衆議院

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第5号 平成30年3月28日(水曜日)

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平成三十年三月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 大串 博志君 理事 佐藤 英道君

      池田 道孝君    泉田 裕彦君

      上杉謙太郎君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    木村 次郎君

      岸  信夫君    小寺 裕雄君

      斎藤 洋明君    関  芳弘君

      谷川 弥一君    西田 昭二君

      野中  厚君    百武 公親君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      古川  康君    古田 圭一君

      細田 健一君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    山本  拓君

      石川 香織君    大河原雅子君

      神谷  裕君    亀井亜紀子君

      後藤 祐一君    佐藤 公治君

      関 健一郎君    山岡 達丸君

      江田 康幸君    金子 恵美君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林  禎二君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            荒川  隆君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沖  修司君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 米谷  仁君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     百武 公親君

  稲田 朋美君     関  芳弘君

  緑川 貴士君     山岡 達丸君

同日

 辞任         補欠選任

  関  芳弘君     宮澤 博行君

  百武 公親君     泉田 裕彦君

  山岡 達丸君     緑川 貴士君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     古田 圭一君

同日

 辞任         補欠選任

  古田 圭一君     稲田 朋美君

    ―――――――――――――

三月二十七日

 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官天羽隆君、大臣官房総括審議官横山紳君、消費・安全局長池田一樹君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長荒川隆君、政策統括官柄澤彰君、林野庁長官沖修司君、内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官澁谷和久君、外務省大臣官房参事官林禎二君及び環境省大臣官房審議官米谷仁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木憲和君。

鈴木(憲)委員 おはようございます。自民党の鈴木憲和です。

 本日は、御質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 まず冒頭、ことしの冬の大雪に対して、農林水産省としてしっかりと対策を打ち出していただいたことに感謝を申し上げたいと思います。福井県始め、私の地元の山形も大変な被害が出ておりますので、引き続き、農水省におかれては丁寧に県と、そして自治体と連携をしながら進めていただきたいというふうに思っております。

 きょうは十五分という大変短い時間ですので、二点に絞って、簡潔に質問をいたしたいというふうに思います。

 まず一点目は、米の需給と価格の安定についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 ことしから、国主導の生産調整から地域主導の需給調整に政策を大幅に転換する、大変大切な一年になっています。

 今現在、生産者の皆さんは、例えば種もみの温湯消毒を始めていたりとか、まさにこれから田植に向けてしっかりと準備をしようという状況にあるわけですが、やはり生産者の皆さんの思いは一つでして、ことしから政策が大きく変わるわけですから、ことし以降、ことしだけではなくて来年も再来年もということになりますが、大切なことは、やはり再生産可能な価格で米の需給と価格が今後安定をして、そして先を見通せる環境の中で営農ができるかどうかということにまさに尽きているんだというふうに思います。

 その点でまずお伺いをいたしたいのは、現時点で、ことしの主食用米の作付の見通しについて、四十七都道府県のうち、主食用米の生産をふやす県、そして変えない県、そして減らす県の内訳、及び全国の合計の見通しについてお伺いいたしたいと思います。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 三十年産からの米政策の見直しによりまして、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、各産地、生産者がみずから需要に応じた生産、販売の取組を行うよう措置したところでございます。

 御指摘ございましたように、三十年産の作付に向けまして、現在、各産地におきまして、農業再生協議会が中心となって、需要に応じた生産、販売の取組が行われているものと承知してございます。

 農水省といたしまして、先般、二月二十七日に一月末現在の主食用米等の作付動向を公表したところでございます。これを見ますと、主食用につきましては、前年の二十九年産の作付実績と同水準の県が三十六県、増加傾向にある県が六県、減少傾向にある県が五県となっておりまして、都道府県ごとの増減はありますものの、総じて申し上げれば、前年の二十九年産から大きく変化する状況にはないと見ているところでございます。

鈴木(憲)委員 ありがとうございます。

 今答弁ありましたとおり、六県はふやして、三十六県が横ばいで、減らす県が五県、そして全国の合計は昨年並みではないかという、今現在の見通しということを伺いました。

 昨年の平成二十九年産までは、生産調整に取り組んできた結果、昨年、作況は比較的よかったにもかかわらず需給がしっかりと引き締まって、米の値段は生産者が納得のいくものになったというふうに認識をしている一方で、昨年まで生産調整で未達成の県というのが全国で十一県あります。

 そのうち、今答弁をいただいた中で、十一県のうち生産を更にふやす県が一県、そして減らす県が二県、そして横ばいの県が八県というふうに伺っていますが、ここでやはり大切になってくるのは、しっかりと需要に応じた生産が今後行われていって、それが国全体として見たときに需給と価格が安定することが、やはり生産者にとっても、そして消費者にとっても私は大切なことだというふうに思っていますが、その上で、昨年まで過剰だった県、これに対して国としてはどのように対応していくのかということを私はお伺いしたいと思うんです。

 これはなぜかというと、昨年までは生産調整をやっていたので、余り、生産数量をどのようにするかということをその地域地域で考える必要なくやっていた面が若干あるというふうに思いますが、ことしからは違うわけです。そうすると、やはり今までと違う考え方で、どのぐらい、どういう品種の米が売れるだろうかということを考えてそれぞれの産地が作付をすることになるわけですが、いきなりことし一年目からうまくやれと言われても、それは当然難しいと思います。数年間、やはり安定的な状況でそれぞれの生産地が考えられるような、そういう状況をつくっていく、ソフトランディングをしっかりとしていくことが米の今後の生産にとってはまさに不可欠だというふうに思いますが、その上で、過剰な県に対して、国としてことしどのように対応していくのかということをお伺いいたします。

柄澤政府参考人 三十年産からの米政策の見直しに向けまして、この数年間、各産地における需要に応じた生産、販売の取組は進んできたというふうに認識しております。常々私ども、これを予行演習というふうに言っておりますが、単に国からの配分を守ればいいということのみならず、みずからの県のお米がどれぐらい売れるかということをみずから考えていただきまして、需要に応じた生産、販売の取組を進めていただきました結果、直近三年間の二十七、二十八、二十九年産を見ますと、三年連続で全国ベースの過剰作付は解消されております。

 一方、御指摘がございましたように、一部の産地におきましては、例えば当該産地が消費地に近いというようなことですとか、あるいはブランド米産地として認知されているというようなことを背景といたしまして、生産数量目標を上回る生産となっていたところがあるのは事実でございます。

 もとより、私どもの考えとしましては、米の需給及び価格につきましては、全国一本ということではなくて、各産地、銘柄ごとに形成されているわけでございます。したがいまして、仮に自県産米の売れ残りが生じるようなことになりますと、結局、その当該県の需給、価格が不安定になる、結果がその県にはね返ってくるということになることが近年明らかになってきておりますので、他県の状況いかんにかかわらず、それぞれの産地がみずから需要動向を見きわめて需要に応じた生産、販売を進めることが重要だと考えておりまして、こういった趣旨のことを繰り返し繰り返し各産地に申し上げてきております。

 農水省としましては、三十年産以降におきましても引き続き、麦、大豆、飼料用米等の主食用米以外の作物の生産を支援する水田フル活用を進めるとともに、きめ細かい情報提供を継続することで、それぞれの産地がみずから需要に応じた生産、販売に取り組んでいただける環境整備に努めていく所存でございます。

鈴木(憲)委員 ありがとうございました。

 何しろ、ことしは本当に大切な一年になると思いますし、やはりことしの生産状況が来年に結びつくというふうに思いますので、そのためには、やはり生産者の皆さんが期待をしているのは、価格が適正水準で安定ができるのかということに尽きていますので、ぜひ国としてもしっかりとその点を頭に置いて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、農業次世代人材投資事業のあり方について御質問いたします。

 人口減少社会を迎える中で、日本の食料安全保障、そして国土をいかに次の世代に引き継いでいくかという観点からすると、それを支える人材の確保というのが不可欠だというふうに思います。

 現在約二百万人いる農業人口ですが、二〇二五年には百六十万人前後に、そして二〇五〇年には百万人前後と現状よりも半減をして、そして同時に高齢化も進んでいく見通しであるというふうに思います。

 そのような中で、いいニュースも当然ありまして、四十代以下の若手新規就農者は、統計開始以来初めて三年連続で二万人を超えている。この流れを更に加速して、もっと前向きに若い生産者の皆さんが農業にチャレンジをしようというふうに思える、そういう環境をつくっていくことが私は今求められているというふうに思います。

 このために農業次世代人材投資事業というのがあるわけですが、本日皆さんにもお配りをしているこの資料のグラフを見ていただきたいんです。この事業は、農業所得で二百五十万円以上を目標にした認定新規就農者を対象にしていますが、現在の仕組みは、農業以外からの所得も含めて、総所得に連動して、百五十万円の交付金が順次減っていく、こういう仕組みになっています。

 私、地元の農協の青年部の皆さんと意見交換をすると、毎回意見として出されるのが何かというと、一年じゅう農業できる地域、例えば九州とか東海地方なんかもそうだというふうに思いますが、そういう地域はもしかしたらこの仕組みでも余り異論がないのかもしれませんが、我々の地元は雪国です。特に雪国の場合、農業者のライフスタイルがどのようになっているかというと、春から秋は土地利用型農業を大規模に行って、そして積雪の多い冬期間は、無理にハウスを建てたりするということなく、逆に、スキー場とかあとは除雪の作業員として地域経済を支えていく、そういう人材として社会が成り立っているわけです。

 つまり、何が言いたいかというと、多様な働き方が求められている、そういう一方で、例えばですけれども、冬場の所得が、仮に除雪の出動回数が大変ことしみたいに多くなってしまうと、この所得連動型の現在の仕組みでいくと、農業にかかわらないところでこの交付金が残念ながら減っていく、若しくはもうもらえない、そういう可能性もあるわけです。実際そういうケースがあって、なかなかここにエントリーをしないという方もいます。

 つまり、これからは、やはり人口減少して、地域も、一人一人の担い手ができる限り、特に土地利用型は大規模な面積で、新規就農者であってもどんどん土地が集まってきて支えていかなければいけないという中で、そういう場合、当然新たな機械の投資も必要になりますし、農地の受け手として新しい方にも頑張っていただくという意味では、本事業について、今までさまざまな見直しをかけていただいておりますが、ぜひお願いをしたいのは、将来は、やはり農業所得だけに着目をして、そこに連動した支払いにしていただくか、若しくは、平成二十九年度から名称を次世代への投資という意味の名称にいたしましたが、所得連動型ではなくて、本当の意味で新しい就農者に対して投資をするんだという意味での支払いに変えるような、私は、もっと前向きな、強気の検討をぜひしていただきたいというふうに思いますが、これについて大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

齋藤国務大臣 この農業次世代人材投資事業については、新規就農者の経営直後の経営確立を支援するという事業でありまして、その事業の性格上、前年に所得があれば交付金額を変動させるという仕組みにしているところであります。

 御案内のように、地域の状況によってさまざまな形態があろうかと思いますけれども、経営直後に収入がないことによって、せっかく就農した人が農業を諦めてしまうということがないように経営確立を支援するという事業の性格からくる要件につきましては、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思っています。

 ただし、交付期間内において所得がまた減少すれば、それに応じて交付金額も変動をするということもしておりますし、また、平成二十九年度新規採択者からは、これは鈴木委員にもお力をいただきましたけれども、交付三年目で経営確立をしたという方に対しては最大百五十万円を交付して、さらなる経営発展へつながる取組を行ってもらえるような仕組みを導入するなど、前向きな見直しも行ってきているところであります。

 いずれにいたしましても、新規就農者の対策は大変重要だと思っておりますので、新規就農者の方が早く経営を安定させ、定着できるように、本事業の適切な運営に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(憲)委員 ありがとうございました。

 もちろん本事業の性格とかは存じ上げていますが、他国では所得連動型ではない支援も当然あるわけですし、それは農業大国がまさにそのようにしてやっているケースもありますので、本当に人材が少なくなる中で、若い皆さんに思い切って規模拡大をしていただくためにも、前向きな見直しの検討をこれから進めていっていただければということをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、池田道孝君。

池田(道)委員 おはようございます。自由民主党の池田道孝でございます。

 先ほども鈴木委員の方から質問がございましたが、ことしの農政の一番の関心事は、やはり米の生産数量目標のいわゆる廃止でございます。

 減反政策が始まって約半世紀になります。先ほども未達成の県についてのお話がございましたが、当時は、地域地域、あるいは地域の中での農家の方々に大変なあつれきもあり、皆さん方が苦労して米価安定のために生産調整に従ってこられました。そうした長い歴史の中で、最近では、戸別所得補償、あるいはついに交付金の七千五百円もなくなりました。

 通常ですと、この時期になりますと、各農家の方々には、一筆ごとの主食用米、品種ですとあきたこまちであるとかコシヒカリ、あるいはWCS、飼料用米、野菜、自己保全管理、そうした調査票を提出し、全体の生産目標を達成しておったというのが現実でございますが、ことしからそういう状況もなくなります。

 私の岡山県は一戸当たりの耕作面積が非常に小さいんですが、そういう方々は、今聞くところによると、もうことしからやめようかなと。米価が二、三年上がってきているということもあって、そういう方々がやめられる、そして担い手農家、大規模農家の方々は従来どおり同じようにされると思いますけれども、先ほどの答弁の中で、推計では二十九年度も三十年度も主食用米の耕作面積というのはほとんど変わらないという答弁でございましたけれども、それはあくまでも推計でございます、各農家の方々の申告によっての調査ではございません。

 もしそういう仮定の中で万が一米価が下がるということになっては、農家の方々の不安は一層高まりますし、そういう場合の、あるいは全体の耕作面積とあわせて、米価について、これからの米政策、そうした価格の減少等での収入の不安定さ、そうしたことについて、農水省としてどういう立場、どういう政策をとっていかれるか、まずお尋ねをいたします。

齋藤国務大臣 ことしから米政策が大きく変わるわけでありますので、現場の不安は、今、池田委員御指摘のように、存在するというのはよく理解しているところであります。

 ただ、この米政策の見直しの背景には、これから残念ながら大きく需要が減っていく中で、需要に見合った生産をしていくことがこれまで以上に重要になってくるという背景の中で行われていることであります。

 三十年産から米の直接支払交付金及び行政による生産数量目標の配分を廃止する中でありましても、強い農業の実現に向けて、農地中間管理機構による担い手への農地集積ですとか、それから、需要のある米、大豆、飼料用米の生産を国が助成することによりまして水田が死なずにフル活用できるような政策もあわせて講じていく、そういう前向きな政策の強化も同時にしているところであります。

 そして、三十年産からの米政策の見直しに向けて、この数年間、各地域において需要に応じた生産、販売の取組を御努力いただきまして、その結果、直近三年間の二十七、二十八、二十九年産においては、三年連続で全国ベースの過剰作付が解消されたということでありますし、三十年産の主食用米の作付動向を見ても、都道府県ごとの増減はありますけれども、総じて言えば、前年の二十九年産と比べて大きく変化する状況にはないのではないかと見ているところであります。

 それでもなお、いろんなことが起こると思いますので、三十年産以降においても引き続き、主食用米の生産を抑えたとしても、麦、大豆、飼料用米等の主食用米以外の作物の生産をしっかり支援することによりまして水田がきちんと活用されるということ、それから、きめ細かい情報提供を継続させていただくこと、それから、収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策ですとか収入保険等のセーフティーネットもしっかり構築をしていくということを総合的にあわせて行っていくことによりまして、農業者みずから需要に応じた生産に取り組んでいただけるよう環境整備に万全を期して、米の需給及び価格の安定を図ってまいりたいと考えております。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 ただ、今御答弁いただきましたけれども、耕作面積の平均的な農家の方々には、例えば収入保険制度におきましても、余り関心がないと言ってはあれなんですが、担い手農家、大規模農家の方々にとっては有利だろうと思いますが、その点につきましても十分な配慮をお願いいたします。

