衆議院

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第7号 平成30年4月5日(木曜日)

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平成三十年四月五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 大串 博志君 理事 佐藤 英道君

      井上 貴博君    池田 道孝君

      泉田 裕彦君    稲田 朋美君

      上杉謙太郎君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    木村 次郎君

      岸  信夫君    小寺 裕雄君

      斎藤 洋明君    谷川 弥一君

      西田 昭二君    野中  厚君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      古川  康君    細田 健一君

      宮路 拓馬君    山本  拓君

      石川 香織君    大河原雅子君

      神谷  裕君    亀井亜紀子君

      山本和嘉子君    後藤 祐一君

      佐藤 公治君    関 健一郎君

      緑川 貴士君    江田 康幸君

      金子 恵美君    田村 貴昭君

      森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   総務大臣政務官      山田 修路君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           窪田  修君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 川又 竹男君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            荒川  隆君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           別所 智博君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  岸  信夫君     井上 貴博君

  石川 香織君     山本和嘉子君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     岸  信夫君

  山本和嘉子君     石川 香織君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 森林経営管理法案(内閣提出第三八号)

 独立行政法人農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長水田正和君、大臣官房総括審議官天羽隆君、大臣官房総括審議官横山紳君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官塩川白良君、消費・安全局長池田一樹君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長荒川隆君、政策統括官柄澤彰君、農林水産技術会議事務局長別所智博君、水産庁長官長谷成人君、内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官澁谷和久君、内閣府規制改革推進室次長窪田修君及び大臣官房審議官川又竹男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古川康君。

古川(康)委員 ありがとうございます。自民党の古川康でございます。

 私は、農業に未来が見えていくようになるためには、まず何より、農業が業として、なりわいとして成り立っていくようになっていかなければいけないと考えています。一方で、農業は、なりわいとしてだけの意味のみならず、農村地域、山村地域を支えるという、いわば営みとしての意味も十分にあると思っています。これは大臣がいつも御答弁の際にもおっしゃっていることだと思っています。

 なりわいと営み、この両面を進めていくのが、私ども、農林水産政策でなければならない、そういう考え方に立って、幾つか質問をさせていただきます。

 まず最初に、農林水産予算全体の話であります。

 平成三十年の米の作付について例をとりますと、七千五百円が廃止になるということで、収入が減るからもう米づくりをやめたいという声を聞きます。皆様方の御地元でも聞かれているかもしれません。一方で、生産調整も廃止になる、生産調整廃止になるから好きなだけ米をつくるという人がふえてくるだろう、だから、それもまた逆に困るんだよね、こういった話も聞きます。

 この平成三十年という年は、もう米の作付をやめたくなるベクトルと好きなだけつくりたいというベクトル、全く逆のベクトルが働いているような気がしてなりません。

 そこで、改めて資料を見てみました。お手元に配っております農林水産業・地域の活力創造プランという、平成二十五年十二月十日に政府として決定されたものの写しであります。

 これを見ますと、米の直接支払交付金、アンダーラインがしてありますけれども、ここには、平成三十年産から廃止をするということがはっきり書かれています。

 一方で、その裏のページを見てください。五番目に米政策の見直しという項目があります。ここの中には、これもアンダーラインをしてありますけれども、五年後をめどに、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、需要に応じた生産が行われる状況になるように取り組む、こういうことが書いてあるわけですね。

 戸別所得補償の廃止は三十年産から廃止と明確に書いてあって、一方で、生産調整については五年後をめど、あくまでもめどということを書いてあるということは、この時点では、実は、同時に行うということが決められていなかったのではないだろうかという気がしています。

 もちろん、生産調整に参加する人に戸別所得補償をするというたてつけになっているわけですから、ある程度リンクしていくということはわかるのでありますけれども、これを一緒にしていくということでさまざまな動揺が生じているような気がしているところであります。

 また、現場の農家からは、何かとにかく予算が減っているんだよね、自分たちの手取りが減っているんだよね、そういう声もあちこちで耳にしています。

 そこで、大臣、お尋ねをいたします。

 このような、農家の漠然とした不安というか、手取りが減っている、収入が減っている、そして予算が減っているんじゃないか、こういう声に対して、どうか答えていただければと思います。

齋藤国務大臣 今御指摘の、二十五年の十二月十日の活力創造プランの抜粋ですけれども、これをまとめるときは私、農林部会長でありましたので、よく覚えておりますし、この方針に沿って今さまざまな施策を講じさせていただいているわけであります。

 そして、その上では、予算をしっかり確保するということは当然の前提だろうと私は思っておりまして、その後、部会長を引き続きやり、副大臣のときも一貫して、この改革がうまくいくようにということで、私なりに予算の獲得にも努力をしてきたつもりであります。

 そして、平成三十年度予算につきましても、農林水産業・地域の活力創造プラン等に基づく農政改革等に必要な予算を確保したところでありまして、私としては、今まで一貫してこういうふうにやってきたものが、農家の御理解もいただきながらしっかりと実現をしていくということは、私が今まで努力をしてきたことの、言ってみれば延長線上にある話でありますので、必要な予算をしっかりと確保するというのは、もう強い決意で臨んでいきたいと思っております。

 一方で、予算は、確保することも大事なんですけれども、実際に現場で有効に使われるということでなくては意味がないと思っておりますので、この予算に盛り込んだ施策が実際に意味ある形で現場で活用していただけるように、職員に対しては徹底をしていきたいと思っております。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 予算に関連して、次にお尋ねをいたします。

 戸別所得補償政策がスタートしたときに、一方で、農業農村整備事業、いわゆるNN事業の予算は六〇%以上減ったと言われています。ある意味、わかりやすかったと思います。今度の予算では七百十四億円がなくなります。その部分だけNN事業が戻ったとかだったらわかりやすいのかもしれませんけれども、政府にこの七百十四億円は何に使ったんですかと聞くと、まあいろいろおっしゃるんですね。それはそれでわかるんですけれども、なかなかこれでは現場の農家の方に御理解いただくのが難しいと感じています。

 この七百十四億円、一体どこにどう使われているのか、わかりやすく、政治家の言葉で語っていただければと思います。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 米の直接支払交付金七千五百円、予算七百十四億円の行方はどこかというのは、私も常に、地元に戻って多くの農家の方から質問をされまして、都度丁寧にお答えをさせていただいているところであります。

 厳密に言いますと、予算というのは、御承知のとおり単年度制でありますので、どの政策に予算を充当したかと言うのは困難な部分はございますが、あえて申し上げるところでございますが、平成三十年度当初予算において増額した主要施策でございます、水田における麦、大豆、飼料用米等の生産を支援することで水田フル活用を進める水田活用の直接支払交付金、これが、平成二十九年度三千百五十億円が、平成三十年度三千三百四億円ということで、前年度比百五十四億円の増となってございます。

 また、水田の大区画化等による生産コストの低減や担い手への農地集積を進める農業農村整備関連予算、これが、平成二十九年度四千二十億、平成三十年度四千三百四十八億円でございまして、前年度比三百二十八億円の増でございます。

 そして、昨年六月に成立した農業保険法に基づきまして、米農家さんも最近は果樹、野菜、そしてまた、共済の対象でなかったマイナー作物に取り組んでいる方もいらっしゃいますので、農業経営者の総合的なセーフティーネットとして新たに構築いたします収入保険の実施に必要な経費、これが新規でございまして、平成三十年度二百六十億でございます。これら三つを増額分として合計すると、七百四十二億円となっております。

 このように、米の直接支払交付金の廃止財源七百十四億を活用することによって、水田フル活用、また生産コストの低減、そして農業経営のセーフティーネットなど前向きな施策に必要な予算を充当できたと考えておりまして、これらの生産現場の強化に必要な施策を着実に実行し、農業の成長産業化に取り組んでまいりたいというふうに思っておりますので、古川委員におかれましても、ぜひ地元で丁寧な説明をお願いしたいと存じます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 そこで、その予算の中身について一点だけ伺います。

 大臣も、しっかり頑張ると言っていただきました。また、有効活用もしっかりしていかなければいけないと思っています。

 産地交付金について教えてください。

 昨年は、二割留保といったものがこの時期にございました。また、佐賀県では、二毛作助成のやり方が変わっていったとか、あるいは交付時期が遅くなっていったということで、現場でも混乱があったというふうに感じています。

 ことしは、先ほどもおっしゃったように十分な予算を確保しているということであれば、二割留保といった方法をとらずに済むのでありましょうか。また、水田フル活用全体について十分な予算確保はできているのか、教えていただければと思います。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 二十八年度、二十九年度における水田活用の直接支払交付金につきましては、予算の範囲内で執行するという原則のもとで、戦略作物の作付が仮に拡大した場合でも、戦略作物に対する交付金の支払いに支障が生じないようにという観点から、年度当初には、まず産地交付金の二割を留保して八割を各県に配分申し上げ、そして、執行の過程で戦略作物助成の超過分がある場合には、当該超過分に対する支払いにその留保額を充てるという運用をとってまいりました。

 やはり、麦、大豆、飼料米などの戦略作物の本作化を推進していくためには、この水田活用の直接支払交付金による戦略作物への支援を万全に行う必要があるということを前提としますと、秋に作付面積が取りまとまるまで所要額がどうしても見通しがたいという以上は、産地交付金の留保の運用は継続する必要があると考えております。

 他方で、こうした現行の運用につきましては、今委員から御指摘がございましたように、生産現場からさまざまな御意見が寄せられておりまして、この御意見を踏まえた場合に、三十年産の戦略作物等の作付動向が総じて言えば二十九年産から大きく変化する状況にないことも踏まえますと、年度当初に留保する産地交付金の割合を二割から一割に減じ、九割を各県に配分するということとしたところでございます。

 なお、水田活用の直接支払交付金の三十年度予算全体につきましては、いろいろな要素を勘案しまして、二十九年度当初予算額に比べて百五十四億円増となる三千三百四億円と、必要な額を計上しているところでございます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 それでは、近年の米の相場と戸別所得補償との関係についてお尋ねをいたします。

 まず、ここ十年間の米の販売価格、どのような状況になるのか、簡潔にお願いします。

柄澤政府参考人 JA等の出荷業者と米の卸売業者との相対取引における全産地銘柄の平均価格の十年間の推移を見てみますと、ちょうど十年前の平成十九年産のときには、六十キロ当たり一万四千百六十四円でございました。直近の二十九年産、これはこの二月までの平均でございますけれども、六十キロ当たり一万五千五百六十円ということでございます。

 この十年の間の最高水準は二十四年産の一万六千五百一円、最低水準は二十六年産の一万一千九百六十七円という状況でございます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 そのもとになった数字、私が手元に持っておりましたものと同じことを今おっしゃいましたので、それをもとにして申し上げますと、六十キロ当たりで、平成二十七年産が一万三千百七十五円、そして二十八年産は一万四千三百七円。販売価格は、この二七から二八にかけて千百三十二円上がっています。

 このように上がることで、農家としては、これは仮に平均的な農家をイメージした場合に、どれぐらいの収入増になっていると計算できますか。

柄澤政府参考人 今御指摘がございましたように、二十七年産と二十八年産の販売価格を比較しますと、六十キロ当たり千百三十二円上昇しておりますので、これを全国の十アール当たりの平年収量を用いて計算いたしますと、農家にとりまして十アール当たり約一万円の収入増となっているということでございます。

古川(康)委員 ありがとうございます。

 平均的な農家ということでございますけれども、こうして価格がしっかりとしたものになることによって、一万円の農家の収入増になっているというようなことがわかりました。

 逆に、今回、この七千五百円、廃止されるわけでありますけれども、これを換算すると、六十キロ当たりの価格で幾ら影響するということになりますでしょうか。

柄澤政府参考人 米の直接支払交付金、十アール当たり七千五百円を六十キロ当たりの価格に換算することとした場合には、全国の十アール当たりの平年収量を用いて計算いたしますと、六十キロ当たり八百四十六円ということでございます。

古川(康)委員 八百四十六円分の影響があるということであります。逆に言えば、これよりもより高い値段で米価が上がっていくということがあれば、この七千五百円の影響をいわば消すことができるということではないかと思います。そして、現実に二七から二八にかけては千円以上ふえている。

 こうしたことを考えたときには、やはり、生産調整という言葉はなくなりますけれども、余り過剰な作付にならないように関係者が協力をしていく、そのことによって、農家の収入も、七千五百円がなくなっても安心できる、そういったことを実現できるのではないかと思っておりまして、改めて関係者の努力というものを期待したいと思います。

 質疑時間が終了いたしました。これで私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、西田昭二君。

西田委員 おはようございます。自由民主党の石川三区選出の西田昭二と申します。

 初めて農林水産委員会に質問の機会をいただきましたことに、心から感謝を申し上げるところでございます。

 私の選挙区は石川県の能登半島を中心とした選挙区であり、風光明媚で大変美しい自然環境と、山の幸、海の恵みといった大変新鮮な食材の宝庫でございます。また、「あえのこと」や、日本遺産に認定された能登一円で行われているキリコ祭りなどの文化、祭礼は世界農業遺産に国内で初めて認定をされ、輪島朝市、千枚田、日本で唯一波打ち際を車で走れる千里浜なぎさドライブウェイは、北陸新幹線開業四年目にしても多くの観光客が訪れているところでございます。

 委員の皆様方におかれましては、ぜひとも後援会の皆様方とともに能登半島にお越しいただきますことを心からお待ちいたしまして、質問に入りたいと思います。

 ことしは記録的な大雪のため、北陸地方を中心に大きな被害が生じたところでございます。

 この委員会でも稲田先生から質問がありましたように、石川県でも、二月に約二万人の宿泊客のキャンセルがあり、農業関係では、育苗ハウスを始め二千二百棟を超える農業用のパイプハウスが倒壊するなど、約七億八千万円余の大きな被害が出ました。

 これに対して、農林水産省から三月十六日に、被害農家のパイプハウスの再建補助を含めた総合的な支援策を講じていただいたわけでございますが、これを契機に地域では復旧の機運が高まり、田植用の苗の確保も既にめどがついたと聞き、国の素早い対応に感謝を申し上げるところでございます。

 改めて、ここで、今回の豪雪に対する、農林水産省のトップとしての、豪雪被害に取り組んだ大臣の思いを伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 この冬の大雪では、北陸を中心に五六豪雪以来三十七年ぶりの積雪となり、また、北海道の日高地方でも想定を超える大雪が数日間継続したために、農業用ハウスなどに大きな被害が発生をいたしております。

 こうした被害の状況を踏まえまして、被災された農業者の皆様が離農されることがないようにという基本的な考え方のもとに、三月十六日に、被災したハウスの撤去も含めた農業用ハウスの導入経費の助成、それから被災に伴い必要となる追加的な種子、種苗の確保、それから種苗の融通のための輸送に要する経費の助成、あるいは被害果樹の植えかえや未収益期間に要する経費の助成などの対策を決定いたしました。

 被災された農業者の皆様が離農されることなく、この支援対策を活用していただいて一日も早く経営再開ができるように、全力で取り組んでまいりたいと思います。

 なお、施設園芸を営む農業者の皆様には、農業用ハウスというものはもう経営に不可欠な生産施設であると改めて認識をしていただきまして、今後も起こり得る甚大な自然災害に対してみずから備えていただく観点からも、園芸施設共済に加入いただく必要があるのではないかと考えておりまして、あらゆる機会を通じて、園芸施設共済への加入も推進してまいりたいと考えております。

西田委員 本当に多くの御支援をありがとうございます。いろいろな支援をいただくのに当たりまして、共済に入会することを前提として県内も取り組んでいるところでございますので、これからも、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、農山漁村の所得向上を実現し、地域振興を図るためには、農産物の生産のみならず、加工、販売などのいわゆる農業の六次産業化を進めていくことが大変重要であります。特に、緑豊かな農山漁村で地域の自然、文化、人々との交流を楽しむ農山漁村滞在型旅行をビジネスとして取り組むことは大変有効でございます。

 私の選挙区である能登半島の山合いに、住民たちによる農家民宿群がございます。それは、半径数キロ範囲に四十七軒が点在する春蘭の里があります。地域の生き残りをかけて始めた取組はもう二十年にもなり、地元食材を使った郷土料理や伝統文化の体験など、地域資源を生かしたもてなしが評判を呼び、訪問者は年間一万人を超えるまでにもなりました。過疎化は容赦なく進んでおりますが、後に続く若者も少しずつ集まり始め、限界集落と言われた地域が、見事復活を遂げたわけでございます。

 春蘭の里のように、地域を挙げて農家民宿に取り組むことで多くの人を呼び込んでいる事例もございます。国では、現在このような農泊の取組を進めておりますが、平成三十二年度までに農泊地域を五百地域創出することとしておりますが、受皿の整備だけでなく、一般の人々が農泊を楽しむ流れをつくることも必要と考えますが、今後どのように取組地域を拡大していくのか、その方針を伺いたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、農泊の取組につきまして御質問を頂戴したところでございます。

 農林水産省といたしましては、農山漁村の所得向上を実現する上での重要な柱として観光を位置づけてございます。インバウンド需要を農山漁村にもしっかり取り込んでいくというようなことで、農山漁村の活性化を図っていきたいと考えておるところでございます。

 二十九年度から、農山漁村振興交付金の中に農泊推進対策という項目を設けまして、意欲の高い地域の皆様に対しまして、自立的な運営が図られる法人組織が農泊ビジネスを担っていただく体制を構築していただくための支援、それから、魅力ある観光コンテンツを磨き上げていただくための支援、こういったものを行わせていただいているところであります。

 また、今先生からお話ございましたが、こういった取組を国内外の皆様に知っていただくためにも、海外のタレントなどを使ったPRですとか、農泊シンポジウムの開催、それからSNSでの情報発信、映像発信などに努めておるところでございます。

 平成三十二年度までに五百地域の農泊地域の創設ということを目指しておりまして、二十九年度におきましては、先生御指摘の能登町の春蘭の里も含めて二百六地域の地域指定を行って、支援を行っておるところでございます。

