第4号 平成30年11月15日(木曜日)
平成三十年十一月十五日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 武藤 容治君
理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君
理事 齋藤 健君 理事 野中 厚君
理事 細田 健一君 理事 亀井亜紀子君
理事 近藤 和也君 理事 稲津 久君
池田 道孝君 泉田 裕彦君
稲田 朋美君 今枝宗一郎君
加藤 寛治君 金子 俊平君
木原 稔君 木村 次郎君
木村 哲也君 小寺 裕雄君
斎藤 洋明君 坂本 哲志君
西田 昭二君 福山 守君
藤井比早之君 藤原 崇君
古川 康君 宮路 拓馬君
山本 拓君 石川 香織君
神谷 裕君 佐々木隆博君
長谷川嘉一君 堀越 啓仁君
関 健一郎君 緑川 貴士君
濱村 進君 大串 博志君
金子 恵美君 田村 貴昭君
森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 吉川 貴盛君
内閣府副大臣 田中 良生君
外務副大臣 あべ 俊子君
農林水産副大臣 小里 泰弘君
農林水産大臣政務官 濱村 進君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 大角 亨君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 林 禎二君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 天羽 隆君
農林水産委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
十一月十五日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 木村 哲也君
同日
辞任 補欠選任
木村 哲也君 上杉謙太郎君
―――――――――――――
十一月十五日
漁業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○武藤委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、政策統括官天羽隆君、内閣官房内閣審議官大角亨君及び外務省大臣官房参事官林禎二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○武藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。亀井亜紀子君。
○亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。
一昨日、大臣所信に対して質問させていただきました。そのときに、後で質問される佐々木委員とともに、TPPやEPA、それからTAGと言われている二国間協定について質問をいたしました。それに対する御答弁がかなり不明瞭で、なかなか理解に苦しんだんですけれども。
その、質問をした一昨日にアメリカのペンス副大統領が来日をされ、安倍総理との共同記者会見がありました。そして、そのときに、九月に合意された二国間の協定というものがFTAなのかどうかということ、ペンス副大統領がFTAと言った言わないということで、報道現場でも混乱がありました。おとといの答弁の内容ともそごがありましたので、そこをただしたいと思いまして、本日、補充質疑の時間をいただきました。皆様の御配慮に、まず冒頭、感謝申し上げます。ありがとうございます。
それでは、質問に入らせていただきます。
一昨日の共同記者会見について質問をいたしましたところ、昨日の農水委員会の理事会で、官房の方から、外務省ですか、人が来られて、説明をされました。そのときに理事会に提出された資料を、きょう、そのまま私は提出をいたしました。クリップでとめてありますけれども、その片方の四枚紙の方が理事会に提出をされた資料です。そして、もう片方の提出資料、三枚物、これは私がホームページから拾ってきたものです。きょうはこの二つを使いながら質問させていただきます。
それでは、政府の方から理事会に提出された、日米共同記者発表におけるペンス米国副大統領の発言について質問をいたします。
昨日、この日本語訳の、同時通訳による訳出という方を指して、二国間の貿易協定と書いてあるのでFTAではないんだという御説明でした。けれども、同時通訳の訳というのは、やはり生放送の場で尺にはめなきゃいけないので、当然、一語一句訳したものにはなりませんし、意訳ですね、意味で捉えて短い言葉にするということはごく普通ですから、私も通訳の仕事を昔していましたので、それは普通のことでして。ですから、FTAと、意味で捉えてFTAだよねと言ったのは、決して私は誤訳じゃないと思います。
