第3号 令和2年3月5日(木曜日)
令和二年三月五日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 吉野 正芳君
理事 池田 道孝君 理事 齋藤 健君
理事 谷 公一君 理事 野中 厚君
理事 細田 健一君 理事 石川 香織君
理事 近藤 和也君 理事 濱村 進君
泉田 裕彦君 稲田 朋美君
今枝宗一郎君 上杉謙太郎君
金子 俊平君 神谷 昇君
木村 次郎君 小寺 裕雄君
坂本 哲志君 笹川 博義君
杉田 水脈君 鈴木 憲和君
高鳥 修一君 永岡 桂子君
西田 昭二君 福山 守君
古川 康君 宮腰 光寛君
宮路 拓馬君 簗 和生君
青山 大人君 大串 博志君
神谷 裕君 亀井亜紀子君
佐々木隆博君 佐藤 公治君
長谷川嘉一君 広田 一君
緑川 貴士君 石田 祝稔君
鰐淵 洋子君 田村 貴昭君
森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 江藤 拓君
法務副大臣 義家 弘介君
文部科学副大臣 亀岡 偉民君
農林水産副大臣 伊東 良孝君
外務大臣政務官 中山 展宏君
農林水産大臣政務官 河野 義博君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 堀内 義規君
政府参考人
(出入国在留管理庁在留管理支援部長) 丸山 秀治君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 矢野 和彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官) 浅沼 一成君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 浅川 京子君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 光吉 一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官) 岩濱 洋海君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 大角 亨君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 新井ゆたか君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 菱沼 義久君
政府参考人
(林野庁長官) 本郷 浩二君
政府参考人
(水産庁長官) 山口 英彰君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
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委員の異動
三月五日
辞任 補欠選任
古川 康君 杉田 水脈君
石田 祝稔君 鰐淵 洋子君
同日
辞任 補欠選任
杉田 水脈君 古川 康君
鰐淵 洋子君 石田 祝稔君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)
農林水産関係の基本施策に関する件
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○吉野委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長枝元真徹君、大臣官房総括審議官浅川京子君、大臣官房総括審議官光吉一君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官岩濱洋海君、大臣官房統計部長大角亨君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長塩川白良君、生産局長水田正和君、経営局長横山紳君、農村振興局長牧元幸司君、農林水産技術会議事務局長菱沼義久君、林野庁長官本郷浩二君、水産庁長官山口英彰君、内閣府大臣官房審議官堀内義規君、出入国在留管理庁在留管理支援部長丸山秀治君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君及び厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○吉野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。近藤和也君。
○近藤(和)委員 共同会派の近藤和也でございます。
このたびは、この委員会、順調によい形でスタートを切れますことに感謝を申し上げたいと思います。
特に、この通常国会が始まってからは、さまざまな局面で与野党が衝突し合うという場面があります。その点についてはさまざまな賛否がございますが、この国会が始まってから、当委員会においては、アフリカ豚熱に関しての予防的殺処分ができるその法律が、陰という、形ではなかなか皆様には見えにくかったかもしれないですけれども、与野党一致結束して成立させることができたということはすごくありがたいことだなというふうにも思っています。
そして、今、新型コロナについても、国難と言ってもいいような状況であろうかというふうに思っています。
そこでなんですけれども、通告にございませんが、今回の新型コロナの感染拡大について、今、国会の中では、緊急事態かどうか、緊急事態宣言をすべきかどうか、こういったことが、恐らくは今週、来週、さまざまな意見が出てくるんだろうなというふうに思いますが、江藤大臣におかれましては、現在は緊急事態なのかどうか、その認識はいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 まず冒頭に、先ほど先生がおっしゃいました議法についての党派を超えた御協力に関して、大変、正直なところ感動もいたしましたし、感謝申し上げます。本当にありがとうございました。先生方、全ての先生方に、心からお礼を申し上げたいと思います。
ただいまの御質問につきましては、農林水産大臣としては、私は非常に緊急事態だと思っています、農林水産省としてですね。
しかし、国全体としての判断は、私ののりを越えていることでありますので、それについての言及はいたしませんが、昨日も農林水産省の中において、約一時間、対策本部を開きました。そして、各農政局とテレビ電話をつないで、とにかく各所で、もう現場に張りついて、何が起こっているのか詳細に聞き取って報告をしてくれ、まずは現場で何が起こっているのか、それを把握してから、その先何を考えるかをやらなきゃならないという話を詳細にいたしました。
ですから、全体で、政府としての発表とは別として、私としては、昨年の大雨それから台風災害に劣らない、あれは地域は全国ではありませんでしたけれども、今回のコロナは下手をすると日本全国に及ぼす可能性もありますので、農林水産行政に関して言えば非常に大変な事態を迎えているという認識を持っております。
○近藤(和)委員 大臣としては、農水の大臣とすれば緊急事態だという認識をお持ちだというお答えをいただきまして、ありがとうございます。一次産業に携わられている方々、また加工に携わられている方々も、その答えを聞いて、まず思いを共有してもらえれば、そういったところが幾分か届いているんだといったことで、安心といった最終的なところにまではつながるかはわかりませんけれども、少し落ちついていただければなと私も思っております。
その点でなんですけれども、実際には私どもも、新型インフルエンザ特措法、現状においてこれを適用すべきだ、そして緊急事態宣言をすべきだ、これは私どもの党の、今、党首も含めて主張しているところでございますが、この改正法ということに対しては、実際には緊急事態宣言に至るかどうかといったところも、まだ我々のところも、会派としての答え、党としての答えも、改正といったところでの、その先一歩、宣言といったところがいいかどうかといったところはまだ議論をしなければいけないんだろうなというふうに思っています。
国民の生命と財産を守るといった観点からその答えを出していく、苦しい答えが続くんだろうというふうには思いますけれども、どうかよろしくお願いいたします。
ちなみに、私の地元でいけば、先週は、海のカキ祭りですね、カキ祭りが中止になりました。まさしく書き入れどきと言ってもいいんですけれども、それが中止になったといったことは非常に残念です。この判断そのものは十日ほど前に決まったんですけれども。
さらに、奥能登の方でいきますと、食の市、大きな市があったんですが、それは二日前に中止という形になりました。もちろん食べ物をたくさん供給するわけですから、出店されておられる方々、損害などどうなるのかといったところも含めて、かなり皆さんも困惑を、困惑を超えて、もう苦しいという状況でもあります。
そして、今度の三月八日は、同じくマラソン大会がございます。私もことしも出場する予定だったんですけれども、大体七千人から八千人ぐらい参加されるんですね。走るときに、地元のおにぎり、海産物を食べながら、そして温泉に入って帰っていただく。そこに提供する食材もそうですし、温泉街のキャンセルといったところもどんどんどんどん拡大をしていっている状況です。
質問に入らせていただく前に、私のところではさまざまな一次産業にかかわる方々がいらっしゃいます。この一週間、二週間、多くの業界の方々から御意見をいただいていますので、答えは求めませんが、少しお耳をかしていただければと思います。大体八つ、八人の代表的な御意見です。
お一人に関しては米作農家です。
米作農家に関しては、多くの皆様も、今のところはそれほど影響がないんじゃないかといった答えが多いかと思います。私が聞かれた何人かの米作農家の方もそうでした。ただ、今時間が比較的あるから飲み屋さんに行ってもお客さんが少ないですとか、心配だといったことは間違いありません。あと、肥料が大丈夫なのかなといった御心配の声がありました。
そして、お二人目は農業団体の方です。
直売所、お客さんが明らかに減っている、総会や研修会が開けなくなった、農機具の部品が入ってこない可能性を心配をされておられます。そしてまた、デイサービスでのマスク、そして、物を運ぶ運搬、物流コストがもう上がってきている、ここに対しても大変心配をされておられますし、消毒液、これがもうない、何とかしてくれといったことも言われました。
そして、三番目は宿泊業の方です。
とんでもないキャンセルが起きている、そして曖昧な指示こそが不安だといった声です。風評、デマ、これは曖昧だからこそ、どんどん拡大をしていってしまうと。
そして、その旅館の方が言われたのは、例えば、食材を引き取る、いや要らないといったところも、これも実際のところ力関係なんだよ、旅行会社とのキャンセルについても力関係で、結局は弱いところが泣き寝入りするんだよと。そういった弱いところの方にもうちょっと準備をしてくれといったところは注意をしていただければと思います。
そして、四番目はカキ養殖の方です。
三十年このお仕事をしておられるそうですが、この時期にカキむきの作業がとまるというのは初めてだというふうに言われていました。お手伝いに来ていただく、ある程度御高齢の方々の給料も払えなくて大変申しわけない、種つなぎのところ、そちらに今回っていただいているそうですけれども、いつまでもカキも海に置いておけるようなものではないと。そしてその中でやはり、生鮮食品のこのカキ業者の方は落ち込んでいる。
そしてさらには、今、観光も一斉にとまりましたので、観光はもうバス単位でキャンセルが起きている。ある旅館に、一日、今の時期だと殻つきのカキを一千個納めるのが大体今のペースらしいんですけれども、多くて三百、そして下手をすればゼロだといったことも言われました。そして、政府から自粛の要請が出る前の三連休までは順調だったんだ、自粛が出てから一気になくなった、そういった状況だそうです。
そして、以前であれば、景気が悪いときであれば価格調整すれば何とかなったけれども、今はもう値段を安くしても要らない、買ってくれない、引き取ってくれない、これぐらいの厳しい状況で、リーマン・ショックの比どころではないといった声でした。
そして更に聞けば、カキはゴールデンウイークぐらいでもう完全に終わります、四月を越えればもう終わりますので、例えば、今回の新型コロナが五月、六月になっておさまった、よかったねというわけには私たちはいかないんだ、稼げるべきときに稼げない、そういったこともぜひとも考えてほしいといった声でした。
そして、酪農の方は、今のところは大丈夫、実際には、以降の質問では牛乳のお話をさせていただきますが、今のところは大丈夫だと。ただ、インバウンド消費、これに対しても大変不安で見通しがわからないということです。
そして六番目は加工、野菜についても水産物についても加工のお仕事をされておられる方です。
この方のところには外国人も働いておられますので伺いましたら、その工場には中国の方はほとんどいらっしゃらなくて、ベトナムやモンゴルの方が多いので、今のところは問題ないけれども、こういった国々でも発生したらまた困るかもしれないねと。そして、業務用が大変厳しいということ、一方で、冷凍食品が大変売れているから、これでバランスがとれているから売上げは今のところは大丈夫と。
ただしなんですが、加工業ですからマスクを使います。マスクは大丈夫なんですかということを伺いましたら、そこはしっかり準備をされていて、五カ月は大丈夫というふうに言われました、その工場は。ただ、しかしなんですが、じゃ、それ以降に対しては全く見通しが立たない、入らなかったらつくれないという選択肢もあるかもしれないということでもありました。
そしておすし屋さん、七番目です。
売上げは、この方は二週間ぐらい前だったので、そのときにはまだ売上げはそれほど減っていない。しかし、マグロなどは中国からの加工のものに随分頼っている、うちは三カ月はもつと思うけれども、大手のところはもっともっと厳しいだろうねといった御意見もいただきました。
そして最後ですが、花の小売の方です。
仕入れでいけば、少し前までは一本二百円ぐらいしたものが、今五十円ぐらいだと。ことしは暖かくて、さらに値段が普通でも緩んでいるような状況で、今はその方は十円でも買わないと言われていました。ですから、生産者は相当きついはずだと。
そして、この三月であれば、皆様御存じのように卒業式や送別式、そして四月にいけば入学式もありますが、通常であれば、三月ぐらいになると、花を準備してくれ、買わせてくれ、競りなどかけないでうちに回してくれという電話を入れるようです、市場に対して、仕入れ先に対して。今は逆に、市場の方から、買ってくれ買ってくれという電話が毎日のように鳴っているようです。
その方は結婚式をメーンにしているわけではないですけれども、結婚式場にメーンにお花を入れているところはもうだめなんじゃないか、そういった声も、可能性もあるよということは、その方は心配されていました。
そして、最終的には、生産者もこのままでは厳しいですし、お花屋さんも、最終的には売上げが立たないとだめですから、時間をずれての共倒れといった可能性を危惧をされておられました。
今ちょっと多種多様な方々の御意見を申し上げさせていただきましたが、ほとんどの方々に共通するのは、不安だ、先が見えないといったことです。そして、もうこれは災害と言ってもいいという認識を政府は持つべきじゃないかといったことは、ぜひともお伝えをしたいというふうに思います。この点については、大臣に、先ほど前向きな御答弁をいただきましたので、お答えは求めませんが、ぜひとも受けとめていただきたいというふうに思います。
それでは、具体的なところに入りたいと思います。
私も、この委員会の中で、よく、豚熱、アフリカ豚熱に関して、イノシシの検査のところで、このPCRのところが時間がかかるんだよ、それを何とか短縮できないのかといった話を数カ月前にしたことがありました。
今回、新型コロナに関しては、このPCR検査というものが注目を集めています。農林水産省においては動物用ということだとは思うんですが、何らかの形でこの検査数をふやすことができないのかというのは、これは国民的な関心事だというふうに思いますが、この点について、厚労省から話が来ているのか、若しくは、農水省の方からこういったことができるんじゃないかという提案があるのか、具体的な検討が進んでいるのか、この点についてお答えください。
○河野大臣政務官 お答え申し上げます。
国内での感染状況の把握のためにあらゆるリソースを活用することが必要でありまして、農林水産省といたしましては、CSF、豚熱や、病害虫などの侵入、蔓延防止に支障のない範囲で、新型コロナウイルス感染症の検査にできる限りの協力をするため、厚生労働省と連携をしてきたところであります。
農林水産省が所管する機関が保有をいたしますリアルタイムPCR検査機器は約二百三十台ございますけれども、農林水産省としては、人間には感染しないという前提でこれまでPCR検査を行っておりまして、人に感染するウイルスとは検査の手順が異なることから、新型コロナウイルスの検査を実施するに当たりましては、職員の感染防止や検査の手順の習得、そして検査試薬の提供について厚生労働省の協力を得る必要がございます。
このため、当省の専門家を厚生労働省の検査機関であります国立感染症研究所に派遣をいたしまして、この三月二日に研修を受けさせたところであります。
必要な試薬が届き次第、確実に検査が行えることを確認し、準備を完了させることといたしたいと考えております。
○近藤(和)委員 今検討を進めていただいているということで、総理もこの一、二週間が勝負だというふうに言われておりますので、何とか、無理を通してでも頑張っていただければというふうに思います。
そして、マスクに関しては、きのう答えもいただきまして、農水省としては大体六・五万枚あるということも伺いましたが、職員の数、職員の方で二万人ぐらいいらっしゃってということを考えれば、現実的にほかのところに回せるような状況じゃないといったお答えもいただきました。
実際には、検疫の部分ですとか、このPCRのところについても何らかの形でマスクの消費が必要なんだろうなというふうにも思いますので、この点については答えは求めません。
次の質問に参ります。
総理から、学校を休みにするようにという要請がございました。きのうの時点で九九%の小中学校が休みに入ったといった数字がもう出ておりますけれども、やはり給食については今大変な状況、給食業者の方々ですね、つくられる方もそうですし、仕入れの農家の方々もそうだと思いますが、こういった方々に対しての支援というものは、どういったところまで考えて、考えるのは当然だと思いますが、どこまで、いつまでにといったところは進んでいますでしょうか。
○河野大臣政務官 学校の休校に伴いまして、各地の学校給食関連事業者におきまして、既に調達済みの食材が給食用に使用できなくなり、負担が生じていることに関しましては承知をいたしております。
こうした業者の経営に悪影響が出ないよう、学校給食については教育委員会などとの関係が重要でございますので、文部科学省を始めとした関係省庁ともしっかりと連携をし、どのような対策ができるのか、早急に検討してまいりたいと考えております。
○近藤(和)委員 実際、私、先ほど八人の方の意見を申し上げさせていただきましたが、皆さん、不安なんです。
そして、今、例えば、農林水産省さんとしてホームページ、ツイッター、すごく頑張っていらっしゃると思います。ただし、想像していただければと思いますが、現場の方々がホームページを見るか、ツイッターを眺めているか、チェックをするかということを考えれば、何らかの形で直接的に、いつまで我慢してください、いつになったらお金が来ます、ここまで対処しますということを、私はしっかり伝えていく必要があるんだろうというふうに思います。
もちろん、この学校給食に関しては、文科省といったところが前面だとは思いますが、納入業者の方々などについては、これはもう農水省が深くかかわる部分だと思いますから、何らかの形で直接的に私は伝えていく努力が必要だというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 それは大変大事だと思っております。ですから、連日、省内においても対策本部を開かせていただいております。
学校給食の納入形態についても、自分のところでつくっている学校もあれば、それから給食センターに頼っているところもあれば、いろいろな形態がございます。地域によって、例えばうどんをたくさん出しているところもあれば、ラーメンを出しているところもあれば、パン食が多いところもございます。ですから、食材も全国一律ではなくて、その地域地域で特色があって、多種多様でありますので。
牛乳について、具体的に三万四千円、トン当たりというお話は委員会でさせていただきましたけれども、これについても、どこまで見られるかということをしっかり、正直なところ、財務と交渉しなければなりません。我々としては、まず牛乳の手はずをしっかりとさせていただいて、牛乳をやるということであれば、ほかの食材をやらないという選択肢は、私はないというふうに思っております。
ですから、広く、まず、どういう状況にあるかということを把握した上で、それぞれ細かく対応しなきゃいかぬと思っています。
例えば、パック詰めした牛乳もあります。瓶詰めが済んでしまった分もあります。それは、またそこから運賃をかけて生乳工場に運ばなければならないような例もあると思います。それから、市役所等が直販とか割引でその地域の方々に売った例も、大変ありがたいことですけれども、あります。食品ロスにならないようにですね。それについても、割引して売っているわけですから、その分マイナスの収入になっているはずです。
ですから、細かく実態を把握した上で、やれることはしっかり取り組ませていただきたいと思いますが、いついつまでにどれだけの金額をということについては、もう少し御猶予をいただきたい。
よろしくお願いいたします。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
先ほど、この牛乳の件について、今大臣にお答えをいただきましたが、実際には、生産者補給金の方、こちらの部分は、準備として、結果としてはいくという形だとは思いますが、皆様からは、交付対象外数量にならないように、それは大丈夫なのかという声がありますが、この点についてはいかがでしょうか。
○河野大臣政務官 加工原料乳の生産者補給金に関しましては、本年度の総交付対象数量三百四十万トンに対しまして、一月末時点での見込みでは、本年度の加工原料乳への仕向け量は三百二十三万トンとなっておりまして、その差はいまだ十七万トンあるという状況にございます。
仮に今回休校措置が十五日間でありますと、学校給食用の牛乳向けから加工向けに用途変更される生乳は約三万トンと考えられておりまして、今回休校措置に伴う用途変更数量は総交付対象数量の枠内でございまして、生産者には加工原料乳生産者補給金が確実に支払われるというふうに現時点では考えております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
実は、今質問させていただいたことは、もう既にホームページやツイッターで出ているんですよね。ただ、改めてこの委員会で質問させていただくことに私は意味があるのではないかなと、多くの方々に知っていただくために、あえて質問をさせていただきました。
そして、先ほど大臣には、トン当たり三・四万円の部分、これは実際には厳しいんだ、これを何とかしなければいけない、財務当局と話をするというお話をいただきましたが、例えばですけれども、その試算というもの、全部が全部今までどおりに、学校が普通に開かれて牛乳を普通に納めることができた場合と、その総額、同じだけできますよといった場合に、幾ら必要なのかという計算はされていますでしょうか。
○河野大臣政務官 委員御指摘のとおり、学校給食用の牛乳を脱脂粉乳やバターなどの加工向けに用途変更いたしますと、原料乳の価格に差がございますことから、酪農家段階では一トン当たり約三万四千円の収入減少となると承知をしております。
なお、御指摘のありました学校給食用には、全国で一日当たり約千九百トンが供給されておりまして、仮に十五日間の供給であれば約三万トンとなりまして、総額で約十億円の収入減少となる見込みでございます。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
十億というお金が、一人一人、一業者業者にとってみれば大変な金額、その総額ということではございますが、災害時への対処とすれば、私は、何とかのみ込んでほしいということは、ぜひとも力強く動いていただきたいというふうに思います。
それでは、牛乳から、次に参りたいと思います。
実際には今、牛肉の価格も、豚もそうですけれども、大幅に下がっています。特に牛などは、子牛を買ってから最終的に販売をするまでかなりの時間を要する。その中で、子牛の値段がそもそも高かったというところ、この点については、子牛を育成される方にとってみればいいわけですが、高い子牛を買って、そして高く売れるんだったらいいんですけれども、高い子牛を仕入れて、今のところで販売価格がぎゅっと下がっちゃったといった苦しさも、これも何とかしなければいけないなと思っていますが、例えば牛に限ってですけれども、何らかの対処は考えておられるのか、お伺いいたします。
○江藤国務大臣 このことも、昨日の対策会議の中ではかなり白熱した部分でございました。同じ問題意識を持っております。
今市場に出ているのは、大体八十万ぐらいで購入したものが、今、成牛となって枝肉となって市場に流通しております。A5もA4も価格の下落が著しいということが見られております。特に、外食等で高級な部位が売れないということであると、高級な部位ほどだぶついているという現状もあります。そして、フローズンで入れていなくて、チルドで入れた分が、大体四十日間の保存期間がありますので、それがだんだん切れかかっているという現場の購買者の現状もございます。ということであれば、何かやらないかぬということは強く思っております。
ですから、今、じゃ、牛肉、それから子牛の値段、それから枝肉の値段の下落について具体的に何をするかということは、今、明示的には正直、申しわけないんですが、申し上げられませんけれども、これについては、私は、今、先生も御存じのように、二十四万六千円という増頭奨励対策事業を組ませていただきました。増頭して生産基盤を強化しようというやさきにこれですから、もう生産基盤が、強化どころか壊れてしまうような危機感を私自身持っております。
ですから、この肉の流通、それから販売価格の下落、そして肥育農家の困窮、マルキンが九割補填になっているとはいえ、更に何か考えなきゃいかぬという問題意識は強く持っているということだけ、きょうのところはお伝えさせていただきたいと思います。
○近藤(和)委員 本当にありがとうございます。
豚熱についてのクラスター事業もそうなんですけれども、国の事業で、お金も借りながら、一生懸命やろうよと言った途端にがくっと市場が悪化してしまうというような、今本当に泣きっ面に蜂のような大変な状況でもございますので、今の御認識はありがたいなと。何とかしなきゃいけないという気持ちを、済みません、私も、表現が難しいんですけれども、共有をもっともっとしていけたらというふうに思っています。
その点で、マルキンのお話もございました。さまざまな、一次産業に関しては国からの補償、保険にかかわるもの、こういったものはたくさんメニューとしてはございます。ちょっと私の方で、済みません、この資料の一枚目の左端のところで、共済と収入保険のところをあえて載せさせていただきましたが、そのほかでいけば、この「農業共済をおすすめします!」のところで、ちょっと小さくて読みにくいと思いますが、収入減少影響緩和対策、ナラシですとか、野菜価格安定制度と併用してといったこともございます。
例えば漁業であれば漁業共済などもありますということだと思いますが、こういったところにひっかからないもの、そういったところはやはり大変だと言わざるを得ません。
例えばフラワーの方の花卉ですが、こちらについては補償が収入保険しかないという現状。かつ、これはきのう調べたんですが、五・八万戸の生産者に対して千二百五十三件、割合としては二・二%しか収入保険に入っていません。
この現状について、花の生産農家の方々に対してどうすべきかといったところ、牛の方だけではなくて、そしてまた牛乳の方ではなくて、また野菜づくりといったところでもなくて、こういう現状についての認識はいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 昨年の大雨でも、私の地元でも菊農家などが大分やられてしまいました、施設関係ですけれども。しかし、ほぼほぼ全部、収入保険に入っておりませんでした。
まず、内容を知らない。そして、何となくイメージとして、初年度の掛金、積立金を合わせると大変大きなお金がかかる。次年度は急に安くなるということを、まず知っていただけていない。我々の努力不足で制度の内容の御理解を現場にいただけていなかったことは、私どもの手落ちだというふうに思っております。
そして、今先生がお示しいただいた数字は、実は花だけではなくて、全体に押しなべて、若干数字は上がりますけれども、非常に収入保険は人気が低いです。
野菜価格安定制度等もありますけれども、これは花とは全く関係ない話でもありますし、今回、いろいろなイベント、結婚式も含めて延期、中止というようなことになって、もうキャンセル、そして、野菜等と違って、畑にすき込むというようなこともなかなか難しい花でありますから、これについても何らか考えなきゃいけないと思っております。
それにしても、やはりこれからの農業経営を考えると、認定農業者になっていただいて、その上で、青申をやっていただいて、共済とか収入保険とか、ナラシも含めてですけれども、いろいろなものに加盟していただいて、経営感覚を持っていただいた上で、自分でもリスクヘッジをする、そして国もできることは精いっぱいやらせていただくという、自助努力と公助の部分とをあわせてやはりやっていく必要があるのではないかと思っております。
共済それから収入保険の加入率が低いことについては、問題意識を持っております。
○近藤(和)委員 それでは、食べるカキの方ですが、こちらは漁業共済がございます。ただ、しかしながら、私の地元の方であれば、この漁業共済に入っている方はゼロだというふうに伺いました。大変厳しいです。このことについてもお答えをお願いいたします。
○江藤国務大臣 今回のコロナに関してですよね。(近藤(和)委員「はい」と呼ぶ)海産物も非常に厳しい状態です。
北海道のホタテも、中国への輸出がほぼほぼだめになっておりますし、それからインバウンドの方々が来て、たくさん浜で食べていただいていた、先ほど先生が御紹介いただいたカキ小屋のようなところだと思いますが、そういうものもほぼほぼ開店休業状態になって売れていない。また、作柄も、粒が小さくていま一つ、まだオホーツク産の大粒のものが出ていないという影響もあると思いますけれども、非常に海産物等の影響も大きいと思っています。全国的にも、カキも同じことが起こっております。
これについては、先生の御質問、今おっしゃいませんでしたけれども、東日本大震災のやつを参考にしたらどうかというお話、これは言われませんでしたが、一応、こちらにありますので。
ですから、このがんばる養殖復興支援事業、これは私も読ませていただきました。もうかる漁業ですから、もうけが出たら、半分返して継続するか、卒業するか、それか赤字の十分の九の支援を受けるかというようなメニュー、簡単に言うとそういうものですけれども、こういうものも参考にして、海面漁業全体についてもいろいろ考えていかなきゃならないという問題意識を持っております。
○近藤(和)委員 先ほど、がんばる養殖復興支援事業のこともお話しをいただきました。
要は、今までになかったことを手を打ってきているわけですよね、今まで守れなかった方のところを。実際に今つくったものの補償じゃなくて、今後していくための事業だとしても、今までになかったことをしてきたわけです。実際には、去年でいけば台風十五号、十九号などに関しても、できなかったことができるようになってきた、国からの助成の割合もかさ上げできるようになってきた。いわば、災害なども進化を、規模拡大など、頻度も含めて、悪い意味で進化をしてきていますが、政治の対応も進化をしてきている、これは私は間違いないと思っています。
資料の一のところで、やはり被害額、ざっと、東日本大震災のときは特別ですけれども、それを除けばやはり右肩上がりで被害総額は上がってきているなと。これは一次産業だけに限ったものでございますけれども、今までになかった対応というものがやはり必要なのではないか。
先ほどの、食べるカキであったり、フラワーの花卉であったり、給食などへの対処であったり、あくまでも、国における災害というのは自然災害といった部分での対応がほとんどだったと思いますが、疫病も災害です。特に、一次産業に携わる方は、自然と、見えないウイルス、菌も含めて、こういったものと闘っているということもありますので、ぜひとも進化をしていただけるように、できなかったところをやっていくのが私は政治だと思いますので、ぜひとも努力をしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
残り五分で、大きくは大和堆と豚熱のところをちょっと触れたいと思うんですけれども、一問ずつにちょっと絞らせていただきたいと思います。
大和堆における違法操業問題については、資料二、資料三のところを見ていただければ、少しは減ってはいるけれどもまだまだ違法操業が続いている、そして、スルメイカなどは漁獲高が減って、そして価格も、もうこれ以上、価格硬直性ということで上がらなくなってきている、イカ釣り漁業をされている方もどんどんどんどん減ってきているということでございます。
立入検査、拿捕についてはなぜ進まないのかということはまた後日いたしたいと思いますが、きょうは外務省にも来ていただいています。
別の委員会でもさんざんお話しさせていただいてきていますが、少なくとも国連の北朝鮮のパネルが、もう既に私は、この北朝鮮に対しては何を言っても難しいという状況は、これはあるのかもしれないですが、少なくとも、国連の常任加盟国であるロシアや中国が明らかにこの制裁決議に違反しているということを、国連のこのパネル、その組織が指摘をしているわけですね。
その点について日本政府としてどのような対応をしているのか、私は見えません。この点についてはいかがでしょうか。
○中山大臣政務官 お答え申し上げます。
いわゆる漁業権の問題を含め、安保理決議の完全な履行は重要であります。
専門家パネルによる報告書の中において、この安保理決議の実施状況を包括的に分析し、個別の違反事例に対する具体的な調査結果をまとめたものであると承知しておりますが、報告書の個別具体的な内容の一つ一つについてはコメントすることは差し控えますが、昨年九月の中間報告書の指摘については、累次の安保理決議の実効性を向上させるものとして重要であると考えております。
我が国は、安保理北朝鮮制裁委員会や専門家パネルの作業に積極的に協力するとともに、中国及びロシアを含む関係国に対し、決議の完全な履行を働きかけ、安保理決議の実効性の向上に取り組んでいるところであります。
以上です。
○近藤(和)委員 なぞるような御答弁しかいただけていませんけれども、実際には、このホームページも見ましたら、米国や韓国のみならず、中国、ロシアを含む国際社会と密接に連携しながらと。本当に密接に連携しているのかといったところは、今後とも努力をしていただきたいと思いますし、今後、議論を進めていきたいと思います。
そして、最後の質問になりますが、豚熱、アフリカ豚熱。
もう豚熱に関しては国内に入ってきてしまっていますが、アフリカ豚熱が入ってくれば大変です。今回の新型コロナと同様に、一度水際のところで破られてしまうと、もういかんともしがたくなってしまうといったところで、この資料の最後の一番裏のページですね、資料の4、入管法の改正案につきまして、私どもの方からも法律の方を出させていただいております。
