衆議院

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第3号 平成30年3月20日(火曜日)

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平成三十年三月二十日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 大串 博志君 理事 佐藤 英道君

      池田 道孝君    泉田 裕彦君

      稲田 朋美君    上杉謙太郎君

      岡下 昌平君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      木村 次郎君    岸  信夫君

      国光あやの君    小寺 裕雄君

      國場幸之助君    斎藤 洋明君

      杉田 水脈君    武井 俊輔君

      谷川 弥一君    西田 昭二君

      野中  厚君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      細田 健一君    堀内 詔子君

      宮路 拓馬君    石川 香織君

      大河原雅子君    神谷  裕君

      亀井亜紀子君    山川百合子君

      山本和嘉子君    後藤 祐一君

      佐藤 公治君    関 健一郎君

      緑川 貴士君    江田 康幸君

      金子 恵美君    田村 貴昭君

      森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  桑原振一郎君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小泉  勉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            荒川  隆君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           別所 智博君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沖  修司君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     國場幸之助君

  細田 健一君     杉田 水脈君

  山本  拓君     岡下 昌平君

  亀井亜紀子君     山川百合子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     神谷  昇君

  國場幸之助君     国光あやの君

  杉田 水脈君     堀内 詔子君

  山川百合子君     山本和嘉子君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     山本  拓君

  国光あやの君     加藤 寛治君

  堀内 詔子君     武井 俊輔君

  山本和嘉子君     亀井亜紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     細田 健一君

    ―――――――――――――

三月二十日

 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官桑原振一郎君、TPP等政府対策本部政策調整統括官澁谷和久君、外務省大臣官房参事官小泉勉君、農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長荒川隆君、政策統括官柄澤彰君、農林水産技術会議事務局長別所智博君、林野庁長官沖修司君、水産庁長官長谷成人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原雅子でございます。

 二〇一八年の常会、やっと農水大臣の所信質疑にたどり着いたという印象でございます。

 質疑に入る前に、三月二日の朝日新聞のスクープから、森友問題、こんなにも根っこの深い、そして、この一年間の時間を使ってきた結果が、省ぐるみのというふうに見えてしまうんですが、そんたくの塊、そして、あってはならない公文書の改ざん、しかも、決裁書、変えることなんかあり得ないと思うんですが、こういうことが実際起こってしまっております。

 まず齋藤大臣に、元通産省の官僚でもおありになります、この問題をどういうふうにごらんになっているのか、まず伺えますでしょうか。

齋藤国務大臣 今回の財務省における決裁文書の書きかえといいますのは、総理も言及をされておりますように、政府全体の信頼も揺るがしかねない出来事であるというふうに思っております。

 私の経済産業省時代の、狭い経験かもしれませんが、経験では、決裁文書、決裁が終わったものを書きかえるということはちょっと考えにくい出来事であろうというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、信頼の回復ということが大事だと思っておりますので、財務省におきまして今調査が行われているところでありまして、この調査をしっかりとやっていただきたいというのが今の私の思いでございます。

大河原委員 この問題についていろいろな方たちがコメントされていますが、農水省の官僚の方が、霞が関にも驚きの声が上がったという記事の中で、誤字脱字でも訂正印を押して直したことがわかるようにする、訂正印を押して直したかどうかわかるようにする、こんなことは絶対にあり得ないんだということをおっしゃっていて、農水省もしっかりしているんだろうなという信頼を寄せたいところなんですけれども、万が一こういうことが、データの改ざんであったり、どんなことが起こるかわかりません。天下り問題だって、霞が関全体に信頼というふうには国民は思っていないわけです。

 もし農水省でこういうことが起こったときに、大臣はどう対処されますか。

齋藤国務大臣 先ほど申し上げたように、本件は極めて異例な出来事だと思っておりますので、我が省でそういうことがあるとは私は思っておりませんし、万一起こったときどうするかというのは、考えたくない仮定のお話でもありますので、お答えは仮定の質問なので差し控えたいと思います。

 ただ、行政文書の管理の重要性というものは、改めて我々は肝に銘じなくちゃいけないと思っておりまして、行政文書の適切な管理については、行政の適正かつ効率的な運営を実現するとともに、国民への説明責任を全うする上で極めて重要であるという観点から、実は、三月十三日に、行政文書の適正な管理について、改めて省内に徹底を私の指示に基づいてしたところでございます。

 昨年末に改正されました行政文書の管理に関するガイドラインというのがございますので、これを踏まえて、文書管理規則等を今月中に改正するための作業もあわせて行っているところでありまして、今後とも適正に管理をするよう努めてまいりたいと思います。

大河原委員 今、大臣が大事なことをおっしゃっていただきました。

 公文書、行政文書、こういったものが誰のためのものなのか。最終的にというか、ストレートに言ってこれは国民のものだというふうに思っていただかない限り、勝手に変えられてしまうことがあってはならないわけで、私たちがこうやって国会で質疑をさせていただく中でも、さまざまなことが本当なんだろうかと思うようなところから始まるようであっては困ると思います。

 それで、今おっしゃっていただいたように、適正管理のガイドラインとか、今月中にいろいろ規則を直さなきゃならないところは検討されるということですけれども、今、財務省に不信の目というか、このことを国民がどう見ているかというと、何か不祥事が起こったところで、その省の中だけで調査をしているということ自体が理解ができないわけですね。どうしたって、そのことを繕うために、カバーするために、財務省の場合でいえば、佐川理財局長の答弁に合わせて、あるいは、総理の意向、そちらの答弁に合わせていろいろなことが流れていく、そんな動きが見え隠れしております。

 ですから、この検証をする場合に、農水省の中だけではなくて、これは第三者機関をしっかり使って中を明らかにする、そういう姿勢が必要だと思いますが、大臣は、この点、いかがでしょうか。省内だけでは足りないと思います。

齋藤国務大臣 なぜこういうことが起こったのかということをしっかり究明をして、調査をして明らかにしてほしいという国民の皆さんの気持ちというのは、私も共有をしております。

 現在、財務省が調査を行っているわけでありまして、その調査の方法について私の立場でこれがいいとかあれが悪いとか言うことは控えたいと思いますが、いずれにしても、結果として、なるほど、こういうことが起こったのかということがはっきりとわかるようにすべきであるというのが私の今の意見でございます。

大河原委員 農水省ですから、いろいろな食品事故というか、そういったものが起こった場合にも履歴をちゃんとたどれる、トレーサビリティーというのはこの省の肝だと思うんですよ。

 ですから、その点についてもしっかり、誰の目に見ても明らか、合理性がある、納得できる、そういう調査でなければならないと思いますけれども、省の中で、万が一にもそういうことはないだろうねということで調査をする御意思はありますか。

齋藤国務大臣 決裁文書の事後的な書きかえというのは、先ほど来申し上げておりますように極めて異例で、私も実際に文書を起案したことがありますけれども、その途中で、決裁をとっていく途中で、いろいろな御指摘をいただいて、先ほどお話あったように印鑑を押して直すというようなことは当然ありましたけれども、でき上がったものを後から書きかえるということは、私の経験でもちょっと考えにくいことであります。

 したがって、どういう経緯でそういうことが起こったのかということをしっかりと今調べているわけでありますので、その結果を踏まえて、これならば農林省でも起こり得るなとか、これなら起こり得ないなということを、そのきちんとした調査結果を踏まえて、どうすべきかというのは判断していきたいなというふうに考えております。

大河原委員 ありがとうございます。

 もうやめますが、他省のことだと思わずに、そのことがやはり我が省でも起こるんだ、起こり得る、でも、絶対に起こさない、そういう意思を持って臨んでいただきたいと思います。

 ちょっと質疑に入る前の時間が長くなりましたので、ちょっと順番を変えさせていただいて、主要農作物種子法の廃止というところから始めさせていただきたいと思います。

 いよいよ三月三十一日をもってこの法律が廃止をされます。この一年間というか、さきの去年の通常国会でもこの今の時期に慌ただしく審議が行われて、それこそ国民が知ったのは、なかなか時間のかかることでございました。

 この主要農作物種子法が昭和二十七年にできて、しかも、これは坂田農水大臣ですか、中心となられて、戦後の食糧難の経験をしたところから、国民を飢えさせない、非常に食料増産システムをつくって安定的にいい品質のものをつくっていくんだという強い志があってつくられたものだと私は理解しています。

 なので、さきの特別国会でも聞かせていただいたんですが、この廃止に当たって附帯決議がついておりまして、これについて大臣は、これまでと変わらなくやっていけるんだ、だから御心配は要らないんだというふうに御答弁をいただいたわけなんですが、今、まさに国民の声、国民の心配事は、本当にそうだろうかということになってきています。最近知ったという方が実は多いということもありますので、これ以降の話をぜひ誰にもわかるようなことで教えていただきたいと思います。

 この種子法の供給システムというのは、私は本当にすぐれたものだと思っています。特に途上国などでは、戦乱もあり、いろいろな形で状況が整わない、そういう中で、これはモデルにしていただける、そういうような形もあるんじゃないかと思いますが、その基本的な精神である種の公共性ということで、この廃止によって日本政府の種子に対する考え方が変わったのか変わらなかったのか、どういう考えをお持ちだったのか、その点をまず伺わせてください。

齋藤国務大臣 稲、麦類及び大豆というのは我が国の土地利用型農業における重要な作物である、そして、その基本的資材である種子は重要な戦略物資であるという考え方は一貫して変わっておりません。

 平成二十八年十一月に決定された農業競争力強化プログラムにおきましても、「戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。」というふうにされているところであります。

 こうした考えは今後とも一貫して変わっていかないものだと思っておりまして、官民の総力を挙げた稲、麦類及び大豆の種子の開発、供給体制の構築を進めることによって、農業を成長産業として、農業者の所得向上を図ってまいりたいと考えています。

 種子法は、今委員お話にありましたけれども、戦後の増産が必要な時期に都道府県にその生産を奨励するというのを、法律でルールを決めたわけであります。増産が必要だから生産を奨励する。

 今は法律によって生産を奨励するというところまでやらなくてもいい状況になったのではないかというのが大きな背景としてあるわけでありまして、ただ、種子そのものの重要性というものは今申し上げたように一貫して変わらないものであるし、これを戦略的に活用していくことは今後も重要であるというふうに考えているわけであります。

大河原委員 今、大臣は、御答弁の中で真っ先に米、麦、大豆、土地利用型農業であるとおっしゃいました。そして、これは戦後の増産を目標にする、目的にする、そのために種を生産するということでおっしゃったんですが、種といっても、米も麦も大豆も日本の主食なんですね。ですから、その主食をやはり増産した。このことで成功したのは、実は米だけですね。そうすると、この法律の本当の価値というか、利用の伸び代というのは実はもっとあるんじゃないか。

 私は、増産ができなかった麦やあるいは大豆、こういったものについては、それでは、この種子法を廃止して、高い民間の種を買わされてしまうというようなことが起こるんじゃないかという心配も実はしております。

 ですから、都道府県の役割、種子の開発とか供給体制、これは変わるのか変わらないのか。農業競争力強化支援法ではこの都道府県の役割を位置づけているわけですけれども、そこに位置づけられているのは、都道府県が有する種子生産に関する知見の民間業者への提供を促進するということなんですね。そうすると、これを守って、公共的に、安定して食料供給、増産に資するという形には私には読めないんです。

 まさに戦略物資です。ですから、これが、供給がとまるとか、そういうことにつながってはならないわけだというふうに思いますけれども、海外資本を含めて民間に最大限開放していくということは、私は余りにも危険じゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

齋藤国務大臣 幾つか御指摘があろうかと思います。

 まず、先ほど申し上げたように、この種子法がなくなっても種子の戦略的重要性は変わらないということであります。

 そして、その上で、今おっしゃったように、民間事業者に知見を提供するという切り口に関しては、こういうふうに考えております。

 種子の生産に関する知見については、農業競争力強化支援法の方で、第八条第四号において、民間事業者への提供を促進するということにしているわけでありますが、その目的は、官民の総力を挙げた種子、種苗の開発、供給体制を構築することによって、我が国農業の国際競争力を強化して、農業を成長産業にするということにあります。

 こうした観点から、国の独立行政法人や都道府県が持つ知見の提供は、我が国農業の競争力強化に貢献するかどうかを判断して行うということになります。

 このため、民間事業者が契約を結ぶ際に、民間事業者の開発等の考え方を契約の際に確認した上で、適切な共同研究契約を結ぶなどの適切な措置を講ずることができるよう、国の独立行政法人及び各都道府県に対して、必要な場合には国に相談していただきたい旨の通知を行っておりまして、その周知徹底を今図っているところであります。

 逆に言えば、都道府県が有する種子の知的財産の提供、これまではむしろ明確なルールはありませんで、都道府県がそれぞれの対応で行ってきていたわけでありますが、今後は、今申し上げたルールによりまして、技術的助言を踏まえて、都道府県が譲渡先を限定して、違反した場合には違約金を徴収するといった効果的な契約を締結することなどによって的確な対応が行えるというふうに考えております。いわんや海外へ知的財産がどんどん流出していくということはないように、今回の措置でそれが徹底されるということでございます。

大河原委員 けさの日本農業新聞なんですが、この種子法廃止に向けて、北海道では、十九年度以降の新しいルールを検討するという記事が出ていました。

 やはり都道府県が関与してこそ、この公共性、また安定的な、種もそんなに高騰しないで済むという仕組みが守られてきたというふうに思いますけれども、もともとこの農業競争力強化法ですか、そこに定められていることも、官民の競争を興す、そしてその結果が生産者、消費者にとって還元されていくようなという、そういう御説明があります。

 資材費を安くするというのはわかりますが、種の生産費は下がるとは書いていないですよね。それを下げていく、安定的に安くいいものをという発想は、私は消えてしまっているんじゃないかというふうに心配をしているわけです。

 今年度は、種場農家をたくさん抱えている県などでは従来どおりの方法でやっていかれると思うんですが、来年度以降のことが余りにも不安、不明朗というか、不安定、不明なのではないかと思いますけれども、自治体でこういうふうな動きが出てきているということを、大臣はどのように受けとめていらっしゃるんでしょうか。

野中大臣政務官 主要農作物種子法によって、種子供給業務を全ての都道府県に一律に今まで義務づけておりました。当該都道府県の業務については、従来自治事務としての扱いでありまして、従来独自に条例を定めてきた都道府県があるものと承知をしております。

 種子法廃止後においても、都道府県が行う種子供給業務が自治事務であるという位置づけは変わらないということから、種子法の廃止後において独自の条例を定めることについては、それぞれ都道府県の自主的な御判断によるものと考えております。

大河原委員 分権の気持ち、それから、地域に合わせたものを生産していく、オリジナリティーをつくって競争力を高めていくという点でも、地域が独自にやっていくことについては必要なことだろうと思います、これは防衛策として。

 というのは、国の方針は、この競争力強化法の中に定められているように、民間に、これまで培ってきた、いわば公的なお金でできてきた知見を開放するということですから、そこに外国資本を含む民間のより資本力のある人たちが入ってきて、自分たちが開発した種を販売拡大していくということになれば、それはもう通常の競争を助長する。そして、企業の戦略としては、そんなに多品種を売り込むわけではなくて、地域の多様性というのはどんどん失われていくというふうに思っています。

 ですから、品種の改良とか品種を新しく開発していくということに、この国がどっち側に立つのか。両方をバランスよく、開発者の利益もあるでしょうし、その地域でずっと生産をして、これから先もその地域に合ったものをつくっていきたいという人たちの、自分がつくりたいものをつくっていく、そしてまた、それを政府が食料安保の点からも応援をしていける、そういう仕組みがやはり必要だと私は思っています。

 それで、ちょっとこの主要農作物から離れますが、この間の韓国の平昌のオリンピックで話題になりました、韓国のイチゴ事件、これについて少しお考えを伺いたいと思います。

 これは、新品種の登録がされていなかったということもありますし、知らない間に品種が流出をしていたということだと思いますが、どうすれば新品種の流出を防ぐことができたのか。今現在ある仕組みは十分と言えるんでしょうか。

齋藤国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思っておりまして、私も、この間のオリンピックでの出来事については、これはカーリングの選手に問題があるわけじゃないんですけれども、看過できないなと思いましたので、あえて記者会見で問題提起をさせていただいたわけであります。

 この韓国のイチゴにつきましては、韓国の植物品種保護制度においてまだイチゴが対象となっていなかったとき、そのときに日本の育成者が韓国の農業者に栽培を許諾したことにより、韓国内での無断での栽培が拡大をしていったということが原因として挙げられているわけであります。

 このような我が国の優良品種の海外流出というのを防ぐためには、まず、植物品種の保護制度が整備をされている国においては、その国で知的財産権を確保して、そして、仮に流出を発見した場合には栽培や販売の差止め請求等を行うことができるようにしていくことがまず一つであります。それから、植物品種保護制度が整備されていない国に対しては、栽培を許諾しないよう育成者や農業者に周知徹底を図ること、これが重要であろうというふうに考えています。

 このために、二十八年度補正予算から、海外で植物品種の育成者権を取得することを支援するとともに、平成三十年度当初予算において、これに加えて、侵害対応のための予算も計上させていただいているところでございます。

 引き続き、これらの対策を通じて、重要な戦略物資である種子、種苗をしっかりと保護する措置を講じてまいりたいと考えていますが、とにかく農業者の皆さんがこういう問題をしっかり認識していただいて、疑問に思ったときはすぐ農政局等に相談をしてもらって対応を図っていくということが大事だと思いますので、そういう意味では、周知徹底を図るために、この間あえて記者会見をさせていただいたということであります。

大河原委員 三十年度の予算でも、植物品種海外流出防止総合対策事業とか予算をつけてやっていらっしゃるわけで、ただ、うっかりというか、なかなかできなかった。それは、登録にお金がかかったり、その中身についてやり方がなかなか周知されていないということもあるんだと思います。

 選手に罪はないわけで、こういう新しい品種で競争力をつけていく、世界から評価されるものをつくるということが一つの潮流ですから、国際条約も、UPOV条約とか、種苗法もそうですけれども、そういう形で開発者の権利を守る、育成者の権利を守る、そういう流れがある一方で、世界で起こっている食糧難とか、世界食糧機構でしたっけ、FAOがつくっている国際条約などでは、やはり誰でも、種は人間、人類の遺産なんだ、だからそういう意味では公共的にどんどん使ってください、日本もそういった品種を提供していますけれども、そういう流れと、二つの潮流があるわけですね。

 この世界でやはりどういうことが起こるかわからないということからいうと、このせめぎ合っている二つの考え方、これは、種子法の廃止によって日本の安全保障はどっちに行くのかなというふうに考えると、私は、先ほどから申し上げているように、民間でこれまで培ってきた知見を提供する、その提供されて更に開発を進めたところは、この品種を登録してそこから利益を得る、そういう仕組みを応援するということに、政府、ならないでしょうか。なっていますよね。

 大臣は、この二つの潮流をどういうふうに見ておられるのか。この日本の島国で自給率が三八%しかなくて、そして、お肉やいろいろなものを食べる、その飼料も更に自給率が低いわけですね。この種子法ができて、食料増産と言いましたけれども、申し上げているように、増産というところまで行ったのは米だけなんじゃないのというふうに私は思います。

 まず、この二つの潮流と、日本がとっていくべきスタンスというのはどういうふうにお考えでしょうか。

齋藤国務大臣 今委員御指摘の二つの潮流というのは、一つは、遺伝資源の利用から生ずる利益がその国に帰属するんじゃないかというお考えと、それから、新品種の育成者の排他的権利を認めるという考え、この二つが相反するところがあるのではないか、それと種子法との関係だと思うんです。

 確かに、国際条約の世界では、植物の新品種の保護に関する国際条約、UPOV条約ですけれども、これで新品種を開発した育成者に育成者権を付与して、これを一定の期間保護することによって、新品種の育成を促進し、農業の発展に寄与するということを目的とした一つの条約の流れがあるわけであります。