 今後とも、しっかり農泊の地域を支援してまいりたいと考えております。

西田委員 過疎地域の起爆剤として、しっかりと国からの応援をこれからもよろしくお願いしたいと思います。

 次に、スルメイカは我が国の主要な水産資源の一つでございます。日本海においても、イカ釣り漁業で多く漁獲されております。

 このイカ釣り漁業は石川県の基幹漁業の一つでもありますが、漁獲されている日本海のスルメイカの資源量そのものが急激に減少しており、今後スルメイカがとれなくなってしまうのではないかと漁業者が心配していると聞いております。

 スルメイカ資源の状況、また、悪化している原因をどのように考えているのか、伺いたいと思います。

長谷政府参考人 平成二十九年の日本海、東シナ海を含んだ数字になりますけれども、我が国のスルメイカ漁獲量は三万六千トンであります。これは平成二十八年の四万二千トンの八六%ということでございます。

 この不漁にはさまざまな原因が考えられますけれども、スルメイカは、卵からふ化後の水温の変化が幼生、子供の生存に大きく影響する上に、そもそも、一年で死亡して毎年漁獲の対象となる資源が入れかわるため、資源の動向は海洋環境の変動の影響を大きく受ける、そういう資源でございます。

 スルメイカ資源の調査と評価を実施しております国立研究開発法人水産研究・教育機構によれば、スルメイカの資源量は主として海洋環境の変化により近年減少傾向にあること、特に平成二十七年及び二十八年においては、産卵海域でスルメイカの発生に適した温度帯が減少したことにより資源量が減少し、その後も回復が見られていないことが主要因と見られております。

 水産庁では、引き続き、水産研究・教育機構と協力し、スルメイカ資源のモニタリングに加え、資源変動の要因解明に取り組んでまいりたいと考えております。

西田委員 大和堆は、日本海の中央部、そして我が国排他的経済水域に位置し、イカ釣りや底びき網漁船が操業する好漁場となっております。しかし、地元からは、スルメイカ資源が悪化している原因の一つとして、この大和堆で違法に操業する北朝鮮船籍による過剰な漁獲が考えられ、また、我が国漁船の安全を脅かす原因ともなっていると私は思っております。

 例年、石川県のイカ釣り漁船は六月上旬から大和堆に出漁しております。昨年のように北朝鮮船籍による乱獲が行われ、また、我が国の漁船が漁場に到着したところ、既に北朝鮮船籍に漁場を占領され、操業が阻害されるようなことはあってはならないと考えておりますが、どのように対応するのか伺いたいと思います。

長谷政府参考人 日本海、特に大和堆周辺の我が国排他的経済水域における北朝鮮漁船等による違法操業は、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなっており、極めて問題と考えております。

 このため、昨年の漁期におきましては、我が国漁業者が安全に操業できる状況を確保することを第一に、海上保安庁と連携しつつ、漁業取締り船を大和堆周辺に重点配備するとともに、現場における放水等の厳しい対応によりまして、我が国排他的経済水域からこれを退去させたところでございます。

 例年、六月より大和堆周辺水域でのイカ釣り操業が本格化いたしますけれども、我が国漁業者の安全な操業を確保できるよう、漁業者とも密接にコミュニケーションをとりつつ、海上保安庁など関係省庁とも連携して対策を進めてまいりたいと考えております。

西田委員 私も、先週末、地元のイカ釣り漁業者と懇談をさせていただきました。ことしは六月三日から出港すると伺っております。

 地元の関係者は、昨年度から再三、国の方へ陳情、要望もさせていただいておりますし、本当に、漁場で安全に操業できること、そしてまた、不法操業があった場合は、やはり国としてその不法操業の網などを没収、そしてまた臨検、拿捕といった強い姿勢をぜひともとっていただきたい、そう願っているところでありますので、改めて水産庁長官の力強いお言葉をいただければと思っております。

長谷政府参考人 水産庁といたしましても、石川県などのイカ釣り漁業関係者から、この大和堆周辺水域の漁場において外国漁船が接近して、接触事故や流し網漁具がスクリューに絡まるといった危険な状況の発生についてもお話を伺っているところでございます。

 今漁期におきましては、先ほども申し上げましたけれども、日本海大和堆でのイカ釣りの漁期前から漁業取締り船を配置し警戒するとともに、外国漁船の出現状況及び漁業者の要望等も踏まえまして効果的な配置を行って、海上保安庁など関係省庁とも連携し、我が国漁業者が大和堆周辺水域において安全に操業できる状況を確保するため、万全の対策を進めてまいりたいと考えております。

西田委員 ぜひとも、地元の漁業者が安全に操業できるように、全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、二〇一五年の北陸新幹線の金沢開業から続く石川県の観光需要の高まりについては、大粒のブドウでありますルビーロマンや、大ぶりのシイタケであります「のとてまり」、黒毛和牛の能登牛など、生産量こそ少ないが特色のある多種多様な食材が魅力の一つとなっているものと考えております。

 しかしながら、石川県では、能登地域を始め、人口減少、農業者の高齢化による離農、後継者不足による耕作放棄地の増加などの現象が起きています。また、平成三十年度産米から国による生産調整が廃止されることや、今後、環太平洋連携協定、TPPが発効することを考え合わせると、日本の農業が産業として発展するためには、まず生産基盤を整え、今まで以上に競争力の強化を図ることで、担い手の安定的な農業経営を実現していく必要があると考えます。

 農林水産省では、平成三十五年度までに国内農地の八割を担い手に集中させるという政策目標を掲げて、農地バンクによる農地集積や農業生産基盤の整備を推進しております。

 しかし、せっかく農地を整備しても、作物を栽培するためのため池や用排水路などの水利施設の老朽化が著しく進行している事例が散見されます。こうした老朽化した水利施設が破損した場合、農作物の生産に支障を及ぼすだけでなく、家屋のある地域で突発的な事故が生じれば、災害にも発展しかねない状況であります。

 このため、このような老朽化施設の整備を早急に進めていく必要がありますが、他方で、農家の高齢化や担い手の減少により整備に対する負担感が増しているという現状がございます。

 こうした現状を踏まえ、老朽化した施設の整備をどのように進めていくのか、伺いたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の農業水利施設の多くは、今御指摘ございましたように、戦後から高度成長期にかけて整備されまして、標準耐用年数を超えた施設が全体の二割に及んでいるなど、大変老朽化が進んでおる状況でございます。

 この施設の点検、機能診断を行った上で、一部の補修等で機能維持が可能なものについては耐用年数を延ばす長寿命化を図るとともに、緊急性の高いものから更新を行っていくという考え方で進めておるところでございます。

 平成三十年度当初予算におきましても、水利施設の長寿命化対策として千二百六十五億円を計上いたしておりますほか、きめ細かな現場ニーズに対応することができます新しい事業、農業水路等長寿命化・防災減災事業につきましても創設をするなどして、必要な対策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。

 また、地元の農業者の負担の軽減ということにつきましては、これまでもいろいろな取組をしておりますけれども、農地集積や高収益作物の導入の度合いに応じまして農家負担の減少を図る促進費の交付といったようなことについて取組を進めておるところでございます。

 また、市町村の御負担につきましては、公共事業債の対象にするなどして、また、地方財政措置を講じておるなどしてしっかり取り組んできたところだと認識をしております。

 今後とも、農家負担の軽減にも配慮しながら、しっかり事業を進めてまいりたいと思っております。

西田委員 しっかり対策をお願いいたしまして、時間が来ましたので、これで質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、一般質疑ということで、大臣始め皆様に質問をさせていただきますが、私の地元は坂本先生と同じ熊本でございます。農業県でございまして、阿蘇、天草に代表される自然に恵まれて、米や野菜、果樹、畜産を始め多彩な農産物が生産されておるわけでございますが、トマトや肉用牛、またミカン、スイカ、イチゴなどは全国でもトップクラス、こういう農業を誇るところでございます。

 本日、農業が成長し続けていける、そういうような農業政策について幾つか質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初でございますけれども、大臣にお伺いしたいわけでございますが、中山間地域の農地の集約、集積等についてお伺いをさせていただきたいと思うんです。

 我が国農業の生産性を高めて競争力を強化していく、そのためには、やはり担い手に農地を集積また集約化していく、それを加速化していくことが非常に重要であると思います。

 平成二十六年三月からは、農地中間管理機構がリース方式を中心として農地の集積、集約化に取り組んできたわけでございますが、二十九年三月末においては担い手への農地集積は五四%となったわけでございます。

 しかしながら、都道府県別の集積の状況を見ますと、この進捗状況には差があるわけでありまして、北海道では九〇%、山形、秋田では六六%、東北、北海道では高くて、熊本や、九州ではそれが低いという状況がございます。私は、九州、中国が低い状況については、やはり中山間地域への対応が喫緊の課題ではなかろうかと思うわけでございます。

 そこで、政府におかれましては、平成三十五年度までに担い手に全農地面積の八割を集積するという目標を掲げておりますけれども、その達成には中山間地域における取組を進めていく必要があるかと思います。今後どのように取り組んでいくか、お伺いをいたします。

齋藤国務大臣 農地中間管理機構が活動を開始した平成二十六年度以降、担い手の利用面積のシェアは再び上昇に転じておりまして、委員御指摘のように、二十八年度には六万二千ヘクタール増加をして五四・〇%となっておりますが、三十五年度八割という目標に向けてはさらなる加速化が必要であると考えております。

 中山間地域については、平場の土地利用型農業の地域と比べて担い手への農地集積がおくれているという状況が御指摘のように見られます。このため、機構が県や市町村等と連携をして、基盤整備等の関連事業を組み合わせるなど、きめ細やかに対応していくことが重要と考えております。

 九州の中山間地域の事例といたしまして、長崎県西海市なんですが、ここにおいては、機構が遊休農地十四ヘクタールを借り入れて、県、市、JAが連携をして基盤整備、改植事業等の条件整備を実施することで果樹園地を担い手に集積、集約化した事例、こういう事例も見られるところであります。

 今後とも、こうした優良事例も参考にしながら、中山間地において担い手への農地集積が着実に進むよう努力をしていきたいと考えております。

江田(康)委員 今、大臣からも優良事例等が示されました。しっかりとそれらを横展開していただいて進めていっていただきたい、そのように強くお願いを申し上げます。

 次に、やはり担い手、新規就農者の定着に向けた取組についてお伺いをさせていただきたいと思うんですが、我が国農業は全国的にも農業従事者の高齢化が急速に進展しておりまして、若い新規就農者を確保してその定着を促進していくことは極めて重要。

 政府は、新規就農して定着する農業者を倍増して、二〇二三年には四十代以下の農業従事者を四十万人に拡大することを目標に掲げておられます。農業次世代人材投資資金事業や、また農の雇用事業などによって支援を行っておられるわけでありますが、その成果もあって、新規就農者数は、平成二十七、八年とも、二年連続で六万人を超して、四十代以下でも三年連続で二万人を超えている。

 このような状況の中で、これまで就農した方々の定着している状況はどのようになっているのかをお伺いさせていただきたい。

 あわせて、二〇二三年には四十代以下の農業従事者を四十万人に拡大するという、この目標の達成の見込みについてもお伺いをさせてください。

野中大臣政務官 まず、二〇二三年までの四十代以下の新規就農者についての目標の達成に向けての見込みについてお話をさせていただきたいと思います。

 農業次世代人材投資事業などの新規就農対策の効果もありまして、現在は、減少が続いておりましたが、増加傾向に反転いたしまして、平成二十八年には三十一万八千人となったところでございます。

 一方、二〇二三年、四十代以下の農業従事者数を四十万人に拡大する目標達成をするためには、平成二十五年を基準としまして年間三%ずつ増加する必要があるのに対しまして、実際の伸び率は、平成二十八年までの三年間平均で約〇・八%の伸びにとどまっておりまして、新規就農者の確保に更に力を入れていく必要があるというふうに考えております。

 また、次に、新規就農者の定着状況についてお話をさせていただきたいと思いますが、農業次世代人材投資事業、これは経営開始型の方でございますが、これによりまして、資金の交付が終了した者のうち約九七%が就農を継続しております。

 また、農の雇用事業でございますが、農業法人等における研修に対する支援を受けた雇用就農者では、研修が終了した者のうち約六割が就農を継続しております。この農の雇用事業につきましては、定着率向上のために、昨年度より、過去五年間に本事業の対象となった研修生の定着率が一定以上であることを要件化しているところであります。

 今後とも、事業の検証をしつつ新規就農の促進に努めてまいりたいと存じます。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 この農業次世代人材投資資金事業等々、定着に向けて大変効果がある事業だと私も高く評価いたしております。これからの農業競争力強化プログラムにも従って、さらなるサポートスタッフを個人ごとに明確化するというようなことで定着率の向上を図っていただきたい、そのようにしっかりと進めていただきたいことを申し上げておきます。

 では、時間が過ぎてきておりますので、ちょっと順番を変えまして、私の地元、たびたび申しわけございませんが、坂本先生の地元はまさに畜産が盛んでございまして、それで、畜産、酪農の競争力の強化について、時間が終わらないうちに質問をしておかなければと思いますので、質問をいたします。

 具体的には牛マルキン制度の件についてでございますが、この牛マルキン制度は、肉用牛肥育経営の安定化を図るために、粗収益が生産コストを下回った場合には、生産者と国の積立金から差額を補填するものであります。

 補填率につきましては、昨年度までは八割でありましたけれども、ここ最近肉用子牛の価格が高水準で推移をしておりますものですから、これを理由として、平成三十年度に限った措置として、補填率が九割とされたところでございます。これは、TPP11の発効等々とは別に、法制化とは別に進めていく重要な施策であろうかと思っております。

 肉用子牛価格はわずかに低下傾向を見せておりますけれども、依然としてやはり高水準で推移しているわけでありまして、枝肉価格については低下傾向で推移していて、肥育経営の状況は、厳しさは増しているという状況にあろうかと思っております。

 そういう意味で、生産現場が安心して営農を継続していくために、補填率九割の継続的な実施が必要不可欠であると私は強く訴えたいわけでございますが、農水省の見解をお伺いしたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 牛マルキン、今先生から御指摘ございましたとおり、子牛価格の過去にないほどの高騰によりまして、肉用牛の肥育経営の収支の悪化が懸念されますことから、国際協定締結への対応とは切り離した緊急の畜産対策といたしまして、平成三十年度単年度の措置として、補填率を九割に引き上げることとしたところでございます。

 今後の肉用牛肥育経営をめぐる動向等につきましても、引き続き十分注視してまいりたいと存じます。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 短いお言葉でございましたけれども、しっかりとこれからの状況を見て対応するというお言葉だと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 残された時間は三分でございますので、私も、ちょっと米政策について一つ質問をさせていただきます。

 先ほども、古川先生の方からもあったかと思いますけれども、需要に応じた生産、販売をしていくという大きな方向転換をしてきたのが米政策であろうかと思いますが、需要に応じた生産、販売を実現していくということが必要不可欠で、各産地が今平成三十年産に関しては慎重な動きをしているかと思うんですけれども、今後も需要に応じた生産を図っていくためには、やはり水田活用の直接支払交付金の予算確保が何よりも重要であろうかと思っております。これを引き続いて実施していただきたいということに関して、政府のお考えを確認させていただきたい。

 とともに、時間がございませんので、もう一つ加えて確認をさせていただきたいのが、今、需要の内訳においては、主食用米の全体の需要は均衡しているわけでありますけれども、中食、外食等の業務用の国産米の不足が指摘されているところでございます。

 産地として、どうしても付加価値が高い一般家庭用の米を生産する傾向があるわけでありますが、業務用向けの需要とのミスマッチをどのように解消していくのか、大変重要な課題だと思いますが、これについてもお答えをいただきたいと思います。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 農水省といたしましては、行政による生産数量目標の配分の廃止など、平成三十年産の米政策の見直しを着実に実施するためにも、御指摘のとおり、水田活用の直接支払交付金による主食用米以外の作物への支援は、安定的に実施していくことが必要であると考えております。

 このために、水田活用の直接支払交付金の三十年度予算につきましては、飼料用米などの戦略作物助成の現行単価を引き続き維持した上で、これらの生産拡大にもしっかり対応できる、あるいは、いわゆる産地交付金につきましても、基本的な仕組みは維持した上で、転換作物の拡大に対する支援等に新たに取り組むというようなことで、二十九年度当初予算額に比べて百五十四億円増の三千三百四億円を計上したところでございます。

 今後とも、必要な予算はしっかり確保してまいりたいと存じます。

 あわせまして、御指摘のとおりでございまして、農水省としまして、家庭用のブランド米のみならず、やはり中食、外食向けの業務用も含めて、バランスのとれた形で生産、販売がなされることが重要だと思っておりまして、例えば、二十九年度におきましては、全国九カ所で中食、外食などの実需者と産地とのマッチングフェアを開催しまして、延べ四百三十業者に御参加いただきました。また、毎月のマンスリーレポートなどにおきまして、業務用向けに販売されている産地品種銘柄上位二十位などを情報提供するというようなことで、あらゆる機会を捉えまして、こういったバランスのとれた供給について呼びかけているところでございます。

 今、足元を見ますと、複数年契約の締結などの動きも出てきておりまして、このような動きを更に加速してまいりたいと存じます。

江田(康)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、農水省におきましてはしっかりと取り組んでいただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 ことしに入ってから初めての農水委員会での質問になります。きょうは、まとまった時間をいただいております。よろしくお願いいたします。

 初めに、農水関係の質問に入る前に、公文書に関する質問を一つさせてください。

 公文書の改ざん問題、もともと森友問題を追及する中で、朝日新聞のスクープでこの事実が出てきました。このスクープがあるまで、恐らく国民の中には、もうこの問題はいいじゃないか、いつまでやっているんだという空気があったと思います。

 ただ、この公文書改ざんという事実が出てきたことで、この森友問題というのも違うステージに行った。つまり、今、公文書改ざんがいろいろな役所で行われているのではないかという疑いの目を持って私たちも、国民も見るようになったわけでして、今、違う問題にこれは発展したんだと思います。