実際には、五条のこの一番上のところ、こちらについては、新型コロナのところを一の二という形でできないのか、そしてさらには、豚熱、アフリカ豚熱など、肉製品の持込みについても、五若しくは八のところでつなげることができないのかということでございますけれども、この入管法の、このままでいいのかということにつきまして、法務省、今、どういった形で議論がされているのか、よろしくお願いいたします。
○義家副大臣 お答えいたします。
まず、政府においては、豚熱及びアフリカ豚熱に限らず、水際における防疫対策を強化するため、省庁一体となって対策を講じているところでございます。
その上で、出入国在留管理庁においては、農林水産省からの要請に基づき、海外からの肉製品の違法な持込みへの対応を厳格化する動物検疫所の取組についても、外国人に対する周知に協力するなどしてまいりました。
今後も、引き続き関係省庁と連携し、水際対策の徹底に努めてまいりたいと思っております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
きょうは時間がありませんので、詳しくは質疑を進めることができませんでしたけれども、実際には、先ほどの答えではさっぱりわかりません。できないことをできないと言うのも政治だと思いますが、できないことをできるようにするというのも政治だと思いますので、いい形で答えを出していけるように、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、石川香織君。
○石川(香)委員 石川香織でございます。
大臣、連日、本当に御苦労さまでございます。きょうも長丁場ですけれども、質問をいっぱいつくってまいりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、私も、新型コロナウイルスの影響について、前半、お伺いをさせていただきたいと思います。
私の地元では、酪農の分野で、湖北省から送り出す機関から実習生を受け入れている地域がありまして、三月、四月、この入れかえの時期に、このコロナウイルスの影響で来られない実習生が複数おります。
今の段階で、来日できない実習生又は帰ることができない実習生の存在をどのぐらい実態として把握されているのか、お答えいただきたいと思います。
○横山政府参考人 お答え申し上げます。
中国人の技能実習生の方々についての御質問でございます。
これまで、技能実習の監理団体、JAですとか法人協会、それから都道府県、北海道も含めまして都道府県、農業法人等の関係者から聴取したところ、委員御指摘のとおり、中国に一時帰国して日本に戻ってこれないという方々でありますとか、あるいは、本来中国から技能実習生に来ていただく予定だったんだけれども、その受入れがおくれている、あるいは、実際、実習が修了したんだけれどもなかなか中国に戻れないでいるといった方々がおられるというふうに承知してございます。
また、これから、このコロナウイルスによる影響が長期化あるいは拡大といったことになった場合に、農繁期に入る地域もございます、そうした場合に、技能実習生が多い地域では、これから農業経営にさまざまな影響が出るんじゃないかといった懸念をする声があることも承知してございます。
引き続き、農林省としても、都道府県、関係団体から現場の情報収集に努めながら、制度を所管しています厚生労働省ですとか法務省とも連携をいたして、状況の推移に即した対応をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
けさの日本農業新聞にもこの話題が一面で載っておりまして、長野県の例が出ておりましたけれども、五百人の実習生が入国できなくなっていると。茨城のJAも同じく、春節で帰国して日本に入国できない人が十人、あと、本来来る予定だった人が来れなくなったのが四十八人ということで、五十八人が結局日本に入国できなくなっているということでありました。
全体の総数としてはまだなかなか把握が難しいかもしれませんけれども、これは、農業の現場だけではなくて、いろいろな産業で技能実習生という方は活躍されていますから、非常に大変な問題だと思っています。
そこで、新型コロナウイルスの影響でこうした帰国できない実習生に対して配慮した措置の必要性というものがあると思いますけれども、きょうは出入国在留管理庁の丸山部長にお越しをいただいておりますので、お答えをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の影響により、帰国便の確保や本国国内の居住地への帰宅が困難な技能実習生の方につきましては、帰国できる環境が整うまでの間、一時的な滞在を認めることとしております。
具体的には、短期滞在三十日への在留資格変更許可をするほか、従前と同一の受入れ機関において同様の業務に従事することを希望される場合には、特定活動三十日への在留資格を変更許可することとしております。
これらの取扱いにつきましては、法務省ホームページにおきまして公表するとともに、外国人技能実習機構を通じて監理団体に対しても周知を図っているところでございます。
出入国在留管理庁としましては、引き続き、個々の技能実習生の置かれた状況に十分配慮しながら、柔軟に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○石川(香)委員 今御説明いただきました帰国困難者の対応策としては、就労なしで三十日間、在留期間を延長するもの、技能実習生として更に三十日延長するもの、あと就労するものというものがあるということで、まさしく緊急措置をとられたということで、迅速な対応をしていただいたということに感謝を申し上げたいと思います。周知がまだなかなか広がっていないと思いますので、この周知を、まず引き続き徹底していただくということをお願いしたいと思います。
日本に来れない実習生に関しましては、本来日本に来る予定で、日本語の勉強なんかもしながら準備をしていた方を、今回こういう理由で日本に来ることを諦めてもらうかどうかというところもありまして、このことに関しては、あくまで来る予定だった方の了解もありますし、なかなか簡単にはいかないようなところもあるというふうに聞いております。
そういった中で、手続の簡素化であったり、ほかの国から入国してもらうかとか、そういう手続が今後対策として必要になってくるのではないかなと思っています。
逆に、実習生が来れなかった場合、実習生は、あくまで技能をその国の方に教えて、自国に持って帰ってもらうということが趣旨ではありますけれども、とはいえ、実態として経営の貴重なパートナーとして農家の皆さんは迎え入れているわけでありまして、実習生が来なかった場合は日本人のアルバイトなどを募集したりするということもあり得るかもしれませんけれども、なかなか簡単ではありませんし、金銭的な問題も発生するということで、引き続き、しばらく混乱しているかもしれませんけれども、ぜひ今後も動向を注視していただいて、対策というものをその都度考えていただければと思います。
きょうは、丸山部長、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。
次も、新型コロナウイルスが与える日本の農業への影響についてお伺いをさせていただきます。
先ほどの近藤委員の質問にも少し重なるところもございましたので、少し変則的になりますけれども、まず、学校が休校になったということで、生乳の行き場がなくなるのではないかという報道もたびたび流れております。学校給食がストップしたことで生乳流通というのはどういうふうになっていくのか、現時点の見通しをお伺いしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
学校の休校に伴う学校給食の停止を受けまして、先週金曜日、二月二十八日でございますが、全国連や指定団体などの生産者団体、乳業メーカーなど関係者に集まっていただき、意見を交換したところでございます。
国内には、学校の長期休暇、春休みとか夏休みなどの飲用需要が減少する時期に備えまして、需給調整のために脱脂粉乳やバターなどの製造を行う乳業工場が、東日本に三カ所、西日本に四カ所ございます。
このため、今回キャンセルとなった学校給食用牛乳向けの生乳につきましても、関係者が協力いたしまして広域の配乳調整を円滑に行うことによりまして、これらの乳業工場で加工品の製造用に使うということで対応いたしているところでございまして、今後とも、関係者としっかり連携いたしまして対応してまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 生乳の需給は、年末年始ですとか夏休み、春休みといった長期休みにどうしても減るというのは一年の流れの中であるんですけれども、今は、その春休みをかなり前倒ししたような形で、加工用にシフトしているということ。
おとといの参議院の予算委員会で、大臣が、農水省として何らかの手だてをしたいとおっしゃっておりました。先ほどの答弁では、十億円の収入減少が見込まれる中で、財務当局と話をしているという御答弁をいただけましたので、ここはちょっと省かせていただきたいなと思いますけれども、収入が減るということに対しては、今後そういった支援というものを考えていただけるのであるということでした。
現場の乳業メーカーなどに聞いたところ、今の段階では、大変ですけれども何とか通常どおりの操業で対応できているということでありました。いきなり廃棄とかそういうことにはなりませんけれども、不安をあおるのはいけませんけれども、いつこのコロナウイルスが終息するのか、四月からしっかり学校がまた始まってくれればという話でありましたので、先の見えない恐ろしさというのは生産者にはかなり広がっているのかもしれません。
学校を休校にするかしないかという判断は、各自治体の教育委員会が判断するということで、市町村単位でその単位が分かれると思います。となりますと、その市町村ごとに、配乳で少しいつもよりも遠いところに牛乳を運んだりですとか、ちょっとそのオペレーションが複雑化してくるんだろうと思います。当然そのルートも変則的になっているのではないかということで、現場は大変だと思います。
そのあたりのやりくりに、今のところ混乱は生じているのか、いないのか、どういう認識をされているのかということをお答えいただければと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、広域の配乳調整が必要になります。いつもと違う乳業工場に持っていくということが必要になってまいりますので、生乳の受入先となる工場の稼働状況あるいは輸送経路の調整が必要となってくるものでございます。関係者が緊密に連携することが不可欠というふうに考えております。
このため、広域の配乳調整を円滑に行えるよう、先週の金曜日に、全国連、指定団体などの生産者団体、そして乳業メーカーなどの関係者に集まっていただき、意見交換をしたところでございます。
農林水産省としては、引き続き、関係者と連携を密にいたしまして、混乱が生じないよう対応をしっかりしてまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 各乳業メーカーの工場によって、飲用の工場ですとか、また加工向けを扱う工場ですとか、それぞれ違うと思います。
今局長おっしゃったように、生産者はいつもどおり牛乳を搾っていただいて、指定団体と乳業メーカーの間でぎりぎりの調整が続いている中で、今この作業が行われていると思います。
飲用を脱脂粉乳やバターに切りかえるということで、加工にウエートを置いているということですけれども、近年、脱脂粉乳は、非常に在庫が多くなっていると言われております。二〇一九年度の輸入枠も、今在庫が多いということから、六千トン減らすという方針というものも発表されていると思います。
昨年八月の時点で七万一千トンという数字もありますけれども、今現在、この脱脂粉乳、在庫を積み上げて大丈夫なんでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
脱脂粉乳につきましては、委員御指摘のとおり、在庫がふえてきております。脱脂粉乳の一月末時点の在庫量は、前年の同期を上回る水準で、七万三千トンとなっているところでございます。現在の消費動向から考えると、比較的高い水準になっているということでございます。
このため、令和二年度の脱脂粉乳の輸入枠につきましては、実需者を交えまして、乳製品需給等情報交換会議、こういったものにおける意見とか、直近の、やはり緩和傾向にあるということを踏まえまして、昨年は一万四千トンでございましたけれども、令和二年度は、それから更に一万トン少ない四千トンの枠数量を設定いたしたところでございます。
脱脂粉乳が消費を上回って生産されると在庫として積み上がるわけでございますが、脱脂粉乳の在庫はかなり容易に変動いたします。猛暑によりまして生産減少、あるいは、ヒット商品が出ますと、ヨーグルトとかのヒット商品が出ますと消費が増加するということがございますので、引き続き、国内需給の動向を注視しながら、安定供給に努めてまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 数字を更新していただいて、済みません、ありがとうございます。
今お話の中にもありましたけれども、ヨーグルトなどに脱脂粉乳が使われるということでありますけれども、ある程度在庫が積み上がってしまえば、当然、消費できる期間が来てしまうということで、脱脂粉乳をどうやって有効活用していくかということが大事になってくると思います。
今、ヨーグルトの種類っていっぱい売っていますけれども、何か日本の市場ではヨーグルトの消費が鈍ってきたということもあるそうでありまして、脱脂粉乳の用途の広がりのためにどのような策があるでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
脱脂粉乳もございますけれども、それを含めました牛乳・乳製品全体の需要拡大ということは、我が国酪農、乳業の発展のために極めて重要であるというふうに考えておるところでございます。
そのためには、牛乳・乳製品の健康機能ですとか消費者の認知度の向上といったものを図る、あるいは乳業者の方々に消費者ニーズに即した商品開発等をやっていただく、こういったことを促していくことが非常に重要だと考えております。
農林水産省といたしましては、牛乳・乳製品の価値を訴える、こういうためのセミナーなどの開催、あるいは乳業者による新商品の開発の取組、こういったものを支援しておるところでございまして、こうした取組を通じまして、牛乳・乳製品の需要拡大というものを図ってまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 メーカーも商品開発で一生懸命頑張っているところだと思いますが、輸出される牛乳・乳製品の中で、ウエートが重い粉ミルクというものがあると思いますけれども、この粉ミルクの原材料は、ほとんどが外国産だということでした。
外国産の脱脂粉乳を日本で加工して輸出をしているというわけでありまして、当然、国産にそれを切りかえれば、いろいろな問題はあると思います、大変さはあると思います、価格がいろいろ高くなるとかあると思いますけれども、世界から評価をされている安心、安全な脱脂粉乳、生乳の使い道の一つでありますので、ぜひいろいろな工夫をしていっていただきたいなと思っております。
いろいろ牛乳のことについてお話を伺いましたけれども、今、一人一人がいろいろなところで牛乳を飲もうという運動をされているのを私もいろいろなところで見かけます。今まで給食で一杯の牛乳を飲んでいたわけですので、その一杯を家庭で飲むとか、あとは、今まで牛乳一パックを買っていたところを二パック買ってみようとか、そういう一人一人の心がけというのはすごく大事なんじゃないかなと思います。
そこで、農水委員会でもぜひ、この委員会で、お水はありますけれども、牛乳にするというのもいかがかなということをぜひ、委員長、理事会で取り計らっていただければと思います。
○吉野委員長 はい。
○石川(香)委員 参議院ではやっているんですものね。ぜひ、この局面をみんなで支えていこうという思いが大事だと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、野菜についてもお伺いをさせていただきます。(発言する者あり)はい。
委員長、理事会でお願いします。
○吉野委員長 はい。後刻、理事会で協議をいたしたいと思います。
○石川(香)委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
一方、野菜なんですけれども、新型コロナウイルスの影響で、一時、中国産の野菜の輸入が非常に少なくなりまして、影響があったんですけれども、今、ほぼ九割方戻ったということでありました。依然、外食産業などでは影響が大きいかと思います。
この野菜の輸入量が減っているさなかでも国産野菜の価格が上がらないというのが、今、農家の方を非常に苦しめていることであります。消費者の目線でいえば、いろいろなことがあっても野菜の価格が落ちついている、安いというのはうれしいのかもしれませんけれども、生産者からすると非常に厳しい状態が近年続いています。
私の選挙区の十勝では、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンそれから大根、非常に価格が安い状況が続いています。
まず、この要因を教えていただきたいのと、この流れは全国的なものであるのかということを御答弁いただきたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
ことしの野菜の需給に関してでございますけれども、非常に記録的な暖冬でございまして、非常に生育がよかったということもございます。一方で、暖かかったので鍋の需要が、鍋を食べる方が少なくなっていたという話もございまして、そういった点で、需給が大幅な緩和基調になっていたということでございます。特に露地野菜等におきましては、全国的に価格が低下しているという状況でございます。
○石川(香)委員 気候変動が大きく影響しているということでした。暖冬の影響で大きくなる、収穫が早まるとかそういうこともあると思います。あと、消費者動向も影響があるということでした。
暖冬の影響で、こうした価格の懸念もありますけれども、品質でも非常に心配なところもありまして、北海道では、秋まき小麦ですとか長芋というものを、今は土に埋まっている状態ですけれども、本来、雪がたくさん降れば雪の布団のようになりまして順調に育っていく予定なんですけれども、その雪が暖冬によって少ないことで外気にそのままさらされてしまうということで、凍害、結局、凍って腐ってしまうという被害が昨年もあったんですけれども、ことしも非常に心配をされているということでありました。
今、全国を中心に物流が非常に鈍っている中で、国産野菜が、価格が変動するか少しよくなるかということもあったんですけれども、今の段階では大きな変動はありません。国内で流通する野菜のほとんどが国産であるということもありまして、なかなか国産野菜の相場が、今の段階では影響を受けづらいという見方があると思います。
それどころか、今は、給食で使うはずだった野菜が市場に出るということになりましたら、更にこの野菜の価格が下がってしまうのではないかという懸念があるかと思いますけれども、このあたりについての見通しをお伺いしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
現段階で全体への影響というものを見通すのは困難でございますけれども、委員御指摘のとおり、野菜の生産農家あるいは青果業者からは、学校給食の停止に伴い野菜の注文がキャンセルになったという状況にあるというふうに聞いておるところでございます。
私ども、全国の小中学校での学校給食の野菜の摂取量を調べましたところ、野菜の摂取量全体の一から二%程度ではございますが、本年の野菜の需給は、先ほど申し上げましたように、記録的な暖冬の影響によりまして大幅な緩和基調にございます。
引き続き、しっかりと需給の動向等を注視するとともに、野菜価格安定制度がございますので、これによりまして生産農家の経営安定にしっかりと努めてまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 給食で使う野菜は全体の一、二%であるとはいえ、引き続きこの動向というものについても注視をしていくというお話がありました。
価格安定制度ももちろんあると思いますけれども、もう一つ農家を苦しめている、またこれは北海道の農家の話になりますけれども、北海道から本州に野菜を送るときに輸送費がかかるんですけれども、野菜の価格自体が上がらず、輸送費が圧迫をしていて、農家は非常にもうけが少なくなってしまうということで、本当に何とかならないものかという話をよく伺います。これは農家にとって死活問題であります。国としても対策が必要じゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○塩川政府参考人 お答えを申し上げます。
現在、トラックドライバーの人手不足ということが深刻化しておりまして、食品流通は実は約九七%をトラック輸送に依存しておりますので、まさにこの食品流通において、サプライチェーン全体での合理化というのが必要だというふうに考えております。
特に、今先生御指摘の消費地から遠隔の北海道それから九州では、やはり遠いものですから輸送費がかかる、それがまた増加してくるということのみならず、ドライバーが長時間労働だ、それからあと、今、食品流通では手荷役で積み込むという、そういうことでトラックドライバーから敬遠されるというのがございまして、なかなかトラックの手配が難しくなる、こういう課題も顕在化しているというふうに認識をしております。
このため、一つは、物流拠点を整備いたしまして共同輸送をしていく。それから、トラック以外の輸送手段、例えば鉄道輸送だとか、あるいは船舶を使った輸送、こういうものに分散をしていく。それからあと、さっき申し上げた手荷役を軽減するためにパレットが必要なんですが、実はパレットがいろいろな規格がありまして、それをやはり統一していくということも重要だと思っておりますので、こういう物流の合理化の取組につきまして、国土交通省、経済産業省など関係機関と一体となって検討を進めていきたいというふうに考えております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。トラック、また貨物、船などをうまく使ってやっていくということと、省力化、いろいろな力仕事なども多いということもございました。
今、規格を統一させるというお話もありました。確かに、物流ですとか輸送費に関してはそうかもしれないんですけれども、やはり収穫するときにサイズを分ける作業というものが結構コストがかかるんじゃないかなと私は思っていまして、やはり同じサイズの方が結局運びやすいですとか、調理するときにしやすいというのはわかるんですけれども、仕分の作業が非常にお金がかかっているということで、外国なんかでは大きさがばらばらなものが売っていることもありますし、本当に必要なもの、必要でないコストというものを、やはりもうちょっといろいろ、利便性だけではなくて、多角的に考えていくことも必要なのかなと、今ふと思いました。
今、いろいろな、こういう野菜の価格ですとか生乳の話ですとか、あと、先ほど和牛の価格の話もございました。非常に、資金繰りですとか需給の安定化というものに向けていろいろな不安がある中で、さまざまな対策をとるべき事態に陥っているのではないかなと思います。お花も、お祝い事が減ったりして非常に困っているということでした。今、この一次産業を支える支援策というものはいろいろあると思いますので、ぜひ、ここは一次産業の皆さんを助けていただきたいなと思っております。
では、次の質問に移らせていただきます。
今、大規模化ですとか増頭ということが非常に政府の政策の中でも重要なところだと思います。その大規模、増頭一辺倒の政策には反対をしますけれども、ただ、経営を大きくしたいという人の意欲を後押しするような政策は大変重要だと思っております。そのためには、畜産クラスターは有効な補助制度だと思っております。ただ、今現状、使いたくても要件が厳しいということで、なかなか当たらないという声が地元でも上がっております。
全国的に畜産クラスターの協議会はふえているということでありますけれども、この中心的経営体、つまり、もっと大きくしたい、もっと増産したいと考えている経営体の数がその統計で初めて減少に転じたということが農水省の調査で明らかになったという報道がありました。このことについての受けとめを、まずお伺いをしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
畜産クラスター事業における中心的な経営体が初の減少という報道があったことは承知をしております。
この報道は、本年一月に農林水産省のホームページで公表いたしました畜産クラスター協議会実態調査の結果(暫定版)というものに基づくものでございまして、この調査によれば、中心的な経営体が平成三十年八月現在、二万八千九百四十七経営体であったものが、令和元年の八月現在、二万八千七百五十三経営体、ほぼ横ばいでございますが、数字的には百九十四減少しているというものでございますが、これは暫定版でございまして、実は、昨年災害があったもので回答ができなかった協議会もございまして、引き続き回答をいただくようお願いをしているところでございます。
○石川(香)委員 いろいろな災害などもあって、決して減っているというのは言い切れないんだというお話がありました。このクラスターの要件の緩和もあるということでありました。ぜひ、必要とされる方にしっかり当たる制度であってほしいと思いますので、引き続き現場の声を聞いて反映をしていただきたいなと思っております。
次、大臣にお伺いをいたします。
今、増頭しようと思っている農家に大きな壁になっているのが、建築基準の要件であります。現状、牛舎を大きくしようとしても、この増築費は資材や人件費の高騰で格段に高くなっております。実際、二〇一九年度の工事労務費は、一〇年度に比べて四七%ふえているということで、私の地元の酪農家は十年前に牛舎をつくったよりも二倍以上かかるという話もしておりました。
そこで、今期待をされているのが、議論が進められておりますけれども、畜舎の建築基準の見直し、建築基準法の適用対象から畜舎を除外するという特別措置法の早期の制定であります。畜舎は農家がたくさんの投資をしておりますし、省力化が進んでいって人の出入りも非常に少なくなったということもありますから、この基準を緩和してほしいという声は農水省にも届いていると思います。
昨年六月に閣議決定をされた規制改革実施計画の中で、畜舎の建築基準の緩和に向けて、畜舎などを建築基準法の適用対象から除外する特別法について検討をして、結論を得るようにということが明記されていると思います。畜舎の建築基準見直しについての議論は、二月四日に有識者会議の一回目が行われまして、三月三日に、おとといですね、開かれたと聞いております。おとといの会合では進展はありましたでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、畜舎の建築基準の見直しでございますけれども、昨年六月の規制改革実施計画におきまして、建築基準法の適用対象から畜舎等を除外する特別法について検討を行う、これの結論を得るというのが令和二年度上期までということになっておりまして、それを踏まえまして、所要の法律案を令和三年度上期に措置をする、提出するというようなことになっているところでございます。それを受けまして、まさに今検討会で、本年の二月から御議論いただいているところでございます。
三月三日に開催されました第二回の検討委員会でございますが、畜産振興の観点から、まず一点目といたしましては、一定の条件のもとに建築基準法の適用を除外して、新たな法律による基準のもとで畜舎の建築を認めるということ、それから、これまでと比べて手続の簡素化を目指すということ、それから、具体的な基準については今後の検討会で検討するということにつきまして、おおむねの意見の一致が見られたところでございます。
建築基準の見直しについて早期の実現を望む声があるということは承知しておりますので、この検討会におきまして、畜産農家あるいは建築の専門家の方々の意見も聞きながら、関係省庁と連携いたしまして、できるだけ早く結論が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
○江藤国務大臣 大変失礼いたしました。私が答弁すべきところを局長に振ってしまいまして、失礼いたしました。
自分としましても、増頭をしたい、北海道でいらっしゃいますけれども、都府県が大変酪農は厳しい状態になっておりまして、生産基盤をもう一回立て直さなきゃいけないという状況にあります。それには、やはり生産規模を拡大したい、しかし、牛の頭数がふえれば当然その入れ物が要るわけでありまして、おっしゃったように、資材も高くなっている、労務費も高くなっている、十年前に比べて二倍ぐらいのコストがかかってしまう、そういう状況の中にあって、人間が住むのと同じ建築基準法のもとでやることは果たして合理的なのかという議論をずっとしてまいりました。
しかし、人が全く出入りしないわけではない。やはり、そこで人が作業しているときに大きな地震が起きたときに、人が下敷きになってしまう可能性も排除はできない。しかし、さりながら、牛舎は牛舎ではないかという議論のはざまの中で合理的な着地点を見つけ出さなきゃいけないと思っております。
今局長が答弁しましたように、なかなかこの検討委員会で時間がかかって、どうもこのままいくと来年というような話になりそうなんですが、もう補正で増頭奨励事業を立てましたし、四月から輸出対策本部も立ち上がりますので、自分としては、できるだけこれを早くやってほしいというお願いを、民間の意見もしっかり聞かなきゃなりませんが、これからも声は出し続けていきたいというふうに考えております。
○石川(香)委員 大臣、できるだけ早くという思いを語っていただいて、非常に心強いなと思います。
もちろん、人が出入りを全くしないわけではありませんので、安全性の配慮というのは当然大事ですけれども、ただ、畜舎を建てる、また増築する、改築する、新築するというのは、非常に時間もかかりますしお金もかかるということで、一定程度の方向が決まったのであれば、もう早くやりたいというのが農家の思いであります。この建築基準法の適用対象から畜舎を除外するという方向はありきの話だと思いますけれども、示されているタイムスケジュールだと、施行となると二、三年かかってしまうのではないかという思いの中で、もっともっと早くという思い、大臣もお持ちであれば、ぜひ早期の解決に向けて御尽力をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
では、続いて、水産業についてお伺いをさせていただきます。
昨年、水産改革が行われました。いろいろなところで御案内のとおり、不漁が続いておりまして、水産業の方々にとっては我慢のときというのが何年も続いております。
一方、我慢の時期を支えてきた、収入面で支えてきたのが積立ぷらすと言われる制度でありまして、国と漁業者の拠出で運営をしている基金がありますけれども、この基金が枯渇の危機に瀕しているということでございました。今、二〇一五年度末の時点で六百三十五億円あった国の拠出分の基金の残高が、一八年度末には三百十二億円、すなわち半減をしてしまったという状況であります。
昨年、七十年ぶりの大改革と言われる水産改革が行われまして、今後、水産資源の適切な管理、そして水産業の成長産業化を両立させるということを目指していると思います。新たな資源管理システムの構築の中では、適切な資源管理に取り組む漁業者の経営安定を図るためのセーフティーネットとして、この漁業の収入安定対策の機能強化を図るということと同時に、法制化を図るということをしっかり示されていると思います。
基金は、もう言うまでもなく漁業者が安心して操業していけるための大きな安全網であります。今、資源管理で漁獲制限もしている中で、基金が枯渇するとなると、本当に水産業は立ち行かなくなってしまうと思います。
仮に枯渇した場合、現行の規定では、漁業者が減収になっても国からの拠出による補填は満額支払われないという規定になっているそうでありまして、ことしの夏までに制度の見直しを検討しているということでありましたが、制度の見直しというのはどういう議論が軸になっているのか。国の補填の拠出分を下げるということにはならないですよね。御回答をお願いします。
○江藤国務大臣 今委員がおっしゃったような御心配が起こらないように、やはり根拠法を持つということはとても大事なことでありますから、法律に基づいて予算を執行するという、正常な形というか安定的な形に移行させたいということを考えておるわけでございます。
補正予算と令和二年度予算で三百五十三億円計上してございますので、まずそのような事態は発生しないと思いますが、しかし、最近の気候変動等に伴う漁獲量の変動というのも我々の想像を超えている部分がございますので、先生が御心配されるのもごもっともだと思います。
いずれにしましても、これから資源管理、これは養殖漁業者等も含みますけれども、漁業者等の方々が資源を管理し、海面を管理して、しっかりと将来に漁場を残していく努力をしていただく中で、我々国としても、この積立ぷらすというものが非常に、御政権のもとでできたものでございますけれども、大変漁業者には高い評価をいただいているものでありますので、これをしっかり運営していきたい、そして、支払われないようなことが起こらないように運営していきたいというふうに考えております。
○石川(香)委員 長官も来ていただいていますけれども、よろしいですか。せっかく来ていただいたのに何か申しわけないなと思い、済みません。
今、力強く、国の拠出分を下げるということにはならないという話がありました。漁業者はもう我慢を強いられてきて、この数年、本当にどうしていこうかという思いだったと思います。この漁業の収入安定対策の法制化ということと制度の見直しという大きなテーマが同時進行していく中で、ぜひ、引き続き、今の我慢どきを支えていただくべく、しっかりとした制度のもとで、安定した形で支えていただくということをお願いしたいと思います。
時間が、済みません、なくなりましたので、一問、ちょっと順番を変えさせていただきまして、農産物の輸出のことについて最後にお伺いをさせていただきます。
農産物の輸出が七年連続で増加をしたという発表を、農水省はしたと思います。政府は一兆円を目標にしておりますけれども、ことしは九千百二十一億円で、若干届かなかったということでした。
その内訳なんですけれども、割合として一番多い項目は各種の調製食品のその他のその他という項目で、八百九十六億円と、全体の一割をこの項目が占めるということであります。ちなみに牛肉は二百九十七億円、リンゴは百四十五億円などと比べますと、いかに多い数字かということがおわかりいただけるかと思います。
ただ、この各種の調製食品のその他のその他といって、一体どんなものかというものが、なかなか想像できない謎の項目になっておりまして、まず、これは一体何でしょうか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
農林水産省が発表している農産物、食品の輸出額は財務省が統計をとっております貿易統計をもとにしておりますが、その中で、今先生御指摘の各種の調製食料品のその他のその他という項目がございます。これは、レトルトカレーだとかレトルトスープなど、ほかに分類できないさまざまな加工食品がまとめて計上されております。
○石川(香)委員 今、例にレトルトスープを挙げてもらいましたけれども、私も、レクの段階でいろいろ聞いたら、何かもっともっと雑多なものという表現をされていましたけれども、いろいろなものが入っていて、全てを余り把握できていないというお答えもありました。
このよくわからないものが結局一割を占めているということで、この原材料も結局外国産に由来するところも多いのではないかという懸念もありまして、結局、輸出が伸びたところで、農業所得につながっていなければ、それは果たして胸を張って言える数字なのかということを御指摘させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、広田一君。
