衆議院

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第9号 令和元年5月8日(水曜日)

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令和元年五月八日(水曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 武藤 容治君

   理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君

   理事 齋藤  健君 理事 野中  厚君

   理事 細田 健一君 理事 亀井亜紀子君

   理事 近藤 和也君 理事 稲津  久君

      池田 道孝君    石崎  徹君

      泉田 裕彦君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    上杉謙太郎君

      大野敬太郎君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    木原  稔君

      木村 次郎君    小寺 裕雄君

      高村 正大君    斎藤 洋明君

      坂本 哲志君    杉田 水脈君

      西田 昭二君    福山  守君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      穂坂  泰君    宮路 拓馬君

      山本  拓君    石川 香織君

      大串 博志君    金子 恵美君

      神谷  裕君    佐々木隆博君

      長谷川嘉一君    堀越 啓仁君

      青山 大人君    関 健一郎君

      緑川 貴士君    濱村  進君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       吉川 貴盛君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   農林水産副大臣      小里 泰弘君

   外務大臣政務官      鈴木 憲和君

   外務大臣政務官      山田 賢司君

   財務大臣政務官      伊佐 進一君

   農林水産大臣政務官    濱村  進君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大角  亨君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 塚田 玉樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          大杉 武博君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            室本 隆司君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           別所 智博君

   政府参考人

   (林野庁長官)      牧元 幸司君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     杉田 水脈君

  金子 俊平君     高村 正大君

  古川  康君     石崎  徹君

  緑川 貴士君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     大野敬太郎君

  高村 正大君     金子 俊平君

  杉田 水脈君     穂坂  泰君

  青山 大人君     緑川 貴士君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     古川  康君

  穂坂  泰君     上杉謙太郎君

    ―――――――――――――

平成三十一年四月二十五日

 国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

同月二十六日

 農業者戸別所得補償制度の復活に関する請願(石川香織君紹介)(第一〇三一号)

 家族農業を守り、食料自給率の向上を目指す食料・農業政策への転換に関する請願(石川香織君紹介)(第一〇三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

武藤委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、大臣官房統計部長大杉武博君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長塩川白良君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長室本隆司君、政策統括官天羽隆君、農林水産技術会議事務局長別所智博君、林野庁長官牧元幸司君、水産庁長官長谷成人君、内閣官房内閣審議官大角亨君、外務省大臣官房審議官塚田玉樹君、大臣官房参事官安藤俊英君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明君。

斎藤(洋)委員 自由民主党の斎藤洋明です。

 令和になりましてから最初の質問の機会をいただきまして、委員長、委員各位に感謝を申し上げます。

 早速質問させていただきたいと思います。

 農林水産関係の基本施策に関する件につきまして、特に我が県新潟県、水稲、今後非常に大きな課題になっておりますので、そのことを中心に何点か質問申し上げたいと思います。

 まず一点目に、主食用米の価格安定のことです。

 価格安定するためには、主食用米の生産抑制、これは避けられない。特に我が県も非常に大きな課題になっております。特に、我が県を含めて東日本の主食用米の作付面積が大きい道県、これに主食用米の生産を抑制していただくことをしっかり定着させることが重要と考えておりますが、まず政府の見解をお伺いしたいと思います。

小里副大臣 我が国の主食用米の消費量は、毎年約十万トンが減少しているところであります。そういった状況の中で、令和元年産の作付の推進に当たりましては、主食用米の作付面積が大きい道県を中心にして、需要に応じた生産、販売を促し、米の需給及び価格の安定を図ることが重要であると認識をしているところであります。

 農水省としましては、水田フル活用におきまして重要な役割を担う農業再生協議会に対し必要な支援を行うとともに、高収益作物の拡大に対する支援や、主食用米からのさらなる転換に対応するため、いわゆる深掘り支援を追加をいたしております。

 さらに、しっかり予算を計上しながら、飼料用米を始めとする戦略作物の生産拡大を促して、水田フル活用を推進してまいりたいと思います。

 また、備蓄米等の確保等についてもしっかり努めてまいります。

 そのため、農水省の職員が、主食用米の作付面積が大きい道県を中心に、各産地に直接出向きまして、JAや生産法人等の関係者に対して需要見通しや価格動向等についての一層きめ細かな情報提供を行っているところであります。

 引き続き、農業者が安心して需要に応じた生産、販売に取り組めるよう、環境整備を図ってまいりたいと思います。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 ぜひ生産環境をしっかりつくっていただきたいと思いますし、また、農家の方々の意識の変革につきましては、我々も地元でしっかり取り組んでいかないといけないと思っています。

 昨年産、作柄が悪かったこともあって、米価が、非常に堅調であったんですけれども、やはり作付面積を拡大した県は、明らかに米価が伸びていないので、そういう数字もお示しをしながら、私もしっかり農家と対話をしていきたいと思っております。

 続きまして、条件不利地の経営環境につきましてお尋ねをしたいと思います。

 稼げる農業を実現するためには、土地改良事業、これをやっていただいて経営環境を改善することは非常に重要と考えておりますが、特に中山間地域、条件不利地です、この条件不利地こそ、圃場整備をしっかりやっていただいて経営環境を改善することが重要だと思っておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

室本政府参考人 中山間地域につきましては、傾斜地を多く抱え、圃場の大区画化や大型機械の導入、農地の集積、集約化が容易ではないということと、平地に比べ営農条件が非常に不利な条件にあるということでございます。そのような中で農業を継続していくためには、農業所得をいかに確保し、向上していくかというところが大きなポイントではないかと考えてございます。

 このためには、まさに今委員御指摘のとおり、中山間地域でこそ、営農の省力化、生産コストの削減とともに、高収益作物の導入などによる収益性の高い農業の実現に向けて、その前提となる圃場整備等の基盤整備を実施し、経営環境の改善を図ることが重要であると考えております。

 全国では、基盤整備を契機に、中山間地域において高収益農業を展開している事例が非常に数多くありまして、例えば新潟県の柏崎市におきましては、水田の汎用化などにより野菜などの高収益作物を導入し、基盤整備を契機に設立された農業生産法人が切り餅や米粉クレープの販売などの六次産業化の取組を進めるなど、稼げる農業を実現している事例がございます。

 農水省としましては、引き続き、全国各地でこうした取組が展開されるよう、中山間地域の条件不利性を踏まえた補助率のかさ上げや面積要件の緩和などの措置を通じて、中山間地域における圃場整備等の基盤整備を積極的に推進してまいりたい、このように考えてございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 私の地元でも、中山間地域、条件不利地で、田んぼの面積が一反とか一反五畝というようなところが、圃場整備することによって面積が広がって選択肢がふえたということで、また、汎用化もしていただいて、いろいろ前向きな取組が出てきています。

 私自身もちょっと固定観念があったのは、中山間地域は条件不利地なので、単収が少ないので、どうしても単価の高い主食用米をつくらせてほしいという声が以前は強かったんですが、圃場整備を進めていただくと、いや、いろいろな作物をつくらないとだめだという意識が非常に広まっていて、若手の農家も非常にふえていますし、また、ある地域では圃場整備後初めてつくった米をいただいたんですが、それが主食用米の銘柄ではなくて、多収品種のお米をいただいたということもあって、非常にうれしかったことがあります。

 ぜひ、中山間地域の圃場整備をしっかり応援していただきたいと思っております。

 三番目に、農業、農政、今いろいろな課題がありますけれども、農家自身も意識改革を今自分たちでもちろんしていますし、あと、応援する組織も必要だという状況が見られると思っています。

 それで、例えば多面的機能支払いの組織ですとか、あるいは土地改良区も、大きな工事が終わった後で比較的多くの正規職員がいるにもかかわらず、今、メーンの仕事が維持管理になっているという土地改良区もあれば、これから大規模な圃場整備をやらなきゃいけないのに正規職員が三人しかいないとか、そういうでこぼこが非常に見られます、土地改良区一つとっても。

 ですので、今お話ししたような土地改良区ですとか多面的機能支払いの組織をもっと拡大して、力を強くして、この農政の転換期に農家との関係を強化していっていただきたいと思っているんですが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

室本政府参考人 まず、土地改良区についてでございますけれども、土地改良区というのは、土地改良事業の施行や農業用排水施設の維持管理を通じまして、良好な営農環境の確保に重要な役割を果たしてきたところでございます。

 この土地改良区の業務運営体制の強化を図るため、昨年六月に土地改良法を改正しまして、その中で、組合員でない貸借地の所有者又は耕作者が土地改良区に加入できるようにする准組合員制度、こういった土地改良区の組合員に関する措置のほか、総代会制度の見直し、財務会計の適正化など、土地改良区の業務体制に関する措置を講じることとし、ことしの四月一日からこの改正法が施行されたところでございます。

 また、土地改良区体制強化整備事業などによりまして、土地改良区の合併、施設管理、財産管理に関する技術指導や研修など、土地改良区の業務運営体制の強化のための支援を行ってきておりますが、これを引き続き継続してまいりたいと考えてございます。

 一方、多面的機能支払いの活動組織でございますが、この組織は、農地、水路、農道、こういった施設の保全管理を地域で支える役割を果たしておりまして、集落間連携など、活動組織の広域化を進めるとともに、先ほど申し上げた土地改良法の改正により新たに創設されました施設管理准組合員制度、こういったものも活用しながら、地域一体となった施設の保全管理体制の強化を図ってまいりたいと考えてございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、土地改良区ですとか多面的機能支払いの組織を強くしてもらって、農業に主体的にかかわる力をふやしていっていただきたいと思っています。多面的機能支払いの組織が大きくなると、例えば水利施設の修繕をやるにしても、従来に比べて非常に大きな規模と予算でやれるようになりますので、これはぜひ、意義があると思いますので、引き続き応援していただきたいと思います。

 次に、食料自給率あるいは食料自給力のことについてお尋ねをしたいと思います。

 本来、国内で食べるものが国内の生産で全て賄われていれば、それは一つの理想かもしれませんが、現実には、さまざまな作物があることもありまして、例えば、食料自給率が高い国でも、相当数を輸出しながら、また別の作物は輸入しているということは実態として見られます。

 そこで、我が国の食料自給力を高めるためには、日本産米を、ふだんは輸出しておいて、いざというときには我が国の国民のためにも使えるということも一つの理想だと思いますが、ただ、ほかの作物と米とのまた作物の性質の違いということも一つ前提としてあると思っております。

 そこで、二点お尋ねしたいと思いますが、まず第一に、小麦と米の国際流通量の比較、それから、日本産米を輸出を拡大していくんだというときの課題、この二点について見解をお伺いしたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 小麦と米のそれぞれの国際流通量について御質問をいただきました。

 農林水産省の海外食料需給レポート、二〇一九年の三月版によりますと、小麦の国際流通量、これは輸出量の合計で約一億八千万トン、お米の方は約五千万トンというふうに承知をしてございます。

 続きまして、日本産米の輸出拡大に向けた課題と取組状況ということで御質問をいただきました。

 先生御指摘のとおり、我が国の主食用米の消費量が毎年約十万トン減少していく中で、水田をフル活用して食料の自給率、自給力の向上を図っていくためには、海外市場に積極的に進出していくことが重要だというふうに考えております。

 お米の輸出の拡大に当たりましては、海外のマーケットにおいて日本産米の品質などが認知され、その需要を拡大すること、また、海外の需要に対して日本産米を安定的に供給できる流通、販売ルートを確立すること、さらには、その流通、販売ルートに乗せるよう、価格競争力のあるお米をより低コストで生産し、供給できる産地の体制を整えることなどが課題だというふうに認識しております。

 これらに対応いたしまして、農林水産省といたしましては、一昨年の九月でございますけれども、コメ海外市場拡大戦略プロジェクトを立ち上げてございまして、輸出事業者が行うプロモーションなどへの取組の支援、さらには、輸出事業者と輸出基地とのマッチングの支援、さらに、多収品種や省力栽培技術の導入などによる生産コスト低減の推進や、内外の新市場開拓を図る米の作付への支援などにより対応しているところでございます。

 今後とも、プロジェクトに参加する輸出事業者、産地などと協力しながら、輸出を推進してまいりたいと考えております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 ぜひ輸出拡大の取組を継続していっていただきたいと思っています。

 数年前は主食用米の需要は年間約七万トン減少しているという話だったのが、いつの間にか八万トンになり、それが十万トンということで、状況は極めて厳しいと認識しております。ぜひ、輸出の促進、引き続き努力をしていただきたいと思います。

 価格競争力について触れていただきましたが、私はこれについて一つ考えがありまして、それは、欧米のような農家への所得補償がなぜできないのかと農家と議論するときに、私の方からお話をするのが、欧米の主要な作物である小麦は、国際流通量が非常に多くて輸出ができるということと、それから、輸出するために余り価格の高いものは生産できないということがあると思っています。

 ですので、今の状況を前提とすれば、私は、日本に農家向け所得補償を実現する環境ではないと思っておりますが、いずれ、日本の米が価格競争力を持つということは、米価は下がるということですから、そのように生産環境が大きく変わったときに初めて議論ができるのではないかと思っておりますので、ちょっとその点、触れさせていただきます。

 次に、農業用水の関連でお尋ねをしたいと思います。

 我が県は、昨年、渇水あるいは高温障害、こういった問題がありまして、非常に作柄が悪かったということがありました。農家の方々と意見交換しておりますと、かつてと水の使用時期のピークが後ろにずれているという指摘があります。

 このような状況で、各土地改良団体におかれまして、河川管理者との必要に応じて協議をしていただいて、農業用水を使用できる時期のピークを少し後ろに動かしていただきたいと思うんですが、これは技術的には、国としてはどのような応援ができるんでしょうか。

室本政府参考人 御質問のあった水稲の作付時期の分散化とか地域の営農実態の変化、こういったものによりまして用水需要やかんがい期間に変化が生じる場合があるということは承知してございます。

 このような場合には、まずは、河川法に基づく現行の水利使用規則、いわゆる水利権でございますけれども、水利権の範囲内での水利用が対応可能か検討した上で、取水量や取水期間の変更が必要な場合には、地域の水利用実態やあるいは将来の営農展開を踏まえ、用水計画を策定の上、河川管理者との協議を行い、水利権の変更の許可を得る必要があると考えております。

 水利権の変更に当たりましては、国、県、市町村が有する水利権については、これは行政機関がみずから協議を行うということで、これは問題ないわけでございますが、一方で、土地改良区が有する水利権については、これは土地改良区が基本的には主体になりますのでなかなか難しいというところはございますが、現在、用水需要に関する調査等の補助事業や用水計画の策定等に対する行政の助言ということをしっかりやっておりまして、これを適切に今後とも支援していく考えでございます。

 このため、水利権の変更が必要となった場合は、地方農政局や県の農地担当部局、こういったところに御相談していただければ、しっかりと対応できるのではないかというふうに考えてございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 そうなりました場合は、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 水稲収穫量調査で用いるふるい目のことについてお尋ねしたいと思います。

 水稲収穫量調査で用いるふるい目が今の生産現場の実態に合っていないのではないかという指摘があります。この調査に用いるふるい目の大きさ自体を農家が実際に使うふるい目の大きさに合わせるべきではないかという指摘につきまして、見解をお伺いしたいと思います。

大杉政府参考人 お答え申し上げます。

 水稲作況調査におきましては、一・七〇ミリのふるい目幅を基準に収穫量等を調査しているところでございますが、実際の生産現場では、販売戦略等の観点から、一・七〇ミリよりもふるい目幅が大きいふるいが使用されておりまして、このことにより、作況指数あるいは十アール当たり収量について、生産現場の実態との間にギャップがあるという意見があったところでございます。

 こういったことから、水稲の作柄に関する委員会での議論を経まして、平成二十七年産より、作況指数の算定に用いる十アール当たり収量と十アール当たり平年収量の基準については、農業地域別に、九割以上の農家等が実際の選別に使用しているふるい目幅ベースで計算することに変えたところでございます。

 こういう変更を行ったところでございますが、米穀の需給見通しの策定など、政策の推進に支障を来さないという観点から、収穫量、それから十アール当たり収量の基準については、従来どおり、全国統一的に飯用に供し得る玄米の品位として、一・七〇ミリのふるい目幅を基準としているところでございます。

