第7号 令和元年11月13日(水曜日)
令和元年十一月十三日(水曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 吉野 正芳君
理事 池田 道孝君 理事 齋藤 健君
理事 武部 新君 理事 谷 公一君
理事 細田 健一君 理事 石川 香織君
理事 近藤 和也君 理事 濱村 進君
泉田 裕彦君 稲田 朋美君
今枝宗一郎君 上杉謙太郎君
金子 俊平君 神谷 昇君
木村 次郎君 小寺 裕雄君
坂本 哲志君 笹川 博義君
高鳥 修一君 永岡 桂子君
西田 昭二君 野中 厚君
福山 守君 古川 康君
古田 圭一君 宮腰 光寛君
宮路 拓馬君 簗 和生君
青柳陽一郎君 青山 大人君
大串 博志君 神谷 裕君
亀井亜紀子君 源馬謙太郎君
佐々木隆博君 佐藤 公治君
長谷川嘉一君 広田 一君
緑川 貴士君 石田 祝稔君
田村 貴昭君 森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 江藤 拓君
外務副大臣 若宮 健嗣君
農林水産大臣政務官 河野 義博君
国土交通大臣政務官 佐々木 紀君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 大角 亨君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 曽根 健孝君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 山名 規雄君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 光吉 一君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 新井ゆたか君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 天羽 隆君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 小野 洋君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
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委員の異動
十一月十三日
辞任 補欠選任
古川 康君 古田 圭一君
大串 博志君 源馬謙太郎君
広田 一君 青柳陽一郎君
同日
辞任 補欠選任
古田 圭一君 古川 康君
青柳陽一郎君 広田 一君
源馬謙太郎君 大串 博志君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
肥料取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
農林水産関係の基本施策に関する件
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○吉野委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長枝元真徹君、大臣官房総括審議官光吉一君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長塩川白良君、生産局長水田正和君、経営局長横山紳君、農村振興局長牧元幸司君、政策統括官天羽隆君、内閣官房内閣審議官大角亨君、外務省大臣官房参事官曽根健孝君、財務省大臣官房審議官山名規雄君及び環境省水・大気環境局長小野洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○吉野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高鳥修一君。
○高鳥委員 おはようございます。自由民主党の高鳥修一でございます。
私は最近まで答弁する側におりましたので、質問するのは久々になりますが、きょうは機会をいただきまして、本当にありがとうございます。また、江藤農水大臣におかれましては、農水の専門家ということで、大いに御活躍を御期待を申し上げております。よろしくお願いいたします。
きょうは、CSF、クラシカル・スワイン・フィーバー、これはちょっとまだ言いなれないので、きょうの質疑では豚コレラと呼ぶことをお許しを……(発言する者あり)まだちょっと、私、うまく言えないので、何とかお許しをいただきたいと思います。これについて質疑をさせていただきたいと思います。
まず最初に、十月十日付で防疫指針が変更された理由についてお伺いをいたします。
十一月六日に、長谷川嘉一委員の質問に対しまして、たまたま私のタイミングで防疫指針の改定をさせていただいたわけであります、こう大臣は答弁をされておられます。これは本当にたまたまだったんでしょうか。
吉川前大臣は、何でワクチンの接種をしないのか、対応が後手後手に回っていると、非常に厳しい指摘、質問を受けてこられました。答弁では、ワクチン接種により清浄国でなくなる、あるいは、飼養衛生管理基準に対する意欲がそがれ、結果的にアフリカ豚コレラの侵入リスクが高まる、あるいは風評被害が生ずる可能性等、デメリットも説明をしながら、いわば苦しい答弁を続けてこられたわけであります。私も一緒におりましたので、よくその状況は理解しております。
私は別にワクチン接種に反対をしているわけではないんですが、これだけの方針転換をするのですから、なぜこのタイミングで方針転換をしたのか、やはり、たまたまではなく、明確な理由を教えていただきたいと思います。
○江藤国務大臣 私が、あの当時は災害対応で千葉県の方に行っておりまして、その折に一報が入りまして、休みの日でしたけれども、緊急に省議メンバーに招集をかけて、そして第一回目の緊急対応の会議をさせていただきました。たまたまというより、めぐり合わせということだと思います。
吉川大臣は私の尊敬する先輩ですし、同じ農林のインナーとして、もう下手をすると週に五回も六回も十回もお会いさせていただいて、意思の疎通を図ってまいりました。どれだけ前大臣がこのことについて詳細な検討を行われ、御苦労されてきたか、そして先生がどれほどサポートされてきたか、よく存じ上げております。
しかし、あの段階で、いよいよ関東圏に接近をしてきた、そしてあの当時では、今は百五十万ドーズ在庫があるという説明をしておりますが、最初は百万ドーズという説明でした。回転備蓄分の五十万ドーズと合わせて今百五十万ドーズで、もう既に百三十万ドーズは配付をいたしておりますが、しかし、これが本当に、一県で六十万頭、七十万頭飼っているような県に広がっていったときには、ワクチン対応を決断したとしても、その総量が足りないという現状に至ってしまうんではないかという考えに至りまして、ワクチン接種を決断する方向にみんなで検討に入って、防疫指針の改定を行わせていただいたということでございます。
○高鳥委員 今大臣からも御答弁ありましたけれども、やはり発生から一年経過しまして、更に新たな地域での発生もあり、しっかりとした、更に一段踏み込んだ対応ということで、方針転換をされた理由はあったということで理解をさせていただきました。
次に、ワクチン接種と殺処分の関係についてお聞きしたいと思うんですが、まず、ワクチンを仮に接種をしても効かない豚というのはどれぐらいの割合でいると推測されますか。
○江藤国務大臣 これは極めて個体差が出るものでありますから、明瞭的にこういう確率でございますということは申し上げられませんが、最悪な場合二〇%ぐらい、基本的には一割ぐらい。ですから、農場によっても差が出ますけれども、やはり飼養衛生管理基準を守っていただくことが基本です。ワクチンを打っていただいたからといって一〇〇%防御できるというものではないということは、ここでももう一度、申し上げさせていただきたいと思います。
○高鳥委員 大臣から、先の質問まで答えていただきまして、ちょっと順番に聞いていきたいので、よろしくお願いいたします。
まず、今、最大で二割だ、大体一割ぐらいは効かないという御答弁だったと思いますが、仮に千頭飼育している農場でワクチンの効かない豚が百頭潜在的にいるとして、その中で一頭でも感染したら、千頭、全頭殺処分になるかならないか、お答えいただきたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
ワクチンを接種いたしましても、やはり一〇%から二〇%、抗体ができない豚がいるということでございます。今回改定いたしました防疫指針におきましては、ワクチン接種農場であっても、CSFの感染が確認された場合には、当該農場の全頭を殺処分するということで決定をいたしております。
防疫指針の改正に当たりましては、牛豚等疾病小委員会でもさまざまな意見がございました。しかしながら、ワクチン接種を実施しても必ずしも感染を防ぐことができないということ、それから、豚コレラに感染した飼養豚が農場内に残存し、感染が拡大するおそれがあるということを踏まえますと、豚コレラの感染拡大防止を徹底するためには全頭殺処分が適当という結論に至ったところでございます。
○高鳥委員 ありがとうございます。
農水省がワクチン接種に踏み切る、このニュースを受けて、新聞紙上、私も見せていただきましたが、安心した、それから、残った豚は助かる、あるいはワクチンを接種することで殺処分が限定的になるメリットは大きい、こう安堵する声が多く聞かれました。ですが、今御答弁をいただいたように、ワクチンが効く豚と効かない豚の区別がつかないので、結局、全頭を殺処分せざるを得ないということで間違いありませんか。
○新井政府参考人 間違いございません。
○高鳥委員 ここは大事なところなので、大臣にもう一度確認のために答弁いただきたいと思いますが、ワクチンは万能ではないのだ、そして、やはり引き続き飼養衛生管理基準を遵守することが最重要であるということを明言していただけますでしょうか。
○江藤国務大臣 高鳥先生も吉川大臣も、このことを大変お考えになったんだと思います。ワクチンを打ったがゆえに、これでもう安心、もうそんなにきつくやらなくても大丈夫だという緩みが出るのは、このCSFももちろんではありますけれども、その後ろにはASF、今度はワクチンさえも存在しないものが入ってくる可能性があるわけでありますから、極めて高い緊張感を持って今後もやっていただかなければならない。
そして、今局長から申し上げましたように、極端な話、三千頭飼っているところに十頭でも全頭殺処分ですから、そのことはしっかり認識をしていただいて、今後経営に当たっていただきたいと思います。
○高鳥委員 ありがとうございます。
次に、野生イノシシが媒介している可能性が高いと言われているわけですが、野生イノシシの駆除に、発生当初、猟銃を使わないと決めた理由について伺いたいと思うんですね。
最初に発生が確認された岐阜県、こちらの年間のイノシシの捕獲頭数をちょっと調べてみました。細かい数字は申し上げませんが、平成三十年度、豚コレラ対策でわなによる捕獲を強化したにもかかわらず、トータルで前年と比べて約千五百頭、捕獲できた数が減少しています。前年の数が約一万二千頭でありますから、千五百頭というと一割強の減少となります。これは私の考えですけれども、銃による猟を一部地域で制限したというのも一因ではないかなと思っております。
そこで、私は猟銃も使うべきだということを当初から主張してきたのですけれども、銃を使えばイノシシが逃げて拡散する、一定地域に封じ込めて密度を減らすのが最善という専門家の意見が農水省の方針になって、私の提言は受け入れられなかったというわけであります。でも、結果としてこれだけの地域に拡散をしたんですから、発生当初から銃もわなも、これは結果論なので断定的には言えないんですが、銃もわなも両方使って最大限に捕獲圧力を高めておけば、これまでの拡散はしなかったのではないか。
そこで質問なんですが、猟銃の使用を禁止、制限することについて、現場で対策に当たる猟友会の意見は聞きましたか。そして、この初期の判断に反省する点はないのか。反省する点がないとすれば改善する点もないと思いますので、いかがでしょうか。
○河野大臣政務官 お答え申し上げます。
昨年九月に岐阜県においてCSFが発生した当初、欧州における野生イノシシの管理に関する知見を踏まえまして、CSFに感染した疑いのある野生イノシシが銃猟により広域に拡散することを抑えるために銃猟を行わないという方針を決めておったところでございます。また、その際は猟友会等の捕獲に当たる当事者からの意見を求めなかったところでございます。
その後、野生イノシシの感染拡大が続いたことを受けまして、イノシシの生息密度を下げるためには銃猟による捕獲が効果的であるという猟友会の皆様方の御意見も踏まえまして、本年八月、関係県に対して、感染拡大防止のために、銃猟も活用しつつ捕獲を強化するよう要請した次第でございます。
本件を受けまして、さまざまな反省も踏まえ、CSF陽性イノシシが確認された県及び隣接県の二十一都府県におきまして、猟友会の皆様とも協議をし、捕獲重点エリアを設定しまして、銃猟も活用しつつ捕獲の強化に取り組んでいるところでございます。
引き続き、適切な行為を行ってまいりたいというふうに考えております。
○高鳥委員 ありがとうございます。
これ以上申しませんけれども、やはり現場の当事者の声をよく聞きながら進めていただきたいと思います。
もう一点、経口ワクチンを効果的に散布するとか、あるいは捕獲の効率を上げるため、それはやはり生息状況を正確に把握しなければなりません。全くいないところに幾ら経口ワクチンをまいても効率は上がらないわけですから、まずどこにいるかということを正確に把握する必要があると思います。
そこで、現場の対策に当たる猟友会に、ドローンの活用を促進する対策費を考える必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○河野大臣政務官 高鳥委員御指摘のとおり、野生イノシシの生息状況を可能な限り把握することは大変重要でございます。
これまでも、鳥獣保護管理法を所管している環境省とも連携をしつつ、猟友会の皆様方からの知見も伺いながら、ワクチン散布エリアや捕獲重点エリアの設定を進めてきたところでございます。
現在、経口ワクチンの散布に関しましては、関係省庁も連携をし、空中散布といった効率的な散布方法の検討を進めておるところでございまして、ドローンを活用したイノシシの生息状況の把握についても、関係省庁と協力をし、研究を行ってまいりたいというふうに考えております。
○高鳥委員 ありがとうございます。
次に、ちょっと角度を変えまして、水際対策のことをお聞きしたいと思うんですが、私も、海外に出張して帰国をする際には、やはり立場上非常に気になりまして、機内放送であるとか、機内で渡される書類とか、それから空港に着いた後は、消毒用のマットですとか、ポスターがちゃんと掲示されているか、あるいは検疫探知犬が活躍しているか、こういうことを非常に気にして見ているわけであります。
一つ、機内で書く税関申告書で、肉類の文字が裏側に書いてあって、実は目立たないのですね。この書式を、肉類が目立つように改善するべきだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○山名政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の税関申告書につきましては、裏面に、日本への持込みが制限されている物品として「肉製品(ソーセージ・ジャーキー類を含む。)」と明示されておりまして、肉製品を持っていれば、申告書表面の、日本への持込みが禁止又は制限されているものを所持しているかどうかとの質問に「はい」と答えていただくことになっております。
また、税関では、肉製品の取締り強化として、税関申告書の記載だけに頼るのではなく、空港などの税関検査台において、リーフレットを用い肉製品の所持の有無を確認し、肉製品を所持する旅客を動物検疫所に引き継ぐなどの積極的対応を行っているところでございます。
その上で、今先生からの、肉製品の文字がもっと目立つよう書式を見直すべきではないかとの御提言につきましては、税関申告書の役割なども踏まえながら、貴重な検討材料としてしっかりと検討させていただきたいと考えております。
○高鳥委員 ありがとうございます。ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。
もう一点、これは地元の声なんですけれども、私の地元の新潟はまだ発生は確認をされていないんですが、やはり近く、隣県まで迫ってきているということで、県から建設業界に対して協力の要請があったということなんですね。それは、万一豚コレラが発生した際の埋設地の確保、あるいは資材の準備に当たるよう、こういう要請が来ているということなんですが、調査費がついていないので無償でやっているということなんですね。
実際に発生してから検討に入ったのでは間に合わないわけでありまして、やはりこういう事前の調査等についても何らかの配慮が必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
埋却地につきましては、飼養衛生管理基準に基づきまして、基本的には養豚農家が確保するということではございますけれども、埋却地の事前の確保が十分でない場合には、都道府県が、利用可能な土地の情報提供、それから公有地の利用の決定を行うというふうにされているところでございます。現在、全国で埋却地を調査しておりますとともに、発生に備えまして確保を進めたいと思っております。
御指摘がございました、埋却地の確保に対する国の助成でございます。一つは、埋却候補地が埋却に適しているかどうかを確認するための試験採掘に要する費用、それからブルーシートや長靴等の埋却や蔓延防止に要する資材費等につきまして、都道府県が負担する場合には国が二分の一の補助、それから、都道府県が負担した場合にはその五分の四を特別交付税で措置をするということでございます。
このような支援も含めまして、埋却地につきましては確実に確保していただけるよう、私どもも努力してまいりたいと考えております。
○高鳥委員 ぜひ実態に合わせた対応をお願いしたいと思います。
きょうはCSFに絞って質問させていただきましたが、この問題、皆さんも強い関心といいますか、懸念を抱いていらっしゃると思いますが、非常に重要な問題でございます。対策に当たる農水省も本当に大変だとは思いますけれども、ぜひ引き続き頑張っていただきたい。心から応援を申し上げまして、若干時間が早いですけれども、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。
