衆議院

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第5号 平成30年11月20日(火曜日)

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平成三十年十一月二十日(火曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 武藤 容治君

   理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君

   理事 齋藤  健君 理事 野中  厚君

   理事 細田 健一君 理事 亀井亜紀子君

   理事 近藤 和也君 理事 稲津  久君

      池田 道孝君    泉田 裕彦君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    木原  稔君

      木村 次郎君    小寺 裕雄君

      斎藤 洋明君    坂本 哲志君

      西田 昭二君    福山  守君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      古川  康君    宮路 拓馬君

      山本  拓君    石川 香織君

      神谷  裕君    佐々木隆博君

      櫻井  周君    長谷川嘉一君

      堀越 啓仁君    浅野  哲君

      関 健一郎君    緑川 貴士君

      濱村  進君    大串 博志君

      金子 恵美君    田村 貴昭君

      森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       吉川 貴盛君

   農林水産副大臣      小里 泰弘君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   農林水産大臣政務官    濱村  進君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 吉井  浩君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (林野庁長官)      牧元 幸司君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  神谷  裕君     櫻井  周君

  関 健一郎君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  櫻井  周君     神谷  裕君

  浅野  哲君     関 健一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

武藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長水田正和君、大臣官房総括審議官光吉一君、大臣官房総括審議官横山紳君、消費・安全局長池田一樹君、食料産業局長新井ゆたか君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、林野庁長官牧元幸司君及び国税庁長官官房審議官吉井浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小島敏文君。

小島委員 皆様、おはようございます。自民党の小島敏文でございます。

 質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 まず初めに、今回の改造によりまして、吉川大臣、そして小里副大臣、そしてまた濱村政務官、大変御就任おめでとうございます。非常にどのお方も農林水産のベテランばかりでありまして、どうぞ今後とも、農林水産行政が発展しますように御指導をよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、地理的表示、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律の一部を改正する法律案、通称GI法でございますけれども、私は、この法案につきましては基本的には大賛成でございます。今後、農林水産行政の発展を図る上で大変有効な制度というふうに考えております。

 この制度は、品質や生産地、生産方法の基準を明確に定めた上で、基準に合った産品のみ登録された名称が使えるということで、基準に合った製品を使えるといった、非常に商品、産品の価値を高めるものであるというふうに考えております。

 もっとも、農林水産業の生産性の向上を進めることも重要でありますけれども、一方において、他とは異なる特徴を持った産品を提供し、付加価値を高めていくことは重要であります。

 そこで、質問に入りたいと考えますけれども、まず、GI制度はEUが発祥と聞いております。どのような経緯でGIが発展してきたのか、まず、このことについてお伺いいたします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 地理的表示制度は、二十世紀初頭にフランスで始まりまして、ヨーロッパで非常に長い歴史がございます。その後、各国に広まりまして、一九九二年にはEUで統一的な地理的表示保護制度が導入されました。その後、一九九四年には、WTOのTRIPs協定の中におきまして、知的財産として地理的表示の一般的な定義、原産地の誤認を生じさせるような地理的表示を含む商標について職権により登録の拒否を行うこと等の規定が整備をされまして、地理的表示に係るWTO加盟国間の理解が進みました。

 我が国におきましても、平成二十六年に今回御審議をいただきますGI法を公布いたしまして、二十七年六月から施行しているところでございます。

 現在では、百を超える国におきまして地理的表示制度の保護に関する制度が設けられておりまして、知的財産としての保護が進んでいるというふうに承知をしております。

小島委員 大臣に確認をしておきたいと思うんですけれども、この地理的表示の改正において、我々が目指すところは何なのかということをまずお答えいただきたい。よろしくお願いします。

吉川国務大臣 目指すところは何かという問いでございました。

 小島委員も御承知のとおりであろうかと思いますけれども、我が国におきましては、地域で長年培われた特別の生産方法ですとか、あるいは気候、風土、土壌などの生産地の特性によりまして、高い品質、さらに評価を獲得するに至った地域ブランド産品が数多く存在していると存じます。これらの産品を、GI、特産産品として登録をしてその価値を公的に保護するということは、生産者ですとか、あるいはまた消費者双方の利益となるのではないかと考えております。

 品質、ブランド価値などが、我が国の農林水産業の強みを生かすこのGI制度におきましては攻めの農林水産業の展開の核となるものでありまして、本法の改正によりまして、さらなる制度の普及にも努めてまいりたいと考えております。

小島委員 ありがとうございます。

 我が国のGI法は平成二十七年六月に施行されたわけですけれども、その施行された当時、初日に早くも十九件の登録申請があったというふうに聞いておりまして、関係の方々は高い関心があるんだなということを感じたわけであります。

 以来、三年が経過したわけでありますけれども、今回の改正の背景、そして現在までの登録状況、また、どのように評価されているのか、お伺いをいたします。大臣、よろしくお願いいたします。

吉川国務大臣 日・EU・EPAにおきましては、日本側の四十八のGI産品とEU側の七十一のGI産品をそれぞれお互いの域内で保護するということにいたしております。この保護の水準につきましても、先使用の制限や広告等への規制など、より高いレベルでの保護を行うことといたしておりまして、そういったことについて合意もいたしているところでございます。

 この協定を的確に実施するためにGI法の改正を行うことといたしたものでありまして、我が国のGI制度につきましては、今委員からもお話がありましたように、平成二十七年六月の制度運用開始後、三十六道府県の六十九産品がGI登録されております。これらの産品には、模倣品の排除のほか、生産量の拡大ですとか価格の上昇ですとか、さらに、担い手の増加という効果もあらわれているところでございまして、生産者の所得向上にとって望ましい効果を上げつつあるものと承知をいたしております。

 今般のGI法の改正によりまして、国内外におけるGIの保護の水準が高まりますことから、GI登録のこういった効果がより多くの産品で発現されるように、登録の促進に更に努めてまいりたいと存じております。

小島委員 先ほど、大臣、七年というふうな話も出ておったわけですけれども、ここから以降は、ちょっと私が気になることを幾つか質問してみたいというふうに考えております。

 先使用の原則として、七年に制限することになったということですね。これについて、私は思うんですけれども、七年となった期限ですよね、この問題は先々混乱を起こしはしないかということを思うわけであります。

 というのは、七年間ですから、どういう根拠でこうなったのかわかりませんけれども、いわゆる普通名称という言葉がありますけれども、一般的に流布している現状、世間の皆さん方が当たり前に認識する、そういう商標、商品名というふうになると思うんですけれども、突然八年目にこれは使えないとなりますと、いわゆる市場経済とか消費者の不利益になるのではないかなということをちょっと私は考えるんです。

 そこで、EUが施行するときに即やめてしまうか、あるいは、ヨーロッパの方では五年という話もありますけれども、七年でなくて、もう少し短縮して使用制限をかけるというふうな考え方もあってもいいんじゃなかったんだろうかというふうに思うんですけれども、そこらはどういうお考えでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 先使用権の期間につきましては、EUにおきましては原則五年間ということで認められております。我が国におきましては、従来先使用を無期限で認めていたということもございまして、交渉の結果、それよりも長い七年間としたところでございます。

 なお、普通名称につきましては保護の対象外とすることで今回も措置をしておりまして、例えば、我が国で広く使用されておりますカマンベールあるいはチェダー、ゴーダといったものにつきましては、今後も引き続き生産者で使用が可能であるというようなことを行っております。

 今後につきましても、説明会を開催するなど、関係団体に広く周知を図っているところでありまして、事業者の方々の混乱を招かないよう、個別の御相談に乗ることも含めて、丁寧に対応してまいりたいというふうに考えております。

小島委員 いろいろお考えはあるんでしょうけれども、私が感じましたことは、いわゆる普通名称化したときに困るのではないかなというふうに思ったものですから、質問したわけであります。この間、要するに、そうした既存の、新しくそういう登録団体の方に入っていくという方法もあるんだろうというふうに思います。

 それでは、今般の相互対象となる産品が、EUが七十一産品、そして日本側が四十八産品となっておりますけれども、日本側のそもそものGIの産品は六十九と言われていますけれども、もちろん、畳なんかというのは向こうに行けばカーペットということですから、そういうようなことを除きまして、六十九産品というんだったんでしょう。一方において、EUにおいては何と千三百あるというんですね。

 今回、協定を見てみますと、EUが七十一産品、そして日本が四十八ということで、単純に考えれば、ちょっと不公平じゃないかなという感じがするわけであります。もちろん、この協定が発効した後、産品の追加なんかというのは可能だろうと思うんですが、そこで、どのような手続で行われるか、お伺いいたします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 協定発効後は、追加して保護する両国の産品を記した公文を交換することによりまして協定の附属書を改定することができるというふうにされております。

 具体的には、公文の交換に当たりましては、日本側として、生産者団体の輸出の意向や生産量などを踏まえまして、追加保護を求める産品とその数、EU側も同様の手続を行いまして、それぞれの品目につきまして協議を行います。その後、協議が調いましたら、双方で合意した産品につきまして、それぞれの国内法に基づき、内容の公示、公示期間中に寄せられた意見を踏まえて保護の可否を決定するということにしているところでございます。

 農林水産省におきましても、EUにおいてより多くの我が国のGI産品が保護されるよう、輸出の機会が拡大することが望ましいと考えておりまして、今後、このような手続に必要な時期に入っていきたいというふうに考えております。

小島委員 それで、今、日本側が四十八産品と言いましたけれども、実は酒が八産品入っていまして、五十六産品ですね。公式に申し上げるとそういうことですね。

 それで、あと、この地理的表示の不正使用ですね。我が国においては、不正使用があった場合には農林水産大臣が抹消を命ぜられるということが法の第五条第一項に書いてあります。一方で、EU側においては我が国の地理的表示はどのように保護されるのか、また、EU加盟国において法的な手段はどうなのか、お伺いいたします。

新井政府参考人 お答えいたします。

 EUにおきましては、加盟国の政府機関がGIの不正に係る監視を行いまして、取締りを行っているところでございます。日・EU・EPA発効後も、我が国のGI産品について、これらの機関が取締りを行うことになります。したがって、EUにおきまして相互保護の対象となる我が国のGI産品の不正表示が見つかった場合には、各国の政府機関に対して通報を行うなど、所要の手続をとることにしております。

 各国におきましてそれぞれ機関は異なっておりまして、二十八カ国のリストを入手しているところでございます。例えば、フランスでありますと国立原産地・品質研究所、イタリアであれば農業食糧森林政策省が主務官庁となるというふうに承知をしているところでございます。

小島委員 わかりました。

 日本がブランド化しようと思えばおおむね二十五年間と言われていまして、いわゆる、きょうつくって、あす認証を受けるということはできぬわけですね。二十五年間かかってやっとそういうGIに登録できるということですから、これはなかなか、国においても私は相当指導をしっかりとしておかれないとなかなか難しいんだろうというふうに思うんですね。

 今後、農林水産省としましては、こういった全国のそうした産品を発掘し、つくり、また生産者に理解をしてもらうということが重要ですけれども、どのような方法で周知徹底をなされるように考えておられるのか、お伺いいたします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国のGI産品は、現在、三十六道府県等六十九品目が登録をされているところでございます。当面は、全ての県で最低一産品の登録を目指しているところでございます。

 農林水産省といたしましては、GI制度のさらなる普及が必要と認識をしておりまして、消費者への普及啓発活動とともに、東京と全国ブロック九カ所に設置をしておりますGIサポートデスクを通じまして、申請を考えている団体に対する助言、相談の受け付けなど支援を行っているところでございます。

 このような取組を通じまして、国内のGIの登録をふやしてまいりたいというふうに考えております。

小島委員 そこで、EUの場合、いわゆる、GIは全部原材料までEUで調達するというふうになっているようですけれども、日本の場合、原材料は全てその産地で集める必要があるのか。そこらをちょっと詳しくもう少し説明いただきたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 GIの産品の登録の基準といたしましては、品質、社会的評価その他の特性を有し、その特性が生産地に主として帰せられることということでございまして、原材料の全てということを要求しているわけではございません。

小島委員 今後、やはり日・EUもこれから進んでいくわけですけれども、日本としては、いわゆるTPP11とか、またRCEPとか、RCEPはちょっと停滞していますけれども、いずれにしましても、日本がこれから人口が減ってきて、そして出生率が一・四四でいけば日本の人口は五十年後には八千万人ですよと言われておる、じゃ、これからの農林水産業を伸ばしていくためには、どうしても我々は頭を切りかえて海外へ出ていく、このことが重要だし、そういうふうに求められておると私は思っているところでございます。

 そういう中で、きょうはGIの、特に日・EUとの議論でありますけれども、農林水産委員会におきましても、TPPの発効、あるいはRCEPとか、タイは今入っていませんけれどもタイとか、ベトナムは入っていますけれども、そういう、これから世界で百カ国以上が実はGIに協定しているというふうに聞いていますけれども、日本政府としては、今後、こうしたことを全体的に考えて、どのようにGI産品の振興に努めていこうとされているのか、お伺いいたします、大臣。

吉川国務大臣 具体的に御指摘のありましたタイとかベトナムに関してまず申し上げたいと思いますけれども、GIの重要性ですとかGIの相互保護の必要性について認識を両国とともに共有をいたしておりまして、この相互保護に向けた協力として、お互いのGI産品を相手国のGI制度下で相互に申請することについて、今、事務レベルで合意もいたしているところでもございます。これに沿って、今現在、タイやベトナムのGI制度につきましては、相手国の担当部局と情報交換を行っておりまして、タイとの間では相互に申請のあった産品について審査を今行っております。ベトナムに対する申請の準備も今進めているところでもございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、タイやベトナムに限らず、諸外国とのGIの相互保護に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

小島委員 どうもありがとうございました。

 時間が来ました。終わります。頑張っていきましょう。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。

 通告に従いまして、いわゆるGI法について順次質問をさせていただきます。

 本題に入る前に一点、私の方から意見を申し上げたいと思うんです。

 それは、平成三十年産主食用米の作況指数が先般出まして、九九という数字が出ました。それから、既に指針の方で示されていますけれども、三十年産の需給見通し、これとこの作況指数の兼ね合いから、予想の収穫量約七百三十三万トンということで、おおむね同じような水準になるのではないかということでございます。ただ、この作況の九九の中には、北海道が作況九〇ということで、これはもう例年にない大変な、作況指数が悪いということで、もちろん、これからこの作況指数が少し上がってくることを期待しているわけなんですけれども。

 いずれにしても、そういう状況の中で、今後、農水省の方から示していますいわゆる主食用米の需要量の見通し、これは大体毎年八万トンぐらい減少していくという見通しを立てておりますけれども、ただ、今後の人口減少ですとか、そういったことをいろいろ勘案していきますと、どうでしょうか、これよりも更に減少傾向が生まれてくるのではないかと思っております。

 そこで、そういう中での米の価格ですとか、こういったことを考えていくときに、やはり重要になってくるのは、需要と供給のギャップがないように、そこをしっかり対応していく。そのためにも、やはりどうしても必要になってくるのが、いわゆる水田活用の直接支払交付金、例えば飼料用米を含めた戦略作物の助成ですとか、あるいは都道府県での対応が十分していける産地交付金、これらの予算をしっかり確保していくことが何よりも重要である、このように思っておりまして、ぜひ省としてもそうした取組を進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 さて、このGI法ですけれども、先ほど小島委員からも質問がありました。一部重複するかと思いますけれども、お許しいただいて、順次質問していきたいと思います。

 ことしの七月に日・EU・EPAが署名をされて、GIについては、EU七十一産品、日本は四十八産品を相互に保護できるということで合意がされて、この相互保護ができれば、日本にとっては欧州での模造品の取締りができるということ、それから、我が国のブランドが更に促進される品目が出てくるということ、輸出にも大きな貢献がされるということで、関係者のみならず、やはり我が国としても大きな期待をするところだというふうに思っております。