 ただ、水稲作況調査の結果に対する関係者の理解をより一層深める観点から、都道府県別のふるい目幅別の収穫量、それから、ふるい目幅別の十アール当たり収量についてもあわせて発表するようにしているところでございます。

 今後とも、生産現場の実態に合うよう、きめ細かな情報提供に努めてまいりたいというふうに考えております。

斎藤(洋)委員 ぜひこれは検討していただきたいことがありまして、それは何かといいますと、一・七〇ミリのふるい目でやりますと、例えば、平年並みと言われるのが、新潟県ですと大体一・八五ミリなんですが、一・八五でいきますと、凶作だという年があるんですね。昨年がまさにそうだったんですが。そうしますと、農家の実感と全く違う作柄予想が夏に出て、非常に困惑をする。具体的には、もしかしたら米価形成にも影響を与えているんじゃないかという指摘もやはりありまして、必要があって数字をとるのであれば、複数の数字をとるというのはそれはそれでいいことなんですけれども、ぜひ数字の出し方ということも含めて検討していただきたいと思います。

 済みません、堆肥センターの維持修繕の応援もぜひお願いしたいと思って質問を準備しておったのですが、時間が来ましたので、ぜひよろしくお願いします。枝元局長、よろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。

武藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従って順次質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、農福連携、それから、北海道における養殖ホタテガイのへい死の問題について対策を求めていきたいと思います。

 まずは、農福連携です。

 障害を持っている方が働くことによって生きがいを創出できる、それから、人口減少や高齢化による農業の現場での働き手の確保につながる、こうしたことから、いわゆる農福連携が注目をされている。政府においては、関係の省による会議を設置をいたしまして、有識者の意見を聴取して今後の施策に反映しようということで、内閣官房長官を議長にいたしまして、農福連携等推進会議、これをスタートしたというふうに承知をしております。

 農水省においても、障害者の方々の農作業を指導する人材、これはジョブコーチというふうに言っておりますけれども、その育成に向けて研修施設を整備することといたしまして、この施設整備に二〇一九年度の予算で十億円を計上しております。また、障害を持っている方々が主体的に携わって生産された農産物であるということを認証するノウフクJAS、これをことしの三月に制定をしました。

 私は、今後、雇用の場での障害者の方々の活躍が注目をされて、そして活動が大きく展開されること、これを望んでおりますし、大変有意義なことであるというふうに思っております。

 そこで、まずお伺いしますが、障害者の方々が就農することによる、いわゆる農福連携の意義について、また、これまでの取組の状況、それから、今般設置された農福連携等推進会議の役割について、大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

吉川国務大臣 農福連携は、障害者の皆さんに農業で活躍していただいて、自信や生きがいを持って社会参画を実現していくとともに、農業の新たな働き手の確保にもつながるものと承知もいたしております。

 私自身も、実際に農福連携に取り組まれている現場を視察をさせていただきました。そこでお話を伺って、農業者、障害者、双方によい影響をもたらすウイン・ウインの取組であると強く認識もいたしたところでございます。

 こうした体験も踏まえまして、今国会の所信表明におきましては、農福連携を「今後の農業政策の中心に据えて展開すべき取組」と申し上げたところでもございます。

 今般、このような意義を持つ農福連携を更に強力に推進をしていくために、省庁横断の会議として農福連携等推進会議が設置をされました。有識者の皆様を得て、四月二十五日に第一回会合が開催をされたところでもございます。

 農林水産省といたしましては、従来より、福祉農園の整備、研修やセミナー開催に対する支援等も行ってまいりましたけれども、この会議の議論に積極的に参画をいたしまして、主導的な役割を果たしながら、農福連携を更に進めていくための方策を検討してまいりたいと存じます。

稲津委員 ありがとうございました。ぜひ進めていただきたいと思っております。

 それで、私は先日、地元北海道のJAきたそらち、ここを訪問してまいりました。実際に農福連携に取り組んでいる、その取組について視察をさせていただいたわけなんです。

 JAきたそらちについてまず簡潔に概要を申し上げたいと思うんですが、これは平成十二年の年に、深川市、それから雨竜町、北竜町、幌加内町という一市三町の八農協で合併して誕生した広域の農協でございます。北海道の中央部に位置しておりまして、水稲、それから畑作、園芸、さらに畜産と、大変幅広い農畜産物を生産する、北海道を代表するJAの一つであります。

 どこでもそうなんですけれども、このJAきたそらちも、近年、高齢化それから人口減少、農家減少、さらにもう一方では規模拡大が進んでいく中で、農業従事者が不足しているということが、これは最大の課題です。これがどんどん進んでいくことによって、さらに、その影響が出てくることによって、いわゆる将来的な遊休農地の発生についても懸念をしているという話でございました。

 こうした問題の解決の方途として、地元としてさまざま議論をしてきたことの中に、例えば、Uターンによる就農者、こうしたことを始めとした担い手の人材の発掘ですとか、それから、農繁期の労働力の不足に対応した短期雇用ですとか、具体的には人材派遣ですとか外国人の実習生の受入れとか、こうしたことを進めながらも、昨年度からは、地元深川市と共同で株式会社深川未来ファームというのを設立をいたしました。ここで、農畜産物の加工、販売を基軸にしまして、アグリサポート事業を展開する中で農福連携事業をスタートさせた、こういうことでございます。

 ここでは、就労継続支援B型の障害福祉サービス事業所から十二名ほどの方が、夏季あるいは秋季、夏、秋に一カ月又は一週間程度、キュウリの収穫ですとか集荷用の段ボールづくり、こうした作業についておられます。

 初年度を終えて、関係者から大変な好評が博されました。地元でも期待と注目が寄せられているところでありますけれども、新年度は、関係者との意見交換を重ねた結果、その中から、やはり事業の継続、あわせて新たな取組も進めていったらどうかと。もちろん、課題についてもいろいろ検討されました。

 こういう中で私は今回視察をさせていただいたんですが、このJAきたそらちと深川市からいただいた意見、要望の中で、農作業等の指導、アドバイス体制の問題ということが挙げられました。ある意味、農業という特殊なそうした技術あるいは知識が必要な作業、そこにおいては、やはり指導者の役割が重要であるということ。

 それから、障害者福祉サービスの就労継続B型ですから、ここは、事業所のいわゆる職業指導員が、これは作業する障害者の方々十人に対して一名配置ということが設置義務になっている。こうしたことから、これらの実務的な対応を今後柔軟に検討していただきたい、こういう意見が寄せられました。JAのOBですとか、経験豊富でまだまだお元気な元農業従事者の方々が指導員になるということが望ましいんですけれども、その場合は障害者福祉サービス事業所の職員になる必要があるということで、調整が求められるわけでございます。

 そこで、きょうはこの質疑に厚労省の社会・援護局の障害保健福祉部長にもお越しいただきましたので、ぜひお答えいただきたいと思いますが、今後、この農福連携を発展する上で、今私が申し上げたようなことだとか、地元でこうした要望、御意見があることを、私は必要な検討事項と考えますけれども、その考え方、所見についてお伺いしたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 農福連携は、障害者がやりがい、生きがいを持って地域で活躍していただく取組でございまして、地域共生社会の実現に向けて大変意義のあるものというふうに受けとめております。

 このため、厚労省におきましては、この取組を後押しするため、都道府県の補助事業という形で、農福連携による障害者の就労促進プロジェクトという支援を行ってきております。

 この事業におきましては、委員も御指摘のとおり、障害者就労施設等におきましてはなかなか農業に関するノウハウを有していないというふうな事情もございますので、こういった課題の解決のために、農業の専門家を派遣して、農業技術に係る指導助言ですとか、あるいは六次産業化に向けた支援、あるいは障害者就労施設と農業生産者とのマッチング支援、こういったことをやってきております。

 そのような取組を進めているわけではございますけれども、今後、農福連携を更に進めていく上で、人材の確保ということは大変重要でございまして、委員御指摘のように、地域で農業の知識等を有する人材に就労継続支援B型事業所の職業指導員などとして活躍していただくということも考えられるというふうに思いますので、どのような方法があるか、今後検討していきたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、厚労省といたしましては、引き続き、農林水産省を始めとする関係者と連携をいたしまして、農福連携の推進にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

稲津委員 大変大事な御答弁をいただいたというふうに思っています。いわゆる障害者の就労継続支援のB型における職業指導員のあり方について、また農福連携全体についても大変な、厚労省としての考え方も今お示しいただきました。ぜひ進めていただきたいと思います。

 ちなみに、障害者福祉サービスの就労継続支援B型には昨年の三月時点で約二十四万人の方々が勤めていらっしゃるということも伺っておりますし、何よりも、これから、障害を持っている方も、それから高齢者の方も、また女性も、それぞれ皆さんが、働きたい、あるいは活躍したいと思っている方々が、それに対応できる社会、地域、産業づくりというのが大変重要だと思っていますので、ぜひまた農水省とも連携を進めながら取り進めていただくことをよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 次は、養殖ホタテガイの大量へい死についてということで質問させていただきます。

 北海道には噴火湾というのがありますけれども、御存じの方もいらっしゃると思います、ここはホタテガイの一大生産地。駒ケ岳という山がありますけれども、この噴火湾に流れ込む養分を含んだ水分がホタテガイを育てるということで、大変おいしいその噴火湾のホタテガイなんです。これはいろいろな分析はあるんですけれども、この駒ケ岳の山麓のブナの木の養分が噴火湾に注ぎ込んで、それが栄養分となって、春になるとそれが見る見る大きくなるということで、大変食味のいい、そして大きなホタテガイが水揚げされるということで、これは特産になっています。

 ただ、これまで大体年間十万トン前後で推移してきたホタテガイの生産量ですけれども、二〇一六年、一七年、これは大型台風の影響で大きく減産しました。そして、二〇一八年には速報値ですけれども七・五万トンまで回復した、このように聞いております。

 しかし、昨年の夏には二〇一八年生まれ、それから二〇二〇年出荷予定の稚貝に、稚貝というのは幼い貝ですね、赤ちゃんの貝です、それから、十一月ごろから二〇一九年の出荷貝にへい死が大量に見られたということで、北海道漁連によりますと、二〇一九年の生産量二万トン程度と、随分落ち込んでしまったわけなんです。

 そういう中で、二〇一九年の出荷貝の生産というのは、北海道全体でいうと、胆振四千トン、それから渡島一万一千トン、ここが大体大宗なんですけれども、噴火湾だけで見てもこういうことで一万五千トン、二万トンと大きく割り込む、そういう見込みだというふうに聞いています。

 それから、現在耳つり作業を行っている二〇二〇年度の出荷貝の稚貝のへい死割合、これも、過去平均七%前後なのに、これは漁港ごとに差は見られるものはありますけれども、多いところでは実に三一%にも上っている。状況は非常に深刻でございます。

 また、噴火湾ではありませんけれども、私の地元の留萌管内では、ここでも地元の漁業者から近年へい死に関する情報が多く寄せられていまして、私も昨年は数度にわたって地元に参りまして、被害の実態ということを掌握をさせていただきました。

 まずは、この養殖ホタテガイの生産状況について農林水産省としてどのように把握をしているのか、伺っておきたいと思います。

長谷政府参考人 北海道の養殖ホタテにつきましては、留萌地区やオホーツク海において稚貝、子供の貝の生産、北海道噴火湾において成貝、大人の貝の養殖が行われているように、地域で役割分担をしながら行われていると承知しております。

 しかしながら、先生からも御紹介いただきましたけれども、近年、留萌地区では稚貝等のへい死が発生しているという情報が寄せられておりますほか、養殖ホタテの主要産地である北海道噴火湾では、本年漁期、十二月から翌年四月という漁期になりますけれども、この生産量が、四月十六日現在の数字でございますけれども約一万六千トンと、前年同期の約三割に大幅減産していると聞いております。

稲津委員 今、状況についての報告をしていただきましたけれども、それを受けた上で次の質問に入りたいと思います。

 現在、このへい死の要因が何なのかということについて実はまだ特定されていない、このように承知をしております。

 しかし、次のような要因が複合的に重なっているのではないか、こういう意見もあります。例えば、一つは、冬季間のしけによる養殖施設の振動、これが貝の生き残りに影響を与えているのではないか。二点目、稚貝が夏場にへい死していることが多いことから、高水温など、いわゆる海洋環境の変化があるんじゃないか。三点目、稚貝の選別時期がおくれるとへい死が高まるということがわかってきておりますことから、養殖の管理作業のおくれ。

 こんなことが言われているわけなんですけれども、こうしたへい死の要因について速やかに要因解明していくための調査研究ということが必要だと思いますが、この点についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 稲津先生から今御指摘をいただきましたように、へい死の原因につきましては、北海道によりますと、今、この原因の特定に至らず、冬季のしけとか高水温ですとか過密養殖等の複合的な原因によるものではないかとのことであります。

 本年漁期におけます減産の状況を踏まえまして、北海道は本年二月に噴火湾養殖ホタテガイへい死対策会議を設置をいたしております。へい死の原因分析ですとか抑制に向けた調査を進めながら、へい死抑制対策の樹立に向けて取り組んでいると聞いておりますので、農林水産省といたしましては、北海道の原因分析等の検討状況を踏まえながら、我が国の水産物輸出の主要品目であります養殖ホタテの生産回復が早期に図られますように、積極的な支援あるいは指導も検討してまいりたいと存じます。

稲津委員 ぜひお願いしたいと思います。

 今大臣から御答弁がありましたように、ことし二月に対策会議を設置をして、こうしたことの対応をこれから進めていくということも伺っておりますが、その上で、経営対策として、例えば漁業近代化資金の償還の延長ですとか運転資金の支援、これを独自で行うとともに、へい死の要因解明ですとか抑制を図るために、新たに、養殖管理マニュアルの策定、海水温など海洋環境の調査、これを実施するということを伺っております。

 そこで、具体的に、国ができる支援策として、例えばですよ、例えば、地元漁協等が導入する海水温など海洋観測機器の整備に対する支援、それからICT技術、近年これが進んできていますので、そうしたものによる監視映像を活用したへい死対策、低減させる海洋技術開発に対する支援、こうしたことが考えられるというふうに思っておりますが、どのような支援メニューがあるものなのか、そういったことの見解をお伺いしておきたいと思います。

長谷政府参考人 北海道は、平成二十八年の噴火湾養殖ホタテ大量へい死を受けまして、農水省の補助事業を活用した形で、ホタテ養殖管理に係る水中画像解析の技術開発を実施しているところであります。本年度中に現在の養殖環境に適合した管理マニュアルを策定することとしているとも聞いております。

 水産庁といたしましては、北海道の意見も聞きまして、管理マニュアルに基づく養殖管理の充実、普及を後押しするため、養殖漁場の環境観測施設の拡充や、管理マニュアルに適合した養殖生産の実証等について国庫補助事業の活用を検討することによりまして、適切にこのへい死対策に対応することといたしたいと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 今、一兆円の農林水産物、食料品の輸出ということを、いよいよその最終大詰め段階に来ていますけれども、大体そのうちの一割以上は実は北海道の農林水産物等なんですね。とりわけ、北海道の、その輸出する割合の中でも一番大きなウエートを占めているのが実はホタテなんですね。ですから、とても大事な問題になってくるんです。

 私も以前、いろいろな質疑の中で、例えばEU・HACCP、これは厚労省の方だけで進めていたものを農水省の方でもこれを進めることになっていただいて、これが大きな、ホタテの輸出への追い風になったんですけれども、残念ながら現場ではそういうへい死の問題がありますので、これは重要なことですから、ぜひ農水省を挙げて取り組んでいただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 令和になって初質問です。よろしくお願いいたします。

 この十連休中、私は非常にやきもきしておりました。と申しますのは、安倍総理の訪米がありまして、ワシントンで日米貿易協定の交渉がされていく中で、トランプ大統領が農業の関税撤廃を要求したですとか、五月中の合意に意欲を出したとか、そのような報道がありまして、非常にやきもきしておりました。

