衆議院

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第4号 平成29年12月5日(火曜日)

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平成二十九年十二月五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 大串 博志君 理事 佐藤 英道君

      赤澤 亮正君    池田 道孝君

      泉田 裕彦君    稲田 朋美君

      上杉謙太郎君    上野 宏史君

      加藤 寛治君    金子 俊平君

      木村 次郎君    岸  信夫君

      小寺 裕雄君    斎藤 洋明君

      谷川 弥一君    西田 昭二君

      野中  厚君    藤原  崇君

      古川  康君    細田 健一君

      三浦  靖君    三谷 英弘君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      山本  拓君    石川 香織君

      大河原雅子君    神谷  裕君

      亀井亜紀子君    岸本 周平君

      佐藤 公治君    関 健一郎君

      緑川 貴士君    山岡 達丸君

      中野 洋昌君    金子 恵美君

      田村 貴昭君    串田 誠一君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           大野 高志君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     八木 哲也君

  岸  信夫君     三浦  靖君

  古川  康君     三谷 英弘君

  細田 健一君     上野 宏史君

  岸本 周平君     山岡 達丸君

  江田 康幸君     中野 洋昌君

  丸山 穂高君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  上野 宏史君     細田 健一君

  三浦  靖君     岸  信夫君

  三谷 英弘君     古川  康君

  八木 哲也君     池田 道孝君

  山岡 達丸君     岸本 周平君

  中野 洋昌君     江田 康幸君

  串田 誠一君     丸山 穂高君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長枝元真徹君、生産局畜産部長大野高志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明君。

斎藤(洋)委員 おはようございます。自由民主党の斎藤洋明です。

 質問の機会をいただきまして、感謝を申し上げます。早速質問に入らせていただきます。

 本日の競馬法の一部を改正する法律案でございますが、まず、そもそも、地方競馬全国協会、地全協は、私は、中央競馬を主催するJRAとは少し位置づけが違うということにまず着目をしたいと思います。つまり、JRAは中央競馬の主催者であるわけですが、地全協、私は言いなれたNARという方で言わせていただきますが、NARさんの方は、主催者はあくまでも地方自治体あるいは地方自治体が構成をする組合が主催をいたします。

 しかし、その主催者を別にして、このNARという全国組織をつくって地方競馬活性化のための取り組みを行っているということで、まず、その必要性と意義について、ぜひお答えいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 地方競馬全国協会でございますけれども、地方競馬の全体的な見地に立ちまして、利害が対立いたします各主催者同士では円滑な調整が難しい開催日程のすみ分けですとか、シリーズ競走等の体系的な競走番組の編成といった各主催者間の取り組みに関する調整、助言を行っているほか、これらの取り組みを実施するために各主催者が行いますナイター照明設備の設置ですとか、シリーズ競走の広報といった事業に対する補助を行うことによりまして、各主催者同士の連携を促進し、地方競馬全体の活性化につなげる重要な役割を果たしているところでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 地方競馬の主催者間の調整、共同の事業ということでありますので、ぜひ、この法律改正が意義のあるものである必要がありますので、その観点から質問を行わせていただきたいと思います。

 まず、地方競馬の経営状況、いっとき大変厳しい状況があったわけですが、今現在どういうふうに分析をしておられるのか、農水省の見解をお尋ねします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 地方競馬の売り上げでございますけれども、平成三年度の約九千九百億円をピークといたしまして、平成二十三年度にはピーク時の約三分の一の水準まで減少しておりましたけれども、インターネット投票の売り上げ増加等によりまして、平成二十三年度を底といたしまして、五年連続で前年を上回る売り上げを記録し、平成二十八年度は四千八百七十億円の売り上げとなっているところでございます。

 また、主催者ごとの単年度収支でございますが、平成二十六年度に全ての地方競馬主催者の単年度収支が黒字化しておりまして、経営状況は改善してきている状況でございます。

 しかしながら、平成二十八年度に構成元でございます地方公共団体に対しまして収益金を配分することができているのは十四の主催者中五主催者にとどまっておりまして、地方競馬主催者の経営改善はまだ道半ばの状況にあるというふうに認識してございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 まだ経営安定道半ばというのは、私もそのように認識をしています。特に、単年度収支が赤字になったら廃止をしなければならないということを求められている主催者もありますので、例えば、設備投資でありますとか、あるいは賞金とか手当の方のカットを継続してでも赤字を出さないようにするというかなり厳しい経営をしているところもあるというふうに認識しています。

 その関係でお伺いしたいんですが、賞金、諸手当のカットというのがまだ見られると思うんですが、その状況はどうなっていますでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、地方競馬の十四主催者の平成二十八年度の賞金また諸手当額は、売り上げが最大でございました平成三年度と比較をいたしまして、約半分に減少してございます。地方競馬の主催者は、売り上げが減少する中で、賞金ですとか諸手当を削減することで競馬を続けてきたという経緯がございまして、その結果、魅力のあるレースが失われまして、馬主や在厩馬の減少を招いたことがさらに売り上げの低迷を招くという悪循環に陥っていた状況がございました。

 現在、売り上げの回復に伴いまして、賞金、諸手当も改善しつつはございますけれども、今後とも、地方競馬の賞金や諸手当を充実させまして、魅力あるレースづくりを行うことは地方競馬の維持発展に必要不可欠でございますので、農林省といたしましても、地方競馬活性化事業等を実施いたしまして、地方競馬の売り上げ増加を図ってまいりたいと存じます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、地方競馬、売り上げを回復していただきまして、賞金ですとか諸手当、しっかり手当てをしていただけるような環境をつくっていただきたいと思っています。

 賞金が減少しますと、おっしゃるとおり、入厩する馬の資源が悪くなりますし、また、諸手当が余り悪いと公正競馬の施行に支障を来しかねない、あるいはそういう疑念を抱かれかねないということがありますので、ぜひこの面も配慮いただきたいと思います。

 次に、中身の個別の話なんですが、この地全協が競走馬生産振興勘定を設けまして、競走馬生産振興はJRAさんもかなり資金を投入しておやりになっているわけですが、それをあえて独自に実施をするということの意義を確認したいと思います。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 地方競馬におきましては、売り上げの減少や地方競馬主催者の競馬事業からの撤退に伴いまして、地方競馬向けの競走馬の需要が減退し、馬産地にも深刻な影響を与えることが予想されたところでございます。

 このため、平成十六年の競馬法改正によりまして、地方競馬全国協会において、より魅力のある馬づくりや馬産地の生産構造の強化を図る観点から、競走馬生産振興事業を特別の勘定を設けて実施することとしたものであります。

 具体的には、優良な種牡馬、優良な繁殖牝馬の導入、先駆的な軽種馬生産施設の整備、市場上場馬の脚部レントゲン、上部気道内視鏡検査や馴致への取り組み、負債の長期、低利資金への借りかえといった、競走馬生産者を直接対象とする事業を実施しております。

 他方、日本中央競馬会におきましては、この地方競馬全国協会が行う事業を補完する対策として、みずからが運営する育成牧場における生産、育成技術の研究やその普及、レースにおける生産者賞の交付、軽種馬関係団体に対する運営費の助成といったより基礎的な事業を実施しているものでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 特に、先ほど優良種牡馬、優良繁殖牝馬の導入という話がございましたが、JRAとは若干ニーズが異なる部分もあるようですので、ぜひ、地方競馬の魅力あるレースづくり、番組づくりという面でも、この生産振興業務も独自の観点からしっかりやっていただきたいと思っております。

 続きまして、地方競馬と中央競馬の違いという観点に着目しますと、生産者の規模の違いということがあると思います。

 本日、北海道選出の議員の先生方もおられますが、同じ北海道でも大規模な牧場もあれば、日高地方を中心に、中小規模、かなり小さい規模でおやりになっている牧場もあると思います。

 とりわけ、中小規模の競走馬の生産者の経営状況が厳しいのではないかと認識していますが、農水省から見解をお尋ねしたいと思います。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 軽種馬の生産につきましては、地方競馬主催者の経営悪化に伴う賞金額の引き下げ、景気の低迷によります馬主の購買意欲の低下等によりまして、競走馬の需要が低迷したことから、生産戸数、頭数ともに減少してきたところでございます。

 また、軽種馬生産者の経営状況につきましても、多くの生産者の方が負債を抱えるなど、厳しい状況にあるというふうに考えております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 地方競馬に入厩する馬の生産者は規模の小さい牧場が多いということと、それから、中央競馬にあって地方競馬にないものの一つとして、生産者奨励賞、生産者に入る賞金の仕組みが中央競馬に比べて薄いということですとか、さまざま指摘がされております。

 先ほど生産振興業務のお話も触れていただきましたけれども、優良な種牡馬の種つけ料というのは非常に高くて、しかも不受胎であった場合のリスク、それから、牡馬、雄馬は高く売れますが、牝馬は安い値段しかつかない、あるいは競りにおいて買い手がつかないということがあって、そういうリスクを、中小規模の牧場ほど厳しいリスクに直面しているというふうに認識しておりますので、その観点からも、この生産振興業務を通じて、より安く、よりよい種牡馬を、中小規模の牧場もつけやすいというような環境をぜひつくっていただきたいと思っております。

 その中小規模の生産者のこととも関連しまして、競走馬の登録頭数のことについてお伺いしたいと思います。

 いただきました資料の中で競走馬の登録頭数の変化というものがありまして、中央競馬に入厩する登録の頭数は、ここ十年来、大きな変化がありません。八千頭前後で推移していますが、それに対して、地方競馬に登録する競走馬の頭数が、一万五千頭前後から一万頭ぐらいに大きく減少しております。このことを、生産者それから地方競馬の開催に影響を与えていると思うんですが、農水省の見解をお尋ねしたいと思います。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、日本中央競馬会の登録頭数が、平成十六年の七千八百四十四頭から平成二十八年の八千二百六十二頭と比較的安定に推移する中で、ばんえい競馬を除く地方競馬の登録頭数は、平成十六年度の一万八千二百二十一頭から平成二十八年度には一万七百二十六頭まで減少しております。

 これは、地方競馬の売り上げの減少を背景とします賞金や諸手当の削減、あるいは景気の低迷等によりまして地方競馬の馬主数が減少していることが要因の一つであり、生産者の方々にとりましては生産頭数減少による経営の悪化、地方競馬主催者にとりましてはレース編成に苦慮する等の影響が出ていると考えております。

 このような中、平成二十三年度を底として地方競馬の売り上げは一貫して増加しており、また、地方競馬の賞金や諸手当も増額されておりますことから、軽種馬の競り市場における売却率や平均販売価格が増加傾向で推移するなど、明るい兆しが見えてきたところでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 この競走馬資源を地方競馬でもしっかり確保していただくということが、そもそも我が国で競馬を開催しております本来の意味である馬産地の振興もそうですし、それから、しっかり収入を国庫あるいは地方自治体の財政に貢献していただくという意味からも、この競走馬資源の確保はぜひお願いをしたいと思っております。

 次に、競馬活性化勘定に関連してお伺いしたいと思います。

 この地方競馬の売り上げ回復には中央競馬と地方競馬の相互発売がかなり大きな影響があると思っているんですが、地方競馬の売り上げ増にこの相互発売がどの程度貢献しているか、農水省の見解をお伺いしたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 中央競馬と地方競馬の勝馬投票券の相互販売でございますけれども、まず、平成二十四年の十月から、日本中央競馬会のインターネット投票システムを活用いたしまして、地方競馬の勝馬投票券の発売を開始いたしました。

 さらに、翌二十五年の三月から、地方競馬の発売施設を活用いたしまして中央競馬の勝馬投票券の発売を開始したところなど、相互の売り上げ拡大に向けた取り組みが行われてございます。

