衆議院

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第16号 平成30年5月23日(水曜日)

会議録本文へ
平成三十年五月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 緑川 貴士君 理事 佐藤 英道君

      池田 道孝君    泉田 裕彦君

      稲田 朋美君    上杉謙太郎君

      加藤 寛治君    金子 俊平君

      神田 憲次君    木村 次郎君

      岸  信夫君    小寺 裕雄君

      斎藤 洋明君    田畑  毅君

      西田 昭二君    野中  厚君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      古川  康君    細田 健一君

      宮路 拓馬君    山本  拓君

      石川 香織君    大河原雅子君

      神谷  裕君    亀井亜紀子君

      中谷 一馬君    後藤 祐一君

      関 健一郎君    江田 康幸君

      大串 博志君    金子 恵美君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

      寺田  学君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           窪田  修君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   参考人

   (一般社団法人全国中央市場青果卸売協会会長)   川田 一光君

   参考人

   (全労連全国一般東京地本東京中央市場労働組合執行委員長)         中澤  誠君

   参考人

   (日本チェーンストア協会専務理事)        井上  淳君

   参考人

   (東京聖栄大学客員教授) 藤島 廣二君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     木村 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     藤井比早之君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     田畑  毅君

  神谷  裕君     中谷 一馬君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑  毅君     小寺 裕雄君

  中谷 一馬君     神谷  裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、消費・安全局長池田一樹君、食料産業局長井上宏司君及び内閣府規制改革推進室次長窪田修君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明君。

斎藤(洋)委員 おはようございます。自由民主党の斎藤洋明です。

 本日、卸売市場法、食品流通構造改善促進法の改正案につきまして質問させていただきます。

 まず、法改正の必要性について、二点お伺いをしたいと思います。

 大正十二年、卸売市場法の前身となります中央卸売市場法が制定をされております。その後、昭和四十六年に地方卸売市場も含めた卸売市場法が制定されております。そして、今日に至るまで、農産品、水産品等々、一次産品の需給状況それから流通の状況は大きく変化している、それがこの法改正の必要性につながっていると考えておりますが、こういった一連の法制定後の変化について、政府の見解をまずお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 大正時代には、大正七年に米騒動が発生するなど、食料供給が十分でない中で、問屋、これは現在の卸売業者でございますけれども、による売惜しみや買占めを通じて価格のつり上げが横行し、国民生活に混乱が生じていたことから、大正十二年に中央卸売市場法が制定され、中央卸売市場の開設と卸売業者の営業を許認可制とし、取引にも厳格な規制が課されたところでございます。

 また、昭和四十年代には、高度成長期の物価高騰のもとで、生鮮食料品について、いわば売り手優位な状況が続いていたことから、昭和四十六年に、中央卸売市場法を基礎とし、地方卸売市場に対する規制を追加して、現行の卸売市場法が制定をされております。

 その後、現在までの状況を見ますと、買い手と売り手の情報格差がなくなり、売惜しみ等による価格のつり上げがしにくい環境になっているほか、小売業の大規模化に伴い、買い手の交渉力が高まっているといった取引環境にあり、また、加工品や外食の需要の増加等に伴い、市場外流通が拡大をし、その流通形態も、インターネット通販、契約取引等、流通の多様化が進んでいると認識をしてございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 私も、この後質問に立ちます泉田議員も新潟県の出身でありますが、物不足、買占めとか売惜しみなんという言葉を聞きますと、隔世の感がまさにいたします。買い手の力の優位ということもそうですし、大きく環境が変わっているということは間違いない事実であると思います。

 いただきました政府の資料によりましても、飲食料の国内最終消費額は大きくふえているにもかかわらず、昭和五十五年の卸売市場の取扱金額、九・二兆円だったものが、卸売市場内の取扱金額、平成二十五年には六・七兆円と、全体のパイがふえているのに卸売市場内の取扱金額が減っているということで、卸売市場の取引全体に占める地位は、シェアは残念ながら縮小しているということは事実としてあると思います。

 それを踏まえてなんですけれども、にもかかわらず、卸売市場の集荷、分荷、価格形成あるいは代金決済という調整機能というのはやはりありまして、これは依然として重要だと私も考えております。この重要な役割を果たし続けていくためにも、卸売市場のあり方そのものも改めるべきは改めていかなければいけないんだろうと考えておりますが、政府の御見解をお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 卸売市場を取り巻きます食品流通の状況を見ますと、消費の面では、生鮮品のままでの需要が減少し、加工食品や外食での需要が拡大するとともに、価格面のみならず、品質や衛生面等への関心が高まっていることがございます。また、流通の面では、小売店の大規模化が進展するほか、インターネットでの通信販売や産地直売の拡大など多様化が進み、また、トラックドライバー不足により物流の確保にも支障が生じてきているといったように、状況が大きく変化をしてございます。

 こうした中で、卸売市場が今後とも重要な役割を発揮していけるよう、本法案におきましては、取引参加者を差別せず公平に取り扱う、取引価格や数量を公表するなど、公正な取引の場として必要な取引ルールを遵守するなど高い公共性を有する卸売市場のみを認定し、振興することとする一方、卸売市場ごとに地域、品目の実態に即した取引ルールを設定可能とし、創意工夫を生かし、消費者や生産者のニーズに合った事業運営を行い得る環境を整備することとしているものでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 今お話しいただきました内容は、やはり私も依然として重要だと思っていまして、例えば集荷、分荷機能なんかでお話をしますと、直売の比率もふえていますけれども、一定数量を安定して調達するためにあえて卸売市場を使いたいという小売業者さんの声も多く聞きますし、また、価格形成で申しますと、私の身内にも一次産品の生産者がおりますけれども、お互いさまの長期の関係の中で、価格低迷期も少しはかげんをしてもらって、そのかわり、物不足なんだけれども頑張ってなるべく安く売るということをやはり市場の中で心がけることもあるという話も聞きますし、こういった機能は依然として重要であると思います。

 後ほどの質問で時間があれば触れたいと思いますが、代金決済機能もかなり小売業者さんは重視しておられるようですので、そういった観点も重要であると思います。

 あともう一点、物流、ロジスティクスのお話もいただきましたけれども、トラックドライバーの不足などにより、この機能も相当重要になってくると思います。いろんな取組も食品流通構造改善促進法の方で考えていただいているようでありますけれども、こちらの機能もかなりこれから重要になってくるのではないかと思います。

 続きまして、法改正の必要性に続きまして、法改正によります市場の開設と運営について三点ほどお伺いをしたいと思っております。

 まず、卸売市場を、現代に合った、変えるべき点は変えて残していくということが重要だと考えておりますが、法改正後の卸売市場開設者に対する指導及び助言、それから支援措置の具体的な内容につきましてお尋ねをしたいと思います。

井上政府参考人 本法案におきましては、公正な取引の場として一定の要件を満たす卸売市場を農林水産大臣等が認定し、振興を図ることとしております。

 卸売市場に対する指導監督でございますけれども、認定段階におきましては、開設者が取引参加者に対して指導助言、報告徴収、検査、是正の求め等の監督を行う旨を業務規程に明記していることを農林水産大臣等が確認して認定するとともに、認定後におきましても、卸売市場の業務運営が適正に行われるよう、農林水産大臣等が開設者に対して指導助言、措置命令、報告徴収、立入検査等の監督を行うほか、状況に応じては認定を取り消すこともできることとしております。

 また、開設者に対する支援でございますけれども、認定を受けた中央卸売市場、地方卸売市場に対しましては、予算措置として、補助率三分の一以内で施設整備への助成を行うこととするほか、中央卸売市場につきましては、食品等流通合理化計画の認定を受け、品質、衛生管理の高度化等に取り組む場合には、法律の規定に基づく補助として、補助率十分の四以内で施設整備への助成を行うこととしてございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 今回の法律改正は、ある面では規制の緩和を含む内容だと思っていますけれども、私は、役所、公正取引委員会に勤めておりましたので、規制緩和につきましてはさまざまな思いがあります。

 さまざまな思いと申しますのは、規制緩和が社会的に正当化されるのはどういう場合であろうかということでありますけれども、例えば、インフレ期に物価安定のために規制緩和をして供給過少の解消を図るとか、あるいは、規制がもたらす社会的な便益に比べてその規制の内容が正当化されないような場合ですとか、あるいは、私は今回の卸売市場法等の改正はこれに当たるんじゃないかと思っていますが、実社会のニーズに合わない部分が出てきていて、本来は必要な規制なんだけれども、その規制の内容のうち必要なものを変えなければ規制そのものの意義がなくなってしまう場合というものもあると思っていまして、私は、今回の法改正はそれに当たるのではないかと思っております。

 その観点からお伺いをしたいと思いますが、卸売市場の開設の許認可制を認定制に改めるということと、民間事業者にも開設を認めることとする理由について確認したいと思います。

井上政府参考人 現行の卸売市場法につきましては、卸売業者の売惜しみ、買占めによる価格のつり上げを防止する等の観点から、大正十二年に制定された中央卸売市場法以来の仕組みを踏襲しておりまして、農林水産大臣や都道府県知事の許認可を受けなければ卸売市場の開設自体が認められないということとなっております。

 他方、現在では、買い手と売り手の情報格差がなくなり、売惜しみ等による価格のつり上げがしにくい環境になっているほか、インターネットでの通信販売等、流通が多様化をする中で、卸売市場についてのみ開設や卸売の業務について許認可を受けなければ行えないこととする理由はなくなっているというふうに考えております。

 このため、本法案では、卸売市場の開設は許認可を受けずとも行い得ることとする一方で、生鮮食料品等の公正な取引の場として一定の要件を満たす卸売市場については、農林水産大臣等が認定することにより、その振興を図ることとしております。

 中央卸売市場の開設主体についてでございますけれども、差別的取扱いの禁止、取引条件、取引結果の公表等、公正な取引の場として必要な取引ルールを遵守すること、卸売の業務が常に適正に行われているか管理監督する人員を配置することなど、公共性を確保するための業務運営、体制を満たすのであれば、民間事業者でも認められるということにしているものでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、管理監督体制をしっかりやっていただきまして、特に、大正十二年以来変わらない一番重要な機能としては価格安定の機能だと思いますので、ぜひしっかり監督をしていただきたいと思います。

 特に一次産品につきましては、ほんの少しの需給のギャップが大幅な価格の変動をもたらすという意味では、ほかの産業の産品とはまた違う特性があると思いますので、ぜひその点も踏まえてしっかり監督していっていただきたいと思います。

 続きまして、この法改正によりまして、幾つかの規制が緩和されることになります。第三者販売の禁止ですとか商物一致の原則ですとかですけれども、これを市場ごとに定めることとすることができるということで、この点が仲卸、卸売業者の排除につながるおそれがあるのではないかという指摘がありますけれども、この点につきまして、政府としての認識をお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 本法案におきましては、市場の公正性を保つ共通のルールは遵守をした上で、第三者販売等につきましては卸売市場ごとに判断できることとしておりますけれども、このことが仲卸業者や卸売業者の排除につながるものではないと考えております。

 例えば、ある卸売市場において、卸売業者が同一市場の仲卸業者以外に販売をする第三者販売を認めるルールを設定したとしても、卸売業者は、共通の取引ルールの差別的取扱いの禁止によって、第三者の大規模な小売業者等ばかりを優遇するなど、仲卸業者に対して不当に差別的な取扱いをしてはならないこととされております。

 また、ある卸売市場において、卸売業者が生鮮食料品等の荷を卸売市場内に持ち込まないまま配送する、いわゆる商物分離を認めることとしたとしても、取引自体は卸売業者、仲卸業者を通じて代金決済を行うこととなるため、仲卸業者、卸売業者を排除することにはならないと考えてございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 市場関係者はこの点をやはり心配している方がいらっしゃるので、ぜひ丁寧な説明をお願いしたいと思います。

 私個人としましても、必ずしもこの法改正によって仲卸、卸売業者の不利益につながるとは思っておりません。

 実際に話を聞きますと、例えば、直販ということを考えて、私の地元の生産者の方でも、大規模小売業者さんに直接売り込みに行って、これはすばらしいですね、ぜひ取り扱いたいと思いますという話になっても、ぜひ、うちと取引のある仲卸さんを通じてくださいと言われるケースの方が実際には多いです。それはなぜかといいますと、決済機能の点で、新たに帳合いを開くというか口座を開設するというのを小売業者さんは基本的に嫌がりますので、なるべくそういったものをアウトソーシングしてやっていきたいという方の方が多いので、その意味でも、例えば仲卸さんの仕事が急になくなるということはないと思っております。

 またあわせて、集荷機能もやはり大規模小売業者さんは非常に重視をされていまして、セール品が実際には調達できなかったとなれば、これは例えば景品表示法違反の問題になりかねないわけでありまして、ですので、代替品、同等品を集められるような人を、自社のバイヤーにそれをやらせては非効率なので、その意味でも仲卸さんの機能は依然として重要であると思っています。

 また、売り手にとっても、直販をやったんだけれども、市場を通じた取引の方がよかったという方もかなりいらっしゃいます。

 典型的な例が、私の地元ですとやはり米を直接売ろうとする方が多いんですけれども、ネット通販というのは顔が見えない取引です。最初はうまくいくんですけれども、しばしばありますのが、何度か取引があって、信用で後払いでいいですよといってネット販売したものの代金が入らない。それは一件一件は小口ですから、その数万円のために督促をしたり裁判所に行ったりというのは割に合わない。となってみると、結局、ちゃんと中間に仲卸さんですとか卸売業者さんを通じた取引をした方がよかったと言われる場合が多々あります。ですので、売り手にとっても、安心して取引できる市場というのは依然として、ネット通販とか直販の比率がふえようとも、これは重要であり続けるんだろうと思います。

 あと二問質問させていただきたいと思っています。

 食品流通の構造改善につきまして、この法律改正でどういった取組があるのか、御紹介をお願いしたいと思います。

井上政府参考人 食品流通におきましては、近年、物流の効率化や情報通信技術等の活用、コールドチェーンの確保、HACCPの導入等による品質、衛生管理の高度化、加工、小口需要に対応したカット野菜、食べ切りサイズ商品、あるいは海外の需要に対応した輸出、このような国内外の需要に合った食品を供給するための対応などが重要な課題となってございます。

 このため、今回、食品流通構造改善促進法を改正いたしまして、今申し上げましたような食品流通の課題に対応した多様な事業者の創意工夫を生かした流通の合理化に向けた取組を支援する仕組みを設けるとともに、食品等の取引の適正化を図るため、国が食品等の取引状況について調査を行い、必要な措置を講ずることとしているものでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 この流通の改善もぜひお願いしたいと思います。直販を手がけた地元の生産者の方が言われたんですが、直販をやって初めて消費者が求めているものがわかったという人がいて、本来、市場というのはそういったニーズも吸い上げて生産者に伝達する機能もあるはずなので、そこはぜひ、今回の法改正にかかわらず、そういった機能を果たしていけるような仕組みをつくっていっていただきたいと思います。

 最後に、卸売市場及び食品流通過程におきまして不公正な取引があってはならないのは自明のことでありますが、この点、最後、意気込みを伺って、質問を終わりたいと思います。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 食品については、特に生鮮品や日配品を中心に、保存性が低く日もちがしないことから、取引の当事者間での取引上の地位に格差が生じやすく、小売業者の大規模化に伴い、買い手の取引上の地位が一層強まることを懸念する声をよく耳にするところでございます。

 このため、今法案では、食品流通構造改善促進法の改正により、農林水産大臣が、卸売市場における取引や小売も含め、食品の取引状況等の調査を行い、調査結果に基づいて事業者に対して指導助言等を行うとともに、不公正な取引方法に該当する事実があると思料するときは、公正取引委員会に通知することといたしております。

 調査の方法については今後具体的に検討する予定でございますが、調査の設計の段階から公正取引委員会を始めとする関係機関ともよく相談をいたしまして、実効性のある調査を行っていきたいと思います。

 あわせまして、卸売市場において、卸売業者が大手の小売業者を不当に優遇するような場合は、差別的取扱いの禁止のルールを適用いたしまして、開設者から指導等を行うほか、改善されない場合には農林水産大臣による開設者に対する指導、命令等を行うというようなことをできるようにいたしておりますので、しっかりと、不公正な取引のないように努めてまいりたいと思います。

斎藤(洋)委員 ありがとうございました。

 食品は、対消費者取引では情報の非対称性がありまして、また、プロ間取引は、継続反復して行われるので、不公正取引が起こりやすい土壌があると思っております。しっかり取締りをお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

伊東委員長 次に、泉田裕彦君。

泉田委員 おはようございます。自由民主党の泉田裕彦でございます。

 本日は、質問の時間をいただき、まことにありがとうございました。

 時間が短いので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、地方卸売市場の現状でございますが、取扱高の減少傾向が続いている、これは毎年耳にしているところでございます。

 この背景には、単身世帯や高齢者世帯の増加、これに伴って、加工食品それから外食等の増加が指摘されているところでございます。加えて、今ほども斎藤委員から御質問あったようですが、情報通信の発達、これによりまして、売り手と買い手が相対取引を進めているということも背景にあるものと思われます。加えて、水産物の資源量の減少というのも背景として指摘をされております。

 そうしますと、現在の数字でいうと、恐らく流通の全体の二割以下ということが卸売市場の対象になっているということなんだろうと思います。それに加えまして、昨今の物流業界の人手不足、この深刻化。効率化をいかに進めるかも課題でございます。

 卸売市場法を制定した当時と現在の社会情勢は大きく変わっているというのが現状だと思います。

 この相対取引とはどういうものかと考えてみますと、売り手と買い手、一対一でありますので、力関係によって一方当事者が不利益になるという可能性も当然あるわけで、それを防ぐためにも、市場機能というのは極めて重要でございます。

 生鮮食料品、これは、普通の商品と違って、やはり鮮度を保つために物流が地域ごとに存在していないと生鮮食料品を安定して届けることができないという性格も持っているということであります。やはり卸売市場は極めて重要な社会インフラと言わざるを得ないということであります。情報通信が幾ら発達しても、全国に一カ所あればいいというものにはならないということだと思います。

 そしてまた、この卸売市場は、災害時、これは東日本大震災のときにも経験をしたんですが、通常の取引、物流が混乱をすると、安定供給のためや被災地支援のための物資供給に極めて重要な役割を果たすということになります。

 こういう重要な役割を果たしている卸売市場、働いている皆さんは本当に朝早くから働いていらっしゃるという状況でありまして、この場をおかりして、市場関係者全ての皆様に心よりの感謝を申し上げたいと思います。

 一方、私も知事時代に市場認可者という立場でありましたが、売上げの減少傾向によって経営が難しさを増しているという現実もございます。実際に、需要が比較的あると思われていた政令市の卸売市場が閉鎖に追い込まれたということを経験いたしております。取扱高が減少する中で地産地消を進めるためにも、この市場機能が失われるのを防がないといけない、時代の変化に伴った制度の見直しを一刻も早くやってほしい、こんな気持ちで質問させていただきたいと思います。

 地方の首長の立場でいいますと、卸売市場、この機能が法律で定められていますので、地方からできるのは宣伝することぐらいしかできなくて、ほとんど手が出ないというところでございます。一方、我が国の社会環境の変化、これに今回の改正というのがある程度応えているんじゃないかなというふうにも感じております。

 こういった中で、まず大臣にお伺いをしたいんですが、現在の卸売市場を取り巻く環境、特に地方の卸売市場の苦境も含めてどういうふうに認識をされているのか、お尋ねをしたいと思います。

齋藤国務大臣 卸売市場を取り巻く環境の現状ですけれども、この卸売市場を取り巻く食品流通の動向につきましては、卸売市場法が制定された直後の昭和五十年代とそれから平成二十年代とを比較すると、明らかに消費者ニーズが変化をしてきておりまして、これを背景として、流通構造が随分と多様化をしてきております。

 具体的には、食品の消費面では、単身世帯や共働き世帯の増加、あるいは高齢化の進行に伴いまして、生鮮品の消費が、これまで、昭和五十年代の約三割から今は一六%まで低下をする一方、消費者の簡便化志向によりまして、加工品や外食の消費が約七割から八四%へと拡大をしておりまして、消費者ニーズが大きく変化をしてきているわけであります。

 こうした消費者ニーズの変化を背景に、もちろん卸売市場の重要性というものは今も変わらずあるわけでありますが、流通構造も大きく変化をしてきておりまして、生鮮品を主に取り扱う卸売市場全体の取扱高が減少する一方で、加工品や外食の需要の増加等に伴い市場外流通が拡大をして、その流通形態も、インターネット通販、契約取引等、流通の多様化が進んでおりまして、この傾向は今後も継続するだろうというふうに認識をしております。

泉田委員 ありがとうございました。

 農水省におきましても同じような認識を持っているということで、安心をさせていただきました。

 それでは次に、具体的な事実関係、それから法律改正事項について確認をさせていただきたいと思います。

 まず農水省に、近年の卸売市場の取扱高の推移がどうなっているか、お尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 近年の中央卸売市場及び地方卸売市場全体の取扱高についてでございますけれども、青果では、平成二年度の五兆円をピークに、平成二十六年度には三・二兆円まで約四割減少し、水産につきましては、平成三年度の六・二兆円をピークに、平成二十六年度には三兆円まで約五割減少しております。

泉田委員 ありがとうございました。

 卸売市場の取扱いの減少傾向がよく認識をできました。

 次に、今回の卸売市場法等の改正案では、第一条の目的の改正が含まれております。これを改正するということになりますと、国は、取扱高が減少しているので卸売市場の役割が縮小していると認識しているんじゃないか、重要性が低下しているというふうに判断しているのではないかという疑念を生じさせる部分があるわけなんですけれども、卸売市場法第一条の目的の改正が必要な理由についてお伺いをしたいと思います。

井上政府参考人 今回の卸売市場法の見直しにおきましては、流通ルートの多様化が進んでいる中におきましても、卸売市場における取引は、公正で安定的に行われることをもって、他の取引においても価格面等で指標とされている実態を十分踏まえまして、第一条の目的規定に、生鮮食料品等の公正な取引の場としての卸売市場の重要な役割を明記したものでございます。

 その上で、卸売市場がこうした重要な役割を今後とも発揮していけるよう、市場ごとの実態に合わせて取引ルールを柔軟に設定できることとしているものでございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 要は、変化する社会環境に対応して市場運営を柔軟に行えるようにし、そしてまた、卸売市場を持続可能なものにするための改正のための目的の変更というふうに受け取りました。ぜひその方向でやっていただきたいと思います。

 次に、現行の卸売市場法が一律に規制をしていることによって、すなわち、つくったときはこの規制は必要だったんでしょうけれども、今この規制をしていることによって不都合が生じているというような事例、幾つか御紹介いただけないでしょうか。

井上政府参考人 ただいま御指摘がございましたように、現行の卸売市場法では、特に中央卸売市場について、取引の細部にわたり全国一律の規制が行われているところでございます。

 このため、例えば直荷引き規制のため、仲卸業者が、有機農産物等、小ロットで卸売業者の集荷に乗りにくい品目を柔軟に仕入れることができず、品ぞろえの充実等が困難になっているといったことがございます。また、商物一致規制のために、産地から原則として全ての商品を一旦市場に持ち込んで取引しなければならず、輸送の時間や物流のコストが大きくなっているということがございます。また、第三者販売規制のために、卸売業者は原則として同一市場内の仲卸業者としか取引ができず、複数の市場間で過不足を調整しようという場合に迅速かつ柔軟な調整が難しいなどの課題が生じていると認識をしております。

泉田委員 ありがとうございました。

 現実に不都合が生じている規制、これを御指摘いただきました。

 一方で、今の御説明、少し専門的な話でわかりにくい部分ということがありましたので、幾つか内容を確認させていただきたいと思います。

 まず、直荷引きの原則禁止というところの御指摘がありました。現行法が直荷引きを禁止している趣旨についてお尋ねをし、そしてまた、この原則を変更して市場機能が損なわれることがないのか、農水省の認識をお伺いいたします。

井上政府参考人 現行の卸売市場法は、前身の大正十二年に制定をされました中央卸売市場法以来、卸売業者等の売惜しみ、買占めによる価格のつり上げを防止する等の観点から、売り手と買い手が対峙する基本構造を維持しておりまして、卸売市場において集荷する生鮮品等は卸売業者から仲卸業者に販売をすることとし、仲卸業者が産地から直接荷を引いてくることを原則として禁止してございます。

 他方、近年、消費者ニーズが多様化する中で、仲卸業者の直荷引きにより、先ほども申し上げましたけれども、例えば有機野菜など、大量流通には乗りがたい付加価値の高い生鮮品等の品ぞろえを充実することで消費者のニーズに応えていくことが求められているという状況がございます。

 現状でも、青果におきましては約二〇%の取引で、水産では約一八%の取引で、開設者の個別の許可を受ける等の手続が必要な例外措置を活用して直荷引きが行われているという実態もございまして、今般、卸売市場ごとの実態に合わせて柔軟に取引ルールを設定できることとしているものでございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 社会環境の変化に伴って、もっとビジネスチャンスがあるのに今は規制がかかっていてできない、これをできるようにしようという変更であるというふうに理解をさせていただきました。

 もう二つあるんですが、時間の関係で飛ばさせていただいて、設置主体の規制緩和についてもお伺いをしたいと思います。

 今回の卸売市場法の改正で、設置主体の規制緩和がなされています。ということは、新規参入が生じて、地方の卸売市場が更に競争が激化をして、更に疲弊をしてしまうんじゃないか、また閉鎖に追い込まれるような市場が出るんじゃないか、こういう懸念も生じる余地があるわけですが、今回の法改正に伴って設置主体の規制緩和がなされた結果によって、どの程度新規参入しようとする者が生じているのか、農水省の見解をお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正におきましては、卸売市場の開設に当たり、開設者に対して、差別的取扱いの禁止、取引条件、取引結果の公表等、公正な取引の場として必要な取引ルールを遵守することを求めるとともに、卸売の業務が常に適正に行われているか管理監督する人員、体制を整備することなど、公共性を確保するための業務運営、体制を求めております。こうした要件を満たすのであれば、中央卸売市場についても、開設者を地方公共団体に限定しないこととしてございます。

 現時点で、新規に参入する者がどの程度いるか、予断を持ってお答えすることは難しいわけでございますけれども、今申し上げましたような高い公共性を満たす卸売市場を新規に開設することは容易ではないと考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 確かに、今回の改正、設置主体の規制緩和が含まれているわけでありますが、冷静に考えてみますと、卸売市場全体の取扱高が減少しているという状況で、いかにこの重要な社会インフラを守るかというための規制ですから、縮小する規制の中で新規参入が起きるというのはやはり考えにくいということなんだろうと思います。

 それよりも、本来、多くの買い手とそして多くの売り手が出会う中で適正な価格が設定をされる、そして、豊富な品ぞろえの中で安定供給がなされる体制をいかにつくっていくかということが必要な段階でありますので、むしろ、事業者にとって動きやすいような環境整備、ぜひ進める方に力を入れていっていただければと思います。

 それに関連しまして、もう一点、商物一致の原則についてお伺いをしたいと思います。

 商物一致の原則、これは何なのかというと、要は、不正取引が昔あったというお話を聞いておりまして、物がないのに売り買いだけするという形になると価格操縦ができる、それを防ぐために、卸売市場に物を持ち込んだ者しか競りができない、取扱いができないということで、商物一致の原則が定められたというふうに承知をいたしております。

 今回、この原則が変更されることになるわけですが、市場機能が損なわれて、本来心配していたような、価格操作みたいなことが起きる心配がないのかどうか、この点、お伺いしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 商物一致の原則につきましては、現物を確認しなければ品質等を適正に評価しがたい生鮮品の特性を踏まえて、卸売市場内に現物を持ち込んだ上で取引するという趣旨で定められているものでございます。

 他方、近年、農産物等を中心に、産地での仕分により規格化が定着をしているため、取引は市場取引として、早期代金決済の対象とした上で、物流については産地から消費地に直送して効率化し、鮮度を保持することができるよう、本法案におきましては、卸売市場ごとの実態に合わせて柔軟に取引ルールを設定できることとしてございます。

 なお、このような取引ルールにつきましては、卸売市場ごとに、関係業者等の取引参加者の意見を十分に聞いた上で、各卸売市場の判断として設定をすることとしておりますし、また、価格操作等につきましては、国又は開設者によって監督をしっかりとやっていくこととしております。

泉田委員 ありがとうございました。

 ぜひ、弊害が生じないように、かつ柔軟な対応ができるように御指導をお願い申し上げたいと思います。

 情報通信革命、これがお茶の間まで拡大をしています。かなり多くのこの農水委員会の委員の先生の皆様方も、通販をやられた方もおられるかと思います。買い手と売り手が直接取引ができるような時代になっている中で、公正な価格形成、安定供給を続けていく、特に、物流の制約のある生鮮食料品、重要な機能としての卸売市場を守っていっていただければなと思います。

 一方で、社会構造は変化をし続けるわけであります。法律を含む制度というのは、時間が経過をするに伴って、つくったときに一番その社会にフィットしているわけで、社会が変化する以上は、その時間変化に伴ってフィットする政策の精度が下がっていくということを意味するので、やはり不断の見直しということが必要だと思います。

 今回の改正、大変重要な改正だと思いますので、変化する社会構造に合わせた対応、これで終わりということではなくて、今後も、この体制に合わせる中で、この重要な社会インフラを守っていっていただければと思います。

 時間となりましたので、これで質問を終わらせていただきます。

 本日は、どうもありがとうございました。

伊東委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの亀井亜紀子でございます。

 本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 市場法の改正は、今国会で農水委員会としても重要な法案と位置づけており、午後は参考人質疑も行われる予定です。いただいた時間でしっかり質問させていただきたいと思うんですけれども、初めに、加計学園の文書について質問させていただきます。これは質問せざるを得ません。

 先日、愛媛県から新文書が出てまいりまして、国民の印象としては、やはり総理がうそをついているのではないか、今まで言われていたさまざまな発言、前川元文科次官であったり、あるいは愛媛県の以前に出された文書であったり、そういうことを裏づける文書が出てきたと感じておりますけれども、齋藤大臣は、総理が真摯に対応されている、彼は真実を語っていると思われますでしょうか。まず質問いたします。

齋藤国務大臣 農林水産大臣の立場でその件についてお答えをするのは控えたいと思います。

亀井委員 政府に対してコメントするのは難しいでしょうから、それでは、愛媛県についてお伺いしたいんですけれども、愛媛県の知事は特にうそをつく必要はないと思いますけれども、それでは、愛媛県側が間違っているというふうにお思いでしょうか。

齋藤国務大臣 愛媛県が出された文書につきまして、農林水産大臣として特段新たにコメントすることはございません。

亀井委員 最後にもう一言。

 それでは、大臣は、今までの総理の説明、あるいは政府の対応に納得をされていらっしゃいますか。それとも、まだ不十分だと思われますか。

齋藤国務大臣 農林水産大臣として、加計学園との関係でいろいろな御質問をいただいております。それについてはお答えをさせていただいているところでございまして、それ以外のことについて農林水産大臣としてコメントするのは控えたいと思っております。

亀井委員 なかなかお答えになれないようですので、では、残念ですけれども、法案の質疑に入らせていただきます。

 本法律の改正案の、まず背景について伺います。

 私は、大抵、法律が出てきたときには、その法律の策定あるいは改正に至った経緯というのは重要視をいたします。卸売市場法の改正については、私の認識は、規制改革推進会議農業ワーキング・グループ、それから未来投資会議構造改革徹底推進会合の提言が一つのきっかけであったと思います。先ほどまでの御答弁で、現在の卸売市場が実際の取引、時代に合わなくなったところが出てきたので改正をするとおっしゃっておりましたし、それが本改正の目的だとおっしゃるのかもしれませんけれども、私は、それだけではなくて、この二つの会議の提言があったのではないかと推測いたします。

 具体的には、二〇一六年の十一月に、総合的なTPP関連政策大綱に基づく、生産者の所得向上につながる生産資材、価格形成の仕組みの見直し及び生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通、加工の業界構造の確立に向けた施策の具体化の方向を決定し、この中でいっとき、卸売市場法は時代に合わないので廃止せよ、そういう提言が出たと聞いております。

 食品流通構造改善促進法に統合されていくのではないかと心配された中で、現場の声も聞きながら今回の改正法になった、そう理解しておりますけれども、そのあたりの背景について大臣にお伺いいたします。

齋藤国務大臣 まず、今御指摘ありましたけれども、卸売市場法を含めた流通構造の改革ということにつきましては、平成二十七年十一月の総合的なTPP関連政策大綱において、攻めの農林水産業への転換対策ということの中身の一つとして、生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通、加工の業界構造の確立というものが検討項目の一つとしてここで挙げられました。生産者が有利な条件で取引を行うことができるという切り口で。