 まず、今回の会談について、どのような内容であったのか、交渉担当者、内閣府ですか、にお伺いいたします。

田中副大臣 今回の茂木大臣とライトハイザーとの交渉、四月に第一回目と二回目と開催したところでありますが、それは、基本的には、昨年九月の日米共同声明、ここで約束された、明記されたところの確認と、そして、これから双方がウイン・ウインの形での締結を結んでいくということで協議がスタートする、そのところ、原点が確認された、そういう状況であります。

亀井委員 今回の安倍総理の訪米に先立って、茂木大臣とライトハイザー通商代表が四月十五日、十六日にワシントンDCで会談をしております。そのときに、今おっしゃられたこと、昨年の日米共同声明に沿って日米貿易に関する協議を進めるということ、農産品、自動車を含む物品貿易の議論を開始し、また、アメリカ側からは対日貿易赤字についての議論があった、そして、早期の成果に向け、農産品、自動車を含む物品貿易の議論を加速することとし、また、デジタル貿易の取扱いについても適切な時期に議論を行うこととした、このように書かれているんです。

 ここで確認ですが、このデジタル貿易という表現は今回初めて聞きました。初めに、これは電子商取引、エレクトロニックコマースのことかなと思ったんですけれども、どうもそれよりも広い意味で使われているようです。

 TPPの方では、エレクトロニックコマース、電子商取引という章がありますけれども、今回の日米貿易協定では、確かにデジタルトレーディングという言葉が出てきています。ですので、このデジタルトレーディング、デジタル貿易というのは、電子商取引プラス国境をまたいだデータの送信等、つまりこれはサービス分野になると思うんですけれども、この全体を指しているということでよろしいでしょうか。

田中副大臣 まず、デジタル貿易の分野でありますが、これは、日米が世界の中でも進んでいる状況にあり、考え方にそごがない分野であるということで、早期に議論が進められるのではないか、こういう話があり、このデジタル貿易の取扱いについても適切な時期に議論を行っていこうとしたところであります。

 現在、Eコマースですとかデジタルデータの取引、これは指数関数的に拡大している、こういう状況にあります。デジタル貿易は、こうした取引に関係する重要なテーマと考えているところであります。

 具体的な内容についてはまだ議論はしておらず、適切な時期に議論を行うということとなっております。今委員がお話ししたTPP協定に関する十四章の部分に当たると思うのでありますが、TPPにおいて電子商取引のチャプターの中でも議論してきたもの、これが参考になる、そのように考えております。

亀井委員 前回でしたか、この委員会で、日米物品貿易協定という名前は、そのTAGというのはおかしいと、その後の英文も示して、その先がありますよね、「他の重要な分野(サービスを含む)」とあるので、これ全体を指して、要するに内容はFTAじゃないですかということを申し上げましたけれども、いや、違うんだというところで、ここはかみ合いませんでした。

 ただ、私は、これをどう呼ぼうと、もう構いません。TAGと呼びたいならどうぞと。ただ、内容的にはこれはFTAだと思います。

 事実だけ確認をいたしますが、去年の十二月の時点で、つまり十二月の二十一日ですね、アメリカ通商代表部が日本との貿易交渉に向けて二十二項目の交渉目的を発表しております。例えば、その中に物品貿易、一つ目ですね。それから衛生植物検疫措置、税関・貿易促進・原産地規則、貿易の技術的障害、物品規制慣行、透明性・公表・行政、通信・金融を含むサービス貿易、電子商取引・国境間データ流通、投資、知的財産、薬・医療機器の公正な手続、国有・国営企業、競争政策、労働、環境、反腐敗、貿易救済、政府調達、中小企業、紛争解決、一般条項、為替とありますけれども、この二十二項目が示されたというのは、報道もされておりますし、事実ですね。確認です。

田中副大臣 今、ライトハイザーがというか米側がそのように報道ベースでは言った、そういう御指摘だったと思いますが、いずれにしましても、今回の交渉で茂木大臣とライトハイザーとの間で出たものに関しては、これは、物品以外のものに関しては、デジタル貿易に関する案件というものだけであります。

亀井委員 確認です。

 その二十二項目ある中のデジタル貿易が、農産品と自動車と一緒に交渉のテーブルにのったと私は理解しているんですけれども、そもそも、二十二項目あるということはお認めいただけますか。これはホームページにも出ています。アメリカの通商代表部のホームページにも出ていますので、まず、提示されたという事実を確認させてください。

田中副大臣 これは米側が出したものでありまして、これはあくまでも、米国側が、過去のこうした通商交渉の中で定型としてあるということで出されたものと理解をしているところであります。

 いずれにいたしましても、昨年の日米の共同声明であるとおり、物品貿易協定に関しては、また、他の重要な分野で早期に結果を生じ得るものについて交渉を開始するとされたところであり、この原点に基づいて議論を進めていく。それで、物品以外で出た話の中で唯一あるのが、今、デジタル貿易であるということであります。

亀井委員 私たちは、私たちはといいますか、物品貿易協定であると本当に物品だけに限られてしまって農産物の関税を譲る一方になるでしょうから、むしろFTAで、農産物は守るかわりにここは多少譲歩するという、ほかの分野があった方が、農水の観点から考えると助かる部分もあるわけです。ですから、そういう意味でも伺っているわけなんですけれども。

 二十二項目、なかなかお認めになりませんが、ただ、アメリカでは発表されておりますので、必ずこのメニューが出てくるというふうに考えて交渉に臨むべきだと思います。

 そこで、まず質問ですが、その中でも、確かに農産物関税の撤廃については、アメリカが、TPP12から抜けた影響でただでさえ不利な状況に置かれているわけですから、何とかしたいと思うのは当然でして、今回も関税撤廃を要求してきたというのは、あちらの、アメリカの立場に立てば理解はできます。

 そこで、質問です。

 農産物の関税の先行引下げというのはやらないということでよろしいでしょうか。

 それで、先行引下げを仮にするためには、今回の貿易協定がガット二十四条の例外規定とみなされるなら可能、つまり、今回の貿易協定がFTAですということであれば農産物の関税の先行引下げというのはできるんですけれども、FTAじゃありませんというと、国際法違反の協定で関税削減は発効できないわけなんですけれども、五月中にまず合意するのかというのは、二十二項目あることを考えると、とてもとても考えられないんですが、その中で、農産物の関税の先行引下げなんていうことはないですよね。ないと言っていただきたいんですけれども、これは内閣府、加えて農水大臣にも御見解を伺います。

田中副大臣 まず、この交渉内容でありますが、それが、トランプが、五月にもと、交渉妥結という発言があったとの報道がありますが、これはあくまでも先月の、四月二十六日の日米首脳会談において、日米交渉について早期に合意を目指すということは一致したということでありますが、この交渉の協議が順調に進んでいる、そういう評価をされた上で、順調に進んでいるのであれば迅速にと、こうした期待感、これを述べたものではないかな、そのように理解をしているところであります。

 また、農産品だけが先に、先行して関税をということではない。これはやはりTAG、日米の物品貿易協定の中で、全体としてのパッケージとして締結する、こういうものと確認をしているところであります。

吉川国務大臣 ただいま内閣府の田中副大臣からお答えをされたとおりであろうと私も承知をいたしておりますが、この交渉はどこか特定の分野を先にやるわけではないと思っておりまして、パッケージで決められるものと承知もいたしております。

 交渉全体の取組方針などにつきましては、TPP等の政府対策本部にお聞きをいただければと思います。

亀井委員 前回、この委員会での質問で、長尾政務官にお出かけいただいて、TPP11のセーフガードの発動基準の見直しについて質問いたしました。つまり、どの段階でアメリカがTPPに戻らないと判断をして、TPP11の第六条に従ってセーフガードの発動基準枠の見直しの申入れをするんですかという質問をいたしました。

 そして、前回の長尾政務官の御発言では、日米共同声明で、米国との間で日米物品貿易交渉を開始することに合意をしただけでございまして、米国との具体的な交渉はこれからでございます、現時点では、個別の事項については何ら決まってございませんという御答弁があり、したがって、米国を含むTPP12協定の発効の、発生が差し迫っている場合又は効力を生じる見込みがない場合のいずれの場合にも当たらないという認識だったんですけれども、今、日米の貿易協定、交渉が順調に進んでいるのであれば、このTPP12協定の効力を生ずる見込みがない場合に当たるのではないかと私は考えるんですけれども、現時点をどう評価されますでしょうか、伺います。

田中副大臣 前回の委員とのやりとりの中で、長尾政務官の方から答弁があったとおりでありますが、いずれにしても、現段階でも、まだこれは、TPP11から12と、米国がまだ、ここに戻ることはないと断定できる、そういう状況にはない、あくまでもまだ可能性はあるものとして、これは並行してある意味協議を進めているという状況にあります。

亀井委員 確認です。

 前回、もし今の御答弁のような判断をするとしたら、二国間の米国との協定を決裂する方向に持っていって、だからTPP12に戻ってくださいねと、そういう戦略を立てない限り、今の御答弁というのは成り立たないというふうに申し上げましたけれども、それは、アメリカがもしTPP12に戻るというのであれば、逆に日米貿易協定はうまくいきませんよということになりますけれども、それでよろしいですか。

田中副大臣 これは、あくまでも今交渉をしているという状況でありまして、やはり予断を持って判断することはできないと。

 いずれにしても、さまざまな、この交渉妥結に関しては、交渉を進める中でいろいろな状況が変わってくるという状況だろうと思っております。

 これは、お互いに、双方、いい結果を早期に目指して進む、その中で今交渉が進められている、そういう状況でありますので、予断を持ってお答えすることは控えさせていただきたいと思います。

亀井委員 今のTPP11第六条の見直し規定に関しては、私だけではなく、ほかの委員の方も何度も質問されていることなんですね。

 それで、私が今やはり感じることは、結局、再交渉を申し入れても無理だから、申し入れないんじゃないでしょうかね。

 文章そのものがやはり、コンシダーと書いてあって、つまり、検討します、日本語で、役所の言葉で検討しますというのはやらないという意味と一緒だといいますけれども、それと同じような表現で、申し入れたら見直しますよとはどこにも書いてないわけです。最初から書いてないわけなので、せっかく得た枠をみずから手放すような、不利になるような交渉を相手国がいいですよと言うわけはないので、実質的に不可能なんじゃないですか。だから、今の段階になっても申入れをしないのではないかな、私はそう思います。

 次の質問とあわせますけれども、今回の日米の貿易協定に関して、農産物についてTPP超えはしない、TPPの水準は超えませんということを政府は言われていますけれども、このTPP11の輸入枠の見直しをしないで別に日米の貿易協定を結んだらば、もうその時点でTPP超えなんです。

 例えば、TPPでは、アメリカが強いハード系チーズ、チェダーですとかゴーダを関税撤廃し、ソフト系は守ったということでしたけれども、今度、日欧EPAの方では、ソフト系を関税撤廃して、これはモッツァレラとかカマンベールですけれども、結局、実質的に全面的な自由化になっています。そして、EPAは発効していますから、これがベースとなって、アメリカにも適用されるということが考えられます。

 さらに、TPPで、アメリカも含めて譲歩したバター、脱脂粉乳の輸入枠七万トン、これは牛乳換算ですけれども、これを変更せずに適用しているわけですから、今、オーストラリアやニュージーランドが喜んで分け合っていますけれども、これとは別に、アメリカの分が今回の二国間の貿易協定で二重に加われば、全体としてはTPP超えになることは明らかです。ですから、TPP水準にとどまるということはあり得ないんですけれども、どうお考えになりますか。

 これは農水大臣にお伺いしたいんですが、よろしくお願いいたします。

吉川国務大臣 交渉事に関しましては、ぜひTPPの対策本部にお伺いをしていただきたいと思っておりますけれども、日米交渉に当たりましては、私どもは、日米共同声明を大前提に、将来にわたって、今御指摘をされました乳製品の生産も含めまして、農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保するよう最大限の努力をしていく、この考えは変わっておりませんので、しっかりと対応してまいりたいと存じます。

亀井委員 時間がなくなってまいりますので、次に行きたいと思います。

 きょうは、私は、貿易交渉にかなり絞って質問を作成をいたしました。といいますのは、最近、外交の失敗といいますか、やはり交渉に失敗している例が多々見受けられると思います。

 一つは、まず、日本産水産物に対する韓国の輸入禁止措置について。

 四月の二十六日に開いたWTOの紛争処理機関の会合で、日本産水産物に対する韓国の輸入禁止措置を容認した上級委員会の報告書を正式採択した、上級審はWTOの最終審に当たるので日本の逆転敗訴が確定した、このような報道がありました。

 これについて、まず、こういう交渉事というのは、まず農水省側、これはどちらの部署が担当で、外務省の方はどちらが担当で、どういう体制でやっていたのか、そしてこの経緯、なぜこんなことになってしまったのかということについてお伺いいたします。

武藤委員長 これは農水省からですか、外務省からですか。

亀井委員 農水省ですかね、この交渉、この対応に当たった方ですけれども。

長谷政府参考人 交渉の体制についてお答えしたいと思いますけれども、本件につきましては、外務省、水産庁などの関係省庁が一体となりまして、この分野における世界有数の国際弁護士事務所の支援を受けながら、上級委員会の審議に臨んだ、そういう体制でございます。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 政府としましては、外務省、水産庁、エネ庁、関係省庁一体となって、本件、WTOの紛争解決手続に臨んだわけでございます。

 もちろん、現地においては、代表部、大使以下、この紛争解決に当たるチームがおりまして、本省においては、紛争解決担当の室を構えて、このようなWTOにおける訴訟を所管するところで処理しているところでございます。

 加えまして、こうした案件につきましては、この分野の専門知識を有します世界有数の国際弁護士事務所というのも動員しまして、できるだけ充実した体制をとるよう努めてきたという次第でございます。

 以上です。

亀井委員 世界有数の国際弁護士事務所を挟んで交渉されたということですけれども。

 別の案件についても、では、伺います。

 台湾における福島など日本五県産品の禁輸継続について。

 これは、私は日華議員懇談会という台湾との議員連盟にも入っておりまして、どういう経緯だったのか。

 つまり、政治問題化されて、今野党である国民党の方がこの問題を持ち出して、去年の選挙のときに住民投票にかけるような方向に持っていった。政治問題化して、そして住民投票で賛成多数で可決されたので、この禁輸が継続になったということなんです。

 ただ、この間の対応について、もう少し農水省は何かできなかったのかということも含め、この経緯、総括していただきたく、お願いいたします。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の件につきましては、政府としては、日本産食品への輸入規制を設けた各国・地域に対して、外務省を始め関係省庁と連携をいたしまして、規制措置全体の撤廃を目指すという方針のもとで、日本食品の安全性を説明し、粘り強く交渉を行ってきたところでございます。

 台湾に対しましては、日本台湾交流協会を通じまして食品の安全性に関する各種の情報を提供いたしまして、科学的根拠に基づき、早期の規制撤廃を働きかけてきたところでございます。

 しかしながら、今委員が御指摘ありましたように、昨年十一月に台湾で行われました公民投票におきまして、我が国の五県産食品の輸入規制継続が可決されました。台湾の消費者の間で日本産食品の安全性に対する理解が十分に浸透していなかったことは大変残念に思っているところでございます。

 農林水産省としては、外務省を始め関係省庁と連携をいたしまして、我が国が行っている安全管理措置により、基準値を超える食品が流通することのないことを改めて台湾に伝えまして、引き続き輸入規制の撤廃、緩和を粘り強く働きかけていきたいと思っています。

 以上です。

亀井委員 もう一つ、やはり国際関係の質問ですが、日本は六月末をもってIWCから脱退をします。ここに至るまで、やはり、国際司法裁判所でオーストラリアに提訴されて、裁判を闘う中で、敗訴したということが一つの大きな原因だったかと思うんです。

 今申し上げてきたとおり、国際紛争について、本当に日本が負け続けているんですよね。こういう例を見たときに、今、日米貿易協定の交渉に入っているわけですけれども、やはり、大丈夫ですかと思わざるを得ないんです。

 ですので、外務省に伺いますけれども、国際紛争の解決における日本の体制について、もう少し考えた方がいいんじゃないでしょうかということも含め、どのように臨まれるのか、鈴木政務官にお伺いいたします。