 これによりまして、例えば地方競馬の総売得金に占めますJRAネットでの売り上げが、平成二十五年度、始まった次の年度で七・九%でございましたが、平成二十八年度には一三%となるなど、地方競馬の売り上げ増に貢献しているというふうに考えてございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 この法改正による措置は五年間の時限措置ということでありますが、ぜひこの五年間の間にしっかり地方競馬の経営基盤を確立していただきまして、今申し上げましたような馬産の振興、それから、しっかり国庫、地方自治体それぞれに、経済的、財政的に貢献をするという役割を果たしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

伊東委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、地方競馬の振興策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 地方競馬の収益は、主催自治体が行う畜産振興を初め、社会福祉や医療、教育、文化、スポーツ、災害からの復旧復興などにも使われることになっております。のみならず、地方競馬を開催していない自治体も対象となる地方公共団体金融機構の貸付金金利引き下げの財源としても使われているわけであります。また、地方競馬全国協会を通じて、広く馬の改良増殖や畜産振興のためにも用いられていることから、地方競馬は、その主催の有無にかかわらず、全ての地方公共団体に対して利益を還元しているのではないかと思っております。

 このように、地方競馬が広く国民全体に寄与していることにつきまして、今後、国を先頭に、全国の自治体の協力を得て理解を広げていくことも極めて重要と考えますが、御見解をいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたとおり、地方競馬の収益金でございますが、これによりまして、地方競馬全国協会を通じまして、競走馬の生産振興、農用馬の改良増殖等の畜産振興事業に使用されてございます。

 また、地方競馬主催者は、地方公共団体が実施をいたします事業に融資をする地方公共団体金融機構への納付を行いまして、広く競馬を主催していない地方公共団体にも寄与しているというふうに考えてございます。

 このような取り組みへの理解を広めるために、地方競馬全国協会では、地方競馬全国協会の事業によりまして整備した施設にその旨を明示する、また各地方競馬場におけるさまざまな広報、先ほど御指摘ございました公営競技納付金制度も記載をいたしましたパンフレットを全都道府県に配付するなど、その周知に努めているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを推進することによりまして、地方競馬の収益が畜産振興等を含め国民全体に寄与しているということを、地方公共団体とともに周知してまいりたいというふうに考えます。

佐藤(英)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、このたびの競馬法の改正案についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 JRA主催の中央競馬が全国十の競馬場で開催され、年間の売り上げが約二兆七千億円であるのに対しまして、地方競馬は、過去に全国の六十カ所に及ぶ地域で開催されていたわけでありますけれども、景気の低迷やレジャーの多様化などの影響を受けて次々に廃止をされ、現在では、全国十四主催者が残るのみとなったわけであります。

 また売り上げも、平成三年当時は一兆円近く、来場者が千五百万人近くまでに達したものの、昨年でいえば、売上高は、最低迷期を脱したとはいえ、年間約五千億、来場者は最盛期のおよそ五分の一程度までに下がっているところでございます。その結果、収益金の主催地方自治体への配分が行えている主催者は五つにとどまっているわけでございます。

 しかし、地方競馬が国内の競馬全体に占める割合で見れば、登録頭数では全体の約六割、レースの数では全体の約八割を占めているわけであります。まさしく、私は、日本の競馬界を下支えしている地方競馬の存続というものは、競馬界全体の生命線とも言えるのではないかと思っております。

 今回の法改正では、こうした地方競馬を活性化していくために必要な資金の手当てや馬産地の振興のための資金確保に欠かせない延長を行うものでございます。地方競馬が、関係者の努力で昨年、全主催者が単年度収支を黒字化させたわけであります。こうした努力に応じていく意味でも、改正案を早期に成立させる必要があると考えますが、この改正案による地方競馬振興への効果についてお伺いをしたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで競馬法に基づきまして地方競馬の支援策を実施してまいりましたけれども、この地方競馬の売り上げ、平成二十三年度を底といたしまして回復基調にあり、平成二十六年度には全ての地方競馬主催者の収支が黒字化するなど、施策の効果が徐々に発現しているところでございます。

 しかしながら、御指摘もございましたが、平成二十八年度に構成元の地方公共団体に対しまして収益金を配分することができているのは十四主催者中五主催者にとどまっておりまして、地方競馬主催者の経営改善はまだ道半ばの状況にございます。

 このため、支援措置の期限を五年間延長することによりまして、地方競馬の活性化の取り組みを引き続き推進いたしまして、地方競馬主催者の経営改善を確固たるものにしたいというふうに考えているところでございます。

 本改正によりまして地方競馬の活性化が図られますれば、競馬法の目的でございます畜産振興及び地方財政の改善に一層貢献できることにもなりますし、また、地方経済の一つの核としてその活性化にも寄与するほか、我が国におきます馬事文化の発展にもつながるというふうに考えておりますので、本改正案を提出しているところでございます。

佐藤(英)委員 ぜひ、これまで以上に取り組みを加速させていただきたいと思います。

 次に、ばんえい競馬についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 地方競馬は、娯楽という枠を超えて、地域に根差した文化となっているとお話をさせていただきましたけれども、私の地元北海道には二つの地方競馬がございます。一つは、日高地方の門別競馬場で開催されているホッカイドウ競馬、もう一つは、石川委員もいらっしゃいますけれども、北海道遺産にも指定されているばんえい競馬でございます。

 先月十一月に、私は帯広競馬場を訪問しまして、ばんえい競馬を見てまいりました。

 世界で唯一のばんえい競馬、これはぜひPRをさせていただきたいと思いますけれども、体重一トンを超える輓馬が鉄そりを引いて二百メートルの直線コースで力とスピードを競う、世界で唯一の競馬であります。その発祥は北海道開拓時代の人と馬の歴史にさかのぼり、北海道民全体の宝である北海道遺産として、今日まで受け継がれているところでございます。

 このばんえい十勝には、最近では国内外から観光客のツアーが訪れるようにもなっているところであります。例えば、私がお伺いしたときも、競馬場内では、施設を活用して、バックヤードツアーや朝の調教ツアー、馬の触れ合い広場などの体験型メニューが提供されており、多くの観光客が来場しておりました。また、平成二十二年八月には、競馬場の敷地内に観光交流拠点施設とかちむらがオープンし、ばんえい競馬との相乗効果によってさらに多くの地域住民や観光客が訪れ、集客力のある観光スポットにもなっておりました。

 こうしたことから、ばんえい競馬は、単に公営競技としてではなく、帯広、十勝を国内外に発信する貴重な観光資源としての役割も担っていると思っております。

 お聞きするところによると、帯広市による単独開催となってから過去最高の百六十一億円を売り上げ、帯広、十勝の貴重な観光資源となっているほか、経済波及効果は七十億円近くにも上るとされ、今や十勝、帯広には欠かせない存在となっております。

 北海道の十勝、帯広といえば、全国最大の農産地帯であり、広大な農地での営農を手伝ってくれる馬は、農家にとって大切な家族のような存在でありました。そのため、輓馬の生産に取り組む農家も多く、輓馬の中でもばんえい競馬に出られる輓馬は強く速い特別な馬でありました。

 しかし、最近は状況が変わってまいりました。一九九七年に能力検査を受けた馬は一千二百五十五頭、合格した馬は二百二十五頭、合格率は一八%でありました。しかし、二〇一四年は二百三十五頭中百七十九頭が合格、合格率は七六%と大変高くなっているわけでありますけれども、これは優秀な馬がふえたから合格率が上がったというよりは、分母が減って合格率が上がっている、そうした危惧を私は覚えております。生産者の減少と高齢化、後継者不足によって年々輓馬が減っていることが背景にあります。

 輓馬の増産のために、地元では生産者への奨励や帯広畜産大学との連携も進めており、馬の出産に多い流産や難産について研究データが少ないことから、その原因解明等の研究が進んでいないという課題解決への期待も高まっているところであります。さらに、競馬先進地域である欧米から人工授精や胚移植の技術を取り入れる準備も進められているとも伺いました。

 北海道開拓の歴史を未来に伝えていく上でも、貴重な財産であるばんえい競馬を守り続けていかなければならないと決意をしているところでございます。

 日本の財産であり、世界唯一のばんえい競馬の振興について、農林水産省としてどのようなお考えなのか、今後の取り組みについてもお伺いをさせていただきたいと思います。

齋藤国務大臣 厳しく、そして広大な北海道の大地を開拓するに当たって大いに貢献をしてきた輓馬。ばんえい競馬は、北海道開拓の歴史の中で大変重要な役割を果たしたこの輓馬、そり等を引かせる馬でありますけれども、に由来するものでありまして、北海道遺産として登録されている北海道の馬文化の一つであると思います。

 今委員御指摘ありましたけれども、ばんえい競馬は世界で唯一の重種馬による競馬ということでありまして、訪日外国人も含めた貴重な観光資源としても活用されていると認識をしております。

 農林水産省としては、ばんえい競馬の生産農家を支援するために、独立行政法人家畜改良センター十勝牧場におきまして、優秀な種牡馬の貸し付け、繁殖牝馬の譲渡、人工授精用精液の配付を行いまして、ばんえい競馬用の競走馬のベースとなる農用馬の改良増殖を支援しているところであります。

 また、農用馬の生産安定のためには、その需要者でありますばんえい競馬の振興を図っていくということが重要であるとの観点から、地方競馬全国協会の畜産振興事業におきましても、農用馬の血統登録の推進、ばんえい競馬出走馬の生産者への奨励金の交付、飼養管理技術に関する研修等を実施しているところであります。

 農林水産省としては、ばんえい競馬の歴史や伝統、馬文化としての重要性に鑑み、ばんえい競馬が今後も継続していけるよう、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。

 齋藤大臣におかれましては、北海道や十勝の方に行かれる機会がございましたら、ぜひ世界で唯一のばんえい競馬、御視察されることを御要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 おはようございます。立憲民主党の神谷裕でございます。

 先般の総選挙で初当選をさせていただきました。今回が初質問となります。伊東委員長初め委員各位の皆様、あるいは齋藤大臣を初め政務三役の皆様には、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、まず最初に、競馬振興の意義について確認をさせていただきたいと思います。

 競馬は、国の財政や自治体財政にも大きく寄与をいただいておりますが、そればかりでなくて、地域の雇用であるとか、あるいは馬産地の振興にも大きく貢献をしていただいております。

 地域経済にとっても大変重要であるというふうに認識できるところでございますが、残念ながら、競馬収支をめぐる状況は、平成九年の四兆円を超える売得金から徐々に減少し、平成二十三年ごろには底を打ったものの、徐々に回復傾向にあるとはいえ、中央競馬がピーク時の約七割、地方競馬の回復はおよそ六割と、まだまだ十分とは言えない状況ではないかと思います。かつてのバブル期のような夢をもう一度とは申しませんけれども、せめて安定して地方財源に貢献できる売得金の確保が行えるよう振興していくことが大変重要であると私は感じております。

 そこで、今回の競馬法の改正に見るように、地方競馬を元気にしていくための振興策の必要がここにあるのかと思います。まずは、この法案を考えていく上で、改めて大臣に競馬振興の意義について伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 まず中央競馬ですけれども、中央競馬は、日本中央競馬法に基づきまして、その売り上げの一部の国庫納付を通じた畜産振興への寄与、これを目的としているわけであります。

 また、地方競馬は、売り上げの一部の地方競馬全国協会に対する交付金を通じた畜産振興への寄与に加えまして、主催者の地方公共団体に対する収益金の配分を通じまして地方財政の改善を図るということを目的としているわけであります。

