衆議院

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第21号 平成29年6月15日(木曜日)

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平成二十九年六月十五日(木曜日)

    午後二時八分開議

 出席委員

   委員長 北村 茂男君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君

   理事 宮腰 光寛君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    小里 泰弘君

      岡下 昌平君    加藤 寛治君

      勝沼 栄明君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    笹川 博義君

      助田 重義君    瀬戸 隆一君

      武部  新君    中川 郁子君

      中谷 真一君    西川 公也君

      古川  康君    細田 健一君

      前川  恵君    宮路 拓馬君

      森山  裕君    簗  和生君

      山本  拓君    渡辺 孝一君

      中川 康洋君    真山 祐一君

      斉藤 和子君    畠山 和也君

      吉田 豊史君    仲里 利信君

    …………………………………

   参議院議員        山田 修路君

   農林水産大臣       山本 有二君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           北島 智子君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     中谷 真一君

  中川 郁子君     菅家 一郎君

  西川 公也君     岡下 昌平君

  古川  康君     工藤 彰三君

  山本  拓君     助田 重義君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     西川 公也君

  菅家 一郎君     中川 郁子君

  工藤 彰三君     古川  康君

  助田 重義君     山本  拓君

  中谷 真一君     笹川 博義君

    ―――――――――――――

六月十五日

 商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案(参議院提出、参法第一〇六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)(参議院送付)

 商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案(参議院提出、参法第一〇六号)


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民進党・無所属クラブ所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民進党・無所属クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、参議院送付、農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長今城健晴君、食料産業局長井上宏司君、水産庁長官佐藤一雄君、金融庁総務企画局審議官天谷知子君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長北島智子君、海上保安庁警備救難部長奥島高弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明君。

斎藤(洋)委員 自由民主党の斎藤洋明でございます。

 いわゆるJAS法等につきまして、十五分間お時間をいただきましたので、質問させていただきます。

 まず何点か、これまでの実績とこれからのことにつきまして、井上食料産業局長にぜひお尋ねをしたいと思っておりますが、まずJAS法に基づく認定事業者数、これは直近十年間で結構ですが、どのように推移しているか、お答えをお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 JAS法に基づきます認定事業者数の最近十年間の動きでございますけれども、認定事業者数の全体で見ますと、有機食品の規格についての認証を受けた事業者数が増加しておりますので全体としてはふえておりますけれども、この中で一般の飲食料品のJAS規格につきましての認定事業者数でございますけれども、平成十六年度におきましては約二千百の事業者でございましたのが、平成二十六年度におきましては約千六百事業者ということで、最近十年間で二割強減少しているという状況にございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 時代背景に合わせまして、有機JASの認定事業者がふえているのは大変喜ばしいことだと思います。一方で、一般事業者の方々のこの数が伸び悩んでいるということは認識をしなければいけないと思っています。JASの手続もそうですし、手数料もかかりますから、ぜひ、それを上回るだけのメリットを民間事業者に感じてもらえるような規格にしていただきたいと思っております。

 その観点でお伺いをしたいと思っていますが、JAS規格につきまして国内外の認知度、特に海外の輸出振興ということも打ち出していただいておりますので、この国外での認知度も含めて、これを高めていくために今後どのような取り組みをお考えになっているか、お答えいただきたいと思います。

井上政府参考人 ただいま御指摘いただきましたように、JAS規格の認知度を高めていくことが重要と考えておりまして、今後も、説明会の開催を初めとしまして、さまざまな機会、手段によりまして、消費者それから事業者、両方に対して、今回御提案申し上げておりますような新たなJAS規格も含めまして、普及、浸透を図っていきたいと思っておりますし、またJASマークにつきましては、JASマークを見たことがあるという方は多いわけでございますけれども、それが何を意味しているのかというのがおわかりになる方が、アンケート結果等によりますと四割程度にとどまっているということもございますので、JASマークのデザインにつきまして、今回の法改正を機に、消費者の方が一見して何をあらわしているのかということが認識できるようなマークに見直しをさせていただきたいというふうに考えてございます。

 また、海外におきましては、アジアの中では、JASマークの一部については、それがついていることで商談が成立したというようなケースは多々ございますけれども、欧米も含めまして、これからさらに普及もしてまいりたいと思いますし、またJAS規格につきましては、それをベースとした国際規格を制定していくという取り組みを行ってまいりたいと考えておりまして、海外の諸国あるいは国際機関などとの関係の強化も進めてまいりたいと考えてございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 JAS法制定当時は、恐らく、商品の品質でありますとか製法につきまして相当ばらつきがあった時代には、品質表示としての一般消費者への信頼度というのはかなりあったのではないかと思います。ある程度国内の製品の品質の信用が担保されてきている今現在、改めてぜひJAS規格の認知度を高める努力をお願いしたいと思っております。

 特に海外につきましては、アジアで一定程度の認知ということでありますが、ぜひ広く海外に認知が広がるような取り組みをお願いしたいと思っております。

 その関係でもう一点お伺いしたいと思います。

 公的な国際規格にぜひJAS規格の内容を取り入れてもらうような運動ということも継続的に取り組んでいただきたいと考えておりますが、コーデックスあるいはISOといった公的な国際規格にJAS規格の中身を取り入れさせるような取り組みについて、今後の取り組みについてぜひお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 国際規格にJAS規格を取り入れていくための方策ということでございますけれども、規格化の対象になります品目や技術によっても、それが国内外の市場におけるポジション、あるいは誰に何をアピールしたいのかといったこと等が異なってまいります。

 したがいまして、これからJAS規格を足がかりに国際規格を目指すものにつきましては、具体的な案件に即して、関連の事業者団体あるいは農林水産省の関係部局などから成ります官民の連携の体制を組みまして、国際化に向けたロードマップを各案件ごとにつくりまして、また、日本語だけではなく、外国語も含めた規格案の作成を行ったり、また、コーデックスは原則全会一致ということになっておりますし、ISOにつきましても三分の二等の多数決がとれないと規格にならないということがございますので、アジアなどの諸国との間の関係を構築し、支持をしてくれるような国をつくっていくといったようなことに戦略的に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

斎藤(洋)委員 ぜひ継続的に努力していただきたいと思います。

 特にこれは公的な国際規格に限らないんですが、国際会議あるいは継続的な会議体ということになりますと、長く顔を出している者が発言力があるというようなことがしばしばあります。例えば、日本の公的な規格あるいはJASについてならこの人に聞けば間違いないんだということを海外の国際機関から認知されるような人を、もちろん御本人の同意あってのことですが、十年や十五年ずっとその仕事をやるんだというようなスペシャリストを育成することも含めてぜひ考えていただきたいと思っています。

 また、国内のコミュニケーションもぜひ頑張っていただきたいと思っていまして、今、井上局長から話がありましたとおり、どの品目を売り込んでいきたいのか、あるいは国際規格を取得して海外市場を開拓していきたいのかということについて国内の民間事業者とのコミュニケーションを密にしていただいて、官民一体となってという言葉もいただきましたので、ぜひ官民一体となって進めていただきたいと思っております。

 その官民一体となってという話でお伺いしたいんですが、参議院で修正もいただいていますけれども、現行法八条で、事業者等からJAS規格の制定を求めることができるという規定がありますが、これに基づく申し出の実績はどうなっていますでしょうか。

井上政府参考人 今回の改正案の前の現行法におきましても、事業者等の方からJAS規格の制定の申し出を行うことは可能であるわけでございますけれども、直近の三十年間を見ますと、事業者からの申し出の実績はないということでございます。

