衆議院

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第18号 平成30年5月30日(水曜日)

会議録本文へ
平成三十年五月三十日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 緑川 貴士君 理事 佐藤 英道君

      池田 道孝君    石川 昭政君

      稲田 朋美君    上杉謙太郎君

      加藤 寛治君    金子 俊平君

      神谷  昇君    神田 憲次君

      木村 次郎君    岸  信夫君

      小寺 裕雄君    斎藤 洋明君

      繁本  護君    西田 昭二君

      野中  厚君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      宮路 拓馬君    山田 美樹君

      山本  拓君    石川 香織君

      大河原雅子君    岡本あき子君

      神谷  裕君    亀井亜紀子君

      川内 博史君    後藤 祐一君

      近藤 和也君    関 健一郎君

      江田 康幸君    大串 博志君

      金子 恵美君    田村 貴昭君

      森  夏枝君    寺田  学君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   防衛大臣政務官      福田 達夫君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    橋本 次郎君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          大杉 武博君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            荒川  隆君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           別所 智博君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沖  修司君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 近藤 智洋君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     神谷  昇君

  細田 健一君     山田 美樹君

  石川 香織君     岡本あき子君

  神谷  裕君     川内 博史君

  後藤 祐一君     近藤 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     繁本  護君

  山田 美樹君     石川 昭政君

  岡本あき子君     石川 香織君

  川内 博史君     神谷  裕君

  近藤 和也君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     細田 健一君

  繁本  護君     泉田 裕彦君

    ―――――――――――――

五月二十九日

 農薬取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農薬取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官塩川白良君、大臣官房統計部長大杉武博君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長荒川隆君、農林水産技術会議事務局長別所智博君、林野庁長官沖修司君、水産庁長官長谷成人君、消費者庁審議官橋本次郎君、環境省大臣官房審議官近藤智洋君及び防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。神田憲次君。

神田(憲)委員 おはようございます。自由民主党の神田憲次でございます。

 本日は、農水委員会の方で発言の機会をいただきました。私の担当する、承っているお時間は二十分ということなので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 我が地元は、名古屋駅を中心として、北東部に延伸する地域でございます。何分にも、農業と申しますと都市型農業ということになります。

 現状の都市型農業というと種々の問題を抱えておるところで、やはり地元の農協等からは、この都市型農業の未来への展望、こういったものをよくお伺いするわけなんですが、しかしながら、その中にある大きなやはり問題点は、担い手不足、どうしても兼業農家というような形で、農業がという主語がなかなか出にくい。逆に、担い手にとっては、やはり現金収入ということになりますから、どちらかというと農業に主が置かれることはなく、平日、やはりサラリーマン生活を続けながら、ほんの一部だけ農業というような形になりつつあるというのが現状でございます。

 また、その土地のあり方についても、宅地化が進んで、本来、日本の根幹となるべく食の部分において、この都市型農業の今後の将来性というのが非常に危ぶまれるようなところを日々感じておるところでございます。

 そういう観点から本日の質問をさせていただけたらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 都市農業は、新鮮で安全な農作物の供給、それから災害時の防災空間等、多様な機能を有しておるわけでございまして、その役割というのはますます重要になっていると考えております。

 都市農業がどんな課題を抱えておりまして、さらに農業政策上どのように位置づけられているか、政府の御認識をお聞かせいただきたいと存じます。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 都市農業に関するお尋ねでございます。

 今先生からもお話ございましたが、都市農業につきましては、その立地条件を生かしまして、都市住民等への直接販売などによりまして大変収益性の高い農業経営が行われているということがございます。

 また、都市住民の方々からも、顔が見えるところで農業が営まれているということで、食の安全に関する信頼感ですとか安心感というものにつながっておりますし、さらに、厳しい状況にございます農業、農村そのものへの理解を深めていただくということにもつながっているというふうに認識しておるところでございます。

 一方で、課題もございまして、都市農地につきましても、一般農地と同様に、農業従事者の減少ですとか高齢化の進展などによりまして、意欲のある農業者の確保がだんだん難しくなってきておりまして、農地の所有者のみではその有効な活用を図ることが困難な状況が生じているということがございますほか、都市農地は資産価値が高くて、また転用が容易でありますことから、相続などを契機といたしまして、売却などによりましてその面積が減少しているといったような状況にあるわけでございます。

 このような中で、平成二十七年の四月に議員立法で都市農業振興基本法を制定していただきまして、政府といたしましては、翌年、二十八年の五月に都市農業振興基本計画を閣議決定をさせていただいたところでございます。これによりまして、従来宅地化すべきものという位置づけでございました都市農地につきまして、都市にあるべきものということにその位置づけを大きく転換させていただいたところでございます。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 政府は、今し方お話がありました農業従事者の減少、高齢化が進む中で、都市農地の有効利用を図り、都市農業の機能の発揮を通じて都市住民の生活の向上に資するために、今国会に都市農地の貸借の円滑化に関する法律案を提出されておられますが、この法律案の大きな特徴は、その対象を、市街化区域内農地のうち生産緑地地域に限定しているところであるということです。

 そこで、同法律案の対象となる農地を生産緑地に限定する理由について、説明をお願いしたいと存じます。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 都市農地の借り手の方が安心して農業投資を行いまして、継続して農業を営んでいただくためには、貸借の対象となります農地が容易に転用されず、将来にわたって農地として保全されているという必要があるんだろうと考えておるところでございます。

 それで、私ども、今先生から御紹介がございました都市農地の貸借の円滑化に関する法律案をこの国会に出させていただいているわけでございますけれども、その対象農地といたしまして、生産緑地という概念に着目をしたところでございます。

 生産緑地につきましては、指定をされた後、原則三十年間の開発規制がかかっているということ、それから、昨年の通常国会におきまして生産緑地法の改正がございまして、三十年経過した後の生産緑地につきましても十年ごとに延長が可能になるような制度が導入されておるところでございまして、生産緑地に指定をされれば、長期間にわたって農地として管理されることが法制的に担保されるということでございます。

 したがいまして、借り手の農業者の方が安心して農業投資を行って営農を継続していただくためには、この生産緑地というところの中の農地を対象にさせていただいたというところでございます。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 都市農地の貸借の円滑化を図る上で実質的な問題と申しますのは、相続税の納税猶予制度の適用を受けている農地について、貸借を行うことでその納税猶予が打ち切られて、過大な、大きな税負担が生じることであろうかと存じます。しかしながら、この課題については、今年度の税制改正で特例措置が講じられることとなったものと承知しております。

 そこで、改めて、今般の都市農地の貸借の円滑化の措置とあわせて講じられることとなっております都市農業に関する税制改正の内容についてお聞かせ願いたいと存じます。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話ございました、まさに都市農地につきましては、相続税の納税猶予の適用が切れるかどうかというところが大変重大な課題になっておったというふうに認識をしております。

 そのような中で、今年度の税制改正事項といたしまして、今先生からお話ございました都市農地の貸借の円滑化に関する法律案に基づきまして、認定を受けた計画に基づいて貸付けを受ける場合、それから、同じくこの法律案に基づきまして、特定農地貸付けの方法によりまして市民農園の用地として貸し付けられる場合などにつきまして、生産緑地内の農地について相続税の納税猶予が継続をするという措置を講ずることとされたところでございます。

 これらの税制改正事項につきましては、既にこの国会で成立をされました租税特別措置法により措置されておるところでございますけれども、その施行の時期といたしましては、今私どもが提案をさせていただいております都市農地の貸借の円滑化に関する法律案の施行に合わせてということになっておるところでございます。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 都市農業が多様な機能を発揮していくためには、都市における限られた貴重な資源でありますところの都市農地を適正に保全して、その有効利用を図っていくことが今後ますます重要になるかと思います。そのために、農林水産省と国交省との間で、さらには農業団体等の間で相互に連携協力して取り組むことが不可欠であるかと思っております。

 都市農業の振興に向けた取組に対する政府の考えをお伺いしたいと存じます。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 都市農業の振興につきましては、平成二十七年四月に議員立法で都市農業振興基本法が制定され、本年五月に、当該法律に基づきまして、都市農業振興基本計画が閣議決定されたところでございます。

 本基本計画におきましては、従来宅地化すべきものとされていた都市農地を、都市にあるべきものへとその位置づけを大きく転換するとともに、都市農業の安定的な継続に向けた施策を充実することとされたところでございます。

 そうした中、今回、都市農業の喫緊の課題である都市農地の貸借に関して、都市農地の貸借の円滑化に関する法律案を提出し、都市農地の貸し借りを円滑にすることにより、都市農地の有効な活用と都市農業の健全な発展を図ることとしているところでございます。

 今後とも、都市農業の振興を図るため、地方公共団体、農協等を始めとした農業団体等関係者、さらには国土交通省とも連携をいたしまして、しっかりと施策を展開してまいりたいと思います。

 先ほど、閣議決定は二十八年の五月でございますので、ちょっと失礼いたしました。

神田(憲)委員 副大臣、ありがとうございます。

 農業だけにとどまらずですが、日本の人口動態を考えますと、もう皆さん御承知のように、少子高齢ということ、それから人口減少に伴う消滅都市の問題なんかも出ておるわけです。

 我が国においては、やはり現状では農業全体での担い手の確保が難しい状況があるかと存じます。それから、地域別の特異性にもあるんですが、担い手がいないというような状況が発生しておるわけです。

 こうした状況の中で、どういう形で農業の担い手を育成し、確保を図っていくのか、政府の取組について御説明を願いたいと存じます。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、農業者の高齢化あるいは減少が進む中で、我が国農業を持続的に発展させていくためには、効率的かつ安定的な農業経営を育成、確保しまして、こうした経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を構築するということが必要だと考えております。

 このため行っております施策といたしましては、まずは、経営改善に取り組む認定農業者、認定新規就農者などの担い手が主体性と創意工夫を発揮して経営発展できるようにするために、融資、税制上のメリット措置を通しまして、重点的に支援をしております。

 そのほか、例えば農地に関しては、農地中間管理機構による担い手への農地集積、集約化を推進しているところでございますし、法人化あるいは経営継承、こういうことを円滑化させるために、経営相談体制を今年度から県単位で整備することにいたしております。

 また、来年早々に始まるわけですけれども、担い手のさまざまなチャレンジに伴うリスクに対するセーフティーネットとしての収入保険制度の創設等を推進してございます。

 また、新しい青年層の新規就農の促進も必要だと思っておりまして、これにつきましては、就農に向けた研修を受けている就農希望者あるいは経営開始直後の青年就農者への所得確保のための資金の交付でありますとか、法人の雇用就農者の研修に対する支援などを実施しているところでございます。

 こうした取組を更に総合的に推進しながら、担い手の育成、確保に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 担い手ということなんですが、この担い手がなかなかいないことで、今後、日本の食料の自給ということが非常に危惧されるところでございます。政府におかれましては、この辺、非常にこれから日本が岐路に立つ状況が予想されますので、ますます力を入れていただければと思っております。

 次に、社会問題化しております所有者不明の農地についてのお尋ねでございます。

 これは、現状、宅地でも同様の状況が見られるわけですが、やはり、後継者、農業従事者の高齢化に伴いまして、当然リタイアする農家が増加することが見込まれる中で、所有者不明農地は農業の現場で深刻な問題となっております。

 宅地においても、やはり相続が発生し、宅地の相続をしていただこうということで相続人を探すわけですが、その相続人がなかなか見つからない、戸籍上には名前が書かれておっても、どこに転居しているのかわからない、こうしたことで、宅地の相続も思うように進まない。また、建物が建っておる場合などにおいては、今後の防災上の観点とか保全、維持の観点からも非常に困難が発生しているところでございます。

 所有者不明土地におきましても、農業の現場では深刻な問題になっておるかと思います。当面の措置としては、所有者不明農地を簡易な手続で農地中間管理機構に貸し付けることを可能とする農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律を提出いたしまして、先般成立したところでございますが、本改正法の狙いと、今後の所有者不明農地の抜本的な解決のための政府の取組について、説明をお願い申し上げます。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先生、宅地を例にされて御指摘いただきましたとおり、同じような問題は農地にも出ておりまして、相続したけれども登記がされていないとか、そのおそれがある農地というものは、全国で約九十三・四万ヘクタール、全農地の約二割も占めているところでございます。

 そのうち大部分の八十八万ヘクタールにつきましては、誰かが耕作をしている、事実上の管理者がいらっしゃるわけですけれども、実際上も、その方が高齢化してリタイアしようということになりますと、権利を設定するということになります。そうなりますと、相続人を確定する作業が必要になりますが、それが、登記がされていませんと多数に及ぶということで、その探索に多大なコストを要するということでなかなか進んでいなかったところでございます。

 先生御指摘の農業経営基盤強化促進法等の一部改正につきましては、まさにこれを解消しようということを狙いにしているわけでございまして、共有農地については、一定の範囲の探索を農業委員会が行っても共有持分の半分が判明しないという場合には、農業委員会が六カ月の公示を経て、中間管理機構に最長二十年間貸し付けるということにしておりますので、この中間管理機構を介することによって、所有不明農地も含めて、機構による担い手への農地集約化が進むということが狙いでございます。

 また、さらに、この所有者不明農地問題の抜本的な解決に向けましては、登記制度、土地所有権のあり方等の根本問題について議論をしていく必要がございます。これにつきましては、今政府全体で取り組んでおりまして、法務省において検討会を開催しながら、この問題を解決すべく、本年の骨太の方針において検討の方向性を出すことということを考えております。

神田(憲)委員 ありがとうございます。

 やはり、この所有者不明農地、経済的に大きな損失を生じておりますので、更に、相続における部分、それから農地における部分の、国にとりましてこれが国家的ロスにならないような形の推進を図っていただきたいと思います。

 私の持ち時間が終了いたしましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

伊東委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は一般質疑ということで、本日、私の方からは、林業、木材産業の成長産業化について質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 森林経営管理法が、先週、参議院の方で成立をしたわけでございます。きょう議題としております林業の成長産業化に向けては、木材の需要拡大を図ること、そして、その拡大する需要に対して国産材を安定的に供給していく体制を整えることを車の両輪として対策を講じていかねばならないと思っております。

 まず、需要拡大についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今般の森林経営管理法案の成立によりまして、今後新たな森林管理システムが導入されていくわけでございますが、この新たな森林管理システムによりまして森林の集積、集約化が進んで原木の供給力が増大すれば、木材価格の低下を招くおそれもあるわけでございます。

 木材の利用拡大を推進すべきと考えますけれども、副大臣の見解をお伺いしたいと思います。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 まさに御指摘のとおりだと思っておりますが、戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎えております。そうした中で、林業の成長産業化に向けて、国産材の安定的な供給を図ることと木材需要の拡大が極めて重要な課題であると認識しております。

 このため、公共建築物を始め、これまで余り木材が使われてこなかった中高層、中大規模、非住宅など新たな分野における建築物の木造化や内装の木質化を図っていくこと、あるいは、木質バイオマスのエネルギー利用として考えること、それから、付加価値の高い木材製品の輸出の拡大、さらに、木のよさや価値を実感できる木材製品の情報発信や木育などの普及啓発活動などの施策に取り組んでいくこととしておりまして、こうした施策の推進により、新たな木材需要を創出し、国産材の需要拡大に本格的に取り組んでまいりたいと考えております。

江田(康)委員 副大臣、ありがとうございます。

 需要拡大、これが林業、木材産業の成長産業化につながるものであろうかと思いますが、中高層建築物でのCLTの活用について質問をさせていただきます。

 五月の十七日に開催されました未来投資会議の資料には、成長戦略の大臣資料でございますけれども、階層別の着工建築物の床面積のグラフが示されておりまして、三階建て以下の低層住宅分野では大半が木造となっていますが、この部分では外材が多く利用されているわけでございまして、外材から国産材へと切りかえていくということが重要かと思われます。

