衆議院

メインへスキップ



第7号 平成30年11月22日(木曜日)

会議録本文へ
平成三十年十一月二十二日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 武藤 容治君

   理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君

   理事 齋藤  健君 理事 野中  厚君

   理事 細田 健一君 理事 稲津  久君

      池田 道孝君    泉田 裕彦君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    小田原 潔君

      加藤 寛治君    金子 俊平君

      木原  稔君    木村 次郎君

      熊田 裕通君    小寺 裕雄君

      佐藤 明男君    斎藤 洋明君

      坂本 哲志君    西田 昭二君

      福山  守君    藤井比早之君

      古川  康君    宮路 拓馬君

      濱村  進君    金子 恵美君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       吉川 貴盛君

   農林水産副大臣      小里 泰弘君

   農林水産大臣政務官    濱村  進君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十二日

 辞任         補欠選任

  藤原  崇君     熊田 裕通君

  古川  康君     佐藤 明男君

  山本  拓君     小田原 潔君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     山本  拓君

  熊田 裕通君     藤原  崇君

  佐藤 明男君     古川  康君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 漁業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第八号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

武藤委員長 これより会議を開きます。

 立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、漁業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として水産庁長官長谷成人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古川康君。

古川(康)委員 平成二十二、三年から数年間、私は上海をしばしば訪問していました。当時、私は佐賀県知事をしておりまして、佐賀県の農産物や焼き物の中国への輸出、あるいは新しい航空路線の誘致の可能性、こうしたことのために訪問しておりました。

 その折、よくスーパーマーケットにも行きました。日本産の果物や野菜が並んでおりました。そこで見たものは、その横に水産物もたくさん並んでいたということでした。中食のすしのコーナーなどもあります。そこのすしのコーナーは、一面オレンジ色の棚で埋め尽くされておりました。そうです、サーモンずしでありました。

 その売場の人に、中国の人はいつからこんなにサーモンが好きになったのかとお尋ねをしたところ、昔は中国の人はサーモンや生魚は食べなかったけれども、ノルウェーの人がサーモンを売り込みに来て、すしにしたらおいしいですよということを教えてくれたんです、そういう話でありました。それで、なるほどと思いました。

 外灘あたりを歩いていると、北欧系かと思われる人の集団に時々会っていました。あるときにお尋ねをしたところ、ノルウェーから来た水産の関係者だという話をしていただいたこともありました。地球を半周して、サーモンを食べる習慣のなかった中国で、日本料理であるすしにサーモンを載せたらおいしいですよとノルウェーの人が売っているんだと、軽いショックでありました。

 大臣にお尋ねするのもちょっと変かもしれませんが、このノルウェーという国、確かにかつては水産大国、漁業大国だったと思いますが、その後、一時期落ち込んでいたと理解をしています。私が上海で見た、ノルウェーの人が中国の人にサーモンを売り込んでいるというのは、本当なんでしょうか。そして、ノルウェーの漁業というのはよみがえっているのでありましょうか。であるとするならば、その秘訣は何だったんでしょうか。お答えをお願いします。

長谷政府参考人 ノルウェーの漁獲量は、ニシンやタラの資源危機を背景といたしまして、一九八〇年代に一旦減少した後、一九九〇年代からは回復基調にあり、近年ではおおむね二百五十万トン程度の水準を維持しております。

 また、サーモンを主体とする養殖業は、輸出の拡大等に応じて年々生産量が増加し、二〇一五年には百四十万トン程度と、漁業全体の生産量の三六%を占めるという状況です。

 この背景として、ノルウェーは、一九九〇年代以降、船舶別の漁獲割当てを柱とする厳格な漁獲量管理を導入いたしまして資源回復に成功したほか、漁船の大型化や高性能機器の導入等による操業の効率化、居住環境の改善、そしてICTを活用した効率的な給餌システムの導入など養殖の生産体制の省力化、そして我が国や中国も含めた海外市場の徹底したマーケティングによる輸出拡大等の取組を進めておりまして、さまざまな努力の結果、生産性の高い漁業が維持されているものと考えております。

 なお、委員が言及されました上海のお話でありますけれども、ノルウェー貿易・産業・漁業省のもとに設置された海外マーケティングの専門組織であるノルウェー水産物審議会、NSCと言いますけれども、この組織は中国上海にも海外拠点を有しているということでございます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 今回の漁業法等の改正法案の内容にもつながるさまざまな取組を、このノルウェーという国においても行われたんだなということを感じます。

 一方で、そうしたことがあって、我々もそういうノルウェーのよさは見習っていかなければいけないにせよ、ノルウェーと日本は違う、全てが一緒ということではなかろうとも思います。まねをするのは間違いという意見もありますけれども、大臣、いかがですか。

吉川国務大臣 我が国の漁業はノルウェーと異なりますことは、もう古川委員も御承知のとおりかと思いまするけれども、まず、漁獲、養殖される魚種が豊富であるということ、さらには、大規模で効率的な遠洋、沖合漁業、小規模でも高付加価値な沿岸漁業、魚だけではなくて、貝類ですとか藻類も含めた養殖業など、我が国は多種多様な漁業種類が営まれているという特徴を有しているのではないかと思います。

 また、全国津々浦々の漁村におきましては、地先の漁場を活用してさまざまな漁業が営まれておりますし、水揚げされた多様な魚介類を活用して浜ごとに所得向上の取組も行われていると承知をいたしております。

 一方、ICTを活用した漁獲や販売の手法ですとか海外市場の徹底したマーケティングなど、ノルウェーの漁業から取り入れるべきことは取り入れていく必要もあろうかとも思っております。

 農林水産省といたしましては、浜で頑張っている漁業者の所得向上につながるように、他国のよいところを取り入れつつも、我が国にふさわしいやり方で取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 それでは、中身に入ってまいります。

 まず、今回の法案提出に至るプロセスについてであります。

 浜を回っておりますと、改革方針の公表が突然で、漁業者への事前説明がなかったというような声があります。そもそも、今回の法案の提出に至るまでの作業はどのように行われてきたのでありましょうか。どこかの会議からやれと言われてやられてきたのでありましょうか。

長谷政府参考人 昨年四月に策定した水産基本計画におきまして、数量管理等による資源管理の充実や漁業の成長産業化を進めるための取組等について、引き続き検討するとされていたところでございます。

 今般の水産政策の改革につきましては、これを受けまして検討を進めてきたものでございまして、昨年十二月に農林水産業・地域の活力創造プランの中で水産政策の改革の方向性を示すとともに、本年六月には、より具体的な改革の内容を示した「水産政策の改革について」を同プランにおいて位置づけ、そして公表したものでございます。

 今回の法案提出に至るまでの検討作業につきましては、水産政策の実施に責任を有する農林水産省として主体的に検討を進めて法案提出に至ったものでございます。

古川(康)委員 ほかの誰かから言われたではなく、まさに我が国の水産業に責任を持つ農林水産省が主体となって、浜と会話をしながら進められていったということだと思います。

 ただ、一方で、説明が本当に十分なのかという声があるのも事実。漁業者への説明は、どのタイミングでどれぐらいの頻度で行われたのでございましょうか。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 漁業者への説明につきましては、水産政策の改革の内容につきまして、漁業者団体の開催する会議などさまざまな機会を通じまして説明を行ってきておりまして、水産政策の改革を取りまとめた本年六月から八月末までの間に、全国各地で五十五回の説明会など実施いたしました。九月以降には、この説明会で提起された論点を踏まえました改正法案の考え方等につきまして、漁協、漁連代表者を対象といたしまして説明を実施してきたところでございます。

 さらに、漁業者や一般の方々がアクセスできるよう、改革の趣旨、内容等を解説した動画やQアンドAを水産庁ホームページに掲載しているところでございます。

古川(康)委員 六月から八月まで、そして九月以降もさまざまな説明を重ねられているということは理解をいたしました。また、私自身も、長谷長官が出演されている動画を拝見しました。国民の多くの皆様方にこの必要性、内容について理解をしていただこうという趣旨は理解したところでございます。

 ただ、一方で、漁協の代表者、役員、そういう人たちには話が伝わっているという気がしますが、一般の漁民にはまだまだそこまで伝わっているという感じがしないのも事実であります。これからもしっかり説明を重ねていっていただきたいと思います。

