第21号 平成30年6月7日(木曜日)
平成三十年六月七日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 伊東 良孝君
理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君
理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君
理事 福山 守君 理事 佐々木隆博君
理事 緑川 貴士君 理事 佐藤 英道君
池田 道孝君 稲田 朋美君
上杉謙太郎君 大西 英男君
加藤 寛治君 金子 俊平君
神田 憲次君 木村 次郎君
岸 信夫君 小寺 裕雄君
高木 啓君 谷川 とむ君
西田 昭二君 根本 幸典君
野中 厚君 藤井比早之君
藤原 崇君 古川 康君
宮路 拓馬君 山本 拓君
石川 香織君 大河原雅子君
神谷 裕君 亀井亜紀子君
宮川 伸君 後藤 祐一君
関 健一郎君 江田 康幸君
大串 博志君 金子 恵美君
田村 貴昭君 森 夏枝君
寺田 学君
…………………………………
農林水産大臣 齋藤 健君
農林水産副大臣 礒崎 陽輔君
農林水産大臣政務官 野中 厚君
政府参考人
(消費者庁審議官) 橋本 次郎君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 天羽 隆君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 井上 宏司君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 大澤 誠君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 荒川 隆君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 柄澤 彰君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 別所 智博君
政府参考人
(林野庁長官) 沖 修司君
政府参考人
(水産庁長官) 長谷 成人君
政府参考人
(特許庁審査業務部長) 花木 出君
農林水産委員会専門員 室井 純子君
―――――――――――――
委員の異動
六月七日
辞任 補欠選任
神田 憲次君 根本 幸典君
古川 康君 谷川 とむ君
細田 健一君 大西 英男君
宮路 拓馬君 高木 啓君
神谷 裕君 宮川 伸君
同日
辞任 補欠選任
大西 英男君 細田 健一君
高木 啓君 宮路 拓馬君
谷川 とむ君 古川 康君
根本 幸典君 神田 憲次君
宮川 伸君 神谷 裕君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
都市農地の貸借の円滑化に関する法律案(内閣提出第四三号)(参議院送付)
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○伊東委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官天羽隆君、大臣官房総括審議官横山紳君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官塩川白良君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長荒川隆君、政策統括官柄澤彰君、農林水産技術会議事務局長別所智博君、林野庁長官沖修司君、水産庁長官長谷成人君、消費者庁審議官橋本次郎君及び特許庁審査業務部長花木出君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○伊東委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。根本幸典君。
○根本(幸)委員 おはようございます。自民党の根本幸典でございます。
きょうは、質問の機会をいただいたことに、委員長、そして理事の皆様方に心から御礼を申し上げたいというふうに思います。
さて、私の地元、豊橋市、田原市なんですけれども、もともとは決して農業の盛んな地域ではありませんでした。今から五十年前に豊川用水が通水をしました。ことし、ちょうどその五十周年の年になります。その前は、渥美半島の先端などは、半農半漁という形で、決して豊かな地域ではないということでありました。特に芋の生産は一生懸命やっていたんですが、なかなかそれだけでは御飯を食べられない。その一方で、芋からでん粉をとっていましたので、そのでん粉を使いながらお菓子を一生懸命つくっているということで、その伝統は今でも脈々とつながっていまして、結構、お菓子、全国的に有名な、例えばブラックサンダーとか、こういうのも派生しながら、そういった歴史の中に今そういうお菓子もやっているというところであります。
そういう意味では、水のありがたさというのは、我々、地元の皆さんはよくよくわかっていますし、私も小学校のとき、畑の中を通学していたので、当然のごとく水がありまして、畑に蛇口があって水がどんどん出るんですね。これが当たり前だと思っていたんです。
ただ一方で、いろんなところを国会議員になってから視察をさせていただくと、まだまだかんがいがされていない地域がたくさんありまして、先日も種子島に行きましてサトウキビを見させていただいたんですけれども、風台風が来る、そうしますと、潮をかぶって生産が思うようにならない、ただ、かんがい施設がないので雨をひたすら待つ、こういうようなところがまだまだありますので、そういった意味では、この日本の農業を考えるときには、こういったかんがい施設、まだまだ土地改良を含めてしっかりやっていかなきゃならないんだなというふうに思っているところであります。
さて、実は、礒崎副大臣におかれましては、昨年、私の地元にお越しをいただいて、園芸農業、幾つか現場を見ていただいたんですね。一つはパワーアップ事業でつくっていましたトマトの施設、それからもう一つが、マムポートといいまして、菊の産地なんですが、その菊を、昔はそれぞれ自宅で選花をしていたんですが、それではなかなか、夜ひたすら選花して、生産を思うように拡大できないということで、集団で、そういった菊の選花場をつくらせていただきまして、そういったものをつくって、より生産性を高めて一生懸命やろうという現場も見ていただきました。
そこで、礒崎副大臣にお伺いしたいんですが、その現場を見ていただいた感想と、それから、園芸農業の現状をどういうふうに御認識されたのかということをまずお伺いしたいというふうに思います。
○礒崎副大臣 お答えいたします。
渥美地域と呼ばれる豊橋市と田原市の地域は、今お話あったように、豊川用水の恩恵がやはり本当に大きいんだなと思っております。園芸、畜産を始め多種多様な農業が営まれて、全国的にも、露地野菜やトマト、菊等の施設園芸では全国屈指の産地でございまして、特に田原市の方は生産額が三年連続日本一ということで、しかも、野菜と花卉と畜産が全部バランスのいい生産額になっておりまして、本当に、私も大変、びっくりしたというか、敬意を表したいと思っております。
その中で、豊橋市では、環境制御技術を取り入れたミニトマトの生産を見てまいりましたし、また、エディブルフラワー、食用花とか、大葉とかを見ました。
食用花は、そのまま食べてもおいしくはないんですけれども、たくさん試食させていただき、いろいろな花を食べてみましたし、特にやはりびっくりいたしましたのが、輪菊のマムポートセンターでありまして、こちらから菊を置けばそれがずうっと行って、大きさでぱっぱっぱっと選別して、それを結束して箱に詰めるまでが、全てが、昔の言い方をするとオートメーションというんでしょうけれども、ずうっという物すごい速さでやっていまして、すごい機械があるんだなとびっくりいたしました。ただ、それももうかなり古い機械のようで、また更新とか拡大を考えているというようなお話を伺ったことでございまして、先ほどもおっしゃったように、もともと芋しかできないところに、いろいろな皆さんの努力でここまでの生産額になってきたんだと思います。
こうした先進的な地域が我が国の農業をリードしていくことが大事でして、地域の取組を引き続き支援するとともに、他地域へのまさにリーダーとしての横展開も、模範となるものだと思いますので、支援してまいりたいと思います。
こういう取組に対して、改めて敬意を表したいと思います。
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
その際、生産者の方からいろんな御要望も出ました。その一つが、今国会の中で法律改正していただいた件なんですが、施設に、今いろいろコンピューター化されて、結構コンクリートを敷いているところがたくさんありまして、そういうところを見て、これをこのまま農地から宅地にされると固定資産税が大変だということで、実際に副大臣にも直接聞いていただきましたし、またその後、実は伊東委員長にも、その施設、別の施設だったんですが、お越しいただいて、そういった声を聞いていただいて、その声を農林水産省がしっかりとお聞きいただいて、今国会の中でしっかりと対応していただいたということに地元の農業者の皆さんは大変喜んでおりましたので、この場をかりて御礼を申し上げたいというふうに思います。
その一方で、この産地パワーアップ事業、いろいろ、トマトを今一生懸命やっているんですが、新規に産地パワーアップ事業でトマトをやりましょう、更に増設をしてやりましょう、こういった方にはしっかりと応援をしていただいているんです。ただ、私たちのところは昔からこの施設をずっとやっているんですね。
たどりますと、昭和の初期に、吉田方という地域に、豊橋の駅から十分ぐらいのところなんですが、中島さんという方がいて、ずっと研究をされてやっている、そういう歴史がありますので、その産パワが始まる前からトマトを施設でやっているんです。
そういう方が、今度は建てかえをしよう、やはりこれからは水耕栽培も含めてやっていく必要があるからやっていきましょう、こうなりますと、今度は更新ということになるんです。ただ、今までも一生懸命努力をしていたので、生産量を、収量を一〇%上げるというのはなかなか難しいんです。ボリュームもありますから、大きくやっていますから、ボリュームがあるところに一〇%上げようというと、なかなか難しいんです。そうしますと、今度ついていこうとすると、なかなか、今までの既存の生産者というのは結構御苦労されているんですね。
そういう意味では、ぜひ、この産地パワーアップ事業とか含めて、既存の農家に対してどういうふうに支援をしていくかということも非常に私は大切だというふうに思っていますので、その辺、どのようにお考えか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
産地パワーアップ事業でございますけれども、地域一丸となって収益力の強化に計画的に取り組む産地を総合的に支援するものでございまして、農業の国際競争力の強化を図るために、これまで、生産コストの低減ですとか販売額の増加、そういう成果目標を設定することを要件としてまいりました。
ただ、この成果目標につきましては、今お話ございましたとおり、先進的な産地ほどさらなるコスト削減などが難しいという現場の声があることは私ども聞いてございまして、こういう現場の意見を踏まえまして、この目標に、所得額の増加ですとか輸出量の増加などの新しい成果目標を追加してまいりました。
こういう既存施設を有しております先進的な産地におきましても、新しく追加された成果目標の活用も御検討いただきまして、これまでよりも機能が強化されました施設の整備を契機として、さらなる競争力の強化に取り組んでいただけるものというふうに考えてございます。
引き続き、現場の御意見を聞きながら、これまでの実績も踏まえて所要の見直しを行いつつ、効率的、効果的な事業の実施に取り組みまして、我が国農業の体質強化を図ってまいりたいと存じます。
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
このトマトは、特にミニトマトに関していきますと、若い方が結構競争して、頑張ろうというふうにやられているんですね。投資額も今までと多分丸一個違いまして、億単位で投資をしてやっていこうと。それで、競争しますと、向こうは新規なのでもらったけれども、私のところはなかなか老朽化した施設でもっとやりたい、しかも生産性を上げたいんだと。
要するに、数だけではなくて、パートさんとかあって、自分が手が離れて、自分はまた新しい農業に参加していきたいということで、自分自身の、農業者の手をあけるためにも、そういった事業をやることによって、また新しい農業、さらには付加価値のある農業をやっていきたい、こういう強い思いがありまして、そういう意味では、頑張っていこう、そして挑戦していこうという若い農業者は、ぜひ私は応援をしていただければというふうに思います。
それと同時に、あと、ことしはトマトの価格の問題というのも出てきているんですね。大玉、さらにはミニトマト、二つあるんですが、大玉の方は、どちらかというともう数年前から数字が余りよくない。ミニトマトの方は、ことし全体的に下がっている。特に、ブランド化していたものが今回下がっているというのが大きいんです。
副大臣も食べていただいたと思いますが、「あまえぎみ」というブランドがありまして、これは、豊橋の中で、若い生産者が一生懸命自分たちでブランドを育てて、仲間でやっていって、糖度も高くて結構好評だったんです。ところが、残念なことに、ことしになってその価格が伸び悩んでいるというか下落をしていて、ほかのものは、大体一般的なものは一割弱ぐらいなんですが、そのものに関しては二割とか三割下がっているというような状況で、一生懸命やっていくんだけれども、そういった市場にのまれていって、ただ、人によっては補助金をもらわずに全額自己資金でやっている方もいらっしゃって、やはりこの価格の乱高下というのは結構、返済も含めて大分大変になるんです。
そういう意味では、ぜひ、こういったものに関しては何らかの対応をしていかなきゃいけない。これは、今ハードはつくりましたから、ブランド化とか、宣伝とか、あとパッキングに工夫するとか、いろんな形で応援をしていく必要があるというふうに思いますが、このトマトのこれからの価格、どういうふうに考えているのか、そして、そういう下落に対して、ソフト面を含めて、どんな対応を考えているのかというのをお伺いしたいというふうに思います。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
トマトの価格でございますけれども、本年二月ごろから、大玉、またミニトマトともに、平年を一、二割下回る水準で推移をしてございます。
この理由といたしましては、この二年ほど、秋冬にかけてのトマトの価格が高値でございましたので、特にミニトマトで主産地の熊本県、宮崎県で作付面積が増加したということ、あと、本年の三月以降に天候が良好に推移いたしまして生育が良好となったということで、大玉トマト、ミニトマトともに、出荷数量が平年を上回ったことがあるのではないかというふうに考えてございます。
また、御指摘がございました豊橋市では、「あまえぎみ」というミニトマトのブランドが確立されて、非常に高い単価で取引されているというふうに承知していますけれども、JA豊橋によりますと、近年、出荷数量の増加に伴って、本年の価格は例年よりも安い水準で推移しているという現状にございます。
このトマトのブランド化に当たりましては、消費者のニーズに対応した品質を実現する生産技術の確立ですとか、一定の糖度を保証して安定的に供給できる出荷、流通体制の確保ですとか、統一パッケージ等による差別化等の視点で、各産地で取り組まれてございます。
農林省としても、そういう生産技術等に対する普及指導等に加えまして、糖度センサーですとか自動選果機、パッキング施設の導入等、ブランド化の強化に向けた取組を今後とも支援してまいりたいというふうに考えてございます。
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
若い人たちが、いろんな形でまた新しいブランドを立ち上げようということで、先週もそんな話も聞かせてもらったんですが、やはりいろんなことに挑戦して開拓をしていこう、新しい農業をやっていきたい、こういう強い思いがありますので、ぜひ、ソフト面、ハード面、両方で、いろいろな形で御支援いただきたいというふうに思います。
それから、あとは人手不足というのも大変大きな問題があります。
と申しますのも、こうやって施設をつくりますと、大体三十人とか四十人ぐらいパートさんを使ってやっていくわけであります。私の愛知県は自動車産業も結構盛んでして、やはりそことの人のとり合いになるわけです。それでいながら、実は、渥美半島の先端、伊良湖岬は、名古屋から大体二時間以上かかるんです。だけれども、最低賃金は名古屋、さらには自動車産業と一緒なんです。
豊橋の一部の地域は、隣の静岡県と、県境と、本当にすぐそばでこのミニトマトをつくっているんですが、片や愛知県の場合は最賃が八百七十一円、そして静岡県が八百三十二円と、四十円ぐらい違うんです。そうしますと、わずか数百メートル、場合によっては一キロとか、そういうところでこれだけ違うと、なかなか生産コスト削減、大変苦労をしているんです。
そういう意味では、こういった施設をつくって新しい取組をするんだけれども、いろんな要因がある。価格の問題もありますし、さらには、コストを下げようと思ってもなかなか下げられないという問題があります。
そういう意味では、ここはひたすら改革を常にしていって、新しい取組をしていって生産性を上げていくという不断の努力をしていかないと、はい、施設をつくりました、では、あとはもう、施設をつくればバラ色になっている、現実はそうではないので、その後も努力をずっと続けていかなければ、なかなか農家としては黒字になっていかないというのが実態だというふうに思います。
そこでお伺いをしたいんですが、こういった生産性を上げるとかコスト削減をするということに対して、施設をつくった後、農水省としてどのような支援をしていただけるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
○礒崎副大臣 お答えします。
全国的に人手不足があらゆる産業で今深刻になっておりまして、政府全体としても労働力の確保ということはやっていかなきゃならないと思いますが、今の御質問は農業を行う中での生産性の向上というお尋ねだと思いますが、まずは単収の向上、省力化等の労働生産性の向上を上げていくことが一番重要だと思います。
農林水産省としては、次世代施設園芸技術習得支援事業により、単収の向上に資する環境制御技術や、労働生産性の向上に資する省力化技術等の実証及び実証温室での研修受入れに対する支援も行っております。また、産地パワーアップ事業によりまして、生産性向上に資する環境制御装置や自動走行式防除機等の導入に対して支援をしているところでございます。
また、豊橋市でも次世代施設園芸による生産性向上に真剣に取り組んでおられると聞いておりまして、人口減少社会を迎え、ますます人手不足が顕在化すると思われます。こうした豊橋市での取組成果の横展開を図るとともに、先ほど言いましたような、引き続き、施設園芸に対する単収の向上や労働生産性の向上の取組にしっかりと支援をしてまいりたいと思います。
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
それでは、今度は花卉について少しお伺いをしたいんです。