鈴木(憲)大臣政務官 委員御指摘の国際紛争に関する手続等について、外務省としても、オール・ジャパンの体制で取り組まなければいけないというふうに思っています。

 例えばですけれども、東京電力福島第一原発事故を受けた日本産食品に対する輸入規制措置については、その撤廃に向けた粘り強い働きかけをこれまで行ってきたところであり、結果として、これまで計三十一カ国で規制が完全撤廃をされ、また計四十八カ国・地域で規制が緩和されているところでありますが、こういうことをやるに当たっては、例えばですけれども、復興庁、エネ庁、そして農水省、外務省と、政府一体となって取り組んできたところであります。

 しかしながら、亀井先生御指摘のように、今般のWTOの紛争解決手続における厳しい結果もよく踏まえまして、こうした結果をよくレビューした上で、今後、日本の国益にかなう交渉結果がしっかりと出るように、体制整備など含め、外務省としても努力をしてまいりたいというふうに思います。

亀井委員 一度総括をして、どうやって紛争に臨むかということは本当に考え直された方がいいと思いますので、よろしくお願いいたします。非常に不安です。

 あと二つ質問を用意していまして、急ぎます。

 一つは、今回の国会に提出されている特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律なんですけれども、これに含まれている物品で、チーズなど、今回の日欧EPAで影響を受けそうな産品が含まれておりますが、抜けていると思ったものがあります。ワインです。

 日欧EPAでワインとチーズが非常に安くなっておりますけれども、そのワインをカバーしていないですよね。それが入っていないのはなぜかという質問。そしてそれは、ワインというのは酒税ですから、もしかして財務省が関係していて法律に入っていないのだろうかと思ったんですが、質問いたします。これは農水省ですか、それとも財務省でしょうか。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の御指摘ありましたように、日・EU・EPAの発効を受けまして、本年四月に、特定農産加工法の対象業種といたしまして、業界団体からの要望のありました菓子、パスタ、それから砂糖製造業につきまして追加をいたしました。

 一方、ワイン製造業者につきましては、今回追加の要望はございませんでしたが、最近のワインブームを背景にいたしまして、新規の参入される方がふえているということ、それから、今御指摘ございましたように、本法の主務官庁である農林水産省の所管外の業種であるということがこの背景にあったのではないかなというふうに思っているところでございます。

 農林水産省としては、原料となるブドウの安定供給の観点から、引き続き、国税庁と連携をいたしまして、ワイン製造業の振興のために適正な対応を図っていきたいというふうに思っております。

亀井委員 これは特に今回要望がなかったということを今おっしゃいましたけれども、もし要望があって、安いワインがヨーロッパから入ってきて大変だということになったときには、どのように法律に加えるんでしょうか。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 法律の第二条におきまして、「この法律において「特定農産加工業」とは、」と書いてございまして、「農林水産省令で定めるものをいい、」というふうになっております。農林水産省令で定めるということは、農林水産大臣が所管をしている業種ということでございますので、法制度上は、要望があったといっても直ちにそれが対象業種になるということになかなかなりがたいというふうに考えているところでございます。

亀井委員 きょうは財務省にもお出かけいただいていると思いますけれども、今の議論を聞いた上で、一言お願いいたします。ワインにも対応していただきたく、お願いいたします。

伊佐大臣政務官 法律の所管は農水省でございますが、団体からの要望があれば、農水省とも連携して、適切に対応していきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、日本のワインに対する支援というものは、しっかりと財務省、また国税庁としても対応していきたいというふうに思っております。

亀井委員 私は、これは要望が恐らく上がってくるだろうと、最近の値段を見ていて感じますので、そのときには御対応をお願いいたします。

 それでは、最後の質問です。

 きょう、この一般質疑の後で、国有林野の管理経営に関する改正法案の趣旨説明がありますけれども、先日、この委員会で大田原市に視察に行ってまいりました。そして、その場でいろいろと意見交換がございました。

 今回、今私たちは、この法律について、幾つか懸念はあるんですけれども、特に一番気になる点として、樹木採取権の存続期間、最長五十年というのを十年にしてほしいと。十年でもこれまでに比べれば契約としては長いわけですから、なぜいきなり五十年かというところが非常にひっかかっているんです。

 そして、与党さんの中でもそういう議論はあったというふうに聞いております。今回の視察に行ったときに自民党の委員の方からも質問が現場の方にありまして、そのときに、その地域に一社しかなければいいけれども、ライバル会社があったときに、片方の企業に仕事が落ちて、それが最長五十年となったら、もう片方はどうするんですか、そういうような議論が党内でありましたということで質問されていて、それに対する答えがやはり明確ではなかったんですよね。そうですねというような現場の回答でありました。

 また、経営計画を立てる意味で、長ければ長いほどありがたい、五十年であればありがたいというふうに要望がある中で、木のいわゆるサイクルが五十年だという指摘があったんですね。つまり、一度植えたら五十年は切れない、そのことと、この法律がどう関係があるんだろうとずっと考えておりました。

 今回は間伐ではなくて皆伐をイメージした法律で、切ったらすぐに再造林を申し入れるということですよね。ですから、五十年の契約があったからといって、そこで計画的に間伐しながらその山を五十年管理するということは、ちょっと想定ができないです。

 そうしますと、五十年である理由というのは、もしかしてこれは一度で二度おいしい法律じゃないかと。つまり、五十年の契約で最初に切る、そして、国のお金で苗は買ってもらって植える、五十年待つとその同じ会社がもう一回切ることができる、それだけのサイクルがありますよね。それで、二回目のときには、もう契約が切れるから、もしかして再造林をしないかもしれない。だから、一度の契約で二度おいしい、しかも苗は国に買ってもらえるような、そういう危険性があると私は思いますけれども、いかがでしょうか。

 そして、やはりそういう懸念が拭えない以上、私は、これは修正に応じていただきたいなと思います。国有林を守るという、その目的は一緒だと思いますので、ぜひ与党の方にも御理解いただければと思います。最後の質問にいたします。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 国有林改正法案についてのお尋ねでございます。

 まず、今回導入しようとしております樹木採取権についてでございますけれども、国有林の仕事の発注方式について、この新しい方式に全て変えるというわけではなくて、あくまでも従来の立木販売なりシステム販売で基本的にはやっていくわけでございますけれども、今後、国有林におきましても供給量がふえてまいりますので、その供給量のふえていく分の一部につきまして、この新しい考え方を使っていくという考え方でございます。

 この樹木採取権につきましては、地域の意欲と能力のある林業経営者の育成、地域の産業振興への寄与の観点から、これらの林業経営者が対応しやすい規模にかんがえまして、その期間は十年を基本として運用していく考えでございます。

 他方、現に地域の森林組合等からも長期間の権利設定を求める声があるということも踏まえまして、国産材の需要拡大のニーズが特に大きい地域におきましては、当該地域の需要動向、森林資源の状態などを勘案しつつ、一般的な人工林の造林から伐採までの一周期の五十年を上限として、十年を超える期間も設定できるというふうに制度設計をしているところでございます。

 なお、再造林につきましては、今回のこの樹木採取権につきましては、あくまでも現在生えている木を切る権利でございまして、再造林については、これは国が責任を持って行うということにしているところでございます。

亀井委員 まだどうしても、最悪の場合は、五十年たったときに、企業が二度刈り取ったはげ山が残るんじゃないかという気がいたしておりまして、これはまた、審議に入りましたら続けて質問したいと思います。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 十連休の間、福島県の地元で農林水産業に従事していらっしゃる方々と懇談する機会が何度かありましたけれども、福島の皆さんは、原発事故の影響を受けながらも、ふるさとの基幹産業をしっかりと守りたいということで働いています。連休も関係ないということでいらっしゃいました。

 皆さん口をそろえておっしゃるのは、もちろん後継者の問題であります。これは全国各地一緒でありますけれども、もっと重なってくるのは、やはり農業者の方々は、鳥獣被害対策をしっかりやってほしいということ、何とか駆除する方法はないだろうか、そういうお訴え、そしてまた、林業の皆様には、いつになったら森林・林業が再生するのだろうか、そういう悩みを持っていらっしゃるということでお訴えがありました。

 浜通りに行きましたときは相馬市の漁業の皆さんとお話をする機会があったんですけれども、コウナゴ漁、試験操業でスタートしたところではありますけれども、残念ながら水揚げがほとんどないという苦しい状況であるということであります。

 第一次産業というのは、本当にいろいろなもの、環境の中で、いろいろな要因があって、うまくいくときもあれば、そうでないときもあれば、特に福島県の場合は、今申し上げたような原発事故の影響を本当にひどく受けているということから、汗水流しても本当に前進できない部分があるということだというふうに思います。

 それでも皆さんは、農林水産業とともにふるさとで生きて、そして地域を守りたい、ふるさとを守りたいというふうにおっしゃっているということであって、やはりそれに誇りを持っていらっしゃると思います。そのふるさとの基幹産業である農林水産業に従事することによって地域も守ってきた皆さんをしっかりとお支えしていく、そのために、やはり地域政策を重視していく必要があると考えます。

 改めて、農林水産業、農山漁村の多面的機能を守る地域政策をどのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 金子委員のこの十連休中の、さまざまな形で、御地元福島を中心とした、また被災地関係者、さらには農林水産業に携わる皆さんとのそれぞれの意見交換等々に私からも敬意を表したいと存じます。

 少子高齢化や人口減少が進行する中で、農山漁村の活性化を図っていくためには、農山漁村の多面的機能の維持、発揮を図るとともに、住民が安心して暮らしていくための所得と安住条件を確保することが重要であると考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、地域の農業者等が取り組む共同活動への支援ですとか、中山間地域における条件不利性を補正する日本型直接支払いの実施、農業者の所得を確保する生産基盤の整備、さらには、鳥獣被害対策とともに、有害鳥獣を地域の所得にかえていくジビエの利活用の推進、さらには、地域の所得向上を図る六次産業化や農泊の推進ですとか、高齢者の買物支援ですとか子供の見守りサービスなど、地域の助け合いを後押しする取組への支援を総合的に講じているところでもございます。

 これらの施策を通じまして、若者や高齢者が誇りと生きがいを持って住み続けることができる環境を確保することにより、農林水産業の発展と農山漁村の多面的機能の維持、発揮も図ってまいりたいと存じております。

金子(恵)委員 大臣に一つ申し上げたいんですけれども、福島県の場合は、ジビエのことは言えませんから。イノシシを、殺処分という形になったとしても、それを食べることはできないという状況です。だから、なおさら厳しいということでありますので、そこも御理解いただきましての鳥獣被害対策をしていただくということになると思います。

 農山漁村の地域の活性化をするということで、産業政策だけではなくて地域政策をしっかりとやっていきましょう、それでこれは両輪のごとくしっかりと動かしていくんだということはいつも申し上げていることでありまして、農水省としても、もちろん、それは進めていく、そういう方針を持っているんだと思いますが、しかし、なぜか産業政策だけが見えてしまう、片方だけで動いているように見えるわけなんですね。

 それで、そのことによって間違った方向に進んではいないだろうかということを日ごろから懸念しておりまして、今回、私も地元でいろいろな方々とお話をしていると、同じような意見が出てくるということであります。

 実際に、日本農業新聞の四月二十六日の一面の記事にありましたモニター調査の結果についてなんですけれども、安倍内閣の農業政策を評価しないと答えたのは六八・五%、約七割に上る、そういう調査結果が出ているということであります。特に、問い十八のところで、官邸主導の政策決定についてどう思いますかという問いに対して、生産現場の実態とかけ離れており、農家の声を十分に反映していないため評価できないと答えた方が八三・二%に上るということです。

 これは、私、以前にもこの委員会でこの調査結果については取り上げさせていただいておりまして、前回の、昨年の十月の調査に続いて、やはり多数の方々が今の農政を評価しないと答えているということであります。

 やはりこのような調査結果はしっかりと受けとめるべきだというふうに思いますので、所見を伺いたいと思います。

吉川国務大臣 この報道機関が独自に行った調査は承知をいたしておりまするけれども、大変申しわけございませんが、一つ一つについてコメントすることは差し控えさせていただきたい、こう思っておりますが、いずれにしても、安倍内閣におきましては、農政全般にわたる改革を行い、これにより、生産農業所得は過去十九年間で最高となりましたし、四十代以下の新規就農者が四年連続で二万人を超え、輸出も六年連続で過去最高を更新し、一兆円目標の達成も視野に入ってまいりました。

 そういったことが、着実に成果があらわれてきていると思っておりますが、現場の、引き続き、農業者の皆様と真摯に向き合わなければならないとも思っておりまして、政策の内容を丁寧に説明もしながら、農業の成長産業化と農業者の所得向上の実現に向けて取り組んでまいりたいと存じております。

金子(恵)委員 この日農新聞のモニター調査の結果公表には続きがありまして、自由記述では、安倍政権は規模拡大を重視しているが、大規模農業はもとより中小規模の農業も生産、国土保全に資していることを考慮した政策を求めるという意見があり、改めて中小農家に手厚くという意味でありますけれども、そういう御意見があったということ。そしてまた、自給率向上の農政が急務であろうということで、食料の安全保障の確立を望む意見が相次いでいるということ。

 先ほども申し上げましたように、首相官邸ではなく、生産者、消費者、学識経験者らの生の声を受けとめてほしいという意見があったということも申し述べさせていただき、そしてまた、ぜひ、この調査、ごらんになっていらっしゃる、読んでいらっしゃると思うんですけれども、問いの十七のところは、食料・農業・農村基本計画の二〇二〇年の三月改定に向けてということでありますけれども、やはり従来並みの審議期間を確保するべきだ、早急に議論に入るべきだと言っている方が四五・三%もいらっしゃる。審議入りがおくれた分は、改定時期を先延ばししても審議期間を確保すべきだ、三六・四%です。このことについても、やはり懸念があるということを申し上げさせていただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 私も福島の人間として極めて残念だなというふうに思ったのが、韓国の輸入禁止措置の問題であります。韓国の輸入禁止を不当としたWTOの第一審の判断を上級委員会が取り消したということでありまして、政府は引き続き禁輸措置撤廃を働きかけするとしてきました。

 この件については、上級委員会の報告書が出た直後というのは、全漁連の岸会長は、敗訴以外の何物でもない、漁業者に大きな失望感を与えている、政府の責任は極めて大きいというふうなコメントをしているというわけなんです。そしてまた、全漁連などは、吉川農水大臣に対して、輸入禁止措置の解除に向けた戦略を抜本的に見直すことや関係漁業者への救済対策を措置することなどを求める要請書を手渡したということであります。

 これを受けて、どのような取組をされたのか、お聞かせいただきたいということと、四月の二十五日に、農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議が設置され、第一回目の会合が開かれたというふうに聞いておりますが、この関係閣僚会議設置によって、具体的にどのような取組がなされていくのかについてもお伺いさせていただきたいと思います。

吉川国務大臣 まず、どのような対応をしたのかということにつきまして答弁をさせていただきたいと思っております。

 本件につきましては、もう金子委員御承知のとおりでありますが、外務省、水産庁などの関係省庁が一体となって、この分野における世界有数の国際弁護士事務所の支援も受けながら、上級委員会の審議に臨んだところでもございます。

 上級委員会の審議におきましては、パネルの判断が維持されるよう、意見書の提出に際してのデータの確認ですとか口頭弁論のサポート等を通じて、パネル報告書で述べられている法的論理を維持強化すべく努めたところでございます。

 こうした努力にもかかわらず、上級委員会の報告書におきまして、韓国の輸入規制措置がWTO協定に違反するとしたパネルの判断について、その分析が不十分であるとして取り消されましたことは、復興に向けて努力をされてきております被災地の皆様のことを思いますと、まことに遺憾であると存じております。

 さらに、今回の結果を受けまして、国内外の対策でありまするけれども、上級委員会の報告書では、日本産食品は科学的に安全であり、韓国が定める安全性の数値基準を十分クリアできるものであるとの第一審の事実認定は維持されていると承知もいたしておりますが、しかしながら、報告書の内容がわかりにくいとの声も聞かれていることから、現在、関係省庁が連携をいたしまして、地方自治体や漁業者、さらには流通関係者に対しまして、今回の報告書の内容ですとか日本産食品の科学的安全性についての正確でわかりやすい情報発信に努めているところでもございます。

