第10号 令和元年12月5日(木曜日)
令和元年十二月五日(木曜日)午前八時三十分開議
出席委員
委員長 吉野 正芳君
理事 池田 道孝君 理事 齋藤 健君
理事 武部 新君 理事 谷 公一君
理事 細田 健一君 理事 石川 香織君
理事 近藤 和也君 理事 濱村 進君
泉田 裕彦君 稲田 朋美君
今枝宗一郎君 上杉謙太郎君
金子 俊平君 神谷 昇君
木村 次郎君 小寺 裕雄君
坂本 哲志君 笹川 博義君
高木 啓君 高鳥 修一君
永岡 桂子君 西田 昭二君
野中 厚君 福山 守君
古川 康君 宮腰 光寛君
宮路 拓馬君 簗 和生君
青山 大人君 大串 博志君
神谷 裕君 亀井亜紀子君
佐々木隆博君 佐藤 公治君
重徳 和彦君 篠原 孝君
関 健一郎君 長谷川嘉一君
広田 一君 福田 昭夫君
緑川 貴士君 石田 祝稔君
田村 貴昭君 森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 江藤 拓君
法務副大臣 義家 弘介君
農林水産副大臣 伊東 良孝君
総務大臣政務官 斎藤 洋明君
財務大臣政務官 井上 貴博君
農林水産大臣政務官 河野 義博君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 大村 慎一君
政府参考人
(出入国在留管理庁出入国管理部長) 石岡 邦章君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 山名 規雄君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 浅川 京子君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 大杉 武博君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 新井ゆたか君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(林野庁長官) 本郷 浩二君
政府参考人
(水産庁長官) 山口 英彰君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 松山 泰浩君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
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委員の異動
十二月五日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 高木 啓君
青山 大人君 関 健一郎君
大串 博志君 福田 昭夫君
広田 一君 重徳 和彦君
同日
辞任 補欠選任
高木 啓君 上杉謙太郎君
重徳 和彦君 広田 一君
関 健一郎君 篠原 孝君
福田 昭夫君 大串 博志君
同日
辞任 補欠選任
篠原 孝君 青山 大人君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件(畜産問題等)
令和二年度畜産物価格等に関する件
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○吉野委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長枝元真徹君、大臣官房総括審議官浅川京子君、大臣官房統計部長大杉武博君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長塩川白良君、生産局長水田正和君、経営局長横山紳君、農村振興局長牧元幸司君、林野庁長官本郷浩二君、水産庁長官山口英彰君、総務省自治行政局公務員部長大村慎一君、出入国在留管理庁出入国管理部長石岡邦章君、財務省大臣官房審議官山名規雄君及び資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長松山泰浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○吉野委員長 質疑の申出がございますので、順次これを許します。宮路拓馬君。
○宮路委員 おはようございます。自民党の宮路拓馬でございます。
本日、質問の機会をいただきましたこと、まことに感謝申し上げます。
自分で言うのもなんですが、我が鹿児島は畜産王国であります。そしてまた、大臣の御地元宮崎も畜産王国。その畜産物価格の決定に当たっての委員会において質問に立たせていただくこと、本当に光栄に存じます。
早速ですが、質問に入らせていただきます。
昨年九月に岐阜においてCSFが発生をいたしました。これまでは豚コレラと称しておりましたが、やはり国際基準にのっとり、クラシカル・スワイン・フィーバー、CSFということで名称を言っておりますが、それ以降、愛知、そしてまた、そこから三重、あるいは、ついに長野では県の試験場においても飼養豚にCSFが発生し、また、それ以降、関東、埼玉でもその発生があったところであります。
その間、さまざまな対策を講じ、そして、江藤大臣のリーダーシップのもと、ワクチン接種のプログラムの見直しも行われ、そして十月にはワクチン接種も開始されたところであります。あわせて、今回のCSFは野生イノシシがその感染源であるということで、二十六、七年前ですかね、に発生をしたCSFとはその根本が異なるということでありまして、野生イノシシ対策、捕獲でありますとか経口ワクチンの接種等々、ありとあらゆる資源を投入して今その対応に当たっているところだと思います。
我が自民党におきましても、家畜伝染予防法、いわゆる家伝法の改正に関する専門検討PTを立ち上げまして、その中で、飼養衛生管理あるいは輸出入の検疫のあり方などについて検討を重ねてきたところであります。
そこで、まずは家畜の衛生管理についてお伺いしたいと思います。
私の地元鹿児島、あるいは、恐らく江藤大臣の御地元宮崎におきましても、防疫措置を行った際には、それこそ地面が真っ白になるほど石灰で消毒を徹底しております。それに対し、今般のCSFの対応におきましても、他県ではそのようにはなっていなかった、石灰のまき方が十分ではなかったというような話も聞いておるところでございます。
このように、防疫措置一つとっても、都道府県ごとにその対応にばらつきがあって、今後、国や都道府県、さらには生産者や飼料会社あるいは輸送、運送会社等々の関連業者も含めまして、その対応について見直しが必要であるというふうに考えております。
生産者に対する飼養衛生管理の指導等について、今でも必ずしも恐らく十分ではないという指摘がある中で、その徹底について、今後の徹底について、農水省としてどのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
飼養衛生管理は、家畜の所有者が行う毎日の健康管理と一体ということでございまして、所有者が遵守すべき義務であり、畜産経営の基本だというふうに考えております。これにつきましては、継続して取り組むことが非常に重要でございます。
しかしながら、これまでCSFの発生に関連した疫学調査におきましては、農場で飼養管理が徹底されておらず、また、各県の指導にばらつきがある等の事例が散見されていたところでございます。
このような状況を踏まえますと、生産者のみならず、国、都道府県、市町村、関係事業者が一体となって、地域における飼養衛生管理の高位平準化を目指す取組が重要であるというふうに考えております。
今般、御議論いただいて取りまとめいただきました自民党の専門検討PTにおきましては、国、都道府県、市町村、家畜所有者の責務をまず明確化すべき、それから、都道府県における飼養衛生管理の計画制度や農場における責任者を設置する、国で飼養衛生管理の指導の方針を作成する、それから、地域と一体となった取組の必要性について御提言いただいております。さらに、加えまして、飼料業者などの関連事業者の消毒の徹底もすべきということをいただいたところでございます。
農林水産省といたしましては、これらの取りまとめを踏まえまして、CSFの一日も早い終息を目指すとともに、家畜伝染病予防法の改正に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
○宮路委員 続いて、水際対策についてお伺いしたいと思います。
海外では、口蹄疫あるいはASF、アフリカン・スワイン・フィーバー、これまではアフリカ豚コレラと称していたものでありますが、ASFそして鳥インフルエンザなど、国境を越えて伝播する家畜伝染病が継続的に発生しています。特にASFは、二〇〇七年以降、欧州における発生拡大に加えまして、昨年八月にはアジアで初めて中国で発生が確認をされ、そして本年九月には韓国でも発生するなど、世界的に発生が拡大している状況にあります。
ASFはいまだ有効なワクチンがなく、一度侵入を許すと国内養豚産業に深刻な打撃を与えることになるため、何としても水際で侵入を防がなければなりません。
こうした中、本年一月、中部空港において、旅客が違法に持ち込んだ肉製品から感染性のあるASFウイルスが見つかっており、我が国へのASFの侵入リスクが極めて高い状況にあるというふうにも言えると考えております。ASF侵入防止のためには、動物検疫所において、入国者が違法に畜産物を持ち込むことがないよう、水際対策の強化が必要であると考えております。
自民党のPTにおいては、動物検疫所の家畜防疫官の権限の強化、そしてその増員が必要との議論がありました。それにつきまして、農水省のお考えをお伺いしたいと思います。
○新井政府参考人 我が国への侵入のリスクが高まっておりますASFを防止するためには、関係省庁一体となって水際の対策を講じているところでございます。
具体的には、在外公館や航空会社と連携した外国における情報発信、それから現地の空港カウンターでの注意喚起、これによりまして、まず、海外から肉製品を持ち出させないための広報というのが重要でございます。加えまして、日本に持ち込ませないということで、家畜防疫官の増員や検疫探知犬の増頭など、税関と連携した入国者の携帯品の検査を行っているところでございます。
加えまして、十一月十八日には、中国の検疫当局であります海関総署との間で、出入国旅客の携帯品等の検疫強化に関する協力覚書を交わしまして、中国空港での出国者への注意喚起の強化など、実務的な協力を推進していく考えでございます。
自民党の家畜伝染病予防法の専門PTからも、家畜防疫官の質問検査の権限を強化すべき、それから、家畜防疫官が一定の条件のもとで不合格となった畜産物を処分できるようにすること、それから、輸出入に関する罰則を強化するということ、さらには、税関申告書の中での肉製品の持込みについて、よりわかりやすく、入国者がチェックするような様式にするということの提言をいただいたところでございます。
このうち税関申告書につきましては、財務省に御協力をいただきまして、この年末にも新しい税関申告書の使用が始まると聞いているところでございます。
このように、関係省庁と連携しながら、引き続き水際の強化に努めてまいりたいと考えております。
○宮路委員 来年は、東京オリンピック・パラリンピックも行われて、訪日客の増加がますます見込まれるというふうに考えております。政府においては、ASFの侵入を防ぐため、水際対策に万全を期していただくようにお願いをしたいと思います。
さて、先ほど来ありますとおり、我が党のPTにおきまして、特に、これまで口蹄疫あるいはBSEもありました、鳥インフルエンザもあり、豚コレラの経験もございます。そうしたいわゆる家畜伝染病の対応に当たってきた方々、その現場を見てきた方々の知見をいただきながら、積極的に議論を重ね、その対策案について取りまとめたところであります。それを受け、また農水省の方でも検討を進められているところでありまして、その検討に基づく家伝法の改正、これは喫緊の課題であると考えております。
一方で、制度改正に当たっては、その内容が絵に描いた餅とならないようにしなければなりません。特に、今般の対策に関しましては、国、都道府県、市町村のみならず、生産者や関連事業者にも新たな義務が発生することになろうかと思います。それがしっかりと現場に浸透して機能するよう、十分な周知あるいは事前の課題の洗い出しなどが重要だと考えております。
改めて、今後のCSFあるいはASF対策に関する大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 大変、自民党内におきましても精力的に網羅的な議論をしていただいたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。極めて有効な御提言をいただいておりまして、しっかり生かしていきたいと思っております。
法律を改正するわけでありますから、根拠法に基づいてしっかりやらせていただく。現場にも一定の御負担は覚悟していただくことが大事だと思っております。もちろん、国の関与を今まで以上に強めていって、国のガバナンスもきかせなければなりませんが、最終的な防衛ラインは各農場にあるということであります。
もちろん、水際対策をしっかりやる。ここを完璧にやりたいという気持ちを強く持っておりますが、この間も羽田空港に行ってまいりましたけれども、やはり検疫官の方々の権限強化、これは必要だと思います。なかなか、口うるさいおばちゃんがいたり、言うことを聞かない人がいたりすることもありますし、それから、検疫検査が、ハンドラーにしても、犬も、ずっとその業務につけるわけじゃありませんので、いろいろなことをしっかりやりますけれども、しかし、いろいろなことに網羅的に義務を課すことによって一体として防疫体制が完結するということを、今委員が言われましたように、法律は改正したけれども実効性がないというようなことにならないようにやっていきたいと考えております。
○宮路委員 ありがとうございます。
実効たらしめるためには、十分な予算と、そしてマンパワーが必要だと思います。あわせて人材の育成等々、取り組まなければいけないことが多々ございます。制度改正をもって、まあ当面、法律改正を実現すべきだと考えますが、それとあわせて、その内容がしっかりとワークするように、その準備にも当たっていただきたいと考えております。
続きまして、和牛の遺伝資源についてお伺いをしたいと思います。
我が鹿児島の黒毛和牛が和牛の共進会で日本一に輝いて、大臣、次も鹿児島は頑張ります、輝きましてから、もうはや三年目に入りまして、来る再来年、三年後かな、今度は鹿児島において全国共進会が開催をされることになっており、我が鹿児島においてもその準備に当たっているところであります。
その和牛でありますけれども、長い年月をかけて改良されてきた我が国固有の貴重な財産、宝でありまして、これをしっかりと保護し、国内で活用、さらには牛肉の輸出拡大につなげていくことが我が国の農林水産業にとっても大変重要であると考えております。
しかしながら、昨年、和牛の遺伝資源の中国への流出未遂事案が発覚をいたしました。これを受け、我が党におきましては、専門のプロジェクトチーム、こちらも設けまして、和牛遺伝資源の流通管理の適正化について提言を取りまとめたところであります。
その提言の中でも触れておりますが、まずは精液や受精卵の流通管理の徹底を図ることが重要です。精液や受精卵の流通履歴に関する帳簿等をしっかりと記録し、そして保管する仕組みを導入する。あるいは、トレーサビリティーを確保する観点から、精液や受精卵を入れる容器に、どの雄牛のものか、そしていつ生産されたものかを表示させること、こうしたことを徹底することで不正な流通を抑止することが重要ではないかと考えております。
農水省として、和牛遺伝資源の流通管理の徹底に向け、本事案の発覚以降どのような対応を行ってきたのか、お伺いをしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
和牛遺伝資源の管理につきましては、本年六月に出されました自民党PT、プロジェクトチームの提言や、本年七月に公表いたしました農林水産省の検討会による中間取りまとめにおきまして、精液や受精卵について、譲受け、譲渡しに関する帳簿などへの記録、保管が義務づけられていない、また、受精卵の生産本数などの情報について定期的に確認する仕組みが措置されていないなど、不十分な部分があると指摘を受けたところでございます。
農林水産省といたしましては、これらの指摘を重く受けとめ、次期通常国会に家畜改良増殖法の改正などの関連法案を提出することを目指して、現在検討を進めているところでございます。
さらに、法改正を待たずに、三月二十九日には、精液及び受精卵の適正管理についての指導通知を発出いたしました。また、七月二十二日には、家畜市場における場内アナウンスによって適正管理の周知を行いました。また、九月の三十日には、種雄牛名、種雄牛の名前などの情報の、ストロー、精液を封入する容器でございますが、そこへの表示をするとか、それから、九月の三十日におきましては、和牛遺伝資源の流通に関する帳簿の記録、保管、こういったことについての指導を行ったところでございます。できるところから、順次、迅速に、都道府県や関係団体に対する指導を実施しているところでございます。
委員御指摘のとおり、和牛は長い年月をかけて改良されてきた我が国固有の貴重な資源でございまして、その遺伝資源の保護に向け、適切に対応してまいりたいと考えております。
○宮路委員 対応を十分にしていく必要があろうかと思っておりますが、今般の中国への流出未遂事案については、結果として、これは家畜改良増殖法そして関税法違反ということで逮捕されたわけでありますが、本来であれば、この貴重な和牛の知的財産的価値を侵害した行為として対処されるべき事案ではなかったかと考えております。
一方で、和牛の遺伝資源は、種苗のようにその再現性が完全ではなく、単純に知的財産権として保護することは難しいという指摘もあるところでございます。
そうした中、自民党の提言におきましては、まずは、和牛遺伝資源の価値を保護できるよう、当事者間での適切な契約の締結が必要であるというふうに述べております。
和牛遺伝資源を守っていくためには、このような契約を現場に普及させるとともに、最終的には当事者以外の第三者、これは善意の第三者ですね、にも使用の差止め請求ができるよう、和牛の知的財産的価値の保護を正面からしっかりと制度化する必要があると考えておりますが、これらの点につきまして農水省として今後どのように対応していくおつもりか、お伺いしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
和牛の遺伝資源でございますが、先人たちが築いた財産でございまして、その知的財産的価値を評価して、和牛遺伝資源の保護の強化を図っていくことが重要であるというふうに考えております。
しかしながら、農水省の検討会の中間取りまとめにおいても指摘をされているように、和牛遺伝資源の知的財産的価値を保護するという考え方がそもそも根づいていないことから、まずは、委員御指摘のような利用許諾契約、これの締結、こういった慣行を生産現場の実情に応じて普及、定着させることが重要であると考えております。
このため、九月にこういった契約のひな形を発出したところでございまして、その中では、例えば、譲り受けた和牛の精液について利用を国内に限定するなどの条件を盛り込んでおりまして、こうしたひな形を現場に普及するよう今取り組んでいるところでございます。
さらに、和牛の遺伝資源の知的財産的価値の保護強化のための制度構築を目指しまして、本年十月から専門家によります和牛遺伝資源の知的財産的価値の保護強化に関する専門部会を開催しておりまして、現在議論を重ねておるところでございます。
今後、この専門部会による議論の取りまとめを受け、生産者や改良現場への影響にも十分配慮しながら、和牛遺伝資源の知的財産的価値の保護のための実効的な仕組みをつくり上げるよう、しっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。
○宮路委員 和牛は世界じゅうから本当に高く評価され、これから輸出促進も期待されるところでありますので、その点しっかり受けとめて対応していただきたいと思います。
そのまさに日本産牛肉、和牛の、中国向け輸出について、続いてお伺いをしたいと思います。
黒毛和牛を始めとする日本産牛肉につきましては訪日の中国人から大変人気が高く、そしてまた、中国内における牛肉の消費量もこれは年々増加しているということもございまして、今後、中国は日本産牛肉の有力な輸出先の一つになるというふうに考えております。
しかしながら、残念なことですが、中国では、我が国でのBSEの発生を受けて、二〇〇一年九月に日本産牛肉等の輸入を禁止し、それ以降、現在に至るまで、輸出再開は実現しておりません。
こうした中、うれしいニュースがありました。今般、日本産牛肉の輸出再開に必要な日中動物衛生検疫協定が両国政府間で署名、締結されたというふうに伺っております。これによりまして、日本産牛肉の輸出再開に向けた両国間の調整が加速化していくことが期待されます。
そこで、日本産牛肉の対中国輸出再開の見通しについて農水省にお伺いしたいと思います。
○河野大臣政務官 本年十一月二十五日に日中両政府におきまして日中動物衛生検疫協定が締結されまして、輸出再開に向けた一歩を踏み出させていただくことができました。
輸出の実現に向けましては、本協定の締結に加えまして、四つのプロセスが必要となります。中国側によります口蹄疫、BSEに関する解禁令を公告し、二つ目は、中国側は同じく我が国の食品安全システムを評価していただくこと、三番目に、輸出までの検疫条件に関する日中双方の合意が必要となりまして、最終的には、我が国の輸出施設が認定及び登録されることが必要となっております。
早期に日本産牛肉の中国向け輸出を実現できるよう、関係省庁とも連携を図りながら、協議の加速化に努めてまいる決意でございます。
○宮路委員 本臨時国会におきまして、先般、輸出関連法案が成立したところであります。農水省のもと、各省庁横断的にリーダーシップを発揮できる組織を設置し、輸出の促進に向けて加速していくということでありますので、ぜひ、そうした流れの中で、中国向け和牛の輸出の再開に向けて果断に取り組んでいただきたいと思います。
最後に、酪農についてお伺いしたいと思います。
近年、乳価は堅調に推移いたしまして、それに伴って酪農家の所得も着実に上がっていると言われております。が、全国的に見て、残念なことでありますが、高齢化や後継者不足等の要因で離農が進んでおる状況でありまして、酪農の経営基盤の弱体化が非常に懸念されているところであります。
私の地元、鹿児島におきましても、この十年間、農家数は三割強、減少してしまいました。まさに、都府県酪農の基盤強化が喫緊の課題であるというふうに考えております。
私なりに都府県酪農の課題を整理いたしますと、三点あろうかと思っております。一つ目は、初妊牛の価格が高騰している中で、優良後継牛をいかに確保していくかという点。二つ目は、北海道に比べ、都府県は土地の制約が大きいことから、自給飼料をいかに確保していくかという点。そして三つ目は、他産業と比べ労働時間が長いとされている酪農の労働負担をいかに軽減していくか。この三点、これらについてしっかりと対策を打つことで、都府県酪農の生産者が安心して経営を継続できるような環境を整えていくことが必要だと考えております。
