衆議院

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第5号 令和元年11月6日(水曜日)

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令和元年十一月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 池田 道孝君 理事 齋藤  健君

   理事 武部  新君 理事 谷  公一君

   理事 細田 健一君 理事 石川 香織君

   理事 近藤 和也君 理事 濱村  進君

      井野 俊郎君    泉田 裕彦君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    大西 宏幸君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      木村 次郎君    木村 哲也君

      小寺 裕雄君    坂本 哲志君

      笹川 博義君    高木  啓君

      高鳥 修一君    谷川 とむ君

      永岡 桂子君    西田 昭二君

      野中  厚君    福山  守君

      船橋 利実君    本田 太郎君

      宮腰 光寛君    宮路 拓馬君

      簗  和生君    青山 大人君

      大串 博志君    岡島 一正君

      神谷  裕君    亀井亜紀子君

      佐々木隆博君    佐藤 公治君

      長谷川嘉一君    広田  一君

      緑川 貴士君    屋良 朝博君

      石田 祝稔君    田村 貴昭君

      森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       江藤  拓君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   農林水産大臣政務官    河野 義博君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            岩濱 洋海君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     木村 哲也君

  永岡 桂子君     船橋 利実君

  古川  康君     大西 宏幸君

  簗  和生君     谷川 とむ君

  青山 大人君     屋良 朝博君

  大串 博志君     岡島 一正君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     本田 太郎君

  木村 哲也君     上杉謙太郎君

  谷川 とむ君     井野 俊郎君

  船橋 利実君     永岡 桂子君

  岡島 一正君     大串 博志君

  屋良 朝博君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     簗  和生君

  本田 太郎君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     古川  康君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長枝元真徹君、大臣官房総括審議官光吉一君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官岩濱洋海君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長塩川白良君、経営局長横山紳君及び農村振興局長牧元幸司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武部新君。

武部委員 自由民主党の武部新です。

 農林水産委員会では久しぶりの質問となります。よろしくお願いします。

 法案の質問に入る前に、台風十九号等でお亡くなりになられた方々に哀悼の誠をささげるとともに、全ての被災者の皆様方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 昨日のニュースによりますと、台風十九号とその後の大雨による農林水産関係の被害額が三十八の都府県合わせて二千億を超えるという、大変大きい被害が出ているという報道がございました。

 そこで、改めて、台風十九号等に関する農林水産関係に対しての支援対策について、大臣の決意を伺いたいと思います。

江藤国務大臣 武部先生にお答え申し上げます。

 今、被害総額についてお話をいただきましたが、六日の朝八時現在で二千九百四十四億円、三千億円の手前まで被害総額が積み上がってきております。本当に大変な事態であって、これは特段の支援策をやらなければ地域の農業が崩壊するという認識を持っております。

 自分も、宮城、福島、千葉、長野、いろいろなところへ伺いましたし、大臣室にも、先生方、議会の方々、県知事、市長さん、いろいろな方にお越しいただいて、いろいろなお話を伺いましたけれども、例えば被災者支援型、十分の三、これはもう十五号対応で発動されておりますけれども、これでは十分の七残る。もちろんトラクター等については、自分で任意の保険に入ったり民間の保険に入ったり、いろいろな方がおりますが、入っていない方もおられるし、保険の内容もさまざまですので、十分の三では、これは不十分だなということを痛感しています。

 やはり、もう一度農業機械を再取得をして、そして、ゼロというわけにはなかなかいかないかもしれませんが、なるべく負担がゼロに限りなく近づける努力を、国それから当該都道府県、市、それからJAさんにも御協力いただいてやることによって営農再開をしていただきたいというふうに強く思っているところであります。

 それから、長野や被災地においては、リンゴや桃などの果樹園も見させていただきましたが、未収益期間が長期に発生するということで、きょう若干、農業新聞等にも書かれているので御承知の部分もあるかもしれませんが、この未収益の間、どうやって、農家の方々が再建に向けての意欲を失わないかということも大変重要な視点だと考えております。

 詳細については、パッケージで発表になります。今週中で、まだ曜日は確定しておりませんが、できるだけ農家の方々が、ここまで国も県もそれから団体もみんなで我々を支えようという意思を示してくれるのであれば、苦しいけれども、きついけれども頑張ろうというような内容になるように、最後まで努力をしていきたいというふうに考えております。

武部委員 ありがとうございます。

 日に日に被害額が大きくなっている、そういうことだと思います。

 毎年自然災害が発生していまして、そのたびに農林水産関係は大きな被害が出ています。被災者の皆様方が一日も早くもとの生活に戻られて、農林水産関係の皆様方に寄り添って、なりわいがなるべく早く再開できるように、復旧に全力を挙げていただきたいと思います。

 それでは、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 法案の目的に、輸出の促進と、農林水産業と食品産業の持続的発展という言葉があります。食料自給率が我が国は四〇%を切る中で、農林水産物の輸出促進というのは国民の食料安定供給と相反するんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいますが、ただ、人口減少が進み、国内の市場が大変小さくなっていく中で、縮小していく中で、世界の人口は増加しています。

 資料によりますと、二〇〇九年には、食の、世界の市場というのは三百四十兆円、これが二〇二〇年には倍増する、六百八十兆円になる、そういう予想もあります。これを取り込んでいかなければならないということで輸出の促進があるんだと思いますが、私の地元、オホーツク、宗谷なんですけれども、ここを中心として、水産物のホタテ、これは北海道が一大生産地であります。

 これは聞きますと、当初は生産過剰でだぶついて、国内市場で値段が下がったと。これを、だぶついた分を輸出に回そうということでスタートしたそうです。ところが今は、もう既に生産額のうちの六割、七割は輸出になっています。これが、輸出することによって、農林水産物、ホタテの価格を安定させて、そして生産者の所得が上がっていく、経営が安定していく。輸出をやることによって経営がよくなっていったという、いい例なんだと思います。

 それから、もう一つ、同じく北海道、十勝の川西の長芋ですけれども、これも、日本の国内では敬遠される大きなサイズの長芋を海外に出すと、海外の方では大きければ大きいほど売れるということだそうです。

 また、私の地元である北見市では、タマネギの生産地でありますけれども、加工用にしか使えなかった小玉のタマネギ、これをロシアに輸出しようという動きを今しています。なぜかというと、ロシアではボルシチでタマネギを使う。それには大きいタマネギよりも小さいタマネギの方がいいんだということで、ロシアでは小さいタマネギが受けると。

 このように、国内市場と海外市場でニーズが違うので、市場のすみ分けができる、補完ができる、こういった産品もあるんだと思います。

 日米貿易協定においても、牛肉が、日本の枠で二百トンしかなかったんですけれども、これが複数国で六万五千トン、アクセスできるようになりました。EUとのEPAでも、先ほど言いましたホタテも含めて、ほぼ全ての農林水産物についての関税も撤廃されるということになりまして、もちろん日本の農業、守らなきゃいけない部分はありますけれども、守るだけじゃなくて攻める農業、世界に日本の高品質の農作物を売っていく、こういうことが大事になってくるんだと思います。

 そこで、農林水産業者の所得向上や利益に結びつく輸出は農林水産業の持続的な発展に寄与すると考えますが、大臣の所見を伺いたいと思います。

江藤国務大臣 武部委員が、まさに答えなければならないことをほぼほぼ全ておっしゃったような気がしますので、どう答弁していいのか、ちょっと困っておりますけれども、さすがに、自民党の中で農産物の輸出促進対策委員会の委員長代理をもう随分長くやられて、このことには長くコミットしてこられた方ですから、まさにそのとおりだと思います。

 ですから、日本で敬遠されるものを出すという視点もとても大事ですし、また、マーケットインという視点もまた大事だと思います。

 例えば、ノルウェーのサーモンなんかが今、日本では大変幅をきかせております。北海道と競合していますけれども、ノルウェーの水産会社は、日本の市場調査をして、日本人はどんなサーモン、どんな脂の乗ったやつが好きなのかを調べて、餌のやり方まで、全部、飼育のやり方まで変えて、マーケットに合わせるようなこともやってきたということであります。

 今回の法案においては、まさに、その目的は、一兆円を超えることが目的でもなければ、二兆円を目指すことでもない。日本の農林水産業の魅力を世界に発信するとともに、農家の所得なり生産基盤の強化をこれによって加速化させていくことが政策の目的だと思っています。

 つくったものは売らなければ特にいけませんから、出口政策というものは、林業なんかをやっていると常に、我々が、山で木を切って、川中、川下でという話を随分、先生ともしてきましたけれども、出口を考えなければ、結局、いいものをつくっても、それが市場でしっかりとした評価をされないということがありますので、出口政策の一つとしても、この法案は大いに寄与するということであります。

 いろいろな工夫の仕方があると思います。ホタテなんか四百八十億も稼いでいらっしゃって、アルコールに次いでナンバーツーですから。そういった事例が日本じゅうで、埋もれているものがまだたくさんあると思いますので、そういうものを発掘する手助けもしていきたいというふうに考えております。

武部委員 ありがとうございます。

 もちろん、輸出していく上では、生産基盤をしっかりとつくっていくということはもう大切なことだと思います。

 今大臣から御紹介いただきましたけれども、我が党の農林部会の中では、食品安全行政の強化プロジェクトチーム、あるいは農産物の輸出促進の委員会がございまして、私もその中のメンバーで、農林水産物の輸出について十分議論をしてきて、そして政府にも提案してきております。

 その食品安全行政の強化PTの中でも、農林水産物の輸出促進について、まさにこの法案をつくるべきだという提案をしたんですけれども、なぜかというと、やはり政府横断の司令塔をつくって、どういった国に、どういった地域に、どういったものを売れるのか、戦略的に売っていくのか、その工程をどうするのかということをしっかりと戦略をつくらなきゃだめだということも、これは提言させていただいております。

 もう一つは、何度もいろいろな方々にヒアリング、業者の方々も含めてヒアリングしたんですけれども、やはり、輸出先の国の農薬ですとか、あるいは食品安全基準ですとか、輸入に関する規制、これを何とかしてほしいという、ネックになっているケースもあるんですが、これを戦略的に働きかけたり、国際交渉で進める上でも、やはり一元的にやってもらった方が効果が高いと思います。

 また、これも、きのうも水産の関係の中でもお話がありましたけれども、輸出証明書を出してほしいというのが今ふえていますし、原産地や食品衛生の各種証明書、これは、でも、農水省に言うのか、厚生労働省に言うのか、あるいは都道府県に言うのか、各省にまたがって申請しなければならないから、非常に手間がかかるし、時間がかかるし、途中で諦めることもあるというような話もありました。

 我が党の、今お話ししましたプロジェクトチームの中でも、水産加工業者の皆様方、EU向けのHACCPの認定をお願いしているけれども、畜産もそうですが、時間がかかってなかなか進まない、その間、事業者の負担がふえている、そういう話もありまして、これは本当に、HACCPにしても、今までは、どちらかというと、これは合っていません、基準を満たしていませんと返すだけなんです。そうじゃなくて、どうやったらこのHACCP認定が取れるか、フレンドリーに、協力的にサポートしていく体制が必要なんだと思います。

 それがやはり、これまでの縦割りの行政の中で欠けていたので、今度の新しい法律によって、司令塔ができて、本部ができて、そしてさらに、輸出をする方々にとって大変親しみやすいというか、応援してくれるような組織というのが大事になってくるんだと思います。

 そしてもう一つ、国の組織ができたとしても、これはまた、話によると、国はこう言っているけれども都道府県の指導はちょっと違うんだとか、混乱を生じているという話も、ヒアリングをしている中で出てきました。ですから、国と地方自治体と、地方と連携してできる体制もつくらなければならないという問題意識も私は持っています。

 そこで、今回、農林水産物の食品輸出本部を設置されますけれども、この意義と、そして期待する効果、それから、今申し上げたとおり、どうやって地方と連携体制をとっていくのかということにつきまして質問したいと思います。

伊東副大臣 それでは、武部委員の御質問にお答えいたしますが、御指摘いただきました点、極めて重要な点であります。

 これまでも、省庁が複数またがるということにつきましても、輸出先国の規制への対応という観点でも、相当難しい問題があったことは事実であります。輸出先国との協議や、あるいは御指摘がありました証明書等の発行あるいは施設認定に時間を要してきたところでありまして、これが民間事業者の大きな負担になっていたと指摘されているところでもあります。

 このため、本法案によりまして、農林水産省に関係大臣を構成員とする輸出本部を設置することによりまして、複数の関係行政機関にまたがる事務の調整を行うことで、手続の迅速化を図ろうとするものであります。

 また、国、地方の連携体制をどのように進めるかという御質問でありましたが、これも、施設認定等を迅速に進められるよう、輸出本部のもとで、農林水産省あるいは自治体等が連携して、大事なところはスケジュールの策定あるいは進捗の管理、これを行うとともに、それに必要な都道府県等のそれぞれの体制整備に向けて国として支援策を講ずるということで進めてまいりたい、このように考えております。

武部委員 ありがとうございます。

 大変期待しておりますし、周りの皆さん方も、今度は輸出がしやすくなるだろうな、そういうような声も地元でも聞いておりますので、ぜひ期待に応えていただきたいと思います。

 次の質問ですけれども、輸出に関して、農林水産物をつくる側、それから売る側、この連携が非常に重要になってくるんだと思います。つくったものを余ったから輸出しようというんじゃなくて、最初からもう輸出を前提として生産をしよう、あるいは販売をつなげていこう、そういった体制をつくることが重要になってくるんだと思います。

 輸出を見据えたグローバル産地づくり、これを、つくる側としてはぜひ進めていただきたいと思いますし、それから、連携して、そのつくったものをどう売っていくか。物流、商流、それから販売プロモーション、そういったことを、生産者やあるいは産地をよく熟知した商社などとうまく連携していただいて、そして、肝心なことは、商流を強くしていくということが重要なことなんだと思います。

 その観点から、先ほど御紹介していただきました農産物輸出促進対策委員会、我が党の委員会の中で提案しているのが、今、グローバル・ファーマーズ・プロジェクトを政府としても進めていただいています。これはグローバル産地づくりをやっていただいているんだと思いますけれども、そこに輸出商社部会あるいは加工部会というのをつくって、連携して進めるべきだという提案をしています。

 そこで、この法案の中に、まさに輸出のための取組を行う者、これは、生産者だけじゃなくて、商社や加工業者や販売も含めるんだと思いますけれども、その取組を行う者に輸出事業計画をつくっていただいて認定する、そういう仕組みをこの法案の中で書かれています。

 この輸出事業計画を策定してもらう意義と、それから認定者が受けるメリット、これについて質問させていただきたいと思います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出のための取組を行う方が輸出事業計画を作成いたしまして農林水産省の認定を受けた場合には、日本政策金融公庫による長期低利融資、現在〇・一六%でございますが、この対象になるところでございます。

 これによりまして、施設整備、改修の費用に加えまして、輸出入向けの施設認定の取得のためのコンサルティング費用、それから海外における営業事務所の設置のための費用などが新たに融資対象となるところでございます。

 また、今、先生おっしゃったように、グローバル産地づくりのためにGFP、農林水産物・食品輸出プロジェクト、この取組におきまして、輸出診断、あるいは、商流を強くするとおっしゃいましたが、商社とのマッチング、それから、さまざまなハード事業の優先採択、これなどを対象とすることにしております。

武部委員 ありがとうございます。

 認定された方々、そのような支援を受けられるということでありますけれども、これは私の個人的な考えなんですけれども、ぜひとも、認定された業者の皆様方を、農林水産物の輸出促進の中核的な役割を担ってもらえるように育成していただきたいと思います。

 まさに、農業で言う担い手的な役割を、この認定された認定者に対して、輸出促進の担い手だということを考えて政策を進めていただきたいと思いますし、それから、認定者はいろいろ、生産者もいれば、さっき言いましたとおり、商社、販売があると思うんですけれども、この認定者が有機的につながれば、まさに今フードバリューチェーンをつくろうとしていると思いますけれども、フードバリューチェーンができてきて、更に輸出の幅が広がっていくんだと思います。

 ですから、私、まさに、輸出事業計画をつくっていただいて認定者になられた方は、そういうような中核的な輸出の役割を担う方ということで、育成も含めて、ぜひとも支援していただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 先ほどお話ししました北海道の十勝川西の長芋ですけれども、大きいサイズが売れるという話もありましたけれども、ただ大きいものをつくっているだけじゃなくて、ここはHACCP認証を取って、食品安全、衛生管理をしっかりやっていますよですとか、あるいはGIにも登録しています。地域ブランドとしてGI登録していただいています。さらに、安全と品質まで、これは高い品質のものですよということを証明するSQF認証というのも取っている。話を聞くと、こういう認証を取ることによって差別化を図っている、それから、売り先の信頼、市場の信頼を得ていくのにすごいメリットがあるんだということをお話しされていて、非常に、GIですとかGAPですとかJASとか、こういったものが輸出にもつながっていくんじゃないかと思います。