菊の産地であります。子供たちの教科書の中にも電照菊という言葉がありますように、菊の産地でありますが、この収量は残念ながら年々年々下がってきているというのが実態であります。単価も、去年はよかったんですけれども、ことしは少し価格も下がっているという形で、農家の皆さん、これからどうなっていくんだろうということで大変心配をしています。
先日、フラワー需給マッチング協議会というのを花卉産地とか卸とか実需者が立ち上げて、勉強会を開いた。その中に農水省の皆さんも入っていただいてやっていただいているということです。
この間、農業新聞にも出ていたんですけれども、まだまだ産地がやらなきゃいけないことはたくさんあるよというようなことで書いていただいて、例えば、物日に適量が出荷できていないとか、あとは、高齢化で産地が気象変動リスクを軽減できていない、さらには、いい商品が多いので、そうじゃなくて、もう少し価格の安いものをつくってほしいよ、こんなようなことが書いてあるんですけれども、産地はやはりいいものをつくりたいんです。
そして、やはり今、私どもの産地は、自分のところが産地だから、きちっと商品を生産して、それを供給して、外国産のものが入ってこないように、我々として責任を持って頑張っていくんだ、これぐらいの強い思いを持って若い人がやっているんです。特に、マックスとかいろんな形のチームをつくって、一生懸命頑張っているんですね。
そういう意味では、産地としてもこれから頑張っていきますけれども、国としてこういった産地をどういうふうに応援していただけるのか、最後にお伺いをしたいというふうに思います。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
国産の花卉の振興を図る上で、生産対策と需要拡大対策、まさに車の両輪でございまして、国産花きイノベーション推進事業におきまして、生産者と流通業者が連携して取り組むマーケットインの産地づくりですとか、フラワーフライデーですとかフラワーバレンタインなどの新たな物日の創出等の支援を行っているところでございます。
御指摘ございましたとおり、需要を拡大していくことを産地だけで取り組むというのは困難でございます。産地、流通、市場関係者が一体となって取り組むことが重要でございます。
いろいろな花でいろいろな取組が行われてございますけれども、例えば菊については、葉っぱを取らずにすぐに使えるサイズのものが欲しいという実需の声に応えて、産地と流通が一体となりまして、通常八十センチから九十センチの流通の菊を六十センチから八十センチに短くする、そのようなアジャストマムの規格導入にも取り組みました。
これによって、産地にとっては輸送コストが削減されましたし、流通、販売サイドにとってはごみの削減という効果も実証されてございます。これが、愛知、滋賀、長野、香川の産地でも実用化に向けて取組が開始されております。
さまざま、ほかに、お盆用の需要期での安定出荷を目的とした露地での電照栽培の実証ですとか、いろいろな取組が、産地、流通、市場関係者と一体となって行われてございますので、引き続きこのような取組を積極的に応援してまいりたいというふうに存じます。
○根本(幸)委員 ありがとうございました。
いろんな取組を地元でもやっていまして、例えば菊に関しても、白い菊を結婚式のブーケで使うということも取り組んでいますので、いろんな取組、産地でもやりたいと思いますので、ぜひ引き続きの応援をお願いして、質疑を終わらせてもらいます。
ありがとうございました。
○伊東委員長 次に、佐藤英道君。
○佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。
初めに、経済財政運営と改革の基本方針二〇一八、いわゆる骨太の方針についてお伺いをしてまいりたいと思います。
我が国の農林水産業を取り巻く大変に厳しい環境のもとで、農林水産省は、齋藤大臣を中心に、攻めの農業を掲げて、農業の成長産業化に懸命に取り組んでおられていると思います。
同時に、食料安全保障への取組、具体的には、日本の農を守り、農家の皆さんに安心して生産していただける環境づくりが極めて重要であります。
過去には、EPAやFTAなど自由貿易協定は、我が国農林水産業への犠牲とセットで考えられがちでありましたけれども、しかし、TPPの議論が始まって以降、JA始め関係者が一団となって努力を続けてきたことで、我が国では、守るべきは守るという考え方が貿易交渉の大前提として定着してきたのではないかと考えます。関係者のこうした努力に対して、しっかりと応えていかなければならないと考えております。
そこでまず、新聞等でも報道されておりますが、この骨太方針に、昨年は食料安全保障に対する言及がなかった。ことしは当然入っていると思いますけれども、まずこの点、確認をさせていただきたいと思います。
また、白書についても厳しい指摘を受けておりますが、いわゆる自給率四五%実現への具体的な道筋を明確に示すべきということであります。
この食料安全保障への取組、自給率向上への取組について、改めて大臣の御見解を伺いたいと思います。
○齋藤国務大臣 食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国家の国民に対する最も基本的な責務の一つであると考えております。世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有している中で、食料の安定供給を図るためには、食料自給率目標を掲げ、国内生産の増大を図る、こういったことが重要であると認識をしています。
一方で、我が国の農林水産業は、人口減少に伴うマーケットの縮小や、農林漁業者の減少、高齢化の進行、耕作放棄地の増大など、大きな曲がり角に立っていると認識しています。
このような中で、我が国の農林水産業に活力を取り戻し、若者たちが創意工夫を存分に発揮できる、魅力ある成長産業にしていくためには、消費者ニーズに応えた付加価値の高い農産物の生産、販売や成長著しい海外マーケットの開拓を進めるとともに、農林水産業の構造改革を進めていく必要があります。言葉をかえれば、こういった改革をしなければ、更に自給率が下がっていく可能性があるというふうに考えています。
このため、安倍内閣におきましては、農林水産業・地域の活力創造プラン等に基づきまして、米政策改革や六次産業化、輸出促進、農地集積バンクによる農地の集積、集約化、六十年ぶりの農協改革、生産資材価格の引下げや流通、加工構造の改革など、農政全般にわたる改革を精力的に進めるとともに、林業や水産業の改革にも着手をしております。
今後とも、農業者の意見を受けとめながら、農林水産業を産業として強くするための施策、これがまだ足りないと思っていますので、積極的に進め、食料安全保障の確立を図っていく決意でありまして、このことは、六月五日に公表された骨太の方針二〇一八の原案においても明確に示されているところでございます。
○佐藤(英)委員 次に、骨太の大きなポイントであり、大変に注目を集めているのが、外国人材の活用でございます。
現在、特区で受け入れている外国人については、技能実習三年を経ていれば、日本語能力や技能について必要な要件を満たしているとして検定などの免除を行っており、この制度を準用するなら、人手不足に悩む現場では大変に喜ばれるとも思います。
私の住んでいる北海道などは、冬季積雪寒冷の影響で、農林水産業や水産加工など食品産業におきましては、受入れに物理的な制限があり、現在の制度では十分な実習を行えないのが実情でもあります。
一方、現行の特区制度では、在留の年限を通算でカウントすることから、雇う側、雇われる側ともにメリットのある仕組みであり、これも新しい制度に準用されればと期待が高まっているところであります。
以上を踏まえまして、骨太で示された外国人材の活用について、農林水産業や水産加工など食品産業での必要性、また、これから議論が進むと思われる制度のたてつけについてはどのような観点が重要と考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○野中大臣政務官 お答えいたします。
農林水産業を始め現場からは、有能な外国人材を継続的に雇用できる法制度等の整備を要望する声が寄せられておりまして、農林水産業の現場における外国人材の活用ニーズは今後とも一定程度見込まれるものと認識をしております。
六月五日の骨太方針の原案で示された新たな外国人材の受入れについては、現時点で、受け入れる対象分野や具体的なスキームは決まっておりませんが、農水省としましては、近年、外国人材の活用のニーズが高まっていること等を踏まえ、積極的に対応してまいりたいというふうに思っています。
その際、農林水産業の持つ専門性や季節によって異なる場合がある等の特性についても、十分配慮してまいりたいと存じます。
○佐藤(英)委員 よろしくお願いしたいと思います。
次に、スマート農業について何点かお伺いさせていただきたいと思います。
ソサエティー五・〇の考えに基づきまして、ICTやAIなど新しい科学技術を活用した生産性革命があらゆる分野において進められております。農林水産業の分野におきましても、この新たな技術による生産性革命への取組が官民相互の協力のもとに推進をされているとも承知をしております。
昨年、齋藤大臣が北海道にお見えになった際に、岩見沢で、自動運転のトラクターなどを活用している農業法人を御視察されました。人手不足を解消するとともに、熟練の技術を要する農作業を誰もが安心した技術で行えるという点でも、成果が期待されると思います。また、ドローンを活用した農薬の散布や直まきなどは、圃場管理の技術との併用によって精密農業を実現し、収量を大きく伸ばすなど、より効率的な農業を実現するとも伺っております。
農林水産省は、二〇二五年に全ての農家においてこのスマート農業が取り入れられることをKPIに掲げておりますが、コスト面での課題も多く、今のままでは、さきに述べたような先端農業に取り組むのは一部の大規模法人にとどまるのではないかという懸念もあります。
現在、低コスト化に向けて研究開発も進んでいるとも承知しておりますけれども、今後、より早い社会実装を実現していくためには、農林水産以外の分野で活躍する先端企業や研究機関など、より幅広い分野から情報と発想を移転する努力も求められると思います。御見解を伺いたいと思います。
○別所政府参考人 お答え申し上げます。
ICT、AI、またドローンなどの先端技術につきまして農業分野での積極的な活用を図るスマート農業につきましては、人手不足の解消、また生産性の向上等の課題を克服していく上で、大きな可能性が期待できるものと認識しております。
このような技術の社会実装を着実に推進していくためには、低コスト化や使い勝手の向上など、現場のニーズを十分に踏まえて研究開発を進めていくことが必要でございます。そのためには、今御指摘いただきましたとおり、農業分野にとどまらず、情報科学あるいは工学などさまざまな分野の発想や研究成果を導入し、効率的な取組につなげていくことが重要と考えてございます。
こういった観点を踏まえまして、例えばでございますが、すぐれた衛星測位技術を有するベンチャー企業が開発中の準天頂衛星対応の低価格の受信機を農業機械の自動走行技術に応用するための研究開発、あるいは、人工知能技術を有する大手電機メーカーによる、人工知能の画像解析を活用した果菜類の収穫ロボットの研究開発、あるいは、工学系の大学が開発中のロボットハンド技術を活用した軟弱な青果物の選果、箱詰めの自動ロボットの研究開発などなど、農業分野以外の先端企業あるいは研究機関と連携した取組に努めているところでございます。
○佐藤(英)委員 今お話しさせていただきました先端的なスマート農業の社会実装を目指す一方で、地に足のついたスマート農業の推進も重要であります。
二〇二五年のKPI達成については、主にスマートフォンなどの端末を用いた生産技術の共有などが最も普及すると考えられます。その際に課題となるのが、ITリテラシーの問題であります。
現在でも、スマートフォンはどちらかというと若年の世代ほど自在に使える傾向がありますが、就農者の平均年齢が六十六歳を超える実態を考えれば、端末やソフトウエアを年代問わずわかりやすく使いやすいものにしなければならないと思います。また、実際にそうした基礎的なITへの理解を更に醸成していかなければならないであろうとも考えますけれども、高齢者層と若者世代をつなぐミドル人材とも呼ばれる、こうしたリテラシーの課題解消に当たることができる人材を現場で豊富に確保することも極めて重要であると考えますが、御見解をいただきたいと思います。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
スマート農業技術を本格的に普及させるためには、農業者に対しまして技術をわかりやすく説明し、データを分析して農業者に営農指導できる能力を持った人材の確保が重要であるというふうに考えてございます。
農林水産省といたしましては、こうした活動を担う人材として、普及指導員が重要であるというふうに考えてございます。例えば宮崎県では、ピーマンの生産部会の農業者が収集した気象とか収量のデータを民間のコンサルが解析をいたしまして、それに基づいて普及指導員が技術指導に反映するという取組を行っておりまして、その結果、部会全体の収量が飛躍的に向上するとともに、スマートフォンを活用してデータを絶えず検証するという取組が習慣づけられまして、農業者のITリテラシーも向上するというよい循環も生まれてきているところでございます。
こういう取組を、高齢者ですとか若手で構成される産地全体により広く展開していくために、農業者、普及指導員、農機メーカー、またICTベンダー等が一堂に会しまして、スマート農業技術を導入した農業者ですとか自治体の取組事例、メーカーからの技術情報提供を行うスマート農業推進フォーラムを平成二十八年度から開催してございますとともに、普及指導員を対象としたICTの研修も平成二十九年度から実施をしているところでございます。
今後とも、こういう取組を強化しながら、スマート農業技術に関して現場指導に当たることができる人材の確保を進め、スマート農業の普及に取り組んでまいりたいと存じます。
○佐藤(英)委員 どうか効果的な、またきめ細かい対応、対策をお願いしたいと思います。
また、このスマート農業の質や量にかかわらず、新規に導入する際にはどうしても一定の投資が必要となるわけであります。
現在も、経営体育成支援事業や産地パワーアップ事業など、スマート農業の導入促進に支援を進めているところと承知をしておりますけれども、今後、ニーズは右肩上がりに上がっていくものと思っております。また、自動運転や圃場管理、また営農管理など、本格的なスマート農業に取り組む意欲ある生産者に関しては、大規模な農地整備や土地改良事業を行っていく必要性も当然出てくると考えます。
こうしたスマート農業の導入を促進する上で、必要となる予算についてしっかりと確保に努めることも重要であると思います。同時に、きめ細やかな支援のあり方についても早急に検討を進めるべきではないかと考えますけれども、御見解をいただきたいと思います。
○荒川政府参考人 お答え申し上げます。
農業者の減少ですとか高齢化が進む中で、土地改良事業を通じまして、自動走行農機ですとか自動給水栓といいましたICT技術を活用したスマート農業に積極的に取り組み、農作業や水管理に係る省力化ですとかコストの縮減を推進することは極めて重要であると認識をしておるところでございます。
これまでも、土地改良事業におきましては、自動走行農機に対応しました農地の大区画化ですとか、農業水利施設の遠隔監視、操作を可能とするICTを用いた水管理省力化技術の導入といった施策を進めてきたところでございます。
また、本年度、平成三十年度からは、国営かんがい排水事業におきまして、水源から圃場までの効率的かつ的確な用水配分を行うための水管理システムの導入を検討するモデル事業を全国九カ所で開始したところでございまして、こういった成果を活用しまして、他地区におけます新たな水管理システムの構築を推進していくこととしておるところでございます。
先生御指摘ございましたように、こういった施策を進める上では、予算の確保は大変大事でございます。スマート農業の円滑な導入に向けまして、農業者の皆様方のニーズに応じましたきめ細やかな基盤整備を計画的に推進できるような、必要な予算の確保にしっかり努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○佐藤(英)委員 どうか、きめ細やかなニーズというお話がありますけれども、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
最後に、地元北海道における国有林の問題を伺ってまいりたいと思います。
二〇二〇年、民族としてのアイヌの尊厳を尊重し、アイヌの歴史や文化などを復興するナショナルセンターとしての目的を持つ民族共生象徴空間が整備をされます。民族共生象徴空間は、国立アイヌ民族博物館と国立民族共生公園等で構成され、アイヌの歴史や文化等に関して幅広い理解を広げるとともに、その復興のナショナルセンターとなるものであります。
周囲は国有林を始めとする豊かな自然に恵まれており、訪れる方々に自然と一体となった憩いの場を提供することを通じて、将来に向けた新たなアイヌ文化の創造と発展につなげるための空間としていくことが大いに期待をされているところであります。
こうした構想の中に国有林であるポロト自然休養林が含まれておりますことから、地元では、その整備を求める声が前々から上がっております。アイヌ文化を体験できるフィールドミュージアム構想の観点からも、民族共生象徴空間を構成する上で極めて重要なポロト自然休養林の整備について、林野庁もこれまで、丁寧に地元の意見をすくい上げ、さまざまな御尽力をいただいているということは承知しておりますけれども、改めて、現状と、また今後の方針についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○沖政府参考人 お答えいたします。
佐藤委員から今御紹介ありましたポロト自然休養林でございますけれども、国立アイヌ民族博物館計画地に隣接しておりまして、観光資源としての潜在的な魅力が高いことから、日本美しの森、お薦め国有林として選定いたしまして、観光客、利用者に対する魅力の向上に向けました取組を重点的に進めているところでございます。
具体的には、平成二十九年度には、林野庁のホームページの中でポロト自然休養林を日本語と英語で紹介するとともに、リーフレットの作成にも取り組んだところでございます。平成三十年度には、ポロト自然休養林内にございます古いあずまやの撤去とか木道の補修などを実施する予定でございまして、国立アイヌ民族博物館の利用者等に快適、安全で美しい森林空間を提供するための環境整備等を行うこととしてございます。
また、ポロト自然休養林内の一部を白老町が借り受けまして、バンガローやサイクリング道の整備等を検討しているということも聞いてございます。
林野庁としては、こうした取組にも協力いたしまして、引き続き、地域と連携しながら、アイヌ文化の復興や地域の振興にも貢献してまいりたいと考えております。
○佐藤(英)委員 このポロト自然休養林は、町中で身近に体験できる国有林であります。国有林というのは、どちらかというと山奥にあるようなイメージがありますけれども、本当に身近に行ける休養林でありますので、齋藤農林水産大臣におかれましては、今後、北海道に行かれる機会がありましたら、ぜひ、民族共生象徴空間の予定地、そしてまたこのポロト自然休養林を御視察していただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○伊東委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 立憲民主党の佐々木でございます。