農水省として、特に都府県酪農の課題をどのように認識し、どのような対策を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
都府県酪農の課題でございますが、委員御指摘のとおり、初妊牛の高騰によるコスト増、あるいは、自給飼料の確保、労働負担の軽減などがあるというふうに認識をしております。
農林水産省といたしましては、都府県の酪農生産基盤を維持するため、今後も都府県で経営が継続できるように支援していくことが重要でございまして、畜産クラスター事業による収益力の強化を始めといたしまして、一つには、性判別精液の利用や育成牛の地域内流通、こういったことによります後継牛の確保に対する支援、二つ目といたしましては、畜産農家の自給飼料生産や飼料調製に係る負担を軽減するためのTMRセンター、こういったものへの支援、三番目といたしましては、酪農ヘルパーや公共牧場等を活用いたしました作業の外部化によります労働負担軽減、こういったものへの支援などの施策を講じているところでございます。
今後とも、現場のさまざまな御意見をお伺いしながら、都府県酪農の維持発展に全力を挙げてまいりたいと考えております。
○宮路委員 時間が参りました。
畜産は、課題も山積しております。しかし一方で、それらの課題を解決することによって大きな可能性が広がる、輸出に関してもしかりです、そのような産業だと思っております。農水省のリーダーシップのもと、我が国の畜産が更に発展することを期待して、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。
本日は、畜産物価格を中心に質問をさせていただきます。
毎年、この畜産物価格というのは、食料・農業・農村政策審議会に諮問を行って、諮問を行った上で答申を受けるという形で決定されるというようなことになっておりますけれども、まず、全体像について質問をいたしたいと思います。
今、生乳について、生産量は若干の伸びを見せている。これは大きくは北海道の伸びというものが大きく影響しているわけでございますけれども、残念ながら、一方で、都府県においては生産減少が見られるという状況でございます。この原因と今後の対策についてお伺いをいたしたいと思います。
○伊東副大臣 御質問にお答えをしてまいります。
委員御指摘のとおり、都府県酪農では、担い手の高齢化や後継者不足等を背景にいたしまして、経営離脱が続いております。加えて、北海道に比べ土地の制約が大きいこと等から、一戸当たりの飼養規模が小さく、飼養頭数の伸びも小さいことから、経産牛頭数が減少傾向にありまして、生乳生産が減少をしているところであります。
このため、都府県の酪農生産基盤を維持強化するためには、規模の大小にかかわらず、意欲ある酪農経営が経営継続できるように支援していくことが重要であります。
畜産クラスター事業のうち、規模拡大要件のない機械導入への支援、また、性判別精液の利用や育成牛の広域預託等への支援、また、酪農ヘルパー等を活用した作業の外部化への支援等の施策を講じているところでありますが、このような取組によりまして、都府県におきましても、乳用後継牛であります二歳未満の飼養頭数が増加に転じるなど、生産基盤の回復の兆しが見え始めておりまして、今後とも、現場の御意見をしっかりお聞きしながら、都府県酪農の増頭、増産に向けて、生産基盤の維持強化に全力を挙げてまいりたいと考えております。
○濱村委員 ありがとうございます。
一戸当たりの生産頭数も違うということでございました。恐らく、北海道は一戸当たり八十頭ぐらいが平均で、都府県が四十頭ぐらい平均という大きな差があるというようなことも聞いております。こうしたところも含めて、意欲のある方々が再生産できるように、しっかりと御支援いただきたいというふうにお願いを申し上げます。
続いて、乳製品の安定対策についてお伺いをしたいと思います。
加工原料乳生産者補給金の単価でございますけれども、これは生産コスト等変動率方式によって算定されております。物材費等の各費目の単価についても算定時点の物価で修正し、その上で算定しているということです。
また、集送乳調整金単価についても、集送乳コスト、このコストについて変動率方式を採用して算定しているということでございまして、これは直近のコストを適切に反映するということで、非常にいい仕組みだなというふうに思っております。
今般の単価もそのような考え方のもとで設定されると思っておりますが、再生産と将来に向けた投資が可能となるということで認識しておりますが、農水省の認識を伺います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、加工原料乳生産者補給金、そして集送乳調整金につきましては、まず、補給金単価につきましては、加工原料乳の生産地域の再生産が可能となるよう、生産コストの変動や物価動向などを考慮いたしまして、また、集送乳調整金の単価は、指定事業者があまねく集送乳を行えるよう、集送乳に要するコストの変動や物価動向などを考慮いたしまして、いずれも食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて決定することとしているところでございます。
本年度も、これらのルールにのっとり、酪農経営の再生産が可能となるよう、適切な算定に努めてまいりたいと考えております。
○濱村委員 続いて、肉用子牛の生産者補給金制度について伺ってまいりたいと思います。
これは、国から交付される生産者補給交付金を財源にいたしておりますが、子牛価格が保証基準価格を下回った場合には補給金が支給されるという仕組みでございます。
繁殖農家は高齢化が進んでおりますし、肉用牛の生産の安定化を図っていくことは極めて重要と考えております。そのためにも、繁殖基盤の維持強化が大変重要になってくると考えております。
こうしたことを踏まえますと、令和二年度の肉用子牛の保証基準価格についても、肉用子牛の再生産が図られるような水準となることを期待しておりますが、農水省の御所見をお伺いいたします。
○水田政府参考人 お答えいたします。
今回、令和二年度の保証基準価格を定めるわけでございますけれども、昨年の末、TPP11の発効に合わせて策定いたしました新たな算定方式に基づき、算定することになっております。
この方式に基づきまして、一定期間、平成二十三年から二十九年度の七年間の生産コストをベースといたしまして、直近の生産コストの変化率等を踏まえて算定することになるわけでございますが、平成三十年度の生産費が公表され次第、直近の経済事情も勘案した上で、飼料費、労働費などの生産コストの変化率等を踏まえまして算定を行うということになります。
これをもとに、十二月中旬を目途に食料・農業・農村政策審議会に諮問いたしまして御意見をいただいた上で、肉用子牛の再生産が確保されるよう、適切に決定してまいりたいと考えております。
○濱村委員 今、飼料費とか労働費など、生産条件は大変厳しくなっているという状況もございますので、しっかりと適切に設定をしていただきたいとお願いを申し上げます。
続きまして、畜産クラスター事業の件について伺います。
これは、先ほども少し伊東副大臣の御答弁の中にもございましたが、機械設備については規模拡大要件という話も先ほどちょっと触れていただいているわけでございますけれども、そもそも規模拡大要件というのを設定している理由は何なのかというところをまず確認いたしたいと思っておりますのとともに、この要件緩和についてはどのようにお考えなのか、御所見をお伺いいたします。
○水田政府参考人 お答えいたします。
畜産クラスター事業でございますが、これは、総合的なTPP等関連政策大綱に位置づけられた事業でございまして、国際競争力の強化のため、農業者の体質強化を図る事業でございます。
このため、施設整備に係る支援につきましては、原則として、家畜の飼養頭数を、その地域の平均規模以上に拡大するということを要件としているところでございます。
本事業は、平成二十七年度からことしで五年目を迎えておりまして、一定の成果が上がってきているところでございますけれども、今後更に拡大する国内外の需要に対応するため、より一層畜産業の体質強化を図っていく、そのためには、畜産、酪農経営の大宗を占める中小規模経営、家族経営も含めて、畜産業全体で競争力の強化を図っていく必要があると考えております。
このため、中小規模経営や家族経営が事業を活用しやすくなるよう、規模要件の見直しについて検討しているところでございます。
○濱村委員 見直しをされているということですので、しっかりお願いしたいというふうに思いますが、今、本当に国際競争にさらされているという状況でございますので、大変重要な局面にあると私は思っております。
平均規模以上というようなことでございますけれども、なかなか、まあ、そこまでの能力あるいは力がある農家さんにとっては何とか頑張ろうと思えるわけですが、まだまだなところもございましょうし、そうしたところも含めて、意欲に応じて支援できるような形になっていくのが望ましいというふうに思っております。
先ほど、国際競争にさらされているというような話をさせていただいたところでございますけれども、今、枝肉、牛肉の枝肉については、価格が非常に高位安定しているという状況にあると思っております。これは、いわゆる黒毛和牛、例えばA4とかというところも非常に高い水準を保っておりますし、F1にしてもホルスタインにしても、非常に安定的に高位にあるというふうに認識をしております。
これも、どういう環境のもと、こうした状況が成り立っているのかということもしっかりと認識をしていかなければいけないんだろうというふうに思っております。そうした意味では、より丁寧な、この畜産クラスター事業を始めとする支援策の設計が求められているというふうに一言申し添えたいというふうに思っております。
続いて、豚の話をしたいと思いますけれども、豚についても、これは牛と同様に、マルキンが設定されております。このマルキンについて、マルキン自体は非常にすぐれた仕組みであるというふうに思っておりますが、平均の粗収益に対して、生産コストを比較して、差額が出た場合に補填するというような仕組みになっております。
これは個別の畜産農家さんが収入減少してしまった場合に適用されるというものではないと思っております。全体として価格がどうなのかということを比較しているわけですので、そのような仕組みです。
仕組み上の話からすれば、個別の農家に対して補償するというような形になってはいないわけですが、一方で、個別農家さんに収入補填するというような形の制度はさまざま講じられております。
例えば、CSFが原因であれば家伝法で対応をするというようなこと、これはもうずっと、CSFが発生以降、この委員会でもいろいろ議論をされてきたわけでございますし、さらには、家畜が死亡してしまえば家畜共済を適用できるということがあったりいたします。さらに、家畜防疫互助基金もあるというように認識をしておりますけれども、いろいろメニューがあるんです。いろいろメニューがあるんですけれども、これは切れ目のない支援になっているのかどうか、農水省の見解を伺います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
CSFの発生農家への支援でございますけれども、委員御指摘のとおり、まず家畜伝染病予防法に基づきまして、殺処分されました家畜の評価額の全額を手当金として交付をするということになっているところでございます。
また、その後、経営再開に必要な家畜の導入ですとか、餌とか営農資材の購入などに要する資金につきましては、家畜疾病経営維持資金や農林漁業セーフティネット資金の活用が可能となっております。また、家畜防疫互助基金の加入者であれば、新たに豚を導入し経営を再開する場合には、経営支援互助基金の交付を受けるということが可能となっておりまして、こうした形で、CSFの発生農家の方、円滑に経営再開できるよう、今後ともしっかりと継続的に支援をしてまいりたいと考えております。
○濱村委員 割と淡泊に、コンパクトに御答弁いただいたなと思っておりますが、私もいろいろ勉強させていただいて、この場合はこのケースで適用できるというような話を整理してまいりましたが、生産者の皆さんにわかりやすく御提示いただくことも非常に重要だと思っておりますので、その点もぜひ御考慮いただきたいというふうに思っております。
なぜそのようなことを申し上げたのかというと、この間、農林水産委員会で委員派遣ということで、群馬県に行かせていただきました。その際に、生産者の方からも御意見をお伺いすることができました。生産者の方あるいは食肉センターの社長の方にもお越しをいただき、群馬県の方であったり行政の方にお越しをいただいて、いろいろ御意見を伺ってきたわけでございます。
御意見を伺った方には改めて感謝を申し上げたいと思いますけれども、そうした中で、生産者の皆さんの中で不安の声があったということでございます。この不安の声にしっかりと応えていくのも重要であろうと思っております。この不安の声に応えていくためにも、わかりやすい、しっかりと農水省は準備しているということをお伝えしていくことが重要だろうと思っておりますので、よろしくお願いします。
その際にも少し出てきたわけですが、これは食肉センターの社長さんからのお話でございました。恐らく農水省の中でも確認をされていることではありますが、その場でどういう話があったかというと、消毒であったり、交差汚染の防止についていろいろ講じていると。ところが、その講じてきた取組については食肉センターの持ち出しでやっておりますよという話でございました。CSFが発生しない限り、費用をなかなか負担していただけないというようなことがございました。
まず、そこで確認をしたいのが、この食肉処理施設、食肉センターですけれども、地域の飼養豚にCSFが発生しないと対象とならないのか、あるいは発生がなくて予防的に対策を講じた場合には対象とはならないのか、この点を農水省に確認をしたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
食肉処理場は、複数の生産者や多くの家畜が集まるため、万が一にも家畜の伝染病疾病を広げることがないよう、家畜運搬車の消毒など交差汚染防止対策を講じることが重要と考えております。
基本的に、食肉処理施設では既に一定の衛生設備が整備されているという状況でございますけれども、今般のCSFの発生に伴いまして、特にリスクが高まっている地域について、と畜場等疾病まん延防止緊急対策事業を措置いたしまして、追加的な衛生施設の整備を支援しているところでございます。
お話がありました、今般CSFが発生していない地域につきましても支援の対象を広げるべきかにつきましては、関係者の意見も聞きながら、前向きに検討してまいりたいと考えております。
○濱村委員 今、前向きにというお話もございました。ぜひお願いしたいと思います。
今、と畜場疾病まん延防止緊急対策事業も行われているわけでございます。そういう取組をしながら、国を挙げてCSFの蔓延防止に努めているということでございます。生産者の方も流通業者の方も加工業者の方も、皆さん、一致結束して取り組んでいるということでございますので、その中で足りない予算があるとか人手が足りないとかそういう話があるのであれば、柔軟に対応していくということが求められていると思っております。
法のたてつけもございますが、その中でどのように柔軟に対応していくのかも重要でございましょうし、それを弾力的に解釈を広げていくということも大事だと思っております。ぜひとも柔軟な対応をしていただいて、畜産農家の皆さんが再生産できるよう取組をお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 立国社共同会派の近藤和也でございます。
それでは、早速質疑に入らせていただきますが、信なくば立たずでございます。今、報道等でいろいろ騒がれておりますけれども、比較的、桜に関しては、この農林水産委員会は余り関係がないのかなというような見方ではございましたが、先日、大臣、副大臣、続いて大きく報道される事案がございました。
まず、江藤大臣に伺いますが、政治資金パーティーに、宮崎県の職員また宮崎市の職員が手伝いに来ていたといったことが報道されていましたけれども、いつから行われていたか。そして、いつから大臣は知っていたか。そしてまた、報酬等を払われることがあったのか。そして、これらのことについて、どのように考え、今後、処していくのか。このことについてお伺いいたします。
○江藤国務大臣 お答えをさせていただきます。
私の事務所は、ほぼほぼ全員の秘書が十年以上勤めているベテランでありまして、私自身、政治資金パーティーについて、パーティー券自身を売りに行ったことも一度もないということであって、このことについては、私は秘書のせいにしたりするのは大嫌いなんですね、そういう言い方はいたしませんが、こういうお願いをしていたということがいつからということについては、把握をいたしておりません。
ただ、同じ田舎から出てきている者同士、ふだんも、秘書同士、例えば一緒にスキーに行ったりとか、親しくつき合っているということらしいです。そういうことをしているということも私は知りませんでしたけれども。ですから、いつからそういうことがなされていたかということについては、私は存じ上げません。
報酬については、支払っていないというふうに報告を受けております。
そして、その業務も、私の場合は派閥も入っておりませんので、ですから、私の三人の息子も、政治資金パーティーのたびに必ず受付をさせてまいりました。私の女房も、それから地元の秘書も手伝いをさせておりますので、要員について不足しているという認識は、ほぼほぼ持っておりません。しかし、会が終了する時点において、一斉にお帰りになるときに、お土産をお渡しするときにお手伝いをいただいたということはあったようでございます。
ですから、私としても、大変これは、公務員でありますから、大変反省しなければなりません。私が知っていようが知っていまいが、私に監督責任があることはこれはもう明確なことでありますから、極めて重い責任を感じて、反省もいたしております。
そして、県知事にもそれから市長さんにもすぐ電話をいたしまして、私どもの不見識でございましたとおわびを申し上げ、そしてお手伝いをいただいた東京の県庁職員、それから市の職員についても、彼らには非はないので、彼らに処分が行くようなことがないようによろしくお願いしますというおわびも申し上げたところでございます。
○近藤(和)委員 反省をしているということ、そしてさまざまな方に御迷惑をかけたという言葉をいただきましたが、実際には、政治的中立性はいかがなのかといった部分、そしてさらには地方公務員法上では、厳密に言えば違法、違反というところまではいかないというところも、私もいろいろ調べました。けれども、それはあくまでも法的に大丈夫だというだけで、世間一般の目から見てどうなのかというところは疑われるというふうに思いますので、しっかり気をつけていただいて、大臣のみならず、これは与党、野党関係なく、私たちも気をつけていかなければいけないと思いますので、特に今、長期政権のおごりというところがよく指摘されていますので、どうか気をつけていただきたいというふうに思います。
続きまして、伊東副大臣に伺います。
二年前の衆議院選挙において、公共事業を受注していた企業から献金を受けていたということに対して、これは公職選挙法違反ではないかということが言われておりますが、このことについて、どうお考えなのか、処していくのか、よろしくお願いいたします。
○伊東副大臣 ただいまの御質問でありますが、過日報道をされておりますが、いずれにいたしましても、これは私が支部長を務めております政党支部の活動に対する御支援、このように受けとめております。
といいますのも、長年にわたって私の後援会あるいは政治資金団体あるいは政党支部に、定期的に寄附を定額でいただいている方々ばかりでございまして、これがたまたま、解散そして総選挙の期間に、もう全てこれは振込でなされている話でありますので、こうした観点の中で、私どもの事務所の者がそのまま記帳もせず受け付けしてしまったもの、このように思うところであります。
なお、寄附を受けたその時点で、企業と国の契約関係、受注関係がどうなっているかということは知り得るものではなかったところでありまして、以後しっかり気をつけたい、このように思っているところであります。
また、誤解を持たれることは本意でありませんので、道義的観点から、寄附金は全額返還、返金をいたしたところであります。
○近藤(和)委員 公選法の上では、政治活動で政党支部への献金は大丈夫、選挙に関してはだめということでございますが、今回、報道等だけですけれども、一社当たり三十万から四十万ぐらい寄附があった、この選挙期間中において。ということは、通年でいけば、通年で例えば五十万の献金に対して選挙期間中四十万円ということであれば、それは選挙資金ではないかということにみなされる可能性がございます。
この点については、今副大臣は大丈夫かのようなことは言われましたけれども、こういったところは、以後私どもの党としても調べさせていただきたいと思いますので。少なくとも、もしそれが合法ということであったとしても、やはりこれはもう世間の常識から見れば何らかの深い関係があるのではないかということ。そして、数十万円も寄附をくれるような方々との日常の接点はどうなのか。そして、地方においては、大きな公共事業を受けている企業のオーナー含め、従業員含め、どういった会社かといったところは大体想像がつくはずでございますから、こういったことも、私どもも、今さまざまな問題がございますので、しっかりと追及していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
そして、桜を見る会について一つだけ伺いたいと思います。
これは大臣に伺いたいと思いますが、先日も、桜を見る会には、今まで行ったこともない、そして招待したこともない、そして招待枠があったということも知らないということを御答弁いただきました、これは大串委員からでしたけれども。それ以降に出てきたことといたしまして、反社、いわゆる反社会的勢力ですね、いわゆる反社の人たちが入っていたということが今報道されております。
これも事実ではないかということでございますけれども、農林水産省としても、農林水産大臣賞を受けられた方であったり、叙勲を受けられた方が招待をされています。功をなし名を遂げられた方々を御招待した上で、いわゆる、いかがわしいという表現が適切かどうかわかりませんけれども、せっかくすばらしい方々にお越しいただいたのに、わけのわからない、いかがわしいことをしていた人たちが入っていたということに対して、申しわけない、おわびをしたいという言葉があるのかどうか。私は、少なくとも、今、報道全体を見ている限りでは、ないのかなというふうに思っています。
農林水産大臣としての思い、そして、以前は首相補佐官でございました。皇族の方々も、桜を見る会に来られていたわけですよね。また、三権の長であったり、各国の大使なども来られていたわけですけれども、そういう方々がおられるところに、わけのわからない方々がノーチェックに近い形で来ていたことに対して、これはまずいことをしてしまった、失敗をした、申しわけないという思いはないか、この点について伺います。
