衆議院

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第2号 平成30年3月15日(木曜日)

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平成三十年三月十五日(木曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐藤 英道君

      池田 道孝君    稲田 朋美君

      上杉謙太郎君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    神田  裕君

      木村 次郎君    岸  信夫君

      小寺 裕雄君    斎藤 洋明君

      谷川 弥一君    西田 昭二君

      野中  厚君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      細田 健一君    宮路 拓馬君

      江田 康幸君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官)  塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          大杉 武博君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            荒川  隆君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沖  修司君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     神田  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     泉田 裕彦君

    ―――――――――――――

三月十二日

 農業者戸別所得補償制度の復活に関する請願(大串博志君紹介)(第三五九号)

 同(大河原雅子君紹介)(第三七七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊東委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、大臣官房危機管理・政策評価審議官塩川白良君、大臣官房統計部長大杉武博君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長荒川隆君、政策統括官柄澤彰君、林野庁長官沖修司君、水産庁長官長谷成人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲田朋美君。

稲田委員 おはようございます。自由民主党の稲田朋美です。

 本日は、理事、そして同僚の御配慮により、豪雪の被害について質問をする機会を与えていただいたことに感謝申し上げます。

 今回の北陸地方を覆いました豪雪によって、大変大きな被害をこうむりました。特に福井県、三十七年ぶりの豪雪ということで、農業用ハウスが千棟以上倒壊をする、さらに、農作物が出荷できなかったことによって、被害額は総額で十一億円にも上るというふうに言われております。

 私も、大雪の直後にJA花咲ふくい管内の農業用ハウスを視察いたしましたが、北陸の雪は大変重くて、屋根に積もった雪が屋根を押し潰す、また、屋根から落ちた雪が両隣のハウスを押し潰す、そして、中の作物を守るためにビニールの屋根をみずから切っているという非常に悲惨な状況を見まして、本当に、農業用ハウスのその様子を見て、私の心が潰れるような思いもいたしました。

 また、水稲育苗に使用するハウスも三割倒壊をして、水稲の生産組織などでは育苗を断念せざるを得ない状況にもあります。

 こういった農業用ハウスの被害、福井県、北陸に限ることではなくて、先日、北海道の中川郁子前衆議院議員が豪雪による被害について陳情に来られまして、北海道でも、農業用ハウス、また畜産など、大きな被害が出ているということでございます。

 そこで、国の支援策についてですけれども、平成二十五年度の関東地方を中心とした豪雪の際、国は補正予算で、ハウスの再建、修繕に対する支援、そしてハウスの撤去に対する全額支援など、手厚い対応をしていただいたところです。今回も二十五年に負けない支援をお願いしたいと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

齋藤国務大臣 二月四日からの大雪によりまして、北海道や北陸地方などを中心に、現時点で四千棟近い農業用ハウスに損壊等の被害が発生をしておりますが、雪解けが進む中、おおむね被害の全容が見えてきたかなと考えております。

 被災された農業者の皆様には、改めて心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 農業用ハウスなどの被害につきましては、まずは、農業共済の迅速な損害評価と早期の共済金の支払い、それから、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金等の長期、低利の融資で対応をさせていただいているところであります。

 農業融資については、二月八日に、被災農業者に対する資金の円滑な融通について関係機関等に要請する通知を発出いたしました。

 また、御指摘の水稲の育苗につきましても、育苗施設の被害により地域の育苗施設のみでは苗の確保に支障を来すことが予想されるような場合には、近隣の共同育苗施設等からの供給を求めることができるよう、協力体制を確保するよう通知を発出したところでございます。

 農業の成長産業化を目指す中で、今回の雪の害によりまして離農が行われるということは何としても避けていきたいと考えておりまして、総合的な支援策を速やかに取りまとめたいと考えております。

稲田委員 今、大臣からおっしゃっていただいたように、今回被害に遭っている我が県の地域の農業用ハウスは、専業農家、さらには新規就農者が多くおります。そういった中で、再建の意欲が失われないように、今、総合的な支援策を取りまとめていただけるということですので、ぜひ手厚い、そしてまた農業者の目線に立った支援をお願いしたいと思います。

 また、福井県は水田地帯で、米中心の営農で、さらにはずっと国の施策そして生産調整にもしっかりと取り組んできた県です。正直者がばかを見ない農業政策をお願いしたいといつも申し上げていたところですけれども、園芸作物等の部門拡大で経営発展させていくため、水田のフル活用を積極的に進めております。園芸用のハウスを整備し、水稲育苗後の野菜づくり、ミディトマト、ホウレンソウなどの野菜を栽培して、経営の安定に努めております。

 こんなような中で、今回の豪雪により、ミディトマト、軟弱野菜等のハウスが多く倒壊をして、特に、三月に定植し六月から八月に収穫するミディトマトなどは壊滅的な被害を受けております。このままでは、春先からの再建はもとより、資材の撤去、これもままならず、一年以上野菜また果樹がつくれない状況が続くことによって、北陸地域で進めている水田園芸の定着による水田農業経営体の育成に、大きなダメージを受けることにもなりかねません。

 そういった点を考えていただいて、被災農家の再建意欲が高まるような手厚い支援をお願いしたいと思っておりますけれども、再建のみならず撤去の支援、そして、その資金だけではなくて早期の再建のための人材そして資材の投入への支援をいただかないと、今のままではいつ再建できるかわからないという状況にございますので、その点についてお伺いをいたします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 農業用ハウスの撤去につきまして、まずは私の方からお答えいたします。

 これにつきましては、まずは園芸施設共済で二十七年二月から対象にしておりますので、この加入者の方々については、その迅速な損害評価、それから早期の共済金の支払いに努めてまいりたいというふうに考えております。

 撤去につきましては、さらなる支援要望があることも承知しております。今回の大雪による被害状況を踏まえまして、先ほど大臣の御発言にありました総合的な支援策の検討の中で、できるだけそういうことも踏まえて、早期に決定できるように努力してまいりたいというふうに考えてございます。

稲田委員 福井県、共済に入っているパーセンテージは五二%以上なんですけれども、しかし、今回被害を大きく受けた地域は、ふだんですと余り大雪の降らない地域でもあり、また新規就農者も多くて、共済に入っている割合は三〇%を下回っております。ぜひ共済に入るように勧めていきたいというふうに思いますし、その点の国の支援もお願いをしたいと思います。

 今回の豪雪は、営農を開始する直前の被災で、春作のメロン、スイカ、ミディトマト、非常に大きな被害を受けております。そこで、国の支援を待っていることができない、壊れたハウスの撤去を自力で始める農家も出てきております。また、相談窓口には、ハウスの撤去についての支援措置の有無、撤去物の保管、処分について多く問合せが寄せられております。

 国の支援策、もうまとめるとおっしゃっていただいているので、すぐにまとめていただけるものだと思っておりますが、県、市町、JAで国に先行して対応せざるを得ない場合もありますけれども、そういった場合に、県等の事業を利用した事前着手に対して後づけで対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 被災された農業者の方が事前着手した取組につきましては、過去の災害対策におきまして、被害状況がわかる写真などの保管を前提に支援対象としたこともございます。

 こうした経緯も参考にしつつ、総合的な支援策の中で検討してまいりたいというふうに考えてございます。

稲田委員 北陸地域では、力強い経営体の育成に力を入れております。強い農業づくり交付金、産地パワーアップ事業などの交付金を活用して、園芸経営の安定化と規模拡大を進めております。

 今回の豪雪というピンチをチャンスと考えて、被災した農業者が経営規模を以前より拡大して園芸経営を行おうとする、意欲ある若手農業者等に対して特別の優先的な支援をすべきだと思いますが、いかがでございましょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 今回の災害につきましては、特に新規就農者の方の農業用ハウスについて痛ましい損壊等の被害が生じているという数多くの報告を受けておりますので、農林水産省といたしましては、特に新規就農者の方々が営農意欲を失わないで一日も早く経営再開できる、こういうところを重点といたしまして、被害状況を見ながら、総合的な対策の検討の中で検討してまいりたいと考えております。

稲田委員 十九日に谷合副大臣が福井県に視察に来ていただくというふうに聞いております。それまでに力強い支援策をまとめていただきますようにお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、小寺裕雄君。

小寺委員 おはようございます。

 滋賀県第四選挙区で初当選をさせていただきました小寺裕雄でございます。

 本日は、こうして農林水産委員会で初めて質問をさせていただく機会をいただき、本当にありがとうございます。

 本日、私は、環境保全型農業直接支払交付金制度について、滋賀県でこの環境保全型農業に取り組まれている農家の皆さんの声を代弁する思いで質問をさせていただきます。

 実は、この環境保全型農業直接支払交付金制度は、滋賀県が始めた独自の制度に由来するものであります。

 滋賀県は、中央に琵琶湖を有することから、水質保全に関する環境意識がとても高く、琵琶湖の水をきれいにするために、官民合わせてさまざまな取組が行われてきたところです。

 農業分野においては、平成十三年に、化学肥料や農薬の使用量を通常の五〇%以下に抑えることに加えて、代かきや田植の時期にできるだけ農業濁水を流さずに、琵琶湖への環境負荷を低減する技術で生産された農産物を環境こだわり農産物と認証する制度が始まりました。しかしながら、当時、こうした農産物が期待されたほど高価格で消費者に受け入れられることは、残念ながらありませんでした。