 先ほど、中間管理機構というお話もございました。中間管理機構の制度ができて、もうはや四年になりますが、全体的にはなかなか集約が進んでいない。これも、今、耕作者の平均年齢が大体、団塊の世代の方々でございます。こういう方々が体力的にもう四、五年たったら多分やめられるであろうと思いますが、そういう方々がやめられると中間管理機構を使っての農地の集約ができると思いますが、現実にはなかなか前に進んでおりませんが、そういう中間管理機構を使った農地集約について、どういう方策でこれからまたスピードアップして進めていかれるのか、お尋ねをいたします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先生の御指摘のとおり、中間管理機構の実績につきましては、着実に上がってきてはおりますけれども、例えば直近の平成二十八年度では、担い手への新規集積面積、全体では六・二万ヘクタール増加いたしましたが、その約三分の一に当たる一万九千ヘクタールが機構によって集積されておりますが、四年目を迎えまして、確かに、取り組みやすいところについては大体もう取組を終わっていて、これから新しく取り組むところについてはいろいろ課題があるというふうに認識をしております。

 そういういろいろな課題の中で一番のボトルネックになっているのが、全農地の二割存在します相続未登記農地等の問題でございます。これは利用権を設定する際に相続人が多数に及びますので、その探索に多大な時間とコストを要するということでなかなか進まないという話がよく聞こえてまいります。

 この問題につきましては、今般御審議いただきます農業経営基盤強化促進法の改正によりまして簡単な手法で機構が権利を設定できるようにすることとしておりまして、こういった問題の解消をこれを通じて図っていきたいということが一つでございます。

 加えまして、現場における推進体制、これもなかなか人手が十分行き渡らないということでございます。これにつきましては、新しく、農業委員会改革に伴いまして、農地利用最適化の推進役として任命されます最適化推進委員、これが平成三十年度までに全国で約二万人任命予定ですので、これを機構とよく連携させていきたいとか、それから、三十年度から始まります改正土地改良法に基づく農家負担のない基盤整備を推進し、基盤整備とセットで機構を推進する、このような施策を組み合わせながら、関係機関と連携して中間管理機構の事業を推進してまいりたいというふうに考えてございます。

池田(道)委員 中間管理機構につきましては、私も、名前は大規模農家でございますが、集積しているのをそのまま、実際、中間管理機構を使ってただ経由をしているだけというようなことでふえておるわけですが、実際にこれからも、そうした小規模農家の方々、なかなか経営ができないという方々を一層促進していただきたいと思います。

 続いて、農業用ハウス等について農地転用許可を不要とする仕組みを導入されるということでございますが、当然、非常にいい政策でございます。

 ただ、一点お尋ねをいたしますけれども、ちょうど私の県会議員の当時の後輩が、今、岡山県に笠岡湾干拓というのがあるんですが、米のつくれない干拓地でございまして、約二十ヘクタール弱にトマトを主としてパプリカとレタスのハウスを建設中でございます。

 ハウスは別として、今の時代でございますから、農業用の用水のプールと水槽と雨水をためるプール、そして中の温度を保つためのバイオマス発電、日に大体三百トンぐらいの材木を必要とするらしいです。岡山県のほとんどの森林組合には声をかけて、当面は輸入材でやられるそうでございますけれども、行く行くは県内の森林組合から材木を提供してもらうという構想の中でやっております。

 ハウスの中は別といたしまして、そうしたプールであるとか水槽であるとか発電用の施設の底面でございますけれども、そこは約三ヘク弱ぐらいの大きな土地でございますけれども、当然、トマト栽培、パプリカの栽培と付随した同体のものでございますが、そうしたところについても農転の許可が不要になるというような制度が一番いいと思うんですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 農地法は基本的に農地を守るための法律でございますが、現行制度上は、農地に附帯設備を設置する場合についても、一定限度で、農地のままで設置することを認めております。

 具体的には、平成十四年の課長通知によりまして、その設備を設置した部分が、農作物の栽培に通常必要不可欠なものでありまして、かつ、独立して他用途への利用又は取引の対象になると認められるものでなければ、当該部分を含め、土地全体を農地として取り扱って差し支えないという通知を出してございます。今回の農作物栽培高度化施設の附帯設備についても、同様の扱いとすることを考えております。ですので、貯水槽あるいは発電施設といった附帯設備については、この基準に該当するかどうかによって判断をされていくということになると思います。

 いずれにしろ、農業上必要なものであれば転用であっても許可は非常におりやすいということでございますが、具体的には、個別の地域に応じて農業委員会がこの基準に従って個別に判断するということになりますので、これは個別にまた検討してまいりたいというふうに考えてございます。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 ただ、先ほどの答弁の中で、地域地域の実情によると。実際に農業経営される方々は、それ以外に、建築確認申請であるとか、あるいは市と県の見解が違うとか、非常に難しい書類のことがあるわけでございますが、その点、スムーズな経営ができるような配慮をお願いいたします。

 最後、一点だけお尋ねいたしますが、いわゆる森林環境譲与税あるいは森林環境税についてでございますけれども、これからの荒れた森林を整備していくためには、非常に有効な制度でございます。

 ただ、一点申し上げたいのは、どの自治体もそういう形で整備をされると思いますけれども、いわゆる国調がなされていない県がかなりあります。岡山県は比較的、九〇パーからできているんですが、それを、先に境界を設定しなければいけないということでそちらに使われたのでは、本来の森林環境税の目的を達しないというふうに思うんですが、時間がありませんので、その点の扱い方について御答弁をお願いいたします。

礒崎副大臣 お答え申し上げます。

 森林環境税は、今後の森林の公的管理等をする森林整備等の財源として創設されるものでございます。

 御指摘のように、森林整備を実施していくためには、その前提として、境界の確定というのは非常に重要でございます。これにつきましては、市町村等の要望も多かったので、今後の法制の整備がなされる中で、その経費も対象とする考えでございます。

 したがって、森林環境税が導入された段階ではそういうものがかなり出るのも事実だろうと思いますが、それは必ず、その後の間伐であるとか造林であるとかの森林整備につながっていくのでございますので、そういう事業の増加につながるものと考えておりますので、御理解いただきたいと思います。

池田(道)委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。

伊東委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 去る三月十五日、大臣の所信表明に対する質疑におきまして、今冬の豪雪災害対策について御要望させていただいたところでございます。大臣御答弁のとおり、経営体育成支援事業を決定いたしていただいたところでございます。

 それを受けまして、去る三月二十四日、私は、ハウス被害の大きかった北海道の新ひだか町を訪問しまして、JAの日胆管内の組合長の方々と懇談をいたしまして、今回の支援事業について御説明をするとともに、御意見を伺ってきたところでございます。また、被災した新規就農者の方々とも懇談させていただきましたけれども、今回の支援策について、大変に喜ばれておりました。ぜひ、復旧と営農再開への決意も伺うことができましたので、大臣に御報告をさせていただきたいと思います。

 さて、今回の支援事業を受ける場合、共済加入が条件となっております。収入保険が開始されれば、保険に加入された農家の方々は、価格変動や災害などによる減収対策については万全となるとは思うのでございますけれども、一方で、ハウスや畜舎のような施設等については収入保険の対象外でありまして、こちらはやはり共済で対応していくことになると思います。

 災害の局地化、激甚化を考えれば、従来の想定のみで共済加入の有無を判断するのは必ずしも適切ではないかなと思います。私の住んでいる北海道も、これまでは台風が上陸しないと言われておりましたけれども、一昨年は三つの台風が上陸し、農業において大きな被害をこうむったところでございます。

 共済の加入率が向上すれば掛金が下がって更に加入しやすくなることを、例えば試算を提示するなどして、より多くの人に加入を勧めていってはどうかとも考えます。さらに、農業参入した企業の中には、オウンリスク、自分の危機管理は自分でするから共済には入らないという考え方もあるようでありますけれども、永続的に農業に取り組むならば、共済という共助の仕組みに、支える側としても私はやはり参加すべきと考えているところであります。

 この共済加入について、御見解をお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思います。

 今回の大雪被害を契機として、施設園芸を営む農業者の皆様には、農業用ハウスは経営に不可欠な生産施設であるんだということを改めて認識していただきまして、今後も起こり得る甚大な自然災害に対してみずから備えていただく意味からも、園芸施設共済に加入していただく必要があるのではないかと考えております。

 このため、まず、園芸施設の設置に係る補助事業等につきましては、これまでも一部の事業が園芸施設共済等の保険への加入を要件といたしておりましたけれども、今後は全ての事業について加入を要件化することを考えているところであります。

 また、園芸施設メーカーに対しまして、農業者に園芸施設を販売する際に、園芸施設共済への加入を促すように要請をすることも考えているところであります。

 さらに、農業共済団体による未加入者への戸別訪問を引き続き実施するということもするようにしております。

 このような取組によりまして、園芸施設共済への加入の推進を図ってまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 さて、平昌オリンピック・パラリンピックが大成功のうちに幕を閉じました。そうした中、特に初めてメダルを獲得したカーリング競技は、感動とともに、結果的に我が国農政にまで一石を投じることとなりました。

 先日の委員会でも取り上げられておりましたけれども、選手の皆さんが栄養補給に選んだフルーツの中のイチゴが、我が国の原産品種の流出によって供給されていると報じられておりました。この流出を食いとめられなかったことによる我が国の逸失利益は五年で最大二百二十億円に上るとして、我が国の農業の国外対策の強化の必要性が指摘をされているところでございます。

 今後、中小規模の農家がみずから開発した新品種において、他国でも品種登録や権利侵害対応をぜひ進めていかなければならないと考えているところでございます。

 農林水産省では、植物品種等海外流出防止総合対策事業を実施しております。出願経費の二分の一、侵害対応経費の三分の二を支援し、育成者の権利保護を進め輸出につなげるという制度でありますけれども、年間約千件にも及ぶ品種登録があり、相手国一国ごとに百万円以上の費用が必要となる場合があると考えますと、限りある予算を効率的に活用するために、やはりぜひ国全体としての海外市場向けの輸出戦略を更に深掘りして、品種のレベルにおいても練り上げる必要があるのではないかと考えているところでございます。

 御見解をいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の優良品種の海外流出を防止するためには、海外で知的財産権を確保し、仮に流出を発見した場合に、栽培や販売の差止め請求等を行うことができるようにすることが重要でございます。

 このため、平成二十八年度補正予算から、植物品種の海外流出防止対策を実施しておりまして、海外で品種登録ができる期限内であって早急な対応が必要な品種であり、我が国からの輸出の可能性のあるものを優先的に採択をして、海外での育成者権の取得を支援してございます。

 さらに、平成二十九年度補正予算からは、特に輸出力強化のため重要な品目については定額補助による支援を行うこととしたほか、三十年度当初予算におきましては、侵害対応のための予算も計上するなど、対策の強化を図っているところでございまして、こうした対策を通じまして、我が国にとって重要な輸出品目、品種についての権利をしっかり保護してまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 ぜひ、取組の強化をよろしくお願いしたいと思います。

 また、日本のイチゴの卸売価格は、韓国と比べると二倍以上高いようであります。輸出力を強化する上で、私たちがやはり取り組まなければならない改革の必要性を改めて認識せざるを得ないわけであります。

 そこで、我が国が、品目ごとに、消費者販売価格に対してどれだけの農家の所得になっているのか、物財費や労働費など生産費が占める割合、流通コストが占める割合など、分析に必要なサンプルデータを詳細に集める必要もあると考えております。

 農協改革や農薬、施肥、物財費の改革、卸売市場などの流通改革と、コストダウンのための改革が進められておりますけれども、それぞれの改革で何%程度のコストダウンを目指すのか、明確で詳細な目標を設定すべきではないかと考えます。

 現在の改革を進めた結果、万が一コストの大幅な低減が見られなければ、改革が不足しているとして、また農協改革からやり直しなどという議論に陥りかねないとも考えます。

 将来にわたって冷静な分析を可能とするために、やはり検証可能な政策立案が必要であり、その前提となる詳細なデータを積み上げていくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

礒崎副大臣 御指摘のとおり、統計等のデータに基づいて現状の分析、政策の立案、その他効果の検証を行うことは、国民に信頼された行政を展開していく上で極めて重要なことだと思います。

 このため、農林水産省といたしましては、農林水産業の生産構造や生産コストを始め、政策の立案やその効果検証の前提となる統計等の適切なデータを収集、整備することに努めておるところでございます。

 また、ことしの四月から、これは各省共通の制度ではございますが、政策立案総括審議官を新たに設置することといたしておりまして、EBPMと申しておりますけれども、証拠に基づく政策の立案を推進することにいたしております。

 そうしたことを通じまして、今後やはり適切なデータ、そして正確なデータに基づいて行政が展開できるよう、一層その体制の整備に努めてまいりたいと思います。

佐藤(英)委員 よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、SDGsについて質問させていただきます。

 二〇一五年、国連がミレニアム開発目標の後継として提唱したSDGsについて、我が国も既に積極的な取組を開始しているところであります。

 昨年末、政府の第一回のジャパンSDGsアワードの表彰が行われましたが、そこで総理大臣賞を受賞したのは北海道の下川町であります。佐々木委員の御地元でもございますけれども、ここは、平昌オリンピックで活躍したスキージャンプの葛西紀明選手、伊東大貴選手、また女子の伊藤有希選手の地元でもございます。私自身、農水の政務官を務めていた一昨年、お邪魔をさせていただき、画期的な町の取組を拝見してまいりました。

 下川町では、森林から生み出す木材を、木材としてだけではなく、シイタケ栽培に利用し、林地残材を木質バイオマスの原料として活用し、生み出されたエネルギーを町民の八割が暮らす区域のエネルギー自給に生かしています。さらに、そこで削減された燃料費を高齢者や障害者への支援に活用するなど、あらゆる工夫を凝らし、地域資源である森林を余すところなく使っておりました。

 みずからを森林未来都市と位置づけ、サステーナブルな町、見事にSDGsのモデルを構築した下川町の姿は、これからの日本に大きな希望を与える存在であると思いました。

 私は、下川町のように、SDGsの理念を今後農林水産省の全ての施策に通底させる横串と明確に位置づけていく必要があると考えますが、御見解を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 二〇一五年九月の国連総会において採択されました持続可能な開発目標、SDGsについては、二〇一六年十二月の第二回SDGs推進本部会合で決定したSDGs実施指針というのがありまして、その中で、成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション、あるいは生物多様性、森林、海洋等の環境の保全、こういった八つの優先課題を掲げまして、国家戦略としてその達成に向けて今取り組んでいるところであります。

 こうした中、御指摘がありましたけれども、持続可能な森林経営を核とした取組を行っております下川町が、昨年十二月、SDGs推進本部長賞、これは内閣総理大臣が本部長でありますので、その賞を受賞したことは大きな励みになっていると思います。

 持続可能な経済社会の実現というSDGsの理念は、まさしく我が国の農林水産業が目指す姿でもありまして、SDGs実施指針を踏まえて、農林水産業の成長産業化、農山漁村の振興といった取組を今後ともしっかり推進してまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。

 終わります。

伊東委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 おはようございます。立憲民主党の佐々木隆博でございます。

 きょうは、少し多目に時間をいただきましたので、農政の課題、それから、先日大臣所信も聞かせていただきましたので、それにもかかわって幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 農政の質問に入る前に、何度かここでも議論をさせていただいておりますが、今回の公文書の改ざんについて、これは行政府が立法府に対してうそをついたということであります。

 隠蔽というのは農水省もかつてなかったわけではありませんけれども、改ざんはさすがになかったのではないかというふうに思うんですけれども、これから我々がこうやって議論をしていくときに、農水省から出てきたデータを、一回一回本物ですかと聞かなければいけないような事態になっているわけでありますので、まさに前代未聞であります。

 大臣には、省のトップとして、あるいはまた閣僚の一人として、今回の問題についての見解、それから対応についてまずお伺いをさせていただきます。

齋藤国務大臣 今回の財務省における決裁文書の書換え、改ざんと言われてもいたし方ないものでありますけれども、これは、総理も言及されておりますように、今、佐々木委員からもお話ありましたけれども、国民に対してあるいは国会に対して、行政全体の信頼を揺るがしかねない出来事であると厳しく認識をしております。

 二十三日の金曜日に、総理から、まず、全ての政府職員には、原点に立ち返って、公文書は国民が共有する知的資源であること、それから、公文書を扱う者の立場は極めて重いことを改めて肝に銘じるよう指示がございました。さらに、行政機関におきましては、幹部職員が先頭に立って、四月からの新ガイドラインによる厳格なルールを全職員に徹底し、確実に運用すること、それから、更新等の履歴が厳格に管理できる電子決裁システムへの移行を加速することとの指示があったところでございます。