この英文の方を見ていただきたいんですけれども、1のところ、フリー・フェア・アンド・レシプロカル・トレードというのは、自由で公正で互恵的な貿易協定です。これを意訳してFTAと言ったんだと思います。この日本語の方の訳にあらわれている二国間の貿易協定というのは、2のところ、バイラテラル・トレード・アグリーメントのことを二国間の貿易協定と言っていますので、英文に対して日本語の方は訳が抜けています。
ストレートにフリートレードと言っていなくても、フリー、フェア、レシプロカルというこの三つの形容詞はトレードという協定に係るわけで、フリートレードであることは変わりないんです。ですので、ペンス副大統領の発言のとおり、これはフリートレード、自由貿易協定じゃないんですか。御答弁をお願いいたします。
○あべ副大臣 亀井委員にお答えいたします。
本当に、亀井委員が通訳のお仕事もされていて、英語力も非常に卓越した中、今回の報道の混乱があったということは承知をしているところでございます。
そうした中で、私どもはこの米国側の同時通訳の訳が出たことに関しても承知をしているところでございますが、外務省といたしましての私どもの認識は、やはり何といいましても、この共同記者会見におきましての、自由で公正かつ相互的な貿易の最もよい機会、この二国間の貿易協定となるだろうと発言したものというふうに私は理解をさせていただいているところでございまして、包括的FTAとは異なるものであるというふうに理解をさせていただいているところでございます。
以上でございます。
○亀井委員 どうしてそういう解釈になってしまうのか、私は不思議でなりません。英文を見る限り、そうは書いてありません。少なくとも、今回のペンス副大統領の会見でわかったことは、アメリカと日本側の認識が異なっているということだと思います。ペンス副大統領は完全にFTAだと思っています。
きょう提出したもう片方の資料をごらんください。これは、あの報道があった日ですから、一昨日の夜のテレビ朝日の報道ステーションで使われた報道なんですけれども、ペンス副大統領は、日本にやってくる前に、みずからのツイッターで、これから安倍総理とFTA交渉について話し合う、そういうふうにツイートして出かけているんですね。二ページ目もその画面のコピーですけれども、このようにフリー・トレード・アグリーメントとはっきり書いております。ですので、先方の認識はFTAであると明らかです。
また、もう一つ、十月の四日にペンス副大統領はハドソン・インスティテュートというところで講演をしております。これはホームページでもこの講演全体を動画で見ることができます。この講演の中でペンス副大統領は、やはりはっきりフリー・トレード・アグリーメントと言っております。けれども、不思議なことに、それに対する書き起こし、これもホームページに出ているんですけれども、音声ではフリー・トレード・アグリーメントなのに、書き起こしのところではフリー・トレード・ディールといって、言葉を一つ変えてあるんです。
なぜこんなことをするのだろうと非常に不思議に思っているんですけれども、そのことについての報道が、やはりきょう提出しました三枚目の資料です。ペンス氏のFTA発言、アメリカが記録修正、日本に配慮かと書いてあります。ペンス氏がワシントンでの講演で、歴史的な二国間の自由貿易の交渉、フリー・トレード・ディール、間もなく始めるとホームページに記載されているけれども、もともとディールはアグリーメントだった、けれども、日本側が日米物品貿易協定、TAGという言葉を使っているので、それに配慮して書き起こしのところではアグリーメントじゃなくてディールと書いた、そのような報道がありますけれども、このことについて御存じでしたか。伺います。
○あべ副大臣 委員にお答えいたします。
一つは、まず最初に、ツイッターの件でございますが、ペンス副大統領のこの投稿について、私どもはコメントをする立場にはございません。
また、二点目の、ハドソン研究所の演説に関してでございますが、演説があったということは私ども承知をしているところでございますが、その発言の内容に関して私どもがコメントするところでもございません。
最後の、報道に関しては、私どもは拝見をさせていただいているところでございますが、報道機関が出したものであって、私ども政府といたしましては、外務省といたしましても、九月二十六日の日米共同声明、これに従って日米間の交渉は行うことで一致をしているところでございまして、この日米間の認識にそごはないというふうに政府では理解しているところでございます。
以上でございます。
○亀井委員 まず、相手側の発言に対して違うと思ったときには抗議をしないと相手の発言を認めたことになるというのが国際社会の常識だと思います。ですので、ペンス副大統領が総理の真横で会見をしていた、自分の思っていることと違う発言があったら、本当はそこでちょっと違うと言わなきゃいけないですよね。少なくとも終わった後すぐに抗議をしなければいけないわけで、それをしなかった時点で相手の発言を認めたということでこれは進んでいってしまうと思います。
そして、正式な文書は日米共同声明だとおっしゃいますので、まあそれはそうなんです。ですので、その共同声明の方に行きたいと思います。きょう、資料を提出しております。