 さらに、大手量販店におきましても、福島県水産物を、その魅力ですとか安全性を説明しながら、常設販売する既存の取組の店舗数の拡大や支援、新たに、外食店で福島水産物を訪日外国人等に提供することを支援し、安全性とおいしさをアピールしてまいりたいと存じております。

 このような結果を受けまして、風評被害が生じないように徹底して取り組む必要があろうかと思いますし、被災者の皆様の復興に向けた努力にもしっかりとまた今後とも応えてまいりたいと存じております。

金子(恵)委員 では、再度質問させていただきますが、四月の二十五日に設置された関係閣僚会議、この設置によって、どのような取組がなされるんですか。この関係閣僚会議では、今回の韓国の輸入規制問題というものは取り扱わないんですか。被災地の方々に対する支援というのは必要であるということもおっしゃっていただいてきたわけなんですが、改めてお伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 放射性物質にかかわる輸入規制につきましては、規制措置を、全体の撤廃を目指すという我が国の立場には変わりはなく、放射性物質にかかわる食品の安全性については、科学的知見に基づく食品中の放射性物質の基準の設定、都道府県等が実施するモニタリング検査、そして、基準値を超えた食品の出荷制限措置等を行っていることを改めて伝えつつ、国内外におけるあらゆる機会を活用して、輸入規制の撤廃、緩和を求めていくことといたしているところでもございます。

 そういったことをしっかりとこれからも求めていくことを確認をさせていただいているところでございます。

金子(恵)委員 会議を設置するというのは、対外的にはいいんだと思いますが、ただ、中身が伴っているのかどうかということを確認をさせていただきたいわけでして、この会議が、例えば、あくまでも輸出の拡大のためのものであるのか、あるいは、先ほど来私も申し上げている被災地の支援、問題、それを解決するためのものにもなっているのか、どういうことなのか、何を実際に検討していくのかということをお聞かせいただきたいと思います。

吉川国務大臣 本会合は、牛肉を輸出する際に求められる牛肉処理施設の認定など、輸入国による食品安全等の規制への対応全般について、政府を挙げて対応を強化するため設置するものでございまして、WTO上級委員会報告書を踏まえて設置するものではございません。今申し上げたようなことでございます。

金子(恵)委員 全般という話でしたけれども。

 そうすると、被災地の支援のためにもプラスになるはずですが、それもちょっと曖昧なので、再度お伺いしたいところでもありますけれども、輸出をとにかくふやすため、そして被災地の支援のため、両者のためにプラスになっていくのであればいいです。

 でも、今曖昧になってきているのは、実際に放射能との戦いをしている被災地でありましたけれども、実際に、本当に韓国の輸入規制の問題、もしもこれが突破できていれば、解決していれば輸出がもっとふえたのではないか、そういう声まで出てきていたというふうには聞いているんですけれども、実際そうだとしても、今回、韓国の問題というのは解決ができなかったということで、そうであれば、輸出の拡大ということにつながるとは思えないということでありまして、そこをきちんとセットで考えているのか。

 そして、しかも、被災地の漁業者の方々も含め、第一次産業に携わる人たちの意欲というのを損なわないような、そういう対策というものもしっかり進めていくような検討がこの会議の中でなされていくのかということを私は確認をさせていただきたかったんですが、もう一言あればお願いいたします。

吉川国務大臣 大変申しわけありません。繰り返しになろうかと思いまするけれども、輸入国に対する食品安全等の規制への対応全般について、これは、政府を挙げて対応を強化するために設置をするものでございまして、今御指摘いただいたことも含めまして、安全性というものを他国、輸入国に対しましてもしっかりと訴えられるように、この会議を通じましてこれから農林水産省としても対応をしていかなければ、そういう思いでもございます。

金子(恵)委員 もしかすると輸出拡大を言う前にやるべきことがあるのではないかということも含めて質問させていただいています。

 農林水産物の貿易赤字の拡大について質問をさせていただきたいというふうに思うんですが、二〇一八年の農林水産物輸出入概況、農水省のまとめによりますと、二〇一八年は、輸出額は九千六十八億円に対して、輸入額は九兆六千六百八十八億円となっているということです。貿易赤字は八兆七千六百二十億円、前年に比べて一千九百五十八億円、二%ふえているということです。輸出額がふえてきていますよということは農水省はずっと言っていることではありますが、しかし、一方では輸入額もふえてきているということですので、やはり赤字の状態ということです。

 実際に、一二・四%、一千億円、輸出額が伸びた。これはいろいろな努力はあったというふうには思いますけれども、でも、私は、そのことよりも、実際にこういう貿易赤字をどういうふうに捉えるかということをまずお聞かせいただきまして、その上で、貿易協定交渉がどのように今後なされていくのかということをしっかりと考えていかなくてはいけないというふうに思っていますので、まず、今回のこの数字、貿易赤字の拡大がなされたことをどのように受けとめているのか、お聞かせいただきたいと思います。

吉川国務大臣 二〇一八年の我が国の農林水産物の輸出額九千六十八億円に対しまして、輸入額は九兆六千六百八十八億円となっております。二〇一八年の農林水産物の貿易収支でありますけれども、八兆七千六百二十億円の輸入超過でありまして、前年よりは二・三%増加をしているということであります。輸入の上位品目について見ますと、牛肉、トウモロコシ、果実や鶏肉調製品などにつきましては輸入量が増加している一方、たばこ、豚肉、アルコール飲料、小麦、鶏肉などについては輸入量が減少をしております。

 農林水産物の輸入につきましては、例えば飼料のように我が国の畜産のための必要不可欠なものもございます。また、為替変動や品目ごとの需要の変化など、さまざまな要因で変動するものでありますことから、その増加の原因について一概に申し上げることは難しいのでありまするけれども、私といたしましては、農林水産物の輸入の状況に留意をしつつ、国の基であります農林水産業を次世代に継承していくため、農林水産省として必要な措置を確実に講じていくことが重要であると考えております。

 このため、いかなる貿易交渉にあっても、農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保するとともに、意欲ある農林漁業者の方々が安心して再生産に取り組める環境というものを確保するために、引き続き全力で取り組んでまいりたいと存じます。

金子(恵)委員 TPP、日・EU・EPAの発効によって牛肉などの輸入がふえている、そういうことで貿易収支悪化の懸念材料は多いわけです。ですから、二〇一九年では赤字幅が更に拡大するということが懸念されるということだというふうに思います。

 そしてまた、貿易協定交渉が始まったアメリカ、米国は、農林水産物輸入の最大の相手国であります。二〇一八年の輸入額は一兆八千七十七億円で、トウモロコシや食肉が中心で、それに対し輸出額は一千百七十六億円にとどまる。一兆六千九百一億円の赤字で、農林水産物全体の貿易赤字の二割を占めるというわけです。

 今申し上げたように、対米貿易赤字が目立つという中で、アメリカに対して本当に緊張感を持った形での毅然とした対応をしていかなくてはいけないということだと思います。

 しかし、安倍総理は二十六日午後にトランプ大統領と会談しましたけれども、その折に、トランプ大統領は、冒頭、日米貿易交渉をめぐって、農産物の関税をなくしたいと述べたということです。

 当然、即答はできるわけないわけですけれども、そしてまた、先ほど来お話もありますけれども、日米共同声明にのっとった形での交渉が進められるという約束はあるはずなんですが、しかし、交渉事は何が起こるかわからない。実際に、二十五日にも茂木大臣とライトハイザー通商代表が交渉していて、そこで事前にすり合わされた合意内容が一言で言うとないがしろにされたということだというふうに思います。

 閣僚合意がないがしろにされてしまう、予測不能な、先行きが全くわからない交渉、こういうものを続けることになるわけなんですが、今回のことで安倍政権のある意味外交のもろさというものも見えてくるのではないかと思いますが、アメリカ側のこのような強硬な姿勢に、もっと強い姿勢で交渉に臨まなくてはいけないというふうに思いますが、大臣の所見をお伺いします。

吉川国務大臣 日本はアメリカの農産物に高い関税を課している、関税をなくしたいという旨の発言に対しての御指摘だと思いまするけれども、日米物品貿易協定交渉については、昨年九月の日米共同声明において、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した内容が最大限との日本の立場が日米首脳間で文書で確認をされているところでもございます。

 今般の日米首脳会談におきましても、TPPを上回る譲許を求めるという話は出なかったものと私どもは承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、農林水産大臣としての私の責務でありまするけれども、これは、日米共同声明を大前提に、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することでありまして、このために最大限の努力をしていく考えでもございます。

金子(恵)委員 韓国の問題も、ある意味、外交上の失敗なわけです。そして今回も、トランプ大統領にこのような発言をさせてしまっている。本当に我が国が信頼されるよき国であるのかどうかということが大変疑問になってきてしまっています。残念でなりません。

 安倍総理がそのトランプ大統領からの発言を聞いたときに、国会があるからというふうに発言したというふうにも聞いているんですけれども、その意味というのは、しっかりと国民の意見を聞かなければ簡単な発言はできない、そういうふうにとりました。これは新聞報道を私が読んでの所感であります。

 ですけれども、やはり国会でしっかりと決議をしていく、そして我々の姿勢というものをアメリカに見せていくということが重要なのではないかなというふうに申し上げさせていただきたいと思います。ぜひ毅然とした態度で臨んでいただきたい。

 そして、これまでも、吉川農水大臣は、問題があるときにはしっかりと抗議をしてくださっている、そういう発言をしてくださっていたと思います。ですので、ぜひこれからも、しっかりと、強い立場で臨むんだということを言い続けていただきたいと思います。

 私たちはここで、農林水産委員会で心を一つにしていかなくてはいけないのは、我が国の農業を守っていくということです。そして、地域政策、産業政策、両輪のごとく、私たちのこの第一次産業を守っていくということでありますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 次に行きます。

 少し飛ばしまして、復興五輪についてでありますけれども、このことについておただししたいと思います。

 農水省として、復興五輪と位置づけられている東京オリンピック・パラリンピックに向けての準備をどのような方針で進めてきたのかお伺いしたいということと、そしてまた、食材の提供というものがなされていくわけなんですが、GAP認証の取得が必要であるということで、被災地からの食材使用の見通しもどうなっているのか心配するところであります。

 あくまでもこれは復興五輪というふうに位置づけている、政府全体でそのように進めてきたということでありますから、復興よりも大切なものはないというふうに私は思いますので、お伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村等関係施設におきまして、福島県を始めとする被災地産の食材の活用や風評被害払拭のための安全、安心のアピールは、復興の後押しとなる重要な取組だと私は考えております。

 このような考え方に基づきまして、農林水産省は、組織委員会の議論に積極的に参画をした結果、飲食提供に係る基本戦略において、被災地産の食材を活用したメニューの提供により、高品質の食材を生産できるまでに復興した被災地域の姿を発信することとされたところでもございます。

 また、選手村等関係施設で活用される食材につきましては、組織委員会が決定することになりまするけれども、農林水産省では、被災地産の食材ができる限り活用されますように、福島県等の被災地を始めとする産地のGAP等の認証取得に対しましても支援をいたしておりまして、引き続きこの推進を図ってまいりたいと存じます。

金子(恵)委員 昨年の七月の二十七日に内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局、復興庁から出された「復興オリンピック・パラリンピックに係る政府の取組 二〇二〇年東京大会開催を契機に「被災地復興」を後押しする政府の取組について」という文書の中で、農水省が担当する内容として記載されているものが「被災地の食材等の活用と風評の払拭」ということでありまして、今大臣がお答えになったとおりでございます。

 その中で、GAPの件、そしてまた、有機農産物の生産拡大、水産エコラベルの取得等の取組も支援するということであったり、また、福島県産を始め被災地産の食品の販売フェア等により風評の払拭を図るということ、また、被災地における新たな花卉の産地づくり等を支援するとともに、二〇二〇年東京大会における花卉の活用を働きかける、森林認証材についても、被災地産のものを含め、東京大会開催施設の木材としての活用を通じて、需要者等への普及を図るというようなことが記載されている、そういう内容になっています。

 そこで、食材の件は、GAP取得をする、そしてGAPを取得するための支援もやっていくということで進めてきたわけなんですが、実際にどれぐらい本当に活用できるかというその見通しというのが現段階では立っていないということだというふうに思います。しっかりと、これからも、できるだけ多くの被災地の食材を提供できるような、そういう形をとっていただきたいというふうに思います。

 そしてもう一点は、これは入賞選手へのメダルとともに贈る副賞の件なんですけれども、この候補にビクトリーブーケが選ばれたということです。

 採用の本決定というのはまだ先のようでありまして、実際に正式決定がなされるのかどうかということは、現段階ではどの時期に決定されるのかということもわかりませんが、実際に、少し前は、二月にも正式決定ではないかという報道がありましたが、まだ正式決定されていないということでありますので、この件についても後押しをお願いしたいということと、また、被災地の花卉を使って会場での花卉の展示とか、そういうことも含めて、ぜひ、被災地の花卉使用の後押しを農水省としてお願いしたいと思いますが、最後にお伺いいたします。

吉川国務大臣 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会におきまして、福島県を始めとする被災地の花卉を活用することは、復興の進展をあらわすシンボルとなると考えておりますので、大会のさまざまな場面で国産花卉が活用されますよう、花卉業界と連携をしながら、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に働きかけてきたところでもございます。

 このうち、メダリストに渡される副賞につきましては、国際オリンピック委員会と組織委員会との間でブーケとする方向で最終調整をしていると聞いております。また、ブーケに加えまして、聖火リレー、競技会場などでの花飾りや展示につきましても、福島県など被災地を始めとする国産花卉が活用されますように、花卉業界とともに、組織委員会に今働きかけを行っているところでもございます。

 二〇二〇年東京大会における国産花卉の活用が実現をいたしますように、引き続き、組織委員会や花卉業界と連携をいたしまして、しっかりと対応もしてまいりたいと存じますので、どうぞ金子委員におかれましても、今後とも御支援をお願いをしたいと思います。

金子(恵)委員 しっかりとした対応をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

武藤委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 国民民主党の青山大人です。

 実は、私、令和元年の初日、五月一日に第二子が生まれまして、ちょうど……(拍手)ありがとうございます。ちょうどきょう、国会に来る前に、生まれ育った地元土浦市の役所に出生届を届けに行ってまいりました。

 その土浦市を始め、私の妻が生まれ育った隣のかすみがうら市は、霞ケ浦という湖沿岸、レンコンの日本一の産地でございます。県全体でも、茨城県はレンコンの産出量、産出額が全国第一位でもありますし、比較的安定した所得が見込まれる作物であり、若手の後継者への移行も進んだりとか、レンコン農家への新規参入も進んでおるなど、私は日本農業にとって非常に大切な作物だなというふうに思っております。

 また、レンコンは、先を見通すということで縁起物でもありますし、レンコンに含まれるポリフェノールが健康にいいなど、最近では国内需要もふえております。さらに、今、農産物の海外輸出も、さまざまな取組を政府もされていますけれども、もちろんレンコンも、そういった日本の農産物を海外に輸出する点において、非常に重要な私は農産物だというふうに思っております。

 しかし、ここ最近は、ネモグリセンチュウによる、レンコンの肌に黒い斑点が発生する、いわゆる黒皮症の被害が年々拡大をしております。もともと茨城のレンコンは真っ白なレンコンが売りだったんですけれども、そういう中で、ネモグリセンチュウの被害によって、レンコンの品質を損ね、商品性の低下をさせてしまうことはもちろん、やはり生産量にも影響をしており、農家の皆さんも大変な思いを今しておるところでございます。

 こういったネモグリセンチュウによる被害は、茨城県に限らず、全国のレンコン産地でも発生が見られております。どこの産地でもその対応に苦慮しているようでございます。

 私も、平成十九年から茨城の県議会議員をさせてもらっており、当時、県にもそういった問題を伝え、茨城県でも平成二十二年度から本格的にその防除対策に取り組み、例えば、石灰窒素の使用ですとか、健全な種バスの使用、また、早目に、九月ごろまでに早掘りをしたり、収穫後に残った根を圃場の外へ除去するなどの対策を行っておりますが、被害は広がる一方でもございます。

