第8号 平成30年4月11日(水曜日)
平成三十年四月十一日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 伊東 良孝君
理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君
理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君
理事 福山 守君 理事 佐々木隆博君
理事 大串 博志君 理事 佐藤 英道君
池田 道孝君 石川 昭政君
泉田 裕彦君 稲田 朋美君
岩田 和親君 上杉謙太郎君
小田原 潔君 加藤 寛治君
金子 俊平君 木村 次郎君
岸 信夫君 小寺 裕雄君
斎藤 洋明君 津島 淳君
西田 昭二君 野中 厚君
藤井比早之君 藤丸 敏君
藤原 崇君 船橋 利実君
古川 康君 本田 太郎君
宮路 拓馬君 山本 拓君
石川 香織君 大河原雅子君
神谷 裕君 亀井亜紀子君
井上 一徳君 後藤 祐一君
佐藤 公治君 関 健一郎君
緑川 貴士君 太田 昌孝君
斉藤 鉄夫君 金子 恵美君
田村 貴昭君 森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 齋藤 健君
農林水産副大臣 礒崎 陽輔君
農林水産大臣政務官 野中 厚君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 池田 一樹君
政府参考人
(林野庁長官) 沖 修司君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 高科 淳君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 森下 哲君
農林水産委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
四月十日
辞任 補欠選任
谷川 弥一君 神田 憲次君
同月十一日
辞任 補欠選任
神田 憲次君 船橋 利実君
藤井比早之君 藤丸 敏君
古川 康君 本田 太郎君
細田 健一君 石川 昭政君
後藤 祐一君 井上 一徳君
江田 康幸君 太田 昌孝君
同日
辞任 補欠選任
石川 昭政君 小田原 潔君
藤丸 敏君 岩田 和親君
船橋 利実君 神田 憲次君
本田 太郎君 古川 康君
井上 一徳君 後藤 祐一君
太田 昌孝君 斉藤 鉄夫君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 藤井比早之君
小田原 潔君 津島 淳君
斉藤 鉄夫君 江田 康幸君
同日
辞任 補欠選任
津島 淳君 細田 健一君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
森林経営管理法案(内閣提出第三八号)
独立行政法人農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)
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○伊東委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、森林経営管理法案及び独立行政法人農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長池田一樹君、林野庁長官沖修司君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳君及び環境省地球環境局長森下哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○伊東委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。山本拓君。
○山本(拓)委員 ありがとうございます。山本拓であります。
この委員会、めったに質問せぬのですけれども、きょうは質問させていただくことになりました。
まず、御案内のとおり、イロハのイの話になるんですが、日本の全面積の三分の二は森林でありまして、面積でいうと二千五百万ヘクタールということであります。これは、特に戦後、森林法ができて、そして、林野庁が主に、今日まで大体、年平均、ざっくり言うと一千四百億ぐらいですかね、森林整備事業をやっているのは。これら全て、森林法そしてまた森林・林業基本法を根拠法として、全国の自治体を通じて運営をしているというのが今日の林業の実態でございます。
そこで、おさらいというか、話はやはり原点に戻さないかぬなと。今回、新しい根拠法になる、今回の新法ですね、森林経営管理法ですか。これも当然、きょう皆さんのところに「森林計画制度の体系」というものを、これは林野庁のホームページに記載してあるものをプリントアウトして持ってきたわけでありますが、これで全国の自治体も含めて森林行政は動いているわけであります。
これは、制度と運用は一体でありますので、制度は制度でしっかり根拠法として成り立っていますが、では、運用をしっかりやっていくにはどうしたらいいんだというのが今後課題になろうかと思います。
そういう意味では、林野庁というより農林水産省の最高責任者の大臣に、よく御存じだと思いますが、改めて、会議録に残す意味でも、この森林計画制度の体系、これについてわかりやすく御説明を賜りたいと思います。
○齋藤国務大臣 山本委員の御質問にお答えをいたします。
森林の持つ多面的機能を十全に発揮させるためには、長期的な視点に立った計画的かつ適切な森林の整備、保全を推進する必要がございます。この観点から、森林計画制度が設けられているということであります。
具体的には、このお配りされた資料の一番上にありますが、政府が、森林・林業基本計画におきまして長期的かつ総合的な政策の方向、目標を定めまして、この計画に即して、今度は農林水産大臣が、全国森林計画において全国の森林整備及び保全の方向を示すという体系になっております。
これに即して、民有林の方は、左側ですけれども、都道府県知事が地域森林計画を定めて、都道府県が講ずる森林関連施策の方向を示すとともに、市町村長は市町村森林整備計画というものを定めまして、市町村が講ずる森林関連施策の方向や森林施業の規範を示すほか、一番下ですけれども、森林所有者等は森林経営計画において具体的な伐採、造林や作業路網の整備に関する事項を定めるということにしております。
右側の国有林ですけれども、国有林では、全国森林計画に即しまして、森林管理局長が国有林の地域別の森林計画を定めて、国有林の森林整備、保全の方向を示すこととしております。
このような森林計画体系によりまして、我が国の森林全体について計画的かつ適切な整備、保全を進める、こういう体系になっているところでございます。
○山本(拓)委員 ありがとうございます。
今までは、どちらかというと、国が予算をベースに、県を通じて、そして市町村という形で、林野庁の森林経営、いわゆる植林して、そしてまた育てて、大きくなって、それを主伐して、そして、これはちゃんとお金になるわけですね、住宅産業とか。
それをとるために、間伐とか下刈りとか除伐とか、いろんな作業をやるという形で成り立ってきたんですが、昨今の、特に今度の法案、これはいわゆる自治体に何かと権限を与えるということでございますので、長年やってきた中でどうしても、地主の問題とか、さまざまな地元でしか解決できない問題がネックになっているところを解決したいということも一つあろうかと思います。
ただ、そんな中で、確認なんですが、これは林野庁長官にいたしますけれども、森林法というのは、申し上げましたように二千五百万ヘクタールを対象にしています。今度の森林経営管理法の対象は民有林ということでありますが、これは当然だと思います。
ただ、その民有林には、いわゆる民有林全体としては約千七百四十万ヘクタールございますが、その内訳というのは、人工林八百万弱、そして天然林が八百七十万。比率からいうと天然林の方が多いんですね。これを自治体分けすると、両方混在している。
そういう中で、当然のことながら、森林管理法案の対象については、民有林を対象にするということは、人工林も天然林も対象になるということでよろしいんだと思うんですが、長官、お答えください。
○沖政府参考人 お答えいたします。
先生今お尋ねの件でございますが、本法案の対象となります森林につきましては、法律上民有林と規定してございます。
当然、そういう意味では人工林と天然林の区別はしてございませんが、本案では、経営管理を行われていないことで公益的機能の維持等に支障が出る森林の経営管理を市町村に集積することを目的としているために、主に人工林において活用されていくんじゃないかということで考えてございます。
○山本(拓)委員 主にというのは、これは誰が考えているんですか。
○沖政府参考人 今回の法案におきましては、市町村長が経営管理権を集積して、整備をしてまいります。
そのときに、人工林といったものについて対象を主に考えているというのは、人がつくりました人工林が適切に管理されていないというところに視点を当てているものですから、所有者と市町村がお話をして決めていく中で、対象となるのが人工林ではないかなというふうに考えております。
ですから、場合によっては、天然林においても手を入れているところもございますので、そういったところについては対象になると考えております。
○山本(拓)委員 その判断は市町村でよろしいですか。
といいますのは、林野庁長官は全ての地区の状態を御存じだと思うんですが、現場的には、人工林というのは人工林、そして天然林でも、ここは必要だというところは手を加えて、今までも、それは即その場で人工林の予備軍としての育成林に変わっちゃうわけです、呼び名が。
要するに、あなたが責任者だとすると、あなたの判断で予算が回って、限られたメンバー方でやっている、その延長の議論ならば、あなたの言ったとおりになるんです。だから、思う、思うって、これは法案には書いていないわけだし、あなたが思う、思うと言っているだけで、全然思っていないんですよ、少なくとも。
だから、もう一回確認しますが、今度の法案は、今までは国が予算をとって県を通じて、それは県を通じてといったって、県のほとんどは林野庁から行っていますから、実態は。これはみんな知っていることですから。うちの地元もそうですよ。ただ、いい人ばかりなんですよ、地方に来るのは。
その中で、しっかりと市町村に、今度から権限というか、ややこしい話は全部おまえらやれということですから。それで、そういう中で、なかなか進んでいないということですので、いま一度確認しますが、あなたが決めるというよりも、法律には書いていないわけですから、しっかりと、民有林全体、これは市町村が計画を立てて、どうしましょうかと。
ましてや、今度、CO2削減問題で市町村にお金が行って、市町村が主伐よりも間伐を優先にやるわけでありますから、やるメンバーが変わるわけですね、ある意味では。また、ふやさないと人手がふえない、異業種は入らないというトータル的なことですから。
私は野党ではありませんので批判はしませんので、しっかりとその点を確認させてください。もう一回。
○沖政府参考人 お答えいたします。
今、山本委員おっしゃられたとおり、この法案では……(山本(拓)委員「もうイエスかノーかで言えばいい」と呼ぶ)イエスで、市町村が決めるということでございます。
○山本(拓)委員 では、次に、今度、森林環境税、森林譲与税が市町村に配分されることになっております。これは主に間伐に利用されるということでありますが、この主役は、先ほど来お話が出ていますように市町村です。大体、最終的には六百億ですね。それのほとんど、八割、九割が市町村に行くんですね。
そういう意味では、先ほどのこの森林制度の全体の体系、これは従来の形の体系でありますけれども、そこに市町村がある程度主役ということであれば、主役は長官から来るんですが、これからの追加分は市町村で計画を立てる、この整合性というのはどういうような、今までと変わるんでしょうか。簡潔に言ってください。
○沖政府参考人 お答えいたします。
森林計画制度におきましては、森林の有する多面的機能を発揮させるため、森林の整備及び保全の方向や、森林施業上の規範や指針を定めてございます。
間伐の実施に関しましては、市町村が市町村森林整備計画において、間伐の実施基準や、水土保全林、森林と人との共生林、それから資源の循環利用林といったゾーニング、それから路網整備や施業の共同化などを定めておりまして、これらに基づいて計画的な推進を図っているところでございます。
森林環境譲与税を活用して行われる間伐につきましては、自然的、社会的条件が不利で所有者などによる間伐等が見込めない森林等において、市町村が行われるものでございますけれども、これらについても、この市町村森林整備計画に即して実施されることとなります。
○山本(拓)委員 きょうは時間がありませんから細かく言いませんが、わかりやすく言うと、実務は市町村がやりますけれども、経営計画とか方針は、市町村が立てることは立てるんだけれども、この法体系でいくと、国が指針をやって、ガイドラインをつくって、それで指導を受けて。それをそのままにしておいて、権限だけで今の答弁をやっておったって、なかなか自治体の責任者は、どうかなという話ですので、それだけ、また今後いろいろな場面がありますから、これからまめに質問する機会をいただければ、ということはやめましょう。
そういう中で、一つ私が確認したいのは、もう一つ重要な違いは、二〇一六年五月に閣議決定されましたよね、地球温暖化対策計画。地球温暖化対策計画というのは、森林吸収源対策、そして、特にこのペーパー、地球温暖化対策、閣議決定のこれに書いてあるのは、木質バイオマスの効率的、低コストな収集、運搬システムの確立というのがあるんですね。
これはなぜかというと、木質バイオマスというのは、これは民有林だけですけれども、国有林も一緒のことをやっていますから、だから、これから特に、主伐の云々よりも、皆伐をして植えかえるといったってなかなかCO2の積算になりませんので、要するに、周りの、間伐その他をどんどんやることが一番大事ですね。
ちょっときょうは経産省エネ庁の担当部長においでいただいていますが、これは、昔、前回のエネルギー基本計画をつくるときに、バイオマス発電という項目を載せて、どのぐらいのポテンシャルがあるんだということで当時の林野庁に確認したところ、間伐材はこれだけ年間出るから、原発何基分のポテンシャルがありますという話でした。
ところが、実際は、うちの地元でも一基、大野市でつくったんですが、小さいやつだけでも、そこで集めたら、ほかが手に入らないんですよ。いっぱい出ているにもかかわらず、流通で。仕方なく海外のチップを敦賀港に入れて、それを使っているという現状があります。これはまだまだです。
だから、ちょっと部長にお聞きしますけれども、今現在、バイオマス材料が海外から入ってくると、これもFITの対象になっているという批判がありますが、なぜこんな状態が起きていると理解していますか。
○高科政府参考人 お答えいたします。
地域に存在する木材等を有効活用するバイオマス発電ですけれども、これは、安定的に発電することが可能でありまして、地域活性化にも資する重要な電源でございます。
そのバイオマス発電事業の推進に当たりましては、安定的な燃料供給の確保が重要でありまして、これは、調達価格等算定委員会におきます事業者団体へのヒアリングにおきまして、国産材と輸入材の両方を取り扱っている事業者の団体からは、国産材、輸入材にかかわらず、事業を実施する上では長期にわたって安定的に燃料を調達することが重要であること、国産材については、輸入材と比較すると、燃料の安定供給という点ではちょっと劣っているといった指摘があったと承知してございます。
○山本(拓)委員 ありがとうございます。
いわゆる国産、バイオマスは結構地域創生であちこちで今やろうとしているし、ファンドとか、みんなお金を出すんですよ、雇用も生まれるし。ただ、集まらない。ただ、このポテンシャルはすごいはずなんですけれどもね、ポテンシャルは。
これはちょっと後で聞こうと思ったけれども、今聞いちゃいますが、林野庁、未利用材の利用、どのぐらいポテンシャルが本来あると思っていますか。お願いします。
○沖政府参考人 お答えいたします。
木質バイオマスにつきましては、発電所の稼働等によりまして、燃料需要の拡大が見込まれております。
平成二十八年九月に策定されましたバイオマス推進基本計画におきましては、原木の安定的かつ効率的な供給体制を構築することにより、平成二十六年度末時点で約九%にとどまっている林地残材の利用率を、平成三十七年に約三〇%まで引き上げることを目標としてございます。
森林・林業基本計画におきましても、林地残材の利用率向上等を通じまして、平成二十六年度の実績で約二百万立方の国内の森林由来の燃料材の利用量を、平成三十七年までに約八百万立方までに引き上げることを見込んでございます。
なお、実際に各地域におきまして利用可能な量につきましては、路網や関連施設の整備の状況などにより変動すると考えられまして、農林水産省としては、これらの未利用材の活用が可能となるように、間伐材等の施業単位をまとめる施業の集約化、それから未利用材、未利用間伐材などを搬出する路網の整備、木質チップの製造施設など関連施設の整備などに対する支援に取り組んでいるところでございます。
○山本(拓)委員 八百万立方、これはいわゆる従来のやり方の量だと思うんですが、今後六百億更にふえて、間伐材専用でやっていく。
それで、森林の排出とかああいうのは非常に理解が難しいんですが、これはちょっと後で聞くとして、先に、路網の整備とおっしゃっていましたけれども、林道、林業専用道、森林作業道、これは三種類あるわけですね。
よく出るのが、これの大半が一般道路と兼ねています、ふだん使いませんから。だから、一般道路ということは、一般車両ですね、一般車両が通ると、これは道路交通法の対象になりますから、何かいつの間にかそれが主流になっちゃって、林業作業をやろうとしてもなかなか交通どめができないとか、一部には警察の署長の許可を得なあかんとか、そうやって今クリアにしているんですよ。
だから、どうもおかしいなと思って警察庁の局長に確認したところ、それは確認しましょうということで、林野庁と議論をやっていただいたと思うんです。そこに出た結果が、お手元に配ってあります「林道における車両の通行に関する措置」のペーパーです。これは林野庁がつくったんですね。
ただ、肝心かなめに、こういうつくったものをどこにも周知していないんです。ホームページに載っていませんよね。
だから、改めて確認したいんですが、これのみそは、一般道路に供しているか否か。これは、一般道路と違って、林道の管理者が判断してだめと言えば、その判断で交通どめができて、作業ができるということなんですね。長官、それでよろしいですね。
○沖政府参考人 お答えいたします。
林道、それから林業専用道、森林作業道と三種類ございますけれども、林道、それと専用道でございますけれども、これにつきましては……(山本(拓)委員「自分で判断できるかだけでいい」と呼ぶ)はい。常時、林道管理者が判断できるということでございます。
○山本(拓)委員 これはちょっとホームページで上げておいてくれますか。
○沖政府参考人 検討して対応いたします。
○山本(拓)委員 検討って何。このまま上げればいいのに。
