衆議院

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第17号 平成30年5月24日(木曜日)

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平成三十年五月二十四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 緑川 貴士君 理事 佐藤 英道君

      安藤 高夫君    池田 道孝君

      泉田 裕彦君    稲田 朋美君

      上杉謙太郎君    大西 英男君

      加藤 寛治君    金子 俊平君

      神田 憲次君    木村 次郎君

      岸  信夫君    工藤 彰三君

      国光あやの君    小寺 裕雄君

      佐々木 紀君    佐藤 明男君

      高橋ひなこ君    西田 昭二君

      野中  厚君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      本田 太郎君    宮路 拓馬君

      山田 美樹君    山本  拓君

      石川 香織君    大河原雅子君

      神谷  裕君    亀井亜紀子君

      高木錬太郎君    堀越 啓仁君

      後藤 祐一君    関 健一郎君

      江田 康幸君    大串 博志君

      金子 恵美君    田村 貴昭君

      森  夏枝君    寺田  学君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  岸  信夫君     国光あやの君

  斎藤 洋明君     本田 太郎君

  藤原  崇君     高橋ひなこ君

  古川  康君     佐藤 明男君

  細田 健一君     工藤 彰三君

  石川 香織君     高木錬太郎君

  神谷  裕君     堀越 啓仁君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     佐々木 紀君

  国光あやの君     岸  信夫君

  佐藤 明男君     古川  康君

  高橋ひなこ君     藤原  崇君

  本田 太郎君     安藤 高夫君

  高木錬太郎君     石川 香織君

  堀越 啓仁君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     山田 美樹君

  佐々木 紀君     大西 英男君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     細田 健一君

  山田 美樹君     斎藤 洋明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、食料産業局長井上宏司君及び厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古川康君。

古川(康)委員 佐賀県の古川康でございます。

 今回の法改正、規制改革会議から卸売市場不要論とも言えるような議論が投げかけられた中で、私も自民党の一人として党内での議論にも積極的に参加をし、さまざまな発言をさせていただきました。与党調整、そして国会への提出、この委員会におけるさまざまな議論、こうしたものを経て今日に至っております。

 私は、さまざまな課題があり、あるいはチェックをしなければいけない点はあるものの、今回の法改正の内容は現在と将来を見据えての必要な改正内容に落ちつくことができたと考えているところでございますが、一方で、やはりさまざまな面で不安を感じておられる関係者が多いのも事実であります。

 そこで、現段階で、これまでの審議を踏まえて確認的な内容がメーンになってまいりますけれども、こういう内容で間違いないのかという内容について何点か確認をし、この質疑を通じて、不安の、懸念の払拭につながるようにしていきたいと考えております。

 まず第一点です。

 今回の改正では、卸売市場の規制に関して変えることとしたものと、変えないことにしたもの、つまり残すこととしたものがそれぞれございます。

 まず、残すこととしたものからお尋ねします。

 まず、残すこととした規制制度にはどのようなものがあるか、お示しください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 卸売市場は今後も食品流通の核として重要なものであるという観点から、公正な取引の場として遵守すべき規制につきましてはこれを堅持することとしておりまして、具体的には、売買取引方法の策定、公表、出荷者、仲卸業者等に対する差別的取扱いの禁止、中央卸売市場での受託拒否の禁止、出荷者等への代金決済方法の策定、公表、売買取引条件や結果の公表といったものについては残すこととしております。

古川(康)委員 このような卸売市場の根幹にかかわることについては残されていると理解をしております。

 続きまして、中央卸売市場の認定基準についてお伺いをいたします。

 この委員会の議論の中でも、認定という言葉に対して、認可に比べて、申請されたものがそのまま認められるようなイメージといったことも、随分心配も語られておりました。この認定というのがどのような基準で行われていくのか、これまでとどう違うのか、どういう点は違わないのか。こうした点についてもお尋ねをしていきたいと思いますが、そもそも中央卸売市場とは、その施設の規模が一定以上であることなど、省令で定める基準に該当するものとされています。このように規模要件を課した理由は何でしょうか。

井上政府参考人 今回の改正法におきましては、中央卸売市場の認定申請を行う卸売市場につきましては、その施設の規模が一定規模以上であること等の基準に該当することを求めておりますけれども、これは、中央卸売市場につきましては、受託拒否の禁止の義務を負うため、相当規模を有し、比較的大きな消費地への流通拠点に限定することが適当との趣旨によるものでございまして、また、こうした卸売市場につきましては、高い公共性を有することから、施設整備に対しまして、高い補助率の法律の補助、十分の四以内でございますけれども、これを措置することとしてございます。

古川(康)委員 また、開設者及び卸売業者等について、差別的取扱いの禁止規定を置くことともされています。これはどのような理由によるものでございましょうか。

井上政府参考人 今回の法案におきましては、公正な取引の場として認められるような一定の要件を満たす卸売市場を農林水産大臣等が認定をすることとしてございます。

 公正な取引の場として市場が役割を果たすためには公平性が重要でありまして、このため、開設者に対して、卸売市場の業務の運営に関し、卸売業者、仲卸業者等に不当に差別的な取扱いをしないこと、卸売業者に対して、出荷者や買受人に不当に差別的な取扱いをしないことをルールとして遵守させることとしております。

古川(康)委員 市場機能を発揮するための根本的なところについてはしっかりと押さえられているということであると思います。

 また、代金決済についてお尋ねをいたします。

 代金決済について、改正法案ではどのような書きぶりになっておりましょうか。

井上政府参考人 認定を受けます卸売市場におきましては、今後とも早期の代金決済がなされるように、今回の法案におきましては、開設者は、取引参加者が売買取引を行う場合における支払い期日、支払い方法等の決済の方法を業務規程に定めて公表することとし、取引参加者は、開設者が業務規程に定めた方法により決済を行うことを定めてございます。

古川(康)委員 このように、改正法案においても、この代金決済、参加者にとって極めて重要な要素でありますけれども、これについても明確にするということが位置づけられているということかと思います。

 続いて、卸売業者等についてお尋ねをいたしますが、業務規程に卸売業者の事業報告書の作成及び閲覧について定めることとされています。これは以前から規定があったものと理解はしておりますが、今回の新たな制度において、この規定に込められた期待というものはどのようなものがあるのか、教えていただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 産地から生鮮食料品等を円滑に出荷、集荷をするためには、生産者にとっては、みずからが有利な販売先を選択できるような環境を整備するとともに、卸売業者にとっては、生産者から信頼を得て選ばれるような情報開示をしていくことが重要と考えております。

 このため、本法案におきましては、卸売業者の財務状況等を明らかにするために、卸売業者に事業報告書の作成と開設者への提出を求めるほか、出荷者が安心して卸売業者と取引することができるよう、卸売業者の貸借対照表、損益計算書といった財務情報につきまして、出荷者の求めに応じて閲覧ができるようにしております。

 こうした対応によりまして、現行法と同様ではございますけれども、今後とも、健全な経営状況で事業を実施している卸売業者を出荷者が選択できるようにすることとしております。

古川(康)委員 今回の改正によって、さまざまな参加者がふえる、あるいは、いろんな人たちが出てきて、果たして本当に取引をして大丈夫なのか、こうした不安を持つ生産者、出荷団体等もあるかと思いますが、こうした規定の活用によってしっかりとチェックをすることができる、こうしたことかと思います。すなわち、守るべきところはしっかり守っている、そういうことではないかと思います。

 一方で、変わったところも幾つもございます。

 まず、第三者販売禁止、直荷引き禁止、商物分離の原則、こうしたものについてはどのようになっておりますか。

井上政府参考人 本法案におきましては、公正な取引の場としての卸売市場が遵守すべき事項として、差別的取扱いの禁止、取引条件、結果の公表等につきましては共通のルールとして法定をしております。

 一方で、こうした共通ルール以外の、第三者販売の禁止、直荷引きの禁止、商物一致の原則等その他の取引ルールにつきましては、先ほど申し上げましたような共通の取引ルールに反するものでないこと、仲卸業者、卸売業者を始め取引参加者の意見を聞いて定めていること等を要件とした上で、卸売市場ごとに実態に合わせて柔軟に設定できることとしております。

古川(康)委員 いわば共通ルールと個別ルールというものが設定されて、今申し上げたものについては個別ルールになっている。第三者販売禁止、直荷引き禁止、商物一致の原則、こうしたものについてはそうなっているということだと思っています。

 そういう中で、この委員会の議論の中でも何回も出てきていましたけれども、今回の改正によって大手量販店などのバイイングパワーがより強大になってしまうのではないかという懸念があちこちから示されています。こうした声に対してはどのように対処をされるのでありましょうか。

野中大臣政務官 大手量販店などのバイイングパワーがより強大になるのではないかという御指摘でございますが、そのため、本法案で食品流通構造改善促進法を改正いたしまして、農林水産大臣が、卸売市場における取引や小売も含め、食品の取引状況等の調査を行い、調査結果に基づき事業者に対し指導助言等を行うとともに、不公平な取引方法に該当する事実があると思料するときは、公正取引委員会に通知することとしております。

 なお、卸売市場において、卸売業者が大手の小売業者を不当に優遇する場合には、差別的取扱い禁止のルールに反するものといたしまして開設者から指導等を行うほか、改善されない場合には農林水産大臣による開設者に対する指導、命令等を行うこととしております。

古川(康)委員 こうした規定がありますが、民民の取引だけに、なかなか認定が難しい部分もあります。この規定は伝家の宝刀であってはならないと思っております。日々の暮らしに使われる菜っ切り包丁のように有効に活用をしていただいて、取引の全きを期していただきたいと思います。

 では、こうした改正によって生産者にはどのようなメリットが生まれてくるのか、お尋ねをしていきたいと思います。

 幾つか例を挙げます。まず、これは事例としても出ていましたけれども、確認をいたします。

 例えば、特徴のある野菜を、そんなに量を多くなく生産しているような農家がいます。ロットが小さいから、思ったように出荷ができない。本来ならば直接、仲卸業者に出荷できればいいんですけれども、原則はなかなかできないことになっている。こうしたものについては今後どのようになっていくでしょうか。

井上政府参考人 本法案におきましては、直荷引きにつきまして、全国一律の規制は行わず、卸売市場ごとに判断できることとしております。

 例えば、ある卸売市場において、あらかじめ直荷引きを認めるルールが設定された場合におきましては、開設者の個別の許可等の手続を要することなく、卸売業者の大量流通には乗りがたい小ロットの、例えば有機野菜について、迅速かつ円滑に仲卸業者が直接生産者から仕入れることが可能となりまして、仲卸業者の品ぞろえの充実や販路の拡大につながり得るものと考えております。

古川(康)委員 こうしたことの活用によって、仲卸業者にとってもプラスになる要素もあっていると思います。

 次です。

 佐賀の農産物を福岡で売る場合、これまでですと大田の中央卸売市場に出荷して、そこで注文、決済を終えてから福岡まで持ってこなければならない。すなわち、商物一致というのが原則でありました。これについてはどのようになりましょうか。

井上政府参考人 現行の卸売市場法におきましては、卸売業者が生鮮食料品等の荷を卸売市場内に持ち込んだ上で仲卸業者等に販売する商物一致が原則となっておりますけれども、青果では約五割の卸売業者、水産では約九割の卸売業者が、例外措置を活用いたしまして、市場が設置されている地域とその周辺の地域にある、開設者等が指定をした保管場所で商物分離取引を行っているという実態がございます。

 今回の法案におきましては、商物一致につきまして、全国一律の規制は行わず、卸売市場ごとに判断できることとしておりますけれども、これによりまして、例えば、ある卸売市場において、取引される生鮮食料品等の保管場所について、市場が設置されている地域とその周辺の地域に限定されない商物分離を認めることにした場合には、物流面で最適のルートでの配送を行うといったことが可能となるわけでございます。

古川(康)委員 このように、今回の改正法案によってさまざまなメリットも出てくると思います。

 最後に、齋藤大臣にお伺いします。

 今回の法改正案における新制度によってどのような効果を関係者にもたらすことを期待しているのか、教えてください。

齋藤国務大臣 本法案では、卸売市場及び市場外も含めて、創意工夫を生かし、消費者や生産者のニーズに合った食品流通を実現する環境を整備するとともに、物流コストの削減や品質、衛生管理の強化等を進めるほか、公正な取引環境の確保を図るということとしております。

 これによりまして、例えば、市場取引でありながら、物流は直送することが可能となって、生産者にとっては物流コストを削減し、消費者には食品の鮮度を保って手元まで届けることができるようになったり、それから、卸売業者から加工業者への直接販売が可能となり、生産者にとっては、早期の代金回収を確保したまま、消費者ニーズに応えた加工、業務用食品への原料供給が可能となるとか、また、仲卸業者が産地から小口でも有機野菜等を直接仕入れ、今御答弁がありましたけれども、品ぞろえを充実させることが可能となって、有機野菜等のこだわり農産物を望む消費者へと販路を拡大することができるなど、こうした具体的な取組の成果として、生産者の所得向上と消費者ニーズへの的確な対応、こういったものが促され、そして、それと同時に卸売市場が活性化をするということを期待しているところでございます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 終わります。

伊東委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 昨日は、当委員会におきまして、四人の参考人の方々に、卸売市場法の改正案などにつきまして、貴重な御意見をいただきました。

 きょうは、四人の参考人の方々の御意見も踏まえまして、幾つか確認をさせていただきたいと思います。

 申すまでもなく、農業、漁業は自然相手の仕事でありまして、常に同じ品質、同じ量を出荷することは相当困難であります。青果や果実、花卉、鮮魚といった生鮮食品は、天候などの自然環境の細かな動きによって大きな変動を余儀なくされることから、農家の所得や食料供給、そして農水産物の価格は容易に安定しないわけであります。

 特に卸売市場は、長年にわたって容易かつ日常的に生じる天候などによるリスクを吸収し、食料の安定供給と価格の安定、生産者のリスクの軽減と営農意欲の下支えに間違いなくやはり貢献してきたと思います。私自身、このたびの法改正の議論を通じて、やはり、卸売市場が果たしてきた役割について、いま一度重要性を再認識したところであります。

 市場が果たす役割とその機能の維持について、改めて大臣の御見解を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 卸売市場が果たしてきた集荷、分荷、価格形成、代金決済等の調整機能は重要でありまして、今後も食品流通の核として堅持すべきであると考えています。

 このため、今回の法改正では、まず、第一条の目的規定に、生鮮食料品等の公正な取引の場としての卸売市場の役割を明記をするとともに、第四条及び第十三条の卸売市場の認定要件に、売買取引の方法の策定、公表、売買取引の条件、結果等の公表、決済の確保等を遵守事項として規定しておりまして、卸売市場の果たすべき機能が維持されるよう措置しているところでございます。

佐藤(英)委員 それでは、具体的に中身について確認したいと思います。

 中央卸売市場の開設ルールの変更について、二点伺いますけれども、一点目は、認定の申請手続についてであります。

 既存の中央卸売市場はそのまま認定へスライドしても大きな問題はないのではないかなと思いますけれども、あえて認定申請をしていただくわけでありますから、最大限、事務負担についてやはり軽減していくべきだと考えます。農水省には、可能な限り最大限の手続の簡素化を図るようお願いをしてきたところでありますけれども、我が党におきましても農水省にお願いをしてきたところでありますけれども、改めて見解をお伺いするとともに、実際どの程度手続の簡素化が図れそうなのか、見通しが今わかるのであれば、現段階で教えていただければと思います。

 さらに、中央卸売市場の認定要件につきましても、具体的にお聞かせをいただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の中央卸売市場や地方卸売市場の開設者が、今回の法改正を踏まえまして改めて認定の申請を行う際には、既に許認可を受けた際に審査を受けている事項もございますので、手続等の負担をできる限り軽減したいと考えておりまして、今回の法案におきましても、申請書の記載事項の一部を省略することができると規定をしているものでございます。

 申請書の記載事項のうち、省略できる記載事項として想定をしておりますものといたしましては、卸売市場の位置、面積、施設に関する事項、卸売市場の卸売業者に関する事項として、名称、取扱品目等を考えておりまして、また、これは省令事項でございますけれども、申請の際の添付書類につきましても、無用な手続負担が生じないように、省略できる事項を今後定めてまいりたいと考えてございます。

