衆議院

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第20号 平成30年6月6日(水曜日)

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平成三十年六月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 緑川 貴士君 理事 佐藤 英道君

      池田 道孝君    稲田 朋美君

      上杉謙太郎君    大西 英男君

      加藤 寛治君    金子 俊平君

      神田 憲次君    木村 次郎君

      岸  信夫君    小寺 裕雄君

      西田 昭二君    野中  厚君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      古川  康君    宮路 拓馬君

      山本  拓君    石川 香織君

      岡本あき子君    神谷  裕君

      亀井亜紀子君    後藤 祐一君

      関 健一郎君    江田 康幸君

      金子 恵美君    広田  一君

      田村 貴昭君    高橋千鶴子君

      森  夏枝君    寺田  学君

    …………………………………

   議員           後藤 祐一君

   議員           関 健一郎君

   議員           青山 大人君

   議員           亀井亜紀子君

   議員           神谷  裕君

   議員           金子 恵美君

   議員           田村 貴昭君

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 境   勉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小泉  勉君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           別所 智博君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     大西 英男君

  大河原雅子君     岡本あき子君

  大串 博志君     広田  一君

  田村 貴昭君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     細田 健一君

  岡本あき子君     大河原雅子君

  広田  一君     大串 博志君

  高橋千鶴子君     田村 貴昭君

    ―――――――――――――

六月五日

 主要農作物種子法案(後藤祐一君外九名提出、衆法第一三号)

同月六日

 都市農地の貸借の円滑化に関する法律案(内閣提出第四三号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 主要農作物種子法案(後藤祐一君外九名提出、衆法第一三号)


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 後藤祐一君外九名提出、主要農作物種子法案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。後藤祐一君。

    ―――――――――――――

 主要農作物種子法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤(祐)議員 ただいま議案となりました主要農作物種子法案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 本日は、この審議の場をいただきまして、委員長、理事の皆様方、委員の皆様方に改めて感謝を申し上げたいと思います。

 主要農作物の優良な種子の生産、普及の促進を目的とする主要農作物種子法は、本年四月一日をもって廃止されました。しかし、その際の議論は、農業者等からのヒアリングが実施されるわけでもなければ、政府が種子法廃止の根拠として挙げていた、民間事業者の品種開発意欲の阻害という点について明確な根拠が示されるわけでもなく、他法案の審議とあわせてわずか数時間でその審議を終えるなど、拙速なものでありました。

 また、政府からは、種子法を廃止しても問題は生じないかのような答弁がありましたが、種子法の廃止後間もなく、大阪府を始め複数の都道府県において今後種子生産に関する審査や証明業務につき民間団体に移行を進める意向があるとされ、将来的な種子価格の高騰の可能性が生ずるなど、早くも政府の答弁とは異なりかねない事態に陥っております。

 さらに、種子法廃止後の政府の運用方針を見るに、都道府県の役割を民間事業者による種子生産への参入が進むまでの間といった、あくまで時限的なものと位置づけており、これは、種子法の廃止後も都道府県による取組を後退させないことを掲げた種子法廃止法の附帯決議の趣旨に沿ったものとなっていないと言わざるを得ません。

 そして、このような状況の中で、多くの農家が、主要農作物の優良な種子の安定的な確保に不安を抱えております。

 このような多くの問題や不安を早急に解決し、あるいは解消する必要があることから、本法案を提出したところであります。

 次に、本法案の概要を説明いたします。

 第一に、廃止前の主要農作物種子法の内容をそのまま復活いたします。すなわち、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産について圃場審査その他の措置を行うなど、都道府県主体での優良な種子の生産、普及体制を堅持いたします。

 第二に、都道府県が有する種苗生産に関する知見の民間事業者への提供を促進する旨を定める農業競争力強化支援法第八条第四号を削除いたします。このような施策は、不必要に我が国の種子生産に関する知見の国外流出を招きかねず、かえって我が国農業の国際競争力が低下するおそれがあるからです。

 第三に、国及び都道府県が、国内外の多様な需要に応じた主要農作物の生産の確保に資するため、国内の民間事業者の能力を活用した主要農作物の種子の安定的な生産及び普及が図られるよう配慮する旨の規定を設けることとしております。これは、廃止前の種子法の運用に際しさまざまに指摘されていた民間事業者の参入について、しっかり門戸が開かれていることを明記するものであります。

 以上が、本法案の提案の理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、御賛同いただけますようよろしくお願い申し上げます。

伊東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省政策統括官柄澤彰君、農林水産技術会議事務局長別所智博君、総務省大臣官房審議官境勉君及び外務省大臣官房参事官小泉勉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石川香織君。

石川(香)委員 おはようございます。立憲民主党の石川香織でございます。(発言する者あり)ありがとうございます。

 トップバッターというのも緊張しますし、きょうは答弁していただく皆様のメンバーもいつもとは違いますのでちょっと緊張しておりますけれども、よろしくお願いいたします。(発言する者あり)厳しく、はい、わかりました。

 ことしの三月末をもって廃止になりました種子法でありますけれども、私の地元であります北海道十勝でも非常に不安が広がっておりました。そもそも種子法というもの自体を知らないという方も多かったですし、廃止になったということもよくわからなかったという方も結構多かったというのが私の認識であります。

 まず、ちゃんとした議論がなされていなかった、それから、国民の皆さんに認知されるまでしっかり議論がされていなかったのではないかというのが私の感覚でありますけれども、種子法廃止の直前になってからも、私の地元では、市民団体の皆さんが自主的に勉強会をされたり、あとは、私も山田正彦元農林水産大臣をお招きして講演会をしたり、種子法について知りたいという気持ちが非常に皆さん強いというのを私も感じております。

 まず、一番最初にお尋ねをいたしますけれども、種子に対してどのような認識を持っているかということに対して、提出者それから政府にお伺いをしたいと思います。

神谷(裕)議員 お答えをいたします。

 まずもって、この委員会におきまして、主要種子法の復活法案、御審議をいただきますことを、心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

 今、石川議員から、種子についてお尋ねをいただきました。

 素直に、種子について、種について辞書を引いてみますと、当然、植物が発芽するもとになるものであるとか、あるいは、種苗については、植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるものというような書きぶりとなっておりますけれども、それだけでは当然ありません。この委員会では皆様方が思っているとおり、種子というのは非常に大事なものでございます。

 競争力強化支援法や附帯決議でもありますように、戦略物資であり、国家戦略、知財戦略に用いるべき重要なものであるということは当然にして、また、農業を営む上でも欠くことのできない農業資材であるわけでありますけれども、種子法制定時においても、国民を飢えさせないように、食料を国民にしっかりと提供していくという考え方のもとで、重要なものとしての位置づけがあったものと承知をいたしているところでございます。

 農作物の生産には、気候や水などの自然条件が重要であるのはもちろんでございますけれども、農作物の遺伝的特徴を担う種子の品質は、全てに優先される重要性を有するものでございます。したがいまして、種子は農と食の根幹であると言えるのではないかと思っております。

 そのような意味から申し上げますと、種子は、単に市場に委ねられる商品であるだけではなく、誰もがアクセスすることができ、誰もがその利益に浴することのできる、まさに公共の資産として位置づけられるものであるというふうに考えてございます。

 でございますからこそ、その生産、普及に関しては、国や都道府県の公的責務としてしっかりとコミットしていく必要があるのではないか、このように考えているところでございます。

齋藤国務大臣 種子法の対象であります稲、麦類及び大豆は、我が国の土地利用型農業における重要な作物でありまして、その基本的資材である種子は重要な戦略物資であると考えています。

 平成二十八年十一月に決定されました農業競争力強化プログラムにおきましても、「戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。」そのようにされているところであります。

 この考え方は今後とも一貫して変わらず、官の力に加え民の力を生かした稲、麦類及び大豆の種子の開発、供給体制の構築を進めることによりまして、農業を成長産業とし、農業者の所得の向上というものを図ってまいりたいと考えております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 神谷委員から、農と食の根幹である、そして、商品ということだけではなくて公共の資産であるということをお話しいただきました。大臣からも、官の力、民の力を生かしてというお話もありました。私も、この後、どうやって民の力を使っていくかということについてもお伺いをしたいと思いますけれども、つまりは、種子はとても大切なものだということは共通している認識だと思います。

 その上で、この大切な種子をどう守っていくかということになるんですけれども、農産物の安全性でありましたり継続性などを維持していく上でとても大切なわけでありますけれども、今回、種子法を復活させるべきだという声が非常に多かったというのは、私も冒頭お話をさせていただきました。

 ここで、改めて、この復活法案を出された背景、それから、その思いなども提出者にお伺いをしたいと思います。

亀井議員 お答えいたします。

 種子法が廃止されたことによって、種子の生産、流通、販売までが一握りのグローバル種子会社に独占され、その結果、種子や農作物の価格が高騰する、在来の多様な種資源が失われる、消費者の選択の幅が縮小する、全国の農業に携わる方々の中でそういった懸念が広まっております。

 これまで、種子法の枠組みの中で都道府県が計画的に種子需給を調整する役割を果たすことによって、各地域の栽培条件や多様化する消費ニーズに応じた優良品種を安価かつ安定的に生産供給し、競争力の高い農業生産と食料の安定供給の実現が図られてきました。

 このような事情を考えれば、私たちは、今後も都道府県を主体とする優良な種子の生産、普及体制は堅持すべきであると考えます。そこで、このたび野党共同で種子法復活法案を提出いたしました。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 やはり種子生産に関する業務が民間に移行するということに対して不安が広がっているということであります。

 先ほど亀井委員からもお話ありましたけれども、今全国でどんな動きがあるかといいますと、例えば、大阪府、和歌山県、奈良県の三府県から、二〇一八年度から水稲の種子生産に関する審査、証明業務を実施主体として行わないという方針を決めているという記事がありました。代替措置としては、業務を種子生産の関連団体に移行するという方針だということであります。

