第7号 平成31年4月17日(水曜日)
平成三十一年四月十七日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 武藤 容治君
理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君
理事 齋藤 健君 理事 野中 厚君
理事 細田 健一君 理事 亀井亜紀子君
理事 近藤 和也君 理事 稲津 久君
池田 道孝君 泉田 裕彦君
今枝宗一郎君 上杉謙太郎君
大西 宏幸君 大野敬太郎君
加藤 寛治君 門 博文君
木原 稔君 木村 次郎君
国光あやの君 小寺 裕雄君
斎藤 洋明君 坂本 哲志君
田所 嘉徳君 高木 啓君
高木 毅君 中谷 真一君
西田 昭二君 福山 守君
藤井比早之君 藤原 崇君
古川 康君 古田 圭一君
宮路 拓馬君 盛山 正仁君
山本 拓君 石川 香織君
大串 博志君 金子 恵美君
神谷 裕君 佐々木隆博君
長谷川嘉一君 堀越 啓仁君
関 健一郎君 緑川 貴士君
濱村 進君 田村 貴昭君
森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 吉川 貴盛君
農林水産副大臣 小里 泰弘君
農林水産大臣政務官 濱村 進君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 小川 良介君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 大澤 誠君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 室本 隆司君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 天羽 隆君
政府参考人
(林野庁長官) 牧元 幸司君
政府参考人
(水産庁長官) 長谷 成人君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
―――――――――――――
委員の異動
四月十七日
辞任 補欠選任
稲田 朋美君 高木 啓君
金子 俊平君 高木 毅君
福山 守君 田所 嘉徳君
藤井比早之君 古田 圭一君
同日
辞任 補欠選任
田所 嘉徳君 中谷 真一君
高木 啓君 稲田 朋美君
高木 毅君 国光あやの君
古田 圭一君 藤井比早之君
同日
辞任 補欠選任
国光あやの君 盛山 正仁君
中谷 真一君 門 博文君
同日
辞任 補欠選任
門 博文君 大野敬太郎君
盛山 正仁君 大西 宏幸君
同日
辞任 補欠選任
大西 宏幸君 金子 俊平君
大野敬太郎君 福山 守君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)
――――◇―――――
○武藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、大臣官房審議官小川良介君、食料産業局長塩川白良君、経営局長大澤誠君、農村振興局長室本隆司君、政策統括官天羽隆君、林野庁長官牧元幸司君及び水産庁長官長谷成人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○武藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤寛治君。
○加藤(寛)委員 おはようございます。自由民主党の加藤寛治でございます。
質問の機会に感謝をしながら、早速質問に入ります。
農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案について質問いたします。
農業の振興、発展、成長産業化を図る目的で、平成二十六年以降、農地中間管理機構が活動を開始して五年になります。各都道府県に農地中間管理機構を設置して農地の分散錯圃を解消していくことにより、担い手農家への農地の利便性を図り、集積、集約化を進めることによって機械化が促進され、経営規模拡大につながり、また、農業の生産性、生産額を向上させることにより、ひいては、農業収入の増大につなげて、担い手農業者の育成、確保、また、農業後継者の育成につながります。結果として、農業の振興、発展、成長産業化を図ることが、食料自給率を向上させ、国家の使命でもある国民への食料の安定供給、食料安保の責任が果たせるものと思います。
これまで五年間、農地中間管理機構の活動を通じて果たしてこられた成果についてどのように評価をされておられるのか、また、今後どのように取り組んでいかれようとお思いか、お尋ねをしたいと思います。
そこでまず、現在、野党の皆さんの中で農地バンクを廃止するという修正案が検討されているというような報道が出ております。この報道に触れまして、まず頭に浮かんだのは、今現在、農地バンクを使って農地を貸したり借りたりしている方に非常に大きな影響があるのではないかという心配があります。
そこで、政府に対して、農地バンクの事実関係についてお尋ねしたいと思います。
まず、現在、農地バンクが、何人の所有者からどのくらいの農地を借りて、何人の担い手に転貸しているのか、お伺いをします。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
先生、御質問の冒頭に、まず、農地バンクの現状評価等につきまして御質問ございましたが、これにつきましては、農地バンク事業を開始しました平成二十六年度以降、担い手への農地の集積面積は再び上昇傾向に転じまして、平成二十九年度、担い手による農地の集積のシェアは五五・二%まで来たというふうに理解しておりますけれども、二〇二三年に担い手への利用集積のシェアを八割にするという目標の達成のためには、事業を加速する必要があるというふうに考えておりまして、今回の五年後見直しの機会に所要の修正案を出させていただいているところでございます。
具体的な御質問の中で、農地バンク、現在、何人の所有者からどれくらいの農地を借りて、何人の担い手に転貸しているかという御質問でございます。
この中で、四年間の活動を通じまして、約三十万人の農地所有者から合計して約十八万五千ヘクタール、筆数でいいますと約百十四万筆の農地を借り受けております。この借り受けた農地を約七万五千人の担い手に転貸をしているところでございます。
単年度の実績ベースでいきますと、一年間の農地権利移動面積に占める農地バンクのシェアは、農地バンクが発足した平成二十六年度は二%、二十七年度は一四%、二十八年度は二四%と、そのシェアを着実に伸ばしているところだと考えております。
○加藤(寛)委員 それぞれに御答弁をいただきました中で、農地バンクで、所有者三十万人から百十四万筆の農地を七万五千人に転貸しているという御答弁をいただいたわけでございますけれども、このような状況を考えてみた場合に、とても多くの方々に影響があるということだと思います。もし農地バンクを廃止をすれば、現場が混乱してしまうのではないかという、大変私は大きな危惧をいたしております。
次に、農地バンクを用いることによるメリット措置についてお伺いをします。
特に基盤整備は、平成二十九年に土地改良法を改正し、農家負担のない農地整備事業を新たに措置するなど、農地バンクがあったからこそ認められたメリット措置が近年整備され、現場で有効に活用をされています。
そこで、現在、農地バンクを前提に措置されている補助金や税制の支援措置はどのようなものがあるのか、お伺いをします。
○大澤政府参考人 農地バンクにつきましては、これまでの利用の集積の円滑化を進める仕組みが、実態として、やはり出し手、受け手の相対協議を中心に行ってきたということで、これを分散錯圃の解消に行くような仕組みに改めていくためにできたのが農地バンクでございますので、やはり、そういうような性質を踏まえまして、農地バンクを前提としたさまざまなメリット措置についても政府としては逐次充実を図っているところでございます。
農地バンクを前提として、まず、予算措置としては、機構集積協力金というのを措置してございます。それから、法制度とも絡みますが、御指摘のとおり、平成二十九年の土地改良法改正によりまして、農家負担のない基盤整備事業が実施できることとされてございます。またさらに、税制措置といたしましては、農地バンクに貸し付けた農地につきまして、農地の出し手について、固定資産税を二分の一に軽減する措置なども措置しているところでございます。
○加藤(寛)委員 それぞれの答弁の中で、補助金についても、また税制の支援措置についても、大変農業者にとって有利な、農業活動をやる上において非常に有利な措置等が施されておるわけでございます。そうした中で、もしも農地バンクを廃止するということになれば、これまで積み上げてきたこうした支援措置もなくなってしまうということではないか、このように思います。
農地バンクの受皿に支援措置を措置することは簡単ではないわけであります。事業を活用して、地域一丸となって取り組んでいこうという機運をまた潰してしまうようなことにもなりはしないかというような大きな危惧、心配もしておるような状況であります。そうしたことが起これば、まさに猫の目農政であり、現場の混乱を招きかねないということを述べておきたいと思います。
私は、当初、農地中間管理機構について議論の俎上に上がったとき、この案件、提案というのは、すばらしい、画期的な農業政策の基本であると高く評価をしておりましたし、また、今日でも大きな期待を持っておるところでございます。
御案内のように、農業の基本は農地、水、加えて太陽であることは論をまたないところであると思います。しかし、太陽はいかんともしがたいわけでありますけれども、農地、水については人知でいかようにもすることは可能ではないかなという思いを持っております。
政府は、国策として、全農地約四百五十万ヘクタールの八〇%である三百六十万ヘクタールを担い手農業者が耕作するよう、計画を打ち立てております。
そこで、現在は、全農地の五五%余が担い手農家が耕作を実施しておるのが現状であります。農地中間管理機構が発足当時、平成二十六年ころは、全農地の五〇%前後を担い手農業者が耕作しておったわけですから、当時から考えると五%程度の進捗をしたと言えますけれども、まだまだ計画までには、残農地が二五%、面積にして約百万ヘクタール余程度促進していかなければならないというのが現状であります。
ところで、よく考えてみますというと、担い手農家が耕作をしておる全農地の五五%と全農地の圃場整備率はほぼ合致しております。このことは、すなわち、圃場整備率を八〇%に向上させることが、全農地の八〇%を担い手農家が耕作できる前提条件になると思料されるのでございます。
そこで、目標達成には残りの百万ヘクタール余の未整備圃場をいかにして整備促進するかにかかってくると思いますが、どのようにお考えか、お伺いをいたします。
もちろん、私が申し上げる圃場整備された農地とは、分散錯圃した農地を集積して、長方形か正方形に整形された、機械化可能な優良農地のことであります。ただ単に道路が農地に接しているだけの農地ではありませんので、申し添えておきたいと思います。
○室本政府参考人 まず、圃場整備を含みます基盤整備の予定事業量を定めましたものとして土地改良長期計画というのがございますが、この計画の中では、計画期間である二〇二〇年度までの五年間に、水田の大区画化は八万三千ヘクタール、汎用化については十五万九千ヘクタール、畑の区画整理、排水改良については三万一千ヘクタール、畑地かんがい施設の整備を二万五千ヘクタール、そして、こうした水田、畑の基盤整備に当たっては、担い手への農地集積率及び集約率、これをそれぞれ八割以上に上げるといった目標を掲げまして、現在事業を推進しているところでございます。
直近の平成二十九年度の基盤整備を完了した七十地区におきまして、実績として、担い手への農地集積率、これが約八割に達していることから、委員がおっしゃるとおり、圃場整備を含む基盤整備を契機として農地集積を推進していくことは極めて重要であるというふうに考えてございます。
一方で、担い手、いわゆる農地の受け手でございますが、これは条件のよい農地を求めることから、基本的に基盤整備は重要であるという考え方の上で、これまで担い手に集積されている農地においても、その全てで基盤整備が行われているものではないといった点と、今後集積すべき農地の中には既に基盤整備がなされている農地も含まれているといった点から、今後集積すべき農地の全てにおいて基盤整備を行う必要があるとまでは言えないのではないかというふうに考えてございます。
しかしながら、今後とも、現場のニーズに対応できるよう、基盤整備に係る必要な予算を確保するとともに、農地中間管理機構とも連携して、基盤整備の円滑な推進を図ることにより、担い手への農地集積を一層促進してまいりたい考えでございます。
○加藤(寛)委員 それぞれに、圃場整備について農水省の方で努力をされておられるということは十分私も認識は持っておりますけれども、なかなか、これは相手のあることですから、思うようにはいかないとは言えないまでも、これだけは、しかし、しっかりと取り組んでいただくことが、将来の日本農業に大きな未来があるもの、私はこのように期待をいたしておるところでございますので、今後ともの圃場整備事業の推進に向けて、最大の努力をしていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。
平成二十六年以降、農地中間管理機構を通して、農業の振興、発展、成長産業化を目指して取り組み、活動してこられました。私も、もちろん一定の評価はいたしておるところでございます。
しかし、農地中間管理事業の推進に関する法律にのっとって活動はしてきたものの、五年間実際に活動してみて、万全と思っていた法律も、実際の活動に伴って気づく点、また、教えられる点、学ぶ点が出てくるのは当然のことだと思います。そのような観点から、今回、農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案を提案されたもの、このように理解をいたしております。
そこで、大きく四つについて改正するとされておりますが、第一点については、農業委員会の役割を法的に明確にするということであります。
地域の方々の農業委員の皆様に対する信頼というのは大変絶大なものがありますから、農業委員の方々に御協力していただくということは、事業推進に大きな成果が上がるものと確信をいたしております。
ところが、平成二十八年の農業委員会法の改正によって、農業委員の皆様も自分たちの役割について明確に承知されていなかった面が多々あったように思われますので、役割を明確にして周知することが事業推進に当たっては肝心かなめのことだと思います。そして、忘れてならないことは、日々、農家の皆様と寄り添いながら、地域、農業振興、発展のために活動をしているJAの存在であろうと思います。
次に、第二、第三についても、仕組みの改善を図り、また、円滑化事業を中間管理事業に一体化する等、簡素化して、利用する側が理解しやすいように改正することは、事業推進に当たってはなお一層効果を発揮できるもの、このように考えております。加えて、青年等就農資金について償還期限を延長することは、青年農業者が余裕を持って十二分に営農計画を立てることができるため、農業後継者の育成にも大きく寄与するもの、このように考えております。
そのような中で、農業委員会、JA始め、地域の皆様と一体となって取り組み、活動することが、なお一層事業の成果が上がるものと確信いたしております。
今回のそれぞれの改正によって、どのような成果を目指し、期待するとともに、国策である全農地の八〇%を担い手農業者が耕作できる体制、すなわち、私が申し上げる圃場整備率八〇%達成がいつごろまでに整備できる予定か、お伺いをしたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
今回の改正の内容等々あるいは狙いにつきましては、既に先生の方から簡潔にまとめていただいてはおりますけれども、改めて政府の立場として御説明を申し上げます。
まず、今回の改正につきましては、現場の方々と徹底的な意見交換、こういうことをさせていただきました。それは、実施主体であります機構の理事長なり役員の方、職員の方だけではなくて、やはり現場で実際に農地利用の集積を行っていただいておりますいろいろな方々、市町村の方々、JAの方々、農業委員会の方々等々と積極的な話合いを行ってきたわけでございます。
その際、農地利用をもっと進めるためには、まず、やはり地域の話合いがもう少し活性化するようにもう一度手を打つべきじゃないかという意見が多かったわけでございます。その中で、やはりマンパワーの不足、市町村の職員が少ないということに鑑みて、マンパワーの不足という問題も指摘されました。
他方で、農業委員会につきましては、改正後、推進委員等、新しい仕組みも入れられたわけでございますけれども、何分にも、法律上の理念として、進めるべき仕事というのは農地利用の最適化ということでありまして、非常に抽象的な言葉であるということで、それぞれの措置、例えば、この中間管理事業法の二十六条に国会の修正により位置づけられました人・農地プランについては、農業委員会というものの役割が明確になっていなかったということもあります。
そういうこともありまして、昨年の十一月八日には、全国農業会議所より、見直しに当たっての要望の中に、人・農地プランの実質化の検討に当たっては、まず市町村が農業委員会、農協等地域の関係者を糾合して責任を持って取り扱うことを明確にすること、その上で、農業委員会の位置づけ、役割等を法令上明確にすること等々の要請が出されております。
こういうものを受けまして、関係者が一体となって、農業委員会も含んで人・農地プランをつくるということが、まず、担い手への農地利用の集積、集約化の第一歩だろうという考えでございました。
それから、円滑化団体につきましても、これは統計をつぶさに見ますとともに、活発になお活動を行っておられる方々と、私も直接各地に出張に赴きまして意見交換をさせていただきました。
あるいは、担い手の意見も聞かせていただきました。担い手の意見は、二つの機関がいろいろあると、農地はある意味で地続きなのに、ここまでは円滑化団体の取り扱っている場所、ここからは農地バンクとなると、非常に担い手の活動が広域化する中で、なかなか、集積、集約化に持っていくのに、やはりいろいろなところに相談しなきゃいけないという問題点もあるなということが言われました。
他方で、円滑化団体につきましては、全般的には農地バンクへの移行が進んでおりますけれども、一部の、大体五県ぐらいだと思いますけれども、地域、県におきましては、特色のある取組を行っておりました。ブロックローテーションを契機として農地集積に取り組む、あるいは、これは北海道でございますけれども、北海道の特性であります所有権の移転をしっかりやることの中で、農地バンクもうまく使いながら取り組むというようなこともございました。
こういうところで意見交換を重ねまして、何とか、担い手のためには農地のリストというのは一体化する、それから、関係者が、担い手にとって使いやすいように、全体が統合一体化された形で農地利用関係の調整のサービスを行う、こういうことが大事ではないかというふうに考えるに至りました。関係団体からも、そういう統合、円滑化を前提としたさまざまな提案もいただきました。そういうことを踏まえながら今回の案はつくってきたつもりでございます。
そういうことで、これらの措置をいろいろ組み合わせて、全体で関係者が一体となって進むとなりますと、今までの農地集積が更に加速化されるというふうに我々は考えております。あるいは、農地バンクの手続の簡素化もいたしました。
それらの措置を総合的に取り組むことによりまして、今、目標期限は二〇二三年に設定されておりますので、我々どもとしては、この二〇二三年の目標期限までの集積目標達成、これについて努力してまいりたいというふうに考えてございます。
○加藤(寛)委員 それぞれの改正を図るに当たって、所期の目的である二〇二三年までの目標達成をぜひに達成できるように最大の努力をしていただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。
それと、なぜ私が圃場整備事業にこだわるかといえば、先ほど申し上げましたように、担い手農家が全農地の八〇%を耕作できるためには、八〇%の圃場の整備が不可欠であるという確信を持っておるからであります。
統計によると、農業人口は、平成十二年には三百八十九万人だったのが、平成二十九年には百八十二万人ということで、約二十年で半減をしておるわけですね。また、今後は十年間で半減するであろうと推測されております。
国策で、二〇二三年までに全農地四百五十万ヘクタールの八〇%を担い手が耕作する目標を目指しております。この目標が達成できれば、我が国の農業は飛躍的な振興、発展を遂げるものと私は確信と期待をいたしております。
しかしながら、農業人口が減る中で、農業をする人がほとんどいなくなってから圃場整備を完成しても何の意味もないというか、目的に大きくずれてくるのではないかなという思いがしてならないわけです。
そういうことから、ぜひとも、この国策である全農地の八〇%を担い手が耕作する目標を実現をしていただきたいと思います。
このことが、これもまた国策である地方創生に大きく寄与できるもの、このように理解をいたしております。
例えば、実例として、私の地元雲仙市八斗木地区では、ブランド品として八斗木ネギの栽培が盛んであります。
この地域は、急傾斜地で、狭い農地が課題でありました。ところが、平成二十三年から平成二十九年にかけて、四十二ヘクタールの圃場整備と畑地かんがい整備を行い、大型収穫機械導入等により作業効率化が進み、加えて、生産コストを低減することができた結果、転作によるニンジン、ブロッコリーの作付も可能となりました。そしてまた、平成二十三年当時と比べて、平成二十九年には、地区全体の作付率が一・七倍に上昇して、担い手農業所得が三・四倍に増加することができました。
結果として、若手後継者が増加し、同地区に小学校の児童数も増加した件等が評価されて、平成三十年度の農業整備地区コンクールにおいて、八斗木地区が吉川農林水産大臣賞を受賞した次第でありました。
また、もう一つ、島原市の三会原地区においても、私が県議時代、三十年以上前から、圃場整備の必要性について地域の皆様に訴えてまいりました。
このことのきっかけは、地域の皆様から、自分の、その人の息子に嫁に来る人がいないのでどうにかしてくれという相談を、切実な相談を受けたときでありました。私が答えたのは、農地の圃場整備を進めて、集積、集約を図ることによって機械化を促進し、農地の規模拡大を図ることにより農業収入の増大をすることができるし、また、若い嫁さんの仕事は子育てと家事だけを担ってもらえばよいようになるから、必ず息子さんの嫁さんは見つかりますよと答えてやりました。
しかし、しばらくはなかなか理解してもらえなかったのも事実でした。それでも、十年以上、会う人会う人に繰り返し言い続けた結果、ようやく一部の人が理解を示した場所から圃場整備に取り組み、完成した農地の効用、結果を見て、今や、我よ先にと圃場整備の希望者が続出しているのが現状であります。現在、六〇%の完成状況だと思いますが、全体が完成しますと三百五十ヘクタール余の農地に完成します。
現在は、農家に嫁ぐ花嫁さんが増加して、農業者も農業後継者も育ち、必然的に、子供も誕生して、出生率も向上しております。しかし、圃場整備事業開始当時、平成十五年ごろは島原市の出生率は一・五五でありましたのが、平成二十二年には一・八三と上昇して、また、平成二十八年には二・〇七に出生率もぐんと上昇しておるのが現状です。まさに、圃場整備率の上昇に比例して出生率が上昇するという好結果が生まれております。
また、その地域の市立公園、市立幼稚園も、平成十四年ころには子供が一桁台まで減少して、廃園にするとまで市当局は検討したそうですが、現在は園児も相当ふえて、子供たちの声でにぎわっておるのが現状であります。このことは、我が国最大の国難である少子化対策にもつながり、ひいては国策である地方創生にも大きく寄与するものと思います。
このように、農地中間管理事業を通じて、農業の基本である圃場整備の事業推進に果たす農地バンクの役割は大変大きなものがあると同時に、圃場整備された優良農地は、少子化対策、地方創生、耕作放棄地の解消と、一石二鳥にも三鳥にもなります。そこで、一日も早く圃場整備の目標達成を果たし、我が国の農業の未来に光を与えていただきたいという願いであります。
最後に、大臣の御所見をお伺いをいたしたいと思います。
○吉川国務大臣 農協の組合長も御経験をされました加藤先生の農地バンクに対する思いを、見識をお聞かせをいただきました。
本法案は、平成二十六年に活動を開始をした農地バンクについて、法施行後五年が経過をしたところで、更に事業を加速化するための見直しを行うものでございます。
見直しのポイントでありますけれども、農地バンクと、JA、農業委員会などで、地域でコーディネーター役を担ってきた組織との連携を強め、一体となって、中山間地域を含め、農地集約化のための地域の話合いを推進していこうとすることでございます。
農業者の人口減少、高齢化が進む中で、これから農業を担っていく方が存分に農業経営を行う環境をつくっていくことは喫緊の課題でもございます。法律と予算措置とが相まって、担い手へのさらなる農地の集積、集約化に向け、関係者が一体となって取り組んでまいりたいと存じます。
今後とも、加藤先生の御支援、御指導も心からお願いを申し上げる次第であります。
○加藤(寛)委員 ありがとうございました。
以上で質問を終わります。
○武藤委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。
きょうは、まず、農地中間管理事業改正法に関しての質問の前に、大変恐縮ですけれども、大臣に、大変重要なことでございますので、お伺いをさせていただきたいと思います。
まず一点目ですけれども、韓国における水産物輸入禁止措置の、いわゆるWTO上級委員会の一審の判断を破棄されたという、この問題について大臣の所見をお伺いしておきたいと思うんですけれども、これは、もう御存じのとおり、先般、WTOの紛争処理の、二審に当たるというんですか、上級委員会におきまして、韓国による福島など日本の八県の水産物の輸入禁止措置、これを不当とした一審の紛争処理小委員会、これはパネルと言っていますが、この判断を破棄したということでございます。
言うなれば、日本がここで一審とは違う判断をされて敗訴をしたということになると思うんですが、大臣は、十二日の記者会見で、食品の安全性は否定されていない、こういう御見解をされました。私も全く同感でございます。このパネルの判断は、WTOの検疫関連の協定の解釈に誤りがあるんだ、こういう指摘でありまして、韓国の措置が協定に整合的であると認められたわけではないというふうに思っております。
そこで、改めて大臣にお伺いしたいと思いますけれども、見解と、それから今後の対応について。既に、もちろん記者会見で発表されていますけれども、私が特に関心があるのは、やはり一番不安に思っている福島などの八県の関係者の方々にもしっかり安心していただける、あるいは、大臣として、今後も引き続き、韓国との関係について、この輸入規制の態度をしっかり改めていただくということを強く申し上げていただければ、こう思っていますので、大臣の見解をお伺いします。
○吉川国務大臣 四月十二日に公表されましたWTO上級委員会報告書でありますけれども、韓国の輸入規制措置が、日本産水産物等を恣意的又は不当に差別していること、必要以上に貿易制限的なものであることを認定したパネル報告書の判断を取り消したところと承知をいたしております。韓国の措置が協定整合的であると認められたわけではございませんけれども、我が国の主張が認められなかったことは、復興に向けて努力されてきた被災者の皆様のことを思いますと、まことに遺憾であると考えております。
一方、日本産食品は科学的に安全でありまして、韓国が定める安全性の数値基準を十分クリアできるものであるとの第一審の事実認定は維持されているところでもございます。このため、輸入規制を継続している国・地域に対しまして、我が国では、出荷規制により基準値を超過する食品は流通させない体制を構築しまして、徹底したモニタリングも行っていることを改めて伝えつつ、引き続き輸入規制の撤廃、緩和を求めてまいりたいと存じております。
さらに、今回の決定を受けまして、韓国を始め、他の国・地域の輸入規制の撤廃にどのように取り組むのかということを若干お話をさせていただきたいと思いますけれども、政府といたしましては、日本産の農林水産物、食品に対する輸入規制措置全体の撤廃を目指すという立場のもと、規制撤廃に向けた粘り強い交渉を行ってまいりました。
その結果、事故後、五十四の国・地域において規制がかけられておりましたけれども、これまで三十一カ国・地域で規制が撤廃をされました。規制の残る二十三の国・地域のうち、二十一の国・地域で規制が緩和されたところでございますが、第一審による食品安全にかかわる事実認定は上級委員会において取り消されていないため、輸入規制を継続している他の国・地域に対しましても、我が国が行っている安全管理に関する措置によりまして基準値を超える食品が流通することはないことを改めて伝えつつ、引き続き輸入規制の撤廃、緩和にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
○稲津委員 ありがとうございました。
我が国はしっかり、完全にモニタリングをして、当然、基準値を超えたものについては一切流通させていないんだという、正しい、もう本当に真っ当なことをしているわけで、このことを引き続き粘り強く韓国政府、また関係者に伝えていくしかないんですけれども、ぜひ、大変御苦労かと思いますが、その姿勢をしっかり堅持していただいて、また粘り強く対応していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