 次に、中央卸売市場の認定要件の具体的な内容でございますけれども、中央卸売市場の認定につきましては、公正な取引の場として一定の要件を満たすとともに、公正かつ安定的に業務運営が行われる必要がございますので、その認定要件といたしまして、申請書及び業務規程の内容が、農林水産大臣が定める基本方針に照らして適切であり、法令に違反していないかということ、開設者が卸売業者等に対する指導助言、報告、検査、是正の求め等を行うことが業務規程に定められているか、それから、取引ルールに関しましては、差別的取扱いの禁止、受託拒否の禁止、取引条件、結果の公表等の共通の取引ルールが業務規程に定められているか、その他のルールが業務規程に定められている場合には、これらのルールが共通の取引ルールに反しない、仲卸業者等を含めた取引参加者の意見を聞いて定められている等の要件に適合しているかといったことを審査することとしております。

佐藤(英)委員 次に、市場の取引に関するルール改正についてもお伺いしたいと思います。

 農水省の検討が深まるにつれて関係者から懸念があったのも事実であります。我が党としても、青果や果実、花卉、鮮魚のそれぞれの分野におきまして、卸、仲卸などの代表的な団体からお話をやはり伺いまして、法案による改革をどの程度抑制すべきか等についても検討を行い、そのあり方については、農水省とも議論をし、改善もお訴えをさせていただいてきたところであります。

 その結果、提出された卸売市場の改正案におきましては、差別的な取扱いの禁止、受託拒否の禁止、取引結果の公表については手をつけないとまとめられたわけでありますけれども、いま一度その理由について確認をさせていただきたいと思います。

井上政府参考人 卸売市場は、今後も食品流通の核として重要なものであることから、卸売市場が公正な取引の場として集荷、分荷、価格形成、代金決済といった調整機能を発揮していく上で維持すべき規制は引き続き行うため、売買取引方法の策定、公表、出荷者、仲卸業者等に対する差別的取扱いの禁止、中央卸売市場での受託拒否の禁止、出荷者等への代金決済方法の策定、公表、売買取引条件や結果の公表につきましては、共通のルールとして今後とも堅持することとしたものでございます。

佐藤(英)委員 御答弁ありましたとおり、受託拒否の禁止は、やはり生産者の方が安心して生産に専念するためには不可欠のルールでもあります。また、仮に天候でおくれた生産物が出荷できなければ、生産者は大幅に所得の確保が困難となり、生産意欲を大きく損ない、農業をやろうという人もやはり少なくなってくるのではないかとさえ懸念をいたします。

 また、差別的取扱いの禁止についても、昨今、実需者や生産者団体が規模拡大し、市場がより強い圧力を受けやすい環境に置かれている中で、一方だけに都合のよい取引を防ぎ、市場の公平さや公正さを守る上でも、今後も極めて重要性の高いルールであると思っております。

 こうした市場の最も大切な機能を守るルールは、今後、認可制から認定制への変更や、第三者販売の禁止、直荷引きの禁止が緩和されていけば、ますますその重要性も増していくものと思います。

 それゆえに、国はこれまで以上に責任を持って指導監督を行っていかなければならないと考えますけれども、特に優越的地位の濫用を防止する観点から、指導監督への取組はぜひともやはり強化していかなければならないと思います。

 齋藤大臣の御見解を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 御指摘の点は大変重要な点だと思っております。

 この法案では、卸売市場の開設者に対して、まず、受託拒否の禁止や差別的取扱いの禁止など公正な取引の場として必要な取引ルールを遵守するとともに、卸売の業務が常に適正に行われているか、管理監督することをまず認定の要件としています。

 そして、認定後も、卸売市場の業務運営が適正に行われるように、農林水産大臣等が開設者に対して指導助言、措置命令、報告徴収、立入検査等の監督を行うほか、状況に応じては認定を取り消すこともできるというふうにしています。

 また、公正な取引環境の確保のための措置といたしましては、農林水産大臣が、卸売市場における取引や小売も含め、食品の取引状況等の調査を行い、調査結果に基づき事業者に対して指導助言等を行う。それと同時に、不公正な取引方法に該当する事実があると思料するときは、公正取引委員会に通知をするという措置を講ずることにしています。

 このような措置を通じて、公正な取引の場としての卸売市場の機能が損なわれることのないよう、国として、開設者への指導監督を適切に行うとともに、食品流通全体にわたる取引の適正化に向けて対応を強化してまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 ぜひ大臣のリーダーシップを強く御要望したいと思います。

 今回の法改正は、食と農業、漁業を取り巻く大きな改革の一環として、卸売市場を活性化し、広くその恩恵を生産者や消費者、市場関係者にもたらすものでなければならないとも思います。

 また、少子高齢化や食の多様化への対応とともに、生産者の所得向上を実現するために、食品の流通段階において、さらなるコールドチェーンの充実や、情報技術を活用した効率化など、新たな取組を加速していくことも極めて重要になってくるのではないかと思います。

 市場ごとに取引ルールの規制が緩和されたことによりまして、市場関係者にも一段と高い経営感覚や成長のための努力、義務が求められるわけであります。国は、高い経営意識や意欲を持って新たな取組を行う市場や業者に対しては、今後、更に大きなインセンティブを与えていくべきであると考えます。

 しかし、特に仲卸業者は中小規模や家族経営も多く、プレーヤーの規模拡大が進む食品流通の世界におきましては、新たな設備投資やマーケットの開拓に臨むということは、決して簡単なことではないのではないかなとも考えます。

 法改正を機に、より手厚くきめ細やかな支援策を講じていくべきと考えますけれども、御見解を伺いたいと思います。

井上政府参考人 仲卸業者は、卸売業者が産地から集荷した生鮮品を小分けをしたり、加工、調製するなどによりまして、小売店ですぐに販売できる状態にする、あるいは外食店ですぐに活用できる状態にするといったように、きめ細かなサービスを提供しております。

 今回の法案におきましては、卸売市場法を改正いたしまして、卸売市場ごとの実情に合わせて柔軟に取引ルールを設定できることとしておりまして、例えば直荷引きを認める場合には、仲卸業者が産地から小口で有機野菜等を直接仕入れることが可能となり、品ぞろえの充実や販路拡大につながることを期待しております。

 また、食品流通構造改善促進法を改正いたしまして、新たな計画認定制度を導入しておりますが、例えば仲卸業者が業務の合理化、効率化に資する情報処理システムの導入を行ったり、あるいは、品質管理の強化あるいは加工機能の強化のための設備の導入といった計画について認定を受けた場合には、日本政策金融公庫の融資や食品等流通合理化促進機構の債務保証等により支援を受けられるようにしております。

 このような支援によりまして、仲卸業者の事業改革に向けた前向きの取組につきまして、国としても後押しをしてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 どうか、よりきめ細やかな支援策を強く要望させていただきまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、石川香織君。

石川(香)委員 おはようございます。立憲民主党の石川香織でございます。

 きょうは、質問をさせていただきますけれども、これまでの質疑、それからきのうの参考人招致等の御懸念の点なども踏まえて、私も確認という意味で御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、一番根本的なところでありますけれども、今回の法改正は誰からの要望であるのかということについて御確認をさせていただきたいと思っております。

 市場関係者ですとか流通に携わる業者の方はもちろんのことでありますけれども、生産者の方から、それから消費者の方に、ぜひこの卸売市場法を改正してほしいという声が上がっていたのかどうかということについてお伺いをしたいと思っています。

 きのうの参考人招致のお話の中でも、寝耳に水であったというお話もありましたので、この点について改めて御確認をさせてください。

井上政府参考人 今回の卸売市場法の見直しを含めました食品流通構造改革につきましては、この過程で、全国各地の卸売市場の関係者、また、それ以外の生産者、小売の方の意見をかなり幅広く聞かせていただきまして、そうした中で出てきている御指摘等も踏まえて今回このような法改正を提案させていただいているものでございます。

石川(香)委員 全国幅広くお話を伺ってきたということでありましたけれども、ちょっとよくわからないこともありまして、二〇一五年六月のお話になりますけれども、政府の規制改革推進会議が、規制改革の要望というのをインターネットで公募したということで、規制改革ホットラインというものを行ったそうであります。

 その中で、匿名の個人の方が、民間企業が中央卸売市場の開設主体になることを認めるべきだという提案をされたそうで、この意見について農水省に検討を要請していたということでありました。

 その二〇一五年の八月に、市場の卸、仲卸といった民間事業者に対して公平な立場で判断を行い、特定の都市や周辺地域における生鮮食品などの安定供給を行う公的使命を果たせるよう、地方公共団体がこの役割を担う役割があるとして反論したとして、民営化に対しては対応不可と結論づけたということでありました。

 しかし、二〇一七年になって、農水省は、御案内のとおり、中央卸売市場の開設を都道府県などに限定する認定制を廃止して、民営化を可能にする方針を突如示しました。それまではこのことはほとんど議論になっていなかったということで、いきなり真逆の結論になってしまったことで、非常にその当時も混乱をされたということでありましたし、私自身もこの経緯について非常に疑問に思うんですけれども、このあたりについて御説明をよろしくお願いいたします。

井上政府参考人 平成二十七年の六月に、規制改革ホットラインに、中央卸売市場の開設主体に民間企業がなることも認めるべきとの提案がなされ、同年の八月に農林水産省から対応不可という回答をした点につきましては、ただいま石川委員が御指摘のとおりでございます。

 その後、平成二十七年十一月に、総合的なTPP関連政策大綱におきまして、攻めの農林水産業への転換対策といたしまして「生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立」ということが検討項目の一つとして取り上げられたことを機に、卸売市場を含めました流通構造につきまして検討を行った結果、現在御提案を申し上げておりますような改革案を政府として取りまとめ、国会に提出をさせていただいたということでございます。

石川(香)委員 いろいろな議論でその方向が変わったということでありますけれども。

 ちょっと、きのうの参考人の方々もおっしゃっておりました、認可制、認定制がよくわからないというお話がありまして、私も最初よくわからなかったですし、今でも全て理解できているのか非常にわからないというところもありますので、お伺いをしたいと思っております。

 今まで中央卸売市場の開設者を都道府県に限定していた認可制を廃止して、国の基本方針に適合するなどとして一定の条件をクリアしていれば開設者に認定するという仕組みが導入されることになったということで、きのうの参考人の方も、これはどういうイメージかというお話の中で、農水省が責任をとらなくなるというイメージだとおっしゃっておりました。

 実際、この法律案での基本方針もかなり簡素化されている印象でありまして、仲卸の業務を行う経営規模の拡大、経営管理の合理化など経営の近代化の目標、その他の卸売市場の整備に関する重要事項などの文言がなくなりました。これは国や都道府県の関与が薄まるということを感じさせると思います。

 これまでは、中央卸売市場の施設整備のときに国が費用を最大四割補助するということを定めておりましたけれども、この改正案では、中央卸売市場を対象とした国の整備計画は廃止をされます。市場の施設支援というものに関してはどのように変わってしまうのかということについて、御回答をお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 法改正後におきましても、認定を受けた卸売市場に対しましては、これまでと同様、国による施設整備への支援を行うこととしております。

 具体的には、認定を受けた中央卸売市場、地方卸売市場につきましては、予算措置として、その施設整備に対して補助率三分の一以内の助成を行うほか、今回の法案の中に規定を置かせていただいておりますけれども、中央卸売市場が、改正後の食品流通構造改善促進法に基づいて食品等流通合理化計画の認定を受け、例えば品質、衛生管理の高度化等に取り組む場合には、法律に基づく補助といたしまして、より高率の補助率十分の四以内で国は施設整備への助成を行うこととしております。

石川(香)委員 認定を受けた卸売市場、補助三分の一を受けるということは変わらずということでありましたけれども、それでもやはり国から少し関与が薄まるという印象は拭えないわけでありまして、そのことによって、地方自治体、公共団体が市場の運営から撤退するということがあるのではないかという懸念について、次は御質問させていただきたいと思います。

 今回の中央卸売市場の認定制の導入でありましたり整備計画の廃止によって、市場整備の実施は開設者である地方自治体の判断に大きく委ねられるということになります。

 そもそも、地方自治体が開設者でなくなる可能性、つまり、これまで経営が例えば苦しかったというところは、この機会にこれを手放して、ほかの方に委ねるという可能性も当然出てくるわけでありまして、このことについてはどう御認識されているでしょうか。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 地方に立地しています卸売市場は、生産者にとって身近な販路であるとともに、地域の小売店にとっても貴重な仕入れ先となっておりまして、流通の多様化が進む中でも、地域の生鮮食料品流通において重要な役割を果たしているものと考えております。

 そのため、本法案でも、地方にある中央卸売市場においても、卸売市場ごとの実態に合わせて取引ルールを柔軟に設定し得ることとし、例えば、第三者販売を認めるルールを設定し、産地に近い立地を生かして、こだわり商品等を全国の実需者に販売を拡大したり、また、直荷引きを認めるルールを設定し、他市場と連携した効率的な集荷による安定した品ぞろえを確保するなどの創意工夫を生かした取組が行えるようにしているところでございます。

 また、先ほど答弁いたしましたように、公正取引の場として認定を受けた場合には、施設整備に対する国による支援も引き続き今後とも行っていくということにいたしております。

 このほか、今回、準備期間として施行時期を公布後最大で二年確保し、準備に必要な期間を設けているほか、現行の卸売市場の開設者が今後認定申請を行う場合には、手続等の負担を軽減するため、申請書の記載の事項を一部省略できるというようなこともしておるところでございます。

 いずれにいたしましても、今後は、中央卸売市場の個別の意向を丁寧に把握しつつ、認定を受けるメリットや手続の負担軽減等を十分説明し、現行の市場が円滑に認定市場へと移行されるよう努めてまいりたいと思います。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきましたけれども、市場の関係者の方がそのほかに懸念をされていることとして、卸売市場へ量販店が参入してくるという可能性があります。このことについてお伺いをしたいと思っております。

 商物一致の原則が崩れますと、産地から大手スーパーでありましたりホームセンターに直送が可能になります。当然民間企業は利益を出したいわけでありますから、開設者である民間企業が自社グループの小売チェーンに仕入れを優遇するということは十分考えられることではないかと思っています。そうなりますと、市場では商品の仕入れが非常に難しくなるということも同時に予想されます。こうなりますと、市場の空洞化でありましたり、市場外での流通が多くなるということで、需要があるときに必要な商品がそろわないのではないか、こういうことも考えられると思います。

 これは市場の公共性が失われるということでありまして、食品物流構造の寡占化につながるのではないか、こういう質問も過去出ておりましたけれども、私もこの懸念について改めてお伺いをしたいと思います。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のような、大手量販店が自社グループの小売店チェーンの仕入れのためだけに設置するような施設につきましては、特定の事業者を取引相手としているものでございますので、不特定の出荷者、実需者が取引をする生鮮食料品等の卸売のために開設される市場、すなわち卸売市場に該当しない可能性も高く、今回の法改正いかんにかかわらず、現在でも自由な行為に当たる可能性は高いというふうに考えてございます。

 仮に、大手量販店が卸売市場の開設者となって、幅広い実需者等に売る卸売市場を開設しようというふうに考えた場合につきましては、認定を受けようとする場合におきましては、その要件といたしまして、開設者に対しまして、卸売市場の業務の運営に関し、卸売業者、仲卸業者等に不当に差別的な取扱いをしないこと、また、卸売業者に対しては、出荷者や買受人に不当に差別的な取扱いをしないということを求めることとしております。

 したがいまして、特定の買受人の仕入れだけを不当に優遇するような場合におきましては、差別的取扱いの禁止に当たりますので、農林水産大臣から開設者に対して指導、命令等を行うことによりまして、公正な取引の場としての高い公共性を確保することとしております。

石川(香)委員 差別的な取扱いの禁止のルールでありましたり、農林水産大臣の指導ということもありました。

 こういうルールがあったとしても、そのルールにのっとって売買に従事するのは卸売業者でありまして、それを監督するのは開設者であります。両者が同一資本グループに所属する場合、どうしても、この同じグループの小売チェーンに寡占化を推進するように行動しないというのはなかなか、誰が言えるのかというところがありまして、少しそれは御指摘をさせていただきたいと思っております。

 次の質問でありますけれども、第三者販売の禁止についてお伺いをいたします。

 今回の法改正では、中央卸売市場において卸売業者が仲卸業者を介さずに実需者に販売することを禁止しております第三者販売の原則禁止の規定を削除するということになっております。

 しかし、第三者販売の原則禁止の規制こそが、この複雑化する食品流通の中で必要なルールではないかと私は感じております。

 今までの、卸売業者の販売先を仲卸業者と買参人に限るというルールがなくなると、卸が大手スーパーやホームセンターにやはり直接販売するということもできるようになりまして、そうしますと、やはり市場外取引を更に増加させることになるのではないかという懸念がありますけれども、このことについてはどうお考えでしょうか。

