衆議院

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第12号 令和元年5月15日(水曜日)

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令和元年五月十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 武藤 容治君

   理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君

   理事 齋藤  健君 理事 野中  厚君

   理事 細田 健一君 理事 亀井亜紀子君

   理事 近藤 和也君 理事 稲津  久君

      池田 道孝君    泉田 裕彦君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    木原  稔君

      木村 次郎君    黄川田仁志君

      小寺 裕雄君    斎藤 洋明君

      坂本 哲志君    西田 昭二君

      福山  守君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      宮路 拓馬君    務台 俊介君

      山本  拓君    石川 香織君

      大串 博志君    金子 恵美君

      神谷  裕君    佐々木隆博君

      長谷川嘉一君    堀越 啓仁君

      森山 浩行君    関 健一郎君

      緑川 貴士君    濱村  進君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       吉川 貴盛君

   農林水産副大臣      小里 泰弘君

   農林水産大臣政務官    濱村  進君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 川合 靖洋君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (林野庁長官)      牧元 幸司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小林  靖君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     黄川田仁志君

  藤井比早之君     務台 俊介君

  神谷  裕君     森山 浩行君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     福山  守君

  務台 俊介君     藤井比早之君

  森山 浩行君     神谷  裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)


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     ――――◇―――――

武藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、林野庁長官牧元幸司君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長川合靖洋君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君及び国土交通省大臣官房審議官小林靖君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮路拓馬君。

宮路委員 おはようございます。

 昨日の参考人質疑に続き、質問の機会に立たせていただくこと、委員の皆様方に感謝申し上げたいと思います。

 私、実は、佐賀の古川康委員とともに、自民党若手で林政勉強会というのを開催させていただいておりまして、林業というとなかなか、農業と比べるとですが、関心を持つ議員の数が少ないんじゃないかという危機感、これがありまして、古川委員とともに開催させていただいているんですが、そのかいあってか、こうやって質問の機会をいただけたのではないかなと思っておりまして、政策はやはり勉強するものだなと改めて思っているところでございます。(発言する者あり)ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 昨日、参考人の皆様にもお伺いいたしました。この林業をめぐる状況というのは、平成二十三年、そして二十八年、森林法が改正され、そして昨年、森林経営管理法が成立しまして、長年の念願であった森林環境税の導入も決まりまして、大きく動いているわけでありますが、大きく動いているからには当然理由があって、それはやはり、我が国の林業が抱える課題があるからこそ大きく変えていかなければならないということなんだろうと思います。

 昨日、参考人四人の皆様にもお伺いいたしました。

 野口参考人は、やはり採算性が確保できない、その背景には、路網の整備がまだ十分ではない等々ある。自給率もやはり、最近上昇しているとはいえ、五割にも満たない、三六%程度だということで、そこも課題だという御認識でありました。

 また、立花参考人、こちらは、立木価格の安さ、それは素材生産の生産性が低いことに起因するものだということでありました。需要の開拓、需要の増大が必要だという見解でありました。

 また、日高参考人、こちらは、素材生産にかかわられている、まさに現場で汗を流されている方でありますが、やはり、これまでの日本の林業の面積が小さい、集約化が必要だということ。それによって、複数年にわたって計画的に投資をし、林業経営を行っていく必要がある。一方で、その投資の結果、大型機械を導入すればこそ、やはりそれに見合った林地面積の集積が必要であるという話であったかと思います。あるいは、現場で従事されている方ですから、やはり、足場の草刈り含めて、林業従事者の置かれている厳しい労働環境についても言及があったかと思っております。

 そしてまた、土屋参考人、こちらはちょっと視点を変えて、国民の木材に対する意識の涵養が必要だというような発言だったかと思います。森林認証制度等あれども、それが付加価値につながっていない、欧米各国に比べて林業に対する国民の意識がまだまだ高揚を図っていく必要があるのではないかということであったかと思います。

 それを前提にして、改めて、国として、今日の我が国林業が抱える課題は何なのかということをどう把握されているのか、お伺いをしたいと思います。

吉川国務大臣 我が国の森林は、戦中戦後の木材需要を受けた過剰な伐採による荒廃期を経て、その後、昭和四十年代にかけて積極的に植栽を行い、近年、ようやく資源の造成期から主伐期を迎えつつあります。この間、資源造成のため、林業は、間伐を中心に行われてきたことに加えまして、木材価格の低下などの厳しい状況が続きました。林業の発展のみならず、森林の公益的機能の維持にも支障が生ずることが懸念される事態となっているところでもございます。

 このため、森林・林業の現状を抜本的に改善をいたしまして、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図ることが喫緊の課題となっていると承知をいたしております。

 この課題に対しまして、本年四月から施行をされた森林経営管理法によって、経営管理が十分に行われていない森林の経営管理が集積、集約する仕組みを導入をしたところでございますけれども、この仕組みを円滑に実施していくためには、意欲と能力のある林業経営者をしっかりと育成していくことが重要であると考えております。

宮路委員 先般の森林経営管理法、今大臣からの御答弁にもございました。そこでもやはりキーワードになっていたのは意欲と能力のある経営者ということで、やはり、人口が減少する中で、一人一人の生産性を高めていかないといけない中において、意欲と能力を持った方にどれだけ活躍していただけるのか、これは、林業にとどまらず、あるいは農林水産業にとどまらず、あらゆる産業において言えることかと思います。

 やはり、林業、先ほど経緯も御説明をいただきました。間伐中心で、木材価格が低下した中で、産業としての魅力が減退をしていき、人がなかなか集まらなくなった、投資もされなくなった、そうした中で、しかし、これから林業を発展させていくためには、その中でも意欲と能力を持った方に頑張っていただく必要がある、これは非常に真っ当な考えであろうかと思います。

 そうした課題を認識されている中で、今般、森林経営管理法に続き、国有林野の管理経営法の改正を行うということでございますが、改めて、法案質疑でございますので、今回の改正法の、課題を解決する中での法的な位置づけ、法律の位置づけについてお伺いをしたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国の森林につきましては、戦後造成されました人工林が本格的な利用期を迎えているわけでございまして、この森林資源を切って、使って、植えるというような形で循環利用していくことが今後の森林・林業施策の主要課題であるということでございます。

 昨年成立をいたしました森林経営管理法に基づく森林経営管理制度が本年四月から施行されているところでございます。このシステムを円滑に機能させるためには、システムのかなめでございます意欲と能力のある林業経営者の育成というものが不可欠となっているということでございます。

 このため、国有林が民有林を補完する形で、長期安定的にこうした林業経営者に木材を供給いたしますとともに、国産材の需要拡大に向けて、川上、川中、川下の事業者との連携強化を図ることが有効でございます。

 そのような目的で、できるだけ早期に仕組みを整備するために、今回この法案を提出することとしたところでございます。

宮路委員 これまで本委員会でも質疑をされてきましたので、法案の内容については大分、委員の皆様方の質問により、詳細についてまで掘り下げて議論がされてきているところかと思いますが、私が地元で林業に関してその従事者あるいは関係者の方々と意見交換する中で、今般の国有林野管理経営法改正に対して若干の懸念の声も上がっているところでありまして、それについて、実際、今回の法案でその懸念は当たるのか当たらないのか、そこについて改めて確認をさせていただきたいと思います。

 その懸念と申しますのは、今回の、国有林野にそういう形で新しい意欲と能力のある経営者が入っていき、木材がそれによって供給されることによって、逆に、昨年の森林経営管理法で育成をするということにしております民有林の経営者、その経営を圧迫するのではないか、国有林から多くの木材が供給されることで民有林の方を圧迫してしまうのではないかということも懸念されているところであります。

 これについて、どのような考えで今般の法改正がなされるのか、お伺いをしたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 樹木採取区から木材が供給されることによりまして民有林からの木材の供給を圧迫しないようにするためには、やはり木材の新規の需要先が確保されているということが重要であると考えているところでございます。

 このため、権利の設定を受けようとする者に対しましては、川中、川下事業者との協定などによりまして木材の安定的な取引関係を確立するということを確認するとしているところでございます。

 このような安定的な取引関係によりまして木材の新規の需要先が確保されていれば、民有林からの木材の供給を圧迫することはないのではないかというふうに考えているところでございます。

宮路委員 ありがとうございます。

 取引関係の安定的確保を今般の権利設定の前提条件とするということでありますが、そもそも、取引関係の安定的確保は、それは需要先を確保するということなんだと思いますが、需要が今より拡大しないと、国有林から搬出されるいわば素材の増加分を、ある意味、受皿がないということになってしまいます。

 したがいまして、取引関係の安定的確保の前提には、そもそも需要自体がこれまで以上に創出されないといけないということになろうかと思いますが、その需要創出に向けた政府の取組、考え方についてお伺いをしたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 需要創出についてのお問合せでございます。

 戦後造成をされました人工林が本格的な利用期を迎えた中におきまして、林業の成長産業化に向けまして、豊富な森林資源を循環利用することが重要な課題であると認識をしているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、森林・林業基本計画に基づきまして、国産材の利用量を、二〇一五年の二千五百万立米から、二〇二五年、令和七年になるところでございますけれども、令和七年には四千万立米まで引き上げることを目標としているところでございます。

 この目標の達成に向けまして、具体的には、一つには、住宅につきましては、建築部材のうち外材比率が高い部材の外材からの代替を図るため、横架材でございますとか羽柄材、あるいは国産材ツーバイフォー部材等に関する部材の開発、普及でございますとか、あるいは、これまで余り木材が使用されてこなかった中大規模建築物等につきまして、それに利用可能な木質耐火部材でございますとかCLTの利用促進によります他資材からの代替、それに、施主や設計者による木材の利用促進を図るため、民間企業のネットワーク構築による木材利用の情報共有の促進、さらには木質バイオマスのエネルギー利用でございますとか、あるいは付加価値の高い木材製品の輸出拡大、さらに、木材のよさや価値を実感できる木材製品の情報発信、木育などの普及啓発など、各般の施策に取り組んでいるところでございます。

 こうした施策の推進によりまして、新たな木材需要を創出いたしまして、国産材の需要拡大に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

宮路委員 ありがとうございます。

 需要創出とともに大事だと言われているのが、先ほどの冒頭の質問にもありますが、課題として挙げられるのが、やはり効率的なサプライチェーンの構築も必要だと言われております。

 昨日の参考人質疑でも申し上げましたが、日本の丸太の価格ですね。丸太価格のコスト比較をした資料がありますが、先日も申し上げました、日本と地形や森林所有規模等の条件が類似するオーストリアと比べた場合、コストは同等であったとしても、そのコストの中に占める割合、流通コストと搬出コストが高いということであります。

 搬出コストにつきましては、林地の集約化であるとか、そこに意欲と能力のある経営者が入っていって投資を行い、機械導入、新技術の導入を図る等、まだまだ路網整備も含めてやることはありますが、こちらの流通コストを下げることも非常に大事でありまして、それは同時に、川上、川中、川下の連携を図ることにより、新たな需要創出、例えば、我が九州におきましても、ツーバイフォー部材の生産を川上から川下まで連携したサプライチェーンで提供している例がございます。

 このことについては、需要の創出に加え、流通の効率化という点もあろうかと思いまして、コスト構造比較で明らかなように、ここにもまだ改善の余地があるということでありますので、その点について政府がどのような取組を考えているのか、お伺いをしたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 川上、川中、川下事業者の連携によります流通コストの削減についてのお問合せでございます。

 木材の需要創出に向けては、需給のミスマッチを起こさないように、生産、加工等の事業者が実需者のニーズに応じたマーケットインの考え方に基づきまして安定的な供給体制を構築することが重要であると認識をしているところでございます。

 このため、農林水産省では、一つには、川上、川中、川下の各段階の事業者を集めましたサプライチェーンマネジメント推進フォーラムの設置、また、効率的なサプライチェーンの構築に向けまして、ICTを活用した需給データの共有化などの取組を支援しているところでございます。

 さらに、本法案では、まず、国有林野の管理経営に関する法律の改正案におきまして、樹木採取権の設定を受ける者の要件といたしまして、川中、川下事業者との連携によりまして木材の安定的な取引関係を確立することが確実と認められていることを求めておりますほか、木材の安定供給の確保に関する特別措置法の改正案の中で、川上、川中、川下事業者が連携して行います木材の需要の開拓等の取組に対しまして、独立行政法人農林漁業信用基金が資金の貸付け及び債務の保証を行うといった措置を盛り込んでいるところでございます。

 このような取組を通じまして、川上から川下までの流通全体の効率化を図り、木材需要の創出に努めてまいりたいと考えているところでございます。

宮路委員 ありがとうございます。

 続いて、ちょっと視点を変えまして、どちらかというと国有林は東日本に多いという、質疑の中でもこれまで言及がなされてきたところでありますが、当然、我が鹿児島においても国有林はございます。

 そうした国有林の仕事をこれまで受けてきた地元事業者の方々ともお話をする機会があるんですが、今般、改正案が出されるのではないかと、大分さかのぼっての話になります、昨年の話になりますが、そうした話が聞こえてきたときに、やはり懸念されたのが、かなめという言葉も出てまいりましたが、意欲と能力のある林業経営者、これがどうも、大資本、東京の大資本の会社が、今般の法改正後、その制度に乗ってやってきて我々の仕事を奪ってしまうのではないか、そこは大丈夫なのかという心配の声も寄せられたところであります。やはり、それについてはしっかり、そうではないんだよということを説明していく必要があろうかと思います。

 改めて、この場において、その点についてどのような手当てがなされているのか、お伺いをしたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、今回の新たな仕組みにつきましては、現行の入札方式を引き続き基本とした上で、今後供給量の増加が見込まれる国有林材の一部について導入することとしているところでございます。

 したがいまして、現行の入札による方式につきましては、まさに地元の中小の事業者の皆様がほとんど受注しているところでございますので、そこは、そういうことを基本にしながら、今後供給量の増加が見込まれる材の一部について導入ということでございます。

 また、地域の産業の振興につながるように、樹木採取区につきましては、地域の意欲と能力のある林業経営者が対応できる規模を基本とするということとしております。また、複数の中小事業者が協同組合等として申請することも可能といたしますとともに、樹木採取権者の選定に当たりましては、地域の産業振興への寄与の観点から、樹木料の高低だけではなく、地域への貢献度合いなどを総合的に評価することとしております。

 以上の点から、本法案は、大企業を優先するというようなものではなくて、地域の林業経営者の育成につながるものであると考えているところでございます。

宮路委員 この点についてはやはり地元において心配の声が寄せられておりますので、最近は、農林水産行政において、しっかりと国の方から、直接現地に行って、そして現場の方々に説明をされるということを丁寧にやっていただいているというふうに私としては認識しております。今般のこの改正についても、成立した暁には、しっかりとその点の懸念等に応えられるように、各現場に赴いていただいて、その説明をしっかりとしていただければというふうに考えております。

 続きまして、法案の延長線上にあるかもしれません、先ほど大臣からも、林業全体が抱える課題についての認識について御答弁をいただいたところであります。やはり、林業の生産性を向上させるということが非常に大事であろうと思います。それによって産業自体が魅力あるものとなる。

 きのうの参考人質疑でも申し上げましたが、やはり、これまで、産業としての魅力が薄れてきていたから、あるいは失われていたからこそ、林業従事者の数も減っていき、それが、これは全ての産業にわたる話かもしれませんが、林業においても例に漏れず、人手不足、労働力不足の問題が叫ばれているところであります。

 やはり、そうした状況を打破するためには、少しでも魅力ある産業に、それすなわち、林業の生産性を高め、林業経営者、林業従事者の所得を高めていく必要があろうかと思います。そのためには、ありとあらゆる手段を講じ、政策を立案していかなければならない。

 その中で、生産性向上、やはり、先ほど多少言及しましたが、これまで導入されていなかった我が国の誇る物づくりの技術等をいかに活用していくかが今後の林業経営において非常に重要な点であろうと思っております。

 そうした意味では、高性能林業機械の導入、あるいはまたドローン、AI、あるいはロボティクス、そういったものの活用を図っていく必要があると考えております。

 農林水産省として、この新技術、機械の導入をどう図っていくのか、お伺いをしたいと思います。

小里副大臣 林業の成長産業化を図って、また、所得の向上を図っていく、そのためには、林業の生産性の向上が極めて重要であると認識をしております。

 御指摘のとおり、ICT等の先端技術を活用をし、また、高性能林業機械の開発等を進めることが求められております。このため、農水省としましては、航空レーザー等のリモートセンシング技術により得られた地形データを用いて路網を自動設計する先進的な地域に対する支援、急傾斜地での作業の安全性、生産性を向上させる架線系の搬出機械や苗木植栽ロボットなど、伐採、造林の各作業に対応した機械の開発等を行っているところであります。

 このような取組を進めて、林業における技術革新を促して、林業の生産性、安全性の向上等を図ってまいりたいと思います。

宮路委員 私のかつての選挙区、そして今、小里農林副大臣の選挙区にも、主伐期を迎えたすばらしい民有林あるいは国有林がございます。そこにおいて、若者にも魅力があるということは、それは労働環境の問題もありますが、そうした新しい技術が導入されている、それは、その産業自体がしっかりと注目をされている、世間からここはしっかり投資をする価値があるんだというふうに見られているということ、これは、やはりその産業に従事する方に対して誇りを持っていただく非常に重要な部分であろうと思います。

 林業というと、農業と比べて規模という面では劣るところがあるかもしれませんが、ここは、だからこそ農林水産省挙げて、国として、そうした高性能林業機械の開発等々、これはやはり欧米の方が先行していっているという現状もあろうかと思いますが、やはり、日本の物づくりの力をここで発揮せずしてどこで発揮するという、そういう気概を持って開発あるいはその支援を行っていただければというふうに考えております。

 続いて、先ほど来ありますとおり、人工林の多くが主伐期を迎える中、先ほど御答弁にもありました、切って、使って、植えるというサイクルを確立していくことが、今後、持続可能な林業経営、つまり、森林資源の適切な利用、それによる公益的機能の発揮をしっかり確保しながら成長産業化をしていき、それが永続的に続く、そういう持続可能なサイクルを確立するためには、林業経営者、民間の力だけではやはり足りない部分もあろうかと思います。

 当然、そこには公の、国の、あるいは県の、市の、しっかりと力を発揮すべき分野もあるわけでありまして、それすなわち、林道整備あるいは再造林ということに対して森林整備事業をしっかりと、国としても、行政としても推進していくべきと考えておりますが、その点についての見解をお伺いしたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 戦後造成をした人工林が本格的な利用期を迎えている中で、今委員からも御指摘ございました、切って、使って、植えるという、こういったサイクルを確立をいたしまして、林業の成長産業化、また森林資源の適切な管理を実現するためには、御指摘のとおり、林道整備とかあるいは主伐後の再造林というものを確実にやっていくということが大変重要であると認識をしているところでございます。

 このため、林道整備に当たりましては、一つには、平成三十年度からは、大量の木材運搬等に対応できます幹線林道の整備を実施をいたしますとともに、令和元年度、本年度からは、効率的な路網設計等が可能となる航空レーザー計測等を新たに措置するなど、その他、加速化に取り組んでいるところでございます。

 また、主伐後の再造林を着実に実施をするために、一つには、森林整備事業によりまして、国と都道府県を合わせて約七割を補助いたしますとともに、再造林コストの低減に向けた伐採と造林の一貫作業でございますとか、これに必要なコンテナ苗生産への支援などを行っておりまして、さらに、令和元年度予算においては、新たに、成長が早く造林、保育費用の低減にもつながります早生樹のモデル的造林への支援も開始をしたところでございます。

 農林水産省といたしましては、引き続き、所要の予算を確保しつつ、このような取組によりまして林道整備や主伐後の再造林を確実に進めまして、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

宮路委員 これまで質問させていただきましたとおり、法改正によりまして、意欲と能力のある経営者に林地を集積し、そしてスケールメリットを働かせる。そして、その経営者がより計画性を持って林業経営を行っていけるように投資が必要なわけでありますが、その点については、高性能林業機械の開発支援を行い、また、ICTを始めとする技術の導入を図り、生産性を高めていく。そして、それによって産業の魅力を高め、それが人が集まる産業になっていくということであります。

 これはちょっと質問通告はしておりませんが、やはり、その先にあるのが、しっかりとした人がこの産業に入ってくることであろうと思います。その意味では、今後、林業従事者の人づくりの観点、国全体で人手不足が叫ばれている中で、女性あるいは高齢者の活用、あるいは障害者がより活躍していただくとともに、先般の外国人労働者の問題もありましたけれども、ありとあらゆる手段をとっていかなければなりません。

 これは林業においても同様のことが言えるかと思いますけれども、林業における人づくりについて、農林水産省として今後どのような施策をとっていかれるのか、お伺いをできればと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘ございましたように、林業従事者、林業に携わる人材の確保というものは大変重要な課題であるというふうに認識をしているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、従来から、一つには、緑の雇用というような取組を行っておりまして、森林組合でありますとか素材生産業者の皆様方が都会から来るような若い方々を雇用するというようなときに必要な支援を行っているところでございますし、また、林業大学校等で学ぶ若者に対しまして支援の給付金を給付をするといったような支援も行ってきたところでございます。

 こういった取組によりまして、引き続きまして、林業従事者の確保をしっかり図っていきたいというふうに考えているところでございます。

 なお、委員から御指摘いただきました外国人労働者の問題につきましては、実は、林業の現場におきましては、まだ外国人労働者がほとんど存在しないというような実態にあるわけでございます。

 しかしながら、今後の人手不足というものを考えますれば、将来的には検討すべき課題ではないかという認識が関係団体に広がっておりまして、そのため、森林組合系統組織などを中心として、技能検定の二号指定、実はまだ林業は技能検定の二号の指定を受けていないわけでございますので、そういう技能検定二号の指定を目指して、いろいろな勉強会が団体において開催されているというふうに承知をしておるところでございます。

 林野庁といたしましても、そのような団体の動きをしっかり支援をしていきたいと考えているところでございます。

宮路委員 ありがとうございます。

 人づくりについては、行政においても、フォレスターの取組などをやっていただいているところでありますが、ぜひ外国人労働者の問題、これは、今まで林業というのは、事故発生率も高く、言語のコミュニケーションがとれない中で外国の方が入ってきたらその安全が確保されるんだろうか等々、いろいろな懸念があってこれまで議論がなかなか進んでいなかった面もあろうかと思いますが、今の御答弁で、業界としても、外国人の活用の必要性については十分に認識をしているところであろうかと思います。

 一方で、その懸念というのは別に解消したわけではありませんで、危険な作業と言われている中でいかに事故を起こさずに林業に従事していくかというのは、これは非常に大事な問題であろうかと思います。

 そのためにも、やはり高性能機械等を導入して、なるべく危険な作業を人手がかからないようにすることが重要なわけでありまして、魅力ある産業とするためには、本当にありとあらゆる手段を講じていかなければいけないということでありまして、今後、農水省としても、今般のこの法改正がなされてよしとせずに、しっかりと、森林整備予算の確保であるとか、あるいは地道な人づくりの取組等に当たっていただければと思います。

 その点において、やはり、国だけではなくて、都道府県あるいは市町村の果たす役割も大変重要であろうと思います。さきの森林経営管理法におきましても、今般四月に施行したわけでありますが、その施行状況、この委員会の質疑の中でも、各委員の皆様より、その状況について質問があったところでありますが、都道府県にしても、しっかりと公募の手続に入っているところがある、あるいは、市町村によっては、その専門の課、組織を置いたところもあるということでありますが、引き続き、国のしっかりとした後押しが必要かと思います。

 特に、市町村におきましては、なかなか林業専従職員というのがいない、あるいは一人の職員がそれを兼務しているという状況もありますので、都道府県、市町村に対して、国として今後どのような後押しができるか、もしお答えできるところがあれば、お願いをしたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 四月に森林経営管理法が施行され、また、森林環境譲与税もスタートをしたということでございまして、御指摘のように、都道府県なり市町村との連携というものが大変重要かというふうに考えているところでございます。

 特に、御指摘ございましたように、市町村につきましては、林業専門の職員が乏しいというような状況もございますので、そういうところをしっかり体制の整備も図っていく必要があろうかというふうに思います。

 現状といたしましては、都道府県や市町村においては一定の理解が進んでいるというふうに考えておりまして、委員から御指摘いただきましたように、事務を行う新たな組織を立ち上げた市町村でございますとか、あるいは、経営管理実施権の設定を希望する民間事業者の公表に向けまして、既に公募を開始した都道府県もあるというふうに承知をしているところでございます。

 引き続きまして、農水省といたしましても、しっかり都道府県、市町村と連携をいたしまして、この新たな森林管理システムの円滑な運用等に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

宮路委員 ありがとうございます。

 これまで質疑を通じて述べさせていただいたとおり、林業の抱える課題に対して、農林水産省としても、その要因を分析して、それぞれのフェーズに応じた対応策を講じているところであろうと思います。