 そこで、今GAP、JAS等の認証あるいはGIなどの活用が市場の信頼を高めると思いますけれども、それで輸出につなげていくことに効果があると思いますが、これらの認証の促進について今政府はどのように取り組んでいるか、質問させていただきます。

塩川政府参考人 今、先生御指摘いただきましたように、十勝川西長いもでございますが、GI登録、これは二十八年十月に行われていますし、HACCP認証、これも早く、平成二十年には既に行われているということで、ブランド化、あるいは高度な衛生管理で差別化を図っておりまして、輸出拡大につながるすばらしい取組だというふうに認識をしているところでございます。

 これらの認証を取得することは、輸出先国での販売に有利に働くため、今先生御指摘のとおり、輸出拡大に寄与するものだというふうに考えております。

 このため、農林水産省では、予算措置によりまして、GAP認証あるいは有機JAS認証の取得、それから海外でのGI申請、登録に対しまして、支援を行っているところでございます。

武部委員 ぜひ進めていただきたいと思います。

 最後の質問になります。

 我が国で育成されたブドウ品種やイチゴ品種、これが、中国や韓国に苗が流出して、さらに、その国でつくってほかの国へ輸出しているという事例があります。まさにこれが、可能性あるマーケットを喪失しているんじゃないか、日本の農林水産物を輸出する上で輸出の妨げになっているんじゃないかというふうに考えておりますけれども、この我が国で開発された優良種苗の海外への流出防止のための対策を強化する必要があると考えますが、所見を伺いたいと思います。

江藤国務大臣 全くおっしゃるとおりだと思います。

 今まで、中国でシャインマスカットそれから紅ほっぺ、特にシャインマスカットなんかは農研機構、国の機関で開発したものであるにもかかわらず、国内での品種登録のみやっていて、性善説に立っていたんでしょうけれども、今や海外でばりばりつくられてアジアに輸出されている、本当は日本が輸出するはずなのに。それから韓国でも、もぐもぐタイムとか、いろいろありました。

 そういうことがありますから、これから先は、品種を開発した場合は、民間も、それから県も、それから国の機関も、すぐに品種登録を海外でもやるように、リアルタイムで同時進行的にやるように、これからはしていきたいと思っています。

 それに伴って、種苗制度、これにも若干問題があるんじゃないかという御指摘があることも承知をいたしております。今、三月から、有識者による検討会が始まっております。ですから、種苗法の改正をやるということまで今の段階ではまだ言えませんが、この検討会の議論を踏まえて前向きに取り組んでいきたいと考えております。

武部委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

吉野委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。

 きょうは、農林水産物食品輸出促進法の法案審査ということで、法案について質問をさせていただきます。

 まず、法案の狙いについては改めて確認をしていきたいと思っておりますが、これは、この法案自体、農林水産物や食品を輸出するために、輸出を更に促進するためにつくるということでございますけれども、じゃ、なぜそのような法案が必要であるのかということが非常に大事だろうと思っております。

 法案だけにとどまらず、政府はこれまでも、輸出の目標については一兆円という目標を掲げて取組をされてこられたわけでございますし、こうした背景、当然、国内市場であったりとか、あるいは国内消費であったりとか、いろいろな要素があって輸出が重要であるという御判断のもと、政府としての取組があろうかと思っております。

 古く言えば、松岡大臣のころから輸出については取組をしているというような認識もございますけれども、まず、農林水産物や食品の輸出を拡大するに当たって、この目的は何であるのか、この法案の大前提となる点について、まず大臣にお考えを教えていただければと思います。

江藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 とにかく、日本は残念ながら少子高齢化が進んでいて、胃袋も小さくなり、それから人口も減っていってしまうということであれば、マーケットは少しずつ小さくなっていってしまう、これはもう努力しなきゃなりませんが、しかしそういう現実があります。

 しかし我々は、これから、いろいろな議論がありますけれども、食料自給率とか食料安全保障とか、そういうことを議論すれば、生産基盤の強化をこれから進めていかなければならない。ということであれば、農家の方々が一生懸命つくったものが、適正な価格で、具体的に言えばなるべく高く、所得向上につながるような形でマーケットで評価されて、売れるような機会をふやしていくことが大切だと思います。

 その機会の一つが海外マーケットであって、その最初の目標が一兆円であって、その先の目標も立てさせていただくことになるかもしれませんが、それはあくまでも日本の農林水産業の振興、農家の所得向上、そういったものがベースであるというふうに御理解いただければと思います。

濱村委員 今大臣から、食料の自給率であったりとか食料安全保障というようなことについても言及がございました。

 重要なことだと思っておりますが、一方で、こうした国内市場自体を見ますと、やはり少子高齢化もあり、さらには米の消費量も減っているという現実があるわけでございます。そうした状況の中で、いかにして生産者の皆様が利益を確保し収益を確保して再生産が可能な状況をつくっていくのか、こうした環境をつくっていくことが非常に重要であると思っております。そのためには、売り先として確実に需要があるところをしっかりと開拓していく必要があるであろうということで、海外にその市場を求めていくということだろうと認識をしております。

 その上で、政府として、先ほど武部委員の質問の中にもありましたが、GFP、これはグローバル、ファーマーズだけじゃなくて、実はフィッシャーマンとかフォレスターズとかフードマニュファクチャーズとかいらっしゃるわけですね。さまざまな食品に携わる方が全て、海外に向けてどのような取組ができるのかということでGFPの取組を行ってきているということでございますが、これまでも輸出促進は図ってこられたわけでございます。

 こうした中で、さまざまな課題があったかと思っておりますけれども、どのような課題があったのか、そしてまた、この法案によってそれがどのように解決されると見込んでいるのか、その点を確認したいと思います。

河野大臣政務官 これまでの課題といたしましては、輸出先国の規制の対応において、担当省庁が複数にまたがることによりまして、輸出先国との協議や証明書の発行、そして施設認定などに時間を要し、民間事業者にとって大きな負担となっていたところでございます。

 本法案におきまして、農林水産大臣が本部長を務める農林水産物・食品輸出本部におきまして、輸出を戦略的かつ効率的に促進するための基本方針や実行計画を策定し進捗管理を行うとともに、この本部のもとで、関係大臣などが一丸となりまして、輸出先国に対する輸入規制などの緩和、撤廃に向けた協議、また、輸出証明書の発行や施設認定などの輸出を円滑化するための環境整備、さらには、輸出に取り組む事業者の支援を実施し、輸出を加速してまいりたいと考えております。

濱村委員 国によって規制が違う、施設認定がなかなか進まない、そうした課題があるということでお話をいただきました。民間の方々、輸出に取り組もうとされている方々に非常に大きな負担があったということでございます。

 私、地元が兵庫県でございますけれども、兵庫県でも、とある食肉加工のセンターが開設されたわけでございますけれども、神戸牛であったりとか但馬牛であったりとか、いろいろないい牛肉があるわけですが、この牛肉を輸出するために施設を開設した。これは竣工から非常に長い時間がかかったわけです。これは、何でそんな時間がかかったんですかということなんですね。この時間がかかったことによって、今日本の和牛を欲しておられる海外の方々に向けて機会を損失してしまったというような状況が起きていた、これがまさしく課題であろうかと思っております。

 こうした課題を解決するために、司令塔機能として、今回は、食品輸出本部として農水省がしっかりと旗を振るということに体制が組まれたということであろうと思っております。非常に重要なことだなと思っております。

 その上で、今後も恐らく、規制については、いろいろな国がいろいろな規制を持っているわけでございます。衛生管理基準であったりとか農薬の使用基準というのは、国によって違うわけでございます。これは当たり前だと私は思いますが、国によって当然、気候が違ったり土壌が違ったり、さまざま違う中で、あるいは必要な作物が何なのかということも違うわけですから、それに対応するための薬品の基準もさまざまあろうかと思います。

 これは、国によって違うというのは、まさに国益に直結することであろうと思っておりますけれども、こうした国によって違うところについてもしっかりと国対国で協議をしながらしっかりと輸出を拡大していくということが重要であろうと思っておりますが、今後、輸出相手国の規制に適用するためにはどのような対応をされていくのか、お答えをいただければと思います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘いただきましたとおり、輸出先国の中には、日本国内の食品安全の基準とは異なる要求をしてくる国もございます。

 まずは、放射性物質に係る輸入規制につきましては、本法案により設置される輸出本部のもとで、政府一丸となって緩和、撤廃に向けて協議に取り組んでいこうというふうに考えております。また、そのほかの輸出先国の規制につきましても、本法案に基づきまして、まずは条件について協議を進めていきます。

 一方で、民間事業者それから地方自治体が相手の規制に対応できるように、輸出のために必要な情報の提供あるいは助言をいたします。さらに、輸出に当たって必要となります輸出証明書の発行、それから施設認定など、相手国の規制に対応して、輸出を円滑化するための措置を講じていくということでございます。

濱村委員 こうした放射性物質による規制については、本当にしっかりと科学的な見地に基づいて判断をしていただくこと、そしてまた、日本国としてそれをしっかりと訴えていくことが重要であるというふうに思っておりますし、さらには、こうした輸出の取組となりますと、どうしても、家族的経営をされているような生産者の皆様においては、私は関係ないというような気持ちになってしまいがちなんですけれども、そういう方々にも、しっかりと輸出そして市場を拡大していくということをスコープに入れていただけるように、そして、そうした方々にも、この規制をどうやってクリアしていけばいいのかというのを丁寧にサポートしていっていただきたいなというふうにお願いを申し上げます。

 その上で、次の質問ですけれども、私、これまで政務官もさせていただきましたけれども、その際にも思っておりましたが、輸出する品目のうちで非常に重要なポイントとなるのが日本酒であろうと思っております。日本酒というのは、非常に価値を高められるわけです。付加価値がつけられる余地があるというものなんですが、一方で、酒米については農林水産省、ところが、日本酒そのものになりますと財務省が所管となるということでございます。実は、兵庫県は酒米の産地でもございまして、酒米生産者の皆様も、なかなかじくじたる思いを持っておられるというところがございます。

 日本酒の輸出において、課題はどういう課題があったのか、そしてまた、この法案で農林水産物・食品輸出本部が設置されるわけでございますけれども、こうした日本酒の輸出における課題についてはどう解決される見込みであるのか、お答えをお願いいたします。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたように、日本酒は、この六年間で二・五倍も伸びて、今二百二十二億円、今後も伸びる有望な品目だというふうに認識をしてございます。

 この日本酒につきまして、輸出先国の規制緩和のための協議あるいは相談対応というのは、実は財務省と農林水産省が個別にあるいは連携して対応してきたところでございます。

 一方で、輸出証明書の申請、交付は財務省の方でやっているということで、今後の輸出促進を進める上で、更に両省が一体となって取り組むべきであるというふうに認識しているところでございます。

 このため、本法案に基づく輸出本部におきまして、本部長である農林水産大臣が中心となりまして、酒類も含めまして輸出拡大のための実行計画を策定し、輸出先国との協議を着実に進めてまいります。また、輸出証明書の申請、交付のワンストップ化、それから一元的な相談体制を整備するということを行うこととしているところでございます。

濱村委員 日本酒の輸出自体は二・五倍になったということでございましたが、これはどんどん拡大をしていければというふうに思いますし、それが、酒造メーカーさんの利益になるということも大変重要なんですけれども、酒米の生産者の皆様にも届くようにというような業界の構造をつくっていくことも大変重要であるということも付言をさせていただきたいと思っております。

 これが正しいかどうかは別として、酒米生産者の方とお話をしたときに、じゃ、なぜ日本酒というのがワインのように付加価値がつけられないのかというような議論をしたことがございます。その際におっしゃっておられましたのが、ワインの場合は、ブドウをつくって、そのままたる詰めまでして、ワインをつくるところまでをやっている、一方で、日本酒については、酒米をつくって、その酒米を一旦酒造メーカーさんに卸す、その段階で取引が発生します、その取引の段階でアッパーが決まってしまうというようなことをおっしゃっておられました。

 これは非常に重要なことだなと思いながらも、この構造を変えるのはなかなか難しいことだと思っておりますので、ここは工夫が必要なんだろうなというふうに思っております。

 続いての質問ですが、法律の三十四条に、農林水産物又は食品の輸出のための取組を行う者が、輸出事業計画を作成して、大臣に提出し、認定を受けられれば、日本政策金融公庫による融資、債務保証等の支援措置対象となるわけでございます。

 こうした支援措置対象となるわけですが、こうしたものというのが、今までの、食品等流通合理化法とか、あるいはHACCP支援法に基づく認定計画と同等のものであるというふうにみなすわけでありますけれども、こうした認定計画をつくることによって融資あるいは債務保証を受けやすくするということでございます。

 品質向上の取組というのは非常に重要であるということが大前提にあるわけでございますけれども、そこで確認いたしたいのが、輸出のために品質向上の取組を行うという意味では、JAS、有機JASとかもございます、あるいはGAPの取得もありますけれども、こうした取組についてはどのように解されるのか、確認をしたいと思います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出のためにJASやGAPの認証を取得する事業者は、本法案に基づきまして輸出事業計画の認定を受けた場合、農産物の加工施設の整備の費用と、その施設整備とともに行います有機JASの認証あるいはGAP認証等を取得する際のコンサルティングの費用、これが日本政策金融公庫による長期低利融資の対象となるところでございます。

 また、このほか、予算措置によりまして、有機JASやGAP認証の取得への支援を行いますとともに、これらの認証を受けた商品の輸出向けの商談等について支援を行うところでございます。

濱村委員 予算措置も含めて支援を行えるということでございますけれども、こうした支援、あるいは輸出促進のためのバックアップについては、ただ単に食品事業者さんとか体力のある経営者だけではなくて、どちらかというと小規模で、そんな輸出まで考えられないといったような方々もスコープに入れていっていただくことが重要なのかなと私は思っております。

 もっと言いますと、家族的経営を行っておられるような経営者の方々も含めて、しっかりと経営をしていっていただくということであろうと思っておりますが、そうした生産者の皆様が、輸出まで自分たちでやります、そんな大規模でなくても結構かと思いますけれども、そのような場合は、この法案のスコープから外れるのかどうか、外れることとなる場合はどのような支援措置があるのか、お答え願います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出に意欲ある農林漁業者に対しましては、その経営規模の大小にかかわらず、それぞれの状況に応じまして支援を講じていくことが重要だというふうに考えております。

 本法案の輸出事業計画の認定を受けない場合も当然想定されるわけですが、その場合であっても、通常の条件のもとで予算措置、金融措置の対象として支援をしてまいります。

 例えば、先ほどもお話しした例のGFP、農林水産物・食品輸出プロジェクト、この登録をしていただければ、輸出可能性の訪問診断を受けられますし、事業者とのマッチング、それからメンバー同士の交流イベントの開催への参加など、さまざまな支援が受けられるところでございます。

濱村委員 GFPも含めて、しっかりとした形、バックアップ体制をつくっているということでございますので、生産者の皆様、そしてまたあらゆる食品、農林水産物を輸出しようという意欲のある方が、更にこの取組を進めていただけることを願って、質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 立憲民主党・国民・社保・無所属フォーラムの神谷裕でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 大臣、これは御通告申し上げていないんですが、一問だけ。

 今週末の報道を見ておりましても、台風の被害などの災害復旧で現地で奮闘されている方の報道等をたくさん見られました。また、御家族の懸命な努力で、行方不明だった方の御遺体が見つかったというような報道もありました。

 改めて、被災された方に私もお見舞いを申し上げたいと思うんですけれども、先ほど武部委員の質問の中でも触れておられましたけれども、やはり農林水産の被害、相当大きいものがございます。先ほど、二千九百四十四億という大きな被害だったということが今報告されている、これからも膨らんでいくだろうということでございまして、それについても万全の対策ということでおっしゃっていただきました。

 そしてまた、例えば果樹であるとか、長期の収入が来ないということについても対応されるというようなことがあったと思うんですけれども、それと同時に、やはり、この冬にどれだけ仕事ができるかというか、復旧ができるかで、来年の春の営農にもかかわってくると思うんです。

 多く支援していくこと、そして長期間にわたって支援していくこと、これについてお触れをいただきましたけれども、まず、短期間でとは言いませんが、この冬にどれだけできるのか、それによって営農を再開できる方がどれだけふえるのか、ここはやはり大事なことだと思いますので、この点についても触れていただけたらと思うんですが、いかがでございましょう。

江藤国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。

 果樹園等に行きますと、樹体の根元に粘土質の土が三十センチ、五十センチ堆積していて、完全に酸欠状態になって、日に日に樹体が弱っていくと。枯れはしないとしても、木は弱ると、次年度には自分の体を守るために実をつけませんから、ということは、改植は必要がなくても収入が得られないということがあります。