 繰り返しますが、レンコンは、安定的な所得を農家にとって得られることができる、後継者も育っている、輸出にも期待できる商品でもございます。

 そこで、国としても、レンコン産地の現状をしっかり踏まえ、その問題の解決に向けてきちっと取り組むべきというふうに考えますが、まずは大臣の御所見を伺います。

    〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕

吉川国務大臣 お答えをさせていただきます前に、令和元年五月一日、第二子の御出産、青山先生、おめでとうございます。(青山(大)委員「ありがとうございます」と呼ぶ)

 レンコンネモグリセンチュウでありますけれども、これは、茨城県を始め、千葉県、徳島県、岡山県、佐賀県など、レンコン産地で広く発生をしておりまして、レンコンが黒く変色したり変形したりするといった、品質、外観の低下をもたらしているところでございます。

 このような中、レンコンの主産地であります青山委員の御地元茨城県におきましては、殺虫効果のある石灰窒素の散布、さらには、線虫の餌となるレンコンの収穫残を確実に収穫後に取り除くこと等の手法を組み合わせた新たな総合防除法を全国に先駆けて確立をいたしまして、平成二十九年度から普及を進めていると承知をいたしております。

 一方、茨城県からは、より線虫に効果の見込まれる農薬について、レンコンへの早期登録の要望も受けているところでございまして、国といたしましては、当該農薬を優先審査の対象といたしまして、関係府省と連携をして速やかに手続を進めてまいりたいと思っております。

青山(大)委員 大臣、お言葉ありがとうございます。

 大臣も今御答弁いただいたように、茨城では先進的な取組を行っているという中で、今大臣の方からも、県から新しい農薬の早期登録の要請があって、優先的にできるようにするという御答弁がございましたけれども、大臣でも参考人でも構いませんけれども、一般的に、では、早期登録の要望があって、優先的に承認しようとする場合、大体、承認されるまでの期間というのはどのくらいが一般的なんでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣が御答弁申し上げましたように、茨城県から、よりレンコンに効く農薬ということで、登録の早期申請を受けております。

 このような早期申請を受けましたものにつきましては、それぞれ、農薬を登録いたします場合には、厚生労働省、環境省等の府省でいろいろな段階を経ていくことでございます。

 通常、いろいろなデータにもよりますけれども、短いもので二、三年ということでございまして、これを、早期登録によりまして、できるだけ早期に登録をいたしまして、皆様にお使いできるようにしていきたいというように考えているところでございます。

青山(大)委員 今、二、三年という話がありましたけれども、もちろん、いろいろな新たな農薬が今承認待ちをしている状況も私も理解はしていますけれども、私も、先ほどの金子委員じゃないですけれども、連休中は当然地元で挨拶する中で、私の若い仲間でも、新たに転職をしてレンコン農家に行く、それはやはり日本の農業を支えていくという熱い思いも持っているわけでございまして、本当に、二、三年という期間、難しいかもしれませんけれども、この問題も、線虫の被害というのは、実質、ここ二十年ぐらいはたっているわけでございまして、ぜひここは、二、三年と言わずに、大臣、いろいろな意味も含めて、ぜひ早く承認できるようにしてほしいという要望を私からはさせていただきます。

 と同時に、新薬の優先的な承認以外にも、国としてどういった支援ができるのでしょうか。お伺いいたします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 茨城県から現在いただいておりますのは、この農薬の新規登録でございますけれども、今、県におきまして、総合的な防除法につきまして、それぞれ普及所等が中心になって指導しているというふうに聞いております。

 その中には、いろいろな必須の項目、あるいは選択といった項目ということで、非常に細かな指導をするような防除の方針ができていると聞いておりまして、農林水産省といたしましても、農家に県がこのような形で普及していくことにつきまして、必要な協力をしてまいりたいというふうに考えております。

青山(大)委員 本当に、茨城県はそういうことで現場でしっかりやっているので、国としても、そもそもレンコンの線虫は、どうしても、レンコンの産地は全国になくて、茨城とか四国とか九州とか、一部限られた地域なんですけれども、やはりそういったレンコンの線虫を研究するような専門家がなかなかいないような状況も聞いております。

 例えば佐賀大学の方ではそういった研究もされているというふうに聞いていますし、そういった研究に対する支援の方も国の方でできないのかなと思いますけれども、そういった研究への支援というのはできないんでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 レンコンのネモグリセンチュウにつきましては、私どもの技術会議を通じまして、研究の支援は以前に行ったことがございます。その成果も踏まえて現在の防除法につながったというふうに聞いているところでございます。

青山(大)委員 いずれにしても、この件は最後にしますけれども、本当に、ぜひ優先登録ということで、早期の承認を改めて要望し、次の質問に移らさせていただきます。

 次に、農産物の物流改善、効率化について伺います。

 これはもう農水省さんとか経済産業省さん、そして国土交通省さんでも、そういった関係省庁連絡会議で取り組んでいることは重々承知をしております。

 言うまでもなく、ドライバーの高齢化や人手不足が年々顕著になってきており、既に米の集荷や、肥料や農薬の配送、青果物の配送に影響が出始めております。農産物の物流の改善、効率化が喫緊の課題となっていることは言うまでもありません。

 現在、主に袋や段ボール単位での積卸しのため、ドライバーの労力と待機時間がかかってしまいますが、袋や段ボール単位でなくて、パレット単位の配送をよりふやしていくことが重要ではないでしょうか。

 ただし、現在は、パレットサイズが統一されていないことや、運送業者所有のパレットを使用していることから、パレットの回収が必要であるが、なかなかパレットの回収ができていないのが現状でございます。当然、パレットの紛失も大きいわけでございます。

 共通のレンタルパレットの普及が望ましいわけで、昨年春に農産物パレット推進協議会が設立されまして、今現在、実証実験中とのことでございますが、その取組の様子、成果についてお伺いをいたします。

    〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 農産物の物流につきましては、トラック輸送に大きく依存しております。委員御指摘のとおり、ドライバーによる段ボール箱の手積みだとか手おろしによっての荷役が多い、それから、毎日の出荷量が直前まで決まらず集荷の際の待ち時間が長いなど、ドライバーの負担軽減が課題となっているところでございます。

 今委員御指摘のとおり、二十九年三月に、国交省などと協力をしまして、農産品物流対策関係省庁連絡会議におきまして、物流改善のための対策を取りまとめました。この中で、今御指摘の、産地から出荷する際には段ボール箱をパレットに載せるということも指摘をされているところでございます。

 今委員御指摘ありましたように、パレットにつきましては、今、幾つかの規格がございます。主なものを挙げますと、一・一メートル掛ける一・一メートル型、一・二メートル掛ける一・〇メートル型、一・四メートル掛ける一・一メートル型などさまざまな規格がありますが、これは、関係者が段ボール箱や商品の大きさを考慮してこういう規格になっているというところでございます。

 ただ、今後、輸出を含めて物流の効率化を一層推進していくためには、御指摘のパレットの規格統一というのは大変重要だというふうに思っているところでございまして、関係者からもそういう声が強く出ているところでございます。

 今委員御指摘の農産物パレット推進協議会におきまして実証事業をやっております。現在最も普及している、さっき申し上げた幾つかある中の一・一メートル掛ける一・一メートル、このパレットを統一規格として採用して実証事業を行いました。

 一方、パレットの規格は、さっき申し上げたように、生産者の出荷ラインだとか製造業者の製造ライン、この規格とも密接にかかわることから、その統一化に向けては関係者の方の理解の醸成も必要だというふうに考えておりまして、国交省、経産省といった関係省庁と協力をしながらしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。

青山(大)委員 この問題、大変大きな問題ですので、これからもしっかり取り組んでいただければというふうに思います。

 最後の質問に移ります。

 大臣がことしの一月に、茨城県つくば市、土浦の隣のつくば市の国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、いわゆる農研機構や、国立研究開発法人森林研究・整備機構、いわゆる森林機構に御視察に来られたというふうにお伺いしております。

 大臣、実際視察した率直な感想はいかがだったでしょうか。

吉川国務大臣 今お話しいただきましたように、本年の一月十五日に両研究機構を視察させていただきました。同時に、施設の維持管理につきましてもお話を聞かせていただきましたし、この両研究機構におきましては本当に将来の農業そして森林の研究がしっかり行われているなということも確認をさせていただきましたし、また農研機構の関連では、スマート農業の関連で、実際に圃場におきまして無人トラクターの運転、走行等々もつぶさに視察もさせていただいたところでございまして、非常に有意義な間を持たせていただきましたし、更にすぐれた研究成果が生まれますようにとお祈りもさせていただいたところでございます。

青山(大)委員 今も大臣おっしゃったように、最先端の技術を研究されておりますと同時に、大臣、回ってみて、施設が大分老朽化しているなという印象はお持ちにならなかったでしょうか。

吉川国務大臣 施設に関連をして、今も申し上げましたように、農研機構におきましては、畜産研究部門研究本館の耐震工事を行っておりました。森林機構におきましては、排水処理施設のメンテナンスの状況もそれぞれ視察をさせていただきました。

 この農研機構及び森林機構が、試験研究を通じて技術の向上とその設置目的に即して十分なパフォーマンス等も発揮ができますように、この施設の推進に支障が出ることがないように予算措置をしっかり行わなければならないなということも十分感じさせていただいたところでもございます。

青山(大)委員 大臣、本当に、非常に前向きな御答弁、ありがとうございます。

 まさにおっしゃるとおりで、本当に最先端の研究をしているんですけれども、もう研究学園都市も、昭和四十五年、筑波研究学園都市建設法ができて、いろいろな施設が来て、大体もう四十年以上たって、本当に大分老朽化が進んでいる状況でございます。

 昨年も、ここに、農林委員会に出ている議員さんたちも一緒に現場視察も行きましたし、その後、齋藤前農林水産大臣にも、昨年もこの委員会の場で改めて訴えさせていただきました。

 やはり、最先端の研究をこれからもしてもらうためにも、まさにそこで、建物はもちろん、本当に基本的な施設整備、老朽化対策、働く研究者始め事務員、関係者の方たちが働きやすい環境をつくっていくことも私は大変必要だというふうに思っております。

 ぜひ、来年度に向けて、そういった施設整備の予算もしっかり大臣に省を代表して取り組んでほしいなというふうに要望させていただきますが、恐らく最後は余り時間がないんですけれども、大臣、何か一言、御答弁あればお願いいたします。

吉川国務大臣 これまでも、両研究機構には、施設の更新ですとか整備等も行ってまいりまして、必要な施設整備補助金を措置をしてきたところでございまするけれども、今後も、設置目的に即して十分なパフォーマンスが発揮できますように、必要な予算の確保に最大限努めてまいりたいと存じます。

青山(大)委員 御答弁ありがとうございました。

 最後に、レンコンのネモグリセンチュウ対策、新農薬の優先的な承認、ぜひともよろしくお願いし、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 私も、この令和元年の最初の質問ということでこの場に立たせていただきまして、ありがとうございます。

 平成の最後からゴールデンウイークがスタートしたわけでございますけれども、私の石川三区というところも、山の奥から、田園風景、そして海の町まで、本当に非常に風景豊か、そして人情味も豊か、もちろん山の幸、海の幸、いろいろなものをこの十日間、私も堪能させていただきました。

 実際には、この春は寒かったということで、せっかく植えた植物が一度だめになって、また植え直さなきゃいけないという話ですとか、苗の生育が遅くて田植がいつもの年よりも遅いですとか、また、大規模化が進んでいるから田植をされる方の数が少なくなってきているので、以前であれば、ゴールデンウイークが終わるころには能登半島であれば田植が大体終わっているんですけれども、ことしはかなりまだら模様といったところもございました。

 集約化、大規模化の弊害と言っていいのかわからないですけれども、今回はゴールデンウイークは天気がよかったことはいいんですけれども、今後ということで考えれば、天候不順の春になれば、大規模化というものが、実際、田植が順調にいかないのではないか、そういった状況も少し感じました。

 そしてまた、バーベキューをされているところも呼んでいただいたんですけれども、タケノコですね、タケノコはことしは裏年ということで、かつ、イノシシの被害ということで、もうタケノコが本当に少ないんだと。

 実は、タケノコは趣味でとられている方がたくさんいらっしゃいますから、農産物被害金額には恐らく計上されていない部分が多いのではないかなと。鳥獣被害ではここ数年間被害額が減ってきているという話は伺ってはいますけれども、今後は、数字にあらわれない被害といったところも、新たな統計のあり方といったところも考えていかなくてはいけないのではないかなということもこの期間、感じました。

 ただ、多くの方から言われたのが、自分たちの力ではいかんともしがたい、自然のものというのはもうどうしようもない部分はあると。しかしながら、やはり特に農家の方であれば、そして、小木という、イカ釣りですね、日本海側の大規模な拠点港がございますけれども、これは外国相手ということでございます。経済連携であったり、北朝鮮との交渉、相手は国ではないですから、国という認定はしていませんから、国という、交渉という表現がいいかわからないですけれども、一個人、一団体、一地域ではいかんともしがたいような、自然とは違う部分に関しては、あんたたち、もうちょっと頑張ってよという声は本当に多くの方からいただきました。

 きょうは、まずは、自然相手ではない、人相手、外向きの相手ということで、まず三つ。対韓国への水産物、WTOの敗訴、これは四月十一日でございました。そして、北朝鮮への安保理決議の制裁のパネル報告、こちらも三月でした。そして、日米貿易交渉については、ゴールデンウイーク前から、そしてゴールデンウイーク中と。この三つについて、大ざっぱにまずはお話を伺っていきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まずは対韓国への、水産物輸入規制、こちらに関しては、WTO敗訴といったところが本当に大々的に報じられてしまいました。

 このことについて、大臣もじくじたる思いがあると思いますけれども、どのような思いを今お持ちなのか、そして、今後どういった形で挽回を図っていこうとしているのか、御所見をお願いいたします。

吉川国務大臣 先月の二十六日、WTO紛争解決機関の会合におきまして、韓国による日本水産物等の輸入規制に関しまして、上級委員会報告書及び上級委員会によって一部修正されたパネル報告書が採択をされました。

 上級委員会の報告書におきまして、韓国の輸入規制措置がWTO協定に違反するとしたパネルの判断について、その分析が不十分であるとして取り消されたことにつきましては、復興に向けて努力されてきました被災地の皆様のことを思いますと、まことに遺憾でもございます。

 一方、日本産食品の安全性に関するパネルの事実認定につきましては争いがなく、今回、あわせて採択されているところでもございます。

 我が国といたしましては、韓国も含め、規制の残る国・地域に対しまして、我が国が行っている安全管理の措置により、基準値を超える食品が流通することはないことを改めて伝えまして、輸入規制の撤廃ですとか緩和を今後とも粘り強く働きかけてまいりたいと存じております。

近藤(和)委員 覆水盆に返らずという状況の部分はあるとは思いますけれども、日本の水産物が安全ということを訴えようとして、もちろん被災地の方々の利益を獲得しようとして、逆に風評被害が広がることがないように、ここは気をつけていただきたいなというふうに思っています。

 そして、私が気になっていますのが、総理が米国に行ったときに、アメリカやカナダが、このWTOの二審の判決はおかしいんじゃないかという、同調してくれたということを総理始め政府関係者の方が言われています。ただ、私は、これは余り言い過ぎない方がいいんじゃないかなというふうに思っています。今度のG20でもそういう話を取り上げるというふうに言っていますけれども。

 なぜかといいますと、WTOに関しては、アメリカが、特にトランプ政権になってから、かなり否定的ですよね。今の上級委員に関しても、再任を拒否をしているといったところもございますし、そもそもが、日本は、WTOを中心とした自由貿易圏の中でしっかりと国益を確保していくというのが日本の立ち位置でございますが、米国は、否定はしているようですけれども、雰囲気として、このWTOの枠組みそのものを壊しかねないような動きをあちこちで発揮をしてしまっています。ですから、余り、米国が同じような同調を示しているんだということは、私は、言うべきじゃない、矛盾しているんじゃないかなというふうにも思いますので、こういったこともぜひとも大臣には御認識をいただきたいというふうに思います。