 また、平成二十八年六月に閣議決定をされた日本再興戦略二〇一六におきまして、この流れの中で、農業者の手取りをふやすことができる販売ルートを構築するための流通業者、卸売市場等の取組について検討を行うということ、これは閣議決定をされて、その後検討を行ってきたというのが、今、農水省のあり方、経緯であります。

 その後、平成二十八年十一月に農業競争力強化プログラムで、経済社会情勢の変化を踏まえて、卸売市場法を抜本的に見直し、合理的理由のなくなっている規制は廃止する、こういう方針を決定して、更に具体的な検討を進めて、最終的には、一年後の平成二十九年十二月の農林水産業・地域の活力創造プランに盛り込んだ見直しの内容に即し、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の改正法案として、今国会に提出をすることになった。

 この過程において、規制改革会議も含めてさまざまな方に提言、御意見をいただいておりますけれども、それを受けとめて、あるべき姿として農林水産省として検討して、今回提案をさせていただくに至ったということでございます。

亀井委員 御説明ありがとうございます。

 今回の法律の趣旨に食品流通の合理化とあるんですけれども、それでは、現行法では何が合理的ではないのでしょうか、お伺いいたします。大臣にお願いできますでしょうか。

齋藤国務大臣 先ほど来お答えをさせていただいていると思いますけれども、卸売市場のシェアが下がってきている。その背景には、消費者のニーズの多様化というものもあるし、それから流通の多様化ということもあって、この傾向はこのまま放置しておけば更に加速をしていくんだろう。そういう消費者のニーズそれから流通構造の変化に対応できるように卸売市場法を見直していくべきだろうということがその背景にあるわけであります。

亀井委員 今回の法改正で大きな部分というのは、第三者販売の禁止を撤廃することだと私は思っております。

 このことに関しては現場でも懸念の声がかなり聞かれておりますけれども、このことによって、市場は残りましたけれども、実質的に市場が縮小するような方向になっていくのではないか。初めは卸売市場を撤廃しろという提言から始まって、市場は残ったけれども、第三者販売の禁止の撤廃によって穴があいて、だんだん縮小していく方向になるのではないかと考えられますが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、創意工夫を生かし、卸売市場ごとの実態に合わせて柔軟に第三者販売等の取引ルールを設定できることとしております。

 ある卸売市場において第三者販売を認めるルールを設定した場合には、現行法のもとでは卸売業者がやむを得ず市場外に設立した別会社を通じて行っている加工業者への原材料供給などを市場取引として行うことが可能となりまして、これは、卸売市場における取引の拡大につながるとともに、生産者から見ると早期の代金決済の対象になるというメリットがございます。

 また、こうした卸売市場ごとの取引ルールの設定に当たりましては、卸売業者、仲卸業者等の関係者の意見を十分聞いて定めることとしてございます。

亀井委員 今のお答えは、私が通告しておりました、今回のこの第三者販売の禁止の撤廃についてどのようなビジネスチャンスが考えられるかという項目を出したんですけれども、これに対する答えと理解してよろしいのでしょうか。

 この質問を書いた理由は、先日、大田市場にこの農水委員会で視察に行かせていただきました。全員が視察したわけではないので、機会をいただきましてありがとうございます。

 その視察のときに意見交換会がありまして、その場にいた大手の卸業者、仲卸業者の方は、第三者販売の禁止の撤廃によって、実態に合ったものになってきた、新しいビジネスチャンスが出てくるかもしれないと好意的に受けとめていたんですけれども、では、どういうビジネスチャンスなんですかということを伺いたかったのですけれども、もう一度御答弁いただけますか。その答えということでよろしいですか。

井上政府参考人 先ほどの御答弁と重なるところもございますけれども、例えば、ある卸売市場におきましてあらかじめ第三者販売を認めるルールを設定した場合には、卸売業者から仲卸業者を通さずに加工業者等への直接販売といったことが可能となります。

 こうした取引につきましては、現在も実需者側のニーズに応えるために行われているわけでございますが、卸売市場について、第三者販売の原則禁止というルールがあるものですから、卸売業者が別会社をつくって市場外の取引として行わざるを得ないといったことがございます。

 今後は、卸売市場においてこうしたルールを設定することによって、卸売市場における取引としてこうした第三者販売を取り込めるということで、卸売市場の活性化にもつながるといったような声が現場にはあるところでございます。

亀井委員 意見交換会のときに、先ほど申しましたとおり、卸と仲卸の、比較的大手の業者さんだと思いますが、彼らは好意的に受けとめて、余り危機感はありませんでした。けれども、一方で、その場に参加をされていた花卉事業協同組合の組合長さんは非常に懸念を示されておりました。そのことが印象に残ったので、後日、この組合長さんにお話を伺いました。

 意見交換会のときでも、今でさえ人気商材を仕入れるのは難しいとおっしゃっていました。市場を視察したときに、競りにかけられるものは二割で、八割はそれとは別枠で大手の取引業者が仕入れていくということでしたけれども、この二割の仕組みなんですが、総取扱量の二割ということです。品目別ではなくて総取扱量ですから、例えばカーネーションの二割、バラの二割というように品目ごとであれば小さな業者でも手に入れることができますけれども、総取扱量ですから、実際のところ、現在でも確保することは難しい、事前に予約相対で注文を入れておかないと、母の日のカーネーションはいいものが手に入らない、そうおっしゃっていました。

 それであっても、市場を通るシステムなので、小さな店でも何とかアクセスできている、これがなくなっていくのではないかという不安をおっしゃっていましたが、この点についていかがお考えですか。これは大臣にお願いいたします。

齋藤国務大臣 花屋さん等の小売の専門店の方からは、卸売業者による第三者販売の原則禁止が緩和された場合、卸売業者が例えば大手の小売業者ばかりを優遇することになったりして、専門の小売店が卸売市場に買い出しに行く段階では、今御指摘のように、なかなか、品ぞろえが悪化をしているのではないかというような懸念の声、これは確かに私どもも伺っているところであります。

 したがいまして、この法案では、専門小売店を含めた関係者の意見を十分に聞いて、卸売市場がおのおのの実情に応じて柔軟に取引ルールを設定できるということにしておりますので、では、花の場合どうするかということをきちんと議論していただく、そういう制度設計になっているということと、更に言えば、特定の買受人を卸売業者が不当に差別的に取り扱うということも禁止をするということにしておりまして、そういう意味では、公正な取引をこういう形で確保するということであります。

 したがって、今後、各卸売市場におきまして、御指摘の声を踏まえて、話合いの中で適切なルールが設定をされることになるのであろうと考えております。

亀井委員 私が不安に思うのは、市場ごとの自主性に任せます、国は余り関与をいたしませんというふうに聞こえるんですね。ですから、そこの市場の中の力関係で、競りにかけられる割合が更に小さくなったり、この花卉業者さんの心配するような方向に行ってしまったときに、それに対して、それは不当であると国が指導をしたりするのでしょうか。そこが一番私は心配です。

 そして、花卉に関しまして、私は、生け花協会の方も懸念を示していると聞いております。日本の伝統文化生け花は、多種多様な花、植物を少量必要といたします。私も少し生け花を習ったことがありますけれども、枝物と葉物と花、大体三種類を少しずつ、一、二本ずつそろえないと作品ができません。

 これが、今、市場ごとにルールが決められる中で、よく売れる、カーネーションであったりバラあるいはユリ、そういう花がふえていって、生け花に使われるような、余り一般の買物客にはニーズの高くないものを生産している農家さんは、今度一体どこに品物を出せばいいのか、また、使用する者も、どこに買いに行けばいいのかということが大変心配になりますけれども、市場に流通するものが偏っていくというような心配はないのでしょうか。

 また、先ほどのルールが、小さな業者にとって不利にその市場で決められてしまった場合に、そのことに対する対応はどうなさるのか。

 大臣にお伺いいたします。

齋藤国務大臣 基本的には先ほどお話ししたとおりなんですけれども、今回の卸売市場法は、この改正がなされれば、差別的取扱いの禁止ですとか取引結果等の公表など、公正な取引の場として必要な取引ルール、こういうものを確保しながら、第三者販売の禁止などその他の取引ルールは、単に廃止をするということではなくて、卸売市場ごとの実態に合わせて柔軟に設定できる、まずこういうたてつけになっているということであります。

 その上で、その取引ルールをそれぞれが設定するに当たりましては、その内容が差別的取扱いの禁止等の共通の取引ルールに反するものでないことですとか、それから、仲卸業者を始めとする卸売市場関係者、あるいは市場へ出荷する生産者、それから市場取引に参加する小売業者等の意見をしっかり聞くこと、それから、その取引ルールの内容と設定した理由を公表すること、こういうことを認定の要件といたしておりまして、その他の取引ルールにつきましても、内容、手続面で公正さを強く求めているということでございます。

亀井委員 私は、やはり不安です。市場の自主性に任せていったときに、かなりその市場によって、特徴といえば特徴でしょうけれども、偏りが出てきて、その中で中小の業者さんが廃業に追い込まれるようなことにつながらないか、非常に私は心配です。

 もう一つ、第三者販売の禁止の撤廃によって、私は、大手資本が価格誘導ができるようになるのではないかと心配をしております。

 大田市場を視察したときに、卸売、仲卸業者さんが、市場の大きな機能として、価格決定、目ききの機能があるとおっしゃっていました。このことによって、特に仲卸はもう何年にもわたって品物を見てきているわけですから、彼らが正当に価格を決定することで、品物の適正な値段が保たれてきたと思います。

 これが、海外のように、日本のような卸売市場がないところで何が起きるかといいますと、低価値のものに対して高い価格がつくということが出てまいります。例えばメロンですけれども、私たちは、高いメロンがあったら、その高いメロンの方が味もよい、質もよいのであろうと判断いたしますけれども、市場の価格決定機能が働かなくなる、悪いメロンの方が高品質なメロンよりも高い値段がつくということがあり得ると思うんです。

 この価格決定機能、大手資本の力が強くなることによって壊れていくのではないかと思いますが、大臣、御見解はいかがでしょうか。

齋藤国務大臣 私は、今委員が御指摘されたような質の割に価格を高く売りつけるようなケースというのは、それは瞬間的にはあるかもしれませんが、長続きするようなものではないとまず思います。

 その上で、むしろ心配なのは、量販店が買いたたきをする方が生産者にとっては不安があるのではないだろうかなというふうに、私はむしろ逆の心配をしているわけでありますが、そういう意味では、仮に量販店による市場での買いたたきみたいなものがあれば、第三者販売も含めて、価格公表の対象となります。

 そういうことであれば、他市場に比べて安値が形成されることにより、買いたたきの事実が透明化されて、その程度によりましては、開設者は卸売市場の適正な運営の観点から取引参加者たる量販店に指導を行う、そういう仕組みになっておりますし、当該指導によっても改善されないような場合には、農林水産大臣が開設者に対して指導、命令等を行うということにしておりまして、そういうことによって取引の適正化を図っていくことが可能であるというふうに考えているところでございます。

亀井委員 大臣がおっしゃいましたとおり、大手による買いたたきはもちろん心配です。

 そして、そのことによって、その買いたたかれた値段の方に全体の価格が誘導されていく、その心配は大いにございますので、そこはきちんと政府に指導していただきたいですし、その部分がやはりこの法律に対して私が慎重になる理由であります。

 それでは、次の質問に移ります。

 現行法第一条の「卸売市場の整備を計画的に促進する」という文言、それから、二条以下の卸売市場整備方針、中央卸売市場整備計画、都道府県卸売市場整備計画の項目が削除され、国として卸売市場、流通システムの将来ビジョンに関与することをやめたように見えます。

 地方によって流通システムに偏りがないように管理する、日本全体としてのバランスを保つというのは国の責務ではないかと考えますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

齋藤国務大臣 先ほどの亀井委員の御指摘については、私も同じ思いを持っていますので、しっかりと指導は、最終的に権限がありますので、していかなくてはいけないと思っております。

 今御指摘の本法案第一条で、卸売市場が食品等の流通において生鮮食料品等の公正な取引の場として重要な役割を果たしている旨、重要性について明記をいたしました。

 そして、さらには、この法案では、農林水産大臣が卸売市場の業務の運営や施設に関する基本的事項を定めた基本方針を策定することとしておりまして、ここで卸売市場に関する国としての考え方をはっきりとさせていきたいというふうに考えております。

亀井委員 今回の法改正は、実態に合った改正にする、そして、それぞれの市場の特徴を出してもらうために改正をする。その趣旨も伝わってはくるんですけれども、最終的に心配されるのは、中央、特に東京の先日視察した大田市場のようなところではなくて、地方の市場が淘汰されていくのではないか、また、民間大手に買収されるのではないか、そういうことだと思います。

 そして、地方の卸売市場、今でも赤字のところがかなりありますし、やめていくところもあるわけですけれども、例えば市場の原則の受託拒否の禁止、これは中央卸売市場のみですよね。

 そうすると、私、先日、地方創生委員会で新潟に参りまして、新潟は農業特区になっております、ローソンファームを見学いたしました。ああいう大手の農業、従事者がふえていって、そこでつくられた品物が市場に集まるようになる。例えば、ローソンのような大きなところが市場を開設して、そしてローソンファームからのものがそこに持ち込まれる。だんだんほかの農業者が淘汰されていくのではないか。

 そして、受託拒否の禁止といいましても、結局、自分の系列でつくっている、その農場のものしか来なければ、拒否しないで全部受け入れるわけですから、そういうことで条件はクリアできて、大手資本に地方の卸売市場が買収されたり、淘汰されていくのではないかと心配をしているんですけれども、その辺の懸念について、大臣に質問をいたします。

齋藤国務大臣 そういう御懸念にも十分答えていかなくてはいけないと思っておりまして、この法案では、中央卸売市場の開設主体については、差別的取扱いの禁止ですとか取引条件、取引結果の公表など、公正な取引の場として必要な取引ルールをまず遵守すること、それから、卸売の業務が常に適正に行われているか管理監督する人員を配置することなど、まず、公共性を確保するための業務運営、体制を満たすことが必要でありまして、それを満たすのであれば民間事業者でも認めるということにしているわけであります。

 また、市場の運営において開設者が卸売業者等に対する指導、検査監督を怠ったり、あるいは特定の出荷者や買受人を差別的に取り扱う等ルールを遵守しない場合には、農林水産大臣が措置命令を発出して是正を求めるほか、命令に従わないときには認定を取り消す仕組みというふうにしておりますので、そういう形で取引の適正化と市場の公共性の確保に万全を尽くしてまいりたいと考えています。

 今委員御指摘のように、例えば何とかファームが自分で生産したものを大量に扱うケースというのは、今後恐らくふえてくるのではないかと思うんですね。そのときに、その人たちがどういうふうにしたらいいのか。

 要するに、放っておけば、もう市場を通さずに自分たちでどんどんやります、第三者販売とかいろいろうるさい規制があるからそういうふうにしますということにもなりかねない。そうすると、むしろ地方市場がどんどん縮小していく。

 それならば、うまくそれぞれの市場の判断で議論していただいて、取り込んだ方がいいということであればそういう形で対応することも可能だし、そうじゃないということであればそれも可能だという、そういう、放っておけばどうなるかということをよく考えた上で対応をしていくことができるようにしていかなくてはいけないというふうに考えているわけであります。

亀井委員 放っておけばどうなるかという御懸念から第三者販売の禁止の撤廃という決断に至ったのでしょうけれども、私は、ここがやはり市場が崩れていく原因にもなるんじゃないかと思いまして、これは大臣も注意深く見守っていただきたいですし、中小の業者がこれからも廃業に追い込まれることなく商売を続けていかれるようにぜひお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 おはようございます。立憲民主党の神谷裕でございます。

 きょうも質問の時間をいただきました。本当にありがとうございます。

 卸売市場、市場、本当に大変大切なものというふうに考えているところでございますし、この思いは多分ここにおられる皆様共通のものだと思います。そういった意味で、しっかりと質問をしていきたい、このように思っているところでございます。

 が、その前に、大臣、私からも聞かせてください。

 昨日の本会議でもそうでございました。安倍総理大臣、そして愛媛県の文書、どちらかが虚偽である、あるいはどちらかが間違っているというようなことだと思います。どちらが正しくてどちらが正しくないのか、安倍内閣の一員である大臣の御意見、伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 何度も繰り返して申しわけないんですけれども、今回の愛媛県が出した文書につきまして、農林水産大臣として特段新たにコメントすることはありません。

神谷(裕)委員 昨日の本会議を通じて、あるいはコメントを通じても、どちらかが残念ながら、うそと言っていいのかわかりませんけれども、間違っているんだろうということは間違いない事実でございます。今後、解明をされると思いますけれども、やはり真実を国民の皆さんが一番知りたがっている、それは間違いない事実だと思います。

 大臣としてコメントできないというようなことでございますが、安倍総理が正しいのであれば当然文書が間違っている、文書が正しいのであれば安倍総理が間違っている、この二択は事実だと思います。大臣、それは間違いないですよね。

齋藤国務大臣 農林大臣として答弁をする話なのかわかりませんが、その二択であるということは、そうなんでしょうね。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 恐らくそこら辺が限界だと思いますので、市場法の質問の方に移らせていただきます。笑っている場合じゃありませんでした。済みません。

 それでは、この法案の質問に入らせていただきます。

 今回の市場法の改正でございますが、今の卸売市場の何が問題で、あるいは何を変えるということなのか、まずは御説明をいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正の趣旨でございますけれども、食品流通の現状を見ますと、消費の面では、生鮮品のままでの需要が減少し、加工食品や外食での需要が拡大するとともに、価格面のみならず品質や衛生面等への関心が高まっているといったことがございます。また、こうしたことを反映いたしまして、流通の面では、小売店の大規模化が進展するほか、インターネットでの通信販売、産地直売の拡大など流通ルートの多様化が進み、トラックドライバー不足等による流通の確保に支障が生じているといった状況がございます。

 こうした中で、現行の卸売市場法を見ますと、特に中央卸売市場につきましては、取引の細部にわたり国が全国一律に規制をしているといったことで、食品流通の変化にそれぞれの市場において対応しにくい面が出てきているということでございます。

 こうしたことを踏まえまして、今回の法案におきまして、卸売市場におきましては、それぞれの市場の実態に即した柔軟なルール設定を一部の取引規制については行えるようにいたしますとともに、卸売市場の内外を問わず、また小売も含めて、こうした流通面の課題に対応できるための流通コストの削減、品質、衛生管理の強化等の取組への支援を行いますとともに、不公正な取引が生じやすい懸念のあります食料品等につきましては、公正な取引環境を確保するための措置を盛り込んでいるところでございます。

神谷(裕)委員 局長、今回の改正は、基本的には現状がそうなっているよということもあって、それに卸売市場法を対応させようということだと私には聞こえるのでございますけれども、この改正を経ても、場外の取引というのは減るどころかこれからもふえるということでいいんでしょうか。

 あるいは、もう一つ聞きたいのは、今のお話の中で、卸あるいは仲卸さん、こういった方々、いろいろなルールも今回変更になるようでございますので、今後減っていくのか、この辺ちょっと気になるんですけれども、この二点、伺ってよろしいでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現在でも、卸売市場の外におきましては、食品衛生面等の規制は別にしまして、取引の仕方については自由に行えるようになっているわけでございます。そういう中で、卸売市場の外ではさまざまな流通というのが生まれ、また増大をしているという状況でございます。

 今回の改正におきまして、こうした周辺の状況も踏まえて、卸売市場において、生産者や消費者のニーズに一層対応していくための取組を行えるような環境を整備することによりまして、これまでは卸売市場の外で例えば別会社をつくって行わざるを得なかったような取引についても、今後は卸売市場における取引という位置づけとして取り込める可能性はあると思っておりますし、また、卸売市場における取引になりますと、早期の代金決済というのが行われるようになりまして、これは農業等の生産者にとってもメリットのあるものと考えております。

神谷(裕)委員 実際に場外の取引を取り込んでいけるのかどうか、これはなかなか難しいのかなと思うところでございますけれども、ただ、やはり市場というのは非常に大事だと思います。

 当然、消費者にとっても生産者にとっても卸売市場が持ってきた役割というのは非常に大きいものがございまして、例えば、適正な価格を形成する、あるいは適材適所に物を運んでいく。

 マグロなんかもそうなんですけれども、それこそ回転ずしで一貫、二貫百円で回るものもあれば、大臣が銀座で召し上がっているように、一貫何千円もするようなものまであると思うんです。ただ、それを、同じマグロであっても目ききがあって、どこに持っていったらいいのか、最適な場所に持っていく、これがまさに仲卸あるいは卸というか、市場の機能だろうというふうに思うわけでございます。

 そういった意味でも、本当に適正な価格をつけて適正なところに持っていく大事な機能だと思います。

 今回の法改正を経ても、こういった重要な市場の機能が変わることがないのか、このことをぜひ確認させてください。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 今、委員から御指摘がありましたように、卸売市場が果たしてきた集荷、分荷、それから価格形成、代金決済等の調整機能は極めて重要でございまして、今後も食品流通の核としてその機能は堅持されるべきであると考えております。

 このため、今回の法改正では、第一条の目的規定に、生鮮食料品等の公正な取引の場としての卸売市場の役割を明記するとともに、第四条及び第十三条の卸売市場の認定要件に、売買取引の方法、売買取引の結果等の公表、それから決済の確保等を遵守事項として規定しておりまして、卸売市場の基本的機能をきちっと維持することといたしております。

神谷(裕)委員 この市場の機能というのは本当に私は大事だと思っています。

 今回、この法案の説明のときに若干気になったのでございますけれども、市場経由率の話がございました。

 この市場経由率、さまざまな数字が出ていたんですけれども、若干気になったのは、この数字そのものが、ちょっと恣意的な部分があったんじゃないかなというところでございまして、例えば、国内果実の総消費量においては、分母に例えば輸入果実であるとか国産果汁であるとかが入っている、あるいは野菜について、国内野菜及び加工野菜についても、冷凍や総菜などということで、市場の関係者からすると若干違和感がある数字だったというようなことを聞いております。

 極論を言えば、たとえ市場経由率が下がったとしても、私は市場の機能そのものは変わらないし重要だと思っているんですけれども、やはり見え方としてというか説明としては、これはちょっと気にかかる部分なんです。

 この辺について、御説明を改めてお願いできますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、卸売市場の経由率の数値でございますけれども、これは国民に供給される全ての生鮮食料品等の量に対する卸売市場を経由した量の比ということでございまして、幾つかの数字があるという御指摘がございましたけれども、輸入品等も含んだ数字として、青果物につきましては卸売市場の経由率が約六〇%となっておりますけれども、国産の青果だけに限って見ますと八六%という数字になってございます。

 いずれにしましても、この比率が低く、低下傾向にはあるわけでございますけれども、だからといって、卸売市場の重要な役割には変わりがないという認識でございます。

神谷(裕)委員 本当に、実際に市場で働いている方のプライドの問題もあると思います。やはりしっかりとした数字を出していただきたいですし、市場の機能そのもの、あるいは役割については関係ないという部分はあるかもしれませんけれども、依然として多くの割合を市場を通しているんだということは明確にしていただきたいと思いますし、ちょっと不当に下がっているような数字にも見えるものですから、ここはぜひ御注意をいただくなり、あるいはきちんと説明をしていただくなり、やはり必要なんじゃないかなと思っているところでございます。

 そういったところでございまして、そうはいっても、今お話にありましたとおり、市場内を経由するもの、あるいは市場外のものが若干ふえているという状況はあるんだというようなことでございます。量販店とか小売の大手さんなど、市場外の取引が多くなっているなというのは誰もが実感をしているところだと思います。

 ただ、そういった大手さんであっても、当然、消費者に対して安定供給をしていくということになりますと、どうしても市場を使っていく、これはもう一方であるんだろうと思います。

 ただ、一方でいえば、この大手さんや量販店さん、先ほども大臣お話しになっていましたけれども、実際には、契約の世界、あるいは仕切り値ということで、いわば値段を決めているわけです。一方で、当然市場がありますから、その市場の価格も参考にしながら決めているんだろうということは思うんですけれども、実際にはそれが逆転をしていて、例えば大手の量販店さんと、この値段じゃないと引き取れないよというようなことが、例えば産地にどういった影響が与えられているのか、これは非常に気になるところなんです。

 そういった意味で、場外で多くのものが取引をされている、しかも、それが量販店さんなり大手だというようなことで、そこで決められた値段が逆に市場に反映をしてしまうようなゆがんだ取引、こういったことが現実にあるんじゃないかと思うわけでございまして、そういったところにもやはり気を配っていただきたいですし、だからこそ市場というのが非常に大事なんじゃないかなと思うわけでございますけれども、その点について、大臣、コメントいただけたらと思います。

齋藤国務大臣 今、委員御指摘の御懸念というのは、私もよく理解できるところであります。

 したがいまして、この法案では、公正な取引の場として認定を受ける要件といたしまして、まず売買取引の方法の策定、公表、それから大規模小売等含め取引参加者に対する差別的取扱いの禁止、売買取引条件の公表、それから取引価格や数量等の結果の公表を求めるということにしておりまして、したがって、特定の者に偏った価格形成とか過度に異例な価格形成といったものは行われないように措置をしているわけであります。

 仮に、それでも卸売業者が大手の小売業者を例えば優遇するみたいな場合、あるいはその逆のケースは差別的取扱いの禁止に当たるわけでありますので、ですから、開設者から指導等を行うほか、改善されない場合には農林水産大臣から開設者に対して指導、命令等を行うことにより、公正な取引の場としての高い公共性を確保する。

 私は、一番重要なのは、その取引価格や数量等の結果の公表というところで、おかしな価格形成というものがウオッチできる仕組みになっているんだろうというふうに考えております。

神谷(裕)委員 大臣、本当に大事な話だと思うんです。

 もう大臣も御案内のとおり、残念ながら、今の価格形成というのは川下が非常に強いです。スーパーマーケット、大手量販店、ここが価格を決めていて、それが川上にさかのぼっていく形を多くの場合とっています。

 ですので、非常にわかりやすい場合でのそういった明らかな不公正な取引については、それはもう簡単にというか、当然にして指摘をし、あるいはペナルティーも含めて対応していただかなきゃいけないと思うんですけれども、残念ながら今の状況は、どちらかというと相対的にやはり川下が強いよねという状況だと私は思うんです。

 以前、端的に言っていた例として、スーパーのチラシ、例えばサンマを一尾百円で売りますという話がございます。そういうときに、大体あのチラシというのは一週間前ぐらいに発注するそうです。とすると、実はその一週間前、サンマはまだ海の中を泳いでいる状況にあるわけです、普通に、生鮮であれば。ということは、あらかじめ、市場を経て価格を決めるということではなくて、そのチラシの値段に合わせて品物を持ってこい、これが普通に行われているわけなんです。これが残念ながら今の実態じゃないかなと思うわけなんです。

 大臣、こういった日常的に行われているような、今の商慣行の中における、いわば川下から決まっていくという実態について、やはり問題があると私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 御指摘のように、川下の力が強くなってきているというのは、何も食料品に限らない話でありまして、家電もそうですし、場合によってはガソリンなんかもそうかもしれません。それは事実であると思います。

 だからこそ、卸売市場の開設主体に認定を受けるようなケースにおいては、差別的取扱いの禁止ですとか、それから取引条件、取引結果などの公表ですとか、そういうことを通じてまずみんなの目にさらすことにして、そして、その上でおかしなことがあれば私どもが指導するという仕組みをつくらせていただいているということでありまして、透明性を確保するということの中で、きちんとした対応を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

神谷(裕)委員 また同じような事例で言いますと、マグロの一船買いというのは聞いたことがありますか。(齋藤国務大臣「はい」と呼ぶ)聞いたことがございますでしょう。マグロの船一隻分、超低温のはえ縄船、大体約二百トンぐらいですけれども、それを丸ごと買い付ける商社があるわけです。

 もちろん、漁獲明細、どこの漁場でどれくらいとったよ、どれくらいの大きさの魚がいるよ、かつ、船頭さん、漁労長が誰だよというので大体品物はどんなものかわかるそうなんですけれども、ですので、ある意味明確なんですね。プロの世界の皆さん方からすると、ああ、それだったらそういうものだね、どういう品物だねとわかる。お花だってそうです。どこどこ地域の誰々のものだったらどんなものをつくるかというのはある意味書面でわかるものですから。もうプロの世界です。商物一致しなくても全然問題のない部分はあると思います。

 ただ、このマグロの一船買いが行われるようになって、残念ながら、マグロの価格は落ちました、相対として。一尾一尾売る方が、手間はかかるんだけれども、やはり相対としての価格は上だそうです。だけれども、一船買いを選択されている船主さんもおられます。これはさまざまな事情があってそうしているんですけれども。

 実は、そういう大手の買い付け、結果としてなんですけれども、価格が生産者の方の所得に余りいい影響を与えていない。量販店、あるいは大手の小売さんなんかがそういうような形でやっておられるんでしょうけれども、その結果として、残念ながらやはり生産者の所得に結びついていないということが非常に気になるところなんです。

 今回、この市場法の改正によって、民間の皆さん方も市場を開設することができるようになります。あるいは、こういった量販店の方、例えばイオンさんであるとか、そういった方々が市場を開設するようなことがあるんじゃないかな、人口二十万人以上の都市で。

 そうなったときに、果たして、そうでなくても価格形成力という意味では非常に大きなものがある、こういう皆さん方がみずから市場を開設すること、これによって影響はないのかなと非常に心配になるんですけれども、この点について御答弁をいただきたいと思います。

井上政府参考人 今回の法案におきまして、認定を受ける卸売市場の開設主体につきましては、差別的取扱いの禁止、取引条件、結果の公表、さらに、中央卸売市場につきましては受託拒否の禁止、こうしたルールを遵守することが求められますし、また、卸売業務が適正に行われているかを管理監督する人員を配置するといったようなことが要件となります。

 こうした要件を満たす者につきましては、民間事業者においても開設主体ということになるわけでございますけれども、開設者が特定の出荷者や買受人を差別的に取り扱う等ルールを遵守しない場合には、農林水産大臣等が命令を発出して是正を求めるほか、命令に従わないときには認定を取り消すといったことがございます。

 またさらに、加えまして、今回、食品流通構造改善促進法の改正によりまして、卸売市場の内外あるいは小売なども含めた食品流通全般にわたりまして食品等の取引状況等の調査を行って、この結果に基づきまして、事業者に対して指導助言を行うほか、不公正な取引方法に該当する事実がある場合には、公正取引委員会に通知をするといった措置も盛り込んでいるところでございます。

神谷(裕)委員 市場内の取引であればいろいろなところでチェックが働くと思います。実際に行政の目も行き届くと思います。基本的には、契約自由の原則という、民民同士の取引であったときにはなかなか手の出せない範疇があるんだろうと思います。

 そういった意味で、量販店さんあるいは大手小売さん、先ほど申し上げたように、場外での取引もあるいはこの法律でひょっとしたらふえるかもしれない。ふえるかどうか、そこは疑問なのかわかりませんけれども、ふえるかもしれない。

 というよりは、むしろ是認をするわけですから、そうだとするならば、そこで一種、先ほど申し上げました仕切り値、あるいは契約したときの取引の値段が決まってきます。その値段が逆に今度は市場に反映するような形にならないか。特に、イオンさんなのか、個別名を挙げちゃいけないかもわからないけれども、量販店さんなのか小売さんなのか、こういった方々が場外で大きな取引をされている、その値段でいわば場内の取引をやろうじゃないかとなったときに、果たして対抗できるのかどうか、やはり非常に気になるんですね。そういったところに、またそういった方々が市場を開設することができるようになるわけですから。

 そういった意味で、この卸売市場法の改正、基本的には現状を追認する形になる、場外取引もふえるんじゃないかなと思いますし、そういう文脈で見たときに、果たして生産者の皆さんのためになるのか、そこがやはり非常に気になるんですけれども、もう一度御答弁いただいてもよろしいでしょうか。

井上政府参考人 現在でも、卸売市場という定義に当てはまるわけではございませんけれども、外食、小売、メーカー等のいわゆる実需者に対して、卸売を行う店舗を設けているケース、あるいはインターネット等で販売をするような取引は自由に行われているわけでございます。他方、卸売市場におきましては、先ほど来申し上げておりますようなさまざまな取引規制があるわけでございます。

 今、前段で申し上げました、民間で今自由に実需者等に販売をしているケースにおきましては、生鮮品の販売もしておりますし、また、加工品あるいは小分けにしたものなども売っているという実情があります。