 全国で少し混乱が起きているというところもありますけれども、この事実関係についてお伺いをしたいと思います。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年六月の時点におきまして、農水省が都道府県の担当部局からお聞きしたところ、全ての都道府県におきまして、平成三十年度も前年度とおおむね同程度の予算を計上し、種子供給に係る事務を実施する方針であるというふうにお聞きしているところでございます。

 御指摘の三府県を含めまして、種子の審査関係業務などを種子協会に委託することなどを検討されているところもあると承知をしておりますけれども、そのような場合におきましても、府県が種子の品質面に責任を持つ、そして、府県が種子の供給に当たって必要な予算措置を講ずるということで、農業者への種子の安定的な供給に大きな影響が生じないように配慮するというお考えを関係府県からお聞きしているところでございます。

 一方で、他県や民間企業にも良質な種子を供給できるよう原種生産の施設を新たに整備する県ですとか、種子産地強化計画を策定する地域において、種子生産の担い手の掘り起こしや技術継承等を新たに支援する県というようなところもございます。

 従来以上に種子供給に力を入れる県も出てきているというふうにお聞きしておりますので、今後とも、都道府県における業務の検討実施状況についてよく注視をしてまいりたいと存じます。

石川(香)委員 予算措置でありましたり、府県の責任ということのお話もありましたけれども、先ほどの三府県を例にしますと、仮に種子生産を関連団体に移行するということになりますと、当然、業務が移ったことでいろいろな団体の費用の負担が大きくなります。そうしますと、その負担はさまざまなところで価格に反映される可能性があり、そしてそれが農業の経営への影響にもなるのではないかという心配もさまざまなところで聞かれております。

 技術的な知見を持つ都道府県の後ろ盾というのはやはり必要だというのは私も強く感じておりますけれども、民間移行への不安が募っている中、この法案では民間事業者に対する一般的な配慮というのを規定しておりますけれども、これは国内の民間事業者に限定をしております。

 この理由について、提出者にお伺いをしたいと思います。

神谷(裕)議員 御質問ありがとうございます。

 民間に絞っているという理由でございますけれども、委員御指摘のとおり、あるいは政府でもそうでございますけれども、民間活力を生かしていく、これは非常に重要なことだろうというふうに我々も認識をいたしているところでございます。民間活力を生かした主要農作物の種子の生産、普及体制そのものを構築していくこと自体は、大変に重要な問題でございます。

 しかしながら、もう一方で申しますと、近年の種子の市場の動向を見てみますと、その生産や流通あるいは販売、こういったところが、一握りの国際的な種子の会社によって集中しているという状況にあるのかなということもまた一部事実でございます。

 このような状況を踏まえますと、海外事業者に対する安易な配慮はそういった企業さんをもうけさせるだけでございまして、その結果、種子や農作物価格の高騰や、在来の多様な種資源の消失、消費者の選択の幅の縮小等の弊害を招きかねないのではないかというふうに考えているところでございます。

 そこで、本法案では、配慮の相手方については、国内の民間事業者に限定をさせていただいたところでございます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 民間の力を生かす種子生産は必要である、その上で、やはり国際的な種子の会社に集中しているということは少し気にしなくてはいけないという御説明がありましたけれども、私も全くそのとおりだと思います。

 民間企業に対しての質問をさせていただきますけれども、きょうは無所属の会の質問時間もいただいておりますので、この後の質問は金子提出者にもお答えいただきたいと思っております。

 政府・与党の種子法廃止法案については、民間企業が進出すればいいという極めて短絡的な部分が見えていると思います。最近の安倍内閣農政に特徴的なことだと思いますけれども、経済合理性至上主義というのが色濃くにじみ出ているのではないかというふうに私も感じております。

 そのような安倍内閣農政についてどうお考えであるか、お答えいただきたいと思います。

金子(恵)議員 質問にお答えいたします。

 経済合理性に偏重し、民間参入を過度に重視する安倍内閣農政は、農業政策を産業政策とだけ捉え、農業の有する多面的機能や地域との調和といった観点を見落としたものであり、そのあり方については懸念を抱かざるを得ない状況であります。

 御指摘の種子法廃止についても、これにより種子の生産、流通、販売までが少数の種子会社に独占され、その結果、種子や農作物の価格が高騰する、在来の多様な種資源が失われる、消費者の選択の幅が縮小するなどの懸念が、全国の農業にかかわる方々を中心に多く持たれているというふうに承知しております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 今お答えいただきました、その観点からお話をさせていただきますけれども、現在の農政の形成におきましては、規制改革推進会議の影響が極めて強いのではないかと思います。

 農政の現場の実態から少し乖離をしました机上の空論的な農政になりつつあるのではないかという懸念がありますけれども、このことについてもお考えをお聞きしたいと思います。

金子(恵)議員 お答えいたします。

 近年、規制改革推進会議から唐突に規制緩和が提案され、安倍内閣のもとで実現を図るケースが増加していますが、これは経済合理性至上主義あるいは市場原理主義を全ての問題の解決策であると妄信するものではないかと危惧しております。

 もちろん、不必要な規制を見直す必要がありますが、特に農政分野においては現場の声が第一であり、その声に即した政策こそ進めていくべきものであると考えます。今般の種子法の廃止に関しましても、先ほど答弁しましたような懸念が多くの農業者からも示されております。そのような現場の声にしっかりと耳を傾ける必要があります。

 したがって、農業分野における制度の設計や運用におきましては、規制改革推進会議の提言はあくまでも参考程度にとどめておくべきであると思います。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 現場の声が第一であるというのは皆さん共通の思いだと思います。ただ、今、このような経済合理性至上主義それから市場原理主義的な農政は弊害を生むのではないかという懸念が生まれてくるわけであります。

 野党といたしましては、そういった形ではない、地域農村、農業が安定的に続くという農政が必要ではないかと思います。そういった意味で、戸別所得補償制度の復活も含めて提言していくことが大切ではないかと思いますけれども、このあたりについてのお考えをお聞きしたいと思います。

金子(恵)議員 お答えいたします。

 現在の我が国においては、安倍内閣農政のような、産業政策に特化し、経済合理性至上主義や市場原理主義を偏重する農政ではなく、地域や農村が安定的に守られるような、地域政策も一体化した農政こそが真に求められております。そのためには、地域や農村の中核となる農業者の所得確保こそが重要な政策であります。

 このためには、戸別所得補償制度の復活が求められるところでもございます。近々、野党共同で農業者戸別所得補償法案を提出することを考えておりまして、農林水産委員会においても真摯に検討をすることをお願いしたいと思います。

石川(香)委員 戸別所得補償制度の復活も含めて今お話もありましたけれども、ぜひ、この農林水産委員会でも審議される日を待ち望んでおりますので、このあたりもしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 質問にまた戻ります。

 種子法廃止を受けまして、国内ではどういう動きがあるか。先ほどの三府県のお話もありましたけれども、新潟、兵庫、埼玉の三県では条例を制定するという動きがあります。けさの新聞では、北海道でも、農民連盟が北海道に種子法にかわる条例の制定を要請したという記事もありました。

 二〇一八年度は全都道府県が種子関連事業をおおむね維持するということを話しておりますけれども、よく見られるのは、この一八年度はという言い方であります。そうすると一九年度以降はどうなっていくのかという疑問が浮かぶんですけれども、一九年度以降はどのようになっていくイメージをお持ちなのか、政府にお聞きしたいと思います。

柄澤政府参考人 今、委員から御指摘ございましたように、この六月時点で、農水省が都道府県の担当部局からお聞きしたところ、全ての都道府県におきまして、平成三十年度も前年度とおおむね同程度の予算を計上し、種子供給に係る事務を実施する方針であるというふうにお聞きをしているところでございます。

 その際、都道府県が稲、麦類及び大豆の種子の生産や供給に係る業務を実施するに当たりましては、種子、種苗行政に関するニーズの的確な把握や農業者が必要とする種子の調達状況の調査を行った上で、民間事業者の育成品種の適正な取扱いや種子生産における民間事業者との連携を十分に考慮して業務を進めていくことになるというふうに考えております。

 したがいまして、今後は、都道府県のみならず民間事業者も含めた形で、国の総力を挙げて、需要に応じた種子の供給が行われる体制が構築されていくものというふうに考えているところでございます。

石川(香)委員 優良品種の維持と供給に行政の関与は不可欠であるというのは、各都道府県の強い認識だと思います。やはり各地域の気候に適した独自の品種を開発していくということに対しては、それぞれの都道府県の責任というのが非常に大きな役割を果たしてきたと思います。

 一方、将来にわたって安心、安全な食料を確保するためには、やはり知見の提供については慎重に行われなくてはいけないとも感じております。

 民間事業者が参入することへの新たな可能性というのももちろん大切でありますが、このことと、それから安心、安全な食料確保についてどうバランスをとっていくのか。これは政府と提出者にお伺いをしたいと思います。

齋藤国務大臣 繰り返しますけれども、種子は重要な戦略物資でありまして、将来にわたって食料の安定供給を図る上でも、種子を安定的に確保、供給していくことが大変重要と認識しています。

 そのためには、官民の総力を挙げた種子の開発、供給体制を構築することが重要でありまして、農業競争力強化支援法第八条第四号に基づきまして、適切に知見の提供を行うことにより、我が国農業の国際競争力を強化し、農業の成長産業化を図ってまいりたいと考えております。

 こうした観点から、国の独立行政法人及び各都道府県に対して局長名で通知を行いまして、国の独立行政法人や都道府県が持つ知見の提供は、我が国農業の競争力強化に貢献しようとする民間事業者に対して供給する、そういうことが適切であるとの基本的考え方を示したところであります。

 さらに、局長通知におきましては、民間事業者への知見の提供に当たって、民間事業者の開発等の考え方を確認した上で、共同研究契約を結ぶ等の適切な措置を講ずる必要があること、また、必要な場合には国に相談していただくよう周知徹底しているところであります。

 繰り返しますが、知見の提供に際しましては、我が国農業の国際競争力強化に貢献するかを判断し、適切な措置等を講ずることにより、民間活力の活用と食料の確保の両立を図ってまいりたいと考えております。