 他方、生物多様性条約がございまして、これでは、締約国各国が自国の、これは天然資源ですけれども、天然資源に対して主権的権利を有するということを定めておりまして、この条約のもとにある名古屋議定書では、締約国の天然遺伝資源を利用する場合にはその国の政府の事前同意を要するということと、それから、当該遺伝資源を提供した者に利益を配分することを義務づけているわけであります。これは恐らく、途上国で、天然資源があります、それを、海外の大企業が地元に何の利益もなくどんどん自分たちだけで利益をとってしまうことを避けるために、そういう考え方に基づいてできている条約だと思います。

 その二つの条約は、その目的は異なっているわけでありますけれども、例えば途上国の天然遺伝資源を利用して品種開発を行った場合には、育成者と当該遺伝資源の提供者の契約に基づいて両者の間で公正かつ公平な利益配分を行いながら、新品種の育成者の権利を保護していくということも可能だろうと思っておりますので、御指摘の二つの条約の考え方というのは両立するのではないかというふうに考えています。

 種子法は、種子法というか競争力強化法において民間に開放するということは、繰り返しになりますが、あくまでも日本の農業競争力の強化につながるというものに対してそういうものを開放していこうということでありますので、それはそれできちんと実行していくことが大事なんだろうなというふうに思っております。

大河原委員 生物多様性、これはすごく大事だと思います。多様性が失われたときに、最後に残るものがなくなればどんな状況が起きるか、私たち人類が滅びていく、そういう道筋が見えてきてしまうわけで、その点では、昔プラントハンターから、今はジーンハンターなわけですね、遺伝子を使う、それは多く先進国にしかできない、資本を持った大きな開発者でなければできないことです。

 ですから、自分たちが育てたものを種とりして次の年にもまく、こういう自由さ、本来の権利というものが奪われていく現状も同時にあるわけなので、そういうところは、この二つの潮流のせめぎ合いでいえば、途上国の方たちがその利益を配分せよというのは私は至極当然なことだと思います。

 翻って、やはり日本で今どこが注目されているかというと、例えば、この小さい島国、四季に恵まれて、土地土地が違うということでは、少量でも多品種、いろいろなものがその地域に行って初めて食べられるというようなものが出てきている、これが本当にかえがたい価値だというふうに思います。

 ですから、今、品種登録なんかされていないもの、そういうものが、実は、種子法廃止の流れを恐れて、では私たちが育てているものはどういう影響を外から受けるのという心配が広がるわけです。

 競争力とか、そういう日本の農業を強くするということでいえば、強くなった人たちだけが勝つ、その者だけが地域を席巻するということであっては、このプライスレスな価値は失われるわけですよね。

 昔、山形県は、「おしん」の時代もあって、すごく貧しい地域と言われてきました。私は、山形の出身の方たちとお話ししていても、種を交換したり、自分のうちでどんどんそれを大事に使い回していったからこそ多様な種類が今残っているということで、それはもう何物にもかえがたいものだと思います。

 ですから、ぜひ、日本の農政のあり方は、私は、世界の大きな種子会社等の開発企業に負けない、そういう人たちが来ても勝とうと思わない、負けない、ここを譲れないということはしっかりと守っていただきたいというふうに思っています。

 次に、その農業の立て直しに、私はすごく期待をかけているものがあります。

 農業を成長産業にするという国の方針なんですけれども、それは、多くは、今の種子法廃止にもありますように、競争力強化というところにもありますように、守ってきた規制を壊すということの中身になっていると思うんです。規制改革の中身が、民間参入を広げて競争をあおるだけに終わってしまっているように私には見えます。

 ここで、農村地域が支え、築いてきた第一次産業の豊かさ、資源というものをフル活用できないか。厳しい自然環境の中からも守らなきゃならないというか、つくり出さなきゃいけないのは、そこの持続性です。今まで使ってこなかった未利用なものも含めて、私は、地域が、食べ物だけではなくてエネルギーを使って産業を進化させる、隆盛させる、そういう根源的な改革が必要だというふうに思っています。

 未利用のエネルギーをたくさん、豊かに持っている第一次産業地域や賦存地域として、しっかりと地域の開発にエネルギーを大もとに据えるという考えを持っておりますけれども、今、再生可能エネルギー開発、農水省としては、開発の状況と課題についてどうお考えでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、御指摘のように、バイオマスにしても水にしても土地等にしても農山漁村に豊富に存在をしているわけでありますので、これらを活用して再生可能エネルギー、未利用エネルギーとおっしゃいましたけれども、再生可能なエネルギーを導入促進していくということは、地域の活性化につながる取組としても重要だと考えておりまして、このために、農林水産省では、農山漁村再生可能エネルギー法に基づいて、地域が主体となって協議会を設立して、農林漁業の健全な発展に資する取組が盛り込まれた再生可能エネルギー発電の導入を促進しているところであります。

 こういう取組といたしましては、例えば、この農山漁村再生可能エネルギー法による市町村の基本計画に基づいて五十地区で発電事業を開始又は設備整備に着手をされておりますし、また、農山漁村の活性化に資する再生可能エネルギー導入を支援する補助事業を活用して二十一地区で発電事業を開始又は設備整備に着手をしておりまして、合わせて七十一地区で取組が行われているという、現状という御質問でありましたので、そういう現状がございます。

 そして、課題としては、農山漁村における再生可能エネルギーの導入に当たっては、地域への利益の還元がしっかりと行われなくてはいけないですとか、土地等の利用の調整もしっかりしなくちゃいけないし、地域の合意形成というものもしっかりやっていかなくちゃいけない、そういう課題があろうかと認識をしております。

 今後とも、これらの課題に対応しつつ、再生可能エネルギーのさらなる導入というものに努めていきたいと考えております。

大河原委員 エネルギーを自分たちがつくり出して、それが自分たちの所得を高める、そういうことになりますよね。

 このエネルギーを外に輸出するというよりは、その域内でまず使っていただいて、その中に循環が起こるということが大事だと思うんです。

 今御紹介をいただいた地区、たくさんありますけれども、恐らく、この地区はバイオマス、この地区は小水力とか、いろいろなエネルギー源がありながらも、それをつないでいないんじゃないかなというふうに思います。それをつなぐことで、その地域に仕事を生み出し、その地域内からお金が外に出ていくことを防いでいく。

 そういうことが非常に大事で、将来像としては、農水省、見ていらっしゃるんですよね、地域内経済循環、この再生可能エネルギーの地産地消から行く。まあ、資金が外から来てもいいんですけれども、その利益が外に出ていってはいけないというふうに思います。

 私はちょっとこの間つくばに行く用事があって、公文書館の前に物すごく広大なメガソーラーがあるんですけれども、土地を貸した農家の方たちにもその地代は行くと思いますけれども、そこで上がってくる電力料はもっと莫大なんですね。ですから、それが海外資本というふうに聞いて大変驚きましたけれども、もっとこの地域内の仕組みを充実させる方策をとっていただきたい。

 食料・農業・農村基本計画にも農業、農村の多様な可能性がうたわれて、再生可能エネルギーにかけているということもわかるんですけれども、私は、国がエネルギーミックスを今検討していて、再生可能エネルギーをまだ二二とか二四とか、よくて三〇とか、そういうふうになっていくんだと思いますが、農林水産省として、この再生可能エネルギーをどのぐらい第一次産業地域でつくれるかという、農水省としてのエネルギー計画が必要だと思いますが、それについてはいかがでしょうか。

齋藤国務大臣 農水省としての計画ということでありますけれども、再生可能エネルギーについては、平成二十六年の四月に閣議でエネルギー基本計画が決定されまして、政府全体でその導入を積極的に推進していくというふうにされているところであります。

 農林水産省としては、このエネルギー基本計画も踏まえて、再生可能エネルギーの導入とあわせて、先ほど来お話ありますように、地域の農林漁業の健全な発展に資する取組を同時に促進するということで、農山漁村再生可能エネルギー法の活用を今推進しているところでありまして、この法律の基本方針において、農山漁村における再生可能エネルギーの導入促進の基本的な考え方を示しているところであります。

 この考え方に基づいて、例えば、地域内で森林資源を持続的に活用する地域内エコシステムの構築等、農山漁村の活性化に資する、可能ならば委員御指摘のように循環をする仕組みのもとで再生可能エネルギーの導入の促進が図れるよう、この方針のもとで努めてまいりたいと今考えているところでございます。

大河原委員 ありがとうございます。

 大臣は、通産省時代、エネルギーの御担当もされていたというふうに伺っています。原子力よりもお金はかからない、初期投資が少ない、使い始めまでの期間が短い、そして、地域内で地域エコシステムをつくり得る、本当に大事なポイントだと思います。

 農林水産省、福島原発事故でこうむった損害というのはどのぐらいですかときのうヒアリングで伺おうと思ったんですが、計算していないというふうにおっしゃっていました。莫大だと思います。これから先も損害は続いていくと思いますので、この点はぜひお考えください。

 石油タンカーの事故のことを伺おうと思いましたが、時間が終わってしまいました。御出席いただいた参考人の方、ありがとうございました。

伊東委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 まず冒頭、この間の森友学園の問題について、私も一言申し上げたいと思います。

 先ほど大臣からも御答弁ございましたけれども、特異な事案であった、そのことはそうかもしれません。しかし、やはり農林水産省についても、公文書の管理、これはしっかりやっておられると思うんですけれども、信頼することと任せっ切りにすることはやはり別でございますので、大臣を始めとしまして、政務の皆様にはしっかりと、公文書の管理、チェックを改めてお願いしたいと思います。まずそのことを申し述べて、質問に入らせていただきたいと思います。

 私の選挙区は、北海道でも、米、土地利用型の農業が非常に盛んな地域でございます。そこでは稲作とか非常にすばらしい農業をやっておられますけれども、米について、米政策について、この三十年から大きく変わるというようなことで、これについてお伺いをさせていただけたらと思っているのでございますが、平成三十年から、生産数量目標の配分、これが廃止になります。そしてまた、七千五百円の米の直接支払交付金、これも終了となります。大きな政策の転換に、率直に、米農家の皆さん方から不安の声を聞いております。

 しかも、その不安の声の大きい方、それは、規模拡大をされている方であるとかあるいは専業の方であるとか、本来こういう方に一番自信を持って農業に取り組んでいただかなければならない、そういう方々、特に米経営の方ですけれども、米農家の方々に不安の声が出ている。

 そこで、率直に、こういった米で農業をなさっている、そういう皆様方に対して大臣はどのような声をおかけになるのか、そのことをまず伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 米政策につきましては、三十年産から米の直接支払交付金及び行政による生産数量目標の配分を廃止するということが決まっている中で、農家の皆さんが不安を感じているということは私も重々承知をしているところであります。そんな中で、強い農業の実現に向けて、農地中間管理機構による担い手への農地集積や、需要のある米、大豆、飼料用米の生産振興による水田のフル活用を図るなど、前向きな政策を積み重ねてきているところであります。

 三十年産からの米政策の見直しに向けて、この数年間、各地域における需要に応じた生産、販売の取組が進んできておりまして、その結果、直近三年間の二十七、二十八、二十九年産において、三年連続で全国ベースでは過剰作付が解消をされてきております。この点、農家や御関係の皆さん、相当御努力をされたんだろうと思って、私どもも評価をさせていただいているところであります。

 農林水産省としては、三十年産以降におきましても、引き続き、麦、大豆、飼料用米等の主食用米以外の作物の生産を支援することで水田をフル活用していく、それから、きめ細かい情報提供を継続していく、それから、収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策ですとかあるいは収入保険等のセーフティーネットを構築する、こういった施策をあわせて行っていくことによりまして、農業者みずから需要に応じた生産に取り組んでいただける環境整備に努めて、米の価格及び需給の安定を図って、農業の競争力強化と農家の所得の向上を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

神谷(裕)委員 今、大臣からるる、米についての、支えていこうという施策についてのお話がございました。

 一つには、農業者の方の不安、もう大臣の所信にもありましたとおり、食べ手が減少していくんじゃないかということ、それからあるいはTPPだとか、まあ、TPPは今回あれですけれども、外国産米がこれからどんどん入ってくるんじゃないか、長期的には価格はどんどん下がっていくんじゃないか、さまざまな不安の要素があると思います。そういった中で、今の施策では、残念ながら価格が下がったときには多少の補填をしていただける、しかし、長期的に下がってきたときにそれを最後まで支えてもらえるのか、そういったことがあるのかなと思っております。

 そこで、かつてなんですけれども、価格は市場で、所得は政策でと言われていたと思います。これは決して民主党政権での専売特許でもございませんで、政権交代、民主党に政権がかわる前の自民党の政策の中にも、例えばデカップリングであるとか、そういうことが議論されていたと私は承知をしております。

 そういう中にあって、今回また、農家経営の安定を、いっときは消費者負担から納税者負担へと政策が転換されましたけれども、今日また、価格から所得を確保しなさいということになったわけでございますけれども、こういった状況に変わった、政策が転換していった、その辺の経過、理由について御説明をいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 今申し上げましたように、米政策は、平成三十年産から米の直接支払交付金及び行政による生産数量目標の配分を廃止することになっていますが、このうち、今御指摘の米の直接支払交付金につきましては、平成二十五年末の経営所得安定対策の見直しを行いましたけれども、この中で、米は、麦、大豆等と違って十分な国境措置があって、諸外国との生産条件の格差から生じる不利というものはない、それから、全ての販売農家を対象とすることは農地の流動化のペースをおくらせる面があるのではないか、それから、米についてはそもそも潜在的生産力が需要を上回っているという状況にあること等の政策的な課題が指摘されたところでありまして、そして、米の直接支払交付金は平成二十六年産から単価を削減して、これは十アール当たり一万五千円を七千五百円にして、平成二十九年産までの措置だというふうにしたところであります。

 また、行政による生産数量目標の配分については、国の主食用米の需要が毎年八万トンずつ減少をするという中において、国内の主食用米の需要を見据えて行政による生産数量目標の配分をしていくという手法では、まず一つは、農業者の創意と工夫を最大限引き出していくということにはつながらないし、必ずしも生産者みずからが市場のニーズを捉えて生産を行うという状況になりにくいということ、それからもう一つは、年々配分をする面積が小さくなっていくということになりますので、いずれ行き詰まるだろうということを考えた上で、行政による生産数量目標の配分を廃止するということにしたところでありまして、その少し先を見据えるとこういう手法が適切ではないかという判断のもとに行われているということでございます。

神谷(裕)委員 今ほど、直接支払交付金の部分、国境措置があるから大丈夫なんだという議論がこれまであったということは承知をしております。しかし、これが本当にその七千五百円がなくなっていくことの理由になるのかというと、私にはどうしても疑問が残っているところでございます。

 国内においての生産条件を見たときに、これは民主党政権のときでございましたけれども、生産費とあるいは市場価格との乖離、ここに視点を置いてというような理屈でございました。そこと、海外との障壁があるから大丈夫なんだ、もう競争条件は一緒だからそういった措置は必要ないんだ、この議論に直ちに行くということはどうしても私には疑問なのでございますけれども、今のお話にあったとおり、基本的には、生産数量目標の配分、こういったものもなくなって、農業者の方に自主的に取り組んでいただく、逆なメッセージで言うと、自由につくれる社会がやってきたのかなということも言えるわけでございます。

 そこで、やはり、需給がこの先しっかり守られるのか、あるいは米の価格、これもしっかりと大丈夫なのか、この辺が非常に心配をされるところでございまして、今大臣おっしゃられたとおり、この先食べ手が減る、あるいは需給が減っていく、いわばそういう意味では奨励するべき作物ではないのだというようなことはあるのだと思います。そしてまた、産地交付金であるとか水田活用という形で、水田転作というか、そういうことをしっかりとやっていただいている、そのところは間違いなく評価をしなければいけない。しかし、もう一方で、やはり主食用米についてもしっかりと支えていただきたい、少なくとも農業者の方が困らないようにしていただきたい、その思いがあるわけでございます。

 そこで、この平成三十年産、一月末には作付の見通しも示されて、比較的堅調だというようなお話があるわけでございますけれども、平成三十年産は大丈夫だという一方で、この後一年はいわば様子見をするかもしれないけれども、その後ひょっとするとふえるんじゃないかというような不安があるというようなこともあります。

 そういった懸念について率直にどういうふうに見ておられるのか、あるいはそういった方にかける言葉というか、そういうことをお話しいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 三十年産からの米政策の見直しによって、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、各産地、生産者がみずから需要に応じた生産、販売の取組を行うようにしていかなくてはいけないということなので、各産地においては、農業再生協議会を中心に、需要に応じた生産、販売の取組が強化をされてきております。

 その結果、一月末現在なんですけれども、主食用米の作付動向を二月二十七日に公表させていただきましたけれども、これによりますと、都道府県ごとの増減はあるんですけれども、総じて言えば、前年の二十九年産から大きく変化する状況にはないのではないかと今のところ見ているわけであります。

 今後のことについての御質問がございましたけれども、今後につきましては、需要が引き続き減っていくということが見通される中で、やはり一層需要に応じた生産をしていくということの重要性は高まってくるわけでありますし、そのことは農家の皆さんもよく御存じだろうと思います。そして、過去の経験で、この三年間落ちついてきたというのは、やはりそういう思いが農家の皆さんに共通してあるがゆえにそういう状況になってきたんだろうと私ども考えております。

 今後は、需要が減っていく中で、その需要に応じて主食用米は生産をしていただく。しかし、水田はそのままに放置をできませんので、水田はフル活用していただくために、飼料用米についての助成をさせていただいて、水田が維持できるような体制もあわせて講じていく、対策を引き続き講じていきますので、そういう中で需給が安定をしていくということになろうかと思っておりますので、その方向で努力をしていきたいと思っております。

神谷(裕)委員 おっしゃられるとおり、水田転作は非常に重要でございまして、産地交付金あるいは水田フル活用、これが本当に鍵になると思っています。

 ところが、昨年、残念ながら、いっとき配分が足りなくなるような事態もございまして、農業者の皆さんにすると大変御心配をなさったという経過がございます。ここについては本当に大事な予算だというふうに理解をしておりますので、しっかりとした確保というか、約束にたがわぬような予算措置をぜひお願いしたいと思います。

 もう一方で、やはり需給について、これまで、生産数量目標の配分に協力的であった道県と、あるいは協力的でなかった県があったというふうに思っております。細かく見てみますと、例えば茨城であるとか、あるいは新潟であるとか、やはりちょっとふえてきているような様子も見られるわけでございまして、必ずしも全ての皆さん方が需給に合わせて生産してくださっているのかなというところには、いささか心配の声もあります。

 そういった中で、やはり、需給というものを締めていただく、あるいはしっかりとしたものにしていく、そのためには今大臣がおっしゃられたような施策は非常に重要だと思いますので、ぜひしっかりとお進めをいただきたい、そのことをまず要望として申し上げさせていただこうと思います。

 話題をかえさせていただきます。

 TPPについて、少しCPTPPについて伺わせていただきたいと思います。

 この三月八日にCPTPPの署名が行われたということを伺っております。ただ、このCPTPPについて種々の説明を伺っていましても、どうしてもやはりアメリカへの未練が断ちがたいのかなということを感じているところでございます。

 そしてまた、昨今、アメリカの大統領もTPPに対して幾つかの発言をしていると承知をしておりまして、率直に、アメリカが今後TPPについて復帰ということを考えるのか、あるいは、TPPに復帰というのかCPTPPに加盟をするということになるのか、その辺の、政府として今どのように見ておられるのか。そして、もっと言ってしまいますと、我が国政府といたしまして、アメリカがこのCPTPPに参加していただく、加盟していただく、そのことを希望しているのか、率直にこの辺を伺いたいと思います。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 率直にということでございますので、三月八日、先生御指摘のとおり、チリでの署名式で、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、いわゆるTPP11協定の閣僚声明にあるとおりでございまして、我々十一カ国としては、まずはこの間署名をいたしましたTPP11協定の早期発効に全力を挙げるというのが率直な考えでございます。

 御指摘のとおり、トランプ大統領を始めアメリカの最近の幾つかの発言があるわけでございますが、分析が必要ではありますけれども、もしその発言がTPPの意義や効果について正しく評価するというものであれば我が国としては歓迎するという立場ではありますが、アメリカに対しては、TPPの経済的、戦略的な重要性、TPPがアメリカの経済、これにとってもプラスになるということをこれまでも説明してきたところでありますが、引き続き説明をしていく、そういう立場でございます。

