衆議院

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第14号 平成30年5月15日(火曜日)

会議録本文へ
平成三十年五月十五日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 緑川 貴士君 理事 佐藤 英道君

      池田 道孝君    泉田 裕彦君

      稲田 朋美君    上杉謙太郎君

      加藤 寛治君    金子 俊平君

      神谷  昇君    神田 憲次君

      木村 次郎君    岸  信夫君

      小寺 裕雄君    斎藤 洋明君

      高木  啓君    西田 昭二君

      野中  厚君    藤井比早之君

      藤原  崇君    細田 健一君

      三浦  靖君    三谷 英弘君

      宮路 拓馬君    山本  拓君

      石川 香織君    神谷  裕君

      亀井亜紀子君    高木錬太郎君

      青山 大人君    後藤 祐一君

      関 健一郎君    江田 康幸君

      大串 博志君    金子 恵美君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

      寺田  学君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   農林水産大臣政務官    上月 良祐君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            荒川  隆君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任

  青山 大人君

同日

            補欠選任

             山内 康一君

同日

 辞任

  山内 康一君

同日

            補欠選任

             寺田  学君

同月十五日

 辞任         補欠選任

  岸  信夫君     高木  啓君

  古川  康君     三浦  靖君

  大河原雅子君     高木錬太郎君

  後藤 祐一君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     岸  信夫君

  三浦  靖君     神谷  昇君

  高木錬太郎君     大河原雅子君

  青山 大人君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     古川  康君

    ―――――――――――――

五月十五日

 農業者戸別所得補償制度の復活に関する請願(金子恵美君紹介)(第一二六九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房審議官小川良介君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長荒川隆君及び政策統括官柄澤彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。細田健一君。

細田(健)委員 先生方、おはようございます。

 改めまして、質問の機会をいただきましたことを、委員長を始め理事の先生方に心から御礼を申し上げます。また、齋藤大臣、こういう形で質問をさせていただくこと、本当に感慨深いものがございます。

 もともと私は、二〇一〇年に当時の齋藤健事務所に政策秘書として採用していただいたというのがこの世界に足を踏み入れるきっかけでございました。本当にいい経験をさせていただいたと思います。

 当時、齋藤議員は、自民党が野党のころでございましたけれども、一期生ながら環境部会長を務められて、私も政審の会議なんかに同行させていただきまして、本当にいい経験をさせていただきました。改めて、貴重な御指導を当時からいただいていることに、心から御礼を申し上げたいというふうに思っております。

 やや蛇足ながら、今、齋藤大臣のもとで、農水省の方、本当に大変だと思いますけれども、ただ、これは本当に意味のある大変さだと思いますので、大臣を先頭に、本当によりよい農政の推進に頑張っていただきたいと思っております。もちろん、与党の議員として、私も政府には言うべきことはしっかり、はっきりと申し上げていきたいというふうに思っております。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 土地改良法でございますけれども、これは昨年も改正されまして、私も大臣政務官として携わらせていただきました。

 まず、昨年改正された土地改良法の施行状況についてお伺いしたいと思っておりますけれども、昨年の改正によりまして、機構が借り入れている土地について、農業者からの申請によらず、都道府県が事業を実施できる制度というのが創設されたところでございます。これは私の地元でも非常に要望が強く、また期待も高いところでございますけれども、この進捗状況といいますか、今年度、どれくらい要望が出てきていて、どれくらい事業の実施に着手され、また、その見通しはどうなっているか、あるいは、本事業に対する予算の手当てがどうなっているかについてお伺いできればと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問ございました農地中間管理機構関連農地整備事業の関係でございます。

 この事業につきましては、今先生からお話ございましたが、昨年、土地改良法の改正をしていただきまして、農地中間管理機構が借り入れています農地につきまして、農業者の申請、同意、費用負担がない形で、都道府県が農地の大区画化等の基盤整備を実施できる事業として、今年度、平成三十年度予算において新たな制度を創設したところでございます。

 事業開始初年度でございます今年度、平成三十年度におきましては、農地整備事業に着手する地区は全国で三十三地区予定をしておりまして、先生御地元の新潟県においても二地区が手を挙げて事業着手をする予定になっておるところでございます。

 さらに、このほかに、この農地整備事業の実施に必要な調査設計をやられるという予定にしております地区が、延べ三十五地区予定しておりまして、これらにつきましてしっかり支援をしていきたいと思っておるところでございます。

 それから、予算措置の状況でございます。

 この農地中間管理機構関連農地整備事業につきましては、担い手への農地集積、集約化などを通じた生産コストの削減、高収益作物への転換等を促進するための農業競争力強化基盤整備事業という大きな予算の枠の中で実施をさせていただくことにしておりまして、この大枠の予算につきましては、平成三十年度で六百六十七億円を計上いたしているところでございます。

 本事業を始め、農地整備の計画的な推進が図られますよう、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 今、私の地元も含めて、本当に農村が大きく変容しつつあります。これは全国的な現象でございますけれども、人口の減少、あるいは担い手の高齢化、特に今、農家における担い手の高齢化と減少、また担い手への作業集中といったことが全国的な規模で起こっているわけでございますけれども、昨年から引き続きの一連の土地改良法の改正というのは、こういう状況に適宜的確に対応していく体制整備をするということで、私は非常に高く評価をしております。

 例えば、今年度、さまざまな改正が行われるわけでございますけれども、ことしの改正の一つの柱として、土地改良区に貸借対照表の作成を義務づけるというものがございます。これはもう当然の方向だと私は考えておりますけれども、ただ一方で、例えば党内の議論でも、資産の計上方法をどういうふうに考えるかというような、かなり、制度的に詰めるべきだという強い議論がございました。

 この貸借対照表を初めて義務化されるわけでございますけれども、この作成に当たって農林水産省としても、例えば明確なガイドラインを示す等々、実務に混乱がないように十分に配慮すべきであるというふうに考えておりますが、この点についての見解をお伺いしたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生から、貸借対照表の関係について御質問を頂戴したところでございます。

 貸借対照表の作成に当たりましては、今御指摘ございましたように、土地改良施設をきちんと資産の評価をしていくといったようなことが必要になってくるわけでございまして、国といたしまして、この土地改良施設の資産評価を行うための統一的なマニュアルといったものを整備してまいりたいと考えておるところでございます。

 既に、地方公共団体等における公会計におきまして、公共施設の評価方法を示した地方公会計マニュアルというものが整備されておるところでございますけれども、こういったものを参考に、法案を通していただきましたら、速やかに整備に着手をしてまいりたいと考えておるところでございます。

 さらに、土地改良区は、自分がつくった施設はもとよりですけれども、国や地方公共団体が造成をした施設も管理を受託しておるわけでございまして、これらの施設につきましては、統一マニュアルに基づきまして、国、都道府県などの各造成主体が資産評価をしっかり行って、その結果を、現価を土地改良区に提供していくということによりまして、土地改良区の資産評価あるいはバランスシートの作成の円滑化に資するというふうに考えておりますので、現場で混乱が生じないよう万全を期してまいりたいと考えております。

 このため、この部分につきましては、来年度からということではなくて、一定の経過措置を置きまして、平成三十四事業年度から作成していただけるようにできればというふうに考えておるところでございます。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 かなり明確な対応方針をお持ちであるというふうに理解をいたしまして安心したところでございますけれども、本当に現場にとっては全く初めての経験でございますから、ぜひそこは混乱のないように、的確な御指導あるいはガイドラインの提示というものをぜひお願いしたいというふうに思います。

 それでは次に、私の地元である新潟県の米の問題についてちょっとお伺いしたいと思っております。

 新潟県、御存じのとおり、米王国と言われていたわけでございますが、近年、その王国が揺らいでいるんじゃないかというような話が出ております。ことしから、いわゆる減反廃止というのが行われるわけでございまして、これは、本当に地元でもさまざまな意見がございます。

 ただ、私もあるいは農業関係者も、ある程度一致した見解が形成されつつあるというふうに考えておりますけれども、特に新潟県においては、コシヒカリの一本足打法ではなく、さまざまな需要に合ったお米、特に今、中食、外食と言われているような業務用米の需要が相当大きく伸びておりますので、そういうお米をきちんとつくって市場の需要にきちんと対応できれば、減反という一律規制から、これは全国で例えば四割を全体として一律に減らすというような規制があったわけですけれども、こういうものから抜け出して、その産地にとってのメリットも非常に大きいというふうに考えております。

 いわゆる減反廃止について、政府の政策の広報といいますか、私自身は、本当にやる気のある、また市場の需要にきちっと対応できる産地にとってはメリットも非常に大きいというふうに考えておりますけれども、こういう減反廃止のプラス面はどういうものかということで、ぜひこれは積極的に産地に広報していただきたいというふうに思っておりまして、この点についての農水省の御見解をぜひよろしくお願いします。

柄澤政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの米政策におきましては、御指摘ございましたように、行政による生産数量目標の配分という手法を用いてまいったわけでございますが、国内の主食用米の需要が毎年八万トン程度減少を続けているという中で、仮にこの手法をずっととり続けますと、配分する面積がずっと減り続けまして、いずれ行き詰まるといったような観点に基づきまして、三十年産から生産数量目標の配分を廃止するということにしたわけでございます。

 この行政による生産数量目標の配分の廃止によりまして、産地や生産者みずからが従来以上に需要に応じた生産、販売に取り組むことになりますので、消費者や、御指摘ございました中食、外食事業者などの実需者の求める品質あるいは価格に対しまして直接的かつ一層きめ細かく対応するという米の生産、販売が促進されるといったメリットが生産サイド、消費サイド双方にとって生ずるというふうに考えているところでございます。

 農水省といたしましては、こうした米政策改革の趣旨やメリットにつきまして、実は、動画ですとかパンフも含めまして、各産地などの関係者に対して、あらゆる機会を捉えて説明してきております。引き続き、丁寧な説明をし、これについて御理解を深めてまいりたいと存じます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 今年度からの米政策といいますと、どうしても、いわゆる戸別所得補償がなくなるというような、そういうネガティブな面が、ネガティブといいますか、そういうマイナス面が強調されることが多いものですから、そういう意欲のある、本当に需要に対応できる産地については非常に大きなメリットがあるということも、ぜひ前向きに広報していただきたいというふうに考えております。

 さらに、ちょっと米についてお伺いをしたいと思いますが、特に中国に対する日本産の農林水産品の輸出についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 これは今般、李克強中国首相の来日に合わせて、中国に輸出可能な精米工場等々が今回追加指定されるということが発表となりました。これは、政府の方では齋藤大臣を始め政務三役の皆様方、また党の方では二階幹事長が非常に大きな御尽力をいただいたというふうにお伺いをしておりまして、これはまさに政府、党一体で本当にかち取ったという成果であると思います。

 これは、本当に中国本土の米の消費量というのは莫大でございますから、日本と二桁違うというふうにお伺いしておりますけれども、これに突破口が徐々に徐々に開いていくということで、私ども、産地を含めて、非常に大きな期待を持っております。

 ただ一方で、お米についてはそういう措置がとられておりますけれども、日本産の農林水産品については、これはもう皆さんよく御存じのとおり、福島の原発事故を受けて輸入規制が行われておりまして、これは私の私見ではございますけれども、本当にほとんど科学的根拠はないというふうに考えております。

 したがって、日本であれば福島県産の農林水産物は、例えば米の全量調査でありますとか、厳重に調査をされて、本当に安全な、安心なもののみが市場に供給されているわけでございまして、そういう意味で、本当に国内での風評被害の払拭に努められているわけでございますけれども、この中国の輸入規制というのはもう全く科学的には意味がないというふうに私は思っておりまして、農林水産省として、科学的根拠に基づいて、中国側に撤廃に向けて粘り強く交渉すべきだというふうに考えております。

 この点についての農林水産省の強い決意を、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 福島第一原子力発電所事故による諸外国・地域の放射性物質に関する輸入規制に対しては、これまで政府一丸となって撤廃、緩和に向けた取組を進めてきた結果、事故直後、輸入規制が講じられた五十四カ国・地域のうち、これまでに二十七カ国が規制を撤廃したところでございます。

 他方、中国においては、十都県からの農林水産物及び食品に対する輸入停止措置等の厳しい規制が依然として継続しているところでございます。

 こうした中、議員外交を含めさまざまな働きかけを行ってきた結果、五月九日、齋藤農林水産大臣と程永華駐日特命全権大使との間で、中国による放射性物質に係る日本産食品の輸入規制の問題について共同専門家グループを立ち上げる覚書を交わしたところでございます。

 これにより、問題解決に向けた具体的な議論がスタートすることになります。日本産食品等に対する輸入規制の撤廃、緩和は極めて重要な課題であり、その解決に向けて、農林水産省といたしましても全力で取り組んでまいりたいと思います。

細田(健)委員 副大臣、ありがとうございました。

 ぜひ副大臣を始め、本当に政府三役の皆様方、強い指導力を発揮していただいて、また事務方を督励していただければというふうに考えております。

 それでは、最後に大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 土地改良事業、これは本当に、日本の農業の生産性を向上させるために必要なものだと考えております。これは、より高品質な農産物を安い価格で供給するということで、生産者のみならず、当然、消費者にとっても大きなメリットがあると思っております。ちなみに、我が新潟県については、北海道に次いで本州で最も多い予算の配分をいただいておりまして、また、関係者一同、本当に頑張って、できるだけ生産性向上あるいは多収益品目へのシフト等々に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 ところで、この土地改良事業の予算、これは民主党政権の時代に非常に大きく、ある種懲罰的な削減が行われました。これについてはさまざまな御意見があると思いますけれども、ただ一方で、地元で、土地改良事業を行うに当たってはいろいろな利害調整をやる、本当に汗を流しておられる方がいらっしゃるわけですけれども、この方々の苦労が無になったというか、非常に御迷惑をおかけしたという側面があるということは指摘をしておきたいと思います。

 これが、我が党の努力もありまして、予算というのはだんだんと戻ってまいりました。特に、近時の補正予算、そして本予算を合わせて、自民党が政権を離れる前の予算を上回る措置をしていただいたことは本当に心から敬意を表したいと思っております。ただ一方で、地元は、地元といいますか関係者は、やはり本予算できちんとつけていただきたい、これは、補正予算を付加して相当大きな金額を措置されておりますけれども、補正は毎年あるかどうかわからないというところがございますから、関係者はどうしても本予算で頑張って措置していただきたいという要望がございます。

 このことも含めて、土地改良事業予算の予算確保に向けた大臣の決意についてお伺いをしたいと思います。

齋藤国務大臣 農業の発展基盤を強化していくためには、農業生産基盤の整備を着実に進めていくことが極めて肝要であると考えております。担い手への農地集積、集約化を促す農地の大区画化、汎用化等を通じた農業の競争力強化、あるいは農業水利施設の長寿命化対策、農村地域の防災・減災対策を通じた国土強靱化、これらの施策を推進する土地改良事業は重要なものであると認識しております。

 予算ですけれども、平成二十九年度補正予算では千四百五十二億円を計上したほか、三十年度当初予算では前年度三百二十八億円増の四千三百四十八億円を確保したところであります。

 農林水産省としては、農業の大規模化や高付加価値の作物の生産につながって、農村地域における防災・減災対策にも資する生産基盤の整備をしっかりと行った上で、その上で、農家の皆さんが消費者の皆さんに喜んでいただけるものを創意工夫しながら安心して生産していただく、そういったことの先にこそ日本の農業の未来はあるというふうに私は考えておりまして、今後とも、しっかりと予算を確保した上で、本予算でというお話がありましたけれども、さまざまな工夫をしながらしっかりと予算を確保した上で、地域の実情に応じた事業の計画的かつ安定的な推進に努めてまいりたいと考えています。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 本当に、齋藤大臣、礒崎副大臣、また野中政務官のもとでよりよい農政が展開されることを期待いたしまして、私の質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

伊東委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 土地改良法の一部を改正する法律案について、随時お伺いをしてまいりたいと思います。

 私が住んでおります北海道のお米は、現在では、ゆめぴりか、ななつぼし、ふっくりんこの三銘柄が特A品種として有名になるなど、主食用銘柄の主要産地となっておりますけれども、これもひとえに、土地改良事業により、水田の大区画化、かんがい施設や排水施設など生産基盤をしっかりと整備したおかげであると考えております。

