衆議院

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第4号 平成30年3月22日(木曜日)

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平成三十年三月二十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 大串 博志君 理事 佐藤 英道君

      池田 道孝君    石崎  徹君

      泉田 裕彦君    稲田 朋美君

      上杉謙太郎君    加藤 寛治君

      門  博文君    金子 俊平君

      木村 次郎君    岸  信夫君

      工藤 彰三君    小寺 裕雄君

      斎藤 洋明君    杉田 水脈君

      高木  啓君    谷川 弥一君

      西田 昭二君    野中  厚君

      鳩山 二郎君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      星野 剛士君    細田 健一君

      宮路 拓馬君    石川 香織君

      大河原雅子君    神谷  裕君

      亀井亜紀子君    高木錬太郎君

      松田  功君    後藤 祐一君

      佐藤 公治君    関 健一郎君

      緑川 貴士君    江田 康幸君

      金子 恵美君    田村 貴昭君

      森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    橋本 次郎君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     杉田 水脈君

  岸  信夫君     星野 剛士君

  細田 健一君     石崎  徹君

  宮路 拓馬君     鳩山 二郎君

  山本  拓君     門  博文君

  大河原雅子君     高木錬太郎君

  亀井亜紀子君     松田  功君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     細田 健一君

  門  博文君     山本  拓君

  杉田 水脈君     工藤 彰三君

  鳩山 二郎君     宮路 拓馬君

  星野 剛士君     岸  信夫君

  高木錬太郎君     大河原雅子君

  松田  功君     亀井亜紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     加藤 寛治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消費者庁審議官橋本次郎君、農林水産省大臣官房長水田正和君、食料産業局長井上宏司君、経営局長大澤誠君、水産庁長官長谷成人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊藤信太郎君。

伊藤(信)委員 自由民主党の伊藤信太郎でございます。

 被災地宮城県選出の議員として、東日本大震災からの水産加工業の再生、復興を進める観点から質問をさせていただきます。

 この質問をするに当たって、塩竈市、七ケ浜町の水産加工関係団体、漁協とのヒアリングを重ねまして、皆様から大変切実な訴えを多数聞いてまいりました。

 塩竈では、ピーク時二百社を超えていた水産加工業者が、現在では四十七社まで減少しております。今、この水産加工業界、五重苦に苦しんでおります。販路の喪失による売上げの減少、原材料、資材、電力料金、運搬費の高騰、困難となってきている原材料の確保、原発事故からくる消費者の買い控え、西日本エリアの購買のダウン、中国、韓国の禁輸等の風評被害、そして人手不足。何とかこの窮状を救ってほしいと強い要望がございます。

 このことを背景に、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律の有効期限を五年間延長する立法事実、その必要性についてお伺いしたいと思います。

 その前提として、平成二十五年の改正以降どのような実績があり、そのことが水産加工業の振興、とりわけ宮城県を始めとする東日本大震災の被災地の水産加工業の再生に役に立ったかを、全体的な数字並びに具体的な例でお示しをお願いしたいと思います。

齋藤国務大臣 平成二十五年度以降二十八年度までの水産加工資金の貸付実績ですが、二百三件で合計二百八十四億円となっております。そのうち、委員御指摘の東日本大震災により被災した事業者等への貸付実績は、百四件で百三十九億円となっております。

 具体的な貸付事例といたしましては、主力商品をパック詰めする真空包装機や自動計量選別機等の導入によって事業者の生産能力が向上したという例ですとか、宮城県で被災した缶詰製造工場の再建に当たりまして、補助事業の自己負担分について融資を受けた事業者の売上げが震災前の水準に回復した例、そういった例がございます。

 このように、本資金がその貸付けを通じて水産加工業の体質強化や被災地水産業の復興に貢献していることを踏まえまして、今般、その有効期限を五年間延長するための法案を提出させていただいたということでございます。

伊藤(信)委員 今回、五年間の延長ということでありますけれども、果たしてこの五年間で十分であるかどうか、融資額は今後五年間どのように推移していくと見通しているか、また、融資対象は今後どのように質的に変化すると考えているかについてお示し願いたいと思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 水産加工資金法は、五年間の限時法という枠組みのもと、国際的な資源管理の強化や国内の漁業生産量の減少など、水産加工業をめぐる外的要因に伴う情勢の変化を踏まえ、有効期限を迎えるごとに制度の必要性を確認し、所要の見直しを行った上で、期限を延長してまいりました。

 本法が政策金融の特例措置であることに鑑みれば、今回も、まずは本法案により有効期限を平成三十五年三月三十一日まで延長し、当該期限の到来時において、情勢の変化を踏まえて改めて制度の必要性を確認し、見直しを行うことが適切であると考えております。

 融資額の今後五年間の見通しにつきましては、水産加工資金の貸付実績は近年一年間で約五十件、約七十億円程度となっているところ、水産加工業者の約三割が今後五年以内の設備投資を予定しているとの調査結果があることから、本資金については、今後も引き続き一定程度の資金需要があると考えております。

 なお、本資金につきましては、法律の有効期限を迎えるごとに制度の必要性を確認するほか、その時々の事情、時代の変化に応じて資金の内容について所要の見直しを行っておりまして、今回も、貸付対象となる魚種の追加等を行い、告示を改正することとしております。

伊藤(信)委員 ありがとうございます。

 この法律の融資対象でございますけれども、ノリの生産というのは入っているんでしょうか。

 御存じのように、ノリというのは、収穫から最終製品まで連続的に生産というものが行われています。どこから加工と認識されるのでしょうか。特に、漁業者と加工業者が同一の場合はどうなのか、そしてまた、融資対象となる部分とならない部分があるとすれば、どこで線引きされるのかをお示し願いたいと思います。

長谷政府参考人 水産加工資金は、水産加工品の製造又は加工に要する施設等の造成、取得、新設又は改修のための費用等を貸付対象としておりますので、ノリの例でいいますと、洋上でのノリの収穫の後に使用する乾燥機などの設備ですとか、加工場などが融資対象となるということでございます。

伊藤(信)委員 次に、この法律の融資対象に中小の水産加工業のロボットの導入費用はなっているでしょうか。もし、ロボットのうちなるものとならないものがあるとすれば、どのような基準でそれが判断されるか、お示し願いたいと思います。

長谷政府参考人 水産加工資金は、食用水産加工品の製造、加工に係る新技術の導入についても対象としております。

 御指摘の水産加工用のロボットについても対象となり得るものでありまして、例えば、現に商品の積込み用ロボットの導入等についての活用事例もございます。

 実際に貸付対象となるかどうかは、具体的には事案に応じまして公庫において判断ということはございますけれども、制度として対象とはなります。

伊藤(信)委員 これも水産加工業者からの要望の強い点でありますけれども、今、水産加工業というのは、水産を加工するところだけではなくて、業者の話も出ましたけれども、集荷とそれから出荷が一体となって設備というものが構成されております。

 したがいまして、この集荷場と加工場と出荷場を一体化した施設は融資の対象になるかどうかをお示し願いたい。その場合、建屋は一つでありますので、全体額が融資対象となるかについてもお示し願いたいと思います。

齋藤国務大臣 水産加工資金は、水産加工品の製造又は加工に要する建物又は機器類の造成、取得、新設又は改修のための費用等を貸付対象としています。

 このため、水産加工施設と一体のものとして整備される、原材料の搬入や保管を行うための建物、出荷前の製品を保存しておくための倉庫等も水産加工品の製造又は加工に必要な関連施設として貸付対象とはなり得ます。

 ただ、実際に貸付対象になるかは、個別の事案に応じて政策金融公庫が判断するということになりますけれども、水産加工資金は、水産資源の減少等外的要因によって厳しい状況にあります水産加工業等を支援するための制度でありますので、設備投資意欲のある水産加工業者のニーズには適切に対応してまいりたいと考えております。

伊藤(信)委員 次に、漁業協同組合自体がこの融資制度を使おうとする場合、他の制度、助成制度等ほかの諸制度との線引き、整合性というものはどのように整理されるかについてお示し願いたいと思います。

長谷政府参考人 漁業協同組合を含む水産業協同組合は水産加工資金の貸付けの対象となっておりまして、この資金を御活用いただくことは可能でございます。

 また、漁業協同組合が他の融資制度や補助金を活用して整備を行った施設におきまして新しい機器等を導入しようとする場合におきましても、本資金の活用は可能となっているところでございます。

伊藤(信)委員 これから水産加工業も輸出ということを非常に大きく念頭に置かなければならないわけでありますけれども、HACCPに対応するための設備投資、これも融資対象になるかどうか、また、その中でなるものとならないものがあるとすれば、どういう選択基準になっているか、お示し願いたいと思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 HACCP関連につきましても、当然この資金の対象となるということでございまして、要件につきましては、また公庫におきまして判断ということはございます。

伊藤(信)委員 この法律、昭和五十二年に成立して以来、七たび、五年ごとに延長されてきたわけであります。その間、水産加工業を取り巻く状況、また水産加工業自体の状況というのは大きく変化してきました。とりわけ東日本大震災の被災地にとっては、水産加工業は今まさに危機的状況にあると思います。

 今回、五年間の延長ということでありますけれども、この延長が単に時間的な延長に終わることなく、この危機を救うために、現場のニーズに柔軟に対応し、水産加工業の再生、復興に役立つように発展的に運用されることを要望したいと思いますが、この件については農林水産大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 御指摘のように、水産加工業はさまざまな課題に直面をしているわけでありますが、私が光も見えていると思いますのは、こうした中でも、四分の一以上の事業者が五年以内の設備投資を予定しているというようなこともありまして、高い事業意欲を有する事業者も少なくないというところに少し希望を見出しているところであります。

 いずれにいたしましても、漁業のみならず水産加工も含めまして、この夏に向けて、資源管理と成長産業化に向けて水産改革の方向をしっかり出していきたいと思っておりますので、また委員にもいろいろ御指導いただければと思っております。

伊藤(信)委員 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

伊東委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 おはようございます。公明党の江田康幸でございます。

 本日は、水産加工資金法案について質問をさせていただきます。

 四方を海に囲まれた我が国にとりまして、水産業の振興というのは極めて重要でございます。その中でも、水産加工業は、漁業とともに、漁村の経済や雇用を支える重要な基幹産業でございます。

 まずは、今回の法律の改正につきましてお聞きをさせていただきたいと思いますが、本法は、北洋における外国政府による漁業水域の設定等に伴って、水産加工品の原材料供給の顕著な減少に鑑みて、これに即応して行われる水産加工施設の改良等に必要な長期、低利の資金の貸付けを行うことを目的として、昭和五十二年に臨時措置法として制定されたものでございます。

 今回の改正は、法の有効期限を五年間延長しようとするものでございますが、まず大臣にお聞きをさせていただきますが、本資金によりまして、制度創設以来、水産加工業における新製品の開発、また新技術の導入に向けて、施設の改良等がどのように有効利用、促進されてきたのか、伺いたいと思います。

 また、本資金の実績や効果及び役割について、これは東日本大震災からの復旧復興に果たしてきた役割も含めて、政府の見解をお聞きしたいと思います。

 さらに、水産加工業者にとってみれば、これらの水産加工資金の低利融資は、助かるところではあるわけでございますけれども、借金に変わりはないわけでありまして、中小企業という視点から見れば、中小企業の設備投資を支えるものづくり補助金等があるわけでございますけれども、これらは、もう大臣もよく御存じのように、設備投資費用の三分の二を補助して、残りを水産加工資金の融資を受ければ大きな負担軽減につながるものであろうかと思っております。