 全国の林業関係者が、昨年の森林環境税の創設、非常に注目をし、そして、その創設が成ったことに対して大きな喜びの声が届いたところであります。その声をこれからしっかりと地に足のついたものにしていくことが、これからの林業政策に求められるところであろうと思います。

 私も、引き続きしっかりと政策を勉強し、また、政府に対して提言等していければと考えております。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

武藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 通告に従って質問させていただきますが、最初に、大臣にぜひ御発言いただきたいと思っておりますが、本題に入ります前で一問だけ聞かせていただきたいと思います。

 それは、先般新潟市で開催されましたG20の農林水産大臣の会合でございますね。この会合においては、もう御案内のとおり、資源の持続可能性確保と生産性向上を目指す二〇一九年のG20の農相の宣言ということが採択をされました。議長を務めた吉川大臣におかれましては、大変御苦労さまでございました。また、極めて多くの成果と、また意義深いそうした会議になったということで、関係者の方々からも高い評価をいただいている、このように思っていますし、私も同感でございます。

 特に、世界の農業、あるいは食品産業における、いわゆる、これからさまざまあるであろう、現在もある課題について、それを解消していく、あるいはまた、それを乗り越えて次世代の農業の発展につなげていくということで、日本のスマート農業の取組というものが非常に高い評価を得ていることから、こうしたことを更に世界に貢献、寄与させていくという意味でも、私は、そうしたことも盛り込まれ、大きな意義があったと思っています。

 また、食品ロスについても、これが一つの大きなテーマになりまして、各国からも共感の声が寄せられたということで、こうしたことも大変意義深いと思っています。

 そこで、まず大臣にお伺いしたいと思いますけれども、今私が申し上げましたように、技術革新、スマート農業、こうしたことに関して私も関心を持って聞いておりましたけれども、大臣として、率直に、今回議長として会議を開催した所感、思い、振り返っていただいてお話しいただきたいのと、それから、この宣言が採択されたわけですけれども、これを今後推進していくということに当たっての大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 五月の十一日及び十二日に開催をされましたG20新潟農業大臣会合におきましては、「農業・食品分野の持続可能性に向けて 新たな課題とグッドプラクティス」をテーマに、世界三十四の国や国際機関の代表等が集まりまして、それぞれの抱える農業や食料に対する諸課題について、率直な意見の交換を行わせていただきました。

 全参加国の合意のもとで、二〇一九年G20新潟農業大臣宣言を採択をいたしまして、農業の未来のため、各国間で知見を共有することの重要性を確認することができましたことは、大変有意義であったと考えております。

 また、欧州やアジアにおいて発生が拡大をしているアフリカ豚コレラへの対処につきまして、国際社会が一致団結して対処することの重要性に関し認識を共有できましたことは、極めて意義深いものと考えているところでございます。

 会議の議論のほかにも、レセプション等で、東日本大震災の被災地や地元新潟等で生産をされました食材を使用した料理も提供をさせていただきまして、世界各国からも高い評価を得たことも、東日本大震災の風化を防ぎ、国内外で被災地を支援する機運を高め、また、我が国の高品質でおいしい農林水産物、食品の輸出促進の観点からも、非常に重要な意味を持つものと考えております。

 今後は、この農業大臣宣言に盛り込まれました世界の食料問題の解決につながる重要なメッセージを各国や国際機関と協力をして実現をすることができますように、議長国である我が国としても最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 本当に、いろいろな意味で大きな成果があったと思っております。

 今、大臣が最後にお話しされた、今後に向けての、この宣言を推進していく決意の一端をお伺いしましたけれども、非常に大事なことだと思っておりまして、これから世界の趨勢としては、やはり食料危機を迎えている国もあります。どうやって、持続可能な、そういう地域、社会、世界をつくっていくかということで、特に、国連が定めた開発目標、SDGsの達成についてもありましたが、私もこのバッジをつけて、ふだんからそういうことを心がけて努めてはいるんですけれども、ぜひ、今の御決意のもとに、今後のこの宣言の推進、展開を図っていただきたいことを心からお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。

 それでは次に、本題に入って質問をさせていただきたいと思いますが、まず、国産材の供給量の目標等についてお伺いしておきたいと思います。

 我が国の森林資源、これは、戦後植林された人工林、これを中心に本格的な利用期を迎えているということ、その意味で、資源の充実した今こそ、先ほど宮路委員も触れた、いわゆる切って、使って、植える、そういう循環利用ということを確立をしていかなければいけない、このように思っております。

 その上で、林業の成長産業化、それから森林資源の適切な管理、これを両立をさせて、次の世代に豊かな森林を引き継いでいく必要がある。これはまさにSDGsの精神にもかなっていくことだと思います。

 そこで、お伺いしたいのは、平成二十八年に閣議決定をした現行の森林・林業基本計画において、国産材の供給量について大変意欲的な目標を示しております。四千万立方メートル。私は、ぜひ実現をしていただきたいと思っていますし、それは十分可能であろうというふうにも思っております。それで、実現の見通しがどうなのかということがまず一つ。

 それから、次期計画がありますが、そこにおいても更に意欲的な目標を示すことが必要ではないか、こう考えておりますが、この点についてお伺いしたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一五年に閣議決定をいたしました現行の森林・林業基本計画におきましては、国産材供給量の目標は、二〇二〇年に三千二百万立米、また、御指摘いただきましたように、二〇二五年には四千万立米というような目標となっているところでございます。

 これは、需要側の国産材安定供給への要請に対処いたしまして各地で始まっている直送、協定取引あるいは原木市場による広域集荷などの取組の進展、また、木質バイオマスのエネルギー利用の進展に加えまして、CLT等新たな製品の開発、普及、木材輸出の増加などによります国産材の需要の拡大などの見通しを踏まえて立てられた目標でございます。

 これらの見通しに対しまして、その後、伐採現場から製材工場等への直送取引でございますとか、CLTを活用した建築物の件数、あるいは木材輸出額等が増加したことによりまして、国産材の供給量は、二〇一四年の約二千四百万立米から二〇一七年には約三千万立米まで増加をしているところでございまして、順調に推移をしているところというふうに認識をしております。

 引き続きまして、この四千万立米の目標達成に向けて取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

 次期計画についてはどうかということでございますが、この次期基本計画は、二〇二一年、令和三年の策定を予定をしているものでございまして、森林経営管理法によります森林の経営管理の集積、集約化の状況でございますとか、あるいは我が国の木材需要動向の見通し等を分析をいたしまして、今後適切な目標値の設定に努めてまいりたいと考えているところでございます。

稲津委員 今御答弁いただきましたけれども、直送の取引が進められる等々、大変いい傾向に向かっていて、目標の四千万立米に対して三千万立米を超えてきているということで、十分可能性はあると思っています。

 それから、今、二〇二一年策定の次期計画について触れていただきましたが、私は、林業の成長産業化とか、本当の意味で循環利用させていくということを考えていったときに、ぜひこうした目標の設定ということを強く意識して、それを反映されるべきだ、こう思っていますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次の質問に移らせていただきますが、次は、木材の需要拡大の具体的な取組についてということでお伺いをしておきたいと思います。

 これは、昨日の参考人質疑の中で参考人からの御意見もありましたが、今後更に木材の需要を拡大していくためには、やはり世の中のニーズというか傾向をしっかり把握をして、その上で、各需要分野ごとの戦略的な取組が必要だろう、このように考えています。

 例えば住宅の着工の件数というのは、これは減少傾向でずっと来たんですけれども、しかし、近年は回復傾向にある。これも、一つのトレンドの方向というかニーズがやはり変化してきているというのがあると思います。

 そこで、お伺いしたいと思いますけれども、木材の需要拡大に今後具体的にどのように取り組んでいこうとしているのか、この点についてお示しいただきたいと思います。

濱村大臣政務官 戦後造成されました人工林が本格的な利用期を迎えた中で、林業の成長産業化に向けまして、豊富な森林資源を循環利用することが重要な課題であると認識しておりまして、木材需要の拡大こそが重要であるというふうに考えております。

 このため、農林水産省におきましては、住宅につきまして、建築部材のうち外材比率が高い部材の外材からの代替を図るために、横架材、羽柄材や国産材ツーバイフォー部材等に関する部材開発や普及であったり、あるいは、これまで余り木材が使用されていない中あるいは大規模の建築物等につきましては、それに活用可能な木質耐火部材やCLTの利用促進による他資材からの代替、これにつきましては、近年、三月にも、仙台におきまして十階建ての賃貸マンションが建造されたりとかいう事例もございます。あるいは、施主や設計者による木材の利用促進を図るために、民間企業のネットワーク構築、これはウッド・チェンジ・ネットワークと呼んでおりますけれども、こうしたものによります木材利用の情報共有の促進を行うことであったり、デザインや技術的にすぐれた家具、建具を含めた付加価値の高い木材製品の輸出の拡大、あるいは、木のよさや価値を実感できる木材製品の情報発信や、木育などの普及啓発など、各般の施策に取り組んでいるところでございます。

 こうした施策の推進によりまして、新たな木材需要を創出し、国産材の需要拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。本当に丁寧に今お答えいただいて、論点が非常に見えて、ありがたいなと思っています。

 部材開発の努力ですとか、高層の建築物の木材利用とかもさまざまありますし、それから、私も本会議で登壇して申し上げた中に、東京オリンピック・パラリンピック、これを一つの目標、契機にして木材の需要拡大に取り組んでいくということも非常に大事だと思っていますし、あと、商業施設とか低層の非住宅建築物、例えば、今、高齢化社会ですから、高齢者のグループホームとか特別養護老人ホームとか、そういう施設関係とか、そうしたものの木造化ということについてもぜひ着目、留意をいただきたいな、こんなことを申し上げておきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきますけれども、こうした需要拡大を進めていくことにあっては、やはり、川上、そして川中、川下の各事業者がしっかり連携をして、効率的なサプライチェーンを構築していくということが私は必要不可欠だ、このように考えております。

 例えば、マーケットインの発想によるサプライチェーンの構築ですとか、大ロットでの事業展開とか、さらに、ICTを活用した付加価値の促進だとか、いろいろな利点もあって、こうしたことも包含しながら、川上、川中、川下の各事業者の連携、サプライチェーンの構築、これが極めて重要なことだと思っていますが、こうしたことについて、その取組、どのようにお考えか、この点についてもお伺いしたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 木材需要の拡大に当たりましては、需給のミスマッチを起こさないように、生産、加工等の事業者が、実需者のニーズに応じましたマーケットインによる安定的な供給体制を構築するということが極めて大事だというふうに考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、一つには、川上、川中、川下、各段階の事業者を集めましたサプライチェーンマネジメント推進フォーラムの設置、それから、効率的なサプライチェーンの構築に向けました、ICTを活用した需給データの共有化などの取組を支援をしているところでございます。

 さらに、本法案におきましては、国有林野の管理経営に関する法律の改正案におきまして、樹木採取権の設定を受ける者の要件といたしまして、川中、川下事業者との連携により木材の安定的な取引関係を確立することが確実と認められることを求めておりますほか、木材の安定供給の確保に関する特別措置法の改正案の中では、川上、川中、川下事業者が連携をして行います木材の需要の開拓等の取組に対しまして、独立行政法人でございます農林漁業信用基金が資金の貸付け、債務の保証を行うといった措置を盛り込んだところでございます。

 このような取組を通じまして、川上から川下までの事業者の連携によります効率的なサプライチェーンの構築を推進してまいりたいと考えているところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 サプライチェーンの構築については、川上、川中、川下の各事業者の御努力ももちろん重要ですけれども、やはり省としてそうした環境づくりをぜひしっかり構築していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次の質問に移りますが、今回、国有林野の管理経営法のほかに、木材の安定供給の確保に関する特別措置法も改正をするということになっております。

 森林・林業基本計画の国産材供給量の実現見通しについては先ほど質問させていただいて、答弁もいただきましたが、木材の需要と供給は、しっかりかみ合って結びつけていくということが、先ほど来の質疑の中でも、大変重要であるということが明確になったと思います。

 そこで、法案では、木材の安定供給の確保に関する特別措置法の目的の中に、木材の利用の促進を図る措置を講ずること、これを追加いたしますとともに、事業計画の認定を受けることができる者について、いわゆる意欲と能力のある林業経営者、この中に川下事業者を追加する、このようにされております。

 そこで、お伺いしますけれども、本法案のうち、木材の安定供給の確保に関する特別措置法の改正はどのような効果を発揮をするというように考えているのか。基本的なところでございますけれども、お答えいただきたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 木材の安定供給の確保に関する特別措置法の改正案についてでございますが、意欲と能力のある林業経営者の育成を図る上で、木材需要の拡大を図ることが大変重要でございます。このため、川上側の林業と、木材の需要の開拓等を行います川中、川下側の木材関連産業との連携強化を進めるための環境整備を行うものということでございます。

 このため、今後、森林の集積、集約化に取り組もうとする意欲と能力のある林業経営者と、中小住宅生産者等の川下事業者を支援対象とすることといたしまして、川上から川下までの事業者が連携して取り組む木材の需要の開拓等を促進するための金融措置を講ずることとしているところでございます。

 これらの措置によりまして、川上から川下までの長期的な取引関係が構築をされ、意欲と能力のある林業経営者の安定的な経営が可能となりますとともに、木材利用が促進をされるということを期待をしているところでございます。

稲津委員 そういうことなんですね。

 その上で、次の質問に移らせていただいて伺いたいのが、今回追加される川下の事業者について、実際に木材を使って住宅をつくる、あるいは家具をつくる、また建具等をつくりそれを設置をしていく、こうした川下の事業者の方々については、やはりユーザーに一番近いところにいるわけで、その意味でも私は、木材の需要拡大に向けてはこの川下事業者の役割が大変重要である、このようにも思っております。

 改正後のこの仕組みに参画することによって、川下事業者には、今私ちょっと触れましたけれども、その上でお聞きしますが、どのような意義があるのか、これをお聞きしたいと思います。具体的には、川下事業者が事業計画に参画するメリットについてどのようなことが考えられるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘いただきましたように、川下事業者の果たす役割というものが大変重要と考えておりまして、川下事業者が事業計画に参画することによりまして、一つには、自社で加工等を行う原料となる木材製品を需要に応じて安定的に調達する契機となるというようなことが期待をされるということであります。

 また、次の点としては、事業計画の共同申請者でございます川中事業者から安定的に供給されます木材製品を利用いたしました住宅等の建築や家具製造、エネルギー利用等の事業実施に必要な資金の円滑な調達ができるということも挙げられようかと思います。

 加えまして、由来がはっきりした木材を使っていることを消費者に訴えるということによりまして差別化、ブランド化が図られるというようなこと、こういったようなメリットが考えられるというふうに考えているところでございます。

稲津委員 今お答えいただいて、需要に応じた木材の利用ができる、要するに木材需要が安定化してくるということ、それから、ブランド化の話もありましたし、資金調達の話もありました。大変多くのメリットがあるというふうに考えております。

 その上で、需要と結びついた供給体制づくりを進めるための制度であって、木材の需要拡大に大変有効な施策であると考えますけれども、具体的なイメージはどうなるのかということについて確認をしておきたいと思うんです。

 本法案によりまして、制度の対象者がいわゆる川下の事業者まで拡大されることになりますが、川上から川下のどのような連携による制度の活用を想定しているのか、この点についてお示しをいただきたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 連携の具体的なイメージについての御質問でございます。

 本法案は、川上、川中、川下の各事業者が連携をいたしまして木材の安定的な取引関係を構築することを促すものでございます。

 想定をしております具体の連携事例でございますけれども、一つには、工務店と素材生産業者や製材業者が連携をいたしまして、JAS製材を安定調達するような体制を新たに構築することによりまして、店舗、事務所等の非住宅建築物の木造建築物件の受注を促進するというようなこと。二つ目には、工務店と森林所有者や製材工場が連携をいたしまして、消費者の需要に対応した、いわゆる顔の見える木材での家づくりというような点が促進をされるということ。三つ目には、家具製造業者と森林組合や製材工場との連携によりまして、これまで有効活用されてこなかった広葉樹材等を活用した、デザイン性が高く、高付加価値化した家具の製造が行われるというようなこと。四点目には、木質バイオマスを利用いたします熱供給事業者と森林組合、チップ工場との連携によりまして、従来化石燃料を用いていました温浴施設、農業施設などへの熱供給が図られるといったような具体の取組が考えられるところでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 ぜひ、本法案の成立によって、川上、川中、川下の事業者が連携をしっかり図って、その結果、国産材の需要の拡大が更に一層進むことを期待を申し上げたいと思います。

 最後の質問になりますけれども、植栽、そして下刈りの労働力の確保、もう少し具体的に言うと育成林の事業者の従業者の確保、育成についてということについてお伺いしたいと思います。

 樹木採取区の伐採後の再造林については、五月九日に行われた委員会の審議における政府の答弁の中で、法案における「植栽をその樹木の採取と一体的に行うよう申し入れるものとする。」との規定に基づいて、樹木採取者によって、伐採との一貫作業によって確実に植栽が行われることが担保できるということが確認されました。

 民有林も国有林もそうですけれども、主伐後の再造林が極めて重要なことになる中で、それを進める労働力の確保が重要であるというふうに思っています。特に、林業従業者等の就業の推移を見てみますと、例えば、伐採、造材、集材事業者等々については、近年少し伸びがあるんですね。一方で、育林従業者、要するに下刈りとか植栽を行う労働力というのは、実はやはり減少しているということで、なかなか増加に向けての道筋がまだ見えていないのも事実でございます。

 そこで、今後、どのような方策で植栽や下刈りを行う労働力を確保しようとしているのか、この点について最後にお伺いして、質問を終わります。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 主伐後の再造林を安全かつ効率的に行える担い手を確保、育成していくことは極めて重要な課題であると認識をしているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、緑の雇用事業によりまして、林業の新規就業者に対する林業の知識等の研修でございますとか、現場技能者に対する植林、下刈り等の作業方法や安全についての研修を行いますとともに、造林作業につきまして、労働負荷の軽減、あるいは作業を少人数で行えるようにするような効率化のために、林業用の機械を、集材、搬出とあわせて、地ごしらえや苗木の運搬など造林作業に利用する一貫作業システムの推進でございますとか、苗木植栽ロボット、あるいは小型の乗用下刈り機械、アシストスーツ等の開発を行っているところでございます。

 これらの取組を通じまして、主伐後の再造林を担う労働力の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。

稲津委員 終わります。

武藤委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 質疑通告に従って質問していきたいと思いますけれども、御答弁によっては多少質疑が前後するかもしれません。御了承ください。

 それでは、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、本法案と森林経営管理法との関係性についてお伺いしたいと思います。

 我が党の部会、勉強会でも農水省の方と意見交換をいたしました。そのときに、森林経営管理法が施行されて、そして森林譲与税も徴収も始まって、その関連で今回のこの国有林の改正法があるのだというふうに説明を受けたのですけれども、どうしても、私もしっくりきません。

 なぜかといいますと、去年の森林経営管理法というのは、民有林に軸足を置いた法律だったはずです。森林面積の三割が国有林、逆に言うと、七割は民有林なわけです。その民有林は、木材が伐採時期に入っていても、価格が安いのでなかなか商売にならないし、森林の所有者も高齢化していて管理が大変だという状況がまずあり、民有林の整備を税金を取ってでもしなければいけないということでつくられた法律だと私は理解しております。

 そして、その審議のときに大変問題になったことがありまして、各野党が質問をしておりました。データで、八割の森林所有者は経営意欲が低い、そして、その森林所有者の七割は伐採する気すらない、こういうデータから出発した森林経営管理法について、各野党からひどいという指摘があり、ここは政府は認識を改められたと私は理解しております。そして、森林経営管理者の中には、自伐型林業の方々も含めて、中小の林業家もきちんと対象に含めてこの森林経営管理法があるのだということを御答弁でいただいたので、立憲民主党としては、昨年の経営管理法は賛成をしているわけです。

 そこで、質問なんですけれども、なぜ、森林面積の七割の民有林を税金で整備していきましょうという法律ができて、まだ様子を見なければいけないようなときに、国有林を企業に伐採をさせる、いわゆる推進をするような法律をこのタイミングでつくる必要があるのでしょうか。

 部会のときに聞きましたらば、この森林経営管理法が施行されて、これから民有林が集約されてまとまって出てくる、そのまとまって出てくる民有林を委託する先を、産業を育てなきゃいけないから、だから国有林を提供するのだというような回答が農水省からあって、それでは国有林はフィールドワークなんですかという質問が我が党でも出たんですね。

 ですから、今なぜこのタイミングで進めなきゃいけないのか、その理由がわからないので、これは大臣に御答弁をお願いいたします。

吉川国務大臣 我が国の森林につきましては、戦後造成された人工林が今、本格的な利用期を迎えております。この森林資源を切って、使って、植えるという形で循環利用をしていくことが今後の森林・林業施策の主要な課題でございます。

 昨年成立をいたしました森林経営管理法に基づく森林経営管理制度は、本年四月から、御承知のように施行をしているところでもございます。このシステムを円滑に機能させるためには、システムのかなめとなる意欲と能力のある林業経営者の育成が不可欠となっているところでございます。

 このためには、国有林が民有林を補完する形で、長期安定的にこうした林業経営者に木材を供給するとともに、国産材の需要拡大に向けて、川上と川中、川下の事業者との連携強化を図ることが有効であり、できるだけ早期に仕組みを整備するため、今回、法案を提出をすることといたしたものでございます。

 なお、本法律案におきましては、国が国有林野の管理経営の主体でありますことには変わりはございませんので、PFI法に基づく公共施設等運営権のように、施設の運営を事業者に委ねる仕組みとは異なっているということでございます。

亀井委員 昨日の参考人の御意見を伺ったときに、これからは企業が国有林と民有林双方を管理していくような、そういう形になるであろう、それが望ましいのだということをおっしゃった方がありました。

 そのこと自体は余り違和感がなかったんですが、ただ、今も大臣、民有林を国有林が補完するんですか、そういう補完するという言い方をされるんですけれども、民有林と国有林の分布図が、ほかの委員もこれまで指摘されておりますけれども、東日本は、北海道、東北は国有林ばかりで、西日本は民有林ばかりということは、一つの地域である企業体が国有林と民有林を双方委託されて経営をするということは、地理的に考えにくいですよね。もし、いいぐあいに混じり合っていれば、国有林の仕事を定期的にいただいて、民有林の方も管理して、経営が安定するということはあり得るんでしょうけれども、この今の分布図を見ると、とてもそうは思えないです。

 そうすると、例えば、北海道の、国有林を専門に広い範囲を伐採している会社と、西日本の、民有林だけを対象にしている会社と、二極化するんじゃないでしょうか。そうでなければ、本当に大手が、北海道の国有林と九州の民有林、両方を経営しておりますというような形になるのか、ちょっとイメージがわからないんですけれども、どういうふうな構想、イメージをお持ちですか。伺います。

濱村大臣政務官 今委員御指摘のとおり、分布につきましては非常に偏りがあるというのは事実でございます。

 一方で、先生の御地元でもございます中国地方は、近畿、中国地方でいいますと、三十一万ヘクタール、国有林が存在しているわけでございますので、こうしたところにしっかりと管理をしていただくということは必要なのであろうというふうに思っておりますので、そういう地域においては、しっかり地域の意欲と能力のある林業経営者が対応できる規模を基本に指定するということとなろうかと思っております。

 また、樹木採取権者の選定に当たりましては、樹木料の高低だけではなくて、地域への貢献度合いなどを総合的に評価することとなっておりますので、これは決して大手事業者に限られるものではございません。

 このように、樹木採取権者におきましては、国有林のみならず、地域の民有林におきましても、新たな森林管理システムのかなめとして、東西を問わず活躍をいただくことを期待しております。

亀井委員 東西を問わずとおっしゃいましても、実際にはないんだから、民有林がないんだからという、北海道選出の議員が我が党は多いですし、そういう声が聞こえてまいります。

 地図を見たときに、やはり余り現実的ではないように思います。今回、この法案について質問するに当たり、私も地元島根県で林業関係者に話を聞きましたけれども、西日本の方は本当に国有林が少ないので、余り関係がない話だ、そういう捉え方をされました。ですので、これはやはり国有林が多い北海道、東北の議員の不安感というのは払拭する必要があると私は思っております。

 次の質問ですが、この法案というのは、本当に主伐しか見えてこない法律なんですね。森林経営管理法は自伐型林業も大事にしますよということでしたけれども、こちらの法律は、最長五十年の樹木採取権で、大規模に伐採していくような、そういうイメージしか持てないんですが、まさに主伐のみを対象として、自伐型林家というのは国有林の管理に関して蚊帳の外なのでしょうか。