 土地改良区は、土地改良事業を実施することを目的に設立された公共的な法人でございますけれども、北海道では、現在七十三の土地改良区が存在しております。そのほとんどの土地改良区が、農業水利施設の維持管理を実施しているところであります。このため、農業水利施設をいかに適正に維持管理していくかがやはり大変に重要な課題となっているところであります。

 ところが、この農業水利施設の維持管理を行うのは組合員でありますけれども、北海道の土地改良区においては、貸借地の組合員の約九五%は耕作者となっております。この理由は、北海道においては農地の利用集積が大きく進んできたためと考えられますけれども、北海道では全国に先駆けて土地改良法の目指す耕作者主義が実現されているのではないかなとも考えているところであります。

 その一方で、近年、組合員数は大幅に減少しております。平成二十八年度の組合員数は約二万七千人、この四十年の間で約六六%も減少しているところであります。全国の組合員の減少率が約三〇%であるのと比べると、北海道の減少率は約二倍。今後とも、農地集積の進行により、組合員は更に減少し、いわゆる土地持ち非農家が増加していくのではないかと思います。

 このように組合員数が大きく減少する中で、現場からは、今後の農業水利施設の維持管理や土地改良区の運営に対して不安を感じているという声を相次いでいただいているのも事実であります。

 今回の法改正におきまして、土地改良区の組合員が減少する中、農業水利施設の維持管理や更新を適切に行っていくために、貸借地の組合員ではない所有者又は耕作者を准組合員として加入させることができることとしております。

 農水省の資料を見ますと、所有者中心の土地改良区において新しい准組合員制度を導入するという印象があるわけでありますけれども、北海道のように耕作者中心の土地改良区においても、農業水利施設を適正に維持管理するために准組合員制度を活用することは、私は極めて重要ではないかなと思いますけれども、大臣の御見解をいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 まず、私も北海道に何度もお邪魔をさせていただくことがありますけれども、行くたびに思いますことは、あの広大な大地を、明治以来、私どもの先輩が一生懸命努力されて緑豊かな農地にしてきたというその努力に常に感銘を受けているところでありますので、その努力を我々の世代もしっかりと引き継いでいかなくちゃいけないと常に思います。

 准組合員制度の御質問ですけれども、今後、土地持ち非農家の増加が見込まれます。そういう中で、土地改良施設の維持管理や更新を適切に行っていくため、貸借地における耕作者と所有者の両者が土地改良区の運営に参画できる道を開く、今般の准組合員制度はそういうものであります。

 北海道のように耕作者が中心の土地改良区におきましても、今後、高齢化による離農ですとか、さらなる農地集積の進展により耕作者の減少が見込まれる中で、土地改良区の運営に理解のある農地の所有者が准組合員となっていただくことは、土地改良施設の維持管理にとって、委員御指摘のように有効であると考えているところであります。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。

 北海道の農業について極めていろいろと御理解をしていただけていることは、本当にありがたく思います。

 また、今回の法改正では、准組合員制度など組合員資格に関する措置に加えて、いわゆる総代会制度など土地改良区の体制の改善に関する措置も講じられているところであります。

 北海道では、現在、全七十三の土地改良区のうち、四十の土地改良区において総代会が設置されております。総代会の設置は組合員が二百人超の場合に認められるものでありますが、先ほども申し上げたように、北海道では組合員数が大きく減少しております。総代会の設置ができなくなり、総会に移行した土地改良区が八地区も存在します。

 このような中で、今回の法改正において、総代会の設置要件を二百人超から百人超に引き下げるということは、まさに時宜を得たものであります。

 また、総代会の構成員である総代の選出に当たっては、現行制度では、選挙管理委員会の管理のもとで選挙を行うこととされておりますけれども、これは、お聞きすると、戦後の自作農を創出するという農政のもとで、地主制の復活を防止し、農村の民主化を図るという目的があるからだとも伺っておりました。

 しかしながら、現代において地主制が復活することはありませんし、北海道の総代選挙の実態を申し上げれば、総代選挙を実施している総代会は皆無であります。さらに、選挙は行わないけれども、選挙のための事務手続が発生するだけではなく、選挙管理委員会に対して選挙費用を支払う必要が当然出てくるわけであります。

 土地改良区の運営の観点に立てば、私は、やはり全くこれは非効率的でありますし、今回の法改正において、総代の選挙について選挙管理委員会の管理を廃止することは妥当であると考えておりますけれども、総代の選挙に関し選挙管理委員会の管理を廃止した理由について、詳細にお答えいただければと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御質問を頂戴しました、総代の選挙について選挙管理委員会の管理を廃止することといたした理由などについて御説明をさせていただきたいと存じます。

 先生御指摘のとおりでございますが、土地改良区の総代につきましては、制度発足当時は、その地域の組合員の代表の方々が公正な選挙によって代表として選出されるということが大事だということでございまして、選挙管理委員会の管理のもとで選挙を行うこととされてきたところでございます。

 しかし、その後、農業構造の変化等もございまして、さまざまな構造改革が進んできたところでございまして、現状におきましては、ほとんどの土地改良区では、実質的な総代選挙は無投票ということになっておる状況でございます。そういう中で、土地改良区にとりましては、無投票ではあるんですけれども、選挙人名簿の作成などに係ります選挙費用の御負担ですとか、あるいはそのための事務手続といったようなものがかなり御負担になってきているという実態があるわけでございます。

 一方で、選挙管理委員会サイドからも、指定都市選挙管理委員会連合会から、土地改良区の総代選挙に関する事務を土地改良区へ移管することができないかといったような要望も出されていたところでございます。

 したがいまして、今般、私ども、従来の選挙管理委員会の管理のもとでの選挙を廃止いたしまして、土地改良区の役員と同じように、土地改良区の管理のもとで公正に選任していただくという方向で法律改正を行わせていただきたいというふうに考えておるところでございます。

佐藤(英)委員 次に、総代の定数についてもお伺いしたいと思います。

 現行の制度では、総代の定数は組合員数に応じて三十人以上、四十人以上、六十人以上、八十人以上と段階的に定めておられますけれども、この法律が制定された昭和二十四年当時、均一規模の自作農が創出されていたために、このような定数の決め方は合理的であったと思います。しかし、耕作者である担い手への農地集積の進展に伴って組合員数は大きく減少しており、近年では総代のなり手が不足しており、現場からは総代定数の見直しを求める声も多く聞かれております。

 今回の法改正において、総代の定数を三十人以上で定款で定める定数と見直した理由についてもお伺いしたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度におきましては、総代の定数につきましては、先生今御指摘ございましたように、法制定当時の自作農が経営規模が均一な中で、地域の農業者の代表であるという総代の性格を担保するということから、組合員数に応じて、法律上、三十人、四十人、六十人、八十人以上とそれぞれ定められてきたところでございます。

 一方で、近年、高齢化ですとか耕作者への農地集積の進展などによりまして、組合員数が減少をしてきているところでございます。そういう中で、組合員の経営規模にも大きな開きが出てきておるところでございまして、現行制度のように、組合員数に応じて段階的に機械的に総代定数の下限を設けるということが、かえって地域の農業者の意見を代表しているということにならない可能性があるのではないかというふうに考えたところでございます。

 したがいまして、総代の定数につきましては、法律上は必要最低限の人数を確保していただいた上で、実際には地域の実情に応じてそれぞれの土地改良区が定めていただくという方向に改正をさせていただきたいと考えているところでございます。

佐藤(英)委員 また、総代の議決権行使の方法についてお伺いしますけれども、現行制度では書面や代理人による議決を認めてきませんでした。このために、総代に急用ができたり、また、総代が総代会に出席することができなくなった場合には、総代の意見や、ひいては総代を選出している地域の意見が総代会で披露されることがないというようなこともあったわけであります。

 総代会はもちろん総代が出席することが基本であると考えますけれども、総代の方はさまざまな職業の方がなされているという実態を踏まえていった場合、議決権の行使の方法をもう少し弾力的に考えることも私は極めて重要であると考えております。

 こうした中で、今回の法改正で、総代の議決方法として書面や代理人による議決を認めるようになったのは妥当な判断であり、現場の方々からも感謝されております。

 その一方、書面の議決や代理人による議決を認めることによって、総代会への総代の出席率が低下するのではないかと懸念する向きもありますけれども、この点についてはどのようなお考えなのか、お伺いしたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 総代というものは、総代会に出席をしていただいて、地区の組合員の代表として意見を述べていただくということが基本であることに変わりはないわけでございます。

 しかしながら、総代の方が病気など予期しない事態、事故が発生をした場合ですとか、あるいは土地改良区の合併によりまして事務所が非常に遠方に移転をしてしまって、なかなか出席をしにくいといったような場合ですとか、あるいは総代の方の経営の大規模化ですとか多角化に伴って業務が非常に増加をして、総代の方自身が参加するのが難しいといったようなことが急遽発生をするといったようなことも考えられたところでございます。

 したがいまして、今般、私どもは、総代制を導入しております他の法令、制度の団体における取扱いなども踏まえまして、今般の改正におきまして、書面の議決、代理人の議決というものを導入させていただくというように考えているところでございますけれども、書面議決、代理人議決を認めたからといって、直ちに総会への出席率が著しく下がるなどといったような、土地改良区運営に支障が生ずることはないように考えておりますけれども、総代の定数を組合できちんと実態に合わせて決めていただくことも含めて、しっかり対応させていただきたいと思っております。

佐藤(英)委員 次に、土地改良区の会計制度について伺います。

 今回の法改正によりまして、平成三十四事業年度からは、土地改良施設の管理を行っている土地改良区は貸借対照表を作成することになります。土地改良施設の老朽化が進む中で、施設の更新を適正に行うためには、きっちりと土地改良施設の資産評価を行って、将来に向けて計画的な積立てを行っていく必要があると考えており、貸借対照表の導入は重要であると考えます。

 しかし、これまで貸借対照表を作成していない土地改良区では、複式簿記に関する知識や経験を積むことが不可欠であり、法施行後直ちに貸借対照表の作成を義務づけるのは適当ではございません。

 その意味で、先日の日本農業新聞にも掲載されておりましたけれども、貸借対照表の導入を円滑にするために導入時期に三年間の猶予を設ける云々ということについては、私はやはり妥当であると思っております。

 しかし一方で、三年の猶予期間が終わったら、土地改良区では貸借対照表を作成する必要が生じるということで、国として、三年の猶予期間にはやはりさまざまな支援をする必要もあるのではないかなと思いますけれども、御見解を伺いたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 貸借対照表の作成に当たりましては、土地改良施設の資産評価というものが不可欠になってまいるわけでございます。

 先ほどもございましたが、その資産評価をきちんとやっていただくために、まず国がそのための統一マニュアルを整備させていただいた上で、国、地方公共団体が造成をいたしました施設につきましては、造成主体である国、地方公共団体の方で資産評価をきちんと行いまして、その現価、結果を土地改良区に提供していくということを考えているところでございます。

 また、国、地方公共団体におきましては、土地改良事業団体連合会とも連携をいたしまして、それぞれの土地改良区さんがきちんと貸借対照表の作成が行えるように、必要な指導、研修などにつきましてしっかり支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

 その上で、さらに、土地改良区がどうしても単独で取り組むことが困難な場合ということも考えられるわけでございますけれども、その場合には、今回の法律改正でまたお願いをしておりますけれども、他の土地改良区と共同して土地改良区連合を設立して、そういうところでこの会計事務、貸借対照表の事務をやっていただくということも考えられますし、あるいは、各都道府県にございます県土連に事務委託をしていくといったようなやり方もあろうかと考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、これらの取組をしっかり行いまして、三年間の移行期間の終了時までに、それぞれの土地改良区において、法律が求めております貸借対照表がきちんと作成されることになりますよう万全を期してまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 今のお話にもありましたことに関連して、全土地改良区の半数を超える土地改良区では、専任職員がいないという状況であります。こうした場合に、貸借対照表の作成は組合員が行うことになりますけれども、組合員だけでは作成が難しいという状況もあります。

 全国を見ますと、複数の土地改良区が一緒に合同事務所を設立している事例があると聞いております。これを更に推し進め、共同して会計事務センターを設立し、会計処理を行うことができる制度を新設し、これを積極的に推進することも重要ではないかと考えます。

 その意味で、今回の法改正により、土地改良区連合の業務を拡充し、土地改良区の事務や附帯事業のみを目的とする場合であったとしても土地改良区連合を設立できるようにしたのは妥当であると考えますけれども、共同して行う事業や附帯事業の内容としてどのようなものを想定しているのか、また、連合の設立の推進に対する支援策についてはどのようなお考えなのか、最後にお伺いしたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました土地改良区連合でございますけれども、この改正によりまして、新たに事務が追加されるわけでございます。具体的には、施設の見回り、監視といったこと、それから、先ほど来御議論になっております貸借対照表等の決算関係書類の作成をすること、あるいは、組合員からの賦課金の徴収などを行うことなどが想定されるわけでございます。

 さらに、附帯事業といたしましては、上下流の土地改良区が一緒に行って小水力発電をやっていくですとか、あるいは、近接した土地改良区が一緒に太陽光発電を行うなどといったことが想定されるところでございます。

 今後、土地改良区の体制の脆弱化が見込まれます中で、事務の効率化、コスト削減を図るためには、土地改良区連合の設立は有効な手段だと考えておりまして、土地改良区連合の設立に係る現場の課題を的確に把握いたしました上で、先生御指摘ございましたように、必要に応じて、予算措置を含めて支援策を検討してまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 ありがとうございました。

 終わります。

伊東委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 立憲民主党、亀井亜紀子でございます。

 土地改良法の改正案について質問させていただきます。

 初めに、大臣に、本法律改正案の背景についてお伺いをいたします。

 今回の改正は、TPPに関連して、規制改革推進会議の方から、農地の集積を進めるということで提案されたということが聞こえてきております。

 ただ、一方で、確かに、現場で組合員の減少も見られますし、今回指摘されているような問題も散見される中で、どのような背景でこの改正案に至ったのか、御説明をいただきたく、お願いいたします。

齋藤国務大臣 土地改良区のあり方につきましては、平成二十八年の農業競争力強化プログラムにおきまして「更に実態を調査すること等を通じて、引き続き、検討していく。」という旨が明記をされておりまして、そういうこともあるものですから、これまで、現場からの御意見を伺うということを重ねてまいりました。

 それで、現場の土地改良区の関係者の方々からは、大きく分けて二つなんですけれども、一つは、組合員資格に関しまして、組合員数が今御指摘ありましたように減少する中で、土地改良区を適正に運営していくためには、組合員ではない所有者にも協力を求めるということが不可欠であるとか、それから、大規模な担い手の増加が見込まれますので、その中でそれらの意向が反映されるよう理事要件というものを見直す必要があるとか、地区内の担い手の水需要の変化に対応した農業用水の配分を行うべきであるですとか、多面的機能支払いの活動組織が土地改良区が管理する施設の周辺まで活動していただけたらありがたいなですとか、そういう御意見を組合員資格に関してはいただいております。

 また、土地改良区の体制に関しましても、選管選挙や総代定数など総代会制度を見直すべきであるですとか、零細な土地改良区の事務統合を進めるべきであるですとか、それから、土地改良施設の将来的な更新に備えて、その資産価値を正確に把握するため貸借対照表が必要なのではないかなどの御意見がやはり多々ございました。

 したがいまして、そういう意見を踏まえて、本法案の準備の中で、組合員資格に関する措置としても、准組合員制度の創設及び資格交代手続の円滑化ですとか、理事の資格要件の見直しですとか、農業用水の利用の調整方法を定めた利水調整規程の策定ですとか、施設管理准組合員による土地改良施設の管理への参加の促進などを講ずることにいたしておりますし、土地改良区の体制に関する措置としても、総代会の設置要件の引下げですとか選挙管理委員会選挙の廃止など総代会制度の見直し、土地改良区連合の業務の拡充、あるいは貸借対照表の作成や員外監事の設置など財務会計の適正化を図るということとさせていただいているところでございます。