 これらものづくり補助金やグループ補助金等々との併用ができるのか、できるとすれば、今後、経済産業省とも連携して、設備投資の負担を軽減する補助金の活用を水産庁も積極的に推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 本法は、今委員御指摘のように、外国政府によります漁業水域の設定等に伴って水産加工品の原材料の供給事情が著しく変化をしたことに対応するために、水産加工施設の改良等に必要な長期かつ低利の資金の貸付けを行うことを目的として、昭和五十二年に、昭和五十八年の三月三十一日までの時限法として当初制定をされました。

 水産加工資金のこれまでの融資実績、これは昭和五十三年度から平成二十八年度になりますけれども、この三十九年間の累計で二千三百七十六件、二千七百九十六億円の貸付実績となっておりまして、近年は大体年間約五十件の新規貸付けがあるという現状であります。

 本資金の貸付けを通じまして、水産加工品の製造、加工施設の改良等が行われまして、新たな技術の導入ですとか新製品の製造、開発等が促進をされているほか、御指摘のように、特に最近では、東日本大震災の被災地の水産加工業者の経営再建のためにも活用をされておりますなど、その融資が水産加工業の体質強化や被災地水産業の復興に貢献しているものと評価をしているところであります。

 水産加工業の体質強化のためには、委員御指摘のとおり、水産加工資金のほか、さまざまな施策を活用していただくことも重要だと考えておりまして、水産加工資金と補助事業を併用することは可能となっております。

 委員御指摘のように、このことを多くの方に知っていただくということが大事だと思っておりますので、併用可能であることも含めて、本資金の周知に努めてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 申しおくれましたけれども、熊本には、私は地元は熊本でございますが、田崎市場等がございまして、魚から鯨の加工に至るまで、さまざまな水産加工業の皆様が御活躍をしていただいているところでございます。また、有明海では住吉漁協等のノリの生産加工業者も活動していただいております。

 これらの皆様が、熊本地震からの復旧復興もそうでございますが、さらに成長産業として活動していこうとした場合には、これらの水産加工資金の融資だけに限らず、やはり経産省、中小企業庁のものづくり補助金等の補助金を活用するということが非常に大事になってきております。それらを有効活用して、先端の加工機器の導入や、またノリの乾燥機や冷蔵機というものを導入していただいているところでございますので、さらに水産庁の方からも、より、他省庁ではございますけれども、中小企業庁のこの補助金を有効活用するように徹底していただきたいと思うんですね。なかなかよく知っていらっしゃらないところが多かったように存じますので、よろしくお願いを申し上げます。

 時間が限られておりますので先に行かせていただきますが、原材料の確保というところも大変重要になってくるかと思っております。

 水産加工業において、この原材料の使用額の割合というのは、最近では六五・六%ということで聞いておりますが、原材料の安定確保というのが水産加工業経営においては最大の関心事となっているということでございます。

 そこで、我が国水産加工業にかかわる原材料の供給状況について確認をしたい。そして、原料魚の漁獲量減少の原因究明、また輸入原材料の安定確保への対応策についても政府の見解をお聞きしたいと思います。

長谷政府参考人 近年、漁業生産量が減少傾向で推移している中で、水産加工業にとって原材料の確保や価格上昇への対応が大きな課題となっていると認識しております。

 漁獲量の減少につきましては、例えばスルメイカに関しては、平成二十七年及び二十八年において、産卵海域でスルメイカの発生に適した温度帯が減少したことにより資源量が減少し、その後も回復が見られていないことが主要因と考えられております。

 これらは、農林水産省から国立研究開発法人水産研究・教育機構等に委託した水産資源調査の結果に基づくものでございますけれども、引き続きしっかりと水産資源の調査に取り組んでまいりたいと考えております。

 他方、加工原材料に関する当面の対応といたしまして、イカにつきましては追加の輸入割当てを行うなど、輸入原材料の供給確保のための輸入割当て制度の柔軟な運用、セーフティーネット貸付けによる運転資金の融通、そして、やむを得ず原料転換を図る事業者に対しましては、原料転換に伴う機器整備につきまして、公庫資金であるこの水産加工資金による融資を行っているところでございます。

 今後も、水産加工業の原料不足につきましては、きめ細やかに対応してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 次に、水産加工業の振興策について、大臣に改めて伺いたいと思います。

 水産加工場の多くが沿岸市町村に立地して、他産業が成立しにくい漁村においては雇用の場を提供するなど、水産加工業というのは、漁業とともに、漁村の経済を支える重要な基幹産業である、特色ある漁業地域の形成に寄与してきたところでございますが、水産加工業は、そのほとんどが中小企業でございます。また、従業員十人未満の加工場がその大半を占めるということで、労働生産性、また資本の装備率においては低いというのが特徴であろうかと思います。

 そこで、二十八年の水産加工業の経営実態調査においては、水産加工業者が直面している課題としまして、売上高、利益率の低下、また原材料確保の困難、そして従業員確保の困難等々が挙げられているわけでございますね。

 これらを踏まえると、水産加工業の体質、事業基盤の強化、先ほども申されましたけれども、これを図って、そして水産加工業を振興していくための政策のあり方また基本的な考え方を、幅広く大臣にその見解をお聞きしたいと思います。

齋藤国務大臣 委員御指摘のとおり、水産加工業は、今さまざまな課題に直面をしております。

 一方、こうした中でも、四分の一以上の事業者が五年以内の設備投資を予定しているなど、高い事業意欲を有する事業者も少なくない状況であります。

 したがいまして、付加価値の高い水産加工品の新製品の製造ですとか、省力化等の新たな技術、生産体制の導入ですとか、そういった取組を後押しすることで水産加工業の体質強化を進めていくということがこれらの方々の思いに応えるために重要であると考えております。

 このため、今回の水産加工資金による融資に加えまして、浜の活力再生プランに位置づけられた加工流通共同利用施設、これは加工処理施設ですとか廃棄物等処理施設などですけれども、これらの整備に対する支援ですとか、水産加工業者等による国産水産物の流通を促進する先進的な取組の推進ですとか、あるいは各種中小企業に対する施策など、御指摘のように、多様な政策間の連携、活用を進めることによって水産加工業の体質あるいは事業基盤の強化、水産加工業の振興を図ってまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 最後に、ちょっと残り時間で簡単に質問し、またお答えしていただきたいですが、もう一つ、輸出の促進についてもお伺いをさせていただきたいんです。

 農水産物また食品の輸出額においては平成三十一年に一兆円を目指す、水産物についても三千五百億円を目指す、この目標で進んでいるわけでございますけれども、数量、金額ともに増加傾向で推移はしておりますけれども、目標にはまだ多くの積み上げが必要となってきております。

 このような中で、水産加工品の位置づけ、また今後の取組方針についても、最後にお伺いをさせていただきたいと思います。

礒崎副大臣 委員御案内のように、農林水産物の輸出力強化戦略によりまして一兆円を目指しておるわけでございまして、そのうち三千五百億円が水産物になっているわけでございますが、北海道のホタテが爆弾低気圧によって大分被害を受けたこと等によりましてやや足踏みをしているのは事実でございますが、何とかこの三千五百億円を達成するために努力してまいりたいと思います。

 特に、水産加工品の部分では、オール・ジャパンでのプロモーション活動のほか、特に水産加工施設のHACCPの対応が重要であると考えておりまして、そのための研修会の開催や現地指導、あるいは施設改修等の支援など、きめ細かい支援を行っていくところでございます。

 いずれにいたしましても、全体で一兆円、水産物で三千五百億円、達成できるように精いっぱい努力してまいりたいと思います。

江田(康)委員 短い時間ではございましたが、質疑応答させていただきました。

 本法がいかに水産加工業の体質強化やまた被災地水産業の復興に重要であるか、そしてまた、水産加工業の振興や輸出を含む等々において政府が政策をしっかりと展開していっていただきまして水産加工業を支えていっていただきたい、そのように思います。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、石川香織君。

石川(香)委員 おはようございます。立憲民主党の石川香織でございます。

 まず冒頭、財務省の決裁文書改ざん事件、これについてちょっと触れさせていただきたいと思います。

 二十七日の佐川氏の証人喚問も決定をいたしました。これで真相を解明する大きな一歩になることを期待しているわけでありますけれども、行政府が今まで虚偽の資料を提出して、この虚偽の資料をもとに一年間にわたって国会の議論が行われていたというのは非常に許しがたいことでありますけれども、このことに対しての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 今回の財務省における決裁文書の書きかえは、総理も言及されておりますけれども、行政全体の信頼を揺るがしかねない出来事であるというふうに思っております。

 行政文書の適正な管理というものは、行政の適正かつ効率的な運営を実現するだけではなくて、国民の皆様への説明責任を全うする上でも極めて重要であると考えておりまして、私の指示によりまして、三月十三日には、行政文書の適正な管理について、改めて省内に徹底をしたところでございます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 今回の問題で、農水省はこういうことがないと当然信じておりますけれども、公文書の改ざんが財務省だけの問題なのかと疑わざるを得ないという状況になっていると思います。どうぞこれからも、本来の国会、そして行政との連携も含めて、正しく機能していくことができるように、齋藤大臣を始め職員の皆様に改めてお願い申し上げたいと思っております。

 さて、農林水産委員会でもたびたび質問になっておりましたけれども、三月初めの大雪、それからその後の大雨によっていろいろな被害が全国的にあったということで、きょうはそのことについても触れさせていただきたいと思っております。

 資料をきょうは配付させていただきました。

 先週、三月の十七日、十勝管内の足寄町に視察に行ってまいりました。

 この資料の写真の、下の二枚の写真でありますが、足寄町では、三月九日の低気圧に伴う大雨、そして融雪によりさまざまな被害がありました。市街地では、三月の雨量としては観測史上最多であったということであります。この大雨によって河川が増水しまして、増水に伴い、氷塊、氷の大きな塊が滞留しながら流れていきまして、堤頂に迫りました。いわば、河川が増水したものと氷塊が土石流のようになって流れ出したということであります。物すごい音で氷塊が川を下っていって、それが非常に恐怖だったというふうに町民の皆さんもおっしゃっておりました。

 この写真、ちょっとわかりにくいので御説明をしたいと思うんですが、左側の写真は、これは牧草地なんですけれども、奥の方にちょっと固まって見える塊が氷塊なんですけれども、厚さが六十センチほどあるものが多くありまして、大きさも三メートル近いものがごろごろ、このように固まっている。端の方に寄ってしまっているのは、川の勢いがすごくて、一緒に氷塊が流れたときに端に寄せられてしまった、人間の力で寄せたわけではなくて、川の勢いで寄ってしまったということでありました。

 隣の写真は秋まき小麦のところですけれども、ここにも奥にちょっと氷塊が点在をしております。手前の方は泥と水がたまってしまいまして、このような被害になった。秋まき小麦に関しましては、共済の対象であるということであります。ただ、査定の関係もありまして、重機が今入れないという状況でありますので、融雪を待って、引き続き、収量が最終的にどうなるのかということも含めて、見守るというほかはないということでありました。

 足寄町の被害に関しましては、町の素早い対応によって、氷塊を、土の中が凍っているうちに重機が入りまして、除去作業に当たっているということでありました。

 そして、上の写真なんですけれども、こちらは十勝管内の大樹町というところであります。この資料は、手前の部分の屋根がちょうど雪の重みで抜け落ちて、ない状態になっておりますけれども、この建物は乾乳舎であります。中にいた一頭は救出後、その後無事に出産をしたということでありますが、そのうちの二頭が廃用になってしまったということでありました。

