衆議院

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第4号 令和2年3月11日(水曜日)

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令和二年三月十一日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 池田 道孝君 理事 齋藤  健君

   理事 谷  公一君 理事 野中  厚君

   理事 細田 健一君 理事 石川 香織君

   理事 近藤 和也君 理事 濱村  進君

      泉田 裕彦君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    上杉謙太郎君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      木村 次郎君    小寺 裕雄君

      坂本 哲志君    笹川 博義君

      鈴木 憲和君    高鳥 修一君

      永岡 桂子君    西田 昭二君

      福山  守君    古川  康君

      宮腰 光寛君    宮路 拓馬君

      簗  和生君    青山 大人君

      大串 博志君    神谷  裕君

      亀井亜紀子君    佐々木隆博君

      佐藤 公治君    重徳 和彦君

      関 健一郎君    長谷川嘉一君

      広田  一君    緑川 貴士君

      屋良 朝博君    石田 祝稔君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       江藤  拓君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   農林水産大臣政務官    河野 義博君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        石岡 邦章君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         浅川 京子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          大角  亨君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君

   政府参考人

   (水産庁長官)      山口 英彰君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十一日

 辞任         補欠選任

  青山 大人君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  重徳 和彦君     関 健一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  関 健一郎君     屋良 朝博君

同日

 辞任         補欠選任

  屋良 朝博君     青山 大人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 本日で東日本大震災から九年を迎えます。

 改めて、お亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災地の一日も早い復興を祈念いたします。

 ここに、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

吉野委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

 本日、政府から東日本大震災の被災地の生花を使ったコサージュを配付することに理事会において協議決定をいたしました。

     ――――◇―――――

吉野委員長 内閣提出、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官浅川京子君、大臣官房統計部長大角亨君、消費・安全局長新井ゆたか君、生産局長水田正和君、経営局長横山紳君、農村振興局長牧元幸司君、水産庁長官山口英彰君及び出入国在留管理庁出入国管理部長石岡邦章君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。重徳和彦君。

重徳委員 本日、東日本大震災から丸九年となります。亡くなられた皆様方に改めて心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様方、そして今なお避難生活を送られている皆様方のために一日も早い復興を、ここにみえます議員各位みんなで支援をしてまいりたいと思っております。

 さて、本日は、家畜伝染病予防法改正などの審議でございます。

 一昨年九月、岐阜で発生しました豚コレラ、私の地元愛知県でも昨年の二月に感染が発覚をしまして、全頭殺処分が相次ぎました。東海地方を中心に感染拡大しましたけれども、なかなか、現場の農家の皆さんが求めてこられたワクチン接種が認められないという状態もしばらく続きました。去年の八月九日、愛知県内の国会議員、ここには関健一郎議員もお見えになりますけれども、県議、市議で、東海農政局長にワクチン接種を要望いたしました。九月二十日には、大臣が、かわられたばかりの江藤大臣がワクチン接種を認める方針に転換をされ、十月から接種を開始したという経緯がございました。

 その後、昨年十二月二十四日、私ども野党共同会派は、佐々木隆博先生を中心に、きょうもおみえでございます近藤和也先生、石川香織先生、神谷裕先生、みんなで、家畜伝染病予防法の改正についての要望書、これを江藤大臣にお届けをしまして、大臣室で議論をさせていただきました。

 この要望書の中には、地域連携協議会の設置とか、飼養衛生管理基準の遵守体制の強化とか、法定受託事務として都道府県知事が確実に対策を実施することとか、水際対策の強化、輸入禁止畜産物の輸入への罰則強化、飼養衛生管理の改善のための施設整備等の財政支援などが盛り込まれておりまして、これはかなりの部分が今回の法案の中に、これは閣法、内閣提出の法案、それから養豚農業振興法という議員立法もございますけれども、そういった一連の法改正の中で実現の方向となっているというふうに考えます。

 こうした昨年来の、野党からさまざま政策提言をさせていただきましたが、これが政府の政策立案過程にどのような影響を与えたと大臣は受けとめておられますか。

江藤国務大臣 今の冒頭、ちょっとだけお時間をいただきまして、私からも、きょうは三・一一でございますので、心から御冥福をお祈りすると同時に、まだ復旧も道半ばだというふうに考えております。農林水産省といたしましても全力を挙げることを、冒頭に申し上げさせていただきます。

 先生から大変建設的な御提言を二十四日にいただきました。クリスマスの日でありましたけれども、かなり私どもが練っていたものと同じ方向を向いていただいている点が多々ありまして、そして、今回の法案作成に当たっても大変参考になり、取り入れていった部分も多数あるということでございます。

 幾つか申し上げますと、家畜の所有者の方々については責任者の選任の義務づけなどとか、それから飼養衛生管理に係る指針を国がつくるんだ、国の関与を強めろという御提言もいただいておりました。それから都道府県が計画をつくるんだ、これも新設でございますし、それから罰則も上げろという御提言もいただきました。これもやらせていただくことになりました。それから飼養衛生管理基準の遵守のための制度の拡充、これも入れさせていただいております。

 野生動物につきましても、蔓延防止を図るための法律にこれをちゃんと位置づけろという御提言もいただいて、これも位置づけることとなっております。

 それから、アフリカ豚熱については、予防的殺処分、これは年初に議法でやっていただきましたが、これも恒久化する形で法律には反映させていただいております。そして、入国管理の携行品の肉製品の有無、質問、検査権限、これを強めなきゃいけない、検査官ですね。これについても、権限強化、罰則強化、これもしっかり書き込ませていただきました。

 特に、先ほど先生から御紹介がありました地域連携協議会、これをつくるべきだと。やはりこういう事態が起こると、国と県と、それからいろいろな団体と、そして当該農家の方々と、しっかりとした連絡を密にしないと、なかなか話が食い違ったりうまくいかなかった事例がありました。この協議会をつくるということは、非常に、今後の防疫指針の上でも、家畜の衛生管理基準を遵守する上でも有効に働くと思いますので、この点も法案の中にも取り入れさせていただいたところでございます。そして、国と地方公共団体の責務として明確化させることによって、御提言も法案の中には取り入れたという形でございます。

重徳委員 具体的な内容の審議については、この後続きます各議員の皆様からの質疑を通じて深めていただけることと思っております。

 ちなみに、今、野党共同会派では、これまでの安倍政権の七年間の農政、これも検証しようじゃないかということで、安倍農政検証ワーキングチームというものを立ち上げたところであります。政府でも食料・農業・農村基本計画の見直し作業が進んでいるところなんですけれども、何といっても、地方の衰退、農業の再生、こうした根本議論が必要だと思っておりますので、また改めて提言はさせていただいて、この家伝法改正と同様に、私ども野党側の意見をぜひ参考に、多く取り入れていただいて、政策立案に役立てていただきたいと思います。

 さて、ちょっとワクチンの話に戻りますけれども、豚コレラ、豚熱は、ワクチン接種をどうするかということについて、やはり政府が当初かなりちゅうちょしていたのは、ワクチンを接種することによって日本が非清浄国になってしまう、そうすると、例えば台湾とかそういう各国・地域が豚肉を輸入してくれなくなるおそれがある、こういうことがかなり言われました。

 現に今、ワクチンも全国一律に接種しておりませんで、ワクチンについては推奨地域とそれ以外の地域がありますが、推奨地域以外の地域は独自にといいましょうか、清浄国的な立場で輸出というものをこれまでどおり行えているんでしょうか。その辺の状況についてお知らせください。

伊東副大臣 お答え申し上げます。

 豚肉の輸出につきましては、豚熱ワクチンの接種後も輸出ができるように、主要輸出国であります香港、マカオ、シンガポール、タイ、カンボジアと交渉を行ってきたところであります。

 特に、香港とマカオにつきましては、昨年の十月でありますけれども、私が香港、マカオに出向いて交渉を行ったところであります。その結果、ワクチン接種推奨地域以外からこれらの国への輸出を継続することができることとなったところであります。

 実際に輸出実績を見ますと、二〇一八年輸出額が十億円であったところ、二〇一九年には十一億円と堅調に伸びており、加えて、昨年七月に輸出解禁されましたタイにおきましても、今月、三月三日でありますが、初めて輸出されたところであります。

 今後とも、輸出が拡大されるよう尽力をしてまいりたいと思います。

重徳委員 それでは、今度は逆に、輸入の管理の方ですね。

 これからアフリカ豚熱感染が一番脅威となるわけなんですけれども、出入国管理法を改正して、輸入禁止されている、持込禁止されている食肉を持ち込んだ人を入国拒否をする、これを明記するべきだという議論を私どもさせていただいているんですが、これは明記は難しいというようなことをずっと法務省、入管庁の方が言っているんですが、改めてその見解についてお聞きしたいと思います。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 出入国管理及び難民認定法は、人の出入国の公正な管理を目的とするものでございまして、我が国にとって好ましくないと認められる外国人の上陸を阻止する観点から、入管法第五条におきまして上陸拒否事由を列挙しております。

 輸入禁止畜産物を所持する外国人であることをこの上陸拒否事由に追加する場合には、例えば、豚肉加工食品を悪意なく持ち込もうとする者についても我が国への上陸が一律に拒否されることとなります。したがいまして、入管法において、これを持ち込もうとする外国人の上陸を一律に拒否する規定を設けることについては、上陸拒否の対象として広きに失するのではないかという観点から、慎重に検討する必要があると考えておるところでございます。

 他方で、現行の入管法におきましても、上陸審査の過程で輸入禁止畜産物を違法に持ち込んで売買しようとしていることが判明したような場合など、在留資格により本邦において行うことができる活動を行おうとするとは言えないと認められるときには上陸拒否することが可能でございます。

 また、入管法第五条第一項第十四号は、「法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」と規定していますところ、アフリカ豚熱ウイルス等を本邦内で拡散するなどの目的で同ウイルスに感染した畜産物を持ち込もうとする外国人について、同号に該当する場合には上陸を拒否することが可能でございます。

 出入国管理庁におきましては、農林水産省からの依頼に基づきまして、海外からの肉製品の違法な持込みへの対応を厳格化する動物検疫所の取組についても、外国人に対する周知に協力するなどしてきているところでございます。

 今後も引き続き、関係省庁と協力し、水際対策の徹底に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

重徳委員 コロナウイルスもそうなんですけれども、日本の水際対策は極めて甘いんですよね。そして、甘いというメッセージそのものがいろいろな感染源を国内にもたらしていると言わざるを得ません。

 今回も、一応法務省の今の御見解は何度か聞いてもいますけれども、関係省庁と協力してということはおっしゃっていただいております。

 今回の食肉持込み、これは罰金も強化されました。百万円から三百万円と強化されました。その場で三百万円払わない限りだめだ、入国してはだめだ、このぐらい本当に厳しい態度で水際対策に取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 農林水産省としては、できる限り厳しくしていただきたいという気持ちをまず共有しているということを申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で申し上げますけれども、刑事罰でありますので、刑事訴訟法上の手続をしないと罰金の徴収ができないという日本の法体系になっております。その場で刑事訴訟法上の手続を終了するということはちょっと不可能ですので、日本の法体系のもとでは、罰金を払わなければもう入国もさせないよということも、お気持ちはよくわかるんですけれども、法律上なかなか難しいということで御理解をいただければというふうに思います。

重徳委員 私もそうですが、やはり現場の農家の皆さんの気持ちでありますので、こういったことも受けとめながら、そして、日本国として畜産農業、農家を守るんだという、このかたい決意を、省庁連携でぜひとも取り組んでいただきたいと思います。

 実際、アフリカ豚熱は、空港その他、日本国内で見つかっているんですか。今の状況を教えてください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 一昨年の八月、中国でASFの発生が確認されたことを踏まえまして、農林水産省では、海外からの旅客が携帯品で持ち込み、水際で摘発された豚肉製品のモニタリングを強化しております。

 その結果、これまでASFウイルスの遺伝子を全国の空港や海港で検出されたものは八十八件でございます。このうち、昨年一月に中部空港において摘発した中国からの豚肉ソーセージ二件につきましては感染性のあるASFのウイルスが分離されておりますが、それ以降の事例はない状況でございます。また、このほかに日本国内においてASFウイルスを検出した事例はないというふうに承知をしております。

重徳委員 現状、やはりかなり怪しい状況がこれからも拡大していくのではないかという感じがいたします。

 今回の法案で、アフリカ豚熱を念頭に、野生イノシシ対策とか予防的殺処分を強化されましたけれども、人員体制としてもこれは十分かどうかということも大変気になります。基本的に家畜防疫関係は家畜保健所を中心に行われておりますけれども、これは本当に、地元の自治体、市町村とか、そういうところにも協力を求めて、一体として人員体制も強化してやっていくべきじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

江藤国務大臣 人員の確保はとても大切だと思っております。

 水際対策につきましても、オリンピックが開催されるということになればたくさんの方々が入国されますので、羽田空港の検疫所のまずテーブルの長さが短過ぎる、そして検疫所の周辺で声がけをする人間も少な過ぎるということでありますので、農林水産省だけの職員で対応するのはなかなか厳しいということでありますから、空港が所在する地方自治体の職員の方にもちゃんとした服を着ていただいて、今デザインをしておりますが、声がけをして注意をする。まあ、権限は実はないんですけれども、外形的にはわかりませんので、そういった体制を整えていこうというふうに思っておりますが、多言語がまた必要になってまいります。

 そして、市町村につきましても、基本的に、野生のイノシシも含めて、家畜保健衛生所でやるということになっておりまして、そちらの方に検査薬等はもう配付をしております。昨年の十月に特定家畜伝染疾病防疫指針を改定しておりますので、試薬については配っておりますが、ただ、人数的には、例えば検査するとか運ぶとか御通報をいただくとか、そういうときには市町村の方々にも御協力をいただいてやらないと、なかなかマンパワーの強化は難しいと思いますので、先生の御提言をいただいて、そのような協力体制が組めるように、今回の法改正のもとで協議会もできますので、それを生かしていきたいというふうに考えております。

重徳委員 私の地元愛知県は特に実際に被害を受けている地域でありますので、地元自治体にも私の方からも協力を求めていきたいと思っておりますので、国を挙げた要請、取組をお願いしたいと思います。

 昨年、かなりの豚が全頭殺処分されましたけれども、その中で、愛知県内で最初に感染が見つかりました豊田市の農場は、去年七月に経営再開をいたしまして、そして、ことし一月には再開後初めて市場に出荷をした。これは大変な御苦労であります。

 近隣の住民の皆さんは、悪気はないんでしょうけれども、養豚場がまた経営再開するとなると、においが気になったり、あるいは、今回の豚熱騒動で、風評被害とも言えるような、風評に基づく反対運動的な動きがやはりあるんですよね。こういうものを乗り越えて、それでもやはり日本の食を守るという強い使命感から、もう一度立ち上がろう、こういう決意で立ち上がられた。これは豊田のみならず、各地の全頭殺処分されてしまった農家においても、そういった葛藤があるんだと思います。

 まず最初に確認をしたいんですが、殺処分というのは財産権にかかわる重要な処分なわけでありますけれども、これは法律上、誰の権限と責任において行われるんでしょうか。任意の協力を農家の方に求めるというようなことではやはり非常に曖昧だと思いますが、ちょっとこの点、確認したいと思います。

江藤国務大臣 個人資産にかかわることでありますので、これはやはり法に基づいて行われるということでありまして、家伝法の十六条で殺処分についての条文は記されておりますけれども、今回はこの点については何らさわるものではなくて、従来どおりということになっております。

 この十六条には、「家畜の所有者は、家畜防疫員の指示に従い、直ちに当該家畜を殺さなければならない。」というふうに法律に規定してありますので、法律に基づいて殺処分を行うということになっております。しかしながら、実際は所有者がやるということはマンパワー的にもとても不可能でありますので、実際に殺処分等を行うときには、同条の第三項に基づいて家畜防疫員が殺処分を実施するということに整理されております。

重徳委員 要するに、何が言いたかったかというと、法的な位置づけで法律に基づいてやる以上は、そして国の権限、責任においてやるのであれば、それに見合った適切な補償、対価というものも支払わなければならないだろうという議論をしたいわけなんです。

 前提として、ちょっとデータを聞きたいんですけれども、通告で二つに分けていましたけれども、一つにまとめてお聞きします。

 全頭殺処分されて、全体に豚の頭数とか影響額、これはどのぐらい減少したのでありましょうか。そして、愛知県のみならず東海地方全体でお聞きしたいんですが、どのぐらい影響が出ているか、それから、全頭殺処分された養豚農家のうち経営再開ができたのは何戸中何戸なのでしょうか。

大角政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、東海四県で令和元年に屠畜された豚の頭数についてお答え申し上げますけれども、これは四県合わせて九十万五千頭でございまして、前年比の八五・八%となっているところでございます。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 経営再開の状況についてでございます。