○沖政府参考人 どのように載せるかを検討して、載せたいと思います。
○山本(拓)委員 はい、オーケー。
それと、もう一つは、これはCO2削減の問題だけちょっと聞いておきますけれども、さきの地球温暖化計画において、吸収林、これで、環境省、気候変動枠組み条約に基づくインベントリーの報告対象となっている二〇一三年から二〇二〇年までの森林吸収量のうち、実績値、二〇一三年から一五年の目標割合、これはもう確定していると思うんですが、ちょっとお話しください。
○森下政府参考人 お答え申し上げます。
まず、目標の方からですけれども、我が国は、二〇二〇年度に、全体として、二〇〇五年度比で三・八%以上の温室効果ガスの排出削減を目標としておりますが、このうち、森林吸収量で二・七%以上に相当するCO2換算約三千八百万トン以上の吸収量を確保することを目標としております。
それからまた、さらに、御質問がありました実績でございますけれども、京都議定書における計上方法に基づく吸収源活動におきまして、森林吸収源対策による吸収量は、二〇一三年度が五千二百十万トン、二〇一四年度が五千二百三十万トン、二〇一五年度が五千十万トンであり、これらは二〇〇五年度総排出量比で約三・七%ないし約三・六%に相当するというレベルでございます。
○山本(拓)委員 その数字の根拠はどこですかというと、答えは林野庁に聞いてくれということですから、長官、この根拠は何ですか。面積、伐採面積ですね。
○沖政府参考人 今、五十二万ヘクタールの根拠だと思いますが、これは、京都議定書第二約束期間である二〇一三年から二〇二〇年度におきます森林・林業基本計画の目標達成のために必要となる年平均の間伐面積として五十二万ヘクタールを掲げておりまして、この間伐面積が実施された場合の森林吸収量を試算いたしますと、二〇二〇年度において、二〇〇五年度の温室効果ガス排出比二・七%相当ということでございます。
○山本(拓)委員 これはもう時間がないですから飛ばしますけれども、今の説明はちょっとわかりにくい。
一つお願いしたいのは、これから住民からお金を千円ずついただく。市町村が説明責任を負うわけですね。この目的というのは、面積というよりも、CO2、何%実現するためにこれだけしますよ、その計算式が非常にややこしいのはわかるんですが、しかし、この何%の実現のためには面積を、十年間トータルであれ、幾らやりますよという話ですよね。それをお聞きしているので、それはもう時間がないからきょうは聞きませんが、後日ちょっと教えてください。それに、誰でもわかるように関係を明確にしていただかないと、まず、家族に言ってわかる練習を、長官、自宅に帰ってからやってください。
もう時間がありませんので、あと、環境省、続けて二つ質問しちゃいます。
バイオ炭というのがありますでしょう。バイオ炭というのは炭なんですよね、燃料用以外の炭。
貯留効果が木材はあるんですが、これをそのまま捨てちゃったら、またフリーになっちゃう。しかし、ヨーロッパなんかではそれを炭化して、炭化というのは、これは日本が一番技術が昔から進んでいるわけで、何年たっても燃えるわけですから、ということは、中に貯留されている。それを最近では燃料以外に、消臭剤に使われたり土壌改良材に使われたり、いろいろなことで普及して、売れています。
それは集まればあるんですが、それらの研究、研究というか、国際機関でカウントされる取組が始まっていると思うんですが、その対応をしている窓口は環境省ですから、それが将来認められるのは先かもしらぬけれども、実務は先にやっていますので、ちょっと環境省にその取組方を聞きたいということ。
あわせて、最後に、花粉症の対策、これは林野庁ですけれども、花粉症がこれだけすごいと、例えばこれから森林整備計画で花粉の少ない植林をするとかいろいろ言っていますが、まだ少ないとは思います。きょう、あした、すぐやれとは言いませんが、これらを、これからの森林の新しく植える計画、そして伐採なんかでも、要するに枝打ちをまめにやればとれるわけですから、そういう花粉対策に配慮した計画を指針に書くおつもりはないか。
続けて言うならば、先ほど、この森林制度に、私が言っておけばよかったんですが、農林水産大臣、いわゆる林野庁のところで、地域の森林計画に対する指針を定めるとなっているんですよ。問題はここなんですよ。
だから、この指針に基づいて各自治体に行くわけですから、この指針が温暖化も書いていなければ、何も書いていなければ、昔からの、さあしっかりやりましょうという抽象的な指針ではいかがかなと思いますので、それも含めてきちっとやる。
最後に、長官の答弁の後に大臣に、締めくくりとしては、そういう指針の指導、決意のほどをいただければと思います。
○伊東委員長 たくさん質問が出ておりますので、答弁者三人、それではお願いします。
それでは、環境省森下地球環境局長。
○森下政府参考人 簡潔にお答え申し上げます。
IPCC、気候変動に関する政府間パネルの第五次評価報告書ですと、御指摘のように、バイオ炭の土壌への投入、これは温室効果ガス削減策としての可能性があるとされておりますが、その効果についての科学的根拠が十分でなく、現在、現状では削減量の算定が行われていないという状況でございます。
これを受けまして、環境省では、こうした状況を踏まえまして、バイオ炭の土壌投入量等における温室効果ガスの削減効果に関する科学的知見の整理、算定方法の検討を目的として、昨年度から専門家から成る検討を開始してございます。
IPCCのもとでの作業が進められております温室効果ガスの算定方法のガイドラインの改定作業の動向も踏まえながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
○沖政府参考人 まず、花粉症の対策についてお答えいたします。
花粉症でございますけれども、国民の三割が罹患していると言われてございます。社会的、経済的にも非常に大きな影響を及ぼしておりますので、政府を挙げて対応すべき重要な課題というふうに認識してございます。
このため、農林水産省といたしましては、花粉発生源対策といたしまして、大量に花粉を飛散させます杉人工林の伐採、利用、植えかえの促進、花粉症対策に資する苗木の供給拡大、それから花粉飛散抑制技術の開発などを進めているところでございます。
このうち、対策苗木の供給拡大につきましては、平成二十八年度の供給量が五百三十三万本まで増加してきておりますけれども、杉苗木全体の年間供給量に占める割合としては三割程度にとどまっておりますので、今後、平成四十四年度までに約七割に増加させていくこととして、生産の拡大に努めていきたいと考えております。
また、いずれにしても、杉、ヒノキの伐採をするということが第一でございます。林業の成長産業化の中でこうしたサイクルをきちんと、切って、使って、植えるというサイクルを成り立たせていくことこそ花粉対策にもなってまいりますので、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を実施していくということが不可欠と考えてございます。
それから、指針について、これは市町村森林整備計画の中での記載かと思います。
現在、市町村森林整備計画におきまして、路網とあわせまして、必要な森林施業を推進する区域の設定とか、担い手の育成、それから、機械の導入に関する目標とその促進策、また、森林の経営の規模の拡大に関する方針とか方策を計画することとなってございます。
今回の法案を受けまして、市町村が森林の経営管理に主体的に取り組むことを受けまして、より実効性のある充実したものとなるように、市町村に対ししっかり指導してまいりたいと思います。
以上でございます。
○齋藤国務大臣 今、長官の方から、今回の法案に関して市町村の指針の話がありましたけれども、そのもととなる、当然のことながら、農林水産大臣が全国森林計画をつくります。その中に地域森林計画等の指針とありますけれども、この指針は、その時々の状況に応じて見直しを行っていくということは当然のことだろうというふうに考えております。
○山本(拓)委員 ありがとうございました。
○伊東委員長 次に、石川香織君。
○石川(香)委員 おはようございます。立憲民主党の石川香織でございます。
まず冒頭、九日未明に亀井先生の地元であります島根県で発生した地震について、被害に遭われました方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。一日も早く日常が取り戻せるようお祈りをしております。
それから、質疑通告をしておりませんけれども、ちょっと確認しなくてはいけないことがありますので、この法案の質問の前に触れさせていただきたいと思います。
加計学園関連の新たな文書が出てきました。柳瀬首相秘書官、当時の、この方が述べたと言われております首相案件と書かれた文書が出てきたということでありました。これは獣医学部でありますので、農林水産省にこの文書が回ってきたのではないかという推測が出るわけですけれども、このあたりの事実について、大臣、お願いいたします。
○礒崎副大臣 お答え申します。
報道された愛媛県の職員が作成した文書につきましては、官邸の方から、農林水産省に対してもその存否について調査するように指示が来ておりまして、我が省、農林水産省においても、今鋭意調査をしているところでございます。
○石川(香)委員 今調査中ということでありました。
ただ、最近何だか、上に伝わっていないということが非常に続いております。これは、後から、ありました、出てきました、やはり見ていましたというのは当然許されないことでありますので、改めて、そんなことがないというようにお約束をしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○齋藤国務大臣 今、副大臣から答弁しましたけれども、私も大臣になる前、二年間、副大臣をやっておりましたけれども、その過程で、この報道されたような文書について見たこともなければ聞いたこともないということですので、ですから、事実関係を確認するということ以外にやりようはないので、今鋭意確認作業をしているところでございますので、御懸念のようなことがないように、しっかり確認作業をしたいと思っております。
○石川(香)委員 一年後にやはりありましたということがないように、改めてお願い申し上げたいと思います。(発言する者あり)迅速にという声が出ましたので、一刻も早くしっかりわかるように、よろしくお願いいたします。
それでは、今回の法案の質問に移らせていただきたいと思います。
この新システム導入のきっかけにもなったであろうと思いますけれども、平成二十七年の農林水産省の森林資源の循環利用に関する意識・意向調査というものがございます。その中では、森林所有者のうち森林経営に意欲が低いと言われている割合が八四%を占めるということでありました。その八四%の中の、そのうちの七割の森林所有者が主伐の意向すらないという結果であったということでした。しかし、この八四%という数字はちょっと高過ぎるのではないかというふうに感じます。
具体的にはどのような方が回答したのかということをお聞きしたいんですけれども、例えば、事業拡大の意欲を持っているにもかかわらず人材不足の点であったり、それから、今はさまざまな事情から事業拡大をする時期ではないと思われている方、そういう方も意欲がないとカウントされているのではないかという懸念があるんですけれども、そのあたりについてお答えください。
○沖政府参考人 お答えいたします。
御指摘の平成二十七年の森林資源の循環利用に関する意識・意向調査でございますけれども、森林の保有面積、それから雇用人数とか機械台数等の経営規模についてお尋ねをしてございます。この中で、三区分を見まして、経営規模を拡大したい、現状を維持したい、経営規模を縮小したい等の選択肢、もう一つは林業をやめたいというのもございました。これはそもそも今回の対象とはちょっとなりませんので、そこは省いておりますけれども、示して、所有者の意向を調査して、調査をまとめたものでございます。
こうした中で、これは事業拡大の意欲がある森林所有者の意向でございまして、どう思っているか、自分がどうしたいかということの意向を持っている、拡大をしたいという意向を持っているということであれば、例えば、今、石川先生おっしゃられた人材の不足といったようなことが心にあるにしても、こうしたものがあるにしても、拡大したいという回答の方に入っていく、意向があればそちらに入っているというふうに区分しておりまして、現状を維持したいとか経営規模を縮小したい、こう回答された合計の八四%の中には、そうした方々は入っていないということです。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
そういうお答えでありましたけれども、地元で意欲と能力のある経営体と認定される可能性があるとおっしゃっている地元の林業の方にお話を聞きましたけれども、今回の新システムで市町村から仕事を委託されても、やはり仕事ができるかどうかわからないというお話をされていました。その理由は、先ほど長官もおっしゃっておりましたけれども、事業を拡大したくても、とにかく人が足りないんだというお話をされておりました。
この業界全体の課題として、担い手が不足しているという現状がありますけれども、この現状についての認識、どのようにお持ちなのかということをお聞きしたいと思います。その上で、これから林業で働く方々をどうやって支援していって、どのように人を集めていくか、そういう対策も考えておられるのかということもお聞きしたいと思います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
林業従事者数でございますけれども、減少傾向で推移してございます。平成二十七年の国勢調査では、平成二十二年に比べ約一割減の四万五千四百四十人となってございます。
都道府県への聞き取りでも、林業作業を担う林業従事者が足りていないという回答も多く見られます。林業の成長産業化を実現していく上で、林業の現場の担い手の確保、育成は大変重要な課題であるというふうに認識してございます。
このため、農林水産省では、林業に就業するための基礎知識などを林業大学校で学ぶための経費といたしまして、給付金、年間最大百五十万円でございますけれども、こうしたものを支給したりしているほか、また、緑の雇用事業によりまして、安全かつ効率的な森林施業に必要な知識、技術を実地で習得するために事業体等が行う研修に対して支援、これは研修生一人当たり月額で九万、最大八カ月でございますけれども、こうしたものなどを行いまして、林業の現場の担い手の確保、育成に取り組んでいるところでございます。
この緑の雇用事業の開始以降は、新規就業者が年間約二千から三千人という増加につながってございます。今後とも、農林水産省といたしましては、林業労働力の確保、育成対策にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
今、学校のお話も出ておりましたけれども、私の地元であります北海道でも、林業大学校という設立に向けて準備がなされております。平成三十二年四月に開校を目指しているということであります。この緑の雇用制度も、地元の方にもお話を伺いましたら、今、年間二千人から三千人ほどふえているということでありました、非常にいい制度だとおっしゃっておりましたので、引き続き、担い手をふやしていくという点で非常に重要な点ですので、重きを置いて考えていただきたいと思います。
ただ、現状といたしまして、この人材不足、何でかなと考えましたら、やはり、全産業に比べて所得が低過ぎるということなんです。平均所得がほかの産業に比べて約百十万円ほど安いという実態でありました。それも、約七割がいまだに日給制だということでありました。かつ、労働災害発生率、全産業の十四倍ということでありまして、ほかの産業よりも、危険にさらされながら作業をしているという環境で働いているということでありました。
やはり、事業拡大ということの目標の前に、実際に働く人の確保であったり、労働条件の改善であったり、それから、安全に仕事をできる環境を整えるということがまず大切だと思っております。このあたりについては、いかがでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
林業労働者におきましては、季節的な雇用が多く、日給制の割合が約七割を占めております。また、石川先生御指摘のように、平均所得、全産業に、平均いたしまして林業はちょっと低くて、約百十万円低いということはまさにそのとおりでございまして、林業では三百五万ということになってございます。また、急傾斜地などの作業環境の中で、チェーンソーなどの刃物を使用した作業が多うございます。また、木材という重量物を扱いますから、労働災害の発生率も他産業と比べて高い傾向が見られます。こうした中で人材を確保するためには、やはり御指摘のように、労働条件の改善とか労働安全の確保を推進することが必要であると考えてございます。
このため、農林水産省といたしましては、一つとしては、労働条件の改善に向けまして、社会保険料等の事業主負担分への支援を実施いたしますとともに、労働安全の確保に向けまして、林業の現場への巡回指導の取組に対する支援、こうしたものに取り組んでいるところでございます。
この林業という、森林の作業現場というのは非常に危険と隣り合わせでございますので、しっかり安全確保の重要性を認識していただいて、一人一人の林業労働者が労働災害の防止に取り組んでいただくことも必要でございますし、農林水産省といたしましても、林業労働者の人材確保にも取り組んでいきたいというふうに考えております。
よろしくお願いいたします。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
この林業の現場の方々の働き方として、雨や雪の日はお休みでありますけれども、祝日、祭日は関係なく作業がある、そして、お給料が安い、かつ日給制となると、やはり人材が集まりにくいという条件だと言えることだと思います。
今、さまざまな取組がなされているというお話をいただきましたけれども、臨時職員であったり日給制の方々を正規職員にするだとか、あとは月給制にしていくこと、それから資格の創設によるキャリアアップというものも、もしかしたら大切なことかもしれませんので、引き続きそのような取組に取り組んでいただきたいと思っております。
次は、森林所有者、非常に外国人の割合もふえているかと思います。市町村から委託されて森林経営をします民間事業者というくくりに外国企業は入っていると思いますけれども、漠然とした質問ですけれども、外国企業に独占されるおそれというのはないんでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの話は、経営管理実施権の設定に当たっての話かと思います。
都道府県が民間事業者の募集、公表を行いまして、市町村が事業者を選定することとしておりますけれども、内国民待遇というWTO協定の関係がございますので、外国企業であることをもって排除する仕組みとはなってございません。