亀井委員 丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 規制改革推進会議というと私は慎重になってしまうんですけれども、一方で、今回、現場にいろいろと確認をいたしましたら、かなり現場の要望も入っているようでしたので、背景についてお伺いをいたしました。

 次の質問は参考人の方で結構です。

 所有者と耕作者が同一か否かというのは、地域によって状況が相当異なるようです。今回質問するに当たって、我が党、立憲民主党は北海道の議員が農水委員会は多いんですけれども、北海道の方は耕作者と所有者が一致しているので余り実感が湧かないということで、西日本の私がきょうは質問をしております。

 それで、お伺いいたしますけれども、日本全国で見た場合に、耕作者と所有者が一致しているかどうかというのは、どういう特徴があるんでしょうか。また、現在、農地の何割ぐらいが耕作者によって維持をされているのでしょうか。また、その中で企業体によるものは何割程度でしょうか。お伺いいたします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、土地改良法上の取扱いといたしましては、貸借地につきましては原則として耕作者が組合員になるということになっておるわけでございますが、今先生から御指摘ございましたように、地域的にかなり偏在がございます。

 北海道、東北、北陸におきましては土地改良法の原則どおり耕作者がなっておられる場合が多いわけでございますけれども、一方で、関東以西、東海、近畿、中四国、九州、こういったところでは所有者の割合が高くなっている実態にございます。

 都道府県別に見ますと、特に北海道では貸借地の九五%につきまして耕作者の方が組合員になっておられる一方で、例えば先生の御地元の島根県では逆でございまして、貸借地の九五%について所有者の方が組合員になっておられるといったような実態があるわけでございます。

 続きまして、二つ目の御質問でございます、農地のうちどのぐらいが貸借によって担われているのか、あるいは、そのうち法人経営体の占める割合はいかほどかという御質問でございます。

 二〇一五年の農林業センサスの結果によりますと、全国の経営耕地面積に占める借入耕地面積の割合は全国で約三四%になっておりまして、この三四%のさらに内訳といたしまして、法人経営体の占める割合は二四%というのが全国平均でございます。

 これをそれぞれ北海道と島根について見てみますと、北海道につきましては、経営耕地面積に占める借入耕地面積の割合は二三%ということでございますが、さらに、そのうちの法人経営体の占める割合は約三〇%になっております。一方、島根県について見ますと、経営耕地面積に占める借入耕地面積の割合は約四三%となっておりまして、このうち法人経営体の占める割合は約四〇%になっている、そういう実態でございます。

亀井委員 ありがとうございます。かなり勉強になりました。

 では、次の質問ですが、事業参加資格者、組合員の交代時に、今回、農業委員会の承認を廃止するわけですけれども、それはなぜでしょうか。農業委員会の負担軽減のためでしょうか。参考人にお伺いいたします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度におきましては、貸借地の事業参加資格者につきましては原則耕作者ということになっておるわけでございますけれども、例外として、農業委員会の承認を受けて所有者が事業参加資格者となることができるということになっております。先ほども御答弁したとおり、地域的にああいう形になっておるわけでございます。

 この場合、現行制度のもとでは、所有者から耕作者へ資格交代をする際も、改めて資格交代の適否について農業委員会の承認を要するということとされておったわけでございますけれども、所有者から耕作者への資格交代につきましては、土地改良法の原則に戻すという手続でございますので、改めて農業委員会の承認を求める必要はないのではないかということ。

 それから、先生、農業委員会の負担軽減かという御質問でございましたけれども、担い手への農地集積が加速している中で、農業委員会もいろいろなお仕事をされておられますが、農業委員会の承認手続に係る事務負担というものが、土地改良区の事業参加資格の円滑な資格交代の万が一にも支障になるようなことがあってはいけないのではないか。

 そういったことで、今般、この原則に服する耕作者に事業参加資格を移す場合につきましては、承認を廃止して届出制にするということにしたところでございます。

亀井委員 農業委員の負担が昨今ふえているということを聞いておりましたので、それで先ほどのような質問をいたしました。

 では、次はやはり手続に関する質問なんですが、組合員を所有者から耕作者にする場合は所有者と農業委員会への届出で済みますけれども、今度は、逆に耕作者から所有者に戻す場合はどのような手続になるのでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、土地改良法上、貸借地につきましては原則として耕作者の方が事業参加資格者となるということが想定されておるわけでございますが、この原則に反しまして、土地持ち非農家であられる方、所有者の方が事業参加資格者になろうとする場合には、その所有者が将来的に農地をきちんと適正に利用、管理されるかどうかということを改めて農業委員会が確認していただくということが必要だろうと考えておるところでございます。

 今般の法改正におきましても、この原則と例外の場合のチェックということにつきましては引き続き必要であるというふうに考えておりますので、引き続き農業委員会の確認を必要とさせていただいているところでございます。

亀井委員 今回、准組合員の制度を導入されるということですけれども、その資格の導入は土地改良区の任意とされています。

 准組合員になるということは、発言ができるようになるわけですけれども、そのかわりに賦課金ですとか夫役を負担するかどうかという問題もありまして、これは任意なのでしょうか。また、所有者が准組合員になった場合、議決権はなくなりますけれども、では、賦課金や夫役はなくなるんでしょうか。

 組合員と准組合員が入れかわる場合の、それぞれの利点は何であるのか。また、実際今回の改正でどの程度准組合員が広がると想定をされているのでしょうか。参考人の方にお伺いいたします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の准組合員資格、准組合員制度でございますけれども、そもそもこの准組合員資格を導入するかどうかにつきましては、まず土地改良区の御判断、土地改良区の任意ということにされておりまして、定款で准組合員資格を定めた場合、要するに土地改良区として准組合員資格を入れるというふうになった場合においても、実際にその方が准組合員として組合に加入するかどうかというのは当事者の任意ということになっておるところでございます。

 その場合に、准組合員になる場合に准組合員の方が賦課金や夫役といったものを組合員との間で分担するかどうかというのも、これも任意でございまして、分担をされる場合には、当事者の合意、要は従来の組合員の方と今度准組合員になられる方の合意によりまして、土地改良区に例えば半分ずつとか七対三とか、そういったようなことで負担割合を申し出ていただくといったような手続を考えておるところでございます。

 それから、逆に所有者が耕作者に資格交代をして、みずからは准組合員として所有者の方が引き続き加入されるといった場合におきましても、これも先ほどの場合と基本的には一緒でございまして、新たに交代して組合員になられました耕作者との間でその所有者の方が引き続き賦課金や夫役を分担されるかどうかお話合いをしていただいて、合意をした場合には土地改良区に申し出ていただくということを考えておるところでございます。

 それから、二つ目の御質問でございます。

 そういった准組合員制度を入れることで、正組合員、准組合員のそれぞれにどんなメリットがあるんだろうかということでございます。

 まず、正組合員となられる耕作者の方々におきましては、従来は所有者の方がなっておられたとして、新たに自分が、耕作者が正組合員になられるわけでございますので、土地改良事業の実施ですとか役員の選出につきまして、議決権、選挙権というものを行使することを通じまして、土地改良区の運営全般にみずからの耕作者としての意向を反映させることができるようになるということがあるわけでございます。

 一方で、従来正組合員だった所有者の方が准組合員に引かれるといったような場合につきましては、従来であれば正組合員を譲った段階で土地改良区とは縁が切れてしまうというようなことだったわけでございますけれども、引き続き准組合員として、土地改良区の構成員として土地改良区の運営に参加していただけるといったようなメリットが考えられるわけでございます。

 それから、三点目の御質問でございますが、今回の改正でどの程度准組合員が広がると考えておるかというところでございます。

 今般、私ども、改正作業を進めるに当たりまして、全国の土地改良区関係者の方々からいろいろな御意見を頂戴しておるわけでございますが、組合員資格のところにつきましては、組合員資格に関する土地改良区の選択の幅が広がるからよいことではないかといったことですとか、組合員が減少する中で、今後土地改良施設の適正な維持管理を行うためには、耕作者だけではなくて所有者の協力が不可欠であるといったようなこと、それから、一方で土地改良法上の耕作者主義という原則があるわけでございまして、この原則を維持しながら耕作者と所有者が一体となって土地改良区の運営に参加できるようになるのではないかなどなどの御意見を頂戴しているところでございます。

 現時点で、准組合員制度の導入は任意でございますので、四千五百のうち幾つ導入するかというのを確定的に申し上げることはできませんけれども、先ほど御紹介したような現場のニーズは高いというふうに考えておりますので、これから、法案を通していただければ、周知徹底を図って推進をしてまいりたいと考えておるところでございます。

亀井委員 今回の改正について、地元、現場に問い合わせましたら、実態に合った改正なので特別問題はないであろうというような反応でした。

 ただ、先ほど地域性について伺いまして、島根県の場合は九五%が所有者だという御答弁をいただきましたとおり、やはり所有者の力が強くて、総会でもよそ者は黙っていろみたいな感じの土地ですから、実際これを変えたところでどの程度変わってくるのかと疑問視する声はございました。それで先ほどの質問になりました。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 これは大臣に伺いたいんですけれども、土地改良の必要性ということについてお伺いをいたします。

 先ほど、民主党の政権のときに土地改良の予算がかなり削減されたという御指摘がありましたけれども、確かにあのとき、やはり農業予算で少し公共事業予算の方に寄ってしまってはいないか、そこを削って、戸別所得補償ですとか、いわゆる農業者に直接支払いが行くような仕組みに変えようということで、そういう配分を変えたというのが政権の特徴であったとは思います。

 私も、土地改良が要らないとは申しませんが、ただ、戦後もう何十年も、半世紀以上たって、かなり土地改良は進んできたのではないか、これからの土地改良というのは、農地集積もありますけれども、老朽化した施設の更新はあるにしても、それほどたくさんは必要じゃないんじゃないかという問題意識を持っています。

 ですから、伺いたいんですけれども、今後必要とされる土地改良、例えば施設を更新するときに小水力発電の施設を取り入れるですとか、考えられることはありますけれども、どのようなものを考えていらっしゃいますか。

 また、土地改良というのは、本当に農業振興に有効なのでしょうか。

 この問題意識は、過去に土地改良したにもかかわらず、その後、そこが耕作放棄地になってしまったり、あるいは宅地化したりしていないかということなんですが、例えば、過去三十年間に土地改良したところで耕作放棄地になったり宅地化した土地の割合というのは数値として出ておりますでしょうか。もしなければ島根県に限定しても構わないんですけれども、数字がありましたら教えてください。

齋藤国務大臣 まず、老朽施設の更新以外は余り需要がないのではないかという御指摘がありましたけれども、私もできるだけ地方の声を直接お伺いしたいということで、できる限り、地方から要請に来られる方とお目にかかることにしているんですけれども、新しい作物をこういう形でつくりたいんだとか、そういう御要望はすごくたくさんございます。

 ですから、私の実感としては、新しい時代に即した新しい農業を展開するためには、どうしても今のままの農地、土地では難しいという御要望は相当あるんじゃないかなというふうに、実感としては思っております。

 基本的には、今後も農業の発展基盤というものを維持強化していくためには、当然のことながら、生産基盤の整備を着実に進めていかなくちゃいけないと考えておりまして、どういうものという御指摘がありましたので、一つは、担い手への農地集積、集約化、あるいは高収益作物への転換を促すような農地の大区画化ですとか汎用化。それから、御指摘のように、老朽化がかなり進んできております。この要望もたくさんいただきますので、老朽化が進んできた農業水利施設の長寿命化対策ですとか、あるいは農村地域の防災・減災対策など、競争力強化や国土強靱化の観点からの土地改良事業、これは依然として大変重要なものであるというふうに考えています。

 それで、土地改良事業を実施することによってどういう効果がということでありますけれども、例えば、これまで圃場整備を実施した地区では、これは事例ですけれども、水田の大区画化や汎用化を通じて、担い手への農地集積率が約三〇ポイント向上したですとか、稲作の労働時間ですけれども、約六割も削減されたですとか、野菜等の高収益作物への作付転換により収量や生産額が増加したなどの効果が発現をしている事例も多々ありまして、農業の生産性向上という観点が図られておりまして、土地改良は農業振興に極めて有効であるというふうに考えています。

 また、小水力発電のお話がありましたけれども、農業水利施設を活用して小水力発電施設を設置するということにつきましては、土地改良区の維持管理費の縮減にもつながります。それから、農家負担の軽減にも資するということもあるものですから、今後とも土地改良事業の附帯事業として推進をしていくこと、これも重要だろうというふうに考えています。

 それから、過去に土地改良事業を実施した農地のうち、耕作放棄地あるいは宅地化した農地の割合についてですけれども、これは私も事務方によく聞いたんですけれども、残念ながら悉皆的、定量的に調査をしたことはなかったということでありますので、私も、これはないでは済まないと思いますので、どういうことが可能か勉強していきたいというふうに思っています。

亀井委員 これはぜひ調査をお願いいたします。

 私の問題意識なんですけれども、土地改良を税金をつぎ込んで農業振興のためにやっているわけですけれども、その後きちんとその土地がどうなったかやはり見ていないのではないかと思っておりました。

 それで、地元で聞こえてくる声なんですけれども、例えば、この間あそこは土地改良したばかりなのに、高速道路の橋脚が通って農地じゃなくなったとか、何かそんなような話も聞くんですね。そうすると、その土地に対しては二重に税金がつぎ込まれているわけであって、もしかしたら転用されるのがわかっていて一回区画整理したんじゃないのなんて言われることもあるくらい、ちょっと怪しげなところが散見されます。それで伺いました。

 通告していなかったんですけれども、参考人の方、御存じだったら教えていただきたいんですけれども、全く、土地改良した後、例えば二十五年は転用してはいけないとか、そういうような決まりというのはないんでしょうか。お願いいたします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 優良な農用地をきちんと確保していくというのは大変重要なことでございます。特に先生お話ございました土地改良事業をやったようなところについては、優良農地として今後も農業をやっていただくということで事業をやったわけでございまして、そういうところにつきましては、別途、農地の転用の制度ですとか、あるいは農振法に基づきます農振農用地区域のゾーニングの制度、こういったものでしっかりと守っていくという考え方でございます。

 一方で、そういった高速道路ですとか、そういういわゆる土地収用法の対象事業であるようなより公共性の高いようなものについては、そういったゾーニングなり転用の適用除外になっているというところも一部ございます。

 ただ、基本的には、公共事業をやったところは八年間転用のことはやっていただかないということで、万が一にもそこをやっていただく場合には、その間につぎ込まれました税金相当分を特別徴収金という形で返していただくといったような取組もやっておるところでございます。

亀井委員 ありがとうございます。

 八年間ですか。そのあたりを確認したいと思っていました。どの程度制限がかかるものかというのが、地元でもいろいろと、みんなわかっていなかったので、ぜひ伺いたいと思っておりましたが、やはりこれは調べられたらその後転用されている例が相当出てくると思いますので、数字がわかった段階でぜひ教えていただきたく、お願いを申し上げます。

 それでは、最後の質問に移ります。

 これは今回の改正案ではなくて別件なんですが、現場から悲鳴が聞こえてきましたので質問をいたします。環境保全型農業直接支払交付金の要件変更についてです。

 政府が、GAPを広げたい、東京オリンピックに向けてGAPの認定を取得する農家をふやしたいという、その思いはわかるんですけれども、今回エコファーマーをこの環境保全型農業直接支払交付金の対象から外すということが聞こえてまいりました。

 エコファーマーは、農薬や化学肥料の削減をして土づくりをする、本来この直接支払いの趣旨に非常に合った真面目な農業者ですけれども、一方で、GAPにはこういうことを求められていないわけですよね、農薬ですとか化学肥料を必ずしも削減しなくてもいい。けれども、GAPの実施を義務づける、エコファーマーを直接支払いから外すということについて、やはり余りにも乱暴ではないかと思います。

 GAPの取得にエコファーマーが興味がないわけじゃないんですけれども、事務手続が大変で、できないと言っております。ですので、GAPの取得を広めたいのであれば、やはり事務手続についての何らかの補助がないと進まないと思いますし、何かの犠牲の上にGAPの取得が広まるというのはまたこれもおかしなことですので、今回の変更について、私は、中山間地の小規模、中小農業者の切捨てにつながると思っておりますので、この点について、大臣に御答弁をお願いいたします。

