衆議院

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第22号 平成30年6月19日(火曜日)

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平成三十年六月十九日(火曜日)

    午後二時五十一分開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小島 敏文君

   理事 坂本 哲志君 理事 鈴木 憲和君

   理事 福山  守君 理事 佐々木隆博君

   理事 緑川 貴士君 理事 佐藤 英道君

      池田 道孝君    石原 伸晃君

      泉田 裕彦君    稲田 朋美君

      上杉謙太郎君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    木村 次郎君

      岸  信夫君    工藤 彰三君

      小寺 裕雄君    斎藤 洋明君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      野中  厚君    百武 公親君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      船橋 利実君    古川  康君

      細田 健一君    三浦  靖君

      宮路 拓馬君    山本  拓君

      石川 香織君    大河原雅子君

      神谷  裕君    亀井亜紀子君

      後藤 祐一君    関 健一郎君

      江田 康幸君    大串 博志君

      金子 恵美君  もとむら賢太郎君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

      寺田  学君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 田島 淳志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           下間 康行君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            荒川  隆君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           榊  真一君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     百武 公親君

  神田 憲次君     根本 幸典君

  小寺 裕雄君     三浦  靖君

  細田 健一君     工藤 彰三君

  宮路 拓馬君     石原 伸晃君

  金子 恵美君     もとむら賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 伸晃君     宮路 拓馬君

  工藤 彰三君     細田 健一君

  根本 幸典君     船橋 利実君

  百武 公親君     上杉謙太郎君

  三浦  靖君     小寺 裕雄君

  もとむら賢太郎君   金子 恵美君

同日

 辞任         補欠選任

  船橋 利実君     神田 憲次君

    ―――――――――――――

六月十四日

 農業者戸別所得補償制度の復活に関する請願(緑川貴士君紹介)(第二五六六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 都市農地の貸借の円滑化に関する法律案(内閣提出第四三号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、都市農地の貸借の円滑化に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官天羽隆君、大臣官房総括審議官横山紳君、経営局長大澤誠君、農村振興局長荒川隆君、水産庁長官長谷成人君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、財務省大臣官房審議官田島淳志君、文部科学省大臣官房審議官下間康行君及び国土交通省大臣官房審議官榊真一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石原伸晃君。

石原(伸)委員 本日は、伊東委員長を始め委員の皆様には、御質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 先ほど私が委員会室に入ってまいりましたら、同僚の金子議員が、あ、委員会室を間違ったと言って、出ていかれそうになりましたが、実は、きょう初めて農水委員会で質問をさせていただきます。

 私は、自民党の都市農業の振興を図ります都市農業研究会の会長を長く務めさせていただいております。きょうは御同僚の山田参議院議員も傍聴されておりますけれども、都市農業研究会が発足したのは古うございまして、二〇〇五年、当時の会長は、亡くなられましたけれども、亀井善之先生でございます。

 当時の農水省、今、齋藤大臣以下がいらっしゃいますが、当時は冷たかったんです、本当に。都市農業といっても余り相手にされませんで、国交省はと申しますと、市街化区域内の農地は一日も早く出ていって宅地にしよう、バブルが終わったときでもありましたけれども、そんな雰囲気でございました。

 世論も、どちらかといえば、宅地化されている大きな政令市とか地方の県都なんかに行きましても同じ問題があるんですけれども、出ていけ、私たちの食べるものは幾らでも外から買える、こういう立場で、都市農業というものは柿の木農業と言われていたんですね。柿の木農業というのは、御存じない方もいらっしゃるかと思いますけれども、都市の農業者は真面目に取り組んでいるんですけれども、例えば柿をつくっていますと、柿をつくって柿をとる、それだけで土地の値上がりを待っている、そういうふうにもやゆをされていました。

 しかし、二〇〇五年当時を見ましても、農地面積、農家数、農業出荷額とも、ざっくり言って三割、全国の三割を占めておりました。なぜかといえば、大消費地が間近に控えて、生産コスト、もちろん自分の土地でありますからコストはほかのところと変わらない、輸送コストも安く済む、消費者のニーズに合ったものをつくる。さらに、実はその当時からも防災とか緑とか役割を持っていたんですけれども、えてして、やはり出ていけという声が大きかったように思っております。

 そんな中で、このままで本当にいいんだろうか、多くの仲間とともに、都市農業研究会はそんな危機感から発生いたしました。それから十年、地道な活動を続けまして、農水省の皆さん方もまた国交省の皆さん方も都市農業の実態に目を向けてくださいまして、一日も早く宅地化すべき土地から、しっかり残すべき都会の貴重な財産と意識転換を図ってくださいました。

 世論が大きく変わりましたのは、悲しい思い出でありますけれども、あの東日本の大震災のときではなかったかと思っております。都市の住民の皆様、これは東京での私の体験でございますけれども、かなりの方が都市農地のビニールハウスに避難をされました。また、井戸もありまして水も出る、そして、そこの人たちが食べ物も提供してくださる。身近に食料提供もしてくれますし、いざというときに本当に貴重なものなんだなというふうに、多くの方々の理解が進んだように思います。

 このような時代の大きな変遷というものを、大きな風を受けまして、平成二十七年に都市農業基本法が成立をいたしました。そのときは本当に感無量でございました。さらに、その後も仲間の皆さんと一緒に、税制で何かお役に立てることがあるんじゃないかということで税制改正に取り組みまして、本法案でも示されておりますように、都市農地を、所有するから使用すると大転換を図ったわけでございます。

 具体的には、釈迦に説法でございますが、下限面積を、多くの自治体で五百平米以下というものを三百平米以下に縮小したり、いわゆる道連れ解除、こういうものを解消させていただいたり、生産緑地内に農家レストランや農産物の直売所、製造、加工施設の設置を認める。これも厳しくて、アスファルトを敷いたら農地じゃないとか、納屋は、おまえ、駐車場だろうとか、かなりいろいろなことを言われたんですが、大きく改めていただきました。

 そして、重要な点は、生産緑地の指定から三十年を経過した土地に関して、特定生産緑地制度を設けることで、更に十年間、生産緑地として耕作を続けることができるようにしたというものでございます。

 これは本当に大きな一歩なんですけれども、実は一歩でしかないのかもしれません。実際、今でも、日本全国で見ますと一年間に東京ドーム五百個分の農地が失われております。そして、全国の共通の農業の悩みでございますけれども、高齢化、人手不足といった大きな問題も抱えております。

 ですから、今回、都市農業の定期貸借を可能とした農地の貸し借りを円滑にする等、都市農地の貸借の円滑化に関する法律案を提出していただいたということは大変意義深いものだと思っております。

 そこで、齋藤大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣も松戸という選挙区を抱えられて、都市農業のことは大変造詣が深いわけでございます。本法律案を提出した趣旨、目的について、お考えをお聞かせください。

齋藤国務大臣 まず、石原委員がこれまで本当に長い間都市農業の振興に御尽力されてこられましたことについて、心から敬意を表したいと思います。

 都市農地は宅地化すべきものということから振興すべきものという発想の大転換の契機となりました都市農業振興基本法、これは議員立法だったわけでありますが、石原委員の御指導をいただきながら、それから山田参議院議員の御指導をいただきながら、私が農林部会長のときに議員立法で成立を見たということで、私なりにも思いがあるわけであります。

 今回の法改正の趣旨でありますけれども、市街化区域内の農地は、全農地の二%程度であるんですが、農家戸数や販売金額は全国の約一割を占めています。

 また、都市農業は、新鮮で安全な農作物の供給はもとより、農作業体験の場や、御指摘のように災害時の避難場所の提供等の多様な役割を果たしているということで、平成二十八年五月に農林水産省が実施した都市住民に対するアンケート調査によりましても、約七五%の人が都市農地を保存すべきだという意見でもございまして、都市農業を営む場である都市農地の保全が重要な課題であると認識をしております。

 一方、都市農地は都市において貴重な資源であるものの、農業従事者の減少ですとか高齢化が進行しておりまして、農地所有者のみでは有効な活用を図ることが困難となっている状況が生じてきておりまして、意欲ある方にその活用を促すということ、これが重要な課題になってきていると思います。

 しかしながら、農地の貸借につきましては、賃貸借契約が自動的に更新される、いわゆる法定更新制度が適用され、農地を一旦貸したら戻ってこないとの不安がありますこと、また、相続税の納税猶予制度の適用を受けている農地については、農地を貸し付けた場合に納税猶予が打ち切られてしまうことから、農地の貸付けがなかなか進まない状況にございます。

 こうした状況を踏まえて、本法律案では、意欲ある都市農業者等が作成する事業計画について、新鮮な農産物の都市住民への供給など、都市農業の有する機能の発揮に特に資することなどの基準に適合していると市町村長が認める場合には、その事業計画に従って行われる都市農地の貸借について、農地法の法定更新制度の適用を除外するなどの貸借の円滑化を図ることとしております。

 また、本法律案に基づき行われます貸付けにつきましては、農地法の法定更新が適用されずに、また相続税納税猶予が継続されるということになりますことから、農地の所有者は安心して貸付けを行うことが可能となり、都市農地の有効な活用が期待できるようになる、そういうふうに考えております。

石原(伸)委員 今まさに、齋藤大臣が都市農業の意味について、また本法案の意義、趣旨について御説明いただきましたけれども、この中で、ちょっと細かいんですけれども、大臣がおっしゃられたように、都市の住民に地元の新鮮な野菜を供給する、耕作物を提供する、そして、防災の話も御言及いただきました。その多様な都市農業の持つ機能を定期貸借を通じて発揮させる法律なんだというような御説明だったと思います。

 この法律案の四条に、今大臣がおっしゃられたように、都市農地を借りて耕作していきたいと考える農業者の方々が御自身の耕作に関する事業計画を作成して、それを市町村が、認定を受ける必要がある。そこから先の詳細については本法律案では省令に委ねているわけでございます。

 その認定の要件の一つとして、事業の内容が都市農業の有する機能の発揮に特に役立つということを求めているんですけれども、こういうあれですと割とざっくりしておりまして、基準をこれからつくられると思うんですけれども、農業をこれから借りてもやろうという方は若い方で結構いらっしゃるんですけれども、どのような基準が定められるんだろう、これからどういう形でこれが細かく落ちていくのかということを示されております、聞かれることもございます。

 そこで、これは大臣じゃなくても結構なのでございますが、具体的にどんな基準になるのか、また、どういうふうな工程でこの先これが公になってくるのか、四条関連でお話を伺えればと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 認定基準につきましての御質問でございます。

 本法律案におきましては、事業計画を認定する要件といたしまして、「都市農業の有する機能の発揮に特に資するものとして農林水産省令で定める基準に適合していると認められること。」とされておりまして、具体的な基準につきましては、この法律案を可決いただきまして、施行日までの間に省令で定めるということになっておるところでございます。

 現時点で想定される基準といたしましては、例えば、農産物の一定割合を地元の直売所ですとか地元のレストラン等に販売していただくといったことですとか、地元の都市住民の方々が農作業体験を通じて農作業に親しんでいただけるような取組をなさるというようなこと、それから、学童農園ですとか福祉農園として御活用いただくといったようなことを今考えておるところでございますが、現実にどういう省令を定めるかにつきましては、実際に都市農地の貸借を行っておられます農家の方々の御意見をよく伺った上で、省令で定めてまいりたいと思っております。

石原(伸)委員 今の荒川さんの説明を受けますと、ごもっともな三点の御指摘がございましたが、やはり現実、現場がございますので、いろいろな日本全国の都市農業をやっている方々の意見というものも十分聞いていただいて、今の三点等々について詳細をぜひ詰めていっていただきたいと思います。

 ちょっと視点を変えたいと思うんですけれども、ついに金子一義先生が御引退されてしまいまして、谷垣先生も御引退されてしまって、国土交通大臣経験者が自民党で私一人になってしまいました。そのこともありまして、私、当初から、都市農業の振興のためには農水省と国交省の連携が不可欠であるということで、両省の橋渡し役をしていかなければならないというスタンスをとってまいりました。

 しかしながら、各省、皆さん方もヒアリングで話を聞けばわかりますとおり、都市農地に対するスタンス一つとってみても、やはりかなり軸足が異なっていたということも事実だと思うんです。それは、各省の積み上げの上に現在の担当の方がいますから、ある程度私は理解もできるんですけれども、そんな中で、私はよかったなと思うのは、この両省が共同の研究会というのを立ち上げてくださいまして、都市農業基本計画の策定に取り組む、これは閣議決定、私も閣内におりましてサインをさせていただきました。同じ方向を向いて緊密な連携を図るようになったということは非常に有意義なことだったのではないのかなという気がいたします。それが都市農業の位置づけの大転換につながったんだと思いますが、両省には本当に私も感謝しております。

 その点で、この質問は国交省の皆さんにお聞きしたいんですけれども、国交省が都市計画における都市農地の位置づけを抜本的に転換するというのは、やはり昭和四十年代から積み上げてきたものをひっくり返すわけですから、役所の中では結構大変だったと思います。都市計画において、都市農地の保全、活用のために、国交省が先輩たちが築いてきたものをもひっくり返して講じなければならなかった措置の概要と、農地の存在を前提とした、やはりビジョンがなきゃだめであります、都市ビジョンについてどのように考えるのか、お聞かせ願いたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十七年四月に都市農業振興基本法が制定されましたが、このことが大きな契機となって、農林水産省との連携も進み、法改正や税制改正など、都市農地の保全、活用に向けた取組が着実に進められてきたと考えております。

 具体的には、平成二十八年五月に閣議決定されました都市農業振興基本計画の中で、都市農業を都市政策、農業政策の双方から再評価し、都市農地の位置づけを、これまでの宅地化すべきものから、都市にあるべきものへと大きく転換をいたしました。

 これを受けて、昨年、都市計画法、生産緑地法等を改正し、土地利用規制の根本となる用途地域に初めて農地を位置づけた田園住居地域を創設するとともに、生産緑地所有者の意向を前提に、都市計画決定から三十年経過後も保全措置を十年ごとに延長できる特定生産緑地制度を創設いたしました。

 あわせて、都市農地をきめ細かく保全することができますよう、生産緑地地区の面積要件を市町村が条例で三百平方メートルにまで引き下げることができるようにいたしますとともに、六次産業化を推進する観点から、生産緑地地区内に農家レストラン等の設置を可能とする建築規制の緩和を行ったところであります。

 今後のまちづくりにつきましては、人口減少、超高齢化等の社会情勢の変化に対応し、都市計画に関する諸課題と今後の展開を示した平成二十四年の社会資本整備審議会都市計画制度小委員会中間とりまとめにおきまして、集約型都市構造化と、都市と緑・農の共生の双方が実現された都市が目指すべき都市像とされました。

 国土交通省といたしましては、この実現に向けて、引き続き、農林水産省、JA等と連携し、制度の周知や活用の促進に努め、都市農地が都市にあって当たり前のもの、都市にあるべきものとして、一層の都市農地の保全、活用に努めてまいりたいと考えております。

石原(伸)委員 今の審議官のお話を聞かせていただいて、基本法の成立があって、基本計画が平成二十八年にできたことによって今日に至ったという説明でございました。

 そして、田園居住型地域をつくったり、あるいは農林水産省と国交省が協力し合って、集約型であり緑もある町、都市をつくっていこう、これはある意味では、古い話ですけれども、大平元総理が提唱されていた田園都市計画等々にもつながるものだと思います。ぜひしっかりと進めていっていただきたいと思います。

 そして、時間が限られておりますので、齋藤大臣に最後に質問をさせていただいて質問を閉じたいと思うんですけれども、私、昨年、経済再生担当大臣というのをさせていただきまして、農業の成長産業化への展開、農業輸出一兆円、もうすぐ来ちゃいますけれども、拡大する計画の作成に携わってまいりました。私はこれからも、御縁がございましたので、オール・ジャパンの農業の応援団でありたいと考えております。

 そこで、日本の農業の将来について、山あり谷あり、そんな簡単な話じゃないと思います、農産物の一兆円にしても、魚介類が減ってしまいますと額が落ちたり。ただ、ポテンシャルがあることは間違いありませんので、大臣の思いを聞かせていただきまして、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。