亀井議員 お答えいたします。

 先ほどの答弁にもありましたとおり、種子とは大変大事なものである、種子が農と食の根幹であるがゆえに公共の資産と位置づけられる以上、種子の生産に関する知見の蓄積や提供についても、国や都道府県の公的責務としてしっかりとコミットしていく必要があると考えております。

 他方で、不必要な規制や不適切な運用を見直した上で、民間参入を促しつつ種子の安定的な生産、普及を図ることは重要であり、そのことは我が国経済の健全な発展へとつながるものだと考えております。

 そこで、本法案では、国や都道府県の公的責務を基本としながらも、民間活力の導入の促進にも配慮する観点から、附則第三条において、国及び都道府県が、国内の民間事業者の能力を活用した主要農作物の種子の安定的な生産及び普及が図られるよう配慮する旨の規定を設けてございます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 一番最初に質問させていただきました、種子、農と食の根幹であるというお話から始まりましたけれども、私も全くそのとおりだと思います。その上で、種子をどう守っていくか。

 やはり種子から農産物が育っていって、それを体に入れるわけですから、そういった意味で人間のこれからの未来に対しても非常に大切な部分であるというのがよくわかりました。種子の研究それから管理に関して、公的責任ももちろん必要であるという重要さもわかりますし、その一方で、やはり民間事業者の能力というのをどれぐらい引き出していくのかということも大切なことだと思っております。

 その種子法でありますけれども、先ほどの質問にも出ました、やはり現場の方の声を聞くのが第一だというのは皆さん当然考えられていることだと思います。その上で、戸別所得補償法案の提出も含めて、もう一度、農村がやはり安定的に守られていくというような農政の大切さを考えていかなくてはいけないと思っております。そういった意味で、この種子法復活法案は非常に大切なものだと思いますし、しっかりとみんなでもう一度考えていかなくてはいけない、そのように思っております。

 予算の確保というお話もありましたけれども、その一方で、やはり種子法というもの自体がなくなるという不安感が非常に現場であるというのも強く私からも訴えをさせていただきたいと思っておりますし、まず現場の声を一番大切にして農政の形を考えていくということをお願いしたいと思います。

 一番最初にもお話をさせていただきましたけれども、現場からは種子法復活法案を望んでいる声が非常に多いというのは私も実感としてとても感じております。現場の方の声、そして種子法復活法案ということに対して今審議をしているという事実をしっかりと重く受けとめて、今後の審議の時間も有意義な時間にしていただきたいと思っております。

 私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 本日、こうした審議の機会をいただき、また質問の時間をいただき、提出会派に所属する議員の一人として、また質疑者として感謝を申し上げます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 昨年度をもって廃止をされた種子法ですが、通常であれば新たな法律をつくると同時にこれまでの古い法律を附則でもって廃止するところ、昨年の国会で主要農作物種子法の廃止法として提出されたことは極めて異例であります。

 昨年の春に、規制改革推進会議の意見を踏まえた農業競争力強化プログラムに基づく農業競争力強化支援法など、八つあった法案に潜り込ませるような形で種子法の廃止が決まってしまったことは、当時まだ私は現職ではありませんでしたけれども、農業県、米どころの秋田に暮らす者として、地元の生産者から不安の声を受けとめておりました。

 廃止法の政府からの提案理由も、最近における農業をめぐる状況の変化に鑑み、主要農作物種子法を廃止する必要がある、これがこの法律案を提出する理由であるという、この一文だけで、ほんのわずかな質疑時間、既定路線、結論ありきで廃止されてしまったと言わざるを得ません。

 種子法は、原種、原原種の生産や普及させるべき優良品種の指定、そして、種子生産圃場の指定や検査を都道府県に義務づけることによって、稲や麦類、大豆、こうした穀物種子の国内自給の確保や食料安全保障に寄与し、地域それぞれの風土や気候に合った種子づくりを支えてきた、これは重い法律なんです。国の食料主権のあり方が大きく揺らぐ懸念が拭えません。

 十三道府県、全国六十四の地方議会からも、種子法廃止に伴い万全の対策を求める意見書が出されております。このうち秋田県からは、十九の地方議会から意見書が付されました。農業者団体からは、県が引き続き農作物の種子の生産、普及に中心的な役割を担うよう強い要請があることを受けとめ、法律や制度でそれを担保することは不可欠だと私は思います。

 秋田県では、優良な種子が安定的に供給されなくなったり、種子が値上がりすることへの不安の声が生産現場に広がっていることを踏まえて、主要農作物種子基本要綱を策定しています。この要綱に基づいて、生産対策協議会を設置し、種子の需給調整と生産計画を立て、引き続き生産者に優良な種子を安定供給するというふうにしています。

 種子法の廃止を受けて、秋田のように要綱に基づく対策をとるところがあります。また、新潟、兵庫、埼玉、この三県では既に独自に条例を制定し、施行しているところですが、こうした都道府県は、法案が成立した場合にはどのような対応をとることになるんでしょうか、伺います。

関(健)議員 お答えを申し上げます。

 冒頭申し上げますが、本法案は、ことし四月一日に廃止された主要農作物種子法に定められた内容をそのまま復活させることを主な内容とするものであります。

 その上で、現在の状況を申し上げますと、種子法の廃止後、埼玉県、新潟県、兵庫県が既に種子法にかわる条例を制定し、施行していると承知をしています。また、三県以外の都道府県でも、要綱などの内規を定め、対応に当たっていると聞いています。

 これらの条例や要綱を全て詳細に検討したわけではありませんが、おおむね廃止された種子法に基づき、従来から都道府県が行ってきた事項を明文化することをその中核とするものであります。

 したがいまして、この法律案が成立した場合でも、本法案と条例などが矛盾を生ずるということはないことから、都道府県が条例などの改正を強いられるものではないということは認識しています。

緑川委員 各地域でしっかりと対応を図って、農業が将来にわたって各地域で持続的に取り組まれるように、その上で発展していく上で、国内農業の競争力を高めていくことが喫緊の課題ではあります。

 その上で、種子生産は、国からの予算措置で賄われ、民間が参入する上でのハードルになっているということも指摘されております。

 そこで、確認させていただきたいんですけれども、これまでの制度を維持する形で種子法を復活させることになると、民間の活力を種子の開発、生産にも生かしていくべきだという声にどのように応えていけるでしょうか。

関(健)議員 お答え申し上げます。

 民間の活力を生かした主要農作物の種子の生産、普及体制を構築することは重要な問題であるという認識は共有できていると思います。

 廃止された種子法のもとでも民間参入は否定されておらず、むしろ、優良な種子の生産が確実と認められる場合には、民間事業者が育成した種子を積極的に奨励品種に採用するよう、都道府県にも指導が行われてきたところであります。

 このような指導ベースの法運用について、本法案では、附則第三条において、国及び都道府県が、民間事業者の能力を活用した主要農作物の優良な種子の安定的な生産及び普及が図られるよう配慮する旨の規定を設け、明記をしているところであります。この規定に基づく配慮がなされることによって、民間活力を生かした主要農作物の種子の生産、普及体制の構築が期待できるものと考えております。

 現段階での民間企業への政府の支援体制の具体例としましては、農研機構におきまして、ジーンバンク事業を通じて国内外から収集、保存してありますさまざまな特性を有する遺伝資源を、民間企業などのリクエストに応じまして育種素材として提供するとともに、各種の研究開発プロジェクトにおいて、研究開発費に対する支援も行っているところであります。また、具体例としては、業務用向けの超多収米、あるいはビール用の大麦、牧草などの品種等の開発の支援を行っているところでもあります。

 また、民間の活力を種子の開発、生産に生かしていくべきという声には、更に具体的に応えていく必要があると認識をしております。

 豊橋のブランド米、女神のほほえみというのがあるんですけれども、これは六年前にある生産者の方が見つけました。銀の稲が生えるということで、その方が生産、育成を試みたわけですけれども、結局、品種販売までに三年がかかりました。

 大手民間企業でないところでこれだけのお金と時間をかけるのはなかなか厳しいものがあります。そして、具体的に申し上げますと、必要な手続としては、品種登録、商標登録、種の提出をした後DNA鑑定をしてもらう、さまざまな煩雑な手続が必要になるわけです。

 生産者の皆さんの声としては、奨励品種にしてくれという声よりも、いざ開発するというときには、商標登録、品種登録、そういうところにかかる時間と経費の補助若しくは生産者への育成方法の周知、まさにかゆいところに手が届く、こういうところに、民間事業者の能力を活用した主要農作物の優良な種子の安定的な生産及び普及が図られるよう配慮する、こういう具体的な、細やかな配慮が求められるんだと認識をしております。

緑川委員 この民間の活力の取組、地元で、事例もいただきながら、奨励品種以外にも、時間、経費のサポート、こうした取組というものを今具体的にお話をいただきました。新たな条文が盛り込まれることで、民間活力の活用はこの法案でも可能であるというお答えでございます。

 民間が開発する品種については、現状において議論があります。

 農水省の資料、きょうは配付しておりませんけれども、民間が開発した代表格であるみつひかりという品種がございますが、この種子の販売価格は二十キロで八万円です。都道府県が開発した品種のおよそ十倍、高額なんですね、法外なんです。生産実績も四千四百十四トンと、これは全主食用米の実績の〇・一%以下、余り普及が進んでいないということなんです。収量が多く安定しているという長所が挙げられている一方で、育苗に神経を使う、コンバインが消耗、大型でないとだめ、品種特性で一等米にならない、また、肥料を通常稲の一・三倍から一・五倍ほど施さなければ言われているような収量がとれないということも指摘されています。奨励品種にはなり得ないという現場農家の声がありました。