 競馬の振興は、今委員御指摘のように、これら公益への一層の貢献を可能とするほかに、地域の雇用ですとか、競馬場周辺の商店街の売り上げへの貢献ですとか、馬産地の振興など、地域経済の活性化に資する意義があるというふうに認識をしております。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 私も大臣と同じ認識でございますが、地方競馬の収支の状況を今見てみますと、いっときよりは回復傾向にはあるものの、残念ながら、地方財政に寄与するという所期の目的を達成しているものは、十四主催者中まだ五つにとどまっているのかなというふうに思っております。

 単年度ベースで見ますと、関係者の皆様方の御努力もあって黒字化を達成していると思います。しかし、これまでの苦労の時代がございまして、累積赤字が幾つか残っているのかなというふうに思っております。この累積赤字の解消もしっかりやっていただかなければいけないと思うんですが、現在、単年度ベースで黒字といっても、残念ながら、累積赤字の大きさから見ると、なかなか解消には道のりは遠いのかなというようなイメージもございます。

 そういった意味で、何らか抜本的な対策が必要にも思えるのでございますけれども、これらの解消に向けて、お考えをお伺いしたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お話ございましたとおり、地方競馬は、これまで支援策を実施いたしまして、売り上げは二十三年度を底として回復基調にあり、二十六年度以降は全ての地方競馬主催者の単年度収支が黒字化してございます。

 しかしながら、平成二十八年度に構成元の地方公共団体に対しまして収益金を配分することができているのは十四主催者中五主催者にとどまってございますし、主催者によっていろいろ差はございますが、累積赤字を抱えている主催者もございます。そういう意味で、地方競馬主催者の経営改善は道半ばの状況ということでございます。

 このため、今回、競馬法の改正案といたしまして、地方競馬の活性化のための取り組みや、競走馬生産振興の取り組みへの支援措置の延長をお願いしているところでございます。

 今後は、これまでの取り組みに加えまして、地方競馬の魅力の一層の向上のため、地方競馬発の有力馬を育成、活用するための施設整備、人材の育成、中央競馬、地方競馬間での勝馬投票券の相互発売の促進、共同広報の実施、オッズ、馬体重等の情報表示システムの統合整備等々の事業を実施することによりまして、地方競馬主催者が支援措置に頼らないで自立的に経営が行えるような経営状況になるように後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 ただ、見ておりますと、想像以上に累積赤字というのが大きゅうございます。そういった中で、今の単年度での黒字、この部分でやっていくとなりますと、一義的には地方自治体の持ち出しということになるのかもしれませんが、やはりこれをしっかりと解消していく、そのことが非常に重要なことなのだろうと思っております。

 その大きさから見ますと、先ほどおっしゃっていただいたさまざまな支援策がございますけれども、それで果たして解消していくのかなということが非常に、疑問とは言いませんけれども、大変だなというのが実感でございます。

 そういった意味におきまして、何らか国としてさらなる支援、そういったものはできないのか、ちょっとその辺がわかれば教えていただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 国としての支援という趣旨もいろいろございますけれども、まず今の措置を延長することによりまして、地方競馬全国協会の業務の勘定間の移動と、あと、特に中央競馬からの資金の融通、これによりまして必要な事業を実施していくということによって売り上げを回復させ、それによって経営を改善していくということ、また地域の振興に寄与していくということがまずは重要だろうというふうに思っているところでございます。

 国からの直接の支援というのは、競馬の、何といいますか、刑法ですね、違法性を阻却しているというのが、国家財政への寄与また地方財政への寄与という観点から刑法の違法性を阻却しているということから見ますと、国庫として直接支援するというのはなかなか難しいわけでございますけれども、この法律がもし通りますれば、活性化計画をつくってまいりますし、それらの広報、また、私どもとしてのさまざまな情報提供、助言、そういうことで支援してまいりたい、そういうふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 今見ましたとおり、残念ながら、地方競馬の状況というのは余り経済的にはよくないのかなというふうに思っているところなんですが、そういった中で、例えば施設についてなんですが、こういった長年にわたる売り上げ減少のあおりの一つの結果であると思うんですけれども、施設も老朽化しているんじゃないかというような話も聞いております。特に耐震化等の問題、これが非常に気になるところでもございますが、そういった施設面での老朽化の話、こういったのはどうなっているでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 地方競馬主催者におきましては、これまでの売り上げの低迷に加えまして、競馬場自体の存続の議論もございましたので、施設の改修がおくれて老朽化が著しい競馬場もあることは認識をしてございます。

 地方競馬主催者からの聞き取りによりますと、十四主催者中五主催者におきまして耐震基準が不十分との診断結果を受けた事案がございましたが、現在、それらの主催者全てにおきまして耐震強化の改修等に着手をしている状況であるというふうに聞いてございます。

 地方競馬活性化事業の施設整備につきましては、地方競馬全体へ裨益するものを対象としているため、単に老朽化した競馬場施設、個別の競馬場施設の改修ですとか耐震化についてはなかなか対象としがたいところではございますけれども、地方競馬主催者が共同して行います取り組みを推進することによりまして、各競馬主催者の経営が改善され、これによりまして施設整備もさらに促進されるというものに考えているところでございます。

神谷(裕)委員 今お話にありましたとおり、施設の老朽化、耐震化は待ったなしの状況かなというふうに理解をしております。

 ただ、確かに財政的には厳しい中であるとは十分承知をしているところでありますけれども、昨今では、UMAJOといいますでしょうか、若い女性の競馬ファンもふえているということでございますし、あるいは新しいファンの獲得や家族連れでの来場などを促すための魅力向上のためにも、やはり施設の更新というのが非常に重要な課題であると私は思います。

 ましてや、耐震化についての関連の施設、こういったものは待ったなしの状況でございますので、やはり国としてもしっかりとお考えをいただきたいなと思います。

 それで、施設が古くなる、要は収支が悪くなってきますと施設も古くなるんですけれども、それと同時によく行われるのが、人の問題、働いている方の待遇が悪くなるんじゃないかというような問題が私はあるんじゃないかなと思います。

 経営が苦しくなったときに、まず施設の整備をおくらせて、その次に働いている方の待遇が悪くなったりするということはよく聞くところでございますけれども、一部には、待遇の低さから、厩舎労働者の方の人手不足などという話も聞こえてまいります。

 競馬の魅力を向上させる上で馬の管理は非常に重要なファクターであると考えますし、また、この面では、レースを開催する上で人馬の安全にも直結してくる可能性があるものであると私は思います。何より、人手不足の解消には待遇の改善が一番の近道であると思いますけれども、まずは厩舎労働者にかかわる人手不足や、あるいは待遇の改善の問題について教えていただけたらと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 地方競馬の売り上げの減少に伴いまして、各主催者は競馬事業存続のために賞金や手当などの各種経費の削減を行ってまいりましたので、厩舎運営及び厩務員の確保が厳しい状況にあるということは認識をしてございます。

 具体的に申し上げますと、厩務員の処遇の実態として、平成二十七年度におきましては、厩務員の一人当たりの年間収入は、中央競馬では八百九十二万五千円でございますけれども、地方競馬では三百五十八万円という状況になっている一方で、厩務員が一人当たり担当する馬の頭数は、中央競馬は二頭、地方競馬は三・九頭という状況になっているというふうに承知をしてございます。

 ただ、地方競馬の売り上げは、地方競馬活性化の支援策の効果もございまして、五年連続で増加して、平成二十六年度以降、全ての地方競馬主催者で単年度収支が黒字化いたしました。これに伴って、各主催者は賞金や手当を引き上げるなど、調教師の厩舎運営の改善に寄与する見直しも、徐々でございますが、行われつつあるところでございます。

 農林省といたしましては、引き続き、地方競馬活性化の取り組みを進めまして、地方競馬の経営の改善を図り、これによりまして厩務員の処遇の向上につながるように主催者を支援してまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 本当に、安全の問題もありますし、あるいは番組を魅力あるものにするにも大変大事な問題でありますので、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、地方競馬の振興策についてちょっと伺いたいと思います。

 地方競馬の振興についてはこれまでもさまざまな御議論と実践があり、今の単年度での黒字化を達成したものと承知をしておりますが、最近の潮流といたしましては、インターネットでの勝馬投票券の購入などが増加してきていることが目立っていると思います。

 やはりこの部分をどう伸ばしていけるかが直近の売得金増加の近道であると考えますけれども、例えばでございますが、海外からのファンがそういった地方競馬の馬券を購入することがインターネット等でできないか、そういったことを伺えたらと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 訪日外国人によります地方競馬場への来場促進につきましては、地方競馬の新たなファンの獲得につながるほか、さらなる売り上げ拡大にもつながるということで、さまざまな取り組みを進めてございます。

 しかしながら、今先生御指摘のとおり、海外の居住者が我が国の競馬主催者のインターネット投票会員となりまして勝馬投票券の購入を行った場合には、居住国の刑法におきまして、我が国における富くじ等接受罪に相当する罪に該当し、罰せられるおそれもございます。こういうことから、現在は、中央競馬、地方競馬とも、会員登録ができる者を国内の居住者に限定いたしまして、海外に居住している外国人はインターネット投票で勝馬投票券を購入することができないという制度になっているところでございます。

 しかしながら、訪日外国人の競馬場への来場も相当ふえてございますし、もし居住国の刑法により罰せられるおそれがない国におけるインターネットの投票の展開というものが仮にできるのであれば、我が国の競馬に親しんでいただけるよい機会にもなり得るというふうにも思いますので、今後、諸外国の競馬でどうしているのかですとか、法規制ですとか、ニーズ等を調査してまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 インターネットでの投票がふえているという現状にあって、これからも恐らく伸びていくんだろうと思います。しかし、なかなかパイがふえていかない中で新たなパイを獲得していく、そういうことも必要なんだろうと思いますし、そういった外国の皆さん方が日本の競馬ファンになっていただく、これも本当にすばらしいことだと思いますので、引き続き、いろいろ調べていただいた上で、できれば取り組んでいただけるようにお願いをしたいと思います。

 今お話にもありましたとおり、今、我が国政府でも、観光立国を目指してさまざまな取り組みをいただいていると思います。当然、この地方競馬も観光ツールの一つとして御認識いただいているのではないかなと思うんですけれども、そのお話の延長線上でございまして、例えば、北海道に観光にお越しを、来ていただく、そして、そのルートの中で、こういった馬産地の牧場であったり、あるいは競馬場であったり、そういった施設施設をめぐっていただいて魅力を知っていただく。

 そういった方々がまた同時にお金を落としていただくのも大事なことだと思いますし、あるいは、そういったレースを通じて馬のファンになっていただく、そういったことが非常にいいのかなと思います。そういったファンの皆様方が母国に帰られた後に、例えば、応援するという意味で馬を買っていただく、馬券を買っていただく、そういったことはありがたいのかなと思いますし、できればそういった対応を進めていただきたいと思っているところでございます。

 また、そのためにも、まずは訪日外国人に対応できるような外国語対応の設備、そういったものを充実させていく必要があるのかなと思いますけれども、まずは、そういった設備の充実あるいはツアーの提案、勝馬投票券を買うことによって、売り上げ増のために必要なそういった努力ですね、外国の皆さん方に対しての、これについてどうお考えなのか、改めて伺えたらと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、日本中央競馬会でございますけれども、訪日外国人に対応するために、勝馬投票券の購入を解説いたします外国人向けの案内冊子といたしまして、英語、また中国語、中国語も台湾の繁体字、大陸の簡体字で出しております。また、韓国語で発行してございます。また、一部の競馬場及び場外発売所におきましては、英語、中国語、韓国語に対応いたしましたタブレット通訳端末を設置いたしております。また、勝馬投票券の発払い機は英語に対応しているところでございます。