齋藤国務大臣 まず、若干誤解も広がっているような気もしますので、少し正確にお話ししたいと思うんですけれども、環境保全型農業直接支払交付金につきましては、委員御指摘のように、平成三十年度から、本交付金の支援対象者に国際水準GAPの実施の要件を課したということでありますけれども、これはGAP認証の取得を求めるものではございません。まずその点をはっきりさせておく必要があるだろうと思います。

 今般、国際水準GAPの実施を要件とした理由は、本交付金を受けておられます農業者は環境保全に資する取組を既に実施しているわけでありますので、GAPの取得と親和性が高いということ。この点でいえば、本交付金、今までエコファーマー認定ということであったんですけれども、現実には、このエコファーマー認定の有無にかかわらず、特別栽培農産物の生産者などにも実は交付をされておりまして、既に約半数がエコファーマー以外の方へ交付をしているという現実もあるわけであります。

 いずれにしても、本交付金を受ける農業者はGAPの取組との親和性が高い、それからさらに、GAPの取組を実践することで、環境保全のみならず、食品安全や労働安全など、より持続的な農業経営を実践できるというプラスアルファもある、そういう考え方なんです。

 この要件について、農業者に具体的にお願いをしていることといいますのは、農業者が、GAPの知見を有する普及指導員や営農指導員などから研修や指導を受けた上で、GAPの考え方に沿って経営改善に取り組み、みずから確認をするということでありまして、民間のGAP認証の取得を求めたり、これまでに比べて過度に交付要件のハードルを高めているものではないと私ども考えております。

 ただ、現場で混乱が生じないように周知は徹底をしていかなくちゃいけないと思っておりまして、パンフレット等を作成し、地方農政局や地方公共団体を通じて農業者の皆様に御説明しているところでありますが、引き続き丁寧に対応してまいりたいと思います。

 なお、GAPについては、経営規模にかかわらず、小規模農家にとっても私どもは重要だと思っておりまして、その認証取得推進のためには、農林水産省として、都道府県等に対する指導員、審査員の育成支援ですとか、団体認証の推進を私ども進めておりまして、この団体認証の推進による審査コストの削減ですとか認証取得費用への支援ですとか、あるいは、優良事例表彰による認証取得の効果の周知ですとか、それから、食品製造、小売等のフードチェーン全体でGAPの価値を共有、買ってくれる人にGAPの価値がわからなければ仕方がないので、そういう価値の共有をするための会議の開催などを進めているところでありまして、このGAPの取得そのものは今回の交付条件とは直接関係ありませんけれども、こちらの方も進めていきたいと考えております。

亀井委員 現場で既に混乱しておりますので、御対応をよろしくお願いいたします。また、決してエコファーマーがGAPに興味がないわけではないので、手続に対する御支援をよろしくお願いいたします。

 それでは、時間ですので終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの佐々木隆博でございます。

 土地改良法の一部を改正する法律案について、きょうは、限られた時間でありますが、質問をさせていただきたいと思います。

 時間がありませんので、皆さん方のところに図表をお配りさせていただきました。これはいずれも農林水産省のデータであります。これでまず最初にちょっと確認をさせていただきたいなということで、資料を配付させていただいております。

 最初に、裏側になりますが、資料の四、土地改良区の組合員数ですが、昭和四十五年、三番目のところですね。何で昭和四十五年かというと、これがちょうど今の減反政策、いわゆる転作が始まった年でありますので、ある意味でこの辺がピークなわけであります。このときの組合員数は五百七万三千人。そして、現在、平成二十八年、二〇一六年でありますと三百五十九万二千人で、約七〇・八%。組合員数、それだけ減少しているということであります。

 その次に、土地改良区の数でありますが、その上の資料三であります。これは同じ年代のところがなかったので、農水省の資料をそのまま使わせていただいておりますが、一九七五年、昭和でいうと五十年ということになりますが、一万百八十六地区、これが平成二十八年でありますと四千五百八十五、改良区の数でいうと約四五%になっております。

 その次に、資料の二でありますが、表側でありますけれども、土地持ち非農家数であります。これは昭和六十年からのデータしかありませんでしたが、総農家数が四百三十七万六千戸に対して土地持ち非農家が四十四万三千戸、上にありますように九対一だったわけでありますが、現在は、総農家数が二百十五万五千戸に対して土地持ち非農家が百四十一万四千戸、要するに六対四になっているというのが上に書かれている。土地持ち非農家が約三・一九倍になっているわけであります。

 そして、資料の一でありますが、そのうちの担い手でありますが、一番上の折れ線グラフにありますように、担い手は五四%であって、そのうち借入地、要するに借りてつくっておられる方が四九%。半分が担い手で、そのうちの半分がいわゆる借入地で耕作をしている。

 これはいずれも農水省のデータですが、このデータについて、これで、今のこの数字で正しいかどうかの認識について、まずお伺いします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の配付資料でございます、今、先生から三つの資料につきまして御指摘ございました。

 一つ目の、土地改良区の組合員数の推移、平成二十八年度で三百五十九万人になっているというようなこと、それから地区数、土地改良区の数でございますけれども、これも四千五百八十五組合になっておるということ。それから、二つ目の資料でございます、農家と土地持ち非農家の割合、九対一が六対四であったというようなこと、そのそれぞれのバックデータの数値。それから、三つ目の御指摘でございます、農地面積に占める担い手の利用面積の推移でございますけれども、この利用割合が、担い手の利用面積が五四%まで及んでいるといったようなことにつきましては、先生の御指摘のとおりであると考えております。

佐々木(隆)委員 この基礎的な数字の上に立って、全体的な質問をまずさせていただきたいんです。

 今回この土地改良の改正案が出されているわけでありますが、これは、平成十八年から、土地改良制度研究会、からというか、平成十八年の年にその研究会で検討を重ねられてきております。もう十二年も前の話であります。

 この検討の報告を見せていただきましたが、事業参加の仕組みとか運営のあり方などが中心の検討、研究内容であって、ある意味で現状追認の報告書だったと言わなければならないと思うんですね。先ほど申し上げたように、農家数が減っているとか担い手の数が減っているとか、あるいは土地持ち非農家がふえているというようなことの中で、この現状を追認するような報告だったわけであります。

 現状を否定するわけではありませんので、それはそれでいいんですが、現状に合わせざるを得ないということはそのとおりなんですが、今回のこの改正で、あるいはその研究会の報告でも土地改良事業をどうしたいのかということについてはほとんど触れられていないし、今回のこの改正でも、土地改良事業そのものに踏み込んだ改正だとは言えないと思うんですね。

 要するに、現状、そういうふうに乖離してきているのでそれに合わせなきゃいけないという、そこがだめだとは言いませんよ、それはそれで必要なんですが、では、土地改良事業はどうするんだ、とりわけ、組合員数が減少している、あるいは担い手の減少、あるいは土地持ち非農家がふえているというような状況の中で、土地改良事業そのものをどうしたいのかということについて、農水省としてはどう考えられているのか、お伺いします。

礒崎副大臣 お答え申し上げます。

 我が国の農村地域は、土地改良区の地区数や組合員数の減少、土地持ち非農家の増加や担い手の農家が利用する土地割合の増加など、農業構造の変化が進んだのは今御指摘いただいたとおりでございます。

 そうした中で、担い手へのさらなる農地集積、集約化や高収益作物への転換を加速するための農地整備の必要性が高まっている、また、既に耐用年数を超えた農業水利施設が二割以上あるという老朽化の進行、さらには、農村地域における大規模地震の発生や集中豪雨の増加等の災害リスクの高まりといったような課題を抱えていると思います。

 したがいまして、こうしたことに土地改良事業が対応していくために、まず、担い手への農地集積、集約化や農業の高付加価値化を促す農地の大区画化、汎用化等を通じた農業競争力の強化、それから、老朽化した農業水利施設の適時適切な補修、更新による長寿命化、そして、安全、安心のための農村地域の防災・減災対策等の施策を推進し、土地改良長期計画が掲げる「豊かで競争力ある農業」や「強くてしなやかな農業・農村」の実現を目指していくことが重要であると考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 ある意味、そのとおりだと思うんですが、担い手に集約をさせ、高収入の作物をつくる。それと同時に、とりわけ、今、日本の水田の半分近くが転作をしているわけで、そのときに一番問題になるのは汎用性の問題であって、要するに、水はけがどれだけいいか、必要なときに水が確保できるかというようなところ。

 そういった意味で土地改良区を進めたいということでありますが、大区画化というのがどんどん進んでいて、私の地元でも、一枚六ヘクタールなんという田んぼがあるんですけれども、六十アールじゃありません、六ヘクタールです、向こう端が見えないというような、田んぼだから、平らだから見えるだろうと思ったら、見えないんですね、向こう端が。

 しかも、それはGPSを使わなきゃいけないみたいな話になっているんですが、では、GPSを使って何が節約されるのか。運転しなくてもいいといったって、こっちでコンピューターを運転する人がやはり必要なわけで、運転台に乗るかこっちでコンピューターをさわるかだけの違いで、結局必要なわけですよね。

 唯一、私もそうだなと思っているのは、向こう端が見えないものですから、畝を真っすぐ切るときにはGPSが必要だというのはよくわかるという話と、農薬を散布するときにかぶらない。だけれども、それだけのためにそれだけの投資をする大区画化をするのか。

 僕が言いたいのは、要するに、大区画化することは必要なんですが、どのぐらいが適正規模で、どのぐらいが効率がよくて、どのぐらいがいい高収入作物がつくれるのかというような研究を、本当は土地改良事業の前にやる必要があるんだと思うんですね。

 とにかく大きくすればいいみたいなことになっていくのは、僕はちょっと違うんじゃないかという気がするので、土地改良事業の将来をどうするんですかという話をお聞きしたのは、何のために土地改良区をして、先ほども言われたように、担い手だ、高収入だと言うのであれば、それに見合う適正な大きさみたいなもの、あるいはどのぐらい山を削ればいいのかとかいうような話の研究が本当はこの研究会でなされるべきだったのではないかというふうに思うので、あえて言わせていただきました。

 そこで、もう一つ。

 近年の農政、私風に言わせていただくと官邸農政が少し顔を出してくるようになってからですが、中間管理機構とか農業委員会の権限縮小とか、そういう形で農地の流動化を図ろうとしているのではないかというのが、私としては非常に懸念をしております。

 先ほど来の論議の中にもありますが、土地改良法というのは、事業参加資格者を耕作者としているわけですね、原則。原則そうしているんですが、私は、農業というなりわいを通じて地域の振興とかあるいは地球環境とかということに貢献をしていくのが農業そのものだというふうに思っているんですが、土地改良というものは、そういった意味では、できるだけ多くの人が参加をして、村づくりとして土地改良というものをやるべきであって、同時にまた、農地政策としてどうするんだということの視点が必要だと思うんですね。どうもその視点が少し、先ほどの研究会の報告も、今度の改正でも、そこまでは踏み込んでいない。

 ここについて、農水省としての農地政策のあり方みたいなものについてどうお考えになっておられるのか、これは大臣にお伺いをしたいと思います。

齋藤国務大臣 先ほどの土地改良事業のあり方そのものもそうなんですけれども、恐らく、北は北海道から南は九州、沖縄まで、かなり地域によって実情が異なっております。ただ、土地改良事業を税金を突っ込んでやる以上は、その費用対効果、御指摘のような、大きくすればいいということだけでもないと思いますので、きちんと費用対効果というのは見ながら進めていかなくてはいけないということは、重要なことだと当然思っております。

 また、今の点でありますけれども、借地による農地の流動化、これは、例えば高齢化が進んでいるですとか、現実に耕作放棄地がふえるですとか、そういうことで現実に借地による農地の流動化が進む中で、農業経営と農地の所有の分離というものの流れはなかなか逆転することは難しかろう、そういう現状にあるのではないかということで、むしろ農業を振興するためには、所有と経営の一致にこだわらずに、農地の利用というものに最大限着目をした制度への移行が必要だということで、平成二十一年の農地法改正においてはそういった制度への再構築ということが行われたのではないかと思います。

 ただ、この農地の利用には、貸借によるものという意味ではありませんで、当然のことながら所有による利用というものも含まれているわけでありますので、農林水産省としては、農地の取得に対しても、みずから取得して耕作をするということに対しましても、スーパーL資金などの融資などの必要な支援もきちんと行っていきたいというふうに考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 今、大臣から御答弁いただきました、現実に借地がふえているということはそのとおりだし、私も否定するつもりもありません。北海道でもふえていますから。現実には、投資がなかなかできない、北海道の場合は一つの単位が大きいものですから、幾ら地価が安いといっても何十ヘクタールも現金で買うなどということはなかなか難しいというのがあって、借地という仕組みも使わざるを得ないし、使うということは、それは現実の問題としてあるというふうには思っています。

 ただ、私が心配するのは、先ほどお話がありましたように、農地法も所有から利用へシフトをしました。利用というときに、その自分の財産としての農地を大切にする思いと、私も自分の農地を、議員になったので一部貸していますけれども、貸すときに一番気になるのは、農地は私にとって我が子みたいなものですから、そこを単なる生産手段として使われるのでは、そういう人には貸したくないわけですよ。大事にしてくれる人にやはり借りていただきたい。

 だから、土地というのは、私は、そういう意味で地域性が極めて強いので、その土地を大事にすることと地域にかかわること、農地法の改正のときも、不在な人はだめというようなことを一部書き加えたりしましたけれども、地域にちゃんと一緒にかかわっていただけるというようなことで、その土地という国土がちゃんと地域の中で利用できるというようなこと、幾ら利用が中心といっても、そこら辺もこれからぜひ留意をしていただきたいということはお願いをしておきたいというふうに思います。

 以下、ちょっとテクニカルなところを幾つか聞かせていただきたいと思います。

 まず、准組合員制度でありますが、この准組合員制度、やむを得ないのはよくわかります。その上で、准組合員という発言の機会をつくったというのは半歩前進、一歩だと言いたいんでしょうけれども、私にしてみれば半歩ぐらいかなと思うんですけれども。

 この准組合員制度、せっかくつくったんですが、これは、将来的にこういう制度を導入してどうしたいのかというのがいま一つよくわからない。准組合員になって発言できるだけのインセンティブなのか。現状を何か変えたいからこれをつくったんだと思うんですが、どういうふうに変えていきたいのか、どういうふうに導入したいのかというところについて、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

野中大臣政務官 現行制度では、貸借地については耕作者又は所有者のいずれか一人に組合員資格が認められているところであります。

 今後、高齢化による離農や農地の利用集積の進展に伴い、土地改良区の組合員についても土地持ち非農家の増加が見込まれる中、将来にわたって良好な営農環境を確保していくために、耕作者の意見を適切に反映しつつ、土地改良施設の維持管理、更新を適切に行っていく必要がございます。

 一方、現行制度のもとで所有者から耕作者への組合員の資格交代をした場合、耕作者はこれまでの所有者が負っている賦課金や夫役を負担することとなるため、所有者から耕作者への資格交代は段階的に進めていくことが有効であるというふうに考えております。

 このため、今回の改正により、現在は組合員でない耕作者がまずは准組合員として土地改良区の運営に参画するとともに、所有者から耕作者への資格交代をする際、所有者が准組合員として引き続き土地改良区の運営に参画することができるよう、准組合員制度を創設したところであります。

 将来的ということでございますけれども、先ほど来質問にありますとおり、組合員でも、先生の北海道のように耕作者が大半を占める場所と、島根県のようにその逆で所有者が占める場合等々、土地改良区によっても歴史と地域性もございますので一概に申し上げることはできませんが、あえて申し上げると、やはり新たに創設される准組合員制度を活用して、耕作者が正組合員として土地改良区の意思決定を行って、所有者が准組合員として運営を支えることが考えられるというふうに考えております。

佐々木(隆)委員 現状、やむを得ないのはよくわかるんです。だから段階的に進めようというんですが、段階的というんだから、その次の段階はどうなんですかということを今聞いているわけで、第一歩としてはそうでしょう。段階的に進めるのであれば、段階的には、将来、耕作者を中心にしたいのか、あるいは耕作者と所有者を一致させたいのか、何らかのやはり目標を持って進んでいただきたいなということを申し上げておきたいと思います。

