衆議院

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第3号 平成29年11月30日(木曜日)

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平成二十九年十一月三十日(木曜日)

    午後五時十分開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 大串 博志君 理事 佐藤 英道君

      赤澤 亮正君    池田 道孝君

      稲田 朋美君    岩田 和親君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      加藤 寛治君    金子 俊平君

      木村 次郎君    岸  信夫君

      小寺 裕雄君    佐藤 明男君

      斎藤 洋明君    杉田 水脈君

      谷川 弥一君    西田 昭二君

      野中  厚君    藤原  崇君

      古川  康君    本田 太郎君

      宮路 拓馬君    山田 賢司君

      山本  拓君    石川 香織君

      大河原雅子君    神谷  裕君

      亀井亜紀子君    城井  崇君

      岸本 周平君    関 健一郎君

      緑川 貴士君    桝屋 敬悟君

      金子 恵美君    田村 貴昭君

      丸山 穂高君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            荒川  隆君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沖  修司君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月三十日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     佐藤 明男君

  細田 健一君     岩田 和親君

  宮路 拓馬君     尾身 朝子君

  佐藤 公治君     城井  崇君

  江田 康幸君     桝屋 敬悟君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     山田 賢司君

  尾身 朝子君     杉田 水脈君

  佐藤 明男君     泉田 裕彦君

  城井  崇君     佐藤 公治君

  桝屋 敬悟君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     本田 太郎君

  山田 賢司君     細田 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長荒川隆君、林野庁長官沖修司君、水産庁長官長谷成人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串博志君。

大串(博)委員 希望の党の大串でございます。

 大臣、副大臣、政務官、ひとつよろしくお願いします。

 早速質疑に入りますけれども、まず、諫早湾干拓の問題です。

 大臣には、先般、佐賀にも、地元においでいただき、どうもありがとうございました。有明海の状況も、現場の声も、短い時間ではありましたけれども、聞いていただいたと思います。ただ、まだ私たち、言い足りないことがいっぱい実はあるんです。

 この問題、大臣も経緯はいろいろ知られていると思いますけれども、私たち佐賀県側としては、やはり確定判決のごとく開門調査を行って、有明海の真の再生の道を探ってほしい、これに尽きます。

 この観点からすると、もともと確定判決があって、開門だという方針で民主党政権のときから、そして自公政権になっても開門の方針でずっと来ていたんですね。

 それが、ことしの春になって、長崎地方裁判所の判決への対応、そのときに、私たちにとっては非常に突然ではありましたけれども、開門しないという政府の基本的な方針に変わってしまいましたね。これは私は非常に不可解かつ問題の多い方針転換だったと思うんです。

 なぜなら、裁判上の確定判決は開門判決です。政府は開門するという義務を負っているわけですね。にもかかわらず、開門しないという方向に、裁判とは逆の方向に、確定判決とは逆の方向に考え方をあえて変えるというのは、私は非常にいかがなものかというふうに思いました。

 そのときに大臣名で出された談話の中では、現実に開門することが著しく困難だと。これは、長崎の皆さんのいろいろな声もあります。それは長崎の皆さんの思いも私は十分よくわかるんです。わかった上で、私たち、開門してくれという声は、長崎の皆様にも御迷惑をかけないようなしっかりとした農業あるいは防災、いろいろな措置も、政府ですから、幅広く講じた上で開門調査ができるような形をつくってほしい。それが、実は確定判決にも書かれていたことなんですね。

 そういった取り組みを政府として十分にやってきたのか。開門を行えるだけの活動を政府が十分行ってきたかというと、私は十分じゃないと思うんです。その中で、現実に開門することは著しく困難だというこの一言をもって開門しないという判断に至ったのは、私は非常に不可解です。

 いま一度、大臣にお尋ねします。

 私たち佐賀県側としては、開門調査を行うことが有明海の真の再生の道を探る、これしかないと思っています。なぜ開門しないという判断に至ってしまったのか、その点に関しての経緯と御判断をお聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 敬愛する大串委員の御意見、今謹んで拝聴いたしましたが、この諫早湾干拓開門問題につきましては、もう御承知のことと思いますけれども、複数の訴訟が提起をされておりまして、開門と開門禁止といった裁判所の相反する判断が存在する状況と今なっております。

 このような硬直した状況を打開し、問題の解決を図っていくために、まず、御指摘ありましたけれども、平成二十二年の開門を命ずる福岡高裁の判決が確定した後、私どもとしては、現場での工事着手を試みるなど開門義務の履行に向けて努力を重ねてまいりましたが、現実に開門をすることは著しく困難な状況にあること、それから、同判決が確定した後は、開門しない方向での司法判断が重ねられてきているということがございます。

 このことなどを総合的に考慮いたしまして、本年四月に、開門しないとの方針を明確にして、基金による和解を目指すとの判断をさせていただいたところであります。

 国といたしましては、各訴訟に適切に対応しつつ、問題の解決に向けて、関係者の皆様の理解と協力が得られるよう、さまざまな機会を捉えて真摯に努力をしてまいりたいと思っております。

大串(博)委員 今、幾つかの裁判が続いて、開門しないという判決もあったというふうに言われましたけれども、幾つかの裁判が並行するのをある意味そのままにしているのは政府ですからね。ある一時期においては、政府は、裁判の成り行きを見るという、そういった非常に受動的な態度でさえあったわけですよ。これが本当に政府がとるべき態度なのかと私は非常に思っています。だから、十分な開門に向けての取り組みはしてこなかったと断ぜざるを得ないんですね。だから申し上げているんです。

 開門に向けての十分な取り組みをしない中で、開門は現実的じゃないからしないというふうな判断に持っていく。持っていったようなものですよ。これはとても佐賀県側としては受け入れられない、プロセスからしても受け入れられない。この現状は変わらないと思います。

 基金の話をされました。

 有明海の再生をいろいろな面で果たしてほしいという漁業者の皆さんの思いはあります。もちろん、有明海の再生に関する予算面でのケアはしっかりやってほしい。これはもともと有明海特措法というのがあって、諫干問題とは別に有明海の再生をしっかり果たしましょうということで、特別措置法を議員立法でつくったんです。このもとで、有明海再生の予算も特別に組んできたんです。

 そのときに、私は、議員立法をつくることに関与しました。私たちは言いましたよ、これは諫干による原因があるから有明海再生をしなきゃならない、そのための議員立法だということで与党の皆さんと折衝しましたけれども、そのとき与党の皆さんからは、いや、これは諫干の問題とは切り離して、一般的な有明海の問題として、再生の特別措置法としてつくってくれということだったので、私たちはそれをのんで、有明海再生の特別措置法をつくったんです。

 すなわち、一般的に有明海の再生はしなきゃならないんです。それに関する特別な予算措置をして、ずっともらっていたんです。だから、これは諫干の問題とは別にずっとやってもらわなきゃならないんです。

 よって、基金の問題は、それは解決策にはならないんですね。

 むしろ、政府が本当に物を解決していこうとするのであれば、やはり私は、開門に向けて、例えば、今原告団、弁護団の皆さんからもいろいろな案も出てきています。

 私も、実は先般、ことしの夏には長崎の新しい干拓地の方も視察に再度行ってきました。大変御苦労されながら農業をやられている姿が目に飛び込んでまいりました。広大な土地ではありますけれども、いろいろな御苦労があられると思います。そういった中で、今、農業全体を取り巻く環境も厳しい中でございますので、非常に苦労されている姿がよくわかりました。

 そういった意味で見てみると、むしろ農業の皆様をどうお助けしていくのか、支援していくのか、そういう意味での基金をつくって、農業の皆さんを御支援する基金をつくった上で、あわせて開門に向けての道筋をとっていく、これが私は一つのあり得べき姿だと思うんですね。これは、原告団、弁護団の皆様とも、私もいろいろな意見交換をしています。こういう方法であればという声もあります。

 どうですか、大臣。有明海再生の基金、予算をつければ、これは解決には絶対なりません。お金の問題じゃないんですよ、佐賀の方からすると。かつ、先ほど申しましたように、有明海再生の予算は、特措法の中で一般的にずっと措置されていたんです。これは条件づけするべきものではありません。よって、基金は解決策にならない。有明海再生の予算の基金は解決策にはならない。

 とすると、むしろ、長崎県の農業の皆様をお支えする、そういった基金案をもってして、開門に向けて、合わせた努力を私はいま一度すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 今、大串委員からお話ありました件につきましては、開門を求める原告、弁護団の皆様から、長崎地裁の和解協議におきまして、干拓地及びその周辺の農業者のための基金の造成が提案されているということは承知をいたしておりますけれども、国といたしましては、諫早湾周辺の農業者や地域の方々が抱える不安を払拭するとともに、漁業者の方々の思いである有明海の再生を速やかに進めるためには、開門しないとの方針のもとで、有明海の再生や水産振興に向けた基金による和解を目指すことが最良の方策だと考えたところでございます。

大串(博)委員 役人さんが書かれた答弁をそう読まれていますけれども、絶対にうまくいきませんよ。

 なぜなら、有明海を再生する取り組みは、先ほど申しましたように、特別措置法の中で政府はやると一般的にもうコミットされているんです。それは前提なんです、大前提なんですよ。それに何か基金があるかのごとき形をとられても、もうお金の問題じゃないんです。

 有明海の再生のためには、やはり諫早湾干拓を、開門して調査を行う。そのときには、長崎の皆様にも理解をしていただけるような、農業とか防災とかそういった面に関して、それこそ基金をつくってやっていくようなことでもやっていかないと、絶対に解決しませんよ。

 これは歴代の農水大臣の皆様にもこの場で私は申し上げてきました。十分な策をとらないというのは、私は不作為の問題になってくると思われます。

 佐賀県側のスタンスは変わりません。先般、佐賀県知事も、記者会見で聞かれて、開門というスタンスは変わらないという旨を明言しております。

 これはぜひ、大臣、解決するとすると、開門に向けて、先ほど申しましたような農業基金も含めて別の形をつくっていかなければならないと改めて申し上げながら、このことは、議論するとすると、開門の確定判決を持っているのは原告団、弁護団ですから、原告団、弁護団としっかり話し合っていただかないと、事は進みませんよ。

 今回、佐賀においでいただいたときには、原告団、弁護団との会合はありませんでした。これは実は、私の記憶する限りにおいては、農水大臣が就任後地元に来られて初めてのことではなかったかと思うんです。今までは、原告団、弁護団ともきちんと会って話を聞いてもらっていました。初めてその会合がなかった。これは驚きです。

 原告団、弁護団の皆さんは、可能であれば、いつでも上京して大臣と話をさせてほしいという希望をお持ちです。それが実現できるように、大臣、原告団、弁護団とも時期を設けて会うということは考えていただけないでしょうか。

齋藤国務大臣 私が十一月十三日に現地を視察させていただきましたのは、実は、本年八月二十八日に佐賀県知事から現地を視察してほしいという御要請があったことも踏まえ、その後、解散・総選挙とかがございましたし、一旦決めた日取りが、台風の影響で、佐賀県側からの申し出で延期になるというような、そういう経緯がありましたが、そういう御要請があったことも踏まえて、限られた時間の中で、現場の視察を中心にお伺いをしたということであります。

 開門問題につきましては、国としては、先ほど来申し上げておりますように、開門によらない基金による和解を目指しているところでありまして、開門を求められている原告、弁護団との意見交換については、現在進められている裁判の状況を見ながら慎重に検討していきたいと思っております。

