第15号 令和元年5月29日(水曜日)
令和元年五月二十九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 武藤 容治君
理事 伊東 良孝君 理事 齋藤 健君
理事 野中 厚君 理事 細田 健一君
理事 亀井亜紀子君 理事 近藤 和也君
理事 稲津 久君
安藤 高夫君 池田 道孝君
稲田 朋美君 今枝宗一郎君
上杉謙太郎君 加藤 寛治君
金子 俊平君 木原 稔君
木村 次郎君 小寺 裕雄君
斎藤 洋明君 坂本 哲志君
鈴木 隼人君 高木 啓君
武井 俊輔君 中曽根康隆君
西田 昭二君 福山 守君
藤井比早之君 藤原 崇君
穂坂 泰君 宮路 拓馬君
山本 拓君 池田 真紀君
石川 香織君 大串 博志君
金子 恵美君 神谷 裕君
佐々木隆博君 長谷川嘉一君
堀越 啓仁君 山崎 誠君
関 健一郎君 緑川 貴士君
濱村 進君 田村 貴昭君
森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 吉川 貴盛君
農林水産副大臣 小里 泰弘君
内閣府大臣政務官 長尾 敬君
外務大臣政務官 辻 清人君
農林水産大臣政務官 濱村 進君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 大角 亨君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 光吉 一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 大澤 誠君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 室本 隆司君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 天羽 隆君
政府参考人
(水産庁長官) 長谷 成人君
政府参考人
(株式会社日本政策金融公庫常務取締役) 野崎与四郎君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
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委員の異動
五月二十九日
辞任 補欠選任
泉田 裕彦君 安藤 高夫君
金子 俊平君 中曽根康隆君
小寺 裕雄君 高木 啓君
藤井比早之君 武井 俊輔君
古川 康君 鈴木 隼人君
石川 香織君 池田 真紀君
佐々木隆博君 山崎 誠君
同日
辞任 補欠選任
安藤 高夫君 泉田 裕彦君
鈴木 隼人君 穂坂 泰君
高木 啓君 小寺 裕雄君
武井 俊輔君 藤井比早之君
中曽根康隆君 金子 俊平君
池田 真紀君 石川 香織君
山崎 誠君 佐々木隆博君
同日
辞任 補欠選任
穂坂 泰君 古川 康君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)(参議院送付)
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○武藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官光吉一君、大臣官房総括審議官横山紳君、食料産業局長塩川白良君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長室本隆司君、政策統括官天羽隆君、水産庁長官長谷成人君、内閣官房内閣審議官大角亨君及び株式会社日本政策金融公庫常務取締役野崎与四郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○武藤委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。小寺裕雄君。
○小寺委員 おはようございます。滋賀第四選挙区選出の小寺裕雄でございます。
本日は、質疑の時間をいただきありがとうございます。
なかなか質問の機会がいただけませんので、せっかくの機会ですから、ちょっと出席者のかげんがありますけれども、少しだけ地元のPRをさせていただきます。
委員の先生方は、滋賀県って御存じでしょうか。基本的には地味な県なので、琵琶湖があるということ以外は余りよくは知られてはおりません。おられませんが、よく佐賀に間違えられます。
私の地元は、滋賀県の中でも、琵琶湖を真ん中にして南東部、鈴鹿山脈が東にある山手の田園地帯です。右手のひらをこうしていただきますと、これが滋賀県の形になります。右側が岐阜で、左側が京都です。手のひらのくぼんでいるところが琵琶湖になりまして、私の選挙区は、この親指のつけ根の盛り上がっているところ全体が第四選挙区ということになりますので、御承知おきいただければと思います。
近江商人の発祥の地で、織田信長の居城であった安土城のある近江八幡市も、忍者のふるさと甲賀市も私の地元です。また、日本三大和牛の一つ、近江牛も、地元の各地で盛んに生産をされております。
また機会があれば、ぜひ委員の先生方も滋賀県にお越しをいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
実は、吉川農林水産大臣は、先ごろ滋賀県に来ていただきました。そこでまず、本来の質疑に入らせていただく前に、吉川大臣に質問をさせていただきます。
去る五月十三日の月曜日、吉川大臣には、滋賀県大津市で開催された気候変動に対応する農業技術国際シンポジウムに御出席をいただきました。シンポジウムで御挨拶をいただいた後は、本県を縦断する行程で、県内各地における農水産業の取組について御視察をいただいたところです。
特に、本年二月に日本農業遺産に認定していただき、引き続き世界農業遺産への登録を目指している魚のゆりかご水田の取組を野洲市須原で御視察いただいたこと、また、過去と比較すると漁獲量は著しく減少しているものの、特色ある琵琶湖における漁業を見ていただき、近江八幡市の長命寺港から長浜港まで湖上から琵琶湖の自然に触れていただいたことは、滋賀県で農業や漁業をなりわいとされている方々にとっては大いに励みになったことだろうというふうに思います。お忙しいところ、本当にありがとうございました。
滋賀県は小さな県ですから、農業や漁業の生産高も決して多くはありません。それでも、御視察いただいたように、各地域では、稲作や野菜づくりはもちろんのこと、特色ある漁業や農福連携に取り組むNPO法人など、何事にも真面目に、熱心に取り組んでいただいております。
そこで、大臣、滋賀県に対する印象と、御視察をいただいてどのような感想をお持ちいただいたか、お尋ねをさせていただきます。
○吉川国務大臣 今月の十三日でありますが、農林水産省が主催をいたします気候変動に対応する農業技術国際シンポジウムで挨拶をする機会を捉えまして、滋賀県におけるさまざまな農林水産分野の取組を視察をさせていただきました。
また、このシンポジウムにおきましては、大変すばらしい三日月知事のプレゼンもございましたし、各ブースで滋賀県の琵琶湖との共生の姿をあらわした農林水産の展示もございましたので、そういった展示にも私も訪問させていただきまして、つぶさに滋賀県の農業、林業、水産業を御説明をいただいたところでございます。
琵琶湖地域は、今、小寺議員がお話がありましたように、二月に日本農業遺産に認定をしたところでございまして、今回の視察で農林水産業と琵琶湖が共生する姿を実際に拝見をいたしまして、日本農業遺産に認定して大変よかったな、このように実感をいたしたところでございます。
さらに、ただいまもお話をいただきましたように、障害者の方々の就労支援に取り組む農福連携の事例ですとか、直売所を基点といたしました都市農村交流の取組、ここでは、おうみんちという、守山市の皆様の家庭料理もいただいてまいりました。大変感激をいたしました。
さらに、古来からの伝統的な漁法であります、えり漁など、滋賀県の農業者や漁業者が各現場で熱心に取り組まれている姿を見て、大変感銘を受けたところでございます。
こういった現場を視察をさせていただきまして、今後の農林水産行政の推進に生かしてまいりたいなと存じております。
滋賀県には私も数々の御縁がございますので、これからも滋賀県の農業、林業、水産業をしっかり私も応援をしてまいりたいと存じます。
○小寺委員 ありがとうございました。
ただいま大臣からいただいた御感想などは、滋賀県の農業や漁業に携わっていただいている皆さんにしっかりとお伝えをさせていただきたいと思います。
それでは、次に、委員会に提出されております特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
この法律の概要は、さまざまな経済連携協定交渉等が進展している国際的な環境等を踏まえ、特定農産加工業者の経営の改善を引き続き促進するために、現行法の有効期限を五年間延長し、令和六年六月三十日までとするというものであります。
そもそも農産加工業は、農産物を加工して多種多様な食料品を製造し、それらを安定的に供給する役割を担っております。あわせて、国産農産物の重要な販路として、地域農業の持続的な発展に重要な役割を果たしております。
他方で、本法の対象とする特定農産加工業は、輸入に係る事情の著しい変化により、厳しい経営環境にあります。
この特定農産加工法は、こうした事情に対応するために平成元年に制定された法律でありますが、改めて、まず、特定農産加工法の趣旨について、吉川農林水産大臣にお尋ねをいたします。
○吉川国務大臣 農産加工品の関税の引下げや撤廃によりまして、農産加工業者の経営に支障が生じるおそれがあることを認識をいたしておるところでございまして、このため、本法は、このような支障が生じる特定農産加工業者に対しまして、金融及び税制上の支援措置を講ずることにより、経営の改善を促進することを目的といたしております。
さらに、本法に基づく計画の承認に当たりましては、地域の農産物の利用の促進又は地域の農産物の特色を生かした農産加工品の生産の促進に資するものであることを要件としておりまして、本制度は国内農業の発展に資するものであると認識をいたしております。
○小寺委員 ありがとうございました。
この法律の趣旨については理解をさせていただきました。
そこで、特定農産加工法は、前回、平成二十六年に延長され、先ほど申し上げましたように、有効期限が本年六月までとなっているところです。
この間の国際環境の変化を見てみますと、昨年末にはTPPが発効し、本年二月には日・EU・EPAが発効するなど、関税引下げの影響により、農産加工業をめぐる状況は大変厳しいものがあるという認識をしております。
こうした中で、今般、特定農産加工法を延長される理由についてお尋ねをいたします。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
特定農産加工業は、国産農産物を原料に使用するなど、地域の農業の健全な発展に資するものであるとともに、地域の雇用、所得機会の確保等を通じ、地域経済の活性化に大きく貢献しており、地域における基幹的産業として重要な役割を果たしているというふうに認識しております。
特定農産加工業者は、特定農産加工法による支援措置を利用して経営改善に取り組み、一定の成果を上げてきてはいるものの、幾度にわたる貿易協定により関税の引下げや撤廃が行われるなど、依然として厳しい状況に置かれているというふうに認識しております。
このため、特定農産加工業が地域の農業や経済に貢献していくためにも、引き続き支援していくことが必要であると考えており、これが今回延長を行う理由でございます。
○小寺委員 ありがとうございました。
ぜひ、そうして、加工業そしてまた農業に携わられる方々に影響のないようにしていただければというふうに願うところでございます。
それでは次に、冒頭申し上げましたけれども、滋賀県の農水産業の取組について、大臣に御視察をいただきました。その中で、魚のゆりかご水田の取組に代表されるように、滋賀県の環境に配慮した稲作が直面する課題について、幾つか質問をさせていただきます。
滋賀県は、近江米というブランドで、長年にわたって稲作中心の農業に取り組んでまいりました。しかし、年々米の需要が減少し、価格も低迷してきたことに危機感を覚えたことから、少しでも他県産米との差別化を図るために、平成十三年から、農薬や化学肥料の使用量を通常の半分以下に抑えるなどして、琵琶湖への環境負荷を低減しようとする環境こだわり農業を始めました。
しかしながら、手間がかかる割には収入に直接結びつかず、取組が余り進まなかったために、平成十五年にはその推進条例を制定し、十アール当たり五千円の直接支払い制度を独自に導入して、生産の拡大に努めてまいりました。
平成十九年度には国の事業として取り上げていただき、現在では、日本型直接支払制度の一つとして、多面的機能支払いや中山間地域等直接支払いとともに、環境保全型農業直接支払いという形で、今年度も二十四億五千万円を交付金として予算化をいただいております。
おかげさまで、滋賀県では、主食用水稲作付面積の約半分、一万三千五百ヘクタール、野菜等を合わせますと一万八千ヘクタールぐらいになるわけですが、それぐらいの面積で環境保全型農業に、滋賀県で言うところの環境こだわり農業ということになるわけですが、取り組んでおり、全国一の取組面積ということになっております。
ところが、近年、全国的に環境保全型農業への取組が予想以上に拡大したことによる交付金額の不足や、制度自体の見直しが進められているという情報に触れて、環境保全型農業に熱心に取り組んでおられる滋賀県の農家の皆さんからは大きな不安の声が上がっています。
そこで、今年度は、令和二年度からこの制度が見直されるに当たり、現在ちょうど、第三者委員会において、各都道府県におけるこれまでの取組に対する評価が行われているというふうに承知をしております。
国が求める環境保全効果は、CO2の排出削減などの地球温暖化防止効果と生物多様性の保全効果が主なものとなっておりますが、環境保全型農業の先進県を自負する滋賀県においては、これに加えて、国民的財産である琵琶湖の環境に配慮をした水質保全に対して効果のある取組もあわせて行われております。大臣に御視察いただいた魚のゆりかご水田で生産されるお米などは、まさにそうした考え方に基づく取組なのであります。
そこで、第三者委員会では、これらの効果をどのように評価をし、その結果を今後の制度見直しにどのように生かしていかれるのでしょうか。また、制度の見直しに関する今後のスケジュールについてお尋ねをいたします。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘をいただきました環境保全型農業直接支払制度でございますけれども、令和二年度から第二期対策に入るということになります。このため、同制度に関します第三者委員会におきまして、これまで実施されてきた各取組の実施状況、また効果の評価、施策の点検等が行われているところでございます。
このうち、各取組の効果の評価は、地球温暖化防止、すなわち、農地土壌への炭素貯留効果及び生物多様性保全について、客観的な評価基準に基づきまして行われ、また、取組の実施によります地下水、河川水の汚染防止ですとか、土壌侵食、流亡の防止といった環境負荷軽減については、副次的に発現する事象ということで報告をされているところでございます。
第三者委員会は、ことしの七月中を目途に最終的な取りまとめを行うということになってございまして、農林水産省といたしましては、その結果も踏まえ、また、都道府県等、現場の御意見もお聞きしながら、制度の見直しを検討してまいりたいと存じます。
○小寺委員 ありがとうございました。
まさにこの七月にその結論を出していかれようということでありますけれども、農水省がこうした取組の見直しを進めておられていることは重々承知の上であります。
二点申し上げました、地球温暖化防止、それからいわゆる生物多様性への効果ということが主眼に置かれているわけですけれども、やはり、これまで各都道府県で独自に取り組んできた、特認事項と言われる、その地域地域に応じた取組、滋賀県の場合ですと、今申し上げたような、水質保全効果でそうした琵琶湖との関係を保ちながら取り組んでいるような形での環境保全型農業への取組ということも、あわせてしっかりと御理解をいただいて、引き続き、農家の皆さん方が喜んで農業に取り組めるような応援の体制をぜひお願いしたいということを要望としてお伝えをさせていただきます。
それでは、最後に、有機農業の推進についてお伺いをいたします。
有機農業につきましては、平成十八年に超党派で議員立法として成立した有機農業の推進に関する法律に基づき、平成二十六年に策定された新たな基本方針により、おおむね平成三十年度までに我が国の耕地面積に占める有機農業の割合を〇・四%から一・〇%に倍増させるなどと目標を掲げて、推進してこられたというふうに承知をしております。
しかしながら、我が国において、私の知るところでは、有機農業への取組がそれほど大きく進んだという実感は正直なところございません。数字を調べたら、たしか現状で〇・五%ぐらいというふうに承知をしております。
一方で、欧米諸国、特にヨーロッパではかなり有機農産物の販売額が増加をしており、国連のSDGsの実施方針の優先課題の中にも有機農業が位置づけられているといったことのように、有機農業に関する実績や期待と可能性があるものというのもまた事実であります。
現在、我が国では、先ほど申し上げた基本方針の見直しに関して、食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会において議論がされているというふうに仄聞をしておりますが、我が国の有機農業の現状と課題について、あわせて、今後の対応についてどのようにされるお考えなのでしょうか、お尋ねをさせていただきます。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の有機農業の取組面積でございますけれども、平成二十一年に約一万六千ヘクタールであったものが、平成二十九年には約二万三千ヘクタールへと四三%拡大、有機食品の市場規模も、平成二十一年に推計で一千三百億円だったものが、平成二十九年には約千八百五十億円と四二%拡大してございます。
しかしながら、平成二十一年から二十九年の八年間で、世界全体の有機農業の取組面積は九二%、市場規模は七七%拡大してございまして、我が国の有機農業の取組は依然限定的なものだというふうに考えてございます。
このような状況を踏まえまして、有機農業のより一層の推進に向けまして、昨年十二月から、食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会で議論を行っていただいてございます。
これまで同部会では、生産者や流通、加工、小売業者からのヒアリング等も含めまして、四回開催されまして、四月の八日に議論の中間取りまとめを行い、有機農業の推進に関する論点といたしまして、有機農業の推進目的、有機農業に係る制度上の課題、人材、技術、流通、消費者の理解など、生産、流通、消費に係る諸課題を整理いたしまして、農林水産省に対し有機農業推進の枠組みを検討するように求めているところでございます。
○小寺委員 ありがとうございます。