齋藤国務大臣 まず、我が国農業の現状は、人口が減少しますのでマーケットの縮小が見込まれますし、農業者の減少、高齢化の進行、耕作放棄地の増大など、大きな曲がり角に立っているのは現実だろうと思います。

 しかし、一方で、私は、日本の農業は大きな潜在力を秘めた産業であると確信をしています。お米ですとか果物ですとか畜産物、どれをとっても高い品質を誇っておりますし、日本国内はもとより、世界じゅうの舌の肥えた消費者から高い評価を得ております。そういう意味では、伸び代を非常に感じさせる、そういう産業であるというふうに思っています。

 もちろん、中山間地等、農業の生産基盤をしっかりと確保していく、そういう努力も必要ですけれども、それと同時に、魅力ある成長産業にしていくべく努力というものがこれからますます必要になってくると思います。消費者ニーズに応えた付加価値の高い農産物の生産、販売ですとか、それから、海外では人口もふえますので、成長著しい海外マーケットの開拓を進める、こういうことを行っていくとともに、今、この時期に農林水産業の構造改革を進めていく、そういう必要があるんだろうと考えております。

 安倍内閣におきましては、これまでの政策を随分改めてまいりました。米政策改革や六次産業化、輸出促進、農地集積バンクによる農地の集積、集約化、六十年ぶりの農協改革、生産資材価格の引下げや流通、加工構造の改革など、農政全般にわたる改革を今精力的に進めているのは、そういう問題意識からでございます。

 今後とも、農業をしっかり強くしていくための施策、これを積極的に推進していって、若者が夢や希望を託すことができる農業、そういうものの実現に邁進してまいりたいと考えております。

石原(伸)委員 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。

 法案に対する質疑の前に、昨日大阪府北部で起きました地震によって犠牲になられた方々に対しまして心から御冥福を申し上げますとともに、被災された方々に対しまして心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、私自身、札幌市というところに住んでおりまして、都市農地が果たしている多様な機能の重要性も強く感じているところでもございます。そうした農地を維持し続ける農家の方々の御努力に少しでもお役に立ちたいという思いもございます。

 そうした中、都市農業は、四年後に大きなターニングポイントを迎えます。いわゆる二〇二二年問題でありますけれども、私自身、農林水産大臣政務官をやっていた当時、やはりこのターニングポイントを踏まえまして、できる限り都市農業の現場を見せていただきました。

 例えば、平成二十六年には、コマツナ農家の足立区の宇佐美圃場さん、同じく花壇苗農家の並木圃場さん、トマト直売農家をされている青木圃場さん。

 また、平成二十八年には、練馬区におきまして、練馬区の農の学校、練馬区高松一丁目区民農園、また、ブルーベリー農家をされていらっしゃる宮本圃場さん、キャベツ農家の井之口圃場さん、農業体験農園やレストラン、自販機などの庭先直売所をされている白石圃場さん、小泉牧場さん、ブルーベリー観光農園をされている高橋圃場さん、農業体験農園緑と農の体験塾、柿農家もされている加藤圃場さん。

 平成二十八年には、世田谷区で野菜やブドウ農家をされている飯田圃場さん、また、野菜、花卉農家の芹田圃場さん等々を訪問させていただきまして、本当に懸命に都市農業の御努力をされていらっしゃる方々の姿を直接見せていただいたところでございます。

 こうした経緯もありまして、昨年六月に、公明党の農林水産部会、国土交通部会、都市農業振興プロジェクトで、「都市農地の有効活用の促進を図るための法制度等の検討方向について」と題して、法改正と税制改正について政策提言を行ったところでございます。

 今回、この法律案が公明党からの政策提言の趣旨をどう反映しているかも確認させていただきながら、順次質問させていただきたいと思います。

 初めに、都市農業振興に対する大臣の御決意並びに本法案の提出に至ったその背景についてお伺いをさせていただきたいと思います。

齋藤国務大臣 都市農業の振興につきましては、平成二十七年四月に議員立法で都市農業振興基本法が制定をされ、政府といたしましては、平成二十八年五月に都市農業振興基本計画を閣議決定したところであります。

 これによりまして、従来、宅地化すべきものとされていた都市農地を、都市にあるべきものへとその位置づけを大きく転換したところであります。

 一方、都市農地は、都市において貴重な資源ではありますけれども、農業従事者の減少や高齢化が進行する中で、農地所有者のみでは有効な活用を図ることが困難となっている状況が生まれてきておりまして、意欲ある方にその活用を促していくことが重要な課題となっております。

 しかしながら、都市農地につきましては、賃貸借契約が自動的に更新される、いわゆる法定更新制度が適用されますので、農地を一旦貸したら戻ってこないではないかという不安ですとか、それから、農地を貸し付けた場合には相続税の納税猶予が打ち切られてしまう、こういうことから、農地の貸付けが進まない状況にございます。

 こうした状況を踏まえ、本法律案では、意欲ある都市農業者等が作成する事業計画につきまして、新鮮な農産物の都市住民への供給など、都市農業の有する機能の発揮に特に資することなどの基準に適合していると市町村長が認める場合には、その事業計画に従って行われる都市農地の貸借について、農地法の法定更新制度の適用を除外する、こういった貸借の円滑化を図ることとしているわけであります。

 あわせて、本法律案に基づき行われる貸付けにつきましては、相続税納税猶予が継続されるので、農地の所有者は安心して貸付けを行うことが可能となりまして、都市農地の有効な活用が期待できるということであります。

 今後とも、都市農業の振興を図るという観点から、国土交通省や地方自治体、農協の皆さんなどを始めとした農業団体等の関係者の皆さんと連携して、しっかりと施策を推進すべく、私が先頭に立って取り組んでいきたいと考えております。

佐藤(英)委員 先ほど石原委員も御指摘されておりましたけれども、市街化区域内の農地については、社会の要請が変化する中でさまざまな変遷を経てきたわけであります。

 平成の初めに当たっては一時急激に高まった住宅需要も、その後の景気低迷の影響を受けまして次第に落ちつき、少子高齢化が進むに伴いまして、都市農地が農地のまま維持されていくことの価値にも目を向けられることになってきたわけであります。

 現在では、人口減少や高齢社会の到来により、都市農地が提供する安らぎや災害時における食料供給や防災空間としての機能など、多様な機能が深く認識をされて、今日まで至ってきたところであります。

 さて、今回の改正法案は、都市農地のうち生産緑地のみ対象としているわけでありますけれども、都市農地の維持の重要性に鑑みれば、生産緑地だけではなく、市街化区域農地全体を対象に貸借の円滑化を図る制度としていくことも選択肢としてはなかったのかという意見もありましたが、今法律案の対象を生産緑地に限定したその理由についてもお伺いさせていただきたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 都市農地の貸借の円滑化の措置を通じまして、都市農業の健全な発展とその安定的な継続というのを実現するためには、借りた農家の方が安心して農業投資を行いまして、将来にわたって継続して農業を営むことが必要であるというふうに考えております。そういう観点から、貸借の対象となる農地は、容易に転用をされずに、将来にわたって農地として保全されている必要があるというふうに考えたところでございます。

 その点、生産緑地につきましては、指定後、原則三十年間の開発規制がありますし、さきの通常国会におきまして生産緑地法が改正されまして、三十年経過後の生産緑地につきましても十年ごとの延長制度が導入されたことなど、長期間にわたって農地として管理されることが担保されているところでございます。

 したがいまして、本法律案におきましては、この生産緑地地区内の農地を対象に円滑化の措置を講ずることとしたところでございます。

佐藤(英)委員 先ほど申し述べさせていただきました我が党の提言にも記させていただきましたけれども、今後も都市農地を存続し、その多様な機能を維持、確保していくため、都市部における生産緑地の指定を進めていくことは大変に有効な手段であると考えます。今法律案の対象が生産緑地に限定されていることも考えれば、なおのことではないかと思います。

 しかし、我が国の都市部における農地のうち生産緑地指定を受けている農地は、ほとんどが三大都市圏に集中しております。データによりますと、全国一万三千ヘクタールの生産緑地のうち、三大都市圏を除く地方都市ではわずかに百ヘクタールしか指定されていない状況でもあります。

 余りにも少ないと言わざるを得ないわけでありますけれども、この地方都市における生産緑地指定の問題について、今後拡大を進めるために国土交通省は現在どのような取組をされているのか、また、今後どのように取組を進めていこうと考えられているのか、見解を伺いたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省では、地方都市における生産緑地制度の導入を促進するため、平成二十八年五月に閣議決定された都市農業振興基本計画を踏まえ、平成二十九年に都市計画運用指針を改正し、三大都市圏特定市以外の地方都市においても生産緑地制度の導入が望ましい旨を明確に記載したところです。

 昨年度は、全国都市計画主管課長会議等を通じて働きかけを行うだけでなく、JAなど関係団体と連携して、地方都市向けの説明会を全国で八回開催いたしました。こうした取組の結果、生産緑地制度の導入を具体的に検討し始めた都市も出てきております。

 さらに、今年度は、農林水産省と連携してブロック単位で説明会を開催するなど、さらなる制度の周知に努めますとともに、制度導入の機運のある都市に対しては個別相談を行うなど、地方都市における生産緑地制度の活用に関する取組を支援してまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 冒頭、齋藤大臣から都市農業の振興に対するみなぎる決意も示していただいたところでありますけれども、都市農地の所有者に農地の貸出しをちゅうちょさせている、いわば阻害要因の一つに、農地法の第十七条に定められている法定更新があると思いました。

 本法律案では、この法定更新については、認定を受けた貸借については特例として規定の適用外とすると定め、より農地を貸し出しやすい環境を整備しております。

 所有者にとって都市農地の貸出しの阻害要因の大きなものは、この法定更新に並んで指摘されてきたのが、相続税の猶予の問題でもございました。

 生産緑地における貸借の円滑化により都市農地の有効活用が実現されるために、こうした税制について、三十年度の税制改正ではどのような措置を行ったのか。

 あわせて、平成三十年度は都市農業の振興に向けてどのような予算措置を行っているのか、また、特に貸借円滑化に資すると考えられる予算についてはどのようになっているのか、伺いたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 都市農業に係る平成三十年度税制改正事項といたしましては、先生から今お話ございましたが、今国会に提出しておりますこの法律案に基づきまして、認定事業計画に基づく貸付けが行われた貸付けにつきまして相続税の納税猶予を継続するということとあわせまして、市民農園の開設に係るものといたしまして、本法律案に規定する特定都市農地貸付け用の土地に供されるための貸付けなどにつきまして、生産緑地内の農地について相続税の納税猶予が継続する措置等を講ずることとされておるところでございます。

 これらの税制改正事項につきましては、既に今通常国会において改正されております租税特別措置法により措置されておりまして、この法律案の施行とあわせて、税制措置も施行されることとされておるところでございます。

 続きまして、三十年度の予算でございます。

 農林水産省といたしまして、都市農業の振興のために各種の施策を講じておるところでございますけれども、農山漁村振興交付金という交付金制度の中で、都市農業に取り組もうとされる方々に対して御指導申し上げるための専門家を派遣したり、都市農業の理解増進のための啓発事業を開催されたり、あるいは、都市農業に係る税制の周知、相談窓口の設置といったようなソフト面での支援を行いますとともに、防災兼用の井戸の整備ですとか、農薬が飛んでいかないための防薬ネットなどの整備、さらには福祉農園の施設の新設、改修といったハード物についても御支援を申し上げておるところでございます。

 さらには、食料産業・六次産業化交付金におきまして、加工、流通、販売等の施設整備に御支援をするとともに、農業人材力強化総合支援事業において、新規就農者に対する総合的な支援などの事業を総合的に用意しておるところでございまして、これらの措置を有効に活用していただきまして、都市農業の貸借が円滑に行われますように、引き続き支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。

佐藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 立憲民主党の大河原雅子でございます。

 まず冒頭、昨日の大阪北部で起こった地震、亡くなられた皆様に心からの哀悼、御冥福を祈りたいと思います。そして、被災された皆様の復旧復興を早急に、心から願うわけでございますが、本当に、日本全体が、いつ地震の被害が起こるかもわからない状況というのがありまして、きょう質疑をさせていただく都市農地の問題も、東京なども、直下型の地震ということでいえば、農業の多面的な機能の中に、防災ということが大変大きな課題になってまいります。東京の農地の中でも、防災協力農地という形で芝をつくっている地域とか、そういうところで、かなり頼りになる地域の資源、スペースになっているということがございます。

 きょう、私は、この都市農業の農地貸借円滑化法案を質疑させていただくのに、ちょっとした感慨を持って臨ませていただいております。

 私は、東京という消費一方の町で、農地がこれだけ残っている、住まいは世田谷でございますが、こういったことに非常に、子育て中は、環境にいいな、虫もいるなという形で、かなり明るい思いを持っていたんですが、九三年に都議会議員になりまして、東京の農業を守るということで活動したいというふうに思って、質疑の準備をしたりしておりました。

 ところが、東京の農業というのは農業基本法の対象ではない、東京の農業は農業じゃないんだよと言われて、これは都市計画区域内の、市街化区域内の限られた方法で保全されている緑地の問題だということで、大変驚いたわけです。でも、だからこそ、きっちりと多面的な機能も持って、第一義的には、消費者にとっては一番身近な生産地で、食卓までの経路がはっきりしている、つくっている人の顔も見える、まいている、どうやってつくっているかもわかる、そういう意味では環境農業の典型であろうというふうに思って、応援団を自任してきた次第です。

 そして、二〇〇七年、参議院に上げていただきまして、国が、先ほども石原衆議院議員から都市農業にかけるこれまでの活動も披瀝いただきましたけれども、やはり仕組みとしても、この都市農業をどうやって守っていくかということを、提案を国に対して、方針として、都市農業、都市計画、国交省の扱いになっているけれども、本来は農業として農水省もきちんと責任を持って拡大を図る、振興していく、そういうものだということを主張してきたわけです。

 都市農業の変遷というのは、本当にそこに住む都市住民の生活と密接、都市住民の生活とのせめぎ合い、そういう中では、住宅難の時代はどんどん宅地化することが本当に大きな世論になっていましたし、東京都が後年アンケートをとって、農地があっていいんだ、農地があった方がうれしい、暮らしが豊かな気がする、こういうふうに住民の考え方が変わってきて、都市にあるべき、農のあるまちづくりだとか、そういった意味で大転換をした。そのことを捉えて、やはり産業として、この東京でも、都市近郊の中でも都市農業の振興をきっちり図っていく、その未来をきちんとしたあるべき姿として捉えた上で政策を打っていくのが本来だろうというふうに私は思うわけです。

 農林水産省が都市農業の振興に関する検討会を立ち上げ、国土交通省が社会資本整備審議会の都市計画・歴史的風土分科会、都市計画制度小委員会、こういうものを設けて検討してきた結果が今次々と出てきていて、特に、私は、秋に戻ってまいりましたが、この間、議員としてのブランクはございますけれども、目覚ましくこの分野の法制化が進んだというふうに評価をしておりますし、更にそれを進めていきたいというふうに思って、きょう質疑をさせていただきます。

 都市農地の位置づけが、あって当たり前のものになったということがありますけれども、今回、生産緑地の貸借、貸し借りを円滑にするということは、この意味でも大変大きな役割を果たすだろうというふうに期待をしております。

 都市農業の対象が、都市農業振興基本法第二条においては、市街化地区及びその周辺の地域において行われる農業というふうに規定されています。さらに、都市農業振興計画においても、生産緑地に限らず、農業が今後とも展開されることが確実な農地については、その機能や役割を実体面から再評価する必要があり、震災等の不測の事態に備え、あるいは食料自給率の目標を支える観点からも、その維持、継続が図られるべきであるというふうに明記されております。