 そこで、滋賀県では、制度の実効性を高めるために、平成十五年三月に環境こだわり農業推進条例を制定し、全国で初めて環境農業直接支払制度に取り組み始めました。具体的には、水稲の場合ですと、県と協定を締結した農業者には十アール当たり五千円が交付されるとともに、環境こだわり農産物の認証マークをつけて販売することが認められるというものでありました。以来、当初は水稲で五百ヘクタールにも満たなかった取組が、条例制定の翌年十六年には二千ヘクタールを超えるまでに広がりを見せました。

 さらには、平成十七年三月に取りまとめられた食料・農業・農村基本計画では、十九年度から農業環境直接支払制度を導入する意向が示され、以来、環境負荷低減の先進的取組への支援策として、国の事業として取り上げていただき、今日まで継続されてきたところです。

 そして、平成二十五年には、農林水産業・地域の活力創造プランを踏まえ、農業、農村の有する多面的機能の維持、発揮を図るために、日本型直接支払いの取組を法律に位置づけることとなり、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律に基づいて、多面的機能支払いや中山間地域等直接支払いとともに、環境保全型農業直接支払いという形で、平成三十年度予算でも約二十四億五千万円の予算が計上をされているところであります。

 おかげさまで、現在、滋賀県では、主食用水稲作付面積では、半分近くの面積、約一万三千五百ヘクタールで環境こだわり農業に取り組んでいただいており、全国一の面積となっております。また、麦、大豆や野菜、果樹を含めますと、一万五千五百ヘクタールを超えるところまで広がりました。

 ところが、全国的に環境保全型農業への取組が予想以上に拡大したことから、二十八年度、二十九年度と二年連続で予算額が不足する事態となり、農業現場では大変混乱が起きました。滋賀県でも、二十八年度は約四千七百万円を、二十九年度には約六千七百万円を県の一般会計から補填し、農家の皆さんとの約束を何とか守ることができました。

 こうした事態を受けて、近畿ブロック知事会からも、二十八年度は交付単価が減額調整をされ、第二取組についてはほとんど交付されなかったこと、また、二十九年度は第一取組の単価までもが減額調整される事態になったことを受けまして、安定的な制度運営と十分な予算確保を求めて、「環境保全型農業直接支払交付金の安定した制度運営について」という項目で、昨年の十二月に要望書が提出をされたところであります。

 平成二十九年度の予算額と比較いたしますと約五千万円の増額をしていただいたことは、環境保全型農業に対する認識とこの交付金の重要性については十分にお考えをいただいているものと理解をいたしますが、この二年間の状況を振り返りますと、農家の皆さんからは、本当にことしは大丈夫なのかといった不安な気持ちを抱えておられることもまた事実なのであります。

 そこで、まず、平成三十年度の予算として十分な金額を確保できたというふうにお考えでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。

 また、あわせて、来年のことを言えば鬼が笑うかもしれませんが、三十一年度以降も各地からの要望量に見合うだけの予算額が必要であるというふうに考えるところでありますが、今後の見通しについてお尋ねをいたします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 環境保全型農業直接支払交付金でございますけれども、農業者が、化学肥料また化学合成農薬を低減する取組とあわせて行います、地球温暖化の防止ですとか生物多様性の保全に効果の高い営農活動に対して支援を行っているところでございます。

 御指摘いただきましたとおり、平成二十八年度に、本交付金、発足して初めて全国の申請額の合計が予算額を上回る状況となりました。その際、この申請額の全国合計が予算額を上回った場合には交付額が減額される仕組みであるということが農業者の方々に広く伝わっておらず、現場の皆様に非常に御迷惑をおかけいたしました。

 この反省を踏まえまして、平成二十九年度以降におきましては、同様の混乱が再び生じないように、早い段階から、地方農政局や都道府県、市町村を通じまして、農業者の皆様にこの仕組みが徹底するように、きめ細やかな情報提供に努めているところでございます。

 平成三十年度の当初予算でございますが、平成二十九年度を上回る二十三億六千万円を計上しているところでございまして、予算の範囲内で効果的、効率的に事業を実施してまいりたいと存じます。

 また、平成三十年度の事業実施に当たりましては、各都道府県から、予算を成立いただきますれば、要望状況を把握することになりますけれども、配分ルールですとか試算額を事前に示すなど、都道府県に対しまして丁寧な説明と調整を行いながら、現場での混乱が生じないように努めてまいりたいというふうに存じます。

 平成三十一年度以降につきましても、本交付金を持続的かつ安定的に運営していくために、必要な予算の確保に努めてまいりたいと存じます。

小寺委員 ありがとうございます。

 広報が不十分だったと言われてしまうと非常につらいものがあるんですけれども、やはり取組がそれだけ広がってきたということは、それだけ価値のある事業というふうにそれぞれが捉えておりますので、ぜひ三十一年以降もこの予算獲得、我々も頑張りますけれども、獲得、拡大に向けてよろしくお願いをしたいと思います。

 ところで、全国で取組が進んでいるこの環境保全型農業でありますけれども、平成三十年度の支払制度の概要では、国際水準GAPに取り組むことが要件となる旨が書き込まれてあります。滋賀県の農家の皆さんからは、GAPなんてできるのかとか、輸出もしないのに何でGAPを取らなきゃならないんだといった不安と不満の声をいただいております。

 なぜ国際水準GAPに取り組まなければならないんでしょうか、その狙いについてお尋ねをいたします。

 また、今申し上げましたような農家の皆さんから聞こえてくる不安と不満の声に対して、三十年度から始めようとされる具体的な取組内容はどのようなものなのか、お尋ねをいたします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 GAPの実施でございますけれども、食品の安全、環境保全、労働安全、人権保護などの取組を通じまして、農業経営の幅広い持続性を確保するものでございます。

 環境保全型農業直接支払交付金を受ける農業者におかれましては、環境保全に資する取組を既に実施しており、GAPの取組と親和性が高いこと、さらに、GAPの取組を実践いただくことで、環境保全のみならず食品安全、労働安全などより持続的な農業経営を実践できることとの考えのもと、国際水準GAPの実施を要件化しているものでございます。

 ただ、今回要件化いたしましたGAPの実施でございますが、これは、農業者の方々が、GAPの知見を有します普及指導員ですとか営農指導員の方々から研修や指導を受けた上で、GAPの考え方に沿って経営改善に取り組み、みずから確認するということを要件化しているものでございまして、御不安があるような民間のGAP認証の取得を求めるものではございません。

 この点につきましては、農業者の皆様方に丁寧に説明してまいりたいと存じます。

小寺委員 ありがとうございます。

 自治体にはおりているというふうには伺っていますけれども、まだまだ農家のところまでしっかり届いていなくて、不安の声が大きいというふうに伺っておりますので、ぜひ早くその不安を取り除けるように広報に努めていただきたいと要望をしておきます。

 この支援対象ですけれども、従来の化学肥料、化学合成農薬を原則五割以上低減する取組とあわせて、地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動を優先していこうというふうにされております。

 なぜこの二点について優先していこうというふうにされているのか、その狙いについてお尋ねをいたします。

 また、三十一年度からは制度の見直しが進められるものと仄聞をしているところですが、現場では、どうやら予算が足りないようだから全体的にそれぞれの単価を引き下げて、地域特認取組を廃止しようとしてしまうのではないかといったような不安の声が聞こえています。

 そこで、三十一年度から進めようとされている制度見直しについて、どのような経緯から今日に至っているのか、そして、その見直しの方向性についてもあわせてお尋ねをいたします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 本交付金は平成二十三年度に創設されたものでございますけれども、その前身となります農地・水・環境保全向上対策の支援対象は、今御指摘いただきましたとおり、化学肥料や化学合成農薬を低減する取組でございました。これは一定の普及、定着が図られたということでございます。

 その上で、京都議定書のCO2削減目標の達成ですとか生物多様性国家戦略への対応など国際的な課題への積極的な貢献が求められているということ等から、地球温暖化防止と生物多様性保全にプラスの効果を発揮する特定の営農活動に対して支援を行うということに平成二十三年度からされたところでございます。

 なお、この環境のプラス効果を十分に発現させるためには、環境負荷低減の取組もあわせて行う必要がございますので、本交付金では、化学肥料、化学合成農薬を原則五割以上低減することを支援の前提として位置づけているところでございます。

 また、今後の見直しの経緯でございますけれども、この交付金は、昨年の六月に実施をされました行政事業レビュー公開プロセスにおきまして、支援取組ごとの成果に応じた予算配分にすべきですとか、地域特認取組は環境保全に効果があるのかなどといった御指摘をいただいているところでございます。

 また、農業者に事業内容も浸透、定着してきており、取組が年々拡大している状況にございますので、限られた予算の中で最大限の効果を発揮させるために、面積の拡大を図りながら、取組全体の質を向上させて、これまで以上に持続的で環境保全効果の高い取組としていくことが課題となっているところでございます。

 このため、平成三十年度の予算におきましては、有機農業の推進に関する基本的な方針、地球温暖化対策計画等で設定いたしました政府目標の達成に向けまして、有機農業等全国共通取組への優先配分、また、面積の拡大が進むように、同一圃場における複数取組への支援の廃止などの見直しを行うこととしてございます。