大串(博)委員 原告団、弁護団と会うというのは、これまでの大臣も政治判断でやられていたんですよ。役人さんはいろいろ言われるかもしれないけれども、裁判の状況を見ながら慎重に考えたいではなくて、大臣の判断で、ここは本当に一定のきちんとした話し合いをしていかないと、絶対に解決しないですよ。これを何もしなかったら、大臣、不作為の弊を問われますよ。

 ぜひ、私もきちんとアシストしますので、原告団、弁護団としっかり会っていただきたい、話をしていただきたい、そして解決策を探していただきたい、開門という方向で頑張っていただきたいということでお願いしたいと思います。

 次の質疑に入らせていただきたいと思いますが、ちょっと順番を変えさせていただいて、大臣、卸売市場法の方を先に議論させていただきたいと思います。

 今、この卸売市場法に関しては、これまでの政府の方での取り決めを踏まえて、いろいろな議論がされているようですね。私は非常に心配して見ています。

 やはりこの卸売市場法があって、中央卸売市場がある、これに対してきちんとした監督措置等々もあって、いろいろな規則もあるがゆえに、全国の生鮮青果物をつくられている方々は安心して作物をつくった上で出荷することができる、こういう状況になっています。

 生鮮青果物は非常に、実は私も、佐賀で、実家の土地も持っていますし、今、両親が高齢でなかなかできないものですから、親戚の皆さんがやってくれています。佐賀県は、御案内のように、タマネギとかイチゴとかレンコンとか、非常にとれ高もあるところですから、安定してそういうつくったものが出荷されてほしいという欲求はみんな強いですよ。

 御案内のように、非常に価格の振れ幅も大きい、不安定な面があるんですね。そういった中で、安心して供給できる体制をお一人お一人の農家の方々が確信できる、これは、中央卸売市場、この卸売市場法がきちんとワークしているからなんですよね。それを、今何か、規制改革推進会議の議論のもとで非常に心配な方向にねじ曲げられてしまうのではないかという危機感を私は持っています。

 この卸売市場法の、卸売市場の見直しに関して、今、どういう現状で、どういう方向で、いつまでに何が決まろうとしているのか。どうなっているんですか、大臣。

齋藤国務大臣 卸売市場法の見直しに関してですけれども、最近の食品流通の実情を見ますと、生鮮品のままでの需要は減少する一方、加工食品や外食での需要は拡大をしておりまして、こうした消費者のニーズに対応していくことが求められているということ、それから、需要の多様化に伴い、産直取引や直売所やインターネット通販での購入等の流通チャネルも多様化してきているということが見られます。

 卸売市場につきましては、集荷、分荷、価格形成、代金決済等の機能を果たしてきているということでありますが、昨今では、このような状況変化に対応するために、例えば、中央卸売市場からより規制が緩やかな地方卸売市場へ転換したり、あるいは、卸売業者や仲卸業者が子会社を設立して規制のかからない市場外取引を行う等、生産者や実需者のニーズに合うような対応がとられてきているわけです。

 今回の改革は、このような卸売市場や食品流通をめぐる環境の変化を踏まえまして、今御案内ありましたけれども、生産者にもメリットがあり消費者にもメリットがあるという形で、卸売市場関係者もその役割、機能をより発揮できる流通構造の実現に向けて行うというのが基本的考え方でありまして、今、具体的結論を得るように検討を進めているところであります。

大串(博)委員 今の説明を聞いていて、私、どうしてそれが、卸売市場法を今巷間言われているようなドラスチックなやり方で規制緩和してしまわなければならないのか、どうしてもよくわからないんです。

 大臣、言われていましたね。私、農水省からも資料をいただきました。これはずっと私も知っていますよ、市場外取引も随分ふえてきています。

 これはなぜかというと、今の法体系のもとでも、原則は卸売市場を通じてやるんだ、原則はということになっていながら、一方でその例外もあるわけですよね。今おっしゃった地方の卸売市場もある。あるいは、例外として市場外で取引できるような仕組みも、今できるわけですね、違法じゃなくできるわけです。そういう中で、消費者のニーズに応じてそういった市場外の取引もできてきているんですよ。それで、それは成り立っているわけです。

 その中で、そういう市場外取引も行われ、しかし、市場外取引に行かずにあえて卸売市場に残っている物量の流れがある中で、あえて卸売市場で行われている物量の流れのところに、規制緩和でこれをある意味壊してしまうような法律の改正をなぜしてしまわなきゃならないのか、私は全くよくわからないんです。

 今の市場外流通が行われている、これがちゃんと行われていれば、それでいいじゃないですか。あえて卸売市場で取引が行われている、これを欲している方々がいらっしゃるわけです。安心してここに出したい、だからあえて卸売市場を使っている方がいらっしゃるわけですよ。それはまさに、大臣がよくお好みになって使っていらっしゃる、生産者や消費者が自分で選好されているからそうなっているわけじゃないですか。

 それを、あえてなぜ政府の側が法律を、私に言わせると改悪して、過度な規制緩和を行って、卸売市場を壊す必要があるんですか。全く私は理屈がよくわからないんです。どうでしょうか。

齋藤国務大臣 まず申し上げたいのは、卸売市場については、集荷、分荷、価格形成、代金決済等の機能を果たしておりまして、私は、この卸売市場の機能そのものが否定されるような、そういう改革は当然望ましくないと思っておりますが、ただ、新しい動きに対応する、その修正も必要なんだろうということで、今見直しを、最終検討しているところでございます。

大串(博)委員 今、卸売市場が果たしているいろいろな規制の機能もあるとおっしゃいました。

 いろいろな諸規制の中で、論点になっていますいろいろな市場の機能を担保するための仕組みがあります。それらは基本的に残されていく方向になるんでしょうか。例えば受託拒否の禁止とか、あるいは代金決済ルールの策定とか、差別的取り扱いの禁止とか、こういった非常に重要な規制は残されるんでしょうか。

 その上で、どうも今の議論を見ていると、規制改革推進会議は、例えば特に受託拒否の禁止に見られるような、非常に重要だとずっと言われてきたこのルールに関しても取っ払おうとばあんと打ち出されて、それは恐らく大臣も受託拒否の禁止は大事だとおっしゃるんじゃないかなと私は想像するんですね。それはそれでいいんです。

 ところが、そのやりとりの中で、例えば、この制度の根幹である中央卸売市場の認可制ですね。認可制というのはこの制度の根幹ですよ。市場を整備する計画をつくって、それが国との間できちんと話し合われた上で認可を得て、その者が支援も得ながら市場をつくっていく、これは制度の根幹ですよ。

 このいろいろなルール、どの規制を維持していこうとされているのかというのをお尋ねさせていただきたいと思いますし、まさか、いろいろなやりとりの中で、認可制というこの制度の根幹は取っ払ってしまおうというふうに考えていらっしゃるのではないでしょうか。そのあたりのあんばいを教えていただきたいと思います。

齋藤国務大臣 多くの皆さんが気にされているところを御質問いただきまして、ありがとうございました。

 まず、各種規制の話でありますけれども、差別的取り扱いの禁止や、今ありました受託拒否の禁止、代金決済の確保につきましては、卸売市場の根幹をなす機能として維持を求める意見が大勢であると私どもは認識をいたしております。

 また、第三者販売の禁止、それから商物一致の原則等については、卸売市場関係業者の中に、事業継続への懸念の声もある一方で、加工品等の需要が拡大している中、加工業者等への原材料供給を円滑に進めるため、また鮮度を保ちつつ消費者に生鮮品の供給を行うため、見直しが必要との意見もあるというふうに承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、今検討中でありますので、農林水産省としては、食品流通の合理化の方向性とともに、卸売市場に関する規制のあり方について、最終的な詰めをしっかり行っていきたいと思っております。

 また、御指摘の認可制のお話でありますが、現行の卸売市場法では、農林水産大臣が中央卸売市場の開設を認可するということとしておりまして、業務の適正、健全な運営を確保できる場合に限り開設を認めるということになっております。

 他方、仮に認定制にするとする場合は、認定を受けなくても卸売市場の開設自体は可能とした上で、農林水産大臣が一定の要件を満たす卸売市場を認定し、認定を受けた卸売市場のみが中央卸売市場の名称を独占的に使用できることとする等により振興を図ろう、そういう性格のものになるのであろうと思います、その判断をする場合はですね。

 食品流通の多様なチャンネルが存在し、また、かつての売り手市場の時代とは状況が変化してきている中で、厳格な取引規制に服する開設者でなければ開設自体を認めないという現行の仕組みを維持すべきかどうかについて、今、今言った見地から検討を進めているところでございます。

大串(博)委員 私は、先ほど申しましたように、認可制というのはこの制度の根幹だと思っているんです。

 市場をつくるということに関する計画を、きちんと市場側と政府が話し合った上で計画をつくって、それに基づいて認可をしていく、支援もしていく、そこが諸規制をきちんと行っていく、国は監督措置も持っている、その中できちんとした取引が行われるという安心感のもとで生産者は生産をした上で、安定的な供給ができるようになっていく。これが制度の根幹であって、この認可制を崩すということは、この市場の中にかなり違った要素が入ってくる。

 入ってきていいんですよ。先ほど申し上げましたように、今でも市場外取引はちゃんと行われているんです。私の知り合いの中でも、市場外取引に自分の産品を出して、バイヤーさんとの間で厳しい価格交渉に直面していらっしゃる方はいらっしゃいますよ。厳しい交渉だったと言われます。

 でも、その人はそうやって選んでやっているんですよ。でも、それは嫌だとおっしゃる方が、自分は卸売市場に持っていくんだ、それでいいと言って自分で選択してやられているんです。そうやってちゃんと自分でおのおの選択してやられているんだから、あえて今政府が制度の根幹たる認可制を崩す必要は全くないと思うんです。

 よって、私は、この認可制を崩していくというのは大反対です。過度な規制緩和以外の何物でもないと思います。やはり、緩めるべき規制は緩めて私はいいと思う。しかし、守るべき規制は守る。まさにつくっている方はちゃんと選びながらやっていますから。みんなそうですよ。

 大臣、現場に行かれてください。本当に、人によっては、俺はもういい、市場じゃなくていい、あのバイヤーさんに買ってもらうんだと、がんがん全国を回ってやっている方はいらっしゃいます。しかし、私はそうじゃない、市場に持っていきますという方もいらっしゃいます。自分で選んでいらっしゃるんです。別に政府が、あなた、あっちに行きなさいと言う必要なんか全くないんです。

 これぞ、自由に皆さんつくってもらう、あるいは売り方も考えてもらう、健全な例ですよ。それを、私は、今政府が余計なことをしているなというふうに思わざるを得ないものですから、大反対ということは言わせていただきたいというふうに思います。ぜひそういう成果を出していただきたい。

 自民党さんの中でもいろいろな議論が行われているやに聞いておりますけれども、私の意見にも、これはと思う皆さんがいらっしゃったら御賛同いただき、今、事前審査をされているということだと思いますので、ぜひそういう結果にしていただきたいと思います。

 質問時間の割り当ての云々もありました。私、残念ながら事前審査に参加できないんですよね、ここでしか言えないんですよ。ここでしか言えないから、質問時間を野党はちゃんと下さいと申し上げているんです。ぜひ、坂本筆頭にもこの彼我の違いをごしんしゃくいただいて、質問時間の件に関してもよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。委員長にもよろしくお願い申し上げたいと思います。