○広田委員 立国社の広田一でございます。
当農林水産委員会で質疑をするのは初めてでございますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
まず、自分の方からも、新型コロナウイルス対策について、何点か確認をしていきたいというふうに思います。
この新型コロナウイルス対策についてなんですけれども、農林水産省の皆さん、例えばチャーター機で武漢から帰国をされた皆様、本当に、帰国後はホテルとか施設での生活を余儀なくされてきたわけでございます。本当に心身ともに大変な状況、御苦労をかけたわけでありますが、そういった中での唯一の楽しみというのは一体何なのかというと、やはり食事であるわけでございまして、それに関して、農水省の皆さんは、単に食事を提供するだけではなくて、アレルギーのある方についてはしっかりと配慮し、また、メニューにつきましてもいろいろと工夫されるなど、献身的できめ細かい対応をしてくださったことについては、心から、国民の一人としても感謝を申し上げたいというふうに思います。
その上で、新型コロナウイルス対策についてお聞きをしたいと思います。
冒頭、これは質問通告しておりませんけれども、最初の近藤理事の質問に対して、新型コロナウイルスについて、緊急事態に対する江藤大臣の見解について質問があったわけでございます。これについて、江藤大臣の方からは、政府としては別にして、農林水産省としては緊急事態だ、そういった旨の御答弁がありました。これは非常に重要な重い発言だというふうに思います。
政府が緊急事態宣言するかどうか、先ほど野党の国対委員長会談があって、来週内にこの新型インフルエンザ等特措法の改正を通そうというふうな日程感については共有をしたわけなんですけれども、その後、緊急事態宣言するかどうかは、これは極めて慎重でなければならない、こういうふうな議論も一方ではあるわけでございます。そういった状況にもかかわらず、農林水産省版の緊急事態宣言を大臣がなされたということは、私は非常に重いことだと思います。
これについてお伺いしたいのは、まず、大臣、これは省内において一体どういった議論をしてきたのか、緊急事態問題について。これをつまびらかにしていただきたいのと同時に、大臣自身がこの農林水産省から見て緊急事態と言ったのは、どういった基準で御判断されたのか、あわせてお聞きしたいと思います。
○江藤国務大臣 委員もよく御存じだと思いますが、今、総理を本部長として行われている緊急事態宣言を行うかどうかの議論については、例えば、公共の施設について国の命令で強制権を持って使用を制限するとか、私有財産とか行動についてまで制限するとか、そういうことでありますから、少しそこは切り分けて御理解をいただきたいと思います。
私は、極めて綿密に、地方農政局とも連絡をとりながら、それぞれの局でどういうことが起こっているのか、現場で何が起こっているのか、昨日も一時間以上にわたってずっと議論をしてまいりました。
これだけ花の引きがなくなる、肉の値段も下がる、野菜の値段も下がる、そして外食、中食も下がる、そして豊洲の状況もまずい、マグロも下がる、それからノドグロの値段も下がる。そして貝類も、先ほどお話がありましたように、カキとかホタテ等も下がるということであれば、農林水産の現場、農林水産の生産現場を、私は今回の食料・農業・農村基本計画の中で、これを強化するんだということを政策目標として高く掲げてやっているつもりであります。しかし、今の段階になって、昨日私が強く思ったのは、もちろん生産基盤は強化せねばならない、しかし、今すべきことは、強化よりも、生産基盤を守らなければならないと。
今回のコロナの、内需の冷え込みとかインバウンドの冷え込みとかいろいろなことによって、この自粛ムードの広がり等によって、農林水産関係の現場の方々が、いろいろあったんですよ、先生。
例えばTPPの議論を、私はもう大分、十七年ぐらい国会議員をやっておりますが、例えばTPPの議論が始まったときに、TPPをやるんだったら和牛の値段なんてもう下がってしまうから、ここで俺はもう和牛の肥育はやめるよというようなことを言ってやめていった方々もたくさんおられます。現実には今、八十万近い、七十万円台の価格になっているわけでありますから。
しかし、こういう、今回のコロナの影響によって、農業を諦める、そして、新しく就農しようと思っていた人がやはりやめておこうと思うというようなことが起こることは、これは本当に困る。
ですから、我々農林水産省としては、きのう私が特に省議メンバーに申し上げたのは、ピンチだよ、大ピンチだ、農林水産にかかわるあらゆる分野に、これは影響が及ぶと。ですから、私は、農林水産の生産現場、生産基盤にとっては危機的な状況で、危機の宣言をしたわけではありませんので、そこは若干、誤解のないように申し上げたいと思います。
そして、今後の省内においての議論についてですけれども、農林水産省行政文書管理規則、これがございますので、農林水産省の対策本部では議事録を作成いたしております。かなり私も性格がきついところがありますので、かなりきつい物の言い方をしているので、どのように議事録に載っているか、私も見させていただきたいと思いますが、改ざんするつもりは全くありませんので、これについてはしっかり公表をさせていただこう、こういうふうに考えておりますので、ぜひごらんになっていただきたいと思います。
○広田委員 後段で大臣が言われた議事録等についてはまだ質問していなかったので、先に大臣から御答弁いただいたんですが、ちょっと緊急事態のことについてもう少し詰めたいと思うんですけれども。
そうすると、いわゆる新型インフルエンザ特措法等で想定をしている、私権等も含めた、制限も含めた緊急事態宣言と、江藤大臣が考えていらっしゃる緊急事態というのは、性格、性質が異なるものなのかということ。
先ほどの御答弁の中で、非常に、今回の新型コロナウイルスが発生してから農林水産業関係に甚大な影響が出ており、これに対して大臣が非常に危機感を持たれて、省内の対策本部会議でもそのことを訴えられているというのは非常によくわかりました、今の御答弁で。
そういうふうなことを踏まえた上で、私が質問したのは、そういった農林水産省が考える緊急事態ということについて、省内においてオーソライズされた議論なのかどうか。大臣の危機感としてはよくわかりますけれども、農林水産省として今の状態は緊急事態なんだということを、議論を積み重ねてオーソライズされて、それはどういった基準や判断に基づいてその結論に至ったのか、こういったことを踏まえた上での先ほどの近藤理事に対する御答弁であったのかということを確認させていただきたいと思います。
○江藤国務大臣 そのオーソライズの定義をどのようにとるかは難しいですが、やはり、私は政治家で、農林水産大臣という職をいただいておりますから、リーダーシップをとらねばなりません、リーダーシップを。
ですから、省内での議論を、これをしっかりやらなければなりませんし、そのために、地方局と全部ネットでつないでそれぞれの局長から報告をさせて、現場の人間は現場に張りついて、全ての情報を本省で把握することはとても無理だ、しっかり情報を上に上げてくれ、そのための努力を惜しまないようにということを言っているわけであります。ですから、私一人が危機だ危機だと叫んでいるからそれがオーソライズをされるというふうには思っておりませんよ、もちろん。
思っておりませんが、ただ、私も農業県宮崎の出身でもありますし、いろいろな方々から直接お声を聞くこともあります。そして、いろいろな情報が私のところに集まってきます。そして、いわゆる政府で扱っているところの危機的な状況というのは、爆発的に、パンデミックでこのコロナウイルスが日本じゅうに蔓延していった場合についてどうのこうのという話じゃないですか。
私が申し上げている農林水産行政にかかわる危機的な状況というのは、生産基盤において、例えば、花が全く売れなくて、行き場もなくなって、もしかしたらハウスの前で腐ってしまうような状況になるかもしれない。そして、和牛の取引も、私の地元でも三月にも行われる予定ですけれども、次の競りの価格がどうなるのか非常に心配ですよ。購買者が来てくれるかどうかもわかりません。昨日、宮崎でも発生しましたから、一人目の患者が。そういう情報に日々触れて、真剣に考えると、やはりこれは相当な危機感を持って我々はやらなければならない。
ですから、どのような過程を持ってオーソライズされたのかと言われると、なかなか答えには窮しますけれども、私は、農林水産省のトップとして、リーダーシップを持って、全局長、省議メンバー、課長クラスも真剣に危機感を持って取り組んでくれているというふうに思っております。
○広田委員 大臣がリーダーシップを持ってこの今の新型コロナウイルス対策に対応をしなければいけない。それにはリーダーシップ、これが非常に求められるわけでありますから、これについても理解をするところであります。
自分は高知県の出身でございまして、高知県も一次産業県です。先週、お話を聞いても、例えば、中国向けの林産物また水産関係、非常に影響が出ているというふうなお話も聞きますし、中山間地域の道の駅に行ったら、そこには直販所もあるんです。本来であれば、日曜日だと愛媛から非常にたくさんのお客さんが来て、にぎわって買ってくれるというふうなことなんですけれども、それが本当に閑散とした状況になっているというふうなことを踏まえれば、大臣のおっしゃることは非常に共感も共有もできるわけでございます。
ただ、一方で、本当に、今国民から見てこの緊急事態という言葉が非常に注目をされている中で、大臣が近藤理事に対して、政府はともかくとして農林水産省としては緊急事態だというふうにおっしゃったことは、極めて重い発言であります。ですので、今ちょっと議論をやりとりすると、緊急事態というよりは、非常に強い危機感を持って事に臨んでいるというふうに私自身は理解しましたので、そのように訂正された方がよろしいんじゃないでしょうか。
○江藤国務大臣 朝からの議論ですのでちょっともう忘れてしまいましたが、たしか近藤先生の方から緊急事態ですか、認識されていますかと聞かれたんじゃなかったですかね。でしたよね。私の方から自発的に申し上げたわけでは決してなくて、近藤先生がそのような意識を持っていることは私は正しいというふうに、私は近藤先生の御意見に共感したものでありまして、まあ、心配していただいて訂正しろということであれば、筆頭理事、訂正した方がよかろうか。(発言する者あり)ええ。
確かに、活字に起こすと緊急事態という言葉はまずいのかもしれませんが、私は、農林水産省の中で、やはり、やれることは早くやれ、そして情報も早くつかめ、そして、あしたもまた対策本部を開く予定にしております、夕方。ですから、何事も急がなければならないという気持ちを持っておりますので。
そして、もしかしたら、それほどのことにならずに、この二週間のうちに終息に向かってくれるかもしれません。しかし、やはり省としては、まずい事態に行くかもしれないということも想定した上で物事は考えなければならないと思っておりますので、そこまでおっしゃるのであれば、緊急事態という言い方ではなくて、省としては、極めて強い危機感を持って、今後、現場の意見を、現場の状況を把握しながら対応してまいります。
○広田委員 今の新型コロナウイルス対策の現状、そして、今の農林水産関係が抱えている課題、問題点、危機感、こういうふうなところは共有をするところでございますし、後でまた時間があれば、緊急事態のまさしく宣言がされた後、どういうふうに農林水産省も対応するのかということは聞きたいぐらいなので、私も、防衛省のときに危機管理を対応した者の一人として、その言葉には非常に敏感に反応をしてしまいましたけれども、ただ、思いは、同じ思いを共有しながら事に臨んでいきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
そこで、大臣の方が若干先に御答弁いただいたことなんですけれども、農林水産省の新型コロナウイルス対策本部、これに関連してお伺いをしたいと思います。
この対策本部、これまで五回開催をされております。直近が昨日の三月四日でございますけれども、まず、それぞれどのような議論や協議がなされて、その議論を踏まえて農水省として具体的にどのような対策を講じているのか、お伺いをしますとともに、先ほど大臣は、議事録等については公表するというふうに言ってくださって、これは大きな前進だろうというふうに思いますけれども、じゃ、現実は、これまではどうかというと、四回目、五回目は仕方がないんですけれども、これまで議事録又は議事概要が、今日、きょう時点でも公表されていないんです。議事録等が公表されていないんです。
この対策本部の議論、協議というのは、これは言うまでもなく、農林水産関係業者とか地方自治体の担当部署、この皆さんにとっては極めて関心が高いというふうに思われるんです。これはなぜ今まで速やかに公表してこなかったのか、これについてお伺いすると同時に、今日公表するに至った経緯についてお聞きしたいと思います。
○江藤国務大臣 先ほども、ちょっと先走ったかもしれませんが、農林水産省の行政文書管理規則に基づいてということでありますから、私の方から、議事録を出すなとか、そんな指示をしたことはありませんし、ですから、これは規則に従ってしっかりと出させていただくということであります。
一定の整理はやはり必要だと思いますよ、それは。事務方のやることでありますので、私はそこまではわかりませんが、それが整えば、しっかり遅滞なく、当たり前の手続を踏んで公表させていただくということであります。
そこで何が議論されたかについても話しますか。話した方がいいですか。(広田委員「はい」と呼ぶ)
いろいろな話をいたしましたけれども、最初のうちは、やはりイベント等をどうするのだという話を大分した記憶がございます。
最初が一月三十日ですから、昔の記憶はちょっとあやふやになっておりますけれども、大きなイベント、例えば農林水産省が企画するイベント等もありました。例えば、ASFの国際会議も私が主催で行いました。三百人ほど集まっていただきました、世界から。これについて、すごく迷いました。しかし、ASFが侵入する状況において、世界の知見を集めることは極めて有効性が高いということで、これについてはゴーサインを出しました。もう大分前の話ですけれども。その他のイベントでは、詳細には手元に持っておりませんが、さまざまな農林水産省主催のイベントを中止いたしております。
それから、特に私のところではテレワークを一番最初にやったと思います、厚生労働省以外では。そして、やはり満員電車に乗るということが濃厚接触をする確率が極めて高いということで、相当な人数を今、時差出勤をさせております。二つの段階がありましたけれども、もっとすいている、例えば十時台とか十一時に近い段階でも出勤できるように。
それから、最初の段階で特に申し上げたのは、しっかり休むことも仕事だと。特に管理職については、部下の方から体調が悪いんですけれどもと言われたときに、それぐらい根性で出てこいとか、今はそれどころじゃないだろうみたいな話は絶対にせずに、それについては、了解だ、しっかり体調を整えろと快く休みをとらせてあげる環境を上司はつくる。そして、省議メンバーを含む幹部職員も、幹部が倒れてしまっては省内の機能が低下してしまいますので、幹部職員についても、勇気を持ってしっかり休んでくれという話もしっかりした覚えがあります。
それから、農林水産省だけではなくて、我々は、食品産業、例えばスーパーマーケットとかいろいろなメーカーさんとか、いろいろな業界を所管しておりますので、そういった会社や団体等についても、テレワークとか時差出勤とか、休みをとりやすいような職場の環境の整備とか、そういったことを徹底してやってくださいというようなお願いをさせていただいたというところでございます。
最近、きのうなんかは特に、生産現場でどのようなことが起こっているのか、例えば北海道のホタテがどうなっているのか、豊洲では何が起こっているのか、大田市場はどうなのか、そういう、いわゆる今度はディテールの部分について、流通、生産現場の話をきのうはかなりさせていただきました。ですから、時間の経過とともに題も議論の内容もどんどん変わっていっているということでございます。
○広田委員 ただいま大臣の方からるる御説明をいただきました。
大臣がおっしゃったように、本当に状況は時々刻々と変化をしておりますし、その都度その都度対応していかなければならないと思います。当初はイベントをどうするのかというふうなことから、農水省内のテレワーク、時差出勤、また生産現場に今出ている影響等々、非常に幅広い議論をされているということでございますので、だからこそ、大臣、やはり農水関係業者とか地方自治体の担当部署の皆さんは、どういった議論をしているのか知りたいと思うんですよね。よって、やはり速やかに議事録等については公表するというのが私は筋だというふうに重ねてお訴えをしたいと思います。
その上で、冒頭、ちょっと気になることをおっしゃったのが、大臣が、別におくらせろというふうな指示をしたわけではないと。それはそのとおりだと思います。そして、規則に基づいてやっているということ、これまたそのとおりだというふうに思いますが、これは事務方でも結構なんですけれども、規則に基づいてやっていて、なぜここまで公表がおくれているのか、その理由が私はさっぱりわからないんです。
といいますのも、政府の対策本部なんですが、これは少なくとも議事概要をもう既に九回分公表しているんです。農林水産省と政府の本部とでそんなに規則が違うはずないというふうに思うんですよね。
つまりは、議事録の公開等一つとって、本当にこういうばらばらで果たしていいのかどうか、このことも問われているというふうに思いますし、政府の対策本部でこういう議論がされている、これを受けて農水省の中でもこういった議論がされているということが、国民の皆さんに対する、私は説明責任の一つにもなるんじゃないかなというふうに思いますので、この点、なぜ、ここまで遅くなって、いまだに、これまで五回の議事録が一つも公表されていないのか、その理由についてお伺いしたいと思います。
○岩濱政府参考人 お答えいたします。
まさに、政府の対策本部及び農林水産省の対策本部で文書管理規則に大きな違いがあるというふうには思っておりません。我々も、なるべく早く、実は議事録を精査して公表したいというふうに思っております。
先ほど委員からお話ありましたように、我々、今並行的に、ウイルスの対策とかのほかに、実は、退避邦人の方又はクルーズ船から下船された方の支援についても並行的にやっております。それが、実は、人数的なことを申してあれなんですが、わずか十名以下で今そういうことを並行的に、いわゆる対策本部の実施及びそういう支援もあわせてやっているものですから、これは言いわけになりますが、かなり業務なり残業時間も多くなっております。
なるべく早く一般の方に我々も公表したいと思いますので、また努力をしますので、ぜひそういう事情を察していただければというふうに思います。
○広田委員 事情については一定理解をしたところでございます。これについて、ちょっとまた後で質問したいというふうに思うんですけれども。
更に確認なんですが、これはもう既に、過去の分については、議事録等については、お忙しい中だとは思うんですけれども、既にもう作成済みじゃないんですか。作成済みなのか、作成済みで、まだ精査しないといけないから公表できないのか、それとも、議事録等自体をいまだ作成していないのか、どっちなんでしょうか。
○岩濱政府参考人 お答えいたします。
議事録については、テープを起こして整理をさせていただいております。ですから、議事自体の、いわゆる議事録自体のあらあらは整理をしておりますが、その内容について今精査をさせていただいているとか、各発言者がおりますので、発言者への確認等もしておりますので、そういう関係もありまして時間がかかっているということでございます。
○広田委員 やはり、ちょっとそれはおかしいんですよね。私は、もう既にできている可能性が非常に高いと思います。
といいますのも、二月二十五日、北陸農政局対策本部は、本省の第三回対策本部の内容を周知しているというふうに農林水産省のホームページで公表しているんですね。だから、あるんじゃないですか。
○岩濱政府参考人 お答えいたします。
第三回から、まさに地方農政局とテレビ会議をつないで議論をさせていただいております。そういう意味では、議事録自体のテープの起こし等はいろいろさせていただいております。ただ、それは、農政局等に例えばお渡ししているとかそういうことは全くございませんし、中でまだ精査をしている段階でございます。
議事の内容に関しては、テレビ会議で十分御理解いただいて、各地方農政局にも御理解いただいているというふうに思っております。
○広田委員 大臣、いずれにしましても、精査段階というふうなことなんですけれども、この公表を、もう本当に一両日中に、第一回、第二回ぐらいはしっかりやっていただきたいというふうに思いますけれども、これはいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 農政局の局長もテレビ電話でつながっておりましたから、議事の進行状況はリアルタイムで見聞きをしております。ですから、文章が起こされていて、それが本省から地方局に渡っていてということではないということではないかと思います。
ただ、私としては、隠すようなことは何もございませんし、困るようなこともございませんので、事務方がそのような努力をしてくれればありがたいと思いますが、大変、私も彼らには無理を言っているところがあります。役所といえども、やはり働き方改革も正直ありますので、そこは、何か疑惑があるとかそういうことであれば、我々の疑惑を晴らすために夜も寝ずにやりなさいという指示もしようかとも思いますが、我々、私は特にですけれども、青筋を立てて真剣な議論をしてきておりますので、少し御猶予をいただければ、私としてはありがたいと思います。
○広田委員 そこの猶予がどれぐらいになるかは別にして、大臣、誤解のないようにしていただきたいのは、別に農林水産省が何か隠しているとか、疑惑があるからということではありません。確かに、世間的には今、公文書についていろいろ与野党で激しい議論をしていますから、そういったような先入観を持たれるのは無理はないかもしれませんけれども、決してそういう意味で聞いたのではなくて、まさしく農林水産関係とか地方自治体を含めて、この農林水産省の対策本部が行っている議論、これは非常に大事だし注目されていると思いますので、よって速やかに公表するのが本来のあるべき姿じゃないかというふうな、そもそも論のことでございますから、よろしくお願い申し上げます。
あわせて、先ほどちょっと審議官の答弁の中で気になったのが、この新型コロナウイルス対策等について、何か十名以下で対策をして云々と。大臣の方からも働き方改革の言及があったわけでございますけれども、そう考えると、これから現場についても非常に深刻な影響が出そうだという現状を踏まえれば、この対策室、部の、人員も含めた充実強化、これは速やかに図っていかなければいけないんじゃないでしょうか。
○江藤国務大臣 審議官が申し上げましたのは、多分事務方のスタッフということが十名程度というふうに申し上げたんだろうと思います。
これは、例えば生産局がやる部分もあれば、いろいろな局が農林水産省の方にありますので、各局ごと、水産庁には、きょうは長官も来ておりますけれども、林野庁も林野庁長官がおります。それぞれ、木材の輸出が滞っているとか水産物の価格が低下しているとか、それぞれの部局で、問題点について洗い出しをし、精査をし、それをまとめて、それについてどのような対策を講ずることが可能なのかというところまで、議論は各局でフル稼働でやっていただくということをきのうもお願いをしたところでございます。
決して十名だけで全ての対策をまとめるということではありませんが、しかし、今、どうも審議官の話を聞くと十名ではしんどいということでありますので、やはり事務作業もとても大事だと思いますから、省内で少し検討して、各局での検討にあわせて、事務作業も円滑に進むような体制を組んでいきたいと考えております。
○広田委員 ぜひよろしくお願いします。
ちょっと、残された時間で若干また確認をしたいことがありますので、よろしくお願いをいたします。
来週には、新型インフルエンザ等特措法、これを改正をして、衆議院を通過して、速やかな成立がなされるであろうと思います。そうなったときに農水省に関係してくるのが、この新型インフルエンザ等特措法に基づいて作成をいたしております農林水産省の新型インフルエンザ等対策行動計画、これがどういうふうに動いていくのかということであろうかと思います。
そこで、何点か確認ができればなというふうに思うんですけれども、この対策行動計画には、例えば海外において新型ウイルスが発生した場合の重要な措置として、水産関係船舶に係る水際対策といったものが挙げられております。具体的には、他国の港を経由して操業する水産事業者等に対して、乗組員に感染が疑われる場合の対応について周知徹底するというふうにあるわけでございますけれども、今回、この新型コロナウイルスの水際対策として、具体的にどのような対応を今までになされていたのか、お伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 外国の港に寄港する我が国の遠洋漁船は、遠洋マグロはえ縄漁船中心でございますが、大体二百隻程度あります。それに加えて、私たちのところも取締り船を多数保有しておりますので、これについても注意をしていかなければならないと思っております。
これらの遠洋漁船につきましては、新型インフルエンザ対策行動計画における対応と同様に、関係の業界団体を通じて、新型コロナウイルスの感染予防等の情報を周知するとともに、乗組員に感染が疑われる場合には、直ちに水産庁に連絡をし、指示を仰ぐように要請したところでございます。
なお、我が国の遠洋漁船の主な寄港先は、太平洋や大西洋の島嶼地域及び南アフリカ等でありますけれども、主な発生国である中国、韓国、イタリア及びイランには寄港しておりません。ということでありますから、現時点で乗組員への感染を疑われるような事例は、今のところは幸いにして報告されてございません。
○広田委員 わかりました。
では、確認なんですけれども、二月十二日の第七回の政府対策本部、これは非常に重要な対策本部での会合であったというふうに思っております。といいますのも、船舶内において新型コロナウイルス感染症の発生のおそれがあるものに乗船している外国人等については入国させないというふうな決定がなされて、三月一日時点で外国人二百三名の上陸を拒否しているわけであります。
そうすると、今の大臣の御答弁だと、こういった水産関係船舶においては発生していないということでありますから、人数的にはゼロというふうな理解でよろしいんでしょうか。それとも、入国拒否等々をされた者があるんでしょうか。この辺の事実関係について、長官で結構ですので、よろしくお願いします。
○山口政府参考人 お答えいたします。
入国を拒否された乗組員等は、遠洋漁船においてはおりません。
○広田委員 わかりました。
いずれにしろ、これからもこういった、いわゆる水際の事柄についても適切に対応していただきますように、強く要望していきたいと思います。
本来であれば、この後、緊急事態宣言がなされた場合の対応、具体的に農水省はどうされるのかなということもお伺いをしたいというふうに思いましたし、国民の皆さんの食の安定確保という観点から、食料の備蓄についての基本的な認識なんかも問いたいというふうに思いましたけれども、時間が参りました。そのほかも、本来であれば、担い手対策等々については河野政務官を名指しして答弁してもらう予定でございましたけれども、行き着くことができませんでした。次回の機会にぜひ質問をしていきたいというふうに思います。
本日は、これで質疑を終了したいと思います。どうもありがとうございました。
○吉野委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 立国社共同会派の亀井亜紀子でございます。よろしくお願いいたします。
きょうは、質問のトピック、大きく三つあるんですけれども、初めに食料自給率について質問をしたいと思います。
ことしは食料・農業・農村基本計画の策定の年に当たっておりますので、今、政府の方では検討中かと思います。食料、農業、農村の順ですから、食料自給率の話は必ず基本計画の頭の方に出てくるんだろうなと想定をしております。大臣所信の中でも、「食料自給率を向上させ、食料安全保障の確保を図ります。」というお言葉がありました。
そこで、私は、食料安全保障の基本的な考え方について伺いたいと思います。
前回の食料・農業・農村基本計画では、基本的な考え方として、「基本法第二条第二項において、「世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有していることにかんがみ、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて行われなければならない」旨が定められている。」とあります。
つまり、貿易というのは不安定なものであるから、例えば、今、新型コロナウイルスが発生して中国で物流が滞っている、その影響で、日本に野菜が入ってこなくて外食産業が影響を受けているというような報道がありますけれども、このように、何が起こるかわからない。何らかの原因で日本に輸入食品が入ってこないということがあるので、緊急時を想定して、食料自給率というのは高めておかなければならないというふうに私は理解をしているんですけれども、その基本的考え方はこれでよろしいでしょうか、大臣。
○江藤国務大臣 全く先生の考え方は間違っておられないと思います。
四百四十万ヘクタールを割ってしまいました、耕作面積においてもですね。就労人口についても、右肩下がりの傾向が全くとまりません。年齢的にも上がってきております。こういう状況のもとにおいて、やはり、芋の議論とかいろいろな議論をこれまでさせていただいてきましたけれども、国の責任として、国民の生命と財産を守る基本としては、やはり、飢えることがないようにするということが大事ということで、国内の生産基盤と、それから貿易と、そして備蓄。
しかし、貿易については、そういう不確定要素は、今回も、中国であれだけのことが起こると、急に、タマネギが一割しか入ってこない、ネギも半分も入ってこない、ニンニクもショウガも入ってこないということが現実に起こって、大変な混乱が起きておりますので、そこの不確定要因は、改めて今回のコロナの一件で再確認をしたところでございます。
○亀井委員 認識は同じで、それは安心しました。
それでは、今、食料・農業・農村基本計画の、検討中の骨子案を役所の方からいただいておりますけれども、そこに、食料自給率の目標として、生産額ベースと供給熱量ベース、いわゆるカロリーベースという書き方をされています。
私は、生産額ベースにしても供給熱量ベースにしても、従来からあった数字で、それ自体には違和感はないんですけれども、「基礎的な目標として、」と書かれている、その「目標」という言葉に違和感を感じたんです。
というのは、目標というのはあくまでも一つだと思うんですよね。例えばスポーツ選手だったら、目標のタイムがあって、それに対して到達できるように練習するわけですけれども、生産額ベースと供給熱量ベースというのは、これはちょっと相反するところがあると思うので、同時に目標にはできないような気がするんです。
食料安全保障を考えたとき、食料自給率を上げるということを考えたときには、やはり供給熱量ベースの方が中心であって、生産額ベースというのは、いわゆるもうかる農業。農業を成長産業と考えたときに、所得の向上を目指す、その場合に、需要に合わせて物をつくる、だからもうかるものをつくりましょうという発想になっていて、そうすると、例えば米とネギがあったとして、ネギがもうかるんだったら所得向上のためにネギをつくりましょうというふうに生産パターンを変えていったときに生産額ベースが上がっていくということかと思いますので、同じレベルでの目標にしてしまったときに、食料自給率を向上させるというのと少し違うんじゃないだろうかと。私はやはり主要農作物の自給率というのが大事なんじゃないかなと思うんですけれども、大臣はいかがお考えですか。
○江藤国務大臣 カロリーベース、それから生産額ベース、飼料自給率ベース、また新たにもう一個、後ほど議論になるんだろうと思いますが、それぞれいろいろあって、相反するという御指摘はあるかもしれませんが、私は、日本の農業の現状を把握する上で、いろいろな角度から検討できる指数があることは決して悪くないんじゃないかと思っております。
そして、やはりカロリーベースが、食料安全保障に関しては、これが基本です、これが一番大きな柱だというふうに私は考えております。ですから、今回の食料・農業・農村基本計画の策定においても、大きな大黒柱がこれである。そして、皆様方に、国民の皆様方も含めて、日本の農業の現状を理解していただく上で、ほかの指数も出させていただく。
ですから、ほかのものは補完的に、我々も、水田のフル活用とか高収益作物の推進とかそういうことをやっておりますので、もうかる農業については推進いたしますけれども、安全保障ということにポイントを置けば、先生のおっしゃるように、熱量ベース、カロリーベースに重点を置くのは当然のことだというふうに思っております。
○亀井委員 それであるならば、やはり、カロリーベースを目立つようにしていただきたいなと思うんです。
最近の傾向として、指標がすごく多いんですよね。後でお話ししますけれども、飼料自給率を反映するものと反映しないものがまた出てくるようですので、数が、指標がどんどんふえていって、供給熱量ベースがいわゆるワン・オブ・ゼムの扱いになっているような印象を受けるんです。
そこで、次の質問は、やはり何といっても主要農作物の自給率が大事だと思いますので、この数字を教えていただけますか。これは参考人の方で結構です。
○浅川政府参考人 お答え申し上げます。
穀物自給率についてのお尋ねだったと考えておりますが、穀物自給率については、米、小麦、大麦、裸麦、トウモロコシなどの雑穀を対象としておりまして、平成三十年度で二八%となっているところでございます。
○亀井委員 やはり低いですよね。米はかなり自給できているのはわかっていますけれども、やはり主要農作物の自給率を上げていくということが大事じゃないかなと私は思います。
それで、次の質問ですけれども、日本のいわゆる供給熱量ベース、カロリーベースの自給率が低いのは、一つには、畜産関係であれば、飼料の自給率が低いから、その分低く数字が出てしまうということは指摘されてきましたけれども、であるならば、やはり飼料自給率を高めていくというのが本来の姿であって、私は、今回どうしてその飼料自給率を反映しない産出食料自給率目標を新たに設定するのか、その意味がわかりません。
資料をいろいろいただいておりますけれども、例えば牛肉であれば、カロリーベースであれば、飼料自給率を反映しなければ自給率四三%、反映すると一一%、卵の場合は、飼料自給率を反映しなければ九六%だけれども、飼料自給率を反映すると一二%という、かなり開きがある数字がここに書かれておりまして、まあこのとおりなんでしょうけれども、わざわざ、数字に見えているほど大変じゃないのですというような意味にしかならないというか、全体の熱量ベースの自給率が下がってきていることを、悪く言えばちょっとごまかすような数字が新たに追加されるんじゃないだろうかという気もするんですけれども、大臣、これはどういう趣旨で、今回指標をふやすんでしょうか。
○江藤国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、カロリーベース、供給熱量ベースが基本でありまして、牛であると一一%という数字も出していただきましたけれども、これがやはり基本になるということは変わらない。
先ほど、書き方を工夫しろという御指摘をいただきましたが、実は私も同じことを農林水産省の中で言っておりまして、でかい柱はやはり今までどおりのカロリーベース、熱量ベースだよ、それについて、下でもこういうものをつけるのは構わないけれども、それが並列的に書かれることはいかがなものかという指摘はしておるということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