 また、平成三十一年度以降でございますが、現在支援対象としている取組につきまして、都道府県の御協力のもと、環境保全効果を把握するための調査を実施し、第三者委員会で御議論をいただいているところでございまして、この評価結果も踏まえて検討してまいりたいと考えてございます。

小寺委員 最後に、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

 この滋賀県、冒頭申し上げましたように、琵琶湖の水質保全に対する環境意識が高いというところから、この実践においても、琵琶湖の水を汚さないということが現在でも最大の取組の目的というふうになっております。

 そうしたことから、ただいまいろいろ質疑をさせていただいた中で、そうした、いわゆる生物多様性と地球温暖化防止の二点をもって進められていきますと、滋賀県が独自にこの琵琶湖の水を守るために取り組んできた取組が、地域特認ということで外されてしまうといった危険性、外されるというか、予算が配分されないのではないかといった懸念を滋賀県では持っているところであります。

 こうした取組が、まさに、滋賀県の立場を申し上げますと、三十年度から進めようとしている、いわゆる七千五百円がなくなって、自主的な生産に取り組もうということとあわせまして、滋賀県は非常に水田率が高く、兼業農家率が高く、あるいは集落営農を基盤として専門的に農業に取り組んでいる方が少ない地域でありますので、地域でどうやって農業を守っていこうかといったときに、つまり、この環境保全型農業の交付金と七千五百円が残ることが、それはもちろん米の単価が上がっているので十分に計算はできるとはいうものの、そうした不安の声が非常に多いというのが滋賀県の実態でございます。

 そこで、こうした今まで申し上げてきたような滋賀県の立場を御理解いただいて、琵琶湖への環境負荷削減効果が高い地域特認取組を何とか支援対象として継続していただきたいと考えますが、齋藤大臣の御所見をお尋ねいたします。

齋藤国務大臣 まず、この環境保全型農業直接支払交付金、この制度を創設するときは、私、自民党の農林部会長でありまして、そこにいる坂本先生始め、大変苦労してこの制度を創設いたしました。加えて、私はかつて自民党の環境部会長、それから環境大臣政務官を務めておりましたので、この制度につきましては、人並み以上に思い入れのある制度でございます。そういう意味では、今、小寺委員からこの制度の現場の声を聞かせていただいたということは大変ありがたいと思っております。

 滋賀県におけるこの交付金の取組面積というのは、平成二十八年度に一万七千二百四ヘクタールと全国一位でありまして、琵琶湖への環境負荷を軽減するという観点も含めて、環境保全型農業に熱心に取り組んでいただいているということは十分承知しているつもりであります。

 今後とも、環境保全効果の高い営農活動の定着、拡大を図って、より持続性の高い農業生産を実現するためには、有機農業等全国的に取り組むべき全国共通取組と、地域の実態等を踏まえ、都道府県の申請に基づく地域特認取組という現在の枠組みを維持した上で、より環境保全効果の高い取組に支援の重点化を図り、取組全体の質を向上させていくということを今私ども考えているわけであります。

 御指摘の滋賀県が実施している地域特認取組も含めまして、今局長から御答弁させていただいたように、このそれぞれの取組の環境保全効果について第三者委員会で御評価をまずいただいて、その結果を踏まえて対応を検討していきたいと考えております。

小寺委員 言いたいことは山ほどありましたが、時間が来ましたので終わります。

伊東委員長 次に、金子俊平君。

金子(俊)委員 自由民主党の金子俊平でございます。

 身長が高過ぎて、マイクが少し低く感じられますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。また、今回、質問の機会を賜りまして、理事の皆様方を始め、本当にありがとうございます。

 私の選挙区は岐阜第四選挙区、全国でも四番目、本州でも二番目に大きい選挙区、言いかえれば、それだけほとんどが中山間地、そういった地域でございます。

 国の政策自体は、以前よりも我々中山間地に非常に間口を広げていただいている、ありがたいなという反面、一方で、まだまだ不安感というものは抱えているんだなというふうに思います。

 その要因としては、国際競争力の向上、強い農業づくり、担い手への土地集積とかとか、非常にポジティブな政策を推し進めていただいておりますけれども、一方で、いかにして農業を守っていくのか、また、どうやって農村を次世代につなげていくのか、そういった局面にある我々の地域にとってみれば、素直にそれに乗れないのが現状なんだろうなというふうに思います。

 我々の地域から見れば、政策の本流というのは土地利用型であります。もっと言えば、稲作は平たん地域、畜産は九州もしくは北海道を見た政策なのかなという感が非常に強いというふうに思っております。

 一例を挙げれば、私のふるさと、岐阜県飛騨地域の水田の一筆の平均は約七アールでございまして、集積で担い手が強化されるというよりは、むしろ高齢者から懇願されて耕作を請け負わざるを得ないという状況に近いのかなというふうに思っておりまして、政府の言う集積とは少し違う状況にあるのではないか、そういうふうに思っております。

 ぜひ、強い農業づくりに特化した一極集中の政策ではなくて、政策の多様性、柔軟性、また、平たん地域と我々のような中山間地の、地域を明確に区分した政策を望みますし、もっと言えば、中山間地という地域にも、中山間地という言葉では一くくりにできないようないろんな地域がある、そういうことを踏まえた政策づくりをしていただきたいというふうに思います。

 それらの状況を踏まえて、質問に入らせていただきます。

 農水省は、農地中間管理機構、二〇二三年度までに八〇%、担い手への集積を達成される、そういう目標を掲げていただきました。

 中山間地では、農業者の高齢化がますます加速をしておりまして、耕作を続けることが困難な地域が続出をしております。そもそも、私の地域にも多い状況でありますけれども、不利な農地においては耕作を引き受けていただく担い手を探すのが非常に困難をきわめておりまして、実際、そのまま耕作放棄につながっている地域も多いんだというふうに思っております。

 そこで、齋藤大臣にお伺いをいたします。

 所信で、五四%まで達成をされたというふうにおっしゃっていただきました。さらなる集積化を進めるに当たって、今度は、生産条件の悪い中山間地がまずは鍵を握っているのではないのかなというふうに思いますけれども、八割達成に向けてどのようなアクションを起こされるのか、またどのようなお考えがあるのか、御教授を賜りたいと思います。

齋藤国務大臣 まず、金子委員から大変重要な切り口からの御質問をいただいたなと思っております。

 農地中間管理機構が活動を開始した平成二十六年度以降、担い手の利用面積のシェアは再び上昇に転じまして、二十八年度には六万二千ヘクタール増加をして、御指摘のように五四・〇%となっておりますが、三十五年度八割という目標に向けては、さらなる加速化が必要であります。

 御指摘の中山間地につきましては、平場の土地利用型農業の地域と比べて担い手への農地集積がおくれている、これは間違いのない現状だろうと思っております。このために、機構が県や市町村等と連携をいたしまして、地域の実態に即した担い手づくりから一貫してサポートをして、法人化や基盤整備など合意形成につなげていくなど、きめ細やかに対応していくことが、今後、中山間地においてはますます重要になっていくんだろうと思っています。

 現状、実際に、例えば岐阜県の中山間地では、御案内だと思いますが、下呂市におきまして、県、市、JAと機構が一体となってチームをつくりまして、集落営農の法人化を支援して、さらに、基盤整備の合意形成も図っていくなど、農地の集積、集約化をサポートしている例もございますし、また、飛騨市におきましては、機構がそばの製造を行う地元企業に地区内の農地のマッチングをして、地域の新たな担い手となったという例もございます。

 今後とも、こうした優良事例も参考にしながら、中山間地において、地域の実情はいろいろでありますけれども、担い手への農地集積が着実に進むよう、機構事業を加速化してまいりたいと考えております。

金子(俊)委員 続きまして、中山間地域等直接支払交付金に関して質問をさせていただきます。

 そもそも、中山間地域等直接支払交付金、我々のような中山間地の条件の不利を補正して、将来に向けて農業生産活動を維持するための活動支援が一番の目的であるというふうに理解をしております。

 この支払交付金、いただくことによって集落単位での活動は維持をされていますけれども、例えば、畦畔での草刈り作業をさせていただく、そうすると、将来に活動するまで手が回らない、あくまでことし一年限りの維持しかできないという地域が非常にあるんだというふうに理解をしております。

 中山間地域においては、農業の国際競争力も非常に大事でありますけれども、何よりも、生産活動を維持して、住める環境を次の世代に残していく、これがまさに最大の目標であるんだろうというふうに思います。

 そこで、質問をさせていただきます。

 二十七年度の第四次対策がスタートをしてから、ちょうど、もう折り返し地点が過ぎておりますけれども、中山間地域等直接支払交付金、今後どのように改善をしていく余地があるのか、教えていただきたいと思いますし、同様に、政策目標として三十一年度までの五カ年間で八万ヘクタールの農用地減少防止を掲げておりますけれども、現在の進捗状況を、政府参考人で結構でございますので、教えていただきたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から、中山間地直接支払制度につきまして御質問を頂戴いたしました。

 中山間地直接支払制度でございますけれども、今先生御指摘ございましたように、農業の生産条件が不利な地域におけます農業生産活動を継続していただくという観点から、国、地方公共団体による支援を行う制度として、平成十二年度から実施しております。二十七年度からは第四期対策ということでスタートをしてきたところでございます。