 このため、今回の改正法案におきまして、これまでは最終的な案のようなものでないと事業者の方は出せない、それを農林水産大臣が関係の審議会に諮るのか諮らないのか、ある意味マル・バツをつける最終案のレベルのものしか出せない規定になっていたわけでございますけれども、民間の事業者の方からの提案をより積極的にいただけるようにするために、今回の改正案におきましては、JAS規格への提案ができる原案の水準を下げて、成案と言えるようなものでないレベルのものにつきましても申し出が可能になるような形の改正案を今お諮りしているところでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 ハードルが高過ぎたということなんだと思いますが、ぜひ、先ほども申し上げましたとおり、官民連携して、コミュニケーションを密にして、口頭であっても、民間事業者がこういう規格をつくってくれれば我々は海外にアピールできる、あるいは国内市場で一般消費者に品質を信頼してもらえるという提案があるかと思いますので、ぜひ、改正後のこの申し出の実績が積み上げられるように頑張っていただきたいと思います。

 次に、このJAS規格の信頼性を担保するには、しっかり監視をしているということと、違反があれば厳正に対処しているんだという姿勢をお示しいただくことだと思っております。

 それを踏まえまして、平成二十一年度に、JAS法のうち、表示に関する規制の部分が消費者庁に移管されていると思いますので、二十一年度以降で結構です、JAS法に基づく立入検査、行政指導、それから刑事告発の実績をお尋ねします。

 あわせて、刑事告発の案件があれば、概要を教えていただきたいと思います。

今城政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省においては、JASマークに係る疑義情報、疑義案件、こういうものを把握した場合には、これを解明するために、認定事業者等に対して立入検査を実施しております。

 立入検査の結果、近年では、例えば有機農産物の認定事業者が有機でない農産物に不正に有機JASマークを表示した事案ですとか、あるいは認定事業者でない事業者が加工食品に不正にJASマークを表示した事案ですとか、そういうところが確認されているところでございます。

 これらに対しまして、JAS法に違反する事案が確認された場合には、不正なJASマークの除去・抹消命令、あるいは認定事業者に対し適正にJASマークを付す体制の整備等を命ずる改善命令、また、過失によって一時的に違反をしてしまったというような場合には行政指導ということを行っているところでございます。

 また、このほか、悪質な事案については、JAS法に罰則も設けられておりまして、二十三年、二十四年で二件ほどですが、刑事告発というものを行って、罰金等の刑罰というものになっているという事案もございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 ぜひ厳正な取り締まりをお願いしたいと思っています。これは、一般消費者の信頼をかち得るためにも、厳正な法執行をしているというアピールをしていただくのは非常に大事だと思っております。

 例えば、私は前職で公正取引委員会におりましたが、所管している下請法の執行につきましては、書面調査の件数まで公表しておりました。立入検査の件数も、例えばJAS法に基づく立入検査をこれだけやっているんだということもアピールしていただくことが信頼の獲得につながると思いますので、ぜひ、この厳正執行の情報公開にも努めていただきたいと思っております。

 最後になりますが、JAS規格の認知度の向上、それから公的な国際規格に取り入れてもらうこと、それから規格の信頼性を向上させること、こういったことがこの法改正の趣旨を全うするために極めて重要だと思っています。政府の御決意をぜひお伺いしたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 今先生から御指摘がありましたとおり、JAS規格の一層の活用を図っていくに当たっては、JAS制度の信頼性が担保されていることが必要不可欠であるというふうに考えております。

 また、今局長から御説明を差し上げました不正事案については、厳正に対処するという方針で臨んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 今後とも、JAS制度の信頼性を確保するために、認証事業者に対する監督については、登録認証機関による監督の強化を図るとともに、登録認証機関に対する農林水産省及び農林水産消費安全技術センターによる監督については、その業務の実績に応じて調査頻度を弾力化しつつ、無通告調査の実施や命令、公表の措置等を厳正に運用することとしております。

 また、今回提案をさせていただいております法改正においては、法人によるJASマークの不正使用等に対する罰金について、現行の自然人と同額の百万円を最大一億円に引き上げる等の措置を導入することにしております。

 私どもとしては、このような措置を通じて、まさに先生が御指摘になったとおり、引き続き、JAS制度の信頼性をきちんと担保してまいりたいというふうに考えているところでございます。ぜひ、斎藤先生からこういう点についても御指導いただくよう、よろしくお願いをいたします。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。ぜひ、信頼性の担保をお願いします。

 私は、不当表示、景品表示法に基づく取り締まりもかつて職場でさせていただいておりました。日本の農産品の信頼性向上のために、ぜひ汗をかいて頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 以上、終わります。

北村委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 きょうは、JAS法等の改正の審査ということで質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 法律の方は幾つか質問させていただきたいと思いますが、その前に、大臣に一点、日・EU・EPA交渉の件についてちょっと大臣の御所見を確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 七月上旬の首脳会談での大枠合意を目指しております日・EU・EPAにつきましては、今月十三日より、EUのペトリチオーネ首席交渉官が来日をし、いわゆる大詰めの協議が水面下ではありますが続けられている、こういった状況であるというふうにも思っています。

 そういった中、一部報道では、政府は、その協議におきまして、特にバターや脱脂粉乳については、低関税輸入枠を設定するのとともに、その数量についてはおおむね生乳換算で三万トン程度とする、また、豚肉については、差額関税制度を維持しつつTPPと同水準の関税引き下げを行う方向で調整との報道がなされているところでございます。

 あくまで報道の範囲でございますが、私は、この日・EU・EPA交渉については、さきのTPP交渉と同じように、攻めるべきものは攻め、そして守るべきものは守るという姿勢が大変に重要であるというふうに考えるのとともに、おのおのの農畜産物の関税等につきましては、さきに合意したTPP参加国との関係から考えても、TPPを上回る水準での合意はやはり認めるべきではないというふうにも考えておる一人でございます。

 そこで大臣に伺いますが、農水省としては、この日・EU・EPAの交渉、特に農業分野におけるバターを初めとした乳製品や豚肉などの交渉について、現状どのような御認識をお持ちなのか、伺います。

 また、今後、乳製品や豚肉など農業分野における交渉について、まさしく農畜産分野を所管する大臣としてどのようにかかわっていこうとお考えなのか、この部分について御答弁を願います。

山本(有)国務大臣 五月二十六日に行われました日・EU首脳会談におきまして、日・EU・EPAのできる限り早期の大枠合意が極めて重要であること、また、両首脳が今後必要な政治的指導力を発揮していくことというのが確認をされました。

 そして、委員御指摘のように、脱脂粉乳、バターの低関税枠や豚肉関税の取り扱いについて報道があったことも承知をしております。しかし、日・EU・EPAの具体的な交渉内容にかかわることにつきましては、今の段階ではコメントは差し控えさせていただきます。

 いずれにしましても、農林水産省としましては、引き続き、我が国の農林水産業をしっかり守っていくため、農林水産品につきまして、貿易、生産、流通実態等を一つ一つ勘案して、そのセンシティビティーに十分配慮しながらしっかりと交渉に取り組んでまいりたいという決意でございます。

中川(康)委員 ありがとうございます。

 大臣からは、センシティビティーに配慮しながらしていきたい、やはり慎重に、配慮するべきときには配慮しながら行っていきたい、こういった御答弁をいただいたかというふうにも思っております。

 私も、やはり今回の交渉、特に農林水産分野においては、農水省が、また大臣が、我が国の農業を守る、さらには国益を守るという視点から、また、加えて、生産者の思いに立ってどのようにコミットしていくのか、ここは非常に大事であるというふうにも思っておりますので、このタイミングで、いわゆる考え方の一つとして、攻めるべきものは攻める、また守るべきものはしっかりと守っていく。