 やはり、農家の方と話をしても、早くこの堆積した泥を取ってほしいと。これはもうまさに短期的な対応で、農林水産省としても何とか、地域の建設業協会の方々に声をかけることも含めて、大きなユンボは入りませんから、枝がこう出ているので小型のユンボしか入らないので、マンパワーを使わなきゃいけない場合もありますし、人的にも機械的にも、広域的に手配をしてほしいということで、今、県とも対応して、長野についてはワンナガノというようなプロジェクトも推進していますから、そういったこともやらせていただきたい、急ぐものはやりたいと思います。

 それからもう一つ、多く東北の方で言われたのは、来年の作付には絶対に間に合わせてほしいと。ですから、雪が降って農地が雪の下に入ってしまう前に、春が迎えられるようにして、雪のシーズンを迎えさせてくれというお話を大変、何度も伺いましたので、それについては、これだけ広域的に一気に災害が起こると、人手不足それから資材不足は否めませんが、できる限り、これは省庁横断的にやれという総理の御指導もありますので、全力で取り組ませていただきたいと考えております。

神谷(裕)委員 大臣、ありがとうございます。

 恐らく、現場の皆さん方というのは、不眠不休で本当に一生懸命頑張っていただいているということは十分理解をしているんですけれども、今お触れをいただきましたように、この冬どれだけ仕事ができるか、水利施設その他が復旧できるかによっては、本当に、来年の営農再開、四月の営農再開、やっとここまで来れたというような状況にまで持っていけるんだと私は思います。そのために、ぜひ大臣、先頭に立って、復旧のこういった皆さん方の御支援、頑張っていただけたらと思う次第でございます。

 それでは、輸出について伺わせていただきたいと思います。

 まず、輸出、もちろん、新しい販路をつくっていく、それも国外につくっていくということについては、恐らくどなたも異論はない、このように思っております。ほとんどの農業者、漁業者の皆さんにとっては、ただ、輸出が果たして自分たちの収入の本線になるのかなというと、実はなかなか難しいんじゃないかなというふうに思っている方がほとんどじゃないかなと思っています。

 先ほども話にありましたが、ホタテがそうでございましたけれども、基本的には、国内での価格が大分落ちてきて、それをやはり需給関係をしっかりしていこうということで国外に出した、そしてそれが成功したという事例でございます。

 農業において、今一生懸命農業をやっていただいていると思いますけれども、果たして、その中で、自分たちの製品が国外に出ていく、そのことをもちろん、専門に考えておられる方は大勢いらっしゃる、もちろん専門にそういう方がいらっしゃってもいいと思うんですけれども、実際には、毎日営農をしている、その例えば余剰部分が輸出として需給緩和に役立ってくれたらいいなというような方はいらっしゃると思いますし、中には、やはり私は輸出で頑張っていこうという方がもちろんいていいと思うんですけれども、この輸出というものを農林水産省がやっていこうじゃないかというようなときに当たって、果たして、農業者、漁業者、林業者にとって、どういう位置づけを持ったらいいのか。農業者自身の収入の本線になり得ないとすれば、副業ということにはならないとは思うんですけれども、じゃ、副業として輸出をやるというのは、これはなかなか難しいことだと私は思っています。

 そういった意味で、輸出というのをこの国の農林水産業のどういった位置づけにしていくのか、その辺について、まず大臣から御所感をいただきたいと思います。

江藤国務大臣 大変難しい質問だと思います。

 食料生産は、ヨーロッパと全く日本は違って、例えばフランスなんかは食料自給率がはるかに一〇〇%を超えておりますけれども、EUの一員である、関税がない、そして陸続きである、EU圏内における食料供給の一大拠点となっているというような事情とは、日本は違いますので、なかなか難しいとは思います。

 とにかく、四百四十二万ヘクタール、今農地がありますけれども、これも少しずつ減ってしまっている。それから、農業者のいわゆる平均年齢も上がってしまっている。そして、担い手を一生懸命育成していますが、なかなかそれも難しい側面もある。

 ということであれば、農業の魅力を増していくということが一番大事なんだろうと思いますが、農業の魅力を増すためには、やはりもうかるということが本線にはあって、輸出にかかわらなくても、例えば、自分の隣の農家が地元に出していた分が半分以上輸出に回ったら、その分、地域での供給量が減るわけですから、自分の分が若干でも高く売れるようなマーケットに、地域でもなるかもしれない。

 ですから、需要と供給の間で価格は決まりますので、やはり需要の部分をいかにふやしていくのか。それが、国内マーケットだけではなくて、海外にもマーケットを広げることで、農家の所得向上、それから農業の魅力、そしてその先に農業基盤の強化というものにつながっていけばということが、この法案に込められた願いであります。

 私は、法律は入れ物だと思っていますので、法律が通った後に、更にいろいろな知恵をこの中に入れていって、この法律が十二分に機能していくように、法律を執行していくことが大事になってくるんだろうと考えております。

神谷(裕)委員 大臣、まことに大事な視点だと思っています。

 輸出でお尻をたたく、これは大事なことだと思っているんですけれども、第一義的に、この国の食料自給率、実は四割を切っています。そういう中で、果たして何を出していくか、これはかなり高度な戦略が要るだろうと思っていますし、かつ、ふだん、今お話にあったように、この国の需給ということを考えたときに、補完市場というのか、供給があふれたというときに、第二の市場を持っておくこと、これは非常に有効な手段だと思うわけです。

 ただ、その場合に、あくまで国内向けにつくっていて、国内のコストで、国内の価格で供給をしているものが、果たして海外のマーケットにはまってくるのかどうか。例えば、アジアのマーケットをお考えいただいていると思いますし、中国であれ、台湾であれ、香港であれ、相対的に比較をすれば、この国の価格というのはやはり高いんだろうと。農産物の価格は、そういった諸外国に比べると高いと思うんです。

 とすれば、単純に、補完市場をつくっていこう、あるいは、供給であふれたものを海外に持っていこうという発想だけでは、恐らく、輸出として成立をしないんじゃないか。

 中にはそういった市場がはまってくるものもあると思いますし、当然、この国の農産物というのは、非常に食味もよければ、安心、安全という評価もいただいております。ですので、そういった意味で、高価格帯という意味では、はまってくるものがあるかもしれませんが、これはかなり市場も限られてくる、あるいは、場合によって、にせものも出てくるみたいなこともあり得るんじゃないかなと思っています。

 一方で、じゃ、今申し上げたように、そういったものではなくて、海外向けにもうやっていくんだという農業者があらわれる、これはいいことだと思います。そのために仕向けた品物をつくっていく。これは、だから、本業の世界ですから、こういった方のお尻を押していく、これも大事だと思っています。

 そういった意味で、今回のこの法律というのはどっちなのかなというのが実は非常に気になっていまして、かつ、最終的には、農林水産省ですから、農林漁業者の皆さん方、農林水産に携わる皆様方が結果として利益を得るということが、これが一番大事なことなんだろうと思います。

 そういった意味で、今の、我が国、輸出を頑張っていこうじゃないか、よってもって農林漁業者に利益を還元していこうじゃないか、これは非常にわかるんですが、かけ声と実際にやることというのが、かなり難しいというか、乖離があるのかなと思っています。

 そういった意味で、この法律を出していく、この法律の中というか、この国の農林水産業にとって輸出というのはどういう位置づけなのかというのを改めてしっかり考えていただいて戦略をつくっていただきたいなと思ったものですから、こういった質問をさせていただきました。

 何か大臣、コメントはありますか。

江藤国務大臣 まず一義的には、今実際に輸出に取り組んで、頑張ろうという意欲と能力を持っていらっしゃる方はたくさんおられますが、しかし、その方々がスタックしている、詰まっちゃっている。何でこんなに手間がかかるの、何でこんなに面倒くさいのというお話はたくさん、実は上がってきております。

 そういう方々がまずはスムーズに海外マーケットに出ていけるような制度改正はやはりしていかなきゃなりませんし、例えば、先ほどの御質問でもいただきましたけれども、食肉処理場ができて、二年間も許可が出ない。これから、この法律が通ると、食肉処理場を整備するという計画を立てた段階から厚生労働省もコミットをして、ですから、衛生管理基準、どこのマーケットを狙って出すんだということを決めた上で、農林省の補助金を使いながら施設整備をしつつ、厚生労働省も審査をしつつ、完成したらすぐにでも、完成品は、ああ、合っているねというような方向性に持っていけるように、この法律が通ると、なるようになるので、非常に流れはよくなると思います。

 ただ、価格帯については大きな課題だと私も思っています。日本の米をもっと海外で売りたいと思っておりますが、しかし、いろいろなマーケット調査をすると、やはりどうしても高いんじゃないかと。おいしいのはわかるが、この値段ではなかなかこれ以上は広がらないよという声もあります。

 確かに、アジアの所得はどんどん上がっていって、高価格帯も買えるような購買層もふえているかもしれませんが、輸出を考えると、マーケットの求めているものは品質だけじゃなくて価格でもあるということはこれから十分考えていかなきゃいけませんけれども、規模拡大、そしてコストの低減、生産性の向上をずっとやってきて、その裏腹で小規模農家に対する目くばせが足りないんじゃないかというお叱りも随分いただいてきた自民党農政の歴史もありまして、いろいろ悩みながら、これからやらせていただきたいと考えております。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 その上で、この国で輸出を振興していこうというときに、私はやはり、国が一番最初にやってこなきゃいけないのは、相手国政府の関税を下げるとか、あるいはさまざま、今、衛生の基準であるとか、そういう御指摘もいただきましたけれども、そういうものが非関税障壁になっている部分もあると思っておりまして、こういう部分をどれだけ取り除いてくるか、関税を下げてくるか、これがやはり一番、役所、国に、前に出てやっていただかなきゃいけないことだと思っているところでございます。

 その点について、大臣、御所見、御所感をいただきたいと思います。

江藤国務大臣 局長も先ほどから答弁をされましたけれども、委員からも御指摘ありましたが、その国々のいわゆる食品の安全基準とかそういうものは、その国の国益に直結するものでありますから、やはり売り手の方が合わせなきゃなりませんが、しかし、余りにも科学的知見から離れてしまっているものについては、それはちょっとおかしいんじゃないですかという話はしっかり、外交努力の上で、していかなきゃならないと思っています。

 例えば、EUなんかの、かつおぶしの中のベンゾピレンですか、こういうのが随分国会でも話題になりましたけれども、日本ではかつおぶしこそがだしの文化の根本であって、日本の食文化を広げるにはかつおぶしは欠かせないけれども、EUではなかなか難しいということでありますけれども、これについてもやはり努力をしなきゃいけないと思っています。

 それから、一番我々が考えなきゃいけないのは、放射性物質に係る輸出の緩和については、ここのところ立て続けに、天皇陛下の御即位の礼に合わせて、いろいろな国が緩和を表明してくださったり、撤廃を表明してくださったりしておりますけれども、まだまだ、二十二の地域がまだ残っておりますので、これについてもしっかり、やはり科学的知見に基づいて冷静な議論ができるような環境をつくっていかなきゃならぬというふうに思っております。

神谷(裕)委員 大臣、実は私は、この点については、全く反対の意見と言ってはいけないんですが、かつてこの国にも、やはり輸出の際にはさまざまな証明が必要になっていました。御案内のとおり、衛生証明なんていうのもありました。

 一旦、この国でも衛生証明を出していたと思うんですけれども、実際にはそれが廃止されて出せないようになって、そのときに各国に、要は、輸出の際にどうしても求められるものですから、やはり事業者、業者の方からすれば、衛生証明を出してくれというようなことで、さまざまなアプローチがございました、特に、中国だとかEUに向けて。結果として、中国に対してどんな衛生証明を出したらいいですか、今、大臣が言っていただいたように、各国というか、中国あるいはEUに対しても聞いてきた、そういった歴史があると思います。

 その結果、とんでもない高いハードルを課されてきたんじゃないかというのが、私の、実は正直な実感でございまして、むしろ、相手国政府に聞いてそれに妥当なものをというふうに考えるよりは、この国の衛生基準はこういうものなんだ、何も文句を言わせるものではないんだというものをしっかりとむしろ定めていただいて、これだから、相手国政府に対して、大丈夫だろうというふうに、むしろ言っていただきたいと思っています。

 じゃないと、極端なことを言えば、二百カ国あれば、二百カ国の地域に行って聞いてきて、それに合わせて個々個別に、一つ一つ聞いていく、これは実は相当大変なんじゃないかなと逆に思っておりまして、むしろ、この国の基準はこうなんだ、安全上、科学的にもこれは大丈夫なんだということを高らかにうたっていただいて、相手国政府に、我が国の衛生基準に何の問題があるんだという方向でむしろやっていただきたいなというのが本音でございます。

 先ほどの、各国に聞いての話の中で、例えば中国の水産加工条例であるとかEUのEUスタンダードであるとか、それを守るために、まあ、そういう国に関してはどうしても守らなきゃいけない事情があったんだろうと思うんですけれども、かつてそれで、私が携わったマグロでしたけれども、この日本からマグロが一尾も中国に輸出することができませんでした。これは、水銀の値がメチル換算でどうしても超えられない、食物連鎖の上位に立つマグロであれば超えられないというものでございましたが、これは、あくまで水産加工条例を遵守しようという、この国の政府の方針で、実際には入れることはできませんでした。

 しかし、同じように、実は、フィジーであるとか、ほかの国から、ばんばんばんばんマグロが入るんですね。それは何でかなと思ったら、フィジーはフィジーで独自の衛生証明、基準を持っていて、それをつけて送り出したということでございます。

 私自身が思いますのは、やはりこの国の基準というのは明確に決めていただいて、これでどうだという交渉をぜひやっていただきたいと思うんです。でないと、先ほど申し上げたように、各国とやりとりしながらというのは、これは結構大変だと思いますし、中には、先ほど申し上げたように、日本でたった一台、検査機が兵庫だったかにあった、そういう検査を課されてしまって、結果として大変な障壁になった、こういった記憶があるものですから。

 ぜひ、むしろ、そこは柔軟にとは言いません。相手国政府との交渉があるのは十分承知をしておりますし、それは大事なことだと思いますが、むしろ、この国の基準をきっちり決めていただいて、今回法律もできるわけですから、そういうことで進めていただきたいなと思っているところでございますが、大臣、所感、いかがでしょう。

江藤国務大臣 なかなか私の一存で、これです、ここから一歩も譲りませんというのがいいのか悪いのかは、ちょっとなかなかお答えがしづらいんですが、ただ、そうありたいなとは思いますね。

 というのは、被災地における基準についても、十倍以上も厳しい水準でやっているのにいまだに二十二の地域が受け入れてもらえない。じゃ、これ以上後ろに下がるかというと、我々は下がる気がないわけでありますから、ほかのものについても、委員が御指摘のようなことがある意味では可能だろうと思います。

 しかし、フレキシビリティーというのは、国際交渉の場においては常にやはり持っていなきゃいけないオプションだと思うんですよね。頑固で、嫌ならいいぞというのがいいのか、ああ、それぐらいだったらアジャストできますねという、ハンドリングできる部分を、遊びとして持っておく部分がいいのか。それについては、また省内でも、またほかの関係省庁ともぜひ議論の場を設けてみたいなときょうは思いましたので、これでお許しをいただきたいと思います。

神谷(裕)委員 大臣、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 科学立国、この国は安全、安心な国でございます。この安全、安心な国の食料品あるいは農産品を出していく。当然、万全の衛生証明がつけられると私は思っております。

 当然、我々国民の口に入るものは海外の皆さん方にとっても安全、安心なものだというふうに確信を持っておりますし、そういった意味で、この国の輸出証明をしっかりつくっていただければ、かなり理解をいただけるんじゃないかというふうに思っておりますし、実はそれが、非関税障壁の部分で結構、通り抜けるだけの道になるんじゃないかと思っているわけでございますので、どうか御検討を、省内でなのかあるいは各省でということになるのか、御検討をお願いしたいと思います。

 質問を続けさせていただきます。

 農林水産省が輸出を差配する以上、当然にして、輸出が、国内農林水産物を活用し、あるいは直接輸出されて、結果、農業者の収入の増加、経営の安定につながることが大前提であると思いますけれども、果たして、農林水産省、今の政府のあり方を見ておりますと、輸出額そのものが目標としてちょっと大きくクローズアップされ過ぎているんじゃないかなというふうに思っております。むしろ、国内の農業者に対してどれだけ貢献をしたんだというような見え方が本当は重要なんじゃないかなというふうに思っております。

 以前、この委員会でもあったと思いますが、輸出をしていく上での加工品、清涼飲料水なんかもそうでしたけれども、どれだけこの国の農林水産品が使われているのかということが大変に議論になりまして、単純に輸出を伸ばしていくということが本当にこの国の農林漁業者にとってプラスになっているのかどうかというような議論が結構あったかなというふうに思っております。