 ちょっと質問が重なりますが、この法案が、貸借円滑化の対象が生産緑地に限定されている、このことについて、いま一度、その理由をお聞かせいただきたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 都市農地の貸借の円滑化の措置を講じまして、都市農業の健全な発展と安定的な継続を実現することが大事でございますが、そのためには、都市農地を借りていただく農業者の方が、安心して農業投資を行いまして、将来に継続して農業を営んでいくことが必要であると考えておるところでございます。したがいまして、貸借の対象になります農地は、容易に転用されることがなく、将来にわたって農地として保全されていく農地であるべきだというふうに考えたところでございます。

 その点、生産緑地につきましては、指定後、原則三十年間の開発規制がございますこと、それから、繰り返しになりますが、先般の通常国会での生産緑地法の改正におきまして、三十年経過後の生産緑地につきましても十年ごとの延長制度が導入されたことから、長期間にわたって農地として管理されることが担保されているというところでございます。

 したがいまして、今般、私ども、本法律案に基づく貸借の円滑化の措置を講ずる対象農地としては、この生産緑地を対象としたところでございます。

大河原委員 生産緑地、大変厳しいルールがあって、一口に三十年と言いますが、人の人生の三十年というのは、想像を絶する、山あり谷ありのことがあると思うんですね。そういう大変厳しい状況を乗り越えてここで営農していらっしゃる方たち、いわば職業選択の自由も実はないような中で、例えばお父さん、お母さんの相続が起こって農業に従事をするというようなことからすれば、この三十年の営農の厳しさというのは、私たちが普通に想像しても余りあるものがあります。

 でも、そうしたものを乗り越えて、小さな、けれども非常に貴重な農地で先進的な農業をしていくということに希望もあるわけで、私はその点でも、生産者の皆さんとお会いする機会に恵まれて、非常にいろんなことを教えていただきました。

 貸借の円滑化ということで、貸し借りが生産緑地でもできるようになるということに期待もかかるわけなんですが、実は、東京都が平成二十七年度で都市農業の実態調査をしておりまして、その中で、都市農業の生産緑地利用に関する意向調査をしています。これを読ませていただいたら、ちょっとびっくりいたしました。

 というのは、生産緑地の貸借が可能になった場合でも、借りたいと余り思わない、借りたくない人が八一・八%、貸したい人も八・九%ということが出ていたんです。クロス集計とかいろいろこの分析はあると思うんですが、この法律を有効に機能させていくためには、具体的にどんな方法をとっていくと今この意向調査にあらわれた数字が変わっていくのか、この辺はどのようにお考えでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生から御指摘ございました東京都の調査でございます。これは、平成二十七年に東京都が、一定面積の生産緑地を有する区市におきまして、十アール以上の農地面積を有する農家の方々約一万戸を対象としたアンケート調査の結果だというふうに承知をしております。

 これによりますと、生産緑地を借りたいというふうに回答された方は、今、先生から御紹介がございましたように、有効回答数約五千戸のうちの約一割程度しかないというのは事実でございます。一方で、農産物の売上高が六百万円以上という、比較的意欲的に営農されておられる農業者に限りますと、三二%の方々が借りたいというふうにおっしゃっておられるということも、このアンケートから見てとれるところでございます。

 また、この調査結果では、貸す方についても伺っておりまして、生産緑地を貸したいと回答された方が約一割いらっしゃる上で、さらに、貸付先や貸付条件などによっては貸してもよいという方が四割ほどいらっしゃって、合わせると五割ぐらいの方は、条件によっては貸したいという話もあるわけでございます。

 先生から今お話ございました、これは二十七年の調査でございますので、当然のことながら、今私どもが考えております、この法律案によります法定更新の除外ですとか相続税の納税猶予の継続というものが存在しない中でのアンケート調査でございますので、これは、これからこの法律案が通りましたら、私ども、法律案の内容をしっかり御説明していけば、また意向は変わっていくのではないかなと思っておるところでございます。

 この法律案におきましては、先ほど来申し上げております法定更新の適用除外というもの、それから、相続税の納税猶予の継続が図られるというもの、それから、借り手の方に対して市町村などがあっせんをするというような規定も盛り込ませていただいておりまして、こういうようなメリット措置があるということをしっかり借り手の方々にもお話をし、掘り起こしをするとともに、貸し手と借り手のマッチングということにもしっかり取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。

大河原委員 農協を通じて非常に詳しく、多分、御説明もあると思うんですが、今度の貸し借りの円滑化の中では、もともとの農業者じゃない方たちにもこういったチャンスが訪れるわけで、そういう方々への周知というのはどういうふうになさいますか。

荒川政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生からお話ございました、まさに、東京都がアンケートをとった方々は十アール以上の営農をされておられる方でございますが、こういった方々以外にも、特に市民農園の開設、体験農園の開設などにつきましては、従来の農業者ではない方が新たに入ってこられてやるということも考えられるところでございます。

 私ども、そういう方々に対しましても、ホームページを通じます情報提供に加えまして、本省及び七つの農政局、それから沖縄総合事務局に相談窓口を設置するなどいたしまして、法案が採決され、成立された暁には、しっかり農業者以外の方々に対しても情報提供してまいりたいと思っておるところでございます。

大河原委員 そうですね。これまでも、地場の給食に生産物を納入していらっしゃる方たちもいて、学校にいる子供たちも、周りに生産している畑があるというようなことも知っていると思うんですが、これから先も、学校が農園を持っている、オバマさんの奥さんがエディブルスクールガーデンという運動に共鳴されてホワイトハウスの裏庭で農業をしていたということもありますけれども、こういった担い手になるというか、貸してほしいと思う人たちはもっとふえていくと思うんですね。ですから、中身をわかりやすく、そしてまた、貸す側にとっても、安心できる借り手にめぐり会えるようなマッチングをきちんとしていただきたいなというふうに思います。

 それで、次に、都市農業というのは、保全とか維持というところ、ここまでは来ているんですが、都市農業を拡大、振興していくためには、農地をもっとふやす、限界はありますけれども、生産緑地がもっとふえていく、指定がもっとふえるということが必要だと思います。

 生産緑地の再指定とか追加の指定、これの現状、それから、どうやったらこれがふえていくのか、この点についてはいかがでしょうか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省では、平成二十八年五月に閣議決定されました都市農業振興基本計画を踏まえ、平成二十九年に都市計画運用指針を改正しております。

 都市計画運用指針では、生産緑地地区の再指定について、農地法に基づく農地転用の届出を行った農地であっても、現に、再び農業の用に供されており、将来的にも営農が継続されることが確認される場合等には、生産緑地地区に定めることも可能である旨を、また、生産緑地地区の追加指定について、三大都市圏特定市においては、人口の減少や高齢化、緑地の減少等を踏まえ、生産緑地地区を追加で定めることを検討すべき旨を明確に記載し、その旨周知を図っているところです。

 昨年の生産緑地法改正後は、全国都市計画主管課長会議等を通じて生産緑地制度の活用に関する働きかけを行うだけでなく、JAなど関係団体と連携して、生産緑地制度に関する説明会を全国で約六十回開催いたしました。

 さらに、今年度は農林水産省と連携してブロック単位での説明会を開催するなど制度の周知に努め、生産緑地制度の一層の活用促進に取り組んでまいりたいと考えております。

大河原委員 生産緑地制度で、やはり活用されてきたと思います。でも、この円滑化法で更にこのことを知る方たちが多くなるということでいえば、その地域に農地を維持し、ふやしていくということも含めると、更にこの生産緑地に手を挙げていただく、申請していただくということが必要になってくると思うんですが、実は、この生産緑地の地区指定というのは、結構、真っさらなところから始めるのは難しいものがあるんじゃないかと思うんですが、ちょっとこれは通告していませんけれども、その辺の課題というのはどんなふうに思っていらっしゃいますか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 生産緑地地区につきましては、私ども、一生懸命制度の周知に努めているところでありますが、まずは都市農業を営んでおられる皆さん方にこの制度をよく知っていただくこと、これが何よりも重要であると思っております。

 昨年、生産緑地法の改正も行いましたことから、特定生産緑地制度の周知などもあわせ、また、現在御審議いただいておりますこの法案の周知もあわせて、生産緑地制度のより一層の周知に努めてまいりたいと存じます。

大河原委員 制度を知っていただくというのはもちろんあるんですけれども、そこに、生産緑地として申請をして認められる、その生産緑地を含めたその地域が将来的にどういうふうになっていくのかという都市像というんですか、その町の地域像、そういったものが共有されないとなかなかできないんじゃないかなというふうに思っていますし、地区の指定というところにも、まだまだ住民と土地の所有者との気持ちの乖離があったりもするんじゃないかなというふうに想像します。

 それで、生産緑地の指定に至っていない市街化区域内の農地の活用というものについてはどのように考えているか。これは大臣でもよろしいですか。では、どうぞ、参考人ですか。

荒川政府参考人 失礼いたします。お答え申し上げます。

 本法律案におきましては、先ほど来申し上げましたようなもろもろの理由によりまして、本法律案の対象農地を市街化区域内の生産緑地にしてきているところでございます。

 この生産緑地の制度につきましては、先ほど来、国交省からも御説明がございましたように、昨年の生産緑地法の改正によりまして、一律五百平米以上の面積要件があったものを三百平米まで下限として引き下げられるようにするなどして、生産緑地の指定をしやすくしていただいたところでございますし、また、生産緑地を農業者の方が選択するという観点からは、まさに今般のこの法律改正なり税制改正によりまして、生産緑地になっていただいた場合には、相続税の納税猶予が継続をする、あるいは法定更新が適用除外になるといったような、本法の対象になるといったことがメリットになるのではないかと思っております。

 私ども農林水産省といたしましても、今、国交省からもお話ございましたように、農業者の方、あるいは市町村の方々に、昨年来の生産緑地法の改正の内容ですとか今般のこの円滑化法の内容をしっかり御説明させていただいて、できるだけ生産緑地に指定をしていただいた上でこの法律のツールを使っていただけるように、しっかり周知に努めてまいりたいと考えております。

大河原委員 生産緑地の周りのと言ったらいいんでしょうか、市街化区域内の農地の活用というところは、やはり、全体を広く、どのぐらいの緑の広がりを持ってその地域の将来を捉えるかということが大事なんだと思うんです。

 昨年の改正によって、良好な都市環境の形成を図る、この観点から、保全すべき農地については諸制度ができました。都市緑地法の諸制度において、緑地として積極的に位置づけていく、保全、活用を図るということが可能になってきているわけですけれども、既に、緑地保全地域制度、それから特定緑地保全地区制度とか地区計画、緑地保全条例あるいは市民緑地認定制度、こういったものが、農地を囲む、その周辺でかなり広がってつながっていく、こういうイメージを私は持っております。

 ただ単にそこの地域で耕す、生産されている生産緑地があるということだけではなくて、もっと広がりを持った緑、広がりを持った良好な環境、これが相互的な作用をつくっていくんだというふうに思うんですけれども、そういう中にあって、都市農業の未来像をどんなふうに描いていくのか。

 大臣に伺いたいと思いますが、これは多分、そうした都市計画的な政策もありましょうし、農業的な政策も一致をさせていく、そこの価値というものが非常に高くなってくるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、きょう、大河原委員と都市農業の振興について思いが共有できる議論ができて、時々意見が違うこともあるものですから、きょうは非常にうれしく思いながら答弁させていただきます。

 五年前に私が農林部会長のときに、都市農業の位置づけを大きく変えるべきだという議論が本格的に、その前からずっとあったわけですけれども、本格的になったときには、まだまだ抵抗がありまして、きょう、今となっては国土交通省の皆さんは協力的ですけれども、当時はそうでもなくて、それで、なかなか突破できないので、じゃ議員立法でいこうということで、政治主導でやってきた結果、各論もここまで進んできたということでありますので、本当に感無量のところがあります。

 これからの都市農業も、もちろん今御指摘のように、都市計画の中でしっかりどう位置づけていくかということがありますので、国交省とのいい連携でやっていかなくてはいけない、そういう課題だろうと思っております。

 都市農業につきましては、その立地条件を生かして、都市住民の皆さんに直接販売などで収益性の高い農業経営が行われているという面もあります。また、都市住民から顔が見えるところで都市農業が営まれているということで、食の安全に関する信頼ですとか安心感につながるのみならず、厳しい状況にある農業、農村そのものへの理解を深めることにもつながる、そういったものであると認識をしています。

 一方、都市農地には、申し上げておりますように、資産価値が高くて、また転用が容易でありますので、相続等を契機とした売却等によって、その面積が大きく減少しておりますし、また、賃貸借契約が自動的に更新されるので、いわゆる法定更新制度が適用されて、一旦貸したらもう戻ってこないんじゃないかとか、農地を貸し付けた場合には相続税の納税猶予が打ち切られてしまう、そういう不安がありまして、都市農地の活用というものに制約があるということもありますので、これからの都市農業は利用ということも入れて振興すべきだろうということで、今回の法案をお願いしているところであります。

 いずれにいたしましても、今回の法律案で都市農地の貸し借りを円滑にすることによりまして、都市農地の有効な活用と都市農業の健全な発展を図るということにしているわけであります。

 今後、またいろいろと課題が出てくると思いますけれども、これは都市計画の問題もありますので、国土交通省とよく連携をしながら、しっかり振興するという方向で努力をしていきたいと思います。

大河原委員 私も、意見が一致してよかったなというふうに思いますけれども。

 今おっしゃっていただいた都市農地の問題は、その地域でずっと農業を営んできた方々が、例えばコミュニティーを一定持っていたということがあるんですね。そこに住宅ができて、その方たちを呼び込んだということもございますけれども、そういう意味では、一つのコミュニティーが壊れてしまう。

 そこの生産者の方たちは、地域のいろんなお仕事をしてくださっていて、お祭りがあればお祭りのそうした担い手だったり、警備員も含めていろんなことをやっていらっしゃるんですけれども、つまりは、地域のコミュニティーをつくり直す、新たにつくる、そういう新しい担い手として私は尊敬をしている農家さんがたくさんおられます。

 お手元に配付させていただきました資料、ちょっとお目通しください。農園を中心にした都市農業ネットワーク、これは、名前がちょっと抜けていましたけれども、練馬で三百年続いた白石農園さんですね。三百年続く農家、やはり、この東京で生きている、そこで農業をしている、そこに新たな人たちがつながっていく、このことが私はすごく大きい意味を持つものだというふうに思っています。

 これこそ日本の未来像だとも思っているんですけれども、農業が持つ多様的な機能をそれぞれ活用して、生かして、地域とのつながりをさまざまに広げているということがありまして、ごらんいただければ、農作業で地域とつながる、この白石さんのところで農作業を教えてもらって、体験農園をする。あるいは、そこで学んだ人が、実はレストランのシェフだったりして、そこで農家レストランを開いているとか、あるいは、地元の学校で栄養士さんに野菜の話をするとか、あるいは、生きづらさを抱えた方たちがここで東京都の社会適応訓練協力事業所という形でつながっていける。農の機能という意味では、これまで言われてきた多面的な機能、もっと新たな、コミュニティー再生、そういう機能も多分大きく出てくるんじゃないか。

 もちろん、白石さんのような方たちしかだめというわけではなくて、いろんな方たちのいろんな活動がそれを可能にしていく時代になったんだというふうに思います。

 農地というのは、新鮮な野菜が供給される、そして災害時の防災空間として貴重だ、農業体験、交流の場、それから国土、環境の保全、緑地、都市住民が農業に触れ合うという、これまで言われてきたもの以上に、そのつながり、きずなを高めていくために非常に大きな役割を果たすんじゃないかというふうに思います。

 子供の居場所としても、あるいは、ここの中にも書いてありますけれども、子供食堂、今、一人で御飯を食べる子たちが多いんですが、既にそういう子供食堂は各地で広がっていて、近くの生産者の方たちが食べ物、農産物を提供したり、場をつくってくださったり、いろいろしています。

 限りない可能性があるというふうに思っておりまして、大臣にもぜひ、こうした新たなコミュニティー再生の機能というものを未来像の中に組み込んでいただければというふうに思います。