 このほかにも、更別村というところにも視察に行きましたけれども、ここでは堆肥舎が雪の重みで崩れたということでありました。この堆肥舎は築十年ほどであったにもかかわらず、雪の重みで一気に崩れてしまったということで、今回の大雪のすさまじさをわかっていただけるかなと思います。

 これは、いずれも家族で酪農をされておりまして、家族みんなで除雪作業を一生懸命やったんだけれども、雪の降るペースがすご過ぎて、このような事態になってしまったとお話をされておりました。

 四年前の豪雪のときもありましたけれども、主に関東甲信越地方だったと思いますが、このときは経営体育成支援事業というものの適用になりまして、再建、修繕に係る補助率を十分の三から二分の一に引き上げるという措置をされました。

 今のこの十勝管内、三月十九日の被害状況のまとめによりますと、営農施設の被害が百四十五件、ビニールハウスが三十六棟、倉庫、畜舎も八十八棟、農業機械も二十一台ということで、北海道の中でも非常に、特に被害が甚大であったと言えると思います。

 まだ現段階では被害の全容は見えておりませんけれども、今後の営農意欲にかかわる事態を勘案しても万全の体制を打つべきだと強く感じましたけれども、どのような支援が具体的になされるのか、お答えいただけますでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 この冬の大雪等の被害につきましては、北海道あるいは北陸地方などを中心といたしまして、現時点におきましては、六千五百棟を超える農業用ハウスや畜舎などに損壊等の被害が発生しているというふうに承知しております。改めて、被害に遭われました農業者の方々にお見舞い申し上げたいというふうに考えております。

 このような被害状況を踏まえまして、また、被害状況についても、まだまだわからないところはありますが、大体の規模が明らかになってまいりましたので、先週、三月十六日金曜日に、支援策を農林水産省として決定いたしました。

 その中におきましては、まず、施設災害関係につきましては、経営体育成支援事業、これを優先採択することといたしまして、被災した施設の撤去も含めました農業用ハウス等の導入経費の助成をすることと決定いたしました。また、簡易畜舎の整備や畜舎の修理などのための資材の供給につきましての支援についても決定いたしたところでございます。

 また、先生の御指摘のありました共済については、既に早期支払いについての指示を出しているところでございますし、農地、農業用施設、共同利用施設等の被害については、査定前着工制度の関係地方公共団体等への周知等を通じまして、災害復旧事業等により早期復旧を支援することといたしているところでございます。

 今後、このような対策の地域への周知に努めまして、被災された農業者の皆様が支援対策を活用しながら一日も早く経営再開ができるように、全力で取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 さまざまな対策、支援がもう既にされているということで、非常に力強い支援をいただいて、本当に心から感謝を申し上げたいと思います。

 営農意欲を欠くような事態はもちろんあってはいけませんし、ただ、ここ数年、やはり想像していたもの以上のことが起きているという状況もありますので、そういった中で、防災というのを、非常に難しいところではあるんですけれども、少しでも被害を少なくするための防災の意識というのも改めて高めていかなくてはならないと思っておりますので、引き続き、力強い御支援をよろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、今回の法律案についての御質問をさせていただきます。

 平成二十八年度の水産白書によりますと、ここ十年間で、水産加工品生産量は毎年減少の一途をたどっております。平成十八年は二百万トンだったにもかかわらず、平成二十七年には百六十八万トンになりました。

 さまざまな原因が考えられるかと思いますけれども、この原因をどのように捉えていらっしゃるでしょうか。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 近年の水産加工品の生産量の減少につきましては、水産物の国内消費量が減少していることに加え、原料となる魚種の国内漁業生産量が、例えば、平成十八年の五百七十三万トンから、平成二十七年には四百六十三万トンまで減少しているということが大きく影響しているというふうに考えております。

 特に最近の減少の原因といたしましては、海流の影響によりまして我が国沿岸に好漁場が形成されず、資源量も減少しているサンマの漁獲量が減少したことなどによるところが非常に大きいと認識しているところでございます。

石川(香)委員 水産加工品の生産量が減少しているという現状を御説明いただきましたけれども、それに伴って、毎年、全国で四十件前後の倒産が報告をされているということであります。

 この倒産がふえてしまった原因というのもさまざまあるかと思いますが、どう分析されているでしょうか。

長谷政府参考人 我が国の水産加工業は、中小零細企業がほとんどでありまして、他の食品製造業に比べても労働生産性が低い状況にございます。

 また、我が国の漁業生産量が減少傾向で推移している中で、加工に用いる国産原材料の安定確保や価格上昇への対応が困難になっていることに加えまして、人手不足による人件費上昇等の課題があると承知しております。

 民間調査会社によれば、二〇一七年の倒産事例のうち、従業員数十人未満の企業が約八割を占めておりまして、かかる厳しい経営状況の中で、経営基盤の脆弱な零細企業が倒産に至ったものと考えております。

 今後とも、水産加工資金を始めとする施策によりまして、水産加工業の体質強化に取り組んでまいりたいと考えております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 厳しい経営状態という中で、水産加工業が元気を取り戻すためには、やはり水産加工品の消費の拡大を広げていくというのが大切だと思います。

 そのためには、新商品の開発というのは非常に重要だと思います。特に最近は、各地域で、これまでとれなくなっていた魚がとれるようになった、又は、これまでとれていた魚がとれなくなった、そういった状況がありますけれども、この中で、未利用や低利用の魚を活用するというのも、非常に新商品の開発にとっては大切なことであると思います。

 ただ、新商品を開発するためには何年もの歳月がかかりますし、当然、莫大な資金もかかります。今回の法案は日本政策金融公庫による貸付けということでありますけれども、新商品開発に対して補助金等による支援があるかどうか、お答えいただけますでしょうか。

長谷政府参考人 近年の食用魚介類の一人一年当たりの消費量が減少傾向ということで、過去十年で二五%減少しております。

 この背景には、魚をもっと食べたいという意識がある一方で、できるだけ簡単に調理したいという消費者のニーズにこれまで十分に対応できていなかったことなどがあると考えておりまして、消費者のニーズに対応して、手軽においしく食べられる新商品の開発ですとか普及が重要というふうに認識しております。

 こうした観点から、水産加工資金においては、新製品の研究開発や未利用、低利用魚を原料とする水産加工品の製造等のための費用を貸付対象としていることに加えまして、消費者の簡便化志向に合った加工品の開発といった先進的な取組を行う水産加工業者を支援する事業を別途実施しているところでございます。

石川(香)委員 魚の食べ方であったり、時代のニーズというのは非常に大切だということがよくわかりました。加工品の消費の拡大が広がることをこれからも支援していかなくてはならないですし、応援をしていきたいと思っております。

 次の質問に移ります。

 厚生労働省は、食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因を効率よく管理する手法でありますHACCP、これを食品事業者に対して義務化するということを、食品衛生法の改正案ということで今国会に提出する予定だと聞いております。

 食品を製造する過程でのリスクを管理するために、ルールが変わるということで、水産加工業者の方々にとっては負担も大きいことだと思います。当然、国としてのサポートも必要だと思いますが、そのような考えはあるでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の食品安全のさらなる向上と、世界各国が食品安全への対応を強化している中で、今後の輸出も見据えまして、従来からHACCPの導入を推進、支援してきているところでございます。

 我が国の食品産業は、その多くが中小零細事業者でございまして、この中小零細事業者のこれまでのHACCPの導入率は約三割にとどまっております。このため、農林水産省におきましては、HACCP導入のための知識を普及する研修や、HACCP支援法に基づきます施設整備に対する金融支援等によって支援を行ってきているところでございます。

 今後、HACCPに沿った衛生管理が制度化をされるということを見据えまして、今申し上げました研修の中身を、制度化によって求められる具体的対応に即したものにいたしますとともに、業態、業種に応じたHACCPの手引書の作成への支援を強化していくこととしております。

 農林水産省といたしましては、水産加工業者の方を含めた食品事業者が混乱なくHACCPに沿った衛生管理等を円滑に導入できるように、厚生労働省とも緊密に連携をいたしまして、取り組んでまいります。

石川(香)委員 中小零細事業者に対して、HACCPの取得が三割ということでありましたけれども、これからも研修等の対応をしていっていただきたいと思います。

 次に、今後、労働人口が減少していく中で、水産加工業へのロボットの導入、それから情報通信技術というのも非常にふえてくるかと思います。人工知能、AIを使って生産性を向上させるという試みも全国で調査事業として始まっているということでありますけれども、ロボットを導入することによって、異物の検査、それから在庫の管理で大幅な効率化が期待できるということであります。

 このAI導入でのメリット、又は今後の課題もありましたらお答えいただけますでしょうか。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 水産加工業においては、従業者の確保が課題の一つとなっておりまして、その省力化を図っていくことが重要と考えております。

 このため、水産加工資金によって、省力化等の新たな技術、生産体制の導入を支援するほか、情報通信技術を活用した魚介類の選別、加工技術や、缶詰製造工程におけるロボット導入等に関する研究開発にも取り組んでいるところでございます。

 今後の課題といたしましては、水産加工業につきましては、中小零細企業がほとんどでありまして、情報通信技術やロボット技術を活用していく上では、経営の体質強化をあわせて進めていくことが重要と考えているところでございます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 労働人口が減少していく中で、これからもロボットというのは非常に大切な役目になってくるかと思います。

 次の質問ですけれども、外国人の技能実習生がさまざまな分野で活躍をしております。水産加工業に関しましては、ここ数年、年間で六千人前後ということで推移をしているということです。

 水産加工業の現場でもますますふえてくることが予想されておりますけれども、外国人技能実習生の方々が水産加工業で働くことに対しての現状の分析と、それから今後の課題もありましたらお答えいただけますでしょうか。

長谷政府参考人 外国人技能実習制度は、国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間に限り受け入れ、OJTを通じまして技能を移転する制度ということであります。水産加工業におきましては、委員からもお話ありましたように、毎年、六千人程度が実習していると認識しております。

 こうした中で、昨年十一月には、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が施行されまして、技能実習制度の適正化を図るとともに、優良な監理団体等への実習期間の延長や受入れ人数枠の拡大などの措置が講じられたところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携しながら、水産加工業の実情も踏まえた技能実習の適正な実施と新しい制度の円滑な運用が行われるように取り組んでまいりたいと考えております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 続いては、東日本大震災の復興ということについてお伺いをしたいと思います。

 東日本大震災の被災地での水産加工業について、水産庁が行ったアンケートというものがあります。売上げが八割以上回復していると答えた企業が四五%にとどまっているということでありまして、販路の回復がおくれているという実態が示されました。また、人手の不足、原材料の確保が非常に困難であるという問題点も指摘をされております。

 また、福島県では、六年以上ものブランクから他県にシェアを奪われてしまいまして、回復が困難だというところも実態としてあるということでありました。再建しても取引先がないというこのブランクを埋めるためには、どのような対策が必要だと思われますでしょうか。

長谷政府参考人 委員から御紹介いただきましたけれども、水産庁が青森、岩手、宮城、福島、茨城の五県の水産加工業者を対象にアンケートを行いました。売上げが八割以上回復した事業者は、しかしながら、五割弱ということでございます。そして、アンケートの中で、御紹介いただきましたように、人材の確保、原材料の確保、販路の確保と風評被害対策等が大きな課題として浮かび上がっているところでございます。