 つい先日も、防衛省から同じ表題で二つの文書が出てきました。防衛省の説明ですと、これは説明用の資料、相手が違うので、わかりやすくというんでしょうか、大筋では変わっていないので改ざんではないんだということを言われたわけですね。片方は防衛政策局長への説明用、もう片方は防衛相への説明用で、内容が一部異なるということなんですけれども、私はやはりおかしいと思うんです。同じ表題で二つの文書というのは、どう考えてもおかしいと思います。

 これがまかり通ってしまったら、例えば、TPPについて、農水省とは言いません、内閣官房が書類をつくって、これは経産大臣説明用、これは農水大臣説明用、両方に、大丈夫です、問題はありませんと言いかねないな、そういうふうに疑ってしまうわけなんですけれども、やはり同じ表題で二つの文書というのはおかしいと思われませんか。大臣の御見解を伺います。

齋藤国務大臣 内容にもよるんだろうと思うんですけれども、私も、自分で文書をつくる立場にかつていたときは、例えば、課長に説明するときは相当詳しいもので説明しなくちゃいけないな、だけれども、忙しい大臣にはやはり一枚の紙で説明はしなくちゃいけないなということはよくありまして、そのときの表題をどうしていたかよく覚えておりませんけれども、やはり相手によって分量とかを違えた文書をつくるというのは、これはよくあることで、実際の現場ではありましたね。

 ただ、それを、どういうものかというのをきちんと管理していくということは重要だと思いますけれども、同じ案件でも、大臣にはそこまで詳細には必要ないだろうとかいうことはあったと思いますし、どの人にも同じ資料でなきゃいけないと言うと、これまたいかがなものかなという面もあろうかと思います。

 ただ、防衛省の件については、私、詳細承知しておりませんので、その件についてはコメントは控えたいと思っています。

亀井委員 現場において説明用の資料が二つ以上あったとしても、やはりそれは最終的な公文書ではなかったのであろうと思います。やはり公文書は一つじゃなきゃおかしいと思うんですよね。

 例えば、政治資金報告、私たちみんなやっていますけれども、今はパソコンで出していますが、手書きのときには、点の向きが違うだとか、物すごく細かいことを役人はチェックするものだと感心しましたけれども、そのぐらい細かいですよね。ほんのちょっとの訂正でも訂正印を押させるという、それが役人の文化だと思っておりますので、やはり同じ表題で二つの異なる文書というのは考えられないです。

 ですから、現場で説明用に文書をつくることがあるというのであれば、それがどういう位置づけのものなのであるか、そして、公文書は必ず一つということを徹底していただきたいと思います。

 これだけいろいろ問題が出てくると、こういう公文書の改ざんを生み出してしまう背景は何なのだろうかと考えます。

 私が思うのは、やはり役人の中に、都合の悪いことを報告したくないという空気が流れているんじゃないかなという気がするんです。

 これも例を挙げますと、例えばですよ、安倍政権が、TPPは何としても締結をしたいというふうに結論がかなり強く決まっていたときに、それに余り反する文書というのは役人として出したくないから、そんたくして、こういうふうに書こうかなと。何かそういうような空気というものが安倍政権全体にあるんじゃないかなと思うわけですけれども、政権の中におられて、この改ざんを生んでしまう背景というのは何だと思われますか。

齋藤国務大臣 私自身は、従来から申し上げておりますように、決裁後の文書を後から変えるということは、私の経験でもなかったし、極めて異例な出来事だと思っておりますので、これが各省で横行しているというふうには思っていないわけであります。

 それから、その場その場で適切な説明文書をつくるということは、それはあり得る話なんだろうと思っております。

 実は、今回のガイドラインの見直しの中で、農林水産省が四月一日に管理規程をつくりましたが、その中で、先ほどの質問に関連しますが、第三条の三というのがありまして、行政文書のうち、意思決定過程や事務及び事業の実績の合理的な跡づけや検証に必要となるものであって、検討や内容確認等の過程で随時内容が更新されるものについては、確定した方針等に係る行政文書との区別を図る観点から、だから、誰に説明したとか、そういう段階での資料のことだと思いますが、文書の右上等の目のつきやすい箇所に、○○課長説明資料ですとか○○局議説明資料等、更新のどの過程にある文書であるかを明示する、それから、また、当該行政文書の作成時点や作成担当、○○課とか○○係を判別できるようにするというのが、この四月一日からの農林省の管理規程の中で決めさせていただいているということでございます。

亀井委員 今回の改ざん問題を機に、行政文書、公文書の取扱いをもう一度見直して、しっかりしていただきたいということ、それから、やはり都合の悪い報告でも聞きますよという、そういう姿勢で各大臣に臨んでいただきたいと思いますので、大臣にもお願いをしたく、また、農水省の皆さんもどうぞその辺よろしくお願いいたします。

 それでは、農水関連の質問に入らせていただきます。

 きょうは、食料自給率について少し時間を使いたいと思います。

 先日、予算委員会の分科会でも自給率について質問をいたしました。そのときに確認をしたんですけれども、カロリーベースの日本の食料自給率の分母のところには、食品工場やコンビニ、レストランなどで捨てられる年間約二千万トンの食品廃棄物の数字も入っていると聞きました。

 供給ベースであるので分母にこれが入っている。ということは、私は、カロリーベースの自給率を出す意味というのは、私たちが一日一日生存するために必要なカロリーのうち、何割を国産の食べ物で賄っていますかという、そういう数字だと思っているんですが、この誰の胃袋にも入らない食品廃棄物が分母に含まれていると、正確にその数字にはならないんですね。それで、除いた数字をきょういただきたいと思いました。

 それと、各国でよく穀物自給率というのを出していますので、穀物自給率についても教えてください。

 また、この穀物自給率が、先日種子法が廃止されましたけれども、そこで指定されていたところの主要農作物、米、麦、大豆、これの自給率と同じなのでしょうか。同じじゃなければ、その数字も、自給率をいただきたいです。

 政府参考人の方で結構です。

天羽政府参考人 お答えいたします。

 食料自給率とは、国民の食料需要に対する国内の食料供給能力を示す指標であるということでございまして、具体的には、国内生産を分子とし、国内生産に輸出入等を加減した国内消費仕向けを分母として計算されるものでございます。

 分母である国内消費仕向けとは、生産者などから供給された食料の供給であり、供給された後に実際に摂取したかどうかは問わないものでございまして、食料自給率の計算は、実際の消費量、いわゆる摂取ベースの計算とはなっていないというのが現状でございます。

 また、食料自給率の計算上、仮にいわゆる食品ロスの分を控除しようといたしますと、分母、分子の国内生産からも食品ロスの分を控除するということが妥当だと考えられるわけでございますけれども、特に分子の国内生産のところから控除すべき食品ロスの分、要すれば、食品ロス全体のうち国内生産由来の分を特定できる統計がございません。ということもございまして、食品ロス分を除いて食料自給率を計算することは困難であるというふうに考えてございます。

 それから、もう一つ、先生から穀物自給率についての御質問がございました。

 農林水産省では、食料需給表というものを毎年出してございます。穀物自給率はその中で重量ベースで算出してございまして、その対象は米、小麦、大麦、裸麦及びトウモロコシ等の雑穀ということでございます。また、主食用穀物自給率につきましても重量ベースで計算してございますが、これも米、小麦、大麦、裸麦を対象としてございまして、いずれにいたしましても、先生御指摘の大豆、豆類についてはここには含まれてございません。

 なお、平成二十八年度の穀物自給率は二八%、品目別に見ますと、お米が九七%、小麦が一二%、大麦、裸麦が九%、トウモロコシ等の雑穀が〇%となっておりまして、大豆の自給率については七%ということでございます。

亀井委員 ありがとうございます。食品ロスの分を除いて計算するのが難しいという、その理屈はわかりました。

 いずれにしても、自給率は低いわけですけれども、私は、この食料自給率について、十年前、二〇〇八年の五月に参議院の農水委員会で質問をしています。きょうは、そのときの資料を持ち出してきて、また質問をいたします。

 皆さんにお配りいたしました二〇〇八年二月の読売新聞の記事、「細る自給率」という題で「食ショック」、これはシリーズだったんですけれども、こういう記事があります。そして、「「自給食」二日が限界」というメニュー例がございます。これは何を意味するかといいますと、もし輸入が全く途絶えたときに日本の食事情がどうなるかということです。

 今回、私は久々に、緊急事態食料安全保障指針、農水省さんから取り寄せました。当時と同じように、レベル〇、レベル一、レベル二とありまして、レベル一は特定の品目の供給が二割以上減少するおそれのとき、そして、レベル二というのは一人一日当たり供給熱量が二千キロカロリーを下回るおそれと書いてございます。この状態というのは全く海外から食料が入ってこない状態ということだと十年前に説明を受けました。

 そのときに、どういう状況になるか。当時は、政府のマニュアルの中にもメニュー例が入っていたんですね。今回それが抜けていまして、当時の議事録から読ませていただきますけれども、かなりひどい、ショッキングな内容です。

 国内生産のみで二千二十キロカロリー供給する場合のメニュー。朝食、御飯茶わん一杯、ふかし芋二個、ぬか漬け一皿。昼食、焼き芋二本、ふかし芋一個、果物。夕食、また茶わん一杯、焼き芋一本、焼き魚一切れ。これに、二日に一杯うどんですとか、二日に一杯みそ汁ですとか、三日に二パックの納豆、牛乳は六日にやっとコップ一杯、卵は七日に一個、食肉九日に一食。こういう状態、十年前でした。

 今も、食料自給率は変わっていないわけですから、この戦後の食糧難ではないかと思うほどのひどいメニューになると理解しておりますけれども、当時と全く変わっていないということでよろしいでしょうか。

齋藤国務大臣 平成十四年三月に策定した、今委員御指摘の不測時の食料安全保障マニュアルの中では、食料の供給に影響を及ぼす事態の深刻度に応じてレベル〇から二に分けて、その判定基準と想定される事態というのを示しているところです。

 特に、レベル二の事態について国民の皆さんに具体的なイメージを持っていただくために、その後輸入が途絶えたというときに国内生産で推定エネルギー必要量を供給する場合のメニューをお示しして、当時はパンフレット等に掲載をして、広く国民の皆さんに周知をしたところです。

 この食料安全保障マニュアルにつきましては、東日本大震災の教訓を踏まえまして、平成二十四年九月に、局地的、短期的な緊急事態における対策というものを充実させる必要があるだろうということで、それを充実させていただいて、御指摘の緊急事態食料安全保障指針というものに改定をされたところであります。

 また、平成二十七年三月に閣議決定をした食料・農業・農村基本計画におきましては、国内の潜在的な食料生産能力というものを示すために、食料自給力指標の考え方をお示ししたところでありまして、その際、この指標に対する国民の理解を深めていただくために、現在の食生活との乖離の度合いを勘案して、四つのパターンのメニューをお示ししています。どのパターンも、かつて示されたメニューとは完全には一致していないわけでありますが、その時点の見直しに従って、メニューもお示しをさせていただいております。

 政府といたしましては、緊急事態食料安全保障指針の内容や食料自給力指標の考え方について、農林水産省のホームページやパンフレット等で周知を図っているところでありますが、やはり食料安全保障の重要性については、いろいろな形で国民の皆さんの理解を深めていくことが必要であると考えておりますので、今後いろいろな形で広報を行ってまいりたいと考えております。

亀井委員 今、農政が、強い農業とか海外で戦える農業とか、そういう方にばかり視点が行きがちなんですけれども、まず農政の基本は、どんなことがあっても国民を飢えさせないことじゃないかなと思うんですね。だから、まず食料自給率から私は始まるべきだと思っているんです。

 それで、今、輸入が途絶えたときにこんな状態ですよ、先進国とは思えないような状態ですよということを申し上げたくて、以前の資料を出してまいりました。

 あのときもかなりびっくりして、大臣に質問したことは、まず、カロリーベースの自給率が仮に四割であっても、それは平時の場合ですから、それが緊急のときに、いわゆる日本の伝統食に戻る、米と海の幸、山の幸になって、肉やチーズは食べられないけれども、それで一〇〇%になりますよというんだったら、ふだん四割であってもそう深刻なことじゃないと思うんですね。けれども、今、緊急事態の想定がこんな状態なので、心配しております。

 そして、なぜこんなに芋ばかりなのか、米ぐらいはほぼ一〇〇%自給できているのだから食べられると思っていたのに、なぜこうなのですかと聞いたんです。そうしましたら、単位面積当たりの収量が米よりも芋の方がカロリーが高い、言いかえると、同じ面積で米をつくるよりも芋をつくった方がより多くのカロリーが得られると。そして、今の日本の人口に対して農地が非常に少なくなってしまったので、国民全員を飢えさせないようにするには、田んぼは芋畑になりますという計算なんですよね。それに驚きました。

 きょう、資料をつけておりますけれども、緊急事態食料安全保障指針(全体の考え方)の一番下の箱、レベル二の対策のところに、「熱量効率の高い作物への生産転換を実施し、必要とする供給熱量を確保」と書いてありますけれども、これはつまり、田んぼが芋畑に変わるということでよろしいでしょうか。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘のありましたとおりでございまして、緊急時食料安全保障指針、それから先ほど大臣が申し上げました食料自給力指標において想定をしておる場合分けの中で、国民に対する供給カロリーを最大にするためには、芋類を中心に熱量効率を最大化して作付するということが重要だというふうに考えております。

亀井委員 これは国民は知らないと思いますよ。いざとなったら米ぐらい食べられるだろうと思っているのに、全員を食べさせるためには芋に戻るというのは、ちょっと考えられないことだと思います。

 当時、私、このことを言いまして、農水大臣、若林大臣だったんですけれども、やはり、「深刻だと受け止めております。これが国民の皆さんにまだ知られていないというお話でございます。それは我々のこういう事情を説明する広報活動がまだ弱いということでありましょう。」と御答弁いただいております。

 これは、私、正直に国民に知らせてはどうかと思います。国として、輸入が途絶えたときに、ごめんなさい、皆さんにお米を食べさせる余裕がありませんというのは、残念なことではありますけれども、それでも国民に知らせて、むしろ米を家庭レベルで備蓄してもらうことの方が私は解決策になるように思います。

 もともと日本は地震大国で、防災の日もあって、避難訓練もします。そのときに、家庭で非常食であるとかいろいろ防災グッズをそろえてくださいと推奨している国ですから、そうであるならば、各家庭で、例えば何カ月分は、最低一カ月ですとか、そこは決めていただいて、その分の米の備蓄はぜひしてください、そういうふうに訴えた方が米の消費が上がるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、前段の、いざ全く輸入が途絶えた場合、やはりそれはカロリーを賄うということを前提とすればどうしても芋に頼らざるを得ないということは、当時も今も変わっていないということでありますし、それは、この間、さっき申し上げた二十七年に策定をし閣議決定した基本計画では、食料自給力という概念の中で、国民の皆さんに知っていただこうという努力を今しているところであります。十分かどうかは別にいたしまして。

 それで、もう一つの備蓄のお話ですけれども、まず、備蓄については、例えば農林水産省のホームページにおきまして、米や小麦等の備蓄水準やその考え方について解説を行っているということをやっております。

 また、平成二十六年二月に、緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイドというのを作成いたしまして、家庭における平時からの備蓄の重要性ですとか具体的な取組内容について、ここで周知を図っているということであります。

 非常時というのはいろいろな形態が、地震の場合もあれば、輸入が完全にとまる場合もあれば、一部のものがとまる場合、いろいろありますので、これさえしておけば大丈夫ですよというのはなかなか難しいかもしれませんが、ただ、備蓄の重要性については情報発信を積極的に行っていくということが大事だと思っていますので、家庭備蓄を含めた食料安全保障の重要性について、きちんとした広報を行ってまいりたいというふうに考えております。

亀井委員 備蓄について続けますが、参議院の農水委員会にいたころに、深川の備蓄倉庫に視察に行きました。その倉庫は、もう売却されていると聞いております。

 政府全体の流れとして、備蓄倉庫をどんどん民間に売る、委託する、そういう流れになっていると聞いていますけれども、私は、それは果たして正しいのかどうか、大変疑問です。この流れというのは、もしかすると、国が財政赤字で、例えば公務員宿舎を売却したりですとか、そうやって国の資産を手放していきなさいという指導の中での動きなのかとも思うんですけれども、備蓄用倉庫というのは国がしっかり管理すべきものじゃないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、国におきましては、国産米の不作によりその供給が不足する事態に備えて、現在、毎年約二十万トンずつ生産者等から買い入れて、原則五年間保管する、で、約百万トンの米穀が在庫できている、そういう状況になっています。

 政府備蓄米を保管する倉庫につきましては、民間倉庫の活用を主体としてきたところでありまして、一部、政府が倉庫を所有していたものがかつてはありましたけれども、国の業務の効率化や備蓄運営の経費節減の観点から、平成二十二年九月末時点の段階で、政府が所有していた倉庫十四カ所の全てを廃止いたしました。

 それで、現在は民間委託で政府備蓄米の保管をしているわけでありますが、その保管場所につきましては、民間事業体と生産者等がコスト等の条件を勘案しながら適切な場所を決定しているところでありまして、この結果、政府備蓄米は、平成二十九年十二月末現在ではありますが、全国で約四百カ所の民間倉庫に保管をされているということであります。

 仮に災害などの不測の事態が発生した場合でも、米の供給に支障が生じてはならないので、政府備蓄米は、現在、全国約四百カ所の民間倉庫に偏在をするようなことがないように配置をしているということと、万一の場合も、ほかの周辺地域の民間倉庫からの円滑な備蓄米の供給ということにも配慮しておりまして、流通を含めて万全の体制をとっているということであります。

亀井委員 政府の倉庫をみんな売却してしまったということで、それが現実であるならば、民間で管理していただくしかないわけですけれども、民間に委託しても、きっちりとそこは管理していただくようにお願いいたします。

