第5号 平成31年4月9日(火曜日)
平成三十一年四月九日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 武藤 容治君
理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君
理事 齋藤 健君 理事 野中 厚君
理事 細田 健一君 理事 亀井亜紀子君
理事 近藤 和也君 理事 稲津 久君
青山 周平君 池田 道孝君
泉田 裕彦君 稲田 朋美君
今枝宗一郎君 上杉謙太郎君
加藤 寛治君 金子 俊平君
木原 稔君 木村 次郎君
小寺 裕雄君 斎藤 洋明君
坂本 哲志君 杉田 水脈君
中曽根康隆君 西田 昭二君
福山 守君 藤井比早之君
藤原 崇君 古川 康君
穂坂 泰君 宮路 拓馬君
山本 拓君 石川 香織君
大串 博志君 金子 恵美君
神谷 裕君 佐々木隆博君
長谷川嘉一君 堀越 啓仁君
関 健一郎君 緑川 貴士君
濱村 進君 田村 貴昭君
森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 吉川 貴盛君
農林水産副大臣 小里 泰弘君
農林水産大臣政務官 濱村 進君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 矢野 和彦君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官) 塩見みづ枝君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 光吉 一君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 新井ゆたか君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 室本 隆司君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 天羽 隆君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 別所 智博君
政府参考人
(林野庁長官) 牧元 幸司君
政府参考人
(水産庁長官) 長谷 成人君
政府参考人
(国土交通省航空局航空ネットワーク部長) 久保田雅晴君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
―――――――――――――
委員の異動
四月九日
辞任 補欠選任
今枝宗一郎君 青山 周平君
木原 稔君 穂坂 泰君
古川 康君 中曽根康隆君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 今枝宗一郎君
中曽根康隆君 杉田 水脈君
穂坂 泰君 木原 稔君
同日
辞任 補欠選任
杉田 水脈君 古川 康君
―――――――――――――
四月二日
農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)
三月二十六日
農業者戸別所得補償制度の復活に関する請願(佐々木隆博君紹介)(第四〇二号)
同(関健一郎君紹介)(第四〇三号)
家族農業を守り、食料自給率の向上を目指す食料・農業政策への転換に関する請願(佐々木隆博君紹介)(第四一六号)
同(関健一郎君紹介)(第四一七号)
四月二日
農業者戸別所得補償制度の復活に関する請願(神谷裕君紹介)(第五二六号)
同(金子恵美君紹介)(第五七二号)
家族農業を守り、食料自給率の向上を目指す食料・農業政策への転換に関する請願(神谷裕君紹介)(第五二七号)
同(金子恵美君紹介)(第五七三号)
同月八日
農業者戸別所得補償制度の復活に関する請願(緑川貴士君紹介)(第七六九号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)
農林水産関係の基本施策に関する件
豚コレラをはじめとする家畜伝染病対策に関する件
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○武藤委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長水田正和君、大臣官房総括審議官光吉一君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長塩川白良君、生産局長枝元真徹君、農村振興局長室本隆司君、政策統括官天羽隆君、農林水産技術会議事務局長別所智博君、林野庁長官牧元幸司君、水産庁長官長谷成人君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、総合教育政策局社会教育振興総括官塩見みづ枝君及び国土交通省航空局航空ネットワーク部長久保田雅晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○武藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。上杉謙太郎君。
○上杉委員 おはようございます。自民党の上杉謙太郎でございます。ありがとうございます。
きょうは、委員長、理事の先生方、そして委員の諸先輩先生方、質問の機会をいただきましてありがとうございます。
桜も咲いて、東京はちょっと満開を過ぎたところでありますが、春はいいですねというところから入らせていただきます。
その春がいいねというのも、裏を返せば冬の厳しさがあって、特に私、福島県選出でありますから、北海道、東北、北陸と、厳しい冬、寒い雪の降る冬があって初めて春をありがたく思って、五月から田植が始まりますけれども、そのときに豊富な水がある。
ただ、ことしは暖かい冬でありました。雪も少なかったです。地域によっては水不足というのが今非常に懸念されているところでありまして、私の福島県の中に羽鳥湖というダムがございます。ここはちょうど会津地域と中通りという福島県の真ん中のあたりの山合いに位置しているんですが、ここの水を使って米づくりをされている農家さん、随分いらっしゃいます。矢吹原土地改良区というところなんですが、矢吹町、鏡石町、白河市、須賀川市という四つの自治体にまたがっております。
その羽鳥ダムが雪不足の影響で今非常に水が少ないというふうになっております。きのうの時点でも半分ぐらいしかないという状況でありまして、この水不足が続くと、田植のころはいいんですけれども、夏、そういったときに、いろいろと農家さんは不安を持っております。
そこで、農水省さんにお尋ね、そしてお願いをさせてもらいたいんですが、水不足が懸念される羽鳥ダムについて、今後の用水対策、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
○室本政府参考人 羽鳥ダムについての御質問でございますが、羽鳥ダムについては、近年、冬季の降雪あるいは梅雨期の降雨が非常に少ないということで慢性的な渇水状況を呈しておりまして、特にことしについては、委員御指摘のとおり、現時点で羽鳥ダムの貯水率が五六%ということで、過去十年間の平均の七八%より二二ポイント低い状況にございます。
このため、羽鳥ダムの水を利用する隈戸川地区の矢吹原土地改良区におきまして、農業用水の取水を停止してダムの貯留水を温存する断水や、あるいは、地区ごとに順番と時間を決めて数日間隔で配水する番水、こういったことを行うなど、厳しい用水管理を強いられているところでございます。
こうした状況を踏まえまして、農林水産省としても、今年度から三カ年の予定で、羽鳥ダムを水源とする受益地区の営農状況、水利用の実態、ダムの貯留に影響する河川の状況、こういったことを調査いたしまして、用水不足の原因を解明した上で、その改善に向けた対策について総合的に検討を行うこととしております。
今後とも、河川管理者等の関係機関や矢吹原土地改良区等の地元関係者と調整を行いまして、農業用水の効率的な利用の推進とともに、農業用水の安定的な確保に努めてまいりたいと考えてございます。
○上杉委員 ありがとうございます。ぜひお願いをしたいというふうに思います。
近くに大川ダムというのもありまして、ぜひ、そちらの水も含めて、国交省さんと調整、話合いもしていただけたらありがたいというふうに思います。農水省さんは、本当に地元に根差して、生産現場もたくさん見ていただいて、その上で政策を立ててくださっておりますので、ぜひ期待をしたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
続いて、春なので、ちょっと温かい、展望のあるお話をしたいなというふうに思うんです。
福島県、米どころでありますが、やはり輸出等々をどんどん進めていくべきだなということと、一方で、人口減少もしていて米の消費量も下がってきているという現状、また、地方が疲弊している、逆に言えば、地方創生をしていかなければならないということがあると思います。
地方には空港がたくさんございます、地方空港が。旅客の方で今、活性化させるということで、各地域、取組をされておりますが、我々、農林水産委員でありますので、例えば、地方創生も絡めて地域の空港を物流拠点として使うということも必要になってくるだろうというふうに思っております。
今、もう随分デジタル化した社会であります。IT、AI社会になってきて、世界と日本がすごく近い状態にある。リアルの、現実の世界でも、もっともっと世界と自分たちの距離というのは短くなってくるというふうに思うわけであります。
向こう何十年後、先になるかもしれませんが、そこまで見据えて、例えば、では、出張でアメリカに行っているのに、そこで、ああ、地元の刺身が食べたいな、トマトが食べたいなといったら、ワンクリックで二、三日後には空輸して届くというようなことも無理じゃないと思うんですよね。まだなかなか想像はつかないかもしれませんけれども。
でも、例えば江戸時代であれば、海の近くに住んでいる人でないと新鮮な魚は食べれなかったかもしれませんけれども、今これだけ物流が発展していますから、日本全国どこでもおいしいものが食べれるような状態になっております。昔の人であれば想像できなかったというふうに思います。
今の我々がまだ想像できない、そういった、海外の新鮮なものが食べれる、また、日本にある新鮮なものを海外の方に食べてもらうということも可能であるというふうに思うんですね。
地方創生も絡めて、地方の自治体そして地方の生産者が地方空港を通じてダイレクトに海外とつながっていく、これも非常にいいというふうに思っておりまして、ちょっときょう国交省さんにお越しをいただいたんですが、地方空港の活性化、農産物を絡めて、ちょっと御説明をお願いできればと思います。
○久保田政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省といたしましても、農林水産物の輸送に当たりまして、先生御地元の福島空港を始めとしました地方空港を活用することは、とても重要なことだと考えてございます。
地方空港の農林水産物の空輸拠点としての具体的な活用につきましては、そのニーズに応じまして、荷主と地域、そして物流会社、航空会社といった関係者において十分に調整を行うことが必要でございますが、近年、地方空港は就航機材の小型化が進んでおりまして、これまで航空コンテナを利用する、そういったことに若干の制限等が生じるなどの課題が生じておるところでございます。
このため、国土交通省におきましては、貨物室が小さな小型航空機を利用して地方空港から日本の国際拠点空港を経由して海外へ輸出する、そういった貨物輸送の実証実験を行っておるところでございまして、私どもとしては、その経験を地方空港関係者と共有する等によりまして、自治体や事業者と広く連携しつつ、福島空港を含め、地方空港の航空貨物輸送網の充実に努めてまいりたいと考えております。
○上杉委員 ありがとうございます。
ぜひ、福島空港含めて、よろしくお願いしたいというふうに思います。
今、実証実験段階ということで、拠点となる関空、中部、成田を経由してということでありましたが、また次の段階、その更に次の段階というのは、多分もう貨物専用の旅客機が地方空港からダイレクトに世界に飛ぶというのが理想であると思いますので、そういった日本の安心、安全な、新鮮な農林水産物を海外にたくさん持っていくということは、ぜひ、我々議員、そして役所の皆さん、総力を挙げてこれから検討していけたらありがたいなというふうに思っております。
海外の旅行客もウナギ登りでふえておりますし、ということは、その人たちが日本に来て日本食を食べて自分たちの国に戻ったときに、ああ、やはり日本食をもう一回食べたいなと思うときに日本食がある、そういう状態をどんどんつくっていけたらいいなというふうに思っておりますので、提案をさせていただきたいというふうに思います。
続きまして、輸出に絡めてですけれども、国内で見てみますと、やはり特に米については、福島県も米どころでありますけれども、消費量が下がっていますよね。全国的に見て、毎年毎年八万トンずつ主食用米の消費が下がっていたんですが、最近はもう十万トンぐらい下がってきています。なので、今のお話、海外での主食用米なり農林水産物を輸出していって消費をふやしていく、それによって生産をふやすことができるということと、国内においても主食用米等始め、ふやしていかないといけないというふうに思っております。
そこでまず、ここ最近の主食用米の消費の推移を教えていただけますか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
国内の主食用米の消費の動向について御質問をいただきました。
お米の消費量につきましては、食生活の変化や高齢化などにより一人当たりの摂取熱量が減少傾向にあること、また、人口が減少に転じたことに加えまして、単身世帯や共働き世帯の増加など世帯構造の変化が進み、食生活がより簡便化志向にある中で、お米を購入して家庭で炊飯する割合が低下していることなどから、最近では、先生御指摘のとおり、年間、毎年十万トン程度消費量が減少しておるところでございます。
○上杉委員 ありがとうございます。
食においてもグローバル化してきて多様な食事メニューがありますから、また、家庭においても、御飯食だけでなくて、パスタを食べたり、うどん、そばは和食ですけれども、多彩なメニューがあります。そういったところでどんどん減ってきているというのはいたし方ないのかなと思うんですけれども、去年から農水省さんは生産調整から需給バランスに変えましたけれども、需給バランスのそのバランスの水準を低下していかないように、需給の需要の方をやはりふやしていかなければならないというふうに思います。国内でももっともっと消費をふやして、また、今の消費だけではなくて、未来の日本の米の消費というところも考えていかないといけないというふうに思います。
やはりそれは子供たちだと思います。今、答弁の中で家庭とありましたけれども、やはり今の子供たちにしっかりとお米を食べてもらう、米を食べるイコールやはりそれが日本人の食文化の基本となることなんだということを教えていかなければならないというふうに思うんですね。
ちょうどきのう小学校は恐らく多くのところが入学式だったと思いますけれども、ちっちゃいお子さん、ぴかぴかの一年生が大きいランドセルをしょって通学する、非常に初々しいところでありますが、その子供たちに、学校給食を通じて米食をふやしていってお米を食べてもらうということが一つ重要だなというふうに思っております。文科省さんの方で、学校給食法の改正によって米飯がどんどん導入されてきました。今は多くの小学校で随分米を使ったメニューというのがふえております。
そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、現在、学校給食現場において米飯を用いている割合というのはどれくらいでしょうか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
平成三十年度の米飯給食実施状況調査によりますれば、米飯給食の週当たりの平均実施回数は、三・五回となっているところでございます。
○上杉委員 ありがとうございます。
週三・五回ということは、随分、月―金の中で二日ぐらいが、それで、二週間に一回、一日ぐらいがほかのメニューで、あとは米ということでありますから、非常にいいなと。私が小学校のときとかはコッペパンとかで、米のときというのはほとんどなかったと思うんですよね。一カ月に一回あればいいかぐらいでしたよね。
そこに比べたら大躍進でありますが、やはり米が、食育と考えますと多彩なメニューを食べさせるということも必要であるかもしれませんけれども、ぜひ米飯の頻度を、じゃ、三・五から四、四から四・五と上げていくべきだというふうに思いますけれども、ちょっと文科省さん、意気込みをお伺いできますか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
今先生御指摘ございましたとおり、この調査を始めましたものが昭和五十一年、〇・六回から、今現在三・五回となっておりまして、徐々にふえているところでございます。
意気込みということでございますが、米飯給食は、日本人の伝統的食生活の根幹である米飯の正しい食習慣を身につけさせることや、地域の食文化を通して郷土への関心を高めるということができるなど、教育的意義を持つと認識しているところでございます。
このため、文科省におきましては、「学校における米飯給食の推進について」という局長通知を出しておりまして、米飯給食について週三回以上を目標としてきたところでございます。
また、平成二十八年に策定された第三次食育推進基本計画においても、引き続き米飯給食を着実に実施することなどとされたこととあわせ、各種会議や研修等を通じて米飯給食の教育的意義の周知を図るとともに、各学校における取組を促してきたところでございます。
文部科学省といたしましては、今後とも、引き続き、米飯給食の教育的意義を踏まえ、その推進に努めてまいりたいと考えております。
○上杉委員 ありがとうございます。ぜひ進めていただきたいというふうに思います。
農林水産省さんは学校給食に当たってすごくいい取組をされておりますので、ぜひ文科省さん、農水省さんで連携してやっていただきたいと思うんですが、農水省さん、政府備蓄米等とかかわる策についてちょっと御披露願えますでしょうか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
農林水産省におきましても、米飯学校給食の推進は、次世代の消費の担い手である児童に対しまして、お米に対する味覚を育み、お米を中心とした日本型食生活の普及、定着を図る上で極めて重要と考えております。