 これまで第四期対策におきましても、複数の集落が連携いたしました活動体制づくりですとか、あるいは、近隣集落によって小さな規模あるいは高齢化集落の農業生産活動を支援するとか、さまざまな支援のための加算措置などを設けてきたところでございますし、また、運用改善という観点からは、これまで明らかになっておりませんでしたが、家族が御病気で継続はやむを得ないというような場合には返還対象から外すということで明らかにさせていただいたり、あるいは、地域で将来にわたってその地域の戦略を定めていただいた場合には、営農を中止した方がいらっしゃっても、地域全体の返還を求めるのではなくてその営農を中止した方の返還を求めるのみにとどめるといったような運用改善をしてきたところでございます。

 今後とも、地域のお声をよく伺いながら、運用改善には努めてまいりたいと思っておるところでございます。

 それから、もう一つ御指摘がございました、成果目標八万ヘクタールの達成状況でございます。

 これは、二十七年度の取組面積が前年度から三万三千ヘクタール減少して一旦へこんだところでございますけれども、先ほど申し上げましたような加算措置ですとか運用改善などによりまして、二十八年度には、六十六万一千ヘクタールと、七千ヘクタール増加するといったような状況でございます。

 私ども、三十一年度の成果目標八万ヘクタールの実現に向けまして、これからしっかり取り組んでいきたいと思っております。

 なお、二十九年度は第四期対策の三年目、中間期間ということになっておりまして、本年の六月に第三者機関による効果の検討、評価ということもいただいて、しっかり運用改善に努めてまいりたいと思います。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 続きまして、畜産の部門における新規就農の支援に関してお伺いをさせていただきたいと思います。

 特に近年は、和牛の海外戦略、政府の後押しで非常に順調に推移しているんだろうというふうに思います。実際、経済効果も、我々の地域にも、直接、間接的にも非常に実感をしてきたんだろうというふうに思います。

 一方で、産地においては、枝肉の品薄感というものが非常に強まっておって、流通においても不安感というのが上がっているんだろうなというふうにも思っております。原因は、輸出増加による品薄ではなくて、一時期より落ちついたとはいえ、子牛の生産頭数の著しい減少があるんだろうというふうに思います。

 子牛の価格は非常に好調に推移をしているのに、一方で、新規就農をされる、例えば農業高校の卒業生であるとか、そういった方の志向は非常に高い、だけれども実際新規就農に至らない原因は、まさに繁殖経営の持つ参入障壁、創業から出荷開始まで無収入状態がほぼ三年間続いてしまう、そういったものが一番の原因なんだろうというふうに思います。

 農水省でやっていただいている農業次世代人材投資事業、経営開始型の支援資金、五年間で年間マックス百五十万円とかとか、そういったものはありますけれども、耕種部門の皆様方は経営開始からすぐに収入が入るのに対して、繁殖部門に関しては三年間どうしても収入がない、これが非常につらいんだろうというふうに思います。

 牛肉が海外戦略の非常に重要なポジションに今持っていっていただいているという反面、入り口の、そういう子牛の基盤整備がなかなか、まだ非常に不安定というものに関しては、政策としてちょっと矛盾を感じてしまうのかなというふうに思います。

 そこで、質問をさせていただきます。

 初期投資が多額でリスクの多い部門であるならば、畜産クラスター等の投資に対する支援とか、またもろもろの融資制度ではなくて、収入に対する何らかの助長制度が必要なのではないのかなというふうに思いますけれども、農水省の皆様はどうお考えになられているのか、お答えをいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたとおり、肉用牛、平成二十二年をピークに繁殖雌牛頭数が減少いたしまして、平成二十八年には六年ぶりに増加に転じました。この回復の動きを確固たるものとしていくということが非常に重要だというふうに考えてございます。

 このため、畜産クラスター事業等の施設整備ですとか省力化機器の導入など、優良な繁殖雌牛の導入等の施策を総合的に展開してございます。

 委員御指摘のとおり、繁殖経営の新規就農につきましては、牛舎や家畜への初期投資が多額であるということ、また、経営開始から収入を得るまでに数年間を要するという課題があるというふうに承知をしてございます。

 このため、収入に対する直接の支援ということではございませんけれども、農協や公社などが牛舎を整備いたしまして新規就農者等にまず貸し付けまして、かつ繁殖雌牛の導入を支援するということで初期負担の軽減を図る取組ですとか、あと、少数頭からの経営を開始される場合には増頭のために簡易畜舎を整備するとか、優良な繁殖雌牛の導入そのものに対する支援、こういうことも行っているところでございます。

 このような施策を講じながら、肉用牛繁殖経営の新規参入も含めまして、繁殖基盤の強化を図ってまいりたいと存じます。

金子(俊)委員 最後に一つ質問させていただきたいと思います。

 林業の分野で、森林環境税の導入が決定をいたしました。非常にありがたいというふうに思っております。ぜひまた農水省の皆様方にも効果的な活用方法をPRしていただきたいというふうに思います。

 一点だけ、時間も参りましたので、質問させていただきたいと思いますけれども、集約化推進のためにあった施業集約化の推進事業というものが平成三十年度で最終年度を迎えておりまして、次年度以降は経営計画の策定が多分条件になってくるんだろうというふうに思っております。

 一方で、我々のような本当にほとんどが中山間地、山林に囲まれた地域にとってみれば、そういう経営計画自体をつくる人もいない、なかなか経営計画をつくることに、ハードルとして認識してしまっている感がありますけれども、そういった皆様方に対して、ぜひ、経営計画、どのように作成をされていくのか、またどのようなアドバイスをされていくのか、林野庁としてもしお考えがあればお答えをいただきたいと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 森林整備地域活動支援交付金のお尋ねだと思います。

 これにつきましては、森林経営計画作成促進に必要な活動の支援とか、それから、間伐などに関します森林所有者の同意の取得など施業集約化の促進に必要な活動支援、こうしたようなメニューによりまして、計画的かつ適切な森林施業の推進を図る活動を支援しているところでございます。

 今回、森林経営計画の作成と間伐等に関する関係者の合意形成を一体的に行うことが施業集約化を計画的かつ効率的に進めるために適切であるとの考えから、平成三十年度から施業集約化の促進と森林経営計画作成促進のメニューを統合することを検討しているところでございます。

 今後とも、都道府県等とも連携いたしまして、地域に御懸念がないよう丁寧に説明や周知などをすることによりまして、こうしたメニューを最大限活用していただきまして、森林経営計画が適切に作成され、施業の集約化の取組が確実に進むよう努めてまいりたいと考えております。

 よろしくお願いいたします。

金子(俊)委員 ありがとうございました。

 本来であれば、国家戦略特区等々も質問をさせていただきたかったと思いましたけれども、時間が来ましたので、次回に回させていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、岸信夫君。

岸委員 おはようございます。自民党の岸信夫でございます。

 衆議院の農水委員会で初めて質問をさせていただきます。質問の機会をお与えいただきまして、本当にありがとうございました。

 実は、私、こちらでの質問は初めてなんですけれども、参議院で初当選させていただいた際は参議院の農水委員会に所属をしておりまして、さまざま活動しておったんですけれども、この質問を準備しているときに、そのときにどういうことを質問していたかな、こういうふうにちょっと振り返ってみていたわけです。

 その前は商社に勤めていて、農水産の物資のトレードを担当しておりましたので、やはり輸出、輸入、そうした我が国にとっても大変重要なパートについてお聞きをしたことを覚えております。

 平成十六年には、農林水産物の輸出が約三千億ということでございました。当時の大臣、島村宜伸大臣でしたけれども、このときに、この数字を、五年で輸出を倍増していこう、すなわち六千億円に平成二十一年までにしていこうというのが大きな目標であったんだと思いますが、そのときの議論で、我が国として本当にそれを達成できるのか、あるいは、そのための政府としての後押し、販促の予算が足りないんじゃないかといった議論もさせていただいた次第です。

 例えばアメリカ、最大の農業国、非常に強い国ですけれども、約六兆円の農産物の輸出があって、それに対して百八十億円ぐらいのプロモーションに分類されるようなさまざまな政策があって、それに対して日本は、十分の一の六千億円を輸出しようとしているんだけれども、約七億円程度しかそのための販促費がない、本当にそれで十分ですか、こういうような質問をさせていただいた記憶があります。

 その後、輸出は徐々にふえて、五年で倍増というのはなかなか難しかったわけですけれども、WTOの交渉あるいは農産物貿易をめぐるさまざまな議論があり、環境の変化ということもありました。そうした中で、昨年は八千億までふえてきた、こういうことであります。

 それぞれの皆さんが相当な御苦労をされた結果だというふうに思っておりますし、そのこと自体は高く評価をしたい、こういうふうに思っているわけでございますけれども、この間、国として、輸出を伸ばしていくためにどういう施策をとってきたのか、また、その結果についてどのように評価をされておられるか、お聞きしたいと思います。

 よろしくお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘をいただきましたとおり、日本の農林水産物、食品の輸出額につきましては、平成十六年には三千六百九億円でありましたけれども、昨年、平成二十九年には八千七十三億円となっておりまして、最近では、五年連続で過去最高を更新しているという状況でございます。