実は、現状、有機農業につきましては、環境保全型直接支払制度において、全国共通取組として既に支援をされております。
私自身も、この有機農業を推進する上において直接支払い制度はなくてはならない大切な施策であると考えますが、さきの審議会において、この直接支払い制度の活用に関してどのような議論があり、また、どのような意見が出たのかお伺いをいたします。
○武藤委員長 枝元局長、申合せの時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
審議会におきましては、環境保全型農業直接支払制度によります有機農業への支援につきましては、減農薬と有機では技術的に異なるので、直接支払いによる支援に差をつける必要があるのではないか、また、有機農業の作業負担についてきめ細かく支援し、生産者のインセンティブを上げるべき等々の御議論がございました。
○小寺委員 時間が参りましたので、残念ですがここで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○武藤委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。
早速、質問に入らせていただきます。
この特定農産加工業経営改善臨時措置法についてですけれども、ただいまも御質問が小寺委員からもございましたけれども、農産加工品等の輸入に係る事情の著しい変化に対処するとして、金融それから税制上の支援措置を講じまして、そのことによって特定農産加工業者の経営の改善を促していく、こういう法律でございまして、平成元年にこれが臨時措置法として制定されて以来、幾度かの延長等の改正を行ってきているわけでございます。
農産加工業、これが、農産加工品の国内の生産量が横ばいでずっと推移している中で、輸入が増加をし続けているということで、いずれにしても、大変厳しい経営環境に置かれているのは事実であるというふうに思っています。
本法に基づいて融資等を受けることによってその経営改善を図ってきたわけでございますが、そこで、まず、平成元年以来五回にわたり法の延長、改正を行ってきた本法の事業の成果がどのように図られてきているのか、基本的なことでございますけれども、このことからまずお伺いさせていただきたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
本法によりまして支援を受けた特定農産加工業者は、経営改善に取り組みまして、売上高や経常利益の改善などの具体的な成果を上げているところでございます。
平成三十年度に日本政策金融公庫が行いました調査によりますと、平成二十四年度に融資をした先の三十三事業者の五年後の売上高は四二%増加しており、経常利益も九三%増加しているところでございます。また、農産加工品の原料である国産農産物の取扱量は一九%増加しておりまして、地域農業の振興に貢献しているところでございます。さらに、これらの業者の従業員数を見てみますと六三%増加しておりまして、地元雇用の創出という観点からも、地域経済の発展にも一定の役割を果たしているというふうに認識しているところでございます。
○稲津委員 農業生産と雇用についても改善が図られているということで、一定の効果がこれまでもあったということは、今の答弁でもわかります。
そこで、今度は、具体的な、この改正による業種追加の理由についてお伺いしておきたいと思います。
これまで、この業種については、牛肉・かんきつ協議、農産物十二品目の交渉、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉、日・EU・EPA交渉の結果、国境措置が変更された農産加工品に係る業種、こうなっていますけれども、このたび、この特定農産加工業種に、パスタ製造業、砂糖製造業、菓子製造業、これはチョコレート製造とそれからキャンデーの製造とビスケット製造業に限るということでございますが、これらの菓子製造業が追加されたわけでございます。
これは日・EU・EPAそれからTPP等の関連の政策大綱によるものとしておりますが、具体的に、これらの業種が本法適用によることでの影響、つまり、どのような理由により追加をしたのかということについて、少し掘り下げてお伺いさせていただきたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘いただきましたように、前回、平成二十六年の法改正以降、新たに締結しました日・EU・EPAそれからTPP11の影響を勘案した結果、本年二月に農林水産省令を改正いたしまして、パスタ製造業、菓子製造業それから砂糖製造業を本法の対象業種に追加したところでございます。
これらの三業種のうち、パスタ製造業につきましては、EU産の高い品質とブランド力を有する製品との競合にさらされ、事業者の事業活動に影響が及ぶおそれがあるということ。それから、チョコレート、ビスケット、キャンデー製造業につきましては、やはり、EU産の高い品質とブランド力を有する製品との競合にさらされまして、相当数の事業者の事業活動に影響が及ぶおそれがある。それから、砂糖製造業につきましては、シンガポール、マレーシアなどから、安価なココア調製品それから粉乳調製品等の加糖調製品の増加によりまして、国内産の砂糖の需要の減少、価格の低下、それから工場稼働率の低下などの、事業者の事業活動に影響が及ぶというおそれがあった。
このことから、基準に合致するものと判断をいたしまして、今回、対象業種として追加したところでございます。
○稲津委員 追加業種についての説明がありました。
そこで、今答弁のありました中で、砂糖について、具体的には北海道のてん菜について、少し具体的にお伺いさせていただきたいと思います。
まず、砂糖の需要状況についてなんですけれども、簡単に触れますけれども、砂糖の消費量、近年、減少傾向で推移している。一方で、輸入の糖の方も減少傾向で来ているんですけれども、御存じのとおり、加糖調製品の輸入というのが、微増ですけれども緩やかな増加傾向にある、こういうことがあります。
このことを踏まえた上で、今度は北海道におけるてん菜について申し上げたいと思うんですけれども、このてん菜については、北海道の農業の、とりわけ畑作の農業の輪作体系上、もうこれは欠くことのできない基幹的作物として位置づけられています。
それから、このことに関連して、製糖工場というのが、やはり地域経済の雇用ですとか経済を大変維持しているという、これも北海道にとっては欠くことのできないものである、こうあります。
しかし、このてん菜糖業を取り巻く状況については、一つは燃料が上がってきているということ、それから、製糖の副資材の価格が大幅に上昇しているということ、それから、近年はやはり人手不足、それからトラックの台数確保も難しいということで、運賃ですとか請負の作業費も上昇してきているということで、こうした背景のもとで、原料てん菜の集荷製造経費ですとかビート糖の販売経費、これが大幅に増加するような傾向になってきているということです。
そこで、今度はこのことを踏まえた上でお伺いしておきたいと思うんですけれども、てん菜の安定生産による操業率の安定化ですとか、それから製糖効率の向上とか、それに要するエネルギーの効率の向上、これがいわゆるてん菜工場の状況の大変特徴的なところですけれども、こうしたことを、いわゆるコストを縮減するために、今、北海道の製糖工場で再編整備することが必要ではないか、こうした議論が進んでいると承知しております。
私は、この制度を踏まえた上で、こうした再編整備についても、業界の期待に十分応えられるようになっているのかどうか、この点について明らかにしておきたいと思いますので、御答弁いただきたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘いただきましたように、北海道におきましてはてん菜、それから沖縄、鹿児島県、南西諸島においてはサトウキビ、これらが基幹的作物でありまして、これらを原料としている砂糖製造業は、地域の雇用、経済に大きな役割を果たしていることから、これらの地域の発展のためには、砂糖製造業の効率化、それから経営改善が不可欠であるというふうに考えているところでございます。
このため、砂糖製造業の合理化等を後押しするための加工施設再編等緊急整備事業、これに加えまして、今回の特定農産加工法による金融それから税制上の支援措置、これの対象にすることによりまして、砂糖製造業界の体質強化をしっかり後押ししてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○稲津委員 ぜひ、今御答弁いただいた所要の措置をしっかりと進めていただくとともに、関係業界の方々にも、そうしたことについても具体的な、また丁寧な説明をしていただきたいと思います。
その上で、今度は、国産てん菜の生産振興についてお伺いしておきたいと思います。
今私が申し上げましたように、北海道のてん菜は、農業のみならず、地域の製糖工場を含めて、大変な基幹産業として発展をしてきているということを申し上げました。しかしながら、一方で、具体的な問題点としては、やはり北海道の畑作においても生産者の高齢化が進んできているということ、それで農家戸数も減少しているんですけれども、一方で、そのことによって、そのための解決方法として、大規模経営が進んできているということ。問題は、てん菜の栽培生産に関する特徴的なことなんですけれども、これは大変、投下労働時間が多いということで、実際にやはりてん菜を敬遠するという傾向も出てきているわけですね。
てん菜は、所得水準が高いんですね。ところが、ほかの品目と比較すると、例えば肥料代が結構かかるとか、物財費もかかる。それから、近年、防除回数をふやしていく中で、農業の薬剤費もふえている。要するに、非常に経費がかかってきているということなんですね。
こうしたことを踏まえた上で、現在、そして今後の国産てん菜の生産振興をどう図っていくのか、このことが大変重要な課題であると思っています。この点についての御答弁をいただきたいと思います。
○吉川国務大臣 てん菜の作付面積、近年、担い手への農地集積が進む中、労働負荷がほかの作物より大きいことなどから、減少傾向にあると私は認識をいたしております。
他方、技術の向上などで単収や糖度は上がっておりまして、産糖量は、昨年、一昨年と六十万トンを超える水準で推移をしているところでございます。
やはり、てん菜というのは、北海道の畑作におきまして輪作体系を構成する重要な作物でありますので、生産振興というのは重要な課題だと私どもは認識をいたしております。
このため、経営所得安定対策によって生産農家の経営の安定化を図りつつ、平成三十年度の補正予算におきまして措置した畑作構造転換事業というのがございますけれども、その中で、省力作業機械の導入ですとか、作業委託による適期作業の推進等に取り組んでいるところでもございます。
こうした取組によりまして、てん菜生産の振興を図りながら、北海道の畑作における輪作体系の適正化というものをしっかりと図ってまいる所存であります。
○稲津委員 ありがとうございました。
今大臣から御答弁いただきましたように、畑作構造転換のこれらの事業についてもしっかり進めていただいて、生産現場にきちんとした安心感を持っていただけるように、所要の措置を進めていただきたいと思います。
次は、少し視点を変えて、この特定農産加工法に基づく融資を受けた企業が輸出にどう取り組んでいくのかということについて伺いたいと思います。
これは視点が少し違うかもしれませんけれども、この法律自体は、輸出に向けた生産量の増加を直接的な目的にはしておりません。しかしながら、今輸出一兆円の取組をしている我が国において、これをもう少し掘り下げて考えていくと、むしろ、この支援措置を十二分に活用して、ある意味、ピンチをチャンスに変えていくんだ、こういう発想で取り組んでいく必要もある分野も、ある業種もあるのかな、私はこう思うんですね。
そこで、まずお伺いしたいんですけれども、攻めの事業展開を考えるべき、こう思っていますが、輸出の事例等についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○濱村大臣政務官 委員御指摘のとおり、この法律自体が輸出に向けた生産量の増加を直接の目的としているわけではございませんが、おっしゃるとおり、ピンチをチャンスに変えていく、輸出についても積極的に取り組んでいかれておられる方もおられます。
例えば、青森県のリンゴ果汁事業者が新工場を建設し、地元産リンゴを主原料といたしましたジュースを台湾、香港を中心に十七カ国・地域に輸出している事例であったり、あるいは、和歌山県の果汁事業者がジュースの充填ラインの改造を行って、国産一〇〇%のミカンジュースや桃ジュースを台湾、香港及びシンガポールに輸出している事例がございます。
引き続き、外国製品との差別化を図って、輸出に取り組む特定農産加工業者も支援してまいりたい、このように考えております。
○稲津委員 ありがとうございました。
今、事例を挙げていただきまして、少し希望というか展望も見えるのかなと思っていますが、きょうは、ここであえて、これは対象業種、品目ですので、トマトについて最後に質問して終わりたいと思うんですけれども、はっきり言うと、国産の加工用トマトの生産を図るべきだ、こういう考えなんです。
なぜそういうことを言っているかといいますと、もちろん、本法では対象業種にトマト加工製造業が入っています。
調べてみますと、トマト加工品の原料となる国産の加工用トマトの出荷量、これは減少傾向にあるんですね。生食用のトマトは大体七十万トンぐらいで、この十年間ほぼ同じ推移で来ているんですけれども、加工用のトマトは、例えば、平成二十年で四万三千トンぐらいあったんですけれども、今、大体三万トンを切るようになってしまいました。
ここを何とかできないかということなんですけれども、大体、茨城県と長野県がこうした加工用トマトの主たる生産地、ほとんどこの二県で大宗を占めているんです。
実は私、二〇一六年の九月に、当時、議院運営委員会で欧州視察をしたときに、ポルトガルに行ってまいりました。ポルトガルの農業事情というのを見に行ったときに、大変驚いたんですけれども、ポルトガルは加工用トマトを大変、今、いわゆるポルトガルの農協みたいなところが、カゴメという事業所から委託を受けて、そして生産しているんですね、露地物ですけれども。
驚いたのは、今、世界の中で野菜は何が一番消費されているかというと、圧倒的にトマトなんですね。トマトが大体一億四千万トン。第二位のジャガイモが一億トンですから、ピーマンなんというのは三百万トンぐらいです。そのピーマンだって、ベスト七位ぐらいに入っているんです。だから、世界の趨勢というのは実はとどまるところを知らない、トマトは。過去十五年間の増加量も二千万トンぐらいふえているんです。今後十年間で見ても、一千万トン以上ふえるだろうと言われています。
これがそのカゴメさんの世界戦略なんですけれども、今世界に、二〇一五年の時点でも、海外子会社は三十三社あって、そして地元の農業者との契約をして、トマトを栽培している。一次加工、二次加工の拠点をつくっているんです。
何を言いたいかというと、むしろ、こういう、まだまだ伸び代のあるトマトについて、これは同じような加工用トマトを生産する必要はないと思うんですけれども、日本の持っている特殊性とか技術力、それから嗜好調査、こういったことにすぐれているわけですから、むしろあえて、こうした加工用トマトの生産をこの際図るべきだ、こういう少し前向きなことを考えているんですけれども、このことについての答弁を求めて、質問を終わります。
○小里副大臣 国産加工用トマトの主要な加工品であるところのストレートジュースは、輸入品の濃縮還元ジュースと品質面での差別化が図られておりまして、近年は、消費者の健康志向とも相まって、需要が高まっているところであります。しかしながら、原料となる国産加工用トマトの生産が追いついていない、そういう、御指摘のような状況にあります。
この加工用トマトは、生食用と比べて単価が低いわけでありますから、その収益性を上げるためには、生産性の向上と規模拡大を図っていく必要があります。そのためには、特に、夏の一時期に集中してしまう収穫時期の労働力の軽減が重要な課題となっております。
このため、農水省としましては、産地パワーアップ事業等を活用しまして、高性能な加工用トマト収穫機の導入による作業性、収量性の向上等によりまして、高収益な栽培体系への転換を図っているところであります。
今後とも、加工用トマト生産者が安心して再生産に取り組んでいけるよう、体質強化を図ってまいりたいと思います。
○稲津委員 終わります。
○武藤委員長 次に、石川香織君。
○石川(香)委員 おはようございます。石川香織です。
質問させていただきますが、まず日米貿易交渉について先にお伺いをさせていただきたいと思います。
きょうは内閣府から長尾政務官もお越しをいただいておりますが、トランプ大統領、帰国をされましたけれども、非常に不安が残る置き土産を残していったなというふうに感じています。
まず、ツイッターで、農業と牛肉の分野で大きな進展を得つつあるという投稿をしまして、八月にすばらしいことが発表されるだろうということも発言をされております。
八月に何が発表されるんでしょうか。
○長尾大臣政務官 それについてはちょっとお答えはさせていただくことはできないものと承知しております。
○石川(香)委員 この八月合意ということ、密約があるのではないかという報道もありますが、トランプ大統領がこういう発言をされているわけでありますので、本当に農業と畜産分野でかなり大幅な譲歩を日本がしてしまったのではないかというふうに、報道を見たら受けとめてしまうわけですよね。
参議院選挙の後までアメリカ側が待つということは、やはりアメリカに相当有利な内容になる、逆に言えば、日本に厳しい内容になるのではないかという見方ができると思うんですけれども、この参議院選挙後という発言が、わざわざトランプ大統領もしていますけれども、この八月の内容については、今、御答弁できないということなんですけれども、当然、参議院選挙があるから隠すということは、万一、あってはいけないことですけれども、そのあたりについてはどうでしょうか。
○長尾大臣政務官 お答えいたします。
先週土曜日の茂木大臣とライトハイザー通商代表との協議では、率直な意見交換を行って、双方の立場、考え方に対する理解を深めることができました。それぞれの立場が完全に一致しているということではございませんが、今後、そのギャップを埋めていくために、実務者レベルの協議の可能性も含めまして、更にお互い努力をしていくということでライトハイザー代表とも一致をいたしております。
そこで、トランプ大統領の発言についてでございますが、日米交渉が双方にとって利益となるようできるだけ迅速に進めたいという大統領の期待感を述べられたものと理解をいたしております。
○石川(香)委員 ちょっと内容が余りにもわからないもので、こちらも受けとめとして非常に難しいところなんですけれども。
ただ、最も不安なのは、トランプ大統領が、TPP水準に縛られないという発言をしてしまっています。この後、西村官房副長官が、共同声明に書かれた内容を大前提に議論するということで火消しに走ったわけなんですけれども、この発言はかなり重いものだと思います。