 そういう中で、卸売市場におきまして、現在国が一律に規制をしておりますさまざまな取引規制のためにそれぞれの現場に応じた柔軟な取組ができにくい部分について、今回、改正によりまして対応できるようにしようというのが今回の趣旨の一つでございます。

神谷(裕)委員 趣旨はそういうことなんだろうと思います。

 ただ、やはり懸念は今申し上げたとおり多々実はございました。全体の商慣習として川下が大分強くなっている上で、生産者の皆さん方にちょっとしわ寄せが来ているんじゃないかと思っているところでございまして、場外取引がそれを加速させる懸念が私はあるように思います。場内はしっかりと見ていただけると思いますけれども、場外についてもやはりしっかりと見ていただきたいという思いがございます。

 大臣、どうですか。全体の取引をしっかりと見ていただいた上でこの法律を進めていただく、そして最後は、生産者の皆さん方、あるいは市場の皆様方もそうですけれども、適正な利益をしっかりと皆さんが確保できるように努めていただきたいと思いますけれども、最後にそのお話だけしていただいて、終了したいと思います。

齋藤国務大臣 ちょっとこの法律のスコープから外れる、場外のお話かもしれませんが、確かに、川下がどんどん強くなっている傾向というものはこれまでもありましたし、これからもそれが継続する可能性があるわけであります。

 そこでの取引というものはやはり公正で適正なものでなければならないと思っておりますので、そこで優越的地位の濫用ですとかそれから差別対価ですとか、そういう問題が発覚するようなことであれば、それは公正取引委員会と我が方で断固とした措置をとっていくということであろうかと思っております。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 終わります。

伊東委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 市町村別農業産出額全国一位の愛知県田原市と全国九位の愛知県豊橋市から参りました国民民主党の関健一郎です。

 与野党の理事の皆様におかれましては、質問の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。

 また、冒頭、委員長におかれましても、大田市場視察の機会をいただきました。おかげさまで、より厳しい質問ができそうです。ありがとうございました。

 改正案についてお話をさせていただきます。

 改めて論点を整理させていただきますと、これまでの質疑にもありましたけれども、食生活が変わり、流通構造が変わり、当初の法律でカバーし切れない、変化しているところがあるということも紛れもない事実です。現在の状況に即していない部分のルール改正、これは私たちも当然必要だと考えています。

 ただ、これは、私たちの口に入る食べ物でありますし、国家の根幹であります。これに関して規制の緩和というのは、とりわけ慎重に慎重に取り扱うべきものだと考えております。

 ですから、卸売市場が、例えば、強い資本が有利なだけになってしまうんじゃないか、生産者がつくったものを販売する先が減ってしまうんじゃないか、若しくは、料理屋さん、スーパーの経営者の方に言わせれば、いいものは全部持っていかれて、そのあとのものしか自分たちが買えないんじゃないか、今のような品数を確保できないんじゃないか、いろんな懸念が市場関係者の中にあるのも事実です。この懸念をしっかり取り除くことができるか、その視点から議論を進めさせていただきます。

 冒頭、質疑の方向性を明確にするためにも、本会議においても質問させていただきましたので、御答弁について質問をさせていただきます。

 長坂大臣政務官にお越しをいただいておりますので、冒頭させていただきます。

 私の質問をちょっと読み上げさせていただきます。効率性の名のもと、画一的な郊外型の大型ショッピングモールに取ってかわられてもよいとお考えなのかという質問をさせていただきました。そういう質問に対して、大臣がお答えいただいたのは、御指摘のような趣旨を目的としたものではないと認識しているということでした。これは、おっしゃるとおりというか、よく理解しております。

 私が少し言葉足らずだったのは、この質問は、もちろん目的じゃないことはわかっているんですけれども、そういう副作用、リスクがあるんじゃないかという趣旨で聞いたわけです。

 改めてお聞きします。

 今回の法律改正によってそういう大型ショッピングモールに取ってかわられてしまうリスクはあるのかないのか、ひとまず御所感を伺います。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 今回の卸売市場を含めた流通構造の改革は、寡占化、大規模化を進めることを目的としているものではなく、消費者ニーズの変化やICTなどの技術革新の変化に的確に対応できるよう、卸売市場や食品流通にかかわる事業者の創意工夫を促すことを目的としております。事業環境の変化に対応しようとされておられる、食品の流通に携わる幅広い関係者にしっかりと対応していただける改革であると考えております。

 また、規制改革推進会議の提言では、生産者、消費者の双方にメリットのある新たな食品流通構造の実現に向け、物流の効率化、ICTの活用などに取り組む食品流通の担い手を力強く支援すべきであると指摘されておりまして、農林水産省が今般国会に提出されました食品流通構造改善促進法の一部改正法案に所要の措置が盛り込まれているものと承知をしております。

 今回の改革を通じまして、食品の流通に携わる方々が意欲を持って、新たな需要開拓や付加価値の向上につながる食品流通構造を確立していただければと考えております。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

関(健)委員 ありがとうございます。ありがとうございますじゃないですね。

 今の質問の趣旨は、まさに寡占化を目指すものではないということは私も認識しているんです。その改正、つまり改善をしていく中で寡占化というリスクがありませんかという質問なんです。リスクがないのかあるのか。リスクがあるのであれば、どういうリスクであり、そのリスクに対してどういう対策をしていく必要があるのか。

 私、規制改革に対して全く反対ではないです。ただ、この食べ物というものに関して行き過ぎてはいけないという懸念を持っているので今お尋ねしたんですけれども、これに寡占化が進むというリスクがないですか、あるとすればどういう対応をして。もう一度御答弁をお願いします。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 今回の改革は、今、政務官の方から御答弁させていただきましたが、事業環境の変化に対応しようとされておられる、食品の流通にかかわる幅広い関係者にしっかりと対応いただける改革であるというふうに考えておりますし、そのために、食品流通構造改善促進法の一部改正法案の中で、食品流通の担い手を力強く支援すべき措置が対策として盛り込まれているところでございます。

関(健)委員 これは、もっと重要な質問がたくさんありますのでこれで終わらせますけれども、つまり、何度も申し上げている、リスクをどう認識されておられるか、そのリスクに対してどう対応されるかという質問だったんですね。その規制が寡占化を目的としていないことは理解しております。ですから、そのリスクについてこれから議論をさせていただきたいと思います。

 済みません。大臣にお尋ねをします。

 質問に対して、私が本会議で質問させていただいた部分でのお答えに対して、食品小売業の寡占化を進めることを目指しているのではありませんというふうに御答弁をいただいたと思います。

 これも全く同じ趣旨の質問なんですけれども、寡占化を目指していないということはよく理解をしておりますし、不必要な規制に関して緩和をしていくべきだということは当然賛意を示すものでありますが、この寡占化のリスク、効率化の副作用で寡占化のリスクがありませんかという質問、大臣、お伺いします。

齋藤国務大臣 五月十日の衆議院本会議での私の答弁は、本法案は、新たな需要の開拓や付加価値の向上につながる食品流通構造を確立することを基本的な考え方としていて、物流コストの削減や品質、衛生管理の強化等の取組のほか、食品の加工、小分けですとか海外への輸出など国内外の需要に対応する取組を支援することによりまして、生産者の所得向上と消費者ニーズへの的確な対応を促進する、そういう法案ですので、先ほど来答弁ありますけれども、食品小売業の寡占化を進めるということを目指しているものではないという答弁をさせていただいております。

 その上で、今の御質問なんですけれども、今回の改正法案では、食品流通構造改善促進法も改正をするということで、流通の効率化のほかに、品質、衛生管理の高度化や国内外の需要への対応といった付加価値の向上ですとか新たな需要の開拓、こういうものを後押しする。それから、卸売市場法の改正で、地域、品目に応じて、多種多様な卸売市場の実態に応じて柔軟に取引ルールを設定できるということとしておりますので、これは生産者にとりましても消費者にとりましてもメリットがあるということだろうと思います。

 それで、そのリスクですけれども、本法案は、今申し上げたように食品流通の合理化と公正な取引環境の確保を目的として、むしろ、卸売市場に加えて産直ですとかインターネット販売等も含めた多様な流通ルートの活性化に資するということで、農業等の生産者にとって有利な販売先を選択できるということでやるものでありますので、そのリスクを助長していくというようなものでは基本的にはないというふうに考えております。

関(健)委員 ありがとうございました。

 生産者の手取りをふやして、より消費者の皆様のニーズに応えた商品が食卓に届くというものの実現は、ここにいらっしゃる全ての皆さんに異論は、皆同じ方向だと思いますけれども、それに伴う副作用について、その懸念を取り除くことがこの質疑の趣旨ですので、それに沿って進めさせていただきます。

 まず冒頭、冒頭というか、卸売市場の役割について改めてお尋ねします。

 大臣も御答弁の中で、生産者から農林水産物を集めて小売店等に小分けして供給し、代金を早期に決済するなどの機能があると答弁をされていました。

 卸売市場の食品の取扱金額、これをちょっと読み上げます。昭和五十五年の九・二兆円から、平成二十年には六・七兆円に減少。品目別でも、青果は二六、水産物は三二%減少しており、かつての活気を失いつつあるという指摘もあります。

 まず、このような市場経由率の低下の原因、背景はどこにあるかというのが質問一点目です。そして、法改正により、この市場、再び活気を取り戻すことができるというふうに考えているのか、見解をお尋ねします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、青果物や水産物の中央卸売市場、地方卸売市場におきます取扱高は一貫して低下傾向で推移をしておりますけれども、この背景には、消費者ニーズの変化とこれに起因する流通構造の多様化があると考えております。

 具体的には、食品の消費面におきましては、単身世帯、共働き世帯の増加、高齢化の進展等に伴いまして、卸売市場法制定後間もない昭和五十年代と平成二十年代を比較いたしますと、生鮮品の消費が約三割から一六%まで低下する一方、消費の簡便化志向によりまして、加工品や外食の消費が約七割から八四%と拡大をしているということで、生鮮物の流通を主に扱う卸売市場の取扱高の減少にこうした点が影響を及ぼしているというふうに考えております。

 こうした中で、今回の法案におきましては、創意工夫を生かして、卸売市場ごとの実態に合わせて柔軟に取引ルールを設定するということによりまして、例えば、加工業者等の原材料の需要に応えるために、卸売業者から、卸売市場における取引として、現在は別会社を設立して市場の外でやっているものを、今後は卸売市場における取引として加工業者に販売をするようなこと等ができることになりますので、こうしたことを通じて、卸売市場の活性化という効果も期待できるというふうに考えております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 これはまた、この後引き続きやっていきます。

 続いて、公正な取引ということについて質問をさせていただきます。

 第一条には、「卸売市場が食品等の流通において生鮮食料品等の公正な取引の場として重要な役割を果たしている」と記載されておりますが、この「公正な取引の場」、どのような状態を公正と考えておられるのでしょうか。市場参加者にとって公正というのは、これは前提条件としてあるものであって、農業者、はたまた消費者の皆さんにとっても公正であることが重要だと考えますが、御答弁をお願いします。

井上政府参考人 公正な取引とは何かという御質問でございますけれども、取引参加者が公平に扱われて、取引数量や価格の情報格差のない環境のもとで、需給や品質などを適切に反映して取引が行われる、こうしたことを公正な取引というふうに考えております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 その公正な取引を、その環境を確保していくことが一番大事なことなんだと思います。

 そこで、早速、卸売市場の認定ということについて質問をさせていただきます。

 差別的取扱いの禁止や受託拒否の禁止など、公正な取引の場として必要な取引ルールは確保しつつ、第三者販売の禁止や商物一致の原則など、その他の取引ルールは卸売市場ごとの実態に合わせて柔軟に設定できるというふうになっていると思いますけれども、農業者、生産者の皆さんにとって一番懸念、これはどこの、全国津々浦々そうだと思いますけれども、受託拒否の禁止というのは大丈夫なんですねという、これは今後確保されるということですけれども、認定を受けた全ての卸売市場について、一律に受託拒否の禁止というのは適用されるという理解でよろしいでしょうか。

野中大臣政務官 受託拒否の禁止でございますが、鮮度が劣化しやすい生鮮食品等の生産者に安定的な出荷先を確保する、保証するという点においても、高い公共性を有するということで、今回の法改正でも、中央卸売市場における共通の取引ルールとして維持することとしたものでございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 今言及されたとおり、生鮮食品にとっては本当に必要な、重要不可欠な役割を果たしていますので、この受託拒否の禁止、今はっきりと御答弁いただきました。農業者の皆さん、心配しておられると思いますので、ここは、今御答弁いただきましたので、しっかり。

 次の質問に移らせていただきます。

 認定について、この認定という言葉について細かく質問をさせていただきます。

 これは、いつも役所の皆さんが御説明いただくときにいただく認定の要件の中で、受託拒否の禁止とあるんですけれども、これは、中央卸市場のみ受託拒否の禁止と書いてありますよね。地方卸売市場は、受託拒否の禁止は、その実用性によって変えることができるということですか。つまり、地方卸売市場は受託拒否の禁止の例外として、受託拒否はオーケーという地方卸売市場もあるという理解でしょうか。

井上政府参考人 受託拒否の禁止につきましては、現行法におきましても、中央卸売市場についてのみ国としては義務づけを行っているものでございまして、今回の改正案につきましても、これを引き続き中央卸売市場についてのみ、認定を受ける場合には共通のルールとして求めるものでございます。

 地方卸売市場におきましては、したがって、この受託拒否を禁止するのかしないのかというのは、それぞれの地方卸売市場ごとに判断をされるということでございまして、現在でも、地方卸売市場独自の判断として、受託拒否の禁止を導入している市場もあれば、導入をしていないものもございます。

 これは、地方卸売市場、規模等もさまざまでありまして、非常に施設の規模が小さく取引量が少ないような地方卸売市場についてまで、出荷されたものを全て受託拒否ができないといったことを義務づけるのは難しい等の状況によるものでございます。

関(健)委員 ありがとうございました。

 おっしゃるとおり、市場の規模によって、全部買い取るというのは難しいのかもしれませんけれども、まさにこの質問の一番のポイントですけれども、やはり生産者の皆さんで、買い取ってもらえなかったらどうしようというのはあるわけですね。それに関しては地方の実情に合わせてということですけれども、買い取らなかったのは、それは実情だからしようがないというか、これは何らかのセーフティーネットではないですけれども、努力規定じゃないですけれども、つまり、簡単に断れるという状態が今もこれからもという理解なんでしょうか。今の現状と、その改善策、必要かどうかについて。

井上政府参考人 先ほど申し上げましたように、地方卸売市場、それぞれの事情がございますので、国として一律の規制として、今回も導入することは考えておりませんが、実際、地方卸売市場の現場におきましては、やはり、荷をできるだけ集めたいといったこともありますので、生産者の、出荷者の意向を全く無視した業務運営が行われているわけではなく、相当程度、出荷されたものについては引き取るような運営がなされていると承知をしております。

関(健)委員 引き続き細やかな調査等をお願いいたしまして、この受託拒否の禁止に関しては終わらせていただきます。

 続きまして、今の御答弁の中でもありましたけれども、卸売市場ごとの実態に合わせて柔軟に設定できるというふうにありますけれども、これは、主語は何ですか。

井上政府参考人 卸売市場ごとの取引ルールを設定する主体は、市場の開設者でございます。

 なお、その設定に当たりましては、開設者において、取引参加者の御意見を十分聞いた上で定めるということとしております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 これは設置者が主語なわけですよね。もちろん、民間企業もあるんでしょうけれども。

 これは、関係者の意見を聞くとありますけれども、わざわざちっちゃい米印で、ポンチ絵にも書いてあると思いますけれども、第三者販売の禁止、商物一致等、卸売市場ごとに、関係者の意見を聞くなど公正な手続を踏み、共通の取引ルールに反しない範囲において定めることができる、このことだと思うんですけれども、関係者の全部の意見を聞くといっても、これはどう考えても、資本、お金をたくさん持っている人の発言力が大きくなるに決まっているわけです。設置者の独断で決められるということ、独断というか、形式的には意見を聞いて決めることができるわけです。

 そうすると、民間企業、大手小売が設置者になった場合、商品を少なく、量を多く、効率よくというふうになろうと当然考えるわけです、企業ですから。企業に多様性とか文化とか、そこを優先する必要はないですから。いい悪いの問題じゃなくて、企業というのは利益追求をされるわけですから。これが問題のポイントだと思うんです。

 民間企業、資本力のある民間企業が地方卸売市場の設置者になった場合、生産者の人たちは買いたたかれずに済むか、また消費者の人たちはこれまでどおりの多様性を確保できるのか、伺います。

野中大臣政務官 卸売市場の開設ですが、今回、許認可を受けずに行うこともできる一方で、やはり、公正な取引の場として一定の要件を満たす卸売市場を農林水産大臣等が認定するとしたところであります。いわゆる二パターンあるということであります。

 大臣の認定の要件で、先ほど委員からございましたように、第三者販売の禁止、商物一致など、その他の取引ルールを定める場合には、仲卸業者を始め取引参加者の意見を聞くなど公正な手続を踏む、また、差別的取扱いの禁止や取引条件、結果の公表等の共通の取引ルールを遵守することとしたところであります。

 この認定を受けて、卸売市場が中央卸売市場、そして地方卸売市場の名称を名乗れ、そして、その設置に当たって十分の四以下の補助を受けるということであります。従来許認可を受けていた卸売市場からは基本的に認定申請が行われると想定しています。

 そして一方、大手小売等業者が認定を受けない卸売市場を開設する場合でありますが、これらは今申し上げました中央卸売市場、そして地方卸売市場の名称を名乗ることはできません。そしてまた、出荷者等において、この市場が大臣の認定を受けていないということが明らかになることでありますから、当該卸売市場に出荷するか否かというのは出荷者が判断するということになります。

 そしてまた、認定を受けていない市場においても、これは本法案によります食品の取引状況等の調査の対象となるので、そういった大手の会社が、まず、現在取引高が減少している中で意欲を持って参加するかどうかというのはおいても、やはり、力でもって市場でルールを決めていくということは、それぞれ認定するときもちゃんと意見聴取を行いますし、そうじゃないときも出荷者が判断できるという状況をつくってまいりたいと存じます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 改めて伺います。

 今おっしゃられたところで、やはり、公正な手続を確保するために意見聴取などをしていくということです。その環境はしっかりと守られなきゃいけないと思うんです。その環境をしっかりと守っていくということを改めて御答弁いただけますか。

野中大臣政務官 先ほども申し上げましたが、市場でルールをつくっていく中で、それぞれの当該者の意見というのを聴取した中でやはりルールというのはつくっていくべきだというふうに思っておりますので、委員の御意見もちゃんと踏まえてまいりたいと存じます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 次の質問に移らせていただきます。

 ちょっと関連というか、大手小売企業による市場支配のリスクという点に関してお話をさせていただきます。

 今回の改正によって、インターネット企業や大手小売企業も生鮮食料品の流通に参入をし、卸売市場を経由しない食品流通は増加することが見込まれると思います。これが進んでいくと、場合によっては、大手企業が卸売市場を買っちゃって、公正な取引の場が失われてしまうという地域が出てくる可能性もあります。

 冒頭も申し上げましたけれども、卸売市場の意義については、地域の八百屋さんとか魚屋さんとか、全国津々浦々の中小規模のスーパーの多様性、これを支えているのがやはり卸売市場にほかならないわけです。

 このような、少し重複しますけれども、大手企業による支配が起きないように対処していかなければなりませんが、この具体的な対応策についてお伺いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大手の小売等が卸売市場の開設者となって卸売業を行うというところにどこまで参入してくるかというところはそもそもございますけれども、仮にそうしたことを志向する場合には、認定を受ける卸売市場につきましては、先ほど来申し上げておりますような公正な取引の場としてのさまざまな義務を遵守するということになりまして、仮に大手企業がみずから、あるいはみずからに関係する一部の取引参加者等を優遇するようなことがあれば、あらかじめそれがわかれば認定を受けることはできませんし、認定後におきましても、そのような問題が出てくれば、開設者、この場合は開設者がみずからその大手の企業であるケースがあるわけでございますけれども、農林水産大臣等におきましても是正のための指導あるいは命令等を行い得るということにしているところでございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 今まさに言及いただきましたけれども、農林水産大臣がチェックできるわけですよね。

 そこでお伺いしますけれども、この法律案の中でも、基本方針、農林水産大臣は次の事項を定めた卸売市場に関する基本方針を定める、この基本方針にのっとっていればという条件が至るところにあるわけですね。つまり、この基本方針がそういうリスクを排除する方針なのであれば、これは杞憂だということになるわけです。

 基本方針について、これがどういうものなのか教えてください。

井上政府参考人 今回の改正案におきましては、卸売市場に関する基本方針として定める事項といたしまして、業務の運営に関する事項、施設に関する事項、その他の事項というふうに法定をしてございます。

 このそれぞれについて、今後想定をしている内容について申し上げさせていただきますと、卸売市場の業務の運営に関する基本的な事項といたしましては、開設者に求められる指導監督の体制、また、卸売市場に関し、第三者販売の禁止等のその他のルールを設定する場合の考え方等を想定しております。また、施設に関する基本的な事項といたしましては、卸売場や保管施設等卸売市場が備えるべき施設、また、コールドチェーンの確保等、卸売市場の施設整備のあり方等を想定しております。また、その他卸売市場に関する重要事項といたしましては、災害時における卸売市場の役割のほか、食文化の発信における卸売市場の役割等を定めることを想定してございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 この基本方針の中で、生産者の皆さん、消費者の皆さんが、また市場関係者の皆さんが懸念をされている、大手の人たちが設置者になってというようなことができないような項目を基本方針の中にしっかり入れる必要があると思いますが、御所感を伺います。

井上政府参考人 不公正な取扱い等が起こらないようにという点につきましては、そもそも法律自身におきまして、認定の要件でありますとか、その後の監督の際の視点として明記をされているわけでございますけれども、これを更に詳細に記載するものとして必要なものがあれば、基本方針の中でも記載をしてまいりたいというふうに考えます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 関係者の皆さんの御懸念については、基本方針の中でより細かく言及していく必要があるという御答弁だったと思います。ありがとうございます。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 基本方針に従う者がこの認定を受けられるわけですけれども、基本方針に従わない設置者はどうするんですか。

井上政府参考人 卸売市場について認定を受ける際の要件は、今回の改正案におきまして、ただいま御指摘のありましたような、農林水産大臣が定める基本方針に沿っていること以外にも、関係法令に違反しないこと等ございますけれども、この基本方針に沿っていない場合には、その卸売市場については認定が受けられないということになります。

関(健)委員 認定を受けられない際のデメリットを教えていただきたいんですが、どういうことかというと、私、豊橋は大体四十万弱ぐらいの人口規模なんですけれども、東京とかと比べるとちっちゃいんですね、市場の規模も。ところが、一定の重要な役割を果たしている。これは当たり前の話ですけれども、それぐらいの規模のところが、もし、もしですよ、大手流通企業が買収をしました、方針にも従いません、認定の内容にも従いません、でも設置者としての主語はあり続けます、こういうことが可能になるわけですよね。

 まず、そういうことが可能になるのかだけ教えてください。

井上政府参考人 今回の改正によりまして、農林水産大臣等の認定を受けない場合であっても、卸売市場を開設すること自身はできることとなります。

 ただ、これは卸売市場内外を問わずでございますけれども、不公正な取引等につきましては、農林水産大臣が取引状況の調査を行い、必要な指導助言を行うとともに、公正取引委員会への通知といった措置も今回盛り込んでいるところでございます。

 それから、認定を受ける場合には、基本方針に沿っていることというのが必要になるわけでございますけれども、認定を受けた場合にのみ、中央卸売市場又は地方卸売市場の名前を名乗ることができますとともに、認定を受けた卸売市場に対しましては、その施設整備への助成により振興を図っていく予定でございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 大田市場も見せていただきましたし、地方の市場も見せていただきましたけれども、恐らく、地方の中小規模の卸売市場、これが狙われるんだと思います。

 大手スーパー、そういうところが設置者になって、別に認定されようがされまいが、自分たちの企業の流通拠点にできるわけです、建物を丸ごと使えるわけですから。それだけならいいですよ、引き続き変わらないなら。でも、何が起こるかというと、ほかの生産者の皆さんが出荷する場所、そして、それ以外にも、そのスーパー以外にもいろいろなところが買っていたわけですね、その市場で。それが大手流通企業の流通拠点になるわけです。そうしたら、その地域の、今までそこで仕入れしていた人たちの仕入れ先がなくなっちゃうわけです。

 お尋ねしますけれども、地方の中小規模の卸売市場に生産物を出したり、ここで商品を買い集めている地元の魚屋さん、八百屋さん、中小企業のスーパーの皆さんの購入先、なくなっちゃうことはないですよね。引き続き、そういう人たちの多様性は確保できるということでよろしいでしょうか。

井上政府参考人 今回の改正法案におきましては、地方卸売市場につきましては、現行法においても、取引について国が逐一、一律の規制を加えていない部分も多いわけでございますけれども、地方の中央卸売市場につきましては、今回の改正によって、生産者や消費者のニーズに対応した、市場において判断される柔軟な取組ができるような改正をしているところでございます。

 ある意味、地方の卸売市場、非常に経営に苦労されているところもあるわけでございますけれども、こうした環境整備も活用していただいて、市場が活性化するような取組をやっていただきたいと思いますし、また、そういうことによって、市場が、業務運営が立ち行かなくなって、どこかに売らざるを得ないということができる限りないように、対応を期待するところでございます。

関(健)委員 今、地方の卸売市場の皆さん、苦しい状況、おっしゃるとおりなんですよ。そういうときどうなるかというと、売り渡すんですよ。

 ある大手資本は、間違いなくやりますよ。でっかい規模じゃないから買える。それで、産直プラザ何とかとかいって、全部そこで売るわけです。その地域の卸売市場が果たしてきた役割はなくなりますから。そのかわり、そのスーパーだけもうかる、こういうふうになりますから。この懸念が払拭されるような基本方針とか認定、細かくやっていただくことを強く要望します。

 さらに、具体的にお話しさせていただきます。

 差別的取扱いの禁止についてお尋ねしますけれども、まず、これはどういうことか教えていただけますか。

井上政府参考人 卸売市場におきます差別的取扱いの禁止は、卸売業者が、出荷者あるいは仲卸業者、その他の買い手を公平に取り扱うという規制でございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 そうすると、これは、どこまでが差別的取扱いで、どこまでが差別的取扱いじゃないのかというところがまた大変微妙なわけです。

 例えば、一キロしか買わないところと、百キロを一気に買うというところ、値段をこっちの方は下げるというのは経済の中で当たり前ですよね、たくさんのロットを買ってくれるわけだから。ところが、量を買えば値を下げる、絶対そのことが起こるわけですよ、自分が設置者で、その自分の資本が入っているスーパーがたくさん買うから、ここは安くしようと。あなたたち、差別的取引じゃないかと言ったとしても、いやいや、たくさん買ってくれたんだから、値を下げるのは経済原則として当たり前でしょうということになります。

 つまり、物すごく微妙な、これはどうなのみたいな感じのパターンが現場ごとに絶対起こるんですよ。差別的取扱いの禁止がなし崩し的になるリスクが非常に高い。御所感を伺います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 差別的な取扱いにどういった場合が該当するかというのは、個々具体的なケースで見ていくケースがあると存じますけれども、正常な商慣行に照らして、不当に特定の者を優遇していないかどうかといったことで判断をしていくということになりますし、また、卸売市場におきましては、競りによって価格が決まるケースもあれば、最近ではむしろ、相対取引によって価格が決まる、こちらの比率の方が高くなっているわけでございますけれども、こうしたものについても、公表をしっかりとすることによりまして、明らかにおかしな価格が設定されているといったようなことが見られるような形に、今回の改正法案においても措置をしているところでございます。

関(健)委員 ありがとうございました。

 まだまだ、規制の緩和による副作用のリスクを消すということは、到底納得する御回答はいただけませんでしたけれども、引き続き、この副作用については質問させていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 法案の質疑に入る前に、愛媛県が国会に提出いたしました加計学園に関する新文書について質問したいと思います。

 愛媛県が提出した加計学園に関する文書の中で、平成二十七年四月二日の内閣府藤原地方創生推進室次長と柳瀬総理秘書官との面談についての概要メモの報告の文書も含まれていますが、当時農水省から出向していた青山内閣参事官が柳瀬秘書官との面談の折に同席しており、状況は常に本省にも説明している、企画書ができれば農水省にも説明をと発言したという報告があります。

 青山参事官からどのような状況説明があったのか、それを調査したのか、お伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 この件は、五月十日に、予算委員会における参考人質疑等を踏まえて、これは内閣官房出向時の出来事でありますので、内閣官房から指示がありまして、この平成二十七年四月の面談について、当時農林水産省から官邸に出向した職員に直接確認をしたところでは、日にちは記憶が定かではないが、当時の柳瀬秘書官からの求めに応じ、自分も同席したと記憶しているが、三年も前のことであるから具体的なやりとりについて記憶に残っていない、そういうヒアリング結果でございました。

金子(恵)委員 行政マンが、大事な、恐らく首相案件と言われる内容のものですから、総理秘書官との面談をされている、そういう場に同席されて、そして真剣に、恐らく発言もされてきたと思うんです。それでもそのときのやりとりを覚えていらっしゃらないということであれば、私は、反対に、農水省から出向されてその場にいらっしゃっているわけですから、その程度の仕事をされていたのかしらと残念でならないというふうに思うんです。

 私は、ここでおっしゃったように、本省にも説明している、役所の方がそうおっしゃったら、そうだと思うんです。ですから、御本人と大臣は直接お会いする機会があると思うんです。それをつくることは可能だと思うんです。なぜならば、青山さんは現在は農水省の大臣官房秘書課長をされているということです。ぜひ直接聞き取りをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、いろいろ御指摘がありましたけれども、私も、いろいろ推測をしたり、どういう印象を持つかということはありますよ。ありますが、この場でそういうことを述べるのは適切じゃないと思いますので、我々がその参事官から聞き取ったことをそのままお伝えしているということでありますので、それ以上の推測とかそういうのは、私の方から申し上げるのは適切ではないと思っております。

 私が直接聞くかどうかについては、もうこれはきちんとしたヒアリングを私はしたと思っておりますので、必要がないと思っております。

金子(恵)委員 大臣、国会の中で、この委員会、大切な時間でありますけれども、やりとりをさせていただいています。そして、私も質疑に立たせていただいて、大臣に直接お伺いしているわけです。大臣ができること、いろいろ考えていただきたいと思います。これは行政の私物化、行政が本当にゆがめられてしまったということであります。

 この文書というのは、愛媛県が誠意を持って出してくださったものです。その中に首相案件であろうということが書かれていて、そしてまた、それにかかわってくるかもしれない文書というものの中にこの青山さんの名前もあるわけです。そこでこのように発言したというようにあるわけですから。

 私は、もし大臣にやっていただけるのであれば、もう少しきちんとした調査をしていただきたいというふうに思います。大臣、大臣として行政をしっかりと正していくということをしていただきたいというふうに思うんです。これは今政府全体の問題になっているわけですから、大臣としては、その部分について御理解をいただいて、ぜひ協力をしていただく、私はそういうことだと思うんです。

 もしも、大臣、御自分自身がそういう権限を持っているわけでもないとか、そういうことをおっしゃりたいのであれば、そうではなくて、政府全体、何が起こっているのか、これはしっかりと調査をしていくということだと思いますので、農水省のトップとしてしっかりと調査をしていくんだと、協力をしていかなきゃいけないと思います。

 というのは、この件について、もう国民の多くの皆さんが高い関心を持って見ているんです。おさまらないですよ、このままでは。大臣、いかがですか。

齋藤国務大臣 まず、先ほどの、当時出向していたうちの職員のヒアリングについては、内閣からきちんと調べろという調査が来たときに、私自身がきちんと調査をしろと指示をして、そしてあの上がってきた結果でありますので、これはきちんとやったものであるということは断言をしたいと思います。

 それから、情報公開請求もありましたので、もうこれは繰り返しませんが、我々は昨年四月から六月にかけて、共有ファイルや共有フォルダなどによりまして、メールも含めて行政文書について調査を行って、存在するものは既に適切に公表してきたということでありますので、調査としては、行政文書の調査はもう既にやっているわけであります。

 それから、この間、個人的に保有しているものまで調べて、実は愛媛県の文書も一枚発見されましたので、それも公表をさせていただいたし、それから、今回スコープに入っていなかった出向中の職員ということについて御指摘があったので、それもさっき申し上げたようにきちんとヒアリングをさせていただいたということでありまして、必要な調査というものはやらせていただいているというふうに私は認識をしているところでありますが、私の所管外のことについてまで調査をしろということであれば、それはいたしかねるということであります。