きょうは一般質問ということで、久しぶりに質問をさせていただきたいと思いますが、今ほど佐藤委員からもお話がありましたが、自給率についてまずお伺いをしたいと思います。
私は、自給率というのは農政の基本だというふうに思っていて、農業基本法に基づく農業基本計画にも、「次に掲げる事項について定めるものとする。」として、その二つ目に「食料自給率の目標」と掲げて、ねばならないというふうになっているわけであります。
当然、自給率は五年に一度の見直しの中で掲げられてきているわけでありますが、今の達成状況を見ますと、実は、四五%というふうに掲げているわけでありますが、残念ながら四五%には到達しておりません。過去の経過をずっと見ても、民主党時代は五〇%だったんですが、あとは、自民党時代、前後含めて四五%で掲げてきておりますが、残念ながら、いずれも到達しておりません。
そういう状況の中で、自給率目標というのは、ただ掲げればいいというものではなくて、それをどうやって達成するかということのための目標でありますので、まずは、この達成率が順調に伸びているというふうに考えているのかどうかということが一つ。
もう一つは、その目標に沿って、では、こういうふうに具体的にやっていけばこの目標は達成するんだというものがなければ基本計画というのは成り立たないわけでありますので、その点について、一番農政の基本であります自給率について、お考えをお聞かせください。
○齋藤国務大臣 大変重要な御指摘だと思っております。
今、佐々木委員御指摘のように、食料自給率目標につきましては、食料・農業・農村基本計画におきまして、平成三十七年度に食料自給率をカロリーベースで四五%、生産額ベースで七三%に引き上げる目標を設定しておるわけでありますけれども、平成二十五年度にはカロリーベースで三九%、平成二十八年度には三八%ということでありますので、三十七年度四五%目標に向けてはまだまだ課題があるなというふうに考えております。
政府といたしましては、この食料自給率の目標達成に向けまして、需要と供給と両面で対策を打っていかなくちゃいけないと考えておりまして、国内外での国産農産物の消費拡大や食育の推進、それから消費者ニーズに対応した麦、大豆の生産拡大や飼料用米の推進、付加価値の高い農産物の生産、販売や輸出の促進、優良農地の確保ですとか担い手の育成の推進、そういった施策を講ずることとしているわけであります。
個別品目ごとに見ても、例えば米については、食の簡便化志向ですとか健康志向等の消費者ニーズや外食、中食等のニーズにしっかり応えていかないと生産が伸ばせませんし、それから牛肉につきましては、消費者ニーズの多様化に対応した牛肉生産や輸出促進等による需要の拡大ですとか、野菜については、加工、業務用野菜の生産基盤の強化などなどを講ずることによりまして、国産品を選んでいただけるような生産の増大というものを図ることとしているところであります。
引き続き、委員御指摘のように、自給率の向上は重要な課題だと思っておりますので、この基本計画に基づきまして、各種の施策を総合的かつ計画的に講じてまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 この食料自給率というのは、このごろ農政の中で論議されることが少なくなったのは非常に残念に私は思っていて、これが全てベースになっていなきゃいけないというふうに思っておりますので、ぜひ、達成のために、今大臣からお答えいただきましたけれども、あらゆる手だてをお願い申し上げたいというふうに思います。
消費者ニーズとか、もちろん必要ですし、中食の話も今出ましたけれども、別にきのうの種子法の議論を蒸し返すつもりは全くありません。全くありませんが、中食のニーズのための品種改良のために種子法の廃止が役立つかのような議論があったんですが、それは私は全く見当外れだというふうに思っております。
それはなぜかというと、私もちょっとあちらこちらお伺いをしました。その中で、なぜ中食用のお米を農家がつくらないのかというと、農家のプライドです。言ってみれば、もうちょっとおいしくない米をつくれと言っているような話ですから、それは農家のプライドが許さないわけですよ。おいしい米をつくる技術が俺はあるんだというのに対して、中食をという、あの宣伝の仕方というか普及の仕方というのは、僕はちょっとやめた方がいいと思う。
要するに、中食を、ランクを下げて普及させようとしているわけですよね、Bランクの米をつくれと言っているわけです。生産者としては、ちょっとそれは選択しがたい。だから、もうちょっと何か別なコマーシャルを考えた方がいいのではないかというふうに私は思っております。まあ、その話を蒸し返すつもりはありません。
今、その中で、大臣から輸出についてお話がありました。
ちょっと輸出についてお伺いをしたいわけでありますが、私は、輸出そのものを否定するつもりは全然ありません。輸出も大いに振興すべきだというふうに思っているんですが、残念ながら加工品が中心になっていて、農家の手取りというところにはなかなか結びついていないわけですよね。直接、生のもので売るという分野が非常に少ないわけですので。
そういった意味で、もう一つ申し上げますと、今、大臣からお米の話や牛肉の話が出ました、輸出の中で。お米は言うまでもなく一〇〇%を超えています、自給率が。しかし、牛肉は八八%です。あと、果実も輸出をしたいということですが、これは比較的高いんですけれども、九四%、達成率がですね。
要するに、自給率を達成していないものを輸出で何とかしようといっても、それは、輸出もそれは自給ですけれども、その分外国から入れるという話になってくるわけで、そこの戦略をもう少し整理する必要があるのではないかというふうに私は思って、最初に自給のことをお伺いいたしました。
そういう自給にまだ達していないようなものを輸出の項目に入れることが本当にいいことなのかどうなのかという見解を一つ伺いたいのと、もう一つは、輸出をするときに考えなければならないのは、国際基準をどう満たしていくかということだと私は思うんですね。
そうすると、この間も議論がありましたが、例えばHACCPの取得率なんというのは、中小企業で三五%、零細まで入れると二九%しかまだHACCPを取得していないわけですよ。
HACCPだけじゃありません。GAPもトレサもそれから原産地表示も全部全部、輸出をしようと思えば国際基準というものを満たしていかなきゃならなくなると思うので、とりわけその中でもHACCPを見ますとそんな状況ですので、まずは食品加工の皆さん方にHACCPをちゃんととっていただく、とっていただくための農水省としての手助けみたいなものをやはりしていく必要があるのではないかというふうに私は思っております。
ぜひ、その二点についてお伺いをいたします。
○齋藤国務大臣 今、佐々木委員から、輸入しているのに輸出をというお話がありまして、だから、何のために輸出が必要かということをやはりしっかり認識していく必要があるんだろうと思うんですね。
私どもとしては、これから人口はどんどん減っていくわけで、国内のマーケットは縮小をしていきますので、どんどん今の生産が減っていかざるを得ない状況に追い込まれていく可能性がある。人口減少はこれから加速していきますので、しかも長きにわたって続きます。恐らくここにいらっしゃる方が生きている間は人口は減少し続けるというのが現実だろうと思いますので、やはり生産を維持していくためには、基盤を維持していくためには、輸出によってその減少分をカバーしていくというのは一つの方向として追求をしていくべきであろう。
それから、輸入品と輸出品では当然すみ分けもあると思いますので、その辺もうまくやりながら、しかし、輸出は、国内需要の減少を考えれば、一つの方途として進めていかなくてはいけないんだろうというふうに考えてやっているわけであります。
それで、その上でHACCPがそれにしては不十分じゃないかという御指摘だろうと思いますが、それは私どもも、これからGAPとかHACCP等の認証の取得はまだまだ進めていかなくてはいけないというふうに考えております。
このために、EU、米国等の輸出先国のHACCP基準に対応するための施設の整備、改修、こういったものへの支援を行うですとか、国際的に通用する生産工程管理規格であるグローバルGAP等の取得の支援ですとか、GAPやHACCPについてのまず知識の普及、事業者の理解の醸成、特に消費者によく認識をしてもらうことが必要だろうと思っていますし、あるいは、日本発の食品安全管理規格でありますJFSなどの国内の認証スキームを整備するとともに、これらを日本発の規格として国際的な承認取得をする、そういったことへの支援などを今行っているところでありますので、引き続き努力をしていきたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 ぜひお願いしたいと思います。
今、大臣からお答えいただきました。私も輸出を否定しているわけではなくて、それはそれで必要だというふうに思っておりますが、例えば牛肉なんかは、超高級な牛肉は相当好まれていて、アメリカの旅行客が日本に来て一番食べたいのは、牛肉、日本のステーキだというお話があります。もちろん、あんなおいしいものを毎日食べていたら死んじゃいます。だから、ふだんはもうちょっと普通の肉を、いわゆる赤肉を食べているわけですけれども。
その中で、GAPなんかも、JGAPという考え方がありますが、私はGGAPだと思うんですね、グローバルGAPをやはり取得すべきであって、日本の基準をつくっても、これは世界に通用しなければ何の意味もないわけですから、そういうふうにすべきだということ。
もう一つは、輸出の中で私はぜひ農水省として推進をしていただきたいなと思うのが一つあって、それは日本食文化です。
物を売るんじゃなくて、物を売ることばかり何か先行しているような気がするんですが、やはり外国の方々に一番歓迎されて、驚かれているのは日本食の文化ですよね。要するに、諸外国にはないうまみという、原材料の味を出すというのは日本にしかない技術で、それをセットで普及させるというのは、私は日本を理解していただく中では最も効果的だと思うんです。物はその後についてくるのではないかというふうに私は思っておりますので、ぜひそのようなこともお考えをいただければと思っております。
次に、もう一つは、家族農業についてこのごろ随分取り沙汰をされておりまして、先日もここで議論がありましたけれども、大臣も、家族農業は非常に重要だという認識をお示しいただきました。
御案内のように、国連が国連家族農業の十年というものを来年からスタートさせようとしているわけでありますが、かつて、二〇一四年に国際家族農業年というのが一度あったんですけれども、それは一年限りでしたけれども、なぜもう一度それをやらなきゃいけないのかということについて、私は、もう少しきちっと我々は考えなければならないのではないかというふうに思っております。
なぜ家族農業を国連が取り上げたのかというのは、農業というのはもっと多様なものだ、だから、法人経営とか、法人といったって個人経営もありますけれども、大型経営だけが農業をつくっているわけではない、農産物を拠出しているわけではないということに基づいているわけですね。
実は、国際的にも、いわゆる家族農業というのは何なんだという定義ももちろん国連ではしているわけですけれども、九八%が家族農業だというふうに国際的には言われております。基準というのがあるんですけれども、一ヘクタール未満で五四%、二ヘクタール未満で六二%、これは日本の場合です。世界的には、一ヘクタール未満が七三%、二ヘクタール未満で八五%がいわゆる家族農業と定義をされている人たちになるわけです。
こうしたときに、農業が何か大型化だけを目指して、そこにだけ政策を集中してしまうと、その多様性が失われるのではないか、そのことをやはりもう少し私たちはきちんと捉えなければいけないのではないかというふうに思っております。
国連の定めた持続可能な開発目標、いわゆるSDGsと言われているものですが、ここでは、家族農業以外に持続可能な食料生産のパラダイムに近い存在はない、国や地域の開発において家族農業を中心とした計画を実行する必要があるということをこの中でも言っているわけであります。
ですから、家族農業、農政の中でそうした多様性というものにちゃんと応えていくような仕組みがやはり必要だというふうに考えます。その具体的な施策とか、あるいはそれぞれの目指す姿とかというものを農政の中にきっちり確立する必要があるのではないかと思うんですが、お考えをお聞かせください。
○齋藤国務大臣 三、四年前に私もオランダの農業の視察に行きまして、オランダの効率的で世界で勝負している農業の実情を見てきたんですけれども、私が訪問した酪農をやっている方は家族農業でありまして、ですから、家族農業というものが重要な農業を背負っているというものを、世界各地でそういう実態なんだなというのは実際に見てまいりました。
農業者の高齢化、減少が進む中で、やはり何とか農業を持続的に発展させていくためには、効率的かつ安定的な農業経営、こういったものを育成、確保していくことが重要で、こうした経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を構築していくことが重要なんだろうと考えております。
その際には、意欲的な取組を行おうという農業者であれば、経営規模の大小ですとか、家族経営だからとか法人経営だからとか、そういった、別にこだわらずに、地域農業の担い手として幅広く支援をしていくべきだろうというふうに考えております。
例えば、経営規模の拡大に一定の制約のある中山間地域も含めまして、創意工夫を発揮して付加価値の高い農産物の生産や六次産業化等に取り組む農業者を、多様な予算事業やスーパーL資金を始めとする長期、低利の融資などにより、こういった地域での多様な取組を支援しているわけであります。
したがいまして、我々がやらなくてはいけないと考えておりますのは、こうした地域を支えるような意欲的な取組を育てていくことだろうと考えておりまして、そういう意味では、家族経営も重要でありますし、それから、法人でそういうことをやるということであれば、これもまた重要だろうというふうに考えておりますので、家族だけにとか、そういうことではなくて、今申し上げたような取組をしっかり進めていきたいというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 もちろん、私も法人を否定はしませんし、そういう経営で大変頑張っておられる方もおります。
今、大臣がオランダの話をしていただきましたが、オランダは八割以上がいわゆる家族農業で、地域社会を守っていくというのは家族農業が中心なんですが、大変重要なのは、そういう小さい農家は兼業をむしろ進めているわけですね。もちろん一ヘクタール未満で自分の生活を全部賄うことはできませんから。だから、むしろ兼業も同時に認めるというような仕組みをつくりながら、家族農業というものを守っていくという仕組みをつくっています。
兼業農家について申し上げれば、日本とヨーロッパが基本的に違うのは、私は日本が間違ったというふうに思っているんですが、日本は外に稼ぎに行かせたんですね、兼業農家といったら建設現場とか。ヨーロッパは何をやったかといったら、内に兼業を求めさせたんですね、副業を。要するに、シューティングをやれとか、サイクリング、乗馬を提供しろとか、そういうことで内側に副業を求めさせた。この違いだったかなというふうに思っておりまして、だから兼業ということを否定的に日本は捉えてしまったのではないかというふうに思っております。ぜひ、両面で、多様な農政の展開を期待を申し上げておきます。
幾つかまだ質問したいことがありますが、来年度の予算に向けてということもあるんでしょうけれども、規制改革会議とか、未来投資会議とか、骨太方針とか、次から次へと農業の分野についてもいろいろなことが提言をされたり検討をされたりしているわけでありますが、その中で、時間の許す範囲でお伺いをしたいと思います。
一つは、先ほど出ました外国人労働についてであります。
政府自体として外国人就労を拡大するという方向なんですが、その中には農業労働者も含まれるんだというふうに言われているわけであります。
しかし、今考えられているのは、いわゆる派遣労働なんですね、農業についても。これで本当に、急場しのぎで、外国人をたくさん受け入れようかというときに、こんな状況でやっていていいのかということをもう少し、もしやるのであればやはり本格的に考えないと、日本は移民を否定していますから、そういった意味では、いろいろな矛盾が出てくるのではないかというふうに思っております。
国家戦略特区で農業就労を認めたところが三地区あって、愛知、京都、新潟ですが、これらの状況、まだ始まったばかりですけれども、もしあればお伺いをしたいと思うのと、もう一つは、これをもしやろうとするのであれば、教育の問題とか健康保険だとか年金だとかというものと全く切り離してこのことを考えていくということは大きなトラブルの原因になるというふうに思うんですが、その辺について何か検討されているのかということについて、お伺いをさせていただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
まず、国家戦略特区の農業外国人材活用についての今の実施状況ですけれども、御指摘のように、三地区において事業を活用することが決定されまして、今、その三地区ごとに、法律に基づきまして、関係者による監督なり指導なり助言なりの協議会、これを立ち上げる準備が行われているというふうに承知をしているところでございます。
なお、追加で、沖縄県につきましても、今、指定のための準備が行われているというふうに承知をしております。
それから、新しい枠組みで、さまざまな外国人への配慮が行われているのかということでございますが、これにつきましては、今、本年二月に総理の指示を受けまして、政府部内で専門的・技術的分野における外国人材の受入れに関するタスクフォースというのが開催されました。
このタスクフォース自体は局長級が参加をいたしておりまして、その下にも幹事会という形で課長級の会議が行われたわけですが、その中の検討課題として、主要業種ごとの実態の把握でありますとか、受入れ業種を判断するに当たっての考え方等々、それに加えまして、在留管理、支援体制のあり方、こういうことも検討をされました。
それを経て、六月五日の経済財政諮問会議において骨太方針の原案が示されましたが、その中で新たな在留資格の案が示されたところでございますが、これにつきましては、今後必要な調整を受けて閣議決定された後に具体的な制度設計、受入れ方針の検討に入っていくという、まだそういうプロセスの間の段階だというふうに承知をしているところでございます。
○佐々木(隆)委員 プロセスということでありますから、私は、そうした制度がきちっとでき上がるのを、やはりしっかりつくり上げてからやるべきだと思っております。
ある意味で、農業においては外国人研修制度もそれなりに成果を出してきているというふうに私は思っておりますし、これに、農水省が協議会を設立したというようなこともこの間報道をされておりました。むしろこの研修制度をきちっとするということの方が私は現実的ではないかと思っております。
いわゆる農協方式と言われている外国人の研修制度があって、既に実施しているのが、いずれもこれは農協が中心になって、北海道の小清水、美幌、宗谷南、まあ枝幸ですけれども、この地域でそれぞれ実施されております。
こういう方式をむしろきちっと取り入れた方が、私は、より現実的ではないか、外国人の単なる労働として受け入れるについては、やはり制度をきちっと整備する必要があるのではないかということは申し上げておきたいと思います。