このため、米飯学校給食の推進に向けまして、各学校などが米飯給食の実施回数を前年度より増加させる場合の当該増加分につきまして、また、各学校等の学習教材や試食会においてお米を使用する場合の当該使用分につきまして、政府備蓄米の無償交付を行っております。
ちなみに、平成三十年度では、百十四校、二十六トンの交付実績となってございます。
○上杉委員 ありがとうございます。
非常にいい取組だと思いますので、ぜひ続けていっていただいて、米飯給食の回数をふやしていただきたいというふうに思います。
これは私の勝手な試算なんですけれども、八万トン、十万トン、こう減っているじゃないですか。小学校に限定して言いますと、もし全部米飯給食にした場合、大体七・八万トン消費できるんです、年間で。六百三十五万人小学生がいまして、大体御飯一杯六十五グラム、それを給食がある日というふうに計算していくとそういうふうになるというところでありますので、今もう既に三・五回やっていますから、これから七・八万トンの消費がふえるというわけではありませんけれども、中学校もありますし、幼稚園もありますし、給食に米飯を一〇〇%にすることによって国内消費もふえるというふうでありますので、御提案を申し上げたいと思います。
ちょっと時間がなくなってまいりました。
ちょっと飛ばしてお話を伺いたいと思うんですが、同じ、米についてでありますけれども、福島県の米についてであります。
もうすぐ我々も地元では田植が始まります。震災以降、政府を挙げてお取組をいただきまして、生産者、そして団体、福島県、そして国とで連携をして、今随分と福島県産の米の価格も流通量も回復をしてまいりました。
また、安心、安全ということで、福島県の米は全部、全袋検査といって、放射線検査をしております。その検査も、三十年産米から、一律で単価で賠償いただいていたんですが、実費払いというふうに変わりました。今後、五年をめどに、大体二〇二〇年をめどに、今はもう放射線は検出されていませんから、これからモニタリング検査というものに移行していく予定としております。昨年、知事が表明をされております。
その全袋検査というのは信頼の担保でありまして、大事なことではありますが、その検査をしなくても大丈夫なぐらいに安全であり、そして安心して食べれる米になったということでもあります。知事も表明されましたし、ぜひ県の御決断を国としてもサポートしていただきたいというふうに思っておりまして、ぜひ大臣の方から御見解をお伺いできたらありがたいというふうに思います。
○吉川国務大臣 福島県産米につきましては、国からの支援を受けつつ、カリウム施肥による吸収抑制対策など、しっかりと行ってきております。全量全袋検査の結果、二十七年産米以降、四年連続して基準超過はないと聞いてもおります。
こうした状況を踏まえまして、福島県におきましては、関係者間で議論を重ねた上で、三十年二月県議会で、通算で五年間基準値超過が出ていない時点をめどに、早ければ三十二年産米から抽出検査に移行するとの方針を表明して、現在、JAや県等で構成した検討チームにおいて、国の放射性物質ガイドラインを踏まえて、具体的なモニタリング検査のスキーム等の検査も行っているものと承知をいたしております。
農林水産省といたしましては、抽出検査に移行した場合にも、県の取組を支援いたしますとともに、福島県産米の安全性のPRに福島県と連携をしながら積極的に取り組んでまいりたいと思いますので、また上杉議員、しっかりと我々もスクラムを組んでやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
○上杉委員 大臣、ありがとうございます。
ぜひ、政府挙げて御支援を賜れたらありがたいというふうに思います。流通量が下がったり価格が下がる等なきよう、万全の体制で臨んでいただけたらありがたいと思います。
時間が参りましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、長谷川嘉一君。
○長谷川委員 おはようございます。
二回目の質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございました。
衆参ともに、豚コレラについては一つの節目の議論の時期に来ているということで、まず第一点目に、この豚コレラについて御質問をしたいと思います。細かく項目ごとに分けましたので、大変恐縮ではありますが、御答弁の方をよろしくお願い申し上げます。
昨年九月からことし三月三十日まで十七事例が発生しておりまして、岐阜県及び愛知県の六万頭以上の豚が殺処分となっております。農林水産省としては、豚コレラ対策に大変な御努力をされている状況の中でございます。これがこれ以上拡大しないようにしなければならないわけでございます。
また、私は群馬県ということで、長野県の隣、岐阜県からちょっと遠いんですけれども、群馬県からも、それについて注力をしてほしいというふうな要望も来ております。
こういった中で、発生していない地域の養豚業者や関係者は農水省の対応を今現在非常に見守っているというようなことで、御対応も十分されているということと存じますが、これについてどのような対応をしていらっしゃるのか、まずお聞きしたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
豚コレラの侵入、蔓延防止のためには、飼養衛生管理基準の遵守と早期通報それから屠殺が最も重要でございます。
このため、発生農場の疫学調査等で得た知見を生かしまして、全国の養豚場について都道府県にチェックシートの提出を求め、この資料をもとに、飼養衛生管理基準の遵守状況の再確認と改善の指導を行っております。四月八日時点で、二十九府県、二千百七農場について確認が済んだところでございます。
さらに、これまでも、全国の都道府県及び関係者に、豚コレラウイルスの特徴の周知とともに、早期発見の徹底を指導してきたところでございまして、疫学チームの指摘を踏まえ、更に具体的なポイント、下腹部や四肢の紫斑等につきまして、特定症状として通報を義務づけたところでございます。
今後とも、都道府県と連携いたしまして、家畜所有者による飼養衛生管理基準の徹底とともに、農場、獣医師からの早期通報、それから農場からの移動制限を確実に実施をいたしまして、豚コレラ対策に万全を期してまいりたいと考えております。
○長谷川委員 決定的なものはなかなかなくて、終息の見込みも持てないということで、関係省庁については大変御心労も多いかと思いますが、全力を挙げての対応をお願いすると同時に、その御努力に対しては敬意を申し上げたいと思います。
それでは、次、二点目でございますが、国内では発生しておりませんが、これに関連していきますと、海外から持ち込まれる可能性のある家畜伝染病、特にアフリカ豚コレラが中国、ベトナム等にも来ておりまして、今、中国においては大変な発生状況にあるというふうに承知しておりますけれども、この水際対策の強化というのが極めて今重要な課題になっているかと思います。政府として実効性のある対策をどのように考えていらっしゃるかをお聞きしたいと思います。
○新井政府参考人 近年、まず欧州で拡大しておりましたアフリカ豚コレラが、昨年の八月、アジアで初めて、中国で確認をされました。その後、本年一月にはモンゴル、二月にはベトナム、直近でございますと三月にはカンボジアで発生が確認されたところでございます。
このように、アジアで越境性動物疾病の活発な流行が見られる中、さらに、最近は国際的な人や物の往来が増加しているということでございまして、国際空港や港における水際での検疫を強化することが、委員御指摘のとおり、大変重要でございます。他方、国内に侵入するという可能性があることを前提に、農場に入らないためには防疫措置を農場段階で徹底するということが重要でございまして、この二つをあわせて実施をしていくということでございます。
まず、水際につきましては、アフリカ豚コレラ発生国からの旅客、手荷物を中心にいたしまして、広報キャンペーンの強化や機内でのアナウンス、特に中国国内向けのSNS等の配信によりまして、まず広く国内外に向けた持込禁止品の周知をするということ、それから、検疫探知犬の増頭によります探知活動、家畜防疫官によります旅客に対する口頭質問、それから、税関と連携いたしました旅客の携帯品の検査等を強化しているところでございます。
加えまして、今般、旅行者によります畜産物の持込みは、個人消費や土産目的でありましても、繰り返し持ち込む等悪質性が見られる場合には警察に通報し、家畜伝染予防法の違反事案としての対応を強化するということでございまして、今後とも水際対策の強化に万全を期してまいりたいと考えております。
○長谷川委員 今回の豚コレラについても、大変旅客の往来が激しくなっていて、観光客等が持ち込んだ加工肉、各肉類も原因の一つとしては十分考えられる。それをなかなか水際だけで防ぐというのは、極めて困難な対策をしていただいていると思いますが、なお一層の御努力をお願いをするということしかないのかなという、非常に心もとないことではありますけれども、このアフリカ豚コレラをとにかく日本に上陸させないという気概で、全員一致で、こういった対策、またキャンペーンにも臨んでいただきたいというふうに思っております。また、旅客のマナーの周知徹底も更に強化をしていただくように御指摘をさせていただきたいと思います。
次の問題でございます。
今回、野生イノシシへの経口ワクチンの散布が行われました。その行われましたのは、それを実施をして、その効果を確認し、さらに、これを使うかどうか、どのような形で使っていくかというふうなことになるかと思いますけれども、その効果をどのように、今後あるいは現在、確認していらっしゃるのか、あるいは確認しようとしているのかについてお聞かせいただきたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
野生イノシシを介した養豚場への豚コレラウイルスの拡大防止策といたしまして、我が国で初めての取組でございます野生イノシシに対する経口ワクチンの散布を二月に決定したところでございます。
具体的には、一年間を三期に分けまして、各期合計、一年間で六回散布をすることというふうにしておりまして、まず第一期の一回目につきまして、三月二十四日から四月二日にかけて、愛知県それから岐阜県の豚コレラに感染した野生イノシシが確認された地域で行っているところでございます。
今後、野生イノシシのサーベイランス検査を実施をいたしまして、散布効果を検証することというふうにしておりますが、野生イノシシが経口ワクチンを摂取すれば、豚コレラウイルスに対する抗体を保有する野生イノシシの頭数が増加をいたしまして、野外ウイルスに感染した頭数が減少すれば、飼養豚への感染リスクも減少することが期待されているところでございます。
いずれにいたしましても、専門家の意見を聞きながら、一年間散布を行い、経口ワクチンの効果を検証してまいりたいと考えております。
○長谷川委員 効果については非常に期待はできますが、どのようなレベルでやらなければいけないかについては、今後の検証を待つということになろうかと思います。
では、次の、この経口ワクチンの散布について追加してお聞きしたいと思いますが、豚での発生の拡大を防ぐために現在散布している地域、これはたしか岐阜県、愛知県というふうなことではないかと思いますが、より広い範囲で散布するという考え方もあろうかと思いますし、散布は必要ないという、両面の議論もあろうかというふうに承知しておりますけれども、この散布対象地域に対する考え方について、最後にお聞かせいただきたいと思います。
○新井政府参考人 野生イノシシに対する経口ワクチンの散布範囲につきましては、野生イノシシを介した養豚場への豚コレラウイルスの感染リスクを下げるということがこのワクチンの接種、散布の目的でございますので、野生イノシシで豚コレラの発生が確認されている地域に限定をして実施をしているところでございます。
仮にの話でございますけれども、現在経口ワクチンを散布している範囲以外につきましても、このような必要性が生じた場合には同様の対策を検討することとなるというふうに考えているところでございます。
○長谷川委員 ありがとうございました。
豚コレラについては、きょうは一つの節目があると思いますけれども、御答弁を参考にしてまいりたいというふうに思っておりますが、大変、関係機関の御努力に対して、再度でありますけれども、御慰労申し上げますと同時に、更に万全な対策を打っていただくように御期待をしたいと思います。
次に、二番目の、種子法の部分に移らせていただきます。
種子法の廃止から約一年が過ぎております。その後の認識ということでございますけれども、種子法については、大変多くの歴史のある法律が廃止をされた。また、その審議時間等々については、大変議論もあって、まだまだ尽くされない部分があったというようなことで、今、またその復活を求めるような動きも与野党ともにあるのではないかというふうに承知をしております。
四月を待って一年が過ぎたわけでございますので、その後の状況の認識について、まずこれについてお聞かせをいただければと思います。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
主要農作物種子法の廃止につきましては、稲、麦類及び大豆の種子の生産、供給に関しまして、全ての都道府県に対して、これから申し上げます三つについて一律に義務づけるというやり方を廃止したというのがポイントでございます。一つには、県が奨励する品種を決定するための試験、二つには、原種及び原原種の生産、三つ目といたしましては、種子を生産する圃場の指定、さらには生産された種子の審査などを、先ほど申し上げたとおり、法律によって一律に義務づけるというやり方を廃止しまして、多様なニーズに応じた種子供給体制を構築するために実施をされたものでございます。
農林水産省といたしましては、これまでも、国や都道府県による種子の安定供給のために、種子に関する一般法であります種苗法に基づいて、国又は都道府県が品質を確認する制度を整備するとともに、都道府県が行う種子供給業務に要する経費について、引き続き地方交付税措置を確保したところでございます。
実際に、現在も、各都道府県におきましては、法の廃止以前と同様に種子供給業務が実施されており、中には、従来以上に官民の連携や種子供給に力を入れる県、それぞれの実態を踏まえて条例を定める県といったところも出てきておりまして、農林水産省といたしましては、引き続き責任を持って良質な種子の安定供給に取り組んでまいりたい、かように考えております。
○長谷川委員 種子法についてですけれども、この一月二十五日、本年ですけれども、日農新聞の論説について、私もなるほどなと思っておりますので、ちょっと御指摘を申し上げたいと思います。
命の根幹である種子を何としても守るという思いがうねりとなって自治体を動かしているというふうな趣旨でございまして、種子法の廃止から一年を待たずに、一月二十五日の記事でありますから、十都道府県が種子法にかわる条例制定へ動いていると。また、他の県でも意見書の提出が相次いでいる、なぜ廃止したのか、現場の声に耳を傾けたのか、強引な政権運営のひずみであるとこの論説では述べられているんですね。
この辺についての御所見があればお聞かせをいただけますでしょうか。
○天羽政府参考人 種子法の廃止につきまして、重ねて御質問をいただきましたが、先ほど申し上げましたとおり、種子法の廃止でございますけれども、もともと、廃止された法律は、稲、麦類及び大豆の種子の生産、供給に対しまして、全ての都道府県に対して、法律によって一律に義務づけるという法律であったわけでございまして、このやり方を廃止して、多様なニーズに応じた種子供給体制を構築するために実施をしたというふうに理解をしてございます。
○長谷川委員 議論の繰り返しになってしまう懸念はありますけれども、なかなか納得いく御答弁、私の理解不足かもしれませんけれども、ではないというふうに御指摘を申し上げたいと思います。
その後に、一月の段階でありますけれども、意見書というのが地方議会から二百五十件をもう既に超えている、一月以降積算がまだないわけでありますけれども、大変な数の意見書が衆参に寄せられているというようなことでございまして、また、日本の種子を守る会という組織による、復活を訴える署名はこの段階で十七万人に達しているといったこともあります。
ですから、種子法については、さまざまな課題を持っている問題ではないかというふうに思っております。
特に、種子法の、開発に向けた民間参入を阻害しているのではないかという、民間活力という部分で閣議決定がされ、その二カ月後の四月に、わずか十二時間の審議時間で、この表現によると、あっけなく成立したと。現場の農家を含め反対の声が全く聞き入れられなかったという部分では、極めてこの国会審議について懸念を申し上げなければいけない部分ではないかと思います。
決められたことだよということはありますけれども、この辺についての御所見を、大臣、もしお聞かせいただければお願いをできますでしょうか。
○天羽政府参考人 種子法の廃止につきまして、重ねて御質問をいただきました。
主要農作物種子法でございます。昭和二十七年に成立をしてございます。戦後の食糧不足の時期に、稲、麦、大豆を主要食糧だということで認識をいたしまして、全ての都道府県に対しまして一律に義務づけるということで法律を制定をして、その後運用をしてきたわけでございます。
しかしながら、その後、例えばお米について申し上げれば、各県でブランド米を志向する、それから、お米の需要につきましても、中食、外食用の業務用の需要が広がる、さらには輸出も視野に入れて生産をしていかねばならないといったように、さまざまな環境の変化があるわけでございます。
しかしながら、昭和二十七年に制定されて、全国一律に義務づけるという制度のもとでは、機動的な種子の開発ですとか供給が必ずしも十分にできないのではないかということで、法律を廃止し、官民の総力を挙げて新しい種子の開発、供給をしていくという考えに立ってのものでございます。国会でも御審議をいただいて成立をしたものというふうに承知をしております。
○武藤委員長 長谷川さん、よろしいですか。
○長谷川委員 大臣の御所見を、一言でも結構ですから、お伺いできればありがたいです。
○吉川国務大臣 今、天羽統括官からそれぞれ答弁をいたしたとおりでございまするけれども、農林水産省といたしましては、この種子法の廃止後も、先ほども申し上げておりますけれども、国や都道府県による種子の品質確保及び安定供給をしっかりとやっておかなければならないと存じております。
そのために、種子法にかえて、種苗法に基づきまして、国又は都道府県が品質を確認する制度を整備するとともに、都道府県が行う種子供給業務に要する経費につきましても、引き続き地方交付税措置も確保したところでもございます。