井上政府参考人 今回の法案におきまして、各卸売市場ごとの実態に合わせて柔軟に第三者販売等の取引ルールを設定できることとしておりますけれども、これによりまして、例えば、ある卸売市場において第三者販売を認めるルールを設定した場合には、現行法のもとでは卸売業者がやむを得ず市場外に設立した別会社を通じて行っている例えば加工業者への原材料供給等を、今後は市場の取引として行うことが可能になりまして、卸売市場としては取引の拡大になるとともに、生産者としては早期代金決済のメリットを受けるということがございます。

 このように、第三者販売を各卸売市場の判断において設定した場合には、市場外取引がふえるというよりは、現在市場外で行われている取引が、今後は卸売市場における取引になるといった効果があるというふうに考えております。

石川(香)委員 では、この前、花卉事業協同組合の方がお話しされていることを例に出しながらお伺いをしたいと思います。

 母の日にカーネーションが必要になったというときに、大手が例えば買い占めてしまえば、当然、小さい小売にとっては、一年に一番必要な時期に母の日のカーネーションが十分に仕入れができなくなるということも想定される、こういう状況になると、必要なときに仕入れができなくなる、そして競りも機能しなくなるという危機感があるということをお話として伺いました。

 第三者販売の原則禁止がなくなって大型量販店が参入してくるという仮定の話で質問させていただいておりますけれども、このときは非常に弱い立場の仲卸にとっては死活問題になると思いますけれども、このあたりについてどう御認識をされているでしょうか。

礒崎副大臣 お答え申し上げます。

 大規模小売業者が卸売業者から大量に仕入れる結果、仲卸業者に回る荷が少なくなってしまうのではないかという御意見もあるのは聞いておりますが、本法案では、公正な取引の場として必要な要件として、開設者に対して、卸売業者、仲卸業者等に不当な差別的な取扱いをしないこと、卸売業者に対して、出荷者や買受人に不当な差別的な取扱いをしないことの遵守を求めることとしており、特定の買受人が買い占めてしまう、そういうことがないようにしなければならないのは当然のことと考えております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 きのうの参考人招致の中でも、この仲卸業者の大切な役割についてお話を伺っておりましたけれども、仲卸業者などの市場内の業者を経る商品が減ることで、仲卸業者の品ぞろえの機能でありましたり、加工機能、こういったものが弱体化をしてしまう、そして、そうしてしまうと、中小零細規模の小売業者の経営にも悪影響を及ぼすというような悪循環があるという懸念があると思います。

 仲卸業者の機能の弱体化によって、今の日本の食の多様化、つまり品ぞろえですとか、そういったことが喪失してしまうのではないかという心配がどうしても起こってしまうということでありますけれども、この第三者販売の原則禁止のほかにも、直荷引きの原則禁止ですとか、商物一致の原則は法律上なくなりまして、廃止されまして、これらのルールを採用するかは各卸売市場の開設者の判断になるということになると思います。

 取引参加者の意見を聞いて、業務規程を定めることになっています。ただ、この卸業者、仲卸、買参人、それぞれの立場の利害は一致をしませんし、話合いでこれを進めていくのは非常に難しいのではないかという懸念があります。

 この業務規程の策定の手続については、もう少し丁寧に示していくべきではないかと思いますけれども、このあたりについてはどうお考えでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の卸売市場法の改正におきましても、業務規程の作成は、現行法と同様、開設者が行うこととなります。

 その策定手続につきましては、特段法定をしておりませんけれども、今御指摘のございましたような第三者販売等の遵守事項を各卸売市場において定める場合には、取引参加者の意見を聞くことが要件となっておりまして、幅広い取引参加者に公平かつ十分に意見を述べる機会が与えられ、最終的には、開設者が、卸売市場の活性化を図る観点から、可能な限り取引参加者の意向を酌み取って判断、制定するべきものと考えてございますけれども、これは各卸売市場ごとにいろいろな事情がございますし、また、現場からは、国もいろいろ今後相談に乗ってほしいといったことがございますので、こういう各卸売市場が混乱なく業務規程を策定できるように、今後とも、相談に応じる等行ってまいりたいと考えております。

石川(香)委員 業務規程の策定手続もそうでありますけれども、それらの調整にかかわる関係自治体の負担も大きくなるということについてお伺いをしたいと思います。

 質問時間もあと少しですけれども、きょうは大臣に一度も御答弁いただいていなくて、ちょっと寂しいので、済みません、もしできれば大臣に御答弁いただければと思います。

 各市場におけるさまざまなルールを定める業務規程というのは、条例として地方議会がチェックするということになっております。このチェックを経た上で策定をされておりました。

 中央卸売市場の開設者が民間企業になった場合は、その業務規程は条例ではなくなります。となると、地方議会によるチェック機能がなくなるというおそれもありますけれども、それについてはいかがでしょうか。

齋藤国務大臣 中央卸売市場の業務規程につきましては、農林水産大臣が審査する、そういうことになっておりますものですので、現行法と同様、条例その他の制定形式は問わないということにしております。

 他方、現行法のもとでは、中央卸売市場の開設主体は地方公共団体に限られ、現状、業務規程は全て条例で制定されております。

 今回の法改正によりまして、開設主体が民間事業者ということも認められるということですので、業務規程が民間文書になる場合もあり得るということになりますけれども、現に、地方の卸売市場ではこうした実例は一般的でありまして、いずれにいたしましても、農林水産大臣が公正性の観点から厳格に審査するものでありますので、これによって問題が生ずるというふうには考えておりません。

石川(香)委員 大臣、ありがとうございます。

 地方議会のチェックがなくなれば、民間企業が業務規程を、自由に作成できるというわけにはいかなくても、やはり自由度が高まるということがあるのではないかという懸念を少し触れさせていただきたいと思います。

 では、最後の質問に移りたいと思います。

 中央卸売市場が地方卸売市場に転換をするという動きも全国で行われております。伊東委員長の御地元であります釧路、釧路市長の時代に地方卸売市場に転換をされたということもありました。

 中央卸売市場でありますと、やはり経営状況を厳しくチェックされましたり、それから取引地域の範囲が限定されているということから、あえて中央の看板をおろすというところも、そういう選択をされるというところもあるということでありますが、取引量が減少している中で、量販店が握ってしまった主導権を奪い返そう、そういう目的でこういった選択をされる市場もあるということでありますけれども、こういった動きについてはどう御認識でしょうか。

齋藤国務大臣 では、もう一問答弁させていただきます。

 平成十六年の卸売市場法の改正では、多くの取引規制が法定をされている中央卸売市場が、より取引の自由度の高い地方卸売市場への転換を自主的に判断した場合などにおきまして、地方卸売市場へ転換できるというふうに改正をしたところであります。

 これまでの地方転換の実例としては、市場の一部門を地方に転換したという例を含めまして、三十一の中央卸売市場において地方卸売市場への転換というものが行われています。

 ここは、いろいろな理由で、今御指摘の理由もあります、さまざまな理由があるわけですけれども、この地方転換した卸売市場の中には、中央卸売市場から地方卸売市場への転換の後、公営から民営に移行して、あわせて物流センターの整備などにより収支の改善と取扱量の増加を実現するなど、創意工夫を生かして活性化している事例もあるというふうに承知をしているところであります。

石川(香)委員 大臣、ありがとうございます。

 中央を地方卸売市場にというのは、やむを得ないという判断もあるかと思いますけれども、地方卸売市場に生まれ変わったことで生き残りをかけたということがあると思います。

 今回の卸売市場法の改正、さまざまな御意見を聞く中で、卸売市場の役割について、非常に私は大切なものだと改めて感じました。競りをすることで適正な価格形成でありましたり、それが需給調整という大切な役割も担っているということで、非常にこの市場の大切な役割というのを改めて認識しなくてはいけないということを強く訴えさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原雅子でございます。

 きょうは卸売市場法改正の締めくくりの質疑をするわけですけれども、質疑を始める前に、まず、大臣から感想というか、御確認をさせていただきたいことがございます。

 昨日、財務省が、森友学園の問題につきまして交渉記録を公表いたしました。公文書の改ざんと同時に、ぐあいの悪い書類については九百六十ページ廃棄をしていた。これが見つかったこと自体が本当にきのうは衝撃的な一日なんですけれども、その中身が、やはり、この一年間のいろいろなやりとりで、総理や周辺の方々の関与というものがどういうふうになっているのか、全て否定してこられましたけれども、その九百六十ページの中からは、総理夫人の名前、あるいは国会議員の秘書、そういう方たちの関与も見られるような、そういう中身になっております。

 まず、この公文書、九百六十ページを廃棄していた、廃棄を命令していた、指示していた、この責任というのを、同じ大臣としてどういうふうに受けとめていらっしゃるんでしょうか。

齋藤国務大臣 廃棄を指示したということがあの文書の中で書かれているわけでありまして、私は、そういうことはあってはならないと思っておりますし、もしそういうことを、今これから財務省で調査をするということになっていると思いますけれども、そういうことについては厳正に対処していただきたいなというふうに思っております。

大河原委員 厳正に対処するといえば、それは一番、このことについて、自分や夫人の関与があったら、それはもう総理の職を辞すと言ったあの言葉は、厳正なそうした対処の中に私は入ってくると当然思いますけれども、こういうことは、これまでの一年間の議論をどれだけ無視し、そして国会を軽視しているか、そういうことの象徴だと思いますが、政治の私物化、こういったことについて、厳正にという言葉のもっと基本的な中身は、大臣はどうお考えなんでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、私から、本件、森友問題についてコメントする立場には農林水産大臣としてないと思っているわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、文書の廃棄を指示すると。これは、誰が指示をしたか、これから調査することになるんだろうと思いますけれども、そういうことであれば、これは先ほど申し上げたように、あってはならないことでありますし、当然、その処分については厳正に対処していくべきであろうということは申し上げられるんだろうと思っております。

大河原委員 森友問題はそういうことになっていますが、加計学園の問題、獣医学部の問題、これは農水省にも文書が行って、残っていました。

 ほかのものについて、洗いざらい本当に出されて、公表されましたでしょうか。残っている文書がまさかあって、あるいはその廃棄を指示しているなんということは間違ってもないと思いますけれども、どうですか。

齋藤国務大臣 この件は、重要な件なので少しお話しさせていただきたいんですけれども、これまで情報公開請求が多々ございまして、昨年四月から六月にかけてですけれども、この際に、共有ファイル、共有フォルダなどによりまして、メールも含めて行政文書について調査を行って、存在するものは既に適切に公表してきておりまして、その中に愛媛県の文書等々そういった情報は含まれていなかったということは、もう既に公表させていただいているところであります。

 今、文書が見つかったという委員のお話ありましたけれども、この件についても、官邸から、愛媛県の文書、そういうのがあるんじゃないか、調査をせよという調査の指示があって、これもここで御報告させていただきましたが、およそ関係しそうな方々からヒアリングをさせていただいて、その結果、行政文書には該当しないけれども、個人的なファイルに文書があったという者が一人いたということで、これも公表させていただいた。

 それから、今新しく出された文書も、愛媛県から出た文書もあるわけでありますが、その前に、既に、出向している内閣参事官から私どもヒアリングをしておりまして、直接確認をして、その結果、日にちの記憶は定かではないけれども、平成二十七年四月の官邸での会合については、当時の柳瀬秘書官からの求めに応じて自分も同席したという記憶がある、ただ、具体的なやりとりまでは自分としては記憶をしていない、そういう調査結果も報告をさせていただいているところでありまして、我々としては、やれることは誠意を持って対応してきたかなというふうに思っております。

大河原委員 きょうこの場でそれ以上のことをやるつもりはありませんけれども、今本当に、安倍政権のもとで、あり得ないこと、前代未聞のことがいろいろ起こっているんです。

 実は、私は、きのう消費者特別委員会が開かれまして、消費者契約法の改正というものが行われました。五月の十一日に本会議場で大臣が答弁された、その答弁の中身が、改定をする、つまりは変える、修正されようとする。それも、委員が答弁を求めたその内容を、委員会のうちで答弁を変えたいと大臣がおっしゃる。この重大な意味、ぜひ受けとめていただきたいんですが、あり得ませんね、こんなこと。議論のスタートが始まる、そのもとになる答弁を、いつの間にか意味を変えてしまう。委員会の答弁も役に立たなくなりますし、その委員会の答弁の中身が変わってしまう。大混乱になります。

 そうした意味で、やはり、きちんと記録をとると同時に、その記録は全て公開されてしかるべきもの、国民のものです。これはお役人のものではありません。議員のものでもありません。そういうことをしっかり確認しないとこの国会の審議は進まないんだということをぜひ心して、お互いに議論を進めたいというふうに思います。

 それでは、市場法の方に入らせていただきます。

 ちょっとトーンを変えましてというか、私は、ずっと消費者の立場からさまざまな活動をしてまいりました。

 卸売市場といいますと、なかなか消費者からは見えないところにあります。NHKのお昼ぐらいの番組で、私は東京都民ですので、東京都内の築地市場や大田市場や、そういうところの青果や花や水産物、そういったものについて、旬のものはこれこれですと卸や仲卸の担当者の方がそういったものを説明すると、このお魚がおいしいんだ、今晩はこれにしようというような情報が入ってくる。そういうような形でしか、卸売市場というのは、直接の消費者からはちょっと距離のあるものです。

 卸売市場は、国民の食生活の根幹を支える生鮮食料品の流通を担ってきましたし、消費者のための食料安全保障の立場からも、事業者の一方的な営利活動の対象にさせず、公共的な需要と供給を突き合わせて、社会的に公正価格を決定する役割を果たしてきた。このことについては大変信頼を寄せるというところがあります。そして、一方で、生産者に対しては、需要と供給の関係による生産過剰や不足、こうした業況を取引の状況や結果で示すことができますので、過剰生産の長期化など、生産体制の弱体化などを防止することができる。生鮮食料品の生産体制の安定に貢献していると思います。

 今回の卸売市場法の改正に関して、昨日は参考人の方をお呼びして質疑が行われましたが、その御意見の中でも、私はやはり、卸売市場の社会的役割を考えると、懸念を表明された方たちの意見に大きく心を動かされるものがございました。

 これまで立憲民主党からは、佐々木委員を始め、神谷委員、亀井委員そして石川委員がその懸念についてもさまざまな視点で質問をされてまいりましたけれども、私は、きょうは消費者の視点から、食品流通や安全の確保をテーマにして法案を質疑させていただきたいと思います。

 食品安全対策の国際基準と言われるHACCPですが、これまでこのHACCPが普及されるように支援はしてきましたけれども、義務的ではありませんので、普及も進んでいるとは思えません。今国会で食品衛生法等の一部を改正する法律案が出ておりまして、これが成立すれば、このHACCPが義務化されるということになります。

 そこで、伺います。

 まず、卸売市場においてHACCPによる衛生管理を導入する意義、大臣、御所見をお願いします。

齋藤国務大臣 食品につきましては、その安全性を確保するということは不可欠というか大前提であると思っております。食品の安全性に対する消費者の関心の高まりというものを踏まえれば、特に、製造、加工等の分野におけるHACCPに沿った衛生管理を適切に行うことというのは重要だと考えております。

 卸売市場におきましても、食品をそのままの姿で輸送するだけではなくて、そこで加工ですとか小分けですとかパッケージングを施すことができるよう機能を強化していくということが求められてきておりますので、HACCPの義務化を待たずにHACCPに沿った衛生管理の導入に取り組んでいくということには大きな意義があるというふうに考えております。

大河原委員 消費者のニーズというのが、やはり、生鮮食料品の鮮度、それについて関心が行く、安全度について関心が行くというのは年々高まっております。

 なので、改めて確認をしたいと思いますが、食品等流通事業者に該当する業者というのは、このHACCPに沿った衛生管理を求められる業者ということでよろしいんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今国会に提出させていただいております食品衛生法等の一部を改正する法律案におきましては、原則として、食品の製造、加工、調理、販売等を行う全ての食品等事業者を対象に、HACCPに沿った衛生管理を求めることとしているところでございます。

 具体的には、国際的なガイドラインの内容に即したHACCPに基づく衛生管理を実施することを求めているものでございますが、小規模事業者や一般衛生管理のみの対応で管理が可能な業種等につきましては、取り扱う食品の特性に応じた衛生管理でございますHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を求めるものでございます。

 お尋ねいただきました食品等流通事業者に関しましては、後者でございますHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の対象となることが想定されるところでございますが、例えば、常温保存が可能な食品のみを販売する事業者など、公衆衛生に与える影響が少ない事業者につきましては対象から除く場合もあるということを検討しているところでございます。

大河原委員 今のお話だと、HACCPそのものではなくて、それに沿った形ということでございますけれども、卸売市場の事業者もそれに当たる、それを行っていく事業者ということでよろしいですよね。ごめんなさい、確認をしますが、次の質問と一緒に答えてください。