済みません、時間がなくなりました。あと、本当は二つ聞きたかったんですが、一つだけお伺いします。
漁業権の問題と国有林の活用についてが、やはり同じようにこの中で議論をされております。
どちらもちょっと大変危なっかしい話なものですから、本当は二つ聞きたかったんですが、漁業権の方だけお伺いをいたします。
漁業権については、当初、これらの会議の中ではどんなことが言われたかというと、意欲と能力のある者の操業推進、一律の優先順位に基づく漁業権付与から、水域を適切かつ有効に活用する者への優先的な付与というようなことが当初言われていて、それはさすがに農水省も押し返したようでございますけれども、これではもうめちゃくちゃでございまして、誰でも新規参入していいぞみたいな話になりますので。
私もこれにかかわったことがあります。これは漁協の皆さん方が本当に長年苦労してそこの調整を図ってきて今のスタイルをつくり上げてきているものですから、そこに漁協をそっちのけにしてどんどんと新規参入を入れるなどということになると、これは農業と違って共有の生産現場を持っているわけですから、より調整が必要だと私は思っております。
ただ、ちょっと気になるのが、漁業権の内容の明確化というふうに書かれていて、そして、優先順位の法定制度を廃止して、そして地域の水産業の発展に資するかどうかを総合的に判断する、大分押し返した結果がこういうふうになっているわけですが、これで本当に現場でトラブルを起こさないのかということは非常に私は気になるところでありますが、決意を含めてお伺いをいたします。
○齋藤国務大臣 まず、大事な御指摘ですので。
我が国の沿岸の限られた水域というものはさまざまな漁業によって重層的に利用されておりまして、そのような中で、資源管理を適切に行って漁場の円滑な利用を確保するという観点から、漁業権制度が果たしてきた機能というものは極めて重要なものがあるというふうに認識をしています。
今回の水産改革の改革案におきましては、既存の漁業権者が水域を適切かつ有効に活用している場合はその継続利用を優先する、その上で、都道府県が漁業権を免許する際の優先順位の法定制を廃止する、そして参入プロセスや費用徴収の透明化を図るというふうになっているわけでありますが、その気持ちとしては、頑張っていらっしゃる既存の漁業者には安心して漁業を営んでいただくとともに、高齢化などによりまして漁業者が廃業したり利用度が低下をしているというような漁場については、規模拡大や新規参入が円滑に行われるようにすることで、養殖、沿岸漁業全体の発展につながるようにしていきたいということでありますので、そこは佐々木委員とそんなに意見の違いがないんじゃないかなと考えております。
○佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、ちょうど私も、多分政務官をやっていたときだったと思うんですが、大変な目に遭ったことがありまして、これはやはり漁協の皆さん方が大変苦労されてそこを調整してきたというふうに思っておりますので、今、大臣の決意もお伺いをさせていただきました。
国有林について本当はお伺いしたかったんですが、せっかくおいでいただいて、済みません、時間がなくなりました。
ただ、国有林を民間に開放するかのようなことが取り沙汰されていまして、私は、国有林というのは単なる国の財産として持っているだけではなくて、公益的機能をそこで発揮して、それを十分に活用するということのために国がわざわざ山林を持っているわけですから、今だって民間の人たちは入って木を切っているわけですけれども、それを余り開放する方向に向かうというのには慎重にあってほしいということを申し上げて、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○伊東委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 亀井亜紀子でございます。
きょうも、お時間いただきまして、ありがとうございます。
前半、TPPについて質問をさせていただきます。
TPP、今、協定が参議院の方にあるわけで、衆議院の方では可決をされましたけれども、全く議論が足りていないと思います。
私は、この農水委員会でTPPについて質問するのは初めてで、外務委員会の方で質問させていただいたので、その続きという意味で、きょう質問させていただきます。
まず、緊急輸入制限措置の発動基準値についてですが、この委員会でも、高過ぎるのではないかということは随分議論されてきたと思います。
具体例を挙げれば、バター、脱脂粉乳のTPP参加国全体向けの低関税輸入枠、これがアメリカも含まれた場合で七万トンを維持してしまったので、アメリカが参加しなくても、この七万トンの枠をほかの国で分け合うことができます。乳製品はニュージーランド、オーストラリア、カナダが強いわけですから、この三カ国は大変喜んでいると思います。
牛肉の分野でも、セーフガードの発動基準が五十九万トンで、これが十六年目に七十三・八万トンまでふえるんですが、二〇一六年度の牛肉輸入量が五十二・六万トン、その中でオーストラリアからの輸入量が最大で二十七・七万トンですけれども、これを二倍したところで発動基準値には届かないので、これは高過ぎるのは明らかです。
それで、見直しができるのですかということを外務委員会でも伺いました。英文自体も見ましたけれども、文言がコンシダー・エニー・アメンドメントで、要するに、コンシダーというのは検討するということなので、これが動詞でアメンドというふうに書かれていれば修正の見込みはありますが、検討するというのは日本の役所用語と一緒で何もしないという意味ですから、何ら見直しを意味するものではないと指摘をいたしました。
それに対して、河野大臣の御答弁は、「こうした我が国の考え方につきましては、閣僚会議の場も含め、茂木大臣から各国大臣に明確に伝えており、これに対し、各国からも特段の異論がなかったものと承知しておりますので、各国の理解を得ていると考えております。」ということでした。
けれども、各国の理解を得ていると考えているというのはあくまでも希望的観測だと思います。文言はどこにもそんなふうに書かれておりません。
そう思っておりましたら、先日、食料・農業・農村白書が出てまいりまして、その七十五ページ、皆様にもお配りいたしておりますが、その最後の二行ですよね、「TPP11は、TPPのハイスタンダードを維持する観点から、物品市場アクセスに関するものを含め、各規定の修正は行わないこととしています。」とはっきり書いてあるんですね。やはりそうじゃないですか。
御答弁とこの文言にそごがあると思うんですけれども、やはり見直しはされない、少なくとも協定上はされないと書かれていると理解いたしますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
○齋藤国務大臣 正直言って、若干誤解があるんじゃないかなと思いますが、御指摘の食料・農業・農村白書の記述は、TPP11協定を協議している過程におきまして、TPP12協定のごく一部のルール分野を凍結するものの、物品市場アクセスに関するものも含めて各規定の修正を行っていない、要するに、凍結はするけれども、規定の修正を行っていませんねということを記述しているわけであります。
これに対しまして、TPP11協定の第六条は、このTPP11の協定が発効した後に米国を含めたTPP12協定が発効する見込みがいよいよなくなったなという場合などには、締約国の要請に基づいてTPP11協定の見直しを行う、まさに御懸念に応えるような見直しを行いますよということを定めたものでありますので、したがって、これまでのTPP11協定の第六条に関する政府の説明と、それからこの食料・農業・農村白書の記述というものは、特段矛盾するものになっているとは考えておりません。
○亀井委員 私はやはり、もとの英文の方も読みましたけれども、そういうふうには書かれていないと思います。別に文書があってそういう約束がされているならまだしも、やはり社交辞令的に言われただけではないかなと思っております。
そこで、伺いたいんですけれども、どちらにしても、政策というのは最悪の事態を考えてとるべきものだと思っております。そして、TPPというのは、やはり関税は例外なくゼロに向かっていくというのがスタート地点ですから、関税という手段で農業を守るのはゼロになるという前提で農業に対する政策をとらなければいけないんだと思います。
ですから、条規の修正が行われない、あるいはほとんど行われないという前提で日本の畜産、酪農をどう守るのかというところを考えなければいけないと思うんですけれども、政府の対策をお伺いいたします。
○齋藤国務大臣 大変恐縮なんですけれども、私どもは、先ほど申し上げたように、TPPでアメリカがもう戻ってこないということがはっきりした場合におきましては、協定について見直しを行うということにしておりますので、それができなかった場合にどうするかという御質問については、答えようもございません。
○亀井委員 どの御答弁もそうなんですけれども、このTPPに関して、酪農に限らず、結論が、大丈夫です、影響がありませんというところに初めから決まってしまっているので、具体的な対策ですとか数字が出てこないんですよね。それが私はすごく問題だと思っています。
では、次の質問に移りますが、同じ観点で質問いたします。
食料自給率について、この委員会でも私は質問をし、そして、CPTPPが発効した場合にどうなるのかと伺ったわけですけれども、それに対して、農産物の価格は多少下がるけれども、その分売上げもあるので、そんなに全体としては変わらないのだというような趣旨の御答弁がありました。
それに対して、私は、外務委員会の方の質問で、全ての農産品の関税率が全部撤廃された場合に、二〇一一年ごろの数字では食料自給率が一四%になると聞いていたんですね、これを確認しましたら、やはり全部農産物の関税が撤廃された場合には一四%という数値を当時出してきたということだったんです。
仮に全部なくならないとしても、ほとんど例外はないわけですから、やはり三八%そのままであるわけはないと思います。この数字の方が現実的なのではないかと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。この数字にならないというのであれば、その根拠は何であるのか、お尋ねいたします。
○齋藤国務大臣 確かに、亀井委員御指摘のように、平成二十二年十一月に公表いたしましたTPPの影響試算については、TPP交渉参加前に行ったものでありますけれども、この前提は、全ての関税が即時撤廃ということと、追加的な国内対策は行わないという極めて単純化した、結果が出ていないものですから多分そうするしかなかったんだろうと思いますが、そういった前提で試算したものでありまして、その結果は、食料自給率については、農産物については一四%、農林水産物で見ますと一三%と見込んだところであります。
一方、平成二十九年十二月に公表しましたTPP11の影響試算につきましては、もう交渉が終わっておりますので、その結果、関税撤廃の例外ですとか、あるいは長期の関税削減期間ですとか、それからセーフガードの措置も交渉で得られておりますので、そういった措置に加えまして、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき講じられる生産コストの削減や品質向上を図るための体質強化対策や、いざというときの経営安定対策、こういったものも見込んで試算をしているというところが大きな違いなんだろうと思います。
大事な御指摘なので申し上げますと、例えば米や麦につきましては、交渉の結果、現行の国家貿易制度や枠外税率は維持をされるということになっておりますし、したがって、国産品の価格下落の懸念を踏まえて経営安定対策を講ずることにより、引き続き生産や農家所得が確保されて、国内生産量は維持されるだろうと見込んだり、あるいは牛肉や豚肉におきましては、長期の関税削減期間等を確保したことにより、当面輸入の急増というのは見込みがたいし、長期的には国産品の価格下落が懸念されることを踏まえて体質強化対策や経営安定対策を講ずることにより、引き続き生産や農家所得が確保されるように見込んでいるということであります。
このように、個別品目ごとに、交渉で獲得した措置とあわせて、政策大綱に基づく国内対策を踏まえて子細に検討した結果、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込んだところであります。
この試算を前提に食料自給率への影響につきましても試算を行った結果、食料自給率の水準は、平成二十八年度カロリーベースで三八%という水準と同程度になるだろう、このように見込んだところでございます。
○亀井委員 例えば、今の、対策をとりましたという中で、交渉でかち取った緊急輸入制限措置のお話がありましたけれども、まさにそれが、TPPワイドの方ではとれていたものが、むしろCPTPPの方では後退したと思いますので、このままではやはり後退していると言わざるを得ない、見直しがされないのであればですよ、ですので、その対策というのは無になってしまったのではないか。実質的に発動できないセーフガードであればそれは対策にならないわけですから、最終的な影響というのは変わってくると私は思います。
そこで、どうすべきかという質問ですけれども、立憲民主党は近々、農業者戸別所得補償制度の復活法案を出す予定でおります。私たちはやはり、貿易協定がさまざま、EPAなりTPPなり進んできた中で、農産物を保護する方法というのが、関税によるものではなくて所得補償によって守るという方向にヨーロッパなども変わっているわけですから、関税を諦めるのであれば、もうそれ以外方法はないだろうというふうに考えております。
外務委員会の方でもカナダの例を出したんですけれども、NAFTAの交渉がカナダで進んでいたときに、私は当時そこに留学して暮らしておりました。その当時、大きな議論があったのが、関税がなくなるということは関税の税収がなくなるので、その分を何に財源を求めるのかということでした。
日本の今の議論は、貿易協定によって経済がよくなるんだから大丈夫だというような非常にざっくりとした議論だと思うんですけれども、カナダの場合は、GSTという、グッズ・アンド・サービス・タックスというんですが、物品・サービス税、日本の消費税に当たるものを初めて導入したんです。それまでは州の税しかなかったので、アルバータ州などは州税もなかったので本当に値札のまま買えたんですが、初めて物品税が乗ったということで、当然国民は怒りました。
加えて、協定が結ばれてから、カナダの工場がメキシコに移転していったりして職も失われたので、非常に政権が不人気になりまして、当時ブライアン・マルルーニー政権でしたけれども、その後キャンベル政権にかわり、そしてNAFTA締結後の最初の選挙があったんですが、与党が百六十九議席あったのが二議席になりました。百六十七議席も失ったんですけれども、その背景には、あのNAFTAの国を二分する議論があったと私は今でも思っています。
ですので、そういう、関税がなくなったときに何に税収を求めるんですかということは非常に大きいと思っていまして、農業対策というよりも、関税で取った分を政策に回していたわけですから、それがなくなると考えた方がいいですよね。
外務委員会でも同じような質問をしたんですけれども、その点、どのようにお考えでしょうか。
○齋藤国務大臣 確かに、今回の合意をしたことをそのまま実行に移す段階になりますと、関税は段階的とはいえ下がっていきますし、それから調整金も下がる見通しでありますので、そういう意味では税収、収入は減少するだろう。
しかしながら、今ちょっと手元に資料がないので申しわけないのですが、したがいまして、そこは当然私どもも懸念をしていたところでありますので、総合的なTPP関連政策大綱におきましては、従来の予算措置に影響が出ないようにきっちりと新しい対策はするんだということも、済みません、ちょっと表現は正確に覚えていませんが、そういうことを盛り込んでおりますので、新しくこのTPPによって行われる対策につきましては、そのような形で予算は確保されるというふうに考えております。
○亀井委員 外務委員会の方で野中大臣政務官にお答えいただいているんですけれども、関税の収入減収額及び関税支払い減収額の試算は、農産品に関するものですと、TPP12の場合は初年度で六百六十億、最終年度で千六百五十億、TPP11の場合は初年度で百九十億、最終年度で六百二十億であると数字をいただいております。
私は、きっとこれでは足りないだろう、ほかから予算を持ってこないととてもとても対策にならないと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
白書を読ませていただきましたけれども、最近の農政というのは、強い農業、効率化、輸出促進、そういったものに非常に傾斜していると私は感じております。それに沿って、農地の集約であったり、法人による経営の推進であったり、ブランド化、海外輸出に力を入れてきたと思うんですけれども、これにはやはり限界があると思います。
中山間地、私は地元が島根ですけれども、とてもついていけません。農地の集約も、担い手に対する集約も五四%まで進みましたと白書にございまして、もっと進めてまいりますというような雰囲気を感じるんですけれども、私は、もうある程度集積されてしまったのではないかと思います。
もともと国土の七割が山ですから、中山間地というのは集約すれば効率が上がるというものではなくて、むしろ効率が悪くなります。機械もそんなにいろいろなところに簡単に移せないわけですから、むしろ、従来の家族経営で小さな範囲を守る、大勢の人たちがそれにかかわるという形が効率的であったと思います。
地元からの声でも、残念ながら強い農業と美しい農業は両立しないと言います。強くて殺風景か、美しいけれども弱いかのどちらかになってしまって、中山間地の場合、やはり強くて美しいは無理だというのが私たちの感想です。
先ほど佐々木委員も家族経営について質問されておりましたけれども、それに対する御答弁で、六次産業化ですとか、より市場に受け入れられる努力をという意味だと思いますけれども、それをしたところでやはり限界があると思うんです。
そこで、伺いますが、この白書にもほとんど家族経営というような文字も見えてこない中で、どのように輸出、強い農業には向かうことができない中山間地の農業を守っていくのか。
そして、兼業農家の話もありましたけれども、ただそこに住んで農地を守っているということにもすごく意味があって、人口流出を抑えているわけですから、その人たちが少なくとも持ち出しがない、赤字にならないような対策は必要だと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○齋藤国務大臣 残念ながら、農業者の高齢化、減少は進んでいます。そういう中で、我が国農業を持続的に発展させていくためには、やはり効率的かつ安定的な農業経営を育成、確保して、こうした経営が農業生産の相当部分を担っていくという農業構造を構築することが重要であると考えていますので、その際、意欲と能力のある農業者であれば、経営規模の大小ですとか家族経営、法人経営の別にかかわらず、地域農業の担い手として幅広く支援をしていくべきだろうと考えています。
ただ、経営規模の拡大に一定の制約のある中山間地域がございます。
ただ、こういう地域におきましても、付加価値の高い農産物の生産ですとか六次産業化等に取り組む農業者といったものを多様な予算事業やスーパーL資金を始めとする長期、低利の融資などにより支援したり、あるいは、中山間地農業ルネッサンス事業による地域の特色を生かした取組への総合的、優先的な支援を行っているところでございます。