 そこで、お尋ねをいたしますが、現場でさまざまな説明をされたとおっしゃいました。現場の説明会ではどんな意見が出たのでありましょうか。そしてまた、その意見を受けて、水産業改革の内容や今回の法案に盛り込むこととしたものというのは何かありませんか。

長谷政府参考人 説明会の場におきましては、さまざまな意見をいただいたところであります。それらの意見を総合的に勘案して法案を取りまとめたものでございますけれども、例えばということで、資源管理を強化するのであれば、セーフティーネットをつくって、漁業者に安心感を与えた上で実施してほしいとか、さまざまな御意見をいただきました。

 例えば、こうした意見の中の一つでありますけれども、水産業協同組合法の改正におきまして、公認会計士監査の導入に当たって配慮規定を置くといったような対応を行ってきたところでございます。

古川(康)委員 いわば、決まったことを役目済ましに現場に伝えるというのではなく、これまでも、そしてこれからも、浜との対話を通じてこの水産業改革の内容をよりいいものにしていく、このことを忘れないでいただきたいと思います。

 それでは、資源管理の内容に移っていきます。

 そもそも、今回、従来の管理方法にかえて、科学データに基づいた漁獲可能量による管理にいわばかじを切ったということだと思います。これまでは、要は長年の漁業者の経験や知見に基づいての管理というものが行われていたと思うわけでありますが、その方法じゃだめなんでしょうか。

長谷政府参考人 現在の管理におきましては、最低限の親魚資源量の水準を下回らないことを目指して、TAC対象魚種は数量管理を、その他の魚種については自主的な措置に基づいた管理を主体に取り組んでまいりました。しかしながら、これでは、資源が本来有する潜在力を十分には活用できていない面がございます。また、環境要因による加入量の変動によって、資源量自体も不安定とならざるを得ない面がございます。

 新たな資源管理システムにおきましては、資源の水準を、現在の環境下において最大の漁獲量を持続的に達成できる水準に維持、回復させるという目標にしまして、漁獲量管理を基本とした管理を行うこととしておりますけれども、漁業者により行われてきました自主的管理も、この大きな枠組みの中で効果的に組み入れていくことが可能と考えておりまして、これら一連の措置を効果的に組み合わせることによりまして、資源量を増加させるとともに、その変動、どうしても水産資源は変動を伴いますけれども、この変動幅を小さくする、安定化させるということができる、そういうことを目指していきたいと考えているところでございます。

古川(康)委員 確かに、以前と比べると、気候も随分変化をしてきています。そういう中、長年の経験だけではなかなかうまく管理ができないということも事実かと思います。そういう漁業者の長年の知恵と科学的なデータとの組合せという長官からの御答弁でございましたけれども、ぜひいい形で組合せをしていただきたいと思います。

 一方で、そうはいっても、日本は、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、少量多品種な漁業を営んでおります。国が言うように簡単に数量管理するのは難しいよ、こうした声もありますけれども、こうした声にどう応えていかれますか。

長谷政府参考人 御指摘のとおり、我が国では、さまざまな漁法によりまして、さまざまな魚種を漁獲しております。そういうことで、これまでの取組でその難しさというものも痛感しておるわけでありますけれども、一方で、欧米におきましても、地域におきましては少量多品種の管理の困難性に直面しているという事例もございます。

 そのため、漁業者の負担を最小化し効果を最大限発揮できるように、漁業者の意見を伺いながら、欧米等の取組も参考にしながら、丁寧に具体的な管理手法を構築していきたいと思っております。その際に、漁業者の経営の安定のために、積立ぷらすなどの経営安定対策も活用して取り組んでいきたいというふうに思っております。

古川(康)委員 漁業者の負担を最小化しという御答弁がございました。さまざまな補助事業やさまざまな事業を進めていく際に、現場の漁業者あるいは農業者などにさまざまな書類を書き込んでいただくというのは、現場では相当な負担になっています。ぜひとも、今のお考えを現実のものにしていただきたいと思っています。

 ここで、そもそもの話としてお伺いしたいんですが、今回採用されているMSY方式、これについては、さまざまな議論として、評価しない声というのもあります。これはなぜなのでありましょうか。そして、そうした声に対してどのようにお考えになりますか、教えてください。

長谷政府参考人 最大持続生産量、いわゆるMSYの理論は、当初は、親の量がわかれば新たに資源に添加される子供の量も正確に推定できるという前提に立って、添加される最大量、すなわち資源から持続的に漁獲できる最大量がただ一点定まるとの考え方で定義されておりました。古典的なといいましょうか、資源学の教科書に出てくる話なんですけれども。

 現実の海洋環境では、新たに資源に加わる子供の量は変化いたします。MSYの推定が困難で、現実の、そういう古典的な考え方のMSYは資源管理に適用できないといった批判があったことは事実でございます。

 一方、近年、長期時系列データの集積やコンピューターシミュレーション技術の発達等によりまして、欧米では、MSYを、現在の環境や不確実性を考慮した上で、長期的に漁獲量が最大になると認定できる範囲に資源を維持する管理を行うことで得られる漁獲量というふうに捉えまして、資源の評価及び管理に取り入れるようになっております。

 我が国において、MSYを達成する水準に資源を維持、回復させることを目標とする資源管理を導入するに当たっても、資源調査を充実させることによってMSYの信頼性を高めながら、欧米のMSYの推定方法や運用を参考にいたしまして、我が国の水産資源の実情に即した適用を行っていくという考えでございます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 それでは、次に、成長産業化について幾つかお尋ねをいたします。

 まず一点が、養殖事業についてでございます。

 今回のこの案の中では、養殖事業の活性化、成長産業化というものが一つの大きなテーマになっていると思います。

 確かに、大手水産会社の子会社によるギンザケの養殖など、なかなか個人ではできなかったなというもので成功している事例があるということを承知しております。一方で、九州の例なんですが、かつて、外資系の企業がハマチの養殖に取り組んだところ、うまくいかずに結局撤退したというような例もあると聞いています。

 参入を簡単にするかわりに出ていくのも簡単にするということでは、地域とともにという漁業ということにはならないのではないかと思っております。まず、そうしたことについての考え方について教えてください。

長谷政府参考人 養殖業の成長産業化を図るため、国として、国内外の需要を見据えた戦略的養殖品目を設定するとともに、生産から販売、輸出に至る総合戦略を策定した上で、本格的に養殖業の振興に取り組むこととしております。

 また、こうした戦略的な取組とあわせて、我が国の水域を最大限利用するための漁業制度の改善や、沖合養殖システム開発等の新技術の積極的な活用を図りまして養殖業の発展を図っていくこととしておりますけれども、こうした施策を進める上で、企業の参入がある場合、地域との協調のもとで地域活性化に資することが重要であるというふうに認識しております。

 今回の水産改革における養殖業振興については、地域とともにという観点を重要視しながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

古川(康)委員 ぜひそのようにお願いをしたいところでございます。

 それと、養殖、これが成功すると、当然のことながら増産になります。すると、マーケットが一定だと、増産すると価格の暴落につながるのではないかという懸念を現場では非常にお持ちだと思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。

長谷政府参考人 この問題も、先ほど来いろいろな御意見を伺う中で出てきている問題でございます。魚類養殖業者の団体から、新規漁場が免許されて生産が無秩序に増大した場合に、国内市場での供給が過剰になることによって価格が急落、暴落して養殖経営に大きな影響を与える、そのことを懸念しているということをお聞きしているところでございます。

 こういった生産者の懸念を可能な限り取り除くために、国が定める総合戦略において、積極的に輸出向けの海外市場の開拓等を進めるとともに、国内外の需要に見合った秩序ある生産目標を設定いたしまして、官民一体となって目標達成に向けて取り組む所存でございます。

古川(康)委員 ありがとうございました。

 ここで、密漁についてお尋ねをしたいと思います。

 密漁に悩まされている地域は非常に多いと思います。佐賀県もそうであります。今回の見直しの中で、密漁に対する罰則が格段厳しくなりました。佐賀県でも密漁が横行しておりまして、現場では、このことについては大きなプラスに働くものと、歓迎の声をよく聞きます。

 この密漁対策の強化についてどのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。

長谷政府参考人 密漁に関するお尋ねでございます。

 全国で発生した漁業関係法令違反の件数ですけれども、平成二十八年におきまして千五百三十一件と、増加傾向でございます。特に、単価の高いナマコ等につきましては、悪質かつ組織的な密漁により、資源の枯渇が懸念される地域も出ているところでございます。

