衆議院

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第12号 平成30年5月9日(水曜日)

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平成三十年五月九日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 緑川 貴士君 理事 佐藤 英道君

      池田 道孝君    泉田 裕彦君

      稲田 朋美君    上杉謙太郎君

      尾身 朝子君    加藤 鮎子君

      加藤 寛治君    金子 俊平君

      神田 憲次君    木村 次郎君

      小寺 裕雄君    斎藤 洋明君

      鈴木 隼人君    西田 昭二君

      野中  厚君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      細田 健一君    宮路 拓馬君

      山本  拓君    石川 香織君

      大河原雅子君    神谷  裕君

      亀井亜紀子君    高木錬太郎君

      青山 大人君    後藤 祐一君

      関 健一郎君    江田 康幸君

      田村 貴昭君    大串 博志君

      金子 恵美君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沖  修司君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  大串 博志君     泉  健太君

  佐藤 公治君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     大串 博志君

同月九日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     鈴木 隼人君

  岸  信夫君     尾身 朝子君

  宮路 拓馬君     加藤 鮎子君

  大河原雅子君     高木錬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     岸  信夫君

  加藤 鮎子君     宮路 拓馬君

  鈴木 隼人君     泉田 裕彦君

  高木錬太郎君     大河原雅子君

同日

 理事大串博志君同月七日委員辞任につき、その補欠として緑川貴士君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月九日

 土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

四月十九日

 農業者戸別所得補償制度の復活に関する請願(佐藤公治君紹介)(第一〇五二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇五三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に緑川貴士君を指名いたします。

     ――――◇―――――

伊東委員長 内閣提出、厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省経営局長大澤誠君、政策統括官柄澤彰君及び林野庁長官沖修司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福山守君。

福山委員 おはようございます。自由民主党の福山でございます。

 早速質問に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 我が国の農林水産業は、これまで、主役である多くの農林漁業者の手によって営まれてまいりました。その活動を支えてきたのは、農協や漁協といった農林漁業団体であります。そこで働く役職員の皆さんの活躍がなかったならば、日本の農林水産業の現場は成り立たなかったものと思います。そんな農林漁業団体で働く職員の皆さんが安心して仕事に専念できる環境を整備することは不可欠であると考えております。

 こうした中で、老後保障といった福利厚生を充実させるために、公的年金制度である農林年金制度が昭和三十四年に発足したと聞いております。それ以来、農林年金制度は、農林漁業団体の役職員、そしてその御家族の方々のために大きな役割を果たしてきたと認識をしております。

 その後、御案内のとおり、公的年金制度を取り巻く情勢は変化をしております。これに伴い、公的年金制度をできる限り一元化し、シンプルなものにしていくという大きな流れの中で、平成十四年に農林年金の二階部分について厚生年金と統合され、残された三階に相当する職域年金部分については、統合前の組合員期間を有する者に特例年金として支給してきたものと承知をいたしております。

 さて、今回の改正法案は、このような年金での支給方法を改め、一時金としての支給を義務化し、農林年金制度の早期完了を図る、こうした内容となっているわけでありますが、まずは、このような改正が必要となった背景など本法案の趣旨について、礒崎副大臣の方からお伺いをいたしたいと思います。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 農林漁業団体職員共済制度は、農協、漁協、森林組合等の役職員に対する公的年金制度であったわけでございますが、平成十四年に厚生年金と統合し、現在は、統合前の旧農林共済組合員期間を有する者に限り、その期間にかかわる職域年金部分、いわゆる三階部分と申しておりますが、に対して特例年金を支給しているものでございます。

 しかしながら、平成二十二年度から特例年金にかえて一時金を選択できるような仕組みを導入した結果、受給権者の八六%が一時金を選択したことにより年金受給者が大幅に減少するとともに、一人当たりの支給額も、月額一万円未満の者が平成二十九年度末で七割を超えることとなり、少額化が進んでおる一方で、現行の制度のままでは、長期にわたり事務コスト、例えば平成二十八年度は約二十三億円かかっておるわけでございますが、農林漁業団体が負担することになるため、農林漁業団体と年金受給団体の双方から、一時金の支給を義務化して特例年金給付を早期に完了することの要望が出されているところでございます。

 このため、旧農林共済組合員期間を有する者に対し、特例年金にかえて将来分の特例年金の現価相当額を一時金として支給するとともに、経過的に存続する農林共済組合は一時金の支給業務が全て終了したときに解散することとするものであります。

福山委員 ただいまの御答弁によって、農林年金制度の制度完了はまさに今こそ行わざるを得ず、そして、この制度の当事者である農林漁業団体と年金受給者団体の双方からの切実な声があったということで今回の法案提出に至ったということを理解することができました。

 さて、今回の法改正によって、農林年金の受給者などの皆さんに一時金が支払われる仕組みに改められました。この一時金は、受給者が将来的に受け取ることになるはずの年金を前払いによって一括して受け取ることができるようになる、そのように理解をいたしましたが、一時金を受け取る者の側に立てば、そもそも一時金はどのような方法で計算されるのか、不利にならないのかなど、素朴な疑問を持つ方もいらっしゃるのではないかと思います。

 この計算方法は専門的な内容なのかもしれませんが、受給者などの方にも理解できるよう、この場をかりて、特例一時金の金額がどのように算出されるのか、できる限りで結構でございますから、御説明をお願いいたしたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正による特例一時金につきましては、これまでありました選択制による一時金と同様に、将来分の特例年金給付の額と経済的に等価値の額を支給することとしております。

 具体的には、一時金の支給対象となるそれぞれの方々につきまして、将来の各月の分の特例年金給付の額に各月の予定生存率を乗じて得た額を、それぞれ複利現価法によって現在価値に割り引いて、それらを合算した額を支給することといたしてございます。

福山委員 ありがとうございました。

 次に、農林年金制度は、一時金を受け取る者のみならず、農林漁業団体やそこで働いている職員など多くの関係者がかかわって成り立っているものであります。これらの関係者の方々のそれぞれにとって今回の制度完了が果たしてどのように影響を及ぼすものなのか、確認をしておくことが大事であろうと思います。

 年金を既に受給しておられる方々、農協などで今働いている団体職員の方々、その使用者である農林漁業団体のそれぞれについて、制度改正によるメリットに関して野中政務官の方からお伺いしたいと思います。

野中大臣政務官 今回の法改正では、将来分の特例年金の現価相当額を特例一時金として支給いたしまして、特例年金給付を早期に終えることによって、存続組合の早期の解散を図ることとしております。

 これによって、特例年金の受給者については、一生分の特例年金の現価相当額をいっときにまとめて受け取れること、続きまして、農林漁業団体の現役職員で厚生年金との統合前の旧農林共済組合員期間が一年以上ある者については、今後支給開始年齢に達した際に、少額の特例年金給付を将来にわたって受給するのではなく、その現価相当額をいっときにまとめて受け取れること、農林漁業団体については、特例年金給付の事務コストが減少することによってその負担が減ることとなり、その結果として、現役世代の職員や組合員である農林漁業者の負担の軽減につながることといったメリットを受けることとなります。

福山委員 御答弁ありがとうございました。

 時間が短いので、次の質問に入ります。

 農林年金制度は、農林漁業団体で働いている役職員の皆さんのための公的な年金制度としてこれまで大きな役割を果たしてきたわけですが、農林年金の加入者の大半を占めているのは農協の職員の方々です。

 農協について、大臣にお尋ねしたいと思います。

 平成二十六年六月に始まった五年間の農協改革集中推進期間はもうすぐ四年が経過しようとしており、地元の農協の皆さんと私も意見交換を行うと、大変御苦労され、そしてまた、農業者のためになる自己改革に取り組んでおられます。

 齋藤大臣は、自民党の農林部会長になられて、農業者の所得向上につながる農協の実現に向けて農協改革に取り組んでいらっしゃいました。私も、日本の農業の将来にとって、また農業者の所得向上を実現するために農協が果たす役割は大きいと考えていますが、現場で自己改革に取り組んでいる農協へ何を期待するのか、大臣の思いを、またお考えをお伺いいたしたいと思います。

齋藤国務大臣 日本の農業を取り巻く現下の環境変化に対処していく上では、私は、農協の役割はかつてないほど大きく重いものになっていると言っても過言ではないと考えています。

 農協が農業者の協同組織であるという原点に立ち返って、農業者の所得向上に全力で取り組む、そういう使命を果たしていけるのか、多くの農家の目が今注がれているんだろうと思います。

 平成二十六年六月に始まった五年間の農協改革集中推進期間の期限まであと一年となっている中で、JAグループの自己改革に私は大いに期待をすると同時に、農林水産省としても、農業者の所得向上に全力投球できる農協の実現に向けて、協力すべきところは協力してまいりたいと考えております。

福山委員 今、御答弁いただきましたけれども、本当に農家の方また農協の方、いろいろな立場で、日本の農業、これから大きな期待をしておりますので、どうかよろしくお願いいたします。今のは、大臣のこれからの農業に対する思い、そういう関係者の方も非常に喜んでいると思います。どうかよろしくお願いいたします。

 さて、一つどうしても聞きたいことがございましたので、ちょっと法案とは関係ございませんが、チーズの輸出についてお伺いをいたしたいと思います。

 チーズの本場はヨーロッパです。しかし、日本でも品質のよいチーズが近年数多く生産されるようになってきました。六次産業化の取組とも相まって、各地で工夫を凝らして生産されています。そして、海外からも高い評価を得て、海外コンクールでも受賞するようなチーズも出てきております。

 しかし、これを本格的な輸出につなげようとすると、今現在、EUに対しては輸出できないということです。それは、乳製品についてはいわゆる第三国リストに日本が掲載されていないからということです。現在、政府はこの第三国リストへの掲載に向けた協議を行っているとも聞いております。

 こうした中、先月の新聞報道では、乳製品を含む畜産四品目について、EUでの輸出解禁に向け、検査制度を設けるといったことなどが報じられています。

 そこで、質問をいたします。

 EUへの乳製品の輸出解禁に向けた現在の協議の状況、そして、EUとの今後の協議の方針について、野中政務官にお伺いいたします。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 今先生がおっしゃられたとおりに、日本産乳製品をEUに向けて輸出するためには、まず、第三国リストに日本が掲載される必要がございます。第三国リストに掲載されるためには、質問票への回答、残留物質モニタリング計画の承認、現地調査の実施、EU加盟国間での協議といった手続が必要となってまいります。

 昨年十月でありますが、EU側による現地調査が実施され、調査結果報告書が先月公表されたところであり、現在、EU側から提示された指摘事項への対応を進めておるところであります。

 引き続き、食品衛生を担当する厚生労働省と連携しながら、輸出解禁の早期実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