また、こうした施策に加えて、日本型直接支払制度によりまして、草刈りや水路の管理などの地域の営農継続に必要な支援も行っているわけでありまして、こういう取組を総合的に推進することにより、多様な農業者の意欲的な取組を後押ししていきたいと考えています。
中山間地域の置かれた現状というのはやはり厳しいものがございますし、中山間地域特有の政策というものを今申し上げたように組んでいるわけでありますが、しかし、だからといって、これから需要に応じた生産というものにより力を入れていかないと買ってもらえなくなるという現状もありますものですから、消費者ニーズの多様化や、あるいは人口の減少に備え得るような観点から、やはり産業政策的視点も進めていくことが必要だろうというふうに考えております。
○亀井委員 地方の人口をこれ以上減少させないためには、そして自給率をこれ以上減らさないためには、私はもう少し家族経営のところを見直していくべきだと思いますし、その一つの方法として、中山間地直接支払いだけではなくて、所得補償という考え方は大事だと思っておりますので、御検討いただきたく、お願い申し上げます。
最後の質問です。
GIについてお伺いいたします。地理的表示保護制度でございます。
地域ならではの特徴的な産品を知的財産として保護する仕組みがGIであり、二〇二〇年までに各都道府県一産品以上の登録を目指すと白書にもございます。
これは、輸出にも関係をしているんだろうと思います。まず地域ブランドを認定して、それを積極的に海外に輸出していくという目的のもとで進められていると考えていますけれども、多少問題があるように感じます。
先日、八丁みそに関しての報道がありました。毎日新聞五月三十日のものですけれども、八丁みその製造方法について、岡崎市内の老舗二社がGIの登録の枠組みから漏れた問題で、地元で登録の見直しを求める署名活動が始まったということです。登録された方の協同組合というのは近代的な製法を用いる名古屋市などの業者でつくられているということでして、何が起きたかといいますと、一番伝統的な方法で生産をしている老舗二社はそのGI登録に入れなかったのはおかしいのではないか、本来の八丁みそはそちらのつくり方であるということなんですね。
これになぜ注目したかといいますと、以前、この委員会で、アゴの野焼き、トビウオのかまぼこについて伺いましたが、トビウオの比率がどのくらいなのか調べる方法もないですし、その中で、かなりこだわって守っているメーカーがあるんですけれども、そのメーカーが、島根県がこれからそれを登録していく上で、どういう基準になるのかというのを非常に心配しておりました。
同じようなことがワサビでも、今、島根ワサビをブランド化しようとしているグループがありますが、一方で、匹見という地域で匹見ワサビというのがありまして、匹見からすれば、島根ワサビに入れてくれるな、匹見ワサビは匹見ワサビだというような話もあってなかなか難しいんですけれども。
このGIで、ざくっと収量が得られるものを登録するというような方向に向かうと非常に問題があると思うんですけれども、その点、いかがお考えでしょうか。
最後の質問といたします。
○井上政府参考人 お答えを申し上げます。
地理的表示、いわゆるGIの登録に当たりましては、GI法で基準が定められておりまして、産品の名称から産地が特定できなければならないということと、それから産品の特性が特定できなければならないということになっております。
しからば、産品の特性としてどういうところまで求めるかというところがございます。これは、それぞれ登録申請があった時点で有識者の委員会にも諮って、登録するか登録できないかという判断を最終的に農林水産省としてしているわけでございますけれども、その際には、収量が大きいとか小さいとかいうことではなく、その産品の特性としての同一性というのをどういう範囲で認めるかということを個別に審査しているものでございます。
○亀井委員 時間ですので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
○伊東委員長 次に、関健一郎君。
○関(健)委員 国民民主党の関健一郎でございます。
委員長並びに理事の皆様におかれましては、質問の機会をいただきまして、改めて御礼を申し上げます。
今回は、機能性表示食品についてお話をさせていただきます。
私、先日、家内に買物を命じられまして、子供たちとスーパーに行きました。その中で、いろいろな生鮮食品を買うわけですけれども、素朴な疑問に気がつきました。
機能性表示食品、例えば、ワカメのエキスを入れたサプリは、血圧を下げると大きく表示してあるわけです。マグロのエキスを抽出したサプリは、記憶がよくなる、きっちり書いてあるわけです。ところが、その抽出する大もとである生鮮食品、だから、マグロのパックに記憶がよくなるとは書いてないわけです。
そもそも、そこから抽出したものにはそういう機能がたくさん書いてあるのに、生鮮食品そのものにその機能、こんなに体にいいんですよということが意外に、余りに書いてないということに気がつきました。
そして、いつもここでは悪者になっていますけれども、規制改革推進会議が、生鮮食品の機能性表示食品に関して提言を出されていました。非常に示唆に富むものだったと思います。
今回、消費者庁の方にもお越しをいただいておりますけれども、質問をさせていただきます。
今回、規制改革推進会議が生鮮食品の機能性表示食品の届出についての答申を出されていると思いますが、その内容について御説明をお願いします。
〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕
○橋本政府参考人 お答えいたします。
規制改革会議から、機能性表示食品制度の見直しの運用改善といたしまして、生鮮食品に係る食品表示のあり方の見直しについては、生鮮食品は出荷から販売に至るまで、箱詰め、小分け、パック詰めなどのプロセスがあり、容器包装の形態が変わるために、簡易的な表示を可能とする仕組みなど、生鮮食品に適した食品表示のあり方を業界団体等と協議し、結論を得た上で質疑応答集等に反映して周知するといった意見が出されたところでございます。
○関(健)委員 つまり、たくさん機能性表示食品をふやしなさいよということだと思うんです、単純に言ってしまうと。
それは全くおっしゃるとおりで、何度も申し上げますけれども、もともとの生鮮食品からそのエキスを抽出した、加工したサプリには、頭がよくなります、髪の毛がふえます、そうじゃないですね、栄養がありますとか、そういう表示をわざわざしてあるわけです。なのに、そのもとになると一個も書いてない。これは余りに当たり前過ぎますけれども、これはとても大きな大きな問題だと私は思うんです。
実際に調べてみました。一次産品で、つまり農林水産漁業に携わる皆さんの手取りに資するような機能性表示食品の例をちょっと探してきたんですけれども、津軽のリンゴ、これは内臓脂肪を減らします、あとは大豆もやし、これは骨をよくします、ミカン、骨の代謝の働きをよくします、こんなふうに、一次産品の中でも、きっちりそういう機能性表示食品を取得している意識高き生産者の皆様がいます。
ただ、この後、別の質問をさせていただきますが、ここにも一つの構造的な原因があるので、後ほどそこは質問させていただきます。
続きまして、消費者庁の方に質問させていただきます。
機能性表示食品である生鮮食品、これは何件ぐらいありますか。
〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕
○橋本政府参考人 お答えいたします。
消費者庁では、機能性表示食品の届出状況について消費者庁のウエブサイトで公表しているところでございますが、ことしの六月六日時点で、全体の公表件数は千三百十八件であるところ、うち生鮮食品は、例えばミカン、もやし、カンパチなど十四件が公表されているところでございます。
○関(健)委員 千三百十八件のうち十四件です。ほとんどは、原材料から抽出したものを、こんな栄養がありますよ、こんな効果がありますよと言っているものにもかかわらず、その原材料は何と十四種類しかないわけです。ここにもっと、このマグロの切り身はこんな機能がありますよ、この野菜はこんなものがあります、こういうことをばんばんばんばんつけていくべきだと私は考えるんです。
農水大臣にお尋ねします。
この生鮮食品が今後機能性表示食品を取得して、そういうふうについていった場合、どのようなメリットがあるか。私は、生産者の方の手取りというか稼ぎの向上にもなると思いますし、また、消費者の方も、この食べ物にはこういうものがあるのねというのをわざわざ加工品のサプリに頼らなくてもできるようになるんじゃないか、消費者にとってもメリットがあると考えるんですけれども、御所感を伺います。
○齋藤国務大臣 私もよくスーパーに行くんですけれども、ちょっと気がつきませんで、いい御指摘をいただいたなと思っています。
私は、今御指摘いただいたことの中に実は重要な問題が潜んでいるなと思っておりまして、食品として売るメーカーの皆さんは、消費者の皆さんにいかにアピールするかということを真剣に考えているんですけれども、農産物を生産している人には若干それが弱いということをこの現象はもしかしたらあらわしているのかもしれないというふうに受けとめさせていただきました。
機能性表示食品となったことによりどういうメリットがあるかですけれども、例えばミカンの産地では、メディアで、関さんの前の職場かもしれませんが、取り上げられることになりまして、知名度アップにつながって、実は注文が増加をして新たな取引先が開拓できたということもございましたし、もやしでも売上げが増加したという報告を受けているところでありますので、この制度は、生鮮食品の需要拡大に向けて、消費者に強くアピールできる有効な手段となり得ると考えておりますので、農林水産省として、この機能性表示に取り組む産地等を後押ししているところであり、これからもしっかりやっていきたいと考えております。
○関(健)委員 今の大臣の御答弁の中で言及をされましたエンドユーザー、要は口にする皆さんへのというのが、やはり生産者さんはつくることがメーンですから、それはまさにおっしゃるとおりで、これに関しては後で質問をさせていただきますけれども、今、答弁いただきました。
引き続きなんですけれども、機能性表示食品を取得するには、ある壁があるんです。いろんな、ブランド米であれ何であれそうなんですけれども、そこに、その資格を取得するためのお金と時間がかかるわけです。先ほど申し上げた、名前が出た生鮮食品の機能性表示食品を取得している方々、僕は全部聞いたんですけれども、共通点は、強い危機意識を持っておられたんですね。このままじゃおらが町の産品が危ない、何とかして消費者に知ってもらおう、この強いモチベーションが、結局この機能性表示食品へと行ったわけです。
では、だったらどこでもやればいいじゃないかというところになると、そこがまた難しいところで、ある生産者の方から聞きましたけれども、機能性表示食品というのは、これは行政書士の方が基本的にはその手続を進めるわけです。
その一方で、機能性表示食品というのは例えばどういうことをするかというと、まずは、その成分が安全性があるかどうか確認をします。そして、こんな有用性があるよというものに関して、一日何グラム食べればその役割が、その効能が出てくるのか、そして過去の学術論文を取りまとめます。そして、消費者庁の書式にのっとって、機能性表示食品というのをやりますと。
これは、実は弁理士さんが日ごろやっている業務と非常に親和性が高いんだそうです。ところが、この機能性表示食品というのは、行政書士の方がやられるところです。
私が何人か聞いて、実際に機能性食品の表示の届出をしようとした方は、ちょっと行政書士の方でわかる方がいないので弁理士さんに頼んだと。ところが、弁理士さんはそれをやっちゃいけないわけですね。だから、生産者さんと一緒に歩いて届けに行って、ここはどうすればいいんですかと役所の人に言われたら、後ろにいる弁理士さんに、これはどうすればいいんですかと。完全な二度手間になったわけです。もし弁理士さんに丸投げできれば、この人は、また次の付加価値向上に向けた自分の農産物に向き合うことができたわけです。
ここで、お尋ねをいたします。
特許の取得は弁理士が行っておられて、機能性表示食品というのは行政書士が行っておられる。そうすると、先ほどの具体例のように、生産者に関しては、機能性表示食品も、その業務の親和性から、弁理士の方に依頼してということができれば非常に合理的だというような意見もあるんですが、これは弁理士さんは関与できないんでしょうか。
○花木政府参考人 お答えさせていただきます。
今、先生御指摘のとおり、弁理士の業務というのは、特許でありましたりノウハウといった知的財産につきまして、出願の代理というのが、従来、中心の業務だったわけでございます。ただ、最近は、ユーザーの方々のニーズに的確に対応するために、その前段階のコンサルティングとかアドバイスとか、そういうところにも力を入れるようになってこられている方もふえておりますし、特許庁といたしましても、そういう取組というのは非常に重要であり望ましいことだというふうに思っております。
そういうコンサルティング等の一環として、例えば食品について、その機能が特許になるようなものであったりノウハウになるようなもの、あるいは場合によったら商品のネーミングを商標として登録したい、そういうような御相談もあるかと思いますので、一般的なコンサルティングを機能性食品についても実施していくことは可能ではございますし、また、実際にそういうことをやっていらっしゃる弁理士さんもいると思います。
ただ、先生が御質問の、機能性表示の届出書類を作成する業務につきましては、こちらは行政書士法に基づいて行政書士の業務ということになっておりますので、弁理士ということではできないということでございます。
○関(健)委員 ありがとうございました。
弁理士の方ができないというのは、これはまさに法律のたてつけの部分だと思うので、そこを改正とかいうのはまた全く別の話ですけれども、現状、今のたてつけの中でどうすればいいかということをお尋ねしたいんです。
先ほど申し上げましたように、生産者の方で、機能性表示食品というのを届出しますと。これが、えらいうまくいったな、そういうときは、そのまま特許になるのかとか、そのまま更にビジネスとして拡大していくというときに、やはり、一日何ミリグラムとったらどういう効能があって、過去にこういう学術論文が出ている、これはまさに弁理士さんのルーチンワークなわけですね。
ですから、それぞれの得意な分野が合わさって、生産者さんの一秒でも早い商品化なり一円でも多い手取りの増加に資すれば、私は何士でもいいと思うんですけれども、現状のたてつけの中で、そういうワンストップで合理的なサービスをするためには、どういうふうにすみ分けるというか、協力していけばいいんでしょうか、士業さん同士が。
○花木政府参考人 お答えさせていただきます。
今、先生のおっしゃいました、ワンストップの扱いになるべく近くなるように、現在のたてつけでということでございます。
私ども特許庁としても、日本弁理士会と連携をいたしまして、日本弁理士会が行っております義務研修、弁理士さんに対する研修の中で、機能性食品の制度等についてのコースを設けるようにしております。ことしも今月末にそうしたコースも実際に実施され、そこで参加される弁理士については、そういうことに関心があるということで、そういう全般的な仕組みについては学習をしていただけるということだと思います。
そのほかに、私ども、全国四十七都道府県に知財総合窓口というのを設けておりまして、こちらの中で、弁理士と弁護士と、いろんな専門家がリテインさせていただいておりますので、どんな専門家があるのか、これがどういう権利になるのか、どういう手続をしたらいいのかという、入り口の、さばき的なところは無料でさせていただいているということでございまして、そのあたりをぜひ御利用いただければと思っております。
以上です。
○関(健)委員 ありがとうございました。
そもそもの、冒頭に戻りますけれども、いろんな食べ物にある効能、役割を抽出して、サプリにある。そのサプリには、ワカメは血圧を下げるとか、マグロは記憶がよくなるとか書いてある。ところが、マグロ自体には書いてない、ワカメ自体には書いてない。これはやはりおかしいんです。
この当たり前の、おかしいなというものの構造的な原因は、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、これはやはり、消費者だけを見ている、大規模な企業が多い加工食品メーカーなのか。それぞれの生産者の手で、生産者若しくはその周りの皆さんが消費者を見られるか、これは物理的になかなか難しいと思うんですけれども。
先ほどもほかの委員の皆さんから指摘がありましたけれども、地理的表示制度についてちょっとだけ質問をさせていただきます。
農水省の方に聞きますけれども、地理的表示制度について、簡単に仕組みを教えてください。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
地理的表示保護制度、いわゆるGI制度でございますけれども、制度の趣旨、目的としましては、長年、地域で生産され、高い品質と評価を得ている農林水産物や食品について、その名称を知的財産として保護する仕組みでございます。
その登録に向けた手続でございますけれども、地域の生産者団体等から農林水産省に申請をしていただきまして、農林水産省で審査を行った後、三カ月間の公示をいたします。公示期間中に寄せられた意見も踏まえまして、学識経験者からの意見聴取を経て、農林水産大臣が登録あるいは拒否を判断するという仕組みでございます。
○関(健)委員 この地理的表示なんですけれども、実は、これも、どういう士業の方がやっているのかというのは、明確な規定はないんですけれども、今まさに言及された、パブリックコメントみたいな感じですかね、この考え方については、農林水産省の答えとしては、法に基づく申請の代理に係る規定については、申請開始後の申請状況等を踏まえ、今後検討してまいりたいと。つまり、生産者にとってよければある程度弾力的にいきますよということが事実上書いてあるわけです。
つまり、この機能性表示食品においても、今後更にふえるのであれば、その業務として親和性が高い弁理士の方が参入しやすいような仕組みというか枠組みを構築することを強くお願い申し上げます。
最後になりますけれども、大臣に御質問させていただきます。
まさに先ほどの御答弁の中で言ったこと、私、最後に聞こうと思ったんですけれども、生産者や、やはりある程度豊かなJAの皆さんとかよりも、本当にまずいなとお尻に火がついている生産者の皆さんとかそういう方々が、次々と機能性表示食品とかに手を、先手先手を打って、成功をされています。
おっしゃったとおり、やはりサービス業の皆さんというのは、消費者を見て、マーケティングをして、それで機能性表示食品の取得をしている。その一方で、生産者というのは、そんなの要るのかなみたいな認識からまず始まっているわけです。
私は、一次産業に携わる方々の所得の向上のためには、これからこれは不可欠だと思っています。
大臣におかれましては、改めて姿勢の御所感を伺うとともに、こういう機能性表示食品の取得の向上に向けて後押しすべきだと考えますが、御所感を伺います。
○齋藤国務大臣 御指摘、全く同感でありまして、これからの農業を助けてくださるのは一に消費者の皆さんだと思っていますので、その人たちにどうアプローチするかということが大事で、その一つとして機能性表示というものは重要だろうというふうに考えております。