 それでは次、国連安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルの最終報告書についてですけれども、いわゆる瀬取りについて、そして、さらには漁業権販売について、指摘に対しての受けとめ、そして今後の対処について現状を伺います。

山田(賢)大臣政務官 お答えします。

 安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルによる報告書は、安保理決議の実施状況を包括的に分析し、個別の違反事例に対する調査結果をまとめたものでございます。定期的に作成、公表されており、最新版となる報告書は、本年三月十一日に公表されております。

 我が国として、今後とも、安保理北朝鮮制裁委員会や専門家パネルの作業に積極的に協力するとともに、今回の報告書も踏まえつつ、関係国によって決議が完全に履行されるよう働きかけ、安保理決議の実効性の向上に取り組んでいく考えでございます。

 その上で、同報告書におきまして専門家パネルは、北朝鮮の潜在的な収入源となる漁業権の売買を確認したと指摘しております。具体的には、二〇一八年一月から十一月の間に、日本、中国、朝鮮半島及びロシアに囲まれた漁場において、国連加盟国二カ国が、北朝鮮の漁業許可証を所持していると見られた十五以上の中国漁船を調査しており、その際に、漁民から各漁業権の価格は月額五万人民元であると応答した旨を記載しております。加えて、ある中国漁船から北朝鮮の漁業許可証が発見されたほか、船籍偽装のために北朝鮮の旗を掲げていたとも指摘しております。

 以上でございます。

近藤(和)委員 要は、対北朝鮮の制裁がきいていないという報告書だと思うんです、少なくとも。

 そして、私もこの委員会で何度か指摘させていただいていますけれども、三年前ぐらいであれば北朝鮮の鋼船が少なかった、それが、去年、おととしぐらいから、重い、油をたくさん使う船が来るようになってきている、これは国連の制裁がきいていないんじゃないかという、まさに船に乗られている方からの言葉だったのが、結果として裏づけられたわけですよね、瀬取りをしているということが。

 この瀬取りに対しては、ロシアもかかわっているんじゃないか、中国もかかわっているのではないか、いろいろな国がかかわっているのではないかということですし、そして、更に言えば、立入検査、拿捕してくださいということもずっと言ってきていますけれども、対北朝鮮に対しては全くやっていないですよね。

 その理由の一つとして、やはり私が危惧をしているのが、今回のこの漁業権の販売、そして、漁業権の販売で、結果として中国の船が北朝鮮の旗を掲げて日本海近海にやってきている、そして、大和堆、日本のEEZ内にも入ってきている。私は、この立入検査、拿捕ができない理由というのは、北朝鮮に対して実績がない、また、国際海洋法条約に入っていないということだけじゃなくて、とめて、船に立ち入りました、北朝鮮の船だと思ったら実は中国でしたということが、知りたくない真実を知ってしまうのが怖いからなんじゃないかな、こういうふうにも、うがった見方をしてしまうわけです。

 改めて、この問題に関しては、漁師さんたちにはどうしようもできない問題でございます。国際関係の中で日本がしっかりと頑張っていかなくてはいけないことでございますから、このことについて、大臣、覚悟をちょっとよろしくお願いいたします。

吉川国務大臣 二〇一九年三月に国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが公表した報告書において、中国漁船による、安保理決議で禁止されている、北朝鮮の潜在的な収入源となる漁業権の売買など、制裁逃れと考えられる活動が確認されたと言及をされているところでございます。

 日本海における外国漁船の操業に関することで、重大な関心を持っているところでもございまして、引き続き、状況を注視していかなければなりません。我が国水域における違法操業につきましては、今後も毅然として対応していく考えでございます。

近藤(和)委員 日本海側のイカ釣り漁船が、六月の末ぐらいからですかね、また出航いたします。昨年は早目に出ていって、少し防ぐことができたということも伺っていますが、水産庁や海上保安庁さんが本当に頑張っていただいていますけれども、ぜひとも、外交といったところでの踏ん張りが本当に大事だと思っています。海の侵略が続いてきているということは、ぜひとも、この委員会の皆様とともに共有をしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、アメリカとの貿易交渉についてでございます。

 とうとう日経新聞までもが、日米貿易交渉という言い方をしてきました。

 このことについては、まず四月十六日に、茂木経済財政担当大臣、そしてアメリカ側がライトハイザーUSTR代表との会談をした。そして四月二十五日には、麻生財務大臣とムニューシン財務長官と会談をした。そして翌日には、安倍総理とトランプ大統領が会談をした。時系列でいけばこのようなことになります。

 まずは、茂木大臣のときには、物品が先行しますね、そして、データ取引、先ほどデジタルデータ取引といった言葉もございましたけれども、ここも少し入れていこうかというところで、ちょっとアリの一穴になるんじゃないかな、そういった心配もしています。

 そして、麻生大臣のところでは、為替条項は入れませんよと。

 そして、トランプ大統領と安倍総理との間では、自動車については譲りませんよといったところと、あと心配をしているのが、突然降って湧いたように、五月ですよね、五月に結論を得ることができるのではないかということが、私は、むしろ交渉材料になるんじゃないかと。余りこの場でふさわしくないかもしれないですが、七月に参議院選挙がありますので、五月で余りよろしくない結果が日本は出されると困る、だからそれを後ろずらしにするということそのものがアメリカにとってみて譲歩材料だから、日本、何か譲れと。そういったことも心配をしています。

 そして、データ取引に関しても、物品が先行ということに関しても、為替条項をやらないということ、自動車でも譲りません、そして時期でも後ろずらしでありがとうということを含めて、最大の取引材料、犠牲者が農産品ではないかということを、私は心配をしています。

 このことについて、大臣、御覚悟、御所見、お願いいたします。

吉川国務大臣 米国時間の四月二十六日、日米首脳会談が行われまして、茂木大臣とライトハイザー通商代表の間で、昨年九月の日米共同声明に沿って、物品貿易について議論が進んでいることを両首脳が歓迎したものと承知もいたしております。

 農林水産大臣としての私の責務は、日米共同声明を大前提に、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することでございまして、このために最大限の努力をしていく考えでございます。

近藤(和)委員 実際には、外交ということから入らせていただきましたけれども、WTOについても、国連ということについても、太平洋戦争で負けて、第二次世界大戦が終わってから、武器を使わない、外交による交渉、武器を使わない戦争という表現がいいかわからないですけれども、日本はむしろここを有効に活用していくということでしか、私は、安全保障も含めて、本当の安全保障、そして食の安全保障も含めて、本当に大切な場だというふうに思っています。

 ですから、WTOにおける今回の二審の敗訴においても、国連の制裁決議においても、余りよろしくない結果が続いているということを本当に心配をしていますし、そもそもが米国との二国間での経済連携交渉というものは非常に不利になりやすいといったことで、そういったことをしないんだと言っていたのに、いつの間にか、もうずるずるとアメリカとの自由貿易交渉に引きずり込まれてきています。

 しかも、先ほど為替条項ですとか時期の問題ですとか申し上げましたけれども、よくよく考えてみれば、日本から攻め込んでいるという雰囲気が全然ないんですよね。受け身といいますか、消極的といいますか。ここは本当に強く心配をしているところでございます。

 ぜひとも大臣には、日本の農林水産を、利益を代弁している一人なんだということで、もう最大の方ですから、安倍政権の中でも戦ってほしいと思うんです。ぜひとも強い覚悟を持って戦っていただきたいので、過去の、覆水盆に返らずということはいたし方ないにしても、今後そういったことがないように強く戦っていただきたいということで、時間がございましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 日米自由貿易協定について質問します。

 先月二十六日、日米首脳会談が行われました。トランプ大統領は、この交渉の中で、日本は非常に巨額の関税を農産品に課していると批判しました。そして、その関税を撤廃したいと要求したのであります。

 きょう、この議論、ずっと続いているんですけれども、この発言は非常に重大だと思いますよ。日本の農産物の関税を撤廃したいとアメリカの大統領が言ったんです。

 吉川大臣、率直に受けとめを聞きたいというふうに質問通告していたんですけれども、既にもう答弁があっています。昨年九月の共同声明、これを大前提に最大限努力すると。

 去年の共同声明は、それはそれとして、直近の、今のアメリカの大統領は日本の農産物の関税を撤廃したいと言っている。これはやはり大ごとじゃないでしょうか。安倍首相は何と答えたんでしょうか。そういうことも安倍首相にお聞きになったんでしょうか。吉川大臣、いかがでしょうか。

吉川国務大臣 この日米物品貿易協定交渉につきましては、昨年九月の日米共同声明において、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した内容が最大限との日本の立場が日米首脳間で文書で確認をされております。今般の日米首脳会談におきましても、TPPを上回る譲許を求めるという話は出なかったものと私は承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、農林水産大臣としての私の責務でありますが、この日米共同声明を大前提にいたしまして、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することでございまして、このために最大限の努力をしていく考えでもございます。

田村(貴)委員 いやいや、トランプ大統領のその発言というのは、TPPと同等かそれ以上の関税の引下げと市場の開放が念頭にあるわけですよ。農務長官もそう言っているじゃないですか。

 トランプさんは、農産品について、非常に力強く議論することになると強調しています。五月中に妥結可能かとの記者団の問いに、相当迅速に進めると思う、訪日の際に合意文書に署名するかもしれないと、ここまで踏み切っているわけですよね。これは世界じゅうに発信されていますよ。報道されていますよ。これもまた重大な意味を持つ発言だというふうに思います。

 大臣、これはやはり危機感を持つべきだというふうに思います。日本の農業と国民の食料にかかわることなのに、何が話し合われて、何を決めようとしているのか、通常国会をやっていますけれども、何にも私たちわからない、伝わってこない。情報が示されず、国会での審議もできない。国民的議論がないままに結論だけを押しつけられたら、これは生産者、国民は納得できる話ではないと思いますけれども、この状況はどうなんでしょうか。大臣、いかがですか。

吉川国務大臣 日米の物品貿易協定につきましては、四月の茂木大臣及びライトハイザー通商代表との会合におきまして交渉が開始をされたところでございますけれども、その内容につきましては、内閣官房のTPP等政府対策本部から公表されているところと承知をいたしておりますが、交渉にかかわる情報開示についてでありますけれども、内閣官房TPP等政府対策本部が担当しているところでもございますが、農林水産省といたしましても、農林漁業者の方々の不安をしっかりと受けとめ、可能な限り説明に努めていく考えでもございます。

田村(貴)委員 そうした安倍政権の弱腰とも見える姿勢に、やはり生産者は納得していないというふうに思うわけであります。厳しい目を向けていますよ。

 日本農業新聞の農政モニター、これは四月二十五日まとめでありますけれども、安倍内閣の農業政策を評価しない、六八・五%。多数を占めています。政府の食料自給率向上への取組を評価しない、七三・八%にも上っています。

 言うべきことはちゃんと言わないといけない、アメリカに対してきっぱりと物を言える外交交渉をしなければだめだというふうに考えます。

 パーデュー米農務長官は、四月九日、TPPと同じかそれを上回ることを望んでいると述べました。十一日には、農産品をめぐる暫定合意を早期に結ぶことを望むと述べました。日米貿易協定交渉で農産物の交渉を先行させるよう求めたのであります。

 アメリカがTPPを脱退して、日米貿易交渉において、関税撤廃、そしてTPP以上といった発言が今飛び交っているわけであります。日本に譲歩を迫ってきているわけであります。

 この期に及んで、アメリカがTPPに戻ってくる、そんな可能性があると本当に、本気で考えておられるんでしょうか。TPP12が発効する見込みはもうどこにもありません。TPP11の六条による見直し協議を提起すべきではありませんか。いかがですか。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 今の委員の御指摘は、もうアメリカがTPP12に戻ってくる可能性がないんじゃないかということで、TPP11の六条による見直し協議を提起すべきではないかということであったと思います。

 TPP協定の第六条につきましては、TPP12協定の効力発生が差し迫っている場合又はTPP12協定が効力を生ずる見込みがない場合には、締約国の要請に基づき協定の見直しを行う、このように規定をしてございます。

 現時点でTPP11協定の六条で規定するTPP12協定が効力を生ずる見込みがない場合に該当するか否かについては、内閣官房TPP等政府対策本部から答弁すべき事項であると理解しております。

田村(貴)委員 従来と一緒の答弁なんですけれども、そういう事態では今ないということを私は今申し上げてきたところであります。日本の農業、大ピンチではありませんか。

 メガ貿易協定の相次ぐ発効に伴って、農産物の輸入拡大に懸念の声が広がっています。そして、セーフガードの議論も頻繁に行われているところであります。

 お伺いしますけれども、そもそもセーフガードというのは何の目的のためにある制度なんでしょうか。教えてください。

横山政府参考人 御指摘のセーフガードでございます。いわゆるセーフガード措置につきましては、さまざまな種類のものがございます。

 今、どういう目的かという御質問がございました。そういう意味で、一番明確に協定上も書かれておりますのは、WTO協定、ガット第十九条、WTOセーフガード協定に基づく一般セーフガードでございまして、その中では、調査の結果、輸入の増加により国内産業に重大な損害を与え又は与えるおそれがあると認められる場合において、重大な損害を防止し又は救済することを目的として関税率の引上げや数量制限などの措置を講ずるもの、このように規定されております。

 また、このほか、個別の経済連携協定におきまして、個々の品目についてセーフガードが設けられている場合がございます。こうした品目につきましては、特定の輸入基準数量を超えた場合に自動的に関税を引き上げるといったものでございます。

田村(貴)委員 わかりました。

 そのセーフガードについて質問しますけれども、牛肉の輸入量が増加しています。資料を配付していますけれども、二〇一七年度の牛肉の輸入量は五十七万一千六百六十四トンであります。二〇一八年度は六十一万九千七百五十三トン、一〇八%の上昇を見たところです。このうち冷凍肉は、三十万一千四百三十八トンが三十四万七百六トンへ一一三%増加しています。報道もいっぱい行われました。

 WTOルールで、ウルグアイ・ラウンドで導入された関税緊急措置の発動基準数量、これは幾らなのか教えてください。そして、あと何トン冷凍牛肉がふえていたら発動基準に達していたのか、この数字を教えてください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度の第四・四半期の、今御指摘ございました冷凍牛肉の発動基準数量が三十五万二千六百八十三トンでございました。冷凍牛肉の輸入量は三十四万七百六トンでございましたので、発動基準数量を一万一千九百七十七トン下回っている状況でございます。

田村(貴)委員 あと一万一千九百七十七トンで発動されていたというふうな状況まで輸入量が増加しているわけなんですよね。セーフガード基準に迫る勢いで冷凍牛肉が日本に入ってきているということです。

 昨年十二月にTPPが発効し、関税が下がって、カナダやニュージーランドなどの冷凍牛肉が一月、急激に拡大しました。もしセーフガードを発動したら、TPP参加国でないアメリカには五〇%の関税をかけなければならない、そこで、アメリカなどに情報を提供して、年度末に向けて輸入を抑制した。この数字の表からも読み取れるんですけれども、冷凍牛肉を抑制してきたと数字の上からも読み取れるところであります。

 しかし、このセーフガードの基準に基づくと一一七%なんですよね。一一七%を超えないように輸入調整をしていけば、二〇一八年度のように毎年輸入量が上がっていくことになるんじゃないんですか。既に、この二〇一八年度の六十一万九千七百五十三トンというのは、表の下にある、TPPの二〇一九年度の六十万を超えている、この基準を超えている、こういう状況になっているわけなんです。

 国内畜産業には重大な損害が出てくるのではないか、一一七%を超えないように調整すれば確実に上がっていくわけですから。こういう方向でいいんですか。畜産に大きな影響を与えていくんじゃありませんか。いかがですか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 先生、今二つのことをおっしゃったというふうに思ってございます。

 一つは、まず、関税緊急措置につきましては、対前年度実績の一一七%ということでございまして、当然、前年の方の輸入量がふえますと発動基準数量もふえますし、減りますと減るということで、例えば、二〇一七年度は減って、二〇一八年度は基準数量が上がっている、それは、その年々の輸入の状況で決まってまいります。