 農林水産省といたしましては、二十三日当日、総理指示が出たその当日に、その指示を省内に周知徹底をいたしました。それから、新ガイドラインを踏まえて、文書管理規則等を今月中に改正いたします。また、総務省から提供されているシステムによって電子決裁を推進する。こういったことによりまして、今後とも、公文書の適正な管理を徹底してまいりたいと考えております。

佐々木(隆)委員 今、ガイドラインの見直しというお話が大臣からありました。

 今の状況では大変緩やか過ぎるというふうに私も認識をしていますが、ガイドライン、どんな、全部でなくても結構でございますが、具体的にこういうふうにガイドラインを見直すんだというところがあれば、ちょっと教えていただきたいんです。

齋藤国務大臣 このガイドラインそのものを踏まえて、農林省として管理規則を策定するということで、それは今月中に策定をするという段取りになっているわけでありますが、ガイドラインそのものについてはどうなっているかといいますと、例えば、政策立案や事務及び事業の実施方針に影響を及ぼすような打合せ等につきましては、その記録を文書で作成することですとか、それから、意思決定過程や事務及び事業の実績の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書については、原則として一年以上の保存期間を設定することですとか、そういったものが含まれておりますので、これを踏まえて、農林省としての規則を策定してまいるということでございます。

佐々木(隆)委員 これは農水省だけではなくて各省同じ、横並びになるんだというふうに思いますが、ここでやはり我々立法府側もしっかり考えなければいけないというふうに思っていますが、立案に影響を与えるかどうかという判断だとか、保存期間を決めるというのは、これは今のところは行政側に委ねられているわけですよね。

 これをちゃんと第三者あるいは立法府もかかわるというような形に直していかないと、正直申し上げて、今回の話は行政府そのもののあり方が問われているわけでありますので、行政府の中で完結するような仕組みというのは、やはりそこ自体も見直していく必要があるのではないかというふうに思いますので、閣僚の一角を担っておられる大臣には、その点、ぜひ政府として取り組んでいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 今回のガイドラインは、財務省のこの問題が起こる以前にできたものでありますので、まずはこれを徹底を、農水省としての規則をつくり、徹底をしていくということ。

 それから、現在、財務省においても本件について調査が行われております。その結果で、なぜこういうことが起きたのかということがはっきりし次第、またそれを反映する必要があれば、その時点できちんと対応していくということで、管理に万全を期していきたいというふうに考えております。

佐々木(隆)委員 ここはもう答弁は求めませんが、いろいろな課題が起きたとき、行政の得意な手段として、すぐ改善策をと言うんですが、原因が究明されないのに改善策ということに踏み込むというのは行政のある種常套手段ですけれども、これはやはり変えていく必要があると思うんですね。徹底して原因が何だったんだということがあるから改善策が出てくるわけですので、ぜひ、そういうお気持ちでお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 それでは、幾つか農業問題について触れさせていただきたいと思います。

 最初に、資料を配付させていただいております。資料の一でございます。カラーでなくて申しわけございませんが、お読み取りいただけるというふうに思います。

 大臣は、所信の中で、農業総産出額が過去最高になったということを農政改革の成果として述べられているわけでありますが、もう一つ、これはもともとは自民党の選挙公約ですけれども、十年後、二十五年を起点としてですが、十年後に倍増、八兆円ということを掲げて、これは選挙公約で掲げたんですが、農林水産業・地域の活力創造プランと、それから日本再興戦略を受けたものと思われるわけであります。

 この中身なんですが、農業総産出額掛ける所得率を加えた補助金という、誰でもわかるようなアバウトな計算なんですけれども、要するに、倍にするということは、何らかの政策誘導があってそこにいくわけで、ほっておいたら伸びていくなどという話ではなくて、どこかにやはり政策のポイントを置いていかなければならないんだというふうに思うんですが、これでどこをどのように政策を打てば倍増するのかというのは、この二つのグラフから知ることはできません。

 やみくもに倍増だ倍増だと言って農家の皆さん方に幻想を抱かせるようなことになってはならないと思いますので、具体的に何をどうしたいのかということについてお示しをいただきたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 農業、農村の所得についての御質問でございました。

 まず、農業の所得、いわゆる農業所得についてでございます。

 農林水産省におきましては、農業を成長産業とし、農家の所得向上を図るため、農地集積バンクによる農地の集積、輸出の促進や六次産業化の推進、生産資材や食品流通構造の改革など、生産性や付加価値を向上させ、マーケットを内外に広げる農政を進めているところでございます。

 この中で、農業所得は過去二年間で約九千億円伸び、直近の二十八年では、この資料にもございますとおり、約三兆八千億円となっているところでございます。平成二十七年に改定されました直近の食料・農業・農村基本計画の策定に合わせてお示しをしております、農業所得の試算の平成三十七年度の値である三兆五千億円を現時点では超えているということでございます。

 また、農村地域の関連所得についてでございます。

 こちらもふえておりまして、平成二十七年度は約一兆五千億円となったところでございます。

 農村地域の関連所得につきましては、今後成長が期待できる加工、直売など、七つの分野を対象にして算出しておるわけでございます。

 具体的にどのような施策を講じているかということでございますが、例えば、加工、直売分野につきましては、六次産業化の典型的な取組である農林漁業者が主体となって行う加工、直売等の取組について、ファンドなどの各種措置も活用しつつ推進をしております。

 また、輸出の分野につきましては、平成二十八年五月に策定しております農林水産業の輸出力強化戦略などに基づきまして、農林水産物、食品の輸出拡大の取組を推進しております。

 さらに、都市と農山漁村の交流の分野につきましては、農山漁村において日本ならではの伝統的な生活体験、農村地域の人々との交流を楽しみ、農家民宿、古民家を活用した宿泊施設などに滞在していただく農泊を推進しておるところでございます。

 四つ目でございます。バイオマス、再生可能エネルギー分野につきましては、バイオマス産業都市の構築、太陽光発電、小水力発電、風力発電等の農山漁村における再生可能エネルギーの導入などを推進しておるところでございます。

 今後とも、農林水産省といたしましては、関係者と一体となって努力をしてまいり、国内外の消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げることにより、農業、農村の所得の向上が更に図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。

佐々木(隆)委員 今の、とりわけ農業所得というのはある程度わかりやすいんですが、農村地域の関連所得というものは、やはりもう少し具体な政策を打ち出して農家の皆さん方に示していかないと、具体的にこの目標にどうやったら達成できるのかというのは、今お話しいただきましたけれども、なかなかわかりづらいと思うんですね。

 そういう意味では、こういう仕組みにすると所得がふえるんですというようなことについて、更に具体的な政策をぜひお示しいただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、所得補償制度についてお伺いをさせていただきます。

 資料の二でございます。これは、所得補償の制度について、二十二年から二十四年は戸別所得、そして、二十五年度以降は経営所得安定対策というものを並べたものでございます。太枠になっているところが若干制度が変わった分野でございます。

 基本的にはやや踏襲をされているわけでありますが、とりわけ変わっているのが、戸別所得のときにあった加算措置、いわゆる環境対策的なものでありますが、これが下の所得安定対策のときにはどうなったかというと、いわゆる車の両輪と称して外出しになって、地域対策の中にこちらは入ってきているわけです。そのかわりに、経営所得安定対策の中ではナラシをこの対策の中身として入れている、こういう仕組みになっているわけであります。

 実は、二つ課題があります。

 一つは、いわゆる環境対策、戸別所得は我々の政権のときでありますが、農業とそれから地域というのは一体だという政策のもとで、この中に組み込んでやってきたわけでありますが、所得安定対策になると、これは車の両輪という形で外出しになったんですね。そのかわりにナラシを入れてきたわけですが、ナラシはその前からずっとあるわけで、しかもこれは農家負担がある話ですので、これを政策の中に入れ込むというのは私は少し違うのではないかというふうに思っております。

 結局、今のこの制度からいうと、水田の活用と、それから畑作の直接支払いとナラシの三本立てということになるわけですね、今の制度からすると。これに今度は収入保険が加わって、ナラシと収入保険というのはかなり政策的にダブる話になりますので、これで先ほどの話も含めて所得補償をしていくんだというのはちょっと何か心もとない感じがするんですが、今後のこうした所得補償のビジョンみたいなものについてお伺いをいたします。

齋藤国務大臣 今委員御指摘のように、経営所得安定を図っていくということは農政の中で大変重要な柱だというふうに思っております。

 担い手経営安定法がございますけれども、その担い手経営安定法に基づきまして、御指摘の、畑作物の直接支払交付金、ゲタ対策と、収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策によりまして、この法律に基づいて担い手の経営安定を図るということが一つであります。

 それからもう一つは、水田活用の直接支払交付金によりまして、主食用米の需要が減っていく中で、それでも水田をきちんと活用していただくために、麦や大豆や飼料用米等の水田フル活用を図るための戦略作物の生産の支援もかなり行っていくということであります。

 さらに、これも御指摘ありましたけれども、新たに収入保険が導入されるということになっておりまして、これも、農業者が自由な経営判断で経営展開をしていく上でのセーフティーネットの機能を果たしていく選択肢の一つになるだろうというふうに考えております。

 これらが一応直接的に経営安定対策というふうに言えるものであろうかと思いますけれども、また一方で、農政、いろいろな形で所得向上が図られるような政策もあわせて講じているし、コスト削減のための政策も講じてきているところでありまして、一つの政策が一つの目的のためだけに行われるということではありませんので、そういう直接的な経営安定対策と各種農政が相まって、所得の安定化を図っていきたいと考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 先ほどの所得倍増もそうなんですが、いわゆる先ほどの所得倍増のところでは、総産出額と所得率、所得率を上げる、総産出額をふやす、そして補助金を投入する、こういうさっきの仕組みだったんですが、要するに、補助金、あるいは交付金でもそうなんですけれども、政策的に誘導していくというところがやはり必要なのであって、今大臣からもお答えをいただきましたが、各種補助金やあるいは交付金というのは、そちら側に政策を誘導することによって、農家の所得あるいは農村の活性化というものを図っていくということなので、確かにこの外枠にそういうものはあるのかもしれませんけれども、そこら辺をできるだけ農家の皆さん方にわかりやすく示すということが、みんなでそっちに頑張ろうということになるわけですので、ぜひその点は指摘をしておきたいというふうに思います。

 そこで、これは大臣と私は思いを共有させていただけるのではないかというふうに思うんですが、三月の参議院の農林水産委員会で、大臣は、規制改革推進会議について問われたときに、高いボールだ、そういうものを受け取る側で長いこと仕事をしてきたので、今後、同会議と我々のあり方について少しずつ直していきたいと思っているというふうに答弁されました。私も同感でございます。少しずつではなくて大幅に直していただきたいなと実は思っているのでありますが。

 今、農業関係者の間では、これは新語になっておりまして、官邸農政という言葉が普通に使われるようになってしまった。農水省にとっては大変屈辱的なことだと私は思っているんです。

 そういった意味で、規制改革というそのものを全面否定するつもりは私はないんですが、これは二〇〇〇年から始まっていますけれども、最初は業界擁護が過ぎるのではないかというところにメスを入れたんですね。これは効果を上げたと思うんです。

 これがある程度行っちゃったときに、とりわけ第二次安倍内閣になってからですが、そのころになると、その辺がほとんどやられたと言ってもいいんだと思うんですが、どこに今度ターゲットを当てたかというと、生活擁護の分野にメスを入れるようになった。彼の言葉を使えば、岩盤規制にドリルで穴をあけると称して、そっちの分野に入っていっちゃったというところに私は大きな問題が今生じてきているんだというふうに思います。例えば労働の問題だとか、農業もそのターゲットになっているわけですけれども。

 こういうことについて、この言葉に意を強くして、改めて、この規制改革会議について、大臣が今後どう対応していこうとしているのか、対峙していこうとしているのかについて、決意をお伺いいたします。

齋藤国務大臣 先日の参議院での私の答弁は、少し、どこまでが大臣としての答弁なのかわかりませんが、大臣になる前に二年間副大臣を務めさせていただきましたし、その前二年間は自民党の農林部会長ということで、まさに農協改革、全農改革、生乳改革そして卸売改革と一連の改革の中で、規制改革会議が極めて高いボールを投げてこられて、それをどうこなすかということで、現実問題、東奔西走して調整に大変苦労してきたという経験があるものですから、大臣になった以上、別に規制改革会議を批判するわけではないんですけれども、もう少しうまいやり方ができないかなと、微力ですけれども、そういう思いで取り組んでいきたいということを申し述べさせていただいたわけでございます。

佐々木(隆)委員 拍手をしたい思いでございますが、ぜひ取り組んでいただきたいと思うんですね。農村あるいは農林水産業の皆さん方にとっては、農林水産省というのはよりどころでございますので、そこで大臣がどういう行動、どういう発言をしていただけるかというのは大変重要だというふうに思います。ぜひ、その点については大いに応援をさせていただきますので、頑張っていただきたいというふうに思います。

 重点政策の幾つかについてお伺いをさせていただきます。

 重点政策の中で、所信の中で、施策として農地の集積、集約化について述べておられます。

 私は、先ほどの官邸農政といいますか、規制改革会議といいますか、農地へのこだわりが異常だというふうに実は思っております。

 このルーツ、規制改革会議のルーツは日米経済対話から始まっているのではないかと私は思っているんですが、あそこで十年ぐらい前に言われたことが、五年か十年たつと必ず規制改革会議の中から出てきて、改革の何か別な形になって出てくる。それの一つが農業委員会であり、農協の改革であり、今取り沙汰されている、後でお伺いしますが、農協金融だったりするわけでありますので、その中の一つが農地中間管理機構でございます。

 農地利用集積円滑化事業というものがあったわけですが、それを中間管理機構になぜしなければならなかったのか。保有合理化事業というのが平成十二年から二十一年までありました。その後に、円滑化事業と称して平成二十四年までありました。この間に農業委員会が改組されて、農協の関与をできるだけ排除すると。

 この中間管理機構は、ある意味で、そこに権限を持っていた農協と農業委員会を排除するためにつくったのではないかというふうにさえ思うぐらい、農地へのこだわりがちょっとあり過ぎると思うんです。

 農地中間管理機構は賃貸借が中心であります。さきに申し上げた円滑化事業やなんかは売買が大体メーンであります。今の中間管理機構でも売買もできることにはなっていますけれども、かつての円滑化事業は、売り手、買い手、それから農業委員会が入り、地域の農協も関与するという形で、地域の中でそういう仕組みをつくってやってきた。それから見ると、今の中間管理機構は少し乱暴なのではないかということと、もう一つは、それぞれの事情があると思いますが、賃貸借と売買というのは、これは両方、同時並行で進むべきものだと思うんですね。

 今のこの状況では、中間管理機構にウエートが置かれ過ぎていて、しかも賃貸借にウエートが置かれ過ぎているものですから、どうしても少しいびつな、中間管理機構がやることについては全員の合意がなくてもやれるとか、少し全体に乱暴な動きになっているのではないか。

 農地は、私は単なる生産手段ではないと思っておりまして、これは国土ですから、国土をどうするかという話とちゃんとリンクをしなければいけないんだというふうに思うんですが、これらをもう少し、全体をどう組み合わせていくのかということについて、これは大臣でなくても結構でございますが、お答えいただきたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 我々としましては、まず、農地というのは、当然、農業者にとって一番大事な生産資源であろうと思います。その農地を流動化させるというのは何もここ数年から始まったことではなくて、中長期的にこれは大事だと思ってやってきているところでございます。

 そういう中で、従来、御指摘のように、農地保有合理化事業、農地利用集積円滑化事業、さまざまな事業で農地の流動化を進めようとしてきたわけでございますけれども、従来の事業につきましては、やはり両方とも、両者ともに出し手、受け手との相対の協議を前提にする仕組みでございまして、特に地域の中核的な担い手の方々が切望しております分散錯圃の解消を、何とかしてほしい、こういう問題について、なかなか取組として限界があるというふうに我々認識しておりました。