 という意味では、やはりそういうところはしっかりわかるような形でメッセージを発信していただきたいと思いますし、もちろん、この国は加工貿易の国でもございますから、この分野でもそうなんだよ、結果として、国内の事業者、業者がしっかりもうけられるんだよ、これはこれで悪いことではないというふうにも思いますけれども、そうはいいながらも、やはり、今回、輸出額の伸びがどれだけ農林漁業者にとってプラスになっているんだというようなところがしっかりと見えるような、そんな形がとれないかなと思っているわけでございます。

 この際ですけれども、加工食品における国産農林水産物の拡大について、この際、大臣から御所感をいただきたいと存じます。

江藤国務大臣 今回の法案のたてつけとして、例えば、最近は東南アジア、ベトナムとかいろいろなところで、みそとかしょうゆとかそういったものが大変人気で、輸出が大変伸びておりますが、じゃ、原材料はどこから入れているのか。大豆はほぼほぼ輸入に頼っているというのが日本の現状であります。

 ですから、今回は、でかいメーカーさんはだめですよ、農林水産関係業者じゃなきゃいけません、農林水産ですから。そういった方々が、国産のいわゆる大豆とか、そういったものを積極的に利用して輸出に取り組みたい、そのための施設設備を更新するなり整備するなり増設したいということであれば、我々としてはそれを認定して、日本政策金融公庫の〇・一六の金利も適用されますし、それにさらには、強い農業づくり、強農の名前がちょっと変わって、ちょっとややこしい名前に、昔で言う強農ですね、強農もポイント制になっていますけれども、強農を申請する際にもそのポイントを加算するような措置をすることによって、加工というのは付加価値をつけて出せるわけですから、やはり、国内のメーカーさんなりが国内の農産品を買って、それが加工品になって海外に出ていくという、ダブルで効果が出るようなこともしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 ちょっと質問の順番を変えさせていただきたいと思います。ちょっと時間もあるものですから。

 この際、聞きたいのは、新しく市場を海外で開拓するときのリスクの低減について若干聞きたいと思っております。

 私も実はかつて海外で国内のものを、市場をつくろうというようなプロジェクトに参加をしたことが実はございます。先ほどお話にもありましたけれども、ノルウェーのサーモンを中国でやったことがやはりあったということは聞いていまして、そのとき、中国の農業部の漁業局の方から、ノルウェー政府は二百億円ぐらい使ったよというような話も聞いていました。これは真実かどうかわかりません。ただ、中国の農業部は、二百億ぐらい使ったというようなことでございました。

 実際に海外で市場を開拓していくというのは結構大変な仕事でございまして、先ほども議論にのっていましたけれども、まず市場調査、これが絶対必要になってまいります。

 市場調査も、既存のものであればいいですけれども、新たに市場を開いた場合、どういう購買層がどれくらいいるのかだけでなく、食べ方も含めて、あるいは流通も含めて、あるいは競合するものは何なのかというようなところで、かなりソフトにお金がかかってまいります。そればかりではなくて、当然、それで事業ができるわけではなくて、広告も打たなければなりません。広告だけではありません。実際に、例えば私が扱ったマグロであれば、マイナス五十度での保管が必要になりましたし、そのためのコールドチェーン等も全て必要になってまいりました。扱う事業者、それから専門家派遣、そういったものも含めますと相当な金額がかかったと思っています。一般の企業さん、事業者さんにとって、商売になるかならないかわからない状況の中で出ていくというのは、かなりこれは大変だと私は思っています。

 そういった意味で、実は私は国のお金も少し活用させていただいて事業開拓できたからまだよかったんですけれども、実際には、こういう後押しがないと結構きついんだと思います。商社さんにしても、ビジネスになると思って投資をしますから、それはできるんですけれども、実際に、じゃ、そういう市場をつくっていこう、今申し上げたようなソフトの面であるとか、あるいは、極端なことを言えば調理器具まで現地になかったりするわけですね。あるいは調理方法、そういったものも考えていかなきゃいけないというようなことでございまして、やはり初期の投資リスク、これをどれだけカバーしてあげられるか、これが大事なことだと思っていまして、新しく市場をつくる上で、ここら辺のところ、何とか支援をというか、積極的に支えるだけの施策を打っていただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

塩川政府参考人 今委員から御指摘がありましたように、輸出を行う場合には、国内販売に比べまして、やはり、海外市場における情報収集、それから商品の売り込みに多大なコストがかかるというふうに認識はしております。

 このため、ジェトロが、海外マーケットにおける、先生今おっしゃった市場調査、それからセミナー、要は、輸出をしようと思う方にいろいろな情報を教えてあげるというような、そういうセミナーの開催、それから、海外に専門家を配置しておりまして、実際に海外に行っている事業者に対していろいろな、こういうところに売ったらいいよとか、そういう個別の相談をしております。

 それから、まさに広告とおっしゃいましたが、JFOODOというものが今、五品目、七テーマで重点的に戦略的なプロモーションをやっておりますし、それ以外に、複数の産地が連携して販売促進をする場合にも、これも支援をしているところでございまして、こういうことで、今おっしゃった輸出に伴うコストとかリスクの低減に対してしっかり支援をしてまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 今、さまざまな支援策について塩川さん、いろいろ教えていただいたんですけれども、やはり大事なのは、大枠で支援するということだけではなくて、個々のプロジェクトなりケースにおいてどれだけ支えられるかということだと実は思っています。

 私が扱ったマグロについてもそうだったんですけれども、それだけのために当然、市場調査もしました。そして広告も打ちました。そういったことで、一つ一つについてやっていかないと、総体的にこれは必要なんじゃないかで調べていただいて、これくらいの購買層がいるからはまるんじゃないかでは、実は心もとないです。むしろ、企業さんなり、あるいは農業者さんなり農協さんが前に出るに当たっては、そういったところでしっかりできていないと、恐らく、二の足、三の足ぐらいならいいんですけれども、実際に出て、あっ、失敗したということにもなりかねないんじゃないかなと思うわけです。

 実際に、ノルウェーサーモンの話、二百億かけて何とか市場をつくりました。でも、これがつらかったのは、その後、国内の養殖場からサーモンが供給されてしまって、結局なかなか維持もできなかった。要は、事前に、そういう能力があるんだも含めて、さまざま考えておかないと、これはきついと思います。

 ホタテは、先ほど、成功したんですけれども、じゃ、例えば同じように供給過剰になったので出していこうじゃないかと、いろいろな事例がありました。長崎では俵物といって、いろいろ魚を出したり、あるいは、かつて、サンマの魚価が相当安くなったので、これも上海に出したことがございます。一匹一元でした。今から考えるとすごい安い値段なんですけれども、結果として、それがひょっとしてサンマの味を中国の方に教えてしまって、結果として今の乱獲につながっていたらちょっとつらいなとは思っているんですが。

 さまざまやはり、いろいろな事情、リスクがありまして、個々のものについて、個々のプロジェクトについて、それこそしっかりと支えていただかなければいけないと思っています。

 そういった意味で、専門家も、ジェトロにいるよというのもそうなんですけれども、それ専門にやはり出していかないと、それこそ、日本料理のコックさん、こういう方を出したり、さまざまやはりニーズが違うんだと思います。そういう意味で、やはりもうちょっと、細分化したとは言いませんが、寄り添った形の支援ができないかと思うんですけれども、いかがですか。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと私の説明が不十分だったのでもう一回申し上げますと、現在、世界二十二都市、今先生おっしゃったように、例えば上海におりますし、中国でいけば北京、広州、あと香港にも、そのほか世界二十二都市に、現地にお住まいの、そういう専門家、この方を海外プロモーターとして配置をしておりまして、その方から、当然、日ごろから市場をしっかり捉まえていて、こちらから輸出しようと思ったときに当然そういう情報も伝えますし、また個別に相談にも乗るということで、まさに一つ一つしっかり対応できるような体制をとっているところでございます。

神谷(裕)委員 そういう方に私も会ったことありますし、承知はしていますが、やはり総じて全体でしかない。だから、そういう意味では、もうちょっと細分化したとは言いませんけれども、そういった、例えば人的派遣も含めて、専門家派遣も含めて、そういった支援の仕方、あるいは広告費、あるいはソフトに使えるお金、そういったところもぜひお願いをしたいと思います。

 あわせて、現地でのリスク回避というのがやはり大事だと思っています。実際に仕事をしてみると、どういうパートナーが組めるのか、これが大きかったりしますし、中には、アジアの国でいまだに代金回収のリスク、こういったものを考えていったときに、なかなか出にくいというのが本音でございました。

 そう考えたときに、やはりどれだけいいパートナーを見つけられるかというのは非常に大事だなというふうに思っていますし、例えば中国であれば、業界というのか協会というのか、そういう方と組むことによって、あるいは通関の時間も相当短縮できるし、あるいは規制も随分下げられたり、あるいはディストリビュートというか、出す方も相当円滑にいったりするというようなことでございまして、例えば、政府がGGベースで協議をする際に当たっても、できればそういったBBも入れていただきたいなと思っていますし、そういうことが実はかなり、この後の市場開拓というか市場開発にとっては有益に進んでいくということを経験的に承知をしています。そういう意味で、やはり現地でのパートナー選びって非常に重要だと思っていますし、大事だと思っているんです。

 そういった意味で、現地でのそういった支援というかリスク回避というのか、それについてもやはりしっかりやっていただきたいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに先生おっしゃいましたように、輸出に取り組む方が輸出先国におきまして適切なパートナーを見つけることが非常に大事だと思っていまして、ジェトロが、海外見本市への出展だとか国内外での商談会の開催を通じてそういう適切なパートナーが見つけられるように、支援をしているところでございます。

 ただ、よく聞くのは、その見本市に出るだけで、例えばバイヤーさんから、じゃ、幾らですかと言われると答えられないという方もいらっしゃるものですから、実際に出る前に事前にセミナーを開催いたしまして、どうやったら商談が成約できるかという事前準備をしっかり促すような取組もしていますし、そのセミナー、見本市の前にも後にも専門家が個別に相談対応ということで、しっかり適正なパートナーと成約できるような支援を行っているところでございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 事前準備ができていないところは、出たところで多分損するだけのことなので、そこはしっかり、むしろ、ちゃんと出せる方についてはしっかり指導していただきたいと思いますし、事前にそういったことがきちんと計画できていなかったら本当に大変だと思いますので、お願いをしたいと思いますし、出てからが本当に大変なことが多いですから、そこら辺もしっかり支えていただく。

 こういうことがないと続けることができないので、一回、ワンパンチで終わってしまうような輸出では、この国の将来というか、将来的にふやしていこうという輸出には到底ならないわけなので、その辺も含めてトータルでさまざまな支援、それこそ、農林漁業者の方が実際に出ていくか、あるいは農協単位で出ていくか、あるいは商社と一緒にやるかは別ですけれども、特に、まだやっていないような農林漁業者の方に促すということであれば、そこはかなり懇切丁寧に、安全に出させてあげなきゃいけないし、それこそ、それを続けられるようにしていくことが仕事だと思っておりますので、ぜひ、そういったことからこの輸出推進を取り組んでいただけたらと思うところでございまして、このことを申し上げさせていただいて、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

吉野委員長 次に、長谷川嘉一君。

長谷川委員 私は、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの長谷川嘉一でございます。

 きょうは、貴重な質問の時間をいただきましたことを、心から御礼を申し上げる次第でございます。

 また、冒頭、このたびの台風被害でお亡くなりになりました皆様方に対しまして衷心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様方に対してお見舞いを申し上げる次第でございます。

 先ほどは、神谷委員の大変専門性に富んだ質問に聞き入っており、また、御答弁についても大変参考になるものがございました。私の場合は、大変素朴な、基本的なことになるかもしれませんけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最初に、江藤大臣におかれましては、就任早々の御挨拶そして現在までの御発言については、生のお言葉で思いを語られているという姿勢に対して、敬意をまずもって申し上げたいと思います。

 また、今回の台風十九号においての千曲川の氾濫については、いち早く長野県の被災地に出向いて、リンゴ農家を見舞って温かい言葉をおかけになったり、また、今後の対応もなさっているというふうに聞き及んでおります。この点に対しましても、感謝を申し上げたいと思います。

 質問に移らせていただきますが、最初に、農林水産物輸出促進について、基本的なことについて順次御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、農産物及び食品の輸出促進に関する法案そのものでございますが、まずこの農林水産物・食品本部の設置についてでありますけれども、農林水産大臣を本部長として、七つの省庁の大臣を本部員とするとございます。ここにおいて、輸出の促進の基本方針を定め、実行計画、そして進捗管理を行うとともに、関係省庁の事務の調整を行うことにより、政府が一体となった輸出の促進を図るとございます。

 このような、各大臣を本部員とすることの重みは大変感じるところではございますが、余りにも重いということで、本部長として決してやりやすい部分ばかりではない、また、いろいろさまざまな調整が必要になってくると思いますが、素朴にこの辺についてのお考えをお聞かせいただければと思います。

江藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今回の大雨の被災もそうですけれども、やはりこれから先は縦割りというものをなくしていくということはとても大事だと思います。政策はそのパッケージで有効性を発揮するものでありまして、決して農林水産省だけでひとり相撲をするということではなくて、決してほかの省庁は私の下ですよということではなくて、責任を持って取りまとめをさせていただく立場だというふうに思っています。

 しかし、先ほど御答弁させていただきましたように、施設整備をして完成してから厚労省が来て、じゃ、じっくり検査をいたしましょうと、だめ出しをして直す、そしてまた検査が入る、また直す、検査が入る、気がついたら施設が完成して二年もたってしまっていた、その間に得られるべき利益は逸失されてしまったというふうなことも、マーケットはどんどん先に進んでいますから、マーケットもとられてしまったということもあるかもしれません。やはり、スピード感というものは何事も必要だと思います。

 ですから、これからは、私のところに本部を置いて、まず工程表をしっかりつくって、こういう計画でやるんだ、そして、進捗状況についても、遅ければ、何でこんなに時間がかかっているんだ、もうちょっと早くできるんじゃないかということは厳しく、勇気を持って言わせていただきたいと思います。

 そういったことによって全体の輸出促進につながればということが本法案の趣旨でございますので、ぜひ御理解を賜れればというふうに思います。

長谷川委員 御答弁ありがとうございました。

 まさにそれを狙ってのこの制度改革ではないかと思いますが、そのことが、今回のことが、そうした大臣のおっしゃられるとおりの方向に円滑に進むことを願ってやみません。

 次に、国が講ずる輸出を円滑にするための措置について移らせていただきます。

 これまで法律上の根拠規定になかった輸出証明書の発行や生産区域の指定、それから加工施設の認定について、主務大臣及び都道府県知事ができる旨の規定がありますが、その具体的な例についてまずお示しをいただきたいと思います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、先生御指摘の、法律上の根拠なく行っているものとして、輸出証明書の発行、あと生産区域の指定、それから加工施設の認定、これについては、所掌事務の範囲内で農林水産省、厚生労働省等が通知に基づいて行っているところでございます。

長谷川委員 私、この部分については理解が不足していると思いますが、この制度に切りかえることによって、今までのものと、行われてきたわけですが、大きな改善点について、いま一度、ちょっと私に理解できるような形で御説明いただけますでしょうか。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げましたように、農水省、厚生労働省等が通知に基づいてそれぞれの事務を行っているものですから、例えば、農水省、厚生労働省、都道府県等の権限が不明確という指摘があります。そして、国や都道府県等の体制整備がおくれているという問題がございました。また、輸出証明書の虚偽申請が発生した場合に、報告徴収や立入調査が行えない、こういう問題もございました。

 今回、この法案によりまして、農林水産省に新たに証明書等を担当する組織を創設いたします。また、都道府県等の行う体制整備もしっかり支援をしてまいります。また、必要に応じまして、報告徴収や立入検査を行って、輸出証明書の取消しを行えるように、これは法律に基づいてできるようにしたいというふうに考えております。

長谷川委員 わかりました。ありがとうございました。

 次の部分に移らせていただきますが、農林水産省に、新たなそれをつかさどる、対応する課の設置が必要になってくると思いますが、この体制について、また予算措置についてはどのようになっているか、御答弁をお願いいたします。

塩川政府参考人 ただいま御答弁申し上げましたように、農林水産省に新たに証明書等を担当する組織を創設したいということで、今、組織・定員要求を行っているところでございます。具体的には、五十名程度の新しい課と、それから地方農政局等で二十名程度増員をしたいというふうに考えてございます。

 また、それに必要な予算措置につきましても、来年度予算でしっかりとれるように今要求をしているところでございます。

長谷川委員 この点については、私もそれ以上のことは申し上げる見識はございませんので、そのことをお受けして、いい形で、また各省庁との関係がうまく図れるように、希望を申し添えさせていただきたいと思います。

 次の質問でございますが、民間の登録の認定機関による加工施設の認定も可能となるということも盛り込まれておりますが、どのような品目がその対象となるのか、また、そのためには費用負担等も発生することになると思いますが、具体的にもしわかれば、御答弁いただければ、お願いいたします。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、民間の登録機関によって施設認定が行われておりますが、これは、当然、相手国が、民間の施設でいいよということを認めている必要がございます。例えば、現在でありますと、アメリカ、ロシア、インドネシアなど向けの水産物、これの加工施設の認定を民間機関が実施しているところでございます。