そして、これをやった理由は、いろいろな事情があるんですけれども、例えば、私は宮崎県で、和牛の生産拠点でありますが、ピュアブラッド、一〇〇%和牛でございますということで世界のマーケットに打って出ようということで、アメリカにもEUにも、これからできれば中国にも打って出ようということでみんな頑張っております。我々、国内で買うときも、ホルスでも国産牛、F1でも国産牛、和牛は当然国産牛といって、国産と、だんと銘打っているわけですね。もっと言えば、例えば野菜なんかでも、施設園芸なんかでやれば、輸入した燃料をたいて加温して、それで野菜もつくっているわけですよ。余り厳密にやると、いろいろな支障がいろいろなところに出てまいります。
我々は、これから輸出に取り組むときに、胸を張ってこれは国産なんですということをやはり言いたい、正直な気持ちを申し上げると。四月一日から、いよいよ輸出対策本部の本部長として私の仕事をしなければなりませんので、そういうときに、国の指標の中には反映されない、そして、畜産農家の方々が一生懸命農家として、地域を支える担い手として頑張っていただけている部分も、国の統計の数字には全く、全くじゃないですけれども、ほんのちょっとしか反映されない。しかしそれでいいのかということを検討した結果、輸出に対応するため、そして、いろいろな多様な農業をやっている方々の御努力が数値の上でも反映されるため、そして、国民の方々も、いろいろな検討、分析の指標を持つことも決してマイナスではないという考えで、このようなものを設けた次第でございます。
○亀井委員 いろいろ議論はあるところでしょうけれども、大臣の思いはわかりました。
ただ、私はやはり、この間の全体的な印象として、自給率の指標がどんどんふえていって、カロリーベースの重要度が軽視、下がっていくような印象を持っていますので、目立つように書いていただきたいということ。
そして、前回も私、質問したんですけれども、食料自給力、これをまた別に定める意味がどうしてもわからないんです。
部会でも聞いたんですけれども、そうしましたら、現在の農地だけじゃなくて、荒廃地ですとか全ての場所で耕作をした場合にどのぐらい食料を自給できるかということで、ですからこれは緊急時の想定に近いんだろうと思いますけれども、例えばどういう場合ですかと言いましたら、今、例えば花農家があったとして、その花農家が食料をつくった場合にどうなるか、学校の校庭で芋を植えたらどうなるか、そういう世界のようなんですけれども、そこまでしてその食料自給力という指標をまたわざわざ入れる意味があるんでしょうか。もう食料自給率の向上に素直に努めればいい話じゃないかと思うんですけれども。
これも何だか、いざとなれば大丈夫、花農家も食料をつくるからと、ごまかすように聞こえてしまうんですけれども、一体どういう理由で食料自給力の指標が必要ですか。
○江藤国務大臣 先ほどちょっと触れました、芋をつくったらという話にもつながっていく議論だと思いますけれども、やはり国民の方々の中には、これだけ農業者の数も減り、平均年齢も上がり、四百四十万ヘクタールも切って耕地面積も減っているということで、不安に思っている方々がおられる。そのときに、ぎりぎりのところでどう国として踏ん張れるのかという数字があることは、それなりの意味があると思います。
決して、食料自給率の三七という低さをごまかそうというような意図ではなくて、本当に国家的な危機のような状況、本当に世界じゅうから輸入もできないような状況、そういうようなことが起こったときにはこういう対応が可能ですよという体制をお示ししたものだというふうに理解をしております。
○亀井委員 でも、こういう対応が可能ですよといって、花を栽培しているハウスが突然食料を栽培できるとは思えませんし、そんなすぐに切りかえるものじゃないので、今の食料自給力の想定というのは、やはり私は非現実的だと思います。もう少し素直に、真っすぐに食料自給率の低下を受けとめて、それに対してどう向上させていくかということをカロリーベースを基本に対策を打っていただきたいということを強く要望いたします。
次の質問に移ります。
次は、行政側の農業人材の不足についてです。
この件については、労働組合の方からも、農水省の職員が著しく減っているということは要望を受けてきました。これは全農林の資料ですけれども、二〇一〇年以降の定員削減の状況、国家公務員の定員削減は五年をスパンに、一九六八年から、五から一〇%の削減を目標に進められてきて、直近では、二〇一五年から二〇一九年度の期間に行われた。政府全体で二千六百五十人の増員となったものの、農林水産省においては千六百三十六人の純減となっており、政府全体の純減数の約六割を負担させられる結果となったと資料にあります。
この週末に行政の農林水産業に携わっている人たちとの意見交換会をしまして、島根の現場の状況というのを本当に深刻に受けとめました。市町村合併が進んでいますから、いろいろな補助金の審査で現場に行かなきゃいけないわけですけれども、手が足りません。
例えば、多面的機能支払交付金、中山間地域等直接支払交付金、環境保全型農業直接支払交付金、こういった直接支払交付金がありますけれども、その要望している人たちに、例えば会議室に集まってもらって説明するというようなことではきかないのかと聞いたら、やはりそれは無理ですので、それぞれケースが違うので、現場に出かけていかなきゃいけない。人が足りなくて、本当に市町村合併後、無理なんですね。そこに、口をそろえて言われたのは、農水の担当というのは調査物が多いと言われました、国の調査物。
例えばと聞きましたら、ため池の数を数えたと言うんですね。確かに、言われてみれば、この委員会でため池の法案を通しましたね。西日本豪雨があって、ため池の損壊があって、ため池法案をここで審議しましたけれども、その際、末端、現場に行くと、各県の、あるいはこの地域のため池を数えろという指示が行って、ふだんの業務が全部ストップしてしまうほどになっているわけです。
今後、これが続いていくと、ですから、この調査がため池だけじゃなくて、そして、恐らく、農水省の中でほかの課で何をやっているかわからないので、それぞれ知らないうちに、全部現場に、何を数えろ、担い手の数を数えろとか、いろんな調査がおりていって、現場が回っていません。この状況を大臣は認識をされていますでしょうか。
○江藤国務大臣 私も、最近はちょっと地元に帰れておりませんが、現場を見ることを常としておりますので、私も同じ認識を持っております。
多面的機能支払いにしても何にしても、事務が大変多い。私も、この閣僚という席につかせていただいて、日本型直接支払い、維持支払いとか、向上支払いとか、環境維持支払いとか、それが要るときにどれぐらいの書類のロットがあるんだということを物理的に持ってこさせました。大変多いです、書類の厚みが。これを、現場の人が、それぞれの圃場に出向いて、それぞれの状況に応じて書類の作成をしているということであれば、これは大変なことだと。
私のところも市町村合併が大変進んで、大変な面積が一つの町になっております。ですから、例えば、ちょっと話が横にそれて申しわけないですけれども、環境譲与税も渡りましたけれども、お金をもらうのはありがたいが、しかし、人間がおらぬぞという話もあわせて聞いております。ですから、私たちとしては、やはり人的なリソース、これはもうちょっと確保しなきゃならない。これは本省でも各局でもそうです。
ですから、農水省としては、地方参事官を地方に配置をいたしました。これは御存じだと思いますからもう詳しくは申し上げませんが。そして、その少ない人たちが少しでも効率的に仕事ができるように、そういった手続の書類とか、手間とか、例えば写真を撮って売ったらとか、いろいろ先生御存じだと思いますけれども、あるじゃないですか。そういったものを、デジタルの時代でありますから、そういったものも活用して、効率的にできるように、今、改革を進めさせていただくところでございます。
○亀井委員 現場からも指摘されましたのは、先ほどお話ししました直接支払いの交付金がありますけれども、これを幾ら農業者が使いたくても、行政が処理をし切れなくて使い切れない、積み残してしまうということが、もう、もしかしたら起きているんじゃないだろうかと。というか、もう対応できない自治体が出てくると思いますよということを言われましたので質問しますけれども、この多面的機能支払交付金、中山間地域直接支払い、環境保全型農業直接支払い、この残余の金額というのは幾らくらいでしょうか。政府参考人の方に伺います。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
日本型直接支払いということで、中身は三つに分かれておりまして、多面的機能支払い、中山間直払い、それから環境保全型農業直接支払いでございますけれども、これら日本型直接支払いの平成三十年度の不用額、不用額のお尋ねだと思いますので不用額をお答えいたしますが、二億三千万円でございます。これは、この三つの事業の平成三十年度の予算額が七百七十二億でございますので、それに対しまして〇・三%の不用額となっているところでございます。
○亀井委員 何か不用額と言われると、またちょっと抵抗があるんですけれども。不用なわけではなくて、やはり、行き届いていない、手が差し伸べられていないのだと思います。
その根本的な原因は職員の不足ですから、市町村合併の影響はかなりありますので、この問題を何とか解決していただきたいということを大臣には強く要望しておきます。
これは、農業だけじゃないです。水産業も一緒です。漁業者の対応をする人材と漁港をチェックする人材は別で、部署も別のはずなんですけれども、それが別々に成り立たないほどになってきていまして、漁港の老朽化をチェックしながら漁業者の対応というのも実際にはできないわけですから、現場の人材が足りないということをきょうは強く申し上げておきます。
最後、水産業の方にトピックを移します。
漁協の合併について質問いたします。
まず、漁協の合併については、国策として、水産庁は進めてきたと思います。ホームページで資料を探してきましたけれども、これは平成二十年の二月ですね、漁協合併の状況ですとか、漁協の合併については、みずから定めた合併構想により、合併促進法の期限の二十年三月末に約二百五十にまで減らせることを目標に、都道府県と連携しつつ、合併促進法を最大限活用して、合併促進に取り組んできたところというような、これは大分前の書類ですけれども、国策として合併を進めてきたと理解をしております。
そこで質問なんですが、きょう、資料をお配りいたしました。
私の地元島根県は、漁協数が三なんですけれども、実質的にはJFしまね一つだけです。全国でどの程度漁協が合併されているのかと思って見て、これは私は驚いたんですけれども、物すごく開きがありますね。ゼロというのは、海なし県で漁協そのものがないんだと思いますけれども、一から七十一まであります。一漁協の県は、山形県、石川県、京都府、大分県ですね。一方で、北海道は七十一です。これは平成三十年度末です。
どうしてここまで開きがあるんでしょうか。これは大臣にお伺いいたします。
○江藤国務大臣 浜の合併につきましては、あくまでもこれは組合ですから、組合員の合意がなければこれはできないということであります。国としては、そういう方向に進んでいただきたいという、国策という言い方もできるかもしれませんが、方向性を示したことは事実でございますが、あくまでも、その合意が形成されなければならない。
私のところも、お示しいただいた資料のように二十ほどありますけれども、中には、本当に組合員も減って、JFバンクもほとんど取扱いの金額も減って、行っても、非常に寂しいところもありますが、それでもやはり浜のプライドとかいろいろなものがあって、どうしても合併したくないという意思は、今でも尊重されております。
ですから、合意形成というものは、漁業に限らずなかなか難しいことではありますけれども、それによってもたらされるロットの増大とか、例えば、牛でもそうですけれども、やはり一定数量、定量的に一定のロットで継続的に品物が浜で競られるということが顧客を集めるということにもつながりますし、そういうスケールメリットはあるのはわかっているけれども、やはり浜の方々の中には、それよりもやはり自分たちは自分たちで頑張りたいという意思等もあって、このようなばらつきが出ているんだろうというふうに理解をしております。
○亀井委員 では、ここからは、私の地元の島根の話になります。
JFしまねというのは、会長が全漁連の会長ですので、率先して、国策に合わせてといいますか、合併を進めた県です。その結果として、今何が起きているかといいますと、漁協の中が大変な騒ぎになっております。
きょうお配りした資料の二枚目ですけれども、まず、JFしまねに統一されてから、一段目ですけれども、「二〇〇六年の発足後、職員を当初の約四百人から半数以下に削減。」と。まず職員が半分になったんですね。その結果、何が起きているかというと、いろいろな事務が滞るわけです。
それで、一昨年の漁業法改正のときに、なぜ漁連はその漁業法の改正を認めたのかということを尋ねましたら、一つには、漁業関係予算をふやしてもらえる、三千億つけてもらえる、そして、非常に人気の高い漁船リース事業、ここを拡充してもらえるから受け入れたというような、そういう回答をいただいているんですけれども、島根は、全くこの漁船リース事業の恩恵がないんです。なぜだか、とにかく何人もの人がこの漁船リース事業に申し込んでいるんですけれども、担当事務がいない、さらに、会長は不在で全く印鑑をついてくれないので、みんな漁船を更新するのを諦めているんです。
これが大変な問題になっていまして……(発言する者あり)でも、それでかなり漁協の中はいろいろなことがございまして、伺いたいんですけれども、ここからは客観的な数字ですが、この漁船リース事業を積極的に使っている漁協、上位三漁協と下位三漁協、教えていただけますか。伊東副大臣、お願いいたします。
○伊東副大臣 亀井議員の御質問にお答えします。
岸会長、島根のためということではなくて、全国的に漁民のためにということで大変に御尽力いただいている方だ、このように認識しております。昨年、ことしと漁船のリース事業の予算が獲得をきちっとされたときも、大変なお喜びようであった、このように思います。
今お尋ねの上位三漁協でありますけれども、一位は佐賀県の有明海漁業協同組合で、これは百十七件、これは平成二十七年度補正予算から平成三十年度補正予算までの漁船リース事業でありますけれども、二番目が宮城県漁業協同組合、これが五十一件、三番目が、これは私の地元にもなるわけでありますけれども、北海道の昆布森漁業協同組合、四十五件となっております。
また一方で、神奈川県、滋賀県及び福島県の三県で、六十二漁協でありますけれども、いまだこれが活用をされておりません。
ちなみに、JFしまねにおける活用実績は二十件でありまして、全国ランクでは二十二位となっているところであります。
○亀井委員 私は、別に個人攻撃をするつもりはないんですけれども、現場の声として、申請しても、いつ手続が始まるんだか全くわからなくて、船をつくるのを諦めたというような声が非常に多くて、それもJFしまねの中が混乱する一つの原因になっておりますので、それをお伝えいたしましたし、全国でどこが活発に活用しているのかというのは、きょう知りたいと思いました。
次の質問ですけれども、これもこの新聞記事ですが、JFしまねの監査体制、検査が非常におかしいということで、これも記事にあるとおり、准組合員を含めて約五百人が、有志でつくるJFしまね正常化協議会というのに入っておりまして、県に検査強化の要望をするほどの事態に今なっております。
この記事の中にあるとおり、「二〇年度の検査で国の官房検査官の派遣を依頼し、検査態勢を強化するよう求めている。」、このとおり記事にありますので、第三者が、一体何が起きているのか、検査していただくのがやはり私は一番いいと思うんですけれども、国の官房検査官を派遣して、何とかJFしまねの中が落ちつくようにしていただけないでしょうか。これは大臣にお伺いいたします。
○江藤国務大臣 組合員の有志の方々が、本年二月に、国の検査官を派遣する要望書を出されたということは承知をいたしております。
これについては、漁業協同組合JFしまねに対する検査でありますけれども、水産業協同組合法の第二百七条の第一項において、島根県知事が行うということになっております。その上で、農林水産大臣は、信用事業及び共済事業、これについて、知事の方から御要請をいただければ監査を行うことができるということになっておりますので、知事の御要望をまたいでそれをすることは、ちょっと今のところは難しいということであります。
○亀井委員 ありがとうございます。
知事とも話してまいりますので、知事も新しくかわったところなんですけれども、JFしまねの正常化に私も取り組んでいきたいと思いますので、国が協力できる場面になりましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
○江藤国務大臣 先ほど、二百七十一条と申し上げるべきを、百二十七と言い間違えたようでございますので、訂正させていただきます。
○亀井委員 承知いたしました。
時間も……
○江藤国務大臣 百二十七の方が正しいみたいです。済みません、訂正させていただきます。
○亀井委員 承知いたしました。
それでは、最後の質問に行きます。
これは結構大事な質問なんですが、ここの委員会で卸売市場法の改正を行いました。その影響が早速地元に出ておりまして、きょうのお配りした資料の最後の二枚です。
JFしまねが、境港市場で、仲卸と兼業をしようとしている。JFしまねというのは、大卸三社の一角を占めています。この記事にありますように、境港魚市場、鳥取県漁協と並んで、大卸の一角を占めるんですけれども、同じ市場で、大卸と仲卸を兼業するという方向に動いております。
これがもし通ってしまうと、地元の仲卸がみんな潰れます。JFしまねの資本力には対抗ができない。もし、これが起きたときには、今、JFしまねというのは、網ごと買いますと言って網ごと魚を買って、イオンに直接に出しているんですね。それを大分前から始めているんですけれども、もしかすると、地元の魚がごそっとJFに買い付けられてイオンに全部行ってしまうんじゃないだろうか、そういう不安の声がもう既に起きてきておりまして、大変深刻な問題だと思います。
卸売市場法の改正は、仲卸は目ききだし、必要なシステムなんだというふうに、この場でも何度もいろいろな議員が発言いたしましたけれども、このJFしまねが大卸、仲卸を兼ねるというようなことはやめていただきたい。大臣としてもしっかり監督していただきたいんですが、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 法律上の整理についてまず申し上げますと、改正卸売市場法においては、兼業を禁止するかどうかのルールについては、各市場で、卸売市場で判断を設定するということは可能にしておりますので、各市場の判断ということになります。
その上で、御質問のこの件につきましては、現在、鳥取県議会において、鳥取県営の境港水産物地方卸売市場のルールである条例案、これで卸売業と仲卸業との兼業の禁止規定を設ける内容で審議が今行われているというふうに伺っております。これがこのまま成立すれば、同地方卸売市場において兼業はできなくなるというふうに理解しております。
○亀井委員 ただ、これは市場法の規制緩和の結果ですから、県丸投げではなくて、やはり国としての姿勢をきちんと示していただきたい。こういうことが起きないように私たちは訴えてきたわけであって、やはり地元の人間が地元の魚を食べられるように、きちんと国としても気を配っていただきたいということを申し上げて、時間ですので、質問を終わります。
以上です。
○吉野委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、コロナウイルス対策における農業への影響とその支援対策について質問します。
安倍総理の要請で学校が一斉休校、学校給食は停止となって、生産者に甚大な影響が生じています。
まず最初に牛乳なんですけれども、大臣、参議院から衆議院までもう議論があっています。端的にお答えいただきたいと思います。
加工原料乳生産者補給金は生産者に交付される、わかりました。しかし、飲用乳との価格差は残る、ここについて検討が必要だという大臣の御答弁だったと思うんですけれども、まさにこの補填についての支援策が必要だと考えますけれども、検討は進んでいるでしょうか、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 農林水産省として、私の腹も含めて、それはもう固まっております。しっかりこれは補填せねばならないと思っております。しかし、農林水産省の予算ということではなくて、予備費も活用した内容となりますし、財務の御了解もいただかねばなりませんので、これは当然、私どもとしては補填されるべきものだというスタンスで交渉していきたいと思っております。
○田村(貴)委員 わかりました。
児童生徒向けにもうパックされた牛乳については、残念ながら廃棄処分しなければいけない事態も生じている。それにはまたまたコストがかかるという問題も含めて、きめ細かい支援が必要だというふうに考えます。
次に、野菜等についてお話ししたいんですけれども、精米や野菜を首都圏の学校に納入している生産者組織からお話を伺いました。ある地域では、三月に注文がキャンセルになったら数百万円の影響が出るとのことでありました。市場に回していれば、売れればいいんだけれども、売れない可能性もあるし、価格は学校給食よりは安くなってしまう。日もちするジャガイモとかニンジンとかそれからタマネギ、これはもう既に仕入れているんだけれども、大量の在庫を抱えてしまうという懸念も今ある。大変心配されているわけですよね。
こうした食材については、一体どうなっていくんでしょうか。対策はどうすればいいんでしょうか。
この問題は、学校と生産者との間で起こっている問題です。きょうは文部科学省から、亀岡文科副大臣にお越しいただいております。学校給食で、減収や品余り、販路を失った農家、生産者関係への補償や対策というのはどういうふうにしていかなければならないのか、まず亀岡副大臣からお伺いしましょうか。
○亀岡副大臣 ただいま田村委員の言われたとおり、今回の政府による臨時休業の要請によって、春休みまでの期間、学校給食に食材を納入する予定であった事業者の方々に対しても、多大な影響が生じていると承知しております。
全国一斉の臨時休業を要請するに当たりまして、新型コロナ感染症対策本部において、こうした措置に伴って生じるさまざまな課題に対しては、政府として責任を持って対応するということが表明されております。
我々も、いろいろな学校からいろいろな要望をいただいておりますので、教育委員会からも要望をいただいておりますので、今回の長期にわたる臨時休業に当たり事業者等に生じる負担については、農林水産省を含め関係省庁と連携をしながら、具体的な対応をしっかりと今検討しているところであります。
○田村(貴)委員 農水省と文科省が連携して対策を講じていくということで、私もきのうレクを受けたんですけれども、何を、どの省が、いつまでに、何をするかというのはまだわからない。だから、緊密な連携とスピードアップが求められると思うんです。
そこで、江藤大臣、大臣は先ほど、連携をとっていく中で、あとスピード感が大事だという話もされたと思うんですけれども、生産者にとってみたら、この突然の状況の中で大変不安を抱えておられる。この不安を取り除くために、早く実効ある支援対策をつくる。
そのためには、なすり合っていてはいけないので、早く合い議をして、ここは文科省、ここは農水省と仕分もしていただいて、スピード感を持って対策を打っていただきたいと思うんですけれども、米、野菜、その他の農産物については、大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 文科省におきましては、例えば給食センターなんかにつきまして雇用の関係も生まれていて、工場がストップする、例えば製麺工場なんかでも、工場がストップする、そこで働いている方々について所得の、八千三百円だったですか、ちょっと間違っていたら申しわけないんですけれども、その金額についてしっかり整理をしていただくということだろうというふうに思っています。
もうちょっとすり合わせと精査が必要だとは思いますが、農作物等についてはやはり我々の所管であろうと思っています。既に製品になったもの、それから倉庫で保管されているもの、そして、中には期限が切れてしまうものもあるかもしれません。ですから、スピード感を持ってやらねばなりません。
ですから、アナウンス効果というのはとても大事で、まずやるということを申し上げて、それを早く私としては言いたい。そして、その詳細についても、できる限り、かなり細かくなりますので少し時間はかかるかもしれませんが、しっかりとした対策を、農家の方々の不安、生産者の方々、流通関係の方々の不安を取り除くために出したいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 同じ質問、亀岡副大臣、いかがですか。
○亀岡副大臣 今お話があったように、農林省と連携をしながらしっかりとやっていくんですが、例えば、まだ今、我々検討段階でありますけれども、直接父兄からもらっている場合の給食費なんかも何とかしながら、直接業者に影響が出ないような環境づくりに今取り組んでいるところでありますので、早急にこれは検討していきたいと思っています。
○田村(貴)委員 イベントの自粛、中止、それから、この季節、卒業式、歓送迎会それから謝恩会、花の需要が高まっています。きょうも議論があっていますけれども、一気に冷え込んで、花卉栽培の農家さん、花屋さんも困っておられる。また、外国人の団体旅行客の激減で途方に暮れている、これは私の福岡の地元でもあるんですけれども、観光農園の話も伺いました。外食の落ち込みで、飲食店に納入する魚の価格が下落している、きょうも議論がありました。
コロナウイルスの拡大に伴って、生産現場ではさまざまな問題が生じています。政府へ対策を求める声が、切実な声が毎日起こっているわけであります。
そこで、農水省に一つお願いなんですけれども、この瞬間でも減収あるいは無収入で死活問題になっておられる農家さんがおられると思います。これは安倍総理の、総理の要請で起こってきた問題でもあります。政府として、例えば、生産者からのホットラインを設ける、あるいは専門の相談窓口を設けて生産者からの声を聞くことが私は必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 現場の声を聞くことはとても大事だと思います。不安の声に応えるような窓口を設けることも大変大事だと思っております。
このことは、実は省内でも検討いたしましたが、全ての電話が例えば本省に集まってしまうということになると、多分パンクするおそれがあります。
ですから、きのう申し上げたのは、各農政局でしっかり対応してくれと。そして、電話対応ももちろんですけれども、できるだけ職員が現場を歩いて、何が起こっているのかについて聞き取りもしてほしいということで、本省に窓口を設けることはちょっと現実的でないかもしれませんが、各農政局で窓口を設けることは前向きに検討したいと思っております。
○田村(貴)委員 わかりました。では、そのアナウンス効果もしっかりやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
それでは、亀岡副大臣、ここまでで結構です。早速連携して対応に当たってください。ありがとうございました。
次に、食料・農業・農村基本計画についてお伺いします。
大臣は所信表明演説の中で、農林水産業の現状について、人口減少や担い手の減少、高齢化について触れました。まさに、食料・農業・農村政策審議会における基本計画の議論の中心はここであります。疲弊する農業、農村をどのように分析、把握し、どのように対処すべきなのかという点であります。
そうした議論を反映して、農林水産省が審議会の企画部会に配付した「次期基本計画の検討に向けての基本的な考え方について(案)」というのがあります。これを読ませていただきました。この中には、人口減少それから農業就業者の減少、中山間地では地域社会の維持も困難になるというくだりがあって、次のように結んでいます。「このままでは、農業生産が継続できず、国民への食料の安定供給が損なわれる事態となりかねない。」、かなり厳しい指摘、危機感が表明されていると私は受け取ったわけです。
大臣、農地や農業者のこの危機的状況についてどのように把握されているか、御認識を伺います。
○江藤国務大臣 二〇一九年で百四十万人まで減少して、先ほども申し上げましたが、四百四十万ヘクタールを切って四百三十九万七千ヘクタールまで、今、面積的にも減ってしまっております。年齢構造的にも非常に厳しいものがありますが、しかし、私の地元でも随分、新規で就農してくれている方々もおられます。
その一方で、もう一つの指標として農業構造の動態調査というのもされておりますが、それでもかなり厳しい数字が出ております。
ですから、日本全体が人口減少に伴う中で、首都圏への人口流入がとまらないという全体の流れの中で、地方では、建設業でも人が足りないし、ましてや農業現場では人が足りないし、そして、外国人研修生がいないと農業も酪農も畜産業も回らないという現状がございます。
ですから、いろいろな問題点がありますけれども、中山間地域は本当に頑張っていると思います。少しずつ人口は減っておりますが、私は、限界集落はあんな、一回数字が出たように、消えてなくなるなんて全く思っておりませんし、そんなことが起こらないように、中山間地域の直接支払い制度についても三つの新しい制度を設けましたし、一つは対象を拡大いたしましたし、中山間地域直接支払いの要件も緩和をいたしました。棚田法案も通していただきました。いろいろな方策を総動員して、これに対処しなければならない、今そういう局面に達しているんだろうというふうに認識をいたしております。
○田村(貴)委員 今大臣がおっしゃった四百三十九・七万ヘクタールを割ったということをグラフ化しました。
これが、基幹的農業者数、販売農家戸数、耕地面積、いわゆる農業の基盤ですよね、生産基盤。ここがとにかくずっと下がってきているということです。
農水省にもお伺いしますけれども、なぜこういう状況になっているのか、その主要因は何なのか、端的にお答えいただけますか。
○大角政府参考人 お答え申し上げます。
平成三十一年の基幹的農業従事者数、今お話ございましたように、百四十万人、販売農家は百十三万戸でございます。この十年間で、それぞれ、五十一万人、五十七万戸減少しております。
その主な要因といたしましては、農家世帯の高齢化により離農が進んだことによるものと考えられております。
また、令和元年の耕地面積は四百三十九万七千ヘクタールで、この十年間で約二十一万ヘクタール減少しております。
その主な要因につきましても、荒廃農地の発生や宅地等への転用によるものと考えられるところでございます。
○田村(貴)委員 数字はリアルですよね。
農業で安定した生活を送ることができない、将来にわたって展望が見出せない、だから、後は継げないし、後を継がせられないという状況がずっと日本全国で続いているわけです。こういう状況が一層深刻になってきたことが先ほどの危機感の表明ではないかなというふうに思います。
農政モニター、農業新聞の農政モニターでも、生産者の不満は、自由貿易協定、輸入拡大路線でいいのか、そして、要望については、食料自給率の引上げ、ここにやはり生産者の声も端的にあらわれていると思います。
そこで、やはり方針を変えなければいけないと思います、ここまで来たら。
際限のない輸入自由化路線は、ついに、TPP、日欧EPA、そしてアメリカとの貿易協定、FTAですね、ここに行き着きました。TPP発効から一年以上が過ぎて、例えば、牛肉は、カナダ産が去年の一月から十一月で九五%増です。ニュージーランド産は三二%増です。大攻勢を日本の市場にかけてきています。もう小売店、スーパーに入ったら、こうした品物が目にとまりますね。たくさん入っています。食肉や、ブドウ、リンゴなど果実も含めて、輸入量が確実にふえています。
人口減少、消費が落ち込む中で、外国産が国内産を席巻する事態が続けば、一層日本の生産基盤は弱体化するのではありませんか。これは、輸出拡大方針では解決できない問題であります。日本の生産者を守る最大の対策は、この輸入拡大路線に歯どめをかけることではないでしょうか。大臣、いかがですか。
○江藤国務大臣 さまざま御指摘をいただきましたが、カナダは確かに大変な伸び率を示しておりますが、分母がまず小さいということを若干御指摘をさせていただきたいと思います。
11からの、今手元に資料がございませんけれども、全体としての輸入総量については、そんなに、11発効前に比べて大幅に伸びているという状況では、実はございません。
そして、アメリカからは伸びておりますけれども、この三月までどうなるか。今、動態を、例えば、一月十日まで、一月の二十日まで、三十日まで、十日区切りで私のところに報告を入れるようにさせておりますが、今のところ、一月は大きく伸びましたが、二月については若干ブレーキがかかっているような状態だというふうに思っております。
確かに、外から入ってくるものがふえれば、国内の農業が、畜産業も含めて圧迫を受けることは、私は全く否定はいたしませんが、しかし、日米TAGについてももう発効いたしておりますが、11についても発効いたしております。では、その上で何をするべきかということを、私たちはやはり現実を見据えて考えなければなりません。
ですから、宮崎の牛肉についても、今EUについての輸出もようやく始まりました。アメリカにも出しております。そして、中国も開くかもしれません。そして、六万五千五トンの低関税枠、いわゆる四円の枠も開くということもあります。
ですから、我々は、出口を海外にも求めていく、そういったことも含めて、海外からの輸入増加量に対して対抗していくようなことも考えていく必要があるのではないかというふうに考えております。
○田村(貴)委員 大臣、それは、横ばいであったとしても私は問題だと思いますよ。だって、この国の人口は減っているんですよ、高齢化ですよ。消費が冷え込んでいます。そしてこういう状況になっている。それがやはり国内産を席巻することになるんですよ。
それで、これに加えて、メガ貿易路線というのは、この先、何があるのか。
米の輸入枠などの積み残しを抱えた日米貿易協定の第二段階が始まる。それからタイがTPPに加盟を申請する。中国、インドを含む十六カ国が参加するRCEP、それからブラジルなど南アメリカ諸国の関税同盟メルコスール、これがこの後、控えているわけですよ。どんどん入ってくるわけですよ、メガ貿易協定が。そして輸入農産物があふれ返ってくる。大丈夫ですか。これが生産基盤の弱体化を招いている大きな要因だと、私、数字も挙げて、グラフもこうやってやっているので。
こうした路線からやはり決別しないと、先ほど述べた、部会に出された危機感、「農業生産が継続できず、国民への食料の安定供給が損なわれる事態となりかねない。」、こうした危機感はまたずっと続いていきますよ。深刻な状況を更に迎えるんじゃないかというふうに思います。
所信表明で、江藤大臣は、国連家族農業の十年、これをどう位置づけるかについて言及がありませんでした。残念でありました。家族農業を基本計画の根本に位置づけられると私は思っています。多くの生産に携わる人、消費者運動に携わる人も、この点を主張しています。家族農業を基本計画の根本に位置づけて、農業振興支援策の担い手要件や規模拡大要件を見直すことを求めたいと思います。いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 来る基本計画の中では、日本の農業の経営体の約九八%を占めている家族経営、これをしっかりフィーチャーする形で書き込んでいきたいというふうに強く思っております。
規模の大小にかかわらず、生産条件の優劣にかかわらず、全体の底上げを図っていくような農政をやりたいというのが私の願いでございます。