 そういうところを踏まえまして農地中間管理機構というのを考えまして、これは、一旦公的な機関に貸すということで、出し手にとっては安心して貸すことができる、さまざまな受け手を評価するということがとりあえずなくてもできるという仕組み。それから、機構みずからが長期間借り受けるということを、十年以上を前提にしておりますので、これで再配分ということが可能になります。その再配分の中で担い手にまとまった形で農地を集積できる、集約できるというようなスキームとして考えたものでございますので、我々としては、分散錯圃の解消という問題についてはやはり機構を中心に解決していくことが最も効果的ではないかと思っております。

 ただ、他方で、県に一つの組織としているところもありますので、法律上も地域での話合いを非常に前提にした枠組みにしておりますけれども、現実にも、例えば御指摘のありましたような農協とも、全農協の半分ぐらいに当たります三百十農協と業務委託契約を結んだりしながら、地域とのつながりはしっかりとつけていきたいというふうに考えております。

 さらに、農業委員会改革に伴いまして、平成三十年度までには全国で約二万人の農地利用最適化推進委員が任命されることになっております。そういう推進委員との連携、機構との連携、これも今後強化していきたいと考えておりますので、そういうふうに現場レベルでの総合的な推進体制を構築しながら、農地の流動化、分散錯圃の解消、こういうような農業者にとっては切実な問題に解決を見出していきたいというのが機構の趣旨でございます。

佐々木(隆)委員 大澤局長に流れるような答弁をいただきましたけれども、今、私は少し違うかなと思うのは、流動化させるというものではないと思うんですよ、農地は。

 それは、国の権限をもってさせるかのような印象を与えます。公有化という表現を中間管理機構でしましたけれども、今、何か中間管理機構を見ていると、農地の国有化を図っているのではないかとさえ思える。しかも、再配分をするという話ですから。

 そういうようなことで、もう少し、農地というのは地域の土地なんだ、もっと言えば国土なんだという視点で、生産手段だという視点だけで物事を考えないでほしいということ。これは答弁は要りません。

 もう一つ申し上げますが、推進委員の話がよく出てくるんですが、推進委員は農業委員ではありません。決定権はありません、単なるお手伝いなんです。だから、半分は減っちゃったと言ってもいいと思うんです。物事を決定するのは農業委員です。推進委員に決定権はないんです、お手伝いをするだけなんです。だから、推進委員が推進委員がと余り言われると、私はやはり農業委員の存在価値というのをもうちょっときちっと評価してあげるということが必要だということを、これは答弁は要りませんが、お願いを申し上げておきます。

 もう一つ、所信で、私、ちょっと今申し上げました、大臣にもう少し触れてほしかったのが、農村政策でございます。

 先ほども、最初のところで申し上げましたが、農村政策は、我々のときには戸別所得の中に一体化されていたというふうに思っているんですが、今は日本型直接支払いと称して、車の両輪というふうに言っているわけでありますが、なぜ我々が戸別所得の中に一体として取り組んできたかというと、農村というのはなりわいを通じて守られるものだという発想でございます。

 そうしたことからすると、この車の両輪と言っている、とてつもなく大きな農業政策ととてつもない小さな農村政策という車の両輪が、ちゃんと真っすぐ前に進むのかという思いがしてならないわけでありますが、今後の農村政策をどのようにしたいのかということについてお伺いをいたします。

齋藤国務大臣 今の佐々木委員の御指摘は、私はずっと考え続けている視点でありまして、農村が活性化をしていく、維持されていくためには、やはり農業が所得を稼ぐ産業でなくてはいけないし、競争力がなくてはいけないので、そういう意味では産業政策というものも重要なわけですけれども、しかし、それだけでは地域というものは成り立っていかない。そういう両面をにらみながらの政策を展開していくことが必要でありまして、車の両輪ではあるんですけれども、密接不可分な両輪みたいな、そういうイメージで私は捉えているわけであります。

 どういう政策ということですので、少しお話しさせていただきますと、現在は、強くて豊かな農業と美しく活力ある農山漁村を実現するためには、今申し上げたように、農林水産業と地域の活性化を表裏一体として進めていくことが重要だということで、もう委員御存じだと思いますけれども、食料・農業・農村基本計画等に基づき、産業政策と地域政策を車の両輪として進めていく。

 地域政策のうち、例えば、代表的な地域政策であります多面的機能支払いや中山間地域等の直接支払いなどの日本型直接支払いについては、地域の話合いや共同活動を通じて地域資源の維持、継承を図るものであるわけでありますけれども、同時に、これらの直接支払いにより農業生産活動の継続が図られていくという面も当然あるわけで、両面あるんじゃないか。

 それから、中山間地農業ルネッサンス事業や中山間地の所得向上支援対策につきましても、条件不利地である中山間地を対象とした地域政策的施策でありますけれども、同時に、地域の特色を生かした多様な農業経営の展開が図られる、そういう効果もあるものでありますし、さらに、鳥獣被害対策とか六次産業化なども、地域の環境保全や雇用の場の創出に資する地域政策であると同時に、農業生産意欲の減退の防止ですとか地域の農業生産物の販路拡大を通じて農業生産の増大、発展にも資するものであるという側面も持っているわけであります。

 このように、我々、地域政策と称して行っております施策につきましても、単に集落コミュニティーの維持や農村の活性化のみを目的としたものではなくて、これらの施策を通じて地域における農業生産活動の継続、発展が図られるという面もあるわけでありまして、まさに産業政策的な効果も有するものでありまして、そういうものを、両方に効果のあるものを重層的に今施策として展開をさせていただいているということでございます。

佐々木(隆)委員 今、大臣からも触れていただきましたが、地域が自主的に何かに取り組むというようなことに対して、何らかのお手伝いをしてあげられる仕組みというのは非常に重要だと思いますので、ぜひその辺はお願いをしておきたいと思います。

 少し時間がなくなってまいりましたので、申しわけございません、経済連携についてお伺いをいたします。

 資料の三のところ、三の一と三の二でございますが、まずは、試算についてお伺いをいたします。

 GTAPでやったというふうに書いてありますが、その中に、三行目のところに「生産性上昇効果等を含めた」と書いてあるんですね。

 GTAPには本来こんなものはないのであって、単なる定数を計算するのがGTAPでありまして、こんな生産性の上昇効果まで入れちゃうと、さっきの話ではありませんが、実態がちゃんと把握できないのに改善策を出すみたいな話になっちゃうので、これは、本当の実態というのはどこにあるのかということをきちっと出すということがまず最初ではないかというふうに思います。

 そうした意味からいうと、私は、試算そのものをもう一度きちっと、しかもTPPの方はCPTPPに変わったわけですから、なおのこと見直すべきではないかということについて、見解をお伺いいたします。

澁谷政府参考人 お答えいたします。

 先生の方で資料で御用意いただいた資料三の一、三の二、三の二にございますように、CPTPP、いわゆるTPP11としての経済効果を試算させていただいたものでございます。

 御指摘のとおり、GTAPのモデル、GTAPのモデルは必要最低限の標準モデルが公開されていまして、それに各国の機関、研究者がそれぞれの独自のアプリケーションをつけて試算をするということになっているところでございまして、生産性向上、それから労働供給の増大というものを、私どもは、これはTPP12のときと同様でございますけれども、三つずつ試算を行ったところでございます。

 なお、資料を公表してございますけれども、TPP交渉にそもそも参加する前に、生産性向上などを見ていないバージョンで試算をしたものがございまして、それと同じようなやり方、つまり、生産性向上などの効果を見ない場合は、TPP11のGDP押し上げ率は約〇・二二%という数字も公表しているところでございます。

佐々木(隆)委員 今、澁谷統括官が言われましたように、何度もこのことは議論をさせていただいておりますけれども、交渉前の試算というのはGTAPだったと思うんです。それと同じ手法で、TPPが締結された後に同じ手法でやるべきだったと思うんですが、なぜかこの生産性上昇というものが入ってきたということで、非常にわかりづらくしてしまった。国民にこれが、後で議論させていただきますが、本当のことをある意味でわからなくしてしまったのではないかというふうに思うわけであります。

 そこは、ちょっと時間がなくなりましたので、次に移らせていただきます。

 今度のCPTPP、表現しづらいんですけれども、TPP11と通称言われているんですが、私はその表現自体も余り、いかがなものかと思っていて、TPP11というのは、TPP12のための11だというような印象を与えてしまうので、別物だといってCPTPPを締結したんですから、別物なんです、アメリカが入っていないんです。

 にもかかわらず、その協定の合意内容、これはまだ条文が正確に出てきているわけではありませんが、とりわけ六条ですが、TPPが効力を生ずる見込みがない場合にはとか、TPPへの回帰を何か意図したような条約になっていて、別物なんだから別な条約としてきちっと締結をすべきなのに、いつかTPP12に戻るんだかのような表現になっているというところに、何か11でしっかり頑張るというふうに感じられないところがあるんです。

 そういう意図を感じるんですが、これについて見解を。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 TPP11、包括的、先進的なTPP協定でございますが、そもそも、アメリカがTPPからの離脱を宣言したのを受けて、だからこそ残った十一カ国で先進的で包括的なTPP協定を実現しようと努力をした結果、合意されたものでございます。

 確かに、先生御指摘のとおり、形式上は新協定ではありますが、このTPP11協定の前文におきまして、この協定を通じてTPPを迅速に実現すると明記しております。第一条でもともとのTPPをそのまま組み込むという形で、十一カ国によってもとのTPP12協定の内容を実現するための法的枠組みである、このように理解しているところでございます。

佐々木(隆)委員 それでは何か別物じゃなくて補完する条約ということになってしまうわけでありますので、この後お聞きしたいんですが、要するに、今、日本がかかわっている条約というのは山ほど、経済連携の協定というのは山ほどあって、実は、それもどこが所管しているのかさえも余り定かでない。TPPは内閣府、EPAは外務省、RCEPはどこなんだろう、日中韓経済連携はどこなのか、WTOはどこなのか、日米経済対話は多分麻生副総理だと思うんですが。

 経済のグローバル化というものをずっと志向してきたんですけれども、そのグローバル化というのが、世界の中では今、労賃の低下を招いているという指摘も出てきております。それはお互いに強いものをせめぎ合うから、結果、そうなるわけですけれども。

 そうしたことの指摘も出始める中で、経済連携そのものをちゃんと見直していくことも必要だし、そのためには、全体をどうやってグリップして、どこがどういう戦略を立てていくのかというのが不明確であります。そのことについて、どう戦略を立てていくのか、どうグリップしていくのかについてお伺いします。

林政府参考人 お答えいたします。

 経済連携交渉等に当たりましては、これまで、官邸の指揮のもとで、関係省庁で緊密に連携しつつ、政府一丸となって取り組んできております。

 委員から御指摘があったTPP協定の交渉においては、主要閣僚会議のもとで、内閣官房にTPP政府対策本部を立ち上げまして、交渉等の総合調整を担う体制をとってきております。

 また、日・EU経済連携協定交渉においては、外務大臣を総合調整担当大臣とするとともに、主要閣僚会議を立ち上げるなど、交渉に応じ適切な体制を構築してきております。

 そのほか、RCEP交渉やWTO、日中韓FTAにつきましては、外務省が取りまとめの上で、関係省庁と連携して対応しております。

 さらに、日米経済対話は、麻生副総理のもとで、外務省が事務局となり、関係省庁と連携してアメリカ側と協議しているところでございます。

 このように、引き続き関係省庁で緊密に連携しつつ、政府一丸となって取り組んでまいりたいと思います。

佐々木(隆)委員 いや、そういうことを聞きたかったのではなくて、どうやって戦略を立てていくのか、どこがどうやってグリップするのかということを、これは、アメリカなんかはUSTRというちゃんとした組織が、政権がかわろうと何しようと持って、全体をグリップしてやっていくわけですよね。そういう仕組みをちゃんとつくる必要があるのではないかということだったんですが、ちょっと時間がなくなりましたので、まだ聞きたいことが経済連携でたくさんあったんですが、割愛をさせていただきます。

 最後に、資料の五で、種子法についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 資料の五は、種子がどういう仕組みで農家のところにきちっと流れていくかということについてであります。

 大臣は、先日、食料増産時代の法律だということをおっしゃっておられたんですが、確かにできたときはそうだったんですが、今はやはり品質を争うというようなところも出てきていて、主要農産物というのはこれほど複雑な仕組みで、実は、種子の改良協会という仕組みをつくって、都道府県が種子の開発をする、それを農協が中心となったこの協会が全体に回していくという仕組みで成り立っているんです。

 ですから、種子の開発だけが目的ではなくて、全体に農家にどうやって届けるかということが必要なのであって、開発するだけのことに何か注目をされているようなんですが、この仕組みをずっとやっていくためには今何が一番問題かというと、これに参入できるのは野菜の種をつくっているようなメーカーじゃないんですね。これだけ大量の主要農産物をこれだけの仕組みをつくってやっていくためには、相当大手でない限りこの仕組みに参入できないんです。

 だから、むしろ怖いのは、外資を含めたそういう大手に知見を渡すことになってしまうのではないかということが種子法の一番みんなが心配していることなので、この仕組みをどうやって守っていくことができるのかということについて、時間がなくなりましたので最後の質問とさせていただきます。答弁をいただきます。

伊東委員長 柄澤政策統括官、時間が来ておりますので、簡潔に。

柄澤政府参考人 まず、今ほど委員が配付されましたこの資料についてでございますけれども、ここに書かれている構造の中で、種子の例えば需給調整ですとか流通に関する業務につきましては直接種子法に基づいて行われているものではございませんので、この位置づけについて、種子法廃止自体で変化するということではございません。

 種子法廃止は、全都道府県に対して法律に基づいて一律に一定のことを義務づけるということでございまして、これをやめるわけでございますけれども、各都道府県におかれましては、それぞれの地域の種子行政に関するニーズや種子の調達状況などを踏まえて、それぞれの都道府県にとって必要な措置を自治事務として行っていただくということで、私ども、お聞きしましたところ、それぞれの都道府県におきまして、地域の状況を踏まえて必要な見直しを行った上で、三十年度も種子供給に係る事務を実施する方針だというふうにお伺いしているところでございます。

佐々木(隆)委員 時間が来ましたので終わりますが、今、柄澤統括官、私は、種子法がそこまでやっていないということは、そんなことは知っています。種子法という裏づけがあるからこのことがやれているんです。その裏づけがなくなっちゃったということが問題だということを指摘しているわけでありますので。

 終わらせていただきます。

伊東委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 佐藤公治でございます。

 きょうは、齋藤農林水産大臣としての御答弁とともに、政治家齋藤健氏、齋藤先生の御答弁をいただけたらありがたいと思います。

 私は、日本の官僚は大変に優秀だと思っております。また、日本の官僚、優秀な官僚がいらっしゃるからこそこの国の運営はできている、また、改革もこの優秀な官僚なくしてできないというような思いを持っております。

 さて、昨日、佐川氏の証人喚問が衆参で行われましたが、テレビ中継は大臣はごらんになりましたでしょうか。

齋藤国務大臣 仕事をしながらだったんですけれども、八割ぐらいは見ていたんじゃないかなと思います。

佐藤(公)委員 お忙しい中でも八割ごらんになったということは、この証人喚問が大変に大事な場面だというか、ことだというふうにお感じになられているんだと思いますが、昨日、佐川氏の証人喚問が衆参で行われましたが、大臣の見ての御感想を少しお聞かせ願えればありがたいと思います。

齋藤国務大臣 今、私、この場は農林水産大臣として答弁をしていますので、政治家としてのコメントをするのは差し控えたいと思っていますが、ただ、どうしても一点だけ申し上げさせていただきたいのは、私もかつて官僚を二十三年間務めておりまして、それなりに官僚道というものがあるんじゃないかと思って仕事をしてまいりました。そういう意味で、官僚のあり方みたいなもの、それについて、きのうの八割ぐらい見ていた範囲ではありますけれども、思うところは多々ありましたというところでとめておきたいと思います。

 ただ、大臣として申し上げなくてはいけないのは、きのうの証人喚問云々ということではなくて、やはりこの決裁文書の書換えということそのものにつきましては大臣として発言をすべきだと思っておりまして、これは、従来からお話ししていますように、行政全体の信頼を揺るがしかねない出来事であるというふうに厳しく重く受けとめているわけであります。