神谷(裕)委員 お答えありがとうございます。

 率直に、やはりアメリカに加入していただくということを歓迎する立場なのかなということが今改めてわかったわけでございますけれども、やはり、アメリカが入るということに対しましては、農業者は非常に不安に思っているところだと思います。そしてまた、このTPP11について署名が行われましたけれども、実際に、中身はともかくとして、農業者にとっては非常に不安が大きいことは、大臣も、また皆様も御案内のとおりだと思います。

 そこで、改めて整理する意味でも、CPTPP、TPP11とTPP、この農林水産分野、CPTPPの農林水産分野における合意の内容は、オリジナルのTPPと何が違い、何が違わないのか、ここを率直に伺いたいと思います。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 TPP11と、もともとのいわゆるTPP12との違いという御質問でございます。

 TPP11につきましては、TPP12協定の一部の項目、これを凍結してございますけれども、物品市場アクセスの譲許内容につきましては、我が国を含めて、十一カ国全てについて修正は行っておりません。

 ただし、アメリカ自体はTPP11の非締約国ということでございますので、TPP12においてアメリカを対象として設定した米、小麦などの国別枠は、当然のことではございますが適用されない、こういうことに相なります。

神谷(裕)委員 アメリカ以外の部分については、すなわちそのまま生きているということでございますので、例えばニュージーランドあるいは豪州、こういった部分についてやはり注意が必要なのかなというふうに思っているところでございます。

 また、TPPというかTPP11についてのアメリカの加盟というか復帰の話とは別に、この間、日米経済対話も行われているところでございます。普通に考えますと、日米経済対話は、もう既に日米双方で折り合ったTPPの条件にどれだけ上乗せするかということをすぐに思いつくわけでございますけれども、これが先、要は日米FTAになっていくんじゃないか、これがやはり一番の農業者の皆さんにとっての懸念である、このように思っているところでございます。

 そこで、農業者の方の心配をしっかりと担保し、この国の農業を守るということで、かつて、日豪であるとかTPPのときに、本委員会でも決議が行われていると思います。そういった決議の精神、TPP、こういった重要五品目の決議を、しっかりと重要五品目について守っていくんだ、こういう決議があったと思うんですけれども、日米経済対話についても、やはりこういった精神というのを守っていく、これが大事なんじゃないかなと思っているところでございます。

 この際、重要五品目については、こういった日米経済対話についてもしっかりと守るのだということをはっきりとしていただきたいんですけれども、いかがでございましょうか。

小泉政府参考人 お答え申し上げます。

 今、現状におきまして、日米経済対話の中で、日米FTAという話には現状はなっておりません。先生御指摘の、今後はどうかという観点からの御質問かと承知いたします。大変恐縮でございますが、日米FTAの交渉が開始されるという場合を想定した仮定の御質問については、現状ではお答えを差し控えさせていただかざるを得ません。

 その上で申し上げますけれども、政府といたしましては、これまで、TPPあるいは日豪のEPA、委員から御指摘があったとおりでございますが、国会で御決議いただいたところを踏まえまして、粘り強く交渉を行ってきたところでございます。今後とも、いかなる国との間におきましても、国益に反するような合意を行うつもりはないということは申し上げたいと存じます。

神谷(裕)委員 国益に反しないという言葉をいただいたのは非常にありがたいなと思っているのでございますけれども、やはり農業分野、一番影響を受けるんじゃないかという懸念がございます。こういった部分について、農水省、どうでしょうか。お答えいただけますか。

野中大臣政務官 ただいま申し上げましたとおり、仮定の話についてはお答えは差し控えたいというふうに存じますが、いかなる国に対しても、我が国の利益に反する合意は行わないようにしてまいりたいというふうに思っております。

 また、農水省としましては、我が国の農林水産業の維持発展を旨として、関係省庁と連携し、適切に対応していきたいというふうに考えております。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 やはり農業者の思いを代弁するのは農水省でございますから、特にこういった日米の交渉あるいは経済対話、現在まだそこまで進んでいないというようなことでございますけれども、やはり気になるのは、こういった重要な農産品が守られるかどうか、ここにかかっていると思います。改めて、今はまだそういったことはないというような状況だとは聞いておりますけれども、この先、何があるかわかりません。しっかりと、農業者あるいは農業、農林水産というか、そういった皆さん方の思いを代弁して、ぜひ交渉に当たっていただきたい、このことをあらかじめ申し述べさせていただきたいと思います。

 話題をかえさせていただきます。

 続きまして、林業のことを少し触れさせていただきたいと思います。

 今般、森林環境税について今後議論をされると思いますし、山を守っていく財源が確保されるということで、大変歓迎をさせていただきたいと思います。この問題についても課題はたくさんあると思いますけれども、まずは各自治体にしっかりと仕事をしていただく、このことが非常に重要だと思っております。そしてまた、その支援をしっかりと林野庁にはやっていただかなければなりません。

 大臣から、所信の際に川上、川下の話が出てまいりました。そこで、まず川下についてしっかりと考えるという意味で、足元からという意味でも、もう既に法律として、公共建築物の木材利用についてという法律ができております。あるいは建築基準法も、CLTについて考えての法改正であったと思いますけれども、なされているところでございます。

 そういった法改正の効果、こういったものが出ているのか、改正後の普及の伸びについてお話を伺えたらと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 公共建築物における木材利用は、平成二十二年に施行された公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき、木造化、内装木質化を進めており、平成二十七年度における三階建て以下の低層公共建築物の木造率、これは床面積ベースでございますけれども、二六%と、法律が施行された平成二十二年度に比べ、八ポイント程度増加してございます。

 また、平成二十七年に施行されました改正建築基準法により、三階建ての木造学校等について、耐火構造でなくても、一定の防火措置を行った準耐火構造等での建築が可能となり、地域においてこうした木造校舎の整備も進められております。

 さらに、木材自給率も六年連続で上昇し、三四・八%となる中で、木材需要のさらなる拡大に向け、これまで余り木材が使われてこなかったような中高層、それから中大規模、非住宅などの新たな分野における建築物の木造化、内装木質化にも積極的に取り組む考えでございます。

 今後とも、国土交通省等関係省庁や地方自治体、関係団体と連携し、公共建築物の木造化、木質化を積極的に推進してまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 お話を聞いていますと、かなり伸びているというようなお話もありますので、ぜひお進めをいただきたいんですけれども、更につけ加えますと、これは多分農水省さん、あるいは林野庁さんでは言えないんですけれども、国産材、ここをやはりしっかりと使っていただかなければいけないというふうに思っておりますし、そういった国産材の利用についても、大手を振ってはできないかもしれませんが、ぜひ考えていただけたらというように考えているところでございます。

 また、CLTの活用では、鋼材を使わないことによって建築物そのものの重量を軽減できる、あるいは、そういったことによって基礎などの面でコストの削減をできるんだというような可能性があるんだということを聞いております。

 ですので、逆に、このCLT建築の特性を設計者の方や施工業者がしっかりわかっていないと価値を発揮できない、あるいは価格面でも優位性を持つことはできないというふうに聞いておりまして、だとするならば、このCLTをしっかりと普及していくためには、まずはこういった専門家の皆さんに特性についても優位性についても理解をしてもらうことが非常に重要だと思います。

 そういうことについて、いかがお考えでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 CLTについては、昨年十二月に閣議決定しましたまち・ひと・しごと創生総合戦略において、CLTの普及に向けた取組を総合的に推進することとしており、平成三十六年度までに年間五十万立方メートルの生産体制を構築するという新たなロードマップに沿って、各般の施策を講じているところでございます。

 具体的には、CLTの製造施設の整備や技術開発などの生産面の対策のほか、CLT需要の掘り起こし、先駆的な建築の費用支援などの需要面の対策に取り組んでいるところでございます。

 これらの対策のほかに、委員御指摘のとおり、CLT建築物の設計、施工ができる技術者の育成が重要であると認識しておりまして、CLT建築物の設計者、施工者向けの講習会の開催、CLT建築物の企画、設計段階での専門家の派遣などに対する支援を行っているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携いたしまして、CLTの利用、普及に向けた取組を行ってまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 実は、やはりCLTを普及していくためには、そこが一番肝のような気がしています。最終ユーザーよりも、むしろ、専門の皆さん方にしっかりと知っていただいて使っていただくこと、これが重要だと思いますので、ぜひお進めをいただきたいと改めて思います。

 続きまして、林業の成長産業化、これは本当に歓迎をしたいと思いますが、あわせて懸念をいたしますのは事故の問題でございます。

 林業に従事する皆さんの事故が他産業に比べれば多いことは知られておりまして、今後、緑の雇用という形で若い皆さんに対して就業を促すのと同時に、事故の防止の啓発、研修などにもぜひ力を入れていくことが必要なんだというふうに思います。

 長期的には減少傾向にあるということは承知しておりますけれども、やはりこういった事故は、極力というか、ゼロを目指していく、これが大事だと思います。この対策等について伺いたいと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 林業労働におきましては、急傾斜地などの作業環境でチェーンソーなどの刃物を使用し、重量物である木材を扱うなど危険を伴いますことから、労働災害の発生率が他産業に比べて高いところでございます。

 また、林業労働における死傷災害の発生件数は、過去五年間で約三割減少するなど、委員御指摘のとおり、長期的には減少傾向にございますが、死亡災害につきましては、近年、四十人前後で推移しているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、緑の雇用事業などにより、安全かつ効率的な森林施業に必要な知識、技術を実地で習得するために事業体等が行う研修とか現場巡回指導に対する支援、それから、高性能な林業機械の導入とあわせまして、こうした機械の安全な操作にも対応できる若い担い手の確保、育成への支援、厚生労働省と連携した安全な伐木、造材方法の普及やチェーンソー防護衣着用の徹底等に取り組み、林業労働の安全確保を推進してきているところでございます。

 今後とも、これらの施策を通じまして、林業労働者の労働災害の防止に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 これは本当に大事だと思います。こういった災害を一つでもなくしていくんだ、これが非常に大事でございますので、今さらではございますけれども、こういったところへの予算の配分も含めて、しっかりとやっていただきたいというふうに思っているところでございます。

 次に、水産業について伺いたいと思います。

 大臣の言われておりました、国際的に見て遜色のない科学的、効果的な水産資源の評価、管理方法の確立ということがございました。これが一体どういうことを言われているのか。

 私自身は、これまでの我が国資源の評価あるいは管理のあり方については比較的うまくいっていたんじゃないか、このように思っているところでございますけれども、改めて、どのような問題があるのか、御指摘をいただけたらと思います。

齋藤国務大臣 私、大臣に就任をして、一つ、ああ、そうなのかと思ったことがあるんですけれども、一般の国民の皆さんと接触をしますと、クロマグロは大丈夫なのか、サバは大丈夫なのか、サンマは大丈夫なのか、イカは大丈夫なのか、ウナギは大丈夫なのかと、もう本当に国民の皆さんの関心が非常に強いものがあるなというのを強く感じました。

 同時に、漁業の基礎は水産資源でありますので、水産業の成長産業化を進めていくためにも、資源を維持、回復し、適切に管理をすることというのは必要不可欠だと思っております。

 これまで、我が国は、委員御専門でありますが、TAC魚種については、減少した資源を安定した幼魚の発生が見込める水準にまで回復させることを目指した資源管理を実施して、大部分の資源についてその目的を達成したところでありますが、今後は、主要水産資源ごとに、維持すべき水準、これを目標管理基準と言っていますが、この維持すべき水準や、下回ってはならない水準、限界管理基準と言っていますが、こういったいわゆる資源管理目標を定めて取り組んでいく必要があるんだろう、こういうふうに考えているところであります。

神谷(裕)委員 まさしく、資源管理、本当に重要な話でございます。

 今、ABCの話であるとか、あるいはさまざま、資源管理の手法についての話がございました。今、多種多様な魚種の話もされましたけれども、実は、魚種ごと、あるいは沿岸域、あるいは沖合なのか公海漁場なのか、そこで資源管理の評価の方法というのも全部変わってくるんだと思います。そういった意味において、一概に評価、管理のあり方をくくるわけには当然いかないわけでございますけれども、大臣おっしゃられるとおり、科学的な知見であるとか、あるいは生物学的な配慮であるとか、そういったものに従って当然資源管理を行っていかなければならない、そのことについては従来も私はやってきたんじゃないかなと思っています。

 ただ、もちろん、漁業者の超過漁獲みたいなことも一部あった、事件もあったことは事実として承知をしておりますけれども、それとても、もちろんこれは問題なことでございますけれども、では、それが今回の我が国の資源管理の評価あるいは管理、これに直ちに問題があったのかということについてはいささか疑問に思っているところでございまして、またこういったことも議論できたらなというふうに思っております。

 それから、安倍総理の所信の中でも、水産について触れておられました。その中に、「漁獲量による資源管理を導入」とありました。そうすると、今後は、我が国では、これまでメーンではなかったアウトプットの資源管理に転換していくということになるのか。この辺を御説明いただけたらと思います。

齋藤国務大臣 今御指摘のアウトプットのコントロールは、国内においても、既にTAC管理においては一定の成果が確認をされているところであります。

 実は、海外のことを考えますと、近年、我が国周辺水域で近隣諸国が、サンマとかサバとかスルメイカといった我が国と共通の資源を、そういう資源の漁獲を急増させてきておりまして、国際的な協議を通じてこれらの資源の管理を推進していくことがますます重要になってきておりまして、そのためには、今後はやはりアウトプットコントロールに力点を置いていくということも重要なんだろうというふうに考えています。

 なお、委員御指摘のように、いろんな多様性がありますので、アウトプットコントロールのみでは対応し切れない部分については、インプットコントロール、例えば漁船の隻数ですとかトン数の制限ですとか、テクニカルコントロール、漁具の制限ですとか、そういったものを組み合わせて実施することも必要だろうとは考えているところであります。

神谷(裕)委員 おっしゃられるとおり、今、公海漁場でのサンマであるとか、これは本当にひどいことになっていますので、これはやはり、国際資源管理の枠をつくるなり、あるいは、そういった直接の当該沿岸国、あるいは漁船を持って実際に操業している国との間でのIQなのか漁獲割当て量なのか、まさにおっしゃられるようなそういった管理は絶対必要なんだろうなと思っておりますし、この面ではぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 ただ、直ちにアウトプットが全て、この国の漁業そのものの資源管理のあり方としてどうなのかというところはやはりどうしても疑問があるものですから、その辺についてはぜひお考えをいただけたらというふうに思っております。

 また、「有効活用されていない水域について、新規参入が行いやすい仕組みにしていく」というふうに言われておりましたけれども、我が国の有効活用されていない水域、具体的にどういうことを言われているのか、これを教えていただきたいと思います。

齋藤国務大臣 近年、地域によっては、漁業者の高齢化などによりまして、廃業をしたり、又は利用度が低下をしている漁場が生じてきておりまして、今後、こうした漁場を養殖場などとして活用していくことができる場合もあるというふうに考えております。

 最近の例では、鳥取県の弓ケ浜水産の例ですけれども、最近養殖が行われていなかった水面を活用してギンザケの養殖に参入をされたというケースもありますが、このような水域を地域の漁業者や新規参入者も含めた多様な担い手が有効活用していくことができるような、そういう条件を整えていくことは、今後ますます漁業の成長産業化の観点からも大事になるんじゃないかな、そういう考えでございます。

神谷(裕)委員 大臣が言われているように、本当の意味で活用されていない水域であるということであれば、もちろん、新規参入を行うことについては障害がないというふうに思いますけれども、先般、規制改革の文脈の中で語られました地先漁業権について、漁協に劣後しない形での企業参入の話、こういうことがございました。

 これはやはりちょっと問題があるんじゃないかなと思っておりまして、前浜の管理と漁業者の権利調整をこれまで漁協が行ってきた歴史がございます。当然、前浜の漁業者の集団でございます漁協による調整機能、これについて、これに劣後しない形で企業が入ってくるということになりますと、この調整機能というのが著しく損なわれるんじゃないかということを私自身は非常に懸念をしております。

 もちろん、今おっしゃられるように、現行制度の中でも企業参入や新規参入の道が十分あるわけでございますから、こういった既存の管理の方法を壊してまで、あえて調和のとれた前浜の漁業管理に競合関係をつくる、これはどうなのかなというふうに大いに問題に感じているところでございますが、見解を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 重要な御指摘だと思います。

 漁業をこれから更に成長産業にしていくためには、技術、ノウハウ、資本、人材を擁する企業と浜の連携を図っていくということも重要であると考えておりますが、養殖業への新規参入については、これまでも地元の関係者との丁寧な話合いをもとに進んできているという現実もあります。

 その結果として、地域の雇用を創出するなどの効果も出てきている事例もありますので、地元と調和を図りながら、漁村の活性化にも貢献する形で参入を進めていくということが望ましいと考えています。

 こうした観点から、昨年十二月に決定をされました農林水産業・地域の活力創造プラン、ここに盛り込んだ「水産政策の改革の方向性」におきましては、「水域を適切かつ有効に活用している者が漁場利用を継続できることを基本と」すると。ですから、既に適切にやられている方が継続するということを基本としつつ、「有効活用されていない水域について、新規参入が進みやすい仕組みを検討する。」というふうにされているところであります。

 具体的な内容については現在検討を進めているところでありますけれども、農林水産省といたしましては、実際に新規参入が円滑に進んで、漁場現場で実になる仕組みとなるように、引き続き検討を深めてまいりたいと考えています。

神谷(裕)委員 この話、大事な話だと思いますので、また引き続き議論ができたらというふうに思います。

 鯨のことについて聞きたいと思います。

 捕鯨の問題について、まずは、我が国の捕鯨、鯨文化に対する大臣のお考えを率直にお聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 私は、我が国は鯨類について他の水産資源と同様に科学的根拠に基づいて持続的に利用していくべきものだというふうに考えておりますし、また、鯨類の利用は我が国の文化に根差すものでありまして、文化の多様性の観点からも鯨類の利用は尊重されるべきであろうというふうに考えているところであります。

神谷(裕)委員 昨年の通常国会で、商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律が成立しております。

 本法では、第四条で鯨類科学調査の実施を国の責務として位置づけ、また、第五条では基本計画を定めなければならないとしております。

 ことしのIWCの総会に向けての対処方針をやはり考えていくためにも、早期に決めていただきたいと思います。現在のこの進捗状況について伺います。

伊東委員長 長谷水産庁長官、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

長谷政府参考人 本年九月のIWC総会は、四十七年ぶりに日本人議長のもとで開催される会合であることからも、IWCに資源管理機関としての機能を回復させ、商業捕鯨の早期再開につなげるものにしなければならないと考えております。

 このため、我が国としては、IWCの機能不全状態を解消しなければならないことを国際世論に呼びかけつつ、そのために、IWCで行われている今後の道筋に関する議論を主導して、持続的利用支持国と連携して、反捕鯨国に対しても議論への参加を強く働きかけていきたいというふうに考えております。

 国内におきましても、この議論に合わせて、我が国の目指すべき商業捕鯨の姿についての検討を進めまして、本年の総会の機会を含め、商業捕鯨の早期再開のため、あらゆる可能性を追求することとしております。

 このようなことを踏まえつつ、基本方針でございますけれども、現在、関係省庁間で調整を行っているところでありまして、策定作業を急いでまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 この後、CITESのイワシクジラの関係であるとか、あるいは販売の方法についても伺いたかったんですけれども、ちょっと時間が来てしまいました。

 本当に重要な捕鯨文化、これをしっかり守っていただくために、水産庁あるいは農水省、農水大臣、しっかり頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

伊東委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 希望の党の後藤祐一でございます。

 齋藤大臣におかれましては、私、経済産業省のときに同じ仕事もさせていただいた、大変尊敬する先輩でございますが、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 技術的なもの以外は、農水省については、できるだけ大臣の答弁をお願いしたいと思います。