 さらに、二十九年の九月、ことしの九月からでございますけれども、東京競馬場におきまして、英語、中国語、韓国語に対応する勝馬投票券の発払い機を導入いたすとともに、日本中央競馬会のホームページにつきましても、英語に加えまして、中国語、韓国語、フランス語に対応しているところでございます。

 地方競馬でございますが、正直なところ、主催者ごとにばらつきがございます。ただ、アジア諸国、特に中国からの観光客をターゲットとした取り組みといたしまして、英語、中国語、韓国語表記によります競馬情報のホームページへの掲載が三主催者、馬券の買い方ですとか施設案内のパンフレット配布等も三主催者等を実施してございまして、地方競馬全国協会のホームページにおきましては、英語版で地方競馬の紹介もしているところでございます。

 地方競馬におきます海外からの観光客の誘致につきましては、ここ数年の取り組みで、まだ緒についたばかりでございますが、日本中央競馬会の経験なんかも踏まえながら、訪日外国人の需要の取り込みに向けて、さらなる推進を図ってまいりたいと存じます。

神谷(裕)委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 続いて、ちょっと手数料について伺いたいと思います。

 地方競馬のインターネットを通じた馬券購入については、これまでの改革の結果、JRAや楽天さんなど、多角的に販売がなされ、売り上げにも貢献をしているというふうに聞いております。

 ただ、一点気になりますのは、販売手数料というのか、そういったものでございます。実際には、販売手数料については契約等もあることから、それぞれの金額や割合などを具体的には言えないかもしれませんけれども、気になっておりますのは、JRAから地方競馬に対しての手数料と、あるいは地方競馬から中央競馬への手数料の割合が同じではないということであります。このことについてどのように考えているかを教えていただけたらと思います。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 勝馬投票券の相互発売につきましては、日本中央競馬会と地方競馬主催者相互が委託契約を締結いたしまして、この委託契約の内容に基づきまして、互いに勝馬投票券を発売しております。

 その委託料につきましては、日本中央競馬会が受託する場合は売得金の一〇%、地方競馬主催者が受託する場合は売得金のおおむね五、六%に相当する額をそれぞれ相手方から徴収しているというふうに承知しております。

 この日本中央競馬会が地方競馬主催者へ支払う委託料、逆もそうでございますが、これは、両者間の委託契約において決められるものでございまして、その水準につきましても、さまざまな事情、経緯を踏まえた上で、両者間の交渉によってその内容が決められるべきものというふうに考えているところでございます。

神谷(裕)委員 おっしゃるとおりさまざまな、契約事でございますし、事情はあると思います。ただ、明らかに、中央競馬会と地方競馬で見たときに、やはり中央競馬の方が力があるのかなと思いますし、あるいは地方競馬を応援するという意味において、こういった部分、何らか少しお手伝いができるような形がとれたらいいなというふうに思っております。そういった面での指導をもしできますれば、今後お願いをしたいと思います。

 次に、馬産地の振興策について伺いたいと思います。

 競馬が厳しい状況を迎えたその結果かもしれませんけれども、軽種馬生産農家の戸数が徐々に漸減していると伺っております。このことは、軽種馬を扱う農業者の経営が実は厳しいことを端的にあらわしているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、しかし、競馬をより魅力あるものにしていく上で、やはり良質の馬の生産というのは大変に重要なことであると考えております。

 改めて、馬産地の振興と軽種馬生産農家の振興策及び現状について伺いたいと思います。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 軽種馬の生産につきましては、地方競馬主催者の経営悪化に伴う賞金額の引き下げ、景気の低迷による馬主の購買意欲の低下等によりまして、競走馬の需要が低迷しましたことから、生産戸数、頭数ともに減少しております。

 また、軽種馬生産者の経営状況につきましても、多くの生産者の方が負債を抱えるなど厳しい状況にございます。

 このため、日本中央競馬会の資金を活用した競走馬生産振興事業によりまして、委員御指摘のとおり、優良な種牡馬、優良な繁殖牝馬の導入、先駆的な軽種馬生産施設の整備、負債の長期、低利資金への借りかえといった支援を行い、馬産地の生産構造の強化を図ってきているところでございます。

 これらの対策あるいは軽種馬生産者等の経営改善の取り組みによりまして、競り市場での上場馬の売却率、販売価格が上昇するなど、明るい兆しが見えてきております。

 今後とも、馬産地の要望を踏まえながら、強い馬づくりに向けた取り組みを支援し、軽種馬生産の振興を図ってまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 競走馬の登録頭数も減っている傾向にあると聞いております。こういったことは、販売された馬の実数が減ったことを意味するわけでありまして、やはり農家の経営にも直接響いているのではないかと想像するわけですが、だからといって、すぐに、多分、登録頭数もふやせるものではないと思います。

 そこで、例えば、販売頭数をふやすという意味におきまして、外国への輸出、こういったことにももっと力を入れてはどうかと考えるんでございますけれども、いかがでございましょうか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 競走馬の輸出につきましては、国内における市場の動向、日本馬の海外の重賞競走での活躍の状況などにより影響を受けますものの、近年、百頭程度で推移しているところでございます。

 馬産地の振興を図るためには、委員御指摘のとおり、輸出を振興していくことも重要でございまして、競走馬生産振興事業におきまして、海外顧客向けの日本馬のPRや国内市場のプロモーション活動、海外競馬の施行状況及び輸出手続などの実態調査、輸出検疫施設の整備、こういったことを実施しまして、輸出拡大に向けた産地の取り組みを支援させていただいているところでございます。

 今後とも、アメリカやオーストラリア、イギリスなど、他の主要な生産国との競争の中で、日本馬が選択してもらえるよう、日本馬のPRやその品質の向上にさらに努力を傾注してまいりたいと考えているところでございます。

神谷(裕)委員 済みません、そろそろ時間になってきたので、最後に聞かせていただきたいんですけれども、当然、輸出と同時に、もう一つありますのは、輸入のことが大変気になっております。

 繁殖牡馬の輸入についてはともかくなんですが、昨今、TPPなどでもこの輸入の競走馬の話が議論をされておりまして、関税が削減されるということは合意をしていると承知をしております。また、こういったことが契機となって、一歳、二歳馬の輸入が急増していくとなれば、直ちに国内農業者の競争相手として影響の看過できないものになる可能性があるのではないかとも思われます。

 こういった影響について懸念はないのか、あるいは、その上での対策の必要を私自身は感じておるんですけれども、お考えをお聞かせいただけたらと思っております。

齋藤国務大臣 競走馬に分類されるものについては、現在、一頭当たり三百四十万円の関税が課されていますが、TPP11協定の大筋合意または日・EU・EPA協定の大枠合意では、競走馬については、毎年均等に関税額を引き下げ、協定発効後十六年目に関税を撤廃することとしておりまして、それまでの間、低価格馬の輸入に対してセーフガードを措置するということになっているわけであります。

 競走馬につきましては、安価であれば購買頭数が増加するといった単純な市場構造にはなっておりませんで、日本の競馬関係者の方々は、国内の競馬で勝てる血統や能力の高い馬を導入したいと考えていること、それから、能力や競走実績の向上に伴いまして、日本馬の価格競争力が実は高まってきております。

 そういったことから、今回の関税の撤廃によりまして、輸入頭数が急激に増加するということは考えにくいなと思っておりますが、農林水産省としては、関税撤廃後を見据えて、馬産地の関係者の要望等もしっかりと踏まえながら、競走馬生産振興事業による軽種馬生産対策は講じていきたいと思っております。

神谷(裕)委員 本当に、競馬を魅力あるものにする上で、こういった農家は大変大切でございますので、できますれば、そういった皆様方の不安に寄り添っていただいて、万全の方策を講じていただけたらと思います。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸と申します。

 本日は、競馬法一部改正という中で、本当に貴重な質疑のお時間をいただきましたことを伊東委員長、そしてまた理事の皆様、そして委員の皆様に心から感謝を申し上げながら、私、質問に立たせていただきたいと思います。

 私は、北海道で本当に多くの皆様に御期待を寄せていただいて、こうして今、活動の場をいただきました。今回、全国で飼育されております繁殖牝馬、そのおよそ九七・四%が北海道の日高、胆振という地域でございます。この日高、胆振というのが、また私にとっても非常にかかわり深く、皆様に御期待を寄せていただいた地域であるということに鑑みて、この場で質問に立たせていただくことに本当に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 きょうは、日本の生産地の立場から、この競馬法についても少し伺わせていただければと思います。

 これまで、中央競馬の剰余金の一部を地方競馬の経営改善とかあるいは生産地の生産基盤の強化のために使っていくということが、この競馬法で実施されてきたことだと思っております。五年間でさまざまな施策を行われてこられたと思います。

 これまで委員の皆様が質問されたことと多少重複することで恐縮でございますけれども、農林水産省の皆様に伺いますが、この五年間の取り組み、あるいはその結果、中央、地方競馬の売り上げなど、どのような実態であったのか、どういうことが効果的だったのか、そのあたりの現状あるいは結果ということについて、まずお伺いしたいと思います。お願いいたします。

礒崎副大臣 お答え申し上げます。

 今回の議題と関連しておりますが、地方競馬全国協会が地方競馬の活性化のために行う業務に必要な資金を畜産振興のための資金から繰り入れて、日本中央競馬会が地方競馬全国協会に対し、地方競馬活性化のための業務等に必要な資金を交付できるという特例措置を五年間講じてきたわけでございます。

 これまでの特例措置を活用し、地方競馬全国協会が行う地方競馬活性化のための事業において、例えば、従来ばらばらでありました各地方競馬主催者の投票集計システムを統一し、地方競馬共同トータリゼータシステムを構築、また、ナイター施設の整備等によりまして重複開催の削減、それから、中央競馬との勝馬投票券の相互発売及び共同広報、それから、地方競馬間や中央競馬との交流競走の実施などを実施してきたところでございます。

 これらの取り組みを通じまして、平成二十四年以降五年連続で前年度を上回る売り上げを記録し、平成二十六年度には十四主催者全てが単年度収支が黒字化するとともに、平成二十八年度には十四主催者中五主催者が構成団体に配分金を拠出できるなど、地方競馬主催者の経営改善に貢献してきたものと考えております。

山岡委員 ありがとうございます。

 今お話もございましたナイター中継であったり、販売を共同化する、さまざまな取り組みがあったというお話でございました。

 今お触れいただいたことではなかったんですけれども、特にインターネット販売も大きく伸びて、全体に寄与してきたものと考えております。

 時代が、スマートフォンというのが世の中に浸透していく中で、そこでJRAを通じたこのインターネット販売というのが効果を奏したということも大きな中で、今、五年間の成果として、売り上げが中央、地方ともに非常に調子がいいということでありましたので、ぜひこうした取り組みというのは今後も継続していただきたい。

 まず、そのことをお伝えさせていただきますとともに、せっかくインターネットを中心にした、さまざま、あるいは新しい顧客、そうした掘り起こしがあるのであれば、その実態は引き続き調査をしていただきながら、例えば、テレビはある一定の時代まではみんな見ていましたけれども、今はテレビ離れというのも取り沙汰されるようになりました。視聴者のさまざまなニーズを酌んでいけばこういったこともなかったんじゃないかと言われています。競馬も、まさにこの調子のいい状況を継続していくためにも、なぜいいのかという調査はこれからもしっかりとやっていただいて継続していただきたい、その思いでございます。

