衆議院

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第10号 平成30年4月17日(火曜日)

会議録本文へ
平成三十年四月十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 大串 博志君 理事 佐藤 英道君

      安藤 高夫君    池田 道孝君

      泉田 裕彦君    稲田 朋美君

      大西 宏幸君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      木村 次郎君    岸  信夫君

      国光あやの君    小寺 裕雄君

      高村 正大君    斎藤 洋明君

      高木  啓君    西田 昭二君

      野中  厚君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      星野 剛士君    細田 健一君

      宮路 拓馬君    山本  拓君

      石川 香織君    大河原雅子君

      神谷  裕君    亀井亜紀子君

      後藤 祐一君    佐藤 公治君

      関 健一郎君    緑川 貴士君

      江田 康幸君    金子 恵美君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   経済産業大臣政務官    平木 大作君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沖  修司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局次長)        鳩山 正仁君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     高木  啓君

  岸  信夫君     星野 剛士君

  古川  康君     大西 宏幸君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     古川  康君

  高木  啓君     安藤 高夫君

  星野 剛士君     岸  信夫君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     国光あやの君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     高村 正大君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     上杉謙太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 森林経営管理法案(内閣提出第三八号)

 独立行政法人農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、森林経営管理法案及び独立行政法人農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長池田一樹君、林野庁長官沖修司君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳君及び国土交通省土地・建設産業局次長鳩山正仁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小島敏文君。

小島委員 皆さん、おはようございます。自民党の小島でございます。

 きょうは、森林環境税に関連しての質疑ですけれども、質問に入る前に、私、思いがありまして、森林環境税について、ちょっと過去の経過等を話してみたいというふうに思うわけです。

 この森林環境税、仮称でありますけれども、もともとは、昭和五十九年六月に、自民党の農林水産関係議員あるいは農水省等で水源税という構想が出たわけでございます。それを受けまして、建設省の方で、対案ではないわけですけれども、農業用水、発電用水、水道用水、工業用水等に課税をする流水占用料改正要望が出たわけです。簡単に言えば、各関係省庁が三つどもえ、四つどもえで、それぞれの省庁で課税するという案を出してきて混乱があったわけですけれども、その間、水源水利税、あるいは農水省と建設省でまとめた森林・河川緊急整備税が出たわけでございます。

 そういう、いわゆる水争いと言われた時期があったわけですけれども、そういう中で、二〇〇五年でありますけれども、京都議定書によるCO2削減目標六%のうち森林吸収源が三・九%を負うという議論になりまして、そこで温暖化対策税などが出たわけです。

 そういうことを自民党の毎年の年末の税調、そして関係部会でさまざまな議論がありまして、実に今回の森林環境税、仮称ですけれども、三十二年から三年かかっている、大変な歳月がかかったわけでございます。私も、国会へ出させていただきましてわずかな年月でありますけれども、その間、齋藤農林大臣、農林水産部会長として大変な御尽力をいただいたということもよく承知するところでございます。

 戦後七十二年が経過しまして、人工林も立派に成長いたしました。我々は、いつも議論するのに、やはり地方創生において、農林水産そして林務、こうした、特に木材を活用して地域の雇用と活性化を図っていくということを今まで大きく期待してまいりました。そういう中で、今回のこうした森林環境税ができまして、本当に、新しく大きく一歩を踏み出したというふうにも思っているところでございます。

 そこで、今日まで御努力いただきました齋藤農林大臣、どのようなお考えか、ちょっと御所見をお伺いいたします。

齋藤国務大臣 今、小島委員御指摘のように、私が自民党農林部会長のときに、日本が地球温暖化対策に貢献をしなくちゃいけないということで高い目標を掲げる、その中で、森林吸収源も大きな目標を掲げるという中で、しかし、掲げてはいいけれども、それを実行するための安定的な財源がないじゃないかということで、四年前に、安定的な財源がないということを自民党の税調の中で何とか認めてもらおうということで奮闘をした経験がありますので、この税の創設には、個人的にも強い思い入れがございます。

 昨年末には、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保するという観点から、森林経営管理法案を踏まえて創設をするということが決定されたわけでありますので、私としては感無量であります。

 森林環境税を財源として、市町村が行う森林の公的管理を始めとした森林整備等が進むよう、この法案、この税が成立した暁には、農林水産省としてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

小島委員 大臣は、実は、前回の委員会で、ネクタイもシャツも緑でありました。皆さん、わかりましたか。私は、見て、ああ、これは意欲が違うなというふうに感じて、きょうも大臣、ちょっとグリーンっぽいんですけれども、本当にお気持ちがよくわかります。

 実は、今回、いわゆる譲与特会ですけれども、本来ですと、震災がありますから、三十六年からだと思うんですけれども、今回、総務省等大変頑張っていただきまして、同時に、財務省も理解いただきまして、三十一年から特会でやっていただける。本当に私は、汗をかかれた林野庁そして総務省、さらに財務省にも敬意を表したい、このように思っておるところでございます。

 そこで、そろそろ議案に入りたいんですけれども、まず、森林所有者の責務ですけれども、条文を読んでみました。そこでちょっと気づいたことは、この森林経営管理法の第三条第一項に、「森林所有者は、その権原に属する森林について、適時に伐採、造林及び保育を実施することにより、経営管理を行わなければならない。」となっております。要するに、森林所有者の責務が明確にされたわけであります。

 一方において、森林・林業基本法第九条を見ますと、森林所有者等の責務を、森林の所有者又は森林を使用収益する権原を有する者は、基本理念にのっとって、森林の有する多面的な機能が確保されていることを旨として、その森林の整備及び保全が図られるよう努めなければならないという条文でございます。

 そこで、今回の森林経営管理法案と森林・林業基本法における所有者の責務についてどのような相違があるのか、御見解をお伺いいたします。

沖政府参考人 お答えいたします。

 森林・林業基本法は、森林・林業施策全般にわたる基本理念を定めたものでございまして、その中で、森林所有者に森林の整備や保全に関する一般的な責務を課してございます。

 しかしながら、昨今では、立木の伐採後に再造林が必ずしも行われないなどの状況が見られますことから、本法案におきましては、林業経営の効率化及び森林の管理の適正化を図る観点から、基本法で定める責務を実現するための具体的な行為を森林所有者の責務として新たに規定することとしたところでございます。

 このため、本法案に規定する責務は、基本法に規定する森林所有者の責務に含まれていると考えてございます。

小島委員 いわゆる森林基本法とか今回の森林経営管理法とか、いろいろ改正等が長年あったわけですけれども、どうも言葉がさまざまな、私は理解がなかなかできないんですけれども、もう少しそういう森林所有者の責務なら責務を、もっと簡潔な表現ができればいいなというふうにちょっと思ったものですから、あえて質問したわけでございます。

 次に、森林所有者の意識についてお伺いいたします。

 心配するわけですけれども、要するに、今まで放置してきました森林所有者は、所有林に経営管理権が設定された場合には、新たな自分のお金を出さなくても、経営管理実施権が設定されまして、一部は木を売る、そうすると利益も出るわけですね。

 そうしてくると、そういういい仕組みがこれから浸透してきますと、森林所有者は、これはいいわいと、自分の経済、腹を痛めなくても、行政へ管理の申出をすれば、指定されれば、あわよくば伐採してくれて利益もいただけるということになるんじゃないかと思うんです。そうしますと、案外、希望者が殺到しやしないかという感じもあるわけですが、そこら辺はどういうふうにお考えでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 市町村は、森林の経営管理の状況等を勘案いたしまして、集積、集約化が必要かつ適当と認める森林につきまして、経営管理権集積計画を作成することとしております。その際、地域の実情に応じまして、優先順位をつけて意向調査を行うことが想定されるところでございます。

 このような手続を経るため、経営管理権の設定を希望する者が殺到することはなく、市町村は計画的に取り組むことができると考えております。

小島委員 私は、田舎へ帰りまして、何百町歩も山を持っている方に、実はこのことを申し上げました。長年頑張ったんよということで自慢げに言ったんですが、余りいい顔をしないんですね。というのは、その方はもう何十年と、何代にわたって真面目に森林管理をしてきた人なんです。

 そこで、いわゆる真面目に森林管理を営んでいらっしゃる方々が、今回の法律によって私は意欲を失うんじゃないかと。これは、ちょっと考えれば、角度を変えれば、もろ刃の剣。さっき申し上げた、もう山を管理しない人が、これはいいわいといって管理を申し出ることと、真面目にやっている方が、何だこれはといって意欲を失って、もう私は自分ではしない、全部それは行政に任せるよというふうなこともあるかもわからない。

 このことについては、どのように考えておられるか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、森林所有者みずからが管理、経営できない森林について、市町村を介して意欲と能力のある林業経営者に経営管理を集積、集約化するための仕組みでございまして、これまでみずから経営管理してきた森林所有者につきましては、引き続き意欲を持ってみずから経営管理していただきたいと考えてございます。

 このため、これまでみずから経営管理してきた森林所有者につきましては、平成三十年度予算の林業成長産業化総合対策などにより、しっかり支援をしてまいりたいと考えてございます。

小島委員 真面目に長年頑張っていらっしゃる方々、そのようなフォローもひとつお願いしたい。

 実は私、以前、宮崎県に行ってきました。銘建工業というところがあって、行ったんですけれども、そこの宮崎県の木というのは、全然枝打ちをしていないんですよ。ところが、広島県の杉、ヒノキというのは、きちっと枝打ちをして、本当に皮をむいて、無節をつくっています。大変手間がかかります。

 ところが、宮崎に行って、これはどうですか、生き節が多いけれどもこれでいいんですかと言ったら、社長さんが、いやいや、これを板に引いて東京へ持っていけば、この生き節がデザインになるんだと言って、真面目に無節をつくっている業者、企業は非常に落胆されておったということがありまして、その方がちょっと言いましたのは、我々は、先祖は、家を建築するために植林をし、育林をしているんですと。今はどうも発電、発電と言うけれども、発電へぼんぼん持っていかれて焼かれたんじゃたまらぬということを言う方もいるわけですよ。

 そこが、ちょっと話がずれますけれども、A材、B材はきちっと守り、あくまでも発電はC材を持っていく、間伐を持っていくという、やはりそういったお互いの林業関係者の一つの流れというのは要るんだろうと思います。

 今、発電で足らないものですから、先般も話があったんですけれども、海外からヤシを持ってきたり、それはいいとしましても、いわゆるラミナですね、製材したものを実は横から買って持っていくという業者も四国の方にはあるわけで、そこらもやはりひとつ十分に注意していかなければというふうに思うわけでございます。

 そこで、森林管理意向調査をこれからするわけですけれども、私は町に住んでおるし、田舎には山があるけれどももうこの山は要りません、売ります、寄附をしますということも、当然、今までこの議論の過程の中であったわけですけれども、こういう売りますよ、寄附しますよという方があると思うんですけれども、これについては市町村へ対してどのような指導をなさるのか。長官、よろしくお願いします。

沖政府参考人 お答えいたします。

 森林所有者からの寄附や買取りにつきましては、本法案による経営管理権の設定の対象とはなりません。市町村が寄附を受けたり、森林の買取りの意向がある林業経営者に紹介するという形等が考えられます。

小島委員 その辺も、今回の、施行された場合に、一つの課題として出てくるんだろうと私は思います。しっかり市町村が連携しまして、買い取るなり、ひとつ管理をよろしくお願いしたい、このように思う次第でございます。

 私は思うんですね。今回の議論で、主伐、皆伐という言葉が大変出てきました。私も高知県に見に行きました。三ヘクタール、五ヘクタール、もう一山、谷を越えて山を切っているんですね。今後、やはりそういう大規模な皆伐、主伐が恐らくいくんだろうと思うんです。

 そうしたときに、一番心配しますのは、私のところは、昭和二十六年に実は広島県の豪雨災害がありました。先般も、昨年も九州の北部豪雨災害がありました。やはり今ごろは気候は不順ですから、線状降水帯とかいってわけのわからない新しい言葉が出まして、とんでもない集中豪雨で被害がある可能性が出てくる。

 そこで、私は、自分の田舎へ帰って思うんですが、どんどん山を切っています。切って植林するのはいいんですけれども、どこか、土のうを積んで国道や県道へ山土が出るのをずっと防いでいるということもあるわけですよ。私は、今後、あちらこちら、日本全国でそういう可能性があるんじゃなかろうかというふうに思います。

 そこで、林野庁と、私は国土交通省もやはり連携が要るんだろうと思うんですね。そうした堰堤とか、林野庁は砂防堰堤とか、当然しっかりと手当てをしていかにゃならないし、そういう面で、国土交通省、林野庁は連携をしてやっていただく、そのことについてどのようにお考えか。よろしくお願いします。

沖政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、治山、砂防事業の円滑な実施のため、毎年、国土交通省と事業内容や実施時期等を調整するとともに、特に大規模な災害の発生時におきましては、国土交通省との特別の会議を設置するなど、政府内での連携を図りつつ、効果的な治山対策に努めてきたところでございます。

 例えば、先生先ほど御指摘の昨年の九州北部豪雨災害では、まず、七月には、国土交通省と流木対策連絡会議を開催し、二次災害防止に向けた対応を協議しましたほか、十二月には、全国の中小河川の緊急点検を実施する国土交通省と連携し、山地災害が発生するおそれのある森林について、緊急点検を実施したところでございます。

 この緊急点検によりまして、緊急的、集中的に流木対策が必要な地区を全国で約一千二百地区抽出したところでございまして、これらの地区において、今後おおむね三年間で、流木捕捉式治山ダムの設置等の流木対策を計画的に実施することとしております。

 今後とも、国土交通省と連携し、国民の安全、安心の確保に向けて、事前防災、減災に資する効果的、効率的な治山事業を推進してまいりたいと考えております。

小島委員 二次災害、三次災害が起きないように、ぜひとも各関係省庁連携をとって、ひとつお願いしておきたい、このように思います。

 今回のいわゆる管理法案において、いつも議論になりました、先般も、組合長、村長、知事さんにおいでいただきましたけれども、やはり川上、川中、川下という議論がありました。

 それで、川中の議論に入る前に、一つ林野庁さんに特にお願いしておきたいのは、我々も議論の過程で申し上げましたけれども、ともすれば、大規模林業者を中心にして、三ヘクタール、四ヘクタール、ばあっと大規模にやっていく、そうしないとコストがとれないということの理屈はよくよくわかるんです。

 ただ、一方において、この前も高知の知事がおっしゃっておったように、高知県において中心になって興ってきました自伐林業、要するに、自分の家で四十町歩や三十町歩とか、あるいは、山を持っていない方も、委託を受けて自分でフォークリフトを動かして狭い林道をつくって、そして二十万円のワイヤで引っ張り出して市場に持っていく。そうすれば、自伐林業だって、二立米市場へ持っていけば二万円ぐらいになるというんですね。これを二十日続ければ、やはり自伐林業だって、十分とは言わないまでも、実は食っていけるんですよ。

 そういうのを私は高知県に行きまして実際にやっている方を見てきましたから、どうか川上においても、大規模と、そしてそういう自伐林家等、そこもひとつしっかりと気配りをいただきたいということを要望しておきます。

 そして、川中なんですけれども、やはり製材ですね。

 僕が心配しますのは、子供のころは、非常にあっちこっちに製材所はありました。ところが、今はないんですよ、全然、本当に。

 そこで、余りにも大きな、例えば、A社、まあ銘建とか、あんな大きな会社が全国へ、九州、関東に展開してきていますけれども、そういう大きな大企業に集約をすることは簡単。だけれども、今回の森林環境税とかこの管理法案については、要するに、中山間地域、特に山村に対して、新しい雇用をつくっていくんだ、そして地方創生で農村、山村を守っていくんだということが私は前提にあると思うんですね。

 そういう中で、製材業、川中の製材業について、やはり中小零細製材所をどのように育成していかれるのか。これはきちっと聞いておきたいと思うので、よろしくお願いします。

沖政府参考人 お答えいたします。

 戦後造成いたしました人工林が本格的な利用期を迎える中、豊富な森林資源の循環利用による木材産業の活性化を図るためには、木材加工流通施設の整備が重要でございます。

 このため、これまでも、地域における森林資源、施設の整備状況等を踏まえながら、大型工場単独での規模拡大のほか、山村地域等における複数の中小工場との連携による生産の効率化、地域ごとの木材生産者、製材工場、工務店等が連携して特色ある家づくりを進める取組などを支援することで、木材加工流通施設の整備を進めてきたところでございます。