 また、中高層建築物と低層非住宅の分野では木造の比率が極めて低いことから、鉄、コンクリートから国産材利用を促進していくこととされております。

 我が国が人口減少時代に入って、また、今後住宅の着工数が伸び悩む中においては、木材の需要拡大を進めていく上では、これまでほとんど木材が使われてこなかったこの中高層建築分野での取組が非常に重要になってくると思われます。

 中高層建築物については、農林水産省では、木材の需要拡大を進めるために、CLT、直交板等を活用して木材利用を推進していくとなっているわけでございますけれども、具体的な方策について確認をさせていただきたいと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のとおりでございまして、木材需要の拡大を図っていくためには、一つとしては、三階建て以下の低層の住宅におきましては国産材の比率を向上していくということ、それからもう一つとしては、これまで余り木材が使われてこなかった非住宅建築物及び中高層建築物の木造化の推進を図っていくことが大変重要だと認識してございます。

 このうち中高層建築物につきましては、具体的には、これらの建築物に活用可能なCLTや木質耐火部材などの新たな木質建築部材の開発、普及を図ること、それから、これらの木造建築物に携わります設計者それから施工者等の技術者の育成や、設計、施工マニュアルの整備を図ること、それと、CLTを用いました先駆的な建築や部材調達への支援を行うことなどによりまして、鉄やコンクリートから木材への転換に取り組むこととしてございます。

 引き続き、新たな木材需要の創出、拡大に向けまして、非住宅や中高層建築物分野での木材利用を推進してまいります。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 さらに、続けてでございますけれども、木質耐火部材等の開発、普及についてお伺いをさせていただきます。

 中高層建築物については、建築基準法の規定によりまして、耐火建築物であることが求められるわけでありますが、近年開発、普及が進められている木質耐火部材を活用することによって、耐火建築物でも木造化することが可能となってきているわけであります。

 この中高層建築分野での木材の需要拡大を進めるためには、この木質耐火部材等の新たな木質部材の開発、普及を図るべきと考えますけれども、見解をお伺いいたします。

沖政府参考人 お答えいたします。

 これまで林野庁では、中高層建築物等の木造化などを推進するために、中高層建築物等に求められます耐火性や強度等の性能を満たします木質部材の実用化に向けまして、一つとしては、一般製材を積層接着、重ねてくっつけるという、積層接着いたしまして強度を高めました大断面木質部材、それから、不燃薬剤やモルタルなどの無機材料を利用しました木質耐火部材などの開発を行います民間事業者に対しまして支援を行ってきているところでございます。

 これまで以上に他資材からの代替需要を喚起するためには、このような動きを更に加速する必要があると考えておりまして、新たな木材需要の創出に向けて、引き続き木質部材の開発、普及に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

江田(康)委員 これまで木材が使用されてこなかった中高層建築物について、今非常に期待が大きく膨らんでいるわけでございますけれども、やはりそういう技術開発、木質耐火部材の開発が成功裏にいっているわけでございますけれども、しっかりと進めていくことが必要であろうかと思いますので、強力に支えていきたいと思います。

 そして、次に、やはり木質バイオマス利用の促進が重要になってまいりますが、木材の需要拡大、利用促進に関しては、建築分野に限らず、バイオマス利用の促進と輸出促進が位置づけられているところであります。

 木質バイオマスをエネルギーとして活用していくことは、木材の需要拡大のみならず、地球温暖化防止や循環型社会という課題の解決にも資するものであるわけであります。

 そこで、木質バイオマスの利活用に対する今後の取組の方向性を教えていただきたいと思います。

沖政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの木質バイオマスの利活用でございますが、委員御指摘のとおり、大変大事な課題と承知してございます。

 木質バイオマスのエネルギー利用につきましては、本格的な利用期を迎えております国産材の大きな需要先となるだけではなく、雇用創出等により地域の活性化にも貢献するものであるというふうに考えてございます。

 このため、農林水産省では、木材を多段階で利用するカスケード利用を基本としつつ、未利用間伐材等のエネルギー利用を推進するため、搬出間伐や路網整備による木質バイオマスの供給体制の整備、木質チップの製造施設など関連施設の整備等に対する支援に取り組んでいるところでございます。

 特に、地域の活性化に向けては、地域の関係者の連携のもと、森林資源を熱利用等により地域内で持続的に活用する仕組みである地域内エコシステムの構築が大変重要でございまして、今後、そのための実現可能性調査や技術開発等への支援に取り組んでいく考えでございます。

 今後とも、これらの施策によりまして、未利用間伐材等の木質バイオマスのエネルギー利用の推進に取り組んでまいります。

江田(康)委員 さらに、輸出促進でありますけれども、農林水産物の輸出一兆円目標に向けて、林産物もしっかり取り組んでいく必要があるわけであります。特に、私の地元九州では木材輸出が盛んでありまして、主に丸太が輸出されてきたわけでありますが、今後は、より付加価値の高い製品の輸出を伸ばしていくことが重要であると思います。

 木材製品の輸出促進に向けてどのように取り組んでいくのか、政府の見解をお伺いいたします。

野中大臣政務官 木材輸出額でございますが、平成二十五年以降、五年連続で増加しておりまして、平成二十九年は、対前年比三七%増の三百二十六億ということであります。

 品目別では、先生おっしゃったとおり、丸太が大半を占め、四割でありまして、輸出先別では、中国、韓国、フィリピン、台湾、米国で九割を占めております。

 これも御発言でありましたが、今後は、付加価値の高い製品輸出への転換を推進するとともに、新たな輸出先国の開拓に取り組むこととしております。

 農水省としましては、平成二十九年度補正予算及び平成三十年度予算において、主たる輸出先であります中国、韓国においては、日本産木材製品を使用したモデル住宅やモデルルームを活用した展示、PR、そしてまた、新たな輸出先国として有望であるベトナム等においては、内装材等の輸出拡大に向け、展示施設を拠点とした販売促進活動などの支援措置を行っております。また、住宅フェンス用材として杉製材の輸出が伸びている米国向けについては、日本産木材製品の認知度向上のため、シンポジウムを米国で開催する支援措置を行うこととしております。

 今後とも、輸出先の需要を踏まえた木材製品の製造に向けた企業連携の取組を推進し、ジェトロなどの輸出関連団体等と連携し、付加価値の高い木材製品の輸出促進に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

江田(康)委員 積極的に取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、中高層建築物における木材利用の取組や、これまで述べてきた木質バイオマスの利用、輸出促進等の需要を拡大するに当たっては、国産材を安定的に供給していくということが重要になってくるわけであります。そのため、川中では、加工の生産性向上を図るために、製材工場、合板工場の大規模化、高効率化等が必要となります。

 ただ、製材工場や合板工場の大規模化を進めることも重要でありますけれども、一方で、やはり地域に根づいている中小の製材工場の支援も非常に重要であるわけでありますけれども、政府の見解をお伺いいたします。

沖政府参考人 お答えいたします。

 戦後造成しました人工林が本格的な利用期を迎える中で、豊富な森林資源の循環利用による木材産業の活性化を図るためには、委員御指摘のとおり、木材加工流通施設の整備が大変重要になってございます。

 このため、これまでも、地域における森林資源、施設の整備状況などを踏まえながら、大型工場単独での規模拡大だけではなく、地域に根づいた中小の製材工場間の連携による生産の効率化や、高生産性の機械、設備の導入によります生産性の向上を図る場合などを支援することで、木材加工流通施設の整備を進めているところでございます。

 平成二十九年度補正予算におきまして、合板・製材・集成材国際競争力強化対策、それと平成三十年度予算において、林業成長産業化総合対策を措置しておりまして、川上から川下までが連携した取組を総合的に支援する新たなスキームのもとで、中小の製材工場が生産性向上に資する機械、設備を導入する場合も含めまして、木材加工流通施設の整備を支援しているところでございます。

 今後とも、こうした取組を推進しまして、木材産業の活性化に努めてまいります。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 しっかりと地元、地域に根づいている中小製材工場等の支援もしっかりと進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは、大臣が発表されました林業、木材産業の成長産業化に関する質問をさせていただいております。

 大臣がお戻りになられましたので、最後に一つお聞かせいただきたいと思うんですが、サプライチェーンの構築についてというところが大変重要になるかと思っております。

 この提出された会議資料では、川上から川中、そして川下まで含めた流通全体の効率化に関しては、簡素で効率的なサプライチェーンの構築や、また、関係者間での需給情報共有のための情報通信技術など新たな技術の活用を図るとされております。

 川上から川下までをつないだサプライチェーンを構築するということが大変重要でありますが、その際、お見合いの場としてプラットホームをつくるということが必要と考えるわけでありますけれども、どのようにマッチングを進めてこのサプライチェーンの構築を加速化されていくおつもりか、大臣の見解をお伺いしたい。

齋藤国務大臣 まず、遅参いたしましたことをおわび申し上げます。また、御配慮に感謝申し上げます。

 流通全体の効率化を図るためには、需給情報の共有による需給ミスマッチの解消や、川上から川下に至る各事業者の連携による効率的なサプライチェーンの構築、これを推進していくことが重要と考えています。

 このため、実需者を含めた生産、加工、流通の各段階の事業者を一堂に集めたプラットホーム、サプライチェーンマネジメント推進フォーラムと言っていますが、これを都道府県単位に設置をいたしまして、まず、各事業者による需給情報の共有の促進、それから、各事業者の連携による効率的なサプライチェーンの構築を目指した事業者間のマッチングの推進、それから、各事業者をまとめるコーディネーターの育成、こういったことを図ろうといたしております。

 今後、このようなプラットホームが各地に設置され活用されるよう、支援策を検討してまいりたいと考えています。

江田(康)委員 時間が参りました。

 大臣、ありがとうございました。

 きょうは林業の成長産業化について集中して一般質疑をさせていただいたわけでございますが、先週、森林経営管理法が成立をして、これから国産材の安定供給に大きく寄与するものと思われますが、それとともに大変重要なのが、やはり木材の需要拡大、川下での需要拡大が図られないと、これは成長産業化されていかないと成功しないものだと思っております。

 きょうは、しっかりとその成長産業化に向けて政府の見解をお聞きさせていただきました。強力に加速して進めていただきますようによろしくお願いを申し上げまして、この質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。

 委員長、理事の先生方の御了解をいただきまして発言をさせていただきますこと、まず心から感謝を申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 私、鹿児島の出身というか鹿児島が選挙区なんですけれども、農林水産委員会で発言をするに当たって、まず冒頭、齋藤大臣以下、御視察をいただいた礒崎副大臣、そしてまた野中政務官以下、農林水産省の皆様方に心からの感謝を申し上げたいというふうに思います。

 というのは、鹿児島、宮崎にまたがる硫黄山噴火による、川内川、そしてまた川内川の支流、長江川の、噴火に起因すると思われる川の白濁、汚染物質等による白濁による農業への被害に対して、大変迅速に視察等の御対応をいただき、また対応をしていただいておりますことに、まず心から感謝を申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 農家の戸数でいえば八百戸余り、ヘクタールでいうと八百ヘクタール余りの水田がことし作付ができなくなっているという状況のように聞いております。ぜひ農林水産省としてさらなる御対応をいただけますように、まず心からお願いを申し上げさせていただきたいというふうに思いますが、通告していないんですけれども、大臣から一言御発言をいただければと思います。

齋藤国務大臣 先月の十九日に硫黄山で噴火が発生をいたしまして、御指摘のように、川内川、長江川で基準値を超える砒素等の検出が出たということで、地元から、宮崎県、鹿児島県の両知事、あるいは関係市町の皆さん、大変不安になられて私のところにも来られまして、私どもも、それをしっかりと、聴取するだけではなくて、礒崎副大臣も現地に派遣をいたしまして、農林省としても、対策本部を立ち上げて、できるだけ早急にということで対策を取りまとめて公表させていただきました。

 今まで自分たちがやっていた稲作ができなくなるということは、農家の皆さんにとって非常に苦痛のことだと思っておりますので、そのために当面何をしたらいいかということで、さまざまな対策を組み合わさせていただきましたし、また、どのぐらいこれが継続するかわからないところがありますので、中長期的にもどうしたらいいか、しっかり御意見を伺って、これからも対応していきたいというふうに考えております。

川内委員 ありがとうございます。

 また、さまざまに要望、要請をさせていただくことになろうかと思いますが、御対応方をお願いしておきたいというふうに思います。

 それでは、順次、御通告を申し上げておりました質問をさせていただきたいというふうに思います。

 きょうは、豊洲市場ですね。そういう鹿児島などは農業県で、東京の大きな卸売市場に作物を出し、そしてまたそこで目ききの方に値段をつけていただいて、少しでも高く売りたいということで、東京のというか日本の台所である築地市場が豊洲に移転をしてどうなっていくのか。

 卸売市場法の改正もあり、みんなが注目をしており、ある方たちは心配もしていらっしゃるのではないかというふうに思いますが、東京都の豊洲市場の開設に向けての認可、これは最終的には農水大臣が認可をされるわけですが、具体的にどのような手続になるのかということを教えていただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 豊洲市場の開設につきましては、開設者である東京都が予定している日程を前提にいたしますと、現行の卸売市場法の手続に従うこととなります。

 具体的には、中央卸売市場の開設者が市場の位置や面積等を変更する場合に該当するため、卸売市場法第十一条第一項に基づきまして、農林水産大臣の認可を受けることが必要であります。その申請の際には、中央卸売市場の位置及び面積、取扱品目等を定めた業務規程、施設の種類、規模、配置及び構造等を記載した事業計画を農林水産大臣に提出することとなります。

 農林水産省といたしましては、東京都から豊洲市場の開設に関する認可申請が行われた場合には、先ほど申し上げましたように、現行の卸売市場法の認可基準に従って審査を行うこととなります。

川内委員 その認可の審査の期間というのは、まだ東京都は申請を出していないわけですが、申請が出されてからどのくらいの期間がかかるというふうに通常は想定しておけばよろしいのでしょうか。

井上政府参考人 中央卸売市場の業務規程の変更等の認可につきましては、行政手続法第六条に基づきまして標準処理期間を定めておりまして、それは一カ月ということになっております。

川内委員 農水大臣、済みません、私は冒頭申し上げるのを忘れておりました、私は築地が大好きなんですね。

 築地というのは、外国人の方々、外国人旅行者の方々がどこに行きたいかというアンケートをとっても、秋葉原と築地が大体一位を争うという状況で、大変な観光スポットでもある。いろいろな問題点はもしかしたら築地にもあるのかもしれないですけれども、築地の仲卸の価値というのは大変に高いものがあると思っておりまして、そういう意味では、一昨年、都知事選挙で小池さんが大変な争点にされて、どうするんだかよくわからないというような状況に今なっているわけですけれども、そういう意味では、築地を生かすというふうに小池さんがおっしゃられた、そのことをしっかりとやっていただきたいなと考える立場で、きょうは質問させていただきたいと思います。

 卸売市場法の第十条の認可基準については、十条第一号では、「当該申請に係る」、当該申請というのは認可申請に係るですね、「中央卸売市場整備計画に適合するものであること。」ということが書いてございます。

 そして、この中央卸売市場整備計画というのは現在第十次だそうですけれども、第十次中央卸売市場整備計画の「第五 その他」のところで、「中央卸売市場の整備に当たっては、災害等にも備えつつ、生鮮食料品等の安全を確保し、消費者等の安心につながるように留意する。」こう書いてございます。

 災害等に備えつつ、まあ、関東大震災も心配をされるわけですけれども、築地市場というのは、そういう意味では関東大震災にも耐えた非常に強固な地盤の上に商いが行われている市場である、他方で、豊洲は液状化が心配をされるということにもなるわけです。