ただ、この届出をするに当たりましては、なかなか産地だけでは取り組みにくい技術的課題などが存在するのも事実でありますので、そういう面では、私ども、サポートしていかなくてはいけないと考えています。
具体的には、生鮮食品に含まれる成分が人体に有用な機能性を有していることを示す科学的根拠の収集、公表というようなものも必要になってまいりますし、そういうものは我々が御協力しているということですね。それから、有用成分について適切な機能性表示を行うための品質管理等に関する技術的な対応マニュアルの作成、こういったものも行っておりますし、ミカンにつきましては、その有効成分であるベータクリプトキサンチンの定量試験法というものをJAS規格で制定をしたとか、それから、関係団体による、先行事例のノウハウを用いた他産地の届出へのサポートの促進ですとか、そういった環境整備を図っているところであります。
今後、生鮮食品の機能性表示食品を更に拡大するためには、農林水産省内に品目ごとの相談窓口の設置、それから、自治体や農協等の担当者を育成するためのセミナーの開催、こういうことをやっていきたいと思っておりますし、それから、機能性表示食品の届出に資する科学的根拠を収集、公表する品目数をふやしていきたいと思っておりますし、それから、機能性成分含有量の定量試験に関しまして、信頼性の高い試験法を、JAS規格制定を推進することによって届出がしやすくなるようにならないかなどの支援を行いたいと考えているところでございます。
○関(健)委員 ありがとうございました。
少しでも生産者の皆さんの所得の向上に資する後押しを全力で、お願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○伊東委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。
本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
先月の十八日は、秋田で二十四時間雨量が観測史上最大となる記録的な大雨となりまして、県内全域で、床上浸水など建物被害、河川や道路などの土木、そして農作物、農業用施設に大きな被害をもたらしました。
ここで、二つ折りのA3資料をごらんいただきたいんですけれども、この十八日、金曜日でしたので、私は、国会から秋田に飛行機で飛んでいきまして、その日の夜から翌日にかけて現場を回らせていただきました。
今月の時点で、農林関係被害はおよそ十三億五千万円。農道が崩落したり、また水路の損壊、合わせておよそ六億円。田植直後の田んぼの稲、そして農業用ハウスが水没し、苗の今後の生育不良が大変懸念されるところであります。
撮影した現場の三枚の写真のうち、一番下なんですが、これは実は能代市というところのネギ畑であります。冠水しているんですけれども、能代市役所は最近、ねぎ課という新しい部署を設けたところで、大変ネギの生産が盛んなところなんですが、生育したネギが根腐れを起こしてしまっているということで、これらの農作物、およそ一億二千万円の被害でございます。
農業用施設の早期の復旧と農作物の再度の植付け、種まき、何といっても追加の防除など、かかり増しの経費について、少しでも農家の負担が軽減されるように支援措置を御検討いただきたいと思いますが、大臣の所感を伺いたいと思います。
○齋藤国務大臣 御指摘のように、五月十八日から十九日にかけての大雨は、秋田県を始めとする複数の県、青森、岩手、新潟におきまして、農作物、農地、農業用施設等に大きな被害を及ぼしております。
このうち秋田県では、六月一日現在で、農作物等で一億三千万円、農地、農業用施設で八億四千万円、林地荒廃、林道施設で三億八千万円など、合計で御指摘のように十三億五千万円の被害が発生しているということは承知をいたしております。
このような農林水産業の被害につきましては、農業共済の損害評価、それから共済金の支払い、これを迅速にやるということが必要ですし、それから日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金等の長期、低利の融資ですとか、それから災害復旧事業、これらを基本として対応していかなくてはいけないと考えております。
これから、引き続き、関係自治体と連携をして、被害状況の把握に努めるとともに、これらの対策が現場で実際に早期かつ円滑に動いていくように努力していきたいと考えています。
○緑川委員 大臣、ありがとうございます。
地域の農家の所得、やはりこの確保がもう現状で課題となっている中で、これはますます、この被害がきっかけとなって離農が加速しかねないものになるというふうに思いますので、地域への御配慮、サポートをどうかお願いしたいというふうに思います。
次に、見直しの検討が進められている米の検査規格についてお尋ねいたしますが、特に、私が再三申し上げている、検討するべきと考えているのが、着色粒の混入限度であります。
カメムシが稲について米の栄養を吸ってしまうことで、お米が黒くなっていったり斑点模様になってしまったりしますが、これを着色粒というふうにいいます。この着色粒がどの程度混入していてもいいかというのが、混入限度という基準です。
この着色粒の混入限度は、一等米で〇・一%、二等米で〇・二%。これは、小石のように、飲み込めば健康上問題のある異物が入っている限度割合よりも厳しい着色粒の混入限度になっております。
この混入限度を何とかクリアするために、米農家がカメムシから米を守ろうとして、神経毒を含んでいるネオニコチノイド系の薬剤、つまり殺虫剤を夏場に田んぼに頻繁に散布しているわけですけれども、カメムシだけに効くわけではない。周辺を飛来しているミツバチも死んでしまうという被害を招いている。国内全体では、直近の二〇一三年から一五年の三年間で平均六十六件の被害、毎年その被害が絶えていないわけです。
この殺虫剤成分が水田や河川などに長期間残留することで、カメムシ以外の昆虫や水中の生物、鳥に被害が及ぶ生態系への影響、そして、殺虫剤の成分が玄米、食べ物にも残留している問題、そして、最近の大学有識者による調査では、国産の蜂蜜の六割以上で、国が定める残留基準を上回るネオニコ系薬剤の成分が検出されているという状況です。
先週、農薬取締法の改正の審議でほかの委員の皆様も御指摘がありましたが、お米やそうした蜂蜜といった食の安全性の問題が科学的知見からもう示されている以上、農薬として登録されていることは見直されるべきであると私は思っています。
そして、今挙げたさまざまな問題の発端、カメムシ防除にこうした殺虫剤を使わなければならないほどに厳しい着色粒の混入限度がその原因にあるわけですが、この規格基準の見直しについて、改めて、現状どのようにお考えになっているでしょうか。
○柄澤政府参考人 改めて、着色粒の問題について御質問を賜りました。
カメムシなどによります着色粒につきましては、その混入が消費者からのクレームの要因になりますので、生産者、流通業者、消費者等関係者の御意見をお聞きし、現在、米の農産物規格に着色粒の最高限度を設けているところでございます。
この着色粒の農産物規格につきましては、カメムシなどが大量に発生して着色粒の混入割合が多くなれば、収穫後の色彩選別機による除去では歩留りが大きく低下すること、実需者からは、流通段階で色彩選別機による除去の際には搗精時間が長くなりコストがかかるため、生産段階での対策が必要との御意見があること、一方、生産者からは、今御指摘がございましたように、着色粒の農産物規格を満たすために追加的な農薬の使用が必要となるという、さまざまな御意見があることを十分勘案する必要があると考えております。
全体として見た場合に、消費者からのクレームを踏まえた場合、着色粒につきましては生産段階か流通段階のいずれかで除去する必要があるわけでございますけれども、どこでそのコストを負担することが最も適切かにつきまして、農薬の使用実態や色彩選別機の導入実態なども踏まえまして、関係者の御意見をよくお伺いした上で適切に判断する必要があると考えているところでございます。
○緑川委員 その御答弁の中で、歩留りということでまず一つ指摘をさせていただきたいんですが、まず重要なのは、薬剤は使わなくても、まず〇・四%に満たないような、そういった試験データがございます。
まず、審議で柄澤政策統括官にいつもお世話になっておりますので、このお配りしたA4の資料をごらんいただきたいんですが、小さい資料ですね、これまでの御答弁に沿ってお話をしたいと思っておりますが、薬剤防除をしなければならない理由として、先月九日の委員会でも私は質問しましたが、このようにおっしゃっています。「カメムシなどが大量に発生し着色粒の混入割合が多くなれば、収穫後の色彩選別機などによる除去では歩留りが大きく低下する」というふうにお話をしています。
ここで、薬剤で防除をしなければならない根拠として、着色粒の混入割合が多くなるからというふうにお答えをいただいているんですけれども、私の方で、岩手県の農業研究センターの二〇一〇年の論文がございます。これは資料をちょっと載せてはいないんですが、お聞きになっていただきたいんですが、アカスジカスミカメによる斑点米被害発生要因の解析の中で、薬剤防除面積と斑点米混入率の相関関係は小さい、つまり、これは、薬剤による防除を行っても行わなくても、着色粒の発生率への影響は小さいということが結果として示されています。
その理由として、カメムシが外から次々に飛来して田んぼに入ってくるために、薬剤を散布しても完全な防除は難しいということと、稲の内側に卵を産みつける場合に幼虫の発生は避けられないからであるというふうに分析しています。これは有識者の見解です。
また、別の、秋田県農業試験場のデータによれば、薬剤による防除を行わなかった場合で、一九九八年から二〇一〇年まで十年以上防除をしなかった田んぼでの着色粒の混入率は、先ほど私が申し上げたように、平均で〇・三八五%です。防除しなくても、平均でこの数字なんです。
ですから、薬剤散布をしなかったからといって、着色粒の混入割合が極端に多くなるわけではない。
農業研究センターや農業試験場による科学的な知見、統括官はどのようにごらんになっているでしょうか。
○柄澤政府参考人 今御指摘ございましたように、農薬の使用実態と結果としての着色粒の割合については、今御指摘ございましたような御意見も含めまして、さまざまな分析があるというふうに考えているところでございます。
○緑川委員 これが、関係者の御意見というふうに、資料も太字のところであえて書かせてもらったんですけれども、どこまで関係というふうに捉えていらっしゃるか。もしかしたら、狭い範囲での意見しか聞いていないのではないか、このようにも考えてしまうわけなんですけれども。
記載した御答弁の、特に後半の方なんですけれども、普通の粒も同時に除去、はじいてしまうという色彩選別機についてのお答えも後半ございますが、色選機メーカー、これはサタケを私は例に挙げますが、一九八〇年代前半に色選機が全国の精米工場に広まっていますが、最初は技術的にはまだまだこれからという中で、九五年に、新食糧法とともに、製品に対する製造責任を強化するPL法が施行されたことによって、市場から米の品質向上が一層強く求められる中で、技術開発を重ねて、サタケでは、九九年にデジタル画像処理を採用した色選機を開発しています。これによって、米一粒ごとに的を絞ってエアを噴射させることが可能になりました。不良品の良品への混入がおよそ一〇%にまで抑えられるようになりました。
つまり、技術の進歩がもう進んでいるわけですね。つまり、着色粒を悪いというふうに言うとすれば、その悪い粒が九粒はじかれるときに普通の粒も一粒はじかれるというように、時代とともにこの精度が上がっている。
先ほどの低い混入率を考えたときに、統括官お答えの歩留りについてちょっと計算してみました。資料にこれも載せましたが、玄米一粒の重さを〇・〇二五グラムと仮定すると、玄米一キロ、千グラムであれば四万粒あることになります。
色選機、今、悪い粒九粒はじくときに普通の粒も一粒はじくという精度で考えたときに、一等米では混入限度が〇・一%以内ですので、一キログラムの玄米の中には着色粒は四十粒ほどある、四十粒以内あるわけです。色選機によって普通の粒がはじかれてしまう数は、四十掛ける九分の一で四・四四粒以内。このいい粒というのが、一等米の中では四粒ほどが一キロ当たり、もったいないんですけれども、はじかれるということになります。
一方で、今、十年以上防除せずにいた田んぼで収穫した米の着色粒の混入率は〇・三八五%ですから、一キログラムのうちの着色粒は百五十四粒。普通の粒がはじかれてしまう数は、百五十四掛ける九分の一で十七粒です。十年以上防除していないお米に対しても、十七粒しかいいものがはじかれないという見方です。
普通の粒がはじかれる数は、それぞれ四粒と十七粒。一等米で四粒、そして、一等米じゃない、防除していなくても十七粒。一キロ当たりで十三粒ほどしか差が生まれないのに、歩留りが大きく低下するとは言えないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○柄澤政府参考人 まず、配付いただきました、五月九日の当委員会におけます私の答弁につきまして申し上げたいと存じますが、ここで申し上げた関係者の御意見の内容を具体的に申し上げますと、一般的に着色粒を色彩選別機で除去する場合には、着色粒の混入割合が上昇するに従って、着色粒とあわせて除去されるその他の粒の割合が上昇するということを精米関係の団体がおっしゃっておられましたので、その御意見を御紹介したところでございます。
一方で、今、委員が御紹介になられたような、例えば技術の進歩ですとか、いろいろな分析の御意見も多数あろうかと存じます。
そういった意味で、私どもとしては、誰か特定の方の御意見ではなくて、農薬の使用実態あるいは色彩選別機の導入実態なども十分踏まえた上で、関係者の、いろいろな関係者の御意見を幅広く伺う必要があるというふうに考えているところでございます。
○緑川委員 では、そうしたいろいろな御意見の関係者というのを私の方からも御紹介させていただきながら、まず、その前に、搗精に時間がかかるとかいろいろな御答弁の中に対しても、まず、歩留りが大きく低下しているということに対しては、これはフォローできると思うんですね、十分現場で。例えば、はじかれた米を一定量集めて、また色選機にかけて普通の米を回収していけば解決されることだというふうに思いますし、それは、流通業者の手間とか精米業者の手間とかコストの問題ではなくて、精米の段階で一工夫するかしないかの話、それだけじゃないでしょうか。
一部の御意見、一方の言い分だけというようなお話という前に、私の方からいろいろ御紹介をさせていただきたいと思いますが、生産者サイドはやはり違う思いがあるわけなんですね。
御答弁の後半に、また関係者の御意見ということ、どこまでなのかというのはやはりわからないんですけれども、やはりいろいろな主体があるということを、今後、二二年度に、この農産物検査制度を見直すというような報道もありますが、もしそういうことであれば、念頭に、いろいろな主体がいるということをどうか御承知おきいただきたいというふうに思います。
農水省がこれまで公表しなかった、これも質問いたしましたが、都道府県に対する米のアンケート調査結果を市民団体が独自に調べたところによれば、着色粒の混入限度を緩和するべきという十二の県の声、自治体の声がありました。秋田県の大潟村を始めとした各地方議会からも、着色粒規定の見直しを含めた農産物検査制度の抜本的見直しを求めているところであります。
また、消費者ニーズに対しても、消費者サイドから見ても、消費者のニーズに即した規格基準というふうに政府ではおっしゃっていますが、生協によれば、消費者から上がる三大クレームというのは、一つ目が虫が入っている、二つ目がおいしくない、三つ目が米が白く濁っている、これは着色粒じゃないです、粉っぽいお米、死米と呼ばれている米、この三つがクレームなんです。
着色粒や斑点米についてはクレームとして上がってこないわけなんですね。なぜなら、機械化が進んでいる現代においては、精米の過程で色選機を使って、歩留りの話は先ほど触れましたが、それとは別として、着色粒は除去されているから消費段階では着色粒は生じない。つまり、消費者ニーズを考える上では、着色粒の混入限度は幾つであろうと関係ありません。
つまり、消費者ニーズとは無関係な混入限度の厳しさが、他方、生産者サイドには大きな負担になっております。着色粒の混入割合を〇・一%以下にしなければ一等米として認めませんよ、〇・一%を少しでも上回れば二等米の扱いになって、せっかく収穫した米の商品価値が下がってしまいますよという着色粒の混入限度が立ちはだかっているために、米の価値を下げたくない稲作農家に、半ばこれはやむなしということで、先ほどの農業研究センターのデータが示すように、効果が実証されていないような薬剤散布が行われることになっています。
一等米と二等米とでは、一俵六十キロ当たり五百円の差が設けられています。二等米として安く売りたくないから、防除しなくてはならないというふうになります。十アール当たり三千円の防除費用もかかります。生産コストを考えれば、防除しない方が、それはこしたことはないんですけれども、一度散布しても一週間ほどの効果しか持続しない、夏場にはたびたび散布をしないといけない、これでは、ある種薬漬けみたいな状況にも私はなってしまうと思うんですね。米の価格がなかなか芳しくない昨今、米農家の懐も苦しいし、お米にとっても明らかによくないのではないでしょうか。
何が言いたいのかといえば、結局、関係者の御意見というのが偏ってしまっているのではないかということです。農薬の使用実態、色彩選別機の導入実態などを踏まえてという御答弁を先月いただきました。いろいろな分野の関係者の意見を伺うというお答えでしたけれども、現状でヒアリングの状況はどうなっているでしょうか、あるいは、どのような御関係の方から伺う予定でしょうか。
○柄澤政府参考人 農産物の検査につきましては、まず、平成二十八年十一月に、農業競争力強化プログラムにおいて、農産物の規格についてそれぞれの流通ルートや消費者ニーズに即した合理的なものに見直すというふうにされ、そして、そのプログラムを踏まえて、平成二十九年八月に農業競争力強化支援法が制定、施行され、その中で、農産物の公正かつ円滑な取引に資するため、国が定めた規格の見直しを行うというような規定がされたわけでございます。
私どもとしては、こういった動きの中で、平成二十九年春以降、例えば、日本農業法人協会、全国稲作経営者会議等の農業者の方々、それからコンビニ、ファミリーレストラン等の中食、外食事業者の方々、それから米の卸売業者の方々など、今まで、計算してみますと、延べ百者以上からヒアリングを行っております。
農産物規格、検査のあり方について、御意見をこのようにお聞きし、今後、公正かつ円滑な取引に資するような見直しの検討を行ってまいりたいと存じます。
○伊東委員長 緑川君、時間ですので。
○緑川委員 ぜひ、この見直しの判断材料を広く、幅広くとっていただきたいなというふうに思います。
時間が来てしまいましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
○伊東委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。
先日、地元伊達市の霊山に霊山国際農友会という組織がありますが、総会に出席をさせていただきまして、農業者の方々と意見交換をさせていただきました。
この国際農友会というのは、農業者の海外派遣研修事業を進めているものでありまして、研修に参加をした、派遣に参加をした方々の会なんですけれども、一言で言いますと、派遣国と我が国との農業の比較をする、そして、もちろんいいところは取り入れていく、一方で、派遣を通して改めて日本の農業のすばらしさというものを感じ、それに気づき、それをもって、ふるさとの農業の振興のために御尽力いただいている方々でございます。