 そこで、まず、これは質問もありましたけれども、この日・EU・EPAにおけるGI登録相互保護のメリットについてお伺いしておきたいと思います。

吉川国務大臣 稲津委員、冒頭に御発言がありました水田フル活用交付金に対しましては、農林水産省といたしましても、来年度の予算に向けまして、しっかりと確保すべく頑張ってまいりたいと存じます。

 今、日・EU・EPAにおける相互登録保護のメリットの問いがございました。

 この日・EU・EPAが発効いたしますと、EUにおいて日本の四十八のGI産品の名称が保護されるということになります。EUにおいて、我が国GI産品の模倣品の排除が進むことが考えられますし、輸出機会の拡大にもつながるのではないかと考えております。

 国内におきましても、GIの保護が一層強化されるために、まずは生産量の拡大、そして価格の上昇、さらには担い手の増加といった効果が期待をされるのではないかと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 まさにそうしたことで、このメリットについては大変大きなものがあると思っています。

 それと、先ほどもありましたけれども、この日・EU・EPAにおけるGIの表示が確立されていくと、今度は諸外国にも大きな影響が出てくるのは間違いないと思っています。

 例えば、一つ例を挙げますと、中国産、日本静岡夕張メロン、こんなのが出ているんですね。タイ産の方も、夕張日本メロンと、明らかに夕張メロンを意識したこうした名称が使われているということで、これは今後セーブさせていかなきゃいけませんけれども、タイの方では、国内で広く流通させていく中で、さらに、インドの方にもこれを輸出していたということがわかってきまして、これはどうしてもとめていかなきゃいけない。

 しかし、そのときにこういったことが大きな波及効果を及ぼす。したがって、この不正使用防止に向けて、現地の取締りが可能になってくる。外国政府とのGIの相互保護、そうしたことが更に広がっていくということで、そういった面での期待も大きいと思います。

 それで、次にお伺いしたいのは、新たなGI産品の追加は、協定発効後に公文交換によりまして、これは附属を改正すれば可能としていますけれども、事前の具体的な協議は必要なのか、あるいはまた、この協議はどのようなものなのか、これを確認させていただきたいと思います。

濱村大臣政務官 お答えいたします。

 協定発効後は、追加して保護する両国の産品を記した公文を交換することによって協定の附属書を改定することができることとなっております。

 公文交換に当たっては、日本側として、生産者団体の輸出の意向や生産量などを踏まえ、追加保護を求める産品とその数を、またEU側として、我が国で追加保護を求める産品とその数をそれぞれ決定し、協議を行います。

 その後、協議が調えば、双方で合意した産品について、それぞれの国内法に基づいて、内容を公示し、公示期間中に寄せられた意見を踏まえ、保護の可否を決定いたします。

 農林水産省といたしましても、EUにおいて、より多くの我が国GI産品が保護され、その模倣品の排除が進み、輸出機会が拡大することが望ましいと考えておるところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 そこで、次に、先使用期間の原則七年ということについてお伺いしておきたいと思います。

 これは、GIの登録産品との混同を防ぐために適当な表示を付せば七年経過後も先使用を可能としているということで、こうなっていきますと、ある見方からすると実質制限がなくなるのではないか、それからもう一つは、適当な表示というのはどのようなものなのか、こういうことが懸念されるわけですけれども、この点についてお示しをいただきたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 先使用の規制の例外といたしまして、法施行後七年間経過後も引き続き名称の使用ができますのは、GI産品の生産地内で生産され、GI産品との混同を防ぐのに適当な表示を付した場合に限定をしております。

 このように、先使用の例外をGI産品の生産地内で生産されたものに限って認めましたのは、GI産品の生産地と同一地域で生産されている先使用品につきましては、その自然的な条件が同一であるため、登録されているGI産品と同等の特性を有しているという可能性がある、そういう理由でございます。

 他方、GI産品の生産地の外で生産されております先使用品については、先使用規制の例外が適用されないため、先使用の制限が実質的になくなるということはないというふうに考えております。

 加えまして、混同を防ぐのに適当な表示ということでございます。これにつきましては、GI登録されていないことが客観的に明らかになるような表示を求めるということを考えておりまして、具体的には、消費者が認識可能な形で、本商品は地理的表示、GI産品ではありませんというような表示を付すということを求めたいというふうに考えております。

稲津委員 私、この法案の中で重要なポイントの一つはここだというふうに思っています。

 それはどういうことかというと、今御説明もありましたけれども、結局、先使用の問題については、国内的にも、やはり非常に敏感になっている方もいらっしゃるでしょうし、それと、今後どうなっていくのか、そういう不安をお持ちの方もいらっしゃる。あるいは、これから商品にネーミングをしていくときに、それがまた類似のものに将来なっていかないかとか、いろいろなことがあるわけでございまして、ここのところについて、うがった見方をすると、なぜこういうことを法文化してやっていくことが必要かということもそもそもながら、やはり何といっても、いわゆる本家にあやかろうとする、そういう悪意というか、そういう考え方がこの使用禁止の大事な判断だというふうに思うんです。

 いずれにしても、ここは、混乱を招かないように、企業ですとかあるいは団体等に対して、十分な相談体制、窓口を設置して、丁寧に丁寧にやっていただきたいということを申し上げておきたいなというふうに思います。

 それで、次の質問でございますけれども、今回、このことについては、産品へのGIの張りつけということに加えて、いわゆる広告等におけるGIの使用も制限されるわけなんですね。この場合の、いわゆる広告等というところがありまして、これが具体的にどのようなものになるかということなんです。

 私が非常に懸念しているのは、広告のところの表示の仕方というのが、これは物を売り買いするということで、それが目的ですからわかるんですけれども、もう一方で、今の時代というのは、一部広告も含めて、SNSの時代になってきている。いわゆるフェイスブックとかLINEとかツイッターとか、こうしたものを活用していろいろな情報の展開ができる、もちろん物の売り買いの情報も発信できるわけですから。

 こうしたところをどのように対応していくかということについても、実は大変重要なテーマではないかなということを考えていまして、この点について、どのように省として考え、また対応をされようとしているのか、お伺いしたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 広告等の等は、価格表や取引資料、この場合には電磁的方法により提供されるものを含むというふうにしておりまして、具体的には、スーパーなどのチラシ、ネット広告、レストランのメニュー、通信販売のカタログなどが考えられます。

 GI法は、地域産品の名称の保護によりまして、模倣品を排除し、生産者団体の利益の保護を図ることを目的としているという法律でございますので、電磁的な方法の一種でありますSNS等についても、販売を目的にしたものであれば、広告等ということでGI法の規制の対象になり得るというふうに考えております。

 他方、販売目的ではなく、SNS上で、特定のGI産品の価値をおとしめる表現や事実に反する表現を行った場合には、虚偽の風説の流布に該当すれば、偽計業務妨害、刑法第二百三十三条に問われるケースもあり得るというふうに考えているところでございます。

稲津委員 ここのところは今答弁いただいて明確になりましたので、ここをしっかり整理していただいて、今後、相談体制等の中でもお伝えいただければな、このように思っているところです。

 それで、最後の質問になりますけれども、GIのことを通してやはり最大の、我が国にとってこれを有効に活用していくということを考えていきますと、やはり輸出の増加ということが結果としては一番望まれるところで、ここに大きな期待もあるというふうに思っています。

 そこで、これは農水省として取り組んでいる最大のテーマの一つであります、いわゆる平成三十一年までに一兆円、現在八千億円と言われていますけれども、日本の食品、農林水産物の輸出、この目標に対して、大臣として、どのような取組を今後行っていく中で達成しようと考えていらっしゃるのか、この点についてお伺いしておきます。

吉川国務大臣 我が国の農林水産物そして食品の輸出額は、平成二十九年は八千七十一億円となりまして、五年連続で過去最高記録を更新いたしました。本年一月から九月の合計も対前年比で一五・二%の増加となっておりまして、平成三十一年の一兆円目標の達成に必要な増加のペース、これは一年当たり一一・三%でありますけれども、それを今上回っております。

 特に北海道のことを申し上げたいと存じますけれども、道庁が把握しているだけでも、平成二十九年度、約六百七十四億円に上ったようでございます。特にホタテガイを始めとした水産物が五百三十六億円、さらに長芋が十五・二億円、そして、私も意外でありましたが、菓子類、北海道のスイーツだと思いますが、これが八十・七億円でございまして、北海道ブランドの強みが発揮をされているのではないか、こう思っております。そしてまた、ことしの十月から、北海道の精米工場が認可を得て、中国向けの米の輸出というものも始まりました。

 こうした輸出の取組を維持、促進することはもちろんのこと、今御指摘をいただきました一兆円目標の着実な達成に向けて、農林水産業の輸出力強化戦略等に沿う形で、一つ目は、産地づくりや輸出業者とのマッチングなど、生産者への支援が必要だと思っております。さらには、放射性物質規制の撤廃ですとか緩和に向けた働きかけや、輸出先国の各種規制への対応支援などもとても必要なことだと思っております。そして、三つ目でありますけれども、JFOODOによる日本産品のプロモーション、これも大切だと思っておりますので、そういったことを更に力強く進めていき、一兆円の目標というものを達成してまいりたい、このように考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 GI法の一部改正、今回これを行いまして、今大臣がお話をされた、更に我が国の輸出力の強化ということを進めていくことを願いまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、石川香織君。

石川(香)委員 おはようございます。石川香織でございます。

 吉川大臣、どうぞよろしくお願いいたします。北海道の選出の大先輩の議員でありますけれども、北海道に対する思いは一緒だと信じておりますので、これからいろいろな政策、課題、議論できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうはGI法の法律案ということでありますけれども、まず最初に、北海道胆振東部地震について、ぜひ一点だけお伺いをさせていただきたいと思っております。ぜひ大臣にお答えをいただければと思っております。

 この間の九月六日のブラックアウトに伴いまして、北海道の酪農家が大きな打撃を受けたのは御承知のとおりだと思います。まず、農家自身が自家発電機を手配して搾乳できたかどうか、そして、搾乳できても乳業工場が受け入れたかどうかということ。片一方だけではなくて、生産者と乳業メーカー双方が自家発電機を手配しなければいけないという重大なポイントが大きな課題となったと思います。

 北海道に三十九の工場があるんですけれども、二つの工場だけ自家発電機で稼働することができまして、その二つの工場に出荷している農家は牛乳を出荷することができましたけれども、そのほかの工場が稼働しておらず、農家自身は搾乳を自力ですることができても結局出荷できなかったという非常に悔しい、つらい事態を招いてしまいました。

 そこで問われるのが、乳業工場の危機管理という点であります。乳業工場がそれぞれ危機意識を持って自家発電機を持てるようにしてほしいというのは、口で言うのは簡単でありますけれども、酪農王国の牛乳を受け入れるわけですから、発電機の規模も相当な大きさになるものであります。

 十勝管内のある工場では、千キロワットほどの自家発電機の用意があったそうなんですけれども、それを稼働させる電源が必要であって、結局使うことができなかったということでありました。

 その工場では、年間の電気量を計算した上で、その電気量に応じて電力会社と契約をしているそうなんですけれども、この自家発電機の使い道として、夏場の工場内で電力がピークになったときにそのはみ出した分を自家発電機で賄うということで、その目的のためにある自家発電機だったそうであります。

 この工場では、主力商品でありますカマンベールなどの製品は結局二週間販売できず、二日間出荷できなかったということで、工場としての損害も非常に大きかったということでありました。

 熊本地震の際には、この同じ工場によりますと、隣接する県の工場に出荷することもできたということでありましたけれども、今回は北海道全域の停止状態ということでありましたので、行き場をなくした牛乳が多く廃棄をされてしまったということでありました。

 当然、乳業メーカーは、今後こういうことがないようにさまざまな反省、分析をして今一生懸命検討をされているはずなんですけれども、ただ、今回の工場の停電というのは、残念ながら、初めてではありません。生産者はやりきれないし、怒るのも当然だと、そういう点では思います。しかし、一工場だけに危機管理の名のもとに責任を負わせるのは少し厳しいのではないかなというのもまた、正直なところ感じています。

 生産者が搾った牛乳を全道の各工場で受け入れているわけでありますので、これは一工場というよりも業界全体で取り組むべき課題ではないかというふうに思います。この件で都府県への供給にも非常に大きな影響が出たということでありまして、言うまでもなく、北海道の牛乳は日本を支えているということであります。

 このことに関して、こういった課題に、特に乳業メーカーのところに関してですけれども、国としてどうかかわっていくのかという点を、大臣にお考えをお聞きしたいと思います。

吉川国務大臣 石川議員御指摘のとおり、今回の北海道胆振東部地震におきましては、酪農家の皆さん、本当に苦労されたと思います。

 せっかく頑張って酪農を経営していながら、非常用電源がないことによって搾乳ロボットが使えなくなりました。そして、乳房炎もたくさん出たということも事実であります。さらにはまた、せっかく搾乳した生乳を廃棄せざるを得なかったということもあります。その要因の大きな一つとして、乳業工場が三十九あるうち二つの工場しか作動していなかった。これは、非常用電源が三十七の工場がなかったということでございます。そういったことを、我々は真剣にこれからの対策について考えていかなければならない状況だと思っております。

 例えば、オホーツクのJAの皆さんに、私、お話を聞きましたらば、非常用電源が、JAで持っている分を酪農家の皆さんにすぐに貸出しをしたそうです。大変うれしいことにオホーツクの工場が一つ稼働しておりましたので、そういったところには生乳を出せたのではないかと思っております。

 今の御指摘等々も踏まえまして、停電時におきましても生乳を継続的に受け入れられることが重要であると考えておりますので、乳業団体に対しまして、非常用電源設備の導入など、非常時の対応強化に積極的に取り組むよう要請もしているところでもございます。

 これは全国の調査でありますけれども、今政府全体で行っております重要インフラ緊急点検におきましても、乳業施設が対象として含まれたところでもございますので、非常用発電機の有無等を今点検もいたしておりまして、この点検結果を踏まえて、本年十一月末、もう間もなくでありますけれども、末をめどにいたしまして、停電時における生乳の生産、流通に係る対応方策を取りまとめることといたしておりまして、酪農、乳業関係団体とも連携をしまして、危機管理体制の見直しを更に推進をしていきたいと思います。

石川(香)委員 大臣、ありがとうございます。

 今、さまざまな点検をされているということでありましたけれども、またいろいろと御質問させていただきたい点もありますので、またの機会にさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。

 続いて、GI法についてお伺いをさせていただきます。

 まず初めに、このGI法を改正する背景にあります日欧EPAについてお伺いをしたいと思います。

 先週、亀井委員、佐々木委員からも御指摘がありましたけれども、TPP、EPAが発効されると、農林水産物、特に酪農、畜産に非常に大きな影響があるというお話がありました。

 日欧EPAでは、政府試算で、牛乳・乳製品が百三十四億から二百三億円、生産額が減少すると言われています。また、十二月三十日発効予定のTPPでは、百九十九億から三百十四億、生産額が減少すると言われておりまして、これらの数字は北海道が占める割合が九割に上るということも、北海道自身も試算をしております。

 この数字からもおわかりいただけるように、TPP、EPAでは北海道が集中的に影響を受けるということがこの試算の中でも明らかになっているわけであります。

 このことに関して、北海道選出の吉川大臣、どう受けとめていらっしゃるか、お答えいただけますでしょうか。

吉川国務大臣 御指摘をいただきましたように、この影響試算におきまして、乳製品につきましては、ホエー、チーズの関税削減ですとか関税撤廃等によって、長期的には乳製品向けの価格の下落が懸念をされるといたしているところでもございまして、乳製品向けの生乳の約九割を占める北海道への影響は大きいものと認識をいたしております。