 「消費者等の安心につながるように留意する。」基準にこう書いてあるわけですけれども、「消費者等」の等の中には、仲卸業者、あるいは、築地に魚を仕入れに来ている、あるいは野菜を仕入れに来ている小売店のおやじさんや店主さん、そういう方たちも含まれるのかということを教えていただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたように、直近の中央卸売市場整備計画におきましては、「中央卸売市場の整備に当たっては、災害等にも備えつつ、生鮮食料品等の安全を確保し、消費者等の安心につながるように留意する。」という記述がございます。

 そこの「消費者等」でございますけれども、一般消費者のほかに、生鮮食料品等の供給を受ける食品小売業者、加工業者、外食事業者を含んでいると考えてございます。

 仲卸業者の方々につきましては、市場の運営にかかわる当事者でもございますけれども、もちろん、今申し上げましたような方たちの安心につながるということは、仲卸業者の方も安全にまた安心に事業を運営するということが含まれていると考えてございます。

川内委員 そこで、大臣、豊洲市場というのは、土壌汚染対策法の形質変更時要届出区域というこの区域を解除されておらず、土壌汚染対策が終了しておらず、東京都は、築地のお店を持っていらっしゃる皆さんに、無害化するよということで、無害化三条件というのをこれまで提示していらっしゃったわけです。技術会議により有効性が確認された土壌汚染対策を確実に行うよ、あるいは、東京ガス操業由来の土壌の汚染物質が全て除去、浄化されるようにしますよ、さらに、地下水中の汚染も環境基準以下になるようにするよ、これを無害化三条件と東京都は呼んでいらっしゃったわけです。

 しかし、昨年、小池さんは、この無害化はできません、ごめんねと。ごめんねと言っただけで、特に、だから何だよみたいな話なんですけれども、無害化三条件を全くクリアできていない。

 それで、消費者や、現在の築地市場に仕入れに来るおすし屋さんなどの飲食店、今局長から御説明があった、安心を確保するよ、安心に留意するよとおっしゃっていらっしゃった方たちに対して豊洲で安心が確保できるのか。要するに、ここの安心という言葉の意味と土壌汚染対策が十分にいっているのかということの関係について、ちょっと教えていただきたいというふうに思います。

井上政府参考人 ただいま御指摘のございました、いわゆる東京都が掲げました無害化三条件につきましては、平成二十八年六月二十日に、小池都知事は、この三条件は未達成であるとした上で、市場移転問題に関する三つの基本方針の中で、地下空間の追加対策、地下水管理システム補強策などの安全対策を講じた上で豊洲市場を生かすということで取組が進められているところでございます。

 いずれにしましても、農林水産省といたしましては、豊洲市場の開設に関する認可申請があった場合には、現在取り組まれているような東京都の取組も踏まえまして、認可基準に従って審査していく考えでございまして、その中で、業務規程の内容が関係法令、これは環境、安全に関する法令ももちろん含むわけでございますけれども、こうした点に適合しているか等について、しっかりと審査をしてまいりたいと考えております。

川内委員 齋藤大臣や礒崎副大臣、そして野中政務官にもぜひ知っておいていただきたいんですけれども、この豊洲市場については東京都の土壌汚染対策等に関する専門家会議というのがございまして、その報告書の中で、地下水から揮発したベンゼン及びシアン化合物がガスとしてすき間や亀裂から建物内に侵入していくことによる生鮮食料品の影響について、生鮮食料品に付着した水分中のシアン化合物の濃度は、飲料水の水質基準の十分の一未満と非常にわずかであり、食の安全、安心の観点から見ても悪影響が及ぼされる可能性は小さいと考えられる、こう記述をしていらっしゃいます。

 シアン化合物というのは水に溶けると青酸カリになるんですけれども、付着します、付着するけれども、ごくごく微量だから大丈夫だよ、こう専門家会議は言っているわけですね。

 環境基準では、実はこのシアン化合物というのは、基本、検出されないことが原則だ、しかし、水質基準の十分の一未満だから安全、安心だというふうに専門家会議は言っていらっしゃるわけですが、しかし、世界の台所、日本の台所の東京の中央卸売市場で、シアン化合物が付着した高級マグロ、これを一心太助が、このマグロは世界最高だぜ、でも、青酸カリがちょっと付着しているけれどもねと言ったら、多分、売れないと思うんですよね。

 これは非常に悩ましい、むちゃくちゃ悩ましい問題でございまして、先ほどの局長の説明では、土壌汚染対策法と卸売市場法との関係でいえば、土壌汚染対策法上、東京都がきちんとやっていますというものを、卸売市場法でどうのこうの言うことはもしかしたらできぬかもしれないということはおっしゃられたわけですね。ただし、食の安心、安全を所管するというか、卸売市場を所管する大臣として、専門家が、ごくごく微量だけれども青酸カリが付着しますわ、シアン化合物が付着しますわと言っているマグロを、そこで売っている、売るということに関して、大臣としてどのような御見解をお持ちになられるか、それを大臣は食べますかということをちょっと聞きたいんですけれども。

齋藤国務大臣 川内委員が非常に丁寧に質問をしていただけるので、私もちょっと丁寧にお話ししなくちゃいけないかなと思いますけれども。

 御指摘のように、平成二十年に東京都に設置された専門家会議の報告書、これは先ほど御紹介をしていただきました。そこで科学的な見解として示されているというのが、先ほど委員が御紹介されたこと。この見解に対して、平成二十八年九月に設置された専門家会議、この平田座長の方で、二十九年一月十四日に開かれました専門家会議において発言をされておりまして、さらに、平成二十九年十一月の最終的な専門家会議の報告書もまとめられている、専門家のそういう検討がなされているということであります。

 私の口に入るまではまだプロセスがあるかなと思っておりますが、開設者である東京都におきましては、そういった専門家の意見も踏まえて、現在、土壌汚染に対する追加対策工事というものを進めているというふうに承知をしております。

 農林水産大臣としては、こうした対応がなされた後、東京都から認可申請が行われた時点で、今まさに委員が御指摘されたように、卸売市場法に従って、食品安全衛生に関する法律に違反していないこともきちんと厳正に審査をさせていただいた上で認可ということになります。それで、その認可された暁には、マグロがいただけるようになるということでありますので、その暁には楽しみにいただかせていただこうかなと思っております。

川内委員 農水大臣としてはそのような御答弁になられるのではないかというふうに思いますが、私は、一消費者としての立場で、安心、安全という観点から、多くの人が、豊洲市場で売っている生鮮食料品については、もしかしたら有害物質が、微量だけれども付着するんだよということを消費者として知ってしまえば、これはまだ多くの人が知っている状況ではないわけですけれども、多くの人が知ってしまうと、果たしてその市場としての機能を果たし得るのかということを非常に心配をするわけでございまして、そこで、法的には、形質変更時要届出区域という、土壌汚染対策法上の区域指定を受けている今現在の状況で、それは未来永劫多分外れないと思うんですね。

 局長さんに教えていただきたいんですけれども、卸売市場法上、こういう土壌汚染対策法の指定区域になっている地域に卸売市場を設置するということについては、農水省としては、そもそもちょっと想定していないということを過去御答弁であるんですけれども、その御答弁は今も維持されているということでよろしいでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、土壌汚染対策法で形質変更時要届出区域とされている区域につきましては、掘削等を行わず利用することは可能となっておりますので、現在の区域指定を前提にすれば、この点のみについて言えば、卸売市場法の認可の障害になるとは考えてございません。

 その上で、過去に農林水産省の審議会に提出した資料の中で、いわゆる「想定し得ない」という記載がある資料がございますけれども、この趣旨でございますが、東京都が当時、盛土等とあわせて汚染の除去の措置を講ずることを予定しておりましたので、東京都が汚染の除去の措置を行わず盛土等のみを行った状態で卸売市場用地とすることは想定し得ないということを農林水産省として記載したということでございます。

川内委員 現在伝えられている土壌汚染対策によれば、全く対策をしていない区域もあるというふうに聞いておりますし、今後、土壌汚染対策法上の形質変更時要届出区域であれば、そこに建物を建てることは、法令上、それをとめることはできない。しかし、要措置区域、地下水の動きなどというのはこれは誰にもわからないので、非常に汚染されている地下水が動いて、その区域指定が、これはちょっと要措置区域の指定に変えなければならないねというようなことになるとすれば、認可基準、卸売市場法第十条三号には、「業務規程の内容が法令に違反せず、」こうあるわけですけれども、この法令というものの中に土壌汚染対策法も含まれるという理解でよろしいか。あと、どんな法令があるのかということもあわせて教えていただきたいと思います。

井上政府参考人 卸売市場法の認可基準の中にございます、業務規程の内容が法令に違反しないことという、この法令の中には、ただいま御指摘のございました土壌汚染対策も含め、また、それ以外には、食品衛生法、都市計画法等の法令、これらに違反していないかを審査することとなります。

川内委員 さらに、認可の基準第十条四号には、「事業計画が適切で、かつ、その遂行が確実と認められること。」というふうにございます。例えば、仲卸業者の多くの方々が豊洲市場の数多くの不備を今現在指摘していて、十月に移転が予定をされているわけですけれども、このままじゃちょっと移転は無理なんじゃないの、少し延ばしてよというようなこともおっしゃっていらっしゃるように聞いております。

 多くの仲卸業者の皆さんがちょっと今のままじゃ移転できないよという判断をするとなると、その場合は卸売市場としての資金の収支に大きな影響を与えることが予想されるわけですが、「事業計画が適切で、かつ、その遂行が確実と認められること。」という認可の基準には、こういう市場の資金収支なども審査の対象になるというふうに考えてよろしいか、認可の判断に影響するというふうに考えてよろしいかということを教えていただきたいと思います。

井上政府参考人 卸売市場法の認可の際に審査を行うこととなります事業計画には、取扱品目ごとの供給対象人口、取扱数量、金額の見込み、施設の種類、規模、配置、構造のほか、開設に要する費用、財源、償却に関する計画も定めることになっておりまして、この審査に当たりましては、市場使用料収入等の見込みが確実で、財源、償却に関する計画の遂行が確実であるといったことも含めて、市場会計が適切に運営されることになっているかどうかも審査することとなります。

川内委員 あと、十条二号には、「相当の規模の施設を有するものであること。」が認可の基準として規定をされております。特に駐車場については、卸売市場整備基本方針の「駐車場の必要規模」のところに、「自動車による搬入及び搬出の状況、場内運搬車の利用状況、販売開始時間、買出しの状況、従業員の自家用車利用状況等を考慮」と書いてございます。要するに、大混雑をするようじゃだめですよという趣旨だというふうにお聞きしました。

 昨日、東京都からちょっと聞いておいてくださいというふうにお願いしたんですけれども、現在の築地市場の場内運搬車も含めた業務用自動車、従業員用の自動車、お客さん用の自動車等の駐車場の台数、そして、豊洲市場のそれぞれの確保台数について、客観的な数字がわかれば教えていただきたいと思います。

井上政府参考人 御通告をいただきましたので、現時点での状況を東京都に確認をさせていただきました。少し数字が細かくなりますけれども、御説明をさせていただきますと、豊洲市場の駐車場につきまして、卸売市場整備基本方針の算定基準に沿って計算する場合の基礎データを東京都に確認をいたしましたところ、目標年度、二〇二三年度でございますけれども、における一日当たりの市場流通の規模は、乗用車によるものが六百七十トン、小型車によるものが二千八十トン、中型車以上によるものが八百五十トンということであります。

 他方、この一台当たりの積載数量でございますけれども、乗用車は五百キログラム、小型車は二千キログラム、中型車以上は五千キログラム。その他業務用台数としてターレ一千台ということでございます。

 一台当たりの面積でございますけれども、乗用車、小型車、中型車以上は三十平米、ターレは十平米、このようになるということでありまして、これらの基礎データを当てはめて計算した目標年度における駐車場の必要規模面積は、八万六千五百平米になるということでございます。

 ちなみに、これと築地市場の駐車場の面積七万六千六十六平米を比べますと、豊洲市場の方が一四%拡大することとなります。

 また、豊洲市場の駐車場につきましては、駐車場としての区画が未定の部分があるため全体の駐車場面積が未定ではございますけれども、駐車台数といたしましては、築地市場の四千六百台に対し五千百台分を確保する予定ということでございまして、豊洲市場の駐車台数と築地市場の駐車台数を比べた場合には、豊洲市場の方が一一%拡大する予定と承知をしております。

川内委員 本当にそうなるように計画がきちんとつくられることを注視しておきたいというふうに思います。

 最後の質問を大臣にお願いしたいんですけれども、東京都の小池知事は、昨年六月の市場移転問題の基本方針として、築地は守る、豊洲を生かす、こうおっしゃったわけですね。豊洲市場は、冷凍、冷蔵、物流、加工等機能を強化し、総合物流拠点としましょう、築地は、仲卸の目ききを生かした競り、市場内取引を確保、発展させ、築地ブランドを生かして更に新しい価値を付加するというふうにしていらっしゃいます。

 二つの中央卸売市場というのは難しいというふうにおっしゃる方もいらっしゃるわけですが、豊洲と築地を両立させた機能分担というのは私はあり得るというふうに思いますし、そうする方が更に市場の価値というものを生かすことができるのではないかというふうに思います。

 農水省として、大臣としての、この機能分担というのはあり得るかということについて御見解をお示しいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 現実にどのように卸売市場の機能を豊洲と築地の間で分担するかというのはまだ正確にわからないものですから、仮定の質問にイエスとかノーとかお答えしがたいものがあるんですが、いずれにしても、卸売市場法の改正をさせていただきまして、その新しい法案のもとでは、差別的取扱いの禁止や取引条件、結果の公表など公正な取引の場として必要な取引ルールの遵守ですとか、卸売市場の適正かつ健全な運営などの要件を満たせば、中央卸売市場又は地方卸売市場として法令上認定することは可能になっている、そういう仕組みでございます。

川内委員 終わらせていただきます。

 齋藤大臣、礒崎副大臣、野中政務官、心から感謝を申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございます。

伊東委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 立憲民主党の大河原雅子でございます。

 一般質疑ということで、きょうはプラスチックの問題について質疑をしたいと思います。

 きょうは五月三十日、ごみゼロの日でございます。私も、政治にかかわるようになる以前から、このごみ問題については随分と関心を持って取り組んできました。家庭のごみを減らすというのはもちろんですけれども、このごみ問題は本当に、根本は環境問題であり経済問題でありという、非常に奥の深いものだなというふうに思って取り組んできたわけです。

 ごみ問題の取組は、ごみの発生の抑制から再利用の促進活動まで幅広いんですけれども、きょうは、近年特に問題になっているプラスチックごみ及びマイクロプラスチックについて質疑させていただきたいと思います。

 大臣、プラスチックスープの海という言葉、お聞きになったことはありますでしょうか。

 昨年のG20ハンブルク・サミットで初めて海洋ごみの問題が首脳宣言で取り上げられました。さらに、昨年十二月の国連環境総会では、海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに関する決議も採択されています。海洋プラスチックごみとマイクロプラスチックに対処するために障害となるもの、オプションになるもの、こういったものを精査する専門家グループの会合なども招集されるようになってきております。

 プラスチックスープの海というのは、大西洋も太平洋も海流によって非常に大きなごみの島ができていて、ごみが漂流しているものがそこに固まっている。日本列島の四倍ぐらいの大きさにもなるというようなことも聞きましたけれども、海水の中にやはり小さな、五ミリ以下のプラスチックの破片が入っていて、それを魚がプランクトンや何かと一緒にのみ込む、食べる、こういうことが起こっているということです。