 これまで全頭殺処分を行った農家を経営体で見ますと、七十五経営体ということになります。三月三日時点で経営を再開した農家は二十三戸ということで、割合としては三一%でございます。このうち、発生から互助基金の対象である九カ月以上経過していまだ再開していないという農家は岐阜県八戸、愛知県六戸でございまして、これらの農家につきましては、国が個別に相談に応じて早期の再開に努めているところでございます。

 これまでの殺処分頭数は約十六万五千頭、それから、影響額ということでございますが、手当金の支払い見込み額ということでお答えをさせていただきますと、全体として約四十八億円を交付する見込みでございます。

重徳委員 七十五のうち二十三しか再開できていないということですよね。本当に厳しい事態に追い込まれるわけであります。

 お聞きしたいんですけれども、補償金、手当金、これは、大体どのぐらい売上げを補填するという観点から、どのぐらい支給されているものなんでしょうか。ちょっと、どうお聞きしていいのか、うまく答えてください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 殺処分された豚につきましては、家伝法に基づきまして、評価額の全額を手当金として交付をすることにしております。家畜の評価につきましては、その基準、算出方法について国で定め、都道府県知事にお示しをいたしまして、手続の簡素化を図っているところでございます。具体的には、肥育豚であれば発生農家が通常利用している市場での市場価格、それから、繁殖豚であれば血統等による価値や導入時の価格等を考慮して、適正かつ客観的な評価をするということでございます。

 したがいまして、平均でお答えするというのはなかなか好ましくないとは考えておりますけれども、現在までのお支払いを平均をいたしますと、肥育豚につきましては、子豚から大きな豚までを平均いたしますと約二万円。それから、繁殖豚につきましては、一頭当たり平均十二・五万円ということになっております。

重徳委員 この手当金の算定の根拠なんですけれども、どうも現場でなかなか理解されづらいようなところもあります。

 これは基準が変わってきたり、まあ、いい意味で変えることもありだと思いますよ。見直しされて改善したり、その辺の算定根拠の納得感とか、やはり十分手当てされていないという声が多いんですが、これまで見直しなんかはされているんですか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今答弁いたしましたとおり、その算定額につきましては、国において基準、算定方法を定め、都道府県に通知しているところでございます。

 このうち、特に肥育豚につきますと、発生農家で通常利用している市場での市場価格、これをどう見るかといったような観点におきまして、これは家畜防疫員、家畜関係に従事する公務員、それから民間の畜産業事業者、三名からの評価人が意見を述べて決定をするということになっておりますが、その実際の決定の過程で、いつの市場価格を見るのかといったところでいろいろな意見が交わされているというふうに承知をしております。

 しかしながら、算定方法につきましては、私どもがお示しした通知に基づきましてしっかりと算定していただいているというふうに承知をしております。

重徳委員 算定の基準、そして、もう一つは手続、支給時期、これも課題だと思うんです。

 実際に、被害に遭ってから一年ぐらいかかったというような事例もあると聞いています。それまでの間は融資でつなぐということなんですけれども、融資ですから、今度は国からお金が出たらすぐ回収されたというようなことで、何か痛々しい話ですよね。

 その厳密な算定に何ぼか時間がかかるとしたならば、やはり被害に遭ったら、まず暫定でもいいから一時金的な感じで支給するとか、そういった、支払い手続における改善というのはできないんでしょうか。

江藤国務大臣 基本的に、最終的に、今局長の方から御説明いただいたような手続を踏んで、客観的な評価を加えた上で、更に申し上げれば、市場価格でいうと子豚は評価はほぼほぼゼロに近いものでありますけれども、それについても、農家の方々と、現場としっかりと意見交換した上で、評価させていただいて査定をさせていただいておりますので、全ての農家の方々がその金額について満足だと言っているとは私は申し上げるつもりはありませんが、できる限り高目に査定できるように努力はしたつもりでございます。

 そして、一時金の話でございますが、どうも、一年かかった事例もございます、愛知県も。その内容については、両者間のどういうやりとりがあったかということをここで申し上げるのは不適切だと思いますので申し上げませんが、方によっては、半年ぐらいで受け取れる方もいらっしゃいます。

 ですから、実はそれぞれでありまして、愛知県だけで見ても。早い方は半年。ですから、三月三十一日までには受け取れる農家もいらっしゃれば、十一カ月余りかかる方もいらっしゃるということでありますから、その部分については、〇・一の融資制度その他ありますので、そちらの方でつなぎをさせていただいて、評価に基づいてしっかりと支払いをさせていただくことが基本であろうというふうに考えております。

重徳委員 できる限りの改善を、運用上の改善もお願いしたいと思います。

 最後に、今回、議員立法で養豚農業振興法改正ということで、財政支援の根拠条文をつくりました。これからアフリカ豚熱を警戒する中で、やはり農家の皆さんには飼養衛生管理基準を遵守するためのさまざまな設備投資などもお願いしなきゃいけないと思いますが、それに対してやはり適切な支援をしていかなくちゃいけない。

 今回の養豚農業振興法においては、国及び地方公共団体は、養豚農家による的確な防疫の迅速な実施のために必要な期間において、豚の飼養衛生管理の向上のために必要な施設、設備又は資材の整備の促進その他豚の飼養衛生管理の向上の促進に必要な施策を集中的に講ずるよう努めるものとする、こういう規定を盛り込みました。

 本気で国が再開を支援し、また、これから決してアフリカ豚熱にかからないように、これを真剣に国が取り組んでいる、こういう姿勢を持ってもらいたい。そのためにも、この根拠条文に基づいて財政支援をしっかりと行っていただきたいと思うんですが、大臣の思いをお知らせください。

江藤国務大臣 国からお願いする以上は、しっかりとした国の支援は当然だと思います。農林水産省としても、しっかりとした予算の確保には努めてまいります。

 柵をつくるにしても、それから飼養衛生管理基準を満たすために設備更新するにしても、いろいろお金がかかります。それについては、我々としては、ALIC事業であったりいろいろな事業で支えることはできますが、それについては都道府県にも一時的には御負担をいただき、その御負担いただいた分については特交で、また国の方で見させていただくような形で、できる限り農家の御負担が少ない形でやらせていただこうと思っております。

 今回の養豚振興法の改正の趣旨に基づいて、その意を受けた体制を築いていこうというふうに考えております。

重徳委員 ちょっと踏み込みの足りない答弁のようにも感じましたけれども、ぜひ、我々も応援しますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

吉野委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 おはようございます。

 私からも、東日本の大震災で被災された皆さん方に心からお見舞いと、そしてお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 この大震災も我が国にとって大変な出来事だったわけでありますが、今世界をもう一つ震撼させているものに新型コロナウイルスがございます。

 家伝法の質問に入る前に、ちょっと新型コロナについて一点、お伺いをしたいと思います。

 危機管理、いずれも危機管理でありますが、危機管理は大きく構えて臨機応変に対応するというのが、危機管理の鉄則でございます。そういった意味では、封じ込めようとして余り小さな対策から始めるということが結果として大きな被害に広がってしまうというのは、今回のコロナ対策でも私は言えるのではないかというふうに思っております。

 その上で、今対策が政府の方でも打たれて、閣議決定がされたところでございますけれども、どうも経済対策が中心になっていて、経済対策は経済対策でもちろん重要なんですけれども、例えば農業の現場なんかで見ると、例えば集荷をする人や出荷をする人、そうした作業が農業の場合は圧倒的なわけで、これは休業補償をもらうとかという問題ではないわけですよね。テレワークでやれるというようなものでもない。

 三月五日の農業新聞ですが、JA全中の調べによると、農業実習生の来日が、九道県で三百六十人が来日できないでいると。例年三千二百人の約一割に影響が出ているというような報告が、全中の調べですが、出ております。

 こうした人の対策について、ぜひ、対策本部のメンバーであります大臣として、そのお考えをお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 この週末に伊東副大臣に北海道に行っていただいて、あすも本会議終了後にまた北海道に飛んでいただいて、北海道でまた対策本部をやらせていただきます。

 そこで議題になったのは、やはりその研修生の方々が、全国ベースで見ると約九百名程度も影響が出ております、ベトナム三名、カンボジア一名も含みますけれども。しかも、帰らなきゃいけない期限が来ている方がおられます。

 これは報道でもう出ておりますけれども、法務省の縛りで三十日間は延長できるということになりましたが、農家の方々にしてみると、三十日しか延長してもらえない、三十日後にはもう帰さなきゃいけない、かわりの人が来てくれるかどうかはわからない。そして、酪農の現場も畑作の現場も、大規模であればあるほど研修生に頼っている比率が高いということでありますので、非常に重たい問題だと思っております。

 この労働力の確保ということについては我が省内でも何度も議論しておりますが、かなり難しい問題であります。ですから、差し当たり、入国制限を受けていない国、以外にできる限り強くアプローチをしようと思っておりますが、しかし、その先の国でも、余り日本に対して行きたいという気持ちを持っておられないという報告を受けておりますので、困難は生じることは予想しておりますが、できる限り生産現場に影響が出ないように、人員の確保等にも努力をしていきたいと考えております。

佐々木(隆)委員 ぜひ、一部は、もうハウスなんかは始まっていますが、まさに農繁期を迎えるわけでありますので、ぜひ対策本部としてしっかり検討いただきたい。

 農作業の現場だけじゃないんですね。実は、介護施設を経営している方からも私のところに電話が来まして、休業補償が出るのはいいけれども、介護士さんが子育て中で何人も休まれてしまって、介護の現場が回らなくなっちゃっているんだ、お金の問題じゃないんだというお話をされました。

 医療現場も同じだと思いますが、こうしたこともありますので、給与補償だけで解決できるというような問題ではございませんので、ぜひしっかりとお取組をいただきたいというふうに思います。

 次に、もう一点、家伝法の前にお伺いをいたします。

 実は、先ほども少しお話が出ておりましたが、食料・農業・農村基本法に基づいて基本計画を五年ごとに策定するわけでありますが、これは閣議了承後に国会に報告をされてというふうになっていて、なかなか議論をする場がないんですね。畜酪対策なんかでは、審議会の最終決定の前に必ず委員会で議論をして、そしてそれも反映をして審議会で決定をするというような仕組みがとられています。

 そういう意味からすると、この基本計画も大変重要な案件でありますので、その最終の審議会の前にこの委員会でしっかりと議論をして、国会の意見、委員会の意見もしっかりと反映できる、そういう仕組みに私はすべきではないかというふうに思っているんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

江藤国務大臣 自分もこの農水委員会に長く参加をさせていただいて、他委員会に比べて極めて与野党の間で建設的な議論がされる委員会だと私は思っております。ですから、参議院の審議も昨日させていただきましたけれども、与党だけではなくて、野党の先生方の御指摘もできる限り政策に取り入れていく努力をするのは当然のことだと思っております。

 しかし、この件につきましては、なかなか、先生も御理解されると思いますけれども、食料・農業・農村基本法ができたのが九九年ですかね、一九九九年。それに基づいて、五年後、基本計画ができて、それから随時改正が行われて、ことしは三月になるか、もうちょっと延びるかわかりませんけれども、期限が来たわけでありますけれども、一応、法律上は、食料・農業・農村基本法の第十五条で、定めたときには遅滞なく国会に報告し、公表しなければならないということが義務づけられておって、その後、いずれのタイミングも閣議決定後に議論をされてきたという経緯がございます。

 骨子は出させていただいておって、実は先日も、大串先生、いらっしゃらなくなりましたけれども、私が原案を持っていて、先生方が骨子を持っていらっしゃって、若干切り口が違ってしまった場面が実際ありましたので、お渡しした方が深まるなと思わないこともなかったということはありますが、しかし、今後、今回はもう間に合いませんので、正直なところ、というのは、食料・農業・農村政策審議会の方々にも、外部の意見を取り入れていただくということで、民間の意見も聞かせていただいて決定の手続を踏んでおりますから、次の計画がどうなるかについては、国会の方で議論すればあり方が変わっていく可能性もあるのではないかなと思っております。

佐々木(隆)委員 半分前向きな御答弁だったわけでありますが、まだ最終決定になっていないわけですから、委員長、ぜひこれは委員会として、ぜひこの委員会での意見が反映できるようなその場をセットしていただきたいというふうに委員長にお願いを申し上げます。

吉野委員長 理事会で検討いたします。

佐々木(隆)委員 はい。

 それでは、家伝法の質問に入らせていただきます。

 まず、この豚熱が発生をしてからもう一年半以上たっているわけでありますが、少しこのごろは発生が少なくはなってきているようでありますが、この対策や効果も含めて現状についてどう分析されているのかについてお伺いいたします。

河野大臣政務官 お答え申し上げます。

 豚熱は、国内二十六年ぶりとなる一昨年九月の発生以降現在までに、飼養豚での発生が八県、計五十七事例に及んでおりまして、現在まで殺処分頭数は合計十六万五千頭でございます。また、野生イノシシについても、これまで十二県において感染が確認されております。

 今般の感染拡大の理由としましては、疫学調査において、全般的に発生農家においては飼養衛生管理基準の遵守が不十分であったことが指摘されておりまして、それに加えまして、本州では豚熱に感染した野生イノシシを媒介して広がったこと、沖縄では加熱不十分な食品残渣を介して広がったということが指摘をされております。

 これらに対し、従前から実施してまいりました経口ワクチンの散布や捕獲強化などの野生イノシシ対策、また、防疫の基本であります飼養衛生基準の管理の徹底に加えまして、特定家畜伝染病防疫指針を改正しまして、野生イノシシから豚への感染リスクが高い地域を中心にワクチン接種推奨地域に指定をいたしまして、昨年十月から予防的ワクチン接種を開始したところでございます。

 その結果、本州におきましては、ワクチン接種後、愛知県において二事例の発生がありましたが、その後発生は確認をされておりません。他方、沖縄県においては六事例の発生が確認されたところでありますけれども、食品残渣の適切な加熱処理や消毒の徹底といった飼養衛生管理を徹底した上で、先日六日からワクチン接種を開始したところでございます。

 引き続き、都道府県、関係省庁、関係団体との連携を緊密にし、一刻も早い終息を目指して、緊張感を持って対応してまいりたいと考えております。

佐々木(隆)委員 経過は皆さんもう御存じなので、今をどう分析しているかということ、まあ、それもお伺いはいたしましたけれども。

 皆さんの手元に資料を配付させていただきました。資料二の方を見ていただきたいと思うんですが、これは調査室がつくってくれたものでありますが、一九六六年に発生して、一九六九年にワクチンが開発をされて接種が開始をされ、一九九二年に終息をした。この間、実に二十三年かかっているわけであります。そして、一九九六年に撲滅対策、二〇〇七年に清浄国の宣言、そして二〇一五年に清浄国のステータスを獲得した。この間、終息するまでに十一年かかっています。とてつもない長い道のりです。

 ワクチンを打ったことによって減っていることは間違いありませんが、それは非清浄国のままいくわけでありますので、非清浄国同士のやりとりはできるわけでありますが、例えば、非清浄国というのは、沖縄であれ九州であれ日本が対象ですから、発生していない国も非清浄国であることには間違いないわけでありますので。

 こうしたことの長い道のりを考えたときに、どこにどうやって出口を見つけていくのか。要するに清浄国を目指していくことになると思うんですが、そうしたことも念頭に描いてこれからの対策というものをやっていかなきゃいけないというふうに思うんですが、大臣、どうでしょうか。

江藤国務大臣 ワクチン接種を決断するときに、私も、この長い歴史については勉強させていただきました。先人の御努力が、接種することによって、非清浄国といって、清浄国の旗をおろさなければならない、このことは大変重いことだ。輸出に関する影響もそうですけれども、先人のことを思ったことも同じ気持ちでございます。

 そして、私たちも、いずれ清浄国には必ず復帰せねばならないと思っています。そのためには、今回の家伝法の改正に基づいて、飼養衛生管理についての国、地方、それから飼養責任者の方々の責任の所在も明らかになりますし、協議会に基づいていろいろな連携も強化されることになります。そういうことをしっかり現場、そして行政、国の段階でやることによって、畜産農家の、養豚農家の飼養衛生管理の水準が高位平準化されて、それによって、最終的には、これよりももっと短い期間でもう一度清浄国の旗を上げられるように、しっかり努力を重ねてまいりたいと思っております。

佐々木(隆)委員 大臣、今御答弁をいただきました高位平準化というのは、この家伝法のある種目標なわけでありますが、これをうたってきながら、残念ながら今日までかかっているわけであります。

 そういうことを踏まえて、先ほど重徳委員からも質問させていただきましたが、立国社の対策本部として、二十四日の日に大臣と協議をさせていただきました。飼養管理基準の徹底と、伝染病の緊急性あるいは拡大性という観点から幾つも提案をさせていただきましたが、それ全てを今議論する時間はありません。特に、法定受託事務にした点が幾つかあります。それから、地域協議会というものを設置させていただくということも提言をさせていただいて盛り込んでいただきました。これを実効たらしむるために幾つか議論させていただきたいというふうに思うんです。