 平成二十九年度の補正予算におきましては、合板・製材・集成材国際競争力強化対策、それから平成三十年度予算におきましては、林業成長産業化総合対策を措置してございまして、川上から川下までが連携した取組を総合的に支援する新たなスキームのもとで、中小の製材工場が生産向上に資する機械、設備を導入する場合も含め、木材加工流通施設の整備を支援しているところでございます。

 今後とも、こうした取組を推進しまして、木材産業の活性化を図り、山村地域等における雇用創出に努めてまいりたいと考えております。

小島委員 わかりました。

 今度は、要するに川下ですね。尾崎知事がおっしゃったように、やはり川下の木材需要拡大対策を強力に展開してほしいという御意見がありました。川下をどうするかということなんですね。

 それはもう、大きくやろうと思えばCLTがいいわけですけれども、やはり私一つ思うのは、平成二十二年に施行されました、公共建築物における木材利用促進法が出ました。毎年毎年、各省庁をお招きして各省庁の木材の利用度を見ているんですけれども、特に思ったことは、農林水産省で、今、水耕栽培がありますね、ところが、水耕栽培は水を使いますから木を使いませんという説明が実はあったわけですよ。ちょっと待ってくれ、であるならば、いわゆる足回りはPCで、コンクリでやって、上を木ですればいいじゃないか、そういう知恵は出ないのかと。

 あるいは、私は自衛隊の練馬駐屯地へ行ってきましたけれども、駐屯地においても、実はこれは危険施設だからなかなか木は使いにくいとおっしゃった。違うんですよ。隊員宿舎とかそういう付随するものはもっともっと木を使うところがあると思うので、そこらもひとつしっかりとまた私は研究をしていただきたい、このように思っておるところでございます。

 それで、時間がなくなりましたけれども、ちょっと前後しますが、今回、森林環境税は、皆さん、要するに、六百億円と言ってやってきたわけですけれども、来年の四月から二百億円からスタートするわけですよ。三十一年、三十二年、三十三年が二百億円、三十四年が三百、三十五、三百、三十六でも三百。で、やっと四十五年になって六百億円になるわけですね。

 私が言いたいことは、特別会計もうれしいんですけれども、これだけではやはり山の施業とかはできないと思うんですね。今まで、森林環境税ができるまでは、補正等において、全国森林環境の問題、地球環境、温暖化の問題で、いわゆる五十二万ヘクタール、一千億円の補正をつけてきました。恐らく、この森林環境税ができることによって、なくなるとは思わぬけれども、農水大臣、今後、やはりこの今の六百億円だけではとてもとても私は足らないと思うので、ぜひとも大臣のお力をおかりしまして、これからもしっかりと今までどおり間伐等ができるように、ひとつ御指導をお願いしたい。その御所見をお伺いいたします。

齋藤国務大臣 今の小島委員の問題意識は、全く私も同じ問題意識を持っておりまして、今回の森林環境税は、所有者の経営意欲の低下等の課題によって、所有者の自発的な施業への支援を基本とする従来の施策のみでは必要な森林整備を進めることが困難な状況だということから、森林経営管理法案を踏まえて、市町村が実施する森林の公的な管理を始めとした森林整備等の財源として創設をされることになっているわけであります。

 一方で、御指摘のように、地球温暖化防止に向けて森林吸収源対策を推進するためには、このような森林環境税による取組のみならず、従来施策である国の予算事業によりまして森林整備を進めていくことも不可欠でありますので、私としては、双方の取組を推進するべく、必要な予算の確保に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

小島委員 時間が来ました。

 それで、一点、時間がなかったので言えなかったんですが、やはり川下対策として、輸出ですよね。

 今、どうも見ますと、日本の木材というのは丸太が中心で、中国、韓国、台湾へ行っている。ぜひとも、これを加工したりプレカット等したり、そういう方向が要ると思うんですが、例えば、今度のEU・EPA、向こうのEUというのは石の国ですから、では、これに対して家具をどうするのかということもあろうと思います。そういういわゆる研究、指導。

 あるいは、実は、先般聞いたんですが、フィリピン、ベトナム、インドネシア等は非常に台風が来るものですから、暑いものですから、そんな大きな木は要らないと言うんですよ。間伐材でいいんだ、こう言うんですね。ですから、私は、何も間伐材は燃やすんだというんじゃなくて、やはり間伐材でも、いいものはそういうベトナム、インドネシア、フィリピン等に行く道もあるんだろうと思うんです。

 そこで、最後にお願いしたいことは、どうかEUを含め、そして韓国、台湾、中国以外で持っていける国がどうか、そういう、製品も含めてぜひとも研究し、指導をお願いしておきたい、このように思います。

 では、時間が来ました。終わります。どうもありがとうございました。

伊東委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、今審議がなされておりますけれども、森林経営管理法について、私の方からも、大臣、副大臣、皆様に質問をさせていただきたいと思います。

 私も、地元は熊本でございます。そしてまた、出身は福岡県南の八女市でもございまして、森林が豊富なところ、また林業経営が盛んなところでございます。

 こういう中において、地方創生という意味においても、やはり林業の成長産業化とそしてまた森林の管理の適正化、この非常に大事な二点を大きく進めていかなければならないと思っておりますが、今回のこの森林経営管理法案については、林業の成長産業化と森林の管理の適正化、この両立を図るために、新たな森林管理システムの構築のための検討を政府・与党としても進めてきたところであるかと思っております。

 この法案は、いわゆる森林環境税とともに、この新たな森林管理システムを支える車の両輪であり、また非常に意義深い法案であると認識をしておりますので、その観点で質問をさせていただきます。

 まずは、大臣、御質問をさせていただきますが、本法案の新たな森林管理システムは、林業の成長産業化に向けてどのような位置づけとなり、またどのような効果を期待しているのか、改めて農林水産大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 今、新たな森林管理システムの位置づけの御質問がございました。

 今、我が国の森林の置かれた状況は、一言で言えば、資源が充実し主伐期を迎えつつあることから、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立していく必要があるということであります。

 しかしながら、森林所有者の経営意欲が残念ながら低下をしている中で、所有者不明の森林の増加もございまして、今後、適切な森林整備が進まないことが懸念をされているという実情があります。

 このため、本法案におきましては、森林所有者みずから経営管理できない森林のうち、経済ベースに乗る森林については林業経営者に集積、集約化するとともに、経済ベースに乗らない森林については市町村が公的に管理するという新たな森林管理システムを創設するということにしているわけでありますので、この新たな森林管理システムによりましては、経営管理が行われていない森林についてはしっかりと経営管理が行われるようにするということで林業の成長産業化が図られますし、それから、今しっかりと整備がされていないところについては市町村が資源の適切な管理をしていくということで、今委員御指摘の林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立に大いに貢献をしていく、そういうシステムだろうと思っております。

江田(康)委員 大臣、ありがとうございます。

 新たな森林管理システムにおいては、今大臣も申されましたとおり、森林所有者がみずから経営管理することができない場合に、森林を市町村へ委託していく。その際には、経済ベースに乗る森林は意欲と能力のある林業経営者に集積、集約して、そして経済ベースに乗らない森林は市町村がしっかりと管理を行うことを通じて、我が国の森林の公益的機能の発揮がこれまで以上に図られることが期待されているところだと思います。

 そこで、質問でございますが、この森林管理システムを進めていくに当たり、経営管理が行われていない森林の現状の規模と、その計画的な解消に関する目標についてはどのように考えておられるか、お伺いをしたいと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 民有林のうち、私有人工林約六百七十万ヘクタールについてでございますが、そのうちの三分の一の約二百二十万ヘクタールは既に集積、集約化され、適切に経営管理されており、残りの三分の二の約四百五十万ヘクタールが経営管理が不十分な状態となっております。

 この約四百五十万ヘクタールの森林について、既存の施策に加えまして、本法案により経営管理の集積、集約化を促進しまして、林業経営に適した森林、約二百四十万ヘクタールでございますが、は意欲と能力のある林業経営者による林業経営を進め、林業的利用を継続し、林業経営に適さない森林、約二百十万ヘクタールでございますが、は複層林化などにより自然に近い森林に誘導することを旨として市町村が経営管理を進めるということ、こうしたことを二十年後に実現できますよう目指していきたいと考えてございます。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 現状の規模と、その計画的な解消に関する目標をお聞きさせていただきました。

 それでは、新たな森林管理システムは市町村を中心に構築されることになっているわけでございますが、市町村の役割が非常に重要になってくるということであろうかと思います。

 市町村は、これまでも森林計画の作成や林地台帳の整備などの重要な役割を担ってきたわけでございますけれども、森林管理システムの創設に当たって、現場では、市町村の中には十分な体制がとれないところも出てきて、新たな森林管理システムが円滑に機能しないのではないかという懸念の声もあります。

 政府は、こうした懸念を解消するために、市町村に対するさまざまな体制支援を検討されていると考えますけれども、市町村がこの森林管理システムを円滑に推進できるように、政府としてどのように準備していこうとしているのか、お伺いをいたします。

沖政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきまして、市町村は、その責務として、地域の森林の経営管理が円滑に行われるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとされており、委員御指摘のように、主体的に取り組むことが求められるため、その実施体制の整備がとても重要な課題となっていると認識してございます。

 そのため、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用する取組を推進するとともに、近隣市町村と連携して共同で事業を行うことが可能であるほか、本法案においては、都道府県による市町村の事務の代替執行ができるなどの制度を導入しており、必要な体制整備に向けた取組を進めることとしてございます。

 さらに、農林水産省といたしましては、都道府県や市町村への説明会を通じて意見、要望などを把握した上で、新たな森林管理システムの運用に関するガイドライン等を作成することとしており、市町村が経営管理を円滑に実施できるよう、適切に指導助言等をしてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 市町村への支援についてお伺いをさせていただきました。

 次に、林業経営者に対する支援措置についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 林業経営に適した森林につきましては、意欲と能力のある林業経営者の中から市町村が選定した者に対して経営管理を任せるとしておりますが、各地域において、事業体の経営規模や現時点で有している技術やノウハウには差があると認識しております。

 そこで、どのような者を意欲と能力のある林業経営者として考えておられるのか、その基準について、礒崎副大臣にお伺いをしたいと思います。

 あわせて、地域におきましては、森林・林業が地域に果たす役割を勘案すれば、広域で事業を行う規模が大きい事業者ばかりではなくて、地元に根差した中小の事業者にも森林の経営管理を委ねる機会が確保されていくことが山村の雇用を確保していく上でも極めて重要、そのように思っております。

 市町村が地域の林業の担い手として期待したり、育てたいと考えている事業者も再委託先の選択肢に反映できるように、その配慮が必要と考えますけれども、礒崎副大臣、どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 ただいま、経営管理実施権の設定を受ける人の、意欲、能力のある林業経営者という御質問でありましたが、森林所有者及び林業従事者の所得向上につながる高い生産性や収益性を有するなど効率的かつ安定的な林業経営を行うことができる方、また、主伐後の再造林を実施するなど林業生産活動を継続して行うことができる方を想定しておりまして、規模の大小ではないというふうに考えておるところでございます。

 そして、市町村が地域林業の担い手として期待をしている事業者には、新たな森林管理システムによる林業経営の再委託先としてぜひとも手を挙げていただきたい、そのように大きく期待をしているところでございます。

 これを実現するために、都道府県が募集、公表する林業経営者につきましては、都道府県と市町村の連携が十分に図られ、市町村が推薦する経営者が都道府県の公表に反映されるということが大事でございまして、そのようなことについて都道府県等によく周知をしてまいりたいと思います。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 それでは、林業経営者に対する支援措置についてもお伺いをさせていただきますが、経営管理実施権を取得した林業経営者は、多くの森林所有者にかわって、中長期にわたって森林の経営管理を担う主体となるわけでございます。

 このため、こうした林業経営者は、再委託を受けた森林の林業経営を安定的に行うことが求められるわけでありますが、こうしたことから、経営管理実施権を取得した林業経営者に対して、経営安定化や体質強化に向けた支援を継続的に行うことが必要であります。

 本法案に規定している支援に加えて、経営管理実施権の設定を受けた林業経営者に対してはどのような支援を考えているのか、林野庁長官にお伺いしたいと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 経営管理実施権の設定を受ける意欲と能力のある林業経営者の役割は、新たな森林管理システムにおいて大変重要でございまして、森林所有者の所得向上につながるような効率的かつ持続的な林業経営を行っていただきたいと考えております。

 このため、路網整備や高性能林業機械の導入等を重点的に支援するほか、主伐、再造林の一貫作業の推進、製材業者との直接的な取引など川下との連携強化等の取組を支援、また資金面でも、経営の合理化等に必要な運転資金を借り入れる場合の利率の優遇等により支援することといたしております。

 こうした施策によりまして、新たな森林管理システムが円滑に運用されますよう、意欲と能力のある林業経営者の育成を図ってまいりたいと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 林業経営者、また意欲と能力のある林業経営者等に対しては、充実した支援を施していただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、森林環境譲与税のことについて私もお伺いをさせていただきます。

 昨年末の政府・与党の税制改正大綱において、長年の悲願でありました森林環境税並びに森林環境譲与税の創設が決まったわけでございます。

 平成三十一年度から始まるこの森林環境税また森林環境譲与税については、新たな森林管理システムを踏まえて創設すると理解しております。また、森林環境譲与税については、森林整備、その推進に関する費用に充てなければならないということにされておりますけれども、木材利用や人材育成等にも使うことができることについては、まだ余り市町村に理解されていないのではないかと思うわけでございます。

 そこで、森林環境譲与税が有効に活用されるように、その使途の考え方について、齋藤農林水産大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 森林環境税は、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るために、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、森林経営管理法案を踏まえて創設をされるものであります。

 同時に、間伐等の森林整備を推進するためには、あわせて、担い手の育成ですとか境界の確定等が必要となりますし、また、森林の少ない都市部において木材を利用していただくことは、山間部における森林整備に貢献をするということもありますし、森林整備に関する都市部の理解にもつながっていくということになりますので、こういった観点を踏まえまして、市町村分に係る本税の使途につきましては、間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用とされているところでございます。

 農林水産省としては、地域の実情に応じて、森林整備等の取組が進むよう、市町村への説明や取組事例の紹介等に取り組んでまいりたいと考えています。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 それでは、最後に、齋藤農林水産大臣にもう一問、再度でございますけれども、林業の成長産業化の実現に向けた大臣の決意をお伺いしたいと思うんです。

 我が国の国土の三分の二を占める森林でございますが、国土保全、水源の涵養、そして生物多様性の保全、地球温暖化防止、木材生産等の多面的機能を有しておるわけでありまして、国民生活にさまざまな恩恵をもたらしているものと認識しておりますが、今後とも、このような役割を果たしていく上で、林業の成長産業化を実現することが不可欠でございます。

 そのためには、森林の適正な経営管理、また林業の生産性向上、新たな木材需要への対応等を図っていく必要があると考えますが、林業の成長産業化に向けてどのように取り組んでいくのか、最後に農林水産大臣の決意をお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 近年、戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎える中で、林業の成長産業化を推進するということは、本当にタイミングが今しかないなというふうに思っております。そのためには、木材の需要拡大を図るということと、それから、その拡大する需要に向けて国産材を安定的に供給していく体制を整えること、この二つが車の両輪として重要であって、必要な施策を重点的、集中的に今講じていかなくてはいけないと考えております。

 このため、需要面では、公共建築物を始め、これまで余り木材が使われてこなかった中高層、中大規模、非住宅など新たな分野における建築物の木造化、内装木質化、あるいは、木質バイオマスのエネルギー利用、高付加価値木材製品の輸出拡大、こういったことが重要でありますし、供給面では、ICTを活用した施業の集約化、路網整備や高性能林業機械の導入によります林業の生産性向上、あるいは、緑の雇用事業等を通じた人材の育成、確保。

 これらの施策に総合的に取り組むということとしていることに加えて、今回提出している森林経営管理法案によりまして、経営管理が行われていない森林について、意欲と能力のある林業経営者に集積、集約化し、森林の適正な経営管理が行われるようにしていくことを通じまして、林業の成長産業化のチャンスを大いに生かしていきたいと思っているところでございます。

江田(康)委員 時間でございますので終わらせていただきますが、この法案は、林業の成長産業化と森林の管理の適正化に極めて重要な法案である、画期的な法案である、そのように評価しております。迅速な成立を図っていただきますようによろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原雅子でございます。

