官 まさに、今先生御指摘のとおりのよい流れがつくられるということを想定しております。
特に青色申告については、これもよく御存じのとおり、いわゆる所得控除の措置というものがございますので、これを機会にぜひ取り組んでいただきたいというふうに思っております。
また、私の地元でも、青色申告者に限るということについてはさまざまな議論もありましたけれども、ただ、農家の方、相互のお話を伺っていますと、所得控除もあるし、この機会にぜひやったらどうかねというふうに周りにおっしゃっておられる方もいらっしゃって、農村でもこれを機会にそういう経営感覚を持つ農家の方がさらにふえるというよい流れがつくられるということを私どもとしては大きく期待しているところでございます。
○吉田(豊)委員 私自身、小さなカフェをやりましたし、それから豆腐屋もやりましたから、経営しているというのは、中小零細、特に小さいところは本当に日々、回すだけで大変なんですね。それは農業であれば、より、天気に左右されたりとかいろいろな意味で、自分の会社あるいはやっていることをきちっと客観的に見るための数値ですとか、そういうことというのは本当に大変なことだろうと思うんです。
今こういうふうな形で、青色を選ぶ選ばないによって分かれていくから、その方がいいんだよということは、もちろんそれはわかられると思うんですよね、皆さん一人一人が。だけれども、では具体的にそれをどうやるのかというところこそ、本当はサポートするのが大事であって、それを、全体で、何も努力しない、あるいは変わらない人たちも含めてセーフティーネットですよということはやはり絶対やっちゃいけないことで、ここのところが、青色申告をしていくために、移行していくために、あるいはそういうところについてもそれを委託するとか、いろいろな方法というのがあると思うんです。
だから、こういうことをきちっと具体的に現場の方々にお伝えしていくという努力、それこそが、想像して、ふえていくと思いますというのは、実はそう簡単に、やろうと思ってもできないという現状も目の前にあらわれてくると思いますので、ぜひそのあたりについて、よりシミュレーション、あるいはどうやってそれを広げていくのかというところの具体的なケアについて私はお考えをお聞きしたいと思うんですけれども、大臣にお聞きしてもよろしいですか。
○山本(有)国務大臣 青色、白色の区別は在庫管理であると思いますし、在庫管理については、日々の、農家の皆さんは、自分の手塩にかけた作物が売れる売れないというのは物すごく注意深く見ておられるわけでございまして、それを帳面にするということは案外、奥さんと一緒に連携しながらやるということはそんなに難しい話じゃないと思います。
そしてまた、青色になるメリットは、最初から十万円を簡易で控除いただけるわけでございますし、ほかでやっていくよりも随分ありがたいことがあるなという気がしております。
それから、JA等の団体の皆さんも協力的でございますし、私がお聞きしますと、普通の税理士さんで十万円とか五万円とかのところが、二、三万円で済むとかいうように、農家にとっての環境は随分整っているのではないかというように思っております。
そういう意味で、天候リスク、価格リスク、さらにチャレンジリスク、これに対応できるということでメリットがあるだろうというように思っています。
○吉田(豊)委員 ぜひそこは注視していただきたいと思います。
終わります。
○北村委員長 次回は、来る六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会