福山委員 ありがとうございました。

 特にEUに関しては、今EPAとかいろいろありまして、特にこのチーズ、私、ちょっとある方から相談があったときに、ヨーロッパの方に出すときに、何で出せないんですかというふうな本当に単純な質問があったときに、その国々で、あるいは地域でそういういろいろな形があるというのを実は私もちょっと調べさせていただいたときにあったわけなんですけれども、それぞれの立場の方がやはり日本の食品を、輸出をどうしていくのかということを今一生懸命考えているときでございますので、このチーズだけに限らず、全てのものに関して輸出が振興できるような方策をよろしくお願いいたしたいと思います。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

伊東委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 おはようございます。公明党の江田康幸でございます。

 本日は、引き続き私の方も、農林年金廃止法改正案について質問をさせていただきます。

 時間が十五分と限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の改正法案は、特例年金給付という年金方式の支給をやめて、特例一時金という一括支給の方式に切りかえるという内容でございます。

 そもそも、今般の法改正の背景として重要なターニングポイントとなったのは、平成二十二年から導入した選択制の一時金制度であると思います。この一時金制度の導入によって、受給権者の約八六%が一時金を選択して、受給権者数が大幅に減少したわけでございますが、この選択制の一時金方式というものはどういうものなのか、この制度を導入してきた狙いやその効果について、まず説明をいただきたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 選択制の一時金制度につきましては、平成二十二年四月から導入されておりますけれども、基本的な仕組みは今回御提案申し上げております一時金制度と同じでございまして、生存率等に基づきまして現在の価値にした上で、一時金としてお支払いするという制度でございます。

 農林年金制度につきましては、これまで、制度運営者でございます農林漁業団体からの要請を受けながら制度の見直しを逐次行ってきたところでございます。選択制の一時金制度につきましても、この農林漁業団体が、制度の早期完了に向けた環境整備を図りたいということを主な理由といたしまして、要請を受けまして、平成二十二年四月から導入されたというふうな経緯がございます。

 先生御指摘のとおり、この支給につきましては、受給権者の約八六%が選択したということで、この要望の内容、目的どおり、農林年金の制度完了に向けた環境を整える上での大きな役割を果たしたものと考えてございます。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 一方で、これまでの選択制の一時金というのは、あくまで受給者の選択によって年金方式か一時金方式かを選べるものであったわけでございますが、今回の法改正によって、本人の選択にかかわらず、一時金方式が義務化されるということになりますので、今まで年金方式での受給を望まれていた方については、いわばその方の財産権上の問題が生じてしまわないかというのを心配される方もおられるのではないかと思います。

 年金はそれぞれの方々の老後保障のために大変重要なものでありますので、今回の法改正によって年金方式から一時金方式に完全に切りかえていくということとしても、財産権上の問題は発生しないということをきちんと政府として確認したいと思いますが、礒崎副大臣、いかがでしょうか。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 今回の法改正では、これまでの年金方式にかえて一時金方式による支給に切りかえることとしていますが、このように法律で定められた財産権の内容を事後の法律で変更することは、昭和五十三年の最高裁判例において、公共の福祉に適合するものである限りは合憲であるとされているところでございます。

 今回の法改正につきましては、特例一時金は将来の特例年金給付と経済的に等価値の額を支給するものであること、また、現行制度のままでは、少額の年金を少数者へ支給し続けることにより、制度運営の費用を農林漁業団体の現役世代が長期にわたり負担しなければならないことから、公共の福祉に適合し、財産権の侵害には当たらないものと考えております。

 なお、参考までに、企業年金制度の廃止に伴いまして企業年金の現価相当額の一時金を支給した事例について、当該一時金の支給を妥当とした平成二十一年の東京高等裁判所の確定判決があることも申し添えておきたいと思います。

江田(康)委員 副大臣、ありがとうございました。

 今、明確に申されたとおり、財産権上の問題は生じないということが法的に確定しているということでございます。この改正のキーポイントであろうかと思いますので、質問をさせていただきました。

 次に、選択制の一時金制度の導入によりまして、受給権者が、これまで最大で四十万人以上おられたわけでありますね、それが直近では約十二万人と大幅に減少したと伺っておりますけれども、この特例給付金は、特例年金の受給権が発生していない者に対しても支給されることになると伺っております。

 受給権が発生していない、いわゆる未裁定者の方々にも将来分の特例年金の現価相当額を支給するということは、期待権を尊重する意味でも大変重要でありまして、統合前に支払っていた掛金が掛け捨てにならないという意味でも大変手厚い対応であるかと思います。

 ただ、このような未裁定者の方々に対しても特例一時金を支給するということになりますと、支給対象者は大幅にふえることになると思いますが、この特例一時金の支給対象者は、現在の受給権者数と未裁定者数を勘案しますとどのくらいの人数になると見込んでおられるのでしょうか、伺います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、今回の法改正による特例一時金の支給対象者は、既に特例年金の受給権を有している方、これは先生の御指摘のとおり平成二十八年度末において約十二万人、それに加えまして、いわゆる未裁定者、法律上の定義で申しますと、平成十四年の厚生年金との統合の前に一年以上の旧農林共済組合員期間を有する者であって、現在は受給権を有していないものの、将来において年金支給開始年齢に到達した場合に受給権者になる者、こういう方が未裁定者でございますけれども、この方が平成二十八年度末において約六十一万人いると見込んでおります。

 両方を合計しますと、七十万人以上の方々が特例一時金の対象になるというふうに考えてございます。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 七十万人以上に上る多数の方々が対象になる見込みだということでございますが、支給対象者数がそれだけ多数ということになりますと、今回の法改正のことを知らなかったということで特例一時金の請求ができなかったという方が出てきてしまわないかという点もあろうかと思います。

 そこで、先ほどから申し上げているとおりに、この特例一時金は、受給権者の方々それぞれの財産にかかわるものでありますので、今回の法改正の趣旨やその手続の方法など、周知に当たっては、十分な周知期間が必要だと思います。そして、周知方法もしっかりとしたものにしなければならないと考えますけれども、どのような方法で周知を徹底していくのか、齋藤農林水産大臣にお伺いいたします。

齋藤国務大臣 今回の法改正の内容や手続等について、特例一時金の支給対象者にしっかりと周知していくことは、江田委員御指摘のように大変重要であると考えておりまして、本改正法案が成立した場合には、存続組合が、まず、特例年金の受給権者と未裁定者の全員に対して、法律改正の内容、特例一時金の支給に向けた今後のスケジュールなどをわかりやすく説明したパンフレットの作成そして送付、また、ポスターもつくって配布をしたり、新聞広告やインターネットを通じた周知、市町村広報の活用など、幅広い広報活動を実施することとしております。さらに、それに加えまして、農林漁業団体も全国各地で説明会を開催する、こういったことによりまして周知を図ることとしております。

 こうした周知活動を徹底して行うことによりまして、全ての特例一時金の受給権者に対して確実に支給できるよう、存続組合等をしっかりと指導してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 大臣、ありがとうございました。

 今御答弁いただきましたように、今回の法改正の内容を周知するに当たっては、あらゆるチャネルを利用していただいて、かつ、丁寧な説明を心がけるよう、お願いを申し上げます。

 残り時間でございますが、最後にもう一つ質問をさせていただきます。

 今回の法律改正につきましては、農林漁業団体と受給者団体の双方から、それぞれの団体の総意として、年金としての支給にかえて一時金の支給を義務化することによって、閉鎖型の年金制度である農林年金の清算過程を早め、存続組合を早期に解散させるよう、農林水産大臣に要望書が提出されていると伺っております。

 政府は、そのような団体要望を重く受けとめて本法案を提出されているのだと思いますが、特例一時金を支給した後の存続組合は、いつぐらいをめどに解散をすることになるのでしょうか。

 また、この法律の改正の目的達成に向けて、その決意を大臣に最後にお聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 今回の法改正におきまして、特例一時金につきましては、法施行後、支給終了までに五年程度かかるのではないかと見込んでおります。

 一方、特例一時金の支給に必要な財源というのは、一部を存続組合の保有する農林漁業団体からの負担金や積立金で賄いますが、一部を金融機関からの借入金で賄うことになると思います。そうしますと、存続組合は、特例一時金の支給が終了した後も、借入金をその後の農林漁業団体からの負担金によって返済する業務というのが残りますので、その業務を行いますと、二〇三三年ごろに解散するのではないかと見込んでいるところであります。

 昭和三十四年に発足して以来、長い歴史のある農林年金制度を、円滑かつ確実に完了することができるよう、存続組合に対してしっかりと指導してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 この法案の成立時期が遅くなればなるほど、受給権者や支給額が減少する一方で、制度運営費はかかり続ける、社会的に非効率的な制度になると思われます。

 特に、統合後に採用された若い世代の職員や、ひいては農林漁業団体の組合員の方々が制度運営費を負担する合理性は乏しく、この農林年金制度を早期に完了させることは、特例年金受給者を含む多数の組合員のメリットになるものと考えます。

 政府に対しては、この制度の早期完了に向けて万全の対応を講じていただきますようにお願いを申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 おはようございます。立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日も、委員会の質問の時間を頂戴いたしました。本当にありがとうございます。

 この法案なんですけれども、農林水産漁業団体の皆さんがこれまで大切にされてきた年金制度についての、いわば店じまいの法案でございます。

 年金という個人の大切な権利に関する問題でありますから、今回の法案審議に当たり、批判的検証にたえ得るか、しっかりとした議論をこの委員会が行い、ひょっとすると後に続くかもしれないさまざまな年金制度がある中で、先行事例として活用され得る議事録をつくる、そういう意識で質問させていただけたらと思っております。

 先ほどから質問もございましたとおり、中にはかぶる質問もあるかもしれません。しかし、これは本当に大事な点であると思いますし、政府の皆様には、一つ一つ問題点を確認するという意味で質問させていただけたらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 本法案でございますけれども、農林漁業団体の役職員の皆さんの年金が、平成十四年四月に厚生年金に統合し、その後、旧農林共済組合員期間に係る職域年金相当部分を特例年金として支給してきたものを早期に完了させることを目的とするものであると伺っております。

 もちろん、受給者の減少とかさまざまな要因があると思いますけれども、今回のこういった決定に至る背景についてお聞かせをいただけたらと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 この農林漁業団体職員共済制度につきましては、農協、漁協、森林組合等の役職員に対する公的年金制度でございましたけれども、平成十四年に厚生年金と統合いたしまして、現在は、統合前の旧農林共済組合員期間を有する方に限りまして、その期間に係るいわゆる職域年金部分を特例年金として支給しているものでございます。

 しかしながら、平成二十二年度から特例年金にかえまして一時金を選択できる仕組みを導入いたしました結果、受給権者の八六%が一時金を選択したことによりまして、年金受給者が大幅に減少をいたしました。また、一人当たりの支給額も、月額一万円未満の方が平成二十九年度末で七割を超えるということになり、少額化が進んでおります。