きのうも質疑をさせていただきまして、きょうも引き続きさせていただきます。少しきのうの質問でやり残したこともございますので、きのうの続きも含めて、お話をさせていただければと思います。
先ほど高鳥前副大臣からもございましたが、私も前政務官として非常にCSF対策には苦労したなと思っております。これも与野党なく、もう一致して生産者の皆様も含めて対応していかなければいけないことだと思っておりますので、より一層の対応を、また大臣含め農水省の皆様にお願いを申し上げておきたいと思っております。
きのうの質疑におきましては、私から日米貿易交渉の話をさせていただいたわけですけれども、その際の一つ、トウモロコシの話でございますけれども、きのう確認した内容は、二〇一六年の段階で既に、中国が米国からトウモロコシを輸入している割合については小さいということを確認させていただきました。全体で三百万トン強ある中で、二十二万トンしかございませんよ、大半がウクライナで、ウクライナが二百六十六万トンあります、これが二〇一六年の段階でそういう状況でしたと。一方で、トランプ大統領は、まあ御自身がそう思われているんだろうと思いますけれども、中国に不公正に扱われていると御発言があるわけでございます。
この米中の貿易摩擦というのは、二〇一八年ごろから本格化をいたしました。そういう意味では、この貿易摩擦が本格化する前から、中国が米国からトウモロコシを輸入する量というのは非常に割合としては小さくなっているという状況であったわけでございますが、一方で日本は、粗飼料として、飼料穀物として毎年一千万トン強輸入しているというわけでございます。
こうした全体観がある中で、私個人的には、米国と中国の貿易摩擦が大きくこれは関与していて、トウモロコシを我が国が輸入するとかという話では決してないなというふうに思っております。
こうした状況の中、トランプ大統領は謝意を、ありがたいということを表明されておられるわけですので、それ自体は別に、それはそれで聞きおいて、日本としては、生産者の皆様が不安にならないような対策をしなければいけない、このように私は考えております。だからこそ、粗飼料の確保の緊急対策事業を行うんだということで整理をしておるところでございます。
このツマジロクサヨトウによる被害、この蔓延防止対策を行わなければいけないということでございますが、よくこれは被害額がわからないのに対策なんか打てるのかというような御指摘もございましょうが、これは私は全く逆の発想なんじゃないかなと思っております。
というのは、災害も同じでございます。災害も、被害が起きてから対応するということではございません。これは、ツマジロクサヨトウによる被害の対策、蔓延防止対策も同じことが言えるんじゃないかと思っておりますけれども、起きてから被害額を見積もって対策をしていると遅いというふうに思っております。事前に対策を講じることが当然と考えておりますけれども、農水省の考えを伺いたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、今回の飼料用トウモロコシの前倒し購入の支援でございますが、非常に強い食害性と伝播力を持つツマジロクサヨトウが、本年七月、我が国で初めて確認されたことを受けまして、飼料の安定供給を確保し、農家の不安を解消するために実施することとしたものでございます。
このツマジロクサヨトウでございますが、アフリカにおいてトウモロコシの生産量を約四割減少させると推計されているなど、急激に蔓延して大きな被害を与えることが知られている害虫でございます。このため、本事業につきましては、ツマジロクサヨトウの被害に備えて、畜産農家への飼料の供給が不足することのないよう万全の対策を講じることとしたものでございます。
○濱村委員 やはり農家、生産者の皆様の不安を解消しながら農政を行っていく、これは非常に重要で、農政に当たる者としては基本中の基本だと思っておりますので、しっかりとした対策を行っていただいていることにまず感謝を申し上げたいというふうに思っております。
その上で、次に、食料自給率等について質問をしてまいりたいと思いますが、トウモロコシも粗飼料として、飼料として輸入していくというわけでございますけれども、飼料として輸入するということが果たして食料自給率にどのような影響を及ぼすのかという点でございますけれども、大部分が輸入に依存しているこの飼料用トウモロコシ、ツマジロクサヨトウによる被害のところもそうなんですけれども、大部分、飼料用トウモロコシは輸入に頼っております。
この飼料を多く輸入すること、これは我が国の食料自給率にどのような影響が出るものなのか、この点を整理して御答弁願います。
○河野大臣政務官 食料自給率の計算におきます畜産物の自給率に関しましては、カロリーベースの場合、飼料自給率を掛け算をし、乗じて計算をしてございます。このため、例えば、トウモロコシなどの輸入飼料が国産飼料に置きかわって増加をしますと、飼料自給率の低下を通じて食料自給率が低下することとなります。
なお、平成三十年度のカロリーベースの食料自給率は三七%となっておりますけれども、飼料自給率を考慮せず純粋に畜産物の国内生産に着目すると、四六%となるところでございます。
○濱村委員 やはり飼料自給率というのが食料自給率にも影響するということでございます。これは、実は余り世間では知られていないように思います。私も、勉強する中でこれを知ることになったわけですけれども、飼料についてもしっかりと国内で生産していくということが食料自給率の向上につながるということでございますので、この点も我が国としてはしっかりとやっていかなければいけないんだろうと思っております。
その上で、食料自給率を上げていくという取組をしていかなければいけないんでしょうけれども、今現在、先ほども政務官からはカロリーベースの自給率の話をしていただきましたけれども、一人一日当たりの供給熱量、カロリーは二千四百三十三キロカロリーで計算されております。この数値はどのように計算されているのか、お答えください。
○河野大臣政務官 濱村委員御認識のとおり、二千四百四十三キロカロリーで計算されておりますけれども、カロリーベースの総合食料自給率の分母となります一日一人当たりの供給熱量、二千四百四十三キロカロリーといいますのは、消費者などに供給される全ての熱量のことでございまして、これは実際に摂取される熱量とは異なる数字でございます。
具体的な算出方法に関しましては、品目ごとに供給食料の可食部分の重量を一人一日当たりに換算をいたしまして、それに単位重量当たりのカロリーを掛けて、各品目分を合計したものでございます。
○濱村委員 今政務官がおっしゃっていただいたとおりで、人間が摂取したものとは限らないわけでございまして、食品ロスの部分も含めてで計算されているというのが今の現状でございます。
せっかくですので、政務官に少し、ごめんなさい、通告していないんですが、個人的な話で恐縮ですけれども、摂取するかどうかという点でちょっとお伺いしたいんですけれども、人間、一日どれぐらい摂取すればいいか。御自身の基礎代謝というのがございますよね。その基礎代謝というの以上に我々が摂取しちゃうと、当然体は大きくなるわけです。一方で、基礎代謝よりも少なく摂取すれば、体は細くなっていくわけですね。
御自身の基礎代謝は認識されておられますか、政務官。
○河野大臣政務官 私、体組成計に毎朝乗るのが日課でございまして、私の基礎代謝は千六百五十キロカロリー前後と承知をしております。
○濱村委員 ありがとうございます。
私も実は千八百ぐらいあって、端的に言うと、私は千八百ぐらいでちょうどいいですので、二千四百四十三も食べていると太っちゃうんです。
実は、この自給率の算出において、この二千四百四十三を使い続けていていいものだろうかという、私はそういう認識を持っているんです。今、これだけ国民の皆様の健康を考えていかなければいけない時代にあって、このままの算出方法でよろしいのでしょうかという疑問を持っております。
そうした意味で、次期基本計画において、自給率目標の設定に当たりまして、国民の健康にも配慮した供給熱量を設定すべきと考えておりますけれども、農林水産省の所見をお伺いしたいと思います。
○河野大臣政務官 次期基本計画における食料自給率目標に関しましては、食料・農業・農村政策審議会において御議論いただいているところでございます。
新たな食料自給率目標の設定に当たっては、今後の食料消費動向に与える要因の一つとして、国民の健康維持のための食生活の改善に向けた取組も一つの論点となっているところでございます。
委員の御指摘も踏まえ、また、農林水産省といたしましては、審議会の御議論を踏まえ、今後検討を深めてまいりたいというふうに考えております。
○濱村委員 食料・農業・農村の基本計画、今見直しておられるところでございますので、しっかりその中で議論されていることかと思います。
ぜひとも、そうした生産者の皆様が、ちゃんと国民の皆様にいい食料を供給できる、そしてまた食べて喜んでいただける、そういう状況をつくるためには、当然食品ロスもなくさなければいけないんでしょうけれども、こうしたところ、食料自給率の考え方のところも変えていかなければいけないんじゃないか、私はこのようにも思っております。
続けて、米の消費量についてのお話をしたいんですけれども、米の消費量も減少しております。ピークは大体昭和三十七年ぐらいで、それに比較すると半減をしているという状況でございます。
この要因につきましては、食生活が非常に多様化しているので、さまざま、パスタをかわりに食べてみたりとか、そういう状況もあったりするかと思います。あるいはラーメンを食べるとか、そういうものもございます。そうした中で米は置きかわられていっているのかもしれませんし、あるいは食の簡便化が進んでいるというようなところもございます。少子高齢化といった社会的な構造による影響もございましょうし、いろいろな影響がある、いろいろな要因があるというふうには思っております。
そうした中で、国民の皆様、健康志向が強まってきていて、糖質制限が盛んに行われているわけでございます。この糖質制限が盛んに行われていることについて、所感を伺いたいと思います。
○河野大臣政務官 米の消費量は、糖質制限を含めました食生活の変化や高齢化によりまして、一人当たりの摂取熱量が減少傾向にあることや、人口が減少に転じたことに加えまして、単身世帯や共働き世帯の増加などに伴う食生活の簡便化により減少していると考えております。
このため、健康面からの御飯食の活用発信や小食、欠食の改善、御飯食を中心とした日本型食生活といった食育を推進するとともに、今後も堅調な需要が見込まれます中食、外食向けの米について、生産者と需要者のマッチング支援を通じた安定取引の推進を農林水産省としては図っているところでございます。
また、昨年十月からは、省のホームページに、米の消費拡大に取り組む企業、団体を応援する専用のホームページを開設いたしまして、「やっぱりごはんでしょ!」運動を新たに展開しているところでございます。
今後は、米の消費拡大を一層推進するため、米消費が多く見込まれる世代を重点ターゲットにしまして、SNSを含めたあらゆる手法を活用することで多様な取組を推進してまいりたいと考えております。
○濱村委員 米の消費拡大、ぜひとも取り組んでいただきたいと思っております。
先ほど来、健康志向の方々が糖質制限を行って、なかなか米を敬遠するような傾向もあるんじゃないかと思っておりますが、確かな数字とかというのが出ているわけではありませんので、ただ単なる傾向性としてしか言えないわけですけれども、私、大事なことは、間違った糖質制限であったり健康志向であったり、そういうものが蔓延していることに対して農林水産省としても何かできるんじゃないかということを、ぜひとも取組をお願いしたいというふうに思っております。
もっと言うと、ただ単に食べる量を減らして、米を食べる量だけ減らしてしまいますと、代謝が落ちてしまって、結局それ以上体重が落ちないとかということになって、変な体型になっちゃうというのがあります。ですので、こうしたものもなかなか実は世の中的には正しく認識されていないというのが現状だろうと思っておりますので、その点をも変えていっていただけるのは食育でありましょうし、お米のよさをしっかり伝えられる農林水産省ができることだと思っております。
そうした取組の一環として、これは米だけではなくて、実は砂糖もやっているんですね。
砂糖、ちょっとこれも最近の話で恐縮ですが、ラグビーワールドカップ日本代表チームに舘ひろしさんがおはぎを差し入れされておられました。あのラグビー日本代表の方々が、食事管理をいろいろされているんですけれども、おはぎを食べていいのというような疑問があったんですけれども、あれはあれで、和食、和食といいますか和のお砂糖の使い方については、体に悪い影響を及ぼすんじゃなくて、エネルギーに転化されやすいので構いませんということだったんですね。
実は、こうしたこともなかなか普通一般には受け入れられていないというか、正しく理解されていないと思うんです。これは「ありが糖運動」というのを農水省はやっていただいておりますので、これもしっかり進めていただきたいなと思います。
ちょっと時間がないので、最後に、大臣に一つだけお伺いしたいと思います。
農水省として、フードアクション・ニッポンの取組を進めていただいております。これは国産の農林水産物の消費拡大のための運動でございますけれども、これは非常に私、重要な取組だと思っておりまして、いろいろな方がFANバサダーに任命をされておられますけれども、そのFANバサダーに任命されておられる方々のお一人として、一グループとして、ロックバンドの方々にFANバサダーロックという任命をされた。これは、打首獄門同好会、実は、私、政務官をやっているときに大臣が補佐官でおられて、強烈な推薦があったんだろうと思います。私はこれを知ってひっくり返ったんですが、私以外にもこのバンドを知っている人がいたんだということにまず驚いたこと。
では、なぜ、この打首獄門同好会をFANバサダーロックに任命をされるように推薦されたのか、お伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 まず、個人的に私が好きだったということがあります。そして、ライブハウスとかに行きますと、ロックバンドというと、ちょっとファンキーな人が集まっているかなと思いますが、そのファン層も極めて真面目な子たちで、終わった後も整然とそのライブハウスから並んで出ていくような人たちなんですよ。
御本人たちももうびっくりするぐらい真面目で、そして、男女共同参画社会とか、幾つになっても挑戦できる世代を超えた活躍できる社会をつくる。このjunkoさんというボーカリストは六十歳を超えておられて、遠くから見ると多分四十ぐらいにしか見えない。頭をヘッドバンギングしてすごい勢いでベースを弾かれるということで、すごい魅力を感じて、やはりこれから農産物を売るについては、いろいろな大きなお金をかけた、晴海の見本市とか、いっぱいありますよ、国費をかけた。そういうものだけではなくて、もっと若い、余り日ごろ農業とかに関心を持たない人たちにも発信する必要があるのではないか。
彼らに個人的に協力してくれないかと話したら、もうまるっきりロハですから、ただですから。国からお金をいただきたい、そういうことは全くなく、曲の内容も、「日本の米は世界一」とか「島国DNA」とか、肉の歌もありますし、非常に農林水産業にかかわるアピール性の強い歌を歌っておられるので、これはぜひ近いうちに農林水産省が企画するような見本市等のイベントでも活躍していただければということで、今、考えております。
○濱村委員 私も、これは非常に大事だと思っていたんです。なぜかというと、ふだん役所が、あるいは我々政治家が接することができる人たちと全く違う属性の方々にリーチすることができる、そうした方々に手を届けているということは、非常に大きな広がりを見せるんじゃないかと思っております。
私も個人的に、ランニングするときのプレーリストに打首獄門同好会の「糖質制限ダイエットやってみた」という曲を聞きながら走ったりもいたします。非常にすばらしい、バンドとしてもすばらしいんですけれども、やはり真面目です。そしてストレートに国民のファンの皆様に伝わると思っておりますので、こうした中で農林水産業にファンがふえる、国産農林水産物にファンがふえるということを、ぜひともこれからも取組をお願いを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 皆さん、おはようございます。
立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの緑川貴士です。
私からは、一等米、二等米などの等級づけを定めている農産物検査法について質疑を、きょう、三十五分全て使わせていただきたいというふうに思います。
もともとは、この法律、戦後の食糧難の時代に国民に米を配給するための古い法律であります。昭和二十六年、一九五一年に、政府が農家から米を全量買い上げて、その際の検査制度として定めた法律です。食糧確保が検査法の始まりなんですけれども、近年は、当然、工業先進国として精密な測定機器の開発が進められるなど、時代に合わせた規定の見直しが必要になってきているところでございます。
そういう中で焦点になっているのが、きょう、私、ずっとお話をしていきたいのが着色粒の規定であります。
夏場の田んぼで、カメムシが飛んできて稲について、そのお米の栄養分を吸って、その吸った部分が、粒が一部、斑点模様のように黒くなる、その米粒を着色粒というふうに言いますが、これは人の健康や味には影響はありません。
その中で、この検査規格では、着色粒の混入限度は、一等米が〇・一%、二等米が〇・三%、三等米が〇・七%という混入限度になっています。一等米であるためには、つまり、お米千粒のうちの着色粒が一粒以下でなければなりません。つまり、二粒でも入っていたら二等米にたちまち落ちてしまうんですね。一等米の基準は着色粒の混入をほぼゼロにするように求めている、やはりこれはかなり厳しい基準であると私は思います。
一方で、ほかの検査項目はどうなっているのか見ますと、被害粒というものがあります。これは病害とか虫の害で損傷した粒、あるいは発芽した粒、これは〇・一%どころじゃない、一五%まで認められています。一等米としても混入が認められていますし、千粒のうちの、数えれば百五十粒も被害粒が入っていても一等米として認められるんですね。