 そのために、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、今現在、省力化機械の整備等による生産コストの削減ですとか、あるいは品質向上などの畜産、酪農の収益力、生産基盤の強化を進めるとともに、生クリーム等の液状乳製品を加工原料乳補給金制度の対象にも追加をいたしました。単価を一本化するこの補給金制度の見直しを、協定発効に先立つ昨年、平成二十九年度に実施をすることによりまして、万全の対策を講じていくことといたしております。

 農林水産省といたしましては、北海道はもとより全国の酪農家の方々の不安や懸念を払拭しながら、新たな国際環境のもとでも安心して再生産に取り組めますように、引き続き、さまざまな施策を遂行しながら対応していく考えであります。

石川(香)委員 全国の酪農家の皆さんの不安を払拭するべくというお話がありました。当然そのようにしていただきたいと思っているんですけれども、そもそも、この試算は対策を前提にして算出した数字だと思いますけれども、これも、少しでも影響額を小さく見せたい細工ではないかというふうに私は感じます。

 酪農家の方を始め生産者の方は、TPPやEPAで実際どれぐらい自分の営農に影響があるのかわからないとよく言っておりますけれども、対策を前提にしていない純粋な影響額というものを示すべきではないでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 農林水産物の影響試算につきましては、現実に起こり得る影響を試算すべきものというふうに考えております。協定自体の発効による効果だけではなく、国内対策の効果もあわせて考えることが適当だというふうに考えております。

 国内対策なしの試算を行うことは、現実に起こり得ることとは異なることから、これを行うことは考えていないところであります。

石川(香)委員 TPPでは脱脂粉乳、バターで特に影響があると言われていまして、EPAではチーズが打撃を受けると言われております。今回、日本国内で保護するEU側のGI七十一産品にもチーズが多く含まれておりますし、食肉製品も登録をされています。

 先ほど示した数字でも明らかになりました、対策を打っているというお話がありましたけれども、生産額が大幅に減少してしまう乳製品ですが、試算の結果、国内対策により引き続き生産や農家所得が確保され国内生産量が維持されるものと見込むというふうな分析をされているそうでありますけれども、本当に生産や所得が確保されるのか、そして国内生産量が維持されるのかというところをもう一度お伺いをしたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 牛乳・乳製品に関します日・EU・EPAの合意でございますけれども、チーズにつきましては、ソフト系が、横断的な関税割当てといたしまして、枠数量については国産の生産拡大と両立できる三万一千トンの範囲にとどめました。また、ハード系は、十六年目までという長期の関税撤廃期間を確保いたしました。バター、脱脂粉乳等につきましては、国家貿易制度を維持いたしまして、最近の追加輸入量の範囲内で関税割当てを設定しております。また、ホエーは、関税削減にとどめるという措置を講じたところでございます。

 他方、チーズですとかホエーの関税撤廃若しくは削減によりまして長期的には加工原料乳乳価の下落も懸念されますので、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、先ほど大臣からも御答弁いたしました、畜産、酪農の収益力の強化の対策ですとか、あと、生クリームを補給金制度の対象に追加する等の協定発効に先立つ見直しですとか、こういうことで万全の対策を講じてまいります。

 これらを踏まえて試算いたしまして、関税削減等の影響で価格低下によりまして生産額の減少は見込まれるものの、国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量は維持されるというふうに見込んでいるところでございます。

石川(香)委員 なかなか、これで大丈夫というふうには誰もが思えないのではないかというのが正直なところであります。

 物価の変動でありましたり、資材が高騰しているですとか、いろいろなことがある中で万全な対策をとってくださるということでありましたけれども、過激な自由貿易は日本の農業を苦しめるだけだと思っております。

 引き続き、このあたりについてもこれからも議論させていただく機会も多くなるかと思いますけれども、この日本農業、北海道だけではなくて日本の農業、酪農を守るためにも、これからも誠意のある対応をお願いしたいと思っております。

 では、続いての質問に参りたいと思います。

 GIでありますけれども、EUは非常にGI保護に熱心であるということであります。一九九二年に独自の制度を創設しまして、これまでに千三百品目強の農産物が登録されているということでありました。

 EUにおいて、GIの意義として、欧州連合の地理的表示及び原産地呼称に関する理事会規則というものに、こういうふうに記載をされております。「多様な良質の産物を生産する生産者の努力に報いる品質スキームを運用することは農村経済に利益をもたらし得るものであり、」「農業部門が経済的に大きな比重を占めている地域、なかんずく恵まれない地域」の所得に貢献と記載されております。つまり、大きな目的は農村の所得向上、利益をもたらすことだと、しっかりと記載をされているわけであります。

 しかし、日本のGI改正法では、あくまでEPAの確実な実施を確保するためとしか書いてありません。農村の所得向上、利益をもたらすという目的は直接書いてありませんけれども、どういった認識なんでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘は、まさにEUのGI制度に当たります理事会規則の前文の一部というふうに承知をしております。

 今回、GI法の改正につきましては、日・EU・EPAの合意内容を的確に実施するために行うものということにしておりますけれども、我が国のGI法第一条におきましては、「特定農林水産物等の生産業者の利益の保護を図り、もって農林水産業及びその関連産業の発展に寄与」するというふうに書かれておりまして、この制度の目的はEUのGI制度と同じでございまして、地域の発展と生産者等の利益の保護を図るというのが重要な目的であるというふうに認識をしております。

 そのため、今後とも、GI制度を活用いたしまして特徴ある産品のブランド化を図ることによりまして、生産者の所得の向上につなげていきたいというふうに考えております。

石川(香)委員 農村の所得向上でありましたり利益をもたらすという目的もEUと同様に入っているということでありましたけれども、やはり、GIは、日本各地のブランドを確立していくという意味で、知名度向上の追い風になり得るというメリットはあるかもしれませんけれども、ただ、同時に、輸出ですとか競争力といったキーワードが色濃く示されているということも読み取れると思います。本来大切にしなくてはいけない、農村を守るそれから農業を守る基盤をしっかり固めていくということが決して薄れていってはいけないというふうに感じています。

 EUで保護される日本側GI、第一弾は四十八産品ということで、個人的には少し少ないかなという印象を持ちました。一方、EU側は日本国内で七十一産品が保護されるということで、この数字からも、少しアンバランスではないかなという印象を持ちます。

 これからEU・日本間ではGIがどれぐらいふえていくイメージをお持ちなのか、また将来どれぐらいふやしていきたいのか、お答えいただきたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 EUにおきますGI制度は非常に歴史が長いものでございまして、今お話がありましたとおり、千三百以上の産品が保護されております。

 今回、日・EU・EPAの合意におきましては、この中で相互保護を行うEU産品につきまして七十一産品にとどめたところでございます。

 他方、我が国におきましては、交渉妥結時に登録されておりました産品は五十八品目でございまして、その中から、生産者の意向等あるいは産品の特性を踏まえまして、四十八品目を保護の対象にしたところでございます。

 今後、我が国におきますGI登録の産品をふやしていくということがまず第一でございまして、少なくとも全ての都道府県で一つのGIの登録をまず目指していきたいというふうに考えております。

 今後、そのような両国の制度の相互保護につきましては、それぞれの国におきまして、保護を求める産品を特定した上で、国内手続をとり、追加をしていきたいというふうに考えているところでございます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 各都道府県に一つという目標を立てられているということでありました。

 GI法では、地理的表示の相互保護を図るために、日本の地理的表示保護制度と同等の水準にある地理的表示保護制度を有する外国と国際約束を締結することが定められております。

 今度は、今後どのような国、地域と地理的表示の相互保護に向けた協議を行っていくのかということについてお伺いをしたいと思います。

新井政府参考人 現在、地理的保護制度につきましては、世界約百カ国でこの制度がとられております。

 まず、現在はタイとそれからベトナムにおきまして相互保護の試行的な事業を行っているところでございまして、そのような制度を模範といたしまして、特に我が国の輸出産品が多いアジア諸国を中心にそのような協議を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 今後もアジアというお話もありましたけれども、世界に広がっていくと、いろいろな課題も当然出てきます。

 商標登録ということに関しては、日本のブランド名をほかの国が勝手に登録をしてしまって、異議申立てをして裁判をするというケースがもう既にしばしば起こっております。このGIについても同様でありまして、農水省の昨年六月からことし二月の調べによりますと、海外の大手通販サイト八サイトでGI産品に関連した地名を申請したところ、八割が中国で見つかって、そのほか、アメリカやブラジルのサイトでも見つかったということでありました。

 その一例を申し上げますと、にせものの神戸ビーフ、それから下関ふく、夕張メロンなど出てきたということでありました。日本国内のGIに愛知県の西尾の抹茶がありますけれども、この西尾という名前が中国企業によってEUにおいて商標出願されて、登録をしてしまって、裁判になって、結果、八月に抹消されたということもありました。

 今回のEUとのGI保護では、EUが第三者によって商標登録されることを未然に防止できるかどうかをお伺いしたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 西尾の抹茶につきましては、平成二十九年三月にGI登録がされた我が国の産品でございますけれども、同年九月に中国企業が出願した商標がEUで登録をされました。その後、我が国の生産者団体が無効審判の請求を行った結果、本年八月に登録が取り消されたものでございます。

 日・EU・EPAが発効いたしますと、協定発効後に第三者が行った相互保護の対象となる我が国のGI産品の名称、西尾の抹茶も含みますけれども、商標出願については、日・EU・EPA第十四の二十七条の規定によりまして、冒認商標出願としてその登録が拒絶されることになります。そのため、第三者によって日本のGI産品の名称と同じ又は似た名称が商標としてEU域内で登録されるということはなくなるものと考えております。

石川(香)委員 今度は、また日本側も、海外において日本のGI表示を含んだ農林水産物を不正に使用した模倣品、にせものの産品について、監視にしっかり取り組まなくてはならないと思います。

 そういったものを見つけた場合は、きちんと是正措置をとっていくのか、また、海外において第三者による商標登録を防止するように取組をしていかなくてはならないと思いますけれども、国としてはいかがでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の農林水産物等の輸出の促進のためには、海外における模倣品の排除が重要であるというふうに考えております。

 この観点から、平成二十一年度から、都道府県、ジェトロ等を構成員といたします農林水産知的財産保護コンソーシアムを組織いたしまして、我が国の地理的表示に関する商標の監視、GIマークの不正使用の調査を、世界百八十カ国を対象に行っております。疑義事案につきましては、関係する地方公共団体や生産者団体に情報を行っているところでございます。

 先ほどのGI産品である西尾の抹茶につきましても、この調査に基づきまして生産者団体に情報を提供したということでございます。

 今後とも引き続きこのようなコンソーシアムの活動をしていくということが重要でございますが、他方、EU域内につきましては、日・EU・EPAが国会において承認されて発効いたしますと、EUで保護される我が国のGI産品につきましてはEU各国の政府が取締りをするということになるということでございます。

 また、海外での模倣品の排除を徹底するためには、それぞれ現地におきまして知的財産として登録していくということが必要でございます。それにつきましては、農林水産省といたしましても支援をしているところでございます。

 このように、海外における侵害対策や我が国のGI産品の海外へのGI登録の申請の支援、それから諸外国とのGIの相互保護制度を引き続き取り組むことによりまして、我が国の農林水産物の保護に努めてまいりたいというふうに思っております。

石川(香)委員 今局長から御答弁いただいたとおり、こだわりの農林水産物、これを輸出すると意欲に燃えている生産者にとっては、この模倣品の販売をとめる、また、こういったものが今後ふえないようにしていくというのはとても大事なことであります。引き続きしっかり目を光らせていただくように、よろしくお願いいたします。

 ちょっと質問の順番を変えさせていただきます。

 お酒のGIも今回あります。

 ヨーロッパでは日本酒が非常に人気だということであります。

 お酒のGIの管轄は国税庁ということで、国税庁の方にもきょうはお越しをいただいております。

 現在、EUで保護されるGIとして壱岐、薩摩、球磨などありましたけれども、日本酒との記載もありました。

 日本酒はいろいろな銘柄でも適用されるのでしょうか。

吉井政府参考人 お答え申し上げます。

 酒類の地理的表示制度についてのお尋ねでございます。

 国税庁におきましては、蒸留酒につきましては壱岐、球磨、琉球、薩摩、それから清酒については白山、山形、灘五郷、果実酒については山梨、北海道の個別地域の地理的表示を指定しているほか、清酒につきましては、日本産ブランド価値の向上や輸出促進を図るため、国レベルの地理的表示として日本酒を指定しているところでございます。

 地理的表示「日本酒」は、原料の米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒を要件としておりまして、当該要件を満たす清酒のみが銘柄にかかわらず全て日本酒と名乗ることができます。

 日・EU・EPAにおきましては相互にGIを保護することとしておりますので、日本酒の地理的表示についてもEU域内において保護され、日本以外で製造された清酒等は日本酒と名乗ることはできないこととされているところでございます。

石川(香)委員 そうなんですよね。私も日本酒も大好きなんですけれども。

 お酒でワインも今回ちょっと質問させていただきたいんですけれども、ワインの産地として「北海道」というものも登録をされました。今回、十社九十八銘柄が選定をされております。

 認定銘柄は、道産ブドウ、五十七品種ありますけれども、そのうちのどれかを一〇〇%使って、道内で製造して、貯蔵をして、製品化したものの中から、香りであったり、味わいであったり、化学的成分の、それぞれの基準に達したものだけが選ばれるということでありました。最初の選定で九十八銘柄というこれだけの銘柄がこの厳しい審査をクリアして認定されたということでありますけれども、北海道ワインのレベルがいかに高いかという裏づけになるのではないかと思っております。

 しかし、個人的には、その割には、ワイン産地としてまだまだ、北海道は認知度が高いとはまだ言えないのではないかと思います。

 このEPAの発効後はワインの関税が即時撤廃されますので、欧州ワインとの競争激化というものも当然予想されるわけであります。販路拡大、それから全国的に今苗木が非常に不足しておりますけれども、この苗木の確保も非常に大切かと思います。これらの点について国としてはどういった後押しをしていくのか、教えていただきたいと思います。

吉井政府参考人 北海道産のワインについてのお尋ねがございました。

 近年、北海道のワインが国際的なコンクールで受賞するなど、北海道のワインも含めて日本ワイン全体の国際的な評価が徐々に高まっている現状であると認識しております。

 国税庁におきましては、先生御指摘のとおり、本年六月に地理的表示「北海道」を指定したところでございます。

 こうした指定済みの地理的表示につきましては、その認知度の向上のため、国税庁ホームページへの掲載、パンフレットの作成、配布、それから各地における説明会等の開催や講師派遣などに努めているところでございます。

 それから、日本ワイン全体の話になりますけれども、ブランド価値の向上の観点から、地理的表示の指定に加えまして、日本ワインと輸入ワインを区分して表示する等のワイン表示ルールの制定及び施行をしたところです。

 それから、酒類業団体等との醸造技術についての情報交換会を実施するなど取組をしているほか、酒類総合研究所におきまして醸造講習等も実施しているところでございます。

 国税庁といたしましては、外国産酒類に対する競争力を確保するため、引き続き、関係省庁、関係機関とも連携し、北海道産ワインも含めまして日本ワインのブランド価値の向上や、地理的表示制度のさらなる活用に努めてまいりたいと考えております。

小里副大臣 苗木の確保についてお尋ねであります。

 お話のとおり、日本ワインの人気の高まりによりまして、ワイン用ブドウ苗木の需要も増加をしているところでありますけれども、苗木の生産に、接ぎ木等を含めまして、三年程度を要します。生食用ブドウと比べまして、ワイン用の苗木は種類が多くて、ニーズも分散をしております。こういったことから、需要の急増への対応が困難なために国内で苗木の供給不足が生じているものと認識をしているところであります。

