第5号 令和2年3月17日(火曜日)
令和二年三月十七日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 吉野 正芳君
理事 池田 道孝君 理事 齋藤 健君
理事 谷 公一君 理事 野中 厚君
理事 細田 健一君 理事 石川 香織君
理事 近藤 和也君 理事 濱村 進君
泉田 裕彦君 稲田 朋美君
今枝宗一郎君 上杉謙太郎君
金子 俊平君 神谷 昇君
木村 次郎君 小寺 裕雄君
坂本 哲志君 笹川 博義君
杉田 水脈君 鈴木 憲和君
高鳥 修一君 永岡 桂子君
西田 昭二君 福山 守君
古川 康君 宮腰 光寛君
宮路 拓馬君 簗 和生君
青山 大人君 大串 博志君
神谷 裕君 亀井亜紀子君
源馬謙太郎君 佐々木隆博君
佐藤 公治君 篠原 孝君
関 健一郎君 中島 克仁君
長谷川嘉一君 広田 一君
緑川 貴士君 伊藤 渉君
石田 祝稔君 田村 貴昭君
森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 江藤 拓君
法務副大臣 義家 弘介君
厚生労働副大臣 橋本 岳君
農林水産副大臣 伊東 良孝君
外務大臣政務官 中谷 真一君
文部科学大臣政務官 佐々木さやか君
農林水産大臣政務官 河野 義博君
国土交通大臣政務官 和田 政宗君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 菅家 秀人君
政府参考人
(出入国在留管理庁出入国管理部長) 石岡 邦章君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 山名 規雄君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉永 和生君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 新井ゆたか君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(水産庁長官) 山口 英彰君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 磯野 正義君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
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委員の異動
三月十七日
辞任 補欠選任
稲田 朋美君 杉田 水脈君
青山 大人君 関 健一郎君
広田 一君 中島 克仁君
緑川 貴士君 篠原 孝君
石田 祝稔君 伊藤 渉君
同日
辞任 補欠選任
杉田 水脈君 稲田 朋美君
篠原 孝君 源馬謙太郎君
関 健一郎君 青山 大人君
中島 克仁君 広田 一君
伊藤 渉君 石田 祝稔君
同日
辞任 補欠選任
源馬謙太郎君 緑川 貴士君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)
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○吉野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長塩川白良君、生産局長水田正和君、経営局長横山紳君、農村振興局長牧元幸司君、水産庁長官山口英彰君、内閣府地方創生推進事務局審議官菅家秀人君、出入国在留管理庁出入国管理部長石岡邦章君、財務省大臣官房審議官山名規雄君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君及び国土交通省大臣官房審議官磯野正義君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○吉野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。
○篠原(孝)委員 おはようございます。国民民主党の篠原孝でございます。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、今、谷理事から御指摘を受けたんですが、ちょっと盛りだくさんの質問内容になっておりまして、時間が足りなくなったり、途中で追加のがあったりしましたので、まことに済みませんけれども、私も手短に話すつもりでございますけれども、手短にお答え、端的にお答えいただくことをまずお願いいたしたいと思います。
それで、先週の質問通告に入っていなかったんですが、非常にいかがわしい改正が行われようとしているので、これについて、国土交通省、政務官に来ていただいていますけれども、これは一度もう徳永エリ参議院議員、同僚の議員がやっていますので、端的にお答えいただきたいと思います。
皆さん、御存じない方が多いと思いますけれども、海技士が少なくなった、だから、プレジャーボート用の小型船舶操縦士を入れるだけで、それだけで船を動かす、漁船をですね。もう本末転倒、江藤大臣の答弁は的確でした、これは本末転倒だと。人が足りなくなったから簡単な資格で漁船を動かそうと。今まで、船長とか機関士とか、ちゃんと船を動かせる資格のある人が船に乗らなくちゃいけないのに、それを、またこれもよくないんですけれども、規制改革会議、そちらの方で規制改革、規制改革というんで、それで簡単に船を動かせるようにしろと。
もってのほかだと思うんですけれども、これはまだやるつもりなんでしょうか。和田政務官。やめてほしいんですけれども、こういうのは。
○和田大臣政務官 お答えをさせていただきます。
規制緩和として、国土交通省としては推進をしていく方針でございます。
なぜこの規制緩和を行うかというところでございますけれども……(篠原(孝)委員「いや、もういいです、時間ないから。やるかやらないか。やるんですね、まだ」と呼ぶ)はい、その方向で進めております。
○篠原(孝)委員 大臣も聞いておられておわかりいただいていると思いますけれども、僕は人の命というものは大事だと思うよ。規制緩和、ビジネスのところへ参入規制をして競争させない、それは規制緩和です。だけれども、命を守ることについて、環境を守ることについてなんか、そんなのを規制緩和というのはとぼけていますよ。
今回の新型コロナウイルスの関係で一斉休校にした、これはいろいろ問題があると言う人もいますけれども、私は命を守るためには必要だと思います。ただ、程度の問題ですけれどもね。私のところなんかは、濃厚接触といっていますけれども、人に会いたくたって会えないような過疎地で、そんなところの小中学校まで休校しなくちゃいけないというのはよくないですけれども、それは命を守るために必要なんですよ。
それを、漁船員が何人も乗っている、資格もないと。言ってみれば、バイクの免許しか持っていないのにマイクロバスの運転を許す、マイクロバスの運転手が足りないからしようがないんだと。
私は、これは問題だと思うんです。規制改革会議なり、国家戦略特区、有識者会議がいろいろ注文をつけてきますよ。これを蹴散らしていただきたいんです。農林水産省の、その辺にいる人たち、事務方もちゃんと心得ていただきたいんですけれども、農林水産行政なりこういった行政をやるのは、国土交通省なり農林水産省なんです。大臣には頑張ってこれを蹴散らしていただきたい。こんなのは本末転倒で、人手不足だといってそんないいかげんなことをしたら、ますます漁船に乗る人が少なくなりますよ。
絶対こんないかがわしい省令改正はさせないようにしていただきたいと思います。大臣、いかがですか。
○江藤国務大臣 この間、徳永先生から御質問いただいて、自分も、地元でどのように受けとめられているのか、お聞き取りをいたしました。
最初、私も徳永先生から問題提起いただいたときに、やはり海は危険な場所ですから安全に操業できるということはとても大切で、これが担保されないと、事故が多ければ漁労に従事する人も減ってしまうという悪循環にもなりかねないので、どういうことかということを聞いてみたんですけれども、機関士とか操縦士の資格を持っている人たちが、最近は多くの人が貨物船にどんどん移籍をしてしまって、まず人手が足りないと。それで、このままでは、船はあっても操業できないような状況になりかねぬよ江藤君と。だから、なるべく一人でもできるようにしてもらった方が自分たちとしてはありがたいという意見もありました。
ですから、その規制緩和自体が悪いかどうかについては、なかなか、蹴散らしてくださいと言われて、蹴散らすとも言えないんですが。
しかし、これは、私は、農林水産行政を一応今預かっておりますので、やはり現場の声を聞くことが大事だと思っておりますので、この間、御質問いただいて、さまざま御意見いただいておりますので、また国交省ともしっかり話をしたいと思います。
○篠原(孝)委員 こういうのはなまくらな解決をしてはいけないと思うんですね。