また、死米という項目もあります。粉っぽくなっていたりとか、あるいは艶のなくなっているお米、これは七%の混入限度、千粒でいえば七十粒まで入っていてもいい。これは着色粒と大違いじゃないですか。
また、この着色粒と比べて、一方で、着色粒は健康や味に影響はないと言いましたが、健康を害する可能性のある小石など、異物の混入限度というものもあります。これは着色粒基準よりも緩いんですね。〇・二%ですよ。異物が入っている方が、飲み込んだり、かんだりすれば健康に問題があるのに、小石が入っているよりも多く入っていることが許されないというのが着色粒ですね。ほかの項目と比べて明らかに、着色粒の混入限度の低さは際立っています。
二等米の現在の買取り価格を調べてみますと、農協以外の集荷業者では、二等米を買い取る場合には、一般に、一等米六百円、三等米になれば千六百円ほども違ってきますが、千粒のうちに黒っぽい粒が二つでも入っていたら安い二等米に扱われてしまうことになります。農家は、収入を減らしたくない、一等米から落としたくないという思いから、カメムシの防除として農薬の散布を多く行わざるを得なくなります。
そういう黒い粒が二粒、三粒にでもなったからといって、千粒のうちの一粒なのか、千粒のうちの二、三粒なのか、これは見た目は変わりません。外見を余りに今重視しているこの検査規格が、過剰な農薬の散布につながっている。食の安全に逆行しているのではないか。その検査規格に妥当性はあるのか。着色粒の規定の廃止を求める声が上がっています。
ここで資料の1をごらんいただきたいんですけれども、ことし三月に論点整理をしたんですが、検査規格の見直しを議論する農産物規格・検査に関する懇談会、取りまとめられた中間論点整理です。
その抜粋なんですが、その中で、廃止を求める声が今あると言いました、この着色粒の基準についてどうまとめたかというと、赤線のところです。「消費者が求める水準や色彩選別機での除去は相当なコストを伴うことなどを考慮すれば、基準の緩和は難しいのではないか。」というふうに中間ではまとめています。
でも、取りまとめですから、基準の緩和が難しいというふうに結論づけている以上、その理由に挙げている相当なコストがかかるということ、これは具体的にわかっている必要がありますね。幾らなんでしょうか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
農産物検査規格でございます。お米などの大量流通また転々流通する農作物につきまして、その都度現物を確認することなく効率的な取引を可能とするために、国が生産者、流通業者等、関係者の意見を聞いて定めているものでございます。
このため、農産物規格、検査の見直しにつきましては、さまざまな立場の方からの御意見を踏まえて検討を進める必要があるというふうに考えておりまして、農産物規格・検査に関する懇談会におきましては、お米の生産、流通、消費にかかわるさまざまな立場の委員から幅広い御意見を伺いつつ、検討を進めてきたところでございます。
今、先生からお話のありました本年三月に取りまとめられた農産物規格・検査に関する懇談会における中間論点整理におきましては、先生が今読み上げられた、「着色粒の基準については、消費者が求める水準や色彩選別機での除去は相当なコストを伴うことなどを考慮すれば、基準の緩和は難しいのではないか。」という記述とあわせて、一方、着色粒の基準の緩和を求める現場及び消費者からの声があることにも留意をする必要ということで、中間論点整理では、いわば両論を併記した形になってございます。
このうち、「相当なコストを伴う」というふうに書いているのはどういうことかという御質問だったと思います。
これも中間論点整理の、同じ紙の左側に記述があるわけですけれども、消費者の求める水準、色彩選別機の能力や除去に要するコスト、手間、時間等を踏まえて検討するべきと。また、現行規格よりも厳格に運用しているが、それでも消費者からクレームが来る、色彩選別機による除去はそれなりの手間がかかるが、全ての着色粒が除去できるわけではないといった委員の発言がございまして、これをまとめまして、いわば定性的に整理をしたものでございます。
○緑川委員 長々と御答弁いただきましたけれども、結局、関係者からの意見を聞いている。本当に客観的な事実に基づく相当なコストと言っているわけではないんですね。
着色粒の規定については、流通とか実需者の段階で除去のコストがかかるから必要であるというこの論点を、やはりこれを重く見て、農水省は今のような粗い説明をされて、相当なコストはやはり必要だというふうにまとめていますけれども、それが幾らなのかは結局、明らかにしておりません。一等米と二等米の価格差が維持されているのは、着色粒の除去にやはりお金がかかるからだと。
では、一般に流通されているこの買取り価格のように、六百円のコストがかかるのか、かからないのか、いかがでしょうか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
一等米と二等米の価格差についての御質問をいただきました。
一般論で申し上げますと、着色粒や精米時の破砕しやすさなどいわゆる整粒歩留りだけではなく、食味への影響、消費者からのクレーム等のリスクなど、さまざまな要素が反映されて、この一等米と二等米の価格差が形成されていると考えられます。
また、その価格差の水準につきましても、取引時のお米の需給状況のほか、産地、品種など、お米のブランド力などによって民間で決められているというふうに承知をしております。
○緑川委員 着色粒の除去にかかる金額を、国として、これをはっきり、コストが一般に幾らかかるのかというものをしっかり示せない、説明できない中で、農産物検査規格の見直しについては、これは政府の検討会がことしの十月に設置されていますが、そういう中で本格的な議論がもう始まっているんですね。
そういう中で、この制度の見直しが、やはりこれを更に突き詰めて議論していかなければならない中で、この着色粒規格については、規格の維持を求める業界の声がある、実需者の声があるからとアバウトな論拠ではなくて、着色粒の除去にかかるコストが幾らなのか、確かな根拠となる客観的なデータがそろっていなければ、やはりこれは議論などできないはずです。
今御答弁いただいたような内容で、検討会も議論していくんですか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御説明させていただきましたとおり、農産物規格・検査に関する懇談会におきましては、三月に、中間論点整理ということで、いわば両論併記の形で整理をさせていただいたということでございます。
その後、本年の五月には、先ほど、冒頭、先生からもありましたけれども、新しい器械の導入という観点から、穀粒判別器に関する検討チームを開催いたしまして、検査員の目視にかえて穀粒判別器を活用する場合の検査項目や測定方法等の取りまとめなどを行ってまいりました。
このように、幅広い検討を行いつつ、先生御指摘の、本年十月から、十月十五日でございますけれども、農産物検査法に基づきます農産物検査規格検討会を設置したところでございます。
この検討会は、農産物検査法十一条において、農産物検査規格を設定、変更又は廃止しようとするときは、農産物の検査等に関し学識経験を有する者及び関係者の意見を聞くものとすると規定されていることに基づくものでございます。
第一回の検討会が十月十五日にあったわけですけれども、今後の検討会の議論といたしまして、異種穀粒の内訳ですとか、フレコンの規格ですとか、着色粒、胴割れ粒などについて議論を進めていこうということとされておりまして、先生御指摘の着色粒の除去に要するコストにつきましても、さまざまなコストがあるわけですけれども、着色粒をめぐるさまざまな事情の一つとして本検討会で議論されることになると考えております。
○緑川委員 やはり、議論しようという中で、前提となる材料がそろっていない。検討会に入ってからその材料をそろえようというのは、私、全然順序が逆だと思いますよ。
この中間の取りまとめは既にことしの三月に、何度もお話しするように、行われていますから、この間に、新しい除去にかかるコストのデータを集めようという努力はなかったんですか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
中間論点整理では、現状の検査規格に関しまして、さまざまな論点について整理がなされてございます。
その一つ一つにつきまして、先ほど申し上げたとおり、例えば、穀粒判別器でありますとか、あるいはルールを定めてまいりましたし、検査員の検査精度の向上などについても改善をしてまいりましたし、検査事務の省力化ということについても進めてきたわけであります。
そういう中で、これから、異種穀粒、フレコン規格、着色粒、胴割れ粒など、規格についての議論を進めていこうというふうに考えているところでございます。
○緑川委員 私が聞いているのは、着色粒の規定の中での、着色粒を除去する際に一体現場ではどのぐらいのコストがかかるのかという調査をしているのかいないのかということです。検査の中のそうした体制について聞いているんじゃありません。もう一回お答えください。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、農産物検査規格検討会の議論の中で、さまざまなコスト、着色粒の除去に要するコストについても議論されることになるというふうに考えております。
○緑川委員 全く答えていないですね。データがないというふうに言っているも同然のお答えじゃないですかね。
実は、ことし八月に、環境問題に取り組んでいるNGOのグリーンピースという団体がありますが、署名活動をしております。八月の二十三日、着色粒基準の見直しを求めて、およそ二万名分の署名を農林水産省に提出をしております。穀物課に提出をしたんですが、そのときに対応された穀物課の担当者からこう言われたそうです。着色粒の除去にかかるコストのデータは農水省も持っていない、こちらが教えてほしいくらいだとはっきりお話しされたそうですが、これは事実でしょうか。これは通告していますからね。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
一般社団法人グリーンピース・ジャパンが、本年八月二十三日に、農林水産省の担当官に署名を提出されたということは承知をしております。
この署名を受け取った担当官によりますれば、その際、御指摘のような発言をしたかどうか記憶をしておりませんが、着色粒の農産物検査規格に関する検討を進める上で幅広い情報や御意見を伺うことが重要と認識しつつ署名を受け取ったというふうに申しております。
○緑川委員 当事者は、明言しているというふうに言っているんですね。
意見を材料にしたいんじゃないんですよ。私が再三申し上げているのは、除去にかかるコストのデータを農水省は持ち合わせているのかどうかについて、この一点についてお話をしているわけです。
この除去のコストという根拠となる農水省が持つデータについて、グリーンピースはことし十月に情報公開請求もしています。実は、開示が延長されているんですね。十一月に開示されるところを、来月まで延長させてくれと農水省から資料が届いたと。それは、除去にかかるコストのデータの公開範囲が広いこと、あるいは業務が多忙だという理由で延長されています。
今の御答弁を伺っていますと、公開範囲が広いんじゃなくて、やはりそもそも除去にかかるコストのデータというのは持ち合わせていないんじゃないでしょうか。いかがですか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、十月に開催をいたしました検討会の場において、除去に関するコストなど、さまざまなコストがあると思いますけれども、議論をしていくことになると考えております。
その上で、委員御指摘の、一般社団法人グリーンピース・ジャパンから、本年十月四日付で、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第四条第一項に基づく開示請求がございました。開示請求は、農林水産省で保有している米の着色粒の除去コストのデータ全てということでございましたけれども、これは、行政文書の対象範囲が広く、文書の特定に時間を要すること、及び、業務が、災害などがありまして事務処理が困難ということで、情報公開法第十条第二項に基づきまして開示請求の延長を行ったところでございます。
○緑川委員 このコストに係るデータが、農水省から、このところはっきり示されたことは、少なくともここ十年以上はありません。この着色粒の規定の見直しの議論から、私はどうしても政府は逃げ回っているようにしか見えないです。
検討会の議論の前提である着色粒を除去するコストについての根拠となるデータが、やはり検討会の段階でそろっていない、あるいはないのかもしれないですね。きょうのお話を聞くとますます確信を深めたところですが、その説明を求める国民が納得できないままに議論が進んでしまっている。国民が置き去りになっている。結論ありきで進む可能性がありますよ。余りにずさんだと思います。
この一連の今のやりとり、江藤大臣、お話を聞いていらっしゃったと思いますが、情報公開請求は江藤大臣の名前で出されていますね、資料をごらんのように。延長したからには、少なくとも、あるのかないのか、ないのかもしれませんが、ある分のデータをしっかり、延長した期限までに開示するとお約束をいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 先ほど統括官からお話をさせていただきましたが、できる限り期限までに出す努力はいたしました、農水省としては。しかし、御存じのとおり、大変な豪雨災害が続きまして、土日もなく、農林省の職員は、私も含めて、出勤するような状況が続きましたので、一カ月は延ばさせていただきました。
このことについては、私としても、もう一カ月延ばしたんだから、その期間内にはしっかり提出しなさいということで指導いたしております。
○緑川委員 現場から届いた声に対しては、やはり行政として、真摯にこれは御対応いただきたいというふうに思います。
その除去に係るデータを、ずっと私は質疑でしつこいほどに申し上げたところなんですが、お尋ねをしたんですが、過去に、実はデータについて、政府は答弁で触れています。
資料の3、ごらんいただきたいんですが、二〇〇七年の三月の一日、衆議院予算委員会第六分科会。
この着色粒規定についての質疑がありまして、農水省は、この除去にかかるコストについて答弁をしています。下線部でありますが、精米の歩留りが低下すること、また、搗精時間が長くかかること、コストがかかる理由として、具体的な金額に触れながら説明をしています。一番下の下線部で、「二等の下限であります〇・三%の着色粒が混入している玄米では一俵当たり約五百円の増嵩、」、つまり、一等と二等の間には、一俵六十キログラム当たり五百円のコスト差があるということを政府は認めて答弁をしています。
十二年前の答弁では、コストの具体的な金額に触れて政府として説明できていましたが、今はコストが幾らなのか説明できない。これはどういうことなんでしょう。
○天羽政府参考人 御質問の、十年以上前に農林水産省が試算した内容として、答弁をしたものでございます。
今回、開催をいたしております検討会の中では、今日的な要素のもとで、さまざまなコストについて検討していくということが必要だと考えております。
○緑川委員 今おっしゃった今日的な要素、どういうものなんでしょう。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
着色粒でございますけれども、先生御指摘のとおり、着色粒の原因の多くは、いわゆる斑点米、カメムシの被害によってできるということでございますので、このカメムシの生産段階での発生抑制をどういうふうに取り組むのか、さらには、発生した着色粒、斑点米をどうやって取り除いていくのか、それがいわゆる除去コストになるわけですけれども、色彩選別機の費用ですとか、除去の手間暇ですとか、歩留りの低下といったものに加えまして、実際問題、製品となって消費者なり実需者の手に渡ったときにクレームが発生することがあるというふうに承知をしておりますが、このクレーム対応にまつわるコストやブランドに対する影響など、数値化するのも難しい、さまざまな要素があると考えております。
そういう中で、どこまでこのコストの議論ができるかということにつきましては、現行の色彩選別機の能力などを加味した上でやっていく必要があると考えております。
○緑川委員 十二年前ですからね。技術もやはりこれは進んでいますし、今お話しのように、さまざまな手間がかかる、例えば色選機のコスト又は除去の手間暇、そういうものが、この十二年の間でも、あるいは二〇〇七年に御答弁をいただいた時点でも、やはり変わってきているところがあります。つまり、金額が変わってきている。
農水省が当時、かかる根拠として引用した金額は、一等米、二等米のコスト差、これは資料4をごらんいただきたいんですが、農水省が政府答弁のときに引用した資料、試算であります。
四百八十六円というふうに、一等米と二等米のコスト差は説明をされているんですね。着色粒を除去する際にはお金がかかる。だから、着色粒が多目に入っている二等米は、一等米よりも安く販売していく、そういう流れの中でコスト差が肯定されていたわけですが、今申し上げたように、コスト差のこの差額が適切なのかどうかというのが、やはり問題であります。時代が進んでいます。
着色粒の混入限度で農水省が計算したのは、一等米の上限値である〇%と二等米の下限値の〇・三%の差で計算していて、それが四百八十六円なんですけれども、下限値は下限値同士で計算しなければ、これはおかしいですね。ですから、正しいのは、赤枠で示しているこの一等米の下限値の〇・一%と二等米の下限値の〇・三%の差で計算した結果の丸で囲っているところ、三百五十六円が、その論理でいうと、まずは普通の計算ということになります。
三百五十六円という金額も、実はこの数字も、適切ではないんですね。