 総理からあった全職員に対する指示、原点に立ち返って、公文書は国民が共有する知的資源であること、あるいは、公文書を扱う者の立場は極めて重いことを改めて肝に銘じるよう指示があったわけであります。それから、行政機関については、幹部職員が先頭に立って、四月から新しくできます新ガイドラインによる厳格なルールを全職員に徹底して、確実に運用すること、それから、更新等の履歴が厳格に管理できる電子決裁システムへの移行を加速すること、この指示がありました。

 農林省としては、この指示を既に省内に徹底しておりますし、あるいは、新ガイドラインを踏まえた文書管理規則等が今月中に改正をされますので、それを徹底すること、それから、総務省から提供されているシステムによって電子決裁を推進することなどにより、農林省の文書管理の適正な管理を徹底してまいりたいと考えております。

佐藤(公)委員 できれば、多々ありというところをお聞かせ願えればありがたいと思っておりますが。

 大臣、私は本当に、このたびの事件が大変に重たいものであり、まさに国会、立法府、行政においても、国民の信用、信頼を失っているような、大変な危機的状況だとも思っております。

 では、このたびの問題がなぜ起きてしまったのか。昨日も、佐川氏は、国会が点々々ということで御答弁されておりましたけれども、いろいろな方のお話を聞いても、いま一つ的を射ていない。大臣はどのようにお考えになられているのか。

 幾つかの要因が複合体になって起きているのかもしれません。本質的な問題点も含めて、大臣がどうお考えになられているのか、思われているのか。そもそも論、このような問題が起きてしまった原因、理由は何だと思われているということになりますでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、今回の出来事については、先ほど申し上げましたように、政府全体の信頼を揺るがすような、そういう深刻な出来事であるというふうに認識しております。

 それから、私も、狭い範囲かもしれませんが、行政経験がありますが、その中で、決裁を自分で起案して決裁をとるという仕事もしたことがありますけれども、その決裁をとる過程において、君、ここはこう直した方がいいんじゃないのとか、そういう御指摘は受けて直すことはありますが、そのときには、ちゃんと直したという訂正印を押したり自分の判こを押したりして決裁をとっていくわけでありまして、その決裁をとった後のものが書き換えられて国会へ提出されるというようなことは、私の経験上、まああり得ないぐらいの出来事であるという印象は正直持っております。

 したがいまして、今委員の御指摘ですけれども、なぜこういう異例なことが起こったのかということ、私自身も知りたいと思っているところでありまして、財務省で調査が行われているということでありますので、どうしてこういうことが起こったかということにつきましては、事柄の重大性に鑑みまして、国民の皆さんにも納得できるような調査結果を出していただき、それを見て、これならばうちも起こりそうだなというようなことであれば、農林省としてもきちんと対応していく必要があるという、現時点ではそのように考えているところでございます。

佐藤(公)委員 あってはならないことですが、危機管理としてお聞きします。

 農林水産省で同じことが起きたら、齋藤大臣ならどのように対応されますでしょうか。答えにくければ、考え方をちょっと変えまして、このたび齋藤大臣が財務大臣ならどのような対応をとられますか。具体的に教えていただけたらありがたいと思います。

齋藤国務大臣 何重にも仮定の話ですので、ちょっとお答えは差し控えさせていただきたいなというふうに思っておりますが、大事なことは、今財務省において調査をしっかりされているというふうに信じておりますので、その結果をまず私もきちんと把握をしたいというふうに思っているというのが現時点で申し上げられることだろうと思っております。

佐藤(公)委員 仮定の話にはなかなか答えにくいことかもしれませんが、もう少し具体的なお話を聞きたいというふうには思っておりますが。

 でしたならば、では、今の状況において、同じ内閣、大臣として、このたびの財務省の不祥事は財務大臣に責任があるのかないのか、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 少なくとも、今回起こったことを、今、大臣の指揮のもとで調査をし、解明をしようとしているわけでありますので、その責任は当然あるんだろうと思っています。

佐藤(公)委員 今御答弁をいただきましたが、もう少し具体的に、どのような、又はどんな程度あるというふうに、もう少し具体的に教えていただけたらありがたいと思います。

齋藤国務大臣 今まさに調査が行われておりまして、なぜこういうことが起こったかということが明らかになった段階で責任問題というのは考えるものではないかなと思っております。今は、その調査をしっかりやるという責任を果たすということなのではないかなと思っておりますが。

佐藤(公)委員 だとするのであれば、先ほどからも大臣がお話しされている新ガイドライン。きのうの証人喚問も、佐川さんは、みずから、真相は明らかになっていないと最後におっしゃっております。では、なぜ起きたのかということがわからないのに、大臣は、新ガイドラインをつくったから、これを徹底させるからと。これで物事の、このたびの事件の本質を解決できるのか、また、国民がこれで納得できるのか。少し筋が通らないんじゃないんですか。きちっと解明をしていく。きのうの証人喚問も、あんな状況の中で、物事の本質的な原因は全くわからない、関係もわからないような状況だったと思います。いかがですか、大臣。

齋藤国務大臣 昨日の国会における証人喚問につきまして、私は今、政府の一員でありますので、それがどうこうというコメントは、今の私の立場では差し控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

佐藤(公)委員 委員長、静粛に……(発言する者あり)

伊東委員長 佐藤公治君、続けてください。

佐藤(公)委員 これは、僕は大変大事な質疑だと思っております。つまり、質疑をする上での前提が崩れていることを、もう一回きちっと信頼関係を取り戻すべく私は質疑をしているつもりなのに、今のようなやじはちょっといかがなものかなというふうには思います。気持ちはわかります、気持ちはわかりますけれども、どうか、私も攻撃的に話をしているわけじゃないので、冷静に少しお話合いをさせていただければと思います。

伊東委員長 細田君には、静粛にお願いします。

佐藤(公)委員 委員長、ありがとうございます。

 私も、大臣を妙にいじめるとか、そういうつもりで質問しているわけじゃなくて、だからこそ、私は、最初にお話ししましたように、農林水産大臣としての答弁とともに、政治家齋藤先生としての御所見、お考えを聞きたい。今、この状態で、官僚に全てを投げていくようなやり方ではなく、今だからこそ、政治家がきちっと前に出てこの問題に向き合っていく。私は、そういった姿勢が、今、与野党問わず、お互いに必要なのではないかという思いで聞かせていただいております。

 この問題が大きな大問題だとするのであれば、国民における大きな影響を与えているというふうに思いますが、大臣は、どんな影響を与えていると思われますでしょうか。

齋藤国務大臣 先ほども少し申し上げましたけれども、委員御指摘のように、これは財務省一省の問題ではなくて、行政全体の信頼にかかわる問題だと。つまり、私どもが決裁をした文書を後から書き換えるということが起これば、その決裁文書が本当に正しいものかどうかということの信頼が揺らぐということで、それを前提としてさまざまな議論が行われるということであれば、これは本当に大きな問題だというふうに、政府全体として捉えるべきだろうというふうに考えているわけでございます。

佐藤(公)委員 マスコミにおいて、御党の政治家の方々でも、政治家の関与がなかったことはきのうの証人喚問で明らかになった、また、晴れたというふうにおっしゃられる方もいらっしゃると思ったら、よくわからなかった、問題はきちっと解明できていないという御発言をされる御党の方もいらっしゃり、齋藤大臣は、政治家の影響や関与、また、きちっとした答弁があって晴れた、そういったことは関係なかった、明らかになったとお感じになられていますでしょうか。

齋藤国務大臣 これも繰り返しになって申しわけありませんが、国会で行われている証人喚問について、その評価みたいなものを、私の、政府の一員としての立場で申し上げるのは差し控えたいと思っております。

 ただ、行政の、農林省のトップとして決裁文書のこの問題についてどう考えるかということは、先ほど御答弁させていただいたとおりでございます。

佐藤(公)委員 国民から、先ほどもお話ししましたけれども、政治や行政に対しての信用、信頼がなくなった、これは大臣も同じような御認識でいらっしゃるかと思いますけれども、その信用、信頼を取り戻すために、どうすれば取り戻すことができるのか、これは、繰り返しになります、与野党ともに考えていかなきゃいけないこと。大臣はどのようにお考えになられますでしょうか。

齋藤国務大臣 この委員会にも、お役所でお仕事をされていた経験のある方、たくさんおられると思いますけれども、恐らくみんな同じ思いなんだと思うんですけれども、あのような、決裁が終わった後の文書が書き換えられて国会に出されるということは、極めて異例な出来事であるということは私は言えるんじゃないかと思っておりますので、大事なことは、なぜこの異例なことが行われたのかということを、きっちりと、行われたところではっきりとさせていただくということが一番大事なんだろうと私は思っております。

 その上で、今、この出来事が起こる前にできたガイドラインでありますけれども、それをもとに、今月いっぱいで私どもの管理規則の方は策定をいたしますので、それをきちんと実施していくことと、それから、先ほど申し上げた本件の調査で、なぜこういうことが起こったのかということがはっきりした時点でまた考えるべき話かなというふうに私は今思っているところでございます。

佐藤(公)委員 繰り返しになりますけれども、証人喚問であれだけ答弁拒否があった、真相、その原因、本質的なことはわからないまま。でも、ガイドラインを徹底させていく。きちっと今やるべきことは、きのうの証人喚問も含めて、その本質を明らかにしていくことがまず先で、それがあった上で、ガイドラインをどうより強固に強化していくのか、また、もっと違う本質的な問題があるのであればそれを変えていく、これが筋ではないんでしょうか。

 私がきょう齋藤大臣にここまで聞くのは、齋藤大臣に期待しているからです。大臣が農林水産の分野を進まれるとき、政調会長とのお話の中で、困難な仕事を自分はやりたい、また、大臣就任に当たっては、職員の皆さん方々に、危機感を持て、チャレンジ精神を持て、視野を広く持て、こうおっしゃられる大臣に私は政治家として期待をしていきたい、その思いで聞いております。

 今お話ししたことにおいて、筋が通らない。大臣、どう思われますか。

齋藤国務大臣 いろんな考えがあろうかと思いますけれども、今の新ガイドラインというのは相当綿密に議論した上ででき上がってきているものでありまして、ただ、残念ながら、今回の事案が起こる前に詰めてきたものであるということを前提にしてどう考えるかですけれども、ならば、今回の出来事の調査結果がはっきりするまで改定を待つのか、待ってからつくるのか。それとも、今あるものを、これも相当詰めてつくられたものでありますので、実行に移しながら、今回の事案の調査で、これはやはり改めた方がいいというようなものが出てくればそのとき対応する、そういう手法をとるのがいいのか。私どもは、その後者の方で厳格に運用していきたいというふうに思っているということでございます。

佐藤(公)委員 昨年は衆議院の解散もございました。もしこの問題が解散・総選挙の前に出ていたら、総選挙の結果も変わっていたかもしれません。いや、解散もされなかったかもしれません。

 虚偽答弁で、多くの質問時間を取り戻すことはできませんが、今までの議会における経緯、経過をどのように取り戻すのか。つまり、どのように訂正、修正をしていくのか。もう終わってしまったからいたし方ない、しようがないで済まされることなのでしょうか。

 訂正、修正できないのであれば、なおさら、国民の皆さんに、信用、信頼を取り戻すべく、方法論と覚悟を、与党だけではなく、野党も含めて我々が示さなくてはいけないというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 そこはもう委員御指摘のとおりでありまして、今回の事案を重く受けとめて、先ほど御紹介した総理の指示も出て、それから、電子管理システムの話も含めてこれから我が省においては徹底をしていくということでありますが、同時並行的に、なぜこういうことが起こったかというものの調査を、私どもでやっているわけではありませんけれども、しっかりやっていただいて国民の疑念を晴らしていただくというふうに私も強く思っているところでございます。

佐藤(公)委員 私は、もっともっと大臣の率直な御意見、御感想、思いを聞かせていただきたかったのですが、少し期待外れに終わっているところがございます。

 この問題は大変な問題です。大臣の今までの記者会見等々を大体読ませていただきました。どうしても、魂のこもっていない、政治家としての御発言が余りない、そう感じるものですから、私は、大臣の純粋な政治に対する思いを率直に語っていただきたかったのですが、時間となりましたのでこれにて終わらせていただきますが、引き続き、どうか、先ほどからもお話ししましたように、困難な仕事に立ち向かい、頑張っていただきたいとも思いますので、ともにそこら辺はよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

伊東委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 御質問の機会を賜りまして、ありがとうございます。山岡達丸と申します。

 質問、いろいろ用意させていただいているんですけれども、その前に、今、佐藤委員がお話ししたことに関連して、私も一点だけお伺いさせていただければと思います。

 大臣が、今、お立場も踏まえながら、さまざま思いをお伝えされたものと理解しております。私自身のいろいろな経験、私は官僚出身の身ではないんですけれども、ただ、二回目の議席をいただく中、一回目の議席をいただいた中で、官僚の皆様とおつき合いをさせていただく中で非常に強く感じたのは、ああ、役所の世界というのは、文書の世界に生きているんだ、文書一言一言を大切にして、その文言一つに非常なこだわりを持って、そして決定した中身に対して、みんな忠実にそれを実現していくというか行動していく、これが役所の、官僚の世界の文化なんだということを強く、感動を覚えるほど感じました。

 当時、TPPの交渉に参加する、しないというような話の議論もありまして、大臣は経産省、通産省の御経験もあられようかと思うんですけれども、特に農水省、経産省というのは、文書をめぐってはそれこそ熾烈な争いといいますか、文言のこういう調整も非常にいろいろあったということを記憶しております。

 今回の問題は、もちろん国会と政府というか、そういう関係性もあるんですけれども、省庁間同士の信頼も揺るがしかねない、そうした問題につながるのではないかということを強く感じているところであります。

 そこで、大臣はいろいろ思いをお伝えされていたんですけれども、ガイドラインについての影響もお話もされましたけれども、いつまでにやはりこの問題というのはしっかりとはっきりとさせるべきか。それは、やはり一つの省を預かられている身として、自分たちのこの農水省にも極めて大きく影響する話として、そこの点について、大臣のお考えを伺わせてください。

齋藤国務大臣 まず、本件は行政全体の信頼にかかわる問題であります。そして、調査そのものは私どもが行っているわけではありませんので、なかなかいつまでと申し上げられないんですが、とにかく、できるだけ早く、そしてできるだけ明快に調査をしていただきたいというのが私の思いでございます。

山岡委員 例えば、今回の通常国会中には、この通常国会の中で起きた話でありますから解決すべきそうした問題だ、そのことが望ましい、そうしたお考えもあるかと思うんですけれども、大臣、そのあたりはいかがでしょうか。

齋藤国務大臣 国会中がいいかどうかは別にしまして、とにかく、できるだけ早く決着をさせていただきたいと思います。

山岡委員 ありがとうございます。

 大臣からもぜひ、一つの内閣の中で起こったということで、いろいろな御議論をされる場もあろうかと思います、そうした思いも閣内からもお伝えをいただきたいなという思いもお伝えさせていただきながら、私が用意させていただいた質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、質問に入らせていただいて申し上げさせていただきたいのは、大臣及び農水省の皆様に心から感謝を申し上げるということであります。

 私、二月二十三日にも予算の分科会で大臣に御質問させていただきましたが、二月四日から六日ぐらいにかけて、北海道においては五日から六日が一番多かったんですけれども、雪によって大変な大きな被害が出まして、農業用ハウスが五百個以上、雪が集中的に降ったということで潰れてしまう。これは北陸もそうでしたし、全国各地にこういうことがあって、全国の被害でいえば、農業用ハウスだけでいっても数千に及ぶでしょうし、ほかのさまざまなことに波及したということは思っております。

 私は、北海道の立場から、本当にそうした思いもお伝えさせていただいて、当時、大臣から非常に、当時はまだ情報を集約中だというお話もございましたから、具体的な事業のお話ではありませんでしたけれども、ですが、思いとして、やはり生産地を守らなければいけない、若い新規就農者やあるいはベテランの方もこれを機にやめてしまうようなことがあってはいけないという思いをお伝えいただきました。そしてまた、本当に、大臣から、そうした励ましの言葉もそうですし、野中政務官からは、御自身の御経験から、数年前にあった御地元の同じような被害に対しての思いと共感を得ていただいて非常に心強く思っておりまして、伊東委員長におかれましても、お会いさせていただいたときにいろいろお話しさせていただいて、同じ北海道ということでこの問題を重く受けとめているんだというお話もいただいたことに、本当に心から感謝を申し上げている。