 森林経営管理法の審議も進んでまいりまして、きょうが最後になるわけですけれども、きょう、大臣もここに緑の羽根をつけていらっしゃいます。

 戦後のはげ山の状態というのを戦後生まれの人たちはなかなか知らないということがあると思います。今でこそ主伐期を迎えた大きな立派な森ができているわけですが、戦後は本当にはげ山で、私は二十八年生まれなものですから、小さいときにお山の杉の子という童謡を聞いて、これはそういうはげ山に木を植える歌なんだと、中身は少し違っていたようですけれども、そういう状況が目に浮かぶ、そういう世代でもございます。それから、本当に国民運動的な植林、植樹運動をして拡大をしてきた。

 はげ山状態にしている山というのは保水力もありません。水源の涵養というところでも弱いです。災害が起これば多発する。私は八ツ場ダムの建設に疑問を持って活動してきたので、その当時のあの地域の山々もこういうような保水力のない山だったということもあって、緑のダムとして山を考えるというのは私は大変重要なことだろうと思っています。戦争という時期にあってあのようなはげ山をつくってしまった、この歴史を繰り返さないということは大変重要なことだと思っているんです。

 今回のこの森林経営管理法、これは、主伐期を迎えた、利用ができるんだけれども担い手がいない、意欲ある事業者が自由に活躍できない、そんな中で生まれてきた法律なので、もともとある森林・林業基本法、森林・林業基本計画、この中でしっかりうたわれていた森林の多面的な機能をやはりしっかりと維持していく、未来につなげていく、このことが基本にあってこその経営管理だというふうに思っております。

 ここまでの議論の中でも、この多面的機能とこういう温暖化防止という観点を失ってはいけないということはいろいろな議員の皆さんが質疑を重ねてきたわけなんですけれども、どうしてもやはり最後に、森林管理の責務、多面性の機能のうちの生物多様性保全機能、これが循環できるような輪が切れてしまうと、やはりこれは実行できないわけなので、その点で、経営管理法とはいいながらこの精神がどのように位置づけられているのか、大変心もとない思いをしております。

 事実、林野庁などは、国有林の管理において森林生態系保護地域あるいは緑の回廊の設定を推進しておりますし、こうした国の取組と整合性を図る上でも、今回の法案の森林管理の責務の中に生物多様性保全が含まれているのか、このことをしっかりと大臣にまずお答えをいただきたいというふうに思います。

齋藤国務大臣 そもそも、なぜ森林を整備してしっかり森林を管理していかなくてはいけないかというその理由の中には、当然のことながら、国土の保全ですとか温暖化防止のほかに、生物多様性保全機能、そういったものを森林が有しているということが当然入っていると私は認識をしております。

 今回の法案は、資源が充実をして主伐期を迎えつつあることから、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立させていく、そのために、切って、使って、また植えるといった循環利用で、言ってみれば生物多様性保全機能を持つ森林をきちんと守っていこうという法案でありますので、今委員が御指摘になりました生物多様性保全機能維持、発揮にも大いに貢献をするものと考えております。

大河原委員 大臣のそのお言葉を聞いて、しっかりとやっていただきたい、そのことも市民は、多くの方たちがチェックをしておりますので、よろしくお願いいたします。

 この法律について、森林の機能が、そういう意味では木材生産の場というところにどちらかというとまた戻る感じがしなくもないわけです。やり方によっては、失敗をすればまたはげ山が出現する地域が出てきてしまう、そういうようなこともあるんですけれども、関係各所にこの法律についての理解を得るため、周知徹底が必要だというふうに思っています。

 不在村森林所有者を含む森林所有者、森林組合、民間の事業者等、地域の森林・林業関係者に本法の仕組みを周知徹底するのは当然のこととして、特定の方たちだけに利益が誘導されるようなシステムであってはなりませんし、広く国民に、国民全部がこの森林環境税、負担をしていくということがありますので、これまで関心のなかった人の関心も引き起こすような、ある意味でいえば、財産で相続したけれども行ったこともないような山、東京に住んでいるけれどもそんなことがこの法律によって思い出させられて、そして自分の気持ちが動かされるような、それほどの広報が私は必要じゃないかというふうに思うわけですけれども、この点、政府はどのようにお考えでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 本法案においては、森林所有者みずから経営管理できない森林のうち、経済ベースに乗る森林については林業経営者に集積、集約化するとともに、経済ベースに乗らない森林については市町村が公的に管理するという新たな森林管理システムを創設することとしております。

 このシステムにおきましては、経営管理権の設定には森林所有者及び使用収益者全員の同意が、経営管理実施権の設定には設定を受ける民間事業者の同意が必要とされていることから、このシステムの円滑な実施を図るためには、森林所有者、林業経営者等を含む関係権利者を始め、地域の多くの関係者に本法の仕組みをよく理解していただくことが必要であります。この内容を十分に周知していくことが重要と考えてございます。

 したがいまして、農林水産省といたしましては、ホームページや広報による情報提供のほか、市町村、民間事業者等への説明会の場を設けまして、本システムについてわかりやすく丁寧に説明し、地域の森林・林業関係者への周知を図ってまいりたいと考えております。

大河原委員 税務署などでもこういうことを、森林の相続というようなことも含めて、しっかりと周知を図れる方法をとっていただきたいというふうに思うんです。

 経営がなかなか難しそうな森林については市町村に任せるということになりますけれども、これまでも指摘されているとおり、市町村にそういう林務に通じた人材、職員がなかなかいないということもあって、こうしたことを、実際自分の一番身近な役所で説明を受けられるかといったら、なかなか難しいんじゃないかと思うんですね。

 ですから、わかりやすい広報と、そしてアクセスしやすい方法をぜひともつくっていただきたい。関心はなかったけれども、ちょっと、自分も山主だった、新しい自分の仕事として、自分のレクリエーションか第二の仕事かわかりませんが、関心を持った人の気持ちを潰さない、それがつながっていくような、そういう仕組みがぜひとも必要だというふうに思います。ぜひ御検討をいただきたいと思います。

 次に、民間事業者の選定に係る都道府県と市町村の役割分担、そしてまた市町村の自主性について伺いたいと思います。

 本法律案では、経営管理実施権の設定に当たって、都道府県が、農林水産省令で定めるところによって、定期的に、経営管理実施権の設定を受けることを希望する民間事業者を公募し、要件に適合するもの及びその応募の内容に関する情報を整理し公表するものというふうにされております。

 民間事業者を公募する主体を、実際に配分計画を定め事業者を選定する市町村ではなく、都道府県としたことについて、いま一度御説明をいただきたいと思います。そして、このことによって市町村が地域の実情に応じた運用が可能となるのか、私は積極的に可能となるようにしていただきたいわけですけれども、その点についても政府の見解を確認させていただきます。

沖政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、民間事業者の選定に当たっては、民間事業者が市町村域を超えて活動することを想定しておりまして、民間事業者と市町村の負担を軽減する観点から、都道府県が民間事業者の公募、公表を行い、市町村は公表された者の中から経営管理実施権を設定する者を選定することとしております。

 さらに、都道府県による民間事業者の公表に際しましては、市町村の意向が反映されるような柔軟な運用とする考えでございます。

 具体的には、都道府県の公表の対象となる者について、規模の大小は問わないこととするほか、地域の実情に配慮した民間事業者を公表するなどとする考えでございます。

 また、国としては、各都道府県による民間事業者の公表に係る運用の状況につきまして、都道府県間で情報共有できるように努めてまいりたいと考えております。

大河原委員 民間事業者の選定に当たって、市町村の推薦、これを上げていくということが、尊重されるということがあるんだと思いますが、難しいですよね。民間事業者選定の透明性ということをもう一つは確保しておかなければならないわけです。都道府県、市町村は、民間事業者の公募、公表そして選定に当たって透明性の確保を図るように努めるものとされていますけれども、首相案件だの、知事案件とか何とか議員案件などといったことがあっては絶対にならないわけで、具体的に透明化をどう図っていくのか、その点についてはいかがでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 経営管理実施権の設定を受けます民間事業者については、都道府県が経営管理実施権の設定を希望する者の公募、公表を行い、市町村は公表された中から公正な方法により選定することとしております。

 その際、都道府県による公表については、応募した民間事業者のうち、経営管理を効率的かつ安定的に行う能力を有すると認められること、経営管理を確実に行うに足りる経理的な基礎を有すると認められることという要件に適合する者を公表すると法定していることから、どういう者を公表するかについては透明化されていると考えております。

 なお、公募の方法については、基本的に都道府県が具体的に定めることとなりますが、募集の周知期間について十分な期間を確保するなど、指導してまいりたいと考えております。

 さらに、市町村による選定に当たりましては、公正な方法で行う旨法定されているところでありますが、選定に必要な事項などについては農林水産省令において規定することを予定しており、透明性が確保されていくものと考えております。

大河原委員 大小を問わず、力のある、そして地域を大事にできる事業者をぜひ選んでいただきたいというふうに思います。

 次に、想定される経営規模について少し伺いたいと思います。

 大小を問わない、小さな林業経営者もしっかりと、むしろ、小さな林業経営者がたくさんふえた方が、私は、その地域が、きめ細かに、質の向上した山ができるんじゃないかというふうに思っています。

 確かに、力は小さくて、はかどり方というか管理の仕方は、なかなか大規模なところのようにはいかないかもしれません。しかし、例えば、こういう例があるんですね。兵庫県の豊岡市で、協同組合方式で林業に携わっている方たちがおられますが、自分たちで間伐をし、材木を搬出する、いわゆる自伐型林業を実践しているグループなんです。全員が協同組合の組合員であり、働き手であり、経営者である、出資者である、こういう形で働いておられます。協同組合の組織を経営しながら、里山再生という地域課題で、さまざまな仕事興しをしながら、山仕事を仕事として維持していく。

 こういうグループもたくさんできてくるといいなと。この協同組合、協同労働も含めた協同組合というのは、いわゆる雇われて働くという意味ではなく、自分たちの、共同で経営をするという連帯感もありますし、責任感も生まれます。

 今回の法律が成立することによって、日本型の小規模林業経営というのは、大臣は成長すると思われているでしょうか。小規模な林業経営者を育成するという視点からは、この法律はどのように機能するのか。森林の、人手がないところの集約化が進むわけなので、どうしても大規模の会社が最も林業しやすくなるシステムに見えてしまうわけなんですが、この点はいかがでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、経営管理実施権の設定を受けます林業経営者について、規模の大小は問わないということにしておりまして、委員御指摘のような自伐林家を始めとしました自伐型林業がございますけれども、地域で活躍する小規模な林業経営者の皆様におかれましても、経営管理実施権の設定を積極的に引き受けていただきまして、地域の森林・林業を支えていただきたいというふうに考えております。

 こうした小規模な林業経営者につきまして、地域林業の活性化とか、それから山村振興を図る上で、重要な主体の一つとして認識しております。農林水産省といたしましては、地域住民、それから森林所有者等による里山林等の保全、利用のための共同活動とか、地域における自伐林業グループなどによる将来的な林業経営の集約化に資する森林管理等の取組、また、地域の実情に応じました林業就業者に対する技能研修や林業経営体に対する経営研修、こうしたものに対して支援をしておりますので、こうした支援を通じまして、委員御指摘のような小規模な林業経営者の育成を後押しして、地域の森林・林業を支えていただきたいというふうに考えております。

大河原委員 とにもかくにも担い手がいないということがあって、大きな事業者であればたくさんの人を雇う、ある一定の給料を保障していくということができるのかもしれませんが、森林所有者の責務を全うするためには、労働力の確保、育成が不可欠です。

 林業就業者の所得の向上、労働安全対策、就業条件の改善に向けた対策の強化というのはしっかりと図られるということが必須だと思いますけれども、その点についてはどのようでしょうか。簡単にお答えください。

沖政府参考人 お答えいたします。

 林業従事者におきましては、所得の向上や労働安全の確保など、労働条件の改善を推進することはとても大事だと考えております。

 労働条件の改善に向けましては、素材生産から造林、保育までの複数の作業で、一年を通じた通年雇用に対応できる現場技能者の育成や、社会保険料等の事業主負担分への支援を実施するとともに、労働安全の確保に向けましては、現場巡回指導や安全教育、高性能林業機械の活用の促進とあわせまして、防護衣の着用の徹底など、林業労働安全対策等に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、こうした施策を通じまして、林業で働く人たちの労働環境の改善、整備に鋭意努めてまいりたいと考えております。

大河原委員 本当に担い手の確保も、地域地域で山も違いますし、気候条件も違うので、これも大変なことだと思うんですね。そういうふうに多様な森がありますし、そこに植生する植物、木の状態も違います。年ごとの気候も違うわけですから、連立方程式といいますか、大変複雑な条件の中をかいくぐっていかなければなりません。相手は自然だということを、最善の方法を判断する能力がこういった担い手の方たちに養われなければならないと思います。

 私は最近、一つの映画を見ました。「おだやかな革命」というもので、本当に小さな地域で循環型の経済ができていく、その中に林業というのも大変大きな役割を果たします。

 参考人をお呼びしたときに、西粟倉村からお越しいただいて、百年の森林構想というのを伺わせていただきましたけれども、あのときに御紹介のなかったことで、エネルギーもつくり出している。そして、そこには、実は、よそから来た人たちがその活性化といいますか、町役場と一緒になっていろいろな新しい事業をつくり出しているんですね。

 その中のお一人の、エーゼロ株式会社の牧さんという方がおっしゃっていることがすごく心に響きます。人と人とのつながりを含めた生態系を育てる。つまり、営業、事業体だけではそこに住む人がふえていかない。そして、そこから仕事をつくり出す。そこに住む人たちのニーズに合わせた仕事をつくり、そして担い、そして外に向かって発信をする。この地域の中でできた材を外に売ることによって外から収入をきちんと得て、自立型の地域コミュニティーをつくっていく。人間、暮らす人を含めた人と人との関係性を持った生態系という言葉に私はすごく感銘を受けたんです。

 大臣、これは地球温暖化対策、環境保護ということの中で最初にお聞きいたしましたけれども、この点について、人を、どうやってその地域に暮らしていただけるか、その自治体の自主性ということにも大きくかかわりますけれども、最後に御決意を伺わせてください、済みません。

伊東委員長 齋藤農林水産大臣、持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

齋藤国務大臣 はい。

 森林を守りながら、先ほど来、大河原委員がおっしゃっているさまざまな機能を維持していくためには、国や自治体が頑張ればいいという話ではなくて、そこに住んで、実際に森を守ってくれる方々がやっていただくということだと思いますので、そういう方々を大事にした行政というものを私も心がけていきたいというふうに考えております。

大河原委員 ありがとうございました。

 終わります。

伊東委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 亀井亜紀子でございます。

 森林環境税の導入は、与野党を超えて、特に地方が心待ちにしていた財源ですので、今回、森林環境税を導入することによって財源ができるという、そのこと自体は非常に歓迎することだと思います。

 ただ、今多くの人の中に懸念があるのは、これがどういうふうに使われるか、つまり使い道の問題だと思います。

 ずっと今までの御質問などを聞いておりましても、いわゆる五十年で皆伐という大規模経営だけではなくて、きちんと自伐型の小規模林業の方にも目配りをしていただきたい、そういう意見が出ておりますし、私は、ここが一番大事だと思います。

 前回の委員会の終わりのときに、共産党さんの質問だったと思いますけれども、そもそも、八割の森林所有者の経営意欲が低くて、七割が主伐の意向すらない、こう決めつけているけれども、自伐型林業というのは、十本のうち一、二本間伐して、あとの木は長期的に、百年かけて育てていくような林業ですから、そもそも皆伐は好まない、こういう人たちを経営意欲がないと決めつけてしまうのはやはりおかしいのではないか、そういう発言がありまして、それに対しての御答弁で、自伐型の林業もきちんと育てていきます、そういうような御発言があったと記憶しております。

 そこで、私は今確認をしておきたいんですけれども、今回の制度によって、小規模林業、自伐型の林業がきちんと持続できるように、こちらにも目配りをしていくということを大臣から一言御発言いただきたいんですが、お願いできますか。

齋藤国務大臣 本法案につきましては、経営管理実施権の設定を受ける林業経営者についても、規模の大小は問わないということとしておりますし、自伐林家を始め、自伐型林業など地域で活躍する小規模な林業経営者の皆様におかれましても、経営拡大意欲とかありますれば、この経営管理実施権の設定を積極的に引き受けて、地域の森林・林業をぜひ支えていただきたいと考えているところでございます。