資料の左側の欄にある搗精賃というのがありますが、玄米を白米にする搗精の手間が違うことから発生する経費、つまりは、着色粒の除去とは直接関係のない固定経費が含まれているんですね。減価償却費とか土地代とか固定資産税とか金利などが含まれているのがこの搗精賃。どの等級でもかかる固定経費と、その固定経費の数字を基礎にして、搗精の作業効率が落ちるからというので、着色粒が〇・一%ふえるごとに一一・一%を掛けて、それを足し合わせる計算でコスト差を大きく見せているのが、この計算式なんですね。
搗精の時間についても、選別機のメーカーのサタケの広報担当が、色選機の年代や機種によっても違うけれども、〇・三%から〇・五%までなら能率を落とさずに処理できると十年も前から説明をしています。今なら更に性能が、色選機は上がっていますね。
ですから、この搗精賃もおかしいですし、その隣にある歩留りロス。
色選機にかけたときに、着色粒だけではなくて、一定程度、普通の米粒、整粒も同時に除去してしまうというのが歩留りロスなんですが、この数字も、この二〇〇七年に説明した段階では高目です。今の色選機の多くはデジタル画像処理が採用されている。米一粒ごとにエアーで噴射ができる。つまり、正確に着色粒を、的を絞って噴射することができる。歩留りロスは、今はおよそ一〇%にまで抑えられます。
資料の4にあるような、上の中ポツのところに、着色粒一粒を除去するのに整粒〇・八粒を余分に除去というふうにありますが、この整粒が〇・八ではなくて、今は〇・一というレベルにまで技術が進歩しているんですよ。ですから、歩留りロスというこの欄の〇・一八も正確ではなくて、現在は〇・一一にまでなっている。
以上を踏まえると、この試算をもとに計算すれば、着色粒の除去コストは三百五十六円でも適切ではなくて、百三十円ほどになります、今の計算でいけば。先ほどの三百五十六円よりも相当に低い金額。二〇〇七年の政府答弁も、実態と余りにかけ離れたコストであって、机上計算で導かれたこのコスト差は、やはり適切ではないですね。
この農水省の当時の試算がやはりおかしいというふうに、十年も前から、国民から声が上がっています。説明を求める市民と二〇〇九年に面談で対応したのが、当時食糧部長を務めていた奥原氏です。資料5、二〇〇九年の六月二十二日付の日本消費経済新聞に写真入りで掲載されていますが、資料の六枚目は面談の概要であります。
ことしの五月にも、実は私、質疑をしましたが、事実関係をそのときに確認をしていますが、奥原氏は既に退官されていると。農水省は確認に時間がかかったということなんですが、ようやくきのうまでに紙で回答をいただくことができました。当時の面談者からいただいた音声データも奥原氏御本人に確認をいただいて、お答えをいただいたんですが、十年前のことなので正確にはわからないが、やりとりはあったと思うという回答でした。余り覚えていらっしゃらなかったようなので、音声データを渡していますが、文字起こしも、私、資料につけております。これが資料の7ですが、ちょっとごらんいただきたいんです。
時間もなくなってきましたので、かいつまんでいきますと、今野さんという市民の男性が、一等米と二等米で五百円のコスト差があるのであれば、米屋で精米を頼むときに、二等米であれば精米の割増し料金がかかるはずなのに、等級で精米料金が違うということはないんだ、だから、コストが五百円もかかるということはあり得ないという話をしています。それを受けて、奥原部長が、それでは調べてみましょうと、関心を持たれていますね。
また、資料中段のところで女性の話があります。女性の話を受けて、奥原氏が、コストが相当違えばね、一等二等で変わらなきゃ意味ないですよねと。これ、うなずいているじゃないですか。コストが変わらないことについて、ちょっと勉強しましょう、うんうんと、うなずいています。
後半では、コストの具体的なデータを集める調査をこの二カ月ぐらいの間に行う、調べるのはちゃんとやりましょうと。ちゃんとやりましょうと書いてあるんですよ。そう言っているんですね。
ですから、調査は、記事にあるように約束はされています。でも結局、調査が行われなかった。
調べるとはっきりしゃべっている当時のこの音声を聞いた奥原氏、何とおっしゃっていたんでしょうか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど先生のお話の中にございましたとおり、二十一年当時の音声データ、資料を奥原部長に確認をいたしました。奥原部長は、十年前のことなので正確かはわからないが、やりとりはあったと思うという認識でありました。
それで、先生からお話をいただきましたが、着色粒の除去に要するコストにつきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、この検査規格の検討会で議論をするということでございますけれども、一等米と二等米の価格差について申し上げますと、先ほども申し上げましたが、着色粒なり破砕しやすさなどから整粒歩留りがどうなるかということ、それから食味への影響、消費者からのクレームなどのリスクなど、さまざまな要素が反映されて形成されている。また、その水準も、取引時のお米の需給状況のほか、産地、品種など、お米のブランド力に応じて民間で形成されているということでございます。
ちなみに、全農が設定をしております平成三十年産の一等米と二等米の価格差は、ほとんどの産地品種銘柄で六百円でございましたが、令和元年産につきましては三百円になっているところが多いという現実がございます。
○緑川委員 もう時間が来ましたけれども、いずれにしても、私が計算した、あるいはこの試算をもとに計算しただけでも百三十円という金額なんですね。ですから、それを根拠としたようなやはり議論が進まなければ、いかにそのコスト差を縮めるような話があったとしても、それは合理的な話の流れではないというふうに思います。
最後に、済みません、大臣から伺いたいんですけれども、このコスト差の不自然な面がやはり際立っているというふうに思います。除去にかかるコストのデータの調査をしていく意気込みについて、最後にお聞かせください。
○江藤国務大臣 大変興味深く聞かせていただきました。
正直申しまして、私もこの点は不勉強で、けさ、御通告いただいている内容を見て初めて、こういう問題があるんだなということがわかりました。
そもそも昭和二十六年から始まって、その時代の流れにおいていろいろな、最初は目視から始まって、機械が導入されて、色彩をやって、今度は穀粒をやって、いろいろな機械が入って、機械が入ってもどんどん、機械の精度も上がって、コストも上がって精度も上がって、それによってコストの変化もある。それはもう、委員のおっしゃることは非常に理屈の通る話だなというふうに思います。
他方、やはり銀シャリという言葉が日本にはありまして、もう全く完璧な、ぴかぴか光る米を食いたいと。私は一等米だと思ったから高い金を出してでもこの米を買ったんだと思ったけれども、そういうクオリティーじゃなかったじゃないか。なかなかそこまでくだけた言い方はできないとは思いますけれども、やはりブランドを守るということも、産地としてはやりたいということもあると思うんですよ。
ですから、この場で委員の御質問に答える十分なお答えはちょっと差し控えさせていただきますけれども、非常に私は関心を持ちました、このことについて。
このことについては、委員会が終わった後になるか、きょうはちょっと忙しいですけれども、しっかり部局も呼んで、過去の経緯も含めて、今後どうするかについて勉強させていただこうという気持ちになりました。
○緑川委員 やはり、この議論の入り口になって、本格的な議論が進むということを切に希望したいというふうに思います。
この十年、何といっても全く進んでいない論点、解決されていない問題であります。そうしたデータについても昔のデータしか持っていない、そういう状況では、私、今の技術が進む中での農政の対応というのは非常に心配をするところでありますので、ぜひ調査をお願いをしたいということを申し上げて、質問を終わります。
○吉野委員長 次に、長谷川嘉一君。
○長谷川委員 おはようございます。私は、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの長谷川嘉一でございます。
先週に引き続きまして質問の機会を与えていただき、同僚諸氏には感謝を申し上げます。
きょうは三点用意をさせていただきましたので、限られた時間ではありますが、全ての項目にわたって御質問をさせていただきたいと思います。
最初に、今週の月曜日、江藤大臣には、群馬県、私の出身県でもありますけれども、その玉村町の食肉市場、そして同じ伊勢崎市の消毒施設とを御視察いただいて、大変ありがとうございました。
それについてのコメントは冒頭に触れていただきましたけれども、ちょうどその前の週、九日の日には、この玉村町と隣接して深谷市というのがあります。その間に利根川が流れておりますけれども、深谷市で、埼玉県で五例目の豚コレラが発生しました。その隣が本庄市、四例目。利根川を渡ると、玉村、伊勢崎、もちろん太田にも入ってまいります。この間にあるのが利根川であって、イノシシは御承知のとおり大変行動半径が広い、水泳も得意というふうな動物でありまして、群馬県においても五頭目の野生イノシシのインフルエンザが確認されたばかりであります。
こういったタイムリーな時点での御視察をいただいたことに再度感謝を申し上げ、このときの状況、そして今の大臣の御感想について、まず御質問をさせていただきます。
○江藤国務大臣 まずは、月曜日にもかかわらず出張を許していただいたことに感謝を申し上げるとともに、群馬県におかれましては、知事を始め屠畜場の責任者の方もしっかり対応をしていただきました。大変感謝をいたしております。
いよいよワクチンを接種した豚が市場に流通する時期がもう迫ってまいりました。風評被害等についても非常に神経をとがらせていらっしゃる方もたくさんおられます。
行かせていただいたら、まず、自主的に海老名のところに消毒ポイントを設けておられました。そして、消毒も実際にやって見せていただきましたが、徹底して、すばらしい、これ以上のやり方はないだろうというようなやり方で、完璧な作業をされておられました。
そして、群馬県の食肉卸売市場内の屠畜場にも行かせていただいたわけですけれども、豚を搬入しておろして、そして必ず、接種している豚と接種していない豚は分けて、区別をして係留するように、きちっとブロックコントロールをされているということ、そして、そのトラックがそこから出るに当たっては合計で三回、入りと出で三回も消毒をするということであって、すばらしい事例だったと思います。
この事例をすぐに、その月曜日中に、ほかにも同じようにいろいろな地域から豚を集める屠畜場はありますので、こういう事例を横展開できるように今周知を進めているところでございます。
○長谷川委員 ありがとうございます。
群馬県は、鹿児島、宮崎そして北海道に次ぐ第四番目の豚の養豚県であります。先ほど御質問をいただいた、もう今いらっしゃいませんが、高鳥修一委員のところが新潟でありまして、これが十八万頭ということで、関東圏、それから上信越も含めて大変な養豚の産地であり、おかげさまで、まだ豚には発生をしていないということでございます。ただ、本当にもう際どいところまで来ているというところで、最大のこの防疫体制がされているということについては大変力強いものを感じますし、引き続いてのまた注視をしていただきますようお願いをしたいと思います。
そこで、養豚業者等々との会談があったと思いますが、これについて、今ワクチンが接種されて、そのワクチン接種の豚が出荷をされる、この風評被害等については前回もちょっと触れていただきましたけれども、これについての御所見があれば、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 これは大変大切な問題だと思っております。
消費者団体の方々とも意見交換等をさせていただきました。消費者団体の方々からも、国内産という表示をしていただければそれで十分だ、県名を明示する必要はありませんという御理解をいただいております。
そして、群馬の方々にもいろいろお話をちょっと伺うことができましたけれども、最近、豚価も結構なかなかいい感じで群馬も推移しておりまして、もうワクチンを接種した時点で、まだ出荷しているかどうかは世間の人は知らないわけじゃないですか、基本的には。ですから、本当に激しい風評被害が起こるということであれば、群馬県がワクチン接種を始めたと言った瞬間から、もしかしたら風評被害が起こるのかもしれない。今のところは全く起こっておりませんので、呼称の変更もさせていただきました。そして、これから広報についてもしっかりやらせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○長谷川委員 ありがとうございます。
以下は参考人にお聞きしたいと思いますが、豚肉の輸出等が今されているわけでありまして、これによって香港、マカオ、シンガポール等への輸出についての影響があるのかないのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
現在、豚及び豚肉製品につきましては、豚肉で約十億円、それから豚の皮につきまして約七十億円の輸出が行われております。
予防的なCSFのワクチンの接種を決定した後、主要な輸出国でございます香港、マカオそれからシンガポール、タイ、カンボジア等におきまして交渉を行いました。その結果、一定の条件下でこれらの国への輸出の継続は可能という回答を得ておりまして、二〇一八年の輸出の実績と照らし合わせますと、全体の九七%につきまして主要輸出国への輸出の継続は可能という状況になったところでございます。
また、現在、ワクチン接種県の、県からの聞き取りによりますと、今回ワクチンを接種したことに伴いまして、あるいは豚コレラが発生したことに伴いまして実際に輸出を断念した生産者は、今のところないというふうに聞いているところでございます。
○長谷川委員 ありがとうございました。
非常に、風評被害とともにブランドのイメージダウンというのが懸念されるわけであります。群馬の場合は麦の産地で、それを食させるということで、群馬の麦豚。裏の方に行くと新潟ですから、もち豚というふうなことで、大変イメージがよくて、行ってみると食べてみようかなと思えるようなもので、東京方面にも出荷をされているわけでありますけれども、この辺のイメージダウン、それから風評被害によって農家に影響が出ないといいなというふうに思っております。
この質問については、これで終わります。
次に、今回の豚コレラ発生から現在までの対応について、参考人でも結構でありますけれども、お聞きしたいと思います。
資料にお示しをいたしました。資料一をごらんいただきたいんですが、昨年九月九日に、岐阜の養豚場で、我が国にとっては二十六年ぶりのCSFが発生をいたしました。そして、その五日後ですか、岐阜県で感染イノシシが確認された。さらに、十二月に入って愛知県で感染イノシシを初確認。また、年が改まって、六月に入っては三重県、七月福井県というふうに、野生イノシシを介した拡散が続いているわけでございます。こういった中で、今回の、衛生管理基準なんでしょうか、これも含めた家畜伝染病の防疫指針にのっとった対応が俊敏に図られていればよかったのになと思えるわけでございます。
これについては、大変御苦心の中で、平成十八年に第一回目を、三月三十一日に農水大臣が公表されております。これを受けて、私もいただいた資料の中では、第一回目が二十五年六月、そして次に、豚コレラが発生した三十年の十月三十一日にはやはり改定がされ、さらに、ことしの十月十五日も改定をされているということで、この趣旨に基づいた改定はしっかりされていると思いますが、農水省内部での豚コレラについての危機感がどのくらいこの指針の中に盛り込まれているかというと、部数は厚くなっておりますけれども、農水大臣の所管ではありますけれども、農水省の豚コレラについての危機感がしっかりと伝わってこない部分が、実は私にはあります。
ですから、非常に残念な部分ではありますけれども、この辺について、豚コレラについての対応が遅かったのではないかという視点で、これからちょっと質問に入らせていただきたいと思います。
まず、本年六月の時点で十万頭以上の豚を殺処分して、終息することなく、現在も関東圏にこれが入ってきたということで、ようやく、課題はあるにしても、このワクチン接種が決定されたということは、これは大きな前進と私は受けとめております。
その前には、防疫体制ということで野生イノシシの駆除をしっかりとやってきたわけでありますけれども、これは一〇〇%駆除することはできません。群馬県においても、約一万五千頭から二万五千頭の間で恐らくは生息をしているであろうと。過去の実績から、八千頭まではとっていた経験があるから、一万頭はとりますよという指針を出したと思いますけれども、これについても、各県、最大限やっていただいていると思いますが、これを一〇〇%とめることができない以上は、最初の平成十八年に示された指針に従ってやるとすれば、ワクチン接種をこの次には考えなければいけない。
そして、この後、野生イノシシの項目が、薄い資料ではありますけれども、ありました。この中で、四の屠畜場等農場以外の場所で発見された場合の措置として、(三)野生イノシシという項目がある。野生イノシシで本病が感染が認められ、当該イノシシの生息地域周辺の農地への蔓延のおそれがある場合には、都道府県畜産主務課は、養育豚への緊急ワクチン接種を含めた防疫体制について、動物衛生課と協議をするという端的な御指摘があります。
これは、国の指導なくしては実際には実行に移せない問題でありますけれども、野生イノシシの感染が確認されたのが昨年の九月十四日、十二月には愛知県に、本年に入って、先ほどの繰り返しですけれども、六月、七月、そして八月、また群馬県でもあるわけですけれども、この間、その協議はどのようになされたか、政府の方の御所見をお伺いしたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の九月の岐阜県の発生以来、委員お話しいただきました防疫指針とともに、なかなか防疫指針を見直すということがかないませんので、その都度、通知とか通達で、野生イノシシ対策、それから早期発見のいろいろなメルクマール等を示してまいったところでございます。基本的には、防疫の基本であります飼養衛生管理を徹底していただきたいということで、発生県のみならず、全国の農場のチェックもしたところでございます。