僕は、現場の苦労もわかると思うんですけれども、もっと根本的に解決しようというのは、人手が足りないじゃなくて、ちゃんと、宮崎でもいいですよ、どこでもいいですけれども、漁村に人が住めるようにというのは、ちゃんと給料も与えて、資格も与えて、そこに住めるようにするのが先決なんです。人が住めないから、だめだから貨物船に行ってしまう。みんな外国人になったりしているんですよ、船員なんかね。それを直すには、きちんと働きやすい職場環境にしてやっていくべきなのに、逆にするというのはよくないと思います。
ただ、きょうは、このことをちょっとくぎを刺すだけにとどめさせていただきまして、時間が大分過ぎましたので、本論に入らせていただきます。
家畜伝染病予防法の改正は、悪いところなんか一つもないです、大賛成です。足りないところがあるので、足りないところだけ、こうしたらいいんじゃないかということだけで質問させていただきたいと思います。
それで、質問の通告の順番とちょっと違うんですけれども、まあ二十五分間ぐらいですから、すぐにおわかりいただけると思いますけれども。
豚熱の水際対策、それから新型コロナも一緒なんですが、資料の一番後ろのページを見ていただきたいんです。
いつも私は表をつくってきているんですが、これは、なかなかこの問題がわからない人でも見るとわかるように誘導する表になっていますから。ちょっと、そんなことじゃないんじゃないかなと疑問を持ちながら聞いていただければ結構です。
似ているんですよ、今度の新型コロナウイルスのこととアフリカ豚熱あるいは豚熱。ワクチンがないんです、伝播力がある。それから、よく見ていてくださいね、二重丸というのは「改正の理由になる」と。「改正理由になりにくい」というのは、これは私の主観でみんなやっていますけれどもね。これはちょっとよくないなと思うんですけれども、皆さんにわかっていただくためにわざわざしています。そして、一番右側がフーリガン対策になっている。これと同じようにやっていただきたいということでね。
やはり悪いにおいはもとから断たなくちゃだめでして、今回の大騒ぎも、水際対策をもっとぴしっとやっていればこんなふうにならなかったんだと思いますよ。「肉製品を保持する者」というのはまさにそれでして、入ってきてもらっちゃ困るんです。これを水際でストップする、これ以外にないと思うんです。
それで、今、新型コロナウイルスが大変になっていまして、何か、きょうの新聞とかによると、五十四だか六だかが日本人の入国を禁止し、そして、八十何カ国が入国は認めても十四日間行動制限をされるというふうになっていますけれども、ほかの国は一体どういう法的根拠で入国制限をしているんでしょうか。外務省、お答えいただきたいと思います。
○中谷大臣政務官 先生の御質問にお答えいたします。
外務省といたしましては、在外公館を通じ、各国の新型コロナウイルスに関する入国制限措置等の実施状況について調査を行っているところであります。
主要国の中で申し上げますと、英国はいわゆる入国禁止の措置はとっていないと承知をしております。一方、米国、オーストラリアの両国は入国禁止措置を講じ、ドイツについては、オーストリア、スイス、フランス等の国境で暫定的な国境管理を開始したと承知しているところであります。また、EUにつきましても、EU、シェンゲン領域外からの入国制限を実施することを昨日発表したというところであります。実施時期の詳細については今確認中であります。
米国につきましては、移民国籍法等に基づく大統領宣言により、米国の入国前の過去十四日間以内に、香港、マカオを除く中国、イラン、シェンゲン領域国二十六カ国、英国又はアイルランドに滞在歴のある外国人の入国禁止措置を講じていると承知をしているところであります。
オーストラリアにつきましては、移民法に基づき、オーストラリアへの入国前の過去十四日間以内に、中国本土、イラン、韓国又はイタリアを出発し又は乗り継ぎをした外国人の入国禁止措置を講じていると承知をしているところであります。
また、ドイツによる暫定的な国境管理につきましては、シェンゲン国境規則を根拠としていると承知をしているところであります。
また、先生からありました……(篠原(孝)委員「法的根拠だけをちゃんと言って」と呼ぶ)はい。法的根拠につきましては、まさに、米国につきましては……(篠原(孝)委員「いいです、それだけでいいです」と呼ぶ)よろしいですか、はい。
以上です。
○篠原(孝)委員 答弁していただきたかったのは、ほかの国はきちんと法律があって、びしっと制限しているということですね。そうじゃなかったら、私は、日本も、何でそんなことをしているんですか、そこまでするんですかと抗議してもいいと思います。だけれども、これは緊急事態だから、法律がなくてもやってもいいと思いますけれどもね。
では、今度、義家法務副大臣に伺います。
去年の農林水産委員会で、副大臣は非常に意欲的に答えていただきました。入国管理難民法の第五条の第一項第十四号で、日本国の利益、これは公序を害する者は法務大臣が入国を拒否できるんだ、だから肉製品を所持している人を、別途法律改正して設ける必要はないんだとお答えになりました。
私はそういうやり方もあるのかと思っていましたら、年が明けたら、そのころは全然新型コロナウイルスはなかったんですが、日本はどうしたかというと、まさに法務副大臣がお答えになったこの条文をもとに、閣議了解で入国拒否しているんですね。私はへえっと思いました。
それならば、ちゃんとやっていただきたい。いつまでこれでやるのか、そのぼやっとした規定で。こんな、何かほわっとした規定でやるのはいかがなものかと思います。日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがある者、これだというんですね。これはやはりこのまま放置しておくのはよくないです。だから、きちんと法律を直すべきです。
一番簡単なやつ、感染症が、第一号に、指定感染症の患者又は新感染症の所見がある者と書いてある。所見はないんですよ、菌を持っているかどうかわからない、その人も入国を禁止するわけですから。これは簡単で、一号の二に書き加えればいいんです。
それと同じように、肉製品の保持者も同じようにこれで禁止してもらいたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。これは絶対に二つを同時にやっていただくことが、日本国の利益を守り、公安を害することがないと思うんですが、お答えいただきたいと思います。
○義家副大臣 お答えいたします。
まず、輸入禁止畜産物を所持する者についても、現行入管法において、上陸審査の過程でこれを違法に持ち込んで売買しようとしていることが判明したような場合、在留資格により本邦において行うことができる活動を行おうとするとは言えないと認められるときは上陸拒否が可能でございます。
また、豚熱ウイルス等を本邦内で拡散するなどの目的で同ウイルスに感染した畜産物を持ち込もうとする外国人について、入管法五条一項十四号に該当する場合にも上陸を拒否することが可能でございます。
まさに、現行入管法の規定は、我が国の社会にとって好ましくない外国人の上陸を拒否し得るものでありまして、法務省としては、引き続き、入管法に基づき水際対策に万全を期してまいりたいと思っております。
○篠原(孝)委員 新型コロナウイルスについてはどうなんですか。このまま閣議了解だけでやり続けるんですか。それはおかしいと思います。法治国家とは言えないと思いますね。法律をきちんと改正するべきだと思いますよ。新型インフルエンザの特措法すら改正したんですから、この法律こそ改正すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○義家副大臣 新型コロナウイルスに関しては、法務省においては、累次の閣議了承及び政府対策本部における報告、公表などを踏まえた上で、新型コロナウイルスの感染症の感染が深刻な地域における滞在歴等がある外国人に限定した上で、入管法五条一項十四号に基づいて、我が国の利益又は公安を害するおそれがあるとして、迅速に上陸拒否の諸措置を講じたところでございます。
○篠原(孝)委員 皆さん、聞いていておわかりいただけると思いますけれども、国内対策では、きちんと法律が必要だといって、改正までしているんですよ。それで、外国人を入国拒否するのに、そんな閣議了解というか、こんなふわっとした規定でやり続けるというのは、国際社会に対して私は失礼だと思いますよ。きちんとやるべきだと思います。閣僚の一員として、これはぜひちゃんとやるようにしていただきたいと思います。
それでは、最後、これはちょっと時間が足りなくなったんですが、ばあっとやりますから聞いていただきたいんです。表をまた見てください。
家伝法にかかわることでして、獣医。獣医さんにいっぱい働いていただきたいと思っているんです。先ほど、漁村に人が住めるようにということを申し上げましたけれども、同じなんです。