 そして、強い馬をつくっていくという観点から、まさに生産地についても、さまざまな経営基盤の強化についても施策を打っていただきたい。そのことをまずもってお伝えさせていただきたいと思います。

 そして、今回、競馬法の改正ということで、特に、競馬をめぐるさまざまなことについて私が現場で耳にさせていただいていることを中心に、大臣を初め農水省の皆様にお伺いさせていただければと思います。

 今回は、特に地方競馬、このことに焦点を当てていきたいと思っております。

 もちろん、生産現場の皆様からすれば、地方競馬も、あるいは中央の大きなレース、競馬も、これはどの生産者だって強い馬をつくってレースに参加させていくという考えなわけでありますから、その差はないといいますか、中央の大きなレースを目指していきたいということを考えているわけであります。

 しかし、やはり業として馬を生産していくということになれば、常々強い競走馬が生まれるわけではありませんから、当然ながら、中央に出られる馬、あるいは地方競馬ということを中心に活動していく馬、その中で、裾野が広いからこそ、今、業が成り立っていくということが言えるわけであります。

 そして、中央の競馬と地方の競馬というのは、中身は省略いたしますが、その成り立ちは大きく違うわけでございまして、もちろん経営がよかったころはそれぞれ独立して経営を行っていたものだと理解しておりますけれども、先ほどお話にもございましたように、さまざまな取り組みの中で、今、その垣根を大きく取り払っていくような、そんな方向になっているんだろうということを理解させていただいているところでございます。

 こうした私なりの見解と思いも今お伝えさせていただいたところでありますけれども、地方競馬の意義あるいは位置づけ、これは中央競馬との関係の中で、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、競馬の中でこの地方競馬というのをどのように位置づけ、認識されておられるか、この意義について大臣に見解をお伺いさせてください。

齋藤国務大臣 我が国では、毎年一万八千頭を超える競走馬が登録されているわけでありますが、このうち地方競馬には六割弱の一万頭を超える競走馬が登録されておりまして、馬産地の振興に果たしている地方競馬の役割というのは大変重要であるというふうに認識をしています。

 このように、中央競馬、地方競馬両方が相まって競走馬の再生産が確保されていくというふうに考えておりまして、このため、農林水産省としても、地方競馬の振興を通じて馬産地の活性化が図られるようにしていくということ、これは重要だと思っていますので、引き続き取り組んでいきたいと思っております。

山岡委員 ありがとうございます。

 今お話にもございました、地方競馬の振興を図って競馬全体を盛り上げていくことが大切だと、非常に心強い御見解をいただきました。まさに中央、地方相まって、一万八千頭のうち一万頭、半分以上がまさに地方競馬を担っているという状況についても、本当に大臣のそうした御理解、御認識をいただいていることに心強く思っていることをお伝えさせていただきたいと思います。

 さて、その地方競馬なんですけれども、現在黒字化したということで、いろいろな取り組みの成果だと思います。これはこれですばらしいことであると思っておるんですけれども、しかしながら、私が現場を歩かせていただいておりますと、その足元の部分は非常に危うい、その状況であるのではないかということを感じさせていただいているところであります。

 このうちの一つとして取り上げさせていただきたいと思うんですけれども、この委員会の中でもテーマになったかもしれませんが、私から聞き及んでいることとしてお伝えをさせていただきたいと思うのは、厩務員の格差の問題なんですね。

 厩務員というのは、調教師の方について馬の世話をする役割の方々を指すわけでありますけれども、その処遇が、中央競馬の厩務員の方々と地方競馬の厩務員の方々の差が余りにも大きいのではないかということが、現場の切なる声として、お話を聞いているところであります。

 先ほどの御答弁にもお話もありましたが、私からも確認の意味でお伺いさせていただきたいと思うんですけれども、私が現場で聞いているところでは、中央競馬の厩務員なら例えば年収九百万から一千万だ、あるいは、いいレースに勝てばもっともっといい手当がつく、その勝利のお金の中の一部が厩務員の方にもつくわけです。ところが、地方競馬の厩務員は年収三百万円程度だ、三倍も格差があるんだ。そして、中央競馬の厩務員の方は、取り決めの中で、世話をする馬は一人二頭までと決めている。ところが、地方競馬の厩務員の方は三頭も四頭も面倒を見て、労働力も何倍もかかり、そして待遇は二分の一、三分の一だ。これが非常に大きな声として私も聞き及んでいるところであります。

 農水省の皆様に、今のお話、そうした声を聞いているかどうか、確認の意味でお答えいただければと思いますが、いかがでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 地方競馬の売り上げの減少に伴いまして、各主催者は、競馬事業存続のために賞金また手当など各種経費の削減を行ってきたことから、厩舎運営及び厩務員の確保が厳しい状況にあるというふうに認識をしてございます。

 具体的な数字、先生からも御指摘ございましたが、私どもが承知しております厩務員の処遇の実態といたしましては、平成二十七年度におきまして、厩務員の一人当たりの年間収入が、中央競馬では八百九十二万五千円、地方競馬では三百五十八万円となっている一方で、御指摘もございましたが、厩務員一人当たりの担当馬の頭数が、中央競馬は二頭、地方競馬は三・九頭というふうになっているところでございます。

 一方、地方競馬の売り上げは、地方競馬活性化の取り組みの効果もございまして、ここ五年連続で増加をし、平成二十六年度以降、全ての地方競馬主催者におきまして単年度収支が黒字化いたしました。これに伴いまして、各主催者におきましても、賞金や手当を引き上げるなど、調教師の厩舎運営の改善に寄与する見直しも行われつつございます。

 農林省といたしましては、引き続き、競馬活性化の取り組みを進めまして、地方競馬の売り上げの向上を図り、これによりまして、厩務員の処遇の向上につながるように、主催者を支援してまいりたいというふうに考えてございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 大体そのとおり理解されている、そして最後の方には、改善も何とか取り組んでおるんだということを今お知らせいただいたわけでありますけれども、しかし、余りにも数字がかけ離れていて、このままの状況を、これは非常に深刻な問題だということもぜひ委員長そして委員の皆様もこれを機会にお知りいただきたいなという思いで、このこともお伝えさせていただいたところでございます。

 そして、日本全体が人手不足なわけでございます。処遇の問題というのは、まさになり手の方が確保できるのかできないのか、今お話にもございましたが、そうした問題に直結いたします。

 競馬の馬を世話するということが、私は馬の世話をするのが好きだからとか、そうした思いで厩務員をやってくださっている方はたくさんおられます。所得が低くても、そうした仕事をやっているのが楽しいからという方もいらっしゃいます。

 しかしながら、やはりこうした処遇の問題というのを真剣に考えていかないと、先ほど大臣に、地方競馬を活性化させることによって競馬全体が盛り上がっていくんだというお話をいただいた中で、地方競馬の足元でこうした状況になっているということについては、さらに実態を把握していただいて対応、対策を検討していただきたいという思いでございます。

 ただ、調教師の方に雇われているというのが厩務員の方の状況でございますから、直接手を差し伸べるとかそうした状況が、なかなか仕組み上難しいというのも現実であることは理解させていただいているところであります。

 そこで、私も、一つの提案としてぜひ御検討いただきたいということがございます。

 お話にもありましたが、そもそも地方のレースは賞金額が少ないわけであります。少ないから、やはり当たる賞金の一部も少ないわけであります。

 そして、今の制度は、地方競馬の厩務員のところに所属する馬が、強くなって一部特例的に中央の競馬に、レースに参加するということは、本当にごく一部は認められているのでありますけれども、ほとんどないわけであります。

 そして、地方競馬の中から本当に強い馬が生まれた、これを中央のレースに走らせたいと思ったら、厩舎そのものの移管が必要なんですね。つまり、中央競馬に参加するためには、茨城の美浦であったり滋賀の栗東であったり、そうした指定された厩舎に移さなければいけない。

 仮にそこで育てた馬が賞金をとっても、その新しい厩舎にいる厩務員の方々、つまり中央の競馬の厩務員の方々にこの賞金の一部が当たっていく。だから、本当に、地方競馬で厩務員をやっている方は、強い馬を育てようという方は、まさにやりがいというのが見えにくい、頑張った分が報われないという思いになってしまうんじゃないかということを思うわけであります。

 そこで、今、先ほどお話にもございましたけれども、ごく一部ではありますけれども、いわゆる地方競馬に所属する馬であっても中央のレースに参加するということができる枠は、これまでの御理解、御努力の中で、少しずつしているわけであります。この機会をもっともっと多くしていただきたいという思いなんです。

 この中で、もちろん、地方競馬の馬というのは中央の馬と実力の差も非常にあるという現実もありますから、簡単なことではないんですけれども、しかし、所属しているのが地方の競馬の厩舎であっても、そうしたことが見えるということは、やりがいにつながる、その結果、もちろん所得、処遇自体も上がるかもしれませんが、何よりも頑張れば報われるという状況を生んでいけるんだというふうに思っております。

 まさに、これは大きく推進していただきたい、大きなテーマでございますので、このことを大臣にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

齋藤国務大臣 中央競馬、地方競馬の交流競走については、両者の共存を図るという観点から、平成七年に本格的に導入をされております。

 この交流競走につきましては、日本中央競馬会が交流競走に指定したレース数というのは、開始時の平成七年の六十八レースから平成二十八年には五百三レースまで増加をしておりますが、その一方で、地方競馬所属の馬の出走延べ頭数というのは、平成七年の五十八頭から平成二十八年の九十二頭までに増加をしているんですけれども、レースの数の増加に比べて地方競馬所属の馬の出走延べ頭数の増加の割合というのは低くなっているわけであります。

 このような状況になっていますのは、率直に申し上げて、地方競馬所属の馬が出走してもなかなかよい成績が残せないということにあるんじゃないかなと思っております。

 地方競馬所属の馬の活躍の場を広げるということが、厩務員の皆さんのモチベーションですとか活力を高める、これは委員御指摘のとおりだと思っております。

 したがって、そのためには、中央競馬への参加は重要な機会だというふうに考えておりますものですから、地方競馬活性化事業によりまして、例えば共同での調教施設の整備など、地方競馬所属の強い馬づくりというのを推進して、せっかくの交流競走でありますので、これを活性化していきたいというふうに考えております。

山岡委員 ありがとうございます。

 大臣から非常に前向きなお話もございました。御指摘いただいたとおり、先ほども申し上げましたけれども、やはり現実には実力の差があるというお話もございました。

 そこで、私、この後申し上げようと思ったことを大臣に先にもうおっしゃっていただいて、心から感謝申し上げるんですが、やはり馬主の方にお話を伺いますと、今、地方競馬の馬は競馬場で調教しているという実態もある中で、きちんとした施設を整えていけば、自分は地方競馬の馬であっても中央に通ずる馬をもっともっとつくれると思うなということをおっしゃる馬主の方もいらっしゃいます。

 ですから、枠を広げながら、設備、施設もしっかり整えていただきながら、今、地方競馬のさまざまな、厩務員が厳しい中で活動されているということにもぜひ心を配っていただいて、そしてまた対応を図っていただきたい、その思いでございます。

 そして、今、ジョッキーのことについても御質問をさせていただきたいと思います。

 最近は、地方競馬のジョッキーが実力をつけて、中央競馬のジョッキーのライセンスを取るということもふえてまいりました。ジョッキーの間でも、地方競馬と中央競馬という垣根がどんどんなくなっていっているんだろうということを感じるわけであります。

 一方で、地方競馬で実力をつけた人たちも中央に行き、そして中央の中にもベテランの方がいますと、若い人たち、十八歳で卒業してジョッキーになったとか、そういう人たちの騎乗機会といいますか、そうしたものが非常に少ないという声も上がるようになってまいりました。