 この輸出につきましては、平成十七年に政府において策定をいたしました「二十一世紀新農政の推進について」におきまして、五年後の平成二十一年に輸出額を倍増させるという目標が当初掲げられたわけでございますけれども、その後、輸出の実際の実績等も踏まえて見直しが行われまして、現在は、平成三十一年に輸出額一兆円という政府の目標を掲げているところでございます。

 この間、輸出の拡大に向けまして、例えば品目別の輸出団体の創設などのオール・ジャパンでの輸出促進体制の整備、また輸出に取り組む事業者の方への相談体制の強化、海外での見本市、商談会への出展の支援、あるいは食品安全や検疫等に関する相手国・地域の輸入規制の撤廃、緩和に向けた取組などに取り組んできたところでございます。

 また、平成二十八年五月には、より総合的、体系的な輸出促進のための戦略といたしまして、農林水産業の輸出力強化戦略を策定いたしまして、これまで以上に関係省庁が連携をして、政府一体となって多様な取組を進めているところでございまして、こうした取組の成果が最近の輸出額の増加につながってきているものというふうに考えてございます。

岸委員 その間、輸出、金額、量とも伸ばしてこられた、こういうことでありますけれども、世界のさまざまな国、地域がございます。また、日本にもさまざまな農産物があって、国際的に評価されているもの、あるいはそうでないもの、量的に確保できているもの、さまざまあるわけですけれども、どういった地域にどういった品目のものを輸出として注力をし、そして伸ばしてきたのか、この点についてお聞かせください。

井上政府参考人 先ほども申し上げました、平成二十八年五月に策定をいたしました農林水産業の輸出力強化戦略におきましては、国、地域別の戦略、また品目別の戦略もそれぞれ策定をしてございます。

 これまでのところは、アジアの近隣国又はアメリカへの輸出というのが多くなってきているわけでございますけれども、最近の動向といたしましては、牛肉、緑茶、イチゴを始めとする農産物の輸出が大きく伸びてきているという傾向がございます。

 例えばということで、主要な輸出国について申し上げさせていただきますと、香港に対しましては真珠、牛肉、アルコール飲料等が輸出におきまして高い伸びを示しておりまして、アメリカに対しましてはブリ、アルコール飲料、緑茶等が伸びてきているという状況でございます。また、台湾につきましては、昨年の九月に和牛の輸出が解禁をされまして、既に昨年末までの時点で牛肉について十四億円の輸出が実現をしておりますし、またアルコール飲料等につきましても伸びてきている、こういった状況にございます。

岸委員 今お話を伺いますと、やはり日本にとって非常に近い、関係の深い国々、アメリカにしても、あるいは近隣諸国にしてもそうなんですけれども、そういう国の皆さんがやはり、特にアルコール類というようなお話がございました、日本酒も含まれるんだと思いますが、日本食ブームに伴って輸出しやすい環境というのもあったんだろう、こういうふうにも思います。

 一方で、輸出をするに当たって、これをずっと続く商売にしていくためには、特にもうからなければ続かないわけですね。生産者にとっても、あるいはさまざまな関係者にとってもメリットのある形で本当に輸出されているのか、これが一番気になるわけであります。

 特に、高級品、お金の取れるもの、あるいは、どちらかというと量を稼ぐといいますか、低価格で出しているもの、いろいろあると思うんですが、なかなか思ったように利益、採算に乗ってこないという方も多く話を聞きます。何年か続けたけれどもやめてしまっている、こういうことも多いと思うんですが、そうしたことについてはどのようにお考えでしょうか。

礒崎副大臣 お答え申し上げます。

 御承知のとおり、日本国内は人口が減少しておるわけでございますが、世界の人口は増加している。また一方で、日本食に対する関心も非常に高くなっている。そうした中で、我々が農林水産物の輸出に努めていかなければならない。私は必須の事項だと考えております。そうすることによって我が国の農林水産業者の所得も上がっていくんだ、そう考えて頑張っているところでございます。

 具体的なことを申し上げますと、例えば、ベトナム向けの梨であるように、国内との価格を比べると単価が随分高い、こういったものもございます。あるいは、欧米等向けの有機緑茶などというのは、今まで需要がなかったわけでございますが、需要を開拓して新たな販路を広げた、そういうものもありますし、それから、米国向けの長芋、これは国内の需要が上下するものですけれども、その調整弁として輸出もする、そうしたところがこれまでに利益を上げていた。そういういい部分もあると思います。

 ただ、貿易も当然ビジネスでございますから、いいときもあれば悪いときもあるんだと思います。我々農林水産省としても、我が省であるとか、今度つくりましたJFOODOとかで、やはり的確なそういう情報を常に流して、皆さんが的確な判断ができるように努力していくことが重要であると考えております。

岸委員 ありがとうございます。

 今の副大臣からのお話の中にも出てまいりましたJFOODO、約一年前、二十九年の四月に設立された。農産物、食品の輸出の促進にミッションを特化したものということでございますが、ジェトロがこれまで行ってきた農林水産物、食品の輸出促進、これを新たな組織のもとで行うような体制になった。

 これでもって取組方がどういうふうに変わってきたのか、あと、この一年間の取組の状況について、教えていただきたいと思います。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 JFOODO、日本食品海外プロモーションセンターでございますが、先生御指摘のとおり、昨年の四月に、日本の農林水産物、食品に対する海外の需要、市場をつくり、輸出の拡大、生産者の所得向上につながる取組を推進するため設置をされました。

 その後、体制の整備を行って、昨年の十二月、和牛、水産物、緑茶、日本酒など七つのテーマについてのマーケティング戦略を策定、発表したところでございます。

 また、本年一月から、参加する事業者、非常に応募が多数ございますが、それらの事業者等と協力しながら、戦略に基づくプロモーション等が順次実行されておるところであります。

 一例を申し上げますと、香港でございますが、春節に合わせて日本産水産物を縁起のよいすしネタとして販売するため、この縁起のよいすしネタというのは、例えば、ハマチが出世魚であるとか、順風満帆という言葉もございますが、ホタテも帆が立つ、そういった縁起のよいすしネタとして販売するよう、すし店の店頭で使える販促ツールの作成、また地下鉄の駅やバス等での広告展開を実施するなど、精力的に活動しているところでございます。

 これらの取組の成果について、JFOODOは、参加する事業者からの聞き取り、認知度、購入意向の変化等について消費者調査等を通じて定量的に把握していくこととしておりまして、農水省としましても、JFOODOと協力しながら、今後、対象品目の輸出増加につながるよう取り組んでまいりたいと存じます。

岸委員 今もお話がありましたけれども、この第一次の取組のテーマの中に、英国での日本酒プロモーションの強化ということが挙げられているかと思います。

 日本酒はヨーロッパでも随分ポピュラーになってきまして、私の山口県も多くの酒蔵があるんですけれども、そこからも、イギリスも含めて、アメリカやフランス、台湾といったところにもかなり輸出されています。高い評価を得ているところでありまして、それぞれの会社が、日本酒のマーケット自体は一九七〇年代に比べますと三分の一ぐらいの出荷量になっている中で、山口県はこの十年間、出荷量をふやしてきている。

 その中で、輸出というものも一つの売り先として位置づけられてきているわけですけれども、ユネスコの無形文化遺産としての和食、そうしたものが人気を得るに伴って、今後更に日本酒を伸ばしていくチャンスというのも高いのかなというふうに思います。

 また、更に言えば、ロンドンには今度ジャパン・ハウス、日本の情報発信拠点としてのジャパン・ハウスが設置されることもあって、そうした総合的な戦略のもとに、日本酒だけではありませんけれども、さまざまなプロモーションをやっていくチャンスになっていくんだというふうに思います。

 ただ、まだまだ日本酒の総出荷量に比べると輸出量というのは少ないですし、それから、ワインの消費量に比べるとはるかに少ない。私も外務副大臣で外国に行ったときに、さまざまなレセプションで、日本側のレセプションで日本酒をお出ししますと非常に喜んでくれるんですね。非常に喜んでくれるんだけれども、最初の一杯は飲むんだけれども、例えば食事になっちゃうと結局ワインになっちゃう、こういう部分がこれまでのパターンだったのかなと。更に多く、日本食の中で日本酒がずっと飲んでいただけるような、そういうところをつくっていかなきゃいけないんだというふうにも思っています。

 今後、総合的な幅広いプロモーションをしていっていただきたいと思いますが、この点について御意見をいただければと思います。

齋藤国務大臣 国産の米を原材料として生産されるわけですので、日本酒は重要な米の加工品であるとともに、我が国の食文化を代表する品目であると考えておりまして、日本酒の二十九年の輸出額も約百八十七億円になっておりまして、前年度比一九・九%輸出がふえているということであります。五年前と比べると二倍以上の輸出ということでありますので、重要な輸出品目の一つと考えています。

 このため、先ほど来お話に出ておりますJFOODOでは、日本酒の消費拡大を図るために、世界における酒類の情報発信拠点の一つである英国、ロンドンですけれども、において、日本酒を消費者に選ばれやすくするためのプロモーションを今行っているところであります。