 そして、次の質問、一緒にしますけれども、国有林といいましても、いろいろな地形があります。急峻な傾斜地にも立木がありますけれども、こういう立木の伐採というのは、経営的に考えたときに難しい、なかなか林道もつけにくいですし、今回の対象とならないように感じます。そうしますと、企業が比較的切りやすい、作業道をつけやすいところをばあっと持っていって、急峻な傾斜地などは取り残されてしまうのかなという気もいたします。

 私が国に申し上げたいのは、戦後、杉、ヒノキがお金になるだろうということで植栽を進めて、その結果として花粉症の問題も出ております。

 花粉症は、我が党にも何人もおりますし、先日の大田原市の視察のときには、委員長みずからが花粉症で大きなマスクをして、体を張って一番行っちゃいけないところにいらしたので、そういう姿を見ておりましても、花粉症を何とかしなければいけないと思います。

 ですから、杉、ヒノキを伐採して違うものを植えるですとか、もう少し細かく対応する必要があるんですね。ここまでの林野行政の責任というのはあると思いますけれども、それはどういうふうに今後進めていかれる予定ですか。そして、自伐林家の活用ですとか、今回のこの法律では見えない部分ですけれども、花粉症対策等も含めて御答弁いただければと思います。大臣、よろしくお願いいたします。

吉川国務大臣 二点御質問をいただきました。

 まず、自伐林家の件でありますが、樹木採取権制度は、従来の立木販売で行っているような、事業地をまとめて、一定期間、安定的に樹木を採取できる権利としたものでございます。その対象は、採算の合う主伐が中心になるものと考えております。

 今回の権利を受けることができる者は、都道府県が森林経営管理法に基づき公表する、森林組合、素材生産業者、自伐林家等の意欲と能力のある林業経営者及び同等の者といたしておりまして、自伐林家でありましても、効率的かつ安定的な林業経営を行う技術的能力等を有する者でありますれば対象となり得ると考えております。

 花粉対策の件でありますが、急傾斜地や林道から離れた森林につきましては、木材生産を行っても採算が合わないことから、樹木採取区の指定の対象としない考えでもございます。また、このような箇所で公益的機能の発揮等のため間伐などの伐採が必要な場合は、森林整備事業による保育、間伐等を行う考えでもございます。

 国有林におきまして再造林を行う際は、花粉の少ない苗木をできるだけ活用をいたしまして、花粉の少ない森林への転換も図っていく考えでもございます。

亀井委員 何かやはりお答えになっていないような、私の不安は払拭されないままです。

 やはり主伐が対象とおっしゃったので、経営的に成り立たない契約はそもそも締結されないわけで、ある一定規模の範囲を、国有林を伐採をして、そこにでは同時に再造林をお願いしましょうということで、またそこに杉、ヒノキをばあっと植えたら同じことじゃないでしょうか。そして、経営的に成り立たないからといって外された急峻な傾斜地に植えられたまさに伐採時期の杉、ヒノキなどはそのまま放置されるのだろうかと私は思ってしまいます。

 やはり本来はそういうところに森林環境税を使って整備を進めていくべきものなのではないかと思いますので、余りにもこの法律は、やはり、伐採時期を迎えた木をとにかく切って成長産業につなげましょうという、何だかそこばかりに視点が行っているように感じます。

 次に、樹木採取権についてお伺いをいたします。

 まず、実施契約は、五年を一期として締結するとあります。採取権が五十年が最長であっても、実施契約は五年ごとに見直すのだからいいではないかというような農水省の説明もありました。そして、地元で意見のヒアリングなどをしても、五十年先というのは、業界がどうなっているかわからないし、木の値段とかさまざまな費用がどうなっているかわからないから、実際のところはどうなんだろうかと言われました。

 そこで、質問ですけれども、まず樹木料、これは五年ごとの契約ですけれども、どういう単位で見直していくのか、そして、最長五十年というのはどういう形になるんでしょうか。お伺いいたします。

濱村大臣政務官 この樹木料につきましては、樹木採取権実施契約におきましては、その額については定めるものではございません。

 一方で、樹木料の算定方法を定めるということにしております。これは、五年ごとの契約更新時にも、この算定方法を見直すということは考えてはおりません。

 その上で、毎年度、伐採前に、伐採を予定する森林につきまして、この算定方法に基づいて樹木料の具体額を算定し、国に納付していただくということとしておりまして、樹木料は毎年度見直すこととなります。

 以上です。

亀井委員 そういたしますと、経営側にとっては、とてもこれは優しい法律ですよね。

 民間の契約だったら、三年なら、三年の間というのは価格の見直しというのはできないわけですけれども、政府と国有林の契約をして、伐採の樹木採取権は最長五十年得ることができて、だけれども、その間の樹木の価格の変動には毎年対応してもらえる。それは、産業を育てるためということですから、決して潰れることのない会社を国有林を提供しながらつくってあげるみたいな、そんな話にならないかしらと思います。

 西日本の方の民間林を経営管理している会社との条件の差というのが余りにも大きくて、ちょっと不公正ではないかなと今御答弁を聞いて感じております。

 そして、私たち、修正案をつくりまして、ずっと与党の皆様と協議をしてきて、ゼロ回答で来てしまったので、私たちの修正案に入れた一つ一つのことを今確認をしております。

 再造林について。再造林は、申入れをする、伐採業者に義務化はしないということについて、実際、本当に再造林が行われるのだろうかという疑問を持っております。そもそも、契約上、申入れ、つまり、お願いベースであって、しなければならないという義務ではないので、再造林をしなかったからといって、約束と違うと言ってその業者を取り消すことというのはできないですよね。そう思います。

 樹木採取権の取消しについては、八条の二十二に書かれておりまして、その中に、「樹木採取権実施契約において定められた事項について重大な違反があつたとき」は、この樹木採取権取消しに当たると書かれていますけれども、この重大な違反に再造林を行わなかったということは含まれないんじゃないですかということを、まず確認させてください。

 それからもう一つ、八条の二十三の中で、契約を取り消したとしても、通常生ずべき損失を補償しなければならないと書いてあるんですね。ですから、重大な違反があって契約を取り消したにもかかわらず、なぜ、「通常生ずべき損失を補償しなければならない」というのもわからないので、このあたりの御説明をお願いいたします。

吉川国務大臣 樹木採取権の取消しの対象となります樹木採取権実施契約に定める事項について重大な違反があったときにつきましては、樹木採取権者が、国有林野の公益的機能の維持増進等の観点から農林水産大臣が定める基準に反して不適切な伐採を行った場合等を想定をしているところでございます。

 一方、採取跡地における植栽につきましては権利の対象外であるため、植栽をしない場合でも、取消し事由の重大な違反があったときには該当しないが、植栽については、国が植栽の申出に応じた樹木採取権者と植栽作業を行う旨の契約を締結することといたしておりまして、一方的な事情により植栽を行わない場合は契約違反に該当し、損害賠償金を請求することや、悪質な場合には権利を取り消すなどの措置により、適切に対処してまいりたいと存じます。

 また、損失補償につきましては、公益上やむを得ない必要が生じた場合に樹木採取権を取り消す場合など、樹木採取権者の責めに帰すべき事由がない場合に限り行うものであることから、重大な契約違反によって権利を取り消した者に対しては損失補償は行わないということであります。

亀井委員 そうしますと、やはり、損害賠償さえ払えばいいと。はげ山にしちゃってごめんなさいと言っていなくなってしまうということはあり得ますよね。

 私、今回、地元でヒアリングをして、造林の会社と話をしたんですけれども、一般的に、この業界、伐採が得意な会社と造林が得意な会社と分かれているんですよね。ですから、一つの会社が伐採して、その場で再造林もして、山全体を管理しますというような構造になっていないと。唯一、住友林業あたりは両方ができるけれども、でも全く違うグループでやっているでしょうということで、通常、両方できるところというのはないんですね。そうすると、相当な大手しかないですし、結局できませんでしたと言ってはげ山が残るという可能性は、私、十分あると思うんです。

 この五十年の必要性、私たちは、せめて十年でしょう、十年で様子を見て行うべきだという修正案を申し入れているんですけれども、その必要はないということで与党さんからは回答が返ってまいりました。

 この五十年の部分には、私たちはかなりこだわっています。大変広い範囲を企業に委託して、五十年だとして、この法律で考えられることは、それを例えばA、B、C、D、Eと分けて、最初の十年はAの区間を伐採します、次はBですという中で、Aのところが伐採が終わって、だけれども再造林が行われていませんねと。だけれども、それをもって、この契約そのものを取り消すということはできないわけですよね。採取権というのはBもCもまだ残ってしまうのではないか、そういうふうに私はとれるものでして、ちょっとやはり、時間がなくなってきましたので余り確認はできないですけれども、五十年というのは危険過ぎると思います。

 そして、大変気になるのは、山を育てるという育林という視点が全くここには入っていないんです。つまり、前回私が質問したときに、五十年というのは、最初の年に切って、すぐに再造林して、五十年後にもう一回切れるから二度おいしいんじゃないかという指摘をしましたら、そうではない、今生えている木の採取権しか与えませんよということでしたから、これはクリアになって納得したんですけれども、そうであるならば、企業側から見て五十年の契約を結ぶメリットとは何だろうと思いましたら、やはり、ですから、相当広い範囲を契約しないとメリットがないということだと思います。

 その間、では、その企業に預けた地域の再造林はしてもらったとして、その後、下刈りとか間伐とか、長期にわたって管理をしないと山は育っていかないわけです。そこの部分はどのように考えておられますか。別契約で、別の会社に出してというようなことになるんでしょうか。お伺いいたします。

吉川国務大臣 樹木採取権は、国有財産であります樹木を伐採して取得できる権利でありまして、採取後の植栽や下刈り、今御指摘をいただきました間伐等の保育につきましては、国有財産として国が責任を持って管理経営することといたしておりまして、それに要する費用につきましては、国が負担をすることといたしているところでございます。

亀井委員 であるなら、やはりおかしいですよ。切るだけしかしない企業に対して、最長五十年も権利を与える必要はないと思います。

 視察に行ったときに、一度植えたら五十年切れないということを言われまして、ということは、その会社が五十年その地域に責任を持つのであれば、間伐なり下刈りなり、再造林した後も責任を持たなきゃいけないわけで、そこの部分は何もかかわらないのに、ただ切る権利だけというのは、私はこれはちょっと理解ができないし、森林環境税の使い道としてもちょっと、それと関連づけてこの法律が出てくることの意味がわかりません。

 最後に質問ですが、これは現場から出てきた声なんですけれども、この法律から離れます。働き方改革との関連です。

 長時間労働が社会問題になって、それが林業の現場にも適用され始めているようなんですが、それで大変困ったことが起きています。

 それは、山奥に行くわけですから、最初に会社に集合して、それで会社のバスに乗ってその現場に行くわけです。その現場に行くまでの移動時間が労働時間に数えられてしまって、長時間労働だという指摘を受けたようなんですけれども、そうしますと、では、現地集合にしましょうといっても、山奥に行くわけですから、各自が車で乗りつけることもできませんし、移動時間、みんな寝ているわけですから、現地に着いて作業を始めるところからを労働時間で数えていただかないと、厳密にそれを適用し始めると、収益も下がりますし、それは、従業員の給料にも影響してくるので、本末転倒である、そのような指摘を受けております。

 島根に原発もありますので、電力会社に確認をしましたら、原発の場合は、作業の場に行くまでのバスの移動というのは入っていないと。原発も今、非常に安全管理が厳しくなっていますので、会社まで自家用車で真っすぐ行くことはできなくて、途中の駐車場に置いて乗りかえていますから、そういう移動時間が労働時間に入るのかどうかと確認しましたら、あくまでもその会社に着いてからですから、同じように考えるなら、林業も、作業が始められる山に着いてから労働時間に数えるべきじゃないかと思うんですけれども、その辺、農水省、御見解いかがでしょうか。お願いいたします。

濱村大臣政務官 昨年六月に成立しました働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律、これにおきましては、労働時間の状況を、使用者が、労働者が始業、終業時刻の確認及び記録を行うことにより、把握しなければいけないこととされたところでございまするけれども、一方で、林業現場までの移動時間につきましては、これは使用者の指揮命令下に置かれるかどうかによって判断されるものでございます。ですので、一概に労働時間に含まれるものではないというふうに考えているところでございます。

亀井委員 ありがとうございます。

 現場で大分混乱しておりますので、今の御答弁は伝えたいと思います。

 この法律に関しましては、やはり、新しい制度を導入するに当たって、五十年という単位で考えるのは非常に不安要素が残るということ、再造林は義務づけるべきだ、その点の不安といいますか、私たちの主張は譲れないところですということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、堀越啓仁君。

堀越委員 お疲れさまでございます。立憲民主党・無所属フォーラムの堀越啓仁でございます。

 諸先輩方に格段の御配慮をいただきまして、今回も質問の席に立たせていただきます。

 新元号の令和になりましてから農林水産委員会では初めての質問になりますので、一言、ちょっと所感を述べさせていただきたいと思います。

 令和の出典であります万葉集というのは、実は三分の一が日本の豊かな自然環境にかかわる歌になっています。この令和の時代というのが、まさしく、自然の中に私たちは生かされていて、その自然資本という中で一次産業、林業、水産業、農業というものがつくられているんだということを国民の皆さんとともに理解をしながら、国政、そして地方、国民の皆さんと一緒にこの自然資本というものを大事にしていく、そうした時代になっていただきたいなということを祈りながら、自然系国会議員としてきょうも質問させていただきたいと思います。

 それでは、まず、改正案の質疑の前に、前回の農地バンクの審議の冒頭にも触れさせていただきました、そして、各委員、既にもう何回も質問に立たれておりまして、挙げられておりますが、やはり国産材の活用に係る需要拡大の見通しと取組について、再三にわたり大変失礼ではございますが、質問させていただきたいと思います。

 国産材の生産量、木材の自給率、現時点で上昇傾向にあるというのは承知をしているところでございますけれども、やはり同時に、戦後植えられた人工林の多くが伐期を迎えて、国有の林材も含めた国産材の供給量は今後増加するものと考えられております。

 こうした中で、昨年成立しました森林経営管理法の施行や本改正案により、素材生産を行う上流の、川上側の林業で安定的な事業量の確保が進んだ場合に、川中、川下の事業者は川上事業者の事業量に応じた需要の確保又は拡大を行うことが当然必要だと思います。

 本改正案においても、川上、川中、川下事業者が共同して事業計画を作成する場合には、事業計画に木材の需要開拓の内容を記載することとされております。

 一方で、国産材の用途の多くは住宅建材などの製材需要が占めている状況は変わっていないものの、住宅様式の変化やCLT等集成材利用の拡大が進んでいることから、製材そのものの需要は伸び悩んでいる状況があると伺っております。

 また、少子高齢化、人口減少等々の理由で今後の木材需要に関して大幅な増加を見込むことは難しいということも聞き及んでいる中で、しかし、そうはいっても、供給量の増加が今後見込まれる中で、国産材について需要を拡大、確保していくこと、難しいとは思いますが、やらなければならない。

 そうした中で、政府として、今後どのような需要を想定しているのか、どういった取組をされるのか、現在行っているのか、そして今後どう進めていくのか、このあたりを具体的にもう一度お願い申し上げます。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、戦後造成されました人工林が本格的な利用期を迎えているところでございます。そして、林業の成長産業化に向けて、豊かな森林資源を循環利用することが重要な課題でございます。その中で、木材需要の拡大が大変重要だというふうに私どもも認識をしているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、まず一つには、住宅につきましては、やはり外材からの代替を図っていくという観点が重要かというふうに思います。すなわち、建築部材のうち外材比率が高い部材の外材からの代替を図るというような観点で、例えば横架材とか、非常に外材の割合の多いところでございますけれども、羽柄材とか国産材のツーバイフォー部材等に対する部材開発、普及、こういう、横架材とかツーバイフォーとか、外材が多いところについて国産材に代替を図っていくということの観点であります。

 それからもう一つには、これまで余り木材が使用されていなかったところについて、RCとか鉄骨とか、そういうところから木材にかえていくというような観点で、具体的には、木材が余り使用されてこなかった中大規模建築物等について、それに活用可能な木質耐火部材、あるいは御指摘いただきましたCLTといったようなものの利用促進によりまして他資材からの代替を図るというような観点でございます。

 そして、あわせまして、施主や設計者による木材の利用促進を図るために、民間企業のネットワーク構築によりまして木材利用の情報共有の促進を図る、こういうような取組も重要かというふうに考えております。

 一方、輸出も大変ふえているわけでございますけれども、輸出につきましても、これまでの丸太中心の輸出から、できるだけ付加価値の高い製品輸出への転換を図るということ、また、新たな輸出先国の開拓を図っていくというようなことが重要かというふうに考えております。

 加えまして、木のよさや価値を実感できる木材製品の情報発信、あるいは木育といったような普及啓発もあわせて進めていく必要があろうかと思います。

 このようなさまざまな施策を推進することによりまして、新たな木材需要を創出をいたしまして、国産材の需要拡大に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 先ほどお話しいただいたツーバイフォー材、こうしたものは、もっと市場に出回っていいと私は思っております。

 現在、私もDIYがもともと好きなものですから、ホームセンター等々でツーバイフォー材、ワンバイフォー材を買い求めると、やはり輸入のホワイトウッドがほとんど主流になるわけで、当然、そのホワイトウッドは、松が主原料になりますので、ねじれや反りというのが非常に多いんですね。確かに安い。だけれども、長期的に見たときに、やはり、日本の杉をツーバイフォーにしっかり加工して、そして多くそれを国内で流通させる、あるいは、先ほどお話しいただいた、海外に輸出をしていく、そうしたことは本当に、非常に重要な需要施策だというふうに思っています。

 林野庁で、外構部の木質化に対する助成金の募集に関することが今始まっております。ここも、クリーンウッド法に基づいた木材を使った場合の助成金という形になりますので、国内産だけではなくて、海外から入ってきた、クリーンウッド法に基づいたものもその適用内になるわけですが、本来であれば、やはり、私としては、国内産をこういったところではどんどん使ってもらいたいとは思うんですが、そうはいっても、それを優先させるといわゆるWTO違反になってしまうという問題もあるので、こういったところに鑑みれば、やはりCLTやあるいはツーバイフォー材を杉材を使ってつくるというのが、ぜひ国内でもどんどん進めていっていただきたいと思います。

 実は私、群馬県下仁田町、大変ネギとコンニャクが有名なところの出身でございまして、この下仁田町でも一生懸命頑張っている製材屋さんがあります。小井土製材という製材屋さんなんですが、ここでは、やはりツーバイフォー材を杉でつくって、そして国内に流通させる、そういった取組をしておりますので、こういう製材業が活躍することによって日本の林業は再生することが私は可能だと思っていますので、ぜひ国の立場からもこれを強く推進していただきたいというふうに思っております。

 繰り返しになりますけれども、供給の施策の大前提というのは、やはり需要の施策であると思いますので、あわせてこのあたり、お願い申し上げたいと思います。

 続いて、現在、私は環境委員会のメンバーでもありますので、環境という側面から保安林の制度について触れさせていただきたいと思います。

 御存じのとおり、保安林制度というのは、水源の涵養、災害の防備、さらに、生活環境の保全の場の提供等の公共目的を達成するために、これらの機能を発揮する必要がある森林、これが保安林として指定されるわけです。そして、指定した後、立ち木の伐採をしたり、土地の形質変更行為等の規制などが行われるわけです。その森林の適切な保全と森林施業を確保するものであると思います。

 まず、この保安林についてはどのような種類があるのか、そしてまた、国有林野における保安林の指定状況についてお伺いをしたいと思います。あわせて、保安林制度が果たしてきた役割についてどのように評価されているのか、農水省に重ねて伺いたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 公益的機能の発揮が特に要請される森林につきましては、森林法に基づきまして保安林に指定をいたしまして、立木の伐採等を規制をしているところでございます。その種類につきましては、水源涵養保安林、土砂流出防備保安林、土砂崩壊防備保安林など十七種類があるところでございます。

 国有林野につきましては、奥地脊梁山地でございますとか水源地域に広く分布をしております。国土保全、水源涵養の上で重要な森林が多く存在をしております。このため、国有林野の約九割に当たる六百八十五万ヘクタールを保安林に指定をしているところでございます。

 このうち、例えば、洪水及び渇水の緩和を目的とした水源涵養保安林におきましては、資源の有効活用にも配慮しながら間伐等の施業を行っておりますし、また、林地の表面侵食等による土砂の流出防止を目的とした土砂流出防備保安林におきましては、治山事業によります治山施設等の整備を推進をしているところでございまして、こうした保安林の管理、保全を通じまして国有林の公益的機能が高度に発揮をされているところでございまして、公益重視の管理経営を推進するに当たりまして重要な役割を果たしているというふうに認識をしているところでございます。

 今後とも、このような取組を通じまして、保安林の適正な管理、保全を推進してまいりたいと考えております。

堀越委員 保安林の指定、さらにはその管理に関しては、先ほど御答弁いただいたように、さまざまな種類があって、そして指定施業要件に基づいて管理をされているということだとは思いますが、やはり、水源の涵養であるとか災害の防備、生活環境の保全の場の提供としての公共目的というのが非常に重要になります。そこがやはり、林産物の供給という経済的機能にも優先して確保されなければいけないというのがこの保安林であると思いますので、このあたりに関しては十分な配慮がされることをお願いを申し上げたいと思います。

 次に、農林水産省が平成二十七年に実施しました森林資源の循環利用に関する意識・意向調査について伺いたいと思います。

 つまり、これは、国民は国有林に何を期待しているのかという調査になります。その中で、山崩れや洪水などの災害を防止する働きを選択した国民の皆さんは六二・九%、そして、水資源を蓄える働きを選択した方は四八・八%、そして、二酸化炭素を吸収することにより地球温暖化防止に貢献する働きを選択した人は四八・三%となっている一方で、住宅用建材や家具、紙などの原材料になる木材を生産する働きを期待しますと答えた方は二七・五%となっております。

 この意識・意向調査の結果というのは、国民の国有林野に対する期待はやはり公益的機能の発揮に対するものが非常に大きくて、木材を生産する働きに対する期待というのはそれほどないことを示していると私は言えると思いますが、この公益機能、公共機能、いろいろな担保がされているという御答弁がこれまでにありました。

 今回の改正案は、国有林野の管理経営の目標のうち林産物の供給に焦点を当てたものになっていると考えられます。そのために、国民が求めている災害防止や、あるいは水源涵養や地球温暖化防止等の公益的機能にいささかでも悪影響を及ぼすことはあってはならないと私は思います。

 国民の皆さんが求めているものはまさにこういったところでございますので、これも繰り返しになってしまうかもしれませんが、改めて、国有林野は国民共通の財産でありますので、国民の期待に応えるべく、国が責任を持って一体的に管理経営を行う必要が私はあると思いますが、吉川大臣の御見解を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕

吉川国務大臣 国有林野は、国土保全上重要な奥地脊梁山地や水源地域に広く分布するとともに、人工林や原生的な天然林等の多様な生態系を有するなど、国民生活に重要な役割を果たしております。

 このため、公益重視の管理経営を一層推進するとともに、その組織、技術力、資源を活用した我が国の林業の成長産業化など、森林・林業政策全体の推進に貢献する役割を積極的に果たすこととしております。

 こうした取組を着実に推進し、森林・林業や国有林野事業に対する多様な要請と期待を踏まえつつ、国民共通の財産でもあります国有林野を名実ともに国民の森林(もり)とするよう、引き続き、国が責任を持って一体的に管理運営をする考えでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 この調査というのは私は非常に重要だと思っています。平成二十七年に行われた調査でありますので、現在のところも大きな数字の変化というのはないんだろうと思いますが、山崩れ、今、気候変動によって、山の持っている機能を高めていかなきゃいけないんだということに国民の皆さんもやはり気づいてきているんだと思っておりますし、逆に、気候変動がまさに起こっているこの日本の中において、山の脆弱性が高まってしまっているという危機感も共有できてきているのではないかというふうに思っておりますので、そういった意味からも、やはりこの農林水産委員会を通して、日本の林業をしっかりとこれからまた高めていってもらいたいというところにも関心は高まっていることだと思います。そうした結果がこの調査結果にあらわれているんだと思います。

 山崩れ、洪水の災害を防止する働き、実に六〇%を超える方々がこう答えていらっしゃるわけで、もしかすると、今調査するならば、もっと高まっている可能性もありますので、この機能を確保すること、これがやはり国有林の持っている働きに対して我々がやらなければいけない最も重要なことであるということは、ぜひ共通認識として持ち続けていただきたいと思いますし、先ほど大臣の方からも強い御答弁をいただきましたので、それが担保されるように、ぜひお願いを申し上げます。