 時間がなくなりましたのであと一問ぐらいかなと思いますので、一つは、これは申し上げておきたいと思います。

 施設管理准組合員というのも、准組合員で今度新しくできました。

 先ほどの質問にもあったんですが、多面的機能活動組織というのが今あります、現実に。四千五百組合のうちの二千五百組合で実施されて、これは土地改良区が把握しているだけで一万八千組織ぐらいあるのではないか。ただ、これは土地改良区と関係なくやっているところもたくさんありますので、もっとあると思いますが。

 この准組合員はどんな資格があるのかというと、組織としての権限が与えられているわけですから、団体のある意味代表者が行って、准組合員として意見を言うことができるだけの権限なんです。だから、それ以上の権限は何もないんですね。

 だから、せっかくここに准組合員をつくったのに、組織とどうやってリンクするのかということもいま一つ不明確でありまして、私は、この多面的機能の活動組織、非常に重要だと思うんですが、せっかくこれをつくっても、何かうまくちゃんとそことリンクするのかということに少し心配がありますので、ちょっと時間がありませんので指摘だけにさせていただきたいと思います。

 私の資料の中の資料五なんですが、もう一つ質問したかったんですが、土地改良区は、現実には、今もうほとんど、八五%ぐらいは管理なんですね、新しい事業よりは。だから、なおのことこの組織というのは非常に重要だというふうに思いますので、ぜひそれは今後検討していただきたい。

 最後にお伺いします。

 財務会計で複式簿記を導入する。

 複式簿記を導入するというのは私は賛成ですが、複式簿記は何が違うのかというと、資産と資本金が出てくるから違うんですよね、貸借対照表をつくるから。損益計算書までは同じですよ、今までと。

 最後に貸借対照表をつくることによって資産と資本金が出てくるというのが複式簿記をやる最大の点であって、それは何を意味するかというと、情報公開をするのにたえ得るものになるということなんですが、その情報公開は誰を対象にやろうとしているのか。農水省に報告するために複式簿記にするのか。組合員に対して、私たちのところにはこんな財産があります、資本金はこのぐらいありますということを組合員と共有するために私はやるべきものだと思うんですね。

 複式簿記、せっかく導入するのに、その複式簿記をどのように活用して、どのように情報を共有しようとしているのかについて、最後にお伺いをしたいと思います。

荒川政府参考人 御指摘ございました、複式簿記の関係でございます。

 先生も御指摘のとおりでございますが、施設の資産評価をしっかりやっていくためには、バランスシートをつくっていただいて資産、資本を明らかにしていくというのは基本だと考えておるところでございます。

 今般、このため、現在の土地改良施設の資産評価ですとか、あるいは将来の更新に向けた積立ての状況などといったものを、まずは組合員にしっかりわかっていただく、ディスクロージャーするという意味で、この貸借対照表をつくっていただくということが必要だろうと考えておるところでございます。

 このつくっていただいた貸借対照表を含みます決算関係書類につきましては、今回の改正におきまして、これは総会にかけていただくわけでございますけれども、内部監査でございます監事にしっかり監査をしていただいた上で、総会に提出をして、総会で承認をしていただく、その上でこれを公表していくということで、ディスクロージャーを確保していきたいというふうに考えておるところでございます。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 土地改良法の一部改正案について質問をします。

 法案では、所有者から耕作者へ資格交代する場合の農業委員会の承認制を廃止して届出制にするとか、理事の定数の五分の三以上は耕作者たる組合員にするとか、准組合員の創設など、組合員資格にかかわる制度改正を盛り込んでいます。

 土地改良区の業務運営に耕作者の意向が反映されなければならないのは、これは当然のことであると思いますけれども、現場では一体どういう問題が起こっているのでしょうか。こうした制度改変をしなければならない具体的な事象について、お聞かせをいただければと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 るる御議論あったところでございますけれども、組合員の高齢化それから農地の利用集積の進展に伴いまして、このままですと組合員につきまして土地持ち非農家が増加していくということが見込まれるわけでございますけれども、土地改良施設の維持管理、更新になかなかその土地持ち非農家の方は関心を持っていただきにくいということで、このまま放置しますと、土地改良施設の維持管理になかなか、将来にわたって支障が生ずることがあるのではないかというふうに考えておるところでございます。

 また、土地改良区の運営につきましても、理事の大半の方を土地持ち非農家が占められた場合には、土地改良区の業務執行ですとか、そういう点で、耕作者、実際に営農されておられます耕作者の意向が適切に反映されなくなるのではないかというおそれがあるわけでございます。

 さらに、農業用水の配分などでも、制度発足当初は均一の自作農が大量に存在したという実態にあったわけですけれども、昨今、経営規模の拡大ですとか作付品種の多様化などで、耕作者の方の水需要も大きく変化してきているというような実態変化があるわけでございます。

 そういう中で、今般、従来は組合員になっておられない方々についても准組合員として土地改良区の運営に参画をしていただくことが必要ではないかとか、あるいは、現行の理事要件のままですと担い手の意向の反映に支障が出てくるのではないか、そういうところは見直すべきではないか、あるいは、先ほど申しました水需要の変化に対応した農業用水の配分を行うべきだといったような御意見を頂戴したところでございまして、今般、これらに応えるものといたしまして、准組合員制度の創設をし、理事の資格要件について耕作者要件を課す、あるいは利水調整規程を総会で決めていただくといったようなことを提案させていただいたところでございます。

田村(貴)委員 耕作者がどういうふうに感じてどういう意見を持っておられるのか、そうしたことまでちょっと述べていただきたかったんですけれども。

 次の質問です。総会設置要件についてであります。

 組合員数二百人超から百人超に引き下げ、総代会の定数を一律三十人以上と改めることにしています。

 これまで、組合員千人未満なら総代は三十人以上、千人から五千人は四十人以上、五千人から一万人なら六十人以上、一万人以上なら八十人以上と規定していたのですけれども、このように総代の人員が組合員数に応じて決まって運営されてきたのは、どういう趣旨であったのでしょうか。

荒川政府参考人 現行制度の総代の定数につきましては、今先生から御紹介がございましたような制度になっておるわけでございますが、これは、法制定当時、均一規模の自作農の方が多数いらっしゃるという中で、地域の代表である総代の方々をきちんと選んでいくという意味で、組合員数に応じて一定の割り振りを行えばいいのではないかということから、組合員数に応じて三十人、四十人、六十人、八十人以上というふうに定められているというふうに承知をしております。

田村(貴)委員 組合員数に応じた民主的な運営というのが基本になっているというふうに思うんですけれども、とすれば、大きなところの土地改良区、例えば日本で一番大きなのは香川用水だというふうにお伺いしましたけれども、五万八千人の組合員さんがおられる。こうした大きなところの土地改良区もある中で、総代が三十人というのは、細かな意見の反映とか民主的な運営に、ある意味支障を来す状況も生まれるのではないかな、そういう懸念についてはいかがお考えでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、高齢化の進展ですとか農地集積の進展によりまして組合員数自体が減少してくるという中で、組合員の皆様の経営規模の大小というものも随分広がりが出てきたところでございまして、組合員数に応じて段階的に総代定数の下限を設けるということが、必ずしも法制定当時の趣旨である地域の農業者の意見を代表しているということはどうも言いにくくなってきているのではないかなと考えております。

 このため、今度の改正では、必要最低限の人数は法定をさせていただいた上で、現実には、地域の実態、実情に応じまして、あるいは組合員数に応じてということもあるかもしれませんけれども、その土地改良区でお考えいただき、御判断いただいて、その土地改良区の総代の定数というものを定款なりで定めていただくということにしたところでございます。

 最終的には、土地改良区が地域の実情、御自分のところの事情を十分踏まえて適切と考える人数にしていただくということが大事でございまして、今回、私ども、法定最低限を三十人としたことをもって、直ちにどの土地改良区も三十人まで下げていただくというような必要は全くないわけでございまして、地域の実態に応じて御判断をいただければというふうに考えております。

田村(貴)委員 財務会計制度の見直しについて、今まで議論、質問はもうたくさん出されてきたとは思いますけれども、複式簿記の導入は、確かに、会計処理の透明性を高めていくという意味においては必要な面があるというふうに思います。

 しかし、今答弁るるありましたように、高齢化の進行の中で、専従職員もいない、パソコンにさわったこともないといった状況の中で、対応が難しいのではないかなというふうに思います。

 どういう支援を今考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 貸借対照表の作成に当たりまして、まず一番難しい、大事なことは、土地改良施設の資産評価をきちんと行うということだと考えています。

 したがいまして、まずは国が資産評価を行うためのマニュアルというものを整備いたしたいと考えております。その上で、このマニュアルを使いまして、土地改良施設を造成した主体、国営であれば国、県営であれば県などがこの資産評価をきちんと行って、それを土地改良区に提供するという形で、土地改良区の負担をできるだけ小さくしていきたいというふうに考えておるところでございます。

 あわせて、我々国は、地方公共団体とも協力いたしまして、土地改良事業団体連合会などとも連携をいたしまして、土地改良区さん、実際に貸借対照表を作成していただく土地改良区さんの研修など、しっかりした支援を行っていきたいと思っております。

 その上で、さらに、難しいということであれば、先ほど来御紹介をさせていただいておりますが、土地改良区連合を設立して、土地改良区連合として体制を整備していただくですとか、あるいは、各県にございます都道府県土地改良事業団体連合会に事務委託をするといったようなことも可能性としてはあろうかと思っております。

 いずれにいたしましても、経過期間の三年間の終了時までにしっかりバランスシートを作成していただけるよう、万全を期してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 予算措置については今のところは考えておられないというふうに思うんですけれども、そこも含めてしっかりやっていただきたいと思います。

 きょうは法案の審議ですけれども、土地改良区については以上で一旦とめさせていただいて、TPPのことについてお伺いしたいと思います。

 四月十七日に、TPP協定案が衆議院で審議入りしました。そのときに、私、本会議質問に立ったわけでありますけれども、河野外務大臣それから茂木担当大臣の答弁について、きょうは改めて質問をしたいというふうに思います。外務省から堀井政務官にお越しいただいております。答弁よろしくお願いいたします。

 日米経済対話に関して、河野大臣は、農業分野に関する日米双方が関心を有する分野について対話を行うと答弁しました。アメリカの関心事項というのは、一体何なんでしょうか。日本じゅうの農家、農業団体、関係者が今ここに注目をしています。政務官、教えていただけないでしょうか。

堀井(学)大臣政務官 日米経済対話では、貿易・投資のルール、課題に関する共通戦略、経済及び構造政策分野における協力、分野別協力の三つの柱に沿って、有意義かつ建設的な議論を実施しているところであります。

 昨年十月の第二回会合においては、農業分野において、日米双方の関心事項について建設的な議論ができ、柿、バレイショで成果を得られているところであります。

 このうち、日本産柿生果実の輸入解禁については、日米両国は、米国政府が平成二十九年九月十二日付で規則を改正し、日本産柿生果実の米国への輸出が可能となったことを確認したところでございます。

 また、アイダホ州産バレイショの輸入再開については、日米両国は、日本国政府が平成二十九年九月十二日付で規則を改正し、アイダホ州産バレイショの日本への輸入が可能となったことを確認したところでございます。

田村(貴)委員 できるだけそういう交渉、会議における情報は開示していただきたいと思うんですけれども、わからないことだらけであります。

 本会議でも指摘をしましたけれども、アメリカは、TPP復帰に向けた再交渉の可能性をちらつかせながらも、農業分野で一層の対日要求をぶつけているところです。

 安倍総理は、昨年二月の訪米で、通商問題議論のために日米経済対話をみずから提案しました。これは結局米国との二国間交渉重視の姿勢に迎合しているのではないかと私は質問しましたけれども、河野大臣は、米国の一方的な主張にはしかるべく反論したと胸を張られました。

 では、具体的に、どんな一方的な主張に対してどういう反論を行ったのでしょうか。答弁をお願いします。

堀井(学)大臣政務官 日米経済対話では、既に二回の会合が開催をされております。農業分野や自動車分野を含む日米双方が関心を有する分野について、相互的な成果を得るべく対話を行ってきたところでございます。

 議論の詳細については、外交上のやりとりであり、その詳細についてはお答えは差し控えたいと思いますが、例えば、冷凍牛肉の関税緊急措置については、麻生副総理からも制度導入の経緯等について説明されるなど、米国側の一方的な主張にはしかるべく反論をしてきたところでございます。

 いずれにせよ、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意をするつもりはなく、同対話が対日要求の実現の場になっているという御指摘には当たりません。

 以上でございます。

田村(貴)委員 政務官、冷凍牛肉のほかにはどういう話があって、どういう反撃をされたんでしょうか。

堀井(学)大臣政務官 日米経済対話第二回会合においては、麻生副総理から、冷凍牛肉の関税緊急措置の制度導入の経緯等について、丁寧に説明をされたところであります。

田村(貴)委員 質問にお答えになっていないんですけれども、時間がありません。

 その麻生副総理とペンス副大統領のもとで新たな経済対話の枠組みを立ち上げるというふうに、これは総理から話があったんですね、こういうふうに答弁されたんですよね。私は、これは非常に重大だと思います。

 なぜ総理の方から提案したのか、なぜ、わざわざ向こうからきつい要求を突きつけられることがわかっているにもかかわらず、こちら側からその場を用意するのか。これは交渉のすべとしては非常に不利ではないかなと思いますけれども、いかがですか。

堀井(学)大臣政務官 二〇一七年二月十日の日米首脳会談において、安倍総理とトランプ大統領は、自由で公正な貿易ルールに基づいて、日米両国間及び地域における経済関係を強化することに、引き続き完全にコミットしているところを確認したところでございます。

 こうした共通認識のもと、今後、日米経済関係を更に大きく飛躍させ、日米両国、アジア太平洋地域、ひいては世界の力強い経済成長をリードしていくため、今般、麻生副総理とペンス副大統領のもとで日米経済対話を立ち上げることとしたところでございます。

田村(貴)委員 ちょっと私の質問に、全然かみ合っていないということで、これはまだ引き続き議論させていただきたいんですけれども。

 最後に大臣、情報が全然わかりません。日米間の経済対話というのは、TPPに行く、戻る含めて、それからFTAに突き進むにしても、非常に大事なコアの部分となる話であります。ここのところの情報が何もわからないでは、これはやはり農家の不安、疑念というのは広がる一方であります。こうやって協定案を審議してほしい、関連法案を審議してほしいといっても、土台のところの情報がなかったら、審議のしようがない、私はそう考えるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

伊東委員長 時間が来ておりますので、齋藤大臣、簡潔に御答弁をお願いします。

齋藤国務大臣 通商交渉といいますか、経済交渉一般の話になると思いますけれども、それぞれお互いの国が腹の探り合いをしながら交渉する中で、相手がこう言って自分たちがこう言ったということを全部公表することについては、むしろ日本の国益を追求する上で好ましい結果をもたらさないという経験もありますし、私は、情報公開は大事だと思いますけれども、一方で、国益をしっかりと交渉の中で追求していくということも大事でありますので、そのバランスのとり方は非常に難しい問題があろうかなと思っておりますが、いずれにいたしましても、交渉においては、その結果についてきちんと皆さんに御評価をいただくということで対応していきたい、それが筋じゃないかというふうに思っております。

田村(貴)委員 審議の土台の情報は提供していただきたい、そのことを要求して、きょうの質問を終わります。

伊東委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 国民民主党の青山大人でございます。

 私は、農林水産委員会の委員ではないんですけれども、今回質問の機会を頂戴いたしました。

 私は、十一年前から茨城の県議会議員をやっていまして、ちょうどそのときに、今政務官の上月政務官が茨城県の総務部長として、私が初当選のときから論戦をしていまして、その後副知事にもなられまして、こうやってまた、何年ぶりでしょうか、五、六年ぶりですかね、場所は茨城県議会から衆議院に変わったんですけれども、上月政務官に質問できることを大変光栄に思っておりますので、きょうは、上月政務官を中心に御答弁の方をお願いいたします。