もう一点、これも大変重要なことでございますのでお伺いをさせていただきたいと思うんですが、先般の十四日に北京で開かれた日中閣僚級のハイレベル経済対話、このことに関してお伺いしておきたいと思います。
大臣も御同席ということを伺っておりますので、このことについて触れさせていただきますが、この日中閣僚級のハイレベル経済対話の中で何が確認されたか。これは報道等でもありますけれども、動物衛生及び検疫協定、その締結に向けて、中国政府と実質合意がされたということでございまして、これは大変大きなことだと思っております。
そうすると、今後、日本産の牛肉、豚肉の輸入は今中国は禁止していますけれども、その解禁に向けて大きな道筋が開ける、そういうことに直結していくということで、関係者の方々の関心も非常に高いと思っております。
これはもう御存じのとおり、いわゆる二〇〇一年に発生した我が国でのBSE、これが発端となって、以来、日本産の牛肉は中国においては輸入禁止になっているということ、豚肉も同じような状況で輸入できないことになっておりますが、私は、今回、このことについてどのような協議が行われたかということをまずお伺い、確認しておきたいことと、先ほど申しましたように、検疫協定の締結を実質合意をしたということになりますと、やはり一日も早く、特に、まずは牛肉になると思いますけれども、この輸出を実現したい、こう思うところでございまして、ぜひ大臣の御決意というか、この協議に臨まれたときのことを含めて所見を伺いたいと思います。
できれば、なかなかここで明言するのは難しいことは承知をしておりますが、今後のスケジュールの基本的な考え方について、できればここのことについても触れていただければなと思いますので、御答弁のほどよろしくお願い申し上げます。
○吉川国務大臣 日中ハイレベル経済対話におきましては、日本産牛肉等の中国への輸出解禁に向けた重要なステップとなると承知をいたしております。
動物衛生検疫協定の実質合意を歓迎をし、同協定の早期締結に向けて連携していくことも確認をさせていただきました。
このほか、私から、日本産牛肉の輸出が早期に実現するように、口蹄疫やBSEに関する輸入解禁令の公告を始め、各種の手続を円滑に進めていただくことを要請もさせていただきました。これに加えまして、日本産食品に対する輸入規制の撤廃、緩和を強く要請したところでもございます。
さらに、中国向けの牛肉及び豚肉の輸出についてでありまするけれども、日本産牛肉や豚肉の輸出再開に向けまして、その重要なステップであります日・中動物衛生及び検疫協定について、今般、日中双方で実質合意に至ったことを確認をまずさせていただきました。今後は、外務省とともに、この早期の署名、締結に向けた作業を進めていくということになります。
日本産牛肉の輸出の解禁に当たりましては、まず、中国側による口蹄疫、BSEに関する解禁令の公告が必要になってまいります。このことも強く求めさせていただきました。
厚生労働省が担当となります食品安全システムの評価も必要になります。輸出のための家畜衛生条件の設定、そして輸出施設の認定及び登録が必要となるところでもございます。
引き続き、関係省庁で、今申し上げましたけれども、外務省、厚生労働省とも連携をとりながら、早期の輸出再開に努めてまいりたいと存じます。
○稲津委員 ありがとうございました。
今回の実質合意というのは、これはもう我が国だけではなくて、中国側にとっても大変実質的な利益があると思っております。そういう意味でも、ぜひこれをしっかり進めていただいて、今後、日中の輸出入についての流れをぜひ大臣のもとでつくっていただきたい、このように思っていますので、よろしくお願いいたします。
それでは次に、農地中間管理事業法の改正について順次お伺いしてまいりますが、まず一点目は、農地利用集積円滑化団体の実績についてということでお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
先ほどの御質問にもありましたけれども、先日、これは報道の中でございますけれども、野党の皆さんから、農地中間管理機構の見直し法案に対しての修正案の検討がなされているということを承知をいたしました。
この野党の皆さんの修正案の報道を見ておりますと、現在農地バンクが借り受けて転貸している農地をどのようにしていくのか、こういうことが、どう検討されていたのかは承知はしておりませんが、そこのところが少し見えてこないわけでございます。
これは、実は先日、私、この席に立って質問させてもらいました。それは、この円滑化団体と農地バンクの統合の意義についてお伺いしたところでございまして、そのテーマと大変リンクしますので、私も非常に関心のあるところなのでお伺いしておきたいと思います。
現在農地バンクが担っている農地の中間管理の業務を、例えばJAなどの円滑化団体の皆さんに担っていただくことが実際可能なのかどうかということなんです。もちろん、可能なところとそうでないところがあるとは思いますけれども、そのことを踏まえた上で農水省にお伺いしますけれども、現在の円滑化団体のうち、農地の貸し借りに関する直近の実績がないところ、あるいはその実績がほとんど見受けられないところ、これがどの程度あるのか、この点について確認をさせていただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
全国で、現在、農地利用集積円滑化団体は千百七十四団体ございます。これは平成二十九年度末の数字でございます。
そのうち、平成二十九年度中に利用権設定の実績が全くない団体が八百四十八団体、これは千百七十四団体中の七二・二%でございます。
それから、再設定を除く利用権設定が十ヘクタール未満、新規の設定が十ヘクタール未満というもので、こういうので見ますと、百八十五団体、全体の一五・八%に上っております。
この八百四十八団体と百八十五団体を足しますと、円滑化団体のうち、実績がない又は実績が乏しいと考えられる団体は、全体の約九割を占めているところでございます。
○稲津委員 今局長から御答弁いただきましたが、私、今しっかり書きました。平成二十九年度の段階で、千百七十四団体中、実績がないところが八百四十八団体、七二・二%。そして、新規のところ、いわゆる十ヘクタール未満、これは百八十五団体ということで一五・八%。全体として、なし、あるいはほとんどないというところが九割だということです。したがって、なかなか、農地バンクのかわりの受皿になるのが本当に現実的なのかどうかということだと思います。
もちろん、私もこれは承知していますけれども、これまでも実績があって、体制が整っている一部の円滑化団体、ここではもちろん可能であると思います。しかし、こうした体制を新たに構築をして、そして進めていくとなると、これは現実の問題として、JAなどに大変大きな負担がかかってくるだろうということなんです。したがって、果たして、現場のさまざまな声をしっかり聞いた上でこうした議論がなされるかどうか、ここが大事なポイントだと私は思っています。
したがって、こういうことが前提であれば、なかなかこの修正案というのは難しいことになってくるのかなと思いますが、そういうことを言わざるを得ないということをあえて申し上げておきたいというふうに思います。
次に移ります。次は、担い手による農地の利用の広域化ということでございます。
私の住んでいる地域等におきましても、市町村を超えて農地を借りる、そういう農家の方々もふえてまいりました。
今回のこの改正法の中にも、二以上の市町村の区域内において農業経営を営む農業者の農業経営改善計画について、農林水産大臣又は都道府県知事が認定事務の処理を行うこととすること、こうなっておりまして、要するに、今、担い手による農地利用の広域化が進んでいるという状況の中で、複数の市町村にまたがって農業経営を行う農家の方々、こうしたいわゆる農地利用の広域化がどう進んでいるのかということ。
それから、こうした担い手の方々を、今後どういう位置づけで農水省として考えていくのか。当然、そこがふえてくるとなると、そういう広域化する中での担い手の方々に対しても、しっかりとした応援をしていかなければならないというふうに思います。
そうしたことを踏まえた上での所見を伺いたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、今回の改正案に、広域で活動する担い手の活動範囲に即して、国、県の新しい認定制度ということを考えているところでございますけれども、これは、全国農業法人協会を中心とした担い手の方々の長年にわたる切なる要望を具体化したものでございます。
そういう方々の、なぜそういう要望をしているかといいますと、複数の市町村で農業経営を営んでいきますと、認定自体は今現在のところ市町村ごとの認定ということになりますので、いずれにしろ、地続きであってもそれぞれの市町村に認定申請を別々に行わなきゃいけないということで、申請が複数あって煩わしいということに加えまして、やはり、自分の生まれたところ以外の市町村では、どんなに隣町で大きな農業をやっていても、新しいところの市町村では全くの新規参入者というようなふうに扱われてしまうというような問題点が、非常に、そういう担い手の方々から指摘されていたわけでございます。
市町村にとっても、やはり、今回のテーマの一つとして、市町村の農林関係職員の削減が非常に大きく行われているということが背景としてございますが、市町村にとっても、認定の可否を判断するために、認定農業者という人を判断するときには、所得がどのくらいあるかというのを見なきゃいけないんですけれども、その所得のよりどころとなると、隣町の農地から出てくるとなると、隣町まで行って本当に調査をするのかというようなことで、そういう情報を求めるというところで事務が煩雑になってきているというような問題点もございましたので、こういう複数の市町村では認定は一カ所という考え方のもとで、県内で複数市町村の場合は都道府県、それから、県をまたがって複数市町村の場合は国がある意味で市町村の認定事務をかわって取り扱うというふうにしたわけでございます。
こういう新しい認定の仕方を受けた認定者の位置づけでございますけれども、私どもとしては、やはり、地域で頑張っておられる認定農業者、これはこれで大事なことだと思っておりまして、引き続き必要な支援は行ってまいりたいと思いますけれども、広域で認定される方々、これも、今回の認定で手続を少し緩和したり、あるいは人・農地プランの中ででも、適切に、農地バンク等が、新しい出し手がいるというときに、そこに担い手がいない場合にはあっせんをするとか、地域の活動範囲に即したサポートの仕方というのを今後考えてまいりたいと思いますが、基本は担い手は担い手ということで、どちらも重要ですけれども、その活動範囲に応じて支援の仕方を考えたいということでございます。
○稲津委員 私、先ほどの質問の中でも申し上げましたけれども、実際のニーズとしてこういうことがあって、そういう状況がふえてきているということ。そこで、今回の改正に沿って、そうした手続が簡素化される、あるいは、一つの自治体や農業委員会で把握できないことも統合してやっていけるということになりますので、ぜひこの改正を実効あるものにしていただきたいというふうに思います。
次に、荒廃農地における担い手対策についてということでお伺いしたいと思います。
現在、相続未登記農地及びそのおそれのある農地は全農地の約二割、九十三万ヘクタール余りとされておりますが、そのうち、いわゆる遊休農地は五・四万ヘクタールで、共有者が判明していないものの中で、知事裁定により農地中間管理機構を通じて貸し出す仕組み、これが、昨年の法改正、十一月の十六日に施行されましたが、このことによって、現在のところは十六市町村で実施されているということです。
この数字が多いか少ないかというのは、十六だけ見ると少ないんですけれども、ただ、昨年の十一月十六日施行ですから、そう見ると、これからこれは少しふえてくるのは間違いないと思っているんですが、今後の推進に期待がされるところでもございます。
そこで、以下伺いますけれども、まず、再生可能な荒廃農地を担い手に結びつけていくことが私は重要であると思っておりますが、このうち、権利設定することが難しい所有者不明農地についての対策についてはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
○大澤政府参考人 再生可能な荒廃農地につきましては、やはり所有者不明農地であっても、農地バンクが間に入って、周辺農地とあわせて基盤整備などの条件整備を行う中で、円滑に担い手に結びつけていくことが必要だというふうに考えてございます。
現在、先生御指摘のとおり、農地法上の知事裁定の仕組みがございますけれども、先生御指摘の実績は改正前の実績でございまして、改正内容によりまして、昨年十一月に施行しました農地法等の改正によりましては、手続を簡素化するとともに、設定できる利用権の範囲を五年から二十年に延長したところでございます。探索の範囲の限定は、登記名義人の配偶者と子までという形で明確化しておりますので、それまではいろいろなところに追求をしていかなきゃいけなかったことをもう少し簡素化したということでございますので、もう少し利用範囲は広がってくるのではないかなというふうに思っております。
なお、この所有者不明の中には、遊休農地もそうなんですけれども、所有者が一人でもわかっていれば、新しく制度を別に設けて、探索、公示手続を経た上で、知事裁定によらずに農地バンクに貸し付ける制度というのも創設されましたので、こちらの制度もあわせて使っていきながら、こういう所有者不明農地について対策を講じていきたいというふうに考えてございます。
○稲津委員 ありがとうございました。
そこで、今度は逆のことを聞きますけれども、再生可能な荒廃農地のうち、所有者がわかっている農地について、どのように担い手に結びつけていくのかということについて、今、一人でもいればということでお話ありましたけれども、もう少しここを掘り下げて、その対策等について触れていただきたいと思います。
○濱村大臣政務官 再生可能な荒廃農地の所有者は、自分では積極的に耕作する意思はありませんけれども、かわって耕作してくれる人も見つからず、困っておられる方が大変多いと思われます。
このため、今後は、人・農地プランの実質化に向けて、地域の話合いの中で、このような荒廃農地の所有者の悩みを地域全体で課題としてしっかりと位置づけた上で、その解決方向を探っていくということとしたいと考えております。
その際、地域の合意形成を実現する観点から、中山間地域における機構集積協力金の要件緩和や、農地バンクと組み合わせて農地耕作条件改善事業に取り組む場合の農業者負担の軽減等を今回措置しておりまして、これらの活用も促してまいりたいと考えております。
農地バンクにおきましても、これらの取組を農地所有者等に積極的に働きかけていくことによって、荒廃農地も含めた地域の農地が担い手に結びついていくように取組を進めてまいりたいと考えております。
○稲津委員 今、局長と政務官の答弁で、大体、荒廃農地の中で、何とかこれからも、再生可能なものについて、所有者が不明だとかあるいはわかっているとか、いずれにしても、その取組がこれからある意味しっかりやっていけるという可能性については、今しっかり把握できたと思います。
そして、その上でもう一つ聞いておきたいんですけれども、再生利用が困難な荒廃農地、このことについてお伺いしたいと思います。
農地の再生といっても、実際には、例えば、雑木が生い茂っていたりとか、それから、条件が非常に厳しくて田畑に復元すること自体がもはや難しい、物理的に難しい、こうした荒廃農地については、やはりしっかり切り分けて位置づけすべきだろう、こう思っています。再生利用が困難な荒廃農地については、私も、これは、ここは農地ということであえてそう設定するんじゃなくて、むしろ林地として再生、利活用を図っていくべきじゃないか。
実際に、いろいろな広葉樹等々、国産材については十分供給されていない、こういう御意見も関係者から多数寄せられていることから、林地としての再生利用のことを考えていく、その意味で、実例と対策の方向性についてお伺いしておきたいと思います。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
農業上の利用が見込みがたい荒廃農地でございましても、林地としては利用が見込まれるというものは、これはたくさんあるのではないかというふうに思っているところでございます。
このため、農林水産省といたしましては、森林として管理、活用を図ることが適当な荒廃農地につきまして、森林としての利用に向けた調査でございますとか、あるいは早生樹種等の実証的な植栽等に取り組むこととしているところでございます。
荒廃農地を実際に林地として活用する事例というものも出てきておりまして、例えば、熊本県におきましては、かつて水田でございましたところを林地に転用いたしまして、成長が早く家具等の材料として期待されるセンダン、これは早生樹として期待されております広葉樹でございますけれども、こういうものを植栽した事例があるということも承知をしているところでございます。
こうした取組に対しまして、森林整備事業において造林、間伐等に対する支援を実施しておりますほか、三十一年度からは、成長が早く造林、保育の省力化につながる早生樹種を荒廃農地等にモデル的に植栽する取組への支援というものも新たに開始をしたところでございます。
これらの取組によりまして、荒廃農地の状況を踏まえつつ、林地としての再生利用というものについても図ってまいりたいと考えております。
○稲津委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、最後の御答弁は大変大事なことだと思っています。環境保全、あるいはまた鳥獣対策の緩衝地域としても、そうしたことも十分考えていけますので、御検討いただきたいと思います。
終わります。
○武藤委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
前回に引き続き、農地中間管理事業法の一部改正案について質問をします。
昨年十一月の規制改革推進会議農林ワーキング・グループの会議では、農水省は次のように法案に関する説明をしています。
転貸面積がここ二年間で極端に下がっている、今まで農地集積、集約化の機運が以前からあった平場については平成二十七年度でほぼ一段落している、機構と地域とのつながりが少し弱い、農地バンク事業の手続等に関する不満が多い、機構に貸したくても機構が借りてくれないなどと説明しているわけであります。これは去年の話であります。だから地域の話合いを重視する、人・農地プランを重視するんだという話であります。
しかし、こうした問題点というのは、機構をつくる段階から、創設当初から指摘されてきたのではありませんか。なぜ今さらこんな指摘をするんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
○小里副大臣 地域の話合いに基づく人・農地プラン、これは平成二十四年に開始をされまして、平成二十六年の機構法制定時に、農地バンク事業の円滑な推進を図るための手段として法的に位置づけられたところであります。
現在、九割以上の市町村、千五百八十七市町村において約一万五千のプランが作成されておりますが、プランの中には、農地の出し手が記載されていないものが半数を占めるなど、地域の話合いに基づくものとは言いがたいものもあると認識をしているところであります。
このため、人・農地プランを真に話合いに基づくものにする観点から見直しをするものでありまして、すなわち、市町村、農業委員会など地域の関係者の参加のもとで地域の全体のアンケートをとった上で、これを地図に落とし込んで活用して、地域の話合いにおいて、農業者が地域の現況、将来の地域の課題を関係者で共有をし、今後の農地利用を担う経営体への農地の集約化に関する将来方針の作成につなげていこう、そういうものであります。
○田村(貴)委員 四年間やってみて、真の話合いがされていなかったと今副大臣はおっしゃったけれども、そうした問題点がいっぱい出てきたということじゃないでしょうか。
二〇一三年五月三十日の規制改革会議、ここで農水省は次のようなことを発言しています。個別の相対的な手法だけではなかなか農地流動化が加速化されない、そのような状況を解消するということで農地中間管理機構というものを構想した。この会議で、当時の奥原経営局長は、流動化した農地は相当に大規模な農場や企業がうまく利用しないと意味がない、こういうふうに発言されているわけですよね。
こうした考え方というのはもう転換するということでしょうか。いかがですか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
先ほどの質問との関連でいきますと、まず、地域重視というのは、もちろん、国会でも人・農地プランを法定化していただいたということで、国会で修正のものを踏まえて我々は当然のように運用をしておりますので、地域重視ということは前々からの考え方であったわけですが、その考え方は同じですけれども、その手法について、まだまだ改善すべき点があるということで、今回、地図をもって全体の、地域の課題を見えるようにする、そういうような考え方をとっているわけでございます。
この話と、制定当初の規制改革会議での農林水産省の発言というのもまた少し別の話でございまして、農地バンクの、つくるという意義自体は、農地中間管理権と言っておりますけれども、直接相対で貸し手と借り手が、出し手の人が出したい時期にやるということだけで終わってしまいますと、やはりどうしても分散錯圃という我が国特有の農地の保有形態というのは解消されないんじゃないかということがあって、一旦、一つの公的な機関であります農地バンクが借りて、それで徐々に集約化を進めていこうということでございますので、この相対の手法だけではなかなか流動化が加速されないということは今も同じ問題だと思っていまして、これは地域を重視するかどうかということとはひとまず別の問題だというふうに認識をしているところでございます。
それから、当時の担当局長などの発言ということで、流動化した農地は相当に大規模な農場や企業がうまく利用しないと意味がないという御発言があったという御指摘でございます。
我々も改めて当時の議事録を見させていただきましたけれども、そこの中で、これは、いろいろな例示、先生の御指摘のような例示をした中に、例えば新規就農者なんかも入れた上で、「要するにこれから本当に経営を発展させて、コストも下げていける、こういう方々のところに重点的に土地が集まりうまく利用されなければ意味がない」、こういうのが正確に引用するまとめでございまして、個々の大規模かどうかというよりも、コストを下げる、本当の意味で経営としてやっていく、そういう方に農地バンクを通じて担い手として育っていただこうという意味でございまして、この意味でも、我々、今回やっていることは変わらないというふうに考えてございます。
○田村(貴)委員 矛盾だと思いますよ。改善するところがある、多々あるからこういう提案をされているんじゃないんですか。
それから、農地中間管理機構というのは、地域の話合いで担い手を探して決めるようなやり方では外からの企業参入を阻害する、こういう発想から議論が始まっているわけであります。そういう考え方は改めないと今局長はおっしゃって、一方では、地域の話合いを重視する改正だと。私は、これは矛盾に満ちているというふうに思います。
もう一点。二〇一三年九月の農地中間管理機構の創設に関する規制改革会議の意見、この中では、借り主の選定について、公募は公平であるべきだとはしながら、担い手の規模拡大の取組を阻害するなと注文をつけました。農業委員会の法的関与は要しないべきだとか、農地利用集積円滑化団体は廃止も含め整理合理化すべきだとか、人・農地プランの法制化は適当でないだとか、プランを貸付先の決定にそのまま利用すべきではないなどとしたわけなんです。
今回の法改正に当たって、こういう点というのは、発想というのは改めるという理解でよろしいんですか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
先生の御指摘の各種の御意見は、これは農林水産省の意見ではございませんで、規制改革会議の方々の個々の意見ということでございますので、それ自体については、私どもはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
農林水産省として法律を運用していくということであれば、当然のことながら、最終的に法律化された農地バンクの仕組みが全てでございます。その中を見ますと、配分計画の原案は市町村も作成可能。そういう中で、必要に応じて市町村は農業委員会の意見も聞くということが、農地バンク法の十九条三項に規定されております。ですから、農業委員会の法的関与は要しないとすべきという意見はあったかもしれませんが、今の最終の法律案では、今でもそういう位置づけは少なくともあるということでございます。
加えまして、農地利用集積円滑化事業はもちろん当時併存させておりましたし、人・農地プランは国会の修正により法制化された、この制度をもとに我々は運用していたわけでございます。
今回の考え方はどうかということでございますが、そういう全否定的な意見ではなくて、既にもう一部いろいろ加わっていたことについて、その後の運用実態を踏まえまして、やはりこれを改善するという観点から、農業委員会については、人・農地プランの作成の話合いへの参画というものに法律上の根拠を与える、それから、円滑化団体については、全体の状況を見ながら、なお、ブロックローテーションなどの特色ある取組を行っている者については、市町村と同様に、農地バンクの配分計画の原案を作成できるということとした上で統合一体化するという考え方でございますので、我々としては、独自の現場の検証に基づきまして案を提出させていただいているということでございます。
なお、この改正案につきましては、規制改革会議にも我々の案として説明し、答申としてもほぼ同じものが出ているところでございます。
○田村(貴)委員 官邸からの方針が丸ごと踏襲される流れにあるから、私はこういう指摘をしているわけであります。
今度の法改正に当たって、現場からは、じゃ、今までは一体何だったんだ、この数年間は何だったのかというような声が出ているわけであります。
資料をお配りしています。
円滑化団体の実績の推移、これを見たら一目瞭然であります。二〇一〇年度から順調に実績を伸ばしてきたんですけれども、二〇一三年度は五万四千八百八ヘクタールまで伸びてきました。機構の発足によって、翌年度は一万七千四百四ヘクタールまで激減しているわけであります。
もう不要だと言いながら、言われながら、今さら、円滑化団体との連携が必要だと言われるわけですよね。だから、一体何だったんだという声が出ているわけであります。
先ほどからの議論の中で、農地中間管理機構をもし廃止したら混乱が起きてしまうんじゃないかというような御指摘があっていますが、既にもう混乱が起きているわけですよね。そして、矛盾と不備が多過ぎて、それを補うための提案で更に混乱が深まってしまうのではないかというふうに私は思うわけであります。だから、これだけの修正の提案に至らざるを得なかったということじゃないでしょうか。
大臣にお伺いしたいと思います。
現場がやはり混乱してきた、こういう認識はございますか。それから、これまでのやり方がやはりまずかったということで、そのよくなかったという裏返しが今度の法改正につながっているというふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○吉川国務大臣 農林水産省といたしましては、当初から、農地バンクの配分計画の原案を市町村もつくることができることとするなど、都道府県段階に設置をする農地バンクと地域との連携も図っていくという考えを持っていたところでもございます。
今回の見直しにおきましては、現場の声を踏まえながら、こうした考え方を更に進め、ブロックローテーションなどの特色ある取組を行っている円滑化団体につきましては、市町村と同様に、農地バンクの配分計画の原案を作成できることといたしまして、これまでどおりの取組がそのまま農地バンクの取組となるようにし、農業委員会につきましては、人・農地プランの作成に向けた地域の話合いへの参画に法律上の根拠を与えることによりまして、その活動を使いやすくする等の措置を講じたところでございます。
これらの措置につきましては、もちろん関係団体も納得の上で行うものでございまして、現場が混乱しているとは考えてはおりませんけれども、むしろ、農地バンクと地域とのつながりが強まって、現場段階でよりスムーズに集積、集約化が進むものと考えているところでもございます。
○田村(貴)委員 さあ、そうでしょうか。結局、円滑化団体の実績は取り込んでいきたいというような中身ではないかと思います。
農業委員会のことについても質問します。
利用状況報告の廃止に関して、都道府県への報告を廃止したとしても、担い手が機構から農地を借り受ける契約というのは解除条件付賃貸借契約でありますよね。解除条件を満たすかどうか、これについて、誰が確認して機構に連絡をするんでしょうか。
○大澤政府参考人 農地バンクは、権利設定を受けた者が農地を適正に利用していない場合や正当な理由なく利用状況の報告をしない場合には、賃貸借又は使用貸借を解除できることとされております。これは先生の御指摘のとおりでございます。
今回の見直しにおきましては、農地が適正に利用されているかどうかは農業委員会が年一回の利用状況調査で確認することとしておりまして、農業委員会において農地が適正に利用されていない事例が発見された場合には、それを農地バンクに報告するということになります。これは農地法六条の二に基づくものでございます。
○田村(貴)委員 農業委員会に役割をしっかり持ってもらうということであります。