 また、さきのTPP参加国との関係がありますので、そこを超えるような水準での交渉というのは、なかなか、後々に影響してくる可能性があるんじゃないか、こういった思いで質問をさせていただきましたので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、JAS法等の改正についての法案について、何点か御質問をさせていただきます。

 まず一点目に、戦略的輸出体制の整備について二点ほど伺います。

 今回のJAS法改正案は、昨年十一月に決定をいたしました農業競争力強化プログラムに示された十三の項目があったわけでございますけれども、その一つであります戦略的輸出体制の整備の取り組みの中で、特に、輸出拡大をさらに促進するための具体的な取り組みの一つとして示されたものであるというふうに理解をしております。

 そこで、まず伺いますが、今回のJAS法改正が、今後の農林水産品の輸出力の強化、さらには輸出の拡大に具体的にどのようにつながっていくというふうにお考えなのか、農水省の御見解を確認したいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 海外への輸出に当たりましては、食文化、商慣行が異なる国の事業者あるいは消費者の方に対して物を売っていくということになりますけれども、その際、日本の産品の品質や特色、事業者の技術などを訴求していく上で、規格・認証制度の活用というのが重要かつ有効というふうに考えております。

 今回のJAS法の改正におきましては、産品の品質だけではなくて、その生産の方法あるいは管理の方法なども規格の対象にすることができるようにするものでございまして、その具体的な規格についてはこれから検討するわけでございますけれども、例えばということで申し上げさせていただければ、我が国伝統の製法で製造された抹茶のJAS規格、その製造の方法について規格化をすることによりまして、抹茶の人気の高い海外市場に類似品と差別化をしながら売り込んでいくといったこと、あるいは、青果物等の鮮度管理方式のJAS規格を定めて活用することによりまして、日本産の青果物等の鮮度の高さを根拠を持ってアピールすることができるといったことが可能になるものと考えてございます。

 このように、JAS規格の活用の幅が格段に広がることによりまして、輸出に取り組む際に、これまでよりも多岐にわたる産品や事業者の取り組みの内容について客観的で説得力ある説明、証明が容易になり、これが輸出の拡大につながるものというふうに考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 具体的にはこれからということで、今例えばのお話をいただいたわけですけれども、今後、具体的に検討していく中で、やはり生産者でありますとか関係するなりわいの方々が具体的にイメージができるような、そしてみずから手を挙げていただけるような、そういった方向性をおつくりいただきたいと思いますので、その点を御要望させていただきたいと思っております。

 もう一点、具体的な動きの中で、本年四月に創設された日本食品海外プロモーションセンター、通称JFOODO、この役割について確認をしたいと思います。

 このJFOODOにつきましては、同じく農業競争力強化プログラムで示された戦略的輸出体制の整備の中で、JAS法の改正と同じく、輸出拡大をさらに促進するため、この具体的な取り組みとして位置づけられているというふうにも思っております。

 そして、いわゆる日本版SOPEXAの位置づけであるJFOODO、これが今後機能していくわけでありますが、このJFOODOが今後我が国の輸出拡大に具体的にどのような役割を担うと期待できるのか、この点を確認したいと思いますし、また、それにはやはり人的整備も含めた体制の強化、さらには専門性のそういった部分を活用、こういった部分も大事かと思っていますけれども、人的整備も含めた体制についてどのように考えているのか、この部分もあわせて御答弁を願いたいと思います。

井上政府参考人 ただいま御質問いただきました日本食品海外プロモーションセンター、通称JFOODOでございますけれども、四月の一日に日本貿易振興機構に設置をされまして、日本の農林水産物、食品の輸出の拡大に向けて、具体的には、海外市場の詳細なニーズの把握と、現地の卸、小売、外食事業者等の情報の徹底調査を行いながら、どの国に何をどのように売り込むのかといった日本産品のプロモーション、ブランディング戦略を立案し、実行してまいります。また、事業者の方の海外での販売活動に対する継続的な支援も行ってまいります。

 こうした取り組みを進めるためには、御指摘のように、海外での事業、貿易、あるいは食品関連事業等に精通をした専門家の方が重要であります。

 このJFOODOにつきましては、小林栄三センター長のもと、事務局長一名、事務局次長二名を選任し、東京の本部と国内の地域の拠点に人員を順次配置してきておりまして、これまでに東京の本部に十五人、地方に十一人の二十六人を配置しているところでございますけれども、この二十六人のうち十八人は外部からの登用でございます。ちなみに、センター長、事務局長も民間からの登用ということで、外部の人材を大幅に登用して体制整備を進めております。

 JFOODOにおきましては、このように体制の整備がある程度進んできたということで、現在、プロモーション等の戦略の検討を進めているところでございまして、今後、海外にもこのJFOODOの人員を配置しながら、具体的な活動を行っていく予定でございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私は、今回、具体的な取り組みとして、このJFOODO、ここにひとつ期待をしているわけでございますけれども、やはりそこにどういった人材を入れるのか、活用していくのかということで、二十六人中十八人を外部から登用していただいたという部分においては、やはり専門性を持った方を登用する、この部分においての方向性は非常に大事であるというふうにも思っています。

 そして、これから戦略をどうつくり上げていくかということでございますけれども、やはりそれぞれの国に対応した戦略が必要なんじゃないかなと思っています。アジアに対応した、欧州に対応した、これはやはり対応の仕方が違うと思いますので、その国に合った戦略をどうおつくりいただくか、これが今後非常に大事になってくると思いますので、その点も申し上げながら、このJFOODOのこれからの取り組みに御期待を申し上げたいというふうにも思っております。

 次に、JAS規格の対象拡大の意義について、既に少し触れていただきましたが、ここについて確認をさせていただきたいと思います。

 今回のJAS法改正は、JAS規格の対象を、これまでのいわゆる産品の品質の規格から、製法に関する規格、さらには事業者の管理方式に関する規格、また測定方法や分析方法に関する規格にまで拡大をするものであります。

 今回、現行のJAS制度の認定事業所とか例えば格付率が減少してきている中で、このようにJAS規格の対象を製法や管理方式、さらには測定方法や分析方法にまで拡大をしていく意義、さらには、目指すべき方向性、国内に向けた方向性と海外に向けた方向性があろうかと思いますが、この点を改めて確認させていただきたいと思います。

井上政府参考人 JAS規格についてでございますけれども、もともとは農林水産品の品質を確保するということで成果を上げてきたわけでございますけれども、農林水産物資、食品の品質自身は総じて改善がされてきたことに伴いまして、一定水準以上の品質であること、それ自身では必ずしも取引上アピールにつながらないといったことになってまいりましたし、また、ニーズの多様化に伴いまして、その物に含まれている成分や原材料だけではなくて、それ以外の要素も重視をされる場合が増加をしてきているということでございます。

 そうした状況の中で、アピールにつながるような規格を定めていけるように、今回の改正におきましては、これまでいわゆる物の規格、産品の成分等の品質についてのみ定めることができたJAS規格につきまして、産品の成分や性状等だけではあらわせないような特色、事業者の取り組みといったものが反映されるような規格をつくれるようにしてまいりたいと考えているわけでございます。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、具体的には、産品の生産の方法、保管、管理の方法などの取り扱いの方法、あるいは産品の強みを客観的に裏づけるための試験、分析、測定などの試験の方法についてのJAS規格も定められるようにいたしまして、我が国の強みのアピールにつながるような多様な規格をこれから戦略的に策定してまいりたいというふうに考えてございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 最後に、時間が迫ってまいりましたので、一点だけ確認したいと思います。