 先ほど水際対策のことは重徳委員からもお話がありましたが、実は、三月八日の読売新聞なんですが、ここに、台湾からの密輸が摘発されたというニュースが出ておりました。何が密輸されようとしたのかというと、ちょっとこれは私もよくわからないんですが、豚とアヒルの血でつくった血餅というのがあるんだそうであります。月餅というのは聞いたことがあるんですが、血餅というのがあるんだそうでありまして、これは料理に使う原材料らしいんですけれども、こういう事例もあったようでありまして、この水際対策というのはやはりこれからも大変重要な位置を占めていくと思うんです。

 必ずしも善意の皆さん方だけではありませんので、そういった意味でも、この取組というのはしっかりやっていきたい。今、農水省として、これに取り組む今の状況と取り組む姿勢について、改めて農水省の決意を伺いたいと思います。

伊東副大臣 佐々木委員おっしゃるとおり、水際対策というのが、やはり何よりも、今、政府につきましては重要なことだ、こう思っております。

 お話ありますように、昨年の十二月二十四日、共同会派の皆様からさまざまな御提言もいただいたところであります。

 この中では、家畜防疫官による指定検疫物の有無についての入国者に対する質問、検査権限、これを付与すること、また、違法に輸入されたものの没収、廃棄権限を規定すること、また、輸入検疫体制の整備、検疫探知犬の育成促進及び家畜防疫官の確保に努めること、また、輸入禁止畜産物の輸入に係る罰則の強化等について御提案をいただいたところでありまして、今般の法案に盛り込んでいるところであります。

 今お話ありましたけれども、令和元年から今年三月のつい先日まで、たくさんの違法持込み、違反品があるところでありまして、過日は、中部空港で、その血餅、それが五十キロも輸入されようとしていたということであります。

 本法案におきましては、御提案を検討させていただいた中で、ほとんどの内容を盛り込ませていただいたところでもあります。家畜防疫官の入国者の携帯品に関する質問、検査権限の拡大、また、防疫官がみずから廃棄できる権限の新設、さらにまた、違法持込みに対する罰則の強化、これは百万円以下から三百万円以下に引き上げるものでありまして、また、法人については五千万円以下へ引き上げるといった内容であります。

 また、もう少しいいですか、詳しく。

 御存じのことと思いますけれども、家畜防疫官の増員につきましては、平成二十六年度から五年間で八十七名を増員し、今年度四百八十一名体制としておりますほか、令和二年度におきましては、更に十名の増員を図っているところであります。

 また、検疫探知犬につきましても、現在五十三頭でありますけれども、オリンピックまでに九十六頭、来年の令和二年度末には百四十頭体制に強化する予定でありまして、地方空港も含めてしっかり配備してまいりたい、こう思う次第であります。

 以上でございます。

佐々木(隆)委員 大変丁寧に説明をいただきましたが、他省庁にも水際対策はかかわることでもありますけれども、伝染病の恐ろしさというものを共有していただいて、ぜひこれからもしっかりと他省庁との交渉もしていただきたいと思います。

 伝染病を封じる中で、私は三つポイントがあるというふうに思っています。まず水際です。その次に、どうやって封じ込めるか。そして、蔓延をどうやって防止するかという三段階があると思うんですが、水際だけでとめよう、あるいは封じ込めようとするから、蔓延にむしろ結ばさっていってしまうことがあるので、最初に申し上げたように、やはり大きく構えるということになれば、しっかりとした蔓延防止というところから小さいところにやはり持ち込んでいくというのが危機管理としては正しいやり方だというふうに私は思っております。

 それで、その封じ込めについてなんですが、私はこの封じ込めを、最初、水際でとめよう、その次に封じ込めようとした、そこのところに若干やはり間違いがあったんではないかと実は思っております。

 それは、資料一の方を見ていただければいいと思うんですが、岐阜で七例出たわけでありますが、八例目が、二月六日、愛知で発生が確認されました。この二月六日の八例目のところでは、報告書によりますと、農場の直近で感染イノシシは発見されていません。発見されていないというのが正しい表現ではなくて、感染イノシシの確認地点は三十二・七八キロというふうになっていて、これはどう考えても感染イノシシから感染したわけではないというふうに考えるのが妥当だというふうに思うんです。

 そのときに政府がとった対策が、二月五日のところの、(一)、(二)、(三)と書いてありますが、防護柵の設置とイノシシの捕獲強化と水際検査の強化。どうしてもこの蔓延防止のところに考えが行っていなくて、どちらかというとイノシシ悪者説でこのときは対応していたというような気がしてならないんです。

 イノシシは確かに駆除せないかぬのですけれども、しかし、そこに余りにも考えが行き過ぎたために人が媒介をしているのではないかというところに考えが行っていなかったのではないか。今回の沖縄だって、これはイノシシによる感染ではないわけですから。

 こうしたことをどのように今検証されているのかについて伺います。

江藤国務大臣 この法改正のタイミングに当たって、やはり、これまで政府としてどのような対応をどのタイミングで行ってきたかについては、検証し、反省することはとても大切なことだと思っています。

 鳥インフルエンザでも豚熱についても、この感染経路の解明ということはいつも課題になりますが、必ず小動物とか鳥とかいうことが疑われますけれども、いずれのタイミングでも、車両とか人とかそういったものが感染の媒体となり得るということは指摘をされております。

 今回の場合は特に、岐阜から飛んだタイミングでは、周辺ではいないということと、外部の疫学調査チームも、ゼロとは言っておりませんけれども、イノシシが持ち込んだ可能性は極めて低いという検証結果を出しているわけでありますから、このタイミングにおいては、やはり、人による蔓延の可能性を強く疑って、対策を強化する必要があったのではないかと思います。

 これらのこともしっかり反省して、これらの対策、これから、法律を御可決いただいた後の運用等についても万全を期してまいりたいというふうに思います。

佐々木(隆)委員 今、大臣からも御答弁いただきました。

 ポイントはそこだと僕も思っているんですね。よって、私どもが飼養衛生管理基準の遵守ということに力点を置いた提言をさせていただいたというのは、まさにそこにあるわけであります。

 問題は、飼養衛生管理基準が高位平準化を目指しているものではなかったのかというと、そんなことはなくて、高位平準化を目指すものではあったんです。あったんですが、問題は、それをちゃんと守らせる、もっと言えばチェックをする、そして指導をするというそこのところが弱かったのではないかというのが、我々が提言をさせていただいた一番大きなポイントなわけであります。

 そのために、自治事務から法定事務にすべきだというような点も何点か提案をさせていただきましたし、また、地域でまだらな取組にならないようにということで、協議会の設置ということも提言をさせていただいたというのは、そこに意味があるわけであります。

 国が前面に出る法定受託事務について提言をさせていただいた点について、大臣のお考え、それから、協議会については我々の中からもちょっと記述が少な過ぎるのではないか、弱いのではないかという意見が出ておりますが、この点については参考人、局長の方から御答弁をいただきたいというふうに思います。二点。(江藤国務大臣「済みません、最初の質問がわからなかった」と呼ぶ)法定受託事務に格上げをしたものについての大臣のお考え。

江藤国務大臣 今回の法律におきましては、法定受託事務ということになりますので、飼養衛生管理基準の遵守を認められない者に対しまして指導助言を経ないで緊急勧告、命令ができる仕組みができることになりますので、権限が地方についても強くなりますから、御党の御提言を取り入れた形になっているのではないかというふうに思っております。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 御提言をいただきました協議会につきましては、改正法の第二条の三第四項におきまして、国及び地方公共団体の責務として、協議会等の開催により、家畜伝染病の発生予防と蔓延防止のための取組について相互に連携すべきことということで明記したところでございます。

 これらの措置の運用に当たりましては、まず、改正法第十二条の三の三に基づきまして国が策定いたします指針に即して、都道府県が策定する飼養衛生管理指導計画の中におきまして協議会をしっかり位置づけたいというふうに考えております。

 これに基づきまして、現在、関係都道府県と国が家畜衛生に関する取組の連携強化を図るために定期的に実施をしておりますブロック会議、これがございます。この開催を始めといたしまして、各段階での協議会の取組を強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 ぜひ、今回改正をするわけですから、改正をしたものが本当に実効があるというようなものにしていくためには、私どもは、ただ法律を強化したというだけではなくて、本当にそれが現場と政府とが一体となって取り組めるような仕組みにどうするかということが一番のポイントだというふうに思っておりますので、そういった意味で提言をさせていただいたつもりです。閣法の中で相当部分取り入れていただいたというふうに思ってございますので、ぜひ、現場で取り組みやすい仕組みと、そして、養豚農家の皆さん方にとってはちょっときついかもしれないということもありますけれども、それをしっかりフォローしていくような仕組みというものをやはりつくっていっていただきたいということは、これはお願いをしておきたいというふうに思います。

 そこで、与野党で今協議をさせていただいているものの中に、これとあわせて養豚農業振興法の、これは議員立法ですけれども、改正というものを提案させていただいております。

 なぜこれが必要なのかというと、この重大性と、もう一つは緊急性ですね。いかに早くこの状態を平常化していくか、正常化に導いていくかという意味において、やはりお金の手当てがなければそこはできないわけでありますので、それも早急に集中的に実施をしていくというためには、家伝法の中でも取組はいただきましたけれども、更にそれを集中的に強めていくという意味で、私どもはこの養豚農業振興法についても改正をすべきだということを提言させていただき、今、与野党でこれはやや一定の方向に向かっているところでありますけれども、この緊急性、重大性ということについて、ぜひこれも活用していただきたいというふうに思いますが、大臣の決意を伺います。

江藤国務大臣 おっしゃるとおり、厳しく縛るということばかりではだめで、その裏側で、これだけのことをお願いする以上は国としての振興策をしっかりとやりますということもお示しする必要があると思います。そういう意を体して、御党におかれましても振興法の改正を与党と協議していただいているというふうに理解をしておりますので、まだ出てきてはおりませんけれども、今回の改正と振興法と両方あわせて、現場に実効あるものとするようにさせていただければというふうに思っております。

佐々木(隆)委員 私どもの提案、提言を中心にきょうはやりとりをさせていただきました。かなりな部分、思いを一緒にさせていただいたというふうに思っておりますので、まだまだこれで十分だとは思えないし、まだ、実際に運用していくと農家の現場からまたいろいろな声も出てくるかもしれませんが、そこはそこでしっかり取り組んでいきたいというふうに思ってございます。

 家伝法というのは、一番最初は家伝法とは言わなかったんですが、明治四年にできている法律なんですね。以来、家伝法となったのは大正十一年でありますけれども、我々人間が生活をする中で、家畜の伝染病との闘いというのはずっと続いてきている闘いでもあるわけであります。

 先ほども申し上げましたが、水際対策があり、封じ込め対策があり、そして蔓延防止対策があるわけであります。だから、どこかだけで、水際だけでとめられるものでもないし、どこかで封じ込め切れないという事態にどうやって備えるかということがやはり必要なんだというふうに思ってございます。

 今回改正するに至ったいろんな経過があるというふうに思いますが、これで、これから先のこの家畜伝染病、これは豚だけではありませんので、牛にも鳥にも波及する話でありますので、それらを含めて大臣のこれからの取組についての決意を伺って、私の質問の終わりにしたいと思います。

江藤国務大臣 先生のおっしゃるとおり、これからどのようなものが、我々の生産活動を脅かすものが出てくるかは全く予知がつきませんので、まずは先生がおっしゃったように、出たら水際で、日本という国に入ってこないように努力をする、そして、入ってきたら幅広にとって封じ込めに努力をする、入ってしまったら蔓延しないように必死に努力をするということが必要なんだろうと思います。

 今回の法改正で、予防的殺処分についても、その面積をどれぐらいにするかは私の権限でやらせていただくことになると思いますけれども、これについても、自分としては、農家の御理解を得ながら幅広に、その制限区域については設定をさせていただきたいと思っておりますし、それにはやはり農家の方々の意識向上も図らなければなりませんので、今回の法改正と、先ほどお話のありました養豚振興法の改正と合わせわざにして、そして、法律は、罰則は上げればいいというものじゃなくて、罰則は一つのメッセージであって、法律を守ってくださいという、国から国民の皆様方に対する願いのようなものだと思っております。

 ですから、厳しくしたから意味があるのではなくて、それを守っていただくということは、やはり各個人、各農家の意識向上でありますから、国の指導であったり、研修であったり、そういったことも不断に行って、あらゆる事態に備えるようなことを心がけてまいりたいと考えております。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 共同会派、神谷裕でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 冒頭でございますが、これは御通告申し上げていないんですけれども、当委員会でも、本日、三・一一から九周年ということで黙祷をささげさせていただきました。今なお避難されている方も大勢いらっしゃると思います。皆様にも本当に御苦労をかけているなと思いますけれども、改めて、この三・一一というときに当たりまして、政府を挙げてしっかりやっていただかなければいけない、その思いを大臣から一言いただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 ことしは福島の方にはお伺いする機会はまだありませんけれども、昨年はお伺いする機会がありました。

 確かに、きれいにはなっています。港もすばらしい整備がされて、外形的に見ると、いろいろな施設、例えば養殖関係の施設が整備されたり、すばらしいものではありますけれども、では、そこでなりわいが本当に昔のように成立しているかというと、決してそうではなくて、大きな傷跡は、生産現場にも、そして人の気持ちの中にも深く刻まれているということを、福島に足を運ばせていただくたびに感じます。

 ですから、これから先も、残念ながらきょうは追悼祈念式典は行えませんでしたけれども、きょうは皆さんで黙祷していただいて、我々政治家は、特に選良として国の法律を扱い、予算の執行にかかわっているわけでありますから、その心の痛みにしっかり寄り添って、特に農林水産は、水産業、林業、それから農業の生産現場に責任を負っている立場でありますので、あらゆる機会をつかまえて、知事さんとかそういう方と意見交換するだけではなくて、生産現場の方々のお気持ちの変化についてもしっかりフォローアップをしながら、力添えができる部分についてはしっかりやらせていただきたいというふうに考えております。

神谷(裕)委員 大臣、ありがとうございます。

 阪神・淡路と違いまして、東日本大震災、一番の違いというのは、阪神・淡路が都会型であったのに対しまして、東日本は、御案内のとおり、農、林、水産業、これをなりわいとする皆さん方の地域でございました。そういった地域の復興においては、当然、農林水産大臣のお力、これは本当に必要なものだと思います。そういった意味におきまして、今後もぜひそういった皆さんに寄り添って、ぜひ一日も早い復興に向けて御尽力をいただけたらと思います。

 それでは、家伝法の質問をさせていただきたい、このように思います。

 本日は家伝法の審議でございますけれども、残念ながら、まだ終息したというふうな朗報は聞いておりません。沖縄を最後に一段落をしたようにも見えますけれども、依然として我が国をめぐる環境は、アフリカ豚熱など、決して油断できる状況にはないというふうに思っているところでございます。

 そこで、今回の法改正に当たって順次確認をさせていただきたい、このように思っております。

 まず、豚熱の国内の蔓延の状況や、蔓延防止に向けて実施した措置の有効性について確認をさせていただけたらと思っておりますが、まず、現在の豚熱の発生あるいは抑制の状況はどうなのか、これについて確認をさせてください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、CSFの現在までの発生状況でございます。

 国内二十六年ぶりとなります一昨年の九月以降、八県で計五十七事例が報告をされておりまして、現在までの殺処分の頭数は十六万五千頭でございます。

 従来から、経口ワクチンの散布や捕獲の強化といった野生イノシシ対策、防疫の基本でございます飼養衛生管理の徹底を行ってきたところでございますが、加えて、昨年十月からは、予防的ワクチンの接種を開始をいたしております。

 この結果、本州におきましては、飼養豚へのワクチン接種開始直後、愛知県で二事例、昨年十一月、十二月に発生をしておりますけれども、その後の発生は確認をされておりません。

 他方、沖縄におきましては、本年一月八日から二月まで六事例が報告をされております。これにつきましては、食品残渣の加熱が不十分だったということが発生源というふうに指摘をされておりますので、沖縄におきましては、食品残渣の適切な加熱処理それから消毒の徹底ということを行いまして、三月六日からワクチン接種を開始したところであります。

 しかしながら、沖縄におきましては、まだ移動制限の区域が残っておりますので、しっかりまだサーベイランスを続けてまいりたいというふうに考えております。

神谷(裕)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 その上で、今、若干触れていただいたのかなと思うんですけれども、予防的ワクチンというのか、イノシシ対策において、防疫ラインというかワクチンベルトというものをつくっていただいたと思っているんですが、これについて、守られているのかどうか、教えていただけますでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 経口ワクチンにつきましては、昨年の春以降、発生した地域で主として散布を続けてまいりました。しかしながら、地域の拡大が見られましたので、九月、秋から、全国へのウイルスの拡散を防ぐため、捕獲の強化とあわせまして経口ワクチンを東西にベルト状に構築をするということを始めたところでございます。