亀井委員 よろしくお願いいたします。

 それでは、私、地元島根県津和野町の例を挙げながら質問をいたします。

 津和野町は、森林面積が九割でして、まちづくりの基本に森林の再生、林業の再生を挙げております。そして、自伐型林業の推進を、力を入れてやってきました。

 きょう、皆様に資料をお配りしております。

 津和野ヤモリーズといいますけれども、これは、地域おこし協力隊の制度を使いまして、津和野町に移住を促し、自伐林業チームをつくり、彼らを津和野ヤモリーズと呼んでいます。

 地域おこし協力隊の制度の問題点というのは、三年までしか移住者へのお金が保障されなくて、四年目からどうやって生活をしていくかということが課題になっています。

 今回、森林環境税が導入されると聞いて、私は、人材育成で、四年目以降のこういう人たちにお金を使ったらどうかと思いまして、このヤモリーズのメンバーに意見を聞きましたら、非常に健全な回答が返ってきました。ただでお金がもらえるのはありがたいんだけれども、でも、やはり自分たちは作業をして、それの対価としてお金を受け取りたいし、その方が山が整備される。なので、本来お金を使うべきところは、作業道をつけた場合のその補助ではないかと言います。

 今、津和野の場合ですが、一メーター作業道をつけて、千円だそうです。メーター当たり千円。これで、また財源も少ないので、年間一人当たり五百メーターぐらいしかつけられない。そうすると、五十万ですね。ここでまた機械のお金、いろいろ引きますと、お金が残らないわけです。

 採算ベースに乗るのはメーター当たり二千円だそうでして、全国の自治体、この作業道に対するお金が非常にばらつきがあるんです。前回、高知県の尾崎知事が参考人でいらしていましたが、高知県はやはりかなり進んでいまして、佐川町はメーター当たり四千五百円だそうです。

 そこで、伺いたいんですけれども、自治体によって非常にばらつきがある作業道の敷設に対するお金、高いところ、低いところ、それから平均が幾らぐらいでしょうか。また、農水省として、採算がとれるラインというのは幾らぐらいと考えておられますか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 森林整備事業におきます森林作業道についてでございます。都道府県知事が、地域の傾斜とか土質、そうしたものを考慮しまして、土工、土を削り取ってならすような作業のことですけれども、土工に要する作業量を計算しまして、地域の標準的な単価を定めて、補助金を出している、交付していると承知しております。

 今委員おっしゃられました最高額と最低額ですけれども、メートル当たりでございますけれども、メートル当たり単価で見ますと、最高が三千円と聞いております。これは補助金のところですけれども。また、最低が二百七十八円と聞いております。全国平均でいいますと、一千四百六十四円となってございます。

 また、御質問がございました経営の採算ベースという考え方なんですが、主伐をやるのか、また間伐などをやるのか、そういった種類によっても違いますし、そこにかかわられる人件費によっても変わります。また、保有されます林業機械の状況によっても変わりますので、これにつきましては、採算がとれる作業単価を簡単に示すというのはなかなか難しいと思います。

亀井委員 それでもやはり、余りに、二百幾らから三千円というのは、開きがあり過ぎですよね。間伐で、自伐型林業で生計を立てようと思ったら、やはり生活ができるラインというのがあるわけですから、ここをきちんと手当てしてあげないと、せっかく若者が移住して林業の担い手になっても、定着しません。ですから、ここはやはり国がきちんと指導していく必要があると私は思います。

 そして、今、県で森林税のようなものを取っているところ、かなりあります。島根県の場合も、水と緑の森づくり税というのがあります。この財源は、本来、やはり作業道をつけたときに補助に使われる予定でして、今、津和野でメーター当たり千円なんですけれども、本当はメーター当たり二千円じゃなきゃおかしいんですね。この千円が一体どこに行っているんだろうかというのが現場での疑問なんですが。

 ここにまた、森林環境税が市町村に渡されて、それがどういうふうに使われていくのか、また、使い道が重複することもあり得ます。この辺のことは、全部現場、市町村任せなのか、それとも国がアドバイスをしたり指導したりしていくのかということを伺いたいと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 現在三十七府県で導入されております超過課税でございます。それぞれの府県民からの森林への期待や要請などを踏まえまして、府県が主体となって取り組まれているものでございますので、それはそれで効果的に活用されているものと認識してございます。

 このたびの国の森林環境税でございますが、森林経営管理法案を踏まえ、主に、市町村が新たに行う森林の公的管理を始めとする森林整備等の財源として創設されるものでございます。

 府県における超過課税につきましては、森林整備以外にも幅広く活用されていると認識しておりまして、農林水産省といたしましては、国の森林環境税と府県の超過課税がそれぞれの役割分担のもとで効果的に活用されますよう、府県に対しまして積極的に情報提供をしたり、それから意見交換等を行いまして、必要な対応を行ってまいりたいと考えてございます。

亀井委員 県に対しても、作業道の補助金がどこに行ってしまっているのか、国の方でも調べていただけるとありがたいです。

 今、自伐型の小規模林業の話をいたしましたけれども、一方で、主伐の大規模林業についても推進をされているわけですが、そのときに、主伐後は今度は再造林が義務づけられています。この造林にお金がかかるわけですよね。それで、小規模林業は、やはり自伐型で、間伐に寄った経営をしていくわけですけれども、地元の造林会社にも意見を聞きました。そうしましたら、新植、苗のところからきちんと植林をする、そちらの方の長期的な計画も立ててほしいということでした。

 特に、まだ木が若いときには、せっかく植えても全部鹿に食べられてしまったりするのでカバーをかける必要がありますし、雑草に負けてしまうので下草を刈らなきゃいけない。そういうことに非常に手間暇かかりますから、結局、皆伐して、その後何も手を入れないということが起きてしまうわけで、本来、やはりここの部分に、森林環境税というよりも、やはり農水省の林業政策として予算をきちんとつけていくべきだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 主伐、それから、その後に行われます再造林でございますが、これは林業経営の一環として適切に行われるべきものでございます。

 今般の法案というのは、経営管理権を市町村を介して意欲と能力のある林業経営者に集積、集約化することによって収益を向上させ、その費用に充てるよう措置するということなんですけれども、委員御指摘のように、林業というのは、主伐、主伐というのはイコール皆伐であるとは限らないんですけれども、小面積のものもございますし、択伐もございますし、長伐期の、何回も繰り返して切るということもございます。そうした主伐で穴があいたところに植えていくということは非常に大切なことです。

 それにつきましては、予算事業として、補助事業として、これまでも林野庁、農林水産省として実施しております。これからも、引き続き適切に、そうした、切ったら植えるということがされるように、予算事業の中できちんと対処していきたいと考えております。

 ただ、今回の環境税でございますけれども、経済ベースに乗らないところの森林につきましては、市町村の公的管理といったことがございます。そうしたところについて環境税をこれから使っていただくということを考えておりますが、そうしたところについては、主伐、再造林という概念ではなくて、これまであった森林を何回も間伐をして、そこに、若しくは複層伐をして、自然状態に近いような森林に誘導していくというふうに事業展開をしていくことを考えてございます。

亀井委員 災害対策などを考えますと、やはり皆伐よりは間伐をして、山を育てながら林業を経営していった方が健全だと思いますので、そういう方向であるのであれば、ぜひよろしくお願いいたします。

 次の質問は、木材需要をつくるということが、やはり林業の再生には一方で大事なわけでして、平成二十二年に、先ほどほかの方も触れていらっしゃいましたが、公共建築物における木材の利用の促進に関する法律が成立をしました。これは民主党の政権のときでしたけれども、民主党を中心とした連立政権のときにやった農政の政策で、私は幾つかいいものがあったと思います。その一つがこの公共建築物の木材利用、それから農業の六次産業化、それと戸別所得補償も私はいい制度だったと思っているんです。

 この法律が通った後、私、国立競技場のコンペなどを見ていて、A案もB案も木材の大型建築でしたから、やはりこの法律の効果はあったのかしらと思って見ていたんですけれども、法律制定後に実際につくられた公共建築物、木造のもの、それから今建設が決まっている計画中のもの、合わせて幾つあるのでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 政府は、平成二十二年に制定いたしました公共建築物等木材利用促進法、これに基づきまして、公共建築物の木造化、内装木質化に向けた施策を推進してございます。

 そうした政策の効果もございまして、公共建築物の木造率でございますが、これは、棟数とすると大小も出てしまいますので、床面積ベースで通常あらわします。

 これは、法律が制定されました平成二十二年度着工では八・三%であったものが、平成二十八年度着工では一一・七%へ向上いたしましたし、特に三階以下の低層の公共建築物では、平成二十二年度着工では一七・九%であったのに対して、平成二十八年度着工では二六・四%まで向上してございます。

 また、委員から、今後どのくらいつくられるのかという予定のお尋ねがございましたけれども、これは年々の予算の中で定めていきますのでちょっとお答えはできませんが、農林水産省といたしましては、公共建築物の木造化とか木質化を推進することはとても大切というふうに考えておりまして、地域材利用のモデルとなります公共建築物の木造化、木質化に対する支援とか、公共建築物の木造化、木質化をしようとする際の技術的な助言とか、また、公共建築物の木造化コスト抑制に配慮した事例等の優良事例を取りまとめているところでございます。

 またさらに、最近でございますけれども、今後の動きといたしまして、防火規制、こうしたものが木造建築物整備へのハードルになってございます。こうしたハードルが高い都市部におきます内装木質化の促進とか、民間事業者が整備いたします病院、福祉施設の木造化、木質化にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 今後とも、関係省庁と連携しまして、また地方自治体、団体とも連携しまして、公共建築物の木造化、木質化を積極的に推進してまいりたいと考えております。

亀井委員 法律の成果は十分出ているのではないかと思います。

 今、公共建築物で防火対策とおっしゃいましたけれども、日本の建築基準法ですとか消防法だと、なかなか大型の建物をつくるのが難しかったりするところもあると聞いております。

 先日、オーストリアの林業を例に出される方もありましたが、欧州で林業がまた再生しているのは、木造建築が見直されたからでありまして、やはりその一つの成果というか、日本の建築家で坂茂さんはかなり貢献をされたと思います。

 彼は、スイスで、メディアグループのタメディアの本社、木造の七階建てをつくりまして、これはかなり注目をされましたし、従来、石の文化の国で、大きな建物は木で建てられないと思っていたところを木で高層なものをつくるという、それを見せたわけで、もともと日本は、お寺であったり五重塔であったり、木造の大きいものをつくってきた国ですから、本来もっと日本に木造建築がなければおかしい。今、公共建築物で進み始めましたけれども、普通の集合住宅、欧州では集合住宅を木でというのが大分進んでいますから、日本もやはり追いついていかなければいけないと思っています。

 やはり林業で、日本の林業が原木に偏り過ぎたということが一つ敗因だと思っていまして、集成材をつくっていかなきゃいけないですよね。その集成材をつくると、今度は大量の木くずができるわけで、その木くずを今度は木質バイオマスガス化発電の方に回していく、これも欧州で進んでいますけれども、津和野もこちらの方向で今進めております。

 それで、大きな発電機だと周辺の木では済まなくなってしまう、材料が滞ってしまうので、やはり地元の間伐材を使おうということで、今、小型木質バイオマスガス化発電プラント、ボルター40というのと、あと、チップ乾燥機、イギリス製ウッドテック、この二つを導入して木質バイオマスを始めようとしておりまして、ただ、ネックが中電だったんですね。よくあるのは、送電線の空き容量がないんだと、このことでかなり大変だったんですが、津和野町の場合は、まず接続協議の開始に二十万使い、その後また百五十万円使って、何とか四年後に空き容量を確保しました。ただ、本来、もう少し早く始めたい。三年後ぐらいに前倒ししたいんですね。

 このことがあったので、送電についていろいろ勉強しましたが、日本各地で、二〇一四年には九州電力で、太陽光発電に対して空き容量がない、待ったをかけるということがありましたし、被災地の東北電力でも空き容量ゼロ、そういう問題が出ています。

 これが、やはり日本と欧州では計算の仕方が違うんですね。日本の場合は、契約容量ベース、しかも先着優先なので、従来の電源が有利になります。でも、ヨーロッパの場合は、実潮流ベース、実際に電気が流れた量のベースで計算をしますし、容量不足を理由に接続拒否してはならないということもあります。

 また、受益者負担、送電線の整備を電気料金に乗っけて受益者が負担するという制度でもあるので、根本的に仕組みが違うんですが、木質バイオマスを進めていく上で、この辺の制度の改正についていかがお考えでしょうか。最後に質問いたします。

平木大臣政務官 送電線の空き容量の算定の考え方につきましては、電力広域的運営推進機関の定めます指針の中で今示されているんですが、一般送配電事業者がその考え方に基づいて空き容量を算定することに今なっております。

 一般送配電事業者から提示をされました送電線の接続に関する回答の内容について、発電事業者が疑義があると考えた場合には、この電力広域的運営推進機関が中立的な立場から検証するとともに、まずは制度的に担保をさせていただいているところでございます。

 その上ででございますが、再生可能エネルギーの導入を促進するために、まずは既存系統を最大限活用するという方針のもとで、空き容量の算定方法について、過去の実績をもとに将来の電気の流れをより精緻に想定をいたしまして送電線の空き容量を算出する手法、これを想定潮流の合理化と呼んでおりますが、これを、実はこの四月から導入をしたところでございます。この算出の方法につきましても、電力広域的運営推進機関のホームページで今公表をさせていただいたところでございます。

 今後も、新たに系統に接続しようとする電気事業者の御意見も聞きながら、現行のルールが透明、公平かつ適切な形で運営されるように確認をするとともに、海外の先進的な事例も取り入れながら、必要な見直しやルールの明確化を進めてまいりたいと思っております。

亀井委員 二〇二〇年には送電部門を独立して託送料金で稼いでいかなきゃいけない、そのビジネスモデルも必要でしょうから、ぜひ進めていただきたくお願いいたします。

 時間ですので、質問を終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。希望の党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 本法案の質疑の前に、加計問題をめぐるお話について少し時間をいただきたいなというふうに思います。

 まず、先週、愛媛県の職員が備忘録として作成した面会記録、この記録文書が農水省内でも見つかったことについて、大臣の所感を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 まず、緑川委員がきょう緑の羽根をつけてきていただいておりますことに感謝を申し上げたいと思います。あわせて、緑のネクタイもしてきていただきまして、私も緑のネクタイをしてきたんですが、テントウムシが入っておりまして、生物多様性も配慮したネクタイになっております。

 御指摘の点でありますけれども、この点につきましては、四月九日の夜にNHKにおきまして愛媛県が内閣府、文部科学省及び農林水産省に愛媛県文書を配付したという報道がありまして、翌十日には一部新聞にもその文書の一部が掲載をされるということがありました。

 これらを踏まえまして、官房長官の方から関係省庁に確認をせよという御指示がありまして、それを踏まえて、農林水産省としては省内の関係部局の調査をさせていただいた。その結果、その愛知県の文書が省内にあったということは事実でありまして、私は、そのとおり、そのものと受けとめているところであります。

 ただ、当該文書自体は当省が作成したものではありません。また、内容も、当省所管外である獣医学部の設置をどうするかという内容になっておりますので、私としては先ほど申し上げた以上のコメントはございません。

 ごめんなさい。愛媛県。愛知と言ったかもしれません、愛媛県です、済みません。申しわけありません、訂正させていただきます。

緑川委員 獣医師法などを担当する課長補佐級の職員が前任者から文書を引き継いだということですけれども、やはりまず農水省内から見つかった文書ということで、入手の経緯が、この文書を見た記憶がない、そしてその前任者の職員は保有することになった経緯もわからないということで、この文書が出てきたということは、まず一つ、省内の対応として、大変こういうスピーディーな御対応には私自身も評価をさせていただきたいと思うんですけれども、県に連絡をした農水省のこの職員、農水省から、どんなやりとりがあったのかというのを至急確認したいというふうに県に連絡があったというふうに一部報じているメディアもあります。

 そして、この職員、県側の職員と面会もあったかもしれませんけれども、最初にこの記録文書を受け取ったという方は前任者の方という認識でよろしいんでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、受け取ったという方は明確な認識がなくて、その方から後任の方がどうやら引き継いだ文書、これが引き継いだ方の個人のファイルに入っていたということでありまして、それで、実際に受け取ったと思われる当時の方にはその明確な記憶がないというのが私どものヒアリングの結果でありましたということでございます。

緑川委員 関連部局、職員の聞き取り調査の結果で、記憶がない、仮にそして定かでないというようなお答えであれば、これを補う方法として、やはり省内のイントラネットをまずチェックするとか、あとパソコン内のメール履歴、こうしたものも検索は比較的早目にできるのではないかというふうに思うわけで、そして、少し調べることで、この記憶がないという部分を補える、こうした可能性もあると思うんですね。