ですから、そのような方針のもとに、いろいろな基本法のもとに、いろいろな要件についても、例えば畜産クラスター事業についても、先生は御存じだと思いますが、要件を緩和させていただきました。ですから、さまざま要件を緩和させていただいて、まあ税金を使うことでありますから余りずぶずぶにするわけにはもちろんいきませんけれども、しっかり現場で使いやすいように、少しずつ工夫していくことは、不断の目配りをしていきたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 先ほどの亀井議員に続いて、食料自給率のことについても何点かお伺いしたいと思います。
二〇一五年の基本計画改定時は、食料自給率の目標が現状と乖離している状況となっているからとして、カロリーベースで五〇%から四五%へ引き下げました。ところが、当時三九%だった自給率は、四五%の目標に近づくどころか三七%まで、安倍政権のもとで三七%まで下がってきています。
これは、基本計画のときに定められた数値がことごとくそうなんですよね。定めたのはいいんだけれども目標値に届かない。どんどんどんどん下がっている。これは一体どうしてこういうことになっているのか。一度も達成したことがない。これはもう今度もかけ声だけに終わってしまうんじゃないか。
そういうことについて、じゃ、自給率を上げるために本腰を入れた取組をどうすればいいのかといったところが今、根本的に求められるというふうに思います。ですから、私は先ほど、輸入依存、輸入促進政策から決別しろということを一つ挙げました。
そこで、具体的に質問したいと思います。
今度の基本計画には、飼料の自給率を反映しない産出段階というのを新たに加えるとしています。この産出段階ベースを入れますと、指標が、カロリーベースに、それから生産額ベースに、これに掛ける二つですよね、産出段階ベース。四つの指標が出ます。四つの指標が既にもう、配られた資料の中で並列されています。先ほど、大臣は、カロリーベースが大黒柱とか、重点はここだと言ったんだけれども、もう差し出されている指標は並列なんですよ。並列プラス飼料の自給率。これを入れたら五つになるんですよ、五つ。
日本の食料自給率はどうなっていますかと聞いたときに、五つ数字が並ぶんです、並列で。何でそんなややこしいことをするんですか、農水省。答えてください。
○浅川政府参考人 今回、産出段階の食料自給率というお尋ねだったと考えております。
現在の食料自給率ですけれども、飼料を差し引く形での総合食料自給率がカロリーベースと生産額ベース、それから飼料自給率ということで、三つ自給率がございます。
その自給率ですけれども、飼料自給率を反映して、国産飼料のみで生産可能な部分を厳密に評価しておりますので、食料安全保障の観点から今後も基本であるということは、先ほど大臣からお答えしたとおりでございます。
しかしながら、今後拡大する海外需要も念頭に、畜産物の増頭、増産など生産基盤を強化している中では、この努力が反映されないといった課題がございますので、今度の新しい基本計画では、従来の食料自給率目標を基本としつつ、国内生産の状況を評価する指標の目標も新たに設け、我が国の畜産業が輸入飼料も活用しながら需要に応じた生産を行っていることについてきちんと評価できるようにしたいというふうに考えておるところでございます。
○田村(貴)委員 そもそも、農水省のホームページのQアンドAで、飼料が欠けていては生産が成り立たないと、根本について触れているじゃないですか。
今度、併記して、五つも出てくる。こうなってくると、カロリーベースで三七%の今の自給率は、いつの間にか四六%になっていた、生産額ベースで今六六%なのが、いつの間にか六九%に化けていたということになっちゃうんですよ。これで、誤解を生むじゃないか、恣意的な数字になりゃせぬかと指摘が出ているじゃないですか。
こうやって数字を高く見せるやり方よりも、二五%という低い飼料自給率を高めることが必要ではないんですか。国産飼料をふやすための努力と生産者への支援こそが今こそ求められているんじゃないかと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○江藤国務大臣 きょうはこの質問をたびたびいただいておりますが、大黒柱と申し上げたからには、提出させていただいた資料には同列にこのように書かれておりますけれども、しっかり書くときには書き方は変える。今言われたからではなく、もともとこのような書き方はさせるつもりはありません。やはり誤解を招くとかごまかしているとか目くらましだと言われるようなことは私は避けなければならないと強く思っておりますので、しっかりとした記述の仕方をさせていただきたいと思います。
その上で、飼料自給率を上げなければいけないというのはごもっともでございます。しかし、北海道のようなところは、草地を確保したり、子実トウモロコシをつくったり、デントコーンをつくったり、いろいろ可能でありますけれども、都府県においてはなかなか面積的にそういうものを確保するのは難しいという事情はありますが、そういう中にあっても、例えば水田フル活用の中で飼料用の米を更につくっていくような取組も含めて、飼料自給率の向上には努力をすべき課題がたくさんあるというふうに認識いたしております。
○田村(貴)委員 飼料自給率を外して明記していくということは、食料自給のそもそもの概念を壊しかねない。そういう併記になってしまったら、本当に、食料自給というのは一体何なのか、概念を壊しかねないというふうに私は思うわけです。
きょうの大臣の答弁で、並列はしないんだろうというふうに思うんですけれども、重要なのは、やはり今までの経過も含めて、ここなんだということは外していただきたくないということを申し上げたいと思います。
時間が来ましたので、被災農家の支援について伺う予定でしたけれども、これは次回にまた委ねたいというふうに思います。
以上で、きょうは終わります。
○吉野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時四分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○吉野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。大串博志君。
○大串(博)委員 立国社会派の大串です。
早速質疑に入らせていただきます。大臣、よろしくお願いします。
ちょっと順番を変えて、まず、食料・農業・農村基本計画のことから議論させていただきたいと思います。
今、四月一日に向けて作業中ということだと思います。それで、まずお尋ねしたいのは、これは検討過程において私も何度もこの委員会で取り上げさせていただきましたが、議論の途中段階で多く、この委員会からも出された意見として、現況の、昨日大臣は所信の中で農業生産基盤という言葉を使われましたけれども、まず、まさにその農業生産基盤が今非常に危うくなってきているという認識の中で、この委員会でも取り上げられたのは、食料・農業・農村基本計画の中で食料安全保障という考え方をしっかり打ち出すべきだという意見はたくさん出されました。つまり、国内でしっかり食料をつくって、国民が生存するのに安心だというような生産が、農林水産業生産ができるようになっていなきゃならない、特に農業生産はなっていなきゃならないということで、食料安全保障が大事だということは大分言われました。
この骨子案を見させていただきますと、一体どうなっているんだろうと、私、楽しみにしながら見ていたんですけれども、果たして食料安全保障という考え方がどこに出てきているかというと、この骨子案の四ページ目の「食料供給のリスクを見据えた総合的な食料安全保障の確立」というところにあります。もちろん、いろいろなリスクに対して対応していかなきゃならないという意味においての記述ですが、これは当然そうだと思います。
ただ一方で、多くのみんなが意識して、重要だ、今回書くことが重要なんだと言っていた食料安全保障というのは、むしろもっと骨太なものだったと私は思うんですね。すなわち、国内で私たちが食っていける、つまり自給していける、そういう農業体制をつくっていかなきゃならないということだったと思うんですよ。
だから、もっと骨太な部分に入っていなきゃならぬと思うし、それは自給率と大きくつながったものだと私は思っていたんですけれども、それが、基本的な考え方のどこにも、そういうのはありません。
食料安全保障という考え方は、基本的な考え方の中に書く必要が私はあると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 委員におかれましては、骨子案をごらんになっていただいているんだと思います。これはさまざまな農業政策の基礎をなすものでありますから、とても大事でありますし、今回のコロナの問題によって、国民の皆様方もこのことについてはより認識をされ、意識をされる機会になったのではないかと思っております。ですから、このことについてはしっかり書き込む必要があると思っております。
私のもとには原案があるんですけれども、まだこれはお出しができないので、骨子に基づいて議論させていただきますけれども、どういう書き方をするかについては、まず私がしっかり読むことが大事ですから、しっかり私、読み込ませていただいております。これをしっかり読んで、私の考え方を、やはりリーダーシップをとって反映させていかなきゃなりませんので、まだ、三月いっぱいということでありますから、今回のコロナを受けて国民の意識も変わったことを受けて、どういう書きぶりにするのか、どういう芽出しの仕方をするのか、更に検討を重ねていきたいと思います。
○大串(博)委員 その手元にあられるという原案、ぜひ見せていただきたいなというぐらいの気持ちではもちろんあるんですよ。より豊かな議論になるためにそうさせていただきたいなというふうな思いぐらいあります。ただ、大臣が自分の思いでこの骨子案のみならず盛り込んでいかれるということなので、では、今の段階では私の考えをぜひ言わせていただきます。
食料安全保障という考え方は、このリスクのところだけでなくて、基本的な考え方の中にばんと入っていないと、私は、今の現状において、恐らく大臣、所信の中で、食料のいわゆる生産基盤ということをあれだけ、所信の一番初めのところに書かれたというのは、そういう思い、私は共通していると思うんですよ。ぜひ食料安全保障という考え方をどんと書いていただきたいというふうに思います。
それで、それとの絡みでいうと、先ほど来議論が出ていた、いわゆる自給率です。やはり自給できるということが非常に大切になってきます。
そういった中で、産出食料自給率目標のこともありました。先ほど来、各委員からも話がありましたけれども、私も、この産出自給率目標、これは、わかりますよ、畜産の皆さんが、やはり国内で畜産の面での努力を重ねられて、国産の畜産物をつくり、食べられるようにし、かつ輸出もしていこうと努力をされているのは非常によくわかります。それを応援したい気持ちも非常によくわかる。
ただ一方で、やはり国内で自給しているということをしっかり確認していくのが非常に重要だというのが、この食料・農業・農村基本計画だと思うんです。そういった感覚からすると、産出食料自給率目標というのは、やはりわかりにくい面をここに盛り込んでしまう結果になると思うんです。
ですから、カロリーベースが一番大切なんだというふうに答弁もありましたので、そうであれば、やはり、カロリーベースの自給率あるいは生産額ベースの自給率とはちょっと、この産出食料自給率目標は違った取扱いをしないと、やはりわかりにくくなるんじゃないかなというふうに私も思いますけれども、どうですか。
○江藤国務大臣 私もそのように指示をいたしております。
何といっても、国産飼料のみで生産可能な部分を厳密に評価するということはとても大事なことだと思いますので、先ほど大黒柱という言葉を使わせていただきましたけれども、これをやはり食料安全保障の、それから国民に対する安心、安全の部分を含めて、一番大切にすべき指標であって、その他、合わせるとあと四つ、指標は出てくるわけでありますが、これは、こういう算出の仕方もあり、今先生もおっしゃっていただいた畜産農家の努力も、国産として外国に打って出る以上はやはり基本的な指数の中に織り込むということはあってもいいのではないかと思いますが、書き方については、御意見も十分踏まえて工夫させていただきたいと考えております。
○大串(博)委員 畜産農家の方々が生産をされて、国内でそれを供給されて、かつ輸出もされていくというときに、日本の中でつくった畜産物だというようなことを言えるようにする、その気持ちは非常に私もよくわかるんです。ただ、それは、この自給率目標の中であらわすよりは、むしろ産地表示らによってきちんとあらわしていって、国際的に発揮できるようにするのが私は筋だと思うんですよ。だから、自給率目標に関しては、産出食料自給率目標というのに関しては、ぜひ誤解が生じないようにしてほしいなと私は思います。そういうふうな方向にしていきたいというふうにおっしゃったので、ぜひ仕上がりのところを見ていきたいというふうに思います。
といいますのは、やはり水田フル活用して飼料米を促進していく、飼料米を促進することによって飼料の国産化を促進していく、これは農水省の一大目標だと思うんです。なぜなら、やはり農水省の農業予算の中で、大きな柱というのはもう見えているじゃないですか。農業、農村予算が数千億あって、そのほかの予算の塊で見ると、水田フル活用予算は三千億ですよ。いわゆる公共事業を除くと一番大きな柱じゃないですか。これをもって、皆さんは大豆をつくったり、あるいは飼料米をつくったり、やられているわけです。一生懸命やられています。
私の地元の佐賀県なんかでも、ことしは大臣に農林水産大臣賞をいただきまして、飼料用米の点で、農業法人をやっている若手の方で、地域の平均単収よりぐっとよかったという基準で、農林水産大臣賞をいただきました。ありがとうございました。
そういう非常に頑張っている方々がいらっしゃるので、これまで農水省は、飼料用米をつくって、飼料の国産化を進めていくという考え方だったと思うんです。さっき私が申し上げた人はアグリイワナガという方で、本当に若手で頑張っていらっしゃるんですよ。こういう方々の努力をぜひ無にしないためにも、やはり大臣、ここで飼料用米の国産化、これは水田フル活用の予算も使ってしっかり推進していくんだというのを改めて御発言いただきたいと思います。
○江藤国務大臣 今回、タマネギなんかが急に入らなくなったり、いろいろなことが起こりました。これがトウモロコシで起こらないという保証は全くないわけであります。そういうことも考えますと、あらゆるものの自給率を上げないと国民の生活を守れない、生産基盤も守れないということは私も強く自覚をいたしております。
そして、特に飼料米につきましては、今回、私、この席に着かせていただいて大変苦労いたしました。先生も御存じのとおり、三年間の契約栽培という要件をつけざるを得なかった。それは、先生のところのように真面目に取り組んでいただいて、地域の生産水準よりも多く単収を上げてくれている人がいる反面、余り、五万五千円というところだけにしか着目していなくて、しっかりやっていただけていなかったという反省もあります。
ですから、現場との意見も、しっかりと意見交流もして、農業委員会の方々の御意見もしっかり聞きながら、営農指導も進めながら、飼料自給率は、米だけじゃなくて、子実トウモロコシとかデントコーンとかその他のものも含めて、上げる努力をしっかりやらせていただきたいと思います。
○大串(博)委員 ぜひよろしくお願いしますね。
やはり農政がこっち行ったりあっち行ったりしているというふうに見られると、とてもやはり農家の方々は困るんです。ぜひ一貫した形でやっていただきたいと思います。
その観点でいいますと、今回の食料・農業・農村基本計画の策定過程においては、よく言われていたのが、これまで、いわゆる規模拡大重視や、あるいは低平地の非常に効率のよくなり得る農地における法人化とか機械化とか、そっちの側にばかり今まで力が偏っていたのを、もう少し、家族農業やあるいは中山間地等々、地域、こういったものに目を向けるんだというふうな声が聞こえてきていました。そういう方向にシフトするんだという声が聞こえてきた。
これは、私、いいことだなと思っていたんです。というのは、この農林水産委員会で何年にもわたってこの論点を私たち野党側から、与党、政府の農林水産政策に対して、どうも競争重視に偏ってはいないですか、効率性を重視し過ぎるところがないですか、経済効率性のみに偏ってはいないですかと。農業とはそういう問題ではないんじゃないですか、地域を守る、緑を守る、水を守る、こういった面に着目して地域の固まりをつくって維持していくことが将来の農業を守ることにつながるんじゃないですか、農業とはそういうものじゃないですかと言い続けてきたことがやっと少しわかっていただけたのかなというふうに思いつつ、私、あったし、まあ、今でもあるんですけれども。
そういうのがあらわれる中で、中間管理機構の見直し、人・農地プランの実質化なんかにおいても、私たちがもともと言っていたような考え方に少しずつシフトしてくださっているのかなというふうに思っておったし、おるんですけれども、この骨子案を見たときに、大規模化、機械化、法人化から、地域、家族、小規模農家にシフトしたというふうに言えるところはどこなんでしょうか。ちょっとはっきりしなかったものですから、ぜひここだというふうに指摘をしていただきたいんですよ。後ろから聞かないとわからないの。
○江藤国務大臣 済みません、最近原案の方ばかり読んでおりまして、骨子案の方は大分前に目を通したものですから、手元に持っておりませんで、大変御無礼をいたしました。
法人や大規模経営だけではなく、継続的に農地利用を行う中小・家族経営等について、地域農業を支える重要な役割を果たしているという現状を踏まえて、産業政策と地域政策両輪から支援を行うとともにという、このセンテンスがそれに当たるということでございます。骨子案においてはでございます。
○大串(博)委員 ちょっと、もう一回言ってもらっていいですか。骨子案の一ページ目の真ん中のところですか。どこですかね、今の。ごめんなさいね、ちょっとよくわからなかった。
○江藤国務大臣 同じものを持っておられれば、六ページの2でございます。
○大串(博)委員 六ページの2ですね。
それだけじゃなくて、二ページの一番上のところの、経営規模の大小や中山間地域といった条件にかかわらず、農業経営の底上げにつながる対策を講じて生産基盤の強化につなげる、ここなんかもそうなんですね。じゃないかと思うんですけれども。そうやって思ったんですけれども、これで本当に十分なのかということなんですよ。
やはり、これまでの大規模化、法人化、機械化、そういう効率重視から、家族、中小、地域にシフトしていくとなると、これは大転換ですよね。それが、たったこれだけの表現で本当にわかるのか、本当にそうなっていくという確信を地域農家の方々が思えるのかということなんですね。私、ぜひ結果として、そういうふうに出していただきたいんです。
今の大臣の話から聞くと、今、六ページの2のところ、おっしゃいました。六ページの2というところは、おっしゃったように、「法人や大規模経営だけでなく、継続的に農地利用を行う中小・家族経営等についても、地域農業を支える重要な役割を果たしている現状を踏まえ、産業政策と地域政策の両面から支援を行う」、こうですね。
ここの現行バージョン、現行の食料・農業・農村基本計画の更にその部分を見てみると、確かに、現行の食料・農業・農村基本計画の該当部分においては、前回は、法人化、経営の多角化を通じた経営発展の後押しとか、担い手への重点的な支援の実施とか、農業経営の法人化等の加速化とか、そういうことばかり書いているんですよ、確かに。
大臣が、まさにこの部分を変えていくんだ、規模にかかわらず、法人や大規模経営だけじゃなくて、地域、中小、中山間地も支援していくんだということになるとすると、まさに、私が読み上げた現行バージョンの、現行バージョンでいうと四十ページになるんですけれども、「力強く持続可能な農業構造の実現に向けた担い手の育成・確保」、法人化、経営の多角化、担い手への重点的な支援、農業経営の法人化等の加速化。
一色ですよ、一色。ここは、がばっと書き変わるという理解でいいんでしょうか。
○江藤国務大臣 書きぶりの詳細については、こういうふうに書きますというふうに申し上げることはできませんが、私の基本的な考え方を申し上げさせていただくと、法人化をする意欲を持っている方はぜひ応援したいと思います。
法人化のメリットはあります。しかし、法人化にしないことのメリットもあります。家族経営でやった方がいい場合も農業はあるわけでありまして、そのことも認めなければならない。農業を発展させるためには法人化が欠かせないという意識は私は全く持っていないということを、まず申し上げたいと思います。
そして、家族経営も、例えば、農地中間管理機構に優良農地を集めることは大事かもしれませんが、地域政策をやる意味では、ある程度、兼業農家の方々も手元に農地を残して、農業をやりながら、地域の営農活動にも参加をしつつ、地域を一緒に守っていただくという意識を持っていただくことも、これはまた意義深いことではないかというふうに思っております。
ですから、多様な農業形態も認めながら、規模の大小、条件の優劣、そういったものにかかわらず、全体を底上げするような農業政策になるように、基本計画の骨子案から原案に取りかかっておりますけれども、しっかりと書きぶりを、気をつけていきたいと思っておりますので、御意見もしっかり反映させていただきたいと思います。
○大串(博)委員 というのは、この骨子案だけ見ていると、やはりその地域、中小、中山間というところに、いや、具体的に何がどう変わるんだろう、施策としてというところが読み取れないんですよ。書かれている内容を見てみると、今話のあったような、これまでの農政と同じような内容がずらずらと並んでいるものだから、実際、何が具体的に変わるんだろうというのを全く読み取れないんですね。
ちょっと大臣にお尋ねしますけれども、大臣の頭の中で、大臣が考えていらっしゃる地域、中小、中山間地等々を重視する農政を具体化するとすると、この政策は具体的に変える、予算をふやすなり条件を変えるといったもの、具体的なものがあるんですか。
○江藤国務大臣 これから先の話ではありませんけれども、例えば畜産クラスター事業についても、地域なのか、全国の平均なのか。まあ、宮崎県のように畜産が非常に盛んなところに焦点を当てて話すと、非常に要件が逆に厳しくなりますから、そういうところは規模拡大要件が。そういうところは全国の数字を使ってもいいというように、いわゆる規模の小さい人にも使いやすいように、まず制度を改めていくということ。
それから、今度の増頭対策にしても、五十頭以下のところについては二十四万六千円と、五十頭以上のところと格差をつけさせていただきました。今までは、規模の小さいところに余計にお金をつけるという政策は余り見られなかったと思います。ですから、規模が小さくても意欲はあって、頑張ろう、そして息子も帰ってもらって繁殖経営をやらせようと思って意欲を持っている方には国がやはり手を差し伸べようという気持ちのあらわれだと受けとめていただければと思います。
それから、中山間については、大串先生にも力をかしていただきましたけれども、棚田法案がこの際に成立をいたしました。これに、指定棚田地域になると、いろいろな条件はクリアされて、一万円ついたり、耕作放棄地は五万円ついたり、それから有害鳥獣のところにかさ上げがついたり、いろいろな要件、それから、地域の面的な整備についてもお金がつけられるようになります。
そして、ほかの省の横断的な、例えば国交省とか観光庁とか、そういったところのお金も総合的に使って棚田地域を守るようなこともできると思っています。
それから、中山間地域直払いについていえば、超急傾斜農地保全管理加算、これは継続をさせていただきましたし、集落協定の広域化の加算も、これも拡充させていただきました。集落機能の強化加算、これは新設でつけさせていただきました。生産性の向上加算、これも新設でつけさせていただきました。それから、先ほど申し上げた棚田地域の振興活動加算、これも新規で、新設でつけさせていただきましたので、この基本計画をやる、まだ出ておりませんけれども、この前の段階から、もう私としては手をつけさせていただいているつもりでございます。
○大串(博)委員 大臣、力説していただきましたけれども、私の感想を率直に述べさせていただきますと、ちょっと小ぶりなシフトになりそうだなという危惧が正直言ってあります。
やはり、シフトされるのであれば大胆に、この際、今のこれだけ危機感を、先ほど田村先生の質疑にもありましたけれども、耕作者数も減り、耕作面積も減っていく中で、農業生産基盤が本当にどうなるのかという危機的な状況にあるということを考えると、やはり今までの、産業政策と地域政策を車輪の両輪として進めるという、これまでと同じようなくだりを相変わらず入れながらやるというのは、やはり私は小ぶりな変更にしかならないと思うんですよ。
やはり、地域があって初めて農業が成り立つんじゃないですか。地域政策と産業政策を分けて、産業政策としてもうかる分はこれ、地域政策として地域を守るものはこれ、こうやって分けてきたから結局うまくいかなかった。その間に地域が疲弊して、人も減り、耕作面積も減ってきたのが今の現状なんじゃないでしょうか。地域を守ることによって初めて農業が守られる、それによって農業生産も続く、産業としての農業生産も続く、この二つは、私は一体じゃないかと思うんですよ。
そういう意味からすると、今までの政策のちょっとした組みかえみたいなものじゃなくて、私は、この際、思い切って所得補償せざるを得ないと思いますよ。皆さんの言葉で言うと直接支払いだと思いますけれども、私たちの言葉で言うと所得補償をする。それによって地域が守られることによって、生産基盤たる地域が守られ、農業も守られていく。こういうふうにしなきゃならぬと思いますので、ぜひここは、大臣、英断を振るっていただいて、中山間の厳しい状況も、あるいは全体の農業の厳しい状況もよくおわかりだと思いますので、英断をぜひ振るっていただきたいというふうに思います。
カロリーベースで三〇年に四五%という自給率目標なんですか。数字をお尋ねしているんです。三〇年にカロリーベースで自給率四五%という数字なんですか。
○江藤国務大臣 まだ検討の途中でございます。
○大串(博)委員 もう一つ、輸出目標ですけれども、三〇年に五兆円という輸出目標なんですか。
○江藤国務大臣 これも鋭意検討途中でございます。
○大串(博)委員 この輸出目標ですけれども、これも書かれるんでしょう。しかし、この輸出目標で本当に私はいいのかというふうに思うんですよ。
輸出に関しては七年連続でふえて、先ほど来、石川さんからも話がありましたけれども、一九年の速報値で九千百二十一億円、農産物に関しては五千八百七十七億円までふえました。二〇一二年が、農産物、二千六百八十億円ですから、三千億強ふえていますね。こういうことですよね。
しかし、本当にこれが国産の農産物に起因するものであって、しこうして、国内の農家の皆さんの懐を潤すものであったか、そういったことを示す指標であったか。つまり、政策目標としてこれに着目するべき課題なのか。食料・農業・農村基本計画の一番最後にも、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングと書かれていますよね。それに使っていい指標なのかと、私は非常に疑問ですね。
先ほど来、加工食品の話も石川さんからありましたね。加工食品が多いと。資料を配らせていただきましたけれども、これは農水省の資料です。手書きのところは農水省の皆さんの協力を得て、二〇一二年からの増加額を書いたものです。アルコール飲料が四百五十四億ふえたとか、そういうふうに書かれています。
これ、一九年を見てもらうと、やはり加工食品の割合が圧倒的に農産物の中で多いんですよね。五千八百七十七億の農産物の中で加工食品が三千二百七十億と。六割ぐらい加工食品なんです。これが本当に国内農産物由来なのかというと、わからない。
更に言うと、先ほど話もありましたように、この加工食品の中で、調製品という項目があって、各種の調製食料品という項目が一番最後にあるんです。これはいろいろな、非常によく見えない調製品で、よく見えないというか、調製品です。調製品と言われてもよくわからないですけれども、調製品なんです。
その各調製品の項目があって、それぞれに、その他のものというのが項目としてある。コーヒー等々の調製品、その他のものというのがある。パン類の調製品、その他のものというのがある。ソース等の調製品、その他のものというのがある。スープ等の調製品、その他のものというのがある。
最後の最後のところに、これらの全部を除くその他の調製品という項目があって、更に一番最後に、その他のものというのがあるんです。つまり、その他のその他なんですね。その他のその他というものが何かというのが、先ほど、石川さん、言われましたね、よくわからないと。
農水省にお尋ねして、関税項目の中でどういうのがそれに上がってきているか、調べました。六百九十三。これは質問するとわかるらしいんですよ。六百九十三件。
どんなのがあるんだろうと見てみたら、大臣、わかりますかね、これ。ビタミンD3、ビタミンC、変性でん粉、蔗糖類を混合したものって、これ、何だかわかりますか。僕もわからないんですよ。これ、用途は食品添加物製剤だそうです。とか、ガムベースにキシリトール等を混在したもの、これは何なんだ。ガムだそうですよ、ガム。オークウッドエキスに水、エチルアルコールを混合したもの、これは何だかわかりますか。これはアルコール飲料製造原料だそうですよ。こういった原料等の類いがずらりと並んでいるわけですよ。
先ほど、局長さんはレトルトパックカレーなどと言われましたけれども、レトルトカレーパックなんて、この六百九十三件のうちのごく一部です。もちろん、レトルトパックカレーだって、その由来品が国内農産物がどうか、わかりはしませんよね。ましていわんや、ここに、今私が申し上げたように、どんなものか全くわからないものがずらりと六百九十三項目も並んでいるものが、この、その他のその他だということなんですよ。
この、その他のその他の金額が、二〇一九年においては八百九十六億と、もう一千億近いんですね。つまり、農産物五千八百八十七の約五分の一ぐらい、六分の一と言っていいですかね、ぐらいは、このその他のその他なんですよ。内容物のわからない、ましていわんや国内農産物由来かどうかわかりません。ということなんですね。
しかも、この伸び率は異様に高いんです。二〇一二年、このその他のその他は二百八十億です。この七年間で六百十六億も伸びている。これ、トップの実は伸び率なんですよ。それで、この間に農産物は、さっき申し上げたように、三千億ぐらい伸びています。三千億ぐらい輸出が伸びていると言われている中で、その四分の一ぐらいは六百十六億、このその他のその他なんですよ。
もう一つ加えると、このその他のその他の前に、パンその他というのがありまして、これも内容物はよくわからないんです、パンその他。このパンその他というのも、この間、百六十六億も伸びている。このその他のその他とパンその他だけで、既に八百億の伸びをカウントしているんですよ。
つまり、この七年間で三千億伸びた、農産物伸びた、やった、一兆円に近づいたと言っている中の三千億のうち約三分の一は、内容のよくわからないものなんです。ましていわんや国内農産物由来かどうかは全くわからない。
大臣、これをもって政策目標として、一兆円にいくぞ、ちょっとことし届かなかった、よし、次は五兆円だ、そういう農政をしていていいんですか。
○江藤国務大臣 しっかり御意見をいただきまして、ありがとうございます。
この、その他のその他については、私も、どういう例があるのかということをできるだけ細かく提出をさせてもらって、中には、これは何だと、内容を説明を求めなければならないようなものがあったことは事実でございます。
その上で申し上げますが、我が国の食品製造業は大体七割ぐらいは国内の原材料を使っているということでございますので、これを全く使ってはいけないというようなロジックにはならないのではないかというふうに、その説明を受けた上で私は判断いたしております。
○大串(博)委員 大体七割というのは、根拠は何ですか。
委員長、いいです。いや、答えられないと思うから大丈夫です。答えるのは難しいと思うからいいです。あえて申し上げません。難しいと思います。
答えられますか。大体七割の根拠は何か。
○江藤国務大臣 産業連関表というものに基づいて算出された数字というふうに聞いております。
○大串(博)委員 産業連関表で国内産由来というのが実はとれないんですよ。だから、その産業連関表由来で七割というのは、私はいつ聞いてもおかしいなと思っていたんです。産業連関表はあくまでも産業連関表なので、国内農産物由来かどうかというのはそれだけではわからないんです。
だから、大臣、よく事務方の皆さんからの説明も聞いていただいて、これは私、よく考え直された方がいいと思いますよ。そうした上で、やはり、さっき私、食料・農業・農村基本計画のことでも申し上げましたけれども、やはりしっかりとした目標を、自給率にしても立てていただいて、農政、つまり、農家の方々が、農水省が輸出だ、一兆円だと言っていても、結構白けているんですよ。だからどうだ、俺は全然懐が暖まっていないじゃないかという感覚があるんです。だから、それが大臣所信の一番最初あたりに来ていると、何となくやはり農政の力が入らないんですよ。
だから、やはり、ぜひ実のある、農家の方々が、この食料・農業・農村計画の新しいバージョンなり、あるいはそこに書かれた目標値なりを見て、よし、これなら頑張ろうと思えるような目標、計画にしてほしいということなんです。ぜひよろしくお願い申し上げます。
棚田、先ほど大臣おっしゃいました。これは重要なことだと私も思っています。棚田も、私のところも多いです。
ただ、振興法ができて、去年の十二月の段階ではまだ四県しか指定されていませんでしたね。若干残念。私の佐賀県でも一生懸命話をしておるんですけれども、何がネックなのか。
そして、私はやはり、今回の補正予算なんかでも支援策をつくってもらって、やってもらっています。これはどういうふうにふやしていこうというふうに取り組んでいらっしゃるのか。ぜひ大臣に、ここは力強く背を押していただきたいというふうに思うんですね。いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 おっしゃるとおり四県で、二十カ所しかという言い方をした方が、もう正直に言った方がいいと思います。ちょっとこれではという気持ちになりました。
やはり、その内容も十分に周知することもできなかったし、四百五十六人の棚田地域振興コンシェルジュを指定したのでありますが、彼らには、君たちはコンシェルジュを引き受けたからには、どれだけの指定棚田地域を上げてきたか、ちゃんと後からフォローするからなということまで言ったんですけれども、しかし、できることとできないこともあったようで、責めることはできませんが、我々の指導も悪かったし、内容もまだ見直さなきゃいけない部分もあるのかもしれません。
しかし、棚田地域についても、中山間地域の直接支払いについて、これの要件を緩和したことはもう長くなりますから申し上げませんが、今まで全額返さなきゃいけない部分も直したではないですか。そういう見直しも含めて、やはり棚田地域を集団営農化して、みんなでもう一度棚田地域も復活させて、日本の景観を守って、文化を守っていこうという意識を広める努力をこれから更にやっていかなきゃならぬというふうに思っております。
○大串(博)委員 私も頑張っていきたいと思いますので、ぜひ大臣、力強くお願いします。
最後に、災害対応です。
昨年、佐賀県も、夏に大雨、災害を負いました。ここでも、秋の委員会で取り上げさせていただきましたが、大変作況の悪い去年でございました。それに対して、力強い、特段ならざる支援をお願いしますということを委員会でも申し上げた。
水稲の共済に関しては特例的な取扱いをしていただきました。で、年内支払いをしていただいた。今度は大豆の共済支払いがあります。私、これを心配しているんですよ。大豆もですけれども、極めて凶作でした。ほとんど実がない、こういった、見た感じでした。これは委員会で申し上げた。大豆の共済が夏前、六月ですかね、支払われる、こういう状況にあります。