 民間登録機関が施設認定を行えるような国、それから品目がふえるということは、まさに施設認定の迅速化につながるということでございますので、まさにこの輸出本部のもとでしっかり相手国と協議を重ねてまいりたいというふうに考えております。

長谷川委員 その証明書の発行に対する費用負担はどのようにお考えになっているかも、あわせて御答弁お願いします。

塩川政府参考人 当然、証明書でございますので、証明書を受けると事業者は、そこで当然、輸出という利益を得られるものですから、それなりの手数料を、今、国では取るかどうかについて、法律上は取れる規定になっております。また、県では、県によって違いますが、現在、二百円から千三百円ぐらいの実費を取ってございます。

 ただ、国として、今、法律上は手数料を取るという規定になってございますが、輸出促進を図るという観点から、どの程度の手数料を取っていくべきかということについては、しっかり考えていきたいというふうに思っています。

長谷川委員 今後起こり得ることでありますけれども、この費用負担が、輸出をしようとする事業者個人に対して負担になることは決してないとは好意的に考えますけれども、その辺についてのしっかりとした監視、指導をあわせてお願いを申し上げます。

 では、次の質問に移らせていただきますが、輸出のための取組を行う事業者に対する支援措置がこの法案に盛り込まれておりますが、この事業者数を、大体どのくらい初年度に見込まれているか、また、その予算措置はどのようにお考えになっているか、あわせて御答弁をお願いいたします。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出事業計画の対象となる輸出のための取組を行う方は、農林漁業者から食品製造、加工業者、流通業者まで、川上から川下まで全ての段階の方になると思ってございます。

 それで、今先生御指摘の、じゃ、どのぐらいの数かというのは、現時点で見込むのはなかなか難しいわけでございますが、例えば、先ほど申し上げています農林水産物・食品輸出プロジェクト、GFP、これに登録している方というのは、今、約千九百いらっしゃいます。また、グローバル産地づくり推進事業というのは、これは全国で二十八事業者が認定をされていまして、これから計画づくりをしていくということでございまして、こういう方々が今回の法律の輸出事業計画の認定の候補になるのではないかというふうに考えているところでございます。

長谷川委員 予算規模はわからないということだと思いますけれども、じゃ、これについてはまた今後ということでお聞きをしていきたいと思います。

 次に、食品流通合理化法とHACCP支援法に基づく設定計画がこの支援の対象になるというようなことでございますが、これに該当しない形でも、この支援措置が有効に働くケースもこれはあるというふうに考えられますが、私はその詳細について述べる見識はありませんが、そういったものに対する支援措置は何かお考えになっていらっしゃれば、お答えいただきたいと思います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁しましたように、輸出を行う方というのは、経営規模とかにかかわらず、いろいろな形態があると思うので、農林水産省としても、いろいろな手段で当然支援をしていかなくちゃいけないと思っています。

 もちろん、この法律に基づく認定を受けられる方は、当然認定を受けてさまざまな支援を受けていただきたいと思っておりますし、仮にこの輸出事業計画の認定を受けない方に対しましても、公庫による資金だとか、あるいは予算事業の優先採択の対象になりませんが、通常の条件のもとでの予算事業の対象になるということで、例えばGFPのプロジェクトとか、そういうことでしっかり支援をしてまいりたいというふうに考えております。

長谷川委員 そういう対象者がいるかどうかというのは、私は実際のところはわかりません。わかりませんが、余りこの対象を規定し過ぎないで、こういった支援によってこの有効性が発揮できるという部分については最大限柔軟な対応を要望して、この質問は終わらせていただきます。

 次に、この輸出関連についての部分でありますけれども、今期一兆円を目指して、大分いいところまで来ているなというのが実態ではないかと思いますけれども、ここに来て昨年以降はその伸びが鈍化しておりますが、この一兆円達成の見通しについて御見解をお聞かせいただければと思います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一八年の輸出は九千六十八億円というふうになっておりまして、目標はことしの十二月までに一兆円ということでございまして、ことしに一〇・三%、前年比で伸びる必要があるところでございます。

 今、最新の輸出額の実績でいきますと、一―八月で二・四%の増加になっておりまして、なかなか一〇・三との乖離がある状況でございます。これは、一つはやはり水産物が伸びていないというのが原因でございます。

 そういう中で、しっかり一兆円の目標に向けまして、私も含めて、輸出される方に対して訪問をして、輸出に取り組んでいただけるようにお願いをするとともに、地方農政局の職員も、過去に輸出に取り組んだ方に、なぜ取り組めていないのかをしっかりその原因を聞き取って新しい施策に結びつけるなど、あらゆる手段を使って一兆円の目標達成に向けて今努力をしているところでございます。

長谷川委員 そういうことであり、この輸出品については不確定要素が高いということで、マイナス要因も幾つか伺っておりますが、そういった中でのこの達成目標ということで、大変御苦労も多いと思いますが、達成に向けてしっかりと御努力されることを期待しております。

 また、今回の法案とは直接結びつかないかもしれませんが、この一兆円目標ということに関連して、約十年後、二〇三〇年には五兆円を目指すという数字をお見受けしております。

 何を根拠にこの数字が算出であるのか、これから根拠を示すのかわかりませんけれども、出てきたものなのかをちょっと教えていただければと思います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生がおっしゃられたのは、農林水産業・地域の活力創造プランで、平成三十年十一月二十七日に改定されたものだというふうに考えております。

 具体的に申しますと、二〇一九年までに農林水産物、食品の輸出額を一兆円に増大させ、その実績をもとに、新たに二〇三〇年に五兆円の実現を目指すという目標を掲げ、具体策を検討というふうに書かれているところでございます。

 五兆円の根拠についてはちょっと今手元にないわけでございますが、書いてございますように、一兆円を達成した後のポスト一兆円の目標につきましては、これまでの輸出実績の分析、検証に基づきましてしっかり検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

長谷川委員 この数字というのは、五兆円というのは、今までの経緯を見たとしても、また、先ほどの神谷委員の御指摘を勘案しても、大変高いハードルになっているのかなと思いますが、この数字が出る以上は、ある程度責任を持った根拠を示していただけるように要望させていただきます。

 次の質問に移らせていただきますが、この原材料の部分でございます。

 平成二十三年度の食品製造業、加工食品の原材料については、農産物全体の約三割が輸入食品であるというふうにお聞きしておりますが、それから七年後の昨年、平成三十年度における農産物輸出に占める輸入加工品、輸入農産物割合というのが示されていないんですね。この辺はどのようになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、プランにおいては、一兆円が達成した後の話を、五兆円を検討すると書いてあるわけでございまして、その内訳としての、各品目の、目指す数字について言及されていないところでございます。

長谷川委員 そのことについては、お聞きしていなかったんですね。

 輸出加工品の、平成二十三年度の食品製造業における加工品の原材料が部会等でも議論になっておりました。それについて意欲があるのであれば、当然、二十三年度のデータが最新で三十年度はまだありませんというこのお答えについてはなかなか釈然としないものがあるんですが、この辺について御答弁をお願いいたします。

塩川政府参考人 大変申しわけありません。二〇二三年、ああ、二十三年と三〇年を聞き間違えましたものですから。

 平成二十三年の国内の食品製造業の加工原材料の割合は国産農林水産物が七〇%を占めておりまして、残りは輸入農林水産物と輸入加工食品という状況になっております。

 先ほど御答弁申し上げましたように、一次産品だけじゃなくて、加工食品の輸出の中には、当然、原材料として、こういう農林水産物、一次産品が含まれているというふうに考えているところでございます。

長谷川委員 二十三年度は七〇%国産という御答弁はいただきましたけれども、それ以降のものについてもぜひお調べになっていただいて、的確に、この数字に興味を持っていただいてこの業務に当たっていただくことを要望して、この質問は終わらせていただきます。

 時間の関係がありますので関連質問になりますけれども、今、豚コレラが大変大きな課題になっております。

 私も、四月であったと思いますけれども、これについては質問をさせていただきました。これについて、また改めてこの質問をせざるを得ない状況が今来ています。

 それは、今現在は、関東圏の埼玉県にまで豚コレラの発生がある。私のところは群馬県、利根川を挟んでこの対岸にあるわけでして、その反対側の本庄というところにまで豚コレラが発生している。野生イノシシがもちろん媒介になっておりますけれども、群馬県についても五頭も野生イノシシが陽性ということでもう来ている。ですから、何といいますか、危険水域をもう超えてしまっているということであります。

 もう一つは、この養豚数ということでは、群馬県の場合、北海道に次いで四番目、六十四万頭おります。そして、陸続きでずっとありますから、栃木県についてもほぼ同じ規模。また、北関東の茨城県にとっても同じような規模であって、更に南の方に行くと、千葉県もやはり六十万頭ほどの養豚がいるわけでございます。

 これが群馬県に来た場合は、ぐっとそれがこのイノシシを媒体として進んでいく可能性が極めて大きいわけであります。

 この部分について、発生から今日に至るまでのその状況、そして対応についてお聞かせをいただきたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年九月に、国内で二十六年ぶりとなります豚コレラが岐阜県で発生をいたしました。まずは防疫の基本でございます飼養衛生管理の徹底と早期発見ということで、都道府県や関係団体を通じて現場に伝えてまいり、現在でも引き続き行っているところでございます。

 一方、その後、岐阜県と愛知県におきまして、野生イノシシにおきます豚コレラの発生が続いたということでございまして、これにつきましては、日本では経験がございませんでしたが、三月から野生イノシシへの経口ワクチンの散布というのを開始したところでございます。

 それから、五月までに岐阜県それから愛知県の二県におきまして飼養豚での豚コレラの発生が続いたということを受けまして、感受性動物対策ということで、一旦畜舎を空にするという意味での、その間に飼養衛生管理を向上していただくという意味での早期出荷促進対策を開始したところでございます。

 その後、九月には、イノシシの豚コレラの発生というのが大きな原因になっていると考えておりますけれども、埼玉県と長野県において飼養豚への豚コレラが発生したということを受けまして、国といたしまして、防疫指針を改正いたしまして、予防的ワクチンの接種を開始したところでございます。

 現在のところ、群馬県を含めまして十二県をワクチン推奨地域に設定をいたしまして、十一県におきましてワクチンの接種を開始したところでございます。

 これに加えまして、アジアで発生が続いておりますアフリカ豚コレラ対策ということで、四月に畜産物の違法な持込みへの対応の厳格化ということを関係省庁一体となって始めるとともに、七月には農場防護柵の支援措置というのをイノシシがおります全国を対象に始めたところでございます。

 今後も、あらゆる対策を総動員しまして、一刻も早い終息に向けて努力してまいりたいと考えております。

長谷川委員 ワクチン接種についても御言及いただきましたけれども、大臣がおかわりになってそういった流れが加速をしているというふうに感じているわけでありますが、この豚コレラについてはしっかりと指針が定められているというふうに私も認識をしております。

 かつて十数年前、日本は清浄国入りをしたということがあって、それまでの十数年の間の苦労の結果、豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針が平成十八年三月三十一日に定められているわけでございます。

 この中で見ても、内容的には、基本方針として、関係者にあっては、本病の防疫措置の重要性を十分認識し、全ての関係者が一体となって侵入防止による清浄性の維持及び早期発見のための監視体制の強化を図るとともに、発生時における迅速かつ的確な蔓延防止が講じられるよう、危機管理体制を構築しておくことが必要であるというふうに述べられております。

 この辺も含めて、もしよければ大臣の御所感をお聞かせ、参考人でも結構なんですけれども。

江藤国務大臣 委員がおっしゃったように、先人が大変な御努力をされて清浄国になったということを、我々は忘れてはならない歴史だと思っています。

 アジアの中で唯一清浄国として頑張ってきたということもあって、なかなかワクチン接種ということではなくて、いわゆる飼養衛生管理基準を徹底するということによって蔓延防止を、防ぐ努力をしてきたわけでありますが、しかし現実には、今までと違った事情として、野生のイノシシがいわゆる媒介していく、そしてイノシシの移動距離が多いものについては一日四十キロ以上も移動するものもいるということもあって、パンデミックではありませんでしたけれども、時間の経過とともにじわじわと、確実という言葉はよくありませんが、だんだんその地域が広がっていってしまったことを受けて、たまたま私のタイミングで防疫指針の改定をさせていただいたわけであります。

 それまで緊急ワクチンしか認められておりませんでしたので、改定をさせていただいて、地方自治体の自治事務としてワクチン接種プログラムをきちっとつくっていただいた上で、地域の養豚農家の御理解をいただいた上でやらせていただくということになっているわけであります。

 ですから、これから、百五十万ドーズのうちの百三十万ドーズ以上をもう配付済みでありますので、年内には何とかあと二百五十万ドーズぐらいは調達できますけれども、年度が明ければ更に二百五十万ドーズ、三月三十一日までにはかなりの数がそろいますが、しかし、これが使わないで済むように、防疫指針に沿って、そして飼養衛生管理基準を守っていただくことが今も昔も変わらず一番大事なことだというふうに考えております。

長谷川委員 その御苦心に対しましては敬意を申し上げたいと思いますが、これについての危機感が、本当に共有して、一体となって取組が現在までされてこれたかどうかということについては大変疑問を呈さざるを得ません。昨年九月に発生をし、その後の対応についてはやはり十分な対応であったかどうかということは、非常に私は疑問を呈させていただきたいと思います。

 そういった中で、他党ではございましたけれども、国民民主党の篠原代議士、そして平野先生等々から法案が二本出されておる。これは六月の段階。また、篠原先生の資料を見ると、ことしの二月、三月からそういった動きを積極的にされて、いろいろな党に働きかけをして今日に至っているというふうなことでありましたので、大変これについては超党派でまさに議論をすべき課題かと思いますが、合同会派としてもこの法案について積極的に対応すべきというふうな方針で臨んでおりますけれども、この法案について政府としてどのように取扱いをされる予定か、対応されないのか、お答えいただければと思います。参考人で結構です。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 提出いただいております家畜伝染病予防法の改正案、それから出入国管理法の改正案でございます。趣旨といたしましては、水際対策を強化しようという内容かというふうに承知をしているところでございます。

 水際につきましては、関係省庁会議におきまして、今、関係省庁一体となりまして、まず、日本に持ってこさせないための現地の空港での呼びかけ、それから、日本に入れないための水際ということで対応を強化しております。改正法案の中にございます探知犬につきましても、三年間で倍増、今年度末には五十三頭、来年度の予算におきましては百四十頭体制ということで、地方の空港にも配備をするということで進めております。それから、税関とも違反者のデータベースというのを管理をしておりまして、対応を既に厳格化しているというふうに考えております。しかし、更にこれらを徹底していくということは必要でございまして、その辺につきましても尽力してまいりたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、国会の御審議につきましては、国会においてお決めいただくものではないかというふうに承知しているところでございます。

長谷川委員 時間の関係でちょっとはしょらせていただきますけれども、そういうことについては、この衛生法でもうたわれているように、全庁挙げて、あるいは横断的に取り組むようなニュアンスで書かれておりますし、それだけの被害をこれから及ぼすものでありますので、もっと危機感を持った迅速な対応をこれについては要望をさせていただきます。

 それから、新聞報道でありますけれども、これは地元の群馬県の上毛新聞の記事で、十月二十九日の記事でありますので、この記事には誤りはないと思いますけれども、アフリカ豚コレラについても今回の法案でしっかり防疫体制をやるべきだという篠原先生の方の指摘がありましたけれども、「アジアで拡大」、昨年八月には、世界最大の養豚国、中国で初めて発生している、わずか一年でベトナム、韓国などアジア十一カ国と地域に広がりを拡大したと。ここに書いてあるのは、「日本の空港でも検出」というのがあるんですが、これはもしかしたら間違いなのかもしれませんが、国内各地の空港で回収した豚肉加工品からウイルスの遺伝子が次々と検出されている、昨年十月以降に中国、ベトナム、ラオス、カンボジア、フィリピンから持ち込まれたソーセージなど七十七点が陽性だった、もし豚や野生のイノシシが食べたら、感染が広がるおそれがある、お土産を用意するとき、違法に食の加工品を持ち込まないよう徹底をしてほしい、このようにこの記事には載っています。間違いだったら指摘をしてください。それと、これについて篠原先生の法案にもしっかりこの点が指摘をされております。

 ですから、超党派で取り組まなきゃいけない課題だと思いますけれども、これについての御所見があればお聞かせいただきたいと思います。

江藤国務大臣 大変尊敬する篠原先生でありまして、今回に限らず、いろいろなことでアドバイスを私は個人的にも先生にはいただいておりまして、この法案についても、意見も求められましたし、私なりの考えも申し上げました。その法案の今審議ではありませんので、その内容についての評価は私はいたしませんが、大変勉強になる点もたくさん盛り込まれている法案だと思います。その危機感をもっときつく持たなきゃいけないという御指摘はそのとおりだと思っております。