金子(恵)委員 今後また新たな文書、新たな事実というものが出てきた場合、そのときに、今、大臣は断言されたこともありますから。ただ、これ以上大臣ができることがないというふうなことは私はないというふうに思います。

 ぜひ、政府を挙げて真相究明をしていただきたい、そのことに尽きるんです。ですから、その一部である大臣にここで改めてお願いをしているところでありまして、大臣、ぜひ真相究明のためにしっかりと取組をしていただきたいということを更にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、卸売市場法の一部改正案、大変重要な案件であります。限られた時間でありますので、ポイントについて、重要なところについて質問させていただきたいと思うんです。

 繰り返しになりますけれども、我が国の卸売市場というのは、大変公共性の高い、重要な社会的役割を持ってきた。しかし、今回の改正で、もしかするとそれが形骸化するのではないかということが危惧されているところでもあります。

 本改正案では、中央卸売市場の認可制及び地方卸売市場の許可制を認定制に改め、中央卸売市場における卸売の業務の許可制を廃止するということで、中央卸売市場に対する国の関与のあり方というものを変えていくということであります。

 本改正によって、今後、卸売市場にどのような役割を期待するのか、お伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 卸売市場が果たしてきました集荷ですとか分荷、価格形成、代金決済等の調整機能は重要でありまして、今後も食品流通の核としてまず堅持すべきだというふうに考えています。

 このため、本法案では、公正な取引の場としての要件を満たす卸売市場を農林水産大臣等が認定して、認定を受けた卸売市場に対しては施設整備への助成などにより振興する、それから、卸売市場ごとの実態に合わせて取引ルールを設定できる、そういうこととしておりまして、卸売業者等の創意工夫の発揮と卸売市場の活性化を促進することとしているわけであります。

 その際、国の関与につきましては、農林水産大臣が卸売市場に関する基本方針を定め、卸売市場に関する国の考え方を明らかにするほか、開設者に対する指導監督を適切に行うこととしておりまして、公正な取引の場としての卸売市場の機能が十全に発揮できるようにしてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 改正案では、先ほど来お話もあるんですけれども、卸売市場の整備を計画的に促進するという文言が削除されるということであります。今のは第一条ですけれども、さらには第二条以下においても、卸売市場整備基本方針、中央卸売市場整備計画、都道府県卸売市場整備計画に係る条項というのが削除されるということで、ある意味、言えることは、国の関与というものは今までどおりだというようなことを答弁でおっしゃいながらも、流通システム全体の将来ビジョンには関与しないというようなことが言える、そういうことになるのではないかというふうに思うんです。

 そこで、今大臣おっしゃったように、基本方針等を定めるということでありますが、この卸売市場に関する基本方針は、卸売市場の業務の運営に関する基本的な事項、卸売市場の施設に関する基本的な事項、そしてそのほかのもの、それを定めることとなっているわけなんですが、この詳細の部分というのはまだ明らかになっていないということだと思います。

 どのような項目が含まれるのか、お伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 改正法案では、卸売市場が公正な取引の場としての機能を十分に発揮できるように、農林水産大臣が卸売市場に関する基本方針を定め、卸売市場の業務運営、施設等のあるべき姿を示すということとしています。

 御指摘の基本方針の具体的な記載事項につきましては、まず、卸売市場の業務の運営に関する基本的な事項といたしましては、開設者に求められる指導監督体制、それから、卸売市場の活性化に向け、第三者販売の禁止などのその他のルールを設定する場合の考え方、施設に関する基本的な事項といたしましては、卸売場や保管施設等卸売市場が備えるべき施設、それから、コールドチェーンの確保など卸売市場の施設整備のあり方、こういったものでありますし、その他卸売市場に関する重要事項といたしましては、災害時における卸売市場の役割、食文化の発信における卸売市場の役割などを定めることを想定しているところでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 今は想定しているというようなことでございます。ぜひ、重要な、今おっしゃったような内容を盛り込んでいただきたいというふうに思うんですが、特に、災害時に食品流通がとまるということを経験した私、福島県民としては、卸売市場に関する基本方針や、あるいは食品等の流通の合理化に関する基本方針において、災害時等の緊急事態に際し卸売市場が果たす機能ということを明確に盛り込んでいただいて、そして対応をいただきたいというふうに思うんですけれども、災害時の卸売市場の役割というものも含めまして、いかがでしょうか、大臣。

齋藤国務大臣 被災された福島県で活動されている金子委員の思いは十二分に受けとめなくてはいけないと考えておりまして、卸売市場は、日々の生鮮食料品等の流通を担うだけでなく、災害等の緊急事態の場合には、生鮮食料品等を安定的に供給するという社会的機能も有しているというふうに認識をしています。

 このため、先ほど申し上げましたように、この機能を発揮する重要性等を示す観点から、卸売市場に関する基本方針のその他卸売市場に関する重要事項の中に、災害時における卸売市場の役割を記載していきたいと思います。

金子(恵)委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 私からも、加計学園関連の愛媛県の新文書について、大臣にお尋ねをします。

 二〇一五年の四月二日、柳瀬総理秘書官、内閣府藤原次長、加計学園、愛媛県側との面談が行われた。そこで、先ほど金子議員からもありましたけれども、農水省から官邸に出向中の内閣参事官も同席をしていました。内閣参事官は、状況は本省にも説明をしている、企画書ができれば農水省にも説明をと述べたというふうに記されているわけであります。

 そうなりますと、大臣、農水省にはこの後いろいろと情報が寄せられてきたのではないかなと私は思うわけです。

 そこで、四月三日付の愛媛県の文書は、農水省から発見されて出てきました。これに類似するような獣医学部創設をめぐる文書あるいは電子記録、こうしたものは農水省に現時点であるのか、あるいは、これからまた探さなければならないのか、あったとしたらどうされるのか、この一点について、大臣に御説明いただきたいと思います。

齋藤国務大臣 正確に申し上げますと、繰り返しになって恐縮なんですが、まず、出向していた職員に関しては、日にちは記憶が定かではないけれども、当時の柳瀬秘書官からの求めに応じ、自分も同席していたと記憶している、これは確認をしていますし、ただ、三年も前のことであり、具体的なやりとりについては記憶に残っておらず、面談の際のやりとりについてメモ類は一切作成していないということであったということです。

 それから、文書につきましては、これも先ほど来御答弁申し上げておりますように、これまでの情報公開請求、もう一年前になりますけれども、に際して、共有ファイル、共有フォルダなどにより、メールも含めて行政文書について調査を行って、存在するものは既に適切に公表してきた。そして、その中に愛媛県の文書や平成二十七年四月二日の面談に関する情報は含まれていなかったということが調査結果としてあるわけです。

 加えて、報道で愛媛県の文書が出た際に、官邸からの指示がありましたので、そういう文書が保有されていないかということを、当時いた人、それからその後いた職員も含めまして担当部局のヒアリングをした結果、保有していた職員がおり、それは公表をさせていただいたということであります。

田村(貴)委員 当時農水省の職員の方の記憶が戻ることもあるかもわかりませんし、新たな文書が見つかるかもわかりません。これは、総理の国会答弁と愛媛県の文書は百八十度違うんですね。行政がゆがめられたのではないかという疑惑がある大事な案件ですので、そういう新たな事実があれば、これは国民と国会に開示をしていただきたい。強く要求しておきたいと思います。

 それでは、卸売市場法の改正案について質問をします。

 二〇一六年十一月十一日に、未来投資会議構造改革徹底推進会合、ここから驚くべき表現の文書が発せられました。「卸売市場については、」「より自由かつ最適に業務を行えるようにする観点から、抜本的に見直し、卸売市場法という特別の法制度に基づく時代遅れの規制は廃止する。」こうした文書でありました。

 その後、踏襲されて閣議決定された規制改革実施計画では、次の表現です。「卸売市場法を抜本的に見直し、合理的理由のなくなっている規制は廃止すべく、」とされたわけであります。

 卸売市場のあり方を、規制改革推進会議農業、農林ワーキング・グループはしてきたわけですけれども、その委員、専門委員には卸売市場の当事者はいないわけであります。なぜ肝心の当事者や卸売市場の専門家を入れて議論をしてこなかったんですか。内閣府にお尋ねします。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 規制改革推進会議において本件の議論をしておりました農業ワーキング・グループにおきましては、御指摘のとおり、委員及び専門委員に卸売市場の当事者はおりません。

 卸売市場のあり方について検討する際に、ただし、現場の意見についてもお伺いする必要があるということで、卸売市場の関係者の方々のみならず、生産物の流通に関して重要な役割を担っております全国農業協同組合連合会などの関係者よりヒアリングを実施しております。

 また、卸売市場の当事者だけでなく、制度を所管しております農林水産省からもヒアリングを行い、卸売市場に関する提言の取りまとめに至ってございます。

田村(貴)委員 当事者がいないと話にならないじゃないですか。なぜ現場の御本尊とも言うべき仲卸の方、それから卸の方、そういった市場の関係者の意見を聞かなかったのかということであります。

 しかも、十一月二十四日の提言の、この月にたった一回だけ関係者からの意見は聞いているわけであります。しかし、受託拒否ができるとなると市場の価値が失われるなどの声が全く今回反映されていません。

 十一月一日にオブザーバーで参加されている学者がまたとんでもないことを、ひどいことを言っていますよ。ブログでこういうことを言っています。

 卸売市場法は必要なのか。我が国の農産物流通では、卸の自由度が制限されているため、流通が活性化せず、したがって農業生産も旧態依然としてしまうところにある。受託拒否の禁止の原則があるため、産地は何にも工夫しなくてもよかったのだ。大切なのは、青果や水産卸の自由度を高めることで、それを縛る市場法は必要ないということではなかろうか。

 こういう方がオブザーバーで、意見発表をさせているわけですよ。ひどいじゃないですか。

 大臣にお伺いしたいと思います。

 規制改革推進会議のこの提言と前後して、生産団体それから市場関係者から、卸売市場の機能の弱体化は容認できない、制度の根幹を堅持すべきである、第三者販売の拡大を懸念する等々の声がたくさん寄せられました。この声をどう受けとめておられるんですか。それから、当事者不在で議論が進められてきたこの経過について、大臣はどのように受けとめておられますか。

齋藤国務大臣 まず、田村委員の先ほどの御指摘で、愛媛県の文書について、これは重要な話でありますというお話がありました。それは重く受けとめたいと思いますし、正直言って、私どもは、やれることはやってきたつもりでありますけれども、正直、思いもよらないことが起こってきているのは事実ですので、また何かそういうことがありましたら適切に対応していきたいということは申し上げておきたいと思います。

 今の御指摘の件ですけれども、今回の卸売市場法の見直しに当たりましては、昨年春から職員が全国に出張し、卸売市場関係者、生産者、小売業者等から幅広く意見を伺ってきたところでありまして、関係者からは、食品流通における卸売市場の機能は重要であって、今後も食品流通の核として堅持すべきであるですとか、それから、差別的取扱いの禁止等卸売市場の公共性を維持するためのルールは堅持すべきであるとか、品目や地域ごとに多様な実態にあることを踏まえつつ、生産者や消費者のニーズに一層応えるべきである等の意見をいただいておりまして、私どもとしては、こうした意見を踏まえて、この法案の中で対処させていただいたということであることを申し上げたいと思います。

 それから、規制改革会議につきましては、卸売市場に限らず、私ども、常に高いボールを投げられて、それをどう意味のあるものにして対応していくかということで頭を悩ませているわけでありますが、その規制改革会議の構成員につきまして、私の方からコメントすることは差し控えたいなと思っております。

田村(貴)委員 大臣、今いみじくも言われましたけれども、この委員会にもたくさんの法案を出されていますけれども、やはり官邸主導で議論がされてきているわけなんですよ。これを唯々諾々と認めるのかといったところに私の思いはあるわけなんです。

 官邸側が規制は廃止というふうに議論をされているさなか、そうしたら、当の当事者、卸売市場の関係者から、卸売市場法の改正を求める要望は出されたのでしょうか。そういう事例があれば、この機会に示していただきたいと思います。

井上政府参考人 今回の卸売市場法の見直しに当たりましては、全国の卸売市場関係者、生産者、小売業者等から幅広く意見を伺っておりまして、その中では、第三者販売の禁止について、実態が先行しており、廃止してもよいといった意見、直荷引きの禁止について、卸に頼んでも荷が集まらなくなっており、自由化に賛成であるといった声、商物一致の原則について、輸送事情が逼迫している中、輸送負担の増加となっており、見直すべき等の意見をいただいております。

 また、このほか、関係団体からは要請書等も提出をされておりまして、その中では、第三者販売の禁止は合理的な規制であるといったような御意見もありますし、卸売市場の公共性等を明確にすべきである、受託拒否の禁止と代金決済の確保は堅持すべきである等々の意見も出されたところでございます。

 こうした意見も踏まえまして、卸売市場を食品流通の核として堅持しつつ、高い公共性の発揮に必要なルールは共通ルールとして残した上で、その他の取引ルールについては卸売市場ごとの実態に合わせて柔軟に設定できるような改正案を御提案しているものでございます。

田村(貴)委員 最後の主語が誰なのかよくわからなかったんですけれども、結局、その議論において当事者は参加していない、そして、当事者から明確に法改正を求める声というのは上がっていないというのが現状ではないかと思います。

 さらに、農家を怒らせているのが、その提案案が議題となった二〇一七年の十一月二十四日、佐脇規制改革推進室参事官の発言であります。

 これまたすごい決めつけなんですけれども、受託拒否の規制を一律に適用した場合には、生産者が流通手段を吟味せず、安易に中央卸売市場に出荷することを助長しかねない、鮮度や大きさの面で著しく劣り、環境影響や倫理等の面で不適切な生産、出荷がなされ、一律に受託することが生産者の不適切な活動を助長しないとも限らない、中央卸売市場に対し、この規制を一律に適用すべきでない、こういう決めつけであります。

 そこで、農水省にお伺いします。

 受託拒否の禁止のルールがあるがために、生産者は安易に中央卸売市場に出荷をしてきたのですか、出荷をしているのですか。鮮度や大きさが著しく劣るものを生産、出荷している、そんなひどいことを日本の生産者は全国の卸売市場でやってきているのですか。教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省の考え方といたしましては、受託拒否の禁止は、鮮度が劣化しやすい生鮮食料品等の生産者に安定的な出荷先を保証するという点において高い意義、公共性を有するものと考えておりまして、今回の改正案についても、共通のルールとして維持することとしているところでございます。

 他方、これは従来同様でございますが、受託拒否の禁止といいましても、拒否できる例外事由というのがございまして、衛生上有害な物品等の場合であるとか、あるいは、市場外取引や他市場での残品の出荷であることが明白であって、これが繰り返し同一の出荷者により行われる場合等正当な理由がある場合には受託を拒否することが、現在もできますし、今後ともそのような仕組みとしたいと思っているところでございまして、有害な物品等については、受託拒否の禁止の原則のもとでも、そういうものは市場において引き取られることがないというふうに考えております。

田村(貴)委員 受託拒否の禁止を全て否定するかのような発言に対しては、農水省は、生産者を守る立場から、毅然と反論しないとだめですよ。そういうことを論議してこなかったのはやはり問題だというふうに思います。

 受託拒否の禁止は、大正時代の米騒動に起因して、食品流通における商業形態の透明性を確保するために一九二三年に公布された中央卸売市場法に設けられたものであります。以来、卸売市場の根幹をなす制度であります。卸売業者は正当な理由がない限り出荷者からの販売委託の申込みを拒否できない、これが否定されたら、全国の生産者は大混乱を来してしまいます。そうですよね、否定されたら。

 改めて、この受託拒否の禁止の意義について、今どう考えておられるのか。

 もう一問。

 今までは、その正当な理由というのは、食品流通局長の通知が担保だったというふうに思うんですけれども、今度の法改正案では、農林水産省令で定めるというふうに書かれています。この正当な理由について、変えるのですか、新たな変更点を設けるのですか。

 この二点、説明してください。

井上政府参考人 受託拒否の禁止ができる例外的な事由につきましては、今後とも、これを極めて限定する形にすることを考えておりまして、現在と同様の内容を定めたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 時間が参りました。続きは次回にさせていただきたいと思います。

 終わります。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 先月、当委員会で大田市場の視察をさせていただきました。大変貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。

 野菜や果物の競り、花卉の競りも近くで見せていただきました。以前、地方の卸売市場には行ったことがありましたが、大田市場のような中央卸売市場は初めてで、想像を超える規模に驚きました。場内を荷物が自動搬送されていたり、花卉の競りはコンピューター化されており、スクリーンを見ながらボタンを押して入札といったスタイルで、正確で早く、また一度に多くの方が参加できるものであり、これにも驚きました。

 市場関係者の皆様との意見交換会では、現場の皆様の貴重な御意見もお聞きすることができました。ありがとうございました。

 本法案は、農林漁業者の所得向上や消費者ニーズへの対応など、現場の声に応えるための改正であると理解をしております。

 まず、本法案の提出の経緯やその意義について教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 食品流通をめぐる情勢といたしまして、消費の面では、生鮮品のままでの需要が減少し、加工食品や外食での需要が拡大するとともに、品質や衛生面等への関心が高まっていること、流通の面につきましては、小売店の大規模化が進展するほか、通信販売や産地直売の拡大などの多様化が進み、また、トラックドライバー不足により物流の確保に支障が生じてきているといった変化がございます。

 こうした変化を踏まえまして、今回の法律改正案におきましては、卸売市場及び市場外を含めて、創意工夫を生かし、消費者や生産者のニーズに対応した食品流通を実現するための環境を整備するとともに、物流コストの削減や品質、衛生管理の強化等の流通において特に重要と考えられる課題について、その取組を促進する仕組みを設けているほか、公正な取引環境の確保を図るための措置を講じることとしておりまして、こうしたことによりまして、生産者の所得向上と消費者ニーズへの的確な対応がなされる食品流通構造を実現してまいりたいと考えているものでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 さまざまな変化に対応すべく、生産者や消費者へのニーズにも対応していただけるよう、しっかりお願いしたいと思います。

 先月視察をさせていただいた大田市場には、全国各地からさまざまな青果物が集まり、取引が行われていくという状況を拝見しました。

 これまでも、数多くの農林水産物が市場を経由し取引がなされてきたと思いますが、なぜ生産者も小売業者も卸売業者を活用するのでしょうか。

 アメリカでは、中間マージンを削減する観点から、中間の流通事業者を省く流通形態が主となっていると認識しておりますが、日本においても、一見、市場手数料の形で中間マージンが取られるので直接取引を行った方がもうけも多いような気もしますが、現在、日本において生産者が卸売市場を通した流通を選択することについて、どのようなメリットがあるのでしょうか、お答えください。

井上政府参考人 市場流通を利用することによりまして、生産者にとりましては、みずから販売先を探して個別に交渉する必要がなく、卸売業者に販売を委託することにより販路を確保できるということ、また、卸売市場への定期的な集約された大量の輸送によって物流コストを抑えられるといったこと、また、卸売市場を通しますと早期かつ確実に販売代金を回収できるというメリットがございます。

 もちろん、このようなメリットを享受するために手数料等を支払うことになるわけでございますけれども、こうした手数料等と提供されるサービスとを比較して、取引の場として卸売市場が選択をなされているというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございました。

 次に、本改正の背景について伺います。

 今回、卸売市場法と食品流通構造改善促進法のそれぞれを改正する法案、食品流通関係二法の改正ということです。

 農林水産業の現場を見ると、高齢化や担い手不足といった課題が深刻で、消費面でも、人口減少時代に入り、国内需要の減少も見込まれる中で、海外に目を向けると、TPPを始め、経済連携の動き、グローバル化が広がっています。

 こうした動きに対応するように、農林水産業の現場、農林漁業政策ではさまざまな改革が進められております。私としては、今以上に改革を進めていっていただきたいと思っておりますが、現場と消費者をつなぐ食品流通面についても、こうした動きに対応して、しっかりと変えるべきところは変えていく必要があるんだろうと思っております。

 そうした意味で、今回、食品流通をつかさどる卸売市場法等の改正を行うことは時宜を得たかと思います。農林水産省、そして、新鮮な野菜や魚、消費者ニーズにマッチした食品で豊かな食卓を望む消費者、そしてその両者のかけ橋となる卸売業者や仲卸業者を始めとする流通業者という多様な方々にとって、意義のある改正となればと考えております。

 情報化社会の進展により、ネット上にはさまざまな情報があふれ、商品の品質や価格について、実際の店舗で手に触れて確認しなくても簡単に比較でき、購入できるようになっています。このような背景も踏まえながら、新鮮さや安全性を担保しつつ、効率的な農林水産物の流通を実現することも重要かと思います。

 大田市場視察の際に、直接、市場関係者の方々の御意見を伺うことができました。日本一物が集まる市場ということで、条件が極めてよい市場関係者の皆様の声ですので、必ずしも全国の声を代表していないものもあるかと思いますが、メリット、デメリット等、お聞きしてまいりました。

 また、農林水産省は、全国の関係者の声をお聞きしていると思います。本日は、本法律の改正が消費者、生産者、流通業者にとってどのようなメリットをもたらすのかという点についてお聞きをしていきたいと思います。

 現行の卸売市場あるいは卸売市場制度において、どのような課題が生じてきているのでしょうか、農林水産省の御認識をお聞かせください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 食品の流通、物流をめぐる状況を見ますと、変化が見られるわけでございますけれども、現行の卸売市場法におきましては、特に中央卸売市場について、取引の細部にわたり国が全国一律の規制を行っているということで、こうした食品流通の変化に対応しがたい面が大きくなっていると考えております。

 例えばということで例を申し上げさせていただきますけれども、第三者販売が原則として禁止をされていることによりまして、卸売業者が加工業者等への原材料供給を直接行うといったことが行いがたいといった点や、複数の市場間で過不足を調整することが迅速かつ柔軟に行いがたいといった問題。

 また、産地から原則として全ての商品を一旦市場に持ち込んで取引しなければならない商物一致の原則によりまして、輸送の時間や物流コストが大きくなっている。これは、鮮度を高く消費者に届けるという面からも課題を指摘する声がございます。

 また、直荷引きの原則禁止によりまして、仲卸業者は、有機農産物等の小ロットで卸売業者の集荷に乗りにくい品目を柔軟に仕入れることができず、品ぞろえの充実や販路拡大が困難になっているなどの課題が生じておりまして、こうした例の、現場からの声も出てきているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 現場の声、課題に対して、認識されているということですので、しっかり対応をしていただきたいと思っております。

 食品流通構造改善促進法の改正部分についても伺います。

 正直なところ、この部分については余り議論がなされていないように感じますが、これまで食品流通構造改善促進法が果たしてきた役割、そして、この法律について、どのような課題があり、どのように見直そうとされているのか、お聞かせください。

井上政府参考人 現行の食品流通構造改善促進法におきましては、農林漁業者と食品製造業者等との連携や卸売市場の機能高度化など、基本的に流通段階ごとの事業類型を定めまして、それに対して大臣が計画認定を行い、支援を行ってきております。平成三年の法制定以降、千件以上の計画認定を行いまして、こうした事業に対する支援措置を通じまして、食品流通の構造改善を促進してきたところでございます。

 しかしながら、現在生じております問題、物流の効率化でありますとか情報通信技術等の活用、あるいは、コールドチェーンの確保等による品質、衛生管理の高度化、国内外の需要への対応といった課題につきましては、流通段階ごとに、それぞれ別々に見るのではなく、サプライチェーンを通してこうした取組を行う必要のある課題も多く出てきているところでございます。

 こうした点を踏まえまして、今回、食品流通構造改善法を改正いたしまして、国が支援を行う事業類型の定め方を、流通が抱える課題に沿った形に整理をいたしまして、こうした国の方針に対応する事業計画をお持ちの事業者のお取組を広く支援するといったことを今回の法律案の中では盛り込んでいるところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 次の質問に移らせていただきます。

 今回の法改正で、卸売市場について、許認可制から認定制に変更になります。

 卸売市場の最も重要な役割は、食品の流通をつかさどり、需給調整や安定供給を行うことだと思います。今回、認定制に移行することで市場の位置づけが変わるわけですが、消費者に対し、食品の安定供給に対する責務はしっかり果たしていかなければなりません。

 そこで、齋藤大臣に伺います。

 消費者に対する安定供給の責務について、御答弁をお願いいたします。

齋藤国務大臣 生鮮食料品等の集荷、分荷、価格形成、代金決済等の調整機能を有する卸売市場は、今後とも食品流通の核として重要な役割を果たしていくものと考えています。

 今回の法改正では、卸売市場の開設を許認可制から認定制に見直していますけれども、生鮮食料品等の公正な取引の場としての要件を満たす卸売市場に限り、農林水産大臣等が認定するとともに、そういった卸売市場に対しては、施設整備への助成等による振興をする。そのほか、開設者が公正な取引の場として適切な業務運営を行うよう、農林水産大臣が厳格な指導監督を行うということとしておりますので、引き続き、国民への生鮮食料品等の安定供給の責務を果たすことができると考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大田市場での視察の際、市場関係者の声として、農林水産大臣の認可から東京都の認定に変わることで、信用面での不安の声をお聞きしました。現場の声をしっかり聞き、現場に混乱が生じることのないよう対応をお願いしたいと思っております。そして、消費者に対しては、引き続き安定供給がしっかりとできるようお願いしたいと思っております。

 最後の質問になります。

 消費者のさまざまなニーズに対応するために、近年では多様な流通の形態が存在しています。その中には、ICTの進展により、産地から消費者に直接届けられる直接販売の取引も、多くの消費者から支持を受け、拡大していると認識をしております。

 食品流通における直接販売の位置づけについて、また、今後国として推進していくのか、農林水産省のお考えをお聞かせください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 生産者から消費者への直接販売につきましては、生産者がみずから売れ残りリスクを背負うといった課題を有する一方で、販売価格を自身が決定でき、流通コストを抑制できる等のメリットがございまして、これも農産物流通等の有益な流通ルートの一つとして、その振興を図っているところでございます。

 他方で、それでは直接販売がすぐれていて市場流通がすぐれていないのかという点に関して申し上げますと、卸売市場に出荷することによって、安定的な出荷先が確保できるということに加えて、早期の代金決済が行われるといったような点がございまして、農林水産省といたしましては、生産者にとって有利な販売ルートを選択できるようになっているということが重要と考えております。

森(夏)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

伊東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、一般社団法人全国中央市場青果卸売協会会長川田一光君、全労連全国一般東京地本東京中央市場労働組合執行委員長中澤誠君、日本チェーンストア協会専務理事井上淳君及び東京聖栄大学客員教授藤島廣二君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げる次第でございます。

 本日は、大変御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場からどうか忌憚のない御意見をお述べいただきたい、こう思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、川田参考人、中澤参考人、井上参考人、藤島参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、初めに、川田参考人、お願いいたします。

川田参考人 本日は、国会におきまして卸売市場法の一部改正法案が審議されるに当たり、意見を申し述べる機会をいただき、まことにありがとうございます。中央市場の青果卸業界の組織であります全国中央市場青果卸売協会会長の川田でございます。

 まず、改正法では、「目的」の条文で、卸売市場が食品等の流通において生鮮食料品等の公正な取引の場として重要な役割を果たしていることを明文化していただいたこと、また、第二章で、卸売市場の経営その他重要事項についての基本方針を国が定めるとしたことは、公的関与の姿勢を明確化していただいたということで、大変高く評価をしているところでございます。

 まず、卸売市場がいかに我が国の国民生活にとって重要な公益性の高い機能、役割を担っているかを御説明したいと思います。それゆえに、法律をもって国や自治体の公的関与が不可欠である必要性を述べさせていただきたいと思います。

 まず、前段として、よく話題になります市場経由率についてでございますけれども、国の調べでは、青果物全体の市場経由率は六〇%、果物が五〇%で、野菜が七五%とされておりますけれども、この計算の根拠の分母が、実は、輸入果実ですとかあるいは果汁、例えばブラジルから来るオレンジの果汁、あるいは菓子に入っている果汁等も含めたものの分母、その上で市場に経由するものは何%あるかというのが市場経由率であります。がゆえに、果汁とかお菓子は市場流通にはなじまないものですから、トータルをすると六〇%ということになります。

 しかしながら、国内で生産されております野菜、果物、これの経由率は八十数%、約九割弱が市場を経由しておりますので、国内青果物流通のメーンルートであるということの位置づけは間違いないと思っております。

 また、生産者の直売や市場外流通、今、外には出ておるんですけれども、実際には、先ほど申し上げたように市場経由率が八十数%ございまして、余り多くない。その大きな理由は、日本の食文化にあります。

 といいますのは、鮮度のいいものを少量多品種、毎日消費する、また季節感を持った食材を取り扱った食卓をつくるということがされておりますので、そういったことで、産地リレーあるいは品目の多さから、なかなか個別の取引だけで需要を満たすということは難しいということであります。

 ちなみに、きょうは市場は休みなんですけれども、通常の日ですと、葉物野菜と呼ばれているものだけで三十種類以上、取引先別で見ますと、年間、一つの中堅スーパーで五百以上の産地との取引があるということでございますので、なかなかそれを個別の取引で集めていって食卓を満たすということは難しいということで、言ってみれば、ワンストップショッピングのできる市場に流通が集中しているというのが実態でございます。

 そこで、卸売市場の基本的役割の重要性、公共性を述べさせていただきます。

 まず、適正な価格が確保されるということであります。

 これは、我々卸会社は生産者の販売代理人という立場で販売をしていますし、仲卸さんあるいは小売の方々は、末端は消費者でありますけれども、消費者の購買代理人、かわりに買ってくる、こういうお互い立場の違う者が市場で出会って価格をつくるということであります。言ってみれば、我々は一円でも高く生産物を売りたい、また、買う側は一円でも安く買いたい、そこである意味の対峙が起こって、市場原理が働いて需要と供給で価格が決まるというのが市場の価格決定メカニズムであります。

 これはいまだにかなり大きな比重を占めておりまして、価格の公平性、透明性が保たれているというふうに考えておりますし、また、もし価格が恣意的に決められるようなシステムになってしまうと、国民生活に重大な影響もあるでしょうし、市場外流通も含めて、今市場価格というのが指標になっておりますので、その体系が大きく崩れてしまうということが考えられます。

 がゆえに、青果の卸売市場から公的な監視ですとか関与が外れるとすると、青果物の価格への消費者からの信頼というのがかなり崩れてしまって、社会的なあつれきが起きてしまうということを考えております。

 次に、需給調整、これも市場の大きな機能でございます。

 特に、青果物の場合ですと、作況がかなり気候に左右されて、非常に不作であったり多くできたりするということが日常茶飯事でございます。購買者というのも、いろんな単位で買われる方がたくさんあって、生産者との価格の需給バランスをとるのに、一対一の取引ではなかなかしづらい、できないということであります。

 よくスーパーの直販あるいは直荷引きというものがあるんですけれども、単品でなくてはなかなか動かない。先ほど申し上げたように、多品目で需給バランスをとるのは非常に難しいということがあるので、それゆえに、市場でかなり公平に分配をするということがやはり重要でありますし、それについても公的な監視や関与が必要だと私どもは思っております。

 また、生産する方から見ましても、今、受託拒否の禁止の原則、これは今後も続くだろうというふうに思っておりますけれども、この場合は、どうしてもやはりつくり過ぎ、あるいはシーズンによって多かったり少なかったりが出てしまいます。そういったときに、市場へ出せば受託拒否はしない、現金にかえることができるという、生産をする前の段階での安心感というのは非常に高いだろうと思っております。

 これも、そういった意味で、法律の縛りがないと機能が発揮できませんので、この辺の公的な関与も非常に必要になるだろうというふうに思っております。

 また、地域地域で伝統的な、特殊な商品がございます。名前を挙げるとあれなんですが、例えばの例で、例えば京野菜のような非常に限定的で歴史のある商品があるんですけれども、こういったものはなかなか一般のルートに乗りづらい、誰彼が食べるというものではないので、こういったもののマーケットを確保するために市場流通を使う必要があると考えております。

 そういった意味で、細かい商品でもつくり続けることができる、それはマーケットでカバーをしてもらえるという安心感から出てくるものだろうと考えておりますので、その機能も監視をしながら残す必要があるだろうと思います。

 また、消費者の方の側から立ってみますと、今、安心、安全というのは大変大きなキーワードになっておりますけれども、今、卸売市場ですと、開設者の方で常設の衛生検査機関を置いておりまして、常時検査をし、その結果を公表しております。