 これまでHACCPがなかなか普及をしていないんですが、状況はどんなぐあいなんでしょうか。何がネックになっていたのか、それもちょっとお答えいただければと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 卸売市場の事業者につきましても、同様に、簡易な加工や温度管理が必要な食品の保管等を行う業種につきましては、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の対象となることが想定されるところでございます。

 それから、二つ目の、これまで進んでいなかったというお話でございますが、これにつきましては、自主的な取組としての総合衛生管理というものをこれまで進めてきたということでございまして、それを今度は制度化、義務化するというようなことでございます。

大河原委員 だから、HACCPそのものでなくていいということですよね。それはどのようにして確保していく基準になるんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ちょっとわかりにくかったかもしれないのでございますが、HACCPに基づく衛生管理というものが、まさにコーデックスの七原則を踏まえましたHACCPそのものということでございます。

 ただ、その基準ですと、なかなか遵守するのが難しい小規模事業者等もございますので、そういったところにつきましては、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理ということで、いわゆるHACCPに基づく衛生管理とは、それよりはもう少し緩い基準というようなことでございます。

大河原委員 HACCPそのものでないということはわかりましたけれども、その考え方に基づいたということでいえば、これまでもコールドチェーンの確保ということが課題になってきておりますし、今回のこの市場法の改正でも、鮮度保持、品質、衛生管理というところで、HACCP義務化に向けた動きというのが取りまとめられています。

 このことをやはりきちんとやっていただくということも大事ですし、それぞれの事業者の状況というものもしっかり把握をしなければならないと思いますが、HACCP自体は、施設をこういうふうにつくらなきゃならないという基準があったりすごくお金のかかるものではないというふうに私は理解をいたしましたけれども、中小のところでも、HACCPの考え方に基づいた安全の確保策、こういったものはとれるというふうに御判断されているということですよね。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 HACCPにつきましては、ハード面を整備するというようなものではなくて、あくまで工程によってプロセスごとに衛生管理をするというようなソフトの衛生管理でございまして、その考えを中小事業者の方にも入れるということでございます。そして、その業態に合ったようなやり方でやるということで、衛生管理としてはきちんとそれぞれできるようになるというようなことでございます。

大河原委員 HACCPは食品安全対策の国際基準ではありますけれども、制度さえ導入すれば食の安全が守られるわけではありませんから、安全対策をどこまできちんとできるかということも、これから、その基準、HACCPが義務化をされるというこの工程の中で議論をもっと深めなきゃいけないんだと思います。

 食品製造過程におけるハザード、危険要因を分析して、重要な工程を監視、記録するシステムということですから、流通をするというところになると、またそれが、その基準には合わせるけれども、それそのものではないということなんだと思います。

 食品の安全というのは、もちろん衛生管理だけではありません。BSEが発生したときに、アメリカからの輸入牛肉に危険部位等が混入していたことが何度もありました。多くの方が御記憶と思いますけれども、これらの出荷工場も、実はHACCPシステムの導入施設だったわけです。このことを思えば、安全の対策のとり方、何をきちんと守らなければならないのかということは、改めて議論が更に必要になってくるというふうに思います。

 私は、消費者の食の安全に対する信頼確保のためには、トレーサビリティーの制度が必要だとずっと主張してきました。現在は米と牛肉についてのみ制度化されているわけですけれども、これを全飲食料品に拡大をしていく、そのことが必要だというふうに私は思いますけれども、大臣、お考えいかがですか。

齋藤国務大臣 食品のトレーサビリティーは、食品事故などがあったときに原因究明ですとか商品回収等の円滑化に資するとともに、表示の信頼性向上にも寄与する重要な取組であると認識をしています。

 牛肉及び米穀については、食品の事故や表示偽装等の問題に対応できるようにするために、牛のトレサ法、米のトレサ法に基づいて、取引等の記録の作成、保存、これが義務づけられているところであります。

 一方、全食品というお話がありましたけれども、これ以外の食品のトレーサビリティーにつきましては、中小零細企業ほど取組率が低いですとか、記録を整理、保存することは手間がかかる。多種多様なものが入って売られている加工品なんかを一体どうやって実際に記録をしていくかというのは大変難しいことでもあるものですから、今、私どもとしては、食品事業者による自主的な取組を推進し、それを後押ししていくということが現実的で適切なんだろうと考えております。

 このため、農林水産省としては、食品トレーサビリティーの普及に向けて、トレーサビリティーの意味や効果、取組の進め方等を解説した実践的なマニュアル等の説明、普及を行うとともに、消費・安全対策交付金によりまして、都道府県等が実施する食品トレーサビリティーの普及促進活動を支援しているということでありまして、これらの取組を通じて、引き続き、食品事業者による取組が推進されていくことを大いに応援をしていきたいというふうに考えているところでございます。

大河原委員 食の安全を守っていくのは、本当に、日本の、これだけ自給率の低い国では非常に重大な問題です。

 第百五十九国会で卸売市場法の一部を改正する法律案が出されて、その附帯決議が行われておりまして、その中に、「食の安全・安心確保のため、卸売市場における品質管理の推進については、各卸売市場の実情に応じた低温管理施設等の高機能施設の整備及び品質管理に関する指導・研修等につき支援の充実を図ること。また、卸売市場流通に適合したトレーサビリティシステムの開発・導入を促進すること。」というふうに決議されております。

 平成十六年の決議でございますから、平成三十年、ここまでに、この決議の中身がどれほど具体化されてきたのか、これについて伺わせてください。

井上政府参考人 ただいま御指摘のございましたような、平成十六年の卸売市場法の改正案に対する附帯決議を踏まえまして、農林水産省におきましては、卸売市場におけるコールドチェーンの整備に向けて、低温卸売場あるいは冷蔵庫等の施設設備の整備への支援を行ってまいりましたほか、ソフト面の対応といたしまして、平成十九年には、卸売市場における品質管理の高度化に向けた規範策定のためのマニュアルを作成いたしまして卸売市場関係者に周知をする、また、平成二十年には、卸売業者による市場流通におけるトレーサビリティーシステムの確立に向けた実証試験への支援といったことを行っておりまして、トレーサビリティーシステムにつきましては、この実証試験終了後も取組を継続しているような卸売市場がございます。

 ただし、卸売市場におきますコールドチェーンの整備について見ますと、中央卸売市場の平均、平成二十七年度の数字でございますけれども、青果では一八%、水産では一七%にとどまっているという状況でございまして、こうした面での取組は更に推進をしていく必要があると考えております。

大河原委員 きのう、消費者庁が、景品表示法違反ということで、塚田農場という居酒屋チェーンでしょうか、これを摘発しました。地鶏を使っているという表示なのに、輸入のブロイラーがまじっているというようなことが起こって。

 私は、やはり、トレーサビリティーをきちんと確保していくことというのは、お金がかかりませんよね、どこから来て、どこへ出したかということをきちんと追える仕組みをつくっていけばいいので、そういう意味では、非常に簡便だけれども確実な方法ということがあると思うんです。

 原料原産地表示を加工品につけたからとても大変なんだという御感想を大臣はお持ちですが、本当にそれは大変だと思います。それはやはり、この国が、多くの、ほとんどの食べ物を輸入に頼る、そういう国になってしまっているからなんですよね。

 私たちは、そういう意味で、食料安全保障の点からも農水省には頑張っていただきたいし、食料の自主権というものを手放さない、そういう意味からも、あらゆる手だてを使ってこの国の第一次産業の立て直し、それは第一にやらなければならない国の責任だというふうに改めて申し上げたいというふうに思います。

 私は、今回の市場法の議論の中で、卸売市場を通した生鮮食料品というのは、消費者は一定の信頼を本当に持っております。東京・築地市場の場合などは東京都が食品衛生の監視ということを強化しておりますし、そういう意味では、市場で買ってきたものだからねというふうに小売店の方たちも自信を持っておっしゃる、そして、さまざまな種類のものを多様に売ることができる、買うことができる、そういう公的な役割が非常に大きいというふうに思います。

 それは、私たちの食生活だけではなくて、私は、地方の市場のこともこれからももっと知りたいなというふうに思いますけれども、生産者にとっても、そして消費者にとっても卸売市場は必要だというふうに強く感じました。そして、私たちの地域の雇用も、あるいは地域経済も担ってきた、このことも大きいと思うんです。

 こうした機能が、今回の市場法の改正で、便利になる方はもちろんおありでしょうけれども、その便利さがゆえに安全性が損なわれたり、あるいは、今回の改正で、これまで国内のいろいろな方たちが努力をし、積み上げてこられたこの仕組みが、大手の大企業あるいは外国の資本の独壇場になってしまうような危険をはらんでいるのではないかというふうに大変危惧をするようになりました。

 最後に、昨日も参考人の方々からも表明されましたこうした懸念について、大臣の見解を求めて終わりたいと思います。

齋藤国務大臣 今、大河原委員御指摘のように、市場取引において大手事業者ばかりが有利になるのではないかですとか、あるいは大手事業者が開設者となると恣意的な市場運営をするのではないかですとか、多々、この委員会を始めとして、御意見をいただいているところであります。

 そういった御意見に対しては、その都度きちんとした説明をするように心がけていくことは当然であると思っています。

 内容としては、公正な取引の場としての要件として、既に御説明申し上げておりますように、その差別的取扱いの禁止などを求めておりまして、特定の者に偏った価格形成などが行われないように措置をしているところでありますし、また、公正な取引の場として必要な取引ルール、これを遵守してもらうために、認定後も農林水産大臣が厳格に監督を行う、さらには、改正食品流通構造改善促進法に基づきまして、農林水産大臣が取引状況等の調査などを行いまして、必要に応じ指導助言等を行うということで、これからもそういう懸念の払拭に努めてまいりたいと考えております。

大河原委員 ありがとうございました。

 終わります。

伊東委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 二日目の質疑、大変お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 重要な論点について重なるところを御答弁いただくことになると思いますけれども、現場のお声をしっかりと届けていけるような議論を進めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 まず、卸売市場法の歴史についても触れさせていただきたいと思いますけれども、競りによる取引という現在の卸売市場のあり方につながる中央卸売市場法が制定されたのが大正であります、一九二三年。制度としての競りは既に廃止されていますが、戦後、日本の食料生産と流通を支えながら、市場法の制定からもう百年近くたつ今も取引慣行の一つとして競りが行われています。

 この競りの原則のもとで、集荷した商品をできるだけ高く売りたい、このように考える卸売業者、そして可能な限り安く仕入れたいという仲卸業者が相対峙し、互いに自分たちの利益を純粋に高め合っていく、その結果として、折り合う部分で適正な価格というものが決められております。

 卸売市場は、大手、中小、事業規模に関係なく対等、オープンであり、多数の品目を効率的に扱える、公益性の高い取引、流通のシステムであります。差別的取扱いの禁止が実質機能してきたからこそ、小さな商店街も育てられ、そして地域の農業、漁業も守られてきたように思います。卸売市場のこうした枠組みを維持してきた大きなものが、私は、重要な論点である第三者販売禁止の原則であると思います。

 規制改革推進会議農業ワーキング・グループが出した資料では時代おくれの規制という文言もありましたけれども、卸売市場が非合理的なものであるならば、一世紀も続くはずもないんですね。

 そこで、まず、大臣、済みません、卸売市場のこれまでについて簡単に御所感を伺えればと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。

齋藤国務大臣 大正時代には一九一八年に米騒動が発生をして、食糧供給が十分行われないという中で、問屋、卸売業者による売惜しみですとか買占めを通じて価格のつり上げというものが横行して大騒ぎになったわけですけれども、国民生活に混乱が生じていたということで、一九二三年、大正十二年に中央卸売市場法が制定をされまして、中央卸売市場の開設等、卸売業者のそういった行為を規制しなくちゃいけないということで、許認可制として取引にも厳格な規制が課されてきたということでありまして、御指摘のように百年の歴史があるわけであります。

 また、昭和四十年代には高度成長期の物価高騰というものがありまして、生鮮食料品についていわば売り手優位な状況というものが続いていたこともありますので、昭和四十六年、一九七一年に、中央卸売市場法を基礎として、地方卸売市場に関する規制を追加して現行の卸売市場法が制定をされてきている、そういう経緯がございます。

 それで現在に至っているわけでありますが、現在は、買い手と売り手の情報格差というものが非常に縮小してきて、売惜しみなどによる価格のつり上げというものがむしろしにくい環境になってきて、先ほど来から御指摘いただいておりますように川下優位な状況になっているほか、小売業の大規模化というものが伴って、むしろ買い手の交渉力が強まってきている。

 それから、加工品とか外食の需要の増加等に伴いまして市場外の流通が拡大をしてきておりまして、その流通形態も、インターネットの通販ですとか契約取引など、かなり多様化が進んできているというふうに認識をしておりまして、こういう背景の中で、今回の改正を判断するに至ったということでございます。

緑川委員 時代背景も一世紀前とはもちろん様相は大きく異なっておりまして、御答弁いただいたような背景、今の時代に合わせた合理化、流通構造のシステムの改革ということがやはり必要になってきている部分、これは承知はしております。

 適正かつ健全な運営をただ確保するという、この大前提に立ったとき、やはり、先立つのは、第三者販売の禁止、この原則は一貫していかなければならない市場の骨格であるというふうに私は思っております。

 卸売市場法施行規則で、第三者への販売ができる例外が既に設けられております。弾力的な運用は既に図られているわけですけれども、この例外規定以外で第三者販売を解禁することの意義について伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の卸売市場法におきましては、卸売業者が同一市場の仲卸業者等以外に生鮮食料品等を販売する第三者販売は原則禁止とされておりますけれども、青果では約一〇%、水産では約二三%が、開設者の個別の許可を受ける等の手続を経た上で、例外措置を活用して第三者販売が行われているという状況がございます。

 こうした例外措置をより弾力的に運用すればいいのではないかといったような主張につきましては、今回の検討の過程でもございました。ただし、こうした例外措置によります場合にはあらかじめ手続をとる必要がある、このときにはその手続に非常に時間がかかるということで迅速な対応ができないといった問題や、事後的に報告をして検査を受けるといったような場合には、その際に、これは本来できなかった第三者販売だという指摘を開設者等から受ける可能性があるために事業者におかれてはちゅうちょをされるといったようなことがございまして、今回、国による一律の規制は外した上で、各卸売市場ごとにルール設定をしていただくという形にさせていただいているところでございます。

緑川委員 骨格となる部分は、やはりこの第三者販売の原則禁止であって、取引委員会によるチェックというものは、あくまで大前提の中にある、これが過去の歴史であります。

 平成二十七年度の金額ベースで見た第三者販売の割合は、市場によって大きく異なっています。青果部門では〇から三二・二%、水産で〇・八%から五四・九%、かなり幅があります。食肉で〇%から一・八%、花卉で〇%から二四・七%。これは、市場外流通がふえて、確かに、競争が激しさを増している中においても、第三者販売を全くしない部門を持つ卸売市場もあるということがこの数字から見てとれるわけですね。第三者販売をしなくてもいいのと。それで、してもいいよと、縛りが結局これはなくなってしまうわけです。

 きのう参考人質疑でお越しいただいた仲卸業者の中澤さんは、三十年以上卸売市場の現場を見てきた、現状でさえ市場における価格形成の力が衰えてきているのに、第三者販売の原則禁止の規定がなくなることによって市場はいよいよ一変することになると思うというふうに大変危惧をされております。市場が市場であるための重要な障壁を取っ払うことになるのではないか。

 テーブルゲームでジェンガという遊びを皆さん御存じだと思いますが、取ってはいけないピースを取ってしまう、これによって、結局、取ってはいけないものを取っ払って崩れてしまう、そしてまたこれを積み上げる、長年の苦労が一世紀の間にあったわけですね。私はそうした部分があると思うんです。

 私の地元で、秋田県大館市、青果、鮮魚を扱う卸売業者の方にもお話を伺いました。やはり、中澤さんと同じことをおっしゃるんです。魚については、大都市に向けて運ばれるものも多い中で、特に築地市場よりも状況は厳しい。地元の市場として何とか魚も確保している。野菜については、昨年の天候不順の影響、秋にありまして、ことしは高騰しているということで、高齢化、人口減少に伴う労働力不足、地元では、仲卸業者の規模、そして業務に携わる目ききの数も減少しております。ぎりぎりの人員の中で、品物を確保しながら、公益性を守りながら、日々価格形成に努めていらっしゃいます。地域の八百屋、鮮魚店など、その仕入れの確保、仕入れ値の安定にも最大限地元の市場が貢献されているわけです。