ただ、この法律ができる段階のときに、各県の農業委員会組織が農地の借受けルールの策定、変更の際、都道府県農業会議の意見を聞く、この規定の導入を求めたんですけれども、政府はこの導入を拒否しました。それから、農地利用配分計画の原案策定の段階の中で農業委員会に意見を聞くという仕組みについても、義務規定にはしなかったわけであります。
農業委員会は、利用意向情報の提供、話合いへの参加、位置づけが明確にされたと言われます。しかし、法的関与は不要と言っているわけです。公選制まで廃止されてしまったわけであります。しかし、情報は出してくださいよ、そして地域で話合い、しっかりコーディネートしてくださいよ、今言った機構に対しての役割もちゃんと持たせていく、仕事もふやしていくということです。
一体、政府、農林水産省は、農業委員会を、この機構法の中でどういう位置づけを持っているのか、これについて伺いたいと思います。単なる機構の下請機関として位置づけているのか、それとも、ちゃんと法的関与も含めて、権限を持ってもらってしっかりやってもらうのか、そこについて答弁していただきたいと思います。いかがですか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
農業委員会の位置づけにつきましては、これも全国農業会議所の要望を受けて、人・農地プランの根拠規定であります二十六条に三項として位置づけたわけでございます。
これにつきましては、人・農地プランでございますので、人・農地プラン自身は農地バンク法の、根拠法に位置づけられてはおりますけれども、機構という名前が人・農地プランの中に、逆に明示的にはっきりと主体として出てくるわけでございます。あくまで市町村が農業者の協議の場をつくり、それを取りまとめるということがまずあって、その中で利用権設定等の機運が出てきたときには農地バンクが出てくる、こういうたてつけになっているというふうに理解しております。
そういう中での人・農地プランの会議への参加などの協力の農業委員会の位置づけでございますので、我々としては、農業委員さんあるいは農地利用最適化推進委員さんがその会議の場でコーディネーター役を担っていただき、市町村と協力しながらコーディネーター役を担っていただいて、地域の話合いを実質的に活性化させていただくモーターとなっていただくことを期待しております。
○田村(貴)委員 円滑化団体にも、それから農業委員会にも頑張ってもらうという理解でよろしいんですね、はい。そうしたら、改める点はたくさん出てくると思いますよ。
目標値についてもお伺いしたいなと思っております。
耕地面積に占める担い手の割合、集積率を八割に引き上げていくと。前回、私の質問では、これはKPIだというふうに答弁されました。ところが、耕地面積が減少になっている、年々減少になっている、分母が減っているから、そうしたら集積率は上がるじゃないか、こういう矛盾のもとで集積率のカウントをされているといった問題も前回させていただきました。
おさらいですけれども、前回、私、資料も配りましたが、集積の目標面積、二〇一四年当時の耕地面積が四百五十四万ヘクタールと公表されています、これを基準とした場合、八割となると三百六十三万ヘクタールになりますけれども、計算上はこうなりますよね。いかがですか、局長。
○大澤政府参考人 私どもとしては、二〇一四年当時の耕作面積を基準として考えておりませんので、計算すれば、それは皆さん計算されればよろしいかと思いますけれども、政府としては、過去の一時点を捉えた数値目標として設定しているものではございません。
○田村(貴)委員 過去の一時点を起点としていないと。
資料を配らせていただきました。
これは、農林水産省が全国にも示している数字であります。年間集積目標面積、赤枠で囲っていますね、四十七都道府県別に。この数字は、試算の仕方、積算の仕方は下に書いているとおりでありますけれども、農林水産省の側から都道府県の方に、こういった年間目標を持ってやられたらどうですかという数字であります。
これに対して、右端の方に、過去四年間の集積増加面積というのがございます。四倍になっていかなければいけないというところでありますけれども、全体では一・八倍。都道府県別に見てみますと、いろいろ差はあるんですけれども、目標八割、ここには到底及ばないといった状況にあるのは間違いないといったところであります。
これまでの取組の中で、政府がKPIとして目標値を持って、そしてこれを検証していくという流れの中にあって、この数字というのはやはりシビアに見ていかなければいけないんじゃないですか。達成できるんですか、本当に。
地域で話合いを重視すると言われました。それは本当に結構なことだと思います。これは大事なことだと思います。そして、さまざまな改善点を挙げられたということについても、これは当然のことだというふうに思っています。
しかし、耕地面積に占める担い手の割合というやり方をもって目標値を持っていくならば、どんどん耕作放棄地はふえていて、耕地面積は減っているわけですから、おのずとこれは矛盾に差し迫るというような状況なんです。
これは、どうなんですかね、目標達成できるんですか。改めて伺います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
現在の担い手への農地面積の集積状況から見ますと、現在五五・二%でございますので、二〇二三年に目標を達成するためには相当集積を加速しなければいけないという問題意識は強く持っているところでございます。
他方で、現在の農業人口の高齢化、減少の度合い等を見ますと、やはり今後、農地は加速度的に出てくる、担い手を探している農地が出てくるというふうに考えてございます。
そうした中で、やはり、目標について、八割は難しいから少し違うものにしましょうということを出すと、逆に、担い手の方に集めなきゃいけないというニーズが非常に高くなっているときに目標を下げるということを仮にするとしますと、現場に誤ったメッセージを与えることになるのではないかというふうに考えています。
ですから、目標は高いものに置きながら、いろいろな措置を改善することによって、まず機運を高めていきたいというふうに我々は考えてございます。
○田村(貴)委員 ある自治体に行ってお話を聞いたら、その自治体の集積率が二割程度にとどまっている、そうしたら、本県の目標が四割だと言われるわけですよ。そういうことになっているんですよ、都道府県にしてみたら。だから、どうやって八割に上がるのか。都道府県の段階で、県の段階でそう言われたんですよ、四割にしか上げないと。そういう状況だったら、ほかが、八〇%どころじゃなく、もっと上げないといけないところが出てくるわけですね。
今、格段とふえてくるというふうにおっしゃったんだけれども、そういう展望をやはり示さないといけませんよ。そういう展望というのは、KPIの中でこの数字が示されている、じゃ、何年までにどこがこういうふうに集積率が上がるという展望を指し示す必要があると思うんですけれども、それはあくまでも目標でありますからと、何もおっしゃらないんですかね。いかがですか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
私も、地域別にやはり、こうやったら行けるという道筋とそれから目標というのをつくっていく、これが大事だというふうに考えてございます。ただ、それをまた国がつくるということについては、逆にまた地域との離反を招いてしまうんじゃないかということを危惧いたします。
そういうこともありまして、今回はやはり、国会でも法律制定当時にも御修正いただいたような人・農地プラン、これに着目いたしまして、地域別に真剣に考えていただいた上で、農地の集積の考え方、それからそれに至る道筋、これを地域ごとにつくっていただこう、こういう考えに至った次第でございます。
○田村(貴)委員 大臣、最後にお尋ねしますけれども、地域で話合いを重視すると言われました。それから、手続も簡素化していくということであります。ならば、農地中間管理機構、もう必要性はないのではないかと思いますけれども、いかがですか。
○吉川国務大臣 農業者の高齢化が進み、今後リタイアする農家が増加することを考えますと、農地バンクが農地を中間保有をして、再配分を繰り返して、分散錯圃を解消していくことがますます重要となっていると考えております。
今回の見直しにつきましては、農地バンクの必要性を再認識した上で、中間保有機能を十分に発揮させる観点から、農地バンクと、JA、農業委員会など地域のコーディネーター役を担ってきた組織が連携を強めて、一体となって、農地集約化のための話合いを推進していこうとするものでございます。
このため、農林水産省といたしましては、都道府県単位の農地バンクか市町村段階の組織かという二者択一で考えるのではございませんで、それぞれのよさを生かして一体的に集積、集約化を進めていく考えでございまして、今回の見直し案を御審議いただいているところでもございますので、御理解をいただければと存じます。
○田村(貴)委員 いよいよ問題と矛盾が大きくなった、これが明らかになったということを指摘させていただいて、きょうの質問を終わります。
○武藤委員長 次に、大串博志君。
○大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの大串でございます。
中間管理機構の改正法案に関して更に質問をさせていただきたいと思います。
まず大臣に、御感想も含めてお尋ねしたいと思うんですけれども、予算委員会でも大分統計問題を私、取り上げて、大臣も聞いていらっしゃったと思いますけれども、統計問題がなぜこれだけ大きな問題となったかというと、これは安倍内閣の一つの方針に沿うところもあると思うんですよね。
EBPMと言われましたね。エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングですね。客観的な証拠、根拠に基づいて政策をつくっていく。これは正しい考え方だと私は思うんですよね。
大臣、どうですか。御感想をお尋ねしたいと思いますけれども、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング、客観的な証拠とか根拠、数値に基づいて政策をつくっていく。これは正しいことだと思われますか。御感想を教えていただければと思います。
〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
○吉川国務大臣 大串委員の御指摘の点は、私は正しい方向だと思います。
○大串(博)委員 私もそう思いますよ。やはり政策をつくる上では、どのようなことが実態に起こっているかというのを、数値、数字が、できる限り追えるものは追った上で、それに基づいて客観的に判断していくべきだと思うんですね。
そういった意味で、この農地中間管理機構、先ほど来、田村委員からも話がありましたけれども、本当に必要ですかという問いに対しても、繰り返し、大臣も含めて、中間管理機構が一旦土地を中間的に借り受けて、それを交換分合、リシャッフルを行った上で、転貸し、集約化していくことは重要なんだ、こういうふうにずっとおっしゃっているんですね。それが効果だと。
私は、それの効果ということでコストが下がっていくんだろうなというふうに思うものですから、コストが下がっていくということを期待されているということだろうなと思うものですから、そのことを前回の質疑でも、どういう根拠に基づいて、中間管理機構が入れば、機能すればコストが下がるんですか、そういう成果は確認されているんですかということをお尋ねしたところ、答えとして上がったのは、大規模農業者についてサンプル調査をしましたということでしたね。
三十ヘクタール前後お持ちの方が十ヘクタール以上規模拡大した人を対象としてサンプル調査した。データのある人が、農地バンクを利用した人が十九経営体で、活用されていなかった方が六経営体、つまり、農地バンクを使って規模拡大した十九経営体と農地バンクを使わないで規模拡大した六経営体とを比べて、そうしたところ、農地バンクを使った人の方が二割コスト削減率が多かったということだったと思いますけれども、この理解で、大澤局長、間違いないですか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおりでございます。
○大串(博)委員 これは前回も申し上げましたけれども、今、中間管理機構は本当に有用だったのかという極めて重要な議論をしているわけですよ。本当に、集約化してコストが下がって、それで日本の農業が立ち行くような形になっていくのかという極めて大きな議論をしているときに、出てきた資料として、それを裏づける数値がサンプル調査で、しかも十九経営体と六経営体を比較して、十九経営体の方がコストの下がり率が多かったということのみが今ここに提示されている証拠だということに、私、極めて強い違和感を感じるんですね。
まず、十九経営体と六経営体は、コストの比較は可能なんですか。すなわち、作物等々に関しては、あるいは農業経営のあり方としては比較可能なほど似通ったものなのか、どういうものなのか、ちょっと教えてもらえればと思うんですけれども。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
先ほど御指摘の資料につきましては、我々としては、委員会での審議に可能な限りお役に立てるようにいろいろな作業を行っている中で、できる限り農地バンクのみによる効果という御指摘が、前々回のこの場で議論していただいたときに御指摘を受けましたと理解しておりましたものですから、いろいろ調査がある中で、農地バンクのみによる効果というのがどうやったらできるかなということでいろいろ探してみたところ、前回御紹介したような資料があったものですから、御紹介申し上げたわけでございます。
農地バンクにつきましては、我々の基本的な考え方としましては、まず、農地を農地バンクに集めていく、これを集積段階と言っております。それから、その集めた上で、長期間にわたっていろいろなリシャッフルを繰り返す中で集約化をやっていく、これが集約化の段階だというふうに理解をしております。
私どもとしては、早く成果をという御意見は非常にあるかと思いますけれども、やはり農地の問題は非常に難しゅうございますので、まずは集積ということに力を尽くしてきたわけでございまして、そのためのエビデンスとしても、担い手への農地の集積率というのは全国的な数字として出させていただいたわけでございます。
集約化につきましては、初期の段階ではございますけれども、事例的には、非常に先進的な取組がもう既に行われているということで、事例的に優良事例をまず説明させていただき、その上で、少しデータがないのかという御指摘に合わせてこのデータを出させていただいた、こういう考え方でいるわけでございます。
○大串(博)委員 大澤さん、私が言ったのは、比較可能な経営形態なんですかという、そこですから。前半部分は長々と要りませんからね。
○大澤政府参考人 統計の数がどれくらいであれば有意かどうかという、これを統計として出したわけではございませんので、そういう形での分析はしておりません。
ただ、調査の方法だけ申し上げますと、これは、サンプル数はある意味では少ないわけでございますが、調べ方としては、各県ごとに二サンプルずつアンケートを出したわけでございます。対象者は、前回もお話ししたとおり、今三十ヘクタール前後の農地、利用型農業を営む担い手であって、農地バンク創設後に十ヘクタール以上の規模拡大をした者、こういうふうに選んだ上で、各県二経営体ずつ選んで、ただ、アンケートでございますので、答えが返ってくるものと返ってこないものがございます、そういう中で、機構活用者について最終的には十九経営体、機構未活用者について六経営体が出てきたということですので、統計としては、なかなかこれは全体を代表するとは言いがたいとは思っておりますけれども、ある意味で我々全体が集約化については優良事例を調べていくということですので、その中で、まずそういうものを調べてきた。
なお、追記すれば、営農類型は、土地利用型の水稲主体の者から選定しているということでございます。
○大串(博)委員 今言われたように、統計として提示できるようなものではないということなんですね。
こういうものによって立ったところで議論して本当にいいんだろうか。周りの、私たちが全国的に聞く声では、中間管理機構をもってしてこういう効果が上がったということを実感している声がどんどん上がってこないものですから、むしろ、手続が煩雑だとか、なかなかうまくいかないという声の方が圧倒的に私たちが周りを回っていると多いわけですよ。それで、逆に数字においていいのが出ているのかなと思うと、統計的にはこのようなものだということなので、非常に、私はやはり、中間管理機構が成果を上げているというエビデンスを示すというのは今ないというふうに言わざるを得ないと思うんですね。
先ほど話がありました、一旦受け入れて、交換分合し、リシャッフルし、集約化する、これが肝のところだというふうに思いますけれども、ここに関しては、先ほど言われましたように、優良事例を示されているだけですね、幾つかの。本当にそういうことが中間管理機構で行われているのかという証拠、客観的な証拠は示されていないわけですね。
ちょっとお尋ねしますけれども、中間管理機構を使った事業の中で、どれだけが、請け負った上で、その後、交換分合を行い、リシャッフルを行い、集約化したのかということを客観的にそもそも調査をしているんでしょうか。
○大澤政府参考人 中間管理権を取得した面積につきましては、これは借受け面積は十八万九千ヘクタール、そのうち担い手に十八万五千ヘクタールの農地を貸し付けておりますけれども、その中でどれだけリシャッフルをしたのかどうか、これは膨大な作業になりますので、現在のところ調査をしているものはございません。
○大串(博)委員 ここなんですよ。もともと中間管理機構の役割は、一旦受けて、中間管理権というもので受けて、中間管理して、それを交換分合、リシャッフルを行って集約化することによって、効率が上がり、コストが下がるというロジックだった。これが規制改革推進会議のロジック、中間管理機構をつくったときのロジックだったんです。それが本当にできているかというと、調査すら行われていないということが現実なんですよ。すなわち、現実には私は行われていないと推論することの方が正しいんじゃないかというふうに思いますよ。
実際、もしこれがきちんと行われているのであれば、世の中的に言うと、あっ、中間管理機構が入って、中間管理権を持ってもらって、リシャッフルして、交換分合して、集約化が進んでよかったなという声が上がってくるはずですよね。それが全然聞こえない。それどころか調査もしていない、こういう状況なものだから、中間管理機構なる主体をつくってまで、予算をかけてまで行うことが本当に必要なのかということを今こそ見直すときに来ているんじゃないかというのが私たちの主張なんです。
この流れの中で、前回、私、都道府県にあえてこれを置くということが本当に必要なんですか、集積、集約を図っていくというのは、市町村において、土地、農業をよく知る皆さん、農業委員会や集積円滑化団体の皆さんなどの知見をやはり生かしていくべきじゃないですかということを提言申し上げました。その上で、都道府県で本当にやっていくということが正しいんですか、予算を使ってまでやることが正しいんですかということを申し上げました。
私、都道府県に存在されている、今担当していらっしゃる中間管理事業担当の皆さんは一生懸命頑張っていらっしゃると思いますよ。佐賀県も十数名いらっしゃるという話を聞きました。実態の話も聞かせていただきまして、県庁だけにとどまってはいけないので、地方に出回って一生懸命やられています。その努力は本当にありがたいことだなというふうに思いますが、しかし、仕組み自体として、そもそも論として、都道府県に置いておくというのは本当にいいものなのかと。よほど地方に、市町村ベースにしてもらうことの方がいいんじゃないのか。そういう発想の転換のときだと思うんですね。
この間、都道府県に中間管理機構をつくる、この理由、合理性はあるんですかということを先般の質疑で申し上げたところ、大澤局長からの答え、二点ありましたね。
一点は、公的機関、つまり農地中間管理機構が一旦農地を借り受けて、まとまった形で担い手に貸し付けるということが第一目標だというふうに思っています、こう言われました。これに関しては、今議論しましたように、調査すら行っていない。つまり、そんなに行われていないということがよくわかった。
二番目に言われた点。担い手の活動の広域化、そのような状況の中で、やはり地域で担い手がいない場合には、地域外も含めて、広く担い手を探すことが必要であろうかというふうに考えています、二点目の理由としてこれを言われました。
これに関して、この間、議事録を精査していて私も気づいたんですけれども、地域をまたいで、では、参入して、集積をされた方はどれだけいらっしゃったのかということに関して、この間、これも質疑を行ったところ、大澤局長からの答えは、地域外からの参入者における貸付けというのは、農地バンク全体量の毎年数%程度ということになっておりますと。極めて少ないんですよ。極めて少ない。これだから全都道府県に置いておかなきゃならないという理由にはならないと思うんですね。
二点目の理由に関して、地域外からの参入者における貸付け、これは今数%しかないということですけれども、今後どんどんふえていくんですか。どうですか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
まず、簡潔に前の答弁の補足をさせていただきますけれども、我々、調べていないというのは若干、データとしては調べておりませんけれども、各地の優良事例については毎年ホームページで公開をしておりますので、これは現在公開されている事例は既に五十八件に上がっておりますので、その点は補足させていただきます。
地域外からの参入ということでございますが、今後の見込みでございますけれども、今回の法律案の中でも、複数の市町村で活動をされている農業者の方がいらっしゃる。これは認定農業者ベースでの調べはありませんけれども、農地所有適格法人の活動区域というデータがございます。それで見ますと約二千法人が複数市町村で活躍されているということがありまして、この数字も伸びてきているわけでございます。
これが、一番目の、公的機関が間に入ってまとまって貸すという理由に匹敵するほど強い理由とは思っておりませんけれども、地域外からの参入ということ自体はふえてくると思いますし、担い手の不足状況等々を見ますと、ふやしていかなければいけない場合もあるというふうに理解してございます。
〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕
○大串(博)委員 今言われたように、これから伸びていくというふうに思いますというふうに言われましたけれども、実際問題でいうと、やはり、今回法律でやろうとしていることは、人・農地プランに回帰しようとされているわけですよね。すなわち、市町村をベースに行ってきた人・農地プランをより実質化していこうというふうにされているわけですよ。その方向は私はいいと思います。
すなわち、今、今回の修正法案でやろうとしていることは、もちろん、一部において広域化に対して対応できるような修正も入ってはいますけれども、全体として言うと、やはり市町村に戻っていこうということを提案されているわけですよね。私は、ここは、中間管理事業なり中間管理機構になる私たちの態度をはっきりさせるべきときに来ていると思います。
四年前の法律の成立に引きずられて、いまだに都道府県に中間管理機構なるものを置いて、それで、市町村における活動たる農業委員会やあるいは集積円滑化団体を統合一体化という言葉で取り込む。私に言わせると、先ほど田村さんもおっしゃったように、今回、集積円滑化団体、統合一体化というのは、なかなかもう集積の成績が上がらなくなってきているから、集積円滑化事業でやっていらっしゃるものを成績としていただきたいなという改正ではないかとうがった目で見てしまうぐらいのものなんです。
むしろ、全体的に言うと、先ほど申し上げましたように、市町村の活動である農業委員会や集積円滑化団体への回帰をされているわけですから、ここは主体を、都道府県ではなくて市町村に活動の主体を基本的に持ってくるということに私は回帰というか、根づくべきじゃないかなというふうに思うんですね。
大臣、どうですか。私、ちょっと御感想をいただきたい、御所見をいただきたいと思いますけれども、私は今回、先ほど稲津議員からも修正案を出そうとされているというふうに言及をいただきました、修正案を出そうというふうに考えております。
その内容は、中間管理事業、これは一旦廃止して、都道府県に、頑張っていらっしゃる方々、本当にいらっしゃいます、しかし、この皆さんに、むしろ市町村において、農業委員会を強化するとか、あるいは集積円滑化団体を強化していくとか、そういった形でサポートしていただく体制にして、市町村を中心に集積、集約を進めていく方向に変えていくということ。当然、農業委員会の事務局体制や、あるいは集積円滑化団体へのサポート体制を抜本的に評価していくという内容。
さらには、よくこれは言われました、出し手への支援がいいのか受け手への支援がいいのかという議論もありました。
今回、地域の協力金を強化していくということで、受け手の支援を強化していく方向を打ち出されている。その考え方に立つのであれば、もともと私たち野党が申していました戸別所得補償制度、これを復活させてもらって、これによって、受け手が受けることによってより大きな収益を上げていけるような形をつくることによってインセンティブを持ってもらうという形にする、そういう修正案を私たちは考えているんです。そのような方向の方が、よほど実態に合ったことじゃないかなというふうに思います。
先ほど、集積円滑化団体の活動が一割に満たない、一割ぐらいだから混乱を呼ぶんじゃないかというふうな意見もありましたけれども、私に言わせると、混乱はこの四年間であって、もともと市町村をベースとしていた活動にきちんともう一回立脚していく方向の方が、より全体が円滑、かつ、よりよく前に進むんじゃないかというふうに思いますが、大臣、そのような改革を今していただきたいと私は思いますけれども、御所見をいただきたいと思います。
○吉川国務大臣 修正案を提出されまして、大変真摯に御対応いただいておりますことに、私からも敬意を表したいと存じます。
農地バンクは、現在、約三十万人の所有者から約百十四万筆、十八・五万ヘクタールの農地を借り受けて、七・五万人の受け手に転貸をしているところでございます。
仮に廃止することとなりますれば、これらの農地について担い手が再交渉する必要が生ずることとなりまして、現場への影響が大きいと考えます。
また、円滑化団体につきましても、既に九割の団体が実績がほとんどなく、今の農地バンクの役割を完全に担わせることは困難ではないかと考えているところでございます。
このため、農林水産省といたしましては、都道府県単位の農地バンクか市町村段階の組織かという二者択一で考えるのではなくて、それぞれのよさを生かして一体的に集積、集約化を進めていく考えでございまして、今回の見直しの御審議をいただいているところでございます。
○大串(博)委員 混乱ということでいうと、私は、この中間管理事業をつくって行ってきたこの四年間の方がよほど、全くなかった、無のところに、私に言わせると、かなり無理を生じながら集積、集約の仕事を負ってもらってきている。現場の方々は本当に頑張っていただいていますけれども、なかなかやはり厳しい状況にあるのではないか。むしろ、先ほど二者択一ではなくという言葉もありましたけれども、二者択一ではなくということの選択をされていることがいかにも中途半端で、私は、やはり市町村ベースに思い切ってかじを切る、かじを戻すというときに来ているんじゃないかなという感じがします。
五年前も、私たち、修正案を提示させていただきまして、人・農地プランに根づいていないとなかなかうまくいかないですよ、どこかから法人あるいは別の主体が入ってきて、ぽんと集積に乗っかってきてくれるようなことにはならないと思いますよということを盛んに申し上げ、それが四年たった今、五年たった今、まさに現実化している。
それが当たったじゃないかというふうに誇って言うつもりはありませんけれども、やはり農業は現場に根づいたものじゃないと政策はうまくいかないと思いますので、私は、この際、二者択一ではなくて、両方のよさを生かしながらというような、いかにも中途半端な解決策を今回とられるんじゃなくて、きちんと思い切って市町村ベースに活動の拠点を移すべきじゃないかなというふうに思いますので、修正案をぜひこの場でも皆さんに真剣に見ていただいて、集積というものは本当にどうあるべきなのかというのを皆さんに真摯に考えていただきたい、御検討いただきたいというふうにお願いを申し上げさせていただきたいというふうに思います。
一つ、個別の論点として、農業委員会にあります最適化推進委員の論点をちょっと議論させていただきたいと思うんですけれども、これは、予算はついていますけれども、予算の消化は半分ぐらいですよね。最適化推進委員ということで、非常に大きな柱として導入されました、農業委員会に。しかし、これはうまく機能していないですね、まだ。これはなぜですか。
私が見るところによると、恐らく答弁では、農業委員会におけるいろいろな決まり事、人を雇用するにおける決まり事を変えられなくて最適化推進委員を雇用するのにまだ至っていないんだ、よって予算の消化が半分ぐらいなんだということだと思いますけれども、私、根本的な問題はそこではないと思うんですよ。
農業委員会に支援をするのであれば、最適化推進委員の方々もいいんですけれども、その際には、出来高払いになっているような報酬体系、これは農業の実態に合わないですよ。出来高払いで最適化推進委員来てくださいと。すなわち、集積したら何ぼ、集積したら何ぼ、そんな形で人をお願いしようといっても、なかなかうまくならないですよ。