 ですから、法案審議については、今局長答えたように、国会で審議するかどうかについては御判断いただくしかないのでありますけれども、私としては、アフリカ豚コレラについては、実は防衛省とか、そういうところにも今協力体制を求めておりまして、さらに、ワクチンがないということでありますから、早く殺処分をして埋却しなければなりません。

 ですから、今、家畜伝染予防法上は、埋却地を必ず確保するということが義務づけられているんですけれども、それについても、全国的に調査を今かけさせていただいて、中には、埋却地を確保していないという回答も上がってきております。ですから、どこに埋めるのか、どういう体制で埋めるのか、どういうタイムスケジュールで対処できるのか、入ってこないことをまず一義的に考えなければなりませんが、入ってきたときの対処も含めて省内では検討させていただいております。

長谷川委員 御答弁ありがとうございました。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。

吉野委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 国民民主党の青山大人でございます。

 農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案について、幾つか質問をさせていただきます。

 私は、農林水産物の輸出の促進については、もちろん総論は賛成でございますけれども、やはり、今回のこの法律案を見るに当たって、幾つか改めて確認したい点ですとか、また、農林水産省として、その見解を改めて幾つかお伺いしたいというふうに思っております。

 そもそも、もちろん、世界全体の食品市場として、二〇〇九年の三百四十兆円から二〇二〇年には六百八十兆円まで倍増すると農林水産省は推計されている。海外において食の需要が拡大すると見込まれる中で、輸出は、農林水産物、食品の販路拡大につながるということで、二〇一九年までに農林水産物、食品の輸出額を一兆円にするという目標が掲げられて、輸出の促進に取り組んでいるとのことでございます。

 ただ、先ほどもほかの委員からも指摘があったように、我が国の農林水産物、食品の輸出のうち、やはり加工食品の占める割合がとても高い。二〇一八年は、農林水産物、食品の輸出額九千六十八億円のうち、三千百一億円が調味料やお菓子などの加工品でありました。加工食品の原材料は、国産品ではなく、外国のものが多く使用されているケースも多々ございます。

 国産品の輸出販路拡大を目指していく上で、現状では外国産の原料を用いた加工食品の輸出が多い、そういった現状を大臣は、まずはどのように認識をされているんでしょうか、お伺いします。

江藤国務大臣 日本は、大変限られた農地の中で農業を営んでいるということもありまして、日本の伝統文化である、先ほどちょっと触れましたが、みそとかしょうゆとかそういったものの原材料をどうしても輸入に頼らなければならないというのは現実としてあると思います。

 しかし、これが国産に置きかわることができないのかという議論になりますと、決してそんなことではなくて、戦略作物として国としても推奨しておりますし、そして、今回の法案においても、こういった国内の原材料を使って輸出に取り組みたいという業者さんについては、日本政策金融公庫の〇・一六の低利融資を受けられる。さらには、強い農業づくり交付金等、ちょっと名前が新しくなって正確じゃありませんけれども、これについての申請を行うときの、これはポイント制ですから、このポイントも加算するということで、施設整備の支援も農林省から直接受けやすくなる。

 そういったことによって、現在、平成二十三年で大変統計の数字が古いじゃないかという御指摘を先ほどいただきましたけれども、今の数字についてはなるべく早いうちに業界の理解も得て調べさせていただきたいと思いますが、この平成二十三年の七〇%の数字から、国産の調達率を少しずつでも、もっとドラスチックにでも、上げられる努力をさせていただきたいというふうに考えております。

青山(大)委員 まさに今大臣御答弁いただいたように、ちょっと数値が古いので、そこはしっかり最新の調査をしてもらって、きちんと客観的な数値からさらなる次の取組を考えてほしいなと思いますので、そこは早急にお願いいたします。

 先ほども大臣おっしゃったように、生鮮に近い、加工度の低い農林水産物の輸出や需要がふえなければ、当然、生産者、農林漁業者の所得には貢献しないわけでございます。やはり農林省としては、まずは生産者、農林漁業者の所得をしっかり安定的に確保できるような、そういう取組をしていくことが、私は農林水産省としては大事だというふうに考えております。

 農林水産物、食品の輸出増加と農林漁業者の所得の向上や経営の安定にどうやって貢献していくのか、現状と政府の認識について、重ねてお伺いいたします。

江藤国務大臣 この生産基盤の強化充実というのは、いろいろな政策がありますので一つ一つ政策については申し上げられませんが、それぞれの地域にはそれぞれの地域の特色があります。

 例えば、昨年、豪雨災害でミカン農園なんかが随分壊れてしまったりいたしましたけれども、そういうところは、傾斜を緩傾斜に変えて、そして地域の、傷んでいないところも含めて緩傾斜に農地をつくり直して、改植を行って生産性を向上するようなこともさせていただいております。

 今回は、やはりこの政策の目標は農林水産業の振興であって、そしてそれに伴う農家の所得の向上であるということは決して忘れてはならないことだと思っております。

 先ほどから御指摘があるように、決して数字を一兆円、二兆円、三兆円と積み上げることが正義ではなくて、それに伴って国内の生産基盤が強くなり、食料自給力とかそういったものについても貢献できるような法案の内容にこれからしていかなきゃならぬというふうに思っております。

 そして、さらには、重ねての話になりますが、やはり出口戦略というものはどんなものでも大事で、やはり一次産品でいくと、例えば輸出については、運んでいく間になかなか日もちが悪いとか傷んでしまうとか、コールドチェーンを構築すればそれはできるんですけれども、そういうものばかりではないということもありますから、国内で加工業者の方々が調達率を上げてくれるということも、大きくこれに貢献していただけるのではないかというふうに考えております。

青山(大)委員 それは本当に、大臣もおっしゃったように、まるでその輸出額、一兆円とか二兆円とかそっちばかり目が行きがちですけれども、やはり一番は、まさにおっしゃったように、農林漁業者の、まさに農林水産業の振興そして生産者の所得の向上、やはりそこが一番にあるという力強い御答弁をいただいたので、そこはもうしっかりとやってほしい。

 さらに、今おっしゃったように、各産地、例えば、今大臣からミカンのお話があったんですけれども、茨城県、私がいる、霞ケ浦を中心とした土浦やかすみがうらはレンコンの生産量が日本一でございまして、実はそこも今ちょっと幾つか課題が出てきております。これについてもちょっと最後の方で質問させてもらいますので、まずはそのレンコンの話はおいておきまして、更に幾つか質問させていただきます。

 今回、輸出するに当たって、輸出先国、相手国との距離や物流上の制約で、輸出しやすい国や地域が限られ、需要が見込まれる時期が限られている、また、生鮮果実などは、検疫上の理由で輸出可能な果実が限られているなどの事情により、輸出国先で日本の農産物が産地間で価格競争に陥っているケースがあります。

 茨城県も、あの東日本大震災以降、中国ですとか身近な台湾などからいまだに輸入停止措置対象県とされており、茨城県の農林水産物の輸出先が限られている、そういう問題もございます。

 輸出先で日本の国産品同士が競合する問題は今後も更にふえてくるのではないか、そういうふうに思っております。輸出先における日本の農産物の産地間競争の問題について、どう改善に向けて取り組むのか、政府の認識をお伺いいたします。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 複数の産地が同じ国で同じ品目をそれぞれ販売を行うということは、不要な価格競争を招くことになり、望ましいことではないというふうに考えております。

 このため、国が支援を行っております販売促進においては、複数の産地で連携して、まさにオール・ジャパンで実施することを要件にしているところでございます。

 また、輸出先国のニーズや規制に対応した産地形成を進めているグローバル産地づくり事業におきましても、輸出先国におけるほかの産地がどう出ているか、そういう情報を共有して、産地間競争が起こらず、産地間が連携できるような、そういう形で進めていきたいというふうに考えております。

青山(大)委員 まさに今答弁があったんですけれども、私もこの前の国会までは外務委員会に所属していまして、まさに韓国がWTOに措置してああいう結果が出てしまったりとか、茨城県も、もう数年前からずっと輸出促進をやっていまして、本当に、二〇一一年の東日本大震災の前までは結構、中国のマーケットや台湾で、しっかりそういった確保をしていました。

 ただ、そういう中で、あれから八年たってもいまだに輸出できない状況が続いているという中で、今、茨城県も、例えばベトナムにやる中で、下妻なんかは梨を送ったりしていますけれども、当然ほかの県もそういう産地で出してくる。本当にそういう中で、限られたマーケットの奪い合いになってしまう。

 今御答弁あったんですけれども、今、本当に産地間で連携してリレー出荷や周年出荷を行うべきでありますし、また、農林水産物の食品の輸出には、当然物流の課題、例えばコールドチェーンの確保や効率的な輸送手段の課題があるほか、輸出先国における表現の規制、グローバルGAPのような民間認証への対応、販売やプロモーションなどの課題もございます。

 改めて、こういった課題についてどう支援をしていくのか、お伺いいたします。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産物、食品の輸出拡大のためには、まさに、コールドチェーン含めて効率的な輸送等の物流上の課題がございますし、輸出先国における表示の規制もあります、また、グローバルGAPのような民間認証への対応も必要になってまいりますし、あと販売プロモーション、これもコストがかかるという先ほど御指摘がございましたが、まさにこういう、たくさん解決すべき課題があるというふうに考えております。

 このため、政府としましては、物流上の課題を解決するための実証の取組への支援をしておりますし、輸出に必要な規格、認証の取得の支援も行っております。また、海外での販売促進の支援も行っているところでございます。

 また、ジェトロにおきましても、輸出に取り組む者に対する、海外見本市への出展支援だとか国内外の商談会の開催、あと海外の表示規制等に関する個別の相談対応、どういう表示をすればいいか、こういうことについてもしっかり相談に乗って対応しているところでございます。

青山(大)委員 繰り返しますけれども、今後、更にそういう、国内の産地間競争が起こってくることが確実に生じますので、今までプラス、より一層の支援の方、そして対策の方をお願いいたします。改めて要望させていただきます。

 次に、輸出する側の方からよくやはり言われるのが、輸出に当たっての手続、これがとても複雑で煩雑であると。

 そういった中で、今回の法律案では、輸出証明書の発行についての規定が設けられております。輸出する際に必要となる証明書は、植物検疫証明書、輸出検疫証明書、衛生証明書、自由販売証明書、漁獲証明書など、さまざまなものがございます。品目によっても異なるし、輸出先国によっても異なります。原発事故との関係で、産地証明書や放射性物質検査証明書を要求している国もございます。証明書の申請先も、農林水産省であったり、地方厚生局や都道府県の担当部局など、いろいろございます。

 輸出に取り組む業者にとっても、品目や国ごとに必要な証明書が異なり、あちこちの窓口を回らなければいけない、そういった時間と手間がとても大変だ、そういった話を現場から多々聞いております。

 今回の法律案、輸出証明書の発行の根拠となる規定を定めることとなっていますが、その規定をよく読むと、主務大臣又は都道府県知事等は、輸出先国の政府機関から、輸入条件が定められている農林水産物又は食品について、主務大臣又は都道府県知事等が輸出証明書を発行するよう求められている場合であって、当該農林水産物又は食品の輸出を行う業者から申請があったときは、輸出証明書を発行することができるものとすることとされております。

 ちょっといろいろ書かれているんですけれども、こういった規定を設けることが、輸出に取り組む業者、産地、そして農林漁業者が求める輸出証明書の発行手続の合理化、簡素化にどういうふうにつながっていくんでしょうか、改めてお伺いいたします。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出先国から求められている証明書は、発行主体がさまざまでございまして、複数の省庁に発行申請手続を行うことが煩雑である、こういう御指摘をいただいているところでございます。

 このため、本法案において、輸出証明書の発行については、法律上の根拠規定を設けることによりまして、行政の責任や分担関係を明らかにするということになります。また、証明書の申請、交付をワンストップ化することによりまして手続を進めるということで、システムの構築を進めて、手続の合理化、簡素化を図ってまいりたいと思います。

 ただ、さっき神谷先生もおっしゃったように、そもそも相手国の規制がなくなればいいわけでございますので、そういう輸出先国の規制が緩和、撤廃されるように、しっかり輸出本部のもとで、輸出先国との協議を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。

青山(大)委員 まさに今答弁あったように、本当は、相手国、輸出先国のそういった規制がなくなれば、当然しやすいんですけれども、それは当然相手の事情もあることでありますし、実際この法律をつくって、輸出する側として、大分手続が簡素化になったなということがやはり一番大事なのかなというふうに思います。

 ちょっと、全く関係ない話ですけれども、昨年、いわゆる外国人の労働力の受入れということで法案を通したわけじゃないですか。ただ、実際、現場を見ますと、例えばフィリピンでは、現地で、日本で介護職で働きたい、そういったことでちゃんと勉強して試験も受ける、日本でも受入先ももうある、しかし、フィリピン側の都合で、相手国側の都合で、もう何百人と、試験も通って日本で働きたい、ただし、フィリピン側の都合で日本で働くことができない、そういった事例がもう出てきています。

 幾ら日本でこういった、じゃ、促進しようとつくっても、相手国に関してはなかなか思うとおりにいかない面は当然ございます。だったら、できる限り国内側で簡素化していく、そういったことをぜひこれからも取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 続きまして、今度は施設の話に移ります。

 当然、施設の認定等の関係も同様に、今までは水産物や食肉について、法律ではなく要綱や通知に基づいて、輸出先国の求める条件に適合した輸出施設の認定が行われてきました。

 本法律案では、適合施設の認定についての規定を設けることとなっていますが、こうやって規定を置くことが、施設に関して、輸出に取り組む生産者や事業者の後押しと果たしてなるのでしょうか、改めて伺います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出に必要な施設につきましては、農林水産省が整備の支援を行い、厚生労働省がその施設認定を行うということで、先ほど大臣からも御答弁を申し上げましたように、まさに輸出の手続の完了に時間を要している場合があるわけでございます。

 こういった面を、本法案によりまして農林水産省に関係大臣を構成員とする輸出本部を置きまして、施設の完成前から認定までのスケジュールを明確にいたしまして、実行計画、工程表でございますが、これを作成して進捗管理を行うことで、手続の迅速化を図るものでございます。

 また、本法案によりまして施設の認定について法律上の根拠を定めまして、行政の責任や分担関係を定めることによりまして、行政による事務の迅速化を図るということでございます。

 これによりまして、輸出に取り組む事業者の後押しをしていくものだというふうに考えております。

青山(大)委員 この点についてはしっかりとやってほしいということで、次の質問に移ります。

 今回の法律案で、農林水産省に、特別の機関として農林水産物・食品輸出本部を設置することとなっていますが、改めてその意義について確認したいと思います。

 というのは、輸出本部の長は農林水産大臣を、そして本部員は総務大臣、外務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、国土交通大臣などをもって充てることとなっています。つまり今後は、農林水産省、総務省、外務省、財務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省が、農林水産物、食品の輸出に責任を持って取り組むということですが、今までもこれらの省庁は、農林水産物、食品の輸出に、それぞれの取組を進めてきております。

 例えばジェトロ、すなわち独立行政法人貿易振興機構は、農林水産物、食品の輸出促進の活動を行っています。当然、私も何度も現地でジェトロさんの現場も訪問しましたが、輸出に取り組む事業者に対して、海外見本市への出展支援や国内の商談会の開催を通じたマッチング支援、日本産農林水産物・食品輸出マッチングサイトによる情報の提供、専門家による相談対応などなど、さまざまな総合的な支援をしております。

 こういった現状を踏まえて、新たに農林水産物・食品輸出本部を設けることが、逆に屋上屋を架すことにならないでしょうか。ジェトロのような組織がこれまで行ってきた国産農林水産物の販売促進活動、輸出に取り組む事業者への支援を逆に妨げることにならないでしょうか。農林水産物・食品輸出本部の設置と既存の輸出促進の取組との関係をどう考えていくのか、お伺いいたします。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、輸出本部を設置して、輸出先国の食品の安全等の規制に対応する取組を進めまして、円滑に輸出できる国と品目を増加させるということが目的でございます。

 しかしながら、輸出拡大のためには、輸出先国の規制の緩和、撤廃だけでは十分ではありません。それらの国、品目に関しまして、個々の事業者への支援それから戦略的なプロモーションを行うことが重要でありまして、まさにこれは、今先生御指摘のジェトロあるいはJFOODOが担っていくことになると考えております。

 したがって、本法案に基づく輸出本部と、ジェトロ、JFOODOの役割は異なりまして、輸出本部をつくることがそのジェトロ、JFOODOの上に屋上屋を架す、あるいはお取組を妨げることにならないというふうに考えているところでございます。

青山(大)委員 本当におっしゃるとおりで、実際もちろんそういう、ちゃんと分けていると思うんですけれども、ただ実際、現場ではどうしてもかぶってしまうケースもあるので、そこはしっかり、かえって妨げにならないように、そこはきちっと連携してください。