 このため、水産庁では、被災地水産加工業者の原料転換や省力化等のための加工機器の整備などの支援、販路の回復、新規開拓に向けた専門家による個別指導や東北復興水産加工品展示商談会、こういったものの開催などに加えまして、資源回復の取組ですとか、輸入による加工原料の確保の取組を実施しているところでございます。

 また、今回御審議いただいております水産加工資金の融資におきまして、震災特例ということで、償還期限、据置期間の延長、実質無利子化等の措置も講じてきているところでございます。

 特に、福島につきましては、昨年ようやく漁業種類としては全ての漁業種類が復活したということで、本当にこれから復旧復興が本格化していくことを期待しているところでございますけれども、そうした福島県の水産業、そして水産加工業につきまして、風評被害の払拭に向けましては、モニタリング調査結果のホームページ等での提供や、放射能と魚についての説明会の実施、これは、展示商談会やイベントの機会も活用いたしまして、月一回を超えるペースで実施しているんですけれども、そういうものに加えまして、水産エコラベルの取得など、福島県産水産物の付加価値を高める取組の支援、そして量販店におけるさまざまなイベントなどを通じた福島県産農林水産物の魅力のPRなど、総合的に支援を行っていきたいというふうに考えております。

 今後とも、復興庁を始め関係省庁、自治体と連携しながら、地域の実情を踏まえまして、福島県を始めとする被災地の水産加工業の復活、復興に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 被災地の復旧復興に向けて、さまざまな支援、そしてPR、サポートをされているという現状がわかりました。今回の法案もそうでありますけれども、これからも復旧復興に向けて日本全体で支えていくということが大切だと思っております。

 続いての質問でありますけれども、食品表示について御質問させていただきます。

 平成二十九年九月一日、食品表示法に基づく、食品表示基準の一部を改正する内閣府令が公布、施行されまして、これまで一部の加工食品のみ義務づけられておりました原料原産地の表示について、輸入品を除く全ての加工食品を対象にしたということでありました。具体的には、製品に占める重量上位一位の原材料を原則として国別の重量順で表示するという新しい制度が開始をされました。

 例えば、練り物の場合、複数の魚が原料として使われるわけでありますけれども、その表示に関しても、どこまで表示するべきなのか、魚種まで詳細に書かなくてはいけないのかといったことが疑問に浮かぶわけでありますけれども、このあたりを教えていただけますでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 昨年九月一日に施行しました新たな原料原産地表示制度でございますけれども、これまでの原材料名の表示を変更するものではなく、表示されている重量割合上位一位の原材料の原産地を表示するものでございます。

 したがいまして、先生御指摘の練り製品などの原材料名につきましては、これまでどおり、魚肉と表示されている場合はその表示でよく、魚種名まで表示する必要はございません。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 そんなに難しく考えなくてもいいのかなといった印象を受けましたけれども、さまざまなルールが変わる中で、そういった現状であるということで、消費者庁の皆さん、ありがとうございます。

 続いての質問であります。

 東京二〇二〇年のオリンピック大会では、持続可能性というものについて配慮する大会にするということが目標に掲げられております。この持続可能性というのは、乱獲をしたり、あと、資源を生み出す母体であります海の環境を壊さないで魚をとるというような方法をとろうというようなことでありますけれども、大会関係の施設で提供される飲食サービス、これで使用します水産物に関しても、持続可能性に配慮した水産物の調達基準ということで策定をされております。

 水産加工物については、主要な原材料である生態系や資源の持続性に配慮して漁獲、収穫された水産物であるということを示す水産エコラベル認証を受けた水産物は、この調達基準を満たしているものとされているということであります。

 この水産エコラベルということなんですけれども、この認証の取得状況はどうなっているでしょうか。また、今後どのように普及していくか、そのあり方についても御説明をいただきたいと思います。

長谷政府参考人 近年、水産資源管理に関する国際的な関心の高まりによりまして、特に国際取引におきまして、資源の持続的利用や環境配慮への取組を証明する水産エコラベルが重要となってきております。

 このような中、我が国において活用されている主な水産エコラベル認証といたしましては、国内発の漁業認証でありますMEL、マリン・エコラベル・ジャパン、それから、養殖業認証であるAEL、養殖エコラベルと言っておりますが、こういった国産の漁業認証と並びまして、海外発の漁業認証として、MSC及び養殖業認証でありますASCといった四種類が知られているところでございます。

 国内発の認証の平成三十年三月十六日現在の取得状況ですけれども、MELが、生産段階認証が四十四件、流通加工段階認証が六十二事業者でございます。AELの方は、生産段階認証が三十五件、流通加工段階認証が十六事業者となっております。

 これに対しまして、海外発の認証の、これは平成二十九年十二月末日現在と、時点が若干違うんですけれども、MSCが、生産段階認証四件、流通加工段階認証百三十八事業者、ASCが、生産段階認証三件、流通加工段階認証が五十事業者となっておりまして、四種類の認証とも、必ずしも関係者の認知度が高いとは現段階では言えない状況というふうに考えております。

 昨年四月に閣議決定されました水産基本計画におきましても、エコラベルの普及を促進することとされておりまして、水産庁といたしましては、漁業者及び流通加工業者による認証取得数の増加、流通加工業者、外食、ホテルなどとの連携による、店頭に並ぶ水産エコラベル商品数の増加、そして、国際的な取引で活用されるものとして国際的な評価を受けることに向けました取組をこれから推進していくこととしているところでございます。

石川(香)委員 長谷長官、ありがとうございました。

 限られた資源を再生する量や速さもしっかり考えながら、このエコラベルについても重要性があるということを認識して、これからも対応していくべきだということがよくわかりました。

 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 希望の党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 議題となっています改正法案について質疑に立たせていただきます。機会をいただきましてありがとうございます。

 それでは、早速入らせていただきますが、私の地元秋田県は、男鹿半島がございます。漁場へのアクセスに大変恵まれている地域であります。それと同時に有名なのが、全国でも、なまはげ、これが知名度が高いものがありまして、これは、小さなお子さんであれば大変泣いてしまうような、泣く子はいねがと言っておどかすんですけれども、怠け者に対して戒める神様とか、あるいは鬼、その化身であるとか使いであるとかというふうに言われております。

 このなまはげの伝承地である男鹿なんですけれども、秋田県内の全漁獲量のおよそ半数を占めております。水産加工業も大変活発なんです。国内では消費者の魚離れが進んでいると言われる時代、水産加工業者の水産物への旺盛な需要が卸売市場などにおける水産物の売行きを大きく左右しております。それは言いかえれば、水産加工業が好調であることによって、水産物の価格も安定し、さらには水産物市場の活性化につながっていくことになるというふうに私は思います。

 こうした水産加工に取り組む業者の経営を、加工用施設の設置、又は今回のように、改良などに対する長期的に低利の資金貸付けによって支援していくために、求められるニーズに対応しながら、これまで五年ごとに法案改正という見直しを続け、この融資の対象を広げてきたわけです。

 水産加工の原材料となる魚種、つまり魚介類の種類が融資の適用条件として規定されておりますけれども、適用対象の魚介類の品目が、法律を見直している五年ごとに増減、ふえたり減ったりしているわけですけれども、まず伺いたいのが、どのような基準で品目は変化しているんでしょうか。また、具体的な項目ごとのチェックがあれば教えていただきたいと思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 貸付対象となる魚種と地域につきましては、現在、水産加工品の安定的な供給に資する観点から、相当の生産量があり、かつ、水産加工原材料として全国的に利用されている主要な魚種であるイワシ、サバ、サンマ等の多獲性魚種を中心とする十九魚種が指定されております。

 それとは別に、全国での生産量は相当量に必ずしも達していないけれども、都道府県別に見れば遜色のない生産量がある八魚種が低・未利用魚として指定されているところでございます。

緑川委員 ありがとうございます。

 この改正、そうした項目ごとにやはり数が変わっていくわけですけれども、五年前の改正で適用から外れた品目の中にハタハタという魚がございます。

 御存じの皆さんもいらっしゃるかと思いますけれども、これは秋田県の県の魚、県魚なんです。冬の日本海で、大変しけっている、波が高いときに、荒れている、それで雷が鳴り始めるちょうどそのころにとれることから、さかなへんに雷と書いてハタハタと読むんです。うろこがないために下処理も簡単で、しょっつると呼ばれるハタハタの魚醤ですね、これを使ったしょっつる鍋、テレビでも放映されることがあるんですけれども、塩焼きや田楽、ハタハタずしなど、郷土料理としてこれは大変親しまれております。特にしょっつるやハタハタずしは、県外へのお土産、そして贈答用にも大変喜ばれる、人気が高い品物であります。

 地元では、雌のおなかに詰まった卵、これはぱんぱんに膨らむわけですけれども、ブリコというんです。雄のハタハタは食べたくない、ブリコの詰まっている雌しか食べないという、地元ではハタハタの食べ方へのこだわりが大変強い食通の方も数多くいるんですけれども、全国的な知名度は余り高くない、食べ方も知られていないとも言われます。

 このさらなる知名度アップと全国への流通を目指して、県とハタハタ加工業者などでつくる振興協議会というものが五年ほど前に設立されました。販路拡大、これを一つの目的として目指そうとしております。

 ぜひ次の、今回の改正で、ハタハタ、もちろん、西日本でもシラハタとかシロハタという名前で似た魚がいるらしいので、これは秋田だけの話でないんですね、この法律の低利融資の適用によって金利を少しでも減らすことで、ハタハタ加工品づくりへの投資に対する負担を軽減して、経営体質の強化につなげるものにしていただきたいと思うんですけれども、御見解を伺います。

長谷政府参考人 ハタハタのことについてお尋ねがありました。

 先ほども御説明しましたとおり、この資金につきましては、貸付対象となる施設等において原材料として利用される魚種や地域を指定する仕組みとなっておりまして、これら対象魚種等についても、法律の有効期限を延長する都度、見直してきたところでございます。

 今回の法改正に当たっても対象魚種等の見直しを行ったところ、ハタハタにつきましては、今委員から御紹介ありましたように、秋田県等において一定程度の生産量があって、食用水産加工品としての利用が見込まれるということでございます。それらの地域においては貸付対象魚種とすることができるよう、本法案の成立後に対象となるように検討しているところでございます。

緑川委員 御丁寧な答弁、ありがとうございます。

 大変前向きな御検討をいただけているというふうな理解をさせていただきたいと思うんですけれども、このハタハタ、御答弁ありましたように、その一端の中にありましたが、漁獲については、大変不振の状況が実は続いております。長期的な気候変動、地球温暖化によって海洋条件が変化している可能性がある、あるいは資源管理のあり方が影響している、そんな側面も否定できない中で、ハタハタ漁が、昭和四十年、昭和中期は最盛期だったんです、三十八年からこれは大変盛んになってきたんですけれども、平成に入ってからも減少傾向が続いてきた漁獲高が、今シーズンは更に大きく減少してしまいました。詳しくは後で、ちょっとまた後半の方でお話をしたいと思っております。要は、近年まれに見る不振だということなんですね。

 漁業者の中にも、ハタハタについて六次産業化の取組、全力で進めているところがあります。水産加工業にも携わっている方がいらっしゃるわけですね。そうしたケースで、ハタハタ漁の著しい不振がこの後も続いて加工業者を直撃しているケースがある場合に、その県でのハタハタ加工品の生産量が例えば大幅に下回ってしまう状況が続いているとしたら、せっかく前向きな御答弁をいただいて、仮に適用対象となったとしても、五年ごとに、次の改正後にまたこれを見直すということがありますから、原材料となる品目からまた外れてしまうという、また同じ繰り返しのような状況にもなってしまいかねないと思います。