 次は、減反に関してなんですけれども、昨年、大臣所信に対して、減反、生産調整の廃止について一問質問いたしました。

 生産調整をやめると言っても田んぼは維持してほしいということで、餌米の方に誘導していると思いますけれども、その結果として、主食用の米が値上がりをしていって、そして、ちょうどいい価格帯の中食、外食用の米が不足して、そこの部分を輸入に頼るようになったら本末転倒ではないですか、問題ではないですかというふうに私が質問いたしましたら、大臣が、考えようによってはそういうこともあるかもしれないと御答弁されたんですね。

 私は、これは困ると思います。目の前の日本の田んぼでつくられているものは家畜の餌になって、それでブランド米だけが生き残って、それは高級な店で出されて、ごく一般の庶民には外国産の米が普通に食べられるようになるというのは大問題だと思うんですけれども、その辺の御認識について伺います。

齋藤国務大臣 私が以前申し上げたのは、いろいろな見方をしようと思えばできるということを申し上げただけでありまして、私どもの政策は、従来申し上げておりますように、これから残念ながら米の需要というものが減っていく中で、主食用もその需要に見合った生産をしていかざるを得ない、しかし、水田は維持していかなくちゃいけないので、そこは一番有力な手段の一つである飼料用米をしっかりつくって、それに対する助成もさせていただくことによって、水田が維持できて、なおかつ所得も確保できるという道を探っていく。

 ただ、その過程で、御指摘のように中食、外食用の米が足りないということがあるわけでありますので、それは、主食用をつくる中でミスマッチを解消していくという努力を今しているということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。

亀井委員 生産調整をやめたというその理屈は、私、去年理解いたしました。米の需要が、日本人の食生活が変化して米のニーズが減っていく、一日三食米を食べていたところが、例えば朝はパンで昼はパスタで夜は御飯と、一日一食になれば米の需要が減る、それに合わせて生産調整をしてきたから耕作放棄地が広がった。そこに加えて、今どんどん人口が減っているので、その減っていく人口に合わせていったら米がますますつくれなくなるから、これを機にやめたんだというその論理はわかりました。理解しています。

 では、どうやって食用の米をふやしていくかということで、やはり一気に餌米に誘導してはいびつなことが起きると思いますので、私、さっき一つ提案しましたけれども、各家庭に非常用に備蓄してくださいというだけでも効果があるんじゃないかと思うので、みんなが食用の米を買うような政策を打ち出していただきますようにお願いいたします。

 次の質問に移りますが、大分時間をとってしまいました、種子法についてです。

 これも昨年質問をいたしましたけれども、私は、やはりこの種子法の廃止というのはどうしても理解ができないんです。

 まず、このきっかけですけれども、これは事実として伺いますが、二〇一六年十月六日の規制改革推進会議農業ワーキング・グループ会議で、種子法廃止が問題提起されました。やはりこれがきっかけで政策に落とされて廃止が決まった、スタート地点はこれであったという理解でよろしいでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、主要農作物種子法の存在している従来におきましても、民間事業者の参入の促進を図るために、例えば、昭和六十一年には種子法に基づいて民間事業者が原種、原原種の生産を行うことを可能とするなどの法改正をしたり、さまざまな民間活力の活用の働きかけというのはこれまでもしてきているんですね。

 その上で、平成二十八年八月二日に閣議決定された未来への投資を実現する経済対策において、農林水産業の競争力強化や農業者の所得向上を図るには、生産コストの削減と農産物の有利な条件での販売が重要であるとの認識のもとに、農業競争力強化プログラムを平成二十八年内を目途に策定すると、まずこの八月二日に閣議決定をされた。

 その後、十月六日に開催された規制改革推進会議の第四回農業ワーキング・グループ会合におきまして、「地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止する。」と記載された資料が民間議員から提出をされたということがありました。そういう御意見もあったということですね。

 その上で、政府の農林水産業・地域の活力創造本部において平成二十八年十一月二十九日に決定された農業競争力強化プログラムで、「地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法を廃止するための法整備を進める。」という規定がされたという経緯があります。

 このプログラムを踏まえて、戦略物資である種子、種苗について、国家戦略、知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発、供給体制を構築することを目的として種子法の廃止が実施される、そういう経緯であったわけでありますので、民間活力の活用自体が突如として出てきたわけではないということは申し添えたいと思います。

亀井委員 民間活力を種子についても使うことが善である、少なくともそういう前提に基づいて種子法が廃止されたんだと私は思うんですけれども、かつて農水省は民間の参入が種子法によって阻害されていないんだということを言っていましたけれども、それを廃止したということは、やはり阻害している、廃止することによって民間の参入を促す、そういうふうに農水省が考えたと捉えてよろしいですか。

齋藤国務大臣 大きくは、環境変化があったということなんだろうと思います。

 従来御説明しておりますように、この種子法は、戦後の食料増産という、そういう国家的要請を背景に、法律によって全ての都道府県に対して一律に種子生産の奨励を義務づけるという背景のもとででき上がってきた法律であったわけであります。

 その後、米の供給不足の解消ですとか食生活の変化に伴って消費者ニーズが大きく変化をしてきたということもあったにもかかわらず、各都道府県が家庭用需要を志向した品種開発を目指し、私も埼玉県の副知事でやっていたので余り言えないんですけれども、外食、中食産業用や輸出用などの多様な需要に対応する品種や生産コストを下げる品種の開発の事例がほとんどないとか、それから、都道府県の開発品種が奨励品種のほとんどを占め、民間事業者が開発した品種は採用されにくいという状況が続いてきた。

 そういう状況変化を背景に、法律で都道府県に生産の仕方まで画一的に規定をすることは必要がないだろうということで、民の力が活用できる環境整備ということで廃止をしたということであります。

亀井委員 私は、やはり種というのはきちんと公が管理する知的財産だと思っています。ですので、種子法というのはやはり必要なものだと思います。

 きょう、これは質問する時間がなくなったのでお話ししますけれども、メキシコ、NAFTAに加入して二十年以上たちました。そのメキシコがどうなったかということなんですけれども、初め、外国産の、例えばモンサントなどの種が安く入ってきたんですね。みんなそれを買った。でも、それで中小の種のメーカーが潰れてしまってから、種が上がったんです。そして、多種多様であったトウモロコシの種というのもかなり画一化されてしまって、今、種を保存する運動というのが始まっています。そういうこともあるので、私はこの質問をしております。

 時間がなくなってきたので、では、ちょっとほかの質問に移りたいと思います。

 きょう、一つ資料をまた配らせていただきました。

 これは非常にユニークだと思うんですが、知人から、島根県に有害鳥獣は余っていませんかと言われました。イノシシや鹿のことですかと言いましたら、そうだと。幾らでも余っているのでどうぞ持っていってくださいという気持ちです。

 このプロジェクト、屋久島の駆除したヤクシカ、これを利用しましょうということで、アニマルウエルフェアの観点から、九州の大牟田の動物園に丸々与えましたというお話です。

 アニマルウエルフェアというのは、例えば鶏をブロイラーではなくて放し飼いにして、動物にストレスの少ない環境で飼いましょうという動きですけれども、これは家畜だけに当てはまるわけではなくて、動物園の動物にも当てはまるそうです。

 なるべく自然の行動に近づけてあげましょう、それによってストレスを取り除きましょうということで、旭山動物園などは行動展示で有名ですが、動物園の肉食獣、犬に骨をやるようにライオンに肉片をあげたら、猫になるとは言いませんけれども、やはり余りよろしくないとのことでして、駆除したイノシシや鹿を丸々近くの動物園の肉食獣に与えられたら、これはよいリサイクルになると思うんですが、これを進めるよい手段、例えば補助金ですとか競争資金ですとか、何かありませんでしょうか。大臣の御見解を伺います。

齋藤国務大臣 動物園の動物に有害鳥獣の肉をというお話なんだろうと思うんですが、正直言うと、今我々がやっている有害鳥獣対策の中でそういう対策があるかどうか、私の今の理解では、ないのではないかと思いますけれども、御提案のあった、捕獲した有害鳥獣の屠体を動物園の肉食動物の餌として有効活用している取組については、事例はあるんですけれども非常に限られているということもあります。

 そして、餌を与えられる方の動物にとっての餌としての栄養条件や衛生上の課題など、もしかしたら弾丸が入っているかもしれないとか、いろいろそういう問題もあろうかと思いますので、検討すべき点もまだあるのではないかなと思っておりますので、我が省としては、研究をしていきたいというふうに思っております。

亀井委員 前向きに研究していただきたく思います。先日問い合わせましたら、前例が余りないので、それに該当する仕組みはありませんと言われましたけれども、これは可能性がある話だと思いますので、ぜひ前向きに検討していただきたいとお願いを申し上げます。

 次は、農薬についてです。

 今国会で農薬に関する法律も出ておりますが、一問質問いたします。

 現場から、ネオニコチノイド系農薬の規制が緩いのはなぜですかという声が上がってきました。

 これは何かといいますと、殺虫剤ですね。例えば、ゴキブリにスプレー状の殺虫剤をかけると、これは神経系統に効く薬で、ばたばたしてひっくり返って死にますね。これと同じものだそうです。

 今、ミツバチがいなくなった、蜂が大量にどこかへ消えてしまった、その原因の一つとして考えられている農薬で、海外では規制が始まっているとのことですけれども、日本では全く対策をとっていないということでして、この点について御見解を伺います。政府参考人の方で結構です。

池田政府参考人 お答えいたします。

 農薬の登録時には、人の健康あるいは環境などへの評価を行ってございまして、御指摘のネオニコチノイド系農薬でございますけれども、ほかの殺虫剤に比べて人に対する毒性は低いということを確認しております。また、殺虫剤ということでございますので、巣箱あるいはその周辺にかからないようにするといった、ミツバチへの毒性に応じて、使用に当たっての注意事項を設定してございます。

 一方、今お話ございましたように、欧米ではミツバチの大量死などが見られまして、その原因として、寄生虫などとともにネオニコチノイド系農薬の影響が懸念をされているということでございまして、EUでは、一部のネオニコチノイド系農薬につきまして、作物の使用方法などに制限を加えていると承知してございます。

 我が国におきましては、欧米のような大量死は見られておりませんけれども、平成二十五年度から三年間、農薬が原因と疑われますミツバチの被害事例について調査してございます。その結果、全国のミツバチの飼養戸数、九千戸ございますが、この調査では、平成二十五年度は六十九件、二十六年度七十九件、二十七年度五十件という被害の報告があり、これらは、多くは水稲のカメムシの防除の時期に発生しておりまして、殺虫剤の散布時あるいは散布後に水田の周辺に飛来した、こういったことが原因だと考えてございます。

 こうした実情を踏まえまして、ミツバチの巣箱等にかからないよう使用面での対応を進めるとともに、農家と養蜂家の皆さんとの情報共有を徹底していただくといったことで農薬の散布時に巣箱を退避していただく、こういった対応を進めてきてございます。

 農林水産省といたしまして、これらの対策が有効であるということは明らかになってございますので、引き続き、農薬散布における巣箱の退避、こういったものの対応の強化をしていくということを考えてございます。

 また、欧米で評価が進んでいるということもございます。こういったものも参考にいたしまして評価の充実も図りまして、必要に応じましてさらなる対応についても検討するということによりまして、農薬によるミツバチ被害のさらなる軽減を進めてまいりたいと考えております。

亀井委員 きちんと現場を見ながら、諸外国並みに対応していただきたくお願いをいたします。

 最後の質問です。

 きょう、TPPについて質問しようと思いましたけれども、時間がなくなったので、政府参考人の方、お出かけいただいた方、済みません、きょうはやめておきます。

 水産加工品についての質問ですが、地元島根県は、アゴの野焼きといいまして、アゴはトビウオのことです、トビウオのかまぼこが名産品なんですが、県のブランドの認証の基準でアゴは七割以上となっているんですけれども、どうやって規定しているのか、そのトビウオが七割というのはどうやってわかるのかという問題があります。

 一部には、海外からすり身が大分入ってきて、実は国産のトビウオでつくられているものというのはもうほとんどないんだと言われています。その辺が食品の表示ではわからないので、きちんと、例えば日本の港で水揚げされたトビウオからできていますというような、そういう表示をしてもらえないと、きちんとその地元のブランドが守れないという声が上がってきております。

 やはり漁業が衰退していくというのは、ただ単に後継ぎがいないだけじゃなくて、外国産の安いすり身が入ってくると太刀打ちができないのでまた漁に出なくなるという、そういう外的要因もあると思いますので、この食品表示のところをきちんとしていただきたいんですけれども、御見解を伺います。

齋藤国務大臣 今、島根県においては、県独自の認証基準として、品質や表示に関する一定の基準を満たしているものをしまねふるさと食品として認証していて、アゴ野焼きについても認証が行われているという現状だと承知をしております。

 地域の特産物である水産加工品のブランド化、これを図っていくためには、民間と県が協力して一定の基準以上の品質のものを消費者にアピールしていくということは、水産物の消費量が低下傾向にある中で、私は意義がある働きかけだと思っております。

 一方、地域におけるブランド化の取組に当たりましては、JASですとかGIなどの枠組みも整備をされていますので、これらを活用していただくということも御検討いただければなというふうに思っているところであります。

亀井委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 希望の党の後藤祐一でございます。

 まず冒頭、齋藤農水大臣に伺いたいと思いますが、昨日、防衛大臣から、昨年の三月二十七日の時点でイラクの日報が実はあったという緊急の記者会見がございました。

 これについて、ちょっと経緯を話しますと、きょう稲田前防衛大臣も座っておられますけれども、去年二月二十日に私は衆議院予算委員会でイラクの日報もあるんじゃないんですかという質問をしたところ、稲田当時大臣から、確認したけれども見つけられないという御答弁があって、その後、稲田大臣は指示をされたんですね、二十二日だというふうに伺っておりますけれども。ところが、その後、このイラクの日報があるというのが発覚したのは一年たっているわけですね。

 齋藤大臣に伺いたいと思いますが、これは大臣のした答弁と矛盾した状況が後でわかっちゃった事例なんですね。これはやはり答弁がある意味間違っていたことになるわけですから、何らか国会に対して報告しなきゃいけないはずだと思うんです。ぜひ、これは大臣だけではなくて、政務三役あるいは次官の記者会見なんかもあると思います、国会での答弁はもちろんですが、記者会見なんかも含めて、公的な場での御発言した内容と矛盾した事態が現場で起きたというときには、これは当然大臣に報告があってしかるべきだと思うんです。かつ、その大臣は国会なりにきちっと報告すべきだと思うんです。

 農水大臣としては、今申し上げたような、自分のした答弁なり記者会見での発言と違う事態が発生したときに、きちんと省内に対して、報告するようにということを今この場で後ろの部下に対して言っていただくとともに、この国会に対して、あるいは世の中に対して、後でそういう事態が発生したら説明するということをお約束いただけますか。

齋藤国務大臣 私の国会における答弁において、事実と違う答弁をしていたということが後からわかったケースにおいては、当然、国会での発言でございますので、それは国会に対してまずその事実誤認については陳謝をすべきだと思いますし、それから、どういう経緯でこういうことがあったのかというのを報告はすべきだと思いますし、さらには、二度とそういうことがないように職員に徹底をするということは、私がそういうことがあった場合にはやりたいと当然思っております。

後藤(祐)委員 今の大臣の御発言、大変重いものだと思います。ぜひ、農水省の職員の皆様、大臣に限りません、政務三役あるいは局長答弁なんかもあると思います、国会の場での答弁、あるいは記者会見などで言ったことと事実が違ってしまっていた場合はきちっと大臣に報告をするというのが、今もう皆さんに対してそういう指示があったと私は理解しますので、徹底いただけるようお願いしたいと思います。

 さて、本題に入りたいと思います。

 米国の鉄鋼、アルミニウムの輸入制限に対しての中国の報復措置というのが発表されております。これに対して百二十八品目の追加関税というのが課せられ、きのうまた追加になったんでしょうかね、少なくとも九十四品目の農畜産品が対象になっているようでございます。つまり、米国から中国に輸出される品目が中国によって一五%なり二五%なりの上乗せ関税がかけられるということが発生しますが、これによって、米国から中国への輸出がとまるわけではありませんが、数量が減ることが見込まれます。だぶついたこれらの農水産品が日本に輸出されることによって、日本のマーケットに対して影響を与える部分があるのではないかということを懸念しております。

 特に、アメリカから中国に輸出しているもので今回の対象になっているものであって、かつ、日本に対しての輸出もそれなりに多いものが幾つかあります。網羅的ではありませんが、きのう事務方から聞いたものとして、例えばオレンジ、対中で米国から四万五千七百七十七トン、対日で四千九百六十八トン、これはかなり多いですね。このようなものが、オレンジ、ブドウ、イチゴといったものがどうも多いようでございますし、あと、豚については、これは若干用途が違うんじゃないかというような御説明もありました。

 この中国の報復関税に伴って、アメリカから中国に輸出されていたものが日本にだぶついた分が来るということに対しての影響について、これは副大臣に御答弁いただきたいと思います。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 四月二日に、中国は、米国の鉄鋼、アルミに関する輸入制限措置への対抗措置の一つとして、米国から中国に輸入される豚肉に二五%、果実等に一五%の追加関税を賦課する報復措置を実施したことは承知いたしております。

 これにより、豚肉、果実等の関税率が、現行でおおむね一〇から二〇%程度から、二五から四五%に引き上げられたということになるんだろうと思います。

 日本への影響について、まず豚肉でございますが、米国から中国向けの輸出の過半を占めるのは豚足等のくず肉でございまして、日本向けに輸出される豚の部分肉とは代替関係が基本的にはないと考えております。残りの部分につきましても、業界からの聞き取りによれば、中国に輸出されている米国産豚肉の部分肉は、腕とかももとかのいわゆる低級部位がほとんどでありまして、我が国では、差額関税制度のもとで、低価格の部位のみが大量に輸入されないよう歯どめをかけているところでございます。