○江藤国務大臣 私も内閣の一員でありますので、この点についてどう受けとめるか答える義務があるのかもしれませんが、まず、ノーチェックであったかどうかについては、私はよくわかりません。しかし、事実としてそのような方々があの中におられたということであれば、今委員が御指摘のように、皇族の方もおられる、そして、客観的に見ても功労のあった方々も、省としても御招待されていますし、そういう方もおられるというところに、そのような方々がおられることは適切ではないというふうに私も思います。
ですから、そのことについて私が申しわけないとわびる立場にあるのかどうかはちょっとよく考えますけれども、しかし、いずれにしても、適切な形ではなかったというふうに思っています。
○近藤(和)委員 チェックのあり方ですけれども、しっかりチェックしていてそういう反社の方が来ていたのであれば、それはそれで問題ですし、チェックそのものが緩かったのではないか。ノーチェックということはなかったと思いますけれども、チェックのあり方といったところも含めて、これも歴史の長い行事でございますから、今後また再開するに当たって、そういういかがわしいやからが入らないように今後気をつける必要があると思いますし、そして、今回どうして入ったのかということも含めて、誰が入ってきたのか、どういう経路で入ってきたのかというところは、やはりデータ、問題ないないと言っていますけれども、これはしっかりと出すべきではないかというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、酪畜に関しての質問に入ります。
先日、当委員会で群馬県に視察に参りました。そして、養豚農家の方々から伺った要望といたしまして、ワクチン接種を早くしてくれということ。ただ、ワクチン接種をするに当たっては、家畜防疫員の数が足りない、ただ、これは前提条件としては、獣医師法にそもそもひっかかるかもしれないと。家畜防疫員としては、職員かつ獣医師ということですが、獣医師でなくても職員は大丈夫ということがあったとしても、獣医師法にひっかかるという部分がございます。
現状においては、獣医師法を変える、若しくは家伝法の五十三条の部分を変えるというところは、これはすぐということはできないわけですから、現状として、群馬県では二月まで、ワクチンを打つのに時間がかかるということが言われていますけれども、やはり一日も早く、打つと決めたわけですから、打たなければいけないと思います。
この点について、現在どのような状況なのか伺います。
○江藤国務大臣 全く同意見ではありますが、しかし、いわゆる獣医師法だけではなくて、家伝法上の六条でも防疫員だけしか打てないということになっておりますので、これは法的に決まっておりますから、これは守っていただかなければならないと思います。しかし、民間の獣医師の方々を県が指名することは可能でありますので、民間の獣医師の方々にもぜひ活躍をしていただければと思います。
そして、県内で獣医師の、大体、大動物に対する獣医師が足りないというのは各県同じ状況ですので、他県からもこれは動員しなければならない状況だというふうに把握をいたしております。そういう場合には、他県から来れば当然、交通費とかそういうものはかかりますので、そういったかかり増し経費についてはしっかり国の方で全額見させていただくようなことをやって、いずれにしましても、これは国と都道府県との連携というのがとても大切ですから、どういうことでお困りなのか、そして、足りなければ、どこにどれだけの獣医師さんがおられてマッチングができるのか、そういう情報提供も含めてやらせていただきたいと思っております。
○近藤(和)委員 そこでなんですけれども、先日、その群馬県での意見交換会において、農水省の方との打合せもまたその場でさせていただいたんですが、群馬県に他県から家畜防疫員の方に来ていただくということで、旅費等も全部持つ、費用も持つということで、ということは、群馬県としては懐は痛まないんですよねというふうに私は言ったんですね。そうしますと、群馬県の方、県庁の役所の方々は首を振って、いや、そうじゃないんだというそぶりをされていました。答弁はもらってはいないですけれども、何らかの形での費用が生じるのではないかということを心配しています。
そして、県の中で解決をしようとした場合には臨時の職員として雇うというところにつきまして、この臨時の職員として雇うということに対しても、その費用は当然、県はかかりますよね。そして、場合によっては、県の中で充足できない場合に他県にお願いしますというたてつけになっているから、まずは懐が、こっちは痛むんだということで首を振られたのかなと思います。
私が申し上げたいことは、ちゃんと準備しているつもりであったとしても、現場ではそうではないということが十分起きているのではないかということを配慮してほしいということでございます。どうかよろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に参ります。
これは一年前に申し上げたんですけれども、積雪地等について電気柵はやはり効果がなかなか発揮しにくい、また二度手間、三度手間になるということで、恒久柵をしてくださいということを申し上げました。そして、そのときの答弁としては、費用がかかる積雪地域においては、非常に高価である耐久性の侵入防止柵を設置する際は、地方農政局長が認める場合には、上限単価を超える、そういった助成もできる仕組みを整えておりますという答弁をいただきました。
私は、これはすごくありがたいなと思ったんですが、やはり、地元でお話を聞いてみますと、まだ電気柵だ、恒久柵はお金がかかる、電気柵でぐるっと輪をつくってから、それから恒久柵ですよということで、変わっていないんですね。国としてしっかり準備したつもりであったとしても、地方自治体では、また農家の方々にはそういう状況になっていないことについて解決をしていただきたいと思います。
時間がありませんので、大臣、一言、状況又は覚悟をお願いいたします。
○江藤国務大臣 電気柵については、大体、農家が自分で施工されますので、メーター大体百六十円とかそれぐらいでできますから、農家負担がゼロというのがまず基本的に取りつきやすいということで電気柵を使われている方が多いです、先生、御存じだと思いますが。恒久柵になりますと、大体二千円かかります。国の補助率が二分の一の場合は、あと二分の一について市町村の方で御負担いただければ特交で国として裏負担をいたしますけれども、これは選択になります。
ですけれども、やはり、電気柵は一回当たると破れたり、もう一回やらなきゃいけない。その後、結局、恒久柵をやった方が効果的だとわかります。例えば長野なんか行くと、恒久柵をやっているところは、入っていませんものね。
ですから、費用と現場のニーズに応えるような制度の見直しが必要であればやりますし、現場の状態をちょっと確認させていただきたいと思います。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。景気対策が今考えられていると聞いています。景気対策、災害対策、CSF、豚コレラ、そしてイノシシ被害も含めて、もう災害ですから、しっかりと今度の予算の中でそこは検討して、たくさん入れていただきたいというふうに思います。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、関健一郎君。
○関(健)委員 国民民主党共同会派の関健一郎です。
委員長並びに与野党の理事の皆様におかれましては、質問の機会をいただきましたことに御礼を申し上げます。
早速質問に移らせていただきます。CSFに関連して質問をさせていただきます。
私の地元である渥美半島では、十九戸二十七農場、三万四千二百二十四頭の豚の殺処分を余儀なくされました。生産者の皆さんに心からお見舞いを申し上げますとともに、今も再開に向けて必死に汗をかいておられる皆様がいます、その方々が引き続き、心折れずに養豚農家として鮮やかに復活をされる道のりを私も一国会議員としてつくる所存で、きょうの質問をさせていただきたいと思います。
時間が余りないので、ちょっと一問目、すっ飛ばします。
今回の殺処分の現場に関して申し上げます。
農水省の職員の皆様は言うまでもありません、そして自衛隊の皆さん、環境省の皆さん、都道府県の職員の皆さん、そして地元の建設業協会、そういう皆さんも、これは国の有事だと言って、殺処分に昼夜を問わず従事をされておられる方々がいます。その皆さんに対して心から敬意と感謝を申し上げます。
と同時に、何人かの方から直接話を聞くと、夜中に電話がかかってきて、悪いけれども、あした渥美半島へ行ってくれと。いつも机の上でパソコンを見ている方が、いきなり長靴履いて防護服を着て、それでプラスチックの板で豚を追い込むわけですね、コーナーに。それは職業だろう、仕事なんだからという意見もありますけれども、やはり心の負担また体の負担もとても大きいものがあります。
ここで大臣にお尋ねします。この皆さんにしかるべき手当を出すのももちろんですけれども、やはりちょっと心が、もう何回も思い出してしまうみたいな方もおられるみたいなんですね。ですから、国、省を超えて、この従事された皆さんに対してメンタルケアというか、そういう枠組みというのを充実させる必要があると思いますが、御所感を伺います。
○江藤国務大臣 大変大切な御指摘をいただいたと思います。私の宮崎の口蹄疫のときも、もう県庁職員が毎日バスに乗せられて、言われたように、パソコンの画面を見ていた人たちがいきなり、養豚場もいいところばかりじゃなくて、下にふんがたまってしまって、ずっと作業ができていませんから、下がべちゃべちゃになって、その中を走り回る豚を追い込む作業、大変な声で鳴きますので、悲鳴に近い声で鳴きますので、心のいわゆる傷をいまだに負っている人間は、宮崎にもたくさんおります。
この方々については、手当は当たり前であって、この方々にどうしたらいいかということは、これは難しいですよね。ですけれども、一応、一応ということではありませんが、防疫指針においても、これをやらなきゃいけないということは書いてあります、メンタルケアをちゃんとやらなきゃいけないということは。防疫指針の中には盛り込んでありますので、これについて、例えば愛知県、先生のところも、それから岐阜あたりも、相談窓口をしっかり設けていただいてやっていただいておりますが、なかなか自分で言い出せないというのもありますから、こちらの方から大丈夫かと声をかけることも含めて、相談窓口に来てくださいよだけではなくて、何かもっとできることがあるのではないか。先ほども御答弁させていただきましたけれども、国も県も、それから自衛隊も、それからJAも建設業協会も、いろいろな方々が一体となって、状況の把握をまずしっかりさせていただきたいと思います。
○関(健)委員 大臣みずからそういう現場の具体的なイメージを持っておられることに敬意を表しますし、そういう方がおられるということで、ぜひとも現場に思いをはせて、迅速なきめ細かい支援をお願いしたいと思います。
今言及されたので、その関連で続きを、支援について、これは殺処分をされた生産者の皆さんへの支援について伺います。
現状、今、手当金の支払い状況などについてお尋ねします。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
CSFが発生した農家につきましては、手当金といたしまして、家畜伝染病予防法に基づきまして評価額の全額をお支払いしているところでございます。この手当金につきましては、法律に基づきまして適正な評価をした上でお支払いをするということでございます。現在、八十の農場が対象になっておりますけれども、まだなかなか支払いが進んでいないという状況でございます。
そういう中、国といたしましては、それぞれの県が評価に対する基準を示すことによって手続を円滑化するということ、それから、国といたしましては、これらの手当金につきましては、予備費を既に手当てしておりますので、十一月一日に改めて各都道府県に対しまして協力要請の依頼をしたところでございます。
それから、なかなかほかの業務もあって県の担当課は手が回らないということでございますので、国も協力しながら、早期の全額支払いに向けて取り組んでいるところでございます。
○関(健)委員 先ほども申し上げましたが、渥美半島の十九戸二十七農場、三万四千二百二十四頭を殺処分した地域の国会議員として質問をさせていただきます。
まさにその殺処分をした方とお話を、何人かの方としましたけれども、この手当金に関して課税をされるというのがどうにも納得がいかないというお話を聞きました。
これはなぜか。もちろん、疑似患畜が発見された農場もそうですけれども、これ以上広がるとまずいからと県の職員の人に頭を下げられて、検査の結果は陰性だったけれども、僕の農場が犠牲になってこれ以上拡大を防ぐことができるならワクチン接種を受け入れましょうということでワクチン接種を受け入れて、清浄化が確認されるのに半年間空のまま、飼養衛生管理基準に見合うものかどうかというのを続けて、今、豚をようやく入れて、入れてから普通のビジネスに戻るまでは一年ぐらいかかるかなということを言っていました。
彼は、少なくとも地域の養豚に対して、そして国の方針に対して極めて協力的だった生産者であると私は考えています。その方が、どうしてもこれだけは納得いかないと言っているのが、殺処分に応じた手当金に課税をされるということです。口蹄疫のときは議員立法で、その手当金に対しては課税をしないという対処がされたと認識をしています。
今回の件に関しても、殺処分の手当金に関しては課税をすべきでないと思いますが、大臣の御所感を伺います。
○江藤国務大臣 委員のお気持ちはよくわかりますし、私のところにも同様な御意見はいただいております。
口蹄疫のときには超党派の議員立法でこれは通しまして、非課税ということになりました。そして、その後、鳥インフルエンザ等で同じようなことが行われておりますが、そのときには非課税措置は行っておりません。
基本的には損失を補填するというのが今回の手当金の趣旨でありますから、課税所得は発生しないというのは建前です、建前なんです。しかし、相場で客観的に評価をしますから、全ての場合とは言いませんけれども、課税所得が発生する可能性があります。これは可能性です。
その場合にどうするかということでありますけれども、前回は議員立法によって法的根拠を持ってやったわけでありますので、私もこの件については省内で検討いたしました。じゃ、もう無理なのかということになると、例えば、私は行政の立場にありますから、こういうことを言うのは農林省としてはちょっとやめてほしいと思うかもしれませんが、例えば、議法でもう一回やっていただいて、法律で遡及性を持たせれば法的には可能であるという法制局との整理でありますから、これは与党の先生にも野党の先生にも、法的には可能でありますので、今の状況の法的整理の中ではできませんけれども、じゃ、全くこれから先もできないのかといえば、できないことはない。
じゃ、閣法でやればいいじゃないかという御指摘もいただくかもしれませんけれども、国会の会期もなかなか厳しい状況もありますので、一つのやり方としてはこういうこともあるということを申し上げさせていただきました。
○関(健)委員 今後、もちろんこれ以上の発症がないことを祈ることは言うまでもありませんが、さらに、苦しむ人が減るためにも、迅速な対応を私もできることがあるという御示唆をいただきましたので、やってみたいと思います。
最後に、今、再開に向けて頑張っておられる生産者の皆さんが一番不安に思っていることは、やはり融資なんだそうです。これで、やはり清浄化確認されるまでに半年ぐらいがかかって、そして新しい豚を入れて、要は、出荷をして、収益として上がるところまでは大体一年ぐらいかかる。このときに、融資が、お金がもつかなというのが率直な懸念や不安だそうですので、また、つなぎ融資、これは都道府県、やっているところはあるんですけれども、切れ目のない、いや、うちの県はないとか、そういうのがないように対処していただきたいということを申し添えて、次の質問に移らせていただきます。
風評被害の撲滅について伺います。
地元のスーパーでも、田原産の豚肉は使っていないという表示があったり、これは僕はけしからぬとちゃんと抗議しましてなくなりましたけれども、ほかには、大手流通スーパーですかね、そういうところで、今までは、私のところは安全、安心でこの人の豚を使っていますよと宣伝していたんですけれども、いざそこで豚コレラ、CSFが発生したというニュースに触れた途端、その業者に向かって、私たちの取引の履歴を、関連したものを全てページを消してくれ、私のページからも消すからという通告があったことを当事者から聞いています。生産者の思いを踏みにじるものであり、そういうことが頻繁に起きると、消費者の皆さんは、ああ、食べると危ないんだという誤解を招きかねません。
改めて、大臣として御発言を求めますけれども、豚コレラは、CSFは人体に影響がないということで、理解でいいんでしょうか。
○江藤国務大臣 先生が今具体的に御指摘された小売の事案については、しっかり調査をさせていただきたいと思います。省を挙げて、関係省庁を挙げて、そういう不当な表示がないようにずっと監視をいたしておりました。私のところには、そういった報告は上がっておりませんので。
私自身も、スーパーを歩きました。スーパーを歩いて、例えば、鹿児島県産と書いてあるわけですよ。これは悪いことじゃないじゃないですか。でも、間接的に言うと、愛知じゃないということを言いたいのかもしれません。でも、そうじゃないと思うんですよ。そこまでだめだと言うことはできないと思いますが、しかし、卸の段階でも、小売の段階でも、価格の低下は今差別的に見られておりませんので、大丈夫だと思いますけれども。
これまで、いろいろな委員会等で申し上げましたけれども、三十七年間、ワクチンを接種した豚肉を食べてまいりました。私は五十九歳ですけれども、私の人生はほぼほぼワクチン接種豚を食べて、総理も、それから麻生大臣も、齋藤健先生も、みんな健康で、何にも問題が起こっておりませんので、もう何も心配することはないということは、たびたび申し上げておりますし、閣議後の記者会見でも必ず言っているんですが、ここは放送してくださいねとテレビの人に言うんですけれども、放送してくれないということは、ちょっと残念だなと思っております。
○関(健)委員 ありがとうございます。
改めて、人体への影響はないということを確認させていただきました。
ワクチン接種についてお尋ねをいたします。
やはり、私は、当事者、渥美半島で仕事をさせていただいている限り、その立場から質問させていただく義務があると思っています。
ですから、これは結果論です。だから打つべきだったじゃないかということを言いたいのではなくて、ワクチン接種すべしと言って、結果的には渥美半島は壊滅的な打撃を受けた。
やはり、ワクチン接種というのは、風邪を引いちゃったから風邪薬を飲むの治療ではなくて、予防措置なわけです。ですから、今ワクチン接種をしている、その隣接する自治体などからも、ワクチン接種の要望、また必要性の指摘があると認識しています。
前回の渥美半島、もちろん渥美半島に限らずですね、最初の五府県、更に広がっていますけれども、この教訓を生かして、発症してきた、発症が広がった、発症が広がった、だからワクチン接種だよねというのでは遅いのだと思います。次また広がる前にワクチン接種をすべしと考えますけれども、どういうタイミングで打つべしというふうにお考えなのか、お尋ねします。
○江藤国務大臣 隣接県の方々が非常に不安な気持ちで日々お仕事をされていることは、重々承知をいたしております。毎朝起きて畜舎を回るのが怖いというお話も聞いております。
現有で、百五十万ドーズのうちの百三十万はもう配ってしまいました。二十万しかもう残っておりません。しかし、この十二月の中旬になりますと、大体百三十万ドーズ届きます。そして、十二月の末には二百五十万ドーズそろいます。そうなりますと、例えば、埼玉県の隣接県四県を合わせると大体二百万頭ですから、その県に対して配れるような、物量的な体制は整うわけであります。
しかし、これについては、リスクの高いところに優先的にワクチン接種を行うということで推奨をさせていただいて、今十二になっているわけでありますけれども、私が判断することも、もちろん最終的には大臣ですから必要かもしれませんが、やはり、家畜疾病小委員会の方々の科学的知見に基づいてこれは判断をしないといけないことだと思っております。
まずはしっかり体制を整えて、しかし、議論については、ワクチンが届いてから議論をするのかということではなくて、届くことはもう確実に予見されている将来の姿ですから、省内では、このことについては、まだしっかりとした形で表には出ていないかもしれませんけれども、検討はさせている状態でありますので、はっきりは申し上げられませんけれども、考えさせていただきます。
○関(健)委員 今大臣の御答弁の中でありましたけれども、朝、豚舎を回るのが怖いというのは、生産者の皆さん、口をそろえておっしゃっておられます。
やはりそういう皆さんの不安にお応えするのも政治の役割だと思いますし、自分が吸っている息にCSFのウイルスがあると思うと、そんな中で養豚なんかできないよという声もありますので、一刻も早く皆さんの正常な運営軌道に戻る仕組みをつくることが必要だということを指摘した上で、次の質問に移らせていただきます。
次は、日本版モンドセレクションの創設について質問させていただきます。
豊橋にピレーネという洋菓子があるんですけれども、これは、地域で五十年以上、老舗メーカーがつくっているお菓子なんですけれども、四種類の生クリームをまぜて、そしてスポンジを手で包んで、スポンジ菓子みたいなのですけれども、これは手でやらないと壊れちゃうから手で包むんですけれども、それをぐうっと、その製品が並ぶとピレネー山脈みたいだねと思ったことで、そのオーナーの方がピレーネと名づけて、豊橋の中ではピレーネの認知度は一二〇%と言われている……(発言する者あり)資料がなくて済みません、洋菓子なんです。
実は、このピレーネという洋菓子の形状だけをまねた類似の製品が大手チェーンで販売をされました。これは菓子をつくる皆さんの間では結構話題というか、問題視されている現象なんだそうです。ジェネリック菓子という言葉がありまして、ジェネリック医薬品ですね、先行の、特許が切れたらみんながやることで薬価を下げるという仕組みですけれども、全国の銘菓が形だけまねられて、類似の商品として販売されるケースが相次いでいます。
例えば、北海道のマルセイバターサンド、宮城の萩の月、京都の阿闍梨餅、博多の博多通りもん、そして豊橋の久遠チョコレート、ピレーネ。全国の銘菓が、これは地元の人にしてみると、あれっと言うんだけれども、形状だけが一緒でほかが違うというのが現状なんです。
私、別に、法律に違反していないことをけしからぬと言うためにこの質問をしているのではなくて、その伝統や技法、そして地域の素材をふんだんに使ったという、いわゆる地方の活性化にも資する、日本の食文化にも資する銘菓の取組がそういうところで毀損をされる懸念が大いにあることは事実としてあります。
そこで、代々受け継がれている独自の製法、地域の食材を生かして販売し続ける店舗に対して、発展、継続のために、政府としてどのような支援なり奨励をしていますか。お尋ねします。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
農林水産省では、今おっしゃられたように、菓子の製造技術の向上を図る観点から、民間団体などが行うものの表彰事業、これに対して支援を行っております。