それから、今回の発生が、野生イノシシが媒介をいたしまして、じわじわと広がっていくという状況でございます。愛知県に発生いたしましたのがことしの二月、それから、三重県、福井県に発生いたしましたのがことしの七月ということでございまして、そういう状況の中、特に野生イノシシ対策を、ことしの二月から野生イノシシ向けの経口ワクチンの散布を開始いたしまして、七月には農場の防護柵ということで、野生イノシシの侵入の防護柵の支援を強化したということ、それから、八月には経口ワクチンベルトの構築ということで、イノシシ対策をまず強化しているところでございます。これは現在も引き続いて行っているところでございます。
飼養豚への対策といたしましては、委員の御指摘のとおり、ことしの九月に関東地方にも侵入をしたということで、新しいステージに入ったということに鑑みまして、飼養豚への予防的なワクチンの接種を開始したところでございます。
○長谷川委員 最初の十八年度の指針にこだわるわけでありますけれども、このときには、感染を絶対拡大させてはいけないという強い思いがここからは読み取れますので、農水省部局でこの辺を共有していた思いが大分希薄になっているかなと私は指摘せざるを得ません。
この指針については、少なくとも五年ごとに再検討を加えるとともに、必要があると認めるときは随時見直しを行うとすると、ここまで述べている。これが、二回目の指針の見直しがあったのが平成二十五年ですよね。七年後なんです。そのときにはこれがどのくらい生かされたかわかりませんけれども、そういった部分でのかつての感染経験を現在にしっかりと引き継いでいるとすれば、ここまでの感染拡大の前に、野生イノシシの防疫体制、それからワクチン接種についても踏み切れたのではないかということを御指摘を申し上げまして、この項目については終わらせていただきます。
次に、時間の関係もありますので、アフリカ豚コレラ、これについて触れさせていただきたいと思います。
これは資料にお示しをさせていただいておりますが、これによりますと、現在日本にもこのアフリカ豚コレラの陽性反応が出たものが入り始めているというふうに聞き及んでおります。
今、この状況について、現在どのようになっているかをお示しいただきたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
ASFは、昨年の八月にアジアで初めて中国で発生をして以来、アジア各国に感染が広がっておりまして、特に近隣でございます韓国でことしの九月に発生をし、もう十数件になっているという状況でございます。さらに、訪日観光客が増加をしているということでございまして、侵入のリスクが高まっておりますので、水際対策につきまして、関係省庁と今対応を強化しているところでございます。
御指摘のありましたASFのウイルスにつきましては、中部国際空港に参りました中国便から放棄された肉製品の中から、実際に感染性のあるウイルスが発見をされたということでございます。
これを契機にいたしまして、ことしの四月二十二日から、関係省庁ということで、CIQ、税関とか、あと空港の管理の国交省、それから観光業界を所掌いたします観光庁、それからビザの発給等をいたします外務省、この省が中心になりまして、それぞれ日本国内でできること、それから向こうの、旅行客の相手国の中でできることということで区分をいたしまして、今万全の体制をとっているところでございます。
○長谷川委員 アフリカ豚コレラについては、最初の持込みの部分で検出されたのが昨年の十月一日で、現在まで何品目でしょうか、七十品目、七十件以上にも上っている。また、ことし三月には中国人観光客、旅行客でしょうか、が持ち込んだものに二件の陽性反応が出ているというふうに聞き及んでおりますけれども、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
実際、水際で放棄をされました違法の畜産物については、サーベイランス調査を行っているところでございます。これにつきまして、議員御指摘の、十月からASFのウイルスが検出されたものということでございますけれども、これは、中国、ベトナムから持ち込まれた携行品を中心に、七十七件でございます。そのうち、先ほど申し上げました生きたウイルスが分離をされたもの、これはソーセージでございますけれども、これが二件ということでございます。
○長谷川委員 もう水際ではなくて日本国内に陽性ウイルスが入っているという現状について、ではお聞きをしたいと思いますが、先ほどの高鳥委員の御指摘にもありました税関申告書、それから、訪日観光客を呼び寄せようとする前に、現地で日本への対応をするための対策、そして、この水際の対応等についてはどのようになっているか、いま一度この辺の状況をしっかりとお答えいただきたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
まず、畜産物を持ち込ませないための海外での活動ということでございます。
一つは情報発信ということで、主な大使館のホームページ、それから、中国でありますとウェイボーという向こうのSNSを活用いたしましてそこで情報発信をするとともに、中国におきましてはビザの発給のときに、そのビザを返送する封筒の中に、日本には畜産物を持ち込まないでくださいというパンフレットを同封しているところでございます。
それから、空港におきますチェックインのカウンター、ここの中で、日本には肉が持ち込めないということを手荷物を預けるときに周知をするということを、日系の空港のみならず中華系それから台湾系の航空会社でもやっていただいているところでございます。
それから、さらにはチェックインカウンターで係員が立ちまして、パネルを示すことによりまして、肉を持っていますか、持っていませんかという告知もやっていただいておりまして、これも観光庁との努力によるものというふうに承知をしているところでございます。
それから、フェリーターミナルにおきましても、下船したときに、大きなポスターを張りまして、そこにおきまして自主的に廃棄をしていただくよう促しているところでございます。
○長谷川委員 対応はしているということではありますけれども、まだまだ不十分ではないかというふうに指摘をさせていただきます。
まず、このワクチンがない、感染した場合は一〇〇%死亡するというのがアフリカ豚コレラ、これについての危機感がどのくらいあるかというのが、農水省の方からの答弁ではなかなか伝わってまいりません。これについて言うのであれば、少なくとも、観光事業者を通じて、外地で、日本に来る人たちには徹底した宣伝をするということは絶対条件。また、入管申告書においてもその辺をしっかりとチェックしておくというのは、自己申告でありますけれども、絶対要件。
また、不法に黙って持ち込もうとするときの罰則規定はないのではないかと思いますけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
実際に不法な畜産物を持ち込んだ方の属性を一定程度調査いたしますと、日本に在留されている方、それから日本に親族がいて訪問される方というものの割合が高くなっております。このような現状に鑑みまして、入国管理庁を通じまして、外国人研修生の受入れ団体、それから留学生の団体等についても周知を行っているところでございます。
このようなものに加えまして、現在、これから各省の連携を更に充実することによりまして対応を強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○長谷川委員 御指摘を申し上げたいと思います。
いよいよ来年は東京オリンピック・パラリンピック、アジア圏を中心として相当な数の観光客がいらっしゃいます。それに向けての対応もしっかりやらなければいけないということを御指摘を申し上げます。
これは農水省だけでは不可能でありますが、農水省を中心として他省庁にも徹底した働きかけをするように、この場で要望をさせていただきます。
何かありますか。
○新井政府参考人 済みません。今の答弁で罰則について答弁を申し上げることを忘れてしまいました。
現在日本におきましては、家畜伝染予防法に基づきまして、このような違法な畜産物を持ち込んだ場合には、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金ということになっております。
それから、関税法におきましてもこれらの違法な持込みは禁止されておりますので、関税法の適用ということになりますと、五年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金ということで、現在関税と協力いたしまして複数名の逮捕者も出ているところでございます。
オリンピックに向けましては、現在の関係省庁申合せを更に検証して対応を強めてまいりたいというふうに考えております。
○長谷川委員 時間の関係でこの部分については最後に御指摘を申し上げますが、検疫犬も全空港にはまだ配備がされていない。これは配備する予定というふうに聞いておりますけれども、まだまだ、検出をするのは自己申告、たまたま見つかった、見つからないものが大半であるというふうな危機意識を持って、あらゆる手段を講じてアフリカ豚コレラを防ぐという意識でやっていただくよう御要望申し上げておきます。
次の質問に移らせていただきます。台風被害の状況であります。
この八日の時点で、大臣から、三千九十二億円まで被害額が積み上がってきているというふうなことでありました。また、政府としては五千億円のパッケージが組まれ、そのうち、農水省予算としては千三百十六億円とお聞きしております。
その支援の主なものについて、お伺いをさせていただきます。
どなたでも結構ですが、大臣に御答弁いただければ一番ありがたい。
○江藤国務大臣 誰も手を挙げてくれないので私がお答えをいたしますが。
まず、大変甚大な被害であるということでありますので、被災型の農業支援を発動させていただきました。ですから、基本的には十分の三の補助率というのが基本でありますが、十九号につきましては二分の一までかさ上げをさせていただく。それに対して、これは、全部言った方が……(長谷川委員「いやいや、端的にパッケージの内容を」と呼ぶ)(発言する者あり)
エッセンスを申しますと、十アール当たり七万円を出させていただくようにいたしました、集荷している玄米とかそういうものについても。それから、二分の一までのかさ上げをさせていただきました。それから、果樹等につきましても、今までは全部足し上げても三十九万円でしたけれども、矮化栽培等いろいろなものを取り組みますと、最大で果樹園等では百五十万円まで支援を積み上げることができました。
その他もありますけれども、これぐらいで、大体のエッセンス。
○長谷川委員 あとは参考人の方にお聞きをしたいと思います。
果樹被害については、この資料の方にもお示しをしておきましたが、リンゴのみを抽出してありますけれども、これについては、共済の加入率が全体でいくと三三・四%。これは三十年産についてでありますけれども、大変低いわけであります。
実際の被害に遭ったリンゴや、この間お話しになったラ・フランスや柿や梨や、そういったものについての果樹そのものの被害についての対応は、あるいはこの支援は、何かパッケージとかあるんでしょうか。
○江藤国務大臣 これは非常に難しい話だと思います。
現場に行けば、落ちてしまったリンゴや出荷できなくなった果実についても国が何らかの補填ができないかということは、心情的に私もすごく思いましたけれども、中には、今御指摘あったように、自主的に共済に入っていらっしゃる方もいらっしゃいますが、入っていらっしゃる方と入っていらっしゃらない方とが不平等にならないようにしてほしいというのは、被災地の方々もおっしゃっていらっしゃいましたし、当該地域の市町村長さんや知事さんたちもおっしゃっていたところでございます。
ですから、落ちた果実そのものについてお金を払うというのはなかなか難しいというのが現状でございます。
○長谷川委員 区別をしてほしいという以上に、でき得れば、その人たちにも救済する手だてがあればしてほしいというのが私は本音ではないかと思っております。
こういった観点から、きめ細やかな救済措置が図られるように私は希望しておりますし、また、この共済の加入率がまた伸び悩んでしまっている現状等について、こういったことが繰り返される可能性もあるわけですけれども、こういった機会に、共済に今後入ればこの支援は何割かはするよとか、そういった支援の仕方も考えられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
今大臣から答弁がありましたように、台風とかの災害によります被害果実、果実そのものへの被害への備えといたしましては、いわゆる共済があるわけでございまして、収入保険ですとか農業共済がございます。この加入によることが基本でございます。
これに加えまして、果樹の場合、農業保険の、共済の加入、非加入を問わず、十アール当たりでございますが、改植をする場合の改植費用への支援、十七万円でございます。それから、その後の幼木の管理経費への支援、これは二十二万円でございますが、合計三十九万円ということで、これまでも支援してきておりました。
しかしながら、今回、台風十九号による果樹の被害につきましては、非常に広い範囲で浸水が起こったということでございまして、経営面積の大部分を植えかえざるを得なくなったということで、長期にわたりまして収入が途絶えるといった事態になったということでございまして、これを踏まえまして、先ほど大臣からもございました、十一月七日に発表いたしました対策のパッケージで、新たに、十アール当たりの支援といたしまして、まず改植の費用につきましては、省力化が図れるリンゴの新矮化栽培、これを導入した場合、改植単価を十七万円から五十三万円に引き上げております。それから、大規模な改植を行う園地の場合、早期に収穫を得るための大苗の育成、あるいは果実が実るまでの期間の収入を確保するための、かわりの農地での営農、こういった取組をしていただくといった場合に最大七十五万円を措置するということでございまして、全てを合わせまして最大百五十万円の支援というものが、今回打ち出させていただいたところでございます。
こうした支援を受けるために、要件といたしまして、今後、農業共済又は収入保険、こういった共済に加入することを要件とさせていただいているところでございまして、こういったことも含めまして、しっかりと共済の加入率も高めてまいりたいというふうに思っておりますし、被災した果樹農家が一日も早く経営再建するように全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○長谷川委員 この問題については、また更に機会があれば検討させていただきたいと思いますが、次に、最後の質問でありますけれども、食料自給率について御質問をさせていただきます。これは資料の四にあります。
これについては、本年の十月四日の日農新聞では、平成二十五年の三九%から平成三十七年四五%を目指して、基本計画において、平成二十七年三月にこれを決定しているわけであります。しかし、その後、食料自給率は減る一方で、三七%になっているという現状がありますが、この辺についての現状認識をお聞かせください。
○河野大臣政務官 お答え申し上げます。
我が国の食料自給率が低いことは、国家の安全保障の観点からさまざまな問題があるというふうに考えてございます。多くの国民の方々が、なぜ我が国の食料自給率が低いのかと、将来の食料安定供給の確保に不安を感じておられます。食料安全保障の観点からも、自給率を引き上げる努力を怠ってはならないというふうに考えてございます。
諸外国には、フランスやオランダなど、輸出を行うことで食料自給率を高めている国もございます。我が国においても、TPPなどの経済連携協定の発効は、おいしくて安全な我が国の農林水産物や食品の輸出を拡大するチャンスをもたらすものであるというふうに考えてございます。
このため、輸出を促進し、農業をもうかる産業とすることにより国内農業生産基盤の強化を図りまして、食料自給率の目標の達成と食料自給率の向上を図ってまいる所存でございます。
○長谷川委員 食料自給率については低下する一方ということで、この日農新聞の方にも非常に厳しい見方が示されておりますし、農政については八一%が評価をしないということが現状であることをもう一度御認識をいただきたいというふうに思います。
そこで、実は昨日、この基本計画の見直しで審議会が開かれていると思いますが、この食料自給率については国民的な議論をするべきであるというふうな内容も盛り込まれておりますが、この審議会の内容について、わかる範疇で結構ですから、お示しをいただきたいと思います。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
基本計画の見直しにつきましては、まず、食料・農業・農村政策審議会の企画部会で、広く現場の声をまず聞くということで、三月から六月にかけまして、農業者、食品事業者等からのヒアリングを八回にかけて行いました。
このようなヒアリングでの論点も踏まえた上で、本年の九月に諮問を行いまして、現在、年内、企画部会、これまで五回開催してございますけれども、農業の部分、農村の部分、きのうは食料自給率等について議論をいたしているところでございます。
これからもそれらの議論が続きますけれども、年明け以降、次期基本計画の骨子また原案を議論いたしまして、来年の三月を目途に次期基本計画を策定する予定としてございます。
○長谷川委員 来年の三月までの期間はわずかではありますけれども、非常に、この進捗については危ぶむ声もあります。この辺についてちょっと御指摘を申し上げたいと思います。
この中での議論について、新聞紙上でしかわかりませんが、この食料自給率や自給力をめぐる課題を検証し、食料安全保障や国内農業の重要性をめぐる国民的議論が必要との意見が大勢を占めたとなっております。そして、担い手や農地の減少など生産基盤の弱体化や食生活の変化などを踏まえた具体的な目標設定や政策の明確化を求める意見が相次いだとされておりますが、これは感想と希望にとどめますけれども、明確な指針を示していただいているわけでありますから、国民から見て、評価しない国民が八割という現状について、少し矜持を持って、前向きな対応を農水省には図られることを要望申し上げまして、質問を終わります。
○吉野委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 おはようございます。亀井亜紀子でございます。
質疑時間をいただきまして、ありがとうございます。
質問に先立ちまして、会派として一言申し上げたいことがございます。