 当然、馬に乗せる馬主の方が判断するわけでありますから、手がたいベテランの方を乗せたいという思いが強いわけでありますけれども、若い人たちもきちんと育てて、次代のエースを育てていかなければ、競馬界の未来はやはりないというふうに思うわけであります。

 この若手の皆様の騎乗機会、こういうことについて、また取り組みをどのように行っていくか、このことを農水省の皆様にお伺いしたいと思います。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 日本中央競馬会におきます免許取得七年未満のいわゆる若手騎手の一人当たりの年間平均騎乗回数は、平成二十年の三百二十九・七回から平成二十八年には三百六十四・七回に増加をいたしております。

 これは、中央競馬会におきまして、若手騎手に対する負担重量の軽減の適用期間の延長、これは三年だったのを五年未満にいたしました。また、若手騎手のみが騎乗する競走の編成等を行うことによりまして、若手騎手の、御指摘があったような騎乗機会の確保に努めてきた結果ではあるというふうに承知をしてございます。

 さらに、平成二十九年につきましては、さらに若手騎手の騎乗機会を拡大いたしますために、中央、地方競馬の交流競走におきます若手騎手の負担重量の減量の相互適用、中央、地方の減量適用対象の若手騎手によりますヤングジョッキーズシリーズの実施、若手騎手競走の編成数の拡大ということで二十九年は過去最多の三十四競走等を実施することとしておりまして、引き続き、若手騎手の騎乗機会の確保、育成に努めてまいりたいと存じます。

山岡委員 ありがとうございます。

 若手限定のレースもふやしているんだというお話もございました。やはり見せ場がなければ馬主に認めてもらう機会はないわけであって、こうした取り組みもぜひ推進していただきたいということをお伝えさせていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、これは私にとっては非常に重要なテーマでございまして、地方競馬の意義とか中央競馬との連携についてお話を伺ったり、あるいは厩務員の方のお話も伺ったりしたわけでありますけれども、ぜひこの競馬の考え方として取り入れていただきたいということを、御提言と御質問をさせていただければと思います。

 それは、競馬と馬の生産地の連携を深めていただきたい、この思いなんです。

 例えば、農林水産省の皆様、委員の皆様もさまざまなテーマを扱っておられると思いますが、食ということでいえば、消費者の方が生産地に行ってその農業の体験をしたり、あるいは現場を見たりすることによってより理解が深まって、国産の食べ物を食べようとか、あるいはそうした理解が深まるということは、食料では取り組みが行われているわけです。このことをやはり馬の世界でもやっていただきたい。

 最初に申し上げましたが、全国の繁殖牝馬、つまりお母さんの馬ですね、九七・四%は北海道日高と胆振という地域であります。そして、日高には門別競馬場がございます。ここは周りが本当に生産地であります。牧場も多くあります。こうした中にやはり多くの人に足を運んでいただきたい、そして、競馬場というものがあるんですから、レースをきっかけに足を運んでいただきたい、その思いでございます。

 ここは地方競馬しか行われていないのでありますけれども、例えば地方競馬にも、最近は中央競馬の馬を地方競馬の方に参加してもらったり、あるいは、もちろん特例ということではあるんですけれども、ジョッキーも中央のジョッキーに来ていただいて、それが呼び水となって大きく人が集まるということも、今お話にもございました、そうした事例がございます。このことを生産現場の門別という競馬場において大きく進めていただきたいんです。

 これは海外では本当に非常に当たり前に行われているんですけれども、例えば、生産現場でレースが行われて皆さんが来るのであれば、生産現場ならではの、馬の競りをその場で同時に行うとか、あるいは乗馬体験、あるいはその周りの牧場の観光とか、さまざまな取り組みもできるし、生産者、あるいは馬主、ファンというのが一体のお祭りもイベントもつくることができる。こうした取り組みをぜひ進めていただきたい。

 その思いをお伝えさせていただいて、このことについてぜひお願いしたいんですけれども、最後に大臣の御見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 委員御指摘のように、日高地方は日本最大の馬産地であります。その最大の馬産地に所在する門別競馬場において競馬を施行するということは、生産牧場と一体となった競馬及び馬産地の振興が図られる点でとても意義深いことであろうと思っております。

 このため、このような門別競馬場の特色を生かしまして、入厩して間もない二歳馬を中心とした中央競馬と地方競馬との交流競走などを数多く実施するとともに、競馬ファンに対する生産牧場見学ツアーの開催などを通じまして、日高の馬産地を知ってもらう努力をしているところであります。

 生産牧場や、競りのお話がありましたが、競り市場と密接な関係にある門別競馬場での開催が盛り上がるように、交流競走の拡大ですとかPRですとかに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

山岡委員 ありがとうございます。

 拡大、PRに取り組んでくださるという心強いお話もございました。

 来ていただいた方が体で、あるいは目で、鼻で、本当に五感を感じて馬の文化、世界を知っていただくことが、子供たちや、あるいは御家族も友人の方もそうですし、本当の意味で将来にわたって競馬の理解と安定化、そして馬の生産の発展につながっていくということを私から心よりお伝えさせていただきたいと思いますとともに、きょう御質問させていただきましたことに心から感謝を申し上げさせていただきながら、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 私の地元の福島市には、JRAの福島競馬場が存在しております。東北で唯一のJRA、福島競馬、本当にすばらしい競馬場ですが、いろいろな課題を今まで持ってまいりました。

 特に、東日本大震災原発事故直後、レースは当然ストップいたしました。そして、その影響を受けて、耐震補強をし、放射性物質の除染をし、そして、この競馬場の歴史がストップしてしまうのではないかと多くの方々が危惧しました。当然のことながら、この福島競馬場が存在している福島市は、多くの双葉地方の皆様方、避難されている方々を受け入れた、そういう場でもあります。

 それでも、実は、その次の年の四月の七日に主催のレースが再開したとき、多くの市民が、ある意味希望を感じたというふうに私は思います。まだまだ震災原発事故の影響を多く受けている、そういう時期でありましたが、ファンの方は、まずはレースの再開を本当に喜び、そして勇気をもらったというふうに思いますし、また、福島競馬場が正常に動いているというイメージによって、多くの避難者を受け入れた、今申し上げました福島市民の皆様を初め福島市に集う多くの方々に安心感をある意味与えてくれたのではないかというふうにも思います。

 その後も、今に至るまで、福島競馬場が復興のシンボルのように、復興イベントなどが開催されているという状況でありまして、県内各地から多くの人たちが訪れています。女性も若者も、あるいは家族連れの皆さんも集う場となっている福島競馬場が存在することによって、周辺がにぎわって、そしてまた競馬場関係の雇用も創出し、地域経済の発展にも大きく貢献しているというふうに言えるのではないかと私は思います。

 来年、開設して百周年を迎えます。そういう歴史あるこの福島競馬場があって、そして競馬場を中心とする一つの文化というものもできているのではないかなというふうに思っています。そのようなこの福島競馬場を中心とする町に私も事務所を構え、活動している人間としては、やはりもっともっと多くの方々が、この競馬場を中心として、また観光ともしっかりつないでいって、そういう連携をとりながらおいでいただければありがたいなというふうにも感じているところであります。

 そこで、競馬場周辺の観光との連携、それを通して多くの方々に来場していただくような取り組みについては、ぜひ積極的に応援をしていただきたい、御支援をいただきたいというふうにも思います。

 特に、福島、秋には、秋の福島競馬も十一月に開催されました、ちょうど果物がおいしい時期です。果物がおいしく、そして温泉もある福島市内で本当にいい時間を過ごしていただきたいという思いもあります。また、春になれば、春競馬、この時期は、花見山、とても美しい花々が咲いています。それとまた連携しながら、多くの方々が集える、そういうふるさとにしっかり戻していきたいという思いもあります。

 ぜひ、この支援のあり方について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 福島競馬場が震災直後に多くの方々に勇気と安心感を与えたということについてお話を伺いまして、本当に胸が熱くなるものがございます。

 競馬場への来場者をとにかく増加させていくということは、競馬の売り上げの増加や競馬に対する理解を醸成する上で重要であるだけでなくて、当然のことながら、その地域の振興にも役立っていくと思っております。

 このため、中央競馬におきましては、日本中央競馬会が運営するウエブサイトにおいて、各競馬の開催状況やイベント情報の提供、それから、行政や地域の観光組合あるいは近隣の主要駅等と連携した来客促進のPR等を実施しまして、観光客を含めた多様な顧客の来場を促しているということであります。

 また、地方競馬におきましても、地方競馬全国協会が運営するウエブサイトにおいて、各競馬場の開催状況ですとかイベント情報の提供をいたしております。それから、地元の農畜産物の販売施設の併設ですとか、地元グルメの出店ですとか、家族向けイベントの実施ですとか、そういうものも行っておりますし、地域の観光ツアーの訪問先としての競馬場の活用など、新しい顧客の獲得に向けて、観光との連携も重視して取り組みを行っているところであると思います。

 福島競馬場の場合も、温泉名をつけた特別競走の施行ですとか、施行日に温泉組合のPRを実施するですとか、ローカルフードをお客様に販売する食のイベントをするですとか、そういうことを積極的にやられております。

 各主催者においては、観光との連携というものが重要だ、そして強化をしていこうということになっておりますので、地方競馬につきましては、地方競馬全国協会が実施する畜産振興事業を通じて、これを積極的に支援してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 大臣には福島にもおいでいただいているので、ある意味イメージを持っていただけたのかなというふうにも思いますけれども、全国各地、同じような課題があるというふうにも思います、当然それは共通することですので。

 そしてまた、さらには、やはり単なる公営ギャンブルの場じゃない、もうレジャーの場である、競馬場というのがそういう場になっているというふうに私は思います。

 例えば、勝馬投票券を購入する、しないにかかわらず、お子さん連れで競馬場を訪れるという方々がいらっしゃったり、先ほど話がありましたけれども、UMAJOという言葉がありますけれども、福島競馬場にも女性専用のUMAJOスポットというものがありますが、勝馬投票券を購入するだけじゃなくて、やはり無料ドリンクサービスがあったり、女性だけの特別な限定のサービスが提供されたりということであったり、そしてまた、女性のスタッフによりますコンシェルジュが常駐しているということで、本当に初心者向けでいろいろなサービスも提供してくださっているということで、本当にイメージアップになっているんだろうというふうに思います。

 もう一つ申し上げると、子育て中のお母さんも足を運べるような形で、キッズコーナーというものも設けているということであります。繰り返しになりますが、ギャンブルのイメージではなく、やはりレジャーなんだというふうにも思うんです。

 それはそれとしても、しかし、やはり収益をしっかりと上げていかなければ、ここから地方競馬に交付されるお金の獲得というのができないわけですので、まずその工夫というのはしっかりとやっていかなくてはいけない。

 というわけで、先ほど来、繰り返しになってしまうんですけれども、まずは中央競馬は、これまでもしっかり、売得金をとにかく減少させずに頑張ってきたという経緯もあると思います。平成九年からどんどんどんどん減少を続けてきた。しかし、ピーク時には劣っているかもしれない、現段階では多分七割ぐらいだというふうには思いますけれども、それでも少しずつ売り上げを上げてきているという状況ではあります。

 でも、さらにその売り上げの増加というのを目指していくためにどのような工夫が必要なのか、その御認識をお伺いしたいと思います。大臣、お願いします。

齋藤国務大臣 今、委員御指摘のように、中央競馬の方の売り上げは、平成九年の約四兆円をピークにして、平成十年から十四年連続で減少しておりましたけれども、平成二十四年以降は五年連続で前年を上回る、御指摘のように、大体七割ぐらいまで回復をしてきております。