貿易交渉の土台すらひっくり返されてしまうことになるんですけれども、このTPP水準に縛られないという発言をしたという重い事実がある中で、このあたりは本当に大丈夫なんでしょうか。
○長尾大臣政務官 お答えいたします。
トランプ大統領の御発言は、米国がTPPから離脱しているという事実関係を述べられたものだと考えております。
いずれにせよ、日米貿易交渉につきましては、昨年九月の共同声明の内容に沿って交渉を進めることについて米国と一致しております。昨年の九月の共同声明では、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの内容が最大限とされているところでございます。(発言する者あり)
○石川(香)委員 そうですね、離脱を認めていないんじゃないかということもありますけれども。
では、大臣にお伺いをします。
このTPP水準に縛られないという発言は非常に重い発言ですけれども、このことについて受けとめをお伺いしたいと思います。
○吉川国務大臣 五月二十七日の日米首脳会談後の共同記者会見におけるこのトランプ大統領の発言については、私も承知をいたしておりますし、TPPに縛られていないという発言をしている、そのことについて今お尋ねがありましたけれども、今、内閣府の長尾政務官から答弁されたとおりだと私も承知をいたしているところでございます。
いずれにいたしましても、この日米交渉につきましては、昨年九月の日米共同声明において、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した内容が最大限との日本の立場が日米首脳間で文書でこれは確認をされているところでございまして、私は、これ以上重たいものはないと承知もいたしております。
日米交渉というのは政府一体となって取り組むことになりますけれども、農林水産大臣としての私の責務は、この日米共同声明を大前提に、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することでございまして、このため最大限の努力をしていく考えでございます。
○石川(香)委員 日本の農林水産物をしっかり守るためにも、共同声明に書かれた内容を大前提にというのはわかるんですけれども、実際アメリカ側がこういう発言をしてしまっているというのは、非常に農家の皆さんも含めて不安に感じられているということは強く申し上げたいと思います。
あともう一つ、個人的にちょっと納得いかないのが、トランプ大統領がお昼に召し上がったアメリカ産の牛肉、チーズを使ったダブルチーズバーガーということなんですけれども、ここはやはり日本のものを食べさせた方がよかったんじゃないかなと思います。おいしいものがたくさんありますから、何か私はそこに違和感を感じた一人でもあります。
TPPも、そもそも、きょうは自民党議員の皆さんがいる前で恐縮ですけれども、TPP断固反対と言ってずっとやってきた議員もたくさんいる中で、ひっくり返されてしまったなと思っている人は私の地元にもたくさんいます。
ぜひ、非常に厳しい条件の中で交渉に当たられていることを感謝をしますけれども、まず、しっかり、絶対裏切らない、私たちのことを裏切らないということを頭に入れながら、また交渉を続けていただきたいと思います。しかし、まだもやもやしている部分はありますので、今後もぜひ議論をさせていただきたいと思います。
きょうは法案の方に移りますけれども、長尾政務官、どうもありがとうございました。またよろしくお願いします。
○武藤委員長 では、内閣府政務官、退席して結構です。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
きょうは、農産加工業経営改善臨時措置法ということでありますけれども、北海道の十勝の農産物も非常にかかわりの深い作物がたくさんあるんですけれども、今非常に雨が降らなくて畑が困っているという質問をさせていただこうと思ったんですが、きょうたくさん雨が降ったそうでして、一部解決をいたしました。非常にいいことなんですけれども。
ただ、これまで本当に雨が降らずに畑が乾いてしまいまして、風で土ぼこりになって、先日、十勝の浦幌町というところでも多重事故がありましたけれども、あれも、視界不良になってしまった原因になっておりました。畑の方も、小麦が穂がついてしまっていたり、芋の培土が飛ばされてしまっていたりだとかいろいろありましたけれども、ひとまず雨が降りましたけれども、相当乾いていますので、しっかり降らないと、土の中までしみ込むかどうかというのはこれからだと思います。
通告の内容と少し違ってしまいますけれども、やはりこういう干ばつですとかいろいろな災害がある中で、基盤整備の重要性というものも近年非常に大事になってくると思いますが、このことも含めて、あらゆる事態に負けない体制をつくっていくというのは当然大事なことだと思いますけれども、こういったことに関して、もし大臣、何か御答弁いただければお願いをしたいと思います。
○吉川国務大臣 雨が降ってようございました。
きのう、十勝の農業委員会の代表の皆さんが私のところにもおいでをいただきまして、とにかく大臣、雨乞いをしてくれないかと言って、雨乞いまではなかなか難しいですねという話をしたのでありまするけれども。
このまま十勝地方で少雨傾向が続きますと輪作体系にも影響を及ぼしますし、またさらに、小豆なんかもことしは作付面積がふえました、石川委員御承知のとおり。そういった小豆に対してはまだ影響が出ていないというお話をお伺いをさせていただきましたけれども、もし仮にこのままの天候が続くとなりますと生育に影響が出かねないことも懸念をしておりましたので、さまざまな形で、例えば、被害が生じた場合には、減収量を確認した上で、ルールに従って共済金が支払われることになりますけれども、そういったことも考えなければならないなということも思いました。
またさらに、圃場の整備等々におきましても、これからまた、必要に応じて、現場の皆さんともいろいろとお話をお伺いしながら、そういったこともできますれば対応もしていきたい、こう思います。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
昨年は逆に長雨、低温で非常に困ったんですけれども、今回はなかなか雨が降らなかったということで。
一方で、干ばつの年に不作なしという言葉もありまして、今後、その基盤整備等も含めて、豊穣の秋を迎えられるように、しっかり支えるところは支えて、そしてそういった秋を迎えられるように祈っていきたいと思います。ありがとうございます。
次の質問に移りますけれども、国産の農林産物の六割は食品製造業者向けに出荷をされております。食品製造業者の業績が落ち込めば、当然、農家は売り先を失ってしまうことになります。そういった意味で、平成元年に制定されたこの法案ですけれども、さまざまな国際的な流れが変化をする中で、果たしてきた役割というのは非常に重要であると私も感じております。
一方、五年前に、前回、改正した後でありますけれども、TPP11、日豪EPA、日・EU・EPAといった大型の国際協定が発効されまして、国内の農林水産業界に与える影響はますます大きくなったというのが現状だと思います。
そこで、このような状況にありまして、政府は農林水産加工業の現状に対してどういった分析をされているのかということをお答えいただきたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
農産加工業は、地域における基幹的産業といたしまして、地域農業に対し安定的な販路を提供する、それから、地域の雇用、所得機会の確保等を通じ地域経済の活性化に大きく貢献していると認識しております。
少し数字を申し上げますと、例えば、特定農産加工業に関係する作物を生産する農家数は全国で百十九万戸ございまして、これは全農家の七五%に相当しております。また、特定農産加工業における従業員数というのは約十九万人でありまして、食品製造業全体の一五%を占めているということでございます。
特定農産加工業につきましては、今委員御指摘いただきましたように、TPP11あるいは日・EU・EPAなどの国際環境の変化によりまして、特定農産加工業者が生産する加工品の生産量が横ばいで推移する中で、輸入量は一貫して増加傾向にありますということで、依然として厳しい状況にあるものというふうに認識しているところでございます。
○石川(香)委員 ちょっと順番を変えますけれども、この法案、北海道に非常にゆかりのある作物が多いという話を最初させていただきましたけれども、実際に北海道の加工業者が地域の農産物を活用している事例というものを幾つか示していただきたいと思います。
○濱村大臣政務官 北海道の特定農産加工業者も、本法に基づいて、低利融資や事業所税の特例を活用して経営改善に取り組んできております。
例えば、乳製品製造事業者が、モッツァレラチーズの増産のため製造施設を改修し、生乳の調達量を年間二千トン増加させた事例がございますし、また、バレイショでん粉製造事業者が、製品の包装設備を導入し、バレイショの調達量を年間八千トン増加させた事例がございます。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
この四月一日からも追加業種というものがふえましたけれども、特定農産加工業として、パスタの製造業、それから菓子の製造業、これはチョコレートとかキャンディーなども含まれますけれども、砂糖の製造業も追加をされました。砂糖は非常に北海道にまたゆかりがありますが、これらの業種を追加した理由というものを初めに確認をさせていただきたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
本法の対象業種の基準につきましては、法律におきまして、農産加工品又はこれと競争関係にある農産加工品等の輸入に係る事情の著しい変化により、相当数の事業者の事業活動に支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められる業種であること、このように定められているところでございます。
前回、平成二十六年の法改正以降、新たに締結されました日・EU・EPA、それからTPP11の影響を勘案した結果、本年二月に農林水産省令を改正いたしまして、パスタ製造業、菓子製造業及び砂糖製造業を本法の対象業種に追加したところでございます。
これらの三業種のうち、パスタ製造業と菓子製造業につきましては、EU産の高い品質とブランド力を有する製品との競合にさらされまして、事業者の事業活動に影響が及ぶおそれがあること、また、砂糖製造業につきましては、安価な加糖調製品の輸入の増加により、国内産の砂糖の需要減少、価格低下が見込まれ、工場稼働率の低下など、事業者の事業活動に影響が及ぶおそれがあるということから、基準に合致するものと判断いたしまして、対象業種として追加したところでございます。
○石川(香)委員 いろいろな影響が国際貿易の中で見込まれるというのは、これまでも私も認識をしてきましたけれども、今回追加をしたチョコレート、ビスケット製造業、あと砂糖製造業というものについて、実際の活用は今後になるかと思いますけれども、今の時点で、政府としてこれらの業種についてどういった活用を期待をしているのかというところもお伺いをしたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
農産加工品の原料といたしまして国産農産物の利用を促すことは、地域農業の健全な発展を図る観点からも重要であるというふうに考えております。そのための本法に基づく計画の承認に当たりましても、地域の農産物の利用の促進又は地域の農産物の特色を生かした農産加工品の生産の促進に資するものであること、これを要件にしております。
今回追加いたしますパスタ製造業、菓子製造業、それから砂糖製造業につきましても、本法に基づく金融等の支援措置を通じまして、国産原料の利用が促進されるということを期待しているところでございます。
具体的に申し上げますと、例えば、パスタ製造業につきましては、国産の小麦を原料とする加工品の製造、菓子製造業につきましては、国産の小麦、乳製品を原料とする加工品の製造、砂糖製造業につきましても、沖縄や鹿児島の離島地域で生産されるサトウキビ、それから北海道で生産されるてん菜を原料とする加工品の製造など、地域の農業の健全な発展に資すると認められるものが支援対象になりますことから、国産原料の利用が促進されることを期待しているところでございます。
○石川(香)委員 地域農業の発展に非常に重要な役割を果たしているということで、具体的にてん菜ですとかビート、小麦のお話もありましたけれども、このあたりについては個別にまた後でお伺いをしたいと思いますが、パスタ、菓子製造業について、平成三十年度第二次補正予算に基づきまして、パスタ・菓子等の輸出強化支援事業というものが実施をされていると思います。
この事業では、国産原料を利用しました商品開発、レシピの開発などに取り組む加工業者に対して補助金が交付をされるということで、実際にどのような活用した例があるのかということを教えていただきたいんですが、商品開発、あとレシピということですので、具体的にちょっとお答えをいただきたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘ありましたように、農林水産省では、平成三十年度補正予算におきまして、パスタ、菓子製造業などの特定農産加工業が行う国産原料を使用した商品開発やレシピ開発等の輸出促進につながる取組を支援しております。
この支援措置を活用しまして、例えば、北海道産小豆を使用したハラール対応の和菓子をマレーシアで販売促進するという取組がございます。それから、国産米粉を活用したグルテンフリー対応の健康食メニュー、これをロシア向けに開発する取組などが行われているところでございます。
こうした国産品を原料とした加工食品には、さらなる輸出の拡大の可能性があると考えております。特定農産加工業者への支援を通じまして、輸出拡大の取組を推進してまいりたいというふうに考えております。
○石川(香)委員 健康志向が高まっているのは、世界でそういったトレンドがあるということで、さまざまな国に輸出拡大をできるようにということでこういった措置があるということでありましたけれども、海外というところで一つ質問をさせていただきますけれども、菓子製造業に関して、近年、アジアを中心に国産のキャンディーの輸出が非常に伸びているそうであります。二〇一八年の輸出額は前年と比べまして二〇・七%増の八十二億円ということで、輸出量も二〇・七%増の六千四百四十四トンということで、過去最高を更新したということでありました。
国産のキャンディーが外国の方々に人気だ、アジアを中心に人気だということは、私はちょっと、そうなんだということで、意外な気もしたんですけれども、この要因について、どんなことだと分析をされているでしょうか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘いただきましたように、国産キャンディーの輸出につきましては、おっしゃるとおりの数字でございます。
その要因につきまして、業界団体に問合せをいたしました。業界団体はいろいろ分析しておりまして、例えば、アジア地域におきまして、日本製品は他国の製品と比べブランド力を有している、こういう中で、キャンディー製造事業者を始めとする関係者の、輸出先国のニーズに合った商品提供をしている、また、コンビニ、ネット通販への販路開拓などが実を結んでいる、このようなことが原因じゃないかというふうに分析しております。
なお、外国人に人気のあるキャンディーを少し申し上げますと、もともと日本製品は安全、安心というふうに評価が高い中で、例えば清涼感のあるソフトキャンディー、それから果実味、抹茶味のグミですね、それから、特定の絵柄に色をつけた、外国人に珍しい組みあめ、こういうものが特に人気があるということでございました。
○石川(香)委員 抹茶などは、日本独特の風味がある、抹茶独特の風味があるということで、外国の方に非常に人気だというのは意外な気もしましたけれども、日本の、キャンディーも含めて、安全、安心というものがやはり最大の魅力の一つと感じていただいているのかなというふうに思います。
ちなみに、輸出先は香港が最多で、中国、韓国が多いということも調べているうちにわかりましたけれども、これは非常にうれしいニュースかなというふうに思います。
次に、小麦についてお伺いをしますけれども、この小麦、国産の小麦ブランドというものも多く誕生をしております。ハルユタカとかゆめちからとかいろいろあるんですけれども、パン業界ですとか製麺業界で非常に国産小麦の注目度が高まっています。十勝も、国産小麦を使ったパンを売っている地元のパン屋さん、たくさんありますけれども、やはり、パンは小麦が違うとこんなにおいしいのかと、本当にびっくりするぐらいおいしいわけでありまして、非常に国産の小麦というものの存在感が際立つのではないかなと思っています。
こういった品質の高い品種の存在が、地域を元気にする、生産振興としても大変重要な役割を果たすと感じていますが、農林水産省といたしまして、国産ブランドを使った生産振興というものでどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
小麦につきましては、畑作地帯にあっては輪作における基幹作物として、また、水田地帯にあっては水田を有効に活用できる作物として、食料自給率の向上を図る上で重要な作物でございます。
このため、農林水産省におきましては、小麦について、経営所得安定対策等を通じて生産農家の経営の安定を図りますとともに、収量性、加工適性にすぐれた新品種、省力作業機械の導入支援等により、生産性の向上を進めているところでございます。
こうした中、先生ただいま御指摘のとおり、近年、例えば北海道では、きたほなみや、ゆめちからなど、収量性、加工適性にすぐれた新品種が開発されてきております。大手製パン会社などから品種名を前面に出した商品が販売されるなど、需要が拡大するのとあわせて、産地における導入も進んできているところでございます。
また、北海道におきましては、輪作体系の適正化に向けて、小麦以外の輪作作物であるバレイショやてん菜などへの省力作業体系の導入が特に重要となっていることから、こうした作業体系の導入等に対しましても、平成三十年度補正予算により支援をしているところでございます。
農林水産省といたしましては、このような支援策を講じることで、小麦の生産振興と輪作体系の適正化に努めてまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
主産地の北海道では、小麦は輪作体系の中に組み込まれておりますので、需要の拡大に伴って小麦だけたくさん生産を拡大するということは難しいわけでありますけれども、ただ、外国産の価格競争とは一線を画して、国産というブランド化を確立していくということが非常に大事だと思いますので、ぜひ、国としてもいろいろな制度でしっかり支えていただきたいと思います。
続いて、輪作体系の中でまた重要な品目でありますビートについてもお伺いをさせていただきたいと思います。