 それを含めての聞き取り調査であるというふうに思うんですけれども、このあたり、御所見いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、本件につきましては、昨年も情報公開請求等ありまして、共有ファイルですとか共有フォルダ、メールを含めました行政文書については、情報公開請求がございました際に調査を行って、存在するものは既に適切に公表しておりますものですから、今回はヒアリングで逆にそれを補強するものとして行わせていただいた結果、先ほどのようなことになったということでございます。

緑川委員 その前任者ですけれども、説明として、担当者と面会したという明確な認識がない、そして後任に渡した記憶もないけれども、後任者が文書を持っているなら異動時に配付したのであろうというような、ちょっと奥歯に物が挟まったような、非常に微妙な言い回しもされているわけですけれども、記憶の限りではお会いしたことはないという柳瀬元首相秘書官と同じようなコメント、フレーズでは、国民はなかなか納得いかないところもあるのではないかなというふうに思うんですね。

 愛媛文書が省内で発見された。明らかにされていない入手ルートを、もう一歩先ですね、何とか省庁の前向きな御対応を期待したいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 私ども、ヒアリングに際しましては、大臣官房の秘書課も同席をして、そして職員に一人一人丁寧にヒアリングをさせていただいて、その結果、当事者がそのような認識であったということでありますので、ちょっとこれ以上何ができるんだろうかなというのが率直な私の印象であります。

 職員は自分の思っていること、知っていることを素直に話していたというふうに私は思っているところであります。

緑川委員 前任者が行政文書ではないと言っても、引継ぎの資料の一部として三年前に後任者に引き継がせた。そして、その後任者は、これを受け取って、結局、異動の際には次の後任者には渡さなかった。

 とはいっても、これは、捨てずに個人ファイルに三年間保管していた。途中で破棄してもよかったはずです、三年間もたっていれば。これはいろんな理由があるかもしれませんけれども、やはり結果としては持っていたわけです。この聞き取り調査の中で、すぐにまた文書が出てきていたわけですね。どこに文書があったというのは、恐らく職員は、場所というものは前から意識していたところもあると思うんです。

 そして、文書に書かれているこの生々しい発言ですね、この発言の内容からしても、なかなかこれは初見でも忘れにくい、インパクトのある内容で、これを外に口にする、口を閉ざさざるを得ないものであるかもしれません。行政のトップである安倍総理が、ここ数年国会答弁で関与を否定し続けている中で、ましてや、首相案件という表現のある文書、首相関与の疑惑を深めるような文書は、やはり、さらになお一層、表に出しにくくなるわけであります。

 誰がこの文書を農水省として入手したのか、やはり、記憶はある、あるいは、覚えているかもしれませんけれども声を上げにくいというのが現在の実情じゃないかなというふうに思うんですね。

 獣医師がふえ過ぎないように獣医大学、学部の新設を政府が規制している中で、国家戦略特区という枠を使って事業を前に進めようとしている動きに対して、純粋に農水省が、やはり情報を早目につかんでおきたいと、それは大変仕事に対して熱心であって、そのゆえの入手された文書であろうというふうに思いますけれども、正しい情報を得ようとした結果、こういうふうに総理が後ろにちらちら見えているような、そういう文書が出てくることは、真っ当に職務を果たしたいと願う職員にとっては、ある種、私は不幸なことだというふうに思うわけです。

 ほかの省庁では、職員の萎縮、こうした政治家への余りある配慮が、行政文書やデータへ妙な手心を加えるようなことにもやはりつながっている。きわまっているこの今の政治不信、そして行政への信頼も大きく揺らいでいる今、その気持ちをこの緑のネクタイで齋藤大臣と思いを共有させていただきながら、農水省の長として取り組むべき方向性について御見解を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 ヒアリングでわかった結果については先ほど申し上げたとおりであります。

 それについて、私もいろんな推測はできます。でも、その推測をここに語るのは適切ではないと思いますので、私どもが調査で判明した事実のみを報告させていただくというのが、今私の考えているところであります。

 ただ、従来お答え申し上げておりますように、この文書管理の問題、とりわけ決裁が終わった後の文書を書き換えるというような、私から見ればかなり異例なことが行われて、それに対して総理も、政府全体の信頼の問題だということでありますので、私ども農林水産省も新しく文書管理規程をつくりましたし、職員にもその徹底を図っておりますので、我が省からそういうおかしな管理が行われないように、トップとして責任を果たしていきたいというふうに考えております。

緑川委員 真摯な御答弁ありがとうございます。

 こうした事態がまた起こらないように、重々、私たちも、政治を前に進めていく、そして行政との、さらなる、日本をよくしていく、そうした方針で闘ってまいりたいというふうに考えております。

 それでは、森林経営管理法案について質問させていただきます。

 少し前ですけれども、二〇一五年十月、林政審議会の発言の中で、先週の参考人質疑の中でもお話が少しありましたけれども、沖長官が当時次長でいらっしゃったときに、このように発言されております。林業の成長産業化の話をするときに新たな需要の拡大と安定供給と二本柱で話をしていますけれども、最終的にはやっぱり森林所有者さんにとっていただくことが必要です、とらないことには、林業の成長産業化はできないと思います、そのときには山元の立木価格を確保していくということは非常に重要なことですと。

 この最後の方が大変重要な御発言だと思うんですけれども、当時と比較した現在の沖長官のお考え、お尋ねしたいと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 林業の成長産業化を推進するため、山元の立木価格を確保していくことはとても大切な課題と認識しております。

 こうした観点から、二〇一六年五月に閣議決定しました森林・林業基本計画においては、戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎える中、林業の成長産業化に向けて木材の需要拡大を図ることと、その拡大する需要に向けて、国産材を安定的に供給していく体制を整えることを車の両輪の対策としまして、必要な施策を重点的、集中的に講じていくこととしてございます。

 このため、まず、需要拡大に向けましては、公共建築物を始め、これまで余り木材が使われてこなかった中高層、中大規模、非住宅など新たな分野における建築物の木造化、内装木質化、又は、木質バイオマスのエネルギー利用、それから、高付加価値の木材製品の輸出拡大。それから、安定的な供給につきましては、ICTを活用した施業の集約化、路網整備や高性能林業機械の導入による林業の生産性向上、それから、緑の雇用事業等を通じました人材の育成、確保等に総合的に取り組むこととしてございます。

 加えて、このたびの森林経営管理法案でございます。これによりまして、経営管理が適切に行われていない森林の経営管理を意欲と能力のある林業経営者に集積、集約化していくことで、林業経営者の事業規模拡大や経営安定化が図られ、国産材供給が円滑に進みますことから、山元の立木価格の確保にもつながるものと期待しております。

緑川委員 需要の掘り起こし、やはり需要があるから供給が対応して、そして価格が上がっていく、需給が逼迫するという形ですけれども、過去の歴史を振り返っても、沖長官おっしゃられるように、素材価格が下がっているのに対応して、山元の立木価格も下がっているわけです。

 そして、資料によれば、杉立木でいえば、一本当たりの価格はおよそ千七百円、ピーク時の一割から二割程度の価格になっている。国産の集成材に係る主要コストを見ても、輸入品と比べた場合に、加工に伴うコストは輸入品のおよそ二倍、そして伐採、搬出に伴うコストはおよそ一・六倍。国産の方がずっとコストが割高なわけですね。

 国産材と輸入材の市場価格はほぼ同じなわけですけれども、国産が同じ価格を維持するために、素材となる立木の購入費用は相当に抑えられております。国産材では、集成材の生産費のうちの立木費用は三%ほど。つまり、森林所有者の収入としては、集成材の生産費の三%分しか入っていないという計算になります。一方の輸入材では、立木費用は生産費の二六%です、海外では二六%。国産立木三%、海外立木二六%、これは、つまり輸入元の森林所有者の収入は国内森林所有者の収入の九倍近くにもなるというわけで、大分事情が違うわけですね。

 こうした現状の中で、原木の供給コストを低減させるために経営管理の仕組みが導入されるわけですけれども、これの中で、加工施設の大規模化で加工に伴うコストを抑え、そして、沖長官もおっしゃられたように、ICTの利活用などによって流通コストを抑制していく。

 一連の事業の合理化、効率化を進めることというのは、私も同じ方向で、これは重要なことだというふうに思いますけれども、加工、流通、伐採、搬出、こうしたさまざまなコストを下げながら価格競争力を高めていくという動きの中で、現状でさえも十分でない立木の価格がそれにあわせて下がっていくことも大変心配されるんですけれども、こうした動きが結果として山元の利益を損なうことにつながりかねない部分もあると思いますが、いかがでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員御指摘の加工等の差でございます。

 ヨーロッパのホワイトウッド、輸入集成材でございますが、それに比べまして、国産の集成材は約倍の経費がかかってございます。

 こうしたところに対して加工経費を下げていくということは、加工施設の大規模化、効率化を図ることがまずキーポイントになろうかと思っております。これは、集成材は、丸太からラミナをつくりまして、それを接着剤で張り合わせる、大量生産型の工場を要求されますので、そうしたところの加工施設の大規模化、効率化を図る。

 そしてまた、伐採、搬出も、国産集成材の方がやはりヨーロッパに比べますと更にかかってございます。

 これを対策するためには、やはり路網の整備がまず重要だと思います。ドイツ、オーストリアに比べまして、日本の路網の密度は約五分の一から八分の一と低うございますので、こうしたところの路網の整備を図るとともに、高性能林業機械の導入をしっかり図って作業効率を上げていくということ、また、今回の新たな森林管理システムのように集積する仕組みをつくりまして効率性を上げていくということが重要かと思っております。

 こうしたことを通じまして、加工等、また伐採、搬出等のコストを下げまして、その相差分を可能であれば立木の方に持っていきたいというふうに思っております。

 そうした仕組みをつくることが非常に大切でして、日本の中においても、そうした対応ができるような仕組みが少しずつ見えてきております。そうした原木を加工工場等とコーディネートしていく方々のシステムができてきておりますので、そうしたこともきちんと措置しながら、立木価格の方に反映できるようにしてまいりたいと考えております。

緑川委員 原木の供給コストは、おっしゃるような路網の整備、そして高性能林業機械の導入、これで進めていこうというお考えはわかるんですけれども、これはやはり大変息の長い取組であろうかと思います。ヨーロッパに比べれば大変路網の整備状況はやはりおくれている。これは前回の質問でも指摘をさせていただきました。

 そうなれば、原木の供給コストで一番手をつけやすいのは、立木価格を下げることだというふうに私は思うんですね。

 こうした時代の趨勢の中で、川上、川中、川下、こうしたそれぞれの役割がある中でも、川下事業の例えば製材グループが、やはり需要に応じた供給をしてもらいたいということで、川上の事業に対して参入をしていく、そして、その結果で素材生産者を子会社化していくような、そうした動きも私は現実的に起こり得るんじゃないかというふうに思うんです。この中で、立木が安く買いたたかれることも大変心配しておりますし、先日お越しいただいた愛媛大学の泉名誉教授は、山が丸裸にされるというような強い言葉もございました。

 やはり多くの皆さんで懸念を共有しているという状況ですけれども、前回でも質問いたしました、路網整備が不十分である、この整備がまだまだこれから先だという中で、きょうも委員の皆さんから、ほぼ全員ですね、全員から、質疑で触れていましたけれども、自伐林家、自伐林業の育成、これがやはり大変重要だという御指摘がたくさんあります。

 私からも、自伐林家の貴重な収入源である立木価格を維持していくために提案をさせていただきたいんですけれども、この自伐林家の育成に不可欠で、そして森林の公益機能を果たしていくための再造林の元手になる収入、これを確保していくために、やはり不当に安い価格で取引されることのないように立木価格の最低保証の規定を設けるようなことも必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 今、立木価格の最低保証のお尋ねでございました。

 まず、その前に、木材、国産の木材でございますけれども、今や自給率が三八%まで上がってまいりましたけれども、国際商品でございます。工場着の値段というのは、国産材であろうと外材であろうとほとんど同じ値段でございます。

 そこからスタートいたしまして、流通、製材工場、素材生産業者、森林所有者というふうに、いわば川上に上っていくわけでございますけれども、そこの値段を決めるのは、やはり全体の中で決められていくものでございまして、統制経済のようなものはちょっとなじまないのではないかな。そのかわり、やはりきちんと低コスト化をそれぞれの段階でやって、山元にきちんと反映していくということが重要だと思っております。

 失礼しました、自給率、三五%の間違いでございました。申しわけございません。

 最近の例で申し上げますと、工務店さんが直接森林所有者さんに立木を買いに行くといったような動きが出てきております。要は、最終消費者が川上の方に行って木を直接買う、途中の段階を踏まないで連携をしていくという取組とか、それから、先ほど申し上げました、川上と川下をつないでいくコーディネーター、素材生産業者さんが集まって、その人たちが川上と川下をつないで木材を適切な量を適切なところに流していく、そういうことによって価格をきちんと維持していくといったような動きが出ております。

 こうした経済の原理に基づいてきちんと動いている例も出てきておりますので、私たちとしては、そうしたシステムをきちんと成り立たせていく、低コスト化をしながら川上と川下をつないでいくということで、川上の立木価格を確保していきたいというふうに考えてございます。

緑川委員 供給の面はちょっと時間もありませんのでこのあたりにさせていただきまして、川下事業について少しお話をさせていただきたいんです。

 私の地元、秋田県の北部、杉人工林の面積は全国一だという面積を誇っておりますが、大館北秋田地域は、林野庁の林業成長産業化地域創出モデル事業の一つに選ばれております。この需要拡大の一手として、秋田の伝統工芸品の大館曲げわっぱ、樹齢百年以上という大変長い年月の木が適しているとされているんですけれども、安定的な原料供給に向けて、若い木でもこの曲げわっぱに使えるようにいろいろ研究というのが今取り組まれております。

 このモデル事業の中でも進められているものでありますけれども、こうした動きに供給も反応して、東北森林管理局では、本年度から、林齢八十年以上の高品質な秋田杉、この販売量を昨年に比べて二倍以上にふやしているということで、川下事業を盛り上げようという動きが進んでおります。

 これを受けて、素材として使用できる木々を、幅を広げていく、川下事業のこうした需要の掘り起こしの方策ですけれども、木材を活用しやすくすることは、各地域の伝統工芸にも新たな可能性が広がっていくということになると思います。

 高付加価値な木材加工事業、これだけを進めるというだけじゃなくて、地域の宝である伝統工芸を外に発信していくという機会もふえるわけです。観光振興にもつながる形になると思いますけれども、大臣、観光振興と木材加工、付加価値のある木材加工事業との関係について、御所感はいかがでしょうか。

齋藤国務大臣 大変興味深いお話でありますし、結局、木材の需要を拡大していくためには、いろいろなことをやらなくちゃいけないんですが、そのうちの一つとして、今御指摘あったように、高付加価値の木材製品というもの、新しい木材製品というものを供給していくということが大事であることは論をまたないところでありますし、それが地域の伝統工芸と結びつき、さらに観光と結びついていくということは大変すばらしいことだと思います。

 それぞれ地域でいろいろな活動があるんだろうと思いますけれども、我々としても、それをよく見せていただいて、応援できるものは応援していくというふうに考えています。

緑川委員 ありがとうございます。

 ちょっとまた秋田県の話で最後は終わらせていただきたいと思いますけれども、私の住んでいるところは、昨年もそうなんですが、熊の被害が大変、これは年々ふえておりまして、目撃件数ももちろんふえているんですけれども、県として、ツキノワグマが生息している推測数がこのところ大幅に数値を上げまして、これまでに千四百頭と推定されていた熊の頭数が、二千三百頭いるんじゃないか。全くこれまでの目視調査とまた違う結果が出ています。

 熊のゾーニングという、やはりすみ分けの対策ももちろん必要であると思ってはいるんですけれども、今回の法案が積極的な里山林の整備にもつながるものだと私は思っておりまして、今回の法案がどのように資するものであるかということを、最後に齋藤大臣にお話をいただければと思います。

伊東委員長 齋藤大臣、時間が来ておりますので、端的に答弁をお願いします。

齋藤国務大臣 森林は、国土の保全、水源の涵養を始めといたします国民生活を支える重要な多面的機能を有しているほか、熊などの野生動物の生息環境としても実は重要な役割を果たしておりまして、適切に経営管理をしていくことが大切だと思います。

 一方、山村地域では、森林所有者の不在村化ですとか林業生産活動の低迷等によりまして経営管理が不十分な里山林が見られるため、熊等の野生動物が人里にあらわれるといった問題が生じております。今御指摘のとおりであります。