それよりは、今の農業委員会、皆さん、各市、特に町や村に行かれると、農業委員会の事務局の方々、一人か二人ですね。どうやって農業委員会の機能をそこで維持していくのか、非常に難しい感じになっていると思うんですよね。そういった農業委員会の例えば事務局体制なんかにきちんと支援をしていくことの方が、より私は適切じゃないかというふうに思うんですね。市町村における農業関係部局の人員が減っていることもこれあり、やはり農業委員会の事務局体制も含めて、そういった形の支援をすべきだと私は思うんです。
細かいことは大臣にはお答えいただく必要はないと思いますけれども、最適化推進委員、なかなかうまくいっていないんじゃないですか。それよりは、農業委員会の現場、事務局も含めて、むしろ支援した方がやはりいいんじゃないですか。大臣、いかがですか。
○大澤政府参考人 簡潔にお答えいたします。
まず、最適化推進委員は、任命自体はある程度行われておりまして、一万七千人ぐらい行われておりますので、農業委員と合わせて今四万人の体制ということで、体制自体はできているんですが、この最適化交付金、御指摘ございましたけれども、これは、まず技術的な問題があったというふうに理解しておりまして、この活用のために必要となる市町村における報酬条例の改定、これが十分、現場の理解をなかなか得られないで、進んでいなかったということがございます。
これにつきましては、総務省と連携して、県等も含めて指導を行いまして、今現在では七割の市町村で報酬条例が成立される見込みとなっているということですので、執行率の悪さについては、この点については改善されるというふうに考えてございます。
なお、事務局職員についても今年度から新たに予算を措置しまして、人・農地プランの作成に関係する事務費については補助を加えるということを考えているところでございます。(大串(博)委員「大臣」と呼ぶ)
○武藤委員長 では、大臣、補足があれば。
○吉川国務大臣 今、大澤局長からも答弁をさせていただいたところでございまするけれども、推進委員の活動状況につきまして、担い手への農地利用の集積、集約化に向けた現場活動を積極的に行っているところも見られる一方、特に人・農地プランに関しましては、農業委員、推進委員の役割が法律上明確でないことも一因となって、主体的な推進役としての意識が乏しいところもありまして、このため、関係団体の要請もあり、今回の改正でその役割の明確化もすることといたしたところでございますので、御理解を賜りますれば幸いでございます。
○大串(博)委員 農業委員会、地域の集積の活動の一番重要なところですから、ここをしっかり支援していただきたいというのは繰り返し申し上げさせていただきたいと思います。
重要な論点なので、ちょっと違う論点にも行かせていただきますけれども、日米貿易協議、二日目が終わったという速報を聞きました。これから範囲を確定した上で協議を続けるということでしたけれども、大臣に二点だけお尋ねしたいと思うんです。
これまでの経済連携、TPPですね、これが最大限であるということを尊重するというふうに米国政府から一札とっていたはずでしたね。しかし、パーデュー農務長官は、TPP超えだ、こういうふうに言われている。これに対してきちんと茂木大臣からくぎを刺してもらって、かつ、くぎを刺しただけじゃだめなんですよ、言いっ放しじゃだめなので、そうじゃありません、これまでの経済連携を超えませんということの理解を今回の会議でちゃんと得ているのかという点が一つ。
それともう一つ、農業分野だけ先行して切り分けて、生煮えの状態になるんじゃないかと私は思うんですけれども、合意をしてしまうと。ということの観測も聞かれていました。まさかそんなことにはならないでしょうねと。生煮えで切り出して合意しちゃうと、後から必ず、ほかの分野で問題が生じたときに、そういえばあの農業の問題でもう少し譲歩と言われますよ。だからこれは、先行して生煮えに農業だけ握るというようなことがないようにしなきゃいかぬ。そうならないということ。
この二点、大臣、しっかり立ち位置を示していただきたいと思います。
○吉川国務大臣 まず、パーデュー米国の農務長官がTPPと同じかそれを上回ることを望むと発言したことについては承知もいたしているところでございまするけれども、外国政府要人の発言の一つ一つにコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いまするけれども、その上で申し上げたいと思いますが、日米交渉につきましては、昨年九月の日米共同声明において、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した内容が最大限との日本の立場が日米首脳間で文書で確認をされております。これ以上重たいものはないと私は認識もいたしております。
このような認識は政府内でも共有されているものでございまして、今般の日米物品貿易協定交渉の第一回閣僚会合におきましても、昨年九月の日米共同声明に沿って今後の交渉を進めることについて改めて確認をされたものと私は承知をいたしております。
なお、先週、米国の農務省に対しましては、何らの誤解のないよう当方の立場について改めて申入れもさせていただいたところでございます。
交渉は、どこか特定の分野を先にやるということではございませんで、パッケージで決められるものと承知もいたしておりまするけれども、各省所管分野を通じた交渉全体の取組方針などにつきましては内閣官房TPP政府対策本部からお答えすべきものと承知をいたしておりますが、私どももしっかりと政府一体となった交渉も進めてまいりたいと思います。
○大串(博)委員 しっかりやっていただきたい、重要な協議ですので。
どうも、与党自民党の皆さんの中では決議をされたようでいらっしゃいますけれども、私は、もしそういうふうな決議をやられた、それはすばらしいことだなと思いますけれども、であれば、この委員会として、ぜひ、与党の皆さんとして、決議をやろうということを言い出していただきたいなと。私たちも、もしそうであれば、重要な協議なので、この委員会で決議をして、政府を後押しするというのは賛成です。私は賛成です。ですから、自民党さんで決議をされたのであれば、ぜひこの場で、皆さん、御提案いただいて、委員会決議をしたいと思いますので、ぜひ皆さんにお呼びかけをさせていただきたいというふうに思います。
最後に二点だけ。
これは事務方の方で答弁していただいて結構なんですけれども、報道であった農林水産品輸出一兆円の中身が、その他というのが余りに多いじゃないかということ。
これは、いろいろ言うとそういうことだと思うんです、いわゆる調製品とか加工品も入っているので。調製品とか加工品とか入ってくると、これは本当に農林水産の現場が、この一兆円目標が達成されたからといって現場が潤うのかという論点は最終的に残ると思うんですよね。
本当にこの一兆円目標、今、一生懸命やられています。それは一生懸命やられるのはいいと思いますけれども、農林水産の現場、農家、漁家、林家の皆さんが本当に潤う形になっていくのか、この目標で本当にいいのかなというふうに思いますね。この点に関して一点御所見をいただきたいのが一つ。
もう一つは、米の需給見通しです。
新しいシステムになって二年目になる、二作目になりますね。四十県が去年と同じ作付をするという答えをされている。四十県が去年と同じ作付をされたら、かなり需要を上回る形になりますね、恐らく。これは、本当にことし大丈夫なのかという声が全体に、私、かなり多いと思います。これに対してどういうふうな形をとっていくのか。
済みません、事務方の方で結構と言いましたけれども、時間もないので、大臣、細かいことは私聞きませんから、一兆円目標というのは本当に農林水産の現場を潤すことになっているのか。それともう一つ、米の需給見通し、どうするのか、米の価格が超下落するような形にならないようにするのか。この辺、大臣の御所見をいただきたいというふうに思います。基本的なことで結構です。
○吉川国務大臣 まず、一兆円の目標の件でありますけれども、食品の輸出額でありますが、平成三十年に九千六十八億円と、対前年比一二・四%増となりました。御承知のとおりでありますが、六年連続で過去最高を記録をいたしております。
細かいことは申し上げません。これらは、農林水産物、食品輸出全体の平均増加率を上回っているものが、牛肉ですとか鶏卵ですとかイチゴですとか米等々もございます。さらに、所得向上につながった例も報告もされているところでございまして、これからも更に輸出を拡大をいたしまして、所得の向上にもつなげられますように、しっかりと取り組んでまいりたいと存じております。
二点目の、三十一年産の米の需給の見通しについてどのように考えているかということでありまするけれども、主食用米につきまして、二月末現在における作付意向を各都道府県の再生協議会に聞き取りましたところ、前年の作付実績と比較をいたしまして、同水準が四十県、増加が一県、減少が六県と見込まれているところでございます。
こういったことを含めまして、さらに、農林水産省の職員が各産地に直接出向いて、JA等の関係者に対しまして、需給見通し、価格動向等についての一層きめ細かな情報を行うとともに、引き続き、農業者が安心して需要に応じた生産、販売に取り組めますように環境整備をしっかりと行ってまいりたいと存じておりますし、さらには、重要な役割を担っております農業再生協議会に対しましても、必要な支援を行ってまいりたいと存じます。
○大串(博)委員 時間が来たので終わりますけれども、中間管理事業、私たちの修正案、ぜひ御真摯に御議論いただきますようお願いして、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、長谷川嘉一君。
○長谷川委員 法案審議のこの機会に御質問をする機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
最初に、一番目に、農地バンク事業がスタートして五年目を迎えており、その改正案が示されているところでありますが、担い手への農地集積率や農地バンクの転貸の実績についてどのように評価をしているかというふうな部分が、再三議論を尽くされたという感がございますけれども、私も最初のスタートの段階でこの審議には加わっておりません。そういった中で、極めて重要な分野でありますので、この辺について、まず大臣にお聞きしたいんです。
前提といたしましては、昨年の十二月だったかと思いますが、漁業法というのが七十年ぶりの改定で、漁獲権が買い取れる、しかも、浜の構成員が審議する委員会ではなくて、知事が指名した委員会でそれが認められるというような部分があって、非常に危惧を覚えた経験がございます。
となると、日本の漁場、日本の養魚ですかね、遠洋漁業も含めて、場合によったらば、株式会社である大手の水産メーカーの寡占化に巻き込まれる流れが日本にもできたのかなと。そういった流れの中でいくと、外国企業、そしてその船員は外国人というふうな状況が漁場で、浜で見受けられるのも間近な状態になりかねないのではないかというようなことがあって、入管法の改正も含めて、思った記憶がございます。
そういった中で、農業の部分については、中間管理機構ということで、農業コストを三分の一ぐらい削減をして、競争力のある農業にしなければいけない、そういった中で、岩盤規制は取っ払わなきゃいけないということで、規制改革会議の大きな御提言でスタートしている、その端緒になったというふうに私も国民の一人としては理解をしているところでございます。
そういった中で、目標値として挙げられた部分も含めて、五年目を迎えた状況での農地バンクの集積率等について、まず最初に大臣の御所感をお伺いできればと思いますので、よろしくお願いします。
○吉川国務大臣 実績をどのように評価するかという御趣旨だと思います。
平成二十六年度の農地バンクの発足以来、それまで停滞をしておりました担い手への農地の集積状況が、四八・七%から平成二十九年度には五五・二%に上昇をいたしました。農地バンクを活用して、担い手に八割以上の農地を集約化した優良事例も出てきているところでもございます。
その中で、農地バンクは、全国の農地の四・二%に当たる約十八万五千ヘクタールの農地を担い手に転貸をしておりまして、一定の成果を上げているものと認識をいたしております。
今回の見直しにつきましては、こうした農地バンクの取組を更に加速させるために、地域の関係者が一体となって地域農業の将来の設計図である人・農地プランをつくることによりまして、担い手に農地を集積、集約化する機運を各地で盛り上げるとともに、中山間地域における協力金の要件緩和等によって、国もそうした地域の動きを全面的にサポートをしまして、さらに、農地バンクの手続簡素化ですとか、実績のあるJA等との連携の強化等によって、使い勝手を改善をすることといたしております。
担い手による農地利用のさらなる集積、集約化に取り組んでまいりたいと存じます。
○長谷川委員 どうもありがとうございました。
これについて、私も蓄積した知見がないものですから、過去の例とか資料を少し読ませていただきました。
その中で、ことしの二月に、ある勉強会でお聞かせいただいた、これは名前を申し上げてもいいのかもしれませんが、農地中間管理機構が抱える制度的課題という部分が、東京大学の安藤光義先生から御指摘があった資料をいただきまして、これの会にも参加をさせていただきましたので、ちょっと御参考までに整理をしたいと思います。
農地中間管理機構の仕組みと狙いという部分で、農地中間管理機構が創設されて五年目を迎えたが、その成果は決して芳しいものとは言えない。そうした結果になることは当初から予測されていた。歴史的に振り返ってみると、担い手への農地集積はこれまで市町村やJAが担ってきたが、それを都道府県レベルで動かそうということ自体にそもそも無理があった。初年度に政府が期待した県の実績は極めて厳しいものに終わったのがその証左だ。それを踏まえた検討会でも、市町村の重要性が声高に叫ばれていたにもかかわらず、制度の根本的な問題点は見直されないまま現在に至っている。農地集積の鍵を握っているのは地元の取組なのだが、それを前提に制度は組み立てられなかったし、見直しもされなかったのであるというふうに指摘をされて、それぞれの見解によって大きくその見方は変わるわけですけれども、こういった部分も一つにはあるのかなと。
特に、これから質問させていただく、担い手への農地集積目標八割を設定したという、この理由づけという部分については、それなりの積み重ねがあってのものだと思うんですね。
まず、これについて、担当部局からの御説明をいただければと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
担い手への目標八割の設定の考え方でございますけれども、全国の農地面積の八割が担い手に集積される、こういうことは、農業人口の減少、高齢化が進む中で、全国の大宗の農地が、これからの地域の農業を担う方に使い勝手のいい形で有効に活用されるということを狙っての目標設定でございます。
設定の考え方としては、平成十二年から平成二十二年までの十年間で、担い手の農地利用割合が三割から五割と二割増加したことを踏まえまして、この伸び率を一・五倍に加速しよう、こういう形で意欲的な目標を設定しようということで八割目標となった経緯がございます。
○長谷川委員 この部分についてはそのとおりでありますけれども、それが成果を上げたと評価するかどうかというのはなかなか難しい部分ではないかと思っております。
特に、制度的な部分においても、県に置かなくても、本当に置く必要があったのかという部分は大きな議論をしなければいけない部分でありますし、この改正案において、これは地方の部分、JAとか農業委員会、それから推進委員会等々を活用するということはあるかもしれませんけれども、その間にもさまざまな取組、改正がなされなければいけなかったのではないかと思うんですね。
そこで、前回、附帯決議というのがあるのが見えました。これによりますと、一部抜粋ではありますけれども、「人・農地プランの作成及びその定期的見直しについては、従来以上に強力に推進すること。農地中間管理機構は人・農地プランが策定されている地域に重点を置くとともに、人・農地プランの内容を尊重して事業を行うこととする」というふうにありました。
こういった中で、今回、改定案としては、閲覧の期間を短縮するとか、そういったさまざまな部分はあるにはあったんですけれども、それが、この途中経過の中で、この閲覧事例がたしかゼロだったという報告を私も部会の勉強会で伺った記憶があるんですが、これも含めて、この附帯決議に基づいた中間的な見直し、これについては、通告はしておりませんが、大澤経営局長の方からもし御答弁いただければ、お願いできますでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
まず、この附帯決議を踏まえてでございますけれども、人・農地プランについて強力に推進するということで、我々は強力に推進いたしまして、現在では、形式的には、ほぼ、市町村の九割において人・農地プランがつくられているという実態ではございます。
ただ、その実態を見ますと、この人・農地プランに付随して、旧青年就農給付金、現在でいきますと次世代投資人材育成事業、新規就農のための給付金の制度とリンクしておりますので、この新規就農を促進するための給付金をある意味では利用したいので人・農地プランを市町村主導でつくってしまったというような事例も残念ながらありました。
それで、実際、例を見てみますと、やはり人・農地プランというのは、様式を見ますと、出し手と受け手というのを、それぞれ名前と農地をしっかり書くという様式があるわけでございますけれども、その様式どおり守られていない。特に、出し手が全く位置づけられていない、これが全国の人・農地プランの半分あるという状況でございます。こういうことも踏まえて、今回の人・農地プランの実質化ということを考えているわけでございます。
それから、人・農地プランの、できているところを重点的にやるということはもちろん、いわゆる給付金等でも対象になっております。その結果、恐らく、平成二十七年度までは、集落営農法人への農地バンクの転貸というのが多かったのではないかと思っております。これが、平成二十七年度では三万ヘクタールで全体の半分弱あったわけですが、二十八年度、二十九年度が、それが三万あったものが、一万三千八百八十一ヘクタールが二十八年度、一万三千四百四十四ヘクタールが二十九年度と、集落営農法人への転貸というのがかなり下がっている。
これをもって、我々は、既に機運があった平場の水田地帯の活用が一巡して、今後は新たに話合いから始める地域が多くなっているということでありまして、そういう意味では、この附帯決議を踏まえて、人・農地プランを更に、今まで話合いの機運がなかった地域についても活発化させていこうというのが、今回の改正の大きな内容の一つであると考えております。
○長谷川委員 ちょっと時間の関係で次に移らせていただきますが、御丁重に通告なしで御答弁いただいたことについては感謝を申し上げたいと思います。
次に、二番目の、担い手への農地集積目標、これは、八割を設定した理由については、明確に私たちが理解できる御答弁はいただいておりません。この理由について、明確に、私どもにわかるように御説明をお願いしたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
平成十二年から平成二十二年までの十年間での担い手の農地利用割合、これは、十二年が大体三割だったものが二十二年は五割と、約二割増加したということです。この後の十年間でその二割増加というのを更に一・五倍加速する、ということは三割増加させるということですので、今、現状五割程度だったものを三割増加させるということで、八割目標というのを設定したわけでございます。
○長谷川委員 その数字的な部分は同じことの繰り返しでありますけれども、この八割という意味合い、もうちょっと大所高所からの意味合いをお聞きしたかったんですが、それはないということでよろしいですか。
○大澤政府参考人 これも繰り返しで恐縮でございますけれども、農業人口の減少、高齢化が進む中で、やはりこれから農業を担っていく方々が農地の大部分を担っていかなければ、日本農業自体が成長から違うところに向かってしまう、そういうところがあるということで、この八割目標の経済的な目標としては、やはり農業の成長産業化を担い手が農地の大宗を担うことによって図っていこうと。それによって効率のよい農業をつくっていき、スマート農業の実装にも役立っていく、これが今考えているところでございます。
○長谷川委員 大変しつこいようで恐縮ではございますけれども、この八割目標という意識を全員が共有して当たらなければ、なかなか後段の目標には、到達するのは極めて困難な状況にあるわけですよね。ですから、私がしつこく聞いているのは、我々が共有して、やらなきゃいけないんだなと思えるような御答弁をいただきたかったということを御指摘して、次の質問に移らせていただきます。
具体的な部分として、三番目でありますが、現状の集積率五五・二%という実態を踏まえて、八割農地集積目標の見直しは行わないですか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
現状の数字を見ますと、二〇二三年に八割を集積するためには、相当程度事業を加速化しなければいけないというのは事実でございます。
しかしながら、繰り返しになりますが、今後の農業者の人口、高齢化の動向等を考えますと、やはり担い手に大宗を集めていくという目標自体は、これはむしろ必要性は高まっているというふうに考えてございますので、現在、目標を例えば低い方に見直すということになりますと、そういう、これからが必要なことと、実際の目標を下げたということが、やはり生産現場に誤ったメッセージを送ることになりかねないというふうに考えておりまして、今、目標を見直すことは考えてございません。
○長谷川委員 御答弁としてはそういうことなのかなと思いますが、発想の次元が違うんですよね。八割目標というのが高所にあって、全員が共有して一丸となろうという意識であればもっと違った答弁がお願いできたと思いますが、これについてはこれ以上触れないでおきます。
というのは、食料自給率四五%に設定した理由がありました。あれから一つも上昇していないどころか、三七・六%まで減少して、現在、さらに、それが上昇の機運もない。あれは食料安保上の問題で、極めて国家的にゆゆしき問題です。
農業後継者を守るとか、集積をすると。競争力を強化するのもその一環でなければいけないんじゃないんですか。私はそういう認識でおりますということをお伝えします。
次に、円滑化事業と農地バンク事業の統合一体化というのが今現在大きな俎上に上がっておりますが、この意義及び具体的な内容についてお伺いしますけれども、もう議論が尽くされていますから、エキスの部分を集約して御答弁いただければと思います。
○大澤政府参考人 今回の改正全体として、やはり、地域で実際に活動をしていただく方、これを、関係者を統合して、全体として担い手への農地集積に当たっていく、これが非常に重要なことだと思っております。
その中で、円滑化事業につきましては、農地バンクと円滑化事業、併存の時代が約五年続いているわけでございますけれども、この五年間の中で、一般的には円滑化事業は農地バンクに移行している状況でございます。一部の道県、数県、大体、我々としては五道県程度だと思っておりますけれども、ブロックローテーションや新規就農と結びつけて特色ある取組を行っているということがあります。
ですので、全般的には移行して、今、一部活発に活動しているということであれば、これは、今実績を持っている方々が農地バンクの配分計画案を作成できるということで、実質的に一体化していくというのが一番いいことではないかということで、今回の改正案を考えている次第でございます。
○長谷川委員 お手元にお示ししたこの資料は、もう皆さん見飽きた部分があるかもしれませんけれども、私は群馬県に在住しておりまして、この下のグラフに置くと、群馬県と隣接の栃木県、ほぼ、中山間地も含める比率というのは同じような地形でございまして、畑地が多い、水田が多いというのは若干の差はあるかもしれませんけれども、この円滑化団体の利用設定面積というのが非常に、極めてこの栃木県においては、五県を挙げられておりますけれども、北海道、栃木、長野、新潟、愛知、ありますけれども、極めて優秀なんですね。
翻って群馬県を見ると、ほとんど目を覆いたくなるような状況があるんですけれども、こういう部分を大所高所から見るとどのようにお感じになられるかなというふうにも思うんですね。
五番目に、今写っておりますけれども、各都道府県における農地の集約化に大きな差異がある、この主な理由についてお聞きしたいんですが、その前提として、群馬と栃木の例について、あとは円滑化事業と農地バンクの部分について御説明をいただければと思います。
○大澤政府参考人 先ほど、約五つの道県におきまして円滑化事業が活発な活動を続けられているというふうにお話をいたしました。栃木県は、その中の一つだというふうに認識しております。ほかの県は北海道、新潟、長野、愛知と認識しておりますけれども、一般的な法則なり傾向があるのかというのをいろいろな角度から調べたんですけれども、なかなか、水田地帯の、栃木県が水田地帯だから盛んだとかそういうことではなかなかなくて、どうも各県の事情によるものが非常に大きいというふうに認識しております。
栃木県の場合には、市町村公社、JAというよりも市町村公社が従来から活発な活動を続けておりまして、その中で今も円滑化団体としての実績が上がっているというところでございます。
栃木県とも我々は話をさせていただきましたけれども、ある意味で市町村主体の団体でございますので、今回の統合一体化ということについては特段の反論というか問題があったというふうには聞いておりませんで、今、移行に向けた準備が進められているということで、やはり、作物とか地域とかと円滑化団体の活動の活発さかどうかというのは、今の段階ではそれほどなく、県別の事情が大きいものというふうに理解しております。
○長谷川委員 認識としては、政策を掲げて実行してもらう国の認識としては、私は十分ではないと思いますよ。
集約を上げたい、五五%から八〇%に引き上げたいというときに、これだけの県のばらつきがあるということは看過できないじゃないですか。これについて、少ないところはどのようにしてあげたら上げられるのかということをちゃんとつかまれているかどうか、これが非常に極めて、八〇%に到達する第一条件になるんじゃないですか。どうでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
現在、特に九州のかなりの部分等々、農地バンクへの移行が進んでいるところを我々も見させていただきましたけれども、それは何も、競争の結果、円滑化団体が実績が下がっているとかそういうことでは全くなくて、むしろ、自発的に円滑化団体から農地バンクに移行していこうという地域の意向がそちらの方に向かわせているというのが多いというふうに我々は認識してございます。
ですから、今、円滑化団体がこの併存の期間の中で実績が下がっているということについて、我々は、また引き上げようということではなくて、今、こういう併存の期間の中でも独自の活動をとっておられる方々に、全体として地域の話合いを活発化させるための体制づくりの中に入っていただこう、こういう考え方でいる次第でございます。
○長谷川委員 まさに統合して一丸となろうという部分については極めて心もとない状況に、農水省と各都道府県の距離感がまだあるようにお見受けいたします。
そういった中で、一つ、この部分と離れるかもしれませんが、中山間地、それから棚田という部分があって、ちょっと、棚田を守る会の皆様方がいらっしゃった関係で出てまいりましたけれども、農地の約八%を棚田が占める。非常に、この中で、景観的に保存しなきゃいけない歴史的なもの、それから観光に供せられるもの、それから環境面で、これを教育面も含めて地域で保護して、地域の教育教材として活用しなきゃいけないもの、その中には対応できないものも含めてあろうと思いますけれども、これについてはほとんど、このワーキングチームの人たちが一生懸命一部の人たちとやっている部分で、各施策はあるにしても、これに歯どめがかかっている状況は全くないですね。
ですから、省庁の壁とか部署の壁というのは私はよくわかりませんが、国民は、国が統括をして、そういった部分まできめ細かい施策が講じられるというふうに信じておりますし、そう思っておりますので、ぜひ棚田の保全についてもそういった一環で、しっかり農水省としても、あるいは環境省、ほかの、観光も入るかもしれませんけれども、省庁横断的に取組をいただいて、ぜひこれが大きな、我々の誇りとなるような形で生かせるように御要望して、この質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、堀越啓仁君。
○堀越委員 立憲民主党・無所属フォーラムの堀越啓仁でございます。
諸先輩方に格段の御配慮をいただきまして、再び質問の機会をいただきました。まことにありがとうございます。
まず冒頭に、先週の委員会において、豚コレラを始めとする家畜伝染病対策に関する委員会決議、全会一致で議決し、そして政府におかれましては、趣旨を踏まえ、適切に対処するということでございましたが、その翌日にまた再び、新たな豚コレラが発生したことはまことに残念であり、また、これが終息へ向かう気配、現在のところ、本当に厳しい状況であるというふうに思っております。
そうした中で、決議文にもあるように、あらゆる手段を行使し、一刻も早い事態の終息に努めること、政府にいま一度お願いをしたいと思います。
また、自称自然系国会議員の私としましては、予防にまさる治療なしという格言ではありませんが、やはり飼養管理指針、そういったもの、衛生管理も含めてしっかりと見直す必要が我が国にとって大きな課題となっているというふうに思っております。ワクチンが効くことがないアフリカ豚コレラももうすぐそこにまで迫っているという認識を我々しっかり持ち、そして飼養管理指針の抜本的な見直しを図ることが重要であるというふうに私は考えております。