毎回充実した審議をするために、時間の配分をいたしておりますけれども、時間は使い切っていただきたいということを会派として申し上げますので、理事会でも取り上げていただきたく、お願い申し上げます。よろしいですか。
○吉野委員長 はい、理事会で検討いたします。
○亀井委員 ありがとうございます。
それでは、質問に入らせていただきます。
きょうは一般質疑ということで、私も余り地元の問題というのは今まで取り上げてこなかったんですけれども、きょう初めのトピックは、地元が抱える問題でございます。中止された中海の干拓事業です。
この委員会に所属して二年たちますけれども、この間、委員の方々が諫早の干拓事業、それから八郎潟や霞ケ浦について質問されていました。そういう質問を拝聴して感じていたことは、やはり自然を大きくいじると弊害があるものだなと、どの質問も水質汚染についてでしたから、そう感じておりました。
そして、私の地元、公共事業はなかなか、始まるととまらないと言われますが、その中で珍しく中止された中海干拓事業が今どうなっているか、どういう問題を抱えているかということについて質問をさせていただきます。
皆様に地図をお配りいたしました。ちょっと説明をさせてください。
右側が中海、左側が宍道湖です。それで、この宍道湖と中海は、この間、大橋川という川でつながっております。水の流れは、左側の宍道湖から始まりまして、宍道湖からこの大橋川を流れて中海に水が流れ込む。そして、中海の水は、この右上のところ、境水道とありますが、ここを通って日本海に流れる、そういう水系でございます。
その中で、この中海、真ん中に大根島とございます。これは朝鮮ニンジンの栽培が盛んなところで大根島と言われておりますが、この大根島の左上のところ、堤防が二つございます、森山堤と、あと左下は大海崎堤。この内側を本庄工区といいまして、諫早のように、まさに埋め立てようとしていました。
この堤防、一度完全に完成いたしまして、水が閉じ込められておりました。ただ、地元の反対運動が本当に強くて、皆頑張りましたので、何とかとまりまして、はっきり申し上げれば、そのまま農水省はいなくなってしまいました。大変無責任だと思います。
当然、水が一部仕切られているわけですから、中海の水質は悪くなりましたし、昔はアカガイがとれていたものがとれなくなった。また、海底にヘドロがたまっているということで、大変大きな問題になっております。
けれども、その後、国交省がこの堤防を一部開削いたしました。なぜかといいますと、この宍道湖と中海をつなぐ大橋川、ここに河川事業が計画されていまして、大橋川を拡幅したい、そういう動きがあります。中海は島根県と鳥取県にまたがっているんですが、鳥取県側が、大橋川を拡幅するのであれば、中海に以前よりも流れ込んでくる水の量がふえるであろうから、一部堤防で区切ってしまっていては中海がどういう状況になるかわからない、だから、大橋川の河川事業を進めるのであればこの堤防を開削しなさいというふうに鳥取県側が条件を出して、そして、河川事業を進めたい国交省が、この森山堤と大海崎堤、開削をしました。
ですので、現在の状況は、水は通っております。つまり、堤防の一部があいて、水は一通り抜けるようにはなっているんですけれども、ここで質問です。政府参考人の方で構いませんけれども、この堤防が一部開削されてからの水質についてどのように分析をされているか、お伺いいたします。
○小野政府参考人 お答えしたいと思います。
委員が御指摘になりました当該の地域でございますけれども、当水域でございますけれども、県の方で水質の測定をしております。この本庄の場所については、県の方で二カ所測定点を設けまして、平成の十七年度から水質の測定をいたしております。
その中で、水質汚濁の指標でございますCODを例にとって、その数値を紹介いたしますと、平成十七年では、例えば五・二とか五・三ミリグラム・パー・リットルという数字でございましたが、直近の平成三十年度では三・九とか四という数字でございますので、当時、平成十七年度に比べますと、改善の傾向にあるというところでございます。
○亀井委員 よくこの委員会で、諫早の水門をあけるあけない、あけたらば水質がどうなるか、よくなる、いや、かえって悪くなるというような議論が展開されるわけですけれども、中海というのは一つの事例だと思います。堤防を開削して水が通るようになって、どうなっていくかというのをぜひ継続的に調べていただきたいです。
そして、私たちの感想ですけれども、水質は改善はしていると思います。なぜかといいますと、中海、アカガイがとれなくなっていたのがとれるようになりました。ただし、昔は海底にあったわけですけれども、海底にはやはりヘドロがたまっていたり無酸素地帯がある。なので、養殖のいかだでつって、表面は潮流がありますから、それでようやく中海でアカガイがとれるようになったというのが最近の状態です。
ただ、本庄工区、この本庄に住んでいる方たちの話を聞きますと、堤防を一部、例えば六十メートル開削しただけじゃやはり足りないし、潮流はもとのようには当然戻らない。本当は撤去してほしいし、人によっては、その海底、コンクリートが敷き詰められているわけですけれども、これを撤去しないと戻らないんじゃないかと言う方もあります。
そこで、私はまず、この工事がどこまで進んでいたのかということを伺いたいと思います。
本庄の人の話によりますと、まず、堤防が完全にできて水が閉じられていたということは誰もがわかっていることなんですけれども、この本庄工区の海底というのは道路もあれば水路もある、つまり、あとは水門から水を抜いて、乾かして、土を盛ったらおしまいというところまで来ていたんだ、そう言われたんですけれども、それは本当なんでしょうか。この本庄工区の底というのはもう一〇〇%完成していたのかということについて、お伺いいたします。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
中海干拓事業でございますけれども、これは昭和三十八年に事業着手をいたしまして、その後、干拓地につきまして約五百ヘクタールを造成したところでございますけれども、その後、平成十二年に、今御指摘ございましたような、本庄工区については干陸中止ということになったところでございます。あわせまして、この事業におきましては、中海、宍道湖を淡水化するということを目指しておりましたので、淡水化のための施設、中浦水門でございますとか佐陀川水門でございますとか、あるいは、先ほど御指摘いただいたような森山堤といったような堤防も完成をしていたというような状況でございます。
したがいまして、平成十二年の干陸中止の時点では、こういう淡水化のための施設についてはおおむね整備をされていた状況というふうに承知をしております。
○亀井委員 今質問をいたしましたのは、本庄工区、ここの海底がどうなっていますかという質問をしたんですけれども、お答えいただけないでしょうか。実際、道路とか水路とか、全部でき上がっていて、全てコンクリで敷き詰められているということでよろしいでしょうか。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
その当時の工事の状況として、御指摘いただいたような、道路とか水路とか、そういうところまで全て完備されていた状況ではなかったというふうに承知をしております。
○亀井委員 わかりました。できれば、後日で構いませんので、どういう状況に湖底がなっているかということについて資料をいただければと思います。
この中海干拓事業、淡水化事業というのは、諫早の干拓事業と本当にそっくりだと思います。私たちは本当にこれはとまってよかったと思っているわけですけれども、初めに申しましたとおり、農水省はこれだけ大きな構造物を中海にどおんとつくって、中止して、いなくなっちゃった。あとは、国交省が河川事業をやりたいんだったら堤防を一部壊していいですよと。ほったらかしというのは余りにも無責任ではないかと地元の者が申しておりますし、私もそう思います。もうこれは干拓を中止して淡水化もしないわけですから、そもそも堤防は要らないんじゃないでしょうか。
私、NHKをぶっ壊したいと思わないんですけれども、この中海の堤防はぶっ壊したいんです。これをぶっ壊して、橋にしてもらった方がよっぽど地元のためになると思います。中海の環境も戻るでしょうし、橋ができればもう少し観光にも役に立つかと思いますけれども、農水省、これは大臣に伺います。中海の干拓事業のこの後処理、どのようにお考えでしょうか。堤防は撤去していただけないんでしょうか。
○牧元政府参考人 若干経緯がある話でございますので、経緯について私から御説明をしたいと思います。
この中海干拓事業につきましては、平成十二年度、本庄工区の干陸中止、それに引き続きまして、平成十四年度に淡水化の中止を決定をしたところでございます。
その後、農水省は何もしなかったのではないかという御指摘でございますけれども、淡水化の中止に伴いまして、先ほども御指摘申し上げました中浦水門の撤去とか、その後の淡水化中止に伴う工事をしているところでございます。
そしてまた、平成十五年から十七年にかけまして、国土交通省さん、また鳥取県、島根県で構成をいたしました中海に関する協議会、その中でいろいろと対応を協議をさせていただいておりまして、先ほど御指摘いただきました森山堤の一部開削というものもその後行われたというふうに承知をしております。
また、水質改善につきましても、この中海に関する協議会を引き継ぎました中海会議におきまして、これも国交省さん、環境省さん、また両県と協議をいたしまして、水質改善についての取組、これは例えば化学肥料を減らすとかそういうような取組についても、農水省として取り組ませていただいているところでございます。
○江藤国務大臣 無責任じゃないかと。確かにそういう側面は認めざるを得ないと私は思います。
そして、十七年にラムサール条約の登録もされているということでありますので、ということであると、湿地保護ですから、ラムサール条約の要件は。ちょっとまた個人的にお話しできればと思いますけれども、完全に開削してしまうと今度は湿地じゃなくなってしまいませんかね。まあ、海水が入っているんですよね。
地図上は、朝、ちゃんとグーグルマップで見て、ああ、こんな感じなのかというのは、全体像と、地球儀の、日本列島の中でこういう感じというのは見てきましたけれども、ちょっと知見が私、足りませんので、なかなか申し上げられませんが、協議会とか会議とか、いろいろあるということでありますから、そういったところの議事もちょっと読ませていただいて、どんな議論がされているのか、少し勉強させていただきたいと思います。
○亀井委員 きょうは突然ですので、ぜひまたお話しできればと思うんですけれども、もともと堤防はなかったわけですからね。なくなったからといって、撤去したからといって環境が悪くなるということはありません。
私は、農水省、まあ農業土木、いろいろございますけれども、今後の農業土木のあり方として、環境を回復させるような公共工事というのがあってもいいだろうと思うんですね。つくる一方じゃないと私は思うんですけれども。
その一つの事例として、この中海の環境回復、つくってしまった堤防は壊すというようなことをお考えいただきたいと思っておりますが、もう一度、今後の農業土木のあり方、環境を回復させる、そういう土木事業をお考えになりませんか。
○江藤国務大臣 確かに、つくるだけではなくて、環境の変化に伴って柔軟に対応することは、やはり考えるべき点だろうと思います。
これは、堤防を取って橋をかけた方がいいということであれば、農林水産省だけじゃなくて、国交省なり自治体との意見交換も十分必要だと思いますし、地域の方々、人・農地プランではありませんけれども、やはり地域の方々の話合いはしっかりしていただいて、どういう御要望があるのか、まずは把握することから始めなければならないんだろうと思っております。
しかし、我々は、環境保全型の農業の支払いも実はやっておったりもいたしておりますので、そういうことも考えると、先生の御指摘も考えるべき点があるなというふうに考えます。
○亀井委員 ありがとうございます。
きょうは国交省の方もお呼びしております。中海、大橋川の河川改修事業なども進めておられる、そういう意味で中海には非常に関心が高い国交省さんですけれども、大根島と島根半島の間に堤防にかわって橋をかけるというようなことをお考えいただけませんか。
○江藤国務大臣 担当の方が来ておられないようでございまして、正確なお答えはできませんが、本当に土地カンが私、全くないので、例えば私の宮崎なんかでいくと、大淀川の堤防の上には立派な道が走っていたりすることもあるわけですよ。堤防が道として機能することも、もしかしたらあるのかもしれません。
うかつなことは申し上げられませんが、省庁横断的に少し、また後で話をさせていただきます。
○亀井委員 国交省に通告はしてあったんですけれども、大臣、ありがとうございます。また後日、国交省には伺いたいと思います。
それでは、このトピックはここまでにして、次、豚コレラについてお伺いをいたします。
先ほど質問に立った方が、CSF、クラシカル・スワイン・フィーバー、まだ言いなれないなとおっしゃいましたけれども、私、安倍政権というのはよく言葉をかえていく政権だと思っているんですね。例えば、非正規雇用、非正規という言葉は労働者に失礼だから何かかわる言葉はないかとか、過疎という言葉は、何だかちょっと失礼な、負のイメージがあるから、田舎だって魅力があるんだから、それにかわる言葉はないかとか、そういう議論がされていると聞こえてくるんですけれども、でも、言葉をかえたからといって問題がなくなるわけではないと思うんですね。
ですので、CSFという片仮名にしてしまうことで何か、この豚コレラの問題が解決したかのようなイメージを与えはしないかなと思ったりもしているんですが、コレラという言葉が強いということかと思いますけれども、今回のこの名称の変更について、大臣のお考えをお聞かせください。
○江藤国務大臣 正直申しまして、迷いはありました。ごまかしているんじゃないかと言われるのは大変心外でもありますし、これによって逆に飼養衛生管理基準を守るという意識が薄れてしまうのではないかということもあって逡巡もいたしましたが、いろいろ勉強させていただいて、もともとBSEは牛海綿状脳症というものがBSEと言われて、今は完全にBSEで定着いたしております。これは人間にもうつる可能性がある、全く違うものでありますけれども。
もともと豚コレラと何でなったかということになると、一八〇〇年代にアメリカで初めて確認された、人のコレラ、ホグコレラというものを何か直訳してしまって豚コレラということになって、じゃ、アメリカでもコレラという名称を今使っているかというと、アメリカではもう使っておりません。CSFということでアメリカでも統一されております。
ですけれども、これを家伝法上でしっかり直すことも視野に入れて考えていこうと思いますが、しかし、どちらの方と意見交換をしても、やはり風評被害が怖い、とにかく風評被害を防ぐための努力をしてくれと。
うまくいくかどうかは、それはもうわかりませんけれども、コレラ、コレラ、コレラと言われるよりも、みんなが百回も二百回もCSFと言っていれば定着、先生もぜひCSFと言っていただければありがたいなと思いまして、これは現場で養豚業を営んでいる方々の気持ちに応える意味で、こういうふうに今させていただいているということでございます。
○亀井委員 大臣のお気持ちはわかりました。
確かに、BSEと言われると、みんな、何のことかわかりますので。メディアで繰り返しCSFと言ったら、ああ豚の病気ねとわかるレベルまで浸透するのかわかりませんけれども、でも、何のことだかわかるようにして広めていくしか……(江藤国務大臣「人にうつらないから」と呼ぶ)はい。
人にうつらないということで、コレラという表現はやめたということで、大臣の御説明はわかりました。問題には継続的に取り組んでいただきたく、お願いをいたします。
この委員会で九月に視察に行かせていただきました。ドイツとデンマークに参りました。豚コレラについてもいろいろ参考になりましたので、皆様にも御紹介したいと思います。
きょうお配りした資料二枚目、これはドイツの標識の写真です。どこかといいますと、九月の十六日に、私たち、宿泊先のシュツットガルトから車で二時間ほどアウトバーンを走りまして、黒い森まで行ったんですけれども、シュバルツバルトまで行ったんですが、その道中、アウトバーンにドライブインというか休憩所がありまして、そこにあった看板です。これは何かといいますと、ごみの捨て方なんですよね。
ヨーロッパは地続きですから、輸送のトラックを介して病気が感染します。今、豚コレラはルーマニアやブルガリア、ヨーロッパの南部の方で発生をしていて、それがドイツなどにトラックのドライバーによって持ち込まれないようにというのに非常に神経を使っていまして、例えば、ルーマニアでお昼にハムサンドを買った人が、食べかけのものをぽいっとその辺のごみ箱に捨てて、それをイノシシが食べたら、豚コレラに感染する可能性があるわけですよね。それはだめですよという、その啓発の標識です。
そう考えますと、日本はやはりごみ問題が非常に対策が薄いと思います。ドイツのごみ箱はイノシシが少々ぶつかっても倒れないような固定されたごみ箱でして、それに引きかえ、日本ですと、今、地元の例えばお祭りでジビエ料理などが振る舞われていて、そのジビエを食べ残して、その辺のごみ箱にぽいっと捨てて、それを地元のイノシシが食べたら、うつる可能性がありますよね。
そういう意味で、ドイツと比べるとやはりごみ箱の対策が非常に私はおくれていると思うんですけれども、大臣、御認識はいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。
篠原先生から、もう大分前になりますが、お電話をいただいて、国の名前をあえて言いませんが、外国からのお客さんがお弁当を持ってきて、公園で食べて、食べ残して、それをごみ箱に、江藤君、投げ込むんだよと。そこら辺は市街地にもイノシシが来るようなところで、ごみ箱をあさるんだよと。その中に、肉製品、腸詰めのようなものが入っていれば、それで不活化されていないものがいれば、もう一発でうつってしまうよという御指摘をいただいて、もうかなり前の話で、御指導いただいたことを覚えております。
ですから、私どもとしましても、環境省それから国交省にこのお話をさせていただきまして、公園とかそういったものについてもしっかり管理をしていただけるように、それからキャンプ場、そういった自然公園の中においても残飯を通じて感染が広がらないように、通知とかを出させていただいて、お願いをしているところでございます。