 最後は、さっきもちょっと触れました、私の地元のレンコン、日本一の産地でございます茨城県、土浦ですとかかすみがうらで盛んなレンコンについて、ちょっと今大きな課題があるので、その点について、農林水産省に対して幾つか対策を御質問させていただきます。

 これは私も、ことしの五月八日、この農林水産委員会でレンコンについて質問させていただきました。

 レンコンで、今、ネモグリセンチュウによる、レンコンの肌に黒い斑点が発生する、いわゆる黒皮症の被害が年々拡大をしております。レンコンというのは、まさに真っ白なレンコンが我が茨城県産のレンコンの売りだったんですけれども、このネモグリセンチュウの被害によってレンコンの品質を損ね、商品性の低下を招く危険もございます。当然、このレンコンは、輸出促進にとっても大きく今後寄与する農産物であることは言うまでもありません。

 そういった中で、五月のときの質問で、まず茨城県が、線虫に効果がある農薬の登録について茨城県から早期登録の要望があって、農林水産省としても優先審査の対象として取り組んでいますよ、そういう話がございました。その線虫に効果がある農薬が新規登録されるまでの審査に、五月八日の段階で、約二年から三年かかる、そんな答弁もございましたけれども、線虫の被害は今刻々と進んでいる中でございます。

 産地の現状を踏まえて、一刻も早く課題解決に取り組むべきであり、もちろん、この新たな新薬を活用したことによってこの線虫の問題が全て解決するわけではないことは私も重々承知をしておりますが、この新薬が早期に登録されることによって、被害を今よりは防ぐことが可能であるというふうに思っております。

 早急な登録が望まれますが、この新農薬の承認について今の現状をお伺いいたします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 茨城県から、レンコンネモグリセンチュウにつきまして効果の見込める農薬について早期登録の要望を受けておりまして、国といたしましては、当該農薬を農薬取締法に基づく優先審査の対象としたところでございます。

 これを受けまして、農薬の登録の手順にのっとりまして、本年七月から、リスク評価機関でございます食品安全委員会において、食品安全基本法に基づく食品健康影響評価を行っているところでございます。

 今後とも、関係府省と連携いたしまして、農薬登録に向けて手続を進めてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 今、七月から食品安全委員会の方というふうにあったんですけれども、今、そちらの審査の状況をわかる範囲で教えてください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 食品安全委員会の評価の今の状況につきましては、私どもも承知をしておらないところでございます。

 これは、基本的にリスク評価機関の食品安全委員会が評価をした後、厚労省が残留基準を設定をするということでございますので、私どもといたしましては、食品安全委員会の評価の結果を待ちたいということでございます。

青山(大)委員 当然、管轄が違うかもしれませんけれども、いずれまた農水省に返ってくる話ですよね。ですから、そこはしっかり連携して、私は、本当に一日でも早い登録をお願いすることはもう前から伝えていますので、改めて農水省の方からも今の状況をきちっと確認してもらって、なるべく早い登録ができるように、そこは重ねて要望をさせていただきます。

 また、この件につきましては、今後も農林水産委員会で取り上げていきますので、引き続きしっかりした対応をお願いいたします。

 また、この新農薬以外にも、このネモグリセンチュウの対策として、茨城県が全国に先駆けて確立した、殺虫効果のある石灰窒素の散布や、レンコンの収穫残を取り除く手法を組み合わせた総合防除法の普及などを進めているという話もありましたが、茨城に限らず、ほかのレンコン産地への普及状況はどうなっているでしょうか、お伺いいたします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 茨城県におきましては、今お話がございました、殺虫効果のある石灰窒素の散布、あるいは健全な種レンコンの使用、それから畦畔とか水路を整備するといった総合防除方法を確立をいたしまして、普及を進めているというふうに承知をしております。

 特に、普及指導員それから試験研究機関の研究員等が一緒になりまして、技術体系化チームというのを設置をいたしまして、現場の検証と普及を進めているというふうに聞いているところでございます。

 茨城県におきますと、これによりまして、取り組む生産者が増加しつつあるということと、被害が減少したという報告が来ているところでございます。

 そのほか徳島県等におきましても、これらの手法を使いまして、被害の発生予防に努めているというふうに聞いているところでございます。

青山(大)委員 しっかりとやっていただきたいと思います。

 レンコンについて、この線虫の課題もそうなんですけれども、最近は外来種のジャンボタニシ、これはスクミリンゴガイという別名もあるんですけれども、この被害も最近出てきました。

 俗にジャンボタニシと言われるスクミリンゴガイは、調べますと、一九八〇年代に食べる目的で養殖として輸入されたんですけれども、なかなか食べ物として普及しなくて、これがだんだん野生化してしまったというふうにも伺っております。もともと南米原産の水生動物なので、温暖な九州地方で稲などの水田利用の作物を中心にその被害が広がっていたということですが、最近はこのジャンボタニシが茨城のレンコンにも被害を及ぼすような状況になってきました。

 さらに、ジャンボタニシによる被害以外にも、農業用施設の送水管の中にジャンボタニシやカワヒバリガイが侵入して、送水管に張りついちゃって水の流れが悪くなる、そんな被害も最近は出てきました。

 こういったレンコンへのジャンボタニシなどの被害対策としてどういったものがあるのか、そして、そもそも農水省は、こういったジャンボタニシやカワヒバリガイなどによる農作物や農業用施設の被害についてどういうような把握をされていて、どういった対策を考えているのか、その見解をお伺いいたします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 ジャンボタニシの特性、それから日本に来た由来につきましては、委員御指摘のとおりでございます。

 ジャンボタニシにつきましては、昭和五十六年ごろから食用目的で各国で養殖が始まりまして、その後、養殖場から野生化したということでございます。関東以西の地域の水田を中心に、この時代から広く食害を起こしているということでございます。茨城県におきましても、御指摘ございましたレンコンの新芽に食害を生じさせて生育不良を生じるほか、水稲でも確認をされているということでございます。

 ジャンボタニシの一般的な対策といたしましては、貝や卵を除去するということ、それから、取水口にネットや金網を設置いたしまして侵入を防止する、それから、登録農薬、これが複数ございますので、これを適時適量に散布をするといった対策を指導しておりまして、これにつきましては、茨城県におきましても、パンフレット等をつくるなどにおきまして実践をされているというふうに聞いているところでございます。

 それから、実際に水路にジャンボタニシが張りつくというお話でございますが、これにつきましては、ジャンボタニシにつきましてはそういうことを我々は聞いておりませんで、御指摘ありました別の虫ではないかというふうに考えているところでございます。

牧元政府参考人 カワヒバリガイについてお答えを申し上げます。

 カワヒバリガイは、もともと東南アジア等に生息をしております二枚貝でございまして、外来種として侵入をいたしまして、現在、関東、東海地域におきまして、御指摘がございましたような水路を詰まらせるなどの被害が発生をしているところでございます。

 カワヒバリガイの対策といたしましては、大量に増加する前に除去するということが重要ということでございます。このため、定期的な施設の確認による早期発見、また、かき出しによる個体の除去などの対策をまとめましたカワヒバリガイ対策マニュアルというものを作成をいたしまして、関係者への周知を行っているところでございます。

 また、農研機構などの研究機関に対しましても、配管内に定着をいたしましたカワヒバリガイを除去する技術の開発というものをお願いしているところでございまして、これは本年度から外来二枚貝の管理手法の開発ということで研究がスタートをしたところでございます。

 これらの対応をしっかり講じてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 まさにカワヒバリガイに対してはそういった今年度から新たな研究が始まったということですので、しっかりと、これは本当に、送水管を詰まらせちゃって大分皆さん困っている事例も多いですし、そこはしっかり研究されて対策を打ってほしいと思います。

 一番最初に言いましたように、もちろん輸出を促進するのはそうだけれども、肝心な、品質の高いしっかりした農産物をつくる上で、例えばレンコンでも今そういった課題が起きている。繰り返しますけれども、やはりそういった産地の課題について、もちろん茨城県も今しっかりやっていますけれども、国としてそういった現状の問題点、課題をしっかり把握してもらって対策を打っていただきたい。繰り返しますけれども、特にレンコンの線虫対策と新薬の承認については、一日でも早い登録ができるように重ねてお願いし、私の質問を終了させていただきます。

 御答弁ありがとうございました。

吉野委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 法案に入る前に、大雨、台風被害による農業被害対策についてお伺いをします。

 まず最初に、ことし、九州北部豪雨、それから台風十五号、台風十九号始め、たくさんの災害に農家、農地が見舞われました。一連の災害における農業被害額の合計はどのぐらいになっているのか教えてください。

 そして、大臣にお伺いしたいんですけれども、新しい対策を発表すると。私、前回の所信質疑のときに、共済未加入者の負担軽減策、それから、収入見込みのない農家に対する所得を救済する手だて、それから、田畑に入った災害ごみ除去における農家負担をゼロにすること、冠水した米の支援とか等々、やはり今までにない対策に踏み込まないと離農者を生み出してしまうということで、対策の強化、支援策の拡大を求めたところでありますけれども、今度打ち出される政策というのはそういう方向性になっているのかについて教えていただきたいと思います。

岩濱政府参考人 まず、事実関係でございますのでお答えさせていただきます。

 八月以降の大雨と台風による農林水産関係の現時点での被害額は、総額二千九百四十四億円となっております。特に、台風十五号では、農業用ハウスの損壊を含めまして五百九億円、台風十九号等の被害については、農地、農業用水利施設の一千二百六十六億円を含めまして二千百四十三億円の被害となっているところでございます。

江藤国務大臣 前回御質問いただきました内容につきましては、胸に刻んで、現場を見ながら、省内での検討もさせていただいたつもりでございます。

 まず、共済未加入者の方について答弁をいたしました。経営判断の中で共済に入った方と共済に入っていない方と不公平感があってはいけないんじゃないかということを申し上げました。行ったところの、視察させていただいた県知事さんや市長さんからもそういう御指摘はありました。

 しかし、現場をやはり見るにつけ、余りにも大きい災害であるということを考えて、被災者支援型の十分の三ではなかなか厳しい。十分の三を引き上げるということを今、内容についてはちょっとルールで、パッケージ発表までは言えないんですけれども、十分の三から上げるという方向で今やっております。

 この十分の三を上げれば、十分の三の部分に対して交付税措置の七〇%ルールがありますから、十分の三が十分の例えば四とか五とかに上がれば、その分、国で見られる分がふえますから、交付税措置で当該の県が見てくれても、県の負担はその分減るということでございます。

 そして、ハウスの場合と機械の場合とそれから乾燥機の場合と、いろいろ、ちょっとメニュー的になかなか全部説明するには時間がかかりますのできょうはいたしませんが、言えない部分があるので御理解いただきたいんですけれども、それをしっかりやらせていただく予定です。

 米の、いわゆるライスセンターにある部分についても、今までのスキームではできない。しかし、常総の水害のときにはやったではないかという過去の事例はございます。ですから、今回行ったところも、例えば、個人の農家の方でも地域の方々でも、なかなか自分で水田を維持できないので引き受けてくれと。その分については引き受けて、お米で返す。しかし、返すお米が全部水につかってしまった。それについてはお金でその農家が負担しなきゃいけないのかということについては、非常にこれは厳しい問題なので、これについても前向きな検討をさせていただいております。

 稲わらにつきましても、いっぱい流れてしまいましたので、広域処理をしていただく方向で一時は農水省と環境省と協力してやってまいりましたが、一立方当たり五千円を出させていただくということでありますので、できれば、大体、軽トラにしっかり積むと三立方ぐらい積めますので、一回運ぶと大体一万五千円ぐらいにはなりますから、二往復すると三万円ぐらいにはなるので、業者に委託すれば業者さんのお金になっちゃいますけれども、御自身で大変ですけれどもやっていただくと多少なりとも農家の収入にはつながるという手法もあります。

 そういったことも含めて、百点、これで委員から、よくやった、申し分ないという水準までいけるかどうかは、財政上の理由とかいろいろな理由でいけないかもしれませんが、農水省としては、十五号でまとめた対策以上の水準まで踏み込んだものをまとめさせていただいているつもりでございます。

田村(貴)委員 従来にない対策をしっかり進めていただきたいと思います。

 大臣、軽トラックとおっしゃったので、軽トラックの問題です。

 軽トラックが数え切れないぐらいに被災しています。それで、農業用機械が水没したりして使えなくなれば、これは強い農業・担い手づくり総合支援交付金で補助金の支援制度がありますけれども、軽トラックはその対象になっていないんですよね。

 恐らく委員の皆さんも被災地で聞かれたと思うんですけれども、軽トラックを何とか支援してください、軽トラックがなければ、全ての農作業に欠かすことのできない車なんだから、そういう声を私も強く聞いているところであります。軽トラックがなければ災害ごみの片づけもできません。営農再開ができたとしても、資材を運ぶことすらできないわけであります。

 この際、新事業を打ち出されるというのであれば、交付金事業の対象とすべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 私も実際に被災地に行って、同様の御指摘はいただきました。何とかしたいという気持ちは私も強く持っております。

 しかし、いろいろと省内で検討した結果を正直に申し上げますが、余りにも汎用性が高い。例えば、トラクターで病院に行くことはないですよね。ナンバーをつけているトラクターもないことはないですけれども、基本的に農業用機械。コンバインについては、もちろん稲刈りにしか使わない。田植機もそうです。

 しかし、軽トラについては、お買物に行ったり病院に通院したり、いろいろな日常の生活の中で使っているということであって、なかなか農業機械という中のくくりに入れるのは難しいというのが現状でございます。

田村(貴)委員 営農再開に欠かすことができない車である、これが調達できる、そして安心してきょうから乗り回せるということになれば、やはり復旧も加速的に進んでいくという観点に立っていただいて、いま一度検討していただきたいと思います。

 法案について質問します。

 資料をお配りさせていただいていますけれども、これは、六月四日に行われた第三回農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議に出された資料、事業者からのヒアリングで明らかになった問題という資料であります。加工施設のHACCP認定が遅いとの意見で、問題点では、国の施設認定のスピードが遅いとされています。省庁や地方機関の人手不足が原因で手続に時間がかかるとあります。

 法律をつくって、スピードアップは図られるんでしょうか。それから、人員をふやすことになっているんでしょうか。説明をいただけますか。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案によりまして、農林水産省に設置する輸出本部におきまして、個々の施設認定の担当省庁やスケジュールを明確にした実行計画の工程表を作成いたしまして、進捗管理を行うことで、迅速に認定を進めていくことになります。

 また、本法案によりまして、証明書の発行、区域の指定、それから施設の認定につきまして法律上の根拠を定め、行政の責任や分担関係を定めることにより、行政による事務をスピードアップするということになります。

 さらに、農林水産省としても、本法案とあわせまして、新たに証明書等を担当する組織を創設する。具体的には、食料産業局、担当局で五十名程度の新しい課を今要求しているところでございますし、また、地方農政局でも二十名程度の増員を要求しているところでございまして、あわせて、都道府県における体制整備につきましてもしっかり支援をしていきたいというふうに思っているところでございます。

田村(貴)委員 人は要求するけれども、定数増員は図らないという理解でいいんでしょうかね。

 これまでの説明で、ワンストップという言葉を農水省の担当者の方から大分聞いたんですけれども、この法案を読むと、主務大臣や知事が証明書について発行することができると書いてあるだけなんですよね。窓口の一本化とか、事務の煩雑さを解消する規定が書かれていないんですよね。大丈夫なんですか。一言どうですか。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 このまさにワンストップ化につきましては、法律上明記することではなくて、これは予算でしっかりシステムを構築して、農林水産省のところで、申請があればしっかりそれが発行できるような、そんな体制をできるところから速やかにやっていきたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 やはり法律にちゃんと書かないといけないと思いますよ。

 もう一問聞きますけれども、この法律がないとできないことというのは一体何なんですか。

塩川政府参考人 証明書の発行、あるいは施設の認定、今これは、各省庁が所掌事務の範囲内でやっているところでありまして、通知等に基づいてやっております。今回、これを法律に基づいてしっかり位置づけることによりまして、担当省庁が明確になり責任関係の分担になるということで、よりスピードアップが図られる、そういうふうに考えております。

田村(貴)委員 スピードアップが図られるというけれども、今からやろうとしていることは現行でもやっていることであり、現行で全てできることですよね。窓口の一元化も、それから事務の煩雑さを解消する仕事についても、融資も、相手国との協議も、これは今の枠組みでもできる、別に新法がなくてもできるということであります。

 そういった点において、大臣にお伺いしたいんですけれども、所信質疑でも私指摘しましたが、この十年間で耕地面積は十七万三千ヘクタール減りました。販売農家戸数は四十六万七千戸減りました。基幹的農業従事者は六十万人も減少しています。輸出増といっても、外国産を原料にした加工食品などが多くて、国内農業の生産拡大にはなかなか結びついていないという現実があります。