この災害対策に関しては農水省の皆さんにも本当にお骨折りいただいて、ありがたいと思っていますが、もう一押し。あれだけの作況の悪い佐賀県でありましたので、今度、大豆の、特に大豆の共済支払いもある六月等に向けて、やはり、かなり特段ならざる支援をやっていただかなければならないときが来ると思うんです。やはり、共済の支払いを受けて、あれっというところが来ますからね。
ここはやはり、ぜひ、この大豆の共済は基本的に例年どおりの、通常ベースでの共済計算だということなので、それで本当にいいのかということも含めて、特段ならざる支援をお願いしたいんですが、大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 大変な御苦労をされていることは承知しております。
米については、今もうメンションしていただいたので、もう私から申し上げませんが、平年作は百七十八キロぐらい、その半分以下ということでありますから、大変な不作、凶作ということになります。
大豆については、JAの出荷データにより、損害は、これも評価しなければなりませんけれども、全相殺方式によって平年の収量の九割まで補填されるということになっております。
今後、JAの出荷データが取りまとまり次第、早急に共済金を支払わさせていただきたいと思っております。
○大串(博)委員 早急にだけじゃなくて、ぜひ力強く、特段ならざる支援をお願いして、私からの質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、泉田裕彦君。
○泉田委員 自由民主党の泉田裕彦です。本日は質問の機会をいただき、大変ありがとうございます。
まず冒頭なんですけれども、新型コロナウイルス感染症の影響についてなんですが、食品流通にも大変大きな影響が出ております。例えば、給食の食材を調達してしまったという事業者さん、卸売業者さんなんかもいまして、かなりダメージを受けている。現在、支援策を検討しているというところだと思いますので、伊東副大臣、ぜひともこのあたりの目配り、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、本題に入らせていただきたいと思います。
きょうもさんざんお話が出ておりますが、日本の農業が抱える問題、やはり、農業従事者の高齢化、後継者不足、それから食料自給率の低下、それから他産業と比べて所得が低い、所得格差、それから作物を生産する方と需要のミスマッチ等々、さまざまな問題が生じております。そして、特に中山間地、豪雪地帯等は、農業者の高齢化そしてまた後継者不足がとまらない状況が続いております。残念ながら、耕作放棄地の増加に歯どめがかからない、農地の減少にも歯どめがかからない状況になっております。
農業者の高齢化が進む最大の原因は何かというと、やはり新しい人が入ってきにくい環境にあるということじゃないかと思っています。これはやはり、サラリーマンに比べて、農業者の所得が天候に左右されて不安定である、そしてまた所得が低いというような認識が広がっているために、親御さんが後継者に、後継ぎにさせたくない、そしてまた、都会から移住しようと思ってもなかなか、本当にやっていけるんだろうかと二の足を踏んでしまう、一度来ても帰ってしまう等々、さまざまなことが生じているということだと思います。
特に、中山間地においては、農村自体が消滅の危機に瀕している集落が幾つもあるというような状況になっております。こういったところをやはり救っていくのは、家族経営的な農業というものをしっかりサポートしていくということなしに、なかなか中山間地の農地を守っていくというのは難しいんじゃないかというふうに思っています。
一方、世界に目を転じますと、ここ五十年間で農地は約一〇%ふえている。日本では減っている中で、世界ではふえている現実があります。
ヨーロッパを見てみますと、例えば英国の小麦ですね、主食にする、この作付面積は減少傾向にありません。そして、条件不利地域のスコットランドに至っては、直接支払いで入ってくる補助金が農業収入の大半を占めている。そこまでしても農地を守る、農業を守るということをやっているということだと思います。
そこで、政府参考人にお伺いしたいと思います。
大きく世界が変わったのは、ガットからWTOに変わったとき、ダンケル・ペーパーというのが出て、例外なき関税化、それから生産補助金の禁止等々で、世界の制度が大きく変わったということがありました。世界各国は農業補助金をどのように変えたのか、お伺いしたいと思います。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
一九九四年にウルグアイ・ラウンド交渉が妥結をいたしまして、翌九五年にWTOが発足をいたしました。交渉の結果を受けまして、委員御指摘のとおり、農産物につきましては国境措置を原則として関税化するとともに、国内支持につきましては、いわゆる黄の政策、黄色の黄でございますけれども、価格支持などでございますけれども、これに係る合計額を原則として一九九五年から六年間で二割削減することなどが決定をされました。
これを踏まえまして、各国におきましては、国内支持につきまして黄の政策に係る額を削減しながら、いわゆる緑の政策、貿易歪曲性がないなどの補助金でございますけれども、これの充実を図ってきたものと承知しています。
例えばEUにおきましては、価格支持を削減しながら、条件不利地域支払い、環境支払いなどが実施され、我が国におきましても同様に、価格支持を削減しながら、中山間地域などの直接支払いですとか、農業、農村のためのインフラ整備、こういったことを進めているところでございます。
○泉田委員 ありがとうございました。
改めて、EUの条件不利地域に対する対策、これはどのようなものを講じたか、政府参考人にお伺いしたいと思います。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
条件不利地域、我が国では中山間地域等でございますけれども、生産面のみならず、国土、環境の保全など多面的機能の発揮の観点からも重要な役割を果たしております。
御指摘のEUにおきましては、山岳地域など、自然条件などの制約が厳しい地域、いわゆる条件不利地域について、農業を維持するための助成を行っているものと承知しています。
同様に、我が国におきましても、中山間地域等におきまして、生産条件の不利を補正することにより農業生産活動を維持する中山間地域等直接支払いを行うとともに、中山間地農業ルネッサンス事業等、多様な施策を講じているところでございます。
○泉田委員 ありがとうございました。
ちょっと時間が押してきたのでこちらで答えてしまいますけれども、日本の中山間地域直接支払制度で、家族経営的な農家の耕地面積、これを仮に二ヘクタールと想定して補助金支給額をざくっと計算すると、約四十二万円ということになります。一方、日本とEUの農業所得に占める補助金の割合は、日本が三四%、EUが六七%。要は、補助金で、特に条件不利のところは国策として農地を守るということを、WTOが発足してから、しっかりやるということが、世界の農業を守る上でかなり重要な政策になっているということだと思います。
金額でいうと、条件不利地域において、一農家で七百万円を超える補助金が支出されるケースもあるというふうに承知していますけれども、要は、都会から移住したり、それから条件不利地域で農業をやってもちゃんと生活ができるような、そういう農政を進めていくということが、耕作放棄地が発生することを防止することにつながっていくのではないかというふうに考えております。
予算委員会の分科会において、大臣から、中山間地域等の条件不利地域における耕作放棄地の防止策としてお話しいただいたのが、教育問題の解決、それから買物困難対策の必要性、観光振興等、他の所得を得られるような仕組みをつくったらいいというようなお話をいただいているんですが、一方で、教育行政の立場で考えると、現在、中山間地域においては小中学校が単独で維持するだけの生徒数、児童数を抱えられない。結果として、統廃合をいかに進めるかということが課題になっています。
教育環境を整備するために文科省が追加で予算を措置するということはちょっと考えられないという状況になっていますし、それから買物難民対策、これも私は県で実際やったことがあるんですけれども、黒字にするのはほぼ困難。移動販売車をハードで補助をしても、ぐるっと集落を回って帰ってきて、人件費を出して赤字になるということになりますので、中山間地域を押しなべてカバーするような仕組みを、例えば経済産業省ないし総務省で予算を措置するというのも極めて困難という状況だと思っています。
逆に、中山間地域の集落に住んでいる方々をバスで迎えに行って自分のお店に連れてくるという取組をやっているところもあるんですけれども、こういったところは若干、可能性として、マーケットを維持する可能性があるということなのかなというふうに思っています。
いずれにいたしましても、過疎地域において農業、農村振興のために必要となる教育問題、買物難民対策等を実施するためには追加的な対策が必要というふうに考えております。農林水産省で主体的に対応しない限り、他省庁で対応するのは極めて難しいと思いますけれども、農林水産省の認識をお伺いします。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
都市部に先駆けて少子高齢化、人口減少が進行している農山漁村でございます。この活性化を図っていくためには、委員から今御指摘いただきましたような教育問題、買物難民対策を含めて、中山間地域を始めとする農山漁村に人が住み続けるための条件整備というものが極めて重要だと考えております。
具体的には、これは関係府省ともよく連携をさせていただきながら、地域のコミュニティー機能の維持や強化のための地域のビジョンづくりでございますとか、あるいは、住宅、情報基盤等の生活インフラの確保といったものに積極的に取り組んでいく必要があろうかと思います。加えて、この農山漁村を活性化し、御指摘がありましたような教育問題等々の解決に資するためには、やはり、まずは地域資源を活用して、所得と雇用機会を確保するということが重要ではないかと考えております。
このため、中山間地域の特性を生かした複合経営等の多様な農業経営の展開、あるいは農泊、六次産業化等を推進することが重要だと考えます。加えまして、農村を支える新たな動きや活力を創出するために、最近よく関係人口という言葉が使われますけれども、この関係人口の創出、拡大でありますとか、あるいは、農業と他の仕事を組み合わせて収入を確保する、これもいわゆる半農半Xといったような多様なライフスタイルの実現等の取組も重要だと考えておりまして、地方公共団体や民間等、いろいろな皆様方のお知恵をかりながら、農林水産省としても積極的に推進してまいりたいと考えております。
○泉田委員 ありがとうございました。
農業予算に公費が、税金がなぜ投入されるんだろうかということを考えてみますと、多くの国民の理解を得るということが前提なんですけれども、最大の理由の一つは、やはり食料安全保障ということなんだろうというふうに思います。
特にこの食料安全保障に関して、きょうは本当に朝から幾つも質疑が続いておりますが、食料自給率、それから食料自給力等、さまざまな指標を現在検討されているというふうに承知をしておりますけれども、カロリーベース、生産額ベースに加えて、飼料を除くカロリーベース等の指標、この検討というのは一体、安全保障上どういう意味があるのかということが、もう少し国民に伝わっていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
例えば、食料自給力、これは世界から全部輸入がとまっても必要なカロリーを維持できるかどうか、これをあらわす指標ということなんですけれども、全部芋でカロリーをとって、じゃ、栄養バランスをどうするんだろうかという話というのは当然出てくるわけでして、全部日本が世界から輸入できなくなる事態って、どういう事態なんだろうか。これは戦争が起きているということなのか、感染症が蔓延して全く物流が動かないという事態なんだろうか、それとも、これは世界的な気候変動の影響を受けて作物ができなかったということなのか、イメージがなかなか湧かないということなんだと思います。
ぜひとも、食料安全保障を考えるときに、例えば石油であれば、ホルムズ海峡がとまったら日本は大変なことになるよという、これは国民はすごくイメージが湧きやすいんですが、食料安全保障というのは、熱供給量を維持するのか、カロリーのバランスをとるのか、全部とまるってどういうイメージなのかというところをわかるように、ぜひ伝えていただきたいなというふうに思っています。
そこで、伊東副大臣にお伺いしたいんですけれども、食料・農業・農村基本計画の改定に当たりまして、食料安全保障の観点から対応が必要となる世界情勢というのはどのようなものを想定されているのか、認識をお伺いします。
○伊東副大臣 お答えいたします。
泉田委員からるるお話あったとおりでございまして、食料安全保障の観点から対応を要する世界情勢といたしましては、まず、今後世界の人口がどんどんふえていく予想であります。二〇一九年の七十七億人から、二〇五〇年、三十年後には九十七億人に増加し、その後も百億人を突破する形でないか、こう言われているところであります。
また、その間、途上国が経済発展をいたしまして、世界的な食料需要の高まりが見通される中におきましては、他の輸入国との競合の激化が予想をされるところであります。
また、輸出国における大規模自然災害や異常気象の発生、また、御指摘のありましたような新たな感染症の発生や、その国の政情不安等による輸入の減少、途絶が想定をされるところであります。さらに、輸出国の不作による輸出規制も想定をしているところでありまして、これは、少し先のことだ、こう思っても、これからわずか三十年先の話であろうというふうに思います。
今日までの中国の発展等々を見ておりますと、食料不足になる、あるいはそう簡単に手に入らなくなるというのが予想されるところでもあります。
○泉田委員 伊東副大臣、大変ありがとうございました。
私もほぼ同じ認識です。
一九九三年、平成五年の冷夏のときに、不作で、タイ米の輸入に日本は追い込まれました。普通のお米とセットで買って、チャーハンにもしないで、普通のお米だけ食べるなんというようなことが起きたわけですけれども、これはカロリーの問題じゃなくて嗜好の問題。日本食を食べたいという人のニーズに応えてほかから輸入できたということになるわけですけれども。
いわゆる平成の米騒動のような状況とは違う状況というのは、短期ではなくて中長期、まさに世界の人口が、二〇五〇年、九十億人を超えるというようなときに、本当に日本の国民は飯を食えるんだろうかというところを目指して、農地を維持していくという政策を今からしっかり打っていくということが重要だと思います。
耕作放棄地を発生させない、それから、中山間地域にちゃんと耕作できる人が住み続けている、農村で子育てをするとサラリーマンに対して不利益をこうむらないというような農村社会それから農業政策、ぜひとも経済界、国民に伝わるような形で農業・農村基本計画をまとめていただければとお願いを申し上げます。
それで、最後の質問になりますけれども、農業・農村基本計画の中で耕作放棄地、特に私の地元なんかは豪雪地帯なものですから、園芸をやれと言われても、園芸をやるハウスをつくると雪で潰れてしまうというようなところで、なかなか米からの転換が難しいというようなエリアもあります。飼料用米であれば多収穫米をつくって何とかいける。しかしながら、飼料用米の価格と、それから、日本最高価格とも言われる魚沼コシヒカリ、これの格差を見るとなかなかシフトができない。エリアごとにどうするか、平等の問題というのも当然あると思うんですけれども、それぞれのエリアで条件が違う中で農業が続けられていく環境というのをぜひつくっていただけないかと思います。
そのためにも、競争力を上げることも大変重要でありまして、耕作放棄地の発生を抑制するために、農業者の生産コストを引き下げていく。中山間地においてこそ、農地の基盤整備というのは大変重要な事業である。この条件不利地域における農業基盤整備事業は重要だと考えておりますけれども、こういった耕作放棄地の発生の防止を政策目標に盛り込むべきだというふうに私は思うんですけれども、伊東副大臣の認識をお伺いをさせていただければと思います。
○伊東副大臣 お答えいたします。
おっしゃられるように、中山間地域を始めとする条件不利地域におきまして生産基盤の強化を図っていくことが極めて重要であります。
新たな食料・農業・農村基本計画におきましては、地域の特性を生かした、おっしゃられたような複合経営などによって所得を確保することとともに、中山間地域直接支払いによって条件不利地域を支援することをしっかりと盛り込んでまいりたいと考えております。
具体的には、令和二年度から、中山間地域等直接支払いについては、少しでも加入がしやすくなるような運用の改善を一つします。さらにまた、加算措置の新設、これを三項目設けておりまして、棚田、集落、生産性の向上、さらに拡充策として、広域化加算を行うことといたしております。この三項目プラス拡充一項目が新たな明確化した方針であります。
また、基本計画とあわせて、農地面積につきまして十年後の見通しをお示しすることといたしておりますけれども、その中で、中山間地域等直接支払いなどの施策の効果も踏まえた荒廃農地の発生防止の面積についてもお示しをしていきたいと考えているところであります。
○泉田委員 副大臣、ぜひよろしくお願いいたします。
中山間地においても、しっかりと農地、農業を守っていく、耕作放棄地を発生させないという強い決意で計画をつくっていただければと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、野中厚君。
○野中委員 自由民主党の野中厚でございます。
農林水産委員会で質問をさせていただくのは実は初めてでありまして、このような機会をいただいたことに感謝申し上げまして、質問に入りたいと存じます。
まず、スマート農業についてお伺いしますが、スマート農業、農家の方と話しますと、積極的に情報収集して、導入して、そして規模拡大をしていらっしゃる方もいらっしゃいますけれども、やはり、関心はあるけれども二の足を踏んでいる方、そして、そもそもスマート農業自体が別世界の話というふうに思っている方もいらっしゃいます。
やはりこれは、十年、二十年を見据えた計画、そして、導入をできる方、年齢の世代間によって温度差があるのも事実でありますけれども、総じて言えるのは、スマート農業という自体がぼんやりとしたイメージである、そして、何となく全て導入するのが高いなというふうに思っている方が多くいらっしゃいます。
そこで、私は、農家の方とスマート農業の距離を近づけるために、今年度から既に事業をスタートしておりますスマート農業実証プロジェクト、これをぜひ活用していくべきであるというふうに思っております。全体の流れがわからない方、関心を持ってもやはり点のイメージを持っていらっしゃる方、その方には全体の収穫までの流れを見せてあげる、そして、例えば、無人草刈り機、ドローン、ここの部分だったら私でも導入できるなと関心を持ってもらう。
ぜひこのスマート農業実証プロジェクトを生かしていただいて、関心のない方に少しでも関心を持ってもらう、そして、関心を持っていらっしゃる方はぜひ導入につなげてもらう、そのことをぜひお願いしたいというふうに思っております。
そもそも、このスマート農業、なぜやるかというのは、やはり、スマート農機を買うための農業であってはならないというふうに思っております。やはり、導入することで、効率が上がる、負担が軽減される、その結果、規模が拡大して収益が上がる、結果、もうかる農業につながる、そのためのスマート農業であるという前提に立ちまして、質問をさせていただきたいと思います。
今、国の方で農地を集積、集約化しております。そして、畦畔を取れるところは取り除いて、できるだけ四隅を少なくして時間効率を上げていくという取組をやっておられますけれども、では、そこの中に走らす有人走行農機と無人走行農機、これによって、効率的に動ける圃場の形というのに違いがあるのではないかというふうに思っております。
例えば無人走行農機であれば進入口のところを、スロープを緩やかにつけるとか、有人走行農機ではなくて無人走行農機に適した、効率的に動くことができる圃場整備のあり方について、まずお伺いしたいと思います。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
まず、スマート農業を導入するためには、御指摘ございましたように、自動走行農機等の性能が十分発揮できるような農地の基盤整備が大変重要だと考えております。
いろいろなお取組の事例も出てきているところでございまして、例えば北海道の士別市では、国営農地再編整備事業によりまして、農地の大区画化とともに、自動走行農機が容易に圃場内で旋回できる、あるいは隣接する圃場に移動するためのターン農道でありますとか、あるいは末端用排水路の管路化などの整備が実施をされているところでございます。
このようなことから、農林水産省におきましては、今年度、技術検討会を設置いたしまして、圃場周辺からの監視下での無人走行を含む自動走行農機等に対応した農地整備の手引というものを、現在、作成作業中のところでございます。
今後とも、スマート農業の導入促進に向けまして、自動走行農機等の性能を発揮しやすいような基盤整備の推進に努めてまいりたいと考えております。
○野中委員 今年度、技術検討会議を立ち上げたということであります。現在は有人監視下におけるレベル2でありますけれども、行く行くレベル3を見据えるのであれば、しっかりと未来を見据えた検討を進めていただきたいというふうに思います。
次に、このスマート農業実証プロジェクトにおいて、事業の内容、シェアリング、リース等のスマート農業技術の導入コスト低減を図る新サービスをモデル的に実証というふうに書いております。その点に対しては私は大賛成でありまして、やはりリースとシェアリングの共通メリットというのは、導入コストが低減することによって、スマート農業が普及、拡大、これにつながれば、さらに、スマート農業を利用する人口がふえると農業就業者がふえるというふうに思っております。
そこで、私の意見をちょっと申し上げさせていただきますが、まず、リースでありますけれども、リースもやはり価格設定次第であろうかと。リースをすることで修理代とかメンテナンス代の心配は要らない、維持費はかからないという部分はありますけれども、やはり価格設定次第で、リース会社がもうかるようなだけでは、やはりリースということもなかなか拡大にはつながらないというふうに思いますし、そもそもリースを決める日数も、農業というのは天気都合のようなところがありますので、その辺をしっかり注視していただきたいというふうに思います。
そしてまた、シェアリングというのは本当に言うがやすしでありますけれども、どういった規模をイメージされているかということであります。
例えば、地域内で集団を形成してシェアリングを図っていくということであれば、やはり農業をするシーズンが重なってしまう。時代は違いますけれども、私が県議会議員だったときに、私の地元でもやはり集団を形成したんですが、それぞれ時間帯を譲り合うことができずに、残念ながらその集団が解散してしまったという事例がございます。
広い地域で見るのであれば、やはりスマート農機の、産地リレーじゃないですけれども、わせ、なかて、おくて、こういうふうにリースを流していくのか。そこにはやはり移動コストもかかりますし、シェアリングとリースというのは非常に取組は私は大賛成なんですが、しっかりその辺を、どういうようなイメージでやっていくかということによって、これがその先うまくいけば、普及、拡大につながるものというふうに考えております。
やはり普及、拡大を広げるためにはコストを下げていく、その一端がスマート農業普及のための共有、リースだというふうに思っておりますが、今後これをどのように進めていくのかということをお伺いしたいと思います。
○菱沼政府参考人 お答えいたします。
御紹介のとおり、現在、スマート農業実証プロジェクトを全国六十九地区で展開しているところでございます。
実証の現場からは、御指摘のとおり、スマート農機が高額であることが課題として挙げられておりまして、初期投資に係るコストを低減し、導入しやすい環境を整備していくことが求められています。
このため、農林水産省としましては、令和元年度の補正予算に計上しております本プロジェクトの中に、新たにスマート農機のシェアリングやリースなどを組み入れた実証を行うこととしております。
この事業は実証でございますので、今後はこの実証結果を参考にしつつ、価格設定だとか規模だとか、さまざまなことを考えた新しいビジネスモデルができないかといったことが大事になってきますので、そういったことを検討していきたいと思います。
さらに、地域や品目の実情などを踏まえて、新たなサービスの創出を促し、導入のコストの低減を図ってまいりたいと考えております。
○野中委員 そのための実証プロジェクトだと思いますし、来年度も継続事業となっておりますので、ぜひ、できるだけ多くの品種、地域性に見合った結果が農家の方の参考になるように、期待をするところであります。
このスマート農業というのは、やはり、これから広げていく、推し進めていくという、どちらかというと未来形の、光が当てやすい政策でありまして、言うならば、これからもっと拡大、伸ばしていこうという、伸ばす農業の部分であろうかというふうに思います。
先ほど他の委員からもお話がありました。やはり、その部分だけではなくて、もう一つ、光を当てなければならない。それはどこかというと、小規模農家であろうかと思います。その小規模農家の方の中には、中山間地で規模拡大ができない方、そして年齢的にもこれ以上規模拡大が難しい方、多くのケースがあろうかと思うんですが、そちらの方に私は、長年、国土そして農地を守ってこられた、いわゆるつくり手のプロが多く存在するというふうに思っております。
また、いわゆる支える農業というのでしょうか、先ほどのスマート農業など、広げていく、進めていくというのが伸ばす農業であるならば、やはりこういった小規模の方たちを支えていく農業、これらのバランスを私はしっかりとっていかなければならないというふうに思います。
一方に光が当たり過ぎるとどうしても、最近の国の農業政策は冷たいとか、間違えたイメージを与えてしまうのではないか。しっかり、例えるならば、二年前にも農機導入をできるだけ抑えるために必要最低限の機能を有したトラクターを販売したり、そういったものをやっているんだ、そしてまた、昨年の棚田法など、小規模の方を守ったり景観を保全していく政策もやっているんだと、やはり両方をPRしていくことが私は必要だというふうに思っております。
いわゆる伸ばす部分、支える部分、バランスのとれた農業政策に取り組むべきというふうに考えますが、副大臣の御意見をお伺いしたいと存じます。
○伊東副大臣 野中委員におかれましては、今回、先ほど初質問というお話をいただきました。これまでも、農林水産大臣政務官の御経験も踏まえて、日ごろから建設的な御意見をたくさんいただいておりますことを感謝申し上げる次第であります。
さて、お話にありましたように、日本の農業経営体の約九八%は、大半は家族経営であります。こうした方々が、地域の農業生産や、美しく活力ある農村を支えているのが実態でございまして、このため、こうした方々に対し、規模の大小にかかわらず、きちっとした支援を講じていくことが必要だ、こう思っております。
特に、中山間地域などの条件不利地域におきましては、産地生産基盤パワーアップ事業や畜産クラスター事業における要件の緩和を図ること、また、中山間地域等直接支払いにつきましては、少しでも加入がしやすくなるような運用改善と、先ほども御答弁しましたが加算措置の新設あるいは拡充などを行うなど、地域の実態を踏まえた見直しを進めているところであります。
また、農業の成長産業化と、これらを推進していくためには、担い手への農地の集積、集約化や、スマート農業も活用した生産性向上の取組が重要であるというふうに認識をいたしております。
農業を魅力ある成長産業にしていくための産業政策と、農業、農村の多面的機能の発揮を進める地域政策、この二つを車の両輪として、小規模あるいは家族経営や条件不利地域の農業者の皆様をしっかり支えてまいりたい、こう思っております。
○野中委員 ぜひバランスをとった政策で、支える部分については、やはり小規模の方、また、コミュニティーの形成の場であって景観保全の場であるという面からも、またぜひ政策を打っていただければというふうに思っております。
次に、森林環境譲与税について質問をさせていただきたいと思います。
国会の場でも、この配分基準についていかがなものかという議論はありますが、これはなかなか、配分基準について、百点満点というのはないと思います。納税義務者一律で徴収するものでありますので、山を持っている地域と人口が多い地域ではそれぞれやはり意見の相違が出てしようがない部分だというふうに思いますが、その中で、林有面積が十分の五と、そしてまた就業者十分の二、人口十分の三、これは私は適切であるというふうに思っております。
予定では、なだらかに、階段を上がるかのように、二百億、三百億、四百億、五百億、そして令和十五年に六百億になる予定でありましたが、今回、地方公共団体金融機構の金利変動準備金の活用をすることで、来年度そして再来年度四百億、そして令和四年、五年で五百億、令和六年から六百億ということで、非常にこの事業の、やりたい事業のスピードアップが図られるのではないかというふうに思っております。
山を有する自治体、すなわち林業に触れている自治体というのは、もともと目的意識がしっかりしておりますので、すぐにスピードアップが図られる。むしろ人が足りないという、さっきの意見もございました。
私がちょっと懸念するのが、前倒しになった分、自治体の、今まで木材利用等、余り山というイメージがなかった自治体については、やはりしっかりと道を示していかなければならないのではないかというふうに思っております。
今年度においては、恐らく、予算の規模、また初年度ということで、基金に積み立てている、使途の役割とすれば、木材利用の促進また普及啓発などを主に請け負う自治体は、そのように行動をとっておられるんじゃないかというふうに思います。
私の地元では、人が集う公共施設でウッドデッキを新しくさせていただいたということでございました。しかしながら、なかなか、この先どうやって使っていこうかと考えている自治体もいらっしゃるというふうに思います。間違っても、独自の、自治体で拡大解釈をして、本来の森林環境譲与税の目的と大きくそれた使い方をしては私はいけないと思っておりまして、そのために事例集をつくるべきだというふうに提案しようとしたところ、ことしの一月に、もうこの事例集ができているということであります。
それならば、特に山に今まで関係がなかった地域、この森林環境譲与税をどう使うか。そこで、事例集でも、自治体間の連携、また木材利用、普及啓発等々書いてありますので、しっかりこういったことを自治体に発信していくべきだ、この事例集を活用していくべきだと思いますが、御意見を伺いたいと思います。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
森林環境税の適切な活用に向けて、農林水産省では、これまでも百九十回を超える市町村説明会に職員を派遣するなど、制度の周知を図ってきたところでございます。
このような中、例えば、愛知県豊明市と長野県上松町が連携して、上松町で生産された木材製品を豊明市内の新生児にプレゼントする取組、東京都豊島区と埼玉県秩父市が連携して、豊島区が秩父市内の森林を整備する取組など、都市部の市町村が山村部の市町村と連携した木材利用や森林整備に取り組む事例も出てきているところでございます。
このような先進的な取組を事例集として取りまとめ、市町村への共有、助言等を総務省や都道府県とも連携して行うことで、森林の少ない都市部の市町村と山村部の市町村との連携した取組が進むよう、譲与が前倒しされたことも踏まえて、しっかりと支援してまいりたいと考えております。
○野中委員 ありがとうございました。
この事例集には、山があるところ、ないところ、全てのケースが書かれておりまして、これを毎年更新することが森林環境譲与税の成果、実績につながるものだというふうに思っております。
最後に、ちょっと短目に質問させていただきたいと思いますが、新型コロナウイルスについては、先ほど来質問があるとおりでありまして、ぜひ農家の方、また、昨日の大臣所信表明にもありましたとおり、食料の安全供給に万全を期していただきたい。そして、生産者をフォローしていただきたいと思います。
やはり経済を進めていくためには人、物、そしてお金の世界との行き来が重要でありますが、その中で、今回のようなウイルス、そしてまた二年前にあったCSFもその一例ではないかというふうに思っております。この後、家伝法の審議もあるというふうに伺っておりますので、また、今までの委員会でも多く議論がありましたので、私からは一点だけ。
やはり、養豚農家さんにも海外から技能実習生の方は多く来られております。ですので、それぞれの国の地域柄で自然と持ってきたものに大きなリスクが生じるものもあります。そしてまた、我々の国のルールもあります。ですので、やはり就農外国人技能実習生に飼養衛生管理基準の徹底などしっかりと教育をすべきと考えますが、その点についてお伺いしたいと存じます。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、畜産の現場でも、技能実習生それから特定技能といった形で、多くの方々が農場で働いております。中でもベトナム人、中国人の方が多いというふうに聞いております。
飼養衛生管理基準はまさに、毎日毎日、具体的な仕事を農場の従事者が全員理解して日々実践していただくということが必要でございます。こういう状況を受けまして、平成二十九年には、農林水産省として、写真や図を用いた多言語のリーフレットをつくっております。
これに加えまして、生産者団体から、それぞれの畜産の現場におきますそれぞれの作業工程においた注意事項につきまして、イラストそれから図を用いて多言語のパンフレットを作成しているということでございます。これを生産者に配付しておりますので、これらによりまして、海外の方も含めまして従業員全員が飼養衛生管理の実践を積極的に推進していただきたいというふうに考えております。
それから、違法な肉製品の持込みにつきましても、技能実習生を含みます日本に在住している方、それからその知人、親族が多いという調査結果を得ております。したがいまして、国際研修機構でありますとか外国人の技能実習機構などを通じまして、これらの方々が肉を持ち込まないような、そういう啓発、情報発信もしているところでございます。
○野中委員 ありがとうございました。質問を終わります。
○吉野委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
きょうは、新型コロナウイルスの対策についてと、あともう一つ、地元での漁業、水産業について伺いたいと思います。
先ほど来、るる新型コロナウイルス対策については議論がございますけれども、それはちょっと後に置いておいて、まず、地元の話になって恐縮でございますけれども、水産業、イカナゴ漁というのが瀬戸内で行われております。大阪湾あるいは播磨灘というような言われ方で海域を把握しながら、漁師の方々は漁に出かけていっているわけでございますけれども、実は、なかなかこれが、先ほど来ございますとおり、水産業は不漁の状況がある。瀬戸内におけるイカナゴ漁も例外ではないという状況もございます。
実は、大阪湾でのイカナゴのシンコについては、二月二十九日に解禁をした後に、三月一日と三日は休漁しました。実質的には二日間しか稼働しない中で、今季の漁をもう既に終えました。過去最短は三日間だったんですけれども、今回、二日間だけということで、最短を更新してしまったという非常に残念な状況がございます。さらに、播磨灘についても同様に非常に厳しい状況で、林崎漁協などは、漁に出かけていったんだけれども、全くとれなかった、漁獲ゼロだというような状況でありました。