例えば、地域の優良な菓子を表彰します全国菓子大博覧会、国内産米粉を使った焼き菓子部門で優秀な職人を表彰するジャパン・ケーキショー、それから、地域の特産品を使用してタルトを製作した優秀な職人を表彰するTarte―1グランプリなどに対しまして、後援名義の付与や農林水産大臣賞などの授与を行っているところでございます。
○関(健)委員 ありがとうございます。
全国の菓子をつくっておられる皆さんがそういうのを励みにしておられるということももちろん事実だと思います。
そして、私が申し上げたいのは、日本版と申し上げましたけれども、モンドセレクションというのは何ぞやと調べたところ、民間企業が、政府の一定の、政府というか公ですね、公が一定の関与をしながら、表彰をしたり認定をしたりするという機関なんだそうです。
ただ、完全に公平で透明な審査が行われているかというと、いろいろな指摘もあって、それを必ずまねたらいいという意味ではないんですが、民間企業を主体にして、政府が一定の審査の透明性とかそういうものに関与をすることで、全国の津々浦々で頑張っている老舗銘菓とか、そういう菓子メーカーさんがそこに登録して評価されることで一気に全国的な地位を得るとか、いわゆるモンドセレクションじゃないですけれども、日本版のそういうものをつくってはいかがかなと思うんですけれども、御所感を伺います、大臣。
○江藤国務大臣 考え方としてはすばらしいと思います。
やはり今、例えば、SNSでバズるとかいうんですか、そうしたらもう一気に売れるとか、日本人が知らない観光名所も外国人の方がよく知っているとか、それにはやはり、ある程度公的な格付とかいうものも有効だと思います。
しかし、今おっしゃったように、果たして客観的にしっかり評価できるか。例えば、五十年、六十年、百年の歴史があった、例えば東京だと虎屋のようかんとかありますけれども、虎屋さんは古いから、じゃ、国として格付してどうのこうのということが、果たして、ほかの競争をしているところにとってどうかということもまた一方、考えなきゃいけないと思いますが、しかし、模倣品のお話もされましたよね。これは大変よくないと思います。
これについて、確かに、フランスとベルギーでやっている話であって、完全な民間ではないかもしれませんが、基本、民間ですよね。ですから、国が主体でそういったものをやるというのはなかなか難しいかなとは思ってはおりますが、ただ、先日も、「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」というのが官邸でありまして、各地方にある埋もれているすばらしいものについて、内閣総理大臣賞も授与するようなことをやって、それをもらうと、やはり売上げが伸びたり、先ほどから、団体、それから大臣表彰なんかをしていると言っていますけれども、一つの考え方としては参考にさせていただきますが、今この場で、いい考えですので検討しますとまでは、申しわけないんですが、なかなか言えないというのが正直なところであります。
○関(健)委員 やはり、ミシュランもそうですけれども、民間が主体となってやるから、みんなそれを争って買って、じゃ、そのレストランに行ってみようかとなるというのは、これはおっしゃるとおりで難しいんですけれども、これからインバウンドをふやしていこう、はたまた東京オリンピックで多くの方々が日本に来てくれるわけです。
そのときに、すしと言って、とてもすしとは言えないすし屋があって、そこで日本のすしの評判を下げられても困りますし、そのときに、やはり統一的な、割と公共性のある審査基準というのか、もちろん公がやるというのは難しいことは重々承知なんですけれども、いかに多くの人に信頼をされ、また関心を高めることができる評価基準というか、そういうものがあると、日本に来ていただいた皆さんにも、また日本に住む我々にも、そして、地方で自分の独自の製法、伝統、文化にこだわった皆さんのやりがいにつながるような仕組みが何とかできればということを主張して、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、石川香織君。
○石川(香)委員 石川香織でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、酪農についてお伺いをさせていただきたいと思います。
生乳生産ですけれども、農家戸数が減少していっているという中、北海道が占める割合が五五%になりました。だんだん北海道に依存する割合が年々高まっておりまして、北海道の酪農家も、それに応える形で乳量を大きく伸ばしています。
都府県の基盤整備などの課題もありますけれども、改めて、毎日牛乳を搾ってくださっております全国の酪農家の皆さんに、心から敬意を表して、感謝を申し上げたいと思っております。
昨年からことしにかけて、タピオカミルクティーがすごくはやりましたけれども、冷蔵庫が置けないような小さなお店、スペースでも、おいしいタピオカミルクティーを飲めるお店がありましたけれども、そういうところでロングライフ牛乳がすごく活躍をしたそうでありまして、また最近、コンビニでも、気軽にカフェというような感じでコーヒーなどを購入するスタイルも定着しましたので、こういったことも非常に生乳の利用を、使用分を押し上げる一つの要因になってきているのではないかなと思っております。
ちなみに、タピオカミルクティーの次に来るのはチーズティーというものだそうでして、私もちょっと実はまだ飲めていないんですけれども、上にクリームチーズのようなものが載っているものでして、原宿なんかで、すごくおしゃれなお店としても販売されているそうなので、インスタ映えも間違いないと思いますので、ぜひ大臣も一度トライしてみていただきたいなと、私も飲んでみたいと思っております。こういう形で、牛乳とか乳製品が流行して浸透していくというのはすごくうれしいことだと思っています。
また、国産チーズの需要というのも年々高まっているところです。その一方で、EPAによる影響も懸念されるという中で、国産チーズへの取組を強化する必要が引き続きあると思いますが、この供給がなかなか追いついていないという、もったいないような状況も続いておりまして、国産チーズの競争力強化対策というものは引き続き継続する必要があると強く感じておりますけれども、いかがでしょうか。
○伊東副大臣 石川委員のチーズに関する御質問にお答えをしてまいります。
総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、国産チーズの競争力の強化及び品質向上等を図るため、原料乳の低コスト化、高品質化を図る、また、製造コストの低減と品質向上、ブランド化等の取組につきまして、平成二十九年度の補正予算より支援をしてきているところであります。
具体的には、チーズ原料乳の高い品質を確保するために、酪農家の皆さんが行うさらなる飼養管理の高度化や乳質管理に係る取組、また、チーズ工房や熟成庫等、チーズ製造施設の整備、また、チーズの製造技術研修会の開催や国産チーズの試食会、PRイベントの開催等を支援しております。
つい先月でありますが、私も、日本のナチュラルチーズコンテストの大臣表彰の形で、たくさんの、八十以上のチーズ工房の皆様方が参加している大会に出席してきたところであります。
今後とも、これらの事業効果を踏まえまして、必要な対策について検討をしてまいりたいと思う次第であります。
○石川(香)委員 ぜひ継続、引き続き後押しを、よろしくお願いをしたいと思います。
続いて、補給金についてお伺いをさせていただきます。
乳価は、飲用が昨年、四円値上がりということになりましたり、堅調に推移をしているところでありますが、今、大規模化でありましたり省力化ということで、非常に投資額も莫大な額に、北海道を中心に、なっております。
乳価は今後、民間同士の協議ということになりますけれども、補給金も、農家の営農意欲に直結する部分で非常に大切なものでありまして、もとになる生産費というものはあすに出される見通しだと思いますけれども、この補給金の算定につきまして、もとになります生産費調査というものがあると思いますが、この調査がどういう調査なのか、実態がなかなかわからないという声が生産者の中で結構聞かれておりまして、どういったものなのかということをお伺いしたいんです。
補給金の算出方法でありますけれども、小規模の農家から、メガ、ギガと呼ばれる農家までを抽出いたしまして、基本的に五年間、継続的にその農家で調査を続けるということであります。毎日こつこつ農家がチェックをしていかなくちゃいけないということで非常に大変でありまして、逆にそういった農家を見つけるということも大変ではないかなと感じているところですけれども、この大事な補給金のもとになります生産費調査の実態について教えていただければと思います。
○大杉政府参考人 お答え申し上げます。
生乳の生産費統計調査の具体的な内容、実態について御質問をいただきました。
まず、調査協力をいただきます酪農家の選定についてでございますが、これは、統計法に基づいた手法によりまして、誤差の程度を示します標準誤差率というものが一定レベルになるように、頭数規模階層別、それから都道府県別に標本数を定めております。具体的には、平成二十九年度調査では、北海道で二百三十九経営体、都府県で百九十六経営体でございます。
そして、この標本数の調査対象経営体は、頭数規模階層別、都道府県別に無作為に抽出をしているところでございます。そして、抽出した酪農家に実際に調査協力をいただく際に、農協などの協力をいただいているところでございます。
次に、調査手法や項目についてでございますけれども、協力をいただいている調査対象経営体の方々には、現金出納帳、それから作業日誌を配付し、記入していただきまして、また、固定資産を把握するための経営台帳をつくって、さらに聞き取りや資料の閲覧などを行って、データを取りまとめているところでございます。
具体的には、現金出納帳、作業日誌によりまして、飼料費ですとか、獣医師にかかった費用などの獣医師料及び医薬品費、電力や水道等の料金であります光熱水料及び動力費、乳牛への種つけ料などの経費、それから、給餌や搾乳などの作業別の労働時間を把握しております。
さらに、経営台帳によりまして、乳牛、農機具等の償却費について把握をしているところでございます。
以上のように、調査対象経営体の協力をいただきながら、適切に調査を実施しているところでございます。
○石川(香)委員 御丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。
こういう質問をさせていただきましたのも、生産者の方には、国がしっかり責任を持ってこの生産費調査をした上で補給金を算出しているから安心してくださいという、その安心感というのを感じていただくというのが大事だと思うからでありまして、補給金はぜひ営農意欲が上がるようなもので設定をしていただきたいというふうに強く要望いたしますし、引き続き公正なる生産費調査に取り組んでいただければと思っております。
続きまして、今度は価格についてでありますけれども、酪農家にとっても副産物収入になっておりますぬれ子でしたり子牛の価格が下がってきております。
このことについて、酪農家への影響をどういうふうに見ていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、酪農家への副産物収入でございますぬれ子や乳用の雌子牛の価格でございますけれども、平成二十七年度以降、出荷頭数の減少によりまして大きく高騰いたしました後、最近におきましては、後継牛確保の取組で出荷頭数がふえたということもございまして、低下に転じているという状況でございますが、まだ、以前から比べると、依然として高い水準で推移をしているということでございます。
このような副産物収入の変動につきましては、加工原料乳生産者補給金の算定におきまして適切に織り込まれることとなっておりまして、引き続き、生乳の再生産の確保と酪農経営の安定を図るという観点で、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
関連した質問を続けてさせていただきますけれども、今、性判別によって受胎率が上がってきたということもありまして、ホルスタインの雌牛がふえている。
出荷頭数というお話もありましたけれども、雌を効率よくふやすということは、すなわち生産量アップに直結するわけでありますので、非常に必要な取組でありまして、このことは非常に大事なことだと思うんですけれども、そのことが初妊牛価格の低下にもつながるということになりまして、もっと先のことを考えますと、雄と雌のこのバランスが崩れたことでどんな影響が出てくるのかというものは、心配されている生産者の方もいらっしゃると感じております。
酪農家は経営者でありますので、ホルスタイン、F1を産ます、ホルの雌を産ます、そういう選択肢というのは自由に、状況に応じて判断をしてこられたんだと思うんですけれども、今、この雌がふえてきているということに対しての、この先の影響、見通しについてお伺いできればと思っております。
○水田政府参考人 お答えいたします。
近年、都府県を中心に生乳生産は減少傾向で推移をしている、こういう状況の中で、乳用の雌子牛の生産頭数が更新とか増頭の需要に比べて少なくなってきたということでございまして、こういったため、平成二十六年までは四十万円台であった初妊牛の価格が、平成三十一年四月には八十二万円となるなど高騰してきておりまして、酪農生産基盤の強化、これが喫緊の課題ということでございます。
こうした中で、委員御指摘の性判別精液、これの普及によります効率的な後継牛の確保ですとか、あるいは畜産クラスター事業を始めとする体質強化対策、こういった事業の実施によりまして、平成三十年以降は二年連続で乳用牛の飼養頭数が増加をしているという状況でございます。
しかしながら、今年度も生乳換算で約五百万トンの乳製品を輸入するなど、依然として生乳の需要に対して生産が不足しております。
初妊牛価格でございますが、本年十月時点で七十万円程度ということでございますので、高騰する前の四、五十万と比べると、依然として高い水準になっているということでございまして、こういったことを鑑みますと、今後とも性判別精液を活用していただいて、後継牛生産を効率よく行っていくということは必要なのではないかというふうに考えているところでございます。
なお、性判別精液を活用していただくことによりまして、乳用後継牛の効率的な生産ができますとともに、和牛の子牛、これを受精卵移植をするとか、あるいは黒毛の精液をつけまして交雑の子牛の生産をふやすということも可能となりますので、こういったことで酪農家の収益力強化につなげていければというふうに考えております。
○石川(香)委員 酪農家にとって、経営の方法といいますか、バリエーションが非常に多くなってきたというのは非常に大事なことだと思いますし、現状、生乳が足りないということもあって、特段、大きな影響ということに関しては、今、答弁はなかったと思います。
受胎率が上がったというのは非常にいいことでありますけれども、複合的にどういう影響が出てくるのかというのは、これからもぜひ定点観測していただいて、その時々の対応もしていただければと思っております。
続きまして、北海道の生産者の方がよく口にすることでありますけれども、都府県に今牛乳が足りないという状況の中で、都府県に北海道の牛乳を送る際の輸送費を北海道の生産者が持っているということに対して不満を感じている、これは当然、私、そういうふうに思うと思うんです。
都府県が足りないものを北海道の生乳で送っているのに、なぜ北海道の生産者がその輸送費まで持たなきゃいけないんだということで、生産者以外が負担するのが筋ではないかという声は、きっと農水省にも届いていると思いますけれども、このことについてはいかがでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
近年、飲用の需要が堅調に推移する中で、都府県の生乳生産が減少しておりまして、北海道から生乳を都府県に移出する、これの量が増加をしております。御指摘のとおりでございます。
その生乳取引の価格の決め方でございますが、これは乳業者と生産者団体との間の民間同士の契約で決まっているところでございまして、生乳の移送体制、送る体制とその費用負担のあり方などにつきましても、生産者団体と乳業者の間でしっかり議論をしていただいた上で決めていただくべきものというふうに考えているところでございます。
また、委員が御指摘のとおり、生産者の側が輸送費を持っているということでございますけれども、従来から、乳価交渉におきまして、生産者側で生乳の輸送コストを負担する形で取引価格が決定されているということでございます。これによりまして、生産者団体にとっては、需給に応じた配乳調整を円滑に行うことができるという面もあるものというふうに承知をしているところでございます。
○石川(香)委員 まさに今、乳価の交渉でありましたり、この輸送代も含めて、民間同士が知恵を出して折衝しているところだと思います。
計算上は輸送費を差し引いても決して損する仕組みにはなっていないということはわかるんですけれども、実際、乳価が上がると生産者にとってはありがたいですし、私もそこを望むところもあるんですが、しかし、このラインを見誤ると非常に大変だなということも感じておりまして、ただでさえ生乳が足りない中で、より確実にたくさん生乳を集めなくてはいけないし、かつ、消費者に買ってもらえる値段で売らなくてはいけないということで、このバランスが非常に難しい。この価格のバランスは、本当にそれぞれの立場が懸命にお互いを支え合っているという構図でありまして、知恵を出し合っているという状況だと思います。
しかし、今、北海道の酪農家がさまざまな困難に直面をしながらも、大規模化にチャレンジをして、生産量を上げている。今、この日本の生乳生産を支えているというのは、冒頭もお話をさせていただきました。この輸送費の問題も含めて解決するには、都府県の基盤整備というものは必須だと思います。
この輸送費の問題、今御答弁をいただいたことはありましたけれども、ただ、生産者のそういう声が大きい以上は、私も、この問題については皆さんが納得できるような着地点というのをこれからも求めていきたいと思いますし、北海道の酪農家を始め、それぞれの立場が、難しいんですけれども、納得できるような仕組みづくりというものに対してこれからも知恵を絞っていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。
続いては、産業動物獣医師が依然不足をしているという問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
先日、北海道農業共済、農済の皆さんがお越しになりまして、このことについて意見交換をさせていただきました。北海道に限るお話ですけれども、農済に勤務する獣医師は現在七百八十名いるそうでありまして、年間の診療回数が二百六十万回ということでありました。北海道は、広大な土地でありますし、頭数も非常に多い。移動距離ですとか降雪という条件など、地域的な特徴が他県と大幅に違うと思います。
その一方で、産業動物医が足りないということで、まず、産業動物医、獣医師さんをふやす取組というものを早急に取り組まなくてはいけないと思うんですけれども、このことについてお伺いをしたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
安全な畜産物を安定的に供給するためには、お話がありました、農業共済の家畜診療所の獣医師といった家畜の診察を行う民間の獣医師の方、それから、防疫業務に携わる公務員の獣医師など、産業動物の獣医師の確保が重要だというふうに考えております。
このため、農水省といたしましては、産業獣医師への就業を志す獣医学生や地域枠の入学者に対する修学資金の貸与、獣医学生に対する臨床実習の参加への支援、それから、特に割合が多くなっております女性獣医師が再就職、職場復帰するに当たっての最新の知識の取得や獣医療の技術向上を図るための研修等への参加の支援を行っているところでございます。
また、遠隔地や中山間地の畜産農家から画像や音を送っていただきまして、獣医師がリアルタイムで確認して、そこで診断し畜産農家へ指示を行うといった、情報機器を用いた診療の試行的な導入を支援しておりまして、これによりまして、産業動物診察の効率化もあわせて図っていきたいというふうに考えております。
○石川(香)委員 診療の効率化というお話もありました。基本的には車で長い距離を運転して動物を診に行かなくてはいけないという意味では非常に大変でありまして、今いろいろ取り組んでいらっしゃる、修学支援でありましたり、女性獣医師が長く働き続けられる環境づくりというお話もありました。
ぜひ、こういった取組を引き続きしていただいて、獣医師さんの不足というものについて、少しでも解決できるような糸口を見つけていただければと思います。
次も、獣医師が足りないというお話に直結いたしますが、獣医師が足りない現場はほかにもありまして、次は豚コレラについてお伺いをしたいと思います。
ワクチンの接種、先ほどるる御質問がほかの委員からもありましたが、獣医師免許を持つ県の職員である家畜防疫員が実務を担っているという状況でありますけれども、豚を殺処分する際の豚の囲い込みとか、豚を運ぶ、引きずるという表現の方が近いかもしれません、あと、ワクチンを打つ子豚を抱くなどの作業は、それ以外の作業は県の職員が多く携わっているところでありまして、一刻を争う事態の中で、本当に人が足りなくて、現場が疲弊をしております。
現場の状況を詳しく聞きました。
岐阜県の職員のお話によりますと、豚コレラ発生はまさに県政がとまるほどのインパクトがあるというお話をされておりまして、県の職員に関しましては、部署を問わず、発生からこれまで二万人以上の職員が動員をかけられている、時には自衛隊などの協力も得ながら、日々殺処分、ワクチン接種などをしているということでありまして、非常にこの状況が大変な状況であると。そして、その作業中にさまざまな、熱中症でしたり、骨折、心身の不調を訴える職員も多数出ているということで、防疫作業の現場がいかに過酷であるかということがこういうことからもおわかりいただけるのではないかと思います。
一方で、職員の残業手当なども含めまして、各自治体の持ち出しがかなり圧迫をしております。自治体への負担軽減策をより強める必要があると思いますけれども、このことについてお伺いをいたします。
○江藤国務大臣 おっしゃるとおりだと思っています。
自治体の皆様方には大変な御負担をいただいて、県の職員の方々も専門外のことに駆り出されて、心理的な痛みを負いながら頑張っていただいているということは重々承知をいたしております。
ですから、家伝法に基づきまして、防疫員の旅費は全額、それから、雇い入れた獣医師に対する手当は二分の一、国が見る、それについては特交で、後で見ますから、残りの分は五分の四、それでも十分の一残りますけれども、見させていただく。それから、防護服なんかの資材費についても同じように二分の一、あと五分の四、特交で見るということになっております。
ですから、こういうような財政的な支援もさせていただきながら、いろいろな県知事の方々がたくさん来られますけれども、もう既に発生したところもありますし、これからもしかしたらほかのところ、出てはいけませんけれども、出るかもしれませんので、やはり問題の洗い直しをして、当該の都道府県の皆様方にとって、できる限り、人的な負担については大変申しわけないですけれども、財政的な負担についてはできるだけ軽くできるような措置を講じていきたいというふうに考えております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