 こうした中、ベルトの東側におきましては、九月に埼玉県、群馬県、それから十月には山梨県というところで野生イノシシの陽性が確認をされておりまして、これらの県で経口ワクチンの散布を行うとともに、感染が確認をされていない栃木県、茨城県、東京、神奈川でも散布を始めているところでございます。

 また、西側におきましても、滋賀県、三重県や周辺県におきます最近のウイルスの浸潤状況を踏まえまして、関係県と協議の上、未発生の京都府も対象に加えまして、ベルトの位置の見直しを実施したところでございます。

 現在、経口ワクチンの散布県は十八都府県ということでございます。

 抗体の付与には一定の時間を要することを踏まえまして、今後も、専門家による検証を経ながら、ベルトの見直しもしながら、散布を続けてまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 今お話にもありました、ベルトの見直しみたいなお話もございました。不断に見直すということも必要なのかもしれませんが、やはりある一定のラインから外に出さないということが大事なんだと思います。

 そういった意味で、ベルトを広げていくというのは余りいいことではないなと思うんですけれども、そういった意味も含めてなんですけれども、野生のイノシシ、あるいは飼養豚は先ほどお話があったとおりだと思うんですけれども、野生のイノシシの罹患の状況というんでしょうか、これはどういうような状況になっておりますでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 野生イノシシにつきましては、野生イノシシが存在をいたしております全国、結果といたしましては北海道と青森県を除きまして、全国でサーベイランスを行っております。

 現在まで野生イノシシが確認されているこれらの県におきまして、死亡イノシシでは千五百頭を調査をいたしまして六百頭、それから、捕獲のイノシシでは約一万二千頭を検査いたしまして、うち千五百頭が陽性ということでございます。

 現在まで、西は滋賀、それから東は埼玉県までにおきましての十二県におきまして野生イノシシのCSFの感染が確認をされているところでございます。

神谷(裕)委員 そうしますと、改めて、この経口ワクチンというのかワクチン餌というのか、これの有効性はどうだというふうに考えているのか、教えていただけますか。

新井政府参考人 経口ワクチンは、野生イノシシにCSFの抗体を付与するということでございまして、ウイルスの拡散とさらなる感染防止を目指した重要な対策であるというふうに考えております。したがいまして、CSFの対策といたしましては、捕獲と並んで経口ワクチンの散布を位置づけているところでございます。

 改正法におきましても、経口ワクチンの散布を野生動物における拡大の防止策ということで法的にも位置づけていくということを考えているところでございます。

 効果につきましては、早くから散布した県におきましては抗体保有率が高まっているということが確認されております。例えば、ことしの一月に愛知県がプレスリリースをしておりますが、それぞれ散布した回数によって抗体の保有率を比較しております。例えば、二回まいた地域におきますと抗体の保有率は二一%でございましたが、三回散布した地域では六二%、四回散布した地域では七〇%ということが報告をされております。

 これは一部の地域の事例ということではございますが、これらにつきまして、専門家の意見をいただきながら、さらなる分析や検証を続けていきたいというふうに考えております。

神谷(裕)委員 そうすると、今までのエビデンスから考えて、このワクチン餌というのは効果があったというふうに考えていいんでしょうか。

 その上で、先ほどのワクチンベルトの話になるわけでございますけれども、これが適切なのかどうか。やはり、先ほどの話でも、専門家の話を聞きながら不断に見直さなきゃというふうな話もあったようですけれども、これは実際に、じゃ、効果があったと考えておられるということでよろしいですか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 経口ワクチンの散布につきましては、その都度、専門家の検討委員会で、これからまく地域、それから今までの検証というのを行っております。

 今御報告いたしましたとおり、専門家の検証によりますと、抗体保有率が、散布回数がふえるとともに上昇していることが確認をされているということですので、経口ワクチンには一定の効果があるというふうに評価をされているところでございます。

神谷(裕)委員 今回のやはり野生のイノシシの対策というのをしっかりやっていただかなきゃいけないと思っているんですけれども、間もなく暖かくなってまいります。そうすると、野生イノシシはまた活発になってくるんじゃないか。冬場、抑えられていたのは、あるいはそういった理由もあるのじゃないかなんということも考えたりするんですけれども、野生イノシシ、これから行動が活発化してくるのではないかなと思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。大丈夫でしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 春、四月から六月にかけての時期というのは、これはイノシシにとっては出産の時期ということでございます。したがいまして、子供を産みました雌のイノシシは移動がしにくくなるというふうにされているところでございます。一方、雄のイノシシにつきましては、雌の出産時期とは無関係に移動いたしますほか、前年度に生まれた個体が群れから離れて動く時期に当たるということでございますので、個体によっては行動範囲が広がるものもいるということでございます。

 以上のように、暖かくなると野生イノシシの行動が活発化するとは一概には言えないのではないかと考えております。

神谷(裕)委員 これはうわさ話の類いで大変恐縮なんですけれども、温暖化の影響もあって、イノシシが、年一産が二産になったのではないかなんという話も聞いたんですけれども、そういったことはないんでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 専門家によりますと、温暖化によって野生イノシシが一年に二度出産するという科学的な知見はないということでございます。

 なお、非常に例外的なケースでございますけれども、出産に失敗するとかあるいは授乳中に子供を失った場合などに一年間に二回、二度目の出産をするということも例外的にはあるということでございますけれども、通常イノシシは一年に一産ということでございます。

神谷(裕)委員 だとすれば、うわさ話の類いかなというふうに思います。

 ちょっと、これは御通告申し上げていないんですが、今のお話にあったイノシシ、これが例えば経口ワクチンを食べて抗体を持つと、そのイノシシの子供というのは抗体を持つんでしょうか。それとも、新たに何かやらないと抗体を持たないんですか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 抗体を持ったイノシシから生まれた子供に自動的にその抗体が移行するということはないというふうに承知をしております。したがいまして、また生まれてきた子供に抗体を付与するためには、また経口ワクチンをまくということをしないといけないというふうに承知をしております。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 ということは、引き続きこれはずっとやっていかなきゃいけないということになるんですかね。

 あともう一つ、現状で聞きたかったのは、沖縄のことなんですが、沖縄の発生とその後の蔓延防止の状況、これについて再度確認をさせてください。

河野大臣政務官 沖縄県におきましては、本年一月八日から二月二十五日まで六事例の発生が確認されているところでありますが、食品残渣の適切な加熱処理や消毒の徹底といった飼養衛生管理を徹底した上で、今月六日からワクチン接種を開始したところでございます。

 なお、いまだ移動制限が解除されていない沖縄県中部地域につきましては、清浄性が確認された後、ワクチン接種を実施することとしています。

 沖縄県の現状が心配であるとの声は私どもも伺っておりまして、沖縄県に先行してワクチン接種を開始した本州では、本年に入ってから新たな発生は見られておりません。

 引き続き、都道府県、そして関係省庁、関係団体との連携を強化し、一刻も早い終息を目指し、緊張感を持って対応してまいります。

神谷(裕)委員 済みません、確認なんですけれども、沖縄でもワクチン接種はやるんですか。

河野大臣政務官 繰り返しになりますけれども、既に今月六日からワクチンの接種を開始したところでございます。

神谷(裕)委員 済みません、私自身は、余りワクチンは打たない方がいいんじゃないかというふうに実は思っている方でございます。むしろ、やはり飼養管理基準の高度化というのが本線だろうと思っています。

 本土においては、御案内のとおり野生のイノシシというようなこともございますので、これは仕方がないかなというふうに思っていますし、あるいは、蔓延がかなり広がっているということもあって大臣の御決断があったということは、これはもう当然のことだというふうに理解をしているのですけれども、やはりワクチンそのものは対症療法でしかない、解決策ではないというふうに思っております。

 とするならば、やはり飼養衛生管理基準をどうやって上げていくかということが本線なんだろうというふうに思っておりまして、今回の沖縄に関しては、御案内のとおり残渣というかエコフィードの話でございまして、そこから豚の発生があったわけでございますけれども、それが因果関係がはっきりしているのであれば、できればワクチンに頼らず、沖縄の飼養衛生管理基準をできるだけ早くすることによって広がりを防止していく、これがやはり本線なんだろうと思っているところでございます。

 そういった意味において、まあ、沖縄において今回ワクチン接種を行うということを決して否定するものではございませんけれども、ちょっとびっくりしたなというふうなところでございました。

 済みません、ちょっと質問を変えさせていただきます。

 現在の我が国の豚熱に係る今の対策の状況なんですけれども、予防的措置なのか蔓延防止措置なのかというところ、先ほど佐々木委員からもお話ありましたけれども、ここについてやはり少ししっかり見ておきたいなと思っております。

 というのは、今回の反省点の一つじゃないかなと思っていますのは、自治体と国との間で、押しつけ合いとは言いませんけれども、自治体がやるべきなのではないか、国がやるべきなのではないかというような、いわばそういったものがあったのかなというふうに思っています。

 だとするならば、やはり、どちらが何を担当するのかという整理というのはしっかりやっていかなきゃいけないんじゃないかと思っています。もちろん、法的にはもともとしっかりと書かれているということは理解をしているところでございますけれども、改めて、予防的措置と蔓延防止について、しっかりとこの改正にあわせて整理をしていただいたというふうに聞いておりますけれども、この整理について教えていただけたらと思っております。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 予防措置と蔓延防止措置、これはなかなか境界が難しいところでございますし、一体的に行っていかなければいけないということでございます。しかしながら、事象が起きたときに誰がどう対応していくのかということが明確でなかったというのが今回の改正の反省でもございます。したがいまして、改正法におきましては、まず所有者、それから県、国等の役割を、まず責務を明確にするということで、冒頭で責務規定を明確にさせていただきました。

 その上で、法律上はというお話がありましたが、法律上は、発生予防措置は第二章というところに規定をされておりまして、これにつきましては、飼養衛生管理基準の重視を始めといたしまして、平時から全員が行う一連のものというのが書いてあるというのが発生予防措置でございます。これは農場での疾病の発生を防ぐためということでございます。

 それに対しまして、第三章の蔓延防止措置にあります一連の措置につきましては、家畜において家畜伝染病が発生したことを契機として、殺処分とか移動制限、これらも実は蔓延防止措置ということになっております。そういう意味で、発生したときに何をやるかということをここで規定しているということでございます。この考え方は、今回の法改正によって変わるものではないということでございます。

 しかしながら、今回は、今お話がありましたとおり、野生動物の生態によりまして病原体が県域を越えて拡散している、CSFがイノシシによって拡散しているという状況がございました。これにつきましては、これまで法律上の位置づけが明確でなかったということでございますので、今回の改正法におきましては、野生動物における蔓延防止措置を、第三章のいわゆる蔓延防止措置、これは国の法定受託事務でございます、法定受託事務に位置づけまして、明確化するということをしております。

 それから、実際に病気が起きたときの対応ということにつきましては、今の蔓延防止措置と発生予防措置が横軸というふうに考えますと、縦軸で、病気が発生した場合に、例えば豚熱が発生した場合に一から十までどのようなことをやるのかということにつきましては、それぞれの特定家畜伝染病の防疫指針というのを定めております。それがそれぞれのフェーズにおいて、国、都道府県、所有者がやるべきことということで縦軸を整理をしておりまして、これらにつきましては、平時、それから発生した場合に縦軸で何をやっていくかということをきめ細かく定めまして、実際に演習等も行いながら対応しているところでございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 今回の大きな反省としては、やはり自治体と国の間で、まあ、長いこと豚熱も発生していなかったということもあるのかもしれませんが、お互いにどうしていいのか、あるいはどっちがやるべきなのかというところで、言葉は悪いかもしれないけれども押しつけ合いをやったんじゃないかなというふうに思っているところがございます。金銭の問題もあったかもしれません。

 あるいは、法的には先ほど言っていただいたように書いてあるというようなことでございますし、ここを変えていないということでございますから、そういう意味では、今回提案をさせていただいた協議会というのがかなり使えるんじゃないかなというふうには思っています。

 平時から、あるいは緊急事態に備えて、しっかりと国、自治体、関係者の皆さん方で意見を交換していただく場になれば一番よろしいでしょうし、何か発生したときの予行演習とは言わないですけれども、どういったことができるのかというのを考えていただきたいなというふうにも思うわけでございます。

 やはり、防疫措置のところと蔓延防止のところ、まあ一体のものであるというふうに思うんですけれども、やはり法律でも分かれているし、これを切れ目なくというのか問題なくというのか、どっちがどっちというふうにならないように。

 というのは、自治事務と法定受託事務に分かれてまいりますので、相互に入り組んでいるところもあるんですけれども、ここを切れ目なくするために、やはり今回の反省に立てば何らか考えていかなきゃいけないのではないかと思うんですけれども、これについて教えていただけたらと思います。

江藤国務大臣 自治事務と法定受託事務に分かれていることは事実でございますが、やはり都道府県の方が現場のことを一番よく知っているという現実があって、国がいきなり乗り込んでいっても右も左もよくわからないということもありますので、やはり自治事務、地方自治法に基づいてやる部分と、国の権限を受けてやる法定受託事務と分けることは、私はある程度の法律的な整合性はあるのだろうというふうに思っております。

 その上で、今回御提案をいただきましたこの協議会でありますけれども、これは、今先生がおっしゃったように、平時から連絡をするんだ、そして、その平時からの意見交換に基づいてある程度シミュレーションをして予行演習等も行うのだ、そして、いざ事が起こったら、そのシミュレーションそれから演習に基づいて対応を機敏に、すき間を置かずに対応できる体制を組むのだということで、大変意義のある御提言をいただいたと思っております。

 そして、これは、法律のもとで相互に連携すべきことを明示するというふうに第二条の三の第四項に明示されますので、これはもう法律にきっちり書き込まれるということは更に大きなことでありまして、これに基づいてスピード感が出てくるんじゃないかなというふうに考えておりますので、このような御提案をいただいたことは大変建設的だったというふうに思っております。

神谷(裕)委員 大臣、ありがとうございます。

 ぜひ、この協議会、使っていただきたいと思っています。その意味で、今回、これもまた反省点の一つかなと思っていますのが、ワクチン接種の問題でございました。

 先ほど申し上げたように、私自身は、ワクチンはなかなか打たない方がいいんじゃないかというのは今でも思っております。そういった中で、都道府県の皆さん方からすると、都道府県というか府県の皆さん方からすれば、足元に火がついている状況もあるんでしょう、あるいは農家の皆さん方からさまざまに言われることもあるのだと思いますけれども、ワクチンを打ってくれというようなさまざまな県からの申出というか要請、要望が大臣にはあったというふうに承知をしています。

 もちろん、その後に、大臣が御決断をいただいた後、都道府県知事あるいは審議会を経て決めていくというようなことですから、自治体の意見を全く聞いていないということにはならないとは思うんですけれども、やはり要請、要望という世界と、もう少し先に進んで、自治体と意見を交換する、そういった意味で、ワクチン接種、特に今回問題になったものですから、このワクチン接種の申出を、例えばこの協議会を使うというようなことで担保できないかなというようなことも考えています。ただ、直ちに、じゃ、協議会で決められるかと言われれば、私はそういうべきではないと思うし、むしろ、専門家の知見というか専門家の意見を聞いた上で、最終的には科学的に判断をしていただいて決めるべきだと今でも思っております。

 そういった意味において、協議会で決めるということではないのですけれども、同じように国と自治体が集って意見交換をする、あるいはそこには専門家も入るでしょう、関係者も入るでしょうというようなところでの場に使ってもらえたらなというふうに思うわけでございます。

 改めて、自治体からのワクチンの申出のあり方、この方法というか、どういうふうに考えていくか、これは必要なことだと思うんです。お願いします。

江藤国務大臣 やはり蔓延が広がるステージにおいては、かなり距離の離れている、いわゆる隣接していない県の団体の方や自治体の長の方から、うちにも打たせてほしいという御要望は私のところには実際に来ております。しかし、今回は野生イノシシを媒介としているということでありまして、隣接していないところについてはやはり抑制的であるべきだという考えのもとに、ワクチン接種の推奨地域には指定をいたしませんでした。

 沖縄についても、いろいろな迷いは正直ありました。イノシシがいないわけではないけれども、極めて数量的に限定的。しかし、沖縄の場合は庭先で飼っている養豚農家が結構多くて、それから衛生管理も、そういうところにおいてはなかなか、家族で飼っているような、昔ながらの、ちょこちょこっと庭先養豚みたいな、そういうのであると、なかなか、飼養衛生管理基準ですよと言っても、いや、うちは家の残ったものを食べさせているからと。エコフィードだと言っても、いや、そういうんじゃないよと。なかなか難しくて、そういう中で迷った末に沖縄県で玉城デニー知事が御決断をされたので、ワクチン接種推奨地域に指定したということであります。