 そして、先ほど亀井委員の方からも質問がありましたけれども、再造林についてちょっと伺いたいと思います。伐採の、採取の跡地の再造林について。

 森林の公益的機能を持続的に発揮していくためには、やはり適切な再造林が必要だと思います。そして、本改正案では、農林水産大臣が、樹木採取権者に対し、樹木の採取と採取跡地における植栽を一体的に行うよう申し入れるものとされております。

 そこで、申し入れるとのことなのですが、法律上、樹木採取権者は、その申入れを受けても断ってもいいのかというような非常に弱い書きぶりになっていますが、このあたりについて、どういうことなのかということを伺いたいのと、実際にはどのようにして再造林を確保していくのか、あわせて伺いたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の樹木採取権についてでございますけれども、この権利は、区域内の樹木を伐採することのみを権利の対象としておりまして、植栽は権利の対象外ということでございます。

 したがいまして、樹種でございますとか本数でございますとか、植栽の方針は国が責任を持って決め、また、植栽しました樹木は国有林として管理をすることとしておるところであります。

 他方、伐採後の植栽作業につきましては、低コストで効率的に実施をするために、樹木採取権者が伐採と一貫して行うことが望ましいと考えているところでございます。私ども、低コストの再造林という上でも、一貫作業というものを推進を申し上げているところでございます。

 本法案における、植栽をその樹木の採取と一体的に行うように申し入れるものとするという規定に基づきまして、国がその樹木採取権者を公募する際に、樹木採取権者が植栽作業を行う旨を国が申し入れることとしているところでございます。国は、この申入れに応じまして申請した者の中から樹木採取権者を選定いたしまして、樹木の採取と一体的に植栽作業を行う旨の契約を当該樹木採取権者と締結するということになるわけでございます。

 このようなことから、樹木採取権者によりまして確実に植栽が行われるものと考えているところでございます。

堀越委員 本改正が、あるいは法律のたてつけ上、樹木採取を認めるものであって、再造林の義務、いわゆる植栽の義務を課すものではないというところ、これはわかるんですが、やはり重要なのは、適切な再造林が確実に実施されるということだと思います。そのあたりについて、非常にやはり私たち、不安を持つところなんです。

 そして、制度面の担保はもちろんですが、そもそも再造林を実施できる事業者が減っているというところも聞いておりますので、そこで、再造林を適切に実施できる者の育成に向けて、政府としてどのように取り組んでいくのか、また、技術開発による機械化の見込みについても伺いたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 人工林が利用期を迎える中、切って、使って、植えるという循環利用を確立していくためには、皆伐後、再造林を行うということが大変大事でございます。林業経営者の皆様方に再造林の必要性というものをしっかり御理解いただくということが重要だというふうに考えているところでございます。

 このため、森林経営管理法に基づきまして都道府県が公表する意欲と能力のある林業経営者の選定に当たりましては、素材生産に関し生産量を一定の割合以上増加させる目標を有しているといったことに加えまして、主伐後に再造林を実施する体制を有していること、また、伐採、造林に関する行動規範を策定することなどを要件とするように都道府県を指導しているところでございます。

 林野庁といたしましては、森林経営管理法の枠組みを活用いたしまして、集積、集約化の受皿となる林業経営者のリスト化を進めまして、これらの者にソフト、ハード両面での支援を重点化することとしております。

 これらの施策によりまして、再造林にもしっかりと取り組む意欲と能力のある林業経営者を育成してまいりたいと考えております。

 また、再造林に関しましては、植林、下刈りなどの造林作業に係る機械化が進んでいないということも大変大きな課題でございます。この労働負荷の軽減、造林作業の効率化に向けまして、苗木植栽ロボット、あるいは小型の乗用下刈り機械、あるいはアシストスーツの開発等を行っているところでございまして、今後とも、造林の各作業に対応いたしました機械の開発というものを積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。

堀越委員 御答弁いただきましたけれども、やはり不安は残るわけですね。

 地域的にも、そうした再造林に向けて取り組める業者が全国的に、国有林野そのものが偏在している部分もありますので一概には言えないんだと思うんですけれども、やはり適切に再造林を実施できる業者を育成していく、さらにしっかりと限定していくということも非常に重要なんじゃないかなというふうに思っております。

 まさに、先ほどから御答弁いただいているように、国有林、国有地ですから、国の責務としてしっかり再造林が果たせるようにお願いしなければなりません。

 私も、実は、毎年五月に植林と木の伐採のイベントというのを森林組合の皆さんと共同でやらせていただいております。アトリエDEFというハウスメーカーさんと共同でこの植林のイベントというのをいつもやっているんですが、これはもちろん民有林になるわけですけれども、伐採された状態で、次、植林をしない状況を放置しておくと、当然、一年に満たない期間で低木が、どこからともなく種がおりてきて、生えるわけですよね。

 これはこれで、景観としてはすごくきれいに見えるんですが、森林組合の皆さんにお話を伺ったところ、この低木というのは、価値がないどころか、やはり、それが深く根を張るわけではないので、大雨に対する脆弱性が改善されるわけでもなく、さらに、次ここに何かを植えようと思ったときに、一旦その低木をまた伐採して片づけてからではないと植栽ができないということも伺っておりますので、やはり、計画的な、そして持続的な伐採と植栽が行われていかなければ持続的な林業というのは成り立たないんだと思います。

 法律上のたてつけで仕方ない部分があるのかもしれませんが、伐採をするという前提で伐採するのではなく、やはり植栽をするということをしっかり担保された上で伐採をするというふうに考えていくのが私は重要なのではないかなというふうに思っております。

 再造林する際には、結局、国有林に関しては、国の責務をとにかく強く訴えなければいけないということでありますので、ぜひこれは担保されるように取組をしていただきたいと思います。

 時間ももう間もなく終了となりますので、最後、一点だけ伺いたいんですが、水源涵養保安林、先ほどちょっと保安林について質問させていただきました。前後して申しわけないんですけれども、水源涵養保安林についても樹木採取区が指定されるということでございますけれども、この樹木採取権の選定の話に移りたいと思います。

 真偽のほどはわかりませんが、我が国の水源林について外資が狙っているとの一部報道があります。地域の振興の観点のみならず、国民共有の財産である国有林を守る観点からも、樹木採取権者の選定に当たっては、細心の注意を払って適切な者を選定する必要があると考えております。

 そこで、外資に限らずですが、世界的な、有数、大手企業が独占し、地域産業に影響を生じさせるのではないかという不安を私は持っているわけですが、外資や大手だからと排除することはなかなかできないと思いますけれども、このあたり、政府として何か対策をとられているのか、伺いたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の仕組みにつきましては、樹木採取区は、あくまでも地域の意欲と能力のある林業経営者が対応できる規模を基本とすることとしているところでございます。

 また、樹木採取権者の選定に当たりましては、樹木料の高低だけではなくて、地域への貢献度合いなどを総合的に評価いたしますとともに、複数の中小事業者が協同組合等として申請をするということも可能としているところでございます。

 このように、今回の仕組みにつきましては、大企業優先ということではなくて、中小企業を含めました、地域の林業経営者の育成に貢献する措置ということで考えているところでございまして、地域産業に悪影響を与えるといったことでもないということで考えているところでございます。

堀越委員 現在も、国有林の一部は民間の方々にお願いをして管理していただいている部分があると思います。そして、今回の法改正において、その部分に外資系が入ってきたとしても、あるいは大手企業が入ってきたとしても、そんなに、いわゆるお金にならないから、入ってこないんじゃないかというような見方もされているやに思われますので、そういった認識はちょっと改めていただきたいと思います。そういった可能性もあるということを十分考えていただいて、厳格に、しっかりと選定をする、あるいは法律の厳格化を進めていくことが必要だということを私は最後に申し述べさせていただきたいと思います。

 そして、昨今、SDGsの取組、委員の皆さん、もしかしたらバッジをつけておられますかもしれません、私もつけておりますが、持続可能な開発目標ということを考えていったときに、この十七あるゴールが、このバッジの図柄ではなかなかそれがどう密接に関係しているのかというのが見えづらいという部分というのがありますが、やはり、これらゴールは全て密接に関係していて、自然環境、そして、その上に社会環境があり、そして経済の環境がある。

 一番下を、根底をつくっているのがこの自然環境であり、そして自然資本という考え方だと思いますので、この自然資本を守るというのが農林水産しか私はないと思っていますので、このことを皆さんとも共有させていただいて、この法改正に向けて、法改正が厳格なものになることをお祈り申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕

武藤委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行でございます。

 農林水産委員会では、このたび初めて質問をさせていただきます。理事、委員の皆様に御礼を申し上げたいと思います。

 私ですけれども、水循環、そして国土、国益を守るという立場から議論を展開をしてきておりますが、こちらにおきましても、今回の法案について御質問させていただきたいというふうに思います。

 「水循環に関する施策を総合的かつ一体的に推進し、もって健全な水循環を維持し、又は回復させ、我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上に寄与すること」という形で、水循環基本法、これの法案を起草したときに、私、事務局を務めておりまして、林野庁の皆さんにも随分議論をさせていただきまして、そして、この最上流として水循環の最初にある林野についてのお話を伺ってまいりました。

 まず、この水循環、日本の中で唯一と言ってもいいかもしれません、十分な資源量があるという中で、これを守っていく、一番頭にある森林ということでありますけれども、この森林の保水力、森林を守るということは、この水循環の頭を守るということであります。森林の保水力については、田畑やあるいは地べた、あるいは都市のアスファルトなどと比べて十分な力があるというわけなんですけれども、この保水力について、しっかり守るんだという部分。

 そしてまた、災害の問題があります。

 災害につきましては、地球温暖化が進んでいる中で、災害が毎年大規模化をしております。海水の温度が上がると、海面からの水の蒸発が活発になります。水は、気温が高いほど早く蒸発をし、海上の大気の温度が上がると空気中に含むことのできる水蒸気の量がふえ、湿度が高くなります。湿度が高くなると雨が降りやすくなり、巨大なサイクロンであるとか、我々の方でいうと台風、洪水、高潮などが頻繁に起こり、生命や自然環境が危険にさらされる可能性が高まります。

 日本周辺の水蒸気量が長期的に増加傾向にあり、空気中に水蒸気量が多くなりましたから、雨がふえるのは意外なことではないという中で、去年も西日本の豪雨などがありましたが、気象庁によりますと、今後同じようなレベルの災害が起こるという部分については可能性が高まっているというふうに言われております。

 そんな中で、今回の国有林野管理経営法、この改正に関しまして、国有林野管理経営法改正案を考える会というのがありまして、五月十五日に声明を出されています。

 この件については、国有林は木材増産が主要な使命ではないということで、

  政府は、昨年の民有林を対象とする「森林経営管理法」制定によって、川下側の大型木材産業主導の「新たな森林管理システム」の構築を推進中ですが、今回の法案は国有林をその推進のための手段と位置づけようとするものです。しかしながら、国有林は、決して民有林行政への支援や木材増産等が主要な使命とはなりえません。国有林は、公益的機能を一層発揮しつつ「国民の共通財産」として管理経営されるべきものです。

などというようなことを声明をされています。

 大臣、成長産業化というようなお言葉をよく使われておりますけれども、この成長産業化と水循環、また公益的な機能について、これはしっかりバランスをとっていかなければいけないのだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

吉川国務大臣 国有林野は、奥地脊梁山地や水源地域に広く存在をしておりまして、公益的機能の発揮に重要な役割を果たしているため、個々の国有林野を、重視する機能に応じて五種類に区分し、森林の自然条件や社会的条件を踏まえた適切な施業を推進をいたしております。

 とりわけ、水循環の観点からは、国有林の五二%に当たる三百九十二万ヘクタールの森林を、渇水や洪水の緩和等を目的とした水源涵養タイプに区分をいたしまして、水源の涵養の機能の発揮を第一とすべき森林として、その公益的機能の発揮を図っているところでもございます。

森山(浩)委員 全体的な方向性としては、何とかバランスをとりたいということであろうと思います。

 それでは、法の中身についてお話をさせていただきたいと思います。

 林野庁によりますと、森林の有する多面的機能ということで、貨幣評価できるものだけで七十兆円というようなことを言われております。

 一般会計に移したということが、まだ日が浅いですけれども、一般会計に移すというときに、これは公益重視でやるんだというようなことも言われておりますが、一般会計化の時期、そしてその前と後で何が変わったのかについてお尋ねを申し上げます。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 国有林野事業につきましては、御指摘ございましたように、平成二十五年度、一般会計化されたわけでございます。

 この一般会計化以降、一つには、公益重視の管理経営の一層の推進ということが掲げられ、また、二点目といたしまして、民有林に係る施策との連携を図りつつ、その組織、技術力、資源を活用して林業の成長産業化の実現に貢献をしていくということが決まっているところでございます。

 公益重視の管理経営ということについては、一般会計化前後、変わることなく、しっかり公益重視の管理ができるように推進をしているところでございます。

森山(浩)委員 変わることなくというおっしゃり方でしたけれども、より一層、公益重視というふうに言われているわけですよね。

 営利企業に独占、伐採させることは国有林本来のあり方から逸脱している、先ほどの声明でありますけれども、

  国有林は、「国民の共通財産」であり、国民の森林に対する多様な期待や要望を実現させるための場です。その国有林において、一部の営利企業が木材伐採のためだけに長期にわたり独占的・排他的かつ安価に利用することを可能とする「樹木採取権」(コンセッション方式)を設定できるようにすることは、国有林の本来のあり方から逸脱しています。

というような言い方もされております。

 公益重視というような形の中で、民間が入ってくることによって公益重視が後退するということにはなりませんか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 この四月から、林業成長産業化と森林資源の適切な管理に向けまして、森林経営管理法が民有林に導入をされたところでございます。

 国有林につきましても、本制度が円滑に機能するよう積極的に支援することが必要との観点から本法案を提出をしたものということでございまして、このことは、先ほど御説明をいたしました一般会計化以降の国有林野事業の目的にも沿っているものと考えているところであります。

 さらに、本法律案におきましては、樹木採取権者は、事業を開始する前に、権利の行使方法等を定めました五年ごとの契約を農林水産大臣と締結をすることとしているところでございます。この契約によりまして、樹木採取権者の施業の計画は、現行の国有林の伐採ルールにのっとりまして、農林水産大臣の定める基準、国有林野の地域管理経営計画に適合しなければならないということでございますので、このような仕組みによりまして公益的機能の確保が図られるということでございます。国有林における公益的機能重視の考え方に変更はないところでございます。

森山(浩)委員 変更なく、公益重視でやっていくということでございます。

 さて、地域管理経営計画というものでこれを縛っていくから大丈夫だということですけれども、地域管理経営計画、これはどのようにつくられますか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 国有林におきましては、個々の森林の重視すべき公益的機能に応じまして、森林の維持や伐採等の管理経営の考え方は、機能類型区分としまして、管理経営基本計画及び地域経営管理計画において定めているところでございます。

 この樹木採取区の指定に当たりましては、両計画に示す考え方に沿って国が指定をするということはある意味自明というか当然のことでございまして、地域管理経営計画との整合が図られているということで考えております。

森山(浩)委員 国が定めるんですけれども、そのときに、例えば、自治体であるとか、地域の住民の皆さんであるとか、あるいは林業者、いろいろな形で、それぞれの具体的な問題というものがあるでしょうから、これをしっかり取り入れてつくっていくんだというふうにしていただきたいわけなんです。

 さらに、現状なんですけれども、これは、大量に樹木を伐採するんだということを後押しする法案になっていますけれども、現在の樹木採取量というのは多いんでしょうか、少ないんでしょうか、ニーズに対して。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の御趣旨は、現在の樹木伐採量が、多いのか少ないのかというか、過大なものになっていないのかどうかというような観点かというふうに考えております。

 現在の我が国におけます国産材の供給量につきましては、国産材の資源というものが大変充実してきている、戦後植林をされました樹木が大きく育ちまして資源が充実してきております中で、この成長量の範囲内で伐採が行われているというふうに考えておりますので、少なくとも、我が国全体のマクロ的に見た場合には、過大な伐採ということにはなっていないというふうに承知をしております。

森山(浩)委員 過大にはなっていないけれどもちょうどいいのか、もっともっとこれからニーズがふえていくのでふやしたいと思っているのか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、森林・林業基本計画の中で、今後、国産材の供給量につきましては、令和七年度におきまして、四千万立米を目指して増加させていくというふうに考えているところでございます。国産材の自給率五〇%を目指して、供給量につきましては、引き続き増加させる余地は十分ございますし、増加させていく目標を掲げているところでございます。

 これによりまして、木材自給率を高め、また、林業、木材産業の活性化につなげていきたいと考えているところでございます。

森山(浩)委員 例えば、一ヘクタールを伐採したときにどのぐらいもうかるのかというのは、試算をされたりしていますか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 一ヘクタールを伐採したときにどれだけもうかるのかということについては、もちろん、森林のいろいろな自然条件でございますとか資源条件によりまして、さまざまあろうかというふうに思います。

 現在のところ、大体五、六十年生の森林でございますれば、一ヘクタール伐採をいたしますと、三百五十立米とかそれぐらいの材が生産をされるというふうに考えているところでございます。そのような中で、現在の材価、あるいは、森林につきましては、例えば再造林等々にもいろいろな森林整備事業におきまして支援も行われているところでございますので、そういうものを全て勘案をいたしますと、民間事業者が適切に伐採した場合には一定程度の利益も生じるものではないかというふうに考えているところでございます。

森山(浩)委員 森林・林業白書によりますと、再造林の費用は大体百十四万円から二百四十五万円とされています。民有林だと、現在三割程度が再造林されていますよというような形になっていて、七割は放置というように認識をしていますけれども、国有林についてはちゃんと再造林するんだよというようなことを言われています、これは後ほど聞きますが。

 皆伐という切り方があります。主伐というのは、結局、ある木を全てばさっと切ってしまって、そこに再造林するんだという話だというふうに認識をしています。

 皆伐ということで言いますと、二〇一七年、福岡県朝倉の豪雨災害地域では、皆伐地全箇所で土砂の崩壊が起こっています。土砂災害の現場と全て重なっているという状況にあります。皆伐しているところ以外も崩れているんですよ。ただ、皆伐しているところは全箇所土砂が崩壊をしている。このようなこともあります。

 先ほどの災害への対応というような意味でも、皆伐をしてしまう、はげ山にしてしまうということが、その後五十年にわたって災害を引き起こすのではないか、このような、非常に危惧があるわけですけれども、この点はどのようにお考えですか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、皆伐につきましては、国有林におきましては、一カ所当たりの皆伐の上限面積については五ヘクタールを上限とするということで行われているところでございます。大面積の皆伐につきましては今委員御指摘のような危惧もあるところでございますので、一定のそういうような制約を課して皆伐を行っているというところでございます。

 ただ、今、日本の森林資源の状況を見てみた場合には、かなり資源が成熟化してきておりまして、ある程度樹齢の高い木を切って若い木に置きかえていくことによって、全体としてバランスのとれた森林をつくっていくということが大変重要かというふうに思います。

 そのような観点から、やはり、主伐につきましても一定程度行っていくということが必要でございます。ただ、これにつきましては、その地域の森林の持つ資源の状況等によりまして、例えば長伐期による、間伐を繰り返して長伐期の施業をするということが適当な森林もあろうかと思いますので、全てが皆伐をするということではなくて、主伐、間伐、組み合わせて、結果として多様な森づくりになるような形で森林を形成するということを目標に、全体的な運用を行っているところでございます。

森山(浩)委員 私、大阪の出身でありますので、近畿地方は、昔、たくさんの都がつくられました。都がつくられて遷都をする。そのときに、遷都する理由が、周りの木がなくなっていく。建物をつくったり、あるいは燃料で使ったりということで、どんどんどんどん皆伐をしていって、木がなくなって違う都に移っていくなどというような歴史があるわけなんです。

 先ほどの声明の中にも、この件について懸念があります。

  政府は、四十六年生以上の人工林を高齢級と位置づけて、これらの森林を対象として大規模な皆伐を推進しようとしています。このような施業は、科学的には「短伐期皆伐方式」と整理され、公益的機能面だけでなく、技術面、経営面からみてもきわめて問題が多く、持続性に著しく欠ける施業方式です。災害の多発もきわめて懸念されます。また、川下での都市用水、農業用水の深刻な不足と質の低下も予測されます。すなわち、一部の関係者の現時点利益のみを追求するもので、現世代、次世代以降の国民のみならず、地球環境保全の観点からも大きな不都合をもたらすものです。

とあります。

 五ヘクタール以下だから大丈夫だという御答弁でありましたけれども、このやり方についてはしっかり確認をしながらやっていただきたいと思いますし、政令、省令による運用というものが恣意的なものになる危険性があるということで、樹木採取権、これにつきまして、

  法案では「樹木採取権」に関して一定の制限・制約を課しています。しかし、具体的な運用については、政令、省令へ多くの事項を委任しており、政府による恣意的な運用を可能としています。今後、「コンセッション方式」がなし崩し的に広範に導入されていくことを強く懸念します。

というような記述もあります。

 コンセッション方式につきましては、水道法などでも随分議論になった部分でありますけれども、内閣官房がまとめた、公共施設等運営権、コンセッション制度の課題、期待に関する調査結果によると、民間事業者がコンセッション活用で有効と見る分野は、国有林野、木材の伐採、販売が四件と最多で、続いて、医療施設と文化財が同数の一件だったということで、調査対象はコンセッション実績のある二十四社となっています。

 政府は、調査結果を分析し、今後のコンセッションの活用、拡大に生かすと言っておりまして、コンセッションは、民間資金活用による公共施設整備促進法に基づき、利用料を徴収する公共施設で、所有権を公共主体が持ったまま、運営権を民間事業者が保持する方式。その中で、林野庁としては、国有林野関連では、長期、大ロットの木材伐採、販売で事実上のコンセッション方式が可能になる見通しと考えられているというふうに記述をされたりもしていますけれども、この樹木採取権、コンセッション方式と同じなのか、違うのか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案におきましては、まず、国が国有林野の管理経営の主体であるということには変わりはないわけでございます。したがいまして、今御指摘いただきましたように、PFI法に基づく公共施設等運営権のように、施設の運営を事業者に委ねる仕組みとは基本的に異なっている仕組みということでございます。

 今回の樹木採取権につきましては、あくまでも、現行の国有林のルールのもとで、樹木採取区に生育しております樹木の伐採、取得のみが行える権利でございます。

 これに対しまして、公共施設等運営権につきましては、所有権は国に残るものの、当該施設の運営全般を民間企業に委ねるというものでございますので、今回の制度とは基本的に異なるものでございます。

 今回の制度につきましては、あくまでも国有林の管理経営は国が引き続きしっかり行うというようなことでございますので、したがいまして、再造林につきましても、国が責任を持って行うということでございます。

森山(浩)委員 今のお話でいきますと、政令、省令によってなし崩しにコンセッション運営をするということはないということでいいですね。

牧元政府参考人 御指摘のように、制度として、基本的に全く異なるたてつけにしておるものでございまして、国が国有林野の管理経営の主体であるということには変わりはないということでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 その樹木採取権なんですけれども、これも何度もお話しになっているかと思いますが、五十年にする必然性というのはあるんでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 樹木採取権につきましては、地域の意欲と能力のある林業経営者の育成、また地域の産業振興への寄与の観点から、これらの林業経営者が対応しやすい規模に鑑みまして、その期間は十年を基本として運用していく考えでございます。

 他方で、現に地域の森林組合等から長期間の権利設定を求める声があるということも踏まえまして、国産材の需要拡大のニーズが特に大きい地域におきましては、当該地域の需要の動向でございますとか森林資源の状態などを勘案いたしまして、一般的な人工林の造林から伐採までの一周期でございます五十年を上限といたしまして、十年を超える期間も設定をできることとしているところでございます。

 以上でございます。

森山(浩)委員 木にとっては五十年というのはそんなに長い期間ではありませんけれども、人間にとっては非常に長い期間でありまして、現在、じゃ五十年後に存続する企業というのがどこかというものを当てられるのであれば、皆さんが商売した方がいいですよね。

 こういうものを考えるときに、地元の森林組合が五十年というのを求めて、そして根を張ってやるという部分と、ほかから企業がやってきて五十年分持っていくというのでは、もう本質的に違うんだというふうにも思います。

 運用で十年を目標にしつつということでありますけれども、この法律について、そもそも五十年と書き込むことについては疑問がありますけれども、海外から外資系企業が入ってくる、あるいは大企業が森と関係ないところから入ってきて、そして大きく荒らしていく、このようなことがないようにしっかり対応していただきたいというふうに思います。

 基本的にコンセッションはないということで、未来投資会議からの圧力をよくはね返していただけたなというふうには思いますが、この五十年がいいか悪いかという部分については、大きく疑問だということを申し上げて、最後、大臣にお聞きをしたいんです。