しかしながら、経営管理実施権の設定を受けます民間事業者につきましては、森林所有者及び林業従事者の所得向上につながる高い生産性や収益性を有するなど、効率的かつ安定的な林業経営を行うことができる者、また、主伐後の再造林を実施するなど、林業生産活動を継続して行うことができる者を対象としております。こうしたことから、外国企業は、我が国の林業における再造林とか下刈りなどの技術的蓄積、こうしたものもほとんどございません、関心も薄いということもありまして、多くの外国企業が申請してくるということは想定しがたく、外国企業によって独占されるような事態にはならないと考えております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
共有者不明森林という、探索についての質問に移りたいと思いますけれども、この部分を自治体が行うことになりました。しかし、全国の自治体の林務の部署の人員は決して多くありません。市町村の森林・林業職員は全国で三千人程度でありまして、林務を担当する職員がゼロ人から一人程度の市町村が三分の二を占めるそうであります。
十分な体制ではないのにもかかわらず、今回の法案で、いわば自治体に急に仕事が舞い込んできた、振られてしまったという形になると思います。現場は少し戦々恐々としているのかなという印象を持ちますけれども、今の状態では作業が円滑に進むとは到底思えませんが、いかがでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
本法案において、市町村には、地域の森林の経営管理が円滑に行われるように主体的に取り組むことが求められております。本法案の施行に当たりましては、実施体制の整備、これは非常に重要な課題であると認識してございます。
そのため、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用する取組を推進しますとともに、隣接市町村と連携して共同で事業を行うことが可能であるほか、本法案においては、都道府県による市町村の事務の代替執行ができるなどの制度を導入しております。必要な体制整備に向けた取組が進められていくというふうに考えております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
この自治体の体制づくりというのが一番の急務であると思いますので、人の配置、増員についても引き続き対応していただきたいと思います。
次の質問は、その活動経費にかかわる質問でありますけれども、今回の法案は市町村に任せる部分が少し多過ぎるのではないかという印象を持ちますが、このシステムを導入するに当たって、環境税の使途の一つとしてこの新制度が創設をされました。
各自治体に配分される環境譲与税でありますけれども、初年度であります三十一年度は全国で二百億円、そして、段階的にふえて、十五年目に六百億円になるという計画になっていると思います。各市町村の自治体にはどのような基準で配付をされるのかということについてお伺いをしたいと思います。
○稲岡政府参考人 お答え申し上げます。
森林環境譲与税につきましては、総額の九割に相当する額は市町村に対し譲与するということといたしております。
その譲与基準でございますが、五割を私有林人工林面積で、二割を林業就業者数で、三割を人口で案分して譲与することとしております。
また、一割に相当する額は、都道府県に対して、市町村と同様の基準で案分して譲与することとしているところでございます。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
人口割合、面積、それから就業者の数で配分をされるということでありましたけれども、環境税は、森林業界のみならず、各方面からの悲願であったという話を聞いておりますので、それぞれの自治体に、この基準に基づいて、不公平感のないように配分されることを配慮をお願いしたいと思います。
それから、各自治体に配分された税の使途でありますけれども、目的税であります。森林吸収源対策など森林整備をする、推進という、その目的を踏まえて税を使っていかなくてはいけません。
使途としては、具体的に、今回の新たな森林管理システムに要する費用でありましたり、森林整備、担い手確保など、いろいろなものが考えられるかと思います。ただ、何に使うかは市町村に一定の裁量がございます。その使途については、これからの議論にもよると思いますけれども、安易な目的税ではないというところの意義をしっかり示していくのが、現場の混乱、特に自治体でありますけれども、混乱を避けるために必要だと思います。
各自治体に配分される金額で何ができるのか、また、使い道として、きちんと目的に沿った使い方をしているか、そのチェック体制についてはどうなっているんでしょうか。お答えをお願いいたします。
○沖政府参考人 お答えいたします。
森林環境税、まだ仮称でございますけれども、これは、パリ協定のもとでの我が国の温室効果ガスの排出削減目標の達成や、災害防止などを図るため、森林経営管理法案により新たに市町村が行うこととなる森林の公的な管理を始めとする森林整備等の財源として創設されるものでございます。
農林水産省といたしましては、こうした税の創設の趣旨について地方団体に丁寧に説明するとともに、市町村が使途を検討する上で参考となる事例の紹介等を通じて、税が創設の趣旨に即して効果的に活用されるよう、地方団体に助言をしてまいりたいと考えております。
また、税の使途は森林環境税を創設するための法律案に明記されるとともに、インターネット等による使途の公表を各地方団体に義務づけられるものと承知しております。これによりまして、適正な使途に用いられることがチェックされると考えております。
○石川(香)委員 市町村の使途の公表でありましたり、さまざまな方面からチェックをしていくということでありましたので、引き続きお願いをしたいと思います。
国有林事業についてお話を伺いたいと思いますけれども、国有林事業については競争入札という方法がとられております。今回の法案で、経営管理実施権の設定を得た民間事業者は、国有林事業における配慮、インセンティブが課せられるということになっております。具体的には、独立行政法人であります農林漁業信用基金による支援でありましたり、林業・木材産業改善資金の償還期間の特例などが設けられているということでありました。
ただ、今行っている事業で手いっぱいである、でも、小規模ながら懸命に経営をされているという事業者にとっては、事業を拡大したくてもできないという現状があるのではないかと思います。そういう小規模の事業者に対しまして、この国有林事業の入札などで不利益をこうむることになるのではないかという心配がありますけれども、このあたりについてお答えをお願いいたします。
○礒崎副大臣 お答えいたします。
国有林の造林、間伐の事業発注におきましては、価格と価格以外の技術力等を評価して落札者を決定する必要がある場合には総合評価落札方式を採用しておりまして、この中で、今法案に基づきまして経営管理実施権の設定を受けた林業経営者が配慮されるよう、一定の評価項目を設けることにしておるところでございます。
そのため、現在の事業規模の大小にかかわらず、実際に経営管理実施権の設定を望まない事業者について、当該追加項目については評価差を生ずることはあり得ることであります。それは御指摘のとおりであります。
ただ一方で、そうした事業者でありましても、例えば、作業員の雇用条件等、当該追加項目以外の評価を上げるように努力することは当然可能でありますし、また、多くの人工林が主伐期を迎える中で、立木販売によるものも含め、今後、国有林の伐採量は増加していくものと見込まれますことから、国有林での事業規模が必ずしも減少につながるものとは考えておりません。
いずれにいたしましても、農林水産省といたしましては、多くの事業者の皆様に民有林での経営規模の拡大に取り組んでいただくことを望んでおるところでございまして、いろいろな配慮をしてまいりたいと思います。
○石川(香)委員 今のようなお答えをいただきましたけれども、この入札のそもそものお話なんですけれども、価格競争の激化によって、地域の森林を守ってきた事業体の経営を危うくしているのではないか、結果として山村社会の疲弊に拍車をかけているのではないかという懸念があります。
それは、買いだたきがなされまして、落札価格は予定価格の五割ほどになっているという現実がありまして、単価が安過ぎるという話が地元の方からも上がっておりました。
そういった今の現状について、どのような御見解をお持ちでしょうか。
○礒崎副大臣 現実に、国有林の事業発注における予定価格に対するいわゆる落札率は、平成二十八年度の全国平均で九一・五%でございます。今お話のありました五割ほどの落札もありますけれども、それは数%程度でございまして、それは御理解賜りたいと思います。
一般に、予定価格が一千万円以上で落札率が六〇%を下回るものがあった場合には、当該落札者に対しては低入札価格調査制度を実施しておりまして、契約内容に適合した履行がなされることをきちんと確認しているところでございます。
また、国有林の事業発注について総合評価落札方式を採用している場合には、価格以外の要素も落札者の決定に当たって評価される仕組みとなっておるところでございます。
こうした制度がございますので、今後とも、低入札価格調査制度と総合評価落札方式の適切な運用を通じまして、適正な価格で、かつ、質の高い事業が確実に実行されるよう、しっかりと対応してまいりたいと思います。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
予定価格の五割ほどになっているのは数%であるというお話がありました。ただ、単価が安いという話はさまざまな方がされておりましたので、このことについては、やはり経営意欲につながる話ですので、このまましっかりと、業界全体の支援も含めてしていただきたいと思っております。
ちょっと時間がなくなりましたので、順番を変えまして、さまざまな森林作業の中で、造林の分野での担い手不足というのが非常に深刻化されているという話をいろいろなところで聞きました。
地元の林業の方は、皆伐は木を切ってすぐお金になる部分でありますけれども、造林に関しては、次の世代へのある意味投資であって、すぐにはお金にならないし大変な手間暇がかかるので、ちょっと敬遠されがちだという話がありました。
ただ、森林をつくっていく上で大変重要でありますこの造林という分野について、人材面でも支援が必要だと思いますけれども、そのあたりについての御見解をお願いいたします。
○沖政府参考人 お答えいたします。
戦後造成されました人工林を中心に、森林資源が本格的に利用可能な段階を迎えておりまして、切って、使って、植えるというサイクルをきちんと成り立たせていくことが重要と考えております。また、伐採後の造林作業等を安全かつ効率的に行える担い手を確保、育成していくことも大変重要な課題と認識してございます。
このため、農林水産省では、先ほども委員御指摘がございました緑の雇用でございますけれども、緑の雇用事業によりまして、造林作業に対応できる現場技能者を育成するため、造林用苗木の種類や取扱い、植栽方法や作業時の安全など、造林の分野についての研修を行っているところでございます。
今後とも、本事業を通じまして、造林だけではなく、その後にございます保育まで一連の作業や素材生産にも対応できる人材の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
造林の作業のところに特段の配慮をしていただきたいという意味で、ちょっと苦労の一つのお話をさせていただきたいと思いますけれども、下刈りが特に大変だということで、さまざまな方がおっしゃっておりました。夏場、暑い中で、虫や、体の保護をするために非常に暑い厚手の作業着を着なくてはいけなくて非常に大変である。地元の方では、扇風機が搭載された作業着が今あるそうで、一着五万円ほどするそうなんですけれども、それを使わないといけないぐらい大変だ、ただ、破れたりしたらすぐ使えなくなる、そういう苦労もあって、そんな思いをして、とても忍耐と体力が要る作業だというお話もされておりました。
もちろん、切っているだけでは資源が枯渇してしまいますので、次の世代につなぐ、一番大切である造林という作業についても特段の配慮をいただきたいと思います。
では、時間が参りましたので、質疑を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○伊東委員長 次に、神谷裕君。
○神谷(裕)委員 立憲民主党の神谷裕でございます。
本日は質疑の時間をいただきましたことを心から御礼申し上げます。
それでは、質問に入らせていただきます。
これも通告にないんですけれども、先ほど石川委員から、今回の加計学園の問題についてお話がございました。先ほど齋藤大臣からも調査中であるというようなお話でございましたけれども、やはり問題が今本当に顕在化しているとき、こういうときに、できればスムーズに資料を御確認いただきたいと思いますし、迅速に、あるのであれば公表していただきたいと思います。そのことをまず一点要望させていただきたいと思います。
それでは、質問に入らせていただきます。今回の法案の財源となる、創設を予定される森林環境税についてでございます。
先ほど同僚の石川議員からもお話あったんですけれども、どのような基準に基づき配分されるのか、それについて改めて確認をさせていただきたいと思います。お願いします。
○稲岡政府参考人 お答え申し上げます。
市町村に係る森林環境譲与税の使途につきましては、間伐等の森林整備、人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発などといたしております。
譲与基準につきましては、これらの使途と相関の高い指標として、五割を私有林人工林面積、それから二割を林業就業者数、三割を人口で案分するということといたしているところでございます。
この譲与基準に用いる森林面積でございますが、国有林につきましては国の予算によりまして、それから地方団体が所有する公有林につきましては地方財政措置によりまして、それぞれ財源が手当てされているということに鑑みまして、森林環境譲与税につきましては、市町村が実施する森林整備等に要する費用に相関が高いと考えられる指標として私有林かつ人工林の面積を用いるということとしているところでございます。
○神谷(裕)委員 今お話を伺いましたとおり、ほとんど私有林、民有林の方にこの財源が振り向けられるということでございます。
もちろん、国有林についてはこれまでも林野庁さんがしっかりと頑張っていただいたわけでございますし、これからもやっていただけると思うんですけれども、今回のこの森林環境税、やはり地方自治体、これが非常に期待が高かったと思います。これが来ればしっかりとできるんじゃないかというようなことだったと思います。何しろ、地方自治体、国もそうでございますけれども、財源が非常に厳しい状況にあるわけでございます。
そこで、やはり公有林の財源にも、少しばかりではあっても心を配る必要があるんじゃないかなと私は思うわけでございますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
○齋藤国務大臣 まず、この森林環境税の出発点は、所有者の経営意欲の低下ですとか、所有者不明森林の増加、あるいは境界未確定の森林の存在といった理由によりまして私有林の整備が進んでいないという現状のもとでどうするかということで、森林経営管理法案により新たに市町村が行うこととなる森林の公的な管理を始めとする森林整備等の財源としてこの税が創設をされる、これが出発点でありました。
したがいまして、こうした趣旨のもとで創設をされますので、森林環境譲与税の譲与に当たっての譲与基準には、今御説明ありましたように、森林整備に関する基準としては私有林人工林面積を用いるということにしております。
公有林の整備、管理に関しては、森林整備事業や地方財政措置により対応しているところでありまして、今後ともしっかりと必要な予算措置等を講じてまいりたいと考えておりますが、今委員御指摘のように、地域の実情によって、私有林の整備よりも公有林の整備が優先されるという事態に対しましては、その地域の実情、そういう実情がある場合には、市町村の判断により、森林環境譲与税を公有林の整備に充てることは可能であるというふうには考えています。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
公有林にも一部、必要があれば使えるんだなということが確認できただけでも、これは非常に自治体にとってはありがたいんじゃないかなと思っているところでございます。
私の地元北海道でも、やはり期待が大きいんです。しかし、国有林であったり公有林であったり、非常に大きいものですから、実は配分が少ないんじゃないかなというようなこともございまして、そういう意味では、期待が大きかっただけに、ちょっと寂しい思いをしている方々がいるということをぜひ御理解いただきたいと思いますし、そういう意味でも、公有林あるいは国有林、しっかりと整備を続けていただきたい。そのために、ぜひ御奮闘いただきたいと思っております。
また、先ほど、自治体で管理する以外にも、広域の自治体でもできるよというようなお話もございました。これまでも、森林整備を考えたときに、自治体の域内の管理ばかりでなくて、流域管理の発想があったなというふうに思っているんですけれども、かつては、全国を流域管理システムで百五十八の森林計画区分とした管理があったと記憶をしております。
自治体間の連携により、流域管理の考え方のもとで整備を行っていく手法も十分あり得るんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
森林整備の効果というものは広く流域に及びますことから、複数の自治体が連携して森林整備に取り組むということは極めて有意義であります。
現在、森林を有します地方公共団体と下流域の地方公共団体が共同で森林整備を推進するための森林整備協定を締結したり、また、地方公共団体等による水源林の整備のための基金の造成、こうしたものが、流域の自治体間の連携によって、森林整備のために取組が進められてございます。
農林水産省といたしましては、森林整備協定に基づきます地方公共団体の取組を支援いたしますとともに、森林環境譲与税の創設を契機としまして、流域内における自治体の連携による森林整備等が進むよう、参考事例を紹介などいたしまして、指導助言を行ってまいりたいと考えております。
○神谷(裕)委員 各自治体、やはりマンパワーが少ないみたいな話もございます。ですので、この流域管理、あるいは自治体が連合して管理する、これは結構有力だと思いますので、ぜひお進めをいただきたいと思います。
また、先ほど石川委員からもお話があったんですけれども、もう一つ、私からもぜひ確認をさせていただきたいと思うんですけれども、やはり財政が厳しい中で、森林施策を充実させたいというのは共通の思いだと思います。しかし、安易に目的税を創設することはやはり厳に慎まなければなりません。もちろん、目的税である以上、使途にある程度の制約がかかってくると思うんですけれども、今回の使途として許容され得る森林整備の範囲であるとか、あるいは森林・林業振興施策の範囲であるとか、従事者への支援の範囲であるとか、そういったところをお伺いしたいと思います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