 そのことを強く申し上げた上で、一点だけ、農業政策全体と米政策に関してお願いしたいと思うんです。

 きのうもここで議論していて、私は隔世の感を覚えたんですね。米の直接支払交付金、一反当たり七千五百円、これに関して、これはいい制度だ、これがなくなった後の予算措置はどうなるんだ、ちゃんと農家の所得に向かうのかと与党の皆さんも言ってくださいました。民主党のときにつくった戸別所得補償制度です。

 これは、前の農林水産委員会でも実は同じような意見があって、同じ認識を共有してもらっているなと私はつくづく思いました。あの当時はばらまき何とかKとか言われましたけれども、今となってはいい制度だと思っていただいているんだろうなと。高校無償化とあわせて、当時、実行してよかったなと私は今思っているんです。

 御案内のように、この七千五百円がなくなるということですけれども、七百十四億円、ちゃんと農家の所得に行くんでしょうか。政府から聞くと、戦略作物等々への助成も含めて、あるいは収入保険への予算も含めて行きますと言われますけれども、どうも私は心配。農家の所得に行く分というのは、直接的に言うと、やはり戦略作物への支援の部分だけですよね。

 しかし、戦略作物への支援に関して言うと、今度、これは本当に予算が続くのか、これはまたいつか別の機会でもやらせていただきたいと思いますけれども、私は心配です。でも、きのうからの議論でいうと、政府側は、しっかりと予算は措置していきますとかなり力強くおっしゃいましたね。

 そこで、そうであれば、あえて私は申し上げますけれども、この経営所得安定対策の中の戦略作物への支援等々の何か三千億円ぐらいの予算がありますけれども、予算をとりますとおっしゃっていました。だったら、問題になっている二割留保、これはやめたらどうですか。

 予算をしっかり確保していきます、単価も維持しますときのうおっしゃいました。それほど予算を獲得していくことに対してきちんと考えられるのであれば、私は二割留保する必要なんてないと思いますよ。二割留保なんてするから、本当に予算は大丈夫かと皆さん思われるわけですよ。かつ、猫の目農政と言われていたように、先行きが見えなくなっちゃうんです。ここはしっかりやるという意味からすると、私は二割留保することは不要だと思います。ぜひやめていただきたい。

 あわせて、これまであった二毛作助成あるいは耕畜連携、こういった予算はしっかり確保していただきたいと思います。

 どうも、何かその辺の予算が、二割留保になるわ、二毛作助成、耕畜連携は何かいつの間にか削られていくわ、そうするから、大丈夫かなとみんな悩むんですよ。だって、四五%の自給率を達成していくために、飼料用米百十万トンでしょう。相当つくらなきゃならないんですよ。みんなどうなるんだろうかと思っているんです。

 大臣、二割留保とか、あるいはこの二毛作助成、耕畜連携を削るとか、そんなことをしないで、ばしんときちんと予算をとると言っていただけませんか。どうですか。

齋藤国務大臣 大串委員のような御意見はたくさんいただいているところでございますが、まず、二割留保の話については、水田活用の直接支払交付金についても、予算額の範囲内で執行することが当然ながら原則ということでありまして、戦略作物の作付が拡大した場合でも、交付金の支払いに支障が生じないようにしなくてはいけない、今御指摘のようにですね。そのために、産地交付金の二割を留保して四月に一回目の配分を行った上で、執行の過程で戦略作物助成の超過分がある場合に、当該超過分に対する支払いに留保額を充てて、残余を産地交付金として十月に二回目の配分を行うということをしてきたわけであります。

 大豆とか飼料用米、麦の戦略作物の本作化を推進していくためには、水田活用の直接支払交付金による戦略作物への支援が必要であって、秋に作付面積が取りまとまるまで所要額が見通しがたい、こういう現状にある以上、産地交付金の留保の運用は継続する必要があると考えております。

 一方で、今、二毛作助成のお話がありました。耕畜連携助成についてもよくお話を聞くところでありますけれども、主食用米等の後作、すなわち二毛作で麦などの作物を作付した場合に御支援する二毛作助成や、飼料用米の稲わら利用等畜産業と連携した取り組みを行った場合に支援する耕畜連携助成については、二十八年度までは、もうこれは委員御案内のとおりだと思いますが、全国統一の単価で措置していたというものでありましたので、どうなっちゃうんだという不安の声はよく聞くわけでありますけれども、昨年財務省が公表した予算執行調査の中で、取り組みはほぼ定着しており、財政支援を受けずに取り組みを継続するような仕組みに変更すべきとの大変厳しい御指摘を受けているところであります。

 この指摘を受けとめつつ、地域ごとの取り組み内容や定着状況の違いなどが反映できるようにするために、各県の配分額の範囲内で地域の裁量で活用可能な産地交付金、この産地交付金を、二十八年度予算の八百六億円から二十九年度予算において千十六億円と大幅に増額をすることで、この二毛作や耕畜連携に対する助成を含めて地域において御判断いただけるような支援を行える仕組みとしたところであります。

 平成三十年度の予算におきましても、この産地交付金について、地域の裁量で活用可能という基本的な仕組みを維持して概算要求をしておりますので、引き続き、こういう形で御活用いただけたらなと思っております。

大串(博)委員 農業政策の全体像についてはまた大臣とはしっかり意見を交わさせていただきたいと思いますけれども、私たちは、大臣とはちょっと違った農業政策に対する体系を持っているんですね。

 やはり戸別所得補償制度を根幹としながら、一定の所得がきちんと守られる、その上で地域で営農ができる姿を追求しながら、それが生産調整へのインセンティブともなり、かつ農地の集積にもつながる、極めて合理的な政策誘導手段だったと思っているんです。こういったものを軸に農業政策を展開すべきだと思いますし、そういった大きな農業政策に関する考え方は今後意見交換させていただきたいと思います。

 繰り返し申し上げますが、諫干の開門と卸売市場法改正、これは絶対に道を誤らないようにお願いして、質疑を終わります。

 終わります。

伊東委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 希望の党の岸本周平でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。敬愛する齋藤大臣に伝統ある農水委員会で質問する機会をいただいて、本当に感無量であります。

 きょうは、私は、動物と植物の検疫の体制について、今現場が大変な状況であるということを踏まえまして質問をさせていただきたいと思って参りました。

 これは同僚の委員の皆さんも認識を共有していただいていると思うんですけれども、検疫の現場が大変なのは二つ理由があると思います。

 一つは、何といっても輸出拡大ですよね。農林水産省挙げて輸出拡大を一生懸命されている。

 輸出、出すときの検疫、これは動物も植物も大事です。しかし、外に出すときには、日本の農産物が安全だということがないといけません。もちろん、そのためにもGAPとかを導入していただくわけです。

 一方で、輸入する際に病原菌が入ってくるということでありますと、そのこと自体によって日本の農作物の安全性が損なわれる。したがいまして、輸入の段階での検疫も実は輸出促進のためには非常に大事だということなんだろうと思います。輸出を促進するためのここがやはり重要になってくる。

 もう一つは、今、観光客がふえています。外国からのインバウンドの観光客がふえております。これは政府の方針として進めておられる。我々も大賛成であります。

 特に、LCC等が今発達しておりますので、いろいろな空港、地方空港も含めて、二十四時間で観光客の方がおいでになる。そういう意味でも、いわゆるCIQというものの充実が大事だと言われています。それぞれに、Cはカスタム、税関ですね、それから、Iはイミグレーション、出入国管理、それから、Qは農林水産省が所管をしております検疫、クアランティーンであります。

 その中で、特に検疫の現場、非常に手薄い体制で一生懸命やっておられる状況なんですけれども、まず大臣にお聞きしたいんですが、大臣、お忙しい中、御就任されて、検疫の現場を御視察に行かれたことはございますでしょうか。

齋藤国務大臣 残念ながら、大臣就任後はまだありませんが、平成二十八年九月、農林水産副大臣であった時期に、羽田空港において動物検疫所及び植物検疫所から業務の現状等について説明を受けたところでございます。

岸本委員 質問通告していないんですけれども、礒崎副大臣は、検疫所に行かれたことはありますでしょうか。

礒崎副大臣 私も、羽田に寄ったときに羽田空港で同様な説明を受けたことがございます。

岸本委員 同じく、野中政務官にお聞きします。

野中大臣政務官 八月に就任をさせていただいて、九月に行く予定を立てておったんですが、御承知のとおり解散・総選挙がございました。

 ですので、まだ行っていないものですから、先生に今御指摘いただいたので、近いうちに視察に行かせていただきたいと存じます。

岸本委員 ぜひ現場を見ていただければと思います。

 大臣も副大臣も現場を見ていただいていますので、職員の皆さんの御苦労はお聞きいただいていると思うんですけれども、実際、今言いました税関あるいはイミグレーションの方も、定員を増加させるので四苦八苦をされています。

 この定員制度というのが本当に、よい面と悪い面と両方ありまして、どうしても現場にしわが寄るというようなところもありますし、現場の中でもいろいろな力関係もあったりするんですけれども、その中で、この間検疫の定員は比較的、もちろん現場の感覚からすれば足りないんでしょうけれども、税関なんかと比べても遜色のない程度に、少しずつでありますけれどもふやしていただいております。これはもう農林水産省当局の御努力に敬意を表したいと思うんですが、それでもなかなか大変であります。

 実際、動物検疫所の新規採用を見てみますと、動物検疫ですので獣医の資格を持った方が検疫官になりますので、そういう特殊事例もあるんですけれども、実は、平成二十七年度の数字を見ますと、新規採用のうち女性が八割なんですね。女性の職場なんですね。実際、動物検疫は女性の比率が何と半分です。植物の方は男性中心の職場でして、二割弱ぐらいなんですけれども。こんな中で、女性が中心に働く職場になっています。

 この点、女性にとって働きやすい職場であるのかどうかというのは、今まさに働き方改革の中で議論があるところだと思うんですけれども、政務官にお聞きしたいんですけれども、新規採用の、そういう女性が多いところも含めて、最近の離職率はどんな状況になっているか、数字を教えていただけますでしょうか。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 離職率でございますけれども、平成二十四年から平成二十六年度までの三年間において就職した者のうち、就職後三年以内に退職した者の人数でありますが、動物検疫所が男性一名、植物防疫所が男性四名、女性一名となってございます。

 その退職者の採用者に占める割合でございますが、動物検疫所が二・六%、そして植物防疫所が七・六%となってございます。

 農水省全体と比較しますと植物防疫所の割合がやや高くなってございますが、実際、実数は年間ゼロから二名でありますので、離職者としては特に多いとは言えないというふうに考えております。

岸本委員 そういう意味で、比較的離職率の低い職場であると思いますので、恐らく現場の方でいろいろな心遣いがあると思うんですけれども、大臣、これでおもしろいのは、男の子の方が多いんですね、女の子は割と少ないんですけれども。どういう感想を持たれますか。