まず、一ページ目の表を見ていただきたいんです。獣医学部あるいは畜産学科の女性の比率ですよ。
これを見ていただきたいんですが、物すごくふえているんですね。一九七〇年には、女性は七・三%、一〇%未満だったんです。どんどんふえて、今や、二〇一九年、六割、五八・五%です。勉強もできるんですね、女性は。それで、動物、犬猫かわいいというので勉強して、幸せだと思います。その延長線上で、大学に行くときも学部を選んで、そして獣医さんになるという。
次、右側、その二ページ。各大学の女性割合です。
一番多いのは鳥取大学で、私はびっくりしたんですけれども、医学部では女性を何か差別して足切りとかをやっていたんですが、獣医学部はそういうことをしていないんでしょうね。立派だと思いますね。下の私立大学のところ、二番目が日本獣医生命科学大学、三番目が日本大学、六割をいずれも超えているんです。一番女性比率が少ないのは東京大学ですね。これだけふえている。
こういった人材をどうやって育成するかというのは、三ページ目を見ていただきたいんですが、分野別獣医師の推移と男女の割合というのがあります。
これを見ていただくと、一九六〇年のころは統計表がないところもあるんですが、一番右だけ見ていただくとわかると思います。分野別の産業動物診療は一五・五%なんですね。だから、大学の方は女性がふえているんですけれども、現場ではまだそれほどふえていない。まあ、わかるんです。その後の公務員で、農林水産分野と公衆衛生分野、公衆衛生分野が四二・六%、女性比率が一番大きいところ。それから、やはり傾向としては、犬猫病院というか、そちらの方に多く行っているんだろうと思います。三四・三%で、公務員の分野に次いで大きいんですね。
だけれども、やはり産業動物の診療にもいっぱい当たっていただきたいと思っているんです。ですけれども、改善されているんです。四ページを見ていただきたいんです。
平成三十一年三月の卒業者はどういったところに行っているかというと、さま変わりなんです。私はてっきり、圧倒的に小動物診療のところに多く行っていると思ったら、公務員にも、公衆衛生のところにも行っている。何と、在校生は六〇%で、一二%低いんですが、四八%も女性なんですね。だから、女性も、男と一緒にやっていこう、こういう人たちが多いんです。
それで、こういったことなんですけれども、まず、文部科学省からおいでいただいているので、伺いますが、さっき、ないんだろうということを見ましたけれども、私は、こうやって意欲的な女性がこの畜産分野、獣医の分野にも入ってくるのは大歓迎なんですけれども、まさか、医学部と同じように、女性の足切りなんてしていないでしょうね。それについてちゃんと調査したことありますか。
○佐々木(さ)大臣政務官 先生から御指摘がありました、複数の医学部医学科の入学者選抜において女性差別、年齢差別とも言えるような不適切な取扱いが判明をいたしましたことに関しましては、文部科学省といたしまして、平成三十年十二月に公表した緊急調査、最終まとめにおきまして、九大学において不適切な事案、一大学について不適切である可能性が高い事案と指摘をしたところでございます。
こうした事実を重く受けとめまして、文部科学省では昨年六月に、医学部医学科に限らず獣医学部も含めた全ての学部・学科の入学者選抜における公正確保のための共通ルールを示した大学入学者選抜実施要項を各国公私立大学宛てに通知をいたしました。
この大学入学者選抜実施要項では、合理的理由がある場合を除き、性別、年齢等の属性を理由として一律に取扱いの差異を設けることといった公正性を欠く不適切な合否判定は行わないこととしておりまして、各大学において、獣医学部も含め、これに基づき入試の公正性が確保されるよう更に徹底をしてまいりたいというふうに思っております。
○篠原(孝)委員 それでは、時間がないので駆け足で済みませんけれども、五ページを見ていただきたいんです。
これだけ鳥獣被害、大体二百億円ぐらいです。減ってきていますけれどもね。皆さんおわかりだと思います。台風被害、私のところは台風被害はひどかったです。ですけれども、台風十九号であんなふうになるのは六十年に一遍だろうというので、やる意欲は湧くんです。ただ、鳥獣被害はまた来年もことしもと続くから、やる気がなくなるんです。耕作放棄地がそれで出てきているんです。だから、実際の被害金額はこれですけれども、やめているのがあるから、累積が物すごいんです。台風被害より、これはずっとひどいんですよ。
これはお父さんの、谷先生が、猿が命乞いをする質問、この質問場面を覚えておられる方はほとんどいませんけれども、爆笑をしながら、いかに深刻かということをやられたのがあるんです。それ以来もう何年もたっていますけれども、全然解決していないんですよ。この数字、どれだけイノシシやニホンジカがふえているかというのが、これでおわかりいただけると思います。
それで、これは提案です、大臣、二つとも。ちょっと時間がないのでお答えいただきたいと思いますが、二つです。
一つは、こうやっていっぱい女性がなったりしてくれている、それで、獣医師が不足をしている。これは医師も同じなんですけれどもね。偏在ですよ、地方と都会と。みんな都会にお医者さんがふえてしまう。
国家試験、獣医師試験もそうです。医師の国家試験もあるんだ。私なんかは農林水産省に三十年いまして、公務員をやっていまして、希望調書にいつも地方に行かせてほしいと書いたのに、一回も地方に行かせてもらえないんです。一回も地方に行っていないのが事務次官になっているんですけれども、私はなりませんでしたけれども。本省でこき使われて、外国に二回行っていますけれどもね。
それで、あっちこっち、僕の同期で一番多いのは四回、地方に行っていますよ。紙切れ一枚で行くわけですよ。同じような国家試験で、国家公務員や検事や裁判官、みんなどこにも行かされる。同じであって、医師の国家試験、いっぱい財政支援をして大学を運営しているわけです。だから、少しは言うことを聞いてほしい。三年から五年、まあ何年でもいいんですけれどもね、国が指定したところで診療活動をしてほしいという義務づけをしてもいいと思うんですが、それを獣医師の世界で先にやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 気持ちは全く同じでございます。全く同じなのとできるのとは若干違うということではあるんですけれども。
今、補正から和牛の増頭対策事業をやらせていただいて、十四万九千トンしかできない和牛を倍にしたいという計画も立てました。ということになれば、当然獣医師の数も実働的に必要になっていきますので、大動物の獣医師を確保しなきゃいけないという問題意識は高く持っております。
先生も御存じのように、奨学金の制度があって、二分の三、だから六年受給したら九年間は就業しなきゃいけない、これのオブリゲーションは今はあるんですけれども、それ以外の人は全くないんですよね。
ですから、何とかそういう方向に持っていきたいとは思いますが、自費で完全に修学をして資格も取った方に対して、国家資格だからこれは義務だということを押しつけることが果たして可能かというと、なかなか難しいんじゃないんですかね。どうなんですかね。難しいと思うんですけれども。
○篠原(孝)委員 大臣、優しいなと思いました。
緊急事態宣言をしていろいろやったりする、だけれども、そういう公徳心というのを持っていただきたいと思うんですね、獣医師や医師にも。だから、僕はそれをやったら応ずる人は何人もいると思うんです。ぜひやっていただきたいと思います。(江藤国務大臣「義務とおっしゃったですよね」と呼ぶ)いや、課してもいいと。要請でもいいんです。今、休校も要請しているわけですから。日本人は素直ですから、みんな聞くんです。(江藤国務大臣「要請ですか」と呼ぶ)要請でもいいですから、それをやるべきだと思います。
それで、それじゃなくて、できるのがあるんです。次です。数字をまた見ていただきたいんです。林野庁。林野庁の職員、四万人もいたのに、今四千。十分の一というか、八分の一です。
それで提案なんですが、地方に仕事をつくらなくちゃいけない。仕事をつくらなくちゃいけないというのじゃなくて、民間に任せていたらできないです。
これは皆さん、御存じないと思います。戦後、農林水産省の役人というか、優しかったんです。国が、私は厳密に完璧に調べ上げたわけじゃないんですけれども、終戦後、いっぱい、食糧事務所、営林署、統計情報事務所に人を採用しているんです。どうしてしたかというと、いっぱい引き揚げてきた人たちに仕事がない、国が仕事を提供しよう、そんなに要らないんだけれども、仕事を、ちゃんと地方に定着してもらうためにということでやったんです。偉いと思いますよ。同じことを我々は考えるべきだと思います。森や何かは国が守るべきです。動物の管理も国がやるべきだと思います。
それで、野生動物は環境省の所管になっていますけれども、別に今度、家伝法で、イノシシも家伝法の対象にしたんです。猿や鹿はしていないかもしれませんけれども。