 今、岸委員御指摘のように、一杯だけ飲んで終わりということにしてはいけないということで、日本酒と合わせて、日本酒を飲んでいただくだけではなくて、向こうの、例えばオイスターですとかチーズなどの現地で日常的に消費されているもので、日本酒とも相性がいいものという料理もキーディッシュとして設定をしまして、雑誌や交通広告やSNS等のオンラインの施策を組み合わせて、あるいは、さらに、ウエブサイトでは日本の食文化に基づく日本酒の優位性をアピールするなどなどして、効果的にプロモーションを今行っているところであります。

 JFOODOは、英国における取組をモデルにして、今後フランスや米国等の情報発信の拠点となる他の都市においてもプロモーションの取組を拡大していくということを今検討しておりまして、農林水産省としても、JFOODO等と適切に連携しながら、日本酒の海外でのさらなる普及に努めていきたいと考えています。

岸委員 ありがとうございました。

 我が国、これから二年後の二〇二〇年には東京オリンピックが開催をし、多くの外国人の皆様が日本に来られます。そうした機会というのも本当に、日本食あるいは日本酒その他の食材を紹介するいいチャンスであるし、それぞれの国に帰ってからまたそれをオーダーしていただけるチャンスにもつながってくるというふうに思います。

 そうした中で、輸出一兆円と大きな目標を掲げておられますが、この達成に向けての大臣の決意をお聞かせいただければと思います。

齋藤国務大臣 平成三十一年の輸出額一兆円目標、これを達成するためには、今後、あと二年しかありませんので、二年間で年率一一・三%輸出額を増加させていくことが計算上必要ということになりますので、取組の加速化が必要だと思います。

 この輸出を拡大していくためには、農林水産業の輸出力強化戦略、それから農林水産物輸出インフラ整備プログラム、これに沿った取組を進めていくということで、さらなる加速化のために、本年二月から本格開始したJFOODOによる七つのテーマについての戦略的プロモーションの実施、あるいは、集出荷拠点や加工施設等の輸出拠点施設の整備、それから、昨年の二倍の海外バイヤーを招聘して“日本の食品”輸出EXPOを開催するとか、それから、食料産業局内に輸出拡大チームというのを設置いたしておりますけれども、このチームによる国内事業者と海外バイヤー等とのマッチングの推進ですとか、規格、認証、知的財産制度の戦略的活用ですとか、これらを強力に進めていくことが必要だと思っておりまして、何としても、平成三十一年の一兆円目標の達成に向けて、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

岸委員 終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 ことしの冬は、大寒波の影響で、全国で豪雪被害が続出をいたしているところであります。また、大変に残念なことに、とうとい命を落とされた方々もいらっしゃいます。衷心よりお悔やみを申し上げますとともに、けがをなされた方、また、住居に被害をこうむった方々、また、農業を始め生業に大きな被害をこうむられた方々、皆様方に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 初めに、本年の豪雪による農林水産業への甚大な被害についてお伺いさせていただきたいと思います。

 平成二十五年度、例年は降雪や積雪の少ない関東地方、さらに甲信地方等に大規模な大雪が発生しましたが、農水省は、甚大な被害を受けた農家に、経営体育成支援事業による復旧補助のかさ上げ等を実施いたしたところであります。本年の豪雪に対しても、既に地元北海道を始め被災自治体から、またJA等から同様の支援要望が寄せられているところであります。

 ことしは特に農業用ハウスへの施設被害が多く出ているところでございますが、三月初旬の大雪では、北海道の十勝地方で豚舎が全壊し、種豚を含め、飼養しているほとんどが下敷きになるなど、大きな被害も出ているところでございます。

 災害には共済に加入して備えるという大原則は承知をしているところでありますけれども、ことしの冬は、雪になれた地域ですら予想をはるかに上回る降雪、積雪量で、現場では観測以上の積雪だったとの話も伺っており、共済では十分な対応ができるとは考えにくいと思っております。

 また、被災農家には新規就農者も含まれており、災害による離農の発生を防ぐためにも、経営体育成支援事業について早急な検討を要すると考えております。

 現段階で把握している全体の被害状況、また、これを踏まえた上での対策の検討状況についてもあわせてお伺いをさせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

齋藤国務大臣 今般の大雪によりまして、北海道や北陸地方などを中心に、現時点で四百棟近い農業用ハウスに損壊等の被害が発生をしております。現在、雪解けも進んでおります。おおむね被害の全容が見えてきたなと考えております。

 農業用ハウスなどの被害については、まずは、御指摘の農業共済の迅速な損害評価と早期の共済金の支払い、それから、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金等の長期、低利の融資で対応することとしていますが、今御指摘のように、例えば北海道の日高地方におきましては、新規に就農されたばかりの若い農業者の多くが被災をされまして、営農意欲の減退も懸念をされております。

 こういう状況を踏まえますと、そうした方々の離農につながらないように、総合的な支援策を速やかに取りまとめてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 ぜひ、総合的な支援対策を心から強く要望したいと思います。

 さて、東日本大震災からことしで七年を迎えました。いまだ七万三千人の方々が避難生活を余儀なくされる中、東日本大震災からの復興への取組も、これまで以上にきめ細やかさが求められる段階に入ってまいりました。

 農林水産業についても、生業の再生という観点から、被災農家にしっかりと寄り添い、被災した方々にとって今何が必要か、丁寧に伺ってまいらねばならないと思います。

 中でも、福島の農林水産物については、いまだに風評被害がなくならないという極めて残念な状況があります。

 今年度、福島県産の価格を震災前と同水準に回復させるために、四十七億円強の予算で福島県農林水産業再生総合事業を行っていますけれども、着実な成果を得ていく必要があると考えております。

 福島県産の農産品や水産物は今も細かな放射線量のモニタリングを続けておりますが、直近でも、実際に放射線量が検出されるケースはまれであります。ほとんどの品目ではゼロであります。

 防災、減災を考える上で最も大切なことは、正しく知る、正しく恐れるということでありますが、それができていない象徴であろうと思います。農林水産省におかれましては、風評被害を一刻も早く一掃する、撲滅するという強い決意と確固たる行動が求められると考えます。まずは大臣がその先頭に立って、安全な福島県産をPRしていただきたいと思います。今後の対策強化を含めて、御決意を伺いたいと思います。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

齋藤国務大臣 まず、先ほどの私の答弁の中で、農業用ハウスに損壊等の被害が発生しているという話の中で、被害数を四百棟近いと申し上げましたけれども、四千棟近いの間違いですので、訂正をさせていただきたいと思います。

 今御指摘の風評被害の話ですが、福島県産の農林水産物の価格は、残念ながら震災前の水準まで回復していないという状況にありまして、風評の払拭は大変重要な課題だと認識しています。

 このため、本年度から、御指摘の福島県農林水産業再生総合事業によりまして、まず、安全で特徴的な農林水産物の生産に向けた取組、農林水産物の放射性物質の検査の推進、福島復興再生特別措置法に基づく流通実態調査の実施、それから、量販店におけるさまざまなイベント等を通じた福島県産の魅力のPRなど、生産から流通、販売に至るまでの総合的な支援を行っているところであります。

 このうち、流通実態調査につきましては、今月末を目途に調査結果を取りまとめることにしておりまして、当該結果に基づいて、関係者に対して指導助言等も行ってまいりたいと考えております。

 さらに、昨年十二月に策定された風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略に基づきまして、流通事業者や消費者に対して、福島県産の食品の安全性や魅力に関する情報を幅広く発信していくこととしております。

 今後とも、風評払拭に向け、私はもとより、政府一丸となって全力で取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 齋藤大臣の強いリーダーシップを御期待申し上げたいと思います。

 さて、SDGsに、全ての人に健康と福祉をという目標がありますが、我が国では毎年三百人以上の方が農作業中の事故で亡くなっております。他の産業が十万人当たり一・六人であるのに対して、農業では十六・二人、建設業の二・五倍以上です。しかも、右肩上がりに増加しております。農作業事故の撲滅のため、農林水産省を先頭に、農業者はもちろん、農機メーカーなども含めて、全ての関係者が一丸となって取り組んでいくべきと考えます。

 特に、GAPの取得が進めば、生産工程管理が進み、農作業事故の防止に効果が期待されるために、このGAP取得の一層の推進を求めたいと思いますが、取得までには至らなくても、GAPの労働安全チェックシートを積極的に活用する取組を広げていくべきと考えております。

 また、福井県では、水田の区画整備事業の際に機械の出入り口など危険な箇所を減らす努力を行い、死亡事故の減少につなげているとも伺っております。

 大臣は、予算委員会におきまして、我が党の石田政調会長の質問に対して、ゼロを目指して取組を強化すると答弁をされておりました。私は、ことしを死亡事故ゼロに向け本気で立ち上がる元年とし、今後、EUのように、労働安全、生産管理、衛生管理などにおいて、我が国が世界をリードする道を模索していくべきと考えます。

 今まさに、春の農作業安全確認運動期間中であります。対策予算の今後の大幅な増額を含めて、御決意を伺いたいと思います。

礒崎副大臣 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、残念ながら、近年は三百人以上の方が農作業中に亡くなられておるわけで、その八割が高齢農業者ということでございます。これは極めて重要な課題でございまして、究極的には死亡事故ゼロということを目指して、我々も頑張っていかなければならないと考えております。特に、そのためには、事故情報の分析を踏まえた安全対策の情報発信や農業機械の改良等、こういうことが重要であると考えておりまして、こういうことにも取り組んでいるところでございます。