 今、るる議論をしてまいりました。皆伐による自然災害に対する脆弱性が起こる危険性、あるいは、再造林をきちんとやれるかどうかという部分。また、バイオマス発電、これは御紹介し忘れましたが、八割が今稼働していないという状況にあります。バイオマス発電、これは本当に必要とされるのか、きちんと産業としてやっていけるのかというところ。

 そして、本来の森の守り方としては、皆伐するのではなくて、間伐をしていく中で四十年、五十年の木材を出すとともに、私、地元の建築家の皆さんとお話をしたときに、いや、二百年、三百年というような木というのは、香り、芳香が漂ってきて非常にいいものになる、吉野の杉、この間数十本出したけれども、一本八百万円、一千万円というようなもの、神社仏閣などに使われるものでありますけれども、非常に、こういったものこそ成長戦略ではないのか、このようなお話もいただいてまいりました。

 成長産業化という部分のイメージ、そして森林の公共的な機能というものとのバランス、これにつきまして、大臣から改めて決意をお願いします。

吉川国務大臣 国有林野の管理経営の目標は、国有林野の管理経営に関する法律第三条の規定のとおり、公益的機能の維持増進を図るとともに、林産物の持続的かつ計画的な供給、及び国有林野の活用により地域の産業振興又は住民の福祉の向上に寄与することとしております。

 本法律案は、国有林が民有林を補完する形で、意欲と能力のある林業経営に長期安定的に木材を供給することによりまして、森林経営管理制度の円滑な実施を支援をし、地域の産業振興に寄与することを狙いといたしております。

 また、国有林の公益的機能の維持増進に関して、本法案では、樹木採取権者は、事業を開始する前に、農林水産大臣と五年ごとに具体的な施業の計画等を内容とする契約を締結しなければ樹木の採取はできないことともいたしておりまして、この契約において、樹木採取権者の施業の計画は、現行の国有林の伐採のルールにのっとり、農林水産大臣の定める基準や国有林野の地域管理経営計画に適合しなければならないことといたしております。このような仕組みによりまして、公益的な機能の維持増進を今後とも担保をしてまいりたいと存じます。

森山(浩)委員 本当に、現在の政権におきまして、海外の事業者しかいないカジノ、あるいは水道法を、民営化して海外の事業者がどんどん入ってくる、こういうような枠組みをつくってきてしまったという部分について、今度、森林まで外資に売り渡すのかというようなことがないように、しっかり対応していただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。

武藤委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 法案の質疑に入る前に、一点、お伺いさせていただきます。

 G20農業大臣会合が十一日、十二日と開催されたわけでありますが、日本の大きな課題だった食品の安全性のアピールをする大きなチャンスだったというふうに思います。

 ただ、残念ながら、原発事故に起因した規制は日本固有の問題であるとされて、世界的な課題を議論するG20の本会合では扱えなかったと関係者が言ったということが報道されています。

 そこで、今回のG20農業大臣会合において、原発事故に起因した輸入規制の問題はどのように扱われたのか、お伺いしたいと思います。そしてまた、各国に対して本当はこの機会をしっかり生かしていくべきだったというふうにも思いますので、所見をお伺いしたい。そしてまた、今回のG20農業大臣会合の成果についての御所見もお伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 今回のG20新潟農業大臣会合の機会を捉えまして、私自身、閣僚が参加をいたしました十八カ国全てと二国間会談も実施をさせていただきました。

 特に、委員御指摘の、放射性物質に係る日本産食品の輸入規制につきましては、被災地復興のための極めて重要な課題であるとの認識のもと、中国、韓国、米国ですとか、またEUなど、輸入規制が残る全ての国に対しまして、輸入規制の撤廃と緩和の要請を行ったところでございます。

 また、このほか、レセプション等で、東日本大震災の被災地で生産をされた食材を使用した料理を提供し、高い評価も得たところでございますし、現在の被災地の復興の進展ですとか、被災地の姿や魅力を伝える展示ブースに各閣僚も御案内もさせていただきました。

 金子委員御地元の福島県産の、ちょうどサクランボが間に合いまして、そのサクランボも、今申し上げました国の皆様を始め、多くの皆さんに御試食もいただいたところでございます。

 東日本大震災の風化を防ぎ、国内外で被災地を支援する機運を高める観点から、重要な意味を持つものと考えております。

 全体会合の成果といたしましては、全参加国の合意のもとで、二〇一九年G20新潟農業大臣宣言を採択をいたしました。農業の未来のため、各国間で知見を共有することの重要性というものを確認することができたと思いまして、大変有意義であったと考えております。

金子(恵)委員 宣言も出されて有意義であったということで締めていただいたんですけれども、来年、復興五輪も開催されるということであれば、誰が言ったかはわかりませんけれども、輸入規制の問題は日本固有の問題であるから本会合では扱えなかったということがもしあったとしたら、大変残念でならないわけです。

 私は、これは日本固有の問題ではなくて、今申し上げたように、オリンピックが開催される我が国の問題は世界の問題なんだということだというふうに思うんです。ですから、議長国として、吉川農水大臣としても、やはりこの問題というのはしっかりと本会合でテーマとして挙げていただきたかったというふうに思います。

 終わったことですけれども、でも、これからしっかりとまた世界の中で発信をしていただきたいというふうに思いますので、福島県産のサクランボを召し上がっていただけたことはありがたかったというふうにも思っておりますが、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、法案について質問させていただきたいと思います。

 私、既に本会議で質問させていただきまして、私の質問に御答弁をいただけなかった、あるいは明確にいただけなかった部分についてまず質問させていただきたいと思います。

 本会議においても、国有林野事業について、必要な財政上の措置を講ずるとともに、現場管理の実態を踏まえた組織体制の強化、人材の確保、技術の継承を図っていく必要性について大臣に伺いました。特に、組織体制の強化については明確な答弁をいただけなかったと感じております。

 それで、改めてお伺いしますが、もちろん、昭和四十二年の段階では約八万一千人の職員の方がいた。そして、国有林野事業の抜本的な改革が終了したとき、その平成十六年の段階では、定員内五千三百六十八人、定員外二千百五十九人ですから、約七千五百人の職員がいた。そして、平成三十一年になりますと、これが、定員内四千七百五十三人、そして定員外が六十人ということで四千八百というように、これだけ減少しているというようなことであります。

 国有林野事業の使命、役割を果たす上でも、組織体制を強化すべきと考えます。全国にある七森林管理局、そして九十八森林管理署等があるわけですけれども、この、直接国有林を管理経営しているそれぞれの組織をしっかりと強化をしていく、そして必要な人員が確保されるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

吉川国務大臣 現在、国有林事業につきましては、伐採、造林等の事業の実施は全面的に今民間に委託をいたしまして、国の職員が行う事務といいますのは、計画作成、監督、検査等に限定をしております。よって、従事する職員数は今約四千人となっているところでございます。

 国有林におきましては、資源の成熟に伴い事業量が増加する見通しとなっており、これまでも、国有林野事業全体の効率的な執行に努めてきたところではありまするけれども、引き続き、事業全体を通じた事務、業務の改善や、必要な組織、定員の確保にはしっかりと努めていく考えではございます。

金子(恵)委員 大臣、ぜひよろしくお願いいたします。財務省との闘いになるのでしょうか。農林省全体を見ても、一番本当に職員を減らされている、そういう役所なんです。ですから、ぜひ守っていただきたい。

 そしてまた、国有林野事業の使命というもの、あるいはその多面的機能というものをしっかりと守るためにも、そしてその多面的機能を発揮させるためにも、十分な職員の方の確保というのが必要であるわけで、効率化とかそういう問題をもう超えています。

 そして、今、国有林野は切りどきなんですよね。そしてまたこうやって制度も変わっていく中で、これに対応する人員の確保というのはしっかりやっていかなくてはいけないんです。

 もう一度、大臣、御決意をお願いします。

吉川国務大臣 金子委員からたびたび今の御指摘も頂戴をいたしておりますので、引き続き、事業全体を通じて、先ほど申し上げましたけれども、事務、業務の改善、ある部分では非常に、この果たすべき役割というものがふえている部分というものもございますので、改めて、必要な組織、定員の確保には全力を挙げて努めていく考えでございます。

金子(恵)委員 よろしくお願いいたします。

 私たちは、国有林野を守りたい、そういう方向で心を一つにしていくべきというふうに思っています。

 それでは、樹木採取権者に対する実地調査についておただししたいと思うんです。

 これは、五月の九日の当委員会においても、委員のお一人から質問がありまして、それに対して牧元林野庁長官から答弁がございました。このようになっています。

 農林水産大臣は、樹木の採取箇所、そして採取面積、経営状況など樹木採取権者に対する業務等の状況に関する報告の徴求を行うということ、そして、報告内容に疑義がある場合などにおきまして実地調査の実施をやるということによりまして、事業の実施状況を適切に把握できるようにしていきたいと考えているところでございます、そういう答弁がありました。

 この答弁を理解しようとしますと、報告内容に疑義がある場合にのみ実地調査を実施されるようにも解釈されるということでありまして、もし万が一、報告内容の偽装が巧妙だった場合とか、あるいは何らかの理由で偽装に気づかなかった場合など、実地では重大な違反とかルールに違反する伐採が行われているのに長い間気づかなかったというようなことが起こり得るのではないかというふうにも考えます。

 もちろん、私も性善説を唱えたいとは思いますが、そういうことが起こる可能性はあるわけですから、国に国有林を管理する責任があるとすれば、やはり、定期的な実地調査はもちろん、抜き打ちの実地調査も行っていくべきではないかと思うんです。そのことによって、問題が発生するような、あるいは不適切な事業が行われることがないようにする、その抑止力になっていくのではないかというふうに思うのですが、この実地調査についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

吉川国務大臣 国有林では、全国の森林管理ごとに約八百の森林事務所を設けまして、森林官が日常的な巡視や伐採、造林等の事業の監督の業務を行っているところでございます。

 樹木採取権に係る実地調査につきましては、伐採箇所ごとに、伐採の着手前、着手後はもちろんでありまするけれども、伐採作業の途中の状況についても、樹木採取権以外の事業の監督、巡視、調査とあわせて実施をする考えでございます。

 金子委員の御指摘も踏まえながら、しっかり対応していきたいと思います。

金子(恵)委員 ということは、報告があって、その内容に疑義がある場合だけでなく、しっかりと現場に行って、そして調査をしていくということでよろしいですね。

吉川国務大臣 今も申し上げましたように、監督、巡視、調査とあわせて実施をしてまいります。

金子(恵)委員 わかりました。よろしくお願いします。

 次に、樹木採取権の移転についておただししたいと思います。

 本法律案では、樹木採取権の移転を受けようとする者は、農林水産大臣に申請し、その許可を受ければ樹木採取権の移転ができることとされています。第八条の十七第二項です。

 樹木採取権者の選定は公募により行われることとなっております。しかし、公募により選定された樹木採取権者が何らかの理由によって樹木採取権を手放さなければならない事態となった場合には、再度公募により新たに樹木採取権者を選ぶことも考えられるにもかかわらず、公募によらず樹木採取権を移転することが可能になっているということです。入り口のところは公募なんだけれども、移転のところは公募でなくてもいいということです。

 ここで、まず、樹木採取権の移転について、具体的にどのような状況を想定しているのか、どういう場合に移転ということになっていくのかをお伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 樹木採取権は物権とみなされる権利でありますため、樹木採取権者は樹木採取権をみずからの財産として第三者に移転することができることから、例えば、樹木採取権者が樹木採取権を第三者に売買することや、樹木採取権者がみずからの後継者に林業経営の継承を行うために樹木採取権を贈与することなどが想定をされているところでございます。また、樹木採取権に対しましては抵当権を設定することができることから、その抵当権が実行された場合には、競売手続が実施をされ、競落人に樹木採取権が移転することも想定されるところでございます。

金子(恵)委員 お伺いいたしますけれども、移転を受けるところですね、それは、実際にその申請というのは、申請者は公募に申請する場合と同様の申請書を提出しなければならない、そして、農林水産大臣は、移転の許可をしようとするときは、公募による樹木採取権者の選定時と同様に、関係都道府県知事に協議しなければならないということにもなっています。また、農水大臣は、公募の場合と同じ基準により、移転時、申請者を審査することともなっているということでありますけれども、そうしますと、公募により選定される者とほぼ同じレベルの者にのみ権利が移転されるということが担保されているということでよろしいんでしょうか。そこをお伺いしたいというふうに思います。

 そして、もともと公募に応募しなかった者や公募により選定されなかった者が移転を申請する、そして認められる可能性もあるということでありますので、そもそも公募制をとっている趣旨に照らしていくと、これは妥当と言えるのか、ちょっと疑問に感じることもあります。

 そうであれば、改めて公募を行って、そして公募に応じた者の中から最も条件のよい者に移転を行うべきというふうにも感じるのですけれども、御見解をお伺いしたいと思います。やはり透明性の観点からこの点についてはお伺いしています。

吉川国務大臣 樹木採取権は物権とみなされる権利であるため、樹木採取権者は、その移転を行う相手方を選択することができ、樹木採取権の移転につきましては、農林水産大臣が公募を改めて行うことはできないところでございます。

 このため、権利の移転に当たりましては農林水産大臣の許可を要することとしており、林業の経営能力など、当初の権利者と同水準で事業を実施できるか否かを農林水産大臣が審査をし、権利の移転後におきましても適切に事業が実施されることを担保しているところでございます。

 なお、農林水産大臣の許可が得られない場合には、権利の移転は不成立となります。

金子(恵)委員 では、移転ができなかった場合はどうなっていくのかとか、そしてまた、今申し上げたように、公募により選定された者と同レベルできちんとあるのかどうかということがどのように担保されていくのか、私は、ここはやはり明確に見えていないというふうに思います。

 つまり、先ほど来申し上げているように、国の財産を守っていく、国有林を守っていくという観点から申し上げているわけであって、しっかりとした樹木採取権者が事業を行っていくということが担保されるべきだというふうに思いますが、そこはどうなっていますか。

吉川国務大臣 その場合は、改めて別の事業者を探し、その者に移転をするということになろうかと思います。

金子(恵)委員 わかりづらい話です。

 時間がなくなってしまったので。今のように、いろいろと質問をしていけばいくほど問題点が出てくる。どうなっていくんだろうか、もう明確にわからないということだというふうに私は思います。そうすると、本当にこの法案の審議をもっともっとしていかなくてはいけないんじゃないかなと改めて感じているところでもあります。

 最後の質問になってしまうんですけれども、木材の安定供給の確保に関する特別措置法の改正によって、川下、そしてまた意欲と能力のある林業経営者が加わるということですけれども、これによって本当に事業者同士の連携が促進されていくのかということがわからない。

 それは今までも、前回の改正等で、川上と川中の連携を促進するための特例がずっとありました。しかし、それによって、実際に事業計画等があって、そして認定された、そういうものが本当に少ない。ですから、制度自体が非常に低調となっていると言わざるを得ません。

 そういう中で、この連携をすれば何とか国の森林・林業というのは守っていけるとか、今回の国有林野事業というものも、その中でしっかりと、その場で働く人たちを育成していけるとか、そういうことを言っているんですが、私は、全くその見込みというか見通しというのが見えない状況だと思います。

 最後にお聞かせください。

吉川国務大臣 木材の安定供給の確保に関する特別措置法の改正案でありますけれども、利用実績が低調である要因を改善をして、工務店等の川下事業者を事業計画の当事者に追加したこと、計画時点で伐採箇所を特定することを不要として、森林の集積、集約化に取り組もうとする箇所も対象とすることができることとしたことがあります。

 メリット措置につきましても、川上から川下までの事業計画の認定を受けた事業者に対する低利の資金融通と債務保証も措置をしたことでありますから、制度の利用が活発化をして、木材利用にかかわるサプライチェーンの構築が進むことが期待をされているところでございます。

金子(恵)委員 終わります。ありがとうございます。

武藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

武藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。関健一郎君。

関(健)委員 国民民主党の関健一郎です。

 委員長並びに理事の皆様におかれましては、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 早速、質疑に入らせていただきます。

 国有林野法改正案、国有林というところにあえてスポットを当てて質問を展開させていただきたいと思います。

 冒頭、そもそも論からなんですけれども、国有林野法改正案、そもそもなぜこのタイミングで提出をされたのか、また、どういう現状、課題を把握していて、その課題に対してどういう解決を見出しているのか、御説明ください。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国の森林につきましては、戦後造成をされました人工林が本格的な利用期を迎えておりまして、この森林資源を切って、使って、植えるという形で循環利用していくことが今後の森林・林業施策の主要課題でございます。

 昨年成立をいたしました森林経営管理法に基づく森林経営管理制度につきましても、本年四月から施行されているところでございます。

 この森林経営管理システムを円滑に機能させるためには、システムのかなめでございます意欲と能力のある林業経営者の育成が不可欠となっているところでございます。

 このため、国有林が民有林を補完する形で、長期安定的にこうした林業経営者に木材を供給いたしますとともに、国産材の需要拡大に向けまして、川上、川中、川下の事業者との連携強化を図ることが有効であるということから、できるだけ早期にこのような仕組みを整備いたしますために、今回、法案を提出することとしたところでございます。

関(健)委員 森林経営管理法が施行され、それに合わせて改正をする。つまり、要約をすると、木を切って、丸太にして、販売をして、つまり、林業をしておられる皆様の活性化ということにしっかり焦点が当たっているということだと理解をしました。

 そして、私は、冒頭申し上げましたけれども、あえて国有林、国有林野法改正案ということですので、木を切って、それをなりわいにしてやられる皆さんの稼ぎがふえて、その業種、業勢が拡大すること、これはもちろん賛成です。その上に、今回焦点を絞らせていただきたいのは、それ以外の国有林が持つ機能について、それで、それ以外の持つ公共性なり何なりが結果的に森林に集うことでビジネスにもなるんじゃないかということについてきょうはお話をさせていただきたいと思います。

 ちなみに、きのうの参考人招致、それぞれの専門家の皆様から非常に示唆のあるお話をいただきましたけれども、その中でも土屋先生のおっしゃったことに基づいて幾つか質問をさせていただきます。

 これはちょっと正確に読ませていただきますけれども、土屋先生がおっしゃった発言の中で、国有林について、多様な公益的機能をあわせ持つ国有林の重要な経営判断を少数の非専門家に委ねるべきではないという御指摘がありました。

 つまり、先生の言っていることを要約すると、国有林並びに森林に対する造詣の深い専門家がたくさん議論してきたにもかかわらず、それとは関係のない少数の皆さんによる意思決定でこういう決定が起こったのはまことに遺憾だという趣旨でしたけれども、これについての御認識を伺います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日、委員御指摘のような参考人からの御指摘もあったところでございますが、本法律案につきましては、一昨年閣議決定をされました未来投資戦略二〇一七に基づいて実施をいたしましたところの国有林野の木材販売についての民間事業者からの改善提案、この提案におきまして、現行よりも長期にわたりまして樹木を伐採できる制度の創設の要望というものが多数寄せられたところでございます。

 このことを受けまして、それらの提案を踏まえまして、この林政審議会におきまして十分に御審議をいただきまして、そして政府として本法律案を提出したものでございます。

 したがいまして、検討のプロセスにつきましては、この林政審議会で十分御審議をいただいたということも含めまして、適切なプロセスのもとに検討したものだというふうに承知をしているところでございます。

関(健)委員 わかりました。

 改正法案に関して、今回、では、実際に林業を経営しておられる皆様、若しくは、じゃ、林業に足を踏み入れてみようかなと考えておられる皆さんに、端的に、今回の法律案で事業者にとってのメリットというのは何でしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の仕組みにつきましては、意欲と能力のある林業経営者の育成を図るために、これまでは、毎年、毎年度、個別に場所等を指定いたしまして、入札により事業者を決定しているという仕組みだったわけでございますけれども、こういった現行の仕組みに加えまして、国有林野の一定区域を指定した上で、その区域に生育している樹木を一定期間、安定的に採取できる仕組みというものを追加するものでございます。

 権利設定を受ける経営者にとっては、将来の事業量の見通しが立つということでございます。将来の事業量の見通しが立てば、例えば人を雇ったりとか、あるいは機械、設備を新しいものにしたり、そういうような見通しも立ってくるわけでございまして、そのような経営基盤の強化に向けた投資が可能となるというようなメリットがあると考えております。

関(健)委員 また土屋先生の御発言に戻るんですけれども、今回の法律の改正案はぎりぎりで踏みとどまっている、経営を差配する力をぎりぎり確保したというところがあって、今おっしゃっているところもそことリンクしているんだと思うんですけれども、その一方で、私の企業、いわゆる民間企業が魅力を感じるか不透明というふうにも言及をされています。

 改めて申し上げれば、新規参入を計画している人、また、まさに既に従事をして拡大をしようとしておられる皆さんにとって、具体的なメリットというのはどういうことが考えられますか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的なメリットといたしましては、育成しようとしております意欲と能力のある林業経営者、これは具体的には、地域でいろいろ活動されていらっしゃっておられます森林組合とか素材生産業者とか自伐林家とか、そういうような皆さんを想定しているわけでございます。

 例えば、森林組合において、十年間、数百ヘクタールというような規模で国有林の木を伐採するということができるとすれば、それに伴って、例えば林業労働者、現場で働く機械のオペレーターの皆さんとか、あるいは植林をする皆さんとか、そういう皆さんについて若干プラスアルファで人を雇うことができるとか、あるいは機械につきましても、例えば、これまではプロセッサーとフォワーダーは持っていたけれども、例えば新たにハーベスターも導入してみようとか、そういうような機械の更新なり近代化というような、そういうメリットが生じてくるというふうに考えているところでございます。

関(健)委員 若い、林業の世界に飛び込んだみたいな人の話を聞いていると、やはり、これは農水省の皆さんも問題意識として認識をしておられますけれども、誰が誰だかわからなくて、自分が持っているところに行くのに効率のいい路網がつくれないとか、そういうのが一気に、そういう人たちがよりやりやすくするという意味では、私はこれは非常に大切なことなんだと思います。

 その一方で、今言及ありましたけれども、意欲と能力のある林業経営者というのは、これはどういう人のことを指すんでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 この樹木採取権の設定を受ける者につきましては、まず一つには、森林の経営管理を効率的かつ安定的に行う能力や、これを確実に行うに足る経理的基礎を有すると認められること、具体的に申しますと、ちゃんと現場で作業ができるような事業者であるということでございます。

 そして、加えまして、木材需要者等との連携によりまして、木材の安定的な取引関係を確立することが確実であること。要は、民有林を圧迫しないように、しっかり新規の需要とリンクをしているような事業者であるということを要件としておりまして、単に、単純に樹木を伐採して木材を売買する人がみんな該当するというわけではないということでございます。

 一つ目の要件につきましては、森林経営管理法に基づきます意欲と能力のある林業経営者として都道府県が公表している者及びこれと同等の者とする考えでございまして、具体的には、素材生産に関しまして生産量を一定の割合以上に増加させるような、そういうような積極的な目標を有しているとか、あるいは、最近の事業年度における経理状況が良好であるというような要件を満たしている者が対象と考えているところでございます。

 そして、二つ目の、連携の要件につきましては、川中や川下の事業者の皆様と連携をいたしまして新たな木材需要の開拓を図ることを協定などの形で明らかにしているということを要件として満たしている者が対象になると考えております。

 これら二つの要件を満たした者が、樹木採取権の設定を受けることとなる意欲と能力のある林業経営者であると考えているところでございます。

関(健)委員 確認ですけれども、林業経営者というのは、やはり、木を切って、その木を販売して、切ったところにまた植える、こういう、木を売るということをなりわいとしていることを林業経営者というという理解でいいですよね。確認です。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 林業経営者については、形態としては、先ほど御紹介いたしましたように、森林組合であったり、素材生産業者であったり、自伐林家であったり、いろいろな形態があろうかと思います。

 しかしながら、今委員から御指摘ありましたように、実際に木を切って、まさに販売するようなことができる能力を有している者ということで考えているところでございます。

関(健)委員 ありがとうございました。

 これはきょうの質問のポイントですので、あえて確認のために聞かせていただきました。

 私、先ほどから繰り返し国有林と申し上げておりますけれども、もちろん、木を切って、なりわいとして、いわゆる林業で稼ぎをふやす、これももちろん大事なんですけれども、国有林のそれ以外の持つ公共性、これが実は活性化なり、いわゆる森林でお金がもうけられるんじゃないか、こういうことについて質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、ここでちょっと一旦質問の趣旨を変えまして、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部からお越しいただきましたので、川合さんに質問させていただきます。

 そもそも、地方活性化の枠組みで国有林について質問させていただきたいんですが、今、人口が減少しています、そのときに、いきなり人口をふやそうといったって無理です、これは定住人口の話だと思います。だったら観光の人をふやすしかないよね、これは交流人口ということだと思います。