 そういったことで、安心、安全がかなりの部分担保できているというのも卸売市場の機能でありますし、これもなかなか民間の力では全ての商品をやることはできませんけれども、公的な関与によって検査をしていただくことによって、安心、安全が進んでいくんだろうというふうに思っております。

 その他、大きな内容のものもあるんですけれども、一つ、今、懸念材料としては、認可制から認定へ移る、こういうことでございます。

 ほかからの新規の参入もあるようになる可能性もあると考えておりますけれども、その場合、大きな資本が、例えば卸売会社あるいはマーケット全体をカバーしてしまった場合、やはり恣意的に、自分の方に我田引水的に品物を引っ張るですとか価格の調整をするということが起こる危険があるわけでありますが、今度の法律でありますと、差別的取扱いの禁止という、かなり強い言葉の文言も残していただいています。

 差別的に、自分のところだけに品物を優先的に引っ張ったり、あるいは価格をつけてはいけないということでありますし、その辺について、食品流通構造改善促進法で、そういった事態を農水省が発見した場合は速やかに公取に通知をするということも書かれております。これについては、ぜひ厳格な管理をお願いしたいと思っております。何しろ市場の基本は公平性で、それによって公共性を担保していると考えておりますので、この点については十分な掘り下げが必要かなというふうに考えております。

 認定と認可につきましては少し考えもあるんですけれども、これは開設者がこれからどういう条例をつくるかということに少しかかわってくるだろうというので、細かいことはまだわからないわけでありますけれども、ただ、我々の社会性、公共性を担保する仕組みの確保はぜひ続けていただきたいし、今度の法律を読ませていただく限り、それが担保できているなと考えているのが私どもの意見でございます。

 以上でございます。(拍手)

伊東委員長 ありがとうございました。

 次に、中澤参考人、お願いいたします。

中澤参考人 全労連全国一般東京地本東京中央市場労働組合の執行委員長の中澤です。主に仲卸の従業員の労働組合というふうに思ってください。その執行委員長をやっています。

 今、先輩が大方のところは言ってくれたんですけれども、それを、ダブる部分もありますけれども、縫うようにして、私の見解をお話ししたいと思います。

 本日は、発言の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 まず、現行の卸売市場法、これをどう評価するかということなんですけれども、私、築地では移転反対の運動をやっていまして、その過程で、土壌汚染対策法、都市計画法それから卸売市場法、この三つの法律についてはみっちりと読み込んできました。

 その中で、考えたんですけれども、卸売市場法は、これは傑作ですよ、皆さん。大変な傑作です。これをちょっとやそっとの思いつきで変えてほしくないというのが私のただいまの考えです。これを傑作だと言ったのは私が初めてではなくて、大御所の秋谷重男先生という、食品の流通の大御所ですけれども、近代の傑作というふうにおっしゃいました。全くそのとおりだと思います。

 中身の方に入っていきたいと思います。

 まず、今のこの卸売市場法ですばらしいなと思うのは、品質の競争を非常に大事にしているということなんです。

 もともと、競り・入札原則というのがありました。一九九九年の規制緩和でこの原則はなくなったのですけれども、各市場ごとにそれぞれ話し合って、この品目は競ろうじゃないか、これは競りは要らないだろうということで、競りは実際には行われています。

 この競りというのは、では、何でやっているんだろうということなんです。

 例えば、卸会社が自分のところの利益を最大限にしようと思ったらば、農家、あるいは漁師から預かった魚をなるべく高く売ると自分のところの利益を最大限にできるんです。つまり、あの競り人は高く売ってくれるということになると、荷物がどんどん集まるわけですよ。それで、仲卸が自分のところの利益を最大限にしようとするとどうするかというと、いい品物を見つけてそれをなるべく安く買う。そうすると、自分のところの利益を最大限にできるんですね。

 別に他人のことを考える必要はないです。自分の利益を最大限にしようとするだけで、卸は実は間接的に生産者を守る、仲卸は実は間接的に消費者を守る。これを考えた人は天才じゃないかというふうに思いました。

 この競り制度はなくなっているんですけれども、現実には相対取引と競り制度をまぜるような形で今価格形成をして、現場ではやっています。

 その中で、特に仲卸というのは卸売市場で非常に重要です。価格形成は、競りだったらば、この一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、これが十一なんです、これが十二なんです。二十一と十二は一緒なんです。これが二千百円か千二百円か、これがわからないと競りに参加できないんですね。プロフェッショナルの世界ということです。仲卸が価格形成の肝のところにいるわけです。

 今回の改正案というのは、第三者販売といっても、第三者じゃなくなっちゃうんですね。卸会社が仲卸を通さないでスーパーとかに売ることが規制されない、法律で規制されないということになると、今、現時点でも、仲卸のお客のところに卸の営業が行っているような状況なんです。奪い合っているような状況なんですよね。ここにこの法改正ということになると、仲卸がやっていけなくなるんじゃないか。

 仲卸の役割というのは非常に価格形成の上で重要です。卸売市場の価格形成というのは、つまり生産者の手取りを保証するわけですから。きちんと透明な値づけをして、それが地方に戻るわけですよ。この機能が落ちてしまうと、日本のこの国の形が変わりはしないかと非常に私は危惧しております。

 その他の、委託集荷原則。これは、何で預けるだけで、買い付け集荷を昔、今は解禁されていますけれども、もともとは禁じていたのはどうしてかというと、それは生産者が弱小なんですよね。資本の大きいところだとバイイングパワーに負けてしまうんですよ。だから、預けて売った値段の五・五%を取り分、そういうふうにしてやっていたんです。

 商物一致原則。これは、もう透明性ですよね、全部見せる、見えるところで売れと。

 それから、第三者販売は今言いましたとおりです。

 それから、委託手数料の公定制というのももともとはありました、今緩和されていますけれども。卸会社が、では、いろいろなところへ売ってどんどんもうけるかというと、その卸会社の五・五%、築地だと五・五%ですけれども、その手数料を動かして、それで競争しろというのが今の法律になっています。

 もともとは、資本の大きさの競争じゃなくて、品質で競争しろというのが卸売市場法の精神なんですね。それが今どんどん変わってきて、今度の卸売市場法の改正案ということになっている。私は、これは本当に心配しています。

 かつての東京都のホームページに、生鮮食料品は、長期にわたる保存が難しく、鮮度によって価値が著しく変化する、供給量は、自然条件によって極めて大きく左右される、こうした商品の売買取引を放任することは、過度の競争、不当、不合理な取引、非衛生的な取扱いなどを招き、消費者及び生産者に不利益をもたらす、こういうふうに書いていたんですね、東京都のホームページに。

 これは言っていることとやっていることが違うじゃないかと言ったら、この文言はなくなりました。今は載っていないです。文言の方がなくなって、まずい取引の方は残っているんですけれども。

 全くこのとおりだと思うんです。規制というのは、規制したときは、問題があったから規制したんですよね。それを緩和するときに、なぜこの規制はつくられたのかというのをよく考えないと大変なことになるんじゃないかというふうに思います。

 それからもう一つ、卸売市場法が人を育ててきたという側面も大事だと思います。

 品質の競争をすることで、生産者はいい品質をつくる、つくろうとする、そういう人を育てている。それから、その品質をアピール、競り人ですね、売るためにアピールする人を育てる。それから、その品質を見きわめる人、目きき、仲卸ですね。こういう人たちを育ててきたのがこの卸売市場法だと思うんです。これは世界に自慢するような法律じゃないか。

 ちょっと飛ばしまして、皆さんのお手元に行っているかと思いますけれども、スーパーの上位五社のシェアというデータがあります。これは農水省のホームページからとったものです。

 アメリカだと、ウォルマートを中心に四五%ぐらいで五社、上位五社です。イギリスはもっとなんですね、テスコを始め六五%のシェア。フランスはひどいですね、カルフールを始めとした七五%のシェアなんです。ところが、日本は、イオン、セブン&アイを入れても三〇%のシェアなんですね。

 つまり、これだけ多様性を確保したまま発展してきたんです。発展していないわけじゃないですね。発展したんだけれども、多様性を残したまま発展した。これは、やはり卸売市場法の力というのはあったと思うんです。

 カルフールが日本から撤退したときに、生鮮食品のアイテムがめちゃめちゃ日本は多くて、とてもじゃないけれどもついていけないといって、カルフールは撤退しました。そのアイテムをつくるのが卸売市場なんです。特に、仲卸が品質を見て、価格を形成する、その過程でアイテムが生まれてくるんですね。

 その卸売市場法、今度の法改正ではもう骨抜きになっちゃう。本当に、もう一回考え直して、慎重に対応していただきたいというふうに思います。

 ちょっと早かったかな。でも、いいや。言い残したことはありません。後で質問してください。

 ありがとうございます。(拍手)

伊東委員長 ありがとうございました。

 次に、井上参考人、お願いいたします。

井上参考人 チェーンストア協会の専務理事をやっております井上と申します。

 本日は、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 チェーンストア協会、スーパーあるいは専門店、五十六社で構成をされております。昭和四十二年に設立されて、五十年たちました。この間、協会は、消費者の立場に立って考え、消費者の立場に立って行動する、これを原点に活動してきております。したがって、本日も、もちろん、卸売市場のパートナーあるいはユーザーとしての立場に加えまして、消費者に一番近い業界という立場でお話をしたいと思います。

 卸売市場の話をする前に、二つポイントをお話ししたいと思います。

 一つは、世の中全体が、今や売り手市場から買い手市場に変わっているということです。買い手市場でありますから、要するに、お客様、消費者が望むものを提供するのでなければ買ってもらえない、売れないということでございます。ですから、生産者、卸、小売、こういうサプライチェーン全体で知恵を絞って、お客様に買っていただける価格と品質、これを提供することを一生懸命考えることが必要だということだと思います。

 この点との関係で、最近のお客様、消費者の動向ですけれども、特徴として、多様化それから二極化ということが言えるのかと思います。

 多様化、これは、高度成長のときには、ある意味、物が足りなくて、したがって、物があれば、ああ、何でもありがたい、こういう時代ですから、ニーズも金太郎あめになるわけであります。それに対しまして、昨今、経済が成熟化して物があふれている。一方、消費者の価値観あるいはライフスタイルというものも大きく変わってきていますから、多様化をするということです。

 ですから、そういうお客様に買っていただけるためには、いろいろなニーズ、お客様の持っているニーズというのを迅速かつ的確に川上の方にフィードバックして、それに応じた商品というものを提供するということが大切だろうと思います。

 もう一つの特徴が、二極化ということです。これは、お客様というのは、消費者全体ということもそうですけれども、一人のお客様でも二極化、これはめり張り消費と私は呼んでいますけれども、そういう状況になっております。これはすなわち、価格訴求型と、それから価値志向型の二極化ということです。

 価格志向、これは、物の値段が上がらないというデフレが長く続いてしまっておりまして、消費者の方々の値段に対する目というのは大変厳しいものがあります。かく言う私も、実際、消費者でありますので、チラシを見て、安いところ、あるいはポイントが二倍というところに買物に行く。お店の方からしてみると、お客様に選択をされる、こういう時代、価格訴求のニーズがある、こういうことです。

 では、そればかりかというと、必ずしもそうでもない。これは価値訴求型であります。この品質であれば値段あるいは財布を余り気にせずに出す、あるいは、特別なイベント、特別なギフト、こういったものにはぽんと金を出す。逆に言うと、そういう価値志向にお金を使うためにも、日々の買物については節約が厳しくなっている、こういう状況だと思います。

 このように、多様化あるいは二極化、こういうことでございますので、商売をする方は非常に難しくなった時代でございます。ただ、時代が難しくなったと嘆いていても始まりませんので、私どもとしては、サプライチェーン全体で知恵を絞って、お客様に買っていただける商品というものを提供する、こういうことだろうと思います。

 ポイントのもう一つ目でございますけれども、機能の必要性と、その機能を誰が担うかというのは別だということでございます。

 例えば小売、消費者の方々に物をお届けするという小売機能、これは恐らく、これからも変わることなく重要なことだと思います。でも、そのことが自動的に、今あるお店を構えるやり方、こういう店舗経営というものが必要だということにはなりません。

 例えばネット販売、これは消費者の方々がネットでお買物をする。それで、僕らがその消費者の方々にけしからぬ、こう言っても始まらないわけであります。もちろん、ネット販売とリアルの店舗販売の競争条件というものはきちんと土俵を整備していただく必要はありますけれども、その公平な土俵の上で、お店側として言うと、お客様が、やっぱりお店に来て楽しいな、こういうふうに思っていただけるお店づくりをする、そういう努力、工夫をすること、あるいはリアルの店舗とネットとの組合せをする、こういうようなことでお客様のニーズに対して応えていくということでございます。

 卸機能についても同様だと思います。卸機能、釈迦に説法で恐縮ですけれども、さまざまな集荷、分荷、あるいは物流、あるいは情報発信機能、さまざまあります。この機能は世の中になくてはならないもの、これは間違いなくこれからもそのとおりです。

 では、これを誰が担うのかということでございます。もし既存の担い手が十分な機能を発揮していないということになれば、ほかの担い手が出てきて、そのほかの担い手が必要な機能を世の中に提供する、そういうことでございます。

 ですから、そういう中で、消費者に求められる商品を安全、お手ごろ価格で提供する、そういう使命を持っている我々としては、卸機能の存在はもちろん大切ですけれども、その担い手となる方、卸売市場の方々も含めて、この方々の十分な機能発揮、役割の発揮ということをしていただいて、一緒になってお客様に買っていただける商品を提供するということが大切だというふうに考えています。

 そういう二つのことを申し上げた上で、現在の卸売市場の課題、評価でございますけれども、メンバー企業、これはたくさんありますので一律ではありませんけれども、市場取引、卸売市場から買うということももちろん重要ではありますけれども、市場外取引というのもあるようでございます。何でということ、すなわち、逆に言うと、市場取引のどういうところに課題があるのか、こういうことでございます。

 ここもいろいろあるんだろうと思いますけれども、例えば、ちょっと鮮度維持の面で不安である、あるいは物流機能が非効率的である、あるいは産地情報の提供、あるいはお客様の情報のフィードバック、そういう情報の受発信機能が弱いというような声が聞かれるところでございます。

 これらの課題を解決していくということは、もちろん、卸売市場にとって、市場外取引、別の担い手との競争力をつけていくという上でも大切ですけれども、消費者が求める商品を消費者が求める価格でお届けする、そういう上でも大切ですし、もちろん、おいしいものを食べていただき、喜んでいただくということは、これは生産者にとっても好ましいことでありますから、こういう課題の解決というのは、卸売市場みずからにとっても、消費者にとっても、そして生産者にとっても大変大事なこと、期待されることだろうというふうに思います。

 では、こういう課題を、今度は法律との関係においてどうであるかということです。

 我々、法律の直接の規制を受ける対象ではございませんので、ひょっとすると外部からの推測というようなことになるかもしれませんけれども、そういう外部から見てみますと、さまざまな規制が直接あるいは間接的に、これは商習慣とかいうようなことでございますけれども、卸売市場に携わっている方々の商売あるいは意欲というものを制約してしまっているのではないかなと思えるところもございます。

 例えば、現在の卸売市場法、直荷引きの原則禁止とか第三者販売の原則禁止、こういった、出荷者から卸、仲卸を経て実需者に売られるという流通チャネルの原則、あるいは、そこに携わっているおのおのの方の役割というものを法律で決めまして、商物一致の原則など、商売のやり方についても決めている、こういうことだと理解しておりますけれども、取引の相手方や商売のやり方、こういうものを法律で決めたり、あるいは原則というものを書かれるということによって、そこに携わる方々の自由なビジネス、あるいは、原則どおりにやっていればいいのではないか、あるいは、原則以上のことをやるというのはかえって望ましくないのではないか、どうしてもそういう意識に誘導してしまわないだろうか。その結果、創意工夫を凝らす機会というものがそがれてしまうとしたら残念なことだなというふうに思っています。

 もしそういうことになってしまいますと、結果として、卸売市場を通してお客様に提供すると、お客様の望むようなよい商品というのが迅速的確に流通されないということになってしまって、結局、市場外取引、すなわち卸売市場の別の担い手のところに商売が流れていってしまうということになりかねません。

 そのような事態というのは、当然、卸売市場の関係者の方々にとっても好ましくありませんし、それは世の中にとっても決して好ましいことでもありません。すなわち、せっかくそこに存在している方々の機能、世の中にとっての役割というものが十分に果たし切れていないということを意味するわけでありますから、それは好ましいことではないと思いますし、小売、あるいは消費者としても、卸売市場に携わる方々が、多様な流通チャネルの一翼として、さまざまな創意工夫を凝らして、その機能を十分に発揮していただく、そういうことでお手ごろ、安全な商品というものを提供していただくことを強く期待するということだと思います。

 そういう角度で今回の法律の改正案を拝見いたしますと、さまざまな、先ほど申し上げましたような取引の相手、あるいは商売のやり方というものを緩和するというようなことで、創意工夫を凝らせる形になっており、望ましい改正なのではないかなというふうに思います。ですから、この改正案をもとに、卸売市場の方々が、消費者のニーズというものを踏まえて、おのおの創意工夫を凝らして、十分に機能を発揮していただくということが期待されるわけでございます。

 一つ、最後に、今回の法律だけではありません、全ての法律において同様なんですけれども、法律は、事業環境の形成、あるいは制度の整備でございます。実際にそこの中で働く、あるいはそこの中でビジネスをするというのは、おのおののプレーヤーになります。ですから、この法律をつくって、事業環境を整備する国会あるいは行政、そこの方々の思い、意識と、実際にその事業環境の中で動くプレーヤー、その方々との意識、認識、ここをちゃんと共有しておかないと、せっかくの思い、国会あるいは行政の思いというものが、実際にはそこが期待どおりに動かないということになってしまうことというのが懸念されるところでございます。

 したがって、もちろん今御審議いただいているわけでございますけれども、仮にこの法律が国会で通った場合には、説明会等々を通しまして、各市場の関係者の、きちんとした法律の目的、趣旨などをきちんとそういう方々に対して御説明もして、十分な御理解というものを得ることが大事だということを指摘させていただいて、私の意見とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

伊東委員長 ありがとうございました。

 次に、藤島参考人、お願いいたします。

藤島参考人 藤島でございます。

 本日は、お話しさせていただく機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 私がこれから申し上げることは、お手元の資料をごらんいただいて、そしてお聞きいただければと思います。

 一応、その資料にテーマが振ってございまして、卸売市場の社会的役割と市場法改正に関する懸念ということでございますが、これからお話し申し上げる内容は、二枚目の、ページでいきますと一ページに当たりますが、そこにございますように、三つほどに分かれております。

 まず、中央卸売市場法成立の経緯ということでございますが、この中央卸売市場法ができたのは米騒動がきっかけですということがよく言われております。それは確かに間違いではないんですが、しかし、厳密に考えますと正しくないだろう。

 どうしてそうなのかと申しますと、米騒動が起きたときに、国が、あるいは地方自治体が行った対策というのは、公設小売市場をつくることでございました。公設小売市場というのは、御存じのように、生産者の方が生産物をそこに直接持ち込んで消費者に直接販売するような施設、あるいは、公設小売市場の中で営業する小売業者の方が生産者から直接買い取って消費者に直接販売するという施設でございます。つまり、中間の卸売業者、あるいは問屋、あるいは小売業者を除けば、それらのマージンがなくなるのでコストは安くなるだろうというような考えでつくられているところでございます。

 そのことが国あるいは地方自治体によって非常に推奨されたわけでございまして、例えば、次のページといいますか、三ページ目のところの表を見ていただくとおわかりいただけますように、大正七年の米騒動後、わずか二年のうち、百カ所余りの公設小売市場ができております。

 しかし、この公設小売市場につきましては、実は十分な機能を発揮できなかったということがございます。

 と申しますのは、早くも大正十年に東京市会で、現在の公設市場は、この公設市場というのは公設小売市場のことですが、現在の公設市場は、いまだ十分その目的を達するに足らずということで、中央公設市場、つまり卸売市場ということでございますが、卸売市場をつくるべきだという意見が出されます。そして、さらに、京都市会あるいは名古屋市におかれては、自分たちはこのような仕組みの中央卸売市場、中央市場とそこに書いてありますが、卸売市場をつくりたいということまで言われるようになります。その結果としてといいますか、そういった経緯を経て出てきたのが中央卸売市場法、大正十二年にできたということでございます。

 ですから、大正七年に米騒動があって、五年間のタイムラグがあったというのは、即中央卸売市場法ということではなかったからだということになります。

 そのような経緯でできた中央卸売市場法ですから、非常に重要なことは、やはり低コストで物を供給する。米騒動そのものが物価高騰で起きたわけですから、できるだけ低コストで物を供給しましょう、しかも安定的に供給しましょうということになりました。その低コストにつきましては、例えば、卸売業者の委託手数料については公が定めますよ、皆さん方、自由に勝手に決めて高い利益をとってはいけませんよということがあります。

 そして、二つ目には、取引方法でございますが、委託競り原則でしてくださいよ、自分たちで買い付けて、そして相対で販売するという形で利ざやを自由に取ってはいけませんよということが行われたわけです。つまり、業者が大きな利益を得ることを防止しようということが行われたということになります。そのことが、結果として、今日に至るも、卸売業者、仲卸業者の方々の利益率の低さにつながっております。

 御存じのように、卸売業者、仲卸業者の方々の利益率というのは〇・一、二%、あるいは、高くて〇・五%前後ということになります。この利益率がいかに低いかというのは、先日、トヨタの全体の販売額と営業利益額を見ていただければおわかりいただけるかと思います。新聞報道によれば、トヨタの全体の販売額は、販売台数一千万台だということもございますけれども、三十兆円でございます。営業利益は二兆四千億円、八%です。つまり、卸売市場の卸売業者、仲卸業者の利益率というのは、トヨタの十分の一どころか、二十分の一、三十分の一というふうに非常に低いということになっています。そのため、これは、卸売業者、仲卸業者の経営体質の脆弱性という問題で指摘されることもあります。

 そして、さらに、そのコストを削減するために、国や地方自治体が施設を整備いたしますよということになります。そして、卸売市場の管理運営は地方自治体が行います。そのかわり、業者の方たちは低い利益率ですから、我々も低い家賃でといいますか、使用料でお貸ししますということで、言ってみれば、業者と地方自治体等が組むことによって低コストの供給システムができたということになろうかと思います。

 ただ、この地方自治体の管理運営につきましては税金が投入されるということで、その点が問題にされることもございます。

 そして、このような形でできた卸売市場、中央卸売市場というのは、非常に特徴的な市場でございます。これは、欧米の卸売市場、あるいは中国や東南アジアの卸売市場、アフリカの卸売市場とは大きく違っております。

 どのように違うのかというと、五ページ目のところに幾つかありますが、特に特徴的なものとして、一つは卸売業者が少数だということです。どのように少数なのかといいますと、例えば、水産物部、青果部あるいは花卉部、食肉部と、各部ごとに卸売業者の数は一ないし二になっております。築地市場の水産物部は卸売業者七社ということで、これはちょっと例外的に多いんですけれども、一般的には一ないし二です。築地市場の青果部も一卸売業者となっております。

 そのような形で、卸売業者の数が少なくて取扱規模が大きいということで、多種多様な品目が大量にまとまった形で入荷できるということになっております。

 また、もう一つ大きな特徴としては、卸売業者と仲卸業者が存在するということでございます。

 この卸売業者というのは、言うまでもありませんけれども、生産者、出荷者側に立って、できるだけ高く販売しようという立場にありますし、仲卸業者というのは、これは仕入れ業者側の立場に立って、できるだけ安く仕入れようということでございます。つまり、立場の違う業者が卸売市場の中で活動している。その結果として、やはり、価値を厳密に見きわめた価格形成ができるんだということになってくるかと考えております。

 そういった形で、非常に多種多様なものが集まり、かつまた、価値についても正確に判断するということが行われているものですから、現在でも、スーパーマーケットといいますか、量販店といいますか、そういったところも卸売市場から仕入れている割合が極めて高いということになります。

 実は、御存じのように、欧米では、スーパーマーケットが出てくると卸売市場は衰退するということが言われております。これは、日本の卸売市場とシステムが違うからだというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。

 そういった卸売市場ですから、非常にさまざまな機能、非常に特有な機能等を果たしております。卸売市場の機能としてよく言われるのは、六ページ目のところに書きましたように、1から4でございますが、そういったようなことを言われますけれども、もちろんこういった機能を果たしておりますが、それよりも更に深い機能を果たしているだろう。というのは、七ページ目のところになりますけれども、少なくとも、そこに挙げたような三つの機能を果たしているだろう。

 一つは、非常にオープンな取引を実現する役割、機能である。これはどういうことなのかと申しますと、必要とする人々が卸売市場を利用できるんだということでございます。例えば、生産者の方々は、生産したものを誰でも卸売市場に持っていけば販売してもらえるということになります。ただ単に販売してもらえるだけではなくて、次の図二の一から図二の三を見ていただきたいんですが、そこではキュウリとサンマと輪菊を例として取り上げておりますけれども、そういったものの入荷量が日によって大きく変化するのをこれから読み取っていただけるかと思います。

 実際、御存じのように、農業生産にしても漁業生産にしてもそうですけれども、これは日によって大きく収穫量、漁獲量は違ってくるわけです。そういったものを全て卸売市場は対応しますよということになります。こういうことは、実は、御存じのように、契約取引などでは到底できない話です。卸売市場があるからこそこういうことができる。ということで、生産者の方々も、もしものときは卸売市場に出すことができるんだということで、生産に専念できる、安心して専念できるということになるだろうと思います。

 一方、小売業者の方々も、いつでも、必要があれば卸売市場に行って仕入れることができるということになりますから、日本の場合は、先ほどのお話もございましたように、非常に寡占率が低い、大手の量販店の寡占率が低い。つまり、自由競争が確保されているということになるだろうと思います。もちろん独占禁止法も、これは必要かとは思っておりますけれども、こういった自由競争を確保できるようなシステム、これは非常に重要かなというふうに考えております。

 そして、さらには、先ほども述べましたけれども、立場の違う二種類の業者が活動することによって、非常に厳格に価値を判断し、そこから価格が形成されてきているということが大きな機能として挙げられるだろう。

 その結果として、これはいろいろなことがございますけれども、例えば我々のような消費者であったとしても、実は、価格を見て価値を判断することができるということになります。我々のような一般の消費者が、例えばマグロを見て、幾つかのマグロが並んでいて、その価値を判断せいと言われても困るんですけれども、値段がついて、違いがあれば、そして、その値段の違いが卸売市場で価値に基づいて決まってきているんだということになれば、我々は価格を見て価値を判断できる、これを買ったらばおいしいのかなというようなことを判断できるということになります。

 さらには、卸売市場は、先ほどから申し上げていますように、非常に、コスト面でもかなり低く、低いコストでもって物を供給するというようなことがありますから、我々の生活の豊かさにも大きく貢献しているということも挙げられるだろうと思います。

 そういったようなことで、このような卸売市場に特有な機能を果たすことによって、卸売市場は社会に大きく貢献できているというふうに考えてもいいだろう。つまり、そういった意味で、非常に高い公共性を持っているんだというふうに考えてもよろしいかなと思っています。ただ、そういった卸売市場だからといって、時代の変化の中で、改革ももちろん必要でありましょうし、市場法の改正というのも必要になってくるだろうと思います。

 ただ、今回の市場法の改正に関しては幾つかの懸念もございます。

 一つは、開設者の件でございます。

 開設者が民間企業になるということ、これが一概に悪いというわけではありません。例えば、地方卸売市場でも民間企業が開設者になっております。しかし、地方卸売市場と中央卸売市場では取扱規模が違うんだということは考えなければならないだろうと思っております。

 そして、もしも民間企業が開設者になったときにどういうことが起きるのか。これはさまざまなことが起きる可能性があろうと思いますが、一つは、市場使用料、施設使用料が上がるということは十分に可能性があるだろう。

 実は、先日の報道で、浅草の浅草寺の仲見世商店街の家賃が、昨年までは一平米当たり千五百円であったのが、一月一日から一万円になったということを聞きました。そして、八年後には千五百円の十六倍ほどの二万五千円ぐらいですか、になるんだということを聞きましたけれども、それはどうしてなのかというと、その仲見世商店街の施設は、もともとは東京都が所有していた、それを昨年お寺さんに譲ったということで、その使用料が、使用料といいますか家賃が上昇したんだという話だったかと思います。

 卸売市場の場合も、そういう可能性が多分に出てくる。

 実は、先ほども申し上げましたように、卸売市場というのは極めて営業利益率が低い。この営業利益率の低さというのは、トヨタと比較することはともかくとしても、例えば卸売市場の施設の利用料が全体の卸売額に占める比率と比較しても、営業利益率の方が低いんです。

 ですから、もしも使用料が倍になったらば、即赤字になってしまう。企業としては当然、ですから、赤字のままで済むということにはならないわけです。となると、手数料を上げざるを得なくなる。手数料を上げるということは、価格が上がるということになるだろうと思います。

 この価格が上がるというのは、消費者にとってはもちろんデメリットです。それだけではなくて、生産者にとって、じゃ、メリットなのかというと、これは、生産者の方が、価格が上がって手取りがふえるというのであるならばメリットかもしれませんが、単に手数料が上がって価格が上がるということになると、それは生産者の方にとってもデメリットにほかならないだろう。

 それどころか、現在、既にもう高齢化が進んでおりまして、実は私も高齢者の仲間入りをしているんですけれども、高齢化が進んでおりまして、年金暮らしの方がどんどんどんどんふえている。さらには、そういった高齢者の方々を介護して離職される方々もふえている。こういった方々が生活していく上で物が上がっていいんだろうか、生活の基本的な物資が上がっていいんだろうかという問題がありますので、その辺のところは十分に御検討いただければ。

 できましたら、そうならないためにも、地方自治体が開設者を継続できるような方法というのをお考えいただければ大変ありがたいかなというふうに思っております。

 そして、もう一つのことでございます。

 済みません、ちょっと時間がオーバーして申しわけありませんが、もう一つのことは、やはり卸売市場の将来に関してのことなのでございますけれども、これは御存じのように、今度の新しい卸売市場法の中では、卸売市場の適正な配置という言葉がなくなってきておりますし、また、卸売市場整備基本方針もなくなりますし、中央卸売市場整備基本方針あるいは都道府県卸売市場整備計画もなくなっていくだろうというふうに考えられます。

 そうなりますと、今後、開設者の権限が強化されるということもありますので、それぞれの卸売市場がてんでんばらばらに、統合、合併、あるいは新設、廃止といいますか、そういったようなことなどが進められるのかな。そうなってくると、卸売市場システムが非常に不安定化してくる可能性があるんじゃなかろうか。となると、これは生産者にとっても、あるいは仕入れ業者にとっても、卸売市場を利用する方々にとって非常に問題になってくる可能性があるのではなかろうかなというふうに考えております。

 そうならないためには、できることならば、卸売市場流通のビジョンと申しますか将来方向についても、整備基本方針等はなくなりますけれども、将来方向についてもできるだけ示すようにしていただければというふうに考えております。

 以上、時間がオーバーして申しわけございませんでしたが、私の方の意見とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

伊東委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。木村次郎君。

木村(次)委員 自由民主党、青森県選出の木村次郎でございます。

 参考人の皆様におかれましては、ただいまそれぞれのお立場から貴重な御意見をいただきました。心から御礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 まず、私の方からは、最初に、この卸売市場法、今回の改正の背景という観点からお話、議論をさせていただきたいと思います。

 卸売市場は、生鮮食品等の流通において、産地から品物を集荷し、消費者に向けて分荷を行い、またその時々の需給や品質に応じた価格を形成するなどの重要な役割を担うものであると認識しております。市場関係者の中には、卸売市場の存在が否定されるのではないかとの懸念もあったようでございますが、政府・与党における議論の中で、卸売市場が食品流通において重要な役割を果たしていることが改めて確認されたわけであり、今回の法改正におきましても、その趣旨を踏まえて、目的規定に改正されているものだというふうに理解しております。

 他方、卸売市場法は、昭和四十六年に制定され、四十六、七年が経過しておりますが、これまで二度の改正を経てきておりますものの、基本的な骨格というものは維持したままの制度であるというふうに承知しております。制定当時には生鮮食料品主体であった消費構造も、先ほど来お話ありましたが、加工、業務用や外食の需要が拡大するなど、卸売市場を始めとした食品流通を取り巻く状況、環境というものは大きく変化しているというふうに感じております。

 そこで、井上参考人にお伺いしたいと思います。

 こうした変化を受けて、先ほど、価格で提供、あるいは自由な商取引、あるいは消費者ニーズ、各プレーヤーの認識共有、そういったお話があったと思っておりますが、卸売市場を利活用する側として、いま一度、今後の卸売市場にどのような役割、あるいは機能を期待しているのか、お尋ねいたします。