 委員が、GAPについて御指摘がありました。GAPは、農作業の安全確保の上で、我々も有効な手段だと思っております。このため、GAPを推進するとともに、GAPの取得までいかなくても、GAPの中に組み込まれておる労働安全の基本的なチェック項目を啓発資料の中に刷り込み、農業者に配付するというようなことを今やっておりまして、今月の十三日に平成三十年の春の農作業安全確認運動推進会議というのを開きまして、谷合副大臣に出席していただいて、その辺の徹底も図ったところでございます。

 今後の予算についての御質問もございましたが、農作業安全総合対策推進事業ということで実施いたしておりますが、例えば自治体の健康診断と連携し、身体機能の測定や安全意識の確認を行い、その結果に応じて注意すべき事項を指導することや、あるいは、高齢農業者が所有する農業機械を総点検し、安全な使用の観点から指導する取組、そういったものに予算をことしも増額計上いたしておりまして、農林水産省一体となって安全対策に努力してまいりたいと思います。

 なお、先ほど今月の十三日と申しましたけれども、農作業安全確認運動推進会議が行われたのは二月の十三日でございますので、ちょっと訂正させていただきます。

佐藤(英)委員 ぜひ、担い手対策、また新規就農者のことも考えても、やはり農作業の死亡事故ゼロを目指すということは重要な取組であると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、ことしは、米の数量目標の配分廃止、収入保険の導入など、農政の転換点とも言える年であります。また、昨年十二月、日・EU・EPAが交渉妥結に至り、今月の八日にはTPP11の署名を終えたところであります。

 我が国の農業の発展のために、大胆な攻めの展開もさることながら、攻めの立場である守り、我が国の農業そのものを再生産可能な農業たらしめる、守るべきは守ることこそがやはり極めて重要であると考えております。

 特に、平地に比べて条件が不利でありながらも我が国の農業生産の四割強を支える中山間地域の対策については、今後大幅な対策の拡充が必要であると考えております。

 長年にわたって中山間地域を苦しめてきた鳥獣被害について、抜本的な拡充も必要であります。

 また、農地集積も、二〇二三年八割の目標を達成するためには、特に中山間地の集積加速化が求められます。

 成長する観光分野がもたらす果実を中山間地域に取り込む農泊などの施策も、確実な成果を上げなければならないと思います。

 我が国の農業が世界と戦っていくために、企業の参入や規制改革に加え、我が国農業を下支えしている中山間地域について、優先枠の大幅な拡充など、施策の一層の充実と加速化を図るべきと考えておりますが、御見解を伺いたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から中山間地域農業について御質問を頂戴したところでございます。

 御指摘にもございましたけれども、我が国の中山間地域は、農業の産出額の面でも、耕地面積の面でも、それぞれ四割を占める重要なところでございます。また、国土、環境の保全など多面的機能の発揮という観点からも大変重要な役割を果たしていると認識をしておるところでございます。

 そのため、これまでも、日本型直接支払いなど地域政策によってまず地域全体を下支えするという政策を講じながら、中山間地農業ルネッサンス事業ですとか、中山間地域所得向上支援対策などといった事業によりまして、地域の特色を生かした多様な取組に対しまして総合的、優先的な支援をしておるところでございます。

 また、御指摘にございました鳥獣被害でございますけれども、侵入防止柵の設置から捕獲わなの導入など、地域ぐるみで行う総合的な鳥獣被害対策の取組に加えまして、昨今では、有害鳥獣のジビエ利用を推進するという観点からのモデル的な取組を支援してまいりたいと思っておるところでございます。

 さらに、農地中間管理機構による担い手への農地集積、集約化の推進でございますし、また、農泊を含みます観光、教育、福祉などと連携をいたしました都市農村交流ですとか、農村への移住、定住促進といった多様な施策を講じることによりまして、特色ある地域資源を活用した取組を支援いたしまして、中山間地域の農業の振興を図っていきたいと思っておるところでございます。

 予算面におきましては、平成二十九年度補正予算におきまして、中山間地域所得向上支援対策に三百億円、平成三十年度当初予算におきましては、日本型直接支払いに七百七十億円余り、それから中山間地農業ルネッサンス事業に四百億円、それぞれ計上させていただいておるところでございます。

 中山間地域は、地域ごとに異なる特色がございますので、目指す姿を一概に申し上げることはなかなか難しいわけでございますけれども、付加価値の高い農産物の生産や六次産業化など、農業者や農業参入をされた企業の方々が創意工夫を発揮されて、地域の所得向上や活性化に向けて挑戦していただくことが重要でございまして、そういった挑戦を進められるよう、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 どうか、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 最後の質問になります。

 去る二月の二十三日、WTOの紛争処理小委員会が、韓国の日本産水産物への輸入規制措置について、恣意的又は不当な差別で、必要以上に貿易制限的として、是正を求める報告書をまとめました。至極妥当な裁定と言えます。

 韓国は上訴すると表明していますけれども、科学的根拠を持たずに、我が国の農産品、水産品について、国を挙げて風評被害を広げている状況は断じて看過できません。

 政府は、今回のWTOの勧告を受けて、韓国や中国など、いまだ日本の農水産物に禁輸措置を行っている国や地域に、それがいかに不公正なものであるか、真面目な生産者がどれだけ苦しんでいるかを徹底して訴えていただきたいと思っているところでございます。

 また一方、三月八日にはTPP11の署名が行われましたが、もともとTPPは米国主導で議論が開始され、我が国も賛否両論がある中で参加へとかじを切ったものであります。米国が政権交代後に脱退し、TPPは残る十一カ国で発効に向けて準備を進めているところでありますけれども、最近になって米国がTPPへの再参加やバイ協定であるFTAに関心を示しているという報道も散見されているところでございます。

 しかし、本来、米国との貿易ルールは、もともとのTPPにのったラインで合意しており、再参加やバイ交渉によって新たな譲歩を求められたとしても到底受け入れられない、議論の外の話であるというのが、我が国の農業に携わる者の偽らざる本心であると思います。閣僚からも同様の趣旨の発言が多々あるように承知しておりますが、改めて大臣の見解、また御決意を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 今、委員からTPPの再交渉というお話もありました。

 TPPの再交渉については、TPPは参加国のさまざまな利害関係を綿密に調整してつくり上げたガラス細工のような協定でありまして、どの国にとっても、一部のみを取り出して変えるということは極めて困難であると思っております。

 我が国としては、TPP11の早期発効に取り組みつつ、米国に対してはTPPの経済的、戦略的意義を訴えていくということを強力に継続していきたいと思っています。

 また、日米の二国間の経済関係につきましては、今、日米経済対話がございますので、その対話の中で、どのような枠組みが日米経済及びアジア太平洋地域にとって最善であるかということを含めて、建設的に議論していくことになっているわけでありますが、農林水産省としては、我が国の農林水産業の維持発展を旨として、関係省庁と連携し、適切に対応していく考えであります。

佐藤(英)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊東委員長 速記を起こしてください。

 質疑を続行いたします。森夏枝君。

森(夏)委員 昨年の総選挙におきまして初当選をさせていただきました日本維新の会の森夏枝です。

 今回、農林水産委員会におきまして、初の質問をさせていただきます。貴重なお時間をいただきましたこと、ありがとうございます。今国会、農林水産委員会でお世話になります。御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

 まず、東日本大震災からの復興状況についてお伺いします。

 私は、七年前の東日本大震災で、政治家になりたいと強く思うようになりました。七年前の三月十一日のことは今でも鮮明に覚えております。おかげさまで農林水産委員会、東日本大震災復興特別委員会で委員になり、質疑の機会をいただけることをありがたく思っております。

 さて、ことしも三・一一を迎えました。改めて七年前の三月十一日を思い出すとともに、復興の状況を確認していきたいと思います。

 東日本大震災において、農林水産関係は甚大な被害を受けました。私もボランティアで現地に滞在中、その惨状にじかに接し、無力であることに途方に暮れていたことを思い出します。

 早速質問させていただきます。農地の被害についてお伺いします。

 あの当時、瓦れきの撤去等、気の遠くなるような地道な作業から復旧復興が開始されました。農地の被災面積とその復旧状況を教えてください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十三年三月の東日本大震災におけます津波による被災した農地は、被災六県全体で二万一千四百八十ヘクタールでございました。

 このうち、公共用地などへの転用によりまして農地として復旧しない箇所を除きました、災害復旧事業の対象として復旧いたします一万九千八百ヘクタールのうち、平成二十九年度末までに八九%に当たります一万七千六百三十ヘクタールで営農再開が可能となる見込みでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 復旧の際、大区画化等に取り組まれたと聞いております。現状、どれくらいの規模拡大を達成できたのでしょうか。また、その効果についてどう認識されているでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災で津波被害を受けました岩手、宮城、福島の三県の二万五百ヘクタールの農地のうち、約九千ヘクタールでは、原形復旧にとどまらず、農地の大区画化のための基盤整備を進めているところでございます。

 その進捗状況でございますけれども、平成二十九年度末時点で約七千二百ヘクタールの整備を完了する見込みということで、進捗率は約八〇%ということでございます。

 これらの大区画化に整備された農地におきましては、先進的な農業経営が既に展開されておるところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。ハード面の復旧についてはわかりました。