大事なところは三と四だと思います。日本語訳と英文の方とつけてありまして、英文の方、済みません、ちょっと英語の授業みたいになってしまいますけれども、おつき合いください。
三番で線を引いてあるところですね。ジャパン・ユナイテッド・ステーツ・トレード・アグリーメント・オン・グッズ、物品です。ここまでが物品における協定ですけれども、その後、アズ・ウエル・アズ、これは同様に、オン・アザー・キー・エリアズ、他の重要な分野、インクルーディング・サービシーズ、ここでサービスも含むと書いてありますから、TAGというのは、この文章の中のトレード・アグリーメント、T、A、それからオン・グッズのGをただ大きくしてTAGと言ったんでしょうけれども、その後ろ、アズ・ウエル・アズ、この後ろの部分がすっぽり抜けております。
この後ろの部分、サービスも含むと書いてありますから、これ全体が今回の合意された協定なのであって、日米物品貿易協定で物品だけだと言うのには本当に無理があると思いますけれども、御答弁をお願いいたします。
○田中副大臣 まず、このTAGという呼称でありますが、これは基本的に、日米の物品貿易協定、基本的にグッズを対象にするということで、簡潔に用いるということであります。これは、日本側がTAGという呼称を使用することは、米側にもしっかりと説明をしているところであります。
いずれにしましても、さきの日米の共同声明では、このTAGの交渉開始で一致しているところでありまして、こうしたことに関しては、文言の使用に関しては、日米間の認識にそごはないものと考えております。
また、今委員がおっしゃられた部分、三項と四項に関してでありますが、これは共同声明の三で述べている部分であろうと思います。これは、対象は基本的には物品貿易であります。それに加えて、今後の交渉結果について早期にという部分もあると思っています。
サービスの貿易全般に係る規制緩和ですとか金融、サービス等についての交渉、こうしたものに関しても多くの時間がかかるということであります。そうしたものを早期に結果を生じ得るものとして承知しているわけではないということであります。早期に対応可能な、いわば単品メニューを今後の交渉で特定していくことになるということであります。
いずれにいたしましても、サービス貿易も含めて、物品貿易以外に何を対象にするかということに関して、今後交渉して合意したもののみが入るということであります。これが内容ということであります。
○亀井委員 今の御答弁は、日本が理解したいように理解しているというだけで、本文にはどこにもそんなことは書かれていません。
確認ですけれども、合意された文、正式な文書は、この英語だけですよね、これがもとになりますよね。確認です。
○大角政府参考人 お答え申し上げます。
正式な協定とかではありませんので、正式な文という形で、英文が正式文書という確認をされているわけではございませんけれども、交渉は英語で行われているということでございます。
ただ、日本側がこういった形で、TAG、日米物品貿易協定というふうに話すということについては、アメリカにも明確に伝えているというところでございます。
○亀井委員 二国間で交渉して、その結果を紙で残して、英語で出したら、それが正式文書じゃないですか。それが常識ですよ。
もう一回お願いします。
○大角政府参考人 先ほど申し上げましたのは、協定との違いを申し上げたということでございまして、英文での交渉を行っているということでございます。
○亀井委員 常識的に考えて、英語で交渉を行い、英語で合意文が出てきて、それを日本語に訳しているだけですから、アメリカから見れば、交渉の合意というのはこの公表されている文書をもとに進んでいくということは間違いがないと思います。
そして、その文書においては、御答弁がどうであろうと、インクルーディング・サービシーズと書いてあるので、このサービスの中身まではいろいろ書いていないので、全般的にサービスが入ると理解するのが普通だろうと思います。その後のザット・キャン・プロデュース・アーリー・アチーブメンツ、比較的早く結果が出るものからやりましょうというのは、どの交渉においても一番ハードルが高いところからやりませんので、ごくごく常識的なことが書いてあると思います。
四番に行きます。
四番で私が線を引いたところ、四番は、三番が完結したら更に先に進みますということが書いてあります。
日本とアメリカは、インテンド・ツーなので、何々するつもりである、ウイルじゃないので確定的には書いてないんですけれども、でも、するつもりである。何をするかというと、交渉ですね、ネゴシエーションズ。オン・アザー・トレード、ほかの貿易協定ですね。その分野というのは、インべストメント・アイテムズだから投資ですよね。それは、フォローイング・ザ・コンプリーション・オブ、これは、現在の交渉が終わった後、上記に掲げた、三番に書かれたこのような交渉が終わった後、更に先に進んで投資についても交渉するということを予定しておりますと、四番で書いております。