 まず、TPP11とその前の12の差についてお伺いしたいと思います。

 資料の一枚目をごらんください。これは豚肉のセーフガードの資料ですが、その右下のところにTPP国からの輸入量というふうにありますが、米国が入っている場合と入っていない場合でここの書き方は変わらないわけであります。ですから、米国が入っている12の状態であれば、米国からの輸入量も含めて基準量を超えていたらセーフガードを発動できるわけですが、11になりますと、米国は外になっちゃいますから、米国以外の国だけでこの発動基準を超えなきゃいけなくなります。

 つまり、11になった方がセーフガードを発動しにくくなった面があると思いますが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 後藤委員は、経済産業省時代、年次は私より低いんですけれども、大変有能で、一緒に仕事をしたこともある委員でありますので、実り多い議論ができるなと思って、今、大いに胸を躍らせているところであります。

 今の御指摘につきましては、確かに、TPP11におきましては、牛肉、豚肉の輸入量の多くを占める米国が締約国となっていないということから、TPP11のセーフガードの発動基準数量に達するほどの輸入急増は生じにくくなるというふうに考えられると私も思いますけれども、ただ、TPP11の発効による国内生産に与える影響というものはあくまでも輸入量全体の話でありますので、多くの主要輸出国の関税率が削減される、恐らくTPP12の範囲内にとどまるものと考えられるわけでありますが、全体の影響ということに関して言えば、セーフガードの発動について、従来と同じような考え方が適用されるんじゃないかなというふうに思っております。

後藤(祐)委員 きょうはTPPの澁谷統括官にお越しいただいておりますけれども、今のお話で明らかなように、12から11になることによって、我が国の農林水産業の観点から国益を減ずる可能性のある部分が少なくとも存在し得るということでよろしいでしょうか。TPPの責任者として伺います。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の資料の二枚目にも乳製品のTPPワイド枠というものがございまして、セーフガード、それから乳製品などのいわゆる関税割当てのTPPワイド枠、これがアメリカも含めた形で設定されていて、アメリカがいないTPP11においてはどうなのかという議論は、以前から指摘をされてきたところでございます。

 ただ、実は、御指摘のTPPワイドと同じような枠組みを持っている国はほかにもあるわけでございまして、こうした問題をどうするかということにつきましては、それなりに各国と議論を行ってきたものでございます。

 いずれにしても、主としてアメリカとの関係をみんな気にしているというところがございまして、アメリカの通商政策の動向について若干不透明な中、将来の米国の動向を踏まえた上で、その時点で必要な対応を行うこととすることが望ましいということで、米国を含めたTPPが発効する見込みがなくなった場合等に、締約国の要請に基づき協定の見直しを行う旨を新協定六条に規定する、それを前提に、今回の内容で各国の合意がなされたものでございます。

 先ほど申し上げたとおり、同じような事情を抱えている国はあるわけでございまして、この六条があることを前提に、各国とも、市場アクセスに係る国別の約束については今回修正しない、それでも十分国内への影響を回避できる、こういう判断をしたところでございます。

後藤(祐)委員 影響の回避の話は別として、この合意内容そのものは、やはり不利になる部分があるんですね。

 今、二ページ目も御紹介いただきましたけれども、例えば、乳製品の輸入割当ての七万トンですけれども、これは、もともと12の段階で、アメリカが含まれてつくられたものなわけですけれども、例えば、11になったわけですから、この七万トンという枠が、ニュージーランドが圧倒的に多いということですが、ニュージーランドですとかオーストラリアでもうほぼ埋められてしまっているというような状況だった場合に、これから12にしましょうという話があり得るというふうにお話に先ほどありましたから、アメリカが今度入ってくるということになったら、七万じゃ足りないよ、だって、もうニュージーランドなんかで埋まっているじゃないか、アメリカが入るに当たっては数万トン足してくれという話が再交渉で出てくる可能性があるわけですね。その可能性が全くないと言えるんでしょうか。

 つまり、12の状態であれば、アメリカ含めて七万トンで決着していたわけですよ。でも、11になってしまったがゆえに、この先12になった場合には、七がもっとふえてしまう可能性が出てきていると言っていいのでしょうか。

 齋藤大臣にこれを伺いたいと思います。

澁谷政府参考人 今、先生御指摘いただいた御懸念は、将来の米国の通商政策の変化に伴う御懸念であるというふうに思われますけれども、こうした乳製品なりあるいはセーフガードなどのTPPワイドで設定された枠につきまして、将来の米国の動向の変化に対応して、必要な場合には我が国がこれを六条の見直しの対象とするということを各国に十分説明をしてきているところでございます。

 特に、昨年十一月、ベトナムのダナンで開催された閣僚会合の場においても、茂木大臣からこれはその旨明確に発言をし、この間、各国からも特段の異論もなかったということでございまして、十分各国の理解を得られているというふうに考えております。

 したがいまして、御懸念のような事態にならないように、我が国としても今後適切に対応をとるというふうに考えているところでございます。

後藤(祐)委員 この再交渉の話については、予算委員会でも確認させていただきました。将来における可能性を否定しませんでした、安倍総理は。

 ぜひ、これは与党の中でも御検討をいろいろされているやに伺っておりますけれども、アメリカが入ってくるということについて、全面否定する必要はないとは思います。ですが、再交渉して、特にこういった割当てのところが七万トンからふえるですとかいうことは絶対認めちゃいけないと思うんです。

 ぜひ、大臣も今うなずいていただきましたけれども、農水委員会として、このTPPに更にアメリカが入ってくる話については、再交渉はしてはならないということを決議すべきだと思いますが、委員長、御議論をしていただきたいと思います。

伊東委員長 この件につきましては、理事会で協議をしたいと思います。

後藤(祐)委員 続きまして、農協改革について行きたいと思います。

 お手元の配付資料三ページ目から四ページ目にかけての、これはアンケートが、農水省経営局から各都道府県を通じて各地域の単協に送られております、四月二十七日締切りということなんですが。その中の四ページ目というところに、(7)というのがありまして、「JAの信用事業を信連・農林中金に譲渡し、」云々、そういう予定がありますかというアンケートでございます。

 私のところは実は六つ単協があるんですが、皆さんに聞きますと、非常に緊張されておられます、これはどう答えていいんだろうかと。

 それで、特に、私は神奈川県なんですが、都市地域の農協というのは、信用事業で黒字を稼いで経済事業は赤字になっているものですから、そこの補填で何とか成り立っているというのが現実でありまして、この信用事業の黒字で経済事業の赤字を補っているような単協は全国的に見ても七割ぐらいだという御説明をいただいております。

 そういった単協において、この信用事業を譲渡して本当に経営として成り立つというふうにお考えでしょうか、農水省は。

齋藤国務大臣 まず、信用事業において代理店スキームというのが活用できるのではないかということは、平成二十六年六月の政府・与党取りまとめにおいて、積極的に進めるというふうにされているわけでありますけれども、これはあくまでも農協の選択に基づくものであるというふうに考えておりますし、今後、人口減少や高齢化、金利低下及び高度化する金融規制等により農協の信用事業の環境は恐らく厳しくなっていくことが想定をされることを踏まえて、信用事業のあり方については、真剣に検討した上で、自主的に方向を決めて実行していただきたいというのが私どもの本意であるということを御答弁させていただきたいと思います。

後藤(祐)委員 今のお話で、三つほど確認させていただきたいと思います。

 一つは、二十八年十一月の規制改革推進会議農業ワーキングの取りまとめというところで、信用事業の譲渡を積極的に推進し、みずからの名義で信用事業を営む地域農協を、三年後をめどに半減させるべきであるというのが農業ワーキングで取りまとめられています。

 これは政府としての決定ではないはずですし、農水省としてコミットはしていないというふうに理解しておりますが、これは農水省として了解したものじゃない、農水省としては、この三年後をめどに、もう三年がそろそろたつんですが、三年後をめどに半減というのは、農水省としてはこれは望ましいとは考えていないし、この信用事業の譲渡、代理店化については、先ほど大臣がおっしゃったように、単協がみずから御判断でやるのは、それは選択肢としてあっていいけれども、全体として農水省として進めるだとか、そっちの方に行ったらどうですかというようなことはしないということを御確認いただきたいのと、あと、このアンケートでも、検討の有無みたいなことを、これはどうしようかなと悩んでいるんですが、検討するかしないかも含めて、農協、単協の自由であるということを確認させていただけますでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、一昨年十一月十一日の農業ワーキング・グループの提言は、これは私も当時副大臣でありましたので経緯を承知しておりますけれども、この農業ワーキング・グループの提言は、その後の議論がありまして、最終的には、同年の十一月二十八日の規制改革推進会議が決定、公表した農協改革に関する意見には盛り込まれておりません。そして、農林省の方針でもないということは、六つの単協の皆さんにお伝えをいただければと思います。

 また、信用事業の譲渡の件については、そのアンケートに検討のことも書いてあるのかもしれませんが、私が先ほど申し上げたように、今後の信用事業の環境が厳しくなるということもしっかりそれは考えていただいて、自分たちがやるのか、それとも譲渡して、融資そのものがなくなるわけじゃありませんから、譲渡していった方がいいのかというのはやはり真剣に検討していただいて、後はどういう判断をするかは自由だと思いますけれども、真剣に検討というのはやはりしていただいた方がいいのではないかなというふうに考えているところであります。

後藤(祐)委員 検討しないのはだめなんですか、大臣。

齋藤国務大臣 最終的には、検討するかしないかは自由なんですけれども、信用事業の今後を考えると、やはり真剣に、検討しなくても、考えていただく必要は私は単協にとってもあろうかなというふうに思っています。

 ただし、検討するかしないかも含めて自由ということではあります。

後藤(祐)委員 最後の答弁で、検討するかしないかも含めて自由というのははっきりおっしゃっていただいたのは大事だと思います。

 というのは、このアンケート、(8)以下は自由記述欄があるんですけれども、(7)のところはないんですよ。だから、2にするか3にするか、すごく悩ましいんですよね。やる気は余りないけれども、検討していないと言うと農水省に怒られるのかなと、そういうことはやはり気にされるので、今の答弁は非常に大事だと思います。

 同じアンケートで、(6)には、選択肢としての農協の組織変更、一部分割して、生協、株式会社等に変更するということについてのアンケートもあります。これは、ある、ないという、もう二択になっているわけです。

 確かにこういった、分割したことによって、農協の組合員の員外規制なんかにひっかかりにくくして、結果として、組合員も含めて全体としての事業が拡大していくというようなケースは全くないわけじゃないような説明を伺っておりますが、これについても、あくまで各単協の自由な判断であって、こっちの方がいいとか、こうしなきゃいけませんよと言うつもりは農水省としてはないということを、これも御確認させていただけますでしょうか。

齋藤国務大臣 先ほども少し申し上げましたが、信用事業における代理店方式等の活用については、平成二十六年六月の政府・与党取りまとめにおいては、積極的に進めるとされていますが、あくまでも農協の選択に基づくべきものであると考えておりまして、御指摘のアンケートも、代理店方式の活用予定をお尋ねするものにすぎず、農協の信用事業譲渡を強制する意図は全くございません。

後藤(祐)委員 はっきり申していただいてありがとうございます。

 私も農協の准組合員なんですが、ちょっと畑、田んぼを持っていないものですから准組合員なんですが、この准組合員規制がこれからどうなるのかということについても組合は大変気にしておりますので、そこは農協改革法のときにさんざん議論があったと思います。五年という期間もあったと思いますので、これがどうなっていくかということについても、ぜひ慎重な立場で御指導いただきたいと思います。

 それでは、続きまして、花粉症対策に行きたいと思います。

 配付資料の五ページ目をおめくりください。これは農水省の資料なんですが、関東圏内の杉の花粉がどういうふうについているかという資料なんですが、これと、その次のページ、六ページ目を見ますと、これは平成二十一年度の補正予算で、何と百億円という大変大きな花粉症対策予算というのを講じているんですが、そこにも、「事業のポイント」という四角の下のところに、十九年八月に策定した推進方策についてにおいては、花粉症患者の多い首都圏等への花粉量に与える影響が非常に強い杉林を主体に対策の重点化を図ることが効果的としていますとあるように、実際、首都圏の花粉症の罹患率、結構高いというふうに聞いておりますし、その原因は、西風が通常だとすると、まさに私の選挙区のところは真っ黒けになっているんですが、この神奈川、東京、埼玉あたりの西部の山林というのは大変重要な発生源なのではないかというふうに思います。

 そこで大臣に伺いたいと思いますが、まず、この花粉症対策についての経済的損失が国全体でどのぐらいあるかということと、これに対して抜本的な対策が必要だと思いますが、大臣の御見解をまず伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 花粉症による国民の経済損失については、大変恐縮なんですけれども、古い推計しかございませんで、平成十二年に、科学技術庁ですから名前も古いんですけれども、科学技術庁が取りまとめた報告書によれば、医療費、それから労働損失等で年間二千八百六十億円の費用がかかるというふうに推計をされているところでありますが、それ以降のものはないようであります。

 いずれにしても、花粉症は社会的、経済的にも大きな影響を及ぼす重大な課題であると認識しておりまして、当然、政府を挙げて対応すべきものだろうと思います。

 私どもとしては、花粉の発生源対策ということになろうかと思いますけれども、杉、ヒノキ人工林を伐採して、花粉の少ない苗木に植えかえていくということが必要だろうと思っておりまして、そのためには、切って、使って、植えるという循環利用を確立して、林業の成長産業化と、それからそういった森林の適切な管理というものを両立させていくことが大事なんだろうというふうに思っておりまして、そのための政策を講じつつ、杉人工林の伐採と花粉の少ない苗木への植えかえをその際進めていくということが大事かなというふうに考えております。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 とりわけ、この五ページ目の地図にあるように、首都圏の原因となっている神奈川、東京、埼玉の西部の山林、このあたりは優先的に対策が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 花粉症発生に影響を与えている森林について、私どもの対策としては、その伐採とか植えかえを着実に進めていくということになりますけれども、そのためには、路網の整備ですとか、生産活動の担い手、組織がないといけないですとか、木材の需要先を確保していかないと進まないとか、手当てすべき課題が実は多いのが現状なんですね。

 特に、御指摘の一都二県においては、相対的に林業生産活動が低い状態にありまして、担い手ですとか組織が不足しているなどの事情もありますし、また、伐採した材の需要先がなかなか確保できないという課題も抱えておりまして、ちょっと一筋縄ではいかないなというふうに思っているところであります。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、こうした地域を含めて、切って、使って、植えるといった循環利用が成り立つようにこれからの森林管理システムを変えていくことにしておりますし、その際、花粉の発生しない苗木に切りかえていくということを着実に進めていくことかなというふうに考えているところであります。

後藤(祐)委員 この一都二県、神奈川、東京、埼玉での花粉症対策苗木への植えかえというのは、どのぐらい進んでいるんでしょうか。もう少し言いますと、この杉、ヒノキの人工林の面積はどれだけあって、これまでの植えかえがどれぐらい終わっていて、直近年度で、一年でどのぐらい進んでいて、割り算するとこの先何年ぐらいかかるのかということについて御答弁をいただきたいと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 神奈川県、東京都、埼玉県の杉、ヒノキ人工林の面積でございますが、それぞれ約三万四千ヘクタール、三万二千ヘクタール、五万五千ヘクタールとなってございます。

 また、直近一年を含みます、これまでの花粉症対策苗等への植えかえ実績でございますけれども、各県に問い合わせたところ、神奈川県では、平成二十年度から二十八年度までで約五十二ヘクタールを植えかえまして、二十八年度の実績としましては約三ヘクタール、東京都は、平成十八年度から二十八年度までで約五百五十六ヘクタールを植えかえ、二十八年度の実績は約七十九ヘクタール、それから埼玉県は、平成二十七年度と二十八年度の二カ年で計約七十四ヘクタールを植えかえ、二十八年度の実績は約四十一ヘクタールと聞いてございます。

 また、委員御質問ありました、では、植えかえていくとどのくらい時間がかかるのかというお尋ねがございました。

 現在、この一都二県で合計しますと、約十二万ヘクタールほどの人工林が杉、ヒノキの人工林になるわけでございますけれども、これは単純に計算すると、なかなか、いろいろな条件も考えると難しいんですけれども、一都二県におきます二十八年度の花粉症対策苗への年間植えかえ面積、これを合計しますと、約百二十三ヘクタールになります。加えまして、神奈川県では、平成二十八年度に二百二十八ヘクタールの広葉樹を植えたものもございます。こうしたものにも取り組んでございます。

 こうしたものを踏まえまして、こうした面積が今後とも、単純ではございますけれども、一都二県で続くという前提で計算すれば、植えかえには約三百五十年という年数がかかるように、単純ではございますけれども、計算ができます。

 なお、この杉、ヒノキ人工林の植えかえや広葉樹への転換に要する年数ですけれども、今後の伐採に必要な路網の整備とか労働力の確保、育成、木材需要の拡大、これがどのように進むかなど、さまざまな因子によって変わり得るものと考えてございます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 三百五十年、国民的課題であります。ぜひ、これは補正予算がまたあると思うんですね、補正予算のときに、これはまさに二十一年度、百億円をつけていますけれども、大いにやられてはいかがかなと思うんです。

 ただ、もちろん、おっしゃったように、なかなか神奈川、東京といったところで林業の担い手がという問題があると思います。これはむしろ、高いお給料が出るんだということも含めて、補正予算で毎年のようにやられていますから、あるいは、森林環境税を財源にするという選択肢なんかももしかしたらあるかもしれません。

 いずれにせよ、この優先順位を上げて取り組まないと、今の三百五十年というペースでは、大臣、これは政府を挙げて対策ということにならないと思いますので、大臣の、これから補正予算、森林環境税なんかも含めた、この対策を抜本的に進めていくことの決意をお聞きしたいと思います。

齋藤国務大臣 これから、この委員会でも新しい森林管理システムの議論をさせていただくことになると思います。そして、地域で取り組む管理の中で、この花粉症対策というものも、重要なものとして位置づけて推進ができたらなというふうに考えているところでございます。

後藤(祐)委員 ぜひここは、三百五十年ではなく、せいぜい五年、十年というスパンで解決をしていただきたいと思います。

 種子法に行きたいと思います、先ほどからお話がありましたが。

 まず、お配りの資料七ページ目に、まだ廃止されておりません、この三月三十一日までは残っているわけですが、種子法の意義が書いてありますが、そこの真ん中の四角、三つあります。

 現行の種子法の意義について確認したいと思いますが、原種及び原原種の生産。そして、種子生産圃場の指定、その審査、生産物審査、こういったことによって種子の生産を確保するということ。そして、その下の四角ですけれども、都道府県が奨励品種の試験を行うことなどによって、都道府県ごとに各地域に応じた優良な品種を決定して、それを農家なんかに情報提供すること。この三つが大きな意義だというふうに思いますが、これらの意義というのは、四月一日以降、種子法が廃止されたとしても、法律によって担保されるかどうかは別として、ここにあるようなことというのは、引き続き私は意義があるのではないかと思いますが、これについての御答弁をお願いします。

齋藤国務大臣 主要農作物種子法の意義は、戦後の食料増産という国家的要請を背景として、今委員御指摘された原種及び原原種の生産ですとか、指定種子生産圃場の指定ですとか、その他のことを全ての都道府県に一律に義務づけるということを法律でやってきたわけでありますけれども、この主要農作物種子の生産の、都道府県がきちんと取り組むということの意義については、法律で強制されなくても、そこの意義というものは変わらないというふうに考えているところであります。

後藤(祐)委員 法律で規定するかどうかはともかく、ここに書いてあることの意義はあるという御答弁だと理解しましたが、やはり、これは法律できちっと義務づけることに、それはそれで私は意味があったから今まで法律があったと思いますし、この法律をなくしてほしいというお願いをした人ってそもそもいらっしゃるんでしょうかというところについて、非常におかしな話だなと思います。