今後とも、このような取組を通じまして、私どもは責任を持って良質な種子の安定供給を継続もしてまいりたいと存じます。
○長谷川委員 種子法については、本当にいろいろな、さまざまな課題、問題を抱えて、今後も議論になる部分だと思いますけれども、真摯な議論を重ねて、本当に農家の生産者が納得できる、また私たちの国益にも合うものにしていかないといけないのかなというふうに思っております。
特に、今まで積み上げてきた、昭和二十七年以降ですか、積み上げてきた知見を全部民間にオープンにしろというふうな部分もあったりするようでありますし、規制改革委員会が言っている民間参入を阻害するという規定は種子法にはなかったというふうにも聞き及んでおります。特に一番大きな懸念をしているのは、メジャーな種子業者ですね、世界三大種子メーカーというのがあると思いますけれども、それが世界的には大半の種子を視野に置いているというような部分がございます。
そういった中で、日本もいずれそういった波の中にさらされる。TPP11も含めて、そういった中である。漁業法の審議のときもそういったものを感じましたけれども、大変な荒波の中にさらされて、今後大きな課題を突きつけられているのが目に見えるような部分がございますので、これについては、今後さまざまな動きがあろうかと思いますけれども、しっかりとした議論を今後尽くしていただけるようにお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
次、時間の関係がありますので、三番目をちょっと飛ばさせていただきまして、大変恐縮ではございますけれども、四番目の食料自給率の方に移らせていただきます。
項目を細かく分けさせていただいたんですが、まずこの食料自給率、私も参画させていただいて日が浅いものですから、この食料自給率目標を設定する意義について、まずお聞かせいただければと思います。
○吉川国務大臣 食料・農業・農村基本法第二条の第二項におきましては、国民に対する食料の安定的な供給について、世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有していることに鑑み、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄を適切に組み合わせて行わなければならない旨が定められております。
また、同条第三項におきましては、食料の供給は、高度化し、かつ、多様化する国民の需要に即して行われなければならない旨定められているところでもございます。
これらを踏まえまして、基本法第十五条におきまして、食料自給率の目標は、その向上を図ることを旨とし、国内の農業生産及び食料消費に関する指針として定めるとされているところでもございます。
したがいまして、食料自給率目標は、需要に応じた国内生産により、どれだけ国民の食料を賄うかを示す目標として設定されるものと認識もいたしております。
○長谷川委員 ありがとうございます。
この食料自給率について、間を少し飛ばさせていただきますけれども、私が用意した二番、三番は飛ばしますが、四番目の、最近のカロリーベースでの食料自給率の動きから見ると、現在の食料自給率目標である四五%達成目標を四年前に定めているわけであります。これは、前回も私、同じことを繰り返しておりましたけれども、その前は五〇%、さまざまな議論のもとに四五%、これは達成可能な目標ということで置きかえてこれにされたわけでありますけれども、実際、四年後の現在の状況を見ると、現在三七・六%にまで下降して、上昇の兆しは全くないわけであります。
こういった中で、次期食料・農業・農村基本計画で食料自給率の設定についていろいろ検討されていると思いますが、その考え方について教えていただきたいと思います。
○吉川国務大臣 基本計画に関する議論は、委員も御承知かと存じますけれども、これからでございますが、食料自給率目標をどのような水準にするかにつきましては、今私から言及することについては差し控えたいと思いまするけれども、いずれにいたしましても、この食料自給率の目標は、食料・農業・農村基本法におきまして、その向上を図ることを旨として定めることとされておりますので、実現可能性も考慮しつつ、食料・農業・農村政策審議会での議論をお願いをしたいと今考えているところでございます。
○長谷川委員 この四五%の達成はほぼあり得ないというような状況まで、ある面、政策的には追い込まれてしまっている状況で、新たな計画を策定するに当たっては、これをしっかりと踏まえた実行可能なもの、しかも実現の数値をしっかり持って対応していただきたいというふうに思っております。
特に、前回の質問でも御指摘をさせていただきましたけれども、たしか昭和二十年代は、私、もちろんわかりませんけれども、あのころは飢えで亡くなった方たちが随分いた。その後、米国等からの穀物の援助等があったり、私は昭和三十年代には小学生であったけれども、そのころは、脱脂粉乳とか、食料の中では鯨の肉、鯨肉を加工して食べたり、本当に、コッペパンという話がありましたけれども、余りおいしくないコッペパンもありがたくいただいたという記憶があるんですけれども、あのときの食料自給率はたしか七〇%を超えていたというようなことではなかったかと思うんですね。また、五十年代に入ってからそれが五〇%、四〇%と下がって現在に至っているわけであります。
そういった中で、食の安全保障という観点をすれば、スイスの事例が必ずしも日本に当てはまるとは思いませんけれども、そのスイスの事例では、一昨年か昨年、国民投票をしたら、八一%の国民が食料自給率を上げることを憲法に書き込むことに賛成であるというようなことだったということは周知のことではありますけれども、食の安全という部分を考えますと、防衛装備品に予算を、リース契約までして倍近くまで伸ばすのが大切なのか、食の安全保障に同額のものを入れる必要があるのか、その辺を、国民的な議論も含めて、私は必要ではないかと思います。
日本は、四方が海。国際環境が厳しくなれば、この食料がまず、あるいは、前は油でしたけれども、戦前は油だったようですけれども、が閉ざされるということは自明の理ですから、安全保障上も、まず自給率を確保するというのは国の責任ではないですか。それにどれくらいの予算措置がしてあるんですか。優先順位からいって、防衛装備品を大量に買い付けることが先なのか。
これは、やはり農水の部分だけではなくて、国の食の安全保障という観点からは、しっかりと見直しをしてもらわなきゃ困る。特にスイスにおいては、一〇〇%、核シェルターが装備されている。日本は、戦争状態になって、防衛装備品を買っても、ミサイル攻撃を受けても、国民を守れない。シェルターの普及率はまだ二%。
非常に、このバランスを考えた安全保障という部分では、まず食料安保については最大限の努力をしていただきますよう要望をして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。
冒頭、豚コレラについて申し上げますけれども、農水省として、更に発生農場とその地域への支援をしっかりと進めるということと、そしてまた、一刻も早い事態の終息に向けてのしっかりとした取組をお願いしたいというふうに思います。
さて、三月の十一日から十五日まで、農水省の消費者の部屋で「私たちのまち 知って!来て!食べて! 創ろう 東北 新時代」と題した特別展示が開催されましたが、十五日には吉川大臣も展示を見学されまして、そして、私の地元の福島県立相馬農業高校の農業クラブの高校生の皆さんの取組をごらんいただきました。当日は、ミニ講演ということで、ふだんの農業クラブの皆さんの取組の発表がされたわけですけれども、それを聞いていただき、そしてまた、親しく面談もしていただいたということであります。被災地の高校生にとっては大変貴重な経験となりましたし、笑顔を見せて帰られました。本当にありがとうございます。
実は、予算委員会の分科会で、ぜひ被災地の高校生に会っていただきたい、若い人たちに会っていただきたいというふうに申し上げましたときに、ぜひというお声がありましたが、その約束を守っていただいた大臣に、私からも御礼を申し上げたいと思いますし、そうやって一つ一つ丁寧に取組をしていただいているのであれば、きょうの議論もそのような形で進んでいくことだというふうにも期待をしたいと思います。
まずはそこで、大臣に改めて、相馬農業高校の生徒たちと会っていただきましての所感をお伺いしたいと思います。
○吉川国務大臣 三月十五日に、復興に向けた高校生の取組を発表するために農林水産省に来られました相馬農業高等学校農業クラブの三人の生徒の皆さんと交流をさせていただきました。
先生も同じく三人おいでいただいておりまして、大変、私にとりましては、お訪ねをいただいて、消費者の部屋であのような発表をしていただいたということは、本当に私自身も勇気づけられましたし、そしてまた、発表されておりました三人の高校生の皆さんも、生き生きとして発表されておりましたので、本当に消費者の部屋であのような形でやっていただいてよかったなというのが私の率直な気持ちでもございます。
その中で、特に私から申し上げたいなと思っておりますのは、自生していたハマナス、それを利用したジャムやこはく糖、塩害を受けた農地で栽培した菜の花の油を用いたマヨネーズやドレッシングなど、同クラブが開発したさまざまな商品の紹介もいただきました。実際に私も食させていただきましたけれども、非常においしゅうございました。金子委員も御参加をいただいておりまして、御試食もいただいたと思いますけれども、本当に感激もさせていただきました。
特に、地元に夢を与える取組にも大きな感銘も受けさせていただきましたので、被災地の復興に向けましては、高校生を始めとする若い方々の取組が大きな力になるものと信じておりまして、これからもぜひ頑張っていただきたいとエールも送らせていただきましたし、また、でき得る限りの御支援もさせていただきたいな、こう思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
南相馬農地再生協議会の皆さんと一緒にこの相馬農高の農業クラブの皆さんが、今大臣もおっしゃっていただきました、菜種油から商品を開発されまして、例えば、油菜(ゆな)ちゃんドレッシングと言うんですけれども、油菜ちゃんドレッシングとかマヨネーズとか、そういうものを開発しているんです。
私はふだんからこれは使わせていただいておりまして、食しておりますけれども、ぜひ皆さんにも食べていただきたい。それで、食べて応援を引き続きしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
今申し上げたように、やはり福島では、原発事故からの影響を受けて、農地をしっかりと再生していくということで、さまざまな取組をしてきました。ここで菜の花プロジェクトというのがありまして、今申し上げたような取組が、プロジェクトが進んでいるということでありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
それで、もちろん、浜通りの高校生、若い高校生も頑張っているんですけれども、JAの福島県青年連盟の皆さんも、大変、福島県各地で営農再開の課題に取り組んでいたり、また、風評被害との闘いをしていたりということであります。それで、改めて、避難指示が解除しても営農再開への課題がある、出荷制限が解除しても風評被害との闘いを続けているということでありまして、全国各地、もちろん、高齢化が進んでいるこの農業の現場というのはとても厳しいというふうには思っていますけれども、でも、特に被災地では他地域以上に大変な苦労が今まであったというふうに思います。
先日、第七十二回のJA福島県青年連盟の総会に出席させていただきまして、その総会で申合せがありまして、その文書が承認されました。一部、私、朗読させていただきたいと思うんですが、お許しいただきたいと思います。
国際貿易交渉においては、TPP11の発効に続き、日EU・EPA、日米物品貿易交渉など、日本農業への影響が現実のものとなってきた。また国内においても、本年度から米の直接支払交付金制度が抜本的に見直され、我々生産者の営農に直結するいくつもの農業関連法案が改正されるなか、本当に十分な慎重議論がなされたのか生産現場からは不安の声があがり、農業・JAに対する現場軽視の改革圧力は増すばかりである。
さらに本年度は食料・農業・農村基本計画の見直しや政府の「農協改革集中推進期間」の期限を控える、大きな節目の年である。われわれは、「自主・自立」の地域に根ざした協同組合であるJA組織の意義・役割を再認識しつつ、新たな元号のもと日本農業のあるべき姿を考えていく必要がある。
という内容であります。
さまざまな困難を乗り越えてきた皆さんが、今の農政について大変さまざまな課題があるというふうにおっしゃっている。つまり、今の農政、そしてまた政策決定についても問題視をしているということです。この中にある「現場軽視の改革圧力は増すばかり」という言葉というのは、まさにそれを示しているというふうに思っています。
その上で、若い人たちがこのような考え方を持っているということを前提にしまして、まず、日米貿易交渉について質問したいと思います。
日米両政府は、新たな貿易交渉の初会合を今月十五から十六日にワシントンで開催する方向で調整しているということでありますけれども、まずは交渉の対象範囲を決める方針、それから、農業や自動車といった物品の関税引下げのほか、ほかの分野にどこまで交渉を広げるのかということが焦点になっていくのだというふうに理解しています。
関税の引下げでは、米国が関心を寄せる農業分野について、日本はTPPの内容を最大限とする方針というものがあります。これは曲げることができないというふうに思います。もちろん、私自身はTPPにも真っ向から反対をしている人間でありました。米国側が農業分野でTPP以上に関税引下げを求めたり、そしてまた、その交渉を主張したりするということであれば、日本は大変厳しい交渉を迫られることにもなります。
気になるのは、三月二十九日に米国通商代表部が二〇一九年版の外国貿易障壁報告書を公表したということでありますが、日本に対し、米や牛肉、豚肉など重要品目の輸入管理制度や、かんきつ類や乳製品などの関税を障壁と指摘しており、改めて市場開放を目指す姿勢を示していると言えるというふうに思います。
まず、この報告書についての所見をお伺いしたいということと、そしてまた、我が国の農畜産業を守るための政府としての取組、今後の姿勢というものについてお伺いしたいと思います。
○吉川国務大臣 御指摘の米国通商代表部の外国貿易障壁報告書でありますけれども、これは、毎年行政府から議会に対して提出される、米国の貿易相手国に対する関心事項についての報告書であると承知をいたしております。その一部として、日米の貿易関係に関する事項についても言及をされております。
農林水産品に関しましても、高関税が存在するなどの記述もございまするけれども、その内容は昨年の報告書と比べて大きく変わったものではないと認識もいたしております。
日米物品貿易協定交渉につきましては、昨年九月の日米共同声明におきまして、農林水産品につきましては、過去の経済連携協定で約束した内容が最大限との日本の立場が明記をされておりまして、日米首脳間でこの点について文書で確認したことは、非常に私は重たいものと認識をいたしております。
今後の日米交渉に関しましては、政府一体となって取り組むこととなりまするけれども、農林水産大臣としての私の責務に関しましては、この日米共同声明を大前提にして、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することでございまして、このために最大限の努力をしていく考えでもございます。
○金子(恵)委員 この二十九日に公表されました障壁報告書の前に、もう既に三月十九日には、トランプ大統領は二〇一九年の経済報告を公表して連邦議会に提出しています。この中で、貿易赤字の削減に向け、日本に農業市場の開放を迫ることに改めて意欲を示しているという状況でありまして、日本と自由貿易協定、FTAを結ぶ必要性について言及されているということであります。
また、アメリカの農業団体は、離脱したTPPや日・EU・EPAの発効で米国産品が厳しい競争にさらされているということを受けて、早期の市場開放を求めているということでありまして、こうした声を背にして厳しい要求を日本政府にしてくるのではないか、そういう可能性があるわけです。ですから、日本政府は、当然のことでありますけれども、毅然とした態度でこのような要求をはねのけなければならないというふうに思います。
農水大臣としての御決意をもう一度改めて伺いたいと思います。
○吉川国務大臣 農林水産省の私どもといたしましては、食料の安定供給や地域経済の活性化という重要な役割を担っておりますので、これをしっかりと次世代に継承していかなければならない、このように認識をいたしております。
こういった認識のもとで、私は、今後の日米交渉は政府一体となって取り組むこととなりまするけれども、農林水産省の私の立場といたしましては、日米共同声明を大前提に、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することであると存じておりますので、このために最大限の努力をしていく考えでもございます。
○金子(恵)委員 毅然とした態度でしっかりとはねのける、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。約束を守っていただける大臣だと思いますので、しっかりとお願いします。
次に、食料・農業・農村基本計画の見直しについてお伺いしたいと思うんですが、通例に従っていくと、ことし一月に見直しの議論が始まる予定だったわけです。ですけれども、今回は秋ごろをめどに始まるということで、既に、食料・農業・農村政策審議会に諮問しない状態のまま、部会で現場の意見聴取を始めたということであります。
これまでは、現行の基本計画もそうですけれども、例えば過去四回の基本計画の議論を振り返っても、初回を除く三回は、期限からさかのぼって一年以上前の十二月から一月末までの中で、有識者でつくる食料・農業・農村政策審議会に農水大臣が諮問して、それで一年程度の期間をしっかりと議論してきたという経緯があるわけなんですが、今回はなぜこのような手続をしているのか、お伺いしたいと思います。
○吉川国務大臣 今御指摘をいただきましたけれども、これまで、食料・農業・農村基本計画の見直しにおきましては、策定の前年の一月ごろに諮問をいたしまして、一年三カ月程度かけて検討してきたところでもございます。