 こういった供給不足を解消するために、ブドウ苗木の輸入増加に対応できますように、これまで国の施設のみで行っていた栽培検査、病気の有無等を一年かけて検査をするものでありますが、こういった栽培検査を本年一月から民間施設においても実施可能としたところでございます。国内での苗木の安定生産に向けまして、苗木業者と果樹産地が連携をして必要な苗木の品種、数量等の情報を事前に共有することによりまして、需要を見越した計画的な苗木生産を行う体制を構築することへの支援を、平成三十一年度概算要求をしているところであります。

 いずれにしましても、ワイン用ブドウ苗木の需要に対応できるよう、安定供給にしっかり取り組んでまいります。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、お酒を飲める方は北海道ワインを飲んで応援していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日、初めて農林水産委員会で質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律の一部を改正する法律案について質問させていただきます。特に、いわゆる地理的表示、GIの制度の知的財産権としての側面、要素に着目をして、幾つか質問させていただきます。既に石川委員からもう質問がありましたとおりでございまして、重複するところは若干避けつつ、質問させていただきます。

 まず、このGI、既に日本では六十九品目登録されているというふうに聞いておりますが、これからもっともっとふやしていくんだと、先ほど御答弁いただきました。特に、海外でのさまざまなこうしたブランドの模倣品等の問題を考えますと、日本でいち早く登録しておく必要があるのではないかというふうに考えますが、こうした点、日本でどうやってふやしていくのか。各都道府県一つずつ、最低目標ということではございますが、それをどうやって実現していくのか。この点について、まずお伺いいたします。

吉川国務大臣 まず、私の方から答弁をさせていただきたいと思います。

 今、櫻井委員から御質問の中で指摘がありましたように、現在、三十六道府県等の六十九産品が登録をされております。当面は、今もお話をいただきましたように、全ての県で最低一産品の登録を目指しているところでもございますけれども、これまでに登録した産品に関しましては、価格の上昇や新たな担い手の増加など、登録の効果が着実にあらわれてきているところでもございますので、農林水産省といたしましては、更にGI制度の普及が必要と認識をいたしておりまして、消費者への普及啓発はもちろんのこと、GIサポートデスクというのがございまして、申請を考えている団体に対する助言や相談受け付けなどの支援も行っているところでありまして、これらの取組を通じまして国内のGI登録を確実にふやしてまいりたいと考えております。

櫻井委員 続きまして、輸出に関して、先ほども、日本の質の高い農林水産物、輸出をどんどんしていくんだ、こういう話もございました。

 ただ、例えば、今回、EUとのEPAということでございますが、ヨーロッパまで輸出するというふうになると、これまたなかなか大変なことでございまして、飛行機で運ぶという方法もあるんでしょうけれども、それ以外の方法ですとそれなりに時間もかかる、その間に品質が損なわれる、こうしたリスクもあるわけでございます。

 これはまた、逆もしかりでございまして、ヨーロッパの産品が日本に来るというときにもやはり同じような懸念もあるわけで、例えばフランス産のチーズであるコンテは、これは、切り出して、切ってパッケージするところまで現地でやってというのがあちらのGIの規定のようでございますが、そうすると、日本まで運んでくる間に風味が損なわれるのではないのか、いろいろ懸念もされているところでございます。

 日本の産品をヨーロッパまで持っていく、遠くまで持っていくとなると、品質劣化のリスクというものもあったりしますが、これはどういうふうに対応を考えていらっしゃいますでしょうか。また、どうやってチェックをしていくお考えでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 GI制度の登録に当たりましては、産品の名称とともに、生産の方法等もあわせて登録する必要がございます。GI登録後は、生産方法と品質基準を満たした産品だけに地理的表示を使用するということを生産者団体みずから確認をいたしまして、国が必要に応じて実地検査を行うということにしております。これによりましてGI産品の品質を維持するということでございます。

 また、出荷後の流通過程におきます品質の管理につきましては、国内外を問わず、それぞれの事業者がその流通ルートや品質の管理、常温でありますとかチルドでありますとか冷凍等を適切に行っているものと承知をしているところでございます。

 なお、GI産品に限ったことではございませんが、輸出のいろいろな可能性につきましては実証事業を行っておりまして、よりよい品質で日本の産品が海外に輸出できるよう努めているところでございます。

櫻井委員 今の御答弁ですと、基本的には各業者がそれぞれ頑張ってやるんだという話でございますが、やはり、地理的表示、GI、ある種のブランドでございますが、それをその地域の人みんなで共有をしているという状況なわけですから、多くの業者が真面目にやっていても、一部の人がそこにフリーライドするというようなことになってしまうと、これはまたちょっと問題が出てくるのではないのかと思いますので、その点しっかりと、ブランドというのは、名前を知られるということだけでなく、品質を保証する機能も持っているという点にも着目していただいて、いわゆる商標とは違って、個人が持っているものではなくて、これは登録するものでございますから、農林水産省で管理をするというものでございますから、こうした観点からもしっかりやっていただきたいなということをお願いいたします。

 続きまして、特に商標との関係におきましては、GI制度、地名とそれから商品名を組み合わせるということで、これは地域団体商標制度と非常に似通っているというふうに思うところでございます。

 GI制度、地域団体商標制度、それぞれメリットとデメリットがあるというふうに思っておりますが、それぞれどのように使い分け、ないしは、両方のおいしいところをとっていくんだと思うんですが、どういうふうにお考えでしょうか。

新井政府参考人 GI制度も地域団体商標登録制度も、いずれも特定の地域で使われている名称を知的財産として保護する制度であるという点は同一だというふうに考えております。

 GI制度は、名称とともに、産品の特性とその品質等の基準をあわせて登録しているということ、それから名称を地域の共有財産として保護をするということ、それから侵害対策を行政が行うという点におきまして、地域団体商標制度とは異なっているというふうに考えております。

 他方、地域団体商標制度は、商品の品質は商標権者の自主管理でございまして、不正表示への対応は商標権者みずからが差止め請求、損害賠償請求を行うことが必要である、この点が大きく異なっているというふうに考えております。

 このため、多くの事業者は、それぞれの地域ブランドの戦略として、両方の制度あるいは他方の制度を選択して利用していただいているというふうに承知をしておりまして、例えばGI制度と地域団体商標制度を併用していることは可能でございます。そのようなものといたしましては、但馬牛、神戸ビーフ、十勝川西長いも等があるところでございます。

櫻井委員 おっしゃるとおり、侵害の場面において、GI制度ですと役所の方で侵害の差止めとかをやっていただける。一方で、商標の登録をしておると、侵害があったときに、損害の認定等では推定のメリット等の制度があるので、この点有利なのかな。両方、上手に使い分けるということが大切だと思います。

 また、この地域団体商標のみならず、例えば、図柄とかそういったものを組み合わせることによって、商標登録という可能性もないわけではないと思います。

 そのやり方はいろいろあろうかと思いますけれども、いろいろな組合せを考えていったときに、必ずしも農林水産業者は、こうした、ブランド化というんですかね、商標とかGIという制度に精通をしているわけではないと思いますが、この点、どうやってこのアドバイスを進めていくんでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、農林水産業の分野にはさまざまな知的財産が使用できるということでございます。これらのさまざまな知的財産制度を使いまして適切に保護をしていくということが必要でございまして、農林水産省といたしましても、GI制度についてはサポート窓口を設置しておりますが、特許庁とも協力いたしまして、各県に設置しております知的財産の総合窓口の活用を図っておりまして、さまざまな分野の方々と協力しながら、これらの知的財産の活用に努めてまいりたいというふうに考えております。

櫻井委員 今、商標等については、農林水産省にはなかなかちょっとノウハウというものも余りないということかもしれません、特許庁とも協力をしてというお話がございます。

 ただ、特許庁というのは基本的には審査をする側ですので、審査をする側がアドバイスするとなってくると、これはまたお手盛りとかいうようなことにもなってくるのではないのか。審査をする側と審査をしてもらう側、ここはやはり厳然としっかりと線を引いてやらないといけないというふうにも考えます。

 特許庁のかかわり方は非常に難しいと思うんですけれども、これはどういうふうにお考えですかね。下手に特許庁がいっぱいアドバイスしちゃうと、お手盛りとか、行政がゆがめられたというような話にもなりかねませんので、せっかくの、よかれと思ってやっていることが変なふうにとられてしまう。特に、ライバル会社からすると、競争相手からすると、何だということになりかねませんので、その点はどういうふうにお考えでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、特許庁と協力してというふうに申し上げましたが、これは、この窓口の設置につきまして協力をしているということでございまして、特許庁の助力を仰ぐということではございません。特許庁と協力をいたしまして、民間団体におきまして知財総合支援窓口というのを設置しているということでございまして、そこで民間の方々のアドバイスを得るということでございます。

櫻井委員 特許庁の位置づけというか役割というのはなかなか微妙なところがあろうかと思いますので、その点は配慮しつつも、しっかりこのGI制度の普及、それから農林水産物の高品質化、ブランド化を進めていただければというふうに思います。

 続きまして、今回、EUとのEPAが契機となっての法改正でございますが、この点に関しまして、EUにおいて、日本のGI産品、既に日本で登録されているものですね、こういったもの、また、それに今後可能性があるようなものについて、侵害をされている、又は侵害に相当するような被害を受けているような実態、これは把握されていますでしょうか。もし把握されているようでしたら、その実態を教えていただけますか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 知的財産のコンソーシアム、世界百八十カ国で調査をしておりますけれども、EU域内におきまして確認をされておりますのが、牛肉につきまして、神戸ビーフというような名称を使ったものが他国産のもので売られているということの事実は把握しているところでございます。

櫻井委員 それは先ほど石川委員への御答弁にもありましたけれども、今後も更にそういった被害といいますか、ふえてくる可能性もありますので、しっかりと調査をして対応していただきたいと思います。

 一方で、先ほど石川委員からも質問がございました。日本では七十弱の産品が登録されていて、一方で、EUでは千三百の産品が登録をされている。相互保護ということで、今回は四十八対七十一、おおよそ二対三ぐらい、日本側が二、EU側が三ぐらいの割合ということにはなっておりますけれども、そもそも登録されている母数が圧倒的に違います。

 今後、相互にふやしていくということになったときに、EU側に圧倒されてしまうのかなというふうに懸念するところなんですが、この点、どのように見通されていますでしょうか。

新井政府参考人 お答えいたします。

 今後の産品の追加につきましては、協定発効後、公文を交換することにより改定できるということにされております。

 今後の品目については、見通しを私どもも明らかにすることはできませんけれども、相互にきちんと保護が進むように協議をしてまいりたいというふうに考えております。

櫻井委員 一方で、EUの登録産品、今度、日本でもしっかりと保護をしていくということが我が国の義務になってくるわけでございますが、今回の法改正で先使用権が制限されていく、七年上限というようなことになっております。

 日本国内で既に親しまれている商品がEUのGI登録の影響で使えなくなったりというようなことがあるのかどうなのか、この点についてもちょっと教えていただけますでしょうか。

新井政府参考人 お答えをいたします。

 日・EU・EPAが発効いたしますと、EU側の七十一産品が我が国の国内で保護されることになります。その場合、我が国で広く使用されております名称であるカマンベール、チェダー、ゴーダなどのコーデックス規格が定められている名称は、我が国において一般的に使用されていることから、保護の対象外として引き続き国内の生産者等が使用可能としております。

 加えまして、相互保護に当たりましては、事前に公示を行いまして、国内事業者等の意見も踏まえて調整を行ってきたということでございますので、国内の事業者に対する影響はほとんどないものというふうに考えております。

 例えば、今回、保護の対象となっておりますEU産品の中にはカマンベール・ド・ノルマンディというものがございますが、EUとの協議によりまして、カマンベールの部分につきましては一般名称であること、したがいまして、北海道カマンベールや十勝カマンベールといった名称の使用は引き続き可能であることを確認したところでございます。

櫻井委員 一般名称は保護対象にならないというお話でございました。これは一般名称なのかそうでないのかというのは微妙なものもあったりしますので、この点も、今後ふえていくに当たって十分留意していただきたいというふうに思います。

 例えば日本の国内の話でいきますと、例えばサツマイモ。薩摩というのは九州の鹿児島県の一部を示す地名でございますが、それと芋。これはまさに地名と商品名を組み合わせておりますが、ただ、これはもう一般名称としてサツマイモというのは、全国で生産もされて販売もされているということで、一般名称化しているという判断をされているのかと思います。

 このように、一般名称なのか、地名とそれから商品名の組み合わせなのかという観点というのは微妙なところがありますので、そういったことも配慮しながら進めていただきたいと思います。

 続きまして、これまで、日本とオーストラリアのEPA、それからTPP、今回の日本、EUのEPA、こうしたものの対策として、農林水産物の高品質化、六次産業化を推進するということを農林水産省としてこれまで御答弁いただいております。この点については、午後、本会議で、私また農林水産大臣に質問させていただく場面がございますけれども、またそのときによろしくお願いしたいんですが。

 この高品質化を進めていくということに関しまして、そうしますと、ブランド力も高まってくる、模倣品のリスクが今まで以上に高まってくるということだと思います。また、六次産業化するということは、これは畑でつくるというだけでなく、加工していく、それから流通していく、いろいろなものが加わってくるわけでございます。技術、ノウハウというものが更にどんどん積み上がっていくわけでございます。

 こうした場合において、模倣品対策、技術漏えい対策ということが必要になってくる、知的財産権というのがまた極めて重要になってくるというふうに考えますが、農林水産業者において知的財産権を保護していく、この意義についてどのようにお考えでしょうか。

濱村大臣政務官 現在のところ、農林水産業の分野において知的財産の活用は非常に重要であるにもかかわらず、我が国の農林水産業の現場において知的財産制度が十分に活用されているとは言えない状況にあると考えております。

 したがって、今後、我が国の農林水産業の競争力を維持向上していくためには、知的財産制度が農林水産業の分野で有効に活用されていくことが重要と考えておりまして、知的財産推進計画二〇一八等に基づいて、知的財産権の戦略的活用に向けた取組を進めてまいりたいと思っております。

櫻井委員 今、政務官から御答弁いただきました。ありがとうございます。

 特に、いわゆる知的財産といいますと、今議論しておりますGI、それから商標、ほかに特許というものもございますが、それ以外に農業分野で非常に重要なものとして種苗法といったようなものもございます。こうしたものを組み合わせていって、ブランドとして保護していくということ。いろいろな観点から保護していく、それぞれの法律で観点が違いますから、これを複合的、多重的に守りを固めていくということが必要だと思っておりますが、この点、再度踏み込んで、農林水産業者に対してどのように支援していくのか、お答えいただけますでしょうか。

新井政府参考人 お答えいたします。

 まず、農林水産業それから食品産業の方々に知的財産の必要性を認識していただくとともに、その制度の活用の方法について熟知していただく必要があるというふうに考えております。

 そのため、これら農林水産分野の知的財産に関して知見を有するさまざまな方々の知見を仰ぐということが非常に重要というふうに考えておりまして、弁理士等の方々も含めまして、農林水産業分野での知的財産の活用について御意見を賜りたいというふうに考えております。

櫻井委員 さらに、こうした日本の農林水産業、ともすれば国内に目が向いていたのが、ここはしっかりと海外の方にも売っていくんだ、輸出産業化していくんだということも、この十年ぐらい言われているところでございます。

 ただ、海外において、より高級品ということで売り出したときに、先ほど来申し上げているように、模倣などの侵害のリスクが高まってくるわけでございます。

 例えば、ことしも、年の初めに平昌オリンピックがありました。その際に、カーリングの選手が休憩時間中に食べていたイチゴ、あらっということで、随分話題にもなりました。それから、今、ことしの夏あたりですか、アメリカが中国に対して、知的財産権が侵害されているということで、高い関税をかけている。それがある種貿易摩擦というか貿易戦争みたいな形で、報復合戦にもなったりしているわけでございます。