 こういう状況下で、果たして、種子法の廃止が生産資材としての種子の価格引下げにつながるでしょうか。

 都道府県が優良品種を普及させる上で、国が予算措置をしてきた根拠法がなくなるとすれば、その予算措置が認められなくなります。そうなれば、都道府県が事業を継続するには、費用面で大きな課題が出てくることになります。これまで国の税金で賄われていた部分を都道府県が負担し、その負担分が種子の販売価格にはね返ることになれば、民間が平等に競争できる環境をたとえ整備したとしても、民間が販売する種子がこれまでの都道府県の種子よりも安くなる保証はありません。価格形成力の強い大手の資本が参入することになれば、これはなおさらだと思うんですね。

 品種という観点からも、都道府県がそれぞれの気象、土壌条件などの特性を踏まえてつくられてきた最適な品種の普及を危ぶませてまで栽培技術などの種子生産の知見を民間事業者に提供することには、私は大きな疑問を持たざるを得ません。

 長年の取組の蓄積の上で、真面目に取り組んできた勤勉な農家、研究者が一緒になって育成してきた種子、その重みを今受けとめていかなければならないというふうに思います。命のかなめである主要食糧の、その根源である種は、国が責任と役割を堅持した上で、時代や社会の変化に対応していくことが重要であろうというふうに考えております。

 確かに、少子高齢化、共働き世帯、少人数世帯の増加を背景として食の外部化が進んでいる中で、家庭内調理のかわりとして消費者ニーズに応えていくことが必要です。例えば米については、家庭用の需要以上に、外食産業、中食産業、輸出用などの需要が非常に高まっております。

 本法案を復活させた場合、こうした需要の高まりに対してどのような対応がなされるでしょうか。

青山(大)議員 緑川委員御指摘のとおり、確かに、これまでの制度のもとでは、一部でいわゆるブランド米生産に傾倒したことによって、外食産業などの低価格な業務用米などの需要に十分応じることができなかった部分があることは、私も同じ認識でございます。

 そこで、本法案では、附則第三条において、種子法の枠内、枠外であるかを問わず、国及び都道府県が、国内外の多様な需要に応じた主要農産物の生産の確保のために、国内の民間事業者の能力を活用した主要農産物の種子の安定的な生産及び普及が図られるよう配慮する旨の規定を設けさせていただきました。

 すなわち、この規定に基づく配慮がなされることによって、国及び都道府県において、例えば、業務用米の奨励品種への指定、業務用米についてのマッチングの場の提供など、消費者の多様なニーズにマッチした主要農産物の生産が行われるよう、必要な施策が講じられることが期待されております。

緑川委員 家庭用のブランド米より安いために、農家が生産を敬遠しがちという声も聞かれるんですが、そうした業務用の不足感が広がっていることに対応していくために、商社などでは、農業ベンチャーと提携して、業務用の新品種の普及に力を入れています。そこには、民間の効率性、合理性の高さが発揮される部分があろうかというふうに思っています。

 都道府県による種子開発、供給体制を生かして、この公共の宝を未来につなげながら、民間の活力を適切な形で引き出していけるような法制度の運用が求められているというふうに思いますが、ここで、附則第三条の規定の中で、国と都道府県が配慮する相手方について、国内の民間事業者に限定している理由を教えてください。

青山(大)議員 お答えします。

 民間活力を生かした主要農産物の種子の生産、普及体制を構築することは重要な問題ではあるものの、近年の種子市場の動向を見ると、種子の生産、普及が少数の大規模な種子会社の手に集中している状況にあります。

 このような状況を踏まえると、海外事業者に対する安易な配慮はそうした特定の企業の利益になるだけで、種子や農産物価格の高騰、在来の多様な種資源の消失、消費者の選択の幅の縮小などの多くの弊害を招きかねません。

 そこで、本法案では、配慮の相手方について、国内の民間事業者に限定したところでございます。

緑川委員 農業の世界では、種子を制する者が世界を制するというふうに言われています。日本は、だからこそ、種、種子の重要さをわかっていた。だからこそ、一九五二年に主要農作物種子法を制定して、国と県が大きくかかわって種子の供給をしてきたわけです。

 県が、国内自給率を下げるばかりでなく、この種子法の廃止によって農業のかなめ、根幹である種子までをビジネスに委ねてしまうようなことは、私は、もはや改革ではないということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 いわゆる種子法は、ほとんどの国民にとってなじみのない法律であり、かつ、誰にも関係のある極めて身近な法律であります。食料主権の根源であり、私たちが日常、地元産の農産物に誇りを持ち、その恵みをいただいているわけですが、開発に至るさまざまな道のりがあり、それを支えていたのが種子法であったと思います。

 きょう、私、十二年ぶりに農林水産委員会に出席、質問をさせていただいておりますけれども、この種子法を復活させる法案をまとめられた提出者の皆さんに心から敬意を表するとともに、また、審議の機会をいただいた与党委員の皆さんにも感謝を申し上げたいと思います。

 早速質問いたしますが、先ほど緑川委員の方から同じ趣旨の質問があったと思いますけれども、今の私の趣旨を踏まえて改めて伺いたいんですが、附則の第三条に、国内の民間事業者の能力も活用した優良な種子の安定的な生産及び普及に配慮する旨を規定されました。この意味をお答えいただきたいと思います。

田村(貴)議員 お答えいたします。

 種子の供給は、国の基本食料、基幹作物の生産に極めて重要であり、高橋議員御指摘のように、食料主権の根源であると認識しております。

 お尋ねの附則第三条の規定、配慮の相手方を国内の民間業者に限定する理由についてでありますが、近年の種子市場の動向を見ますと、その生産、流通、販売までが一握りのグローバル種子会社の手に集中し、多国籍企業上位七社で六九・三%を占めるという状況になっております。

 このようなもと、海外事業者の国内参入を認めることはグローバル種子会社をもうけさせるだけで、その結果、種子や農作物価格の高騰、在来の多様な種資源の消失、消費者の選択の幅の縮小等の弊害を招きかねません。

 そこで、本法案では、配慮の相手方について、国内の民間事業者に限定したところでございます。

高橋(千)委員 今、海外事業者の参入の問題、指摘をされたと思いますが、まさに最初に私が言ったように、気づいてからでは遅いのではないかということで、本当に大事な指摘なのかなと思っております。

 私は青森県の出身でありますが、まさかり型の下北半島から南、岩手そして宮城へと、やませと呼ばれる冷たい風の吹く太平洋側は、稲作に適さない地域とも言われておりました。冷害、日照不足などを何度も経験し、各県は冷害に強い品種の改良に努力を重ねてきたと承知をしています。昭和の初めまでは鳥さえ見向きもしない鳥またぎと言われた新潟の米も、改良を重ね、今やコシヒカリというブランド米を生み出し、作付面積全国一位となっております。

 種子法が十分に機能を発揮し、食と農を守ってきた、このような事例をぜひ紹介してほしいと思います。

田村(貴)議員 種子法に基づいて、各都道府県と、そして農業試験場は、地域の条件に適合した米や麦の品種育成、奨励品種の普及に重要な役割を果たしてまいりました。

 宮城県鳴子温泉地域のお米、ゆきむすびを紹介させていただきたいと思います。

 この地域は、高齢化と過疎化に加え、山間豪雪地域という厳しい気候条件等によって、耕作放棄地が増加し、景観も荒廃するという危機に直面しておりました。二〇〇六年に、農家、観光関係者、加工、直販所グループなどが鳴子の米プロジェクトをスタートさせ、耐冷性が高く食味にもすぐれたゆきむすびを品種登録いたしました。食と農を守り、地域の活性化に結びつけてまいりました。ゆきむすびの栽培は、気象条件で五十ヘクタールほどにすぎませんが、適地が限られた品種の開発を行いながら、原原種を維持し、必要に応じて生産、配布するという種子法の枠組みの中で支えてきたものであります。

 佐賀県のさがびよりというのもあります。米の粒が成長する時期に高温が続いても、それに負けずに高い収量と高品質な食味が維持され、台風にも強い銘柄であります。県農業試験場が佐賀独自の品種をと十年かけて開発してきたというふうに承知をしております。

高橋(千)委員 まずは、ゆきむすびの紹介をいただいて、ありがとうございます。

 観光ホテルのおかみさんたちが通常より高い値段であえて生産者の皆さんから買い取る、生産者の経営を支えながら、それがブランドとなり、地域の経済を支える役割を果たしています。私もお邪魔をして、試食というか、普通に御飯を食べたことがありますが、夢のようにおいしいのがゆきむすびでございます。

 また、今、佐賀のさがびよりの紹介もいただきましたけれども、佐賀の唐津市に天川コシヒカリという米がありますけれども、本当に十数人の生産者でつくっている。私、台風被害で実は行ったんですけれども、ですから、特A、本当に努力を重ねて特Aなんだけれども、品質が落ちてしまった。だけれども、それでもおいしいんですよね。その努力に本当に敬意を表したいな、そういうことが積み重ねられてきたんじゃないのかなと思っております。

 田村提出者も災害対策委員であるわけですけれども、近年の台風、豪雨など頻発する甚大な災害の背景に、やはり気候変動の影響が指摘をされていると思います。また、それが農作物の品質低下にも影響を与えるとして、地球温暖化対策とあわせ、気候変動適応法が今国会で議論されているということも承知をしています。

 改めて伺いますが、高温や災害に強い農産物を育てるためにも、国と都道府県の果たす役割は大きいと思います。気候変動適応においても種子法が必要だと考えますが、提出者の認識を伺います。

田村(貴)議員 地球温暖化は、異常気象と甚大な災害をもたらしています。したがって、被害の回避に向けましては、温室効果ガスの排出削減、緩和策です、これを進めるとともに、さまざまな政策領域において適応策を講じることが重要であると考えます。

 農政分野においても、将来影響の科学的知見に基づきまして、例えば、高温耐性の農作物品種を開発、普及していくことが重要であります。まさに委員御指摘のとおりであります。

 このような品種の生産、普及には時間と費用がかかり、これを民間種子会社のみに委ねることは適当ではなく、国と都道府県が一体となった取組を推進していくことが重要であります。