 こうした中で、あくまで市場開設者の判断ということにはなりますが、第三者販売が解禁されるということになれば、大きなスーパーが、例えば五十箱、大量に買ってあげるから安くしてくれと大きな資本、購買力に物を言わせて迫られたときに、相対取引でもって迫ったときに、卸売業者は、数量としてたくさん売れるということは確かにいいんですけれども、単価が余りにも安い場合には、集荷を委託した生産者が割に合わないという判断をして、次からは品物をその市場に委ねてくれなくなる。もうけがもっと出るような別の市場へ、あるいは市場ではなく産直で取引をしたり、直売所などへ出した方がもうかるという判断で、私は、結局その市場は利用されなくなってしまうんじゃないかというふうに思います。市場の方もお話をしています。

 大口のスーパー、一方のスーパーは、安くしてくれないというのであれば、この市場では買わない、やはり買い手市場だと大臣もおっしゃいました、別の市場の方で買い付ければいいということになり、結局、生産者も、小売などの実需者も、その市場からは離れていってしまうおそれが私はあるんじゃないかと思うんですね。

 物が回らないほど市場にとって怖いことはありません。第三者販売が進むことによって、政府は市場が活性化するという説明もされていますけれども、私はかえって市場間の格差が広がっていくことになるのではないかと思うんですけれども、御所見はいかがでしょうか。

井上政府参考人 第三者販売につきましては、今委員御指摘のとおり、各卸売市場ごとにそれぞれ実態はかなり違っているということがございます。

 加えまして、今申し上げましたのは、第三者販売の特例措置を使って第三者販売を行っているケースでございますけれども、卸売市場において第三者販売が原則禁止とされておりますために、市場の関係業者においても、別の会社をつくって、卸売市場の外で、第三者販売といいますか、直接加工業者等に販売をしているケース、これも多々あるわけでございます。

 今回は、こうした状況も踏まえまして、第三者販売について国として一律に禁止ということは廃止をするわけでございますけれども、各卸売市場ごとに実態に即してルールを設定していただき、また、その際には、差別的な取扱いになっていないか、また、仲卸業者の方も含めて、十分意見を聞いて定められているかということをチェックした上で認定を行うということにしているものでございます。

緑川委員 やはり、行政の関与が結局これは薄れてしまう形になります。取引ルールも、開設者自身が、これは、卸売業者、仲卸業者に遵守させるという形で、やはり、みずからルールをつくるという立場であります。そこに行政が関与するという余地は以前よりも大変薄れてしまう、そういう懸念がやはりあります。

 第三者販売が進んで活性化する市場というのは、やはり、私は、そもそも大手の旺盛な購買力にも応えられるような卸売市場だと思うんですね。つまり、市場の規模も左右されるかもしれませんけれども、集荷した商品をしっかり相手にアピールして価格交渉ができるような卸売業者が、私は、今のこの大手の購買力にもしっかり応えられる存在であるというふうに思うんです。

 デフレマインドが払拭されない時代、まず、安さを求めて消費者と常に向き合っている立場であるチェーンストア、こうした存在、チェーンストアにとっては、品質ではなく価格重視で取引に臨んでくることになります。

 ここで重要と思っているのが、私は、相手の購買力に大きくは妥協せず自分が集荷した商品をしっかりと売り込める、こうした卸売業者の存在が私は大事だと思っていまして、そのための人材育成が欠かせないというふうに思います。商品を価格面で妥協することなく売り込めるというのは、仲卸の目ききのように、商品の質を見きわめて、いいものをきちんと評価することができればこそ可能な行動であると思うんです。

 先ほど触れた、活性化する市場とそうでない市場、予想される市場間の格差の広がりを防いでいくために、この卸売業者の人材育成について私は考えていく必要があると思いますが、このあたり、御見解はいかがでしょうか。

井上政府参考人 ただいま議員から御指摘のございましたような、実需者の求める品質の食材を、品質に見合った価格で仕入れ、また提供する仲卸業者等の目ききの機能、これは卸売市場の主要な機能の一つであります価格形成機能を支える重要な役割であるというふうに考えてございます。

 こうした目ききの人材育成につきましては、おのおのの事業者の経営判断、その費用負担において研修等が行われているものではございますけれども、こうした対応が持続的に行われていくためにも卸売市場の活性化が重要と考えておりまして、卸売市場における国内外の需要開拓に向けた取組と、今回、食品流通構造改善促進法の改正を提案させていただいておりますけれども、こうした支援措置を講じることによって卸売市場が活性化をし、そしてこうした人材を確保し、また育てられるような環境が整うように後押しを行ってまいりたいと考えております。

緑川委員 人材面の育成、何とか、これは卸売業者だけじゃないですね、仲卸の人材の面でもこれは必要だと思っておりますし、青果、水産物、食肉、花卉、この品質の確かさを見きわめる目きき、仲卸のこの存在によって、いいものが評価をされ、そしていい値段がつく、生産者は更にいいものをつくろうというふうに頑張る、それをまたいいものとして評価をしていく、このいい循環が市場内で起こることが、やはり人材育成を進める上で期待されることだと思います。

 食の品質ということからすれば、また、目ききによってその安全性の担保も図られることが大変重要であるというふうに思います。私の地元秋田県は、日本海に面した潟上市という町がありますけれども、その地元の漁港ではトラフグが水揚げされます。トラフグは北限のフグとして売り出されておりまして、低温の海水で身が締まっていて、白子をたっぷりと抱え、身の甘さが何といっても自慢なんですね。

 地元の飲食店や旅館で提供される大変人気なこの天然フグ、秋田も広いので、私も地元で活動するときにはあえて地元で宿泊をして、潟上市内の旅館で朝食としてこのおいしい北限のフグ料理が出されることがあります。皆様にはぜひ足を運んで、この北限のフグを食べていただきたいというふうに思うんですが、このフグについてのお話をちょっと進めていきたいと思うんです。

 市場を介して仲卸業者がこれは調達をして、安全に処理をした上で地元に提供されているものです。ここで資料をごらんいただきたいんですが、フグの取扱いについて、例えば千葉県では、フグは処理したものでなければ食用として販売してはならないというのが原則です。黄色でマークしたように、卸売業者などに販売される場合には、未処理の場合でもその販売が認められております。

 詳しく見ますと、丸フグ、そして身欠きフグというふうにありますが、これは、有毒である場合がある皮やひれを除去していないそのままのものが丸フグ、内臓を除去して皮を剥いだフグというのが身欠きフグというふうに言われています。

 卸売業者、仲卸業者、また卸売市場開設者の承認を受けた買参人であればこうしたフグを買うことができるんですが、これを踏まえて資料右を見ていただきたいと思います。

 フグの特産地である山口県下関市の仲卸業者は、フグの取扱いの安全性に万全を期しております。さっき言ったいわゆる身欠きの状態にして流通させている。これで食中毒のリスク管理は万全を期しているわけなんです。

 この地元の仲卸業者に私はお話を伺いましたけれども、やはり心配しているのが、法改正で第三者販売が今後解禁で広がることによって、有毒部位を含むフグがこうした仲卸の処理を介さずに卸売業者から直接スーパーなどへと渡ってしまうというリスク、これは地元でもお話をされておりまして、私も懸念をしております。

 昨年の冬に何があったかといえば、国内のあるスーパーで、ヨリトフグという種類のフグの有毒な肝臓を含む切り身が、これがスーパーで並べられていたという事件がありました。身欠きがされていないままに仕入れたものというふうに見られていまして、幸い食中毒の被害はなかったわけなんですけれども、これで第三者販売を解禁したときに、これまで取引すること自体できなかった卸売業者に対して、例えば、こういうスーパーがアプローチを業者にしてきて、そのスーパーにフグ調理師がいないにもかかわらず、調理師がいるというふうに装って買い付けるようなケースも私は考えられると思うんです。

 仲卸だからこそ扱えるもの、仲卸だからこそ安全性に十分配慮しなければならない、この両面を踏まえたときに、私は、やはりこの卸売市場のかけがえのない、ほかには代替できない機能、そして、この重要性をそこに感じられるというふうに思っているんですけれども、大臣、今のお話をお聞きになって、御所感を伺いたいと思います。

伊東委員長 時間が経過しておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。

齋藤国務大臣 丸フグや身欠きフグの取扱いには、いずれにしてもフグ処理師の資格を持っていないといけないということでありますので、それを偽って買い付けに入るということそのものはあってはならない違法行為であると思っていますので取り締まるべきだと思いますが、いずれにいたしましても、仲卸業者を介さない第三者販売かどうかであるかにかかわらず、食品衛生法等に基づき必要な指導、規制が行われていると承知しておりますので、それを厳格に運用していくということに尽きるのではないかと考えております。

緑川委員 市場の外での取引がやはり広がる以上、食の安全、とにかく人の命にかかわる部分については、先ほど食の安全性の問題も委員からもお話ありました、想定に想定を重ねて、起きてはならないことを未然に防ぐ、これが政治の務めであり、行政のやはり努力だと私は思います。強く戒めさせていただいた上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 国民民主党の関健一郎です。

 委員長並びに与野党の理事の皆様方におかれましては、質問の機会をいただきまして心より御礼を申し上げます。

 早速質問に移らせていただきます。

 卸売市場の適正配置についてお話をさせていただきます。

 私は父親が転勤族でありまして、鎌倉で生まれて横浜に引っ越して、私も記者として転勤生活をやっておりまして、名古屋、豊橋、香川県の高松、東京と全国津々浦々転勤をさせていただいたんですけれども、やはり日本のこの多様な食文化を支えているのは卸売市場なわけです。

 多分、全てのここにおられる先生のお地元のみんなが行くスーパーの名前は違いますし、品ぞろえも違う。中小規模のおじいちゃん、おばあちゃんがやっているような魚屋さんですら、きょうは何々がおいしいよ、そういう違ったものが入って、その地域の食卓がまた多彩なものになっていく。これが、日本がつくり上げてきた世界に誇るべき卸売市場であり、流通形態なんだと思います。

 そこで、適正配置についてお伺いしますけれども、認可制から認定制に変わって、卸売市場の適正な配置、今、全国津々浦々、バランスよく配置されているわけです。

 例えば、ある地域で、では、ここはもう大臣の基本方針に従わないし認定事項に従っていないからだめですといって、そこに卸売市場がなくなったら、その地域の市場機能がなくなってしまう懸念がありますが、これについて御所感を伺います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 卸売市場につきましては、今委員から御指摘もありましたように、既に全国的に整備が進んでおりまして、今後とも国が主導いたしまして新しい卸売市場を計画的に整備を行う必要がある状況にはないというふうに考えております。むしろ、最近では、中央卸売市場は地方卸売市場への転換等によりまして、また、地方卸売市場は民設市場の廃業等によりまして、減少しているという状況にございます。

 卸売市場は非常に重要な機能を果たしていくものでございますので、現在ある卸売市場がその機能を十分発揮をしていけるように、今回の改正案におきましては、公正な取引の場として一定の要件を満たす卸売市場を農林水産大臣等が認定をして、振興を図っていくということとしております。

 また、こうした認定を受けた卸売市場につきましては、国としても、施設整備への助成については引き続き行っていく所存でございます。

関(健)委員 きのうも質問させていただきましたけれども、やはり公正という言葉をかなり厳格に定義する必要があるんだと思います。

 きのう、中澤参考人のお話の中でありましたけれども、仲卸を飛び越えて営業に行っているんだよという話があったと思います。

 仲間の委員からも質問ありましたけれども、卸売の方は、生産者のことを頭に想像しながら、ちょっとでも手取りを高くするために、高くいいものを売らなきゃという思いで卸の皆さんは商いをしている。仲卸、買参人の方々は、僕はすごく感動したんですけれども、この人が買ってくれるんだろうな、あの店が買ってくれるんだろうなということを思いながら私たちは商売しているとおっしゃっていましたけれども、そういう血の通った商いをしておられるのが、仲卸の方々であり、買参人の方々であるということだと思います。

 ですから、今御答弁いただきましたけれども、改めて、重要な、不可欠な機能が残るように、それも全国津々浦々ですね、今ある日本の多様性が残るような、公正なというのを厳重に確保していただくことを強くお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 今回改正される食品等流通合理化計画についてお伺いします。

 食品流通構造改善促進法により、食品流通の合理化に取り組む事業者は、食品等流通合理化計画を作成し、大臣の認定を受けることで、融資、出資などの支援を受けられることになっていると思います。

 先ほど申し上げましたように、今、もちろん農林水産省、政府が、寡占化を進めようとか、そういうことをしようとしていると言っているわけではありません、そういうリスクがあると申し上げているわけです。

 そのリスクがある中で、大手企業、例えば食品流通合理化に取り組む場合、例えばその懸念がある大手企業に対しても、この合理化計画というのに取り組んだ場合は支援を受けることができるんでしょうか。また、農業者から、買いたたき、買いたたきというほど明らかでなくても、先ほど言ったような価格交渉があった場合、そういう事業者も支援対象となり得るのか。どういうふうにこの合理化計画をさせて、融資、出資の支援を受けられる制度の運用をしていくのか、お伺いします。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 法改正後の食品等流通合理化計画におきましては、物流の効率化、情報通信技術等の活用、品質、衛生管理の高度化、国内外の需要への対応といった食品流通の合理化への取組を対象といたしまして、企業規模を問わず、要件に合致すれば農林水産大臣の認定は受けられることとなっております。その認定要件といたしましては、農林水産業の振興に寄与することといったようなことも含まれているものでございます。

 また、認定を受けた後、どういった事業者が支援を受けられるかということでございますけれども、日本政策金融公庫の融資につきましては、中小・小規模事業者に限ってこれを受けられることとしております。

 また、今回新設をしております農林漁業成長産業化支援機構、いわゆるA―FIVEでございますけれども、これの出資対象につきましては、今回の改正法案の中にも規定がございますけれども、支援対象を含めました支援基準を今後定めてまいることとしております。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

関(健)委員 やはり、冒頭から申し上げていますけれども、もちろん効率化は必要なんだと思うんです。その裏に潜むリスクというのを徹底的に潰していただきたいというのがこの質問の趣旨ですので、そういう企業がまさに寡占化を進めるとか買いたたきとかをしていないかというのは、きっちり見て、調査を続けていただきたい。

 私、NHKの記者として流通部門を担当させていただいたことがありまして、実は、流通というのは合理化した方がいいということを考えていた人間です。ところが、いろんなところを取材すると、津々浦々、申し上げていますけれども、多様な食文化が存在している。この地域だと粒あんが売れるのに、この地域ではこしあんしか売れない、こんなものに細かく対応できるのが、不思議なことにこの国の流通の制度なわけです。

 そして、この合理化を目指して、いろんな効率化を進めるために外資が入ってこようとした過去のいきさつもあります。ところが、この細やかな、繊細な食文化への対応、日本の流通が実現している、これに対応できないことがわかって撤退したという過去があるわけです。

 つまり、実は一番合理的だったということがそのときの私の結論です。ですから、減らせばいいという話ではないと思うんです。

 そこで、では、フランスが今どうなっているか。例えばフランスを挙げますけれども、寡占が進んでいる国の代表例ですけれども、今、農業者の保護新法というのが取り上げられているそうです。まだ審議中のようではありますけれども、スーパーマーケット等の価格競争を抑制し、農業者の手取りを確保するための法律ということです。直接支払いも関係しているようですけれども。

 これは、おわかりになる範囲で結構ですので、御説明をお願いいたします。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のフランスの法案でございますけれども、本年の一月三十一日に議会に提出されたものというふうに承知されております。同法案、仮に日本語にするとすれば、農業関連事業者間の商取引の均衡改善及び健康で持続可能な食料確保に関する法律案、こういったことになろうかと思います。

 その中身でございますけれども、大きく三つ柱がございます。

 一点目が、先生今御指摘ございました、農業関連事業者間の商取引における農業者の適正な報酬の確保ということ。二点目としては、食料に係る衛生面、環境面、栄養面での質の向上。三点目として、健康、安全で持続可能な食料への平等なアクセスの確保、こういったものを内容としてございます。

 このうちで、農業者の適正な報酬の確保ということに関しましては、生産コストを起点に商品の価格決定を行いますということですとか、不当廉売と認められる小売価格の最低額を引き上げるといったふうな内容が含まれております。

 先生も御指摘いただきましたように、現在フランス議会で審議中でございまして、多くの修正案も検討されているというふうに承知しているところでございます。

関(健)委員 今回の改正案で、寡占化のリスクが伴うということは、繰り返し申し上げさせていただきました。寡占化が進んでいるフランスでは、生産者のためにこういう対応がされているわけです。日本でも、価格競争が激しくなり、農業者がより厳しい立場に置かれてしまうことが懸念されるわけです。