齋藤国務大臣 非常に慎重に答弁をしないといけないかなと思いますけれども。

 私自身、実際にやめる方から理由等を直接聞いた経緯がないので、ちょっとコメントは控えさせていただけたらと思います。

岸本委員 齋藤大臣らしくない御答弁をいただきましたけれども。

 それで、いろいろな事情があると思うんですけれども、現場で定員をふやすことは大事なんですね。でも、一方で、実員、実際どれだけ働いているのかということも結構大事でありまして、それぞれ動物も植物も定員は徐々にふやしていただいているんですけれども、今年度だけ数字をいただきましたが、これはもう皆さん御承知のように、年度の途中ですから、ある意味、実員が少なくなるのは当然といえば当然なんですけれども、それでも、動物検疫所でいいますと二十人近い差があります、定員と実員に。植物検疫ですともっとそれが、母数が多いものですから、大体動物で四百人オーダーの定員、植物で九百人オーダーですからなんですけれども、三十人からの開きがあるということであります。

 この実員と定員の差が結構大きいということについて、どういう理由があるのか、どう評価しているのか、政務官にお伺いしたいと思います。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 近年の訪日外国人旅行者の増加を受けて、先生御指摘のように、着実に定員の方をふやしてきたところであります。

 御指摘の定員と実員の乖離ということでありますが、動物検疫所、植物防疫所ともに定員の増員を図る体制強化を図っている中、理由として、定員増と採用のタイミングにずれがある、年により、年度によりまして退職者の数が変動することなどの事情により、一時的に定員と実員に差が生じていると認識をしておるところであります。

岸本委員 それに加えて、それぞれの支所の段階で、結構定員と実員の食い違いというのが差がありますし、あと、定員の増加の度合いもそれぞれまちまちなんですね。

 例えば植物でいいますと、羽田に行っていただいたということなんですけれども、羽田は相当忙しいということで、定員を実員が上回っているような状況で今年度運営をしていただいております。東京支所なんかもそうなんですね、実員が多くてやっている。そういう中で、それぞれ現場の方が御苦労されながら、調整をしながらお仕事されているということであると思います。

 その上で、それぞれ支所がある中で、例えば、港、港によって歴史的な流れがあって、当然ですけれども、例えば関空のようにどんどん海外からの旅客がふえてくる、LCCも中心ですね。一転、坂出とか、これは港だと思いますし、伏木富山、これも古い伝統のある港ですけれども、こういうところでは定員は減らされています。

 それはそれぞれの経緯があるんでしょうけれども、伏木富山なんかはどうして定員がどんどん減っているのか、政務官、御存じですか。

野中大臣政務官 失礼いたします。

 伏木富山で人数が減っている現状について、私、申しわけございませんが承知をしておりませんが、検疫官の負担軽減について、配置を今、忙しい場所、そしてまた時間帯によって集中しているという取り組みを行わせていただいております。

岸本委員 それぞれ港、港の理由があって、伏木富山はウラジオストクとの間の船がなくなって、運休しているとか、そういうこともあってなんです。

 これは、恐らく港が存続する以上そう簡単に検疫所を閉じるというわけにはいかぬでしょうけれども、同じ、神戸本所なら神戸本所、あるいは名古屋本所なら名古屋本所の中である程度、ビジネスをこっちでコントロールすることはできないにしても、将来的に需要見通しのようなものを見ながら、人員の配置というようなものを中長期的にお考えになっているようなことがあるのかどうか。政務官、どんな感じで配置を考えていらっしゃるのでしょうか。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 先ほども申し上げさせていただきましたが、人員配置については、人の流れがあるところ、そして人の流れがある時間帯に配備をしたということでありますが、中長期的ということは、ちょっと私の方では存じ上げないところであります。

岸本委員 実際、役所の方にレクチャーを受けますと、そういうものが一切ないんですよ。出たとこ勝負で、毎年の定員の配られ方によって考えているとおっしゃっているので。

 やむを得ないところもあると思うんですけれども、もう少し効率的にやっていくためには、こういう伝統的な田舎の港の需要の推計とかはある程度できると思いますので、その辺は、たくさん定員をとるのも大事でしょうし、中で効率的に業務の割り振りを変えていくようなことをもう少し、長期とは言いませんけれども、中期的に御検討されたらいいかなと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。

齋藤国務大臣 大変重要な御指摘をいただいていると思います。

 計画的に推進をしていくということが本件について適切かどうかも含めて、御指摘ですので検討させていただけたらと思います。

岸本委員 ありがとうございます。

 それから、何にしても、大変な物量の増加でありますので、検疫体制をどうやって充実強化するのか。

 個別にいろいろな伝染病が発生して、伝統的な鳥インフルエンザのみならず、いろいろな病原菌が時々発生するわけでありますけれども、それにおいて、来年度予算で、動物、植物それぞれ、現状を踏まえてどのような要求をされているのか、どのような政策を打とうとされているのか、政務官、御説明をいただければと思います。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 動物検疫所及び植物防疫所においては、疾病や病害虫の侵入防止に万全を期するとともに、輸出検疫の手順の円滑化を図ることにより日本の農畜産物の輸出拡大に資する、極めて重要な役割を有しているというふうに認識をしております。

 このため、平成三十年度の予算要求でございますが、まず、動物検疫所につきましては、検疫探知犬の増頭要求や、輸出手続の簡素化のための電子的証明書の導入に向けたシステム整備のための要求等、次に、植物防疫所についてでございますが、卸売市場、産地等に出向いて行う検査体制の強化、重要な病害虫の早期発見や蔓延防止を図るための発生調査の強化のための要求を行うとともに、必要な人件費の確保を要求しているところであります。

 引き続き、海外からの疾病や病害虫侵入の防止に万全を期し、輸出促進に貢献できるよう、必要な予算を確保してまいりたいと存じます。

岸本委員 大変抽象的なお答えなので、少し具体的に教えていただきたいんですけれども、例えば動物検疫の場合に、証明書を電子化することによって輸出手続の簡素化が求められているということなんですけれども、これは具体的にどういうことですか。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 電子的証明書の発行に係るシステムについて、輸出相手国政府機関とのシステム改修に係る調査、調整を行い、輸出手続の簡素化、迅速化に取り組む予算でございます。

岸本委員 いや、そういうことを聞いているんじゃなくて、輸出相手国政府というのは、どことやっているんですか、どこの国とやっているんですか。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 オーストラリアでございます。

岸本委員 いつからやっていて、今、システムは、いつから動いているんですか。どのように便利にするんですか。

野中大臣政務官 失礼いたします。

 二、三年前から、オーストラリアで、輸入肉のペーパーレス化ということであります。

岸本委員 二、三年前というのはやめていただけないですか。二年ですか、三年ですか。

 いいです、後で資料を出していただければ。予算要求されているんですから、真剣に要求してくださいね。それではとれないですよ、予算。

 それから、植物の方ですけれども、例えば、輸入検疫体制の充実のところで、タブレット端末を導入する等により円滑なコミュニケーションがとれる体制を整備するというんですけれども、具体的にこれはどういうことをするのか教えてください。

野中大臣政務官 失礼いたします。

 多言語音声翻訳システムを搭載いたしましたタブレット端末を導入する等、円滑なコミュニケーションがとれる体制づくりでございます。

岸本委員 それは資料に書いてあるんですよ。そうじゃなくて、何台ぐらい、どういう機能のものを入れるのか。

 今まではないんですか。来年度から入れるんですか。どういう機能なんですか。何台ですか。費用は幾らですか。

野中大臣政務官 失礼いたします。

 外国の方の翻訳をするということでありまして、今まではなかったんですが、二十台ということでございます。

岸本委員 ぜひそれは頑張ってやっていただきたいと思います。

 それで、実は、予算要求はぜひ頑張っていただきたいんですけれども、例えば、二十八年度の決算が出ています。検疫だけですと、大体、予算全体百五十億ぐらいのオーダーだと思います。それで、二十八年度、約三億四千万の不用が立っているんですね。

 百五十億の三億、四億、決して小さな不用額じゃないと思うんですけれども、予算要求をされるときに、こういう不用額が立っていて、どうやってたくさん予算がとれるというふうにお考えですか、政務官。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 重要害虫の防除ということでとっておった予算ですが、年によってばらつきがあるということで、不用になったということであります。

岸本委員 いや、違うんですよ。不用額が出ている理由は、超過勤務手当が予想より下回ったからなんです。ほとんどが、中心がそういうことなんですね。

 それからあとは、施設費が、入札の関係で、恐らく上手に入札されたんでしょうけれども、予定より価格が下回って施設費が減ったということでありまして、これが主な原因なんですけれども、これが一番です、金額的には。しかし、超過勤務手当として予定されたものが下回ったということが二番目の要因なんですね。

 ということは、いや、これはわかりませんよ、これはぜひ調べていただきたいんですけれども、サービス残業になっていないですかね。二十四時間体制で、大変な思いをして検疫の現場はやっている中で、もちろん予算ですからちょっと保守的に見るのはわかるんですけれども、そうしたサービス残業があるのではないか、私は決算書を見た瞬間にそう思ったんですね。そうでないことを望みたいんですけれども。

 大臣、これはちょっと調査していただけないでしょうか。不用額のうち、施設費以外の原因が、超過勤務手当が予想外に少なかったということなので。どうでしょうか。

齋藤国務大臣 重要な御指摘なので、精査したいと思います。

岸本委員 それで、今大臣もお答えいただきましたが、時間が短いのでいろいろなことをちょっと申し上げられないんですけれども、本当に現場は、それは税関もイミグレーションも、特にイミグレーションは大変なんですけれども、検疫も、やはり人対人の中で、いろいろなことを聞いたりとかやる中で、コミュニケーション上のストレスもあると思うんです。しかも、さっき言いましたように動物は職員の半数が女性であります。

 ことしは新規採用の八割が女性でありますので、そういう意味では、働き方改革ということで、しっかりと大臣の方から、今後どういうふうにしていかれるのか、それについての御見解を求めたいと思います。

齋藤国務大臣 動植物検疫の現場におきましては、訪日外国人観光客の増加に加えて、牛肉等の畜産物の輸出の増加や、果実等の集荷地における輸出検査の増加、こういった業務が年々増加をしてきております。

 一方で、安倍政権挙げて一億総活躍社会の実現に向けて働き方改革を推進する上で、長時間労働を是正し、働きやすい職場環境の整備を進めるということは、動植物検疫の現場においても重要であると考えております。

 このため、これまでも、クルーズ船の寄港地やLCCの就航空港に所在する植物防疫所や動物検査所における防疫官を増員してきたし、委員御案内のとおりですけれども、あるいは、特に女性の比率が高い動物検疫所におきましては、国家公務員の女性活躍とワーク・ライフ・バランス推進の観点から、産休、育休を取得する職員のかわりとなる人員を確保し、子育てと仕事の両立が可能となるよう職場環境の整備に意を用いてきているところであります。

 今後とも、水際における家畜の伝染病や植物の病害虫の侵入リスクの低減というのは極めて重要な仕事だと思っておりますので、職員一人一人が専門性を発揮して十分活躍できる職場環境の整備が大事だと思っておりますし、御指摘いただいたように、なぜ残業手当が不用に立っているかということも含めて、実態を精査してみたいなと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 これは、霞が関全体で気をつけなきゃいけないんですけれども、現場と本省の管理職の皆さんとの間の感覚のずれというのが物すごくあるんですよ。これは物すごく感じます。

 政治家は現場主義ですから、大体現場現場に行きますので職員の声を生に聞けると思うんですけれども、役所の課長補佐とか課長とか、机に座って想定問答を書いている人はわからないですよ、本当に。想定問答を書いている人は現場はわからない。