 その上で、先日発表されましたけれども、総合的な大雪の被害に対する大綱をまとめていただいて、そして今、本当に、北海道で被災があった現場は、雪は、もちろん除雪のめどは、もう温度も上がってきて、当時ずっと手作業で、いろいろなボランティアが入って除雪も進んだんですけれども、撤去作業とか、そしてこれから設置しようという会議が、農家さんを集めて、例えば町とか農協さんを中心に説明会をやったりとか、そういう動きが今まさに行われているところでありまして、このタイミングでこうした事業をまとめていただいたというのは本当に現場としても力強く、そしてありがたく思っておりますので、このことをまず申し上げさせていただければと思います。

 その上で、やはりこの間の議論でもお話はありましたけれども、災害のたびにあるわけでありますけれども、いわゆる共済の問題もございました。

 これは、全国の平均はいろいろあるんでしょうけれども、私が被災地を回った限りにおいてはやはり半々、半分ぐらいの人は入っていても半分ぐらいの人は共済に加入していないという問題がございました。加入していれば雪が降ったときに一定程度の補償はやはり出るわけでありますし、大臣、この間の質問が終わった後におっしゃってくださいましたけれども、共済の制度に加入していれば情報収集も早いんだというお話もいただきました。本当にそうした必要性がある中で、この加入者がなかなかふえていかない、制度をよくしてもそのことが伝わっていかない、こういう問題もあろうかと思います。

 ぜひ大臣に、今回の大綱の、対策の御所見とあわせて、今、共済、こういう問題が起こっている、このことについて御見解を伺えればと思います。

齋藤国務大臣 今回の大雪被害を契機といたしまして、施設園芸を営む農業者の皆様にはぜひとも、農業用ハウスは経営に不可欠な生産施設でありますので、そのことを改めて認識していただいて、今後も起こり得る甚大な自然災害に対してみずから備えていただくという意味で、園芸施設共済に加入をしていただきたいと考えています。

 このため、まず、園芸施設の設置に係る補助事業等につきましては、これまでも一部の事業が園芸施設共済等の保険への加入を要件にしておりましたけれども、今後は全ての事業につきまして加入を要件化することを考えたいと思います。

 また、園芸施設メーカーに対しまして、農業者に園芸施設を販売する際に、園芸施設共済への加入を促してほしいという要請をすることも考えています。

 さらに、農業共済団体による未加入者への戸別訪問を引き続き実施することとしているわけであります。

 私、これまでの災害対策を累次にわたっていろいろなケースで行ってまいりましたけれども、いつもあるのは、共済に入っている人と入っていない人がどうしても被害を受ける方におられるわけでありまして、やはり入っていても入っていなくても同じ対策というわけにはいきませんので、そういう意味ではぜひ加入をしていただきたいと思っているわけでありますし、山岡委員は先日の分科会での質問でも、相当地元を歩かれておられますので、ぜひ委員におかれましても加入の推進に御協力いただけたらと思っております。

山岡委員 ありがとうございます。

 今回、事業の、おっしゃいましたけれども、要件でやはり共済加入、入るということを前提にする、共済じゃなくても、ほかの保険でもいいんですけれども、そのことは被災対策としては私は新しい、画期的なんじゃないかと思っておりますし、今回こういう対策を打ったんだから、これはやはり備えようということを、今おっしゃっていただいたとおり、私も地元を歩かせていただいてこれは伝えていきたい、その思いであります。本当にその思いも伝えさせていただきながら、こうした対策、手を打っていただいたことに心から感謝申し上げさせていただきます。

 この事業の実施に当たって、少し誤解もあるようでありまして、複数の事業が行われるということもあって、その中の一個には、規模拡大しなきゃいけないとか、転作しなきゃいけないとかいう事業も含まれていたようでありました。その中で、だったら、復旧なのに、規模拡大とかあるいは転作しなきゃいけないということじゃ、もとに戻せないじゃないかという声も私の事務所に届くということになりました。

 結論からいえば、そのメニューもあるし、いろんなほかのメニューもあるということになっているわけでありますけれども、せっかく総合対策を打っていただく中で、私のところは助けられないんじゃないかというような声も広がってしまっているというのが現状としてあったというのが、ここ最近のことでございました。

 この運用を的確に行っていただきたいという、その部分についての考え方と、あわせて、せっかくですから、野中政務官にも、ちょっとこの御所見も含めて伺えればと思います。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど先生からもお話がございましたが、今般の豪雪によって、御地元である北海道、また北陸地方を中心として、多くの農業用ハウスに損壊等の被害が発生した。それを受けて、三月十六日、農水省としまして、「大雪による被災農林漁業者への支援対策について」を公表したところであります。

 そのうちに、農業用ハウスの導入支援の一つでございますけれども、産地活性化総合対策事業、この中に、通常事業では措置していない特別な対策として、被災を機に作物転換や規模拡大等の前向きな取組を行う農業者に対して、ハウスの設置に必要な資材導入等の支援を行うものというふうに書いてございます。

 先ほど先生の懸念にございました規模拡大ということなんですが、私の地域でも大雪によって被災を受けました平成二十五年の、このときの規模拡大と今の規模拡大とはちょっと違いまして、平成二十八年度以前の自然災害のときは、二倍以上の規模拡大というのが要件でございました。そして、今般の対策でございますけれども、少しでも規模拡大を行うことを事業対象としてございます。

 いずれにしましても、先生の、また地域をめぐっていただいて、少しでも我々も現地の声を丁寧にお聞きし、対応してまいりたいというふうに思っております。

山岡委員 ありがとうございます。

 過去の事業と変わって、それこそ文言のことでありますけれども、やはり少しでもということで、さまざまな御配慮をいただいた、そうした要綱になっているものと思っておりますし、私からもお伝えしたいと思いますが、ぜひ農水省としても、誤解なく、皆さんがきっちりと、これは前向きに対応できる話なんだということをまたお伝えいただけるよう、運用をしていただければと思っております。

 今回、前回の質問でも申し上げましたが、いわゆる新規就農者の方が、若い人たちも含めて非常に、どうしても新規就農者の方は、お金を投資はしても、早く回収したいという思いで、共済への準備も足りなかったり、いろいろ意欲は持っていても、今回、そうしたこともあって大きな被災に遭ってしまったということもありました。事業で、いわゆる旧青年就農給付金という、今は農業次世代人材投資資金という名前でありますけれども、こうした新事業を四月に前倒ししていただいたり、いろいろ配慮はいただいているものだと理解しております。

 ただ、そもそもの新規就農者は、就農のリスクを減らそうということで、こうした直接支援の制度が五年間に限ってあるという中で、同じくリスクを減らそうという共済の制度、あるいはその他の保険でも構いません、今回の事業で行われた前例にのっとってもいいんですけれども、やはり新規就農者の方には、私は、これは提案でありますけれども、こうした直接支援を受けるのであれば、共済あるいはその他の保険制度に加入することを条件とする、前提とする、このことを、これを見直ししていく必要があるんじゃないか。見直しといいますか、改善していく必要があるんじゃないか、そのように考えます。

 大臣、ぜひこれは考えていただきたいんですが、御所見をいただければと思います。

齋藤国務大臣 大事な視点だと思います。

 今回の大雪被害で明らかになりましたのは、経営が確立していない新規就農者の方が、とりわけ自然災害に対する備えをあらかじめ用意しておく必要性が高いなということを認識いたしました。

 このため、今御指摘の農業次世代人材投資事業につきましても、施設園芸に従事する場合には、園芸施設共済等の保険の加入を要件化したいと思いますし、それから、その他の品目を生産する場合でありましても、農業保険への加入を促していきたいというふうに考えております。

山岡委員 大臣、ありがとうございます。

 確かに、施設園芸以外の部分も共済はありますから、これは共済の、特に建物に関しては施設園芸だということで、今そのことに絞ってお話もいただいたと思うんですけれども、やはりぜひ要件化すべきだと思います。今はっきり御答弁いただいたということは、本当に、そういう意味では、私の問題提起も生きていくという思いも、ありがたく思っておりますし、ぜひ、私も、今後、いろいろな制度の中身の状況が、いろいろ課題もあればまた御提案させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 あわせて、共済、これは建物等にも施設園芸の場合はあるんですけれども、今度始まります収入保険制度も、これは私は、もう時間も限られているので中身は全部はお伝えしませんが、非常に意義深いと思っております。

 青色申告の方に限るとはいっても、農業経営全体の収入に着目をして、まさに経営者としての視点を強く持てる、促せる、そうした観点もありますし、あるいは収量がふえればそれにちゃんと対応するという、過去のものだけに補償額を算定するわけじゃないという考え方も取り入れているようでありますし、やはり非常に、この制度を導入して広げていくことは意義あることだと思っております。

 ただ、先ほどのように、共済と同じなんですけれども、きちんと伝わらず、あるいはそういったことが皆様に理解していただけず、加入者が少ないという事態はやはり避けていかなきゃいけないと思っております。

 これはこれから始まる制度ですので、これからの計画について、ぜひちょっとこれは農水省にお伺いをさせていただければと思います。お願いします。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 三十一年の一月から収入保険制度を導入することになっておりまして、農林水産省でも、地域ブロックごと及び都道府県別の農業者等向けの説明会を開催いたしておるとともに、各地域におきましては、農業共済団体が、地方公共団体やJA等の農業団体と連携して、地区別の説明会、それから、青色申告が今回要件となっておりますので、青色申告に関する相談会を精力的に開催している等により、制度の周知に努めておるところでございます。

 また、農業者が、みずからのパソコンを使って、収入保険と既存制度の掛金や補填金についての比較を行ったり、規模拡大等の経営実態を反映した基準収入の計算を行ったりということができるシミュレーションソフトを公表しておりまして、この活用もいただいているところでございます。

 さらに、収入保険の実施主体となる全国農業共済組合連合会については、本年の四月の設立に向けて、農業共済団体の間で着実に準備を進めているところでございます。

 今後は、農業共済団体を始めとする関係機関との連携を図りながら、収入保険の加入を一層強めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 また今後、運用されていくに当たって課題があれば私からも申し上げたいと思うんですけれども、これはまだこれからでありますから、加入促進は、私も含めて頑張らせていただきますので、ぜひ取り組んでいただければと思います。

 残りの時間で、少し話がかわるんですけれども、経済連携と通商交渉について、最後、ちょっと大臣の御見解を伺わせてください。

 きょうも農業新聞に書かれておりますし、あるいはほかの報道機関でも書かれているわけでありますけれども、日米FTAについて、今盛んに報道が躍っております。これも、通商代表部、USTRですね、が関心を持っているとか、こうした報道もありますし、トランプ政権がいわゆる鉄鋼の輸入制限を示して、そしてちょうど同時に韓国の、米韓FTAがここで終結する見通しの中で、大筋合意の中で、この輸入制限は韓国には適用しないんだ、どうやら自主的にする、そういうような中身であろうかと思います。

 ただ、FTAを結んだところにはそういうようなことをして、ほかには広くこういう鉄鋼、アルミの輸入制限をするというような構えをしている中で、これはやはり日本として、日米のFTAというのがこれから、日本が望むと望まざると、アメリカ側というのはやはり仕掛けてくるんだ、仕掛けてくるという言い方がいいかどうかわかりませんけれども、言ってくるのであろうというのはもう明確であろうと思っております。

 ただ、まだ交渉に入っているわけでもありませんし、そうした状況でもありませんから、交渉に参加する、しないとか、その方針は政府全体で決めることであろうとは思うんです。ただ、今、北海道もそうですけれども、いわゆるTPPとかあるいは日・EUとか、いろんなそういう交渉の中で、農家さんも非常に不安も広がり、またかというこの報道を受けての思いもあられようと思うんです。

 ですから、ぜひ伺いたいのは、こういう日米FTAがどうとかそういうことではなくて、こうした経済連携協定とかあるいは通商交渉がこれからも行われるであろう、特に厳しいアメリカとか、そうした要求をしてくるであろうという国々がいる中で、大臣は、設置法を私も読ませていただいても、いわゆる農林水産業の発展とかあるいは農林漁業者の福祉の増進、農山漁村や中山間地域の振興など、そうしたことも所管されている大臣であるわけであります。

 ですから、今こうした報道も躍っている中で、日米FTAも含めて全体の中で、一次産業、農林漁業者の皆様、そして農村地域、どのように守っていく、どのような決意か、このことを大臣にこの機会にぜひお伺いさせてください。

齋藤国務大臣 まず、日米のFTAのお話につきましては、これはまだ仮定の質問になると思いますのでお答えは控えたいと思いますけれども、ただ、今後の日米の経済関係ということについては、今、日米経済対話の中で、どのような枠組みが日米経済及びアジア太平洋地域にとって最善であるかを含め、建設的に議論していくということになっております。この対話の中では、当然のことながら、農林水産省としては、我が国の農林水産業の維持発展を旨として対応していくということだと思います。

 あと、一般論としてという御質問でありましたので申し上げますと、我が国の経済の成長を考えると、今までも、TPPですとか日・EUですとかTPP11ですとか、RCEPというのも今交渉中でありますが、こういう経済連携を進めていくということは必要なんだろうと思いますが、一方で、だからといって日本の農林水産業がどうなってもいいと思っている国民も私はいないと思いますので、そういう通商を進めていくと同時に、私は農林水産大臣ですので、農林水産業がその生産基盤をしっかりと維持して発展できるように、農林水産大臣として断固として取り組んでいくということは申し上げさせていただきたいと思います。

山岡委員 大臣、ありがとうございます。大臣として、これは発展、そしてそうした維持もきちっと努めていきたいという強い決意もいただきました。

 もう時間が参りました。きょうは時間もタイトでありますので、これにて質問を終わらせていただきますが、ぜひ今後ともさまざま議論を重ねさせていただければと思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 先月、私の地元の飯舘村の議員の皆様が要望書を提出されました。飯舘村は、東日本大震災原発事故後、全村避難ということで、大変いろんな課題を乗り越えながら今に至ってこられています。

 昨年の春には、帰還困難区域を除いて避難指示が解除されました。それでも、ふるさとを再生させるためのさまざまな施策というものが必要になってきているということと、当然のことながら、村内での営農再開を目指す方々もおいでですけれども、いろんな課題がある。本当に困難きわまりないという状況にもあります。

 その中で、里山とともに生活をする飯舘村の皆さんにとっては、里山と森林域の放射線量低減措置と、そして林業の再生対策が重要な課題となっています。住環境と隣接している森林の林縁部から二十メートルを超える部分については、国において、除染、放射性物質対策の計画はいまだ充実されていないという状況で、帰村を望みながらも迷っている村民の皆さんの帰村意思の決定を阻害しているというふうに言わざるを得ません。

 このような中ではありますけれども、旧避難区域の里山の再生と地域の再生のためには、繰り返し申し上げますが、放射線量の低減に向けた、実効性のある、そういう措置が必要になってきているということと、そして林業再生には、放射性物質対策と森林整備を一体的に行うことが必要であります。取組についてお伺いします。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

齋藤国務大臣 先日、二月十六日の金曜日に、飯舘村の菅野議長を始め皆さんが大臣室にお越しになりまして、現場の様子と御要請をいただきました。

 原発の事故で被災した福島の森林に関しましては、復興庁、農林水産省、環境省の三省庁で、二十八年三月に、福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組というのを取りまとめて、それに基づいてそれぞれ対策を講じているわけでありますが、農林水産省では、住居周辺の里山、これの再生が大事だということで、それに向けた取組、あるいは、森林整備とその実施に必要な放射性物質対策を行う取組の継続的な実施等を今関係省庁と連携しながら進めているところであります。

 御案内のように、森林の放射線低減対策というのは非常に難しい事業であるわけでありますけれども、農林省も、これらを、今申し上げたことを確実に進めるために、平成三十年度予算案におきましても所要額を盛り込んでいるところであります。引き続き、関係省庁及び福島県等と連携をしていくことも大事でありますし、飯舘村を始めとした福島の森林・林業の再生に向けた取組というのもありますので、それを積極的に進めてまいりたいと考えているところであります。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