 フランスのこうした法律案について、日本でも検討する必要があるのではないでしょうか。政府の見解を伺います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回御提案申し上げております、卸売市場の仕組みの見直しを含めました流通構造改革につきましては、その目的といたしまして、生産者の所得の向上といった点がございます。また、その中では、食品等の流通状況の調査を行い、それに基づいて指導助言等を行うとともに、不公正な取引があると思料する場合には公正取引委員会に通知をするといったようなことで、不当な買いたたき等については対応するような措置を設けているところでございます。

 一方、諸外国の農業政策の動向につきましても、広く情報収集をして分析、研究することも重要と考えておりまして、フランスでのただいま御指摘のありました農業保護新法の審議や施行の状況につきましても、今後とも注視をしてまいりまして、我が国の政策として参考にできるところについては参考にさせていただきたいと考えております。

関(健)委員 寡占化が進んでいて、起こるであろうリスクが既に起こっている国の事例でありますから、そこは、こういうことが起こるんだろうなということを前提に、国内でも細かく目を配っていただいて、そもそもの目的が生産者の手取りをふやすことだと思いますから、しっかり注視をしていただくことを改めて申し上げます。

 続きまして、食品流通全体の目指すべき将来像についてお伺いします。

 これまで何度も、民間企業の大手資本による、市場設置者となり、寡占化の懸念、若しくはこれまで卸売市場の持っていた役割が失われるんではないかという懸念を、繰り返し質問させていただきました。それに対しての御答弁は、やはり、生産者の手取りをふやす、消費者のニーズに応えたものであり、より卸売市場を活性化してということが政府の御答弁だったと思います。

 そして、今のこの我が国が持っている食品流通システムが非常に世界に冠たるもので、実は合理的だったということは、恐らく余り異論のないところだと思います。

 今後、今回の法改正でどのようにこの流通制度を変えようとしているのか、また、その将来像についてお伺いします。お願いいたします。

野中大臣政務官 卸売市場でございますが、やはり、生産者から集荷し、そして実需者に分荷する上で、今委員からもございましたように、非常に効率的な仕組みであるということであります。また、他の取引においても指標となる、そしてまた生産者に早期に代金決済がなされるなど、まさに食品流通の核として重要な役割を果たしているということであります。

 他方、やはり食品流通の状況の変化ということで、消費の面では、生鮮品のままの需要が減少して、そして加工食品、外食の需要が拡大しているということで、また、価格面のみならず、品質、衛生面の関心が高まっているということであります。流通においても、やはり、小売店の大規模化、また、インターネット通信販売、産地直売の拡大など、そしてまた、トラックドライバーの不足など物流の確保にも支障が出てきているということであります。

 このため、卸売市場法を改正して、公正な取引の場として必要な取引ルールを共通の取引ルールとしての規定をするほか、その他の取引ルールについては、卸売市場ごとの実情に合わせて柔軟に設定し、創意工夫が図られるようにすることによって、重ねての答弁になってしまいますけれども、やはり生産者の所得向上と消費者ニーズへの的確な対応を促すこととしております。

関(健)委員 将来の目指すべき流通像について伺いましたけれども、最後、大臣にお伺いします。

 今回の改正案、やはり私たちは、民間企業大手の資本による寡占のリスク、価格形成機能が失われるんじゃないかというリスクを繰り返し質問させていただきました。その一方で、政府側としてはよりよいものにということがまさにあるわけですけれども、結局、この質疑を通しても、その懸念はなかったね、少なくとも市場関係者の人たちがそれなら大丈夫だということにはならなかったと言わざるを得ません。

 そこで、大臣にお伺いします。

 結局、勉強させていただけばいただくほど、大臣の基本方針とこの認定において、やはり絶対そういうことは許さないんだという厳しい明確な姿勢を、農水大臣としてこの基本方針の中に、我々が申し上げた懸念のようなことが起こることはない、またそういうところが入り込む余地はないぞという基本方針、そして認定要件にすべきだと思いますが、大臣の御所感を伺います。

齋藤国務大臣 まず、関委員と共通の認識が持てたらいいなと思いますことは、今放っておいても、IT化の推進等々で流通の多様化というものは今後後戻りすることはないだろう、それから、その下流の力、川下の力というのはこれから弱まっていくということもないだろう、そういう将来を見通した上で、それで私どもがやるべきことというのは、やはり公正な取引の確保に厳格に取り組むということがやるべきことなんだろうと思うんです。これは今回の法改正があろうとなかろうとですね。

 今回の法改正におきましては、もう累次御説明申し上げておりますように、食品の流通構造改善促進法の中で、私どもがその取引状況をしっかり調査をして、その結果に基づいて、おかしなことがあれば最終的には公正取引委員会に通知をする。公正取引委員会の方でも、さっきフランスの法律がありましたけれども、不公正な優越的地位の濫用ですとか差別対価ですとか不当廉売ですとか、そういうものがあればそちらの方で厳格に対応していただくということになっていますので、私は、基本方針始め、そういう点については厳しく対応していくということを申し上げさせていただきたいなと思っております。

関(健)委員 明確に厳しく対応いただくということ、ありがとうございます。

 これまでの大臣の御答弁の中で、生産者の皆さんへの敬意とか現場への敬意というのは私もよく理解をさせていただいております。

 改めまして、そういう認識のもと、この日本の誇るべき流通構造がしっかりと担保されるように、大臣の基本方針でそういうリスクがないことを明確に記していただくことをお願い申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。無所属の会の大串でございます。

 早速質疑に入らせていただきます。

 卸売市場法等の改正案でございますけれども、これも私は去年の秋から、この改正に向かう過程のところから、この委員会でも大分議論させていただきました。

 私がそのときから一貫して取り上げてきたのは、この法案というのは一体何を目指すものなんだろう、何を達成しようとするものだろうということが比較的私はよくわからなかったんですね。そういう観点からいろんな質疑を去年の秋もさせていただいたわけでございます。

 特に、今回の法案で私が一番気になっているのは、認可制を認定制に変えていくという、法律のいわゆる私にとっては骨組みだと思われるところ、これが変わるということは一体何なんだろうというのは、最初から私はよくわからなかったんです。

 きのうの参考人質疑は私にとっては非常に衝撃的でしたね、委員の皆さんも聞かれていたと思いますけれども。私の方から、認可制が認定制に変わるということで、何がどう変わるんでしょうかということを、現場の皆さん及び、一人学者の先生がいらっしゃいましたけれども、現場の皆さんに聞いたところ、口をそろえて、よくわかりません、何が変わるのかよくわかりませんとおっしゃったんですね。私が感じている悩みと同じような悩みを持たれているんだなと私は思ったんです。よくわからない中で法律なんて変えていいのかなというのが私の率直な気持ちなんですね。

 そこで、まず局長にお尋ねさせていただきましょう。

 今回は認可制を認定制に変えるということになっておりますけれども、これは私、この法案の骨組みのところだと思っています。これで何がどう変わるんでしょうか。きのうの参考人の皆さんは何がどう変わるのかよくわからないとおっしゃいましたけれども、何がどう変わるんでしょうか。

井上政府参考人 許認可制と認定制で何が違うのかというお尋ねでございますけれども、現行の卸売市場法におきましては、卸売業者の売惜しみ、買占めによる価格のつり上げを防止する等の観点から、大正十二年に制定されました中央卸売市場法以来の仕組みを踏襲しておりまして、農林水産大臣や都道府県知事の許認可を受けなければ、卸売市場の開設、それ自体認められていないという制度になっております。

 他方、現在では、買い手と売り手の情報格差がなくなりまして、売惜しみ等による価格のつり上げがしにくい環境になっているとともに、卸売市場の外では自由な食品流通が行われている中で、卸売市場のみ開設や卸売業務について許認可を受けなければそもそも行えないとする理由はなくなっているという考え方のもとに、今回の法案におきましては、卸売市場の開設は許認可を受けずとも行い得るという制度にするとともに、公正な取引の場として一定の要件を満たす卸売市場については、農林水産大臣等が認定をすることによりまして、その振興を図るということにしているわけでございます。

 更に申し上げさせていただきますと、現在の許認可制のもとでは、許認可を受けずに開設しているという卸売市場は制度上存在し得ないということになるわけでございますけれども、認定制に移行した場合には、認定を受けずに開設をする卸売市場が制度上は存在をし得るということでございます。

 他方、今回、認定の対象とする卸売市場につきましては、その公共性を確保する観点から必要な要件を課しておりますので、審査基準について見ますと、認定基準につきましても厳格に設定しているために、大きな違いはないという状況でございます。

大串(博)委員 ちょっと確認しなきゃならないことが今の答弁で出てきたんですけれども、認可じゃなくて認定になるので、認定を受けないで卸売市場を開設する人たちが出てくるということですね。これは、私、余りこの議論の中でもなかったことじゃないかと思いますので、ちょっとそこは詳しく教えていただきたいんですけれども、その認定を受けずに卸売市場を開設する人たちというのは一体どのくらい出てこられて、その人たちは一体どういう卸売市場業務を行われることが想定されるんでしょうか。

井上政府参考人 今回の改正案におきましては、認定を受けた卸売市場についてのみ中央卸売市場又は地方卸売市場という名称を使えるということになりますとともに、認定を受けた卸売市場については施設整備への国の助成が受けられるということでございますので、基本的には、卸売市場を開設すると考えられている方につきましては認定申請をされるということが多いと思います。

 具体的に、認定を受けずに卸売市場を開設しようとしている具体例を現在想定しているわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、制度の仕組みといたしまして、市場外の流通が自由に行われている中で、認定を受けなければ卸売市場をつくること自身がそもそもできないというような規制を行う必要は現時点では見当たらないということで、現在御提案をしているような制度にしているものでございます。

大串(博)委員 認定を受けない卸売市場の皆様というのは、そうすると、認定を受けられる卸売市場の皆様に課せられるルール、すなわち、共通取引ルールの遵守、例えば、売買取引方法の公表とか、差別的取扱いの禁止とか、受託拒否の禁止とかですね、さらには、それ以外に、第三者販売の禁止、直荷引きの禁止などは共通の取引ルールに反しない範囲において関係者で定められる、こういったいろいろなルールがあります、決め事がある、先ほどおっしゃった、認定を受けないで卸売市場業務を行う卸売市場というのは、これら共通の取引ルールを遵守しなくてもよいということでよろしいでしょうか。

井上政府参考人 認定を受けずに卸売市場を開設する場合におきましては、今御指摘のありましたようなルールを遵守する義務はない一方で、名称の使用制限がかかるということと、施設整備への国の支援が受けられないということでございます。

 また、不公正な取引が行われるのではないかという点に関しましては、今回、食品流通構造改善促進法の改正によりまして新たに設けることとしております、食品の流通状況等の調査を農林水産大臣が行い、その結果に基づいて措置を行うということで、取引の公正の確保については取組を強化してまいりたいと考えております。

大串(博)委員 これまでは少なくとも、卸売市場業務というものは、卸売市場、中央卸売市場若しくは地方卸売市場ということで、法律において認可を受けて行われていらっしゃったわけですね。

 それが、今回の法律改正において、それとは全く別のカテゴリー、すなわち、法律の認定を全く受けずに自由に卸売市場業務を行う人たちが出てくるということですね。そこは、全くこの共通の取引ルール等の規制には浴さない。もちろん、食品流通法上、農水省としてこの法律に基づいていろいろ物申すことはあるにしても、少なくともこの卸売市場法に書かれているような共通の取引ルール等、非常に重要なルールですよね。受託拒否の禁止を始め、差別的取扱いの禁止を始め、きのう現場の方々は非常にこの重要性を説いていらっしゃいました。

 それが全くかからないということになると、もう一度、私、繰り返し質問させていただかなきゃならないんですけれども、そういう認定を受けずに自由に卸売市場業務を行う方々が一体どのくらいこの世の中に今後出てこられて、その方々は一体どういう卸売市場業務を行うんだろうというのは、やはりこの委員会で確認しないと、それで、はいそうですね、よしとはならないと私は思うんですね。そこなんです。一体どのくらいの方々が認定を受けないで自由に卸売市場業務をやられるようになるのか。そして、その方々は一体、非常に重要ですよ、受託拒否の禁止とか差別的取扱いの禁止とか。

 ちょっとお尋ねしますけれども、自由に卸売市場業務を行う人たちは、例えば、差別的取扱いの禁止というのはないので、自分の好きな卸売業者さんを入れてきて、仲卸がそこに存在するかしないかも関係ないということができるわけですね。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 認定を受けない卸売市場等におきましても、不公正な取引といったことについては、これは公正取引委員会に通知等を行って、公正な取引環境は確保することといたしますけれども、認定をとらないで開設をする卸売市場が出てきた場合に、例えばそれについて受託拒否の禁止等の義務はかからないということになります。

大串(博)委員 済みません、ちょっともう少しイメージを教えていただきたいんです。

 そういう認定を受けないで自由に卸売市場業務を行われる市場というのは、例えば、今後この世の中でどのくらいのボリュームになっていくんでしょうか。

 そして、その人たちの業務のあり方、先ほどもおっしゃったように、差別的取扱いの禁止とか受託拒否の禁止はない中で、食品の流通に関する、生産者ができるだけ買ってもらえる、いつでも買ってもらえる、あるいは、消費者はできるだけ安く自分の欲するものが市場を通して得られるようになる、こういったことが変わるのか変わらないのか、変化するのか変化しないのか、この辺はいかがでしょうか。

井上政府参考人 現在でも、食品の流通の中で、例えば、店舗を設けまして、特定の出荷者から産品を仕入れて、それを外食であるとか小売の方に卸売をしているような流通というのは実際にあるわけでございます。

 こういうものがある中で、より多くの方から仕入れ、より多くの方に売るような卸売行為そのものを禁止する理由はないということで、今回、このような制度にさせていただいているものでございます。

大串(博)委員 そうすると、今、農水省からの資料で、今回も、市場外で直接の取引が行われているケースはふえてきていますということが随分説明としてあって、その実態に合わせるみたいな説明がありました。

 私、非常に知りたかったのは、何か今の制度で、こうやって市場外でも流通しているのはしているんですよ、しているにもかかわらず、あえて中央卸売市場あるいは地方卸売市場という制度、認可制という制度を認定制に変えて、はい、規制に浴さず自由に参加できる人はできますよ、もっとできますよというふうにしなければならない、何か今不都合な事実というのはあるんでしょうか。

 例えば、価格が高い、何がしかのものが売れない、消費者にこういうふうな害を及ぼしている、具体的な立法事実ですよね。これをこうしないと、国民に損が出る、害が出るという何がしかのエビデンスはあるんでしょうか。

井上政府参考人 今回の卸売市場法の見直しにおきましては、公正な取引の場として機能を発揮していく上で必要な要件は満たしていただく、これは共通のものとして満たしていただくというふうに制度を見直すわけでございますが、一方、それ以外の取引ルールについては、各市場においてそれぞれ独自に定められることにしているわけでございます。

 少し法技術的な細かな話になってまいりますけれども、現在の卸売市場法で、開設については、中央卸売市場については認可、地方卸売市場については許可となっているわけでございます。すなわち、認可を受けなければ法的に有効に開設ができない、あるいは、一般的に禁止をした上で、それを解除していくという仕組みになってございますので、現行の卸売市場の許認可制度のもとではもともとできないものを解除していくということで、公正な取引の場として求めるべき要件以上に、逐一、一旦国として禁止したものを解除していくということでございますので、事細かにさまざまな規制を設けているわけでございますけれども、それについては、今回見直しをするという趣旨で、許認可制から認定制に変更、見直しを行うことにしているものでございます。

大串(博)委員 ちょっとこれ以上局長に聞いても答えるのが難しいようですから、大臣にお尋ねしますけれども、わざわざ認定制にして、つまり、認可を受けないで自由に参入する、卸売市場業務を行う人が出てきてほしい、あるいは出てきてよいというようなことだったんですね、すなわち。

 何でそこに私がこだわっているかというと、前回、秋の、この改正に向けた準備劇を見ていたときに、非常にやはり驚いたんです。かなり高い高目の球を規制改革会議から投げられて、受託拒否の禁止のところは、最後、非常にメルクマールみたいになりましたね。これは何とか守りたいということで守った。しかし、その代償で、認可制は廃止せざるを得なかった。認定制になった。何でここにこんなにこだわるんだろうなと思ったら、私の見るところ、認定制にして自由参入をどうぞというふうにしたいということかなと思うんですね。