○亀井委員 豚コレラが岐阜県で発生してから、この間どうやって広まっていったのかということをやはり検証する必要があると思います。その一つは、やはりごみを介して、今申しましたごみ問題もあるでしょうし、もう一つは輸送もあると思います。
このたび、農水委員会でデンマークを視察して、そこで、デンマークの輸送システムについてお話を伺いました。
デンマークは、肉類、ハムなどの輸出が非常に重要な産業ですから、輸送システムもかなり完璧なものができております。トラックはどのトラックも追跡ができるチップが入っていますし、何よりも感心をしたのは、豚コレラが発生しているような国にデンマークから生体の豚を運んだり何かを輸出するときに、デンマークのトラックが直接そこの国には行かないんです。中継地点でトラックをかえるんですね。
例えば、デンマークから生体の豚がドイツ、ポーランド、イタリアに行くとき、年間二・八万台のトラックがドイツとの国境付近にある認定施設で洗浄、消毒をされます。ここでトラックを乗りかえるんですね。ですので、デンマークのトラックはドイツの国境付近までしか行かなくて、そこでも洗浄されるし、戻ってきてからもまたデンマークで洗浄されるというシステムで、トラックにはGPSがついているので、もし何か発生したときには、そのトラックがどこをどう通ってきたかということが追跡できるようになっているんです。
予算の問題がありますので、デンマークのようなシステムはなかなかできないにしても、学ぶべきものというか、日本の国内の輸送に取り入れられる面があるんじゃないかと思います。つまり、豚コレラの感染地域からほかの県に何かを輸送するときに、中継地点でトラックを乗りかえる、そこで洗浄するというような対策をとられたらいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 ちょっと話がそれて恐縮ですけれども、先日、ハンガリーの外務大臣がお越しになられました。ハンガリーは日本と同じように、今、アフリカ豚コレラ、日本とはちょっと違いますが、アフリカ豚コレラで大変悩んでいらっしゃって、しかし、養豚場には一切入っていないんですよ。チェコとかベルギーはイノシシ発生地域を隔離するというやり方ですから。ハンガリーの場合は、養豚場を隔離するという日本式のやり方で、入っていない。ですから、いろいろ教えていただきたいということで、外国に学ぼうという姿勢はまず持っているということを言いたかったわけであります。
チップを積むのはいい考えかもしれません。積みかえについては、参議院の昨日の委員会でもいろいろな御質問があったんですが、積みかえがかえって手間で大変だという声もありつつも、しかし、いろいろなところを広域的に移動するトラックについては、よっぽど丁寧にやらないとだめだと思います。
昨日ですが、群馬に行ったところも、三回消毒をやっておられましたから、先生の御意見もちょっとよく考えて、外国の知見も大分集めたつもりではおりますけれども、考えさせていただきたいと思います。
○亀井委員 ありがとうございます。
アフリカ豚コレラがもし入ってきてしまったら、ワクチンもないわけですから、輸送のシステムをきちっとつくり上げることでこれは対策をとるしかないんじゃないだろうかと私も思っております。ですので、この分野には予算をつけて、とにかく頑丈なごみ箱と、あと輸送システムの検討をぜひお願いをいたします。
それでは、最後の質問に移ります。種子法についてです。
主要農作物種子法が廃止をされました。それに対して、私たち野党は共同で種子法の復活法案というものを提出をしております。一度この委員会で質疑が行われましたけれども、その後、継続扱いになっております。この間、各県や市町村で、やはり種子法は復活させるべきだという声が多く上がってきていて、県によっては条例がつくられたり、市町村で決議が採択されたりしております。
そこで質問ですけれども、これまでの間、県の条例、市町村決議、採択件数は幾つありますでしょうか。お尋ねいたします。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
種子法の廃止後、種子に関する条例、これは十三道県で制定が行われたところでございます。
こうした道県では、稲、麦、大豆以外への対象品目の拡大や他県への種子供給を前提とした計画の策定を行うなど、それぞれの地域の農業にとって必要な措置につきましてみずから判断して講じようとしているものというふうに受けとめてございます。
また……(江藤国務大臣「件数を言えばそれでいいんです」と呼ぶ)はい。十三道県でございます。
○亀井委員 市町村の決議等の状態も、後ほど何か資料をいただければと思います。
それでは、最後は大臣に、今の種子法の件で質問させていただきます。
先日、私は食料自給率の話もいたしましたし、食の安全を考えたときに、また自給率を考えたときに、やはり種子というのはきちんと国が管理すべきものだと思っています。種子に関する知見というのは公共のものだ、先祖代々引き継がれてきた公共の資産だと私は考えておりますので、主要農作物の種子法というのは必要だと思います。
特に、今、種子というのが世界のビジネスになっている、多国籍企業が種子を開発してかなりその市場を独占していることを考えますと、やはり種子法というのはきちんと復活をさせて、国が責任を持つべきだと私は考えますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 長い答弁は避けさせていただきたいと思いますが、もともとこの種子法はかなり古くて、日本人が食うに困った時代に、何とか飢えさせてはいけないということで、米と麦とそれから大豆について定めたものでございます。
この後、いわゆる食料不足の環境については解消がされたわけでありますけれども、この後の若干の弊害としては、例えば米について言うと、各地区でブランド米についてはがんがんやるけれども、例えば中食とか外食、今非常に需要が高まっていますけれども、それについての開発をしなきゃいけないんだという、県の農業試験場とかそういうところ、国もそうですけれども、気持ちはあるんだけれども、どうしても収益率のいいものに偏ってしまったという現実があるのではないかと思います。
そして、輸出するに当たっても、今の米の単価ではなかなか厳しいので、品質を保ちながら収量は上がって価格を抑えられる米をつくりたいというようなニーズもあります。
ですから、種子法の廃止がまず先にあるのではなくて、現場の方々のお話も、私も、この当時のことを思い出しますけれども、聞きましたけれども、やはり、県で使っているやつだけではなくて、民間でもいいものはあるので、そういうものも自由に使いたいんだよねという意見があって、それじゃ、この際、この種子法を廃止して、種苗法という別の法律もありますので、そちらの方でやらせていただく部分もあるよねということで廃止になりました。
しかし、先生のおっしゃるように、種子については、国によってはもうバイオセキュリティー並みに、とんでもない金庫のようなものをつくって、国家財産として管理している国もあることも重々承知もいたしておりますので、この取扱いについては考えるべき部分もあるかもしれませんが、この場で復活させるべきだということを申し上げるまではなかなか申し上げられないところでございます。
○亀井委員 食料安全保障という観点で、もう一度お考え直しいただければと思います。
時間ですので、ここでやめさせていただきます。ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
まず最初に、災害による農業被害対策について質問します。
今月六日の当委員会で私は、一連の大雨、台風被害について被害額を確認し、支援策について質問しました。
江藤大臣は、被災農業者向け強農、強い農業・担い手づくり総合支援交付金の被災農業者支援型、この補助率を十分の三から引き上げるという方向で今やっていますと答弁されました。そして、農水省が七日に発表した支援対策では、農業用機械や畜産等の再建、修繕、再取得に対する国の補助率を十分の三から十分の五に引き上げることが盛り込まれました。補助率の引上げによって、農家の負担は軽減する、あるいは軽減する可能性が出てまいりました。これはいいことであります。
しかしですよ、大臣。しかし、この十分の五へのかさ上げの適用は、台風十九号の被災農家に限って行われるというではありませんか。台風十五号やあるいは九州北部豪雨については十分の三のままとしたわけであります。なぜ台風十九号だけなのですか。説明してください。
○江藤国務大臣 極めて厳しい御指摘だと思っております。
このことについては、私もこのパッケージをまとめるに当たって、何とかならないかということで、かなり苦労をいたしました。特定非常災害に指定された台風十九号、これは過去に五回しか指定されたことがない。そして、国からお金を出すに当たっては、財政民主主義、財政規律というものを背景にして、国民の理解を得ながらやらなければいけない。そのお金を支出したことに対する根拠がなければいけない。
ですから、十五号だろうが十九号だろうが、被災された方々の痛みとか、それから負担については変わらないわけでありますから、それを委員が、どうして区別したのかと言われれば、申しわけない気持ちはありますが、しかし、時々私が委員会で御答弁させていただいているように、政治は万能ではなくて、やはりどこかで一定の線を引かなければならないという現実にも直面するということだろうと思います。
ちゃんとした答弁になっていないかもしれませんが、一連の経緯としてはそういうことでございます。
○田村(貴)委員 ちゃんとしたお答えになっていないんですね、理由が言われていないので。
厳しい指摘だと言われましたけれども、もうちょっと厳しいことを言います。これは私が言ったんじゃないですよ。佐賀県の山口知事が、八日に、この補助率の問題のみで記者会見されています。江藤大臣の名前も出てきますので、よく聞いていただきたいと思います。
たまたま起きた災害が全体から見て大きいか、戸数が少ないとか、そういうことで語るのであれば、被災地に寄り添うとか、被災農家の声を聞くとか、そういったところというのに意味はあるんだろうかとすら私は思います、ましてや佐賀豪雨災害につきましては、江藤農林水産大臣も来ていただいて話を聞いていただいて、現場のことをよく考えながらやっていただくということで、ずっと一貫して江藤大臣はそのように話をしていただいておりましたので、私は間違いではないのかなと今回思いました、このように山口知事は会見したわけであります。
佐賀県も、そしてその他の被災自治体、被災県も、被災農家向けのこの補助のかさ上げ支援というのは相当な期待があったんじゃないですか。ほかの県からも要望が来ていますでしょう、農水省。
大臣、被災県の、私、今佐賀県の知事のお話をしましたけれども、この不満の声をどう受けとめておられますか。
○江藤国務大臣 つい直近でも、佐賀県知事とはお会いをいたしました。私に対しては直接苦言は申されませんでしたけれども、多分のみ込まれたんだろうと思います。
例えば、私の田舎なんかでも、雨が降って三軒、四軒だけやられたとか、一軒だけトラクターが、それからコンバインがやられたとか、いろいろな案件があります。大きい小さいの区別なくやることが、それは基本的には正しいやり方だろうと思いますが、先ほどの申し上げ方と重複して大変恐縮ですけれども、しかし、国の財政を預かる、そして国のお金を支出する、それには根拠が要る。どういう根拠に基づいてこういうかさ上げを行ったのか。そして、その根拠となる後ろには、特定非常災害という指定があった。そして激甚災害という指定もあった。激甚には佐賀はもちろんなっておりますけれども。こういうことも勘案した上で、それは、佐賀県の方々にはお会いする機会もこれからたびたびあると思いますから、このことについては御理解をいただくようにお願いするしかありませんが、私が常に申し上げているのは、被災者支援は、国だけでやることではなくて、県の方々や地域のJAの方々、当該市町村の方々も力を合わせて農家の方々の負担を減らす努力をするというのが基本線ですから、何とか御理解をいただいて、この復興に向けて力を合わせていきたいと考えております。
○田村(貴)委員 大臣が最初に言われたところが大事なんですよね。規模としては小さな災害で、被災農家とか被災家屋が数軒しかなかった、こういったところを救済する制度がないんですよ。だけれども、その人にとってみたら、家を失った、財産を失った、生活の糧を失った、同じ苦しみなんですよ。そこに行政が応えなくてどうするんですか。今回の措置はやはりおかしいです。
資料をお配りしています。佐賀県大町町のハウス農家の被害であります。
ちょっと説明しますと、この農家はハウスにおいてキュウリ栽培をやっています。大人の背丈まで水が上がってきて、冠水しました。加えて、近隣の工場からの油が押し寄せました。キュウリ栽培に必要なかん水チューブも、それから炭酸ガス発生機も、農機具も、全部やられました。全滅です。もう使うことはできません。そして、この農家の自宅がどうなっているのか。自宅は、油が入って、全壊の被災判定ですよ。まさに、家を失った、収入の糧も失った。これは、災害の規模の大小を問わず、被災者、被災農家にとってみたらみんな同じ苦しみなんですよ。台風の種類、災害の規模で一人一人の支援に差をつけるというのはおかしいんじゃないですか。甚大な被害ですよ。
山口知事は、この会見で、大町町の機械、施設等の被害額は、一戸当たり、一戸当たりですよ、二千三百三十四万円、それぐらいの被害が出ていると言っているんですよ。これだけの被害が出ているんだったら、台風十九号、そしてこの佐賀の豪雨水害と一緒じゃないですか。なぜそうやって差をつけていくのですか。
大臣、今大臣のこの国の建前からいうと、十九号には寄り添うけれども十五号や九州北部豪雨には寄り添わないということになりますよ。そうじゃないですか。
○江藤国務大臣 国からの支援内容に御不満があるということは、私も十分認識をいたしております。しかし、十分の三ということであっても、中には、私もこの現場には行かせていただきました、御自身でハウスの共済に入っていらっしゃる方もおられます。十分の三だけが全てではありません。そして、市町村の方々、それから当該都道府県からの支援がある場合もございます。
最終的に農家によってその補填の率について差が出ることについては、それは農水大臣としては、もっとやりたい、もっとしてさしあげたかったという気持ちはありますが、寄り添う気持ちがないというのは、委員、それは言い過ぎだろうというふうに思います。
○田村(貴)委員 被災者に寄り添うと言われたんです。しかし、現実は被災自治体と被災農家をがっかりさせている。これが現実なんですよ。ですから、今回の措置は全ての被災農家に対してちゃんと行うことを強く求めたいというふうに思います。
次の質問に入ります。日米貿易協定について伺います。
本協定案の特徴は、強力な再協議規定があることであります。また、日米共同声明の三では、本協定の発効後、四カ月以内に次の交渉テーマを決めて協議を再開するとしています。さらに、附属書1のB節五条には、米国は将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求するとあります。
そこで、再協議についてお伺いします。
既にこの協定に盛り込まれた対象それから品目、これを再協議で排除する規定はありますか。例えば、牛肉、豚肉の関税率の変更であるとか、セーフガードや関税割当てなどの見直しについては、再協議の対象から除くという規定はありますか。教えてください。
○大角政府参考人 お答え申し上げます。
九月二十五日の共同声明では、今後、どの分野を交渉するのか、その対象をまず協議することとしておりまして、今後の交渉の内容はこの協議の中で決まっていくということとなっております。今後の協議において日米間で合意したもののみが、交渉の対象となると考えております。
いずれにいたしましても、どの分野を交渉することで一致しても、我が国の国益に反するような合意を行う考えはございません。
○田村(貴)委員 再協議の対象は自由に設定できますよね。そして、それを排除するものは何もないということです。確認されたものがまた再協議されていく。蒸し返しもあるということですよ。アメリカは、輸入自動車に対する二五%の追加関税をカードにして、日本の農業への攻勢をかけてくるのではありませんか。米、水産物、林産物、収穫前後防カビ剤表示義務、残留農薬基準など、これらが俎上に上らない、のせないという保証はこの協定のどこかにありますか。
○江藤国務大臣 本協定の中にはございませんが、これまで日本が過去に結んだ協定の中で、国際的な常識としても、このようなものについては先々に向かっても排除するというものを規定した条約は存在しておりません。
○田村(貴)委員 文書、協定上の中ではその保証はないということですよね。だから、出てくる可能性はあるということです。出てくる可能性があるので大丈夫かとずっと聞いているわけです。
協定四条の(b)では、自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要であると認める措置を適用することを妨げてはならないと規定しているわけです。
これは、米国通商拡大法の規定にそっくりであります。同法二百三十二条では、ある産品の米国への輸入が米国の国家安全保障を損なうおそれがある場合、関税の引上げ等の是正措置を発動する権限を大統領に付与すると。よく似ていますよ、この協定は、二三二条項に対して。アメリカは、通商拡大法二百三十二条に基づいて、鉄鋼やアルミニウムなど、カナダ、メキシコ、EUなどの国々に対して追加関税措置をこの間とってまいりました。
しかし、このアメリカのやり方は、国内政策に必要な緊急制限措置には当たらず、WTO違反の可能性が指摘されています。だからこそ、相手国から報復措置を今受けているわけであります。
自動車や自動車部品について、アメリカのトランプ大統領が結論を出すというふうにも報道されていますし、そう伺っています。日本政府は、米国の二三二条に基づく一方的なこの措置について、どのように考えているのか、どのような見解をお持ちなのか、この際、聞かせていただきたいと思います。
○若宮副大臣 田村委員にお答えさせていただきます。