 何か御感想がありますでしょうか。

齋藤国務大臣 私の地元も東京近郊の農業をやっているところでありまして、一方で、つくばエクスプレスが通ったので、流山市のケースなんかは人口がふえているわけですね。人口がふえると、新しく来る人たちは何を求めて来るかというと、子育てしやすいですかというのがすごく大きいんですけれども、そういう人たちに、うちは農地があって、新鮮で安全な農作物が提供できるんですよと言うと、すごく食いつきがいいんですよ。ああ、すばらしいですね、それと。だから、みんな、子育てしやすいということしか考えないんですけれども、実は、農地がそばにあって新鮮なものがいつでも提供されるということが、皆さんまだ意識はしていないんですけれども、すごくすばらしいことだと。

 そういう、今の見せていただいたように、農地を中心にいろんなコミュニティーが広がっていくという素地は十分あると思っていますので、まあ、私の地元の話ばかりしてもしようがありませんけれども、そういう展開がこれから都市農園を中心に広がっていくことを大いに期待しているし、御支援していきたいと思っております。

大河原委員 本当に私は、都市農業が大好きで、これからももっと振興されるというふうになるといいなと思っています。産業として維持できるということが本当に大きな課題になってくると思います。

 ちょっと視点を変えまして、新たに用途地域の類型として創設されたものの中に、田園住居地域というのがございます。この制度について、国交省から、何を期待した制度なのか御説明をいただきたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十八年に閣議決定をされました都市農業振興基本計画により、都市農地の位置づけが、都市にあるべきものへと大きく転換されました。これを受けて、田園住居地域は、土地利用規制の根本となる用途地域の一類型として、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する目的で創設されたものであります。

 このため、田園住居地域におきましては、戸建て住宅等の低層建築物に立地を限定することで農地の日照等を確保し、都市農地が多く存在する低層住居専用地域において、制限されておりました農家レストラン等の立地を可能とするといった措置を講ずることで、都市農地と住居の双方がよい影響を及ぼし合って、良好な環境の形成が面的に図られることを期待しているものであります。

大河原委員 このことがやはり面的に、田園住居地域という形で、地域がいわばグリーンシティー、コンパクトシティー、コンパクトタウンみたいな形でできたときに、そこに建てられる例えば住居、アパートであっても、私の住まいの近くには、環境建築という形で本当に環境に配慮されたアパートが建つとか、そこに住むことがうれしくなる、その地域にいるということが自分の誇りになる、そういうことにもこの田園住居地域という用途指定は、非常にこれまでの住居、低層住宅専用という意味を超えるものを持っていますし、私は期待をしております。

 それで、一つここで危惧がありまして、実は、農業経営基盤強化法ができて、生産緑地も、施設をつくって、そこの床をコンクリートにするということが可能になりました。多面的な機能ということの中には例えば地下水涵養とかそういうことも入っておりますので、コンクリート農地が地域に、生産緑地にたくさんできてしまうことについては、ちょっと違うんじゃないかな、気をつけてほしいな、そういう思いを持っておりますけれども、このコンクリート農地の基準について教えてください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 今回の、今国会で成立させていただきました農業経営基盤強化促進法等の一部改正におきまして、一定の場合に、農地にコンクリートを張っても農地転用に該当しないということを措置したわけでございますけれども、これは、この委員会でも附帯決議をしていただいたように、周辺の営農条件に支障が生じないようにする必要というのが絶対の条件であると考えております。

 具体的にはこの施設としてどういうものを農地で認めるかということについては、省令で施設の内容を定めることになっておりますけれども、省令におきましては、専ら農作物の栽培の用に供されるものであること、あるいは、周辺農地の日照が制限されないように施設の高さについての基準を設けること、それから、周囲の営農条件に支障が生じないように必要な排水施設を設けること、これらを定めるということを考えてございます。

 具体的には、法施行は、公布の日、すなわち平成三十年の五月十八日から起算して六カ月以内に施行することになっておりますので、この施行日までに定めたいというふうに考えておりますが、この省令を定めるに当たりましては、施設の高さに、本当に日照への影響というのはどの程度あるのか、どの程度であれば農作物の生育に支障が生じない、あるいは生じるのか、どの程度の排水施設であれば周辺の農地に影響を与えないかということを、専門的な知見に基づいて検討が必要だと考えておりますので、専門家の意見も聞きながら定めるというふうに考えております。

 なお、生産緑地でどういうものをつくるかというのは、またこれは生産緑地の趣旨に即した検討が必要だと思っておりますので、これにつきましては国土交通省において、我が方の検討を踏まえながら、また検討していくということになると思っております。

大河原委員 六カ月以内ということですから、年内には、十一月ぐらいにはこのことがはっきりしてくるわけですけれども、地域住民の思いというのは、せっかく、保全していって、緑がうれしいというふうな思いを持っている中で、野菜工場みたいな様相のものができてしまうんじゃないのという心配を実は持っている人たちも多いということで、温室じゃなくて、中身が全然見えなくなっちゃったね、低層住宅という意味では、高さも結構建てられてしまうんじゃないの、こういう心配もありますので、この検討の中身について、ぜひ、オープンにという言い方は変ですけれども、周りの方たちの信頼を得られるような議論をしていただきたいというふうに思います。

 図の二枚目、先ほど配付したものを見ていただければ、田園住居地域、市街化区域内の農地の今の現状は、住宅と農地がまざり合っている、そういうところですから、それに不釣合いなものができないか、多面的な機能を損なうようなものができては困るなということは、再度発言をさせていただきます。

 それで、三枚目の配付した資料をごらんください。

 これは、私、世田谷区の喜多見というところに住んでおりまして、私と同じ丁目ではないんですが、もっとすばらしい風景が広がっている地域があります。これは東京都の農の風景育成地区という指定を、第一号で指定を受けておりまして、農地を含めた緑地と地域の保全というのが進められております。

 今回、田園住居地域という用途、新しくできたわけですが、資料の三の、先行して農地保全を行っている東京都の事例、そしてこの田園住居地域の用途というのは、恐らく同じ思想に基づくものだというふうに思っているんですが、国交省さん、どのように、同じと考えてよろしいですか、思想、哲学。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 東京都の制度である農の風景育成地区は、減少しつつある農地を保全し、農のある風景を将来に引き継ぐことを目的とするものであり、農地等が比較的まとまって残る地区を対象として指定することが想定されています。地区の指定によって、散在する農地を一体の都市計画公園として指定することが可能となることから、営農が困難となった農地を区、市、町が取得し、農業公園として整備することが可能であると伺っております。

 一方、田園住居地域は、農地と住宅地が一体となったまとまりのある市街地を指定し、良好な住環境と営農環境を保全する制度であり、農地を都市の緑空間として評価し、保全する観点から、農地の開発、転用を許可制として、一定規模以上の開発を規制することとしております。

 どちらの制度につきましても、都市内に存する農地等の保全を図ることを目的とするものとなってございます。

大河原委員 この資料の三を見ていただくと、住宅と、生産緑地とその他の緑地と、それから屋敷林とか地域風景資産として登録されているものとか、いろいろなものをつなげて、全体として良好な地域をつくるというところで、あらゆる制度をここに使っていけば保全ができる、その効果が更に高まるんじゃないかというふうに私は思います。

 それで、世田谷区は、この東京都の第一号指定を受けた、農の風景育成地区というのを受けておりますけれども、この中に農業公園だとかほかの資源もありまして、そういう意味では、こういう地域がもっとほかにもたくさんできるということが期待されています。

 世田谷区の計画の中では、この風景育成地区というのが複数既に登録されていますので、そういう意味では、町全体が、こうした環境的なエリアを、農地を含めて、そして農地の機能を更に高めるような形でつなげていく、このことをぜひやっていただきたいなというふうに思うわけです。

 次に、市民農園と体験農園、これが、今回の法案ができて、やりやすく、できやすくなるわけですけれども、NPO等も、市民緑地を借り受けて市民農園の開設ができるようになります。

 市民農園というのは、ちょっと地域で呼び方がそれぞれかもしれませんけれども、市民が農に親しむスタートとして、入り口として大変人気がありまして、区があっせんをしているところなどは、小さい区画ですけれども、安い料金で、それで自分の好きなものをつくれるということで非常に人気があって、なかなか当たらないということがあるんですけれども、実は、市民が農業をスタートして、つくりたくなるものが三つありまして、三種の神器ということですから、トマト、キュウリ、ナスですか、何かそれはみんなつくりたがるということで、ただ、それをみんながそれぞれのやり方でやってしまうと、実はそこまで生産者の方たちが大事に使ってきた農地が荒れてしまうというようなこともあるんですね。

 私自身は、うちの事務所のスタッフも、実は二年前から体験農園で野菜づくりをしていまして、いずれは自分で農地を借りて農業をしてみたいというような希望も持っているんですけれども、その体験農園で、指導を生産者の方がしてくださって、失敗なく実は収穫もできるということもあって、この体験農園、新しく農業を始めるためにも、技術取得もできるということで、この体験農園をやはりふやしていく、生産者の方たちがそれを選び取られるというのは、農業の収入を安定的にするという意味でも非常に有効だというふうに教えていただきました。

 それぞれの、市民農園のよさ、それから体験農園のよさ、こういったものも感じる、その差異もあるというふうに思うわけですが、大臣、この体験農園と市民農園の差のことは御存じでしたか。

齋藤国務大臣 うちの地元にも両方ともありまして、両方ともお邪魔をしたことがあります。

 農業体験農園については、利用者は自由な作付はできないんですけれども、農作物の栽培について専門的な知識がなくても、御指摘のように、農業者である方から指導を受けて、安心して作付ができる。それから、農家の皆さんが利用者を集めて指導を行うことから、利用者の間で交流が盛んになる、そんなメリットのあるものだろうと思っています。

 他方、市民農園については、利用者である都市住民等が区画を借り受けて作付を行うので、みずからの意思で自由に農作物の栽培ができる。それから、開設者の指導等がなく、利用料が安価である場合が多いことのメリットがあるんですね。

 それぞれ異なるメリットがありますので、この法律案においては、地域の多様なニーズに応じてそれぞれを開設を促せるように、生産緑地について法定更新の適用を除外することによって、農業体験農園の用に供する都市農地を開設者が借りやすくなるとか、それから、都市農地において市民農園を開設しやすくする特定都市農地貸付けを新たに措置するということで、本法律案が施行されれば、農業体験農園や市民農園の開設がそれぞれ促進をされて、都市住民等が農業に触れる機会が増加をして、都市農業の理解が促進をされ、さらには食の大切さや農業、農村への理解、関心を深めるということですので、しっかり進めていきたいと考えています。

大河原委員 都市農業を継続していくというところで、東京都が非常に農業振興プランというのを丁寧につくっていると思うんですが、ここで、どのぐらいの収入を、どんなものを育てて、何人でやれば収入が得られるかというようなモデルはいっぱいありまして、それはそれでいいんですが、ここにもないことが実はあって、農家さんの、さっきの体験農園というのは、収入を安定させるためには非常に有効な方法だと思います。

 私は、今回の生産緑地法の改正で、農家レストランや農機具置き場は建設が許可、つくることとされましたけれども、生産緑地内でソーラーシェアリングを行う場合の支柱、このコンクリート部分を対象にしてほしかったなというふうに思うんですが、対象にしなかった理由というのは教えていただけますでしょうか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 生産緑地地区につきましては、良好な生活環境の確保に相当の効用があるなどの条件を満たす農地等を指定し、建築物の建築等に対し厳しい制限を課する一方、一般農地と同様の税制上の特例を適用しております。

 平成二十九年の生産緑地法の一部改正によって、従来から認められておりました、農産物の生産の用に供するなど農林漁業を営むために必要となる施設に加え、農産物の加工場、直売所など農林漁業の安定的な継続に資する施設につきましても、良好な生活環境の確保を図る上で支障がないと認められるものに限って、市町村長の許可を受けて、生産緑地地区内で設置することができるようになりました。これは、いわゆる農業の六次産業化により農業収入の道を広げ、経営の安定化を通じて農地の保全に資する趣旨からその設置が認められたものであります。

 一方、御指摘の、農地に支柱を立てて、営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備を設置する営農型発電方式、いわゆるソーラーシェアリングにつきましては、必ずしも農業生産に直接関係するものではなく、売電を主たる目的とするものと考えられ、良好な都市環境の形成に支障を及ぼす可能性もありますことから、このような施設につきましては生産緑地法改正の対象とはしなかったものであります。

大河原委員 営農発電とは違うということで、六次産業化に役に立たない売電というふうに規定をされているということだと思うんですが、ここはもう少し議論が必要だと思いますけれども、生産緑地法を次の会議で改正するときとか、運用を認めるとか、これから先も、この都市農地はそうした安定的な収入が入ってくるということがあって、そして、下の土を農地として使えるということが確実にできるわけですので、これからもぜひ議論を深めて検討していただきたいなというふうに意見を申し上げまして、きょうの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 国民民主党の後藤祐一でございます。

 まず冒頭、大阪府北部での地震でお亡くなりになった皆様にお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。また、農業関係で何か被害があった場合には、ぜひ農水省としてもしっかり対応いただけるようお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、通告では米国からの豚肉輸入の話から始めようと思ったんですが、ちょっと飛ばしまして、先週金曜日に骨太方針が閣議決定されましたので、これに関連して少し聞きたいと思います。

 この骨太方針の中で、目玉は外国人材の話だと思います。この中で、「一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる新たな在留資格の創設」ということについて触れられておりますけれども、これがどういう業種に対して適用されるのかということについては書いていなくて、「生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお、当該業種の存続・発展のために外国人材の受入れが必要と認められる業種において行う。」とされています。

 農業はこれに該当すべき業種ではないかと思いますけれども、これは農水大臣にぜひお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

齋藤国務大臣 十五日に閣議決定された骨太方針二〇一八では、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築するため、新たな在留資格を創設するということが盛り込まれているわけであります。

 この骨太方針に基づき、今後、具体的な制度設計や受入れ方針の検討に入っていく、そういう段取りになっているわけでありますが、御指摘のように、現時点で受け入れる対象分野や具体的なスキームは決まっていないわけでありますが、農林水産省としては、近年、外国人材活用のニーズが高まっていることなども踏まえまして、今後の政府部内での検討に積極的に参加してまいりたいと考えています。

後藤(祐)委員 積極的にというところに特に力が入った大臣の答弁をぜひ実践に移していただきたいと思いますが、きょうは法務省にもお越しいただいております。

 この外国人材の新しい制度をつくる中で、日本語能力の話について、「受入れ業種ごとに業務上必要な日本語能力水準を考慮して定める。」というふうに書かれております。

 介護なんかですと、相当なコミュニケーション能力が必要なのかもしれませんが、農業の場合は、機械の使い方とかは、ある程度教われば、それほど会話能力が必要というわけでもないと思うんですね。農業に、この外国人材、新しい形で入ってきていただくときには、それほど高い日本語能力を求める必要はないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁ありましたように、今の段階では、いずれが受入れ業種になるかについては決定していないというステータスでございます。

 ただ、御紹介いただきましたように、日本語能力水準につきましては、「日本語能力試験等により、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することが確認されることを基本としつつ、受入れ業種ごとに業務上必要な日本語能力水準を考慮して定める。」こととしておりまして、その方針が骨太に盛り込まれているところでございます。

 例えば農業分野の場合であれば、この方針に沿う形での農業に係る業務上必要な日本語能力水準について、農林水産省からの具体的提案を得た上で検討を行い、決定していくことになると考えています。

後藤(祐)委員 農業を例示、挙げていただいてありがとうございます。ぜひ、現実的な農業の現場で必要な日本語というのはこの程度だということを踏まえた検討をしていただきたいと思います。

 それともう一つ、在留期間について、この骨太の中では、「外国人材の在留期間の上限を通算で五年とし、」というふうにされております。

 現行の技能実習制度ですと、これはたしか、三年過ぎたところで一旦帰ってまた来るということを別とすると、自分の国に帰ることはできないと思うんですけれども、農業の場合、例えば収穫のときですとか大変忙しいときには来ていただきたい、だけれども、一年じゅうずっとそうかというと、そうでもなかったりするわけですね。