小麦、てん菜、あと、豆、芋という輪作は、収量、品質を安定させるために不可欠なものでありますが、ビートは、ほかの輪作作物に比べて苗づくりでありましたり植付けということに非常に手間がかかりますことから、作付面積が年々減少している傾向にあります。最近では、直播栽培、あと、大型ハーベスターによる収穫をして省力化を図りながら、輪作の中でビートを維持していただいているということであります。
農業全体での課題でありますが、高齢化そして人手不足という中で、輪作体系の中で大事な品目であるビートをつくることに対して意欲を持てるような取組というものは今後必要になってくるのではないかと思いますけれども、ビートに対してしっかり意欲を持って農家の人がつくっていただけるように、国としてどんな支援に取り組んでいらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
○天羽政府参考人 ビートの生産振興について御質問をいただきました。
先生御指摘のとおりでございまして、てん菜は、苗づくりや植付け、収穫などにおきまして、畑作四品目の中で労働時間が長いなどのことによりまして、近年、作付が敬遠されて、作付面積が減少傾向にあるというふうに認識をしております。
他方、技術の向上などで単収なり糖度は上がってきておりまして、産糖量で見ますと、昨年、一昨年と六十万トンを超える水準で推移をしておるということでございます。
てん菜は、北海道畑作において輪作体系を構成する重要な作物でございまして、生産振興も重要な課題でございます。
このため、経営所得安定対策により生産農家の経営の安定を図りつつ、平成三十年度補正予算において措置いたしました畑作構造転換事業により、省力作業機械の導入、作業委託による適期作業の推進などに取り組んでおるところでございまして、てん菜生産の振興を図り、北海道畑作における輪作体系の適正化を図ってまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
ビートの生産が減りますと、北海道の中では、製糖工場という面で雇用ですとか稼働時間が短縮されるという問題もありますけれども、非常に経済的にも影響が出るという意味で、非常にビートの存在というのは大事であります。
輪作作物の偏りが生じますと、地力の低下でありましたり、病害虫のリスクがあるというのは承知だと思いますけれども、とはいえ、高齢化、人手不足ということで、しっかり支えていかなくてはいけないことだと思います。
病害虫につきましては、最近は、耐病性のすぐれた品種への転換でありましたり、あとは防除の取組などによって大規模な被害は少なくなっているということでありますし、あと、国が一四年に、農家に支払う交付金につきまして、基準となるビートの糖度を下げたということも非常に大きいと思います。
省力化ということも含めて、北海道のビートづくりが輪作体系の中でしっかりバランスが保てるように、あらゆる方向の支援をお願いをしたいと思います。
続きましては、食品製造業という業種についてお伺いをしたいと思います。
食品製造業で働いている方の中には、非正規労働者でありましたり、パートタイムの労働者の方が非常に多いという一面もあると思います。
人集めが年々厳しくなっている現状の中、作業の特性上、どうしても機械化が難しいという分野もありますので、こういった機械化が難しい業種も含まれると、簡単に、労働生産性がすぐにはアップしないということだと思います。この食品製造業は、労働生産性というところで見ますと、製造業の平均と比べますと、全体の五割程度にとどまるというデータもあるそうであります。
この労働生産性がすぐにはアップしにくい分野であるということと、それから人手不足、どう人員を確保していくのかということは非常に大きな課題になると思いますけれども、この食品製造業においての人手不足の課題についてどう対処していかれるかということについて、お伺いをしたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業が九九%を占めております食品製造業におきましては、操業継続に支障を来すなど深刻な人手不足の状況にありまして、今後五年間で七万三千人程度の人手不足が見込まれているところでございます。
このため、農林水産省では、食品製造業の人手不足の克服に向けまして、ロボット、AI、IoTなどの革新的な技術の活用実証、それから、専門家の工場診断や改善指導などの業務最適化の取組を通じました生産性の向上を支援をしているところでございます。
このような生産性向上、これは二万七千人程度不足分を圧縮できると見ているんですが、さらに、国内人材を追加的に一万二千人程度確保してもなお不足が見込まれる労働力につきまして、これは三万四千人程度でございますが、これにつきましては、特定技能外国人受入れによりまして対応することとしているところでございます。
農林水産省といたしましては、これらの取組によりまして、食品製造業の人手不足にしっかり対応してまいりたいというふうに考えております。
○石川(香)委員 ロボット、AI、あとは外国人の方々にもこの人手不足の時代に助けてもらうということもありましたけれども、これは食品製造業だけではなく、やはり農業の分野でも人が足りないというのは非常に深刻な問題でありまして、どうやって人を確保していくかというのはあらゆる知恵を絞らなくてはいけないわけであります。
外国人という選択肢、先日の法案の中でも、通過をいたしましたけれども、埋もれている人材といいますでしょうか、主婦の方であったり、子育てが一段落した方々ですとか、そういうことで働きたい人はたくさんいますので、仕事の内容とうまくマッチングをさせて、そういった人たちの力をかりていくということもあわせて必要ですけれども、そういった大きなシステムをつくるにはいろいろな連携が必要だと思いますので、そういうことも含めて今後議論をしていっていただければと思います。
次の質問に参りますけれども、特定農産加工業における国産の農産物の使用割合についてお伺いをしたいと思います。
この使用割合について、農林水産省として目指す目標というものを定めているかと思いますけれども、この目標の数値について、ちょっとお伺いをしたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
農林水産省は、本法の支援措置を受けた特定農産加工業者が、標準的な経過期間であります五年間で国産農産物の取扱量を現状よりも二割増加させることを目標としているところでございます。
本法に基づく支援を通じまして、引き続き、特定農産加工業の国産農産物の利用を促進いたしまして、地域農業の振興を図ってまいりたいというふうに考えております。
○石川(香)委員 いろいろ質問してまいりました。人手不足、それから、外国産との価格競争という波にさらされる中で、国産の農作物の生産、これが元気であるためにもこの法案は非常に大事だと思いますので、引き続き、しっかり国としても支えていただきたいと思います。
では、終わります。ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、長谷川嘉一君。
○長谷川委員 それでは、順次質問をさせていただきたいと思います。
一部の質問については大分重複する箇所があろうかと思いますが、御容赦いただきたいと思います。
最初に、トランプ大統領が、安倍総理とゴルフを終えた五月二十六日、日本との貿易交渉で大きな進展を得つつある、特に農業と牛肉の分野だということをツイッターで述べていらっしゃいます。これについて御質問をまずしておきたいというふうに思います。
先ほど、吉川農林水産大臣におかれましては、昨年九月のこの部分が全てであるというふうに御認識をされているというふうなことであるとすれば、この昨年九月の五項目の中の部分に、日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であるということ、こういうふうに述べられておりますけれども、これは今大臣も踏襲されているとおりでありますが、トランプ大統領の場合は、これをはるかに超えた、牛肉というところまで踏み込んだ発言が仮に非公式の場であってもされているということがございます。
資料配付はされていますでしょうか。これは新聞の記事でございます。恐縮でありますけれども、要約されているので、これの方が御説明しやすいので申し上げたいと思います。
これは二十八日に記事になったものでありますが、トランプ大統領は、安倍総理とのゴルフを終えた二十六日午後、日本との貿易交渉で大きな進展を得つつある、特に農業と牛肉の分野だ、多くの成果は七月の選挙後まで待つ、大きな数字を期待しているとツイッターで投稿した。さらに、その翌日でありますけれども、日米首脳会談の冒頭で、記者団を前に、八月にすばらしいことが発表されると語ったということでございました。
また、日本側は、八月合意については否定しており、この会談に立ち会った記者の部分については、安倍総理もこれには答えなかったということでございましたけれども、この記事が全てであるというふうには思いませんけれども、これについて、各党それぞれに所見が述べられております。
我が立憲民主党としては、畜産分野で大幅な譲歩を日本側がしたとしか受けとめられない、しかもそれを選挙後までは最終的なものにしないと発信されているということで、大きな課題を呈しておりますし、国民民主党においても、両国首脳間で密約的な約束を交わし、国民に明らかにするのが選挙後というのは国民をだます結果になる。また、共産党の方からも、日米首脳会談の共同声明記者会見に触れ、安倍総理は、八月に大きな発表をするのかという質問を受けて、答えることができなかったというふうに述べられておりますが、これについてのまず御所見をお伺いしたいと思います。
○大角政府参考人 お答え申し上げます。
先週土曜日の茂木大臣とライトハイザー通商代表との協議では、率直な意見交換が行われまして、双方の立場、考え方に対する理解を更に深めた、こういったものでございます。
交渉の状況につきましては、それぞれの立場が完全に一致しているということではございませんけれども、今後、そのギャップを埋めていくために、実務者レベルの協議の可能性も含め、更にお互い努力していくということでライトハイザー代表とも一致しているというものでございます。
トランプ大統領の発信、発言につきましては、日米交渉が双方にとって利益となるようできるだけ迅速に進めたいとの期待感を述べられたものと理解しているものでございます。
○長谷川委員 トランプ大統領の発言はかなり具体的に、牛肉とまで名称を出されていらっしゃるという背景を考えると、具体的な交渉がなかったというのは考えられません。
もう一度、この点について御所見をお聞かせください。
○大角政府参考人 先ほども申し上げたとおりでございますけれども、トランプ大統領の御発言につきましては、大統領の期待感を述べられたものと理解しているところでございます。
いずれにいたしましても、日米貿易交渉につきましては、昨年九月の共同声明の内容に沿って交渉を進めることについて、アメリカ側とも一致しているところでございます。昨年九月の共同声明では、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの内容が最大限とされているところでございます。
我が国といたしましては、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはございません。
○長谷川委員 ありがとうございました。
大変重要な部分ですけれども、全く私にはその回答として理解できない部分で、そこまでの御回答が限界なのかなというふうには思っております。
ただ、首脳会談のときに、これは記者会見です、八月に大きな発表をするのかという質問を受けて、安倍総理はお答えにならなかったということについてはどのようにお考えになられるか、教えてください。
○大角政府参考人 総理の御発言につきましては、なかなか、こちらでコメントというわけではございませんけれども、いずれにしましても、総理といたしましても、日米双方にとってウイン・ウインとなるような、こういった形で交渉を加速化していく、そういったような御認識であられるものと考えております。
○長谷川委員 ウイン・ウインの関係、極めて曖昧で、この時期にそれを持ち出すのは適当ではないと私は考えます。
その中で、トランプ大統領でありますが、私たちは貿易不均衡について話し合っている、恐らく八月に両国にとってすばらしいことが発表されると思うとまで言っている。にもかかわらず、今の御答弁は到底納得できるものではないということを申し上げ、この質問については終わります。
次の質問でありますけれども、本法の有効期限についてでございますが、五年間延長するということでありますが、これはもう平成元年からスタートしてずっと来ているわけでありますけれども、ここまで来るのであれば、なぜ恒久化しないのかなという素朴な疑問でございますが、これについて御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘いただきましたように、本法につきましては、昭和六十三年の日米協議に基づく牛肉、かんきつ、農産物十二品目に係る自由化等の国境措置の変更による農産加工品の輸入の増加等に対応するため、五年間の臨時措置法として、平成元年に制定されまして、それ以降、五回にわたり延長されてきているところでございます。
輸入に係る事情の変化への対応という制度の趣旨を考慮いたしますれば、有効期限を迎えるごとに、農産加工品の輸入をめぐる情勢の変化等を踏まえ、内容の拡充や存続の必要性を検討することが適当だというふうに考えられることから、今回も引き続きまして、時限立法とすることが適当だというふうに考えているところでございます。(発言する者あり)
○長谷川委員 今まさに委員の方から、臨時でなくてもできるんじゃないかというお話があったけれども、その辺について、もうちょっと明確にお答えできますか。恒久化すると支障があるんでしょうか。
○塩川政府参考人 これは一般論でございますが、臨時措置法とすることによりまして、臨時措置法でございますから、緊急度合いが高く、役割を終えれば終了するということが前提となっておりますから、例えば金融、税制支援措置につきまして、影響をこうむる業種に対する支援の必要性の高さが、臨時措置法だから高さが認められるということで、恒久化した場合の措置よりも、低金利で、かつ緩やかな要件での手厚い支援を講ずることができるものというふうに考えているところでございます。
○長谷川委員 それについては、ほかの方法をとっても私は十分可能であるというふうに、法整備をしておけば可能だと思いますよ。恒久化するという決定的な説明にはなっていないような気がいたしましたという所見だけは申し上げさせていただきたいと思います。できれば、これを恒久化した上で、更に法律の内容を充実するということを考えていかなければいけないのかな、三十年間もやってきて、ということを申し上げさせていただきます。
次でありますけれども、今回の支援措置を継続する理由についてはもう省きますけれども、大臣に御所見を承ってまいりたいと思います。
この五年間、本法を施行してさまざまな成果があったというふうに、先ほどの御答弁の中でもいただきました。これも含めて、大所高所の部分から、大臣に、本法における制度を実施した成果、効果について御所見をお聞かせいただければと思います。
○吉川国務大臣 本法によりまして融資を受けた特定農産加工業者は、経営改善に取り組みまして、例えば売上高や経常利益の改善など、具体的な効果を上げていると承知をいたしております。
平成三十年度に日本政策金融公庫が行った調査によりますと、平成二十四年度の融資先三十三事業者の五年後の売上高が四二%、経常利益は九三%増加をしております。また、農産加工品の原料であります国産農産物の取扱量は一九%増加をしておりまして、地域農業の振興に貢献していると存じております。さらに、従業員数でありますけれども、六三%増加をしておりまして、地元雇用の創出という点からも地域経済の発展に一定の役割を果たしている、このように承知をいたしております。
○長谷川委員 ありがとうございました。
大きな成果が得られているというふうにも感じました。ありがとうございました。
過去の、ちょっとさかのぼって、しつこいようでございますけれども、今法を施行してまた五年間というのに当たって、その更に以前の五年間の実績等についてお知らせいただければありがたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今大臣が御答弁された同じ調査で、平成三十年度に日本政策金融公庫が行った調査によりますと、その五年前の平成十九年度に融資をした二十二業者の十年後の売上高につきましては五一%、経常利益につきましては一一四%増加しておりまして、経営改善の効果が出ているものというふうに承知をしております。
○長谷川委員 わかりました。
今法改正によって、更にこれが加速されることを願ってやまない部分でございます。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
本年四月一日から対象業種が追加されたという、これは重複する部分でありますけれども、これらの業種が受ける影響と、追加したことによる、期待される効果であります。
これについては、平成三十一年二月に、日・EU・EPA交渉の結果、TPP関連政策大綱を踏まえた省令によって、特定農産加工業種にパスタ製造業、それから砂糖製造業、菓子製造業が追加され、さらに、対象業種の追加は省令の施行日である三十一年四月一日より開始されることになるが、対象業種が国境措置の変更により受ける影響、そして対象業種として追加される期待、効果について、ちょっとしつこいかもしれませんけれども、再度、私の立場から、お聞かせいただければと思います。
○小里副大臣 御指摘のような経緯によりまして対象業種に追加をされたところでありますが、まず、パスタ製造業及び菓子製造業につきましては、EU産の高い品質とブランド力を有する製品との競合にさらされ、事業者の事業活動に影響が及ぶおそれがあること、砂糖製造業につきましては、安価な加糖調製品の増加によりまして、国内産の砂糖の需要減少や価格低下、工場稼働率の低下など、事業者の事業活動に影響が及ぶおそれがあることから、対象業種として追加をしたものであります。
今回追加した菓子製造業、パスタ製造業及び砂糖製造業につきましては、本制度の活用によりまして、国産原料の活用が促進されることを期待をしております。
○長谷川委員 ありがとうございました。
先ほどの質問と重複しますので、これについてはここで終わらせていただき、次の七項目めに移らせていただきます。
本法の経営改善、承認の要件が五項目ほどあったと思いますが、知事の権限で。このうちの二項目と五項目、ちょっと細かいんですけれども、について触れさせていただきたいと思います。
この承認は都道府県知事が行うというふうにお聞きしておりますが、その五項目の要件の中に、二番目に挙げられているのが、地域農業の健全な発展に資するものであること、それから五項目め、最後の部分では、地域の農産物の利用の促進又は地域の農産物の特色を生かした農産加工品の生産の促進に資するものであることというふうになっております。