 加工業者である漁業者が、漁業共済にも、こうした保障にも入っていない形で、今シーズンのような大きな漁獲不振で打撃のあるところに、仮に適用対象となった場合、低利融資も利用できなくなるとしたら、これはダブルパンチというふうにもなろうかと思うんです。低利で融資してもらうことで出費を抑えられるということは、やはり自分たちの一種の所得の部分を少し守ることができる。

 やはり出費を抑えるという、低利であることが大変これは大事だと思うんですけれども、こういうケースは、仮の場合も含めて、どうやって国として対処していかれるでしょうか。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 今回、加工資金法の五年間の延長を御審議いただいている、お願いしているということでございます。過去は五年ごとに、その時々の状況を踏まえて対象を検討してきたということでございます。今、延長をお願いしている段階で、五年後の話、なかなか答弁できないと思います。先ほども伊藤先生のときにお話しさせていただきましたけれども、その時々の現状を踏まえてしっかり検討したいというふうに思います。

緑川委員 ありがとうございます。

 この生産量、原材料から加工するという生産量の条件、過去には緩和している傾向ですね。という中で、今、五年後の話なんて想像できないかもわかりませんけれども、条件を緩和していくという動きは、今後はどうなんでしょうか。今回、三十年の時点でまた要件を緩和しているわけですね、生産量について。加工生産量について緩和している。では、次の五年後について、これはどのように検討されていくんでしょうか。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 我々としては、五年後に向けて資源管理もしっかり取り組んでいく、水産業を成長産業化にしていくということで取り組んでいきますので。

 過去を見ますと、生産量の目安も下げてきているんです。しかし、その延長上で考えるのではなくて、五年後の話ですけれども、そこに向かってはそういうことの対応でなくて、資源が回復していることを望みますし、それに応じて加工業の方もより安定している状況になっていればいいなと今の時点では考えているところでございます。

緑川委員 そうですね。今、歴史的な漁獲不振という、これは不振の中でも程度があるんですね。大変これは振れ幅が大きい。漁獲枠を明らかにもう半分近く下回ってしまっているような年もあるわけで、これは想定外なんですね、漁業者にとっては。漁業と水産加工業というのは密接にかかわっているわけで、やはり水産加工の生産量が下がる要因の一つというのは、これはもう単純に一次生産品が少なくなる、このことだと思うんです。ですから、自然に考えれば、これは要件緩和の方向にやはり向かっていかざるを得ない、特に魚の種類によっては。

 大臣、ここまでちょっと参考人に御答弁いただきましたけれども、こうした振れ幅が、漁獲不振、相当大きくなっているものに対して、今シーズンの結果にやはり残っている不安が現場で大変今後広がっていく可能性があるんです。現場のハタハタ漁業者、加工業者の切実な思いに、大臣、応えていただけないでしょうか。

齋藤国務大臣 五年後どうなるかについて、今長官の方からお話しさせていただきましたように、まだ今の時点でこうということを申し上げることはできないわけでありますが、私どもとしては、ハタハタに限らず、既に表明させていただいておりますけれども、昨年十二月に改定された農林水産業・地域の活力創造プランにおきまして、政府の方針として「水産政策の改革の方向性」を位置づけて、この方向性に基づいてこれから水産業の改革をしていこうということであります。

 その肝は、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させて、漁業者の所得向上と年齢バランスのとれた漁業就労構造を確立すること、これを目指してこれからの改革案を具体的にまとめていこうと思っているところでありますので、ハタハタの関係の漁業者あるいは水産加工業者のみならず、この方向に向けて、皆さんが安心できるような改革が実現できるように努力をしていきたいと思っております。

緑川委員 まことに御丁寧なお答えをありがとうございました。

 六次産業化、生産から加工、流通、販売と、やはり一手に担いたいという事業者も私は期待したいと思うんですね。そうした思いも込めまして、どうか前向きな御検討をまた重ねてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 またもう一つの種類ということにもなろうかと思うんですが、これは、提案も踏まえて、適用対象のお話としてもう一つ。

 近年は、アワビの陸上での養殖技術が一層注目されております。何か日本ではまだ、陸上養殖、アワビを成功させているのは三社しかいないという直近のデータであります。

 六年前に、八峰町にある、これは、白神山地、青森県と秋田県の境の山地の麓にある秋田県の町ですけれども、八峰町にある廃校となった小学校の校舎を利用して、日本海の海水をホースなどで取り込みながら、アワビの陸上養殖の拠点としての活用が図られております。世界遺産である白神山地から湧き出ている天然水も豊富にアワビに与えられておりまして、その名前をとって、白神アワビとして生産されています。

 アワビの養殖から加工、販売までを複数の地元企業が共同、連携して取り組んでおります。天然物のアワビをとり続ければ、当然、水産資源の枯渇を招くおそれがあり、また、中国などを始めとして大変輸入物がほとんど多いという状況の中で、やはり、天然物が地域でとれないとすれば、輸入に頼らざるを得ないという背景がございました。

 という中で始まったこの陸上養殖技術も、年々試行錯誤が続けられております。低利融資の適用対象にアワビは入っていませんが、養殖ということを考えたときに、高齢になった漁業者が携われる養殖、加工。静、動でいったら、やはり漁師は動きの激しいお仕事であり、一方で、養殖となると少し肉体的な労働も、負担も軽減されるのではないかというふうに思いますが、その労働需要を満たすことができる事業であるというふうに思っております。

 ぜひ、将来性を見込んで、対象に加えられることを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、現状から申し上げますと、アワビにつきましては、先ほどから御説明しているように、過去、ずっと見直しをしてきておりますけれども、現状におきましては、アワビについては、生産量が少なくてということで、対象魚種とはなっておりません。

 一方、先生から御紹介あったような陸上養殖であるとか地域ごとのブランド化。水産物、多種多様でありますし、地域性も物すごく高いということで、そういうこと、さまざまな地域ブランドの取組もあって、水産庁としては、農林水産省としては、そういうものはしっかり後押ししていきたいということでありますし、陸上養殖もいろいろと技術革新も進んでいるので、これからの有望な分野だというふうに思っております。

 そういう意味で、地元の水産物のブランド化につきましては、先進的な取組を行う水産加工業者等に対する加工機器整備等の支援事業というのを別途設けておりまして、応援をしているところでございます。

緑川委員 これで改正法案についてのお話、一旦ちょっと締めさせていただきたいと思います。

 先ほど後半でお話をするとお話ししたハタハタの漁獲不振についてですけれども、これは、昭和中期に毎年一万トンを超えておりましたハタハタの漁獲量が、歴史を少し説明させていただきますと、昭和四十一年にピークとなる、その二倍以上の二万トン余りを漁獲した後に減少傾向となりまして、昭和五十一年、十年後、一万トンを割り込みました。漁獲量の減少は、実はその後一気に加速をしまして、昭和五十八年、まだそんなにたっていない中で、一万トンどころか一千トンを割り込んだんですね。桁がもう変わってしまって、しかも三百五十トンです。一万トンから七年後に三百五十トンです。平成三年には過去最低の、これは平成に入ってからはもっと落ち込んで七十一トンです。ジェットコースターよりも鋭い角度なわけなんです。

 このために、資源の枯渇を恐れた県内の漁業者が、平成四年の九月から平成七年の九月まで三年間、これは自主的な全面禁漁、全くハタハタをとっちゃいけませんよというおふれが出てしまいました。解禁された後、県の資源量の予測に基づいて漁業者が漁獲枠を設けて、操業を行っている状況です。

 しかし、その後、県が管理して設定した漁獲枠に届かない年も多くなっていまして、お話ししたような、今シーズン、漁獲枠を大きく下回る四百八十トンでした。漁獲枠を二百五十トン下回る数。この不振に拍車がかかれば、またこれは数年後、もしかしたら全面禁漁というようなこともせざるを得ない状況にもなりかねないです。

 このハタハタは日本海の広いエリアを回遊しております。秋田の回遊魚も、実はこれは富山まで広く回遊群となっていまして、青森から富山までの日本海沿岸の五つの県が、これは同じ回遊群です。今シーズンは青森と山形も漁獲量を大幅に減らしていることを踏まえますと、地球温暖化が進行して海洋条件に影響している可能性、また、漁獲枠を決める前提となる推計資源量というものがありますけれども、これが適正であったかどうかという、複合的ないろいろな要因が絡み合っているんじゃないかなというふうな結果にも思えるんですが、現状、どのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

長谷政府参考人 委員の方から過去の歴史についても詳しく御紹介いただきまして、平成四年の禁漁のときのことは私もよく覚えております。余りにとれないということもあったわけですけれども、日本各地でいろいろな資源管理、資源回復の取組、これまでしてきたわけですけれども、そういう中で、行政主導のもの、漁業者主導のものがあって、このハタハタについては本当に、漁業者の意思といいましょうか合意形成ができて、その後成果が出た、過去は優良事例ということであったわけですけれども、そういう意識の高い漁業者によって相当程度の管理がなされていても、禁漁だとか漁獲量の管理だけではやはり水産資源というのはなかなか思うようにはコントロールできないという難しさが出ている魚種だというふうに思っております。

 そういうことで、日本海北部におけるハタハタの漁獲量、もう御紹介あったように近年横ばいの傾向にある、全体としてはそういうことなんですけれども、主産卵場のある秋田県の漁獲量には大きな落ち込みが見られるということでございます。秋田県の主漁期である十一月から十二月の漁獲量で見ますと、平成二十七年九百九十六トン、翌年、二十八年が七百五十九トン、平成二十九年四百六十七トンと聞いております。

 国立研究開発法人水産研究・教育機構によりますと、この秋田県におけるハタハタは、二〇一五、一六年生まれの豊度がすごく低いということと、産卵場が北に偏っているということが指摘されております。

 引き続き、国立研究開発法人水産研究・教育機構による水槽を用いた飼育実験ですとか調査船を用いた調査を行いまして、海洋環境が産卵場や資源変動に及ぼす影響を解明して、ハタハタの不漁原因についてはこれからも究明していきたいというふうに考えているところでございます。

緑川委員 何か、お気持ちのこもったお答え、本当に、地元も、私は代弁してお話しさせてもらっていますけれども、これは大変喜ばしい、うれしいお話かなというふうに思います。

 現状はもちろん深刻であることは受けとめながらですけれども、昭和の最盛期の時代に比べて、御紹介したように、近年の漁獲高は最盛期の数%です、二万トンあったときの数%という状況。ただ、この現状の水準で安定した漁獲量を維持していく、これからもこれを得ることというのが至上命題になっております。

 秋田県では、ハタハタが産卵する場となる、これはいわば海の森ですね、海藻が生い茂るようなところ、この藻場をつくることなどによって、資源の維持に向けた取組を継続して県では取り組んでおります。

 日本海沿岸の五つの県が同じ回遊群であることから、これはやはり秋田だけでなくて、青森、山形もそうでした、個体数が減っている、全体として減っている可能性があるとすれば、これは、回遊群の産卵場所となる、主に産卵場所となっている秋田県の沿岸の役割はとても重要なんですけれども、ここから生み出されないとしたら、これは全体の回遊群に影響するわけですから、県単独の資源管理は相当厳しいものがあろうかと思います。