 先ほど大河原先生もやられていたと思いますけれども、すぐそうなるかどうかは別として、この種子法が廃止されることによって、F1の品種を売るさまざまなメーカーから農家が種子を買うことによって、そうなると、肥料だとか農薬なんかもこれにしなきゃいけない。いろいろな形で、特定メーカーへの依存になっていく可能性があるんじゃないか。あるいは、それとリンクしてなのかもしれませんが、やがて、すぐではないかもしれませんが、種子の価格が上がっていく可能性があるんじゃないかと思いますが、この種子法の廃止によって起きる懸念について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、幾つか懸念を御指摘いただきましたけれども、種子法の意義というのは、先ほど申し上げたように、戦後の食料増産という国家的要請を背景として、都道府県に一律にその生産を奨励することを義務づけるということでありました。

 現状は、例えば、米の供給不足の解消や食生活の変化に伴う需要量減少等の状況が起きてきておりまして、むしろ、外食、中食需要に適した種子の供給に取り組む都道府県がほとんどないという問題も生じてきているわけでありまして、そういう意味では、一律に義務づけるという、法律でですよ、義務づけるということの意義は失われてきたのではないかと思っているわけであります。

 種子法を廃止した後におきましては、官民で総力を挙げて種子の供給体制の構築をするために、民間事業者との連携を十分に考慮した上で、それぞれの都道府県の実態を踏まえた必要な措置を都道府県が実施をしていくという意義は、引き続き私はあるんだろうと思っております。

 それで、幾つかいただきましたけれども、農家の皆さんが、例えば民間事業者が種子を供給するようになった場合には、不利益を受けるのではないかですとか、価格のお話がありましたけれども、種子法に基づいて、現在、各都道府県がそれぞれフルセットで種子の供給業務を行ってきた結果、先ほど少し指摘しましたが、いわゆるブランド米の種子については多くの都道府県がそれぞれ供給を行う一方で、国全体として今重要になってきている、外食、中食需要に適した低コストで生産可能な多収品種等の種子の供給に取り組む都道府県はほとんどないというような現状になってきておりますので、多様な需要に応じた種子の供給というものがこれからは大事になってくる、そういう局面にあるんだろうと思います。

 そういう意味では、種子法に基づいて一律の義務づけを廃止はします、そして同時に、農業競争力強化支援法を制定することによって、都道府県のみならず、民間事業者を含めて、多様な種子の供給が行われる環境を整備することが大事だろうというふうに考えたわけであります。

 したがって、こういう官民の連携あるいは都道府県間の連携に取り組む具体的な動き、これも出てきているところでありますので、それが進むことによりまして、従来よりも需要に応じた多様な種子の供給が進むんだろうというふうに考えているわけであります。

 ちょっと長くなりますが、例えば、民間事業者が供給する多収の種子が高価であっても、生産物の販売収入で補うという、生産物、販売はふえますから、ことで所得を拡大させるといった経営判断を農業者が行うことができるようになるという側面もありまして、民間事業者に縛られるというよりも、むしろ農業者の選択肢がふえていく、そういうメリットがあるのではないかと考えております。

 また、価格についてお話がありましたけれども、まず、廃止によりまして、都道府県が実施することになります稲とか麦類とか大豆の種子供給に係る事務に要する経費、これについては引き続き地方交付税措置が講じられることになっておりまして、このことについては本年の一月に各都道府県に通知をしているところでありまして、それから都道府県も、聞き取ったところ、全ての都道府県において、三十年度予算案で前年度とおおむね同程度の種子関連予算を計上しているということであります。

 こういうことを考えれば、今後、種子の供給が民間事業者に独占をされるというような事態は想定をされずに、むしろ、官民や都道府県間において適切に連携をした効率的で多様な種子の供給が行われるようになるのではないかと考えておりますので、そういう意味では、需要に応じた多様な種子が供給されることになる効果、メリットが今後出てくるのではないだろうかと私どもは考えているところでございます。

後藤(祐)委員 大臣、逆だと思いますよ。多様な品種を確保するという意味において今まで種子法が機能してきたんじゃないでしょうか。業務用のお米をつくるところが少ないということについて言えば、それをどう対応するかということを個別の問題として議論すべきだったんじゃないでしょうか。

 もう時間が来たのでやめますが、配付資料の八ページ目にこの経緯を記していますが、九月十三日のワーキング・グループの設置から十月六日の実質的なワーキング・グループによる決定までの間、何ら農業団体ですとかメーカーですとかに聞いていませんし、十月六日にたとえワーキング・グループで決まったとしても、十一月二十九日に政府として本部決定、これは農水省も拘束される、決定するまでの間に、農水省でちゃんとそういうお話を伺って、通常であれば審議会を回して、そういう慎重な手続をとるべきだったんじゃないでしょうか。それをやらないで一気呵成にやってしまって、しかも農協改革でてんやわんやしているときに、こっちはもうやっちまえみたいな感じで進んだのがこの種子法だったんじゃないでしょうか。ということに抗議を申し上げて、終わりたいと思います。

 これは与党の皆様方もおかしいと思っているところはあると思いますので、四月一日の残念ながら廃止される前後、ぜひここは力を合わせて、今後の対応、我々としては復活法も含めて考えてまいりたいと思いますので、ぜひ議論させていただきたいと思います。

 終わります。

伊東委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 希望の党の関健一郎でございます。

 質問の機会をいただきまして、改めて御礼を申し上げます。

 事前に申し上げていた順番と少し変えさせていただいて、改めて、種子法に関して、続いて質問をさせていただきます。

 私、企業の顧問弁護士の方などに、たくさんの方に調査というか取材をしまして、この種子法廃止、これは企業が参入してくるとしたらどういうメリットがあるのかということを聞きました。そうすると、種苗法に基づいて、新品種の種苗法による育成者権の二十五年間の独占、これはつまり、新しい品種を開発したときには二十五年間その権利に関して独占する権利を得られる、つまり、登録新品種の利用料というのを種苗の価格に乗っけることができるようになるわけです。

 そうすると、どういう懸念があるのか。今から、三つ、リスクについてお話をさせていただきます。

 一つは、種子の価格が上がるリスクがあります。

 なぜなら、先ほども申し上げましたが、基本的な価格に、企業が開発するにはそれに必要なコスト、これまでは自治体がかけていたコスト、民間企業が新しい品種を開発するのにコストがかかるわけです、このコストを上乗せする。そして、研究コストを価格に転嫁する。そうすると、種子の価格を上げざるを得ないのではないか。つまり、リスク1は、種子の価格が上がるのではないか。これが1です。

 リスク2が、少数の企業に独占をされるリスクです。

 この問題の神経質にならなきゃいけないところは、やはり食料安全保障ともコインの裏表ですし、まさに米、麦、大豆、これは国民の生活の根本にあるところですから、あえてこのリスクについて申し上げます。例えば、凶作が発生した場合に、民間の、販売の独占を持った品種が偶然凶作に対応できる品種だった場合、これは仮定、事前提を置いた場合ですけれども、もしそういう企業が持っている品種が凶作に強い作物だった場合、この企業の言い値で種子の価格が決まってしまうわけです。つまり、リスク2は、食料安全保障上極めて重要な米という品種を独占のリスクにさらすことで、少ない企業に価格決定力が与えられてしまうのではないか。これがリスクの2です。

 そして、リスク3、先ほど後藤委員からもありましたけれども、品種が減ってしまうのではないかという懸念です。

 企業は、国の文化とか多様性とか、そういうものを目的に品種開発をするわけではありません。味や安定性で優位性が認められれば、効率性、また選択と集中、その観点から生産を絞るわけです。農家は当然それを選ばざるを得なくなる懸念もあります。そうすると、ほかの品種への生産のインセンティブはなくなり、品種が減ってしまうというリスクにさらされます。

 この三つのリスクについてどのようにお考えか、所感を伺います。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 今委員から、種子法に関して、三つのリスク、価格のリスク、独占されるのではないかというようなリスク、それから品種のバラエティーが減るのではないかというようなリスクについて御指摘がございました。重複するところがあろうかと思いますが、お答え申し上げたいと思います。

 まず、いずれも、恐らく問題意識の背景には、都道府県の種子生産がほとんどなくなってしまって、民間にまさに独占されてしまうのではないかという御懸念かと存じます。

 このことについてまず申し上げますと、平成三十年度に種子法が廃止された以降におきまして、都道府県が実施される種子関係の事務に要する経費につきましては、引き続き、総務省の御判断によりまして、地方交付税措置が講じられることとされております。このことにつきまして、先般、一月に、各都道府県の農林担当部局及び財政担当部局に周知をしたところでございます。

 その後、私どもが都道府県の担当部局から聞き取りましたところ、全ての都道府県におかれまして、平成三十年度予算案、今、各県の議会で御審議されるところだと思いますが、前年度とおおむね同程度の種子関連予算を計上した、全ての都道府県からそういうような御回答をいただいているところでございます。

 こういった状況を踏まえますと、今後、種子供給が御指摘のように民間事業者に独占されるというような事態はなかなか想定できませんで、むしろ、官と民、あるいは都道府県同士におきまして適切に連携が図られ、効率的な種子の供給体制が実現されることによりまして、今よりも相対的には種子の生産コストが削減され、また、品種の面で考えましても、需要に応じた多様な種子が供給されるというような効果、メリットがあるというふうに判断をしているところでございます。

 したがいまして、種子の価格の上昇ですとか、あるいは民間事業者の独占、さらには品種の減少というようなことによって今以上に何か農業者が不利益をこうむるというよりも、むしろ効果、メリットが及ぶのではないかというふうに判断しているところでございます。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

関(健)委員 ありがとうございます。

 今お答えいただきましたけれども、私、地元は愛知県なんですけれども、地元の方から心配だと言われて、県もしっかり対応していただいています。今おっしゃったように、ちゃんとお金は出しますよということはおっしゃっているわけです。

 その前提でお話をしますけれども、これはしっかり考えてきたのでちょっと読ませてもらいますけれども、そもそも、種子法を廃止する趣旨、目的は、民間企業が邪魔されているからじゃないかというのがそもそもの理屈なわけですよね。それは、優良品種の中にほぼ一〇〇%都道府県が選んできた奨励品種というのが入っている、これがポイントで、民間企業の参入を妨げているリスクがある、だから種子法を廃止しなければいけない、こういう理屈になったわけです。

 ところが、廃止をしても引き続き都道府県にはお金を支払われますよね。であれば、そもそもの目的だった民間企業参入の障壁が取れないままだと思うんです。そうしたら、廃止する必要がないという、一回転してもとに戻っちゃうというか。

 廃止して、民間企業参入の障壁をなくすのが種子法廃止の目的だと。であれば、引き続きお金が行くんです、しっかり仕組みを維持しますよであれば、種子法の廃止の必要はないんじゃないですか。お尋ねします。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 今、御指摘がございましたが、今回の政策の考え方は、種子法を廃止すると同時に、それだけではなくて、別途、農業競争力強化支援法に基づきまして、民間事業者への知見の提供を進めるなどによって民間企業に参入をしていただくというような政策手段もあわせて講ずるということでございます。

 具体的には種子生産への参入に向けた情報交換会の開催ですとか、いろんなことを通じまして民間事業者の参入を促していくということによりまして、従来までいわば都道府県がフルセットの形で全ての都道府県が行ってきた業務につきまして、民間が参入し、官民の分担が図られ、連携が図られ、また県同士の効率化も図られ、そういった中で総合的な官民の総合力が発揮されるのではないかというふうに考えているところでございます。

関(健)委員 改めまして、廃止の趣旨は民間企業の参入の促進、つまり公が民間企業の参入を阻害している懸念があるからこの法律は廃案にするという理屈が根底から崩れているということを指摘させていただきます。

 その上で、なぜこの議論をしなければいけないかといいますと、やはり、食料主権という言葉が叫ばれていますけれども、生産者の方はつくりたいものをつくる権利があり、食べる人たちは食べたいものを食べる権利があるわけです。もちろん、懸念ですけれども、日本の文化であり食の根幹である米が、一部の企業に独占のリスクにさらされたり、そのリスクにさらされていること自体が私は問題だと考えていますので、引き続きこの議論に関しては質問を続けさせていただきます。

 それでは、次の話題にさせていただきます。

 農業競争力強化プログラムについて質問をさせていただきます。

 私、選挙区が愛知県の一番南の豊橋と渥美半島というところなんですけれども、ある生産者の方が、私と同じぐらいの年ごろの生産者なんですけれども、消毒なし、化学肥料なしというので、高い付加価値をつけて自分の農業を拡大していこうという野望に燃えて頑張っておられる方がいます。シュンギク、ホウレンソウ、九条ネギ、キャベツ、こういうのですね。渥美半島は農業、野菜一位ですので。

 その中で、ある悩みを聞きました。これだけ頑張ってもやはりもうからぬ、農薬を使って消毒をしておられる方を決して否定するわけではないけれども、もうこの付加価値のつけ方に限界を感じていると。この方のホウレンソウは、一束、日本橋三越で六百円で売れるようなホウレンソウなんです。消毒しない、農薬使わないで。でも、こういう高い付加価値をつけて頑張ろうとしている生産者の皆さんが、その方法をやめようかなと今真剣に悩んでおられます。

 農業競争力強化プログラムが策定をされてから一年半がたったと思いますが、この現状、成果についてお尋ねをいたします。

齋藤国務大臣 今のお地元の若手の生産者の方の悩みというのは、私ども、真剣に受けとめていかなきゃいけないなというふうに思っております。

 農業者等の所得向上を図るとともに、消費者ニーズにも的確に応えていくということで、そういう両者のニーズに同時に応えることができる食品流通構造をいかに確立していくかが重要だと思っておりまして、御指摘の二十八年十一月に策定した農業競争力強化プログラムに基づいて、今、食品流通の構造改革に取り組んでいるところであります。

 具体的な取組状況ですけれども、一つは、生産者の産品の特徴ですとか創意工夫と実需者のニーズが相互に伝わり合う、そういう取引条件等が見える化されることによりマッチングが促進されるようなウエブサイト、アグリーチというんですけれども、これを昨年六月に開設いたしまして、生産者みずから有利な販売先を選択できる、そういうネット上の環境の整備というのを進めてまいりました。

 また、この通常国会に、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案を提出させていただいておりますけれども、この中で、物流コストの削減等の流通の効率化のみならず、国内外の需要に対応した販路開拓ですとか付加価値の向上等を促進するための食品流通構造改善促進法を改正するとか、それから、公正な取引の場として必要な取引ルールは維持しつつ、その他の取引ルールは各卸売市場の実情に応じて設定可能とするための卸売市場法の改正ですとか、そういうものを今提出した法案の中で実現していきたいということであります。

 私は、創意工夫をして消費者の皆さんが喜んでくれるものを農家の若手の皆さんが、特に若手の皆さんが生産をしている努力というのは非常に貴重だと思っておりまして、そういう方々が喜んでくれる消費者をどうやって見つけていくかということができる仕組みについては、これからも大変重要な観点として取り組んでいきたいと思っておりますので、いろいろアイデア等御指導いただければありがたいなというふうに思います。

関(健)委員 ありがとうございました。

 政府の皆さんにおかれましては、このアグリーチ、ぜひ大宣伝していただいて、これは知らなかったという人はやはり多いですから。

 今、大臣まさに言及いただきましたけれども、流通、これが一つの大事なポイントになっていることは皆さん御承知だと思います。

 渥美半島で、生産者さんが試食即売会みたいなのをやったんです。そのときに東京からたくさんの人が、たくさんの人というか、飲食店を経営している経営者さんとかバイヤーの方とかが来ていました。それで、私も子供たちを連れて行ったんですけれども、野菜を食べない僕の娘がシュンギクを食べられたんですね。つまり、本当においしいわけです、甘みもしっかりしていて。

 その東京から来た飲食店の経営者さん、何店舗か東京に持っているらしいんですけれども、そこまでおいしいと言うんだったらこれを買ってくださいよと僕は言いました。いや、運んでくれる方法があれば私は幾らでも買いますよ、それも吉田さんの言い値で買いますよと。吉田さんというのは生産者ですけれども。つまり、大臣おっしゃったように、高い付加価値をつけて生産をしている皆さんと大消費地のアクセスがしっかりできていないんです。これが最大の課題です。

 実はこれは、日本、私、選挙区から説明をさせていただきましたけれども、全国各地の構造的な問題です。なぜなら、高く付加価値をつけようという生産者の方は全国各地に散らばっているわけです。工業と違って、クラスターを形成するわけではないですから。高い価値をつける生産者さんは全国各地に広がっている。であれば、この全国各地の高い付加価値をつけた人たちが、大消費地へのコネクトだけで、もうちょっとでマッチングができるというところまで来ているわけです。

 そこで、お尋ねしますけれども、政府として、この高い付加価値をつけた生産者の皆さんと大消費地のコネクトについて、課題、また措置すべき方策についてお尋ねをします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御質問がございましたように、よい品質の農産物を生産されている生産者の方と、いわゆる消費者に販売をする実需者をどうつないでいくかというマッチングの問題はあるわけでございますけれども、それに加えまして、全国各地に分散している農産物の物流をどう効率化していくかというのは、物流はあらゆる産品について現在課題になっておりますけれども、その中でも特に農産物、食品については大きな課題と考えてございます。

 例えば、共同の集配送のシステムでありますとか、食品の場合にはトラックの荷待ち時間が非常に長いとかいう問題もありまして、トラック予約システムの開発でありますとか、こうした取組について、現在も予算による支援を行ってございますけれども、先ほど大臣からも答弁申し上げましたとおり、現在国会に提出をさせていただいております食品流通構造改善促進法の改正を踏まえまして、更にこうした取組を充実させてまいりたいと考えてございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 今の話ですけれども、一部の食の安全に対して、一部じゃないですね、多くの食の安全に対して関心の高い皆さんが生産者とどうやってつながっているかというと、やはりSNSとかインターネットとかでつながっているわけです。

 私がこの問題をしっかり質問させていただこうと思ったのは、その意識ある、高い付加価値をつけようと思っている生産者の方が、悩みに悩んで、もうやめようかなという投稿をしたんです。そうしたら、たくさんの消費者の方から書き込みがあって、あなたはその道を行ってくれ、あなたの野菜を食べるのを楽しみにしている、はたまた、体調がよくなった。そんなこともあるわけです。

 ただ、この問題の本質は、もっと多くの方に知ってもらうべき仕組み、枠組みがないことが問題なんです。全国津々浦々、そんな意識高い、付加価値をつけようとしている方々がたくさんいます。でも、そういう人たちを知らなかったという人がたくさんいるわけです。ここをしっかりとマッチングさせること、まさに周知ですけれども、いきなりみんながぱっと知る飛び道具はありませんから、やはり一歩一歩周知徹底。

 さっきのマッチングですけれども、これは、どうすればより効率的に一人でも多くの方にという、真摯な議論と対策の改善をお願い申し上げます。

 次の質問に入らせていただきます。

 農地法における農業用ハウスの取扱いについてお尋ねをいたします。

 農地法は、農地の農業上の効率的な利用を確保することを目的としています。

 私、またこれは地元の生産者のところに、コチョウランのところにちょっと行ってきたんですけれども、コンクリート張りにするといろいろないいことがあります。

 一つは、まず、土とかだと物が沈んじゃったりして傾いちゃったりしていろいろ支障を来すことから、コンクリート張りにするわけです。

 そしてもう一個は、労働効率が飛躍的に上がります。どういうことか。例えば、コチョウランであれば、鉢一個、こうやって一個一個歩いて運ぶのはかなり効率が悪いんですけれども、こういう台車みたいなやつが、二階建て、三階建ての台車で一気に鉢を置くと、一度に、何回も運んでいけるわけです。下のころころが土では回りませんから、コンクリートにすることで作業効率は格段に上がるわけです。

 そして、これは私想像していなかったんですけれども、下が土じゃないということで、アルバイトとかの人が集まりやすくなるという側面もあるんだそうです。

 つまり、農地、コンクリートを張ることによって、付加価値の拡大、新しい人の雇用のしやすさ、こんなことも確保されるということがわかりました。

 近年の農地の効率利用を確保するための取組が農地転用に該当し、農地法の対象外となることは、その目的を踏まえると適切な取扱いと言えるのか、お尋ねします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 現在、従来から、農業用ハウスの底地をコンクリート張りすることにつきましては、農作物の栽培に必要不可欠な作業用通路等を一部コンクリート張りするということは農地に該当のままでできるということでございましたけれども、全面をコンクリート張りで地固めしたものは農地に該当しないということで取り扱ってきたところでございます。