 まず大臣に、この海洋プラスチックごみ、そしてまたマイクロプラスチックに関する基本的なお考えを伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 海に流出するごみの問題については、今御指摘の、昨年のG20ハンブルク・サミットの首脳宣言等でも取り上げられるなど、世界的に注目される問題となっております。我が国におきましても、本年五月十五日に閣議決定されました第三期海洋基本計画におきまして、マイクロプラスチックを含む海洋ごみの問題について、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策というものが明記をされているところであります。

 海に流出したプラスチックごみは、海洋生物による誤食や海洋生物への絡まりなどによりまして、水産資源を含む海洋生態系に悪影響を与えるとともに、漁獲物へのごみの混入や漁船のスクリューへの絡まりによる航行への影響など、漁業にも損害を与えるものであります。

 一方、マイクロプラスチックになりますと、これは表面に有害な化学物質を吸着する性質があることが指摘されておりまして、食物連鎖を経て海洋生物へ影響を与えるということが懸念をされております。

 他方、漁業におきましても、漁網、ロープ等さまざまなプラスチック製品が実は用いられておりまして、これらが関係法令に沿って適正に管理、処理されなければ、漁業そのものが海洋プラスチックごみの発生源となるという側面もあります。

 このようなことから、漁業を所管する農林水産大臣としてもこの問題に関心を有しておりまして、海洋プラスチックごみの発生源対策としての漁業者等の指導、支援や、マイクロプラスチックが水産生物に与える影響の把握に取り組んでいきたいと考えております。

大河原委員 世界じゅうで対策が求められ、進められようとしているわけですけれども、水産庁として、今大臣がお答えになりましたけれども、具体的な取組をもう少し教えてください。

長谷政府参考人 農林水産省では、昨年度まで、漁業系廃棄物対策促進事業によりまして、漁業において発生するプラスチック廃棄物のリサイクル技術の開発ですとか漁業者への普及に取り組みまして、漁業系廃棄物の適正処理を推進してきたところでございます。今年度からは、漁場環境改善推進事業によりまして、漁業、養殖業用プラスチック資材の使用、廃棄等の実態を調査し、使用量削減方策の検討や漁業者への普及を行うこととしております。

 海洋におけるマイクロプラスチックの問題につきましては、近年注目され始めた新たな課題でありますけれども、本年度から、同じこの漁場環境改善推進事業におきまして、一つ目として、海産魚類におけるマイクロプラスチックの摂取量及び体内での滞留時間の解明、二つ目として、有害化学物質のマイクロプラスチックへの吸着特性の解明、三つ目としまして、マイクロプラスチックに吸着した有害化学物質の魚類の消化管の中における溶出を調べるための簡易試験手法の確立といった内容の調査に取り組むこととしております。

 これらの取組を通じまして、引き続き漁業系廃棄物の適正処理を推進するとともに、マイクロプラスチックが水産生物に与える影響に関する情報の収集にも努めてまいりたいと考えております。

大河原委員 魚類たちが誤食をしたとかそういう以上に、もっと小さな、マイクロプラスチックというのは、一次的に、ナノ単位のそういう成形をしたものというのは、化粧品とか歯磨きとかそういったところに入って、マイクロビーズと言われるもので、日本の中では製品としてはごく少数だったようですけれども、それも転換が図られている状況です。

 今問題になっている、もっと大きなプラスチックから小さくなってしまうものについて、今、水産庁がたしか四年かけてこの実験をされるということなんですけれども、本当に、日本の食文化を考えても、私たちは魚をやはりこれからもずっと食べていこうという中で、やはりこの実験に注目したいと思いますし、ぜひ、ほかの世界の研究者とも結んでいただいて、連携をとっていただきたいというふうに思います。

 ちょっとこの話を伺っている間に、いわゆるプラスチックスープの中に魚を飼うみたいな、要するに食べさせるわけですよね、それでその経過を見ていくということなんですが、もう少し、私たち消費者としてもっと知りたいのは、日本の近海の海域でどのぐらいのプラスチック、マイクロプラスチックの影響が出ているのかというような調査もぜひしていただきたいというふうに思っていまして、例えば東京湾でとれたカタクチイワシからもプラスチックが見つかっているというようなこともあるので、そういったところまで行っていただけるような予算もぜひ来年度つけていただきたいな、こちらからもぜひ応援をしたいなというふうに思う次第です。

 それで、プラスチックは、つくられる場所は陸上です。海に行くその経路はさまざまなわけなんですけれども、陸上分野でいえば農業、要するに、陸の農業の生産活動に伴うプラスチックごみについてはどのような管理、廃棄がされているのか。廃プラスチックは、リサイクル、焼却、埋立て、処理処分という形できちんと管理をされなければならない、いわゆる産廃になりますけれども、この点はどうなっているのでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 農業由来の廃プラスチックでございますけれども、農林水産省が平成七年に策定いたしました園芸用使用済プラスチックの適正処理に関する基本方針に基づきまして、行政機関と農業者団体が連携をいたしまして、地域ブロックの単位、都道府県の単位、市町村の単位、この各段階で協議会を設置いたしまして、法令に基づきます適正処理と排出抑制等に取り組んでいるところでございます。

 具体的な排出の抑制対策といたしましては、例えば、中長期展張フィルムなどの耐久性の高いフィルムですとか生分解性マルチの活用を進めているところでございまして、耐久性の高いフィルムについては四七%、生分解性マルチについては五、六%の普及率という現状になってございます。

 これらの結果といたしまして、農業分野から排出されます廃プラスチックの量は、平成五年の十八万九千トンをピークに、平成二十六年の排出量は十万五千トンと、四割以上の縮減が図られてございまして、引き続き、各段階におきます協議会の活動等を通じまして、廃プラスチックの排出抑制を推進してまいりたいと存じます。

大河原委員 農業生産分野で使われるプラスチック、廃プラスチックの管理については、今お答えがありましたように、平成七年の基本方針というのを見せていただきますと、本当に細かく詳しく書いてあるんですね。ここの時点からすればプラスチックの使用量も減っているということは非常に頼もしく思うわけですけれども、ただ、まだまだ、この基本方針の中でも、これは平成七年ですから、この時点と、今の平成三十年というところまで来ると、ここの基本方針に挙げていたものがどのぐらい達成度があったのか、何がどう足りないのか、そういうことが見えてくるんじゃないかと思うんです。

 外国と比べると、日本の農業生産分野で使われているプラスチックの量というのは、比較表があるのかどうかわかりませんが、ちょっと多いんじゃないかなという感想を持ちます。海外に出かけたとき、マーケットも、また生産地を見ても、こういった、日本で使うようなマルチとかそういったものがどの程度使われているのか、ちょっと、私はその辺のことも、この日本の付加価値の高い農業技術を維持していくためにはプラスチックの使用が必要なんだというところで、無前提にやはり使っていてはならないんじゃないかというふうに思います。

 発生抑制について、今、例えば新しいフィルムを使って長寿命のものに変えていく。コストもかかるでしょうけれども、やはり、フィルムメーカーと開発をする人に、最終の段階、廃棄の段階まで生産者の負担がどうなるのかも含めてライフサイクル、そういった発想で農業資材として選ぶ、こういうことがなければいけないというふうに思います。

 それで、この基本方針の中に、再生をすることの中に、再生原料の需要というところで、廃プラスチック、ビニールを一回圧縮して切って、あるいはプレスをして成形をして海外に売るということがありまして、このことについて言えば、中国で廃プラの輸入が禁止になっています。これについても農水省として御対応になったと思いますが、廃プラスチックを資源として活用してきたけれども、中国の方では資源ごみの輸入を禁止した、この決定の影響というのはどんなふうになっているでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 農業由来の廃プラスチックは、先ほど申し上げました基本方針に基づきまして、排出抑制とともに再生処理を推進してまいりました。この結果、平成五年には焼却処理が一番多かったわけですけれども、平成二十六年には再生処理の割合が七六%まで上昇してございます。ただ、この再生処理される廃プラスチックの一部は中国等に輸出をされまして、輸出先で製品化をされていたというふうにまた考えられます。

 御指摘ございましたとおり、中国政府が昨年末をもって廃プラスチックの輸入を禁止いたしました。このため、農林水産省では、昨年の末にまず各都道府県に通知を出しまして、情報の周知と適正な処理が行われるように呼びかけるとともに、二月の二十八日に各都道府県の担当者会議を開催いたしまして、各地域における動きですとか対応、これらの意見交換を行って、その後、情報交換を続けているところでございます。

 その後、各都道府県を通じて情報収集を行う中で、現時点で、例えば引取り先が見つからないですとか、そういう影響は生じておりませんけれども、一部の回収、処理業者から引取り料金の値上げの要請があるとか、そのような動きもございます。

 このため、各地の回収、処理業者の情報ですとか、あと県域を越えた受入れをしている優良事例だとか、そういう例の情報提供を各団体にお送りしているところでございまして、引き続き、各都道府県、関係団体と連携をいたしまして、各地域の安定的な回収、処理体制の維持が図られて、廃プラスチックの再生処理に支障が出ないように対応してまいりたいと存じます。

大河原委員 中国が輸入禁止をしたことの影響というのは余りないというふうに言われているんですが、実際には引取りの費用が高くなるというふうに言われておりまして、そうした事業者の方たちへばかりしわ寄せの負担が行くことも、また、生産者の方たちに排出の責任ももちろんあるわけですが、個別の小さな生産者のところにどのぐらいの影響があるかということは、どこかで、協議会の中でもいろいろと、自治体、国も支援ができるような体制もとっていただきたいというふうに思うわけです。

 この基本方針の中に輸出をする場合というのがわざわざ書いてあって、実はこれをずっと読み通すと、ここのところのボリュームというか現実性が高くて、結構ここに期待していたんじゃないかなという意味合いもちょっと見えるんです。

 農業の場面で使っているプラスチック類というのは土がついていて、土がついているようなものの移動というものについてはとても神経を使わなければならない、そういうものだと思いますし、国内で使ったごみを、やはり、経済の成り立ちだから、経済に見合うところに、安く処理できるところに持っていくという発想からもう離れなきゃいけない、そういう時代なんだと思います。

 特に、さっき海洋ごみのことを言いましたが、東南アジア地域の、つまり、ごみ処理がちゃんとできていなさそうな国々にこういった日本からの廃プラスチックなどが移動することの意味合いをもう少し深く、やってはいけないことだというふうに思うような感度が今必要になってきているのじゃないかというふうに思います。

 そこで、欧州連合、EUなども、二〇三〇年までに、使い捨てのプラスチック包装を域内でなくす、全てを再利用又は素材としてリサイクルすることを目指すというふうに発表しております。EUの執行機関である欧州委員会が十六日に発表したプラスチック戦略では、新しい目標も打ち出しています。

 きょう、環境省の方から来ていただいていますが、こうした国際的な動きに対して、我が国の取組、今後の方針を少し御紹介ください。

近藤政府参考人 申し上げます。

 EUにおきましては、委員御指摘のように、本年一月、欧州委員会が今後のプラスチック政策に関する戦略を発表しております。

 我が国といたしましては、海洋ごみ問題を始め、資源、廃棄物制約、地球温暖化対策等を含めました幅広い課題に対応するために、現在、第四次循環型社会形成推進基本計画を策定中でございます。

 こちらの案の中におきまして、プラスチックに関しましては、プラスチック資源循環戦略といたしまして、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略を策定し、政策を推進していくことを盛り込んでいるところでございます。

 具体的には、使い捨て容器包装等のリデュースや、使用済みプラスチックの徹底的かつ効率的な再生利用、バイオプラスチックの実用性向上などを総合的に推進することといたしております。

 第四次循環基本計画は来月閣議決定をさせていただければと思っておりますけれども、その後、検討の場を設けまして、EUを始めとする諸外国の状況を踏まえつつ、我が国として、プラスチックの資源循環が一層促進されるよう、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

大河原委員 プラスチックのストローを使わない、コップから直接飲むというような単純な行動で減らせるということがあります。そして、このライフスタイルの問題ということもありましょうが、ここに、この地球を持続可能な地球として次の世代に引き渡していくときに、やはり、きょう伺ってきたプラスチック問題、農林水産分野、水産の場面でも農業の場面でも、まだまだ実は感度高くやらなければならないことがあるんじゃないかというふうに思うんです。

 再生可能な資材、環境保全型資材に転換をしていくというふうに考えると、例えば一回きりで使っているさまざまなものが思い浮かんでくるんじゃないでしょうか。そしてまた、水産とか漁網とか、そうした、今プラスチックを使っているけれども、分解性があるものとか、その再生に対して、材料となるものがもっと環境に優しいものであるとか、いろいろなことが出てくると思うんです。

 例えば、これは容器包装リサイクル法とのかかわりになるかと思いますが、生産現場で出荷をするときのパックとか、なかなかこの発想の中に出てきていないんじゃないかと思うんですけれども、イチゴパックとかキノコのパックとか、結構家でたまってしまうと、どうやって捨てようか、本当に悩む場面があるんですね。

 ですから、ぜひ、この第一次産業、農業、漁業、こうしたところのプラスチックを減らす。そして、処理が難しいものを置きっ放し、置き去りにしない。プラスチックがつくられる場所は陸であって、川とか水路とか下水とかいろいろなところを、経路を持って海に流れていくということがありますので、いま一度、最後に大臣に、このプラスチック問題、どのように取り組まれていかれるか、第四次循環型社会形成計画もできますが、またその点での意欲を、意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

齋藤国務大臣 農業や漁業の現場で今私どもが講じている政策については今既に御説明しましたけれども、私がこの問題で一番感じますのは、とにかく、その発生するところ、家庭なら家庭で、ちょっとした注意をするかしないかということでそこから先が物すごく大変になってくるというところが非常に大きな問題だなと思っております。

 ですから、やはり多くの方々が意識を持って、自分の行動のほんのちょっとを変えていただくということが、その後の大きな問題を処理する上ですごく助かるというところをできるだけ多くの人に知ってもらうということも、我々がやっている対策に加えて大事なことだなと思っておりますので、そういう細かなことについてもどういうふうにしていったらいいのか、ペットボトルは必ずむいて捨てるんだよとか、そういうことも含めて、一人でも多くの人が意識を持ってもらえるように努力をしていきたいなというように思っております。

大河原委員 環境省の第四次循環型社会形成推進基本計画が、パブリックコメントを経て、来月確定をされるということなんですけれども、やはり今大臣がおっしゃった、家庭のできるところからという、消費者側のところは努力をして、ごみの有料化とかいろいろな試みがされてきております。

 ただ、やはり農業分野でも、排出されるプラスチックは少ないとはいえ、可能なところからやっていかなければなりませんし、代替されるものがあればそういったものに素早くかえていく。そして、長期的に使えるというものがあれば、先にコストがちょっと高くても、温室などは、ガラスの温室というのがヨーロッパでは大半だと思いますが、そんなことも含めて、ぜひ、平成七年の基本方針をいま一度見直していただけたらなというふうに思います。

 質問時間が終わりました。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 きょうは、大和堆における北朝鮮船籍の違法操業問題について議論をしていきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 質問に入らせていただく前に、齋藤大臣、お久しぶりでございます。勝手ながら、二〇〇九年当選同期ということで、私は当時、与党側で座っていました。そして、大臣は野党側で、直球勝負ということで、正々堂々と建設的な議論をされておられたことを本当に強く私は記憶をしています。今、責任ある立場になられておられるということは、それこそ、私は、大臣を評価しているという組織は、その姿勢そのものは評価をしたいというふうに思っています。一次産業のためにしっかりと頑張っていただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 そして、この私の選挙区の中で、能登町の小木というところがございます。かつては日本一、今でも日本一という誇りはありますが、イカ釣り船の港でございます。