 密漁対策については総合的に進めていく必要がございますけれども、密漁が後を絶たない理由として、その一つとして、密漁で得られる利益と比較して法定刑が低いということで、犯罪抑止力が弱いということがあると考えております。

 このような現状を踏まえまして、今般の漁業法改正案におきましては、全国で組織的かつ悪質な密漁の対象となっておりますナマコ等の特定の水産動植物について採捕禁止違反の罪を新設いたしまして、三年以下の懲役又は三千万円以下の罰金、従来は二百万円が上限だったんですけれども、これを一気に三千万円という罰金を科すということを考えているところでございます。

古川(康)委員 ぜひとも取締りの強化もあわせてお願いしたいと思います。

 また、漁船の大型化についてお尋ねをしていきます。

 方向性として、漁船を大型化するという方向性が示されています。具体的にはどのような手法で進めていきますか。そして、それに対する支援策はあるのでありましょうか。

長谷政府参考人 漁船の大型化についてのお尋ねでございます。

 この問題につきましては、今回の改革の一つのテーマといいましょうか、若者にとって魅力のある漁船漁業を構築するということと非常に密接に関係しております。生産コストの削減や安全性、居住性、作業性を向上させるために、これは進めていく必要があるというふうに考えております。

 大型化に当たりましては、これまでも、適切な資源管理措置を講じることによりまして、資源への悪影響がないことを確認した上で、関係する漁業者からも理解を得ながら進めてきたところでございます。

 本法案では、漁獲量の相当部分に漁獲割当てが導入された漁船については、それぞれの資源をどれだけとるかというものが決まった漁船については、トン数規制等の規模の制限を定めないこととしておりますけれども、操業期間や区域、体長制限などの措置を講じていくなど適切な資源管理の実施や、紛争防止のための関係漁業者と丁寧な調整ということをしながら、適切に進めていきたいと考えているところでございます。

 なお、資源管理に取り組みつつ、収益性の向上や居住性、安全性、作業性の高い漁船の計画的、効率的な導入手法の実証のために漁船を大型化する取組に対しましては、漁業構造改革総合対策事業、別名もうかる漁業創設支援事業ということでございますが、これらの活用によりまして、支援を適切に進めてまいりたいと考えております。

古川(康)委員 前に、齋藤前大臣が大きな船に乗られて、そこで働く乗組員が余り体を動かさなくていいというので、たしか船の中にトレーニングジムがあるというようなお話をされていたかと思います。そのように、この漁船の大型化が全てが物事を解決するということではないにせよ、そうやってしっかりと漁獲量の管理をした漁船については、こうしたことも夢がある存在になっていくなということを感じているところでございます。

 夢ということで申し上げれば、佐賀県は十五年連続してノリの生産日本一でありますけれども、豊作になった年の翌年は、残念なことにやめる人がふえます。それはなぜかというと、収入がふえたら、それで借金を返して、もうそれでやめてしまおうという人たちが残念なことに出てきているんですね。続けても大丈夫だよということを浜の皆さんたちが思っていただけるように、ぜひ、今回の改正の中身についてしっかりとお伝えいただきたいと思います。これは答弁は結構であります。

 それと、漁業権の問題に移ります。

 あちこちで聞かれていると思いますけれども、水域を適切かつ有効に活用した場合には継続利用を優先する、この言葉の意味するところがどういうところなのかということについてのお尋ねをいたします。

 実は、佐賀県のノリ養殖では、病気、色落ち対策として、潮通しをよくするために、全体の区画漁場に張ることのできるノリ網の数、大体四十万枚なんですが、自主的に二割ほど削減をしているんですね。ですから、それだけ見ると、区画漁業権は設定されているけれども、ノリの養殖が行われていない区画漁場というものが存在しています。この場合、これは、水域を適切かつ有効に活用しているということになるんでしょうか、それともならないんでしょうか。これは随分心配しておられます。これについて教えてください。

長谷政府参考人 実はきのうも、有明海をめぐる四県の組合長さん、会長さんたち、そろっておいでになりまして、お話をしたところでございます。徳永組合長ともお話しさせていただきましたけれども、この適切かつ有効に活用している場合というのは、一般論としては、漁場の環境に適合するように資源管理や養殖生産を行い、将来にわたり持続的に漁業生産力を高めるように漁場を活用している状況と考えております。

 個々の事案は、地域の漁業に精通する都道府県が実態に即して判断するということでありますけれども、今のようなお話は魚類養殖にも通ずるわけなんですけれども、病気が起こらないようにというようなことで、その生産を長期的に続いていくようにコントロールしているというような取組であると理解しておりますので、そういうものであれば、それは当然のことながら適切かつ有効に活用しているんだというふうに判断されるものと思います。

古川(康)委員 ありがとうございます。今の御答弁を聞いておられる現場の方々、それで安心されたと思います。

 最後の質問であります。予算の確保についてでございます。

 平成三十一年度水産庁の予算編成の概算要求の金額、非常に意欲的な内容であったと理解をしているところでございます。その金額と割合、伸びの内容について、これは数字でございますので、長官の方からお願いしたいと思います。

 そして最後に。この法案が成立しても、その裏打ちとなる予算がしっかり確保できなければいけません。初年度から思い切った動きができなくなります。平成三十一年度の予算確保に向けて、これは大臣の決意をお願いします。

長谷政府参考人 平成三十一年度水産関係予算の概算要求額ということでございます。

 この水産改革を後押しするという意味で、総額三千三億円、前年度比で千二百三十一億円増、一六九・五%の伸びとなっております。

吉川国務大臣 平成三十一年度の水産関係予算についてでありまするけれども、水産政策の改革を確実に実行に移していくために、また、新たな資源管理システムの構築と水産業の成長産業化を図る上で、私は極めて重要なものと考えております。

 年末の決定に向けて、必要な予算が確保できますように最大限努力をしてまいりますし、全力で対応してまいりたいと思います。

古川(康)委員 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、木村次郎君。

木村(次)委員 おはようございます。

 自由民主党、青森県選出、そして、津軽平野のほぼ真ん中に位置しております、リンゴの主力品種であります「ふじ」の発祥の地、藤崎町生まれの木村次郎でございます。

 農林水産委員会では二回目の質問となりました。貴重な機会をいただいたことに、皆様に感謝申し上げたいと思います。

 吉川大臣、そしてまた小里副大臣、濱村大臣政務官におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、我が国を取り巻く広大な海は、豊かな水産資源に恵まれております。私たち国民は、この恩恵を受けて、多種多様な水産物を利用してきました。日本の漁業は、国民の豊かな食生活を支えるとともに、漁村地域、浜を支える柱でもあります。私も、きょうは宿舎でサケの焼き魚定食をいただいてきたところでございます。

 しかしながら、かつては世界一の地位を占めた日本の漁業生産量は長期的に減少を続けており、その背景には、遠洋漁業の縮減、海洋環境の変化、漁業従事者の減少等もあります。しかし、魚そのものが減っている、つまり水産資源が減少しているということも大きな要因と考えられるわけでございます。

 西側が日本海、北側が陸奥湾と津軽海峡、また東側が太平洋に面しております青森県も、大間を始めとするマグロだけではなくて、イカやサバなど多くの魚種が水揚げされておりますが、近年は、残念ながら漁獲量の減少が問題となっているところであります。このため、つくり育てる漁業の推進という観点から、ヒラメやサケ、アワビ、ナマコなどの種苗生産と放流にも積極的に取り組んでおります。

 ちなみに、青森県の魚はヒラメでございます。

 先ほど大臣の答弁にもございましたが、そもそも、日本の周辺には世界有数の漁場が広がっており、漁業生産の潜在力には大きなものがあります。この潜在力を生かし、そしてまた引き出していくのであれば、水産物輸出を含めて、日本の水産業の発展の可能性には大変に大きなものがあります。日本の漁業をめぐる環境が大きく変化する中で、将来を見据え、日本の水産業が変化に的確に対応して発展できる仕組みに変えていくことは待ったなしの状況であります。

 今こそ水産改革を実行して、そして、水産業の成長産業化に向けて、国を挙げて数々の課題に積極果敢に取り組んでいかなければならないという認識に立ち、以下、質問に入らせていただきます。