 だから、大臣、副大臣、政務官、ぜひ現場へ足を運んでいただいて、本当にやっていますから、皆さん。この前、水産庁の質問をしたんですけれども、本当に現場の皆さんはやっています。その声を政治家である政務三役がぜひ酌み取っていただきたい。その上で、デスクワークしている本省の皆さんにも、しっかりそっちへ目を向けろというような気持ちと御指示をぜひお願いしたいと思います。

 最後に、大臣、一言お願いします。

齋藤国務大臣 役所と国会議員、両方経験している岸本委員の本当に重要な御指摘だと思っておりますので、しっかり重く受けとめて、対応していきたいと思います。

岸本委員 これで質問を終わります。大臣、ありがとうございました。

伊東委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 先週末、地元のJA福島県青年連盟創立七十周年記念式典に出席させていただきました。そのときに、その式典で、御功績がありました元委員長お二人、そしてまた一団体が表彰された、そういう場がありました。

 その団体は、JAふくしま未来青年連盟そうま地区鹿島支部です。東日本大震災原発事故の後、二〇一三年度の手づくり看板全国コンクールにおいて、当時は統合前のJAそうま農青連としてでありますけれども、最優秀賞に輝いたことによりまして、今回の表彰となりました。

 委員の皆様方のお手元にお配りしてありますのが、それがその受賞いたしました看板であります。その作品であります。そこに書かれているのは、「仲間と共に、私は南相馬(ココ)で農業を続けたい!」仲間とともに、私はここで農業を続けたい、このことです。そうま地区の只野智由委員長が代表でこの表彰を受けられまして、賞状を受けられました。

 受け取られた後、式典の後に、私も直接委員長とお話をさせていただいて、当時のことを一緒に振り返らせていただきました。

 この当時は、避難した方々が半分も戻っていない状況であった。そして、それでも青年連盟の盟友の方々は、絶対にふるさとの農業を諦めたくない、強い信念を持って、心を一つにしてこの看板をつくったと述べられていらっしゃいました。ふるさとを愛し、ふるさとの農畜産業を愛し、そして、ふるさとの仲間とともにふるさとを守り続けたい、そういう強い思いです。そういう信念がこの看板をつくったということだというふうに思います。

 そして、私、この看板を見まして、やはり地域を愛しているんだなと思ったのは、実はここに消防団員の方も描かれています。青年農業者の方々が、やはり仲間と一緒に地域をしっかりと支えていくんだという思いも持っていらっしゃる。これは、私は、ある意味農業が多面的機能を持ちながら、単なる産業ではなくて、地域社会を守っていくということと同じように、その地域のきずなを守っているのと同じように、やはり農業者も、青年農業者の方々も、農業という産業を振興するだけではなくて、仲間と一つとなって地域を守り続けている、そういう活動を示しているものだというふうに思いました。

 私は、こういう看板などを皆様にぜひ見ていただいて、そして、この時期から今に至るまでも、福島県の農業者の方々はいろいろな課題を乗り越えているということを知っていただきたいと思って、あえて資料として出させていただいたところでもあります。

 若い漁協組合の青年部の皆さんも同じだというふうに思います。実際にまだ試験操業から脱することはできないけれども、それでも漁業を諦めたくない、そういう思いを持っています。

 そこで、まず私は大臣にお伺いしたいと思います。

 福島の原発事故からの再生を今目指している農林水産業のいろいろな課題、どのように取り組んでいかれるのか、そして、その再生という課題そのものにどのように向き合っていかれるのか、御決意をまずお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 今、このポスターを拝見した瞬間に私も実はこの消防のところに目が行きまして、あと、その後で目が行ったのは「ふくしまの米」というのを大事そうに抱えている人、それから、赤ちゃんまで、次の世代までつなげていくぞ、そういうメッセージもこのポスターから受け取ったところであります。

 私は、大臣就任直後に、もうとにかく真っ先に被災地を訪問したいということで福島県も訪問いたしまして、そのときに痛切に感じましたのは、皆さん、復興に取り組んでおられる方々の本当に強い思いと、と同時に、この福島の復旧復興のためには、やはり農林水産業がこれからますます頑張らなくちゃいけないんだなという思いを大変強く受けてまいりました。

 一層、福島県の農林水産業の再生のために頑張っていかなくちゃいけないと思ったわけでありますが、具体的には、まずは農業関連インフラの復旧、これもしていかなくちゃいけませんし、機械、施設や家畜等の導入もこれから必要になってくると思います。それから、林業再開に向けた実証事業の実施ですとか、今、漁業、試験操業の話がありましたけれども、本格的な操業の再開に向けた取り組みなど、農林水産業の再開の支援というのが一つ重要だなと思っております。

 それからもう一つ、いつも御指摘されることでありますけれども、生産から流通、販売に至るまでの総合的な風評対策、これもあわせて取り組んでいかなくちゃいけないと思っておりますし、また、私自身、香港に出かけたときに、向こうの行政長官にも要請してまいりましたけれども、食品の輸入規制、まだまだ撤廃、緩和を積極的にやっていかなくちゃいけないと思っておりますので、これまで二十五カ国で規制撤廃を実現しましたけれども、まだ二十九残っておりますので、これにも力を入れていきたいと思っております。

 被災地の皆さんの気持ちは十分酌み取りながら、単なる復旧にとどまらない、将来を見据えた福島の復興再生に全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。期待したいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 この青年連盟の皆さんと、式典の後、懇親会がありまして、その場でもいろいろな意見交換をさせていただきました。そのときに、やはり青年農業者の方々は夢と希望を持っていらっしゃるということを本当に強く感じ、本当に熱く農業を語っていらっしゃる。そして、その中ですばらしい言葉をたくさん私はいただきました。支え合う、地域の中でしっかりと、農業を中心としてすばらしい地域社会をつくるために、支え合う仕組みというのをつくりたい、そういうふうにおっしゃっていたんです。まず、本当にそれが農業の最も重要なことだというふうに思っております。

 そこで、改めて、震災を経験して、今申し上げたように、さらに支え合うということを大切にしたいというその思いから、農業と、そして福祉の連携をもっと進めたい、そういうふうにおっしゃっていた言葉を今思い出しておりまして、さらにそのことについてきょうは御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 実際に、我が国において、とにかく農業、農村の現場というのは大変厳しくなっている。農業従事者の高齢化が進み、そして農業労働力が極めて減少している状況の中で、耕作放棄地の増加も課題となっている。一方では、例えば障害のある方々にとっては、就業率も低く、雇用の場がなかなかない。福祉的就労というところにおいても、工賃が少なくて厳しい状況にあるということになります。双方にとって何かいいアイデアはないだろうかということで、恐らくこの農業と福祉の連携ということになってきているのではないかと思います。

 もちろん、農業という厳しい、もしかすると、なかなか、まだまだ課題が多い、そういう産業、これからどうなっていくかわからない、未来がまだ描かれていないかもしれない、そういう農業を、障害のある方々という、今は社会的弱者になってしまっているかもしれませんけれども、そういう方々に担っていただこうという単純なことではないと思っています。

 やはり、しっかりと生活ができて、そしてその人らしい生き方もできる、全ての人たちがそういう環境にある、そういう社会をつくるために、そしてしかも、農業を中心としてそれを進めるためにはどうしていったらいいかというお話だというふうに思いますので、特にまず農業と福祉の連携、この取り組みについてどのように行われているか、お伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 金子委員と私は、思いは一緒でございまして、障害者あるいは高齢者の方がその持てる能力を発揮して農業活動に取り組む農と福祉の連携というのは、農業、農村の活性化はもとより、障害者や高齢者の方々の福祉にも大いに寄与すると考えております。

 具体的には、農業の現場における労働力の不足の解消はもとより、耕作放棄地の解消や、あるいは障害者や高齢者の方々の働く場の確保など、農業分野と福祉分野の双方にとってウイン・ウインの取り組みになっていくんだろうと思っております。

 実は先日、「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」という政府で行っている取り組みがありまして、これは自分たちの持っている宝を生かして地域の活性化につなげていこうという取り組みなんですけれども、福島県の泉崎村の社会福祉法人こころん、私もお目にかかったんですけれども、こころんでは、高齢化によりまして経営を断念した養鶏場の再生ですとか、それから、耕作放棄地の再生利用による無農薬、無化学肥料栽培ですとか、障害者約百三十人の労働の場を提供しているとか、農業生産を担う社会福祉法人のモデルとして活躍されているという事例に、お話を伺うことができまして、ここは、女性や高齢者、障害者が活躍する優良事例として、アクティブ賞というのを受賞もされました。

 こういういい取り組みの横展開をぜひ多くの法人でやっていただければいいと思いますし、農林省としても、厚生労働省とも十分連携をとりながら、農業の振興と障害者、高齢者福祉の向上に取り組んでまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 やはり、福祉目的で利用可能な農地についてしっかりと相談をしていけるような窓口を充実させることであるとか、そしてまた、農作業の指導についての支援、福祉目的の農園整備等、そういうものも必要になってくるというふうに思いますので、そういう支える仕組みをしっかりつくっていただきたいというふうに思います。

 そして、さらに考えなくてはいけないのは、今は福祉的就労のことをおっしゃっていただきましたけれども、一般就労の場で、本当に、農業者の方々を中心としたそういう場で、障害のある方々を含めニーズのある方々をしっかりと雇用していただく、そういう環境整備というのはできるのかということなんです。

 私、とても懸念している部分がありますが、実は、当然、能力の高い障害のある方々をしっかりと一般就労として受け入れてくださる、そういう場がふえていけばいいというふうに思っているところでありますが、これは少し古い調査で大変申しわけないんですが、北陸農政局が二〇一四年、平成二十六年三月にアンケート調査を行っているんです。それで、結果だけ申し上げますと、障害者就労に農業が適していると評価した福祉関係者が六割いらっしゃいました。しかし一方で、農業関係者の六割は適していないと言っているんです。

 ということであれば、つまりは、福祉関係者の方は、どんどん農業をやってもらいたい、あるいはそういう場に障害のある方々が就労するといいと思っているけれども、農業関係者の方々の理解というのは余り深まっていないということではないかと理解されます。

 少し前のアンケート調査、そしてまた地域性というのもあるかもしれません。しかし、もしこういう調査を全国各地で行った場合、万が一同じような結果が出たということであれば、せっかく農福連携ということを、いいことをやろうと農水省さんが言っているとしても、なかなか進まない状況があると思うんです。

 私は、これはもしかすると、農業者の方々が理解していないということではなくて、やはり、全国各地、もっと障害のある方々を理解しましょうということを国民の皆様に訴えなくてはいけない部分はあるというふうには思います。しかし、農福連携をしっかりやっていくためには、やはり現場で理解してくださる方をふやさなくてはいけないわけです、指導してくださる方をふやしていかなくてはいけないわけですので、こういうところにしっかりと注目して、そしてその対策というものを進めていかなくてはいけないというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 二〇一四年の北陸農政局の調査については、ちょっと今初めて伺ったので、きちんと内容を承知してからコメントすべきかもしれませんが、社会福祉をなさっている方と現場の農業を担っている方との認識のギャップがあるというのは想像にかたくないところがございます。

 恐らく、農業に限らず、いろいろな職場でそういうギャップがあるんじゃないかなと推測されるわけでありますけれども、先ほど御紹介したようなこころんでの試み、こういうものがもっともっと理解されていくようになれば現場の空気も変わってくるのかなと思っておりますので、単に連携を深めるということだけではなくて、一般の農業者の皆さんにも理解を深めていただけるような努力が必要だなと思っております。