この人手不足というところでは、先ほど近藤委員からも同じような質問がありましたので触れませんけれども、今、豚コレラの殺処分、ワクチン接種などに追われて本来の業務ができないという状況の中で、またこういうことがあってはいけませんけれども、豚コレラが同時多発するですとか、アフリカ豚コレラがついに発生してしまうということになった場合に、この現状を放置できないと思います。獣医師以外のワクチン接種ということも含めて、踏み込んだ議論の必要性があるということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
済みません、時間の関係上、ちょっと飛ばさせていただきます。バイオマス発電についてお伺いをさせていただきます。
北海道が日本の生乳生産を大きく支えているという話を先ほどさせていただきましたけれども、生産量アップ、規模拡大をしていけば、当然、ふん尿の問題もセットで大きくなってまいります。大規模化とふん尿処理はセットで考えなくてはいけないと思っております。
北海道でありますけれども、私の地元の十勝でも、何年か、このバイオマス発電をつくることができないという課題がありまして、その理由としては、北電が、送電線の容量がいっぱいのために、バイオマス発電をつくることができないということでありました。
この問題はずっと膠着状態が続いておりまして、十勝のみならず北海道の酪農家が頭を抱える問題の一つだと思っています。
そこで、今、北海道の基幹系統増強案というものが示されていると思いますけれども、道東エリアについてお伺いをします。
宇円別変電所に二十万キロワット程度容量を追加するということが既に決定をしていると思います。バイオマス発電に使用する電気量が平均で五百キロワットということでありますので、容量的には決して大きくはないんですけれども、このあきについて、小規模のバイオマス、それから地熱、水力に限っては優先枠を設けようという議論も起こっていると聞きました。
コネクト・アンド・マネージで全国的に容量が大きくなったとはいえ、私の地元の酪農家からは、これに関して、バイオマス発電で容量不足が解消されたという声は聞いておりません。大事なインフラでありますけれども、自然エネルギーと比べてこのバイオマスというものは、政府が推し進めてきた大規模化に伴うふん尿処理が追いつかないという状況でありまして、緊急度が非常に高いと私は思っております。
今、この二十万キロワットの枠については年度末に募集をかけるということも聞いておりますけれども、工期は五年でありまして、一刻も早く容量を確保するということが望まれると思います。
農水省としても、この緊急度の高いバイオマス発電の状況を鑑み、優先枠を強く望むことを期待するんですけれども、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 ぜひ求めていきたいと思います。
和牛についても、堆肥舎の問題が大変問題になっていまして、この要件については緩和をいたしましたけれども、バイオマスについては地産地消型のエネルギー、それから水力の小水力発電も含めて地産地消型の電力形態をつくるのは国としても大変有効な政策だと思いますし、そして、大規模化によって大量に堆肥が出るという現実もあります。
しかし、その堆肥舎をつくる、バイオマス発電は初期投資のお金が莫大にかかるということもまた片方にあって、それについて国としてどれだけの支援ができるかということもあわせて考えながら、経産省の方にもしっかり申入れをしていきたいと考えております。
○石川(香)委員 よろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 立憲民主党共同会派の佐々木隆博です。
しばらくぶりに一般質問の時間を与えていただきましたので、一般質問をさせていただきたいというふうに思います。
最初に、近藤委員からもお話がございましたが、この安倍長期政権のもとで、やはり緩み、おごりというのは非常に目に余るというような状況にございます。
近藤委員から質問がありましたので、私の方からは、改めてというよりは、指摘だけさせていただきたいというふうに思いますが、江藤大臣も、それから伊東副大臣も、政治家としての長い経歴をお持ちでございますので、そういった意味では、県職員の顔も御存じでしょうし、地元の業者のことについてもある程度知っておられるというふうに思うんですね。ですから、知らなかっただけではなかなか済まないというふうに思うんです。改めて答弁は求めませんけれども、十分にそこはこれから留意をしていただきたいというふうなことを申し上げさせていただきたいというふうに思います。
限られた時間でありますので、質問させていただきます。
三点、質問させていただきます。一つは基本計画について、もう一つは、豚コレラではなくてCSFについて、それから酪畜対策についてという三点について質問させていただきます。
最初に基本計画についてでありますが、皆さんのお手元に参考資料を配らせていただきました。これは、基本法が目指すものということで農水省が簡略に模式化したものでありますが、基本計画は、言うまでもありませんが、農業を取り巻く環境変化の中で、基本法というもののビジョンというものを、ある程度期間を区切ってそれを提示するというのが基本計画であります。ですが、特に近年でありますが、いわゆる官邸主導の農政というのが農水省に相当、私的に言わせれば襲いかかっておりまして、なかなか本来の目指す姿を提示できないでいるのではないかという心配をいたしております。
例えば、規制改革会議の提言は、総じて大規模経営というものを目指して市場競争を促すというような大きな流れでありますので、規制を改革、簡単に言うと規制緩和するわけですから、当然そこに競争が発生するという理屈になっていくわけでありまして、結果として非効率な農業というものが淘汰をされていくということになってしまうわけであります。
この食料・農業・農村基本法をつくったときに首相直属の基本問題調査会というのがあって、そこで会長を務められていたのが木村尚三郎という、当時東大名誉教授、西洋史の学者でありますが、この方が強く農村というものを、その当時、主張されておりました。その精神というのがこの基本法の中にも、あちらこちらに、その思いというものが生かされているというふうに私は思っております。
木村尚三郎先生が書いた著書、耕す文化、幾つか本を出しているんですが、耕す文化の中で、文化は地方的で個性的、文明は都市的、普遍的、しかし、文明は文化を駆逐することはできないといって、農村文化の重要性というものを大変重要視をされていて、それが食料・農業・農村というタイトルに生かされたんだというふうに聞いてございます。
そこで、きょう皆さん方にお配りをさせていただいた資料なんですが、この目指すものの中で私はどうも腑に落ちないのは、多面的機能が何で食料と一緒なんだ、本来、多面的機能というのは、農村、一番下の分野に入るべきものなのではないか、基本法をつくったときの精神というものはこんな形で表現されるべきものではなかったのではないかというふうに思います。
もう一つ、裏面になっているんだと思うんですが、全国町村会の皆さん方が昨年の十月に、農村価値創生という報告書を出されてございます。つまり、農村の重要性というものを改めて町村会として提言をしたというものであります。
そういうことで、今、今度の基本計画をつくるにおいて私は一番重要なのは、競争一辺倒の官邸農政から、いかに農林水産省として、国民の共有財産としての農村の重要性というものをどう書き込めるかということが大変大きなテーマになっていくのではないかというふうに思っておりますので、その点について大臣の御所見を伺います。
○江藤国務大臣 全く反論するつもりがありません。ただ、安倍農政について若干申し上げますと、決して悪いことばかりではなかったと思います。
分散錯圃している農地をまとめて作業効率を上げるというような観点はやはり間違っていなかったと思いますし、それには畦畔を取ったり、中間管理機構についても随分御批判もありましたし、私も問題がある部分はあったことは承知はいたしておりますが、しかし、全てだめではなかったと思いますけれども、しかし、大規模に対して極めて手厚くて、中小に対する配慮が足りなかったという御批判は甘んじて受けなければならないというふうに思っております。
これから基本計画の策定に向かっていくわけでありますけれども、自分としてはやはり、日本の農業経営体の約九八%が家族経営体の方々である、そして、かつて一時期は兼業はもうだめだみたいな話もありましたけれども、兼業しながら一定の面積の農地を守って、そして地域のコミュニティーの中に入っていただいて、地域政策として農政を支えていただくという観点もまた重要だと思っておりますので、今度の策定に当たっては、先生の御指摘も踏まえて、しっかりとしたものをつくらせていただきたいと思っております。
○佐々木(隆)委員 私も兼業農家というのを否定はしておりません。私も第二種兼業農家ですから、余り兼業農家をとやかく言える立場にはないのでありますけれども。
ただ、ヨーロッパと日本の兼業、ヨーロッパも兼業農家を進めていると私は思っております。どこが違うのかというと、日本の場合は外に働きに出させたんですね、兼業農家を、建設現場とか。ヨーロッパの場合は農業の中で副業させた。ファームインだとかあるいは乗馬だとか、農家の人に副業させるという形で兼業させたという意味での違いが私はあるというふうに思っております。
そのことによって農村を守ったということもあるわけですが、私の先輩にこういうことを教えられました。お城の石垣は大きい石と小さい石があるから頑丈なんだ、大きい石ばかりだと壁は崩れてしまうんだと。まさに、農村というのはそういう混在をするところに強さがあるんだというふうに私は思っておりますので、そうした意味での家族経営みたいなものもしっかり支えていくということを、ぜひ今度の計画の中で打ち出していただきたいというふうに思ってございます。
その中で、自給率についてちょっとお伺いをいたします。
経済連携協議が、この五年間で、CPTPPを始め、日欧EPA、そしてこの間の日米と、ずっと続いているわけです。ということは、五年前と大きく、そういう意味では局面が変わっているんだというふうに思うんですね。ですから、そうした局面に、今度の計画の中で、とりわけ自給率というものをどういうふうに位置づけていくのかということは、局面の違う中で、やはり大変重要な役割を果たしていくというふうに私は思います。
このごろ、生産額だとかあるいは自給力だとかと、いろいろな話が出てくるわけでありますが、自給力は全く問題外だと私は思って、あのデータを出して誰かが納得するデータかというと、グラウンドを掘り起こしてジャガイモをつくりましょうなんていう話は余り意味のないデータだと私は思うんです。生産額についてはわからぬわけではありません、参考資料として。基本はやはりカロリーベースだと思うんです。
なぜかというと、自給率というのは、長い間のデータがどう変遷をしてきたか、どう推移をしてきたかと見るために極めて重要なわけですね。ですから、五年前から始めましたというものは、余りデータとして、実は参考にならない、年数を重ねていけばある程度なるのかもしれませんが。そういった意味で、私はやはりカロリーベースを中心にいくべきだというふうに思っております。
それプラス、そろそろ、農村を維持していくという視点からいうと、私は、ヨーロッパの理念であります直接支払いみたいなものも検討する時期に来ているのではないか、大きな世界の貿易交渉がどんどんと進む中で、日本の農業と農村を維持していくという観点からすれば、そういうものも必要な時期を迎えているのではないかというふうに思うんですが、その辺についてお伺いいたします。
○江藤国務大臣 カロリーベースと、それから生産額ベースと、自給力についてもコメントをいただきましたが、確かに五年という区切りの中の議論もありますし、それから周りの外部環境も、たくさんの経済連携協定によってステージングがどんどん変わっているということは確かに言えることだと思います。
しかし一方、日本のマーケットは小さくなる一方、世界の人口はふえ続けて世界の食料のマーケットは大きくなっていくということもありますので、そのこともやはり考慮に入れていかなきゃいけませんが、ただ、食料自給率は食料安全保障と、国民の安心と極めて深いリンケージをしておりますので、農家のことだけではなくて、一般にサラリーマンをされているような生活をされている方にとっても、何となく、ヨーロッパはあんなにあるのに、フランスは一〇〇を超えているのに、何で同じ先進国の中で日本は四〇%を切っているのという素朴な疑問に対しては、我々はやはり答えていかなきゃいけない責任があるんだろうというふうに思っております。
これは非常に難しい話で、私は自給力については結構肯定的な意見を持っている方でございますので、また先生とは個人的にお話をさせていただきたいと思いますが、それはやはり面積的に、耕地面積がなくなってしまって、そこに対する担い手である就農している方々の頭数が減ってしまったら、食料生産基盤としての能力を失ってしまいますので、やはり面的な確保も必要だと思います。
そして、カロリーベースになると、畜産なんかは輸入飼料、粗飼料も配合飼料も海外に頼っている、もう先生御存じのとおり、なかなか反映されない。それから野菜も、たくさんつくっても、カロリー的には非常に低いので、これも反映されない。ということであれば、米を全部つくればいいんじゃないかという話になります。それもできない。
そして、直払いについてはいろいろな御意見があると思います。いろいろな条件の土地が日本の中にもあって、規模拡大によって生産性が上げられた農地もあれば、規模拡大が不可能な棚田のようなところもあって、そういったところと平地については若干分けた考え方をされなければならないので、中山間地直接支払いのようなものも存在しているわけでありますが、その先にもう一歩何かあるかという議論は、やはり我々は農水委員会ではしていかなきゃならないというふうに思っております。
○佐々木(隆)委員 ぜひ、審議会でもそうした論点もぜひ議論をしていただければというふうに思います。
私は、生産額については参考値として提示をしてもいいのではないかというふうに思っております。なぜカロリーベースでずっとやってきたか、それは大臣に今さら私が申し上げるまでもないんですが、基礎的食料をどうするかという考え方なわけですよね。だから、生産額なんて、野菜の場合、要するに、代替のきかないものを中心にカロリーベースでやってきた。だけれども、そのときに、副産物の種類が今ふえているので、生産額というものも見たらどうかという意味では、参考値としては私はあってもいいというふうに思いますが、やはりカロリーベースがベースなのではないかというふうにあえて申し上げさせていただきます。
次に、家伝法についてお伺いをいたします。
ずっと政府は、農水省はこの間、ワクチンを打ったことを私は否定はしませんし、これはやむを得なかったというふうに思っております、ここまで広がれば。その中で、私が一番心配するのは、ワクチンを打ったことによって安堵感が広がってしまいはしないかと。それは、農水政策にかかわる皆さん方もそうですし、養豚農家の皆さん方も含めてですが、そこを大変心配いたします。
これまで農水省がずっと言ってきたのは、高位平準化と言い続けてきました。私は、この言葉は正しいと思っておりますが、農水省が求める高位、高い水準が、養豚農家まで含めて平準化されているかというところが、私は一番これから考えなければいけない課題なのではないかというふうに思うんです。ですから、高位を更に高位にするということよりも、どうやって平準化、要するに、養豚農家の皆さん方やそれにかかわる皆さん方にどうやって守らせるか、あるいは実施させるかということをやはり徹底していくということが必要だというふうに思っております。
私は、共同会派でこのCSF対策の本部長をやっておりますので、今そうした視点で少し論点をまとめさせていただいて提言をさせていただきたいというふうに思っておりますので、今農水省でも見直しにかかったというふうに報道されておりますが、ぜひ、この平準化をどうするか、要するに、農水省の皆さん方、あるいは自治体の皆さん方と養豚農家がどうやってこの基準をみんなで守る仕組みをつくっていくか、平準化をどうしていくかということの視点が私は必要だと思いますが、この点についてお伺いします。
○江藤国務大臣 御評価いただいたように、高位平準化は間違っていない。やはり、高い水準を求めていかないといけないので、これは仕方がないというか必要なことではありますが、ただ、それぞれの養豚農家によって施設のばらつきがありますので、なかなか施設的に古くて、やりたくてもできない人もいますので、三万二千枚、これぐらいのステッカーをつくらせていただきました。項目も極めて絞らせていただきました。
今まで、紙では、農林水産省としてはいっぱい、これを守ってください、これを守ってくださいと、局長通達や課長通達、いろいろ出しましたけれども、紙ってすぐどこかに行ってなくなるじゃないですか。ですから、その裏をぺたっと張れるようにして、これを畜舎にしっかり張っていただいて、朝に晩にそれを見ていただけるようなものを三万二千枚ほど、今、農家に配らせていただいております。
ですから、その平準化という言葉というのは、最低限これだけは絶対守ってくださいよというところだと思いますので、それも大事ですし、我々は、大体週に三回ぐらい、農林水産省の中で、ASF、CSFの対策本部を開いておりますが、その中では、家保の関与をもっとした方がいいのではないか、そして過去に、宮崎のように、口蹄疫のような家畜伝染病にかかったところの知見をもっと生かした方がよいのではないか、いろいろな意見もいただいておりますので、御党の取りまとめについてもしっかり読ませていただいて、取り入れさせていただきたいと思います。
○佐々木(隆)委員 ありがとうございます。ぜひお願いをいたします。
農家の皆さん方に守っていただける今の基準というのは、それはそれでわかるんですけれども、それをお互いに相互チェックできるような仕組みが今ちょっと弱いというふうに思っておりますので、そこら辺も含めて提言をさせていただければというふうに思ってございます。
次に、酪畜対策についてです。
北海道人なものですから酪畜対策と言うんですが、標準的には畜酪対策と言うらしいんですけれども、その酪畜対策についてお伺いしたいのです。
所得補償の手法というのは、私は究極的には二つしかないと思っているんですね。一つは保険、一つは補償、この二つの仕組みでどうやって農家の生産を維持していくのか、あるいは発展させていくのかということだと思うんです。
畜産については、私は、保険の仕組みでマルキンというのが、皆さん方の努力もあってですが、相当充実をしてきているというふうに思うんですが、一方、酪農の方を見ますと、事故共済はありますけれども、これは事故のときだけでありますので、所得補償的なものについて、随分、酪農協会の皆さん方と私も、当時議論をさせていただきました。
そのときに出てきたのが、酪農経営支援事業という、草地を、自給飼料というものをふやすことによって何らか所得補償の一部にならないかという仕組みだったわけでありますが、皆さん方に資料三のところでペーパーを配らせていただいておりますが、今、エコ酪事業というふうに名前が変わって、やや似た形で継続をされてございます。
ですが、自給飼料を通してということの目的は同じなんですが、自給飼料は依然としてまだ二五%から二七%程度なんですね。ヨーロッパなんかは牛一頭で一・五ヘクタールとか、草地が義務づけられているわけでありますけれども、そういった意味では、日本はやはり自給飼料の割合がまだまだ少ないというふうに思いますので、この自給飼料と所得補償というのを両面からやはり考えていく必要があるというふうに思いますので、その点についてのお考えを伺います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
酪農の経営安定ということでございますけれども、そのためには、委員御指摘のとおり、輸入飼料への過度の依存から脱却いたしまして、御指摘の自給飼料の視点で、飼料生産基盤に立脚した足腰の強い経営を実現することということが非常に重要だというふうに考えております。このため、各般の事業を実施しているところでございまして、畜産生産力、生産体制、強化対策事業あるいは自給飼料生産拡大のための事業をさまざま実施しているところでございます。
一方で、委員御指摘の酪農経営に特化した直接支払い的な事業ということでは、過去に実施しておりました飼料生産型酪農経営支援事業の後継事業といたしまして、先ほど御指摘いただいたエコ酪事業というものを実施をしているところでございます。この事業は、環境問題に対応するという目的にはなっておるところでございますけれども、飼料作物の生産面積、これに応じて交付金を交付するという直接支払いの仕組みでございまして、こういった事業を適切に運用することによって酪農家の経営安定にも資してまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 最後の質問にさせていただきます。
ぜひ、そういった意味では、畜酪それぞれ、両方ともそうしたベースをしっかりさせるという意味での御検討をいただきたいというふうに思います。その中で、酪農、畜産は、今日まで政策が、規模拡大一辺倒でずっと進んできたわけであります。先ほど石川委員の方からも質問がありましたが、しかし、規模拡大は、私は限界だというふうに思ってございます。これ以上規模を拡大して何とか乗り切るというのではなくて、どういう形で、これから家族的な酪農も含めて、どう進めていくかという政策に変わっていく必要があるというふうに思います。
その中で、酪農家は、御案内のように、二十四時間とは言いませんが、三百六十五日ずっと搾らなければいけない。休日の確保、あるいは傷病で入院したときにどうするというようなときには大変な状況になる、それを補うのが酪農ヘルパーという制度であります。コントラクターだとかTMRだとかというのも同時に進めていただいておりますが、この関連対策の中で、特にこの酪農ヘルパー、年々いろいろな意味で充実させていただいているんですが、結局、三年未満でこのヘルパーを退職するという方が五割もいるわけです。せっかく育てても三年以内でやめてしまうというようなことを繰り返しているわけでありまして、ここはやはりしっかりと、このヘルパーの雇用環境だとか、あるいは、いろいろなところに認知をさせていくとか、いろいろな意味でヘルパー制度を充実させていく必要があるというふうに思いますので、最後にこの点についてお伺いをいたします。
○水田政府参考人 委員御指摘のヘルパーでございますけれども、酪農家にとりまして、労働負担の軽減、あるいは、けがをしたり病気になったときの経営継続のために極めて重要な制度であるというふうに認識をしております。
一方で、酪農家の方々のライフスタイルの変化、あるいは傷病時医療ですね、高齢化に伴いまして需要がふえてきておりますし、一方で、人不足の中で、全国的に酪農ヘルパー要員が不足しているという問題があるということも承知をしているところでございます。