 一方で、現行制度のままでは、長期間にわたり事務コスト、これは平成二十八年度現在で約二十三億円かかっておりますけれども、この事務コストを農林漁業団体が負担し続けるということになります。したがいまして、これらを勘案し、農林漁業団体と年金受給者の団体の双方から、一時金の支給を義務化して特例年金給付を早期に完了することという要望が出されたところでございます。

 これを受けまして、旧農林共済組合員期間を有する者に対して、特例年金にかえて、将来分の特例年金の現価相当額を一時金として支給するとともに、経過的に存続する農林共済組合、存続組合は一時金の支給業務が全て終了したときに解散するという法案の内容を提出させていただいているところでございます。

神谷(裕)委員 その上で、改めて確認をさせていただきたいと思うのでございますけれども、年金の受給に関する権利は、憲法に規定される財産権上の極めて強固な権利でございます。先ほども質問にありましたけれども、現に受給されている皆さんに対しても一時金の受給を義務化することになるわけでありますので、財産権上の取扱いについてやはり慎重に考えなければいけないんだろう、このように思うわけでございます。

 その意味におきまして、特に受給者の皆さんから、今回の法案についてどのような考え方が寄せられて、また、御理解をしっかりといただいているのか、この辺を伺わせていただきたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもお話しいたしましたとおり、今回の法案は、制度運営者であります農林漁業団体とともに、年金受給者の全国団体から、組織の総意として、一時金の支給を義務化して特例年金給付を早期に完了するという要望が出されております。これは、平成二十九年九月七日付で農林水産宛てに書面が提出されてございます。この要望を受けて、この法案を提出しております。

 加えて、今回の法案の内容につきましては、法案成立後、法施行までの十分な周知期間において、受給権者の一人一人に丁寧に説明し、できる限り御理解をいただけるように、団体に対しても指導してまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 双方の要望があったということでございますので、その辺は楽観的に見ていいのかなと思っているんですけれども、今回の一時金の義務化に関し、受給権者の中には、わずかながらでも反対の立場の方がいるんじゃないかなということは想像できるところであると思います。そういった方の考え方を少数者ということで切り捨てるようなこともできるかもしれませんけれども、事は財産権に絡む行為であることでもございます。場合においては法廷での決着を考える方が出てくるかもしれません。

 そういったことを念頭に置いたときに、法的な整理の問題として、受給権者の保護と本年金制度の廃止の必要性、その上での代償措置のあり方、こういったことの整理がきちんとなされなければなりませんけれども、こういった整理について確認ができればと思います。いかがでしょうか。

礒崎副大臣 お答えをいたします。

 今回の法改正では、これまでの年金方式にかえて一時金方式による支給に切りかえることとしているわけでありますが、このように、法律で定められた財産権の内容を事後の法律で変更することは、昭和五十三年の最高裁判例において、公共の福祉に適合するものである限り合憲とされているところでございます。

 今回の法改正につきましては、特例一時金は将来の特例年金給付と経済的に等価値の額を支給するものであること、また、現行制度のままでは、少額の年金を少数者へ支給し続けることになり、制度運営の費用を農林漁業団体の現役世代が長期にわたり負担しなければならない、こういうことがございますので、今回の改正は、公共の福祉に適合し、財産権の侵害には当たらないと考えているところでございます。

 なお、参考までに申し上げますと、ある企業が企業年金制度を廃止し、企業年金の現価相当額の一時金を支給した事例につきまして、当該一時金の支給を妥当とした平成二十一年の東京高裁の確定判決もあるところでございます。

神谷(裕)委員 丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。やはり法的な整理というのは必要だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 今回の法案による一時金の義務化によって資金面での需要が、前倒しで、かつ大きなものが必要になってくると思われます。そこで、原資となる財源の見通しについて伺いたいと思います。

 また、負担の一部を拠出する農林漁業団体の皆さんが、本法案の趣旨である一時金の義務化について思いをしっかりと同じくし、しっかりと財源を拠出いただくことがこの資金面での需要の大前提となりますけれども、そういった団体の皆さんの拠出を含め、財源をきちんと確保できるのか、この点を確認させていただきたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 今回の特例一時金を行うことによりまして、支給総額は約二千五百億円になると見込まれております。

 その財源につきましては、法施行時点で存続組合が保有すると見込まれる農林漁業団体からの負担金、これは前納、要するに毎年払う分を前倒しで払っていただくということも団体内で議論されておりますけれども、それも含めますと約千二百億円から千四百億円、この負担金で財源になると考えております。また、現に今あります積立金が約五百億円あると考えております。そうなりますと、残り、あと六百億円から八百億円を、これは金融機関からの借入金で賄うということが必要になるというふうに見込んでございます。

 この借入金につきましては、施行日以後に農林漁業団体から支払われる負担金によって返済されるというふうに団体から聞いておりまして、最終的に制度の運営者であります農林漁業団体により全ての財源が確保できる見込みであるというふうに承知してございます。

神谷(裕)委員 今ほどお話ありましたとおり、大変大きな金額でございます。総額でも二千五百億円、あるいは団体の皆様方には多額の負担をお願いするわけでございますけれども、今ほどお話にありましたとおり、金融機関にやはり一部お借りをしなければいけない部分があるのかなというふうに理解をいたしております。

 一時金の支給に対する財源については、特例業務負担金の長期前納によって財源を確保できない場合には金融機関からの融資が考えられる、今お話にあったとおりでございますけれども、こういった金融機関の融資については六百億から八百億という大変に大きな金額になるわけでございますから、こういったことについてさまざまな形の支援を行うことが必要になってくるのかなというふうにも思うんですけれども、こういった金融機関からの融資について何らかの支援をお考えになっているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから答弁させていただいておりますとおり、この法改正において存続組合を早期に解散していただくということにつきましては、これは現役世代にも大きなメリットが、今の農協、漁協、森林組合等の団体にも大きなメリットがあるということでございます。

 そういう農林漁業団体には信用事業ということもあるわけでございますので、我々といたしましては、制度を運営する農林漁業団体において今回の法改正の内容が着実に実行されるということが非常に重要でございますので、そういう信用事業を行っている機関も含めました、金融機関から円滑に融資を受けられる環境づくり、いろいろな、この制度の趣旨であるとかその団体においてのメリットであるとか、こういうことをしっかりと周知させること等によりまして環境づくりに努めてまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 実は私も、かつて漁協団体の職員でございました。そういったこともございまして、実は、漁協も農協もそうでございますけれども、お台所事情、大臣も御存じのとおり、非常に厳しゅうございます。そういった中で、当然、これまでの先輩方あるいは自分たちも関係してくる皆さん方に対して、しっかりとこういったお金を準備しなければいけない。しかし、本当に多額でございます。そういったところで、やはり団体の皆さん方にとっても厳しい懐の中からしっかりと出していただくことが必要になりますし、あるいは金融機関から借りてでもしっかりと措置をしていただく、このことが本当に大事になってくると思います。

 改めて、再度、確認でございます。こういった団体の皆さんがちゃんと、ちゃんとというのも変でございますけれども、しっかりと気持ちよく財源を出せるように農水省からも御指導いただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

大澤政府参考人 我々としても、この制度の趣旨をしっかりと説明をしまして、農林漁業団体の方が制度の趣旨をしっかりと理解した上で、財源の拠出それから金融機関の借入れ等が円滑に行われるようにしっかりと指導してまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 また、今回の措置により、存続組合の事務量が相当程度増加することが予想されます。そういった業務を円滑に遂行していく上での体制が十分なのか、確認をさせていただきたいと思います。

 特に年金業務については、専門性の高い分野も相当程度あるんじゃないかなというふうに思われるわけでございます。これまでの事務処理の状況を踏まえた上で、今後の事務量の増加に対応できる人的あるいは物的な対応はどうなっているのか、厳しいのであれば、やはり支援もしっかりとしなければいけないと思うわけでございますけれども、お考えを伺いたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 存続組合につきましては、今まで選択制による一時金というものを実行してきた実績がございます。これは約三十五万人の受給権者に対してやってきたわけですが、その際には業務の一部外注も活用しながら混乱なく処理しているというふうに我々は評価いたしております。そういうこともありまして、一時金支給のノウハウは存続組合に相当程度蓄積されていると考えております。

 他方で、今回の特例一時金は対象者が倍以上になるわけでございますが、まずはこの培ってきたノウハウを最大限発揮していただいて、必要な場合には外注を活用するなど事務処理に万全を期していきたいと決意表明を受けておりますし、我々もしっかりと指導したいと思います。

 具体的な農林省のかかわり方といたしましては、例えば、施行に向けて必要な作業を段取りよく進めるための作業計画、これをあらかじめ策定してもらいたいということですね、その考え方を示すなり、あるいは計画の進捗状況を的確に把握して、必要に応じて増員を確保するなどの対応をとってもらいたい、こういうようなことについて適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 やはり、ここは人的なことも含めて、さまざま、いろいろお考えをいただきたいと思いますし、しっかりと体制を整える。あるいは、この間、ちょっと前にも年金に関してのさまざまな問題点もございました。この年金に関してはそういうことはないというふうに信じておりますけれども、それにはしっかりとした体制づくりというのが何より必要だと思いますので、この点について、しっかりとお願いを再度させていただきたいと思います。

 また、存続組合については、こうやってやっていただくわけなんですけれども、農林年金制度の業務完了時においては、恐らく、まだ定年に達していないような職員が相当程度いるんじゃないかなということだと思うんです。

 改めて、そういった方々がどれくらいいるのか確認をさせていただきたいと思いますし、こういった職員の再就職など、今回の業務終了に伴う不利益を当該の職員に背負わせることのないようにしっかりと考えていかなければならないと思うんですけれども、こういった職員の皆さんの再雇用についてどうお考えなのか、伺わせていただきたいと思います。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 存続組合が業務を清算して解散する時期は大体二〇三三年を想定しておりますけれども、その時点での定年前の職員の方々は四名程度という見込みであります。その四名程度の方々の再就職についてでございますが、農林漁業団体は、系統内で雇用が確保されるよう調整する意向でありまして、私ども農水省としましても、確実に雇用が確保されるように指導してまいりたいと存じます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 本当に大切なことだと思いますし、今、本当に前向きな御答弁をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。

 その上で、先ほど二〇三三年という話がございました。本法律成立後のスケジュールについて、改めて確認をさせていただきたいと思います。

 法律の施行期日について、どのような考えを持っているのかということを伺いたいと思うんです。当然、法律の中に二年以内というような記載もあるようでございますけれども、財源的な問題や職員体制を考えたときに、やはりおくれればおくれるほど、資金的な必要が生じるわけでございますし、職員の面でも、人的な補充は難しい中で、定年など、人的な資源が先細りするんじゃないかということも懸念されるところでございます。