 こうした形で、知的財産権、特に発展途上国、開発途上国において守ってもらうというのは非常に大切なことになってくるわけでございます。

 一方で、特許とかこういった分野では、侵害をされていても侵害されているというのはなかなか気づきにくいという観点もございます。発見できても、また、これは侵害だというふうに立証するというのも権利を持っている側が立証する責任があるということで、これもなかなか大変でございます。商標などでは、ブランドの模倣品というのは、これはまた、つくっては逃げられ、つくっては逃げられということで、イタチごっこになることが少なくないわけでございます。

 輸出産業化ということを進めていく、これは私も大賛成でございますが、進めていくに当たって、ある種丸裸といいますか、守りを固めずに出ていってしまっては、そのまま泣き寝入りということにもなりかねません。

 こうした海外での知的財産権の侵害に対して、農林水産業者、零細な企業といいますか業者も少なくございません、どのように支援をしていくのか、この点、改めてお答えいただけますでしょうか。

小里副大臣 農林水産物等の輸出の促進に当たりましては、御指摘のとおり、我が国の品種等を海外において知的財産として保護していくことが必要不可欠であります。

 韓国の事例は、韓国においてイチゴが出願登録の対象になっていなかったということが主な要因でありました。

 このような実例を踏まえまして、まずは、我が国の種苗につきまして、海外への流出を発見した場合に、栽培や販売の差止め請求等を行うことができるように、海外での品種登録、また侵害への対応について支援をしているところであります。

 さらに、産品の名称につきましても、都道府県やジェトロ等を構成員とする農林水産知的財産保護コンソーシアムを組織しまして、我が国の地理的表示に類似する商標の監視を行っているところでありまして、侵害が疑われる事案につきましては、関係する地方公共団体や生産者団体に情報提供しまして、対応策についてもアドバイス等の支援を行っているところであります。

 さらに、実際に海外における侵害への対応を行うに当たりましては、弁理士等、知財専門職の方々に、地理的表示制度など農林水産分野の知的財産制度につきまして理解を深めてもらうことが必要と考えております。そのために必要な施策について検討をしているところであります。

櫻井委員 もう時間も残り少なくなってまいりましたが、これで最後の質問にさせていただきます。

 先ほどお話もありましたとおり、知的財産を守っていく、大事なんですけれども、ただ、これは日本の文化なのかどうかわからないんですけれども、教えてくださいといって熱心に言われると、ついつい、人がいいのか、教えてしまったりということで、自分たちの技術とかノウハウをしっかり守っていくんだ、ブランドを守っていくんだという意識が必ずしも高いわけではなかったりする。そういう、特に農林水産業をされている方、なかなかそういったことについて精通する機会もなかったりするんだと思います。そうすると、先ほどの韓国のイチゴのように、気がついたときには手おくれというようなことになったりもするかもしれません。

 やはり、こうしたことも含めまして、専門家にしっかりアドバイスを受けながら、また、専門家の知見のみならず、ネットワーク、特に国際的なネットワークも活用しながら、特に、日本では、このGIについては農林水産省とか、それ以外の多くの知的財産権については特許庁とか、あと、一部著作権法等については文化庁というようなふうに、いろいろな役所に分かれております、それぞれ各国制度、微妙に違っているという部分もございますし、主管官庁も違っているということもありますから、やはり、専門家のアドバイス、ネットワークを十分活用していくことが必要かと思いますが、最後に、この点について政府の考えをお聞かせいただけますでしょうか。

武藤委員長 新井局長、申合せの時間が来ていますので、簡潔に答弁をお願いします。

新井政府参考人 委員御指摘のとおり、農林水産分野におきまして、知的財産であるということをまず認識していただくということが必要でございます。そのため、知的財産制度の活用を促すよう、知的財産につきまして知見を有している方々にこの分野に入っていただくということが必要と考えておりまして、先ほど副大臣から答弁させていただきましたとおり、そのような対策について検討しているということでございます。

櫻井委員 質問をこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 農林水産省がこのほど取りまとめました全国市町村別農業産出額で全国一位の愛知県田原市と全国九位の愛知県豊橋市から参りました関健一郎です。

 委員長並びに与野党の理事の皆様におかれましては、質問の機会を与えていただいたことに心から感謝を申し上げます。

 早速、質問をさせていただきます。

 いわゆるGI法の改正案についてですけれども、意識の高い、自分たちでひとり立ちして、更に付加価値をつけてもうけていこうという生産者の皆さんにとっては、これは非常にわくわくするというか、楽しみな法律の改正案なんだそうです。現場の方に話を聞けば聞くほど、そういう話が返ってきます。

 であるからこそ、一般の生産者の皆さんはもとより、消費者の皆さんにもよりわかりやすくこの制度を知ってもらうということは極めて大切なことなんだと思います。ですから、この法案に関する懸念、疑問に関して、これを払拭していただいて、安心してこの制度を活用していただくという観点から質問をさせていただきます。

 冒頭、大臣にお伺いをいたします。

 今の関連なんですけれども、やはり、この法律案並びに全ての制度に関しての、仮に勉強しようという方々がホームページを見ても、これは難し過ぎるんですね、制度の説明が。これはいわゆる霞が関文学なんと言われていますけれども、普通の生産者で毎日田畑で汗を流しておられる方に、これ、あなたたち、わかりなさいと言われても、これはさっぱりわかりません。

 申し上げましたように、とても大事な制度ですし、一人でも多くの方に知っていただくことが求められる法律の最たるものだと思います。ですから、これを知っていただくためには、とにかく文章を簡素化していく、普通の人にもわかるような言葉を使って発信をしていくべきだと思うんですが、大臣の御所感を伺います。

吉川国務大臣 関委員から御指摘いただきましたことは大変重要なことだと私も思っております。

 どうしても法律の条文についての文章が難解であります、そういった指摘だろう、こう思っておりまするけれども、この法令の規定を国民に理解しやすいものにすることが重要だと考えておりますので、この御指摘を受けとめさせていただきたいと思っております。

 一方で、法律の条文に関しては正確性を期すことが大切である、その法律の他の規定やその他の法律の規定との整合性を確保するなどの観点からも、法制局の審査を経て国会に提出をしておりまして、長文あるいは複雑にならざるを得ない場合があるということもぜひ御理解もいただきたい、こう思っております。

 今回の改正の趣旨や内容につきましては、関係者に周知していくに当たりましては、適宜、参考資料などを用いまして丁寧な説明を行うよう事務方にも指示をいたしております。わかりやすい文章等々をしっかりつくらせていただいて、多くの皆さんが理解をいただけるような、そういった形をつくらせていただきたいと思います。

関(健)委員 大臣の御答弁に関連して質問をさせていただきますけれども、私がNHKの記者をしていたときに、ちょうど裁判員制度というのが始まりました。それまで、検察側の起訴状とか裁判官の判決文というのは、これは何を書いてあるかさっぱりわからないものが通常でした。ところが、裁判員制度が始まって、裁判員の皆さんにも理解してもらわなきゃいけないというときに、極めて言葉が、日常的な言葉になって、わかりやすくなった。

 大臣御指摘のことは、まさに精学上の問題、法律的な観点から、その正確性を毀損しないようにという観点から、かたくならざるを得ないということはよく承知しておりますけれども、まさにこの法律案は、市井の人、ありとあらゆる消費者に、また生産者の人に、ああ、こういう制度なんだと理解していただくことが非常に肝要かと存じます。

 ですから、改めますが、これは具体的に、極めてわかりやすい、簡素な言葉で、日常使う言葉で消費者の皆さんに、生産者の皆さんに発信してねと。これは大臣、改めて御所感をいただきたいと思います。

吉川国務大臣 ただいま委員からも御指摘をいただきました。その言葉を受けとめまして、法令の規定を理解しやすいものにすることについては今後とも努力をさせていただきたい、こう思っております。

 先ほども申し上げましたように、関係者に発信をしていくに当たりましては、わかりやすい資料ということがとても大切だろう、こう思っております。その上で、理解を十分に得られるように工夫してまいりたいと考えておりますし、今後もそのことを事務方にも徹底をしてまいりたいと存じております。また、委員のお知恵も拝借できたらと思います。

関(健)委員 大臣のお言葉をいただき、ありがとうございました。

 改めて、具体的なわかりやすい説明をするように指示をするというお言葉をいただきましたので、次の質問に移らせていただきます。

 法律の各論に移らせていただきますので、ちょっとスピードを上げていきます。

 日・EUのEPAの発効に合わせて地理的表示の改正を行うということですけれども、これはフランス、イタリア、スペインなど、既に、何となく想像つきますけれども、物すごく競争力を持った国々と戦うことになるわけですけれども、既に競争力を持っている国々にしてみれば、当然これは有利な仕組みなわけです、その仕組みに乗っかるわけですから。

 日本にとっては、改めて、メリット、デメリットは何なのか、御説明をお願いします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 日・EU・EPAが発効いたしますと、EUにおきまして日本の四十八の産品の名称が保護されることになります。これによりまして、我が国GI産品の模倣品の排除が進み、輸出機会の拡大につながるものと考えております。

 例えば、EUにおきましては、オーストラリア産の神戸ビーフの存在が確認されておりますが、日・EU・EPAが発効すれば、日本で登録された真正品以外はEUにおいて神戸ビーフの名称を使用できなくなるということでございます。

 他方、日本におきましては、EU側の七十一品目が我が国で保護されることになりますが、我が国で広く使用されている名称であるカマンベール等につきましては、我が国におきましても、保護の対象外として、引き続き国内事業者が使用できる。それから、保護の対象に当たりましては、事前に公告を行いまして、国内事業者の意見も踏まえて調整を行ってきたということでございますので、国内事業者に対する影響はほとんどないものというふうに考えております。

 例えば、今回保護の対象となりますカマンベール・ド・ノルマンディにつきましては、カマンベールの部分につきましては一般名称であるということですので、日本の事業者は北海道カマンベール等の名称は引き続き使用可能ということでございます。

関(健)委員 今の質問に関連してなんですけれども、一次産品に付加価値をつけていることができるということをあらわす一つの数値として、農林水産品の貿易収支、これを一つの数値、客観的な判断の基準にすることができると思います。

 そこでお伺いしますけれども、EUの代表的な国、今回でいうとフランス、イタリア、スペイン、デンマーク、ドイツ、ベルギー、今の国々について、これは例えばの六カ国ですけれども、日本と、GIが普及している国との農林水産品の貿易収支についてお尋ねします。

横山政府参考人 ただいまお尋ねのありました六カ国それぞれにつきまして、二〇一七年におけます我が国との農林水産物の貿易収支を申し上げます。

 まず、フランスについてでございますが、輸入額が二千九十二億円、輸出額が七十二億円ということで、二千二十億円の輸入超過となっております。

 次に、イタリアでございますが、輸入額が二千八百八十五億円、輸出額が三十二億円で、二千八百五十三億円の輸入超過。

 スペインにつきましては、輸入額が千二百三十六億円、輸出額が十一億円で、千二百二十五億円の輸入超過。

 次に、デンマークでございますけれども、輸入額が九百三十三億円、輸出額が十七億円で、九百十六億円の輸入超過。

 次に、ドイツですが、輸入額が八百三十六億円、輸出額が六十七億円で、七百六十九億円の輸入超過。

 最後に、ベルギーでございますけれども、輸入額が三百一億円、輸出額が十五億円で、二百八十六億円の輸入超過となっているところでございます。

関(健)委員 御説明ありがとうございます。

 GIが全てとは言いませんけれども、農林水産品に高い付加価値をつけて輸出をすることに成功しているわけです。ですから、ますますこのGIという仕組みは、日本も乗って、同じように、追いつけ追い越せではないですけれども、この制度を積極的に活用していく必要があると思いますけれども、大臣に改めてお伺いします。

 この制度についてですけれども、GIが全てではないですけれども、ブランディングを進めて、高い付加価値をつくり出して海外展開を加速させるというふうにこの仕組みを活用するという理解でよろしいんでしょうか。

吉川国務大臣 委員の御指摘のとおりでございます。

 このたび、日・EU・EPAによりまして、EUへ輸出される日本の農林水産物の関税でありますけれども、例えば水産物とか緑茶、牛肉などを含め、ほとんどの品目で即時撤廃をされるということにもなっております。

 さらに、EUは人口五億人の市場もあります、所得も高いと存じておりまして、日本食レストランも多いことから、市場アクセスの改善等によりまして、外食向け需要を中心に輸出拡大も期待をされるのではないか、このように思っております。

 ですから、今後、さらなる輸出拡大に向けまして、GIを取得をした一次産品のPR、GIの相互保護によりますEU域内での価値の向上ですとか、例えば生乳とか卵などを原料としたスイーツなども、これは高付加価値な製品だと私どもは思っておりますので、こういったことも含めて更に輸出拡大に力を入れてまいりたいと存じています。

関(健)委員 大臣の御答弁にもありましたけれども、やはり、高い付加価値をつけていくということができていないことの一つの証左が、この貿易収支の全ての国との大幅な赤字なんだと思います。この改善に向けて大きく活用することが求められているということを付言して、次の質問に移らせていただきます。

 ここからは各論になりますので、急いで行きます。

 日本で登録されている農産品、今七十余りです。その一方で、EUで登録されているのは千三百を超えるということです。日本でも承認される予定のEUの地理的表示の数と、今後どの程度ふえていくという見通しなのかをお聞かせください。

新井政府参考人 現在、我が国におきましてはGIとして保護される産品の数は六十九であるのに対しまして、EUで保護されているGIは千三百以上存在をいたします。

 登録数の差は、我が国のGI制度が平成二十七年六月から運用されたものに対しまして、EUでは二十世紀初頭のフランスに始まりまして、EUとしての統一的な地理的表示の保護制度は一九九二年に導入されたという歴史の違い、それから、EUが人口五億人強の、二十八カ国の連合体であるということがその理由というふうに考えております。

 我が国におきましてもGI産品の登録をふやしていくということが必要だというふうに考えておりまして、GIサポートデスクを通じまして、団体に対する助言や相談に乗るということに努力してまいりたいというふうに考えております。

関(健)委員 EUの千三百以上。日本で認証される、今後どのぐらいふえていくというのをお答えください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の協定の協議におきましては、EUの千三百の中から、各国が輸出の可能性等を考慮いたしまして、七十一産品を選定をしたというふうに考えております。

 今後につきましてEUがどのような輸出の意欲を持っているかというのは現在把握することはできませんが、いずれにいたしましても、相互の協議によりまして保護する産品を決めていきたいということでございます。

関(健)委員 次に参ります。

 登録予定の品目の多くが、パルミジャーノ・レッジャーノとかカマンベールに代表されるチーズになる見込みと伺っております。

 大臣にお尋ねします。

 今、日本においては、国産ワインとともに国産チーズの人気も高まり、大臣のお膝元の北海道でも多種多様なチーズがつくられていると思います。政府も多額の予算を投じて国産チーズの競争力強化を支援していると認識をしています。

 こういう大きな流れに対して、日本の消費者にチーズの種類をあらわす一般名称として認識されているチーズの名前を規制するということが、国産チーズの強化に対して大きな、ベクトルの逆というか、逆風になりませんか。今回の法改正が国産チーズの振興に与える影響についてお伺いします。

吉川国務大臣 今回のEU側の七十一産品の名称の一部でもあり、我が国で広く使用されておりますカマンベール、チェダー、ゴーダなどにつきましては、我が国においても一般的に使用されていることから、今回の保護の対象外として、引き続き国内産品等への使用が可能であると承知をいたしております。