このとおりに読んでよろしいですね。
○大角政府参考人 四番の点につきましては、共同声明の四項目めに書かれております、物品の交渉が完了した後に協議する、そういう形になっておりまして、その他の貿易や投資の分野についても、どの分野を交渉するか、あるいは交渉の範囲をどのようにするか、こういったことについては一切決まっておりません。
ですので、この分野の協定を結ぶと現時点で決めているわけでもないという形で、上記の三番にあるものとは差がある、大きな差があるものと考えております。
○亀井委員 細かく決まっていないわけですから、今のところは風呂敷が大きく広がっている、どの分野も入り得るというふうに読むべきだと思います。ですので、これが包括的な貿易交渉じゃない、フリートレードとも書いてあるのに自由貿易協定じゃないと言うのは、かなり無理があります。
ですから、問題は中身なんですよね。FTAと言おうとTAGと言おうと大事なのは中身で、この書かれたことについて交渉が進んでいくわけですから、その入り口のところから、内閣がTAGと呼びたいのだからといって、そこに何かいろいろなつじつまを合わせていくこと自体、非常にばかげていると思います。
先ほどの、アメリカの文章が改ざんというんでしょうか、書きかえられたであろうと言われていることについても、森友の文書の事件を思い出してしまうんですけれども、総理の発言に合わせて、これはFTAじゃないのだ、そういう発言に合わせて周りが、そんたくなんでしょうか、文章が書きかえられていくということがちょっとアメリカの方にまで及んでいるようで、これは非常に恥ずかしいので、もうこんなことはやめていただきたいなと私は強く申し上げます。
FTAならFTAと認めて交渉すべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。御答弁をお願いできますか。
○田中副大臣 これまで我が国が結んできた多くの協定に関しては、やはり物品貿易とサービス貿易全般をカバーしているものであります。そういう意味で、我が国はこれまで、特定の国や地域との間で物品貿易及びサービス貿易全般の自由化を目的とする協定という意味でこのFTAという用語を用いてきたわけであります。
しかし、今回の日米の共同声明では、サービス全般の自由化、幅広いルールまで盛り込むことは想定しておらず、その意味で、これまで我が国が進んできた包括的なFTAとは異なるものであるということであります。今回のTAG交渉は、あくまでもグッズを対象にしているということであります。
その上で、これまでFFR協議について、FTA交渉でもFTAの予備協議でもないと総理も言ってきた。この理由は、国内の農林漁業者の皆さんにTPP以上の関税引下げが行われるのではないかという懸念があったためであります。そういうことも御理解いただければと思います。
○亀井委員 どういうふうに御答弁されようと、はっきりここにもう、共同声明に書かれてしまって、そこにインクルーディング・サービシーズと書かれていればこれは対象になっておりますので、認識を改められた方がいいと思います。それはかなり無理がある御答弁です。
では、先に進みますが、一昨日の御答弁で、まだアメリカがTPP12に戻る可能性がある、だからTPP11の第六条を使って緊急輸入制限発動措置の枠について見直しの交渉をする予定がないのだ、まだアメリカが復帰する可能性があるからだということを言われたんですけれども、私は全くないと思いますけれども、なぜTPP12にアメリカが戻る可能性があると考えられるのか。では、そう考えるなら、どういう状態だったらもう戻らないと見切ってTPP11の見直し交渉をするのか、それについて伺います。
○田中副大臣 米国との具体的な交渉は、やはり今後行われるものであります。我が国といたしまして、今回の日米の共同声明の段階において見込みがなくなったということは考えておりません。
今回、日米で物品貿易協定についてバイ交渉、これを開始することを合意したところであります。これまで、TPP12までの交渉においても、関税についてはバイ交渉、すなわち二国間でさまざまな協議を行ってきたということであります。米国がすぐにTPPに復帰するということはまだ不明でありますが、しかし、これからのTAG交渉は、米国のTPP復帰に向けてプラスになることはあってもマイナスになることはないと考えております。
そういった意味で、我が国としては、TPPに米国が復帰することを諦めていないということであります。
○亀井委員 TPP11は、私は一回とめるべきだと思います。発効してから見直しをするというのは難しいですから、発効する前に状況が変わってきたわけですから、本来ならば見直さなければ、農水分野は特に、守ることができないと私は思います。
農水委員会ですので、最後に農水大臣にお伺いいたします。
一昨日、質問し損ねてしまったんですけれども、EPAについて、チョコレートについて質問しようと思っておりました。
EUは、チョコレートブランドが強く、関税が徐々に引き下げられて、十一年目にはゼロになる予定です。そうすると、国内のサトウキビ農家に対する影響もあるかと思います。