 農水省として、これはもう決意の問題だと思うんですけれども、早期の施行を行い、やるべきことをやるという強固な意思が必要であると思うのでございますけれども、例えば年度のスタートとなる明年四月の施行を念頭に進めるべきではないかなというふうに考えているのでございますけれども、お考えはいかがでございましょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 年金は個々の方の権利にかかわるものでございますが、二つの考え方があると思います。

 一方では、一時金支給の対象者数、七十万人以上と極めて多数となることから、今回の制度改正の内容を周知する期間を十分に確保する必要がある、あるいは、受給権者一人一人にミスなく適正に支給するための十分な準備期間を確保する必要がある、こういう考え方が一つございます。

 他方で、先生の御指摘のとおり、改正法はなるべく早く、早期施行してもらいたい、これまでに長期にわたって運営されてきた年金給付方式から一時金方式へ支給方法を切りかえることによってコストの低減が図られるということで、できるだけ速やかに施行してもらいたい。こういう二つの考え方があると思います。

 これは、今、存続組合とも十分相談をしながら、具体的にその二つの考え方のどこに折り合いをつけるかというのを検討しているところでございますので、存続組合とも十分相談しながら、適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 ただ、どうしても、先に行けば先に行くほど、状況が芳しくなるとも思えません。周知の話、お話しいただきました。ただ、周知の話は当然大事なんですけれども、あるいは、技術的な問題等あって、おくらせなければならないような事情はあるのかもしれませんけれども、ここはやはり、鉄は熱いうちに打てではないんですけれども、要望いただいた、要望いただいた皆さん方のお気持ちが冷めないうちに、なるべく速やかにやるべきだと思うわけです。

 そういった意味で、再度、いかがでしょうか。なるべく早いうち、できれば明年というような考え方もあるのでございますけれども、いかがでございましょうか。もう一度お聞かせいただけますでしょうか。

大澤政府参考人 いずれにしましても、存続組合の意向も我々よく聞いておりますので、先ほどお話しした二つの考え方のバランスをどこでとるかという観点から、存続組合とも十分相談をしながら、適切に定めてまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、実際に事務を行う存続組合の皆さん方とお話しをいただいて、なるべくいい方向でお進めいただきますようにお願いを申し上げさせていただきます。

 それでは、次の質問なんですけれども、現に受給されている皆さんについては当然でございますけれども、まだ年金を受給されていない方や、本来であれば受給できるのに受給できていない方など、受給資格を有する皆さんに対して今回の一時金の義務化などをどうお伝えするのか、そのことを確認させていただきたいと思います。

 年金である以上、申請主義に基づいて処理がなされることになります。通知漏れがないことが大前提となりますけれども、通知のあり方、いかに漏れなく伝えるかについて伺いたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、今回の法改正の内容、手続等について、特例一時金の支給対象者一人一人にしっかりと周知していくことが重要だと考えております。

 これは、まず、本法案が成立した場合には、存続組合が、この特例受給権者、未裁定者の全員に対しまして、法律改正の内容、特例一時金の支給に向けた今後のスケジュールなどをわかりやすく説明したパンフレットを作成、送付することや、ポスターの配布、新聞広告、インターネットを通じた周知、市町村広報の活用など幅広い広報活動を実施するということを考えております。また、農林漁業団体も全国各地で説明会を開催するということにされております。

 こうした周知活動を徹底して行うことによりまして、全ての特例一時金の受給権者に対して確実に支給が行われるように、存続組合等をしっかり指導してまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 まことにお恥ずかしい話なのですが、私も実は未裁定者の一人でございました。この法案が出てきたときには実はそれにも気づいておりませんで、後になって指摘をされて、実は私も該当者だったということに気づいた次第でございます。

 幸い、私は気づくことができました。ただ、まだ気づいていない方も、あるいは、まだ法案は通っていないわけですから、これからの話かもしれませんけれども、まだ知らない方も大勢いらっしゃると思います。そういった方々に丁寧に、できれば最後の一人までお渡しをいただけるように御努力をぜひお願いしたいということを申し上げさせていただきます。

 次の質問でございます。

 今回の一時金については、義務化されるわけですから、未裁定者や現役で就業中の皆さんを含め、一時金が支給されることになるわけでございます。結果として税額上の不利が生じないよう考える必要があるのかなと思いますけれども、税制上の措置について考慮をされているのか、確認をさせていただきたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 この改正法の施行日の前日において特例年金の受給権を有する者への特例一時金に係る所得の区分は、平成三十年度の税制改正によりまして、退職手当等とみなすこととされ、所得控除の対象となるというメリットが措置されてございます。

 具体的には、勤続年数が二十年を超える者には、まず所得控除として、八百万円プラス、七十万円に二十年を超える勤続年数を乗じた額、それから勤続年数が二十年以下の者には、四十万円に勤続年数を乗じた額が、それぞれ所得から控除されることとなります。これは、現在の選択制の一時金でも同じような仕組みとしておりますが、その場合には、受給権者のうち約七割の者が税負担が生じていない。それ以外の方も所得控除のメリットを受けているという状況でございます。

 それから、改正法の施行日の前日において特例年金の受給権を有しない者への特例一時金に係る所得の区分は、これは年金受給権がない者への支給となるため、一時所得となり、最大五十万円の控除が受けられることとなっております。

 なお、障害者、遺族への特例一時金に係る所得税は非課税となっております。

 以上でございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 今回、義務化でございますので、今みたいに、しっかりと税制上の担保についてもお考えをいただけたということはありがたいことだなというふうに思っているところでございます。

 次の質問をさせていただきたいと思います。

 この年金制度を利用し、老後の生活設計を考えていた皆さんがおられたんじゃないかなと思います。そういった皆さんが、この年金がなくなり、一時金を受け取る際に不安な思いを抱かないよう、当然努力をしなければなりません。そして、そのためには、実際に受給される皆さんに対し、今回の措置、法案に対する意義と趣旨をしっかりと伝え、そして御理解をいただき、かつ、不利益となっていないことを認識いただくことが大変重要であると私は思います。

 それは、存続団体だけでは当然難しい面もあると思いますし、こういったことに対しては、当然、農林水産省が前に出て説明、周知をされるべきであると思います。

 この点について、最後に大臣に伺わせていただきたいと思います。

齋藤国務大臣 先ほど委員から、施行を早くやるべきであるという御意見がありましたけれども、そのためにも、やはり今回の法改正の内容や手続等について、特例一時金の支給対象者の皆さんにしっかりと周知をしていくということが前提となりますし、重要であるというふうに考えています。

 このことについては、まずは制度の運営者であります農林漁業団体において、先ほど来御説明しておりますように、さまざまな手段を活用して取り組んでいただくということが重要であるわけでありますけれども、当然のことながら、法制度を所管する農林水産省といたしましても、今回の法改正の内容の周知については積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

神谷(裕)委員 大臣、前向きな御答弁をありがとうございます。

 先ほどもお話ししたように、私もその当事者の一人でございました。そういった意味から確認、質問したわけではございませんけれども、先ほどからお話あるように、七十万人を超える方々が当事者になるというようなことでございますし、今回は、法律をもって、いわば強制的に最後を決めてしまう法案でございます。だからこそ、そういった皆さんに対して、この法案の意義、趣旨、そして内容、そういったものをしっかりと説明をし、御納得いただいた上で、きれいな店じまいをしていただかなければいけないと思います。

 そういった意味において、まだまだ団体の皆さんにも、あるいは存続組合の皆様にも、そして農林水産省の皆様にも、さまざま御苦労をかけると思いますけれども、どうか最後の一人までしっかりと一時金、年金が渡るように御尽力いただくことをお願いして、若干早いのでございますけれども、質問を終了させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 国民民主党になりました衆議院議員の緑川貴士と申します。

 本日、理事を拝命しました。大変身が引き締まる思いの中で、この委員会の運営に携われること、そして、携わることによって審議を一層充実していけるような立場として尽力をしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速法案の質疑に入らせていただきます。

 この農林年金法改正案ですけれども、昭和中期から、農林年金制度が、食料を安定的に供給する使命を担う農林漁業団体の業務に携わる方々の老後の安心、福利厚生を年金給付を通じて守ることによって、一次産業を確かななりわいとして生計を立てる上で、これは安心を長らく支えてきた制度であると私は思います。

 しかし、近年の経営の厳しさの中で、農林年金制度が長く続くほど事務コストがかさんで財政の悪化を招いてしまう、制度完了の時期がおくれれば、その分、農協、漁協、森林組合などへの負担となっていくわけです。その一方で、年金を既に受給している人、あるいはこれから受給する権利が生じる人が持つ財産権、この保護のあり方、それから、一時金払いの義務化に際しての財源の問題、さらに、存続組合の解散後の職員の処遇など、幾つかの観点から、少し短い時間ではありますが、質問をさせていただきたいと思います。

 二〇一〇年の一時金払い制度の導入の前に、二〇〇二年に農林年金制度が厚生年金保険制度と統合されております。この二〇〇二年以前から農林年金をもらっていた人に対しては、統合によって年金額が減ることのないように、統合したときの年金額と、そして統合した後の年金額との差額、従前差額というふうに言われていますけれども、この補填を受けられるという特例措置がありました。

 一方で、その特例を支えているのは誰かといえば、統合後に新たに就職した団体の職員であります。特例業務負担金という形で、団体負担ではありますが、農林漁業団体として負担する、この職員が基礎になっているわけですね。つまり、この従前差額分を含めた特例年金が現役の職員によって支えられてきたというわけですが、統合後に就職した職員本人は特例年金をもらえるという対象ではありません。

 こうした中で、農林年金制度の運用に当たって、この給付と負担の不均衡について、これが生じていたことについて確認をさせていただきたいんですけれども、政府としてこれはどのように捉えていたでしょうか。

大澤政府参考人 今回、先生御指摘のとおり、厚生年金に統合されるということの経緯で、それ以降は、いわゆる三階部分を特例年金という形で支給をしてきたということでございます。

 全体として、制度はいわゆる賦課方式という形で運営されておりましたので、そういう形で現役世代が負担するということになっていたわけでございますけれども、今回の制度としては、現在の特例年金制度は、厚生年金との統合前に職員が支払った掛金の清算という役割で、加入期間に応じた額を特例年金として支給してきたわけですが、その支給に必要な財源は主として現役職員が負担していたということで、その意味で給付と負担の不公平が生じてきたというふうに認識しております。今回の改正は、それを解消するという目的がございます。