市町村分に係る森林環境譲与税の使途についてでございますけれども、平成三十年度の税制改正大綱の中におきまして、「間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用」とされているところでございます。森林環境税及び森林環境譲与税を創設するための法律案において規定される予定でございます。
森林環境譲与税は地方譲与税でございますので、地方団体は、こうした法令で定める使途の範囲内で、それぞれの地域の実情に応じて、森林整備及びその促進に関する事業を幅広く、弾力的に実施いただけるものと考えております。国として具体の使途の詳細な範囲についてお示しするということはなじまないと考えております。
農林水産省といたしましては、市町村が使途を検討する上で参考となる事例の紹介等を通じまして、譲与税が創設の趣旨に即して効果的に活用されますよう、地方団体に助言させていただくとともに、インターネット等による使途の公表が各地方団体に義務づけられるものと承知しておりますので、これにより適正な使途に用いられていくものと考えております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
森林環境税の歴史を振り返ってみますと、森林吸収源対策としての温暖化対策税というのがあったなというふうに、考え方としてあったなと思っております。石油石炭税など、森林整備に使えないかとの歴史であったなというふうに承知をしておりまして、その意味で、今回の森林経営管理法を見ますと、先ほど大臣も出発点のお話をされていたんですけれども、あるいは森林吸収源対策と言われていたときの財源規模、そういったものから考えますと、若干少ないというか、違和感というか、そういうところを感じているところでございます。
そこで、改めてですけれども、この出発点であった温暖化対策における森林整備の役割と本法律案との関係について伺いたいなと思います。また、関連して、温暖化対策として掲げられたこれまでの政府の国際約束、あるいは目標としてきた森林整備の面積の達成について、今後しっかりとやっていくのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
我が国の地球温暖化対策におきましては、森林吸収源対策としての森林の整備が重要な対策の一つと位置づけられているところでございますが、木材の価格の低迷などによる森林所有者の経営意欲の低下等によりまして、森林整備が十分に進んでいない状況にございます。
そのため、本法案においては、森林所有者みずからが経営管理できない森林のうち、経済ベースに乗る森林につきましては林業経営者に集積、集約化するとともに、経済ベースに乗らない森林については市町村が公的に管理するという仕組みを創設することといたしております。
本法案によりまして、これまで森林所有者による管理経営が不十分であった森林において森林整備が進むことで、京都議定書やパリ協定における我が国の森林吸収の目標達成にも貢献していくものと考えております。
また、二つ目で御質問がありました、しっかりやっていけるのかということでございますけれども、農林水産省では、林業の成長産業化と森林資源の適正な管理ということを図るために、森林整備事業等の予算事業によりまして各般の森林・林業対策を講じているところでございます。
一方、今回のような意欲の低下した所有者が見られるとか、境界が不明であるとか、そういった森林現場の課題もございます。所有者の自発的な施業への支援を基本としていました従来の施策のみでは必要な整備が進まない、困難な状況となっておるところもございます。そうしたことから、今回の森林経営管理法案を踏まえまして、市町村が実施する森林の公的な管理を始めとした森林整備等の財源として、この森林環境税が創設されるわけでございまして、国としては、国の予算事業、それと今回の森林環境税による双方の取組を推進することによりまして、森林整備を一層進めていけるように、引き続き、必要な予算の確保も含めまして、全力で取り組んでいきたいと考えております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
確かに、この法案がしっかりとワークすることによって森林整備というのは進むんだろうというふうには理解をするところでございます。しかし、温暖化対策については、京都議定書、あるいはその後、第一約束期間、これは国の約束として、第二約束期間に入ってからは目標に変わったなというふうに思っていますし、今後も、COP21ですか、この国のいわば決意が試されているんだろうと思います。そしてまた、法案もきのう登壇物としてやっておられたというようなこともあって、ここはやはり、森林整備というのはしっかりとやっていくんだという国の決意というものをしっかりと示していただく必要があるんだろうと思います。
大臣、いかがでございましょうか。
○齋藤国務大臣 この議論の出発点には、今委員が御指摘をされたようなことは間違いなくあったと。私も当初からかかわってきた人間ですので、日本が意欲ある削減目標をつくるためには、森林吸収源というものもしっかりやっていかなくちゃいけないということの中で、しかし、安定的な財源がないですよねというのが出発点にあって、しかし一方で、森林経営者の皆さんの意欲の問題もあって進んでいませんよね、そういう両方の要請の中から、多大なる、多くの議論を積み重ねてきて今日に至っているということでありますので、温暖化対策も含めまして、しっかりと森林整備をやっていきたいというふうに考えております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
ここは本当に決意の問題だと思いますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。
そういう意味で、期待の大きい森林環境税でございますけれども、やはりこれだけではどうしても足りないんですね。十分ではないということでございます。
だとすれば、やはり、これまで林野庁がしっかりとやってきた、それでも十分ではなかったんじゃないかなと私は思いますけれども、そういった森林・林業政策の拡充というか、あるいは予算、これからもしっかりと確保していただかなければいけないと思うんですけれども、これについて改めて伺いたいと思います。いかがでございましょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
先ほども少しこの件については触れさせていただきましたけれども、これまで林野庁が行っておりました予算措置による事業、これだけではどうしても森林整備が進まないという現状がございますので、今回の森林経営管理法案を通していただいた暁には、予算措置ではできない、意欲をなくされた皆様方の森林をきちんと、市町村事業として間伐などの森林整備を進めていけば、きちんとした我が国の森林が整っていくのではないか、こう考えております。
ぜひ、農林水産省といたしましては、国の予算事業と森林環境税、この双方をきちんと推進することによって、森林整備をきちんと一層進めていくように対応いたしたいと思っておりますし、引き続き、予算の確保についても全力で取り組みたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
本当に期待しておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
次に、森林経営管理法では、市町村が集積計画を定めて、林地台帳を整備し、所有者の特定や境界の特定も行うこととなります。不在村地主も多い未確知所有者の確認にも手続の簡素化が行われるとはいえ、今の自治体のマンパワーで対応できるのか、いささか心配でございます。特に境界確定は一筋縄ではいかないんじゃないかなと考えておりまして、実は、ここが進まないと、所有者の確定まで進まないというふうに思います。もちろん市町村、自治体の皆さんにも頑張っていただきますけれども、ここは国もやはり責任を持って一緒に取り組むべきであるというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
また、当然、予算や人的なものもそうなんですけれども、この境界確定について、所有者の確定についてはさまざまな簡素化の話が出ているんですけれども、境界確定についても何らか簡素化できるような方策をお考えいただけないかなと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
新たな森林管理システムのもとで、森林の経営管理を意欲と能力のある林業経営者に集積、集約化し、林業の成長産業化を実現していくためには、森林所有者や森林の境界の明確化ということは大変重要な課題と認識してございます。
政府全体としましてでございますけれども、森林所有者の所在の確認とか森林境界の確認を行う、現地におきますと、恐らく森林組合の皆さんがこうしたことにしっかり取り組んでいただいております。そうした森林組合の活動に対する支援ということを私たちとしては準備させていただくとともに、あと、地方財政措置におきましても、所有者や境界の明確化などへの助成を行って対応させていただいているところでございます。
今後とも、こうした予算、財政措置の支援を通じまして、所有者の確定とか森林境界の明確化を推進してまいりたいと考えております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
ちょっと前に農業の場合をやったんですけれども、農業の場合は、割と境界というのがしっかりとしておりまして、林地ほどに複雑ではないだろうと思っております。
また、実は今回、所有者の確認についても簡素化は図られておりますけれども、境界確定、実は一番ここが大変厄介なんじゃないかなと思っています。最終的には、どこの木材が誰のものなのかというところまで突き詰めなければいけないわけですし、最終的に、その後の利益の配分についても、もめるとは言わないですけれども、ここがしっかりしていないと、誰のものなのか、あるいはどこの利益なのか、もしそれがわからない場合であっても、やはり非常に大変なんだろうと思うわけです。
ですので、実は、山の場合に関しては、所有者の確認よりも境界の確定が一番厄介だというふうに思っているところでございまして、何らかここは知恵を出していただいて、ぜひ、少しでも前に進むように、もちろん現場の知恵、あるいは皆様方はいろいろとこれまでも御経験があると思いますので、ぜひ、進めるために、ここは何らか方策を考えていただきたいと思っているところでございます。よろしくお願いをいたします。
次に、先ほど石川議員からもお話あったんですけれども、自治体にさまざまお願いをするわけでございます。また、自治体の職員の数、この専門職員の数、全国でも三千人ということで、中、四割ぐらいはゼロだというようなことでございます。やはりマンパワーが明らかに不足しているんだなということがどなたもおわかりになると思います。また、地域林政アドバイザーの話もあったんですけれども、これも決して十分な数とは言えないんじゃないかなと思います。
せめて自治体の体制が整うまでの間については、やはり林政についての知見を有する林野庁の職員の皆さんが自治体、現場に赴いていただいて、あるいは出向なのか、あるいは人事交流なのか、そういった形で、林野庁職員の皆さんが直接的な、現場に赴いての支援や活動なんかも考えるべきではないかなと思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
本法案の施行に当たりましては、まさに委員御指摘のとおり、この実行体制の整備が非常に重要な課題と認識してございます。
御指摘のように、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用する取組、これは当然進める必要がございますし、また、近隣の市町村と連携して共同で事業を行うことが可能であります。また、本法案におきましては、都道府県による市町村の事務の代替執行ができるなどの制度を導入しておりまして、必要な体制整備について取組を進めたいと考えております。
こうした中、地域林政アドバイザーにつきましては、民有林行政でございますので、現場を熟知しております民間の林業技術者の方々に加えまして、こうした方がまずメーンになると思うんですけれども、都道府県、まず、民有林の森林行政というのは県行政として行われてきた歴史がございますので、県のお手伝いをいただくこと、また県のOBの方、そうした方のお手伝い、また当然、おっしゃられたように林野庁から、実を言うと、御承知のとおり交流人事もしておりますし、林野庁の職員のOBもございますので、こうした者もお手伝いという形で地域林政アドバイザーに就任していくということは十分考え得るところでございます。
こうした形をとりまして、市町村をサポートしていくことが重要と考えております。
よろしくお願いします。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
もちろん、県もそうですけれども、林野庁からも出ていただけるんだなというふうには思いますけれども、何となくちょっと、歯切れが若干悪かったように感じるんですけれども、大臣、いかがですか、林野庁の職員に前に出ていただくということについては。
○齋藤国務大臣 現職の職員を大人数一気に出すというのは現実的にはなかなか難しいと思っておりますが、今長官から答弁いたしましたように、地域林政アドバイザーに都道府県とか林野庁職員OBの方に積極的に就任をしていただくというのは、一つの現実的な方法ではないかなと考えております。今こうやって答弁している方々もいずれOBになるわけでありますので、そこをよく認識していただければありがたいなというふうに思っております。
○神谷(裕)委員 林野庁の職員の方々、これからも活躍をいただけると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
また別の視点なんですけれども、森林所有者に対して、森林経営管理を行う責務が今後かかってくるわけでございますけれども、自治体が経営管理権を設定することにより、所有者は責務を果たすことになります。もちろん、みずから適切に管理している方については問題ないんですけれども、責務を果たしていない所有者に対しての指導等についてお考えがあるのか伺いたいと思います。
また、所有者が市町村に対し集積計画の作成を申し出たんだけれども、奥地の条件不利地等、対象とされなかった場合、所有者は責務を果たしたことにはならないことになってしまうんですけれども、どのような対応をとるのか伺いたいと思います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
本法案におきましては、森林所有者に対しまして森林の経営管理に係る責務を課すとともに、森林所有者みずから経営管理できない森林については、市町村が、森林の経営管理の状況、集積の必要性等を勘案しまして、森林所有者に対して経営管理の意向を調査した上で、経営管理を行うために必要な権利を取得することができるとしております。
また、適切に経営管理されていない森林につきましては、市町村が経営管理権集積計画を作成して、森林所有者に同意する旨を勧告し、意見書を提出する機会を与えた上で、都道府県知事の裁定を経て市町村に経営管理権を設定できることとしておりまして、適切な経営管理が確保されるように措置することとしております。
なお、市町村が森林所有者から経営管理集積計画の作成の申出を受けたにもかかわらず、経営管理集積計画の対象としない場合には、森林所有者はその責務を果たしたことにはならないということでございまして、一方、市町村は、経営管理が円滑に行われるよう、この法律に基づく措置その他の必要な措置を講ずるように努めるものとするという責務を課されております。申出を受けました森林について放置することは許されません。地域の実情等を勘案して、適切な時期に経営管理権集積計画の対象森林とすることになるものと考えております。
○神谷(裕)委員 今回、責務がかかってくるわけでございますので、万が一にも、この責務が果たされないということで、特に所有者の方、申し出たんだけれども自治体の都合でだめだなんということがあってはいけないと思いますので、そこはぜひお考えをいただきたいと思いますし、自治体の方にぜひやっていただけるような形をとるんだろうとは思います。
ただ、やはり条件不利の場合等、自治体であっても経営管理が非常に難しい場合が出てくることは十分予想されるんだなと思います。その場合は、あるいは自然に帰していくような選択肢もとり得るんじゃないかなと思うんですけれども、最後にこの点、伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
本法案におきましては、森林所有者みずから経営管理できない森林のうち、経済ベースに乗る森林につきましては林業経営者に集積、集約化するとともに、経済ベースに乗らない森林については市町村が公的に管理する仕組みを創設することとしております。
今御指摘がございましたように条件が悪く経済ベースに乗らない森林につきましては、市町村により公的な管理を行うことになります。これらの森林については、針葉樹、広葉樹、混在するような複層林化を図るなど、できるだけ維持管理に費用を要しない、自然に近い形の森林に誘導していくことになります。
○神谷(裕)委員 ありがとうございました。
終わります。
○伊東委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。
貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
秋田の歴史をまた少し御紹介しながら、お話を進めてまいりたいというふうに思います。
私が住んでいるところは秋田県の北部ですけれども、流域でございます米代川、この一級河川、これが内陸から流れていますけれども、日本海に注いでおります。豊富な天然杉の産地でございまして、江戸時代には、流域に生い茂る秋田杉をいかだに組んで、これを川に流すというようなやり方で運んでおりました。
木材は、山の上流部から、木を丸太にして、それを切り出して、いかだに組んで、川を下って運ぶ。いかだの場合、一定の水量がなければ流れませんので、雪解けから田植え前までのこの時期に、米代川はいかだのラッシュが起きたというふうに言われております。まさに川上から川下へ、木材や荷物の積込み、積卸しのために船場が整備され、人々の交流も活発になりました。
その後も、木材の主要な供給源として、近代国家の歩みとともに高まる木材需要を長らく支え、国内林業においても重要な役割を担ってまいりました。昭和期から展開された年間一万ヘクタール造林運動などによって森林整備が進められ、現在、秋田県は全国一の杉人工林面積を有しております。
そうした秋田県で、本格的に杉を中心として利用期に入っている森林が多数ございます。その積極的な伐採と、伐採後の植林など森林の若返り事業、さらには若い林齢の森林の除伐、間伐といった保育など、一連の施業を通じて、適正な森林管理、そして木材の安定供給に向けた取組を進めている。
地元で、この前帰ったときも、私が本会議で齋藤大臣にお尋ねして、そうした場面をインターネットでごらんいただいた地元の方から、大変この法案に対して期待をしているという声をいただけました。