このため、酪農ヘルパーの事業、ALICの事業でございますけれども、これにおきまして、学生インターンシップの受入れに支援をするですとか、あるいは、このヘルパーという職業を認知していただく、この認知度の向上のために就業フェアなどでのPRをする、こういったものも支援しております。
また、今年度より、人材確保のノウハウを持っている人材コンサルタントを活用いたしまして、このヘルパーの採用、あるいは定着の促進に向けて、課題解決の取組を支援するなど、こういった取組内容を拡充して対応してきたところでございます。
今後も一層の要員確保、定着が図られるよう、現場の課題の把握に努めて、適切にしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、ぜひ、江藤大臣のもとで新しくつくられる計画が、まさに、ああ、農水省らしいと言われるような、新しい時代に即した計画がつくられることを希望いたしまして、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、篠原孝君。
○篠原(孝)委員 国民民主党の衆議院の篠原孝でございます。
久方ぶりに農林水産委員会の質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
おくればせながら、江藤大臣、御就任おめでとうございます。いつかこういう機会が来るのを楽しみにしておりました。ただ、ちょっと場所は、私がそっちで江藤さんがこっちの方が、よりよかったような気がいたしますけれども、それは我が党の力不足でしようがないので。
きょうは、豚コレラの関係で質問させていただきたいと思います。
大問題だと思います。アフリカ豚コレラ、これはもう名前を違うようにされる予定のようですけれども、ずっと言われているので、これが猛威を振るっていて、中国どころじゃなくて、北朝鮮、韓国と、もうだんだん押し寄せてきているというふうに聞いております。これが入ってきたら、ワクチンもないし、もうお手上げだというふうに聞いております。
この発生状況、そして水際の防疫体制はどうなっておりますでしょうか。
○河野大臣政務官 ASFにつきましては、昨年八月、中国で、アジアで初めての発生が確認されたところでございます。その後、ベトナムやフィリピンにも感染が拡大し、本年九月には隣国であります韓国でも発生が確認され、現在、アジアで十一カ国において発生が確認されているところでございます。
水際対策に関しましては、現在、我が国への侵入リスクが高まっているため、侵入を防ぐためには、まずは防除対策の徹底が重要であり、関係省庁一体となって対策を講じているところでございます。
具体的には、在外公館や航空会社と連携した外国における情報発信、また、現地空港カウンターでの注意喚起、海外から肉製品を持ち出させないための広報や、家畜防疫官の増員、そして検疫探知犬の増頭、税関と関連した入国者の携帯品の検査など、日本に持ち込ませないための対策に取り組んでおります。十一月十八日には、中国の検疫当局である海関総署との間で、出入国旅客の携帯品等の検疫強化に関する協力覚書を交わしたところでもあり、このような枠組みを活用し、中国の空港における出国者への注意喚起の強化等、実務的な協力を推進していく考えでございます。
○篠原(孝)委員 それでは、ちょっと資料を見ていただきたいと思います。よく聞いていただきたいと思います。
やはり、日本にいないんですから、外国からしか入ってこないんです。これを絶対水際でとめなくちゃいけないと思うんです。その体制が私は十分になっているとは思いません。
これ、ちょっと調べました。中国人が、中国が一番ひどい状況なんですね。観光客としても多い。一番上にありますけれども、二〇一七年の数字で恐縮ですが、一八年もあるんですけれども、全体で二千五百二十三万人の観光客です。そのうちの五百四十七万人が中国人です。一体どこの港を、あるいはどこの空港を利用して来ているか。大きな空港が多いんですけれども、意外と穴になっているのは、下の、小さな空港や小さな港です。下の方を見ていただきたいんです、いかに危険な状態かというのを。
下の段の、検疫探知犬非常住空港の、上から二段目の茨城を見てください、茨城空港を。四万一千五百九十六人のうち三万八千四百八十四人、これだけ来ているんです、わかりますかね。茨城空港は東京に近いので、ここに来て、そして東京に来たりしているんです。
それから、その右下、静岡は十一万ぐらいで、六万四千が、下が中国人です。多いのは、下から三段目、比田勝と書いてありますが、これは対馬です。二十五万八千人が韓国から来ている。ここのルートも考えられるわけです。
問題は、例えば茨城です。茨城は、畜産も盛んです。北海道に次いで、チバラギと呼ばれ、千葉と茨城がいつも、第二位、第三位の農業生産額を争っています。養豚も盛んで、四十六万頭、全国で第六位です。どういうふうな経路をたどって観光をしていくかというと、茨城空港は、安いから来るんです。こういうの、意外にどこかの航空会社がこれをセットしているんです。
それで、日本はきれいなんです、中国から見ると。最初に食事をするのはサービスエリアなんです。日本でおいしいものを食べる、高い、それにはうんとお金を使う。しかし、行ってすぐぐらいは自分の国から持ってきた安いものを食べようというので、サービスエリアで食べるんです。それで、きれいなところで、外で食べて、そこの残り物をごみ箱に入れていくわけです。そのすぐ近所に養豚場があるんです。非常に危険な状況なんですね。こういうことを直していかなくちゃいけないと思うんです。
僕は、ずっと直せ直せと党の会合で言っていたんですけれども、一番いいのは、次の表のところを見ていただいて、次、二ページ、厳罰に処してもらいたい。この間、自民党の方でも、政府・与党の方でも検討されている。これをぜひやっていただきたいと思うんです。信賞必罰でやらなくちゃだめです。だめですけれども、今、これは法律改正が必要です。オーストラリアなんか物すごいんです。信じられないぐらいな罰金です。なぜかというと、簡単なんです。あれは新大陸なんです。旧大陸の変なというか、旧大陸に蔓延している病原菌、ないんです。一旦陸へ入ってしまったら、畜産は壊滅です。だから必死で防染しています。
三ページ以降に、オーストラリアの入国のカードですね、これは物すごく厳しいんです。残念ながら、これはちょっと入手できなかったんですが、農場に一カ月以内に行った人は丸をつけろと、それから、肉製品なんかを徹底的に書かせています。入れさせません。大損失なぐらいです。
これはアメリカのカリフォルニアも同じです。チチュウカイミバエが発生したら、アメリカ国内だって、州外に出せないんです。こういう感覚を国民も農民もみんな持っているんです。だから、それに協力している。
だが、我が日本国は畜産はそんなに盛んではなかった、昔からあるんじゃなかった。だから、これについての防疫体制とかいうのは余りぴんときていないんです。中国も同じです。
それで、今度、見ていただきたいんですけれども、この入管の資料です。上に国が書いてある。
一番最初が日本です。右側のB面に「日本への持込みが制限されている主なもの」と書いてあるんです。
次、韓国。韓国を見てください。左側の方、税関の申告事項のところに、でかく「動物、植物」を書いてあるんです。右側のところにも「検疫確認が必要なもの」と。
次、アメリカ。アメリカは、左側のところに、十一のところですけれども、果物、肉類。そして、家畜の近くにいましたかと。
わかりますか。これをみんな書かせているんです。日本の旅行会社もいいかげんで、こういうのをみんな、もうパック旅行では、最初に旅行会社がぱっぱっぱっとみんな印をつけたりしているようなことをしているんです。これは非常によくないことだと思っているんです。右側の方にも、ちゃんと、農産物、野生生物製品もあります。
それで、ニュージーランドも本当は厳しいんですが、英語だから省きます。
しかし、ほかの国がみんなこれだけ厳しくやっているのにもかかわらず、我が日本国はちょっとしか書いていない。これを直すことぐらいから始めなけりゃいけないと思っているんですよ。検討しろしろしろしろとさんざんせかしているんですけれども、結果が出てきていないんですよ。
私はこの間もEUに行って帰りましたけれども、やはりやっていますよ。羽田空港に着陸の寸前に、豚コレラが発生しています、肉製品は持ち込まないようにとアナウンスでやっています。だけど、お願いしますベースだけではだめだし、耳でもやるし、目でもやらなくちゃいけないんです。簡単に、こんなことは法律改正しなくてできるんですけれども、検討結果はどうなっておりますでしょうか。井上政務官。
○井上大臣政務官 御質問ありがとうございます。
今、税関申告書の変更についての御質問をいただきましたけれども、今現在、こういう申告書をよく見られるというふうに思いますけれども、この申告書においては、裏面に、日本への持込み制限されている物品に対して、肉製品が示されておりまして、肉製品を持っていれば、申告書の表面の日本への持込禁止又は制限されているものを所持しているかどうかという質問に、はいというふうに答えていただくようになっております。
この御指摘もいただきまして、農林水産省と議論させていただきまして、ASF対策等の観点から、農林水産省から改正の要望をいただいて、様式の改正を行わせていただきました。十一月の二十九日付で通達をさせていただいて、十二月の二十五日、ことしの年末までには、印刷の関係それから各国の状況を考えて、今年度までには新しい申告書でやらせていただくようにしたいというふうに思っております。
具体的には、肉製品の持込みの有無についての質問がわかりやすくなるように、税関申告書の表面において、肉製品、野菜、果実、植物等の日本への持込みが制限されているものの所持の有無を直接聞くようにさせていただきました。要は、今御指摘があったとおり、今まではここの項目にありませんでしたけれども、二項目めに、今御指摘いただいた肉製品等のチェックをしていただくように変更させていただきました。
改正様式につきましては、印刷等の関係もありまして、通達を十一月の二十九日、そして十二月の二十五日に実施をさせていただくようにさせていただいております。
以上でございます。
○篠原(孝)委員 ありがとうございます。
皆さんお聞きになったと思いますけれども、ガードのかたい財務省もちゃんと呼応していただいたので、ありがとうございます。
これはもっと早くして、やはりA面にあるのとB面にあるのは違いますので。A面に、今皆さんのお手元にあるところでは、きのう初めて僕も知ったんですが、実は、そういう検討が進んでいて、やりつつあるというのを。このところの、今の皆さんの資料のところに二で、肉製品、野菜、果物、動植物等の日本への持込みが制限されているものというのが、下記の方へ、一から五までしかなかったのに、六までいって、二番目に肉製品が書かれるようになった。これだけでも大分違うと思います。
しかし、これだけでは私は足りないと思います。絶対に足りない。もっとびしばしとやらなくちゃいけないんじゃないかと思っております。
法案として提出してあるんですが、その次のページの表を見ていただきたいんです。出入国管理難民法、去年の臨時国会でさんざん議論していただいた法律ですけれども、その中にこういうのがある、五条に上陸拒否と。まだ港が中心だったので、入国じゃなくて上陸になっております。ここのところに十四項目ありまして、それで、危険なもの、いろいろな変なものを持っている人とか変な人とかいうのを、簡単に言うと入国させないというのがあるんです。
だんだんふえているんですね。その数字はここに出しておりませんけれども、平成三十年には一万人ぐらいが上陸拒否されています。これをやるべきだ、肉製品を持ってくるなら。
なぜそれをしなくちゃいけないかというと、たかが肉製品を持ってきたぐらいでというふうにみんな思っているんです。違うんですよ。被害が物すごく大きくなるわけです。これで泣く畜産農家がいっぱいいるわけです。だから、そういう認識を持ってもらわなくちゃいけないんです。一番いいのは、観光客の皆さんが気楽に持ってくるわけです、大半が。それで、このぐらいと持ってくるのを、それはだめだと言って入国拒否されれば、それは絶対持ってこなくなりますし、旅行会社がそれを嫌がって、ちゃんと本国を出るときにきちっと律しますよ。
それで、この表、なかなか、見てみるといろいろな考えさせられるものがあるんです。
一番最初は感染病、これはわかります。病気になっている人がこちらで病気をはやらせてもらったら大変ですからね。
精神上の障害のある人、この辺になると、こういうのが余り明確に書いてあるのはよくないのかなと思うんですけれども。
その次は、貧困者、放浪者等で生活上国とか地方公共団体の負担となるおそれのある者。誰がどうやって判断するのかわかりませんけれどもね。
四番目は法令違反とか。
麻薬、アヘン、銃だとか剣とか、武器というか変なものを持っている人というのは七とか八にあります。
そして、右側を見てください。
平成十三年、フーリガン、これは日韓のサッカーの共同開催のときに、あの暴れ回る人たちが日本に来るのを抑えるために、その人たちを上陸拒否するためにできた項目なんです。五の二になっています。
それから、人身取引の議定書を締結したときに、それもだめだと言って、平成十七年に入っています。その都度、それから平成十三年にも入っております。
この一部に、これだけ豚コレラが問題になっているので加えたらどうでしょうか。これは、僕は一番有効だと思っているんです。
いろいろ、財務省は、ちょっと遅かったんですが、やっていただきました。これは一歩前進です。もう一つはこれだと思うんですけれども、法務副大臣義家さん、これはいかがお考えになるでしょうか。ぜひやっていただきたいと思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。
○義家副大臣 お答えいたします。
まず、入国審査は、入管法第七条に基づいて、当該外国人が上陸のための条件に適合するか否かを入国審査官が審査することになります。
例えば、豚コレラ、CSFウイルス等を仮に本邦内で拡散する等の目的で同ウイルスに感染した畜産物を持ち込もうとする外国人については、およそ在留資格により本邦において行うことができる活動を行おうとするとは言えず、上陸を拒否することになると考えられます。
また、入管法第五条第一項十四号では、「法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」と規定しているところであり、先ほど述べたような外国人については、これに該当する場合には上陸を拒否することになると考えております。
したがって、あえて入国拒否事由に輸入禁止畜産物を所持していることのみを特出しで追加することには慎重な検討が必要であると考えております。
○篠原(孝)委員 いや、僕は意外な答えだったと思います。
十四号、本当に網羅的な規定なら、こんなふわっとした規定で入国を拒否していいのかなと思うんですね。「各号に掲げる者を除くほか、」いいですか、「法務大臣において」今副大臣が読まれましたけれども、「日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」と。どうやって判断するのかわかりませんが。
それで、これに該当するから今できると言われましたけれども、できるんだったら明示的に書くべきです。さっきの税関の申告書のところにきちんと二番目に書くのと同じように、ここにもきちんと書いて、旅行の関係者、そういう人たち、あるいは来る一人一人の観光客は知らなくても関係者に知らしめて、それは入れさせないよと明示した方が僕は絶対いいと思います。もしそういうことができるということだったら、ぜひやってください。皆さん検討していただきたいと私は思います。
これをやると全然違うと思いますよ。悪さをしなくなる。だって、旅行に来て、日本へせっかく来て楽しもうと思っているのに入国拒否されていたら、パック旅行で来た人たちは、ほかの人たちに迷惑をかけるし、観光業者も困るから、それはもう事前にそういうことをするなというふうになりますよ。予防的措置としてこれだけいいのはないんです。予防的殺処分というのがありますが、そんなところまでいったりしたら手おくれです。入り口で悪いにおいというか、悪いのはもとから断たなくちゃだめなんです。ぜひ検討してください。
一項書き込むべきです。これは多分、いや、そんなことぐらいで書くことはないというふうに思っておられるかもしれませんけれども、日韓のワールドカップ、サッカーのときにもやっているわけです。これがあったせいかどうかは知りませんけれども、あのサッカー場で大騒ぎして悪さする人たちは一人も来なかったんです。入れなかったんです。こういう効果があるんです。前例があるので、ぜひそうしていただきたいと思います。
次、名称問題です。
僕はこれは、変えるのを悪いとは思いませんけれども、日本は日本語があるんだから、英語もちょっと、中学校からやっていますのでわからないわけじゃないんですけれども、農家の皆さんとか消費者の皆さんに英語三文字でというのは、母国語の人たちでも英語三文字で略したりするのをなるべく避けようとしているときに、こういうやり方というのは余りよくないような気がするんです。それはわかっておられるようで、日本語で何とかというのを検討されているようですからいいかと思いますけれども、余りこれはよくない。どういう要請があったのか。
よく消費者が嫌がって、そして風評被害が発生すると、本当ですかと。日本の消費者はそんなに、知らないというか、エデュケーテッド、教養水準が高いですよ。BSEは人間にかかるとイギリスで問題になりました。イギリスでは、人間にはうつらないと言っていてうつって、BSEはさんざん大騒ぎになりましたけれども、豚コレラは人間にうつると思っている消費者はほとんどいないんじゃないですか。イメージが悪い、そういうので変えるという、それは消費者のことを考えて行政をやられるのは非常にいいことだと思いますけれども、一工夫していただいて、私は、日本国ですから、法律用語にもするというんだったら、知恵を働かせて、わかりやすい日本語でやっていただきたいと思います。
次に、その関係ですけれども、その関係で表をもう一つ、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、見てください。変えるんだったら、もっとやっていただきたいというのがあるんです。
ちょっとしつこい話になりますけれども、皆さん、経営所得安定対策という、我が政権時代、我々は農業者戸別所得補償というのをつくりました。一体どのように使われているかというのを言います。これは、OIE、国際獣疫事務局や何かも使っているからといって豚コレラの名称を変えるというんでしたら、国際水準に合わせるというんだったら、こっちも同じようにしていただきたいと思う。
僕はこれは、ヤフージャパンとUSヤフーで調べたんです。この手の、直接支払い、直接所得補償、直接所得支払い、それぞれ英語があるんです。それで、問題の二つ、農業者戸別所得補償、これは農林水産省の公訳、オフィシャルなので、これを使っているんですね、インディビジュアル・インカム・サポート・アローアンス・システム・フォー・ファーマーズと。経営所得安定対策はこうでと。
当然ですけれども、日本の方が、日本では二百七十六万、経営所得安定対策が使われています。戸別所得補償はもう使われなくなっています。余りこれも、長ったらしくて、いい名称だとは本当は思わないですけれどもね。こんな長ったらしい、漢字ばっかしの。小沢さんがこれにこだわったのでこうなっちゃったので、しようがないんです。
それで、じゃ、アメリカではどうかというと、こっちの方がずっと使われているんです。ほかのところ、直接支払いとかいうのを見ていただくとわかると思うんですけれども、経営所得とかなんとかと言っていないんですよ。直接所得、ダイレクトインカム。プライスポリシー、価格政策からインカムポリシーになって、インカムというのが使われている。そこは経営所得も同じなんですが、その後はペイメントかコンペンセーションというような方がずっと使われているんです。そこに経営とかこんなことというのは入っていないんです。
だから、一回、これはもう変えちゃっているのはしようがないですけれども、くるくるくるくる変えないでいただきたいと思います。
青年就農給付金という非常にわかりやすいのがありました。それを、財務省がけちで、五年たったら名前を変えるとか言っているんですけれども、何とか事業だったら変えていいですけれども、そういう給付金とかいうのを、そういうのは変える必要ないですよ。せっかく定着してきたときに、何ですか、次世代人材育成事業とかいって、内容はほとんど変わらないじゃなくて全く変わらないのに、名前だけ変えている。そんな愚かなことをしている国はないと思いますよ。それこそ、消費者や農民のことを考えていないんですよ。
勝手に、役所の都合で五年たったら衣がえをしなくちゃならない、そんなのは、財務省がそんなことを言ったら蹴散らせばいいんですよ。補助事業を何度か変えるのだったらいいですけれどもね。もし、こういうふうに、CSFというふうにやられるんだったら、所得補償のこの名前も国際水準に合うように変えていただきたいと思う。
それよりも何よりも、この方が何回も言っていて、財務省の方が柔軟に対応していただきましたけれども、ゲタ、ナラシというのもずっと使っているんです。余り品のいい言葉じゃないと思いますよ、品がそんなによくない私が言うのも何ですけれども。もっとわかりやすい言葉で、農民にわかるように、政策の名称、それをまずやっていただきたいんですけれども、役人用語で、ゲタ、ナラシとかいって、いかにもわかったようなことで説明している。何のことかわからないんです。
この際、用語の見直しを全面的にしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 篠原先生おっしゃるように、たびたび、内容は変わらないのに国の支援策の名称が変わることについては、私も極めて懐疑的に思っております。大変現場では混乱を来すだけで全く意味がない、こういうことはしない方がいいと私も思っておりますので、私がこの任にある間はそういうことはさせないようにしたいと思います。
このCSF、ASFについては、とにかく風評被害が怖かったんです。ワクチン接種を許容するか許容しないかという議論の最中にも、ひどい人になると、ワクチン接種をしたような肉を精肉にして売っても買う人は誰もいないんじゃないかという乱暴なことを言う人もいました。そういうようないろいろな声を聞いて、名称変更をやろうということになりました。
そして、要請があったのかということについては、いろいろな県から、具体的に、非常に、ありもしない、人間にもいつかうつるかもしれないような不安を惹起するような名称については変更してほしいという御提案が複数県からありました。それから、養豚協会からもありましたし、全国食肉事業協同組合連合会、畜産連合会、そういったところからも御要請をいただいた上で、協議会の方々とも相談した上でやらせていただいたことであります。
そして、こちらの話ですけれども、どうなんですかね。逆に難しいですよね。CSFとこれを一緒に議論するのは、ちょっとこちらは風評被害対策でやらせていただいた面が多いので、少しまた御指導いただければと思います。
○篠原(孝)委員 消費者のこととか生産者のことを考えて名前を変えるというのは、僕は心がけとしては非常にいいことだと思います。もう一工夫していただいて、なるべくわかりやすい名前の事業にしていただきたいということです。