 ですから、北海道カマンベールですとか十勝のカマンベールといった名称の使用は引き続き可能であると私ども承知をいたしております。

 一般に流通しているパルメザンは、パルミジャーノ・レッジャーノと、難しい名前なんですけれども、別のものとまた認識をされているために保護の対象外として、引き続き粉チーズ等にも使用することが可能であると承知をいたしておりまして、相互保護に当たりましては、事前に公示を行い、国内の事業者等の意見も踏まえて調整を行ってきたことから、国内の事業者に対する影響もほとんどないものと考えております。

 これからも注視をしてまいりたいと存じます。

関(健)委員 関心の強い生産者の皆さんが極めて注意をしているところでしたので、あえて大臣にお尋ねをさせていただきました。

 既にこの国でも確立されているものに関しては規制の外として、生産者の皆さんに影響を与えることがないようにするということを御発言いただきました。

 次に行かせていただきます。

 登録数が少ない原因と登録数をふやす取組についてお尋ねします。

 地理的制度が始まって、日本でははや、はやというかまだ四年ですね。その一方で、EUでは古くからの歴史があるということを先ほどの答弁の中でもいただきましたけれども、日本の地理的表示というのが七十というのはやはり少ないんじゃないかというのが、その時間、わずか三年です、以外の構造的な理由があるんじゃないかと考えるんですけれども、御説明をいただきたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 日本のGI産品は六十九でございますけれども、例えば、EU諸国におきましても、ドイツは八十一、イギリスは六十四ということでございまして、これらの国に比べますと、我が国のGI制度というのは三年という間で遜色はないものというふうに考えております。

 一つ、GI制度が非常に難しいところは、地域の伝統に基づく産品ということでございまして、登録をいたしますときに、おおむね二十五年そのような生産が続いているというのを条件にしております。したがって、そういうことだからこそ価値がある産品ということでございます。

 そういう点におきましては、地域におきましてそのような産品を発掘していただくこと、生産者団体がそのような意識を共有していただくことが必要でございまして、そのような、団体の発掘それから団体に対する助言というのを、これから更に積極的に行っていきたいというふうに考えております。

関(健)委員 今の御答弁で、まさに私の現場で聞いてきた話としっかりリンクしたんですけれども、いざやろうとすると、品質基準をどうするんだとか、それを誰が見るんだとか、そういうところで結構地元の調整に大きな時間がかかるということがまさに現場では頭を抱えている要素なんだなというのがわかりましたけれども、これはまさに専門家による助言などの支援を充実させる必要があると今おっしゃっていましたので、これは全く同じ意見です。

 産地が行う品質基準、こういう品質基準をやりましょうよということとか、あとは品質管理体制、こういうふうに管理をしていかないと名声も落ちちゃいますから、そういうことを、しっかり同じ品質管理をするということと、それに適切な専門の人間をくっつけるということは、これから登録数をふやしていく上でも極めて重要な仕組みだと思いますので、これは引き続き精査をしていただきたいと思います。

 もう一個、広がらない理由に、農水省の人員、人手が足りないというのは、これは理由にはなりませんか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省の人手が足りないという御指摘でございますけれども、GI制度の登録につきましては、生産者団体のみならず各県も積極的に取り組んでおりますので、その助言の体制といたしましては十分ではないかというふうに考えているところでございます。

関(健)委員 済みません、少し質問が粗雑でした。ごめんなさい。

 登録に必要な人員とかが確保できなくて話がとまっているということではないんですよねという質問です。そういうことではないんですよね。わかりました。ありがとうございます。

 では、今ちょうど人材の話になりましたので、ちょっと脇道にそれますが、農林水産省の人員の削減についてお尋ねをいたします。

 冒頭、霞が関の人員削減の目標と達成状況、それと農水省の人員削減の目標と達成の状況について御説明ください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年七月に閣議決定されました、国の行政機関の機構・定員管理に関する方針というものがございまして、これに基づきまして、平成二十七年度以降の五年間の実質的な定員合理化数が定められております。

 政府全体では一万七千八百三十六人ということでございますが、そのうち農林水産省につきましては二千二百九十一人と決定されているところでございます。

 これを受けまして、五年間でございますので、当省におきましては毎年度平均的に四百五十八人の定員合理化を行ってきているということでございます。

関(健)委員 全体と比べて、農水省の削減率、率で説明をしてください。

水田政府参考人 お答えいたします。失礼いたしました。

 先ほど申し上げました平成二十七年度以降の五年間の実質的な定員合理化の数でございますが、これを率にいたしますと、政府全体では六・〇一%でございます。農林水産省につきましては一〇・二四%ということになってございます。

関(健)委員 これは農水省だけ突出して人員削減を進めているわけです。この理由についてお答えください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 政府におきます計画的な定員合理化の実施に当たりましては、全ての府省で一定の合理化が求められているわけでございますけれども、その中で、各府省の行政需要の動向、さらには近年の定員増減の状況、こういったものを踏まえて府省ごとの定員合理化数が決定されているというふうに承知をしておるところでございまして、こうした中で、委員御指摘のとおり、当省におきましては他省庁よりも高い定員合理化率となっているところでございます。

 ただ、一方で、毎年度、農林水産業を取り巻くさまざまな課題の解決を図るために必要な増員を行うなど、必要な定員の確保に努めている、そういう状況でございます。

関(健)委員 農林水産業は国家の礎ですし、現場感がなくなっちゃいけない一番の役所だと思います。

 私が記者時代、地方で取材をしていたときも、どんな田舎の農村の寄り合いにも農水省の職員の人がいて、こうやって現場感を積み上げているんだと尊敬する役所の人がたくさんいました。そういう人たちがどんどん今、現場のまさに肌感覚、肌で地域の農業を感じている人たちの数が減っていっているということにほかならないと思います。特に、世代間のバランスとかも悪くなっていますよね、農水省の。

 大臣にお尋ねします。

 地方の人員が減るというのは、これは農水省の一番求められている現場感が喪失するという危機にも当たると思います。これはしっかりと世代間のバランスをとった人材採用が必要ですし、平均したほかの省庁よりも突出した削減率というのは、これは私はいかがなものかと思うんですが、大臣の御所感を伺います。

吉川国務大臣 世代間のバランスというのはとても大切なことだと思います。

 今、地方のという御指摘もありましたけれども、地方の農政局におきましても、あるいは県の支局におきましても、本当に少ない人数だと思いますけれども、真剣に日本の農業のために頑張っていただいていることに、私も接して、大変感激もいたしているところでもございます。

 今後、現在の職員の大宗を占める中高年層の退職が見込まれる中で、新たな人材を確保していくことは喫緊の課題と考えておりまして、近年、新規採用においても、その数を増加させているところでもございます。

 引き続き、御指摘がありましたように、世代間の適切なバランスの確保が図られますように、優秀な人材の確保にも努めてまいりたいと存じております。

関(健)委員 どこの現場も一緒ですけれども、農政局の職員の方なんかも、どんどん人が減って、書類仕事がふえて、自分が一番大好きだった現場回りができない、こういう声は本当にあるんですね。ぜひ、地方の人材、人の数を分厚くしてください。ほかの省庁並みの削減率にぜひ戻していただきたい。

 何度も申し上げますけれども、農林水産省ほど現場感を失ってはいけない役所はないと思います。改めて、地方の人材の充実と削減率他省庁並み、大臣、ちょっとお答えください。

吉川国務大臣 平成三十二年度以降の当省の定員合理化目標数につきましては、今後検討されると承知をいたしておりますけれども、いずれにせよ、当省といたしましては、新たに発生する行政ニーズに的確に対応しなければなりません。そのためにも、将来の業務運営に支障が生じないようにするために、必要な定員の確保に最大限努めてまいりたいと存じます。

関(健)委員 行政ニーズに的確に対応するために必要な人材をぜひ確保していただいて、せめてほか省庁並みと削減率を合わせていただくことを強くお願いをして、次の質問に移らせていただきます。

 法律、改正案に戻らせていただきます。条項を申し上げて、第三条一項について質問させていただきます。

 これまで農林水産物の包装、容器に認められた規制対象を、広告やサービスの分野にも拡大をしますと。その理由と具体的な規制対象について御説明ください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 日・EU・EPA協定におきましては、地理的表示の保護の水準をEU並みに引き上げるということでございまして、サービスについても規制の対象にするということにされております。現行の農林水産品又は包装にGIの名称を貼付する方法に加えまして、産品のチラシあるいはメニュー表に使用する場合に規制の対象を拡大するということでございます。

 具体的には、スーパーのチラシやレストランのメニュー、通信販売のカタログ、ネット広告、インターネット通信販売のためのウエブサイトなどを規制の対象とするということでございます。

関(健)委員 次に行きます。三条二項に関してです。

 誤認させるおそれのある表示にも規制対象を拡大するということですけれども、その理由と具体的な規制対象についてお伺いします。

 これはまさに生産者たちの関心が強いので、わかりやすく御説明ください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 EUにおきましては、紛らわしい表示や、GI名称そのものを使用していなくてもあたかもGI産品であるかのごとく誤認させる手段を用いることも規制対象としております。それにつきましても、今回の日・EU・EPAで合意をいたしましたので、今回の法案に反映させていただいたところでございます。

 具体的には、国旗や絵図の使用などによりましてGI産品であるかのごとく原産地や性質を消費者に誤認させる表示を規制対象とするということでございまして、例えば、オランダのGI産品でありますゴーダ・ホラントは、日・EU・EPAで相互保護されることとなりますけれども、GI改正後は、非真正品のゴーダチーズに風車やチューリップの絵などを用いることによりまして、殊さらあたかもオランダのGI産品であるかのごとく表示した場合には規制の対象となります。

関(健)委員 三条二項四号についてお尋ねします。先使用権の制限についてです。

 これまでは、登録以前から当該登録名称と同一の名称を使用した者に対しては使用権を無期限で認めてきましたけれども、改正案は七年に制限するとしています。

 先使用権を制限することになった理由と想定される影響についてお伺いします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 先使用の期間につきましては、EUにおいては原則五年間ということでございますが、我が国におきましては、従来、先使用を無期限で認めていたことから、交渉の結果、EUよりも長い七年間としたところでございます。

 今般の改正におきまして先使用の制限が行われることにより、先使用者によるGIの価値に対するフリーライド、いわゆるただ乗りが規制され、模倣品の排除が行われますので、その結果、生産者や消費者の利益の保護につながるというふうに考えております。

関(健)委員 三条二項四号の中の括弧書きについてお尋ねします。

 これは、七年を超えた場合に求められる「混同を防ぐのに適当な表示」というふうにあると思うんですけれども、これは具体的にどういう表示を想定しているんでしょうか。伺います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 混同を防ぐのに適当な表示と申しますのは、対象となる先使用品がGI登録されていないことが客観的に明らかとなるような表示をすれば足り、特定のマーク等の使用を義務づけるものではございません。

 具体例を挙げますと、消費者が認識可能な形で、本商品は地理的表示、GI産品ではありませんというような表示をすることが考えられます。

関(健)委員 ここは恐らくもう少しわかりやすく消費者の皆さんに説明をしていくことが求められる部分だと思いますので、引き続き細かく精査をしていきたいと思います。

 次に行きます。

 四条一項に関してなんですけれども、地理的表示の登録を受けた者が、GIマークをこれまで義務づけをしていたと思います。これを任意とする形にするわけです。

 先ほども御説明、答弁の中でいただきましたけれども、まだ四年たっていない制度なわけですね。これで、この制度を任意とする形になれば、なかなか認知度の広がりというのに欠けてしまうんじゃないか。この制度が効果を発揮する前提条件として、多くの人が認知しているということは前提条件となると思うんです。残念ながら、うちの妻も知りませんでした。つまり、普通のお茶の間の人が認知を広めるためには、やはり、マークとかそういうものを義務づけることが僕はポイントだと思うんですけれども、今回、任意にしました。

 これは定着がおくれることになりませんか。伺います。

新井政府参考人 現行のGI法におきましてGIマークの貼付義務を課しておりますのは、先使用品とGI産品を区別することを主たる目的としているところでございます。

 しかしながら、今回の改正によりまして先使用を制限したということ、我が国で保護される七十一のEUのGI産品につきましては、我が国で品質管理を行っていないため我が国のGIマークを貼付することは適当ではないということ、加えまして、我が国のGI産品の生産者からも、商品やその包装にGIマークを一つ一つ貼付することは負担であるというような声が寄せられていたところでございます。

 このため、GIマークの使用を任意としたところでございますけれども、GIマークは、特に消費者に対しましてGI制度認知度向上に有効な手段であることから、今後ともGIマークの使用と普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

関(健)委員 一般の消費者がスーパーで手にとったときにぱっとわかるのは、やはりそういうマークとかだと思うんですね。その認知が効果を発揮する前提となるわけですから、これはやはり、一般の人たちにどうやって広く認知してもらえるかということを考え続けることが肝要なんだと思います。

 では、これに関しては終わらせていただきます。

 少し離れますけれども、台風の被害について御質問させていただきます。二十四号を始め、ことし、甚大な被害がありました。共済についてお尋ねをいたします。

 お米が台風の被害に遭ったときは共済制度があると思います。ハウス、これも施設共済があると思いますけれども、農業産出額全国一位と九位の豊橋、田原では、キャベツ、白菜などの特産がありますけれども、これは実はそういう共済の対象になっていなかったんです。これは、米とか施設と違って、例えばキャベツ、白菜というのは共済の対象となっていないということで事実関係はよろしいでしょうか。伺います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、キャベツ、白菜につきましては、農業共済の対象外でございます。

関(健)委員 対象の外だったんですね。

 竜巻が通ったんだみたいな、根こそぎキャベツを持っていかれた生産者さんがたくさんいたんです。どうすればいいんだと。僕は、共済制度があるんじゃなかったでしたっけと言ったら、共済制度にないんだということが今わかりました。

 こういう方々に対する共済制度というか、有事のときの保険のような仕組みというのがないのか、お答えください。

濱村大臣政務官 平成三十一年の一月からは、キャベツや白菜を含めた原則全ての農産物を対象に、自然災害や価格低下など、農業者の経営努力では避けられない収入減少を広く補償いたします収入保険が導入されることとなっております。現在、十月一日から加入申請を受け付けているところでございまして、自然災害への事前の備えを求める農業者には収入保険への加入を促してまいりたいと思っているところでございます。

関(健)委員 せっかくお答えいただきましたので、政務官にお尋ねします。

 まさに今御説明いただいた制度が生産者にとっては非常にありがたい仕組みなわけです。私もできる限りの発信はしていますけれども、これを多くの生産者に知っていただかなければいけないと思います。

 農水省として、一人でも多くの生産者さんに知っていただく取組をしていくべきと考えますが、御所感を伺います。

濱村大臣政務官 おっしゃるとおりでございまして、先日も、共済連の皆様とも御協力をしていただくことでお話をさせていただいているところでございます。

 農水省といたしましても、しっかりと普及啓発に取り組んでまいりたいと思います。

関(健)委員 ありとあらゆる手段で生産者の皆さんに周知をする取組を進めていただきたいと思います。

 これは、今回、二十四号並びにという個別の話をさせていただきましたけれども、一般論として、災害のたびに、私たちはこういう補償を受けられないのか、支援を受けられないのか、低利融資できないのかといういろいろな質問をいただきます。きめ細かい対応をしなければいけないということがありますけれども、今回の台風被害に関しては、この夏の台風に関しては具体的にどういう被害対応をしているのか、お聞かせください。

小里副大臣 今回の猛烈な風を伴った台風第二十四号では、全国で農作物の被害、ハウスの損壊、果樹の落果や枝折れなどの被害が発生をいたしました。議員の御地元でも、愛知県では、大臣の御指示によりまして私が派遣をされまして、被害の状況を調査し、キャベツ等の露地野菜の被害、ハウス等の倒壊の状況等を視察してまいりました。