 種子法は、この点から見ても、役割を終えたどころか、これからますます重要な役割を果たすものであると確信をいたしております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今の答弁の中で、国と都道府県とが一体となった取組を推進する必要があるという御指摘がありました。やはり公設試験場を守っていかなければならないし、また、その予算の根拠でもあるわけですから、本当に種子法の役割が重要ではないかなと改めて思っております。

 きょうは、全体として短い時間ではありましたが、このような貴重な復活法案の審議ということが実現をしたわけですから、ぜひこれを生かして、種子法を戻していただきたいということを心から訴えまして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、六月一日金曜日に初めて私はこの法案の説明をお聞きしたばかりですので、理解が不十分なところもございますので、基本的な質問をさせていただきます。

 この法律は、戦後の急激な人口増加に伴い、人口に見合った食料を確保するために、稲、麦、大豆について優良な種子の生産と普及を進める必要があるとの観点から、都道府県に義務づけるために昭和二十七年に制定され、各都道府県が優良な品種の開発に取り組んでこられたと認識をしております。

 都道府県と農業協同組合が協力し、地域や文化、地域の気候風土に合った優良銘柄、ブランド米を多く開発し、さまざまな販売の御努力をされてきていると思います。

 そこで、政府に伺います。

 この法律は機能をしていたと感じておりますが、なぜ廃止になったのか、大きな理由は何だったのか教えてください。

 また、廃止に当たり、都道府県や生産者など関係者の御意見はお聞きしたのか教えてください。

柄澤政府参考人 改めて、種子法廃止の理由について申し上げたいと存じます。

 主要農作物種子法は、昭和二十七年に、戦後の食料増産という国家的要請を背景に、優良な稲、麦、大豆の種子の生産及び普及を促すために制定され、それらの種子につきまして、原種、原原種の生産、指定種子生産圃場の指定、優良品種を決定するための試験等を全ての都道府県に一律に義務づけてきたものでございます。

 このような枠組みのもとで、各都道府県がそれぞれ、いわばフルセットの形で種子供給業務を行ってきた結果、いわゆるブランド米の種子については多くの都道府県がそれぞれ供給を行う一方で、国全体として現在重要となっております、外食、中食需要に適した低コストで生産可能な多収品種等の種子の供給に取り組む都道府県がほとんどないというようなことになりましたので、多様な需要に応じた種子の供給に問題が生じてきたというふうに認識をしたところでございます。

 このために、種子法に基づく全ての都道府県に対する一律の義務づけを廃止すると同時に、農業競争力強化支援法を制定することによりまして、民間事業者を含め、国の総力を挙げて需要に応じた種子の供給が行われる環境を整備することとしたところでございます。

 なお、法廃止に当たりましては、平成二十八年十一月に、農林水産業・地域の活力創造本部におきまして、主要農作物種子法を廃止するための法整備を進めるという具体的な方針が示されましたので、水田活用のキャラバン等の説明会の場におきまして、都道府県、農業団体等の関係者に対しまして丁寧に御説明し、また意見交換を行うなどの対応をとった上で、平成二十九年二月十日に種子法廃止法案について閣議決定したところでございます。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

森(夏)委員 ありがとうございます。

 種子生産者の技術水準の向上により優良な種子もたくさんでき、種子の品質が安定したことは理解をしております。

 廃止の際の法律案の概要の中に、多様なニーズに対応するため、民間のノウハウも活用して、品種開発を強化し進める必要があると書いておりました。しかし、この法案が廃止になったときに、皆さんが懸念をされている、地域で守られてきた、地域の財産とも言える種子を民間に委ねたことで、事業者による種子の独占を大変心配されているという声をネット等でも拝見をいたしました。

 種子法を廃止して、今般、廃止した法律を復活しようとされておりますが、その背景として、種子の供給上、数量や価格など、何か実際に問題が生じているのか、現実に前ぶれのようなものがあるのか、実例があれば教えてください。提出者に伺います。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 種子法を廃止して生じた問題、いろいろな方面であると思います。

 まず、都道府県の中には、種子法を廃止された以上、種子の生産、普及に係る業務をみずからの業務としては継続することはできないとして、民間移行を進めるところも出てきております。また、今後も種子の生産、普及に係る業務を継続していく都道府県においても、根拠法となる種子法が廃止されたことで中長期的な予算の確保が困難になるおそれというものが、これは現実的に伺っております。

 また、このような都道府県の種子の生産等に関する役割が後退することとなった場合、先生おっしゃるような、種子の生産、流通、販売における一部の種子会社による影響力が強まり、その結果、種子や農作物の価格が高騰する可能性、あるいは在来の多様な種資源が失われる可能性、あるいは消費者の選択の幅が縮小する可能性といった問題点が農業者あるいは消費者の間で幅広く指摘されているというふうに承知をしております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 種子の供給等に関して不安の声があるのは事実だと思います。また、一部で実際に問題があるとの話が出ましたが、種子法廃止後、都道府県や生産者など関係者にどのように説明をされたのでしょうか。関係者の反応はいかがだったのでしょうか。政府に伺います。

柄澤政府参考人 平成二十九年四月十四日に主要農作物種子法を廃止する法律が可決、成立した後におきまして、農林水産省の管理職クラスを中心としまして、都道府県やJA等の種子担当者等に対し、全国、地方レベルを含め、少なくとも五十カ所以上におきまして、今般の種子法廃止の考え方等について丁寧に説明してまいりました。

 この結果、今般の種子法廃止につきましては、民間事業者を含め、国の総力を挙げて需要に応じた種子の供給が行われる環境を整備するために行ったものであるということにつきまして理解が得られてきていると考えておりますが、今後とも丁寧な説明に引き続き努めてまいりたいと存じます。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

森(夏)委員 ありがとうございます。

 引き続き、丁寧な説明はしっかりとお願いしたいと思っております。

 今般、法案の提出の前後で、再び原種圃、原原種圃の設置等が義務化される都道府県やその関係者の皆さんから、法案提出について何か御意見は伺っておりますでしょうか。御意見ありましたら、提出者の方、お願いします。

青山(大)議員 森委員の御質問にお答えいたします。

 繰り返しになりますが、種子法が廃止されたことにより、種子の生産、流通、販売までが少数の大規模な種子会社に独占され、その結果、種子や農産物の価格が高騰する、在来の多様な種資源が失われるといった懸念、また、特定の企業の種子でつくられたF1品種はその企業の販売する農薬が効果的であることから、種子と一緒に農薬も買うことになることが多く、やがて農地、つまり土壌がその種子しか受け付けなくなる危険性があり、仮にその企業から種子を購入できなくなった場合や企業が倒産した場合どうなってしまうのかという心配の声が全国の農業に携わる皆様から持たれていると承知をしております。

 また、多数の地方自治体から、種子の安定供給、品質確保を図るため、都道府県の取組が後退しないよう万全の対策を求める意見書が、昨年十一月以降きのうまで、十三都府県から六十四件も出されているところでございます。

 こうした多くの関係者の皆様の声を受け、種子法を復活させる本法案を提出したところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 時間がありませんので、最後の質問に参ります。

 原種、原原種は、国民の食料の安定供給を図る上でも不可欠な物資です。種子法が廃止されている現状におきまして、農林水産省は、米、麦等の原種、原原種の安定供給にどのような責任を果たしていくお考えでしょうか。お聞かせください。

柄澤政府参考人 ことし六月時点におきまして農林水産省が都道府県の担当部局からお聞きしましたところ、全ての都道府県におきまして、平成三十年度も前年度とおおむね同程度の予算を計上して種子供給に係る事務を実施する方針であるとお聞きしているところでございます。

 その中で、他県や民間企業にも良質な種子を供給できるように原種生産の施設を新たに整備する県もある、また、従来以上に原種、原原種を含めた種子の供給に力を入れる県も出てきているというふうにお聞きしておりまして、種子法廃止を踏まえた、安定的な種子の供給体制の構築が進んできているものというふうに考えているところでございます。

 なお、農業競争力強化支援法第三条におきまして、国は、良質かつ低廉な農業資材の供給を実現するための施策を総合的に策定し、並びにこれを着実に実施する責務を有すると規定され、さらに、同法八条におきまして、国は、良質かつ低廉な農業資材の供給を実現する上で必要な事業環境の整備のため、種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進すると規定されております。

 農水省としましては、これらの規定に基づきまして、原種、原原種を含め、責任を持って必要な施策を講じてまいる所存でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 業務用米の生産が足りない問題等の問題もあるかと思います。原種、原原種を守ってほしいと心配する声にしっかりと耳を傾け、農林水産省には、先ほども申しましたけれども、丁寧な説明と必要な対策をしっかりとお願いしたいと思います。

 一方、本法案については、一度廃止されたものを復活させるということについては、私自身、まだ整理がついておりません。今後、更に直接現場の御意見もお聞きして、また機会があるようでしたら深く質問をさせていただきたく思います。

 以上で終わります。本日もありがとうございました。

伊東委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 四十五分間の質問時間を与えていただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。

 今、野党の皆さんたちの質問を聞いていると、やはり、この種子法に対する、主要農作物種子法に対しての誤認、誤解、錯誤、そして、ほかの種苗法等との混同、こういったものがかなりあるなということを感じました。一回ちょっと整理をしなければいけないし、おさらいをしなければいけないと思います。

 この主要農作物種子法、源流は、戦時中、昭和十六年でございます。その当時は統制経済でございました。政府が蔬菜種苗等統制規則というのを出します。そして、種苗の生産というものを規制するんです。全国で、坂田種苗とかタキイ種苗とか、全国の大手の十三社だけに生産を許して、そこから配給をするというような制度にいたします。その当時のタキイ種苗の社長でございました滝井治三郎さんは、その当時、とにかくもうかってもうかってしようがなかったというふうに言われております。当然です。研究開発費は要らない、そして生産をする、それを、国内、いわゆる内地だけではなくて、満州にも、あるいは朝鮮半島にも、そして台湾にも樺太にも売るわけですから、これをわずか十三社でやるわけですから、もうかってしようがなかったはずであります。