 ワクチンは対症療法であるという先生の御指摘は全くそのとおりで、先ほど佐々木先生から言われたように、いずれは清浄国を目指してステージを切っていかなければなりません。ということであれば、もう何でもかんでも、危ない、ああ、それじゃすぐワクチンだということでは決してなくて、科学的知見に基づいて、しっかりとしたこの協議会も回しながら、今後のワクチン接種のあり方については議論される場があるのだろうというふうに思っております。

神谷(裕)委員 大臣おっしゃるとおりでございます。

 ただ、沖縄の庭先の養豚というか、これは多分全国にもそういう例はあると思うんですけれども、一たび、もしも豚熱に罹患したときには、情緒的な判断ということにはどうしてもならない。付近の養豚農家、いらっしゃるかどうかは別かもしれませんけれども、ひょっとすると、近辺にも大変な迷惑をかけてしまうことになりかねない。ですので、なかなか難しいところだなというのが本音だと思っています。

 そういった意味では、やはり飼養衛生管理基準をしっかりやっていただくということが第一義なんだろうというふうに思うわけでございますけれども、今の養豚農家の飼養衛生管理基準の遵守状況というか、そういう状況はどういうふうになっているのか、改めて聞かせていただけたらと思います。

新井政府参考人 現在の養豚農家の飼養衛生管理の状況ということでございます。

 まず制度的な枠組みについて申し上げますと、家畜伝染病予防法に基づきまして、毎年、生産者から飼養衛生管理基準の遵守状況について報告を受けるということになっております。この調査の報告を見ますと、各項目とも九割程度は遵守をしているというふうに、生産者からの報告は来ているところでございます。

 しかしながら、今般のCSFの発生農場、それから、それに付随をいたしまして、各県で、全農場等、立入調査をしております。それによりますと、残念ながら、生産者が遵守していると言う状況であっても、消毒を毎日行っていないとか、衣服の交換をその都度行っていないとか、そういう状況におきまして、遵守しているとは言えない状況というのが確認をされているところでございます。

 このような状況の中、まず農家の方に毎日チェックをしていただくということが重要と思っておりまして、ステッカー、これは、牛、鳥も含めまして、十五万枚以上を各農家に配付をいたしました。それから、リーフレットあるいは短いユーチューブ等も配信をしておりまして、まず農家の方にしっかりとやっていただこう、それから、個別の農場への立入りもその都度繰り返し行っているところでございます。

 沖縄におきましても、全農家に立入りをいたしまして、エコフィードについて、加熱しているか、あるいはエコフィードをやめるかといった立入りを行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、まず家畜の所有者が第一義的に責任、いわゆる自分の財産を守っていくということでございますので、家畜の所有者、それから県の指導を、今回の改正法でも、衛生管理区域ごとに飼養衛生管理責任者を置いていただく、それから、各県が指導計画をつくるという共同会派からの御提言を受けまして、そういう制度を公的にもつくっております。これらをしっかりPDCAを回していくということで、飼養衛生管理の遵守の徹底を更に推進してまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 今農家からの報告というのもありましたけれども、確かに毎年報告を出さなきゃいけなくなっている。まあ、報告を出さなくても過料を払えばというような話もあります。

 ただ、全部が全部出していないというようなことも聞いていますし、あるいは、都道府県についてもしっかり見ていないというような、これまで事例があったというふうに聞いています。

 だからこそ、しっかりとやっていただかなきゃいけないという意味で、都道府県にも計画をつくっていただくというようなことになったわけでございますし、それであれば、都道府県もしっかりと農家を見ていただけるだろうというふうに考えたところでございます。

 問題なのは、アフリカ豚熱がもうそこまで迫っているということもありますので、できるだけ早く高位平準化を実現していただかなければいけませんし、もう一つ大事なのは、この高位平準化を実現した後に、いかにしてこれを持続していくかだと思うんです。一旦上がったとしても、それを続ける努力をしなければ絶対いけないんだろうと思います。今回の法改正、あるいは振興法の方でそういった手当てはしていただけるものというふうに思いますけれども、一旦上げた後も、その後、持続していくためにさまざまな施策、どうかお願いをしたい、このように思います。

 そのことをお願いをさせていただいて、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 共同会派の関健一郎でございます。

 委員長並びに理事の皆様におかれましては、質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。

 早速質問に移らせていただく前に、東日本大震災から九年がたったということで、私もかつては記者として、そして今は一人の政治家として、また一人の日本人として、このことにはしっかりと向き合って、次の世代にこの出来事を伝えていくということも肝に銘じて、この質問をさせていただきたいと思います。

 冒頭、新型コロナウイルスに関連する一次産業、農林水産業関連の影響についての質疑をさせていただきます。

 今大臣からお花をいただきましたけれども、これは被災地で生産されたお花ということですけれども、私、市町村別農業産出額全国一位の愛知県田原市と全国九位の愛知県豊橋市から参りました。

 そして、この新型コロナの影響で式典等々が相次いで延期となりました。そのことを受けて、花の生産者さんというのは、この三月の需要期に向けて苗をいっぱい買って、ボイラーもたいて、そして、さあこの需要期に向けて頑張るぞと、お金をかけてきたわけです。そうした中で、相次ぐ延期でこれがだぶついてしまっています。そして、ほかのものと違って物はできていて、じゃ、支援してくれと言ったって支援のしようがないというのが正直な、花屋さんも、どうやって助けてほしいのかこっちもわからないということを言っているのが生産者の皆さんの現状です。

 ですから、私も今やっているんですけれども、とりあえずは、まずは花を買おうと。大臣も花プロジェクトをやっておられますけれども、その取組に心から賛同するとともに、これからもその動きを加速させていただくことを冒頭申し上げて、質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、影響その一で、生乳について質問をさせていただきます。

 小学校、中学校、高校、特別支援学校が休校要請を受けてお休みにした。そんな中で、牛乳が必ず給食には出ますけれども、実はこれがだぶついているということを生産者の方から、何人か聞きました。

 そこで伺います。国内の生乳の生産量と、学校給食向けの生乳の量についてお答えください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 学校給食用牛乳でございますが、平成三十年度のデータでございますが、国内の生乳全体の生産量からまず申し上げますと七百二十八万トンでございますが、このうち乳製品に向くものもございますので、飲用に向くもの、飲用牛乳の供給量は四百一万トンになっております。この四百一万トンのうち学校給食に向けられているものが三十五万トンございます。したがいまして、この飲用牛乳に向けられているもののうち学校給食に向けられたものの割合は九%、約一割を占めているということでございます。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

関(健)委員 およそ一割の生乳、本来であれば子供たちが学校で飲む予定だった生乳が、今だぶついているというのが現状だということだと思います。

 そこで、先ほどのお花もそうですけれども、まずは飲まなきゃいけないというのがあると思いますけれども、私も今、横の委員から、きょうはこの委員会で牛乳を飲めると思っていたという話がありましたけれども、私も飲めると思ったんですけれども、ぜひ牛乳を飲めるようにしていただければと思います。ありがとうございます。今審議しているんですよね。はい、済みません。

 このだぶついていることに対する、業界、その業者さんは、どういう取組をしてそのだぶつきを解消しようとしているんでしょうか、教えてください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 学校給食用として行き場がなくなった生乳でございますけれども、これにつきましては、二月二十八日に、国も入りまして、生産者団体、乳業メーカー等が協議をいたしまして、この関係者の御協力によりまして広域の配乳調整を行っております。脱脂粉乳とかバターなどの加工用、こういったものを取り扱っている、製造している乳業工場の方で対応していただいているということでございます。

 また、生産者団体でございます中央酪農会議あるいはホクレンなどでは、ホームページ、フェイスブックにおいて、牛乳・乳製品の消費拡大を呼びかける、さらには牛乳・乳製品を利用する料理レシピを紹介する、こういった取組をしておりまして、こういった消費拡大に向けた取組も行っているというふうに承知しております。

関(健)委員 私、そういうSNSとかでの一個一個のこういう取組がとても大事だと思いますし、うちの四人の子供たちも湯水のように牛乳を飲みますけれども、こういうときこそ、よく飲みなさいよ、背が大きくなるかわかりませんけれども、こういうときだからたくさん牛乳飲みなさいよというのは、ありとあらゆる方向から言っていくことが大切なんだと思います。

 そして、今おっしゃいましたけれども、いろんな取組で何とかだぶつきを解消しようと試みているということがよくわかりました。私の地元の中央製乳、どうまい牛乳という、これはとてもおいしいの三河弁なんですけれども、どうまい牛乳というのがあるんですけれども、これを生産しておられる牛乳の会社は、どこにその販路を広げたりとか、加工するとか、いろんなものを考えていますけれども、やはり脱脂粉乳自体がそもそも余りぎみというか、需給が供給過多だったと私は把握をしています。

 ですから、この有事に、いろんな業界も、だぶつきを解消しようと、まさに必死の状況です。そして、この新型コロナウイルスの関連でだぶついている、そこに関して、必要な業界への支援、また、どういう支援が考えられ、どういう支援をすべきだと考えているか、御所感を伺います。

江藤国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、大変なことになったというふうに重く受けとめております。しかし、損害を与えるわけにはいかないということがまず大切だと思っております。

 牛乳ではなくて加工原料乳の方に回していただくことになりますけれども、補給金単価は当然払われますが、当然所得の差が出てしまいますので、その分についてはしっかり補填をさせて、十分の十で補填させていただくということにしております。それも、納入先によって乳価も違いますので、個別に、あなたは幾らで納めているんですかということを、一律ではなくて、それぞれの状態をしっかり調べた上で個別に対応させていただきたいと思っております。

 これによって、先ほど、九%のものが加工原料乳に回るということであれば、これは当然脱粉が余るということでありますから、処理という言い方は、まあ食べ物ですからよくありませんが、しかし、差し当たり、やはり飼料用に回すことが現実的でありますので、そのための予算もしっかり確保させていただきました。

 そして、牛乳として行き場がないという、やはり加工原料乳じゃなくて牛乳として出したいという方もおられますので、そういう方についてのマッチングについての支援も予算措置をしてありますので、さまざまな御要望を個別に聞いて、しっかり対応させていただきたいと考えております。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

関(健)委員 ありがとうございます。

 こういうときですので、ありとあらゆるものを総動員して、生産者の皆さんがこの難局を乗り切って、またおいしい牛乳を生産できる環境に軟着陸ができるような、果断な、きめ細やかな対策をお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。

 もう一個、ちょっとお花をやらせてください。

 先ほども申し上げましたけれども、この三月の需要の時期、卒業式、入学式、そしていろんな人の歓送迎会とかで、お花というのは需要期です。そこで、ハウスの中で生産するものが多いものですから、何カ月も前から、この時期を逆算して苗をたくさん買って、ボイラーをたいて、そしてこの時期に合わせてたくさんのお花を、段ボールも買ってという準備をしてきているのがお花の生産者さんです。そして、この相次ぐ延期、中止を受けて、お花がだぶついているわけです。

 これは、私は、自分の、渥美半島のことしか把握していませんので、農水省の理解というか、現状の認識を伺います。全国の花卉の概況について伺います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、三月は花卉の最需要期でございまして、そういった中でこういったコロナの影響が出ているということでございます。

 切り花の卸売市場の平均価格、全国の主な市場の平均価格でございますが、ことし二月は一本当たり六十円から七十円の水準でございました。休校要請がございました二月二十八日以降下落しておりまして、直近の三月九日の一本当たりの価格は五十円でございます。これは、平年、過去五年平均が六十二円でございますので、二割低い水準になっているということでございます。

 特に卒業式とかイベントの花飾りなどに多く用いられる花でございますバラとかガーベラ、アルストロメリア、こういったものがかなり落ちておりまして、これは平年に比べまして三割ないし五割低い水準になっている、そういった状況でございます。

関(健)委員 やはり全国でもそういう影響が出ているということを確認できました。

 そして、私の、自分で聞いた限りですけれども、どういう支援があれば大丈夫ですかねという質問を生産者の皆さんに聞いても、これは実は何ともならぬというのが、買ってくれと言う以外に何にもないというのが生産者の皆さんの思いというか現状なんですね。

 私は、大臣にお尋ねします。農水省として、逆に、何かそういう人たちの経営を支援する策があれば、もしあるのなら教えていただきたいのと、仮にないんだとしても、今、農水省としてどういう取組をして、どういうことを呼びかけて花卉の販売拡大に向けた取組を進めているのか、伺います。

江藤国務大臣 花は本当に大変なことになっていると思っています。先ほど、六、七十円が五十円という話、それから三割五割安いという話が出ましたけれども、これは取引価格の話であって、じゃ、どれだけの量が出ているかということも見なければなりません。通常、百、受け取ってもらっていたものが、六十しか要らない、六十しか要らない上に価格下落ということであれば、農家の収入は下手をすると半分以下という状況になります。

 ですから、昨日の農林水産委員会以外の、参議院でも議論になったんですけれども、やはりここは国民の皆様方に広く呼びかけたいと思いますが、牛乳についてのツイートは二百三十万ヒットありました。そして我々は、ばずまふとかフェイスブック、それからツイッターを持っておりますので、積極的に配信をしていきたいと思います。

 米の時代に、日本国民がみんなお茶わん一杯御飯を食べてくれたら生産調整とか減反とかそういったものは要らないという議論をずっと我々はしてまいりました。ですから、こういうときは、やはり日本人が従来持っているお互いをいたわる気持ちとか優しい気持ちを持ってもらって、お花を買っていただく。買っていただくという政策的なことは何か考えます。考えますが、残念ながら、きょうの段階で先生に御紹介できるものがないことは非常に私としても残念ですけれども、もうすぐホワイトデーがやってまいりますので、こういう場で言っていいかどうかわかりませんが、委員会に所属の女性の先生方には、チョコレートはいただいておりませんが、金曜日に私から個人的に小さなお花をプレゼントさせていただこうと思います。

 もし、できれば、奥様とか、おじいちゃん、おばあちゃんでもいいと思うんですよ。お花は心を和ませますので、あらゆる機会をつかまえてお花の消費拡大にも努めてまいりたいと思っております。

関(健)委員 ありがとうございます。私も、大臣の要請に従って、お世話になっている妻にお花を上げたいと思います。

 最後に、新型、この全般になんですけれども、質問を一問にしちゃいますね、情報収集の仕組みについて。

 これは大臣を対策本部長とする情報収集の仕組みをしいていると思いますけれども、私はある生産者から言われたのが、大臣会見のときに、新型コロナが出始めたときに定例会見の中で、海外から来ている刻みネギとかショウガとか、そういう外食系に影響が出そうだよと。ああいう具体的なファクトを大臣が発信をすると、逆にそこは怖いんだなということが安心情報にもつながると、そういう生産者とかお店を経営している人たちから直接言われました。つまり、何を求められているかって、やはり政府が正確な情報を具体的にということがこういう時期こそ求められると思うんです。

 ですから、大臣にお尋ねします。

 情報収集をしっかりして、アンテナはいろいろな分野にも張りめぐらせていると思いますが、今後、どういう分野への影響が懸念されるか、また、どういう分野について注視をしているか。

江藤国務大臣 これはかなりスケールの大きい話だと思っています。

 例えば、小麦とか大豆とかは主にアメリカに頼っておりますが、これは人間の疾病でありますから、これが蔓延、パンデミックになったとしても、生産品、農産品についての貿易には支障が出ないというふうに基本的には考えておりますけれども、しかし、何が起こるかわからない。もしそこがとまるような事態が起こったら、では大豆をどこの国からだったら買えるのかということについても、我々としては一応検討はしておかなきゃならないと思っています。

 情報の収集につきましては、昨日も対策本部を夕方に開かせていただきましたが、必ず地方農政局とテレビ電話をつなぎまして、霞が関で全ての情報をとるのは無理なので、まずは、相談窓口電話をしっかり設置して、そこでの情報収集と、それから、地方農政局の職員は、市場とか生産現場とか港とか、あらゆるところに足を運んで、情報の収集に努めてほしいと。

 情報がなければ、何をすべきかということの具体策は練れません。そして、その具体策がなければ予算要求もできないわけでありますから、もしかしたら補正予算の編成があるかもしれません。それまでに、農林水産省として、この生産基盤を維持するためにどういうものが必要かというエビデンスを集めることに全力を尽くしてまいりたいと思っております。

 これからどういう展開になるかわかりませんが、例えば、魚のノドグロとか、カニとか、ウニとか、マグロとか、そういう、いわゆる主に外食で食べられるものの下落率はもうすさまじいものがありますし、これから、米は今のところ問題がありませんけれども、野菜も今のところは落ちついておりますが、果物とか花にはもう大変な影響が出ておりますので、常にその価格動向もリアルタイムで出てまいりますから、牛の競り場、それからエネルギーの価格の変動、そういったものについてもしっかり毎日チェックをさせていただこうと思っております。