 国として、何か支援も含めて、どのように取り組んでいただけるか、伺いたいと思います。

長谷政府参考人 御紹介いただきました藻場は、水産資源にとっての揺りかごというような言い方もされます。産卵場所や幼稚仔魚などの隠れ家、餌場であるとともに、酸素供給など重要な役割を果たしております。

 近年、海水温の上昇等により藻場が減少していることから、水産庁においては、水産環境整備事業によりまして、地方自治体が行う藻場の整備について支援するとともに、平成二十八年度には、藻場、干潟の保全、創造対策を推進するための基本的な方針となる藻場・干潟ビジョンというものをつくりまして、藻場の回復に努めているところでございます。

 秋田県におきましては、これまでも、ハタハタですとかアワビなどの水産生物の増殖の場となる藻場の整備を実施してきておられます。加えて、より効果的な漁場整備に向けまして、藻場・干潟ビジョンの作成のための藻場調査も実施しているところでございます。

 水産庁としては、引き続き、藻場の回復に向け、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

緑川委員 ありがとうございます。

 資源管理という要素が一つ、そして、もしお答えできる範囲、これは大変難しい、科学的な問題になってしまうかもしれませんけれども、自然が大変大きく影響している話なので、現状で把握できる背景の分析は必要ではないかと思うんですが、海洋の潮流とか、これがちょっと例年より強いとかというお話も地元では聞いたりするんです。これはあくまで一部の話かもしれませんけれども、あるいは日本海の海水温などがちょっと関係しているんじゃないかという声もあります。どのような、現状でわかる範囲で、わからないというお答えになるかもわかりませんけれども、教えていただきたいなというふうに思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 日本海では、一九九〇年代以降、水温が高い状態が続いております。ただし、この場で、その水温とハタハタの資源量への因果関係について明快にお答えすることはちょっと難しいんですけれども、ハタハタ、あるいは秋田沖に限らず、近年、本当に海洋環境の変化というのがいろいろな魚種に影響を与えているところでございます。そういうことがあって、魚種の回遊だとか組成だとかがまた変わってきて、藻場に対して食害を与えるとか、そういった事例も各地でいろいろ出てきている。いろいろな要素が複合して出てきているという認識でございます。

緑川委員 ある種難しいお話をわかる限りお答えいただいたことに敬意を、そして感謝を申し上げたいというふうに思います。

 把握できるものから取り組んでいく、そして資源調査をより充実させていくことで、資源管理、これを一層高い段階に高度化させていくこと、これは不可欠なことだというふうに思います。

 しかしながら、今シーズンのこのハタハタ漁の漁獲減少は、魚群の系統が違うと言われている北海道でも見られております。来年、来シーズン以降の漁に向けて、国としても、可能な限りの取組、詳細な実態把握、それに基づいた情報提供、何とか求めていきたいと思います。

 そうした中で、息の長い、またこれは粘り強い取組になろうかと思うんですけれども、農水省のトップである齋藤大臣、一言意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。

齋藤国務大臣 長官からもお話をさせていただきましたように、秋田県沿岸域におけるハタハタの資源管理については、秋田県、それから漁業関係者の皆さんが自主的に本当に真剣に取り組んでいただいておりまして、秋田県が資源管理指針を定めて、それに沿って、漁業者の皆さんが資源管理計画を策定して、そしてこれに基づいて、計画的に休漁ですとか、それから地区ごとに総量を決める漁獲量制限ですとか、それから産卵期の保護区域の設定など、資源管理の取組を実施されているということにつきましては、私どもも大変敬意を払いながら評価もしているところであります。

 こういう資源管理の取組を支援していかなくてはいけないと国としても考えておりまして、例えば、計画的に資源管理に取り組む漁業者を対象といたしまして、漁業収入安定対策事業によって、計画的に取り組むことによって漁業収入が減少するというようなことに対しては補填をさせていただくような施策も実施をさせていただいているところでございます。

緑川委員 御丁寧な御答弁、本当にありがとうございます。

 地域の多様な立場、年代、今回の改正法案に対するお声も含めて、それに応えられる水産行政であるとともに、水産業の衰退に歯どめをかけて、どうにか、この存続のための議論を今後も深めてまいりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 水産加工資金法の一部を改正する法律案について質問させていただきますが、まず最初に、我が国の水産加工業の現状についてお聞かせいただきたいと思います。

 まずは、漁業とともに漁村地域の基幹産業として地域経済を支えている水産加工業でありますけれども、中小零細の経営が大宗を占めるということで、現在、減少の傾向にあるということであります。

 水産庁の平成二十八年度水産加工業経営実態調査によりますと、水産加工業が直面している課題というのは、一位は売上高、利益率の低下、二位は原材料確保の困難、三位は従業者確保の困難、そして四位は生産経費の上昇ということで、そのような形でアンケート調査に現場の皆さんが答えているというようなことでもあります。

 加工原料については、国産を志向する傾向にはありますけれども、やはり資源状況の悪化や海洋環境の変動による漁獲量の減少等により国産原料の確保が本当に困難になっているということでありまして、水産物消費の減少、そしてまた原料価格の高騰等により売上高、利益率が本当に低下している、そういう課題があるというような現状でもあります。

 このことについて、大臣の御認識をお聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 まず、水産加工業は、漁港周辺地域を中心に、現在約七千三百の事業所がありまして、従業者の方も約十五万人に上っているわけであります。また、国産の食用水産物の約六割が水産加工品の原材料として使用されておりまして、その製品の出荷額は三兆五千億円に上るということでありまして、漁業とともに地域の基幹産業としてこの水産加工業は重要な地位を占めていると認識をしております。

 他方、今委員から御指摘がありましたように、水産物消費の減少等による売上高や利益率の低下ですとか、それから、漁業生産の減少や国際的な水産物需要の高まりによって原材料の確保が難しくなってくるなどの課題がある中で、水産加工業者の数は年々減少をしてきておりまして、また、従業者数が十人未満の事業所が約半分を占めるといった状況が継続をしているわけであります。

 一方、こうした中でも、四分の一以上の事業者が五年以内の設備投資を予定しているということでありまして、高い事業意欲を有する事業者も少なくないということで、ここの応援をしっかりしていかなくちゃいけないというふうに考えております。

 付加価値の高い水産加工品の新製品の製造ですとか、あるいは省力化等の新たな技術、生産体制の導入等の取組を後押しすることで、水産加工業の体質強化を進めていきたいと考えておりまして、本改正案もそういう趣旨に沿ったものだと認識しております。

金子(恵)委員 厳しい状況にはなってきているけれども、本当にそれでも何とか底力で頑張っていらっしゃる加工業者の方々を支援する、そのための今回の改正ということだというふうには思うんです。

 また、こういう状況の中でも、東日本大震災の被災地でも、この法律のもとで融資を受けて事業を再開することができた加工業者の方々もたくさんいらっしゃいます。平成二十五年度から二十八年度までの震災関連の融資実績は、二百八十四億円のうち百三十九億円ということと、二百三件のうち百四件ということでありますので、そういう意味では、これからも被災地の水産加工業者の方々をしっかりと支える仕組みなのかなというふうにも思います。

 改めて、この法律の意義についてお聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 水産加工資金のこれまでの融資実績、これは昭和五十三年度から平成二十八年度までですけれども、この三十九年間の累計で二千三百七十六件、二千七百九十六億円の貸付実績となっておりまして、近年は年間約五十件の新規の貸付けがあるということであります。

 本資金の貸付けを通じまして、水産加工品の製造、加工施設の改良などが行われまして、新たな技術の導入ですとか新製品の製造、開発等が促進されていると思いますし、特に、御指摘のように、最近では東日本大震災の被災地の水産加工業者の経営再建のために活用をされているということでありまして、本融資が水産加工業の体質強化や被災地水産業の復興に貢献しているものと考えているところでございます。

 このように、本資金は、水産加工業者の資金需要に応えるものでありまして、水産加工業の体質強化ですとか、被災地水産業の復興に貢献する意義ある資金制度として機能していると考えておりまして、このような認識のもと、今般、その有効期限を五年間延長させていただけないかという法案をお願いしているところでございます。

金子(恵)委員 今回も、臨時措置法ですので、再延長というようなことで、恒久法にはなっていかないわけなんです。

 先ほど来、この法律の法制定、昭和五十二年から今に至るまでの経緯等をいろいろとお聞かせいただいているんですが、確かに、そのときそのとき、時代時代のニーズに合った法改正がなされているということではあります。

 ただし、そうはいっても、こうやって毎回毎回再延長ということでいいのか。大きく申し上げて、やはり、水産加工業、漁村の基幹産業を守り続けてきているということ、そして、中小零細経営体質の強化というのは本当に一朝一夕でできるものではないということで、改めて、こういう仕組みというものを恒久法によってつくり上げることが必要なのではないかというふうにも思うんですが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 本法は、昭和五十二年に、外国政府による漁業水域の設定等に伴い水産加工品の原材料の供給事情が著しく変化をしたということに対応するために、日本政策金融公庫による貸付業務の特例措置として、昭和五十八年三月三十一日までの時限法として制定された、そういう出発点がございます。

 その後、五年間の限時法という枠組みのもとで、国際的な資源管理の強化や国内の漁業生産量の減少など、水産加工業をめぐる外的要因に伴う情勢の変化を踏まえまして、有効期限を迎えるごとに制度の必要性を確認して、所要の見直しを行った上で、期限を延長してきたわけであります。

 三十九年もやっているんだから恒久法にしたらどうかという御指摘はわからないわけではないんですが、ただ、本法が政策金融のいわば深掘り措置であることに鑑みまして、やはりそのときそのときの事情をしっかり検証した上で、継続する必要があるかどうかという判断をするのもまた大事であろうと思っておりますので、まずは本法案により有効期限を平成三十五年三月三十一日まで延長して、当該期限の到来時におきまして、情勢の変化を踏まえて改めて制度の必要性を確認し、見直しをする必要があるならば見直しをするということにしていきたいと考えております。

金子(恵)委員 私は、平成二十五年の改正のときも、参議院議員時代でありましたけれども、質問をさせていただいているものですから、改めて、また来たかという感じですね。

 いずれにしましても、水産加工業をしっかりと支えていただければいいわけで、ただ一方で、先ほどもどなたかおっしゃっていらっしゃいましたけれども、借金は借金だろうということで、補助制度と併用して使うことができるということでありますので、国として、農水省として、水産庁として、しっかりと支え続けていただきたいと思います。

 その中で、被災三県で再開を希望する水産加工施設七百九十三軒のうち九四%に当たる七百四十八施設で業務が再開されているということではありますけれども、一方で、いろいろな課題がやはりあるということでございまして、当然、この資金を使っているところもありますけれども、風評被害、販路の確保、人材や原材料の確保、こういうものが本当に厳しい状況にあるというふうに思うんです。

 私は、今申し上げた数字、再開を希望する水産加工施設の九四%ですから、もう既に被災してそして再開を諦めてしまった、再開を希望することすらできなかった、そういう水産加工業者があるということもぜひ理解をしていただいた上で、ぜひ、今後の被災地の水産加工業の再生、復興に向けてどのような取組をしていかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 私も被災地を幾度も訪問させていただいている中で、やはり被災地の復興、これから農林水産業が本当にますます重要になってきていると感じております。その中で、水産加工業も大変重要な復興のための取組だろうと思っております。

 御案内のように、業務再開を希望する施設のうち約九割が業務を再開するということは、私どもにとりましては、復旧が進んできたなというふうにある種判断をしているところでありますが、一方で、水産庁が青森、岩手、宮城、福島、茨城の五県の水産加工業者を対象に行ったアンケートによりますと、売上げが八割以上回復したという事業者はまだ五割弱にとどまっており、御指摘のように、人材確保ですとか原材料の確保ですとか販路の確保、風評被害等がまだまだ課題として挙げられているところであります。