 先週にも、イカす会といいまして、いかす人たち、いかすやつらとイカをかけまして、イカす会というイベントが毎年されています。その一週間後に大体イカ釣り漁に出るんですけれども、そのイベントの皆様の生き生きとした姿、やはりこの業、なりわい、水産業、農業もそうですけれども、なりわいそのものが本当に地域の文化なんだなというふうにも思います。先週のイベントのときにも、来年も再来年もこういうイベントが続けられるように、今の問題をちゃんと解決してくれと強く言われたところでもあります。

 ところで、黒づくりなど食べられたことはあるでしょうか。イカの黒づくり、墨が入っている本当においしいものなんですけれども、これがもっともっと広まればお米の消費も広がるのになというふうに思いますけれども。

 あとは、めがらすという食べ物があります。これもぜひとも食べていただきたいと思いますが、めがらすというのはイカの口ですね。一杯に一つしかない、ビー玉ぐらいのものなんですが、これを煮たり焼いたり揚げたり、これは絶品でございます。

 これは法的上許されるかわからないですが、もしどちらも食べたことがないということであれば、事務所にお送りしたいと思いますので、お食べいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 今回の違法操業問題に関しては、水産庁そして海上保安庁とも頑張っていただいています。そのことは、私は、去年から、おととしから進展してきているということは感謝を申し上げたいと思います。

 そして、先週の段階で、先手必勝ということで、前もって大和堆に行って、北朝鮮の船を追い払ったということも連絡をいただいています。この取組に感謝を申し上げたいと思います。

 そして、その上でですが、やはり心配があります。この表の一ですが、これは六十年のチャート、下は三十年のチャートです。やはりイカの漁獲高はかなり減ってきています。そして、下のチャートのこのピンクの線は、これは価格ということでございます。去年、おととしのこの漁獲高はかなり急減していますが、価格がほぼ倍になっているということで、何とかかんとか、苦しいけれども、収入は減っているけれどもやりくりしているというのが現状です。そして、去年、おととしでいけば原油価格も下がっていましたから、去年、おととしは、苦しかったけれども何とか乗り越えられたというのが実態でございます。

 ただ、価格の高騰によって結果としてなりわいが維持できるというのは、これは望ましい姿ではありません。消費も減ってしまいますし、水産加工業者の方も本当に青息吐息。大変厳しい状況でもございます。そして今は、この一週間ばかりは原油価格は下がっていますが、この一年間ではかなり急騰しているというような状況でございます。

 この状況を踏まえて、今、大臣の御所見を伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 今御指摘のように、スルメイカの漁獲量は、昨年五万四千トンでありまして、これは一年前の平成二十八年に比べると、六万四千トンでありましたので、約八割に減ってしまっているわけですね。そのかわり価格が上がったということがありますが、しかし、価格が上がっても加工業者の人たちは大変に苦労するということでありますので、やはりまず、なぜこのような現象になったかという原因をしっかりと突きとめるということが必要だろうと思っています。

 国立研究開発法人水産研究・教育機構によれば、近年減少傾向にあるんですけれども、平成二十七年及び二十八年においては、産卵海域でスルメイカの発生に適した温度帯が減少したことにより資源量が減少し、その後も回復が見られていない、これが主要因ではないかと言われているところでありますが、注視をしていく必要があると思っております。

 また、漁業者の方々が、あるいは加工業者の方々が大変な状況にあるということにつきましては、さまざまな対策を講じているところでありますので、その状況についてもしっかりと見ていきたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 一説には、中国、北朝鮮そして韓国も、網でさっと大量に持っていく。イカの餌まで持っていく。それが結果として、ことしだけではなくて来年、再来年、五年後、十年後も心配だという声もあることも、ぜひとも受けとめていただきたいと思います。

 そして、三月の財務金融委員会では、私も関税定率法の絡みの中でこの問題を取り上げさせていただきました。中根副大臣に答えていただいたんですけれども、今回の大和堆における違法操業問題に関して、中国を通じて抗議をしている、そして今後も厳正に対処するという答えをいただきました。

 一方、国交がないですから、結果としては、抗議をしてくれという伝聞なんですよね。本当にそれが効果があるのかどうかというところは、やはり私は正直わからないというふうに思っています。

 そこで、改めて、確認の意味も含めて伺います。

 今回の北朝鮮船籍による違法操業問題に関して、どこを通じて、また、いつ、計何回、どういう内容で、文書なのか口頭なのかということで、どういう抗議を行ったのか教えてください。

堀井(学)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 近年、大和堆を含む日本海の我が国の排他的経済水域、EEZにおいて、北朝鮮漁船等が多数違法な操業を行っていることが確認されていると承知をいたしております。

 こうした状況を受けて、北京の大使館ルートを通じて、北朝鮮に対し、累次にわたり、我が国EEZにおける違法操業の停止や退去を指導するよう強く申入れを行っているところであります。

 平成二十九年度につきましては、北朝鮮漁船等の視認隻数が急増した五月以降、四度、北朝鮮漁船等による違法操業に対する申入れを行ったところであります。なお、本年度についても適切に申入れを行っていく考えであります。

 申入れの効果については評価することは困難ではありますが、いずれにせよ、政府全体として、我が国EEZにおける北朝鮮漁船等による違法操業に関し、厳正に対処していく考えであります。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 効果はわからないわけですから、どんどんどんどん、申入れすることに対しては、私は何度でも弾を撃っていただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 そして、漁業関係者そして各都道府県関係者の方から、やはり、大臣には、立入検査、いわゆる臨検、そして拿捕をちゃんとしてくれ、そしてまた、さらには、漁網の回収、これもしてほしいという強い要請が何度も来ていると思いますけれども、現在の取組、準備について伺いたいと思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮漁船が我が国のイカ釣り船目がけて接近してくるといったようなことで操業ができなかったというような苦情につきまして、私どもも関係漁業者から直接伺っているところでございます。

 こうした中で漁期を迎えるわけでありますけれども、水産庁といたしましては、先生からも御紹介ありましたけれども、取締り船を派遣し、海上保安庁とも連携する形で、不法操業を許さない、侵入を許さず、排除して、我が国漁船の安全操業を確保するということを第一に考えております。

 そうした中で、それがもう基本でありますけれども、御紹介ありましたような漁具の問題等々ございます。

 そして、外国漁船の不法操業に伴いまして影響を受けている漁業者の救済ということに関して言えば、韓国・中国等外国漁船操業対策事業によりまして、漁具被害復旧支援事業ですとか外国漁船操業等調査・監視事業等々の支援が可能となっているところでございます。

 日本周辺水域におきましては、大和堆に限らず、外国漁船の影響によりましてさまざまな問題が起こっておりますけれども、この水域で操業を行う我が国漁業者の操業に重大な影響が生じた状況も踏まえて、平成二十九年度の補正予算におきまして、今御紹介しました事業に四十九・五億円を計上したところでございます。

 繰り返しになりますけれども、安全操業の確保というのを基本といたしまして、万が一その影響が出たときにおきましても適切に対応していきたいということでございます。

 それから、取締りの現場の話になりますけれども、安全操業の確保についてでございます。

 外国漁船の侵入を未然に防ぐことが第一ということでありますが、関係省庁とも協議の上、多数の北朝鮮漁船等を排除するためには、昨年漁期において大きな効果のあった放水等による厳しい対応を徹底していきたいというふうに思っております。

 また、仮に北朝鮮漁船等が大和堆周辺の漁場に侵入いたしまして、放水等を受けて退去する際に、流し網という種類の漁具になりますけれども、残置する例がございました。そういう場合は、その漁具をもう放棄したものとして、洋上で直ちに漁業取締り船が回収することとしております。

 我が国漁業者の安全な操業を確保できるように、漁業者とも、漁期を迎えますが、密接にコミュニケーションをとりながら、関係省庁とも連携して対策を進めてまいりたいと思います。

近藤(和)委員 前もっての質問を少し一部答えていただきましたけれども。

 さらには、昨年の十一月に、参議院の予算委員会並びに衆議院の農林水産委員会で、漁業監督官の安全と監視能力を高める、これは漁師さんたちの安全も高めるということもありますけれども、そのために、装備の充実、武器の携帯について、大臣は検討していく旨を答えられておられます。半年前です。現状はどのように進んでいらっしゃるでしょうか。

長谷政府参考人 武器の携帯についての御質問でございます。

 水産庁の漁業取締りでは、必要に応じて防弾防刃救命胴衣等の防具を着用するなどで安全を確保しながら業務に臨んでおります。

 大和堆における北朝鮮など外国漁船に対する漁業取締りに当たりましては、海上保安庁巡視船と漁業取締り船は連絡を密にしながら連携しつつ対処しておりまして、公務執行妨害など漁業取締りの範疇を超える事態が発生した場合には、海上保安庁と協力して対応してまいりたいというふうに考えております。

近藤(和)委員 実質的に進んでいないというふうにちょっと受けとめざるを得ないですけれども、これは委員会での答弁ですから、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、質問をかえます。

 臨検、拿捕ということに対しては、やはりなかなか前向きな答えはいただいていません。というのは、やはり、北朝鮮に対しての臨検、拿捕、立入検査、拿捕ですね、これは実績がないということも一因です。そして、さらには、彼らとは国交がない、漁業協定もない、EEZ、国際海洋法条約にも入っていない、そういったことがやはり要因ではないかというふうに思いますけれども、やはり、さまざまな取組をしていく中で、彼らを同じ土俵に乗せていくということも私は努力としてしていくべきではないかなというふうに思います。

 国連海洋法条約を含む国際法の遵守をさせていく、これも、日本から北朝鮮に呼びかけることは無理だとしても、中国を通じて、そしてまた、北朝鮮だけでも百六十を超える国交がある国があるわけですから、そういった国から共通のルールに入っていこうよという呼びかけは、これは国としてしていくべきだと思いますが、こちらについて、外務省、いかがでしょうか。

堀井(学)大臣政務官 先ほどのお答えも繰り返させていただきますが、大和堆周辺の我が国の排他的経済水域における北朝鮮漁船等による操業は、単に違法であるのみならず、我が国漁業者の安全操業の妨げになっているものであり、極めて重要な問題と捉えております。

 こうした状況を受けて、北京の大使館ルートを通じて、北朝鮮に対し、我が国EEZにおける違法操業の停止や退去を指導するよう強く申入れを行っているところであります。

 いずれにいたしましても、我が国は北朝鮮を国家承認していないことも踏まえつつ、北朝鮮漁船等による違法操業に対処する上で何が最も効果的かという観点から、関係省庁と連携しつつ、今後の対応を不断に検討していく考えであります。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 質問をかえます。

 先ほどのグラフのとおり、漁業経営というのはそもそもさまざまなリスクがある。魚がとれる、とれない、また、自然環境であったり、また、もともとの値段が変動するということで、さまざまなリスクがあります。だからこそ共済がある。

 ただ、一方で、今回の北朝鮮の問題というのは、自然環境とは全く関係ありません。個人の努力、会社の努力でいかんともしがたいものであります。だからこそ、こういったときに、国としてしっかりと守っていきますよということが私は必要だと思うんです。

 改めて、先ほど一部答えていただきましたが、やはり、国としてこの部分はしっかりと守っていきますよという対策、ちらっと先ほど出てきましたけれども、もう一度詳しくお答えください。

長谷政府参考人 失礼いたしました。

 まずは侵入を許さないという話があった上で、それでも影響が出てしまった場合ということでありまして、先生から御紹介ありましたように、必ずしもこの事案に限る話ではありませんけれども、共済と積立ぷらすというものを組み合わせた収入安定対策というものがあります。

 その上で、特に、こういう外国漁船の影響を生じている場合、先ほど御紹介いたしました韓国・中国等外国漁船操業対策事業の中で共済掛金を更に助成するというようなこと、それから、漁具を奪われたとかそういう場合の漁具被害復旧支援事業ですとか、そういうメニューを用意いたしまして、影響の緩和を図るということで対応しているところでございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 日中・日韓基金からある程度の金額が出るという答えをいただきました。ありがとうございます。

 一隻当たり大体四百万円半ばだと思います。ただ、これも、いただくことは大変ありがたいんですけれども、ことし燃料費が上がりますので、一隻当たり大体三百万から四百万ぐらい燃料費だけで上がると聞いています。そして、中型のイカ釣りでいきますと、年間の金額で直しますと、水揚げは二億から三億弱です。その中での四百万円前後というのは、ありがたいことはありがたいですが、今後、もう一声という部分はあります。

 ただし、ちゃんと水産庁も海上保安庁さんも外務省さんも頑張っていただいて、もう北朝鮮の船は全然来ないということであれば、これはこれで、ことしいただいて、ありがとうございますということですから、もしそれでもうまくいかないというときがあった場合には、しっかりともう一声頑張っていただきたいと思います。

 それでは、最後の質問になります。

 その中で、さらに、漁業関係者の皆様、地域の皆様から伺うのは、自衛隊は何をしているんだ、やはりそういう声は現実的に聞きます。

 この資料の中でも、去年、十六回、北朝鮮はミサイルを発射していますが、七発EEZ内に落ちています。ちゃんとしてくれよ、自分たちを守ってくれる思いがあるのかという声を聞きますが、防衛省として、今回の大和堆における問題、認識をされておられるのか、また、準備、覚悟、万々が一というところの取組について教えてください。

福田大臣政務官 お答え申し上げます。

 議員も深く御理解いただいていることだと思いますが、この資料の二にもございますけれども、自衛隊におきましては、平素より、警戒監視活動等で得られた情報を海上保安庁と共有しているところでありまして、事態についてはしっかりと把握をしているというふうに思っております。

 また、御質問のような状況、更に状況が、まずは警察機関によって対応が可能な範囲、この辺につきましては警察機関にお願いするところでありますが、警察機関によっては対応が不可能又は著しく困難な場合、こういう場合におきましては、自衛隊は、海上警備行動等の発令を受けて、警察機関と緊密に連携して対処することになります。そのための準備というものもしっかりとしているというふうに思っておりますし、また、不測の事態に遅滞なく対応できるよう、ふだんからしっかりと控えておりますので、御理解いただければと思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 しっかりと認識をして、心の準備、そして実際の準備もあるという答えで、よかったかというふうに思います。

 オール・ジャパンでしっかりと守っていきますよということが、漁師さん、地域の皆様の安心感につながっていきますし、北朝鮮の船がこれ以上来ないようにという警戒感を与えることにもなります。いたずらにすぐ防衛省・自衛隊だということも私もいいとは思いませんけれども、答えをいただきまして、ありがとうございます。

 実際には、二十年近く前に海上警備行動、能登半島沖に不審船が出たときに行動していただいていますので、そういう覚悟もあるんだという答えをいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 国民民主党の関健一郎でございます。

 委員長並びに与野党の理事の皆様におかれましては、質問の機会をいただきまして、心より御礼を申し上げます。

 早速質問に移らせていただきます。

 一問目、農業のIT利用について質問をさせていただきます。

 先ほど先輩委員の質問の中にもありましたけれども、これから人口が減っていく、そして、働く皆さんの平均年齢も、ただでさえ上がっているのに、これからも上がっていくことが懸念される。そうした中で、発達する人工知能でありITについて、どれほど、どのように頼っていくのかということは農業全体としても課題なんだと思います。

 私の地元は豊橋市と田原市というところでございまして、豊橋に、豊橋技術科学大学という大学があります。理系の大学、技術系の大学なんですけれども、農業のIT利用というものを十年ほど前からやっておられます。そのときに私は記者として取材をさせていただいたんですけれども、土の中にどういう栄養分が足りていないか、その足りていない栄養をそこにピンポイントで肥料としてまく、そういうことを繰り返すことによって、連作障害が起きにくくなったり、また肥料の経費の節減にもなる。こういう、ちょっとずつ、ITを利用している取組は始まっていました。