その中で、何回か、農林水産委員会の中でも私も質問、問わせていただきましたが、やはりこれからアニマルウエルフェア、科学的根拠に基づいた、生態系の特徴を生かした飼養管理にしっかりと、ワールドスタンダードに日本も引き上げていく、これが私は非常に重要な観点であると思っております。この場をおかりして、重ねてこの普及、振興についてもお願いを申し上げたいと思います。
それでは、質問に入りたいと思います。
まず、どうしても触れておきたいのがございます。それは、委員の皆さんも羽根をつけていらっしゃると思いますが、緑の募金運動についてでございます。
皆さんも御存じのとおり、この緑の募金は、森林整備や公園など、緑化に向けて公益社団法人の国土緑化推進機構が行っている活動で、戦後の国土緑化運動の取組により、荒廃した国土は豊かな緑を再び、これによって取り戻しました。
総理は、この活動をPRする女性らと先週面会をして、日本人は森とともに生き、昭和と平成の時代には森を守り育ててきた、木材は輸出がふえて収益も上がっており、令和の時代には森を守りながら一層活用していきたいと述べられ、国産材の活用を更に推進していく考えを示されました。
木材の利用促進については、平成二十二年十月、これは民主党政権でございましたけれども、画期的な、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律、これが施行され、同法に基づく基本方針で、国が整備する公共建築物のうち、低層の公共建築物については、原則として全て木造化を図る等の目標が挙げられていると承知しています。
公共建築物の木造率は、平成二十二年に八・三%、そして平成二十八年には一一・七%、そしてそのうち低層の公共建築物については、平成二十二年に一七・九%だったものが平成二十八年には二六・四%になるなど一定の成果も上がっていると思いますが、やはり今後、更に推進し、そして公共建築物以外への波及というものも非常に重要な観点であると私は考えております。
そこで、今週からみどりの月間を迎え、木材の利用促進は言うに及ばず、特に国産材の積極的な活用を推進することは国内林業及び木材関連産業の振興にとって待ったなしの課題であるというふうに思っております。
当日、官邸で同席された吉川大臣、このあたりについての御所見と、そして国産材の活用に向けた需要を喚起する施策について、ぜひともお聞かせいただきたいと思います。
○吉川国務大臣 まず、緑の羽根、この募金に関しまして大変御理解をいただいておりますことに、心から、私からも感謝を申し上げたいと存じます。
戦後造成されました人工林が本格的な利用期を迎えた中で、林業の成長産業化に向けまして、豊富な森林資源を循環利用することが今現在も重要な課題と認識をいたしております。その中にあって、切って、使って、植えるというサイクルを定着させるためにも、国産材の需要拡大が必要と考えておるところでもございます。
このため、農林水産省といたしましては、公共建築物を始めといたしまして、これまで余り木材が使われてこなかった中高層建築物、非住宅などの木造化、内装の木質化、さらには、付加価値の高い木材製品の輸出拡大、木のよさや価値を実感できる木材製品などの情報発信、木育などの普及啓発などの施策に取り組んでいるところでもございます。
こうした施策の推進によりまして新たな木材需要も創出をいたしまして、国産材の需要拡大に取り組んでまいりたいと存じます。
○堀越委員 ありがとうございます。
私個人としては、CLTの促進、これはもう確実に進めていただきたいことでもあります。
そして、今、委員の皆さんの中にも花粉症に悩んでおられる方々はたくさんいらっしゃるんじゃないかと思います。私も、自然系国会議員といいながら、実はヒノキ花粉の花粉症でございまして、この一カ月間が本当に大変なんですね。
やはりこれには、しっかりと、先ほど大臣お話しいただいた、切って、使って、植える、この植える際には、少花粉杉あるいは無花粉杉といったものにかえていく、そうした林業にしっかりと再生することによって、この花粉症の問題、苦しんでおられる方々、実際、罹患者はどんどんふえていますので、そういった皆さんにも大きく貢献できる問題だというふうに思っています。
やはり、花粉症の皆さんは本当に、自覚がある方は多いんじゃないかと思いますが、生産性が下がるんです。大変なんです、花粉症を患っていると。なので、ここも、経済にも貢献する大きな問題だと思いますので、ぜひこの林業の問題、再生するためにも、ぜひ農林水産一体となって取り組んでいただきたいと思いますし、私も全力で取り組ませていただきます。
それでは、今回の農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部改正案ですが、五年前に成立したときの経過、問題点など、先週十一日に、まさしく渦中の議員であった大串委員の方から質疑をされ、お伺いをしました。
率直に感じたのは、当時、マスコミの報道にもありましたけれども、自民党が政権を担い、そして第二次安倍政権が成立した背景の中で、アベノミクスにおける三本の矢の一つである成長戦略を推進するために、日本再興戦略を策定し、首相直轄の規制改革会議主導で議論が進められ、実際現場の産業を指導、育成する立場である所管省庁たる農水省の意向を無視した、いわゆる上からの改革路線と称した政策を当然のごとく押しつけられた委員会で審議される当該委員の諸先輩方、大変御苦労されたのではないかという所感を持ちました。
その結果が、大串委員が述べられていた、当時農水省が推進されていた人・農地プランとをリンクさせる修正案や、異例とも言える十五に及ぶ附帯決議をつけた、こういったことに如実に私はあらわれているのではないかなというふうに思っております。
その人・農地プランですが、我が国の農業、農村の重要な課題であります人と農地の問題を解決するために、平成二十四年から、現場の集落や地域において作成が進められてきております。
その策定過程において、信頼できる農地の中間的受皿があると農地の集積、集約が円滑に進むとの指摘があり、政府において検討を重ねた結果、農地中間管理事業の推進に関する法律が策定されたものと聞き及んでおります。
そこで、改めて確認でございますけれども、この法律により、農地の中間的受皿として設立された農地中間管理機構ですが、そもそも中間的受皿としてどのようなことが当時期待され、当初は設立したのか、また、現在行っている中間的な受皿の業務とはどのような業務なのか、具体的に説明いただきたいと思います。また、あわせて、中間的受皿を都道府県段階に設置した理由について御説明いただきたいと思います。
○濱村大臣政務官 お答えいたします。
農地バンクは、農業人口の減少、高齢化が進む中で、全国の大宗の農地が、これからの地域の農業を担う方に使い勝手のよい形で有効に活用される状態にするために設置されたものでございます。このため、農地バンクでは、農地の中間的受皿として農地中間管理権を取得し、一旦転貸した後も、理想的な農地利用の実現に向けて、転貸先を段階的に変更していく仕組みをとっております。
この際、農業人口の減少、高齢化が進む一方で、意欲のある担い手の活動は広域化しているといった状況もございますもので、担い手がいない場合は、地域外も含めて、広く担い手を探すことも必要である、そういった状況から、都道府県段階の組織としたところでございます。
○堀越委員 今お答えいただいた、中間的受皿としての機構の件について、次にちょっと、業務のことを中心に幾つか確認を求めたいと思います。
まず、本改正案における、農用地利用配分計画によらない貸付けについて何点か伺いたいと思いますが、現行制度では、農地中間管理機構が農用地を借入、転貸するためには、農業経営基盤強化促進法に基づき市町村が作成する集積計画と、農地中間管理事業の推進に関する法律に基づいて農地中間管理機構が作成する配分計画を別々に作成する必要があります。これらの手続にかかる期間は、集積計画による農用地の所有者から受け手への貸付けに比べて、約九週間近く時間を要することになり、現場から手続の簡素化を望む声があると聞いています。私も現場に直接お話を伺いましたが、非常に膨大で大変だということを聞いております。
そこで、今回の改正案では、農地中間管理機構による借受けと貸付けを同時に行う場合には、配分計画は不要で、集積計画のみで行うことができるということですが、どういった場合に借受けと貸付けを同時に行うのか、御説明いただければと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
例えば地域で、今回も、人・農地プランを通じて話合いを活性化させるというお話をしておりますけれども、地域で話合いが調いまして、農地バンクは通すんだけれども、当面は、地域内でもう担い手も決まっていて、この担い手に貸付けをしましょうという形で、農地の出し手と農地の受け手が同時に決定されるような場合、こういうことがかなりの程度ございます。こういう場合に、農地利用集積計画のみで権利設定をできるということで、配分計画を要らないとするという場合に該当すると思っております。
○堀越委員 このように、同時に決まると。借受けと貸付け、同時に決まる場合、その場合には、農地中間管理機構の役割、これを見ると、中間的受皿というよりも瞬間的受皿と言うべきなんじゃないかなと思いますが、そもそも中間的受皿として設置したこととのそごとも言うべき現状の実態、あるいは実情と農地中間管理機構の設置理由との現実的な乖離、私はあると思いますが、そのあたり、農水省の見解をいただきたいんです。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
農地の出し手と受け手が同時に決まるというときに、瞬間的受皿ではないかという御指摘でございますけれども、その際に、農地バンクが介在することによりまして、農地バンクは長期の貸付けを推奨しているというか、原則としておりますので、大体、十年以上の貸付けというのが非常に多いわけでございます。
我々は、最初に農地が移動するときに、同時に受け手と出し手が決まっていても、それ自体が何か理想と現実が乖離しているとは全く思っておりません。それよりも、その十年間の貸付けが、農地バンクが借りている中で、次の機会、例えば別の地域で農地の出し手が出てきた場合、これが、また出てきて、次々と出てきたときに、担い手の方になるべく農地を再配分してまとめていきましょう、こういうことができるということになるということでございます。農地バンクが十年なり長期の貸付けを行っている限り、そういう機能が潜在的にもあるということですので、そういうところが中間的受皿ということを言っているわけでございます。
実際にも、これも既にお示ししておりますけれども、福井県の越前市では、二年間の間に配分計画を十二回繰り返しまして、最初は担い手の農地はばらばらだったんですけれども、それが一つの法人と一つの集落営農法人にまとまった、それも十二回の配分計画を繰り返した結果、こういうことが中間的受皿の機能だと思っております。
○堀越委員 このように、瞬間的受皿と中間的受皿、私、そういうふうに言いましたけれども、現実的乖離はないんじゃないかという農水省の見解でありましたが、やはり、農用地の借入れから貸付けまで、これを同時に行うケースがふえることによって、当然、農用地利用の配分計画のスキームの利用は縮小されることになっていくと思います。
そこで、本改正案において農用地利用の配分計画を残した理由について、農水省の見解を伺いたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
まさに、配分計画のみで移動が行えるというのは、一旦農地バンクが借り受けて転貸した後に違う事情が出てきて、集約化に向けて農地をリシャッフルするという場合であります。こういうことが典型的でございます。
その他、一旦貸した担い手が突然事故で、不慮の事態が生じて、新たな担い手を探さなきゃいけない場合、これは、農地バンクは十年間としますと十年間権利を持っているわけですから、こういうのは転貸先だけ探せばいいわけです。
こういう形で、まさに集約化が進むというときに配分計画のみのスキームが今後働くというふうに考えてございます。
○堀越委員 ありがとうございます。
では次に、現行の中間管理法では、農用地利用の配分計画は農地中間管理機構が決定することになっておりますが、農地中間管理機構は市町村にも農用地利用の配分計画案の作成を求めることができるとされております。
そこで、配分計画の案を市町村に求めることができるようにしている理由をお答えいただければと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
まず、市町村に配分計画の案を求めていること自体が、農地バンクが設立の当初から、都道府県か市町村かという二者択一ではなくて、両者相まって協調しながらやっていこうというものの一つの証拠でございます。
こういう、市町村に協力を求めるという理由につきましては、市町村は人・農地プランの作成等を通じて地域に密着した利用調整を行ってきているので、密接に連携していくことが必要であるというふうに当時判断されたことによります。
実際上の数字でいきましても、配分計画案については、いろいろな精査はありますが、全ての都道府県におきまして市町村の協力を得ながら作成しているということでございます。
○堀越委員 ちょっと、一旦、細かい質問を続けさせていただきますが、本改正案では、農用地利用の配分計画案の提出等を求めることができる対象として、市町村に加えて、農用地の利用促進を行う者であって省令で定める基準に適合するものとして市町村が指定するものを追加することとしております。
そこで、農林水産省令で定める基準について、現時点の想定で構わないので、できるだけ具体的に教えていただきたい。また、本改正案の概要を見てみますと、実績のある旧円滑化団体が配分計画案を作成できるようにすると記載していますが、それ以外の組織は指定されないのでしょうかということについて、重ねてお伺いしたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
配分計画案の作成主体に追加する者といたしましては、ブロックローテーションや新規就農の促進と結びついた取組を行っている旧円滑化団体、また、農地の集積、集約化のために所有権を一時所有するというユニークな取組を行っている旧円滑化団体、それから、担い手である集落営農法人の設立を促進しているような旧円滑化団体、こういう者を想定してございます。
ここの規定につきましては、関係者との調整の中で、むしろ、全中、関係団体の方からこういうような位置づけをというような要望があったことを受けて設けておりますので、具体的な指定する者としては、旧円滑化団体のうち、先ほどお話ししたような特色ある取組を継続的に実施している団体を想定しているところでございます。
○堀越委員 では、現行の中間管理法では、市町村が地域の農業者等による協議の場を設けることが明記されている中、本改正案では、市町村による、農地に関する地図を活用した農業者に関する情報提供や、農業委員会の役割の明確化について規定されております。これは、結局のところ、先ほどもお話ありましたけれども、現場をよく知っている、顔が見える、その地域の実情に精通している方々が農地の集積、集約化の重要なキーパーソンであるということの裏返しだと私は思っております。
一方で、先ほどの質問にもあるように、本改正案において、農用地の借入れから貸付けまで同時に行う場合には農用地利用配分計画を不要とすること、また、農用地の貸付けを受けた者の中間管理機構への毎年度報告義務を廃止することなど、農地中間管理機構の役割が徐々に少なくなっているように思えます。
そこで、現行法に比べ本改正案は、農地中間管理機構の役割より市町村等の役割が重要視されている内容だと私は思いますが、この点について農水省の見解、ぜひともお聞かせいただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
まさに、先生の御質問にもございましたように、農地バンクは、設立当初から、市町村に農用地利用配分計画の原案の作成を要請することができるという規定がありました。それに象徴的にあらわれておりますように、都道府県か市町村かという二者択一のもので考えているわけでは当初からございませんで、市町村等と連携した事業の推進というのを当初から構想していたわけでございます。
今回の見直しはその連携を一層強化する目的で行うものでございますので、都道府県段階での組織の役割が減ったとか、市町村段階に回帰したとか、そういうことを考えているわけではございません。
それから、続きまして、今回の、計画を一つにするということで、確かに農地バンクの一件当たりの業務量は減るかと思いますが、今までそれによって使いにくいと言われていたものが使いやすくなるわけですから、利用件数はふえるということを想定しているわけでございます。
ですから、一件当たりの利用時間が減って、利用件数がふえれば、むしろそれは役割は強まったというふうに考えているところでございまして、我々としても、そういうふうに役割を強めるという考え方で今回の改正を提案させていただいているところでございます。
○堀越委員 中間的受皿としてこれまで都道府県段階に設置された農地中間管理機構の業務について、細かく伺ってまいりました。
今回の改正案では、中間管理事業が面的集積と規模拡大を同時に達成することを目標とした施策で、現行のままだと農水省が示したKPIを達成することがますます困難であるということを裏づけているんだと思います。
そして、冒頭にも述べさせていただきましたが、先週の委員会での議論や本日の議論を聞いていると、両方しっかりと、都道府県段階とそして市町村と両方連携をしながらやっていかなければいけない、こういうところはもちろん重要だと思いますが、やはり、農地中間管理機構の都道府県段階での設置というのは、私は疑問を持たざるを得ない状況だと思っております。
当然、農地の集積、集約化、大変重要なことだと認識しておりますが、このまま本当に都道府県段階で組織を設置までして行うことが必要なのかということを、やはりゼロベースも見据えた議論をこれから私たちは進めていくべきではないかなというふうに思っております。所感を述べさせていただき、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○武藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時五分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○武藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。石川香織君。
○石川(香)委員 石川香織でございます。
引き続き、農地中間管理機構の改正案について質問をさせていただきます。
これまでの質疑の中でも、また、中間管理機構が発足するときの質疑の際には、私は議員として見ていたわけではありませんけれども、長い附帯決議等々を見ても、幾つかのもやもやというものが浮かんでくるというのが率直な感想であります。ぜひ修正案についても御議論いただきたいという思いにも尽きるんですけれども、このもやもや、いわゆる懸念がしっかり払拭をされるように、以下、質問をしてまいりたいと思います。
本法案が発足いたしましてから、土地の集約、集積を進めるに当たって、円滑化団体の役割は非常に大きかったものだと思います。この農地中間管理機構は新しい組織でありますから、しっかりこれが軌道に乗るよう、また、地元に密着した円滑化団体が、土地を集積しよう、担い手を確保しようという機運を高めるといった重大な役割を果たしてきたと思います。
ただ、その一方で、中間管理機構がいまだ存在感を発揮できていないのではないかという現状も明らかになっています。
平成二十六年から二十九年までの機構の転貸面積、担い手に貸し付けた面積でありますけれども、これは累積で十八万五千ヘクタールとなっています。ただ、この累積転貸面積には、実質的な耕作者が機構の利用前後で変わらないというケースもありますので、政府の目標に対して機構がどのぐらい寄与したかという度合いを見るためには、機構による転貸面積というものに注目する必要があると思います。
この事業がスタートいたしまして、四年間における農地中間管理機構による転貸面積、新規の基準の面積はおよそ七万ヘクタールでありまして、政府の目標に対してどれぐらいこの農地中間管理機構が寄与したかという度合いを計算いたしますと、一一・八%にとどまっています。まず、このことについての受けとめをお伺いしたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
先ほどから私ども御説明申し上げているとおり、我々自体は、農地バンクについては一定の成果は上げているということはあるんですけれども、まだまだ目標との関係でいきますと加速化しなきゃいけないというふうに認識しております。先生に御指摘いただいた、新規に農地バンクが担い手に集積した面積の数字を見ても、その思いを同じようにするというわけでございます。
そういうこともありまして、我々としては、今回の見直しで、農地バンクと、JA、農業委員会など、地域でコーディネーター役を担っている組織との連携を深めていく、一体となって農地集約化のための地域の話合いを推進していくこと、予算面でもそれを後押しするために、特に中山間地域への対応を強化していくというようなことを今回の案に盛り込んでいるところでございます。
○石川(香)委員 一定の成果は上げているということでありましたけれども、市町村及び担い手に対して行ったアンケートでは、こういう結果も出ております。
市町村の七七%、担い手の八三%が、農地中間管理機構の事業が、農地の集積、集約化を進める上で軌道に乗っているところまでいっていないというふうな回答をしています。この農地の集積、集約化に関しまして、中間管理機構でも、若しくはそれ以外でも、どちらでもいいという回答をした市町村は四六%、担い手は四九%がどちらでもいいと回答したということで、このアンケートからも、農地中間管理機構の必要性をまだ半数以上の人が感じていないというデータが出ていると思います。
これまでの質疑の中でも、二〇二三年までの目標とされるいわゆる八割集積ということでありますけれども、この八割というのはどんな根拠であるのかということも再三質問がありましたが、すっきりとした答えがなかなか見当たらなかったのかなというふうに感じています。
集積率が上がったところでどういうメリットがあるのか、例えば、生産性が上がって、また、コストが下がったのかという点も、検証していないということではないと思いますけれども、しっかりと示せていないという中で、この農地中間管理機構の存在を頼りにしてくださいというのは、出し手、受け手ともに認識としてまだまだ難しいというところもあるのかなというふうに感じています。
今回の改正案で大変重要だと位置づけをされております地域の話合いということでありますけれども、まず、この地道な取組をどう促していくかということが、現実問題、一番重要だと思っています。
ただ、地域によっては、高齢化が進んで、担い手も明確化していない中で、話合いをするところまで持っていくことも難しいという集落もあるかと思います。こういった地域にはどうやって話合いを進めていくんでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
例えば、北海道へ行きますと、十勝平野のような、担い手が非常に多くいらっしゃって、将来への希望を持っていらっしゃるというような地域はもちろんございますけれども、やはり地域によっては、高齢化が進んで、担い手ももういない、あるいは非常に高齢化しているということで、それぞれ、では、一体、話合いをするとして、どういうふうに担い手を見つけていけばいいのかというふうに途方に暮れているところ、あるいは、そういうこともあるので、自分のことを考えて、地域のことをともすれば考えなくなっているところ、これも残念ながらあるというように考えているところでございます。
即効性のある解決策というのはなかなか見出しがたいと思っておりますけれども、今回については、私ら、人・農地プランをどうやったら実質化できるかというふうに考える中で、優良事例を幾つか、中山間地域も含めて見ましたところ、やはり地域内で、場合によっては農業委員、場合によっては市町村、場合によっては農協、それぞれいろいろあります、農地バンクがみずからやっている場合もありますけれども、アンケートをとる。非常に素朴な手法にも見えるかもしれませんけれども、まずアンケートをとる。その結果をその地域のいろいろな集まりの中で、出し方もいろいろ工夫しながら、一番典型的な手法というのは、地図に落としていく。落とし方にも、個人情報の関係もありますから、いろいろなやり方を工夫されながらやっていく。
それで改めて、ともすれば、御高齢になりますと、御自分の家族の将来のことは考えてはいますけれども、地域の将来までは、思ってはいるんだけれどもなかなか、改めて問題がどこにあるかというのを感じていなかった、それが、地図を見ることによって、非常に、やはり自分たちの生まれ育った地域をどうにかしなければいけない、こういう思いを新たにするに至ったと。あるいは、アンケートで、数字で見せられると、非常に、全体の中での自分の考えというのがどこにあるのかというのがよくわかるというような御意見があった事例をよく目にさせていただきました。
こういうことを、やはり人・農地プラン、もちろん地域によってはいろいろあると思いますけれども、訓示規定という形で、法律の中で、その地図で状況をわかっていただくということを明らかにすることによって、国としては、こういうやり方でやりましょうということをまず示していくということが大事だと思います。
その際にも、やはり、次に、じゃ、どういうステップを打つのかということが大事だと思いますので、担い手の広域化に対応して、外からの担い手について紹介できるようにしておくとか、あるいは、中山間地域の事業要件を緩和することによって、今までの通常の要件ならできなかったことが、この要件ならやってみようと思うとか、そういうような取組を助長してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
いわゆる条件不利地、中山間地についてどうするかということで、地域それぞれの特徴もしっかり踏まえて、出し方も工夫をしていく、その上で地図を示してイメージできやすい状況をつくると、やる気を起こすというんでしょうか、そういうことも大事だというのは非常に共感が持てる考え方だと思います。
御答弁の中にもありました、人・農地プランの実質化というところについてもちょっとお伺いをしたいんですが、この実質化という言葉はこれまでも出てきておりますけれども、具体的に人・農地プランの実質化とはどんな内容を示すのか、また、実質化できていない人・農地プランと照らし合わせて、そこを改めてお伺いをしたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
まず、実質化されていないプランというのは、この委員会でも何度か御指摘させていただいておりますが、現在できております人・農地プランの中で、農地の出し手が記載されていないもの、そういうものになりますと、やはり地域の人と農地の将来の設計図とはなかなか言いがたいというようなものが、例えば実質化されていないプランではないかというふうに認識をしております。
だからといって、これはまた、強制で全部人の名前と農地を書かせろというわけにはいきませんので、今回我々が考えております実質化というのは、結果というよりもむしろプロセスに着目をしたいというふうに考えてございます。
そのプロセスといいますのは、やはりコーディネーター役というのがいるかいないか、そういうところで、今回農業委員会もコーディネーター役として位置づけたいとか、そういうようなところをやらせていただいているということと、それから、先ほどお話しした地図をつくっていただく。これは予算も充実いたしました。
そういうようなプロセスを踏んだ上で、地域の、今回については、担い手が誰で、出し手が誰だとまでは求めません。農地がどこかというのも、それをやると、農地の出し手の方は、もうおまえは引退しろと迫られているというふうな認識を持っていらっしゃる場合もあるということですので、そこまで求めるのではなくて、大まかな方針で私らはいいと思うんですけれども、そのかわり、そういうプロセスを踏んで話合いが行われて、地図もできているということを、一つ一つステップを踏んでいくということを、この実質化を見る際の一つの基準にしていきたいというふうに考えているところでございます。
○石川(香)委員 人・農地プランを作成する上で、今言ったような話も非常にわかるんですが、やはり、コーディネーター役とかプロセスという言葉がありましたが、しっかり現状をわかっている、現場をわかっている人という意味で、市町村の農業関係の職員の役割も大変重要だと思います。
ただ、市町村の農業関係の職員は減っていく一方であります。平成二十九年では三万五百二十三人でありましたけれども、これは十年前に比べると一四・七%既に減少しているということでありまして、市町村の農業関係の職員が減る中、果たして期待される役割をしっかり果たせるのかということと、また、市町村職員の人材不足についてもしっかり対処していかなくてはいけないと思いますが、どう対処していくか、お聞かせいただきたいと思います。大臣、お願いします。
○吉川国務大臣 これまでの市町村の農業関係職員は人・農地プランの話合いのコーディネーターの役を担っていましたので、この職員の減少というのは、話合いが活性化しない一つの原因であると考えております。