 先生が御指摘のとおり、近年、まず生産技術が高度化しているとか、それから、労働力不足や高齢化を背景として、やはり農作業効率化への要請から、例えば、高いところに設置する棚、高設棚あるいは水耕栽培を導入して農作業を効率化していく例、それから、収穫用のレールなどを導入して作業負担を軽減する、こういった取組を行うために、やはり全面コンクリート張りにしたいというニーズが相当出てきているというふうに我々認識してございます。

 そういう取組につきましては、農地法の目的からも、やはり国民に対して食料を安定供給するということにも資すると思っておりますので、今回の国会におきまして、農業用ハウスの底地を全面コンクリート張りにする場合でも、農地転用に該当しないものとして取り扱うための関連法案を提出したところでございます。

関(健)委員 ありがとうございました。ぜひ、それはお願いします。

 ただ、懸念として、これは何でもコンクリート張りしたらいいというものではないと思うんですね。それはしっかり、付加価値拡大のため、生産性の拡大のためにコンクリートにしたところを農地として使っているかどうかというのを、透明性を常に担保しながらチェックする仕組みをつくっていくことは非常に大切だということを申し述べさせていただきます。

 その上で、これは見直しに当たってどのようなものを対象とするか、いつから対象とするかを明確にする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

大澤政府参考人 先生御指摘のとおり、まず、どういうふうにチェック体制をとるか、これは大事なことですので、また法案審議の際に御議論いただくと思いますけれども、我々としては、まず、事前の届出制ということで、現在農地を持っておられる方が、それでそこにハウスをつくってという、そういう場合を基本的に想定してございます。それによりまして、いつから対象にするかというのを一応明確にしようと思っておりました。

 それから、ただ、既に農地を転用して全面コンクリート張りしている方もいらっしゃいます。これは今回の法律の対象とはしておりませんけれども、昨年の十二月八日の、政府で取りまとめました農林水産業・地域の活力創造プランにおきましては、過去に農地を転用して該当する施設を設置した者については、実態やニーズを調査し、そういう農地のものと同様の取扱いとする場合の課題や問題点について引き続き検討ということで、引き続き検討扱いになっております。

 これは、まず、農地を一回転用したものをもう一回戻すと、それは農地の資産価値はもう一回下がることになりますので、それを例えば担保に置いていた方については、その担保が価値が下がっちゃうということもある、こういうところとか、あとは都市計画の整合性とか、こういうところを慎重に検討して、農地は大事な資産でございますので、慎重に検討した上でまた結論を出したいということで、ここについては引き続き検討扱いというふうに考えております。

関(健)委員 ありがとうございました。

 既に、ちょっと単純な言葉を使うと、より効率的なものをやろうと思って生産性を拡大した人たちの方が前に進んでいて、行政の仕組みがおくれてしまったわけです。ということは、今既にある程度そういうところで効率化のためにやってきた生産者の皆さんにも、一定の配慮というか、税制面でしっかり御検討をいただきたいと思います。

 最後になりますが、大臣にお尋ねをいたします。

 所有者不明農地の話です。

 これは全国津々浦々共通の課題だと思いますけれども、所有者不明農地の本質的な問題は、例えば東京の一等地だったら、みんなしっかり誰が持っているかわかると思うんですけれども、やはりその資産価値から、逆に、あの土地誰だっけみたいなところになって、なかなか役所の人たちも探しに行くのが大変でとか、いざ貸してくれと言うと貸してくれないとか、そういう所有者不明農地、これが結構、規模拡大とか付加価値の拡大という生産者の人たちの足かせになっている事実が、私が知っているだけでも何件かあります。

 この所有者不明農地の扱いについて、大臣の御所感を伺います。お願いします。

礒崎副大臣 お答え申し上げます。

 相続しても登記がなされていない等の理由により所有者が不明な農地については、貸付けをしようとしても同意をとることが困難でありまして、農業者が規模拡大しようとする場合に大きな障害となっているところでございます。

 このような所有者不明農地は、本省の調査によれば、全国の農地の約二割に相当する約九十三万四千ヘクタール存在しておりますが、実際には、現時点でほとんど耕作が行われているという事実もあります。

 しかし、近い将来、これらの農地で耕作を行っている者が農業をやめるということになれば、貸付けの同意をとることが困難であるという問題が顕在化し、結果的に遊休農地となる可能性が高いものであります。

 こうした課題に対応するために、今国会に農業経営基盤強化促進法等の改正案を提出しておりまして、その中で、耕作を行っている共有者が農業委員会の公示等の手続を経て農地中間管理機構に対して最長二十年間貸付けできる仕組みを設けること等としておりますので、今後また御審議を賜りたいと考えているところでございます。

関(健)委員 ありがとうございました。

 これは問題が顕在化してからやっては遅いので、今副大臣おっしゃっていただいたとおり、大問題になる前に必要な議論をすること、この委員会でもさせていただくことをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 希望の党の大串博志です。

 まず冒頭に、委員長、先週木曜日、この委員会は、私たち野党の一部が出席できない形で、そういう環境下で開かれました。与党の質疑及び維新さんも出られたわけですけれども、そこで、大臣に対する対所信質疑という非常に重要な質疑でございまして、私たちも与党の皆さんがどういう質疑をされるかというのはその場で聞きたかったというのは当然のことでございます。

 理事懇でもこのことは議論させていただきましたけれども、やはり委員会全体のことなので、委員会のこの場で改めて申し上げさせていただきたいと思いますけれども、国会が正常化していこうという中で、この農林水産委員会だけ、与党と野党の一部だけが出席する中で、一部の野党が出席できない環境下でいきなり委員会が開かれたというのは、極めて私たちに関しては不満であります。

 今後、絶対こういうことがないように、今回、農水省においては、法案九本ですか、大変多いですよね。TPPの議論もあるわけでしょう。大変重要な議論を抱えるわけですよ。そういった法案を抱えて、委員会でこれを議論してほしいと言われてくるのは与党側の皆さんの方ですから、与党側の皆さんにも、ぜひ、私たちがしっかり議論に臨めるような環境をちゃんと整備して、やっていただきたい。

 そういう意味において、強硬な委員会運営は絶対してほしくないということを改めて申し上げさせていただきたいと思いますので、委員長、何がしか見解がありましたら、いただきたいと思います。

伊東委員長 お申出の趣旨、わかっておりますので、今後、そのように努めてまいりたいと思います。

大串(博)委員 ぜひ、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 質問に入らせていただきたいと思いますけれども、まず、私からは、諫早湾干拓の問題に関してであります。

 この諫早湾干拓の問題に関しては、私は秋も取り上げさせていただきましたけれども、その後、動きがありまして、例えば、二月の二十四日に、福岡高裁の方からいわゆる和解の勧告というものが出されました。

 内容的に言うと、開門によらない形での基金による、国が言っていた基金案での考え方をベースに和解をしてはどうかという勧告でした。これに関して、四月の四日までに、それぞれの訴訟当事者は返事をしてください、考え方を聞かせてください、和解勧告に応じて和解の議論をしていくのかどうか考え方を示してください、こういった考え方が福岡高裁から示されたわけであります。

 これはこれで受けとめながら、私たちは、私は佐賀県出身の議員ですけれども、佐賀県側としては、やはり諫早湾干拓の開門調査をしてほしいという考え方は変わりません。したがって、開門によらないという前提での基金というのはやはり受け入れられないという考え方であります。

 そういった中で、昨日、原告団は、裁判所に対して、四月四日という期限を待たずに、この勧告案、すなわち開門によらない基金という考え方に関しては、これは合意できませんということをはっきり示され、裁判所に正式な返事をされました。

 これは資料につけさせていただいておりますけれども、一ページ目から三ページ目までですけれども、正式な回答書として、三月十九日、きのうですね、午前中のうちに、原告団の方から裁判所の方に、一ページ目、下線を引いていますけれども、「「開門しないことを前提に、開門に代わる基金等の方策による全体的解決を図る」という和解の方向性は受け入れない。」開門しないということを前提にということは受け入れないということをはっきり言われた。かつ、この方向であれば四月十日に予定をされている和解期日は取り消してくれ、行きませんよということをはっきり言われた。こういう、ある意味、二月二十四日の和解勧告のときから比べると、新しい段階に入っているわけであります。

 この開門しないことを前提に、開門にかわる基金によって和解を進めていくという方法が、これは、和解というのは、御案内のように両方当事者が話合いの場に応じていかないと成らない、そもそも成らないわけでありますので、片方の当事者が、一方当事者が、訴訟当事者が開門しないという前提の基金は受け入れませんとこれだけはっきり、きちんと裁判所に返答してしまった以上、この話はもうありません。

 そういった新しい状況においた中で、さて、国としては、次のステップに向けて考え方をどうするのかということを私は問われると思うんです。このことに関して、齋藤農水大臣は、この次、どういうふうなステップ、対処をしようとされているのか、御所見をお聞かせください。

齋藤国務大臣 御指摘のように、昨日十九日に、開門を求める方々が、開門も含めた和解協議を求める旨の回答を福岡高裁に提出されたことは承知をしております。

 一方、今月五日に出されました福岡高裁の和解勧告は、本件をめぐるさまざまな御意見や長年にわたる経緯がある中で、「開門しないことを前提に開門に代わる基金等の方策による解決を図ることが、現在の混迷、膠着した状況を打開する唯一の現実的な方策」、そういう御判断をいただいたものでありまして、私どもとしては重く受けとめるべきだろうと考えております。

 また、その後の経緯といたしましては、十四日には、佐賀県有明海漁協におきまして、国が提案をした開門によらない基金案の実現を望むとの表明をしていただいたところでありまして、これは、福岡高裁の和解勧告を踏まえて漁協として苦渋の御決断をしていただいたものだと真摯に受けとめるべきだなと考えております。

 加えて、昨日十九日には、佐賀県の山口知事が、佐賀県有明海漁協に出向きまして漁協幹部と会談をして、この漁協の方針を支持する考えを伝えたというふうに承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、国といたしましては、その原告のこういうお話もございますけれども、福岡高裁の請求異議訴訟で行われている和解協議において、開門によらない基金による和解に至れるよう、関係省庁と連携して、引き続き真摯に対応してまいりたいと考えております。

大串(博)委員 自分の置かれた立場をおわかりになっていらっしゃらないようですね。

 すなわち、和解協議というのは、福岡高裁が示した和解案は開門によらない基金案でした、これをのむかどうかを考えてくださいというのが投げかけられたのが、済みません、私さっき二月二十四日と言いましたけれども、三月五日ですね、三月五日。これに対して、訴訟当事者が考え方を示さなきゃならない。これは、四月四日までに考えてくれ、返事をくれというふうに言われていた。

 それに対して、正式に、前倒しで、きのうのお昼に、一方訴訟当事者たる開門を求める原告団が、この和解案を受け入れないということを表明したわけです。表明したのみならず、裁判所に届けたわけです。これは、裁判所から送達という形で農水省にもきのうのうちに正式に行っているはずです。ですから、農水省は、組織として、この勧告を受け入れないという報告を、裁判所から正式に送達を受けている。

 そういった中で、和解案がもうあり得ないという中において、国は、今のような、福岡高裁における和解勧告に向けて努力するというふうに言うことは、全く論理として成り立たない。ないものに関して頑張りますと言っているに等しいわけであって、論理として成り立ちません。それだけ国というのは今無策なんでしょうか。私は、無策であってはいけないと思うから尋ねているんです。

 農水大臣、もう一回お尋ねします。

 和解勧告に示された、開門しないことを前提とした基金案は、もう法律上この世には存在しません。その中で、国として、無策のままでいるのか、すなわち、裁判がずっと続く、これはこれで問題だということを後ほど議論させていただきますけれども、裁判がずっと続くということを無為無策のまま眺め入る状況に国が陥るのか、それとも、そうではなく、いろいろな方策を考えようというのか、どっちなのか、ぜひお答えいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 福岡高裁の和解勧告が今法律上存在しないのかどうか、私はよくわかりませんけれども、ここの和解勧告の中に書かれていること、繰り返しますけれども、「開門しないことを前提に開門に代わる基金等の方策による解決を図ることが、現在の混迷、膠着した状況を打開する唯一の現実的な方策」であるというこの和解勧告、それに加えまして、地元の漁業団体の苦渋の決断、そういったものは私どもとしては重く受けとめるべきだろうと考えておりまして、国といたしましては、開門によらない基金による和解に至れるよう、あらゆる努力を真摯に行っていきたいということに尽きると考えております。

大串(博)委員 開門によらない基金による和解に至れるよう最善を尽くして議論をしたいというふうにおっしゃいましたけれども、それは、いわゆるこの福岡高裁における和解勧告というものがもう成らなくなったという前提のもとで、では、それ以外の場でも、国としては、開門しないことを前提に、開門にかわる基金をもってして何がしかの話合いを続けていきたいので、この福岡高裁の和解勧告は成らないことはわかったけれども、その上で、自分たちのスタンスは変わらないけれども、その方向に向けて話をしていきたい、そういうことですか。具体的にお伝えいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 私どもといたしましては、その福岡高裁の和解勧告が法律的に存在をしていないか、いるかいないかということはよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても、この福岡高裁の御判断や漁業団体の皆さんがした苦渋の決断というものを重く受けとめた上で、国としては、開門によらない基金による和解に至れるよう、先ほど申し上げましたように、あらゆる努力を真剣にしていきたいというふうに考えております。

大串(博)委員 あらゆる努力と、今、一定の含みを持って言われたと思います。

 すなわち、この福岡高裁において、和解勧告に基づく和解協議の場というのはもうないんですね。四月十日というのが一回目の期日と言われていましたが、そこには原告団はもう行きませんから、そういう返事をきのうしていますから、ない。

 そういうことを御存じの上で、あらゆる形で自分たちは自分たちの考えを含めて実現できるよう頑張っていきたいということであるとすると、何がしかの場を通じて結局はこの原告団と何がしかの話合いをしていかなければならないので、あらゆるとおっしゃった以上は、特定はしませんけれども、いろいろな形での、和解ですから、原告団も納得できるような方向に向けて、あらゆる方法を通じて議論をしていくんだ、そういう理解でよろしいですか。

齋藤国務大臣 繰り返しになって恐縮ですけれども、福岡高裁の御判断、それから関係団体の苦渋の御決断、これを重く受けとめるべきだと考えていて、国といたしましては、開門によらない基金による和解に至れるよう、これまでもあらゆる努力をしてまいりましたし、これからもあらゆる努力を真摯に行っていくということでございます。

大串(博)委員 もう一度聞きます。あらゆるというのは何ですか。

齋藤国務大臣 あらゆる努力を行っていくということでございます。

大串(博)委員 私は、原告団、弁護団ともよく話し合ってきているんですね。

 十九日、きのう午前中、原告団から、開門しないことを前提に、開門にかわる基金の方針は受けないということを、私がお願いしてきのうの午前中に出してもらっているんです。

 なぜなら、この勧告案に応じてやってくれと、佐賀県の漁協や県に対する国の圧力が余りに甚だしい、これは漁業者の分断を生んでいる、困惑を生んでいる、こういう現実がありましたので、漁協の皆さんや佐賀県の皆さんは訴訟当事者じゃないですよ、にもかかわらず、外堀を埋めるために、国が、予算を持っている国がかなりの圧力をかけて、漁業団体に圧力をかけてきている、こういう状況があったものですから、であれば、早目に原告団においては和解勧告は受けないということを正式に法律的に固めた方がいいということで、きのう私がお願いして出してもらったんです。その上なんです。

 よって、前回の答弁とは違って、農水大臣の発言の中にはあらゆるという言葉が入るんですね。

 私たちは、正直言って、農水大臣、最後まで訴訟をやり切る気なんですよ、最高裁まででも。もしそのあらゆる努力の中に裁判で結論を得るということが入っているんだったら、今はっきり言ってほしいと思うんですけれども、裁判で決着をつけようということですか。

齋藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、その圧力云々は私はないと思いますが、福岡高裁の御判断、それから漁業団体の苦渋の決断、そういったものを重く受けとめるべきだろうというふうに考えておりまして、国といたしましては、開門によらない基金による和解に至れるよう、今までもあらゆる努力をしてきましたし、これからもあらゆる努力をしていくということでございます。

大串(博)委員 もし裁判をもってして解決を図ろうというのであれば、私は、その考え方は短慮に過ぎると思いますよ。

 なぜなら、今や開門を求めているのは漁業者だけではありません。

 この資料の四枚目にもつけておきましたけれども、まさに諫早湾新干拓地で農業を始めていらっしゃる皆様においても、開門を求めるという、そう提起されている方が出てきているんです。あそこが淡水になったことで、カモ等が大量飛来してその食害が起こる、あるいは、淡水になっているので、夏は大変暑くなる、冬は大変寒くなる、冬には冷害が著しい。淡水のまさに問題点を指摘して、だからこそ開門してほしいと、現地の農業者の方々が開門だということを言われ始めたんです、訴訟において。

 こういうことからしても、裁判で決着をつけるというのは、私たちは最終最後まで裁判をもってしてでも闘い抜こうと思っているんですよ。最終最後まで、開門だという判決を得るまで幾らでも闘い抜く。私たちだって、あらゆる立場で闘っていこうと思っているんです。ただ、国が裁判だけで闘おうというのであれば、私は非常に情けないことだと思います。

 そういった意味で、さっきのあらゆるという中においては、国としてできること、この原告団の資料の中には適切に利害が調整される話合いであれば幾らでも応じますと書いてある、こういう話合いを国として胸襟を開きながら私はやっていくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 繰り返しになるんですけれども、やはり福岡高裁の御判断、それから漁業団体の苦渋の決断は重く受けとめるべきだと考えております。そして、国としては、何度も申し上げておりますように、開門によらない基金による和解に至れるようあらゆる努力を真摯にしていくということ、これに尽きると思っております。

大串(博)委員 今、和解に至れるようということをあえて強調しておっしゃった、その心意気は、大臣、私も受けとめさせていただきたいと思います。国としてできるツールはいろいろあると思うんです。ぜひ、みんなが納得できるような解決策を国として導き出せるように頑張ってほしいと思います。

 そのときに、ぜひ正しい事実認識を持っていただきたい。

 先ほど、佐賀県の漁協が苦渋の決断というふうな言葉を使われた上で、開門によらない基金の実現を望むと決断したというふうに言われましたけれども、それは理解として正しくありません。

 実現を望むというふうに大臣言われましたけれども、資料五ページにつけている佐賀県有明海漁協の考え方について、これは有明海漁協がまとめた紙ですけれども、この中のどこに開門によらない基金案の実現を求めると、どこに一言でも書いてありますか。大臣、どうですか。

齋藤国務大臣 全体を読んでいただく必要があるんだろうと思いますけれども、最初のところで、「開門しない前提の和解勧告が示されました。」次のパラグラフで、その「和解勧告が示された以上、当漁協としては、国の基金案とともに、かねてから要望していた、」ということが三つ書いてあって、「等について、和解協議の中で取り上げて、是非実現してほしい」と。それから、「当漁協としては、」「双方が福岡高裁における和解協議を進めていただくことを希望します。」ということが書かれておりますので、これを踏まえて、苦渋の決断をされたんだろうなというふうに捉えているわけでございます。

大串(博)委員 少なくとも、今の答弁で、実現を望むという表明という言葉は落ちましたね。

 実現を望むというふうに理解したというところは撤回されるということでよろしいですね。

齋藤国務大臣 実現を望むという表現は、確かに、彼らのこの文章と少しニュアンスが違う部分があるなというふうに思っておりますので、その点については、彼らの思いが書いてある文章をもってかえさせていただけたらと思います。