まず、米通商拡大法の二三二条による追加関税を日本の自動車・自動車部品に賦課することにつきましては、現在までも、同盟国である日本との貿易関係、これは米国の経済的な繁栄のみならず、安全保障上にも貢献しているものというふうに考えております。日本からの自動車及び自動車部品の輸入に関しましては、これは、米国の安全保障上の障害になったことは今までもなく、これからもないというふうに考えているところでもございます。
また仮に、自動車等に関しまして、この貿易制限的な措置が導入されるということになりますと、これは、米国の自動車産業を含むアメリカ全体の経済、そしてまた、ひいては世界経済、あるいはこの自由貿易体制にもマイナスの影響を及ぼすものというふうにも考えてございます。
こういった、私ども、我が国の立場につきまして、今回の日米交渉の機会はもちろんでございますけれども、意見書ですとか、あるいは公聴会を通じまして、明確にアメリカ側には伝えてきてございます。こうした私どもの立場には変わりはないということをまず申し上げておきたいと思います。
また、この自動車や自動車部品に係る米通商拡大法の二三二条の扱いにつきましては、日米首脳共同声明におきまして、両国は、協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動をとらない、こういった旨を明記されてございます。
そして、これが日本の自動車・自動車部品に対します追加関税を課さないという趣旨であるということは、首脳会談で安倍総理からトランプ大統領にも明確に確認をさせていただいているところでもございます。
いずれにいたしましても、この貿易制限措置の応酬というのはどの国の利益にもならないというふうに考えてございます。ルールに基づきます多角的な貿易体制を重視する私ども日本といたしましては、いかなる貿易上の措置もWTO協定に整合的であるべきだ、このように考えているところでございます。
○田村(貴)委員 時間が来ました。
副大臣、見解を示されましたけれども、やはり、二三二条項というのは強力なカードだと思います。これに基づく本協定案はやはり日本に一方的な譲歩を迫ってくる、こういう条項が盛り込まれているということが大問題だということを指摘して、きょうの質問を終わります。
○吉野委員長 次に、森夏枝君。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、産地偽装について質問をさせていただきます。
輸出に力を入れていく上で、日本の安心、安全なブランドというのは守っていかなければなりません。海外で、日本産でないものが日本産として売られている現状もあります。これは日本にとって大変なマイナスです。
私は、学生時代、上海に留学をしておりました。中国では、偽装表示、にせもののオンパレードで、これは日常のことでした。これは中国の悪口ではなく事実で、中国の方々もそういう国なんだよと言っておりました。
輸入食品の産地偽装も後を絶たず、取締りを強化されていると思いますが、日本国内においても産地偽装は行われていると聞いております。農林水産省として、国内での産地偽装についてどのぐらい把握をされていますでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
農林水産省におきましては、食品の表示が適切になされるよう、食品表示法等の関係法令に従いながら、日常的に監視活動を行っております。
食品表示法の違反に関する事例が確認された場合には、同法に基づきまして指示、公表するということになっておりまして、国及び都道府県合わせまして、平成三十年度で申し上げますと、二十三件でございます。このうち、外国産に国産との表示をしたものは十一件ということでございまして、この数字は、近年特段の増減は見られないということでございます。
この中には、例えば、中国産のウナギを鹿児島県産と表示した事例でありますとか、ロシア産や台湾産のシジミを木曽川産(愛知県産)と表示した事例等があるところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
今御紹介いただきましたものは、海外産のウナギやシジミを国産のものとして販売したものなどもあるということでした。
これは大変有名な話ですので、もうブランド名を出しますが、例えば魚沼産コシヒカリは、魚沼市での作付面積に対して二、三十倍もの魚沼産と言われるお米が全国に流通している現状があります。また、十キロ、二十キロのお米の中に魚沼産コシヒカリが一握り入っているだけなのに、大きくお米の袋には魚沼産コシヒカリと書かれているものがあると聞きました。これは、お米だけに限らず、ブランドの野菜や果物、お茶なども同じです。産地ブランドの作付面積より多い野菜や果物が流通していることも事実です。
こういったことを農林水産省としてしっかりと調査をし、把握をして、対策を講じる必要があると思います。真面目によいものをつくっているブランドの産地の農家さんたちのためにも、日本のブランドを守るためにも必要なことだと思っております。
国内での産地偽装の取締りについて、どのような対策を講じられているのでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
産地表示の取締りにつきましては、国とともに都道府県も対応するということが食品表示法で定められているところでございます。
まず、国におきましては、農政局とそれから各県の拠点に監視官を配置しておりまして、店舗や工場等にまず定期的に巡回をするということでございます。それから、国民あるいは事業者の方々から寄せられた疑義情報、それから、産地等につきましては、科学的分析によりまして産地が判別するというものもございますので、このような科学的分析も踏まえまして、疑義を解明するための立入検査、それから、具体的に事案を把握した場合には、先ほど申し上げた指示、公表ということで体制をとっているところでございます。
今後、引き続き、関係機関と連携をとりながら、食品表示の適正化を図ることによりまして、消費者の信頼確保に努めてまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
海外では、日本のものは安心、安全だというイメージがついております。一部の人たちのせいで、真面目によいものをつくっている生産者のマイナスになることのないように、しっかりとお願いしたいと思います。
農林水産委員会で福島県の風評被害の払拭についてもたびたびお願いをしておりますが、福島県産の魚や農産物の産地偽装も行われてきた事実があると思います。しっかりと検査をして安全なものが出荷されていますので、今後、国内での産地偽装の取締りも一層強化していただいて、日本のものが安全でおいしいということを堂々と発信していただきたいと思います。日本の生産者、消費者のために、国内での産地偽装の取締りとあわせて、輸入食品の取締り強化についても、今後一層、関係機関と連携してお願いをしたいと思っております。
次に、食の知的財産流出に関して伺います。
輸出促進に力を入れる一方、イチゴやシャインマスカットなど種苗の流出や、和牛などの改良に時間のかかる日本の財産の流出を防ぐ対策にも力を入れなければなりません。
食の知的財産流出について、農林水産省が把握されているものを教えてください。あわせて、今後の対策についてもお聞かせ願います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
まず、我が国で開発されました植物新品種が海外に流出した事例としまして、今委員が御指摘いただきましたように、ブドウのシャインマスカット、またイチゴの紅ほっぺが中国で生産拡大している事例がございます。また、イチゴのレッドパールあるいは章姫というものが韓国に流出をしまして、韓国で品種改良されて、今度、アジアの各国にまた輸出される、こういう事例がございます。
このように、我が国で開発された優良品種が海外に流出して無断栽培されることで、海外市場におきまして、日本産の農産物の需要が奪われる、あるいは品種の評価を下げてしまう、日本産農産物の価格が低下する、こういう影響が生じているというふうに考えております。
今委員御指摘いただきましたように、では、どうしていくのかということでございますが、まさに我が国の優良品種の海外流出を防止するためには、海外で知的財産権を確保することが重要だというふうに考えております。このため、我が国で開発された新品種につきまして、海外における品種登録に必要な費用を補助しているところでございます。
しかしながら、優良品種の海外流出や品種開発の停滞など、種苗制度についても課題があると認識しておりまして、ことしの三月から、有識者による種苗制度の検討会を開催しているところでございます。現段階では種苗法の改正を行うとまでは言えないところでございますが、検討会の議論も踏まえまして前向きに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○水田政府参考人 お答えいたします。
和牛の遺伝資源の海外への流出の関係でございます。
家畜や畜産物の輸出につきましては、家畜伝染病予防法に基づく輸出証明書の発給手続が必要でございまして、その手続を農林水産省の動物検疫所が行っておるところでございまして、これによりまして、輸出先国とか輸出数量等のデータを把握しております。
これによれば、我が国から和牛遺伝資源が輸出されたのは、昭和五十一年、和牛四頭が試験研究用としてアメリカの大学に輸出されておりまして、その後、平成十年までの間に、合計で、生きた牛二百四十七頭、そして精液一万三千本の和牛の遺伝資源が、動物検疫所の手続を経てアメリカに輸出されておるところでございます。
その後、平成十一年以降は、和牛の生産者団体の取組といたしまして輸出を自粛することとされておりまして、また、平成十二年に我が国に口蹄疫が発生いたしまして、諸外国との家畜衛生条件が停止されたということで、動物検疫所が輸出証明書を発給しないこととなっております。その後は、輸出実績はございません。
こうした中でございますが、昨年六月に、中国に和牛の精液及び受精卵が不正に持ち出されて、中国当局から輸入をとめられたという事案が発覚をしたところでございます。
この事案を受けまして、本年二月から、農林水産省におきまして学識経験者、畜産の関係団体等から成る検討会を開催しておりまして、和牛遺伝資源の流通管理の適正化について検討して、本年七月に中間取りまとめを公表したところでございます。
この中間取りまとめをしっかりと受けとめて、さらに、有識者の意見も聞きながら、次期通常国会に家畜改良増殖法の改正などの関連法案を提出することを目指して、現在、検討を進めているところでございます。
さらに、法整備を待たずにできることから順次やるということで、一つは、精液及び受精卵の適正管理についての指導通知を発出いたしました。また、家畜市場において、場内アナウンスによりまして周知も行っております。それから、種雄牛名、種牛の名前ですね、こういった情報を精液や受精卵の容器でありますストローに表示をする、それから売買契約のひな形を提示する、こういった取組を、できることから順次速やかに、都道府県とか関係団体に対する指導を今実施しているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
この食の知的財産流出対策については、かなり力を入れて取り組んでいただいていると思います。よいものをつくるには、時間とお金がかかります。先人たちの努力によってできたこの日本の食の知的財産をしっかり守っていくように、今後もお願いしたいと思います。
日本のこの知的財産はしっかりと守りながらも、来年は東京オリンピック・パラリンピックがございますので、日本に海外の方がたくさん来られますので、この日本のブランドをしっかりアピールをする絶好の機会ですので、守るものはしっかりと守りながら、チャンスを生かして攻めの農業をお願いしたいと思います。
次に、畜産業のICT化について伺います。
畜産業というのは、以前は休みがなく、重労働の多いきつい仕事で、分娩の時期は特に大変だったとお聞きをしておりますが、最近では、ICTを活用して分娩監視等を行うようになり、若い女性でも畜産業を経営していくことができるようになったとお聞きをしました。また、搾乳ロボットを導入し、搾乳時間が削減できたり、種つけの効率化などの成果も出ていると聞いております。世界と勝負していくには、これからもっとICT化は必要になってくると思います。
現在、畜産業のICT化に成功されている事例について教えてください。また、今後、畜産業のICT化に対して、農林水産省としてどのような支援を考えているのでしょうか。
○河野大臣政務官 畜産分野における課題の一つとして労働力不足や労働過重などがございまして、この課題を解決するためには、生産性を向上させまして、少ない人数で効率的に作業を行うことができるようにすることが重要であります。
このような観点から、ロボットやICTなどの先端技術は、畜産業の生産性の向上や体質強化への貢献が期待されているところでございます。
このため、ロボットやICTなどの先端技術を導入する農業者に対しましては、これまでも、畜産クラスター事業などで導入費の二分の一を助成するなどの支援を行ってきたところでございます。
このような支援もあり、具体的な事例といたしましては、発情発見装置などを導入した宮崎県の牛肉の、繁殖育成施設の事例では、妊娠の期間が地域の平均に比べまして約四十日間短縮したなどの効果が見られます。
また、搾乳ロボットを導入した北海道の酪農の事例では、労働時間が二割削減され、搾乳回数も増加することによりまして乳量が一割増加するなどの効果がそれぞれ得られているところでございます。
このように、ICT化は畜産業の生産性向上に大きな効果をもたらすものでありますから、委員御指摘の点も踏まえまして、中山間地も含めて、より多くの畜産農家がICT化の恩恵に浴することができるよう、新技術の実装への支援を強く進めてまいりたいというふうに考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
畜産女子や農業女子という言葉もあるぐらい、今女性が働きやすい職場になってきております。カメラやロボットなどを導入して人件費をカットしていく、農家の皆さんの負担を減らし、そして生産量が上がる、大変すばらしいことだと思います。
畜産業だけでなく、イチゴのハウスなどでも、AIを使って適切な温度やCO2濃度を管理して、一五%増収に成功した事例なども伺いました。今後、積極的にスマート農業の導入を支援すべきと考えます。
被災農家へのスマート農業の積極的導入について伺いたいと思います。
被災農家さんだけに限りませんが、スマート農業導入を希望する農家さんたちに対しての支援策をお聞かせ願います。
○河野大臣政務官 被災農家の方々が一日も早く経営再開できることに対しまして取り組むこと、非常に重要な課題と認識してございます。その際、被災を機に、より災害に強く、スマート農業技術なども生かして、生産性の高い農業へと生産基盤を強化していくことも大変重要と考えてございます。
例えば、複数のセンサーデータをもとにハウス内の環境を自動で制御する高度環境制御システムの導入や、土地利用型農業への自動操舵システムなどの高性能農業機械の導入により、さらなる生産性向上を図る取組につきましても、産地パワーアップ事業により支援が可能となっております。
こうした措置によりまして、被災してもなお、もう一度頑張ろうと立ち上がった農業者の方々が早期に営農を再開するとともに、より災害に強く、生産性の高い農業へと発展できるよう、被災地域の意向に寄り添ってしっかりと支援してまいりたいと考えてございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
ぜひ被災地に寄り添った支援をお願いしたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
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○吉野委員長 次に、内閣提出、肥料取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣江藤拓君。
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肥料取締法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○江藤国務大臣 肥料取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
肥料取締法は、農業生産力の維持増進に寄与するとともに、国民の健康の保護に資することを目的として、肥料について登録、届出の制度等を設けているところであります。
世界的な肥料の需要の高まりの中で、国内の低廉な堆肥や産業副産物の活用を進めるため、これらを安心して使用できるよう、肥料の品質管理を進めることが重要であります。また、施肥の効率化等の農業現場の需要に柔軟に対応した肥料を提供していくことが求められております。
こうした観点から、産業副産物等の肥料原料を管理する制度を導入するとともに、肥料の配合に関する規制を見直すほか、肥料の表示基準の整備等の措置を講ずることとし、この法律を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、肥料の原料管理制度の導入についてであります。
農林水産大臣は、肥料に使うことができる原料の範囲の規格を定めるとともに、肥料業者は、肥料に使用した原料を帳簿に記載しなければならないこととしております。また、肥料の原料に関する虚偽の宣伝を禁止することとしております。
第二に、肥料の配合に関する規制の見直しであります。
普通肥料と特殊肥料を配合した肥料及び肥料と土壌改良資材を配合した肥料について、新たに届出による生産を可能とするとともに、肥料の配合に伴う造粒等の加工を行った肥料について、登録を不要とし、届出による生産を可能とすることとしております。
第三に、肥料の表示基準の整備であります。
農林水産大臣は、肥料の効果の発現時期等の、肥料の品質や効果に関する表示の基準を定めることができることとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○吉野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会