井上参考人 先ほど申しましたところと重なる部分があるかと思いますけれども、要するに、お客様に対して、そのお客様の求めるもの、これは品質であり価格でありというものを提供する、それが生産から卸、小売、そこのバトンを経てお客様のところに行く、こういうことですから、そこのサプライチェーンがきちんと、どれもこれも機能が強化をされるということが極めて大事なんだと思います。

 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、卸売市場との取引、これはもちろん重要な一つの大きなチャネルでございます。

 そういう卸売市場を使っている、あるいはパートナーとしての立場から見たときに、鮮度の面での不安、これは今コールドチェーンの技術というのも随分出てきている、そういう中で、ややもすると、この卸売市場、物も、情報だけではなくて、あるいは商流だけではなく物流まで通していくということになったときに、その鮮度維持というのが難しいというような、そこに原因があるかどうかはもちろん外からですからわからない部分もあるんですけれども、でも、そういうようなことがあったり。

 あるいは、情報。これももちろん、卸と仲卸とおのおのの役割はある中で、メリットも当然ありますけれども、そこにプレーヤーが、伝言ゲームじゃないんですけれども、間にあることによって、お客様のニーズというのがストレートに生産者側に伝わらない、あるいは、いろいろな産地情報というものが我々のところになかなか届きづらくなっている。こういう情報の受発信能力というところがちょっと弱くなっている、あるいは弱いのではないか、こういう声が聞こえます。

 ですから、パートナーとして、あるいは世の中にとっても、卸売市場がそういう課題を克服、あるいは更にブラッシュアップして、お客様が求める商品というものを提供する機能を高めていただければというふうに思います。

木村(次)委員 ありがとうございます。

 今、情報発信の脆弱性とか、そういったお話をいただいたわけでございますが、そこで、川田参考人にお伺いしたいと思います。

 今、井上参考人の御意見を踏まえまして、こうした御指摘いただいたユーザー側からの期待を踏まえて、今回の卸売市場法の改正によって、現場ではどのように卸売市場を活性化していこうというふうにお考えでございますか。

川田参考人 今、井上さんがおっしゃったのとちょっと、直接関係をしないかもしれませんけれども、今回、条例での取決めになりますけれども、商物分離ですとか第三者販売あるいは仲卸の直荷引きが、今までより大分ハードルが下がるだろうと思っております。

 そうしますと、物流の効率化という点では、市場を通さないで、直接産地から加工所ですとかスーパーのセンターに持ち込めるという取引が可能になってまいります。そうしますと、物流の効率化はかなり進むだろうと思います。

 それと、それによって、とりあえず契約取引というのをふやさないといけなくなってまいりますので、契約取引をすることによって、お互いの情報の密度というのは大分深まっていくだろう、そのように考えております。

木村(次)委員 ありがとうございます。

 そうしましたら、藤島参考人にお伺いしたいと思います。

 卸売市場は、価格形成あるいは代金決済などについて、食品流通の中で重要な役割を果たしております。すぐれた流通機構であるということについては御指摘のとおりであると思いますが、卸売市場数あるいは事業者数、さらには卸売市場の取扱数量、この全てにおいて減少しているという状況の中で、このままの制度でよいとお考えでございますか。

 また、価格形成等の卸売市場の役割を十分に果たすためにも、地域や品目ごとの特性を生かした柔軟性を持った市場運営ができるようにする仕組みが必要であると考えますが、いかがでしょうか。

藤島参考人 御指摘のように、柔軟性は非常に重要だろうと思っております。

 また、御指摘の中にありました市場数の減少あるいは業者数の減少というのは、確かにそのとおりでございます。

 今後は、市場での取扱品目等についてもやはり考えていくべきであろうし、それから、更に重要なことは、卸売市場、日本の農業もそうだったんですが、一般家庭向けをどちらかというと今まで重視してきたのではなかろうか。しかし、それよりも、高齢化の中で食の外部化が進んでいることを考えていくと、やはり業務用というのを十分に今後考えていかないといけない、そういったことへの対応というのが非常に重要になってきているかなと思っております。

木村(次)委員 ありがとうございます。

 次に、仲卸業者の側に立った懸念、そういった観点で議論をさせていただきたいと思います。

 今回の卸売市場法改正の基本的な考え方は、市場で取引をする事業者を差別するようなことはしない、取引の結果は公表するといった公正な取引の場として必要な取引ルールを確保しつつも、卸売業者からほかの市場や加工事業者などに仲卸業者を経由せず直接販売を行う第三者販売や、市場取引でありながら物流は直送する商物分離などについての取引ルールは、卸売市場ごとの実情あるいは特性などに合わせて柔軟に設定できるというものであると理解しております。

 そこで、藤島参考人にお伺いしますが、卸売市場が今後多様なニーズに応えていくためには、卸売業者と仲卸業者との連携強化、こういったものが今まで以上に重要になってくると思っておりますが、研究者の立場から見まして、卸売業者、仲卸業者が卸売市場の多機能化に向けてそれぞれどのような役割を果たしていくべきとお考えでしょうか。

藤島参考人 今の御指摘のように、卸売市場の多機能化というのは非常に重要なことだと思っております。そして、そのためにも、卸売業者、仲卸業者の連携というのは、これは欠くことのできないものだというふうに考えております。

 ただ、卸売業者、仲卸業者の方々にいろいろなことをやっていただきたいというとき、一つ大きな問題なのは、先ほど申し上げた、経営体質が非常に脆弱である、なかなか新しいところに踏み込めないというような状況があろうかと思います。

 そういった経営体質をいかに強化していくのかというのは、これから考えなければならないだろう。利益率を上げるということでございますけれども、それを今後考えない限り、なかなか十分な対応はできないんじゃないかと私は危惧しているところでございます。

木村(次)委員 ありがとうございました。

 次に、川田参考人にお伺いしたいと思います。

 先ほど中澤参考人の方からも、御意見で若干触れられていたわけでございますが、卸売業者のいわばビジネスパートナーである仲卸業者からは、今回の卸売市場法改正によって仲卸の仕事がなくなってしまうんじゃないかといった懸念の声も聞こえていたところでございます。

 本法案、改正された後に、卸売業者と仲卸業者の関係というのは大きく変化することになっていくものかどうか、その見通しといったものについてお伺いします。

川田参考人 卸と仲卸、先ほど申し上げたように立場が全く違っておりまして、第三者販売と直荷引きということが行われることによって、市場の垣根、外への垣根というのは非常に低くなるだろう、柔軟性が増して、市場としては強くなるだろうと今思っております。

 特に、第三者販売で懸念されるのが、スーパーに直接売るんじゃないか、こういうことがよく言われるんですけれども、実際、井上さんおられるので後でお聞きいただければいいんですが、スーパーのセンターは、瓶、缶類、これは非常に強いんです。ただ、青果の部分は、ほとんどは手でやるものですから、それほど大きなシェアはないんですね。ですから、第三者販売で直接産地からスーパーへ持っていく数量というのは、飛躍的に伸びるというものではないんです。

 もう一つ、あと、我々は実際、卸ですから、スーパーの口座を持っておりません。代金決済のシステムも違うので、仲卸さんの口座を使うとか、商流を通しての取引というのはふえる可能性はありますけれども、それによって仲卸さんの機能がなくなるとか失われるということはございませんし、かつ、産地から大量なものが行っても、端数の調整等は仲卸さんの小分け機能がないとできません。ですので、仲卸さんの機能がそれによって落ちるとか、あるいは経営が苦しくなるということは、私はないと考えております。

木村(次)委員 ありがとうございます。

 今回の卸売市場法改正においては、国が一律に規制を課す許認可制から、公正な取引の場としての要件、こういったものは確保しつつも、各卸売市場の創意工夫の発揮を促す仕組みであるということでの認定制に移行するということとなっております。

 これとあわせて、卸売業者に対する国あるいは都道府県の許可制もなくなり、また、卸売業者に対する立入検査、こういった制度もなくなりますことから、果たして卸売市場の公正な取引が維持されるのかといった不安もあるのも事実であるというふうに承知してございます。

 そこで、また引き続き川田参考人にお伺いしたいと思います。

 今回の改正後も、卸売市場が公正な取引の場で、適正かつ健全な運営が確保される必要があるというふうに考えてございますが、開設者による指導監督で、公正な取引、こういったものは確保されると考えておられますか。また、現場での受けとめ方というのはどういったものでございますでしょうか、お伺いします。

川田参考人 今度、検査方法がどう変わるかというのは、ちょっとまだよくわからないところはあるんですけれども、今度の法律で我々が一番頼りにしているところは、差別的取扱いの禁止であります。これが公平性を担保する一番大きな法律だと思っております。

 実際の動きでは、今、産地のスケールも、年々、合併農協がふえて非常に大きくなってまいりました。買う方の割合も、八百屋さん、果物屋さんからスーパーに変わってきて、買う方のバイイングパワーも大きくなっておりまして、間に入っている流通がその両方から押されているという事実もございます。

 そのときに、我田引水的な取引をしないように歯どめをかけるための差別的取扱いの禁止、これについては、開設者、また国からの監査、今度、食品流通構造改善促進法で、不公平な取引があった場合は公正取引委員会に通知をする、こういう文言もございますので、ぜひその辺の強化をお願いしたいと考えております。

木村(次)委員 ありがとうございます。

 最後に、全国の卸売市場は、卸売市場法が制定された後に整備されて、昭和四十年代あるいは五十年代ごろに整備された市場も少なくないというふうに認識をしております。

 私の地元、青森県弘前市にあります地方卸売市場も青果、花卉、水産の市場があり、特に青果の市場というのは日本最大のリンゴの市場でして、十月後半から十一月前半、品種でいうと「つがる」から「ふじ」、この収穫のころにかけて、最盛期は本当に市場の敷地がリンゴ箱であふれんばかりの、そういうリンゴを取り扱っております。将来的には、いずれこういった施設面での市場機能の充実強化というのも必要になってくるんじゃないかというふうに推察しております。

 そこで、藤島参考人にお伺いしたいと思います。

 先ほど、経営強化というお話もいただきました。全国的に見ても、地方の卸売市場は老朽化も進んでおります。コールドチェーンなど、卸売市場の施設整備の支援が不可欠であるというふうに考えておりますが、研究者の立場から見て、卸売市場に対する公的支援の必要性をどのように考えておられますか。

藤島参考人 私は、これまでの経緯から見て、公的支援は非常に重要だろうと思っております。

 また、今後、卸売市場の機能を強化する上で非常に重要なことは、これまで卸売市場がよく批判されてきたのは、価格変動が大きいということがございました。というのは、生鮮物を取り扱っておりますから、生鮮物の生産量は日によって大きく変わってくる、となると、当然価格変動が大きくならざるを得ないということになるかと思っております。

 しかし、今後、業務用の需要がふえてくると、それに対して大きな価格変動で対応できるかどうかという問題がございます。できるだけ数量を調節して価格を安定化させるような、取引方法も相対取引で安定化しつつあるというところはあろうかと思いますけれども、できるだけ数量を調節できるような仕組みもこれからは必要になってくるのかな。となると、そういった施設整備等も今後は重視しなければならないのではないかというふうにも考えております。

木村(次)委員 ありがとうございます。

 国の方では民間の卸売市場施設整備についても予算補助で昨年度から対象にしているということで、そこはしっかりと予算を確保していくことを期待したいと思っております。

 最後に、川田参考人にお伺いします。

 全国の市場関係者の、卸売市場の施設整備に対する国の助成に対しての期待というのはどのようなものでしょうか、お伺いします。

川田参考人 先ほどお話あるように、非常に薄利でやっておりまして、資本的なバックも少ないものですから、国の援助がないとなかなか施設もできないというのが現状でございます。

 実際、卸売市場というのは、本来はいかに早く流通させるかという立場の場所であったものが、今、大手の量販店のオーダーは週末集中型、特に都市型は週末集中型で、例えば火曜日、水曜日は百ケースなのが、週末になると五百、千、こういう数になるわけですね。一方、それに対して生産の方は、日々生産するわけですから、なかなかそのオーダーにマッチしたような生産ができないわけです。

 そうしますと、どうしてもストックポイント的なものが市場にありませんと、スムーズな流通になりません。そういったものの整備というのをぜひ国の方にはお願いしたいと考えております。

木村(次)委員 ありがとうございました。

 参考人の皆様方におかれましては、今後とも、節目節目で我々に対して御指導をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 今回の法改正についてですが、卸売業者、仲卸業者だけの問題ということにとどまらずに、結果として産地側においても、どういう商品だったら売れるのか、そういった視点に立って、より工夫を凝らして、また取組、そういった意識改革にもつながっていくということを期待して、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。

 四人の参考人の先生方、貴重な御意見、大変にありがとうございました。

 御提言を踏まえまして幾つかお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、まず、四人の参考人の方にお伺いしたいと思います。

 卸売市場法が制定された昭和四十年代と比較いたしますと、現在、食品流通を取り巻く環境はやはり大きく変化をしてきたと思っております。

 そこで、まず一点目は、情勢の変化でありますけれども、卸売市場法制定当時と今とを比較して、産地とか消費はどのように変化してきているのか、どのように認識されているのかがまず一点。

 それからもう一点は、卸売市場の役割でありますけれども、食品流通における卸売市場の役割で最も大事なものは何か、どのように認識されているのか、四人の参考人の方にお伺いしたいと思います。

川田参考人 先ほど申し上げたんですけれども、制定当時は、生産者の単位が非常に小さい、購買の方も小さいということで、市場自身が、楽市楽座とは言わないんですけれども、多数の少数の出会いの場、こういう位置づけだったものが、今は生産地も大きくなった、買う方も大きくなったということで、特定少数と特定少数の出会いの場的な感覚に変わってきております。

 がゆえに、今まではその場へ行って品物を見れば値段が決まったものが、今はある程度の情報をもとに契約取引をしないと物が進まないという状況に変わってきていると思います。そういった点で、その大きなものの値段の決め方、あるいはその安定性は、これは公平性に基づくものだと考えておりますので、いかに価格の透明性を確保するかというのがこれからの市場では大変大事なことになるだろうというふうに考えております。

中澤参考人 この卸売市場法の制定当時のことなんですけれども、正直、わかりません。ちょっと私の力量を超えます。

 あと、卸売市場の制度の中で一番大事な部分ですね。

 先ほども申し上げましたように、価格形成が透明で公平であることというふうに思っております。

 よろしいでしょうか。

井上参考人 昭和の四十年代と今とを比べて、やはり売り手市場から買い手市場、ここが一番大きなところではないかと思います。

 その買い手の方のニーズも多様化してきていますし、先ほど、外食という話もありました。

 物だけではなくて、行動パターンというのも大きく変わってきておりますから、買い手市場において、そういうお客様、消費者のさまざまなニーズにどう対応していくのかということが、今、川上の方、これは川上だけではなくサプライチェーン全体ですけれども、対応をしていくということが非常に強く求められている、ここが大きな時代の変化だと思います。

 そういう中にあって、要は、卸売市場だけではないかもしれませんけれども、いかにお客様のニーズというものを、情報の伝達ですね、まず情報をフィードバックして、それから逆にその商品情報というのを小売とかのお客様に伝達する、そういう情報の伝達機能。それから、これは直接商物一致の原則というのが今回緩和されるようなことになりますと、必ずしも卸売市場に通るかどうかわかりませんけれども、物流というものの機能。それから価格機能。

 ここがいずれにしても、川上と川下の関係が変わったとしても、やはり一番大事な中間点の機能ではあるのではないかというふうに思います。

藤島参考人 生産と消費の関連でどのように変わってきたのかというのは、私も、規模拡大が進んできたというのはまず間違いないだろうと思っております。

 生産の場では法人化が進んできておりますし、消費の側ではスーパーの台頭あるいは業務用がふえてきているということがございますので、そのように進んできた。

 ただ、やはり特に重視しなければならないのは業務用だろうというふうに考えております。

 実は、この業務用というのは、野菜、果物もそうですし、水産物にしてもそうなんですが、加工品を非常に扱うようになってくる。一九八五年ごろからなぜ輸入がふえたのかといいますと、青果物、水産物とも輸入がふえてきますけれども、これは加工品が結構中心でございます。

 その加工品はなぜふえてきたのかといいますと、業務用がふえてきたから。高齢化が進んでくる中で、食の外部化が進み、その中で業務用がふえてきたから輸入がふえてきた、加工品を中心にふえてきた。そのために卸売市場の経由率は低下したんだということになってくるかと思いますので、そういった変化をやはり今後は十分に踏まえた上でいろいろなことを考えていかないといけないなというふうに思っております。

 そして、二つ目の、市場の役割としては、一言で申し上げますと、やはり社会への貢献ということが一番重要だろうというふうに考えております。

 それは、先ほどから皆様がお話しになっている価格の問題もございますし、かつまた、常に卸売市場は開けた取引の場ですよというようなこと。

 あるいは、卸売市場を通すことによって非常にコストが安くなる。もちろん、先ほど申し上げましたように、業者の方々の利益率が低いとか、あるいは、行政が支援しているということでもってコストが安くなるということもありますが、それ以上に、やはり取引単位が違うというようなことなどによって、取引単位が大量ですから輸送単位も大きくなりますから、それによるコストの低下というのも十分にございますので、そういった意味で卸売市場は役に立っている。

 そういった社会への貢献を今後とも強めていくべきだというふうに考えております。

佐藤(英)委員 ありがとうございました。

 それでは、法案の中身について少しお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、井上参考人にお伺いをさせていただきたいんですけれども、卸売市場に求めるのは一体何なのか、卸売市場への期待についてがまず一点。

 それから、よく懸念として、許可制から認定制に移行することで、大手の量販店の方々が卸売市場を買収しようとするのではないかというような懸念もあるのでありますけれども、今回、差別的取扱いや受託拒否もできないという中で、やはり業界が参入することはなかなか困難じゃないかなと思うのでありますけれども、御見解をいただければと思います。

井上参考人 今回の法律の改正で、ちょっと言葉をかえるかもしれませんけれども、やはり今の卸売市場が抱えている課題、これの解決ということに寄与するのではないかというふうに期待をするところです。

 具体的には、先ほども申し上げましたけれども、鮮度の維持に不安があるだとか、あるいは情報の受発信力が弱い、こういったところが、今回の改正によって、自由な取引あるいは創意工夫を生かす取引というようなことが可能になってくる、あるいはしやすくなってくるということを通して、今抱えている課題というものの解決、あるいは卸の持つべき機能の強化ということにつながるということを期待しております。

 それから、二番目の御質問ですけれども、私ども、もちろん全てを把握しているわけではございませんが、会員の中で、卸市場を、買収するかどうかは別として、その方に食い込んでいこうということは聞いたことはないですね。

 それは、もちろん絶対あり得ませんなんて断言は当然できる立場ではありませんけれども、まず、小売の使命あるいは性格からして、やはりお客様とどう向かうのか、これが一番でして、先ほどもちょっと言いましたが、お店から、お店を構える形だけではなくて、例えばネットの方にも行くとか、あるいは、単に商品を提供するだけではなくて、お客様の求めるサービスですね、サポート、健康サポートも含めてですけれども、そういうところに新規分野を伸ばしていくということの方が意識的には強くて、だからといって、そういうことで卸の市場の方にみずからが乗り込んでいくということ、少なくとも現状において、私のところで聞いていることはありません。

佐藤(英)委員 では、次は川田参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、生産者の所得向上、それから、卸と仲卸の関係であります。

 生産者の所得向上という観点から、卸売市場はこれからどのような役割を果たしていくべきと考えていらっしゃるのか。

 それから、今回の改正によりまして、卸売業者は仲卸業者を中抜きしようとしているのではないかというような懸念、心配もあるのも事実であります。こうした卸売業者と仲卸業者の果たすべき役割というものを、改めてお伺いさせていただきたいと思います。

川田参考人 生産者のは、今、どちらかというと、マーケットインの発想よりもプロダクトアウトといいますか、例えば、つくっちゃったので、これを何とか売ってくれ、こういう発想の生産者が非常に多いわけですね。

 がゆえに、マーケットでなかなかそれが受け入れられないということがありますので、やはり生産者の手取りをふやすためには、先ほど井上さんも言われていましたけれども、末端の情報を早くフィードバックして売れるものをつくる、プロダクトアウトからマーケットインの発想に変えることが一番大事だろうと考えております。それについては、情報発信の量をふやしていく、これが生産者の手取りをふやすためには肝要だろうと思っております。

 仲卸さんとの関係は、先ほど申し上げたように、我々の立場、機能と仲卸さんの機能というのは全く違うわけですね。

 我々は、仲卸さんを抜きにして末端と取引をしてどういうメリットがあるかというと、実は余りなくて、商流の部分で仲卸さんの機能を使わざるを得ない、小分けの機能も使わざるを得ない、我々は持っていませんから。立場も、我々は生産者の販売代理人という立場でありますから、我々が末端の小売とくっついてしまうと、生産者から見て、我々の価格決定のメカニズムが非常に不透明になってしまう。

 そういうことによって我々の信頼が落ちてしまうと考えておりますので、仲卸さんとは、ある意味、いい意味で対峙をするといいますか、片方の、生産者と消費者の代表同士でぶつかる。こういう関係というのは、これはなくならないだろうし、これが情報発信の源によりなるであろうというふうには考えております。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。

 先ほど川田参考人は、京野菜のことを話されながら、特殊野菜について言及されましたけれども、今、青果店、鮮魚店も減少しております。

 卸売市場のかつてのお得意様であった売買参加者も減っているわけでありますけれども、卸売業者から見た青果店等が果たしている役割と今後の期待というものはどのようにお考えなのか、お聞かせください。

川田参考人 やはり小売店の方というのは専門性が非常に高くて、知識も豊富なんですね。ですから、スーパーにはできない対面販売、これができるわけで、情報の提供ができるわけです。

 ですから、その辺の専門性をアピールしていかれるというのがこれから一つあるだろうし、今、小売の方の多くが成功している例は、周りの飲食店等の納めをされているんですね。非常に小回りのきく八百屋さんですと、周りの飲食店のほとんどを自分でお客様にして、小回りをして納めをされている。

 こういった仕事がありますので、小売店としては、今までのようにどんと座ってやるということよりも、そういった小回りのきく仕事も含めてやられれば、まだまだチャンスはあるだろうと思っておりますし、そうやって今伸ばしておられる方もかなりおられる、それが現状でございます。

佐藤(英)委員 また、開設者との関係でありますけれども、市場ごとに第三者販売や商物分離についての取引ルールが設定できるということについてであります。

 開設者がイニシアチブをどのように持って対応できるかという心配も強いというのも事実でありますけれども、業界としてどのようにルールづくりに参画していこうとお考えなのか、また、市場ごとのルールづくりにおきまして、国に対してどのようなことを期待されていらっしゃるのか、お聞かせください。

川田参考人 市場ごとのルールづくりというのは大変必要だろう、重要なことになるだろうと思っております。

 私どもがおりますのは東京の大田市場でありまして、規模もかなり大きいわけであります。今、全国で中央卸売市場の参加会社は八十三社ございまして、全国に散らばっているわけですけれども、消費者の構造も違うし、あるいは商品の提供の仕方も違う。いろいろ市場市場によって特性があります。ですから、そこの段階で同じルールで統一するというのは、現状、少し無理があるというふうに考えておりまして、今回、市場ごとに特性を生かしたルールづくりができるというのは非常にプラスになるだろうと思っております。

 そういった点で、ルールづくりをする場合、市場の特性を我々としては強く開設者に求めるし、また、それが、隣の町同士で余りにも違うルールで運営するのも流通に支障がありますので、その辺は国の方の関与をいただければとも思っております。

 以上です。

佐藤(英)委員 今、第三者販売のことについてもちょっと言及がありましたけれども、今回の改正によって規制が緩和された場合、卸売業者として取り組みたい第三者販売や商物分離についてはどのようにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

川田参考人 今、物流の効率化、特に運送関係は非常に厳しいものがございまして、物流の効率化というのは喫緊の課題でございます。そういった点で、商物分離取引によってなるべくおろす手間、積む手間を減らしたいというのは産地も受け側も共通の考えでありますので、これについては多く伸ばしていきたいと思っております。

 もう一つは、商物分離で第三者販売の相手方が、先ほど申し上げましたけれども、どうもイメージとして大手量販店というようなイメージなんですけれども、実際はそうではなくて、我々考えていますのは、地方の市場、これが第三者販売の対象になるだろうと思います。そうしますと、産地の方からの情報で、大きな市場がハブ化していろいろな特性を持った市場に分化をすることによって市場流通が活性化するだろう、そのように考えております。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。

 それでは、藤島参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 研究者のお立場からごらんになられて、今後の卸売市場の活性化策はどのようなものと考えていらっしゃるのか。

 また、私は北海道なのでありますけれども、北海道には民設の卸売市場もございます。この民設の卸売市場も流通においてはやはり重要と考えますけれども、公設の卸売市場と民設の卸売市場との違いなどについて御見解をいただければと思います。

藤島参考人 今後の卸売市場の活性化方策ということでございますけれども、やはり今後の卸売市場の活性化方策というのは、一つは、取扱金額をふやすための方策をどのように考えるかということと、あと、兼業業務をどのように考えるかということがあろうかと私は考えております。

 これまで生鮮品を中心に扱ってきているわけですけれども、御存じのように、青果物などにおきましても、水産物ももちろんそうですけれども、加工品がどんどんふえてきております。そのことが経由率の低下につながってきた。実際、加工品のない花卉の場合は、経由額そのものは減少しておりますけれども、経由率は大きな変化がないということがございますので、そういった加工品との関係をどのようにするか。

 つまり、加工品を取り扱えるようにするか、あるいは加工品をつくる会社に生鮮品を供給できるようにするか、その辺のところを考えていかないと、今後の卸売市場の活性化はないだろうというふうに考えております。

 もちろん、加工会社以外の業務用需要者への供給、これも非常に重要ですから、そのあたりも十分に今後考えていかなければならないだろうというふうに思っております。

 そして、もう一つの公設と民設とのかかわりということでございますが、これは、私はもちろん両方とも非常に重要だなというふうに考えてはおります。考えてはおりますけれども、公設と民設ということで取扱規模を比べますと、通常は公設の方が大きいということがございますので、公設の方が社会に対する影響力が大きいというふうに考えざるを得ないだろうというふうに思っております。

 そういった点から、現在、公設である卸売市場についてはやはりそれなりの国あるいは地方自治体の対応があってしかるべきではないかなというふうな考えを持っております。

佐藤(英)委員 ありがとうございました。

 貴重な御意見、本当にありがとうございました。食の安全、安心、それからまた安定供給の確保というのは多くの国民の願いであります。今後とも、四人の参考人の方々の御活躍を御祈念申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、佐々木隆博君。

 質疑者に一言。

 参考人に御質問する場合、先にどなたにというのをお伝えください。

佐々木(隆)委員 立憲民主党の佐々木隆博でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆さん方に大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 さらにまた、大田市場も私も視察をさせていただきまして、そのときも大変お世話になりました。

 卸売市場法の改正について、私は若干疑問を持っている立場でございます。

 卸売市場の役割というのが、先ほど来、参考人の皆さん方からもお話がございますが、あそこで競りをすることによって、適正な価格がそこで形成をされていく。同時に、生鮮品でありますから、日々、先ほど来お話がありますように、それは入荷も違う中で、価格形成をすることによって、需給調整もそこで行われている。時代のニーズで、より長期的にストックをする方法とか、それはいろいろあるでしょう。あるでしょうけれども、基本的に、この価格形成と需給調整という大きな役割を、実は競りというものを通じて行ってきたというところに非常に大きな意味が今もあるというふうに思っております。

 もう一つは、生産者と消費者の立場でいえば、極めて少数のものでも持ち込める、小さな小売店にしてみれば、小さな小売店でも、直引きできない小売店でもそこから品物をそろえることができるというようなところが卸売市場の極めて大きな役割で、先ほど来、先生方からもお話あったように、多種多様なニーズに応えてきたというのが、私は日本のこの卸売市場の役割だったというふうに思っています。

 そこで、まず川田参考人にお伺いをさせていただきたいんですが、卸売の会長さんもやっておられて、我々にとってみれば、ある日突然卸売市場法の改正というのが出てきて、どこからこんなニーズがあったのかという思いであります。

 私は生産者に近いところの立場にいますけれども、生産者団体からもそんな話、ニーズがあったというふうには聞いていないし、消費者の方が何か不満を持っていたというふうにも聞いていない。ましてや、卸売市場関係者の皆さん方が、このままでは卸売市場は立ち行かなくなるので何とかせないかぬというような話からこの改正を求めたというふうにも聞いていないんです。

 これは、川田参考人、組織を束ねておられる立場でもありますので、どこからどんなニーズがあったのか、もっと言えば、今の卸売市場で何が極めて不都合なのか、不都合でなければ変える必要がないわけですから、その点について、組織を持っておられる立場でお答えをいただければと思います。

川田参考人 商物分離等は、なるべく物流の効率化を図りたいということで、改正といいますか、緩和をお願いしたいということは国の方にもお願いをした経緯はございますけれども、先生言われるように、抜本的に卸売市場法を変えるだとか、あるいは、当初、なくすというような話もあったようでありますけれども、そういったこと自体は我々はもちろん要望もしておりませんし、寝耳に水で大変驚いていた次第でございます。

佐々木(隆)委員 おっしゃるとおりだと私も思うんですけれども、ただ、こういう法案が出された以上、我々も議論を拒否するわけにはいきませんので、しっかり議論はさせていただきたいというふうに思っております。

 中澤参考人にお伺いをいたします。

 仲卸という立場でもおいでをいただいておりますので、仲卸の立場も含めてお伺いをしたいのでありますが、二つあると思いますが、一つは、目的がやはり僕は今回かなり変わったというふうに思っております、法目的が。

 もう一つは、御指摘もありましたけれども、私は、この今回の改正の中で一番注意をして我々が論議をしていかなければならないのは第三者販売の関係だというふうに思っております。

 第三者販売も、私は、東京の大田や築地が第三者にかわるということはないというふうに思っています。地方卸売もないと思います。それほどメリットが、大手にしてみればそんなメリットがない。

 一番怖いのは、中都市の中央卸売ぐらいな規模のところだと、中には、きょう行政の長をやっておられる方もおられますが、行政はそれを結構出し前にしている、それで市場を運営しているところもあるわけですね。そこに大手の小売が来て、私がやってあげましょうかといったときに、やはりそれはお任せしてしまうのではないかという懸念がちょっとあります。

 その二つについてお伺いをしたいというふうに思います。目的と、第三者の関係です。

中澤参考人 目的ということなんですけれども、先ほどの質問とちょっと絡むかもしれませんけれども、きょうの私のこのレジュメの、スーパー上位五社のシェアというのを見ますと、これが何かヒントかなという感じはしています、私は。つまり、フランスのカルフールから日本の市場を見たときに、伸び代が十分だなと見えると思うんですよ。そのための、そういう法改正を望んでいる人たちがどこかにいるんじゃないかなというふうに考えています。

 それから、何だっけ、クモ膜下出血をやって、ちょっと……(佐々木(隆)委員「第三者の方に移行する心配はないか」と呼ぶ)どうですかね、第三者販売。ただ、築地での感触の感じで言いますと、卸はどんどん仲卸のお客に手を出していくという感じがします、築地の感じですと。

 第三者販売がふえれば透明性がなくなっていきますので、これはすごい影響が出ると思います、生産者から、消費者から、全部に。そういうふうに考えています。

 よろしいですか。

佐々木(隆)委員 次に、井上参考人にお伺いをさせていただきます。

 先ほど意見陳述をいただきまして、多様性と二極化というポイントをお話しいただきまして、私もそうだというふうに思います。

 思うんですが、消費者の欲望といいますか、消費者のニーズというのは限りなく広がっていくわけですから、価格は安い方がいいし、味はいい方がいいしという話になっていって、これは、どこかで消費者も成熟をしていかなければいけないんだというふうに私は思うんですね。

 私は、実は生産者、今生産者と言えるかどうかわかりませんが、生産者だったので、我々よく言われたことは、物を生産するとき、農産物を生産するときに、安くておいしくて安全ということをよく言われました。

 実は、そんな三つ満足させるものなんかなかなかこの世の中に存在しない。それに向かって努力はするんですけれども、それは、より安全なものをつくろうと思えばコストが余計上がるとか、よりおいしいものをつくろうとすれば安い価格のものと同じコストではなかなかできないとか、その三つのうちの何を求めるかというのが、先ほどお話をいただいた多様性ということなのかもしれませんけれども、消費者の成熟度というものもやはりこれから我々は見ていかなければならないのではないかと思うんですね。