緑川委員 現役の負担による特例業務負担金でもって、統合前から年金受給者の財産権を外形的に支えていた、守っていたということになります。そういう点では、財産権が過去は手厚く保護されているという面が色濃く出ていたのかなというふうに私は思うんですけれども、その後、財政運営の厳しさの中で、帳尻を合わせなければならない、これは重々わかることはあるんですけれども、一時金払い制度の導入後に一時金を選択する場合では、財産権の保護のあり方が、手厚かったように見えた以前のあり方と比べると、これは結構変わってきてしまっているのかなというふうにやはり思わざるを得ないんですが、このあたりの御見解はいかがでしょうか。

大澤政府参考人 正確なお答えになっているかどうかはわかりませんが、お答えいたします。

 厚生年金との統合以後、統合以前、それぞれ、国民年金の部分は少し別といたしまして、その二階部分、三階部分、それぞれが賦課方式をベースとする形で運営されてきているわけでございまして、特にこの特例年金の部分については、統合前に職員が支払った掛金の清算という側面がございましたが、全体として賦課方式で運営されておりましたので、その方式の中で、三階部分についてだけ見ますと、そういう形で、現役世代にとっては支給がないのに負担はしていたということになると思いますが、二階部分、三階部分全体として見ますと、それは一つのシステムの中で行われていたということになると思いますけれども、いずれにしろ、今回の改正は、そういうような部分を解消していくという面があるというふうに認識してございます。

緑川委員 この一時金払い、今回、義務化、もう全ての対象者に対して義務を課すということで、特例年金給付を継続した場合に比べて、どのぐらいのコストの削減につながるんでしょうか。

 これは確認なんですけれども、年金受給者とこれからの受給権者が特例年金という形で受け取った場合に、それが一時金になっても目減りすることはないのかということも確認をさせていただきたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 これは、その事務コストがどのくらいになるかというのは、事務体制にもよりますので、軽々な試算はなかなかできないとは思いますけれども、わかる範囲でお答えいたしますと、今回の法改正を行った場合には、先ほどから御説明しているとおり、二〇三三年までに終了するという見込みでございますが、仮に今回の法改正を行わなかった場合、現行制度のままとした場合には、我々の試算では、二〇八八年ごろまでこの特例年金の給付に要する事務コストを現役職員が負担し続けなければならないということになります。

 単年度、現在では、平成二十八年度の事務コストは約二十三億円でございます。これが将来までどうなるかはちょっと予測できませんが、今、単年度で二十三億円かかっている部分が五十年程度節約されるというのが簡単な考え方でございます。

緑川委員 この二〇〇二年の統合前から年金をもらっている人たちの中で、確かに八割の人が、これはもう一時金でいいというふうに選んでいるわけですけれども、やはりこれは多数派、少数派という話でないと思うんですね。数字として、およそ二割の方々が一時金を望んでいないということが数字にあらわれております。

 一時金の義務化については、生涯もらえると想定しているお金をしっかりともらえることができるんだということをやはりお知らせする必要があると思いますし、この支給のスケジュール、先ほどの御答弁もありましたけれども、さまざまなメディア媒体を通じた周知、何を見て情報を受け取るかやはりわからない、いろいろな年代、お立場の方もいらっしゃると思いますので、こういう周知の徹底を、これは不可欠だと思いますので、重ねて私からもお願いを申し上げたいというふうに思います。

 受給権者が、数にすれば七十万人以上になると思います。この対象者に対して一時金を義務化するに当たっての財源についてのお話なんですけれども、懸念がやはりありますね。

 最終的な制度の終了、給付の完了を目指す、少し先ですけれども、農林漁業団体による特例業務負担金の長期前納によってその財源を確保していくということなんですが、やはりこれは数千億円という巨額です。各団体の任意によるものとされるというこの長期前納なんですが、多くの団体で前納できないとしたら、やはり確保は難しい話になってしまいます。

 政府としてこの長期前納の実施をどのようにお支えしていくのか、お考えを伺いたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 特例一時金の支給総額は約二千五百億円ですが、団体の見込みによりますと、そのうち約半分に当たります千二百億円から千四百億円が、先生の御指摘のとおり、長期前納を含めて農林漁業団体からの負担金で賄われるという見込みを団体側は立ててございます。

 これにつきましては、先生御指摘のとおり、この運営者であります農林漁業団体全体として見れば、経営体力には個々の団体ごとにいろいろ差があるということは事実でございますけれども、今回の存続組合の見込みでは、やはり経営体力を有する農協系統団体を中心に長期前納を図るということで、法施行時点では先ほどお話ししたとおり千二百億円から千四百億円の財源が集まる目途が立っている、こういうことを前提に要望が行われたというふうに承知しております。

 実際にも、これは選択制の現在の一時金でございますが、その財源に充てるために平成二十七年度に長期前納を行ったことがありますが、これも、経営体力を有する農協系統団体を中心に必要な前納額、このときは千百八十八億円が確保されたという実績もございますので、我々としても、その団体の見立てはある程度合理性、根拠を有するものであるとは考えておりますけれども、必要な財源が、この法律の改正の目的がしっかりと達成されるように、我々としてもしっかり見て、制度の趣旨あるいは目的、狙い等の関係者への徹底に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

緑川委員 やはり、債務という形で団体が例えば銀行から借り入れるとして、まとまったお金が必要になったときに政府が債務保証をしてあげるとか、いろいろなアプローチで、長期前納という形で最終的に制度が、スケジュール感で見てしっかりとその着地点に支払いが完了できるように、何とか努めていただきたいというふうに思います。

 最後に、存続組合の大変な事務負担ということがあると思います。一時金払いの七十万人を超える対象者に対する支給の手続、事務負担が相当にふえることが見込まれております。

 最後に、こうした存続組合の人手不足、それから、存続組合の職員がまだまだ現役で今後も働く場合に、解散した後の処遇について、十分な雇用の場の確保という取組についても政府のお考えを伺いたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 事務の体制につきましては、これは現在でも、選択制による一時金を実施したノウハウが存続組合にはございますので、その際には業務の一部外注等も活用しながら混乱なく処理しているということでございます。

 今回は対象者が倍以上になるわけでございますので、まずはそのノウハウを最大限発揮していただきたいとは考えておりますけれども、農林省としても、必要な段取りについての作業計画をあらかじめ策定していただくとか、必要に応じて要員を確保するためのいろいろな指導を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

 それから、雇用の関係でございますけれども、存続組合が業務を清算し解散する時期には、二〇三三年度ごろとなる見込みでありますけれども、その時点で定年前の職員が四名程度いる見込みでございます。これについては、農林漁業団体は、系統内で雇用が確保されるよう調整する意向でございまして、農林水産省としても、確実に雇用の確保をされるよう指導してまいりたいというふうに考えてございます。

緑川委員 本当にまだ長い、これから制度完了にまで取組が求められると思いますので、最後の一人までしっかりと一時金が行き渡るということを重ねてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 農林年金改正法について、この質疑を終わらせていただきまして、続いて、資料もあるんですけれども、農産物検査法に基づく農産物検査について質問をさせていただきます。

 お配りした一枚目、ことし二月十五日付の日本農業新聞の一面に、米の農産物検査の仕組みの見直しについて報じられています。

 古い歴史がありまして、一九五一年に農産物検査法がつくられ、農産物の公正かつ円滑な取引などを目的として制定されていますが、この長い歴史の中で、米の流通が自由化し、生産者から消費者への直送販売も可能となるなど、いろんなルートで、さまざまな形態で販売されることも出てきました。近年は消費量のうちの半数以上を業務用としての消費が占めております。家庭用を上回っているわけです。

 米の流通や生産の実態は時代とともに大きく変わっているということを受けて、政府として、米の農産物検査の見直し、現在検討しているのか、あるいは検討しているとしたらどんなふうに対応していくお考えでしょうか。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 農産物検査につきましては、平成二十八年十一月に決定されました農業競争力強化プログラムにおきまして、「農産物の規格についてそれぞれの流通ルートや消費者ニーズに即した合理的なものに見直す。」とされたところでございます。

 そして、このプログラムを踏まえまして、農業競争力強化支援法が制定、施行されたところでございますけれども、同法十一条第一項第二号におきまして、国は、「農産物流通等に係る規格について、農産物流通等の現状及び消費者の需要に即応して、農産物の公正かつ円滑な取引に資するため、国が定めた当該規格の見直しを行う」と規定されたところでございます。

 これらを踏まえまして、現在、農産物規格、検査につきまして、現場の担い手の方々あるいは実需者の御意見をお聞きしつつ、公正かつ円滑な取引に資するよう、必要な見直しの検討を行っているところでございます。

 ただ、現時点におきまして、見直しの具体的な内容は何ら決まっているところではございません。

緑川委員 この農産物検査の仕組みの見直しの中で、一つやはり指摘しておきたいのが、米の検査規格の一つ、着色粒の混入限度であります。

 カメムシが稲について米の栄養を吸ってしまうことで米が黒くなったりあるいは斑点になっている斑点米というものが生じたり、これは着色粒というふうに、着色の粒、着色粒といいますが、この着色粒がどの程度混入してもいいかというのを判断するための混入限度です。

 この着色粒の混入限度は、目安として、一等米であれば〇・一%、二等米であれば〇・二%、そして一方で小石などの異物の、こういう健康上問題のある混入限度は、一等米で〇・二%、二等米では〇・四%なんです。つまり、着色粒の混入限度よりもこれはちょっと多目に入ってもいいよと許されてしまっているわけですね。こういう異物のような、着色粒よりも健康上問題のあるものが、こういう異物の混入限度の方が緩いというのがやはり私は問題だと思います。

 一方で、着色粒の厳しい混入限度をクリアしていくために、米農家はカメムシから米を守ろうとして薬をまきます。神経毒を含んでいるようなネオニコチノイド系の薬剤、これは、言ってみれば殺虫剤を夏場田んぼに頻繁に散布するわけなんです。カメムシだけに効くわけじゃなくて、周辺に飛来している、やはり近年影響が出ていると言われるのがミツバチですね、ミツバチが死んでしまうという被害を招いております。

 秋田県の生産量、全国で三位ですけれども、蜂蜜、この生産を支えている養蜂家が飼っているミツバチの被害、毎年これは一定の件数で起きております。国内全体では、直近で二〇一三年に六十九件、二〇一四年に七十九件、二〇一五年に五十件。こういう数字を見れば、今後、抜本的な取組をしなければゼロにはなりませんね。

 殺虫剤成分が水田や河川などに長い期間残留するということもあります。カメムシ以外の昆虫や水中の生き物、鳥に被害が及ぶ、生態系への影響。このほか、殺虫剤の成分が玄米にも残留している問題、国産の蜂蜜の六割以上で、国が定める残留基準を上回るネオニコ系の薬剤の成分が検出されたという大学有識者の調査結果も出ております。これが、つまり食べ物なわけですね、お米、蜂蜜、これが人の口の中に入っているわけで、小さな子供であればなお発達障害の心配もあるし、小さい体にその影響が余計に心配されるわけです。