 しかし、そのツケは大きくて、終戦後、本当に日本の種子は劣化をしてしまいます。非常に効率が悪い。そこにGHQが気づくわけです。それで、まず第一にやったことは、やはり種子の品種改良をやりなさい、そして増産に励みなさい、そのために農産種苗法をつくりなさいということでできたのが農産種苗法、昭和二十二年の第一回の国会でございます。これは農産種苗法というふうになっております。そして、それから三年、四年がたちました。

 しかし、やはりGHQというのは野菜を中心にそういった見方をしていたわけですので、国会議員の中から、やはり日本は米である、麦である、そして、みそ、しょうゆの原料である大豆である、だから、米と麦とみそをこの農産種苗法から抜き出して、そして新たな法律をつくらなければいけないという国会議員の人たちが出てまいります。

 そういうことで、昭和二十七年に、これは議員立法で、ここに昭和二十七年の提出者の名簿がありますけれども、議員立法で、この主要農作物種子法というのをつくるわけです。提出者の中には、河野外務大臣の大おじでございます河野謙三代議士、あるいは、我が熊本県出身の坂口主税代議士、これは、あの厚生労働大臣の、公明党の坂口力さんとは違いまして、チカラが主税という字を書きます。大石内蔵助の息子の、あの大石主税と一緒でございますけれども。こういった方々が二十四人で、やはり日本としての穀類を改善しよう、とにかく増産しようということで、この主要農作物種子法というのをつくるんです。

 ですから、議員立法ですので、名称は種子法になっていましたけれども、正確に言えば、稲、麦、大豆奨励品種増産法なんです。増産をするための品種改良法なんです。これででき上がりました。その当時は、知的所有権とか、そういう考えは全く、世界にも余りなかった。だから、そのまま増産に増産、励むわけですけれども、そのうち、世界が、やはりこの種子の開発技術というのが物すごく進歩をしてまいりました。そして、種子の戦争、種子の競争になるわけであります。

 そういうことで、昭和四十三年、一九六八年でありますけれども、各国の知的所有権、種子の知的所有権を守ろうではないかということで、世界の植物の新品種の保護に関する国際条約、いわゆるUPOV条約というものでありますけれども、この条約ができ上がります。これはやはり、知的所有権、種子の知的所有権を守るためのもの。その条約に加盟すべく、我が国も主要農作物種子法というものを改正していくわけであります。

 その第一回目の改正が昭和五十三年であります。その昭和五十三年で改正したわけでありますけれども、要するに、まず種苗法を改正しようということで、農産だけではなくて、花卉類、花なんかも含めて、植物の全て、この種子、含まれますので、ここに種苗法ということになります。

 そして、そのときに、稲、麦、大豆の知的所有権は、全部種苗法にまたお返しするんです。再編入させるんです。そして、残った主要農作物種子法というのは、これは、各県で奨励品種を決めなさい、原種を生産しなさい、あるいは圃場の指定をしなさい、審査をしなさい、指導をしなさいという、八条から成る種子法、主要農作物種子法ということになります。

 その後、更に世界の種子の競争は続きます。ですから、その後の改正は昭和六十一年。今度は、日本もやはり官民一体の開発をしていかなければいけないということで、昭和六十一年の改正で民間の種子の開発に対する参入を認めるんです。既にこのときは認めているんです。昭和六十一年。

 そして、更にその後、世界の種子戦争というのは激しくなり、そして、種子を制すれば世界を制するということになりますので、UPOV条約というのが更に更に厳しいものになります。また、それにやはり日本も追いつくように、平成十年にこの種苗法というものを新たに改正して、種苗法がこの平成十年の時点でやっと世界の知的財産を守るレベルに追いついていくわけであります。

 ですから、種苗法と、それから増産のための主要農作物種子法というのは、全く切り分けている。ですから、本来ならば、昭和五十三年、もう知的所有権が種子法から種苗法に返されたときに、あるいは、昭和六十一年、民間の参入が許されたとき、参入を認めたときに、また、平成十年、世界の知的所有権の中に、条約に肩を並べたときに、そのときに廃止をしていてもよかった、こういう法律であります。

 しかし、それができなかったということは、各都道府県が種子法の枠組みだけを活用してブランド米づくりに走りましたので、なかなかそれができなかったというのが実情であります。

 これがこの七十年間の大まかな流れであります。

 それでいても、やはり米の消費量というのは、七百三十五万トンの中で、年間八万トンずつ減少している。これからどうしていったらいいかということが今求められているわけであります。

 いろんなブランド米はできましたけれども、それでも消費が減っているではないか。では、あと、どういう消費を喚起するためにどういう種子をやるか、種子を開発するかということになりますと、それは、おにぎりに向いた米、稲の種、種子、あるいは弁当をつくって冷えてもおいしい、あるいはダイエットに効果的な、そういう需要喚起のためのさまざまな対策が求められるわけであります。

 そういう中で、やはり世界の流れの中で国際競争力を高めていく、そういうことで今回の種子法の廃止に改めてなったわけですけれども、先ほどから言いますように、遅きに失したというところも私はあるというふうに思います。

 それで、提出者にお伺いをいたします。

 これからは、やはり地方の裁量、地方の能力、地方の技量、こういったものを高めていかなければなりません。

 旧民主党政権では、地域主権という言葉を使って、地域の裁量というのを非常にやはり重視されておられました。しかし、今回また復活して、各都道府県に、原種の生産から、あるいは圃場の指定から、こういった網をかぶせるということは、せっかく各都道府県が、今まで要綱であったものを条例にする、あるいは、一方の方で民間の活力を導入しようとする、こういう各都道府県の裁量の動きに対して、これにブレーキをかけることにはならないか。以前、地域主権というふうに言われていたその皆さんたちが宗旨がえをされたのかというふうに思います。それが一つ。

 それから、農業競争力強化支援法の第八条第四号を削除する。これは民間への知見の提供、これを削除するということですけれども、削除する一方で、附則で、第三条で、民間の活力を導入する、民間の活力を求めるというような、この二条と三条、非常にちぐはぐな法案になっております。これは、民間の参入を防ぐのか、あるいは民間の参入を促すのか。このままの法律でいったら、現場では大変な混乱が起きるというふうに思います。

 提出者にお伺いいたしたいと思います。

後藤(祐)議員 坂本先生の過去の歴史をひもといた御解説、本当に参考になります。ありがとうございました。

 二つ、非常に大きな質問を伺ったと思っております。

 まず、基本的な考え方として、増産の時代と今の時代、少し変わってきているのではないかということについては、もちろん米の消費というものは残念ながら減ってきているわけでございますが、米、麦、大豆という主要農作物を日本できちっと自給をしていく、そして、そのための種子の生産、普及をしっかり図っていくということの重要性はいささかも変わっていないということは、これは理解が共通にあるのではないかというふうに思います。

 その上で、種子法が廃止された中で、都道府県の中では、種子の生産、普及に係る業務をみずからの業務としては継続することはできないとして、民間移行を進めるところも出てきておりますし、また、中長期的な予算の確保が困難になるおそれといったことも指摘されております。

 我々は、種子というのは、農と食を支える根幹であり、公共の資産と位置づけるべきだと思っておりますし、国と都道府県が公的な責務としてしっかりこれを管理していくということが必要だというふうに考えております。

 今回の種子法復活法案は、種子の公共の資産としての重要性を踏まえた上で、都道府県に対して、種子の生産、普及について、種子法廃止前と同様の業務を継続していただくための基礎を与えるということと、国として都道府県を着実に支援していくという意味合いを持つものであって、決して都道府県の能力を軽んじているですとか、あるいは、地方への分権あるいは地方自治を進めるという姿勢と何ら矛盾するものではないというふうに思っております。

 実際、地方分権改革以降、地方公共団体に対する義務づけがいろんな形で見直されてきているということは承知しておりますけれども、種子の安定的な生産、普及というのは国として確実に担保すべきということを考えれば、この復活法案における都道府県に対する義務づけというのは許容される範囲だというふうに考えております。

 続きまして、大きな塊の二つ目、附則二条と三条の関係でございますけれども、これは、種子の生産、普及についての国、都道府県と民間の間の役割分担についての考え方というのが、現行制度と我々とでは少し異なるということなのかもしれません。

 現行制度においては、農業競争力強化支援法八条四号と昨年の十一月十五日の農林水産事務次官通知をあわせて見ますと、現行制度における都道府県の役割というのは、あくまで民間事業者による種子生産への参入が進むまでの間といった過渡的なものと位置づけているように思われます。

 我々は、先ほど申し上げたように、種子に対する国、都道府県の役割は、過渡的なものではなくて、公的な責務として永続的に担っていくものだというふうに考えておりますので、民間事業者による種子の生産、普及は、この公的な責務と整合的な形で行われるべきというふうに考えております。

 この八条四号を附則二条で削除しているわけでありますけれども、これは、今申し上げたような我々の基本的な考え方と現行の強化支援法八条四号は相入れないということと、都道府県の種苗生産の知見を外国事業者も含めて提供を促進した場合は、不必要に我が国の種子生産に関する知見の国外流出を招きかねず、食料安全保障の観点からも問題が大きいというふうに考えたことから、削除したところでございます。

 他方で、この附則三条でございますけれども、種子法廃止前には、民間事業者が開発した品種が奨励品種に採用される件数が少ないといった理由で、民間の品種開発意欲を阻害しているというような御指摘もなされております。それを踏まえまして、この法案では、国及び都道府県が、国内の民間事業者の能力を活用した主要農作物の優良な種子の安定的な生産、普及が図られるよう配慮する旨の規定を設け、明記しているところでございます。

 したがいまして、この八条四号を削除するということと民間事業者への配慮を定めるということは、決して矛盾するものではありませんし、先ほど関提出者の方からも御説明がありましたように、引き続き、国あるいは都道府県として民間事業者を支える、こういった活動は可能だというふうに考えます。