○吉野委員長 時間がたっておりますので、結論をお急ぎください。
○篠原(孝)委員 はい。
ですから、この獣医師の皆さんを農林水産省、林野庁で採用して、森林管理署に配置して、そして野生動物の管理をしていただく、これをぜひやっていただきたいと思います。そうしたら、地方にいっぱい人が行くようになりますし、ちゃんと管理もできますし、一石三鳥か四鳥か五鳥になると思うんですけれども、どうでしょうか。
○江藤国務大臣 絶対数が確保できれば、森林管理署の方にも職員を回すことは有効だと思います。
しかし、本省と全国の農政局合わせても四百人いないという状況のもとで、例えば、沖縄でこの間豚熱が出ましたけれども、リエゾンも含め、たくさんの人間を、獣医師も含めて五十とか六十とか七十というロットで派遣をしなければならなくなる、そのときには本省ももちろん対応しなければならなくなる。ですから、全体の総数が確保できない上で、今の時点で森林管理署で野生動物の管理だけを用務として獣医師を雇うというのは、ちょっとどうですかね、現実的ではないのではないかと思います。
今、動植物検疫とか、そういったところでとても人手が足りない状況の中にあります。ですから、今休んでいる人とかOBとか、潜在的な、資格を持っていて働いていない人たちを掘り起こすことができれば、そういうところにも採用枠をつくることは可能かもしれませんけれども、いずれにしても、環境省ともちょっと話をして、不要だと言うつもりはありませんが、現実にすぐにそういうことに向かうのは、もうちょっと絶対数をふやさないと難しいかなというふうに思っております。
○篠原(孝)委員 時間を超過して、ありがとうございました。この続きはまた次回にさせていただきたいと思います。ぜひやっていただきたいと思います。
○吉野委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
家畜伝染病予防法の一部改正案について質問します。
最初に、家畜の所有者の責務についてであります。
改正案二条では、家畜の所有者、国、都道府県、市町村、関連事業者の責務を明確化するとしています。そして、二条の二では、飼養農家は、悪性伝染病の発生予防、蔓延防止について第一義的責任を有していることを自覚し、適切な衛生管理を行うよう努めるとしています。
伺います。
なぜ責務の明確化で家畜の所有者を国や自治体の前に持ってきたのか、悪性伝染病の発生予防、蔓延防止について第一義的責任を有している、この第一義的責任というのはどういう意味なんでしょうか。説明していただけますか。
○江藤国務大臣 第一義的という言葉について御質問ではありますけれども、責任をその農家に重く押しつけるという趣旨ではまずございません。
ただ、今回の要件の中で、発生事案を検討してみますと、発生しても通告が極めて遅くなってしまったとか、飼養衛生管理基準を守っていただきたいという指導やお願いをしても、なかなかそれを守っていただけないというような事案もあったこともまた事実でございます。その発生の早期発見、早期通報、これをやっていただかないと、蔓延を防止することは現実的には不可能でございます。
ですから、今回の家畜伝染予防法のもとでは、農家の負うべき責任、それから自治体の権限、そして国の責務、そういったものを明確にする中で、まず、最終的にというか、最初に、一義的に農家の方々がしっかりとした対応をとってほしいということを明確にするためにこのような書きぶりになって、第二条の第二にこう書いたわけでございます。
○田村(貴)委員 大臣、ここが一番大事なところだと思うんですけれども、今、豚熱の感染拡大の中において、飼養衛生管理、これを徹底していくというのは大事なことだと思うんですよ。防疫体制の中で、やはり第一次防衛線は物すごく大事なことだと思うんです。
なぜ、おととしの九月に豚熱が発生したのか。輸入検疫を受けずに持ち込まれた旅行者の手荷物や国際小包などによってウイルスが侵入したからではないですか。水際で防止できていたら、今日の事態は生まれていないんですよね。
第一義的責務というのであれば、国にも同等の責務が私はあると思うんです。ですから、農家に第一義的な責務があるというような表現は、私は適切ではないというふうに思います。
先ほど、農家に責務を押しつけるものではないと大臣答弁があったことは受けとめました。
飼養衛生管理について伺います。
改正案にある管理区域出入りの際、消毒農場ごとの飼養衛生管理者、責任者の選任、国、都道府県による指導、勧告、命令などの対策強化は必要であると考える、これは必要であると考えます。
知事は命令違反者を公表できるようにし、さらに、悪質な違反者には罰金額を大きく引き上げています。
そこで、お伺いしますけれども、ここを余りに厳格に運用してしまうのであれば、畜産というのは高度に衛生管理ができる農家に収れんしてしまうのではないか、こういう声もあります。見解を求めたいと思います。
○江藤国務大臣 基本的に、養豚業に限らず、大規模、中小規模にかかわらず、皆さんに頑張っていただきたいというのは基本的な考え方でございます。
その上で、小さい農家についてはなかなか、例えば防護柵をつくるにしても、お金がないとか、いろいろな事情があるかもしれません。しかし、小さいところが、では資本力がないかというと、決してそういうことではなくて、小さければ面積も小さいわけで、防護柵の総延長も短くなります。
そして、今回、二分の一の補助ということにさせていただいて、大体の都道府県においては、残りの二分の一の更に二分の一を見ていただいています。地方によっては、残った四分の一を当該都道府県が、市町村が見てくれているところもありますので、農家負担ゼロで防護柵等を設置できているところもあります。
それは、地方によってばらつきはありますけれども、しかし、これをやりませんと、結局、先代、まあ初代の方もいらっしゃるかもしれませんが、一生懸命築いて、増頭してきたその養豚が、全頭殺処分をして、一年ぐらいはまた空舎の期間が出て、大規模な損害をこうむるということを考えれば、やはりしっかりとした防疫基準を守っていただいて、防護柵等も設置していただくということは、国も支援しますけれども、農家の方々にも御理解いただいて、やっていただくべき事案ではないかというふうに考えております。
○田村(貴)委員 衛生基準を守っていく、そのために国の支援はしっかりやっていく、これについては物すごく大事なので、後でまた質問させていただきたいと思います。
次に、豚熱の予防的ワクチン、トレーサビリティーについて質問します。
農水省は、去年八月九日に、ワクチン接種の考え方を出しました。
懸案事項として、「ワクチンを打った豚であっても、その豚のみならず生肉も感染源となり得る(流通関係者の協力のもとでの流通経路の確認・制限(トレーサビリティ)が必要)」と説明をしていました。
しかし、そういう対策をとらずにワクチン接種が開始されました。どうしてでしょうか。そうした措置は不要だったということでしょうか。
○江藤国務大臣 どのような食品も、実現可能であればトレーサビリティーを導入することは大変有効だというふうにまず考えております。
その上で申し上げますが、豚の場合は大体年間九百十五万頭生産されます。牛の場合は三百八十三万頭ぐらいです。そして、牛の場合は、鼻紋もとって、耳標もとって登録をしていますが、それは、登録協会という大きな全国組織があって、その組織のもとでデータ管理もされているわけであります。そのもとで、誰が生産者で、どこで育てられて、どういう流通経路をたどったかとトレサができるわけでありますが、これをもしやるということになると、農家の方々にも経済的にも大きな負担が生じるということも片方問題があります。
そして、一番トレサが有効なのは、食中毒とかそういうものが発生したとき。豚熱の感染経路の解明というよりも、そちらのときに流通経路を解明するのに極めて有効だということであって、一番大事なことは、必要な加熱処理をされた上でエコフィードとして豚に給餌されることによって、食べ物由来の感染拡大を防ぐということでありますから、今後必要になってくることは、トレサも、できるのであればやることの有効性は否定いたしませんが、やはり今後、エコフィードにおいては、加熱水準も見直させていただきますけれども、しっかりとした基準を満たしたものを給餌していただくということが大事になってくるのではないかと思っております。
○田村(貴)委員 そのエコフィードの食品残渣に、ウイルスが混入する肉あるいは肉製品が入るということがあり得るんですよね。今回の事態というのは、こういう教訓があるわけなんですよ。なぜ豚熱は沖縄に飛んでしまったのか。