 このような状況を踏まえまして、農林水産省としましては、被害を受けた農作物について、速やかな営農再開ができるようにということで、塩害に伴う植えかえ等に必要となる追加的な種子、種苗の確保、追加の施肥、追加の防除に要する経費の助成等を行っているほか、ハウスにつきましては、農業用ハウス、機械等の再建、修繕や補強の支援を行うなど、きめ細かい支援対策を迅速に決定をして、農業者の経営再建に全力を挙げているところであります。

 農林水産省としましては、被災された農林漁業者の方々の不安を解消して、引き続き、営農意欲を持って一日も早く経営再建に取り組んでいただけますように、支援を加速化させてまいります。

関(健)委員 御答弁のとおりです。これまでの台風と比べて被害のあり方が根本的に変わってきている段階だと思います。

 ですから、御答弁のとおり、被災者の人たちの被害に迅速に、適切に、きめ細かく対応していくことが必要だと思いますので、引き続きの生産者の皆さんを見据えた支援、仕組みをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。無所属の会の大串でございます。

 早速質問させていただきます。

 先ほど関さんが取り上げていた農水省の定員の話、一言私も付言させていただきますけれども、これは前国会で私も取り上げまして、農水省の他省庁に比べての定員の削減率が極度に不均衡に大きい、これは誰の目から見ても事実なんですね。このことを、当時は、内閣人事局を担当している野上官房副長官にも来てもらって、これは答弁は求めませんから落ちついて聞いてください、野上官房副長官に来てもらって、農水省だけが著しく掘り込まれて定員削減させられている現状をどう思いますか、これでいいんですかと問うたところ、野上官房副長官、内閣人事局の担当がですよ、確かに農水省が偏った形で削減されていると国会で認めているんですよ。ちょっと私は、現状を正しく認めてくださったなと思いました。

 こういう答弁も国会でありますから、それを農水省は一つの武器として定員交渉にぜひ臨んでいただきたいというふうに思いますし、先ほど関さんから話のありました、地方の定員が特に農水省において削られているというところは心して、さらなる不均衡是正に励んでいただきたいというふうに思います。これは冒頭申し上げさせていただきます。

 さて、質問に入らせていただきますけれども、GI法です。経済連携との絡みの中で今回改正になるわけですけれども、その前提としての経済連携に関して、私、問いをさせていただくんですが、日米貿易協定です、日米貿易協定において、政府のスタンスなんでしょう、茂木大臣は繰り返し、この日米貿易協議というのは農林水産品に関してはこれまでの経済連携での合意が最大限だ、特に、全体としてTPPが最大限だ、こういうふうに言われていますね。

 ところが、日・EU協定においては、チーズ等々においてTPPより更に譲歩した面があるというのは事実、皆さん御存じのとおり。

 恐らく、この面をとって、日米貿易協定においても、仮に、TPPより、日・EU協定等々にあるように、チーズ等々でより譲歩をせざるを得なくなった場合には、それ以外の面で全体としてTPPと同レベルになるように取り返すんだという発言が数週間前に出て、これだけでも相当物議を醸しました。あれ、TPP、個々の産品がマキシマム、最大限の譲歩ではなかったのか、日・EUで更に譲っている部分があればそれはそれとして認められちゃうことが、TPPより譲歩して認められるということが、日米貿易協定においてはあるのかということで物議を醸した。

 これで私は非常に危機感を持ちまして、先般の予算委員会のときに茂木大臣に尋ねたんですね。どう尋ねたかというと、チーズ等々、日・EU協定においてTPPより譲歩している、その産品以外の産品においても、まさかTPPより譲歩するなんということが日米貿易協議においてはないんでしょうね、そこはしっかりくぎを刺させていただきますよと。

 日・EUで譲歩している部分に関して、TPPより譲歩するというのはわからぬ話でもない。わからぬ話でもない、理屈として。いいかどうか別として、理屈として。しかし、日・EUで更に譲歩しているもの以外の産品、米とかそういったもので、まさか日米貿易協議で、TPPより更に個別品目で譲歩するなんてことがないでしょうねというふうに茂木大臣に予算委員会で聞いたら、茂木大臣の答えは、「これから交渉を進めてまいります。まだ、個別の項目について具体的な交渉をライトハイザー通商代表との間で行っておりません。」ということで、答えられませんでした。

 私はてっきり、いや、そのほかの個別の項目ではTPP以上に譲歩することはありませんとはっきり言ってくださるのかなと思ったら、これから交渉が行われることですからということで、複数回答弁されてはっきり答えられなかった。私は非常に心配になったんですね。

 農水大臣にお尋ねしますけれども、この茂木大臣の認識は農水大臣も同じなんでしょうか。すなわち、チーズ等、日・EUでTPPより踏み込んで譲歩している以外の産品においても、日米貿易協議において、交渉内容によってはTPPより譲歩を迫られて、それを受けとめる、受け入れるということがあってしまうんでしょうか。いかがでしょうか。

吉川国務大臣 個別の品目の合意内容につきましては、経済連携協定ごとに異なるものもあると承知をいたしておりますけれども、全体として見て、TPPの水準がこれまでの最大限であるものと私は理解をいたしております。

 その上で、日米共同声明を大前提にいたしまして、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産が確保されるよう、農林水産省としても最大限の努力をしていく考えでございます。

 また、首脳間で、最大限と日本側の立場が明記をされているところでもございますので、私としては、首脳間でこの点について確認したことは非常に重たいものと認識をいたしているところでもございます。

大串(博)委員 大事なところですから精緻に聞かせていただきますと、全体としてTPPを超えることはないというのはよくわかっているんです。その意味するところです。

 その意味するところは、日・EUでTPPより更に譲歩しているもの、先ほど経済連携によって内容は異なると言われました、まさにそのとおりですね、日・EUはチーズ等々においてTPPより更に譲歩している、それは理解したとして、それ以外の品目においてTPPより譲歩するということはないんですねという、その端的な一点だけお答え願えないでしょうか。

吉川国務大臣 同じ答えの繰り返しになるかもしれませんけれども、TPPの水準がこれまでの最大限であるものと私は理解をいたしておりますので、そういった、共同声明にもございましたように、首脳間におけるその内容等に沿った形でこれからも交渉が行われる、私はそう思っております。

大串(博)委員 日・EUで更にTPPより譲歩しているもの以外の品目において、日米貿易協議において個々の品目で更に譲歩することはあり得ないという言葉はここでは言えないんですか、大臣。

吉川国務大臣 繰り返しになりますけれども、米国との交渉はこれからでもありまして、個別品目の交渉の方針について、交渉の手のうちをさらすこととなることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、その前提といたしましては、先ほどから申し上げておりますとおりに、首脳間での最大限という日本側の立場が明記をされておりますので、そういった線に沿ってこれからも交渉が行われていく、私はそう思っております。

大串(博)委員 TPPが全体的に最大限だと言われる。それを、今、何度聞いても、個別品目に関してはこれ以上譲歩することはないんだとは言明されない。

 私、非常に心配になってきているんですね。米や牛肉や豚肉等々、それらの面においてもひょっとしたら日米貿易協議でTPP以上譲歩させられるんじゃないか。大臣が否定されない以上、そうとらざるを得ないわけです。この点は非常に心配であるということをこの委員会の場でも申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 いろいろきちっと確認したいのは、全体的にTPPが最大限であるというふうに言われています、この全体的にというのはどういう意味なんでしょうか、大臣。

長尾大臣政務官 大串委員にお答えいたします。

 今回、日米共同声明に、農林水産品については、過去の経済連携協定で約束した譲許内容が最大限であるという日本の立場が明記されております。そして、日本として、過去の経済連携協定で最大限のものはTPPだと考えておりまして、その旨、米国側に説明をいたしております。

 なお、全体として最大限とは、経済連携協定ごとに相手方の関心事項等は同一ではなく、個別品目の合意内容は異なるが、トータルで見ればTPPの譲許内容が最大限であるという趣旨で申し上げたと承知いたしております。

大串(博)委員 農水大臣にお尋ねしますけれども、今、長尾さんは、全体的にという言葉を、トータルにおいてと言われた。全く言いかえになっていないと私は思うんですけれども、トータルに見てTPPが最大限だというのは、大臣、どういう意味なんですか。

吉川国務大臣 全体として最大限という点につきましては、今、内閣府政務官から答弁があったとおりだと思っておりますので、更にお聞きしていただきたい、こう思っておりますけれども、農林水産省といたしましては、日米共同声明を大前提にして、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産が確保されるよう努力をしていく、そういったことに尽きるのではないか、こう思っておりますので、しっかりと努力をさせていただきます。

大串(博)委員 例えば、チーズで日・EUレベルまで更に譲歩した場合には、そのほかの産品でここまで取り戻すというような基準みたいなものはあるんでしょうか。農林水産品のことですから、大臣に。

吉川国務大臣 繰り返しになって大変恐縮でございまするけれども、米国との交渉はこれからでもありまして、個別品目の交渉につきましては、交渉の手のうちをさらすこととなりますことから、お答えは差し控えさせていただきたいと存じております。

大串(博)委員 全体的にという基準すらはっきりしないわけですよね。私たちは何を信じて、日米貿易協議の成果が成功だったか成功でなかったかというのを認識すればいいんでしょうか。

 私は、農林水産大臣なのでもう少し前向きな答弁をいただけるかなと思って、今回質問させていただきました。そういう意味からすると、非常に残念であります。

 日米貿易協議は一月から始まると言われていますけれども、私が見るに、二国間の協議に乗るという日本としての最大限のカードを、予算委員会でも言いましたけれども、切ってしまっているので、相当アメリカは突っ込んでくると思うんですね。突っ込んでくる中で、日本は何をもって国益を守るのか。

 共同声明の中に、日本の最大限であるという言葉をもって、尊重するというふうに共同声明で書かれていることをもってして、これでいいんだという大臣のお答えもありましたけれども、尊重ですからね。これは予算委員会でも言いましたけれども、尊重というのはリスペクトという言葉だけであって、アクセプトしているわけではないんですよ。だから、これは非常に私は弱いと思うんですね。

 内閣府の政務官に聞きますけれども、尊重すると言っていますね。アメリカは、日本としては過去の経済連携協定が約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であることを尊重してくれるわけですね。これがわかった、これがそんなに金科玉条のようにいいものなのかどうかということなんですよ。

 一方、同時に、日本は、米国としては自動車について市場アクセスの交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること、これも日本は尊重しているわけですね。

 交渉の結果、日本は米国の自動車産業の製造や雇用の増加を約束できるんですか。

長尾大臣政務官 お答えいたします。

 共同声明五の米国の自動車につきましては、具体的な措置ではなく、米国がこれまで表明してきた基本的考え方をそのまま述べたものでございます。

 具体的交渉はまさに今これから。この段階で交渉結果を全て予見することは困難でございますし、交渉前から手のうちをさらすということで国益を害してはならないと考えております。

 いずれにせよ、我が国として、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはないということでございます。

大串(博)委員 ありがとうございました。

 基本的考え方、アメリカの基本的考え方を記したものであるというふうに言われた以上、向こうもそう言うでしょうね。農産品、これまでの経済連携が最大限だと日本が言っているのは基本的態度を言っているものなんだと、向こうは当然言ってくるでしょう。そんな厳しい交渉になるということ、心して臨んでいただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 GI法について質問します。

 GI、農林水産物の地理的表示については、ブランド力が上がり、生産者にとって利益となります。また、模倣品を排除できるから、こういう点でも賛成であります。

 そこで、きょうは生産行程管理業務について伺います。

 日本では、GIの生産者団体がみずから生産行程を管理することになっています。しかし、二〇一七年度には、六十五団体中四十六団体に、農水省が業務規程に基づいて立入検査をしています。登録者みずからが品質管理の責務を負う仕組みに無理があるのではないかと私は思うわけです。

 一方、EUでは、国や第三者機関が行う仕組みになっています。そういう方向に変えた方がいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

吉川国務大臣 GIの登録を受けました産品ですけれども、長年の伝統に基づきましてその生産方法や特性が産地と結びついていることから、最も知見を有する生産者団体みずからが行うのが適当との考え方から、EUのような第三者機関が品質管理を行う仕組みを採用しなかったところでございます。

 委員御指摘のいわゆる立入検査につきましてですけれども、登録後一年を経過し、実績報告書を提出した産品全てに実施しているものであり、生産行程管理に問題がないよう国がしっかり確認をしているところであると承知もいたしております。

 現時点でのこの品質管理の仕組みに問題はないと考えておりまするけれども、今後、現場の状況を踏まえつつ、必要があれば改善をしてまいりたいと存じます。

田村(貴)委員 知見を有していると言われているんですけれども、二〇一六年度では、登録三十三団体のうち二十三団体、七割が立入検査を受けているわけですね。そして、二〇一七年度の数字も先ほど紹介しましたけれども、理由の筆頭に、GI登録団体が生産地の確認、出荷基準の確認等を行っていない部分がある、そういうケースがある。これはもう基本的なところじゃないですか。イロハのイのところに問題があるんじゃないですか。

 ですから、やはり第三者的な機関がチェックをすべきだというふうに申し上げているところです。これはぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 そこで、日・EU・EPAについて質問をします。

 日・EU・EPAについて、大変大きな、日本の農林水産業に対する影響が指摘されています。

 政府は、生産額への影響が百三十四億円から二百三億円と試算していますけれども、対策をすれば生産量は減らないとしています。本当でしょうか。

 体質強化対策、経営安定対策をすれば欧州乳製品の輸入が増大しても影響はないとする。どんな対策を講じようとしているんですか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 日・EU・EPAの合意結果でございますけれども、チーズは、ソフト系は横断的な関税割当てとし、ハード系は長期の関税撤廃期間を確保、また、バター、脱脂粉乳等は国家貿易制度を維持して関税割当てを設定、ホエーは関税削減にとどめるということでございまして、このため、当面、輸入の急増は見込みがたく、乳製品全体の国内需給への悪影響は回避できるというふうに考えてございます。

 他方、長期的には競合いたします国産の脱脂粉乳ですとかチーズの価格下落等によりまして生産額の減少が見込まれますので、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、畜産クラスター事業等の体質強化対策、また、生クリーム等を加工原料乳生産者補給金制度の対象に追加するなどの充実した経営安定対策、さらに、特にチーズについてのさまざまな対策、こういう万全の対策を講ずることで引き続き国内生産は維持される、このように考えているところでございます。

田村(貴)委員 生産額への影響については、具体的にキログラム当たりの単価では何円になるんでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 乳製品につきましては、その種類ごとに、取引されている乳価、また合意結果による影響も異なりますので、影響試算におきまして、乳製品の種類ごとに減少額を示してございます。

 例えば、ソフト系チーズと競合いたします国産チーズ向けの生乳価格についてはキログラム当たり四から八円下落、輸入ホエーと競合いたします国産の脱脂粉乳また脱脂濃縮乳向けの生乳価格につきましては、脱脂粉乳向けの生乳価格で三から五円、キログラム当たりでございますが、脱脂濃縮乳向け生乳価格については一から三円下落するなど、影響試算の公表資料で種類ごとに記載してございます。

田村(貴)委員 チーズだけで見ると、何とキログラム当たり十七・七円から二十円下がります。

 乳製品向けの生乳三百三十一万トンで割ったら、生産額への影響は百三十四億円から約二百三億円でありますから、キログラム当たり四円から六円下がるということになります。これはもう計算ですから、こうですよね。

 そこで伺いますけれども、これは六円も下がっていくとなると大変な話になってまいります。

 先日、私、北海道の方に酪農家のお話を伺いに行ってまいりました。標茶町のある酪農家にお話を聞くと、乳価が百円になってようやく一息ついたというふうに話されている。しかし、経営規模の拡大はもう限界にある。相当な合理化で御苦労されて、設備投資されて運営されている。しかし、もうこれ以上の規模拡大はできません、そして、先行き不安だから、息子がいるけれども継げとは言えないというふうにおっしゃっておられました。