このため、今回の見直しにおきましては、人・農地プランづくりの体制及び支援策を拡充をして、市町村に対しましては、農業者の年齢ですとか農業後継者の確保状況を把握するためのアンケートや地図作成に要する経費を、アルバイトの活用も含めて支援をいたします。
地域の話合いをコーディネートできる者が不足する市町村に対しましては、例えば普及指導員のOBなど、コーディネーターとして豊富な経験を有する者の派遣も支援をすることといたしております。
新たに農業委員や農地利用最適化推進委員を人・農地プランのコーディネーター役に位置づけまして、平成三十一年度予算より、人・農地プランにかかわる活動また成果を重点的に支援をすることといたしております。
○石川(香)委員 人・農地プランに関して、これをより充実させるためには、やはり市町村の存在抜きには語れないということだと思います。
これまでの質疑の中でもたびたび指摘されてまいりましたけれども、そういった意味で、市町村に対する予算措置であったり人員措置というのは必要なことなのかなというふうに私も感じています。
この農地中間管理機構を通じて農地の貸し借りをする場合、法律の中で必ず何年以上の契約にしなさいという記載はありませんけれども、十年間など一定期間の貸付けをするということが一つの目安になっていると思います。また、一定期間契約するということは、認定農業者などとして責任を持ってその農地を利用していくということにもなるかと思います。
しかし、一方で、新規就農者の半数が六十歳以上と言われておりますが、例えば定年後に農業をしたいと思っている場合、こういった条件に少し不安を感じるのではないかという懸念もありますけれども、このあたりについてもお伺いしたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
農地バンクは、出し手から農地バンクが借りる賃貸借契約と、それから農地バンクが担い手に貸す賃貸借契約の二つの契約を結ぶこととなっておりますけれども、所有者から農地バンクに農地を貸し付ける、最初の契約につきましては、我々は、再配分を繰り返して集約を進めるためには長期の契約が必要だと思っておりますので、法律の要件ということではありませんが、例えば補助金であります機構集積協力金、あるいは固定資産税の軽減措置の際に、十年以上の長期になる期間ということを一つの要件として、それになるように促しているところです。
先生御指摘の、農地バンクから担い手に貸すときについては、再配分の要請というのとはちょっと違いますので、それについては、我々はむしろ柔軟に考えているところでございます。
ただ、実態としては、長期の利用権設定の方が担い手の方が自由に経営活動が行えるということで、長期の利用権設定、十年以上の利用権設定が約八五%ございますが、裏返して言えば、一応、十年未満の利用権設定も一五%は存在するということで、例えば新規就農に際しても、利用権の設定等々、柔軟な対応が必要な場合には柔軟な対応になるように、我々も考えて、留意してまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 柔軟な対応ということでありました。
集積していくということでありますけれども、それぞれの地域であったり農地の特徴、それから農作物の違いによっては、この農地中間管理機構を一〇〇%利用することとしないで、それぞれの事情に合った制度を持てるように幅を持たせるということも一つの選択肢ではないかなというふうに感じています。例えば、水田と果樹とを比べてみましても、生産方法であったり管理方法は異なるということで、実際に集積の進みぐあいが異なっているということもあると思います。
このそれぞれの事情によって農地中間管理機構の仕組みが必ずしもマッチしないという場合もあるということに対しての認識と、それから、こうした場合、目標に掲げている八割集積、こういう目標を掲げておりますけれども、どういうふうに進めていくのでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
まず、我々も、地域の主要作物の違いとか、そういう地域ごとの事情に応じたきめ細やかな対応というのが、農地バンクを進める際に必要であるというふうに考えてございます。
果樹につきましては、我々も数年前から、果樹の農地集積というのはほかの水田地帯とは大分違うということで、むしろ果樹の生産対策と一体となって、よく生産部局とも連携しながら事業を推進していく方がいいのではないかというふうに考えてございます。
そういう中で、一つアイデアとして今実行しておりますのが、果樹の産地協議会と農地バンクが連携して、計画的な園地の集積、集約化、例えば改植等とセットに農地の利用を考えていくというようなやり方をした場合に予算を優先配分するという仕組みを導入して推進したりしているところでございます。
そういうようなやり方を作物ごとに、事情があれば、そこを細かく、いろいろな対策と連携するということをやってまいりたいと思っております。
なお、ちょっと東北の例でいいますと、果樹産地は典型的には青森県と、例えば米が中心の秋田県を比べてみましても、両方とも円滑化団体から農地バンクへの移行がほぼ完了しているところでございまして、むしろ秋田県よりも青森県の方が円滑化団体の方が実績がかえって少なくなっているようなこともございまして、作物の事情と農地バンク以外の機関との関係という意味では、先ほども少し円滑化団体の総論の中でもお話ししましたけれども、作物と農地バンクの使い勝手のよさというのは必ずしも余り関係していないんじゃないかというのが我々の分析でございますけれども、なお、いずれにしろ、地域の事情をよく分析しながらやっていきたいと思っております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
次の質問は、先ほどの御答弁の中にもちょうど答えていただいた部分もありますので、ちょっと順番を変えさせていただきまして、地域の集積協力金についてお伺いをしたいと思います。
これは、まとまった農地を中間管理機構に貸し付けた地域に対して交付する協力金でありますけれども、農地の担い手が見つからない中、地域の集積協力金では、中山間地域において交付単価を手厚いものにしていると思います。これによってどの程度中山間地域において集積又は集約化が進むというふうに見込んでいるのか、お答えをいただきたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
これは、土地改良法の改正によりまして機構関連の基盤整備事業が創設されたときも、今までではなかなか公共事業の要件に該当しなかったものが、例えば高知県の北川村などが典型的でございますけれども、要件の緩和によって公共事業による基盤整備がやっとできるようになったということで活用された事例もあるということでございますので、今回の地域集積協力金につきましても、要件緩和でこれならできるという地域がふえることを我々としては想定しております。
見込みという形でいいますと、とりあえず三十一年度予算での積算を少し御紹介させていただきますと、最新の実績は二十九年度の実績がありますけれども、これは、地域集積協力金が中山間地域に交付された面積というのは、我々の推計では約一万一ヘクタールあったと思っておりますけれども、三十一年度予算におきましては、その要件緩和による利用者の増を見込みまして、平成二十九年度の三割増し程度の一・五万ヘクタールを一応予算としては見込んでおります。
予算を使わないで農地バンクが使われることもありますので、これだけではないと思いますけれども、我々としては、とりあえずそういうような三割増みたいなものを目安としておりまして、翌年度以降も実績を見ながらまた考えていきたい、こう思っております。
○石川(香)委員 この中山間地域につきましては、集積、集約化、また担い手の確保ということも含めてやはり配慮を手厚いものにしていかなくてはいけないと思いますので、引き続きお願いをしたいと思います。
続いては、認定農業者の統計ということで、ちょっと違う方面から質問させていただきたいと思います。
これまでは、複数県で認定農業者になった場合、各都道府県ごとにそれぞれ一とカウントされていましたけれども、今後は、広域で農業をする場合、まとめて一とカウントされることになります。
今までの認定農業者の統計方法と異なるわけでありますけれども、これまでの広域認定農業者の人数の把握はきちんとできているかということと、また、カウントの仕方が変わりますと、当然、単純に認定農業者の人数が統計上は減るということになると思いますけれども、どのような推移になるのかという見通しについてもお伺いをしたいと思います。
○大澤政府参考人 まず、先ほどの答弁で、数字について言い違いがございまして、一万一と答弁したようでございますが、正しくは一万一千、一・一万ということですので、訂正させていただきます。
御質問でございますけれども、まず、どの程度かということにつきましては、認定農業者自体の統計は、これは市町村の自治事務でありまして、なかなかできないんですが、農地所有適格法人につきましては、どの範囲で経営をしているかというデータがございますので、それを見てみますと、平成二十九年度現在で、市町村の区域を超えて農用地を利用する農地所有適格法人は約二千ございます。ですので、少なくともこの程度の数が二以上の市町村で農業経営改善計画の認定を受ける農業者として出てくる可能性があるというふうに認識をしております。
認定農業者につきましては、御指摘のとおりだと思いますが、今まで、市町村が計画認定した件数を、計画が一つあると認定農業者一人というふうに、一応、ある意味で擬制をして統計上も報告をしていたわけでございます。
それと同じやり方でやりますと、今度は、御指摘のとおり、複数の市町村内で農業経営を営む農業者が、一つの計画で済むようになりますと、計画数が徐々に減ってくるということになります。経営改善計画の期間は五年間で更新されていきますので、そういう意味では、五年間に分けて少しずつ計画が減ってくるというふうになります。
その際に、今回こういう制度を導入したときに、認定農業者数の数という形で御報告するのか、それとも認定農業計画数という形で御報告するのか、その統計のお示しの仕方については今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
では、時間がなくなりましたので、最後の質問をさせていただきます。
青年等就農資金について、償還期限を十二年以内から十七年以内ということに延長することになりました。こういった希望が多かったということで、この件についてはいいかと思うんですけれども、この法律改正以前にこの就農資金を利用した人たちからも、償還期間を延長してほしいという声も実際上がっておりますが、この課題について、見直しすべく検討することはできないか、お伺いしたいと思います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
これにつきましては、融資というのは、個々の融資の審査ごとに、償還能力等を考慮しまして、計画を審査した上で償還期限というのが設定されておりますので、全体の制度が延びたからといって、それが直ちに個々の農業者ごとの償還能力に影響するということではございませんので、個々の計画を審査した上で決定された償還期限内で返済していただくというのが融資の基本ではないかというふうに考えてございます。
○石川(香)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、関健一郎君。
○関(健)委員 国民民主党、関健一郎です。
委員長並びに理事の皆様におかれましては、質問の機会をいただきましたこと、御礼を申し上げます。
早速、農地中間管理機構の質問にすぐ入る予定だったんですけれども、豚コレラの疑似患畜が発見された。委員長のお地元の岐阜県でもありますし、また、生産者の皆さんにおかれましては、またさらなるストレスだと思いますので、心からお見舞い申し上げますとともに、完全なる封じ込め、一刻も早い封じ込めを強く進めることをお願い申し上げます。
そして、この局面になって、いろいろな新聞報道でもありますけれども、豚の生産者はもとより、ジビエ、つまりイノシシのお肉を使った料理とか、そういうもので町おこしをしようなんてやっておられる皆様にもだんだん影響が出始めています。ですから、これは実は、地元の皆さんが地域活性化と鳥獣被害のうまく合わさった形で地域活性化につないである全国の成功例がたくさんあって、まさにそういうところに、せっかくみんなが知恵を絞って、それぞれの個性を出した地域の経済が回り始めているところに今この豚コレラの話ですので、政府としても、できる支援はきめ細かにやっていただきたいということを強くお願いを申し上げまして、質疑に移らせていただきます。
農地中間管理機構についてお尋ねをいたします。
私は地元が農業王国豊橋なんですけれども、水田、稲作というのは余りなくて、ただ、その中でも頑張っていこうという皆さんが何人かおられて、そういう方々から取材をした中で、きょう質問をさせていただきます。
まず、そもそものこの機構のポイントは、私もずっと前に集落営農で集積、集約を成功した例なんというのを取材させてもらったことがあるんですけれども、ばらばらにあって、次、あっち行かなきゃいけない、こっち行かなきゃいけない、そういうのを面的に集約をして、より規模拡大とか生産性を上げたいという人たちにぽこんと預けることができる。これは、まさに一定の意味はあったんだと思います。
ただ、そもそも土地を貸す、貸さないというのは、これこそ皆さんの方がよく御存じだと思いますが、どこの誰だそいつは、あそこに住んでいる何々さんのせがれか、だったら貸してやる、そいつのことを知らぬから貸さない、こんな話は多々ある。まあ、気持ちはよくわかるんですけれども。
だからこそ、そもそも市町村、一番細かい現場のレベルで議論が進んで話合いとか協議の場が持たれなきゃいけないところで、この都道府県レベルでということが根本的な制度矛盾を抱えているんだという問題意識を前提に質問をさせていただきたいと思います。
このお出しをいただいた改正法律案の概要の中で、地域における農業者等による協議の場の実質化というのがあると思います。
これは、やはり生産者の方の話を聞くと、どこに行けば土地の情報を知ることができるのか、それは、いつ、どこで、誰に聞けばいいんだと。そういうところからまだ始まっているわけですね。
それは、土地を出す方も、土地を受ける方も、そしてあっせんをしたいと思っている皆さんも、共通の場のようなものが大事だと。僕、その問題点は共有できるというか、なるほどと思うんですけれども、どういうふうにその情報交換というのは行われるのか教えてください。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
今回、円滑化団体と農地バンクの統合一体化、これを考えるに当たりまして、先ほど円滑化団体が活発に活動をされている五県というのを申しまして、その中でも愛知県というのは非常に特色のある取組を行われていたところでございます。その反面、農地バンク、農地バンク自身は、集落で全体として法人化を進めるなど、ポイントを絞った集積方法をやっているということで、特色はあるんですけれども、ともすれば、やはりその二つがうまく共存していなかったというのは、実際にも、これは豊橋ではございませんで、安城に出張させていただきましたけれども、そこでもつぶさに見させていただいたところでございます。
そういう中で、関係の農協の方々ともいろいろ話をさせていただきました。農地バンク一体化はいいんだけれども、先生の御指摘のとおり、農家の方がまずどこに行けばいいのか、それをもう少しちゃんと看板も統一して出すべきじゃないかとか、そういうような御指摘もいただきながら、今、実際に統合一体化をどういうふうに実務レベルで落としていこうかというのを、愛知モデルも参考にさせていただきながら、具体的に構想をしているところでございます。
この場所という共通の場所、そういう御指摘は非常に貴重だと思っておりまして、そういう場をつくりたいと思っております。現時点において、農地バンクがそういう、ここに行けば農家の人はわかるというふうに、県庁所在地に行けばわかるというのでは到底現実に合わないと思っておりますので、現実にそこまで行っているとは認識しておりませんで、今後、統合一体化を進める中で、農協になるのか、市町村になるのか、地域ごとにも状況は違うと思います。土地改良区がいい場合もあるかもしれません。そういうのをよく詰めていきたいというふうに考えてございます。
○関(健)委員 ありがとうございます。
ちょっと前後しましたけれども、大澤局長、一日ぶっ通し、頑張ってください。お疲れさまです。
次の質問に移らせていただきます。
今私が申し上げた質問というのは、実は生産者の皆さんの共通の問題意識でもありまして、ちょっと質問が前後しますけれども、伺いますね。
自分が、あそこのちょっと耕作放棄地っぽくなってきているところを借りたいなというときに、JAに行けばいいのか、市町村に行けばいいのか、農地バンクに行けばいいのか。どこも主体的な責任を持っていないから、それはちょっとわからないなみたいな、たらい回し状態のことがあるわけですね。これは大きな問題だと思うんです。
それに関して、今回、改正点があるんですよね。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
担い手農家の方々からまさにそういうような御指摘をいただいているところでございますし、具体、個別名は申し上げませんけれども、この機関なら行きたいけれども、この機関なら行きたくないというようなところもあるというふうに承知をしております。
今回、そういう実態もなるべく解消するように、統合一体化というのを打ち出させていただいておりまして、どこに行っても最終の農地のリストは一つになる、これを理想としていきたいというふうに考えてございます。
○関(健)委員 やはり生産者の皆さんは土の、圃場にいたいわけで、そういういろいろなところを回って、生産者の、オーナーさんのところを回って、ここを貸してくださいという時間、たくさんの時間を浪費するというのは彼らにとっても強い問題意識ですので、今おっしゃられたとおり、ワンストップで、ここに行けばどこの誰さんでということができるというのはすぐにでもやるべきことだと思いますので、そこはしっかり進めていただきたいと思います。
また、これまで集積化、集約化というのは一定の効果はあると思うんです。その中で、今までは集落とかを単位として集約化というのは進めればよかったと思うんです。ところが、一定程度進んでくると、集落規模を超えた大規模生産者の人たち同士のコミュニケーションとか、そういうことが必要になってくるし、複数の集落間での集積というのが次は必要になってくると思うんですけれども、こういう場、大規模な集約を進めつつある、つまり、一定程度頑張ってもう一歩先へという人たち同士がコミュニケーションをとる場所、つまり協議の場の実質化が必要だと思うんですけれども、これについての認識をお聞かせください。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
現在、人・農地プラン実質化のための話合いをどう進めていくかというので、各地域とも議論しているところでございます。
私がいろいろ見ているところで、どうも幾つかの、これはまだ全体的に一般化できないかもしれませんけれども、どうも、集落、地域ごとの、ある意味で農地集積の機運の幾つかの段階があるような感じがいたしております。
全く機運がないところについては、やはり地域の方々が何か取っかかりをつくって話合いをつくるということが、ある意味では、担い手中心というよりも出し手中心でまずやるということが効果的な場合が多いのではないかな、それが第一段階だと思っております。
その際には、人・農地プランのために集まるんだという中ではなかなか集まらないところがありますので、例えば中山間地域直接支払交付金の集落協定を議論する場であるとか、あるいは、先ほどの果樹の例でいえば、果樹の産地の構造改革計画というのをつくっておりますので、そこですと果樹農家が中心に集まりますので、そういう場がいいとか、そういうようなやり方。これはもう、そういう意味では集落中心という場合があります。
それから、担い手が外から入ってくる場合、あるいは複数の集落が実質上一つになってくる場合、これもいろいろな段階があると思います。入ってはくるんだけれども、なかなか集落全体と一体化まではいっていない場合というときには、担い手の方々は、むしろ集落の話合いになると埋もれてしまう可能性があるという場合もあります。そういう場合を考慮して、我々については、場合によっては、そこは集落の話合いとは別に、担い手の話合いというのもあわせてやってみたらどうかというようなアイデアを今持っておりまして、それをまた地方と意見交換をさせていただきたい。
さらに、第三段階としては、複数集落で入り作、出作が複数あって、一つの集落のように、複数の集落が一つの地域のように見える場合であります。これでしたら、また逆に複数集落で議論をしていくということがあると思いますので、我々としては、集落の段階に応じて必要な措置をとるような指導をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○関(健)委員 いろいろな現場を調査しておられたんだろうなということが今よく感じ取れたんですけれども、確かにおっしゃるとおり、担い手の方が埋もれてしまうというのは、これは結構あることで、結構頑張ろうとしている人がいきなり来て、何だうるさいなみたいな、こういうことにもやはりなっちゃったりすることが多いんですよね。
ですから、今のそのお答えに対しての質問なんですけれども、一定の集積が進んでいる地域は、やはり、おっしゃったとおり、地区という意味合いが余りなくなってきて集積、集約化が進んでいるというのはあると思うんですね。
そうするところの次の段階として、担い手同士を組織化する、つまり、その地域の人たちの議論というよりは、それぞれ集約化した担い手、この担い手同士が集まった協議の場、いわゆる協議の場の実質化、こういう人たちが面的な集約化というのを進めようということをすれば、より集積、集約というのが進むし、面が大きくなるんじゃないかと思うんですけれども、担い手同士の協議の場の実質化、これについてはどうお考えでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
出し手が担い手を交換、例えば、担い手同士で農地を交換することにもう余り意識を持っておられないような地域においては、担い手中心でそういうことをやるということも大事だと思っております。
ただ、今この人に十年以上貸しているけれども、別の人と交換して別の人が出てくると、また少しこれは、ちょっと気持ち的になかなか納得感がいかないということになれば、地域の話合いとうまく組み合わせてやっていく必要がある、ここもレベルごとに違うのではないかなと思っております。
それはともかくとして、いずれにしろ、各地域におきまして、担い手同士の農地交換のニーズが高まっております。これは農地の集約化に直接つながるものだというふうに思っております。
ということで、今回の機構集積協力金の見直しにおきましても、新たに集約化タイプというものを創設いたしまして、担い手同士の農地交換に助成金を交付する、こういうような取組を枠組みとして入れておりますので、こういうことも進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○関(健)委員 一刻も早く、集積をして生産性を高めて攻めの農業をしたいという人はたくさんいますので、そういう人たちが使いやすいように、ワンストップでいいところにすぐ手が、かゆいところに手が届くじゃないですけれども、そういう仕組みにするようにお願いをいたします。
そして、ちょっと質問が飛ぶんですけれども、そもそも論に移って、農地の賃貸借契約なんですけれども、これは機構を通さずに市町村レベルで行う方が効率的ではないかという指摘もありますし、今の議論、ますます担い手が大きくなっていく中で、機構を通すよりも市町村でいった方がいいんじゃないか、こういう話は少なくなくて、それについての認識を伺います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
これにつきましても、その地域に担い手がいるかいないか、将来的にどうか等々によりまして大分様相が違ってくるというふうに思っております。
先ほど私も伺ったというふうにお話をしました安城におきましては、まさに地域のブロックローテーションというのがしっかりと農協主導で確立されておりますので、むしろ本当に地域に任せた方がいいものができるというふうに関係者も自負しておりますし、逆に、機構の方にも取材をしましたけれども、ああいうような地域はむしろそちらでやっていただいて、機構はそういう体制が整っていないところを集中してやりたい、こういう役割分担をしたいということでございますので、その安城のような例でありましたら、それこそ、今回の案に基づきます配分計画の案をつくる主体として、第一の候補に挙げられているというふうに思っております。
ただし、市町村レベルだけでいいかというと、そこはまたそう割り切れないところがございまして、先ほど先生も御指摘のありました担い手同士の農地交換とか、それから複数市町村で担い手が活動しているとか、そういう場合になりますと、市町村であると、担い手であっても、隣町の人であるとなかなか認知されないという面もありますので、そういう面もありますので、我々としては、市町村だけとかあるいは都道府県だけとかいうよりも、やはり総合的な体制が一番ふさわしいのではないかというふうに考えてございます。
○関(健)委員 おっしゃるとおり、ケース・バイ・ケースなんでしょうし、私の豊橋というところは、隣に湖西市という静岡県のあれがありまして、頑張っている人は、ちょっと湖西へ行ってくるわみたいな、行政区分なんかを超えて活動しておられるんですね。
だから、そういう方々も、おっしゃるとおり、そういう区分にこだわらず、例えば担い手単位の協議の場とか、いろいろな側面からの協議の場の実質化ということがやはり求められていると思いますので、結論としては、やはりわかりやすく、ワンストップで拡大したい、政府の意向にも合うような、集積、集約を進めたいという方が使いやすいようなサービスにしていくということが肝要なんだと思います。
次の質問に移らせていただきますが、機構集積協力金について質問をさせていただきます。
単価の見える化や中山間地域についての緩和などを行い、地域タイプに重点化、一元化を図るという方向だと理解をしていますけれども、制度の独自性、これは農地集約というところにあるわけです。一定の集約化が進んでいる以上、今後、集約が、更に実績が上がるかどうかというのは心もとありませんが、見通しを伺います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
先ほども、中山間地域での事業の利用が三割程度伸びる見込みとして考えているというお話をさせていただきましたけれども、そのときも御紹介しました、例えば高知県の北川村におきましては、対象農地面積約六ヘクタールで公共事業がこの機構関連事業としてやることができたということで、六ヘクタールとなりますと、土地改良法の改正前では通常の公共事業としては実施できなかったものですから、そういう要件の緩和によって、やはり事業をやってみようということが一定程度は我々は出てくるということを考えまして、三割程度の増額を予算として措置しているということでございます。
○関(健)委員 今後、後継者を確保することができない大規模経営の経営者の離農というのは多発することが予想されますし、僕の地元でもそういうパターンはあるんです。個別経営者同士の農地集積のやりとり、それも先ほどちょっと触れましたけれども、個別の経営者同士での農地集積のやりとりというのはどんどんふえていくんだと思います、そうおっしゃっておられましたけれども。
集落単位での集積から大きく変わろうとしていて、中山間地域での緩和というふうにありましたけれども、中山間地域の集積、集約と担い手育成というのは機構の事業とは別に考えるべきものだと私は考えているんですけれども、認識を伺います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
確かに、担い手育成自身が機構事業と完全に重なるということはないと思います。
ただ、機構事業が一つのきっかけとなって、例えば、新しい作物を導入することによって担い手が生み出されていくとか、あるいは、外部の販路を持っている方が中山間地域にも入ってきて、それによって新しい担い手として認知されていくとか、そういう場合はあると思いますので、全く無関係ということではないと思いますが、おっしゃるとおり、いろいろなやり方をもって、担い手育成というのは、育っていくことが必要だと考えています。
それから、先ほど、大規模経営が突然後継者を確保できなくて離農してしまう、このリスクは確かにふえてくると思っておりますが、そういうときに、個別経営者間の農地集積だけですと、例えば、突然御病気になって突然農地が耕作できないようになりますと、その農家の方も、その周辺にいらっしゃる方は途方に暮れてしまうわけです、そこが耕作放棄地になってしまうかもしれないということでありますけれども。
機構がかんでいただいて、機構を通じて貸すということになれば、そこは、当面、担い手がいなくなれば機構に戻ってきますので、その機構が新しい担い手を探していくという形で仲立ちをするという機能も今後の機構の業務としては重要な部分になってくるというふうに考えております。
○関(健)委員 次の質問に移らせていただきます。
小作料の統一ということについて質問させていただきます。