沖縄で突然発生したCSF、豚熱は、岐阜県のウイルス株由来であります。野生動物の感染は、沖縄ではありません。ですから、この豚熱ウイルスは、中部、関東の発生県から肉あるいは肉加工物製品となって沖縄に持ち込まれた可能性があります。したがって、当時の、去年の農水省の説明では、ワクチンを接種したところで十分な免疫を獲得できる個体は約八割にとどまるとしたんです。そうですよね、局長。八割と言っていましたよね。したがって、予防的ワクチンであっても一〇〇%感染は予防できないんです。感染した豚が製品となって、つまり、ウイルスを持ったまま流通する可能性は、これはあるわけなんですね。否定することができないんですね。ですから、やはり沖縄に飛んでしまったというのは、こういう教訓を踏まえなければいけないというふうに思うわけです。
大臣うなずいておられたので、では、エコフィードについてお尋ねします。
エコフィードの使用に当たって、これまで七十度三十分の加熱でありました。今度は、飼養衛生管理基準の改定で、九十度で六十分加熱して、しかも攪拌しなければならないというふうにされています。しかし、加熱時間の二倍化というのは、やはりコストアップにつながります。手間もかかります。
エコフィード活用は、そもそも政府主導で進めてきたものであります。十分な支援があってしかるべきであると思いますけれども、加熱用の釜に二分の一の補助をするという交付金事業があるというふうには聞いていますけれども、それを踏まえて更に大きな支援というのがこれから必要になってくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 エコフィードの加熱水準を上げるということは、あくまでも農家のためでございます、まず申し上げたいことは。
沖縄でエコフィードを給餌しているところを徹底的に調査をいたしましたが、なかなか、現段階でも全てではないというような状況も実はございます。しかも、それを七十度から九十度に上げるということであれば、釜の性能も当然上げなければなりませんので、これから整備をしていただくに当たっては、国として何らかのことを考えねばならないという問題意識は十二分に持っております。
○田村(貴)委員 ワクチンを打った豚が一〇〇%抗体を持たないといったところで製品として流れてしまうということで、農水省はトレーサビリティーが必要だと言ってきたんだけれども、これをやるにはなかなか現実的に難しい問題もあると。
どういった方策が大事だというふうに大臣はお考えですか、そうであるならば。
○江藤国務大臣 繰り返しになって恐縮ですけれども、岐阜のイノシシと大変近縁であるということでございましたが、もう正直、これをどう追跡していいか、非常に努力はいたしましたけれども、難しかった。やはり食品残渣から多分入ったのであろうということが強く疑われるという結果でございます。間違いないということは言えないところでございます。
ですから、やはり全国からいろいろな人が沖縄には旅行も行かれますし、いろいろな人の滞留もありますので、豚に給餌される場合には、やはり九十度という基準をしっかり守っていただいて、熱処理をした上で攪拌して、それを給餌していただくということをこれから徹底することが更に大事になるのではないかというふうに思います。
○田村(貴)委員 豚熱の国内感染、侵入を許してしまったという一つの教訓、そしてもう一つは、ワクチンを接種したところの教訓も出てきた。やはり私は、大事なのは動物検疫であろうというふうに思うわけであります。
アフリカ豚熱が中国、韓国の隣国に広がって、日本への上陸を絶対に阻止しなければいけないと思います。
昨年、私は羽田空港で、あるいは川崎の郵便局で、動物検疫業務を見させていただきました。探知犬の能力に驚きました。そして、限られた人員の中で懸命に動物検疫に当たられているその職員の姿を目の当たりにしました。本当にお疲れさまで、もっと体制を強化しなければならないなというふうに感じたところであります。
そこでお伺いしますけれども、空港や港における輸入違反品の摘発件数について、数字を教えてください。二〇一八年、二〇一九年、これは速報値ですね、総件数と総重量についてだけでいいですから、この二年分の数字を教えてください。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
検疫所で摘発されました件数とそれから数量ということでございます。
二〇一八年が、件数でいたしますと九万三千八百九十七件、二〇一九年は、速報値でございますが十一万五十八件。それから輸入品の重量、キログラムでございますが、二〇一八年が十万九千五十六キロ、それから二〇一九年は、大幅に減少しておりまして六万九千百七十六キログラムでございます。
○田村(貴)委員 驚くべき数字だというふうに思うわけですよ。これは摘発件数ですよね、新井局長。(新井政府参考人「はい」と呼ぶ)摘発件数ですよね。摘発件数でこれだけの数字があるということですよね。
きょうの日本農業新聞、大臣も読まれたと思うんですけれども、これは新聞社と大学の共同の調査だというふうに書いてありますけれども、訪日中国人へのアンケートで、二・八%に当たる人が二百五十グラムから二キログラムの豚肉製品を持ち込んでいた、日本国内に持ち込んでいた。推計で十七万人に及ぶのではないか、違法に肉製品が持ち込まれていたのではないかというショッキングな報道であります。
もう一つ私の目にとまったのは、その違法性の認識であります。このアンケートによれば、違法性があるとは知らない、それから違法性を認識していない、これを合わせると一四・九%。約一五%の方が、いや、それは持ち込んでいいんだろうという思いで訪日されている。ですから、やはり動物検疫、空港、港、貨物、郵便物、徹底したここでのブロックが必要になってくるわけです。
そこで、その体制についてあわせて数字を教えてください。家畜防疫官は、この間どのように推移しているでしょうか。それから探知犬の数、この間どのように推移し、今後の目標もあれば、あわせて教えてください。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
まず、家畜防疫官の数字でございます。家畜防疫官は、平成二十七年におきましては四百七名ということでございましたが、令和元年度は四百八十一名ということで、八十名程度の増員を行っているところでございます。令和二年度におきましては、更に十名増員いたしまして、四百九十一名体制ということで臨みたいと思っております。
それから、探知犬についてでございます。平成二十七年度には二十二頭ということでございましたが、令和元年、今年度末には五十三頭、それから令和二年度末には百四十頭ということで増頭してまいりたいというふうに考えております。
それから、水際におきましては、各省連携によりまして、家畜防疫官のみならず税関の職員も、バッグをあけてくれる、見てくれるということを行っておりまして、摘発につきましても、税関職員に行っていただく摘発が相当数に及んでいるということを申し上げさせていただきます。
○田村(貴)委員 家畜防疫官は十年で百十九人増、二〇一八年の豚熱発生以降は三十一人増、探知犬の数はざっと三倍ぐらいになってきているわけです。この増強ぶり、補強ぶりを見れば、やはり、岐阜県で豚熱が発生したときウイルスを防ぐことができなかった、この体制では防ぐことができなかったのではないかと言えると思うんです。
動物検疫の対策、それから体制が不十分であったとの認識はありますか。水際が何よりも大事であります。これまでの検疫の体制に対して反省するところはなかったか、こうしたところについてどうお考えであるか、見解を求めたいと思います。
○江藤国務大臣 政治は結果に責任を持たなければなりませんので、反省すべき点はたくさんあるというふうに自覚をいたしておりますし、水際対策が不十分であったという御指摘については、真摯に受けとめなければならないというふうに思っております。
今回、イノシシが媒介となるという極めて異例な形でありました。しかし、沖縄については、これは先生も御指摘いただいたようにイノシシ経由ではありませんので、さまざまな形、ほかの県でも、これはどうもイノシシではないだろう、人だろう、車両だろうと疑われる拡散の例もありましたので、この反省をしっかり生かして、今後、改正法案も、皆さん方の御意見も賜りながら改正法を練り上げさせていただいたわけでありますので、この法律をもとにしっかりとした運用をさせていただきたいと思いますし、運用の段階でも反省すべき点は反省しながら運用に努めてまいりたいというふうに思っております。
○田村(貴)委員 二〇一九年は摘発件数だけで十一万五十八件、六十九トンに及んでいる。これだけが摘発されているのは驚きであります。
さらに、肉、肉製品を持って入ってこられる方がおられるのではないかという予測が出ています。徹底した動物検疫の体制をとっていただく、まだまだ不十分だと思います。
一つ確認しますけれども、これだけの動物検疫官、それから探知犬をふやしたとしても、全ての空港、港、それから郵便物、貨物、これを全部チェックすることはまだできませんよね。そこは事実として確認しておきたいと思うんですけれども、大臣、局長、どうですか。