 このため、本法案におきましては、森林所有者による経営管理が行われていない里山林、この里山林の整備についても対象としておりますので、その整備を市町村が実施する場合には、森林環境譲与税を充当することは可能であります。

 こうした措置を通じて里山林の整備をしっかり行うということで、熊等の野生動物と人間のすみ分けが図られて、熊の生息域の広がりに対応した森づくりというものができるようになると考えております。

緑川委員 済みません、時間が来てしまいましたけれども、農業、農村の十二の機能というお話が先日もありましたけれども、林業、林村の機能、これはやはり大変大きなものがあるかというふうに思います。

 私が暮らす秋田県の海岸線は二百六十キロ余りにわたって松林が広がっているんですけれども、松くい虫の被害が拡大しておりますし、飛び砂の防備、そして防風など、保安林としての重要な役割というものも大変実感をしております。

 森林・林業政策について、また熟議を通して政治を前に進めていきたいなというふうに思っております。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 佐藤公治でございます。

 きょうは、この場で質問させていただくのに、ちょっと何か不思議な気持ちでもあり、また、時代の流れを感じるところもあります。これは後で説明をさせていただきますが。

 法案の質疑に入る前に、どうしても触れておかなくてはいけない、お聞きしたいことがございます。先ほど我が党の緑川委員からもお話がございましたが、加計学園問題でございます。

 三月二十八日に、佐川氏の証人喚問の後ということで、証人喚問のことを含めて、なぜこのような問題が起きたのか、また起きているのか、前回質問させていただきました。そして、大臣の思いや、自分だったらとの質疑もさせていただき、今後の再発防止への新ガイドラインのお話もございました。そして、大臣より力のこもった御答弁もいただき、また御期待もいたしました。

 その後、四月十日朝に朝日新聞の報道があり、内容は、加計学園の獣医学部新設に関して、「面会記録に「首相案件」」との報道でした。その後、夕方五時過ぎに愛媛県知事の会見がございました。

 大臣はこのときの状況を覚えていらっしゃいますでしょうか。

齋藤国務大臣 会見そのものは全部拝見をしておりませんけれども、よく覚えております。

佐藤(公)委員 余り見ていないとなると、御感想をお持ちになられているかどうか、そのときのお気持ちを簡単、簡潔に教えていただければと思います。

齋藤国務大臣 そのときだけではないんですけれども、NHKの報道、これは九日の夜だったですかね、そこで、その愛媛の文書が農林水産省にも配付をしたという報道がありました。それで、今、佐藤委員おっしゃるように、翌日の朝刊があって、それで愛媛県知事の会見ということがありましたので、その時点で、私は、農林水産省でその文書の存在について調査をする必要があるなという認識をいたしました。

佐藤(公)委員 大臣のおっしゃられたとおりでございます。愛媛県知事の記者会見の中に、農水省のお話が出ておりました。

 正確にそのときの愛媛県知事の発言を読ませていただきますと、この獣医学部の新設については、省庁をまたがった案件でありますから、例えば、もちろん文科省もそうでしょうし、獣医学部ですから農林水産省もそうですし、国家戦略特区ということでありますから、内閣府、地方創生、こういったところもいろいろな機関が絡んできますので、当然その思いを伝えるために、僕も、それから担当者もいろんなときに説明に行くわけですよね、そのときに、こんな状況になっていますということで、このメモを活用して、置いてきた可能性というのは否定できないと思っております、このようなことの記者会見でした。

 これを受けて、四月十一日に農水委員会において、立憲民主の石川委員や共産党の田村委員がこの件で質問をされ、大臣及び副大臣が御答弁されております。答弁内容は、官邸の方から、農林水産省に対してもその存否について調査するよう指示がおりております、我が省においても、今鋭意調査をしているところでございますとのことでした。また、大臣は、御懸念のようなことがないように、しっかり確認作業をしていきたいと思っておりますともございました。

 そして、四月十三日に、突然の大臣のまさに記者会見、農水省内で見つかったとの記者会見がございました。

 私は、最初に他省庁に先駆けて調査結果を公表、発表したのは、早いか遅いかは別にしても、評価すべきところがあると思います。他の省庁の調査が難航しているのかもしれませんし、ないのかもしれません。それにしても、いち早くお出しになられたことは、大臣のリーダーシップだったのだと思います。

 そこで、記者会見の前に官邸には報告をいたしたと思いますが、官邸からどのような御指示、御回答がございましたでしょうか。

齋藤国務大臣 官邸に連絡をしたのは私自身ではありませんので、ちょっと詳細なやりとりはわかりませんが、私どもがこういう結果が出たので公表をさせていただきますということで、向こうもわかったという、そういうやりとりだったんじゃないでしょうか。ちょっと詳しくはわかりませんけれども。

佐藤(公)委員 今のお話を聞いて、私はちょっとびっくりしております。これだけ大事な案件なのに、担当者同士だけの話、大臣みずからがお話をすることがなく過ぎてしまったというか、記者会見に至ったのは、私は何か不思議さを感じるところがございます。

 そこで、大臣の記者会見の内容、資料が配られたと思いますが、ペーパーを見せていただきました。どうも不自然に思えることを幾つか感じました。

 例えば、当該職員からの御発言、聞き取りにおいて、首相案件という言葉があったならば、当該職員のおっしゃられている、所掌事務とは直接関係ないものと考え、行政文書としての管理は行わずに保有していたというようなことが言われている、ヒアリングで出たというお話を聞きました、といった軽い扱いになっているのかな。また、前任者は、見た記憶もないなどとおっしゃられていますが、本当ならば、逆に、首相の重みや重要性といったものがなく、軽んじられているように思えるのは私だけなのかなというふうにもちょっと疑問に思い、本当に大丈夫なのかなというふうにも思ってしまいました。

 書類に目を通していない、こんな大事な情報に目を通していない、こんなことがあるんでしょうか。

 だから、お聞きします。

 前回の質疑でもお聞きしましたが、危機管理案件との意識の中で、大臣の、四月十日の朝日新聞の報道からのある意味危機管理体制の指示行動をどのように行ったのか、覚えていらっしゃる限り時系列的に、簡単に御説明願えればありがたいと思います。

齋藤国務大臣 まず、官邸への報告についてのお話がありました。これは、そもそも、きちんと調査をという話は官邸の副長官の方からありましたので、そのルートで調査結果をお返ししたということであります。

 それから、どういう時点でということでありますが、まず、これはこの委員会でも私答弁をさせていただいたと思うんですけれども、こういう愛媛県の文書があるということ自体、私も大臣になる前二年間副大臣をやっておりましたし、それからその前は自民党の農林部会長を二年間やっておりましたので、そういう意味では、振り返って、こういう文書があるということ、見たこともなければ、それから聞いたこともないというのが私のそのときの状況でありました。

 九日のNHK、それから十日の朝日に触れたときも私の認識はそういう状況でありましたので、したがって、それに応じて、そのときに調査をする必要があるなと感じた。そして、同時並行的に官邸の方からもそういう指示があったので、私の思いと一致をしたので、早速調査を指示した。

 そういうことで、何時何分とかそういうのは、ちょっと申しわけないですけれども、覚えておりません。

佐藤(公)委員 今のお話で、大分冷静にというふうによくとれるかもしれませんけれども、お話しいただきましたけれども、逆に、ちょっと人ごとのような話にも聞こえるようにも思い、ちょっと心配をしております。

 ところで、その危機管理体制の中で、この委員会、委員長、理事にこの記者会見の前に、こういう文書が見つかった、こういうことで記者会見をするというお話はされたんでしょうか。

齋藤国務大臣 そこは、調査が終わったのは木曜日、木曜日は十二日でしたよね、十二日に大体わかった、その時点で実は流れ始めていたわけでありますね。ということで、翌日の金曜日の朝、これはもう急ぎ公表をするべきであろうということで判断に至ったわけでありますが、その前に委員長や皆さん方に報告をしたかということについて言えば、報告はしていなかったと思います。

佐藤(公)委員 ここが私が最初にお話をした、不思議な気持ちであり、時代の流れなのかなというふうに思ったところでございます。

 まさに、立法府と行政府との緊張関係というのは、そういうところのきちっとした気配りでもあり、手続を踏んだ上で進めていく。まして、情報が先に漏れたから早くしなくてはいけない、情報が漏れること自体、問題だとも思います。

 そういったことを全て見ていくと、大臣が、まさに立法府、これは与野党ともに関係ございません、委員長以下委員を、この委員会を、少し、いや、大分軽んじられているのではないかと私は思い、強く大臣に反省を促したいと思います。

 内容の問題ではなく、我々、議会制民主主義においては、時間と手続でもあります。それをきちっと踏まえていただかなければ、まさに信頼関係を、前回の質問もそうです、取り戻すために大臣と前向きな議論をしているにもかかわらず、そういったことが先に大臣の判断でしてしまうというのであれば、立法府の存在を今後疑われてしまう、私はそう思っております。

 そうこうしていたらば、昨日の四月十六日、先ほど緑川委員も触れてくれました、東京新聞、ここに、農水省が提出を求めるという記事が一面に出てきました。この信憑性というのは私もわかりません。しかし、今この状態においてこんな報道がされていること自体、齋藤大臣及び政府が言っていることが全くつじつまが合わない状態になる。まさに危機管理体制としてのピークを迎えているようにも思える。そして、先ほどの大臣の答弁は、全く人ごとのような、よく言えば冷静かもしれません。

 では、この記事の件は、大臣、御存じでいらっしゃいますか。

齋藤国務大臣 まず、公表の前にこの委員会に御報告をしなかったという点につきましては、大臣の判断という御指摘がありましたけれども、私がするなという判断をしたのではない、これは断言をしたいと思いますが、ただ、御指摘はよく、重く受けとめたいと思います。

 それから、今の記事の件につきましてですけれども、この件についてはまさにヒアリングを、おおよそ考えられる職員三十六人にヒアリングをした結果からは、そういう事実というものはなかったということであります。

佐藤(公)委員 もう一度御確認します。

 この報道は知っていた、そして、これはデマだったということでございますか。

齋藤国務大臣 報道は、朝、その新聞記事で知ったということであります。

 それから、デマかどうかは私の方からコメントは差し控えますけれども、ただ、私どもがやった調査の中ではその事実は確認をできていないということであります。

佐藤(公)委員 もう時間がなくなってしまい、法案のことが聞けなくなってしまっておりますけれども。

 この件も含めて、私は、本来、この委員会がきょう普通に開かれていること自体、過去の記憶では、こういうケースは、委員会が開かれない、荒れる、又は冒頭において謝罪、失礼な言い方かもしれません、そして、経緯、経過の説明、事後になったとしてもするのが過去の例じゃないかなと思う。でも、そんなことが何にもなかったかのように委員会が進む。私は、この委員会のあり方、委員長、委員に対しても大変失礼な進め方だと思っております。

 時間となってしまいましたが、どうかこの辺は強く申し上げ、きょうは参考人の要求、集中審議の要求はいたしません、状況を見て私どもは要求をしてまいりたいと思いますけれども、よくよく肝に銘じていただきたい。

 そして、森林経営管理法案の件ですけれども、もう問題点はたくさん出ております。

 現場を歩いていても、まさに私が思うに際して、例えば、地籍調査、路網整備、マンパワー、人に関しての経験、能力、担い手、県、市町村を含め連携、役割分担、情報提供、共有、市町村の体力、調査能力、測量技術、民民の調整機能、川上、川中、川下のあり方、各省庁との連携、水源林、井戸、水の流れ、財政的問題、配分問題、使途、目的の整理、整合性、いろいろな面でのリスク管理、森林組合、外部委託との関係。

 だからこそ、私は、最後にお願いしたいことは、この法案はやってみなきゃわからない、やらないと動かない、細かいことはこれから、不安、懸念材料はたくさんあります。途中途中で、委員会において、また党の部会、会合、個々においてやはりチェック、管理、また検証、総括をしながら、軌道修正する必要性がすごく高い法律だと思います。

 その意味では、農水省との関係も含めて、強く強く、そこら辺を委員皆さんにも要望しながら、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 私からも、加計学園の獣医学部新設計画に関連する文書について、一つ質問をさせていただきたいと思います。

 この件について官邸がどのように関与したかということは、多くの国民の皆さんが大変関心を持って注視していらっしゃると思います。もしかすると、本当に、一部の人間によって行政が大きくゆがめられたのではないか、そういう疑問、これが大きくなっているというふうに思います。

 今ほども、いろいろと御答弁がありました。

 学部の設置、大学の設置等が農水省所管ではないから、そういう部外者的な発言というのはお避けいただきながら、そして、やはり獣医学部ということですから、獣医師の試験もそうですけれども、偏在や不足の問題も抱えてきていて、当然農水省が所管でございますので、そういう立ち位置からしても、このことについてどのようにお考えになっていらっしゃるかということをしっかりと私は農水大臣からお伺いしたいというふうに思っております。本当の意味での真相を解明するために、農水省がしっかりと動くべきだというふうに思っています。

 そういった点で、大臣は、どのような御姿勢で臨まれるのか、お伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 いろいろな論点があると思うんですけれども、一つは、この件も含めて、文書管理のあり方というものが、政府全体の問題として、信頼性にかかわる問題だということでありますので、我が方、農林省に関する文書管理については、責任者としてきちっとやっていかなくちゃいけないということが一つあります。

 それから、この加計学園の問題につきましては、農林省のスタンスはもう一貫をしておりまして、とにかく獣医師の需給について、それは、産業動物獣医師については、全体としては需給は確保できているんだけれども地域の偏在がある、そういう考えで一貫をしておりまして、その考えの中でこの問題についても処理をしてきているということでありますので、その方針で、この加計問題については、今までもそうだし、これからも取り組んでいきたいというふうに思っているところです。

金子(恵)委員 総理がどういうふうに関与したか、そして官邸がどのように関与したか、柳瀬元秘書官がどのように関与したか、こういうことについてぜひ真相解明をお願いしたいと思います。その意味で、どのような姿勢で臨まれるのかということをお聞きしました。もう一度お願いします。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

齋藤国務大臣 私も、真相が解明をされるということは望んでおりますよ。だけれども、私がここで農林水産大臣として何ができるか、どういうスタンスでいるべきかということについては、先ほど申し上げたとおりでございます。

金子(恵)委員 私は、農水大臣としてどのような姿勢でというふうにお伺いしましたが、それは、政府一体となって、政府全体として真相解明していただきたい、そういうお願いをさせていただいているつもりです。よろしくお願いいたします。

 大切な法案審議でございますので、そちらに移らせていただきますが、十二日に四人の参考人の方から貴重な御意見をいただきました。その中から、更に課題があるということも確認させていただいたわけなんですけれども、まず、その参考人質疑に基づきまして質問させていただきたいと思います。

 高知県知事の尾崎参考人から、まず一番目でありますが、ぜひ市町村が円滑に運用できる制度設計をお願い申し上げたいという明確なお言葉がありました。高知県内においても、林業専任の職員がゼロの市町村が半分以上ある、市町村で専任職員は三十一人しかいないということでありまして、これに対して県の職員は百九十五名いるということで、県がしっかりと市町村をバックアップすることが大事である、そういう御発言もありましたけれども、この言葉が意味することというのは、やはり現在の市町村の体制では、法律が成立したとしても人手が足りない状況で、法律の趣旨に合った形でしっかりと動かすことができない、そういうことだろうというふうに思います。

 そこで、市町村が円滑に運用できる制度設計というものはどういうものなのだろうか。しっかりと御検討いただいていることだと思いますが、尾崎参考人からは、政令、省令で定める市町村の業務については効率的、効果的に実施できる仕組みの検討をと提案をいただいています。例えば、ほかの市町村に住所がある所有者の照会事務など市町村相互の情報共有を可能とするような仕組みづくりをというようなことでおっしゃっていただいています。

 実際に、例えば施業の集約化を進める上でも、全体として申し上げると、やはり森林所有者の確定、境界の明確化に向けて情報を得る仕組みづくりというのが重要になってきています。現在、関係行政機関などがそれぞれ森林に関する情報を持っていると思いますけれども、そういう部分から市町村の負担を軽減するためにも森林情報の共有、利用等を行うべきであると思いますし、今、尾崎参考人からの提案のような、市町村相互の情報共有を可能とするそういう仕組みづくりというのが必要だというふうに思っております。

 この件についてどのようなお考えを持っているか、お聞かせいただきたいと思います。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