 大臣にお伺いしたいのは、この法律は、農業生産基盤を強化させる目的を持ち合わせているのでしょうか。

江藤国務大臣 これから先、いろいろなところに売り先を求めていくことは極めて有効だと思っております。農家の方々、漁業者の方々、林家の方々が一生懸命働いて、そして生産した製品が、どこのマーケットに限らず、しっかりと評価をされて、いい値段で取引をされて、それが農家の皆様方の所得につながっていく。そして、農業の魅力が増すことによって、農林水産業自体の生産基盤が強化されて、それがまた回り回って輸出に対する意欲にもつながっていく。そういうことになればよいというふうに考えております。

田村(貴)委員 法の目的には、農林水産業及び食品産業の持続的発展に寄与すると書いてあるわけですね。持続的発展ができていない現状があるわけなんですよ。いろいろお話を聞いても、じゃ、今の農家の所得が向上するとか、それから農地や農業従事者がいかにふえていくのかといったところのビジョンが示されていません。これは問題であると思います。

 大臣にもう一問お伺いしたいんですけれども、今回、農林水産物輸出促進法は、日米貿易協定と同時に今国会に提出されています。輸出戦略がTPPやEPAと表裏一体の関係にあることは安倍総理の所信表明でも述べられたところです。際限のない輸入拡大路線を安倍政権は推し進めているところですけれども、今、日本の政府が力を入れること、最もやるべきことは、国内需要を満たす農業生産の拡大ではないのか。

 輸入額は輸出額の十倍です。九兆六千億円に拡大し、食料自給率は三七%に今下がっているんですよね。これだけの輸入拡大で、それは我慢してくれ、今度は輸出で勝負してくれ、これは本末転倒した議論だと私は思うわけです。

 ある農業の専門家は、輸出拡大本部じゃなくて、食料自給率対策本部を今すぐ設置すべきではないかと言われたんですけれども、私はまさにそのとおりだというふうに思います。国内需要を満たす農業生産の拡大に今こそ踏み出すべきではありませんか。いかがですか。

江藤国務大臣 食料を国内で賄っていくことは、国家として大変重要な題目だというふうに認識をいたしております。

 一方、日本国民の中では大変食の多様化が進んでいて、外国からの品物を求めているという現実もあります。ヨーロッパなんかでは、フランスなんかも、いろいろな国もそうですけれども、主食に対する嗜好が、長い歴史の中でほぼほぼ変わっていない。日本の場合は、主食の米に対するいわゆる嗜好がどんどん下がっていって、米食からパン食へと変わっていくような、いわゆる消費者の嗜好の変化というものも一側面としてはあると思います。

 委員が御指摘されたように、輸出に一生懸命になるのもいいが、国内の自給率を高めるための政策をもっと充実させるべきだという御指摘は、それはもうもっともだと思いますから、両方やらせていただきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 輸出拡大政策というのは、攻めの農政として、安倍政権のもとで位置づけられています。しかし、それは、足元の国内需要が外国産にどんどん攻められていることに対して目をそらした議論と言わなければなりません。

 そのことを指摘して、きょうの質問を終わります。

吉野委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣の御答弁の中で、本年の台風や大雨などによる農林水産物の被害額が二千九百四十四億円を超えているとのお話がございました。これからもふえる可能性がありますし、大変な被害だと思います。被災された全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 離農を決断された方、離農を考えていらっしゃる方々がいらっしゃると聞きました。これからも頑張ろうと営農再開を目指されている方々や離農を考えられている方が離農しなくてもいいように、国としてしっかりと支援をお願いいたします。

 それでは、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案について質問をさせていただきます。

 まず、農林水産物・食品輸出本部の設置の意義について伺います。

 田舎の農家さんであっても、研究熱心で、よいものをつくって、もっと海外へ輸出したい、勝負したいと頑張られていらっしゃる方々もおられます。農林水産物、食品の輸出促進に関しては、農家の皆さんの所得向上のためにもぜひ進めていっていただきたいと思っております。

 本法案では、農林水産大臣を本部長とする農林水産物・食品輸出本部の設置をされるとのことですが、農林水産省に権限の集中を招くものではないのか、お聞かせ願います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産物、食品の輸出に関する業務につきましては、担当省庁が複数にまたがっておりまして、一気通貫でなく、時間がかかっている場合がございます。

 例えば、輸出に必要な施設につきましては、農林水産省が整備の支援を行いまして、厚生労働省が施設の認定を行うということがございまして、必要な手順の完了に時間を要している場合がございます。

 このため、この法案によりまして、関係大臣を構成員とする輸出本部を置きまして、施設の完成前から認定までのスケジュールを明確にした実行計画、工程表を作成し、進捗管理を行うことで手続の迅速化を図るものでございます。

 本法案は、輸出本部が調整を行うことにより、縦割りの弊害を排除しまして迅速に手続を進めるものでありまして、権限の強化につながるものではないと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 これまでは、担当省庁が複数にまたがることで、輸出施設認定などの手続も時間がかかっていたということで、これは、民間事業者の負担軽減にもつながるものと思います。農林水産大臣が本部長を務める輸出本部のもとで、縦割りを排して、関係大臣が一丸となって調整を行ってくださるということですので、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、本法案が役所の権限強化や規制強化につながるものではないのかということについて、確認をしたいと思います。お願いします。

塩川政府参考人 繰り返しになりますが、本法案は、輸出先国が設けた規制への対応を強化するとともに、輸出先国の規制への対応に取り組む事業者に対しまして、日本政策金融公庫の長期低利融資で支援を行うものでありまして、国内で新たな規制を設けるというものではございません。

 また、関係大臣を構成員とする輸出本部のもとで、関係省庁が連携して輸出先国の規制に適合することを示す証明書の発行や施設の認定を行うことによりまして、輸出先国の規制への円滑な対応を進めるものでございます。

 これは、これまで法律の根拠がない業務につきまして、本法案に根拠を定め、行政の責任や分担関係を定めるものでございまして、規制強化というものではないと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 新たな規制を設けるものではないということで、輸出先国が設けた規制への対応を強化するということで御説明をいただきました。我々日本維新の会は、行政の権限強化というものには反対をしておりますので、確認のため質問をさせていただきました。

 次に、農林水産物、食品の輸出額一兆円の目標達成の見通しについて伺います。

 農林水産物、食品の輸出額が六年連続で過去最高を更新し、輸出額一兆円の目標達成に向け、さまざまな御努力をされていると思います。努力をし結果につながっていることは大変すばらしいことと思っております。

 二〇一九年の輸出額目標達成の見通しについて伺います。また、目標額達成に向けた取組についても教えてください。

塩川政府参考人 二〇一八年の輸出額が九千六十八億円で、二〇一九年輸出額の目標は一兆円でございまして、その達成には対前年比一〇・三%を超える増加が必要でございますが、ことし一―八月の輸出額は前年同期比で二・四%の増加にとどまっております。

 この主な要因としまして、不漁や国内需要との競合によりまして、サバが減少してございます。また、国際相場下落で売り控えが発生して、カツオ・マグロ類が減少しているということで、水産物全体で前年同期比五・九%の減少という状況でございます。

 農林水産省とすれば、この一兆円達成目標に向けまして、関係閣僚会議で取りまとめられた工程表の着実な実施、見本市、商談会への出展支援、個別事業者への働きかけ、それから輸出を目指した産地づくりや輸出事業者のマッチングなど、引き続きあらゆる手段を講じて、一兆円達成に向けて努力をしていきたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 水産物の減少というのは大変深刻かと思っております。

 大臣の御答弁の中でもございましたけれども、この一兆円を達成することだけが目的ではないというお話もございました。私もそのとおりだと思っております。目標が達成されればよいのではなくて、やはり農家の方々の所得向上にしっかりとつながっていかなければならないと思っております。

 本年は、さまざまな要因から目標達成は厳しい状況にあると思います。そして、冒頭にもお話しさせていただきましたけれども、もう三千億円近い農水産物に対する被害が出ております。この台風によって大変な被害が出ておりますので、輸出促進というのも大切ですけれども、まず被災された皆様を救済することに、しっかりと農水省として力を入れていただきたいと思っております。

 次に、農林水産物、食品の輸出額の内訳について伺います。

 この内訳については他の委員の先生方からも御指摘もございましたけれども、内訳として加工品が多いと伺っておりますが、この加工品の割合と加工品の内訳を教えていただきたいと思っております。また、加工品の原材料は全て国産のものなのか、外国産のものが含まれるのかについても教えてください。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一八年の輸出額九千六十八億円の内訳で、加工食品は三千百一億円となっております。この加工食品の内訳でございますが、主なものから申し上げますと、アルコール飲料が六百十八億円、ソース混合調味料が三百二十五億円、清涼飲料水が二百八十二億円、菓子が二百四十八億円、しょうゆが七十七億円、みそが三十五億円と、もっと細かいのはありますが、主なものはこんなものでございます。

 また、輸出される加工食品の金額には、外国産の原料を使用しているものも含めて集計しております。それで、我が国の食品製造業の国産原料調達割合は七割でございますので、この輸出されている加工食品にも国産農林水産物が一定割合使われていると考えております。

 なお、ちょっと、先ほど長谷川先生への御答弁で、二十三年の数字、古いじゃないかというお話がございました。これは、実は関連表という、物すごいいろいろなものを組み合わせて計算をしておりまして、五年に一回、実は更新されておりまして、今、平成二十八年ベースの産業連関表の数字を集計していると聞いておりますので、それができ次第、新しい図表をお出ししたいというふうに思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 日本のアルコールが大変今海外で人気だと聞いております。この加工食品の中でも六百十八億円とお聞きをしました。

 日本のお米でつくられるお酒は構いませんけれども、例えば、外国産の大麦でつくったビールですとか、外国産のグレープフルーツを使った酎ハイなども含まれるかと思います。日本で製造したものではあると思いますけれども、物によっては原材料が外国産のものが大変多く使用されているものもあると思いますので、全てをそれを輸出額一兆円の中に、一兆円が達成できればいいというものではないと私が思っているのも、そういった要因もございます。外国産の原材料をたくさん使ったもので一兆円を達成してよかったというふうにはならないのではないかと思っております。

 また、日本の原材料を使っていても、加工するメーカーさんの利益ばかりが伸びて農家さんの所得向上につながらないのでは、これもまた一兆円を達成できたとしても問題ではないかと思っております。農家さんたちの所得向上というところをしっかりと考えて進めていっていただきたいと思っております。

 なかなかデータをとるというのは難しいと思いますけれども、日本の原材料、日本のものだけで輸出額が幾らなのかというのも、今後データとして出していただけたらなと思っております。しっかりと現場の声を聞いて、所得向上に向けて頑張っていただきたいと思っております。

 次に、日米貿易協定の農家さんたちへの説明について伺いたいと思います。

 日米貿易協定については、農家の方々からさまざまな不安の声を聞いております。特に、セーフガードに関しては、TPP11で六十一万のところにアメリカが二十四万トンというところで、心配の声が多いと思います。不安に思われている農家の方々に対してどのように説明をされるのでしょうか。また、農家の方々からどのような声が上がっているのか教えてください。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今般の日米貿易協定につきましては、その合意内容を農業者などの方々にしっかりと御説明していくことが重要であるというふうに考えております。

 このため、農林水産省におきましては、これまで、農業者等の方々を対象とした説明会を全国十四カ所で開催をして、延べ一千人を超える方々に御説明をさせていただいたほか、各品目に関連します団体の皆様への説明も数多く行ってきているところでございます。

 このような説明会などにおきましては、TPPを超えないということで安堵しているといった声、米が除外されたことを評価する声などが聞かれるとともに、農林水産品も再協議の対象となるのかとか、TPP11の牛肉のセーフガードの発動基準数量の見直しはどうかとか、あるいは、生産基盤の強化に向けて今後対策をしっかりやってほしいといったような御質問や御要望が聞かれたところでございます。このほか、牛肉の低関税枠の拡大は今後の牛肉輸出に向けて励みになるといったような声もございました。

 農林水産省といたしましては、今後とも各地で説明会を開催することとしておりまして、引き続き、農業者の方々などへの丁寧な御説明を行ってまいりたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 十四カ所で千名の方に御説明をいただいている、今後も丁寧に説明をしていかれるということで、農家の方々の不安の払拭、しっかりと努めていただきたいと思います。

 日米貿易協定については、また来週の委員会でも質問をさせていただきます。

 今回の法改正によって、農林水産物、食品の輸出促進につながればと私も思っております。繰り返しになりますが、まず農家の方々の所得向上につながること、そして福島の風評被害の払拭、これについても引き続きしっかりとお願いをしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案に反対の討論を行います。

 本法案は、農林水産大臣を本部長とする司令塔組織として農林水産物・食品輸出本部を設置し、輸出促進の基本方針を定め、実行計画をつくり、政府一体となって輸出拡大戦略を進めようというものであります。

 こうした戦略を、安倍政権は攻めの農政と称して一兆円の輸出目標を掲げて推進していますが、その一方で、TPPや日欧EPA、さらには日米貿易協定など、際限のない輸入自由化路線を推し進めています。このもとで、二〇一八年度の輸出額は九千六十八億円にふえましたが、輸入額はその十倍の九兆六千六百八十八億円に拡大し、食料自給率はついに史上最低の三七%まで低下するに至っているのであります。

 農産物輸入自由化による国内農業への破壊的影響は、輸出促進策で解消できるものではありません。農政の方向が全く逆を向いています。官邸農政を進める司令塔など、必要はありません。

 食料輸入大国の日本の政府がやるべきことは、国内需要を満たす農業生産の拡大であり、食料自給率を向上させる農政へ根本的転換を図ることであります。

 輸入自由化を一層拡大する日米貿易協定とともに、今国会に政府が提出した輸出促進法案は、足元の国内需要が外国産にどんどん奪われることから目をそらすものだと言わなければなりません。

 なお、個々の産地や農業者などの輸出拡大の努力は尊重されるべきであり、輸出手続の改善や簡素化などは進めるべきであります。これは、新たな法律をつくらなければできないことではないということも指摘しておきます。

 以上で反対討論を終わります。

吉野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、武部新君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。石川香織君。

石川(香)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  我が国では、人口減少や高齢化を背景に、今後国内の食市場は縮小する一方、世界に目を転じると、アジアを中心とした新興国では経済成長、人口増加が進んでおり、世界全体の食市場は大きく拡大するものと見込まれている。また、我が国の農林水産物・食品は、安全でおいしいと諸外国から高い評価を受けており、農林水産物・食品の輸出額は昨年まで六年連続で過去最高を更新している。こうした中、世界の食市場の更なる獲得に向けては、成長著しいアジア諸国のみならず、富裕層を擁する欧米の大市場も重視した、一層、戦略的・積極的な取組が必要である。

  しかしながら、輸出先国政府による食品安全、動植物検疫上の規制が我が国の農林水産物・食品の輸出拡大の障害となる事例があることに加え、一部の国・地域が平成二十三年の原発事故に伴う輸入規制措置を依然として実施しているなど、厳しい課題にも直面している。

  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 農林水産物・食品輸出本部が輸出促進を担う司令塔組織として十分に機能するよう、実効ある組織体制を整備すること。

 二 流通の広域化や国際化が進む中で、日本産農林水産物・食品のブランド力を維持・向上し、競争力を強化していくため、GAP認証等、世界の食市場において通用する認証を取得しようとする取組を更に推進すること。

 三 食品・農林水産物等の輸入条件としてHACCPの取組を求める動きが世界的に広がっている現状を踏まえ、HACCPの導入等に取り組む事業者に対し、その事業規模に即したきめ細かな支援措置を実施すること。

 四 我が国の地理的表示や地名の海外における不正使用や、第三者による商標登録、植物新品種の海外流出が行われないよう、適切に対応すること。また、農林水産業の輸出力強化に向け、知的財産の戦略的活用に取り組むこと。

 五 和牛は関係者が長い年月をかけて改良してきた我が国固有の貴重な財産であり、不正に外国に持ち出されたり、使用されたりすることのないよう、流通管理の在り方や知的財産としての遺伝資源の保護の在り方について、法整備も含めた検討を加速すること。

 六 原発事故に伴う輸入規制措置の緩和・撤廃に向けて、政府間交渉に必要な情報・科学データの収集・分析等を十分に行い、諸外国・地域に正確な情報を提供した上で、科学的根拠に立った対応を引き続き強く要請すること。

 七 昨年九月に国内において二十六年ぶりに発生した豚コレラについて、その発生及び感染拡大の原因を徹底的に究明・分析した上で、あらゆる手段を行使し、将来の輸出拡大も見据え、一刻も早い事態の終息に努めること。

 八 農林水産物・食品の輸出促進に取り組むに当たっては、農林漁業者の経営の安定と所得の向上、農山漁村の活性化に資するよう、十分留意すること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

吉野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立多数。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。

江藤国務大臣 ただいまは、法案を可決いただき、ありがとうございます。

 附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

吉野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

吉野委員長 次回は、来る十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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