 これから、制度の組み方なのかもしれませんが、帰国の回数ですとか再入国ですとか、こういったものについては柔軟に考えるべきだと思います。今後の検討においてぜひ考慮いただきたいと思いますが、法務省、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 御指摘をいただきましたように、今回の受入れ対象者の在留期間の上限は通算で五年としておりますところ、これは、年間を通じた作業がない業種もあること等から、季節等、時期を限った労働需要に対しても柔軟に対応するため、在留期間については五年を通算することとしたものであり、出国期間は在留期間に含まず、在留している期間を合算して五年とすることを想定しているものでございます。

 繰り返しになりますけれども、現時点では対象分野は未定ですが、委員御指摘の農業分野の場合であれば、農繁期の数カ月間は就労し、農閑期は帰国をして、また翌年の農繁期に再度日本で農業に従事するということも、通算で五年の範囲内であれば可能であると今の時点では考えております。

後藤(祐)委員 大変重要な御答弁をいただいたと思っております。

 農水大臣も積極的にということでございましたので、もちろん日本でやりたい方がやりにくくなってはいけませんが、多くの場合、やり手がいないという状況の中で、外国人の方にお手伝いいただくことは大変有意義だと思いますので、今、法務省の御答弁があったような形で柔軟に進めていただければと思います。

 それともう一つ、規制改革計画というものが決定されておりますけれども、この中で、農地中間管理機構を軸とする農地の集積、集約化ということについて触れられております。

 これについては、農業委員会の皆様からも、今後の検討、とりわけ、農地中間管理事業の推進法というのは、来年が施行後五年となって見直しの年というふうになっていると伺っておりますけれども、農地中間管理事業についての農業委員会の位置づけについて、現在は、遊休農地、使われていない農地については、農地を貸し付ける意向があるのかどうかですとか、状況調査ですとか、こういったものを農地中間管理機構に情報提供するといったお仕事があると伺っておりますけれども、今、現に使われている農地、遊休でない使われている農地については、必ずしも農業委員会の位置づけは明確でないというふうに伺っております。

 場合によっては来年の法改正ということもあると思いますが、農業委員会の今使われている農地についての位置づけを明確にすべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 農地については、今、農地法上の責務である農業上の利用というものを確保する観点から、まず全農地を対象に農業委員会による利用状況調査を行って、その結果、遊休農地になっていることが判明したものについては所有者の意向を確認、こういう仕組みになっているところであります。

 遊休農地となっていない農地については、御指摘のように、法律により意向確認というものが義務づけられているものではありませんけれども、別途、こうした農地を含め、市町村が中心となって、将来の農業のあり方や中心となる担い手について、地域の話合いによりそういった点を明確にする人・農地プランの策定を進めているところであります。

 なお、この人・農地プランの策定に当たっては、農業委員会に設置されている農地利用最適化推進委員等が地域の話合いに積極的に参加をして、人と農地のマッチングを図っていくように指導しているところであります。これが現状です。

 機構法の五年後見直しが参りますので、農地集積、集約化を進める観点から、以上述べたような現在の仕組みの運用等も検証しつつ、関係者の意見を聞きながら、五年後見直しにおいて検討していきたいと考えています。

    〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕

後藤(祐)委員 これは来年度の話になると思いますので、今から始まると思います。ぜひ御検討いただきたいと思います。

 それでは、都市農業の関係に入りたいと思います。

 私は神奈川県に住んでおりまして、これまで都市農業の野党側の超党派の議員連盟の会長も務めさせていただいております。前回の基本法の改正のときも、与党の先生方との交渉も含めて、条文修正ですとか、そんな仕事もさせていただいた中で、今回、相続税の納税猶予の話が動いたというのは本当に感無量でございます。率直に評価をさせていただきたいというふうに思います。

 これからの都市農業の政策として、やはり予算のところをもう少し頑張りたいなという思いがございます。

 今配付させていただいた資料一ページ目には、この基本法の八条というところ、政府は、都市農業の振興に関する施策を実施するため必要な法制、財政、税制、金融上の措置を講じなければならないとあるんですが、都市農業向けの予算というのは、数億円の予算があったりするんですけれども、どちらかというと、ロットの大きい個別の予算が、規模の大きい農家向けで、都市農業の規模ではほとんど使えない状況が多いと思うんです。齋藤大臣も、いろいろな予算の説明を受けていて、自分の地元でこれが適用できるケースというのはほとんどないなと思うことが多いんじゃないかなと思うんですが。

 配付資料の二ページ目に、中山間地の話を少し題材に挙げさせていただいたんですが、中山間地でも同じような悩みを抱えている時期があったんですけれども、中山間地枠というのをつくりまして、例えば、平成二十九年度の交付決定額としてはこれだけ中山間地に交付するという枠をつくっているわけですね。

 ここまでできればいいんですけれども、ここの中に掲げられている、強い農業づくり交付金から並ぶ幾つかの予算項目があります。もちろんこれに限定されませんが、それぞれほかのところで予算項目である中に、ぜひ都市農業枠みたいなものをつくるということを検討されてはいかがでしょうか。

 来年度予算要求に向けて今まさに詰めの作業をしている最中だと思うんですけれども、都市農業室だけの予算というのではなくて、それぞれのところの予算に都市農業が入れるように、要件の見直しとかいろいろなやり方があると思いますけれども、ぜひ御検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 まず、後藤委員の資料の一ページ目の都市農業振興基本法の第八条を今御指摘いただいて、当時のことを思い出したんですが、これは議員立法なんですが、「法制上、財政上、税制上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない。」通常これは努力義務なんですけれども、「講じなければならない。」という強い思いを、このとき議論をしてこうしたのを今思い出しまして、その延長線上で質問をいただいているのかなという思いもしないでもないですが。

 都市農業は、食料生産のみならず、農作業体験の場や災害時の避難場所の提供等多様な役割を果たしておりますので、その振興は重要だということなんですけれども、このため、農林水産省としては、農山漁村振興交付金の都市農業機能発揮対策というものがございまして、そこにおきまして、都市農業を対象として、都市農業の課題に向き合えるように、都市農業に取り組もうとする者に対し指導等を行う専門家の派遣ですとか、都市農業の理解促進のための啓発事業の開催ですとか、都市農業に係る税制の周知や相談窓口の設置ですとか、防災兼用井戸や防薬ネット等の整備等の支援策を講じているわけであります。

 そのほかにも、農山漁村振興交付金において、福祉農園等の施設の新設、改修ですとか、また、食料産業・六次産業化交付金において、加工、流通、販売等の施設整備等についても、都市農業でも活用することが可能となっているわけであります。

 こういった事業は既に都市農業でも使われているわけであります。優先枠がないと採択を受けることができないかというと、そういう声も私どもの耳には入ってきていないわけでありますので、今、直ちに都市農業の枠ということをつくるということは考えていないんですけれども、これからもよく現場の声を聞きながら検討していくべき課題ではあろうかなと思っております。

後藤(祐)委員 ぜひ、後ほど述べる税のところの少し残っている部分と、この予算措置、「講じなければならない。」とございますので、これは本当に基本法の中では最大限の強い書き方でございますので、これを踏まえてやっていただきたいと思います。

 続きまして、生産緑地の話に行きたいと思いますが、お手元の資料三ページ目に、関係の資料を配付させていただきました。

 二〇二二年問題でございますけれども、二〇二二年になりますと、三十年たって市町村に買取り申出ができるということではあるんですが、既にこれまでその条件を満たしたところはどうなっているか調べていただいたところ、平成二十九年においては、買取り申出千八百二十七件、総数としてありますが、実際買い取ったのは十七件しかございません。そこにあるように、公園・緑地、道路、その他というのも公共的な利用が多いというふうに伺っております。

 つまり、市町村が買い取るというケースは極めてまれなケースでありまして、そのほかには、民民間での売買とかいうことも当然あり得るでしょうし、特定生産緑地を選んでいただいて引き続き農業を続けていただくという方ももちろんおられると思いますが、二〇二二年、こういった幾つかの選択肢がある中で、どういったことが起きるというふうに国交省はお考えでしょうか。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 生産緑地は、都市計画決定後三十年を経過いたしますと、生産緑地の所有者が市町村に対して買取りの申出をすることができます。二〇二二年には、面積ベースで全体の約八割に相当いたします約一万ヘクタールの生産緑地がこの三十年を迎え、その扱いが所有者の意思に委ねられることとなります。

 こうした状況に対応するため、昨年、生産緑地法を改正し、所有者の意向を前提に三十年経過後も保全措置を十年ごとに延長できる特定生産緑地制度を創設いたしました。

 国土交通省では、平成三十年一月に、幾つかの自治体における都市農業者に対して、特定生産緑地の指定意向に関する調査を行っております。それによりますと、所有する全ての生産緑地を特定生産緑地に指定したいという回答が六割以上、所有する生産緑地の一部を指定したいという回答を含めれば八割以上の方が特定生産緑地の指定を希望するという結果を得ております。

 一方、所有する全ての生産緑地を特定生産緑地に指定しないと回答された方の割合は、一割未満となってございます。また、ことし一月の同じ意向調査では、特定生産緑地の指定を希望しない場合であっても、三十年経過後すぐに買取り申出を行いたいとする方の割合は、約四分の一となってございます。

 こうしたことから、大量の生産緑地について二〇二二年に買取りの申出がなされ、一気に市場に放出されるのではないかといった懸念もあるわけですけれども、現時点では、それほど深刻なものではないのではないかなというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、昨年の法改正もいたしましたので、農林水産省やJA、農業委員会といった関係団体と連携し、現在御審議をいただいている貸借に係る法案とあわせて、しっかりと制度の周知を図り、都市農地の保全に努めてまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 この二〇二二年、できれば農地を続けていただける方が多くなるような方向で、国交省からもそんな感じの答弁だと思いますので、農水省としてはもちろんそうだと思うんですが、国交省としても、ぜひそこを配慮した進め方をしていただきたいと思います。

 少し飛ばしまして、生産緑地が、ではどれだけの市町村で実際に運営をされているのかということを確認させていただきたいんですが、今回の法律も、生産緑地がちゃんと制度としてある市町村においては大変ありがたい話なんですが、そもそも生産緑地制度が全く導入されていない市町村も実は多いんですね。

 これを、ちょっと数字を確認させてください。市街化区域内の農地を有する市町村がどれだけあって、その中で、生産緑地を導入済みの市町村が、三大都市圏の特定市でどれだけあって、それ以外の市町村でどれだけあるか。これは事実関係をまずお答えいただけますか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 市街化区域内農地を有している三大都市圏特定市は二百二十三都市あり、このうち、生産緑地地区の指定がなされていない都市は一都市となってございます。一方で、市街化区域内農地を有している三大都市圏特定市以外の都市は四百一都市あり、このうち、生産緑地地区の指定がなされていない都市は三百九十一都市となってございます。

後藤(祐)委員 ちなみに、その三大都市圏特定市で指定していないのはどこの市ですか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 三重県のいなべ市でございます。

後藤(祐)委員 三大都市圏特定市以外の市町村では、逆に言うと、十しか、和歌山、福岡、長野市といったところしか生産緑地制度は導入していないんですね。

 ですから、今回の法律でかなり改善はもちろんしているんですけれども、これは生産緑地が導入されていることを前提にすればそうなんですが、そもそも導入されていない市町村というのは、ある意味、農地を持っていらっしゃる方の権利の行使を阻害していると言えなくもないんですね。

 これは農水大臣に伺いたいと思いますが、このように、市街化区域内に農地を有している市町村で生産緑地を全く導入していないというようなケースというのは問題があると思いますけれども、大臣として、どのようにお考えでしょうか。

齋藤国務大臣 三大都市圏特定市以外の市町村で、市街化区域内に農地を有するものが四百一市町村あるのに、今御指摘のように、生産緑地地区を指定している市町村が十市町村にとどまっている、そして、面積でいえばわずか百十ヘクタールということでありますので、生産緑地の指定が進んでいない。大臣として言えば、大変残念に思います。

 その理由としては、農地所有者が、生産緑地の指定を受けても受けなくても、相続税納税猶予の適用条件が二十年間の自作となっていて、生産緑地の指定を受けるメリットが小さく感じられているんじゃないかということ、あるいは、市町村が市街化区域外の農地の保全を優先させた、そういったことがあるというふうに聞いております。

 このような中で、昨年の生産緑地法の改正におきまして、生産緑地地区の面積要件、たびたび御答弁させていただいておりますように、市町村条例で引下げ可能、五百平米から三百平方メートルに引き下げることが可能となったので、生産緑地に指定しやすくなっているわけであります。

 加えて、この法律案で生産緑地を貸借しやすくするということも進めまして、さらには、平成三十年度税制改正において、生産緑地を本法律案に基づいて貸し付けた場合でも相続税の納税猶予が継続する措置、これを講ずることにいたしますので、生産緑地が選択しやすくなるということは間違いないので、これらの制度の理解の促進を図りながら、メリットを周知しながら、指定の促進を図っていきたいと考えています。

後藤(祐)委員 ぜひ、積極的にお願いします。

 市町村にとっては、場合によっては固定資産税の税収が減るんじゃないかとか、いろんな背景が恐らくあると思いますので、市町村任せでは進まないと思いますので、ぜひ、農水省、できれば国交省、そしてJAなんかの力を合わせて進めていただきたいと思います。

 続きまして、この法案の一番の中心事項であります法定更新について伺いたいと思います。

 認定された事業計画による賃借権については、農地法十七条の法定更新は適用除外だと。これはなぜ適用除外されるのかということについて、ちょっと法益の衡量ということを考えていただきたいんですが、つまり、この法定更新という制度はなぜあるかというと、農地を借りる側、賃借人の法定更新に対する期待という法益があると思うんですね。

 ですが、今回の事業計画の対象になったところについては、この法定更新に対する期待を上回る法益として、農地を持っている方の一回貸すと返ってこないんじゃないかという御心配、これを取り除いてあげることで実際の賃貸が進んで、農地として活用されるという法益の方がより大きいと考えたから、今回の法定更新の適用除外ということになったというふうに考えてよろしいでしょうか、大臣。

荒川政府参考人 まず私から、法律の話でございますので、ちょっと御説明をさせていただきたいと存じます。

 今、先生からお話ございましたように、今回のその貸し手の法益ということをどう考えるかということでございますが、先生が御指摘ございましたように、農地の貸借期間の満了時に所有者に農地が戻ってくるということで、これは貸し手にとって大きなメリットになっておることは事実でございます。

 一方で、それは貸し手だけのメリットではございませんで、法定更新制度があることによりまして実際に流動化がしないということで、借り手の方が借りようと思っても借りられなかったという事態が、これによりまして大変改善するということで、借り手側にも一定のメリットがあるということだろうと考えておりまして、私ども、両者にメリットがあるんだろう。

 こういう政策の組み立て方といたしましては、既に一般農地のところで、農地の利用集積を進めるために貸し手にメリットを与えつつ借り手が借りやすくするということで、基盤強化法に基づく農用地利用集積計画ですとか、中間管理事業の推進に関する法律の貸借といったようなものの例を参考にさせていただいたところでございます。

後藤(祐)委員 次の質問に備えてすれ違い答弁をしているんですが。

 生産緑地以外でもこの法益衡量は同じだと思うんですね。賃借人の法定更新に対する期待よりも、農地を持っていらっしゃる方が返ってこないから貸せないということを心配しなくていいですよとする方が農地の賃貸借が起きるようになるので、これは生産緑地に限られないと思うんです。

 つまり、私は今回の法案は評価しますし、まず生産緑地でこれを認めましょうということについては一歩前進だと思いますけれども、今後の課題として、今のところというのは生産緑地以外の農地についても言えることだと思うんです。大臣、今後の課題ということで結構なんですけれども、いかがお考えでしょうか。

齋藤国務大臣 確かに、今局長から答弁したように、両者に法益があるという答弁なんですけれども、後藤委員のおっしゃるような点もわからないわけではないと思います。

 土地利用規制によりまとまった農地が存在している市街化区域外の一般の農地を対象に、これまでも、担い手への農地の利用集積という特別な政策上の必要性がある場合などに限って、耕作者の保護を図るための法定更新制度の適用を特例的に除外している、こういう考え方であります。