 今回の改正案では、いわゆるJAS規格を国際規格化、ここに向けた方向性でお示しをいただいております。しかし、私、ちょっといろいろな資料を見たんですが、今回のJAS規格を国際規格とすることへの具体的な道筋、これが少し見えないような状況があるのも正直なところであります。

 そこで、最後にお伺いしますが、このJAS規格を国際規格にするその具体的なスケジュールとかプロセス、これがもう少し見えるようなそういった御答弁を賜りたいと思いますので、その点、最後によろしくお願いいたします。

井上政府参考人 JASの国際規格化に向けた戦略でございますけれども、これにつきましては、規格化の対象になる品目として何を選び、技術としてどういうものを選ぶかというのがまずありまして、それぞれの品目、技術ごとに、海外におけるそのポジションも違いますし、またどういうアピールの仕方を誰に対してするのが有効かというのが異なってまいります。

 したがいまして、今後、個別案件ごとに官民連携の体制を組みまして、国際化に向けた目標、ロードマップをつくり、そしてそれを踏まえて規格の原案をつくるとともに、国際規格にするために必要な、ほかの国の支持が得られるような関係の構築というのを進めてまいりたいと思いますが、具体的には、この法案を成立いただいた暁には、JAS規格を足がかりにしました日本発の国際規格の策定に向けまして、直ちに個別の具体的案件の抽出、選定に着手をしてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今回の法改正が有機的に機能していくことを願いながら、質問を終わらせていただきます。

 大変にありがとうございました。

北村委員長 次に、民進党・無所属クラブの質疑時間に入るのでありますが、御出席が得られておりません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。

 冒頭、きのうから本日にかけて、自由民主党、公明党、与党は、参議院法務委員会での質疑を拒否し、いきなり本会議で中間報告を押しつけました。憲法違反の共謀罪を強行採決したことに、言葉に尽くせない満身の怒りを込めて強く抗議します。

 こんなひどいやり方は、かつてありません。審議を尽くすという議会制民主主義を踏みにじる自殺行為です。国民から選ばれた国民の代表者である国会議員が民主主義を踏みにじるようなことがあっていいのか、こうした流れと徹底的に闘うことを申し上げ、質問をいたします。

 JAS法改正案について質問をします。

 今回の改正で、機能性表示食品と同様の考え方をJAS規格に持ち込むのではないかと懸念しています。今回の改正で新たに導入される規格は、産品の生産方法、事業者の管理方式、測定・分析方法の三つです。これは、商品の差別化を図り、差別化した商品の広告などによる販売の促進を目的とするものです。

 こうした中でも、測定・分析方法は、商品の特定成分を測定したものを規格化するもので、機能性表示食品でも同様な考え方なわけです。今回のJAS法の改正と機能性表示食品との整理をどのように行うのでしょうか。

 また、測定・分析方法に関する規格では具体的にどのようなものを考えているのか明らかにしてください。

山本(有)国務大臣 まず、機能性表示食品とJASの測定方法の規格との関係でございます。

 機能性表示食品制度というものは、消費者庁へ届け出を行うことによりまして、おなかの調子を整えるなど、食品に含まれる特定成分が有する健康の維持増進に役立つ機能について当該食品に表示するということを認める食品表示法上の制度でございます。

 他方、今回のJAS法改正で措置いたしました測定方法のJAS規格、これによりますと、共通の物差しにより産品や技術が比較可能とするものでございまして、消費者がみずから判断し、合理的な選択を行うための情報の提供、充実につながるものでございます。

 このため、機能性表示食品に含まれる特定成分について、JAS規格に定める測定方法を活用しますと、特定の事業者による独自の測定結果ではなく、共通かつ客観的な測定結果を示すことができるもの、こうなるわけでございます。

 ただし、JAS規格は、機能性表示食品の効能とかあるいは品質の高さまで保証するものではありません。誇大な広告や表示等が行われる場合は、今般整備いたしました不適正な表示に対する規制の措置によりまして是正を求めることとなるわけでございます。

 次に、今回の測定方法のJAS規格は具体的にどのようなものを想定しているのかという御質問でございます。

 今回の法改正では、我が国の多様な産品や技術の強みを海外市場において効果的に訴求するため、新たに農林物資に関する試験、分析、測定など、試験等の方法についてのJAS規格の類型を創設しているところでございます。これによりまして、共通の物差しで産品や技術の優劣が比較可能となるものと考えております。

 今後、我が国の強みのアピールにつながるJAS規格を戦略的に制定、活用できますように、関係者の意見やニーズを踏まえ、具体的に検討していくこととしております。

 以上でございます。

斉藤(和)委員 その規格の中身は具体的に今後検討するということです。

 そもそも、先ほど大臣からありましたとおり、機能性表示食品というのは、おなかの調子を整えますとか、脂肪の吸収を穏やかにします。議員会館にセブンイレブンがございますけれども、そこにもこの表示が書かれた商品が置かれています。特定の保健の目的が期待できるという食品の機能性を表示することができる食品です。

 これは平成二十七年四月から始まりました。事業者、つまり企業が責任を持って機能性を証明する文献を添付して届け出たら機能性を表示できる、機能性表示食品という形で認めたわけです。国が個別の許可を出しているわけではありません。安全性や機能性の審査を行っているわけでもありません。その結果、今、この機能性表示食品は多くの問題点が指摘されています。

 今回のJAS法に、測定・分析方法に関する規格を導入するわけですが、そもそも、それを機能性表示食品に用いることができるというようなお話も先ほどありましたけれども、農林水産物は気候の変動などで成分が変わり得るわけです。その規格の安定性が保証されるとは限りません。それをどのように成分の安定性を保証するとお考えなのでしょうか。

山本(有)国務大臣 測定の結果の安定性の担保でございますが、試験方法のJAS規格は、産品、技術の強みを効果的に訴求するために、その裏づけとなるデータをとる方法を規格化するものでございます。また、国際基準を満たした試験業者がJAS規格に基づいて試験を行ったときに、JASマークを付した試験証明書を交付することができる制度をあわせ創設しているところでございます。

 試験業者が交付する試験証明書は、まず測定結果でございますし、次に試験サンプルの対象、数、試験実施日等が記載されておりまして、例えば、サンプリングの方法や、試験実施日から経過した期間といった要素により、試験証明書の説得力にはおのずと差が生じるものでございます。

 この場合でありましても、試験証明書の特性に関する理解を共有する者の間では特段の問題はなく、取引の円滑化等に貢献できるものと考えております。また、測定結果を取引相手に示すことによりまして、生産者の技術力を証明する材料にもなり得るわけでございます。

 このため、試験方法のJAS規格の特性におきまして理解を深めていただくことが重要と考えております。今後、説明会の開催を初めさまざまな機会、手段によりまして、事業者、消費者双方へ普及啓発に取り組んでまいりたいと思っております。

 なお、事業者が一回の測定結果をもってあたかもその産品の全てが同一の成分であると誤解させるような行為のやりとり、そういったことはJAS制度の信頼を損ねるわけでございまして、この場合には事業者に対して是正を求めることとしております。

斉藤(和)委員 まさに、JASの信頼を損ないかねないような事態が起こりかねないというふうに私は思うわけです。

 大臣は、試験証明書の特性を共有する者の間では問題が起こらないというふうに言いました。そして、そのために情報提供もするし、そういう周知もしていくんだというお話でしたけれども、この試験証明書の意味するところを共有できない人は誤解が起こる、そういうことが起きかねない。それはひいては、JASの信頼を失うことにつながるということを指摘したいと思います。

 仮に、一度規格を取ったとしても、その後の偽りの商品が流通する危険性というのがある。ないとは言い切れないわけです。

 例えば、一度、臭みの少ない養殖魚として規格を取った後、普通の養殖魚を販売するということも考えられるわけですけれども、こうしたことをどのように防ごうとお考えなのでしょうか。