 大臣、それは一体、どういった世の中を食品流通に関してもたらしていきたいからそういうことをやっているんですか。どうも、先ほど局長に、何か今不都合なことがあるんですかと聞いたら、全くその答弁はなかったですね。制度をこう変えますというはぐらかしの答弁で、今こう困っているので、こういう害があるので、こういう損が国民に出ているので、変えなきゃならないんですという答弁はなかったですね。

 そういう中で、あえて自由参入の卸売市場をつくる、そこにはこれまでの卸売市場法による規制はかからない。そういったものをつくる理由があるのか。そこまでして一体どういう世の中をつくろうとしているのか、私は非常に疑念を感じざるを得ません。

 大臣の思いを聞かせていただきたいと思います。

齋藤国務大臣 まず、流通実態の変化というもの、これは間違いなくあると思っているんですね。ですから、ここでも累次御指摘いただいて答弁していますけれども、例えば、第三者販売を原則禁止にすることによって何が起こっているかというと、別会社をつくって結局進めようとしているとか、あるいは、商物一致の原則があってなかなか効率的な物流の阻害になっているですとか、それから、更に言えば、仲卸業者の人たちの品ぞろえの観点から直荷引きの禁止というものを少し柔軟にできないかとか、そういうニーズがあることは間違いないわけであります。

 ですから、今回の法改正というのは、そういうニーズにも応えられるようなたてつけにしようと。ただ、公正な取引というものは確保していかなくてはいけませんので、そういう仕組みを講じた上でそういうものに応えられるようにしたらどうかとかいうことで、しかも、市場ごとに多様性がありますし、実態が違いますから、それぞれの参加者が、その取引のあり方、ルールのあり方を決められるようにするのもこれからは大事なんだろうと、一律にやるのではなくて。そういう発想の中で、今回この法改正をしているわけであります。

 それで、そういう全体の中でそういうたてつけにする以上は、許認可みたいな、そういう強制的、規制的なものではなくて、むしろ認定にして、今までの規制からむしろ適正なものを振興していくという発想でこれからは考えていくべきだろうということでありますので、許認可か認定かというところだけではなくて、そういう全体のたてつけを見た上でこの部分も御判断いただければありがたいなというふうに思います。

大串(博)委員 何が今、害があって、問題があって変えざるを得ないのかという答弁はやはりないんですよね。

 私は、これも、安倍内閣の市場原理中心主義、経済合理性偏重主義のあらわれだと思うんです。認定制になって、民間参入があるのではないか、それがちゃんといくのかというおそれのみならず、認定制を受けないで自由に卸売市場業務を行える人たちだって出てくるというような、全くそこには卸売市場法上の規制はかからない、そんなふうな世の中に今持っていかなきゃならない理由は私はないと思います。

 よって、とても賛成できるものじゃないということを申し上げて、私の質疑にさせていただきます。

 終わります。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 卸売市場法の改正案について質問をします。

 まず、許可、認定制についてです。

 中央卸売市場において、農林水産大臣の許可制だったものを認定制に格下げをして、地方公共団体のみであった開設者を、規模要件などを課すだけで民間事業者も参入できるものへと、改正案ではそうなっています。

 そこで伺いますけれども、改正案四条一項の、施設が一定規模以上というのは、敷地の面積を指すのでしょうか。農水省の定める基準とは何でしょうか。現行法上は、整備計画に沿って必要とされなければなりませんけれども、改正後は、要件を満たせば農水大臣の認定がおりることになるのでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案四条一項は、中央卸売市場についての規模要件を定めているところでございますけれども、中央卸売市場につきましては、受託拒否の禁止の義務を負うため、相当程度の規模を有する、比較的大きな消費地への流通拠点に限定するという趣旨でこうした規定を設けているわけでございます。また、これに該当する中央卸売市場につきましては、高い公共性を有するということで、施設整備に対して、地方卸売市場等への予算補助よりもより高い補助率、十分の四以内の施設整備への補助を行うこととしてございます。

 この四条一項の農林水産省令で定める基準におきましては、中央卸売市場の認定申請を行う卸売場、仲卸売場等の施設の面積が一定規模以上であること等を定めることを想定しております。

 また、認定に当たりましては、市場の健全な運営がなされるということは認定の要件になっておりまして、その中で、資金の確保が確実になされることといったことでありまして、ある程度需要があって、卸売市場における取引がなされることによって施設の運営等を賄えるようなものになっているかといったところもチェックをするということにしております。

田村(貴)委員 結局、整備計画に沿って必要とされるという判断が、今後は条件を満たせば認可されていくということになると思うんです。

 これは、きのうの学識経験者の藤島先生、参考人がおっしゃっていたとおり、必要であっても開設されなかったり、あるいは競合が起きたりする可能性があるということをはらんだ法案であります。

 次の質問です。

 民間事業者が参入した場合、これまで条例に基づいて行ってきた買参人の許認可、市場施設の使用許可、それから施設使用料、指導、検査、監督の権限、行使の方法などの業務は誰が行い、規程は誰が策定していくことになるのでしょうか。これは結論だけでいいので端的にお答えいただきたいと思います。

井上政府参考人 業務規程の作成主体でございますが、これは、現行法と同様、開設者でございます。

 また、ただいま御指摘のございました市場施設の使用許可、施設使用料の徴収、卸売業者等の指導、検査、監督等は、一義的には開設者が行うこととなりまして、開設者が市場の運営として適切でないような場合には、農林水産大臣が命令等によって対応するということでございます。

田村(貴)委員 開設者なんですね。非常に不安ですよね。公的責任のかかわり、指導、監督、権限、どこに行っちゃうんでしょうか。ここにも問題があります。

 次に、第三者販売の禁止。

 きのうも参考人質疑で、仲卸業者に対する大きな打撃が想定されるのではないかという問題があります。中央卸売市場における第三者販売の禁止の原則も削除されました。市場ごとに話し合ってルールをつくればいいというふうにおっしゃいますけれども、仲卸の中澤参考人は、今ですら卸と仲卸がお客さんをとり合っている状況があるというふうにきのう陳述されました。

 卸の第三者販売を押しとどめてきた原則がなくなり、例外が例外でなくなったとしましたら、仲卸は仕事が減ってしまうのではありませんか。窮地に陥り、卸売市場の機能は形骸化されてしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 仲卸業者の方々の中に、卸売業者による第三者販売の原則禁止が緩和された場合に、仲卸業者の取引先である大手の小売業者等への直接販売が行われたり、大手の小売業者ばかりが優遇されるのではないかといった懸念があることは承知をしております。

 こうした点も踏まえまして、今回の法案におきましては、卸売市場において第三者販売等に関するルールについて独自に定める場合におきましても、卸売業者、仲卸業者等の関係者の意見を十分に聞き、また、そのルールの内容が差別的なものになっていないかといったことを認定の際の要件としているところでございます。

田村(貴)委員 齋藤大臣にお伺いします。

 やはり、審議を通じて、第三者販売の禁止の削除というのは一番の論点でありますし、一番の問題点であるというふうに考えます。

 第三者販売の禁止を削除してしまえば、差別的取扱いのルールというのが力を持たなくなってしまう。つまり、例外が例外でなくなってしまったら、この第三者販売の禁止の原則、これが形骸化されてしまう。差別的取扱いのルールも力を持たなくなってしまうと思います。ですから、第三者販売の禁止の原則、この原則はやはりしっかり守るべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 卸売業者が同一市場の仲卸業者等以外に販売する第三者販売、これを認めるルールを設定を、これは設定するかしないかはそれぞれ御判断いただくんですが、設定をしたとしても、通常の商慣行の範囲を超えて、卸売業者がいわゆる第三者に該当する特定の小売業者等にばかり優遇したり、あるいは極端な優遇をしたりすれば、これは共通の取引ルールとしての差別的取扱いの禁止に反する行為に当たりますので、このような場合には、開設者からまず指導等を行う、そして、改善されない場合には農林水産大臣から開設者に対して指導、命令等を行うということにより公正な取引を確保することとしています。

 また、もう一つの流通構造改善促進法におきましても、我々が流通の実態の調査をして、必要があれば最終的には公取に通知をするという仕組みもあわせて講じることにしておりますので、公正な取引の確保、差別的取扱いの禁止ということについてもしっかり対応していけるものと思っております。

田村(貴)委員 しっかり対応していけるものと思うと。

 行政が、農水省が指導する、命令に至るまでのプロセスが私は非常に長くなるんじゃないかと思いますよ。やはり開設者が、市場関係者の意見は一応聞きましたと、そしてルールをつくったらできるんですから、これが。解禁できるんですから。それを問題だと農水省の方に認識してもらって動いてもらうにはなかなかの時間がかかると思うので、これはやはり大きな問題である。この法案は認めるべきではないというふうに思います。

 一体誰のための改正なのかということでありますけれども、私は本会議質問でも尋ねました、誰の要求なのかと。大臣から明確な御答弁はありませんでした。きのうも質疑をしました。規制改革推進会議、未来投資会議、市場関係者のメンバーはいなかったということも明らかになりました。

 参考人質疑で卸の川田参考人は、抜本的改正を要望したことはない、それから、卸売市場を抜本的に見直しするとかの話は寝耳に水だったというふうに明確にお答えになったわけであります。当事者である市場関係者が中心に座らないで議論をされてきたのがこの法案なんですよね。

 藤島先生は、改正をせざるを得ないような喫緊の課題はないというふうにきのうお話しされました。生産者、消費者、市場関係者の誰も要望していない改正であることも明らかになったわけであります。

 そこで、質問します。

 農水省にお伺いしますけれども、今、卸売市場法を改正しなければ、卸売市場と経済にどんな支障が生じるんでしょうか。具体例を挙げて説明していただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 食品流通の現状を見ますと、生鮮品のままでの需要が減少して、加工食品や外食での需要が拡大をしておりますとともに、価格面のみならず品質や衛生面等への関心が高まっているといったことがございます。また、流通面におきましては、流通ルートの多様化が進み、トラックドライバー不足による物流の確保にも支障が生じてきているというように、卸売市場法が制定された昭和四十年代と比べますと、状況は大きく変化をしてございます。

 他方で、現行の卸売市場法におきましては、特に中央卸売市場については、取引の細部にわたり国が全国一律に規制をしておりまして、今申し上げましたような食品流通の状況の変化に対応できない面が大きくなってきているというふうに考えてございます。

 例えばの例ということでございますけれども、産地から原則として全ての商品を一旦市場に持ち込んで取引しなければならない商物一致の原則によりまして、輸送の時間や物流のコストが大きくなっているといったことで、消費者にとってみれば、鮮度が高いままで生鮮品を入手できるということを阻害しているといったことが課題として挙げられると思います。

田村(貴)委員 今おっしゃったことは、全部現行法で柔軟に対応されていますよね。市場関係者の皆さん、そう言っていますよ。今この法律を変えなければ、市場と経済に生じる支障が喫緊にあるのかということを聞いているわけです。

 品質や衛生面での心配、だからこそですよ、この市場法が必要じゃないんですか。ここを骨抜きにする。少なくとも、今お話あったところで、第三者販売の禁止、これを削除する理由は見当たりませんよ。

 加えて、きのうの参考人質疑で、もしかしたら民間事業者が開設者となってしまうのではないか、仲卸を越えて、もう大きなロットで卸から買ってしまうんじゃないか、こういう懸念が各委員から表明がありました。当のチェーンストア協会の井上参考人は、卸売市場に参入するとの声は会員企業からあってはいないと。では、どこから要望が上がっているかという話なんですよ。

 もう一度、単刀直入に聞きます。これは誰のための法改正なんですか。生産者なんですか、市場関係者なんですか、消費者なんですか、それともそれ以外なんですか。お答えいただきたいと思います。

井上政府参考人 今回の流通構造改革につきましては、生産者の所得の向上と消費者ニーズへの対応、こうしたことをより一層できるような流通構造を実現していくという見直し案を提案させていただいているものでございます。

田村(貴)委員 説得力ないですね。初めから市場関係者の声は聞かない。規制改革と称して、一世紀近くにわたる日本の独自の経済民主主義の根幹を改悪することは、断じて許されるものではありません。

 私は、きょうまで述べられてきた農水省の見解というのをいま一度市場の関係者の方に示して、また考え方をお伺いして、またこの委員会でも論議をさせていきたい、そういう思いに駆られています。

 齋藤大臣にお伺いします。

 大臣に紹介したい本がございます。この本は、魚の仲卸でずっと働いてきた職人さんの本であります。「魚仲卸を天職にした男」というタイトルで、京都市中央卸市場で仲卸一筋六十六年、全国水産物卸組合連合会最高顧問の池本周三さんの自伝的エッセーであります。私もこれを読んで大変感動いたしました。一文紹介させていただきたいと思います。

 「卸売市場は不要なのか」「“市場不要論”が語られるようになって、もうだいぶんたつ。あるいは市場はあってもいいが、卸と仲卸、なぜ二段階の中間搾取が必要なのか、とね。」「詰まるところ、この答に行き着いた。 いのちの源である食の安全は非常に大切だからこそ、まったくの自由経済下に置かないで、国の管理の下の公設市場にするというわけだ。」「しかし、卸と仲卸、なぜ二段階が必要か」「卸も仲卸も民間企業ではあるが、公から認可を受けた企業である。そしてその目的は流通。生鮮食料品を産地から消費者へスムーズに流すことであり、より多く、より高い値段で販売することではない。」「卸は出荷者の味方、仲卸は消費者の味方。市場はその両者が相撲を取るための土俵」「この公設市場のしくみによって、消費者は守られていこそすれ、中間搾取されているとはいいがたい。」

 大臣、いかがでしょうか。私は、卸売市場というのはこういうことだったのかと、まさに目からうろこが落ちる思いでありました。民間業者であるけれども、公的責任を負っているんだ、そして、そういう誇りと自覚を持って、日々、全国の市場において、たくさんの方が国民の生活と命を支えて働いておられるわけなんですよ。

 卸と仲卸の明確な役割分担のもとで公正な価格形成が行われている、これは否定されないと思います。生産者は安心して生産に従事し、消費者もおいしくて安全な生鮮食料品を買うことがこの仕組みによってできるわけであります。この基本原則というのは絶対に壊してはならないと思いますけれども、いかがでしょうか。

 すなわち、卸売市場というのは、単に物流センターにしてはいけない、単に量販店だけのものにしてはいけないということであると思いますけれども、こうした公的責任、あるいは行政の関与というのをしっかり踏まえて今後も対応していかれるか、指導監督していかれるか。大臣の決意をお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 今、田村委員が御指摘された、卸売市場が果たしている機能、価格形成だけではなくて、集荷、分荷ですとか代金決済等、そういう重要な機能も果たしておりますので、累次答弁させていただいておりますように、今後も、食品流通の核として、この卸売市場というものは堅持すべきだと思っておりますし、今回の法改正の中でも、私どもの指導監督についてはむしろ強化をしていくという面もあるわけであります。

 いずれにいたしましても、さはさりながら、新しい流通実態にも柔軟に対応していくということも一方で必要でありますので、今、田村委員の御指摘をしっかり踏まえながら運用していきたいと思っております。

田村(貴)委員 もう一問、大臣にお伺いしたいと思います。

 私は、去年の特別国会から農林水産委員会に所属するようになりました。差別的取扱いの禁止であるとか、第三者販売の禁止であるとか、商物一致の原則とか、たくさんのことをそのときから学びました。

 ただ、農林水産委員会に所属しなかったら、正直な話、この卸売市場のことは知らないことだらけだったというふうに思うわけであります。それは、市場の関係者も同じことをおっしゃっておられる。この本を書かれた池本さんも、魚の仲卸六十六年だけれども、市場のことは、プロの世界だからなかなかわからないねと。多くの国民の方がわからないねというふうにおっしゃっている。大田市場に行っても築地に行ってもそういうことを伺いました。

 私は、きのう中澤さんがおっしゃったんだけれども、近代の傑作と言われた卸売市場法、やはり、この基本原則、そしてメカニズム、この有意義な点であることは多くの国民の皆さんに発信する必要があるんじゃないかなというふうに思います。

 改めて知ることもいっぱいありましたので、やはり、こういう情報、あるいは意義の解説を含めて、農林水産省から卸売市場のこの大事な点については大いに発信して語っていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 私も、卸売市場の重要性というものは何度も答弁させていただいているとおりでありますし、このことについてはやはり多くの国民に知っていただくべき話だろうと思っておりますので、私なりに努力をしていきたいと思います。

田村(貴)委員 残されたたくさんの問題点は、また機会があるごとに訴えさせていただきたいというふうに思います。

 これで質問を終わります。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 昨日に引き続き、質問をさせていただきます。質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 昨日、食品流通における直接販売の位置づけについては伺いました。今回、卸売市場法を改正しようとしておりますが、法改正後、生産者にとっては、卸売市場を通した流通と、産地から消費者に直接届けられる直接販売のどちらが有効になるのでしょうか。農林水産省のお考えをお聞かせください。