金子(恵)委員 農福連携によって農産物に新しい付加価値を生み出そうとする、そういう動きがあるということですが、ことし三月に発足した全国農福連携推進協議会の活動内容の一つに、農福連携で生産された農産物等の認定、ブランド化を挙げているということであります。

 さらに、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの選手村で使う農産物の調達基準でも、障害のある方々が主体的にかかわってつくった農産物は推奨されるということで、農福連携への評価はこれからも高まっていくというふうに私は期待されるというふうに思っておりますので、ぜひしっかりと進めていただき、そしてまた、繰り返しになりますけれども、やはり農業者にとっても、そして、今現在は社会的弱者になってしまっているかもしれないそういう障害のある方たちを含めて、そういう皆様にとってもメリットがある、そういう仕組みをつくっていただきたいというふうに思っています。

 今オリンピックの話をしまして、オリンピックに向けてGAPの導入というものも進められているところでありますので、そのことについて質問させていただきたいというふうに思います。

 私は、必ずしもオリンピック・パラリンピック万歳の人間でもなく、つまりは、復興を進める被災地では人や資材がとられていないか、そういうようないろいろ課題がありまして、悩ましいと思っています。

 しかし、東京オリンピック・パラリンピックの一部が福島でも開催されるということで、一部の人にとっては潤うのではないかということでもあります。でも、私は、一部の人が潤うのではなくて、全体のためになるようにいろいろな工夫が必要だろうというふうにも思っておりまして、それが、一つは、農業者の方々にいかにプラスになっていくかだというふうに思います。

 しかし、ここで言えることは、選手村等で出されるものというのはとにかくGAPの認証を受けていなくてはいけないということでありますので、このGAP認証をしっかりと取得していくその支援というのをやっていかなくてはいけないということです。

 国としてはまずこのGAPについてはどういう考えを持っているのか、お聞かせください。

齋藤国務大臣 GAPの取り組み及び認証取得の推進は、国産農産物の二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会への供給のみならず、輸出拡大や農業人材の育成、そういう観点からも極めて重要であるというふうに考えております。

 このため、農林水産省では、東京大会までを第一期、東京大会後から二〇三〇年までを第二期といたしましてこのGAPの推進をしていきたいと考えておりまして、第一期におきましては、GAPの取り組みについて、平成三十年度中に普及指導員やJA営農指導員を中心とした無償で指導可能な指導員数を全国で千名以上育成確保することを目標にしておりますし、また、GAP認証の取得については、平成三十一年度末までに平成二十九年四月時点の三倍以上の認証取得、それに加えまして、日本発GAP認証の仕組みが国際承認を得ることということを目標にして、必要な取り組みを推進しているところであります。

 そして、第二期におきましては、ほぼ全ての国内の産地で国際水準のGAPが実施されることを目標に取り組みを進めていきたいと考えているところであります。

 こういう考え方のもとで、我が省といたしましては、都道府県等に対する指導員、審査員の育成支援や、団体認証の方の推進によりまして審査コストの削減や認証取得費用への支援等を行っているところであり、平成三十年度においてもしっかり予算を確保していきたいと考えております。

金子(恵)委員 実際に、研修の受講料というものが、民間の方が指導員である場合は発生してしまうということで、二十五万円から三十五万円かかるというふうに農水省としては見積もっているということで、無償で指導ができる方を今育てられるとおっしゃいましたので、ぜひ、それをいかに本当に進めていくかということだと思いますが、しっかりやっていただかなくてはいけないというふうに思っていますので、よろしくお願いします。

 それと、御存じのとおり、福島県とJA福島県中央会が「ふくしま。GAPチャレンジ宣言」を行っておりまして、福島県はGAP取得数日本一を今目指しているということです。最後になりますけれども、この後押しをいかにしていただけるのか、お聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 実は、本年五月十五日に、今御指摘の福島県とJA福島県中央会が全国に先駆けて「ふくしま。GAPチャレンジ宣言」というのを行ったわけですが、その際、私もその宣言の場に同席をさせていただきました。その際の挨拶でも申し上げたんですが、県を挙げてGAPの推進に取り組んでいることに敬意を表するとともに、GAPの取り組みが風評の払拭にも寄与するということを申し上げたところでございます。

 現在、福島県によれば、グローバルGAPで四経営体、アジアGAP及びJGAPで十三経営体が認証を取得していると聞いておりますけれども、我が省としては、この福島県におけるGAPの取り組みがより一層推進するよう、二十九年度予算で措置した福島県農林水産業再生総合事業におきまして、GAP認証取得の際の審査費用、コンサルタント費用の助成、GAP指導員の育成、消費者が生産者によるGAPの取り組み内容を確認するためのシステムの構築、こういった点で支援をさせていただいているところでありまして、三十年度予算要求におきましても増額をしたいという要求を今しているところであります。

 今後とも、福島県とよく連携しながら、GAPの推進を図ってまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 時間が参りましたから、終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 農林水産委員会で初めて質問をします。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、自由貿易協定、経済連携協定についてお話しさせていただきたいと思います。

 齋藤大臣は、所信表明で、食料自給率の向上を述べられました。しかし、日欧EPAでは、農林水産物ではソフトチーズに低関税枠を設定し、パスタ、ワイン、木材などで関税を撤廃するという、そして、品目の関税撤廃率は八二%であります。EUの試算では、対日加工食品の輸出額が百億ユーロ、一兆三千億円増加するとしています。日本の農林水産業、特に酪農など畜産への打撃ははかり知れないと考えます。

 そこで、大臣、日・EU・EPAが実行された場合に、日本の食料自給率はさらに下がるのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 まず初めに、私の所信でも申し上げましたけれども、食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、私ども、国家の国民に対する最も基本的な責務の一つであると考えて、あらゆる政策に取り組んでいるということでございます。

 それで、御指摘の日・EU・EPA交渉におきましては、まず、米は関税削減、撤廃等からの除外を確保いたしました。そのほか、麦、乳製品の国家貿易制度、砂糖の糖価調整制度、豚肉の差額関税制度といった基本制度の維持、その他の品目も関税割り当てやセーフガード等の有効な措置を獲得したところであります。大変厳しい交渉ですけれども、こういう成果も得ているところでございます。

 また、十一月二十四日に改定されました総合的なTPP等関連政策大綱において、チーズの体質強化策など、日・EU・EPAにより必要となる施策が盛り込まれておりますし、これまで行われてきた国際競争力を強化して農林水産業を成長産業とするための体質強化策については、しっかり実績の検証等を踏まえて必要な見直しを行って、確実に実施していく、また、協定発効に合わせた経営安定対策も講じていく、そういう考えでございます。

 このように、農林漁業者が安心して経営に取り組めるようにすることにより確実に再生産が可能となるよう、交渉で獲得した措置とあわせて、本大綱に基づいた万全の対策を講ずることとしております。

 このような国内対策とあわせまして、引き続き、担い手への農地集積、集約化など、あるいは輸出の促進など、農政改革を着実に進めることによりまして、新たな国際環境のもとでも食料自給率を向上させていくことは可能であるものと考えております。

田村(貴)委員 自給率は下がるんですかとお尋ねして、下がることはないというふうにはおっしゃらなかった。これはやはり問題だと思います。

 自給率を上げるとしながら、輸入農産物をどんどんふやしてやっていく。これはやはり、言っていることとやっていることが矛盾していると言わざるを得ません。日本の農業生産力の脅威になることは間違いありません。

 加えて、アメリカとの関係であります。

 トランプ大統領は、繰り返し多国間協定を否定し、先日のAPEC関連会合では、あらゆる国と二国間貿易協定を結ぶつもりだとはっきり演説しています。

 ペンス副大統領は、十七日の日米経済対話を、日本との間のFTAの土台を築くものと述べています。日米FTA交渉になれば、これは大変なことになりかねません。農家、国民の今重大な関心事でもあります。

 大臣にしかと答えていただきたいと思います。日米FTA交渉に日本は応じるのでしょうか。

齋藤国務大臣 日米FTAについて米国から交渉を求められたらどうするのかというのは、仮定の質問ですので、お答えは差し控えたいと思います。

田村(貴)委員 TPP12のときは、アメリカは米の関税撤廃もしくは二十万トンの輸入増を要求してきました。牛肉、豚肉、乳製品を初め、農林水産物の九八・八%の関税撤廃をアメリカは要求してきました。FTAでアメリカがこういう要求をしてくる可能性は非常に高いというふうに思います。日本農業を破壊に導く日米FTAに断固拒否する立場を貫いていただきたいというふうに思います。

 そこで、アメリカの参加するTPPと参加しないTPPでは影響に大きな差異があると考えますけれども、TPP11での影響試算というのは出されるのでしょうか。

齋藤国務大臣 TPP11につきましては、十一月十日に大筋合意が確認をされまして、また、先ほどお話ししましたように、十一月二十四日には総合的なTPP関連政策大綱が改定をされたというところでございます。

 現在、我が省におきましては、この合意内容やTPP等関連政策大綱等を踏まえ、品目ごとの分析作業を進めているところでございます。結果がまとまり次第、内閣官房において取りまとめられます経済効果分析とあわせて公表することを考えております。

田村(貴)委員 その内閣官房の経済効果分析というのは、対策を前提とするものですよね。対策を前提とするものでは、正味の影響がわかりません。要は、対策をするから安心してください、大丈夫ですよと言いたいがための試算であるというふうに受け取っております。

 十月二十六日に行われた二〇一七年度の国と地方の協議の場で、全国町村会の荒木会長は、TPP、日欧EPAで農林漁業者が影響を受けるとの認識に立って、将来にわたり希望を持って生産活動が続けられるよう、そういうふうに要望されました。

 生産現場の方々を初めとして、国民はどんな影響がもたらされるのか、とにかく不安を抱いておられます。だから、TPP12のときは、全国で自治体やあるいは農業団体がそれぞれの独自の影響試算、調査を行わざるを得なかったということではありませんか。

 対策を前提としない影響そのものを出さないと、その対策が有効なのかどうかも検証できません。そうじゃありませんかね。影響自体を明らかにすべきだと思いますけれども、齋藤大臣、いかがですか。

齋藤国務大臣 TPP12のときもそうだったんですけれども、TPP11につきましても、農林水産分野の定量的な影響試算につきましては、現実に起こり得る影響を試算すべきものと考えておりまして、協定自体の発効による効果だけではなくて、国内対策の効果もあわせて考える必要があると思っております。

 このため、TPP11協定とその対策を盛り込んだ総合的なTPP等関連政策大綱は不可分一体でありまして、農林水産分野への影響については、今回の政策大綱の改定を踏まえた上で、先ほど申し上げましたように、内閣官房において取りまとめられる経済効果分析とあわせて、わかりやすく提示したいと考えております。

田村(貴)委員 そこが一番わかりにくくなっているということなんです。

 一番知りたいという、農業関係者、そして国民が知りたい情報を隠すということではありませんか。そうした姿勢が、一層やはり不信を招いていると言わざるを得ません。

 日本農業新聞、九月二十八日付に載った農政モニター調査では、安倍内閣の農業政策を評価しないが六八%、官邸主導の農政政策を評価しないが七九%、自給率向上政策を評価しないが七四%、日欧EPAを評価しないが六九%に及んでいます。御存じのことだと思います。不信が渦巻いているではありませんか。