 こうしたことから、中国による報復関税の影響により中国向けの豚肉が大量に日本に振り向けられる事態は、今のところは考えにくいと考えております。

 果実等につきましても、国産温州ミカンと輸入オレンジ、国産イチゴと輸入イチゴなど、国産果実と輸入果実では品質面、価格面の差別化が図られているところでございまして、また、オレンジやブドウにつきましては季節関税ということで、旬の方は関税を高くしておるわけでございますが、我が国への輸入急増を回避するための必要な国境措置も講じておるところでございます。

 こうしたことから、当面、大量の米国産豚肉や果実等が日本に流入し国内卸売価格が大幅に下落するなど、需給に大きな影響が生じることは考えにくいとは考えておりますが、中国の対応も含めた米国の通商交渉の動向や、豚肉や果実等の貿易動向をしっかりと注視してまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 豚のところはわかるんですけれども、果実のところはちょっと心配ですね。TPPのときに余り影響はないと言っているのと同じようなことを言っているような気がしますので、ちょっとこれはよくチェックをしていただきたいというふうに思います。

 それと、きのう大串委員も少し触れておられましたけれども、安倍総理が四月十七、十八とトランプ大統領と首脳会談を行うということでございますけれども、この鉄鋼、アルミニウムの日本からの輸出に対する上乗せ関税、日本は今のところターゲットに入っちゃっているので、これを外してくれという話も当然出てくるんじゃないかと思いますが、これのかわりにということではないのかもしれませんが、いずれにせよ、今回の首脳会談の中で農水産品について新たなカードが切られるということのないようにしていただきたいと思います。

 これについて、きょうは外務政務官、堀井政務官、お越しになられておりますので、お約束をいただきたいと思います。

堀井(学)大臣政務官 お答えをいたします。

 仮定の御質問にお答えすることは差し控えたいと考えますが、我が国の外交上、農林水産物について、貿易問題の交渉材料として一方的な譲歩を行うようなことは考えておりません。

 いずれにせよ、今後の日米経済関係については、アジア太平洋地域の現状を踏まえた上で、地域のルールづくりを日米が主導していくことが重要であると認識しており、その中で、どのような枠組みが日米経済関係及びアジア太平洋地域にとって最善であるかを含め、日米経済対話を通じて建設的に議論をしていく考えでございます。

後藤(祐)委員 きのうも一方的な譲歩という言葉を使っていましたが、一方的に譲歩するなんてあり得ないんですよ。鉄鋼、アルミニウム等をどうするとか、あるいは、相手の何かの譲歩があって、こっちの何かの譲歩があって、そこで交渉になるわけじゃないですか。

 一方的でない、互恵的な譲歩はあり得るということですか、政務官。

堀井(学)大臣政務官 先ほどお答えしましたとおり、一方的な譲歩を行うようなことは考えておりません。

後藤(祐)委員 お答えください。

 一方的でない譲歩を行う可能性はありますか。

堀井(学)大臣政務官 仮定の御質問にお答えすることは差し控えたいと思います。(発言する者あり)

伊東委員長 議事進行しましょう。堀井政務官。

堀井(学)大臣政務官 日米経済対話の議論の中では、二国間FTAに関する米国側の考えが示されているところであります。

 いずれにせよ、アジア太平洋地域の現状をよく踏まえた上で、地域のルールづくりを日米が主導していくことが重要と考えております。その中で、どのような枠組みが日米経済関係及びアジア太平洋地域にとって最善であるかを含め、日米経済対話を通じて建設的に議論をしていきたいと考えております。

後藤(祐)委員 つまり、一方的でない譲歩は否定していない答弁です。心配じゃないですか、皆さん、与党の皆さんも。齋藤大臣、まずくないですか、これは。

 今回の日米首脳会談で農水産品についてカードを切るということがないように、これは農水大臣としていかがお考えですか。

齋藤国務大臣 交渉の前に、こういうふうになったらどうする、こういうふうになったらどうするという仮定の質問を積み重ねますと、戦略が全部ばれてしまうということになりますので、仮定の質問にはお答えしたくないんですが、ただ、今回の日米首脳会談で農産物が取引材料とされるようなことは、私の頭の中にはありません。

後藤(祐)委員 頭の中にはありませんと言うだけでなく、安倍総理にきちんとその旨を伝えていただくようお願いしたいと思います。

 堀井政務官は、これで、多分あとは質問はないと思いますのでお帰りいただいて結構ですが、ぜひ外務省でも、この場の、恐らく与党の皆さんも同じ心配をされていると思いますので、深刻に受けとめて、外務大臣にもお伝えいただきたいと思います。

 続きまして、産地交付金、米ですね、の話に行きたいと思います。

 お手元に、三十年度の産地交付金についての、シンプルな構造とかいう割にはわかりにくい資料が配付されておりますけれども、要するに、この産地交付金、二十九年度と三十年度を比べて、新たにこういったものが、二十九年度は対象じゃなかったけれども三十年度は対象になりましたというものは何なのか。逆に、二十九年度は対象だったのに、今度、三十年度は対象じゃないですよというものは何なのか。これがわからないと現場では運用できないんですね。この産地戦略枠に入るだ入らないだとかいうことではなくて、何が入って何が入らないのかということを端的にわかりやすく教えていただきたいと思います。

 少なくとも備蓄米への助成というのは今度入らなくなったというのは見てわかるんですけれども、特に、これを定めている「水田フル活用ビジョンについて」という資料の別表というところに、GAPと肥料の低減化と農薬の低減化というのは、去年のやつは入っているんですけれども、ことしはその別表自体が削除されちゃっているので、これは入らなくなっちゃったようにも見えるんですね。

 このように、何が対象から漏れたのかということを含めて、わかりやすく御答弁いただきたいと思います。

柄澤政府参考人 お答え申し上げます。

 産地交付金につきましては、従来から地域の裁量で活用可能という基本的な仕組みがございますが、今回のこの見直しにおきましても、まず、地域の裁量で活用可能という仕組みは維持しているところでございます。その上で、現行のルールがやや錯綜して複雑であったことから、今般配付いただきました資料のように、シンプルな構造にできるだけするという観点の見直しを行ったところでございます。

 要は、今までも地域の課題に対応した使途が設定されて使われてきたわけでございますけれども、こうした課題や目標などを水田フル活用ビジョンの中でまず明確に記述をしていただく、明確にしていただくということ、それから、端的に、十アール当たり五万円を超える助成というものの上限を撤廃するということでございます。これによりまして、今まで以上に地域にとって柔軟で使いやすい仕組みになるというふうに考えております。

 なお、この産地交付金の運用に当たりましては、引き続き、県や地域と丁寧に連携を図りながら、地域の特色ある魅力的な産品の産地づくりに資するように、適切な執行に努めてまいる所存でございます。

後藤(祐)委員 全然わかりやすくないんですが、少なくとも、GAP、肥料の低減化、農薬の低減化は、去年の別表に入っていて、ことしの表自体が削除されちゃっているんですけれども、これはなくなっちゃうんですか。

柄澤政府参考人 端的に申し上げますと、そういうような形で、国がこれとこれとこれとこれというような示し方をするのではなくて、今後は水田ビジョンの中で地域の課題や目標を明確にしていただければ対象になる、そういう考え方でございます。

後藤(祐)委員 対象になり得るということですね。ここに書いてないけれども、むしろ柔軟にしたんだと。要は、備蓄米は対象じゃなくなるけれども、そのほかのものについてはかなり柔軟に広く読めるようにしたんだという理解でよろしいですね。うなずいていらっしゃるから、そういうことなんでしょう。

 そういう意味で、ことしから一反七千五百円がなくなるわけで、これは現場ではもう衝撃が走っていると思います。

 この産地交付金の使途、かなり柔軟に考えるということでございましたが、やはりこの主食用、備蓄用、不作付地への助成を行わないというのは、非常に、一刀両断みたいな感じになっていて、例えば学校給食なんかに農協が買い集めて渡したりだとかいろんなことをやっているわけですけれども、その差額の補填にしたいだとか、いろんな声が現場でも上がっています。

 特にことしは、七千五百円がなくなった最初の年ですから、今後の永続的なルールをどうするかはともかく、ことしのこの産地交付金の運用に関してはかなり柔軟に対応すべきだというふうに思うんですが、今申し上げたようなことも含めて。これは大変深刻な話なので、農水大臣に伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 産地交付金については今政策統括官から答弁したとおりでありますが、学校給食については、これまでも、私ども、学校給食向けの米については普及拡大が重要だということで推進を図ってきておりまして、今実は、平成二十八年度においては、平均ですけれども、週三・四回まで米飯給食になってきているということであります。

 それで、例えば、米の直接支払交付金が廃止される見返りとして、学校給食用のお米にも交付金をという話でありますけれども、やはりこれは、私どもの政策転換の基本としては、主食用米を需要に応じて生産をしていただくというのが基本的な考え方でありますので、その需要に応じた生産をしていくという枠の中で、一つの需要先として推進をしていきたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 ぜひ、ことしは現場で柔軟な対応をできるんだということを農水省の方からも伝えていただきたいというふうに思います。

 続きまして、公文書管理の話に行きたいと思います。都市農業の話は少し、あと時間が余ったらやりたいと思います。

 まず、ちょっと順番を変えまして、電子決裁の話から伺いたいと思いますが、きのうも神谷委員に対して、電子決裁への移行を進めてまいりますと大臣から御答弁がありました。本年二月で、農水省の電子決裁比率八八%、本省九六%まで来ているということでございますが、今の時点でもまだ電子決裁できていないものとして、どういったものがあるんでしょうか。

 事前の御説明ですと、例えば、幹部に直接対面して決裁を受けなきゃいけないようなケースだとか、緊急の持ち回りのケースですとか、人事案件ですとか、そういうようなお話を伺っておりますが、残っている電子決裁できないものというのは、具体的にどういったものがあるんでしょうか。農水省のケースについて、これは副大臣に伺います。

礒崎副大臣 農林水産省におきましては、業務効率化の観点から電子決裁を推進しておりまして、平成二十八年度の電子決裁率は七四%でありましたが、直近では八八%、本省で九六%、地方支分部局で八六%となっております。

 今の御質問で、電子決裁していないものということでございますが、政務三役の決裁を要するものなど対面での説明が必要なもの、それから緊急な決裁を要するもの、機密性が高く慎重な取扱いが必要な人事案件、その三つとなってございます。

後藤(祐)委員 きょう、総務省の山田政務官にお越しいただいておりますけれども、今言った三つ、政務三役など直接対面が必要なケース、緊急の決裁が必要なケース、人事案件、総務省ではどうなっているでしょうか。事務方に伺ったところ、政務三役も電子決裁を行っているやに伺っています。例えばパッドみたいなものを持ってそこでやってもらうですとか、やり方はいろいろあると思うんですけれども、この三つの、農水省では電子決裁ができていないケースについて、総務省ではどのようになっているでしょうか。

山田大臣政務官 お答えいたします。

 総務省では、私も含めて、政務三役はふだんから電子決裁を行っております。

 そして、今三つお話がありましたけれども、総務省の中では、緊急を要する案件、これは持ち回りでやらなくちゃいけないようなもの、そして、人事などの秘密を要するものについては紙媒体で決裁をするということになっております。今まで、私の経験では緊急を要するもので持ち回りで来たことはありませんが、その二つ、二種類あります。

 そして、対面でというお話がありました。対面については、いろんな案件で担当部局から対面の説明を受けることはありますけれども、受けた後、同時並行的に電子決裁が進んでおりますので、私のところに電子決裁が来た場合にはそこで電子決裁をする、そういうことになっております。

後藤(祐)委員 緊急持ち回り決裁の場合もできませんか。私も、経済産業省に十三年いたときに、確かに、紙を持って、判こを押してくださいというのはよくやりました。そのときに、パッドみたいなものを持って、ここを押してくださいとやれば、できますよね。電子決裁でできない、今の二つの、緊急の決裁の場合と人事の場合について、できないですかね、総務省。

山田大臣政務官 先ほど申しましたけれども、緊急の案件で、私のところに緊急だからということで持ち回りに来たことはありませんので、どういう場合に、例えば大地震が起こって何か対応しなくちゃいけないとかそういう、いろんなケースが考えられると思いますので、一般的に緊急なもの全てについて電子決裁でできるかどうかということについては、私自身は今のところよくわからないところです。

 人事の案件については、やはり秘密性が高いということで、今、総務省では紙決裁にしております。今後、どういう取扱いが適当なのかについてはまたよく考えていきたいと思いますが、今の現状ではそうなっております。

 以上です。

後藤(祐)委員 人事案件は機密性が高いからできないというのは、余り理由にならないと思うんですね。電子決裁はアクセス権限をすごく設定できて、管理者権限で裏から入ることはできません。これは総務省、御存じだと思います。ですから、紙よりむしろ機密性が高いと言えるかもしれませんので、この人事案件を除くのは実は余り理由がないと思います。

 齋藤大臣に伺いたいと思います。

 齋藤大臣は、経済産業省で秘書課にお勤めで人事もやっておられたので、これが可能かどうか、実は我々よりはるかによく知っているはずなんですが、この電子決裁の仕組み、総務省であるようなシステムがまだ農水省は入っていないところがあって、少しお金を投入しないとできない。でも、今年度、どうもやるとかいう話もありますが、電子決裁、更に一〇〇%に向けての決意を聞きたいと思います。

齋藤国務大臣 今、総務省のお話を伺いまして、私も大臣決裁を農林省でやるときに文書だったわけですね。それで、当時、最初から、何で電子決裁じゃないのと内部で申し上げていたぐらいであります。

 今回いろんな出来事、事案がありましたので、総務省からもそういう、整理をするようにという話がありましたので、私ども整理をしていきたいと思っていますし、人事案件につきましても、確かに私は人事をやっていまして、後藤さんの人事もやらせていただいたわけでありますけれども、人事案件だけが重要案件であって、ほかのいろんな案件が、例えば交渉の経緯ですとか、そういうものは重要ではないんだという、人事案件だけがセキュリティーが一段上なんだというのは、私はちょっと理解に苦しむところは正直あるわけでありますので、そこはきちんとした整理が必要だと思っています。今、ちょうどいい機会で、それを見直すということにしておりますので、しっかり見直していきたいと思っています。

後藤(祐)委員 非常に前向きな、しかも経験に基づく答弁、ありがとうございました。

 実は、人事というのは、決裁後に入れかえたりとかいろんなことが多分あって、嫌なんですよね。それについて答弁は求めませんが。

 ちょっと本題に戻りますが、財務省の森友案件では、決裁後に修正というか改ざんをしたという事例がありました。農水省ではあるでしょうか。

 これはちょっと時間がかかるので少し前に通告しておりますが、全部だと大変なので、大臣官房に限定して、去年一年間ぐらいでいいので、網羅的でなくて結構です。決裁後に、改ざんとはあえて言いません、修正したようなもの、字の間違いとかを直すことはあります、そういったものがあるでしょうか、大臣。

水田政府参考人 お答えいたします。

 電子決裁が終わった文書につきまして、その後修正があったかどうか、一件一件網羅的に確認するということは、先ほど先生からお話ございましたように非常に難しい状況でございますけれども、昨日先生からお話をいただきまして、農林水産省の大臣官房の文書管理者に聞いた限りにおきましては、いずれの者も、記憶に残っている範囲で、電子決裁が終わった文書を修正したことはなかったというふうに言っております。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 おととい、そのお願いはしておりますが、なかったということですが、字を間違えたやつ、例えば、今回も安倍昭恵夫人の倍の字を間違っていましたよね、あれ。というような字の間違いというのは実はあるんです。私も、これ、ちょっと間違えちゃっているので何とかしてくださいとやった経験が実はありますので、本当はそういったことというのはあるんじゃないかなと思いますけれども。

 私は、全部がだめと言うつもりはないんです。軽微な間違いをきちっと正すということは、全員の判こをとり直すというのは非合理的なので、ただ、誰かがきちっとチェックしなきゃいけないと思うんですね。これは軽微な間違いだからいいですよというのは、少し距離を置いたところにいる方がいいと言えばいいという形にすればいいと思うんです。その中で、今回の森友のような、あれだけ深刻なやつは、それはだめだよと言う人がいて判断をすれば。私はやりようだと思うんです。

 そういう意味で、決裁後の修正を外部からチェックするような人が必要なんじゃないかと思うんですね。実際、これは電子決裁を一〇〇%にできれば、全部電子的履歴は残ります。もし履歴を変えた場合には、外部のどなたかがそれがわかるような仕組みを導入すれば、この改ざん問題を完全に根絶できる。そんな法案も我々は用意しているんですけれども、少なくとも、外部が我々はいいと思いますが、省内でも少し独立的な立場の方がチェックするですとか、こういう体制をしくべきだと思いますが、これは大臣、どう思いますか。これは通告していますよ。

齋藤国務大臣 現在、財務省のこういう事案があって、財務省自身も、今、調査して解明して、その結果を踏まえて、彼らも問題点を洗い出して更に直していく、そういうところにあるんだろうと思います。

 その結果、どういうことになるかに応じて農林省もやっていくわけでありますが、外部のチェックということでいえば、一応、農林省の行政文書管理規則に基づいて、決裁文書を適切に作成、整理しているかなど、行政文書の管理の状況については、電子決裁文書も含めた行政文書の監査というのを実施しているところであります。

 この監査がどこまで実際に有効なものであるかどうかについては、また、いろいろな事案の原因がわかり、対策をどうすべきかという方向が見えてきた中で、この点についても検討していきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 これは農水省だけの話じゃありませんので、きょうは内閣府からもお越しいただいていますけれども、ぜひ政府全体で、こういった決裁後の文書を修正する場合の手続、字の間違いはまあいいでしょう、でも、これはだめだよというのを、外部性の高い方がチェックする仕組みというのを導入することを検討いただきたいなと思います。

 さて、それにかかわるわけですが、電子決裁の話と別に、文書そのものの作成ですとか保存期間ですとかということについて聞きたいと思いますが、お手元の配付資料の三ページ目に、この四月一日に施行となった農林水産省行政文書管理規則がございます。