しかしながら、この進め方では、あらかじめ現場の農業者や食品事業者から直接意見を聞く機会がなく、論点整理に反映できなかったことがございました。役所が用意した資料を説明の上、委員と役所間での議論が中心であったことなどから、農業者等の方々への基本計画の浸透が不十分な面があったと考えております。
このために、今回の見直しに当たりましては、ことし前半に、まずは現場の声に耳を傾ける観点から、農業経営に関する現状や課題等について農業者や食品事業者等からヒアリングを行い、さらには、多様な分野の有識者から構成されている審議会委員との間で活発な御議論をいただきたいな、こう思っております。その内容を整理した上で、本年秋ごろをめどに諮問を行いまして、施策検討の議論を行うことといたしたものでございます。
このような進め方をすることによりまして、現場の課題を踏まえたより深い議論が行われることとなると考えておりますし、基本計画の見直しに向けて審議も充実をするのではないかとも考えております。
なお、このような進め方につきましては、本年一月の食料・農業・農村政策審議会の企画部会におきましても了承をされたものでございます。
意見を聞くというのは、本当に、家族経営の皆さんからも含めまして、さまざまな皆さんから御意見を頂戴もいたしたいな、このように考えております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
まず現場の意見を聞いてから、生産者の方々の意見を聞いてからというのは、大賛成であります。
でも、一方で、考えるところ、それでは、これまでの食料・農業・農村政策審議会においては、あるいはその基本計画の議論は、なかなか現場の声を聞く機会がなかったのか、だから、その反省に立って、今回はこのような手続で進めるのかという疑問も出てくるというふうに思うんです。
でも、そもそも、ここのところ、食料・農業・農村政策審議会において、例えば生産調整の廃止の議論がなされたのか、例えば農協改革あるいは全農改革の議論がなされたのかということでありますが、実は主要テーマにも上らなかった、そういう事実もあります。
ずっとここのところ、安倍政権のもとでの農政、農業改革というものを見てきますと、この食料・農業・農村政策審議会を本当に重視しているとは思えない状況ではないかと私は思います。
改めて、今大臣がおっしゃってくださったように、現場の声をしっかり聞いていく、その上で、恐らく論点をまとめるので、論点ありきというか、そういうことではない進め方をするんだ、丁寧にやるんだということをおっしゃっていただいたと思うんですけれども、でも、もう既に、三月十八日から始まった農業者の方からの意見聴取の場では、平たん部の若手だけがメンバーに選定されていた、そういう指摘もありました。
このような状況では、幅広い農業者の方々からの意見を聞く、意見聴取をすることができないんじゃないかというふうに思うんですが、その後、改善はされたでしょうか。
○吉川国務大臣 平たん部の若い方々の農業経営者の意見聴取は、もちろん、この企画部会の中でおやりになられたことと存じます。
その後もいろいろな御意見を頂戴もいたしましたので、先ほども申し上げさせていただきましたけれども、中山間地域の皆さん、あるいは大規模に農業をやっている皆さんのみならず、家族経営等々、御苦労されて農業をやっている皆さんにも、さまざまな形で、幅広く、これからも御意見をお伺いをしてというようにも私も申し上げておりますので、そういった形でこれからもしっかりと御意見を、聴取をやっていただきたいな、こう思っております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
平たん部の若手の方だけ、若手というのは、そういう方はいいんですけれども、幅広い意見を聞くということであれば、やはり後継者不足とか農地集積が進みにくい中山間地域の農業者の方々からの意見を聞く、やはり一番厳しい状況に陥っている方々の意見を聞いてこそ、しっかりとこれからの計画づくりができるんだ、論点の整理ができるんだというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
先ほども申し上げました、審議会自体が軽視されてきていなかったかどうか、そういう問題でありますが、実際に、ちょっとさかのぼってみまして、二〇一三年の二月十八日、米の生産調整の見直しについて民間議員からの発言があったのは、第二回産業競争力会議でありました。その次に、二〇一三年十月二十四日に、第三回産業競争力会議農業分科会でまた、民間の議員からの生産調整を廃止してはどうかという提案がありました。
その後、その同じ年、十一月二十二日、第二回産業競争力会議課題別会合で、菅官房長官から、二人の議員から経営所得安定対策見直しや生産調整廃止につき大胆かつ建設的な御提言をいただき感謝という発言がありました。最後に安倍総理から、米の生産調整廃止、安倍内閣における農政に必要不可欠との発言があった。
そして、同じ年に、十一月二十六日、第九回農林水産業・地域の活力創造本部で生産調整見直しを決定し、プランに米の生産調整見直しが盛り込まれている。
その二日後、十一月二十八日ですが、食料・農業・農村政策審議会の食糧部会において、当時の横山農水政務官から、冒頭の挨拶の中で、「経営所得安定対策の見直しと、それから日本型直接支払の検討など、今後の米政策のあり方につきましては、一昨日開催されました農林水産業・地域の活力創造本部において決定をされました。」と発言があった。報告、そしてそういう発言があったということです。つまり、決定されたことを報告があったということなんです。
この食糧部会の中で、ある委員から、これは生産農家の方でありますけれども、このような発言もありました。「今回の見直しに当たっては、本日の一回のみと、形式的に承認を得るためのものであるような実質的な議論の場がないことは、極めて遺憾、残念であると思います。」ということです。
もうこの段階から、審議会あるいは部会でも議論ができない状況であった。官邸で決まったことが全てであったということがわかるのではないかなというふうに思います。先ほども申し上げましたように、生産調整見直し、生産調整廃止の問題、そして農協改革や全農改革とか、さまざまな農業改革、農政改革というものは、ほぼ官邸で決まっていくということです。
食料・農業・農村基本法に基づいて計画を立てるわけです。この計画は、先ほど来お話がありますけれども、我が国の食料安全保障を確立するためのとても重要なものであります。
私は、この基本計画こそ、中長期的な我が国の農業というものを決めていくものですから、最も重視すべきものであるというふうに思いますが、改めて、先ほど申し上げました、官邸主導でプランもつくられているということでありますが、農林水産業・地域の活力創造プランと、そしてこの食料・農業・農村基本計画というもの、どちらをこれから重視すべきであるか、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
○吉川国務大臣 食料・農業・農村基本計画も、農林水産業・地域の活力創造プランも、いずれも政府が策定するものであることから、当然のことながら、政策についての基本的考え方は同様なものとなっていると承知もいたしております。
その上で申し上げますと、食料・農業・農村基本計画は、中期的な視点に立って食料・農業・農村施策の方向性を定めるものでございまして、おおむね五年ごとに改定されるものでございます。一方、農林水産業・地域の活力創造プランでありますけれども、これは、政府においてスピード感を持って毎年実施をしていこうとする個別具体的な政策を盛り込んで、順次改定していくものでもございまして、このように、それぞれの性質、役割に応じて策定をしているものと承知をいたしておりますが、いずれも重要なものと認識をいたしております。
この地域の活力創造プランに対しましても、私ども農林水産省といたしましては、今も申し上げましたように、スピード感を持って実施をしなければならないことに関しましては、積極的に意見を申し上げているところでもございます。
○金子(恵)委員 二〇一三年にまたさかのぼらせていただきますが、二〇一三年の六月に出された農水省の資料が手元にありまして、それを見ますと、まず、規制改革会議、産業競争力会議における検討を踏まえてプランを改定します。この農林水産業・地域の活力創造プランですね。そして、そのプランの方向性を踏まえた食料・農業・農村基本計画の見直しというふうに、そこに向けて矢印をつけているんですね。つまりは、そういう流れなんだろうというふうに思うんです。
今大臣がおっしゃっていただいたように、期間的なところでは、時間の枠としては、中期的、そしてスピーディーに行っていくものというふうな分け方をされたんですけれども、実際は、大臣もおっしゃっているように、安倍政権の農業改革の方向性を基本に今回のこの食料・農業・農村基本計画の見直しもされるということでよろしいんですか。
○吉川国務大臣 食料・農業・農村基本計画でありまするけれども、これは、先ほどからも申し上げておりますように、さまざまな、農業者の、生産者も含めて、皆さんから御意見を頂戴をいたしまして、今、企画部会でそういう意見聴取も行っているところでもございますので、そういった意見を尊重しながら、この秋に諮問をするということになりまするけれども、しっかりと意見聴取をした上でこの基本計画というものは私どもが策定をしていきたいな、このように考えておりますので、しっかりと農林水産省が主体性を持って決めさせていただきたいな、こう思っております。
○金子(恵)委員 また気になっているのが、一月八日の閣議決定後の記者会見で、吉川大臣が、今後十年間の農政の方向性を示す食料・農業・農村基本計画の見直しについて、現状の安倍政権の農業改革の方向性を基本に議論するという考えを示したということでありましたので、この方向性を基本にするということはもう前提となっているのか。
ということであれば、安倍政権が行ってきた農業改革というのは、産業政策をまさに中心と考えている、そういう農業改革であります。ということは、今度の食料・農業・農村基本計画もそのように見直されるのかというふうに危惧しているところであります。ここを私は確認をさせていただきたいと思います。
○吉川国務大臣 安倍政権におきましては、さまざまな改革を行って、農業関係も行ってまいってきたことは、それはもう確かなところでもございますが、この基本計画、農業・農村基本計画に関しましては、そういったことは、今までの改革の方向性というものはもちろんございまするけれども、今後五年間の計画ということもございますので、ただ単に産業政策のみならず、地域政策ということもしっかり入れ込んだ形の中でこの基本計画というものを私はつくっていただきたいな、このように思います。
○金子(恵)委員 わかりました。
産業政策だけではない、地域政策を含めて、そして、我が国の本当の独立というもののためにしっかりとした食料の安全保障をしていく、そのための計画であるということだとは思いますが、ぜひ、そうであれば、審議会の役割というものをもう一度しっかりと発揮させるような、そういう後押しをしていただきたいと思います。
そのために、今回、現場の声をまず聞くんだということであればいいんですが、偏った方々の意見だけを聞いて、そして、その中でただ論点を整理してしまい、そして、今まで進めてきた安倍政権の産業政策のみの農政のような形、そういう方向に行ってはいけないというふうに思いますので、ぜひ、大臣、もう一言、そうではない、官邸主導の農政改革ではない、それを推し進める基本計画にはならないということをお約束をしていただきたいと思いますが、一言お願いします。
○吉川国務大臣 先ほども、金子委員から御指摘を受けまして、食料・農業・農村基本計画の見直しについての部分で私は申し上げましたけれども、今までは、どちらかというと、役所が用意した資料を説明の上で、委員と役所間での議論が中心であったことなどから、農業者の方々への基本計画の浸透が不十分な面があったと考えたところでもございますので、それによって、まずは、今回の見直しに当たりましては、現場の声にしっかりと耳を傾ける、それから、農業経営に関する現状だとか問題点について、農業者の皆さん、幅広く食品事業者からもヒアリングを行って、この審議会の委員との中で活発な議論をいただいていく、そういった形をぜひとらせていただきたい、このように思います。
○金子(恵)委員 私の理解では、これまでなかなか審議会での議論が進まなかったということなので、今回は、しっかりと現場の声を聞いて、いい審議ができるようにするということだというふうに思います。
ただ、何せ、秋に諮問ということであれば、大変期間が限られている中での議論というふうになってきますので、そこは懸念しているところであります。
当時、前回の基本計画策定にかかわった福島大学の生源寺眞一教授のコメントがあったんですけれども、これは十二月の十二日の日農新聞の記事でございます。「「基本計画と無関係に政策が進むのはおかしい」と規制改革主導の農政に懸念を表明」しているということであります。
前回の策定にかかわった前回の審議会の会長もこういうふうにおっしゃっているわけですから、そうではない形で、この審議会をしっかりとした正常な軌道に乗せていただきたいというふうに思います。
次に参りたいと思います。
第三次食育推進基本計画の件でありますけれども、今回、四月一日に、食育推進会議食育推進評価専門委員会において、計画のフォローアップの中間取りまとめが行われたわけなんですけれども、三次計画において挙げられている十五の目標のうち、改善が見られない又は専門委員会の意見が多かった九つの目標の進捗状況と背景、要因について分析を行い、整理がなされたということでありますけれども、この数字をどのように受けとめていらっしゃるか。そしてまた、今後、学校給食における地場産品及び国産食材の使用割合の目標達成に向けての取組をどのように進めていくのか。これは食と農をつなぐ上で大変重要であると思います。
つまりは、まさに食育を進めるという観点からは、学校給食からスタート、この取組強化をしっかりと進めるべきだというふうに思いますが、この二点についてお伺いさせていただきたいと思います。
○吉川国務大臣 第三次の食育推進基本計画の中間年に当たります昨年度、食育推進評価専門委員会が、食育の推進状況につきまして、課題、留意点を整理をして、四月一日に中間取りまとめを公表をいたしました。
この中で、例えば、学校給食における地場産物の使用割合が、目標値三〇%以上に対しまして現状値で二六・四%であることについて、学校と生産現場とのミスマッチがあり、双方のニーズを調整する地産地消コーディネーターの活用が重要である。さらには、主食、主菜、副菜を組み合わせた食事を一日二回以上ほぼ毎日食べている若い世代の割合が、目標値五五%以上に対して現状値三九・一%であることについて、外食、中食を定期的に活用している者の方が栄養バランスのとれた食事の頻度が少ないため、外食、中食事業者による取組が重要等の指摘もなされたところでございます。
このような指摘を踏まえまして、まずは、関係省庁、自治体、地域の食育関係者と連携をいたしまして、現行基本計画に基づく食育の普及推進に積極的に取り組みますとともに、次期基本計画の作成に向けて具体的な対応策を検討してまいりたいと存じております。
学校給食における地場産物の使用割合ですけれども、第三次推進基本計画において、平成三十二年度目標が三〇%であるのに対しまして、直近実績であります二十九年度は二六・四%と、今申し上げました、なっておりまして、同じく、国産食材の使用割合が、平成三十二年度目標が八〇%であるのに対しまして、直近実績である二十九年度は七六・七%となっております。
学校給食における地場産物等の利用に当たりましては、一定の規格を満たした農産物を不足なく安定的に納入することが求められておりますので、細かな要望に応えられない生産現場との間のギャップが存在することが課題となっておりました。
こうしたことから、学校給食における地産地消の取組を推進するために、今、学校給食と生産現場との間の意見を調整して解決策を提案いたします地産地消コーディネーターの派遣ですとか育成を行う事業を行っておりまして、食料産業・六次産業交付金におきまして、地場産食材の使用促進に向けたメニュー開発等の事業も実施をいたしているところでもございます。
さらに、この取組をしっかりと支援もしてまいりたいと存じます。
○金子(恵)委員 時間が参りましたので、しっかりと支援をしていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。
○武藤委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。
それでは、早速、通告に従って質問させていただきます。
きょうは、豚コレラ対策と、それから食育についてということでお伺いしていきたいと思いますが、先ほど来、既に各会派の議員の皆さんからも同趣旨の質問も一定程度ございましたが、確認の意味も含めて私の方からも聞かせていただきますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
まず、豚コレラ対策についてお伺いしますが、一問目の質問は、野生イノシシへの経口ワクチンの散布状況と期待される効果についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。
なかなか豚コレラの発生がおさまらないという状況で、何とか感染拡大を阻止していこう、封じ込めていこう、そして、この感染をなくすんだという強い意思を持って農水省の皆さんや関係者の方々も今御努力をいただいているところでございます。
その具体的な対策として、もう私が申すまでもありませんけれども、一つは、人それから車両、こうしたものに対する国の定める衛生管理基準、これをどのように生産現場で徹底をしてくるかということがまず一つあって、もちろんこれは進められている。もう一つは、野生イノシシによる感染拡大の防止、ここに対して、私どもも、農水大臣の、発生時の申入れのときから、その申入れの第一番目のところに、野生イノシシに対する経口のワクチンを対策として講ずるべき、こう申し上げてまいりました。それが今、実行されているわけでございます。
今回、拡大豚コレラの疫学調査チーム、ここは、野生イノシシに対して、野生イノシシが明らかな感染リスクである、このように位置づけて、そこで、餌ワクチン、これを愛知県で二十四日、岐阜県で二十五日、この設置が始まって、今日に至っております。