更に言うと、きょうの十五時から、漁を今季はもう終えようかという話をする予定の会議を開くというような話になっているわけでございますが、非常にこれは残念なことに、播磨灘は以前から栄養分が減っていて、栄養価が非常に低いということで、もう少し下水の排出をコントロールしてくれないかというようなことで、県とも相談しながら、流総計画なども特別に、多少、流総計画を変更して対応してきたというようなこともございますが、残念ながら、今のところ、イカナゴのシンコ漁は不漁が続いているという状況でございます。
これは非常に深刻であるというふうに考えておりますけれども、水産庁としてどのような対策を行っていかれるのか、お伺いいたします。
○山口政府参考人 お答えいたします。
大阪湾の本年のイカナゴのシンコ漁、いわゆる稚魚でございますが、この漁については、今先生からお話がございましたように、大阪湾の方は実質二日間で終漁しております。それで、今把握しているところの漁獲量については、不漁と言われた昨年の更に約四割に減少したというふうに伺っておるわけでございます。
このイカナゴについては、関係府県の水産試験研究機関が漁海況予報を実施しておりまして、それを受けて、漁業者が試験操業の結果を参考に解禁日と終漁日を協議して決定するなど、資源管理の模範例として有名な例でございます。
この大阪湾での不漁については、原因が全て明らかではございませんが、いわゆる夏の時期に高水温になりますと、成魚が多く死滅してしまうという可能性がございます。また、餌不足によって、イカナゴの成熟率や産卵量が著しく減少するということも明らかになってきておるわけでございます。また、兵庫県漁連、また兵庫県庁さんからは、この餌不足というのが、海域の栄養塩不足による影響だという御指摘もされているところでございます。
こうした状況を受けまして、農林水産省といたしましては、環境省や国土交通省との間で副大臣会議を開かせていただき、豊かな水産資源を育む適正な栄養塩環境の実現に向けて検討を進めることとしておるところでございます。また、環境省におきましても、中央環境審議会において、今年度中に、瀬戸内海における今後の環境保全の方策のあり方についてが取りまとめられる予定となっておりまして、この内容も踏まえながら、関係省庁と連携して、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
今後とも、イカナゴ資源の調査を行い、水産資源と栄養塩を含む海洋環境との関係の解明も進めてまいりたいと考えております。
○濱村委員 環境省と国交省とを交えながら、副大臣会議をされておられるということで、非常に強く期待を申し上げたいと思っております。
このイカナゴについては、イカナゴのくぎ煮ということで、この時期になれば炊いているにおいが周辺地域には漂ってきて、非常にいいにおいがして、これは伝統的な食文化であるというふうに思っております。
この伝統的な食文化がなくなってしまうというようなことのないように、ぜひとも取組をお願いしたいというふうにお願いを申し上げます。
続いて、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
先ほど来、いろいろな先生方から対策について質問がございました。一応、公明党といたしましても、いろいろな業界団体の方々に来ていただきながら、どんな影響が出ているのかというようなことをヒアリングしてまいりました。十七団体やってまいったわけですが、第一次、二次と、さまざま政府にも提言をさせていただく中で、昨日、第三次提言として、経済対策についてもお話をさせていただきました。
その中に、農業についての取組もぜひお願いしたいということで、実は、農業については、JA全中からヒアリングをさせていただいた上で、その上での御要請ということで、参議院での予算委員会でも質問がございましたとおりですし、そしてまた、昨日の提言にも盛り込ませていただいたとおりでございますけれども、やはり、牛乳についてどうするんだ、学校を休校することによって、牛乳の需要の一割は給食でありますので、しっかりとその使い道について考えるべきだというようなことでございました。
実は、JA全中さんにヒアリングを受けるときに、我が党は対策本部というのを設けておりますが、その対策本部で、農協牛乳を飲みながら、我々、ヒアリングをいたしました。
しっかり牛乳を使っていくんだということでございますけれども、大事なことは、行き場をなくしているもの、さまざま、もう既にきょうの質疑でも答弁があったとおりでもありますけれども、牛乳を加工原料乳に仕向けるというような話もございました。それではなかなか売上げ自体は減少してしまいますねということで、補填の話も、大臣から、きょうの午前中にもあったとおりでございます。
改めて伺いたいと思いますけれども、今回の学校の休校による牛乳の消費が減少してしまうことにどのように対処をしていかれるのか、答弁を求めます。
○水田政府参考人 お答えいたします。
学校の休校に伴う学校給食の停止を受けまして、先週金曜日に、全国連あるいは指定団体などの生産者団体、乳業メーカーなど関係者に集まっていただき、意見交換をいたしました。
その中で、国内には、学校の長期休暇、夏休み、冬休みなどの飲用需要が減少する時期に備えまして、需給調整のために脱脂粉乳あるいはバターなどの製造を行う乳業工場が、東日本に三カ所、西日本に四カ所ございます。
このため、今回キャンセルとなった学校給食用牛乳向けの生乳につきましても、関係者が協力し、広域で配乳調整を円滑に行うことによりまして、これらの乳業工場で加工品の製造用に用途変更することで対応しているところでございます。
しかしながら、学校給食用牛乳を脱脂粉乳やバターなどの加工品向けに用途変更いたしますと、原料乳の価格に差がございますので、酪農家段階では一トン当たり約三万四千円の収入減少となるところでございます。
農林水産省といたしましては、こうした影響に対しまして何らかの手当てができないか、全力を尽くして対処してまいりたいと考えております。
○濱村委員 ありがとうございます。
生産者補給金があっても、三万四千円、一トン当たり減収になるということでございますので、きょう午前中、大臣が答弁されていたように、補填についてもしっかり考えていっていただくということでございますので、期待をしたいと思っております。
続いて、和牛について伺いますが、和牛は、皆さん御存じのとおり、兵庫県には但馬牛あるいは神戸牛、そうしたブランド牛があるわけでございますけれども、外国人の方々が来るということ、インバウンドが減っているということによって、非常に大きな影響が出ております。かなり需要が減少してしまって、価格が下落しているというふうに聞いております。
私の知り合いの方でも、東京などの店舗ではかなり暇な状態であると。外国人の方が全然来ないということで、ほとんど出荷されていないということでございました。今週と来週までの発注がほとんど来ていない状況であるということでございました。先月まではまだましだったところでございますけれども、三月に入ってからは、もう見通しが立っていない、おおむね三割ぐらい減なんじゃないかというような話もございますけれども、大手の方でも非常に、輸出ができなくなってしまって、在庫を抱えて大変な状況になっているというような状況であると伺っております。
どのように対処するのか確認いたします。
○水田政府参考人 お答えいたします。
和牛についてでございますが、需要の減少で価格が下がっているという状況にございます。
昨年二月の価格よりも、ことしの二月の価格が低下しておりまして、この主な要因でございますけれども、市場関係者からは、新型コロナウイルスの発生、これに伴いますインバウンドの需要の低下、そして消費者が外出を控えている、こういうことによりまして外食需要が減少したためというふうに聞いているところでございます。
こういったことで、肥育農家の方々に価格の低下で影響が出ているわけでございますが、農林水産省といたしましては、肥育農家向けに無担保、無保証人で利用できる農林漁業セーフティネット資金を措置しております。
また、肥育牛一頭当たりの標準的販売価格が標準的生産費を下回った場合に、その差額を補填する牛マルキンでございますが、一昨年十二月のTPP11協定の発効に伴いまして、制度を法制化いたしまして、補填率を八割から九割に引き上げたところでございます。
今後とも、この枝肉価格を注視していくとともに、こうした経営安定対策によりまして、肉用牛肥育経営の生産者の皆様の不安を払拭し、意欲を持って経営に取り組んでいただけるよう、しっかりと支援してまいりたいと考えております。
○濱村委員 しっかり対策をお願いいたします。
次に、花卉、お花について伺います。
兵庫県にも、淡路島は非常に大きな花卉の産地でございまして、カーネーションであったりコチョウランであったり、この時期、非常に出荷が期待されているわけでございますけれども、残念ながら、これも需要が減っている。卒業式やブライダルとか、企業等のイベントなどもことごとく中止になってきて、例年販売されていた花が販売されずに困っているということでございます。
出荷に関しては、生産した分は出荷しているんだけれども、販売がとまってしまっていて在庫になっているというような話もございます。そうした状況もありますので、価格が下落してきて通常の半値になってしまっていたり、生産者の収入自体も平時の半分ぐらいになってきているということでございます。非常に強く御要望いただいているのは、もう早く終息してほしいということでございました。
こうした需要が落ちているというところはございますし、これは先ほどの牛乳であったり和牛と変わらない部分もあるんですけれども、ちょっと違う点は、支援できるメニューがなかなかないというふうに認識しております。何か対処できないのかと思っておりますが、どのように対処されるのかお伺いいたします。
○伊東副大臣 大変難しい対策である、こう思うところであります。
花卉の卸売業者からは、学校の休校に伴う卒業式や、あるいは送別会の中止、また大規模なイベントの中止や規模縮小等により、切り花の注文のキャンセルが相次いでいる、このようにお聞きしているところであります。また、卸売市場では、ここ数日、切り花の価格が毎日下がっているというのが現状であると聞いております。例年三月が花卉類につきましては卒業式やお彼岸等の需要期であり、今般の需要減少による影響は避けられないものと考えているところであります。
このため、農林水産省としては、花卉の需要喚起を図るべく、ホワイトデーに花を贈ろう、あるいは家庭やオフィス等で花を飾ろうという運動等、国民の皆様に対し、広く消費拡大への協力を呼びかけていく考えであります。これらを通じて影響の緩和に努めてまいりたいと思います。
ただ、決定的にこれが功を奏して莫大に花が売れ始めたというようなアイデアはまだ残念ながら持ち合わせしていないというところでございますので、御理解いただきたいと思います。
○濱村委員 メニューもないし、支援策というのが非常に難しいという話はよく理解をしております。その上で、需要を喚起する方策として、ホワイトデーでも花を贈ると。
実はフラワーバレンタインというのを花の業界の方々がやっておられて、私も政務官のときに、ああ、皆さん方もやっておられる、すばらしいなと思いますが、私も昨年はフラワーバレンタインで花を妻に贈りまして、妻も珍しいことがあるものだということで喜んでおりましたけれども、続けていくのも大事だなというふうに思っております。
そういう需要を喚起していくということも非常に大事ですし、さらに、経営をどのように補償していくのか、これはまだなかなか支援策というのがないかもしれませんけれども、検討していく、前向きに何かできないかということをやはり伝えていくのも生産者の皆様は安心されると思っております。
最後の質問にしたいと思いますが、技能実習生の受入れについてでございます。
技能実習生は、中国であれば中国政府が許可をおろさないということで、なかなか来日できない状況が続いております。あるいは、一時帰国した実習生の方が日本に戻ってこられないというような話もございます。さらにもう一つ、あわせて伺いますが、中国以外の方々についてもですが、カンボジアとかベトナムとか、そうした国の技能実習生あるいは技能実習の候補者の方々に来日を拒否されたケースがあるというふうに伺っております。
こうした実習生が来日できない状況を踏まえますと、営農計画どおりの収穫ができなくなるおそれもございます。生産、販売に大きな影響が出ることが想定されますが、どのように対策を講じるのか、この点、伺いたいと思います。
○横山政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、中国に一時帰国した後日本に戻ってこられない方ですとか、あるいは、そもそも中国から来る予定だったんだけれどもおくれているといった事例、あるいは逆に、実習が修了したんだけれども中国に戻れない方、さまざまな事例が発生してございますし、また、ほかの国の方でも、日本に来たくないということで来られなくなった方もおられるというふうに承知してございます。
こうした中で、産地によりましてはかなり中国の方々が入っているところもございます。そういうところ、これから農繁期にも入ってまいりますので、今後の農業経営への影響というのを大変懸念する声も我々としても承知しているところでございます。
こうした中で、既に講じている措置としては、例えば今おられる方が技能実習の在留中の方であって、従前と同一の受入れ機関又は業務で就労を希望する場合には、三十日間引き続き働くことができるといったような措置、これは出入国管理庁の措置でございますが、例えばそういった措置を講じておりますし、そうした措置について我々も関係農業団体、都道府県などに周知をしているところでございます。
引き続き、農林省としては関係団体や都道府県から現場の情報収集に努めるとともに、制度を所管する厚生労働省や法務省とも連携して、状況の推移に即しまして可能な限りの対応をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○濱村委員 万全の対策を講じていただくことをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○吉野委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後二時三十九分休憩
――――◇―――――
午後三時十六分開議
○吉野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。緑川貴士君。
○緑川委員 皆様、午前中から審議、大変お疲れさまでございます。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの緑川貴士です。
ほかの先生方が最初に質問されているように、私からも、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを受けての政府対応をまずは伺いたいというふうに思います。
食や農業への影響が今、どこまで続くのか見通せない状況であります。食料輸入も正常ではないですし、外食産業の食材の切りかえが、やはり混乱が起きております。インバウンドが激減をして、また、外出の控えやイベントの中止でも収益が見込めない業者が出てきている。直売所や観光農園など多方面の経営にも影響が出ております。物づくり産業を始め、テレワークということがそもそもできない仕事というものが多いです。旅客や物流もとめるわけにはいかない。
現場の混乱や不安に応えるべく、江藤大臣、午前中の御審議で、本当に言葉を選びながらの、強い危機意識を持つそのお言葉に、私も思いをいたしたい、共感をしたいというふうに思いますし、そのお言葉がある分、今後のリーダーシップというものもしっかりと求めてまいりたいというふうに考えております。
若干の重複する質問があるかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。
最初に、和牛の畜産家、食肉への影響について伺います。
和牛の食肉相場は、これは豚もそうなんですけれども、この五年間で見ますと最も安い水準で推移をしています。
今後の和牛の中国輸出の拡大の機運が、これまで高まっていました。また、東京オリンピック・パラリンピックでの需要を見込めるということも期待感があり、これまでぎりぎりのラインで、この枝肉の相場というものが維持されていました。
しかし、昨年の十月からの一〇%への消費増税後に家庭消費が落ち込んで、そして、鍋物として需要を期待した冬は、暖冬によって販売不振になりました。今回の新型コロナウイルスの影響では、和牛の消費の頼みである外食、またインバウンドの消費も減るという、この影響が複合的に重なった形になっています。
例えば、この価格なんですが、東京食肉市場の和牛枝肉の二月のA4の平均価格は一キロ当たり二千百三十六円、これは前の年に比べたら一五%安い。大阪市の食肉市場でも、一割安い二千二百二十四円になっております。
この枝肉価格が急下落していることの一方で、子牛の価格を見ますと、二〇〇九年には一頭平均当たり三十五万円ほどだった子牛は、今はおよそ八十万円、十年前の倍以上の価格で高どまりをしています。
現場の畜産家にお話を、この点について聞いたんですけれども、素牛の価格が高どまりした状況の中で、農家が全て、必ずしもこれまで利益を出せるような業界ではなかった、厳しい世界であったとしても、自分が育て上げた牛が格付で上位をもらうことによって、その評価をもらうことで、品質のいい肉になり、高い単価がつく、そういう評価をもらうことで、細いながらも何とか利益が上げられてきたというのがこの畜産業であったということです。
それが今の相場では、格付がどんなに上のものを求めてつくっても、枝重を乗せても、何をしても採算が合わない相場に、今この枝肉相場がなってきている。肥育しても出荷しても、今のこの枝肉相場では、利益を出す出口がいよいよこれは見えなくなってきている。肥育農家の経営が、これまで以上に、かつてない深刻な状況になっている。
これは、午前中から御答弁を伺っておりますけれども、改めて大臣の御認識を伺いたいと思います。
○江藤国務大臣 委員におかれましては、しっかり分析をしていただいていると思っております。危機意識は大変強く持っております。
直近の子牛の競り市場の速報は必ずとるようにいたしております。最近でありますと、鹿児島、福島、北海道、山口、栃木あたりで競りが行われておりますが、子牛の値段でいいますと、前月比で大体三%から八・八%ぐらい安い。そして、同月比でいきますと、大体、低いところでも七%、高いところでは一二%低いということであります。
現在、委員も御承知のとおり、マルキンが八割補填から九割補填になって、この点は大変評価をいただいているところでありまして、家族労働費も計算してその分を補填するということでありますから、一定の経営安定対策としての機能は発揮していると思いますが、このマルキンについても、今のところですが、直近はまだわかりませんけれども、全ての県で発動しているわけではありません。ですから、今の価格水準であれば、採算割れをしている県もあれば、まだ採算ベースぎりぎりのところもある。宮崎はまだ発動していないということであります。鹿児島は発動しております。
それにしても、この下がり方は、A4もA5も、それから交雑のF1も去勢も、まあ去勢と乳用種についてはそれほど大きな変化はありません。特に乳雄については変化はありませんが、上位部位ほど価格差が大きい。そして、最近の業界の方々と私も綿密に連絡をとらせていただいておりますが、いわゆる卸の方々が、特に上級部位について、在庫がたまってしまっている、もう冷蔵庫がいっぱいで買い切らぬというような話も、もう入り始めています。
買い切らぬということであれば、この先の相場も大変厳しいものになるということも容易に想像されることでありまして、これについてどうするかということについては、昨日の対策本部でもかなり熱を帯びた議論をさせていただきました。議事録を出せということでありますから、そのときに私が何を言ったか、いずれ明らかになると思いますけれども、私も何かせないかぬという気持ちを強く、このことについては持っております。
しかし、農林水産省の予算単体で背負い切れるような話では多分ないというふうに思われますので、これから財務御当局と、私も今、汗を流させていただいておりますけれども、これから、私は、その二十四万六千円を出して、増頭したい、生産基盤を強化したい、そして外にも打って出たいという中にあって、今生産農家の方々の意欲を折るようなことがあってはならないという強い意識を持って、対策については検討させていただきたいと考えております。
○緑川委員 やはり、大臣おっしゃったように、地域によって価格の下落にはばらつきがありますけれども、これがすぐに回復するかというと、やはり今はそうでない。下がり続けるところもこれから出てくるかもしれない。そして、肥育農家にとっての今後の見通しというのがやはり見通せないところが、非常に今、影を落としているところであるというふうに思います。
例えば、ある地域では、子牛が八十万円台のときに買って、そこから二十カ月あるいは二年近く、これを肥育して育てて、出荷をしたとしても、コストが回収できないというところがあります。肥育業というのは、多くのところ、聞くところによると、農協の預託事業を使って素牛を購入して、出荷して購入代金を、売れたときに精算するわけですけれども、その際に、これは利益が残るどころか、さらに農協に対してお金を積んで、素牛代とその利息分を支払うというケースが、これからこの価格が不透明なとき、見通せない以上は、どんどんこうしたケースがやはり出てくるんじゃないかということを懸念しております。
生産現場は、大臣、マルキンのお話、まだ全国的に発動といってもやっていないところがあるというお話がありますけれども、TPPが発効して、日米貿易協定も発効し、大型の貿易協定の中で牛肉の輸入がふえていく過程の中で、国内の枝肉の価格が低下するような傾向になっていくのであれば、マルキンでこれを補填する率は高めたとしても、額自体は下がり続けることになります。
これでは、やはり経営は、今のマルキン制度の限界がありますし、省庁横断的な対応というふうにおっしゃいますけれども、本当に目の前の経営の状況に対しての対応というのが、今の体制だと厳しいんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 おっしゃるとおりだと思いますが、九割補填の上は、正直言って、ない。ここはもう限界であります、十割補填はないので。家族労働費も見ているということは御承知おきだと思いますけれども、その点も御理解いただきたいと思います。
利用できる制度としては、無担保、無保証人で利用できる、いわゆる農林漁業のセーフティーネット資金がございます。これは〇・一です、金利は。そして据置きが三年ございますので、こういうものの利用もしていただきたいと思います。
しかし、これで十分だというふうに私自身は思っておりません。省庁横断的にやるというふうなことを言っているつもりはなくて、これはあくまでも農林水産省として取り組むべき課題だと思っておりますので、私の能力の限界もあり、今ここで答えられることはここまでですけれども、これから先の対策についても鋭意検討を進めておるところでございます。
○緑川委員 畜産農家についてはやはり規模拡大ということが言われてきましたけれども、大臣が報道でコメントされるようなときに、現状維持も十分攻めていると。やはり、畜産農家については特にこういう状況が言えるんじゃないかというふうに思います。
やはり、肥育農家が経営難に陥ることが大変心配される中でも、繁殖農家も今後、同じように見ていったときに、自分の店を持っているような大手の牧場だとしたら、また価格は据え置く可能性ももちろんあるんですが、そうじゃない、中小規模、規模の小さい繁殖農家については、これは市場の状況に応じては素牛の価格を下げていかざるを得ないというふうに思います。そうなれば、繁殖農家も食べていけなくなる事態も考えられるわけですね。
高齢化に伴ってそもそも繁殖農家の離農がふえている、子牛の数が減っていることが、近年、枝肉の価格が高どまりをしていた一つの要因になっていました。こうした状況を打開するために、政府が今回、子牛の頭数をふやすための増頭の奨励金、また、畜産クラスターの規模要件を緩和する、補正で措置したような追加策として支援を行っていくと。
これは、進めていくことはやぶさかではないですし、必要なことであると思うんですけれども、牛肉を三十万トンに、二〇三五年度までに生産をふやしていく、頭数をふやしたときに、今の私が話した話を逆に言えば、子牛の生産がふえることになれば枝肉の価格は高どまりが解消される、そういう目的で、そういう政府の方針であったと思います。それをすれば枝肉の価格が今度下がる傾向になっていくということを政府は見込んでいるということでよろしいんでしょうか。
○江藤国務大臣 いえ、決してそういうことではないんですよ。
今、和牛の国内の生産能力は年間十四万九千トンしかございません。国産牛で三十三万トンという限界がございます。そして、今回、アメリカとの経済連携協定によって六万五千五トンの低関税枠も開く、ヨーロッパにも出せる。中国も今、新型コロナで若干停滞ぎみにはなっておりますが、年間百万トン以上の牛肉を輸入する輸入大国となってございます。
そして、現在、中国の方とも、私、中国の駐日大使とも大変仲よくさせていただいているのでお話をさせていただきますが、大変な人気で、直接買えないので第三国を経由して和牛は中国に買われている。そして彼らは、大変高い値段じゃないと逆に本物じゃないというぐらい購買意欲が高い。
それで、この間も、別件ではありましたけれども、農林水産省の事務次官を中国に派遣をいたしました。そうしましたら、次官のところに、ぜひとも和牛を扱わせてくれと。人によっては、私のところで一手に扱わせてくれないかと。私のところのスーパーマーケットは中国全土に何軒あって、一日どれぐらいの取引があって、これぐらいの量だったら簡単に売れるんだ、そういう話をたくさん聞いてきた。ですから、中国のマーケットなんかも大きいと思います。
ですから、和牛の繁殖とそれから肥育というのは常にコンビでなければならないんです。今、先生が御指摘されましたように、八十万で買ったものが、今ちょうど枝肉になって、市場価格がこれだけ下がると本当に苦しいんですよ。しかし、二十カ月肥育しなければならないというのは、これはもう和牛の世界の宿命のようなものでありまして、そのリスクを背負ってやはり営農されている。だから、我々は九割補填というところまで補填の水準を上げたわけでございます。
そして、私は、子牛の値段が八十万よりも七十万の方がいいとは言いません。八十万でも利益が出るような枝肉価格であったらいいと思います。そして、本当に、十四万九千トンのうちの半分でも海外に出るようになったときには、いかに国内の消費が低迷しているといえども、これは、枝肉の値段は当然、ベクトルは上に向くのだろうというふうに思います。
ですから、悲観的に考えればいろいろなシミュレーションはできますけれども、しかし、決して楽観的に見ているんじゃなくて、やはり出口政策というものを考えることは、今後の農林水産政策においてはとても大事なことですから、生産された牛肉が、海外も含めて、さまざまなマーケットにアクセスして、正当な評価を得られる、そういう姿を描いているわけでございます。
○緑川委員 今回の措置、補正の措置によって、増頭の奨励金でもって、繁殖農家の子牛生産を応援をして、生産が進み始めていたとしても、この十年で、過去十年で倍以上にはね上がったという子牛の価格自体をすぐに下げていくということはやはりなかなかできないかなというふうに思います。
二〇三五年というふうに、中長期的には、子牛の価格に枝肉の相場が大きく開いているような状況は解消される可能性も、もちろん長期的に見ればありますけれども、やはり大臣もおっしゃっていただいたように、今、目の前で事業を畳むことになりかねない、この状況に対して、そこまで来ていることに対して、今のこの価格の動向も、注視も含めて、政府の本当に現場に即した対応をしっかり求めてまいりたいというふうに考えております。
ちょっと時間が来てしまっておりますので、また質問を移りたいというふうに思いますけれども、これも新型コロナウイルス関連の話です。
中国の有識者の団体によれば、中国の武漢市で発生した新型コロナウイルスの肺炎というのは、食用として売られていたアナグマあるいはタケネズミなどの野生動物が感染源になった可能性が高いと言われています。
一方で、国内でもアナグマは存在をしています。本州、四国、九州の広い範囲で生息をしていますけれども、最近では、獣害対策も兼ねて、野生動物のジビエ料理の食材として人気を集めているということです。
このアナグマの精肉、販売を手がけている会社では、過去に取り扱った食肉が感染症を媒介したというケースはないと言われていますけれども、専門家、感染症の研究者からは、野生動物はやはり人にはない病原体を持っている場合があるという指摘もあります。
国内でありますけれども、大臣、アナグマのジビエに対する認識、どのようにお持ちでいらっしゃいますでしょうか。
○江藤国務大臣 ジビエの活用ということが大きな課題になっておりますが、アナグマも一部、今委員が御指摘されたように活用、私は実は食べたことがないんですけれども、あります。年間に、平成三十年度の数字でありますが、一・八トンということになっております。全体のジビエの流通量の中の〇・一%という量であります。
しかし、そういう御指摘が有識者からあったということは承知をしております。
厚生労働省が野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針、ガイドラインを出してございますけれども、この場合は、調理時に十分な加熱をして利用することとされております。これによりますと、加熱に七十五度、一分以上、又はそれと同等以上の加熱をすることということになっておりますので、アナグマに関しましても、ほかの動物につきましても、このガイドラインに基づいたジビエ利用をしていただければいいのではないかということで、我々としても周知を図っていきたいと考えております。
○緑川委員 国内で、アナグマに限らず、それ以外の野生動物、イノシシ、鹿、こうした野生動物は、中山間地域で、農業、林業の担い手が減っている中で、耕作放棄もふえて、手入れされていない山林もふえている中で、イノシシ、鹿がふえて、秋田では特に熊の出没も急増しています。
その対策は、もちろん、ゾーニングなどの対策も重要なんですけれども、野生動物が田畑を荒らして農作物を食べてしまうという深刻な被害、その対策、有効な、このジビエの活用ということが一つ大事であります。野生の肉の多くは、脂肪分が少ない、身が引き締まっている、高たんぱくで栄養価も高い、ヘルシーであることは魅力なんですけれども、環境保全を高めていきながら、捕獲をした鳥獣の肉を有効活用する取組であります。
この取組に対して、ジビエに対して、厚労省は、ガイドラインにのっとって衛生管理を促していますけれども、小さな飲食店、あるいは個人が提供するような、地域で集いがあればジビエを提供するようなところもあるんですけれども、そうしたジビエ料理、衛生管理、殺菌の消毒が徹底されているかどうかというところ、やはりこれは考えなきゃならないところも当然あるというふうに思います。
一方で、今回、新型コロナウイルスの感染拡大の、感染源であったアナグマ、タケネズミ、あるいは、豚熱、CSFの感染源と見られた野生イノシシ、国の内外で、今、野生動物に対する見方が変わってきている部分があると思います。確かな安全性がやはりこれは求められている局面だと思います。
ほかの食材についてちょっと調べますと、例えば、猛毒のあるフグの調理にはフグの調理師免許があります。豚や牛などの家畜や鶏などを食肉にする場合には、と畜場法、また食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律が適用されます。しかし、このジビエ、野生動物の取扱いについては、これは必要な免許制度というものはありません。今言ったような法律の適用もない、対象ではない。衛生面の安全性をどのように担保するのかということについて、今の政府の認識と今後の対応、どのようにお考えでしょうか。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
食用に供する野生鳥獣肉につきましては、業として処理、加工、調理、販売等を行う場合には、まず、食品衛生法、これに基づきまして、都道府県等の許可を受けた施設において、衛生管理基準を遵守して行う必要があります。その上で、野生鳥獣肉の安全性を確保するために、先ほど農林大臣からの御答弁にもございました野生鳥獣肉の衛生管理に関するガイドライン、これを平成二十六年に策定し、都道府県等を通じて、関係事業者への監視、指導を行っているところでございます。
厚生労働省といたしましても、定期的な調査を通じまして、このガイドラインの遵守の推進を図っておるところでございます。また、野生鳥獣の病原体保有状況の調査等によって、安全性に関する情報の収集、提供等を引き続き実施していくこととしております。
○緑川委員 国内のジビエで感染源が見つかったという深刻なケースというのはいまだ報告はないというふうに思いますけれども、国が今、これは大臣のきのうの所信でもおっしゃっていただいたように、ジビエに対する支援というものを明確におっしゃっていらっしゃいます。法的な枠組みをしっかりつくっていくというのは、これは、ただジビエを規制するということではなしに、国が責任を持つということであります。
猟でしとめた野生動物を、地域で振る舞われることも含めて、生肉の飲食は絶対に避けて、しっかりと加熱をする、そして、病気に対する抵抗力が弱い小さな子供には食べさせない、これは、個人でジビエを楽しむ際にも鉄則であると思いますし、これをやはりルール化していく必要があるというふうに私は思います。
今、農水省の調査では、おととし、二〇一八年度の全国で食用としてジビエを利用している量は千五百トン、二〇一六年、四年前の一・四倍にふえています。この加工施設も六百三十三、どんどんふえているわけですね。ふえているからこそ、今後のリスクに対してもしっかりと対処をしていく必要があるというふうに思います。
法的な根拠を持って、野生動物の肉は飲食店が厳格な衛生管理のもとで処理をして提供すること、こうした状況でも懸命に、ジビエを扱う店では風評被害にも対応していかなければならない、こうした状況に対する改善にもつながっていくというふうに思います。
大臣、今のやりとりも含めて、一言だけ、対応について御認識も伺えればと思います。
○江藤国務大臣 先ほど参考人の方から一部述べさせていただきましたが、厚生労働省によるガイドラインがございます。これに基づいて講習会とかいろいろなことをやって、農林水産省としても、その講習会の参加費用なんかについても支援を行っているところでございます。
さらには、ガイドラインに基づいて、衛生管理はもとより、流通規格の遵守などを適切に行う食肉処理場を認証する制度、国産ジビエ認証制度を平成三十年五月から運用しておりまして、現在十二の施設が認証されております。これは一応、これを取れば非常に社会的な信用も、評価も高いということでありますから、こういった取組をしっかり進めて、安全なジビエの普及に努めてまいりたいと考えております。
○緑川委員 やはり今、野生動物に対する認識が変化しつつあるような局面だというふうに思います。政府としてのやはり責任ある対応、また私からも問題があれば提起をしたいと思いますので、しっかりとお受けとめをいただければというふうに思います。
新型コロナウイルスの感染拡大も含めて、現場の農家では、今後の生産物に対する減収も含めて、国内農業に対してさまざまな形でこれから影響が長期化することが予想されます。豪雨災害なども相次ぐ中で、被災された農家は、大臣、きょうのお話もありましたけれども、収入保険制度を知らない農家が被災地では多くいらっしゃったというお話がありました。報道でも、水稲共済あるいは収入保険にも加入していない水田が全国で二割近くあったということであります。