 まず、質問の前にちょっと、これは答弁は結構ですけれども、一点、要望です。

 実は私、昨日、茨城県つくば市の国立研究開発法人森林研究・整備機構の方に視察に行ってまいりました。我々野党議員、党派を超えて約十名で行ってまいりまして、大臣も御承知のように、森林総合研究所では、つい先日も、木を原料としてアルコールを開発したとか、これは地元の新聞にも大きく掲載されまして、こういったまさに最先端の研究がなされているところでもございますし、地元としても非常に期待が高いところでございます。

 また、そういった中で、つくば市にこういった研究施設が一堂にできてもう四十年ぐらいたつ中で、やはり施設の老朽化というのが今問題になっているところでございます。

 実際、私も昨日、施設の老朽化、現場を見てまいりました。もちろんこれは農水省で抱えている法人だと思うんですけれども、そもそも、ちょっと過去の委員会の質疑等を拝見しますと、そういった農水省所管の独法の施設整備費、十年ぐらい前までは約五十億円ぐらいあったという中で、本当にここ数年、三十年度は三分の一、もう十五億円ぐらいになっているというふうにも聞いております。

 そういった中で、もちろん、政府の方も優先度の高いものから必要な予算措置をして、計画的な施設の更新を進めているというふうにも聞いていますけれども、やはり東日本大震災以降、震災でやられた施設の方を優先的にとか、あとは耐震化が優先的になってしまって、実際、ふだん使っている、例えば排水処理の施設、これは一番基本的なものですよね、そういったものが大分、研究所ができた当時の、四十年前のもののままになっているとか、また、本当に、ふだんの研究で使う部分が壊れていて、なかなかそういった部品の調達もできないような、そんな古い施設になっているというところでございます。

 私も本当に、正直、きのう現場で見て、愕然としたわけでございまして、これはぜひ、大臣なり、恐らく上月政務官も副知事や茨城県の総務部長時代に何度も現場に行ったことはあるかもしれませんけれども、改めて現場に行ってもらって、まさに世界に誇るつくばのそういった研究施設、森林機構などを見てもらって、施設の老朽化の現状を捉えて、ぜひ前向きな予算措置をしてほしい。

 まずは一点、要望でございますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、質問の方に移ってまいります。

 今回、土地改良法の一部改正について質問しますけれども、これは昨年に引き続いて二年連続の改正というふうに伺っております。ちょうど見ますと、昨年は農地中間管理機構を設立するような感じの法改正だったわけで、そういった中で、昨年の四月の二十日に、この衆議院農林水産委員会で、昨年の土地改良法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議がなされていまして、当時、私はまだ議員じゃなかったものでして、その場にいなかったんですけれども、これは、附帯決議をよく読むと、本当に、非常に大切なことを指摘している決議だなと思って、大きく四点ございまして、その附帯決議の中で指摘した四点について、政府の対応をまずはお伺いいたします。

 まず一点目が、これは皆さん手元に資料もないと思いますので、あえてもう一度口頭で申しますけれども、附帯決議の、「最近の農業・農村を取り巻く情勢変化の中で、土地改良事業が、良好な営農条件を備えた農地・農業用水の確保と有効利用を通じて、農業の生産性の向上、食料自給率・食料自給力の維持向上、農村地域の活性化、国土の保全、防災・減災等に果たす役割は一層重要なものになっている。」と。そして、一で、「都道府県が、農地中間管理機構が農地中間管理権を有する農用地を対象とする申請によらない土地改良事業を実施するに当たっては、人・農地プランとの調和に十分配慮するとともに、整備された農用地が確実かつ円滑に担い手に貸し付けられるよう指導・助言を行うこと。」

 恐らく、今年度から具体的に農地中間管理機構を使った事業整備が始まると思うんですけれども、私も地元の土地改良の担い手の方と話していますけれども、やはりまだ、農地中間管理機構、何かそういった新しい話は聞いたけれども、まだまだどういったものかわからない、そういった声も聞いております。

 そういった声を踏まえまして、まずは、今言った一点目の附帯決議につきまして政府としてどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

上月大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、お答えの前に、御要望ということではありましたけれども、やはり施設の関係は、予算が大変厳しい中で、どこの施設も、これは農林関係だけではなくて、先生の地元でもあられるつくばに関してもたくさんの研究機関があります、たくさんの国研も独立法人の研究機関もどこも、大変そういう意味では新規の投資あるいは維持管理に悩んでいる点があろうかと思いますが、現場の実態をよく見てちゃんと対応しろというお話につきましてはしっかり受けとめさせていただいて、できる限り頑張って予算の獲得にも努めるようにいたしたいと思っております。

 一点目につきましてでございますが、人・農地プランとの調和の関係、それから、整備された農用地が、確実に担い手に貸し付けるようにというお話でございます。

 この関係につきましては、やはり、人・農地プランの作成主体であります市町村との連携を図っていくということが大変重要であると思っております。市町村との連携を図るに際しましては、やはり、都道府県あるいは農地中間管理機構というのを介してまずはお話をしていくということになろうかと思っております。そういう意味では、都道府県や農地中間管理機構を対象とした説明会、これをしっかり開催いたしておりまして、事業の推進に関する指導助言、これに努めているところであります。

 なお、現場におきましても、私自身もやはり現場でそういうお声を聞いたことがありますので、実際に現場に行きまして御説明などをさせていただいたこともあります。

 そういうふうに、地元との連携というのを意識しながら、しっかり指導助言に努めてまいりたいと考えております。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

青山(大)委員 ぜひ、政務官、本当にどんどんどんどん現場の方に、特に担い手の方はもちろん、たくさんのいわゆる耕作の土地改良を引き受けていまして、うちの地元も、例えば、本当に昔はそれぞれ土地を持っていたけれども、今では一人の方が、その一個の土地改良区の全部の耕作地を引き受けてやっているという農家も、これは結構、今全国でも幾つかあると思うんですよ。

 これはちょっと次の二点目にも絡んでくるんですけれども、要は、例えば、もともとはAさんの田んぼがあって、Bさんの田んぼが、Cさんの田んぼがあって、それぞれ一応、昔、土地改良をやったんですけれども、例えば、田んぼ、畑が多少でこぼこがあったりとか、結局、大きくなって耕作する中で、このでこぼこを直すために、自分たちで土砂をもらってきて自分でユンボでやったりとか、そういった方たちもいる中で、現場の方としましては、国の方でいろんな制度をやってくれているんだろうけれども、なかなか、どうやって使った方がいいかわからない、そういったお困りの声も聞こえる中で、次の附帯決議二点目なんです。

 これは、「農業者の費用負担を求めない土地改良事業の実施に際しては、事業要件の適合性について透明性を確保しながら、農業者の費用負担を要する従前からの事業との間で不公平感が生ずることのないよう、既存事業における農業者の費用負担の在り方について、農業者の経営状況を勘案しつつ、検討を進め、その実質的な軽減が図られるよう配慮するとともに、農地転用防止措置の厳格な運用を図ること。」とあって、やはりこれは、農地中間管理機構を使えば負担なく何かできそうだ、ただ、そういった手続をするような手間、時間もなかなかなくて、しかもどうやったらいいのかというのがわからない、そういった声もやはり実際、耕作者、特にたくさん畑や田んぼを預かってやっている耕作者が、そういうことまで気が回らないし、なかなか厳しい、そんな声も聞いております。

 そういった、農地中間管理機構を使う、使わないに関係なく、ある程度公平に農家の皆さんたちにも支援をしていけるような負担軽減策が必要だと思うんですけれども、その辺についての対策はどうでしょうか。

上月大臣政務官 この二点目につきましては、既存事業との間での不公平感が生じないように、実質的な軽減への配慮を求めたり、農地転用防止等の厳格な運用を図ってくれということでございます。

 既存事業に関しましても、これまで、促進費や無利子融資といった農家負担の軽減対策をやってきたわけであります。それに加えまして、この附帯決議での御指摘も受けまして、平成三十年度の予算におきましては、機動的に簡易な整備を行います農地耕作条件改善事業につきまして、農業者の費用負担の軽減を図りつつ事業を実施できる仕組みを新たに導入するといった点、それから、担い手への農地集積に取り組む地区に対しまして、農家負担の償還利子相当額の六分の五を対象に助成する制度を創設などいたしまして、そういう意味では、既存事業とのバランスも考えて、ここは大変頑張らせていただいたつもりでございます。

 また、農地中間管理機構の関連事業を実施した農地につきましては、農村地域への産業の導入の促進等に関する法律に基づく産業導入地区等には含めないといったことなどを国の基本方針で明確にいたしました。そのことによりまして、当該事業を実施した農地の転用を防止する措置を講じたところであります。

 こういったことなど、二点目につきましても適切に対処してきたところであります。

青山(大)委員 ぜひ、一生懸命、昔ながらやっている方たちの農家に対してもしっかりと支援できるような制度の方をお願いいたします。

 三点目。「農業者からの申請によらず、農業者の同意を求めずに実施する土地改良事業については、現場の混乱を招かないよう、事前に十分な説明を行うとともに、丁寧な運用に努めること。」ここはいいとしまして、その次ですよね。「なお、ため池等の農業用用排水施設の耐震化を目的とした事業については、事業の対象が必要以上に絞られることのないよう、弾力的な運用を図ること。」と。

 うちの方にも、ため池、幾つかございまして、非常に危険な場所もありますし、東日本大震災以降、決壊するような場所も一部出ています。そういった中で、ため池等の修繕とか耐震化についてどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

上月大臣政務官 先生から、前段の方はいいというお話でありましたが、先ほど来先生から言われておりますように、しっかりそこは説明をしていきたいと思っております。

 ため池等の耐震化事業につきましては、弾力的にということであったんですが、まさしく、事業実施要件をもう変更しないということで、これまでと同じように採択できるように、最も弾力的にというんでしょうか、柔軟に取り扱うことといたしたところであります。

青山(大)委員 ぜひ、今後も、改修工事をしやすくできるように、さまざま措置の方をお願いいたします。

 附帯決議の最後ですけれども、「農業農村整備事業関係予算の配分に当たっては、農地中間管理機構関連の事業だけでなく、防災・減災対策に係る事業をはじめ、農村現場のニーズに応えた事業が確実に実施されるよう十分留意すること。」とありました。これについてはいかがでしょうか。

上月大臣政務官 まさにこの四点目の附帯決議にありますように、大変災害も多い時代になっておりますし、競争力強化も図っていかなければいけない時代になっております。

 もちろん、農地中間管理機構関連事業、新しくつくった事業はしっかり進めていく必要があると思っておりますけれども、それも含めまして、やはりバランスが大切だと思っております。農業の競争力強化あるいは国土の強靱化、そういったことも踏まえまして、バランスのいい配分に努めているところであります。

青山(大)委員 以上が昨年の土地改良法に対する附帯決議の取組状況でございまして、これから今回の改正案について一部質問していきますけれども、なかなか、毎年毎年法案が変わる中で、現場の方できっちりと、担い手含め、都道府県や市町村の行政の方も対応できるように、いろいろ気をつけて丁寧にやっていってほしいと思っております。

 それでは、今回の法改正について一部質問をしていきます。

 今回、生産現場の実態を踏まえた土地改良区組織の制度の改正というふうに伺っております。当然、戦後間もなく制定された土地改良法について、時代の変化とともにそぐわないところについて、現在の状況に合わせた柔軟な見直しということで、私自身もいろいろ御説明ですとかを受けた中で賛同できるものではございますけれども、土地改良区の今後の組織運営に大きくかかわってくる制度改正であるため、幾つか確認質疑をさせていただきます。

 まず、今回の法案概要についても農水省のホームページに掲載されておりますが、現場の皆様から今回の改正案について聞くと、結構急な話であり、改正内容の説明についてまだ余り受けておらず、意見も求められていないという声が多く、そもそも、今国会で二年連続で土地改良法の改正が行われること自体が余りまだ知られていません。

 まずは、今回の法改正が、土地改良区について、どのような土地改良区の現状認識のもと、今後、土地改良区の目指す方向性についてどのように対応していくための法改正なのかについて伺います。

上月大臣政務官 大変高齢化が進んでおるということによりまして、離農も進んでおります。それから、農地の利用集積、もっともっと進展をさせていかなければいけない、進展してきているんですが、さらに進展を進めないといけない。土地改良区の組合員につきましても、土地持ち非農家の増加が見込まれてきている。そういう中で、将来にわたって良好な営農環境をいかに確保していくかということが一番重要だというふうに思っております。耕作者の意見を適切に反映しながら、土地改良施設をどうやってきちっと後世代に向けて維持管理、更新を適切に行っていくのか、これが一番重要なことだというふうに思っております。

 一方で、組合員数あるいは職員数が減少いたしております。土地改良区の業務執行体制が若干脆弱化しているという中で、適正な事業運営を確保しながら、先ほど申し上げましたような土地改良施設の維持管理や更新を適切に行っていくか、これが重要でありまして、時代の変化に即していない現在の体制であるとか制度、そういったものを見直して、より一層、事業運営の効率化や改善を図っていく面があろうかというふうに思っております。

 そういう意味で、こういった課題に対応しますため、本法案では、組合員資格に関する措置、さまざまありますが、その制度や、あるいは土地改良区の体制、運営に関する措置を講ずることとしているわけであります。

 改めてもう一度申し上げますけれども、農業、農村の環境の変化は大変厳しく、また大きなものがありますので、次世代に農業基盤、中でも土地改良でありますのでハード面でありますが、それをしっかり引き継いでいくというために何をやらなければいけないかということを御提案させていただく。

 そして、今議員から御指摘がありましたけれども、地元の方々というのは、やはりなかなか法案の内容というのが直ちにわかりにくいことは確かにあろうかと思います。私もそういった御指摘を受けることがありますので、とにかくできる限り丁寧に、できる限り現場に行って、あるいは県や市町村にきちんと理解をしてもらって伝えてもらう、そういったこともしっかりやっていかなければいけないというふうに思っております。

青山(大)委員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 それで、済みません、今の、少し話がそれちゃうんですけれども、まさに今、時代が変わっていって、現場に応じた組織の体制を変えるようなものというふうにもよく理解できますけれども、例えば、土地改良によっては、昔、国の補助金をいただいて基盤整備をしたんですけれども、うちの地元でこういった事例がありました。

 もともと、川から取水する中で、長い送水管を通って水をやっていたんですけれども、途中、何十年かたって、その送水管の上にいろいろ家とか建物が建ってきてしまって、そういった中で、老朽化して、更新しようにしても、なかなか住んでいる方の同意が得られないとか、そういった中で、仕方なく、担い手も減ってきているし、そもそも更新しようと思ってずっとためていたものを、結局、最後は苦渋の決断で解散という形にして、もう更新できないので、今までためていた分を更新費用じゃなくて撤去費用に回すとか、そんな事例も出てきて、そういった場合、もちろん撤去費用も土地改良の担い手が負担するとか、ただ、もちろん国から補助を得ていただいたものなので、なかなかその解散手続も思うようにできないとか。

 そういった事例も出ていまして、現場のそういった声がある中で、もちろん制度上は、国の補助金をもらってやったものなので、なかなかそう簡単にいかないことはわかっていますけれども、現場でそういう要望とかある場合は、ぜひ国の方も柔軟に、そういった状況を見て、もし解散とかする場合は適宜応じてほしいなというふうに思っております。そういったことを一点指摘させていただきます。

 ごめんなさい、話を戻しますけれども、今回の改正案ですけれども、非常に内容が多岐にわたっているなという印象でございます。果たして、全ての改正内容について現場で対応できるのかと思います。現場として対応できない部分もあるんじゃないかといった不安も感じます。こういった土地改良区の組合員資格に関する措置について、全てが義務ではないと思われますけれども、各改正の内容について、どこまでが義務で、どこまでが任意なのか、明らかにしてほしいなと思います。

 改めまして、その各改正内容について、これはもう必ずしなきゃいけないものだよ、でも、これはそれぞれの改良区に応じて任意なんですよ、そういったものを改めて明確に御説明の方をお願いいたします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 法技術的な観点でございますので、私の方から御説明をさせていただきます。