TPPの問題とか、主要農作物種子法を廃止したことの問題とか、また農業者所得補償制度をぜひというお言葉とか、そういうことも御意見の中でいただきまして、大変有意義な時間を過ごさせていただきましたが、やはりその農友会の先輩方からは、地域の中で後継者のいない農業者の方々が多くなってきているということを危惧しているという御意見が出ていました。それが実態です。
今後、更に労働力減少の一途をたどっている我が国としては、やはり離農をする方をこれ以上ふやしてはいけない、一方では、就農をする方々をいかにふやしていくか、これが課題でありまして、農業の魅力を知っていただくための取組というのはしっかりと進めていかなくてはいけないというふうに思っています。
そこで、今回農水省が、昨年の十月二十六日から十一月五日までの間、十一日間なんですけれども、若手農業者向けウエブアンケートを行ったということであります。その若手農業者向けアンケートの集計結果がこの四月にまとめられまして、公表されたところでありますが、ちょうど五月一日の日本農業新聞もこのことを取り上げて記事にされておりまして、その見出しというのは、「若い農業経営者 労働力確保を要望 将来不安の原因に」となっており、大変気になるところでもあります。
一言で言いますと、この調査では、若手農業者の方々が労働力の確保を強く求めているということで、例えば、あなたにとって特に関心の高い農業施策は何ですか、労働力の確保、これが四八・八%回答しているということです。複数回答ではあります。そしてまた、あなたの現在の経営における特に大きな問題、課題は何ですかという質問に対しまして、複数回答でありますけれども、これもやはり労働力の不足、四七・一%ということで、一番多く労働力の確保というふうに答えているということであります。
この調査の結果についての御認識をお伺いしたいと思います。
○齋藤国務大臣 今回、農業を担う四十代以下の新規就農者数が、統計開始以来初めて三年連続で二万人を超える中で、平成二十九年度の食料・農業・農村白書においては、若手農業者に焦点を当てた分析を行っています。
農林水産省では、この分析に必要となる若手農業者の現状や将来に向けた考えを把握するために、四十九歳以下の農業者を対象に、御指摘のように平成二十九年十月二十六日から十一月五日にかけてウエブアンケートを実施いたしまして、千八百八十五人からの回答をいただきました。
その結果は白書の中で紹介をしているわけでありますが、御指摘のように、経営の課題として労働力の不足というものを挙げている方が多数おられるということと、それから、出荷、販売先で今後伸ばしていきたい方向としては、消費者への直接販売、これに多数の回答が寄せられておりましたので、この辺に若手農業者の考えが反映をされているのかなというふうに認識をしております。
農林水産省としては、このアンケート回答者を含め、農業者が今後伸ばしていきたい方向を後押しできる環境づくりというものの重要性を改めて認識したところでございます。
○金子(恵)委員 農業だけではなくて、労働力が不足しているというのは、少子高齢化が進んだ我が国の最も大きな問題となっているわけですけれども、その中で、食の安全保障の問題も含めて、農は国の基であるということで、最も重要な農業に従事してくださる方をしっかりと確保し続けること、これが私たちの本当に最も重要な課題であろうというふうに思っています。
そういう意味では、先ほども申し上げましたように、もちろん農業というもののすばらしさを多くの方々に知っていただく、新規就農者もふやしていくということでもありますし、担い手の育成を更に進めていくということであります。
これまでもいろいろな事業はやっていただいていますので、例えば、農業次世代人材投資事業、農の雇用事業、農業経営確立支援事業等、政府、農水省が進めている事業というものはあります。しかし、これではなぜか限界があるのかもしれません。大きく、本当にそれぞれの自治体の中での取組をしっかりと後押ししていくということをやっていかなくてはいけないということもあると思います。
つまりは、やはりそれぞれの自治体の特性に応じた形で、どんな人材を育てていくかということも重要な課題だというふうに思っているところでありまして、改めて、このような人材確保、あるいは人を育てていくという点についての御意見をお伺いしたいと思います。
○齋藤国務大臣 農業者の高齢化、減少が進んでいく中で、我が国農業を持続的に発展させていかなくてはいけないわけでありますが、このためには、効率的かつ安定的な農業経営を育成、確保して、こうした経営が農業生産の相当部分を担うという農業構造を構築することは重要でありまして、そのためには、御指摘のように、特に若い人たちが農業に取り組んで、そして継続をしていく環境をつくるということが非常に重要であるというふうに認識をしているところであります。
そういう担い手をつくるという観点から、経営改善に取り組む認定農業者や認定新規就農者等の担い手が主体性と創意工夫を発揮して経営発展できるよう、融資、税制などを通じて担い手に重点的に支援をするとともに、農地中間管理機構によって担い手への農地集積、集約化を推進するですとか、法人化や経営継承など担い手の経営上の課題の解決を図るための経営相談体制の整備ですとか、あるいは担い手のさまざまなチャレンジに伴うリスクに対するセーフティーネットとしての収入保険制度の創設など、さまざまな観点から御支援をしているところであります。
また、更に言えば、若い人たちの定着というものが非常に重要であると考えておりますので、御指摘の就農準備段階や経営開始直後の青年就農者を対象とした資金の交付ですとか、農業法人等における雇用就農者の研修に対する支援ですとか、あるいは無利子融資等を活用した機械、施設等の取得の支援ですとか、こういった特別の対策もやらせていただいているところであります。
簡単な課題ではないと思いますけれども、さまざまなものを重ねていって、一歩でも二歩でも前進をさせていきたいと考えています。
○金子(恵)委員 また地元のネタを申し上げて申しわけございませんけれども、私の地元に国見町というところがありまして、そこで、くにみ農業ビジネス訓練所が、四月の三十日でしょうか、開所したんです。
私、このビジネスというのを訓練所に入れるのは、ちょっとどうなのかなとも思ったんですけれども、実際にはこの訓練所では、今私も申し上げました農業次世代人材投資事業なども活用させていただいて事業も展開していくということでありまして、まさに新規で、本当に農業をやったことがない方々に農業のイロハを教えていく、そういうカリキュラムが入っている訓練所です。
また、とてもいいパンフレットなどもつくって、明るいイメージをつくっているということで、それで、最終的にはこの国見町にやはり定着して、定住していただくということが一番の大きな目的になっているということなんですけれども、果樹とか米に次ぐ農作物として、実は、野菜の多品目栽培と養液トマト栽培による稼げる農業を目指す農業者を育成しますということで、ハウスでのトマト栽培にチャレンジするというような内容にもなっているんです。
もちろん、農業の多面的機能を守りながら、地域政策は守りながら、これを大切にしながらも、でも、もう一つの車輪である産業政策としての考えで申し上げると、やはり魅力のある農業の発展のために御尽力いただくような、そういう人たちを育てようとしているということで、繰り返しになりますけれども、国の予算を活用していただいているということでありまして、私はとてもいい取組だと思いますので御紹介をさせていただきながら、もっともっとこういう取組を多くの方々に知っていただくということだと思います。
そしてまた、今大臣からも御答弁があったんですが、フォローアップです。それをしっかりやっていくということだと思います。
いろんな事業を見ていくと、二年間とか五年間とか、そういうくくりで行っているんですけれども、そうではなくて、五年間農業をやったら終わりじゃないはずなんです。これは、本当に長くその自治体に定住していただく、そこで農業をやっていただく、そういう仕組みづくりをしていかなくてはいけないというふうに思うんですが、その点、いかがでしょうか、ぜひもう一言、何かあれば。
○齋藤国務大臣 国見のケース、大変興味深く拝聴させていただきましたので、ちょっと勉強をしてみたいなと個人的に思っています。
加えて、やはりやった政策が実際に新規就農の定着につながっているかというのは非常に重要な視点だと思っていますので、その定着度合いをしっかりと見ていくということ、これは大切なことだと思っていますので、やっていきたいと思っています。
幸いなことに、少し若い人たちに農業の関心が高まってきたというふうに実感をしておりますので、この機を捉えてさまざまな施策を展開していきたい、そういうふうに思っているところであります。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
もう一点、きょうは、食品ロスの関係について御質問したいと思います。
年間六百二十一万トン、これが我が国の食品ロスの現状であります。このことについての認識と、そしてまた、食品ロスをなくすためにどんな取組をしてきたのかということをお伺いしたいのです。
やはり私たちも、宴会等に出席をさせていただくと、三〇一〇運動をもっと進めなくてはいけないんじゃないかということで、どうしても食べ残しが目の前にあると申しわけない気持ちでいるわけなんですけれども、そういう国民運動というか、国としての取組というものもしながら、やはり農水省として、食と農というのをしっかりとつなげていく、そのことによって食品ロスを減らしていくという取組が必要ではないかなというふうに私は思っているところであります。
ちょうど、JAの福島県青年連盟の平成二十九年度食育活動作文コンクールで優秀賞を受賞した、棚倉町立近津小学校の下重ひまりさん、当時小学校五年生の方の作文なんですが、とてもいいことを言っているということで、私、ちょっと御紹介させていただきますと、バケツ稲づくりをした、その最後の部分で、
この総合のバケツ稲作りで学んだことは、協力すれば何でもできるということです。あと、食べ物は大切に残さずしっかり食べるという二つのことを学びました。とってもいい学習になりました。これからは、そのことを忘れずにしたいと思います。
とおっしゃっているんです。
とてもかわいらしい言葉だと思いますが、とても重要なメッセージというものが入っているというふうに思います。
最後に、大臣から、食品ロスについての取組と、そしてこれからの御決意ということについてお伺いして、終わりたいと思います。
○齋藤国務大臣 食品ロスは、食料の多くを輸入に依存している我が国でありますので、食料資源を有効に活用していかなくちゃいけないという観点から、食品ロスを削減させていくということは私どもにとりまして極めて重要であると認識をしています。
そして、今の小学生のお話がありましたけれども、私は、そういう、小学生が感受性の豊かな時代に実際に自分で体験をして感じ取るということがすごく重要だろうと思っておりますので、食料・農業・農村基本計画や食育推進基本計画にも書いてありますけれども、農林漁業体験機会の提供みたいなものは非常に重要だなと思っております。
農林水産省におきましても、さまざまな取組をしているわけでありますが、非常に重要な取組だということで、それをしっかり後押ししていきたいというふうに考えているところでございます。
○金子(恵)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○伊東委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
クロマグロの資源管理と、それから小規模沿岸漁業について質問をします。
最初に、水産庁にお伺いします。
沿岸小型の漁業について、国連の持続可能な開発目標、それからWCPFC条約、FAOの責任ある漁業のための行動規範等々に定められた国際的な規定について、簡単に紹介していただけますか。
○長谷政府参考人 委員お尋ねの規定は、いずれも小規模漁業者への配慮の重要性を規定したものでございます。
具体的には、国連の持続可能な開発目標においては、小規模、沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供すると書かれております。WCPFC条約においては、条約区域における高度回遊性魚類資源を全体として保存し、及び管理するために、零細漁業者及び自給のための漁業者の利益を考慮に入れるとされております。また、FAOの行動規範においては、生存漁業、小規模漁業、沿岸小規模漁業に従事している人々の権利を適切に保護すべき、あるいは、生存漁業、小規模漁業及び沿岸小規模漁業を含む漁業者の利益が考慮されるとされております。
我が国は、これら規定について、いずれも合意した上で真摯に対応してきているところでありまして、責任ある漁業国として、資源管理を行うに当たって小規模漁業者への配慮を行うことは重要であると認識しております。
○田村(貴)委員 日本も同意してきた、その小規模沿岸漁業の権利を適切に保護していくといったところは非常に大事なところなんですけれども、これに反する事態というのが生まれているわけであります。それがクロマグロの漁獲規制であります。
七月からの第四管理期間の沿岸小型漁業の漁獲枠は、三十キロ未満が全国でわずか千三百十七トン、三十キロ以上については七百三十三トンで、これは下がる一方であります。
対馬の漁師さんはこう言っています、目の前にいるマグロがとれない、かわりに海洋ごみの回収をしていると。千葉県では、小型のマグロ船が廃船に追い込まれた、新規漁業就業者総合支援で後継者が新しく船をつくったにもかかわらず出漁できないという事態になっています。
大臣も御存じだと思うんですけれども、漁民は、クロマグロの資源の状況に対して危機感を持って、適切な資源管理を行うべきだと実践してきたわけですよね。賛成して、政府の提案の前からみずから取り組んで資源管理を行ってきた。しかし、この漁獲枠ではもう生活が成り立たないと言っている。この状況について、大臣、どう受けとめておられますか。
○齋藤国務大臣 七月から、沿岸漁業、これはTAC管理の開始に向けて、第四管理期間の漁獲枠の配分案を今公表させていただいているわけであります。
この配分案は、過去の漁獲実績、これを基本に算定をしているわけでありまして、こういった考え方は、過去三カ年の自主的取組においても同じ考え方で行ってきているわけであります。
中西部太平洋まぐろ類委員会における合意によりまして、特に小型魚につきましては、漁獲上限を二〇〇二年から二〇〇四年の平均漁獲実績から半減するという極めて厳しい状況となっておりまして、目の前にクロマグロがいるのにとれないという漁業者のお気持ちというものは十分に理解できるところではあります。
しかしながら、国際約束に基づく保存管理措置を遵守するということが、やはりクロマグロの最大の生産国であり消費国でもある我が国にとっては重大な責務でありまして、また、かつ、この履行をすることによって資源の早期回復が図られれば、漁獲の上限も拡大につながっていくということがありますので、今後とも、関係漁業者の理解が得られるようにさまざまな努力をしていきたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 それでは、やり方を考えなければいけませんね。ほかにやり方はないのかということであります。
一方で、大型、中型のまき網漁業の枠は、小型マグロが千五百トン、大型マグロが三千六十三トン。沿岸小型は、これに対して二万弱もの経営体があるんですけれども、まき網は、経営体数でいえば二十程度しかないわけであります。それに、クロマグロがとれなくても、まき網はほかの魚がとれるということであります。売上げが一兆円近くになるような企業もあって、体力もあるわけであります。
そこで、お伺いしますけれども、小型沿岸漁業の権利を守ろうとするこの国際的な取決めに反する事態が起こっているわけですから、漁獲規制というのは、資源に最も漁獲圧をかけるまき網漁から行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○長谷政府参考人 お答えいたします。
大臣の答弁にもありましたように、漁獲枠の配分につきましては、過去の漁獲実績を基本に算定しておりますけれども、御指摘にあったような関係者からの御意見も踏まえまして、二〇一五年の上限枠設定当初から、沿岸漁業に対して、より手厚い配分を行っているところでございます。
その上で、第三管理期間におきましては、さらに、大中型まき網漁業から留保として二百五十トンを水産庁が預かるとともに、期間中、さらなるとり控えに応じていただくなど、大中型まき網漁業者からも国全体の漁獲枠の遵守に向けて協力を得たところでございます。
資源状況が改善されていく中、WCPFCにおける合意の遵守が非常に厳しくなっておりますけれども、漁獲枠の遵守については、関係する漁業者に等しく努力を求めることが基本でありまして、関係漁業者の理解が更に得られるよう、できる限りの工夫をしてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 死活問題なんですよね、小型船にとって、漁民にとっては。
私はたくさん声を聞いたんですけれども、一例を言うならば、先ほどの対馬のマグロ漁の漁師さんですけれども、マグロ漁はひき縄、一本釣りの漁業ですけれども、資源回復のために、産卵期は二カ月禁漁、そして一・五キロ以下はリリースするなど、ずっと厳しい自主規制を行ってきた、しかし、その間、どんなにやめてくれと訴えても、まき網は、抱卵、卵を抱えた親魚をとって、ごっそりとり続けて、資源は大きく減っていったと訴えておられます。厳しい枠を要求され、それでも枠を残して操業してきたのに、いきなりとるなと言われても困る、我慢にも限度があると言っています。
生活ができない、こういう事態になった以上、何らかのセーフティーネットが今発動されなければいけないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○齋藤国務大臣 クロマグロの漁獲制限というものが沿岸のクロマグロの漁業者の皆さんの経営に影響を与えかねないという声をいただいている、これは十分認識しております。
こうしたことを踏まえまして、本年一月から、生体放流など、太平洋クロマグロ小型魚漁獲量の大幅削減に取り組む沿岸漁業者を対象にいたしまして、漁業収入安定対策事業の特例といたしまして、基準収入が平成二十九年の水準から下回らないよう措置をしたところでありまして、この水準は高く設定されておりますので、現在、説明会を各浜で実施して、加入促進を図っているところであります。
また、漁業者の運転資金へのニーズに対応した日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金についても、今回、同公庫に対しまして、太平洋クロマグロ小型魚の漁獲自粛に取り組んだ漁業者からの同資金の借入れ相談に適切に対応するよう要請をいたしまして、現在、現場への周知を図っていただいているところであります。
とにかく、しっかり国際約束を守っていくということをしないと、将来の枠の増大というものは期待できませんので、引き続き、現場からの御要望を踏まえながら、適切な資源管理と漁業経営の安定というものを両立させていきたいと考えているところであります。
○田村(貴)委員 私の方からは、きょう提案もさせていただきました。そして、漁を諦める、そういう漁民が生まれないことを前提に対策を大いに進めていただきたいと思います。