 それで、消費者に最も近いところにおられる井上参考人の立場で、その消費者自身のこれからの、今の現状を先ほど分析いただきましたけれども、これから先、消費者はこういうふうになっていくだろう、それに対して小売としてはこういうふうにしていかなければならないのではないかというようなことがあれば、ぜひ教えていただきたいなというふうに思うんです。

井上参考人 なかなか難しい御質問なんですけれども。

 私ども、これはほかの業界、流通とは全く違うところなんですけれども、ある日、消費者志向経営という言葉を聞いたんですね。そのときに、私は、何を言っているんだろうと思ったんです。流通業界からすれば、当たり前じゃないか、消費者の方を向いてビジネスをやるというのを、今さらそういうものを進めていきましょうなんということを言わなければいけないほどほかの業界というのは消費者の方を向いていないのかということを感じたところです。

 その上で、今のお話にかかわってくるんですけれども、むしろ、我々が今目の前に直面しているのは、消費者志向経営のその先をどうするんだろうかということだと思います。消費者の皆様方のニーズ、これは、先ほども申しましたように、多様化、二極化、あるいはサービス化、こういうものに対して応えていく、そこを否定するということはあり得ないと思います。

 ただ、では、目の前のお客様のニーズ、私、ちょっと造語で二つのESと言っているんですけれども、一つ目のEはエンバイロンメント、環境。それからもう一つのEは、昨今の人手不足の中で、エンプロイーですね、従業員。目の前のお客様のCS、カスタマーサティスファクションと、この二つのEのサティスファクション、ESをどうバランスをとっていくんだろうか、そういうことが非常に問われている時代だと思います。

 これは、もちろん小売で何かができるというわけでもありません。ただ、一方で、そう捨てたもんじゃないというか、日本の国民というのは捨てたもんじゃないと思うのは、消費者の皆様も、もちろん、自分の欲求というのは当然ありますし、それを否定する方はまずいません。ただ、やはりその商品を見るときに、これが環境にどういう影響を与えるんだろうかというような、そういうことを感ずるお客様というのもたくさんおりますし、そういうお客様との協力関係を得ることによって、例えば、私どもが進めているレジ袋の削減であるとか、あるいは温暖化の防止であるとか、これはやはりお客様の協力、理解がなければ全然できないことなんですけれども、おかげさまで、そういうものも一定の範囲ではございますけれども進んでいるところでございます。

 そういうことで、なかなか、小売で何かができるか、こう問われると難しい面もあるんですけれども、単純に目の前のニーズ、欲求ということではなく、これから自分たちの子孫まで含めて、そういったところまで含めて消費者としてのニーズというものを考えていく、そういう時代にこれからは入っていくのではないかなというふうに思っております。

佐々木(隆)委員 ありがとうございます。

 これはあえて質問はしなかったんですけれども、地方の中都市に行って、私は田舎育ちでもあるんですが、今大変寂しいことが実はありまして、それは、中都市に行きますと、どこも入り口が同じで、真ん中が同じで、出口が同じで、どこの町に行ったか印象にないというような町がいっぱいできてきております。

 それは、大型の小売店が町の両側にあって、真ん中は全部コンビニになってしまってという、町の八百屋さんとか町の魚屋さんというのがほとんど見られなくなった。かなり小さな町に行った方がむしろそういうのがあって、ほっとすることがあるんですけれども。時間が限られておりますので、そんな思いも込めて先ほどお伺いをさせていただきました。

 最後に、藤島参考人にお伺いをいたします。

 藤島参考人が常日ごろ強調されておられる二つのことがあると思うんですが、その二つのことをお伺いしたいと思います。

 それは、ちょっと今まで聞いてきたこととかぶりますけれども、一つは、開設者がこのままでいってかわってしまうのではないか、要するに、民間にかわっていってしまうのではないかということ。しかも、開設協議会とか取引委員会というのもなくなってしまうのではないかというような懸念も言われてございます。そのことが一つ。

 もう一つは、法の目的の変わったところでございますが、整備計画が今度基本方針に変わるわけでありますが、この二つの点について、藤島参考人からお伺いしたいと思います。

藤島参考人 開設者がかわる件についてでございますけれども、開設者が民間企業になったときに私が懸念しているのは、一つは業務規程がどうなるのか。

 と申しますのは、今まで地方自治体が業務規程をつくるときには、これはほとんどがたしか条例だったと思うんです。条例なものですから、地方議会が審議されます。ということで、チェックが入る。でも、民間企業が開設者になると、業務規程はそういったチェックが入らないということになってきます。だからといって、自由勝手につくるんだとか、そういうふうに申すわけじゃないんですけれども、ただし、それなりに自由にできるところがある。

 しかも、今御指摘にございましたように、運営協議会であれ、あるいは取引委員会であれ、そういったものもなくなりますので、業者の方々が何か意見を言おうとする場が非常に狭まってきている。

 ただ、今回の新しい卸売市場法では、取引参加者の意見を聞きなさいよというところがございますので、その点を幾らかカバーしているのかなというふうには思うんですけれども。

 ただ、じゃ、どれくらいの取引参加者から聞けばいいのかというところがちょっと不安だな、もっとそのあたりのところは少なくともはっきりさせていただく必要があるのかなというふうに考えております。

 もう一つの、整備計画と基本方針ということでございますけれども、やはり整備計画がなくなるということは、今後の卸売市場のあり方についての言及が、国の言及といいますか、あるいは地方自治体がどのようにしたいんだということが、これはなくなっていく可能性が高いのではなかろうかな。

 やはり卸売市場がこれだけ社会に役に立っているんだということを考えると、今後の卸売市場のあり方、あるいはビジョンと申しますか、そういったものを国ないし地方自治体の方がしっかりと示しておく必要もあるのではなかろうか。それを示されない限り、やはり中で働いていらっしゃる卸売業者、仲卸業者の方々も、じゃ、自分たちはどういうふうに持っていったらいいんだというのはなかなか決めがたいのではないかというふうに考えております。

佐々木(隆)委員 余り時間がなくなりましたので、最後に一つだけ、川田参考人にお伺いをいたします。

 今も藤島参考人からお答えをいただきましたが、認可から認定になっていく中で、市場の開設者も、あるいは卸、仲卸の関係もやはり変わっていくことになってしまうのではないかというふうに思うわけですけれども、実際に携わっておられる立場で、今回の改正によって、懸念も先ほど少しおっしゃっていただきましたけれども、どこら辺が一番心配、多少この法律が全体として縛りが緩くなっていますので、その辺についてぜひ御意見を最後にお伺いしたいと思います。

川田参考人 先ほども懸念で出ておりましたけれども、認定になりますと、今までは我々は農林大臣の認可をいただいて商売をしておりまして、今度は、我々がいる大田市場です、大田市場が中央卸売市場として認定をされる。開設者、東京都から、申請をして、大田市場が認定をされて、我々はどういう立場になるのかというと、一使用許可を得た業者、こういうことになりますので、出荷者の方から見ると、少し立場が弱くなるのかなという懸念はあります。

 がゆえに、我々が考えておりますのは、いかに法令を遵守して、法律、ルールどおりにやるかということをよく生産者の方に見ていただいて、今までと同じ信頼関係を保つ必要というのは非常に強くなるだろう、そのようには考えております。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。

伊東委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 国民民主党の後藤祐一でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆様、ありがとうございます。

 私は、もともと経済産業省流通産業課というところで、井上参考人のおられるチェーンストア協会、所管をしておりましたので、よくお話をさせていただいておりました。

 法案の具体的な中身との関係でお聞きしたいと思います。

 まず、四人の参考人それぞれの皆様にお伺いしたいと思いますが、第三者販売禁止の解禁についてでございます。

 これについては、現行でも禁止は法律上されているんですが、例外的に認められているケースがございます。例えば、残品を生ずるおそれがある場合ですとか、実際に卸売後に残品が生じた場合ですとか、あるいは、開設区域外のほかの卸売市場において集荷が著しく困難になっているといった場合に、そちらの卸売業者の方に対して卸売をする場合ですとか、要は、ほかのところに回すケースですよね、七項目ぐらい定められております。

 これはもう現行法でもできるわけですよね。これについてはそれなりの理由があるからこうなっているんだと思うんですけれども、今回の法改正では、こういった現行で認められている例外的ケース以外の方法でも第三者販売ができるようになるわけです。

 そこで、四人の皆様方それぞれにお聞きしたいんですが、まず、この第三者販売解禁に賛成の立場の方は、一体、今例外的に認められているケース以外でどういった第三者販売を認めることが望ましいと、実際ニーズがあるなり、そういうのをやりたいという声があるなり、マーケット全体を見たときもそうあるべきだというふうにお考えなのか、教えていただきたいと思います。逆に、第三者販売を解禁するのに反対の立場の方は、どうして懸念されるのか、その理由をお答えいただきたいと思います。

川田参考人 現行の、例外規定をつくりますと、月に一回程度なんですけれども、取引委員会というのが定められておりまして、取引委員会で承認を得る必要があるということで、実は、なかなかタイムリーな取引ができない、そういったネックがございました。

 今度、基本的に第三者販売が認められると、先ほど言ったような取引委員会を通さなくてタイムリーな仕事ができるようになるだろうということで、私は賛成をしております。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

中澤参考人 私はもちろん反対の立場です。

 第三者販売という言葉もちょっとなくなるかもしれないんですけれども、第三者という概念自体が残るかどうかわかりませんので。

 ですけれども、結局、今までは原則反対だったものが、今度の改正で原則自由化なんですよね。ネガティブリストとポジティブリストという言い方がありますけれども、まるきりひっくり返るので、一気に卸売市場の中の様相が変わると思います。

 今まで、いろいろな、ちょっとした法律の改正のたびに競り場というか卸売場の様子が全然変わるのをこの三十年間見てきたので、これは大変なことになるなという気がいたします。

井上参考人 私は賛成です。

 個別の取引等々にどういう影響があるかまでは、済みません、私の方で語る能力はございませんけれども、やはり規制で決められてしまうと、規制を受ける側は、いわゆるチリングエフェクトも含めてですけれども、過剰に自己抑制をしてしまうということが避けられないと思います。

 そこを自由にしていくということは、創意工夫もありますし、最初の川田参考人のお話もありましたように、一々チェックしなくても自由にできるということでございます。そういうことが、例えばみずから販路を開拓していく、あるいは受発信能力の強化をみずから図っていこうというところにつながっていくのではないかと思っております。

藤島参考人 私は、賛成か反対かと言われるとちょっと、なかなか難しいなとは思っておりますけれども、法律の中でなくなるということ自体については、何ら問題はないだろう、業務規程等で、それぞれの卸売市場で考えられていくべきだろうというふうなことは考えております。

 なぜそのようなことを申すのかと申しますと、第三者販売がなくなったことで仲卸業者が存続しなくなるということは、これはあり得ない。仲卸業者の役割というのは、先ほども申し上げた価値判断の役割では非常に大きなものがございますし、また、小分け等の面でも非常に重要な役割を担っているということがございます。

 実際問題として、御存じのように、中央卸売市場法では、仲卸業者、当時は仲買人ということを言っておりましたけれども、法には入っておりませんでした。ところが、やはり仲卸業者が必要だということで、たしか昭和三十六年あたりの法の改正だったと思いますけれども、そのときには中央卸売市場法の中に仲買人という言葉が入ってくるということで、その重要性は既に、そういった意味では歴史的にも明確になっているだろう。そういった点で、仲卸業者の役割がなくなることはない。ですから、その点から考えると、第三者販売というのを法の中に入れなくても、それ自体は問題ないだろう。

 また、仮に入れたとしても、例えば、卸売業者の方が第三者販売をやりたいということになれば、子会社などを通してやるということもできますから、法に載せたから絶対に大丈夫だということでもないだろうというふうにも私は考えております。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

後藤(祐)委員 それぞれありがとうございました。

 似たような質問をもう一つしたいと思いますが、今度は、マーケットに近い、現場でやっておられる川田参考人と中澤参考人、お二人にお伺いしたいと思いますが、同じように、直荷引きの解禁について。

 これも今は禁止なんですが、当該中央卸売市場の卸売業者から買い入れることが困難な場合で、取引秩序を乱すおそれがないというときはできるという例外規定がございます。今回の法改正では直接できるようになるわけでございますけれども。

 先ほどの感じですと、川田参考人、御賛成という立場なのであれば、先ほどと同じように、今の例外規定だとやはり足りない部分があるということであれば、どういったケースが今例外規定でもできない、けれども、この解禁によってこういうのができるようになってほしいというものがあれば教えていただきたいと思います。

 そして、中澤参考人におかれましては、まさにこの直荷引きである意味やりやすくなるかもしれない仲買のお仕事をされておられる立場から見て、ちょっとまだ見解はわかりませんが、もしこれが解禁すべきでないということであれば、一番現場で、むしろこれは得するかもしれないという立場なのに、もし難しいということであれば、その理由をお聞かせいただければと思います。

川田参考人 市場機能をより強くする、活性化するという意味で、仲卸さんの直荷引きというのはやるべきだろうと思います。今までできなかったことをできるようにして、産地からより荷を引きやすくするというのは、市場にとっては大変いいことだろうと考えておりますので、私は賛成でございます。

中澤参考人 直荷引き、これはいわば卸の第三者販売とバーターのように出てくるんですけれども、これは必ずしも対称ではなくて、非対称ではないか。

 つまり、仲卸の直荷引きというのがそれほど大きな影響を与える力はないと思っています。やっている人もほとんどいないし。ただ、第三者販売の方は、仲卸の存続を危うく、現に今危うくしているというふうに感じています。どちらも基本的には反対の立場です。

 絶対やるなという法律は、そんなにないんですよね、卸売市場法は。原則やるなということなんですね。かくかくしかじかの場合には許されるわけですから、十分弾力性があるので、それでいいのではないか、現行のままでいいのではないかというふうに私は思っています。

後藤(祐)委員 川田参考人の、先ほどの質問と今の質問と、やはり広げられるメリットがあるということなんですけれども、現行の例外を認めるところが、その手続がすごく時間がかかるとか、一個一個を認めるのに大変だとかいうことであれば、それをもう少し改善して、こういったケースは認められますよみたいなことをあらかじめある程度包括的に認めることで、運用で対応するといったことはできないのでしょうか。川田参考人に。

川田参考人 青果物の場合ですと、非常に多種多様な取引がございます。仲卸の直荷引きもいろいろなケースがあって、例えば、非常に小ロットで、特殊性があって、これは一々卸を通して、差別的取扱いの禁止がありますから、市場に持ち込めば、Aという仲卸さんが取り扱うべきものをBという小売の方が欲しいと言えば、これは買えるわけですよね、競りにかければ。

 そういった場合、仲卸さんが直荷引きをされて自分のところだけに特殊な商品を特殊なときに売るという取引をするには適した取引だと思っておりまして、現行ですと、取引委員会にかける、先ほど申し上げましたが、それをやりますと、なかなか時間が、一カ月に一回の取引委員会でタイムリーな決裁ができないんですね。

 ですから、市場の機能を活性化するという意味では、直荷引きも第三者販売もフリーにした方がいいだろうと私は考えております。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 少し違う質問に行きたいと思いますが、卸売市場そのものの経営というんでしょうか、開設から脱退してしまうような地方公共団体が結構出てきているというお話は、きょう午前中の質疑でもございましたが、今後、卸売市場、特に赤字であるようなところというのもあると思うんです。

 これは藤島参考人にお伺いしたいと思います、失礼しました。これからの見通しとして、地方公共団体が卸売市場を運営することから手を引くといったことは広がってくると考えた方がいいんでしょうか。それとも、そうでもないというふうに考えますでしょうか。

藤島参考人 今後、卸売市場法が改正されて、民営化といいますか、民間企業が開設者になれるということであれば、そこから手を引こうという地方自治体はふえるのではないかと私は思っております。実際、じゃ、どうなるんだと言われると、これはわかりかねるんですけれども、多分ふえるだろう。

 と申しますのは、御存じのように、地方卸売市場で地方公共団体が開設者になっているところは結構民営化が進んでいるという実態がございますので、そういったことは今後とも中央卸売市場についても進まざるを得ないのかな。

 ただ、やはり問題なのは、じゃ、民間企業が開設者になったときに、それぞれの卸売市場が十分に機能するのかどうかということが出てくるのではないかというふうに危惧しております。

 例えば、現在、尼崎で、これは水産だと思いましたけれども、卸売業者の募集をしているというようなことがございます。それぞれの地方都市において、やはり卸売市場は重要なんだといったときに、もしも民営化して、その業者等がいなくなったりした場合、募集しようかといったときに、じゃ、すぐ決まるだろうか。尼崎はすぐには決まらないだろうと思います。

 そういった問題も逆に出てくる可能性もあるので、そのあたりのところは、十分に地方自治体としては考えなければいけないのではないかなというふうに思っております。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 今、藤島参考人から尼崎の大変貴重な事例もお伺いしましたけれども、井上参考人にお伺いしたいと思いますが、今の尼崎のケースもそうですし、これから地方公共団体が手を引いていったところなんかを中心に、大手の量販店、店というよりは会社全体としてなのかもしれませんが、卸売市場の仕事そのものに参入したいというような意思を持っていらっしゃる会社なんかはあるでしょうか。あるいは、現時点でそこは確認できていないにしても、これからそういった機運というのは流通業の中で高まっていく感じはあるんでしょうか。

井上参考人 現時点において私のところに入ってきている情報では、そういう意欲を持っているところはございません。その上で、将来どうなるか、これはわからないというのが正直なところです。

 今、卸売市場が担っているさまざまな機能の重要性、これは間違いなく存在をします。それを誰がどう担っていくのかということですけれども、そこは、官が担う、民が担う、担い手はいろいろあるかと思いますけれども、仮にそこが、世の中にとって必要な卸売市場の今持っている機能を誰も担わなくなる。

 それは、言葉をかえれば、そこは誰かが埋めなければ、この重要な機能というのが欠落してしまうわけですから、そこは、マーケットメカニズムと申すのが適当かどうかわかりませんけれども、民間も含めた市場の力でそこを埋めていく。それは決して悪いことではなくて、世の中にとっても必要な機能というものが発揮できるということだと思います。

 したがいまして、将来、仮にという、仮定の質問ですけれども、そこでこの真空状態が発生するような場合においては、これは別に流通に限らずですけれども、市場の力あるいは民間の力も含めて誰かがそこを埋めて、世の中に必要な機能を満たしていく、そういうことではないかと思います。

後藤(祐)委員 今のようなケースで、今後、民間事業者が開設をしていった場合の懸念として、何らかの不公正な話なんかがあった場合には、最初の陳述の中でも、川田参考人から厳格な措置をお願いしたいというようなお話もございました。

 開設者に対する農水大臣の指導助言ですとか、あるいは、別途、食品等流通調査に基づく、市場の外も含めた農水大臣の指導助言、公取への通知、こういったもの、いろんな使い方があると思うんですけれども、これは本当にできるでしょうか。

 これは川田参考人と井上参考人にお伺いしたいんですけれども、私も実は経済産業省の流通産業課で流通を見ていました。民民間の取引なので、よほどルールが明確に具体的に定まっていて、個別のケースがそのルールに反していた場合には役所が動くということはあるんですけれども、ルールそのものが相当精緻に決まっていないと、民民取引に官が突然入っていくというのは実は相当慎重でいなきゃいけないというのは、多分一貫してそうだと思うんです。

 逆に言うと、これで例えば民間事業者が市場を経営されて、どうもいろんなことが起きていないとこんなことにならないよねといっても、相当厳密なルールが先にあって、個別の物証なりがないと踏み込めないと思うんですね。

 例えば、豆腐のところだとか牛乳・乳製品のところなんかはガイドラインができましたけれども、こういったガイドラインが品目別にかなりできるですとか、あるいは取引形態ごとのガイドラインができるですとか、そういったものがないとなかなか農水省が踏み込むことというのはできないような気もするんですが、そこについての、あるいはそういうガイドラインをきちんとつくってほしいという御期待も含めて、川田参考人と井上参考人に伺いたいと思います。

川田参考人 先生御指摘のとおりで、我々もそこを大変心配しておりまして、今ですと、農水省の検査、それから東京都の検査、両方受けるわけであります。そこの段階で、伝票の動きを見れば推測ができるだろうと思いますけれども、今度、農水省からの委託を受けて東京都が、開設者が検査をするということですので、それのルールの厳格化というのはぜひお願いしたいし、食品流通構造改善促進法でそのような文言がうたわれていますので、その厳格な施行というのをぜひお願いしたいと考えております。

井上参考人 私は、もう少し民間の力というか、それを信任してもいいのではないかと思っております。

 もちろん、取引についてもルールは必要であることは論をまたないところでございます。それは、独禁法あるいは下請法、こういうルールがきちんとある。したがって、それに基づいて適正にルールをつくり、そしてルールを執行するということは必要であります。

 ガイドラインが必要かということになりますと、そこは私は必ずしもそうではないんだろうと思います。

 先ほどの豆腐の話、牛乳の話、出ました。もちろん、特にメーカーさんも含めて、こういう取引は法に触れる可能性、蓋然性が高いよ、そういうような事例の紹介、あるいは逆に、こういうグッドプラクティスがあるよ、こういう紹介をする、これはきめ細かくやるということだと思いますけれども、そこに流れるルールは余り、細かくしてしまうと逆にわからなくなってしまうというところもあります。

 やはり独禁法、それから下請法、こういったところに従って、優越的地位の濫用も含めてですけれども、そういう基本的な法律というのをきちんと周知する。もちろんチェーンストア協会においても、独禁法それから下請法を始め公正取引のルール、これは周知もしておりますし、きちんと取り組むということでやっております。

 もちろん、人間がやることですから、百点満点ではないということも自覚をしております。だからこそ、しょっちゅうその取組ということをやっているわけでありますけれども、そういう基本的なルールということをきちんと広め、各企業ごとでそれを実施する体制を組んでいく、こちらの方が大事ではないかなというふうに思っております。

後藤(祐)委員 時間が来たので終わりますが、原則禁止にしておいて例外的に認めるのを現場の弾力性で広げていくというアプローチは、比較的リアルタイムにいろいろなことができると思いますし、商売のやり方が変わるので、弾力的にできると思うんですが、今回の法改正で、原則というより全面的にオーケーにしてしまう形にしますと、その基準をつくるのが、まさに川田参考人がおっしゃったように、つくってほしい、でも難しいという場合もあります。そこは私は懸念するところがあるなということを、ちょっと私の感想になりますが、申し上げて、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

伊東委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 ありがとうございます。無所属の会の大串でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆様に大変有意義な御意見をいただきまして、ありがとうございました。勉強になりました。それぞれのお立場から非常に示唆に富むお話をいただきまして、ありがとうございました。

 私も、ちょっとこの卸売市場法に関しては、去年の秋のこの農水委員会のときから随分議論をしてきた立場にありますので、非常な関心と、ある意味、危機感も持って臨んでいます。

 私自身は、この卸売市場法等の改正の本丸は、先ほどから話が出ていますいろいろな基本ルール、第三者販売あるいは直荷引き等々、今回緩和されるこの論点に関してもしっかりフォローアップしていかなければならないなとは思っていますけれども、本丸は、やはり一番心配しているのは、あるいは腑に落ちないのは、骨組みのところなんですね。

 もともと、これは、改正の話が出てきたときには、卸売市場法をなくそうというところから出てきたわけですね。なくす、全くなし、そんなところから出てきたわけですよ。そういう話ではなくなった。卸売市場法は残りました。しかし、いわゆる認可制度というのはなくして、認定制度にするとなったんですね。

 私がよくわからないのは、認可制度と認定制度、これは政府とも議論していて、いまだに私はよく腑に落ちていないんですけれども、何が違うんだろうと。

 実務の世界にいらっしゃる三人の参考人の方々、そして、藤島先生は研究者の立場としてお尋ねしたいと思うんですけれども、認可制が認定制と今回変わる中で、何がどう変わるのか、お感じになるところを教えていただければなというふうに思います。

 それぞれ四人の先生方にお願いします。

川田参考人 先ほども申し上げましたけれども、今度、我々は、認定も認可も実は受けない、東京都から市場の使用許可を得る業者という立場でありますので、我々の今の立場の、農林大臣から認可を受けるというところからすると、かなり国とのかかわりは薄くなるというふうに考えております。

 それによって生産者の方がどのように評価をしてくれるか、その辺の不安は若干持っております。

中澤参考人 認定と認可なんですけれども、インターネットでちょっと調べると、その定義がどう違うのかといったことは出てくるんですけれども、じゃ、どうなんだというと、よくわかりません。

 イメージとして、認可というのは、多分、農水大臣が責任をとるんだろうという感じで受けとめていました。今度、認定になって、きっと責任をとらないんだろうというふうにイメージしています。

 そんな感じがする条文じゃないですか、ほかの条文なんかがね。とてもじゃないけれども、責任をとれる法体系になっていないんです、たった十九条で。省令、政令が出てこないと、何が起きるんだかさっぱりわからないというものですから、きっと責任をとらなくなるんじゃないかというふうに危惧しております。

井上参考人 私も、済みません、明確なお答えはちょっとしづらいというかできないんですけれども、私も、どちらかというと耳学問で、認可と認定ということで、認可は規制で、認定というのは振興、こういうことなのかなというふうには思いますけれども、実態上どう変わるのかは、これは正直わかりません。

 ただ、一言だけ申し上げますと、先ほどのお答えにも若干関係するんですけれども、民間の力をお互いに切磋琢磨する、そういうところが基本の今世の中ではないかな。そういう中で、問題点があるようなところはもちろん規制も必要だろうと思いますけれども、逆に、どっちでも、どっちでもいいという言い方は適当じゃないかもしれませんけれども、もし大差がないのであれば自由にやっていくというのが素直なことではないかなというふうに思っております。

藤島参考人 実は、この点についても私はよくわかっておりません。逆に、私もそのあたりのところを教えていただければというふうに思っております。

 と申しますのは、やはり認可にしても認定にしても、何らかの基準があるわけですけれども、基準をパスしなければ認可を受けられないし認定も受けられないということだと、じゃ、手続上どう変わるのかなというのが全く私はわかりかねております。

 ということで、できましたらそのあたりを逆にお教えいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

大串(博)委員 私と同じ悩みに四人の参考人の先生方もいらっしゃるということがよくわかりました。

 私、もう一つ悩んでいることがありまして、現在、認可制のもとで世の中は動いているわけですけれども、現在の認可制のもとで、今の卸売市場制度というのは何かうまくいっていない弊害というのは出てきているのかなという点に関しても、これも私の実は率直な悩みなんです。

 四人の参考人の先生方に教えていただけたらと思います。今の認可制のもとで何か問題点が、これはあるなというところがあるかどうか、教えていただけたらなというふうに思います。

藤島参考人 その点も大変難しい問題だと思います。

 私も、特に現在の認可制のもとで何か問題があるのか、認定制になれば何か非常に楽になるのかということについては、今まで特に考えたこともないので、認定制になったから何か特別なこと、よくなるのかなというのは思っておりません。

 ただ、認定制になったときの問題として、やはり民間企業が開設者になるというところが非常に容易になる可能性はあるのかな。民間企業が開設者になること自体が悪いというわけではもちろんないんですけれども、先ほども申し上げましたように、民間企業が開設者になったときの問題というのもございますので、その辺のところは十分注意しなければいけないのかなというふうに思っております。

井上参考人 今の認可制に問題があるかという問いは、私、直接ではないんですけれども、わからないというのが正直なところです。

 逆に、先ほど申しましたけれども、むしろ、原則というのは自由なんじゃないのということであります。そういう自由にやっていく上で、ただ、それではマーケット、市場の力ではなかなか生み出せないとか、あるいは民間に完全に任せておくといろいろ弊害も出てくる、こういったところは、当然、規制あるいは政府の支援というところで政府の役割というのがあるわけです。

 認可制、認定制、その発想の前提が、もしそこに大差がないのであれば、繰り返しですけれども、ビジネスは自由にやるということがまず基本。そこで弊害が出てくるところ、ここに対して政策的に規制なり助成なりで措置をしていく、そういう発想が基本ではないかなというふうに思っております。

中澤参考人 認可と認定のことなんですけれども、逆ならあるんですよ。農水大臣の認可のおかげで、私、築地市場の移転反対の運動をやっていますけれども、その問題で農水省にお尋ねをすると、非常に責任を持った回答が返ってくる。これが認定になったらきっとこういう責任を持った回答は来ないのかなというふうに思っております。

川田参考人 今、不都合があるわけでは全くなくて、ただ、強いて言えば、非常に厳しい農水省の検査を受けるというのが、認可をもらっている中で一番苦しい内容ですけれども、それだけに信用力はあるだろうと思っておりますので、そこの点だけでございますね。

大串(博)委員 私が何でこれをこんなに悩んでずっと考えているかというと、先ほど井上参考人がおっしゃったように、民の力を最大限に生かして、原則自由、この辺は私も非常によくわかるところがあるんです。やはりその方がマーケットというのは効率的になっていくということだと思うんですね。

 しかし、今議論しているのは、実は、売り買いをするマーケットプレーヤーのことを議論しているわけではないんですよね。実はこの卸売市場法というのは、マーケットのプレーヤーが入ってくる、その場の設定者たる市場のことを議論しているわけですよ。市場がどうあるべきかということを議論していて、その市場自体に市場の運営者が自由に参入する参入障壁があることによって、先ほど話のあったような、原則自由だからより効率が高まるという一般的な競争原則みたいなものがそこには成り立つのかなというのが、ちょっとわからないんです。

 というのは、特に、今扱っているのは食料ですので、生鮮食料ですので、じかに口にも入る、安心、安全が非常に重要にもなる、農家の生活にも関係するという意味において、極めて公の性格の強いものを扱うところであるので、逆にマーケットというのは公でなければならないんじゃないかとも思うわけですよ。マーケットは公でよし、そこに参加する人は、自由に競争をして、できるだけよいものを安く安全に消費者に届けるように競争し合うというのがあるべき姿ではないかなというふうに思いまして、そういう意味からすると、卸売市場法の、この市場の参入者が今の公の主体だということが何がしかのマイナスがあるのかなというところが、ちょっと私、よくわからないところがあるんです。

 井上参考人にもう少し突っ込んでお尋ねしたいと思うんですけれども、これは、今、公の主体が市場開設者となって、いろいろな検査監督を受けながらやっていくわけですね。今後、認定制ということになると、公の主体以外の方も入ってこられるようになる。こういう自由競争が市場の、市場を主宰する人、マーケットを主宰する人が自由競争になると、そこに競争が働いて例えばどのようなメリットが出てくる可能性があるのか。もしよかったらお聞かせください。

井上参考人 具体的なメリットというのは正直わかりません。先ほどから申し上げていますが、認可制、認定制、そこに、認可制の方が決定的に悪くて、あるいは認可制の方が決定的によくてというのは正直わからないということは、先ほど申し上げているところでございます。

 今、参考人のほかの方の御意見なども伺って、認可制と認定制というのは、正直、運用のやり方によって実はそう大差がないのではないかなというふうにも感じております。とするならば、先ほどのところに戻るんですけれども、やはり基本的な発想で、自由にというところがスタートではないかなというふうにも思います。

 ただ、このとき、先ほどの陳述のときに一番最後にちょっと申し上げましたけれども、やはり環境が変わるということは、まず、そこに関係している方々は不安に思う、これは間違いないことだと思います。大丈夫だよ、こういうことで発車するということは、これはよくないと思います。やはり当事者に対してのきちんとした説明、そして、不安を取り除いていくということは大事ですし、それから、今回いろいろな取引も自由になるというところも、関係者間でよく話をするということになっております。やはり、こういうプロセスというのが、特に環境を大きく変えるというときには大事ではないかというふうに思います。

 その上で、認定制になれば、自由になったときに、そこでやってみて、いろいろと不都合あるいは大きな問題ということがあるのであれば、そこに突っかい棒というか、それを防ぐ措置というのをしていくということではないかなというふうに思っております。

大串(博)委員 ありがとうございます。

 自由になるときに、それがその後どうなっていくんだろうという不安の面も生まれてくる可能性もあるというのはそのとおりだと思うんですね。ですので、それに対しての手当てもしなきゃならないというのもよくわかる話でございます。

 同じような流れの中で、川田参考人にお尋ねしたいと思うんですけれども、先ほど、冒頭の陳述の中で、この認可、認定制の変化が今回起こる中で、法令によって、法令全体を見ると、今回の法律の変更全体を見ると、そんなに心配になるような形になっていないので、ある程度の安全弁は担保されているという言葉で締めくくられていらっしゃいましたけれども、その前に、ただ、省令等々に落とされている面があるので、その辺がどうなるんだろうというのが気になるところでありますという話をされました。