 TPP11、日欧EPA、日米FTAなどの自由化交渉は中止すべきであります。そして、国内に、国民に対して交渉内容と経過をやはり明らかにすべきだというふうに思います。

 そもそも、輸入自由化を推し進めながら、他方で競争力、効率化だけを追求する、追い求めるそうしたやり方というのは、いつまでたっても自給率向上には向かいません。こうしたやり方はすぐに改めて、規模の大小にかかわらず、地域に根づいて国民の食料を生産する農家への支援を抜本的に強く求めるべきではないか、強く求めたいというふうに思います。

 次に、諫早湾干拓事業と有明海再生について質問します。

 長崎地方裁判所において四月十七日、諫早湾干拓の潮受け堤防排水門の開門差しとめを求めた訴訟において、開門差しとめの請求を認容する判決が出されました。

 四月二十五日には、当時の山本大臣が談話を出し、「国として開門しないとの方針を明確にして臨む」としました。そして、齋藤大臣はこの方針を受け継ぐと言明されています。

 国として開門をしないことを決めた、これはもうとんでもないことであります。長崎地方裁判所の判決というのは確定判決ですか。違うでしょう。確定判決であるはずの福岡高裁の開門命令には従わず、開門の義務があるにもかかわらず、控訴さえ行わなかった。そして、敗訴判決に従っている。これは、誰がどう考えてもおかしい話であります。

 そこで、大臣にお尋ねしたいと思います。

 確定判決に従わない、しかも、国家が、行政が確定判決履行を拒否するというのは、法治国家としては許されない事態だというふうに私は考えますけれども、大臣はいかがお考えですか。

齋藤国務大臣 諫早湾干拓開門問題については、複数の訴訟が提起をされておりまして、開門と開門禁止といった裁判所の相反する判断が存在する現状となっております。

 こうした膠着した状況を打開し、問題を解決していくというためには、まず、平成二十二年の開門を命ずる福岡高裁の判決が確定した後、私どもといたしましては、現場での工事着手を試みるなど国として開門義務の履行に向けて努力を重ねてまいりましたが、現実に開門することは著しく困難な状況にございます。また、同判決が確定した後は、開門しない方向での司法判断が重ねられてきているという現実もございます。

 そういったことを総合的に考慮した結果、諫早湾周辺の農業者や地域の方々が抱える不安を払拭するとともに、漁業者の方々の思いである有明海の再生を速やかに進める、このために、開門しないという方針のもとで、基金による和解を目指すとの判断をしたところでございます。

田村(貴)委員 いやいや、国は開門義務を負っているんですよ。開門義務を果たさないから、裁判所から間接強制金を支払えと命じられているじゃないですか。

 二〇一四年六月十二日以降ことしの十月三十日まで、幾ら間接強制金を払ってきましたか。原資は税金ですよ。漁民原告に対して、十月三十日までに何と九億八千五百五十万円。一日当たり、きのうもきょうもあしたも九十万円ずつ払っていく。それは、開門義務を果たさない、政府が約束を守らないからじゃないですか。

 そうした強制金を払っていること自体が開門義務を負っていると言わざるを得ないんですけれども、開門義務を政府は今負っていないんですか。しかと答えていただきたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、本件につきましては、確定判決を受けて、私ども工事着手をやってきたわけでございますが、現実にはなかなか難しいという中で、その後の確定判決後に司法判断が重ねられている中で、開門してはならないという判決も出ておる、また、それらについても、あけた場合には間接強制金がかかるといったような状況で、まさに、その開門と開門禁止といった裁判所の相反する判断が現在あるわけでございます。

 そういう中で、私どもとして、開門と開門禁止の司法判断の中で膠着した状況を打開するために、和解により問題の解決を目指すということは、これは法治国家として許されないといったようなことではないというふうに考えております。

田村(貴)委員 開門義務を負っているんですよ。そこをごまかしちゃだめですよ。

 開門によらない漁業振興基金で和解を目指したいと言いますけれども、先ほど議論もありましたように、佐賀県は反対していますよね。そのほかのところでも、もろ手を挙げて賛成ではないというような状況もあります。

 漁民は、有明再生に向けて潮受け堤防の開門を切望しています。

 齋藤大臣も、今月十三日の佐賀県での現地視察で、赤潮が広がる海の状況をごらんになったと思います。そして、ノリの色落ち、魚介類の漁獲減の話を、説明を受けたというふうに思います。漁民の声も聞かれたと思います。大臣九人にお願いしたけれども何一つ変わっていない、この九人というのは歴代農水大臣のことであります、佐賀県有明海漁協鹿島市支所の役員の言葉が報じられているところであります。

 この振興基金百億円で、これらの問題が、長年にわたるこの問題が解決できるというのでしょうか。できるというのならば、その根拠を示していただきたいと思います。いかがですか。大臣に聞いているんですよ、大臣に。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御案内のとおり、有明海の状況をよくしていく、環境変化をよくしていくということについては、特措法がございまして、その中で、特措法に基づきまして、関係省庁とそれから関係県と連携をして総合的な取り組みをここ十数年続けてきておるところでございます。

 それで、私ども今回提案しておりますこの基金といいますものは、このような特措法に基づく取り組みに加えまして、有明海におけます水産資源の回復と漁業経営の発展ということを目的として設定をしようというものでございまして、実際、この基金の検討に当たりましては、四県の漁業団体の皆様方からの御要請、御提案なども踏まえて盛り込ませていただいたところでございまして、これを実現できる仕組みということで考えたところでございます。

田村(貴)委員 それは実現できません。だって、これまでどれだけの費用を投じてきましたか、有明海の環境改善に向けて。四百七十億円ですよ。投じてきたけれども、漁民にとってみたら何一つ変わっていないと。基金は積み増ししないというスキームでしょう。たった一回こっきりですよね。絶対解決しないんですよ。そして、みんなが賛成しているわけじゃないですよ。そうしたやり方は、やはり無責任だと言わざるを得ません。

 農水省は、開門を行わないとの立場を撤回すべきであります。直ちに開門調査を行い、有明海の再生、農漁共存の打開策を講じるべきであります。

 歴代農水大臣は、二〇一〇年の開門確定以降、視察時に勝訴原告やあるいは弁護団の意見を聞いてこられました。先ほども議論がありました。今回、齋藤大臣は、勝訴原告、そして弁護団の方とはお会いになりませんでした。事務方に聞けば、日程調整が折り合わなかったということでありますけれども、それならば、日程調整をつけて、開門を求める原告、そして弁護団の意見を聞くべきだと思います。

 大臣、日程調整していただけませんか。

齋藤国務大臣 十一月十三日の現地視察につきましては、本年八月二十八日に佐賀県知事から現地視察の要請があったことも踏まえて、限られた時間の中で、現場の視察を中心にお邪魔をさせていただいたものであります。

 開門問題につきましては、国としては、開門によらない基金による和解を目指しているところでありまして、開門を求める原告、弁護団との意見交換につきましては、現在進められている裁判の状況を見ながら、慎重に検討してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 和解というのは、利害関係者の意見を聞くということじゃないですか。

 そして、確定判決で、勝訴原告の人たちの意見を聞かないというのは、これはもう公正な行政でないと私は思いますよ。こうしたやり方をどうしてやっているんですか。だめですよ。

 ちゃんと時間をとって、大臣は、原告、そして漁民、弁護団に会っていただくように心から要請したいというふうに思います。

 総工費、事業が二千五百三十億円、鳴り物入りで造成した国営干拓地、営農地の現状は、収益に結びついていません。そして、事業者が撤退しています。きょうはこの問題を取り上げたかったんだけれども、もう時間がありません。

 潮受け堤防をつくったがために、有明海異変を生じさせて、水質改善事業は、巨費を投じたにもかかわらず、タイラギ漁は七年連続、漁もできない。ノリは色落ち、水産資源は、甚大な影響を与えて、漁民は塗炭の苦しみを長年にわたってあえいでいるわけであります。潮受け堤防を開門しなければ、この問題は解決できません。

 そして、農漁共存です。農業用水や防災など、開門に伴う被害が生じないような万全な対策を施すこと、そのために国が責任を果たすこと、強く求めて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 丸山穂高でございます。

 私からも最後、十五分間、質疑させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、いわゆる所有者不明の農地や森林についてお伺いしていきたいと思います。

 昨年来、この委員会ではありませんが、予算委初めいろいろな委員会で、安全保障上、重要な土地だとか水源だとか、国境離島といった部分の土地が外資に買われているんじゃないか、そういった部分の規制をぜひお願いしたいというお願いをしてまいりまして、予算委では、総理からも前向きにお話をいただき、先日も自民党の菅原議員が御質問されていて、すばらしい御質問をされておりました。

 そして、自民党の方でも、新藤委員長が中心となって、特命委の方で御検討いただいているというふうに伺っております。

 ぜひとも、この規制の部分、前向きに、なるべく早い形で進めていただきたいというふうに思います。

 そうした中で、私この問題、調べていきますと、もちろんそうした枠組みがないことが問題なんですが、同時に、そもそも、日本の土地というのが、誰が持っているかすらわからない、とても前時代的な、およそ先進国だとほとんどないような制度になっているがゆえに、余計に、もしうまく規制をつくったとしても、誰が持っているのかわからなければ、結局、網の目のようになってしまうという、非常に、実はこれは、安全保障上だけじゃなくて、取引上も、例えば農地、山林もそうだと思います。そうした部分においても、いろいろな、農業にもかかわってくる重要な部分の一番根元の部分として、土地の所有者がわからないという問題がございます。

 この部分について、特に、農林水産大臣ですので、農地や森林について、所有者不明の土地、非常に多いと思います。話では、東京都の四倍以上の土地が、農地だけでわからない。全国のほかの土地よりは、もう本当に広い土地がわからない。ただそれも、わからないのかどうかもわからない、今から調査するという予算要求を法務省が来年度されるということですけれども、そうした中において、非常に私は危惧しておりますけれども、大臣、同様の認識でしょうか。認識と、そして対応をお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 農地や森林の所有者不明問題というのは大変重要な問題だと認識しておりますし、これからますます重要になっていくんだろうな、そういう問題だと認識しております。

 現在、農地及び森林につきましては、相続をされても登記がされないか、またはそのおそれのあるものなどが相当数存在しておりまして、このことが、担い手への農地利用の集積、集約化や林業施業の集約化を図る上での支障になっているという認識をしております。

 このため、所有者不明の農地につきましては、登記がされていない場合でも、農地について固定資産税等を支払うなど事実上の管理を行っている方の判断によりまして、農地の貸し付けを可能とする、その場合の利用権の設定期間を長期化するといった方向で、次期通常国会に関連法案を提出することを今検討しているところであります。

 また、森林につきましては、森林所有者の経営管理権限を、市町村を介して、意欲と能力のある林業経営者に集積、集約化する仕組みを今検討しておりまして、この仕組みの中で、一部の所有者が不明の共有林につきましては、より簡素な手続で市町村が森林の経営管理ができる権利を取得できるようにするといった方向で、これもまた次期通常国会に関連法案を提出することを検討している、そういう現状でございます。