山本(有)国務大臣 信頼性をどう担保するかという問題でございます。

 新たなJAS制度のもとで、我が国の強みのアピールにつながる多様な規格を定めて戦略的に活用していくためには、御指摘のように信頼性というのが何より必要でございます。

 このため、今回、違反事案に対する罰則を引き上げております。そして、抑止効果を高めることがそれによってできると考えております。

 さらに、認証事業者に対する監督につきまして、無通告調査の実施など登録認証機関による監督の強化を図ることを考えております。

 また、登録認証機関に対する国または農林水産消費安全技術センターによる監督につきましては、その業務の実績に応じて調査頻度を弾力化しつつ、無通告調査の実施や命令、公表の措置等を厳正に運用していきたいと思っております。

 登録認証機関等の実質的な審査や立入検査等を行うFAMIC職員の能力が大事でございまして、その向上を図りながら、十分な体制を整備していきたいと考えているところでございます。

斉藤(和)委員 信頼性の確保というところで、今大臣から登録試験業者という話がありました。この今回のJAS法で登録試験業者というのが創設されます。これは、農林物資に関する試験の方法についての規格が追加されることに伴い、試験業者の登録制度を創設し、登録を受けた試験業者は、JAS規格による試験を行い、JASマークを付した証明書を交付することができるとしています。

 登録制ということは、民間も登録試験業者になるわけです。民間が民間の認証をすることになるわけですけれども、これで規格の認証の信頼性はどう担保するのかという点で、今、違反を強化したなど、立入検査もするというお話がありましたけれども、それが本当に実際にできる、そうした担保を国は責任を持ってやるという構えがあるんでしょうか。

山本(有)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、これまで、罰則について申し上げれば、JASマークの不正使用で、一年、百万円の罰則でございますし、両罰規定も百万円でございました。これが、百万円は変わりないわけでございますけれども、法人両罰で一億円というようになっておりまして、罰則の額が格段に上昇したわけでございます。抑止効果はあり得ると思っておりますし、また、登録認証機関による監督強化、無通告調査でございますので、安易な、そうしたいいかげんなことをやっていて消費者の信頼を損なうような詐欺的行為につきましては、しっかりと立入検査等でこれを排除していくということが大事であろうと思っております。

 そして、この立入調査を行うFAMIC職員の能力を向上するというのは、先ほど申し上げましたとおりでございまして、そうした意味におきまして、しっかりと体制整備を図っていきたいというように思っております。

斉藤(和)委員 罰則を高めることで抑止効果はあり得る。あり得るではだめで、やはり、しっかりと違反があるようなものを出さない、それが、JASの信頼を損なうようなことにならない、その効果を担保しなければならないというふうに思います。

 職員の能力向上というお話だったんですけれども、やはり、能力向上だけではなくて、抜本的にふやすという方向も私は本当に、こういう違反行為をなくしていく、立入検査をふやしていく、そういう点でも必要になってくるのではないかということを指摘したいと思います。

 今回の改正は、JAS規格が、これまで農林物資の品質について証明する表示から、農林水産省の資料にもあるとおり、例えば、伝統的な製法の抹茶をアピールできる、イチゴの新鮮を、鮮度をアピールできる、魚の臭み成分の統一的な測定・分析方法を規格し、養殖技術をアピールできるというように、つまり、JAS規格が商品を売り込むための広告に、単なる表示から、品質を保証していた表示から広告に変化するというふうに言えるわけです。

 例えば、それはテレビのCMに用いることが可能になると思うんですけれども、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 今回の改正で、事業者による農林物資の取り扱い方法のJAS規格を創設するわけでございますので、そのJASマークは事業者の能力を説明している広告等に付することを可能としております。

 また、この広告等は、チラシ、ポスターといった典型的な広告のみならず、御指摘の事業者のテレビCM、ホームページ、あるいは名刺、パンフレット、契約書といった取引に用いる書類、あるいは事業者の事務所、工場、外壁、看板、そういったところへも飾っていただいたり、広告に付していただけたりするわけでございます。

 そうしたことの行為の中で、取り扱い等の方法に関する規定への適合の表示において、ISO、国際標準化機構のルールにおいても、第三者適合マークを文書、広報資料などに引用していることとほぼ同様でございます。

 こうした扱いをしながら、JASマークのデザインについて消費者が一見して内容を認識することができるように見直すこと、広告等への不正な表示に対する規制を導入するとともに、罰則の整備、強化によりまして健全な広告以外については抑止力を高めること、そして消費者の混乱を招かないように新たな制度を運用していくというようなことが必要だと考えておるところでございます。

斉藤(和)委員 新たな混乱を招かないようにというのは本当にそのとおりだと思います。テレビのCMというのは影響力が絶大です。それだけに、もし虚偽の広告が打たれるようなことがあれば、品質と違う広告が打たれるようなことがあれば、被害が本当に拡大するわけです。

 結局、今回の改正というのはJAS規格そのものの性質を大きく変えるものです。成分の保証もされない商品がJAS規格として大々的にテレビCMで宣伝されるようなことがあっては絶対にならないわけです。もちろん初めからそのようなことがあっては大変なわけですけれども、時間がたつにつれて、本来は安定性や品質の担保がされていない商品が流通し、宣伝されるということは回避できるのかどうか、非常に私は心配です。

 心配だけではなくて、本来表示というのは、ケネディの消費者の権利、安全である権利、知らされる権利、選択できる権利、意見を反映させる権利に由来するもので、消費者の根本的な権利にかかわるわけです。それが、広告という企業の宣伝媒体という、JAS規格が消費者の権利に基づく表示、要は、この商品は品質が担保されているのかどうか、一体どんなものが使われているのかどうか、その選ぶ権利に役割を果たしていた表示、この役割を企業の宣伝媒体という広告にすることで権利を奪うようなことがあっては絶対にならないというふうに思うわけですけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 今回のJAS法改正は、品質以外にも、生産方法あるいは管理方法、試験方法のJAS規格を定めることでございます。

 これによりまして、消費者にとっても、こだわりの製法の規格化によりまして、こだわりの内容が明らか、鮮明になってまいります。また、取り扱い方法の規格化によりまして、商品について、例えば鮮度が維持されている根拠が明らかになってくるわけでございます。食品に含まれる成分等の測定方法を規格化、統一することによって、事業者が単に一回測定したものではなくて、測定方法がしっかりしているということの安心感を醸し出すことができるわけでございます。そして、よりよい物、サービスを選択するための情報がさらに充実していくメリットがございます。

 また、JAS規格の類型が拡大しまして、消費者の混乱を招かないように、そのために、説明会の開催を初め、さまざまな機会、手段により、消費者、事業者双方への新たなJAS制度の普及に取り組むように努めたいと思っておりますし、JASマークのデザインにつきまして消費者も一見して内容を認識できるように見直しを行おうとしております。さらに、マークの不正使用に対する罰則の整備強化によりまして抑止力を高めることとしております。

 等々、消費者の混乱を招かないように、新たなJAS制度の運用に努めたいというように考えているところでございます。

斉藤(和)委員 食品の表示の偽装というのは常に問題になるわけです。JASのこだわりだとか取り扱いだとか成分の分析だとか、それが本当にその表示のとおりやられているのかどうか、それが安心感につながるのか、それが不信になるのか、それはやはり検査体制、ここをしっかりさせる、ここにかかっていると思います。やはりそのためにも、人の体制も含めて、混乱の起きない最大限の努力を国には求めたいというふうに思います。