○江藤国務大臣 例えば、私の宮崎でも探知犬はおりません。オリンピックに向けての増頭の計画の中でも宮崎に配置される予定はありません。
犬自体も、二十四時間フルに活動できるわけではなくて、時間的な活動限界があります。ですから、ワンちゃんも頑張ってくれていますが、やはり人による呼びかけ、検査官による、防疫官による声のかけ、それから検査が一番有効なんだろうと思います。
それから、そもそも、日本に持ってきてはいけないんだということをいろいろな国に知っていただく努力はもっとしなければならないと思います。アジアの一部の国では、大分広報が効いて急激に持込みが減った国もあります。ただ、きょうの農業新聞にもあるように、持っていくことに対して罪悪感さえ持っていないということであればなかなかとめることが難しいですし、でかい荷物の中に、篠原先生がいつもおっしゃっているように、ちょっと一食分のお弁当だけ入れてきて、その中に肉巻きが入っているとか、余った分を公園に捨てるとか、そういうようなことについて完璧にとめることは難しいかもしれませんが、完璧を目指すのが水際防疫の目指すべき方向だと思いますので、難しいと思いますが、百点を目指して頑張っていきたいと思っております。
○田村(貴)委員 探知犬も頑張っているということであります。ワンパワー、マンパワー、それからアナウンス効果、これは本当に大事ですよね。しっかり対応に当たっていただきたいと思います。
最後に、農家の支援について伺います。
養豚振興法の改正案の起草もこの後予定されています。侵入したウイルスに対抗するためには養豚農家がみずから守っていく必要があります。しかし、この体制強化には、防護柵も要るし、それから消毒槽も設置しなければいけないし、靴とか着がえ等とか、逐一コストがかかってまいります。
このコストアップに対して、農家はどのような声を上げているのか。今度の改正案に当たってのパブリックコメントに寄せられた声が目を引きました。養豚農家のみに厳しい基準が課される、あえて遵守困難な基準にしているようだ、農場の実情と乖離してしまう、農家の規模に応じて運用を変えてほしい、こうした声がパブリックコメントにあらわれています。これに対して、政府の回答は、防疫上必要だと、淡々たる態度でありました。これでは、やはり農家の信頼それから納得をかち取るものにはならないというふうに思います。何が必要か。やはり支援だというふうに思います。
具体的に要望したいと思います。
一つは、家畜防疫互助基金であります。今は農家と国との負担割合は一対一で、その加入率は、経営体ベースで五割、頭数ベースでは八割強だといったところです。この一対一の負担割合を変更しないと状況は変わりません。どうしますか。
もう一つは、家畜の移動制限がとられた日から九カ月で再開することを前提としています。これは前も質問しました。岐阜で発生してから十九カ月がたっています。まだ再開できないところがあります。ですから、この互助基金の改善が必要ではないかというふうに思います。いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 このことにつきましては、まず、先生御指摘いただいたように、五三%、頭数ベースの八三%ということでありますので、全てではないということでありまして、豚の再導入については評価額に基づいて国の支援がありますので、それについてはカバーされていると思いますが、九カ月という御指摘があった空舎期間について、労賃とか、地代とか、固定経費分をこれで、互助基金で見るという互助制度、互助制度がまずありきで、そこに対して国が支援をするというたてつけになっているわけでございます。それが一対一であることは不足だという御指摘だろうと思いますが、これについてはかなり激烈な議論をしなければならない部分だと思います。ここで私がどうこうするということはなかなか申し上げられませんけれども、農家の方とも意見交換をしていきたいと思います。
それから、九カ月の問題につきましては、一応養豚農家の方々が内部で話し合っていろいろな意見がおありになったことは私も承知しておりますが、大体九カ月だろうというところで今のところは話がまとまっているというふうに聞いております。それで足りないという意見も多々あることも承知しておりますが、これについても、これが変わるということであれば、また全体の設計も変わるかもしれませんし、業界の方々と意思疎通をこれから更に図っていく必要があるだろうというふうに考えております。
○田村(貴)委員 最後にもう一点、レンダリングマシンについて質問します。
農場が幾つも隣接している養豚団地がたくさんあります。そうしたところで連鎖的に感染してしまうと、大量の予防的殺処分があって、埋却できる土地がないという問題に行き着きます。そうしたところでは、殺処分した豚を加熱しながら破砕していくレンダリングマシン、この活用が有効だし、そして、養豚業界、養豚農家からもこの台数をふやすように要望が上がっていることも私は伺いました。このレンダリングマシンの導入についてはどのようにお考えでしょうか。
○江藤国務大臣 家伝法に基づいて、大変御負担で御苦労があることはわかりますが、まず各農家で埋却地を確保することは、これは法律上の義務でありますので、しっかり守っていただくように指導していきたいと思います。
しかし、例えばASFなんかがもし出てしまった、急いで処分しなければならない、頭数が多いということになれば、レンダリングの機械は一日二千頭の処理能力がありますので、これをてんぷら状にして清掃工場で始末ができますから、埋却する必要もありません。ですから、今度の令和元年度の補正予算で三台を追加することにいたしました。三台あれば、規模にもよりますけれども、今回も沖縄にも派遣しましたけれども、対応能力は上がると思いますので、レンダリングの導入もあわせて行っていきたいというふうに思っております。
○田村(貴)委員 そういう不幸が起こらないように、豚熱あるいはアフリカ豚熱を一株たりともこの国に入れないという取組を求めて、質問を終わります。
○吉野委員長 次に、森夏枝君。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
日本は、今、新型コロナウイルスの影響により、インバウンド需要の減少、給食の中止や外食を控えることにより、外食産業、農家の方々が直接的な影響を受けております。イベントの自粛により花卉農家が大きな影響を受けておりますが、江藤大臣の記者会見の際にはきれいなお花を飾っておられたり、ホワイトデーには江藤大臣から私もお花をいただきました。事務所に飾らせていただいております。ありがとうございます。江藤大臣を始め、農林水産省としても、本日も生花のコサージュを身につけるなど、農家の方々に対してできる限りの応援をされていることは大変すばらしいことと思っております。
農林水産委員としても、私もできる限りの応援をしたいと思っております。実は、けさもヨーグルトを食べてきましたし、先ほど委員会前には牛乳を飲ませていただきました。積極的に牛乳を飲む、乳製品を食べるなど、お肉やお魚、野菜、果物なども、買って、食べて応援することも一人一人が応援できることかと思います。農林水産委員として、今後も、お花を買って飾る、プレゼントをすることなども周りの方にどんどん勧めていきたいと思っております。
それでは、質問に入らせていただきます。
家畜伝染病の感染拡大を防ぐためには、個人資産である大切な家畜の殺処分という措置をとらなければならないことがあります。今回の法改正において、アフリカ豚熱においても予防的殺処分ができるようになります。
CSF、豚熱発生後、多くの農場で、大切に育ててこられた豚たちを殺処分せざるを得なかった農家さんたちから、殺処分もつらかったけれども体調の悪い子豚を見るのもつらかったと伺いました。また、経営者の方々は、従業員の生活もあり、殺処分をした豚の評価額の全額を補償してもらっても、豚熱がいまだ終息していない中で営農再開は難しいという方が多いと伺いました。
豚熱の発生により豚を殺処分せざるを得なかった農場において、この一年半の間に離農、廃業した農家がどのくらいいて、営農再開できた農家がどのぐらいいるのか、教えてください。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
これまで全頭殺処分を行った農家は、経営体の数で見ますと、三月十二日に発生した事例を加えますと七十六経営体でございます。
これにつきまして、三月三日時点では七十五の経営体につきまして、それぞれ再開の状況、理由について調査をいたしました。これによりますと、離農、廃業をしている、あるいは予定している農家が十五戸、それから、経営再開をした農家が二十三戸ということでございます。いまだ再開をしていない農家三十七戸のうち、互助基金からの対象期間九カ月以上を経過をしていまだ再開していない農家は、岐阜県、愛知県で十四戸ということでございます。