 それで、十年たって今度来てみたら、このセンサー、センサー機能というのが一つ技術科学大学の目玉でございまして、この前、林大臣にも御来訪いただいたんですけれども。

 皆さんのスマホとかを縦横にすると、ぐるっぐるっと画面が変わると思うんですけれども、あれは斜めになっているということを認識して画面が変わるわけですけれども、常にバランスをとることによって、段があったり、実はそういう精密な機械の反応というのは、段があったりとかそういう平衡感覚とか、そういうもので意外に正しい情報処理というのができなくなるというのが課題だったわけですけれども、ITがどんどんどんどん農業の細かい部分にまで入ってきているという現状がまさに今あるわけですけれども、今、現状、農業に関してITというものがどれくらい浸透してきているのか、実際の事例に基づいて教えていただけますでしょうか。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 農業分野は、先生おっしゃったとおり、やはり就業者の減少そしてまた高齢化に伴って、いかに労働負担を減らしていくかということ、そしてまた、新規参入者も、経験を今までより積む期間を極力狭めるように、AI、ICTというものの活用というのは非常に大切なものであるというふうに感じております。

 その中で、農水省としましては、ICT等を活用して熟練農業者のノウハウを見える化し、新規就農者が学習できるシステム、また、ドローンにより、広範な面積の作物の生育状況や病害虫の兆候等を短時間で診断する技術、スマートフォン等で遠隔操作できる低コストの水田の水管理技術など、現場の課題に応えた新たな技術の開発や導入実証等を進めてきたところでございます。

 これまでのところ、ドローンやセンサーを使った技術が実用化されてきていることから、今後でございますけれども、現場への導入、普及を速やかに図っていくことが重要と考えてございます。

関(健)委員 今言及いただいた、まさに、今までの熟練の皆さんの代々積み重ねてきたもの、これは機械でどう分析してもなかなか難しいものですので、もう彼らの勘としか言いようがない。でも、それを受け継いでいくということはとても大切だと思うんですけれども、今言及された、ノウハウが見えるためのシステム化というのをおっしゃいましたけれども、まさにそういう具体例があれば教えていただけますか。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

野中大臣政務官 お答えいたします。

 例えば、熟練就農者の農業者の方が、例えばこの辺にセンサーをつけていただいて、そして、果樹園の中でどの順番で果実をもいでいくかとか、そしてまた、熟練就農者ならではの技術を、例えば、圃場の中で、トラクター、角まで着いて回るときとかは、非常に、熟練就農者の技術に基づいた旋回というか仕方をしていくというのが例の一つでございます。

関(健)委員 全国各地のどの農業エリアに行っても、共通の課題は、代々肌感覚で蓄積したノウハウ、まさに究極の一人親方みたいな人たちですから、どうやって次の人たちにそのノウハウをつないでいくかということだと思うんですね。

 やはり、農業を夢見て就農しようとした人たちも、大体、五年もたない方が多いんですよね。それはやはり、そこになじめなかったとか想像以上に難しかったとかいうことがたくさんあるわけですけれども、私、ちょっと驚いたのが、ずっと畑をやってきたある人が、草を食べて、その草の味で、ことしは余りよくないなと言ったんですね。それは根拠がよくわからないんですけれども、実際そうだったわけです。この職人のたくみのわざをどうやったら次の人に受け継ぐことができるんだろう。これを受け継げないまま、やはりこの人のところにはたどり着けなかったわと三年、四年でみんなやめていっちゃうことが一つの課題なわけですけれども。

 これはちょっとここまで細かい通告をしていなかったので、お答えいただけない場合は構わないんですけれども、若い人たちが入ってくるためにまさにこういうITの活用というのは不可欠だと思うんですけれども、若い人たちの新規就農の加速に向けてはどういうふうに活用できるとお考えでしょうか。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 私も、やはり長年の経験というのが何より大切で、そこにたどり着くまではやはり経験が必要だというふうに、そういう世の中であるというふうに考えておったんですが、やはり、先ほど先生がおっしゃったように、草を食べて、その方と私はお会いしたことはないんですけれども、やはりその前で、ドローンによって土壌の成分がわかるとか、果樹によってもぐ順とか、たくみのわざにたどり着くためにAI、ICTが活用されているのは事実でありまして、むしろ若手農家の方、新規参入農家の方がこういった開発を用いることにアレルギーはないんじゃないかというふうに思っておりますので、若手農家にそういったものを活用していただいて、積極的に農業に参入していただきたいというふうに考えております。

関(健)委員 御指摘のとおりだと思います。若い人たちの方が多分アレルギーがないので、例えば電話一本で、どこかに行楽シーズンで家族サービスをしていても、そこからスマホでハウスのあけ閉めができたり、そういうことはどんどんできているようになっていますので、まさにこういうボディーブローがたくさんきいてきて新規参入の障壁というのは下がっていくものだと思いますので、政府におかれましても、新規参入の後押しとなるようなITの導入に関しては背中を押していただければと思います。

 これもまたちょっとふわっとしていますが、今後の展望ですね。IT、まさにドローンとか、これからこういうのをいっぱい使えるんじゃないかなというものに関して、政府としてはどういうふうに農業と融合させていくかというのを改めて伺います。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 まず、やはりそういったAI、ICTの技術開発を進めていって、その進めていった、開発した製品また技術をやはり現場に普及促進させていくことが大切であるというふうに思っております。

 その中で、やはり、大型でやっていらっしゃる方ではなくて、できるだけ普及促進が進めばその製品等々についての単価も下がってくるというふうに思っておりますので、なるべく多くの農業就業者の方がAI、ICTを使っていく、そのような環境づくりがこれから求められるものというふうに考えております。

関(健)委員 先進事例をぜひ本当に、おっしゃったように、普及、全国に共有をしていただくということを進めていただければと思います。

 そして、今、これはコインの裏表ですけれども、まさに人口が減っていって高齢化が進んでいく、その一方でIT化を進めていく。これは、両方を進めていくと、農業にかかわる人間の数、人口当たりに農業にかかわる人の数というのが相対的に減っていかざるを得ないんだなという課題が見えてくると思います。つまり、大人になるまで一回も田んぼに足を踏み入れたことがないという人も結構たくさん既におられるわけです。

 日本人と農業のかかわりについて質問をさせていただきますけれども、これはひとついろいろ数を限定するために田植に限定をさせていただきますけれども、我が国で、日本人が成人するまでに田植を体験したことがある人は大体どのぐらいなんでしょうか。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 田植に特定をしまして成人までに経験した人数については把握をしてございませんけれども、農林漁業体験をしたことがあるということにつきましては、平成二十九年度に農林水産省が行った調査によれば、三六・三%となっております。

関(健)委員 三六・三%って意外と高いなと思ってちょっと安心したんですけれども。

 私、この前、地元の、女神のほほえみというブランド米がありまして、その田植体験をさせてもらいまして、子供三人連れていってやったんですけれども、あのぬめぬめ感が、体験したことがなくて、入れないんですね、二歳の子は、怖くて。だから、ある程度年をとると、年をとって六歳ぐらいの長男坊になると、これはアメンボだ、カエルだと、いろいろなものがいて、ぐちゃぐちゃ走り回れるんですけれども、つまり、私としては、この国の文化の根幹でもある田んぼというものに連れていったことがほとんどなかったんだなという問題意識を持ったわけです。

 この現状、ちょっと三六・三%で私驚いちゃったんですけれども、もっと低いと思っていろいろ質問を組み立ててきたんですけれども、この前提で聞かせていただきますけれども、日本人と農業というのが、私はこれは徐々に、先ほど申し上げたのは、人口が減っていく、効率化を進めなければならない、ITを使っていく、この中で必ずかかわりは減っていくと思うんです。そうした中で、先進国では、例えば、そういう農業と、その国の基幹である産業、農業と国民の人たちをくっつける取組とかそういうのが、先進的な事例があれば教えていただきたいんですが。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から、農業とのかかわりについての世界各国での事例みたいなお話でございました。

 私ども農林省で、先進諸国におきまして成人までに農業に接する機会の取組がどうかということについて、網羅的に把握をしている状況ではないわけでございます。

 御質問をいただきまして、ちょっといろいろ当たってみましたが、ちょっと古いデータになりますけれども、平成二十年度の食育白書というものの中に、海外の各国での食育に関するいろいろな事例が紹介をされておるところでございます。各国いろいろあるんですけれども、その中で、特に、きょう御質問ございました農業とのかかわりということにつきまして、参考になるような事例ということで二つ見つけましたので、お答えをさせていただきたいと存じます。

 一つは、アメリカでございますけれども、「農場を学校へ」というテーマで、学校と近郊の農業者の方が契約を結ばれまして、その地元の農産物を給食へ活用されるとか、あるいは、その農場で体験学習をなさるといったようなこと、それから、その農業者の方が学校に出てこられて調理実習ですとか菜園づくりの指導をされる、そんなような例がアメリカにあるわけでございます。

 それから、ヨーロッパの方では、イタリアで、「学校菜園プロジェクト」という名前で運動が行われておりまして、イタリアで盛んなスローフード運動の一環として、子供たちが農業ですとか農産物にかかわって、それらに対する理解を深めていく、学校給食や食卓で消費する食べ物の質を向上させていくといったようなことを狙いとして、テーマを決めて、三年ぐらいの周期で、食べ物とか環境とか農業とか、そういったものを教育として扱うといったような事例が見つかったところでございます。

関(健)委員 済みません、私の質問が多分海外に限定してしまったので今そういうお答えだったと思うんですけれども、日本でもそういう、成人までに農業にかかわってもらおうという成功事例みたいなものがあれば教えてください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 日本国内では、先生おっしゃったような、先ほどの先生が挙げられた事例のように、独自にいろいろな取組が各地でなされているというふうに認識をしておるところでございますが、私ども農林水産省といたしましても、政府、関係省庁と連携をいたしまして、子ども農山漁村交流プロジェクトというものを、これは平成二十年度から支援をさせてきていただいておるところでございます。

 これは、農林水産省側としては、子供たちを農山漁村に受け入れるに当たりましての環境整備ということで、体験施設を整備するですとか、あるいは体験プログラムを作成する、あるいはその指導者を研修するといったような取組を支援しておるところでございまして、一方、文部科学省におきましては、学校側の交通費ですとか宿泊費などへの支援といったようなことをなさっておられる。それから、総務省の方では、そういった地方公共団体の取組について地方交付税措置で支援をするといったようなことで、三省連携をしてこれを推進してきているところがございまして、これまで、全国四十三道府県におきまして百八十五地域を支援申し上げておるところでございます。

関(健)委員 食育白書と先ほど言及いただきましたけれども、きょうの農業新聞の一面にもありましたけれども、子供の朝御飯率が減っているんだという話が出ていました。

 これは私の思いというか信念ですけれども、割と、食の問題というのは全ての問題の根本というか、食が全ての問題の根源だといつも思っているんです。

 田植を体験させていただいて、やはり私は思ったんですけれども、田植の先生が稲を等間隔で植えていくんですけれども、子供たち、それがわからないんですね。それで、子供たちが迷わないように、ひもをぺたっと一回、跡をつけて、格子にして、その格子のまざっているところに植えていきなさいよというふうにやるわけです。その格子からちょっとずれただけで、子供たち、神経質になっちゃうわけです。でも、ずっとやっているうちに、これはまあ適当でいいんだなということがだんだん見えてきて、泥もかかるし、自分が前にこうやって稲を、苗を植えていくと、自分が植えた苗を踏んでいっちゃうんですね。それで子供たちは学ぶわけです、こうやって後ろに行かなきゃいけないんだなと。ちょっとずつ斜めになっているとかいろいろなことをみんなで話し合って、田植、もう泥んこになって楽しんでいくわけですけれども。

 その後、その会社の御好意でお昼御飯、おにぎりが、まさにその女神のほほえみが食べられたんですけれども、子供たち、いつもより食べるのは当たり前ですよね、自分たちがつくったという特別な思い入れがあって。そうしたら、いつもは誰も聞いていない大人の説明をちゃんと聞くわけです、これは冷えてからもおいしいからねとか。

 私が思ったのは、これは大臣にお尋ねします、さまざまな視点から、農業に二十まででかかわるということを、ある程度、義務づけるというと言い過ぎですけれども、必ず体験せずには大人になれないような仕組みができたらなといつも思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

齋藤国務大臣 子供のころに、農業に限らず、農林水産業に触れるというのは、私はすごく大事だと思っています。

 私自身も、実は小学校のときに、今で言う農村留学みたいな形で行きまして、田植だったかどうか、ちょっとはっきり覚えていないんですけれども、とにかく田んぼに入って、それで、上に上がってきたら足にヒルがついていて衝撃を受けたという出来事がありましたし、そういう活動をすると、食べ物を大事にしようとか、それから食品ロスの対策にもつながっていきます。

 それから、ちょっと話がそれるかもしれませんけれども、ごみ拾いを一回朝やらせるとごみを捨てなくなるとか、小さいころにそういう経験をするということは非常に大事だと思っています。

 しかし、だからといって、義務づけるというところがふさわしいかどうかというのはいろいろ議論があるところだと思いますけれども、先ほど来から、子ども農山漁村交流プロジェクトの話ですとかさせていただいておりまして、こういったプロジェクトによって、全国四十三道府県の約百八十五地域において約二十四万人の小学生を受け入れる、こういう形でさまざま努力を積み重ねてきていることでありますので、こういう努力は引き続き一生懸命やっていく必要はあると思っています。

 ちなみに、自由民主党は、田植をしたことのない国会議員が農政を語る資格はないということで、自民党で、二階幹事長が中心になりまして、田植から稲刈りまでを議員がやれということで、これはもちろん有志でやるわけでありまして、義務づけてはいませんが、有志でやっておりまして、幹事長みずから田植をされて、そういう努力をしているということは御紹介をさせていただく、ちょっともう年をとって手おくれかもしれませんが、御紹介をさせていただきたいと思います。

関(健)委員 ありがとうございます。

 今、超党派でお願いしますという指摘もありましたので。

 最後になりますけれども、子供たちの農業は、大臣御言及いただいたように、とても大事なことですから、体験からもう一歩進んで、こういう苦しいところも大変なところもつくっている人ってあるんだなということをちょっとでも感じさせてあげる子が一人でもふえれば、この国ももっとましになるのかなと思います。

 質問時間が終わりましたので、ありがとうございました。

伊東委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 無所属の会の大串でございます。

 早速質問させていただきますが、諫早湾干拓の問題ですけれども、先般、いわゆる福岡高裁の二次和解勧告というものが出ました。内容はさきの勧告と同じようなラインなんですけれども、開門しないことを前提としてということで、国において基金を実現すること、それから、有明海再生に向けた取組を継続すること、さらには、三県の漁業団体から言ってきています、有明海再生事業の継続、調整池からの小まめな排水、それから、基金と別枠で調整池に排水ポンプを増設する、国において前向きに検討しなさい、それから間接強制金の調整、こういったことが言われているわけですけれども、この中で、有明海再生にかける思いはみんな一緒なんですね。

 そういった中で、今回の和解勧告の中にある、国からも提示されている、いわゆる基金、百億円の基金、それから、今回はより具体的に、漁業団体からは、調整池に排水ポンプを、上から排水するようなポンプを増設してくれ、こういったことが言われて、これを考えるように出てきているんです。

 大臣にお尋ねしますけれども、国がもともと提示しています百億円の基金、それから、今回は排水ポンプを上からつけて、これは、どちらかというと、きれいなというかまだ汚れていない水が流れているだろうからこっちの方がいいんだという漁業者の皆さんの声だと思うんですけれども、この点、この基金とか排水ポンプ、これは有明海の再生につながるものだというふうにお考えでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、この諫早湾の干拓開門問題、これについては、今御指摘ありましたように、福岡高裁から、三月五日、それからさらに五月二十二日に、二回にわたって和解勧告が発出をされているところであります。