大串(博)委員 この文書が成ったときに、報道では玉虫色文書と言われたんです。福岡高裁から、開門しないことを前提とした和解勧告が示された以上、当漁協としては、これこれ、これこれの追加的なことをぜひやってください、だから話合いをしてください、この追加的なことを私たちは非常に重要だと思っているんです、こういうふうに言った文書なんです。最後に、しかも、有明海再生のためには、開門調査を含む有明海の環境変化の原因究明が必要だという思いは変わりませんと明らかに書かれているんです。

 そこはぜひ正しく理解をしていただきたいと思いますし、そういう正しい理解のもとで、先ほど大臣が和解という言葉を強くおっしゃいましたけれども、原告団としては、適切に利害を調整する話合いをしてほしい、それならいつでも応じると。

 そういう中で、原告団としては、先ほど申しましたように、農業を行っている皆さんへの支援もきちんと含めた上で、開門をしながら、一方で、農業をやっていらっしゃる皆さんへの手当てもきちんとした上での和解案というのも考えられるんじゃないかということも提示させていただいています。

 こういったことも含めて、胸襟を開いて議論をしていただきたいというふうに思います。

 そして、先ほど申しましたように、この間、佐賀県の漁協なり漁業者にとっては、訴訟に対する自分たちの考え方をどう表明するかによって有明海再生のこれまでの予算が減らされてしまうんじゃないかという、これは脅迫と受け取っているかのごとく、切迫した観念があります。

 でも、有明海再生予算、十八億円ぐらいあります。これは私、一年半前の衆議院の決算行政監視委員会で、基金の案を受けるか受けないかにかかわらず、有明海再生予算というのは有明海再生予算としてその必要性であるので、基金を受けようが受けまいが、有明海再生の予算が減ることはありませんという、当時山本農水大臣の答弁を得ています。

 事ほど、これは論理としてそうで、有明海再生予算というのは、農水省の皆さんが毎年財務省に要求されている。これはもともと、有明海特措法というのがあって、有明海特措法、私も改定のときも関与しました。諫干の問題があるから有明海特措法があるということをはっきりしてくれ、当時の古賀誠先生を含めた自民党の先生方と議員立法を議論しましたが、そちら側からは、いや、諫干の問題があるからとは書けないから、有明海の問題、一般の問題として有明海特措法だと言われたから、私たちはのんだんです。だから、これは有明海一般の問題として、これらに基づいて有明海再生予算は成っているんです。

 だから、より敷衍して言うと、開門に対してどういう態度をとろうがとるまいが、どういう成否になろうが、有明海再生予算というのは、それに対して有明海漁協がどう考えようと、どういうスタンスをとろうと、佐賀県がどういう考えをとろうと、どういうスタンスをとろうと、有明海再生の予算はその有明海再生固有のニーズによって決められるのであって、諫干の問題とリンクしているわけではないということはこの場で明言していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 有明海の環境変化については、長年にわたる海域全体にかかわるさまざまな要因によるものであることから、有明海特措法に基づいて、関係省庁及び関係県と連携して、有明海の再生に向けた総合的な取組を着実に進める必要があるというふうに考えているわけでありまして、農林水産省においては、有明海再生対策として、有明海の再生に向けた調査や技術開発等を実施しているところであります。

 したがいまして、この有明海再生対策予算につきましては、開門問題をめぐる訴訟の帰趨にかかわらず、毎年度の予算編成過程において、取組の成果等を踏まえて措置していくものと考えております。

大串(博)委員 漁協や県においては、裁判の帰趨によってはどうなってしまうんだろうというおそれがある人もいらっしゃる。それは今の答弁で私は払拭されると思うし、ぜひそういったアピールをしていただきたいと思いますし、大臣の指示において動かれる各部局の皆さんにおいても、ゆめゆめ同じような誤解を漁協や県の現場で持たれることがないよう、しっかり大臣には指導をしていただくことをお願い申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

伊東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 三月の五日に、衆参農水委員会所属議員有志で、農水大臣に御面会いただきまして、豪雪被害に関する申入れ書を提出させていただきました。

 この申入れ書の内容は三点、迅速な被害状況の把握、激甚災害指定の検討、そして被災農業者向け経営体育成支援事業と同等の支援を農林水産業に対してやっていただきたいということでありましたけれども、改めて、この申入れを受けて現在に至るまでどのような取組をしていただいているのか、お聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 三月五日の時点で皆様方から申入れをいただき、それから現地の状況を聞かせていただいたことは、私にとりまして大変貴重な機会だったというふうに思っています。

 この冬の大雪では、北陸を中心に五六豪雪以来三十七年ぶりの積雪となりまして、また、北海道の日高地方でも、想定を超える大雪が数日間継続をしたために、農業用ハウスなどに大きな被害が発生をしています。

 この被害に対しては、皆様方からのお話も含め、福井県、石川県を始めとした被災自治体や全国町村会などからも、農業用ハウスの再建などに対する要望がさまざまございました。

 こうした被害状況やいただいた要望を踏まえまして、先週十六日金曜日に決定した支援策におきまして、一つは、経営体育成支援事業の優先採択枠等による、被災したハウスの撤去も含めた農業用ハウスの導入経費の助成、それから、被災に伴い必要となります追加的な種子、種苗の確保、それから種苗の融通のための輸送に要する経費の助成、それから、被災した新規就農者の経営継続を支援するため、農業次世代人材投資資金の交付時期の前倒しなどなど、対策を決定させていただいたところであります。

 今後は、この対策の周知に努め、被災された農業者の皆様が支援対策を活用して一日も早く経営再開ができるように全力で取り組んでいきたいと思っています。

 なお、施設園芸を営む農業者の皆様には、農業用ハウスは経営にも不可欠な生産施設でありますので、そのことを改めて認識していただいて、今後も起こり得る甚大な自然災害に対しみずから備えていただく観点からも、園芸施設共済に加入していただく必要があると考えておりまして、あらゆる機会を通じてこの園芸施設共済への加入も推進をしていきたいなと思っているところでございます。

金子(恵)委員 今おっしゃっていただきまして、さまざまな支援を本当に講じなくてはいけない、対策を講じなくてはいけないということであります。新規就農者の方に対する支援もしっかりやっていくということであると思いますけれども、やはり心が折れてしまってはいけない、意欲を本当に損なうことがないようにしっかりと御対応いただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは、まず鳥獣被害対策についてお伺いさせていただきたいんですが、今回、平成三十年度の予算では、鳥獣被害防止総合交付金を二十九年度比の八・九%増、八・五億円増の百三億五千万円計上されているということであります。

 内訳なんですけれども、鳥獣被害防止対策支援事業は三億増の九十八億円でありますけれども、新規でジビエ倍増モデル整備事業というのが行われている、ここの部分では五・五億円が計上されているということであります。

 今申し上げましたように、鳥獣被害防止対策支援事業は三億円増、新規でジビエ倍増モデル整備事業五・五億円ということで、このジビエ倍増モデル整備事業、新たにあるわけなんですけれども、この整備事業を進める上でどのようなことを期待しているのか、お聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 野生鳥獣によります農作物被害は、平成二十八年度が百七十二億円と四年連続で減少して、平成十一年度の調査開始以来最低水準とはなっておりますけれども、営農意欲の減退や耕作放棄の要因など、数字にあらわれる以上に深刻な影響を及ぼしていると考えております。このため、侵入防止柵の設置や追い払い活動などに加えて、捕獲を強化するなど、農作物被害対策を今講じているところであります。

 一方、有害鳥獣の捕獲頭数が増加をする中で、そのほとんどが埋設や焼却により処分されておりまして、捕獲頭数に占める鹿やイノシシのジビエ利用率は七%程度にとどまっているという実態にあります。

 このような中で、ジビエ利用の拡大を図るために、処理頭数が一定規模以上で、衛生管理が徹底され、そして捕獲から運送、処理加工、販売がしっかりとつながったジビエ利用のモデル地区として、十七地区を選定いたしました。

 今後、このモデル地区で得られた処理加工の技術ですとか経営のノウハウですとか、そういったものの優良事例を既設の処理加工施設へ周知、横展開することによりまして、捕獲鳥獣のジビエ利用を一層拡大して、それを農村地域の所得向上につなげていくということが重要だと認識しておりまして、ジビエ利用量を平成三十一年度に倍増させるという政府目標の達成に向けて、関係省庁とも緊密に連携しながら、安全で良質なジビエの安定供給、ジビエの全国的な需要拡大の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 このジビエ利用を推進するということは、一昨年の鳥獣被害防止特措法の改正によってジビエ利用推進というものが明記されて、国、自治体、民間の総合力によって普及していくということでありますけれども、実際に倍増をしっかりやっていくということであります。

 一方で、私の地元の福島県ではジビエは進めることができないんですね。農業者の方々が営農再開をしたとしても、やはり鳥獣被害に遭って意欲を本当に失っていく、そういう現状にある中で、特にまた旧警戒区域等で捕獲ができなかったことから大変個体数が増加しているということがありまして、それがかなり広がっていくという状況です。

 そこで、ジビエだけではなくて、別な方法でしっかりと鳥獣被害対策を進めるということをやっていかなくてはいけないわけですし、私は、ジビエを進めることができないから捕獲が進まないということで終わってしまってはいけないと思います。

 前に私はこの委員会でも、私の地元の伊達市農林業振興公社が進めています、イノシシの革を使った加工品、それを商品化して販売している、そういう取組についても触れさせていただいたことがあるんです。これは経産省からの支援も得ているということではありましたけれども、農水省として、大きな枠の中での鳥獣被害対策ですから、しっかりやっていくということで、今言ったような取組もぜひ支援をしていただきたいというふうに思うんですけれども、この福島の鳥獣被害対策の取組についてお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 福島の鳥獣被害対策ですけれども、農林水産省では、現場に最も近い市町村が被害対策の中心となって行う侵入防止柵やわなの設置、捕獲鳥獣の焼却施設や食肉処理加工施設の整備、捕獲活動への直接助成等の取組について、鳥獣被害防止総合対策交付金により総合的に支援しているところでありまして、二十九年度補正予算や三十年度当初予算においても、その捕獲を強化するため、合計で百十六億円の予算を計上しているところです。

 福島県の場合は、原発事故の影響によりまして野生鳥獣の肉の出荷が制限をされ、食肉利用ができない地域においては、これは、焼却など、捕獲された鳥獣の適切な処理を推進するということしかないわけであります。

 このために、鳥獣被害防止総合対策交付金のほかに、もう委員御案内だと思いますが、東日本大震災農業生産対策交付金や福島再生加速化交付金等によりまして、侵入防止柵の整備や捕獲を積極的に進めるほか、食肉利用できない捕獲鳥獣の焼却施設の整備等に対して支援を行うということとしております。

 今委員御指摘のイノシシの革の話について、ちょっと事前に調査ができていなくて申しわけないんですけれども、いずれにいたしましても、食肉利用できない地域における鳥獣被害対策についても、関係省庁と連携してしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 食肉ではない、ジビエではないけれども、しっかりと対策につなげていくということで、さまざまなことはやっていただいていますけれども、現場ではどうしても、何か成果物につながっていかなければ例えば猟友会の方々も十分に動けないとか、意欲の話を先ほど来申し上げていますけれども、そういうところにつながっていかないということがあるわけなんですね。

 ですので、全体としてぜひ御支援をいただき、例えば予算をただ投じたからといって、しっかりと鳥獣の駆除というのにつながっているかというと、そうでないケースというのもあるということもぜひ御理解をいただきたいというふうに思っています。

 その上で、今、鳥獣被害対策を進める上で、わな、柵の遠隔監視や遠隔閉扉などの情報通信技術を駆使した鳥獣被害対策というものが行われているということで、昨年の農水省の調査でわかったということでありますけれども、四十二道府県三百十二市町村が取り組んでいるというようなことで伺っております。

 このような新しい技術による捕獲というものが進められるということは、結果としてはいいことだというふうにも思うんですが、この取組をどのように国として、農水省として把握をしているかということと、そしてまた、今後このような技術の開発についてどのような支援をしていくかということをお聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 ICTセンサーなどの情報通信技術を活用した鳥獣被害対策は、捕獲の効率化ですとか人手不足への対応などが期待できることから、農林水産省では、情報通信技術等の新技術を用いた被害防止対策についても鳥獣被害防止総合対策交付金で重点的に支援をしているところであります。

 現状につきましては、平成二十九年十月時点で、情報通信技術を活用した被害防止対策については、私の手元の資料では、三百三十三市町村において取り組まれておりますし、また、百五十の市町村において今後取り組む意向であるということであります。

 また、現在は、操作が容易かつ捕獲効率の高い捕獲おり、あるいはドローンを利用した鳥獣の生息実態把握や監視、追い払い等による被害防止技術など、現場の課題に応えた新たな技術の開発ですとか導入実証等を進めているところであります。

 農林水産省としては、このような状況を踏まえて、引き続き情報通信技術を活用した鳥獣被害防止対策や技術開発を推進してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 新しい技術というのはしっかりと開発しつつ、そして一方で、既存の技術というものが十分に生かされているのかどうかということをお伺いしたいと思うんですが、昨年の十月二十七日に会計検査院から改善要求が出された案件であります。鳥獣被害防止総合対策交付金についてでありますけれども、侵入防止柵の設置の仕方や維持管理に問題があり、侵入抑制に不備があるのではないかと。

 この交付金でありますけれども、二〇一四年から二〇一六年度に同交付金の事業評価を行ったJAや市町村などのつくる協議会のうち、調査対象とした五百三十四件の約四割は農作物の鳥獣被害の削減目標未達成であった、約二割では被害が増加したということであります。

 この交付金を使って今申し上げたような侵入防止柵を設置した。しかし、それが生かされていないという現状がある。それによって改善処置要求というものが会計検査院から出ています。これを受けて、どのような取組をされたんでしょうか。

齋藤国務大臣 昨年十月の二十七日に、会計検査院から、鳥獣被害防止総合対策交付金事業で導入をした侵入防止柵の設置やその維持管理等が適正に行われていなかったこと等に関し指摘を受けましたことに対しましては、大変重く受けとめております。

 農林水産省としては、この会計検査院の改善処置要求を踏まえまして、本年一月十二日付で、侵入防止柵設置後の被害状況を把握することや、被害軽減目標が達成できないと見込まれる場合に原因究明を行うこと等を徹底する旨の指導通知を市町村及び事業主体宛てに発出するとともに、全国会議においても指導徹底を図ってきたところでございます。

 今後、本事業が適切かつ効果的に実施されるよう、指導の強化に努めてまいりたいと思います。

金子(恵)委員 地方からは、この交付金については、増額してほしい、予算をもっと欲しい、そういう要望というのは日ごろから出てきているわけなんですね。それに対して、今回このような形で会計検査院から改善要求が出たというのは極めて遺憾なことだというふうに思うんです。

 ですから、今おっしゃっていただきましたように、通知を発出しているということではありますけれども、原因を今究明しよう、どうしてこういうことが起こっているのかというのを把握せよというような内容がほとんどだというふうに思うんですね。あるいは、結局、その究明をしていたとしても、どうやってこれから指導していくかということが明確に何か示されていない、そういう文書だというふうに私は拝読させていただいて感じました。

 こういうことではなくて、やはり省を挙げて、きちんと本当に何が問題なのかというのをみずから調査していくということをしなくてはいけないんだと思うんです。ただ文書を送って、それで終わりではないはずなんですね。その点について、いかがですか。

齋藤国務大臣 まず、地域ごとにかなり事情もばらばらだろうと思いますので、それぞれの地域において、防止柵が設置された後どのような状況になっているかというのは、まず地元できっちりとそれはフォローしていただくということが何よりの前提になるんだろうと思います。

 その上で、通知を発出しただけではなくて、先ほど申し上げたように、全国会議においても指導を徹底しておくということであります。

 そして、そういうものが蓄積されていきますから、そういうものはまた共有をしていくということが大事だろうというふうに考えております。

金子(恵)委員 それでは、会議等でいろいろな現状というのをしっかりと把握していく、蓄積されたらば次の段階で対策を講じていくということではあるんですけれども、その間、一方では、ジビエ対策だということであったり、予算を少しでもとろうと頑張っていらっしゃるんだというふうに思うんですね。この辺のところに矛盾を感じる人もいるかもしれないし、そうでない方もいるかもしれない。

 ただ、現状は本当に自治体では鳥獣被害で困っている方々がいるわけですから、そこもしっかりと考えながら、やはりこういう会計検査院からの改善処置要求が起こるようなことがないように予算をしっかりと活用していく、そして、活用していただくということを基礎自治体、都道府県そして農水省、本当に一体となって進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

 時間がありませんので次に行きますが、花卉産業の振興についてお伺いしたいと思います。

 私は、実は三月三日、四日でしょうか、地元で華道家元池坊の福島支部の皆様の池坊展が開催されましたので、お邪魔させていただきました。やはり花とともにある日本文化というのはすばらしいなというふうに感じました。そして、ぜひ日本の生け花を世界じゅうの方々に知っていただきたいなというふうにも思いますし、また、ふだんから花のある生活というのを送ることによって心豊かになっていくということ、そこにつながっていけばいいなと思いました。

 私は障害者政策などにも力を入れている人間でもありますけれども、障害のある方々が花を愛したり、あるいは花を育てることに生きがいを感じたりということを見ていますと、やはり花があって、そして花によって心を支えてもらえるような、そういう地域社会であったらいいなというふうにも感じます。東日本大震災の発災後も、被災者の方々は花にどれだけ救われたかわからないんですね。

 そういうことから、改めて花卉振興についてお伺いしたいんですが、平成二十六年の十二月一日に施行された花きの振興に関する法律の目的というのは、花卉産業の健全な発展と心豊かな国民生活の実現なんです。その中で、いろいろな施策を講じていらっしゃると思いますけれども、現在、どのような花卉振興、そして心豊かな国民生活をするための花、花の文化、花卉文化の振興というものをされているのか、お伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 花きの振興に関する法律は議員立法でありまして、当時、私は自民党の農林部会長としてこの法案を担いで走り回ったものでありますので、委員の御質問はまさに同感でお伺いしておりました。

 花卉につきましては、近年、国内市場において消費が伸び悩む一方、安価な切り花の輸入が増加をしているという現状がありまして、一方、国産花卉の輸出は増加しているという状況にありまして、我が国の花卉産業の国際競争力の強化というのは重要な課題になっていると思います。

 それで、具体策でありますけれども、このため、花卉支援関係対策として平成三十年度予算に七億五千八百万円計上しておりまして、生産者と流通業者等が連携して取り組む、ニーズに合致した品目、品種の導入や、低コスト栽培技術などの栽培体系の実証ですとか、国産花卉の需要拡大のための異業種との連携によるプロモーション活動、花育や花卉の効用の普及、それから、品目、品種によって荷姿が大きく異なる花卉の物流を効率化するための共同出荷輸送等を支援しているところであります。

 また、輸出拡大につきましては、平成二十九年度補正予算で、船便輸送の実証ですとか、開花調整技術を活用したつぼみ輸送実証による輸送コスト削減等を支援することにしているわけであります。

 また、文化面のお話ありましたが、この法律の中でも第十六条第二項に花育の重要性というものが位置づけられているわけでありますけれども、この花育は、子供たちが花や緑に親しみ、これらを育てる機会を通じて優しさや美しさを感じる気持ちを育むものでありまして、花卉の文化の振興を図るために重要であるというふうに認識をしております。

 このため、平成二十六年度より、国産花きイノベーション推進事業において、都道府県及び花卉業界関係者で構成される地域協議会が行う花育体験活動を支援しているところでありまして、関係省庁とも連携しつつ、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 花育について触れていただきましたが、花育は、花や緑に親しみ、育てる機会を通して優しさや美しさを感じる気持ちを育むことということです。

 その花育なんですけれども、もちろん、花育をすることによって、結果として、例えば売上げが上がったとか消費が拡大したとか出荷量がふえたとか、そういう結果につながればいいんですが、それありきではないということで、大臣、よろしいですよね。

齋藤国務大臣 ありきではないということは申し上げたいんですけれども、一方で、予算というものは成果を求められるという側面がございますものですから、花育に関する体験活動への助成につきましては、平成三十年度から、花卉の生産者の参加を要件とするとか、三年後の成果目標として生産者及び販売業者の出荷額等の一〇%増加を図ることを追加するとかさせていただいておりますが、花育体験活動が地域の花卉の需要拡大に結びつく工夫もあわせてお願いをさせていただきたいなと考えているところであります。