 この着色粒の厳しい混入限度を緩和していくことが、私はあくまでカメムシの防除に使う殺虫剤を減らすことができるというふうに考えております。ミツバチ被害を始め、今挙げた数々の問題の解消にもつながる可能性があると思います。着色粒混入限度について、今現在、基準の変更というものは考えているでしょうか。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘ございましたカメムシなどによりますいわゆる着色粒につきましては、その混入が消費者からのクレームの要因になるということから、生産者、流通業者、消費者など関係者の御意見をお聞きしまして、現行の米の農産物規格に着色粒の最高限度を設けているところでございます。

 今後、この農産物規格、検査につきましては、先ほど申し上げました農業競争力強化支援法などに基づきまして見直しの検討を行ってまいるわけでございますけれども、その際、今御指摘の着色粒あるいは異種穀粒などの規格基準の内容のみならず、検査目的、検査主体など検査制度のあり方、あるいは検査結果の各種制度への活用方法など、さまざまな観点から検討する必要があると考えているところでございます。

緑川委員 検討というお言葉をいただいている以上は、しっかりと、科学的な知見に基づいての分析、これを積み上げていただきたいというふうに思います。

 これは自治体からの要請もありまして、資料二枚目の黄色いマーカーが引いてある問五というところをごらんいただきたいんですが、私の地元の秋田県を含む十二の県で着色粒の混入限度の緩和を求めております。機械化が進んだ生産作業が、これが合理化された現代においては、農産物の検査のあり方はやはり時代にフィットしていかなければならないと多くの県が考えている結果であると思います。

 こうした地域の求めに対して、政府の具体的な取組、それに応えていくということが求められているわけですけれども、先日、柄澤参考人のお答えの中で、薬剤を散布しなかった場合の歩留りが大きく低下をしてしまうというお答えをしていました。薬剤を散布する必要があるんだという根拠でお話をされたことなんですが、つまり、商品としての、不良品の米が、薬剤を散布しなければカメムシが御飯を食べちゃうから、ふえてしまうという理由でおっしゃっているんですが、それを裏づけるデータ、指標があればお示しいただきたいというふうに思います。

柄澤政府参考人 今御指摘ございましたように、昨年十二月十二日の本衆議院農林水産委員会におきまして、緑川委員からの御質問に対しまして、私から、関係者のさまざまな御意見を紹介する文脈の中で、今議事録がございますが、正確に申し上げますと、カメムシなどが大量に発生し着色粒の混入割合が多くなれば、収穫後の色彩選別機などによる除去では歩留りが大きく低下するというふうに御答弁申し上げたところでございます。

 これは、着色粒を色彩選別機で除去する場合には、通常、着色粒のみならず、一定程度、普通の粒、整粒も同時に除去してしまうということになりますので、着色粒の混入割合に応じて、その分、当然のことですが歩留りが低下するという定性的な事実関係についての関係者の御意見を紹介したものでございます。

 いずれにしましても、着色粒の混入がありますと、必ずこれは消費者からのクレームにつながりますので、そのことを踏まえますと、全体として見た場合に、生産段階か流通段階のいずれかにおきまして除去しないといけないという必要がございます。その際、どこでそのコストを負担することが最も適切かということでございますので、そのことにつきまして、農薬の使用実態、色彩選別機の導入実態などを踏まえて、いろいろな分野の関係者の御意見をよくよくお伺いした上で検討していく必要があると考えているところでございます。

緑川委員 時間が来てしまいました。

 それを裏づける、歩留りが大きく低下をしてしまうおそれがあるということに対する有識者のさまざまな見解もありまして、つまり、防除をしてもしなくても、これは米の斑点米の混入率に影響がないというふうにしているデータも上がってきているんですね。詳しく、後ほど、次回以降の質問でお話をさせていただきたいと思いますけれども、二二年に向けた米の検査の見直し、抜本的見直しというふうに報道されておりますので、これはじっくりと議論を深めさせていただければなというふうに思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、森林経営管理法案の提出資料が変更されたことについて伺います。

 本委員会での審議に際して林野庁から出された説明資料は、八四%の森林所有者は経営意欲が低い、意欲の低い森林所有者のうち七一%は主伐の意向なしなど、森林所有者へのアンケートデータを捏造した恣意的なものでありました。私は、そのことを再三指摘し、撤回を求めてきたわけでもありますけれども、四月十七日、委員会の採決の日の最後の審議においても、沖林野庁長官の答弁は、その数字を引用していきます、森林・林業白書案の記載も変えないとのことでありました。

 その後、齋藤大臣の指示もありまして、資料は改定されました。きょうの理事会でも説明を受けました。参議院では、改定資料をもとに今から審議が始まるわけです。つまり、衆議院、本院、本委員会におきましては、間違った資料をもとに審議を行い、そして採決となったわけであります。

 大臣、このてんまつについて、私は本委員会で報告をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 森林経営管理法案の背景説明資料の整理の仕方につきまして、本委員会におきまして、田村委員からは、調査結果をありのまま出すべきだという御指摘をいただきました。それから、ほかの委員からも森林経営意欲が低い者の整理の仕方に懸念があるといった御指摘もありましたし、さらに、参議院の農林水産委員会でも同様に御指摘をいただきました。

 私としては、衆議院や参議院、両農水委員会において御指摘があったということは重く受けとめなくちゃいけないと思いまして、意図的な改ざんというふうには私は理解はしておりませんが、ただ、誤解を生じるおそれも確かにあるというふうに私が判断をさせていただきまして、表現の適正化を図るために、もととなった調査の選択肢の表現をそのまま使用した方がいいだろうということで、関連する記述を追加させていただいた、このような経緯でございます。

田村(貴)委員 経営意欲に関するその所有者のアンケートのデータというのは、当該法案の立法事実を示すデータであったはずであります。それが不自然に改変されたということになりますと、立法事実が本当にあったのかという疑念が生じてまいります。

 つまり、森林所有者の一四・六%が規模を拡大したい、七一・五%が現状を維持したいと、八六・一%の方が水準を落とさないという意向が示されているにもかかわらず、八四%が経営意欲がないと、真逆に既定されてしまったということですよね。となれば、立法事実の根幹は揺らいだと見るべきではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 今回修正をさせていただいたのは、資料のもととなった調査結果のデータそのものを修正したものではなくて、その整理の仕方について正確性を期させていただいたということであります。私としては、最初からきちんとした正確性を期したものを出せばよかったと今は思っております。思っておりますが、気づいた時点で、その正確性を期すために修正をさせていただいたということであります。

 したがって、これはあのときの答弁でも私申し上げたと思うんですけれども、調査結果から読み取れるように、我が国の森林の適切な管理を図るためには、現に経営管理が不十分な森林について経営管理の集積、集約化を図ることが課題ということでしたので、その実現のためにはこれらの森林を経営規模の拡大を志向する方を中心とした担い手につなぐ必要があるという本法案の必要性やその前提が、これによって変わるものではないというふうに私どもは考えているところでございます。

田村(貴)委員 委員長にお願いしたいことがあります。

 資料がやはり変更された、その改定前の間違った資料に基づいて審議をしてきたわけですので、私は、審議をやはり本委員会に差し戻していただきたい、若しくは補充質疑を行っていただきたいと主張させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊東委員長 後ほど理事会において検討させていただきます。

田村(貴)委員 数字がひとり歩きしました。

 林野庁にお伺いします。

 改定前の資料、数字は、林政審議会それから規制改革推進会議、ほかの会議でもたびたび取り上げられて、使われてまいりました。参加者への訂正と説明をすべきではありませんか。

 また、ここに四月二十六日付日本農業新聞を持ってまいりました。こういう記事が載っています。「「経営意欲低い」に 林業者反発」大きな記事が出ています。ちょっと紹介します。

 「「法案を通すための恣意的な行為に思える」「経営を現状維持する大切さを分かってほしい」などと林政への信頼を問う声が続出。持続可能な自伐型林業が各地に広がるなど、新たな潮流が芽生えているだけに「現場を踏まえ政策を立案してほしい」と切実な訴えも挙がる。」こういう報道もされた。こういう案件なんですよ、今度のものは。

 林業に携わる多くの関係者のプライドを傷つけ、そして反発の声を生んでいることについて、林野庁はどう受けとめておられるんですか。それで、今後どうするんですか。お答えいただきたいと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 林政審議会それから規制改革推進会議農林ワーキング・グループでは、主に本法案の検討段階におきまして、検討の方向性等について説明を行っておりますけれども、この説明資料について、訂正前の資料でございますけれども、特段御意見等をいただくことなく、御理解をきちんといただいているというふうに考えておりまして、訂正する必要は基本的にないというふうに考えてございます。

 ただ、今委員の御指摘もありましたように、日本全国の林業者からも、林業に対する熱い思い、期待を表明されていると私たちは認識しておりまして、今後、こうした委員会等、また林政審議会とか農林ワーキング等いろいろございますけれども、説明を求められれば、誤解を生じないようにするために、見直しました資料を使用いたしまして、丁寧な説明に努めてまいります。

田村(貴)委員 長官、答弁は答弁として聞きましたけれども、やはり事実が捏造されて、別の数字としてひとり歩きしたんですよ。本委員会ではこの資料をもとに審議してきて採決したんですよ。先ほど委員長にもお願いしましたけれども、私は、戻していただきたい。一言も、迷惑かけましたぐらいの言葉があってしかるべきじゃないかと思いますけれども、どうですか。

 きょうは法案審査ですから、またいずれこの問題はやっていきたいというふうに思いますけれども、今後、委員会に出される資料については、リアルな、ありのままの資料を提出していただきたいというふうに思います。

 それから、意欲がないと決めつけて、だから市町村に管理を任せる、あるいは林業者に管理を任せるというのが今度の法案のたてつけでありました。それが、真逆の考え方で強いられたのでありますから、やはり私は、これは立法事実がなかったというふうに主張をするものであります。

 では、法案の内容について質問をします。

 農林年金の廃止法案の一部改正案ですけれども、各農林漁業団体が毎月負担する特例業務負担金、これは資料で平成二十八年度二百八十一億円となっていますけれども、これが各団体においてどういう財政上の支障を今来しているのか、簡単に御説明いただけるでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 農林漁業団体を取り巻く情勢が厳しい中で、各団体は、特例業務負担金を御指摘のとおり毎月負担しておりまして、これは現役世代の負担ということになっております。仮に、今回の改正を行わないで現行の制度のままとした場合には、七十年後の二〇八八年ごろまで、この長期間にわたって、特例年金の給付に関する事務コスト、これは二十八年度実績では二十三億円になっておりますが、これを農林漁業団体が負担し続けることになります。