齋藤国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 森林情報の円滑な利用を図るために、平成二十八年の森林法改正によりまして、市町村が所有者や境界の情報を一元的に取りまとめた林地台帳を作成する制度というのが創設されておりますが、平成三十一年四月までにこの林地台帳が各市町村で整備をされることになる。市町村は、この林地台帳を活用しながら森林所有者の住所地を把握した上で、その森林所有者が住所を有している他の市町村に対して所在の有無を照会することができるようになるなど、平成三十一年四月以降は市町村相互の情報共有がよりやりやすくなる。そういうことになります。

 市町村に対しては、この林地台帳も積極的に活用をしていただいて、関係行政機関における森林情報の共有を図り、新たな森林管理システムが円滑に運用できるように国としても指導をしていきたいというふうに考えております。

金子(恵)委員 私、前回の質問で、林地台帳の整備の進捗状況についてお伺いさせていただきました。そのときに、例えば登記情報の収集については、平成二十九年九月末の時点で全市町村数の約九割において実施済みとなっているというようなことでありました。

 しかし、この九割というのは登記情報の収集ということでありまして、もともと登記されていない森林も多いというような課題もある中で、当然のことながら、これをもって予定どおり進んでいるというのはやはり言えない状況だというふうに思うんです。

 反対に、穴だらけの台帳になってしまって、そこを埋めていく、それを整備していくことを進めていくということで、結局、やはり市町村の皆さんの負担というのは減ることがないという状況だと思うんです。

 ですので、先ほど来私が質問させていただいている部分というのは、やはり市町村の仕事をいかに軽減させていくか、いかにバックアップして支えていくか、この仕組みづくりだというふうに思っています。

 その件について、今おっしゃっていただいたような情報を共有できる仕組みづくりというのはもちろんこれからもしっかりと検討していただいて、そうでなければ、これは法律としては成り立たない、本当に実効性のある法律にならないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 御指摘のように、ベースとなるものがしっかりできていなければ、市町村同士の連携も何もないということでありますので、繰り返しになりますけれども、森林法改正で、市町村が所有者や境界の情報を一元的に取りまとめた林地台帳を作成する制度というものが創設されますし、それが来年の四月から本格運用されることになりますので、それに向けて、万遺漏なきように努力をしていきたいというふうに思っております。

金子(恵)委員 通告の順番を少し変えさせていただいて、今と関連づけまして、集約化を進めるための森林所有者の確定、境界の明確化に向けた予算措置、国が本当にしっかりとやっていくべきだというふうに思います。

 その支援のあり方についての御所見を、副大臣からお願いいたします。

礒崎副大臣 新たな森林管理システムのもとで森林の経営管理を意欲と能力ある林業経営者に集積、集約化し、林業の成長産業化を実現するためには、森林所有者や森林境界の明確化を進めることが重要であると考えております。

 このため、農林水産省としては、森林所有者の所在確認や森林境界の確認を行う森林組合等の活動に対し、森林整備地域活動支援交付金、これは林業・木材産業成長産業化促進対策百二十億円の内数でございますが、これを行っております。

 また、地方財政措置において、森林所有者や森林境界の明確化を含む森林・林業対策のために平成二十八年度から五百億円が措置されているところであり、平成三十年度においても引き続き同様の措置が地方財政計画に計上されているところでございます。

 こうした支援を通じまして、森林所有者や森林境界の明確化を推進してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 次に、この法案に対して大変慎重な姿勢で御意見を述べられました泉参考人の御指摘をもとに質問をさせていただきたいと思うんですけれども、素材生産業者の位置づけについてお伺いさせていただきたいと思います。

 泉参考人は、素材生産業者を林業経営者と位置づけることには無理があるという御発言をされておられまして、その御指摘の一部を紹介させていただきますと、まず、素材生産業者等は、育林管理ということに対しては一般的に非常に苦手ではないかというような御指摘で、今回、主伐後の再造林から保育まで十五年以上の管理が、どうも今の段階では素材生産業者等に課せられるようですという御発言をされ、それで、この素材生産業者等にとっても、十五年間の管理義務ということは決して甘いものではないというふうにおっしゃっているんです。

 そして、二つ目の部分でありますけれども、素材生産業者等は、比較的資金力等が弱い、それで、資金力の豊富な会社等が素材生産業者等に対して資金援助をして実施権を確保するだけでなく、素材生産業者等を直接的に下請化することによって、みずから林業経営者となる道も開かれております、このことによって、大面積の経営管理実施権が大手の会社等に集積される可能性も強まっていますというような御発言もされているんです。

 素材生産業者が、林業経営者としてあるいは林業の担い手としてどのようにこの法案の中では位置づけられているのか、お伺いしたいと思います。

野中大臣政務官 素材生産業者でございますが、我が国の丸太の約四割を生産する、いわば林業の担い手として主要な位置にいるものというふうに認識をしております。

 このような中、素材生産業者は、森林組合、自伐林家等とともに、経営管理実施権の設定の受皿になるものというふうに考えております。これらの民間業者については、森林所有者及び林業従事者の所得向上につながる高い生産性や収益性を有するなど効率的かつ安定的な林業経営を行うことができる者、主伐後の再造林を実施する林業生産活動を継続して行うことができる者を対象としていることとして、林業の主要な担い手として期待しております。

 また、都道府県が主に公募、公表するわけでございますけれども、その中でも、会社の規模というのは関係なく、また市町村からの推薦も得て、ここは連携をとっていただくわけですけれども、会社の規模関係なく、公表、やる気、意欲のある経営者が出てくるもの、その中に素材生産業者が含まれている、期待しているということでございます。

伊東委員長 金子恵美君、時間が来ております。

金子(恵)委員 時間が参りましたからこれで終了させていただきますが、本当の林業の担い手というのはどういう方々なんだろう、その疑問点というのはまだまだ払拭されていません。

 法案には賛成させていただきたいと思いますが、この課題をともにいろいろと解決していきたいという思いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 私の方からも、加計学園の獣医学部開設をめぐる愛媛県が作成した文書について質問をさせていただきたいと思います。

 大臣に尋ねます。

 農林水産省の職員がこの文書を保有していたとわかったのは、いつの時点でしょうか。そしてまた、齋藤大臣がこの文書の存在を知ったのは、いつの時点でしょうか。端的にお伺いします。

齋藤国務大臣 調査している途中の水曜日、十一日の水曜日に、私のところに、口頭でですけれども、愛媛県文書がありそうだという報告が私にありましたので、私が承知をしたのは、その水曜日ということになります。

 恐らく、直ちに私のところに第一報があったのではないかなというふうに私は思っております。

田村(貴)委員 そうすると、職員がこの文書の存在を確認したのは、十一日以前、十日か十一日ということになるんでしょうか。

齋藤国務大臣 そうですね。十日の報道で、それから調査を始めていますので、十一日に、まあ、ちょっと、推測で言ってはいけませんけれども、私のところには直ちに報告があったんじゃないかなというふうに思っております。

田村(貴)委員 では、この文書を農林水産省の方で受け取った後に、愛媛県、今治市そして加計学園に農林水産省の立場を伝えたことがありますか。その後にとった政策的な変化等があったでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 この文書につきましては、行政対応の責任者である局長あるいは課長、この文書を見たり、文書について聞いたりしたことはございません。

 いずれにいたしましても、農林水産省といたしましては、この文書が作成された、二十七年四月ということでございますが、その以前から、獣医師の需給に関しまして、数自体が全体として不足している状況にはないけれども、地域によっては産業動物獣医師の確保が困難なところがある、こういったことを一貫して説明をしてきたところでございます。

田村(貴)委員 そうしますと、きのうの東京新聞にありました、地方創生推進室藤原次長やそれから安倍首相秘書官柳瀬氏に対してどんなやりとりがあったのか至急確認したいというようなメッセージを農林水産省から発したことはないということでよろしいんでしょうか。

池田政府参考人 お答えします。

 今般の調査におきまして、丁寧なヒアリングを行いましたけれども、そのような事実は確認をしていないところでございます。

田村(貴)委員 まだまだ不明瞭なところがあって、事は政治、行政がゆがめられたかもしれないという疑惑の中で、私は、この愛媛県の文書というのは、かなりリアルなもので説得力を持つ文書になって、そしてごまかしようが、必要性もないというようなところの貴重な文書だというふうに思っています。その文書が農林水産省から出てきたといったところの背景は、この加計学園の問題を解明する上では非常に重要な事象であるというふうに思います。

 きょうは法案審議でありますので、この続きはまた機会があったらお伺いしたいというふうに思います。

 そこで、森林経営管理法案についてお尋ねをいたします。

 私、前回の質疑の中で、農林水産省の説明資料の中で、経営意欲なし八四%、主伐の意思なし七一%という農林水産省が使っている数字は恣意的なものであり、所有者に対するアンケート結果から見ても、その結果を捏造したものであるというふうに、今もそういうふうに考えております。

 この数字がもう各地に出回っているわけなんですよね。私は、今後、やはり正確な数字を出していただきたい、恣意的な数字じゃなくて、ありのままの森林所有者の気持ちを出してほしいというふうに思いますので、今後つくられる森林・林業白書を含めた文書にはまさかこうした数字は載らないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 森林所有者の経営意欲に関する資料は、現在作成中の平成二十九年度森林及び林業の動向、いわゆる森林・林業白書案においても掲載しているところでございますが、同白書案におきましては、数字の内訳について注意書きを行い、読者に誤解が生じないよう工夫しているところでございます。

 なお、同白書案につきましては、本年四月十三日に開催されました林政審議会において当省から説明を行い、委員から特段の異論は出されなかったところでございます。

 いずれにしましても、本資料を含め、新たな森林管理システムに関する各種資料等について、わかりやすい説明に努めていくこととしていきます。

田村(貴)委員 確認しますけれども、そのままの数字を載せるということでしょうか、それとも改めるということですか。端的にお答えいただきたいと思います。

沖政府参考人 数字は、その数字を引用していきます。

田村(貴)委員 これは、やはりこの法案に私たちは明確に反対せざるを得ないと思います。入り口から捏造しているわけなんですよ。本当はないことをあるかのように偽って、そして所有者に対するアンケートの結果を、意欲という言葉まで持ち出して、そして捏造したわけであります。ここが起点になっている本法案は、やはり審議の土台を崩しているものと指摘せざるを得ないというふうに私は思います。この数字がひとり歩きしないように、再度申し入れたいと思います。

 次の質問です。

 山元立木価格が、長年低下の一途をたどってきました。そして、山は荒廃し、森林作業員が減少してきた。この実態について、その要因はどこにあるというふうに農林水産省はお考えになっていますか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 戦後の経済復興に伴い木材需要が急増する中で、我が国の森林資源は、高度経済成長期において、その多くがいまだ利用期に達していなかったため、昭和三十九年に木材の輸入を完全自由化し、外材により国内の木材需要を満たしてきたところでございます。

 その後、木材需要は、非木材等の代替材に移行したことなどから減少し、山元立木価格の低迷や林業の採算性悪化もあり、山村の人口減少や高齢化という現象も相まって、林業従事者の減少も進んでいるところでございます。

 このような状況の中で、戦後造成された人工林がようやく本格的な利用期を迎えておりますが、経済ベースで十分に活用できておらず、また、適切な森林管理が行われていないという課題が存在していると認識しております。

 今後につきましては、新たな森林管理システムの導入によりまして経営管理の集積、集約化を促進し、搬出コストや流通コストの削減を通じて国産材の競争力を向上させるとともに、緑の雇用事業等により林業従事者の育成、確保を図り、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の確立を確実に進めてまいります。

田村(貴)委員 戦後、林業政策の失敗であったことはもう間違いがないところであります。ですから、その原点に立ち返って、やはり山のあるべき姿を求めていかなければいけないと思います。

 次の質問です。

 経営管理権集積計画、この策定に当たって、条件はこう定められています。経営管理が適切に行われていない森林を市町村が特定する。何をもって適正管理というんでしょうか。その基準について、この法文にはどこか書いていますか。

沖政府参考人 お答えします。

 市町村は、当該森林についての経営管理の状況とか、当該森林の存する地域の実情その他の事情を勘案して、当該森林の経営管理権を市町村に集積することが必要かつ適当であると認める場合に、経営管理集積計画を定めることとしてございます。

 このため、具体的に申し上げれば、間伐などの森林施業の過去の履歴や路網の整備状況、担い手の活動状況等を総合的に勘案しまして、経営管理権を集積しなければ適切な経営管理が確保されるか否かを判断するということになると考えております。

田村(貴)委員 その基準やガイドラインが今示されていなかったら、これは市町村の恣意的な判断、そしてバランスを欠いた見方になっていくのではないかというふうに思います。この点も指摘させていただきたいと思います。

 そして、大きな問題は、集積計画に不同意であっても、同意しなくても同意とみなす規定というのは、これは保有者の財産権をやはり侵害すると指摘する方もおられます。なぜ、こんな強権的な手法をこの法案では取り入れているんでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 経営意欲の低い森林所有者の中には、市町村と行う調整にかかる手間を敬遠して不同意の意思表示をされる方、また、同意、不同意すら明らかにされないような方等多く存在しますし、経営管理権集積計画の作成に支障が生じることが想定されるところでございます。

 このため、本法案におきましては、森林所有者が市町村の定める経営管理権集積計画に同意しない場合でも、市町村の長による勧告、都道府県知事の裁定等の一定の手続を経て、市町村に経営管理に必要な権利を設定することができることとしております。

 なお、その際、森林所有者に対しては、意向調査や同意する旨の勧告を経ることとしているほか、意見書を提出する機会を付与することなど、慎重な手続を踏むこととしております。

 また、裁定の手続を経て市町村に権利設定された場合であっても、経営管理集積計画の公告の日から五年経過した後に、市町村の長は、意見書を提出した森林所有者から取消しの申出があった場合などには、計画を取り消すものとしており、森林所有者の権利に十分配慮した仕組みとしているところでございます。

田村(貴)委員 この規定には法制局からも意見があったというふうに伺っております。そして、主伐を目指さなければ不同意としてみなす、こういう仕組みが基本であります。この規定は本当に厳し過ぎると思います。

 さらに、森林所有者に還元される利益についてです。

 木材の販売価格から伐採及び再造林、育成に要する経費を控除してなお利益がある場合とされています。山の保有者に対して利益が還元される保証はあるんでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 今般創設することとしております新たな森林管理システムにおきましては、販売収益から伐採等に要する経費を控除してなお利益がある場合に、林業経営者は森林所有者に金銭を支払うこととしており、必ずしも利益の還元を受けられることが保証されるわけではございません。

 しかしながら、このシステムにおきましては、経営管理実施権は林業経営者の同意に基づいて設定されるものであり、集積、集約化される森林については、基本的に経済ベースに乗るものを想定していることに加え、経営管理実施権の設定を受けて林業経営者が実施する林業経営に係る経費については、標準的な単価設定とするように指導することにより、林業経営者が販売収益を上げるために相当の経営努力をすると見込まれることから、森林所有者に対しても利益が還元されることが想定されるところでございます。

田村(貴)委員 要するに、やってみないとわからないということで、いみじくも、必ずしも利益が還元されるものではないといったところなんですよね。これはやはり大問題だというふうに思いますよ。

 どんなふうに言われようと、本来、立木を幾らで売って、そして経費と利益をどれだけ見積もるのかというのは、これはやはり森林所有者、オーナーさんが行うべきだというふうに考えます。こんな枠組みでは、さまざまなモラルハザードを起こしかねないというふうに私は指摘をするものであります。

 そもそも、林業と森林をこういう状況まで追い込んだのは、木材価格の低下を招いた政府の林業政策を起因としているところであります。山林所有者の意思を軽んじ、そして経営意欲がないと決めつけて市町村の負担をふやすばかり、川下の成長戦略を最大限追求する、こういう法案にはやはり納得、同意をすることはできません。森林の健全な育成と逆行するやり方は認められないということを述べまして、私の質問を終わります。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も、質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 先週、参考人の方々からは大変貴重な御意見をいただきまして、大変勉強になりました。今後に生かしていきたいと思います。

 質疑に入る前に、少し九州の話をさせていただきます。

 私は、鹿屋体育大学の出身で、大学時代を鹿児島県鹿屋市で過ごしました。九州は、私にとってとても身近で大好きな地域です。

 二年前の四月十四日、十六日に熊本地震が発生しました。田畑の地割れなど、農業被害額は一千億円を超えるものであったと聞いております。私は、熊本地震の直後に熊本を訪れる機会がありましたので、益城町を訪れ、被害の状況も自分の目で見てまいりました。現在も、もとの生活に戻ることができていない方々がたくさんいらっしゃると聞いております。災害復旧復興と防災に関しても、農水省としてもしっかり取り組んでいただきたいと思っております。