 最後に、既存添加物、食品にかかわって既存添加物の問題について聞きます。

 前回、三月八日の当委員会で、第九版食品添加物公定書に収載される予定のない既存添加物、昔、天然添加物と言われたものですが、これについて質問をしました。

 収載されない既存添加物の品目数が百五十二品目と答弁があり、委員会終了後に私どもはその一覧表を資料要求したんですが、品目数はたまたま合っていたんですけれども、収載されない品目名はかなり不正確なものでした。その点、その経緯について明らかにしてください。

北島政府参考人 お答えいたします。

 最初に提出させていただきました資料については、関係資料を整理し、提出用に編集する過程でミスが生じまして、結果として、本来掲載すべき添加物名が掲載されていなかったなどの不正確な資料となったものでございます。

 改めて深くおわびを申し上げますとともに、今後このようなことのないよう努めてまいります。

斉藤(和)委員 収載されないという既存添加物はもう整理した方がはっきり言っていいと思うんですね。この第九版の食品添加物公定書に収載されない百五十二品目の既存添加物については、既存添加物として残さずに消除する、そういう立場できちんと整理をする必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

馬場大臣政務官 お答えします。

 厚生労働省で作成中の第九版食品添加物公定書におきまして規格基準が定められる予定のない既存添加物百五十二品目については、順次、専門家の意見も聞きながら、規格基準の設定に向けた検討作業を行ってまいりますが、今お話がありましたように、使用実態がないと認められる既存添加物については、食品衛生法に基づき既存添加物名簿から消除することができるとされておりまして、流通実態がなく規格基準の設定に必要な資料の得られない添加物については、既存添加物名簿から消除する方向で検討してまいりたいと存じます。

斉藤(和)委員 使用実態のないものは消除するという方向で検討というお話がありました。

 既に消費者団体からもたびたび指摘がされているわけですけれども、この既存添加物というのは、二十年前の食品衛生法改正時の附則の第三条で定められています。経過措置というふうになっているわけですね。この経過措置が二十年間も続いている。使用実態のないものは消除するといって、あるものは規格基準にして公定書に収載するということがやられていながら、二十年間やっても百五十二品目そのままになっている。

 これは、もう二十年たったんだから、経過措置はきっぱり終わりにして整理する、この立場でやる必要があると思うんです。添加物というのは私たちの口に入るものです。食の安全にかかわる問題です。それが経過措置のまま、ある意味、放置されているとまでは言いませんけれども、そういう実態がある。これを、やはり二十年たった今、きっぱりと整理する、その立場でいかがでしょうか。

馬場大臣政務官 お答えします。

 今お話しの件でありますが、既存添加物は、平成七年の改正食品衛生法附則第二条に規定されているものであります。これは、改正当時既に添加物として使用されていたものの取り扱いを定めたものでありますが、特に時限を区切った暫定的な制度とされているものではありません。

 ただ、厚生労働省としては、第九版の食品添加物公定書において規格基準が定められる予定のない百五十二品目についても、先ほどもお話ししましたが、引き続き、規格基準の設定に向けた検討を進めるとともに、流通実態がなく規格基準の設定に必要な資料の得られないものについては既存添加物名簿から消除する方向で検討してまいりたいと存じます。

斉藤(和)委員 ぜひ、経過措置が二十年というのは長過ぎるということを改めて強調したいと思います。

 JAS法の改正にしても、この既存添加物についても、やはり国民の皆さんの命にかかわる問題です。そしてまた、権利にかかわる問題です。やはり、国民の権利や自由を奪うような、そして脅かすような、そういう政治であってはならないということを強く強調して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会、吉田豊史です。きょうもよろしくお願いいたします。

 前回、前振りを省きましたところ、前回といってもきのうのことですから、でも、何か、いろいろなことがあって本当に遠く昔のことに思えてしまうんですが、各方面から、いやあ、前振り楽しみにしていたのにというお言葉を、数は少ないんですけれども、いただきまして、本当にファンがついてくださっているんだな、頑張らなくちゃいけないな、前振りだけ楽しみにしていると言われなかったのは幸いだなと思いながら、やっていきたいと思います。

 きょうは、農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律案というところで、JAS法ということなんですけれども、この委員会でもいつも申し上げていますけれども、省略しますよね。省略すると、特に横文字になると、それが本当に何の言葉の意味の略語だったのかというのはなかなかわからなくなったりして、JASは、ジャパン・アグリカルチャー・スタンダード。Sはスタンダードということだと思いますけれども、このスタンダードというのは、これも非常に、どういうふうに捉えるかということで意味が変わってくる言葉だと私は思っています。スタンダードは基準であり、それから定番になったり、そしてそれから、スタンダードという言葉自身が、何か価値のあるもの、そういうことを意味するというところもあるわけですね。

 だから、JAS法というところは、では、このJASという規格、この言葉を使って実際に何を求めていこうとしているのかというところは、私は非常に重要なこの法案のこれからのことを意味している部分になるというふうに考えています。

 改めて、まず、現行のJAS規格について、課題があるからこそ改正していくということだと思いますので、特に、認定事業所数それから格付率が低下しているというこの状況についてどのように把握しているか、これを確認したいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現行のJAS規格につきましては、一般の飲食料品についてのJAS規格の認定事業者数、また、格付率と称しておりますが、JAS規格が設定をされている飲食料品について、その生産量に占めるJAS規格がつけられている飲食料品の率でございますけれども、このいずれもが近年低下をしてきておりまして、その要因といたしましては、現行のJAS規格につきましては、品質に関する規格は定められるわけですけれども、それ以外の規格が定められないということになっているわけでございますけれども、近年におきましては、農林水産物資の品質が総じて改善されたことに伴いまして、一定水準以上の品質であること、それだけでは必ずしも取引上のアピールにつながらないということ、また、国内外のニーズの多様化に伴いまして、現行のJAS規格で定め得る成分や原材料等の基準以外の要素も重視をされてきているといったことがありまして、そうした状況も踏まえた上で、今回、品質以外のJAS規格も定められるような改正案を提案させていただいているところでございます。

吉田(豊)委員 基本的に、攻めの農林水産業というときに、出てくる商品をいかにより売れるものにしていくかというところがもちろん当面の狙いなわけですけれども、そのために、このJASという一つの規格というものがどのようにそれをサポートすることができるのか、私はそれは非常に大事な考え方だと思いますし、今ほどの局長の説明から理解できるところは、やはり、今までにあったこのJASの規格というのは品質のみ、でも、そこから本当にその商品自身の価値を高めていくためには、ブランディングということがいいと思いますが、それだけでは足りないから今回の改正につながっている、そういうふうに私は理解するわけですけれども、改めて、齋藤副大臣に、攻めの農業とこのJAS法の位置づけ、ここの関連をどのように理解すべきかということを確認したいと思います。

齋藤副大臣 攻めの農業を目指す中で、農林水産業の輸出力強化、これは極めて大事になっております。世界の方々に日本産品の品質や特色をアピールするためには、規格・認証を活用して効果的に行っていくということが重要である、そこでつながってくるんだろうと思います。

 このような背景から、昨年五月に取りまとめられました農林水産業の輸出力強化戦略におきまして、JASの仕組みを活用し、日本産品の品質や特色を担保する制度の創設を検討することというふうに位置づけられまして、さらに、同年十一月、昨年十一月に決定されました農業競争力強化プログラムにおきましても、戦略的輸出体制の整備の一環として、JAS法に基づく制度のあり方を見直すということが位置づけられたところでありまして、これらを具体化するために、冒頭申し上げましたように、我が国の持つ農産物のアピールにつながるように、多様なJAS規格を戦略的に策定、活用できるよう、今回の法改正を提出しているところでございます。