 こういうことを踏まえて、農林漁業団体と年金受給者団体の双方から、一時金の支給を義務化して特例年金給付を早期に完了することの要望が出されたものと承知しております。

田村(貴)委員 全ての受給権者の理解と同意は得られているのかというのが次の質問であります。

 受給権者十一万八千人、一時金に切りかえてもらうことを、この法案が通ればお願いをするということを伺っております。

 退職者連盟の特例年金完了の要請については、私も承知をしております。しかし、県によっては解散しているところもあります。十一万八千人の受給権者全ての思いを捉えているとは言えないのではないか、受給者全ての承諾は得られるのであるか、このことについてはいかがでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、事実関係として申しますと、今回、大臣に対して法改正の要請をいたしました全国農林漁業団体退職者連盟につきましては、都府県単位の受給者連盟に所属する者が会員ではございますけれども、解散した場合には、その府県、解散した府県の受給者連盟の会員であった方がそのまま継続して全国団体の会員にもなっているということでございます。まず、これは事実関係としてお話をしております。

 そういうような、解散した県の方が全国団体の会員になったものを含めた全国団体の総意として要望が出されたとは承知しておりますが、一人一人の方に理解を得られるかというのは、これはまた別の話でございますので、我々としては、法施行までの十分な周知期間において、団体も一生懸命やるでしょうし、我々も制度の趣旨を説明してまいりたいというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 では、その一時金の実際の受取額がどのようになっていくのかについてです。

 年金額が年間七万円だとして、六十五歳、七十五歳、八十五歳の方が一時金を幾ら受け取るのか、これについて教えていただきたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 特例年金の平均額であります年間七万円を支給されている男性が、平成三十一年四月以降分特例年金にかえて特例一時金を支給する場合の金額を試算いたしますと、平成三十一年三月末の年齢が六十五歳の方は九十九万三千円、七十五歳の方は六十九万九千円、八十五歳の方は四十万円となります。

田村(貴)委員 八十五歳の方が一時金で受け取る額は四十万円とのことでありました。

 年間七万円の年金ですから、五、六年分の年金に相当するということで、この方がもし、いや、私はまだまだ長生きして元気で頑張れるんだと思ったら、やはり受け取る額は少ないんじゃないかなと思われるんじゃないかと思うんですよね。

 もっと長生きして生涯年金がもらえると考えていた受給権者の方にとったら、支給額は少ない、期待権が侵害されるのではないか。場合によっては、いろいろと主張される方も出てくるかもわからない。このことについてはいかが対応されるんでしょうか。

大澤政府参考人 まず、制度の趣旨をしっかりと説明して、どういう計算をしたかというのを説明することが大事だと思っております。

 今回の法改正による特例一時金は、生存率等を用いまして、将来分の特例年金給付の額と経済的に等価値の額を支給するという、統計的に客観的な仕組みに基づくものである、こういうことをしっかりと説明してまいりたいと思っております。

 財産権との関係につきましても、先ほどから御説明しておりますとおり、昭和五十三年の最高裁判例に従って、公共の福祉に適合するものである限り、事後の法律で財産権の内容を変更することも合憲とされておりますので、今回のこの特例一時金は年金給付と経済的に等価値であって、かつ、現役世代の負担するコストを引き下げるものである、こういうことをしっかりと丁寧に説明して、対象となる方々に十分な御理解をいただけるようにしてまいりたいというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 今回の措置は非常に残念な面もあるんですけれども、特例年金を維持できない背景、ここにはやはり農林漁業団体で働く職員の方の減少があるわけですよね。農協でいいますと、ピーク時の三分の二に減少しているということであります。

 年金の支え手が少なくなる問題、ひいては、これは第一次産業の振興をやはり図っていく必要があるのではないかというふうに思います。ここが大事なところだと思います。

 各団体で働く役職員の方々、そして年金受給者の意向を大事にされることを強く求めて、きょうの質問は終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も、質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 農林年金制度につきまして、平成十四年に厚生年金と再び統合され、それ以降、残された三階に相当する職域年金部分の支給が続けられてきました。平成二十二年からは、選択制ではありますが、一時金払いの制度を導入するなどの取組が進められました。その結果、農林年金を制度完了させるための最終的な環境整備が整ったとされています。

 これを受けまして、農協や漁協といった各種団体等の意向も政府として受けとめ、本法律案が提出されたと理解をしておりますが、私からも、改めて、この農林年金廃止法改正案を提出することの意義について伺いたいと思います。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 農林漁業団体職員共済制度は、農協、漁協、森林組合等の役職員に対する公的年金制度でありましたが、平成十四年に厚生年金と統合し、現在は、統合前の旧農林共済組合員期間を有する者に限り、その期間に係る職域年金部分、いわゆる三階建ての部分の特例年金として支給するものでございます。

 しかしながら、平成二十二年度から特例年金にかえて一時金を選択できる仕組みを導入し、受給権者の八六%が一時金を選択したことにより年金受給者が大幅に減少するとともに、一人当たりの支給額も、月額一万円未満の者が平成二十九年度末で七割超となり、少額化が進んでいる一方で、現行制度のままでは、長期間にわたり事務コスト、平成二十八年度で約二十三億円を農林漁業団体が負担し続けることになるため、農林漁業団体と年金受給者団体の双方から、一時金の支給を義務化して特例年金給付を早期に完了することの要望が出されているところでございます。

 このため、旧農林共済組合員期間を有する者に対し、特例年金にかえて将来分の特例年金の現価相当額を特例一時金として支給するとともに、経過的に存続する農林共済組合は特例一時金の支給業務を全て終了したときに解散をすることとするものでございます。

森(夏)委員 御丁寧な御説明、ありがとうございます。

 農林年金廃止法改正案を提出することの意義については、年金受給者の方々にしっかりと周知をしていただきたいと思います。

 三階に相当する職域年金部分につきまして、平成十四年に厚生年金と統合した際、新規の組合員加入のない閉鎖型の年金制度として支給が継続され、現在に至っているわけですけれども、平成十四年当時、特例年金として継続して支給することになった理由を教えてください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる三階の職域年金相当部分につきましては、平成十四年の厚生年金との統合前に、二階の厚生年金相当部分に上乗せして組合員が支払っていた掛金に相当する部分でございます。

 厚生年金との統合により農林年金が廃止された後は、組合員がそういうふうに上乗せして支払った掛金を清算しなければなりません。このために、当該組合員に対して、その加入期間に応じた額を特例年金として支給しているものでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 平成十四年四月の厚生年金との再統合の際に三階部分の特例年金を継続支給にすることになったのも、現場の農林漁業団体の方々の意向に沿ったものであったと思います。今回の法改正においても、農林漁業団体の方々の現場の声、また受給権者の方々の思いに沿った形で進めていっていただきたいと思っております。

 次に、組合の年齢構成について伺います。

 農林年金制度は、昭和三十四年に厚生年金から分離独立したもので、長い歴史があるものと理解しておりますが、現在の特例年金受給権者の平均年齢を教えてください。また、七十代の受給権者の割合も教えてください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 現在の特例年金の受給権者の平均年齢は七十三歳となっております。また、現在の受給権者全体に占める七十歳代の割合は約二四・三%となっております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 やはり高齢の方が多いですが、その方々は今後保証されていると思います。

 農協や漁協、森林組合等に何年勤めたか、給与が幾らだったかによって支給金額が決まると思います。本年度末には年金支給が月額一万円未満の受給権者の割合が全体の七割を超え、月額五千円未満の受給権者の方々も平成二十九年度末には五割を超えていると聞いております。

 一時金を選択されていない方の割合についてお聞きしたいと思います。これまで一時金を選択されずに現在特例年金の受給者となっている方々は、どのくらいいらっしゃるのでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 今、一時金を選択されていない方は、平成二十八年度末におきまして約十一万八千人となっております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 今回の法改正により、これまでの年金給付にかわって一時金による一括支給が義務化されることとなります。

 この一時金支給につきまして、平成二十二年四月から、年金支給開始年齢に達した受給権者を対象として、冒頭お話ししましたように、本人の選択により将来の特例年金を受給できる一時金制度が導入されています。そして、その選択率は平成二十八年三月末時点で約八六%に達しているとのことです。非常に多くの受給者の方々が一時金を選択されており、制度完了に向けて大きな役割を果たしてきたものと思います。

 一方で、先ほど答弁でもありましたが、残りの受給者の方々は一時金を選択されていないわけでありますが、この方々がなぜ一時金を選択されなかったのか、理由を教えていただけますでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 個々の受給権者に確認したわけではございませんけれども、例えば、再就職の見込みがある方については、一時金を一旦受給しても当該再就職期間分の一時金額は後で返還しなければならないということであえて選択しないとか、あるいは、長い間年金給付を受けてきたので現状を変えることが煩わしいと考えておられるなどの事情が考えられると思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 年金受給者の方々にとっては、先ほど御説明いただきましたが、再就職の可能性があったり、変えることが煩わしいといったようなお話が想定されるのではないかというお話がありましたけれども、皆様に、この現在受給されていない方々にしっかりと御説明をいただき、対応をしていただきたいと思います。

 今回の特例一時金を受給することになる対象者は、将来的に年金支給開始年齢に到達した場合に受給権者となる未裁定者の方々も含めますと、七十万人を超える非常に大規模な数になるということであります。そうした非常に多くの受給対象者に一時金支給を義務化する制度改正が行われたことを確実に知らせることは、存続組合が最も力を入れるべき業務の一つではないかと思います。

 そこで、存続組合は、特例一時金の受給対象者に対して、今回の制度改正が行われたことが伝わるよう、どのような方法で周知を図っていくこととしているのでしょうか、お尋ねいたします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正の内容、手続等について、特例一時金の支給対象者にしっかりと周知していくことは非常に重要だと考えてございます。

 このため、存続組合は、本改正法案が成立した場合には、特例年金の受給権者と未裁定者の全員に対して、法律改正の内容、特例一時金の支給に向けた今後のスケジュールなどをわかりやすく説明したパンフレットの作成、送付や、ポスターの配布、新聞広告、インターネットを通じた周知、市町村広報の活用など、幅広い広報活動を実施することとしております。また、加えて、農林漁業団体も全国各地で説明会を開催するということにしております。

 こうした周知活動を徹底して行うことによりまして、全ての特例一時金の受給権者に対して確実に支給できるように、存続組合等を我々もしっかり指導してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 周知を徹底していただきたいと思います。

 ですが、ポスターを目にする機会がなかったとか、インターネットを使われない方もいらっしゃったり、また、説明会等を開催していただいても外出することができなかったというような方も中にはいらっしゃると思います。大変な作業ではあると思いますけれども、しっかりとした丁寧な周知をお願いいたしたいと思います。制度が完了したときに、受給権者の方々が、この制度を知らなかったんだ、そうならないようにお願いしたいと思います。