 一方、市街化区域内の農地については、届出で転用が可能になるということなので、このような担い手施策の対象にはならないんですけれども、法定更新制度があることによって農地所有者が農地を貸したがらない傾向にあるという現状に対処し、都市農地の有効活用を図り、都市農業の安定的な継続につなげるという政策上の必要性が認められるということとか、一般の農地のように土地利用規制が存在するのは生産緑地規制内の農地のみであるということから、今回の法定更新制度の適用を特例的に除外して貸借の円滑化を図るということとしたものである。

 ですから、その局面だけを見るのではなくて、こういう、安定的に貸借が継続するかどうかとか、さまざまな観点から今回の仕組みというものを提案させていただいているということでありますので、やはりそういう全体像を見て判断すべきかなというふうに今は思っております。

後藤(祐)委員 ぜひ、今後の課題として考えていただきたいと思います。

 配付資料の四ページ目、今後の課題の二つ目として、先ほど三大都市圏の特定市以外では生産緑地が導入されていないところがほとんどだという実態が明らかになりましたが、ここは、相続税納税猶予が貸した場合はなくなっちゃうわけですよね。

 そこの下の表の、三大都市圏の特定市以外の市町村の生産緑地でないところについてどうするかということについては、一つのやり方としては、政策貸付けの対象にできないかというアプローチがあると思います。

 具体的には、中間管理機構に対する貸付けというものは今は認められていないんですけれども、中間管理機構に対する貸付けというのを、市街化区域内の農地、今はできないんですが、これも対象になり得る、一定の要件が必要かもしれませんが、ということにすれば、この三大都市圏の特定市以外の市町村で生産緑地でないところについても相続税納税猶予の適用になるのではないかというふうに思うのです。

 特に、中間管理機構に関する法律は来年見直しということもありますので、ぜひ、貸借が進むということ自体は非常にいいことだと思いますので、この中間管理機構に対する貸付けというものは、何も市街化区域内農地を除くことはないんじゃないかなと思いますけれども、これについて検討すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 農地中間管理事業につきましては、長期の貸付けを、原則十年で行っておりますけれども、まず、農地の出し手から中間管理機構が原則十年で借りまして、分散して錯綜した農地、当初はそのままだと思うんですが、その十年間の間に担い手にまとまった形で貸し付けるように調整していく、その機会に、必要に応じて国費を投じながら基盤整備を行っていく、こういう仕組みでございますので、市街化区域内でこれを実施するということになりますと、先ほどからも御説明申し上げていますように、市街化区域内農地については届出で転用が可能ということでありますので、せっかく借りていても、途中で賃貸借じゃなくて転用されてしまう可能性もあるということでございます。

 そういうことで、この中間管理機構の対象地域につきましては、農業の振興を図るべき地域として指定された農業振興地域というふうにしているわけでございますので、現時点において、中間管理機構を市街化区域内でも実施できるようにするということにつきましては、法制上の課題があるものと考えてございます。

後藤(祐)委員 それは法律を変えればいいのであって、それで認めた場合には、そう簡単に転用しちゃだめですよということに法律上すればいいだけの話だと思いますよ。

 生産緑地にいけばいいじゃないかと事務的にこの話をしたときもおっしゃるんですが、現実に、生産緑地、やっていないわけですよ、十個しか。だから、ほかの、その十個以外のところに生産緑地をやってくださいというのは、引き続きやるにしても、現実にやっていないわけだから、別の制度的対応が必要じゃないかという意味で、今のようなケースの場合には転用しちゃだめだということにすればいいんですよ。それはぜひ来年の法律改正のときに御検討いただきたいと思います。

 この相続税納税猶予の適用を広げる方法のもう一つのやり方は、その四ページにもありますが、営農困難時貸付けの解釈をもうちょっと緩められないかということでございます。

 これは、精神障害者保健福祉手帳の障害等級一級、身体障害者手帳の一級又は二級、要介護認定五、五ですよ、要介護五ですよ、という場合には認められるんですが、それ未満だと認められないんですね。要介護四とか三の人がリンゴをとったりとかできるわけないじゃないですか。それはやはりちょっと厳し過ぎるところがあるんじゃないかなと思います。

 この営農困難時貸付けの解釈を、これは告示ですとかそういったもので決まっているようですけれども、もう少し柔軟に対応すべきではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 農地に関する相続税等の納税猶予措置につきましては、まずこの趣旨、目的として、農地を農地として利用することを確保するという観点がございます。

 今までのこの制度の経緯について申しますと、まずは、原則としては、相続人が農地を利用している限りは納税が猶予されるということなんですが、いわゆる政策的な貸付け、例えば、市街化区域内の農地につきましては、担い手に利用を引き継ぐために、農業経営基盤強化促進法等により担い手等に貸し付けた場合には納税猶予を継続する、こういう形で農地を農地として利用するということを担保するような措置をとってきたわけでございます。

 また、今般の都市農地の貸借の円滑化に関する法律案によりまして、生産緑地につきましては、意欲ある都市農業者等に利用が引き継がれるように、納税猶予が打ち切られない仕組みを導入するということになっております。

 営農困難時貸付けにつきましては、こういうような政策的な位置づけを伴わない農地法に基づく貸付けを前提にしている制度でございますので、その要件を重度の障害による営農の困難に限定しているものでございまして、こういう物理的といいますか身体的な条件についての緩和ということよりも、こういう政策貸付けの中で重度の障害による場合でも十分対応できますので、この政策的な貸付けの中で、重度の障害の方についてもより貸付けができるようになるということができるのではないかというふうに考えてございます。

後藤(祐)委員 政策貸付けをさっき否定しておいて、何を言っているのかよくわかりませんが。

 時間が来ましたので、最後の質問にしたいと思います。

 私のところは山と畑が接しているところにありまして、有害鳥獣の被害が、都市農業でも大変大きい被害がございます。

 鳥獣被害防止総合対策交付金という交付金がございますけれども、この算定に当たって被害状況調査というのがあるんですが、これは、調査対象農作物というものの中に自家消費用の作物は入らないということになっているんですね。また、その他の農作物以外の生活被害、家が壊されたとか、いろいろなものも入らないということになっているんです。

 ところが、山がちのところなんかでは、皆さんのところもそうだと思いますが、市場に出すもの以外の作物、あるいは家が壊されたとかいう被害はたくさん出ているわけです。

 ぜひ、こういったものもこの鳥獣被害の交付金の算定に当たって考慮に入れていただきたいと思いますが、この検討と、あと、電気柵の設置費はかなり出るんですけれども、維持管理費も何とか見ていただけないかという声もたくさん聞いておりますので、この二つ、まとめて御検討いただきたいと思いますが、これは通告していますので、ぜひ大臣にお願いしたいと思います。最後ですので、大臣、お願いします。

伊東委員長 持ち時間が経過しておりますので、端的に答弁を願います。

齋藤国務大臣 まず、前者の御質問ですけれども、自家消費用や家庭菜園の農作物の被害についてもということなんですが、これはなかなか実態の把握がとにかく困難であるというのが考慮に入れていない理由であります。

 したがって、わかったところだけでもやればいいじゃないかとすぐ次の質問が来るわけでありますので、そこも踏まえて申し上げますと、わかったところはないわけじゃないと思うんですけれども、ただ、その場合は、把握できたところだけ評価して配分するというのは、やはり公平性の観点からどうかな、そういうふうにも思いますので、ですから、きちんと被害が把握できないという残念な状況を踏まえれば、現状はやむを得ないかなというふうに思っております。

 それからもう一つは、電気柵の維持管理についても支援ということでありますが、とにかく、一言で言えば、限られた予算の中でどういうふうに配分をしていくかという話でありまして、潤沢に予算があって維持管理費まで出せればいいんですけれども、限られた予算ということを考えれば、とにかく設置を推進するというところに今力点を置いているということを御理解いただければなというふうに思います。

後藤(祐)委員 ありがとうございました。

 終わります。

伊東委員長 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら委員 無所属の会のもとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 十五分という時間ですので、少し通告の順番が変わるかもしれませんが、御了解いただきたいと思います。

 まず、いわゆる二〇二二年問題についてでありますが、これは国土交通省の関連であるということは十分承知をしておりまして、二〇二二年に生産緑地の約八割、一万ヘクタールが指定後三十年を経過し、市町村への買取り申出が可能となり、その後の生産緑地の継続は所有者の意思に委ねられるという問題であります。

 この問題、私どもの地元相模原市においても、不動産会社の皆様などを始めとして、宅地の転用需要を望む、営業ももうされているというお話も伺っておりまして、この二〇二二年問題について、農林水産省としてはどのように捉えていらっしゃるのか、大臣にお伺いいたします。

齋藤国務大臣 御案内のように、生産緑地は、都市計画決定後、開発行為が規制をされるわけでありますけれども、三十年を経過すると、所有者が市町村に対し買取りの申出ができるということになっているわけで、二〇二二年に面積ベースで約八割の生産緑地がこの三十年を迎える、そしてその扱いが所有者の意思に委ねられているということですので、宅地転用が御指摘のように加速するおそれがあるわけであります。

 それで、この二〇二二年問題に対しては、昨年の通常国会において生産緑地法の改正が行われて、関係権利者の同意を前提に三十年経過後も保全措置を十年ごとに延長できる特定生産緑地制度が設けられたところであります。

 また、この提案しております法律案は生産緑地の貸借に係る制度を創設するものでありまして、二〇二二年問題と直接関連をするものではありませんが、これまで所有者のみでは活用し切れなかった生産緑地についても意欲ある方への貸借が可能となることから、特定生産緑地制度と相まって、生産緑地の保全に資するものと考えているところでございます。

もとむら委員 一気に宅地転用された場合、供給過剰で地価下落を招くなどの影響が懸念をされておりますし、都市農業の農地面積は小さいわけでありますが、収益性が比較的高くありまして、国の試算では、農家戸数や販売金額は全国の約一割を占めているということでありますので、国交省とともにこの問題にしっかり注視していただきたいというふうに思います。

 次に、国交省の方にきょう来ていただいておりますが、私どもの地元相模原市からもさまざまなお話も聞いている中で、改正生産緑地法が昨年成立しまして、本年四月から特定生産緑地制度が施行されているわけでありますけれども、自治体からは、具体的な手続をどのように進めればよいのかわからないという声もございます。

 国交省によれば、既に手続は法に定められており、自治体がどう指定するかは自治体によるとのことであることも承知をしておりますが、そうした声もある中で、こうした自治体に対し政府はどのように支援を行っていくのか、お伺いいたします。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 特定生産緑地制度は、生産緑地所有者の意向を前提に、生産緑地地区の指定から三十年経過後も保全措置を十年ごとに延長するものです。したがって、市町村において、まずは所有者である農家への制度の周知と指定意向の確認を進めていただくことが重要であると考えております。

 その上で、指定意向が確認されました生産緑地につきましては、市町村において、利害関係人の同意を得た上で、都市計画審議会の意見を聞き、指定等の手続を行っていただくことになっております。

 国土交通省では、本年四月の特定生産緑地制度の施行に当たり、都市計画運用指針を改正し、制度運用上の留意点等について記載いたしましたほか、全国都市計画主管課長会議等を通じて情報提供等を行ってまいりました。

 さらに、今後は、ブロック単位での説明会を農林水産省と連携して開催いたしますとともに、三大都市圏の都府県ごとに市町村を対象とした担当者会議を開催し、特定生産緑地の指定に関する事務手続の情報共有を行うこととしております。

 加えて、特定生産緑地制度等に関する手引の作成や、市町村、単位JA、農業委員会からの要請に応じた個別の説明会を開催するなど、市町村において特定生産緑地制度に係る事務が円滑に行われるよう支援をしてまいりたいと考えております。

もとむら委員 次に、本法案は二〇二二年問題対策としても有効だというふうに考えますが、生産緑地所有者が制度を知らなければ意味がないわけでありまして、どのように制度を周知していくのか、お伺いいたします。

野中大臣政務官 本法案を適切に活用するためには、法案の内容を、生産緑地の所有者だけではなくて、都市農地を借り受けようとする意欲ある都市農業者や、本法律案を現場で運用する市町村や農業委員会の担当者、また農協等の農業団体へ周知徹底されることが不可欠というふうに認識をしております。

 そのために、生産緑地の所有者等の関係者を始め、特に生産緑地の指定が進んでいない地方都市での説明会の開催、農水省のホームページ等を活用した情報発信、農水省に本法律案に対する問合せに対応する相談窓口の設置等を行い、国交省を始め、農協等の農業団体等と連携して制度の周知を図ってまいりたいと存じます。

もとむら委員 この制度を知らなければならないという非常に大事な部分でありますので、引き続き、自治体やJAなどと連携して周知徹底をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、食べられる農家、やはりこれが大事だなと思っていまして、担い手の不足が今問題となっておりますし、平均的な高齢者が多いという問題もありますけれども、農家レストランや直売所の活用など六次産業の推進で食べられる農家になることや、地産地消や食育、農業体験によって地域の農業に触れることが重要ではないかと思いますが、政府の見解を伺います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今お話ございましたが、農林水産物の付加価値を向上させる六次産業化の取組というのは大変重要でございます。特に、消費者の方に都市部を含む地域の農業への御理解をいただくという観点からも、重要な取組だと認識をしておるところでございます。

 このために、私ども農林省といたしましては、新商品開発ですとか販路開拓、加工、販売等の整備などへの支援を行うとともに、マーケティングの専門家の派遣ですとか、六次産業化に取り組む農林漁業者の各種相談に対応できる対応窓口を設置するといったことに取り組んでおるところでございます。

 また、食に関する生きた教材という意味で、学校給食での地産地消の推進ですとか農作業体験の機会をふやすという観点から、学校関係者と生産者をつなぎ地産地消を推進するコーディネーターの派遣ですとか育成支援といったものを行うとともに、農作業体験の指導者の方に謝金をお支払いしたり物材費を補助するといったような取組を進めておるところでございます。

 こういったことを通じまして、幼少期から国民の皆様に地域の農業へ御理解をいただけるよう努力をしてまいります。

もとむら委員 今の質問は大臣に通告していましたので、大臣からもちょっと御答弁をお願いしたいんです。

 相模原の都市農業振興ビジョン二〇二五によりますと、相模原市内における農業従事者の平均年齢は六十七・五歳、高齢化や後継者不足という問題があるんですが、四十代以下は一割程度。他方で、青年層を中心に、農業に関心を持ち、新規就農する人もふえているということでありまして、やはり私ども都市農業を抱える相模原としても、食べられる農業、農家をつくっていくこと、応援していくことは大事だと思うんですが、大臣、いかがですか。

齋藤国務大臣 これは御指摘のとおりだということに尽きるわけでありますが、これから人口が減っていく中で、生産だけで所得を確保し続けるということがだんだん難しくなってまいりますので、流通とか加工とか、消費者とより密接に結びつく形で、その分野の付加価値を生産分野が取り込んでいく形の努力というものが必要不可欠になると思います。農家レストランとか直売所なんかはその典型的な対応方法だと思っておりますので、非常に重要だと思っているということでございます。

もとむら委員 次に、宅地に倉庫や集出荷施設、直売所などの農業用施設がある場合、これは多分大臣の御地元も多いのではないかなというふうに思いますが、相続税の優遇措置を受けることができないという問題がございまして、私どもの地元の相模原市の皆さんからもそういった声をいただいています。

 そのために、相続時に営農継続をやめるケースがあると聞きますが、優遇措置を検討する考えがあるのか、大臣にお伺いいたします。

齋藤国務大臣 気持ちはわかるんですけれども、農地の相続税納税猶予制度は、土地利用規制により長期間農地として保全されるということが担保されて、相続人が農業を継続するということを前提として講じられている優遇措置であるということですね。

 一方、市街化区域内の農業用施設用地、これにつきましては、既に農地ではなくなっておりまして、権利移動や転用行為に係る厳しい規制が存在しなくなっていることから、相続税の納税猶予の適用対象とはなっていないということであります。

 このような土地についてまで税制上の優遇措置を講ずるということについては、他産業の事業用地との課税の公平性という問題が、大きな問題が出てくるということでありますので、こういうことを考えると、対応するのはなかなか難しいかなというふうに思っております。