金子(恵)委員 時間が参りましたのでもう終わりたいと思いますが、私は、大臣がおっしゃったように花育と生産量とか消費量とかそういうものをあわせていくというのは、ちょっと無理があるというふうに思っているんです。

 現場では、子供たちが花を育てるということによって心を豊かにしているということであったり、例えば生け花教室を受けて、そして花の美しさによってまた自分にもプラスになっていくというような、本当に純粋に花育活動をしていらっしゃる方がいるんですね。

 それにもかかわらず、平成三十年度からは成果目標というのを得なきゃいけない。例えば、消費金額、直近の実績と比較して一一〇%以上とする目標ですよね。売上高も、やはり直近の実績と比して一一〇%以上、やはり一一〇%に上げていかなきゃいけないということで、目標値を挙げているんですね。

 そうではなくて、これは、花育は心の問題だと私は思っているんです。ですので、それを申し上げさせていただきまして、ぜひ、最終的に、結果として、花育をすることによって消費が拡大するとか、それであればいいけれども、ありきじゃないということを申し上げさせていただいて、そして、改めて、日本文化の中で、花があって、すばらしい地域社会がこれからもつくられるんだ、それについて農水省としても御支援をいただきますように求めまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、今国会、大問題となっている文書改ざん事件について、齋藤大臣の見解を伺います。

 公文書の改ざんは重大な犯罪であります。改ざん文書を作成し、それに基づく答弁というのは、行政府が立法府を欺くことになります。権力の分立、そして議院内閣制という、この国の統治機構を揺るがす行為として、私は重大問題であると考えております。

 午前中の質疑の中で、大臣は、政府全体の信頼を揺るがしかねないという発言がありました。まさに、内閣は、憲法上、全ての行政行為に対して、国会に対し連帯責任を負うというふうに定められています。

 この事態に対して、大臣は安倍内閣のまさに一員であります。内閣の一員として、国会に対する責任をどのように考えておられるでしょうか。

齋藤国務大臣 このたびの財務省における決裁文書の書きかえ、これは、総理も言及されたように、一財務省の信頼ということだけではなくて、行政全体の信頼を揺るがしかねない出来事であるというふうに思っております。

 そして、我が省におきましては、行政文書の適正な管理は、行政の適正かつ効率的な運営を実現するとともに、国会を含めまして国民の皆様への説明責任を全うする上で極めて重要であると考えておりますものですから、三月十三日に、行政文書の適正な管理について、改めて私の方から省内に徹底をさせていただいたところでございます。

 今後とも、まかり間違っても、書きかえが行われるような、そういう文書管理がなされないように、厳正に管理をしてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 省内での努力についてはわかりました。

 内閣全体の問題として、文書改ざんを国民は捉えているわけであります。ですから、今、この文書改ざんの真相究明に向けて政府一丸となって取り組んでいく、そして、誰もが今求めている関係者の証人喚問、ここから始めないとわからないわけですから、この実現に向けて力を尽くしていただくように強く要望させていただきたいと思います。

 それでは、米政策について質問します。

 米の直接支払交付金の廃止とともに、行政による米の生産数量目標の配分が廃止され、ことしから米政策が大きく変わります。しかし、米の需要が毎年八万トン減る中で、生産数量目標の配分をやめてしまったら、過剰作付によって米の価格がどんどん下がってしまうのではないか、この懸念があちこちに広がっています。

 ことしの作付は前年並みとの報道でありますけれども、飼料用から主食用への戻りもありますし、SBS米も全量落札されて市中に出回ってまいります。備蓄米から主食用米販売に切りかえる、そういう動きもあると報道されています。これで二〇一八年度産米が豊作になったとしたら、価格の下落を招きかねません。

 そうならないための手だては何を考えておられるんでしょうか。また、下落した場合の対策は何なんでしょうか。

齋藤国務大臣 米政策につきましては、三十年産米から直接支払交付金及び行政による生産数量目標の配分を廃止する中、引き続き、需要に応じた生産を促して、米の需給及び価格の安定を図っていくことは重要であるというふうに、もちろん認識をしているところでございます。

 このため、三十年産以降においても、引き続き、麦、大豆、飼料用米等の主食用米以外の作物の生産を支援することで水田のフル活用を進めるとともに、きめ細かい情報提供を継続することによりまして、農業者みずから需要に応じた生産に取り組んでいただける環境整備に努め、米の需給及び価格の安定を図っていく考えであります。

 また、米価の下落に対しても御指摘がありました。これに対しましては、いわゆるナラシ対策、収入減少影響緩和対策ですけれども、このナラシ対策や収入保険等のセーフティーネットの構築をあわせて行っていくことによりまして、担い手の農業経営の安定を図ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 今言われた収入保険、それからナラシですね。でも、これは過去五年間の収入の平均との差額の一部を補填するだけであります。継続して下がり続けるときには、補填もどんどん下がっていく。でも、そのやり方というのは、セーフティーネットとしては非常に不十分だと指摘せざるを得ません。

 飼料用米についてもお尋ねしたいと思います。

 この三年の生産数量目標超過達成には、飼料用米への転換も大きく貢献しています。二〇一八年度は水田活用の直接支払いに三千三百四億円を計上していますけれども、政府の方針に従って規模拡大を続けてきた集落営農などにとっては、これを将来にわたって安定的に措置していくことが特に重要だというふうに考えております。

 この飼料用米、全国の農家に向かって約束できますでしょうか。

齋藤国務大臣 我が国におきましては、主食用米の需要が毎年おおむね八万トンずつ減少しているという中で、食料自給率、自給力の向上を図るためには、飼料用米など主食用米以外の作物への転換によって、水田のフル活用を進めていくということが重要であると考えておりまして、御指摘の飼料用米につきましては、平成二十七年三月に閣議決定をされました食料・農業・農村基本計画におきまして、平成二十五年度で十一万トンの飼料用米の生産量を平成三十七年度には百十万トンとする生産努力目標を掲げ、この目標の確実な達成に向けて、不断に施策の点検を行いながら、生産拡大を図るというふうにしているところでございます。

 こうした中、水田活用の直接支払交付金の三十年度予算につきましては、飼料用米などの戦略作物助成の現行単価を引き続き維持するとした上で、これらの生産拡大にもしっかりと対応できる額にする、それから、地域の裁量で活用可能な産地交付金についても、基本的な仕組みは維持した上で、転換作物の拡大に対する支援等に新たに取り組むことといたしまして、二十九年度当初予算額の百五十四億円増となります三千三百四億円を三十年度予算で計上しているところであります。

 御指摘のように、この予算が崩れるようなことになりますと、飼料用米政策そのものが崩れるということになりますので、農林水産省といたしましては、今後とも、農業者の方々が、飼料用米など主食用米以外の作物への生産に引き続き安心して取り組むことができるよう、必要な予算をしっかり確保してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 安心して取り組めるように予算も確保していくというのであれば、安心の制度にしていただきたいと思うんです。

 では、何で飼料用米の交付金を収入保険の収入の対象としていないのか、この疑問が出ているわけであります。畑の作物やあるいは甘味資源作物の数量支払いは対象としている一方、この飼料米は収入の対象としていない。対象にして、そして安定的に措置すべきである、こういうことを要求させていただきたいというふうに思います。

 全国の地方議会からは、責任ある需給対策と戸別所得補償の廃止反対若しくは復活を求める意見書がたくさん上がっています。岩手、山形、三重県議会を始め全国の市町村から続々と国会に届いており、二〇一四年から、これまで私が確認しただけでも百七十一本に上っています。

 いずれの意見書も、そもそも米価は生産費を大きく下回っているとあり、このままでは経営が立ち行かないと訴え、農家の再生産と農村を支えてきた戸別所得補償を復活してほしいとこの意見書では要請されています。

 二〇一五年産米は、全算入生産費六十キロ当たり一万五千三百九十円で、全銘柄の平均価格は一万三千百七十八円となっています。価格とコストの関係なんですけれども、この価格には出荷団体の保管、運送、手数料などの経費や消費税も乗っています。

 そこでお尋ねします。

 政府備蓄米の入札予定価格というのは、主食用米の農家手取りと遜色ない価格に設定されるというふうに伺っています。では、公開されている二〇一五年産の購入数量と契約金額の合計について示していただきたいと思います。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの政府備蓄米の二〇一五年産、平成二十七年産の購入数量につきましては、落札実績ベースで合計二十五万トン、そして、契約金額については合計で四百三十四億円となっております。

田村(貴)委員 そうすれば、六十キロ当たりの単価は平均一万四百十円ということになります。これが主食用米の農家手取りと遜色ない価格なんですね。全算入生産費と比べたら五千円違うわけなんです。こんな米価では、大規模経営だって赤字になりかねませんよ。

 十アール七千五百円の戸別所得補償というのは、赤字を補填する確実な収入でありました。一七年産米では七百十四億円の予算が組まれましたけれども、これがそっくり失われる勘定になります。岩手県一関市の意見書では、市内の農家収入が合計で約三億円減少するとも言われています。

 我が党が調査を行った福井県若狭町のかみなか農楽舎は、米を中心に四十ヘクタールを耕作する大きな農業生産法人であります。いろいろな努力をされて、ようやく、全体の売上げは七千百万円程度、一方、経費は六千九百六十六万円と、ぎりぎりな状況であります。この売上げには、米の直接支払交付金の約二百万円が含まれています。三十年産米、二〇一八年度産米、これが吹き飛ぶので、社長さんは、どうやってこの穴を埋めていくのか思案しかねているというふうに話しておられます。

 大規模経営者でもこういう状況になるんですけれども、大臣、こういう農家は一体これからどうやっていったらいいんでしょうか。経営努力はもう十分やっていると思いますけれども、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 今回の、米の直接支払交付金の見直しを行わせていただいたその背景には、いろいろな事情があるわけでありますけれども、全ての販売農家を対象に交付金を支払うということは農地の集積ペースをおくらせるなどの問題が多いですとか、一方で、強い農業の実現に向けて、先ほど来申し上げたフル活用政策などをあわせて講じているところであります。

 それで、お米のこれからの政策につきましては、先ほど来申し上げておりますように、これからお米の需要がどんどん減っていく中で、やはり需要に応じた生産というものを目指していく以外に需給の安定を図ることはできない。一方で、水田のフル活用をすることによって、例えば、餌米の、先ほど申し上げたように、飼料米の予算というものは、農家の不安がないように確実に措置をさせていただく。

 そういうことで、需要に見合った生産をするので米価を安定させ、さらには、水田のフル活用を図ることによって、政府の支援も得ながら、農家の所得も安定をさせていくという方向でこれからの米政策というものは運営をしていくべきだろうというふうに考えているところでございます。

田村(貴)委員 いろいろやってきたんだけれども、米が安過ぎて赤字を埋めることができないというこの現状があるから、こうした声が起こっているわけです。さらに、直接交付金の廃止等によって農家が困窮していく。それはまさに、米潰し政策と言われても仕方がないような状況だというふうに思います。米づくりを守るあらゆる農家を応援する政策に抜本的に転換することを求めたいと思います。

 次に、昨年の九州北部水害に伴う農地の被害復旧について質問します。

 福岡県朝倉市は、九州北部豪雨で一番大きな農業被害を受けました。多くの田畑、果樹園、ハウス等におびただしい土砂が流れ込みました。

 資料をお配りしています。左上の写真は稲刈りができなくなった田んぼ、これは私がことしの一月末に現地へ行って撮ってきた写真であります。右上の写真は大量の土砂につかった果樹園であります、柿畑。下の二枚の写真は博多万能ネギのハウスでありますけれども、ここで栽培されている方はこの地での栽培はもう断念されたというふうに伺いました。

 豪雨水害から九カ月たっても、多くの田畑は土砂に覆われたままであります。災害復旧事業はおくれています。

 そこで伺いますけれども、ちょっと時間の関係上、私が言いますので、正しいかどうかだけ答えてください。

 災害復旧事業の朝倉における規模なんですけれども、全体では七百六十ヘクタール、平地で約五百四十九ヘクタール、そして、自力で復旧させている人を除いた災害復旧対象は約二百ヘクタール、平野部以外は二百十一ヘクタールで今やろうとしているということですけれども、大体こんなものですかね。

荒川政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃったような平野部、山間部の分布になってございます。

田村(貴)委員 それで、査定は終わって、今からやるんですけれども、土砂撤去はまさに今からだというところなんですよね。

 私がお伺いしたときに、JAの職員さんがこうおっしゃいました。目の前の土砂がなくなることが、営農再開への意欲が出てきます。そのとおりであります。土砂が撤去されないとどうにもできないんです。

 ある農家の方はこうおっしゃいました。昨年は稲の収穫もできず、裏作の麦も植えることができなかった、何とかことしの田植までには復旧してほしい。

 大臣、この切実な農家の願いに、一刻も早い土砂の撤去が求められています。未曽有の豪雨被害についてはもう伺っておられると思いますけれども、この土砂を撤去しなければ、当然、作付ができません。このままでは離農者が出てまいります。六月の田植に備えて種もみを発注する、そして育苗、こういう段階に来ています。今、工事を前に進めるならば、六月の田植に間に合います。

 大事なのは、諦めないことであります。諦めないで頑張る。営農再開はまさに復興のシンボルになってまいります。工事業者ももう選定されています、落札されています。だからあとは、工事を早く進める、これが一番必要であると思います。大臣、いかがでしょうか。早く進めていく必要があるんじゃないでしょうか。

齋藤国務大臣 今、委員御指摘のように、今回の九州北部豪雨で甚大な被害を受けた朝倉市を始めとする地域、早期の営農再開を図るためには、まず迅速に農地を復旧することが何よりも重要であると認識をしております。委員と同感であります。

 そのため、朝倉市で行われる農地の災害復旧事業のうち、平野部につきましては、おおむね復旧工事の発注が完了をしたところでありまして、平野部の全ての農地で平成三十年度中に復旧工事が完了する見込みに今なっております。

 ただ、一方の山間部の農地につきましては、土石流により甚大な被害を受けておりまして、河川の復旧完了後に復旧工事に着手をする、そういう段取りになりますものですから、営農再開までまだ期間を要する見込みとなっているところであります。

 いずれにいたしましても、早期に営農再開ができるように、地元の皆さんの意向をしっかり踏まえながら、全力で支援してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 平野部においては平成三十年度内に復旧完了、こういうめどと、それから計画を市民とそれから農家の方に示して、展望をやはり持てるようにしていただきたいというふうに思います。まずは田植に間に合わせることが大事だというふうに指摘させていただきたいと思います。

 それから、ちょっと時間の関係上、質問を飛ばします。

 工法が変わってまいります、現地において。例えば、ブルドーザーの入れ方が、農地の表土を削ってしまうから、オペレーターもいないから、バックホーと三トンブルを入れるとか、この工法の変更に伴う国に対する申請等々の変更については、ぜひ自治体に寄り添ってアドバイスをしていただきたい、そして支援もしていただきたいというふうに思います。

 最後に、諫早湾干拓事業について伺います。

 午前中も議論がありましたけれども、福岡高裁は、潮受け堤防水門の開門を強制しないよう国が漁業者側に求めた請求異議訴訟で、開門はせず、基金案などで解決を図るよう和解勧告をいたしました。

 この福岡高裁が示した和解の方向性では、開門によらないことを前提に、開門にかわる基金等の方策でというふうにされているわけであります。

 政府が考える基金というのは、あの長崎地裁の和解勧告で示した、百億円、四県、四漁協が基金を管理する、そうした有明振興基金をイメージされているんでしょうか。

荒川政府参考人 お答えいたします。

 国が福岡高裁に提案をいたしました基金案でございますけれども、これは、先生お話ございました長崎地裁の和解協議におきまして、四県、それから四県の漁業団体から御意見、御提案をいただいて、有明海の漁業振興や再生に必要な取組内容を盛り込んで、それを実現できる仕組みとして御提案をさせていただいたものでございます。

 この基金案につきましては、有明海の再生に向けて、より効果的に活用され、よりよい成果を導けるように、今後とも、関係者の御意見を伺いながら、その活用について検討してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 よりよい方向性になりませんよ。だって、同じスキームじゃないですか。

 一年二カ月にわたって和解の協議をやってきたんだけれども、国が提案したやり方ではのめなかったと決裂したじゃないですか。また同じことをやるんですか。

 和解に至らなければ、裁判は続いて、七月三十日に判決が予定されています。その判決がどうであれ、漁民側が上告すれば、また裁判が続いてまいります。

 伺います。

 国は、いつまでも裁判を続ける気なのか、それとも、和解によって解決を目指すのか、どちらなんでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、今月五日、福岡高裁の和解勧告が出てあるわけでございます。その中で、「開門しないことを前提に開門に代わる基金等の方策による解決を図ることが、現在の混迷、膠着した状況を打開する唯一の現実的な方策」だという御判断をいただいたところでございまして、これを重く受けとめておるところでございます。

 したがいまして、国といたしましては、この請求異議訴訟で行われております和解協議におきまして、開門によらない基金による和解に至れますように、しっかり対応してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 そうであるならば、やはり、考え方、それから和解の提案の仕方を変えていかなくてはだめですよ。

 仮に、四県の漁協が国の和解案を、仮にですよ、のんだとしても、漁連は訴訟当事者ではありません。漁民原告が納得できる和解案を提示する以外に解決の方向性はないじゃないですか。既に、高裁に対して、この和解のテーブルに着くことはできませんと、きのう、もう意見を出していますよ。どうするんですか、この入り口の段階で。和解のテーブルにも着けないじゃないですか。

 大臣、どうしますか。今の案では入り口にも着けないんですよ。またやるわけですか。違う案を出さない限り解決はできないと考えますけれども、大臣、どう考えておられますか。

齋藤国務大臣 今、事務方から答弁させていただきましたように、私どもとしては、今回の福岡高裁の和解の御判断、それから漁業団体の苦渋の決断というものは重く受けとめるべきと考えておりまして、国としては、開門によらない基金等による和解に至れるよう、真摯に対応していきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 行き詰まっているのは、どうやら政府の方にあるようであります。

 なぜ漁民原告がこの和解に応じられないのか。きのう提出した文書の中にこういうくだりがあります。「確定判決に基づく開門請求権の一方的放棄を前提とするのは、司法制度の軽視であり、あまりにも偏波で不公平である」と。

 確定判決を行った福岡高裁のこの和解案、その提示は、私も余りにもひどいなというふうに思います。ここを重く厳粛に受けとめても、だめなものはだめなんです。

 大臣は、歴代の農水大臣の中で、漁民原告と、大臣就任の後から、挨拶されていません、懇談されていません。漁民側は、提案がいいものならば幾らでも今から話合いに応じると言っているわけでありますので、まず、対立が続いている漁民原告の話を聞く、そして、お互い胸襟を開いて話し合っていく、そういうスタンスをやはり持って事に当たっていくしかないなと思います。

 そのことを強く指摘して、きょうの質問を終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

伊東委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣齋藤健君。

    ―――――――――――――

 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

齋藤国務大臣 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。

 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法は、外国政府による漁業水域の設定等に伴い、水産加工品の原材料の供給事情が著しく変化したことに対応するため、水産加工施設の改良等に必要な長期かつ低利の資金の貸付けを行うことを目的として、昭和五十二年に制定されたものであります。

 その後、水産加工品の原材料の供給事情及び水産加工品の貿易事情の著しい変化に対処するため、貸付けの内容について所要の見直しを行いつつ、水産加工業の体質強化に努めてきたところであります。

 本法は、本年三月三十一日限りでその効力を失うこととされておりますが、水産加工業をめぐる厳しい状況が続いていることに加え、現在、東日本大震災により被災された水産加工業者がその復興に当たり本資金を活用されていること等を踏まえると、引き続き、水産加工施設の改良等に必要な長期かつ低利の資金の貸付けを行う必要があります。

 このため、本法の有効期限を五年間延長し、平成三十五年三月三十一日までとすることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

伊東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十二日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十六分散会


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