 今、巷間よく言われている、言及されている関係人口、これについてちょっと御説明をいただけますでしょうか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる関係人口につきましては、必ずしも確定的な定義があるわけではございませんが、一般的には、地域に移住した定住人口や観光に来た交流人口ではなく、特定の地域と継続的に多様な形でかかわる都市住民等を広く関係人口と称しているところでございます。

 特に、地方においては、人口の減少や高齢化に悩む地域が多くなっている状況の中で、さまざまな形で都市住民等が地域をサポートする関係人口の創出と拡大を図ることは、地域における多様な課題の解決やにぎわいの創出に資するとともに、将来的な地方移住者の増加にもつながることが期待されることから、地方創生の更なる推進を図るため重要な意義を有するものと考えております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 関係人口をふやすための課題というのはどういうものがあるでしょうか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 関係人口を創出、拡大させるためには、まず、地域に対する関心を持ってもらい、地域の魅力を知ってもらうことが最重要の課題であり、その地域ならではの資源をうまく活用し、都市住民等が現地を訪れたくなるような魅力的な機会を提供することが重要と考えております。

 これまで、森林につきましては、都市住民のレクリエーションの場としての活用や森林環境教育の場としての活用など、各地において多様な形で活用されるようになっておりますとともに、植林や間伐等を行うボランティア団体もふえており、これらの地域では、地域資源としての森林が関係人口の創出や拡大に貢献していると考えられると認識しております。

 今後とも、地方創生関係交付金等によりまして、こうした地域資源を最大限に活用した地方公共団体の自主的、主体的で先導的な取組を支援してまいりたいと考えております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 これは、まさに重要なキーワードが、僕が質問書で出したことをふんだんに言っていただいちゃって、ありがとうございます。

 関心を呼ぶ、そして、そこにしかない魅力があって、そこならではのもので人を呼ぼうということだと思いますけれども、これは具体的に、そういうので呼び込みに成功した例とかがもしあれば、教えてもらえますか。

川合政府参考人 国有林につきましては、国土面積の約二割という広大な面積を占め、全国各地に所在しておりますとともに、既に自然教育やレクリエーション等に広く活用されており、さらには、白神山地や知床のように、世界自然遺産地域を始め、都市住民等にとって魅力的な地域が多く存在することから、関係人口の創出、拡大に大きく寄与しているものと考えられるところでございます。

 このような国有林の特性を踏まえまして、民間等との連携により地域資源としての国有林の有効活用が更に進めば、関係人口の創出や拡大についても大きく貢献するポテンシャルを有しているのではないかと考えているところでございます。

関(健)委員 ありがとうございました。

 川合さんにおかれましては、もうこれで質問を終わりますので、ありがとうございました。

 今の関連で再び農水省に質問させていただきますけれども、やはり国有林が地域の活性化とかにとても大きな役割を果たしているということが今の御答弁で明らかになったと思います。

 それで、農水省に聞きます。

 生産の場だけでなく、公共性というものも求められる大切な役割ではないかと考えますが、農水省としての認識を教えてください。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 国有林野事業におきましては、国有林野の管理経営に関する基本計画に基づきまして、公益重視の管理経営の一層の推進、林業の成長産業化への貢献、国民の森林(もり)としての管理経営といったような取組を推進しているところでございますが、こうした中で、特に、国民の保健、文化、教育的利用に積極的に供することが適当と認められる国有林、これをレクリエーションの森に選定をいたしまして、積極的に活用しているところでございます。

 このようなレクリエーションの森を広く国民に利用いただくことによりまして、都市と山村の交流でありますとか、あるいは新たな観光資源を活用した雇用の創出といった、山村地域の振興にも貢献できるのではないかと考えているところでございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 国有林が持つ公共性、これはやはり、森に親しむ、これもとても大きな役割だと思います。

 これはちょっと、通告していないですけれども、質問しますね。

 フォレストアドベンチャーというのが最近はやっているんですけれども、長官、御存じですか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 私も幾つかの地域で、そういうフォレストアドベンチャーということで、まさに森を活用して子供たちを遊ばせるような施設が大変活況を呈しているということは承知をしているところでございます。

関(健)委員 通告がないのにありがとうございました。

 私は、連休中に娘とフォレストアドベンチャー・新城というところに行ってまいりまして……(発言する者あり)今枝先生の地元ですけれども。ふだんは余り人がわんさかいる場所ではないんですけれども、そのフォレストアドベンチャーというのにいろいろなところの、県外のナンバーが集まって、私もキャンセル待ちで娘と入りましたけれども、それぐらいの活況を呈しているんです。

 どういうものかといいますと、二十年ぐらい前にフランスで始まったんですけれども、そもそも企業の研修で使っていたもので、木の間に鎖、ロープを引いて、自分で登山みたいなこういうのを、安全なやつを、命綱をかけて登山をしたり、五十メートルぐらいの木と木の間をターザンみたいにしゃあっと行ったりして、自分たちで、自分の責任で森の中を冒険するというやつなんです。

 実は、二十代とか三十代の女性がめちゃくちゃいて、普通、森林というのはおじいさん、おばあさんが森林浴に歩いているぐらいのイメージだったんですけれども、とにかくとても混んでいて、何か森がこんなにいろいろな人でごった返しているというのが私もすごく楽しかったんですけれども、これが今SNSを始めとして物すごく拡大をしていて、全国三十二カ所で今行われているそうです。

 それで、これは地域の発展にも、地域活性化にも貢献していて、山梨県の小菅村というところでは、大体、一日に人口の半分ぐらいのお客さんが来て、そこで御飯を食べたり宿泊をしたりして地元にお金を落としていってくれるというような現象が起きているわけです。そして、いろいろな自治体から、うちにもフォレストアドベンチャーをつくってくれないかというのが、この企業に問合せが来ているそうです。

 これをなぜこの場でこんなに押しているかというと、ひとまず森林に、いきなり林業に入ろうという人はこれはハードルが高過ぎると思うんですね。もちろん、こうやってやっていくことは大事なのは言うまでもないことですけれども、ただ、その一歩前として、森林にいろいろな人が入ってくる、そしていろいろな人が森林を介してビジネスを成立させる、これは地域活性化、若しくは国有林のそもそも持つ意義からも大きな意味があると思います。

 この会社のコンセプトが、大人が子供に、子供が大人になるいい機会みたいな、そんな感じなんですけれども、子供は、自分たちで、自分の安全は自分で守ってスリルある遊びを楽しむ、大人は、いつものコンクリートの中の仕事で憂鬱な中、土日は森林の中でストレスを発散する、そんな瞬間を提供するというのがこのフォレストアドベンチャーのあれなんです。

 ちょっと魅力を説明したところで、長官にお尋ねします。

 国有林の活用のされ方として、このフォレストアドベンチャーのような活用のされ方をどう認識されておりますでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 今、フォレストアドベンチャーについていろいろ御紹介いただいたところでございますが、国有林でやっておりますレクリエーションの森の一部では、森林内に必要な施設を整備しつつ、今委員から御指摘いただいたような、例えばフィールドアスレチック等に活用している事例もあるところでございます。

 このようなレクリエーションの森を広く国民に利用していただきますことによりまして、都市と山村の交流とか、あるいは新たな観光資源を活用いたしました雇用の創出といった、山村地域の振興にも貢献できるのではないかということでございます。

 したがいまして、このようなレクリエーションの森のような国有林野の活用方法につきましては、利用者のニーズも踏まえまして、魅力あるフィールドとして活用されるように、地域の皆様方と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

関(健)委員 きのう参考人でお越しになられた土屋先生もレクリエーションのところが専門の方でおられますので、このフォレストアドベンチャーの話も聞いたんですけれども、岐阜県なんかでは更に話が進んでいて、フォレストアドベンチャーというのは人工林でやる形態なんだそうですが、そこで、その間にアトラクションをつくるために切った木を販売する、そこには地元の林業の人たちとタイアップをしてやっていくとか。実はあれは小学校四年生か身長百四十センチ以上しかやれないんです。でも、これを、じゃ、子供向けに広げておこうとかですね。

 この話をしていて思ったのは、例えばサバイバルゲームというのが今静かなブームを呼んでいるわけですけれども、こんなスコープをかけて、みんなで森の中で撃ち合うわけですけれども、あんなのも、町中ではできないですし、ああいうのをやりたいなという人たちの潜在需要はたくさんあって、森林のいろいろな使われ方、まずは森林に多くの人に足を踏み入れてもらうということは国有林が果たすべき大きな役割なんじゃないかなということを確信したゴールデンウイークでした。

 それで、質問いたします。

 意欲と能力のある林業経営者、これは国有林に限ってのことかもしれませんけれども、公共性なりいろいろなもの、そして、森、林を活性化させ、その地域を活性化させるという視点からいえば、意欲と能力のある林業経営者というのは、例えばこのフォレストアドベンチャーみたいな経営者というのも意欲と能力のある林業経営者の中には入れないんでしょうか。入れてもいいんじゃないかなと思ったんですが、御所感を伺います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 フォレストアドベンチャーなどを行う民間事業者の皆様方におかれましては、こういう山村地域を元気にするという意味では大変重要な役割を果たしていらっしゃるのではないかというふうに思うところでございますが、ただ、少なくとも、現状におきましては、こういったフォレストアドベンチャーなどを行う民間事業者の方々は、そもそも林業経営を事業目的にはされていらっしゃらないということ、また、民有林において森林経営管理法に基づく経営管理実施権の設定を受けるということも、これも残念ながら想定をされないということでございますので、意欲と能力のある林業経営者には該当しないのではないかと考えているところでございます。

関(健)委員 該当しないということはわかりました。

 ですので、どんな形であれ、森林に多くの人の目が向くということが、林業経営者を急にふやすといったって多分無理ですから、まずは第一歩として、多くの人に森林に足を踏み入れてもらう、関心を持ってもらう、そこがまず第一歩なんだと思います。そのための取組を引き続き進めていただきたいと思います。

 最後に、大臣にお尋ねします。

 今の関連なんですけれども、森林と国民の日常との、森の距離が離れているというのはきのうの参考人の皆さんの共通の問題意識でした。

 国有林がその距離を縮めるために果たす役割というのを大臣に伺いたいと思います。

吉川国務大臣 国民共通の財産であります国有林野の管理経営に当たりましては、国有林野を国民の森林(もり)として位置づけ、林業の成長産業化への貢献等の課題を踏まえつつ、国民に開かれた管理経営を推進することとしております。

 こうした考えのもと、国民の保健、文化、教育的利用に積極的に供することが適当な国有林をレクリエーションの森に設定をいたしまして、登山ですとかスキー、フィールドアスレチック等の場として国民に利用いただいておりますほか、NPO等による森林づくり活動等へのフィールドの提供等にも取り組んでいるところでもございます。

 今後も、引き続き、このような取組を積極的に推進をいたしまして、国民に開かれた管理経営に努めてまいりたいと存じます。そういったことを積極的に推進をしていくことが、また国民との距離を縮めていくのではないかとも思いますので、また関委員の御支援も頂戴いたしたいなと思います。

関(健)委員 ありがとうございました。

 委員長、最後に提案をさせていただきたいんですけれども、実は、今の質疑の中でフォレストアドベンチャーの話をさせていただいたんですが、これは僕の説明が下手なのもあるんですが、皆さんに動画で仮に見ていただいたらこれは一目瞭然だったわけです。

 それで、今後の委員会の、より共通の理解を高めたり議論の質を深めるために、各委員にタブレットを配付するなど、若しくは席ごとにタブレットとかを支給していただくとか、より議論を深めるための各委員へのタブレットの配付などを検討していただけないかということをお願いを申し上げて、質問を終わります。

武藤委員長 ありがとうございます。理事会にて協議いたします。

関(健)委員 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、午後の法案審議、大変お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 きのう参考人質疑で野口参考人も触れていらっしゃいましたけれども、国有林野事業が今残している課題として、これは大きなものです、緑のオーナー制度についてまず触れたいというふうに思っております。

 杉やヒノキなど国有林を対象にして行った分収造林の制度ですけれども、一口五十万円の出資を募って、出資した森が育って、生育された木が売却された場合の収益の一部の分配をそのオーナーが受けられるという制度ですけれども、これが、私がちょうど一九八五年生まれなんですが、その前に、一九八四年にこの制度が始まりました。新規の募集を停止した一九九九年までに、実にこれは八万六千の個人や団体がトータル五百億円を出資している制度でございます。

 これは制度が始まって三十五年になりますけれども、まず伺いますが、満期を迎えたオーナーはこれまでに何件あるでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 緑のオーナー制度でございますけれども、国民参加の森づくりを促すことを目的といたしまして、昭和五十九年度から導入いたしまして、今御指摘ございましたように、平成十年度に募集を終了するまで、四千六百カ所、契約者数は八万六千人となっているところでございます。

 このうち、平成三十年度末までに満期を迎える契約箇所数でございますけれども、契約箇所数で約二千六百カ所、契約者数では約五万人となっているところでございます。

緑川委員 御答弁ありがとうございます。

 出資したオーナーですけれども、まず、これは、競売にかけられて、その収益の一部を分配する仕組み、これまでに六割が、今御答弁で、満期を迎えられたと。五万人余り、五万の個人や団体ということです。

 ここで、資料の一枚目、1をごらんいただきたいと思います。

 これは、私、地元が秋田ですけれども、それを含む東北森林管理局管轄内の一部のデータでございます。緑のオーナー制度に基づいて、国有林の人工林の多い東北森林管理局の管内で満期を迎えた木の販売結果の一部を記載しておりますが、右の方、販売結果の欄の中の、さらに、不落という文字が並んでいるかというふうに思います。結局、不落というのは、落札ができなかった、つまり、これは入札で売却できなかったという意味でございます。

 また、一番右の欄、皆様、分収額という欄があると思いますが、五十万円を出資してから、二十年、三十年待ってきたわけです、一体幾らになるのかというふうに期待をしていたら、ほとんど全てが、皆さん、これは五十万円以下なんです。つまり、これは元本割れですね。しかも、元本を回収できないと覚悟して、安くてもいい、時価で売り出してもいいからというので売っても、落札されるのはごく一部。だから不落なんですね。

 平成三十年度で、全国全ての森林管理局を合わせますと、入札が行われて、そのうち、四百四十八カ所のうちの不落というのが二百七十八カ所であります。ちなみに、その前の年度は、四百八十五カ所の入札のうち不落が三百二十一カ所です。こういうトレンドなんですね。

 この不落には、昨年以前に、毎年毎年売りに出している、売れ残っている物件が含まれております。その都度売りに出しても売れない森を含めて、毎年このように競争入札が行われても、先ほどお答えいただいた六割、五万人あるいは団体がオーナーになった極めて多くの山林で、予定価格を超える入札がない。これは買い手がつかなかったということです。

 どうにも売れないということで、満期を迎えたオーナーは、御本人が希望すれば、そのオーナーの持分については林野庁が決めた金額で買い取るというふうにしていると聞いておりますが、これまでに国が買い取ったのは何件になりますでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでに国が買い取った契約者数は、平成三十年度末見込みで約一万人となっているところでございます。

緑川委員 満期を終えた五万の個人そして団体のうちの一万の個人や団体が国に買い取ってもらっているんですね。二〇%です、二割です。出資した五十万円を回収することはもちろんできないんですけれども、それ以下の時価の額で、それ以下ですよ、国に買い取ってもらう。元本割れというのは変わりませんけれども、満期を迎えた五万の個人や団体、一万の持分を国が買い受けたというのは、これはやはり相当な数であるというふうに言わざるを得ません。

 一方、満期になっていない残りの四割、三万を超える個人や団体についてはこれからの入札を控えているわけですが、この問題はむしろより本格化していくんじゃないかという懸念がございます。持分を国が買い取っていく場合も、これは一万じゃきかないと思いますね、更にふえてくると思います。

 ここで、樹木採取区と関連をしてくるんですけれども、落札されずに、そもそも売れ残った木、山林、これを国が買い取る形になって、オーナー関係、権利関係がリセットされた、そういう状態の森林を、国有林の通常の扱いになりました、これが今回の樹木採取区に含まれるということはあり得るんでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度のこの樹木採取区につきましては、杉とかヒノキとかカラマツ、トドマツなど、一般に流通している樹種の生産可能な人工林を対象に指定をするということを想定をしているところでございます。

 それに対しまして、今委員から御指摘ございました、落札されずに国が買い取る形になった分収育林でございますけれども、こういった森林につきましては、一般的には非常に採算性の悪い森林であるということが想定をされるわけでございます。

 したがいまして、確かに一度権利関係がリセットして一般の国有林の扱いにはなっているところでございますけれども、今回の制度における樹木採取区の指定にはなじまないものということで考えているところでございます。

緑川委員 当時の広告というか、夢とロマンですか、オーナーになりませんかといったような、そうした制度の中で、採算性の悪いものを、じゃ、国民が買っていたかということになると思います。

 きのうの質疑でも、参考人がおっしゃるのは、やはり、権利設定、樹木採取区の設定区域をどこにするかが極めて重要であるというお話がございます。

 これはまた聞きますけれども、入札で買い手のつかないものが、国が結局買い取った形のもの、これは、確かにオーナーの一カ所当たりの区域は限られてきますけれども、例えば、入札された、一カ所に対して複数の権利が、オーナー、あるわけですが、この一カ所を丸ごと国が買い取れた場合には、やはりこれは樹木採取区というのは設定されるおそれはあります。その場合は採算がとれないということで間違いないですね、今の御答弁では。

牧元政府参考人 ただいま御指摘がありましたように、一回権利関係がリセットされまして、言ってみれば一般の国有林になっているわけでございますので、樹木採取区の指定について、対象区域からもちろん除外されるというわけではなくて、それも含めて樹木採取区の設定というものは検討されるわけではございますけれども、しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたように、落札されずに国が買い取る形になった分収育林につきましては、採算性の悪い森林であるということが想定をされますので、今回の樹木採取区、杉、ヒノキ、こういった一般的な流通している樹種で生産可能な人工林ということでございますので、そういうところからすると、なかなかこの樹木採取区の指定にはなじまないような森林ではないかということで考えているところでございます。

緑川委員 この元本割れ、もう九割ではきかない、九割五分以上のオーナーが元本割れを起こしているということでございます。

 これをめぐっては、国を相手取ってまだ裁判が続いているところが多数ありますね。国民が採算性のとれないものに投資をしたわけです。買った、損をかぶりながら、結局は落札されなかった。それで、国が買い取った森林をどうされていくのか。採取区に指定することはないにしても、国民が損をかぶった形の森林をどうしていくかは、これは国民が冷静に見ていると思いますよ。

 木材価格が低迷をしています。国有林野事業は、そういった中で、こういうはずではなかった、採算性がとれるはずだったという中でこの事業も制度も進められたというふうに理解をしておりますけれども、いずれにしても、赤字が膨らんでいった国有林野事業の中で、結局、この緑のオーナー制度というのは、国民から資金を得て、赤字を減らす手段にはなりました、国としては。ただ、木材を売って利益を上げようという経済性の面では、これは見通しが非常に甘かったというふうに言わざるを得ない。そのツケを払わされているのが今の国民です。

 企業でいう独立採算制のような特別会計が廃止をされて、二〇一三年度からは一般会計化しました。その意味というのは、やはりこれは改めて考えていただきたいんですけれども、経済性の重視というよりは、一般会計化したということは、環境保全、公益性をより重視すべき管理経営に転換をしたということです。経営の前に管理が来ているのはそういうことだと思います。

 その上で、今回、再び経済性重視の観点を管理経営のこの法案に持ち出すというのは、やはり私は、順序がちょっと違っているのかなというふうに思います。木材生産性の高いところ、つまり、木をとりやすいところばかりに焦点を当てている。

 そもそも、国有林における公益的機能がこれまでに十分に発揮されてこないというところは、これは奥山の野生動物への影響、また、戦後、拡大造林、これをしてきたけれども、その結果ふえ続けている、手入れがなされない人工林、それが、手入れがされないだけじゃなくて、長年にわたって放置をされてきた、これが土砂災害を誘発しやすいものになっている。

 ですから、先週、質疑では、天然林の整備含め、広葉樹の、混交林化ということを私は強く申し上げたわけです。ですけれども、なかなか具体的な取組、改善策というのは、牧元長官の方からお話をいただくことはできませんでした。

 ここで、資料にはつけていないんですけれども、この写真、これは兵庫県の宍粟市というところの国有林の山です。昨年の七月に、西日本豪雨の災害で山が崩れて、ヒノキや杉ですね、人工林が根こそぎ流出をしたという災害であります。こういったものが起きている。やはり、根を深く張らない針葉樹が災害になっているんですね。

 そして、おととしの七月の北部豪雨、九州で起きました。火山灰の地質から成るもろい地盤、この上に造林された、拡大造林をしてきた人工林が集中豪雨によってやはり根こそぎ流されて、川が土砂と流木で埋まる、多くの家屋が被災をする、そうした過去最悪と言われる流木災害になりました。

 やはり、深く根を張らない針葉樹が植林をされてきた。当初は、そもそもの針葉樹の植林というのは木材生産性を見込んで植林をされてきたという方向性が、今は変わってきてしまった。適切な手入れがなされないことで災害の危険性が高まっている。

 皆さん、東北地方の、特に資料の四枚目の6、ちょっと資料が飛ぶんですけれども、ごらんをいただきたいと思います。山林の保全、再生に向けて取り組んでいる日本熊森協会というところが作成した6の資料なんですが、国有林のうち人工林が多いのはやはり東北なんです。特に秋田県に集中をしている。天然林でなくて、特に、黄色い部分、人工林が非常に多く分布をしていることになります。これを見て注目しなければならないのが、山の中腹から高所部にかけて人工林が立っていることです。

 この秋田県では、二〇一三年の八月に、集中豪雨による大規模な土砂災害が起きました。六人が亡くなっています。斜面から崩れた土砂が根っこの浅い杉人工林を巻き込みながら土石流化して、広範の斜面に流出をしました。

 こういう中で、長官がおっしゃるように、ゾーニング、急斜面、急傾斜地やまず採算が見込めない区域が樹木採取区に指定されないということはあっても、この人工林の造成、そもそもの目的がやはり木材生産だったわけですから。適さない場所への造林、あるいは路網などの生産基盤が整備されていないがために、効率的な木材生産が困難な人工林は多いです。いずれにしても、生産をしないにしても、手入れがなされていないところが余りにも多い。

 自然災害を未然に防ぐというのは難しいところなんですが、大きな災害を誘発しない森づくりは人の手でできます。その中で、この活用されない人工林ばかりの山を、まず自然の山に戻していく。天然林の整備、あるいは広葉樹を含めた混交林化については、秋田県内でも五つの市町村で要望されています。木材生産機能とあわせて、公益機能を一層強化を図っていかなければならない今局面であると思います。本来の自然に戻していく必要性がより強まっているというふうに思いますけれども、長官の御認識を伺います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十八年に作成をされました現在の森林・林業基本計画、この計画におきましても、それぞれの森林に期待される機能や自然条件に応じまして、広葉樹の導入等による針広混交林化などによりまして、多様で健全な森林へ誘導するということをしているところでございます。

 国有林におきましても、自然条件、社会的条件に応じまして、針葉樹の育成単層林について、天然更新あるいは広葉樹の植栽によりまして針広混交林化を推進をしているところでございます。この五年間で約五万五千ヘクタールが広葉樹林及び針広混交林、増加しているということでございます。

 このような取組によりまして、多様で健全な森づくりというものを私どもは推進していきたいと考えております。

緑川委員 大臣からも、資料をつけて、今、人工林の分布、特に秋田で集中しているというお話をさせていただきました、御所感だけでも伺えればというふうに思います。

吉川国務大臣 緑川議員の御指摘を今ずっと聞いておりまして、非常に深刻な状況だとも伺わせていただきました。

 これから自然に戻すというような御指摘もいただきましたけれども、どのようなことがこれからできるのか、いろいろとまた検討もしていかなければな、そういう思いを持たせていただきました。

緑川委員 御答弁ありがとうございます。

 まず、やはりスピード感を持って、五万五千ヘクタールというお答えがございましたけれども、進捗状況をその都度議論させていただき、そして、今も国有林、人工林が放置されてきている、戦後に拡大してきた造林がやはり荒れているんですね。公益機能が発揮されないどころか、むしろ、適切に管理されていない森林が災害を招く、災害を誘発している、そういう点では、人災と言うしかないという部分があります。

 この公益的機能というより、もう一つ、社会的、経済的に大きな影響を与えている国民的な問題が杉花粉症であります。日本人の三割が花粉症患者というふうに言われておりますけれども、国を挙げて対応すべき課題ですが、政府は平成八年から、花粉を出さない無花粉杉、あるいは花粉をほとんど出さない少花粉杉、こういったものを、新しい品種の杉の開発を支援をしながら植えかえを進めているというふうに伺っていますが、全国の杉の人工林で昨年までに植えかえられてきた面積は〇・三%、全体のうちの本当にごくごくわずかな面積しか植えかえられていないんですね。