関(健)委員 霞が関でその担当課の皆さんが集めてくる情報もさることながら、私は、やはり農水省のこれぞというのは、やはり全国の職員の皆さんが足を運んでそういう情報をとってきて、構造的にこういう異変が起きているぞというのをとれることが私は真骨頂だと思いますので、そのアンテナを引き続き高くして、新型コロナウイルスの影響が出れば、それを最小限にとどめるべく、対応をしていただくことをお願い申し上げます。

 ちょっと前置きが長くなりましたが、豚熱に関して質問させていただきます。飼養衛生管理基準について、お話をさせていただきます。

 私、豚熱が発生をしてから、何度もここで質問をさせていただきましたけれども、生産者の皆さんにとって素朴な違和感は、なぜ感染が拡大したのかという質問に対して、飼養衛生管理基準が適切に遵守されなかった部分も見られることから今回の感染拡大があったのではないかという答弁が繰り返し行われたと思います。いや、それはそうなんだと思います。

 ただ、生産者の皆さんにどういうふうに聞こえるかというと、いや、僕らがやったルールをあんたたちが守っていないから感染拡大したんでしょうというふうに聞こえてしまうわけです。

 事実、いつものとおり飼養衛生管理基準を守っていて、疑似患畜が確認されたら、職員の人たちが来て、もう魔女狩りじゃないですけれども、ここは大丈夫だっただろうなと、どうにかしてあらを探されているみたいな状況になってしまっている。

 これでは生産者の皆さんとの信頼関係もできないし、飼養衛生管理基準を厳しく守るのであれば、その厳しく守るために必要な枠組みもつくってあげなければいけないという問題意識のもと質問させていただきます。

 今回、飼養衛生管理基準が見直されるということですけれども、どのように見直しをされるか、また、生産者にとってはどういう負荷がかかるのか、そして、その負荷の軽減に対しては政府はどういう支援をしていくのか、お答えください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がありましたとおり、飼養衛生管理基準というのは、それぞれの畜種ごとに定めまして、規則という形で提示をしております。

 しかしながら、私も見ますと、飼養衛生管理は、平面的と言ったら大変語弊がありますけれども、内容が抽象的という御指摘を生産者からも受けております。それから、何のためにこれをやるのかということがわからないのでなかなか応用動作ができないというようなことも、私が生産者の立場になって考えたときにこの飼養衛生管理から感じたところでございます。

 こういう中、今般のCSFの発生、それからASFの侵入に備えまして、やはり、バイオセキュリティーを向上していく、いわゆる農場にウイルスを入れないということが非常に大切でございます。

 こういう状況を踏まえまして、昨年十月から、食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会に諮問をいたしまして議論を重ね、専門家の議論、それからパブリックコメント、農家のあるいは県の意見を聞きまして改正をしたところでございます。

 ここの中で特に注意をいたしましたのは、まず、抽象的と指摘を受けた各規定につきまして、どこで何をやればいいのかということが明確になるようにするということで、人、野生動物、飼養環境といった感染の要因の種類ごとにまず区別いたしまして、それを境界とか畜舎、どの場所で何をやればいいのかということを、まず、マトリックス、立体化するということをいたしました。

 それに加えまして、飼養衛生管理は、まず、毎日、日々の作業の中で行っていただかなければいけないということですので、それを作業工程に落とすためのマニュアルの作成、チェックポイントというものをこの中に入れたところでございます。

 飼養衛生管理自体はソフトがまず中心ということでございますけれども、今回、野生動物対策や衛生管理の充実ということでハードの整備が必要な部分もございます。

 まず、野生動物対策といたします農場の防護柵、これにつきましては、昨年の夏からALIC事業で支援をさせていただいております。

 それから、消毒の充実ということで動力噴霧器あるいは簡易更衣室、防鳥ネットといったものにつきましては、補正予算の交付金の中で支援をするということにいたしております。

 それから、食品残渣の加熱基準も国際的な水準に引き上げるということでございますので、これにつきましても、農家等を調査いたしましてそれぞれの意見を聞いてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 それに先立ちまして、毎日、朝夕しっかり点検をしていただきたいというふうに思っておりますので、牛、豚、鳥、全ての農場に約十五万枚のステッカーを配付いたしまして、日々の飼養衛生管理の向上に努めているところでございます。

関(健)委員 渥美半島でも、殺処分をすることになった生産者さんは二十軒、合計が三万七千六百五頭、このうち二軒が廃業しました。法人の方が経営しているところでも一軒撤退をしました。それ以外の十七軒が今、経営再開に向けて、豚さんを入れたり、そういうことをやっているんですけれども、飼養衛生管理基準をしっかり遵守しなさいよというのであれば、その投資に必要な支援のメニューもしっかり充実をさせていただきたいですし、そういうふうに細かいマトリックスをやるというのはとても大切なことだと思います。まず、なぜこれをやるのかということと、こういうふうにやってねということを示すこともとても大切だと思いますし、それを周知することも大事だと思います。

 最後に、最後にというかこの質問に関して最後に私からも提案なんですけれども、私、ちょっとイノシシを研究したことがあるんですけれども、イノシシはとても頭のいい動物で、防護柵といっても必ず穴を見つけるんです。それで、普通の柵だと、柵の低いところをどこか探して跳ぼうとするんです。そのときに、忍び返しといってこう、昔の、忍者が入れないようにこっち側に曲がっている壁があるんですけれども、そういうのをやるとイノシシは入れなくなるんです。彼らはとても頭のいい動物で、こういうふうになったら、また彼らも侵入する策を考えてくるわけです。ですから常に、そういう、鳥獣、これの衛生管理基準もこういうのに気をつけてねというのをやらないと、何となく柵を張ってねと言ったら、絶対その網が粗いところから入るんですよ、イノシシというのは。

 だから、そういうところも、結局、こういうのは細かいところまで目が行かなかったら意味ない話ですので、そういうところまで細かく目が行くように、飼養衛生管理基準をしっかり守っていないから感染拡大したんだよというのであれば、飼養衛生管理基準がしっかり守れる細やかな支援をお願い申し上げます。

 そして、それに関連ですけれども、罰則が強化されると思いますけれども、これは兼ね合いですけれども、抑止を期待できるんでしょうか、これぐらいの強化の幅で。お答えください。

江藤国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、罰金が高いから低いからということではなくて、やはり強化することが大事だと思います。

 強化することは大事だと思いますが、やはり法律に込めているその罰則規定というのは、厳しくやるぞという側面もありながら、事の重大さを金額で示すということもありますし、そして、法律には必ず守っていただきたいという思いと願いが込められているわけでありますから、この金額が高いから、その拘束力があって、飼養衛生管理が守られるということではないかもしれませんけれども、やはり上げられたということは、飼養衛生管理を守ることがいかに大切であるかということを明瞭的にあらわしたものではあるというふうに理解しております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃられていましたけれども、加熱のやつも国際基準にとおっしゃっていましたけれども、やはり加熱処理が十分じゃなかった残渣、これを豚さんが食べちゃったんじゃないかという指摘をする専門家の方もいらっしゃいますので、そこは徹底をしていただきたいと思います。

 そして、蔓延防止に関して、野生動物に関する調査と予防的殺処分が可能になるということだと思いますけれども、野生動物って、結局、調査とか予防的殺処分というのをしても、一緒に捕獲強化、つまり捕獲を一緒にしていかないと効果が出ないと思うんですね。だから、捕獲を支援する支援策について強化する必要はありませんか。お願いします。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 野生イノシシによるCSFの蔓延防止のためには、御指摘いただいたように、野生イノシシの捕獲強化というのが極めて大事だというふうに考えております。このため、農林水産省といたしましては、環境省さんとも連携をいたしまして、CSF陽性の野生イノシシが確認をされている県及びその隣接県等の二十二都府県に対しまして、捕獲の強化の依頼というものを行っているところでございます。

 具体的には、各県において、CSFの拡大防止に重要な地域につきまして捕獲重点エリアというものを設定いただく。加えまして、わなの設置数の増加、あるいは銃猟の効果的な活用でございますとか、また効果的な、効率的なICTわな、大型囲いわなの導入といったようなものの実施も支援をしているところでございます。

 各県における昨年九月以降の捕獲頭数は、前年よりも三割ほど多くなっているというふうに承知をしているところでございます。今後とも、環境省等とよく連携をいたしまして、必要な支援というものをしっかり行ってまいりたいと考えております。

関(健)委員 調査と予防的殺処分と、捕獲の強化というのは車の両輪ですから、これは、今おっしゃられたとおり、連携してやっていく必要があると思います。また、それに関連して、ジビエの産業にも影響が出ているという認識をしておりますので、それも注視をして、必要とあらば必要な支援をしていくということをお願い申し上げます。

 最後に、今、飼養衛生管理基準と蔓延防止と、水際に関して最後に質問させていただきます。

 これは家畜防疫官が検査できるようになるということですけれども、家畜防疫官というのが何人いるのか。そして、出入国の人たちの荷物を調べられるということですけれども、何人に対して家畜防疫官が何人いるのか。

 これはどういうことかというと、やるならしっかりやらないと、例えば、千人の出入国者数に検疫官一人といったって、これは何ともならないわけです。ですから、家畜防疫官が何人いて、出入国者数は何人いるのか、そして今後、足りないのであればふやしていくなどの認識があるのか、お答えください。

吉野委員長 新井局長。

 答弁は簡潔にお願いします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 家畜防疫官は現在四百八十一名でございます。令和二年度も十名増員することにしております。

 今回、権限を強化いたしますと、水際におきましては税関と同じ権限を持つということになっておりまして、いわば税関の職員と二重の検疫体制ということになります。

 現時点におきましても、ASF発生国を含む全ての国際定期便が到着する空港や海港におきまして、家畜防疫官と税関職員が立ち会って荷物検査を行っているところでございます。

関(健)委員 終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、長谷川嘉一君。

長谷川委員 私は立国社の長谷川嘉一でございます。

 きょうは貴重な質問の時間をいただき、大変ありがとうございます。

 冒頭ではございますが、東日本大震災から九年、二万人からの皆様方がとうとい犠牲になられましたことに対して、心から哀悼の意を表したいと思います。また、いまだ二千五百人以上の方が行方不明となっておられます。被災をされた方々、そしていまだ行方不明の方々に対しましても、心から、この場からお見舞いを申し上げたいと思います。

 きょうは、質問時間が限られている中で、若干早口になってしまうことをお許しをいただきたいと思います。

 早速質問に入らせていただきます。

 きょうは法案質疑も五点ほど用意しておりますけれども、その前に、どうしてもコロナウイルス感染症と食料自給率、これについては最初に御質問をさせていただきます。

 最初に、コロナウイルス感染症についてでございます。

 まず、新型コロナウイルス感染症に伴う農業分野への影響についてお伺いいたします。

 関東圏で唯一、コロナウイルス感染症が発生してこなかった群馬県でも、三月七日土曜日に、太田市内の保育園に勤務する四十代の女性の感染が確認されました。この女性の濃厚接触者は、その日現在、親族、勤務先の職員、園児ら百五十二人に上っていることが判明し、このうち三名が発熱をしているということで大変心配をされておりましたが、昨日、幸いにも全員陰性であることがわかりました。

 このようなことを背景に、太田市でも、全国的にまれに小学校は登校ということをしておりましたが、九日から休校ということに踏み切って、足並みがようやくそろったということでございます。

 そういった中で、学校給食がなくなったということについては、農林水産に従事している生産者の皆様方には大変な影響が出ていることは従前からの各委員の質問の中にもございました。

 重複は極力避けたいとは思いますけれども、こういった中で、特に、学校給食の牛乳、野菜を供給している農家は、価格の下落の影響をもろに受けているという状況ではないかと思っております。

 大臣答弁でもございましたけれども、農水省としては、いち早く関連団体と協議をしてその対策を進めているというふうに私どもも認識をしております。

 学校給食用向けの牛乳、この生乳の需要減で余乳が発生しているために、加工可能な乳業メーカーに受入れの要請をしている状況があると思います。また、関東生乳販連では、急な余乳の発生で廃棄乳が出ないように調整をしているということでございます。

 また、食肉、豚肉、鳥肉、卵も、景気悪化と需要減少により価格の下落が懸念されます。またさらに、従前から出ている、春には多くのイベントがあり、花卉の需要期でありますので、こうしたところのさまざまな影響について農林水産省ではどのようにつかみ、どのような対策を講じているか、改めてこの機会にお伺いをいたします。

河野大臣政務官 新型コロナウイルス感染症の発生や、それに伴う学校の休校、またイベントの自粛により、既に農業にも影響が出ているところでございます。

 具体的には、学校給食用の牛乳がキャンセルをされまして、委員御案内のとおりでございますけれども、原料の生乳を広域輸送して、脱脂粉乳やバターなどの乳製品に加工する必要が生じているほか、野菜につきましても、学校給食用のものがキャンセルされまして、大幅に需給が緩和基調でございます。その中で、新たな出荷先を見つける必要が生じております。

 また、和牛に関しましても、インバウンド需要の低下、消費者の外出控えによります外食需要が減少しておりまして、三月の枝肉価格は前年を大きく下回っているなど、極めて重大な事態というふうに私ども受けとめております。

 このため、生産者の皆様への支援については、きのう、三月十日付で決定をいたしました新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策第二弾の中で措置をしたところでございます。

 具体的に申し上げますと、給食用の牛乳については、加工用の用途変更に伴う原料乳の価格差への支援及び出荷先の変更に伴う輸送費の支援を行うことといたしました。

 その際、地域によって飲物用の乳価に差があることから、地域の実態に合わせた価格差をベースとしてお支払いをさせていただきたいというふうに考えてございます。

 野菜につきましては、文部科学省を通じて、臨時休業期間中の学校給食への食材費に相当する費用への支援を行うほか、農林水産省といたしましても、代替販路の確保に向けたマッチングなどの支援を行うことといたしました。

 また、今回、枝肉価格の低下については、農林漁業セーフティネット資金などについて実質無利子化、そして実質無担保貸付けなどを措置し、資金繰りの支援を行うことといたしました。

 こうした対策を通じて、生産者の不安を解消し、意欲を持って経営に取り組んでいただけるよう、全力で支援してまいります。

長谷川委員 的確な御答弁、ありがとうございました。

 第二弾が昨日から実施されている。また、その内容については大いに期待を持って、これからまた私たちも協力してまいりたいという思いでいっぱいでございます。

 時間の関係で、次の質問に移らせていただきます。

 これは食料自給率で、毎回毎回質問しておりますので恐縮でありますけれども、極めて重要な時期に入るということで、これについては江藤大臣にお伺いをさせていただきます。

 食料、農業、農村政策については、平成十一年七月に食料・農業・農村基本法が制定され、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的発展及び農村の振興という四つの基本理念を具体化するための施策を推進してきたということは私たちも承知をしております。

 今回、新たに食料・農業・農村基本計画の原案が我々にも示されました。

 基本計画は、食料、農業、農村に関する各種施策の基本となるという性格を踏まえ、中長期的な食料、農業、農村をめぐる情勢の変化を見通しつつ、今後十年程度先までの施策の方向を示すものとするということであり、情勢の変化及び施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに見直し、所要の変更を行うとしておりました。

 現在、我が国は食料自給率が減少をし続け、先進国中最低の三七・三三%にまでなってしまっております。日本の食料の六三%は海外からの輸入に頼っているということになるわけであり、TPP及び欧州連合やアメリカとの実質的なFTAにより、農業を始めとする一次産業は大きく負の影響を受け続けております。さらに、RCEPにより、負の影響は更に拡大していくことは避けられない状況であります。

 食料自給率を上げることは、国の安全保障上も最優先事項です。一刻も早く、一次産業及び一次産業従事者の保護と育成に取り組まなければなりません。

 江藤大臣におかれましては、日本の食料自給率をどのようにお考えになり、対応されているか、御所見をお伺いいたします。

江藤国務大臣 大変難しい御質問だと受けとめております。

 委員がおっしゃったように、一九九九年に、私が尊敬しており、もう亡くなりましたけれども、中川昭一先生が基本法をつくられて、その翌年に最初の基本計画がつくられて、そのときにはウルグアイ・ラウンド交渉が行われた時期でもあって、大変国民の関心が、初めて一九六〇年に農業基本法ができたときとは違って、外国からの影響で日本の農業にも大きな影響が及ぶんじゃないかという意識がこのタイミングで生まれて、その後、御存じのように、さまざまな経済連携協定等が結ばれてきたことは御案内のとおりでございます。

 そしてまた、この時期に、見直しの時期が来たわけであります。そして、四五%ということを骨子に書かせていただきました。

 この前回の骨子をつくった段階から、四五%を目標にしながら、逆に下がったではないかという御指摘が厳しく国民の皆様方からもあることは重々承知をいたしております。その実態のもとにおいてまた四五を掲げて、できもしないようなことをと言われる御批判があるかもしれませんが、やはり、これは目標として持たなければならないと思っています。