 また、地方競馬の方の売り上げも、平成三年の約九千九百億円をピークに、平成二十三年にはピーク時の約三分の一の水準まで減少してしまったんですが、平成二十四年度以降は、これもまた五年連続で前年を上回るという売り上げの記録になっております。

 現在の状況とピーク時の状況を比較しますと、ピーク時はバブル全盛期でありまして、競馬ファンの購買意欲も購買単価も非常に高かったということがありますし、当時は中央競馬を中心に競馬ブームが起きていたという状況がありますので、近年とは少し違うんですけれども、近年は、インターネット会員の増加により、ピーク時より総参加人数というものは増加をしてきております。ただ、ピーク時よりは少額購入者がふえているという傾向がございます。また、娯楽が多様化しまして、競馬以外の娯楽への支出がふえてきたという状況の変化もあろうかなというふうに思っております。

 このため、ピーク時の売り上げまで回復をさせるということはなかなか難しいかなというふうに思っておりますけれども、主催者による売り上げ拡大に向けた、先ほど来委員御指摘のようにさまざまな取り組みが行われておりますので、これを御支援させていただくことによって、現在の増加基調を何とか継続していくということを続けていきたいなと思っております。

金子(恵)委員 今回の法案の改正、基本は単純延長ということなんですが、地方競馬全国協会が行う地方競馬の活性化のための業務等に必要な資金を確保するための措置、その延長のための改正ということですので、そもそも地方競馬の振興が地方競馬を持つ自治体にとってとても重要であるということは先ほど来お話があったところでありますけれども、さらに、支援措置をするということ、その支援措置を延長する、この本法案の意義というのを改めてお聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 これまで地方競馬支援策の実施によりまして、地方競馬の売り上げは、先ほど申し上げましたように平成二十三年度を底として回復基調にありまして、平成二十六年度には全ての地方競馬主催者の収支が黒字化するということで、施策の効果が徐々に発現をしてきているとは考えております。

 しかし、平成二十八年度に構成元の地方公共団体に対して収益金を配分するというところまでいっているのは十四主催者中五主催者にとどまっておりまして、地方競馬主催者の経営改善というのは道半ばだなという状況にあると認識しております。

 そういうことでありますので、支援措置の期限を五年間延長するということによりまして、地方競馬活性化の取り組みを引き続き推進して、地方競馬主催者の経営改善を確固たるものにしていく必要があるんだろうということで、今回の法改正に立ち至ったということでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 大臣は、南相馬市を御存じでしょうか。

 南相馬市では、毎年、千年以上の伝統を誇る世界最大級の馬の祭り、相馬野馬追が開催されています。これもやはり相双地区の復興のシンボルだというふうに思っておりますけれども、この野馬追の馬はほとんどが元競走馬だというふうに伺っています。

 実は、この野馬追で七十年もの間ボランティアで馬の救護所で馬を見守って、そして馬に寄り添ってきた、昨年末九十三歳で御逝去された獣医師の鹿山忠先生というとても有名な先生がおいででいらっしゃったんですが、馬専門の獣医師を育てることの重要性というのをいつも語っていらっしゃったのを覚えています。馬専門の獣医師の技術と質の向上、これはしっかりと目指していかなくてはいけないというふうに思っています。

 近年、競馬の国際化が急速に進んでいるところでもありまして、一流馬たちが世界じゅうのレースに参戦するようにもなっている。競馬の国際化によって、日本の獣医師の方々もより一層高いレベルというものが要求されているのではないかというふうに思います。

 よい獣医師の確保、この競馬界でもとても重要な課題だと思いますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 馬の診療につきましては、JRAでは、獣医師職員だけではなくて、地方競馬の組合所属獣医師や民間獣医師も対象として、新人の研修ですとか、病理解剖や感染症診断等の研修ですとか、生産地における臨床実地研修やスポーツドクター養成等の専門研修をJRAの方で実施しております。

 また、地方競馬の方でも、全国公営競馬獣医師会が会員の獣医師等を対象として獣医技術研修等を実施するなど、専門性の高い獣医師の育成が行われているところであります。

 農林水産省としても、獣医療法に基づきまして、獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針の中で、専門性の高い獣医療技術の修得を目的として実施される技術研修や、獣医師の組織する団体等が開催する研修会等への参加等を促進することが重要であるというふうに定めておりますので、これに基づきまして、専門性の高い獣医師の育成に努めてまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 ぜひ、ファンの方々の期待に応えることができるような馬を育てることや、そしてまたそれを支える獣医師の方々をしっかり育てていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 競馬法改正案について質問をします。

 今回延長される二つの措置は、JRAから地方競馬全国協会への支援と、地方競馬全国協会における畜産振興の資金を地方競馬の活性化に使えるという措置であります。

 この措置を定める附則八条一項は、交付金の使途を定めた法二十三条の四十二、この規定の例外を設けるものであります。なぜ、本来は畜産振興業務の勘定から競馬活性化の勘定に繰り入れをしてはならないとされているのか、この理由について御説明をいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 地方競馬全国協会が行います地方競馬の活性化の取り組みに対する補助事業、いわゆる競馬活性化事業でございますが、に必要な経費は、本来、地方競馬主催者から交付されます使途制限のない二号交付金、法律でいきますと競馬法の二十三条一項二号の交付金により行うべきものでございます。

 しかしながら、主催者の経営改善が緊急に必要とされている事情に鑑みまして、これに集中的に取り組むための時限措置として、主催者から交付される、本来、法の目的でございます畜産振興のみに充てるべき法二十三条一項一号、一号交付金の一部を、競馬活性化事業に必要な経費の財源に充てることができるというのがこの法律でございます。

 今回、地方競馬の経営改善が道半ばの状況であることを踏まえまして、この特例措置を延長いたしますが、この措置が一時的に必要なものであるという性格は変わってございませんので、本改正案でも、引き続き特例措置として位置づけているところでございます。

田村(貴)委員 この特別措置が二〇〇四年にとられて、そして今回が三回目の延長となっていくわけであります。

 延長を続けざるを得ないその理由と背景について、また説明をいただけないでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの地方競馬の活性化に向けた取り組みによりまして、地方競馬の競馬主催者の経営状況は、平成二十六年度に全主催者の単年度収支が黒字化いたしましたけれども、平成二十八年度には十四主催者中五主催者が地方公共団体に収益金を配分、五主催者しか配分できていないという意味で、まだ経営改善が道半ばの状況でございます。

 この経営改善を確固たるものとし、地方財政へ寄与するように本改正案を提出しているところでございます。

田村(貴)委員 あわせて、五年の時限措置でありますけれども、その五年後の展望についてはどういうふうにお考えになっておられるんでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の特例措置の延長によりまして、各主催者の経営基盤の強化に向けた取り組みがさらに推進されまして、自立に向けた環境が一段と整うものというふうには考えてございます。

 しかしながら、支援措置の五年後の継続の有無につきましては、各競馬主催者の収益状況やその見通し等から総合的に判断すべき事項というふうに考えてございまして、現時点で一律の基準を示すことはなかなか難しいかなというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 きょうもずっと議論が続いているわけですけれども、北海道を中心とする馬産地からは、非常に経営が厳しいとの声をいただいております。

 北海道庁にお伺いしますと、生産頭数は、二〇〇五年に七千六百八十四頭あったものが、二〇一六年、約十年たって六千七百五十一頭に減る。それから、飼養農家は、この間、一千百四十九戸から七百八十戸に減ってきたということであります。負債を抱えている、借金を負っているという農家のお話も出てまいりました。そうでなくて、借金はしていないんだけれども、借金がない今のうちにやめてしまおうかという離農者もおられるというふうなお話も伺っております。

 こうした厳しい状況について、日高地方を中心とした馬産地の現状について、いま一度御説明をいただけるでしょうか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 軽種馬の生産につきましては、地方競馬主催者の経営悪化に伴います賞金額の引き下げ、景気の低迷による馬主の購買意欲の低下等によりまして競走馬の需要が低迷いたしましたことから、生産戸数、頭数ともに、委員御指摘のとおり減少しているところでございます。

 また、軽種馬生産者の経営状況につきましても、多くの生産者の方が負債を抱えるなど、厳しい状況にあると認識しているところでございます。

田村(貴)委員 大臣にどこかで御答弁いただきたいなと思っておるんですけれども、競馬法の第一条は、もう言わずもがな、自治体財政への寄与、そして畜産振興をうたったものであります。この二つの目的があるからこそ競馬が成り立っているといったところでありますし、こういう議論をするときに、やはりこの一番大事な原則に立ち返ることが私は非常に大事だなというふうに思っています。

 そして、馬産地、生産農家も、そこにやはり畜産を担っている、農業を担っているという誇りを持って生産に携わっておられると思うんです。この重要な点について、大臣の御認識はいかがなものか。

 それともう一つは、この継続措置がないとなかなか大変だということは理解できます。そして、軽種馬の生産、それから馬産地の振興、そうしたところに農林水産省本省が支援を行うという検討はこれまでされてきたのでしょうか。今検討にあるのか、あるいはこれから検討課題となっていくのか。

 馬産地振興、そして馬を生産される農家の窮状に照らしてみて、農林水産省として、大臣としていかがお考えになっておられるか、御所見を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 これまでも御答弁申し上げておりますけれども、中央競馬の方は、法に基づいて、その売り上げの一部を国庫納付を通じた畜産振興への寄与というものを法で目的としております。また、地方競馬は、売り上げの一部の地方競馬全国協会に対する交付金を通じた畜産振興への寄与に加えて、御指摘のように、主催者の地方公共団体に対する収益金の配分を通じて地方財政の改善を図るということを目的としているわけであります。

 ただ、御案内のように、先ほど来申し上げましたように、これまで累次の努力によりましても、十四主催者のうち、まだまだ累積を解消するまではいっていないというところがあるものですから、まずはこれをしっかり立て直していくということが重要なのだなと思っておりますので、今回の法改正によりましてしっかり五年間取り組んでいきたいということに尽きます。

 それから、馬産地の振興につきましても、お話を申し上げているように、競馬そのものがしっかりとファンをつかまえて振興されていかなければ馬産地の生産も成り立たないということになっていきますので、現在の仕組みを通じて、馬産地の振興にもしっかり取り組んでいきたいと考えております。

田村(貴)委員 競走馬生産振興業務は、種牡馬の導入事業など、重要な役割を果たしています。

 JRAから競走馬生産振興への資金が、この時限措置五年間、五年後にもしなくなるということになりましたら、こうした業務というのはどうなっていくのか。やはり影響は及ぶのではないかなと思うんですけれども、五年後、この競走馬生産振興への資金が途絶えることによってどういう状況になっていくかということについて、見通しをお聞かせいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 地方競馬全国協会が実施をいたします競走馬生産振興業務につきましては、地方競馬の不振に起因いたします競走馬の需要減少等の問題に対処するために、地方競馬が活性化するまでの間の時限措置として、日本中央競馬会からの資金融通措置が講じられているところでございます。

 今後の五年間におきまして、地方競馬発の有力馬を育成、活用するための施設整備ですとか人材の育成、中央競馬、地方競馬間での勝馬投票券の相互発売の促進、共同広報の実施、オッズですとか馬体重等の情報表示システムの統合整備等の事業を支援することによりまして、地方競馬主催者が支援措置に頼らない自立的な経営が行える状況になるように後押ししていくことが必要というふうに考えてございます。

 このことによりまして、各地方競馬主催者の売り上げを回復させまして、日本中央競馬会からの支援に頼る必要がないような経営構造が確立できるように努めてまいりたいと存じます。