 このため、農林水産省では、復興庁計上の復興水産加工業等販路回復促進事業というのがありますが、それによりまして、被災地の水産加工業者の販路回復に向けまして、専門家による個別指導やあるいはセミナー、東北復興水産加工品展示商談会の開催等を実施するとともに、加工工程の省力化ですとか加工原料の多様化ですとか、販路の回復、新規開拓に必要な加工機器の整備等も、この促進事業によりまして支援をいたしているところであります。

 今回の水産加工資金の融資におきましても、震災特例といたしまして、償還期限ですとか据置期間の延長ですとか、実質無利子化等の措置を講じてきているわけであります。

 引き続き、復興庁等関係省庁と連携いたしまして、被災地の実情を踏まえて、水産加工業の復興に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 風評被害がまだまだ厳しいということです。

 先ほど来お話もあるんですけれども、改めて、国は、農林水産物、食品の輸出を高めていくということで、目標を持って、平成三十一年に一兆円を達成することを目指して、そして、水産物についても平成三十一年における輸出額三千五百億円目標に向けて頑張っているということでありますけれども、その一方で、東日本大震災原発事故の被災地を始めとする地域からの食品等の輸入規制というものが継続されているということで、国・地域二十七ということですね、まだまだ、輸入規制の撤廃に向けて地道な取組というのが本当に必要になってきているということであります。

 韓国は、福島県など八県の水産物の輸入を停止しております。事故前に養殖量の七割から八割というのを韓国に輸出していたホヤの産地なども大変打撃を受けているということでもあります。

 韓国について言えば、日本産の水産物の輸入を大変厳しく規制しているということで、WTO協定違反に当たるだろうということで日本政府が提訴していた。WTOパネルは韓国に是正を求める報告書を公表しているということでありますけれども、韓国政府は上級委員会に不服を申し立てたということで、極めて残念なやりとりがなされているということです。

 大臣の所見をお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 今委員も御指摘のように、この輸入規制については、一カ国、一地域ごとに地道に全力を挙げて取り組んでいくということが大事だと思っておりまして、既に、事故直後に輸入規制が講じられた五十四カ国・地域のうち、これまでに二十四カ国が規制を撤廃したところであります。

 御指摘のWTOパネルにつきましては、韓国の日本産水産物等の輸入規制措置がWTO協定に反すると認定をする報告書をWTOパネルが公表して、韓国に対して措置を協定に適合させるようとりなさいという勧告をしたわけであります。このことはこれまでの我が国の主張に沿うものでありまして、パネルの報告書も踏まえまして、まずは韓国にはこのパネルの報告書を重く受けとめていただきたいと思っておりますし、韓国と同様に日本産食品の輸入規制措置を継続している国、地域に対して、撤廃、緩和に向けて更に働きかけを強めていきたいというふうに考えています。

 済みません、今、規制を撤廃した国の数を二十四カ国と読み間違えたそうですが、二十七カ国に訂正をさせていただきます。どうも失礼いたしました。

金子(恵)委員 そういう状況の中で、実は、タイは、比較的早い時期、平成二十七年五月に規制措置というものを完全撤廃していたんですね。私の地元の伊達市や伊達地方の桃なんかも輸入していました。ある意味、理解を示していました。

 しかし、今回、福島県沖の魚、これが震災後初めて海外に輸出されるということで、本当に大変明るい話題であったんですが、受入れ側のタイにおいて、日本料理店などではプリイベントとして提供はできたけれども、実際に、福島県産鮮魚のPRイベント、県産ヒラメのPRイベントのうまいものフェア、これが急遽中止となってしまったという状況です。

 私は、タイ政府としては恐らく理解を示していたと思います。しかし、残念ながら、市民団体等、消費者団体等がどうしても受け入れないという状況でした。

 いろいろな調査などを見ますと、近い国ほど厳しい。福島県産、あるいは原発事故によって影響を受けたものというふうに考えるんでしょうか、日本の農産物や水産物等を受け入れない、近い国ほどそういう状況があるというようにも見えるんです。

 その辺のことも含めて、やはり政府が一つになって、一丸となって、本当に国と国とのやりとりというものもしっかりとやっていき、そしてまた、民民の交流というものもあると思うんですが、それをしっかりとサポートしていくということがなされなければいけないというふうに思っています。

 福島県もいろいろな取組をして、外務省やジェトロなどと連携をとりながら、今回のようなことが起きないような対応をしていくということでありますけれども、改めて、農水省としての御対応はどうなりますでしょうか。これが最後の質問になります。

齋藤国務大臣 結論を申し上げますと、おっしゃるとおりなので。

 タイ向け福島県産ヒラメ等の輸出に関連して、タイ・バンコク市内において開催予定であったうまいものフェアについて、タイの消費者団体等が取扱い店舗名の公表を求めるとともに、SNS等において安全性への懸念が拡散されたことなどから、主催者、これは現地の貿易商社などが中止を決定したということでありまして、タイにおける日本産水産物の放射性物質に係る輸入規制そのものは二〇一五年の四月に解除されている中で、このような事態に至ったことは非常に残念だと思っています。

 今後、この風評被害の払拭のために、御指摘のように、福島県ですとか現地の日本大使館ですとかジェトロとも連携をして、適切な情報発信や福島県水産物の安全性のPR等をしっかりやっていきたいと思います。

金子(恵)委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございます。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について質問します。

 改正の理由にある漁獲量の減少であるとか、また、近年課題となっている漁獲物のサイズ、魚種構成の変化というのは、具体的にはどういうことを指しているのでしょうか。何が減って、何に、どういう形に変わってきているのか、簡単でいいので説明をしていただけるでしょうか。

長谷政府参考人 水産資源、海の状況が温か目のときと冷たいときとでこれまでも変動を繰り返してきておりますが、今は、例えば、スルメイカは非常に環境状況がよくなくて減っているということでありますし、サンマにつきましては、外国船の影響もちょっとあるところですけれども、水温の分布が、沿岸の方に温かい水があってなかなか寄りにくいというような状況があって、減っているというような状況があります。

 一方、サバですとかイワシについては、非常に今資源が好調というような状況でございます。

田村(貴)委員 二〇一六年度の水産白書では、対象となる資源の状況等により、適切な資源管理を行っているとされています。

 しかし、ずっときょうも議論があっていますけれども、漁獲量の減少、これは、資源管理が余りうまく機能していないということではないのでしょうか。

 政府の資源管理のあり方というのは適切なのかどうか、大臣の基本的な御認識をお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 水産加工の主な原料となる、一度に大量に漁獲されるいわゆる多獲性魚種の多くは、総漁獲数量を設定するTAC制度によって現在管理されておりまして、資源状態も大部分は中位若しくは高位状態にあります。

 この中で、スルメイカやサンマは、今長官からお話ありましたけれども、近年資源が減少傾向にありまして、その要因は、我が国隣接水域での外国漁船の漁獲による影響のほか、海洋環境の変動による影響も大きいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、これら魚種の適切な資源管理を実施していかなくてはいけないわけでありますが、そのためには、海洋環境のモニターや資源調査を通じた変動要因の把握と、その成果をもとに近隣諸国にも適切な資源管理を求めていくことが重要であるというふうに認識をしているところでございます。

田村(貴)委員 適切な資源管理、そして適切な資源管理を求めるということは非常に大事なことであろうかと思います。

 しかし、実際には、今お話もありましたように、イカ、サケ、サンマ、この不漁というのは大変深刻であります。加工業者にとっては、これは直撃する話であります。加えて、クロマグロそしてウナギの資源も危機的な状況にあるわけであります。

 きょうはその資源管理の話はしませんけれども、こうした状況のもとで多くの水産加工業者が苦しんでおられます。長期的な不漁や原材料の高騰、大変な状況に直面しているわけであります。

 特に岩手県、宮城県などの被災地では深刻でありますし、こうした業者さんが今何を求めておられるのか、水産加工業者さんが直面している課題についてどういう思いを抱いているのか。二〇一六年度の水産加工業経営実態調査で書かれていますけれども、そこの部分を御紹介していただけますか。

齋藤国務大臣 私、大臣に就任してから改めて痛感していますことは、多くの方から、クロマグロは大丈夫なのか、スルメイカは大丈夫なのか、サンマは大丈夫なのか、サバは大丈夫なのか、さらにはウナギは大丈夫なのかということを、記者会見でも、それから一般の方々、多く聞かれるようになっていまして、ああ、これほど皆さんの関心が高いんだなと改めて痛感をしているところであります。

 現在、御指摘の水産加工品は生産量が減少をしてきておりまして、これは水産物の国内消費量が減少しているということだけではなくて、原料となる魚種の国内漁業生産量が、例えば平成十八年の五百七十三万トンから平成二十八年には四百三十六万トンまで減少しているというようなことが、この水産加工品の生産量の減少に大きく寄与しているものと考えております。

 将来にわたって国産原材料の安定供給を図っていくことが大事だと思っていますが、そのためには、御指摘のように、適切な資源管理の取組を通じて水産資源の維持、回復を実現していくことが重要でありますけれども、当面の対応として、輸入原材料の供給確保のための輸入割当て制度の柔軟な運用等も行っているところでありますし、水産物の消費拡大そのものもしっかりやっていかなくちゃいけないと考えております。(田村(貴)委員「違う。長官、わかりますか」と呼ぶ)

長谷政府参考人 失礼いたしました。

 平成二十八年度に水産庁が実施しました水産加工業経営実態調査を御紹介いたします。

 調査によりますと、水産加工業者は、売上高や利益率の低下、これが一点です、それから二番目として、漁業生産量の減少や国際的な水産物需要の高まりによる原材料確保の難しさ、三点目として、少子高齢化の一層の進展等による従業員確保の難しさなどの課題に直面しているというふうに考えております。

田村(貴)委員 そういうことなんですね。売上げ、利益率の低下、それから原材料確保の困難、ここ二つが非常に重要な課題になっているというふうに思います。

 原材料が高騰して確保が困難になっている。岩手県の大槌町では、浜値が五倍になった、廃業が相次いでいるというような話も私聞いております。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、水産加工業というのは、浜ごとに立地する、まさに雇用の場であります。そして、重要な経済の軸でもあります。その大半は中小零細企業、中小零細業者であります。融資だけではなく、原材料の購入補助等の支援制度をこれから何とか工夫することが必要ではないかなというふうに思うわけですけれども、そうしたことを希望されている業者さんもおられます、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 漁業生産量が減少傾向が続いている中で、水産加工業にとって、国産原材料の確保ですとか価格上昇への対応、これが課題となっているのは認識をしておりまして、基本は将来にわたって国産原材料の安定的確保を図っていくということであって、そのための適切な資源管理の取組を通じて水産資源の維持、回復を実現していくことが重要だ、これが基本であるわけであります。

 他方、当面の対応といたしましては、イカについて追加の輸入割当てを行うなど、輸入原材料の供給確保のための輸入割当て制度の柔軟な運用ですとか、それからセーフティーネット貸付けによる運転資金の融通ですとか、あるいは、やむを得ず原料転換を図る事業者の方々には原料転換に伴う機器整備に対して公庫資金である水産加工資金による融資、こういった対策を行っているところであります。