農地の交換で面的集約を図るには、小作料の統一というのが必要になってくると思いますけれども、小作料が無料の農地というのがふえているんです、都市近郊とか中山間とかではそうですけれども。これは借り手にとってはいいわけですけれども、ただのところとただじゃないところというのはなかなか厳しくて、例えば、世代交代すると、今までただで借りていたのに借りれないとか、その逆もあって、今後、小作料の統一をめぐるトラブル、課題というのはいろいろ起きてくるんじゃないかという懸念があるんですけれども、御所見を伺います。
○大澤政府参考人 まず、一般論で申しますと、小作料の統一というのはなかなか難しい課題ではないかと思います。
例えば、施設園芸を行っている土地と飼料作物をつくっている土地が同じ地代に統一しなきゃいけないというのは、これはなかなか現実性がない話でございます。そういうときは、交換するにしても、面積を大きくしたり小さくしたりして調整していくということになると思いますので、小作料の統一だけが農地の利用の集積に、唯一の解法ということまでではないと思っております。
その上で、今の使用貸借の問題についてお答えいたしますと、確かに、中山間地域など条件不利な地域においては、むしろ小作料を無料にしてくれなければ貸してくれないというような事情があって、これは使用貸借というのが使われている。実績といたしましても、わずかですけれども、増加傾向にある。平成二十八年では全部の貸借のうちの一八%ぐらいを占めているというふうに思ってございます。
ただ、小作料が取れなくても、農地の場合には、農地法の二条の二によりまして、ちゃんと利用しなければいけないという責務がかかっていますので、誰かが利用してくれなければ農地として維持できないということになって、逆に耕作放棄地等の規制がかかってしまいますので、誰か、ただでも、無料でも受け手が存在するということは出し手にとってもメリットだと考えておりますが、なかなかそういう意識に皆さんなっていただいていないというのも現状だと思っておりますので、そういうことにつきましてよく理解を深めていくようなこともやってまいりたいというふうに考えてございます。
○関(健)委員 今の議論に関連して、二つ、私、ちょっと問題点というか、私が調べていて感じた懸念についてお話しさせていただくんですけれども、一つは、借り手からの地代の減額請求とか、地代未収問題とかというのは起きないのかなという点をちょっと説明させていただきますね。
これは、借り手、つくっていた人が、例えば米の価格が下がっちゃったから、今までこの値段で借りていたけれども、もうちょっと賃料を下げてくれねえかということを例えば言ったとします。そうすると、やはり、この機構の特性上、真ん中に入っているわけですよね。そうすると、減額してくれないかということを今度オーナーに言うのは機構の役割になるわけですよね。そうすると、この機構が活発に活性化すればするほど、そういう業務はふえていく懸念があるわけですよね。
つまり、借り手からの減額請求、こういうのは全部機構がやるということで、まず、私の理解が正しいのか。そうなのであれば、今後たくさんの、活発に機構が動けば動くほど、それを解消というか消化できるパワーはあるのか。その二つについてお尋ねします。
○大澤政府参考人 御指摘のような例につきましては、現状において、何か統一的に農地バンクがやるとか農地バンクがやらないとかいうルールが決まっているわけではございませんで、地域ごとにいろいろさまざまでございます。
ただ、担い手の方々からは、せっかく機構に貸して、それこそ担い手のために出し手と直接交渉しないでいいというルールをつくっていただいているのであれば、そういうようないろいろな個別の賃料の問題等についても機構が仲立ちになってくれというような要望が出てきているような地域は幾つかございます。
地域の近傍の農地価格を標準に農地バンクが賃料を幾つかの段階に分けて設定している例が多いと思っておりますけれども、将来そういうようなニーズが出てくることもあると思いますので、農地バンクの取扱面積がふえた場合に、ではどうしていくかということは、少し、今それほど大きな問題として全国的に出ているというわけではありませんけれども、頭の体操は今からしておくべき問題だというふうに認識しております。
○関(健)委員 今のは、借り手から機構というところについての問題点、私なりに考えた問題点を提案、提言させていただいたんです。
次は、機構から貸し手、オーナーさんにとって、地代の円滑な支払いというのが課題になるんじゃないかなというのが私の問題意識なんです。
どういうことかというと、これは実際にあったんですけれども、貸し手の方が亡くなっちゃったんですね。これを次の方に相続されたわけですけれども、今までの振り込み口座とか変えなきゃいけないわけですよね、その地代。ただ、それが、それですら大分手間取ったわけです。せがれさんが東京にいて、その分どうするんだみたいな感じになっちゃったわけですけれども。
これも先ほどと同じで、これからどんどん高齢化とかが進んでいっている中で、こういう代がわりとか地代の円滑な支払いというのも、先ほどの上流と下流の、こっちのバージョンの話ですけれども、機構が責任を持って、支払いということも責任を持つのであれば、この機構が活性化すればするほど、その業務はふえてくると思うんです。これについての認識を伺います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
機構が結んでいる出し手との契約につきましては、これは、仮に出し手がお亡くなりになった場合でも、相続人にその契約が承継されますので、そのときに直ちに条件を変えてくれとか解約してくれということは認められませんので、あとは、条件が長期の、例えば十年で賃貸借契約を結ばれていたときのその更新期にどうするかという問題であると思います。
ですから、いずれにしろ、取扱面積がふえればそういう業務がふえる可能性はもちろんあるわけでございますので、そういうときにつきましても、標準的な解決方法を国が示すとか、いろいろなやり方はあると思いますので、そこについては工夫してまいりたいというふうに考えてございます。
○関(健)委員 活発化するであろうという、おっしゃる前提に乗っての質問ですので、これはぜひ頭の体操をしていただければと思います。
次の質問に移らせていただきます。
土地の貸し手の皆さんにこの制度の認知率がどれぐらいかという話について伺いたいんですけれども、私がこの話をすると、何それと言うオーナーさんが結構いて、そんな制度があるなら貸すよと言う人も結構いました。
認知率はどのぐらいなんでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
農地バンクにつきましては、さまざまな活動状況に対するアンケート調査を行っておりますけれども、市町村への平成二十九年度のアンケート調査によりますと、地域の農地所有者、出し手に農地バンクがどれだけ認識されているかというものについては、全国平均の数値ですと、認識している又はある程度認識しているが七七%、ほとんど認識していないが二三%という状況になっております。
愛知県におきましては、認知している又はある程度認知しているが五六%、ほとんど認識していないが四四%ということで、全国と比べても認知度が低い状況にあります。
これは、愛知県においては、やはり、他の多くの県と異なって、農地バンク事業よりも、JA等が実施している農地利用集積円滑化団体の事業の方が利用先が多い地域があるということが影響しているというふうに考えてございます。
○関(健)委員 認知拡大に向けた取組もお願いをいたします。
次は、担い手の皆さんにとっていわゆる農地バンクの満足感が非常に低いという話をさせていただきたいんです。
不動産屋さんでいうと、駅から歩いて三十分とか築四十年とか、そんなような物件ばかりある。すごく駅から近くて築五年以内の物件は、相対というか、何々さんに貸すとか、もう市町村の窓口で勝手に終わっているとか、JAの地元をいっぱい回っている人が何屋さんのところがあいてるよみたいな感じで、良好な物件はそういうところで取引が終わってしまって、担い手さんで、いろいろなところを生産拡大をしていこう、集積、集約にも貢献しようというところで、いざそこを見ても、いや、この角地はつらいですわみたいな、そういうのばかりだというんですね。
ですから、情報の質とか新鮮度、これについての改善の余地は大いにあるという話をよく聞くんですが、御認識を伺います。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
愛知県の特殊性もありますし、機構全体の、この委員会で御議論いただいているような、まだまだ活動が緒についたばかりであるという面もありまして、今の御指摘は、本当に、一部我々も聞いているところでございます。
ただ、どうしても、条件のいいところが相対等々で出てくるというのは一般の土地の場合にもある程度はあることだと思っておりますが、やはり、条件の悪い土地だけが農地バンクが持つということであれば、農地バンクの普及度にもかかわりますので、今回の見直しも含めまして、もう少し地域で認知度が上がるような取組をさせていただきたいというふうに考えてございます。
○関(健)委員 おっしゃるとおりだと思いますし、普通の土地だって、人気があるところはみんな目をつけて事前に情報をとってやるというのは、これは当たり前の話ですし、その一方で、やはり担い手の皆さんがワンストップでというのは、これは非常に便利だし、合理的であると思いますので、これは、窓口の一本化、そしてシンプルに、いい物件を鮮度よくというのが大事なことだと思います。
そして、最後に大臣にお尋ねをさせていただきます。
この農地中間管理事業全体に関してですけれども、平成二十六年の農地バンク創設以来の集積が上昇しているという前提のもと、二三年の八割集積目標達成というのを掲げておられます。
この質疑の中でも、さらなる集約の加速化というのはなかなか難しいのかなという認識で質問させていただきましたが、大臣、改めて、八〇%への決意を、決意というか、できるんでしょうか。教えてください。
○吉川国務大臣 平成二十九年度現在、担い手への農地集積でありますけれども、これは、先ほどから申し上げておりますように、五五・二%となっております。
二〇二三年に今御指摘をいただきました八割を集積するためには、相当程度この事業を加速化しなければならないことも事実でございます。
今後、相当程度の農業者が高齢のためリタイアすることを考えますと、農業が持続的に発展するためには、一刻も早く担い手が相当程度の農地を使いやすい形で利用していく必要があると考えております。
今回の見直しによりまして、地域の関係者が一体となって地域農業の将来の設計図である人・農地プランをつくることによりまして、担い手に農地を集積、集約化する機運を各地で盛り上げていかなければなりません。
中山間地域における協力金の要件緩和等によって、国もそうした地域の動きを全面的にサポートをし、さらに、農地バンクの手続簡素化や、実績のあるJA等との連携の強化等によって使い勝手を改善することによりまして、担い手による農地利用のさらなる集積、集約化に取り組みまして、集積目標に向けまして更に今後とも努力をしてまいりたいと思います。
○関(健)委員 終わります。ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 皆様、午後の質疑、大変お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。
私の地元、皆様にもお伝えしている、御承知であればうれしいですが、地元が秋田県であります。二十五ある市町村のうちの実に十六の市町村が中山間地域というくくりになります。広大で、かつ、作業が難しい、厳しい条件のところが多い農地で展開されている農業、その問題意識に立って、今回のいわゆる農地バンク法の改正案、お尋ねをしたいというふうに思います。
この中山間地域の主な指標が、資料の1、早速ごらんをいただきたいんですが、日本の農地の面積、そして農業産出額の四割を占めるのが中山間地域であります。全農家の四四%、また、年々減っておりますが、二〇一五年時点では九十五万戸余りの地域の農家が食料の安定供給に重要な役割を果たしております。
加えて、近年のインバウンド、年間三千万人を超える、日本を訪れる外国人観光客の数が伸びてきています。
彼らが注目しているのが、秋田のように、日本の原風景が広がっている農村地域であるとか、また民俗芸能、地域に根づく食文化であります。そうした昔ながらの日本のよさが色濃く残っている地域に関心を持っているわけでありますが、そこで食事を楽しんだり、あるいは宿泊をしたり、そこでお金を落とす、そうした観光客がふえている。
何といっても、インバウンドの効果、外国人が訪れた地域では農業の生産額がふえる、そして、そこでできた農産物そして加工品が世界に輸出をされる、その輸出の量も伸びてきている、この関連性があるということが最近の研究でも明らかになっているところでございます。
皆さん、資料2をまたごらんいただくと確認できるんですけれども、一方で、中山間地域の農業というのは、やはり平地に比べれば大規模化が難しいわけです。そうした地域でも、グローバル化を逆手にとる、そうした地域の特性を生かした多様な農業を守っていくということこそが、日本の農業を支えることになるというふうに私は考えています。
この多様性の象徴でもある中山間地域の農業ですけれども、指標の上では農地であっても、やはり今、実際は耕作をされていない耕作放棄地というところが多くなっております。
そういう点で、この中山間地域の担い手への農地の集積、集約化を図っていく。その土地の活用率が一般の農地、平地の農地より低い、例えば五分の一以下であったとしても、地域の集積協力金、交付金が受けられる。
この中山間地域では、もちろん小規模な田んぼ、そして畑が多い、集積が進みにくい上に機械も入れにくい、農業の効率化も進んでいきにくい、作業のスキルも求められる、こういう集約後の作業条件が厳しい中で受け手探しというのは、これは中山間地域ではより深刻なわけです。
通告で最後にしていたんですが、まずこの中山間地域の支援について伺いたいと思うんですけれども、この協力金を得る要件をたとえ今回の見直しで軽減をしたとしても、それでも厳しいというのが、今の話のとおり、実情であります。そこで、実質化を図るというのであれば、やはり受け手となる生産者への直接支払い金というものを拡充させる方向というのが近道であるというふうに考えておりますけれども、大臣の御所感を伺います。
○吉川国務大臣 中山間地域につきましては、平場の土地利用型農業の地域に比べて担い手への農地集積がおくれている状況であるために、中山間地域の対応を強化する必要があると認識をいたしております。
このため、今回の見直しにおきましては、人・農地プラン策定に向けた地域の徹底した話合いによりまして、地域主導で将来の農地利用のあり方とその担い手を生み出していくことといたしておりまして、さらに、予算面でありますけれども、受け手への支援にも使える地域集積協力金の単価を二割引き上げておりますとともに、中山間地域における農地の最低集積条件を平場に比べまして五分の一に緩和をいたしまして、中山間地域における生産者の取組を助長することとしたところでございます。
○緑川委員 私、先ほど、済みません、五分の一以下と言ってしまったんですが、以下をちょっと除いていただきたいというふうに思います。
この単価の引上げという中でも、前回の農地バンク法から比べると、出し手への支援から受け手への支援というものに、やはりより一層重きを置いていくべきであるというふうに思います。それを受けた法改正の中身にも一部なっているわけですけれども、その受け手として期待をされているのが、その一つが集落営農組織であります。
資料の4をまたごらんいただきたいんですけれども、この集落営農組織、一部法人化が進んでいる。確かに数字の上ではふえているとはいっても、非法人と比べて、トータルとしては横ばいであります。
家族経営が寄り集まって構成されているような集落営農が多くあるわけです。高齢化が進んで解散するところも年々ふえていますね。やはり、後継者不在が本質的な問題であります。
私の地元、先日、地域を回っていたんですけれども、そのときに農家の親子にお会いをしました。去年の田植の時期だったんですが、関東から戻ってきて、田植を、田植機に息子さんが乗って、少し曲がりながらも前に進めて操縦をしていて、それを父親があぜ道から見守っているという光景に出くわしまして、御挨拶もさせていただいたんですが。
そういう、親子でこれから家族経営、家族営農をしていくんだと。それがきっかけで秋田に定着をするケースもあると思いますし、あるいは、別のところでは、親子二人三脚で営農しているといっても、将来に対して、営農への将来の不安を抱えている、戸惑いながらも従事している若手の息子さん、農家さんもいらっしゃる。あるいは、継ぐとは言っているけれどもまだ気持ちが固まっていない、結果としてそれが、継がないという選択肢もとるような場合もあると思うんですね。
しかしながら、とにかく一旦農業と向き合ってみる、こういう機会を地域で意識的につくっていくことというのが私は大事だというふうに思います。地域で頑張る農家を、その背中を見ながら育ってきた家族、お子さんもいらっしゃいますけれども、その親と、また後継者の世代が、地域の人も交えながら合意形成をしていく、その一つ一つの物事を少しずつ前に進めていく、こういうことが必要なのではないかというふうに思っています。
そういう観点からの協議の場の実質化、話合いの充実というところ、そういうところの観点、その意識を持っていくことがとても重要であるというふうに思うんですけれども、地域の農業事情は違いますが、大臣、北海道の営農状況、家族経営などの状況も踏まえて、ぜひ御所感を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○吉川国務大臣 委員の御指摘のとおり、人・農地プランを真に話合いに基づいたものにするために、離農後も地域農業の実情に詳しい人材を地域の調整役として有効に活用することが重要であると考えております。
今回の見直しにおきましては、地域の話合いをコーディネートできる者が不足する市町村に対しましては、コーディネーター役として豊富な経験を有する者を専門家として派遣する仕組みを導入したところでもございます。この中で、御指摘のような、地域の実情に明るく、離農後も地域の話合いを積極的にまとめる意欲と能力のある人材も活用をしてまいりたいと存じます。
○緑川委員 やはり、農地の集積、集約という、進める中においては、大臣もおっしゃっていただきましたけれども、離農した方々も含めた、家族経営の後継ぎ探しというのを、これは地域総出でやっていくことはもちろんのこと、今ふるさとを離れているような人たちに対するアプローチ、人と人をつないでいく、地域の全体の営農ビジョンをどのように描いていくのか、誰が担い手となっていくのか、こうした話合いの本当に充実というものが今まさに求められているというふうに思います。
この農地利用についての話合いを深めるためのコーディネーター、あるいはそれをサポートするための役割として、農業委員の協力義務というものを今回改正案に明記されています。
そもそも、昨年の国会でも議論をいたしましたけれども、担い手のいない農地を集約する、そして受け手の農家が見つかったときに農地バンクでしっかり貸し出せるように、その目的で、貸し出すための農地の集積を加速化させていく、その方針で、農業経営基盤強化法の改正で措置されました所有者不明農地、こうしたものの活用を進めることにしていますけれども、これについては、不明農地の現場に既に農業委員が足を運んで、所有者の不明農地のまず探索に今非常に人手を割いているところであります。
この地道な協議、話合いに協力していく義務を新たに課していく。この農業委員の負担については、これは大臣、どのように、御所感をいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
○吉川国務大臣 今回の改正におきまして、農業委員会は、団体の要望もございまして、人・農地プラン作成に向けた地域の話合いのコーディネーター役を担うことが明確化されております。この役割を十分果たしていただきますために、必要な支援もあわせて行うことといたしております。
具体的には、農地利用最適化交付金につきましては、平成三十一年度予算より、人・農地プランにかかわる活動や成果を重点的に支援をいたしますほか、平成三十一年度予算より、新たに、農業委員会事務局の業務に必要な経費といたしまして、農地利用の意向調査の経費を、アルバイトの活用も含めて支援をすることといたしております。
これらの活動は、農地利用の最適化という農業委員会の本来の使命の一部でもございまして、農林水産省といたしましては、今回の位置づけの明確化ですとか支援措置の充実を通じまして、農業委員会がその役割をしっかりと果たしていくことを大いに期待をいたしているところでもございます。
○緑川委員 大臣、そのサポート役というのは、さまざま、本当に援護射撃していかなければいけません。
農業委員、市町村、また最適化推進委員、アルバイトなども雇って、本当に今ある体制を一層強化をしていく、その方針はわかるんですけれども、この所有者不明農地について特に言えば、今、全農地のうちの二割を占めるのが所有者不明農地、これは九十三万ヘクタールの土地があるわけです。秋田県内にもたくさんあるわけなんですが、遊休農地は少なく、ほとんどが耕作されている農地ですけれども、その所有者を特定するのがなかなか大変な仕事です。農業委員を務める農家、そして役場の職員も立ち会いながら、毎年、農地の利用状況を調査しているわけです。
地図と照らし合わせる確認作業というのが時間を使いますし、登記上の農地でも、山林になっているような、本当に耕作放棄、長らく放棄されているようなところが相当にあるわけです。面積も当然把握しにくいですし、多くの所有者が、やはりこれは大多数がわからない。時間と手間をかけたにしてもなかなか進まない状況です。農地パトロールということも政府は言うんですけれども、現場の負担はやはり相当なものだというふうに思います。
資料の3をごらんいただきたいんですが、オレンジ色の図ですけれども、市町村の職員が全体としても、農業委員を支えるわけですけれども、減少しています。特に減少が著しいのが農林水産の部局の職員、三万五千人余りいた平成十九年度から比べれば、十年の間に三万人余りに減少しました。その分、農業委員の肩に、新しく努力義務も含めて、いろいろな負担がのしかかっています。特に中山間地域の自治体職員の数、本当に少ないですから、農地の広さを考えれば、その負担はなおさらだというふうに思います。
大臣、このあたり、改めて御所感、お願いします。
○大澤政府参考人 所有者不明農地など個別のものもありましたので、まず私の方からお答えさせていただきます。
所有者不明農地につきましては、御指摘のとおり、農業委員会に重要な役割を与えて、法改正の措置をさせていただいたところでございますけれども、その前と比べますと、特に所有者の探索に必要とする作業は格段に簡素化されたというふうに考えております。
改正前は、共有者の半分がわかっていれば、農地ベースで過半がわかっていれば利用権を設定するということができたわけですが、その期間は五年でありまして、過半を見るためには全体が何人かを見なければいけませんので、その全体を把握するのが大変だったということでございます。
今回は、共有者の一人でも、先ほどの九十三万ヘクタールの中の、本当に遊休農地化しているのは五万ヘクタールちょっとだということがありますが、残りの八十八万ヘクタールについては誰かが耕作をされている。その方のほとんどは、共有権を持っているけれども、ほかの共有権者が何代かさかのぼるとわからない、こういう方については、もう調べなくてもよくしております。登記簿上の名義者とその子供まで調べればいいということにしておりますので、そういう形で、我々としても、農業委員の作業の軽減には努めているところでございます。
加えまして、今回の人・農地プランなり所有者不明、こういうことの作業を的確に行うために、事務局についての支援についても今回少し拡充をいたしておりまして、少しずつ、地道な努力ではございますけれども、我々としては、やはり農業委員会の方々がストレスなく働いていただくように、必要な支援は行っていきたいというふうに考えている所存でございます。
○吉川国務大臣 今、大澤経営局長からもお答えをさせていただきましたが、緑川委員御指摘のとおり、農業委員の、所有者不明農地等々につきましても、地域で大変な御活躍をいただいていることは承知をいたしております。
そのために、今回の法改正におきましても、今も申し上げましたけれども、必要な経費をしっかりと、アルバイト活用も含めて支援をするということもやっていきたいと思いますし、今回の位置づけの明確化や支援措置の充実を通じまして、更に農業委員会が役割をしっかりと果たしていけるように、私どももサポートもしてまいりたいと思います。
○緑川委員 ただ、現場の負担というものが、法の係る手続が簡素化されているところはあるというのはあるんですが、実際に足を運ぶのは農業委員ですから、こうした現場の努力、苦労というものをぜひ実感をいただいて法改正の議論をしていただきたいというふうに思います。
市町村が、今回の新たな農業委員の協力義務の際に、やはり、情報の共有、地域での話合いの情報提供、どのような情報が内側で共有をするべきで、平場に対してどういう情報を提供していくべきかという、この区別はしっかりしなければならないというふうに考えています。
市町村が、農地に関する地図を活用しながら、不明農地含め土地の探索、それを農業委員会の皆さんとしっかりとやっていくということは引き続きやりながら、その情報を活用していくというのが今回の地域の中での話合いに生かされるものだというふうに思いますが、ここで、情報共有しているものを話合いの場に提供していくことが不可欠になる中で、情報の質をやはり高めていかなければならないですね。つまり、細かい情報を地域の中に持ち寄って皆さんにわかってもらわないといけない。でも、その中では、知らない方がいいという情報、特に重要な、プライバシーを含めた個人情報、こういうものの取扱いをどういうふうに、地域に持ち出すべき情報と、そうじゃない、内側で秘めておくべき情報をどのように区別されるんでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
まず、今回の協議の場の実質化の関係で、「地図を活用して、」というときの「地図」でございますけれども、これにつきましては、市町村が、いわゆる農地ナビでございますが、農業委員会関係の農地情報公開システム、あるいは土地改良関係の水土里情報システム、あるいは市町村、農業委員会、農協が持っている独自のシステム、こういうものがそれぞれの地域によっていろいろございます。こういう地図をベースにいたしまして、加えて、市町村などが、今回は予算でも措置しておりますけれども、アンケート調査によって把握した農業者の年齢別構成、後継者の確保状況、こういうことをいろいろな形で落とし込んでいく、これは一つの理想型でございます。
ただし、その際に、やはり、市町村につきましては各市町村で個人情報保護条例をつくっておりますので、この遵守ということが大事でございます。
具体的には、アンケートの際に、どこまでの情報を出していくのかということをあらかじめ同意をとるとか、それから、情報を出すに際しても、原則として、特定の個人が識別されるような情報を提供するには本人の同意を得るということでございます。同意が得られない場合でもやはりいろいろな方法があると思っておりまして、個人の名前は出さないけれども、地域全体で何歳から何歳までの人が何人とか、そういう年齢別構成を示す、あるいは後継者の確保状況は割合で示すなど、さまざまなやり方があると思っておりますので、それはきめ細かく指導してまいりたいというふうに考えてございます。
○緑川委員 農地の最適化というふうに言う前に、やはり、地域での話合い、この中で、出すべき情報、また、後から問題になるケースが出てこないように、しっかりと情報を選別しておく、このことが重要であるというふうに思います。
その後にようやく農地利用の最適化の議論に入るわけですけれども、そのサポート、相談体制というものは、今、人への対応というのはお話をいたしました。また、それをクリアした後にようやく農地の集積、集約というふうな議論になると思いますが、これはやはり、国の想定よりはこの集約化状況、集積状況というものはおくれている。それを受けての、今のJAなどが行ってきた円滑化事業を農地バンクに一元化するなどして一層この集積、集約というものを加速させるということを目指していると思います。
例えば、ここでJAの問題なんですけれども、農地の配分計画については、これは市町村が指定するJAが策定できるということになっていますが、逆に、円滑化事業によってなかなか成果を上げることができなかった、そういうJAもあるわけですね。農地集積が果たされている県、地域差があるわけです。集積の実績を上げてきたJAというのは引き続きこの事業にかかわれる、実質そういうことになると思います。
一方で、これまでの実績を持たないJA、規模の違いは確かにありますけれども、円滑化事業を更に細かく地区ごとに見れば、農地の利用調整に力を発揮してきたJA、細かく見ればあるわけです。そういうJAも結局かかわれないというふうなことになってしまうと思いますけれども、これは明確にJAの役割というのを実績にかかわらず位置づけるべきだというふうに思いますけれども、このあたりはいかがでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
今回の改正案をつくるに際しましては、全中、中央団体のみならず、各単協まで足を運びまして、さまざまな意見交換を行いまして案を考えてきたところでございます。