金子(恵)委員 里山と一体となって暮らしてこられた飯舘村の皆様でいらっしゃいますし、そして、その里山から山の恵みを享受してきたということだというふうに思います。それをいかに再生していくかということは、これからの村としての再生にいかにつなげていくかという本当に重要な課題でありますので、ぜひしっかりと取組をしていただきたいと思います。

 そして、今、里山再生モデル事業というのが行われているわけなんですけれども、これについても、三年間のモデル事業だったと思います。そして、これはモデル的に進めているだけで、その後、ではどういう形で本当に森林を再生していくのかということがまだ明確に決まっていないわけです。ですので、本当に、これからも長期的に寄り添っていただく、そういう姿勢が必要だというふうに思いますので、その部分についてはぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。一言、何かあれば。

齋藤国務大臣 里山の再生に向けたモデル事業も、現在まで十四カ所指定させていただいて、モデル事業として行っているわけでありますが、それで、モデルで終わりということでは当然ありませんので、その結果を踏まえてしっかり対応していきたいと思っております。

金子(恵)委員 引き続き福島県の課題でありますけれども、前にも分科会などでも質問させていただきました。福島復興再生特措法に基づいた形で調査をなされたということでありますけれども、福島県産の農林水産物等の風評被害の払拭に向けての流通そして販売等の実態調査を行ったということでございまして、ちょうどこの委員会が開かれている十時でしょうか、プレスリリースがされました。やっとこの結果が出たということで、お約束のとおり、三月中にはというふうにおっしゃっていましたので、そのとおりに結果が出たということで、私の手元にもそれが届いております。ネットにも上がっているということですので、皆さんごらんになれるというふうに思いますけれども、実際にこの結果をどういうふうに捉えていらっしゃるかということをお聞きしていきたいというふうに思います。

 例えば、ちょっと私、これはまだ全て目を通しているわけではないんです、手元に届いたばかりですので。しかし、やはり消費者の一部には、依然福島県産のイメージとして安全性に不安があるという意見があるということは間違いのないようなことでありますし、また、福島県産の取扱いということも、米、牛肉や高価格帯の贈答用の桃については、福島県産の取扱いが十分に回復していないということが示されているということであるとか、いろいろとやはり課題はあるなというふうに感じます。

 大臣、この結果をどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

齋藤国務大臣 福島県産農産物等の風評被害の実態調査につきましては、昨年五月に施行された改正福島復興再生特別措置法に基づきまして、本年度初めて実施をいたしまして、今委員御指摘のように、本日十時に公表をしたところです。金子委員の質問に間に合うようにということで公表させていただきました。

 調査では、福島県内のほか首都圏、関西圏を中心に、米、畜産物、これは牛肉等ですが、それから青果物、桃、キュウリ等ですね、それからキノコ、水産物はヒラメ、コウナゴ等の計二十品目につきまして、生産者、卸売業者、小売業者、外食、中食業者等に対してヒアリング等を行ったほか、消費者に対してもアンケート調査を行っております。

 調査結果といたしましては、まず全体として価格水準は震災前の水準まで回復していない、それから、消費者からは福島県産という理由でのクレームは現在ほとんどないけれども、小売業者の段階で、一度他県産に切りかえた米や牛肉等につきまして、福島県産に戻す理由やきっかけが見出しづらいといった実態が浮かび上がってきているわけであります。

 こうした実態に即して、福島県産の米や牛肉では品質面で値ごろ感が強くなっておりまして、外食、中食等の業務用の需要が強まっているということもあります。仕入れ価格が固定化するために、取引価格の上昇がこの結果見込みにくいという課題も挙げられております。

 農林水産省としては、今回こういう調査結果が出ましたので、この調査結果を踏まえて、関係省庁と協力して関係者への指導助言等を適切に行って、福島県産農産物等の風評被害の払拭に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 その指導助言の方法ですよね。もちろん、上から押しつけるということではないというふうに思います。やはり福島県産の農産物の安全性をしっかりと御説明していくということに尽きるんだというふうにも思いますが、でも、やはり気になるのが、今もお話がありましたけれども、仲卸業者、卸業者の方々の扱いを減少させている理由として、例えば、販売先による別産地の指定がもうあるから、販売先が福島県産以外を希望している、売行きが悪いためということとか、いろいろとそういう理由があるわけですね。ですから、中に入ってくださる流通のさまざまな段階でその理由が違ってきているし、消費者の方々は随分理解を示してくださっているというようなことではある。

 でも、実は、福島県の米というのは全量全袋検査をしているということであります。ですから、私は、日本一安全な米をつくっている、そしてそれを出荷しているというふうに思っていますけれども、それでも、米についても、安全性に不安があると答えた消費者の方々が一八・二%、二割弱いらっしゃるということであります。ですので、本当に丁寧な取組ということがこれから必要になってくるというふうに思います。ぜひその部分についてはお願いしたいと思います。

 その一方で、実は、今米の話をしましたけれども、福島県は県産米の全量全袋検査を行っているということを今申し上げましたけれども、早ければ二〇二〇年には抽出検査に移行する方向性であるということを示したんです。

 原発事故後、避難区域が設定され、現在営農が再開された地域では、当面、全量全袋検査を継続する方針であるということではありますけれども、このような形で、全量全袋検査を全域でやっていた福島県産米ということで今まではPRをしていた、そして、御理解をいただこうということで本当に努力を積み重ねてきたわけです。その上で、多くの方々に理解を示していただくという方向づけができていると私は理解をしていました。それでも二割近くの方々は安全性に不安があると言っているわけなんですけれども、このような形で今度は検査体制も見直しということになっていくと、今後、これまで以上に、消費者の方々とか流通業者の方々にしっかりと理解を促していく、そういう取組というのが必要になってくるんだというふうに思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 まず、今回の風評被害の実態調査については、これから関係者への指導助言等についてどのように行っていくかは、関係省庁と協力しながら行っていくことになると思いますけれども、その過程において、御指摘のように、消費者にどうするか、小売業者にどうするか、それから卸、仲卸業者の皆さんに対してはどうするかというきめ細かい視点からこの指導助言のあり方を考えていきたいというふうに思っております。

 それから、全量全袋検査体制の見直しについての御指摘がありましたけれども、福島県では、県産米の安全、安心の確保のために、食品の基準値、一キログラム当たり百ベクレルですが、これを超える米が流通しないように、国の支援を得ながら、カリウム施肥による放射性セシウムの吸収抑制対策を実施した上で、福島県の自主的な判断により、二十四年産米から全量全袋検査を実施しておりまして、その結果、二十七年産米以降、三年連続して基準値の超過はないという状況に今至っているわけであります。

 このような全量全袋検査の実施状況を踏まえて、福島県が米の全量全袋検査の今後の方向性に係る検討会をこれまで三回開催して検討を行った結果、三月二日、三十年二月県議会におきまして、通算で五年間基準値超過が出ていない時点を目途にモニタリング検査に移行する等の方針を表明された、まさにそのおっしゃる検査体制の見直しのことだと思いますが、これは、福島県におきまして関係者による議論を重ねられた結果でありまして、農林水産省としては、この福島県の方針を尊重するとともに、今後新たな風評被害が起こらないように、モニタリング検査に移行後も国の放射性物質検査ガイドラインに基づいて安全性が確保されることを、今御指摘ありましたように、国内外にしっかりと情報発信をしていきたいというふうに考えております。

金子(恵)委員 県で決めたことを全否定するつもりはありませんが、でも、このような、検査体制を見直しをすることによってまた新たな風評被害が起こってはいけないということでありますので、そうであれば、しっかりと国としてもそこをウオッチしていただいて、よりよい方向で風評被害対策をしていただくということをお願い申し上げたいと思います。

 種子法の廃止の課題とか、もう少し質問したかったんですが、時間が参りましたので、きょうはこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 諫早湾干拓工事について、きょうは干拓農地のことについて、さまざまな問題について質問をさせていただきたいと思います。

 国営諫早湾干拓事業は、二〇〇八年から経営体等によって、貸付けがされ、今、十年たっていますが、農業が行われているところであります。

 まず最初に、大臣に伺います。

 営農地は長崎県農業振興公社において所有、運営されているわけでありますけれども、国は、つくったらおしまいではないと私も考えております。巨費を投じてつくったあの干拓農地について、あるいはそこで行われる農業について、農水省は、大臣は、どのように考えておられるでしょうか。

齋藤国務大臣 実は、昨年十一月に現地を視察させていただいておりますが、その際、諫早湾干拓の造成農地における営農状況を、御説明を伺い、拝見をいたしました。

 そのとき、レタスとかキャベツなど、大規模な環境保全型の畑作農業が展開されているなと。そして、その中で、香港等への輸出に取り組まれたり、グローバルGAPの認証を取得しましたというお話も伺って、持続可能性を追求した生産を行っている法人がおられるということも視察で目の当たりにしてまいりました。農業者が、大規模で平たんな優良農地で意欲的に営農に取り組まれているなということをそのとき実感いたしました。

 この造成農地は、今御指摘のように、長崎県農業振興公社が国から土地配分を受けて、農業者へ貸付けをされているというものであります。したがって、一義的には、当該農地に係る課題については、農地を所有する同公社において、農業者の皆さんとともに検討されるべきものではありますけれども、農林水産省としては、造成農地における農業振興に向けて御相談、要望がありましたら、長崎県や諫早市と連携して、しっかり対応を検討していくというふうに考えているところでございます。

田村(貴)委員 それで、対応を検討していただきたいことがたくさんあるわけなんですけれども、この間、干拓農地ではたくさんの問題が生じています。その一つが、カモによる食害であります。

 資料1をごらんいただきたいと思います。

 諫早の営農地でおととい私が撮ったものでありますけれども、この霜よけシートを破って、カモがレタスを食べているわけであります。食いちぎられています。そして、大根の葉っぱは生育途中で食べてしまうと生育がとまってしまうということで、被害のなかったものと比べると、ごらんのとおりというような状況であります。

 このほかに、ブロッコリー、ナバナ、キャベツ、チンゲンサイ、コマツナ等の野菜がやられている。カモにも嗜好があって、ホウレンソウとかネギは食べないということであります。

 営農者によれば、こうした食害はもう五、六年前から起こっているということであります。きのう、きょうの話ではありません。

 一昨年、二〇一六年度の食害被害は、全体で約二千三百万円というふうにも公表されています。国や県に損害賠償を求めて提訴した農業生産法人の二社は、ことし四千万円の被害が生じているというふうにも述べておられます。

 そこで、農水省にお伺いします。

 農水省は、干拓地における食害の調査をされていますか。あるいは、食害の原因や被害の実態について詳細は把握されているでしょうか。

荒川政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生からお話ございました、諫早干拓地におけるカモの被害の実態でございます。

 私ども農林水産省は、諫早湾に限らず、都道府県の御協力をいただきまして、毎年度、野生鳥獣による農作物の被害状況調査というものを実施しているところでございます。

 諫早湾干拓地を含めた諫早市全体でのカモによる被害額というのを頂戴しておりますが、それまではなかったのでございますが、二十五年度に初めて諫早市でカモによる被害というものが報告をされたところでございまして、そのときは被害額は二十万円だったというふうに承知しております。

 その後、先生お話ございましたが、二十八年度に約二千三百万円ということで、急増している状況を認識しておるところでございます。

田村(貴)委員 全国的にはカモの食害は減っている傾向にあるというふうに私聞いているんですけれども、ここではふえているということであります。原因究明が待たれるところなんですけれども、ぜひ関心を持って対応に当たっていただきたいというふうに思います。

 一つ飛んで、資料3なんですけれども、環境省から出してもらった、ここ三十年間の諫早湾におけるカモ類の観測個体数であります。たくさん数字が並んでいるんですけれども、毎年数万羽のカモの個体が観測されているということであります。

 環境省にお伺いするんですけれども、水鳥にとって、諫早湾の生息環境というのはこの間ずっと変わってまいりました。潮受け堤防ができた、そしてその堤防も閉まってしまった、そして調整池もできたという環境の変化の中で、この個体数、カモの生息というのはどういうふうに見てとれるでしょうか。

米谷政府参考人 環境省では、我が国で越冬するガン、カモ、ハクチョウ類の生息状況を把握するため、都道府県に依頼して、毎年一月に全国一斉調査を実施しています。

 調査地の一つである諫早湾においては、昭和六十三年度より継続して調査を実施しているところでございます。

 調査日の天候等の条件で数の増減はありますが、過去三十年の調査において、諫早湾においては、少ない年で約八千羽、多い年で約七万羽のカモ類がカウントされています。

 なお、諫早干拓事業による潮受け堤防の締切り前の九年の平均で約三万四千羽、締切り後の九年の平均で約二万四千羽のカモ類がカウントされ、平均で減少が見られたものの、直近の十年の平均では約三万八千羽のカモ類がカウントされ、回復傾向が見られているところであります。

 これらの個体数の変化はありますが、干拓事業との因果関係については、現時点でにわかに判断することが難しいという状況でございます。

田村(貴)委員 諫早のカモは干拓工事前からたくさん飛来してきた、全体として見れば余り変わっていないというような話であったというふうに思います。

 もともとこの諫早湾には多数のカモが生息していたということで、そこに農地ができたわけなんですよね。ここで生息するカモにとって餌は重要であり、農地ができてそこでおいしい野菜ができることによって、その餌として野菜をついばむことになっている。言ってみれば、この食害というのは、干拓営農地づくり、干拓事業の過程の中で起こった必然の流れであるというふうに私は捉えているわけであります。

 この表は、カモは二つに分けられて、海カモとそれから陸カモ、食害を及ぼすのは陸カモなんですけれども、黄色を陸カモ、水色の方を海カモというふうに識別をしました。

 この陸カモの個体数はどうなっているでしょうか、マガモ、カルガモ、オナガガモ、トモエガモなどの陸カモの個体数。営農開始の二〇〇八年と二〇一八年の個体数を教えていただけますか。

米谷政府参考人 ガンカモ調査の結果で、マガモ等のいわゆる陸ガモは、二〇〇八年に千六百十五羽がカウントされています。二〇一八年は、暫定値ですが、一万七十二羽がカウントされているところでございます。このうち五千三百九十四羽は、これまでの諫早湾での調査で観察記録がなかったトモエガモが占めているという状況でございます。

 なお、渡りの時期やルートの変動、調査日の天候等の条件でも渡り鳥の数の増減があるところであり、単純に単年度ごとの比較はできないと考えておるところでございます。

田村(貴)委員 今のお話をグラフ化したのが資料4であります。

 陸カモの個体数は営農開始とともにふえて、最近は急増しています。その習性と食害との因果関係については解明されなければならないわけですけれども、この陸カモが急増している、諫早湾の干拓地において急増している、諫早湾において急増しているということは重要なことであります。このカモが農地を餌場とするならば、これは重大問題になってまいります。

 そこで、農水省にお伺いします。

 被害は長く続いているわけでありますけれども、対策は今からだということなんですね。大規模農業でありますから、その被害額についても半端ではありません。収入は減る中で、リース料や土地改良賦課金で営農者は一ヘクタール当たり二十七万円払わなければならないということであります。

 被害農家の悩み、要求に対して自治体、公社と一緒に耳を傾けて、原因の究明と対策にしっかりと国としてかかわっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お話ございました諫早湾干拓農地のカモ被害でございますが、先ほどもちょっと御答弁させていただきました、二十五年度に初めて被害報告を私どもいただきまして、その後も低位で推移をしておったんですが、二十八年度に二千三百万円ということで急増しておるということで、原因究明も含めて、被害対策、これからしっかりやっていかなきゃいけないというふうに認識をしておるところでございます。

 諫早市におかれましては、まず個体数を減らすという意味での銃による捕獲はもとよりでございますけれども、農作物を守るための不織布等を作物に直接被覆する形でのべたがけ、先ほど先生の資料にございましたけれども、ああいったもの、これも不織布の種類によっていろいろな効果があり得るということで、そういったものを実施していただいたり、あるいは、吹き流しといいまして、棒の先にひらひらをつけてというようなことをしっかりやっていくというようなことだと思っております。