地域経済の振興につながる林業の成長産業化、そして、森林の持つ多面的な機能の維持向上を図りながら、森林資源の適正管理、この二つが両立していく。その上で、本法案の中身に加えて、やはり過去の、これまでの森林・林業政策もあわせて考えていくべきだというふうに考えております。
既存の制度におけるさらなる支援の拡充、そして、その際に必要な予算を確保していくことが重要であるというふうに考えておりますけれども、まず、この点について、大臣、御所見を伺いたいと思います。
○齋藤国務大臣 林業の成長産業化と森林資源の適正管理の両立に向けて、この法案を措置する前に、これまでの林業政策としっかりあわせてという御指摘でありまして、結論を言えば、おっしゃるとおりだと思います。
民有林の私有人工林、六百七十万ヘクタールありますけれども、そのうち約三分の一は既に適切に経営管理されているわけでありますが、残り三分の二、約四百五十万ヘクタールが経営管理が不十分な状態というのが現状であります。
既に経営管理されている森林につきましては、既存の施策により間伐や路網整備等を支援させていただいてきたところでありまして、この点については、引き続き、森林所有者等による自発的な取組を支援していくために、必要な予算をしっかりと確保してまいりたいと思います。
一方、既存の施策では経営管理を確保できておらず、経営管理が不十分な森林については、まず、本法案による新たな森林管理システムにより対応をしていくこととなるわけでありますが、それと同時に、本システムに取り組む市町村や、意欲と能力のある林業経営者を支援していくということをあわせてやっていくことだろうと思っております。
こうした取組を通じて、森林の経営管理を確保して、林業の成長産業化と森林資源の適正管理の両立を図っていくということであろうと考えております。
○緑川委員 私有林の人工林には、今回、三分の一ずつというふうに、わかりやすい区分ではありますけれども、引き続き、過去に経営管理してきた部分についても、やはり重要な森林資源としてこれからも制度の支援が、これまでの制度もあわせて支援は必要であると思いますし、森林経営管理法案の中の予算が確保されているとしても、逆に、これまでの法律、制度について予算が少し削減されるような動きになってくるとすれば、これまでの制度が形骸化してしまうという意味で、意味がなくなってしまうと思うんですね。
目新しい取組というのは関心が高くなりがちですけれども、こういう新法案をつくっていく、そういうときこそやはり総括とか、これまでの実績というのを改めて、検証も含めて考えていく必要があるというふうに思います。
既存の制度の一部についてはこの後少しまた確認をさせていただきたいと思いますが、まず、森林経営管理法案、これはちょっと概要ですけれども、規制改革推進会議農林ワーキング・グループ及び未来投資会議構造改革徹底推進会合「地域経済・インフラ」会合による提言を受けた農林水産業・地域の活力創造プランによって、今回の法案が提出されております。
プランの中では、林業の成長産業化、そして森林資源の適切な管理の推進について、適切な目標、KPIを用いて時期を明示した具体的な成長目標の設定と、その実現に向け、経営管理が期待されている森林の施策の工程表を引き続き検討し、ことしの夏までに結論を得て、具体策を講じるというふうにされていますけれども、現在、この検討状況、間もなく、夏まで数カ月という形になりますが、これについて伺いたいと思います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
昨年十二月に改定いたしました農林水産業・地域の活力創造プランにおいて明らかにするとされたKPI、施策の工程表につきましては、現在、その具体的な内容を検討しているところでございます。
林業の成長産業化と森林資源の適切な管理に向けた取組として、ことしの年央までに適切に示せるように取り組んでまいりたいと思っております。
○緑川委員 夏までということですけれども、なるべく早目に、また検討状況をお伺いできればというふうに思います。
この成長目標を、いずれにしても、まだ明確ではありませんけれども、堅持していく、そして施策の工程に沿っていけるようにする上で、やはり必要となっているのが現場の人材確保、これに尽きるとまず私は思います。
二〇〇三年度から取り組んでいる緑の雇用事業、これは大変地元でも反響もありましたけれども、現場技能者の育成事業、これは、直近のデータでは、緑の雇用による就業者は一万七千人。平成十五年、二〇〇三年度から始まっているということで、就業者全体では、緑の雇用による就業率はおよそ四割を占めているという実績。この十五年間、どのように評価されているでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
緑の雇用事業でございますけれども、今御指摘ございましたように、平成十五年度から実施をしてございます。これまで二千人規模であったものが、一挙にそこで一千人から二千人の幅で増加いたしまして、非常に各地域の林業の関係の皆様から喜んでいただいております。
我々としては、新規就業者の皆様にこうした緑の雇用事業を御利用いただいて、確実に林業事業者の方々がふえていくような取組を続けてまいりたいと考えております。
○緑川委員 もちろん、地元でもそうですし、やはりデータを見ても、これは今後も、先ほどのお話ではないですけれども、より一層拡充を図っていく必要がある事業の一つであるというふうに考えております。
ここで資料をごらんいただきたいんですが、このA3サイズで左側の方になりますが、上の新規就業者についてですけれども、毎年三千人程度というふうに書いてあります。
これを踏まえて、その左側の棒グラフ、そして折れ線グラフの図、平成二十二年というところを見ていただきたいんですけれども、林業従事者の数は五・一、五万一千人です。高齢化率が二一%、そして若年者率が一八%、括弧内の数字は平均年齢で、五十二・一歳です。そして右側、平成二十七年、これはどうかというと、従事者の数が四万五千人、高齢化率が二五%、そして若年者率が一七%、平均年齢が五十二・四歳。
右のグラフによれば、新規就業者数は毎年三千人ですので、これは平成二十二年から二十七年の間で五年間ですから、単純計算すれば一万五千人ふえる計算になるはずなんですけれども、全体としては、この五年間では六千人減っている状況です。一方で、高齢化率、若干これは上がっておりますね、平均年齢が上がっている。これはどう見たらよろしいでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
まず、委員御指摘の若年者率でございますけれども、御指摘のように、林業の場合は、一次産業の中では若い数字が出ております。この原因につきましては、伐採事業等における機械化といったものが非常に影響してきておりまして、機械操作によるものに変わってきております。そうした関係でこうしたものがふえております。
片や、今度は高齢化率でございますけれども、順調に下がってきたところでございますが、今回、若干上に上がっております。これまで高齢だった方が抜けられてきたというところで若い人が入ってきたということで、順調に下がってきたんですけれども、林業従事者全体の数字が下がる中で高齢者の方も残りながらいるということで、少し上がっているかと思います。
傾向的には、高齢者率は一定のところで、また若年化率も一定のところにまでは来ているのかなというふうに考えております。
○緑川委員 そのグラフ、やや上昇傾向というふうな折れ線の形ではありますけれども、全体の就業者数を見たときに、一万五千人コンスタントに、単純計算でいえばふえるはず。でも、六千人下がっているということは、これはやはり若い人もリタイアしている、途中で退職している場合もあるんじゃないかというふうに私は考えているんですけれども、もともといた高齢者の方も含め二万一千人が一気に抜けるというような話ではないと思うんですね。
この若年者の定着率、緑の雇用で新規雇用した就業者の定着率についてはどのようにお考えでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
緑の雇用事業の研修修了生についての定着率でございますけれども、定着率をはかるとき、他産業と比べるために、就業三年後の定着率を調べてございます。
これを見てみますと、平成二十六年度に就業した者で約七六%でございます。また、事業がスタートいたしました平成十五年度から二十六年度までの十二年間の平均で見ますと、約七二%になってございます。
このことをどう評価するかでございますが、全産業におきます就業三年後の定着率は、大卒者で約六八%、高卒者で約五九%となってございます。林業は、労働災害発生率が高いなど厳しい労働環境の中、高度な技術の習得が必要であることなどを踏まえれば、本事業が一定の成果を上げているのではないかと考えるところでございます。
今後とも、この緑の雇用事業を通じまして、新規就業者の確保、育成と就業後の定着を支援してまいりたいと考えております。
○緑川委員 定着率がもう少し一〇〇%に近いとか、そういうことは理想ではありますけれども、やはり卒業してから三年、四年たってくると定着率も少し下がっていく、そうした傾向も見られるというお話でございます。
キャリアアップということの観点からいうと、この緑の雇用事業、これは大変大きな役割がありますし、高性能機械の導入とか、それから肉体労働という面から見ても、やはり若年者の育成そして定着が私は鍵だというふうに考えております。この定着率を図る取組もあわせて進めていく必要があるというふうに考えております。
ちなみに、秋田県では、三年前、林業大学校が、これは東北地方そして北海道を含めて初めてこの地域で開設されました。就業前に技術習得できる、即戦力となるような若い人材の育成を目指す、そして、卒業後は林業の第一線で活躍する。そうした若手が、実は、卒業後も秋田県内でもふえております。
その一方で、やはり同じような全国的な傾向ですけれども、林業者全体の四割近く、全国平均よりも高いんですが、六十歳以上が四割を占めております。依然として高齢化率が高い。リタイアする人も、このデータで見るように、秋田県内でも大変多いですね。担い手全体としては、年々これは減っております。従事者の入れかわりが激しい業界、定着していないというところもある。農業に比べると、リタイアの年齢も早いというふうに思います。
肉体労働という面が大変大きい中で、この資料、ちょっとビジュアル的に見ていただきたいんですけれども、写真で載せております。作業風景の現場の写真ですけれども、右側ですね、写真編というふうになっておりますが、植栽、苗木の植付けから、次の重要なステップである、育林作業で欠かせない刈り払い機を使った下刈り、そして、その後、十五年ほどたったところでチェーンソーによる除伐、こうした造林に当たっての保育の作業、これは手作業で行わなければならない。これは大変地道な肉体労働、そして、人手がかなり多く必要な仕事であります。
そして、左側のデータにもあるように、やはり賃金そして労働安全の面でも、過酷な就労実態があらわれております。
ここでちょっとお尋ねしたいんですけれども、こうした現場の作業員に対して、林野庁としてどのような支援が考えられるのか、伺いたいと思います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘の右側の図の、現場での作業風景というのがございます。こうした植栽作業、下刈り作業、除伐作業というのは保育の作業でございますけれども、おっしゃるとおり、非常に、大変厳しい作業でございます。
こうしたものは森林整備事業の一環として行っておりまして、農林水産省といたしましては、その森林整備事業の予算を通じてきちんと補助事業としての形で出して、現地で発注事業の中で使っていただいて、きちんとした形ができるようにしていくということ。それからまた、こういった方々は林業経営体の職員でもございます。こういった方々の雇用等を守るためには、林業経営体をしっかりお支えしていくということも重要でございますので、経営体への支援といったことにも取り組んでいるところでございます。
こうしたものを通じまして、現場に携わっておられる皆様方の労働環境を守りながら、森林・林業がきちんとした形で進められるように取り組んでまいりたいと考えております。
○緑川委員 現場の森林整備の取組、経営体への支援もさることながら、特に現場の作業員ですね。土木建機のオペレーターというのは、大型の機械を導入する際には、募集すれば比較的早く集まる業種であろうかと思います。特殊作業ということで、お金もある程度いいわけです。
しかし、下刈り、こうした大切な作業でもあるにもかかわらず、賃金体系が余り高くない、そういうことで人がなかなか集まってこない。
国有林野事業における一般競争入札についてもやはり言えることだと思うんですけれども、この作業の内容、現場の立場によって、世話役とかいろいろな立場がありますが、賃金が明確に決まっております、都道府県別ですけれども。
入札制度について、まず現状の御認識と今後の課題について、何かお持ちであれば伺いたいと思います。
○沖政府参考人 国有林野事業におきますこうした森林整備事業の発注につきましては、以前のこの質問にもございましたように、価格とその他、ほかのもので評価すべきものをあわせて発注していくべきような場合については、総合評価落札方式を使ったりしております。
そうした中で、優秀な、評価されるような条件を持ったところの事業体については加点がされて評価されていくというような仕組みになっておりますので、そうした事業体が落札していくという形になろうかと思います。
ただ、我々が国有林野事業の中でそうした発注をするときに算定いたします価格基準、これは算定の基準が別途ございまして、また、県におきましては御指摘のとおりそれぞれの単価が設定されております。こうしたものを一つの目安として、皆様方は大体承知しておられるんですけれども、そうしたものを目安として入札に参加されていくということでございます。
我々としては、そうした単価がきちんと地域の実情を反映したものになるように常日ごろから心がけ、また、地域の林業にとってメリットがあるような形で対応していきたいというふうに考えております。
○緑川委員 総合評価落札制度、地元の貢献度に応じて落札する事業体が決まっていくような、優先的に決まっていく仕組みであれば大変望ましいことなんですけれども、やはり実態、一つは価格優先の入札であるという側面はどうしても色濃くございます。
人件費など、それが労働条件の悪化にはね返ってくる、労働条件が悪くなっていく、対応できないという課題もありまして、造林経費のうち多額を占める、先ほどお話しした下刈り、これが造林経費のうちの四割、もう半分近く占めている。これは、保育の面でも重要ですし、経費の面でも大変かかるものなわけですね。
この造林作業という特殊性、重要性を考えたときに、公共事業の設計労務単価のような、いわゆる二省作業員という扱いにしていたのがこれまでのあり方ですけれども、これは石川委員もお話ありましたけれども、低入札価格の調査の結果、実は失格となっているケースはかなり少ない、まれであるということも聞いていますし、つまりそれは、低入札も認められてしまっている、事業として請け負ってしまっている。その結果、実質賃金も低下しているということが問題視されているわけですね。
この公共事業設計労務単価、これの二省作業員という扱いでなくて、私が提案したいのは、林野庁の独自の労務単価を設定する、労働条件の改善に資するような発注の仕組みに変えていくことが大変必要なことではないかと思うんです。
森林資源の適正管理、一つの大きな柱というふうになっている本法案の中では、担い手の確保、育成ということが大変重要であるというふうに考えているんですけれども、御見解を伺いたいと思います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
緑川委員御指摘のとおり、公共事業で、森林整備事業は公共事業に位置づけられておりまして、二省単価の数字が基本となります。これは国の事業として、予算執行の透明化、公平化、こうしたものの観点から、私たちは取り組んでいるところでございます。
そうした中、今回の森林経営管理法案に基づく新たな森林管理システムにおきましては、市町村に公的な森林の管理をやっていただく形になる中で、意欲と能力のある森林経営者がそれに選ばれて対応していく。そのところについてはまた少し別の形も考えられますけれども、全く国のシステムをそのまま乗せるということよりも、やはり地域に御理解をいただけるように、また透明性を確保しながら発注をしていくという形を、また今後の中でしっかり検討して詰めていきたいと考えております。
○緑川委員 そうなんですね。やはり地元の雇用を考えたときに、御検討いただけるというお話もございますが、現状の賃金の体系、二省単価という実情の中では、新しい地元雇用、私は大いに期待したいところではございますけれども、これまでの一般競争入札のあり方の中でも、地元の事業者を、これは九割ほどはもう既に手を挙げている事業体であって、地元への貢献とかそうしたところには全く不備はないというようなお答えですけれども、重要となるこの単価の部分の改革をやはりしっかり考えていただきたいなというふうに思います。
下刈り作業などを主な事業内容としている国有林野事業の発注においては、受注が芳しくないというケースも見受けられます。通常の民間事業として作業員を雇用する場合には、国有林野事業以上に雇用条件は多分一層厳しい場合もあるかというふうに考えております。
事業の採算性を確保するために、私が聞いているのは、外国人を雇用して、マイクロバスに一週間乗せて、その森林内で一週間下刈り作業に当たらせるという、こうした、ちょっと過酷にも思える実態があるというふうに聞いております。人件費が切り詰められている、こういう労働実態も心配されるわけですね。
ましてや、今回の法案の中で、経営管理実施権に基づいて経営管理を委託されている事業者として、主伐による販売収入の一部を所有者に還元していかなきゃいけない、収入の一部が自分たちのものにならない。そういう中で、収入減少分をカバーしていくために、利益を追求するというのがやはり民間の企業の本質でもありますから、それが現場作業員の就労条件の悪化につながったりとか、再造林などの森林資源の適正管理への取組が薄れていくことも心配しているわけです。
経営管理実施権に基づいて市町村が民間事業者を選定、登録、そして委託する、そういう過程の中で、その後の事業者に対する監督が一層私は重要だというふうに考えておりますけれども、国としてはどのように関与していく予定でしょうか。
○沖政府参考人 お尋ねの、森林経営管理法案に基づきます新たな森林管理システムの中で、意欲と能力のある森林経営者に再委託をしていく場合の話だと思います。
この場合、市町村に設定いたしました経営管理権、そこの集積計画ができますけれども、そこと意欲と能力のある林業経営者との間で、どういった条件で森林を扱っていくかといったことをきちんと取決めをしていただきます。ですから、そうした中で、委員御指摘のように、この森林について意欲と能力のある経営体が収益が出る、また、そのときには植付けそれから保育というようなことも勘案した上で対応ができるということが見込まれる場合において、両者の合意のもとに経営の再委託がされていく、つながっていくということでございます。