もとむら委員 次に、先ほど後藤委員の方からも鳥獣被害の話がありましたが、後藤さんと私は選挙区が隣でありまして、後藤さんの選挙区に特にヤマビルの問題がありまして、鹿やイノシシのひづめにくっついて大分都市部におりてきているという問題があります。

 このヤマビルが営農意欲に与える影響について、農水省はどのように捉えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、野生動物に寄生して生息範囲が広がっているということでありまして、営農意欲に与える影響というのは、当然、吸血されるわけですから、意欲が向上するわけもなく、どちらかといえば減退の一因になっているのではないかというふうに思っております。

 そのために、吸血被害を防ぐための対策、そしてヤマビルの生息数を減らすための対策、これらの内容を含んだチラシを作成し農業者に注意喚起するとともに、鳥獣被害防止総合対策交付金を活用した野生動物の侵入防止柵の設置など、ヤマビルの生息数を減らす対策に取り組んでまいります。

もとむら委員 農水省と、これは環境省にもかかわるのかもしれませんが、科学的な見地からも、このヤマビルの対策というのは、周知だけじゃなく、やはり科学的な立場からも研究をしていただければなと思っております。私どもの神奈川県も、このヤマビル対策には随分科学関連の予算費をつけて取組を進めておりますので、農水省、環境省とも連携しながら、このヤマビル対策にも鋭意努力していただきたいというふうに思います。

 次に、JAの問題でありますが、准組合員が正組合員数を上回っている現状があります。

 農水省では、平成二十八年度から五年間かけて正、准組合員の事業利用実態調査を実施することとしており、昨年、調査マニュアルをまとめ、ことし一月から実施しているというふうに伺っております。

 JAは金融店舗や日用品の販売店舗、ガソリンスタンドの運営をしており、准組合員の利用を規制すると日常生活に大きな影響を与えかねない、事業利用が規制されればJAの経営が立ち行かなくなると懸念をされるわけでありまして、農家戸数が減少する中で、本来のJAの業務である農家の支援を行うために准組合員の事業利用は欠かせなくなっており、規制には慎重な検討が必要だというふうに私自身も思っております。

 この農協の准組合員制度について、規制改革推進会議で議論が行われていることは承知をしておりますが、ライドシェアなどを含めたいろいろな規制改革会議での提言、問題点も知っておりますけれども、今回の農協を支える制度の一つとしてこの准組合員制度は維持していくことが望ましいと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

齋藤国務大臣 農協は農業者の協同組織でありまして、今般の農協改革においては、農協が農業者の所得の向上に向けて、農産物の有利販売など創意工夫しながら積極的に取り組むこと、これを主眼としているところでありますが、一方で、農村社会において、農協が実際上地域のインフラとしての側面を持っているということも事実であります。

 したがいまして、この農協の准組合員制度につきましては、これまで規制がなかったこともあって、事業利用の実態が把握できていない、それから、今般の農協改革によって農業者の所得向上に向けた成果がどの程度出るか見きわめる必要があるということから、改正農協法では、准組合員の事業利用の調査を五年間、二〇二一年三月まで行った上で、その規制のあり方を検討し、結論を得るというふうにされているところであります。

もとむら委員 滋賀県立大学の増田教授は、准組合員について、地域の農業の応援団としてい続けることが大事である、神奈川県JAはだのの方式での総会への准組合員参加、京都府内のJAの准組合員総代、さらには准組合員理事枠の設置など、准組合員をフォーマルなガバナンスルートの中に目に見える形で位置づけることが必要だというふうに述べておりまして、私もこの考え方に賛同しておりますので、どうぞ、大臣、よろしくお願いします。

 これで質問を終わりにします。

伊東委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 冒頭、大阪北部を震源とする地震によって犠牲になられた方々にお悔やみを申し上げます。そして、全ての被災者の方にお見舞いを申し上げるとともに、救援そして支援、復旧に政府が全力を挙げていただくことを強く要求いたします。

 急を要する課題について、クロマグロの漁師さんたちの休漁対策について最初に質問をします。

 七月一日から資源管理の第四管理期間が始まります。第三管理期間の途中、ことし一月二十三日以降、沿岸小型船に対する自粛要請は、これは事実上の禁漁となって、漁業者は死活問題に接しています。前回の委員会でも指摘しました。

 クロマグロというのは、三歳、体重三十キロ程度に成長しますと、六月から八月にかけて日本海に集まって産卵をします。沿岸漁業者は、この期間、自粛をしています、我慢しています。しかし、まき網はこれを狙って操業しているわけです。

 大臣にお伺いします。

 せめて産卵期の漁獲はやめてほしいと沿岸漁業者はかねてから訴えてきました。クロマグロの資源がこれほどまでに急減したのは、日本海沿岸での産卵期の、まさにまき網に原因があったのではありませんか。

齋藤国務大臣 国際的な科学者組織でありますISC、北太平洋まぐろ類国際科学委員会が行っております太平洋クロマグロの資源評価、これによりますと、太平洋クロマグロの漁獲はゼロ歳から二歳までの未成魚がほとんどであって、近年、この漁獲が増大していた一方で、未成魚の発生が少ない年が頻発したことから、親魚となるまで生き残る魚が減少して、これが親魚資源の減少の主要因であるというふうにされていると私は承知をしております。

田村(貴)委員 今大臣が言われたISCは、議長も日本政府の水産庁ならば、メンバーの多くも水産庁であります。これは国際条約に基づいた機関ではありません。

 むしろ、国際機関の中で、各国は日本の水産庁に対して、日本のクロマグロの漁獲に対してどう言ってきたのか。

 メキシコの規制強化の主張に対して、日本は反対した、アメリカの規制強化を求める意見にも反対してきた。そしてまた、アメリカの提案に対して規制強化を日本政府は先送りしたものだから、WCPFCの本体の会議から議論のやり直しを勧告されるという、前代未聞の事態となっているんですよ。世界じゅうから、やはり日本の水産管理、資源管理はおかしいと言われている。まさに、私は、失政がもたらした事態だというふうに言わざるを得ないのであります。

 水産庁にお伺いいたします。

 まき網の日本海での操業が資源に全くダメージを与えていないと断言できるんですか、イエスかノーかでお伺いしたいと思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 イエスかノーかという、なかなか難しいものですから、ちょっとお話しさせていただきますけれども、一般的に、魚を漁獲すれば、その分資源に何がしかの影響を与えるものでありまして、そういう意味で、御指摘の日本海におけるまき網漁業がクロマグロ資源に全く影響を与えていないとは考えておりませんけれども、先ほど言いましたISCによりますと、さまざまな漁業種類の中で、日本海でのまき網操業を含む太平洋の西側の大型魚を対象としたまき網漁業がクロマグロ資源に対して現在与えている影響は、一割にも満たないという評価でございます。

田村(貴)委員 卵を産む前の親魚をとってしまって、資源に影響がないというのは信じられませんよ。説得力を失いますよ。

 資料もお配りしていますけれども、こういう相関関係図をつくると、非常にわかりにくいんですけれども、水産庁が同時に出している左側の右上のグラフは、親の量が急落したですよね、これはどう見ても。軌を一にして、子供の数、下の図、これもやはり急落している。

 二〇〇四年から日本海沿岸のまき網漁が始まっているといったところから見ても、やはりここに原因があるということは明らかであります。水産庁はノーと言うかもわからないけれども、国際的には、日本の水産庁のやり方はおかしいじゃないかという意見がある。

 そうしたときにどうするのかということですけれども、WCPFC条約第六条二項には何と書かれているか。十分科学的にわかっていないことを、保全管理措置をとらないことの言いわけに使ってはならないというふうにされているわけなんです。

 つまり、異なる意見があるんだったら、予防原則に基づいて、まき網の漁獲をやはり制限すべきではないですか。いかがですか。

長谷政府参考人 太平洋クロマグロは、配付していただいた資料にありますように、稚魚の毎年の発生量が大きく変動いたしまして、その量を正確に予測することが大変難しい魚種でございます。

 このため、WCPFCの太平洋クロマグロの保存管理措置は、予防原則に基づきまして、今後は、稚魚の発生量が少ない状態が継続するとの前提、具体的には、年間の稚魚の発生量が、過去六十三年間の平均値である約一千三百万尾ではなくて、一九八〇年代に見られた約八百二十万尾という低い水準が今後とも継続するという前提であっても、資源の回復が確実に見込める措置となっているところでございます。

田村(貴)委員 その資源量については、人間が漁獲をするようになる以前の親魚の量に比べてみたら、七・一%ですよ。その後も減少を続けて、二〇一一年には二・一%、二〇一四年で二・六%、二〇一六年でもわずか三・三%という状況であります。九〇年代からずっと減少しているのに、二〇一四年、六年前まではとり放題、こういう管理のやり方をやってきたのが日本のやり方であります。

 大臣にお伺いしたいと思います。

 十一日の日に、全国からクロマグロの漁師さんが国会に集まりました。千葉県からの漁師さんが一番多かったんじゃないかなと思うんですけれども、北は北海道から南は沖縄・石垣の漁師さんたちが、これはもう何とかしてくれ、一生懸命資源管理をやってきたんだけれども、とるなと言われたら、おまんまの食い上げだ、水産庁、何とかしてくれと。この運動が広がっていることをお伝えしたいと思います。

 長年、資源管理に国際的な批判が叫ばれるもとで、二〇一四年までとり放題でありました。まき網の漁師さんたちだって生活がかかっていますから、政府がいいと言えば、それはとるのであります。有効な資源管理政策をとらずにこの状態を招いたのは、私は政府の責任であると思いますけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。

 続けて質問させていただきます。

 大臣は、私の前の質問の答弁で、このセーフティーネットについて、共済と積立てをプラスして厚くしたというふうに言われましたけれども、一番影響を受けている長崎・対馬の漁師さんたちの加入率はわずか六〇%であります。しかし、これではカバーすることができません。やはりこの事態を招いた責任者である政府が被害を補償すべきであるというふうに思います。

 二つの点について、大臣の御所見を伺います。

齋藤国務大臣 まず、政府の責任問題ですけれども、これは大事なところなので、お話しさせていただきたいんですけれども。

 太平洋クロマグロは太平洋の東西を広く回遊する高度回遊性資源でありまして、我が国のみならず韓国、台湾、アメリカ、メキシコといった複数の国や地域により漁獲されているため、適切な資源管理のためには、関係国一体となった取組がまず不可欠であります。

 我が国は、二〇〇五年の中西部太平洋まぐろ類委員会加盟以降、一貫してクロマグロの保存管理措置導入に向けて積極的に取り組んだところでありますけれども、韓国やメキシコの反対により導入は難航してきました。

 二〇〇八年にWCPFCが初めて本格的な資源評価を実施して以降、管理の導入に向けての働きかけを強めてまいりました。

 その結果、二〇一〇年には、韓国を除く各国が、小型魚の漁獲量を二〇〇二年から二〇〇四年平均水準より増加させない措置を導入いたしました。

 また、二〇一三年には、韓国も含めた各国が、小型魚の漁獲を二〇〇二年から二〇〇四年平均水準から一五%削減させる措置を導入した。

 さらに、二〇一四年に行われた資源評価により、クロマグロ資源が更に悪化していることが判明されたことを受けて、同年、現行の措置、もう詳しく申し上げませんが、導入をされたところでありまして、クロマグロに関するWCPFCのこれらの保存管理措置は、全て我が国の提案に基づくものでありまして、有効な管理政策をとらなかったという御指摘はちょっと御無体かなと認識をしております。

 このような取組の結果、現在、資源回復の兆候が見られているところでありまして、その結果として、目の前にクロマグロがいるのに漁獲できない漁業者からの不満の声、こういうものが上がっているのは承知をしているわけでありますが、しかしながら、漁獲上限を遵守することで早期の資源回復につなげることが結果的に漁業者の利益にもかなうものでありますものですから、沖合漁業者、沿岸漁業者を含め、我が国漁業者の理解を得ながら管理に取り組んでまいりたいというのが第一点です。

 それから、補償のお話がありましたけれども、資源管理に取り組んでいただく漁業者につきましては、これまで、この間御説明した漁業共済及び積立ぷらすによりまして、直近五カ年の収入のうち中庸三カ年の平均をとった基準収入から一定以上減収した場合に、収入の補填を行ってきたところであります。

 太平洋クロマグロの資源管理については、国際合意を達成するため、通常より厳しい管理に今取り組んでいただいている現状にあります。

 このため、本年一月から、生体放流等、太平洋クロマグロ小型魚漁獲量の大幅削減に取り組む沿岸漁業者を対象に、積立ぷらすの特例として、基準収入が平成二十九年の水準から下回らないように措置したほか、この措置を受ける前提となるクロマグロ強度資源管理計画の策定におきまして、過去五年平均の漁獲実績に基づいて設定した休漁日数等について、近年のクロマグロ来遊状況等の実態を踏まえた柔軟な設定を可能としたところでありまして、現在、説明会を各浜で実施して、加入促進を図っているところであります。

 また、漁業共済掛金の国庫補助率も平均約七割と大変有利な仕組みとなっておりますので、引き続き、より多くの経営体にこの制度を御活用いただくために、現場の声を踏まえながら加入促進を図ってまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 漁師さんたち、やはり大臣の今の説明では納得されないと思います。それで、ぜひ、陳情があった際はしっかりと耳を傾けていただきたいというふうに思います。

 法案について質問します。

 都市農地の賃借の円滑化をもって緑地保全、そして都市農地を保全、発展させていくことについては私も賛成であります。

 私も、先日、東京・練馬区の生産農家でお話を伺ってまいりました。ちょうど伺ったときに、見事なキャベツを朝収穫して、それを学校給食に納入する、その瞬間に私も立ち会わせていただきました。

 政府は、食育基本法に基づいて第三次食育推進基本計画を定め、二〇一六年度から二〇二〇年度において、学校給食における地元農産物の使用割合を二六・九%から三〇%にするとしています。資料もお配りしているんですけれども、直近の現状値については幾らになっているか。

 それからもう一問。

 生産緑地がある、とりわけ三大都市圏の状況について、二〇%未満の都府県がどういう状況にあるかについて簡単に説明していただけますか。

下間政府参考人 お答え申し上げます。

 学校給食における地場産物の使用割合につきましては、文部科学省が実施した抽出調査の結果によりますと、平成二十八年度において二五・八%となってございます。

 また、特定市のある三大都市圏の都府県の学校給食における地場産物の使用割合は、同じ抽出調査の結果に基づき公表している平成二十六年度の都道府県別のデータによりますと、二〇%未満の都府県は、東京都、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県でございます。

田村(貴)委員 農水省のホームページにあったので、きょうあえて配らせていただいたんですけれども、学校給食の地元農産物の活用目標値三〇%以上となっておって、今、下がってきたという状況であります。

 大臣、この三割達成に向けて、これは文科省と協力してでもいいですけれども、食材の購入の補助とか、都市農地で生産に当たっている農家に対する何らかの支援がやはり必要ではないかな。つまり、いいものをつくろうと思ったらやはりコストもかかるし、都会ではなかなか人も集まらないと、都市農地特有の悩みも聞いてまいりました。新しい支援措置が必要になってくるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 私どもとしては、学校給食は、食育や我が国農業への理解の促進にも効果のある重要な場だと考えています。

 ただ、一方、学校給食に要する経費については、文部科学省が所管する学校給食法におきまして保護者の負担とすることと定められているということもあります。

 このような中、学校給食の供給に当たりましては、食材費の上昇分を給食費に転嫁しにくい面があることや、一定の規格等を満たした量を不足なく納入することが求められるなど、解決すべき課題も多くありまして、地域ぐるみで学校と生産現場の双方のニーズや課題を調整しながら取り組むことが不可欠だなと考えております。

 このため、農林水産省としては、学校給食における地場農産物の使用を拡大するために、栄養士や地域で食育に携わる方など、学校給食と生産現場をつなぐコーディネーターの育成や派遣を支援して、関係者が連携して取り組む体制づくりを進めているところであります。