このことについて、日本の農林水産物、食品の強みを生かせる市場の創造、地産地消の推進、また、食料自給率の観点等の意味を考慮して、特定農産加工の原料も全て国産農産物に、逆に、することということを適合要件に加えるのは、ちょっと乱暴な言い方かもしれませんけれども、逆説的と言ってもいいかもしれませんけれども、全て国産農産物品にすることということは、余り、乱暴かと思いますが、これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
地域農業の健全な発展を図る観点から、特定農産加工業者に国産農産物の積極的な利用を促していくことは非常に重要だというふうに考えております。
このため、本法の経営改善計画の承認に当たりましては、今委員が御指摘いただきましたように、地域農業の健全な発展に資するものであることということに加えまして、地域の農産物の利用の促進又は地域の農産物の特色を生かした農産加工品の生産の促進に資するものであることを要件にしているところでございます。
支援を受ける特定農産加工業者が、今委員がおっしゃったように全て国産というのはなかなか難しいと思います、輸入農産物を利用することを排除することはできないと思いますが、現状以上に国産農産物を利用することになるものだというふうに考えているところでございます。
○長谷川委員 無理な御質問であったかもしれませんけれども、最大限という部分が常にあって、その目標に到達することを条件に、融資条件を加え、指導していただければよろしいかと思いますが。
そういった観点から、地域農業の健全な発展に資することの要件の適合性で、特に特定農産加工業における原料農産物の調達のあり方については、政府はどのような御所見をお持ちでしょうか。
○塩川政府参考人 若干繰り返しになりますが、調達のあり方ということでございますが、まさに、輸入を排除することはできませんが、基本的にこの要件に合致をしているということは、今以上に国産農産物を原料として利用していくことになるというふうに考えております。
○長谷川委員 ありがとうございました。
では、次の質問に移らせていただきます。
ワイン製造業についてということで、さきに、これは五月八日に亀井委員から御指摘、質問があった内容と重複いたしますが、大変重要な案件かと思いますので、これについてお聞きさせていただきたいと思います。
このワイン製造業について、業者からの要望が出てきた場合についてなんですけれども、今の段階では要件から外れているということでありましたけれども、主務官庁であるのが農水省でありますけれども、国税庁の方も来ていただいて、かなり前向きな御答弁があったかなと思います。
ここにその議事録がありますので、ちょっと私も読ませていただきましたけれども、塩川政府参考人から、一方、ワイン製造業につきましては、今回追加の要望はございませんでしたということで、本法の主務官庁である農林水産省の所管外の業種であるということがこの背景にあったのではないかというふうに思っております、農林水産省としては、原料となるブドウの安定供給の観点から、引き続き、国税庁と連携をいたしまして、ワイン製造業の振興のために適切な対応を図っていきたいというふうに思っておりますというふうに御答弁されておりますが、これについて、重複になりますけれども、もう一度御所見を賜れればと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘いただきましたように、ワイン製造業につきましては、基本的に国税庁が所管でございます。ただ、農林水産省としましても、原料となるブドウの安定供給という観点からは、引き続き、ワイン製造業を所管する国税庁と連携をいたしまして、ワイン製造業振興のために適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○長谷川委員 大変しつこい質問で恐縮ですけれども、塩川政府参考人がそういうふうにお答えになった後、亀井委員から、今ヨーロッパから大量に安いワインが入ってきて大変というときにはどのように法律に加えるんでしょうかということについて、塩川政府参考人は、法制度上は、要望があったといっても直ちにそれが対象業種になるということにはなかなかなりがたいというふうに考えているところでございますという御答弁をいただいているんですけれども、前向きな答弁の後になかなか難しいという御答弁があるんですけれども、農水省としては、この辺についてはどのようにお考えになられるでしょうか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
この間、亀井委員からも御指摘いただいたところでございまして、国税庁ともあの以降いろいろ調整をしてございまして、あと内閣法制局等、法制度を所管しているところとも調整をしながら、どのような対応ができるか、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○長谷川委員 大変しつこくて申しわけございません。これは伊佐大臣政務官の方から、法律の所管は農水省でございますが、団体からの要望があれば、農水省とも連携して、適切に対応していきたいというふうに思っておりますというふうに言い切っていらっしゃいます。いずれにしても、日本のワインに対する支援というものは、しっかりと財務省、また国税庁としても対応していきたいというふうに思っておりますというふうにお答えいただいているんですね。
ただ、この加工品に入れるに当たっては省庁の壁がございますよね。ですから、これが実態としてそういったものがあって、声として業界団体から上がってくるルートを開くのは今から心がけておかないとなかなか難しいのではないかなというふうに思いますけれども、この辺はいかがでしょうか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
そういうワイン事業者からのお声につきましては、所管が国税庁だからといって、我々の方でシャットアウトするのではなく、我々の方からも積極的に、そういう意見があるかどうかにつきましては聞き取っていきたいというふうに思っております。
○長谷川委員 そのように期待をしておりますけれども、できれば、ある程度そういった、附則で明文化したようなものがあると、より安心感がありますけれども。
なかなか、業界団体は、どこに陳情に行けばいいのか、そういった制度があるのかということそのものも知り得ない立場にありますので、ぜひ、知事の許認可権の範疇であるとすれば、県を通してでもいいですし、できれば農水省を通してでもいいですから、この辺の発信をしっかりやって、他省庁にまたがるような案件であってもこれに加えていく、恒久化しないわけですから、時限措置として加えていくということであれば、やっていただきたいと思います。
仮に、今回五年の延長がされて、年度途中でそういった機運が盛り上がって法改正というのは、実務的に可能になるんでしょうか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
仮のお話でございますが、ワイン製造業から対象業種として追加してほしい旨の要望があった場合につきましては、本法の要件を満たすかどうかにつきまして検討を加えた後に、先ほど申し上げた法制度上の問題も含めて検討した上で、例えば五年間の期中であっても指定することは可能であるというふうに考えております。
ただ、支援措置につきましては、税制改正要望あるいは公庫貸付条件の改定要求が必要でございますので、期中に指定ができても、支援措置の年度途中での追加というのは難しいというふうに考えております。
○長谷川委員 ちょっと今、私も一部、支援、途中、五年間の措置の間では難しいというお答えだったか、私の聞き違いだったと思いますけれども。もう一度、済みません。
○塩川政府参考人 済みません。御説明が悪くて済みません。
業種の指定というのは期中でも可能ですが、ただ、業種指定しても、それに伴ってついてくる支援措置、金融だとか税制については、これから、当然、所管する財務省だとか、あるいは公庫の方の改定が必要でございますので、それは期中からはできなくて、年度初めからという形になるということを申し上げたところでございます。
○長谷川委員 大変失礼いたしました。
年度途中ということでは無理だと。当然の話だと思います。ありがとうございました。
こういった部分も含めて、柔軟に対応して、時限措置としてやることであるとすれば、柔軟な対応というか、間口を、大臣からも、成果が上がっている、過去の事例についても成果が上がっていると。今後更に時代に即したものに仕上げていくためにも、そういった柔軟な対応をしていただくことをお願いを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。ありがとうございました。
次は、本年度における、地方税法に基づく事業所税の優遇措置のまず意義について、もう一つは、平成二十八年度に、所得税法の改正によって、本法に基づく生産設備の特別償却制度が廃止されておりますけれども、この措置の実績及び廃止による影響について、あわせてお聞かせいただければと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
二つ御質問があったと思います。
一つは、事業所税につきましては、事業者が法に基づき作成した経営改善計画に従って事業を実施した場合に、生産施設に係る事業所税を四分の一減額するというものでございまして、この利用実績は、実績が公表されております二十三年度から二十九年度までで六百六十八件となっております。
また、これの効果でございますが、適用五年間の決算データが確認できる事業者で見ますと、売上高は八割の事業者で増加、償却前利益も八割の事業者で増加ということで、一定の効果があったというふうに認識しているところでございます。
それからもう一つ、二十七年度をもって廃止された特定農産加工品生産施設等の特別償却でございますが、これはもともと、経営改善計画に従って機械や装置を取得した場合に三〇%の特別償却ができるというものでございました。この利用実績でございますが、公表されております二十三年度から二十七年度までで四件というふうになっております。
これがなぜ廃止をされたかと申しますと、中小企業投資促進税制というより有利なメニューが充実したことから、利用の減少が見込まれたことから廃止をされたということでございます。
○長谷川委員 わかりました。御答弁ありがとうございました。
次の質問に移らせていただきます。
ちょっとこの範疇から外れますけれども、御了解いただきたいと思いますが、ジビエの問題について、我が党の堀越委員からもちょっと指摘がありましたけれども、これについて、ジビエの消費拡大についてお聞かせいただきたいと思います。
これについては資料が細かく出ておりまして、令和元年の五月の資料等によりますと、全国でジビエの処理施設数が五百九十カ所もある。しかも、これが急速に拡大しているというふうなことが一つにはあるようであります。
ただ、その中でもまだまだという部分があるのは、このジビエの消費ですね。消費について拝見すると、鹿、イノシシの利用、全頭が百十二万頭というふうな形で捕獲数がありますけれども、実際、この利用頭数は九万二千四百四十四頭ということで、全体の利用率は八%というふうな形になっております。
本来でしたら、猟師さんが血眼になって山野を駆けめぐって狩猟をしていた時代もあったものでありますけれども、動物たちもなかなか浮かばれないというふうなことで、ほとんどが廃棄というふうなことになってしまっておりますが、このジビエの消費拡大についての現在の政策をお聞かせいただければと思います。
○室本政府参考人 有害鳥獣につきましては、先ほど議員から御指摘あったとおり、そのほとんどが埋設なり焼却といった形で処理をされている。こういう中で、ジビエ利用を推進し、農村地域の所得向上につなげていくことは、地域の活性化の観点からも非常に重要であると認識してございます。
農水省におきましては、安全で良質なジビエの利用拡大を図り、ジビエ利用量を平成二十八年度の一千二百八十三トンから令和元年度までに倍増させるという政府目標の達成に向けまして、全国十七カ所のジビエ利用モデル地区を中心に、ビジネスとして持続できる、安全で良質なジビエの安定供給に向けた処理加工施設の整備、ジビエ利用に係る衛生管理の徹底を図るため、国産ジビエ認証取得の促進、そして、全国的な需要拡大のための飲食業者によるジビエフェアの開催などのプロモーションの強化といったことに交付金を使いまして、重点的に取り組んでいるということでございます。
今後とも、地域の実情に応じた鳥獣対策とともに、ジビエ利用拡大の取組につきまして、関係省庁と緊密に連携しながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
○長谷川委員 このモデル事業と二倍というのは大変すばらしい数字かなというふうに思っております。ぜひこれを大いに推進して、死体が浮かばれるような対応を我々も全力を挙げてしていかなければいけない。鳥獣害という、害獣、害を及ぼす動物というふうに扱われておりますけれども、もともと自然の中で生息して、人間が生態系をいじったものですから、そこにお互いに利害が生まれてしまったということでありますから、大所高所からこの辺についてはまた議論を進めていければと思っております。
資料としてお渡ししているものの中で、モデル十七地区については、東北はゼロ県、それから関東圏でもゼロ県というふうな形でこの表面にありますけれども、この理由を教えてください。
○室本政府参考人 委員の御指摘で、東北と関東がゼロだということでございますが、東北については、もともと野生鳥獣というのがなかなか北進しにくいという状況の中で、ジビエ利用の文化というのが定着がおくれているということもございまして、このモデル地区の指定が行われていないということでございますが、近年、かなり、秋田とか岩手とかそういったところを含めまして、野生鳥獣が北進しているということもございまして、今、私どもも、積極的にそのモデル地区の指定について勧奨しているというふうなところでございます。
関東についても、これは非常に、鳥獣害というのは元来、先ほど申し上げたとおり、西日本中心に被害があったということでございまして、これについても、長野を除いては、なかなかおくれているという状況でございます。
○長谷川委員 ありがとうございました。
この下の表とちょっと対比してみると、今回の福島原発の事故によって、現在、野生鳥獣の出荷制限状況ということでありまして、東北のほとんど、それから関東圏では、千葉も含めて、群馬も含めて、また新潟等を含めて対象となっております。
また、捕獲したイノシシでありますけれども、これは、秋田県の湯沢市でも放射性セシウムが検出されている。また、近年でも、秩父市においても検出をされている。
放射性セシウム、半減期が三十年と言われておりますけれども、この辺の影響が大きく関与していることは否めない事実でありますけれども、この辺の指定解除の予測というか見込みというか、こういったものがあるかどうか教えていただきたいと思います。
○室本政府参考人 今のところ、捕獲した個体それぞれに、基準値を超えているかどうかという検査を各県単位でやっておりまして、その状況を勘案すれば、一斉に解除というのは現在のところ考えにくいのではないかというように思っております。
現在、各県単位で、これは、原子力災害対策本部でガイドラインというのをつくって、それに基づきまして、基準値を超過しているかどうかというのを一つの個体ずつ検査を行い、基準値を超えていなければ出荷できる、そういうスキームがございますので、そのスキームにのっとって解除を積極的に進めていく、解除といいますか出荷を進めていくといった県がございます。
ちなみに、栃木県、茨城県、千葉県、このイノシシ肉、宮城、長野の鹿肉、山形の熊肉、こういったところは、出荷制限の一部解除によりまして、全頭検査を行った上で出荷が行われているというような状況でございます。
○長谷川委員 時間になりますので終わりたいと思いますけれども、私は、群馬県太田市という、関東平野のつけ根の部分で、簡単な平野部なんですね。丘陵がわずかにあって、イノシシなんて全くいなかったところで、年間四百頭捕獲されて全頭が処分ということがずっと続いていて、何なのかわからなかったんですけれども、この原因が今回の委員会のこの部分でわかってまいりましたけれども、放射線の影響の大きさと、また、その人体に与える影響を考えたときに、我々もそのありようをしっかりと認識して、原子力政策も含めて、食の安全も含めて、人類の生存も含めて考えなければいけないのかなという所見を述べさせていただいて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
○伊東委員長代理 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。
特定農産加工業経営改善臨時措置法についての審議ということでございますが、この審議に入らせていただく前に、大きくは二つの別のことを少し審議させていただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
一つは、大和堆における北朝鮮を中心とした違法操業問題、そして一つは、先ほどからも何度もお話になっています日米貿易通商交渉についてということでございますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、まず日本海における違法操業問題についてお伺いいたしたいと思います。
先週の日曜日も、私の地元でありますところで、イカ釣り船がたくさんある、日本海有数の漁港と言ってもいいです、石川県能登町の小木というところのイカす会というお祭りに行ってきました。数年前に復活をして、数年間は中断をしていたんですけれども、そのお祭りに参加をして、実際には、イカ釣り漁船に乗ったりとか、一本釣りの体験をしたりとか、つかみ取りをしたりとか、凍らせたイカの箱を持って競争するとか、地域が本当にイカと一体化して今まで進んできたと言ってもいいと思います。
実際には、今度の土曜日、日曜日、六月の一日と二日に大量に船が出発をいたします。この船が出る前にお祭りをするというそもそもの趣旨なんですけれども、昨年も、このお祭りにも行きましたし、見送りのところも、何隻か私、見送りに行きましたけれども、やはり家族の皆様の思いとすれば、本当に戦場に向かうんだなという、普通に行ってらっしゃいと言うのとは違う、すごく厳しい感情というものを私も共有をいたしました。
そして、漁期が終わって冬になって、そして今、再び春になってということでございますが、今の現状について、日本海、大和堆を中心としたEEZ、日本の権益の中において、今どういう状況になっているのか。また、きょうは海上保安庁さんはお呼びはしていないですけれども、水産庁さんとしてどういう体制で臨もうとしているのか、現状と今後の方針ということで教えてください。
○長谷政府参考人 お答え申し上げます。
水産庁では、我が国イカ釣り漁業の漁期が始まります前の五月から漁業取締り船を重点的に配備して、対応を開始しております。