これは、なぜかというと、今一番の課題となっているのは、森林を伐採したはいいけれども、植えない、そうしたことが相当起こってきております。これから五十年後の日本を考えたときに、やはり次の世代にきちんと森林をつくって回していくということがとても大切だと思います。そうしたことを、このシステムを使って循環した資源サイクルがつくれるといったものを私たちとしては想定して、こうしたものをつくっております。
ですから、意欲と能力のある森林経営者というのは、自分としてやれるということでなければ、そこは結びつきませんので、余り御指摘のような御心配はないのかなというふうに考えております。
○緑川委員 その意欲と能力のある林業経営者というのは、事業規模拡大に対する意欲はもちろんあるんでしょうけれども、やはりなかなか収入の一部が削られるということに対して、経営を合理化して、そもそも、これまでの三分の一については引き続き経営管理が必要な中で、新たに三分の一の民間の私有林、人工林を引き受けないといけない。こういう取組の中では、私は、林業経営者の意欲と能力ではちょっと限界が見えるところもあるのかなというふうに感じてはいるんです。このあたりについてはまた後でちょっと伺いたいと思うんですが。
市町村の、まず、事業者の推薦とか選定に当たっては、伐採する能力だけじゃなくて、参考人のおっしゃったように、造林をしていく、やはり育林、造林にたけた能力、これは私は必須だと思いますけれども、このあたりのチェックについてはどのようにお考えでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
意欲と能力のある林業経営体の選定に当たってのお話かと思います。
まず、意欲と能力のある林業経営体の選定に当たりましては、県におきましてそうした者を、今までも林業の認定林業事業者とかそうした仕組みにおいて招致してございますので、県の中でまずピックアップをしていただく形になろうかと思います。そのときに、御指摘のように、造林の能力それから経営の能力、そうしたものも当然中に入ってございますので、認められていくと思います。
ただ、今回、そうすると、大きい事業体だけしかないんじゃないかというような御懸念もすぐ持たれるんですけれども、それぞれ、規模の大小ではなくて、意欲と能力というところであれば、自分として規模拡大をしてやっていこうという意欲がある、そうした目標を立てていく、またもう一つは、先ほど申し上げましたけれども、林業の循環サイクルをきちんと回していこうという意思を持っている、自分たちの行動規範をきちんと宣言していただく、こうした方々は選ばれる。
それで、市町村の方からも、では、地域にこういう方々が漏れ落ちているといった場合には、御推薦などもいただきながら、実際的には、地域と連携した中で、きちんと動ける意欲と能力のある林業経営者といったものが認定されていくのではないかというふうに考えてございます。
○緑川委員 その意欲と能力のある林業経営者が恐らくはまた主体になるかと思いますが、この経営体は、今、一割の経営体が、素材生産においては八割の生産を占めている、支えているわけです。
つまり、事業が特定の経営体に集中しているこの現状を考えれば、私有林の人工林のうち、お話のあったように、事業者が既に経営管理してきた三分の一の面積、引き続きこれを管理しながら、本法案で経営管理が期待されるまた別の三分の一の面積について、経営管理実施権に基づいてその経営管理を引き受ける。単純に計算すれば、事業体が集中している現状では業務量は倍になるというふうなところだと思います。
事業を請け負う経営体の負担という点について、改めてちょっと伺わせてください。
○沖政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のように、林業の主伐の現場の数字をおっしゃられましたが、八割がそうした伐採の業者さんがやられている、そういう傾向はございます。
林業の現場、伐採して植付けをしていく現場を見てみますと、そうしたところは素材生産業者と言われる伐採の業者が八割程度担っておりますけれども、ところが、一方、その先にございます植付けといったところ、保育といったところについては森林組合がそのほとんどを担ってございます。ただ、森林組合が主伐をしていないかというと、主伐をしていないわけではないんですけれども、残りの二割のところ、これが森林組合なんですね。
ですから、我々としては、集中するというのもございますけれども、切って、使って、植えるのを、切って植えるところを連続していくことによって、事業の効率化、一貫作業と言っていますけれども、効率化が図られるというふうに考えております。
ですから、例えば、素材生産業者が切って、すぐその後、森林組合の皆さんが植える。そのときに、低コスト化を図るために、最近では苗木のコンテナ苗という、昔、苗畑で、畑で植えていたような苗から、こういうポットがたくさんついたようなコンテナ苗をつくりまして、それを使う。そうすることによって、秋田でいえば、真冬はだめなんですけれども、春から秋までの間を通じて植付けもできますので、事業の平準化、それから労働者の平準化、こうしたものもできます。
そうした低コスト化も取り組みつつ、集中化をしないように、また連携をして、切って、使って、植えるというサイクルが成り立っていくように、我々としては指導をしてまいりたいと考えております。
○緑川委員 造林コストのうちのコンテナ苗とか植付けのコストの低減とか、地ごしらえの過程の軽減とか、そうしたところは大変重要なところだと思います。
その上で、経営体がビジネスとして経営が成り立つかどうかも含めて判断することになると思いますけれども、やはり事業拡大の意向があるということは、森林の集積、集約が市町村によって図られれば、事業規模は確かに拡大できるかもしれません。
しかし、一方で、経営体が経営管理していくことは、所有者にかわって今回の法案のもとでは所有者としての責務を負う、それ以外に、私は経営体には重要な責任があるというふうに思うんです。
まず、経営管理の目的、何度もお話しですけれども、林業の成長産業化、森林資源の適正管理ということですが、この法案の上で森林・林業政策の最上位に位置づけられている森林・林業基本法を私はここで忘れてはいけないと思うんですね。
この法律に基づいて、森林・林業基本計画では、林業の成長産業化とは、「林業及び木材産業を安定的に成長発展させ、」その後です、「山村等における就業機会の創出と所得水準の上昇をもたらす産業へと転換すること、」であるというふうにされております。
これに照らして経営管理を考えた場合に、森林を集積、集約していく、そして事業体の事業規模を拡大させていく、これは手段であってゴールではないと思うんです。成長産業化を進めることの意義というのは、山村における雇用をふやし、そこに働く人の所得をふやしていくことにある、これこそが私は成長産業化の意義の大事なところではないかというふうに思います。
森林経営管理法案の趣旨によれば、林業の成長産業化と資源の適切な管理の両立を図るために、市町村を介して林業経営の意欲の低い小規模零細な森林所有者の経営を意欲と能力のある林業経営者につなぐことで、林業経営の集積、集約化を図るとともに、経済的に成り立たない森林については市町村みずからが経営管理を行う仕組みを構築していくというのが趣旨ですけれども、ここに、山村等における就業機会の創出、所得水準の上昇をもたらす産業へと転換するという部分を法案の趣旨にやはりはっきりと盛り込んでいくか、あるいは法案の中で強調していくべきであるというふうに思いますが、大臣、このあたりの御所見を伺いたいと思います。
○齋藤国務大臣 林業の成長産業化の中には、当然、地域の活性化、それから携わっている方々の雇用の確保、所得の上昇、そういうものがないと成長産業化はできないわけでありますので、概念的にはこの中に、これを推進することによって達成できるものであるというふうには考えています。
○緑川委員 「山村等における」という、この山村が私は重要だと思うんですね。
事業体によっては、これは自前の従業員という形で全国を回って活動していく、事業をしていくという可能性も十分考えられるわけです。
地元雇用ということに重きを置くべきだと私は考えておりまして、山村振興法に基づいて指定されている振興山村、これを有する市町村の数は、全国で七百三十四、全市町村の四三%です。これは半分近くが振興山村なんです。秋田県においては、二十五市町村のうち二十市町村です。八割が実に山村ということです。この山村で重要なのが、一次産業の就業人口です。これが二割を占めている山村の中で、林業というのは、やはりとりわけ地元の雇用としても重要なところなんです。
森林資源を生かした産業育成が地域経済を支えていることを踏まえれば、木材を安定的に供給し、また、森林の持つ多面的機能を維持し、その効果を発揮していく上で、造林、保育、素材生産、こうした施行を効率的に行う生産基盤として、山村においては路網の整備ということもあわせて進めていく必要があるというふうに思います。
路網整備の現状について、また、そうした状況、今の支援のあり方などについても伺いたいと思います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
森林資源の適正な管理と林業の成長産業化を実現するためには、委員御指摘のとおり、路網の整備を進めることが極めて重要と認識しております。
農林水産省といたしましては、林内路網ネットワークの核となります大型トラック等が通行する林道や林業専用道、また、集材や造材等の作業を行うために林業機械が走行いたします森林作業道、それぞれを役割に応じまして適切に組み合わせて、地域の実情に応じた整備を実施してございます。
このため、森林整備事業等の予算を活用しまして路網整備を進めております。特に、平成三十年度当初予算におきましては、大量の木材運搬等に対応できます幹線林道の整備、それから、意欲と能力のある林業経営者が行う森林作業道の整備を措置しているところでございます。
これらの取組によりまして、林内路網ネットワークの整備を積極的に推進してまいります。
○緑川委員 ありがとうございました。
路網整備の整備状況は、ヨーロッパと比べるとやはりかなりおくれている現状でございます。林業者の半分以上が一層整備を求めているという結果もありますが、私、立場はそれぞれにあると思うんですね。
高性能な林業機械といっても、これは誰もが導入できるわけではないですし、大きな機械が現場で本当に必要なのかどうかという声も私は聞いております。小さい機械で材木を搬出した方が効率的だという声もあります。機械を導入するコスト、現状の路網整備の状況を踏まえれば、すぐに路網が生産基盤として成り立つというのは、この林業の息の長い取組を考えたときに、すぐに成り立つような話ではないと思うんです。
その上で、小規模に管理をしていく自伐林家の存在、この視点、小規模に管理をしていくということが、路網整備が不十分な中では私はやはり必要だと思うんです。
山村地域の自伐林家の森林経営管理、大変重要だというふうに思いますけれども、この御見解、そしてどのような支援をお考えか、伺いたいと思います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
いわゆる自伐林家のお話でございます。
自伐林家は、自己所有いたします森林を中心にいたしまして、みずから、自家労働等によりまして伐採などの施業を行う林家でございます。地域林業の活性化とか山村振興を図る上では極めて重要な主体の一つであろうというふうに認識してございます。
このため、農林水産省におきましては、地域住民や自伐林家等による里山林の保全管理や森林資源の利用の取組、こうしたものに対する交付金措置、それから、地域における自伐林業グループがございますので、グループなどによる将来的な林業経営の集約化に資する森林管理や資源利用の取組に対する支援、それから、地域の実情に応じました自伐林家を含む多様な経営体を対象にいたしました経営の研修、こうしたものに対しての支援をいたしております。
今後とも、各種こうした支援を通じまして、自伐林家の取組を後押ししてまいりたいと考えております。
○緑川委員 ありがとうございます。
主伐以外の収入源というのが欠かせないのがこの林業だと思います。杉立木一本当たりの価格がおよそ千七百円、ピーク時に比べれば一割ほどにしかならない現状の中で、主伐以外、間伐材とか、また、加工し終わって残った材、残材の活用方法、こういったものが、私は、特に自伐林家の立場からは大変重要な取組であるというふうに思います。
グループというふうにおっしゃいましたけれども、グループで集約化を図る中で、NPOとも連携したりして、こうした木質ペレットとか間伐材の販売を集約的に取り組んでいく、こういう取組の中で所得水準を上げていく、こういう視点も私は大切であるというふうに考えておりますが、大臣、このあたり、御所感いかがでしょうか。
○齋藤国務大臣 今、長官も答弁させていただきましたけれども、そういう連携できるものは連携しながら、自伐林家の皆さんがしっかりと継続できるように目配りをしていきたいというふうに考えております。
○緑川委員 ありがとうございました。
こうした森林の経営管理、あり方は、息の長い取組の中で、市町村も集積、集約化を図る中で、これは相当、数十年単位でもしかしたら進んでいく話になろうかというふうに思います。
この中で、市町村の負担について私は伺っていきたいと思っておりますが、まず、三分の二の自治体が、職員がゼロ又は一人しかいない、林業部門の職員ですね。振興山村の自治体の職員確保も、先ほどのお話のように、やはり小規模な自治体の中では厳しいところがございます。
法案が成立したときに、自治体は経営管理の取組を主体的に進めていく原動力にならなければならないわけですから、それをサポートできる人材の確保をやはり早期に求めていきたいと思いますけれども、神谷委員からのお話もありましたが、地域林政アドバイザー、この雇用状況が残念ながら余りよろしくなくて、市町村が今、雇用又は委託している数が、昨年の七月末時点で二十五人。
一千人という目標を掲げているわけですけれども、現状をどのように評価して、また、今後どう取り組んでいくのか、伺います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
地域林政アドバイザーの取扱いについての御質問でございます。
委員御指摘のように、そうした数字もあるところでございますけれども、現段階で我々が把握している数字はもうちょっと上に今動きつつありまして、今後、我々としても、地域の掘り起こし、先ほどもお答えいたしましたけれども、地域の林業技術者のアドバイザーへの応募とか、それから県職、国も含めて、そうしたものへ応援をしていくということで、この一年をかけてしっかり取り組んでいきたいと考えております。
いずれにしましても、市町村の林業職員の人数が十分いるというわけではございませんので、地域林政アドバイザーをまずはきちんと整備していく。また、近隣の市町村、どうしても人数が足りない、二、三町があわせて共同で協議会を立てて対応していくということも今回可能でございますし、実際、地域で聞いてみますと、自分の市町村はそうしてやっていくよというところもございます。また、県にちょっとお願いをするといったところも出てきておりますし、また、県の別の組織が立ち上がって、そこがこうしたものを応援していくといったような動きも出てきております。
いずれにしましても、いろいろな手段を通じまして、市町村の体制整備について応援をしていきたいと考えております。
○緑川委員 都道府県に対して一部事務を委託できたりとか、あるいは、本会議でのお答えの中には、各市町村が複数連携して事務の負担を軽減するといったグループ化なんかについてのお答えもありましたけれども、いずれにしても、これまでの林業行政、相当なものを負っているわけですね。
この中で、経営管理権の存続期間、これは五十年を限度としていて、息の長い取組であります。一時的に市町村による森林整備が進んでも、森林管理が最終的にもう使えるよ、民間事業者に委託できるというような状態になるまでは相当な時間がかかるというケースも想定されます。
市町村の中長期的な取組状況については、ここは国がリーダーシップをとって、中間結果のまとめをお願いするだとか、いろいろな取組の中で情報共有していく必要があると思いますが、このあたりは、まず参考人、そしてまた大臣からも伺いたいと思います。
○伊東委員長 時間が経過しておりますので、答弁、簡潔にお願いいたします。
○沖政府参考人 お答えいたします。
本法案におきましては、市町村は、経営管理が不十分な森林につきまして、森林所有者の意向調査を行った上で経営管理を行える権利を取得し、経済ベースに乗らない森林についてはみずから管理を行うことになっております。
本法案におきましては、市町村が森林を公的に管理する場合には、市町村に対して農林水産大臣が管理の実施状況その他必要な事項につきまして報告を求めることができるとしているほか、これらの情報を踏まえまして、法律の施行の状況を勘案して、法律の施行後五年を目途として、必要がある場合と認めるときには、検討を加えまして、所要の措置を講ずることから、市町村の取組につきましては中長期的に検証することができる仕組みとなっていると考えております。
○齋藤国務大臣 御指摘のように、かなり大きな改革だと思いますので、中長期的にしっかり検証していくということは大事なことだと思っております。
今、長官も答弁しましたけれども、経営管理権が設定された森林の経営管理というものがしっかり確保されるように、法律の施行状況をチェックした上で、この法律の施行後五年を目途として、必要があるときは、検討を加え、所要の措置を講ずる、このようにさせていただきたいと思っております。
○緑川委員 時間が来てしまいました。
林業行政、森林行政は、大変いろいろなものが、複雑に制度があるわけです。この制度と相まって、今回のこの経営管理法、しっかりと林業行政を前に進めていけるようなものにしていきたいと思いますし、この後も議論をさせていただければと思います。
ありがとうございました。
○伊東委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、加計学園の獣医学部創設をめぐって愛媛県が作成した文書、農林水産省にも渡されていたのではないかという件についてお尋ねをいたします。
その文書、今省内で探しておられるというふうに先ほど礒崎副大臣から御答弁がありました。総理の国会答弁との整合性も問われた極めて重要な文書でもあります。一刻も早く探し出して、公表していただきたいというふうに思うわけでありますけれども、お尋ねしたいのは、きのう愛媛県の中村県知事が記者会見でこのように述べておられます。
私や職員は当時、文部科学省や農林水産省、内閣府に説明に伺っていた、その際、四月の会議ではこのような状況だったので、ぜひよろしくと、熱意を伝えるための資料として渡していたと思う、こういうふうに述べておられるわけですよね。
つまり、農林水産省、この愛媛県の課長、今治市の課長、それから加計学園の事務局長が当時の内閣府地方創生推進室次長、藤原次長と安倍総理の柳瀬秘書官と会った面談記録、これを持って、熱意を伝えるために回っていたと言われているんです。