 国としては、せっかくの答弁の機会ですので申し上げますと、昨年四月の農林水産大臣談話で示した開門によらない基金による和解を目指すという考えに基づいて、その後の福岡高裁の御判断や漁業団体の御決断も踏まえて、七月三十日の判決言渡しに至るまで、和解の可能性が見出されれば和解に向けて真摯に対応していきたいと考えているということでありまして、私どもが福岡高裁の請求異議訴訟で行われている和解協議において提案している基金案は、あくまで和解に伴う特別な措置として提案をしている、そういう認識でございます。

 また、排水ポンプのお話もありましたけれども、三県の漁業団体が要望されているわけでありますが、これは基金とは別枠でという御要望であるわけでありますが、福岡高裁の請求異議訴訟における和解協議が進展すれば、費用負担のあり方などの課題はありますけれども、関係者の考え方もよく伺った上で、どのように対応するか検討することになると考えています。

 有明海の再生そのものにつきましては、特措法に基づいて、それはそれでしっかりと進めていくというのが私どもの基本的なスタンスでございます。

大串(博)委員 端的にお答えください。

 基金百億円、それから排水ポンプの増設は、有明海の再生に資するものでしょうか。

齋藤国務大臣 実際にその基金をどのように使っていくかという中身によると思いますので、一概に今の時点でどういう効果があるかというのは申し上げることができないと思いますが、排水ポンプの方についていきますと、調整池からの排水につきましては、九州農政局が、平成十年から平成十七年までの間に排水門からの排水の到達範囲を調査いたしておりまして、それによりますと、排水量の多少にかかわらず、排水門からおおむね六キロメートルの諫早湾の中央部までにとどまっている。

 したがって、国としては、調整池からの排水が有明海全体及びノリ養殖等に悪影響を与えるとは考えておらず、排水ポンプの増設が必要とまでは考えていません。

 しかしながら、今般の和解協議に当たりまして、三県の漁業団体から要望事項として示されていることから、調整池からの排水による漁場環境への影響を懸念する漁業者の思いにお応えをするとの観点から、和解協議が進展すれば検討させていただきたいというふうにさせていただいているところでございます。

大串(博)委員 ちょっと予想外な答弁でしたね。

 私は、この基金あるいは排水ポンプの増設に関しても、有明海の再生に資するんだということが農水省の判断としてあるから、そもそも基金などは、農水省の側から基金案でどうかというふうに提案されていたのではないかというふうに思いましたけれども、今大臣からの答弁は、基金が有明海の再生に資するかどうかは、使われ方にもよるからこの場で判断することはできない、かつ、排水ポンプに関しても、もともと国としては排水が影響を与えているというスタンスではないのでそれに関しては踏み込んでいない、こういうことです。

 そうすると、これは一体何なんですか。有明海の再生によい影響を持つというふうに農水省は思っていない。にもかかわらず、この諫早湾干拓問題を解決する手段として基金を農水省は提案しているんですか。有明海の再生によい影響を及ぼすと農水省は思っていないけれども、これは、諫早湾干拓問題を解決する今回の和解の手段として提案しているんですか。

齋藤国務大臣 有明海の環境変化につきましては、長年にわたる海域全体にわたるさまざまな要因によるというものでありますので、有明海特措法、先ほどもちょっと触れさせていただきました、これに基づきまして、関係省庁及び関係県と連携して、有明海の再生に向けた総合的な取組を着実に進めるということで今取り組んでいるところであります。

 国が提案する基金案は、このような取組に加えて、有明海における水産資源の回復と漁業経営の発展を図ることを目的としているということで、例えば、資源を守り育む取組の加速化ですとか、漁業者の経営発展に向けた新たな挑戦の後押しですとか、あるいは、沿岸域が一体となった多様な関係者との協働といった観点から支援を行うものでありまして、中身次第でありますけれども、有明海再生にマストかというものではなくて、取組の、その支援の加速化につながっていくものであることは間違いないんだろうと思っております。

大串(博)委員 有明海の再生には必須ではない、マストではないということでした。

 私は、もし、そういう判断であれば、ぜひそういうことも漁業団体の皆さんにきちんと言ってほしいと思うんです。農水省として、この基金は有明海の再生に絶対必要なものだとは思っていない、そういうものなんだということは漁業団体の皆さんにきちんと伝えてほしいと思うんです。そうしないと、漁業団体の皆さんもきちんと判断できないと思うんですよね。

 この点はぜひ大臣から、今、国会ではっきりおっしゃったわけだから、基金は有明海の再生にマストではない、必須ではないとおっしゃったわけですから、これはきちんと説明していただきたいというふうに思います。

 なぜこういうふうに申し上げるかといいますと、私は、今回のこの和解に関して、どうも不思議な感覚を持っているんです。というのは、和解ですよね、今。私も昔、原告団、弁護団の一員でした。原告団、弁護団の皆様は、開門をすべしと述べる権利を持っている。一方、国は、もう一方の訴訟当事者として、開門したくないという考えを持っている。これが違うから、どう和解するか、こういうことですよね。

 この原告団、弁護団の皆さんの開門すべしという声に対して、もう一方の訴訟当事者たる国が開門できないというのであれば、この訴訟当事者である原告団、弁護団に対して、開門はできないけれども次善の策としてこれならどうですかと、この人たちに対して直接相応えるような提案をするのが私は和解の筋だと思うんです。

 ところが、今やっていることは、基金なりあるいはポンプなり、訴訟当事者たる原告団、弁護団の皆さんより更に外側にいらっしゃるそのほかの漁業団体、漁業者の皆さんに訴えるかのごとくして、この外側の皆さんが、基金はあってくれたらいいな、あってくれたら損ではないですよね、だからあってくれたらいいな、ポンプもあってくれたらいいな、損ではないですよね。当然、この外側の皆さんは、やってくれ、やってくれと言われるに決まっているじゃないですか。

 この外側の皆さんがやってくれ、やってくれと言う中で何が起こっているかというと、漁業者の中で深刻な分断が起こっているんですよ。諫早湾干拓、あけてくれ、これが有明海再生の道筋だと思う漁民の皆さんと、その考え方は同じくしながらも、でも少し違うスタンスから、いやいや、基金があった方がいい、ポンプがあった方がいいと考える方々との間で深刻な分断を生んで、この周りの皆さんから、何であなたたち、こんな訴訟なんかいつまでも継続しているんだ、もう早く開門の訴訟なんかやめてしまえというような圧力を外側からかけさせるような結果に農水省はなっているんですよね。

 ここに資料を配らせていただきましたけれども、今回の和解協議で裁判所が配った説明です。下線を引いています。「国は、基金や排水ポンプの増設については、裁判上の和解が成立することを前提とする姿勢であり、」裁判所がこう書いています。すなわち、国がこういうスタンスだから、裁判所としては、基金や排水ポンプを受けることで和解したらどうですかと言わざるを得ない。国のスタンスがまずありきで、裁判所の和解勧告もこうなっているんですよね。スタートは国なんですよ。

 そして、その結果、さっき申し上げたように、原告団、弁護団に直接相対する方策ではなく、その外側の漁民の皆さんに対して、絶対反対するわけがないですよ、基金を受け取れる、あるいはポンプがある、こういったことを提案するものだから、原告団、弁護団の漁民の皆さんに対してそれより外側からプレッシャーがかかる、こんな分断するようなやり方を農水省がやる、これが私は大きな問題だというふうに思うんです。

 農水大臣にお願いなんですけれども、この和解は成らないと思います。なぜなら、原告団、弁護団は、言下にこれを却下しているから、和解は成りません。その後、どういうふうにしていくのか、いろいろな流れがあるでしょう。そのときには、大臣、ぜひお願いなんですけれども、やはりこの原告団、弁護団が権利を持っているわけだから、この請求異議訴訟の結果によっては、執行力において変化が出てくるかもしれない。しかし、確定効たる開門判決は変わらないんです。これは残るんです。これに対して何とかしていくのであれば、やはり、原告団、弁護団に対して相対するアプローチを直接やっていかないと、この問題は解決しないんですね。この点に関して、大臣の御所見をお願いしたいと思います。

齋藤国務大臣 大変重い経緯が積み重なってきている案件でありますし、大串委員のこれまでのかかわりについてもよく存じ上げているわけでありますが、やはり私どもとしては、開門を求める方々が累次にわたって、開門しないことを前提とする和解には応じられない旨の回答を福岡高裁に提出をしているということは承知をしているわけであります。

 一方で、この問題をめぐっては、本当にさまざまな意見や長年にわたる重い経緯がある中で、この三月五日に、福岡高裁、裁判所の方から、開門しないことを前提に開門にかわる基金等の方策による解決を図ることが、現在の混迷、膠着した状況を打開する唯一の現実的な方策、そういう御判断の和解勧告が出されているということと、それから、五月一日には、佐賀、福岡及び熊本の三県の漁業団体が一致して、開門しない前提の和解協議を進めてほしい、そういう旨を文書で表明をされ、私のところにもそれをお持ちいただきました。

 さらに、五月二十二日には、福岡高裁から、漁業団体の重い決断を十分に考慮した上で、和解の受入れを検討するよう求める第二次和解勧告が発出されたところでありまして、私どもとしては重く受けとめる必要があると考えております。

 開門を求める方々におかれましても、さまざまなお考えはあろうかと思いますけれども、これらの事情を重く受けとめていただいて、この勧告に沿った和解について御検討いただけないかなと切にお願いしたいと考えております。

大串(博)委員 これで終わりますけれども、原告団、弁護団に直接する和解案じゃない、その前提が、国が言っているように、基金や排水ポンプは和解が成らないとできない、こういうふうに言っているところから始まっているんです。だからこの和解はうまくいかないんですよ。ぜひ、原告団、弁護団に直接届く和解の考え方を今後示していただくようにお願いし、長谷長官、済みませんでしたね、漁業権の問題は、これは非常に重要な問題で、各漁協の皆さんも、いろいろな新規参入はあってもいいんだろうけれども、それでも、現在の漁業秩序が侵されるようなことがあると、これは非常にやはり地域の活性化にもつながるところがあるので、ここに関してはぜひ慎重な議論を求めることをお願いし、またの機会に議論させていただくことを申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 私の方からも、諫早湾干拓事業和解協議についての質問をさせていただきます。

 一昨日の五月二十八日、福岡高裁の第二次和解勧告に対して、漁民原告代理人は出席しませんでした。その理由の一つは、何といっても、「確定判決に基づく開門請求権の一方的放棄を前提とするのは、司法制度の軽視であり、あまりにも偏波で不公平である」ということであります。当然のことであります。福岡高裁は国の言い分を追認することに終始して、そして、司法の役割を全く果たしていない。これは私だけが言っているんじゃないんですよね。もう多くの報道でもこういうふうに論じられているわけなんです。

 時間がありませんので、一問お伺いします。

 和解協議事項の百億円の基金というのは、運用は四県の行政と四県の漁協ですよね。これは、漁民原告が運用できるものではありませんよね。確認したいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、和解協議の中で百億円の基金の提案をさせていただいております。これにつきましては、先ほど大臣からもお話ございましたが、漁業団体なりの皆様方の御意見も反映をした形でやっていくということでございます。運営主体につきましては、一般社団のようなものをつくっていただきまして、漁業団体の方に入っていただくというような形を想定しているものでございます。

田村(貴)委員 つまり、有明異変で甚大な被害をこうむった漁民、その原告は、この運用には携われないということなんですね。ですから、和解協議、この条項にはならないということなんですよ。そういう百億円の基金を使いたい、やるんだったら、それは農政行政としてやられたらどうですか。

 さらに、この状況では、国の方は和解を最後まで、判決まで努力したいと言っていますけれども、テーブルに着くことができませんね。開門も含めた和解協議へのかじを切らない限り、和解は、テーブルに両者が着くことはできないということを改めてこの場で主張をさせていただきたいというふうに思います。考え方を変えていただきたいと思います。答弁は要りません。

 きょうは、国際家族農業の十年について質問をします。

 世界的に小規模家族農業に対する注目が集まっています。国連は、二〇一四年に続いて、二〇一九年から二〇二八年までの十年間を国際家族農業年とすることを決めました。昨年十二月の国連総会で、日本も賛成して、全会一致で採択されました。

 最初に、齋藤大臣にお伺いします。

 この国際家族農業の十年について、政府はどのように評価をされていますか。日本の農業政策に生かしていかれますか。

齋藤国務大臣 昨年十二月二十日に、国連総会で、国連家族農業の十年に関する宣言が採択されておりまして、これは、御指摘のように、二〇一九年から二八年を家族農業の十年と定めて、各国が家族農業に関する施策を進めるとともにその経験を他国と共有すること、それから、FAO等の国際機関が実施可能な活動やプログラム等を展開すること等を求めたものであります。

 同決議文の前文に記載されているとおり、農林水産省としても、家族農業が世界の食料安全保障の確保や貧困の撲滅等に役割を担っているという認識を持っております。

 家族農業の十年を定め、家族農業の重要性について国際社会で認識を共有するということは、持続可能な開発目標、SDGsの目標の一つである飢餓撲滅の達成のためにも意義深いものであるというふうに考えているところであります。

田村(貴)委員 国際社会は、これまで、農地を大規模に集積して企業経営化し、そして、機械、農薬、化学肥料などの科学技術を投入して国際的な競争を促せば、飢餓と貧困は解決できるとしてまいりました。しかし、市場原理主義や自由貿易の行き詰まりのもとで格差と貧困は広がり、飢餓は減るどころか拡大傾向にあります。環境汚染、化石燃料への依存と気候変動、食の安全性への危険などの弊害が次から次へと生まれているところであります。

 この国際家族農業の十年で、国連は、地球上の飢餓を撲滅する上で、小規模家族農業のどんな性質に利点を見出したんでしょうか、そして評価をしているのでしょうか。教えていただきたいと思います。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、国連が、地球上の飢餓を撲滅する上で、小規模家族農業のどんな性質に利点を見出し評価したのかという点でございます。

 今回の決議文の前文におきまして、その点に関しての記述がございます。

 まず一点目が、世界で八億一千五百万人が依然として飢餓に苦しみ、幾つかの地域では依然として栄養不良が深刻であることを認識するとともに、世界の食料生産額の八割以上を占める家族農業が果たす役割の重要性を強調する。さらには、極端な貧困層の八割近くが農村地域で暮らし、農業に従事しており、農村地域の開発と持続可能な農業に対する資源の投入や、小規模農家、特に女性農家への支援が、とりわけ農民の生活を改善することによって全ての形態の貧困を終わらせる鍵となることを想起、こういったふうな規定がございます。

 したがいまして、国連におきましては、実際に世界の食料生産の一定以上の部分を家族農業が担っているというようなこと、あとは、貧困層が実際に農村地域に居住をし、農業を営んでいるということ、そうしたことを踏まえて、小規模家族農業の重要性あるいはその取組の重要性についてこのような決議をしたというふうに理解をしておるところでございます。

田村(貴)委員 土地生産性の高さ、そして労働インセンティブの高さ、たくさんのメリットがあるわけですね。そういう性質が評価されているわけであります。そうした多くのメリットがあって、世界的な見直しの機運が高まっています。

 我が国における小規模家族農業の実態について伺います。

 日本における小規模家族農業はどの程度でしょうか、次の数字を示していただきたいと思います。農業経営体数と家族経営体数、その割合について、そして、農地面積一ヘクタール未満、二ヘクタール未満の経営体数、全体に占める割合、数字だけで結構ですので、教えてください。

大杉政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一五年農林業センサスにおける農業経営体は約百三十八万経営体ございます。このうち家族経営体は約百三十四万経営体でございまして、農業経営体全体の九八%程度を占めていますけれども、これを経営耕地面積規模別に見ますと、一ヘクタール未満は約七十三万経営体で、家族経営体全体の約五四%を占め、一ヘクタール以上二ヘクタール未満は約三十三万経営体で、家族経営体全体の約二五%を占めているところでございます。