 今回の森友改ざん事件を受けて、まあ、受けてというよりはもっと前からということなのかもしれませんが、この四月から全省庁で文書管理規則が改められているんですが、ちょっと幾つか気になる点を確認したいと思います。

 そこの三ページ目の一番上の第九条、ちょっと線が引いていないところなんですが、三項というところに、「別表第一に掲げる事項に関する業務に係る政策立案や事務及び事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等の記録については、文書を作成するものとする。」とあるんですが、別表第一というのは、業務が限定列挙されているんですね。その別表第一に掲げる事項でないものに関する打合せ等は文書を作成しなくてもいいということなんでしょうか。

 この公文書管理のところは全部大臣にお願いしたいと思います。これは全部そういうふうに申し上げていますので、大臣にお願いします。

齋藤国務大臣 今御指摘の行政文書管理規則の別表第一は、まず、他省庁と同様に、行政文書の管理に関するガイドラインを踏まえて規定をしているところで、規則の別表第一では、各部局に共通する業務等に関し類型化した文書に加えて、各部局の事務及び事業の性質、内容等に応じて定められる保存期間基準に掲げた文書が含まれることとなっているので、基本的には、当省の所掌事務に関する業務が網羅をされているのではないかと考えています。

 さらに、例えば突発的に発生した業務などは、本規則の別表第一に規定のない業務が生じたという場合には、行政機関の意思決定過程等を跡づけ、又は検証するという公文書管理法の趣旨を踏まえて、政策立案等に影響を及ぼす打合せ等の記録について文書を作成することが必要となると私は考えています。

後藤(祐)委員 今の大臣の答弁、大変重いものでございますので、後ろにおられる皆様、しっかりと受けとめていただきたいと思いますし、その別表の一番最後に備考というのがあって、その中の漢数字の五に、「本表が適用されない行政文書については、」というところがあるんですが、「内容等に応じた保存期間基準を定めるものとする。」とあって、要は逃げれる規定がここに置いてあるんですけれども、今の大臣の答弁をしっかり踏まえて、特に大事な業務にかかわるような打合せ等については必ず文書化するという、今そういう趣旨の答弁だったと理解しておりますので、ここはしっかりと守ってやっていただきたいと思います。

 この打合せについて、ちょっと心配なのが十条というやつなんですね。その下の十条で、ここが今回の文書管理規則、新たに加わったところなんですが、これは農水省だけじゃなくて、ほかもそうなんですが、外部の方との打合せのときに、相手方の発言部分なんかについても、確認により、「正確性の確保を期するものとする。」とあるんですが、意見が違う場合がございます。

 音声は一つなんですけれども、その音声が、こうだった、ああだったということについて見解が異なる場合がございます。このときに心配するのは、この範囲の言い方だったらお互い理解できるよねということで、最大公約数的な角の丸まった表現にしてしまうと、見解が違うところというのは大事なところなんですよ、そうすると、記録が残らないことになっちゃうんですね。

 ここの、この十条の二項をそういう意味に解してはならないということを、大臣、明言していただきたいんです。ここの後ろの「ただし、」というところの意味は、見解が違う場合は、少なくとも我々の見解としてはこうだということで詳しく書くということであって、最大公約数的に角を丸めた表現にしてはならないということを明言していただきたいと思います。

齋藤国務大臣 まず、文書に記録として残していくということを考えますと、この打合せについての部分について、相手が後から見て、そんなこと言ってないよとか、そういうふうになってしまうと、これは相手方との関係でも問題があろうということでありますので、ですから、その相手方による確認をまずとる必要があるんだろうという、そういう趣旨なんだろうと思うんですね。

 だけれども、こちら側が間違いなくそういうふうに聞いたのに、向こう側が後からそれを否定するというような場合にどうするかというのが出てくるんだろうと思いますが、その場合は、私は、できるだけ正確に記録をしておくべきだというふうに思っております。

後藤(祐)委員 私はというのは、この十条の解釈は、見解が違う場合は、少なくとも農水省としてはこういう見解だとして細かく記述するということでよろしいですか。最大公約数的に角を丸めることはないということで、大臣、よろしいですか。

齋藤国務大臣 いろんな対応の仕方はあると思うんですが、一応今回の管理規程で農水省が新設をさせていただいたところ、ここに関係するところなんですが、文書管理規則第十条二項ただし書きの記載の方法は、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定めるところによると書いてありまして、文書全体について相手方の確認がとれない場合、文書の右上等の目のつきやすい箇所に、○○、これは相手のことですけれども、未確認等と記載して残す。それから、文書の一部分について相手方の確認がとれない、意見が違っているようなこともあるのかもしれませんが、文書の右上等の目のつきやすいところに、○○一部未確認等と記載した上で、当該部分を斜体にして、当該箇所が未確認である旨を記載してしっかり残すということを今回の規程で決めさせていただいているということであります。

後藤(祐)委員 つまり、丸めることはないということでよろしいですか。

齋藤国務大臣 丸めずに、未確認という形で残すようにということであります。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。重要な答弁です。

 内閣府の長坂政務官、お越しいただいておりますけれども、これは政府全体としての方針だと考えてよろしいでしょうか。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 そのように考えております。

後藤(祐)委員 この文書管理規則、あるいはその前提となっている政府全体のガイドラインでは、そこまで読み取れません。今、明確な答弁をされたので、それを紙にして各府省に通知していただけますでしょうか。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生御指摘の件でございますが、発言内容の認識の違いが生じた場合であれば、その旨が判別できるように、各行政機関においてそれぞれ文書を作成することとなりますが、意思決定過程等の合理的な跡づけや検証に必要となる文書が適切に作成されることは、国民への説明責任を全うするという公文書管理法の目的を実現する上で極めて重要なことであると考えております。

 まさにその観点から、改正ガイドラインにおいても、文書の作成に関する留意事項として、「行政機関間の打合せ等の記録の正確性を確保するに当たっては、各行政機関において、現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにするという法の目的に照らし、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、文書を作成することが前提である。」と記載されております。

後藤(祐)委員 今のやりとり、お聞きになられていましたでしょうか。農水大臣は明確に言いましたよ。そして、それをそのまま、政府内でそうだと言いましたよ。

 ですから、角を丸めることなく、見解が異なる場合は、我々としてはこういう見解だけれども、相手の確認はとれていないというふうに書けということであって、角を丸めてはならないということを、政府全体でそういう方針なんだということを内閣府から各府省に対して紙で通知していただけないでしょうか。

伊東委員長 齋藤農林水産大臣。(後藤(祐)委員「農水省のことを聞いていません。政府全体のことです。もう農水省、さっきおっしゃったから。聞いていないですよ」と呼ぶ)

齋藤国務大臣 御指名なので。

 私ども、先ほど委員に読ませていただいた部分で、「相手方による確認等により、正確性の確保を期するものとする。」という後に、「ただし、相手方の発言部分等について記録を確定し難い場合は、その旨を判別できるように記載するものとする。」と書いてありまして、丸めて書けとは書いてありませんので、それが全体の中で決められて、私どもが規則として決めているということでありますので。

 あと、全体については……。

長坂大臣政務官 私からもお答えさせていただきます。

 改正ガイドラインを踏まえて、公文書管理委員会によるチェックを経て、各府省が行政文書管理規程の改正を行ったところでございまして、まさに本年四月から、全府省において、より厳格なルールのもとでの文書管理が行われていることとなります。

 この新たなルールの運用に当たりましては、留意事項も含め、公文書管理法やガイドラインの趣旨が徹底されるよう、各府省の職員向けの研修の充実などを通じて、ルールの徹底を図ることといたしております。

 引き続き、公文書管理の質を高めるための不断の取組を進めてまいります。

後藤(祐)委員 いや、質問に答えていないんですが、ちょっと、紙のものしか読まないようでは、先ほどの齋藤大臣の答弁はすごく重要なんですよ。実際、相手方と打合せをしたら、もめる場合が出てくるんですよ。もめた後どう書くかというのは、すごくもめるはずなんですよ。それに対して、齋藤大臣ははっきり言った。すごく大事な答弁なんですよ。それが、政府全体ではそうでないかのような答弁です。

 これは、もう時間がもったいないですから、内閣府としての、政府全体の見解を紙にしてこの委員会に提出していただくよう、委員長に申し述べたいと思います。

伊東委員長 後日、理事会で協議させていただきます。

後藤(祐)委員 かなり時間を食ってしまったんですが、保存期間についても、この同じ配付資料三ページの十三条というところで、一年未満とすることができるというので、例えばとして(1)から(7)が挙げられています。ここを例えばと書いてしまったら、あと残りのものは、もちろん別表で三十年とか十年と規定されているものはそうしなきゃいけませんが、別表に書いてないものであれば、この例えばの三文字で何でも一年未満にできちゃうじゃないですか。

 これを限定列挙にすべきじゃないですか。農水大臣、いかがでしょう。

齋藤国務大臣 この農林水産省の管理規則においては、昨年末に改正されたガイドラインを踏まえて、意思決定過程等の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書については原則として一年以上の保存期間、それから、あわせて、保存期間一年未満の行政文書については、各文書管理者の裁量の余地が大きくならないよう、具体的に七つの類型を示したということであります。

 ただ、この一年未満の保存期間を設定している、今、行政文書の七つの類型、この七つの類型以外の文書については、保存期間を一年未満として廃棄する場合には、それがどのような業務に関する文書、これを一年未満として廃棄するかを公表するということに今回しております。委員もごらんになったと思いますけれども。

 こうした公表を義務づけることによりまして、この七つの類型以外のものもそのリストが国民の目に触れるということでありますので、国民目線によるチェック機能が果たされるのではないかというふうに考えております。

後藤(祐)委員 それは文書の題名があるだけなので。文書の題名なんて、何だってできちゃうんですよ。今回だって、日報の話は、題名が複雑でわかりませんでしたと言いわけしているんですから。

 だから、それはほとんど歯どめになっていなくて、実際、一年未満のところにいろいろなものを入れてしまうのではないかということは、もう最初から正直に白状している条文が、その次の四ページ目の第二十条の三項というやつで、一年未満にする場合も、ちょっときょうその資料には書いてありませんが、四項、五項、七項に該当しないかを確認した上で廃棄するものとするとなっているんですが、例えば、その中の五項というものは、「行政が適正かつ効率的に運営され、国民に説明する責務が全うされるよう、意思決定過程や事務及び事業の実績の合理的な跡付けや検証に必要となる行政文書については、原則として一年以上の保存期間を定める」とあるわけで、ただ、これを確認した上でというのは、誰が確認するんですか。現場の職員ですか。その確認、信用できるわけないじゃないですか。

 つまり、これ、立派にしましたと言う割には、結局一年未満ができるようになっちゃっている。ざる法じゃありませんか。ここの二十条の運用の問題というよりは、もともとの、三ページ目にあります十三条の一年未満にできるケースとして、例えばとしちゃっているところが問題なんですよ。ここを限定列挙にするか、あるいはもうちょっとうまい工夫を、限定列挙だときついから何かしたいというんだったら、いろいろなやり方はあり得るかもしれませんが、ここが例えばと書いてある限りにおいては、何らこれは進化していないですよ。

 大臣、どう考えますか。

齋藤国務大臣 私どもとしては、今、後藤委員が御指摘のようなつもりで書いているわけではないんですが、この例えばというのはガイドラインそのものにある表現でありますので、これはちょっと、私の方からではない御答弁にさせていただけたらと思います。

後藤(祐)委員 これは、そうですね、内閣府のガイドラインがそういうことになっていますが、では、内閣府の見解を伺いたいと思います。

 政務官、ここが例えばでは、結局ざる法になっちゃうと思いますが、ここは限定列挙にすべきだと思いますが、いかがですか。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 昨年改正を行いました行政文書の管理に関するガイドラインにおきましては、意思決定過程の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書については、一年以上の保存期間の設定を義務づけたところでございます。

 あわせて、保存期間一年未満の行政文書につきましては、各行政機関の裁量の余地が大きいと指摘されたことを踏まえまして、その範囲を従来より大幅に限定すべく、一年未満の保存期間を設定し得る行政文書の類型を示したところでございます。

 先ほど申し上げました、一年未満の保存期間を設定し得る行政文書の七つの類型以外の文書につきましては、保存期間を一年未満として廃棄する場合には、それがどのような業務に関する文書であるか公表することを義務づけております。例えば、業務が突発的に発生したなどの理由で保存期間表にあらかじめ記載できなかった場合には、どのような文書を廃棄したのか、事後的に記録、公表することを義務づけております。

 このような公表を義務づけることで、各行政機関は、保存期間を一年未満とすることの妥当性について国民の目を常に意識し続けることになり、いわば国民目線によるチェック機能が果たされると考えております。

 また、ルールの見直しにとどまらず、公文書を扱う職員一人一人の意識を高めることが極めて重要であることから、研修の充実、点検、監査の実施等を通じて、改正ガイドラインの実効性を担保してまいります。

後藤(祐)委員 まあ、ざる法であることが明らかになったということなんです。

 時間が来ましたので、最後、TPPについて、澁谷統括官、お越しになられていますが、TPP交渉について、日本国政府と米国との間の交渉は文書で残っていますでしょうか。

澁谷政府参考人 二年前のTPP12の審議の際も御説明申し上げましたが、当時の甘利大臣とフロマン米国通商代表との間の協議については、記録を一切残しておりません。つくっておりません。

 ただ、それ以外の事務方のやりとり等については、適宜そこは資料を作成して、適正な文書管理を行っているところでございます。

後藤(祐)委員 文書管理規則との関係はどうなるんでしょうか。

 甘利先生が政府部内でない方だったらまだわかりますよ。でも、あのとき大臣じゃないですか。大臣がこんなに大事な交渉についてフロマン氏とやった交渉が文書に残してないのは、別表に条約というのは明確に入っているんです、これは文書管理規則との関係はどうなるんですか。

 それと、もう時間がないので、この残っている文書の中で、種子法に触れた部分はありますか。

澁谷政府参考人 自慢ではありませんが、私は大変長くこの仕事をやっておりまして、TPP12の交渉当初からかかわっておりまして、交渉内容についての報告は全て受けております。特に、国内制度にかかわるような議論があった場合には必ず、私、報告を受けることになっておりまして、私自身、米国との間で種子法に関する議論があったということは一切承知をしておりませんし、きのう御通告いただきましたので、念のため当本部内において関連の行政文書を確認いたしましたが、種子法に関するやりとりがあったという確認は全くなされませんでした。

伊東委員長 後藤祐一君、持ち時間が過ぎております。

後藤(祐)委員 時間が来たので終わりますが、TPPの法律もこれから出てくるということでございますので、そのときまた続きをやりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、主要農作物種子法が四月から廃止され、自治体から不安の声が上がっているという、この件について御質問させていただきたいと思います。

 兵庫県では主要農作物種子生産条例、そして新潟県でも主要農作物種子条例が制定され、四月一日に施行されているということです。北海道は、一八年度に現行の体制を維持しつつ、一九年度以降に条例制定を含めて検討する方針ということでございます。

 一言で言えば、種子法が廃止されて、そして優良種子の安定的な供給が継続されない、そういう可能性があるということで、不安だから、まず、こういう声があるから、その声に対応するためにこの条例が制定されたということだというふうに思います。

 三月二十四日の日本農業新聞の一面の記事にもその声が記載されていまして、「兵庫県では「条例制定により農作物の安定的な生産の確保を図りたい」としている。新潟県も「優良な種子の安定供給に影響が出るのではないかという農業者や地域の不安に応えた」と述べた。」というふうにあるんです。

 実際に種子法は大変重要な役割を担ってきたということは、この委員会の中でも議論がなされてきたところであります。

 種子生産に行政が責任を持って、そしてルールをしっかりつくっていくということは重要な観点でありますが、まず、このような動きについて、御認識をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

齋藤国務大臣 御指摘のように、種子法が廃止されたことを受けまして、都道府県において、地域の状況を踏まえて必要な見直しを行いつつ、平成三十年度も種子供給に係る事務を実施するということになっているわけであります。

 具体的には、全都道府県において、平成三十年度も前年度とおおむね同程度の予算も計上しておりますし、条例等の独自ルールを定める都道府県もあるというふうに承知をしているところであります。

 私も実は埼玉県で農林部も担当する副知事でありましたけれども、都道府県としては、自分たちの都道府県の中で、それぞれの地域の実情に応じて、どういうものを生産するかということを都道府県は考えてやっているわけでありまして、品種の開発も含めて、自分たちの自治体の中での種子の供給をどうするかと考えながらやっているわけでありますので、それをこれまでは国が画一的なやり方でやりなさいというふうにしていたわけでありますけれども、これがなくなったので、それぞれの自治体がどういうふうにしようかというのを考えて行われるようになってきているんだろうなというふうに認識をしております。

金子(恵)委員 不安な声というのをそれでは払拭できるかというと、そうではないんだというふうに思うんですが。

 民間のノウハウを利用して、そして民間企業の活力の活用という言葉もお使いになってこられたというふうにも思います。さらには、民間企業参入促進という言葉もお使いになってこられたのではないかというふうに思います。

 民間企業に、これまで守ってきた種子、財産です、優良な種子というその財産をただ単に受け渡してしまって、そして、民間企業の利益の材料になって終わるということがあってはいけないということだというふうに思います。いかがですか。

齋藤国務大臣 大変恐縮なんですけれども、種子法廃止のどこからそういう議論が出てくるかとちょっと私、今理解に苦しんでいるところであります。

 今回の種子法廃止の趣旨は、従来から申し上げておりますように、食料増産時代に、都道府県に画一的な方法で生産と奨励を図っていくということで行われたわけであります。その後、状況が変わって、需要も多様化してくる中で、民間の活力が活用できる環境整備をしていこうということで廃止をするわけでありますので、それ以上のものではないんですけれども。

金子(恵)委員 あらゆる可能性、そういうことから、しっかりとこの件については議論をしなくてはいけなかったというふうに思います。でも、もう廃止です。ですから、今、種子法復活法というものを目指す、そういう動きがあるということでありますので、我々会派の中でもしっかりと議論を積み上げていきたいというふうに思っているところでもあります。