熱意を伝えられて、届けられたんですか。その文書は手渡されたんですか。そのことだけ確認したいと思います。どうですか。
〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕
○礒崎副大臣 そういう経緯も含めて、今、その愛媛県文書については鋭意調査を行っているところでございますので、調査が終わった段階できちんと報告をさせていただきたいと思います。
○田村(貴)委員 時間のかかる問題ではないと思いますよね。
十五回の特区の申請があって、農林水産省は獣医師が足りているという立場ですよ。そんじょそこらの陳情じゃなかったと思います。この案件というのは、農林水産省にとっても重大マターであったと思います。そうやって首相案件とされる文書が手渡されたら、これは誰の記憶にもとどまるはずですよ。そして、この文書は保管されて当然であります。それを、捜索中とか、それも含めて経緯が今申し上げられないというのでは、これは国民は納得しない話だというふうに思います。
内閣府、農水省、文科省を回って手渡したと言っているんですから、手渡されたのかどうか、ちゃんとお答えいただきたいと思いますけれども、このことについて、私でもいいですけれども、委員会でもいいですけれども、ちゃんと御報告いただけますか。
○礒崎副大臣 先ほど大臣から、副大臣時代を通じて記憶がないという御答弁をさせていただきました。私も、もう副大臣を二年務めておりますけれども、その文書は見たことはありません。
そうした中で、どういうことがあったのかということは、今ちょっと鋭意調査をしておりますので、そんなに時間はかからないと思います、できるだけ早い段階で御報告できるよう努力したいと思います。
○田村(貴)委員 柳瀬秘書官は、まさにこの獣医学部の創設がどうしたらいいのか、どうしたらできるのかについて指南しているような記述がうかがえます。自治体等が熱意を見せて仕方ないと思わせるようにするがいいとか、それから、本件はもう首相案件となっているとか、それから、国家戦略特区の方が勢いがあるからとか、もう完全に指南していますよね。そして、チャンスがあるというふうに藤原次長は言っておられるわけであります。加計ありきじゃないですか。
そして、総理がこの獣医学部新設を知った時期は、これは皆さん、もう余りにも有名な話ですけれども、去年の一月の二十日である。しかし、二〇一五年、三年前の四月にはもう、総理とそれから当時の文科大臣の下村文科大臣、そして加計学園理事長が一緒に会って、そして獣医学部創設についての話もしていたというくだりまで言われて、そしてメモされているわけですよ。
これは、愛媛県とか今治市の職員にとってみたら、もう喜び勇んで書いた文書だというふうに思いますよ。そういうふうに記憶にとどめておきたい文書だからお渡しされたんじゃないかなと思います。一日も早く真実を語っていただきたいというふうに思います。
それでは、森林経営管理法案について質問をしたいと思います。
資料をお配りしています。
1は、法案説明の際に林野庁から出された資料であります。恐らく全ての議員さんのもとにも出された資料だというふうに思います。
この中で、左下でありますけれども、先ほどから議論があっています、森林所有者の経営意識は高いとして、意欲が高いというのが一六%、意欲が低いというのが八四%、高いが一六%、低いが八四%というふうにあります。この数字の根拠について示していただけますか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
御指摘のこの平成二十七年の森林資源の循環利用に関する意識・意向調査でございます。森林の保有面積、雇用人数、機械台数等の経営規模につきまして、一つは、経営規模を拡大したい、それから、現状を維持したい、また、経営規模を縮小したい等の選択肢を示しまして、森林所有者の意向を調査したものでございます。
これらの選択肢のうち、経営規模を拡大したいと回答いたしました者につきましては、森林経営意欲が高い者といたしまして、また、経営規模を縮小したい又は現状を維持したいと回答した者、これは九十七人、先ほどのものが十八名でございますけれども、こうしたものについて八四%ということで、森林経営意欲が低い者として集計したものでございます。
○田村(貴)委員 この数字は極めて恣意的につくられた数字だということを言わざるを得ません。
お配りしている資料の2をごらんいただきたいと思います。
今長官が説明されたものを私が書きました。一の林業者モニターというのが、これが所有者に配られてとったアンケートの結果であります。
その下であります。森林経営規模に対する意向というのは、拡大したい、縮小したい、現状維持、経営をやめたい、こういう回答でありますが、素直に読み取れます。ここに、意欲という言葉はないわけなんであります。
それを、総回答数からやめたいとする人を引いた百十五名をまず分母とした、これがbであります。そして、拡大したい、このaの割合、わずか一六%を経営の意欲が高いとしたわけです。そして、残り八四%を意欲が低いというふうにしたのであります。
この見方はかなり一方的ではありませんか。このアンケートの結果にありますように、現状を維持したいという方が一番多くて、七一・五%であります。今後五年間は今の規模でやっていきますよという人を経営意欲がないというふうに決めつけていいのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕
○沖政府参考人 お答えいたします。
森林経営管理法案では、経営管理が不十分な森林について経営管理の集積、集約化を図ることとしておりますが、経営管理が十分に行われていない森林について誰に経営管理を担ってもらうかということを考えた場合には、やはり生産量の増加など、経営規模の拡大を志向する者が重要な担い手であることから、この者を意欲と能力のある林業経営者と整理しているところでございます。
このため、本集計においても、経営規模を拡大したいとする者を意欲が高い者として、現状を維持したい者は意欲が低い者と取り扱ったところでございます。
○田村(貴)委員 その見方は本当に一方的だというふうに思います。
それから、議員に配られたこのグラフですね、円グラフ、意欲が低いとする人のうち主伐の意向なし、七一%。この根拠についても教えてください。
○沖政府参考人 お答えいたします。
先ほどの調査結果で林業経営意欲が低いとしました者に対しまして、今後五年間の主伐に関する意向について、一つは、みずから主伐をするつもりである、それから、伐採業者等に委託するなどして主伐をするつもりである、また、伐期に達した山林はあるが、主伐を実施する予定はない、もう一つは、伐期に達した山林がない等の選択肢を示して、森林所有者の意向を調査したものでございます。
これらの選択肢のうち、伐期に達した山林はあるが、主伐を実施する予定はないと回答した者、それから伐期に達した森林がないと回答した者の合計、回答者の七一%を主伐の意思、意向がないとしたものでございます。
○田村(貴)委員 それもおかしな話であります。
この主伐に対する意向、回答は四つであります。これは素直に読み取れますよね。それをわざわざ、経営規模を拡大するとした十八人を引いて九十七人の分母をつくって、主伐予定なしの六十九人を分子として、その割合を七一%としたわけであります。アンケートの結果は六〇%なのに対して、ここでは説明なしに七一%と、数字が膨らんでいるわけであります。
お伺いしますけれども、経営意欲が高いと林野庁が決めつけた、そういうふうな経営規模拡大の意思を示している十八人においても、主伐をしないと答えた人はいますよね。経営規模拡大を望むとしている人でも、主伐をしないと答えた人はいますよね。確認です。
○沖政府参考人 お答えいたします。
経営規模を拡大したいと言った者のうちの、主伐をすると言った方でございますね。(田村(貴)委員「しない」と呼ぶ)しないと言った方でございますね、失礼いたしました。ございます。経営規模を拡大したいと言った中で、伐期に達した森林があるが、主伐を実施する予定はないと言った者、それから、伐期に達した山林がないと言った者はございます。
○田村(貴)委員 どうしてこういう恣意的な数字の操作をするんですか。役所の仕事としては、本当にこれは私はずさんだと思いますよ。
大臣にお伺いしたいと思います。
こういう重要な法案の審査のときには、ありのままのアンケートとか調査結果を出してもらって、それを私たちは素直に読み取ってやるわけなんですよね。そこに手心を加えて、意欲という言葉もなくて、山林所有者が答えるものに対して、勝手に意欲なしと決めつけられたら、山林所有者は怒りますよ。いけませんよ、こういうことをしたら。法案審議の大前提が崩れているのではないかなというふうに私は思うわけです。
経営意欲が低い、八四%。それから、主伐の意向なし、七一%。議員に配られたこの円グラフと表ですね、この数字について撤回を求めたいと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○齋藤国務大臣 わかりにくいところもあったのかもしれませんが、今回の法案では、経営管理が現に不十分な森林について、どなたかに経営管理を行っていただくということになるわけでありますので、経営規模を拡大したいという人にそこを担ってもらうという可能性が高いわけであります。
ですから、そういう意味で、経営規模の拡大を志向する者がこの法案において意欲と能力のある経営者だというふうに考えて、こういう分類をしたんだろうと思いますけれども、確かにわかりにくいところがあったのではないかというふうには思います。
○田村(貴)委員 重ねて、この数字の撤回を要求したいというふうに思います。そして、やはりありのままのデータを出して審議に臨むという、基本に立ち返っていただきたいというふうに思います。猛省を促したいと思います。
それで、大臣、この森林経営管理法、森林システムの新たな構築、大きなさま変わりを見せるというふうに、たくさんの問題点があります。今後、機会がありますので質疑させていただきたいと思うんですけれども、出どころはどこなのかということについてお尋ねしたいと思います。
未来投資戦略二〇一七の素案、二〇一七年五月三十日、去年の五月三十日で、森林の管理経営を意欲ある持続的な林業経営者に集積、集約する、できないところは市町村へと。ここが出発点ではなかったかなというふうに思うんですけれども、これは、山林所有者とか林業産業者から要求として出発したのではないのではないかな、官邸の方から出てきたものではないかと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
我が国の森林は、国土の保全、それから水源の涵養、温暖化防止などの公益的機能を有しております。このほか、資源が充実し主伐期を迎えつつあることから、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立していく必要がございます。(田村(貴)委員「出どころ」と呼ぶ)はい、わかりました。
この法案の出どころでございますけれども、この新たな森林管理システムといったシステムの創設に当たりましては、昨年五月十七日の自民党で取りまとめられました「今後の森林・林業・木材産業の展開方向について」においてこの方針が示されてございます。
また、その後、昨年六月九日に閣議決定されました未来投資戦略二〇一七においても、同様の見解が示されたものと理解しております。
○田村(貴)委員 どうも、川下の成長戦略に重きがとられているようにうかがえるわけなんですけれども、やはり林業とか森林のあり方という基本は、災害防止であるとか、水の涵養であるとか、それから温暖化防止、こういう基本中の基本があるわけですね。
説明に来ていただいたときに、そういった話は全くないわけなんですよ。森林所有者の経営意欲がない、そして、主伐させないといけない、木が余っている、そして成長戦略だと。
これは何か順序が逆じゃないかと、私、この法案の初めの説明を聞いたときから思っているんですけれども、一番大事なところはやはり大事なところとして位置づけるべきではありませんか。大臣、お答えいただきたいと思います。
○伊東委員長 時間が来ておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。
○齋藤国務大臣 この議論は、私が自民党農林部会長の最初の年だったと思いますのでもう四年以上前になると思うんですけれども、そのときに、もう既に地球温暖化のための森林吸収源対策の安定的な財源がないですとか、森林が荒れているですとか、そういう議論をスタートして、そして、自民党の税制改正大綱にそこを何とかしなくちゃいけないというところから私自身はずっと関与してきたので、私自身の頭はそういう出発点でやってきておりまして、その後、未来投資会議の提案もありましたけれども、私の頭の中ではそういう一貫した流れの中で今日に至っているというふうに理解をしております。
○田村(貴)委員 誰の利益のためになっていくのかという話については、次回また論議をさせていただきたいと思います。
終わります。
○伊東委員長 次に、森夏枝君。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
本日も質疑をさせていただきます。お時間いただきまして、ありがとうございます。
まず初めに、四月九日未明に島根で発生した地震によって被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
それでは、質疑に入らせていただきます。
森林環境税について伺います。
平成三十年度税制改正大綱において、また平成三十一年度税制改正において、森林環境税及び森林環境譲与税を創設することが明記されました。
御承知のとおり、我が国は、国土面積の約三分の二が森林に覆われた世界有数の森林国です。森林は、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止、生物多様性の保全、木材等の林産物の供給などの多面的な機能を有しており、国民生活にさまざまな恩恵をもたらしています。私といたしましても、森林の有するさまざまな機能が今後とも発揮されることが重要であるとの思いを持っているところです。
しかしながら、その財源のために新たな税を創設するということには懸念を感じております。
地球温暖化対策や災害防止の観点から森林の適切な管理が重要であることは理解しつつも、そのために全国民が森林環境税として年額千円を新たに徴収されるというのは、妥当な負担と言えるのでしょうか。特に、整備の対象となるような森林の少ない都市部の住民にとっては、税金を取られるばかりだといった声もございます。実際にメリットを感じられていない方々には理解を得られにくいのではないでしょうか。
森林環境税に対する国民の理解について、総務省と農林水産省のお考えをお聞きします。
○稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。
森林環境税は、都市、地方を通じて、国民一人一人がひとしく負担を分かち合って、国民皆で温室効果ガス吸収源等としての重要な役割を担う森林を支える仕組みとして創設するものでございます。
また、森林環境譲与税でございますが、十分の三を人口によって譲与することとしており、木材利用の促進や普及啓発等、都市部にも存在する需要に対応するということといたしております。
総務省といたしましては、林野庁とも十分連携をして、このような制度創設の趣旨などについて国民の方々から十分な理解が得られるよう、引き続き周知に努めてまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
私といたしましても、森林の適切な管理の必要性は認識しているところです。選挙区の京都でも放置竹林が問題となっており、先日の委員会でも放置竹林の整備方法や利活用についてお話をさせていただきました。
森は数年でできるものではありません。先人たちが、我々の世代のため、また更に次の世代のために植樹してくれたものであります。森林の管理、整備はしっかりと進めていかないといけないと思っております。しかし、本来、新たな施策を講じようとするならば、まずは既存の予算を見直して財源を捻出するのが本来のあり方ではないでしょうか。
使途を限った特定財源は、集めた税金を使い切ろうとするため、無駄遣いの温床になることも懸念されます。大臣の御見解をお願いいたします。
○齋藤国務大臣 京都議定書ですとかパリ協定における我が国の目標、森林吸収量の目標の達成をしていかなくてはいけないわけでありますが、その目標達成のために、農林水産省は、これまで森林整備事業等の予算事業により、低コスト化を図りつつ効率的な森林整備の推進を図ってきたところではあるんですけれども、厳しい財政状況の中、この目標達成のために十分な森林整備量を今後確保していくのはなかなか難しい状況にあります。
一方で、森林現場には、所有者の経営意欲の低下や境界の不明などによりまして、管理が不十分な私有林が多く存在をしていて、所有者の自発的な施業への支援を基本とする従来の予算事業のみでは必要な森林整備を進めるのがなかなか困難な状況になっているわけであります。
このような中、大変心苦しいことではあるんですけれども、引き続き国の予算の適切な執行に努めるものの、自発的な経営管理が行われていない森林についての対応はどうしても必要であるということから、森林経営管理法案を踏まえて、市町村が行う公的な管理を始めとする森林整備等の財源として、森林環境税はぜひとも創設をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
次に、地方へ配分される森林環境譲与税についてお尋ねいたします。
地方へ配分される森林環境譲与税については、その譲与基準として、地方への配分の計算方法が税制大綱に明記されております。何年かこの配分方法で運用したときに、無駄遣いが出てきた場合、また、使い切れない、足りないなどアンバランスが生じた場合には、この配分方法を見直すことがあるのでしょうか。総務省の見解を教えてください。
○稲岡政府参考人 お答え申し上げます。
森林環境譲与税の譲与基準につきましては、平成三十年度税制改正の大綱において、私有林人工林面積で五割、林業就業者数で二割、人口で三割とされております。
その使途につきましては、各地方団体において適切に判断されるものと考えておりますけれども、毎年度、インターネットなどにより公表することを各地方団体に義務づけることにより、適正な使途に用いられることが担保されるものと考えております。
総務省といたしましては、まずは森林環境譲与税を財源とした各地方団体の森林整備の取組や施策の実施状況、こういったものを注視していきたいというふうに考えているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
次の質問に入りたいと思います。
既に三十七府県及び横浜市で森林環境や水源環境の保全を目的とした超過課税が実施されていると承知しています。私の地元京都府においても、平成二十八年度より豊かな森を育てる府民税が導入され、個人の府民税均等割に年額六百円を上乗せる形で課税されております。その税収は、森林の整備、保全、森林資源の循環利用、森林の多様な重要性についての府民理解の促進に活用されております。