 今回の法改正では、耕作者の意見を適切に反映しながら、土地改良施設の維持管理、更新をきちんとやっていただくという観点で、組合員資格に関する措置といたしまして、まず、准組合員制度を創設するということ、それから、理事の資格要件の見直しを行うこと、それから、農業用水の調整方法を定めた利水調整規程を作成していただくこと、それから、施設管理准組合員制度の創設をすることなどの措置を講じているところでございます。

 このうち、准組合員制度、それから施設管理准組合員制度につきましては、各土地改良区におけます組合員の状況がさまざまであることに鑑みまして、これを全国一律に導入をするということは適当ではないというふうに考えまして、地域の営農状況ですとか土地改良区の状況を十分に考慮していただいて、各土地改良区で判断していただく必要があるということから、これは任意の制度としておるところでございます。

 一方で、理事の資格要件の見直しですとか利水調整規程の策定などにつきましては、土地持ち非農家の増加が見込まれる中で、耕作者の意見をより適切に反映させていくということは全ての土地改良区で必要になるというふうに認識しておりますので、全国的に導入をしていただくというふうに考えたところでございます。

 なお、理事の資格要件の見直しの部分につきましては、改正後、理事の要件を満たさない土地改良区が出てきた場合に、現在の理事の在職期間中混乱が生じませんように経過期間を設けて、現場で混乱が生じないようにしていきたいと思っておるところでございます。

青山(大)委員 ということは、いわゆる准組合員制度、施設准組合員制度を導入する、しないというのは、それぞれの土地改良区の事情もあるので、そこは強制ではないですよ、ですから、場合によっては今のままでも、そのままでうまく回っていればいいんですよというような認識でよろしいんでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに先生今おっしゃったとおりでございまして、現場で実態を判断していただいて、今のままでよいという御判断であれば、准組合員制度、施設准組合員制度を導入しないという判断もあり得ようかと思っております。

青山(大)委員 というのは、実は次の質問で聞こうと思ったんですけれども、どうしても現行制度上では、組合員資格を土地の所有者から耕作者、担い手に交代すると、一応、施設の特別賦課金とか経常賦課金も全て担い手が負担することにはなっているけれども、そういった中で、准組合員を設けて、組合員資格を担い手に交代した場合でも、所有者が准組合員となって賦課金の一部を負担する仕組みを導入することというふうに理解したわけで、ただ、実際にやはり、いろいろ話していると、今までは所有者が、一応お互いの合意のもとで多少賦課金なんかの一部も負担してもらっていて、耕作者と分担したんですけれども、変にこの制度を導入しちゃうと、耕作者が何かまるで全部負担しちゃうような、そんな誤解も感じてしまうのかな、そう思ったので、今までの制度を、その現場に応じて、別に今のままでもいいし、又は今回のように准組合員を設けてというような、一応、任意の制度ということで確認させてもらったわけでございます。

 ただ、これはちゃんと、きっちり現場レベルで周知しないと、賦課金から水利施設の維持管理に係る労働面の負担まで、逆に担い手の負担が何か大きくなってしまうような、そんな誤解もされてしまうような制度変更かなとも感じますけれども、法案成立後、現場へどのように法改正を周知徹底していくのか、改めてお伺いいたします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、繰り返しになりますけれども、准組合員制度をその土地改良区に導入されるかどうかというのは土地改良区の御判断ということで、任意の制度であるわけでございます。その上で、仮に准組合員制度を導入されたとしても、実際に准組合員として土地改良区に加入をされるかどうかというのも、それは准組合員の資格を持っておられる方のまた任意の御判断ということになるわけでございます。

 したがいまして、准組合員制度ができて、それで御自分で手を挙げて准組合員になろうという御判断をした上で、更にその上で、正組合員の方とお話合いをしていただいて、賦課金なり夫役について分担をしてもいいという合意が得られれば夫役なり賦課金がかかってくる、そういう段階が幾つもございますので、この法律が通ったからといって、何か知らない間に准組合員になって賦課金や夫役がかかってきたというようなことはないわけでございます。

 そういうような実態、法案のたてつけなどについて、法案の成立後、説明会を開催するなどいたしましてしっかりと御説明をさせていただきたいと思っておりますし、また、土地改良区向けには模範定款例などを策定しておりますので、その中で、准組合員のところについて混乱のないように模範定款例を定めていきたいと思っております。

青山(大)委員 それでは、次の質問に行きます。会計基準の、複式簿記の会計の導入に関してでございます。

 平成二十三年に、農林水産省から複式簿記会計の会計基準が通知されましたが、一昨年、平成二十八年の段階で複式簿記の導入状況がたったの一・三%と、非常に低い状況であります。

 今回、全国の土地改良区の約五割が専従職員不在でもございますし、会計の透明性を高めるために複式簿記の導入については必要かもしれませんが、実際、現場では、複式簿記の知識を有する職員はほとんどおらず、理事長を始めとする執行部も事情は同じなのではないでしょうか。

 法を施行する前に複式簿記導入の受皿をしっかり構築するなど、複式簿記の導入に向けての支援策が必要であると考えますが、どのように対応していくのか伺います。また、複式簿記の導入に向けて三年の準備期間を確保と言っていますが、仮に三年たっても複式簿記を導入できない場合はどのようになってしまうんでしょうか。見解を伺います。

上月大臣政務官 貸借対照表の作成に係る規定につきましては、今議員から御指摘がありましたように、現場での取組状況等を踏まえまして、平成三十四事業年度から施行する、三年間の準備期間を持つということにしたわけであります。

 まずは、資産評価というのが大変重要であって、これが不可欠であるということでありますので、国が資産評価を行うための統一マニュアルをきちっと整備するということ、それから、国や地方公共団体が造成しました施設につきましては、造成主体がきちっと資産評価を行い、その現価を土地改良区に提供していくということを、当然でありますけれども、しっかりやるということ。

 それから、国と地方公共団体は、土地改良事業団体連合会と連携をしまして、貸借対照表の作成に係る指導、研修など必要な支援も行っていきたいというふうに考えております。

 ただ、議員から御指摘がありましたように、半数程度が専任職員なしということでもありますので、なかなか指導、研修だけでもカバーし切れない面もある場合もあるかもしれません。そういった場合には、土地改良区が単独で取り組むことがなかなか難しいかなというふうに考えられましたらば、他の土地改良区と共同して土地改良区連合を設立するであるとか、都道府県の土連に事務委託をする、そういったことによってきちっと対応していくということを考えております。

 この制度自体は、先ほども申し上げましたように、農業、農村の環境が変わる中で、ハードとしての農業基盤をきちっと次世代に引き継いでいくということから、複式簿記を導入して、必要な措置をとってもらおうということでありますので、議員から今、三年間の移行期間が過ぎても作成できない場合はどうなるのかというお話がありましたが、三年間のうちには、先ほど申し上げましたような連合であるとか事務委託という方式もありますので、そういったことをきちんと対応していただいて、全体として、それぞれの団体で貸借対照表が作成できるようにしっかり対応してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 昨年とことしと二年にわたって大きく土地改良の法律が変わる中で、ごめんなさい、また繰り返しになってしまいますけれども、多分、現場で、本当に自分たちの土地改良区、本当に小さい土地改良区もいっぱい全国にあると思うんですよね。中で、本当に一人、二人で皆さんたちの土地を預かって耕作している、正直、そんなに大きくもないので収益も上がらないけれども、でも、それをしっかり守っていく中で、その方たちも、いろいろな、何か、国とか県とか市でこういう制度があるんだよとか言っても、なかなかそれを本当に使いたくても使えない、もう目の前の耕作でいっぱいいっぱいだと。

 そういった中で、多分これは政府の方も、皆さんもわかっているように、昔は一生懸命、土地改良区、お金を払って整備したけれども、だんだん、担い手がなくて、高齢化してきて、賦課金の負担だけで本当に困っている、そういうところもあります。先ほど申しましたように、実際、送水管の上に住宅が建ってきて、もう更新できなくて、苦渋の決断で解散する、そういったところもあるんですね。

 もちろん、いいところはしっかり成長させていきますけれども、正直、そういう大変なところには、また新たな、救済措置とまでは言いませんけれども、そういった現場に応えて、柔軟な対応をこれからも政府にはお願いしたいと要望させてもらって、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 無所属の会の大串です。

 早速質問に入らせていただきますけれども、まず、加計学園問題に関して、先般、柳瀬元総理秘書官の参考人招致というものがございました。その中で、柳瀬さんの方から、かの問題となっている四月二日の総理官邸における面会の際に、加計学園関係者と面会していたということを思い出したということの答弁がありました。

 その中で、農水省の担当にも、文科省の担当者と同様に、その場に同席してもらったという答弁があったわけでございます。

 昨日の衆議院の予算委員会においてもこの点が問われて、農水大臣の方から、当時、内閣参事官だった方ですかね、が要請を受けてそこにいらっしゃったということの答弁をそこでされていました。

 このことをきちんと確認しておかなきゃいけないと思うんですね。

 このことは、消費・安全局の方においてヒアリング等されていると思いますけれども、この同席された方は、幾つかの点をきちんとお尋ねしますけれども、今治市、加計学園の方と同席していたことは認識していたのか、したのか。それから、今治市、愛媛県もその場に同席しておって、会ったということを認識しているのか、あるいは思い出したのか、覚えているのか。さらには、柳瀬総理秘書官の方から、首相案件、あるいは、秘書官が言うんだったら総理案件と言うんでしょうね、総理案件といったような発言があったか否かを覚えているかどうか。この点に関してどのような当人の記憶であったか、お答えください。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、農林水産省から内閣官房に内閣参事官として出向していた職員が平成二十七年四月二日の会合に同席していたか等につきまして、五月十日、内閣官房から農林水産省で調査するようにとの指示があったことから、私が、ほか数名とともに、当該出向していた職員に対しまして直接確認を行いました。

 その結果、日にちは定かではございませんが、平成二十七年四月の官邸での会合につきまして、当時の柳瀬秘書官からの求めに応じ、自分も同席したと記憶していることを確認させていただきました。

 御質問の一点目でございますが、まず、面談の相手方でございますが、確認をさせていただきましたところ、記憶があるのは、獣医学部の必要性を強く説明された加計学園関係者のみであるとのことでございました。

 また、もう一点の面談の内容でございますが、これも直接確認いたしました結果、当時の柳瀬秘書官からの求めに応じ自分も同席したことは記憶しておりますが、獣医学部の設置の話であること以外の具体的なやりとりについては記憶に残っていないといったことを確認させていただきました。

 以上でございます。

大串(博)委員 今の答弁によると、相手方で覚えているのは加計学園の方のみ、今治や愛媛の方々と会ったかは記憶にないからわからない、首相案件、総理案件という発言があったかということに関しては、内容的には獣医学部設置の重要性に関する話だったので、そういうことに関しては覚えていないということだったんですけれども。

 私、この間、この加計学園の問題に関して非常に思うのは、情報が何かマスコミ等々から出てくるたびに、それに合わせたように記憶がよみがえってくるんですよね、皆さんの。そう言われていればそうかもしれませんね、そういう報道があるんだったらそうかもしれませんね、そういう紙が出てきたのならそうかもしれませんね、柳瀬元秘書官がそう言われているんだったらそうかもしれませんねと、皆さん、そのときそのときに合わせて記憶がよみがえってくるんですね。

 事前にこの問題の、総理は一点の曇りもないと八田座長が言っているから自分もそう思っていると言っていますけれども、一点の曇りもないんだったら、一点の曇りもないとみんなが信じられるように、きちんと調べをした上で、こういうことで一点の曇りもありませんよという積極的な説明は何らないんですよ。

 例えば、この件に関しても、農水省、これまでいろいろなヒアリングを消費・安全局でやってきていますね。だって、去年からあんな文書がたくさん出てきていて、その都度調査されています。今回も、首相案件というメモが出てきたから、愛媛県のメモが出てきたから、これも消費・安全局を中心に、当時の担当者及びその後の担当者、いろいろ調査されていますね。

 でも、後から後からこうやって報道が出てくるたび、答弁が出てくるたびに、あれ、何か関与があるんじゃないのというのが出てきて、それを確認してみたら、あ、そう言われてみればそうかもしれませんねというふうに言う。しかしながら、肝心のところ、すなわち、加計学園以外の今治の皆さんと会ったのかとか、あるいは、首相秘書官、首相案件であるという言葉があったのかとか、この辺に関しては、私にとっては非常に都合よく聞こえますけれども、記憶にありませんということで、敷居ができちゃうんですね。逐次投入なんですよ。

 私はこれが問題じゃないかと思っていて、だって、これだけ加計学園問題が問題になっていて、あの四月二日の面会もあれだけ問題になっていて、今まで農水省は一体何を調査していたんですか。すなわち、調べなきゃならない、調べろと言われた最小限のところだけ調べて、それ以外の関係者の方々に関しては何ら調べていないんですか。

 すなわち、農水省として、悉皆的に、この件に関してこういう方々がこういう関与をされた、面会にも、特に、まあ全て、全部が全部なんて言わないですよ。例えば、注目されている、コアとなっている、非常に大きな問題となっている四月二日の会合なんかはそうですよね。そういったことに関しては、我が省としてはこういう経緯でしたということをきちんと悉皆的に調べて、報告して、前向きにやっていくということを私はやるべきじゃないかと思うんですね。

 ここは大臣にお尋ねしたいと思うんです。

 総理は一点の曇りもないとおっしゃっている。一点の曇りもないのであれば、こうやって新聞報道が出る、あるいは答弁が出る、新たな答弁が出る、その都度その都度、あ、そうでしたと、それにつじつまを合わせるような答弁を逐次投入するんじゃなくて、それだけ大きな論点になっている面会とか論点に関しては、農水省としてのかかわりはこういうことでしたと全部悉皆的に調べて、まず報告をされるべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

齋藤国務大臣 まず、この四月二日の件も含めて、これまでの情報公開請求、これは昨年四月から六月にかけて行われましたけれども、それに際して、共有ファイルあるいは共有フォルダといった行政文書について、そういうものが存在するかどうかということを全て確認いたしました。そして、行政文書においてそういうものは含まれていなかったということは、これは行政文書の悉皆と言ってもいいと思いますけれども、既にそれは公表させていただいているところであります。

 ところが、御案内のように、愛媛県の文書と言われるものが出てきたということでありましたので、行政文書については既に調べているんですけれども、それ以外の形で農水省にそういうものがあるかどうかということについては、これはもうヒアリングで聞くしかないということでありましたので、当時の担当部局、それからその後そこにいた職員、それから現在いる職員、全てについてその文書の存在について確認をしたというのが先日行わせていただいたことで、そうしましたら、文書そのものは引継ぎのファイルの中に見つかったということで、それも結果を公表させていただいたところです。

 ところが、四月二日と言われているその柳瀬秘書官との面会において、私たちの方から出向していた参事官が出ていたという事実については、私ども、正直それは言われるまで、戻ってきた人が全然違うポストについているものですから、ヒアリングの対象にもなっていなかったということもありますので、そこは抜けていたのかもしれませんが、今回、同席をしていたということがわかりましたので、その人から話を伺って、それも公表させていただいたということでありますので、まずは行政文書についてはもう全て調べた上でそういうことが起こってきたということは御認識いただければと思います。

大串(博)委員 行政文書も、当時の担当、そして現在の担当にあるところですよね。省内全体じゃないじゃないですか。先ほど言われたように、当時参事官として面会に同席した人が今違う部署にいる、そういう話ですよ。

 そういうところも含めて、私は、一点の曇りもないというのであれば、悉皆的に、問題となって注目されているようなところに関しては、一歩踏み込んで調べるべきだと思いますよ。

 なおかつ、こういう、言った、言わないみたいな、記憶にある、ないみたいな話を解決して、一点の曇りもないということを証明していくためには、私は、当人にちゃんと来てもらうということだと思うんです。この場合の当人とは、やはり中村時広愛媛県知事の存在、極めて今私は話を聞きたい、本当に一点の曇りもなかったということが愛媛県側でも認識される形になっているのかという話を聞きたいと思います。