先日、徳之島のサトウキビ農家の方とお会いする機会があって、昔に比べて肥料もそれから人件費も上がっているのに全くサトウキビの価格が上がらないので大変だということを聞いております。
サトウキビ農家に対する支援策はありますか。それと、この自由貿易協定に挑む中で、農水大臣として、日本の農水分野を守るのだというその意気込みもあわせてお伺いして、最後の質問といたします。
○吉川国務大臣 サトウキビにつきましては、御承知のとおりであろうかと思いますけれども、糖価調整制度のもとで、今、輸入粗糖から調整金を徴収して、また、これを財源といたしまして、サトウキビ生産者の生産コストと品代の差額を補填することで、再生産の確保を図っているところでもございます。
日・EU・EPA関連におきましても、粗糖、精製糖につきましてこの糖価調整制度を維持したことから、国内のサトウキビ生産には特段の影響の見込みはないと考えております。
一方で、関税割当ての設定等による安価な加糖調製品の流入により、この糖価調整制度の安定運営に支障が生ずることも懸念をされると考えておりまして、このために、総合的なTPP等関連対策大綱に基づいて、改正糖価調整法に基づきまして、加糖調製品を調整金の対象に追加をいたしております。さらに、対策といたしまして、高性能な農業機械リース導入による産地の収益力強化や、製糖工場の再編整備等の体質強化等により万全の対策を講じていくことといたしているところでもございまして、今後も、サトウキビ農家の不安の声に真摯に耳を傾けながらしっかりと対応もしてまいりたいと存じております。
それと、二点目でありますが、日米物品貿易協定に臨む農林水産省の決意だと思いまするけれども、この件に関しましては、日米共同声明を踏まえまして、我が国の農林水産業の維持発展を旨として、関係府省と連携し交渉に臨んでいく姿勢でもございます。
○亀井委員 ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 おはようございます。
先日に引き続いての補充質疑ということになりました。補充質疑をしなければならなくなったこと自体、やはり必ずしも喜ばしいことではありませんけれども、しなければならない事態になったということであります。
英語の解釈は亀井さんにお任せをいたしますが、そもそもペンス副大統領の共同記者発表は、これは新聞各社がこういうふうに報道しているんですが、交渉が完了したときには物品その他サービスを含む主要分野でよい条件が整っていると確信していると言っているわけであります。
先ほどの亀井委員の資料のいわゆる三パラ目でありますけれども、グッズ・アズ・ウエル・アズですから、同様にとか同列にとか、そこは差がないということでサービスをつないでいるわけですから、これはグッズで切れているわけではありません、この文章は。
よって、このペンスさんの共同発表というのは、極めて普通のことを普通に述べている、当たり前のことを述べているというふうに思うんですが、これはなぜFTAと違うと言い張らなきゃいけないのかがよくわからないんですが、まずその辺お聞かせください。
○大角政府参考人 お答え申し上げます。
FTAにつきましては、国際的に確立した定義はないということは申し上げてきているわけでございまして、我が国が結んできました多くの協定は物品貿易とサービス貿易全般をカバーしており、そういう意味で、我が国はこれまで特定の国や地域との間で物品貿易及びサービス貿易全般の自由化を目的とする協定という意味でFTAという用語を用いてきたというところでございます。
九月末の日米の共同声明、こちら資料もございますけれども、三ポツのところで、「日米両国は、所要の国内調整を経た後に、日米物品貿易協定(TAG)について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する。」ということで、サービス分野につきましては早期に結果を生じ得るものというような形の限定がございまして、交渉範囲が限定されているということとなっております。
また、他の分野で交渉範囲に入るものとしては、例えば通関、防疫など貿易の自由化の円滑に関する措置なり、あるいは輸出入手続の透明性の問題など、物品貿易と同じタイミングで結論を出せる分野に限定されるというふうに考えております。
一方、金融、保険など、サービス分野で制度改正を要するものは、交渉に時間がかかり、交渉の対象には想定されていないというところでございます。
また、その後の点につきましても、この協定の議論の完了後に交渉を行うとなっておりまして、その交渉の範囲等についてもこれから決めるというような形となっております。
したがいまして、この日米物品貿易交渉につきましては、サービス貿易について交渉の範囲が限定されている以上、これまで我が国が結んできた多くの協定とは異なり、サービス貿易全般をカバーするFTAとは言えないものと考えているところでございます。