農水省として、今後、ワクチンの設置によって感染イノシシを着実に減らしていく、そのことによって、豚コレラ対策を一層強化して具体的な効果を上げていく、こういうことであると思いますが、今、改めて、野生イノシシへの経口ワクチンの散布状況とその効果についてどのようなお考えをお持ちなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○濱村大臣政務官 昨年九月以来発生が続いている豚コレラにつきましては、野生イノシシを介した養豚場への豚コレラウイルスの拡散防止対策として、我が国初めての取組である、野生イノシシに対する経口ワクチンの散布を二月に決定したところでございます。
経口ワクチンの散布につきましては、一年間を三期に分けて計六回実施することとしており、その一回目の散布が、三月二十四日から四月二日にかけて、愛知県及び岐阜県の豚コレラに感染した野生イノシシが確認された地域で行われたところでございます。
散布後に行われた調査では、野生イノシシにより摂取等されたワクチンは、散布したうちの六割から七割に上ると推計されておりまして、今後、野生イノシシのサーベイランス検査を実施し、散布の効果を検証することとしております。
このように、野生イノシシが経口ワクチンを摂取することで、豚コレラウイルスに対する抗体を保有する野生イノシシの頭数が増加し、感染した頭数が減少すれば、飼養豚への感染も減少することが期待されているものでございます。
○稲津委員 ありがとうございました。
今、六割から七割、野生イノシシへの餌の接種が進んでいるのではないだろうかということでございまして、私は、これは相当程度の効果が期待されるだろうと思っていますし、ぜひその方向で進めていただきたいと思います。
それから、これはちょっとこのこととは一つ違うんですけれども、この疫学調査チーム検討会の結果概要にも三月の末に出ておりましたが、私も同じ意見を持っていますので、あえてここで申し上げたいと思うんですけれども、やはり野生のイノシシの対策として、衛生管理区域、ここにイノシシが入ってくる、これを防ぐために柵を設置せいということで進んできたんですけれども、現実には、柵が設置されていなかった、あるいは、設置されていても、ちゃんと閉鎖、閉めていないとか、あるいはすき間があるとか、こういったことが確認されたということも報告に出ております。
したがいまして、ここで申し上げたいのは、この経口ワクチンの散布をしっかり進めていくと同時に、こうした野生イノシシが入ってこない対策、これはやっているというふうに認識していたんですけれども、実際のこの報告、結果状況を見ると、決してそうじゃないところも散見されるということですから、関係者の方々への一層の啓発ということも更に進めていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
次に、輸入禁止畜産物の違法持込みに対する罰則の強化ということで、これはアフリカ豚コレラ対策の強化についてということでの関連で質問させていただきたいと思います。
ことしの一月の二十五日に、中国から我が国に持ち込まれた、そして任意放棄された豚肉製品四件について、動物検疫所において、アフリカ豚コレラの遺伝子の検査、それからシークエンスというんですか、これは増幅産物の遺伝子の配列の解析ということだというふうに承知しておりますが、これを実施したところ、アフリカ豚コレラウイルスの遺伝子が確認された。それから、この豚肉製品について、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部門、随分長い名称ですけれども、ここにおいて改めて検査を行ったところ、二件の豚肉製品、これはソーセージというふうに伺っておりますけれども、生きたウイルスが分離されたということ。
すなわち、アフリカ豚コレラウイルスが、これまでは、隣国でそういうことが発見されていて大変な状況だ、汚染されているということは認識していましたが、それが我が国の水際まで到達していたということ。ですから、もう、言いかえれば、いつどのような形でこのアフリカ産の豚コレラウイルスが入ってきて、それが汚染拡大する可能性がゼロでないということが改めて知らされて、大変な脅威だと思います。
これまでも、こうしたことに関して、違法な畜産物の持込みに対してということで、これは現状でも百万円以下の罰金又は三年以下の懲役の罰則ということが決められておりますが、あくまでも特に悪質な場合に適用ということですから、これは、例えば商売目的とか密輸とか、そういうことが対象になっている。
このことについても、お土産とか、持ってきて自分で食べるとか、そうしたものが発見された場合は、捨てなさい、こういうことで放棄を促していくということでございましたが、しかし、こういう状況になってきた以上、もう少ししっかりとした対策をしないととっても危険じゃないかという考え方なんです。
今般、違反事案に対して対応を厳格化するということで、大臣の方からもこれは発表されておりまして、私も承知をしておりますが、このことが具体的にどのようなものなのかということについてお示しをいただきたいと思います。
質問すると同時に、ちょっと私の意見を申し上げたいと思うんですが、どういうふうに厳格化するという対応方針というのは既に決まっておるというふうに承知していますが、問題は、それが実効性のあるものになるかどうか、それから、それが効果があるかということもあると思うんです。
そこで、私は四点ばかり考えておりまして、これはもう当たり前のことかもしれませんけれども、例えば、悪質な場合と、単純に間違って持ってきた、あるいは、わかっていたかもしれないけれども、お土産でとか、そういうこともあるんですけれども、いずれにしても、例えば、繰り返し持ち込んでくるという場合。それから、個人消費、お土産とは言いつつ、実は販売目的だった。これはもう完全に悪質な場合ですからいいんですけれども。それから、組織的なものであったりとか、あるいは量が非常に多い。これも私は大変、厳格化する対象になって当然だと思います。それから、ほかの人に預けて持ち込んだ場合。こうしたことにやはり留意をしなきゃいけないというふうに思います。
したがいまして、このことを踏まえた上で質問させていただきますけれども、今回のこの違反事案への対応の厳格化について、どのようなことになっているのか、お伺いしたいと思います。
○吉川国務大臣 稲津委員から今御指摘をいただきましたように、実際に、感染力を持つアフリカ豚コレラウイルスが我が国の水際まで到達していたことが明らかになりました。
こうした状況を踏まえまして、今般、旅行者による畜産物の持込みに関しましては、個人消費用や土産目的であっても、原則として全てのケースで警告書を発出することといたしました。また、その際、動物検疫制度及び罰則について説明しますとともに、違法な持込みを繰り返す悪質性が認められる場合には警察に通報又は告発するなど、家畜伝染病予防法の違反事案への対応を厳格化することといたしたところでもございます。
特に、悪質性が認められる場合には厳正に対処してまいりますとともに、引き続き、あらゆる手を尽くしてこの越境性動物疾病の侵入防止を徹底してまいりたいと存じますし、ゴールデンウイーク、十連休も近づいてきておりますので、農林水産省のみならず、関係府省とも連携をとりながら、徹底してこの水際作戦を行ってまいりたいと思います。
○稲津委員 ありがとうございました。
今御答弁いただきましたように、罰則の厳格適用、これをしっかりやっていただいて、監視の強化をお願いしたいと思っております。我が国はインバウンドのお客様が非常にふえているということで、大変喜ばしいことですけれども、一方では、そうした持込みが後を絶えないのも事実ですから、先般来議論している探知犬の増頭とあわせて、こうした対策の強化をお願いを申し上げる次第でございます。
今度は、話がかわりまして、食育についてということでお伺いしたいと思います。
きょうは文部科学省さんにも来ていただいておりますので、まず文科省に質問させていただきますが、子供の朝食の欠食状況とその対策についてということをお伺いしたいと思います。
文科省の全国学力・学習状況調査の中で、子供の朝食の欠食率の推移というのがございます。これは、二〇〇六年、七年ぐらいからはずっと朝食の欠食率が下がってきた。下がってきて、近年、またちょっと上がってきているんですね。これは小学校も中学校もそうなんですけれども。
欠食している子供が増加している傾向があるということで、子供のうちに健全な食生活を確立するということは、これは、生涯にわたって健全な心身を養う、それから基本的な生活習慣を身につけるという意味でも大変大事だと思っています。
ある方の御意見として、朝食は金だ、昼食は銀だ、夕食は銅だと。どういうことかというと、朝御飯をしっかり食べて、一日の英気を養ってスタートをしていく。夜の御飯は少し少な目に、それでゆっくり休む。それで、金、銀、銅という表現をしているというふうに聞きましたけれども、朝食はやはり非常に大事なことであるというふうに思っております。
こうしたことを踏まえた上でお伺いしますけれども、子供の朝食の欠食状況そして対策について、文科省としてはどのような手を打たれているのか、お伺いしたいと思います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
子供の朝食の欠食に関する状況につきまして、平成三十年度の全国学力・学習状況調査によれば、朝食を余り食べていない又は全く食べていないと回答した子供は、小学六年生が五・五%、対前年度比〇・九ポイント増、中学三年生が八・〇%、対前年度比一・二ポイント増という状況になってございます。
文部科学省としましては、これまでも、給食の時間あるいは各教科など、学校教育活動全体を通じまして食育を推進してきておりますが、さらに、平成二十九年度から、家庭と学校や地域の関係機関が連携して食育を推進するモデル事業としまして、つながる食育推進事業を実施し、保護者の食への理解や家庭における望ましい食生活の継続的な実践の支援というものも行っているところでございます。
また、朝食をとることも含めた子供の基本的な生活習慣づくりの機運を醸成するため、「早寝早起き朝ごはん」国民運動を独立行政法人国立青少年教育振興機構や「早寝早起き朝ごはん」全国協議会と連携して推進してきておりまして、各種フォーラムの開催や啓発資料の作成、中学生を対象とした推進校事業の実施、すぐれた活動に対する文部科学大臣表彰等を行っております。
引き続き、農林水産省等の関係省庁と連携協力しながら、朝食をとることの大切さを含めました子供の基本的な生活習慣づくりの推進に取り組んでまいりたいと考えております。
○稲津委員 今御答弁いただいて、状況等について、対策等について、よくわかりました。
今、最後に御答弁された、農水省とよく連携を図りながらというところが私は一つ大事なポイントかなと思うんです。
それで、次は、子供の朝食欠食対策に関する農水省のかかわりについてということでお伺いしておきたいと思うんですけれども、特にやはり、一つの視点として、地場の食材をしっかり学校給食に取り入れてくるということを通じて食育を高めていく、それから、ひいてはそれがいろいろなところに影響してくる、大事だと思っています。
そこで、学校給食における地場産物の使用割合というものをちょっと私も調べてみたんですけれども、これはだんだんふえてきているのも事実でございまして、それから、農水省の取組として、学校給食において地場産の農産物等が一層使われるようにするということで、学校給食の活用事業を進めているということも承知はしておりますけれども、こうしたことを踏まえた上で、子供の朝食の欠食対策などに対する、食育全般に係ることも含めてで結構でございますけれども、農水省の取組についてお示しをいただきたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
子供の朝食の欠食対策、それから学校給食におきます地場産品それから国産品の活用といった食育全体につきまして、農林水産大臣は、食育基本法に基づいて設置をされております食育推進会議の会長は農林水産大臣でございますので、各省の取組を奨励いたすとともに、食育計画全体を取りまとめる立場にございます。
このような中、御指摘ありましたように、まず、朝食の欠食対策につきましても、朝食を食べることの効果や朝食を提供する子供食堂の事例を事例集として紹介するほか、文部科学省と連携をいたしまして、早寝早起き朝御飯の国民運動の周知啓発を行っているところでございます。
また、学校給食におきます地場産品の利用につきましても、地産地消コーディネーターを派遣するなど、各地での取組を促しているところでございます。
今後とも、このように、各省と連携をした取組を推奨し、かつ、次期食育基本方針の中で、現状を踏まえて更にどのような対策ができるのかということを検討してまいりたいと考えております。
○稲津委員 時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、ぜひ、今後の食育の推進基本計画、この中にもしっかり反映していただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 皆様、大変お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。
まず、諫早湾の干拓事業に触れたいと思いますが、これをめぐっては、潮受け堤防の開門こそが、諫早湾の干潟の再生、そして生態系の回復に不可欠であること、これは、佐賀県御選出の大串委員が質疑を通じて訴えられていらっしゃいます。
潮受け堤防の閉鎖以来、諫早湾の干潟が失われて、漁業被害の深刻さに加えて、これは農業面でも、冬場には暖かさをもたらすはずの諫早湾の潮流が堤防に阻まれてしまうことによる畑の冷害、そして、藻や水草など、カモにとって豊富な餌場であった干潟を潰したことによるカモの農作物への食害など、本来農業の場であった干潟を潰したことによる、農業のためにつくられた干拓地で、営農においてもさまざまな被害が顕在化しているところであります。
諫早湾の干拓事業が漁業、営農を困難なものにしている。その困難を生み出している水質の悪化、それを改善させて環境保全を求めていくという動きは、日本の北、同じくかつての国営の干拓事業で誕生した秋田県の八郎湖においても同様の動きが広がっております。
資料1をまずごらんいただきたいと思いますが、これは、もともとは日本で二番目に大きかった汽水湖であります。八郎潟と呼ばれていました。一九五七年から国営による、二十年にわたる干拓事業によって、淡水の湖、八郎湖になりましたけれども、このときから既にアオコが大量発生するようになりました。
次が、資料2の写真、アオコです。特に夏ごろに、雨が少なく、晴れて気温が高い日が続く、つまり日照りが続くような天候の場合に発生しやすい。これで大量発生すれば、このように、マットを敷いたようにアオコが湖を覆います。
それが更に悪化すれば、その下の写真です。スカム状といいますけれども、一層厚くアオコが堆積をして、表面が白っぽくなったりすることがあります。大変深刻な年になることがあります。県の対策室や関係自治体から成る協議会など、平成の時代にもさまざまな取組が行われてきましたけれども、その年の気象状況によっては、アオコが異常発生すること、これを未然に防ぐことはやはり難しい状況です。
水道水の異臭問題が起こることもあります。
水質の改善や周辺地域の環境保全に大きな課題を抱えているのがこの秋田県の八郎湖です。干拓地に入植した時代から数えれば実に半世紀余りがたつわけですけれども、いまだに解決を見ていません。かつて国営で進められた干拓事業が始まりの問題であることを踏まえて、大臣の御所感を伺います。
○吉川国務大臣 八郎湖の件だと思いますが、それにつきまして私の方からそれではお答えをさせていただきます。
八郎湖の水質でありますけれども、八郎潟干拓事業が完了してから徐々に富栄養化が進行いたしまして、近年は、アオコが発生するなど、水質問題が顕在化をいたしております。水質への対策が必要であると認識もいたしているところでございます。
秋田県におきましては、八郎潟が平成十九年に湖沼水質保全特別措置法に基づく指定湖沼の指定を受け、八郎湖に係る湖沼水質保全計画を策定をし、環境省等の関係省庁と連携をいたしまして、公共用水域の水質監視、二番目には、下水道等の整備と持続性の向上などの点源対策、三つ目には、環境保全型農業の普及促進と濁水流出防止などの面源対策、四つ目でありますけれども、水生植物の移植などによります湖岸の自然浄化機能の回復などの湖内浄化対策などの対策を実施していると承知もいたしております。
また、秋田県の環境部局の資料によりますると、これらの対策等によりまして、八郎潟干拓事業で造成した八郎湖の平成二十九年度の水質につきましては、いずれも環境基準を上回っているものの、化学的酸素要求量、全窒素、全燐の調整池等への負荷量は着実に低減しているものと考えられるということでもございます。
秋田県環境部局では、さらなる水質保全対策を推進するために、次期八郎湖に係る湖沼水質保全計画の策定に取り組んでいると承知をいたしておりますので、農林水産省といたしましても、八郎湖において水質保全が求められていることを踏まえまして、今後予定している農業水利施設の老朽化対策の検討とともに、農業排水に含まれる窒素や燐等の八郎湖への流出を抑制する工法を検討しているところでもございます。
引き続き、秋田県との連携をしながら、八郎湖の水質対策には取り組んでまいりたいと存じます。
○緑川委員 大臣からまず御紹介をいただきました指定湖沼一覧というものをごらんいただきたいと思いますが、これが資料3でございます。
CODという値、水の汚れぐあいを示すものでありますけれども、河川や用水路から生活排水、農業排水が湖に流れ込んで、水中に溶け出している有機物が酸化剤で分解される際に消費される酸素の量です。つまり、多くの酸素を消費するほどに有機物が溶け出している。
つまり、CODが高ければその水が汚れているということを示しておりますが、このCODによる調査で、やはり大臣おっしゃっていただきましたけれども、全国百八十ある湖のうち、八郎湖は上位三番目に高い数値であったのが二〇〇六年。その翌年に水質環境に課題があるとして指定湖沼となりましたけれども、このワーストの上位を抜け出す年もありますが、着実な改善をしている一方でも、直近の三年前を見ても、二〇一六年、全国五番目のCODの高さになっている年もあります。これは横ばいの状況というふうにも言えます。
自治体としても、以前の計画よりも厳しい目標値を設定をして、引き続き発生源対策、面的な対策を続けているところですけれども、それでも周辺地域からの下水道などの生活排水、また農業排水、工業排水、こういう有機物を含む汚れた水が流入を続けている。それが日光を受けると、藻類や植物プランクトン、こういう水生生物が増殖をして、これらが枯れたり腐敗したりすることで、水中に燐や窒素、こうしたものが放出をされる。これが富栄養化につながっている。こういう状況がやはり変わっていかない。