最後に、私のところは、水害に遭ったわけです。千曲川が七十メートルにわたって決壊いたしまして、果樹園がめちゃめちゃになったということです。
びっくりしました。非常に手厚い措置というか対策を講じていただいています。農業新聞の一面トップを飾りましたけれども、全部やると十アール当たり百五十万円。その説明書の果樹のところの右下に水田がありまして、そっちは十アール当たり七万円。
これで、私の、長野県の町村会、町村議長会の皆さんと勉強会というか打合せで意見交換したときに、水田地帯の村長さんが怒り出しまして、篠原さん、違うじゃないか、食料自給率には米の方がずっと大事だ、そこが一反分七万円で、何でリンゴごときが百五十万円なんだと。だけれども、それは違うんですよ、経営再開についてのバックアップも入っているんだということを申し上げました。事実、そのとおりだと思います。
一つ、あれを見て足りないと思ったのは、こういうことです。河川敷は広いんです。みんな、いろいろなのがありますけれども、一番皆さんが行っておられる穂保というところは、滞留し始めていたので、リンゴの木がそのまま残っています。それから二キロ上は全部、根こそぎ倒れています。どこが自分の畑だったか、わからなくなっているんです。
だから、いい機会だと。この際、水田の土地改良で交換分合したと同じように、あっちに一反、十アール、こっちに十五アールあったのを、ここに二十五アールにし、隣の、老夫婦、八十五歳でもうやめたという人の二十アールがあったら、それも一緒にやる。そうやって規模拡大、僕は規模拡大というのは余り好きじゃないんです、まあ、農作業が効率化できますから。そういう交換分合をする。
それから、それとともに、代替農地とか言っていますけれども、後継者がいるところ、ここは、普及組織、市町村の組織、いろいろ挙げて、そういった方向に持っていく。これをぜひやっていただきたいと思うんです。
これはすぐはできません。今は、復興というか、もとの形に戻すことで精いっぱいですけれども、これは、名古屋が、百メートル道路がありますけれども、壊滅的な打撃を受けたので、そうできたんです。それと同じようなことだと思うんです。
ぜひそうしていただきたいと思いますけれども、この点について、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 新矮化とか、いろいろな工夫をさせていただきまして、御評価をいただきましてありがとうございます。
原形復旧というのが基本であります、これはもう言い古された言葉でありますけれども。現地に行かせていただいたとき、御連絡しなくて済みませんでした。先生がいらっしゃると知らなくて、大変御無礼をいたしました。
しかし、改良復旧という考え方ももちろんありますし、その先には再編整備という考え方も私はあってしかるべきだと思います。
特に、河川敷については、どうしてそこで営農が続けられていたか、土地の所有権も含めて、なかなか難しい現場の御事情もあるようなので、そこには立ち入りませんけれども、しかし、今先生がおっしゃったように、自分はやめるというところも吸収して面的整備をして、そして作業効率を上げて生産効率を上げるという再編整備というようなやり方も私は可能だと思っています。
しかし、その前に、先生がおっしゃったように、地域の方々でよく話し合っていただいて、プランを出していただいて、それについて個別に相談に乗るという形にしないと、こっちからこうしてくれというものではこれはありませんので、ぜひ御検討いただいて、また御示唆をいただければというふうに思います。
○篠原(孝)委員 質問時間を超過して、どうも失礼いたしました。
どうもありがとうございました。
○吉野委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
きょうは、近藤議員から、それから佐々木議員から質問と指摘もありましたけれども、私の方からも、政治と金をめぐる問題についてまず質問をさせていただきたいと思います。
最初に、江藤大臣にお伺いします。
江藤大臣の政治資金パーティーにおいて、宮崎県と宮崎市の職員が手伝いをしていたという問題であります。
しんぶん赤旗が東京事務所に確認をしました。これはもう報道もしているんですけれども、東京事務所はこのように答えています。事前に江藤氏の事務所から出席者数を聞かれ、人数分の招待券を送ってもらっていた、会場ではつき合いの範囲で飲食もしていた、謝礼はいただいていないということであります。
大臣は、先ほど近藤議員への答弁で、みずからパーティー券を売りに行ったことはないというふうにおっしゃっていたんですけれども、宮崎県東京事務所は、招待券が送られてきたと言われています。どれだけ送っておったんですか、いつから送っておったんですか。
そして、会場ではつき合いの範囲で飲食もしていたということになります。会費なしの飲食というのは、公選法に触れる可能性が出てまいります。公職選挙法の禁じる供応の疑いがこの話では出てくると思うんですけれども、これはいけないですよね。
大臣は、宮崎二区の選挙区だけで出ているわけじゃない。東京事務所の職員も含めて、有権者である可能性は大であります。こうしたことをお調べになったのでしょうか。公職選挙法に抵触すると私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 どのような取材をされたか私は存じ上げませんが、どのような形であれ、うちの事務所は招待状というものを出すことはありません、まず。どなた様がそういうことをおっしゃったかについて私の事務所から追及はいたしませんけれども、招待状なるものを出したということは、うちの事務所としてはないというふうに思います。
県職員の方々、市職員の方々は、東京に来て、いろいろなところでネットワークをつくる、人脈をつくる、そういったことを目的に、宮崎の農産品を売るとか、いろいろな目的で来られているわけですけれども、そういう場を生かしたいという気持ちが県職員それから市の職員の方々にもあったことも事実だろうと思います。
そして、もちろん報酬は支払っておりませんし、終わった後に、大体、余ったものがあったりしたら食べることはあるかもしれません、そこまで私は存じ上げませんけれども、それが公職選挙法にのっとって違反だという認識は持っておりません。
○田村(貴)委員 大臣、これは政治の問題として、議員、政治家の問題としては非常に大事な問題だと思いますよ。
まず、公務員に対して、公務時間を割いて、そして、厳密な不偏不党の政治的中立が求められるこの職員が、やはり政治活動の手伝いをしていたという問題。
これに加えて、東京事務所は、江藤大臣の事務所から何人来るのかと言われて、招待状を送ってもらっておったと言うんですよ。これはうそを言ったことになりますよね。真偽のほどは確かめていくとして、東京事務所は招待状を送ってもらったと言っているんですよ。招待状というのは、お金を出して参加するわけじゃないんですよ。残り物を食べておったとか、そういう次元じゃないんですよ、大臣。いいですか。
そこで、会費なしの無償の飲食というのは、これはやはりだめなんですよ。供応になっていくんですよ。そうしたことが問われている問題だと思いますけれども、真偽のほどを確かめていただけないですか、事務所と後援会。いかがですか。
○江藤国務大臣 確かめるも何も、招待をしておりませんし、それは東京事務所だからしていないんじゃなくて、政治資金パーティーにおいて、招待というカテゴリーがそもそも、うちの事務所には存在いたしません。
そして、先ほどから、何人来るのかというようなことも聞かれたというふうに言っておられるのは、本当にうちの事務所の話なんですかね。
これは、後ろに私の政策担当秘書がおりますけれども、大体、うちの会は人が会場外にあふれてしまうという傾向もありますので、人数を動員しなきゃいけないような状況にはないので、事前に人数を把握する必要もありませんし、そのようなことをするとは到底思えないということであります。
○田村(貴)委員 取材に対して、東京事務所の次長さんが、しかとお答えになったということであります。しっかりと私たちも検証させていただきたいと思います。
次に、伊東副大臣。
報道では、二〇一七年の十月の総選挙の最中に、伊東副大臣が代表を務める自民党支部が、国の公共事業を請け負う地元の建設業者から寄附を受けていた。六社から計二百六十万円、そして、九月二十八日の衆議院解散から公示日までの間に九社から計百九十二万円の寄附を受けていたと。これは事実ですね。
公職選挙法では、国と契約を結ぶ当事者が国政選挙に関して献金するのを禁止しています。この支部の代表は伊東議員であります。寄附は返金したという先ほどの答弁でありましたけれども、この件に関して、政治的、道義的責任についてはいかに受けとめておられるでしょうか。
○伊東副大臣 ただいまの田村委員の御指摘でありますけれども、先ほども近藤委員にお答えいたしましたけれども、これらの寄附につきましては、いずれも私が支部長を務めております政党支部の活動に対する支援と受けとめております。
先ほどもちょっとお話ししましたけれども、長年にわたって私への御支援をいただいている企業が大半であり、中には、私の後援会の会長あるいは重要な役職を占めている会長もあるわけであります。
他の選挙の場合はその選挙日程というのが決まってくるわけでありますけれども、衆議院についてのみ、これは解散した後、決められた投票日までの選挙期間というふうに設定をされております。この間に、私どもが通常、毎年御支援をいただいている企業から、たまたま九月、十月のその期間に振り込みがあったということでありまして、私も、事務の、選対の職員も含めて、大変に忙しい時期でありましたので、その振り込み内容等について確認を若干していなかったというところはあるわけでありますけれども、いわゆるその企業が、個別の、国の請負契約を結んでいるその内容まで一々調べているかというと、それはないわけでありますので、今お話しのとおり、その企業が、毎年の日ごろの政党支部の活動支援のものだ、このように解釈をしているところであります。
○田村(貴)委員 何か副大臣からは余り反省の言葉が聞かれないで残念なんですけれども、厳密にやはり対処すべきじゃないんですか、選挙期間中の寄附については。入金があった、じゃ、これは国の公共事業を担っている事業者なのかどうなのかとちゃんとチェックして、なったんだったら現行法のもとでは返金する。これがされていないんですよ、この間。
副大臣だけじゃないですよ。名前が出てきたのは、高市総務大臣、それから法務省の宮崎政務官、そのほか自民党の議員さん、いっぱい名前が出てきている、公共事業受注業者からの寄附。
そして、この原資というのは税金ですよね。税金が寄附となって入ってくるわけですよ。そして、このことが表に出て、ばれたら返金する、このパターンですよ。いつまでやっているのか。これは改めなければいけませんよ。
私は、こうしたことが起こらないように、企業・団体献金というのは完全に禁止すべきだというふうに思いますけれども、一連のこの経過も含めてやはりちゃんと明らかにして、会見はされるべきじゃないかなということを申し上げておきたいというふうに思います。
時間がないので、次の質問に入ります。(江藤国務大臣「ちょっと委員、よろしいですか」と呼ぶ)どうぞ。
○江藤国務大臣 先ほど確認をしろという御指示をいただきましたので、次長さんと連絡をとらせていただきました。
残念ながら、我が宮崎県は、複数人数、御協力というかお手伝いをいただいたという実態があって、極めて反省をいたしておりますが、うちの事務所からの招待状のようなものは出していないということが確認できました。
○田村(貴)委員 こちらの方も検証させていただきます。
次の質問に入ります。
クロマグロの資源管理について質問します。
一昨日の十二月三日、テレビ東京の「ガイアの夜明け」という番組がありました。大臣、ごらんになったでしょうか。水産庁長官、来られていますか。ごらんになったでしょうか、なりましたね。私も本当にびっくりしたんですけれども、まき網のクロマグロ漁でこんなことが起こっています。
クロマグロをまき網でごっそりとる、そして、このマグロの重みで、網の下の方におったマグロが圧力で死んでしまう、重みの圧力で。そして、その死んでしまったマグロは海に投棄するということを、まき網の船員が写真を示して公表していました。もう一つは、まき網の船員が、マグロのトロの部分だけを切り取って、それを持ち帰る、それ以外の部位は海に捨てる。これも写真を示して、テレビの番組の中でこれが報道されたということです。
これは本当に許されていい話でしょうか。厳しい厳しい漁獲枠を強いられている沿岸漁民の方がこのことを聞いたら、どう思われるでしょうか。私も何度もこの問題を取り上げてきました。そして、このまき網の船員の方は、勇気ある告発だと思うんですけれども、一本釣りやはえ縄漁の人たちはおもしろくないだろうと。それはそうですよ、こんなことをやっていると。
水産庁は、こうした事実を掌握していますか。知っているとしながら、問題としていないのでしょうか。まず、この点について、知っているかどうかを教えてください。
○山口政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘の報道番組につきましては、元乗組員からの取材ということでございまして、具体的な船名や海域、日時といった事実関係が番組でも不明でございました。したがいまして、これだけでその真相を明らかにすることは困難であると考えております。
○田村(貴)委員 真相を明らかにしていただきたいんですよ、こういう告発報道があった以上は。見て見ぬふりですか。違いますよね。
あの番組の中で、水産庁のかつお・まぐろ漁業室長の方が、そういう情報、死んだマグロの投棄というそういう情報が出てくれば未報告になると。これは未報告だったら大変ですよ。資源管理の問題として、漁獲の割当てからして、大変な問題だと思います。
だから、私はこう思うんです。第三者による、やはり監視員が船に乗らないといけない。大西洋まぐろ類保存国際委員会、ICCAT、ここでは、まき網船に独立したオブザーバー監視員を乗っけていますよね。また、同時に、あの番組では、スペインのまき網漁が出ていたんですけれども、日本とは全然違います。まき網でマグロが入って、それを生けすとしてずっと引っ張ってくる、必要なだけ漁獲するという方法は、日本と全然違います。
やはり、こんなひどいことをやっていることが事実かどうかをまず明らかにする、そしてオブザーバー、独立した監視員を乗船させる、こうしたことをやるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○山口政府参考人 お答えいたします。
太平洋クロマグロにつきましては、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律、いわゆるTAC法に基づきまして、漁獲量の報告を義務づけております。漁業者に対しましては、洋上で漁獲された個体が死亡していた場合には、その後どう処置したかにかかわらず、その数量を採捕したものとして報告するよう指導しておるところでございます。引き続き、適正な報告がなされるよう、しっかりと指導してまいりたいと考えております。
また、御指摘がございましたオブザーバーの乗船の問題でございます。WCPFC、中西部太平洋まぐろ類委員会においては、太平洋クロマグロ資源の水準が極めて低いということの中で数量制限を定められまして、各国がその義務づけられた数量の中で漁獲管理を行っているところでございます。
このオブザーバーにつきましては、漁獲数量を厳格に管理する手段として、WCPFCの措置に基づきまして、まき網漁船等の一部の船につきまして、オブザーバーの乗船を実施しているところでございますが、対象は公海における操業に限定されているところでございます。これを拡大というようなことでございますと、そのための人員体制、費用、受入れ体制の検討が必要となることでございます。関係国との協議に基づき決定する必要があると考えております。
○田村(貴)委員 まき網漁業を指導するんじゃなくて、こうしたマグロが死んだ部分について海洋投棄していた問題について検証すべきだと言っているんですよ。検証すべきじゃないんですか。どうなんですか。
○山口政府参考人 先生からの御指摘でございますが、海洋に投棄をするといったようなことも含めまして、これ自体は漁獲であるということにつきましては、業界に対して指導を徹底しているところでございます。
また、実際に、内部通報等によりまして情報が寄せられたものについて、調査をし是正を図ったこともございます。今回の件は、まだ不明でございますが、そういった情報等提供があった場合には是正措置を講じてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 もう日本全国に報道された話で、この船員の方は、今も行われているというふうに番組の中で証言しています。
水産庁は、これまで、死んだマグロが底びきで大量に揚がった、あるいは海に大量に浮いていたということを漁業者からたびたび報告を受けても、ちゃんと調べてこなかったじゃないですか。だから、こういう事態がずっと続いているんじゃないんですか。今もやっている、これからも起こるであろうと現場の乗組員が言っているんですよ。ちゃんと対処したらどうですか。厳しく指導しているって、そういうのは何ぼでも言えますよ。でも、現在がこうなっている。それは、沿岸のマグロ業者が聞いたら、本当に憤慨する話ですよ。しっかりとこの事実を、どうなっているのか、検証してください。要望しておきます。
次に、畜産農家の支援について質問します。
江藤大臣、宮崎の農家の方々から要望を伺いました。肉用牛の青年後継者からの要望であります。
やはり農家を守っていく上で大事なのは就農支援である、これはもう誰もがそう思います。農水省の支援制度は一応あるんだけれども、全国の農家から言われるのは、親からの経営承継では使えない、何とかしてくれという要望でありました。
この青年の農家の方は、みんな親元承継者であります。農家の子弟が農業次世代人材投資支援事業で支援を受けようとする場合、農水省の方は、親とは違う作目をつくってくださいとか、あるいは、規模を拡大し多角化してくださいというような条件がつくと。こういう条件は、やはり親元承継の阻みになりますよ、阻害すると思います。
こうした条件をやはりやめていく、こういう条件をつけずに新規就農支援は親元承継も同等にすべきであると、要望を聞いて私は思った次第ですけれども、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 この制度ができた当初から、そのような御意見は聞いております。
しかしながら、極めて大規模で農業機械もしっかり整備されている、面的にも整備をされている、そして親元は極めて優良農家で篤農家であって、そして利益も十二分に上げている、そういうところの子弟が、毎年百五十万円いただいて、それを五年間継承することが、新規でリスクを負って就農する人たちから見て果たしてどうなのかということは、やはり検証しなきゃならぬと思いますよ。
私は、親が農家だからその後農家になろうという気持ちについては、極めて尊重しなければならないというふうに思っています。しかし、そういう人たちがやるのであれば、親からのノウハウを学びながら、そして、おやじさんやおじいちゃんの農業機械やそういうものを使いながら新しいものに挑戦するということがやはり求められるのも、一つの要件としては的確だというふうに判断いたしております。
○田村(貴)委員 大規模で、面的整備も進んで、そして利益も上げていると。全部が全部そうじゃないじゃないですか。
そういうことを全国各地から指摘をされているということで、これはぜひ検討、改善をしていただきたい、このことを要望して、きょうの質問を終わります。
○吉野委員長 次に、森夏枝君。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
先週、農林水産委員会で、CSF関連の調査で群馬県へ視察へ行かせていただきました。現場の声を聞く貴重な機会をいただきまして、まことにありがとうございました。
それでは、早速質問させていただきます。
昨年九月に発生が確認されたCSFですが、なぜここまで感染が拡大してしまったのか。やはり、発生直後に、発生原因、感染源が何だったのかを早急に突きとめ、対策を打つ必要があったと思います。
CSFの発生原因について伺いますが、発生原因の特定が難しいとも聞いておりますが、可能性として考えられるものを教えてください。そして、昨年九月から現在まで、ここまで広範囲に感染が拡大してしまった要因についてはどのようにお考えでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
今回、岐阜県におきまして、昨年九月にCSFが発生いたしました。それぞれの発生案件につきまして疫学調査をしております。本年八月には疫学調査に係る中間取りまとめを行っておりまして、我が国への侵入した経路、それから拡大した要因について調査をしているところでございます。
まず、我が国に入っております原因のウイルスでございます。これにつきましては、遺伝子解析を行った結果、中国又はその周辺国から侵入したウイルスというふうに推定をされておりまして、海外から国内のイノシシ群に侵入し、それが発生農場に伝播した可能性ということでございます。
それから、海外からイノシシ群へのウイルスの侵入要因といたしましては、輸入検疫を受けずに持ち込まれた旅行者の手荷物や国際小包によりまして、ウイルスに汚染された肉又は肉製品が持ち込まれ、これが不適切に廃棄され、野生イノシシに感染した可能性が指摘されております。
さらに、農場間の感染の要因につきましては、このようなCSFに感染した野生イノシシ由来のウイルスを、人、車両及び野生動物が農場内に持ち込んだ事例が多いことが指摘されております。
これによりまして、農場によります飼養衛生管理の向上、それから水際の対策等を講じてきたところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
中国などからの侵入の可能性もあるということで、今後、本当に気をつけていただきたいと思っております。
また、衛生管理基準を守らずに、感染が疑われる症状の子豚を出荷した農場があるというようなお話も聞いておりますし、先ほどもお話がありましたけれども、感染媒体として、野生のイノシシであったり、車両や人を介しての感染拡大をしたというような可能性もあると思います。また、ワクチン接種がおくれたということも拡大してしまった要因の一つかと思いますが、非清浄国になることを避けたかったという思いであったり、風評被害、費用の面など、さまざまおくれた要因はあると思いますが、ワクチンのないASFが侵入した際には、このCSFのような対応では日本の養豚業界が大変なことになりますので、今後の対策をしっかりと講じていただきたいと思います。
広範囲に感染を拡大させた要因の一つである野生イノシシへの感染ですが、これ以上の感染拡大を絶対に防がなくてはなりません。人が立ち入りにくい場所の野生イノシシへのワクチンの空中散布実験が始まったと聞いておりますが、抗体の確認等、効果の確認についてはどのように行われるのでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
今般、野生イノシシを介して感染が広がっているということでございまして、野生イノシシの対策といたしまして、捕獲の強化と経口ワクチンの散布を行っているところでございます。