丸山委員 農水省さんは、実はこの分野、進んでいると私は思っていまして、ただ、進んでいるといっても、本当にやらなきゃいけない部分の一%、二%、ほかよりは進んでいるというのが私の認識なんですが、でも、これは本当に、先ほど根本的な部分の相続の話をされましたけれども、相続のときの登記、今義務化されていませんけれども、根本的に考えれば、義務化だとか、今、土地台帳も、いろいろな台帳があり過ぎて、ばらばらでわからない。これを一元化していったり、もっといけば、死亡届を出したときに、今、市町村に出すときに、一応説明されるところはあるんですけれども、別にこれは一〇〇%説明されるわけでも、義務でもない。こうした中で、やはり、死亡届を出したときに、きちんとそれを説明するだけでも大分変わってくると思います。

 こうした根本的な部分の改革をしないと、農地も、森林も、それだけじゃない、日本の国土がどんどんどんどん荒廃していく、ひいては、外国の、どこが買っているかわからない、こんな状況が続いてしまいます。これは、農林水産大臣というよりは、政治家齋藤議員にお伺いをしたいんです。政治家齋藤議員として、この問題は非常に大事な問題だと思うんですけれども、ぜひ、内閣で旗を振って取り組んでいただきたいんです。齋藤大臣、どうでしょうか。

齋藤国務大臣 私は、この問題はこれからますます、死亡の際の届け出が行われるときに、登記が行われないという事態がこれからさらに増加をしていくんじゃないかという心配をしております。

 私としては、これは何とかしていかなくちゃいけないと思っておりますが、残念ながら、私の権限の範囲にはございませんので、本件については、国土交通省、法務省といい連携を組みながら、何ができるかきっちり検討していきたいと思っております。

丸山委員 これは、法務省さんに聞くと、では、ちゃんと審議会を立ち上げて、まず検討しますという回答が返ってくるんですけれども、では、それは、まず検討するかどうかの結果がいつ出るんですかといったら、一九年に出ますと。一九年に出て、そこから法律をつくって変えていったら、どれだけ先になるんだというのが今の現状ですので、ぜひこれは、本当に政治のリーダーシップが要ると思いますので、リーダーシップをとっていただきたいというふうに思います。

 時間がありませんので、もう一つ、次の話題に移りたいんですが、昨今、特にことしになって急増しているのが、北朝鮮の漁船が日本に漂着しているということでございます。

 これは、そもそもの根本の部分に、日本海、いわゆる大和堆というところで北朝鮮の漁船が違法に操業しているという現状があって、そうした中でこうした漂着がされているんだというのが恐らく後ろの部分だと思うんですけれども、これについて、まず農水省として、見解と、そして対応を何かされているのか、そういった部分、お答えいただけますでしょうか。

齋藤国務大臣 今委員御指摘の、大和堆周辺の我が国排他的経済水域における北朝鮮漁船等による操業は、違法であるのみならず、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなっており、極めて問題だというふうに認識をしております。

 このため、我が国漁業者が安全に操業できる状況を確保するということを第一に、海上保安庁と連携しつつ、漁業取り締まり船を大和堆周辺に重点配備をいたしまして、厳しい対応をとることによりまして、我が国排他的経済水域から今退去をさせているという現状にございます。

 このような外国漁船による違法操業には、毅然として対応してまいりたいと考えております。

丸山委員 これは事務方の方でも構わないんですけれども、日本海側の漁業への影響はあると考えているかどうか。そして、例えば何かしらそういう方が来る、きょう参議院のところで拝見してなるほどと思ったんですけれども、自民党の青山議員が、例えば天然痘のウイルスに感染しているような、来たときに、それの感染をとめるようなすべがないんじゃないかという指摘もありました。

 非常に国民の皆さんから見たら不安な点が多いと思うんですけれども、また漁業関係者の方も不安が多いと思うんですけれども、こうした部分の注意喚起も含めて、漁業への影響や注意喚起について何かしら農水省として見解をお持ちかどうか。事務方でも構いませんけれども、お答えいただけますか。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 我が国漁業への影響という観点でお答えさせていただきます。

 問題となっております大和堆周辺水域では、イカ釣り漁業、沖合底びき網漁業、そしてベニズワイガニ漁業が操業しております。大和堆周辺水域における北朝鮮漁船の操業によりまして、漁場での競合、あるいは資源への悪影響等の不満あるいは懸念が生じているということでありまして、漁業者からは水産庁漁業取り締まり船による強力な取り締まりを実施するよう要請を受けているところでございまして、それを受けまして、先ほど大臣から申し上げましたとおり、海上保安庁と連携しつつ、漁業取り締まり船、重点配備もして対応しているところでございます。

丸山委員 これはぜひ検討をお願いしたいことがあるんです。

 というのは、今回は違いますけれども、ことしの七月に、水産庁の漁業取り締まり船に対して、北朝鮮船籍と見られる船が銃口を向けたという報道がされている、それは事実だと思います。そして、うなずいてくださっていますけれども、北朝鮮に対して、北京の日本大使館を通じて向こうに抗議をしたということなんですけれども、私、懸念しているのは、尖閣と同じ状況になりかねないなとすごく思っていまして、尖閣だって、中国が来て違法に操業する中で、どんどんどんどん地元の漁船の皆さん、漁業関係者の皆さんが追い出されていく。そうした中で、結局そこでの水産資源を、日本のEEZであるにもかかわらず、とれない。この大和堆だって、日本のEEZ内でそうした違法な船が操業している。しかも、北朝鮮の漁船は全て軍籍に、軍属に属しているので、どういう行動をとるかわからないという中で、私、水産庁のいわゆる取り締まり船に乗られている漁業監督官の方々に本当に敬意を表したいと思いますし、本当に危険な現場で働かれているわけです。

 でも、この取り締まり官の方々は、調べていくと、びっくりしたんですけれども、武器の携帯ができないんです。手錠と警棒、これぐらいのレベルしかできないんです。でも、法律上は一応、特別司法警察職員なんですよ。警察なんですけれども、向こうが銃を向けてきたらもう逃げるしかない、退避行動をとるしかない。こんな状況で、私がトップだったら、出ていけと言えないですよ。日本の海を、漁業を守ってくださいと言えないです。

 だからこそ、今こういう状況になってきて、あの海域を守るためにも、何より必死に働いてくださっている現場の方を守るためにも、この辺の武器の携帯のあり方、今こそ見直さないと、今幸い殉職の方はいらっしゃらないと聞いたんですけれども、そうした中で万が一あったら、それは取り返しがつかないんです。

 そういった意味で、この点、大臣、これも政治のリーダーシップだと思うんですけれども、ぜひ検討、構いません、今すぐやりますと言うのは難しいのかもしれませんが、ぜひこうした武器の携帯も含めて検討をお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 御指摘、本当にありがとうございます。

 きのうも、参議院の予算委員会で私の方から答弁をさせていただいているんですが、外国漁船の操業が広域化する中で、増加する取り締まり要請に対応するために、水産庁もこれまで取り締まり船の増隻、大型化、装備の充実などを図ってきてはいるんですけれども、これとともに、今後より一層の漁業取り締まり体制の強化について検討していきたいと思っております。

丸山委員 それは、武器の携帯も含めて、身を守る、もしくは取り締まりの円滑化を図るための、もちろん今私が指摘したような武器の検討も入っているということでよろしいですか。

齋藤国務大臣 それも含めて検討していきたいと思っております。

丸山委員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。本当に、現場での御苦労を思いますと頭が下がる思いでございます。人員の確保と予算と、また武器の規制の緩和、いろいろやるべきことがあると思いますので、ぜひともお願い申し上げたいと思います。

 競馬法が、次、恐らくお経読みが入ると思うんですが、少し、うちの時間が、私がもらえる時間というのが今回十五分ということでございます。最後に、どうしても聞いておきたかった競馬法についてお伺いしたいと思います。

 ギャンブル依存症の話もずっと先国会からやらせていただいて、政府の方で対応を練っていると思うんですけれども、競馬もやはり、パチンコほどではないという、数ではパチンコが圧倒的だというデータが出ていますが、しかし、競馬で依存症になられるという方もいらっしゃいます。そうした部分について、農水省として、依存症患者の数を把握されていたり、何かこの依存症対策についてされているのかどうか、お伺いできますでしょうか。

枝元政府参考人 対応状況の数字がございますので、私の方から御説明させていただきます。

 まず、ギャンブル等依存症の実態の方でございますけれども、国立研究開発法人の日本医療研究開発機構が全国調査を実施いたしまして、本年の九月に中間取りまとめを行いました。

 今、先生からも御指摘がございましたけれども、過去一年内にギャンブル等依存症が疑われる者の割合が全体の〇・八%、パチンコ、パチスロに最もお金を使った者の割合が全体の〇・七%と推計されておりますけれども、この中間取りまとめでは競馬については言及されてございません。

 来年の五月に詳細な分析結果が示されるということになっておりますので、その中で、競馬を含みますギャンブル等に起因した依存症の実態も明らかになるのではないかというふうにまず考えてございます。

 あと、対策の方でございますけれども、これは非常に重要な課題でございまして、積極的に推進しているところでございます。

 本年の八月二十九日にギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議におきまして決定されました「ギャンブル等依存症対策の強化について」に基づきまして、幾つか申し上げますと、まず、JRA等の主催者によります相談窓口の設置また周知を本年四月までに全主催者で実施いたしまして、本年十月までに、日本中央競馬会には二十一件、地方競馬主催者には七件の相談が寄せられております。また、ネット投票におきます本人申告によるアクセス制限、これはこれまでに、中央競馬で八名に制限措置を適用いたしました。また、競馬場とか場外の設備の全てのATMのキャッシング機能を廃止するということで、これは順次今廃止して、来年の三月までに全廃の予定でございます。

 これらの対策を今順次実施しておりますけれども、今後も必要な対策をできるものから実施していきたい、そういうふうに考えてございます。

丸山委員 時間が来ましたので終わりますが、しっかりやっていただきたいですし、もし機会をいただけるなら、続きをお聞きしていきたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。

     ――――◇―――――

伊東委員長 次に、内閣提出、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣齋藤健君。

    ―――――――――――――

 競馬法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

齋藤国務大臣 競馬法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。

 我が国の地方競馬は、景気の低迷、趣味や娯楽の多様化等に伴い、平成二十三年度には平成三年度のピーク時に比べ売り上げが約三分の一の水準にまで減少するなど、地方競馬主催者の多くは事業収支が厳しい状況となっています。

 このため、全ての地方競馬主催者が共同で、地方競馬全国協会からの補助を受けながら、投票集計システムの共通化、重複開催の減少、中央競馬との勝馬投票券の相互販売等を内容とする地方競馬の活性化に取り組んだ結果、地方競馬の売り上げは平成二十四年度以降増加に転じ、平成二十六年度には全ての地方競馬主催者の単年度収支が黒字化するなど、地方競馬主催者の経営改善に大きな成果を上げてきたところであります。

 しかしながら、平成二十八年度において、構成元の地方公共団体に対して収益金を配分することができているのは全十四主催者中五主催者にとどまっており、地方競馬主催者の経営改善は道半ばの状況にあります。

 このため、これまでの取引を引き続き推進するとともに、競馬の最大のだいご味である強い馬づくりや地方競馬そのものの魅力向上など地方競馬主催者の経営改善を後押しするための取り組みを実施していくことが重要であります。

 地方競馬をめぐるこのような状況に鑑み、地方競馬全国協会が地方競馬の活性化や競走馬の生産振興のために行う補助事業に必要な資金を確保するため、地方競馬全国協会の勘定間の繰り入れの措置及び日本中央競馬会から資金を交付する措置の期限を五年間延長することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。

伊東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時十六分散会


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