汚染の発生源の具体的な対策についてまず伺う前に、水質の改善を図る効果が期待されるものとして地元から期待が寄せられているものが、防潮水門の開放による水質の改善であります。
もちろん、水門が調整池への海水の流入を防いで、農業用水として利用される調整池を淡水にすることで豊かな農業が育まれてきた、展開されてきたことは、欠かせない機能を持っているということは踏まえた上でお尋ねをしたいというふうに思いますが、今から三十年以上前に、八郎湖で、一九八七年に発生した台風で、湖に海水が流入をして、その際に、水をきれいにする働きを持つヤマトシジミが繁殖をして水質が改善したということがありました。
こうした経験を踏まえれば、防潮水門の開放による水質、さらには生態系の再生を期待する声が根強くある。農業に影響を与えない限りで水門を開放して、かつ、淡水域と汽水域をしっかりと管理をしていくようにすることで、繁殖したシジミが水質の悪化を食いとめ、生態系の復活につなぎ、同時に、水産資源として活用していくことで漁業の振興にもつながっていくというふうに考えておりますが、政府としては、これに対してどのような御見解をお持ちでしょうか。
○室本政府参考人 防潮水門の開門のお話だと思いますが、まず、防潮水門というのは、かんがい用水の確保のため、委員おっしゃるとおり、例えば後背地からの流入水を一旦調整池にとどめて、それに加えて、外海からの海水の浸入防止、これを目的として、施設管理者である秋田県が定めた管理条例に基づきまして、秋田県が管理及び操作をしている、そういった施設でございます。
この管理条例によれば、水門の操作に当たりましては、防潮水門の下流の水位に急激な変動を生じさせないこと、あるいは海水を調整池に流入させないこと、これを厳守することというふうな前提条件がついてございます。
委員御指摘のような、仮に、防潮水門を開放し、淡水域と汽水域がまざるような、そういう調整池の運用をした場合、塩分濃度は基本的に高くなるということで、農業用水として利用ができなくなる可能性が当然ございます。加えまして、調整池の周辺には揚水機場とか排水機場が縦横無尽に設置されておりまして、調整池が海水化することによって当然腐食をして機能低下が早まる可能性、こういったことも否定できないということでございます。
また、一旦調整池に海水が入った場合は、恐らく委員御指摘の台風というのは昭和六十三年の台風で、シジミが一万トン余りとれたのは平成二年ごろだったと思いますが、そのような形で海水を入れても、当時は海水の状態のままで、農業用水への活用という観点からは余り適したものではなかったのではないか、こう推測されますが、いずれにしましても、塩分濃度が回復するまでに相当の時間を要するという問題点がございます。
したがいまして、農業に影響を与えない防潮水門の開放というのは基本的には困難ではないかというふうに考えているところでございます。
○緑川委員 実は、かつて、秋田県が開門をするという取組がありました。実験的に二〇〇七年に日本海につながる開門を行ったんですけれども、実際、一億トン、八郎湖には水があります、その一億トン全てを入れかえようとして実際に試みたんですけれども、海水が強い西風によって逆流して、水位が違いますから、湖内に入っていくことが懸念されたことで、この全ての入れかえを断念している。結局、開門することでの効果というのが実証されていないんですね。
海水が流入したことによる対策というのは確かに必要ですけれども、例えば農業で必要な水については、かんがい期の後に水門を開放することで塩水による稲作への影響は少なくとも回避できる。いろいろな取組を検討するべきであるというふうに思います。有識者の声もそういったお声が強い、そういう状況であります。
水質の改善が半世紀以上果たされない中で、一方で、生活への影響、飲料水としての水道水の異臭問題がありました。また、水上スキーやボート、こういうレジャースポットもあることから、周辺住民、利用者の健康上の問題に対する懸念も今広がっています。
農業と漁業の共存共栄、さらには、地域の生態系を守っていくということについて、干拓者、干拓地の入植者や地域の方々が、グループ学習や啓発活動を通じて知恵を出し合いながら、実効性のある対策を考えて、八郎湖を取り巻く地域の環境保全を世代を超えて訴え続けているわけです。産学官連携により水質浄化のための調査研究を行って、それを実践に移して取り組んでいることもありますが、それでもなかなか変わっていかない。これに対して、政府の今の御答弁では、なかなかこの取組を前に進めることは私はやはり難しいというふうに思っています。
開門の一方で、発生源対策についても考えていかなければなりませんけれども、関係自治体や地域の土地改良区が、今、CODを高める要因の一つである下水道や農業排水につながるパイプラインについて、整備を進めながら、この接続率を高める努力を続けています。
一方で、今、そもそもの根本の発生源対策として、資料4をごらんいただきたいというふうに思いますが、八郎湖全体のCOD負荷の四割以上が実は農地由来。つまり、湖の汚染が特に集中する五月というのは、代かきをした後に、田植のシーズンの五月に、水田から排出された泥水が湖に流れ出ることによって汚染が進むことによるものであります。
これまでは、水を張る量を減らす浅水代かきなどの取組が地元の農家によって行われてきました。この浅水代かきの取組の割合、九割を超えているというふうに言われますが、いまだCODの数値の改善、目立った改善は、先ほど示したとおりで、横ばいの状況です。
そこで、提案をしたいんですが、この取組を更に一歩進めていく、泥水の排出を減らす農法として、この地域では、土地改良、そしてJAなどが、代かきを行わない無代かき栽培の実践を十年ほど前から進めているところです。代かきの作業をしないので泥の排出がなく、また、作業も従来の代かき栽培と余り変わらないとも言われます。取り組みやすい農法として、秋田ではこの無代かき栽培を行う農家を支援をしておりますが、国としてはどのような取組を検討していらっしゃいますでしょうか。
○天羽政府参考人 無代かき栽培への支援についての御質問をいただきました。
先生御指摘のとおり、八郎湖は、平成十九年十二月に、環境省が所管する湖沼水質保全特別措置法に基づく指定湖沼の指定を受けております。また、秋田県においては、八郎湖に係る湖沼水質保全計画が策定されているというふうに承知をしてございます。
水稲栽培においては、一般的に、まず圃場を耕起し、代かきを行うために水を張り、代かきを終えた後に圃場から排水をする、さらにその後、田植を行うという手順を踏むのが一般的でございます。
一方、秋田県では、当該水質保全計画の中で、八郎湖の水質保全の観点から、代かき後の濁った水の排水を行う必要のない栽培方法として、大潟村において無代かき栽培を推進しているというふうに承知をしております。
農林水産省においても、農地から流出する汚濁負荷につきまして、実情に即して適切な措置を講ずることが重要であるというふうに考えておりまして、本件の所管省である環境省や秋田県と連携しつつ、このような取組について、さまざまな機会を捉えて情報提供をしてまいりたいというふうに考えております。
○緑川委員 この無代かき栽培の取組ですけれども、汚染の一因だった代かき水に着目をして、田植前の排水を必要としない無代かき水田で実験をしたところ、田んぼの水深を二・五センチ減らすことができれば、汚染が著しい田植シーズンの五月に窒素、燐酸をそれぞれ二割程度削減できるという試算も有識者から出されています。
無代かき栽培を実践している農家にお話を伺っても、代かきをしなくても収穫量に大きな違いはない、お米の粒も大きいように感じるというふうにおっしゃっていました。水田のそれぞれの作業工程の中で、やはり、特に作業時間や技術を要する代かき作業を行わなくても済むということは大きなメリットなんですね。
無代かき栽培にすれば、春作業に必要な時間やコストも削減できることで、人手不足の中においても農地の規模拡大も行いやすくなるわけです。また、最近の農業機械の性能の向上、また、作物にとって成分の利用効率の高いエコな肥料の普及も進んでいるこの時代です。必ずしも代かき作業を行わなくても、田植前の田んぼを十分に整えることも今は可能になっています。農地を集積しながら規模拡大も進められている時代に、無代かき栽培はより重要になっていくというふうに考えておりますが、政府の御見解を伺います。
○天羽政府参考人 無代かき栽培についての御質問をいただきました。
規模拡大を通じた生産コストの低減は、担い手の所得の向上に向けて重要というふうに考えておるところでございます。
先生御指摘のとおり、無代かき栽培は、一般的な稲作で実施している代かき作業を省略する栽培方法でございますが、規模拡大の阻害要因となっている春作業の労働ピークを平準化できるというメリットがございます。したがって、規模拡大を図る上での有効な技術の一つであるというふうに認識をしてございます。
ただ、春作業の労働ピークの平準化という観点では、代かき作業のみならず育苗作業も省略できる乾田直播栽培がより効果的ではないかというふうに考えておりまして、水質保全にも無代かき栽培と同様の効果があるというふうに考えてございます。
○緑川委員 時間が来てしまいましたので、この水質改善の取組の政府に対する見解については、引き続きまた質疑を通じて確認をさせていただきたいというふうに思いますけれども、この八郎湖の周辺地域、そして愛着を持って暮らしているこの地域、自然を守っていきたいという地元の思い、それを踏まえた政策をどうか国として進めていくことを検討していくことを強く求めて、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、関健一郎君。
○関(健)委員 国民民主党、関健一郎です。
委員長並びに与野党の理事の皆様におかれましては、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速、質問に移らせていただきます。豚コレラについてお話をさせていただきます。
委員長のお地元の岐阜県、そして私の愛知県を含めまして、五つの府県で豚コレラが発症しています。また、終息の局面かと思われたやさきにまた再び発生をし、予断を許さない状況になっています。生産者の皆様におかれましては、改めて心からお見舞いを申し上げますとともに、国、県、市町村の職員の皆さん、そして自衛隊の皆さんも、まさに昼夜を問わず作業に当たっていただいています。心から敬意を表すとともに、感謝を申し上げます。
その上で申し上げます。この四月の六日まで五日間限定だったんですけれども、愛知県の東三河というところがありまして、東三河のいいもんうまいもん広め隊という隊がありまして、実は、田原市の豚コレラ、これは、移動制限が三日だけ解除された時期があったんです、この三日のうちに出た豚肉を活用して、東京で風評被害の撲滅に向けた取組を生産者の皆さんがやっておられました。活動に心から敬意を表するとともに、政府が全力で彼らの風評被害の撲滅と復活をバックアップしなきゃいけないことは言うまでもないことですけれども、大臣に改めてお伺いをいたします。
生産者への切れ目ない支援、細やかな支援というのが改めて求められています。今、生産者の皆さんにしてみれば、ようやく終息をしたかなという段階で、ああ、ようやっと移動制限解除だと。その三日後に、知事も安全宣言を発したその三日後にまた発症した。先ほど生産者の方と電話をしたら、ようやく、自分が生産をして、手塩にかけた豚さんを売って、また収入が得られるというまで一年以上かかるというんですね。自分の豚舎の洗浄を終わらせて、もう一回豚さんを購入して、妊娠できるところまでならして、交配をして、産んで、育てて、一年以上かかるわけです。
彼らの心中、想像もできませんけれども、前回も質問させていただきましたが、彼らは必ず、大臣が所信でおっしゃられた攻めの農業の中心に来られる皆さんです。必ずまた復活するからねという強い意思を示しておられます。
そうした中で、一方で、彼らの不安もあるわけです。原価とコスト代は補償してもらえる。ただ、彼らは、当然ですけれども、その中から利益を出して、それで自分の生活を成り立たせているわけです。
今、補助、原価と、政府の追加支援の中でいろいろ補填をしていただいていますけれども、それは課税対象になっていたり、切れ目ない十分な支援とは言いがたい現状があります。そして、政府の命令で、自分のところはコレラを発症していないけれども、もう可能性が極めて高いのでということで、殺処分に協力をしておられる生産者さんもいます。
彼らに、もう一回復活したいという意思が折れないような、過剰にやってくれとは言っていませんから、生活が成り立つだけの切れ目ない支援を改めてお願いすると同時に、申し上げましたが、市町村の職員の皆さん、そして国の皆さんもそうですけれども、殺処分の現場というのは、これは予想以上になれていない現場であるということがお話を聞いているとわかります。普通の室内でいつも勤務をしておられた方が、豚の鳴き声がいろいろなところで聞こえるところで、使ったこともない長靴と防護服を着て、殺処分の現場で何時間も何時間もおられるわけです。物理的な支援はもとより、心と体のケアというのを細やかにやっていただきたいと思います。
大臣に、生産者への切れ目ない細やかな支援、また、職員の皆さんへの心と体のケア、改めて必要と思いますが、御所感を伺います。
○吉川国務大臣 昨年の豚コレラが発生をいたしましてから、関委員におかれましては、真摯にこの豚コレラの、生産者あるいはまた今御指摘をいただきました従事者に対する、さまざまな形で御対応をいただいておりますことに、私からも敬意を表したいと存じます。
殺処分を義務づけておりますので、所有者には豚の評価額の金額を手当金として交付をいたしておりまするけれども、また更に畜産経営の継続を支援もしなければならないと存じております。
さらに、もう二月二十六日にはなりまするけれども、発生農家等を対象に、経営再開に向けた低利融資の拡充ですとか、家畜防疫互助基金の積み増し、この基金がなくならないように積み増しもいたしたところでもございますし、さらに、豚マルキンの生産者負担金の納付を免除するなどの新たな支援の追加もいたしてまいりました。
今後も、しっかりと県とも連携をとらせていただきながら、農場の再開等々に向けての支援策というものもまた、必要であれば県とも相談をしながら打ち出してもいきたいな、こう思っております。
さらに、心身のケアでありますけれども、これは大変大切なことでございまして、豚コレラに関する国の防疫指針におきましては、防疫従事者の心身の健康維持に努めることといたしているところでもございまして、岐阜県及び愛知県におきましては、従事者の相談を受ける相談窓口を設置をいたしていただいております。
また、疾病発生時におきましては、自衛隊、さらに国、他県や関係団体からも人員を派遣をし、個々の従事者に過大な負担がかからないように、協力体制のもとで防疫作業に取り組んでいるところでもございまするけれども、引き続き、これらの対策を通じまして、豚コレラの封じ込めと生産者の経営再開等に万全の対応を期してまいりたいと思います。
○関(健)委員 ありがとうございました。
未来ある生産者の皆さんが、これを理由に豚の生産から離れようかなと思っているのを見るのはとても悲しいですし、損失の補填というのはいいんですけれども、その上で利益を出して生活をするというのは、これは当たり前のなりわいですから、そこまで、やはり生活支援というところまで、生産者の皆さんはなかなか声を上げづらいんです、また何か、くれくれ言っているのかと言われたくないという思いがやはりあるので、そこは生活支援までしっかり踏み込んで、また彼らが豚の生産で輝ける環境をぜひつくっていただきたいということをお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
ワクチンの接種について質問をさせていただきます。
この質問の趣旨は、私はワクチンを打つべきだということを言いたいのではなくて、常に大臣の頭の中で、ワクチンを打つ、打たないということを、ニュートラルにというか合理的に判断をしていただきたいなという思いから質問をさせていただきます。
まず、ワクチン接種に至る現状認識というのが大事だと思うんですけれども、現在、豚コレラに関して、農林水産省としては、これは今拡大の局面にあるのか、また終息の局面にあるのか、今の現状についての認識を伺います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の九月に二十六年ぶりに発生が確認されました豚コレラにつきましては、これまで、岐阜県、愛知県等で計十八例の発生が確認されております。特に、三月二十七日からは、一度正常化、回復した愛知県におきまして四例が発生しているということでございまして、このような事態につきまして、農林水産省としては重大な危機感を持っているところでございます。
このような中におきましては、飼養衛生管理基準の指導を徹底をするということがまず第一でございますので、四月四日には両県に動物衛生課長ほかを派遣いたしまして、それぞれ、今後とるべき対策の必要性、それから具体的なポイントについて意見交換を行ったところでございます。
現在までの発生状況を見ますと、豚コレラに感染した野生イノシシが発見された地域の周辺、それから、豚コレラの発生農場の移動制限区域及びその周辺にいわゆる発生農場があるということでございまして、いわゆる監視をしている対象としている農場の域内で発生をしているということでございます。
したがいまして、無秩序な広がりにはなっていないという認識にあるところでございます。
○関(健)委員 つまり、今の御答弁、いろいろ発生、拡大しているけれども、今までの可能性というか、イノシシの広がる範囲、また発生している農場のということで、アンダーコントロールと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、一定の範囲内で出ているという認識でいいんですか。いいですね。
○新井政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。
○関(健)委員 現状認識を伺います。
それでは、豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針というのをちょっと読み上げさせていただきます。「発生農場におけると殺及び周辺農場の移動制限のみによっては、感染拡大の防止が困難と考えられる場合には、まん延防止のための緊急ワクチン接種の実施を決定する」というふうに書いてあります。
つまり、「感染拡大の防止が困難と考えられる場合」というふうに農林水産省が認識した場合にはワクチンの接種が行われるということだと思いますけれども、「感染拡大の防止が困難と考えられる場合」、この「場合」について教えてください。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