○佐々木(隆)委員 後であっても先であっても、サービスをやるんでしょう。やるんだから、それはFTAですよ。前の方に物品だけやって後からサービスをやりますからFTAとは違いますというのは、それは何の理屈にもならないので。結局、サービスも含めてやるんですよ、これは。そうでなければ、そんな、アメリカが交渉に乗るわけもないので。
なぜそれが重要かというと、物品とサービスを区切ることによって、物品しかやっていませんと言いながら、交渉は実は同時並行で進むことは非常に多いわけですよ。とりわけ、物品に絡むサービスなんかは同時にやらなきゃどうしようもないわけで。同時に進んでいったときに、物品しかやっていませんと日本が言ってしまったがゆえに、サービス分野のことは、国民に、あるいはこの国会に報告されないかもしれないという危険性をそこへ含んでいるんですよ。だから、ここをわざわざ区切ることによって情報が国民に隠されてしまうかもしれないということも含んでいるということについて、私は、これは同時にFTAであるということの前提で物事を進めるべきだというふうに思うんですが、お答えいただきます。
○大角政府参考人 やはり、FTAという形で我が国が申し上げておりますのは、物品貿易とサービス貿易全般をカバーしている、こういった形で交渉してきている、こういったものについてFTAという言葉を用いてきたわけでございまして、今回はあくまでも物品を中心として、サービス貿易については交渉範囲が限定されている、こういったようなことから、FTAとは言えないというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 審議官の今の話、先ほどの説明は、物品が先でその後にサービスがあるからTAGと言って分けているんだというんですが、後であったって交渉するんでしょう。全部入っているんですよ、サービスも。だから、後であるとか先であるとか、交渉の品目が決まっていませんって、交渉する前から交渉の品目なんか決まりませんよ。それは交渉していく中でだんだん決まっていくんですから。だから、そういう表現をするということがむしろ危ないのではないかというふうに思います。
大臣にも聞きたかったんですが、今おられませんので、次の質問をさせていただきます。
きのう田村委員からもお話があったんですが、WTOのルールでは、原則的に関税の削減は全加盟国を差別せず一律に行うということになっています、WTOの決まり、これはガットからの流れですけれども。これは間違いありませんか、確認します。
○林政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、WTOでは、最恵国待遇、一律に各国を平等に扱うということは原則になってございます。
○佐々木(隆)委員 そこで、FTAはこの例外規定となっているわけですよね、WTOの中で。この例外は、貿易量の九割以上の品目を対象にする場合に限り、特定の国同士で関税を下げ合うことを認めている、これがFTAです。
今回のTAG、WTO上は何の決まりもありません。もっと言えば、EPAもないんですが。国際的に、日本とアメリカは二国間の交渉を始めました、何と説明するんですか。
○大角政府参考人 WTOの、ガットの二十四条の規定そのものについては、自由貿易地域についての考え方を書いているものでございまして、自由貿易協定そのものの定義ではないところでございますけれども。
いずれにしましても、今後の交渉がWTO協定に整合的なものでなければならない、こういったことは前提のところではございますけれども、その内容等につきましては、今後交渉していくということでございますので、現時点では特定されていないということでございます。
○佐々木(隆)委員 そんなことを伺っているわけではありません。
要するに、国際的にはFTAという言葉しかないんですよ、WTOの例外としては。ない言葉を使って、今、国内に、日本にだけそういう説明を政府はしているわけですよ。これは日本以外では通用しない言葉。それを、日米間で今までにはないルールで交渉を始めましたなんて説明できるわけがないので、何らか国際的には日米間の説明をせないかぬわけですよ。そのときに、どうやって説明するんですかということを私は伺っています。
○林政府参考人 お答えいたします。
ガット二十四条におきましては、委員御指摘のように、自由貿易地域ということについての規定がございます。いわゆるFTAですとか自由貿易協定、EPA等についての定義はございません。
そこで、今後、先ほど申し上げたとおり、交渉の結果によって、これから始まるところでございますので、予断することは難しいということだと思います。
いずれにしても、いかなる貿易上の合意もWTO協定とは整合的である必要があると考えてございます。
○佐々木(隆)委員 今の話を聞きますと、交渉中は何も発言できないけれども、交渉が終わったら、FTAをやりましたと説明するというふうにしか聞こえないんですが。
結果、そういうことになってしまうんですよ。ない言葉を使っているんですから。国際的に説明できないような交渉を始めるというのは、私はいかがなものかと思います。