吉田(豊)委員 非常にわかりやすい理解ができたと思います。

 その上で、実際、消費者が、今回の改正によって、今までのJAS規格、そして新しい新JAS規格ということになるわけですけれども、これのそれぞれの位置づけがどうなっていくのか。まず新しいJAS規格についての位置づけ、これを確認させていただきたいと思います。

井上政府参考人 今回、改正法案の中で御提案を申し上げております新しいJAS規格でございますけれども、生産の方法であるとか、あるいは保管、管理、輸送の方法、あるいは試験の方法といった、いわゆる取り扱いの方法や試験の方法についての規格を定めるということになりまして、こうした新たに定めるJAS規格に適合していることを認証を受けた事業者の方は、JASマークを付すことができるということになるわけでございます。

吉田(豊)委員 そして、そういう今までにないプラスアルファの情報を詰め込むことができる新しいJAS規格ということになると思いますけれども、その新しい新JAS規格、JASマークというものが、普及を図るためには、結局は、最初に申し上げましたように、JASのSはスタンダードですから、それが多くの方々に、スタンダード、定番として認められていくということこそが一番満たすべき重要な項目だと思うわけです。ここについてどのような取り組みを考えているか、これを確認したいと思います。

井上政府参考人 ただいまも申し上げましたように、今回のJAS法の改正によりまして、生産方法、管理方法等の多様なJAS規格を制定、活用することが可能になるわけでございますけれども、これが消費者の方にとっての判断の材料になったり、あるいは取引先の事業者の方にとって判断の材料になるようになることが重要でございますので、このJASマークというのがわかりやすいものであるということが重要と考えてございまして、今回の制度改正を機に、JASマークにつきましても、従来のマークに加えて、何を認証しているのかということがわかるような、いわば標語のようなものをつけるようなマークにしたり、あるいは、海外向けも考えまして、英語等による表記などもできるようにすることを考えているところでございます。

吉田(豊)委員 そして、常々言っておりますけれども、農林水産の分野のみにおいても、それぞれ規格とかそれからマークとか、多様に今準備しているわけですね。こういうところにおいて、消費者の目線からすると、やはり一つ一つのマークが何のことを言っているのかということがわかりやすくなくちゃいけないし、そして、そのことに価値がある、意味がある、そのところを両方あわせて満たしていかなくちゃいけないと思うので、既存のそれぞれの規格、そして今回の新JASということによってつくられてくるスタンダード、基準、これがどのようにすみ分け、あるいは共有、活用されていくのか、その後のビジョン、考え方を確認させてください。

井上政府参考人 農林水産物や食品分野におきます規格には、国内の規格もあれば、国際規格もございますし、また、JASのような公的な規格もあれば、GAPのような民間の規格もございます。非常に多数ございますので、現場の生産者、事業者の方から見れば、自分にとって意味のありそうなものは何か、どれを取ったらいいんだろうかということが非常にわかりにくいと思いますので、いずれにしましても、現場の方にもわかるように、それぞれの規格がどういうものであってということをわかる形で説明を今後行わせていただきたいと思いますし、また、個別の御相談にも応じられるような体制を整備してまいりたいと思いますけれども、例えばということで申し上げさせていただきますと、例えば、GAPとJASとの関係で申し上げさせていただければ、お茶について、GAP認証を取るということで、食品の安全あるいは環境配慮などを確保しながら生産を行っているということで、GAPは生産の工程全般にわたっての規格でございますので、そういった安全衛生、環境配慮を行いながら生産を行っていることを示すことができる。ただし、それを取ったとしても、例えば、海外の市場において、日本独自の抹茶を売り込みたいというような場合には、ほかの国の産品との差別化を図るために、我が国の伝統的な抹茶の製法について、これ自身はGAPの認証を取っても証明はしてくれませんので、新しいJAS規格を定めて、それを活用してアピールにつなげていくといったように、複数の規格・認証を組み合わせて活用されるようなケースもあろうかと思います。

 いずれにしましても、現場の方から見ると、さまざまな規格がございますので、わかりやすいような形で御説明をし、また相談に応じながら対応させていただきたいと考えております。

吉田(豊)委員 そういう意味で、消費者からすると、一つの商品にいろいろなマーク、基準が、規格が張られるというところ、それは一方で、わかりやすさとそれから細かさ、具体的な特徴、そこを両立させなくちゃいけないというのは、非常に簡単なようで難しいことだろうとも思います。

 また、それにあわせて、今度は生産する側が、これは常に言っていますけれども、攻めの農業の主役はまず生産者から始まるわけですから、そこから具体的にはどういうようなものを目指して、最終的に自分たちのつくっているものがどういうマークをつけることができるのか、そして、どういう位置にその商品が来るのかということをやはり理解して、ビジョンを持った上で生産に取りかかるというところが一番大事なことだろうと思います。

 ですから、ここのところについて、ブランド化ということの考え方、生産者側に対してどのようなアプローチをするか、あるいは、どれを位置づけていくのかというところの考え方を確認したいと思います。

井上政府参考人 先ほど来お答えをしているところと重複するところもございますけれども、今回のJAS法の改正におきましては、産品の品質だけではなくて、生産の方法、管理の方法など、多様な規格を制定できることとなっておりまして、先ほども例で申し上げましたけれども、例えば、日本の伝統的な抹茶の生産の方法を規格にするとか、あるいは、生鮮食料品を鮮度を維持しながら保管する方法、輸送する方法といったような、事業者あるいは産地の強みのアピールにつながるような規格の制定が可能となるわけでございます。

 また、今回の改正におきましては、こういった規格の制定に当たって、従来は農林水産省の発意によって規格が制定されてきたわけでございますけれども、民間の生産者、事業者の方からの提案もいただきながら、必要な規格の制定を行ってまいりたいと思いますし、また、それぞれの事業者、産地の方の農林水産物のブランド化につながるために、どういった規格をつくり、あるいはどういう規格の認証を取れば有利になるのかという点につきましては、こちらからも御説明をさせていただき、また御相談にも応じさせていただきたいと考えております。

吉田(豊)委員 そして、この規格、先ほど齋藤副大臣もおっしゃいましたけれども、やはり輸出に向けてというところは非常に重要な話でして、輸出のところを確認しますけれども、規格は、国際規格になると今度はまたいろいろあると思うんですけれども、世界での規格の今どういう構造になっているのかというところ、それから、それをどういう組織がこの規格について考えているのかというところを簡単に紹介いただきたいと思います。

井上政府参考人 まず国際規格につきましては、主なものとして、コーデックス委員会が定めるコーデックス規格、このコーデックス委員会は、国連の食糧農業機関と世界保健機関によって設立をされた政府間組織でございますけれども、ここが定めるコーデックス規格、あるいは、各国の代表的な標準機関から成る国際標準化機構が定めるISO規格といったものがございます。

 また、今申し上げたものは公的な国際規格でございますけれども、これ以外に、国際的な民間の規格といたしまして、欧米等の大手の小売業者、大手のメーカー等で形成されております団体の世界食品安全イニシアチブ、GFSIと呼ばれておりますけれども、ここが承認をする民間の認証の仕組みとして、例えばグローバルGAPといったようなものがございます。

吉田(豊)委員 そして、輸出力強化ということですけれども、国際規格化というところを新JASによって目指すというこの意義を細田政務官に確認させていただきたいと思います。

細田大臣政務官 吉田先生、連日質疑に立たれていることに改めて心から敬意を表します。

 今局長から御説明を差し上げました、一般的に海外取引では、価値観、文化、商慣行が異なる者同士が取引を円滑に行えるように、必要な情報や信頼を担保するための規格・認証が多く活用されております。