このJAにつきまして申しますと、約九割につきましては農地バンクへの移行が進んでいるということは、これはやはり、各JAの判断ということもあろうと思いますし、かつて農地専門の職員がいらっしゃったのが、この引退を機に農地バンクに移行しよう、そういうようなさまざまな動きがあった結果だというふうに認識しております。そういう意味で、我々としては、そういう各地域のJAさんの判断がある中で、全て同じような位置づけをするというのは現実になかなか合わないのではないかというふうに考えた次第でございます。
他方で、ブロックローテーション、新規就農の促進など特色のある取組を行っているところ、ここについてはそれこそ統合一体化という形で考えているわけでございます。
そうはいいましても、現実問題として、そういう農地の権利関係の調整まではやっていないけれども、JAから委託を受けるなどして農地の窓口機能を担っているというところは、全国の円滑化団体の少なくとも六割はもうそういう窓口機能を持って、具体的な委託契約を持っておりますし、そうでなくても、そういう契約という形でなくても、さまざまな形で協力しているものを含めれば、ほぼ全ての円滑化団体がそういう役割を担っているわけでございます。
そういうところにつきましても、更に業務委託を受けて窓口や相談業務を行うということに位置づけることとするとか、あるいは、組織としてはなかなかそういう役割を担えないけれども、営農指導員さんの中で特にそういうところがお得意な方がいらっしゃる場合には、地域の話合いの中にコーディネーターとして入っていただく、そういうような多様な役割を我々はJAには期待しているところでございまして、余り一律に位置づけるということまでは考えておりませんけれども、その役割の、実際に果たしている活動に応じてそれぞれの枠組みを用意していくことを考えているつもりでございます。
○緑川委員 やはり、JAが管轄する地域の中で、それを更に細かく見れば、JAさんに今まで頼ってきたんだ、農地の利用や、また相談、調整役についてはやはりJAなんだという認識が濃い地域というのがあるわけですね。これは円滑事業団体の区分よりも更に細かく見ないといけないところというのはあると思うんですね。法律の明記についても、やはりそれに配慮をした、明確に、一律同じにせいとは私も言っていないです、でも、JAの存在意義というものを少しでも反映させるような明記であるべきであるなというふうに思っております。
この円滑化事業の農地バンクとの一元化とあわせて、農地を借り入れるのと貸し出す計画を今回一体的に策定できる見直しも行われるわけですけれども、確かに、市町村が農地利用の集積計画、また機構が受け手の公募を経て農用地の利用配分計画を別々につくっていたということがありましたが、これが一元化されます。三カ月から四カ月かかっているような事務の手続が改善されるということになりますけれども、これは逆に、逆にというか、一方で、誰に貸すかが不明のような状況というのは、管理機構でずっとこれまでもございました。
今回の見直しの中でも、自分の所有する農地が農地バンクによって一体誰に貸し出されるのかわからない場合があります。そうしたケースはどのように改善されるんでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
まず、御指摘にもございましたが、今まで、この農地バンクを通じた農地の貸し借りについては二つの計画をつくらなければいけないということがあって、それが結局、二つ計画が、段階が分かれているので、最終的に、農地バンクに貸すのはいいけれども、その先どうなるかわからないというような不安が農業者の方にあったことは事実だと私も認識してございます。
今回、二つの計画を一つにすることによりまして、それはもう農地バンクが貸す先まではっきりした上で、それで一つの計画にするわけですから、その方式をとるものにつきましては、かなりそういうような不安が除去されるものと考えております。
ただ、他方で、配分計画のみのものも依然残ります。その際にはどうなるかわからないというような不安が引き続きあるという声も、関係者との意見交換をさせていただく中で我々も聞いたところでございます。その不安の大もととなるのは、農地バンク十八条七項ということで、農地バンクが貸し先を決められるという規定があるわけでございます。
我々としては、その条項の本来活用すべきところというのは、地域で例えば合意内容がしっかり決まっていて、将来まで決まっていて、将来はこの方に貸していこうねというふうな雰囲気だったのが、例えば相続があったとかそういうことで、所有者が地域とは違う考えをまた急に持つに至って地域全体が困ってしまったとか、そういう場合には、やはり、農地バンクに中間保有させておくことの一つのメリットとして、そこで農地バンクが、いや、そうじゃなくて、ここはこういう経緯があったので、やはりここはもう地域全体の総意としてここに貸したいんだというような場合もあろうかと思います。
そういう意味で、必要な場合はあると思うんですけれども、何でもかんでも農地バンクが自由に貸し先を決められるというのは、これは現実にも合いませんし、そういう運用もしていないわけですので、これにつきましては、今回の、昨年末の活力創造プランの中でも、農地バンクがこの十八条七項を使う場合を運用上明確にするという改善もいたすことといたしております。
それらの措置をあわせまして、先ほどのような農業者の不安は相当程度解消されると思っておりますし、そのように指導してまいりたいというふうに考えてございます。
○緑川委員 やはり不安視しているのは、地域での話合いを経たという形がどのぐらいのものなのかというところというのが、すごく私はポイントになってくるんじゃないかと思うんですね。
話がついたという形にはなっているけれども、実は利害関係者の一人だったその人にとってはあずかり知らないような人や企業が入ってきた。ブロックローテーションでやってきたような、大切に管理してきた部分が壊されるんじゃないか。大豆の栽培をずっとやってきたのに、なぜか管理の方法が、あり方が変わってしまうことになっていた。そういうことは聞いていないよという地域の関係者が出てこないように、まず、どのぐらいの範囲でこの集まり、地域の農業者等の協議の場というのをつくっていくのかというのがやはり私はすごくポイントだというふうに思っておりますけれども、このあたり、いかがでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
例として挙げて……(緑川委員「短目に」と呼ぶ)はい。例として挙げていただいたような、地域でブロックローテーションをしっかり組んでいるようなところでは、そのブロックローテーションの範囲が地域の話合いの範囲として最も適当であるというふうに考えてございます。
○緑川委員 この五年ごとの見直しででも、白紙委任と言われる、機構に貸したはいいけれども、実際の受け手というのがどういう人なんだという不安は、結局、きょうの議論でもなかなか全てを拭うことはできない、そういう状況であるというふうに思います。
これから農地の集積、集約化をふやしていく過程で、特定の担い手について、地域の話合いを経ても、これは初めは期待は大いにありますよ、受けてほしいという思いは地域にあるでしょう、耕作放棄地もふえている中で。こんなはずではという一方で、後になって問題になるケース。特に、今、捨てづくりという問題もあります。農業の振興を結局旨としない、地域でのトラブル。結局、交付金目当てでアリバイ工作をするような、そういう事例が、今後やはりこの集積、集約化というのがふえていく過程の中でふえる懸念があると思うんですけれども、この御認識、いかがでしょうか。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
今の御指摘いただいた問題は、ひとり農地バンクだけの問題ではなくて、農政全体の問題だというふうに思っております。
我々としては、各地域で真剣な話合いを行って、捨てづくりというよりも、地域農業の未来を開くような合意をとった上で、それを誰に担っていただくのかと。今回の五年後見直しの内容がそういうような地域での話合いの活発化につながるように努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○緑川委員 終わりにいたしますけれども、結局、捨てづくりじゃなくても、借りたはいいけれども、その受け手が、この土地、何かだめだった、つくれなかったといって解約した事例も聞いております。青森県でそうした事例があったというふうに聞いております。
やはり、地域の農業に多分に影響を与える農地の変動ですから、その改正ですから、さまざまなケースを想定して、しっかり今後の状況を注視していただいて、対策の網目を密にしていくことを強く求めて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、森夏枝君。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
先週に引き続き、質問の時間をいただきましてありがとうございます。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
少子高齢化が進み、担い手不足も深刻になってきている今、耕作放棄地も四十年前に比べると三倍になっていると聞きました。今回の見直しによって、農地の集約化が進み、農家のコスト低減や所得向上につながればと思っております。
先週も質問させていただきましたが、地域の話合いを再活性化したり、農地バンクの手続の簡素化等、さまざまな見直しをされると思いますが、二〇二三年の八割集積目標を達成するというのは簡単なことではないと思います。現場の声を大事に進めていただきたいと思います。
まず初めに、新規就農希望者と実際の新規就農者数について伺います。
農業の担い手が不足している中、新規就農を希望する方々がいらっしゃるのであれば、ぜひ就農していただきたいと思います。新規就農には高いハードルがあるとよく聞きますが、新規就農を希望している方々が農業を始められる環境をぜひ国としてもしっかり支援をしていただきたいと思います。
そこで、伺います。
近年、新規就農希望者はどのぐらいいるのでしょうか。そして、希望者のうち、どのぐらいの方が実際に就農されるのか、実際の新規就農者数も教えてください。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
就農希望者数につきましては、これは全国的な調査というよりも、一つの数字というふうに見ていただきたいと思いますが、各都道府県などに設置している就農相談窓口というのがございます。この就農相談窓口における平成二十九年度の相談件数は約一万五千八百件でございます。これらは、農家の子弟の方の相談というよりも、主に農外からの参入者あるいは雇用就農者の候補者の相談ではないかと思っております。それが一万五千八百件。
それから、農林水産省新規就農者調査というのを行っておりまして、これでは実際の新規就農者がわかります。これが平成二十九年の新規就農者数は約五万五千七百人、そのうち、新規参入者、農外からの参入者が三千六百人、新規雇用就農者は約一万五百人、新規自営農業就農者は約四万一千五百人となっております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
今データをお答えいただきましたが、私は実際にもっと多くの新規就農希望者がいるのではないかと思っております。ぜひ、希望される方が農業を始められるように、国としてもサポートをお願いしたいと思います。まだまだ新規就農者に対しては厳しい規制がたくさんありますので、今後もさらなる見直しをお願いしたいと思います。
次に、新規就農者の定着状況について伺います。
新規就農者の方々には農業を続けてもらうことが大事です。新規就農者の定着状況について教えてください。また、離農した方の主な理由についてもお願いします。
○大澤政府参考人 お答えします。
これも全体の定着状況に関するデータというのはございませんけれども、農林省の補助事業、例えば、経営開始直後の青年就農者を支援する農業次世代人材投資事業を、平成二十四年度から累次活用していますが、活用された四千六百四十四人について調べてみますと、平成二十九年十月時点で引き続き農業に定着されているのは約九六%となっております。
一方で、このうち定着せずに離農された方が約四%いらっしゃいますが、その主な理由は、経営の不振、家庭の事情、病気、けが等となっております。
以上でございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
定着率は高いと思いますけれども、離農された方もいらっしゃるので、今後もしっかりとサポートをして、新たに農業につこうと思われた方はできるだけ続けていただけるように、国として支援をしていただきたいと思います。
やはり、新規就農を続けてもらうというのには収入が安定するということが大切だと思います。今後も、農水省としても、離農された方の理由もしっかり把握をされて、しっかりサポートをしていただきたいと思います。農業を続けられるように指導、サポートをお願いいたします。また、販路の拡大のサポートであったり、収益の上がる、より品質のよいものができるような指導等も、所得向上につながる支援も積極的にお願いしたいと思います。
次に、都市部から農山漁村への移住希望者について伺います。
都市部から農山漁村、過疎地域への移住を希望される方が少なくないとお聞きをしました。都会の方々は、自然に囲まれて、緑に囲まれて、農業をしながら自分でつくったものを食べて暮らすという、そんな暮らしに憧れを持っていらっしゃる方が多いようです。都市部から農山漁村への移住希望者について教えてください。
○室本政府参考人 都市部から農山漁村への移住希望者数でございますが、農水省としましてこの種のデータは残念ながら持ち合わせていないということでございます。
お問い合わせいただきましたので、ちょっと調べてみましたが、地方移住を希望する都市住民と全国の地方自治体とのマッチングを行う認定NPO法人ふるさと回帰支援センターというのがございまして、その東京事務所が公表しているデータがございます。それによれば、二〇一八年の地方への移住の相談件数、四万一千五百十八件ということになっております。このうち、面談、セミナーへの参加者、これが二万九千八百四十九件、電話等での問合せが一万一千六百六十九件となっておりまして、特に、公表されているデータからすれば、二〇一五年から急激にふえているという傾向がうかがえますし、また、四十歳代以下が全体の七割を占めているというふうなデータになっております。
こうした状況からすれば、地方への移住に対して何らかの関心を持っている方々はかなりの数に及ぶのではないかというふうに推測されます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
ちょっと正確なデータというのはなかなかないと思うんですけれども、都市部から農山漁村へ移住を希望している方というのはいらっしゃって、また、ただ移住するだけではなくて、農業をやってみたいという声があるというのも事実でございます。農山漁村での少子高齢化、過疎化というのは大変深刻で、希望者がいるのであれば、移住してもらい、農業の担い手となってもらう、そして生活をして住み続けてもらう、そして子育てをしてもらう、そして農山漁村を支える次の世代を皆で育てていくということができればと思います。
そう簡単にいくものではないと思いますけれども、今回の農地バンクの見直しも行われるとのことですので、更に現場の声をしっかり聞いて、今回の見直しで終わりということではなくて、更に改善していけるよう、地域の実情に合った見直しを定期的に行ってほしいと思っております。
また、この農地バンク事業に携わっている方に状況を伺うと、農地バンク制度に登録されている方はインターネットを見る環境があるけれども、そうでない方々はほとんど情報を得ていないともおっしゃっておりました。情報提供の仕方も今後の課題の一つかと思います。
今回私が伺った地域では、農業従事者数から見ても、農地面積から見ても、農地バンク利用者の割合が限りなくゼロに近い地域でした。農地バンクを使ってうまくいったものが全体の〇・何%という地域ですが、その〇・何%のうまくいったところも条件のいいところだけという状況です。条件不利地域に関しては、話合いだけではうまくいかない、手続の簡素化をしてもうまくいかない地域もあると思います。今回の手続の簡素化や話合いの再活性化は集約化加速のために必要だとは思っておりますけれども、現場の声をしっかり聞いて、更に地域の実情に合った抜本的な見直しが必要かと思います。
都市部から農山漁村への移住希望者については、先ほどお伺いをしました。繰り返しになりますが、少子高齢化、過疎化が進む地域に移住希望者がいるのであれば、ぜひ移住してもらえる環境を整えるべきだと思います。
また、移住希望者が農業をしたいということで、農地つき空き家を借りたい、購入したいという方もいらっしゃいます。しかし、移住希望者が農地つき空き家を借りる又は購入するには、これもまた高いハードルがあると聞きました。どういう条件があるのでしょうか。また、利用状況についても教えてください。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
私どもとしては、かつて高いハードルがあったかもしれませんけれども、これにつきましては、国土交通省など関係省庁と連携して、農地つき空き家についても利用していただくことを促進したいと思っております。
具体的には、農地の権利取得には許可条件がございますが、その一つに下限面積というのがございます。これにつきまして、地域の実情に応じて、農業委員会の判断で、通常の面積よりも低い面積を定めることが可能となっております。空き家の活用を図る観点から、それにつきまして、空き家とあわせて取得する農地についてはまた特に引き下げるということでございますが、そういう制度を利用している市町村が、平成三十年十月現在、百五十三市町ということでございますので、高いハードルがあると思っておられるところは、もしかしたらこの百五十三以外の市町村の場合かもしれませんので、ぜひ、我々といたしましては、こういう制度を利用していただきたいと思っております。
なお、今国会に地域再生法の改正案というのを政府として提出しておりますが、この中で、農地つき空き家の取得を一層推進する観点から、今まで個々に農業委員会が判断していたというところを、今度は、市町村が農業委員会の同意のもとで計画をつくった場合には、それだけで農地取得の別段の面積が設定されたとみなすという、ワンストップの仕組みも措置することといたしております。
加えて、国土交通省さんの方では住宅取得支援策というのも講じておりますので、これを、我々の新規就農のいろいろなパンフレット等においても国土交通省の政策も紹介することによって、新規就農者の住宅の確保、これに資してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
私がお聞きしたところが高いハードルがあるところだったのだと思いますが、今後も、この農地つき空き家が、多くの方に移住してもらえるように、借りていただけるように、また購入もしていただけるように、国交省とも連携をして進めていっていただきたいと思います。
現場の声を聞いておりますと、やはり、貸したい方、借りたい方の条件が合っていないなというのが、そういう声ばかりが聞こえてまいります。うまくいっていますというのはなかなか声として上がってこないのだと思いますけれども、実際にそういう現場の声がありますので、少しでも改善できる部分は今後改善していただけたらと思います。
次に、人・農地プランについて伺います。
人・農地プランは、少子高齢化が進み、日本の農業が厳しい状況に直面している中で、持続可能な力強い農業を実現するため、基本となる人と農地の問題を一体的に解決するため、それぞれの地域において話合いを行い、地域が抱える人と農地の問題を解決するための未来の設計図として作成されるものと理解をしております。
繰り返しになりますが、話合い、そしてそれぞれの地域の実情に合ったプランの作成が必要だと思います。人・農地プランの作成状況と、作成した場合の効果、実績について教えてください。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
人・農地プラン作成状況につきましては、現在、千五百八十七市町村、全体の市町村の九割以上の市町村におきまして約一万五千のプランが作成されております。ただ、その中身を見ますと、出し手が全く記載されていないものが半分ということでございまして、我々としては、大体、概数でいきまして、地域の真剣な話合いに基づいたプランが作成されているなと思われるような地区は全体の三割ぐらいかなというふうに思っております。
作成した場合の効果ということでございますけれども、地域で農地の将来方向について合意ができるということが一番の効果だと思っておりますが、実際そこまでいっているのは先ほどお話ししたとおり三割ぐらいかもしれないということでございまして、この数字をどんどん上げていくということを今回の人・農地プランの実質化の中で推進してまいりたいというふうに考えてございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
正直にお答えいただいたといいますか、実際には三割程度ではないかというお話だったので、今後も、この人・農地プランが実効性のあるものとなりますように、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
各地で人・農地プラン座談会、説明会等を開催されていると思います。繰り返しになりますが、地域の方々の声を聞くことが大事だと思いますので、今後も、座談会のようなものは、開催は積極的にお願いしたいと思います。先ほども申しましたけれども、インターネットで情報をとれない方もいらっしゃいますので、丁寧な説明、情報提供をお願いしたいと思います。
人・農地プラン座談会を開催した際によく出る現場の意見について教えてください。
○大澤政府参考人 これこそ地域の熟度によってさまざまでございますが、うまくいったような事例について幾つかパターンとしてお話をいたしますと、まず、いろいろなきっかけがあろうかと思います。
基盤整備を行うことがきっかけになるというのが一番多いんですけれども、基盤整備を行う前に、ポンプが壊れているとか、そういうような身近な問題を、やはり、地元の取りまとめ役のような方々が、あるいはそういう関係機関の方々が真摯に問題提起をしていただきまして、それで地域の座談会が始まってくる。そうすると、いろいろな意見が出ますけれども、やはり最終的には、この壊れたポンプをどうしようとか、そういうところで、何か直さなきゃいけない、せっかくこういうふうに事業をやるんだったらちゃんと担い手は集めなきゃいけないとか、そういうふうな形で話合いが発展していくというのがいいパターンではないかなというふうに思っております。
その他さまざまな意見がございますが、典型的な例についてお話しした次第でございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
いい例というか、お話しいただきましたけれども、何か、座談会の中でもめたりとか、そういったようなことというのはあるのでしょうか。
○大澤政府参考人 やはり、実際にお金が絡んできますと、どうしても総論賛成、各論反対ということはよくあるということでございますが、そのときにはやはり、地域の取りまとめ役といいますか、この人の言うことなら聞くというような方が、ずっと黙っているけれども、最後に、やはりこれはやらなければいけないと言うことでまとまったというような例もございます。
それから、やはり、先ほどからお話ししている中で、高齢化が進んでまいりますと、余り、話合いもだんだんだんだん形式的なものというか日常行事的なもののみに限られてくるというような例の中で、市町村等々が危機意識を持ちましてアンケートをして、アンケートの結果をお見せするということによって議論が進んできたということもございます。本当にさまざまでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
地域によってさまざまだと思います。ありがとうございます。
水田地域や、また中山間地域などの条件によっても、また地域性によってもかなり差があると思います。今回の見直しのように、手続を簡素化してほしいという声があれば手続を簡素化する、そういった見直しは大切だと思います。
また、そういった声がある中で、手続を簡素化して、また農業委員や農地利用最適化推進委員さんたちに話合いに参画してもらい、地域の話合いを再活性化するとのことですが、これらの見直しをして、また取組をしても集積化が、集約化が進まなかった場合には、さらなる見直しがまた必要であると思います。
また、地域によっては集約化を望んでいない方もいると思います。何も困っていない、現状でいいという方も多いのだと思います。私も、農林水産委員会の委員の一人として、もっともっと現場の声を聞かなければと思っているところでございます。
農地バンク、五年後の見直しも必要ですが、一年一年見直していく、現場の声をどんどん拾って、よりよいものに変えていく、日本の農業の未来を考えて改革を進めていっていただきたいと思います。
次に、集約化によるコスト低減効果について伺います。
これも繰り返しになりますけれども、集約化をして、農家の方々のコスト低減、負担軽減、そして所得向上につながればと思っております。農地の集約化によってどの程度コスト低減の効果があるのでしょうか。実例を挙げて教えてください。
○大澤政府参考人 お答えいたします。
二つ例をお話しいたします。
まず、秋田県秋田市におきましては、農地バンクを活用しまして、地域の農地の九割に当たる九十六ヘクタールを一つの法人に集積、集約化いたしました。加えて、基盤整備を推進いたしました。それによりまして、耕起や刈取りの作業経費は七割削減された、こういう事例が一つございます。
それから、二つ目は、私も直接お伺いしましたが、佐賀県嬉野市におきまして、農地バンクを活用して集落営農を法人化いたしました。それによりまして、米、麦、大豆などのブロックローテーションを導入いたしまして作業の効率化を図り、なお、作業時間が約三〇%減少ということで、その時間を利用しまして加工用キャベツなどを新規に導入するということによりまして、所得が二四%増加した事例もございます。
ちなみに、この加工用キャベツは主に女性の方が担っておりまして、この機構の集積協力金により機械等を整備されたところで時間が浮いたものを、それが、女性の方々が野菜をつくるようになって、女性の方々も元気になったという例でございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
また、集約化によるコスト低減についても、また地域差があるものだと思います。集約化の難しい地域、コスト低減につながらない地域もあると思いますので、これらの地域をどのようにするか、今後もしっかり対策を講じていただきたいと思います。
やはり現場の声が大事で、一定のルールは必要ですが、全国全て同じ基準では進みません。地域の実情に合った集積化、農地バンクの利用方法を進めていっていただきたいと思います。
農地バンクが必要ないのではとの声も上がっているのも事実ですし、私自身も聞きました。ですが、必要ないと言われることのないように、なぜそのような声が上がるのか、そういった現場の声もしっかり聞いていただいて、進めていただきたいと思います。
次に、出し手、受け手のマッチングについて伺います。
出し手側は、どこの誰だかわからない人に貸すことを不安に思っておりますし、十年という貸出期間は長過ぎると感じています。しかし、受け手側は、三年や五年では短い、特に、新規就農者が農業にチャレンジするときに、三年や五年で結果を出すのは難しいとの声があります。この時点でミスマッチが起きております。
十年の農地バンクの貸出期間は長過ぎて借り手がつかないということで、地方自治体によっては、三年で農地バンクの募集をしているところもございますが、それでも全くマッチングがうまくいっていないと聞きました。本当にこの出し手、受け手のマッチングは難しいと思いますが、これまでの取組と今後の取組について教えてください。
○大澤政府参考人 やはりこれも本日の重要なテーマの一つだと認識しておりますけれども、農地バンクの活動と地域ベースでの活動、これのミスマッチといいますか、そこが問題の一つの原因ではないかなというふうに思っております。
やはり人・農地プランが、法律制定当初から本委員会の修正によりまして位置づけていただいたわけでございますけれども、そこがなかなか、形式的なプランがかなりあるということで、地域での合意がない中で農地バンクに単品で、単品でと言うと変なのかもしれませんけれども、農地の出し手の方がまず個々ばらばらに農地を出してきても、なかなか担い手の方々とマッチングするのは現実的には難しいところではないかと思っております。
今回の見直しにおきましては、やはり人・農地プランを真に話合いに基づくものにするということで、農地の出し手の方々も、ある程度計画的に、地域全体で最終的にこうなるんだというような姿を少しでも思っていただきながら見通しをつけることによりまして、担い手の方々もある程度見通しがついた形で農地を借りることができるようにする、こういう仲立ちを我々もやってまいりたいというふうに考えてございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
時間が参りましたので終わりますが、農家の所得向上につながるよう、今後ともしっかり取り組んでいただきたいと思います。
ありがとうございました。
○武藤委員長 次回は、明十八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三分散会