 四月十一日未明には、大分県中津市で山崩れが発生しました。この地震大国日本で、近年は、集中豪雨による土砂災害もふえております。今回の山崩れの原因は、岩盤の風化の可能性があるとの報道がありました。私は、今回の森林環境税を活用して、森林の管理はしっかりと行っていただきたいと思っております。

 しかし、十二日の参考人質疑で愛媛大学の泉名誉教授が、どういうふうに森林施業をすれば本当に防災になるのかという科学的根拠が全くないとおっしゃられておりました。この科学的根拠についてはまたの機会に質問をさせていただきたいと思っておりますが、私は、人が山に入るというのは必要なことだと思っております。今回の山崩れも、数日前に落石等があったと聞いております。もっと早い時期から変化に気づくことができれば、避難を呼びかけることができたのではないかと思います。

 今回のような山崩れは、ほかの地域でも起きる可能性があるとも聞きました。今回の山崩れの原因を農水省としてしっかり把握をしていただき、これから、この森林環境税を活用して、防災対策にもしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 それでは、森林経営管理法案について質疑をさせていただきます。

 木材の輸入量は平成八年をピークに減少傾向で、国産材の供給量は増加傾向にあります。しかし、木材の自給率は低迷状態です。国産材がもう一度主役になる時代にするためには、参考人の方々からも御紹介のあったような森林組合のさまざまな取組などを全国でも進めていかなくてはと強く思いました。

 林野庁のホームページで拝見をいたしましたが、国民の森林に期待する働きのグラフがありましたが、一位は災害防止、二位は温暖化防止、三位が水資源の涵養と、昭和五十五年からほぼ、一位から三位は変わっていなかったのですが、木材生産に対する期待が平成十一年から一気に上がってきています。

 先代が残してくださった貴重な財産を守るために、やはり林業経営の効率化、管理の適正化の一体化を図り、市町村、都道府県と連携をし、国では、所有者不明土地は法務省、国交省とも横の連携をしていただき、農地にせよ、林野にせよ、現地で知識を持っている方がいらっしゃる間に対応をしていただきたいと思いました。

 既に何回となく御質問もありますが、所有者不明の土地については、横の連携をどのようにされているのか、また、今後どうされようとしているのか、法務省と農林水産省からお考えをお聞かせください。

筒井政府参考人 いわゆる所有者不明土地問題につきましては、ただいま委員から御指摘がありましたように、関係省庁が連携を図り、政府一体となって対策を進めていくことが重要であると考えております。

 昨年六月九日に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針二〇一七におきましては、公共事業や農地、林地の集約化などにおいて共通課題となっている所有者を特定することが困難な土地に関して、地域の実情に応じた適切な利用や管理が図られるよう、関係省庁が一体となって検討を行い、必要となる法案の提出を目指すものと明記されました。

 これを受けまして、法務省としては、まず、国土交通省と一体となって、この通常国会に所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案を提出するなど、関係省庁と緊密な連携を図ってきたところでございます。

 また、所有者不明土地に係る諸課題について、政府一体となって総合的な対策を推進するために、本年一月十九日に所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議が開催されました。

 法務省におきましては、この会議において中期的な課題とされている登記制度、土地所有権のあり方等につきまして、農林水産省、林野庁、国土交通省などの関係省庁の協力を得ながら、現在検討を進めているところでございます。

 法務省としては、民事基本法制及び民事法務行政を所管する立場から、引き続き関係省庁と連携し、所有者不明土地問題の解決に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

沖政府参考人 お答えいたします。

 所有者不明の土地の問題については、森林も含めた土地制度全般の問題として、先ほど御紹介もありましたが、本年一月に設置されました所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議において、関係行政機関の緊密な連携のもと、政府全体の取組として検討を進めることとしているところでございます。

 この中で、所有者が不明の森林については、今回、森林経営管理法案において、一定の手続により市町村や林業経営者が当該森林を経営管理し、円滑に活用できる仕組みも整備することとしているところでございます。

 加えて、不動産登記制度等を担当いたします法務省におかれましては、登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会を立ち上げるなどして、検討に着手されているところでございます。

 林野庁としても、林地を主管する立場から同研究会のメンバーに入っており、積極的に議論に参画してこの問題に対処してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございました。

 所有者不明土地が事業実施の妨げになっていると参考人の方々もおっしゃっておりました。また、所有者の探索が多大な負担となっていることが根本の大きな問題だと思いますので、一歩一歩積み重ね、横の連携をしっかりとしていただき、進めていただきたいと思います。

 枠組みに関しては総務省と農水省がされておりますし、所有者不明土地に関しては、法務省、国交省なども扱っています。法務省が民法の仕組みにこだわり過ぎているようにも感じます。政府全体として登記をどうするのかという点が重要なことは理解しておりますが、既に起きてしまっている問題に対して迅速な対応を、関係各省で連携をして進めていっていただきたいと思います。

 私の地元京都府の森林面積は、全体の七四%です。京都府でも農林漁業従事者は減少する一方で、この二十五年で、農業就業人口は約半分の五三%減、林業に関しては六七%減となっております。しかし、林業の若年者率は上昇傾向で推移をしており、平均年齢は若返り傾向となっております。森林施業プランナーも人材確保されつつあるとのことですので、引き続きの御支援をよろしくお願いいたします。

 先週の参考人質疑の中でも、意欲と能力のある林業経営者が頑張られていることをお聞きしました。日本の財産を守るため、有意義な活用をお願いしたいと思います。

 次に、信用基金法について伺います。

 農水省の資料を見ますと、本法案の目的として経営規模の拡大を挙げておりますが、規模拡大を図るためのネックとして、現行の制度について、債務保証の規模要件が小さいこと、出資持分の払戻しが禁止されていることが挙げられております。規模拡大のネックについて、本当にこれらがネックになっているのでしょうか。関係者にお聞きになられたのでしょうか。お答えください。

沖政府参考人 お答えいたします。

 債務保証の規模については、現行制度では、林業を営む会社のうち、資本金の額又は出資の総額が一千万円以下のもの及び常時使用する従業員数が三百人以下のものに限って、独立行政法人農林漁業信用基金からの債務保証を受けることができることとされてございます。

 これは、かつての林業関係の企業の零細性に基づいて設定された要件でございますが、近年、事業規模の大きな木材製造業者等の割合が高まってきており、現行の資本金等の要件に該当する木材製造業等の会社は三割程度となっております。

 また、持分の払戻しについては、現行制度では、出資者の利益保護を図る観点から、出資者の林業信用保証の利用が低位となった場合には、その出資持分を他の新たな債務保証利用者に譲渡することによって資金回収を行うことができるとされてきたところでございます。

 しかしながら、近年、新規の債務保証利用者が減少しているため、譲渡する側の待機者が増加しておりまして、林業経営者にとって、出資持分を回収できないことが債務保証の利用の妨げとなっております。

 このように、今後、林業者等の事業規模の拡大を進めていくためには、これらの情勢を踏まえました見直しが必要であると考えております。

 それから、規模要件の拡大と出資の払戻しについて、関係者の要望を聞かれたのかというお尋ねもございました。

 規模要件の拡大につきましては、近年、事業規模の大きな木材製造業の割合が高まっていることを先ほど申し上げましたけれども、資金の額又は出資の総額が一千万を超える林業経営者においても債務保証制度の利用が可能となるよう、木材関係団体から農林漁業信用基金に要望されていると聞いてございます。

 また、出資持分の払戻しにつきましては、過去に債務保証制度の利用が終了した林業経営者から、早期に出資持分を回収したいとの要望が農林漁業信用基金に多数寄せられております。また、関係団体からも、出資持分の払戻しを制度化するよう要望されているものでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 本改正による規模拡大の見通しについてもお聞かせいただけますでしょうか。

沖政府参考人 規模拡大についての影響はないのかというお尋ねかと思います。

 木材製造業者の大型化が進む中で、資金調達を円滑に進めるという観点から林業信用保証を必要としている者の中には、資本金が一千万円を超えて、かつ従業員数を増員していきたい、ふやしていきたいという、ふやしていったために分社化をしたような事例も出てきているところでございます。

 こうした木材製造業者の大型化は今後も更に続くと考えられますため、関係団体から、資本金要件の変更が要請されていると聞いております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 信用基金について、農業や漁業については、県の協会を介して債務保証を行うと聞きました。これはなぜでしょうか。農業、漁業も林業と同じようなスキームにした方が合理的ではないかと感じますが、いかがでしょうか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 農業分野及び漁業分野におきましては、漁協、農協系統により金融業務が実施されていましたことから、都道府県段階において債務保証を行う基金協会が設立されてございました。

 一方、林業分野におきましては、森林組合系統は金融業務を実施していなかったこともございまして、国レベルでも都道府県レベルでも債務保証を行う機関が設立されていなかったところでございます。

 こうしたことから、昭和三十八年に林業信用基金を設立いたしまして、全国の林業者を対象とした直接債務保証を行う道を開いたものでございます。

 こうした理由で、農業と漁業と違うという状況が生じてございます。

森(夏)委員 ありがとうございました。

 最後に、森林経営管理法案について、重ねてになりますが、一言申し上げさせていただきます。

 まずは身を切る改革により一般財源から予算を捻出すべきところを、今回、このような形になるに当たり、今後も施行状況に応じ見直しをし、今後、安易な増税につながることがないようにしていただきたいと思います。

 また、冒頭にも申し上げさせていただきましたが、災害に強い森林づくり、防災対策にしっかりと取り組んでいただきたいと強くお願いしたいと思います。

 そして、林業に携わる方々の努力が報われるようにしていただきたいと願い、本法案に対する質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、森林経営管理法案及び独立行政法人農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論します。

 森林経営管理法案は、林業の成長産業化をうたう規制改革推進会議の提言の具体化です。木材価格を低下させ、林業の衰退を招いたこれまでの林業政策の失敗に対する反省もなく、国が果たすべき責任を森林所有者に押しつけ、大手木材産業の利益確保を優先させています。これでは、森林が持つ生物多様性の保全や水源涵養、災害防止機能やCO2の吸収、固定など多面的で公益的な機能の発揮、中山間地の雇用を保障し地域の活性化につながる林業の再生はできません。

 本法案は、植林後五十年余りを経過した森林の主伐を所有者の責務とし、主伐を行わない所有者は経営意欲がなく責務を果たせないと決めつけ、経営管理の権利を奪い取って市町村に集積するものです。集積計画に同意しない所有者には、市町村の勧告と都道府県知事の裁定によって同意とみなす特例措置も設けられています。この措置は、森林所有者の財産権を強権的に剥奪するものです。

 しかも、伐採し木材の販売を行った林業経営体の利益の確保が優先され、森林所有者には必要な利益が還元される保証はありません。

 経営管理権が集積された森林のうち、経済的に成り立たないものなどは、市町村がみずから管理することとなっています。多くの市町村では、森林・林業行政にかかわる専門的な職員はいません。市町村に対し、人的にも財政的にも大きな負担を強いるものです。

 林野庁は法案説明の際、八割の森林所有者は経営意欲が低い、意欲の低い森林所有者のうち七割は主伐の意向すらないなどと説明してきました。しかし、質疑で明らかにしたように、森林所有者は経営意欲が低いと勝手に決めつけ、主伐の意向がないという割合が大きくなるよう操作されていました。これは、森友学園の公文書改ざん、厚労省の裁量労働制データ捏造と同根の、審議の前提を崩すものであると言わざるを得ません。

 信用基金法案は、事業規模を拡大する意向のある林業経営体のための改正であり、本来対象とすべき小規模の事業者の排除につながる懸念があり、反対です。

 以上、指摘し、討論を終わります。

伊東委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、森林経営管理法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木憲和君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、公明党、無所属の会及び日本維新の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。大河原雅子君。

大河原委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    森林経営管理法案に対する附帯決議(案)

  我が国の林業は、木材価格の低迷、森林所有者の世代交代等により、森林所有者の経営意欲の低下や所有者不明森林が増加するなど、依然として厳しい状況にある。このような中、持続可能な森林経営に向けて、森林の管理の適正化及び林業経営の効率化の一体的な促進を図ることは、森林の有する多面的機能の発揮及び林業・山村の振興の観点から極めて重要である。また、森林吸収源対策に係る地方財源確保のため、平成三十一年度税制改正において創設するとされている森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)については、創設の趣旨に照らし、その使途を適正かつ明確にする必要がある。

  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 本法を市町村が運用するに当たって、「森林の多面的機能の発揮」「公益的機能の発揮」「生物多様性の保全」について、十分に配慮するよう助言等の支援を行うこと。

 二 経営管理権及び経営管理実施権の設定等を内容とする新たな森林管理システムが現場に浸透し、林業の効率化及び森林管理の適正化の一体的な促進が円滑に進むよう、都道府県及び市町村と協力して、不在村森林所有者を含む森林所有者、森林組合、民間事業者など、地域の森林・林業関係者に本法の仕組みの周知を徹底すること。また、経営管理実施権の設定に当たっては、市町村が地域の実情に応じた運用ができるものとすること。

 三 市町村が区域内の森林の経営管理を行うに当たっては、その推進の在り方について広く地域住民の意見が反映されるよう助言等の支援を行うこと。

 四 経営管理実施権を設定した林業経営者に対して、市町村が指導監督体制の確立に努めるよう助言等の支援を行うこと。さらに、国は、民間事業者の健全な育成を図るため、森林に関する高度の知識、技術、経営に関する研修計画を企画し、実施すること。経営管理実施権の設定に当たっては、生産性(生産量)の基準だけでなく、作業の質、持続性、定着性などの評価基準も重視すること。

 五 森林の育成には、林業労働力の確保・育成は不可欠であり、林業就業者の所得の向上、労働安全対策をはじめとする就業条件改善に向けた対策の強化を図ること。

 六 所有者不明森林の発生を防ぐため、相続等による権利取得に際しての森林法第十条の七の二の届出義務の周知を図るとともに、相続登記等の重要性について啓発を図ること。また、所有者不明森林に係る問題の抜本的解決に向けて、登記制度及び土地所有の在り方、行政機関相互での土地所有者に関する情報の共有の仕組み等について早期に検討を進め、必要な措置を講じること。

 七 経営管理権集積計画の策定に当たり、まず前提となる森林法の趣旨にのっとった、林地台帳の整備、森林境界の明確化等に必要な取組に対する支援を一層強化すること。

 八 市町村が、市町村森林整備計画と調和が保たれた経営管理権集積計画の作成等の新たな業務を円滑に実施することができるよう、フォレスター等の市町村の林業部門担当職員の確保・育成を図る仕組みを確立するとともに、林業技術者等の活用の充実、必要な支援及び体制整備を図ること。

 九 市町村が、「確知所有者不同意森林」制度を運用するに当たって、森林所有者の意向等を的確に把握し、同意を取り付けるため十分な努力を行うよう助言等の支援を行うこと。

 十 「災害等防止措置命令」制度の運用に資するよう、国は、災害等の防止と森林管理の関係についての科学的知見の蓄積に努めること。

 十一 路網は、木材を安定的に供給し、森林の有する多面的機能を持続的に発揮していくために必要な造林、保育、間伐等の施業を効率的に行うために不可欠な生産基盤であることから、路網整備に対する支援を一層強化すること。なお、路網整備の方法によっては土砂災害を誘発する場合もあることから、特段の配慮をすること。

 十二 森林資源の循環利用を図るため、新たな木材需要を創出するとともに、これらの需要に対応した川上から川下までの安定的、効率的な供給体制を構築すること。また、森林管理の推進に向けて、その大きな支障の一つである鳥獣被害に係る対策を含め、主伐後の植栽による再造林、保育を確実に実施する民間事業者が選定されるよう支援するとともに、他の制度との連携・強化を図ること。

 十三 自伐林家や所有者から長期的に施業を任されている自伐型林業者等は、地域林業の活性化や山村振興を図る上で極めて重要な主体の一つであることから、自伐林家等が実施する森林管理や森林資源の利用の取組等に対し、更なる支援を行うこと。

 十四 地球温暖化防止のための森林吸収源対策に係る地方財源の確保のため創設するとされている森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)については、その趣旨に沿って、これまでの森林施策では対応できなかった森林整備等に資するものとすること。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ各委員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

伊東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立多数。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣齋藤健君。

齋藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

伊東委員長 次に、内閣提出、独立行政法人農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十五分散会


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