 国産材を使うことが花粉症対策になりますというふうに林野庁はうたっていらっしゃいますが、国有林の中長期的な活用、本法案でよりこれを加速をしていくという方向であれば、飛散をする花粉の量の増加を抑えるためには、植えかえを含めた花粉の発生源対策を一層加速させていかなければならないというふうに思っておりますが、これらに切りかえるとなった場合のコストは一体どのぐらい違うのか。つまり、何でここまで植えかえが進んでいかないかということの理由も伺いたいと思うんですが、今回のこの採取区の伐採後を含めた再造林の際にも、確実に次の植えかえのときにはこういった無花粉杉とか少花粉杉への植えかえがやはり進められていくことが重要であるというふうに考えますが、いかがでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 花粉症対策についてでございますけれども、農林水産省では、今委員から御指摘ございましたように、花粉を大量に飛散させる杉、ヒノキの人工林の伐採、利用と植えかえの促進、そして、植えかえるときには花粉の少ない苗木を極力使おうということで、花粉の少ない苗木の生産拡大、また、杉花粉の飛散抑制技術の開発などを進めているところでございます。

 委員から御指摘がございました、花粉の少ない苗木を用いた造林とか、あるいは苗木生産に係るコストについてでございますけれども、これは、花粉の少ない苗木であっても従来の苗木であっても、コストについては特に差がないというふうに考えております。

 では、なぜ進まないのかということでございますが、ここにつきましては、まだやはり残念ながら植えかえが余り進んでいないというところからして、余りまだ進んでいないということでございまして、コストの面がネックになっているというような認識はないところでございます。

 なお、今回の国有林の樹木採取区の再造林の際には、花粉の少ない苗木をできるだけ活用いたしまして、花粉の少ない森林への転換を図っていく考えでございます。

緑川委員 コストが変わらないというところでは、むしろ、だったら、〇・三%ではなくて、そもそもの面積、従来からできた取組があったんじゃないかというところはあるというふうに思います。

 いずれにしても、今の食生活の変化であったり、また大気汚染、さらには喫煙といった生活習慣が花粉症患者の増加にもつながっているというふうに言われておりますが、やはり根本は森林です。国有林、民有林ともに、花粉の発生源対策を一層進めていただきたいというふうに思います。

 木材生産の話にまた戻りますけれども、緑のオーナー制度で育てられた森、結局、国が買い取るものが大半です。樹木採取区に今後含まれる可能性など、採算性については先ほどお尋ねをいたしました。

 この採算ということにまた重ねてお尋ねをしたいと思うんですが、ここで資料二枚目の2をごらんいただきたいと思います。

 これは、一齢級、つまり山が育って木が五歳になる、あるいは二齢級、十年未満、植栽から十年の間に、保育などの間にかかる費用が九割を占めているという図でございます。再造林の初期段階で、つまり一番経費がかかるわけです。

 国有財産ということを踏まえて、再造林にかかる経費のまず詳細について、植栽をするときの費用、これは、国が請け負うのか、あるいは請け負わせるのか、どちらが負担するんでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の制度改正に絡む御質問というふうに御理解いたしました。

 樹木採取権につきましては、国有財産でございます樹木を伐採して取得できる権利でございます。したがいまして、採取後の植栽とか保育とか、ここにつきましては、国有財産として、国が責任を持って管理運営することとしております。

 したがいまして、この植栽や保育に要する費用につきましては、国が負担をすることとしているところでございます。

緑川委員 費用は国負担でありましても、造林の過程、この手間ですね、非常にこれは長年にわたる、根気の要る取組であります。蒸し暑いこれから、夏、下草刈り、また、つる草を除いたりという中で間伐を行ったりと、人の手による地道な作業を伴うわけです。

 樹木採取権実施契約に基づく造林を確実なものとするというのが政府の方針ですけれども、これは土屋参考人、林政審議会の施策部会長、きのうお越しいただきましたが、こういうふうに、やはり、造林の申入れにどの程度の、契約の、遵守する力があるのか。結局、伐採できる権利が前に立った法案であるので、やはり、木をとる意欲と能力だけではなくて、植える意欲と能力があるかが、この契約段階で確かな目を持って国が審査することができるかという視点が大変重要であるというふうに思います。

 加えて、先週の質疑で、牧元長官、違反の兆候を察知できるように、森林官が日常的に回っているというふうにもお答えをされましたが、きょう金子委員の御指摘もありましたけれども、やはり、国有林の広大な範囲をどうカバーするかということは結局現場任せになっている、こういう状況です。そういう中で、結局、任せた国の責任が非常に問われることになるというふうに思います。

 コストがかかる再造林の一方、コストがこれだけかかったのに、育った木の樹木料が市場価格よりも高額で、一番値をつけた業者が権利を得られるという仕組み。今回の仕組み、今まで緑のオーナー制度で落札されずに国が買い取った採取区が含まれる場合、これはないというふうに否定されましたけれども、この仕組みにおいても、なかなか採算がとりにくい。ということは、関議員、きょうお話もありましたが、企業にとってなかなか魅力が持てない、こういう側面もあるかというふうに思います。

 そのうまみがないというマイナス面を補うかのようにして、五十年という長期の樹木採取権を設定することも明記することで、大ロットで、安定的で、長期的な樹木採取権を設定した。そういう素材生産を可能にするような内容にして、合理的で効率的な経営を強みとする、こういう体力のある企業にしかなかなか請け負えない、そういう資本が大きな企業にしかうまみの持てない仕組みになっているんじゃないかと。

 生産性を高めるために、路網の整備だったり、大型機械の導入、こういったものは資本がないとできない、資本の大きさをあくまで前提とした仕組みであるというふうに考えています。生産性を支えるための高額な設備投資というハードルを越えられない中小の素材生産者、事業者、また自伐林家にとっては、採算をとれるようにしていくというのはなお難しいというふうに思います。ということは、つまり、参入ができない。結局、この契約を結ぶことができる相手方というのは限られてくるんじゃないかというのが私の考えです。

 中小の事業者もステップアップで生産性を高めていける仕組みにしなきゃいけない。林野庁もこれがそのステップアップの場所だと言うんですけれども、この場所でさえハードルが厳しい。

 立木の価格が、一九八〇年をピークにして、今は一割から二割程度に落ち込んでいるのが杉の立木です。その価格の低迷から脱却を図る方向で政策を進めていくことがやはり筋であるというふうに私は考えているんですけれども、川上から川下との連携で流通コストを抑制する、利益率を上げる、そういうことはわかるんですが、そういうメリットがあるはずの川上から川中、川下の直送方式が、そもそも市場を介さない直接流通による木材供給の体制が、皮肉にも立木資産の価値を下げる方向に作用してしまっている。

 二枚目の資料をごらんいただきますと、原木と用途の図をきょうも載せておりますが、材質は、品質のいいA材であっても、B材やC材であっても、画一化されてしまう。合板、集成材の工場であれば、原木の中にA材が入っていても、あるいは全て集成材用のB材として取引されてしまう。木質バイオマス発電用にはC材として取引されるというのがやはり実情です。相当量のA材がB材やC材として取引されている。

 住宅の木造化を図る政策誘導を行って、需要拡大も図っているところでありますけれども、現状で旺盛な需要先というのは、この仕組みにおいては合板だったり集成材、木質チップ。こういう、材質が一律に扱われてしまうということを残したままでは、木材価格の低迷という問題は本質的には解決されません。素材生産者の育成を本気で考えているのであれば、A材の需要を高めることを含めて、A材の価値をいかに掘り起こしていく、需要を掘り起こしていく、その価値を見出していくことが重要であるというふうに考えておりますが、御認識、そして今後の取組、いかがでしょうか。

吉川国務大臣 林業の採算性を向上させ、森林所有者の林業経営意欲を喚起するためには、付加価値の高い無垢材として利用される、緑川委員が御指摘をされましたA材の加工、生産を拡大させることが重要であると認識もいたしております。

 このため、これまで、農林水産省におきましては、商業施設等におけるA材利用への支援、さらには、A材の利用価値を消費者に評価してもらうための住宅展示の開催など、A材の利用拡大に向けた取組も支援をしてきたところでございます。

 今後とも、林業の成長産業化に向けまして、付加価値の高い無垢材として利用されるこのA材の加工、生産の拡大に努めてまいりたいと思っております。

緑川委員 消費者に対する、木材というと、どれが良質でとか、どれが低廉でとか、そういう視点を持って買うということがなかなかできていないところがあると思います。そういう中で、やはりこのA材というのも価値がなかなか見出されにくい状況であったというふうに思います。

 近年、国産材の利用割合というのは確かに高まっているところですが、これが、例えば、住宅の建材として販売を、国産材を使ってほしいということを考えた場合に、やはり業者から言われるのは、購入される側が言われるのは、外国産材に比べて価格が高い、そして必要なときに必要な量が確保できない、こういった業者の発注の課題もあるということです。

 政府は、木材加工あるいは設計、施工といった事業をグループ化して取り組んでいく、良質な木材住宅の供給に対する支援を行うというふうに言っておりますが、これは資料三枚目の4、住宅着工統計、国土交通省ですが、平成二十九年度の木造率はやや上向いているところもありますが、今後の見通しはやはり不透明です。

 消費増税に対する景気対策として、新築の購入に対する支援が確かにこの数年手厚くなる面はあります。しかし、そもそも、人口減少の時代にこうしたてこ入れがずっと続くというのはなかなか考えにくいところです。

 今後、具体的にどのように国産材の木材供給を図っていくことに取り組んでいくのか、伺います。

小林政府参考人 お答えします。

 我が国の森林資源が本格的な利用期を迎える中、住宅に国産材を活用することによる木材需要の拡大は、林業の成長産業化や地域の活性化といった観点からも重要な課題であると認識をしております。

 一方、先ほど委員からお話がございましたように、外国産材と比べて国産材につきましては価格が高い、必要なときに必要な量が確保できないといったような課題があるとのアンケート結果があることも事実でございます。また、住宅着工統計によりますと、新築住宅、これはマンションなども含めた新築住宅でございますけれども、その総戸数に占める木造住宅の割合というのは、近年、六割弱で推移をしているところでございます。

 こうした状況を踏まえ、川上、川中におけるコスト低減の取組とあわせて、川下における良質な木造住宅の供給を促すことが重要であると考えております。

 このため、先ほどお話がございましたように、木材供給から加工、設計、施工などの川上から川下までの関係事業者がグループを形成して取り組む長期優良住宅などの良質な木造住宅の供給に対して支援を行う地域型住宅グリーン化事業を平成二十七年度から実施をしているところでございます。本年度は昨年度に比べて予算を増額して対応してまいりたいと考えております。

 また、本年十月一日に予定されております消費税率引上げに伴う税制、予算措置による総合的な対策には、木造住宅も当然対象になっているところでございます。

 引き続き、こうした取組を進め、農林水産省とも連携をしつつ、国産材を使用した良質な木造住宅の供給を促進してまいります。

緑川委員 この流通の課題、必要なときに必要な量が確保できない、これが外材になってしまうというのは、住宅の供給の場所がやはり限られてしまっているところが一つあるというふうに思います。地域で必要な木材がその都度供給されない。それは都心だからです。

 ごらんいただきたいんですけれども、これは資料の5です。

 日本の住宅供給に占める大手ハウスメーカー八社の国内シェアはそもそも二割程度で、極めて少ないんですね、大手は。それ以外で何が大きいかといえば、一定のシェアを持つのが、特定の地域を中心に建築棟数を伸ばしているのが、いわゆるパワービルダーと呼ばれている建て売り住宅業者です。

 これを見ますと、囲っているのが東京、千葉、神奈川など都心ですね。このパワービルダーによって住宅の多くが供給をされている。ほかの道府県よりも新築の戸数の平均値が高いんです。埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、こういう三大都市圏、三都府県とそのほかの道府県というふうに比べますと、近年は新築着工戸数が、その半分が七都府県だけで占めている、この三大都市圏だけで新築の着工戸数が半分を占めている、こういう数字になります。

 こういうところにA材を効率的に活用してもらうことは重要であると同時に、国有林、民有林どちらについても言えるんですが、地元の良質な木材を地元の建築で消費できるように、パワービルダーが供給できる三大都市圏、それ以外の地域で木造建築の住宅供給を高めていくことが重要であると思いますが、改めて、いかがでしょうか。

小林政府参考人 お答えします。

 木造住宅の供給の促進に当たっては、都心部だけではなく、地方部においても、地域の木材を活用した良質な木造住宅が安定的に供給される環境を整備することが重要であるということは認識をしております。

 先ほどお答えいたしました地域型住宅グリーン化事業については、昨年度において関係事業者による約八百のグループを支援をしているところでございますが、そのうち約六割が三大都市圏以外の地方部において良質な木造住宅の供給に取り組んでいただいているところでございます。

 また、木造住宅を安定的に供給するためには、地域における木造住宅の施工を担う大工技能者の育成も重要であると認識をしております。民間事業者の団体が各地域で行う大工技能者育成のための研修に要する経費に対して国土交通省から補助を行うことにより、こうした活動を支援をしているところでございます。

 今後とも、農林水産省を始めとする関係省庁と連携をし、これらの施策を積極的に推進することによって、地方部も含めた各地域における、国産材を使用した良質な木造住宅の供給を促進してまいります。

緑川委員 やはり、地元の材をぜひ有効活用、木材生産の機能を高めていくというのであれば、流通についても、地元で地産地消できる、そういった意識で取り組んでいただきたいというふうに思います。

 もう時間が来てしまいましたけれども、終わりにいたしますが、森林資源の質と量、これはやはり、日本でそもそも保有している原木が五十五年という平均の林齢を超えてきている、そういう中では、まだまだ残すべき財産というものについても考える必要があるというふうに思います。日本の立ち位置、また森林資源の特徴を明確にしていく必要があるというふうに思います。どうしてここまで木材産業、林業が衰退をしてきたのか、その手法の何が悪かったのか、間違っていたかをしっかりこの節目節目で分析をして、ここまで育ってきた森林を最大限活用できる手法は何かを導き出さなければならないというふうに思います。

 これまでの森林経営管理法の延長のような線だからという理由で、なし崩し的に進めるというようなことがあってはならないということを求めて、質問を終わります。

武藤委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 国有林野管理経営法について、また、きょうは盗伐問題についても質問をします。

 最初に、吉川大臣にお伺いします。

 大臣、この委員会で栃木県に現地調査に行ったときに、ある森林組合の代表の方が、私見として、日本の森林、切り過ぎているというふうにおっしゃいました。私もこの言葉が気になっていて、きのうの参考人質疑でも、参考人の方に、日本の木の切り過ぎ問題についてどうお考えになっているかと問いかけしましたら、成長量の倍近くを十数年にわたって切り続けてきた歴史があるとおっしゃられた参考人、また、バイオマスは森林の経営の専門家でない方々が携わっている、かなり懸念材料がある等々の意見がございました。

 森林行政をこれから考える上で、極めて重要な問題であると思います。

 日本の林業、林政において、木を切り過ぎている、この切り過ぎているという指摘に対して、大臣はどのように受けとめておられるでしょうか。

吉川国務大臣 木質バイオマスのエネルギー利用につきまして、林業の副産物を利用することを基本としていることから、未利用間伐材等の利用を推進をしているところでございまして、このため、バイオマス発電の原料価格は一般の原木価格に比べまして安い価格となっているところでもございます。

 今回の国有林野の管理経営法改正におきましては、一般の原木の市場価格より高い価格の樹木料を負担できる者だけが樹木採取権を取得することができる仕組みとしておりますことから、樹木採取権者がバイオマス原料のみの調達を目的に伐採することは、私どもは考えておりません。

田村(貴)委員 ちょっと何か的が外れているような気がするんですけれども。

 全体の中で、切れ切れとか、売れ売れというような状況をつくっては、絶対にあってはならないと思います。例えば、植栽はしない、路網は入れたら入れっ放し、そして、ただ木を切って売るだけ、こういう流れになったらどういう事態をもたらすのか。

 資料をお配りしています。

 まず、一ページのこの資料は、岩手県で荒廃する山林を撮り続けている佐々木宏さんの写真集の一部であります。久慈市の皆伐の山であります。大型重機で山を削って、そして路網を入れました。伐採後に放置されて、雨が降るたびに、土砂が流れ落ち、川に流れ込む最悪の事態となっているわけであります。こういう事例がいっぱいあります。

 短期皆伐を、しかも広範囲にわたって行うことは、こうした状況をつくり出すことになるんじゃないですか。いや、もう既につくり出しているのではありませんか、しかも国有林野において。

 その資料が2であります。二ページをおめくりいただきたいと思います。

 これは、宮崎県の宮崎市鏡洲の国有林野伐採地の写真であります。実に十七ヘクタールにわたる皆伐施業であります。無数の路網がつくられ、一部で崩れているのがわかります。下流部にも影響が出ています。

 昨日の参考人質疑の中で、東京農工大学の土屋俊幸教授は、私のとり過ぎではとの問いに、地域にかなり偏りがあって、特に九州なんかはかなり逼迫している、そう述べられました。

 林野庁長官に伺います。

 この宮崎の国有林、十七ヘクタールを二年で皆伐するとのことであります。こういうのを切り過ぎというのではありませんか。いかがですか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘のございました宮崎県内の国有林における大規模伐採地でございますが、ここは、地元住民の方々と十七ヘクタールの分収造林契約を締結していたところでございまして、当該契約が満期を迎えたことから、契約に基づき立木の販売を行った箇所というふうに承知をしております。

 なお、立木の販売に当たりましては、公益的機能に配慮いたしまして、二十七年度に十ヘクタール、二十九年度に七ヘクタールと、伐採面積が一度に大きくならないように、一定の期間をあけた上で、二度に分けて伐採をして、販売をしたというふうに承知をしておりますし、あと、加えまして、伐採跡地については全て植栽が完了しているというふうに承知をしております。

田村(貴)委員 一部でやはり土砂が流れるなどの影響が出ているわけであります。しかも、一回皆伐してしまったら、植林しても木が育つには長い年月を要するわけなんですよ。ですから、私は、短期皆伐方式は問題があるとこの委員会で申し上げてまいりました。

 昨日の参考人でありました全国素材生産業協同組合連合会の日高勝三郎会長は、九州では今莫大な木材を出しているとして、宮崎県と大分、熊本、鹿児島の素材生産量は合わせて四百六十万立米に達し、新工場の稼働が計画されており、新しい需要は五十万立米になると昨年十一月の講演で述べられています。

 日高会長はこういうふうにもおっしゃっていました。「六年前に中国木材の工場ができたと同時期に、バイオマスも出てきて、それこそ県をあげて「伐れ伐れ」という状況でやってきた。」「県をあげて伐れ伐れ」という状況でやってきた。」このように講演で述べておられるわけです。

 ここで言う県というのは宮崎県であります。六年前といいますと二〇一二年であります。牧元長官、牧元長官が宮崎県の副知事をしていたときのことであります。県を挙げてとれとれというふうにやってきたんですか。教えてください。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 六年前の四月に本省に復帰をしたものでございまして、ちょうど八年前から六年前の三月にかけて宮崎県庁に出向しておったものでございます。

 その当時の状況でございますけれども、御案内のとおり、宮崎県におきましては、杉の素材生産量、二十数年間日本一ということで、大変生産が活発に行われている地域でございます。私が参りました時期におきましても、増産基調で展開していたということでございます。

 その中で、切れ切れというようなお話があったところでございますけれども、もちろん需要に見合った生産が行われなければいけないところでございます。

 今委員から御紹介ございましたように、大規模な製材工場が立地をしたりといったようなこともございまして、非常に需要面で充実をしてきているということに応じて生産量も増大基調にあったというふうに認識をしているところでございます。

田村(貴)委員 きのう、私、日高参考人に、県を挙げてとれとれという流れの中にあったんですかと言ったら、否定されませんでした。こういう流れの中にあって、参考人が言われたように、再造林が追いつかないというぐらいに木材を切り出して、そして搬出しているという状況があるわけなんですよ。これは重大ですよ。

 あなたが、宮崎県に出向して、林野庁出身の副知事として、とれとれという状況、需要を拡大してやってきているわけなんですよ。そこでいろいろなモラルハザードも起きているわけなんです。とれとれという状況の中で横行しているのは何ですか。盗伐ですよ。

 盗伐について質問します。

 きょうで私、盗伐の問題を取り上げるのは六回目になります。宮崎で盗伐被害者の会が結成されたのが二〇一七年。その四月に質問したときには四十二世帯でありました。二〇一八年に、十一月、十二月で質問したときには七十二世帯でありました。二万本の被害です。そして、現在は八十五世帯に膨らんだということであります。盗伐、違法伐採は三万本を超えました。とどまるところを知りません。しかし、これは、名乗り出た、被害が発見されたという氷山の一角なんですよね。

 大臣にお伺いしてもいいですし、長官にお伺いしてもいいんですけれども、なぜ被害が拡大していると思われていますか。いかがですか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 宮崎県におきましては、一昨年の森林窃盗事案の発生以降も無断伐採事案が引き続き発生をしているということは、これは大変遺憾に思っているところでございます。

 このような事案の発生にはさまざまな原因があるものというふうに考えておりますが、先ほど来御紹介がございましたように、宮崎県内におきまして伐採量が大変増加しているというような状況の中で、一つには、森林所有者の不在村化等によりまして所有者や境界が不明確となっているところが出てきておりまして、市町村において伐採届出の内容確認等が徹底をされていなかったということ、また、立木の買取りや伐採を行う業者の中で、境界確認を怠るなど不適切な行為を行う者が存在することといったようなことが考えられているところでございます。

田村(貴)委員 えらく悠長なことを言われていますね。

 なぜ横行しているのか、なぜ盗伐がとどまらないのか。それは、取り締まらないからなんですよ、何度も言いますように。

 警察庁、お越しいただいていますね。

 後で紹介しますけれども、鹿児島県の出水市でも無断伐採、盗伐が発生しました。被害者が何度も所轄の警察署に被害届を出そうとしたけれども受け付けてもらえません。宮崎県でも受理はほんの一部であります。

 犯罪捜査規範六十一条では次のように書かれています。犯罪による被害の届出をする者があったときは、その届出に係る事件が所轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。受理しなければならないとしているわけであります。

 そこで、お伺いしますけれども、被害者が被害届を提出する意思があるにもかかわらず受理をしない理由は何ですか。教えてください。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 個別具体の事案に係る被害届の受理につきまして、一概にお答えすることは困難でございますが、一般論として申し上げますれば、各都道府県警察におきましては、犯罪捜査規範を踏まえ、被害届の受理について、個別の事案に応じ適切に対応しているものと承知しております。

 森林窃盗に関しましては、警察では、森林窃盗被害の発生状況等に応じて、関係機関と連携して厳正な取締りや合同パトロール等を行っているところでありまして、今後とも、関係機関と連携を図りながら取組を推進してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 私は、受理をしない理由を聞いているわけなんですよ。

 八十五世帯の方が被害に遭って、そのほとんどの方が、警察に被害届を受理してくださいと足を赴かせて行っているわけなんですよ。でも、あれやらこれやら理由をつけて受理してもらえないんですよ。

 受理をしない理由を教えてくださいと言っているんですよ。受理すると何か不都合な理由でもあるんですか。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 個別具体の事案に係る被害届の受理につきまして、一概にお答えすることは困難でございますが、一般論として申し上げれば、都道府県警察においては、犯罪捜査規範を踏まえ、被害届の受理について、個別の事案に応じ適切に対応しているものと承知しております。

 その際、犯罪被害の届出の意思に加え、大まかな被害時期のほか、樹木の所有者や境界線など、犯罪の被害があったということについて所要の確認を行うこともあるものと承知しております。

 いずれにいたしましても、警察といたしましては、被害の相談がなされた際には、被害者の方の心情に配意しつつ、個別の事案に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 被害者の方の心情に配慮するんだったら、被害届を受理してください。そして、今から言いますけれども、鹿児島県警に対しても、宮崎県警に対しても、犯罪捜査規範六十一条に基づいて、すべからく、被害届を出す意思がある国民に対しては、その被害届を受理するように指導してください。強く要請します。

 小里副大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、鹿児島県の出水市で無断伐採が発生いたしました。

 資料の三枚目でありますけれども、四月の連休の初日に、私、所有者とともに山に入ってまいりました。これは樹齢六十年のヒノキなんですけれども、二百八十本、所有者の知らないままに、無残に切り倒されておりました。数メートル単位でカットされているところから、搬出、販売が目的であることは明らかであります。つまり、盗伐であります。驚いたことに、市役所に聞いてみれば、伐採届が出されていないんですよね。そして、二百八十本余り、一月に切られて、現状は、写真の状況のように放置されたままなんですよ。