 輸出のことを語ると、輸出よりも国内生産の充実だとかそういうお話になるときがありますけれども、輸出をするには、まず国内でしっかり生産しなければ輸出の拡大はできませんので、輸出にも対応できる、そして国内の需要にも対応できる生産基盤を強化することによって、輸出にも対応し、国内需要にも対応する。そして、国内に入ってきている冷凍を中心とする生鮮の野菜とか、ブロッコリーとか枝豆とかいろいろなものがございます、ホウレンソウとか。そういったものをもう一回、日本の国産品が市場を奪還していくような基盤の整備を行うということをやっていけば、私は、四五%目標に向かってもう一回、負のベクトルに向かっているものを上に向けることは決してできないことではないと思っておりますので、この目標に向かって、カロリーベースで、これは熱供給ベースを示したものであって、委員御指摘のように、食料安全保障に直接直結する内容でありますから、この目標の達成に向けて努力を重ねていきたいというふうに考えております。

長谷川委員 御答弁ありがとうございました。

 食料安全保障という言葉はなかなか使われなくなってきたということがありましたけれども、つい最近においては頻繁にこの言葉をお聞きするようになり、私もその目標に向けて全力を挙げていただきたいということを念願をしている一人でございます。

 きょうは資料を四ページ、図を用意いたしましたので、二問目はこれについて御質問をさせていただきたいと思います。

 資料一をまずごらんください。食料自給率の目標ということであります。

 下段の方の「二 新たな食料自給率目標等」とありますけれども、この上と下、上下に分かれますけれども、平成二十七年度の基本計画においては、カロリーベースで、平成二十五年三九%を、平成三十七年ですから、二十五年から七年ですよね、七年後には四五%の目標を堅持している。

 また、下の方をごらんになっていただきたいんですが、この図八の五、農地面積の見通しでございますが、これは、延べ作付面積及び耕地利用率という部分でありますけれども、農地面積が、平成二十五年が四百五十四万ヘクタール、それが、三十七年度目標においては四百四十万となっております。

 現在どのくらいかということについては、資料がありますけれども、四百三十九万七千と、もう既に、この目標値に到達する前に、下落に加速度がかかっているというのが現状でございます。

 令和元年ではこのような状態でありますが、この五年後の予定目標面積である四百四十万ヘクタールを下げてしまいましたけれども、これをどのようにしていくのかなという心配があってなりません。

 次の資料二をごらんいただきたいと思います。これは、農地面積についてお示しをさせていただいた図でございます。

 この推移というところがございますが、最初にスタートした時点、これが約六百万ヘクタールについて右肩下がりという現状があり、令和元年においては四百三十九・七万ヘクタールというふうになっております。

 では、大変恐縮ではございますけれども、資料三の方に目を通していただきたいと思います。

 資料三は、一人当たり、それではどのくらいな農地面積を我が国は保有しているかという図でございますけれども、これは平成二十八年度の諸外国の人口、土地等の状況との比較でございますが、上が日本、カナダ、オーストラリア、それから最後がスイスとなっておりまして、この一番下の部分をごらんになっていただきたいと思いますが、日本を一とした場合、まず、一人当たりの農地面積は三・五アール、約百坪ということに日本の場合はなっております。日本が一に対して、カナダが四九、オーストラリアが四三七、そして一番低いスイスが五倍という計算になるのではないかというふうに思っております。

 では、次の、最後の表について、目を通していただきたいと思います。

 資料四でございますが、諸外国の食料自給率、これは試算ということでありますが、我が国と諸外国の食料自給率の差がこのような状況にあるということを見ると、やはり改めて愕然とするばかりであります。日本が、食料自給率全体、三七%台にまで落ち込み、カロリーベースを盛んに最近では持ち出していらっしゃるようですけれども、それも先進国中最低、このような状況に現在あり、令和七年に目標値を四五%、これを堅持するという、非常に並々ならない大臣のお考えが示されたわけであります。

 まさに、なせば成る、なさねば成らぬ何事も、そういった精神もございますので、何事も絵に描いた餅では何にもならない。ぜひなし遂げていただける大きな原動力になっていただくことを御期待申し上げ、この点についての御所見があればお伺いさせていただきます。

江藤国務大臣 なさねば成らぬと思っております。

 四百三十九万七千ヘクタールという数字はまさに正確でありますが、その後ろに九万二千ヘクタールの荒廃農地がございます。荒廃農地は、荒廃はしているけれども農地への復旧が比較的容易だという区分になっておりまして、地目としてもまだ農地として残っておるものでありますので、自分としては、こういったものの復旧も何とかやりたいなという気持ちを持っております。

 生産基盤は、耕作面積を維持するのと、それに従事する方々のいわゆる人数も、それから年齢構成も、十分留意をしていかなければならないと思っております。

 これから先は、確かに規模拡大も有効でもあるかもしれません、畦畔を除去したり分散錯圃を解消したりすることも有効かもしれませんが、いろいろな農業形態を我々は評価をして、家族経営であっても小規模であっても条件不利地域であっても、日本の農政を支えているんだ、日本の基盤を支えているんだということをしっかりと評価をして、IoTやスマート農業などの先端技術なども利用しながら、食料自給率の向上に努めていきたいと思っております。

 こうやって他国と比較をされますと、面積については、例えばオーストラリアなんというのはほぼほぼ牧草であったりとか、いろいろありますので、なかなか一概に比較することは難しいと思いますけれども、しかし、この明らかな数字として日本が低い、しかも、前回の食料・農業・農村基本計画を立てたときよりもベクトルは右肩下がりで下がってしまったという事実をしっかりと受けとめて、今後の五年、十年に向かって取組を強めていきたいと考えております。

長谷川委員 大変難しいこの内容についての御答弁、ありがとうございました。

 それでは、この問題について、私も前回、昨年、令和元年十一月の十三日に、この自給率についても御指摘をさせていただきました。これはこの基本計画の企画委員会が開かれる翌々日だったか翌日だったかと思いましたので、あえてこの問題も入れさせていただいたということでありまして、その資料をもとに、ちょっとこれから私の考えを述べさせていただきます。

 まず、そのときの質問でありますけれども、食料自給率について質問させていただきますということで、平成二十五年の三九%から平成三十七年四五%を目指して、基本計画において、平成二十七年三月にこれを決定しているわけであります。その後、食料自給率は減る一方で、三七%になっているという現状がありますが、これについての御見識については、ここにいらっしゃる河野大臣政務官に御答弁をいただいておりますので、これもちょっとお示しをさせていただきます。

 我が国の食料自給率が低いことは、国の安全保障の観点からさまざまな問題があるというふうに考えてございます。多くの国民の方々が、なぜ我が国の食料自給率が低いのかと、将来の食料安定供給の確保に不安を感じておられます。食料安全保障の観点からも、自給率を引き上げる努力を怠ってはならないというふうに考えてございますという、すばらしい、今大臣と同じベクトルの御答弁をいただいております。

 こういった中で、この問題をまた再燃させなければいけません。このときに私の方としては、自給率については低下する一方、まだその兆しがどこを見ても読み取れない、荒廃農地、これも減っていない、急速に拡大している、こんな状況があるということも改めて認識を共通にしなければいけないなと私自身も思わせていただきました。

 このときの審議会の状況が日農新聞でこのように記載されています。食料自給率については国民的な議論をすべきときであるというふうな内容がこの企画部会で話し合われているということが記事にされました。

 この審議会の内容について私もお聞きしましたけれども、枝元参考人からは、来年の三月をめどに次期食料基本法を策定する予定でございますという御答弁、そのとおりになっておりますけれども、これについては質問いたしません。

 この中で、議論について、新聞紙上でしか私はわかりませんがということで、この食料自給率や自給力をめぐる課題を検証し、食料安全保障や国内農業の重要性をめぐる国民的議論が必要との意見がそこの企画会議では大勢を占めたというふうに、新聞の記事だけしか読み取れませんが、となっておりました。

 このことも含めて、改めて、政府として食料自給率達成のために全力を尽くされることを切に希望して、この質問を終わらせていただきます。

 次についてでございますが、ようやく本題に入らせていただきます。今回の畜産物の、家伝法の改正についてでございます。

 まず一つは、飼養衛生管理基準の遵守に係る是正措置等の拡充、これは議事録を確認すると、重複する部分もありますが、一つだけ、飼養衛生管理区域に飼養衛生管理者を選任というのが入りました。その理由と、家畜の所有者とは別に飼養衛生管理者を置くこととした理由を、まずお聞かせください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 改正案におきましては、家畜の衛生管理区域ごとに飼養衛生管理責任者を置くという規定を追加しているところでございます。これにつきましては、昨年十二月の共同会派の申入れの中でも同じような御提言をいただいているところでございます。

 まず、なぜ置くかということでございますけれども、近年、畜産経営が大規模化いたしまして、一人の家畜所有者が複数の農場を所有し管理する場合ということに加えまして、従業員を雇用して衛生管理を負わせている場合が増加をしております。

 このような中、今般、CSFの発生事例では、家畜の所有者やその従業員におきましてなかなか飼養衛生管理が徹底をされていない、飼養衛生管理は豚に接する可能性のある方全員が日々やっていただかなければいけないことということでございますので、それをしっかり徹底させる必要があるというふうに認識をしているところでございます。

 今般設置をいたしました飼養衛生管理責任者につきましては、専門家から得られる最新の疫学上の情報の共有を含めまして、それを迅速に農場のいわゆる従業員の方、それから所有者の方に共有をしていただく、それが日々の衛生管理で適切に履行されるようにしていただくという意味で、飼養衛生管理責任者の設置を義務づけたところでございます。

 なお、飼養衛生管理責任者は、従業員の中で経験や知見が豊富な者が望ましいというふうに考えておりますけれども、原則、従業員であれば対応できるものというふうに考えておりますので、その資格を特に定めるまでの必要はないというふうに考えているところでございます。

長谷川委員 飼養衛生管理者については、特定な要件が明示されておりません。経営者とこれを区分けする意味も、私についてはよく理解できません。どのような内容をやるか、また、どのような罰則規定があるかということも、まだまだこれから周知あるいは企画の段階であるかというふうに推測をいたします。

 これについては一つ御指摘をしておきたいのは、現場の大規模畜産場だけではない、零細な畜産経営者に大きなしわ寄せ、負担にならないような丁寧な指導と丁寧な対応を要望して、この問題については終わります。

 次、時間の関係で、あとは、予防的殺処分と野生動物伝染病蔓延の措置については先ほどの関委員の質問と重複しますので、これについては割愛をさせていただきまして、アフリカ豚熱にちょっと飛ばせていただきたいと思います。

 一昨年、中国全土に広がった、この後、東南アジア及び朝鮮半島にまで拡大し、幸い、日本と台湾にはもちろん上陸をしておりませんが、これを持ち込ませないことが極めて重要ということは過去にも何度か御指摘を申し上げました。その対応についても、省庁横断的にやらなければ水際対策は全然だめだよ、法改正もやらなきゃだめだよということも暗に、ヒアリングのときには申し上げました。

 このことについて、まず、現在まで、アフリカ豚熱の遺伝子及びウイルスが検知され摘発された食品が何件ぐらいか、あるいはいつごろかもわかれば、教えていただきたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省におきましては、海外から旅客が携帯品として持ち込み、水際で摘発された豚肉製品のモニタリングを行っております。その中で検査をしているということでございますけれども、これまでASFのウイルスの遺伝子を確認されたものが八十八件、このうち、昨年一月に中部空港において摘発した中国からの豚肉ソーセージ二件におきまして、感染性のあるASFのウイルスが分離されております。それ以降の事例はございません。

長谷川委員 大変な件数ではないかと思いますけれども、まさに、この今の検疫体制、検知犬も全空港に配備されているわけではありませんし、港にもありません。こういった中で八十八件というのは本当に氷山の一角というふうに考えられます。外国人観光客が日本の観光地でこれを捨てて、それを野生のイノシシが食べれば、また豚熱と同じような状況になってしまうことは十分考えられます。

 今回の豚熱の遺伝子解析においても、これは日本国内のもともとあったものではなくて、海外から輸入されたものの可能性が極めて高いという疫学的な調査もいただきました。こういったことも踏まえると、まさにアフリカ豚熱も同じ状況になりかねない。なった場合には、今現在、ワクチンもない。

 こんな状況にあるわけですけれども、それでは、この辺についての水際対策、それから、さまざまな広報活動も、耳ざわり悪く私も指摘してまいりましたので、どのように現在されているか、御所見、現状についてお知らせをください。

伊東副大臣 ASF、アフリカ豚熱でありますけれども、我が国の水際まで迫っているという状況につきましては大変に我々も危機感を持っておりまして、まず、水際対策の徹底が極めて重要である、このように考えております。

 この侵入防止対策につきましては、関係省庁が一体となりまして、在外公館あるいは日本政府観光局、また各地の航空会社等と連携した、外国における情報発信や現地空港カウンターでの注意喚起といった広報の強化をいたしております。

 また、財務省と連携をいたしました税関申告書の様式変更や、あるいは手荷物検査の強化、肉製品等の違法な持込みへの対応の厳格化などを継続的にこれまでも実施してきているところであります。

 また、家畜防疫官を、現在の四百八十一名体制から、この二年度中に十名増員して四百九十一名体制にするとともに、検疫探知犬につきましても、現在の五十三頭体制からオリンピック・パラリンピックまでに九十六頭に増頭し、令和二年度末までに百四十頭体制といたし、体制の強化を図ることといたしております。

 また、先ほども御答弁の中にありましたけれども、入国者の携帯品に関する家畜防疫官の質問、検査権限の拡大、あるいは家畜防疫官がみずから廃棄できる権限の新設、畜産物の違法持込みに対する罰則の強化といった措置を講じることとしておりまして、本法案を早期に成立させていただき、十分な周知を図った上で、オリンピック・パラリンピックにおいて、強化した内容で水際対策に取り組んでまいりたいと考えております。

長谷川委員 いよいよことしはオリンピック・パラリンピックの開催年度ということになっておりますが、この水際対策も含めて、あらゆる手を尽くし切ってこの対応をしていただけますよう、御要望申し上げたいと思います。

 それから、これについてはいまだにワクチンがないわけでありますけれども、ウイルスですから、予防ワクチンは開発できる可能性は極めて高いと思いますけれども、今、諸外国でこの豚熱のワクチン開発の状況はどのようになっているのか、また、日本政府はこのワクチン開発についてはどのように考えているかをお聞かせください。

吉野委員長 新井局長。

 時間が経過していますので、簡潔にお願いします。

新井政府参考人 ASFは世界六十二カ国に広がっておりまして、このワクチン開発は世界共通の課題でございます。二月末にも、日本が主導いたしまして国際的なシンポジウムを開催いたしました。なかなか、ウイルスの性格自体の解明に時間を要しているということで、難しい課題でございます。

 我が国におきましても、平成二十八年度から基盤研究に取り組んでおりまして、令和二年度におきましても二億円を計上いたしまして、ワクチン開発の研究開発を加速してまいりたいと考えております。

長谷川委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、屋良朝博君。

屋良委員 立国社の屋良朝博でございます。きょうは質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 冒頭、一言申し述べさせてください。

 きょう、国会に上がるときに国旗の掲揚場を見たら、半旗でございました。やはり三・一一をことしも迎えたんだなというふうに思った次第でございます。そして、記憶を新たにする日だなというふうに思いました。愛する人を亡くされた多くの御遺族に哀悼の意を表するとともに、今なお避難生活を余儀なくされている多くの方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 それでは、質問させてください。

 先ほど来、沖縄での豚熱の発生もこの場でいろいろ議論がなされておりました。やはり、九州や中国、四国を飛び越えて沖縄で発生したというのは非常に衝撃的でございました。そうすると、どこでも飛び火しちゃうんじゃないかなと。陸続きじゃなくても飛び火する可能性があるということを私たちに示したものだというふうに思って、これは大変なことになってしまったなというふうに、大変危機感を覚えた次第でございます。

 それで、今後の拡散防止、蔓延防止のためにも、ひとつ感染経路をつぶさに検証するという作業はこれから必要になってくると思います。今は封じ込めを一生懸命やって、新たな発生を防ぐという取組を第一にやっていかないといけないと思いますけれども、今後、疫学調査も踏まえてどのような経路で行ったのかということもできる限り調べて、それに対する対策を講じていくことが、沖縄で発生したということの教訓をそこから見出すことにつながると思います。

 今のところ、想定し得る沖縄への感染経路についてどのような分析をなされているのか。これまで、三点が言われていると思います。食品残渣を使っていた、その加熱処理が不十分であった、疫学調査で、沖縄で見つかった豚熱のウイルスは岐阜県で昨年一月に死んだ感染イノシシのウイルスと似ているということだと承知しておりますけれども、それ以外に何かございましたら教えてください。