田村(貴)委員 自治体財政への寄与についても質問したいと思います。

 十四ある地方競馬において、全場が黒字だというふうに伺っております。しかし、老朽化対策、それから地震対策、またファンが飽きない施設づくりには資金が必要であります。大きな借入金があるところもあります。

 今、自治体への収益配分ができている五つの主催者以外にも、今後配分が可能になるという見通しは、現在どういう状況にあるか、説明をいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度の決算でございますけれども、全ての主催者、単年度収支黒字ではございますが、御指摘ございましたとおり、構成元の地方公共団体に対する収益配分ができているのは五主催者だけでございます。

 この理由でございますけれども、一つは、累積赤字を抱えている主催者にありましては、借入金の返済を優先していること、二つ目としては、老朽化施設の改修等が必要な主催者にあっては、この施設改修に必要な財源確保のために積み立てに充てているということがその理由というふうに考えてございます。

 各主催者によっていろいろ差はございますけれども、基本的に、収益配分につきましては各地方競馬主催者の議会において決定されるものということではございますが、借入金の返済ですとか施設改修への財政確保を優先している場合でありましても、中長期的な返済計画や施設整備計画を策定いたしまして、収益からこれらに必要な額を差し引いた一定額を上回った額を分配金として配分することも可能であるというふうに考えておりまして、農林省としても、分配金の配分に向けました地方競馬の取り組みを支援してまいりたいと存じます。

田村(貴)委員 関連してお尋ねしますけれども、今、借入金の返済という話がありました。自治体と地方競馬の主催者との間には、お金の貸し借りの関係はあります。

 そのほかに、自治体が競馬場の主催者に対して直接の補助金とか交付金、このお金を持ち出しているというような例は、今、十四場あるところで、実際存在しているのでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 借入金は、自治体から借り入れてございますので、その返済に充てているということでございます。

 あと、公的支援の関係でございますけれども、軽種馬の生産というのは、競走馬を活用するということでございますので、この競走馬の生産の対策を国費で賄うということについては、なかなか納税者、国民の理解を得ることは難しいというふうに考えてございます。

 そういう意味から、自治体また国から直接公的な支援というものはしてございません。

田村(貴)委員 確認しました。

 ちょっと通告はしていないんですけれども、農水省から資料をいただいた、これについて教えていただきたいんです。

 地方競馬の一人一日当たり購買単価、これを見せていただきますと、全体として年々下がっています。本場における発売、それから場外発売所ともにです。

 その中で、電話、それからインターネット投票は年々上がっています。インターネット投票、平成十九年度一人当たり九万三千円、平成二十八年度は十万五千円。

 競馬場で買う人以外に、ネットでは一人当たりの購入金額がふえている、この傾向をどのようにごらんになっておられるか、これも教えていただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃられましたとおり、昔に比べると、一人当たりの購入金額、特に場内で購入する金額は減ってございまして、これは地方競馬も中央競馬も同様の状況でございます。

 あと、ネットの方は、ネットの拡大、人数もそうですし、ネットによって買う金額というのが上がってございますけれども、基本的には競馬場に行くことからネットの方で楽しむというふうにシフトしている中で、ネットの方が拡大に伴って単価もふえている、本場の方は行ったとしても単価は減ってきているという形になっているんじゃないかというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 わかりました。

 馬産地においては、農地の流動化とかまた規模拡大がなかなか難しく、そして、今後生産頭数の減少も見込まれるというような状況にあります。

 競馬法の一番の目的である地方財政への寄与、そして畜産の振興、こうしたところを農林水産省としてもしっかりと知恵も出して、そして支援をしていただく、このことも要望して、私の質問を終わります。

伊東委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田でございます。

 先ほど大臣の方から、売り上げがバブルのときには一番高かったと。そういう意味では、バブルというのは大変な、大きな影響であるということは間違いないとは思うんですけれども、それ以外に、バブル期において大変人気を博した競走馬もございました。

 地方競馬といえば、私としては、思い起こすのはやはりオグリキャップでございます。岐阜にあります笠松競馬場から、十二戦しまして十勝、残りの二つも二着という大変な成績を残して、中央競馬場へと進出していったわけでございます。

 最終的には重賞レース十二勝という輝かしい成績を残したわけでございますが、最後のころは、天皇賞やジャパンカップで惨敗をして、もうオグリキャップは時代が終わった、もうこれで引退をしてほしい、そういうような声が多数寄せられた中で、一九九〇年の十二月二十三日、有馬記念を迎えるわけでございます。ファンは皆、とにかくけがをしないで一周してくれればいい、そんな思いで見ていたわけでございますけれども、見事優勝した。これは大変、今でも感動を呼び起こす話でございました。

 このころ、女性もたくさん競馬に興味を示しました。そして、オグリキャップも芦毛という大変美しい灰色の馬でございました。そんなこともありまして、それまでは競馬に距離を置いた方々も多数競馬に興味を持ち、そして参加をしていったのではないかと思います。

 そこで、やはりこういう地方競馬からスター競走馬、このようなことを生み出す何らかの施策を行っているのか、お聞きしたいと思います。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 地方競馬所属馬のレベルアップということは、魅力あるレースの提供、そしてファンの拡大に必要な、重要な課題であるというふうに認識をしております。

 競馬ブーム、第一次ブームは一九七〇年代であるということでありまして、ハイセイコー、これが大井競馬所属でありまして、第二次競馬ブームの火つけ役、恐らく先生もファンでいらっしゃると思うんですが、オグリキャップ、一九九〇年代に笠松競馬から、地方競馬から出走しまして、後に中央競馬に移籍して、非常に高価な、優良な良血馬を相手に優秀な成績をおさめて、当時、ファンのみならず国民に多くの感動を与えたというふうに伺っております。

 しかしながら、現状、中央競馬と地方競馬においては非常にレベルの差が歴然としておりまして、今後、地方競馬全国協会が行う地方競馬活性化事業等を活用いたしまして、調教効果を上げるための調教施設の整備、また、強い馬を選抜していくため、中央競馬と同様な系統立った競走体系の整備など、地方競馬所属の有力馬の育成に向けた対策を行っていく必要があると考えております。

串田委員 力の差があるというようなことも、確かにそうかとは思いますけれども、必ず輝く原石がある、そういうふうに信じて地方競馬を応援していただきたいな、そんなふうに思います。

 地方競馬から中央競馬への進出の要件など、先ほどちょっとお答えもありましたので、次のインターネットの件についてお話をお聞きしたいと思います。

 確かに、インターネットというのは非常に馬券を買いやすいということもありますけれども、一方では、画面を見ながら競走馬を見るということであれば、これは地方が必要なのかどうかというようなこともあります。インターネットが活性化するということで、地方の競馬場に足が遠のいてしまうというのであれば、これは全く逆の効果になってしまうと思います。

 したがいまして、地元の活性化、そのためには、ギャンブルということではなくて、先ほど金子先生がレジャーと言いましたが、私は、さらに一歩進めて、地方競馬というのは文化であるというような意味合いで、国家を挙げて応援をしていただきたいと思いますが、地元活性化についてどのような施策があるか、お尋ねしたいと思います。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 競馬場へ直接来場していただき、興趣あふれるレースを直接ファンの方にごらんいただきますことは、競馬に対する理解を醸成する上では重要なことだと考えておりますし、また、地域の活性化につながるもの、こういうふうに考えているところでございます。

 このため、中央競馬におきましては、初心者を対象としたビギナーズセミナー、あるいは女性の方々を対象といたしましたUMAJOスポットといったような、多様な競馬ファンに対応したサービスの展開、また、競馬場内にお子様向けの遊具ですとかベビー、チャイルドルームの設置、体験乗馬、キャラクターショーなど家族向けのイベント等を実施して来場を促しているところでございます。

 また、地方競馬におきましては、地方競馬全国協会が運営するウエブサイトにおきまして、各競馬場の開催状況あるいはイベント情報の提供、各競馬主催者による地元の農畜産物の販売施設の併設、地元グルメの出店や家族向けイベントを実施し、来場を促していただいているところです。

 今後とも、競馬場に直接来場していただき、地域ぐるみで活性化していく、これらの取り組みを各主催者の方々が強化するよう促してまいりたいと考えております。

串田委員 今、地元のいろいろな支援というようなお話を伺いましたが、それ以外にも国からの支援をぜひとももう少ししていただきたいと思います。

 先ほどのオグリキャップの笠松競馬場も、第三者の所有地を賃借しているなどして、存続について本当に危機が何度も訪れたわけでございますが、地元の競馬場の努力でもって持ちこたえているというのが現状でございます。

 税金を使うということであれば国民の理解というのはなかなか難しいかとは思いますが、国庫納付金、今一〇%というふうにお聞きしておりますけれども、九%にしていただいて、一%を地方競馬場の育成へ、このように利用するというようなことも考えていただくというようなことはあり得ないのかどうか、お聞きしたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました日本中央競馬会の国庫納付金でございますけれども、法律上、畜産振興事業等に必要な経費及び社会福祉事業の振興のために必要な経費に充てなければならないということとされておりまして、その売上金の一部を直接地方競馬の支援に充てることはできないということになってございます。

 このような中で、地方競馬主催者の経営改善が緊急に必要とされている事情に鑑みまして、時限措置として、地方競馬全国協会が行います競馬活性化事業に対する中央競馬会からの資金交付等を可能にするための法律改正をお願いしているところでございまして、御理解賜りたいと存じます。

串田委員 できないということで、御理解といってもなかなか理解はできないところではございますけれども、何とか地方競馬を守り立てていただきたいとお願いをいたしまして、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、競馬法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木憲和君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、公明党、無所属の会及び日本維新の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。亀井亜紀子君。

亀井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    競馬法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  地方競馬は、長期にわたる売上額の減少により厳しい経営状況が続いていたが、主催者が、地方競馬活性化事業等による活性化に取り組んだ結果、近年、全主催者の単年度収支が黒字化するなど経営改善がみられる状況となった。しかしながら、収益金を構成元の地方公共団体へ配分することができている主催者は、十四主催者中五主催者にとどまっており、経営改善は道半ばの状況にある。また、競走馬生産は縮小傾向にあり、地方競馬の活性化に必要な質の高い競走馬の供給を確保するため、その生産振興を図る必要がある。

  こうした状況を踏まえ、地方競馬がこれまで畜産振興や地域経済等に重要な役割を果たしてきたことに鑑み、更なる経営改善により地方競馬の振興を図る必要がある。

  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 地方競馬全国協会の行う業務に必要な資金の確保措置の五年間の延長を受け、計画的に地方競馬活性化事業及び競走馬生産振興事業を実施することにより地方競馬の経営状況を更に改善し、地方競馬が畜産の振興及び地方財政の改善に一層貢献できるよう指導すること。

   また、強い競走馬づくりを推進し、馬産地の振興を図るため、地方発の有力馬を育成・活用する施設整備、人材育成への支援が行われるよう指導すること。

 二 競馬の売上げの一部が畜産の振興、社会福祉事業の振興及び地方財政の改善に貢献していることにつき、国民一般の理解が一層深まるよう努めること。

 三 競馬場の入場者数の増加は、競馬関連の雇用を創出するなど地域経済へ寄与することが見込まれるため、家族連れで入場しやすい親しみのある競馬場づくり、ファンサービスの向上、競馬場周辺の観光との連携等来場促進の取組がなされるよう指導すること。

 四 本法に基づく資金確保措置による経営改善の効果を常に分析・検証し、その結果を公開するとともに、これに基づき、地方競馬の振興の在り方について必要な措置の検討を進めること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

伊東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣齋藤健君。

齋藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

伊東委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十分散会


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