 次に行かせていただきますけれども、三月の二十日に、私、この委員会でも取り上げさせていただきました、花卉振興とそしてまた花育の件であります。

 そのときに、大臣、当時の花き振興法に御尽力をいただいたというお話をされていました。部会長でいらっしゃって、議員立法として、この花き振興法成立のために御尽力されたということであります。

 花卉振興の一つの目標というものは、もちろん花卉産業をしっかり振興していくということと、そして花卉文化の振興だというふうに思います。これが目的だというふうに思います。

 どの事柄についても、やはり産業と、そしてもう一方の部分という話で、両輪ということをおっしゃっていらっしゃるわけです。農業についても、きのうも議論がありましたけれども、農業はただ単なる産業政策ではなく、地域政策でもあるというお話だったんです。

 前回、ちょっと中途半端になってしまいましたので、改めてもう一度質問させていただきたいと思いますが、国産花きイノベーション推進事業というのを活用して、現場では花育事業というのがなされている。私の地元の福島市やあるいは伊達市などでも、JAふくしま未来が行っている学校教育支援事業、これは国産花きイノベーション推進事業というものを活用しているんですが、そこで花育を推進しているわけですね。

 実際に、子供たちが、この花育事業を通して、花に触れ合って、そして心を育てるということをしているわけなんですが、ここの中に、消費量、消費金額の目標とか、そしてまた生産者側の、あるいは販売業者の出荷量、出荷額、取扱量、売上高、そういうものの目標を設定せよということを平成三十年度から要綱に盛り込んだということでございまして、こういう目標というものを今年度から設定しなくてはいけないということになったんです。

 私がここで危惧しているのは、先ほども申し上げましたように、それでは、花卉文化というものを振興するということ以上に、産業なんだ、全てが産業に絡めている、そういう方向性なんだ、全て競争なんだと。農業競争力強化プログラムにあるような形で、全部そういう方向になっていくのではないかということなんです。

 現場では、大変純粋に、とても純粋に、子供たちの心を育てようとして花を提供してくださる方々がいる、そして、生け花教室もそうですけれども、そういうものを実行していらっしゃる。私も、実際に小学生と一緒にこの授業を受けたことがあります、花を生けました。子供たちは本当に純粋です。現場の人たち、純粋です。

 大臣、ここは、やはりこの花きイノベーション推進事業のあり方だというふうに思うんです。もし、これがどうしても産業振興のものであるということで、こういうたてつけじゃなきゃできないということであれば、大臣がおつくりになった花き振興法、これによって、花卉文化の振興ということで、別な補助制度、そういうものをつくってもいいんじゃないかと思うんです。いかがですか。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

齋藤国務大臣 御指摘のように、花きの振興に関する法律については、当時自民党農林部会長として、大変思い入れがある法律であります。

 特に、花育については、まさに御指摘のとおり、ビジネスではなくて、むしろ花卉の文化の振興を図るのが大事なんだという観点を強調すべく、衆議院の法制局とも私自身が議論をしてきた経験があるものですから、その結果、同法の第十六条第二項にこれは位置づけられてきているということであります。

 それで、御指摘の国産花きイノベーション推進事業においては、都道府県及び花卉業界関係者で構成される地域協議会、これが行う花育体験活動を支援しているところでありますが、現在、御指摘のように、国産花卉の需要拡大の目的のもとということで、補助事業はその目的なんだということで、事業成果を求められるという側面があるわけであります。

 このため、花育体験活動への助成については、平成三十年度から、花卉の生産者の参加を要件とする、それから、三年後の成果目標として生産者及び販売業者の出荷額等の一〇%増加を図ることを追加していくということになったわけであります。

 そもそも、この国産花きイノベーション事業は、花卉消費の伸び悩み、安価な切り花の輸入の増加という緊急な課題に対応するために創設をしたという背景があるものですから、花育についても、その活動を通じて国産花卉の需要拡大につながるという観点が非常に重視されている補助事業というふうになっているものですから、こういう対応が行われることになっているわけであります。

 ただ、花育に対しましては、農林水産省においても、それぞれ各地域で行う活動に対する後援とか表彰など、幅広い支援を行っているところでもありますので、これらを通じて花育の文化面での推進というものも図っていきたいなというふうに考えております。

金子(恵)委員 それでは、国産花きイノベーション推進事業という枠組みにとらわれずに、しっかりと、心を育てるという意味で花育をぜひ進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

 東京オリンピック・パラリンピックで、国産花卉を使用し、世界に日本の花のすばらしさを発信したいという、生産者の皆さんも含めた花卉産業にかかわる皆さんの声もあるわけであります。

 それで、私の地元の福島県の川俣町の福田小学校の子供たちは、町の新たな特産物として栽培されている花、アンスリウムのゆるキャラを考案して、このアンスリウムのPRをしているということが話題になりました。東京オリンピック・パラリンピックで歓迎、祝福の花として採用されることを目指して、ゆるキャラの名前は、オリンピックとアンスリウムをかけて、「スリンちゃん」だということなんです。

 このように、地域の特産物の花をPRする動きというのがあるんですけれども、東京オリンピック・パラリンピックで日本の花を世界に発信する、その機会をつくるべきだというふうに思います。ビクトリーブーケも含めて、国産花卉使用に向けてどのような取組がなされているのか、伺います。

齋藤国務大臣 この花き振興法を議員立法するときにおきましても、花の業界の皆さんは、ぜひ、東京オリンピック・パラリンピック競技大会で日本の花卉や花卉文化を世界へ発信する、そういう機会としたいという熱い思いがありまして、私ども、そういうものもあって、議員立法に尽力をしてきたわけであります。

 この東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、日本の花卉の輸出拡大にもつながる絶好の機会になるのではないかというふうに考えております。

 また、大会において東日本大震災の被災地の花卉を活用するということは、復興の進展をあらわすシンボルにもなるのではないかと思っておりますので、農林水産省としては、ビクトリーブーケを始め、東京大会のさまざまな場面において国産花卉が使用されるよう、花卉業界とも連携して、今、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会に働きかけているところでありますが、引き続き努力していきたいと思います。

金子(恵)委員 使用していただけるようにということで今おっしゃっていただいたんですが、ビクトリーブーケにもぜひということで働きかけをしているということではあったんですが、残念ながら、昨年の十月の段階でですけれども、大会組織委員会で、メダリストに贈る贈答品をブーケ以外にする、そういう案も持ち上がったということで、関係者は大変不安を募らせているということです。

 平成二十七年の段階でですが、現在もこのような事業をされているのか確認をしなくてはいけないんですが、オリンピック・パラリンピック安定供給対策事業によって、日本生花通信配達協会というのがありますけれども、そこが実施主体になりまして、夏に強い花を供給するための体制整備を進めてきたということでありました。

 実際に、まず、夏ですから、夏の国産花卉を安定的につくる体制整備とか、そしてまたビクトリーブーケをしっかりと動かせるか、配達できるかなどの実証ということだというふうに思います。その二項目を進めてきたということで、もうここに至るまでも多くの方々がかかわって、努力を積み重ねているということであります。

 私は、復興の立場で考えれば、実はオリンピック、パラリンピック万々歳じゃないんですね。当然、復興がまず先だと思っています。でも、ここまで来て、復興オリンピック、復興五輪ということであれば、当然、今おっしゃっていただいたように、やはり被災地の花も使っていただいて、しっかりと、少しでも被災地が元気になっていただけるような、そんな取組をしていただきたいということであえてこういう質問をさせていただいているんですが、最後に、ぜひ大臣のこの部分についての決意をもう一度お聞かせいただいて、終わりたいと思います。

齋藤国務大臣 繰り返しになりますが、私が農林部会長のときから思いを込めて推進してきている政策でありますし、ちょっと、オリパラのビクトリーブーケの話が今、直近どういう状況になっているか、私はフォローしていませんが、決まったというふうには私は認識をしておりませんので、引き続き努力をしていきたいと思いますし、その過程において、被災地に元気が出るような展開ができるように努力をしていきたいというふうに考えております。

金子(恵)委員 終わります。ありがとうございます。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 諫早湾干拓事業と和解協議のことについて質問をします。

 私は、三月二十日の大臣所信質疑、そして二十八日の一般質問と、諫早湾干拓事業について質問をしてまいりました。

 この間、潮受け堤防の開門をめぐっての状況が大きく変わりました。それは何かといいますと、干拓地で長年農業に従事してきた農業生産法人二社が開門差止めの訴えを取り下げて、開門を裁判で主張していくということになってきたからであります。

 なぜ農業者が立場を変えて裁判に訴えるまでに至ったのか。有明海異変を引き起こした堤防締切りが干拓地にも大きな影響を与えているからであります。農水省、大臣、いよいよ開門調査が必要になってきたのではありませんか。

 最初に、和解協議について尋ねます。

 昨日四日は、福岡高裁の和解勧告に対する当事者の回答期限でありました。しかし、開門を前提としない基金での和解提案に、漁民原告は三月十九日に受け入れられないとの回答をしています。

 齋藤大臣に伺います。

 基金による解決案は、長崎地裁で一年二カ月にわたって協議がされ、決裂されたものであります。和解に至らないことが試され済みの提案に、やり方になぜ農水省はここまでこだわるのでしょうか。答弁をお願いします。

齋藤国務大臣 三月十九日に、開門を求める方々が、開門しないことを前提とした和解の方向性は受け入れないとされて、開門も含めた和解協議を求める旨の回答を福岡高裁に提出したことはもちろん承知をしておりますが、一方で、三月五日の福岡高裁の和解勧告は、本件をめぐるさまざまな御意見や長年にわたる経緯がある中で、開門しないことを前提に開門にかわる基金等の方策による解決を図ることが、現在の混迷、膠着した状況を打開する唯一の現実的な方策という御判断をいただいているところであり、これは重く受けとめるべきなんじゃないでしょうか。

 その後の経緯といたしまして、三月十四日には、佐賀県有明海漁協において、国が提案した開門によらない基金案とともに、三つの要望事項についてぜひ実現してほしいとの表明をしていただいたところであり、これは、福岡高裁の和解勧告を踏まえ、漁協として苦渋の決断をしていただいた、これも真摯に受けとめるべきではないでしょうか。

 加えて、三月二十八日には、この漁協の方針を佐賀県も支持するとの考えを、佐賀県の山口知事御自身が直接私に伝えにわざわざ上京をされました。

 これらのことも踏まえて、国としては、福岡高裁の請求異議訴訟で行われている和解協議において、同高裁の和解勧告に沿った和解の成立を図っていくことが適当と考えまして、国においては、関係機関との相談をした結果、昨日、四月四日に、福岡高裁の和解勧告において示された和解の方向性について受け入れるという旨の回答書を福岡高裁に提出させていただいたというところであります。

田村(貴)委員 佐賀県とか佐賀県の漁協のことを言われましたけれども、訴訟の当事者は漁民ですよ、漁民原告ですよ。和解の協議のテーブルに着くことができない、入り口に立とうとすることができないんですよ。

 そういう状況をつくっていて、前回聞いたときに、裁判か和解かどちらで解決するんだと言ったら、和解と言われたでしょう。和解にならないじゃないですか。だから、どうするんですかと聞いているんですよ。漁民原告を和解の入り口につけない状況をつくっておいて、どうやって和解するんですかと聞いているんです。

 いま一度答えていただきたいと思います。

齋藤国務大臣 私は、福岡高裁の和解勧告における御判断ですとか漁業団体の苦渋の決断は、全ての関係者において重く受けとめる必要があると考えています。

 国としては、福岡高裁の請求異議訴訟で行われている和解協議において、開門によらない基金による和解に至れるよう、引き続き真摯に対応していくことに尽きます。

田村(貴)委員 「この勧告では解決しない」、長崎新聞の三月七日付の論説記事の見出しであります。この記事を紹介します。

 「和解の道を探るための勧告だとは到底思えない。」との書き出しで始まり、「国は、和解が決裂した場合は百億円の基金がなくなることをちらつかせており、「開門もしない、基金もない」状況に陥ることも予想される。そうなった場合、開門派原告のみならず、基金に理解を示した福岡などの漁業者が再び開門に向けて強硬姿勢にならないとも限らない。」大変踏み込んだ記事であります。

 百億円の基金がなくなることもちらつかせており、もしこんな圧力があったとするならば、これはゆゆしき事態ですよ。そうなれば、ここは福岡の漁業者というふうに書いているけれども、佐賀の人だってどう考えるかわかりませんよ。

 もはや、私は二度目の決裂というのは絶対あってはならないと思うんですけれども、農水省はどう考えていますか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど先生からございました百億円の基金の話につきましては、これまでの有明海の環境変化に対します特措法に基づくいろいろな取組がございましたけれども、それを更に加速化するという観点で提案をさせていただいたものでございます。

 この提案に当たりましては、四県の漁業団体の方々から具体的な御意見や御提案をいただきまして、有明海の振興、再生に必要な取組内容を盛り込んで提案をしておりますので、これを実現できる仕組みというふうに考えておるところでございます。

 それから、和解協議につきましては、今ほど大臣からも答弁ございましたが、長い経緯がある中で、福岡高裁からの和解勧告がございました。それをめぐって、いろいろな方がいろいろなことを御検討されておるわけでございますけれども、やはりこの和解勧告を全ての関係者が重く受けとめていただく必要があるのではないかと考えておるところでございまして、私どもといたしましては、開門を求める方々におきましても、これらの事情を重く受けとめていただいて、ぜひとも福岡高裁の和解勧告に示された和解の方向性を受け入れていただけるよう御理解をいただきたいと思っておるところでございます。

田村(貴)委員 私の質問にお答えになっていないと思うんですけれども、また決裂を想定されて和解の協議に当たるんですか。二度目の決裂は私はあってはならないと思っているんですけれども、そこを聞いているんです。端的にお答えください。

荒川政府参考人 繰り返しになって恐縮でございます。

 私ども、昨日も福岡高裁の和解勧告において示された方向性を受け入れるというふうに回答させていただいたところでございまして、これから福岡高裁の請求異議訴訟で行われます和解協議の中で、しっかりと和解協議に対応してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 この問題に、ずっと見続けてきたいろいろな方面からの指摘があります。紹介します。

 一昨日、四月三日の日経新聞、諫早干拓、見えぬ解決策の大見出しであります。識者の声が新聞でも報じられています。成蹊大学法科大学院の武田真一郎教授は、解決には政策判断が必要で、法的判断の場である裁判所が解決策を示すことには限界がある、国は双方が歩み寄れる別の解決案を示す責任があると述べておられます。

 三月六日の朝日新聞では、国は裁判を超えて解決姿勢をとの記事を出していて、ここまで問題をこじらせてきたのは、かたくなに開門を拒む国の姿勢と言えると指摘しています。横浜国立大学の宮沢俊昭教授は、この裁判の帰趨にかかわらず紛争は続く、公益を代表する国は、あるべき有明海の姿を裁判の外で示す必要がある、こういうふうに指摘されているわけです。

 大臣、非開門、基金による解決が唯一の解決策だとする、そうしたコメント、論評というのは見当たりません。こうした声をどのように受けとめておられますか。

齋藤国務大臣 本当に、本件は、いろいろな考え、いろいろな思いの方がおられる中で、しかも、経緯も、さまざまな経緯が積み重なってきてまいりまして、私どもも申し上げたいことは一々あるわけでありますけれども、事ここに至って、福岡高裁の、先ほど申し上げましたような、現在の混迷、膠着した状況を打開する唯一の現実的な方策だ、高裁もそういう理解でいるということが解決に向けてのやはり方向性なのではないかなというふうに思っているところでございまして、この福岡高裁のさまざまな御意見、思い、経緯を踏まえた上での和解勧告に示された和解の方向性、これをぜひ受け入れていただくよう、再考を何とかお願いしたいと考えています。

田村(貴)委員 そうした姿勢では、現在の混迷、膠着した状況は一層悪化していくと言わざるを得ません。

 干拓地のことについてお伺いします。

 前の委員会で、カモの食害について取り上げました。干拓地ではこのほかにいろいろな問題がありまして、冬の寒さ、夏の暑さが問題になっています。

 冬は冷害に遭っている、レタスが凍りつく。凍ったレタスは、プロの目でもなかなか判断できなくて、出荷されて、お客さんのもとに着いたときに真っ黒になっている。そういう、いわゆる凍傷による被害があっているということです。夏は暑過ぎて、シソしかつくることができない。だから、海水を何とか調整池に入れて、作物被害を防ぐ対策をつくってほしい、こういう声が営農者の間から上がっています。

 こういう状況に営農者たちはどういうふうに向き合っていったらいいんでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 諫早湾干拓地回りの環境関係につきましては、私ども、平成元年から潮受け堤防の締切り前後を通じまして、周辺地域の四地点での気温の観測、こういったものを続けてきております。また、事業完了後におきましても観測を継続している地点のデータもございますけれども、そういったデータと、長崎県の方で調査されておられます中央干拓地において観測された気温とを比較いたしましても、締切りの前後で先生が御指摘になったような顕著な気温の変化といったものが見受けられるというふうには認識をしておらないところでございます。

 一方で、いろいろな営農上の課題というのはあるわけでございまして、この干拓地につきましては、干拓の造成が終わった後、長崎県の農業公社が国から配分を受けて農業者へリースをされておられますので、一義的には造成農地で営農される農業者の方と長崎県の農業公社でお話合いをされるべきだと考えておりますが、国としても、いろいろな立場で御要請、御要望があれば、対応してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 対応してください。

 そして、荒川局長、認識を変えていただきたい。まず現地に行ってみてくださいよ。ハウスが建っているんですよ、あの広大な干拓営農地に対してハウスが建っている。その前はトンネルで霜よけをやってきた、それではもう間に合わない、今度はハウスをつくり出した。もともとそういうことを想定している干拓営農地じゃないじゃないですか。そういう営農者の苦労があることを、今直ちに認識を変えていただいて、対策を打っていただきたいというふうに思うわけでありますし、必要な調査は行っていただきたいというふうに思います。