坂本委員 基本的に考え方が違うと言われれば、もうそこで議論がとまってしまうわけですけれども。

 都道府県の稲に対する、米に対する、種子への思い、これはやはりもう既に軌道に乗っているわけです。それはそれで、安定供給をこれからも続けていくわけです。それに、民間企業に対してその知見を提供しながら、新たな用途に応じた稲を、米を開発していく、これはこれから求められることであるし、それが今度は各県の本当の意味での種子の競争になってくるであろうというふうに思います。ですから、私は、これは廃止をすれば、それぞれの各都道府県の競争力が更に高まってくるものであるというふうに思います。

 それから、この廃止の問題で、先ほどからいろいろ言われております。そして、いろいろなことが言われたり書かれたりしております。これは「月刊日本」という雑誌でございますけれども、この中で、前の農林大臣の山田正彦さんあたりが書かれておりますのを読んでみますと、やはり誤認が多い、いろいろな錯誤が多い。それから、NHKを始めとする報道機関も、ひたすらにこの種子法廃止に対する不安をあおる報道が多いというふうなことを感じざるを得ません。

 まず、海外への知見流出に関する質疑でありますけれども、これは平成三十年四月五日、ことしの四月五日の農林水産委員会で、金子恵美委員よりの質問でございますけれども、民間企業に、これまで守ってきた種子、財産です、優良な種子というその財産をただ単に受け渡してしまって、そして、民間企業の利益の材料になって終わるということがあってはいけないというふうに思いますというふうに言われております。

 先ほど言いましたように、民間企業の参入というのは既に昭和六十一年から行われております。そして、都道府県の対応、今回は、それを更に強く、国が指導する、あるいは国に相談をするということになっております。

 そもそも、これまで稲、麦、大豆の国の知見が流出していたとお考えですか、それとも流出していなかったというふうにお考えですか。

 それから、もう一点お伺いをいたしたいと思います。これは去年の十一月二十九日、亀井亜紀子委員より質問されております。どうしても民間企業、利益を追求するわけですから、そういう観点で物事を進めていったときに、多種多様なものをつくるというよりは、一つのものをたくさんつくるというような、そちらに向きがちだと思いますというふうに言われております。

 そうでしょうか。やはりこの廃止をして民間の活力を、能力を導入したことによって、更に多種多様な品種ができてくる、これを量で、一つのものをたくさんつくってコストを安くするというようなことにはならないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

金子(恵)議員 お答えいたします。

 これまでも、稲、麦、大豆の育種素材を育種素材として使うことは民間事業者にも認められていたところでございます。

 流出については、海外流出も含めての質問というふうに理解をさせていただいておりますけれども、恐らくこれが契機となって、今申し上げましたように、民間事業者にも認められていたということが契機となって、その種子が海外に持ち出され、現地で栽培された収穫物が再度日本に逆輸入されるという事態も生じていたというふうに聞いております。

 例えば、納豆用の大豆として、北海道を始めとして広く栽培されているスズマルが輸入納豆用大豆から検出された事例なども、農水省の研究会で示されております。これらが権利を侵害して海外に持ち出されたことは明らかであります。

 農業競争力強化支援法第八条第四号は、国の講ずべき施策として、「都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。」と規定しています。この点について、政府の答弁によると、原原種圃や原種圃を設置する技術、高品質な種子を生産するための栽培技術、種子の品質を測定するための技術等について民間事業者に提供を促進するとしています。また、その知見の提供の態様や方法について、具体的な説明がなされておりません。そのため、国家戦略的な公共の資産でもある主要農作物の種子が今後更に海外に歯どめなく流出してしまうおそれが生じております。

 このような事態を招かないためにも、種子の生産、普及に関し、国や都道府県がその公的責務に基づいて、これまで以上にしっかりと管理する必要があると考えます。

亀井議員 お答えいたします。

 先ほど、種子法の制定、これまでの歴史的な経緯について、坂本委員から詳しい御解説をいただきました。

 委員おっしゃったとおり、種子法が食料の増産を目的として制定をされたというのは事実でありますけれども、一方で、多種多様な品種を育成することに貢献したというのも事実だと思います。そして、それは国が予算づけをすることによって行われていたと認識をしておりまして、種子法が廃止されたことに伴い、現在、種子の生産、普及に係る業務の民間移行を進める都道府県も出てきております。また、現在は種子の生産、普及に係る業務を継続している都道府県についても、予算の確保の問題等から、今後、業務の継続が困難になるおそれがあると考えております。

 そのような場合、種子の生産、普及に係る業務は民間事業者に委ねられることになりますが、民間事業者の場合、その性質上、利益の追求は重要な行動原理です。そして、種子企業の利益を最大化するのは、生産コストを最小化できる単一品種種子の大量生産、大量販売といった行動であると考えます。

 一方、大きな気候変動や害虫の発生といった事態に備えるためには、それぞれの地域に合った多様な品種を維持することが重要です。そのため、例えば特定の地域ごとで異なる品種を開発する、また、多様化する消費者の嗜好性や用途に合わせた異なる良食味米を開発するといった局所的市場向けの商品開発というのは投資に見合った利益を期待できないので、企業戦略として除外されるおそれがあると考えます。

 このように、種子法の廃止により、これまでの公的種子が民間種子に置きかわることで種子企業の関心に合わない品種特性は軽視、無視されて、将来的に品種の集約が起こる可能性があると考えております。

 以上です。

坂本委員 種子の知見が流出していたというふうに言われました。これまでこの法律があって流出していたのならば、またこれを復活してもやはり流出するわけですよ。知見が海外に流出するのしないのと、この法律とは、復活することによって防ぐことはできません、これまでも流出していたのであれば、そう考えるのであれば。ですから、これは全く、種子の知見の海外への流出、そこからさまざまな問題が起きてくるということは、これは別の、種苗法の新たな問題として考えるものであるというふうに思います。

 それから、民間の方が非常にコスト計算をして、大量生産をして集約されるのではないかというようなお答えだったと思いますけれども、都道府県は都道府県でこれまでどおりやっていくわけです。一番自分の地域に合った種子の生産をやっていくわけです、原種の生産を。そして、それに更に民間が加わるわけですので、私は、バリエーションはふえるというふうに思います。

 多分、これは山田さんも書いていらっしゃいますけれども、農業競争力強化支援法の中でうたわれている農業資材の集約化と混同されているのではないかなというふうに思います。

 もちろん、農業資材の集約化というのは、私たちはやはり段ボール箱、ちょっとしたことでいろんなケース、いろんな段ボール箱をつくりました。ですから、これがコスト高につながっている。あるいは配合飼料あたりも、トウモロコシをこれだけまぜる、あるいは麦ぬかをこれだけまぜるということで、いろんな種類ができました。ですから、これはもう少し集約してコストを引き下げて、そして生産者に販売すべきではないかということでああいう集約化というのを出したわけですけれども、種子に関しての集約というのは全くうたっておりません。ですから、私は、廃止することによってこれは多様化していくというふうに考えます。

 それから、次の質問に移りますが、これは平成三十年四月四日、この農林水産委員会の大串博志委員からでありますけれども、都道府県がしっかりと予算措置を持った上で、安価な種子を提供できる体制を維持し続けていくかというのは非常にやはり疑問があるんですね、そこに民間企業が入ってきて種子を独占するようなことがあってしまうと、非常に高い種子が出回って、結果として高いものを消費者が買わなければならなくなるというようなことになりはしないかというふうに発言をされております。

 どういう事態を想定されて、このように種子が高騰するというふうなことをおっしゃっているのか、お伺いをいたしたいと思います。

金子(恵)議員 お答えいたします。

 これまで、種子法の枠組みにおいて、都道府県が各地域の栽培条件や多様化する消費ニーズに応じて優良品種を生産し、これを国が予算措置で支えることによって、安価かつ安定的に農家に種子を供給してきました。

 しかし、種子法の廃止により、国や都道府県の公的責務が後退することとなれば、公的資金の負担分が種子の価格に上乗せされることにより、種子の価格が高騰する可能性があります。また、種子の生産、流通、販売までが少数の種子会社の手に集中している近年の種子市場の動向を見ると、種子の生産、普及に関する業務を完全に民間の種子会社に委ねてしまった場合、種子会社の販売戦略上有利な自主採種のできないF1種を毎年高値で農家が買うこととなる事態も懸念されます。

 このような種子価格の高騰により、農業生産のコストが増加することとなれば、それは最終的には消費者に転嫁されることになり、消費者が高いものを買わされることにつながりかねないということでございます。

坂本委員 先ほどから何回も言っていますように、都道府県の種子生産は続くんです。ですから、安い米の価格というのは、稲の種子の価格というのは続いていく。それに、民間がどういうような形で新たな需要を喚起するような種子を開発するか、ここがやはり一番の問題であります。

 先ほど言われました、三井化学アグロが開発いたしましたみつひかり、これは非常によくない品種であるというような言い方でありましたけれども、私が聞いている範囲では、コシヒカリなど普通の稲は、大体十アール当たり千二百円であります。みつひかりは一キロ四千円であります。大体十アールに三キロ必要ですので、一万二千円になります。ですから、言われるように、十倍の価格がします、千二百円と一万二千円。一俵分ですね。

 ところが、ヒノヒカリあるいはコシヒカリ等は、やはり九俵ぐらいです、反当たりの収量が。そして、三井化学が開発したみつひかりの場合には、十二俵から十三俵、七百二十から七百五十キログラムとれます。ですから、四俵ぐらいの差があるわけです。一俵高くても、四俵あれば、四俵余計にとれれば、それはどっちを選ぶかというのは農業者のやはり経営手腕です。もちろん、それは、みつひかりの方は、外食米ですので値段が低い。ですから、トータル的にはどっちの方がもうかるかというのはわかりません。しかし、現実的に、今、千五百五十ヘクタールまで作付面積が伸びております。