 直接支援が難しいということでありますので、こうした支援を通じて、都市部においても地場産農産物が学校給食で利用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 時間がなくなりました。

 終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 冒頭、大阪北部を震源とする地震でお亡くなりになられた方々、御家族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、本法案の改正の意義について、現場からの要望について伺います。

 農地の相続税納税猶予制度において、これまで、相続人が農業経営を廃止した場合、農地を売却等した場合、農地を貸し付けた場合は納税猶予の打切りがなされておりました。都市農地を守るという点で考えますと必要な制度であったかと思いますが、実際に、高齢化や農業の担い手不足、また、都市部の農地ですので相続税も高額となり、相続人の方々は大変な思いをされていたのではないかと推察いたします。

 現場からどのような要望があり、また、その要望に対してどのように応えていくのか、御答弁をお願いいたします。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 これまで、都市農地の貸借につきましては、賃貸借契約が自動的に更新される、いわゆる法定更新制度が適用され、農地を一旦貸したら戻ってこないとの不安があること、相続税の納税猶予制度の適用を受けている農地については、農地を貸し付けた場合に納税猶予が打ち切られてしまうことから、農地の貸付けが進まないという状況がございました。

 そうした中で、地方自治体や農業団体から、例えば、兵庫県からでありますけれども、農業経営基盤強化促進法の農用地利用集積計画のように定期借地を可能とするなど、都市農地の賃貸を促進するための制度的な措置を講じてはどうか、あるいは、農協中央会からは、都市農業振興基本法を踏まえ、都市農地の有効活用等の促進を図る新たな法律を早期に制定した上で、その貸借に係る農地について相続税納税猶予制度の対象としてはどうかなどの御意見をいただきました。その上で、都市農地を貸借しても農地法の法定更新制度が適用されない制度を創設するとともに、当該貸借について相続税納税猶予が継続されるよう要望されてきたところであります。

 こういうことを受けまして、本法律案では、都市農地について賃貸借権等の設定を受けようとする者は、事業計画に始期及び存続期間を記載し、その期間内に行う事業の内容について市町村長の認定を受けることとし、認定に係る賃貸借について農地法の法定更新の適用除外とすることとしており、現場からの要望に応えたものとなっております。

 なお、本法律案に基づいて行われる貸付けにつきましては、相続税納税猶予が打ち切られないよう、今通常国会において改正された租税特別措置法により既に措置されておりまして、本法律案が施行されることにより当該税制措置も施行されることとなるものでございます。

 ありがとうございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 さまざまな団体から多くの要望があったとのことですので、現場の要望に応えられる法改正となるようお願いしたいと思います。

 今回の法改正で、相続人が農地を貸し付けた場合、営農が継続されますので納税猶予が打切りにならないとのことで、私は大変よい措置だと思っております。高齢化等の問題もございますので、意欲のある方に農業をやっていただくのがよいかと思います。

 しかし、現在、都市農地の借り手はかなり少ないと聞いておりますが、現在、意欲ある都市農業者の方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案に基づきまして、都市農地の借り手となり得る意欲ある都市農業者が積極的にこの法律を使っていただきたいと考えておるところでございますけれども、東京都が平成二十七年に行いましたアンケート調査によりますれば、生産緑地を借りたいという回答をされた方が一割程度しかいないというところが心配になるわけでございますが、その中でも売上げが大きい六百万円以上の方々に限れば、三二%の方が借りたいと回答しておられるなど、それなりに意欲のある方が借受け意欲があるのではないかと考えておるところでございます。

 この法律案におきましては、今、先生からお話がございましたが、意欲のある都市農業者であればその属性は問いませんので、今回のアンケート調査の対象にはなっておりませんけれども、例えば農協ですとか企業の方、NPO法人など、多様な主体の方が参画をしていただけるのではないかというふうに考えております。

 こういったことを踏まえますれば、経営規模を拡大したいと考えておられる実際の都市農業者はもちろんでございますけれども、市民農園を新たにやろうと思われる農協ですとか企業、NPO法人の方々ですとか、あるいは、高齢者、障害者の方々に農作業の場を提供している福祉事業者の方など、さまざまな方がこの法律を使っていただけるのではないかと考えておるところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 年齢別の基幹的農業従事者数の推移のグラフを見ましても、年々、農業従事者数が減っており、そして、その中でも若者の数が減り、平均年齢が上がっております。

 農林水産省の都市農業に関する意向調査において、住民の都市農業、都市農地の保全に対する考え方で、約七五%の方が保全すべきとの考えであるとの調査結果が出ております。住民の方々のニーズと都市農業者の思いに大きな差があるように思います。都市部の農地は高額で、購入して農業をする人はまずいないと思います。

 そこで、賃料について伺います。

 意欲ある都市農業者がいても、賃料が高ければ借りたくても借りられないと思います。場所によって金額も違うと思いますけれども、都市農地の賃料についてお聞きしたいと思います。また、採算がとれている都市農業者の成功事例等ございましたら、あわせて教えてください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、都市農地の賃料についてのお尋ねでございます。

 現行制度のもとでは、農地法の法定更新制度が存在しますものですから、農地を貸すと返ってこないというような不安がございまして、現時点で、市街化区域内の農地につきまして、農地法の許可を受けて賃借権が設定される例というのは極めて少のうございます。全国で六千六百二十五件あるのでございますけれども、市街化区域内農地は二十八件しかないわけでございまして、平均的な市街化区域内の農地の賃借料を統計的に意味があるものとしてお示しするのはなかなか難しいんじゃないかと。それぞれごとに、駅に近いとか、いろんな意味で相当賃料が差があるということで、なかなか平均水準はお示ししがたいところでございます。

 ただ、今度の法律改正によりましてこの法定更新等がクリアされれば、実際に貸してもいいという方がだんだんふえてくるのではないかと思われます。そのように、みずから営農することが困難で都市農地の貸付けを希望されたいというような農地所有者におかれましては、借り手が農地を借りていただけるような現実的な賃料水準というものが設定され得るのではないかなというふうに考えておるところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 意欲ある都市農業者にはどんどん農業をやっていただきたいと思っております。一度貸すとなかなか戻ってこないことを理由に農地を貸したくないと考えていた農地所有者の方は、法改正後、意欲ある農業者に農地を貸すことを考えるようになると思います。

 しかし、賃料の問題は、やはり借り手には大きな負担になると思っております。例えば、意欲ある都市農業者が事業計画どおりに一生懸命営農をしているけれども思うように収穫できなかった場合など、賃料が払えないといったような問題も出てくるかと思います。技術不足により営農が継続できない場合、何かサポートなどはあるのでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案に基づきまして認定をされました計画に従いまして事業が行われておられないという場合には、法律上の措置といたしましては、事業計画どおりやっているかやっていないかをきちんと調査した上で、市町村長が勧告をしたり、その勧告どおりなかなかうまくいかない場合には、最終的には取消しを行うというような装置は、ツールは導入しておるところでございます。

 もとより、そういうことになりませんように、借り手の方がきちんと事業計画に従って耕作の事業を継続していただけることが大事でございますので、この法律案では、あわせて、市町村が借り手に対しまして必要な助言、指導その他の援助を行うということも規定しておるところでございます。

 先生お話ございましたように、技術的な指導も含めまして、例えば農協の営農指導員の方々ですとか、あるいは農業委員会などとも連携をして、市町村が中心となって、借り手の方が求める支援にしっかり応えていくということが大事だと考えておるところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 意欲ある方が事業計画どおりに一生懸命やっている場合には、しっかりとサポートをお願いしたいと思っております。

 次に、マッチングの進め方について伺います。

 農業は時間がかかりますので、借り手は、三年や五年ではなく、できるだけ長く借りたいと考えていると思います。貸し主は、これまで、一度貸すとなかなか戻ってこなかったということで、貸し渋りもあったと聞いております。貸し主と借り手側の思いに相違がありますので、マッチングは非常に難しいのではないかと心配な部分もございます。

 先ほど、借りたいという方が、六百万以上の売上げの場合は三二%いるというお話もお聞きしました。

 貸したいという方は、どのぐらいいらっしゃるのでしょうか。そして、貸したい方、借りたい方のマッチングが非常に重要だと思いますので、このマッチングの進め方について教えてください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御紹介いたしました東京都の平成二十七年の調査でございますけれども、このアンケート調査において、貸し手側の方にも調査をしていただいているところでございます。

 有効回答数五千戸程度の約一割程度の方が貸したいと、その時点で貸したいとおっしゃっておられまして、さらに、貸付先ですとか貸付期間など条件によっては貸してもよいという方が四割いらっしゃるということで、半分ぐらいの方は条件次第では貸してもよいというふうに、二十七年当時も考えておられたところでございます。

 しかし、その当時はまだこの法律はございませんでしたので、貸したいと思っておられる方も、法定更新があるとか、相続税の納税猶予が切れるといったようなことについて御不安があったんだろうと思っておりますので、今般の法律改正によりまして、これらの御不安を払拭させていただくということが大事かと思っております。

 さらに、本法律案におきましては、農地を借りたい方からあっせんその他の援助を求められれば、市町村はこれに応ずるよう努めなければならないという規定を設けておりまして、貸し手の方、借り手の方双方に対して市町村がしっかりしたマッチングを行っていくことが大事だろうと思っておるところでございます。

 現実には、地域の農地の状況に精通をしておりまして、農地の利用関係の調整を仕事としております農業委員会も関与する形で、市町村が中心となってマッチングをやっていただくということが大事だと思っております。

 神奈川県秦野市では、はだの都市農業支援センターというものを設けまして、市と農業委員会とJAはだのが一体となりまして、この三者のそれぞれの専門性と連携を生かしましたマッチングが行われているということで、今後こういうものが広がっていくのではないかと考えておるところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 都市農地を貸したい方と借りたい方のマッチングはうまく進めていっていただきたいと思います。

 貸したい方と借りたい方の間に市町村や農協、農業委員会が入り、事業計画が要件に適合しているかどうか、認定基準を満たしているかどうか、しっかりと農業が行われているかチェックが入ることは大変よいことだと思います。貸し主にとっても借り手にとっても、安心して契約できるのではないかと思っております。

 時間がございませんので、最後の質問に移らせていただきます。

 都市農業には、新鮮で安全な農産物の供給、災害時の防災空間、農業体験、交流活動の場など多様な役割がございます。

 私は、都市農業の役割として、特に災害時の防災空間など、非常に重要であると考えております。

 また、都市部における農業の役割としては、都市部の子供たちの農業体験、また交流の場として大変有効であると考えております。都市部では、地方に比べると御近所のつき合いも少ないと思います。以前の質疑でも取り上げさせていただきましたが、私は、子供たちの農業体験は子供の成長に必要であると考えております。

 地方の子供たちは、学校の帰り道に畑や田んぼの横を通って帰ったり、ふだんから農家の方や農業に触れる機会もあります。しかし、都市部の子供たちはそういった機会が少ないです。

 自然に触れる、自分でつくる、収穫する、そのような体験をすると子供たちは、食べ物を大切にし、食べ物への感謝の気持ち、生産者への感謝の気持ちを持つようになります。

 都市農業における子供たちの農業体験、交流活動の場としての役割、効果について、農林水産省のお考えをお聞かせください。

齋藤国務大臣 御指摘のように、都市農業は、子供が農作業に親しむとともに、農業に関して学習する場の提供といった機能も果たしているわけであります。

 実は、おとといの日曜日、私の地元の隣に千葉県柏市があるわけでありますが、そこでジャガイモの収穫を子供たちと一緒にやるという企画がありまして、大勢のお子さん連れの家族の方々が集まっておられまして、そこで私も一緒にジャガイモの芋掘りをして、芋掘りをした後の畑で綱引きまでするというすごいプロジェクトがありまして、私も子供たちと一緒にやったんです。

 本当に子供たちが楽しそうだし、もちろん、農業に対する理解が深まるのは当然なんですけれども、それと同時に、家族が何家族も、二十、三十の家族の人たちが相互に交流する場ということで、ある意味ベッドタウンで、家族同士が触れ合う機会が少ない地域において、そういう都市農地の機能もあるんだなと改めて認識をしたわけであります。

 こうした機能が十分に発揮されるように、この法律案におきましても、生産緑地について法定更新の適用を除外することによりまして、農業者の指導のもとに、子供を含めた利用者が利用料金を払って播種から収穫までを体験する農業体験農園の用に供する都市農地を開設者が借りやすくなるということもありますし、都市農地において市民農園を開設しやすくなる特定都市農地貸付けを新たに措置するということでありますので、この法律案が施行されれば、この農業体験農園や市民農園の開設が促進されて、先ほど申し上げたような、子供が農業に触れる機会というものも増加するというふうに考えておりますので、ぜひ振興していきたいと考えております。

荒川政府参考人 大変申しわけございません。

 先ほど、私の答弁の中で、先生から都市農地の賃料をお尋ねのところで、農地法三条の許可件数を、全国で六千六百二十五件で、うち市街化区域で二十八件と申し上げましたが、大変失礼いたしました。この二十八件は、特定市の所在する十二都府県のうちの市街化区域内農地二十八件の誤りでございました。いわゆる三大都市圏の二十八件です。

 大変失礼いたしました。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣が子供たちと一緒にジャガイモ掘りをされたということで、大変うれしく思いました。

 私は、都市部の子供たちの農業体験、非常に重要だと思っておりますので、大臣も同じ認識ということで、心強く思っております。

 農林水産委員会でたくさんの質問の時間、機会をいただきまして、ありがとうございました。

 以上で終わります。

伊東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、都市農地の貸借の円滑化に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木憲和君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党及び日本維新の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。神谷裕君。

神谷(裕)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    都市農地の貸借の円滑化に関する法律案に対する附帯決議(案)

  我が国の都市農業は、大消費地に新鮮な農産物を供給する機能に加え、防災、良好な景観の形成、国土・環境の保全、農作業体験及び学習の場の提供等、多様な機能を有しており、これを十分に発揮させるためには、都市農地を適正に保全するとともに、その有効な活用を図っていくことが不可欠である。

  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 平成三十四年に現在生産緑地地区に指定されている土地の八割で指定後三十年が経過し、生産緑地の所有者は買取りの申出をすることができるようになることから、本法に基づく新たな貸借制度について速やかに農地所有者や農業関係者に周知を図ること。

 二 都市農業においても農業従事者の高齢化や後継者不足が深刻化していることから、新規就農者の確保・育成を図ること。また、多様な主体による都市農業の振興を図るため、農業委員会等が農地の貸し手と借り手とのマッチングの役割を果たせるよう支援すること。

 三 事業計画の認定に係る基準を定めるに当たっては、地域の実情に応じた多様な取組を行うことができるようにすること。

 四 認定都市農地の適正な利用を確保するため、耕作の事業等について、市町村による必要な援助が行われるよう、指導及び助言を行うこと。

 五 認定都市農地の適正な利用が行われていない場合に、農業委員会による調査や指導、市町村長による勧告、認定の取消し等の適切な措置が執られるとともに、都市農地の適正な利用の継続に向けて、市町村による賃借権等の設定に関するあっせん等の取組が行われるよう、指導及び助言を行うこと。

 六 市民農園・農業体験農園は、都市において農作業体験を行うことができ、都市住民の需要も高い施設であることから、開設数の拡大等、一層の充実を図ること。

 七 市街化区域内農地の保全を図るために、生産緑地地区の指定が促進されるよう支援すること。

 八 本法の対象は生産緑地地区の区域内の農地に限定されているが、都市農業振興基本法においては、「都市農業」とは「市街地及びその周辺の地域において行われる農業」とされ、都市農業振興基本法に基づく都市農業振興基本計画における「都市農地」は生産緑地地区に限定されるものではないことから、政府は、生産緑地地区の区域内の農地以外も含めた都市農業の振興及び都市農地の保全に引き続き取り組むこと。その取組に当たっては、関係省庁の連携を強化して取り組むこと。

 九 各種の農業支援策は、都市農業者のニーズも踏まえたものとすること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

伊東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣齋藤健君。

齋藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

伊東委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十三分散会


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