 海外になじみのない日本の産品についても、その品質や特色、事業者の技術や取り組みなどを訴求する上で、このような規格・認証の活用が大変重要であるというふうに考えております。

 こうした中で、我が国の産品、事業者にとって認証を取得しやすいJAS規格について国際的な認知、影響力が高まれば、我が国の輸出競争力をさらに強化することになるというふうに考えております。

 このような観点から、JAS規格について、その国際的な認知、影響力を高めるべく、私どもとして、所要の予算の確保を含めて、また努力をしてまいる所存でございます。ぜひ先生からも御支援いただきますよう、よろしくお願いいたします。

吉田(豊)委員 そして最後に、大臣にお聞きしたいと思います。

 前振りしかしないのに後振りしちゃってちょっと恐縮なんですけれども、実はよく考えますと、百九十三回国会、これの、中身を審議しているのは、この農水委員会だけが動いていまして、そして私が一番最後の質問者ということで、何というか、世の中で言うと大トリの質問をさせていただいたということになるわけです。

 全然ふさわしくない人間が質問していて恐縮ですけれども、本当にきょう、委員の諸先輩方の御指導をいただいて、私もいろいろなチャンスをいただいて、質問させていただいて、農林水産の、攻めていく非常に重要な分野だということを改めて認識させていただく国会となりました。そして、また一層、この夏休み、頑張って前振りを磨いてまいりたいと思いますので、御期待いただきたいと思います。

 それで、最終的に、新JAS法ですけれども、国際規格化をするということ、ここについて、やはりこの法案が通ることによって、いろいろな準備をしていかなくちゃいけない、こう思うわけですけれども、それについての大臣のお考えを確認させていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 今後、国際規格というのはますます重要になると思います。貿易が盛んになるということは、言語も違う、文化も違う相手との交流でございますし、物のやりとりでございます。そのときに、お互いがわかり合える認証の基準というのは、これまたすごく、今以上に重要になるわけでございます。

 HACCPであれ、グローバルGAPであれ、ISOであれ、コーデックスであれ、既にございます。日本発のこういう基準というのはありません。しかし、日本ブランドというのは海外でつとに有名であり、そして憧れを持たれております。その安全性だとか、あるいは丁寧さだとか、美しさだとかいうようなことをJASに盛り込むことができれば、我々は、単にグローバルGAPで何をしなきゃならぬと右往左往するのではなくて、強みになってくるわけでございます。

 そんな意味で、国際的な取引をやる日本の会社にお聞きしますと、先につくる規格というものがないことが悔しいというような話もございました。

 今後、そうしたこのJASによりまして、日本ブランドがさらに世界を雄飛しながら、日本産物資が輸出促進あるいは成長ということを遂げていくだろう、こう考えておりますので、その意味は深いというように思っております。

吉田(豊)委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 終わります。

北村委員長 現在、民進党・無所属クラブ所属委員の御出席がいまだ得られておりません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 ただいま理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。畠山和也君。

畠山委員 私は、日本共産党を代表して、農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。

 通称JAS法は、制度当初から、公共の福祉の増進に寄与することを目的としてきました。二〇〇〇年代に入り、飲食料品の原産地等について悪質な偽装表示事件が多発したのを受けて、二〇〇九年に衆議院農林水産委員長提案で、「公共の福祉の増進」を「消費者の需要に即した農業生産等の振興並びに消費者の利益の保護」に改正しました。これは、生産者と消費者をつなぐ役割を明確化する趣旨であり、それにより、規格制度と表示制度が果たす役割も法文上明確にされました。

 その上で、反対理由の第一は、この前回の改正趣旨が大きく後退することになるものだからです。

 本改正案は、「消費者の需要に即した」との文言を削除するもので、前回改正で明確化した、公共の福祉の増進を踏まえた生産者と消費者をつなぐ役割が後退することになります。

 また、農林物資の規格化とあわせて食品表示の適正化も担ってきた「食品表示法による措置と相まつて、」の文言も削除されます。食品表示に関する規定が食品表示法に移管されたという理由ですが、JAS規格は表示と密接なかかわりがあるものであり、削除する必要はありません。

 反対理由の第二は、品質保証のための表示を掲げた現行JAS法が商品を売るための広告を掲げるJAS法へ、法の性格が変わることです。

 現行JAS法は、規格内容を表示として示し、消費者が品質の確認をできるようにしていました。これは、消費者の権利としての表示を体現したものです。

 本改正案で、認証を受けた事業者は、JASマークを広告等に付する規定を新設するにより、新たな規格を得た商品をテレビCMなど含むさまざまな媒体で宣伝ができるようになります。消費者の権利に基づく表示の役割が失われるようなことがあってはなりません。

 なお、修正案は、消費者のためという現行法の目的が大きく後退するという原案の問題点を改めるものではないので、賛成できません。

 以上で反対討論を終わります。(拍手)

北村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、農林物資の規格化等に関する法律及び独立行政法人農林水産消費安全技術センター法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

北村委員長 次に、本日付託になりました参議院提出、商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案を議題といたします。

 発議者より趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員山田修路君。

    ―――――――――――――

 商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山田(修)参議院議員 ただいま議題となりました商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案につきまして、その趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。

 我が国の伝統と文化である捕鯨に関しては、国際捕鯨委員会における商業捕鯨の一時停止の決定以降、商業捕鯨の再開のために必要な科学的知見を収集するため、国際捕鯨取締条約に基づく鯨類捕獲調査が実施されてきました。

 しかしながら、近年、反捕鯨団体による過激な妨害活動により調査の実施に支障が生じ、また、国際司法裁判所の南極における捕鯨訴訟において我が国にとって厳しい判決が出されました。

 現在、新たな計画に基づく調査が開始されておりますが、平成二十六年四月の衆議院及び参議院の農林水産委員会における調査捕鯨実施等に関する決議を踏まえ、鯨類に関する科学的調査を国の責務として位置づけ、安定的かつ継続的に実施するための法律の制定が必要とされています。

 本法律案は、このような状況を踏まえ、商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査を安定的かつ継続的に実施するために必要な事項について定めることにより、商業捕鯨の実施による水産業等の発展を図るとともに、海洋生物資源の持続的な利用に寄与しようとするものであります。

 以下、本法律案の主な内容を御説明申し上げます。

 第一に、鯨類科学調査の基本原則として、主として商業捕鯨の実施のための科学的知見を得ること、条約及び科学的知見に基づくこと等の基準を全て満たし、かつ、原則として捕獲を伴うことを定めております。

 第二に、鯨類科学調査を国の責務として位置づける観点から、基本方針及び鯨類科学調査計画の策定を政府に義務づけ、指定鯨類科学調査法人等により調査を実施することとしております。

 第三に、鯨類科学調査の費用の補助について定めるとともに、調査研究を行う人材の養成、調査用船舶の確保等の実施体制の整備に必要な措置を講ずることとしております。

 第四に、妨害行為の防止及び妨害行為への対応のための施策として、調査実施主体に対する支援、調査実施海域への政府職員及び船舶の派遣、関係行政機関による情報共有等について規定しております。

 第五に、科学的知見の国内外における普及活用、鯨類文化等についての広報活動の充実、捕獲した鯨類の調査終了後における有効かつ合理的な利用及び学校給食における利用の促進等について必要な措置を講ずることとするほか、財政上の措置等について規定しております。

 第六に、鯨類科学調査以外に地域で取り組まれている鯨類の科学的な調査についても、必要な措置を講ずることとしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

北村委員長 本案につきましては、質疑及び討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

北村委員長 次回は、明十六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十三分散会


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