離農、廃業した農家についてその理由をお尋ねいたしますと、発生以前から自分の代で廃業を予定していた、あるいは後継者不足といったことが理由になっております。
他方、未再開の農家について聞き取りを行いましたところ、畜舎の建てかえ中で、それが終わりますと豚を入れる、あるいは、経営譲渡を含めて経営方針を検討している、ワクチン接種等、周辺の状況が落ちつくまで中断するといったことなど、農家ごとにさまざまな課題があることが確認をされました。
このため、各県では支援センターを設置しておりますし、農林水産省といたしましても、県と連携して細かに相談に乗っていきたいというふうに考えているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
今回を機に廃業をされた農家もあるということですが、再開を希望されている農家の方々への支援というのはしっかりお願いをしたいと思っております。実際に、評価額を全額支給してもやはり続けられない、廃業を選択される農家がいるということは、支援としては不十分なのではないかと思います。日本のおいしい、安心、安全な豚肉を守っていくためにも、アフリカ豚熱の侵入は未然で防ぐということが重要だと思いますが、今後、感染症により殺処分に応じた農家が離農、廃業しなくてもいいように、できる限りの支援をお願いしたいと思います。
次に、豚熱、アフリカ豚熱の検査体制について伺います。
平成二十二年の口蹄疫の際には、宮崎県の農場で採取した検体を東京に送り、東京での検査結果を待っているうちにも口蹄疫の感染が拡大してしまった、宮崎で検査できる体制が整っていればもっと早く対応できたのにというお話を伺い、ずっと心に残っておりました。
現在、豚熱の検査体制がどのようになっているのでしょうか。検体を採取してから結果が出るまでにかかる時間も教えてください。あわせて、アフリカ豚熱の場合も同じ検査体制なのか、教えてください。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
まず、委員から御指摘のございました口蹄疫の検査につきましては、現時点におきましても、病原体の扱いの難しさ、それから感染力の強さということを踏まえまして、農研機構動物衛生研究部門のみの検査ということで実施をしているところでございます。
一方、CSFにつきましては、平成十八年のCSFの防疫指針の中におきまして、全県でPCR検査を実施する体制ということが既に構築されているという状況でございます。また、ASFにつきましては、昨年の十月にASFの防疫指針を改正をいたしまして、国が検査試薬を配付いたしまして、現時点におきましても全県でPCRを実施する体制というのが既に構築されているところでございます。
他方、CSF、ASFの最終的な確定診断、これは遺伝子解析を要するということでございますので、これは口蹄疫と同様に、農研機構動物衛生研究部門に移送していただいて最終的な確定をするという体制にしております。
それから、検査時間についてお尋ねがございました。これはそれぞれのウイルスの状況によって異なっておりまして、都道府県におけるCSFのPCR検査はおおむね八時間、それからASFのPCR検査はおおむね六時間ということでございます。加えまして、確定診断を行います農研機構の動物衛生部門の確定診断、ゲノム解析でございますけれども、これはCSF、ASFともにおおむね九時間ということでございます。これらを迅速に行うことによりまして、都道府県の検査結果が陽性と判定された翌日には確定診断ができるという体制を組んでいるところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。翌日には対応できるというお答えをいただきました。
今回の法改正により、予防的殺処分ができるようになります。豚の殺処分というのは農家の方々は大変つらいと思いますけれども、特にアフリカ豚熱の場合は、感染拡大させないためにも、陽性が出たらすぐに殺処分をしなければならないと思います。日本の養豚業界を守るためにも、検査体制の充実とともに、迅速な殺処分の体制もしっかりと整えていただきたいと思います。口蹄疫のときに大変時間がかかったということでしたので、この経験を生かしていただきたいと思っております。
次に、種豚、種牛の予防的殺処分、保存、隔離移転について大臣に伺いたいと思います。
口蹄疫の際には二十九万頭以上の牛を殺処分したと伺っております。豚熱発生により、この一年半で十六万五千頭もの豚を殺処分したということを聞き、これ以上の発生を早くとめてほしいと強く願っております。法改正をして、できる限りの対策を行い、まずは豚熱の終息に力を入れていただきたいと思います。アフリカ豚熱の徹底的な水際対策の強化をしていただき、残念ながら先週も沖縄の五十八例目が出てしまいましたけれども、これを最後に豚熱の封じ込めをしていただいて、これ以上の殺処分を避けていただきたいと思います。
アグーの種豚を隔離移転する作業が始まったと伺いました。優良で貴重な種豚、種牛の保存は日本の財産を守る大変重要なことと思いますし、迅速な対応ですばらしいと思います。
宮崎での口蹄疫発生の際、移動制限がかかり、陰性であっても多くの種牛を殺処分せざるを得なかったと聞いております。今回の隔離移転については口蹄疫の経験が生かされているのだと理解をしておりますが、種豚、種牛の予防的殺処分、保存、隔離移転についてどのように考えているのでしょうか。豚熱よりも感染力の強い、ワクチンのないアフリカ豚熱や口蹄疫の場合は、種豚、種牛の隔離移転はできるのでしょうか。大臣に伺います。
○江藤国務大臣 先生から御指摘をいただきましたように、口蹄疫のときには、宮崎の優秀な種雄牛、たくさん処分をせざるを得ませんでした。家畜改良事業団で五十頭、残ったのはたった五頭。これも例外的に知事が要請をして、本当に例外的に、西米良という本当に山の奥の奥に今もその施設があるんですけれども、そこに隔離をさせていただいております。そのおかげで、その後また宮崎県は畜産王国として復活することができた。やはり種の保存がいかに大事かということは、我々、本当に経験したところでございます。
ですから、今回のアグーにつきましても、琉球王朝のときからずっと伝統があって、沖縄での大規模な陸上戦闘のもとでほとんど死滅してしまった。その後、沖縄の県民の方々が懸命な御努力のもとに復活をさせて、それでまたこういう事態が起こったということでありますので、久米島の方に今移動が始まっています。第一陣が移動、終わったのかな、移動して、第二陣がもうすぐ出発すると思います。
やはり、これから先、先生御指摘のように、ASFが入ったら、私の権限で、私が地域も指定して、一日、二日という極めて短い期間の中で一斉に殺処分しなきゃならないんですよ。これは例外はないと思っています。そうなると、やはり種の分散避難といいますか、こういうことが起こることもある程度、各地域で考えて、アグー以外にも、本州にも北海道にもいわゆる優秀な血統の豚はおりますので、一カ所にまとめるんじゃなくて、こういう分散飼育ということも考えることが必要になってきているということをいよいよ感じておりますので、農林省としてもそのような指導を逐次していきたいというふうに考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
私も、この牛や豚、この日本の財産をしっかり守っていただきたいと思っております。今大臣からありましたけれども、分散飼育というものもぜひ取り入れていただきたいと思います。今後の対応をよろしくお願いいたします。
次に、豚熱発生後の野生イノシシの捕獲状況について伺います。
豚熱の発生後、防護柵の設置や消毒等さまざまな対策を強化していただいていると思います。野生イノシシの捕獲も行ってきたと思いますが、猟友会も高齢化し、ハンター不足が深刻で、思うように捕獲ができていないのではないかと思います。
この一年半の野生イノシシの捕獲状況について伺います。野生イノシシの捕獲はうまくいっているのでしょうか。教えてください。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
野生イノシシによるCSF蔓延防止のために、野生イノシシの捕獲強化というのが大変大事だというふうに考えておるところでございます。
このため、農林水産省及び環境省では、CSF陽性の野生イノシシが確認をされている県及びその隣接県等の二十二都府県に対しまして、捕獲強化の依頼をしているところでございます。具体的には、各県におきまして、このCSF拡大防止に重要な地域を捕獲重点エリアとして設定をいたしますとともに、わな数、わなの設置数を増加、また、わなにつきましても、効率的にとれますICTを活用したわなとか大型囲いわなの導入、また、銃による猟の効果的な活用等の実施を支援をしているところでございます。