 この上に、輸入品がふえるからコストカットする、六円の切り詰めというのは、これは余りにも酷な話になるんじゃありませんか。

 農業新聞のモニター調査、前回の委員会でも紹介しましたけれども、政府の食料自給率の向上の政策に七六・八%の人が評価しないと言っているじゃないですか。やはりやり方を改めなければいけないんじゃないですか。

 加工乳製品の輸入品がふえれば、北海道の生乳は余ることになりはしないか。飲用としてほかの都府県に移出されることも考えられるのではないでしょうか。しかし、政府の試算にはこうした影響は加味されていません。ここをどう考えておられますか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの影響試算でございますけれども、ホエー、チーズの関税削減とか関税撤廃等によりまして、長期的に乳製品向けの乳価の下落が懸念されるというふうにしてございますけれども、御指摘ございましたとおり、乳製品向けの生乳の約九割は北海道でございますので、北海道への影響は大きいんだろうというふうに認識をしてございます。

 このため、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、先ほど申し上げました収益力、生産基盤の強化ですとか、経営安定対策の充実ですとか、特にチーズについての原料乳の高品質化、チーズ工房等の施設整備等々、万全の対策を講じてございます。

 これによりまして、影響試算におきましては、乳製品向け生乳の生産量は維持されるというふうに見込んでございますので、北海道の乳製品向けの生乳が行き場を失うということはないというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 説得力がなくて、そして非常に甘いと言わざるを得ません。

 欧州産の乳製品というのは、人気も高くて、関税撤廃によって安くなる、これは事実ですよね。そして輸入量はふえるとお認めになっている。だったら、京都府とかJA滋賀とか熊本県が独自に試算している、こういう方向をぜひ参考にすべきではありませんか。

 畜産経営安定法の改正によって、北海道から都府県に飲用乳が流れる道筋ももう既にでき上がってしまっています。影響のシナリオというのをしっかり想定すべきということを申し上げておきたいと思います。

 林産物についての影響についてもお伺いします。

 EPAによって、構造用集成材の生産額は百八十六億円から三百七十一億円減少すると政府は試算しています。この対策と予算について簡単に説明していただけますか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 この日・EU・EPAにつきまして、御指摘いただきました構造用集成材等についてでございますけれども、即時関税撤廃を回避いたしまして、七年の段階的削減を経て八年目に撤廃という一定の関税撤廃期間を確保したところでございます。

 他方、長期的には関税引下げの影響によります国産材の価格低下が懸念をされるということでございます。このため、一つには、木材加工施設の生産性向上対策、競争力のある品目への転換支援、また、原木の低コスト生産のための路網整備でございますとか、高性能林業機械の導入等の集中的な実施、さらには、木材製品の国内外での消費拡大対策等の国内対策を講じていくこととしているところでございます。

 このための予算といたしましては、平成二十九年度補正予算におきまして四百億円の予算を計上しているところでございます。

田村(貴)委員 三百七十一億円、構造用集成材が減少すると政府が試算して、そして、二十九年度補正予算で四百億円の合板、製材、集成の強化対策を組んでいると。

 これ、大臣、矛盾を感じませんか。こういうことで対策を打つならば、なぜ木材製品の輸入にかじを切るんですか。なぜ輸入拡大に歯どめをかけられないんですか。この十年間、木材の自給率は向上してきました。林産物の輸入拡大というのは、この流れに逆行するんじゃありませんか。大臣、いかがですか。

吉川国務大臣 今御指摘いただきましたように、木材の自給率は、最低でありました平成十四年一八・八%から、ただいま上昇傾向でございまして、平成二十九年には三六・一%まで回復をいたしております。

 日・EU・EPAにおきましては、長期的には関税引下げの影響による国産品の価格下落が懸念されることから、木材製品の国際競争力の強化を図るために、川上から川下に至る総合的な体質強化対策というものを講じていくことといたしております。それによりまして、引き続き生産や生産者所得が確保され、国内生産量は維持されると考えているところでもございます。

田村(貴)委員 政府は、木材製品の消費拡大対策として、直交集成板、CLTの普及、実証の取組を支援すると、予算もつけています。

 このCLTのEUと日本との価格差は幾らですか。きのうお伺いしたら、二倍の差があるということであります。二倍の開きがある。

 大量のCLTがEUから入ってくることになります。これでは、林業の成長産業化の切り札とすると言っていますけれども、そうはならないのではありませんか。いかがですか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 日・EU・EPAの国境措置では、このCLTにつきましては、即時関税撤廃を回避いたしまして、七年の段階的削減を経まして八年目に撤廃という一定の関税撤廃期間を確保したところでございます。

 他方、長期的には関税引下げの影響によります国産品の価格下落あるいは外国産品への置きかえが懸念されることから、CLTの需要拡大を図りまして、生産コストの削減等を図っていくことが重要であると考えております。このため、CLT製造施設の整備への支援を通じました効率的な量産体制の構築、また、CLT製造コストの低減等に向けました研究開発、さらには、CLT需要の掘り起こしを通じました生産ロットの増大等に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、CLTを始めといたしました木材需要の創出、拡大に向けた取組を進めまして、森林資源の循環利用の促進を通じまして、林業の成長産業化を図ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 時間が来ました。

 そうしたやり方では、川上の立木価格は下がるままであります。また同じ歴史、過ちを繰り返すのかと私は言いたくなります。

 日・EU・EPAは、日本の農業に大打撃であります。とても承認などはできません。農水委員会と外務委員会との連合審査が必要であるというふうに思います。そのことを求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 GI登録についてお聞きをします。

 私の選挙区の京都におきましては、二十九年の六月に万願寺甘とうが登録をされましたが、それ以降の登録がされておりません。京都は、京野菜を始め、各地でしかとれない各地の名産品がたくさんあります。

 まず、我が国におけるGI登録数についてお聞きをしたいと思います。

 我が国のGI登録数は順調に増加をしているのでしょうか。教えてください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国のGI制度は、平成二十七年六月の制度運用開始後、三十六の道府県等におきまして六十九の産品が登録されているところでございます。

 登録された産品につきましては、模倣品の排除のほか、生産量の拡大、価格の上昇、担い手の増加といった好ましい効果も出ているところでございまして、これらのGI制度の効果を普及することによりまして、更に多くの県におきましてGI登録が進むことを私どもも期待しているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 まだまだGI登録が少ないように感じます。登録のメリットを感じられていない生産者が多いのではないかと思います。

 これまで、GI登録によって海外への輸出や国内での高付加価値化につながった例はあるのでしょうか。そのような取組を横展開するにはどのように取り組めばよいと考えているのか、教えてください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 GI登録していただいた産品につきましては、価格の上昇など高付加価値化の事例が出てきているところでございます。

 具体的には、岡山県倉敷市の連島ごぼうにつきましては、二〇一七年の一キロ当たりの単価が七百六十円から九百円に上昇、約一〇%増加する、あるいは茨城県の江戸崎かぼちゃにつきましては、一キロ当たりの単価が二〇一六年、一七年ともに四百円を超え、GI登録前の二〇一五年の三百十七円と比較いたしまして二五%上昇するなどの事例が生まれているところでございます。

 また、輸出につきましても、GI登録を機に、徳島県の木頭ゆずの知名度が上がりまして、二〇一七年度の輸出量が一・七トンから二・一トンに増加をするというふうに聞いておるところでございます。

 今回のGI法の改正によりまして、国内外における保護が行われるということでございますので、GI登録のこういった効果が発現されるように、普及も含めまして努力をしてまいりたいというふうに思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 私の地元ではまだまだ登録が進んでおりません、全国的にも進んでいないと思いますが。先ほどお答えいただきましたように一〇%や二五%と価格が上がるのでしたら、しっかりとよい例を示して、メリットを具体的に現場に伝えることが重要であると思っております。引き続き、一歩でも進んでいくよう、しっかりとお願いしたいと思います。

 現在、EUと相互保護するGI産品は、日本側四十八、EU側七十一と、日本側が少ないのですが、今後、相互保護を求めるGI産品をどのようにふやしていくのでしょうか。また、国はそれをどのように促していくのか、考えを教えてください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 GI産品につきましては、現在の登録数が六十九でございますけれども、今後、全ての都道府県におきまして、少なくとも一つのGI産品が登録されることをまず目指していきたいというふうに考えております。

 そのような、我が国のGI制度のまず母数を大きくするということでございまして、これにつきましては、全国に設置をしておりますGIサポートデスクを通じまして、申請を考えている団体に対する助言、相談の受け付けなどの支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

 さらに、EUとの相互保護でございます。これにつきましては、生産者団体の生産量あるいは輸出の可能性というものをこれからお聞きをいたしまして、EUとの間で協議をしたいというふうに考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 国内の登録を促し、今回の相互保護対象をふやすことで、日・EU・EPAによるメリットを農業の現場にも着実におろしていくことが重要だと思います。国としてしっかりとお願いしたいと思います。

 相互保護の対象産品の知的財産が日本側、EU側で確実に保護されることが重要と考えますが、日本側、EU側の監視体制はそれぞれどうなっているのでしょうか。また、日本側でEU国内の違反を発見した場合は、通報体制はどのようになっているのでしょうか。お答えください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、我が国のGI制度の不正使用に対する監視体制でございます。

 我が国におきましては、GI制度の模倣品を効果的に取り締まるため、生産者団体、流通、販売事業者のみならず、まずは一般の方々から広く情報を受け付けることが有効だというふうに考えております。

 そのため、農林水産省では、不正表示の通報窓口を設置しておりまして、広く一般からの情報を受け付けて、必要な調査を行っているところでございます。

 今般のGI法の改正によりまして、広告やインターネット販売サイトでのGIの使用も規制対象となるということでございますので、取締りの対象が大幅に増加をいたします。消費者庁や都道府県の消費者部局と連携を図るなど、さらなる体制の強化を図ってまいりたいというふうに考えております。

 一方、EUにおきましては、加盟国の政府機関がGIの不正表示に係る監視を行うということでございます。日・EU・EPA発効後は、我が国のGI産品についてこれらの機関が取締りを行うこととなりますので、GI製品の不正表示が見つかった場合には、各加盟国の政府機関に対して通報を行うということを予定しているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 相互保護するに当たっては、相互の監視体制も大変重要かと思います。違反はあってはなりませんが、違反があった場合にはしっかり対応していただきたいと思います。取締りの強化もしっかりお願いしたいと思います。

 EU側と相互保護する制度があっても、国内の生産者が輸出に踏み切るには、個々の産地ベースではまだまだハードルが高いと考えますが、地理的表示などの知的財産を活用してEUへの輸出を促進するための支援を教えてください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 日・EU・EPAによりまして、EUへ輸出される日本の農林水産物の関税は、輸出重点品目である水産物、緑茶、牛肉などを含めまして、ほとんどの品目で即時撤廃をされることになります。

 EUは人口五億人の市場でございまして、所得が高いということもございますので、市場アクセスの改善によりまして、外食向けの需要を中心に輸出が拡大されるところでございます。

 このため、EU域内で開催をいたします展示会への出展やバイヤーの招聘、有名シェフ等を対象にいたしましたGI産品の講演、試食会、JFOODOによります日本酒等のプロモーションなど、積極的にEU向けの輸出拡大に努めてまいりたいというふうに思っています。

 特に、生産者にとりましては輸出がまだハードルが高いというお話がございました。このため、輸出に取り組もうとする産地や事業者を登録いたしまして、希望者に対して個別に輸出の診断を行う仕組みをことしの夏から行っておりまして、このような生産者に対する相談に加えまして、輸出のための産地づくり等の支援を積極的に行ってまいりたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 まだまだ、国内においても、GIマークが消費者の方々にどの程度認知をされているのかも正直わかりません。私の周りでGIマークについて少し聞いてみましたけれども、残念ながら、知っている方は少なかったです。生産者がメリットを感じられるように、周知と同時に、国内での後押しも必要だと思います。

 日・EU・EPAの交渉結果やGI制度の活用による輸出の拡大などを踏まえた日本の農林水産業の将来像をどのように考えているのか、大臣の見解をお願いしたいと思います。

吉川国務大臣 日・EU・EPAにおきまして、農林水産分野につきましては、重要五品目を中心といたしまして関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割当て等の措置も獲得をいたしたところでございます。

 それでもなお残る不安や懸念にもしっかり向き合っていかなければなりません。農林漁業者が安心して再生産に取り組めますように、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、万全の国内対策も講じていく所存でもございます。

 また一方、輸出に関してでありますけれども、牛肉や水産物、茶等の輸出重点品目を含めまして、ほぼ全ての品目でEU側の関税が即時撤廃をされるということにもなります。これを輸出拡大のチャンスと捉えて、畜産物、加工食品等の輸出条件の改善ですとか、輸出拠点の整備ですとか、さらには地理的表示の保護制度の活用等にしっかりと取り組んでいかなければならないところでもございます。

 これまで行ってまいりました改革等に加えまして、こうした、今申し上げました施策を積極的に推進をすることによりまして、農林水産業の成長産業化というものを実現してまいりたいと思いますし、農林水産業を若者が夢や希望の持てる産業にしていくことが肝要だと存じております。

森(夏)委員 大臣、ありがとうございます。日本の農林水産業の将来像について、心強いお言葉をいただいたと思います。

 日本のGI産品、また生産者を守るためには、今後、EUだけではなく、アジア等の他国とも交渉し、相互保護をどんどん進めていっていただきたいと思います。

 また、先ほども申しましたけれども、GIマークが消費者の方にまだまだ知られていないという現状がありますので、ここもしっかり政府として周知を徹底していただきたいと思います。

 少し早いですが、終わります。ありがとうございました。

武藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

武藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

武藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

武藤委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中厚君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党及び日本維新の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。石川香織君。

石川(香)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    特定農林水産物等の名称の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  特定の産地と品質等の面で結び付きのある農林水産物等の名称を知的財産として保護することは、生産者の利益の増進と需要者の信頼の保護に寄与するものであり、また、当該農林水産物等の生産者の努力を評価するものであることから、一次産業が経済的に大きな比重を占める農山漁村に利益をもたらしうるものであることを踏まえ、今後は海外における我が国の農林水産物等の名称を不正に使用した産品の流通の抑止等の効果が図られるよう、地理的表示の保護をさらに強化することが必要である。

  よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 先使用期間の制限、広告等における特定農林水産物等の名称の表示の規制等の新たな制度については、関係者に対する周知を徹底すること。特に、広告等における特定農林水産物等の名称の表示の規制等については、広告等における適切な使用方法に係る判断基準を示す等運用の基準を明確にすること。

 二 我が国と外国との地理的表示の相互保護の推進により、我が国の地理的表示が海外においても保護されるよう努めること。

 三 海外における我が国の地理的表示を含む農林水産物等の名称等を不正に使用した産品や模倣品の監視に取り組み、そのような産品に対しては生産者団体等と連携して是正措置を求めるとともに、我が国の農林水産物等の名称の海外における第三者による商標登録が防止されるよう必要な対応を行うこと。

 四 地理的表示保護制度の一般消費者への周知を図るとともに、我が国の登録に係る特定農林水産物等の国の内外における認知度の向上及び輸出促進に努めること。

 五 地理的表示の登録を目指す産地が行う品質基準の設定、品質管理体制の整備等の取組について、専門家による助言等の支援を充実すること。

 六 潜在的競争力のある特徴を備えた農林水産物等について、地理的表示保護制度はもとより、地域団体商標制度等、多様な選択肢を踏まえた上で、生産及び流通の状況に適したブランド化の取組を促進すること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

武藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

武藤委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣吉川貴盛君。

吉川国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

武藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

武藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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