井上政府参考人 生産者からの販売ルートでございますけれども、直接販売をするような場合には、生産者みずからが販売価格を決定でき、販売手数料等も要しないということがある一方で、少量の輸送であり、その物流の負担をみずからが負うといったことや、自分で商品を売り切らなければならないといったような、売れ残りのリスクを背負うわけでございます。

 他方、卸売市場に出荷する場合には、物流コスト、物流の負担を抑えることができるほか、卸売市場におきましては卸売業者が多数の買い手に販売をするために、生産者自身は商品の売れ残りリスクをみずから負うということがなくなるといったことがございます。他方で、販売価格につきましては市場における需給状況等によって決定をされますことと、卸売業者に対して販売委託の手数料を支払う必要があるということで、それぞれにメリット、デメリットというのはございます。

 どちらかがよりよいということではなく、生産者がみずからの判断で有利と考える販売ルートを選べるということが重要と考えておりますけれども、今回の卸売市場法の改正との関係で申し上げさせていただきますと、最近、加工品の需要というのがふえている中で、出荷者から卸売市場に加工品向けの生鮮品、原料としての生鮮品を納めた場合に、これを卸売業者が、第三者販売が認められるルールを設けている卸売市場であればという前提になりますけれども、これを加工メーカー等に直接納めるというようなことで、生産者にとってみると、卸売市場にまとめて出荷をする、また、その先の販路としては従来よりは拡大した取引を卸売市場を通じて行ってもらえるといったようなメリットは生じてくるというふうに考えております。

森(夏)委員 丁寧に御説明、ありがとうございます。

 これまでは国が一律に卸売市場の取引を規制してきましたが、今回の法改正で、取引ルールを卸売市場ごとに決めるということになるようですが、一方で、市場ごとのルールができると、生産者にわかりにくくなるのではないか、生産者が本当に有利な流通を選ぶことができるのか、かえって取引に混乱が生じるのではないかとの懸念もございますが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案におきましては、第三者販売の禁止、直荷引きの禁止、商物一致の原則等の取引ルールにつきまして、各卸売市場がおのおのの実態に合わせて柔軟に設定できることにしてございます。こうした制度の見直しを各卸売市場におかれましてはぜひ活用されて、生産者のニーズにより対応した事業展開としてこういうことができないのかといったような御検討をいただくことを期待しているものでございます。

 ただ、結果としまして、取引ルールが卸売市場ごとに異なるということが出てくる可能性はございますので、今回の法案におきましても、卸売市場ごとに取引ルールを設定する場合には、その取引ルールの内容と、どうしてそういうルールを設定したのかという理由を公表するということに加えまして、卸売市場ごとの委託手数料等の取引条件あるいは取引結果についても、この公表内容を充実することによりまして、生産者から見ると、自分が出そうと検討している卸売市場がどういう条件なのかということがよりわかりやすいような形にすることにしておりまして、こうしたことによりまして、取引の混乱を招くようなことがないようにしてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 昨日の参考人の方々からも心配の声はありました。現場に混乱が生じることのないようにお願いをしておきたいと思います。

 今回の卸売市場法の改正案では、第三者販売の禁止や直荷引きの禁止、商物一致などの規制は卸売市場ごとに設定することが可能になります。私としては、それぞれの市場ごとに食品流通のあるべき姿を目指し、積極的に見直しの議論をしていただきたいと思いますが、一方で、市場によっては、これまでも議論を重ね、現在の姿がより適切であると関係者で合意しているケースもあるかと思います。こうしたことを考えれば、現行の規制のまま残した方がいいという場合もあろうかと思います。

 卸売市場の開設者が判断すれば、第三者販売の禁止等について、現行法の規制をそのまま残してもよいのでしょうか。第三者販売の禁止について今回の法改正でどのような扱いになるのか、改めて伺います。

 また、市場関係者、全国の現場の声を聞く中で、現行法をそのまま残したいといった声はどのくらいあるのでしょうか。あわせてお答えください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、差別的取扱いの禁止等の共通の取引ルール以外の取引ルールにつきましては、各卸売市場ごとに検討がなされるということでございますので、私どもとしては、今回見直しを行ったことも踏まえまして、各卸売市場におきまして、生産者あるいは消費者のニーズにより応えていく卸売市場としていくために、検討をぜひ積極的に行っていただきたいと考えてはございますけれども、その結果として、現在のままにするといったような結論が出てきた場合におきましては、先ほど申し上げましたような共通の取引ルールに反しない限りにおいては、その結果は尊重すべきものというふうに考えてございます。

 現在御議論いただいておりますこの改正案が仮に成立した暁に、各市場において、この自由に設定されるルールを見直すのか見直さないのかという点につきましては、必ずしも十分情報があるわけではございませんけれども、幾つか聞いている声としましては、これをきっかけに卸売市場のこれからの事業展開を考えていこうといったような声がある一方で、なかなか、新しいルールをつくるに当たっては市場の関係者の合意をとることは難しいのでといったような、さまざまな声がございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 私の地元選挙区は京都でございまして、特に関西では仲卸業者の方々が多く活躍していると聞いております。

 今回の法改正では、市場ごとにルールを決めるということで、第三者販売の原則禁止という規制が撤廃されるのではないか、仲卸業者が要らなくなるのではないかなど、仲卸業者の方々から心配の声も聞いております。

 卸売市場は、大量流通を支える側面もある一方で、京野菜など付加価値の高いものについては、実物を見てきっちり評価する仲卸業者の目ききは非常に重要であると考えます。また、こうした目ききが地域性と相まって、さまざまな食文化を形成しているとも考えます。

 仲卸業者の目ききが食文化において果たしている役割についてどのように考えられているか、御認識を伺います。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 日本料理店等の実需者の求める品質の食材を品質に見合った価格で仕入れて提供する仲卸業者の目ききについては、日本の多様な食文化を食材供給の面で支える重要な役割を果たしていると考えております。

 本法案では、仲卸業者が産地から生鮮食料品等を直接仕入れる直荷引きの禁止について、全国一律の規制は行わず、卸売市場ごとに柔軟に設定できるということにいたしております。

 例えば、ある卸売市場において直荷引きを認めるルールを設定した場合、仲卸業者が、産地から小口でも有機野菜や、例えば京都であれば京野菜、加賀野菜などの伝統野菜を直接仕入れることが可能となり、目ききを一層を生かした取引が行われるものと期待しているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 私も、仲卸業者さんの役割というのは非常に重要であると期待をしております。

 今回の法改正により、地域の実情に応じて、卸売市場ごとに取引ルールを設定できるようになり、開設者を中心に、卸売市場関係者は、どのような取引ルールを設定すれば卸売市場が活性化するのか、大変悩むものと考えられます。

 そこで、齋藤大臣に伺います。

 市場の活性化の観点から、今後、国として、卸売市場関係者に対してどのような指導、関与をしていくお考えでしょうか。大臣の御見解をお願いいたします。

齋藤国務大臣 この法案では、公正な取引の場として一定の要件を満たす卸売市場を農林水産大臣等が認定をして振興を図るということとしております。

 開設者に対する指導監督につきましては、まず認定段階において、開設者が、卸売業者、仲卸業者等の取引参加者に対して、指導助言、報告徴収、検査、是正の求め等の監督を行う旨を業務規程に明記していることを確認して認定をするということといたしておるのとともに、認定の後も、卸売業者の業務運営が適正に行われるよう、農林水産大臣等が開設者に対して、指導とか助言ですとか、措置命令、報告徴収、立入検査等の監督を行うほか、状況に応じて認定を取り消すこともできるということとしております。

 これらの措置によりまして、公正な取引の場としての卸売市場の機能が十全に発揮できるようにしてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣からの指導監督というのは、市場関係者も非常に心強いと思います。現場に混乱が生じたとき、弱い立場の人が守られるよう、国としてしっかりとお願いしたいと思っております。

 今回の法改正により、今後は、より卸売市場ごとに特徴を持った取組が展開されると期待しております。例えば、地場への供給に特化した卸売市場、あるいは輸出に特化した卸売市場など、さまざまな取組も出てくるのではないでしょうか。

 いずれの取組についても、生産者、流通事業者の先には必ず消費者がいます。消費者ニーズに応えるためにも、引き続き、老朽化した卸売市場については、施設の改修や新たな施設整備等が必要になるものと思われます。

 今回の法改正後においても、これまで同様の支援がなされることが必要と思いますが、農林水産省の考えをお願いいたします。

井上政府参考人 公正な取引の場として認定を受けた卸売市場につきましては、今後とも、国が、その施設整備に対して支援を行ってまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 昨日の参考人質疑で質問させていただきましたが、私は、災害時に卸売市場が果たす役割というのは大変重要だと思っております。老朽化している市場に関しては、施設の耐震改修等、必要なところがあると思いますので、国として適切な支援をお願いしたいと思っております。

 消費者の観点では、食の安全確保もとても重要な課題です。その意味においても、先ほどの御答弁で、引き続きの御支援がなされるということで理解させていただきましたが、HACCPに対応した施設整備など、重要になると思います。

 今回の法改正では、商物分離も可能になると思います。これは、物流に関して市場を経由しなくてよいということになりますが、実際に卸売市場を通さなくなることによって、実際の農水産物を目で確かめた上での取引ではなくなります。効率性の観点から必要な措置と理解する一方で、消費者が関心の高い食の安全の観点から、食の安全性は確保されるのでしょうか。御答弁お願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 食品の安全性につきましては、市場流通であるか市場外流通であるかを問わず、食品衛生法等に基づいて、これを確実に確保していくことが必要と考えております。

 また、物流についての御指摘ございましたけれども、これにつきましては、商物一致の原則を見直す内容のルールを卸売市場で設定をした場合には、これまで、遠隔地から一旦遠い卸売市場に物が輸送された後、またその卸売市場から遠距離を配送されるといったようなことがあったわけでございますけれども、産地から需要地が近い場合にはこれを直送できるといったことで、より鮮度の高い状態で配送を行うといったことも可能になるものと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 本改正が、農林漁業者の所得向上や消費者ニーズに対応できるものとなることを願い、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。亀井亜紀子君。

亀井委員 立憲民主党・市民クラブを代表して、ただいま議題となりました卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論します。

 反対の理由の第一は、法目的から卸売市場の整備に関する文言がなくなり、国の関与が曖昧になったことです。

 現行の卸売市場法では、卸売市場の整備を計画的に促進することをうたっておりますが、本法律案では、目的規定から卸売市場の整備の計画的な促進についての文言を削除するとともに、あわせて、卸売市場整備基本方針を卸売市場に関する基本方針に改め、中央卸売市場整備計画の策定については削除することとしております。これは、国が卸売市場の適正な配置については関知しない、国として卸売市場流通システム全体の将来ビジョンに全く関与しないことを示しています。

 理由の第二は、開設者に対する懸念です。

 本法律案では、民間事業者も中央卸売市場の開設者になることが認められております。開設者は、卸売市場の取引ルールを策定したり、取引参加者を許可したりすることになります。

 開設者たる民間事業者が卸売市場の取引ルールを自由につくって卸売市場を上意下達で運営することが可能となり、したがって、将来においては、卸売市場の使用料の上昇、業者の入れかえ、寡占化の進行、そういう事態も予測できます。

 地方自治体が中央卸売市場の開設者として継続できる方法こそ検討すべきです。

 理由の第三は、卸売市場におけるさまざまな機能の一部を担う仲卸業者への悪影響があることです。

 本法律案では、第三者販売の原則禁止の規定を削除することとしており、卸売市場の取引において、仲卸業者を介在しない取引が増加する懸念があります。

 仲卸業者の生鮮食料品に対する評価能力は、同種の多様な商品を見て取引することを長年にわたって継続することで培われてきたものです。仲卸業者は生鮮食料品に対して十分な価値評価ができなければ務まりません。仲卸業者の弱体化は卸売市場の機能の弱体化につながります。

 理由の第四は、本日の質疑で明らかになったことですが、卸売市場の開設が認可制から認定制になることにより、民間業者が認定を受けずに市場を開設することが制度上可能になることです。

 これは、従来の市場とは全く異なる市場の出現に道を開くものです。第三者販売が解禁され、従来の市場を通らない取引が広がれば、実質的に市場がなくなると言っても過言ではありません。

 生鮮食料品等の安定供給に重要な役割を果たしている卸売市場の高い公共性は、国内の生産者、消費者のためにも将来にわたって維持されるべきです。本法律案はそのための方策ではないことは明白です。

 以上の理由から、本法案に反対することを表明して、私の討論を終わります。(拍手)

伊東委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論をいたします。

 冒頭申し上げますが、食生活の変化や流通構造の変化に合わせて、およそ半世紀前につくられたルールを改正し、生産者の皆様の所得を上げ、卸売市場を活性化させ、そして消費者の皆様の利便性を向上させることを目指すことに全く異論はありません。

 ただ、今回の改正案には反対せざるを得ません。

 第一の理由は、本法案による制度改正について、今直ちにこれを行わなければならない理由、すなわち立法事実に欠いていることです。

 本法案により、中央卸売市場に関して、従来の農林水産大臣による認可制から認定制へ移行することとされております。これは、市場開設について、原則として規制をする考え方から、自由にする考え方へと大きな転換が図られることを意味します。しかし、これほど大きな転換が何のために行われるのかということを政府に問いただしても、事業者の創意工夫を生かせるような自由度を高めるためなど、漠然とした理由しか返ってきません。これでは法律改正を行う立法事実として極めて不十分です。

 反対の第二の理由は、卸売市場の活性化に向けた規制緩和の副作用への懸念が、これまでの議論で全く払拭されなかったことです。

 本法案によって、これまで禁止されてきた第三者販売の禁止や直荷引きの禁止、商物一致の原則等については、卸売市場ごとに定めることができるようになります。これにより、大手小売業者などが市場設置者となり、その資本力を背景に優越的地位を濫用し、価格形成に影響力を及ぼす懸念は拭えません。

 反対の第三の理由は、人間が生きる上で最も大切で、文化の根幹とも言える食というものに対して、過度に合理性ばかりを追求し、多様性を軽視し、規制改革推進会議から出された提案を丸のみしていると断じざるを得ないからです。

 卸売市場は、日本の全国各地の八百屋、魚屋、料理屋、小さなスーパーが、全国津々浦々、多彩な商品で消費者を楽しませ、地方ごとの文化を発展させてきた土台にほかなりません。効率性の名のもと、この土台が崩れ、我が国の文化の根幹である食の多様性が失われる懸念は最後まで拭えませんでした。

 以上、反対の理由を申し上げ、私の討論といたします。ありがとうございました。(拍手)

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。

 反対理由の第一は、本法案が国の責任を放棄する全面改定だからです。

 現行法は、国が全体の需給状況を踏まえて整備計画を立て、責任を持って全国に配置してきました。卸売業者は、国による許可業者として公的役割を果たしています。しかし、本法案は、これらの仕組みを全てなくし、市場の公共性を大きく後退させています。

 第二は、公正な価格形成機能を毀損させる法案だからです。

 卸売市場では、生産者の立場で少しでも高く売りたい卸売業者と、消費者の立場で、品質、鮮度のいいものを少しでも安く買いたい仲卸業者の明確な役割分担のもと、競りを原則とした公正な価格形成が行われています。

 市場では、売り手と買い手の力関係や投機的要素は介在せず、仲卸業者の目ききと需給をマッチングさせる熟練のわざで、商品価値のみが評価されています。相対取引、市場外取引においてもこの建て値は参照され、基準となっています。

 しかし、本法案は、卸売業者が仲卸業者以外の者には販売してはならないとする第三者販売禁止の原則を削除し、卸、仲卸が対峙する価格形成の仕組みを崩そうとしています。

 政府は、各市場が業務規程に盛り込めばよいと説明していますが、市場の運営に仲卸業者を始め関係者の意見を反映させる市場取引委員会も廃止するなど、仲卸業者を市場から排除するための地ならしをしようとする意図は明らかです。

 第三に、本法案が大手小売企業の要求だけに応えるものだからです。市場の関係者、生産者、消費者は誰も要望していません。

 そもそも、本法案は、関係者が誰一人いない規制改革推進会議と未来投資会議が突然持ち出したものであり、市場を物流センターやバックヤードとして活用したい、公正な価格形成機能など要らない、大ロットで仕入れるから安くしろという大手小売企業の要求に応える、安倍農政そのものと言わざるを得ません。

 以上申し上げて、討論とします。(拍手)

伊東委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会


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