特定家畜伝染病防疫指針におきましては、今御発言がありましたとおり、感染拡大の防止が困難と考えられる場合には、蔓延防止のための緊急ワクチンの接種の実施を決定できるというふうにされております。
同じくこの指針におきましては、そのような場合の考え方といたしまして、埋却を含む防疫措置の進捗状況、感染の広がり、疫学関連農場数、三番目といたしまして、環境要因、周辺農場数、家畜飼養密度、山、河川の有無等の地理的状況ということが列挙をされておりまして、これらを総合的に判断いたしまして決定をするということになると考えております。
○関(健)委員 今御説明いただきました。埋却を含む防疫措置の進捗状況、感染の広がり、環境要因、この三つでいいですよね。おっしゃるとおり、埋却を含む防疫措置の進捗状況というのが、発生と同時に適切な処置がとられているというのが現状なんだと思います。
もう一個、感染の広がりというのについてお尋ねをしたいんですけれども、この感染の広がりというのが、感染拡大の防止が困難じゃないのかというのが私の質問の趣旨ですけれども、この前、愛知県瀬戸市で豚コレラの患畜のイノシシが見つかったと思いますが、これは、政府及び岐阜県がやっておられる経口型のイノシシの豚コレラワクチンの包囲網の中ですか、外ですか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
愛知県瀬戸市の事例につきましては、イノシシの陽性確認地域から離れているということでございます。
○関(健)委員 つまり、岐阜県で経口ワクチンの包囲網の外側にイノシシの豚コレラの疑似患畜が発見されたということでいいですよね。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
この愛知県瀬戸市の事例につきましては、イノシシの陽性地域から離れているということでございますが、愛知県瀬戸市に派遣いたしました疫学調査チームによる現地調査の結果によりますと、野生動物の侵入防止柵、それから衛生管理区域専用の衣服の交換等、飼養衛生管理基準の遵守が不十分であった点が指摘されているところでございます。
この防疫指針におきましては、発生農場における早期発見、迅速な屠殺及び周辺農場の移動制限のみによっては感染防止が困難ということでございまして、これらの地域におきましては、飼養衛生管理基準の遵守が行われていないという状況が見られたところでございます。
したがいまして、これらの地域におきましては、まずは飼養衛生管理基準の遵守の徹底を図っていくということが重要と考えております。
○関(健)委員 あれ、今の瀬戸市のやつというのはイノシシですよね。飼養衛生管理基準ではなくて、恐らく、岐阜のあのところから包囲網を超えて、愛知県の瀬戸市のところにおりてきてということですよね、イノシシの、事実関係として。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
愛知県瀬戸市の周辺におきましてはイノシシは陰性ということでございまして、この地域につきましては、今のところイノシシからの直接感染ということは推定されていないところでございます。
○関(健)委員 失礼しました。瀬戸は豚でしたか。わかりました。済みません。失礼しました。いずれにしろ、豚コレラの患畜が確認されているところが、瀬戸は今までの包囲網からぽこんと出てきたということは間違いないと思います。
感染拡大の防止が困難だという判断というのは、非常にそれは難しいと思うんですね。こうなったらこうだなんて明確な線引きがあるとは思わないんですけれども、ワクチンの接種に関しては、発生農場の周辺の人たちは、とにかくワクチンを打ってくれという意見が多くて、その一方で、離れているところでは、ワクチンというのは慎重にいかなきゃいけない、こういう声が多いわけです。だからこそ、感染拡大の防止が困難というところは明確に判断をしなければいけないところだと思います。
改めてお伺いをいたしますけれども、ワクチン接種のデメリットについて伺います。デメリットについて教えてください。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
飼養豚へのワクチンの接種につきましては、一つは、ワクチンを接種したことに伴います風評被害による価格の低下の可能性が否定しがたいということ。それから、何よりも、我が国に対しまして、ワクチンの効かないアフリカ豚コレラの病原体の侵入が非常に水際まで迫っているという状況にございます。
こういう中におきましては、飼養衛生管理の遵守を徹底することによりまして、国、都道府県、市町村、関係団体が明確な役割のもとに連携協力をいたしまして、防御力を高めていくということがまず必須だと考えておりまして、それに向けまして今万全を期しているところでございます。
○関(健)委員 時間になりましたので終わりますけれども、大臣におかれましては、感染拡大の防止が困難という局面についてはぜひニュートラルにお考えいただきますと同時に、豚コレラワクチン接種のメリット、デメリットについてはもう少し、突っ込みどころ満載だと思いますので、詳細な議論をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
きょうは、種子法廃止後の問題点について質問をします。
種子法が廃止されて以降、自治体において種子条例の制定が進んでいます、動きが広がっています。また、自治体から、種子法に関する意見書が国や県に上がっています。
農林水産省は、この動きについて承知をしていますか。状況について紹介してください。
○天羽政府参考人 主要農作物種子法の廃止以降、都道府県で種子に関する条例を制定した道県については九道県、条例の骨子を示すなど制定に向けて具体的な準備をしている県は一県というふうに承知をしております。
また、種子法の廃止に関しまして、平成三十一年三月の末までに都道府県や市町村から届きました農林水産大臣宛ての地方自治法第九十九条に基づく意見書は百十件と承知をしております。
○田村(貴)委員 私がつかんでいる数字はもうちょっと大きいんですけれども、種子法廃止以降、県や道において条例が制定され、条例制定化の動きがある。知事が条例制定に前向きな発言も出ているところであります。
大臣にお伺いしたいんですけれども、全国では条例化がどんどん進んでいるわけです。そして、大臣、十分御承知のことだと思いますけれども、北海道では、稲、大麦、小麦、大豆、こうした北海道の主要農産物に加えて、小豆、エンドウマメ、インゲンマメ、ソバ、こうした北海道の主力産物も対象としている。種子法のときよりも拡充しているわけであります。長野県もソバを対象とする方針を示しています。
種子条例が広がると同時に、従来よりも拡充をしている、こうした状況について、大臣はどのように受けとめておられますか。
○吉川国務大臣 主要農作物種子法の廃止でありますけれども、稲、麦類及び大豆の種子の生産、供給に関して、全ての都道府県に対して、県が奨励する品種を決定するための試験、原種や原原種の生産、種子を生産する圃場の指定や、生産された種子の審査などを法律によって一律に義務づけるというやり方を廃止して、多様なニーズに応じた種子供給体制を構築するために実施されたものでございます。
こうした中で、都道府県が、それぞれの地域の状況に応じて条例を制定して、また、対象作物をふやすなど独自の内容を規定することは、多様な種子の供給のために必要な措置をみずから判断して講じようとしているものと受けとめているところでございます。
これは、多様なニーズに応じた種子供給体制を構築するという種子法廃止の考え方に沿うものであると考えているところでもございます。
○田村(貴)委員 大臣に確認したいんですけれども、このような自治体の自発的な取組について、農林水産省としてはもちろん尊重しますよね。今の御答弁から伺えば、尊重しますよね。妨害とかはないですよね。いかがですか。
○吉川国務大臣 今も申し上げましたとおり、都道府県が、それぞれの地域の状況に応じまして、多様な種子の供給のために必要な措置をみずから判断して講じようとする取組は尊重したいと考えております。
○田村(貴)委員 そこで、農水省にお伺いしたいんですけれども、一昨年の事務次官通知、一二三八号通知ではこのように書かれています。都道府県の種子の業務を直ちに取りやめなくてもいい、民間の参入が進むまでの間、種子の知見を維持し、それを民間事業者に対して提供する役割を担えとしているわけであります。
一方で、先日、政府は、我が党の紙智子参議院議員の質問に対して、今後も都道府県に種子業務に対する地方交付税措置を講ずるとしているわけなんですよね。
矛盾していませんか。直ちに取りやめなくてもいい、つまり、いつかは種子業務を取りやめろというのに、交付税措置をやっている。だから、こういう通知というのは撤回すべきではありませんか。
○天羽政府参考人 先生御指摘の規定でございます平成二十九年の事務次官依命通知、平成二十九年十一月十五日付二九政統第一二三八号の三番目、「種子法廃止後の都道府県の役割」というところに、このような記述がございます。「都道府県に一律の制度を義務付けていた種子法及び関連通知は廃止するものの、都道府県が、これまで実施してきた稲、麦類及び大豆の種子に関する業務のすべてを、直ちに取りやめることを求めているわけではない。」ということでございまして、この趣旨は、種子法の廃止により都道府県への一律の義務づけを廃止したからといって、都道府県が直ちに稲、麦類及び大豆の種子に関する業務から手を引くことで安定的な種子供給ができなくなることのないようにするという趣旨でございます。
また、この同じ次官通知には、都道府県の役割として、「都道府県内における稲、麦類及び大豆の種子の生産や供給の状況を的確に把握し、それぞれの都道府県の実態を踏まえて必要な措置を講じていくことが必要である。」というふうにも規定をしておりまして、都道府県は引き続き、稲、麦類及び大豆の種子供給に当たって重要な役割を担うという考えは変わらないところでございます。
○田村(貴)委員 何か、お話が非常にこんがらがっていますよ。
県の自主的な条例制定は尊重すると大臣は言われました。そして、多様な需要に応じた種子の供給体制の構築、農水省はいいというんでしょう。でも、この通知では、いずれ種子業務は取りやめて民間に提供せよという話なんですよ。矛盾も甚だしいじゃないですか。
自治体の種子の生産とか提供については、あくまで民間参入の間のつなぎと農水省は考えているんですか。つなぎの間だったら条例制定して業務をやっていい、そういう考え方なんですか。通知によればそういう考え方になるじゃないですか。いかがですか。
○天羽政府参考人 先ほど該当の箇所を読ませていただいたとおりでございまして、「都道府県が、これまで実施してきた稲、麦類及び大豆の種子に関する業務のすべてを、直ちに取りやめることを求めているわけではない。」それから、「都道府県内における稲、麦類及び大豆の種子の生産や供給の状況を的確に把握し、それぞれの都道府県の実態を踏まえて必要な措置を講じていくことが必要である。」ということでございますので、都道府県の実情に応じて、それぞれ、条例を定める県もあればそうでない県もありながら、必要な措置を講じていくということだと理解をしております。
○田村(貴)委員 だったら、種子法を廃止する必要はないじゃないですか。
私、福岡県なんですけれども、福岡県の県内六十自治体のうち、十五の市と町が意見書を提出しています。これは後で言いますけれども、皆さん物すごく心配されていますよ、生産者、それから自治体関係者、消費者の方も含めて。
自治体の条例制定は、国が言う民間の参入が進むまでの間、そういう移行期間を視野に置いて定めてはいませんよ。
例えば、大臣、北海道の条例では、「種子の生産に関する施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。」と。「責務を有する。」と明記しています。行政が責務を有するとした。種子に対する責任を放棄した国と、種子の生産への責任を負うとした自治体、この決定的な違いをやはり農林水産省は深く認識すべきだと思います。
福岡県の市町村の意見書の中に、こういうくだりがあります。地域の共有財産である種子を民間に委ねた結果、長期的には外資系事業者の独占や、日本の種子市場を支配していく懸念も指摘されています、このことは、我が国の食の安全、安心、食料主権が脅かされることにつながり、県民にとっても大きな問題ですとしています。
種子を民間に委ねれば、長期的には、外資系事業者の独占が起こり、価格が大幅に上昇し、そして農家の経営が圧迫されることにつながるのではありませんか。いかがですか。
○天羽政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、主要農作物種子法の廃止は、稲、麦類及び大豆の種子の生産、供給に関しまして、全ての都道府県に対して一律に義務づけていた法律を廃止し、多様なニーズに応じた種子を官民の総力を挙げて供給する体制を構築するために実施をされたものということでございます。
そもそもでございますけれども、廃止された種子法には、外国資本の参入を防止する規定が入っていたわけではございません。にもかかわらずと申しますか、現時点まで、ほとんど外国資本の参入というものはないわけでございます。
これは、海外の穀倉地帯等の均一な気候条件下で大ロットでの販売を前提に穀物の種子生産を行っている外資系事業者にとって、地域ごとに異なる多様な気候条件に適した多品種が必要な上に、販売単位が比較的小ロットとなる我が国の種子市場は魅力的でないことなどが理由と考えられます。
また、種子法の廃止を契機として、我が国の農業の国際競争力の強化に向けて、官民の総力を挙げ、多様なニーズに応じた種子を供給する体制を構築することとしておりまして、各都道府県は引き続き種子供給に係る事務を実施していくことから、外資を含め少数の民間事業者が市場を独占し、種子価格が大幅に上昇するといった事態は想定されないということでございます。
○田村(貴)委員 今の答弁は詭弁であり、そして重大な事実認識だというふうに言わざるを得ません。国と都道府県がやってきたことを全然違う認識で今すりかえましたが、看過できません。
資料をお配りしています。
日本が目的とするアメリカではどうなっているのか。これは、アメリカにおける面積当たりの種子購入費用の推移であります。
米は、民間育成種のシェアが伸びるにつれて五倍、この二十年間で五倍にはね上がっています。同じく民間企業が圧倒的シェアを占めるトウモロコシも四倍であります。大豆はといいますと、一九八〇年代に公的種子生産事業のシェアは七割を超えていたんです。ところが、現在では、民間開発の種子が九八%になりました。大豆は、上位四社で九〇%を占めて、価格はこの二十年で三倍に上がっています。
大臣にお伺いしますけれども、このように、アメリカでは、民間開発の種子のシェアが伸びて、価格も年々上昇しています。日本の生産者も自治体も、これを懸念しています。種子法廃止で日本はこうならないと断言できますか。大臣、いかがですか。通告しています。
○吉川国務大臣 米国におきまして大豆やトウモロコシの民間開発種子のシェアが伸びてきたという報告があることは承知をいたしております。
一方で、我が国におきましては、そもそも種子法には外資系企業の参入を防止する規定はなかったのでありまするけれども、これらの企業にとって、多品種少量販売が必要となる我が国の穀物種子市場が魅力的でないことなどから、現時点までほとんど参入していない状況にございます。
各都道府県におきましては、引き続き、種子供給にかかわる事務を実施する方針でもございますので、これに要する経費についても、引き続き、地方交付税措置も確保したところでもございます。
多様な需要に応じた種子供給体制の構築に向けまして、官民連携の具体的な動きも出てきていることを踏まえますと、種子法廃止により農業者が不当に高価な種子を購入せざるを得なくなるような事態は、今は想定はされておりません。
農林水産省といたしましては、引き続き、農業者の経営安定に資するように、多様な需要に応じた種子供給体制の構築に向けて、責任を持って、必要な政策を講じてまいりたいと存じます。
○田村(貴)委員 アメリカのようになりませんかと聞いているんですね。お答えになっていないと思います。
民間参入を促進して、そして種子の知見を民間事業者に提供せよ、こういう立場をとっている以上、このようなアメリカのような状況になるということは、これは必至じゃないですか。
お米を始めとした日本の主要農産物について、これまで都道府県の農業試験場が、高い技術によって、味がよくて高品質な品種を開発してきた、安価に提供してきた。きょうやりとりさせていただきましたけれども、この仕組みを壊す理由は、道理はどこにもなかったということが明らかになったと思います。
条例を制定した都道府県を始めとした自治体の動きは、こうしたアメリカのようにならない、今政府が、農水省が方針として掲げていることに対する狙いと動きへの対抗だというふうに私は考えています。
政府は、自治体、そして生産者、消費者、国民の声に応えて直ちに種子法を復活するように要求して、きょうの質問を終わります。
ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、森夏枝君。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速質疑に入らせていただきます。
まず初めに、現在使用されていないため池の防災対策としての利活用について伺います。
昨年の七月豪雨によって、私の地元選挙区の京都市伏見区で大規模な土砂崩れが起きました。使用されていない農業用ため池があり、そのため池に土砂が流れ込んだことによって、ため池の約十メートル先の民家に被害が出ませんでした。農業用ため池が砂防ダムのような役割を果たしました。
現場へ行き、話を聞いてまいりました。農業用ため池としての本来の利用方法とは違いますが、また同じところで土砂崩れが起きたときに土砂がたまるように、地元の方々から、ため池を埋め尽くしている土砂を撤去してほしいとの声があり、今、土砂の撤去のための作業をしているところです。ことしの三月までの工事完了予定が六月末までと延びているようですが、ことしの夏までに、雨のシーズンが来るまでにと作業を進めていただいております。