平成三十一年度から導入するとされている森林環境譲与税の使途は、平成三十年度税制大綱において、「間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用」とされておりますが、京都府や他の府県などの超過課税と使途がかなり似通っております。新設される森林環境税、森林環境譲与税と既に府県等で導入されている類似の課税との違いは何でしょうか。そのすみ分けを国としてどう調整されていかれるのでしょうか。農林水産省に御見解を伺います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
現在三十七府県で導入されています超過課税でございますけれども、それぞれの府県民からの森林への期待や要請などを踏まえまして、府県が主体となって取り組まれているものでございます。効果的に活用されているものと認識してございます。
国の森林環境税は、森林経営管理法案を踏まえまして、主に、市町村が新たに行う森林の公的な管理を始めといたします森林整備等の財源として創設されているものでございます。
府県におきますこの超過課税につきましては、森林整備以外にも幅広く活用されていると認識しておりまして、農林水産省といたしましては、国の森林環境税と府県の超過課税がそれぞれの役割分担のもとで効果的に活用されるよう、府県に対し、積極的に情報提供や意見交換等の必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
森林の適切な管理の重要性は十分理解するところですが、まずは、身を切る改革により一般財源から予算を確保すべきであること、また、無駄遣いの温床となったり、今後の他分野の安易な増税につながることはあってはならないことを指摘させていただきたいと思います。
しかし、森林環境税については地方が強く望んでいるものと聞いておりますし、森林の適切な管理の必要性は理解をしているところです。森林整備という特定の使途のために税負担をお願いしているということを常に意識して、その適切な施行を図り、今後も施行状況に応じ不断の見直しをしていただきたいと思っております。
時間がありませんので、質問の順番を変えたいと思います。
本法案に基づけば、市町村が、経済的に成り立たない森林についてはみずから経営管理を行うこととなりますが、経済的に成り立たない森林というのは、地形等の条件によって通常の森林よりもコストが多くかかる森林かと思います。
先ほど、無駄遣いの視点から質問をしましたが、ここでは、想定以上にコストがかかり譲与税では費用が賄えない場合の対応について伺います。このような事態は想定されているのでしょうか。農林水産省の見解を伺います。
また、足りなくなることが想定される場合、どのように対応をされるのでしょうか。
○沖政府参考人 お答えいたします。
市町村は、森林の経営管理の状況等を勘案しまして、集積、集約化が必要かつ適当と認める森林について、その森林の所有者に対して経営管理の意向を調査することとしております。また、その際、地域の実情に応じまして、優先順位をつけて意向調査を行うことが想定されております。このような手続を経るため、市町村は計画的に取り組むことができますので、一度に多くの森林を市町村が受けることにはならないものと考えております。
また、条件が悪く経済ベースに乗らない森林については、市町村により公的な管理を行うこととなりますが、これらの森林については、針葉樹と広葉樹が混在する複層林化などを図ることによりまして、できるだけ維持管理に費用を要しない、自然に近い森林に誘導していくこととしております。
このようなことから、市町村は森林環境譲与税も活用しつつ、森林の経営管理を円滑に進められるものと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
しっかり取り組んでいただきたいと思っております。
最後に、人材育成について伺います。
市町村の中には、林業業務に精通していないところもあると思います。こうしたところがこの法案に基づく新たな業務を担う場合、特に森林という生きているものを扱うということで、マニュアルどおりに簡単にはいかないと思います。
この法案自体は来年から施行されますので、こうした業務を担う市町村の人材育成についても早急に進めていくべきと考えますが、どのように対応されるのか、お聞かせください。
○沖政府参考人 お答えいたします。
本法案におきまして、市町村には、地域の森林の経営管理が円滑に行われるように主体的に取り組むことが求められております。このため、本法案の施行に当たりましては、実施体制の整備が重要な課題であると認識してございます。
そのため、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用する取組を推進しますとともに、近隣の市町村と連携して共同で事業を行うことが可能でありますほか、本法案におきましては、都道府県による市町村の事務の代替執行ができるなどの制度を導入しており、必要な体制整備に向けた取組を進めることとしてございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
林業の分野においても担い手不足は深刻です。担い手確保とあわせて、人材育成もしっかり進めていただきたいと思います。総務省と枠組みを考えられたと思いますので、いろいろな面で横の連携をしっかりとしていただき、今後の環境税の使途についても、国民が納得のいく、効果のある使い方をしていただきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○伊東委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。
ことしの全国植樹祭は福島県の南相馬市で開催されます。東日本大震災の被災地において初めての大会です。六月十日に開催です。そしてまた、大会テーマは「育てよう 希望の森を いのちの森を」です。
福島県は、全国第四位の森林面積を有しておりまして、広大な県土の約七割が森林に覆われた森林県であります。平成十八年に森林環境税を導入して、そして、森林環境を適正に保全するための森林整備の推進や、県民一人一人が参画する新たな森林(もり)づくり活動の推進など、緑あふれる県土づくりに努めてまいりました。
こうした中、東日本大震災の大津波によって海岸防災林の六割が流出しました。原発事故によって、森林を取り巻く環境というのが大変大きく変化してきました。森林とのかかわりが薄れてきたというふうに言わざるを得ません。
今回の大会が、緑豊かなふるさとを再生できる、そういうきっかけになればなというふうに思っておりますし、ある意味シンボル的なものになればというふうに願っているところであります。ぜひ、齋藤農水大臣におかれましては、応援していただきたいと心から願っています。
法案の審議に入りたいと思います。
林業経営の効率化及び森林の管理の適正化の一体的な促進を図るため所要の措置を講ずるとして、森林経営管理法案が提出されたところでありますけれども、この法案の趣旨のように、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を実現するためには、低迷する国内林業の活性化を図る中で、山村での雇用創出を実現させる必要もあります。
また、本格的な利用期を迎えた森林資源を、森林の持つ多面的機能の維持向上を図りつつ、資源の循環利用を図っていくためには、間伐や路網整備、主伐後の確実な再造林等、持続的な林業を確立していくことや、地域材の安定供給体制の構築、新たな木材需要の創出を図っていくことが重要であります。
これらを進める上では、当然のことながら、導入が予想されています森林環境税等の活用というものも必要になってくるでしょうし、そしてまた、これまでの政策そのものを拡充していく、それが必要になってくるとも思います。
必要な予算はしっかりと確保していく、どのようなお考えで取り組まれるのでしょうか。お伺いしたいと思います。
○齋藤国務大臣 まず、委員冒頭お話しになられました六月十日の第六十九回全国植樹祭ですが、「ふくしまから発信する森林(もり)づくり」が大会コンセプトになっておりまして、会場も南相馬市の海岸防災林ということであります。
私どもは、この全国植樹祭が緑豊かなふるさとの再生を進めていく上でのシンボルとなる重要な行事であると考えておりますので、応援をしていきたいと思いますし、私自身も出席をさせていただきたいなというように思っております。
御質問ですけれども、農林水産省では、これまでも、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を図るために、森林整備事業等の予算事業により各般の森林・林業対策を講じてきております。今お話ありましたけれども、需要面での対策も含めてさまざまなことをやっていかなくちゃいけないわけであります。
その中で、今回は、所有者の経営意欲の低下や境界の不明などの森林現場の課題によりまして、所有者の自発的な施業への支援を基本とする従来の施策のみでは必要な森林整備を進めることがなかなか困難だなという状況になっていることから、森林経営管理法案を踏まえて、市町村が実施する森林の公的な管理を始めとした森林整備等の財源として森林環境税をお願いして、そこに手を打っていこうということでありますので、今回はこの法案をお願いしておりますが、従来の予算事業がそれによって重要性がなくなるということではございませんので、国の予算事業と森林環境税による取組の双方をしっかり推進していくというのが私たちの考えでございます。
○金子(恵)委員 農水大臣から、南相馬市で開催されます全国植樹祭に対して温かい激励の言葉もいただきました。御礼申し上げます。
繰り返しになりますけれども、被災地の林業の方々、そしてまた山を所有していらっしゃる方々も含めまして、本当にいろいろな課題を持っています。しかし、このような植樹祭が開催されることとなったことを本当にうれしく感じていますし、ぜひ、農水大臣もお越しになるということでありますので、立派な大会にしていきたいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
その上で、次の質問に行かせていただきたいと思うんですが、森林資源は、先ほど来お話があったことだというふうに思いますが、戦後造成した人工林が本格的な利用期を迎えているということでございますけれども、森林資源の循環利用に向けて、主伐後の植栽による再造林を確実に行うことが必要になっています。
木材価格の低迷、主伐による販売収入に対して育林経費が高いということがありまして、森林所有者の経営意欲の低下などによって適切な再造林が行われない、そういう状況があるということであります。しかも、また、鳥獣被害の対策も大きな問題になっていたりということで、重ねていろいろな課題があって、なかなか再造林ができないという状況です。公的な補助、そういう制度もあることはありますけれども、でも十分な措置とは言えない状況ではないかというふうに思います。
確実な再造林を国の施策としてしっかりと位置づけ、そして、今申し上げました鳥獣被害対策も含めた、再造林にかかわる支援策の拡充が必要なのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○野中大臣政務官 森林資源を循環利用するために、主伐後の再造林を確実に行うことは非常に重要であると考えておりますが、残念ながら、その費用を捻出することが難しいケースもありまして、主伐後の再造林が行われていないケースも見られているところであります。
そのため、農水省としましては、主伐後の再造林に対して、防護柵の設置や捕獲等への支援などの鳥獣害対策を含めた森林整備事業により、国と都道府県を合わせて約七割を補助するとともに、造林のコスト低減に資するコンテナ苗生産に必要な施設整備等への支援を行っております。さらに、平成三十年度からは、資源の高度利用と再造林コストの削減につながる伐採と造林の一貫作業に支援する林業成長産業化総合対策等の取組を実施しているところでございます。
今後とも、これらの取組により、主伐後の再造林を確実に進め、森林資源の循環利用に努めてまいりたいと存じます。
○金子(恵)委員 山元立木価格がピーク時の一割から二割に低下しているということを御存じだと思います。そして、造林の初期コストは一ヘクタール当たり約百五十八万円ということで、今おっしゃっていただきましたが、確かに、国と都道府県を合わせた補助というのは六割から七割程度あるということではありますけれども、大変厳しい中で、やはりこれが十分だとは言えないんだと思います。今申し上げたように、この立木価格は結局、森林所有者の収入に相当するものですから、これでは本当に林業をやっていけないということだと思うんです。
ですので、しっかりと、今まで以上のこういう支援体制というものをやっていかなくてはいけないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○野中大臣政務官 お答えいたします。
支援体制の中で、やはりまずコストを下げていくということも大切なのではないかというふうに思っておりまして、その中で、一貫作業に支援する林業成長産業化総合対策を今年度から取組として設けたということでございます。
○金子(恵)委員 コストを下げるということでありますけれども、コストを下げただけでも、確かに、今おっしゃったように育林の経費を抑えるということはそうなんだと思いますけれども、実際に価格自体が下がっているというその状況をどう考えるかということも含めて、これからしっかりと支援体制をつくっていっていただきたいということをお願いしたいと思います。
それで、森林経営管理法案では、市町村が、森林所有者から経営管理を行うための権利を取得し、みずから経営管理を行い、又は当該権利に基づき林業経営を行うための権利を民間事業者に設定する仕組みを設けるとしているわけでありますけれども、今後、地域に密着した行政主体である市町村の役割、ますます重要になってくるということで、その体制が十分でない市町村が多い状況の中で、どのように市町村を応援していくか、支援していくかということも、一つの新たな課題になってきていると思います。
当然のことながら、今までも、市町村の森林・林業職員は全国で三千人いるというふうに言われているわけですけれども、専ら林務を担当する職員がゼロか一人という市町村が三分の二を占めるということでありまして、もともと体制が十分でない市町村が多いということであります。
市町村が林業事業者を地域林政アドバイザーとして雇用する取組を推進することや、都道府県による市町村の事務の代替執行ができるなどの制度の導入を図り、必要な体制整備を進めるというふうには言っていますけれども、国としてのしっかりとした支援が必要であるというふうに思います。御所見をお伺いします。
○齋藤国務大臣 まず、この法案においては、市町村が、地域の森林の経営管理が円滑に行われるように主体的に取り組んでいただくということが大事だということであります。したがいまして、この法案の施行に当たっては、市町村の実施体制の整備というものが重要な課題であると認識しています。
今委員御指摘のように、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用する取組の推進ですとか、それから、近隣市町村と連携して共同で事業を行うことが可能であるとか、あるいは、本法案において、都道府県による市町村の事務の代替執行ができるなどの制度の導入、こういう体制整備を図れるように取り組んでいるところでありますし、また同時に、市町村の今御指摘あった林務担当部局における業務、これが円滑に進められるように、森林技術総合研修所において、市町村職員を対象とした森林・林業の実務に関する研修の実施ですとか、それから、森林づくりの知識を有する森林総合監理士の育成を通じた、市町村への技術的支援や指導助言なども含めて、しっかり支援をしていく必要があると考えております。
○金子(恵)委員 国としても、今おっしゃっていただきました、市町村の林務職員を支える、そういう研修等もしているということでありますけれども、それでも、実際に専ら林務を担当する職員がゼロか一人というところが大変多いわけですね。
そうすると、当然のことながら、行政として、財源の確保をどうするかとか、定数をどうするかとか、いろんなことを考えながら、多分、職員の配置というものもやっていくんだというふうに思いますけれども、全体の仕組み、マンパワーをいかに配置できるかということを含めて御検討いただかなくてはいけない、国としてのしっかりとした支援の仕組みをつくらなくてはいけないと思うんですが、もう一度お願いできますか。
○齋藤国務大臣 市町村によっていろんな実情があるんだろうと思います。ですから、何か仕組みをつくるというよりも、その一つ一つの実情に応じて、我々あるいは都道府県と連携しながら前進ができるように目配りしていきたいというふうに思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
この森林経営管理法では、市町村は、その区域内の森林について、経営管理の状況等を勘案して、経営管理権を集積することが必要かつ適当であると認める場合には、経営管理権集積計画を定めるものとしているわけです。
施業の集約化においては、この間、市町村が林地台帳を整備し、その内容の一部を公表する仕組みを創設して、所有者や境界の特定、そして施業集約化を行いやすくするとしていましたが、今おっしゃっていただきましたけれども、市町村の状況を見たときに、やはり、林務担当職員が配置されていないところもあるという私の問題意識も申し上げたところでありますが、それができていない、マンパワーが不足しているという状況の中で、このような林地台帳の整備というものもおくれてきたのではないかと懸念するところもあります。問題意識は持たれていらっしゃいますでしょうか。
○野中大臣政務官 お答えいたします。
平成二十八年、森林法改正により、林地台帳を作成する制度が創設され、来年から本格運用するということでございます。
時間もないので簡潔に申し上げますと、現在の進捗状況ということでありますが、台帳の整備に当たって、登記情報の収集、情報のデータベース化、台帳原案の作成等について、順次計画的に進める必要がございますが、登記情報の収集についてでございますが、平成二十九年九月末の時点で、全市町村数の約九割において実施済みとなってございます。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
それでも、なかなかいろんな課題を乗り越えることができない市町村の職員体制を含めて、これから議論を積み重ねていかなくてはいけないのではないかと思います。
時間が来ましたのできょうは終わりたいと思いますが、次回、引き続き、その点も含めて質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
終わります。ありがとうございます。
○伊東委員長 次回は、明十二日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十二分散会