 震災以前と比較して、個々の被災農家の経営状況はどのように変化したのでしょうか。

大杉政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災被災地の農業の回復状況でございますけれども、岩手県、宮城県、福島県の農業産出額について、東日本大震災前の平成二十二年の金額を一〇〇として直近の平成二十八年の金額をあらわしますと、岩手県は、平成二十二年の二千二百八十七億円を一〇〇といたしますと、平成二十八年の二千六百九億円は一一四、宮城県は、平成二十二年の一千六百七十九億円を一〇〇といたしますと、平成二十八年の一千八百四十三億円は一一〇、福島県は、平成二十二年の二千三百三十億円を一〇〇といたしますと、平成二十八年の二千七十七億円は八九ということになっております。

 被災三県の農業産出額の回復状況には差が見られるわけですけれども、農林水産省としても、福島県における営農再開支援策や風評対策を継続するなど、被災地の農業の復興、創生に引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 次に、水産業についてお伺いします。

 漁船や漁港、養殖施設は壊滅的な打撃を受け、まさにゼロからの復旧復興でした。漁船、漁港及び養殖施設の被害状況、また復旧状況を教えてください。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 震災から七年が経過いたしましたけれども、関係者の御尽力によりまして、漁船につきましては、復旧目標二万隻につきまして、約九割までの復旧ということでございます。

 被災した三百十九漁港につきましては、全てにおいて陸揚げが可能となり、復興を機に、新たに七漁港において高度衛生管理型荷さばき所の供用が開始されております。

 養殖施設につきましては、再開を目指す全ての施設、六万九千施設ほどになりますけれども、この施設の復旧が完了しております。

 今後とも、復興庁を始め関係省庁や自治体とも連携し、被災地水産業のさらなる復興に向けて引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

森(夏)委員 復旧に際して、漁港を高度衛生管理に対応した施設にするなど、被災以前よりも充実した施設として整備しようと聞いております。その進捗状況も教えてください。

長谷政府参考人 先ほど申し上げましたように、復興を機に、単なる復旧ではなく復興ということで、七つの漁港におきまして高度衛生管理型の荷さばき所の整備を行ったということでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。ハード面の復旧について御説明いただきました。

 個々の生産者の収入については被災前と比べてどのように変化したのか、教えてください。

大杉政府参考人 岩手県、宮城県、福島県の三県につきまして、生産農業所得、農家の所得の積み上げでございますけれども、これについて、先ほどと同様、東日本大震災前の平成二十二年の金額を一〇〇として直近の平成二十八年の金額をあらわしますと、岩手県の場合は、平成二十二年の八百十五億円を一〇〇といたしますと、平成二十八年の九百四十億円は一一五、それから宮城県は、平成二十二年の六百八十六億円を一〇〇といたしますと、平成二十八年の七百八十二は一一四、それから福島県は、平成二十二年の一千四十七億円を一〇〇といたしますと、平成二十八年の九百三十二億円は八九となっているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 報道によりますと、福島産のヒラメが、震災後、魚介類では初めてタイに出荷されたそうです。本当にうれしいニュースです。

 しかし、バンコクで開催される予定でしたフェアが急に中止になったり、まだまだ中傷や根拠のない指摘がSNS等で拡散されることに、とても残念な気持ちになります。

 政府では、平成三十一年の農林水産物、食品の輸出額一兆円目標に向けて取組を進めていると聞いております。被災地産の農林水産物の輸出についてのお考えをお聞かせください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘のございましたタイのケースでございますけれども、タイにつきましては、日本産農林水産物、食品についての放射性物質に関する輸入規制は、二〇一五年の四月に撤廃をされております。

 しかしながら、こうした中で、福島県産ヒラメ等の輸出に関連するイベントが、タイの消費者団体等から放射性物質の影響への懸念があったことなどによりまして中止に至りましたことは非常に残念に思っておりまして、こうした風評被害の払拭のために、福島県、あるいは現地の日本大使館、ジェトロとも連携をいたしまして、さらなる情報発信や日本産食品の安全性のPR等を検討してまいりたいと考えてございます。

 被災地の輸出についてでございますけれども、放射性物質に関する諸外国・地域の輸入規制に対しまして、これまで科学的根拠に基づいて撤廃、緩和に向けた取組を進めてきた結果、福島第一原発事故の直後に規制を導入した五十四カ国・地域のうち、これまで半数に当たる二十七カ国におきまして規制が撤廃をされているところでございます。

 しかしながら、現在も日本産の食品について一部の県からの輸入を停止する等の規制を行っている国もございまして、こうした国、地域に対しましては、先般の韓国の日本産水産物等についての輸入規制措置に関するWTOパネルの報告書等も踏まえまして、更に働きかけを強く行っているところでございます。

 引き続き、適切な情報発信、日本産食品の安全性のPR、輸入規制の撤廃、緩和に取り組みますとともに、平成二十八年五月に策定をいたしました輸出力強化戦略に基づきまして、被災地も含めた我が国の農林水産物、食品の輸出拡大のための支援を総合的に講じてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 続きまして、ハラールの食肉処理施設についてお伺いをいたしたいと思います。

 農林水産物、食品の輸出については、相手国政府との動植物検疫条件に従ったものであることや、加工施設がHACCP対応であることが要求されたりします。このほか、民間取引においても、GAP認証やイスラム教徒におけるハラール認証が必要とされることもあります。

 私は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは日本食ブームを更に広めるよい機会だと思っておりますので、オリンピック、パラリンピックまでの整備が必要と考えております。輸出先国が求める食肉加工処理施設の整備が必要だと考えておりまして、現在のハラール食肉加工処理施設の整備状況と今後の整備予定について、御説明をよろしくお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 ハラールに対応いたしました食肉処理施設の整備につきましては、強い農業づくり交付金及び農畜産物輸出拡大施設整備事業におきまして支援するメニューを用意しておりまして、これに従いまして支援を進めているところでございます。

 特に、これらの事業につきましては、イスラム教の国々への牛肉輸出を目的とする食肉処理施設の整備を推進するために、一日当たりの処理能力の要件を撤廃するほか、輸出先国等が定めるハラール認証の基準を遵守するために必要な設備につきましては補助率を引き上げるといったように、通常の食肉処理施設整備と比べて要件緩和をすることとしておりまして、平成三十年度当初予算、二十九年度補正予算においても所要の予算を計上しているところでございます。

 これらの施設につきましては、輸出のみならずインバウンド需要にも対応可能でありますので、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、引き続き、ハラール対応向けの食肉処理施設の整備を支援してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 私は中東やエジプトなどに友人が多いものでして、本当にハラールのお店がないということをよく聞きます。日本食を食べたいんだけれども、ハラール対応でないので食べられない、日本に来たときに食べるものがなくて痩せて帰ってしまうという友人もおりますので、ぜひ、オリンピック、パラリンピックまでにハラール対応をしっかりお願いいたしたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってしまいましたので、森林環境税につきましてはまた質疑をさせていただきたいと思います。総務省さんに来ていただいているんですけれども、申しわけないです、済みません。

 最後に、イチゴの新品種の流出についてお伺いさせていただきます。

 さきの平昌オリンピックで、日本のカーリング女子選手が試合中の休憩時間でどんなものを食べているかに注目が集まりました。その選手の一人が、韓国で食べたイチゴがおいしかったとインタビューで答えておりました。ほほ笑ましい反面、少し残念な気持ちもありました。

 そこでは韓国産のイチゴが提供されたようですが、齋藤大臣は、三月二日の記者会見でこの件に言及されました。韓国で生産されているイチゴは、以前に日本から流出した品種をもとに韓国で交配されたものが主であると説明された上で、植物品種等の海外流出防止対策にしっかり取り組むと発言されました。

 農林水産省は、海外における品種登録出願について、経費支援や説明会を開催するための予算を計上し、また、農林水産省のホームページを通じて注意喚起もしているようですが、海外における品種登録出願を円滑に行う仕組みを構築すべきではないでしょうか。大臣の御所見をお願いいたします。

齋藤国務大臣 我が国の優良品種の無断の海外流出を防いでいくということは極めて重要な課題であると思っているものですから、先般の平昌オリンピックで韓国産のイチゴが注目された際に、いい機会だと思いまして、その重要性を強調したく、記者会見であえて言及をさせていただきました。

 海外で知的財産権を確保して、仮に流出を発見した場合には、栽培や販売の差止め請求等を行うことができるようにするということが重要であります。

 このため、我が国で開発された重要な品種について、海外で植物品種の育成者権を取得することを支援するために、平成二十八年度補正予算によりまして植物品種の海外流出防止対策を行うとともに、平成三十年度の当初予算におきましても、これに加えて侵害対応のための予算を計上しているところであります。

 農家の皆さんにとっては、なかなか海外での申請、権利の取得というのはハードルが高い話だと思いますが、今回の、たまたまですけれども、平昌でのこの出来事を通じて重要性を認識していただき、一つ一つ、もし、これはどうなんだということがあれば、地方の農政局等に相談をしていただきたいなというふうに思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。対策を強化していただきたいと思います。

 流通面に対しても少し課題があるように思いますので、またの機会に質疑をさせていただきます。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十六分散会


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