 また、二〇一八年度の牛肉輸入量は六十一万九千七百五十三トンということで、御指摘のとおり、対前年同期比一〇八%でございます。これは、近年の国内の好景気等を背景といたしまして、焼き肉、ハンバーガー等の外食産業を中心として牛肉の需要が拡大していることによるものでございます。

 一方で、国内の牛肉生産量でございますけれども、近年、三十三万トン前後で推移してございますが、二〇一八年度は三十三万二千八百五十七トンということで、対前年同期比一〇一%ということではございますけれども、やや増加しておりまして、また、国産の卸売価格も堅調に推移してございますので、現時点におきまして国内農業に重大な損害が出ている状況にはないというふうに考えてございます。

 農林省といたしましては、堅調な牛肉需要に応えまして国産牛肉の生産を拡大していくことが重要と考えておりまして、畜産クラスター事業等々によりまして国内の生産基盤の強化を図ってまいりたいと存じます。

田村(貴)委員 いやいや、これから重大な影響が、損害が起きるのではないですかと聞いているわけですよ。

 TPP発効以降、EPAの後、スーパーに行ったら、もうすごいセールですよ。TPP発効記念セール、それから日欧EPA記念セール、こういうことをいっぱいやっているわけですよね。そして、もう国産牛肉を席巻する勢いでディスプレーされているじゃないですか。

 現に、肉用牛の飼養農家戸数は毎年三千戸から四千戸のペースで減っている。重大なのは、もう太刀打ちできないな、もうこれから畜産をやってもしようがないな、こういう諦め感を植え付けては絶対だめだと言うんですけれども、もう際限のない自由貿易、経済連携協定で関税が下がってきたら、この傾向は更に深まる、私はそういうふうに思います。

 そういうことから、やはりFTA、アメリカとの交渉は、これはもうやめる、日本に対して農産品の関税を撤廃まで、そこまで言い出した以上は、直ちに日米貿易交渉は打ち切るべきだというふうに思います。それから、日本の経済、食料主権を守って、公正で公平な貿易ルール、これをつくることが政府の使命だということを主張して、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 本日は、まず、豚コレラによる豚肉価格の高騰について伺います。

 令和を迎え、今のところ豚コレラの発生は報告されておりませんが、先月までに二十二例の豚コレラの患畜、疑似患畜が確認されております。愛知県では飼養頭数の一四%、岐阜県では三五%もの豚が殺処分を余儀なくされ、多くの養豚農家の方々が苦しまれております。これ以上の感染拡大のないように、このまま終息することを願うばかりでございます。

 豚コレラにより日本国内の豚肉価格が高騰しておりますが、豚コレラ発生前と比べ、どのぐらい高騰しているのでしょうか。また、輸送費や飼料の高騰の影響もあると思いますが、日本国内の豚肉価格の高騰の原因についてどのように認識されているのでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年九月の豚コレラの発生以降、四月二十二日に確認されました二十二例目までの殺処分の対象頭数、関連農場を含めまして、約八万九千頭でございます。これは全国の飼養頭数約九百万頭の一%程度ということでございます。

 豚肉の市場価格でございますが、豚コレラが発生いたしました九月以降、対前年を下回って推移してございましたけれども、本年三月には対前年を上回りまして、比較的安定した値動きというふうになってございます。

 ただ、先生がおっしゃった高騰というところがどこか、ちょっとわかりませんけれども、四月の中下旬に確かに価格が上昇してございますが、これはゴールデンウイークに向けた在庫確保などによる需要増によるものというふうに考えてございまして、過去五年間の同月比の平均価格と比較をいたしますと一〇一%ということで、ほぼ平年並みとなってございますので、豚コレラの影響によるものではないというふうに分析してございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 豚コレラによって豚肉の価格は高騰していないというお話を今お聞きしました。豚肉価格の高騰というのは直接家計に響きますので、今後、高騰するようなことがあれば、しっかり対策をとっていただきたいと思っております。

 豚コレラによって多くの豚が殺処分をされ、今後も豚肉の供給不足の懸念もあります。日本の食を守るためにも、日本の養豚農家を守るためにも、豚コレラの終息に向け、現場の声を特にしっかり聞いて対策を講じていただきたいと思います。

 次に、アフリカ豚コレラによる豚肉価格の高騰について伺いたいと思います。

 現在、日本国内ではアフリカ豚コレラは発生しておりませんが、昨年八月に中国・遼寧省でアジア初の感染が確認されてから、この八カ月で、中国に三十一ある省、自治区、直轄市の全てでアフリカ豚コレラの感染が確認されました。感染地域の周りを封鎖し、これまでに百万頭以上の豚を殺処分したようですが、いまだ終息に至っておりません。

 中国は、豚肉の年間消費量が約五千五百万トンで、世界の約半数の豚肉を消費しておりますので、中国国内におけるアフリカ豚コレラの蔓延は大変深刻な問題でございます。

 中国が米国産豚肉にかける関税は現在六二%ですが、それでも、米国からの輸入量が、ことしは過去最高の約三十万トンに達する見込みとのことです。

 中華料理には豚肉は欠かせませんので、今後、中国がヨーロッパや南米から輸入を増加することになると、日本における輸入豚肉の価格高騰も考えられますが、この現状をどのように認識されておられますでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 中国の主要な卸売市場におけます豚肉価格でございますけれども、例年であれば下降傾向となります春節後にも、価格が上昇して、高どまりをしているというふうに承知をしてございます。

 これは、中国におきまして二〇一四年から始めました環境規制の強化等によりましてそもそも飼養頭数が減少している中で、昨年八月に発生し、全土に広がっておりますアフリカ豚コレラが、中国全土に広がった影響によるものというふうに推察をしてございます。

 あと、中国の輸入の方でございますけれども、中国への主要な豚肉輸出国からの輸出量を見ますと、現在のところ、例年に比べて大きな変動は見られておらず、現時点では日本の豚肉輸入に影響を生じている状況にはないというふうに考えてございます。

 いずれにしても、農林省としては、引き続き、豚肉の輸入動向等を注視してまいりたいと存じます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 中国のアフリカ豚コレラの影響によって、今後、日本国内の豚肉価格の高騰の可能性はあります。ヨーロッパの国々と取引をされている輸入肉の販売業者さんからもお話を私はお聞きをしてまいりましたけれども、供給不足について大変心配をされておりました。先ほどのお話では、余り影響がないようなお話をされましたけれども、今後しっかりと対応をとっていただかなくてはと私は思っております。

 今後、中国でのアフリカ豚コレラの影響が日本国内の豚肉不足、豚肉価格の高騰という形であらわれてくる可能性があると考えられますが、今後どのような対策を講じるのでしょうか。お聞かせ願います。

小里副大臣 事務方から答弁を申し上げましたとおり、現時点において我が国の豚肉価格が高騰している状況にはないと考えているところでありますが、今後とも、引き続き、豚肉の価格動向等について注視をしてまいりたいと思います。

 また、国内外での伝染病の発生や国際情勢の変化にかかわらず、国内生産による豚肉の安定供給を確保することが重要でありまして、畜産クラスター事業等により、引き続き、国内の生産基盤の強化を図ってまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 現時点では影響がないとのことですけれども、先を見て対策を打ってほしいという現場の声をちょっと聞いてまいりましたので、ぜひお願いしたいと思います。

 豚コレラの終息はもちろんのこと、豚肉の供給不足、価格高騰が懸念されているので、日本国内における飼養頭数をふやすといった取組にも力を入れていただきたい、そういったお話も聞いてまいりました。

 豚コレラによって殺処分を余儀なくされた養豚農家さんたちの心のケアと、営農再開ができるよう支援もしていただきたいと思います。

 また、愛知県や岐阜県の、殺処分の対象となっていない地域の養豚農家さんたちは、日々、不安と恐怖と闘いながら、細心の注意を払って仕事をされております。豚コレラそしてアフリカ豚コレラの恐怖があると、規模を縮小する、養豚をやめるという農家さんも出てきてしまいます。

 繰り返しになりますが、日本の安心、安全な豚肉を守るためにも、ぜひ、豚コレラの終息とアフリカ豚コレラの侵入防止を徹底していただくよう、お願い申し上げます。

 次に、農業人材バンクの必要性について伺います。

 以前に、被災農家さんからお話を聞いたときに、人材バンクのようなものがあれば被災直後の人手不足のときに助かるというお話をお聞きし、質問もさせていただきました。

 ある若手農業経営者さんのところにお話を聞きに行ってきたのですが、そこではたくさんの女性のパートさんを雇っておられました。仕事は平日の午前中だけで、土日は休み、午前中にみんなで一気に収穫、出荷準備をして、残業はなしという、まさに働き方改革を実践されているところでした。

 複数の農家さんたちにもお聞きをしましたが、農繁期には人手不足になる、しかし人手が足りている時期もある、人手不足だからといって外国人労働者を受け入れようと思っても、通年で雇うのは難しいとおっしゃっておりました。そこで、国の農業人材バンクのような制度があればありがたいとの声をお聞きしてまいりました。

 そこで、大臣にお伺いをします。

 農業人材バンクの必要性について、どのようにお考えでしょうか。

吉川国務大臣 農業就業者の減少や高齢化が進行する中で、農繁期において短期的な労働力不足を解消することは、近年、ますます重要になっていると認識をいたしております。

 このため、農林水産省といたしましては、短期のアルバイト等を地域が一体となって確保しようとする場合の人材の募集、データベースの作成、地域と人材のマッチング等の取組を支援してきたところでもございます。

 例えば大分県でありますけれども、JAや人材派遣会社等が本事業を活用して、平成二十八年から三年間で延べ二万五千人以上の短期雇用につながっております。

 委員御地元の京都府におきましても、平成三十年度から本事業の活用が開始をされたところでもございます。

 今後とも、現場の実態を踏まえながら、こうした取組によって、農繁期における短期労働力の確保に向けた取組をしっかりと後押しをしてまいりたいと思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣から力強いお言葉をいただきました。

 大分の事例であったり、京都のお話もいただいて、ありがとうございます。

 農業人材バンクがうまく活用できれば、そういったものがしっかりあれば、雇用主の方にとっても、毎回新人の方に一から指導するということも減りますし、繁忙期に雇用できるメリットがあり、また、働き手側も、自分が働きたい農家さんを選び、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことができれば、今後の日本の農業を支える意味でも、大変有効な働き方ができるのではないかと思っております。

 被災された農家の方々や人手不足に悩む農家の方々から、農業人材バンクがあればとの強い要望をお聞きしましたので、ぜひ、さまざまな取組、やっていただいているとは思いますけれども、今後もしっかり検討していただきたいと思います。

 次に、青果物の流通コストについて伺います。

 地方の農家さんから、流通コストが高くて困っている、中央卸売市場までの輸送費で既に大都市近郊の農家さんたちとの勝負がついてしまっている、国内外で勝負できる品質のよいものをつくるので地方の農家の輸送費に対して補助をしてほしいとのお声をお聞きしてまいりました。輸送費に補助をしてもらえるならほかの補助金は何も要らない、勝負をさせてほしいという意欲のある農家さんのお話を聞いてまいりました。

 補助金ありきで、何をつくったら補助金もらえますかと、補助金をもらうことが主になってしまっている農家さんの話をよく聞きますが、攻めの農業、戦おうとしている方々への支援をぜひお願いしたいと思います。

 地方の多くの農家の方々が同じ悩みを持っていると思いますが、この青果物の流通コストに対する認識と今後の取組について教えてください。

濱村大臣政務官 青果物の輸送につきましては、小ロットの荷を多頻度で集荷することが多いこと、ドライバーによる段ボール箱の手積み、手おろし等の荷役が多いこと、あるいは、毎日の出荷量が直前まで決まらず集荷の際の待ち時間が長いことなど、トラックドライバーの負担が大きいため、取扱いを敬遠されたり、輸送費が引き上げられる事例が出てきております。

 このような中で、輸送費に対しまして直接補助するということは難しいと考えておるところでございますが、ドライバーへの負担と輸送費を軽減するという観点からは、産地に集荷場を設置して、荷のロットを大きくするとともに、トラックの集荷ポイントを絞り込む取組、産地で段ボール箱をパレットに載せて輸送してドライバーの荷役と作業時間を縮減する取組、出荷予定量や出荷時刻をトラック業者に連絡するシステムを導入することで集荷の際の待ち時間を短縮する取組等を進めております。

 これらの取組につきましては、トラック業者等とも協力して進める必要があるため、国土交通省や荷主であることが多い経済産業省とも連携しながら、青果物流通の一層の効率化を進めてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 こちらも地方の農家の方々からは強い要望がありますので、さまざま取り組んでいただいているとは思いますが、今後もよろしくお願いいたします。

 今後の日本の農業を支えていく、特に若手農家さんたちが挑戦できる、勝負のできる環境を整えていただきたいと思います。

 本日は、もう一問あったんですけれども、時間がございませんので、以上で終わります。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

武藤委員長 次に、内閣提出、国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣吉川貴盛君。

    ―――――――――――――

 国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

吉川国務大臣 国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国の森林については、戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎えております。この森林資源を切って、使って、植えるという形で循環利用していくことで、先人の築いた貴重な資産を継承、発展させることが、これからの森林・林業政策の主要課題であります。

 こうした課題に対応するため、昨年の第百九十六回国会で成立した森林経営管理法においては、経営管理が不十分な民有林を意欲と能力のある林業経営者に集積、集約化する、新たな森林管理システムを構築することとされております。

 この新たな森林管理システムを円滑に実施し、こうした林業経営者を育成するためには、安定的な事業量の確保が必要となります。そのためには、民有林からの木材供給を補完する形で、国有林から、長期、安定的に、林業経営者が樹木を採取できるよう措置することが有効であります。

 このような認識のもと、効率的かつ安定的な林業経営の育成を図るため、国有林野の一定区域において、国有林野の公益的機能の維持増進や地域の産業振興等に配慮した上で、木材の需要者と連携する事業者が、一定期間、安定的に樹木を採取できる権利を創設するとともに、あわせて、川上側の林業と木材の需要拡大を行う川中、川下側の木材関連産業の連携により木材の安定供給を確保する環境整備を行うため、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、樹木採取権の設定についてであります。

 農林水産大臣は、効率的かつ安定的な林業経営の育成を図るため、国有林野の一定の区域を樹木採取区として指定した上で、当該区域において生育している樹木を、一定の期間、安定的に採取する権利として、樹木採取権を設定することができるものとしております。

 第二に、樹木採取権の設定を受ける者の選定についてであります。

 樹木採取権の設定を受ける者については、農林水産大臣が公募を行い、公募に応じた者のうちから、森林の経営管理を効率的かつ安定的に行う能力を有することや、民有林からの木材の供給を圧迫することがないよう林業経営者が川中、川下側の木材関連業者と連携すること等を条件とした上で、地域における産業の振興への寄与の程度等を勘案し、選定するものとしております。

 第三に、樹木採取権の行使についてであります。

 国有林野の公益的機能の維持増進等を図るため、樹木採取権の設定を受けた者は、事業を開始する前に、施業の計画や現行の国有林における伐採のルールなど樹木の採取の具体的な条件等を定めた契約を、五年ごとに農林水産大臣と締結しなければならないものとしております。この契約に係る重大な違反があったとき等の場合は、農林水産大臣は、樹木採取権を取り消すことができるものとしております。

 第四に、樹木の採取跡地における植栽についてであります。

 農林水産大臣は、樹木採取区内の樹木の採取跡地において国有林事業者として行う植栽の効率的な実施を図るため、樹木採取権者に対し、当該植栽をその樹木の採取と一体的に行うよう申し入れるものとしております。

 第五に、木材の安定取引に取り組む事業者に対する金融上の措置についてであります。

 独立行政法人農林漁業信用基金は、林業経営者と川中、川下側の木材関連業者が、木材の需要の開拓等に関する事業計画を共同で作成し、都道府県知事等の認定を受けた場合に、その計画に係る事業に必要な資金の供給を円滑にするため、資金の貸付け及び債務の保証を行うものとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

武藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十二分散会


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