 まず、本法律案では、漁業の基礎となります水産資源管理について、国際的にも遜色のない、新たな資源管理を構築するということとしております。

 では、どのように資源管理を強化していくのか、その狙いは何かについて御見解を伺います。

長谷政府参考人 水産物、まさに多種多様でございます。今ちょっとお話を伺っただけでも、マグロ、イカ、サバ等々出てまいりました。

 イカはちょっと残念ながら今低調ということでありますが、イワシはふえてきている。これが、同時にはなかなかふえない。イカが多いときはマイワシは少ない、こういう関係にございます。一方でサバは今どんどんふえている。マグロについても、大分資源回復の取組の効果が出てきて、むしろ、帰ってきたマグロをどうとり控えるかが今大変な問題になっている。

 こんな状況でございますけれども、水産業が将来にわたって成長していくためには、漁業が持続的に営まれ、安定的な漁業生産量を確保できるように、適切な資源管理の実施、これが不可欠でございます。

 このため、本法律案におきましては、最新の科学的知見を踏まえまして、水産資源ごとに資源評価を行いまして、現在の環境下において持続的に最大の生産量が得られる資源水準を目標値として設定いたしまして、目標値を達成するための漁獲可能量、TACを設定した上で、IQ等の漁獲割当ての手法等を進めながら漁獲量そのものを管理することを基本とする、こういうことで資源管理の実効性を高めていくこととしております。

 こうした新たな資源管理システムによりまして水産資源の維持、回復を図ることで、漁業生産の減少傾向に歯どめをかけ、漁業生産の安定、水産業の成長産業化の実現につなげていきたいと考えております。

木村(次)委員 ありがとうございます。

 今、話にございましたいわゆるMSY、これを達成できる資源水準ということを目標としていくことで漁獲量等の増大を目指していく。効果的に発揮されることを御期待申し上げたいと思います。

 次に、沿岸養殖漁業についてお伺いします。

 全国津々浦々の漁村では多様な漁業が営まれており、特色のある食文化や、地域社会あるいはコミュニティー、また地域経済等々を支える重要な産業となっております。

 本法律案では、沿岸養殖漁業にかかわる海面利用制度を見直すこととされておりますが、漁業者の中には不安の声も一部あるやに伺っております。この改革は、現に漁業に携わっておられる皆様が将来に向けて安心して漁業を営んでいけるようにすることが重要であると考えております。

 そこで、今回の海面利用制度の見直しを行う趣旨はどのようなものなのか、また、それによって漁業権を持っている漁業者や漁協はどうなるのか、大臣にお尋ねします。

吉川国務大臣 漁業者の減少ですとか高齢化が進む中で、地域によっては漁場の利用の程度が低くなっているところもあると承知をいたしております。今後、どのように沿岸漁場の管理や活用を図って地域の維持、活性化につなげていくかが大きな課題となってもおります。

 このために、本法律案におきましては、法律で詳細かつ全国一律に漁業権免許の優先順位を定める仕組みを改めるということにいたしました。漁場を適切かつ有効に利用している漁業者や漁協につきましては、将来に向けて安心して漁業に取り組んでいただけるよう、優先して免許する仕組みとしたところでもございます。その上で、利用の程度が低くなっている漁場につきましては、地域の実情に即して、水産業の発展に寄与する者に免許するなど、水面の総合利用を進めることといたしているところでもございます。

 こうした改正は、漁協や漁業者の経営の安定化、新たな投資等による経営の発展に向けたインセンティブになるとも思っておりまして、漁業者に将来の展望を示しながら、地域の創意工夫を生かした浜の活性化につながるものと考えております。

木村(次)委員 ありがとうございます。

 今の大臣の答弁でございますが、既存の漁業者、漁協それぞれ適正に行っているのであれば優先的にこれまでどおりいろいろ携わっていけるということで、また安心できるのではないかと思っております。

 また一方で、新しい外部からの参入等々も含めて、そこの漁村ではトータルでは効率的に漁業が展開されていくということでは、非常に期待が大きいものであります。

 ありがとうございます。

 私の地元青森県では、日本海側に位置しております深浦町において、地元企業であります株式会社オカムラ食品工業さんが、海外市場で蓄積してきたサーモン養殖のノウハウによって、地元漁協や地方自治体などと信頼関係を築き、そして、協調して大規模にサーモン養殖を開始しております。ことし初夏には初めて出荷されたところでございます。

 このサーモンは、都市部の消費地でも非常に高い評価を受けていると聞いております。私も新聞等々で、回転ずし、すし屋さんなんかでも、特に子供たち、家族、ファミリー層が、このサーモン、非常に人気があるということで、需要が旺盛だというふうにも伺った記憶がございます。

 このことで地域の活性化の機運が高まり、また、雇用や経済の面も含めて、地元に大きく貢献するのではないかと非常に期待しているところであります。

 漁獲が低迷している中、計画的な生産が可能な養殖業を振興するということは、我が国水産業の発展のために大変重要なことであると考えております。先ほどの古川委員の御質問とややかぶるかもしれませんが、いま一度、この青森県深浦町の先進事例を踏まえまして、養殖業をどのように振興していくのかについてお伺いします。

長谷政府参考人 養殖業の振興につきましては、国として、国内外の需要を見据えた戦略的養殖品目を設定するとともに、生産から販売、輸出に至る総合戦略を策定した上で、本格的に取り組んでいくこととしております。

 こうした戦略的な取組とあわせまして、我が国の水域を最大限活用できるように、漁業権制度を改めまして、水域を適切かつ有効に活用している者については優先して免許する仕組みとし、安心して漁業経営や将来に向けた投資ができるようにするとともに、これまで活用されてこなかった沖合水域なども含めまして、養殖適地の拡大に努めていきたいということであります。

 また、この改革を進めていく中で、沖合養殖システムの開発や、優良種苗、低コスト飼料等の新技術の積極的な活用というのは、これはぜひやりたいというふうに思っております。我が国における養殖業の発展をそういうことで総合的に図っていきたいということであります。

 こうした施策を進める上で、企業の参入がある場合、地元との協調が求められるのは当然のことと考えております。

 委員御指摘の、言及ありました深浦の事例につきましては、私も何度か社長さんともお会いしましたし、一緒にシンポジウムに参加させていただいたりしております。この事例は、漁協、自治体との協調のもとで企業の参入が円滑に行われているモデル的な事例と認識しておりまして、他地域の皆さんにも御紹介しているところでございます。

 今後、このような先進事例も踏まえまして、施策を総合的に実施していくことによって、我が国の養殖業の振興を積極的に図ってまいりたいと考えております。

木村(次)委員 ありがとうございます。

 深浦町のこの事例、大変高い評価をいただいているということで、大変光栄に思っております。全国それぞれいろいろな成功、優良事例があると思いますので、おのおのノウハウを、ぜひ水産庁においてもいろいろな場面で提供し合いながら、そしてまた、オール・ジャパン、トータルでこの養殖事業が更に振興、発展することを期待するものでございます。

 さて、こうした改革を進めるためには、漁業者自身の取組自体も不可欠でございます。また、そのためには、漁業者を組織する漁協の役割が大変重要でございます。今後もこの役割を的確に果たしていくためには、漁協自身にも積極的な取組が求められると考えております。

 それでは、水産改革を進める上で、漁協に対してはどのような役割を期待するのかをお伺いいたします。

長谷政府参考人 漁業協同組合は、漁業者の協同組織として、組合員のために漁獲物の販売等の事業を実施するとともに、これは陸奥湾のホタテ養殖などが典型例だと思いますけれども、漁業権の管理などの公的な役割も担っておりまして、漁業者にとって極めて重要な役割を果たしていると認識しております。

 今回の水産改革によりまして、適切な資源管理の実施等によりまして漁業者の所得向上の実現に向けて取り組んでいく上で、漁協がその役割を最大限に発揮していくことが期待されております。

 このため、本法律案におきましては、漁協につきまして、組合員の漁業所得の増大に最大限の配慮をしなければならない旨を法律に明記する、あるいは、販売事業等に関しまして能力を有する者を役員にすることを義務づけ販売力の強化を図る、それから、信漁連等に公認会計士監査を義務づけまして健全性の確保を図るといったことによりまして、漁協の事業、経営基盤の強化を図ることとしているところでございます。

木村(次)委員 ありがとうございます。

 これから、そういった意味におきましては、漁協の果たす役割というのはますます大きなものがあるというふうに考えてございます。また、こういったことを含めて、それぞれ地域地域において有効に機能していくこと、これは農協の改革、一連、先行しているそういうようなものもあるわけでございますので、そういったものもまたノウハウを参考にしながら、より一層漁協の活性化に取り組んでいくことを期待したいと思っております。