これは年初からの累積の数字になりますけれども、五月二十四日現在、延べ三十四隻の北朝鮮漁船に対して退去警告を実施いたしまして、そのうち延べ六隻に対して放水を実施したところでございます。
今漁期も海上保安庁さんと連携してしっかりと取り組みたいというふうに考えております。
○近藤(和)委員 去年よりもやや早いのかなという思いがいたしますが、実際には、イカも生き物ですから、その時々で早い、遅いというのもありますので何とも言えない部分がありますけれども、まず、早目に動いていただいたことに感謝を申し上げたいというふうに思います。
そしてなんですけれども、さはさりながら、去年、おととしの動きを見ていますと、だんだん船の数がふえてきている。もちろん、それに伴って、警告をする船、しなければいけない船、そして放水をした船、どんどん最高の数を更新をしてきている、これは紛れもない事実でございます。
そして昨年では、過去最低の収獲量ということでもございました。頑張っている、けれども、現状は残念ながら厳しいということは、共通の認識として持たなくてはいけないんだろうなと感じています。
実際には、私もこの委員会で、立入検査、拿捕、どうすればできるのかということも含めて、例えば、装備を充実すべきだとか、また、国際的な枠組みの中に北朝鮮に入ってもらうように他国に呼びかけるべきだとか、また、漁師さん、そして加工業者に対しては支援をしていくべきだということも含めて、さまざま御提案をしてきているわけですけれども、なかなか、実際は数字としては厳しい、そういう前提でこの季節を迎えなくてはいけないのかなと感じています。
そして改めて、実は私、昨年、漁師さんに言われまして、スマホで、LINEで、船のデータ、データというか、レーダーの丸印で、何隻、どんな船がいるかという、それを写真で送っていただいたんです。その上で、これだけ厳しいんだよ、データで見てもわかると思うけれども、これを肉眼で見たらとんでもないということはわかってもらえると思うということも伺いました。
実は私、昨年、何とか現場へ行けないかということで四方八方手を尽くしましたが、民間の方も含めていろいろお願いをして、幾らぐらいかかるのかとか、そういったこともやろうとしたんですけれども、結果として、現場を見る、皆さんの目でどのように恐怖感を感じておられるのかということを私は感じることができませんでした。
そこでなんですが、大臣、先日水産庁に確認をいたしましたら、私は、守秘義務があるから、一国会議員だと水産庁の船に乗せてもらえることはできないということは伺いました。大臣であれば行くことができるのかなと。特に農水省のトップでございますから、大臣の目で確認をしていただければ、私は、いかに大変かということを、日本全国でもって何とかしていこうという機運を高めることができると思うんですが、いかがでしょうか。
○吉川国務大臣 日本海の大和堆周辺の我が国排他的経済水域における北朝鮮の漁船等による操業につきましては、これはもう違法であるのみならず、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなっておりますので、私は極めて問題だと考えております。
近藤委員とお考えを共有をいたしておるところでございますが、このため、現場の状況につきましては、水産庁から適時に報告を受けております。
また、私は、昨年の十二月に、大和堆水域において北朝鮮漁船等の退去警告を行っている漁業取締り船の白竜丸を視察をさせていただきました。船長を始めといたしまして、漁業監督官から現場の対応状況をつぶさに聞かせてもいただきました。
さらに、ことしに入りましてから、漁業取締本部を一月と三月、二回開催をいたしておりまして、その折には、大和堆における取締り船の船長を始め関係者の皆さんにもお集まりいただきまして、安全操業等々についての議論も深めさせていただいておりますし、いろいろな御意見も頂戴をいたしております。
今申し上げましたように、あらゆる機会を捉えて現場の状況把握に努めなければなりませんし、その状況を踏まえて必要な指示を行って、違法操業に対して毅然とした対応を行ってまいりたいと存じます。
また、水産庁から話を聞きますと、もし仮に私がその取締り船に乗船をして視察をするということになりますと、三日、四日、五日ぐらいかかるんだそうであります。国会のお許しをいただけるかどうかわかりませんし、また、私が行くことによって指揮に若干の影響があるとか、そういったことがあってもいけませんので、委員の御指摘ではありまするけれども、慎重にここは対応してまいりたいと存じます。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
白竜丸の視察、また、現場の皆様からさまざまな御意見を伺ったということで、その姿勢に対して敬意を表したいというふうに思います。そして、三日から五日ぐらいかかるということで、そこまで計算をしていただきまして、ありがとうございます。
大臣は大変お忙しいと思うんですよね、実際には。私は一国会議員で、大臣よりは自由にできる時間がたくさんございます。ですから、何らかの形で指名していただいて、特殊義務契約みたいなものを結んで送っていただければ、やはり、むしろ漁師さんの士気として、大臣が来たというのが一番いいんですけれども、現職の国会議員も来た、それこそ波をかぶって、イカのにおいも餌のにおいも嗅いで、これだけ真剣に考えているというふうには私は思っていただけると思うので、ぜひともこういうことも御検討いただければと思います。あえて答えは求めません。
水産庁さん、ありがとうございます。
それでは、次の質問に参ります。
日米首脳会談についての質問です。外務省さんにもお越しをいただいています。
トランプ大統領が就任してもう少しで二年半ということになるんでしょうか。世界はトランプを中心に回っている、よくも悪くも振り回されていると言ってもいいと思います。パリ協定しかり、NAFTAしかり、イランの核合意しかり、そしてTPPについても同様です。
これだけもう振り回されているという中で、じゃ、日本はどうなんですかというところは、やはり私たちは、日本は日本としての両足を、しっかりと根っこを張っていく必要があるんだろうというふうに思います。
その点では、先ほどから各委員が、今回のトランプ訪日についてさまざまな質問がありましたが、実際には、役人の方には酷な質問、つらいんだろうな、トランプさんが来ることに対してありとあらゆることを想定して、トランプさんが去った後の国会は大変だぞというような準備もされてきたのではないかなというふうに感じています。
そして、注目しなければいけないのは、まずは、一つは中身、どういった中身であるのか。
そして、もう一つの注目点は、時期的な問題ですね。いつ合意したいといったゴールを定めてくるのかという注目点。
そして、さらには、今までのこの委員会の中でも何度も質疑になっていますけれども、日本とアメリカが、貿易交渉なのか物品交渉なのかという表現の違いは別として、合意に至るということなのであれば、じゃ、TPP11へ呼びかけていくというそもそもの日本の立場はどうだったのか、実際には、これはセーフガード等についての関連ということにはなるんですけれども。
こういったことも含めて、いろいろな想定ということを、私も頭の体操で、トランプさんが来られてどういったことを言っていくのかなということを注目をしていました。
特に、今回は、前々回のこの委員会でも質問させていただきましたが、ゴールデンウイークに入る前に、突然、五月に合意したいと言い出して、そして実際には、五月なんて無理だ、日本の立場からすると。しかも、もし日本が大幅に譲るような内容であれば、七月に参議院選挙があるからその後にということになるんじゃないですか、そこで何か譲っちゃいけませんよということも含めて質問させていただきましたが、案の定、八月にずらすということで、トランプさんはその件を言明をいたしました。
実際には、「ジュライ エレクションズ」、七月の選挙という表現は、これはツイッターでいたしました。そして、さらには、翌日、二十七日の日米首脳会談の後の会見でも八月ということを言葉で出しましたけれども、そのときには安倍総理の目は泳いでいた、これは皆さんも御記憶に新しいかというふうに思います。
振り返れば、昨年の九月、ちょっと話はそれますけれども、プーチン大統領との経済のシンポジウムの中で、条件をつけずにと言われたことで当時の安倍総理の目が泳いでいましたが、そのときと同じような印象を受けたというのが正直です。ああ、八月と言われてしまったというような、そういう印象を受けたんです。
そして、今回は、この件も問いたいんですけれども、まず、先に違和感を持ったのがツイッターの中身です。お手元に資料を配付させていただいていますけれども、この上段のところで、「アグリカルチャー アンド ビーフ」という表現をいたしました。何が強い違和感を感じたかといいますと、今までは、農産品だ、自動車だという言い方をしていたんですよね。でも、「ビーフ」という表現、今までなかったんじゃないかと思うんです。
それで、外務省さんに確認いたしますが、少なくとも、昨年の九月の共同声明から、トランプ大統領が、日本に向けての、「ビーフ」という特出しをした表現というのは今まであったでしょうか。
○辻大臣政務官 委員の質問にお答えします。
トランプ大統領は会見やツイッターで何度か牛肉には言及していると承知しておりますが、トランプ大統領の対外発信の逐一について、政府としてコメントすることは控えさせていただきたいと思います。
〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕
○近藤(和)委員 まず、逐一反応していられない、把握していないということであれば、トランプは交渉上手ということで鳴らしていますから、いろいろなところでしゃべっている、いろいろなところで情報発信をしているということは、手のうちをさらしてくれているということですから、少なくともそれは、把握するのは政府の義務だというふうに私は思います。そこは手を抜かないでいただきたいと思っています。
そして、更に申し上げれば、ツイッター、二月まで振り返ることができました。調べました。ビーフという言葉、ポークという言葉、全く入っていませんでした。初めてなんですよ、少なくともツイッターにおいて日本に対してビーフという言葉を言ってきたのは。
ですから、明らかに、このツイッターを載せたときには、ビーフということについて、安倍総理とトランプさんと、青木さんもいらっしゃったと伺っていますけれども、青木プロですね、その中でビーフという言葉が飛び交っていたことは恐らく間違いないんだろうなというふうに思います。そこは強く危機感を持たなくてはいけません。
そして、しかもなんですけれども、このゴルフが終わったときに、昼食ですよね、ダブルチーズバーガー、米国産の。これはメッセージじゃないかと思うんですよ。どうぞ、お肉を食べましょう、日本の地においてアメリカの肉を食べましょうよという言葉が、もう日本は大幅に譲ってしまっているなと私は感じました。
もし私が交渉当事者、内閣総理大臣であったとするのであれば、ダブルチーズバーガーなんて出さないで、チーズバーガーを二個出して、一つは米国産、一つは日本国産を出して、どっちがおいしいですかと、総理とトランプさんが仲がいいんだったら、私はそれぐらいやってもいいと思いますよ。
もう最初から譲っているという姿勢はすごく残念だなと。笑い話ですけれども、これは、国産牛をつくられている方にとってみれば笑えないというふうに思うので、ここも非常に残念だなというふうに感じています。
そして、交渉については、やはり言った者勝ち、言うことによって自分の権益の主張範囲を広げていくということもありますから、今まで少なくともアグリカルチャーというところから、ビーフというところに明らかに踏み込んできたということは、強く認識をしなければいけないと思っています。
特に、今、私たちのこの農林水産委員会の中では何度も議題になっています、TPP11の発効によって少なくともアメリカの牛肉は一〇%、関税において劣後している、四月からは更にその差が広がってきているということですから、少なくとも、今回トランプ氏がビーフと言った、そしてアメリカは焦っている、この部分について、牛肉の部分については何らかの進展があったかもしれない、その進展があったのであれば、それはあり得ないということは主張していくべきだというふうに思っています。
今わかっていることは、TPPの範囲内ということでいけば、十六年たったら九%にまで下げるという約束ですよね、アメリカは全く違いますけれども。そして、先ほどからの話もありましたが、過去の経済連携を最大限とするということの中に、そもそもTPPも入っているわけじゃないですか。なのに、TPPは関係ないということを言っていることが、私はそれは全く違うのではないかなというふうにも思いますし、TPPは関係ないという姿勢であるのであれば、この十六年たって九%というところをもっともっと切り下げていく可能性、完全撤廃という形にするのか、若しくは早いうちに三七・五のところをもっとぎゅっと下げていくかということが、場合によっては八月の段階で出てしまったら、誰がどう責任を持つんでしょうか、畜産農家の方に言いわけをするんでしょうか。
この点について、大臣、いかがお考えでしょうか。
○吉川国務大臣 トランプ大統領のツイッターでの発信については私も承知をいたしているのでありまするけれども、政府要人の発信内容の一つ一つについてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、その上であえて申し上げますと、日米交渉につきましては、昨年九月の日米共同声明において、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した内容が最大限との日本の立場が日米首脳間で文書でこれは確認をされておりまして、これ以上に私は重たいものはないと承知をいたしております。
日米交渉というのは、もちろんこれは政府一体となって取り組むこととなりますけれども、農林水産大臣としての私の責務でありますが、これは、日米共同声明を大前提に、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することでございまして、このために最大限の努力をしていく考えでございまして、それは全く変わりませんので、しっかり対応します。
○近藤(和)委員 大臣の姿勢はぜひとも守っていただきたいと思います。
そして、その上でなんですけれども、先ほどからたびたび繰り返される言葉、いずれにいたしましても九月の共同声明の範囲を超えないということは、もう何度も何度も繰り返されて答弁をしていただいております。けれども、当のトランプ大統領が、この共同声明の中では、当然、過去の経済連携というのは、私たち日本の立場の中ではTPP11も入っているわけですよね。共同声明の中では、そこは超えないという合意をしているわけじゃないですか、文書になっているわけじゃないですか。でも、その上で、TPPは関係ないんだという表現をしていることは、私は、もうトランプさんは、文書は交わしたけれども、僕の心の中はもっと進んでいるんだよということを、それこそ一線を越え始めてきているんじゃないかなと思っています。
そこで、大臣、お願いをしたいんですけれども、ぜひとも、トランプ大統領若しくはアメリカの姿勢として、共同宣言の中身がそのまま守られているということをアメリカに確認をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○吉川国務大臣 御指摘でありまするけれども、確認等々につきましては、実際の交渉をしておりますTPP対策本部ということにもなりますでしょうし、あるいはまた外務省ということにもなろうかと思います。
何回も繰り返すようで恐縮でありますけれども、私の、先ほど申し上げましたように、責務に関しましては、我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することでありますので、このために最大限の努力をしていく、何度も申し上げておりまするけれども、この考えをしっかりと通してまいりたいと思います。
○近藤(和)委員 実際には内閣官房、外務省ということがあるんでしょうけれども、同じような言葉しか返ってきていないので、私は、閣僚である、閣僚の一人である吉川大臣に、内閣の一人として、そこは総理に直接言える立場だと思うんです。そして、安倍さんとトランプさんが本当に仲のいいお友達なのであれば、共同宣言、そのとおりだよねという確認をしてくださいと言ってほしいんです。
もう一度お願いします。
○吉川国務大臣 再三の御指摘でありまするけれども、私が申し上げられますのは、共同声明において、これは日米首脳間で文書で確認をされておりますので、これ以上重たいものはないと承知をいたしておりますので、この日米共同声明の首脳間の確認をされた文書のとおりに、交渉をしっかり政府一丸となって行っていく、このことが全てだと私は思っております。
○近藤(和)委員 畜産農家の方の立場としても、そして、私たち一国民としての立場としても、中身はわかりません、今のところは。
そして、共同声明は、日本は守っているけれども、当のトップのトランプさんは、そうじゃない、もう踏み込んだ、どんどんどんどん、決めたところ、敷地内を土足で入ってきているというような状態だと私は思っています。
そして、時期が八月以降、参議院選挙、若しくは衆参ダブルと言われていますけれども、国民にそれがいいかわからないという後になって、結果が出ました、いや、共同声明から踏み込んだところに行かれてしまいました、でも、日本はアメリカとの同盟関係を大事にしますからそれはやらざるを得ませんとなって、そして、例えば、先ほど申し上げましたように、ビーフについてTPPよりも更に更に踏み込んだものになってしまった場合には、仮定の話に答えられませんという答えは要らないので、そうなったときに、内閣の一員として、日本の農林水産を統べる、責任を持つ、守り神である農水大臣はどのような姿勢で臨まれるんでしょうか。内閣の中でです。
○吉川国務大臣 守り神と近藤先生から言われまして大変恐縮に存じますけれども、私の立場といたしましては、再三申し上げておりますとおりに、共同声明というのは文書で確認をされておりますので、もう本当にこれ以上重たいものはないと思っております。
そのために、私の責務としまして、この共同声明を大前提に、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置というものを確保しなければなりませんし、確保することであると考えておりまして、そのための努力というものを最大限していく、このことをもってしっかりと日本の農業も守っていきたい、こう思っております。
○近藤(和)委員 もし意図せざるような状況になった場合には、ぜひとも、辞表をたたきつけるぐらいの思いで、今後のこの交渉、しっかりと総理に声をかけていっていただければというふうに思います。
もう最後にいたしたいと思いますけれども、アメリカとの交渉については、やはり全てにおいて受け身過ぎるというところはすごく心配をしています。