昨年の災害後にため池の緊急点検をしていただいていると思いますが、この京都市伏見区のようなため池が他の地域にもあるのかどうか、もしあるのであれば、今後使用しないため池は、廃止されるものもあると思いますが、防災対策としての利活用ができるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○室本政府参考人 昨年の七月豪雨におきましては、全国で一千四百七十九カ所のため池が被災をしまして、そのうち三十二カ所のため池が決壊しております。
これら被災を受けたため池のうち、現在使用されていない状態のため池において、京都市伏見区の事例のように土砂流入を受けとめたため池の事例としては、三連の親子ため池があって、流入した土砂により上流の二カ所が相次いで決壊した、決壊したものの、最下流のため池で受けとめたということで、ため池そのものは被災しましたが、下流の家屋等への被害が生じなかった東広島市の事例を把握してございます。
それ以外、網羅的に調べたわけではございませんので、幾つ受けとめたため池があったかどうかはわかりませんが、恐らく、単純な土砂の流入だけであればかなりの数が見込まれるのではないかというふうに思っております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
この伏見区のため池の土砂の撤去作業というのはおくれているんですけれども、やはり古いため池ですので、撤去のためのショベルカーやトラックが入る道がないということで、今、道をつくる作業をしていただいているということで作業がおくれているそうなんですが、他の地域でも、ため池に関しては同じような、道がついているようなため池というのは本当にないと思いますので、防災対策としても今後利用できる部分もあるかと思いますので、今後しっかりお願いしたいと思っております。
今後は農業用ため池の管理及び保全に関する法律によって今まで以上にため池の管理はしっかりしていただけると思いますので、今後、災害が起きたときに、人的被害や住宅への被害が出ないように、また、最小限に抑えられるように、関係省庁と連携をして、防災対策としてのため池の活用、管理もお願いしたいと思っております。
次に、補助金の不正受給について質問をいたします。
私は、被災農家さんや障害者の方、若い方、女性の農業従事者、漁業従事者の方々、担い手不足で困っている方々への補助金は必要だと思っています。日本の安全な食、農林水産業を支えてくださっている皆さんへの補助金は、しっかりと支援をして、これからも頑張っていただきたいと思っております。
しかし、農協や漁協などで水増し請求や着服等が発覚したというニュースを耳にしたり、記事を目にすることがあります。
こういった農協や漁協での不正が発覚するときというのは、何か調査をして発覚するのでしょうか。それとも、内部告発によるものなのでしょうか。補助金の不正受給ができないように取り組まれている予防策等、あれば教えてください。
○水田政府参考人 お答えいたします。
補助金の不正受給を防ぐための対策ということでございますけれども、農林水産省といたしましては、補助事業などの厳正かつ効率的な実施を図るため、施策目的との適合性、事業の確実性、こういった観点から、交付決定に当たりまして厳正な審査を行っているところでございます。
具体的には、一点目といたしましては、交付決定の審査に当たりまして、交付の対象となる事業内容及び経費の範囲、こういったものについて、補助金交付要綱に定める条件との適合性を厳格に審査をいたします。また、当該事業がしっかりと実現されるかどうかといったことについても十分に審査をしておるところでございます。
また、二点目といたしましては、事業の遂行に当たりまして、必要に応じまして、契約書などの関係書類を提出させたり、また現地確認を行うなど、事業の進捗状況を把握いたしまして、適正な事業遂行、こういったものを指導しているところでございます。
また、三点目といたしましては、補助事業の完了後の審査というものに当たりましても、都道府県等と連携を図りつつ、極力現地確認を実施をするなどの取組を行っているところでございまして、農林水産省といたしましては、今後とも、こうした取組によりまして、補助事業の厳正かつ効率的な執行、不正受給がないような取組、こういったことをしっかりと行ってまいりたいと考えております。
また、お尋ねの中で、不正受給が発覚するのが関係者からの告発あるいは調査、どちらが多いのかということでございますけれども、これもさまざまな場面がございまして、なかなか一概には判断できないということでございます。
いずれにいたしましても、しっかりと調査なり審査、こういったものを行うことによりまして、補助事業の適正な実施というものに努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
御説明の中で、審査をしっかりしているということです。それは今後も続けていただきたいと思いますが、不正が行われているというのは実際ある話なので、今後、少しでもそれが少なくなるように対策を講じていただきたいと思います。
農協や漁協の不正受給ですと、数百万、数千万という金額になることもあります。補助金の原資は税金ですので、やはり不正を許すわけにはいきませんし、真面目に一生懸命日本の農林水産業を支えてくださっている方にも失礼です。税金を大切に使ってほしいという思いから、本日はこの質問をさせていただいております。
先ほど予防策等についてはお聞きをしましたが、不正が発覚した際の対応策というのはあるのでしょうか。教えてください。
○水田政府参考人 失礼いたします。
不正な補助金受給が判明した場合の対応等のお尋ねでございますが、補助金の目的外使用ですとか補助事業が達成されなかったなど、不適切な事業の実施が明らかになった場合には、関係する都道府県などと連携いたしまして実態を把握した上で、補助金などの返還あるいは改善指導その他必要な措置を迅速かつ確実に講じることとしておりまして、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
しっかり取り組んでいただきたいと思っております。
農協や漁協の不正というのは、金額も多いですし、発覚しやすいかと思います。ですが、一農家さんの不正受給というのは、見抜くのが難しいのではないかと思っております。毎年、補助金をもらうために、収穫する気のないものを植えて、報告書用の写真を撮って、報告が終わったら、手入れもせずに、収穫もせず、毎年同じ作業を繰り返している人がいるというのも聞いたことがあります。
残念ですが、一部の農業従事者、漁業従事者の方々は、補助金をもらうことが目的になっている方がいるようです。私のところには来ませんが、補助金が欲しいがために、漁場を埋めてください、埋め立ててくださいと陳情に来る漁師さんの話も聞きました。
先日も少しお話しさせていただきましたが、私は、頑張っている被災地の農家さんや、苦労や工夫をしながら頑張られている全国の農林水産業従事者の方々を思うと、この補助金漬けの農林水産業も考えなければならない時期に来ているのではないかと思っております。
補助金でサポートすることは大事ですが、何もしないで補助金だけをもらうという考え方の方も出てきてしまっているのが現状です。こうした状況に目をつぶるのではなく、補助金の使われ方はしっかりとチェックをする必要があると思っております。
時間をかけて一生懸命つくったもの、育てたものがいい値段で売れないと、農業を諦めてしまう方、よりよいものをつくろう、よいものをつくって勝負しようという方が減ってしまいます。高品質なものをよい価格で販売できるように、また、高付加価値な生産ができるような支援は、ぜひ積極的にお願いしたいと思っております。
農林水産物のブランド化の取組は非常に効果的だと思っております。
そこで伺います。
農林水産物のブランド化支援事業について教えてください。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
農畜産物のブランド化につきましては、ニーズの調査、品種の選定、高度な生産技術の確立、実需者とのマッチング、そういうブランド化に向けた産地の取組につきまして、助成をしているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
この農林水産物のブランド化の支援事業の成功事例について教えていただけますでしょうか。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
各産地でさまざま取組がございますけれども、成功事例という観点で申し上げますと、例えば愛媛県では、花のデルフィニウムの新品種さくらひめ、この生産面積がこの支援策も活用して三年間で六倍に拡大するなど、ブランド化に成功しております。また、例えば鹿児島県では、地理的表示保護制度、いわゆるGIに登録された辺塚だいだいというダイダイがございますけれども、かんきつがございますけれども、それの安定生産、販売によるブランド力の強化に向けて、本支援策を活用して、現在、取組が進められてございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
先ほど、二つ、愛媛と鹿児島の事例を紹介していただきましたけれども、ほかにも成功事例というのはたくさんあると思いますので、今後も、さまざまな地域で取組をされている方の参考になればと思っております。
京都には、京野菜やブランド化に成功しているものがございます。おいしい和牛、ブランド牛も京都にもございまして、ブランド化をして高品質な和牛を生産している亀岡牛の農家さんにもお会いをして、お話を聞いてきました。亀岡牛もいただいてまいりましたが、おいしいこの京都の亀岡牛、京都肉、これらの和牛をもっと全国の皆さんにも食べていただきたいと思いました。
農家の皆さんの努力でよいものを生産することはできると思いますが、そこから全国展開をしていくとなると、国の支援といいますか、マーケティングであったり、さまざまな指導、支援も必要になってくるかと思います。
高品質なものがよい値段で売れる、そして補助金に頼らなくても生産できるようになるように、そのためのサポートはしっかりとお願いをしたいと思っております。
攻めの農業を推進していくためにも、今後も、高付加価値な農林水産物、世界と戦える農林水産物づくりには手厚い支援をお願いしたいと思います。
本日も、豚コレラについて他の委員の先生方からも質問がありましたけれども、私も、一日も早い豚コレラの終息を願っております。そして、豚コレラによる被害を受けた農家さんへの支援もしっかりとお願いしたいと思っております。
国からの補助金が、日本の農林水産業を支えてくださっている皆さんのために適切に使われるようお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
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○武藤委員長 この際、野中厚君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び日本維新の会の六派共同提案による豚コレラをはじめとする家畜伝染病対策に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきたいと存じます。
豚コレラをはじめとする家畜伝染病対策に関する件(案)
平成三十年九月、我が国において二十六年ぶりに豚コレラの患畜が確認され、その後の感染拡大により、発生農場のみならず、疫学関連農場・施設や発生農場のある地域は深刻な被害を受けている。現在、政府は、豚コレラの発生農場等における防疫措置や経営支援対策を講じているところである。しかしながら、近隣諸国では、畜産業に深刻な影響をもたらす家畜伝染病の発生が多数報告されており、特に、中国、モンゴル、ベトナム等では、病原性が強くワクチンや治療法のないアフリカ豚コレラが発生している。こうした情勢を踏まえ、我が国の畜産業の将来を見据え、早急に飼養衛生管理体制や水際対策を強化することが喫緊の課題となっている。
よって政府は、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 発生農場については一日も早く経営を再開することができるよう、また、移動制限区域内・搬出制限区域内の農場や監視対象となった農場の経営が維持できるよう、万全の支援を行うこと。
二 今般の発生及び感染拡大の原因を究明・分析した上で、発生予防対策及び防疫対応の改善を図るとともに、飼養衛生管理体制の強化を行うこと。また、あらゆる手段を行使し、一刻も早い事態の終息に努めること。
三 豚コレラ等の法定伝染病については、早期の通報と迅速な初動対応の必要性についての認識を関係者間で共有し、法定伝染病が疑われる患畜についての早期通報の徹底を図ること。また、家畜伝染病の検査・分析を担う国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の体制を強化すること。
四 飼養衛生管理の徹底、交差汚染の防止、野生動物からのウイルスの侵入防止等のために必要となる施設・機器等の導入に係る資金について、金利の優遇等の的確な支援を行うこと。
五 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会も目前に迫る中、訪日外国人旅行者や邦人海外旅行者等による輸入禁止畜産物の持込み等に対する水際対策の強化が必要であることに鑑み、輸入禁止畜産物の違法な持込みについては、罰則の周知、罰則の厳格な適用、罰金の引上げなど厳罰化の検討を早急に行うこと。また、家畜防疫官の増員や検疫探知犬の増頭を行い、旅行者の携行品、国際郵便物や国際宅配物による輸入禁止畜産物の違法な持込みに対する監視を強化するとともに、各空海港における靴底消毒及び車両消毒を徹底すること。
六 豚コレラの発生により狩猟が禁止されている地域におけるジビエ関係者、関連産業等への影響を早急に把握し、必要な支援策を講じること。
七 家畜伝染病について、風評被害防止等の観点から、各空海港における靴底消毒の重要性や人には感染しないことなど国民に対して正確な情報を分かりやすく迅速に伝えること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○武藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武藤委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣吉川貴盛君。
○吉川国務大臣 ただいまの決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○武藤委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○武藤委員長 次に、内閣提出、農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣吉川貴盛君。
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農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○吉川国務大臣 農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明いたします。
農業の成長産業化を図るためには、担い手の経営規模を拡大するとともに、分散錯圃を解消していくことにより、農業の生産性を向上させることが必要であることから、各都道府県に農地中間管理機構を設置し、担い手への農地利用の集積、集約化を進めているところであります。
農地中間管理機構が活動を開始した平成二十六年以降、担い手の農地利用面積のシェアは着実に上昇しているものの、その伸びは鈍化しており、今後さらなる農地利用の集積、集約化を進めるためには、地域における話合いの活性化や、農地中間管理事業を始めとする関係制度の見直し、担い手確保のための措置の改善を図る必要があります。
こうした状況を踏まえ、農地中間管理事業に係る手続の簡素化、農地中間管理機構と農業委員会その他の関係機関との連携強化、農用地利用改善事業等による担い手への農地の集約の加速化、農地利用の集積に支障を及ぼす場合の転用不許可要件への追加等の措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。
次に、法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、地域における農業者等による協議の場の実質化であります。
農業者等による地域協議の場において、市町村が農地に関する地図を活用して農業者の年齢別構成及び農業後継者の確保の状況その他の必要な情報の提供に努めることとするとともに、協議の場における農業委員会の役割を明確化いたします。
第二に、農地中間管理機構の仕組みの改善であります。
農地中間管理機構による担い手への農用地等の貸付けについては、農地中間管理機構が借受けと貸付けを同時に行う場合には、農用地利用配分計画によらず、農用地利用集積計画のみに基づき行うことができることとするとともに、農用地利用配分計画の認可申請後の縦覧等の手続を廃止いたします。
第三に、農地利用の集積、集約化を支援する体制の一体化であります。
農地中間管理機構が農用地利用配分計画の案の提出等の協力を求めることができる対象に、農用地の利用の促進を行う者であって市町村が指定するものを追加し、農地中間管理事業の実施地域について、市街化区域外の区域に拡大するとともに、所要の経過措置を講じた上で、農地利用集積円滑化事業を農地中間管理事業に統合一体化いたします。
第四に、担い手の確保等、農地利用の集積、集約化を促進するための措置の充実であります。
まず、農用地利用規程において、農用地の所有者等の同意を得て、利用権の設定等を受ける者を認定農業者及び農地中間管理機構に限定する仕組みを創設いたします。
次に、複数の市町村の区域内において農業経営を営む農業者の農業経営改善計画については、都道府県知事又は農林水産大臣が認定する仕組みを創設するとともに、農地所有適格法人に出資している会社の役員が農業経営改善計画に従って出資先の法人の役員を兼務する場合等には、役員の常時従事者要件を緩和いたします。
また、青年等就農資金について償還期限を延長いたします。
さらに、農地の転用不許可要件について、地域における担い手に対する農地利用の集積に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合等を追加いたします。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○武藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十七分散会