 次に、漁業法を始めとする漁業関係法令違反、いわゆる密漁問題についてお伺いします。

 全国各地で、漁業者以外の者がアワビやナマコといった非常に単価が高い、評価が高い水産物を違法に採捕し、地元の漁業者が大切に管理している資源に深刻な影響を及ぼすことが懸念されている事例が散見されております。

 先ほど古川委員からも質問があったわけでございますが、私の地元であります青森県の陸奥湾、ここはナマコも非常に高い評価を受けて、近隣諸国に対して、富裕層に対しても高い価格で買っていただいているというような実態がございます。

 この事例を見ましても、近年、このナマコの密漁問題が非常に深刻化してございます。現在、青森県漁連が主体となって、漁業者による効率的な監視体制を構築する、そういった対策を講じているところでございます。

 こうした密漁問題に対しましては、適切な資源管理、漁業の健全な発展という観点から、関係する行政機関、また漁業者等現場関係者との連携のもとに、制度的な措置も含めて一体的に対策を講じていくことが必要であるというふうに考えております。

 そこで、この密漁問題につきまして、水産庁がどのように現状を認識しているのか、また、今回の法案による罰則の改正も含めて対策をどのように強化していくのか、その方針について伺いたいと思います。

長谷政府参考人 古川委員へのお答えと若干重複いたしますけれども、全国で発生した漁業関係法令違反の件数は、平成二十八年におきまして千五百三十一件と、近年増加傾向にございます。特に、単価の高いナマコ等につきましては、悪質かつ組織的な、要するに暴力団が関与したような密漁によりまして、資源の枯渇が懸念される地域も出ているところでございまして、私自身も青森漁連の皆さんからこの問題についていろいろと伺っているところでございます。

 このような密漁が後を絶たない理由といたしましては、密漁により得られる利益と比較して法定刑が低いために、犯罪抑止力が弱いんじゃないかということが考えられたわけであります。

 そのようなことを踏まえまして、今般の漁業法改正案におきまして、全国で組織的かつ悪質な密漁の対象となっておりますナマコ等の特定の水産動植物につきまして採捕禁止違反の罪を新設し、三年以下の懲役又は三千万円以下の罰金を科すこととしたいと考えているところでございます。

 この罰則強化の効果を高めるためには、都道府県、海上保安庁、警察そして水産庁等の関係機関が関係漁業者などとも連携して実施することが効果的であると認識しております。

 また、関係者が密接に連携して、情報共有、合同取締りの強化、漁業者みずからによる監視、パトロール等の密漁対策への支援等を行うとともに、トレーサビリティーの出発点でありまして、密漁品の市場流通からの排除にも資すると考えますので、漁獲証明に係る法制度の整備も今後検討を進めていきたい。

 あらゆる政策手段を総動員いたしまして密漁対策を進めていきたいというふうに考えております。

木村(次)委員 ありがとうございます。

 日本の漁業は、豊かな水産資源を将来にわたって持続的に利用することによって、水産物の安定供給とともに、漁村地域の経済活動や国土保全など多面的な機能を発揮することが期待されております。

 今回の水産改革を実現することによって、将来にわたり、国民が豊かな水産資源の恩恵を享受し、津々浦々の漁村の維持発展が図られますよう、我々与党も一丸となって尽力してまいる所存でございます。

 政府におかれましても、水産改革が現場の漁業者にとって実りのあるものとなるよう全力を尽くしていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 きょうは、漁業法等の一部を改正する等の法律案、この審議に入りまして、きょうからいよいよこのテーマで審議が進められていくということです。私はこの日を大変待っておりまして、法案審議をしっかりとさせていただいて、この法案の必要性と、そして、この法案を成立させると同時に、その中身について、関係者の方々の不安やあるいはいろいろな思いを、この国会できちんとそれを質疑を通して明らかにしていく、あるいは充実させていくということが我々国会議員に課せられた使命である、このように思っているところでございます。ぜひ、こうした審議の充実のために、さらにまた委員長始め我々も努力をしていきたい、このように思っているところでございます。

 そこで、きょうは通告に従って順次質問してまいります。

 先般も一般質疑のところで少し触れましたが、今、我が国を取り巻く漁業の環境というのは大変大きく変化をしてきているということ、水産資源の減少、それから、そのことによって生産量や漁業者も随分と減少しています。それから、日本の周辺地域での外国漁船の操業、これが活発化しているということ、また、人口減少による消費の影響も随分顕著になってまいりまして、国民の魚離れが進行している、このようにも言われています。

 一点、先般私が漁業者の就業人数等について触れましたが、直近の数字が出ましたので改めて報告しますが、平成二十九年時点で十五万五千人、前年比で四%減少しています。

 こうした状況の中で、いかにして水産物を安定的に供給をして、漁村の維持発展をさせていくのか。そして、将来を見据えた、変化に耐え得る仕組みの構築がまさに今求められている、こう思っております。こうしたことを背景にして、水産資源の持続的な利用を確保して水面の総合的な利用を図る、そのために今回この法律案が提出された、このように承知しています。

 ここで一つ、関係団体の声も紹介をしていきたいと思います。要望いただいたことの文面の一部をそのまま読み上げさせてもらいます。

 水産業界の最大の使命は、将来にわたり国民、消費者に対する水産物の安定供給を図ることであります。そのためには、水産業の成長産業化を進め、国際競争力のある強い水産業を確立することが必要であり、供給面においては、人、船、資源それぞれの分野で構造改革を進めるとともに、需要面では、輸出促進や加工、流通、消費面での対策を図り、オール水産として全力で取り組む覚悟です。つきましては、水産政策の改革が実効あるものとなりますよう、そして改革に伴う財政支援を充実していただきたい。

 こういう、関係団体からの切望するそういう声があるということも、私たち国会議員は真摯に受けとめていかなければならない、こう思っております。

 そのようなことを前置きとしてお話をさせていただき、順次質問に入ってまいります。

 まず一点目ですけれども、これも重複して恐縮ですけれども、さきに質問された方々、私も党の立場もありますので、そこは御理解いただいて、質問をさせていただき、内容を更に詰めていきたいと思っています。

 新たな資源管理システムについて。

 この漁業法の一部改正案の中の新たな資源管理システムについて伺うわけですけれども、マグロやサンマ、サケを始めとした特定の魚種によっては、生産量が上がらず、資源の減少が懸念されている。減っている原因はいろいろあると思います。例えば、海の環境の変化ということが挙げられている。しかし、海の環境の変化というのは我が国に限ったことではありませんで、世界の各国においても、同じようなこの環境の変化というのは出ております。いわば、世界的にも変化があるということです。

 資源管理が適切なのか、それから、科学的で効果的な資源管理が行われているのか、こういうことが今まさに求められているところに来ているというふうに思っております。

 そして、ここから質問なんですけれども、それでは、現在、我が国は、資源評価あるいは資源の管理が国際的に見てどのような水準にあるのか、こういうことを前提にした上で、二つ、このことについて、あわせて質問をさせていただきます。

 この新たな資源管理システム、数量管理の対象となる水産資源の資源評価が行われたもののうち、資源の特性等から見て漁獲可能量、TACの設定が可能なものを定めるとしている、導入に当たっては、現場の実態を踏まえることが重要であるというふうに私は思っています。そしてもう一つ、これは非常に大事なことですけれども、魚種の選択性が低い定置網の漁などに対する現場の不安は大きいと思います。

 そこで伺いますけれども、沿岸漁業の小規模漁業者にこうしたことについては十分配慮すべき、このように考えていますが、どのように対応するか、これが一つ。

 あわせて、もう一つは、この資源管理の強化による漁業経営への影響を懸念する漁業者の声に対応した上で、計画的に資源管理等を行う漁業者に対する支援は必須である、私はこう思っておりまして、現行の積立ぷらすを活用した収入安定対策、それから燃油等の上昇によるコスト対策、これで果たして本当に十分なのかどうか、こういうことがございまして、二点あわせてお伺いさせていただきます。

長谷政府参考人 新たな資源管理システムにおきましては、資源の水準を、現在の環境下において最大の漁獲量を持続的に達成できる水準に維持、回復させることを目標といたしまして、漁獲量管理を基本とした管理を行うこととしております。このことによりまして、沿岸漁業を始めとする漁業全体の維持発展につながるものと考えているところでございます。