なぜ総理始め交渉関係者の皆さんから、日本はこれをかち取るために今アメリカとの交渉をしているんだということを言えないのか、若しくは、アメリカにはTPPのところに戻ってきてもらう努力をしているんだ、そういう姿勢が全然見えないのが極めて残念で、もう守りばかりです。
例えば、自動車でいけば、追加関税させないとか、総量規制させないとか、為替については向こうの要求はのまないとか、向こうの思いをこちらは何々しないということばかりなんですよね。国益をかち取るという姿勢でぜひとも動いていただきたいなというふうにも思います。
そして、済みません、本当は法案の質疑だったんですけれども、かなりの時間をこの部分に費やしましたが、日本とアメリカの間でこれだけ大きな動きがございました。そして、北朝鮮に対しての条件をつけずにという、ロシアのプーチン大統領の発言と少しかぶるんですけれども、それはくしくも安倍総理が条件をつけずに金氏と会いたいといったことも言っていましたが、日本を取り巻く環境が大きく変わってきている中で、日本が主役ということも含めて、ぜひとも、今、予算委員会集中審議を求めていますので、この委員会からでも予算委員会を開くべきだということを主張したいと思います。
そして、もう一つ。
当委員会でも、日米の貿易通商交渉について集中審議を求めたいと思います。委員長。
○武藤委員長 理事会にて協議いたします。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
それでは、本題の質問に入りたいと思います。
この特定農産加工資金の活用について、現状をお伺いをいたします。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
平成元年の制度創設時から平成二十九年度までの間に、特定農産加工資金の新規の利用先の数が九百十一件となっております。
また、これが全体に占める割合でございますが、この利用先数を平成二十八年度の特定農産加工業の総工場数五千六百五十四カ所で割り算をしますと、一六%という状況でございます。
○近藤(和)委員 この件数等についてですけれども、当初想定していた数字だったのか、いや、これは順調そのものなんだということについての把握というか、いかがでしょうか。
○塩川政府参考人 この法制度の創設時にどの程度の利用が見込まれるかという、なかなか我々も想定をしていなかったものですから、今委員御指摘のように、創設時に比べてどうかというのは、なかなか一概にお答えできる状況ではございません。
○近藤(和)委員 この一〇%台半ばというのは、何となく、イメージだと、もうちょっとあってもいいのかなという思いは持っているんです。
そして、その上で質問いたしたいと思います。
特に、今回資料を拝見させていただきますと、ここ数年間の件数と融資額を見ると、二十九年度で一件当たり平均で五億円の融資額、そして、二十八年度では一件当たり六億円、二十七年度では七億円です。
皆様も御想像していただければと思うんですけれども、地方の感覚では、数億円も借りるというのは、ある程度大きな企業なのではないかなと思うんですね。
中小企業のそもそもの基準というのは、業態によって違いますけれども、二百人、三百人だということでございます。でも、地方の感覚で、中小企業、小規模事業者ということであれば、家族内であったり、数人、十人、二十人といったところだと思います。
そこからしてみれば、何億借りるなんてそもそも考えとしてなくて、いや、五百万円の機械を入れかえたいんだとか、一千万、二千万勇気を出してとか、こういったところが多いと思うんですが、実際には、この融資の実態、どういったところにどういった単位で行っているのか。大きいところは結構なので、小さなところはどういったところまで融資ができているのかということを政策金融公庫さんに伺います。
○野崎政府参考人 お答え申し上げます。
まず、直近の融資実績でございますけれども、先ほど議員の方からありましたとおり、平成二十九年度の融資実績、件数は六十九件、金額が三百七十五億ということで、一件当たり五億四千万円でございます。ただし、そのうち、融資額が一億に満たない、数百万、数千万といった案件が二十五件ございます。六十九件に対しまして四割の割合になってございます。
なお、小規模事業者に対します具体的な融資事例として、二つ御紹介させていただきます。
一つは、東海地方のトマト加工製造業者、ソースの調製品をつくっている会社ですけれども、こちらが、地元原産を主とした国産野菜にこだわった商品、これを製造しておりまして、受注が非常にふえたということで、受注増に伴う設備増強を計画して、公庫が必要な設備資金三百七十万を融資させていただいております。この業者につきましては、売上げが一億程度、従業員も十数名ということでございます。
もう一方ですけれども、四国のパン製造業者ですけれども、地元の小麦粉製粉業者と共同で、地元産の小麦を使った健康食品、低糖質パンなんですけれども、これを新しく商品開発したものですから、その製造のための製造機械の導入を計画して、公庫は、必要な設備資金四百八十万を融資してございます。こちらも、売上げ一億円台で、従業員十数名の企業でございます。
今後とも、制度の趣旨にのっとり、中小・小規模企業である特定農産加工業者に対しまして、新たな設備投資や経営改善への取組に対し支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
三百七十万円や四百八十万円の融資もしっかりと行っているということを確認できまして、ありがとうございます。
実際には、小さな規模の会社の方がやはり資金を借りるニーズは高いと思っています。先ほど一四%という話もありましたが、全体の事業者また工場の数も含めて分母はかなりたくさんありますので、こういった百万、二百万単位でお金が貸せるような先がもっともっとふえていけば平均ももっともっと下がると思いますが、こちらに対しての周知が今どのような形で行われているか、教えてください。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘いただきましたように、本制度をより多くの事業者の方に活用していただきまして、特定農産加工業者の経営改善を進めていくということは非常に大事だと思っておりますが、そのためには、制度の普及啓発が非常に重要だというふうな認識をしているところでございます。
これらの観点から、農林水産省では、ホームページ、また食品産業センターなどを通じた各食品業界向けの普及啓発、それから地方農政局、都道府県等における農産加工業者からの相談対応などに努めているところでございます。
また、日本政策金融公庫の方では、企業訪問、それからホームページへの掲載、パンフレットの配布などにより制度の周知をしているところでございます。
本制度に関する情報を確実に事業者の方々に届けられるように、今後は、これらに加えまして、商工会議所も通じまして普及啓発に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
商工会、そして商工会議所、両方ということですね。(塩川政府参考人「はい」と呼ぶ)
今までは取り組んでいなかったということで、これからどんどん取り組んでいただいて、件数を伸ばしていただければと思います。
そして、その上でなんですけれども、貸してほしいところほど逆に貸倒れのリスクがあるというのも、これもまた事実でございます。
今までの貸倒れの件数や金額の状況、これについての把握はどうでしょうか。
○野崎政府参考人 お答え申し上げます。
まず、制度創設から平成二十九年度末までの回収不能となった事例は三十二件、当初融資合計額で四十四億ございます。
比較的最近の事例におけるその主な要因といたしましては、販売単価の下落だとか、あるいは販売先との取引解消等による収益悪化によるものと聞いております。
特定農産加工業は厳しい経営環境にあるため、設備投資を行ったものの、想定どおりに売上げの確保やあるいは事業の進捗が進まず、借入金の償還が円滑に進んでいない特定農産加工業者が少数ではあるものの存在しております。
公庫といたしましては、これまでも、融資の審査におきましては、財務内容だけでなく、現場に足を運んで経営者と対話することを通じて、経営者の事業意欲や取引基盤といった数字にあらわれない定性面や今後の成長等を評価して、適切に融資を行っているところでございます。
なお、融資時だけでなく、融資後におきましても、販路の拡大に向けたマッチングや商談会の開催に加え、全国の農林漁業者の情報を有する公庫のネットワークを生かして原材料調達のマッチングも行っているほか、経営改善あるいは事業承継等の多様な経営課題を有する特定農産加工業者に対しまして専門家や関係機関等と連携して解決策を提供する等、アフターフォローについても積極的に取り組んでいるところでございます。
今後とも、特定農産加工業者が置かれている厳しい現状を踏まえつつ、経営改善のお手伝いに全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
これからさまざまな形で経済連携がいろいろな国と結ばれていくということになると思います。その中で、やはり影響を受ける方々に対しての融資というものは必要だと思いますし、特にそういったところほど大切な雇用を守ってくれているということもあると思いますので、間違いなくだめなところに貸せというのは、それは絶対だめですけれども、何とかお貸しすることで維持発展していけるというところをプロの目でまた見きわめて、努力をしていただけたらというふうに思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○武藤委員長 次に、森夏枝君。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
既に他の委員の先生方からも質問がありまして、重なる質問もございますけれども、通告に従って質問をさせていただきます。
まず、麦加工製品製造業、砂糖製造業、菓子製造業の三業種が追加された理由について伺いたいと思います。
さまざまな経済連携協定交渉などが進展している国際的環境等を踏まえ、特定農産加工業者の経営改善を引き続き促進するため、現行法の有効期限を五年間延長する、今回六度目の延長となる法改正ですけれども、今年度から、麦加工製品製造業、砂糖製造業、菓子製造業の三業種が追加となっております。
このたび、この三業種が追加されることになった理由を教えてください。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
本法の対象業種の基準につきましては、法律において、農産加工品又はこれと競争関係にある農産加工品等の輸入に係る事情の著しい変化によりまして、相当数の事業者の事業活動に支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められる業種であることと定められております。
前回、平成二十六年の法改正以降、新たに締結されました日・EU・EPA及びTPP11の影響を勘案した結果、本年二月に農林水産省令を改正し、今御指摘いただきましたように、パスタ製造業、菓子製造業及び砂糖製造業を本法の対象業種に追加しております。
これら三業種のうち、パスタ製造業及び菓子製造業につきましては、EU産の高い品質とブランド力を有する製品との競合にさらされ、事業者の事業活動に影響が及ぶおそれがあること、砂糖製造業につきましては、安価な加糖調製品の増加により、国内産の砂糖の需要減少や価格低下、工場稼働率の低下など、事業者の事業活動に影響が及ぶおそれがあることから、基準に合致するものと判断いたしまして、対象業種として追加したものでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
TPP11や日・EU・EPAの発効に伴い影響を受けるであろう三業種を新たに今年度から追加されるということで、理解をしました。
パスタ製造業では、先ほどお話ありましたけれども、EUのパスタのブランド力というのは大変ありますので、勝負するのは大変かもしれませんけれども、今後、国産小麦を使ったパスタのブランド化などもしっかり進めていただいて、国内での販売増、そして輸出へとつなげられるように、御支援もお願いしたいと思います。
この三業種ふえた中での砂糖製造業も、先ほど御説明ありましたけれども、安価なものが入ってくるということで、工場の稼働率低下なども見込まれているということで、この辺もしっかりと、影響が最小限に抑えられるように、サポートをお願いしたいと思っております。
日本の食料自給率も、カロリーベースで見ても生産額ベースで見ても、違いはありますけれども、どちらも高くありませんので、まだまだ自給率を上げていく必要があるかと思っております。
特定農産加工法の融資制度をうまく活用していただいて、国産原料を多く使って、品質のよいものを製造していただきたいと思っております。
パスタ製造業、砂糖製造業、菓子製造業の三業種が追加されることにより期待される効果について教えてください。
○小里副大臣 農産加工品の原料として国産農産物の利用を促すことは、地域農業の健全な発展を図る観点からも重要であると考えております。
本法に基づく計画の承認に当たりましては、地域の農産物の利用の促進又は地域の農産物の特色を生かした農産加工品の生産の促進に資するものであることを要件としております。
今回追加するパスタ製造業、菓子製造業及び砂糖製造業につきましても、本法に基づく金融、税制等の支援措置を通じて、国産原料の利用が促進されることを期待をしております。
具体的には、パスタ製造業につきましては、国産の小麦を原材料とする加工品の製造、菓子製造業につきましては、国産の小麦、乳製品等を原料とする加工品の製造、砂糖製造業につきましては、沖縄や鹿児島の離島地域で生産されるサトウキビ、北海道で生産されるてん菜を原材料とする加工品の製造など、地域の農業の健全な発展に資すると認められるものが支援対象となることになります。
これによりまして、国産原料の利用が促進されることを期待をしております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
先ほど副大臣からありましたが、離島地域の原材料の促進というのは大変すばらしいことだと思います。経営改善により、加工品製造業の方々、また農家の方々の所得向上にもつながればと思っております。
引き続き、追加された三業種について伺いますけれども、この追加された三業種のうちの一つの菓子製造業の中で、チョコレート、キャンデー、ビスケット製造業に限定されておりますが、この限定されている理由というのは何でしょうか。教えてください。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたように、菓子製造業の対象品目がキャンディー、チョコレート、ビスケットに限定されております。
この理由でございますが、まず、高い品質とブランド力を有するEU産の製品、例えば、チョコレートでいきますと、ゴディバを始めとするベルギー産のチョコレート、それから、ビスケットでいきますと、例えばベルギーのロータスとかフランスのラ・メール・プラールという有名な会社がございます。また、キャンディーは、例えばオランダのメントスとかスペインのチュッパチャプスとか、これは皆さんきっと御存じだと思うんですけれども、やはりこういうブランド力のあるものがございまして、こういう製品との競合にさらされて、相当数の事業者の事業活動に著しい影響が生ずるおそれがあるということで、指定基準に合致するというふうに考えております。
それから、業界からも対象業種に追加するように要望があったことから、今回対象業種として追加したということでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
業界からの要望があったというお話と、また、大変、EU産のものというのがブランド力があるということで、私自身もチョコレートが好きで、よく買って食べるんですけれども、私自身はできるだけ国産のものを買うようにはしているんですけれども、ベルギー産のチョコであったり、イタリア、ドイツのお土産といっていただくこともありますので、おいしくいただいてはいるんですけれども、やはり、国産のものをより皆さんに食べていただく、そして輸出にもつなげられるように、日本産のものもブランド力をしっかりつけて、輸出できるように持っていっていただきたいなと思っております。
今回の法改正によって五年延長となり、また、この三業種が今年度から追加されるということで、TPP11、また日・EU・EPAの影響を受ける業者の方の支援になればと思っております。
次の質問に移ります。
これまで、農産加工品等の関税引下げ等による経営環境の変化に対処するために国内の農産加工業者が行う経営改善措置について、必要な金融、税制上の措置を講じてきたと思います。
そこで、伺います。特定農産加工法による事業効果について教えてください。
○濱村大臣政務官 本法によりまして支援を受けた特定農産加工業者は、経営改善に取り組んで、売上高や経常利益の改善など、具体的な効果を上げていると認識しております。
平成三十年度に日本政策金融公庫が行った調査によりますれば、平成二十四年度の融資先三十三事業者の五年後の売上高は四二%、経常利益は九三%増加しておるところでございます。また、農産加工品の原料であります国産農産物の取扱量は一九%増加しておりまして、地域農業の振興にも貢献しております。さらに、従業員数は六三%増加しておりまして、地元雇用の創出という観点から、地域経済の発展にも一定の役割を果たしておると認識しております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
特定農産加工品に係る農産加工品、これまでの十二業種について、全体として輸入量が上昇している中で経営改善を実施した事業者で国産農産物の取扱いが約二割、一九%増加しているということで、これも大変すばらしい事業効果が得られているものと思います。
近年の異常気象や原油価格の高騰などにより、加工品の原料となる国産農産物の価格も高騰しております。その中で海外との勝負をしていくというのは大変だと思います。国の支援は必要だと思っております。今後、更に特定農産加工法について普及啓発、周知、指導などしていただいて、国産農産物の利用を更に促進していただければと思います。
時間もなくなってまいりましたので、貸倒れの有無についてもお聞きしようと思っておりましたが、先ほど近藤委員から御質問ありましたので、次の質問に移らせていただきます。貸倒れもこれまでにあったということでしたけれども、三十年間で見ると少ない件数かと思います。
次に、成功事例について伺いたいと思っております。
事業効果について、大変よい効果が出ているとのことですけれども、成功事例について、例えばこの融資制度を利用して復興貢献につながったものや、また、輸出に結びついたものなどの成功事例があれば、御紹介いただけますでしょうか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
いろいろ成功事例はございますが、二つのタイプでお答えしたいと思います。