経口ワクチンの散布につきましては、農場周辺のみならず、農場から離れた山中につきましても現在散布を進めているところでございます。特に山中につきましては、なかなか、人の手で埋めるという作業が困難な場所がございますので、このたび、防衛省と協力いたしまして、ヘリコプターを活用した空中散布の実証実験を始めたところでございます。
空中散布におきましても、散布エリア周辺で野生イノシシの捕獲を行いまして、抗体検査及び遺伝子検査により抗体付与の状況を確認することを考えておりまして、今後、専門家の意見も伺いながら具体的な方法を検討してまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
この空中散布を行う場所というのは人が立ち入りにくい場所ということで、イノシシの捕獲も大変な作業になると思いますけれども、抗体の確認もしっかりしていただいて、効果の確認をしていただいて、しっかりと効果の出るものであれば続けていただきたいと思います。
野生のイノシシは大変警戒心が強く、人が手で埋めたワクチンをしっかり食べるのか、効果が出るのか、また、空中散布のワクチンが効果的なのかもしっかり検証して、今後の対応をお願いしたいと思っております。
今後の野生イノシシへのワクチンの空中散布の計画について、どの地域にどのようなスケジュールで行われるのか、教えてください。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
空中散布につきましては、まず実証の実施をしたところでございます。先月二十八日に、群馬県の畜産試験場におきまして、上空から自衛隊のヘリコプターで、いろいろな角度、それからいろいろな速さで実施をしたところでございます。
今後につきましては、専門家の意見もいただきながら、我が国の環境やイノシシの生態に合った効果的な散布方法を確立していきたいと考えております。
今後は、地権者の同意が得られる場所で、それから住民の方に事前に説明会を行うなど注意を払った上で、空中散布を数カ所で行いまして、更に広範囲に散布してデータを収集し、進めてまいりたいと考えております。
具体的な場所、時期につきましては、防衛省及び関係県と調整を進めているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
この空中散布についても、まだまだ時間のかかることかと思います。
CSFによって、十五万頭もの豚を殺処分することになってしまいました。大切に育ててこられた農家の皆さんや殺処分の作業に当たられている農家や職員の皆さんのお気持ちを考えますと、本当に胸が痛いです。
視察先でお聞きをしましたが、ワクチン接種をして、防護柵の設置や、車体や人の消毒をして、防疫体制を強化しているけれども、感染リスクを減らすためには野生イノシシを減らしてもらいたい、できれば絶滅させてほしいなどの声もありました。
イノシシは賢く、なかなかわなには捕まらないと聞いております。ハンターの高齢化、担い手不足の問題もあると思います。野生イノシシの生息数を減らす必要性と今後の取組について、何か考えられていますでしょうか。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
野生イノシシにおけるCSFウイルスの蔓延防止のためには、CSF陽性の野生イノシシが確認されている県及びその隣接県の二十一都府県におきまして現在捕獲重点エリアを設定をいたしまして、捕獲の強化に取り組んでいるところでございます。
したがいまして、委員御指摘のように、生息数を減らすということが大変重要だと考えているところでございます。
この捕獲重点エリアにおけるイノシシの捕獲に対しましては、鳥獣対策交付金によりまして、従来の捕獲頭数に応じた支援以外にも、捕獲者への日当払いができる仕組みを措置するなどの支援を行っているところでございます。
各県の取組状況についてでございますが、先行して取り組まれております東海、北陸地域におきましては、九月の捕獲頭数は昨年よりも四割ほど多いというふうに聞いておりまして、捕獲が強化されている状況にあると承知をしております。
今後とも、野生イノシシにおけるCSFの発生状況を踏まえながら、野生イノシシの捕獲の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。ぜひ、野生イノシシの捕獲というものにも力をしっかり入れていただきたいと思います。
昨日も、皆様もごらんになったと思いますが、埼玉県富士見市の住宅の敷地内の畑でイノシシが出現し、警察と消防合わせて約三十名が一時間かけて捕獲をし、殺処分をしたというニュースがありました。
視察先でも伺いましたけれども、今までいなかったはずのところに、見たことのなかった場所でイノシシを見るようになった、生息数を何とか三十年前、五十年前に戻してもらいたいとの御意見がありました。
野生イノシシの生息数を減らす取組とともに、イノシシも命のある動物ですので、ジビエの利活用を進めていただきたいと思っております。ジビエの利活用の促進について、現在の取組を教えてください。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のように、捕獲の強化とあわせて、ジビエ利用の促進というものが大変重要だというふうに考えているところでございます。
一方、感染イノシシが確認された区域におきましては、原則としてイノシシの肉等を区域外に持ち出さないものといたしまして、販売については自粛するように各県に要請をしているところでございます。
現在、野生イノシシのCSF確認地域が拡大している中で、各施設におきましては、在庫販売でやりくりをされるとか、大変御苦労されていらっしゃるところでございます。しかしながら、現在のところ、このような施設の経営に深刻な影響を及ぼすというところまでは至っていないというふうに承知をしております。
しかしながら、影響が懸念をされているところでもございますので、この感染区域の外からイノシシを搬送するための保冷車の導入、あるいは輸送に係る経費、あるいは、鹿肉に転換するということで、鹿の利用拡大に係る、例えば処理加工施設の改修等、こういったところを支援をいたしまして、ジビエ利用の促進というものを更に図っていきたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
実は、先日、私は、京都府の農林水産フェスティバルというイベントへ行きまして、イノシシの焼き肉をおいしくいただいてまいりました。栄養価も高く、皆さんにもぜひ食べていただきたいと思っております。
私は、機会があればできるだけジビエを食べるようにしておりますし、普及も少しずつですがやっているつもりです。やはり、焼却処分や埋葬処分だけでなく、この利活用というものを促進していただきたいと思います。
CSFの感染拡大によって十五万頭もの豚が殺処分されました。CSFの早期終息、そして野生イノシシの生息数を減らす取組、ジビエの利活用と、そして、食品ロスをしない、動物の命を大切にする取組にも力を入れていただきたいと思います。
視察の際に、ワクチン接種は獣医しか打てず時間がかかっているので、獣医以外も打てるようにしてほしいとの現場の声もありましたが、他の委員からもこの御指摘もありましたが、法律上できないと伺いました。感染を拡大させないために、時間との勝負だと思います。
家畜防疫員の旅費は国費負担と聞いておりますが、この家畜防疫員の確保に関して国が支援できることは何かありますでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、CSFのワクチン接種につきましては、家畜伝染病予防法、それから獣医師の法律によりまして獣医師が基本的に行う、それから、今回の場合は都道府県知事の命令によりまして家畜防疫員が行うということになっているところでございます。
このため、都道府県に対しましては、家畜防疫員が不足している場合には民間の獣医師を臨時の家畜防疫員として任命するよう助言をしているということ、それから、初回接種時等に多数の家畜防疫員が必要となった場合に、県から要請があった場合には他県の防疫員の派遣がなされるよう、国として調整を行うということを県にお示ししているところでございます。
御指摘ありましたように、その際の家畜防疫員の旅費につきましては、法律に基づきまして国が全額負担することになっております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
旅費に関しては国費負担というのは伺っておりましたし、足りない場合には民間獣医師のマッチングといいますか紹介などもしていただけると思いますけれども、都道府県任せでは限界があるのだろうと思います。これは都道府県が出すものだというところもあるかもしれませんけれども、人件費の一部を負担するなど、何か国としてのサポート、支援が必要だと思いました。
群馬県で話を聞いてまいりましたけれども、ワクチン接種がおくれているという事実がありますので、人が足りない、費用も足りないというのは事実だと思いますので、国としての支援も少し考えていただきたいと思います。
感染を拡大させてから農家に補助金を出すという形ではなくて、未然に防ぐことにもっと力を入れるべきだと思います。
野生イノシシからの感染を防ぐためにも、防護柵の早期設置の必要性があると思いますが、資材不足で設置がおくれていると聞きました。早期設置のために、国として何か支援できることはないのでしょうか。
○水田政府参考人 野生イノシシの防護柵の早期設置について御質問いただきました。
この事業につきましては、国が二分の一を補助することとしておりますけれども、その残りの二分の一の部分について、地方自治体が上乗せ措置をする場合、その負担分の八割に対しまして特別交付税の措置というものを措置いたしました。さらには、各県の要望どおり満額の限度額通知を行うために予算を増額をするといった取組もさせていただいておりまして、防護柵の早期の整備を目指して取り組んできたところでございます。現在、順次工事が進められておるところでございますが、引き続き各県に対しましては早期の事業実施を働きかけてまいりたいと考えております。
また、御質問の資材の関係でございます。
防護柵の資材の調達につきまして円滑に進むように、防護柵の販売業者の団体に対して供給の増加を要請する、これまでも言っておりますが、引き続きやってまいりたいと思っております。
いろいろ実情を聞いてみますと、資材はそれなりに足りているけれども業者の方がなかなか確保が大変とか、そういった声もございますので、そういったことも含めて早期に防護柵の整備が進むよう、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
防護柵の費用に関してはあるけれども資材が足りないというような声もありましたので、先ほど御説明いただきましたけれども、しっかりと対応いただきたいと思います。
生産者の方もワクチン接種による風評被害や価格が下がるのではないかという不安の中でのこのワクチン接種に踏み切ったというところですが、視察先でお聞きしてきたのは、もう豚が死ぬ姿を見たくないという言葉が私は非常に印象的でした。ことしの台風などでも多くの家畜が溺死をしたり、処分をしなくてはならないという状況がある中で、本当に大切に育ててこられた家畜が死ぬ姿というのはこれ以上見たくないと思いますし、農家の方々が再び立ち上がることができるように、しっかりとこのCSFの感染には終息させるように力を入れていただきたいと思います。
群馬県の視察の際にお聞きをしましたが、もし感染が確認されたら、生活保障もないので、従業員の生活もあるので、廃業せざるを得ないというようなお言葉がありました。
費用補償もそうですが、メンタルケアも必要です。被災畜産農家への支援について教えてください。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
CSFが発生した農家につきましては、所有する豚を全頭殺処分するということになっておりますので、これにつきましては、家畜伝染病予防法に基づきまして、評価額の全額を国が支払いをしているところでございます。
加えまして、経営再開する場合の支援金といたしまして、家畜防疫互助基金に加入していただいている方につきましては、その間の人件費も含めた固定費について支援をするということ。それから、無利子の制度といった形での支援策をやっているところでございます。
このような対策に加えまして、それぞれの農政局にチームをつくりまして、発生した農家の方々にきめ細やかに相談に乗ることによりまして、養豚農家の方々が安心して再開できるように努めてまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
農家の方々が安心して再開できるようなサポートをしっかりと国としてお願いしたいと思います。繰り返しになりますが、メンタルケアの方もしっかりとお願いをしたいと思います。
CSFの終息ももちろんそうですが、ASFの侵入防止対策については徹底しなければなりません。CSFの感染が一年以上たっても終息をできない現状で、ここまで広範囲に拡大してしまうと大変心配です。予防的殺処分も含め、侵入防止対策についてどのようにお考えか、感染が確認された場合の対応についてお答えください。
○新井政府参考人 現在、我が国へ侵入リスクが高まっておりますASFの侵入を防止するためには、まず第一といたしまして、水際における侵入防止対策、それから、農場にウイルスを入れないこと、三番目といたしまして、万が一発生した場合に早期に封じ込めること、この三つが重要であると考えております。
水際対策につきましては、まず、海外から肉製品を持ち出さないということで、現地のカウンターでの注意喚起、それから在外公館や日本政府観光局、航空会社を通じた広報等を行っているところでございます。
それから、日本に持ち込ませないための水際といたしましては、税関と協力をした対応、それから家畜防疫員の増員、検疫探知犬の増頭等の対策を強化しているところでございます。
加えまして、十一月十八日には中国との間で出入国旅客の携帯品の検疫強化に関する協力覚書を交わしまして、中国空港における出国者の注意喚起を強化していくということにしているところでございます。
次に、農場にウイルスの侵入を防ぐための対策といたしましては、各地での農場の防護柵に対する支援に含めまして、家畜、野生動物の侵入防止対策の義務化を含む飼養衛生管理水準の見直し、それから、関係省庁と連携いたしましたごみ箱対策というのも取り組んでいるところでございます。
それから、迅速な封じ込めといたしましては、防衛省の協力も得ながら、全都道府県に、埋却地や資材のチェック、それから発生した場合の各種のタイムラインの確認を進めているところでございます。
それから、御指摘がございました予防的殺処分につきましては、ASFにつきましては有効なワクチンがないということでございますので、その点につきましては、家畜伝染病予防法改正の中で前向きに検討してまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
ASFに関しては水際対策をしっかりしていただくことと、封じ込めの対策もしっかりお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
――――◇―――――
○吉野委員長 この際、武部新君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党、日本共産党及び日本維新の会の五派共同提案による令和二年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。緑川貴士君。
○緑川委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の御説明にかえさせていただきたいと思います。
令和二年度畜産物価格等に関する件(案)
我が国の畜産・酪農経営においては、飼養戸数の減少が続いている。一戸当たり飼養頭羽数は増加を続けているものの、担い手の高齢化、後継者不足は深刻さを増しており、畜産物の安定供給のためには生産基盤の強化が必要不可欠な状況にある。特に、経営継続の危機にさらされている中小・家族経営を強力に支援するとともに、より多くの若手が就農を目指す魅力ある労働環境を構築することが重要な課題となっている。
また、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)、経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU経済連携協定)が発効し、日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定(日米貿易協定)が締結される中、我が国の畜産・酪農の将来に対する懸念と不安を抱く生産者も多い。
よって政府は、こうした情勢を踏まえ、令和二年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 CSF(豚コレラ)の豚等及び野生いのししにおける感染拡大防止は、現下の家畜伝染病の防疫上、最重要課題である。そのため、野生いのしし対策を強力に推進し、豚等への感染リスクを低減させるとともに、ASF(アフリカ豚コレラ)のアジアにおける感染の拡大を念頭に置き、飼養衛生管理の水準を更に高めるための取組を強力に支援すること。常に、家畜伝染病の脅威を深く認識し、水際検疫徹底を図るとともに、豚等の所有者と行政機関及び関係団体との緊密な連携を確保し、実効ある防疫体制を構築すること。予防的ワクチンを接種した豚等の安全性については、正確かつ適切な情報の提供を行うとともに、不適正な表示に対し適切に指導を行うこと。これらの措置を着実に進めるためにも、地域の家畜衛生を支える産業動物獣医師の育成・確保を図ること。
二 多発する自然災害による畜産・酪農の被害への支援対策を充実・強化すること。特に、被災した機械・畜舎の再建・修繕・再取得や、停電に伴い発生した乳房炎の治療、家畜の死亡・廃用に伴う新規の家畜導入等の支援を行うこと。
三 規模の大小を問わず、地域農業・地域社会を支える多様な畜産・酪農の生産基盤の維持・拡大を図るため、組織的な生産体制の整備、畜産物の付加価値の向上、良質かつ低廉な飼料等の供給等の取組を通じて、魅力ある持続可能な経営が実現できるよう、地域性を踏まえた実効性のある施策を実施すること。
四 CPTPP、日EU経済連携協定、日米貿易協定が、我が国畜産・酪農経営に与える影響の実情については、統計データ等を常に注視し、分析を行い、これを公表すること。また、新たな国際環境下において、関税削減等に対する生産者の懸念と不安を払拭し、意欲ある生産者が経営の継続・発展に取り組むことができるよう、経営の安定を図ること。その際、実施した施策の効果を検証し、適宜必要な見直しを行うこと。
五 加工原料乳生産者補給金・集送乳調整金の単価及び総交付対象数量については、中小・家族経営を含む酪農家の意欲が喚起されるよう、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。
また、期中における一方的な出荷先の変更により集送乳の調整に混乱を来す事例等が発生していることを踏まえ、将来的な酪農家の所得確保や集送乳合理化等の観点から現行制度を十分に検証するとともに、こうした事例が生ずることのないよう必要な措置を講ずること。
さらに、近年、ひっ迫している生乳の需給状況について長期的に見通し、酪農経営の安定と牛乳・乳製品の安定供給の確保が図られるよう、国の主導により各般の取組を一層推進すること。
六 肉用子牛生産者補給金制度における保証基準価格等については、中小・家族経営を中心とする繁殖農家の経営努力が報われ、営農意欲が喚起されるよう、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。
七 酪農経営を支える酪農ヘルパーについては、その要員の確保や育成、酪農家の傷病時利用に際しての負担軽減、利用組合の組織強化への支援を行うこと。また、酪農家や肉用牛農家の労働負担軽減・省力化に資するロボット・AI・IoT等の先端技術の導入、高度な経営アドバイスの提供のためのビッグデータ構築を支援すること。さらに、これらの施策との連携を図りつつ、畜産・酪農への就農を経営ステージに応じてきめ細かく支援する総合的な対策を強力に展開すること。
また、持続的な畜産・酪農構造の実現を図る観点から、畜産GAPの指導員等の育成、普及・推進体制を強化すること。
八 我が国及び世界での国産畜産物の需要に対応し、畜産・酪農の収益力・生産基盤・競争力を強化するため、畜産農家を始めとする関係者が連携する畜産クラスター等について、中小・家族経営にも配慮しつつ、地域の実情に合わせて地域が一体となって行う、収益性向上等に必要な機械導入、施設整備、施設整備と一体的な家畜導入、バイオガス発電等による家畜排せつ物の有効活用、環境負荷軽減の取組等を強力に支援すること。加えて、外部支援組織の活用、家畜能力の向上、繁殖基盤の強化、乳業工場・食肉処理施設の再編整備、国産ナチュラルチーズ等の競争力強化に向けた取組等を支援するとともに、これらの施策等により食料自給率の向上を図ること。
九 我が国固有の財産である和牛の精液や受精卵については、その流通管理の徹底を図るとともに、遺伝資源の知的財産的価値の保護を強化すること。
十 国産飼料の一層の増産と着実な利用の拡大により畜産農家の経営安定を図り、飼料自給率を向上させるため、気象リスク分散等による粗飼料の安定的な収量確保、飼料生産の効率化、放牧、国産濃厚飼料の生産拡大、未利用資源の利用、有機畜産物生産の普及を支援するとともに、飼料生産の基盤整備を推進すること。また、配合飼料価格安定制度については、畜産・酪農経営の安定に資するよう、同制度に係る補填財源の確保及び長期借入金の計画的な返済を促すことにより、制度の安定的な運営を図ること。
十一 国産畜産物の輸出に当たっては、統一マークの活用等により、日本ブランドを前面に立てた販売戦略、国産畜産物の強みを活かす調理技術等の普及を行うとともに、世界での国産畜産物需要の増加に対応できる生産基盤を構築すること。
また、輸出先国・地域の衛生条件を満たす食肉処理施設等の整備を促進するとともに、輸出先国・地域の食品安全に関する規制への対応については、政府一体となって、戦略的かつ迅速に進めること。
十二 原発事故に伴う放射性物質に汚染された稲わら、牧草及び牛ふん堆肥等の処理を強力に推進するとともに、永年生牧草地の除染対策、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むこと。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
○吉野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○吉野委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。
○江藤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○吉野委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十一分散会