 この漁獲量管理の具体的な実施に当たりましては、御指摘のとおり、魚種の選択性が低い定置網漁業を含めまして、極めて多様な漁法で行われている日本の漁業、そして対象種も非常に多いというその沿岸の小規模な漁業者の実態、そういうものに十分配慮して、漁業者の負担を最小化しながら効果を最大限発揮できるように、漁業者の方々の意見を伺いながら、管理手法を丁寧に丁寧に構築していく必要があるというふうに思っております。

 さらに、そういった取組をしていただく漁業者に対する経営の支援ということであります。委員から言及していただきましたけれども、漁獲共済、漁業共済と積立ぷらすで収入の方の安定を図りながら、セーフティーネット事業と言っておりますけれども、漁船漁業については燃油、魚類養殖については餌というようなことで、コスト対策もあわせて、こういうものを動員しながら、こういった経営安定対策の活用を十分に図って進めてまいりたいというふうに思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 今の御答弁にありましたけれども、一つだけちょっと例を挙げておきたいと思います。

 これは、きょうお集まりの議員の方々は十分御承知だと思うんですけれども、クロマグロと沿岸漁業の漁の関係なんです。何を言っているかというと、この沿岸漁業の漁の特性ということを私たちは十分認識しなくてはいけないという話なんですね。

 例えば、ブリの定置網がある、そのブリの定置網にクロマグロが入ってきたらどうするか。これはもう、漁業者の方々は仕方ないですね。それをしっかり遵守するのであれば、その定置網から全部魚を一回出さなきゃいけない、こういうことも考えられるわけですよ。きっちりやろうとすると、そういう話になってくる。

 ですから、こういうことを考えていくと、じゃ、そこのところは休漁補償するのかとか、いろいろな議論がありますけれども、私は、ここはもう本当に丁寧に現場の声を聞いてあげていただきたい、そしてそれを施策に反映すべき、こう思っています。

 それからもう一つ、今お話のあったセーフティーネット、それから積立ぷらすの話がありましたが、私は、これをしっかり進めていくことが大事だと思っていますが、もう一点、漁業者からの強い要望というのは、漁船リース、これを継続的にやっていただきたい。これはもう大変強い要望がありまして、補正等で対応していく、そういうことになると思うんですけれども、ぜひとも、こうした沿岸漁業者の方々への支援ということでは、このことを申し上げておきたいというふうに思います。

 次の質問に入ります。

 次は、漁業権の制度の見直しについてということでございますけれども、もう一回、このことに触れながら質問に入っていきたいと思います。

 本法案では、都道府県が漁業権を付与する際の優先順位の法定化は廃止をするということ、そして、かわって、既存の漁業者が水域を適切かつ有効に活用している場合は継続利用を優先する、それ以外の場合は、地域の水産業の発展に資するかどうかを総合的に判断する、これが今回の法制化の中身でございます。

 したがって、ここで考えていかなきゃいけないのは、優先順位の法定化は廃止するが、新規参入を認める場合は地元漁業者との調整はどのように行うのかということが一点。それからもう一点は、それに関連した判断基準、ガイドラインの話です。

 漁業権の免許は都道府県の自治事務だ、その上で、免許すべき者の決定に当たっては、既存の漁業権者が適切かつ有効に活用している場合はその者に、それ以外のものには地域の水産業の発展に最も寄与すると認められる者としてあります。

 この適切かつ有効な活用、また地域の水産業の発展に最も寄与する判断基準について、これは本会議等でも一部触れておられましたけれども、この判断基準を明確に示してあげるということが、現場の懸念を払拭する大きなテーマだと思っています。

 したがって、国はこのガイドライン等を定めるべき、私はこう思っていますし、そのガイドラインをいつまでにどのように出すのか、この点についてお伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 今回の法案におきまして、漁業権につきましては、法律で定める優先順位を廃止をして、漁場を適切かつ有効に活用している漁業者や漁協に優先して免許する仕組みとするとともに、新たな漁場などにおいては、地域の水産業の発展に最も寄与する者に免許をすることといたしているところでもございます。

 免許に当たりましては、事前に既存の漁業者等の利害関係者の意見をよく聞いて検討を加え、その結果を踏まえて海区漁場計画を策定しなければならないことといたしておりますので、新たな漁業権につきましても、地元の漁業者が主体となる海区漁業調整委員会の意見を聞くことを通じて、現に周辺で操業する他の漁業への影響が考慮されるものと考えております。

 委員御指摘の免許の判断基準についてでありまするけれども、各地域のさまざまな条件のもとで、多様な漁場の活用実態を踏まえ、地域の漁場に精通をする都道府県が判断することになろうかと存じております。その際、都道府県が新たな制度のもとで円滑に混乱なく免許することができますように、今御指摘のありました、国としてのガイドラインを示すことになろうかと思います。その内容等、いつまでに示すかということについてでありまするけれども、法案の成立後、速やかに都道府県と意見交換を開始して、できるだけ早くまとめていきたいと考えております。

稲津委員 今大臣に御答弁いただきましたけれども、とても大事なポイントを明確にお話をしていただきました。

 このガイドライン、法案成立後、速やかにお示しされるということですので、ぜひ大臣の責任のもとで、このことについては確実にそれを実行していただくと同時に、そのことをさらに、農林水産省として関係者にしっかりと丁寧に迅速にその情報を出していただくということを、改めて求めておきます。

 次の質問に移ります。

 次は、漁業者の所得向上に関連して、いわゆる販売のプロの登用ということでお伺いしておきたいと思います。

 今回の改正案では、役員に販売のプロ等を入れることを位置づけております。販売の専門能力を有する者を漁協の役員に登用するということは、販売の強化、促進にとっても大変必要なことであろう、このように思っております。

 そこで、昨今は、漁組の役員や職員が備えた専門知識、また豊富な経験を通して積極的に営業展開を進めていって、独自の販路を開拓する、そういう成果も得ている組合も少なくないというふうに承知しています。

 ここで、まず一つ目の問いなんですけれども、これまでのこうしたことに対する漁組の取組をどのように評価をしているかということ。それから、今回の改正にある、理事の一人以上は水産物の販売若しくはこれに関連する事業又は法人の経営に関し実践的な能力を有する者でなければならないとの規定は、外部登用に限らず、内部でも有用な人材があれば登用は可能であると考えますが、このことを具体的に、どのように販売のプロの登用を進めていくのか、このことについてお尋ねします。

長谷政府参考人 漁協は、みずから開設した産地市場におきまして組合員の漁獲物等を販売するほか、小売業者との直接取引や地産地消の推進、ブランド化等による付加価値の向上にも取り組んでおりまして、こうした取組によりまして漁業者の経営安定に寄与しているものと、ここは評価しているところでございます。

 今回の改正によりまして、漁協の中心的な事業でありまして漁業者の収入に直結する販売事業につきまして、水産物の販売等に能力を有する方に理事に就任していただき、販売事業の強化に積極的に取り組んでいただくことを期待しているところでございますが、この水産物の販売等に能力を有する者につきましては、それにふさわしい方であれば、常勤、非常勤の別を問わず、また外部登用を義務づけるものでもなく、漁協の内部登用でも可能というふうに考えているところでございます。

稲津委員 これも今明確にお答えいただきましたので、関係者の方々にはちょっと安堵の声もいただけるんじゃないかなと思っています。

 私は、ここは、漁協の方でもそれから外部の方でも、それは構わないと思うんです。問題は、いかにして販売を促進できるかどうか、これがポイントなのと、そのことによって、今なかなか所得が上がっていかない、そういう漁業者や関係者のところにきちんと手が届くということが大事だと思っていますので、これはそのようなことで実効性のある対応を求めていきたい、このように思う次第でございます。

 それで、四番目の質問ですけれども、本当は水産業協同組合法の一部を改正する法律案、ここに入っておきたかったんですが、時間の関係上、これは次回に回すことといたしまして、公認会計士監査の導入についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 改正案では、信漁連等一定規模以上の信用事業を行う組合に対し、公認会計士による監査を導入する、このようにしております。事業や経営基盤の強化を目的とした措置を講ずること、これが目的である、このように理解をしていますが、このことによって新たな負担が生じないのか、これがいわゆる現場の不安の声の一つでもあります。

 それからもう一つは、それじゃ、これまで漁業協同組合連合会による監査が行われてきたわけですけれども、この監査の果たしてきた機能は一体どのようになるのか。要するに、どう評価しているのかということをお伺いしたいと思います。