それで、大臣が戻ってこられたので。こういうような状況で、要するに、ないような言葉を使って交渉を始めて、そして、やってみなきゃわからないみたいな説明をされて、政府として国民にちゃんと、不安を与えない、これはだんだん不安を増長しているだけですから、不安を与えないということが政府にとっては必要な措置だというふうに思うんですが、大臣、どうですか、これ。
私は、ちゃんと、FTAをやっています、しかし日本国民を守るために断固譲らないものは譲りませんと言う方が、はるかに日本の決意というものが見えると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○吉川国務大臣 佐々木委員の御主張は、私も心にちょっと響いてくるものが結構あります。
ただ、FTAの定義ですとか、さらには、FTAであるのかTAGであるとか、そういったことにつきましては、内閣官房、外務省の所管でありますので、ここの部分はお許しをいただきたいと思っておりまするけれども。
いずれにいたしましても、やはり、生産者、農林水産業を営む皆さんが不安にならないような形でしっかりと、農林水産省としては対策も、今までもTPP関連対策で打ち出してまいりましたけれども、私どもは、これからも日米の共同声明の中身に沿って交渉が進んでいくだろう、そういう認識をいたしておりますので、そういう交渉の中にあって、農家の皆さんが不安にならないように、しっかりとアナウンスをしていく必要もあろうかと思っておりますので、そういった点で対応もしっかりと私どもはしてまいりたいと思っております。
○佐々木(隆)委員 大臣、期待しておりますので、ぜひ、情報はできるだけスモークをかけずに公表をしていただきたいし、国民の皆さん方にもお知らせをいただきたいと思うんです。
先ほど亀井委員からもお話がございましたけれども、TPPについてですが、私は、TPPが始まったときからこの課題にかかわっていて、TPPは日米FTAの隠れみのだとずっと言っていたんですが、その隠れみので隠していたアメリカが抜けちゃったので、ただのみのだけになっちゃったんですが。そういう意味では、アメリカが抜けたことによって、本来、TPPの交渉は見直さなきゃいけないわけですよね、枠が変わるんですから。
それを、先日の答弁では、発効してから見直すという表現をしていました。発効しちゃってから見直すというのは、交渉としては全くあり得ないと僕は思うんですが、しかも、それは国民の不安に全く答えていないと思うんです。入る前に見直しますというのでなければ、発効はしたけれどもそれからアメリカは戻すんですなんて、そんな理屈は成り立ちませんよ。
ここのところを答えていただきたいと思います。
○大角政府参考人 お答え申し上げます。
TPP11協定の発効をする前にその協定の第六条に基づく見直しを要請するということは、協定が発効していませんので、できないということとなっております。
我が国としましては、TPP11協定の発効後、第六条を発動する必要が生じた場合には、TPP全ての締約国を対象とした関税割当て数量及びセーフガード措置の発動基準数量を見直すこととしております。
各国に対し、このことは何度も明確に説明し、そのような修正を行うことについて理解が得られていると認識しております。
○佐々木(隆)委員 それは世界に発表する話ですよね。これは十二月末にも発効すると言っているのに、何の接触もしていないんですか。全くそのまま、発効してから慌てて交渉を始める、そういうことなんでしょうか。もう一度お願いします。
○大角政府参考人 やはり、その協定の見直しということになりますと、その協定が発効し有効なものになって初めてその協定の中にある第六条に基づく見直しの要請、こういうことになる次第でございます。
○佐々木(隆)委員 では、発効してから見直します、その間半年かかりました、その間は輸入一切しないんですか。発効しているんだから、もうそこから取引が始まるわけですよね。しかし、枠が決まっていませんからといって、その間どうするんですか、教えてください。
○大角政府参考人 御懸念の点は、アメリカとの関係においてのいろいろな、関税割当て数量、セーフガードの数量の関係のことも御懸念かと思いますけれども、アメリカとの交渉、まさしくこれからでございまして、現時点において、そういった状況をもって関係各国の方に要請するという状況にはございませんし、また、制度的にも、先ほど来申し上げているとおり、発効後の見直しという形になっておるところでございます。
○佐々木(隆)委員 それは、ますます国民が不安になりませんか。発効はしました、TAGの交渉が始まります、だから、全部、発効しましたけれども待ってくださいと、そんなことが国際的に通用するとはとても思えません。ちょっとそこはもう少し、国民の皆さん方が納得できるスケジュールや説明というものを政府に求めておきたいと思います。