 これは予算委員会でも、中村さんに来てもらって話をしてもらうべしという声が上がっているそうです。これは、私は農水も無関係じゃないと思うんですよ、農水の参事官がその場にいたわけですからね。それと真っ向から違う発言を中村時広愛媛県知事はしているわけですから、私は、この農水委員会にも中村愛媛県知事に来てもらって、きちんと事実を、彼の知る事実を語ってもらうということがあるべきだと思いますので、委員長、これは委員会で取り計らいを願いたいと思います。

伊東委員長 理事会において協議させていただきます。

大串(博)委員 一点の曇りもないということであれば、それに沿う行動を政府・与党においては行ってほしいと思います。

 さて、土地改良法ですけれども、私、これは非常に、ある意味第一歩として評価するところもあります。しかし、農業の将来像を考えるに当たって、これで十分かという思いもあります。

 先ほど亀井委員から話もありました、私も西日本です。だから、私のところも相当程度は、所有と耕作者が分離するときには、所有者が土地改良の農家負担の分を持って、耕作してもらって、耕作者から地代としてもらうというような形になっているケースが多いんですね。

 今はそれでうまくいっています。いろいろな話合いの結果、経緯も含めてうまくいっている。しかし、これから所有者と耕作者が更に違う形になっていくであろう中で、どういう方向でこれを成り立たせていくべきかというところ。

 所有者、所有者といっても、もともと農家の方々ですよね、できないから耕作の方にお願いされているんです。おら、農業を今後どうすべきかと悩んでいらっしゃる方は多いですよ。今、土地を持っている、耕作してもらっている、賦課金は自分が負っている、地代はもらっている。しかし、耕作をしていただいている方々もなかなか収益が上がらない、収入が上がらない。よって、地代もなかなか上げられない。土地改良事業をこれからもう少しやらなきゃいかぬけれども、できるのかな、おら、負担できるのかなという将来に対する不安感、めちゃくちゃ多いんですよ。

 こういった点から考えて、所有と耕作がだんだん分かれてくる、これは今の流れを見ていても、やはり農地というものが、将来耕作を続けてもらわなければならない公な性格を帯びる面がより上がってくるんじゃないかと私は思うんですね、所有と耕作を分離してでも農地として耕作をしてもらうということであれば。

 そういうのもあって、最近、例えば相続の登記が行われていない農地に関しては、少々私権が抑えられるということを前提としても集約をしていこうという形にしたわけですよね。そういうふうな方向性を打ち出すのであれば、土地改良事業に関する農家負担の部分、今、個人の財産だということで持ってもらっているけれども、この農家負担を国でより持っていく方向への改正も整合的なものとしてやっていくべきじゃないかと私は思うんです。

 これに関して、大臣に所見を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 土地改良事業は、担い手への農地集積、集約化を促す農地の大区画化、汎用化等を通じて農業の競争力強化につながっていくということや、農業水利施設の長寿命化対策、農村地域の防災・減災対策を通じた国土強靱化の面で重要な役割を果たす施策でありまして、その安定的な推進に向けて、農家負担の軽減を図っていくということも重要な課題であると認識をしています。

 土地改良事業の実施に当たりましては、これまでも、事業実施による農地集積率に応じた促進費の交付、これは御案内だと思いますが、あるいは農家負担金軽減支援対策事業による無利子融資、こういった施策に取り組んでまいりました。

 また、昨年お世話になりましたが、昨年の土地改良法の改正によりまして、農地中間管理機構が借り入れる農地につきましては、農家の負担を求めずに基盤整備を実施できる事業制度等を平成三十年度予算におきまして創設させていただきました。

 これらの取組によりまして、今後とも、事業の安定的な推進に向けまして、農家負担の軽減に取り組んでまいりたいと考えています。

大串(博)委員 終わりますけれども、所有と耕作がいよいよ分離していく中で、私は、であれば、農地の公的性格は高まると思います。であれば、土地を維持していく、農地として守り抜いていくためには、国として一歩踏み出した農家負担のあり方に関する検討も必要だと思いますので、ぜひお願い申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も、質問のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 今回の土地改良法改正案では、土地改良区のあり方についてさまざまな見直しが行われています。

 そこで、まず、土地改良区の現状について伺います。土地改良区の数や組合員の数はどのようになっているのでしょうか、改めてお聞かせください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 土地改良区の数でございますけれども、近年、合併などで減少傾向で推移をしてきておりまして、平成二十八年度末現在で四千五百八十五地区ということになっております。

 また、土地改良区の組合員の数でございますけれども、農業者の高齢化、それから農地集積の進展によりまして、こちらも減少傾向で推移してきておりまして、平成二十八年度末現在で約三百五十九万人となっておるところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 圃場整備の完了や高齢化などにより、土地改良区の合併も進んできたと思います。農業者の高齢化等により組合員の数も減少傾向ということですが、農業水利施設の維持管理等は続けていかなければなりませんので、組合員の確保は必要であると思っております。

 提案理由説明では、改正案の提出の背景として、土地改良区の組合員について、土地持ち非農家の増加が見込まれること等が挙げられております。

 そこで、土地改良区の組合員の構成の現状と、土地持ち非農家の組合員が増加した場合、土地改良区の業務運営においてどのような問題が生じるのでしょうか。また、その問題を解決するために本改正案でどのように対応していこうとされているのか、お聞かせください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年一月に全国の土地改良区を対象にいたしまして実施をした調査がございます。この調査結果によりますれば、土地改良区の組合員のうち、非農家の割合は約二八%となっておるところでございます。

 全国の土地改良区、全部で四千五百ほどあるわけでございますが、この調査に対しまして、まず、回答をしていただいた土地改良区が二千三百弱でございます。当該土地改良区の総組合員数が約百七十万人いらっしゃる中で、いわゆる非農家の方が四十七万人程度ということで、先ほど申しました約二八%となっておるところでございます。

 今後、農家の高齢化ですとか農地集積の進展によりまして、土地改良区の組合員につきましては、ますます土地持ちの非農家の方がふえていかれるのではないかというふうに考えております。

 土地持ち非農家の方が増加いたしますと、土地改良施設の円滑な維持管理なりあるいは更新といったようなものに、御自分で営農されないわけでございますので、肌感覚で必要性なりをなかなか認識していただけないのではないかといった懸念ですとか、それから、毎年毎年の水管理といったものについても、御自分の営農がないものですから、耕作者の方が本当に必要とされるような水管理というものが行われがたくなるのではないかといったような懸念を認識しております。

 それで、今般、法律改正を提案させていただきまして、耕作者の方にできるだけ資格を交代していただくというようなことを円滑に進めるために、耕作者に資格交代をした場合に、従来の組合員である所有者の方が准組合員として組合に残って関与されるような准組合員制度などの取組を提案いたしたところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 今回の法改正では、准組合員制度に加えて、施設管理准組合員制度も創設されると伺いました。

 土地改良区の持つ水の安定供給機能等を発揮させるためには、定期的に水路の草刈りや泥上げを行う必要があると思います。私の亡き父もお米をつくっておりましたので、土地改良区の組合員でした。高齢になってからも、真夏の暑い日に水路の草刈りや泥上げを行っていた姿を覚えています。

 これまで、土地改良施設の草刈り等については土地改良区の組合員が実施してきたと思いますが、組合員数が減少すると、このような草刈り等を組合員だけで行うことは難しくなると思います。

 そこで、新たな組合員資格として施設管理准組合員制度を創設する理由についてお聞かせください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 農業用水の水源から末端の圃場まで農業用水を安定的に供給するためには、土地改良区において、土地改良施設の維持管理、更新を適正に行っていただく必要があるわけでございます。一方、今先生から御指摘ございましたように、高齢化ですとか規模拡大等によりまして組合員の数が減っていくことが懸念されますので、そうなりますと、この土地改良施設の維持管理がうまく行えなくなるのではないかという懸念があるわけでございます。

 一方で、土地改良区の地区内には、多面的機能支払い活動団体を始めといたしまして、地域でいろいろな活動をなさっておられる農地周りの維持管理に取り組んでおられる団体が全国各地で見られるところでございまして、これらの地域の活動組織の方々に土地改良区の管理する施設の草刈りや泥上げなどについての御協力をいただけるような仕組みがとれないかということで、今般、施設管理准組合員制度というものを創設させていただきたいという提案でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 地域活動の組織として、多面的機能支払いの活動組織を想定しているのも伺いました。私の生まれ故郷の愛媛県でも、多面的機能支払いの活動組織によって地域の農業用施設が保全をされています。

 土地改良施設を管理している多面的機能の活動組織は現在どれくらいあるのか、お答えください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、全国で約四千六百の土地改良区がございますけれども、このうち約二千五百の土地改良区の管内におきまして、延べでございますけれども、約一万八千の多面的機能支払いの活動組織というものが存在しておるところでございます。

 これらの多面的機能支払いの活動組織が、実際に土地改良施設の管理をどのぐらい行っているのかということは把握をしておらないわけでございますけれども、管内に存在している二千五百の土地改良区のうち、約一千九百の土地改良区におかれましては、現在ないし今後、これらの地域住民の協力が維持管理には不可欠であるというふうに認識を持っておられるようでございますので、我々、今回の提案は時宜にかなったものではないかと考えておるところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 農家数の減少、高齢化が進む中で、土地改良施設を適正に管理していくためには、農家や農地の所有者といった農業関係者だけでなく、多面的機能支払いの活動組織や自治会、PTAなどの地域の組織を巻き込んでいくことがますます重要になってくると思います。

 そのためには、施設管理准組合員となることで、土地改良区と地域の団体の両者にメリットがなければ成り立たないと思います。

 土地改良区のメリットとしては、土地改良施設の管理に協力を求めることができるということだと思いますが、地域の活動組織が施設管理准組合員となるメリットを教えてください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 この多面的機能活動団体、活動組織が土地改良区の施設管理准組合員となられることによりまして、従来は、土地改良区の管内で水路の泥上げですとかあぜの草刈りなどをやっていただいておるわけでございますけれども、必ずしもその行為が土地改良区の仕組みの中で行われているわけではないということから、活動組織の方から土地改良区に、例えば、農業用水の通水時期ですとか水の量などについてお話をさせていただく、御提案をさせていただく、そういう仕組みがなかったところでございます。

 今般、施設管理准組合員になっていただけますれば、先生今お話ございましたように、総会に御出席をいただいて、御自分たちの活動がより一層うまく回りますように御意見をいただくといったようなことが可能になろうかと思っております。

 あわせて、多面的機能支払交付金に係る事務というのが、活動組織の中では、結構事務手続が大変だというようなお声もございますので、この准組合員になっていただけますれば、例えば土地改良区の事務局体制を使っていただくといったようなことも、事務負担の軽減上可能ではないかと思っておるところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 次に、今回の法改正により、理事の五分の三以上の資格要件について、組合員から、耕作者である組合員と改正すると伺っております。

 土地改良区の業務運営に当たっては、土地改良区が農業の生産基盤を整備する、土地改良事業を行う法人ということからすれば、耕作者の意見が反映されるようにすべきであると思いますが、今般、理事の五分の三の要件を見直した理由についてお答えください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度では、土地改良区の理事は五人以上という要件がございまして、さらに、このうち五分の三は組合員から選任されるという規定があるわけでございます。

 制度発足当時は、同じぐらいの規模の自作農の方が多数いらっしゃって、そういう方々が理事になることが想定されておったわけですけれども、先ほど来お話ございますように、貸借が進んできて、土地持ち非農家となった方が組合員として多数存在する中で、これらの土地持ち非農家の方が五分の三以上を占めるような状況になりますと、土地改良区の業務執行に当たりまして、なかなか耕作者の意見が反映されないというようなことになるのではないかという懸念があるわけでございます。

 したがいまして、今般、耕作者の意向がきちんと反映されますよう、理事の五分の三以上を耕作者である組合員ということにさせていただきたいという提案でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 次に、選挙管理委員会による選挙廃止について伺います。

 現場からは、総代制度、特に選挙管理委員会による選挙は見直すべきという声をお聞きしました。ほとんどの土地改良区において無投票で総代選挙が実施されていないにもかかわらず、選挙費用を負担するのは無駄であり、土地改良区によっては、選挙費用に二百数十万円かかるようなお話も伺いました。

 今回の法改正により、選挙管理委員会による選挙を廃止するというのは妥当であると思いますが、一方で、廃止されることにより、現場に支障が生ずることはないのか、お答えください。

荒川政府参考人 今、先生から御指摘ございましたが、選挙管理委員会の管理のもとに行われる選挙につきましては、選挙費用の問題ですとか事務手続の負担といったようなことから、何とかならないかというような現場の声もあるわけでございます。一方で、指定都市選挙管理委員会連合会側からも、もうそろそろ土地改良区の方でやっていただいていいのではないかといったような御要請も出てきているという状況でございます。

 私ども、今般、こういったことを踏まえまして、土地改良区の役員と同様に、団体自治の中で選任をしていただけるようにという改正案を提案させていただいておるわけでございます。

 既に、各土地改良区の自治に委ねられております役員の選挙の経験もございますし、他法令団体での実績などもございますので、先生御懸念のような、現場に支障が生ずることはないと考えておりますが、法案が通りましたらしっかりフォローアップをしてまいりたいと思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。しっかりフォローしていただければと思います。

 最後の質問に移ります。

 今回の土地改良法改正は、土地改良区の組合員や体制に関する規定を約七十年ぶりに改正するものと伺っております。

 土地改良区の業務は、主として国民の共通財産である農業水利施設の管理でありますが、施設の管理や組織の運営は組合員である農家が行うことが基本であり、地元に密着した組合であると理解をしております。

 このような組織であるがゆえ、法改正に当たっては、現場の声を丁寧に拾い上げていくことが必要だと思います。これまで、農林水産省では全国の土地改良区と意見交換を行ってきていると思いますが、その際、現場からどのような意見があり、どのように法改正に反映をさせているのか、お答えください。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 土地改良区のあり方については、土地改良区関係者から、まず、組合員資格に関しましては、組合員数が減少する中で、土地改良区を適正に運営していくためには、組合員ではない所有者にも協力を求めることが不可欠である、大規模な担い手の増加が見込まれる中、その意向が反映されるよう、現行の理事要件を見直す必要がある、地区内の担い手の水需要の変化に対応した農業用水の配分を行うべきである、多面的機能支払いの活動組織が土地改良区が管理する施設の周辺まで活動してほしい。

 また、土地改良区の体制に関しましては、選管選挙や総代定数など総代会制度を見直すべきである、零細な土地改良区の事務統合を進めるべきである、土地改良施設の将来的な更新に備え、その資産価値を正確に把握するため、貸借対照表を整備すべきである等の御意見をいただきました。

 これらの意見を踏まえまして、本法案では、組合員資格に関する措置として、准組合員制度の創設及び資格交代手続の円滑化、理事の資格要件の見直し、農業用水の利用の調整方法を定めた利水調整規程の策定、施設管理准組合員による土地改良施設の管理への参加の促進を講ずるとともに、土地改良区の体制に関する措置として、総代会の設置要件の引下げや選挙管理委員会選挙の廃止など総代会制度の見直し、土地改良区連合の業務の拡充、貸借対照表の作成や員外監事の設置など財務会計の適正化を講じたところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。現場の声がしっかりと入った法改正になっていると思います。

 時間となりましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、土地改良法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木憲和君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党及び日本維新の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。亀井亜紀子君。

亀井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    土地改良法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  農地・農業用水は、農業生産に欠くことのできない基礎的な資源であり、農業・農村をめぐる状況が変化する中で、将来にわたって良好な営農条件を備えた農地・農業用水を確保していくためには、土地改良区の業務運営の適正化を図ることが必要である。

  よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 土地改良法が事業参加資格者は耕作者とすることを原則としている趣旨を踏まえ、土地改良区の業務運営について、耕作者の意見が適切に反映されるよう、准組合員資格創設の趣旨について周知徹底すること。

 二 財務会計制度の見直しに当たっては、複式簿記会計の円滑な導入が図られるよう、研修の実施等必要な支援を行うこと。

 三 本法施行後五年を目途とした検討に当たっては、耕作者への資格交替の進展状況を踏まえ、地域ごとに土地改良区の適正な業務運営が確保されるよう、組合員資格の在り方の更なる見直しも含め必要な措置を講じること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

伊東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣齋藤健君。

齋藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

伊東委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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