長谷政府参考人 漁協等に対する公認会計士監査の導入についてでございます。

 これまでの全漁連にかわりまして一般の監査法人が監査を行うこととなるため、費用負担の増加が懸念されているところでございます。

 このため、改正法附則に、公認会計士監査の導入に際し、組合の実質的な負担が増加することのないよう、政府として配慮する旨、規定しているところでございます。

 公認会計士監査への移行に当たりましては、特に、信用事業と経済事業をあわせて行っております県一漁協等において、監査費用の負担がふえないよう準備を進めていく必要があると考えておりまして、具体的な取組については、全漁連等とも連携をとりながら対応してまいりたいと考えております。

 また、公認会計士監査の移行には十分な移行期間を設けるとともに、これは法施行日から四年以内で政令で定める日というふうにしておりますけれども、その移行期間を設けるとともに、漁協における内部統制改善のため、コンサルタントの派遣等を支援する予算を要求しているところでありまして、水産庁としてもしっかりバックアップしてまいりたいと考えております。

 また、これまで行ってこられました全漁連の監査についてどう評価しているのかというお尋ねもあったと思います。

 全漁連においては、JF全国監査機構を設置し、公認会計士も配置した上で、漁協の実務に明るい水産業協同組合監査士の活用等によりまして監査を実施してきたところでありまして、漁協系統の経営の健全性の確保に貢献してきたものというふうに評価しているところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 時間の関係上、これで質問を終わりますけれども、きょうの私の質問の最後に、一点だけ触れて終わりたいと思います。それは、全国各地の漁協それから連合会の果たしてきた役割ということについてもう一度確認をしていきたいと思うんです。

 全国各地の漁協、これは、協同組織として、販売事業ですとか漁業権の管理等に取り組んで漁業の維持発展を図ってきた。それから、漁協は、情報共有を通して、いわゆる海の監視ネットワークをもって国境監視を担う、そういう役割も果たしてきたということ。連合会はそれを、漁協をサポートして、そして系統の組織の連携を進めてきた。いわゆる漁業を取り巻くさまざまな課題に直面する中で、漁組、連合会が一体感を持って取り組んできた成果は私は大きいと思っております。

 そうしたことをしっかり踏まえた上で、さはさりながら、これからの漁業をどうしていくのか、所得の向上をどう図るのか、資源管理をどうするのか、こうしたことが今回の法案の肝でございまして、ぜひこの法案の審議を更に進め、そして深めていきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、立憲民主党・市民クラブの質疑時間に入るのでありますが、御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

武藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより立憲民主党・市民クラブの質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕

    〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕

武藤委員長 立憲民主党・市民クラブの残余の質疑時間は後刻に譲ることとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十二分開議

武藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ及び国民民主党・無所属クラブ所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

武藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、立憲民主党・市民クラブ及び国民民主党・無所属クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十六日月曜日午後一時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武藤委員長 質疑を続行いたします。

 これより立憲民主党・市民クラブの残余の質疑時間に入ります。

 これにて立憲民主党・市民クラブの質疑時間は終了いたしました。

 これより国民民主党・無所属クラブの質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕

    〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕

武藤委員長 これにて国民民主党・無所属クラブの質疑時間は終了いたしました。

 次に、無所属の会の質疑時間に入るのでありますが、御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

武藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより無所属の会の質疑時間に入ります。

 これにて無所属の会の質疑時間は終了いたしました。

 次に、日本共産党の質疑時間に入るのでありますが、御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

武藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより日本共産党の質疑時間に入ります。

 これにて日本共産党の質疑時間は終了いたしました。

 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も質問をさせていただきます。

 それでは、早速質疑に入ります。

 漁業法については、十五日の本会議でも質問をさせていただきました。本日は、まず、漁業に携わる人の観点で質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 年々漁業就業者数は減少し、担い手不足が深刻であると聞いております。

 そこで、伺います。

 漁業就業者数の、ピーク時と現在の漁業就業者数の変化と減少率について教えてください。

長谷政府参考人 漁業就業者数は、一貫して減少傾向にございます。統計上さかのぼれる最も古い年であります昭和三十六年には六十九・九万人であったものが、平成二十九年には十五・三万人となっております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大変減少していると思います。深刻であると思います。

 しかし、毎年新規に漁業という職業につかれる方々もいらっしゃいます。新規漁業就業者数の推移について教えていただけますでしょうか。

長谷政府参考人 新規就業者の確保につきましては、就業希望者が経験ゼロからでも就業、定着できるよう、就業相談会の開催や漁業現場での長期研修等を支援しておりまして、近年、千九百名程度で推移しております。

 手元の資料によりますと、平成二十一年以降、最大が二千二名、これは平成二十一年の数字ですけれども、最小が千七百七十六名、これは平成二十三年ということで、ほぼほぼ千九百名程度で推移しているということでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 最近では二千名弱いるということですが、それでも実際には全く足りていないという状況だと思います。

 現在、入管法改正が審議されており、先日出されたデータを見ましたけれども、漁業の分野では、現在、五千人の人手不足で、五年後には二万人の人手が足りなくなる、そして、初年度六百人から八百人、五年目までに七千人から九千人の外国人を受け入れるとのことです。

 人手不足で困っていらっしゃる現場の方の声を聞くと、外国人の方に日本に来てもらい働いてもらうというのは、一定の理解はしております。それが現場で望まれている声なのだと思いますので、私は現場の声は大事にすべきと思っております。

 ですが、今後、外国の方の受入れをしても、日本の若者が漁業というなりわいを選択できるよう、漁業従業者の所得向上につながる法改正であってほしいと願っております。

 漁業法の改正によって、漁業就業者数の増加など、漁業人材の将来像をどのように考えているのでしょうか。お聞かせ願います。

長谷政府参考人 漁業就業者数は高齢者の退職により今後も減少が続くことが想定されておりますため、毎年二千人の新規就業者の確保を目標としているところでございます。

 そのためには、すなわち、日本の若者の就業を促進していくためには、我が国の漁業を、持続的に営むことができ、また、創意工夫により経営発展を図ることができる、やりがいのある、魅力のある産業にしていくことが不可欠であると考えております。

 このため、持続的に漁獲できるよう、新たな資源管理システムの導入などによりまして水産資源の維持、回復を図るとともに、今後の方向性として、漁獲量の相当部分にIQが導入された漁船については、規模に関する制限を定めないことなどによりまして、作業性、居住性、安全性の向上を図り、経営判断に基づき、労働環境の改善や生産性の高い効率的な操業を行うことができるようにしたいというふうに考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 若者にとって魅力ある産業となるように、労働環境の改善などいろいろ工夫をしていただいていると思いますが、その思いが現場には届いていないようにも感じます。特に、日本の若者がよい条件で漁業に携われる仕組みをつくるべきと強く思っております。お願いしたいと思います。

 今回の法改正では、船舶のトン数制限緩和など、生産性向上に資することを目的とした改正を行うとのことですが、どの程度の効率化を考えられているのでしょうか。そして、その効果によって労働力不足の改善にもつながると見込まれているのでしょうか。教えてください。

長谷政府参考人 我が国の漁業は数多くの資源を対象に、さまざまな漁法により営まれているという特性があることから、一律の効率化の程度の目標は定めておりませんけれども、各地域の水産資源や漁場を十全に活用することで、減少傾向にある漁業従事者の確保に資するものと考えております。

 今回の漁業法の改正に加えまして、就業支援対策もあわせて実施するなど、政策を総動員することによって、我が国漁業の魅力が高まり、若者の就業が促進していくものと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 今回の法改正が、漁業従事者の生産性向上、人手不足の解消、そして所得向上につながるような改正となることを願っております。

 次に、資源管理、適切な漁場の管理について伺います。

 今回の法改正によって資源管理の導入を進めていくことで、現場の漁業者にどのようなメリットがあるのか、教えてください。

濱村大臣政務官 お答えいたします。

 我が国の水産資源において、平成三十年度の資源評価が終わった四十八魚種七十九系群の資源状況については、低位水準は五一%、四十系群、中位水準は三三%、二十六系群、高位水準につきましてはわずか一六%の十三系群となっております。

 このため、新たな資源管理システムにおきましては、資源の水準を、現在の環境下において最大の漁獲量を持続的に達成できる水準、MSYでございますけれども、この水準に維持、回復させることを目標とし、漁獲量管理を基本とした管理を行うこととしております。