そこで、またTAGの話とかぶりますけれども、物品だけ分けたと政府は説明をするわけですけれども、これは細切れにすれば細切れにするほど、押し込まれたときの次の交渉はなくなっちゃうんですよね。FTAというのは全般でやっているから、こっちが押し込まれたら、こっちは、じゃ、うちらの方の要求をのめといって交渉するわけですよ。それを、物品だけに限っちゃったがゆえに、物品だけでまず決着しましょうよということに、政府の言うとおりだとすれば、そういうふうになってしまいます。
そうすると、そこで一回決着してから次の交渉に入るので、物すごく幅の狭い交渉をその都度やっていかなきゃいけないということになってしまって、これはむしろ国益を損なうのではないかというふうに思うんですが、この辺の懸念はないんでしょうか。
○大角政府参考人 今の委員の御指摘は、物品は物品、サービスはサービスという形でやることによって国益を損なうようなケースはないかということでございますけれども、今回、先ほど来申し上げているとおり、物品とこれと関連する早期に結果の得られるサービスについては同時並行的に交渉する、こういう形になっているわけでございますけれども、そちらについては、まさしく交渉の内容そのものなんだろうと思います。
いずれにしましても、私どもとしては、国益を損なうことのないよう、しっかりと交渉していくというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 それは当たり前です。国益を損なってもらっては困るので、それは当たり前なんですが。
私は北海道ですから、その物品のもう一方の対象が最も影響を受ける、いわゆる農産物が最も被害を受ける。それを物品に限られたがゆえに、より不安は大きくなっているわけですよ。だから、FTA全体でやっていただいた方が、それは農業の分野だけではなくて、私は、堂々と実はFTAでやるべきだと。どうせやるんならですよ、どうせやるんなら。
それは、いずれにしたって、日本とアメリカが何らかの交渉や経済連携をやらないままいけるという状況にはないわけですから、何らかやらなきゃいけないんだとすれば、正面から堂々と、しかもゼロから、新たなFTAをやるんだからゼロから、サービスも物品も含めてゼロからやるというぐらいな決意をやはり国は見せなきゃいけないんだと思うんですよ、国民に対して。しかし、それをごまかして、いや、物品だけですからFTAではありませんとか言ってごまかして交渉を始めるということは、裏側に隠れてしまうものも多いし、そこの場面だけの情報しか我々には入ってこないということになってしまって、その情報も、貿易交渉だから言えませんとか言って、ほとんど入ってこなくなるんですが。
しかし、そういうふうにすることよりも、むしろ、総理が前面に出て、FTAでゼロからアメリカと交渉するんだというぐらいのやはり気概を見せていただかないと、非常に今、言葉遊びをされて不安がむしろどんどん広がっているというのが現状だというふうに思うんですが、これは政府の方でぜひ答えていただけませんか、これからのこうした交渉に臨むに当たって、政府としての姿勢としてどうしていくべきかということについて。
○武藤委員長 まず大角審議官。申合せの時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
○大角政府参考人 決して、早くまとまるというような理由で物品貿易協定の交渉開始に合意したわけではございませんで、日米で物品貿易協定交渉を開始することは日米間の自由貿易の促進を目指すものでございまして、これまでのTPP交渉においても、関税についてはバイ交渉、すなわち二国間でさまざまな協議を行ってきたところでございます。米国のTPP復帰の芽を摘まないという観点からも、日米で物品貿易協定について交渉を開始するということとしているところでございます。
○武藤委員長 吉川大臣、簡潔に一言。いいですか、決意だけ。
○吉川国務大臣 先ほども、私は決意的なことを佐々木委員にお話をさせていただきました。
いずれにしましても、日米首脳間で文書により確認したものは私は非常に重たいものと考えております。よって、我が国の農林水産業の維持発展を旨として、関係省庁と連携して交渉に臨んでいくべきだと考えているところでもございます。
○佐々木(隆)委員 質問を終わらせていただきますけれども、日本は、私はそれで正しかったと思っているんですが、WTO主義でずっとやってきました。これはこれで私は正しかったと思っているんですが、そのことによって二国間におくれをとったということで、少し慌ててあちらこちらでFTAを結んだり、余りこれもWTO上ない言葉ですがEPAを結んだりということをしてきましたけれども、今またWTOというものが改革して見直そうという動きになってきています。全体ルールがWTOですから、ここはやはり私は日本の政府として大事にしていっていただきたいということを最後に申し上げて、終わらせていただきます。
○武藤委員長 次回は、来る二十日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前九時五十三分散会