 木を切ったことは認めたんだけれども、復旧もしない、そして謝罪もしない、補償もしない、こういう状況です。そして、所轄の警察署に行ったら、被害届を受理されていない。行政は何をやっているんですか。被害者の心情にもっと思いを寄せてくださいよ。泣き寝入りを許すんですか。

 小里副大臣、御存じだと思うんですよね、お話を聞かれて。大臣の地元ですから。

 被害者の方は、この所有林をそれはそれは大事に手入れをされて、きれいに間伐されていました。そして、孫子の代まで受け継がせて、将来は、お宮、神社仏閣、そうしたところの建築材として活用していただきたいと強い思いを持って育ててこられました。所有者の悔しさはいかほどばかりかと思います。被害者は伐採者に対して謝罪と補償を求めているところです。

 ヒノキを育て、水の涵養に、災害防止に、そして将来の木材搬出に一生懸命頑張ってきたこの森林所有者が泣いておられるわけであります。農林副大臣として、地元の案件として、小里副大臣、これはどのように解決されるでしょうか。解決してほしいと思います。いかがでしょうか。

小里副大臣 出水市の事案につきましては、大変残念に思っております。

 おっしゃるとおり、将来の伐採、また、将来の利用を楽しみにしておられたこの森林所有者の方の気持ちを思いますと、極めて深刻な問題であると考えております。

 なお、無断伐採の未然防止に当たりましては、昨年四月に、都道府県に対して、伐採届出制度の運用の徹底などによりまして、無断伐採の対策を進めるよう指導してきたところであります。

 しかしながら、その後も無断伐採事案の発生が見られたことを受けまして、また、委員からの御指摘も受けまして、農水省では、本年三月までの間に、これまでの対策に追加して、伐採届出制度において、伐採届の確認をより確実に行うための書類の添付、登記簿の謄本とか契約書等の添付を求めるなど、制度の運用改善を行ってきたところであります。

 また、森林経営管理法に基づく意欲と能力のある林業経営者等の選定におきまして、誤伐の未然防止を図るための措置などを盛り込んだ行動規範、例えば境界の確認等でありますが、行動規範の策定を要件化するなど、対策の強化を図ってきたところであります。

 これらの対策がより実効的なものとなるよう、引き続き、都道府県や市町村、警察庁等々と連携しながら、無断伐採の未然防止に向けて取り組んでまいります。

田村(貴)委員 小里副大臣、吉川大臣に重ねて私はお願いしたいと思います。

 今、やりとりして、林野庁長官は、盗伐にはいろいろな原因があるもの、そんな答弁ですよ。そして、警察庁においては、それは適切に処理されていると。これなんですよ。

 私、ずっとこの問題をやってきたんだけれども、ここから出ていないんです。だから、今までの取組は私は否定しません、よくやっていただいていると思います。しかし、副大臣、答弁されたその答弁の域を出る効力、効果ある対応になっていない。ここはやはり政治の力で解決しなければいけないと思います。副大臣の御地元の案件であります。

 私、出水に行ったときに、副大臣の主張をポスターでお見受けさせていただきました。決める、進める、結果を出す。すばらしいことだと思います。ぜひ、決めていただきたい、進めていただきたい、結果を出していただきたい。

 地元の案件も含めて、被害者を泣き寝入りさせない、これ以上の盗伐被害を出さない、そういう決意を今改めて聞きたいと思うんです。盗伐被害者の会も、それから泣き寝入りをしている方も、こうした審議を注目されている方はおられるんです。どうか、かたい決意を語っていただけないでしょうか。いかがでしょうか。

小里副大臣 委員の御意見、御提言をしっかり受けとめまして、また、被害者の方々の心情に思いをいたしながら、しっかりと対策を徹底をしてまいります。

田村(貴)委員 盗伐の問題はここで一つ区切りたいと思います。

 少し法案に戻るんですけれども、きのうの参考人質疑で、信州大学名誉教授の野口俊邦さんは、目先の利益でやっていては将来に禍根を残しますというふうに述べられました。私もそのとおりだというふうに思います。

 国有林の持つ公共性、多面的機能が何よりも大事であります。片時も忘れてはいけないと思います。大量の木材を切り出し、消費拡大が森林経営管理法並びに本法案の前提となっています。経済林である育成単層林であっても、森林の多面的役割を失うものであってはならないと考えます。

 その一つは、二酸化炭素の吸収、CO2の吸収機能であります。

 そこで、伺います。

 人工林の半数が一般的な主伐期である五十年期を迎えているとして主伐をしてしまえば、森林吸収量は下がり、地球温暖化対策に逆行するのではないかという指摘があります。私もそう思うんですけれども、いかがでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 森林につきましては、今委員御指摘のとおり、多面的機能を有しておりまして、とりわけ国有林については、多面的機能を維持するということは大変重要かというふうに考えております。

 国民の多様なニーズに応じまして多面的機能の高度な発揮を図っていくためには、長伐期によるものも含めまして、人工林の循環利用、針広混交林への誘導など、自然条件等に応じた多様な森林を育成していくということが重要であるというふうに考えております。

 また、森林から伐採された木材を適切に利用することによりまして、二酸化炭素の貯蔵が継続されますとともに、また、その伐採後、再造林を行うことで、若い林が育ちながら二酸化炭素を吸収していくという面もあるわけでございます。

 引き続きまして、森林の多面的機能の発揮が十分に図られますように、森林の適切な整備、利用を推進してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 このように一気に切ってしまったら、CO2の吸収量は、それはふえるどころか減るじゃないですか。皆伐というのはそういうことなんですよ。

 もう一問聞かせてください。

 再生可能エネルギー、これによる発電で、固定価格買取り制度、FITが導入されたのは二〇一二年であります。バイオマス発電で国産材の供給量は十九万立米、これが二〇一二年の値であります。五年後、二〇一七年の供給量は六百三万立米、実に三十倍に急増したところであります。

 バイオマス発電での燃料材の急増というのは、森林吸収量を下げて、逆に燃焼によってCO2の発生源になるのではないか、この問題についてはいかがでしょうか。ここも地球温暖化に逆行するのではありませんか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 木質バイオマス発電における燃料材でございますが、これは未利用材でございますけれども、未利用材は主伐材の一部と間伐材で構成されているわけでございます。

 森林が健全な状態で維持されまして森林吸収源として効力を生じるためには、間伐などの適切な森林整備が必要でございます。したがいまして、ここから出材される間伐材を燃料として利用することについては、温暖化対策に即したものというふうに考えております。

 一方、主伐についてでございますけれども、森林は、これは高齢級になると実はCO2の吸収量が低下をするわけでございます。したがいまして、主伐後に確実に植栽を行うことによりまして、森林全体のCO2吸収量が向上していくというふうに考えているところでございますので、この面でも森林吸収量の確保ということが図られるものと考えているところでございます。

田村(貴)委員 まだまだ議論したいところなんですけれども、時間が押してまいりました。

 今度の法案審議に当たって、国有林野管理経営法改正案を考える会といったところからチラシが届きました。私の事務所にもけさ届いておりました。法改正案に反対する声明というのが出されておりまして、「営利企業に独占・伐採させることは、国有林の本来のあり方から逸脱している」「国有林は木材増産が主要な使命ではない」「短伐期皆伐方式は非科学的で、次世代に負の遺産を残す」等々の主張が書かれております。私も賛同するところ多々でありまして、今度の審議に当たって取り上げてきたところであります。

 本当に森を大切に、そして、毎日の手入れに一生懸命頑張っている森林関係者の人たちの懸念の声を、ぜひ大臣、副大臣、政務官、そして林野庁の皆さん、しっかりと受けとめていただきたいと思います。

 私は、ここまでの質疑の中でこれだけたくさん問題点が出てきたのであれば、今度の法案はやはり一旦廃案にすべきだ、そして、まだまだ審議が必要だということを主張させていただきまして、きょうの質疑を終わります。

 終わります。

武藤委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、質問させていただきます。

 この衆議院農林水産委員会で視察にも行かせていただきまして、国有林伐採現場、また木材加工現場に視察に行かせていただきました。そして、森林組合の方々であったり、ハウスメーカーの方、森林所有者の方々など、いろいろな方からもお話をお聞かせいただきました。そして、昨日には、参考人の方々から御意見を伺いました。皆様から御意見を伺っている中で、改めて、日本の財産である森林を適切に管理をして、有効活用をしていただきたいと思いました。

 先週の質疑の際にもお話をさせていただきましたけれども、五十年前、百年前に木を植えてくださった方、先人たちの思いを無駄にしないように、我々が今後の林業についてしっかりと取り組んでいかなければならないのだと改めて思いました。

 昨日の参考人の質疑の際に、林業の専門家の育成について伺いました。大学の教授、准教授の先生方でしたので、教育現場の状況をお伺いしました。近年、林業を学ぶ学生がふえているということでした。ですが、学部が減り、また教員数も減っているとのお話をお聞きしました。これからの日本の林業を守っていってくれる大切な人材を育てるためにも、希望者がふえているのであれば、ぜひ、林業を学ぶ学生のための教育環境を整えていただきたいと強く思いました。

 大学や大学院、農業大学校だけでなく、若い林業専門家や林業従事者の育成の研修等も今後更に必要と考えますけれども、農林水産省として今後どのように支援をしていくのでしょうか。御見解をお願いします。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 林業の担い手となります人材を育成、確保していく上で、林業を学ぶ環境の整備、研修の実施というものは、これは御指摘のとおり、大変重要なものというふうに考えているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、一つには、森林管理局と大学等との協定によりまして、演習や試験研究のための国有林のフィールド提供、あるいは講師等の派遣、また、林業大学校の教職員を対象といたしました林業技術の指導力向上のための研修などを行っているところでございます。

 また、林業振興や地域の森林づくりを主導していく林業の専門家あるいは林業従事者の育成に向けまして、一つには、専門的な立場から地域の森林づくりや地域の林業、木材産業の活性化等について市町村等を支援する森林総合監理士、いわゆるフォレスターでございますが、このフォレスターを育成する研修を行いますとともに、施業の集約化、木材の安定供給に必要となる森林経営計画の作成の中核を担う森林施業プランナー、こういった者を育成する研修への支援を行っているところでございます。

 これらの取組を通じまして、人材の育成、確保対策に一層取り組んでまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 人材育成には今後も力を入れてくださると思います。資格を取得された方が現場で活躍できる、そういった場もしっかり提供をお願いしたいと思います。

 大学等の話になると、文科省ともしっかりと連携をしてお願いをしたいと思います。五十年後も百年後も日本の財産である森林資源を守っていくために、ぜひ、若い林業従事者のスキルアップと、また、林業を志す若者の支援に力を、今後もお願いしたいと思います。昨日の日高参考人のように、現場で成功している、活躍されている方も講師にお招きして、どんどん若者の育成をよろしくお願いいたします。

 次に、市町村における林業の専門家の配置、任期について伺います。

 先週、森林環境譲与税の使い道について質問をさせていただきました。既に府や県で始まっている森林整備等のための府民税、県民税ですけれども、適切に使われず、積み残しがあるということをお話しさせていただきましたが、これは使い道がわからないということで積み残してしまっているというお話も聞きました。今後とも、国の指導をお願いしたいと思います。

 五十年後、百年後を見据えた森林経営計画の策定や、この森林環境譲与税をうまく活用するためには、市町村に専門的な知識を持った職員の配置が必要だと思います。実際に専門家が少ないとよく聞きますので、国、都道府県、市町村と連携をして、日本の林業をしっかりと支えていってほしいと思います。

 今後、林業の専門家をふやしていく予定というのはあるのでしょうか。また、二、三年で配属がかわり、山のことを知らない職員が多いことも問題だと言われております。今後、職員の任期を延ばすなどの対策をとられるのでしょうか。林業の専門家の配置、任期についてどのように考えているのか、御見解をお願いいたします。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 森林環境譲与税を有効に活用いたしまして、市町村が主体的に森林整備を進めるためには、実施体制の整備が必要ということでございます。

 農林水産省といたしましても、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーといったような形で雇用する取組を推進すること、このことに加えまして、国の森林技術総合研修所における市町村職員を対象とした実務研修の実施でございますとか、国有林の、技術力を生かしました、現地検討会等を通じました技術的支援に取り組んでおりますほか、本年度予算におきましては、市町村職員への指導助言を行う技術者を養成する事業も盛り込んでいるところでございます。

 また、近隣市町村との事務の共同実施でございますとか、都道府県で技術者を雇用して複数の市町村へ派遣することを含め、市町村等への助言に努めているところでございまして、引き続き、都道府県とも連携を図りつつ、市町村の体制整備を支援し、森林整備が円滑に進むように取り組んでいきたいと思います。

 なお、各市町村における林業の専門職員の具体的な配置、あるいは任期につきましては、これは各市町村長の御判断ということで承知をしているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 現場の要望もありますので、市町村のこととはいえ、任期について、指導もしていただけたらと思います。

 さまざまな、アドバイザーのような方々の育成等をやっていただいていると思いますので、先ほどもお話ありましたけれども、事務作業等も連携してやっていただけるということですので、昨日の参考人の方々からもお話ありましたけれども、やはり林業で働く方というのは少ない、専門家も少ないということですので、やはり人が必要、人口も減っているのはありますけれども、しっかりと育成をして、日本の林業をしっかり守っていくというところでお願いしたいと思います。

 次に、外国人労働者雇用、教育について伺います。

 林業分野では、危険な作業を伴うものもあり、また、技術の習得に時間がかかるため、外国人労働者の受入れが難しいと聞いております。

 昨日もお話をさせていただきましたけれども、農業の現場であれば、野菜の収穫などは、言葉が通じなくても、隣について指導しながら安全にできるものが多いというお話でしたけれども、林業はやはり危険な作業を伴うことが多いので、受入れが難しいということを聞いております。

 国として、林業分野の外国人の受入れについてはどのように考えているのでしょうか。そして、林業に従事する外国人に対しての研修や指導等の支援はあるのでしょうか。教えてください。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 外国人材の受入れについてでございますけれども、林業現場におきましては、今委員から御指摘ございましたように、労働災害が他産業と比べて非常に高い割合で発生しておりますということ、また、現時点におきましては、林業現場では外国人材の受入れの経験がほとんどないということでございます。こういうことを踏まえますと、なかなか、今すぐ外国人材の受入れを林業において行うということは難しいのではないかと考えているところでございます。

 一方、業界団体におきましては、人手不足への対応ということもあって、外国人技能実習二号への林業の追加に関しまして検討が始まったというふうに承知をしております。農林水産省としても、外国人材の受入れに関する業界団体の検討が円滑に進むように支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

 なお、林業に従事する外国人材に対する研修等の支援についてでございますが、現時点では、永住資格を持っておられる外国人材の方については支援を行っているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 現場の声も同じですけれども、外国人の受入れについては、危険も伴うということもありますので、余り積極的でないというようなお話もお聞きしております。そうすると、やはり、日本の林業を志す若者の、日本人の若い人材育成への支援をしっかりとお願いしたいと思っております。

 次に、林業経営者の意識改革について、特に植栽に対する意識改革について伺います。

 皆伐地は必ず植栽することが必要で、申入れでよいのか、義務化すべきではないのかとの議論もありますけれども、林業経営者に植栽の必要性についてしっかり理解をしてもらうことが必要だと思います。必ず植栽をするようにと上から指示、指導するだけではなく、コストがかかっても、大変な作業だとしても必要なものなのだと林業経営者の方々に理解をしてもらう必要があります。

 先週の質疑の際にもお話をさせていただきましたけれども、赤字の森林組合を黒字化した元組合長さんですが、片道四十分の山道を、コンテナ苗を背負って一日八往復して、そういった姿を見せて植栽の必要性を訴えて、森林組合の方々の意識を変えていったというお話をお聞きしております。

 林業経営者の意識改革が私は必要と考えますが、いかがでしょうか。また、意欲と能力のある林業経営者の育成はどのように行うのでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 人工林がいよいよ利用期を迎えているところでございます。林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立させまして、切って、使って、植えるという循環利用を確立していくためには、皆伐後に植栽をしっかり行うということが重要でございまして、林業経営者に植栽の必要性をしっかり理解していただくということが、これは委員御指摘のとおり大変重要であるというふうに考えているところでございます。

 このため、森林経営管理法に基づきまして都道府県が公表いたします意欲と能力のある林業経営者の選定に当たりましては、一つには、素材生産に関しまして、生産量を一定の割合以上で増加させる目標を有していることといったことに加えまして、主伐後の再造林を実施する体制を有しておりますこと、また、伐採、造林に関する行動規範を策定することなどを要件とするように都道府県を指導しているところでございます。

 林野庁といたしましては、この森林経営管理法の枠組みを活用いたしまして、集積、集約化の受皿ともなります林業経営者のリスト化を進めまして、これらの者に対しましてソフト、ハード両面での支援を重点化することとしております。

 これらによりまして、意欲と能力のある林業経営者を育成してまいりたいと考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、意欲と能力のある林業経営者をたくさん育成していただきたいと思います。

 視察の際にも組合長さんからお話を聞きましたけれども、樹木採取権を五十年にという法案でありますけれども、長ければ長いほどありがたいというお話でしたけれども、実際に組合が五十年後あるかどうかわからないというようなお言葉も言われておりました。森林組合が存続できるように、赤字経営でもそのままといったような森林組合もございますので、経営改善を指導する、統合するなど、五十年後、百年後にもしっかりと林業を支えていただける組織となるよう、改善にも力を入れていただきたいと思います。

 樹木採取権を得た経営者が植栽を計画どおりに行っているかどうかという確認もしっかりとしていただきたいと思います。

 次に、皆伐地の災害対策について伺います。

 今後、森林経営計画によって皆伐、植栽が進められていくと思いますけれども、皆伐地の災害対策について不安の声もあります。問題はないのでしょうか。

 昨日、立花参考人からは、小面積皆伐では土砂流出の危険性がないと考えているとお聞きしましたが、農林水産省も同じ見解でしょうか。また、大面積皆伐はしないのでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 森林は、これは言うまでもなく、国土保全などの公益的機能を有しておりまして、これらの機能を持続的かつ高度に発揮させることが重要でございます。

 このため、森林法に基づきまして、一つには、市町村森林整備計画におきまして、皆伐面積の上限、これを、大体、おおむね二十ヘクタールでございます、あるいは伐採方法等の規範を定めておりまして、あわせて、伐採届出制度に基づく指導等を通じまして、計画に沿った適切な施業というものを確保いたします。

 このほか、市町村森林整備計画に沿った森林経営計画の作成というものも促進をしているところでございます。

 また、災害の防止等の目的を達成する上で重要な森林につきましては、保安林に指定をしているわけでございますけれども、保安林につきましても、皆伐面積の制限、これは種類によって違いまして、例えば、水源涵養保安林でございますれば二十ヘクタール以下とか、土砂流出防備保安林については十ヘクタール以下とかいったような一定の伐採規制を課しているところでもございます。

 引き続きまして、皆伐地につきましては、伐採後の再造林を促進いたしますとともに、森林法に基づきます各種制度の適切な運用によりまして、公益的機能の確保に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 皆伐地の災害対策というのは大変なことだと思いますので、しっかりお願いしたいと思います。

 次に、林道の整備費について伺います。

 今後、森林経営計画に基づいて、川上、川中、川下と連携して低コスト化、大ロット化が進み、また、高性能の機械化も進み、生産性向上に取り組んでいかれると思います。路網整備も進められていくと思いますので伺いますが、一般的な林道の整備費、一メートル当たりの費用は幾らかかるのか、教えてください。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、路網の整備というものは大変重要というふうに考えております。

 農林水産省では、この路網につきまして、道路の種別ごとに幾つか区分けをしております。一つには、大型トラックのほか一般車両の走行も想定して安全施設を備えた、いわゆる林道でございます。それから二つ目のカテゴリーとしては、主に林業用の車両の走行を想定しました林業専用道というような道もございます。それから三つ目といたしましては、林業機械等が走行して集材とか造材等の作業を行うための森林作業道といったような、幾つかの道のカテゴリーがございます。それぞれの役割に応じて適切に組み合わせまして、地域の実情に応じた路網整備を推進をしているところでございます。

 一メートル当たりの整備費でございますが、地形条件等によって変動いたしますけれども、平成二十九年度の開設の実績から見ますと、林道の場合でございますと、大体、一メートル当たり約二十三万円でございます。林業専用道でございますと、一メートル当たり大体四万円程度ということでございます。それに対しまして、森林作業道につきましては、一メートル当たり千五百円程度というふうになっているところでございます。

 林業の成長産業化、森林資源の適切な管理の実現に向けまして、引き続きまして、所要の予算を確保いたしまして、この林道等の路網整備を推進してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 私は、実は現場でお話をお聞きしていまして、一メートル当たり四万円ぐらいかかっている道も、そんなにかけなくていい、一メートル当たり一万円ぐらいでつくって、もう少し長く延ばしてほしいというようなお話もお聞きしました。

 立派過ぎる林道もたくさんあるとお聞きしましたので、繰り返しになりますけれども、やはり山の専門家、山がわかる人に、本当に必要な林道、これもしっかりと専門家の意見を聞きながら、立派過ぎる林道ということにならないように、無駄も削減していただきたいと思います。コストを削減をして、私は、それが、所有者であったり林業経営者であったり、皆さんの所得の向上につながるべきだと思いますので、無駄なコストとならないようにお願いをしたいと思います。

 時間が余りなくなってまいりましたので、最後の質問に参ります。

 昨年の森林経営管理法、そして今回の国有林改正法の運用によって、五十年後、百年後の日本の林業の未来は変わっていくと思います。

 日本の林業は今、担い手不足、立木価格の低さ、コストの問題、需給バランス、さまざまな問題を抱えております。今回の法改正によって、日本の森林資源を守り、林業を成長産業化させることを私は大変期待をしております。

 最後に、五十年後、百年後の林業の未来について、大臣の思いをお聞かせ願います。

吉川国務大臣 森林は、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化防止、生物多様性保全などの公益的機能を有しております。その発揮を通じて、国民生活にさまざまな恩恵をもたらしているところでございます。

 我が国の森林は、先人による造成努力の結果、国土の約三分の二を森林が占める、世界でも有数の森林大国となっておりまして、そのうち人工林の半分以上が主伐期を迎えるなど、今、充実した資源状態となっております。

 こうした状況を背景といたしまして、国産材供給量は八年連続で上昇いたしまして、平成二十九年に約三千万立米となり、木材輸出額も六年連続で増加し、平成三十年に三百五十一億円となっているところであります。

 このように、現在、我が国の林業は明るい兆しが見え始めた状況にあると受けとめておりまして、この流れを確固たるものとするためにも、森林経営管理法による新たな森林管理システムの適切な運用、森林環境税及び森林環境譲与税の活用、そして、今御審議をいただいております改正国有林管理経営法に基づく取組を適切に進めていくことによりまして、国産材の安定的な供給体制を構築するとともに、非住宅への木材利用の拡大ですとか輸出促進など木材の需要拡大を図っていくことにより、森林資源が充実した今こそ、切って、使って、植えるといった循環利用を確立しなければならないと考えております。

 このような取組によりまして、林業成長産業化と森林資源の適切な管理を図りながら、五十年後、百年後の世代へ豊かな森林を引き継いでいく考えでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣から力強いお言葉をいただきました。

 昨日の立花参考人のお話では、本当に適切に計画的に森林を管理すれば、保安林や里山等での生産も加えての計算でしたけれども、持続可能な森林管理のもとで、将来的に木材自給率八〇%、一〇〇%へも持っていくことも視野に入ってくるというようなお話もありました。

 管理が本当に必要だと思います。そのためには、繰り返しになりますけれども、人材が必要だと思いますので、人材育成にしっかりと力を入れて、日本の林業、森林資源をしっかり守っていただきたいと思います。

 そして、最後に、本日も他の委員の先生方からもお話ありましたけれども、花粉症対策、これにも力を入れていただきたいと思います。私の周りにも、花粉症で悩んでいる方はたくさんおります。花粉の少ない杉、ヒノキの苗があるのであれば、そしてまた、本日の質問で、苗の値段に変わりがないというお話でしたので、であれば、花粉の少ないものにどんどん植えかえていっていただきたいと思います。

 以前の質問で、たしか、全てを植えかえするのに二、三百年かかるというような答弁があったかと思いますけれども、少しずつでも構いませんので、花粉症対策をしっかりお願いしたいと思います。

 医療費も大変かかっておりますし、作業能率も下がりますし、勉強している子供たちにも本当に負担となっております。これは我々、農水のメンバーでもしっかり取り組まなければならない課題かと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。終わります。

武藤委員長 次回は、明十六日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四分散会


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