 資源の回復に伴い、単に漁獲量が増大するだけではなくて、大きく単価の高い魚を漁獲する、操業に係る経費の削減が図られるなど、漁業経営の選択肢が広がることで、特に沿岸を含めた漁業全体の維持発展につながるものと考えておるところでございます。

 先ほど来、議員の御質問を伺っておりますと、次の世代が安定して漁業を営めるようにというような思いがにじみ出ているように感じておりますが、我々農林水産省といたしましても、同じような思いで取り組んでまいりたい、このように思っているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございました。

 今回の法改正のメリットを現場にうまくおろしていくためには、予算措置による後押しも重要と考えております。

 漁業の生産性向上対策と、資源管理や漁業管理のための対策が重要と考えております。これらの対策についても詳しく教えていただけますでしょうか。

長谷政府参考人 法改正のメリットにつきましては、これからも丁寧な説明を重ねまして、浜にしっかりと伝えていきたいというふうに考えておりますけれども、この水産政策の改革を推進していくためには、御指摘のとおり、その後押しのための対策、予算措置含めまして、これを充実させることが必要というふうに考えております。

 こうした観点から、平成三十一年度水産関係予算の概算要求を行ったところでございまして、具体的には、漁業の生産性向上対策として、高性能漁船の導入や浜の構造改革による競争力の強化など、資源管理対策として、資源調査、評価の充実による資源管理の高度化など、適切な漁場管理の推進等として、水産多面的機能の発揮に資する取組への支援や漁場環境整備等の取組に必要な予算を要求しているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。しっかりと取り組んでいっていただきたいと思っております。

 企業の参入に関して、漁業者が懸念をされているという声をよく聞きます。今回の法改正の肝は、資源管理や沿岸の漁場管理をしっかりと行い、次世代でも安心して、安定して漁獲が上がる世界をつくることと理解をしております。今後もできるだけ具体的に、漁業者のメリットや資源、漁場の管理について丁寧な説明を重ねていっていただきたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、今回の漁業法の改正には、現場の声を聞くということ、そして現場への情報提供が大変重要だと思っております。今回の法改正について現場への説明会を行っているとのことですが、依然、現場での不安の声が大きいとの話をよく聞きます。

 説明会において、現場からどのような不安の声があったのでしょうか。お聞かせください。

長谷政府参考人 これまで説明会を重ねてきたわけでありますけれども、その中で実にさまざまな御意見をいただいたわけであります。例示として申し上げれば、例えば、資源管理の必要性についてはどの方も否定はされない、資源管理は必要だということなのでありますけれども、沖合漁業と沿岸漁業では随分事情が違う、漁獲割当て、IQの導入に当たっては、例えば沿岸の小規模漁業者への配慮をすべきだというような御意見もいただきました。ごもっともだと私も感じます。

 そういうことを踏まえまして、IQの導入に当たりましては、大臣許可漁業など準備の整ったものから順次導入していくなど、現場の実態を十分に踏まえて対応してまいりますということでお答えしたわけでありますけれども、このことは、条文でいきますと八条の中に、準備の整ったものから進めていくというような趣旨のことを盛り込んだところでございます。

 幾つもあるんですけれども、例えば、これまで漁業によって漁村の雇用等を守ってきたんだ、この改革によって漁村がなくなるようなことにならないようにしてほしいと。当然の御意見だというふうに受けとめました。

 今回の改革でございます、この場でも例えば大和堆の話が何度か話題になっております、外国漁船と日本漁船がまさに攻防を繰り広げているというような状況がありますけれども、今回の改革、この日本の水域で将来にわたって日本の漁船が操業を続けていく、また、浜に活力ある漁村が存続していく、そのための改革なんだというふうに考えております。

 そういうことで、例えば説明会の中でも、漁業者が将来にわたって漁業を継続し、漁村の活性化につながることが改革の目的ですということを御説明し、水産基本計画に盛り込まれた施策も含めて、漁業と漁村の活性化のため、予算措置等も含めて対応してまいりますというふうにお答えしてきたところでありますし、また、条文のところでいいますと百七十四条になるんですけれども、国及び都道府県は、漁業、漁村が多面的機能を有していることに鑑み、漁業者等の活動が健全に行われ、漁村が活性化するように十分配慮するということでございます。

 沖で操業しているということによって、食料供給だけではなくて、外国船の動向を知るだとか、そういう機能を果たしているというふうに考えております。そういうものを大切にしていきたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。不安の声、懸念の声をよく聞き、払拭できるよう努めていただきたいと思っております。

 説明会では、不安の声だけでなく、期待する声もあったとお聞きしております。どのような声があったのか、主なものをお聞かせいただけますでしょうか。

長谷政府参考人 例えば、魚類養殖で、午前中も出ました、無秩序に生産を拡大すれば魚価が下がってしまうんじゃないかという懸念もありましたけれども、一方で、人口減少が本格化している中で、やはり、拡大している海外のマーケットにしっかり目を向けて、この改革の機会に、種苗の問題ですとか餌の問題ですとかさまざまなことを、前向きな取組をしていきたいというような御意見もいただいているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 さまざまな現場の声をお聞かせいただいて、ありがとうございました。

 小規模な漁業者の多い沿岸漁業者の方々から不安の声を多く聞いております。沿岸漁業者にとってのメリットについてお聞かせいただけますでしょうか。

長谷政府参考人 我が国の全国の沿岸地域では、地先の、前浜のといいましょうか、漁場を活用して実にさまざまな漁業が営まれまして、水揚げされた多種多様な魚介類を活用して、浜ごとに漁業者の所得向上の取組が行われてきたところでございます。

 今回の法改正は、持続的な漁業生産を行うための課題である根本のところの水産資源の回復、維持を図るとともに、地域の実態に合わせて、漁業者が将来展望を持って多様な経営発展に取り組むことができるようにするものでございまして、これによりまして沿岸漁業の維持発展につながるものと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 これらの多くのメリットについて、よりわかりやすい資料等で、より多くの浜の関係者の皆様にきめ細かな説明が必要と考えます。御見解をお願いしたいと思います。

吉川国務大臣 森委員の御指摘のとおりであろうかと思います。

 この法案を提出する以前にも、水産改革に関する説明会等並びに法案に関する説明会等を行ってまいりました。さまざまなそういった機会を活用して漁業者の皆様との意見交換を行ってきた結果、今回のこの法案を、改革の内容を取りまとめさせていただいたものでございます。

 説明には十分過ぎるという言葉は当てはまるものではございませんけれども、今後とも、法案につきましては、この国会でしっかりと御審議をいただきますとともに、現場の漁業者の皆さんの不安や不満の声にもしっかりと向き合って、ただいまも御指摘のありました沿岸漁業にとりましてのメリットも含めまして、更に丁寧な説明に努力をしてまいりたいと存じます。必要ありますれば、御指摘をいただきました資料によってもしっかりと説明もしていきたいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣から、皆様の不安の声に向き合ってという言葉をいただきました。丁寧な説明をしっかりお願いしたいと思います。

 本日は、現場の声や法改正によるメリットを中心に質問をさせていただきました。

 私は、正直、この漁業法の七十年ぶりの大改正がなぜ今なのかわかりません。七十年ぶりの改正をこの臨時国会でできるのか。現場の実態が変動している中、また、水産資源のさまざまな問題や若手の担い手不足の問題など、現場に問題が山積している中、やはり、現場の皆様に対して、時間をかけての丁寧な説明が不足していると思います。

 繰り返しにはなりますが、今後も引き続き、現場の声をしっかりと聞き、現場の懸念を払拭できるよう最大限努力していただきたいと思います。

 最後に、きのうの理事会について少しお話をさせてください。

 理事会の開始が十七時、終了時間が二十時でした。国会内で働かれている皆さんの定時の業務時間は十八時十五分かと思います。昨日は残業でした。理事会中に掃除をされる方、ごみの回収の方が二回ほど来られたそうですが、驚いて帰られたそうです。控室だけでも掃除はできないでしょうかとお聞きしていたそうですが、できずに帰られたそうです。

 我が党は、国会改革、何度も申しておりますが、次の日の予定が前日の夜になってやっとわかる、これは異常だと思います。省庁の皆さんは何時に帰られたんでしょうか。本当に働き方改革をしている国会なのでしょうか。永田町の常識は非常識だと言わざるを得ません。

 本気で国会改革をすべきと申し上げ、本日の私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

武藤委員長 次回は、来る二十六日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.