 これからの水田農業というのは、私のところでは、十三の集落が一緒になって株式会社をつくって、集落営農組織、ネットワーク大津というのをつくっております。ここで、ヒノヒカリをどれだけつくる、あるいは飼料米をどれだけつくる、そして、その中でみつひかりをどれだけ持ってくる、あるいは飼料稲をどれだけつくる、要するに、作付をどうしていくのかというのは、これは農業者のやはり裁量、農業者の経営判断であります。

 ですから、民間企業が開発したのが高いからといって、それがそのまま全て高くなるというのは、これは間違いであります。農家の方々はもっとやはり賢明であります。しっかり経営というものを考えて、何をどう作付した方が一番いいかというものを考えながら、稲、そして大豆、あるいは麦、この作付をやっているわけでありますので、この指摘は当たらないというふうに思います。

 それから、そのほかにも、食料安保とこの種子法の廃止がかかわってくるとか、いろいろな質問があって、私もちょっと理解に苦しむところがあるんですけれども。

 もう一つは、平成二十九年十一月二十九日に、これも亀井亜紀子委員から、これは外圧の問題であります。アメリカの業界等から要請があったのではないか。USTRが、外国貿易障壁リスト、障壁報告書ですね、それに載せているのではないか。だから、その外圧で種子法の廃止が行われたのではないかというような質問をされておられます。

 これに対しては、私は政府の方から答えていただきたいと思いますけれども、外務省の方に、民主党政権時代も含めて、この十年間、アメリカのUSTRの外国貿易障壁リストの中に日本の種子法というのが入っていたのかどうか、リストアップされていたのか、それをお伺いいたしたいと思います。

 それから、農林大臣お見えでございますので、リストアップされていなくても、全米精米協会、精米連合というのがあります、USAライスカウンシルというのがありますけれども、こういうところからさまざまな働きかけがあって、そしてこの種子法廃止に至ったのかどうか。

 外務省と大臣の方にお伺いいたしたいと思います。

小泉政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の方から御指摘ありました外国貿易障壁リスト、これは、アメリカにおきまして一九七四年通商法というのがございます、これに基づきまして、毎年、米国の行政府から大統領と議会に対して提出されている報告書でありまして、アメリカが貿易の相手国に対する関心事項について網羅的に記載したものというふうに考えております。

 これにつきましては、過去十年間にわたってさかのぼって調べましたけれども、我が国の種子法の廃止に関する内容の記述は特段ございませんでした。

齋藤国務大臣 まず、私、大臣を拝命する前、二年間副大臣をやっておりまして、その前は自民党の農林部会長を二年間やっておりまして、もう五年目になっているわけでありますけれども、この間、アメリカないし米国の業界の方から種子法の廃止について要請があったということは、少なくとも私に関する限り一切ありませんでした。

 それから、この障壁リストには、多くのアメリカの業界団体が何とかしてほしいというものが、ほとんど、ほぼ全て網羅的に載っているわけでありまして、アメリカ政府は、その中からほんの一部を、これはいけるというものを取り上げて、交渉しないかというふうに働きかけてくるわけでありまして、このリストにさえ載っていないものがアメリカの意向であったと考えるのは、立論として私は無理があるというふうに思っております。

坂本委員 大臣は、役人時代にアメリカとの自動車交渉で辣腕を振るったというふうに聞いておりますので、まさにそういう事実がないということは、こういう外圧によって廃止をされたというのはやはり事実誤認というふうに言わざるを得ないというふうに思います。やはり、これは一つの風説でしかないというふうに思います。

 それから、これから国の予算がどうなるのかという問題があります。この種子法に関する予算措置というのは、もう既に補助金から交付金化されております。地方交付税化されているところであります。ただ、これまでは種子法がありましたので、主要農作物種子法というものを一つの根拠に地方交付税というもので予算措置をされていたわけでありますけれども、今後、何を根拠にこの地方交付税というものを交付されていかれるのか。

 総務省、非常に頑張って、今回、そしてこれからも予算措置をしていくというようなことでありますので、ぜひその辺のところを総務省にお聞かせいただきたいと思います。

境政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年四月一日に主要農作物種子法が廃止をされましたが、都道府県は、その廃止後も、圃場審査などに関する事務につきましては種苗法に基づきまして、また、原種圃の設置などに関する事務につきましては農業競争力強化支援法に基づきまして、それぞれ従前と同様に実施することが見込まれると伺っております。

 これを踏まえまして、総務省といたしましては、引き続き、これらの事務に要する経費につきまして地方交付税措置を講じることとしているものでございます。

坂本委員 予算措置についても、各都道府県が仮に民間委託しても、それは交付税措置として措置されるということですので、私たちは、予算的には心配ない、そして、各県がそれぞれの裁量を持って、これから種子の生産、あるいは技術開発、そういったものに励むのであろうというふうに思います。

 私の地元の熊本県に、種子法の廃止についてどう思うかというようなことを聞いてみました。もちろんメリットがあるわけではないけれども、デメリットがあるわけではないと。メリットがあるとするならば、それは、民間と提携をして、連携をして、役割分担をしながら、より選択肢が広げられる、こういうことがメリットとして挙げられるというようなことを言っておりました。

 そして、熊本県では、皆さんのもとにお配りしていますけれども、「主要農作物種子法は廃止されましたが、稲・麦・大豆の種子の安定供給はこれまでどおり行います。」ということを、各農協、市町村、あるいは農家にお配りをして、そして、このようにして、これまで以上の生産流通体制をやりますというようなことを皆さんたちに公開、報告をしているところでございます。

 こういうようなさまざまな自主性の動きは、廃止を機にいろんな都道府県で出てきているのではないだろうかというふうに思います。更にそれが広がっていくのではないだろうかというふうにも思うところでありますけれども、今、どういう傾向が出ているのか、また、各都道府県によって、そういった民間とのさまざまな提携、これを実施に移そうとしている都道府県があるのかどうか、これを農林水産省にお伺いいたしたいと思います。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年六月時点におきまして、農林水産省が都道府県の担当部局からお聞きしましたところ、全ての都道府県におきまして、平成三十年度も前年度とおおむね同程度の予算を計上し、種子供給に係る事務を実施する方針であるというふうにお聞きをしております。

 そういった中で、いろんな動きが出てきております。例えば、民間開発品種を含めた多収性品種の導入のための実証事業に新たに取り組む県、また、他県や民間企業にも良質な種子を供給できるように原種生産の施設を新たに整備しようとされている県、さらには、種子産地強化計画を策定する地域において、種子生産の担い手の掘り起こしですとか技術継承を新たに支援する県、そういった動きが出てきております。種子法廃止の考え方を踏まえまして、民の力を生かした種子供給体制や種子生産力の強化に取り組む県が出てきているというふうに認識しているところでございます。

 農水省といたしましては、こうした状況を踏まえた場合に、種子法廃止の考え方を踏まえた新たな動きが現場でも進んできているというふうに認識をしているところでございます。

坂本委員 私たちが考える以上に、やはり農家あるいは都道府県はそれぞれ、自分たちの地域の特性、こういったものを考えながら民間とも連携して、これが非常に進んでいるということであります。

 先ほど言いましたように、昭和五十三年の種苗法の改正、農産種苗法から種苗法になって、知的所有権がかなり厳しいものになって、そして稲、麦、大豆もそっちの方にまた再度組み込まれた、そのとき、あるいは六十一年の民間参入を認めたとき、そして平成十年の種苗法の大幅改正、このときに、やはり軌を一にして、この主要農作物種子法というのは廃止をされてしかるべきであったわけでありますけれども、以降、やはりこの形だけが続いてきたということであります。

 それは、もう減反政策に入っていますので、あるいは米余りの現象になっておりますので、先ほど言いましたように、各都道府県がブランド米に走った。こちらの鈴木先生の山形県ではつや姫を、私のところでは森のくまさんを、あるいはあきたこまちを、あるいは魚沼産コシヒカリを、さらには、北海道ではななつぼしを、こういったいろんなブランドをこの枠組みだけを使ってやってきたというのがこれまでの現状であります。

 私は、ここで、やはり種子法が廃止になって、そして新たなスタートを切って、用途に応じた次の品種を開発する、これがこれからの農政のあり方であり、その品種を見ながら、各農家が自分の裁量で、水田経営に資するような経営対策を自分たちの力で考えていく、自分たちの能力で考えていく、こういう農業になっていかなければ、今後の水田農業のおもしろさも、おもしろみもなくなってくるというふうに思います。

 私たちは、一点、野党の皆さんたちと共通するところは、規制改革推進会議が提言したことについては、これはやはり非常に疑問の余地もあります。それを党内でやはり論議をしていかなければなりません。

 今回の市場法につきましても、これは森山国対委員長を座長に、九回の会合を重ねました。そして、いろんな現場の人も来ていただきました。最終的には、これを削除しないならば、この公共性を認めないならば、国対委員長としてこの法律を通さないというところまで森山座長は腹をくくられたんです。

 農薬取締法につきましても、ここにお見えの藤井先生を座長に、四回のPTをやりました。再評価が三年から十五年になる、そうすると安全性に疑問があるのではないかというようなことでありましたので、毎年のモニタリングというのをそこにつけ加えて、修正をして出していった。

 私たちは、このように、やはり現場の声を聞いて、そしてこれからの農政にも資するような、そういう対策をしております。

 委員長も筆頭もそうでありますけれども、北海道の生乳の流通改革のときに、指定団体廃止が出たときもそうでありました。私も畜酪小委員長として何回、根釧地区、釧路、根室、この地区に行ったかわかりません。そして、最終的に修正案をまとめたのは、夜中の、午前零時前でございました。そして、翌日の八時からの農林部会合同会議で皆さんの御了承を得たというようなことで、大変な苦労をしながらこの規制改革推進会議に対しては私たちも立ち向かっているところでございますので、この辺はお互いに協力するべきところは協力しなければいけないと思いますが、この種子法、主要農作物種子法の廃止につきましては、これは規制改革推進会議とは関係なく、やはり時代の流れとして、ここで区切りをつけておかなければいけないものであるということを主張いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次回は、明七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十七分散会


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