田村(貴)委員 五ヘクタール未満で考えますと、実に九二・四%になってくるわけであります。小規模家族農業では、まさに日本においては主体であります。

 しかし、今回答いただいた数字にあらわれない部分もあります。例えば、わかったら教えていただきたいんですけれども、中山間地で小規模家族農業はどのぐらいの割合を占めているのか。また、ホビーファーマーと言われる方が全国に数百万人いるとも言われているんですけれども、これは農業センサスにあらわれてこないと思います。こうした農産物を生産している方はどのぐらいおられるのか、わかるかわからないぐらいの答弁で結構ですので、お願いします。

大杉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、中山間地域の家族経営体のうち、小規模として経営耕地面積一ヘクタール未満をとってみますと、約三十四万経営体ございます。これは、中山間地域の家族経営体全体約五十七万経営体の六割程度を占めております。

 次に、いわゆるホビーファーマーについてでございますが、農林業センサスの調査客体には、このいわゆるホビーファーマーは基本的に含まれていないと考えておりまして、農林業センサスにあらわれない農産物を生産している国民の数は把握していないところでございます。

田村(貴)委員 小規模家族農業をこれから大事にしていこうと来年から十年の取組が待たれるわけでありますけれども、ならば、小規模家族農業のことを把握しなければなりません。今出てきましたホビーファーマーを含めて、農産物の生産に当たっている方々の状況について、やはり農業センサス二〇二〇に向けて調査範囲を広げるとか、そうした小規模家族農業の見える化が私は必要ではないかなというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 農業政策を検討する上で、小規模家族農業の状況を把握していかなくちゃいけないということは当然のことでありまして、先ほど来統計部の方から御説明しておりますように、この小規模家族農業の状況については既に把握をし、既に見える化を図っていると考えています。

 あと、ホビーファーマー、これについては、現時点において、農政の展開上これを新たに見える化をしていく必要、そこまではないのではないかと考えているところでございます。

田村(貴)委員 これから新たな対策、それから事業とかつくる中で、やはり把握しなければならないことについては統計資料にも反映されるようにぜひしていただきたいと思います。

 そして、小規模家族農業の重要性を農業政策にいかに反映させていくのかということで、世界食料安全保障委員会の勧告があります。価格と小規模経営の所得を安定化させるためには、政府による介入が重要であるという指摘であります。

 そこで、再度大臣に尋ねますけれども、日本においては米の直接支払交付金が廃止されました。生産調整にも国が直接責任を負わなくなっています。世界の流れから逆行しているのではないかと私は考えますけれども、いかがですか。

齋藤国務大臣 米政策の転換についての御質問ですが、三十年産米から、米の直接支払交付金及び行政による生産数量目標の配分、これは廃止をいたしました。

 このうち、米の直接支払交付金につきましては、全ての販売農家に対して一定額を一律に支援するということはさまざま問題が多いというふうに考えておりましたので、平成二十九年産までの時限措置といたしました。

 また、行政による生産数量目標の配分につきましては、国内の主食用米の需要が大変残念ながら毎年八万トン程度減少している中、この手法をとり続けますと、配分する面積が減り続けて、いずれ行き詰まるなどの観点から、生産数量目標の配分を廃止させていただいたところであります。

 一方、農林水産省としては、引き続き需要に応じた生産を促して、米の需給と価格の安定を図っていくことは重要であると認識しておりますので、三十年産以降も引き続き、麦、大豆、飼料用米等の主食用米以外の作物の生産を支援することによりまして水田をフルに活用していこう、それから、きめ細かい情報提供の継続ですとか、それから収入減少影響緩和対策、ナラシ対策や収入保険等のセーフティーネットの構築、こういったことをあわせて行っていくことによりまして、経営規模にかかわらず、農業者みずから需要に応じた生産に取り組んでいただける環境整備に努めて、米の需給及び価格の安定を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

田村(貴)委員 去年の十二月二十七日の日本農業新聞の論説、「国連家族農業十年 大きな役割 再評価の時」という論説があります。TPPやEPAといった「ハイレベルの自由貿易を進める日本は今、競争力強化の名の下で農業の規模拡大・効率化路線を強めている。だが、その単線だけで十分か。家族農業を営む生産者にも目を向けるべきだ。次代に持続可能な食と農を引き継ぐため、“懐の深い”農政が求められている。」こうした指摘はしっかりと受けとめるべきであります。

 率直に言って、日本における小規模家族農業の位置づけは低いと言わなければなりません。今後、この重要性を農業政策にしっかり位置づけることを要求して、きょうの質問を終わります。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 昨年京都市で実施、調査をした、販売期限の延長による食品ロス削減効果に関する件について質問をさせていただきます。

 京都市は、市内のスーパー五店舗において、一部の加工食品を対象として、各店舗で定められている販売期限を賞味期限、消費期限の直前まで延長販売し、食品の廃棄数量等を実験前と比較することで、販売期限延長による食品ロスの削減効果を調査しました。

 この調査は平成二十九年十一月一日から十二月三日に実施され、加工食品十四品目を対象としたスーパーが三店舗と、四品目を対象としたスーパーが二店舗で、対象品目としては、主に牛乳、ヨーグルト、洋生菓子、納豆、食パン、豆腐などだったそうです。対象品目について、賞味期限、消費期限の当日又は一日前まで販売期限を延長する実証実験を行った結果、前年同時期と比べ、食品の廃棄数量は六百七十一点から六百六点に減少し、売上げは三百万円程度ふえたそうです。

 京都市内の食品ロスの発生量は年間六万四千トンで、京都市は廃棄量を二年後には五万トンに減らす目標を持っているようです。そのためには、このような取組のほか、小売業者や消費者の意識改革が必要であると思っております。

 賞味期限、消費期限を延長販売しただけで、前年同時期と比べ廃棄数量が一割減少という結果が出ています。ごみも減り、売上げも上がり、食品ロス削減に及ぼす効果は大変大きく、消費者のアンケート結果でも、販売期限延長に対して抵抗感が少ないことがわかったようです。

 以前にも、食品ロスに関しては、規格外野菜の利用や子供食堂への提供、ジビエの利活用などについても質問をさせていただきましたが、今回の調査に関しましても、消費者の意識改革、啓発や情報発信で食品ロスにつながると感じました。

 まず、この実証実験の取組について、農林水産省としてどのように思われますでしょうか。御所見をお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、食べられるのに捨てられている食品ロスが平成二十七年度におきましては年間六百四十六万トン発生しておりまして、食料資源の有効利用等の観点から、食品ロスの削減を促進することが重要と考えております。

 ただいま御指摘のございました京都市におきましては、平成二十九年度に、豆腐などの加工食品について販売期間を延長する実証試験が行われておりまして、約一〇%の廃棄抑制という効果が得られたと承知をしております。また、実験店舗で購入をされた消費者の方のアンケートにおきましても、消費者の方からは、賞味期限当日までの販売を許容する、あるいは、こうした販売期間の延長について応援したいといった回答が多く寄せられているところでございます。

 このように、小売店と協力をして食品ロスに取り組む自治体は増加をしておりまして、こういう取組は大変有意義なものと考えておりますので、農林水産省といたしましても、こうした先進事例も広く周知をしながら、食品ロスの削減への取組を拡大してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 先ほどもアンケート結果についてお話ありましたけれども、消費者の方々は、販売期限延長に対しては抵抗感が少ないようですが、一方で、賞味期限、消費期限を大変気にされる方もいらっしゃいますし、棚の前から商品をとるなどの実施率はやや低いとの結果もお聞きしました。

 そこで、齋藤大臣に伺います。食品ロスの削減には消費者の理解が必要だと思います。今後、消費者への理解促進についてはどのように取り組まれていくのか、また、この京都市の食品ロス対策の取組について、大臣の御見解をお願いいたします。

齋藤国務大臣 京都の取組につきましてはさっき御答弁させていただいたとおりですけれども、消費者への理解促進ということで申し上げますと、御指摘のとおり、食品ロスの削減を図るためには、事業者における取組だけではなくて、消費者に食品ロス削減の意義を理解し、そして実践をしていただくということが重要であります。

 そのためには、ホームページで情報発信を行うだけではなくて、消費者が実際に食品を購入する店舗等で啓発を行うことが効果的であると考えておりまして、農林水産省では、消費者への効果的な訴求方法を検証するために、平成二十九年度に、大手流通業者と連携いたしまして、店頭における消費者への啓発資材設置による購買行動等への影響について調査を実施いたしました。

 この結果、七割近くの消費者の方が食品ロス削減についての情報を得られるという回答があり、また、半数近くの消費者が食品ロス削減を意識した買い物をするきっかけになったという回答をいただいているところであります。

 こうした取組を全国に拡大するために、地方自治体や流通事業者等ともこのような啓発資材の共有化を図って、消費者啓発に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 各店舗での啓発の重要性についてお話しいただきました。しっかり取り組んでいただければと思っております。

 この実証実験において、小売業者の方からは、賞味期限ぎりぎりまで販売、陳列すると在庫管理に手間がかかり、人手不足でそこまで手が回らないとのお話もあったそうです。課題もたくさんあり、適切な値引きやわかりやすい陳列も必要です。消費者の食品ロスについての意識、関心は全体的に高いようですが、働き盛り、共働きの二十代から四十代の関心は低かったようです。

 この結果を受け、事業者もいろいろ検討されるかと思います。消費者の理解を得ることや、行政として消費者団体との連携も必要だと思います。広報や周知、啓発もお願いしたいと思います。今後、ぜひこのような取組を各地で行っていただき、少しでも、生産者が丹精込めてつくられたものが破棄されずに消費者のもとに届くようにお願いしたいと思います。

 そこで、消費者庁に伺います。

 この取組に関して消費者庁としてはどのようにお考えか、お聞かせください。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品ロスの削減に向けましては、事業者、消費者双方の取組が重要でありまして、御指摘のとおり、このような京都市の取組は大変意義があるものと認識しております。

 政府では、食品ロス削減の国民運動の推進を消費者基本法に基づく消費者基本計画に位置づけ、食品関連事業者による商慣習の見直しの促進、事業者の取組に対する消費者の理解の促進などに取り組んでいるところでございます。

 事業者の取組を促す意味でも消費者の理解は重要であると認識しており、今後とも、関係省庁、地方公共団体、消費者団体等と連携しつつ、消費者の理解が深まるよう積極的に働きかけを行い、食品ロスの削減に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ぜひ各省庁連携して迅速に対応していただきたいと思っております。

 次に、福島第一原発事故に伴う農林水産物の風評被害対策について伺います。

 事故後速やかに食品中の放射性物質に関する基準値が設定され、厳しい検査体制のもと、基準値を超える食品が流通していないにもかかわらず、岩手県、宮城県、福島県を始めとする被災県産の農林水産物を買い控えるなどの状況が発生しました。

 一昨日、調査局から「東日本大震災からの復興 「復興・創生期間」二年目の現状と課題」という資料をいただきました。この冊子です。この中で「農林水産物の風評被害対策」という項目があり、農林水産物の風評被害が震災七年が経過した現在でも問題になっているとのことで、とても残念に思っております。

 一方で、本年二月に消費者庁が実施した第十一回風評被害に関する消費者意識の実態調査では、食品の購入に際し、放射性物質を理由に購入をためらう産地について、平成二十五年二月の第一回調査開始以来、どの地域も最も低い数値となりました。特に岩手県、宮城県、福島県については、第一回調査では一四・九%だったのが、今回の調査では八%となり、六・九%も減少したことは大変うれしく思います。地域の生産者を始めとする関係者の努力ははかり知れないことと思います。

 しかしながら、減少したとはいえ、現在でも八%の消費者が被災三県の商品購入をためらうとのことです。

 この調査を受けて、政府として更にどのような対策を講じようとされているのでしょうか、お答えください。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 特に福島県産の農林水産物でございますが、その価格は震災前の水準まで回復していない状況でございます。また、今先生御指摘のあったとおり、消費者庁が本年三月に公表した風評被害に関する消費者意識の実態調査、これにおきましては、例えば福島県産の食品の購入をためらう消費者はいまだ一三%存在しておりまして、風評の払拭は引き続き重要な課題だというふうに認識をしております。

 このため、昨年五月に福島復興再生特別措置法を改正いたしまして、販売等の実態調査や当該調査に基づく指導助言等の措置を講ずることを法律に位置づけるとともに、昨年度から、生産から流通、販売に至るまでの総合的な支援を行っているところでございます。

 このうち、流通実態調査につきましては、本年三月に結果を取りまとめまして、これを踏まえまして、四月に、復興庁、経済産業省と連名で、小売業者、外食業者、中食業者、加工業者に対しましては、福島県産であることのみをもって取り扱わなかったり、買いたたいたりすることのないように指導、それから、仲卸業者、卸売業者に対しましては、取扱商品に関する産地の指定に過剰に配慮することのないように指導、また、生産者に対しましては、生産者による新たな販路開拓の優良事例を紹介する助言などを行ったところでございます。

 さらに、復興大臣のもとに関係省庁から成るタスクフォースで昨年十二月に決定をいたしました風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略に基づきまして、流通事業者や消費者に対して福島県産食品の安全性や魅力に関する情報を幅広く発信していくこととしております。

 今後とも、風評払拭に向けまして、復興庁を始めとした関係省庁と連携をいたしまして、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 時間も余りありませんし、風評払拭について等、準備していた質問も答えていただきましたので、質問はこれまでにしたいと思います。

 私、五月の九日、十日に、第三十八回日本・EU議員会議に参加をさせていただきました。このときに、コーヒーブレークの際に、二日間とも福島県産の「福島 桃の恵み」という果汁一〇〇%の桃のジュースが出まして、私も二日間ともこの桃ジュースをおいしくいただきまして、EU議員の方からも安全なんですかと実は聞かれたんですけれども、安全ですよとお答えしまして、一緒においしくいただかせていただきました。

 私自身も、風評払拭のために微力ながら力になれればと思っております。政府としても、風評払拭のためのイベントの開催等、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

伊東委員長 次に、内閣提出、農薬取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣齋藤健君。

    ―――――――――――――

 農薬取締法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

齋藤国務大臣 農薬取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 農薬取締法は、農業生産の安定を図り、国民の健康を保護すること等を目的として、農薬について登録の制度等を設けているところであります。

 農薬の安全性を一層向上していくためには、最新の科学的知見を的確に反映させられるようにすることが極めて重要であります。また、良質かつ低廉な農薬を供給し、農業の競争力を強化していくためには、規制を合理化することも重要であります。

 こうした観点から、農薬について、最新の科学的知見に照らして再評価を行う制度を導入するとともに、登録審査の見直し等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、再評価制度の導入についてであります。

 全ての農薬について、定期的に安全性等の再評価を受けなければならないこととしております。

 また、農林水産大臣は、再評価等により、農作物、人畜及び環境等に害を及ぼすおそれがあると認めるときは、登録を変更し、又は取り消すことができることとしております。

 第二に、農薬の登録審査の見直しについてであります。

 農薬の登録申請時に、当該申請に係る農薬の農薬原体が、現に登録を受けている農薬の農薬原体と成分等が同等であるときは、提出すべき資料の一部を省略できることとしております。

 また、農薬使用者や環境に対する安全性を確保するため、登録時の審査事項に、使用時の被害防止方法や生活環境動植物への影響等を追加することとしております。

 さらに、農家にとって防除に有効な農薬が常に確保されるよう、病害虫防除等に特に必要性が高い農薬や、他の農薬と比較して特に安全性が高い農薬については、優先的に審査を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

伊東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十九分散会


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