 水産加工業の原料不足については、このような対策を積み重ねて、きめ細やかに対応してまいりたいと考えているわけでありますが、御指摘の原料購入費そのものを直接補助をするということにつきましては、運転資金について国費で支援することになる、直接支援をするということになりますので、なかなか難しいなというふうに考えておりまして、セーフティーネット貸付け等の金融支援の御活用をいただくということが重要であるというふうに認識をしているところでございます。

田村(貴)委員 原魚がない、したがって加工する仕事がない、で、倒産、廃業に追い込まれる、こういう悪循環があるわけなんですね。ここはやはり放置できない問題だというふうに思うんです。

 長官、ちょっと質問通告はしていないんですけれども、自治体においては原魚購入に対する融資等が行われているというふうにも私聞いております。

 このたびの法改正ではここまでは踏み込んでいないわけなんですけれども、漁獲高が減っているということに対して何らかの工夫はできないのか。今、購入に対する補助というのはなかなか難しいというお話があったんですけれども、そういった検討は水産庁ではこれからできないものかどうか、今の時点ではどうなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

長谷政府参考人 原料確保という観点に関しましては、まずは、資源が減少している理由ですね、海洋環境の部分が相当あるというお話もしました。それと、サンマにつきましても、イカもそういう面があります、近年、周辺水域で日本と同じ資源をとっている外国漁船の操業が非常に盛んになっているというようなことがあるものですから、両面考えていかなきゃいけないと思っております。

 外国船の話については、なかなか時間がかかる話でありますけれども、新しい国際機関をつくって一緒に資源管理に取り組めるような働きかけを今一生懸命やっているところでございます。

 そういうことをやりつつ、時間がかかりますので、先ほど大臣からもお話しさせていただきましたように、今までなかった国からの原魚の輸入というようなものに道を開いたりとかいうこともしております。

 そして、やはり、過去もそうなんですけれども、どうしても資源の栄枯盛衰がありますから、減っている資源をふやすことも大事でありますけれども、今とれる資源を上手に使っていくということも重要だと思っております。

田村(貴)委員 今とれる資源というところで、国内産、それから、それでもだめだから輸入品と。この輸入品もなかなか手に入らないという状況もあるわけなんですよね。そして、資源管理は時間のかかる問題でもあるから、今直面している問題についてやはり打開の方向性を示していかないといけないというふうに思うわけであります。

 大臣、一点確認ですけれども、水産加工業の事業所が廃業や倒産に追い込まれない、それを回避することがやはりこの問題の大事なところではないかなと思うんですけれども、そこは確認させていただけますか。

齋藤国務大臣 当然、水産加工業のそのような現状は何としても回避をしていかなくちゃいけないと思っています。そのために、資源管理含めさまざまな対策を積極的に講じていきたいと考えております。

田村(貴)委員 水産加工統計調査、これによりますと、食用加工品及び生鮮冷凍水産物の生産量は前年に比べて三%減少、二十五年度に比べて五%減少しているとしています。

 この統計を見て私も改めて驚いたんですけれども、練り製品、冷凍食品、それから素干し品、塩蔵品、塩干品、全ての加工品の生産量が年々減少している傾向にあるわけです。この傾向については、先ほど来答弁があっていますけれども、消費量の減少、原魚の減少、そうしたところがあろうかというふうに思いますけれども、魚離れ、これも原因の一端にもあるのかなというふうに思います。

 ここの打開策、これが非常に大事になってくると思います。私は、やはり水産業の発展、ひいては水産加工業の発展が非常に今求められているところだと思うんですけれども、ここの打開策について、大臣のお考えを聞きたいと思います。

齋藤国務大臣 今御指摘のように、水産加工業の振興を図っていくためには、さまざまなことをやらなくちゃいけないわけでありますが、御指摘のように、水産物の消費拡大という視点も大変重要だと思っております。

 魚をもっと食べたいという意識はあるんですけれども、できるだけ簡単に調理したいという消費者のニーズも大変強くありまして、そこに十分対応できていないといった点も私ども認識をしておりまして、このため、手軽においしく食べられる新商品の開発、供給、普及の促進ですとか、あるいは水産物の健康効果のアピールなどに積極的に取り組んでいくことが重要と考えています。

 私どもも、私も参加しましたけれども、ファストフィッシュといいまして、手軽に食べられる、そういう概念でPRをするなど、これからも強化をしていきたいと思います。

田村(貴)委員 魚は私も好きで、手軽に食べたいなという思いがあるんですけれども、東京で暮らすときはその思いは一層強くしているところであります。

 いろいろな打開策を緊急に、そして具体的に示していただければというふうに思います。

 今は低金利時代ということで、市中銀行の融資制度と変わらないところがあるかもわかりませんけれども、いつまでも低金利状態が続くわけでもありません。この融資制度を続けていくことについては、私は大変意義があることだというふうに思います。

 問題は、沿岸の水産加工業をしっかり守っていく、倒産、廃業を回避していく、そして実効ある資源管理、これを行っていくことが大事であると思います。

 資源管理のことについては今後また論議をさせていただきたいというふうに思いますけれども、水産加工業者が今大変な状況に直面している、この状況を少しでも改善できるように取組を強めていただきますよう、私の提案も含めて検討していただきますようお願いして、きょうの質問は終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日は、本法案について、資源関係と雇用関係の質問をさせていただきます。

 ここ数年、秋にサンマやサケがとれず高騰していることや、スルメイカがとれなくなり業者の方が困っているといった報道もよく聞きます。

 そして、今回審議している本法案の背景事情の一つとして、排他的経済水域における水産資源の減少を挙げております。

 まず、我が国周辺海域での資源状況についてお伺いしようと思っておりましたけれども、既に御答弁いただきましたので、今後の見通しについてお伺いします。

 我が国周辺海域での今後の資源量の見通しはついているのでしょうか。また、資源量変動について、地球温暖化の影響も言われておりますけれども、要因分析はされているのでしょうか。

 漁業者や水産加工業者は、これからも魚がとれるのだろうかと不安に思っていると思います。見通しが立っていれば、今後どうしていくのか、対応をとりやすいと思います。資源量変動の要因分析や資源量の見通し等について国としてしっかり試験研究を行い、その結果を漁業や水産加工の関係者の皆さんにお伝えしていくことが重要と考えますが、いかがでしょうか。答弁をお願いいたします。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 水産庁では、国立研究開発法人水産研究・教育機構等に委託して、水産資源の調査及び海洋観測を行い、海洋環境の変化等が水産資源に及ぼす影響について調査、分析を行っているところでございます。

 これまでも御説明しましたとおり、海洋環境、温暖期と寒冷期、繰り返すということがあります。そういう中で、大きな流れとしては温暖化が進んでいるというような状況かと思います。

 そういう中で、温かい時期、冷たい時期にそれぞれ適合した魚種というのがあって、盛衰を繰り返すという状況でございますが、そういったことで、魚種ごとそれぞれ特性を持っておりますので、見通しを一概に言うことはできないわけでありますが、例えばスルメイカにつきましては、産卵海域におけるスルメイカの発生に適した温度帯の変動が資源変動の一因として、要因として非常にきいているということが、そういった研究の過程でわかってきているということがございます。

 今後とも、海洋環境の変化が水産資源に与える影響の把握にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 水産資源の状況を考えますと、資源管理をしっかり行うことは当然のことであります。しかしながら、世界における水産物の需要増大を踏まえると、資源管理を行ったとしても、資源量が十分回復するというのはなかなか難しいのではないかと思います。

 解決方策の一つとして、養殖業にもこれまで以上に力を入れていくべきと思います。我が国には、近大マグロのようにすぐれた研究開発のポテンシャルがあります。民間の力も活用しながら、我が国の需要に応えられるよう、規制があるなら規制も緩和して、養殖を積極的に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

長谷政府参考人 平成二十九年四月に閣議決定されました水産基本計画では、養殖業を含む水産業の生産性の向上と所得の増大を基本的な方針としておりまして、国内生産量の約四分の一を占める養殖業の振興は、水産業の成長産業化に向け非常に重要というふうに認識しております。

 養殖業の生産性の向上と所得の増大のためには、漁場の有効活用の一層の促進によりまして安全、安心な養殖魚の安定供給やコスト削減を図りながら、国内外で養殖魚の一層の販路拡大に努めていくことが重要と考えております。

 一方で、近大マグロのお話も出ましたけれども、魚類養殖では、飼餌料代がコスト全体の六割から七割を占める上、近年、輸入魚粉を主原料とする養殖用配合餌料ですとか国産生餌の価格が高水準かつ不安定なために、養殖業者の経営を圧迫しているという状況もございます。

 このため、品目別等輸出促進対策事業による販路拡大ですとか、漁業経営セーフティーネット構築事業による配合餌料の価格高騰対策を引き続き実施するとともに、これは三十年度予算なんですけれども、戦略的魚類養殖推進事業というものに低魚粉餌料を用いた養殖のコスト抑制技術の実証等の予算を盛り込んでいるところです。

 引き続き、養殖業者と一緒にこれらの課題の解決に取り組んで、養殖業の振興を進めていきたいというふうに思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 時間がございませんので、最後の質問に移らせていただきます。

 この法律案によって水産加工業者を支援することは、被災地のニーズもありますので、継続していただきたいと考えておりますけれども、一方で、水産加工業においては人手不足が深刻だと聞きます。このため、外国人実習生を事実上労働力として活用しているとも聞いております。特に被災地では、多くの方が県外に避難され、なかなか戻ってこられない状況があると思います。

 そこで、伺います。

 漁村という地域に人を呼び込むための施策についても強化すべきと思いますが、いかがでしょうか。また、その上で、外国人実習生に極力頼らず水産加工業者の従業員の確保が図られるよう環境を整備していただきたいと考えますが、御答弁お願いいたします。

長谷政府参考人 外国人実習生に頼らずに漁村振興を図ってという御趣旨だと思います。

 水産庁では、五年間で漁業所得を一〇%以上向上させることを目標といたしまして、地域の創意工夫のもとで、各浜ごとに収入向上の方策ですとかコストの削減方策を取りまとめた浜の活力再生プランを推進しております。

 平成二十五年度から順次取組開始されまして、三十年三月現在で六百五十七地区で策定されております。二十八年度末の実績で、約七割の地区で年度別所得目標を上回っておりまして、一定の成果が上がっております。

 引き続き、このプランに基づく共同利用施設の整備や、浜の活力再生プランの見直し等への支援、あるいは優良事例の全国への周知、普及といったようなこと、浜の活力再生プランの着実な推進を通じまして漁村の振興を進めていきたい、図っていきたいというふうに思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 最後に、大臣に一言だけお願いします。人を呼び込むための施策について、一言だけ最後にお願いいたします。

伊東委員長 時間が来ておりますので、簡潔に答弁をお願いします。

齋藤国務大臣 漁村においてやはり人口減、高齢化が進んでいるのは大変深刻な問題だと考えておりますので、若い世代を中心とした意欲ある新規就業者の皆さんに一人でも多く漁業に、水産業、加工業に参入していただきたいと思っております。

 我が省としては、都市出身者を対象とする漁業の就業相談会の開催ですとか、漁業現場での長期研修などを通じて、意欲ある就業希望者の確保に向けた取組を支援しておりますし、また、漁業関係団体や文部科学省とも連携して、水産高校で漁業の魅力を伝え漁業への就業を働きかけるなど、さまざまな取組をしております。

 そして、その背景には、やはり漁業が魅力ある成長産業として成り立っていくことが大事だと思っていますので、その方面での努力もしっかりしていきたいと考えております。

森(夏)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十九分散会


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