この水田共済は一定面積以上の耕作農家に加入を義務づけていますけれども、昨年度の米からは任意加入になりました。加入面積がやはり、義務から考えればどんどん減っている状況であります。新たな加入の受皿として昨年から始まったのが収入保険制度。一年余りが過ぎましたが、その移行もやはり進んでいない状況です。
こうした無保険では、やはり減収に耐えられない。離農に追い込まれるおそれもあります。農業共済関係者は一層の加入を勧める、農家には何らかの制度への加入がやはりこれは求められていると思います。
現在この収入保険制度に加入している経営体の数、直近で教えていただきたいのと、今後の制度加入促進に対する対応を伺いたいと思います。
○横山政府参考人 収入保険の加入状況ということでの御質問でございます。
昨年が一年目ということでございます。昨年においては全国で二万三千経営体の方々が加入をされているということでございます。
それでは、これをこれからいかに拡大するのかという点でございます。
まず一点、推進体制の点がございます。現在、収入保険の加入推進につきましては、実施主体であります全国の連合会、農業共済の連合会が、業務委託先であります地域の農業共済組合と連携して取り組んでいるという状況にございます。この点につきまして、仕組みの周知が不十分じゃないか、農協、JA等と連携すべきではないかという声も伺ってございます。
このため、今後は、現場におきまして、農業共済組合と農協、集荷業者、農業会議、法人協会といった関係の機関が推進体制を構築して、これまでアプローチが不十分だった農業者の方々も含めまして、幅広い農業者に対して加入推進に取り組んでいただくということにしてございます。
また、それに要する予算につきましても、現在御審議いただいています令和二年度予算において、収入保険の加入推進の取組を推進する事業を盛り込んでいるところでございます。
令和元年の加入者への保険金の支払いは、これからが本番ということになります。保険金の支払い事例など加入者の事例も紹介しながら、より多くの農業者の方々が収入保険を利用し、あらゆるリスクに備えていただけるように取り組んでまいりたいと思います。
○緑川委員 地元の、私は秋田ですけれども、農済の関係者にもお話を聞かせていただきますと、やはり加入率については大変頭を抱えている状況であります。
一方で、秋田の農業生産額、これをちょっと見ますと、例えば、秋田では、直近で、おととしまでは四年連続の増加になっています。直近のデータです。生産額の伸び率は、実は全国で三番目になりました。東北一の米どころとして知られてきた一方で、今は野菜とか園芸、また畜産などと組み合わせた複合型の生産構造の転換、非常に頑張っています。野菜とか畜産、米以外の合計は、過去二十年間では最高額、八百七億円を記録しています。これは、やはりひとえに、これはもちろん農業関係者のトータルの努力はあるんですけれども、やはり一番は個々の農家の地道な努力の成果であるというふうに思います。だからこそ、収入減対策というのがなお重要になってきていると思います。
一方の収入減少対策は、本当に多岐にわたっている。ナラシは、標準的収入額を下回った場合に差額の九割を補填する、このナラシ。また、野菜価格安定制度は、産地を対象にして、差額、野菜の平均販売額が保証基準価格を下回った場合に差額の九割を支払う。収入保険は、収入が基準収入の九割を下回った場合に、下回った額の九割を補填する。これはやはり、聞いていただくとわかるように、非常にさまざまな選択がある。農家の負担も違う中で、やはり選択に迷う部分と、そして周知も届いていない部分があると思います。
農水省では、食料・農業・農村基本計画の今回の見直しにもなりますが、骨子を見させていただきました。「農業の持続的な発展に関する施策」の中に、農業経営の安定化に向けた取組という中で、収入保険制度が、自然災害等のリスクへの対応、また関連施策全体の検証を行って、総合的かつ効果的なセーフティーネット対策のあり方として位置づけていく方針であるというふうに書かれております。
再来年の収入保険制度の見直しに向けて、このセーフティーネットとなり得る、米や畑作に対する収入減少対策、野菜価格安定制度、また収穫共済などを一本化していくということも視野に入れている今の検討状況、そして、わかりやすい形で、やはり農家さん、現場農家にまとめてお示しをするということが加入率を高めることにつながるというふうに考えておりますけれども、このあたり、お考えはいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 基本的に委員の御指摘は当たっていると思います。米のナラシは残っておりますし、それから、野菜価格の安定制度については指定野菜でなければならないということもありますけれども、これについては一部から、収入保険に丸めた方がいいんじゃないかという御意見も出ていることは私も承知しております。
しかし、これは野菜価格安定だけではなくて、出荷調整とかそういったものの機能もあわせて持っているということもあって、生産調整的な機能を持っているということであって、これについてもしっかりとした検討を行った上でやらなければならないというふうに思っています。
収入保険についても、私のところも、昨年、竜巻が来まして、私の友人も大分ハウスをやられたりしたんですけれども、本当に、こちらの農家は収入保険、共済も入っている、ハウスもですね、こちらはハウス共済は入っていたけれども収入保険は入っていない。入っていなかった農家の担い手は、入っておけばよかったと、本当にほぞをかんでおられました。私の古い友達なんですけれども。
ですから、我々が先ほどから申し上げておるように、この制度についてなかなかきちっとした御説明ができなかった。私が大臣に就任してからは、広報用のビラについても、多分、二回か三回、修正を出して、こんなんじゃわからぬだろう、もっと簡潔にわかるようにつくり直せということで、何度もビラのつくり直し等もさせていただきました。しかし、それでも、例えば、県の担当者の方もよくわかっていただけていなかったり、市町村の担当者もわかっていただけていなかったり、JAの方にも十分な御説明が行き届いていなかったり、いろいろな反省点は山ほどございます。
我々は、いいものをつくったから普及するだろうという、何か勝手にいい気持ちになっちゃうところがあるのかもしれません。だけれども、使っていただかなければこれは全く意味がないので。更に申し上げれば、保険料の安いタイプも、御批判をいただいた点もあったものですから、更につくらせていただきました。
これは、内容をしっかり読んでいただければ、共済よりもこちらの方が有効だ、先生がおっしゃったように、秋田でもいろいろな品目について多角的な経営をやるということであれば、この品目でどかんとやられても、農家全体の収入に対して補填をするというこの仕組みは非常に有効にワークすると思いますので、ぜひ周知にも努力をしていきたい。そのための予算も確保しているところでございます。
○緑川委員 やはり今、無保険と言われている農家さんの中には、家族経営また中小農家、なかなか、被災された方で入っていなかったという後悔がある方がいらっしゃるということであります。
基本計画の見直しでは、あわせて、家族経営、中小農家に対する生産基盤の強化をすることも打ち出していらっしゃるわけです。
済みません、最後に伺いたいというふうに思っているんですけれども、この収入保険制度のハードルの一つというのは、青色申告が必要になっております。
加入するに当たって、青色申告には、簡易簿記とまた正式な簿記、これは二つのタイプで、どちらかで申告をすることができるんですけれども、青色申告の簡易簿記の場合ですと十万円の控除が適用されることになります。この簡易な簿記というのは、白色申告で申告した場合も簡易な簿記で申告するわけですので、手続的にはこれは同じになっております。このあたりのやはり周知が足りていないことで、白色申告のままの方が、まだ青色に入っていない方、いらっしゃると思います。
そして、あわせてお伺いをしたいと思いますけれども、特別控除というものが今六十五万円、青色申告、正式な簿記で申告をした場合に控除されます。しかし、確定申告が電子化したことしからは五十五万円の特別控除になりました。基礎控除が十万円引上げになったとしても、なかなかこのインセンティブがつきにくくなっているところもあると思います。
この正式簿記による申告を促していくことも、若手の農家を含めて経営基盤の安定を図る上では必要であると思いますけれども、最後に、この収入保険制度の青色申告への制度の拡充についてお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 なかなか幅広な御質問をいただいたんですが、短い時間でお答えするのはちょっと難しいんですけれども、青申については、我が党の中で議論する段階においても、白でもいいんじゃないかという議論は十分にありました。
しかし、納税者の方々の御理解をいただかないと制度は成り立ちません。やはり、農家の所得はしっかり把握されている、そして、帳簿がしっかりと管理されていて、それに基づいてきっちりと税務申告をしていただいている、そのことによって正確性が担保されて、それをもとに収入保険が運用されるということでありますから、制度の根幹にかかわるところなので、この青申のことについては御理解をいただきたいと思います。
特別控除につきましては、確かに六十五万から五十五万ということで、電子帳簿等の保存とかいろいろなことがありますけれども、最終的には、令和二年以降の所得税について適用されて、現行から改正されて、令和二年には青色申告控除分が百十三万円と、トータルではなる、基礎控除と合わせるとそういうふうになるということでありますので、しっかりと御説明すれば御理解いただけるのではないかと思っております。
○緑川委員 もう質問いたしませんけれども、やはり各種の交付金を受ける条件にもなっておりますし、規模を広げていきたい、あるいは現状維持でも奮起をしていきたい農家に対して、やはり国の仕組みから支えていくことが必要であるというふうに思います。
制度の改正については、また改めて議論をさせていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、森夏枝さん。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
今国会も農林水産委員会でお世話になります。よろしくお願いいたします。
新型コロナウイルスの感染が各地で拡大をしております。また、小中学校、高校、特別支援学校が休校となり、教育現場や家庭などさまざまなところで混乱が生じております。この一、二週間が、感染が急速に拡大するか終息に向かうかの瀬戸際ということで、大変大きな混乱はありますけれども、終息に向かうように国民一人一人が協力し合わなければならないと思っております。
突然の休校の要請により給食も中止となり、牛乳や野菜、果物を大量に廃棄処分することになってしまったと伺っております。食品ロス削減の観点からも、牛乳や野菜を格安で販売し、廃棄を避けることができた事例もあるようです。非常事態であったとはいえ、全国で大変多くの食材を廃棄したと聞いております。子供たちのために一生懸命つくってくださった生産者の皆様の思いを考えますと胸が痛いですし、今後、同様のことが起こった場合には、廃棄することのないように対応すべきだと思っております。
今回、給食用食材を廃棄せずにほかのところに活用できた取組などがあれば、教えていただきたいと思います。大臣、お願いします。
○江藤国務大臣 今委員が御指摘あったように、給食センターそのものが御努力された部分もございました。パック詰めされた牛乳を、加工工場に運賃をかけて回した例もございました。それから、自治体が非常に努力をして、市役所の前で直販を、さっき多分その例をおっしゃっているんだと思いますけれども、直販を行って無駄にしなかった例も行われたというふうに承っております。
我が省としましては、フードロスについては、しっかり取り組もうということで、昨年の十二月には、農林水産省で備蓄しておりました非常用の食料、一万二千食ほどございましたけれども、これも、NPO法人、そういうところに回させていただきました。引き受けていただいて大変感謝をいたしております。
そして、今回も、昨日の四日から、食品関連事業者で発生する未利用食品の情報を集約しようと。これをきっちり集約して、全国に約百三十のフードバンクがございますので、そこにしっかり情報発信をして引き受けていただきたいと思っております。この取組にしっかり腰を入れてやろうと思っております。
そして、引き受けていただいたら運んでいただかなければならないと思いますので、そのときの運送賃とかについてもしっかり手当てはできないかということで、今省内で最終的な詰めを行っておりますが、できるのではないかと思っております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
本当に、廃棄するというのは大変もったいないことですので、また、百三十もフードバンクがありまして、そういったところに寄附をするという取組をもう既に考えられているということですので、ぜひ実行していただきたいと思います。
このフードバンクもそうですし、廃棄をしないということについて周知徹底をして、今後このようなことが再度起こった際に、必要なところに、必要としている人のところに届くような仕組みをしっかりと構築していただければと思っております。
今後、フードバンク等を利用することで廃棄処分というのは減らすことができると思いますけれども、給食中止により廃棄処分をせざるを得なかった農家や業者に対する支援策というのをお聞きしたいと思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
休校に伴いまして、各地の学校給食の関連事業者におかれましては、既に調達済みの食材が給食用に使えないということで負担が生じているということについては幾つか聞いているところでございます。
こうした業者に生じる負担につきましては、学校給食は教育委員会との関係が重要ですので、文科省を始めとした関係省庁と連携をしまして、どのような対応ができるかにつきまして早急に検討してまいりたいと考えております。
また、キャンセルとなりました学校給食用向けの生乳につきましても、関係者が協力して広域の配乳調整を行い、脱脂粉乳等の製造を行うことで対応しておりますが、この用途変更に伴う酪農家の収入減少分につきましても何らかの手当てができないか検討していきたいというふうに考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
給食が中止になったことで、納入業者さんの収入に直接影響が出ますので、先ほども御説明いただきましたけれども、関係省庁としっかりと連携をしてサポートをお願いしたいと思っております。
二週間ほど前になりますが、新型コロナウイルスによる、中国からの洗って皮をむくなどの加工をされたタマネギなどの野菜の輸入量が減少したことで、これまで中国産の野菜を使っていた外食産業に大きな影響が出ている、長期化すれば国内の野菜の価格にも混乱が生じるのではないかと大臣がおっしゃっておられたと思いますが、現在回復してきていると伺っておりますが、中国産野菜の輸入の現状について改めて教えてください。全く問題がないのでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
現在、国産野菜が非常に豊作で潤沢に出回っているわけでございますが、一方で、中国からの輸入量が多いタマネギとかネギ、あるいは、国内の供給量に占める中国産のシェアが高いニンニクとかショウガでございますけれども、中国で一次加工された輸入品の使用率が高い一部の外食や中食の業者の中では、新型コロナウイルスの影響による加工や物流の滞りによりまして品薄などの影響が出ているというふうに聞いております。
これらの品目につきまして最近の中国産の輸入量と価格を見ますと、輸入量につきましては、二月の第二週に平年の一割から三割程度まで減少いたしております。ただ、二月の第三週から第四週では平年の八割水準、あるいは多いものでは二倍程度にまで回復しておりまして、状況は改善をしてきていると承知しております。また、価格につきましては品目によって違いがございまして、二月の中旬で見ますと、例えば、タマネギでは平年の一二四%と高い水準でございますが、ネギでは四九%と低い水準になっているということでございます。
農林水産省といたしましては、引き続き今後の動向に注意するとともに、一部の業者においては中国産から国産への転換に向けた動きも見られるということから、こういう加工、業務用への国産の安定供給に向けまして国内生産基盤の強化を進めてまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
輸入量、価格ともに改善しているということでございます。これだけ国内でのイベントの中止であったり休校などが行われている中、中国からの野菜が本当に大丈夫なのかという保護者の方々からの不安の声もあるということを、ちょっと一言伝えさせていただきたいと思います。
御説明ありましたけれども、一部国産の野菜に切りかえたところもあると聞いておりますが、国内では中国のような加工体制が整っていないために、国内での野菜の加工ができないので、急には切りかえられなかったところもあると伺っております。いつ何が起こるかわからない時代ですので、さまざまな問題に対応できるようにしておく必要があるのではないかと思っております。昨日の大臣所信でもありましたけれども、「食料自給率を向上させ、食料安全保障の確保を図ります。」とおっしゃられていましたように、費用の問題もあるかもしれませんけれども、国内でも加工できるような体制をしっかりと整えることもぜひ検討し、食料自給率の向上を目指していただきたいと思います。
現在、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、中国から以前のようには自由に入国できない状況となっております。先ほどからも他の委員の先生からも同じような質問が出ましたけれども、中国人技能実習生が一時帰国後再入国できない事例や、新しく来日予定だった実習生が入国できないなどの問題が起きていると聞いております。
このような状況が長期化すれば、農家の人手不足が深刻になると思いますが、対策について教えてください。
○横山政府参考人 委員の御指摘のとおりでございまして、中国に一時帰国した後日本に戻れない方ですとか、そもそも技能実習生を受け入れる予定がおくれているといったことを我々も承知してございます。これから農繁期に入る地域もございます。新型コロナウイルスによる影響が長期化、拡大した場合、特に技能実習生が多い地域では、農業経営へ影響が発生するんじゃないかといった声も我々としても聞いているところでございます。
こうした状況への対応といたしまして、まず、二月二十八日でございますが、出入国在留管理庁が在留資格に関しまして、技能実習で在留中の者であって、従前と同一の受入れ機関及び業務で就労を希望する場合に、三十日間就労できる特定活動への在留資格変更を許可するといったふうな特例措置を講じてございます。農林省は、このような措置につきまして、農業団体、都道府県に情報提供し、農業者への周知を依頼してございます。
引き続き、農林省といたしましても、都道府県や関係団体から、現場の実情、そういったものについて情報収集に努めますとともに、制度を所管いたします厚生労働省や法務省とも連携いたしまして、状況の推移に即してしっかりと対応できるように、できる限りの対応をしてまいりたいというふうに思います。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
しっかりと情報収集をして、関係省庁と連携して対策を講じていただきたいと思います。農家の人手不足は大変深刻で、中国人技能実習生を頼りにしている農家さんも多いですので、対応をぜひよろしくお願いいたします。
国民一人一人が感染拡大させないために、この一、二週間はできるだけ人混みを避ける、うがい、手洗い、マスク、せきエチケットなど、できる限りのことをする、国民一人一人が協力をして、そして一日も早く終息させる必要があると思っております。
農林水産省としてもテレワークや時差出勤をされているようですし、この委員会室、理事会室も、昨日も本日も、窓をあけた状態でしっかりと換気をした状態で開催をされております、あいていると思います。窓を閉め切った状態での会議、委員会も多々ありますので、今後もこの農林水産委員会ではしっかりと配慮をしていただけたらと思っております。
次の質問に移りますが、CSF、豚熱においては、なかなか終息することなく一年半がたってしまい、また、最初に発生した地域から遠く離れた沖縄でも豚熱が発生してしまい、いまだ終息できていない状況を大変残念に思っております。
千葉や茨城などでもワクチン接種が始まったと聞いておりますが、現在、豚熱のワクチン接種の状況について、どの地域で接種をしているのか、教えてください。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
CSFのワクチン接種についてでございます。
農林水産省におきましては、十月十五日からでございますけれども、飼養豚又は野生イノシシへのCSF感染が確認された十三県、これに加えまして、その周辺八都府県を加えました現在二十一都府県をワクチン接種推奨地域に設定をしているところでございます。
このうち、CSF感染が確認されました十三県におきましては、沖縄県を除く十二県において初回のワクチン接種が終わっているという状況でございます。沖縄県につきましては、ワクチン接種の体制が整いまして、あす六日から初回接種を開始するというふうに聞いているところでございます。
また、飼養豚及び野生イノシシへのCSF感染が確認されていない周辺の八都府県、新潟、茨城、栃木、千葉でございますけれども、八都府県のうち、今申し上げました新潟、茨城、栃木、千葉県につきましては、現在、初回ワクチン接種中でございますが、その他の四県につきましては初回ワクチンの接種を終えているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
終息に向け、ワクチン接種も感染予防のためには大変重要なことと思いますので、農水省として、指導、支援をしっかりしていただいて進めていただきたいと思っております。一年半も終息できない状況で、本当に農家の方々は大変不安に思われておると思います。より感染力の強い、致死率の高いアフリカ豚熱は絶対に侵入させることのないように、農水省を挙げて取り組んでいただきたいと思っております。
水際対策にやり過ぎはないと思います。アフリカ豚熱の水際対策について、今後も徹底して行われると思いますが、特に強化したところ、そして今後更に強化できると検討中のものがあれば教えていただきたいと思います。大臣、お願いします。
○江藤国務大臣 アフリカ豚熱につきましては、予防的殺処分を可能とする議法を皆様方の御協力のもとに通していただきまして、大変ありがとうございます。今度、家伝法の改正法案をしっかり書きますけれども、それまでの間、それを担保していただけているということは大変ありがたいことだと思います。
越境性の動物疾病の侵入を防ぐためには、先生がおっしゃったように、やり過ぎということはありません。しかし、今、なかなか検査官の権限が弱いということがあります。ですから、今度の家伝法の改正では、その権限をまず強化しなければならないというふうに思っています。
今まで、在外公館とか観光局とか航空会社、いろいろなところで広報活動、情報の発信とか注意喚起、そういうものは一生懸命やってまいりました。それは御存じだと思います。
それから、委員会でも御指摘をいただいて、税務申告の書類について、裏側に書いてあるのが弱いんじゃないかということで、表面の銃とかそういうところの次の項目に、大きく芽出しをするような形で書かせていただいております。
それから、肉製品の違法な持込みについても厳格化をさせていただきました。現在、ベトナム人とタイ人の方ですけれども、五件、八名の方が逮捕されているという逮捕事例が発生しております。
検疫探知犬につきましても、今五十三頭という体制でありますが、オリンピックまでには九十六頭の体制にするということになっております。令和二年度末までには百四十頭の体制に強化するつもりでございます。
それから、検疫官のことを先ほど申し上げましたが、入国者の携帯品に関する質問、それから検査の権限を拡大して、その場で廃棄できるようにする。それから、郵便物についても、了解を得なくても、違反のものについては廃棄してしまうというようなことに強化をしていきますし、それから、罰金につきましても、今まで百万円以下とかでありましたけれども、三百万円以下の罰金といたしますし、法人にあっては五千万と罰金も上げるということになっております。
それに加えて、やはり何といっても自治体の御協力も欠かせないということでありますから、いろいろな関係の方々とも協力しながら、万全というのはなかなか難しいですけれども、水際対策を強化してまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
家伝法を改正して、更に水際対策も徹底していくと思います。
アフリカ豚熱を侵入させないためには、海外からの肉製品の持込み、これを未然に防ぐことが大変重要であると思います。
既にさまざまな対策をとっていただいて強化をしていただいていると思いますが、それでもなお持ち込んでこられる海外の方がいらっしゃいますが、水際対策を強化してから、空港での肉製品の押収量に変化があったのかどうか、教えてください。
○新井政府参考人 お答えいたします。
水際での摘発件数、それから摘発の重量につきまして、動物検疫所が取りまとめております。
令和元年の摘発状況の速報値によりますと、摘発総件数は十一万五十八件ということで、対前年比一一七%と増加しておりますが、摘発総重量は約六十九トンということで、対前年比六三%ということで大きく減少しております。
まず、摘発総数がふえたということにつきましては、現地空港カウンターでの注意喚起、あるいは機内アナウンス等で事前に廃棄ボックスに入れる方がふえたということ、それから、税関等々の水際等のお声かけということで件数がふえているということだと思っております。
他方、摘発総重量が減少したというのは、やはり、持ってこないという対応、現地でのカウンターでのアナウンスなどが功を奏したのではないかというふうに考えているところでございます。
特にベトナムにつきましては、留学生の逮捕事例というものが現地で報道されまして、対前年に比べますと、件数で七三%の減、それから総重量で八〇%、要するに二〇%しか残っていないということでございまして、これらによる抑止効果が高いのではないかということを考えております。
今後も、更に水際の強化に関係省庁と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
抑止効果が出ているものだと思いますけれども、それでも、まだまだ多くの肉製品が持ち込まれているということで、また、オリンピック・パラリンピックもございまして、多くの海外の方が入国されることになると思いますので、今後も水際対策をしっかりとしていただきたいと思っております。
次の質問に参ります。
豚熱陰性イノシシの利活用について伺います。
現在、豚熱に感染したイノシシが見つかった現場から十キロ以内で捕獲されたイノシシの流通自粛を要請していると思いますけれども、陰性イノシシの利用はぜひ進めていただきたいと思っております。
以前からもジビエの利活用については何度も質問をさせていただいておりますが、野生イノシシの命もできるだけ無駄にしてほしくないと思っております。厚労省とも協議が必要と聞いておりますが、今後、どのように処理施設の支援をし、陰性イノシシの利活用を進めていかれるのか、教えてください。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
感染イノシシが確認された区域十キロ圏内におきましては、委員から御指摘いただきましたように、イノシシの肉等を区域外に持ち出さないものといたしまして、販売については自粛するようにお願いをしているところでございます。
このような中、感染確認地域でも可能な限りジビエ利用ができますように、感染区域の外からイノシシを搬送するための保冷車の導入でありますとか輸送に係る経費、また、鹿の利用に転換なり拡大する場合に必要な処理加工施設の改修、解体処理技術の習得等について支援をしているところでございます。
また、御指摘いただきました感染確認地域での陰性イノシシをジビエ利用することにつきましては、これは、各県と協力いたしまして、適切な検査方法あるいは解体処理方法の実証について取り組むこととしておるところでございまして、家畜防疫に十分配慮しながら、慎重に進めてまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
ぜひ、豚熱の陰性イノシシの利活用というのもしっかりと進めていただきたいと思います。処理施設の支援などとともに、一般の方にジビエを食べる機会の提供や情報提供なども同時に進めていただきたいと思っております。
次に、シカの日の普及について伺いたいと思います。
北海道では、エゾシカの食害が年間約三十九億円にもなり、その対策として、森の幸として鹿を食べ、北海道の自然や農業を守ろうという取組を始めたという記事を見ました。大変よい取組だと思いますので、ぜひ、第四火曜日、四火(シカ)ということで、鹿を食べるシカの日を、北海道だけでなく、全国でも普及させていくことができればよいのではないかと考えております。
農水省として推進していくお考えがあるのか、北海道選出の副大臣にお聞きしたいと思います。
○伊東副大臣 御指名ありがとうございます。
森委員御指摘の北海道における取組、第四火曜日、毎月ですね、第四火曜日だから四火(シカ)ということなんだろうと思います。賛同する飲食店などでジビエを提供するものでありまして、鹿肉の消費拡大を図る上で大変すばらしい取組と考えているところであります。
農林水産省におきましても、昨年度から、全国の飲食店でジビエメニューを提供する全国レベルのジビエフェアを開催しておりまして、今年度は、県域での開催とも連携し、十一月から二月までの四カ月間、全国約千三百店舗の参加により、大変好評のうちに終了したところであります。
また、安全、安心なジビエの提供につながる国産ジビエ認証の取得の促進が重要でありまして、先ほど大臣からもお話がありましたし、緑川委員からもお話があったところでありますけれども、この国産ジビエ認証で認証されている施設は、全体で六百三十三施設のうちまだわずか十二施設となっておりまして、これは初回の認証を取る費用は国の負担ということになっておりますので、更にPRを進めて、認証施設の拡大に努めてまいりたい、このように思う次第でもございます。
また、今後とも、ジビエの需要拡大に向けた取組を都道府県とともに緊密に連携しながら、一層推進してまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
さまざまな取組が行われていると思います。私自身も、ジビエを食べる機会があればできるだけそういう機会を見つけて食べるようにはしております。そして、周りにもジビエを食べるように勧めているところでございます。
現在は、本日も委員会でもありましたけれども、牛乳をできるだけ飲むようにするとか、本当に気持ちで変わってくると思いますので、できることは協力をしたいと思います。
ジビエを食べてほしいという取組は進めていきたいと思っている一方で、ハンターが不足しているということも大変問題だと思いますので、ハンターの育成についても今後もまた質疑させていただこうと思いますので、引き続きの対策をよろしくお願いいたします。
以上で終わります。ありがとうございました。
――――◇―――――
○吉野委員長 次に、内閣提出、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣江藤拓君。
―――――――――――――
家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○江藤国務大臣 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
家畜防疫は、畜産の振興及び畜産物の安定供給を図る上で重要な役割を担っておりますが、一昨年以降、アジア地域においてアフリカ豚熱の発生が急速に拡大し、我が国への侵入の脅威が一段と高まっている中、家畜防疫の重要性は著しく高まっています。
こうした中、平成三十年九月に我が国で二十六年ぶりに発生が確認された豚熱については、同病に感染した野生イノシシによって広域に病原体が拡散し、現在に至ってもなお終息に至っておりません。
このため、野生動物の感染に対する対策を強化するとともに、農場における飼養衛生管理を徹底し、家畜の伝染性疾病の発生予防及び蔓延防止を図る必要があります。
さらに、畜産物の輸出入検疫を強化し、アフリカ豚熱を含む悪性伝染性疾病の侵入防止を徹底する必要があるため、この法律案を提出することとした次第であります。
なお、先般、議員立法により当分の間として附則で措置していただいた、家畜又は野生動物でアフリカ豚熱の感染が発見された場合の予防的殺処分を始めとする、アフリカ豚熱に関する特例については、本則に位置づけることとしております。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、家畜の伝染性疾病の発生予防及び蔓延防止については家畜の所有者が第一義的責任を有していることや、国及び地方公共団体がその施策の実施について相互に連携することなど、家畜の所有者、国及び地方公共団体並びに関係事業者の責務を明確にすることとしております。
第二に、家畜の所有者は、衛生管理区域ごとに、飼養衛生管理に係る責任者を選任し、責任者について必要な知識、技術の習得及び向上を図ることとする制度を創設することとしております。
第三に、飼養衛生管理に係る指導等について、国が策定する指針に即して、都道府県が計画を策定し、的確に指導等を行うこととする制度を創設するとともに、蔓延防止措置として、都道府県知事は、家畜の所有者に対し、飼養衛生管理基準の遵守について、指導助言を経ないで緊急に勧告、命令を実施できるよう措置することとしております。
第四に、野生動物における悪性伝染性疾病の蔓延防止措置として、野生動物における悪性伝染性疾病の浸潤状況調査、経口ワクチン散布等を法に位置づけるとともに、野生動物で悪性伝染性疾病の感染が発見された場合にも、発見された場所等の消毒や通行制限、周辺農場等に対する家畜の移動制限、飼料業者、運搬業者等の関連事業者に対する倉庫、車両の消毒などの病原体拡散防止措置を実施できるよう措置することとしております。
第五に、今般新たに措置する蔓延防止措置について、国が都道府県に対して、その実施を指示することができるよう措置することとしております。
第六に、予防的殺処分の対象疾病にアフリカ豚熱を追加するとともに、野生動物が口蹄疫又はアフリカ豚熱にかかっていることが発見された場合にも、予防的殺処分を実施できるよう措置することとしております。
第七に、入国者の携行品中の肉製品の有無を、家畜防疫官が質問、検査できるよう措置するとともに、輸出入検疫の結果、発見された違法な肉製品について、家畜防疫官が廃棄できるよう措置するなど、家畜防疫官の権限を強化することとしております。
第八に、輸入検疫の違反者に対する罰則を、現行の百万円以下の罰金から、個人については三百万円以下の罰金に、法人については五千万円以下の罰金に引き上げるなど、所要の罰則を強化することとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容でございます。
○吉野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時二十四分散会