河野大臣政務官 沖縄県の豚熱発生農場は、これまで感染が確認されていた地域から離れており、野生イノシシの感染も確認されていないことから感染経路の研究は特に重要と考えておりまして、発生直後から現地での疫学調査などを進めてきたところでございます。

 その結果、沖縄県で初の発生となりました国内五十二例目、うるま市の農場に侵入したウイルスは、新たに海外から侵入したウイルスである可能性はなく、一昨年以降、日本で感染が広がっている株と同一であるということが判明をいたしております。また、当該農場においては、加熱が不十分な肉又は肉製品を含んだ食品残渣の給餌により感染した可能性が否定できないこともあわせて報告されているところでございます。

 委員御指摘のとおり、沖縄の食品残渣にウイルスが混入した経緯は不明であるものの、これまでの海外の発生事例からも食品残渣の給餌は豚熱の主要な侵入経路とされていることから、農場の段階でウイルスの侵入を阻止するため、現行の食品残渣の加熱基準を満たしているか改めて農家みずからチェックするよう働きかけるとともに、都道府県に対して指導の徹底を通知したところでございます。

 なお、沖縄県においては、食品残渣給餌農場六十九戸に対する加熱状況の調査及び改善指導が実施をされまして、これまでに全ての農家が基準を満たしていることが確認されたところでございます。

屋良委員 今回見つかった、豚熱が発生した沖縄市、うるま市、私の選挙区でございます。それで、今回質問に立つに当たって、その発生農家さんに問い合わせようとして接触を試みたんですけれども、どうもこのショックが大きくてなかなか連絡がとれず、しかも、ちゃんとしたお話を御本人さんから伺うことができなかったんですけれども、その一例目となったうるま市では、全国では五十二例目ですけれども、食品残渣と配合飼料をまぜて使っていた、しかも配合飼料の方が割合的には多く使われていた。

 先ほど、大臣、沖縄では庭先養豚もまだまだ多くあって、衛生管理基準がなかなか守られていないという実態もあるようなニュアンスでお話しされていますが、何といいましょうか、確かに私が小さいころ、小学生のころは、家庭で、庭先でやっていて、養豚業者さんが自転車に一斗缶を載せて各家庭を回って食品残渣を集めて、それで加熱処理をして与えていたというのはありました。しかし、今、平成三十年度の統計を見てみますと、沖縄での養豚農家さん二百三十七戸、一農家さん当たりの平均の豚数は八百八十五頭なんですね。かなり広い庭先がないと、なかなかこれは営業ができない状況であります。しかも、売上高は百三十二億円、全国でいうと十四位になっております。

 だから、庭先養豚、確かに若干残っているところはありますけれども、それが全体じゃない。しかも、沖縄で見つかった一例目というのはなかなか大きい規模でやっていて、エコフィードをやっていて、聞くところによると、結構ホテルの残渣が入っていると。私たちが日々食している食品よりも、もしかして質のいいのを食べさせられているんじゃないかな、そんな気になってしまうんですね。沖縄で発生した二例目以降は、全て配合飼料を与えているというものなんですね。だから、一例目の感染が県内で拡散したのではないかというふうに考えられます。

 岐阜県の感染イノシシは、昨年一月に発見されたものでございます。それが沖縄で見つかったウイルスと近いんじゃないかというふうに言われていますけれども、ちょっと時間の経過が長いんじゃないのかなというような気になったりします。

 食品衛生法上、豚肉だけじゃなくて、牛も鶏肉も、可食期間、消費期限を見てみますと、保存温度が十度であれば一日なんですね。零度であれば四日から七日間、真空パックして零度で保存したら二十日間、マイナス十五度以下に保存すれば可食期間は二十四カ月、二年間に延びるということからすると、沖縄で見つかったウイルスは、もしかしたら、真空パックされてマイナス十五度以下で保存されたものを輸送して保管していた、それ以外に余り考えにくいわけですね。

 沖縄で発生する二カ月前の昨年九月に、岐阜だけでなく、埼玉、長野で四十から四十五例目が発見されて、でも、そのころにはもう既に第一回目のワクチンベルトが構築されている。農水省もCSF・ASF防疫対策本部で終息に向けた今後の対策というのを検討されて、もう既に決定されていた。

 それで、沖縄で発生する直前の十月中旬には、群馬、富山、石川など十県に拡大して、すぐにワクチン接種がなされている。そんな状況なんですね。

 だから、真空パックでマイナス十五度で保存された汚染肉が豚熱発生の初期段階で沖縄に持ち込まれたのか、あるいは本州で汚染が拡大し、いよいよ緊張が高まっているさなか、移動制限がなされているところから、何らかの理由でその汚染肉が流通ルートに乗って沖縄に運ばれてしまったと考えられるのか、食品衛生上、生肉が汚染されないような措置が十分であったのか、そもそも汚染肉が流通ルートに乗る可能性はあったのかなどなど、もう疑問がたくさん湧いてくるんですね。

 それで一つ、この汚染肉が一般の流通ルートに乗る、そういった可能性というのはあるのかどうか、そこをちょっとお伺いしたい。そして、蔓延防止、拡散防止についても今後考えていきたいと思うんですけれども、その辺、もし、何らかの考え、あるいは見込み、見解があったら教えてください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、CSFにかかった豚につきましては、と畜場法に基づきまして、屠畜処理がされないということでございます。

 しかしながら、CSFは潜伏期間というのがございます。二週間程度の潜伏期間があるということでございまして、非常に潜伏期間の初期の段階で症状があらわれない豚について、出荷をされ、それが肉になって出回るという可能性自体は否定できないというふうに考えております。

 しかしながら、CSFの肉は人が食べても全く問題ないということでございますので、仮にそのようなものが出回ったとしても、食品衛生法上は何ら問題がないということでございます。

 それから、お話がありました沖縄の五十二例目でございます。私どもも詳細に調査をいたしました。この五十二例目は、いわゆる残飯について四カ所から搬入をしておりますが、二カ所については加熱済みであることが確認をされておりますけれども、二カ所のものについては未加熱のいろいろなものが入った残飯ということでございます。

 これらにつきまして、ここの中に入っていたウイルスが何らかの形で豚に入ったというふうに疫学調査チームからは報告を受けているところでございます。

屋良委員 ぜひとも、流通ルートに汚染が疑われるような肉が入ってこない、これから、そういう体制を構築していかなければ、恐らく、今後、沖縄での発生、遠隔地に飛び火するようなそんな事態をどのように防ぐかということは、結構取り組んでいくべきことであろうと私は考えます。

 今回の法改正で、海外から持ち込まれる水際対策というのは強化されますけれども、国内輸送について、監視を強める、何らかの蔓延防止措置を考えられているのか、あるいは今後考える必要があるのかということをお聞かせください。

江藤国務大臣 今回の法改正によりまして、国、それから地方、それから飼養管理者、経営者、それぞれの地域で、それぞれの立場で責任が明確化され、それをまた協議会のもとで横の連携もしっかりとって、連絡をとりながら平時から対応するということが行われるようになってまいります。

 ということであれば、これまで以上に、今度の法改正、それから養豚振興法の法改正も含めて、この合わせわざでやっていくことによって、今後の対策は強化されるものだと思っております。

 先ほど、非常に沖縄がちっちゃいような言い方をして済みませんでした。それはちょっとおわびを申し上げます。八百八十五頭ぐらいの規模は知っていたんですけれども、そういうところもあって、そういうところについてもやはり何とかしなきゃいけないという気持ちが強くあったものですから、ちょっと先ほどは申し上げたところでございます。

 そして、一年前のものと近縁という結果は出ておりますが、その地域には同じDNA、同じ由来の豚熱を持ったイノシシが多数存在したということが容易に想像されますので、そのイノシシの肉が、いつとられて、いつ肉になったかというものは、一年前とは限らないわけでございまして、いつなのかわかりませんけれども、ただ、先生がおっしゃるように、そういったものが、あらゆる流通経路に乗って、残渣というような形でもやはり豚の口に入らないような体制というものは検討すべきであろうというふうに考えます。

屋良委員 どうも御答弁ありがとうございました。

 やはり、今回沖縄で起きた状況を考えた場合、その可食期間を考慮すると、今挙げられている、わかっている、想定されたそのファクトを点と点で置いて、それがなかなか感染経路の線としてつながっていないような気がするんですね。今後、水際対策、その規制も強めていかれると思いますけれども、ぜひとも、国内での感染経路あるいは流通ルートに汚染肉があるいはウイルスが乗っからないような、そんな防疫体制もしっかり講じていっていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それと、ブランド豚の保護なんですけれども、沖縄ではアグーがおかげさまでなかなかの人気でございます。その種豚を守る取組について大臣も前向きな姿勢を示されていらっしゃいますけれども、大臣のお考えと、それから、今後具体的な措置についてどのような方向性をお持ちなのかということをお聞かせください。

江藤国務大臣 やはり、地域にとって、伝統とか文化というものは失ってはならない大切なものだと思います。その中に食文化は当然入っているわけでありまして、アグーは、琉球王朝に起源を発して、大変な沖縄戦を経験されて、そのときにほとんどのものが死滅に近い状況まで追い込まれたものを、戦後、大変な御努力によって復活をされた、その先人の御努力は本当に尊敬に値するものですし、それについては我々は尊重しなければならないと思います。

 私のところも、口蹄疫が発生したときに、いわゆる種雄牛をいかに残すかということが、未来の畜産王国宮崎を復活させる上で大変大きな命題となりました。山の中に逃がした経験がございます。西米良というところの大変山深いところに、今、種雄牛はみんな逃がしております。その経験もあったものですから、これから、豚熱を経験されて、沖縄が復活する過程においては、何としても沖縄の強みであるアグーを残していただきたい。

 五十二例目が確認された次の日に沖縄に行って、知事とお話をさせていただきました。知事も、すぐ結論は出せないけれどもぜひやりたいというお話をしていただいて、自分としては、本当は国の制度からいうと補助率は二分の一なんですけれども、さまざまなことを考慮して、沖縄のアグーの避難については、施設の整備も含めて国の十分の十でやらせていただくということをその場で申し上げたところでございます。行き先は久米島を予定されているということでありますけれども、久米島でCSFの検査を一応やらなきゃいけませんので、行く豚にCSFがあったら元も子もないので、五十頭ぐらいを予定しているという御連絡をいただいておりますが、その検査が済み次第、沖縄県と緊密に連絡をとらせていただいた上で、種の保存という観点から、協力をさせていただきたいと考えております。

屋良委員 大変前向きな御答弁ありがとうございました。非常に具体的な御答弁だったというふうに思います。

 飼養管理衛生基準がこれから強化されますけれども、その中の加熱処理についてお伺いいたします。

 これまでは七十度で三十分、八十度で三分だったのが、九十度で一時間に変わるということでございます。ちょっと変化が激し過ぎないのかなというふうな気もしております。

 沖縄では規模の小さな養豚農家もおりますし、施設投資とか燃料コストが、今後、経営を圧迫するということが考えられる。しかも、沖縄は離島なので、輸送コストが激しいんですよ。かかっちゃうんですね。農家さんによると、養豚業にかかるコストの大体半分ぐらいが飼料代だというふうに国内では一般的に言われているんだけれども、沖縄の場合、本土から飼料を運ばないといけない。七〇%になるらしいです。

 そうすると、もう営業を始める前からそういった足かせというか、スタートラインがかなりセットバックされたところから走り出さないといけない、走っていないといけないというふうな状況でございます。

 そこに来て、それでおいて、加熱処理を、今回、かなり基準を厳格にするというふうな方針が示されているので、結構これは、本当に経営が成り立つのかというふうにかなり悩んでいる農家さんも多いんですね。

 それで、二つお伺いしたいのは、加熱処理の条件変更をいつから導入されるのか、いつからスタートされるおつもりなのかということと、生産農家を守るための政策的措置が必要じゃないかというふうに考えます。何らかの御所見がありましたらお聞かせください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 エコフィードの遵守につきましては、飼養衛生管理基準の中で取り組むということでございます。この施行につきましては、それぞれの関係者の方の意見をお聞きし、相談に乗りながら考えていきたいということでございまして、令和三年四月を予定しているところでございます。

 現在、全国におきまして、エコフィードのセミナー、それから排出される食品事業者の方、それから実際に飼養されている養豚農家、それから餌として加熱している餌業者の方、それぞれの方の意見を聞きながら、新基準が円滑に適応できるよう、いろいろ意見交換しているところでございます。

 今後、それらを踏まえまして、支援策を含めて、きめ細やかに相談に乗ってまいりたいと考えております。

屋良委員 令和三年四月にスタートすると。

 これは、八十度、三分だったのが九十度、一時間というのがかなり、どんと跳びはねたような基準になっている気もするんですけれども、世界の趨勢とか科学的な知見とかというのはあるんでしょうか、お知らせください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 エコフィードにつきましては、CSFのみならず、ASFの主要な感染源であるというふうに報告をされておりまして、各国では禁止に向けて進んでいるところでございます。

 しかしながら、我が国におきましては、食品リサイクル、それから循環資源の観点におきまして、利用も進めるべきだという御意見もございました。

 これも審議会の中で先生方に御議論をいただきまして、国際基準の中で、今は、いわゆるウイルスを不活性化する基準といたしまして、肉中のウイルスの不活性化の基準、これが現在の七十度、三十分でございますけれども、国際基準、OIEコードの中には、スウィルフード、いわゆる残飯の中のウイルスを不活性化する基準というのがございます。これが九十度、六十分、基本的に九十度、六十分ということでございます。

 我が国におきましては、この厳しい基準を適用することによりまして、循環資源社会の中のぎりぎりの線ということで、この基準を採用するということにしたところでございます。

屋良委員 ありがとうございます。

 厳しい基準をどれだけの農家さんがクリアできるのかというのは、今後、その推移を見ていかないといけないと思いますけれども、でも、私は個人的には、食品リサイクル、エコフィードと今回の豚熱対策は両立させていただきたいなというふうな気がするんですね、もったいないということですよ。

 だけれども、これだけ基準が上がると営業を継続できない農家さんたちが出てくる可能性があって、これは次第にエコフィードが淘汰されていくんじゃないのかな、そんなことも思ったりするわけですね。ぜひとも、そこは何とか、日本独自の取組か何か、循環社会をつくる、農業にも循環システムを構築していくというふうな、そんな新しい取組というのをぜひとも考えていただきたいというふうに、ここは要望で終わらせていただきたいと思います。

 最後に、豚熱の発生農家さん、その周辺の搬出制限区域内の農家さん、沖縄でも感染が発覚してからほとんど出荷ができない状態で、収入が途絶えている状態でございます。移動制限、搬出制限が解除されても、営業が軌道に乗るまでには今後約一年ぐらいかかるんじゃないのかなというような見通しを持たれているんですね。

 今現在、その後始末とか消毒とか、出荷再開への準備で従業員さんに働いてもらっているんですけれども、その給料をつくり出す、捻出するのも大変な思いだというような状況であります。

 ところが、今回のCSF対策の中で雇用調整助成金の制度が使えないというふうに伺っているんですけれども、どうも雇用安定という観点からこの問題を見てみると、今起きている新型コロナ対策と比較せざるを得なくなって、子供を休ませている親御さんに日当を払っているんだけれども、CSF対策で、その後始末で一生懸命頑張ってくれている従業員の人たちへの手当てがないというのは、どうもちょっと格差感があるんですね。その辺、何らかの手当てはないのかなというように感じたりしますけれども、大臣、御答弁よろしくお願いします。

江藤国務大臣 先生御存じのように、雇用調整助成金は厚労省の所管でございまして、農林省としては、制限区域内の農家で出荷の遅延によって生じた売上げの減少、その間の、御指摘のあった飼料代、これについては、制限の解除後になりますけれども、県が助成することができます。これは家畜伝染予防法に基づいてやるわけでありますが、助成していただいた金額のうちの二分の一については国で見させていただくということを考えております。

 これに重ねて、手当金とか減収額を出すということでありますから、これにあわせて雇用調整助成金も同時並行的にやるということになると二重補助という話になりまして、ちょっとまだ、私としても話はしてみたんですが、やはりなかなか、今回はどうしても制度上越えられない壁だということでありますので、きょうのところは御理解いただいて、またいろいろ御意見をいただければというふうに思います。

屋良委員 どうもありがとうございます。

 つなぎでなかなか資金繰りが難しい、公庫とかから既に借金をしていると、改めてそれを借金する体力があるのかとかと、いろいろ現場では頭の痛い悩ましい問題を抱えているというふうに聞いているんですね。

 その辺も、ぜひ何らかのフォローをしていただけると大変ありがたいということを申し述べて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

吉野委員長 次回は、明十二日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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