 最後に、ほかの委員からも質問がございましたけれども、本法律案成立後のスケジュール感について改めて伺います。

 本法律案の成立から農林年金制度の完了、組合の解散に至るまで、どのような日程で進まれるのでしょうか。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 存続組合の解散に至るまでの今後のスケジュールでございますが、まず、特例一時金につきましては、法施行後、受給権者への支給終了まで約五年程度かかるものと見込んでおります。

 また、存続組合においては、特例一時金の支払いに必要な財源の一部を金融機関から借りることとしております。これは法施行以後に農林漁業団体から毎月徴収する特例業務負担金によって返済することとなりますので、返済が完了して存続組合が解散するのは二〇三三年ごろと見込んでおります。

 なお、存続組合が解散する時点での定年前の職員は四名程度というふうに見込んでおります。また、これも先ほど答弁させていただきましたが、その四名につきましても系統内で雇用が確保されるように、私どもとしても指導してまいりたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 受給される方々の高齢化ですとか一時金を希望される方が多いことなど、また、支給に係る費用の面から考えましても、本法律の改正は必要だと思っております。

 繰り返しになりますけれども、年金受給者の方々への適切な周知、対応をしていただき、また、農林年金制度の完了、組合の解散、そして、先ほど最後の一人までと御答弁ありましたけれども、組合解散時に定年に達していない存続組合の方々の今後の雇用についても適切な対応をお願いして、私からの質疑を終了いたします。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうの質疑者として最後でございますので、ほかの委員の方々の質問の内容と随分重複しております。できるだけ切り口を変えながら、通告の範囲でございますけれども、質問させていただきたいと思います。

 既に、本法律案を提出した意義と必要性については何度も御答弁がありました。実は、これについても大臣から御答弁をいただきたいというふうには思っているんですが、プラス、やはり環境が整った、つまり、農林年金制度の完了に向けた最終的な環境整備が整ったと言える、その理由をもってこの法律案の提出ということになってきたというふうに思います。その部分についてお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 今の御質問は、本法案の意義と必要性に絡むんだろうと思います。

 その部分については、先ほど来御答弁申し上げておりますので省略いたしますが、熟してきたということに関して言えば、農林漁業団体とそれから年金受給者団体双方から、一時金の支給を義務化してとにかく特例年金給付を早期に完了したい、そういう要望が組織として出されてきたということが、やはり我々にとっては大きなモメンタムになってきたと言えるんじゃないかと思います。

金子(恵)委員 組織からの要望、当事者からの要望を受けて本法律案を提出したということでございまして、そして、今回のような一時金払い制度、この支給を義務化するという内容でございます。

 この一時金払いという形も、選択制から今回の義務化という中で、先ほど来お話がありますけれども、今まで選択をした方々というのは、選択率というのは八六%であった。一方、一四%は選択しなかったということであります。お話がありますように、少数派を切捨てではないんだということで、その一四%の方々、なぜ選択しなかったということについては、先ほども御答弁があらあらあったようではありますけれども、個別な調査をしたわけでもありませんし、そこについてはしっかりと注視していかなくてはいけないというふうに思います。

 そしてまた、この一時金については、財産権の侵害には当たらないという答弁はありますけれども、そこの問題が話題になっていくとか、メリットについて言えば、本当にコストの削減に資するということにつながっていくのかということで、メリットがあるようで、しかし一方では、もしかすると今後わからない課題というものが出てくる可能性もあるわけですから、そこについてしっかりと対応ができる方向づけをしていかなくてはいけないというふうに思っております。

 そういう意味で、今回の支給を義務化することの意義と必要性、どのようにお考えなのか、大臣にお伺いします。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

齋藤国務大臣 確かに、金子委員御指摘のように、現在の選択制のもとでも一四%の方が一時金を選択していないという現状があるわけでありますので、今回の法改正についてしっかりとした説明を徹底して行っていくことは大事なわけであります。

 先ほど申し上げましたように、それぞれの組織から要望があったということでございますので、それぞれの組織におきましても、今後、当然メリットを感じての御要望だろうと思いますので、その御要望を踏まえて今回法改正をするわけであります。

 当然のことながら、その一時金の支給については、七十万人の相手がいるわけでありますのでコストも当然かかるわけでありますが、できる限りコストを抑えながら制度の完了が図られるように、我々の方でもしっかり指導していきたいというふうに考えているところでございます。

金子(恵)委員 コスト削減、そして、一方では、今回の支給に要する財源の確保ということでございます。

 財源の確保については、特例業務負担金を徴収することが前提となっているということでありますけれども、改正法案においてはその根拠となる指定法人化が義務となっていなくて、改正農協法等の影響によって協同組合の株式会社化あるいは社団法人化が加速した場合に、負担金支払い対象から外れ、財源の確保が困難となる懸念があるのではないかというふうに思いますが、必要財源の確保に向けてはしっかりとした措置が必要であるということでございます。

 先ほども、長期前納によって確保するということがしっかりと検討されているということであると思いますが、これも各団体の任意によるものであるということと、そして、もし財源が確保できない部分について、これはやはり借入金ということになっていくだろうということでありますけれども、これについても、政府が債務保証をしっかりと行っていくような、そういう仕組みづくりも必要になってくると思うんです。

 本当に私、最後の質疑者でございますので、今までのやりとりを拝聴している中で、まとめた形でまた御質問をさせていただきたいと思いますが、財源がしっかりと確保できる、これをしっかり担保していく仕組み、どのように進められるのか、大臣にお伺いさせていただきます。

齋藤国務大臣 本件は、繰り返しますけれども、団体の方からぜひとも実行してほしいという要望がまずなされているということであります。

 農林年金制度は、平成十四年の厚生年金との統合によりまして、旧組合員が統合前に厚生年金相当額以上に支払ったその掛金の清算を目的として特例年金を支給しているというものでありますので、もともと国が追加的に支援をするという性格のものではないということは押さえておかなくてはいけないと思います。

 その上で、当然、今回の措置を実行に移しますと、借入れも必要になってくると思います。今回の法改正は、特例一時金の財源を負担することとなる農林漁業団体が、当然その資金のめどが立っていることを前提に、私ども、要望されているというふうに承知をしているところであります。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

金子(恵)委員 制度的に言って、例えば政府が直接的に支援するものではないというふうに今御答弁されたように聞こえましたが、実際には、農業にかかわる団体で働く方々、つまりは国民の皆さんの福祉にかかわることだと思うんです。

 全体の話を言うと、やはり我が国の公的年金制度をどのように考えていくかという枠組みの中で仕組みづくりというのがなされてきた、そして今に至っているということでありますから、ちょっと今のような御答弁には私は大変違和感を感じるところでございますが、いかがですか。

齋藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、この農林年金制度そのものは、平成十四年の厚生年金との統合によって、旧組合員が統合前に厚生年金相当額以上に支払っていた掛金の清算を目的として支給をしているということですので、繰り返しになりますが、国が追加支援する性格のものではないわけであります。

 自律的に回るという前提の制度であるわけでありまして、今から大変になったときにどうするかというのを申し上げるということが本当にいいのかどうか、その点についても疑問でありますので、そういうことを全部踏まえて要望されているし、もちろん注視はしていきたいと思っております。

金子(恵)委員 一国民として今質問させていただいておりますけれども、いずれにしても、制度完了までの円滑な業務体制というのは担保しなくてはいけないというふうに思っています。

 農林年金制度完了、そして存続組合解散までの間、一時金払いを義務化することによって、住所不明の方々の調査とか受給権者への通知等、本当に年金業務の増加というのが見込まれるわけでありますので、必要な要員の確保あるいは事務経費の確保等も含めて、円滑な業務体制をしっかりと担保する必要があるというふうに思うんです。それがなければ、決して一時金の支払いというのが進むわけでもなく、最終的にこれもおくれて、そして農林年金制度の完了もおくれていくということにつながってしまいます。

 これは、今法案を審議していて、その改正の話ですので、全く政府は関係ないという答弁は絶対無理だというふうに思います。

 実際に、農林年金の職員の数というのは昨年の四月一日の段階で七十七名ということですけれども、二十名が臨時職員ということで、正職員は五十七名でやっている。新規採用はしていません。定年に達した方々はどんどん退職していって、徐々に人が減っているという現状があるということです。

 恐らく、存続組合の方々からこの要望というのが出てくると思いますけれども、その出てきたときにはどのような対応をされるかということ。先ほどもありましたけれども、職員の方々が組合が解散したときもいらっしゃる場合、定年年齢に達しないとき、それについては、雇用の確保については対策をするという御答弁があったと思います。それと一緒です。全く政府が関係ない、知らんぷりということではないはずですので、最後に御答弁をいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 確かに、存続組合では一時的な業務量の増加というのが当然考えられるわけであります。

 これまでも存続組合におきましては、選択制による一時金を約三十五万人の受給権者に対しまして、業務の一部外注も活用しながら混乱なく処理をされてきておりまして、一時金支給のノウハウも相当程度蓄積をされているのではないかと考えます。

 今回の特例一時金についても、これまで培ってきたノウハウを最大限発揮していただきながら、必要な場合には外注を活用することによりまして、事務処理に万全を期すということとしているところであります。

 ただ、農林水産省としても、存続組合に対しましては、施行に向けて必要な作業を段取りよく進めるための作業計画をあらかじめきちんと策定すること、それから、計画の進捗状況を適切に把握して、そして必要に応じて要員を確保するなどの対応をとることなどについて、よく目配りをした上で指導してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので終わりますが、一時金の対象となる方々の中で四万人は住所が不明、そういう状況もあります。この調査、本当に手間がかかる話でありますので、ぜひしっかりとサポートをしていただいて、最後のお一人までしっかりと支給をしていただく、そういう努力をするということでありますので、よろしくお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

伊東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木憲和君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、無所属の会及び日本維新の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。石川香織君。

石川(香)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 本法の施行日の前日における特例年金給付の未裁定者が特例一時金の支給を受ける権利は、その支給事由が生じた日から五年を経過したときに時効によって消滅することから、本制度について十分な周知徹底を図ること。

 二 特例一時金の支給に要する財源については、組織変更等を行った農林漁業団体から特例業務負担金を徴収する根拠とするための指定法人化を適切に行うとともに、存続組合が農林漁業団体に特例業務負担金を長期前納させること等により、その確保ができるよう指導すること。

 三 存続組合が解散に至るまで、一時的な事務量の増加等による要員不足等の問題に適切な対応を行うよう指導すること。

 四 存続組合の解散時に在籍している職員について、当該職員の雇用の確保を適切に行うよう指導すること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

伊東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣齋藤健君。

齋藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただきましてありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

伊東委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊東委員長 次回は、明十日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十三分散会


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