 また、最近、長崎県といたしましては、カモの天敵でありますミミズクの鳴き声を利用しましたカモの追い払い装置の設置ですとか、それから、ドロップネットといいまして、そういうものをしっかり長崎県の方でも取り組んでおられるというふうに承知をしております。

 我々、鳥獣被害防止対策総合交付金がございますので、この交付金を使いまして、県、市とよく相談をしながらやってまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 それが功を奏していない、そして本格的な対策は今からだ、自治体もそういう状況なんですよね。だからこそ知見のある農水省がしっかりかかわっていただきたいということなんです。わかっていただけたと思います。

 最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、食害だけじゃないんですよね、干拓営農地。

 資料2に戻っていただきたいんですけれども、これはちょっと畑の土とは見えないんですけれども、これは土なんですよね。トラクターが通った後、排水不良があって、雨が降っていないのに水がたまったままである。こうしたところでつくった大根というのは、生育が、伸びない。それから、調整池、これは海流が流れてきませんので、調整池そのままですから、冬は外の気温よりも数度低い、二度から五度ぐらい低いといったところで、凍傷、大根でいうと、土の部分に出たところの皮がめくれる。こんな被害があるわけであります。食害に加えて冷害、それから排水不良と土壌の問題、こうした問題があるわけなんです。

 大臣、去年の記者会見、十一月に、優良農地というふうに評価されたんですけれども、一概に優良農地ではないんじゃないかと私は思うわけですけれども、いかがでしょうか。

 せっかくつくった農地であります。ここでの農業生産と振興、私もそういう同じ思いを持っています。ただ、障害がある。農家と農業経営体が今苦難に直面をしているわけであります。農水省は、しっかりと、つくった立場でありますので対策と支援を尽くすべきだと思いますけれども、短い時間で私主張させていただきました、大臣、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 諫早湾干拓の造成農地における推定農業産出額は、平成二十年度の約二十億円から平成二十八年度には約三十八億円へと着実に増加をしてきておりまして、生産性が高くて実需者ニーズに対応した営農が全体としてはなされているのではないかと認識をしておりますが、ただ一方で、さまざまな問題があるのも、それは現実としてあるわけであります。

 今、諫早湾干拓の造成農地は、調整池を水源としたかんがい用水を完備した、大型機械による効率的な農業が可能な標準区画六ヘクタールの平たんで大規模な農地でありますので、優良農地であると考えております。

 しかしながら、営農者から圃場の排水対策、先ほど絵を見せていただきましたけれども、排水対策について要望があったので、平成二十八年に長崎県農業振興公社が造成農地の排水不良に対するアンケートや営農者への聞き取り調査を実施いたしまして、約三割の区画で排水不良との結果を得たというふうに聞いております。

 その後、同公社が現地調査をいたしましたところ、諫早湾干拓事業の欠陥ではなく、地盤沈下や営農上の排水管理の問題があるということがわかって、現在、同公社において、農地に緩やかな勾配をつけるための工事を行うなど、対策に着手をしているというところでございます。

 農林水産省としても、先ほど申し上げましたが、造成農地における農業振興に向けて相談や要望があれば、長崎県や諫早市と連携して対応を検討していきたいと考えているところでございます。

田村(貴)委員 わかりました。

 二千五百三十三億円、巨費を投じての諫早湾干拓工事、これは海に対しては取り返しのつかない被害も起こり、そして異変を起こしました。おかにおいても、農地においてもこれだけの問題があるわけなんですね。

 全てが干拓事業、国策から始まった事業であります。私は、海にも、そして畑にもたくさんの問題があるというふうに思います。この問題から農水省はしっかりと逃げないで向き合って、目に見える対策を打っていただきたいというふうに思います。

 きょうは以上で終わります。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も、農水委員会での質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 早速ですが、質問に入らせていただきます。

 十五日の質疑の際に、平昌オリンピックで話題となったイチゴの品種の保護に関しまして質問をさせていただきました。農家の方や種苗メーカーが苦労してつくった品種が勝手に使われ、その方々の利益が失われるだけでなく、国益の損失になるということで、対策の強化をお願いいたしました。

 品種の保護はしっかりしないといけませんが、流通面でも課題があると思いましたので、お伺いをします。

 日本にはおいしいイチゴがたくさんあります。今では、毎年のように新品種の名前をスーパーなどで目にすることも多くなりました。また、今の季節、イチゴ狩りに行くと、大変甘くておいしい、傷一つないイチゴを何種類もいただくことができます。

 しかし、スーパーに多く並んでいるものを食べると、酸っぱさを感じ、甘みも少なく、買った次の日には周りがやわらかくなってくるようなものもあります。かたいうちに収穫をしておく必要があるともお聞きしました。せっかくの優良な品種のよさも、消費者の方々には十分に実感できていないのではないでしょうか。

 そこで、お伺いします。

 おいしいものをおいしいまま食卓に届けるためには、流通面でも対策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者に新鮮な果物等の生鮮食料品を届けるための流通面の取組としましては、生産地から消費地への輸送を効率化するとともに、流通ルートにおける保冷管理を徹底する、いわゆるコールドチェーンを確保することが重要と考えております。

 このため、農林水産省におきましては、平成二十九年度補正予算に食品等物流効率化システム導入支援事業を計上いたしまして、トラック予約受け付けシステム等の情報通信システムの導入支援によりまして、物流施設での荷おろし待ち時間の削減等を促進しているところでございます。

 また、三十年度予算におきましては、食品流通合理化促進事業という事業を計上させていただいておりまして、農産物流通において、段ボールや紙袋のばら積みからパレット積みに転換をしていく、こういう取組の実証への支援によりまして、トラックへの荷積み、荷おろしの効率化を進めるとともに、流通ルートにおきます保冷施設等の導入への支援によりまして保冷管理を推進することとしております。

 また、強い農業づくり交付金におきまして、卸売市場におけるコールドチェーン対応施設等の整備を支援することとしてございます。

 加えまして、この国会に提出をさせていただいておりまして今後御審議をいただきます卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案におきまして、物流コスト削減等の流通の効率化や、コールドチェーンの整備等の品質、衛生管理の高度化等を更に促進するための内容を盛り込ませていただいているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 おいしいものがおいしいまま消費者に届くようになると、再度購入してもらうことができるはずです。生産額を増加させるためにも、味、鮮度を落とさない流通は非常に重要だと思います。今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 私の地元選挙区の京都府でも、放置竹林が問題となっております。戦後は収益性の高いタケノコ経営が盛んでしたが、近年は、輸入タケノコの増加や竹製品の利用減少、また、ここでも担い手の減少などで放置される竹林がふえております。

 地域の方々やボランティア、また府立の農業高校などではさまざまな取組をされていますが、放置竹林の整備方法については手探りのケースが多い状態とお聞きしております。竹の葉や地下の茎まで使い、全てを資源として利活用できる取組を地域は目指しております。

 そこで、伺います。

 竹林整備の課題についてお聞かせください。

沖政府参考人 お答えいたします。

 竹は、昔から身近な資材といたしまして生活に利用されてきました。しかしながら、代替材の普及とか安価な輸入品の増加等によりまして利用が減少いたしまして、管理不足の竹林が多く見られるようになってきております。

 竹林の管理不足によりまして竹林が荒廃いたしますと、景観の悪化、隣接施設への倒伏によります支障、損害、こうしたもののほかに、周辺の森林へ竹が侵入いたしまして植栽木の生育を阻害するなどの悪影響が懸念されております。

 このため、竹林の管理不足に対しましては、その悪影響を受ける森林施業の事業者や地域住民がそれぞれの立場で対策を講じていくことが重要でございまして、そのために必要な資材の手配、資金面での手当て等が課題となっていると承知しております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 私も以前ボランティアに参加させていただいたことがありまして、放置竹林の伐採等のボランティアをされている方々の高齢化の問題もお聞きしました。また、地域でボランティアを募るにしても限界がありますし、追いついていかないのが現状かと思います。

 竹林を守るためにも、地域の取組への支援を国として行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 森林への竹の侵入が拡大することによりまして、景観が悪化し、また、周辺の森林の生育阻害などの悪影響が懸念されるところでございます。林業生産活動を通じました森林整備に加えて、地域住民によります森林の保全管理の活動などの対策を講じていくことが重要と考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、森林整備事業により、間伐等とあわせて竹の伐採に対する支援を行うほか、森林・山村多面的機能発揮対策によりまして、地域住民等が里山林を保全するために行います侵入竹の伐採、除去などへ支援を行っているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 国としてもしっかりと御支援をよろしくお願いします。

 では、次の質問に移ります。

 平昌オリンピック・パラリンピックつながりで、もう一問質問をさせていただきます。

 平昌オリンピック・パラリンピックでは、多くの日本人がメダルを獲得し、大活躍をされました。週末には御地元で凱旋パレードがあり、皆様も感動がよみがえったことかと思います。

 私としても応援をしております、障害者であっても活躍できる社会づくりは大変重要です。そして、真に必要な方にしっかりと支援をする、それが国として目指す姿かと思います。

 先日、地元で障害者フライングディスクとボッチャをしてまいりました。皆さんと一緒になり、真剣勝負をしてまいりました。

 また、地元では、障害のある方の自立を支援している京都ほっとはあとセンターの方からいろいろお話を聞いてまいりました。障害者の方が、農家に出向き農作業や、企業、団体からの下請作業、委託業務を受けていたり、宇治茶の挿し木育苗の研修をして、今では営業、販売までされているようです。高品質な物づくりにも挑戦し、次の段階として、マッチングを図ったり、他農家や事業者とのコラボチーム制で多品種な野菜づくりなど、地域で支える農業をされています。先ほど放置竹林の質問をさせていただきましたが、放置竹林で伐採された竹を使い、竹炭を使用した商品をつくり、販売したり、竹を使った商品の開発に努力をされております。

 このように、農業現場でも障害のある方々が参入できる、しっかり就農できる環境づくりをしていただきたいと考えておりますが、農水省では、農業現場における障害者の雇用や就農についてどのようにお考えでしょうか。また、どのような支援を行っていますでしょうか。教えてください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から、農業における障害者雇用につきまして御質問をいただきました。

 農林省におきましては、農業における労働力の確保という面ではもとよりでございますけれども、障害者の方々の働く場の確保という観点からも、農業の分野と福祉の分野がともにウイン・ウインになる取組であります農福連携、この取組は大変重要だと思っておるところでございます。

 今、京都府の御事例がございましたけれども、私どもでも優良事例を把握いたしておりますが、京都府の京田辺市で、障害者の就労支援事業所、さんさん山城というところがございます。これは、今先生お話ございましたほっとはあとセンターとも連携をしながら活動されておると承知をしております。

 このさんさん山城におかれましては、廃園になるかもしれない、その予定の、廃園が見込まれる茶園を継承されまして、お茶の栽培、加工、販売を通じて遊休農地化を防止するというような取組とともに、コミュニティーカフェの運営などもなさっておられて、こういった取組によりまして、障害者の方の就労を確保しているといったようなことが行われておるところでございます。ここの事例では、平成二十八年度で延べ四千二百五十人の障害者の雇用が確保されたというような事例でございます。

 農林省といたしましては、こういった農福連携の取組を全国で進めてまいりますということで、障害者の方が農作業に従事する上で、従事しやすいような福祉農園を整備するとか、ハウスを設置するとか、あるいは農産物加工場の施設整備、こういったものに支援をいたしますとともに、障害者の方が実際に働く現場で働きやすいように、マニュアルを作成したり、研修を通じて技術指導を行ったりするソフト面での支援、こういったものを両々やらせていただいておるところでございます。

 今後とも、厚生労働省としっかり連携をして取り組んでまいりたいと思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 農水省としても、しっかりと御支援をお願いしたいと思います。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。

 幼少期からの農業体験の取組についてお伺いします。

 先日、電車の中で広告を見ていまして、とても興味のある教育方針が書いてある小学校が目にとまり、よく見ていくと、東京農業大学の小学校でした。初めて農業大学系での開設かと思っております。

 小学校から将来の人材育成を目指し、東京農大の備えた施設や人材といったリソースを最大限活用することで、食育や生き物との触れ合いなど、独自カリキュラムを考えているそうです。現時点での案でしょうけれども、今、小学校では高学年になってから行われる家庭科の授業も、低学年から導入されるような感じでした。食育及び食の安全に対する教育も早い段階から実施をしていただきたいと心から思っております。

 農大だから農水委員会というわけではございませんが、土いじり、野菜づくり、生き物から学ぶ生きた教育は、幼いころから必要だと感じております。

 都内の幼稚園、保育園では、最近ではお芋掘り遠足を行うところも少なくなってきているようです。都内の小学校では、近くの農地をお借りして野菜づくりをしているところもありますが、つい最近、知り合いの下町地域の小学校ですが、長い間お借りしていた農地にマンションが建つことになり、農園授業がなくなると聞きました。夏には保護者の方々も手伝い雑草を抜いていたのが懐かしい思い出になる、農園授業がなくなるのは残念だと話されていました。

 そこで、幼少期からの農業体験に対する農水省の取組を教えてください。

齋藤国務大臣 幼少期におけます農林水産物、食品の生産等の現場の体験というものは、日本の食や農林漁業に対する理解を深めて、次世代の農林水産業等の担い手の育成にもつながる重要な取組だと考えております。私の地元でも各種取組が行われておりまして、絶対に食べなかった野菜も自分でつくると食べるようになったとか、いろいろな効果があるわけでありますので、重要な取組だと考えています。

 食料・農業・農村基本計画や食育推進基本計画でも、この農林漁業体験機会の提供というものをしっかりと位置づけておりまして、農林水産省におきましても、農林漁業体験に際しての講師になります生産者の皆さんや、あるいは機器を借りるときの費用を支援するとか、体験活動を支える食育ボランティアの育成への支援をさせていただくとか、それから、体験ができる場所等について農林水産省のホームページで公表するとか、そういう取組を行っているところでありますので、こういう取組を通じて、農林漁業体験を通じた食や農林水産業の重要性等の理解を幼少期から増進していきたいと考えているところでございます。

森(夏)委員 丁寧な御答弁ありがとうございました。

 次世代の農業の担い手となるような若者を育てるためにも、幼少期からの農業体験は大変重要だと思います。ぜひ、今後とも、政府の方でも御支援のほどよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

伊東委員長 次に、内閣提出、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣齋藤健君。

    ―――――――――――――

 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

齋藤国務大臣 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明いたします。

 農業の成長産業化を図るためには、農地中間管理機構による担い手への農地の集積、集約化を進めるとともに、新技術を活用して農業の効率化、高度化を進めることが必要であります。

 しかしながら、相続されても登記がなされていない農地等が全農地の約二割を占めておりますが、これらの農地は、共有持分を有する相続人の全貌の把握ができず、利用権の設定に必要な共有持分の過半の同意を得ることが困難であるなど、農地中間管理機構を通じた集積、集約化を進める上で大きな課題となっています。

 また、農業の技術が進歩し、かつ、就業者数が減少する中で、品質や収量の向上、農作業の負担軽減のために新技術を導入する必要から、農業用ハウスの床面をコンクリート等で覆いたいという農業者の要望が出てきていますが、現行の農地法では、農地転用の許可を受ける必要があります。

 こうした状況を踏まえ、共有者の一部が不明な農地について、簡易な手続で、農地中間管理機構に対して長期の賃借権等の設定を可能とする仕組みを設けるとともに、床面がコンクリート等で覆われた農作物の栽培施設を農地に設置する行為を農地転用に該当しないこととする等の措置を講ずるため、本法案を提出した次第であります。

 次に、法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、共有者の二分の一以上が不明な農地の農地中間管理機構に対する貸付けを可能とする制度の創設であります。農業委員会が探索、公示の手続を行い、不明な共有者からの異議が出なかった場合、市町村が作成する農用地利用集積計画の定めるところに従って農地中間管理機構に対して、存続期間が二十年以内の賃借権等が設定される制度を創設します。

 なお、あわせて、遊休農地に都道府県知事の裁定等により設定される利用権の存続期間の上限を現行の五年から二十年に延長いたします。

 第二に、床面がコンクリート等で覆われた農作物の栽培施設を農地に設置しても農地転用に当たらない制度の創設であります。当該施設を農業委員会に届け出た場合、その施設の用に供される農地については、農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして、農地法の規定を適用することといたします。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

伊東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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