 改めて齋藤大臣にお伺いしますけれども、開門絶対反対だった営農者の方々が開門を要求せざるを得ないといういわゆる有明海異変というのは、営農地に対しても危害を及ぼしているわけであります。この間言ったカモの食害、調整池で食べるものがなくなったカモたちが陸に上がってきておいしい野菜をついばんでいる、これは大きな被害になっている。それから、今言った冷害、排水不良の問題もある、農業用水が汚くてなかなか農水に適していない。こうした問題も多々あるわけなんです。

 営農者が訴訟で開門を求めるというのは初めてのことなんですよね。もう調整池は要らない、本明川からの水を干拓地のどこかにため池としてつくって、ろ過して、それを使った方がよほどいい、調整池の水はあんなにたくさん要らないというふうにおっしゃっているわけですよ。これはやはり一聴に値するのではないかなというふうに私は思うわけです。

 この状況をどういうふうに受けておられるでしょうか。干拓地営農のこうした問題を引き起こしているのではないのか、潮受け堤防、調整池、干拓地のあり方、ここが農政の面でも問われている。この御認識を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 個々の問題については、それぞれ対応を考えてしていくと局長からも答弁いたしましたが、開門反対の方だった営農者が開門を主張し始めているという点につきまして、長崎県農業振興公社から干拓農地の利用権設定の更新が認められなくて、土地の明渡しを求められている二名の方が、国、長崎県等を被告として、調整池を基地とする野鳥による食害の損害賠償と排水門の開門を求める訴えを提起し、現在、長崎地裁において係争中であります。

 個別の訴訟における国の考え方等については、それぞれの訴訟の現場においてお示しをしていくこととしたいと思っております。

 今後の本件に係る裁判の進行に応じて、関係省庁と連携して、具体的な対応を図ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 時間が来ました。

 農漁共存の立場をぜひとっていただきたいと思います。鳴り物入りでつくった諫早湾干拓農地、そして潮受け堤防、有明海異変を起こし、今、干拓農地でこれだけの問題になってきているわけなんですよね。このシビアな現実をやはり直視する必要があると思います。

 漁場も、そして営農地も、しっかりと安心して第一次産業が成り立っていくためには、農水省は今の考え方を変えるべきであります。非開門にこだわった和解協議の提案は、漁民原告は受け入れられないと言っている。決裂させてしまうだけならだめですよ。

 ですから、ここは、いま一度考え直していただいて、そして誰もが歩み寄れるテーブルと環境をつくっていただく、ここを強く要求して、きょうの質問を終わります。

 終わります。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も質問させていただきます。お時間いただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速ですが、質問に入ります。

 先日、消費者特で食品ロスの問題について質疑をさせていただきました。その中で、規格外野菜の利用について質疑をしたのですが、人手不足でなかなか農家の方々も売れない野菜に時間と手間をかけることはできないと思います。しかし、丹精込めてつくられる野菜をもっと利活用できないかと思っております。

 そこで、まず、野菜の供給の状況に関して伺います。

 ここ数年、冬に野菜の値段が高騰しております。二月後半だったと思うのですが、久しぶりに見事にUの字に曲がったキュウリが大手スーパーに並んでいるのを見かけ、購入しました。味はふだん売っているものと全く変わりなく、おいしくいただきましたが、価格は少し高かったことを覚えています。ちなみに、そのときには、曲がっていないキュウリは既に売り切れておりました。厳しい寒さで野菜が不足しているのだろうと感じました。

 そこで、お聞きします。

 ここ数年で冬に野菜が高騰しておりますが、要因は何でしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 年年によりまして状況は違いますけれども、昨年の秋から本年の三月にかけまして、白菜等の葉物野菜や大根等の価格が高騰したところでございます。

 この要因につきましては、関東を中心といたします昨年十月の長雨、また台風二十一号、あと十一月以降の低温の影響によりまして、出荷量が減少したことが原因でございます。

 三月以降は気温が上昇してございまして、現在は多くの野菜で価格は平年並みに回復してきている状況になってございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。野菜の高騰は、台風の直撃、長雨や雪などということで、御説明いただきました。

 天候不良などに対する対策といっても、なかなか天候を予測するというのは難しいかと思います。野菜の値段が高騰したり出回る量が少ないというのは、農家の方だけでなく、直接国民の生活にも影響が出ます。ぜひ対策をしっかり考えていただきたいと思います。

 次に、規格外野菜の利用について伺います。

 天候によって野菜の出回りに変動があるときなど、ある一定程度の規格外野菜をもっと積極的に活用してもよいと思うのですが、規格外野菜の利用についてどうお考えでしょうか。お答えください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 野菜につきましては、小売業者等の実需者のさまざまなニーズに応じまして、産地におきまして一定の規格を設けて選別を行うことが一般的でございますので、出荷をされない規格外の野菜が一定割合生じてしまいます。

 こうした規格外の野菜につきましては、生産者が自家消費するほか、堆肥といたしまして圃場の土づくりに利用する、また家畜の飼料として利用する、あと廃棄する、そのような場合が多いというふうに承知をしてございます。

 一方、最近、規格外の野菜を含めまして、産地において、ジュースですとか漬物等にみずから加工することで付加価値を高めるような販売ですとか、直売所で販売をする、そういうことを通じて廃棄を減らす取組も見られてございます。農林水産省としても、産地の加工施設の整備等への支援を通じてこうした取組を後押ししているところでございます。

 また、最近、JAと民間企業の連携によりまして、規格外農産物の定期的寄附のスキームを確立するなどの取組も行われてきておりますので、このような取組も広く紹介することなどによって後押しをしてまいりたいと存じます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 廃棄を減らす努力をしていただいているということで、今後もしっかりとお願いいたしたいと思います。

 規格外野菜ですが、子供食堂にもっと提供していただきたいと思っておりまして、子供食堂について質問をさせていただきます。

 先日、予算委員会で、子供の貧困についても質問をさせていただきました。次世代を担う子供たちが健全に育つことは、日本の将来にとっても大変重要なことだと思っております。

 日本維新の会では、教育機会平等社会の実現を掲げ、幼児教育から大学までの教育費の無償化を訴えており、教育問題にも力を入れております。子供たちが健全に育っていくためには教育面の充実が重要ですが、加えて、必要とする子供たちには衣食住が行き渡るようにすべきと考えております。

 食については、必ずしも貧困だけが原因ではありませんが、健康的な食事をとることができない、食事をとるのがままならない子供たちが一定数います。毎日一人だけの食事、孤食をしている子供たちもいると思います。このことにより、学習意欲の低下、情緒面の影響も懸念されるところです。

 こうした中で、最近では、子供食堂という形で、地域により活動形態はさまざまですが、地域住民による民間発の取組が広まっております。二〇一六年に三百十九カ所だった子供食堂が、ことしの調査では二千二百八十六カ所に急増しているそうです。

 子供食堂がこの二年で七倍になったことについて、内閣府としてはどのような要因があると考えていますでしょうか。また、子供食堂に対してどのようにお考えでしょうか。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 子供食堂は、地域のボランティア等が無料や安価で温かな食事と団らんを子供たちに提供し、安心して過ごせる場所として、子供の貧困対策などの観点からも重要な取組であると認識をしております。

 報道にありますように、子供食堂が近年増加している主な要因といたしましては、家庭で食事を満足にとれない子供もおり、食事の提供のニーズがあること、メディアの報道や行政、支援団体等によるさまざまな活動を通じて国民の理解や関心が高まってきたこと、あるいは、地域で子供食堂を運営している人たちが交流をし、子供食堂の輪を広げるためのこども食堂ネットワークなどが発足をいたしまして、情報の共有あるいはノウハウの蓄積が行われていること、子供食堂は非常に多様な形態で運営されていることから、地域の自主的な活動として、誰もがこれなら自分にもできそうだというような形態が見出せることなどの要因があるのではないかというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 私は、曲がった野菜も、ところどころ虫に食べられているような野菜も、子供たちに食べてほしいと思っています。私も、そんな野菜や果物を近所の方からいただいたり、祖父母のつくった野菜を一緒に収穫して育ちました。スーパーに並んでいるきれいな野菜だけではないということも、子供たちには学んでほしいと思っています。

 農林水産省として、子供食堂をどのような位置づけにされていますでしょうか。食育の推進という観点から見た子供食堂の意義について、大臣に御答弁をお願いしたいと思います。

齋藤国務大臣 まず、私は、子供食堂は大変意義のあるものだと思っておりまして、地元にもふえてきているわけですけれども、何カ所にも何度も顔を出しておりまして、その都度、子供たちが生き生きとし、さらに子供たちの面倒を見ている大人まで元気になっちゃうみたいな、そういう光景を見ておりますので、すばらしいものだと考えています。

 農林水産省としてですけれども、特に食育の観点からは、子供にとっての貴重な共食の機会の確保につながっていくということ、それから、地域コミュニティーの中で子供の居場所の提供、さらには、さまざまな、ふだん食べていない食材の提供ということで、そういう意味では、農林水産省の観点からも、この子供食堂は重要な役割を果たしていると考えています。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 次に、子供食堂の今後の支援について伺います。

 子供食堂により、子供の安心した居場所ができ、家庭のような、家族団らんの共食のような場所ができ、そして、子供だけではなく大人も、年齢も関係なく集える場所ができ、そこからお互いが支え合う大切な地域づくりに今なりつつあると思います。小さい子供を持ち、働いているお母さんにとっては、本当に心も体も休まる場所ではないでしょうか。

 しかし、まだまだ問題は山積しており、子供食堂のほとんどが寄附や会費で運営をされており、個人の持ち出す資金は少なくないそうです。そうなると、子供食堂を月に何度も開催することは難しいですし、また、食中毒や行き帰りの万一の事故など、心配事も多いそうです。保険の加入も考えているそうですが、実際には難しいとの声もお聞きしました。そして、まだまだ地域によっては認知をされておらず、どこで誰がやっているのかわからないという状況だと思います。

 現状がピークとならないよう、ここまで広がってきた子供食堂が継続できるように願っております。国としても、バックアップをしていただきたいと思っております。子供食堂への農林水産省としての支援にはどのようなものがあるか、食育の観点から教えてください。

池田政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省といたしましては、食育推進の観点から、地方自治体や地域における食育関係者の皆様が、子供食堂の意義を理解していただき、子供食堂との適切な連携が図られることが重要と考えております。

 このため、関係府省と連携をいたしまして、地方自治体による支援の事例、子供食堂間のネットワークなどの民間団体の取組、あるいは国の関連施策など、食育の推進に関する情報を農林水産省のホームページあるいは食育白書を通じて食育関係者の皆様に提供しております。

 また、すぐれた子供食堂の取組に対しましては、農林水産大臣の表彰を行っているところでございます。

 このほか、アンケート調査あるいはヒアリング調査の実施によりまして、子供食堂の実態を把握いたしまして、そこで明らかになりました課題の解決に向けた事例集を現在取りまとめているところでございまして、今後、公表をしてまいりたいと考えています。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 最後に、内閣府からも、子供食堂に対しての支援についてお聞かせください。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 子供食堂のような草の根の支援活動が発展し、地域に根づいていくことは非常に重要であると認識をしております。そのため、子供食堂などに取り組む民間団体が、地域の実情を踏まえ、企業や地方自治体等とより一層連携して支援を充実させることができるような支援を行っております。

 具体的には、企業や個人の寄附金から成る子供の未来応援基金による、草の根で活動しているNPOなどへの支援、子供食堂の広域的なネットワークを有する団体にも参画をいただいている協議会を活用いたしまして、食材の供給や場所の確保などの支援を必要とする団体と支援を希望する企業あるいは個人とのマッチングを行う事業、それから、内閣府で予算化をしております地域子供の未来応援交付金を活用した、地域ネットワークの形成に向けた自治体の取組の支援などに取り組んでいるところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 子供食堂を主宰している皆様は、食中毒や事故などの懸念も、大変そういう声もありますので、そういった面からもサポートをしていただければと思います。

 私も地元で子供食堂に何度も行かせていただいておりますけれども、食材や器材等、さまざまな寄附の呼びかけなども皆さん本当に一生懸命されています。せっかく居場所を見つけた子供たちのためにも、ぜひ続けていただきたいと思っております。

 話を戻しますが、なかなか規格外野菜の提供も難しいこともあるかと思いますが、農林水産省としても、食育の観点からぜひ御支援いただきたいと思っております。

 私は、先ほども申しましたけれども、曲がった野菜やちょっと虫に食べられたような野菜も、子供たちに学んでいただいて、できたら収穫も一緒にしてもらえるような、そんな一連の流れで子供食堂に、ぜひ、子供たちにそういう体験をさせていただけるような場も、子供たちにそういう機会を与えていただきたいなとも思っております。

 子供の貧困等について、農林水産省のみならず、政府全体で取り組んでいただきたいと思っております。ぜひ、政府が連携をして取り組んでいただけますよう、よろしくお願いいたします。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

伊東委員長 次に、内閣提出、森林経営管理法案及び独立行政法人農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣齋藤健君。

    ―――――――――――――

 森林経営管理法案

 独立行政法人農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

齋藤国務大臣 森林経営管理法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国の森林は、戦中戦後の大量伐採により大きく荒廃しましたが、先人のさまざまな努力により造成された結果がようやく実り、その約半数が主伐期を迎えようとしております。この森林資源を切って、使って、植えるという形で循環利用していくことで、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立し、先人の築いた貴重な資産を継承、発展させることが、これからの森林・林業政策の主要課題であります。

 しかしながら、現状は、多くの森林所有者が小規模零細で分散した森林を抱え、林業経営の意欲が低下している一方で、意欲と能力のある林業経営者の多くが事業規模拡大のための事業地確保に悩んでおり、このような森林所有者と林業経営者との間の連携を構築するための方策が必要となっております。

 このような認識のもと、森林所有者に対して適切な経営管理を促すため、その責務を明確化するとともに、森林所有者みずからが経営管理を実行できない場合に、市町村が経営管理を行うために必要な権利を取得した上で、林業経営に適した森林については意欲と能力のある林業経営者に委ねることとし、林業経営に適さない森林等については市町村がみずから経営管理を行うという新たなシステムを構築するため、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、責務についてであります。

 森林所有者は、その権原に属する森林について、適時に伐採、造林及び保育を実施することにより、自然的経済的社会的諸条件に応じた適切な経営管理を持続的に行わなければならないものとしております。

 また、市町村は、その区域内に存する森林について、経営管理が円滑に行われるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとしております。

 第二に、市町村への経営管理の委託及び林業経営者への再委託についてであります。

 市町村は、その区域内の森林について、経営管理の状況等を勘案して、森林所有者への意向調査又は森林所有者からの申出を踏まえ、経営管理権集積計画を定め、公告することにより、森林所有者からの委託を受けて経営管理を行うことができるものとしております。

 また、市町村が意欲と能力のある林業経営者に再委託を行おうとする場合には、都道府県が公募し、公表した林業経営者の中から、市町村が再委託を行うものを選定し、経営管理実施権配分計画を定め、公告することにより、林業経営者が経営管理を行うことができるものとしております。

 さらに、市町村は、自然的条件に照らして林業経営に適さない森林や林業経営者に再委託するまでの間の森林については、みずから経営管理できるものとしております。

 第三に、所有者不明森林に係る措置についてであります。

 森林所有者の全部又は一部が不明等の森林において、林業経営の集約化や効率化を図るため、市町村は、不明森林所有者の探索、公告等の手続を経て、経営管理権集積計画を定めることにより、経営管理の委託を受けることができるものとしております。

 第四に、林業経営者に対する支援措置であります。

 再委託を受けた林業経営者がさらなる施業の効率化を図ることができるよう支援するため、独立行政法人農林漁業信用基金は、当該林業経営者に対して経営の改善発達に係る助言等の支援を行うことができるものとするとともに、国は、国有林野事業に係る立木の伐採等を他に委託して実施する場合は、当該林業経営者に委託するよう配慮するものとしております。

 第五に、災害等防止措置命令についてであります。

 市町村は、伐採又は保育が実施されておらず、かつ、引き続き伐採又は保育が実施されないことが確実であると見込まれる森林において、周辺の環境を著しく悪化させる事態等の発生を防止するため、森林所有者に対し、伐採又は保育の実施等の措置を講ずべきことを命ずることができるほか、みずからこれを行うことができるものとしております。

 続きまして、独立行政法人農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 森林経営管理法案を実効あるものとするためには、林業経営者がその意欲と能力に応じた効率的かつ安定的な林業経営を行えるようにすることが必要であり、そのためには、林業経営者への支援や資金調達の円滑化を通じた経営環境整備が極めて重要であります。

 こうした中で、林業者等の債務の保証を行う業務を長年行ってきた独立行政法人農林漁業信用基金が蓄積している企業経営に関する知見を有効活用するとともに、債務の保証がより利用しやすいものとなるよう見直しをすることで、林業経営者の安定的な事業規模の拡大を支援するため、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、農林漁業信用基金の業務の追加についてであります。

 農林漁業信用基金は、他の業務の遂行に支障のない範囲内で、森林経営管理法案により林業経営を行うための権利の設定を受けた民間事業者に対する経営の改善発達に係る助言等を行うことができるものとしております。

 第二に、債務の保証の対象者の拡大についてであります。

 林業経営者が、農林漁業信用基金の債務の保証を利用することができるようにするため、農林漁業信用基金が債務の保証を行うことができる林業を営む会社の要件を緩和し、資本金の額又は出資の総額に係るものの上限を、現行の一千万円から三億円に引き上げることとしております。

 第三に、林業信用保証業務に係る出資者に対する持分の払戻しについてであります。

 債務保証を受けるに当たり出資した者の出資金の回収を容易にすることで、債務の保証をより利用しやすいものとするため、農林漁業信用基金は、主務大臣が定める額の範囲内で、林業信用保証業務に係る政府及び都道府県以外の出資者に対して、その持分の全部又は一部を払い戻すことができるものとしております。

 以上が、これらの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

伊東委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、来る十二日木曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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