 もしよかったらもうちょっと具体的に、どの辺の省令、政令に落ちているあたりが気になっていて、それがどういうふうな方向であればいいなとお考えなのか、お聞かせいただければなというふうに思います。

川田参考人 省令に落とす段階で、現実と合わない形での省令の設定を非常に恐れておりまして、先ほど言ったように、原則自由にはなるけれども、都度チェックを受けなさいとか、例えば、今でいうと取引委員会のチェックを受けなさいとか、こういうルール、そこだけ残ってしまうと、原則自由というものの、実際はなかなか活動ができない。

 我々が今度一番望んでいますのは、市場の機能を高めたい、こういうことでありますので、なるべくその障害については取り除くような方向でやっていただきたい、省令によって足かせをつくらないようにしていただきたいというのが我々の期待でございます。

大串(博)委員 それから、もう一度、済みません、川田参考人にお尋ねさせていただければと思うんですけれども、いわゆる卸の皆様に対しては、もともと国の許可制だった、それに基づく検査監督措置というのが国からあって、先ほど、非常に厳しい検査監督を受けられたというふうにおっしゃっていましたけれども、今回はそれがなくなって、基本的には、市場開設者の方々がいわゆる業務規程の中でいろいろなことを決めて、その業務規程の中で、こうやって卸の皆さんが基本的ルールをちゃんと守っていただくようにするんですよということを決めて、それを国の方が認定をして、こういうふうになるわけですね。

 ですから、市場開設者の皆さんが今度は卸の皆さんを、監督というんですか、しっかり目を据えていくということになると思うんですね。それが、国による監督と、いわゆる市場開設者による監督によっては、どういったものになっていくんだろうな。私もちょっとそこがよくわからなくて、つまり実効性のあるものかどうかというところですね。

 先ほどおっしゃったように、皆さんが不安に思われないようにするためには、このような基本ルールがしっかり、いずれにしても遵守されなければならない。いずれにしても遵守されるような方向になるように、市場開設者による検査監督体制は、今の国による許可制のもとでの検査監督体制と同等なものになっていくのかどうか、その辺の見通しをどうお感じになっていらっしゃるのか、教えていただければ助かります。

川田参考人 国の検査が非常に厳しくて、開設者の検査が甘いという意味ではないんですけれども、国の検査は、あくまでも法律、市場法に基づいて検査を我々は受検するわけですが、東京都の場合ですと、やはり条例の方にかなり軸足を置く部分がありまして、農水省の検査の方では法律、東京都の方の検査では主に条例、こういうことで今検査を受けております。

 ですが、これは一緒になるのか、あるいは農水の検査だけがぽっと抜けるのかというのは、まだ我々はわからないんですけれども、ただ、法律を遵守するというところだけは揺るがないので、その検査の方法については余り変わらないと考えてはおります。

大串(博)委員 そうしたら、最後に藤島先生にお尋ねさせていただきたいと思うんですけれども、先ほどの認可か認定かのところに立ち戻りますけれども、認可が認定になっていくということになると、先ほどおっしゃったように、民間の方が開設者となり得るということがある。そのときに、先ほど、先生のお話だと、いろいろな過程の中からいろいろなコストが上がっていく可能性があるという点のマイナスをおっしゃっていました。

 それ以外にも、先ほど私が申し上げたように、マーケットの開設者に民間業者としてなる、そこが競争状況になるということで、何がしかの不安あるいは心配、リスク、そのほかにもどういうものがあり得ると考えられるのか、教えていただければ助かります。

藤島参考人 私が心配していることは、先ほど申し上げたように、一つはコストの問題があるんですが、もう一つ、場合によると非常に大きな問題として出てくるのは、寡占化の問題があるのかなというふうに考えております。

 と申しますのは、例えば、今度、豊洲市場が年間の運営費が百億円ほどの赤字になるというお話なんですけれども、そんなような大きな金額になるということになると、仮にそこに民間企業が開設者となって登場するということになった場合、小さな民間企業ではまずできないだろう、大きな企業になるだろう。

 大きな企業というと、どういうところになるのか。その大きいところが、一概に言ってまた悪いというわけでもないんですけれども、ある大きな企業が、小売業界等も系列化しているような大きな企業が開設者になった場合、そして百億円なりの赤字があるんだというようなことになった場合、どのような形で収益を上げようとするかということをやはり考えてくるだろう。その場合には、やはりそこの、豊洲であれば、まあ豊洲とは限らないですけれども、豊洲のような大規模な卸売市場を傘下におさめたならば、そこをてこにしながら寡占化を、自分たちに有利な寡占化を進めるということが出てくるのではなかろうか。

 そのときに、業務規程は開設者が決めることができますし、卸売業者、仲卸業者については開設者が許可するということになるだろうと思うんですね。そうなりますと、極端な話、開設者の言うことを聞かない卸売業者、仲卸業者にはやめてもらってもいいですよという話が出ないとも限らない。そういうような危険性もあるんじゃないかということを私は心配しているところであります。

大串(博)委員 大変勉強になりました。どうもありがとうございました。

 終わります。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 四人の参考人の皆さん、きょうはどうもありがとうございます。それぞれに質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、川田参考人にお伺いいたします。

 大田市場の四月二十日のときの視察も大変お世話になりました。あのとき川田会長が述べられたこと、私、かなり印象に残っています。今も出ました認可、認定の関係ですね。認可は農水大臣から受けた金看板である、そして産地からも、任せておけば大丈夫だろうという信頼感があった、認定は開設者から使用許可をもらう立場に変わるようなものになると。

 今後、産地からどのように市場の卸売業者は捉えられるのか、見られるのか。国や地方自治体の関与の必要度というのもだんだん薄まっていくのではないかというふうに思いますけれども、思うところをお聞かせいただきたいと思います。

川田参考人 今御指摘のとおりで、産地の方から見ると、今までは国のかかわりがあるといいますか、農水大臣の認可を得た業者ということで、ある程度の信頼感はあったと思うんですけれども、今度はそれが開設者の使用許可を得る一業者ということなので、そういった卸会社の信用力というのは落ちると考えてはおります。

 がゆえに、やり方をより明確にして、向上しながら信頼を得る、こういった仕事がこれから必要になるなというふうには強く感じております。

田村(貴)委員 続けてお伺いします。

 川田会長、大田市場で取り扱う葉物は四十種類、しかし、大手スーパーは店頭でもやはり三十種類だと。二カ月ぐらい日本列島を縦断する野菜、葉物を適宜仕入れていく、これはやはり量販店では、卸売業者にはかなうことはないと。それはなぜなのかといったところが知りたいので、教えていただけますか。

川田参考人 先ほども申し上げたんですが、やはり基本的には食文化でありまして、例えば、欧米の食卓ですと、野菜というのは大体レタス一品ぐらいで終わっているケースが多いんですね。

 日本の場合ですと、季節によって、小鉢をたくさんつくりまして、少量多品種の野菜を食べる、食卓を飾るというのが食文化でございますので、そういう食文化にマッチするためには、どうしてもスーパーも三十種類の葉物をきょう用意をしないとニーズに追いつかないということであります。

 その三十種類を全部自分で引こうとすれば、その一瞬はできるんですが、これは実は、日本列島は、先ほど申し上げたように、二カ月ぐらいで産地が一遍に変わってまいります。ですから、北海道から沖縄まで全ての産地にそういったルートをつくるというのは、やってできないことはないでしょうが、非常に非効率的で、ワンストップショッピング的な市場に来て買った方が効率的ということで、今、青果物が八五%ぐらいの市場率であるということになっていると思います。

田村(貴)委員 そういう意味では、卸売市場というのはすばらしい役割を果たしているなというふうに思います。

 私もよく考えてみたら、地元の北九州におるときも、ここ東京で宿舎生活をしているときも、やはり少品目で、それから新鮮なもの、それから少量のものを何か買っているような気がします。量をまとめて買うということもあるんですけれども、これはやはり日本の食文化なんだなというところで、卸売市場の果たしている役割は非常に大きいものがあるんじゃないかなというふうに思います。

 そこで、近代、近世の傑作と言われた中澤参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、この卸売市場というのは、卸売業者と仲卸業者が正面から向き合って適正な価格形成をしているというようなお話でありました。そうはいっても、競りは一部のものとなった、競りが、たくさんやっているところもありますけれども、一部のものになってしまったと。相対や直接販売がふえてしまった以上、その中でもこの適正な価格形成、原理というのは維持されているのでしょうか。それは、どういう仕組みによって維持されているのでしょうか。

中澤参考人 競りが、実際、非常に少なくなっています。品目によっては、本当に競らない品物がふえました。今、一七%とか、そんな感じかな。ずっと前はもっと多かったんですけれども、その程度になっています。

 じゃ、その価格形成機能が働かないかというと、競りが一番いいんです、もちろん競りが一番いいんです、競りが、オープンだし、一番いいんですけれども、競りがなくても、相対取引でも、仲卸がいることによって一定の価格形成機能を発揮できるということはあるんですね。

 例えば、卸売場に魚がずらっと並びますよね。そこを仲卸の人が歩いて、その魚を見ながら、自分のお客さんの顔を思い浮かべながら、これが幾らだったらあの人が持っていくという、何でも構わず仕入れるんじゃないんですね。その顔と、自分のお客さんと魚を頭の中でつないでいくんですね。これは幾ら、あっ、あの人が持っていくとかというふうにして仕入れるわけです。

 そのときに、その値段を聞きながら回るわけですよね。それは、仲卸が、例えば築地だったらば五百ありますから、その五百人以上の仲卸の人たちがその値段を聞いて歩く。その過程で、余りすっとんきょうな値段を言うような店では、今は厳しい時代にやっていけませんから、一定の相場観というのが生まれてきて、価格形成の機能は一応発揮されているというふうに考えています。

田村(貴)委員 なるほど。中央市場には仲卸業者がいるからこそ適正な価格だ、相対も、そういう緊張感のある交渉、そして、緊張感のある、言ってみれば価格取引が行われている、そういうところだというふうに思うわけです。

 卸売市場のやはり何といっても大きな存在は、仲卸業者の目ききにあるというふうに思っております。東京市場の、築地の移転のときでも、目ききの話はよく話題に上ってまいりました。

 中澤参考人に、目ききが果たしている役割、これは生産地、生産者にとっても、それから消費者にとっても大きなメリットがあると思うんですけれども、毎日お仕事をされている中で、目ききのことについて少し教えていただけますでしょうか。

中澤参考人 かくいう私は、目ききじゃないんですけれども、そこで働いているだけなんですけれども。

 よく移転の問題とかで、築地ブランドという言葉が出るんですよね。築地ブランドというのは何だろうなというときに、いつもこういうふうに言うんですけれども、七年か八年前なんですけれども、ちょうどその日のマグロの中で、沖縄のマグロが一番いいと、いい値段がついたときがあるんですよ。沖縄ですよ。それは珍しいので、当時の新聞に載りました。結構な値段がたしかついたんですけれどもね。これが築地ブランドなんですね。

 つまり、築地の仲卸が、このマグロがきょうは一番だということで値段をつければ、それを超一流のすし屋さんが買っていくんですね。沖縄だから要らねえとは言わないんですね。ああ、これが一番だったら、仲卸がそういう目ききをしたんだったらそれは間違いないということで、一流のすし屋さんが買っていくんですね。

 ということは、つまり、日本じゅうには、大間のマグロだったらそれは名前があるでしょうけれども、特段、名前にブランド力を持たない生産者というのは、まあ普通の生産者ですね、幾らでもいるわけですね。そういう人たちがいい魚をとったときに、沖縄でそのいい魚がとれたときに、築地で値づけをしてもらえばこれは適正価格でインチキなしだという信用があるから、よし、これはいい魚だからいい状態で東京まで送ろうということになるわけですね。

 これがもし、仲卸がちゃんと仕事をしない、価格形成機能が緩んでしまっていると、これを東京まで送ろうということにならないと思うんですね。だから、仲卸というのは非常に重要だし、ブランドとかアイテムというのはそうやって生まれてくるものだと思います。

田村(貴)委員 引き続き、中澤参考人にお伺いします。

 第三者販売の解禁の問題ですけれども、この禁止がなくなれば、一番影響を受けるのはやはり仲卸業者ではないか。実際、仕事は減っていくんでしょうか。それともまた、仲卸業者がもう存亡の危機に立っていくのかとか、そういったお話は今業界の中で出ているんでしょうか。お考えについてお聞かせください。

中澤参考人 仲卸の経営者と話す機会は多いんですけれども、アジとかサバとかイワシとか、いわゆる箱物業界と言われていますけれども、一般物の大きなロットで、例えばスーパーなんかが持っていくような品物が、そういうお店がすごく多かったんですけれども、次々と築地で潰れています、箱物業界のお店が。

 そういうスーパーなんかにはもう卸が直接どんどん売ってしまう、それで廃業が相次いでいるという現実はあります。

田村(貴)委員 続いて、井上参考人にお伺いします。

 昨年の九月に、イオンモール神戸南が開店しました。私も新聞で読んだだけなんですけれども。このイオンモール神戸南の隣は神戸市中央卸売市場であると。核店舗のスーパーの青果や魚の半数近くをこの神戸の中央卸市場から仕入れるということであります。大手スーパーであっても、卸売市場から商品を仕入れている。

 先ほど川田会長からお話を聞いた、やはり全国、流れていく青果を、多品種をしっかりと仕入れることができるといったところの市場を利用している点についての、チェーンストア協会から見た、量販店の側から見た卸売市場の評価点について教えていただけるでしょうか。

井上参考人 これはもう大変力強いパートナーだというふうに思っております。

 冒頭の意見陳述でも申し上げましたけれども、やはり消費者の皆様方によりよいものをお手ごろの価格で、要するに、お客様が求めるものを提供するということで力を合わせていくということだと思いますし、力を合わせるという抽象論ではありますけれども、やはりその上で、我々、小売のサイドとして、卸売市場の持つ力、これは大変高く評価しております。

 だからこそ、今、いろいろな課題、先ほども申しましたような課題、これを更に解消して、あるいは克服して、更に競争力を高めていただくということが大事だというふうに思っております。

田村(貴)委員 わかりました。

 今度の法改正に基づけば、民間企業であっても、条件を満たせば卸売市場を開設することができるわけであります。

 今まで質疑があった中で、では、井上参考人に、企業の方がこういったところの出店あるいは開設を考えているのかといったところでは、今のところ、ちょっと、手が挙がっているところは聞いていないというようなお話だったというふうに思うんです。

 もし、市場を開設するということになりましたら、今まで自治体などがやってきた部分は、かなりお金もかかり、手間もかかり、そういう仕事があったというふうに思います。固定資産税も払うことになります。それから、指導や検査監督、細かいルールの設定、いわばパブリックな側面というのが相当、やはり卸売市場を開設するに当たって、運営するに当たって、そういう仕事が出てくるということであります。

 先ほど藤島先生からお話があったんですけれども、仲卸、卸の利益率というのは物すごく低いんだといったところで、こうした参入について、いわゆる民間企業においてはペイができるのかというような部分も私、ちょっと考えるんですけれども、こうしたことを考えたときに、今時点での御所見は、どういうふうに思われているか、お聞かせいただきたいなと思います。

井上参考人 現時点で、私のところに、手を挙げている、そういう声が聞こえてきておりません。これは先ほど申したとおりでありますし、ではこの先どうかということは、それは確約ができるわけではありませんので、ここは推測の部分も含めてですけれども、もちろん数字の部分もありますけれども、開設をするということ、これはまた別のノウハウなんだろうなという気が非常にしております。小売の持っているいろいろな機能あるいはノウハウ、そういったところがあるからといって、直ちに市場の開設者としてそのまま通用するかというと、恐らくそういうことではないのではないかなというふうに思います。

 先ほど申しましたように、これは別に、したがって、小売だからどうこうということではなくて、新しい改正、仮に国会で通った場合に、新しい制度に変わって、そこで、御懸念が出されたように、仮に、今の公設の市場、地方自治体などが、これがギブアップするというか、そういうことに仮になった場合に、そこで、誰かが多分、その重要な役割というのを買って出てくる、こういうことはあるんだろうと思います。

 ただ、それはあくまで一般論でありまして、ではそこで小売が出てくるかどうかということについて、出てくるというような予測を持っているものではございません。

田村(貴)委員 最後に藤島参考人にお聞きしたいんですけれども、その前に、済みません、川田参考人にもう一つ確認させていただくことがあります。

 先ほど、第三者販売のことについて、タイムリーな取引ができるんだということで、取引委員会が、この認可が支障になっているというようなところだと思います。第三者販売が全てという前提でお話しされたのではない、そういうタイムリーな取引があるときにこうした柔軟な措置がある方がいいというふうに私は受けとめたんですけれども。

 もう一つ、川田参考人は、仲卸業者がいない取引は余り意味がなく、メリットもないんだ、卸業者にとってみたら意味がないんだというふうに言われました。しかし、法改正に当たって、もし同じ系列の買参人、小売、スーパーバイヤーが第三者販売で卸から直接買っていってくれる、これは双方にとっていい話ではないかなというふうに思うんですけれども、お二つのことを言われた中で、ちょっと私の交通整理の上でも、仲卸業者がいないとやはりまともな取引ができないというところをいま一度解説してもらえますでしょうか。

川田参考人 取引の主体が、我々の場合は生産者になるわけですね。集荷をするというのがメーンの仕事でありまして、我々自身が実際はスーパーの口座を持っているわけでもなく、販売については、品目等の調整は仲卸さんがやっておられるんですね、小分けの問題もありますので。

 全ての商品が産地から直接スーパーのセンターあるいはバックヤードに持ち込めるようになれば、おっしゃるように、仲卸さんの機能というのは要らないのかもしれませんけれども、実際はそういう取引はほとんどなくて、今、店舗数がふえればふえるほどスーパーのセンターも満杯状態、特に青果の部分とか水産の部分は少ないですから、じかにできないんですね。何をしているかというと、市場自身をセンター化を図っているケースがかなりあります。そのときに実際動いておられるのは仲卸さんでありますし、また、代金の決済のリスクも実は仲卸さんがとってやっておられるわけですね。

 ですから、そういったところに新たに我々が入っていって大きなメリットがあるとは今は考えておりません。

田村(貴)委員 藤島先生にお伺いします。

 お話をずっと集めて、集約していきますと、あした、あさって法改正しなければ市場が大変だ、消費者も生産地も大変だというような形には僕はならないんじゃないかなというふうに思います。

 そうした中で、この法案というのは、先生からごらんになって、誰にとってメリットがあるんでしょうか。生産者にとってでしょうか、卸業者でしょうか、仲卸さんでしょうか、買参人でしょうか、消費者でしょうか。

 私は、午前中、きょう質疑しまして、いわゆる市場関係者抜きの議論が規制改革推進会議なんかで行われてきた、そうした論議の過程から間違っているということを言わせてもらったんですけれども、今、きょう参考人さんのお話を聞いていると、何か法改正の必要が本当に喫緊に迫っているのかなという思いも強くしたところです。

 先生の御所見をお聞かせいただければと思います。

藤島参考人 一つは、今御指摘いただいたように、あす、あさってでも改正が必要かということになると、そうではないだろうと私も思っております。これは、先ほどから皆様方の御意見の中にも出てきたように、市場側がといいますか、業者側が望んでということではないということを考えても、その点は理解できるかなと思います。

 ただ、もちろん、何の法律でもそうですけれども、変えたい部分、変わった方がいいかなというところはそれぞれ卸さんにしても仲卸さんにしても持っていたかとは思うんですけれども、ただ、それほど切迫したものではなかっただろう。

 じゃ、これは誰にとってのメリットなのかということになりますと、市場外の人にとってのメリットということになるんでしょうか。例えば開設者になりたいというところがあれば、そういった方々にとっては少なくともメリットであるだろうというふうに思われます。

 的確なお答えができなくて申しわけないんですけれども、大体そんなような感じです。

田村(貴)委員 時間が来ました。終わります。

 参考人の皆さん、ありがとうございました。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日は、参考人の先生方にお越しいただきまして、大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 私は最後の質疑者ですので、繰り返しの質問もあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 まず、川田参考人に伺います。

 先月、大田市場を視察させていただきまして、市場関係者の皆様の御意見を伺いました。大変貴重な機会をいただきましたこと、まことにありがとうございました。

 川田参考人からも、メリット、デメリット等についてお話をお聞きしました。許認可制から認定制に移行することで、農林水産大臣の認可から東京都の認定になることについては、産地サイドからすると、信用面での不安が出てくるとの御懸念の声をお聞きしました。

 後ほど、メリットについてもお聞きしますが、まず、この点につきまして、周りの方々の不安の声、実際にどのような影響が出る可能性があるのか、川田参考人に伺います。

川田参考人 認定を受けるのは、我々ではなくて、先ほど申し上げたように、市場が受けて、我々は使用許可を得るという、かなり立場としては弱くなりますので、そこについての不安は正直ございます。

森(夏)委員 川田参考人に、法改正によるメリット、期待する点についてもお伺いしたいと思います。

川田参考人 今までですと、ほとんど卸売市場法で決まっていたものが、今度は開設者ごとの条例に落とせるということでありますので、市場ごとの運営、先ほど申し上げたように、全国八十三社ございますけれども、規模からいいますと、我々、二千億を超えているんですけれども、それから、百億に満たない会社もあるということで、三十倍ぐらいの差がある会社が今運営をしております。エリアも全国にまたがっておりますので、そこの段階で、同じルールで同じスピードでというわけではなくて、エリアごとの、開設者ごとのルールがある程度広がっていくということは、市場の活性化にはつながる、それがメリットだろうと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 中澤参考人、井上参考人、藤島参考人からも、それぞれの立場から、本法律案の改正によって考えられるメリット、デメリットについてお聞かせいただきたいと思います。

 今回の法改正によって現場に混乱が生じることのないよう、現場の声をしっかり取り入れなければと思っております。本日の参考人の先生方からの御意見は、今後の審議にもしっかりと生かさせていただきたいと思っております。周りの声、現場の声をあわせてお聞かせいただければと思います。

 本改正案に期待する点、メリット、デメリットについてお願いいたします。

中澤参考人 本改正案については、私が期待しているのは、これが可決しないで流れてしまうことを望んでいます。非常にこれは危険なことをやろうとしているというふうに私は認識しています。

 デメリットに関してですけれども、先ほど余り詳しく述べなかったんですけれども、築地の場合なんですけれども、大体みんなの、どんな感じかということは、ほとんどの人が知らないです。周知が全くされていないんですね。きょう、院内集会、おかみさん会が企画して、やったと思うんですけれども、その院内集会の案内を配ると、えっ、何これというようなあんばいです。

 それから、私のレジュメの方に問題点はいろいろ書きましたけれども、十九条の条文を読んでも、これがどうなるんだかさっぱりわからないですよ。中央卸売市場法だって二十何条あったと思うんですよね。それよりもっと少なくなって、政令、省令をこれからつくらないとどうなるんだかさっぱりわからないので、これをこのままやるのというふうに思います。

 それから、第三者販売を私は心配しています。仲卸の力がこれ以上落ちた場合に、卸売市場の価格形成機能が十分に発揮できないような、もう既にちょっとやばいんですよ。今、現時点での築地市場の価格形成機能なんかも結構やばいんですよ。それがもう一歩、二歩進んでしまうんじゃないかと非常に危惧をしております。

 それから、開設区域、開設促進の勧告もなくなりますよね。そうすると、例えば、国鉄民営化のときみたいに、地方の方に行政サービスが行き届かないようなところが生じやしないか。今は、そういうところがあれば、農水大臣がここをやりなさいということができるわけですけれども、それもなくなるということで、非常に心配しています。

 よろしいでしょうか。

井上参考人 改正法に期待するところは、やはり、尽きるところ、消費者のメリットに十分に役立ってほしいということです。

 すなわち、先ほど来申し上げていますけれども、お客様の求めるニーズに対して、サプライチェーンがおのおの、その機能をきちんと果たしていく、そのためには、やはり創意工夫を始めとして自由にやっていくということが基本だろうと思っています。そういう意味で、今回の改正には非常に期待をしているところでございます。

 他方、これも陳述のときの最後で申しましたけれども、その思いと期待と、それからそれを現実に受けとめるプレーヤーの方々の思い、ここをすり合わせをしていくということが大事です。

 デメリットという言い方になるかわかりませんけれども、やはり環境が変わるのは、人間誰でも不安だと思います。特に法律の、仮にこれが国会で通った場合に、きちんとプレーヤーの方々に対してその法律の目的、趣旨、もちろん、その前、政省令をつくるということも当然ですけれども、制度の詳細設計、そういったところをきちんと丁寧に御説明をして、そして、一人一人が生き生きと、創意工夫を凝らして、お客様が求める商品というものを、生産、卸、小売、これをみんなで力を合わせて進めていくということだろうと思います。

藤島参考人 今回の市場法改正に期待することということでございますけれども、私は、どちらかというと、ほかの方も大体同じ御意見であると思いますけれども、今回の市場法の改正はちょっと唐突というような感じを受けておりまして、こういうことがあるからぜひとも改正してほしいということがなかったものですから、特別な期待というのをそれほど強く持っているわけではございません。

 ただ、今回の市場法の改正で幾つかメリットとして取り上げることができるのかなというのは、例えば、今回、調査をして、不正な取引があった場合には公正取引委員会に申し立てるというようなことがございます。こういったようなことは非常に重要なことだな。

 ただ、この場合も、取り扱う品目が生鮮品であるということを考えると、スピード感を持ってやってもらわないと、あるときの不正な取引が、何年もたって不正でしたよでは困るなというのは思っております。

 また、それと、今回、取扱品目のことが法律では触れていないということがございまして、それぞれの卸売市場でそういった取扱品目については検討できるという余地を残されているというのは、それぞれの卸売市場が独自性を持つといいますか、創意工夫をする上などでは役に立つのかなというふうに思っております。

 ただ、問題点としては、やはり卸売市場の公共性がどれだけ担保できるのかな。

 先ほどから民間企業の開設者の問題がございましたけれども、そういったようなことなどを考えると、卸売市場の公共性を今後どれだけ担保できるのかなというような点など、どちらかというと心配事の方が多いのかなというような感じを受けております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 次に、川田参考人、井上参考人、藤島参考人に伺います。

 先ほどからもお話ありますけれども、生産者は一円でも高く売りたい、消費者は一円でも安く買いたい、これは当然のことだと思います。考えが違えば、どこかにしわ寄せが行くと思います。そのうちの一つが、ドライバーへの負担だと思います。長時間労働、低賃金、体への負担の多いドライバーの担い手不足が深刻であると伺いました。特に中小トラック事業者の負担軽減という面で、卸売市場で考えられる対策、また、そのために国から必要な支援等ありましたら、お答えください。

川田参考人 本当に深刻な問題でありまして、物流の滞りも今出ている状態であります。品物はあるけれども出せない、こういった状況がございます。

 それで、打てる手としては、とりあえず商物分離取引、これが始まるので、これによって少し物流が効率化するだろう。

 あと、パレタイズする。産地によってはまだパレットもなくて、そのまま直積みをしてくる産地もありますので、こういったところのパレット化をお互い進めていって、荷おろしの作業を単純化する。

 また、今、全てではないんですけれども、遠隔地からモーダルシフト、鉄道でもって消費地まで持ってきて、そこから小さなトラックで、あるいはコンテナごと市場に持ち込む、こういった取引もやって、なるべく物流の効率化を今図っているところでありますけれども、より一層の効率化が必要だろうと、今いろいろ検討している最中でございます。

井上参考人 今の、ほとんど川田参考人の方がおっしゃっていただいたとおりでございます。

 卸売市場に限らずですけれども、物流あるいはそれに関係されるトラックの皆様方の、ドライバーさんの不足問題、これは極めて重要な問題、重大な問題だろうと思っております。

 法律でいうと、商物の一致の原則の緩和というようなことが物流の効率化になるということで、今お話しのとおりでございますし、それから共同配送みたいなこととか、あるいはパレットのこともおっしゃいましたし、あと、あるいは個別の企業でも、IT化でもって物流のところ、荷さばき場等々ですね、ここについての合理化、作業の簡便化、そういうこともやっています。

 ですから、個々の企業がやることもありますし、あるいは企業を超えて、先ほどの共同配送なんかはそうですけれども、タッグを組んで、これは横にタッグを組む場合もあるし、縦にタッグを組む場合もあるわけですけれども、進めていく。それから、制度面。さっきの法律、商物一致の緩和みたいに、そういうところで制度面も物流の効率化に資する。もちろん、それからあと、法律ではありませんけれども、先ほどのモーダルシフト。これも同じく、もちろん個々の企業あるいは個人がやる部分もありますけれども、政府全体として取り組んでいくべきものだと思っております。

藤島参考人 私も同じような意見でございますが、少し追加させていただけるということであるならば、パレット化、フレコン化。フレコンなども、あるいは鉄コンなども今後どんどん使えるようになれば非常にいいのかなというふうにも思っています。いずれにしても、フォークリフトを使って上げおろしができるというような方向に進んでいかない限り、時間の短縮にはならないだろうということは考えております。

 それと、さらに、やはりもう一つ重要なこととしては、各卸売市場に荷物を持ってくるときの帰り荷の確保というのを、情報化の時代ですから、何らかの形で進めていってもよろしいのではないか。

 帰り荷の確保ができれば、それこそ輸送コストの削減にもつながる。帰りの荷物がなければ行きの運賃だけでもって帰りの費用も賄わなければならないということになるわけですけれども、帰りの荷物があればそういうこともないということで、コストの削減にもなりますが、また、収益が上がるということになるならば、ドライバーさんにしてもやはりそれだけ作業が楽になってくるという可能性は多分にあるだろうというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ドライバーへの負担軽減というのは早急に対応が必要だと思っております。

 次に、引き続きまして、藤島参考人に伺います。

 卸売市場の役割の一つとして、災害時の非常拠点機能がございます。全国では老朽化も指摘されているところも多くございます。公的支援の必要性についてお伺いできればと思います。

藤島参考人 御指摘のように、私は、卸売市場の役割としては、災害時の対応というのは非常に重要なことかなと思っております。と申しますのは、卸売市場は全国にございます。そういったように全国にあるところというのは、それぞれの地域で何かあったときに即座に対応できる。

 ただ、卸売市場のそういう災害時のときの問題点としては、例えば、卸売市場に荷物があるので、災害が起きたときにその荷物を食料として提供しますよというようなことがあったときに、実は、その荷物が委託で来ているということになりますと、所有権が出荷者側のものですから、市場側で勝手に処分するということはできないだろう。

 その辺のところを何らかの法律等でもって改善していっていただかなければいけないのかなというふうに思っておりますが、いずれにしても、市場をそのような形で活用していただくということを、もっと各都道府県、市町村においてもお考えいただければというふうに私は強く思っているところであります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 川田参考人にもお聞きしたいと思います。

 災害時の機能として、大田市場についてもお聞かせいただければと思います。

川田参考人 東北の震災のときは、かなりの量が大田市場に集まりました。というのは、高速道路が寸断されてしまいまして、北に上がっていけなくなって市場に荷物があふれ返ったということがありまして、それはできる範囲でデリバリーはしたんですけれども、ただ、アクセスが閉ざされてしまいますと、これは動きようがなくて、産地にあったものを速やかに消費者には届けることができたけれども、災害地にはそれほど大きく寄与できなかった、そういう反省もあります。

 ですので、今やっている範囲ではなかなか災害地に直接持っていくということは難しくて、その辺のアクセスをどうやって確保するかというのがこれからの課題だろうというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。大変勉強になります。

 最後に、中澤参考人に伺いたいと思います。

 反対の立場からということですので、本法案の改正に当たり、改善すべき点、最後にこれだけはというところがあれば、もう一度おっしゃっていただければと思います。

中澤参考人 ありがとうございます。

 今回の法案は、初めは廃止のような話が出ていて、この中身を見ると、廃止はできないんだということを、一生懸命、何か農林水産省の役人の方が闘った残骸がこの法案になって残っているような、そんなイメージを持っています。

 そもそも変える必要がないものを無理して変えようとしているような感じがしてしようがありません。とりあえずは一回採決は見送って、十分に議論することが最低でも必要だというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 本日は、長時間にわたり、参考人の皆様方から大変貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。

 皆様の御意見もしっかりと取り入れて、今後、現場で混乱が生じることのないよう、また、生産者や消費者のマイナスとならないよう取り組んでいかなければと思っております。

 本日はありがとうございました。

 以上で終わります。

伊東委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げる次第であります。

 本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十八分散会


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