時間がありませんので、次に移ります。
六月一日、農林水産業・地域の活力創造本部で決定された水産政策の改革、この提言について伺います。
漁業法の全面改定につながる安倍政権の提言に対して、この発表後、寝耳に水だ、何だこれはと、漁業者、漁協関係者、水産関連の研究者から驚きと戸惑いの声が上がっています。
新たな資源管理システム、またこの新たなシステムという言葉が出てきたんですけれども、この資源管理システムの構築では、まず、とっていい漁獲量の枠を船ごとに割り当てるIQ制度を漁獲量の八割に導入し、その枠を超えた場合に厳しいペナルティーを科すとしているところであります。
資源管理については、漁民はこれまで、浜ごとに、あるいは浜と浜でとれる量がどれだけなのか、これを自主的に話し合って決めてきたわけです。今度はもうトップダウンですよね。
資源管理システムについて、十一の項目で、これは子細に規則なるものを書いているんですけれども、漁業者の判断については一行も読み取れません。これは大変なことですよ。減船や休漁まで踏み込んで書かれています。これは漁業者の御意見無用ということでしょうか。答弁を聞かせてください。
○長谷政府参考人 御指摘のあった水産政策の改革につきましては、六月一日の農林水産業・地域の活力創造本部におきまして、農林水産業・地域の活力創造プランに位置づけられまして、今後、この内容に即して制度を構築していくということになります。
制度の構築に当たりまして、これまでも関係者とのさまざまな意見交換を踏まえながら検討を進めてきたわけでありますけれども、今後の作業につきましても、漁業者に丁寧に説明いたしまして、意見を伺いながら一つ一つ進めていきたいというふうに思っております。
今回の改革を、現場で実のある成果が上がり、漁業関係者の皆様がよくなったと実感できるようなものにすべく、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 たくさん問題があるんですよね。
「養殖・沿岸漁業の発展に資する海面利用制度の見直し」というところでは、地元の漁協が担ってきた漁場管理を県の管理に今度移行するんですね。そして、養殖の区画漁業権については、新区画を積極的に設定する、区画漁業権を個別の経営者免許にして、個別漁業者が漁協に付与することを希望するときだけ漁協に付与してよいとしています。
この区画漁業権における個別漁業者というのは、これは企業のことですか。
○長谷政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの個別漁業者と申しますのは、みずから養殖業を営む個人及び法人ということでございます。法人の中には、漁業生産組合や企業なども含まれるということでございます。
○田村(貴)委員 営利を目的とする企業が入ってくるということがわかりました。そうしたら、小さい漁協ほど体力がどんどんそがれてしまうではありませんか。
さらに、いろいろあるんですけれども、この水産政策の改革について、先ほど長官は多方面から意見を聞きながらつくってきたと言われましたけれども、そうなんですか。多くの漁協や、それから漁民がびっくりしていますよ、初めて聞いたと。
六月二日の土曜日に、漁業経済学会が開かれました。この総会で、全漁連の理事の方が、全漁連が求めてきたことではないと言われているわけです。紛糾的に今大問題になっているわけですよ、これは。安倍政権の、官邸側からこういうようなのがまた出てきて。本当に漁民や漁協の言うことを聞いてきたのか、その上での提案かということです。
どうしたところの意見を聞いてきたのか、個別に言っていただけますか。
○長谷政府参考人 今般の水産政策の改革内容の具体化に当たりましては、漁業者団体の開催する会議など、さまざまな機会を通じまして、昨年十二月に改定された農林水産業・地域の活力創造プランに位置づけました「水産政策の改革の方向性」を示しながら、漁協や漁業者等と意見交換を行ってきたところでございます。その中には、審議会での審議ですとか、地方自治体での説明、漁業調整委員会等々ございます。
浜の期待に応えていけるように、今後も引き続き、漁業者を始めとする関係者に対し丁寧に説明を行いながら進めていきたいと考えているところでございます。
○伊東委員長 田村君、時間ですので。
○田村(貴)委員 はい。
丁寧な聞き取りをしない上での提案だということがわかりました。
今度の改革案なるものは、漁協を軸とした重層的な漁場利用、資源管理、漁業調整の枠組みを大きく崩すものであることを指摘して、きょうの質問を終わります。
○伊東委員長 次に、森夏枝君。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
本日も、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、質疑に入らせていただきます。
本日は、水産関係の規制改革について伺います。
先日、五月二十五日の大臣の記者会見で、齋藤大臣は、昨年十二月に決定された農林水産業・地域の活力創造プランに基づき「水産政策の改革の方向性」を盛り込んで、速やかに改革案の骨格を取りまとめるべく現在検討を行っていると述べられております。
日本維新の会は、規制緩和を断行し、新たな民間活力を育成し、産業の振興と経済の活性化を図ることを党の政策の柱に据えており、ぜひしっかりとした改革を進めていっていただきたいと思っておりますが、現在、どのような内容の改革を目指し検討が行われているのでしょうか。農林水産省の御見解をお願いいたします。
○長谷政府参考人 お答えいたします。
今般の水産政策の改革につきましては、去る六月一日に農林水産業・地域の活力創造プランを改定し、政府の方針として「水産政策の改革について」を位置づけたところでございます。
その具体的な内容として、新たな資源管理システムの構築、漁業者の所得向上に資する流通構造の改革、生産性の向上に資する漁業許可制度の見直し、養殖、沿岸漁業の発展に資する海面利用制度の見直し、水産政策の改革の方向性に合わせた漁協制度の見直し、そして漁村の活性化と国境監視機能を始めとする多面的機能の発揮を進めることとしているところでございます。
これらの取組を進めることによって、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢バランスのとれた漁業就業構造の確立を目指してまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
私も、特に漁業者の所得向上についてはしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。それも現場の願いだと思っております。
先ほど申しましたとおり、規制改革については、農業、林業、水産業、流通とあらゆる分野において、現状、硬直化し問題が生じているものがあれば、課題を明らかにし、改革を断行すべきと思っております。しかしながら、改革と名がつくと、自分たちが排除されたりするのではないかと現場から不安の声が上がったり、現場も知らない規制改革推進会議に押しつけられているんじゃないかと懸念する声も聞こえてまいります。
そこで、伺います。
今回の水産関係の規制改革については、規制改革推進会議の要請に基づき行うものなのか、現場の課題を分析した結果、農林水産省として検討するものなのか、どういった性格のものなのか、お聞かせください。
○長谷政府参考人 今回取りまとめました水産政策の改革につきましては、昨年四月に策定した水産基本計画などにおきまして引き続き検討することとされておりました、数量管理等による資源管理の充実や漁業の成長産業化を進めるための取組、そして、流通機構の改革、企業と浜との連携のあり方などにつきまして、昨年十二月に改定された農林水産業・地域の活力創造プランの中で示しました「水産政策の改革の方向性」に即して、水産関係団体等の意見を踏まえまして、農林水産省として具体化を図ったものでございます。
この過程におきまして、規制改革推進会議水産ワーキング・グループの求めに応じて、農林水産省として検討してきた改革の方向性等について説明してきたところであり、先般決定された規制改革推進会議の第三次答申にも、当方の「水産政策の改革について」の内容がそのまま盛り込まれたところでございます。
このように、今回の水産政策の改革は、水産政策の実施に責任を有する農林水産省として、我が国の水産業の現状と課題を踏まえながら、みずから取り組んでいるものでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
水産改革を行う上では、現在の既得権益を守るのではなく、現在そして将来の漁業者のため、国民、消費者のためにもつながるものとして行われるものと理解をしておりますが、どのような水産の将来を目指しているのか、また、将来につながっていく改革を進める大臣の御決意をぜひお聞かせください。
○齋藤国務大臣 日本の人口減少が急速に進行して、漁業者も減少が続く中で、私は、漁業関係者が一致し協力して改革に取り組めば、我が国周辺に広がる世界有数の漁場の潜在力を顕在化させ、資源を維持、増大させながら漁業を成長産業、輸出産業として発展させていくことが可能であり、浜の活力を取り戻していくことは可能であると考えています。
今般取りまとめた水産政策の改革につきましては、このような考え方のもとで、水産基本計画に基づく施策の実行と相まって、申し上げたようなことの実現を目指すものであります。
漁業者の高齢化の進行等を踏まえますと、水産改革に残された時間も限られておりまして、農林水産省といたしましては、「水産政策の改革について」に即して、法整備を速やかに行うとともに、改革の実行に必要な予算、こういったものの十分な確保に全力を挙げてまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
漁業者の方々からは、大変心強いお言葉だったと思います。漁業を成長産業と捉えて取り組んでいかれる、また、高齢化、また担い手不足も大変深刻だと思いますが、大臣を先頭にしっかりと進めていっていただきたいと思います。
次に、私の選挙区、京都の話題で、薬用作物についてお伺いをします。
先日、地元紙において、貸し農園事業や農業に参入する法人をサポートする事業などを行う京都市内の企業が、漢方薬大手の企業と資本業務提携を行い、農地の仲介等に加え、自社農地での生薬栽培、この漢方大手企業に販売をする計画を進めるとありました。
漢方は、中国が最大の生産地であり、輸入相手国かと思いますが、国産で賄えれば、安全を望む消費者の安心にもつながりますし、安定供給上も安心かと思います。
そこで、まず伺います。
現在、薬用作物の国内生産の割合はどの程度なのでしょうか。また、輸入相手国、国別の割合はどうなっているのでしょうか。教えてください。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
薬用作物は近年需要が伸びております漢方薬の原料でございますけれども、漢方薬の原料使用量のうち約九割が輸入でございます。全体の八割が中国ということなので、輸入の多くが中国からでございます。
国内におきましては、漢方薬メーカーと契約栽培で栽培されてございますが、北海道から沖縄県に至る全国各地域で生産はされてございますけれども、特に、大手漢方薬メーカーによる集荷、調製拠点施設の整備が行われてございます北海道の栽培面積が多くなっている状況でございます。
この薬用作物につきましては、御指摘ございましたとおり、中国国内でも需要量が増加している、また、乱獲によりまして自生の薬用作物の減少等がございまして、中国産の確保が難しくなるということも懸念されておりまして、漢方薬メーカーからは、原料の安定確保等の観点から国内生産の拡大が期待されているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
日本産はまだ一割ということで、これから成長できる分野かと思いますので、サポートをお願いしたいと思っております。
食料となる農産物については、農林水産省では各種支援策を講じられておりますが、薬用作物についてもぜひ国内で賄えるように国としても支援をしていただきたいと思っております。どのような支援策があるのか、現段階でお答えいただける部分でよろしくお願いいたします。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
薬用作物の生産振興を図るためには二つ重要な点がございまして、一つは、生産者と漢方薬メーカー、実需者との栽培契約を円滑に締結すること、あと、医薬品の原料でございますので、一定の品質をクリアするための地域に応じた栽培技術の確立などの生産上の課題への対応、この二つが重要でございます。
このため、これまでも、農林水産省といたしましては、薬用作物にかかわります関係者が行う、生産者と実需者とのマッチング機会の提供、栽培技術の研修会の開催、地域への技術アドバイザーの派遣等の取組を支援してございます。
また、産地化に取り組む地域が行います、地域条件に適した品目の選定ですとか優良な種苗の安定供給のための実証圃の設置、低コスト生産の確立に向けた農業機械等の改良、栽培技術マニュアルの作成などの取組を支援しているところでございます。
今後とも、厚生労働省また実需者団体とも連携しながら、薬用作物の生産に取り組む産地を支援してまいりたいと存じます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
しっかりと支援をお願いしておきたいと思います。
私は、この記事を見て感じたことがございます。農地を流動化し、有効に利用していくには、記事にある貸し農園事業等を営む企業のように農地の出し手、仲介を行うところと、漢方薬大手企業のように最終的な農産物の出口側が連携することが有効なのではないかと思いました。
単に農地を流動化していくだけでは、そこに入られた農家の方々が農産物の生産、販売がうまくいかなかった場合に、結局、営農の継続を断念することになり、本来目指している農家の所得向上にはつながっていかないのかもしれません。
その点で、加工や販売といった実需者側が担保されていれば、安心して農家は営農できますし、それに見合った農地の広さや水利施設といった必要な基盤整備も行われ、農地の貸し借りが行われるのだろうと思います。その意味で、今回のケースはとても興味深いと感じました。
そこで、伺います。
農地中間管理機構のような農地の仲介を行う機関が実需者のニーズを酌み取る仕組みはあるのでしょうか。なければ、こうした取組を進めていくことも有効かと思いますが、いかがでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
薬用作物のような作物につきましては、作物の特性ごとに必要とされる農地につきましても、非常にきめ細かなニーズがあるというふうに承知しております。例えば、薬用作物につきましては植物の根を利用することが多いと思いますけれども、その根が十分育つためには排水性の高い土壌が栽培に適しているなどなどのいろいろな個別の事情があるというふうに承知しております。
先生がおっしゃるとおり、農地中間管理機構、これにつきましては、出し手と受け手の間に立って農地の仲介といいますか、適切な農地、ニーズに合った農地を受け渡すという機能がございますので、これを十分活用しながら、薬用作物の栽培にふさわしい農地を提供していくというのも重要なことだと思います。
既に、農地中間管理機構を介して薬用栽培に取り組む企業に農地をあっせんした事例も出てきているところでございますし、国レベルでは、全体として、農地の企業参入について普及啓発のための取組も行っておりまして、その中で、薬用作物の、製薬業界の会社の方のニーズをお伺いしているようなところもございますので、こういうような取組を更に進めることにいたしまして、きめ細かなニーズにも対応していきたいというふうに考えてございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
本日質問させていただいた水産関係と薬用作物に限らず、農業、林業の分野においても担い手不足が大変深刻でございます。
私は、今国会、農林水産委員会に所属させていただくようになり、現場の方々からさまざまな御意見をお聞きするようになりました。農家の方、漁業者の方など、経営を続けていくことができるよう、本当にぎりぎりのところで経営をされている方、廃業に追い込まれた方、いろいろな方のお話もお聞きをしました。しっかりと現場の声に耳を傾け、現場のニーズに沿ったサポートをお願いしたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
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○伊東委員長 次に、内閣提出、参議院送付、都市農地の貸借の円滑化に関する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣齋藤健君。
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都市農地の貸借の円滑化に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○齋藤国務大臣 都市農地の貸借の円滑化に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
都市農業は、都市住民に地元産の新鮮な農産物を供給するとともに、都市住民が身近に農作業に親しむ場の提供、都市住民の農業に対する理解の醸成等多様な機能を有しています。こうした機能を将来にわたって適切かつ十分に発揮させるためには、都市農業者により都市農地の有効な活用を図ることが不可欠であります。
他方、農業従事者の減少や高齢化が進展する中、都市農地の所有者だけでなく、都市農業に取り組む意欲のある者により、都市農地が有効に活用されることも重要であります。
こうした状況を踏まえ、都市農業に取り組む意欲のある者に対し、都市農地の貸借の円滑化のための措置を講ずることにより、都市農地の有効な活用を図り、都市農業の健全な発展に寄与するとともに、都市農業の有する機能の発揮を通じて都市住民の生活の向上に資することを目的として、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、みずからの耕作の事業の用に供するための都市農地の貸借の円滑化に関する措置であります。
都市農地において取り組む耕作の事業の内容等を記載した計画について、都市農業の有する機能の発揮に特に資するものとして定める基準に適合する等により市町村長が認定した場合に、賃借権等が設定される制度を創設することとしています。
また、当該賃借権等の設定については、農地法に基づく農業委員会の許可や法定更新の適用等が除外されることとしており、都市農地の貸借が円滑に行われるようにすることとしています。
第二に、都市農地を市民農園の開設に必要な特定都市農地貸付けの用に供するための貸借の円滑化に関する措置であります。
市民農園を開設するため都市農地を借り受けようとする者は、現行の特定農地貸付けのように地方公共団体を経由して借り受けなくても、農地所有者から直接借り受けることができることとしています。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○伊東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十三分散会