一つは、東日本大震災の被災地における地元農産物の利用拡大という面でいきますと、福島県の非かんきつ果汁事業者が、工場の新設と搾汁ラインの増設によりまして、地元福島県産を含む国産白桃の調達量を増加させている。それから、同じく福島県の乳製品の製造業者が、製造機器の導入により事業の効率化と、あと、アイスクリーム等の製品ラインナップを充実させまして、やはり同じく福島県産の果実の調達を増加させる、こういう事例がございます。
それからまた、輸出につきましては、青森県のリンゴ果汁事業者が新工場を建設しまして、地元産リンゴを主原料としたジュースを台湾、香港を中心に十七カ国に輸出している事例、それから、和歌山県の果汁事業者がジュースの充填ラインの改造を行い、国産一〇〇%のミカンジュース、桃ジュースを台湾、香港、シンガポールに輸出事例等がございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
復興貢献について、この事業を使って成功事例が出ているということで、大変すばらしいことだと思います。被災地での新たな雇用創出や、また被災農家の所得向上、今後の復興貢献につながるように、これからも、農産加工法、しっかりと利用していただきたいと思っております。また、輸出事例も御紹介いただきましたけれども、今後も国産農産物の使用量を上げて、輸出につなげていただけたらと思います。
最後に、支援措置について伺います。
例えば、既に融資を受けている業者が別の加工品製造の計画を立てた場合や、同じ製品でも国産原料の使用量を更にふやして新たな計画を立てるといった場合など、一つの業者が複数の融資を受けられるのでしょうか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
事業者が本制度の認定を受けている期間中に更に資金の借入れを行うということは可能でございます。ただ、その際には、事業者の方は都道府県知事に経営改善計画の変更に対する承認を受ける必要がございます。
実績を申し上げますと、直近の五年では、既に特定農産加工資金の残高を有する先への再度の融資でございますが、二百三十七件中百二十一件という状況でございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
新たな融資を受けられるということで、今後もどんどん利用していただいて、国産農産物の使用量をふやしていただきたいと思います。そして、最後には、輸出につなげられるような製品づくりに挑戦をしていただきたいと思います。
攻めの農業、攻めの製品づくり、頑張っていただきたいと思います。国として支援をしていただきたいと思います。
以上で終わります。
○武藤委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、G20新潟農業大臣会合について、吉川大臣にお伺いします。
新潟農業大臣会合が、今月十一日、十二日に新潟市で開かれました。最終日に農業大臣宣言が採択されました。宣言文の二の八では、家族農業、小規模農家、女性、若者を特記して、彼らをエンパワーする、つまり強化、支援するというふうにされました。また、この点で、家族農業の十年に留意するというふうに宣言文では明記されました。私は、この新潟農業大臣会議の宣言を高く評価したいというふうに思います。
そこで、大臣にお伺いします。
宣言採択を踏まえて、国内の家族農業、この家族農業は漁業も林業も含むものと考えますけれども、家族農業、小規模農家、女性、若者に対する重点支援に向けた決意についてお伺いをします。
○吉川国務大臣 G20の新潟農業大臣宣言におきましては、家族農業や小規模農家、女性、若者を含む全ての関係者の相互利益のために、これら関係者がイノベーション及び知識を最大限活用できるようにすることで、各国のフードバリューチェーンが包摂的で公正な形で発展していくことを追求することとし、その際、国連家族農業の十年に留意するとされるなど、家族農業等の重要性について言及をしているところでございます。
我が国におきましては、家族経営体が農業経営体全体の約九八%を占めております。平均経営面積が二・五ヘクタールと小規模である現状を踏まえますと、家族農業や小規模農家は、地域農家の担い手として重要であると考えております。
このため、家族農業や小規模農家も含めまして、経営改善の意欲のある農業者でありますれば、規模の大小、法人、家族の別にかかわらず支援をしているところでございまして、基幹的農業従事者の四割を占める女性が活躍できる環境づくりとして、女性農業者の活動を支援するプロジェクトを行うほか、新規就農希望の若者への資金交付等の支援も行っているところでもございます。
これらの取組を総合的に推進することによりまして、G20新潟農業大臣宣言の趣旨を踏まえて、今後とも、多様な農業者の意欲的な取組を後押しをしてまいりたいと存じます。
○田村(貴)委員 わかりました。
そういう大臣宣言の中身、家族農業、小規模農家、女性、若者、大臣からは、しっかりと支えて、そして支援をしていくという決意が述べられたところであります。
だから、私は、日米貿易交渉も毅然とした立場で臨んでいただきたいということで、二十七日の日米首脳会談についてもお伺いをします。
首脳会談冒頭で、トランプ大統領は、日米貿易交渉について、恐らく八月に両国にとってとてもよいことが発表されると語ったのであります。安倍総理の顔を立てて、農業分野での交渉が七月の参議院選挙に悪影響を与えないように、新協定の締結を八まで先送りするのではないか、そういう見立てであります。
トランプ大統領の重大発言はたくさん残されました。首脳会談後の共同記者会見では、我々の目標は全ての貿易障壁を取り除くことだと述べたのであります。全ての貿易障壁を取り除くことだ、これは重大であります。大幅に日本側に譲歩を迫っているわけです。トランプ大統領の要求を丸のみしたのではないかという疑いも生じているわけであります。
先ほども議論があったというふうに思いますけれども、安倍首相とトランプ大統領とのゴルフの後で、トランプ大統領がツイートしています。日本との貿易交渉で大きな進展があった、農業と牛肉が重点的な対象だ、多くは日本の七月の選挙後まで待つことになるだろうが、そこでは大きな数字が予想されると。
恐らく、ゴルフのときにいろいろなお話が出た、そのことを大統領はツイートしたということなんですけれども、もしその話合いの内容が、日本政府側が求めるTPPの範囲内での合意ならば、トランプ大統領がわざわざこういうツイートをする必要はないわけなのであります。農業と牛肉で日本側が大きく譲歩したのではないかと、誰もがこのツイートを見て思うわけであります。
大臣にお伺いします。
農業と牛肉が重点の交渉で、大きな進展があり、大きな数字が発表される。この大きな数字というのは何なのか、みんながこのことを心配しています。牛肉の関税を限りなく撤廃するという要求がなされているのか、安倍総理からどういう報告を農水大臣としてお聞きになっているのか、この場で説明をしていただけませんでしょうか。
○吉川国務大臣 五月の二十七日に行われました日米首脳会談におきましては、昨年九月の日米共同声明に沿って、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で議論が進められていることを両首脳が歓迎し、日米ウイン・ウインとなる形での早期成果達成に向けて、日米の信頼関係に基づき、議論を更に加速させることで一致したもの、このように承知をいたしております。
昨年九月の日米共同声明において、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した内容が最大限との日本の立場が日米首脳間で文書で確認をされておりまして、これ以上に私は重たいものはないと承知をいたしております。
日米交渉というのは、これはもう政府一体となって取り組むことになりますけれども、農林水産大臣としての私の責務でありますが、これはもう、日米共同声明を大前提にして、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することでありまして、このため最大限の努力をしていく考えでもございます。
さらに、田村先生から御指摘もございましたが、トランプ大統領のツイッターでの発信につきましては承知をいたしておりますけれども、各国政府要人の発信内容の一つ一つにつきましては、私からお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○田村(貴)委員 これは重大問題なんですよ。四日間の滞在の中で安倍首相とのゴルフを楽しまれた後に、喜びの声をもってこういう発信をされているわけですよね。農水省はやはり確かめる義務があるんじゃないですか。こういう交渉の最中に、牛肉と農業で大きな進展があり、大きな数字が発表されると。
では、お伺いしますけれども、選挙後の夏に発表される数字というのは、TPP合意で牛肉は、三八・五%、今は二七・五%ですか、発効されましたので、これを十六年かけて九%に引き下げていくという合意、これ以上のものはないという理解でよろしいんですね。発表される数字がTPPまでというからには、十六年かけて九%まで下げていくこのTPP合意であることをアメリカも認めている、そういう数字が発表されるという理解でよろしいんですね。私は、農業関係者からもそのことについて質問され、それは政府がちゃんと答えなければいけないだろうと思っているので、伺いたいと思います。いかがですか。
○横山政府参考人 ただいま委員から御指摘がありました八月に発表という話につきましては、これはトランプ大統領から発言があったところでございますが、それについて、じゃ、何かということについては、我々としては、お答えをする立場にありません。
○田村(貴)委員 それでは農業者も国民も納得しないですよ。
アメリカはTPPに参加していない、米国はTPPに縛られていないと、そこまで明言しているわけなんですよ。やはり、しかと本意を聞いて、そして、その内容をすべからく国民と生産者に対して、消費者に対してちゃんと説明する義務が私は日本政府に求められているというふうに思います。
安倍首相自身が、記者会見で、私が今聞いたような質問にも答えることができませんでした。日本の農業を左右する重大問題にもかかわらず、農水省もちゃんと確認していない。これではいけないと思います。国民は、選挙が終わって、その発表を待って、従えということなんでしょうか。それでは納得を得られませんよね。
一番最初にお伺いした農業大臣会合のこの大事な実践も、やはり大規模集約化の中で、小さな家族農業、そして小規模農業、ここははじかれてしまうんじゃないか、そういう問題に直面しているわけなんです。
農水大臣、今お答えいただいた以上に日米交渉でお聞きになったことはないということなんでしょうか。確認です。
○吉川国務大臣 先ほどもお答えをさせていただいておりますが、五月二十七日に行われました日米首脳会談におきましては、昨年九月の日米共同声明に沿って、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で議論が進められていることを両首脳が歓迎をして、日米ウイン・ウインとなる形での早期成果達成に向けて、日米の信頼関係に基づき、議論を更に加速させることで一致したものと承知をいたしております。
先ほどから申し上げておりますように、私の立場といたしましては、日米首脳間で文書で確認をされていますので、過去の経済連携協定で約束した内容が最大限という立場、これをしっかりと、国境措置も確保することも必要でありますので、そういったことについて最大限の努力をしていく考えでございます。
○田村(貴)委員 今度の法案審議に先立って、私、鹿児島県の畜産、酪農農家の声を聞いてまいりました。食肉加工の現場にも入らせていただいて、見せていただきました。生産者の方が、外国の肉が入ってくるから二、三年で安くなっていくだろう、安くなったら若い農家は大変だ、輸入農産物で関税が下がれば子や孫に継がせられなくなってしまうというふうなお話を聞いてまいりました。農家は見通しを持てない状況にあります。
食肉加工品の生産量は最多になりました。しかし、その原材料で見ると、国産の使用割合は二割程度で、低下をしてきた。国産割合が低下している、外国産原料に置きかえられているというような状況があります。食料自給率の向上をうたう一方で、食品加工品向けの原料は外国頼みになっている、これがふえている。現状に対しての認識はどうされていますか。
もう一問。TPPやEPAで関税が下がり、牛肉、豚肉の輸入量がふえています。加えて、日米FTAでそれを超える輸入が拡大されてしまったら、まさに将来に見通しが持てない。こうした農家の声を、私は畜産、酪農家の声を九州で聞いてまいりましたけれども、この声をどう受けとめておられますか。いかがですか。
○塩川政府参考人 では、まず最初の方の質問に対するお答えでございます。
委員御指摘のとおり、牛肉調製品あるいは豚肉調製品の国産シェアは下がっている状況でございますし、また、その原料についても、国産シェアは若干でございますが下がっているところでございます。
農産加工品の関税の引下げや撤廃によりまして、牛肉・豚肉調製品製造業など農産加工業者の経営に支障が生じるおそれがあるというふうに認識しております。
このため、本法では、このような支障が生じる特定農産加工業者に対しまして金融、税制上の支援措置を講ずることによりまして経営の改善を促進するということになっております。
また、本法に基づく計画の承認に当たりましては、地域の農産物の利用の促進又は地域の農産物の特色を生かした農産加工品の生産の促進に資するものであることという要件を課しておりますので、これによりまして、国産農産物の特色を生かした商品開発を通じて輸入加工品との差別化を進め、付加価値の向上を促すことによりまして、特定農産加工業の持続的な発展をしっかり支えてまいりたいというふうに考えております。
○枝元政府参考人 畜産、酪農の今後につきましてお答え申し上げます。
我が国畜産、酪農につきましては、TPP11ですとか日・EU・EPAの発効という国際環境の変化に対応し得る、競争力のあるものとしていくことが必要でございまして、そのことが今後の中長期的発展にもつながるというふうに考えてございます。
このため、現在、TPP等関連政策大綱に基づきまして、畜産クラスター事業、チーズ振興対策などの体質強化対策を講じているところでございます。また、あわせまして、協定発効後の経営安定に万全を期すために、経営安定対策といたしまして、牛・豚マルキンの補填率ですとか肉用子牛生産者補給金制度の保証基準価格の引上げ、加工原料乳生産者補給金の液状乳製品への対象拡大等の措置を実施することなど、万全の国内対策を実施しているところでございます。
足元の動きといたしましては、肉用牛の生産基盤でございます繁殖雌牛の飼養頭数は、平成二十二年以降減少傾向にございましたけれども、二十八年以降三年連続で増加いたしまして、御指摘の鹿児島県においても三年連続で増加してございます。また、乳用牛の飼養頭数につきましても、平成三十、二月時点で前年比五千頭増の百三十二万八千頭と十六年ぶりに増加する等、回復の兆しが見え始めてございます。
農林水産省といたしましては、生産者の方々の不安や懸念に向き合いまして、意欲ある生産者が将来にわたって希望を持って畜産、酪農経営に取り組んでいただけますように、必要な対策をしっかりと講じてまいります。
○田村(貴)委員 時間が参りました。
食料主権を確立するならば、際限のない輸入自由化に歯どめをかけていくこと、そして日本が本当の主権国家としてアメリカと対等、平等の関係を築いていくことが今まさに求められる、そのことを指摘して、質問を終わります。
○武藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○武藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○武藤委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中厚君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び日本維新の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。長谷川嘉一君。
○長谷川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。
特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
特定農産加工業経営改善臨時措置法は、昭和六十三年の牛肉・かんきつに係る日米合意等により影響を受ける特定農産加工業に対する措置として制定されたものである。以降、本制度は、特定農産加工業に対する重要な支援措置として活用されてきたものの、更なる国際化の進展により、農産加工品の輸入量や、国内消費量に占める輸入品のシェアが増加し、依然として高い水準にあるなど、農産加工業は厳しい経営環境に置かれている。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 農産加工業の厳しい経営環境に対処し、その経営体質の強化を図るため、農産加工業の振興に努めること。その際、地域農業の発展に資するため、特定農産加工業において国産農産物の使用が一層促進されるよう、必要な措置を行うこと。
二 農業及び農産加工業の健全な発展に資するという本制度の目的が十分発揮されるよう、本制度と農産物に係る支援制度等関連施策との有機的連携に配意しながら、不断に制度の評価・検証を実施し、適時適切な見直しを行うこと。
三 本制度の運用に当たっては、CPTPP協定、日EU・EPAの発効等による国境措置の変更の影響を踏まえ、特定農産加工業種の追加指定について適切かつ弾力的に対処すること。
四 地場産業として大きな比重を占める農産加工業を振興し、地域経済をより活性化するため、農産加工業における新商品開発、販路開拓の取組に加え、地域での食育の推進、持続可能な循環資源の活用、研究開発・成果利用等を進めるための取組や施設整備に対する支援を一層充実させること。
五 東日本大震災の被災地において農産加工業の振興を図ることにより、地域農業の復興や雇用の維持・拡大に努めること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○武藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○武藤委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣吉川貴盛君。
○吉川国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
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○武藤委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○武藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十八分散会