各県におきます昨年九月以降の捕獲頭数でございますけれども、前年度より三割ほど多くなっておりまして、捕獲強化の取組が進んでいる状況というふうに認識をしております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
わなをふやしたりして三割ほど捕獲がふえているというお話ですけれども、現場の方からお伺いをすると、全然減っていない、何とかしてくれという声が上がってきますので、この捕獲についてもしっかりとお願いをしたいと思っております。
大変高い繁殖力を持つイノシシですので、人の手では実際追いつかないのが現状かと思います。イノシシだけでなく、猿や鹿などの被害も大変な額かと思います。
先ほど少しお話ありましたけれども、ICTわなやAIゲートといったICTなどを活用した捕獲用のおりなども導入されているところもあると伺っております。これらはハンター不足の解消にもつながると思います。実際にハンターを育成するのには大変な時間がかかると思います。これからはそういうものを活用すべきと思います。
イノシシは大変頭がよく、なかなかわなにかからないというのをよく聞きますけれども、AI、IoTなどを使って、研究開発をして、新しいおりをつくっていくことも必要だと思います。AI、IoTなどを使って捕獲できるような対策について、今後の取組について教えてください。
○牧元政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘いただきましたように、イノシシは大変頭がいいということでございまして、これを捕獲するのに現場の皆様方も大変御苦労されていらっしゃるところでございます。
そのような中で、今委員から御指摘いただきましたようなICTの活用わなとか、そういったような新しい技術もぜひ活用していきたいというふうに考えておりますし、また、委員から御指摘いただきましたように、猟友会が大変高齢化が進んでいるということでございますので、そういう担い手の確保というものが大変重要かというふうに考えております。
そのような観点で、農林水産省といたしましても、鳥獣対策交付金などを使いまして、講習会を開催をしたりとか、あるいは最近ふえております若者、女性をターゲットにしたような捕獲入門セミナーの開催、こういうものを実施をすることによりまして、担い手の確保という点についても取組を強化していきたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
若者や女性のハンターの育成というのもしっかりお願いしたいと思います。
前回の質疑でもお話しさせていただきましたけれども、捕獲と同時にジビエの利活用もお願いをしたいと思っております。
以前、視察をさせていただいた際に、防護柵の設置を進めているけれども人手が足りない、資材が届かないといったような声がありました。防護柵の設置は計画どおり進んでいるのでしょうか。進捗状況を教えてください。
○水田政府参考人 お答えいたします。
野生イノシシの防護柵でございます。これは約三千二百戸の養豚農家に設置が必要ということでございます。
前回、十二月五日にお尋ねもございました。その時点での進捗状況といたしましては、十一月二十二日現在で取りまとめた進捗状況でございまして、設置済みが四百七十七、工事中が二百十八、合わせて六百九十五戸が既に着手をしているというものでございました。
現在は二月二十一日時点の取りまとめがございますが、これにつきましては、設置済みが九百十八戸、工事中が千百二十七戸、合わせて二千四十五戸が着手済みとなっておりまして、進捗をしてきているということでございますが、各県へ聞き取ったところによりますと、年度内に交付決定を済ませる予定であるという県がほとんど全てになっている状況でございますが、交付決定を行ったものがやむを得ず年度内に完了しなかった場合については、来年度への繰越しを認めることにしておるところでございます。
この事業によります野生イノシシの侵入防護柵の整備でございますが、ASF対策として非常に重要と考えておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
防護柵の設置も進んでいるということで、本当にアフリカ豚熱に対しても、また食害から守るものにも有効ですので、引き続き防護柵の設置をしっかりと進めていただきたいと思います。
今回の沖縄での豚熱の発生に関しては、食品残渣の加熱処理ができていなかったという問題があります。食品ロスの観点からも、エコフィードの利用はぜひ進めていただきたいと思っております。
農林水産省として、エコフィードの利活用に向け、取り組まれていることがあれば教えてください。
○河野大臣政務官 食品廃棄物の再生利用に関しまして、我が国におきましては、食品廃棄物は、食品産業から七百七十二万トン、家庭から七百八十九万トン発生している状況にございます。
このため、まずは食品廃棄物の発生抑制に取り組んだ上で、それでも発生するものに関しては肥料や飼料への再生利用を進めておるところでございますが、その再生利用率は二八%にとどまっておるところでございます。
食品廃棄物の再生利用を促すため、取組がおくれている外食向けに食品廃棄物の分別方法や取組事例をまとめたマニュアルを普及、それから、食品廃棄物を利用した肥料の活用促進に向けまして、食品事業者や肥料製造業者、そして農業者による意見交換会を開催をしているところでございます。
今後ともしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
エコフィードの利用はぜひ進めていっていただきたいと思います。
沖縄での五十八例目を最後に豚熱を終息させ、清浄国を目指し、全力で取り組んでいただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
きょうは、家畜伝染病予防法改正案について質問をさせていただきます。
まず、大臣の御英断もあり、飼養豚ワクチンの接種をしてこられましたが、このワクチンの接種状況とその後の接種地域における豚熱の発生状況を把握した上で、ワクチン接種の効果についてはどのように評価をされておられるのか、確認をしたいと思います。
○伊東副大臣 昨年十月以降、飼養豚へのCSFワクチンの接種を進めてきたところでありますが、ワクチンの効果につきまして、野生イノシシから豚への感染リスクが高い地域を中心にワクチン接種推奨地域を設定し、十月から予防的ワクチン接種を開始したところであります。
推奨地域は二十一都府県になるわけでありまして、本州におきましては、飼養豚へのワクチン接種開始直後、愛知県において、その直後でありますけれども、二事例が発生いたしましたけれども、その後の発生は認められていないところであります。
また、予防的ワクチンにより豚への免疫が付与されたことで感染リスクが下がったと考えられますけれども、防疫の基本であります飼養衛生管理の徹底、あるいはまたイノシシの捕獲強化や経口ワクチンの散布といった野生イノシシ対策が都道府県、関係省庁、団体と連携を強化して対応をしてきているところでもありますし、これからも進めてまいりたいと思います。
また、沖縄県におきましては、一月八日の初発事例から合計七事例が確認されているところでありますが、食品残渣の適切な加熱処理や消毒の徹底といった飼養衛生管理を徹底した上で、今月でありますけれども、三月六日からワクチン接種を開始したところであります。
なお、沖縄県で発生が確認されている中部地域は、現在、周辺農家の移動制限が設定されておりまして、清浄性確認の検査を実施しているところであります。
以上でございます。
○濱村委員 ワクチン接種した地域、そこから更に感染豚が出てくるのかどうかというのは大事なところだと思っておりますけれども、まず大事なことは、大原則として飼養衛生管理基準がしっかり守られていくこと、これが重要であるという御発言もございました。
更にちょっとお伺いしたいと思いますが、これまでもずっと、私が政務官をさせていただいたときも、ワクチン接種についてはさまざま検討をしてまいりました。しかしながら、一方で、牛豚等疾病小委員会でも御議論があったように、ワクチン接種についてはデメリットもあるというわけでございます。
その小委員会で指摘されておりましたデメリットにつきましてはどのように対処をしてこられたのか、この点について伺いたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
ワクチン接種は、発生が抑止できる等のメリットの一方、当時におきましては、デメリットにつきましても検討しておりました。
一番目は、消費者のワクチン接種豚の買い控えといった風評被害が起こるのではないかということ、それから二番目は、非清浄国になるということに伴いまして、輸出への影響あるいは輸入解禁の圧力が高まるのではないかといった点、それから三番目といたしましては、この接種に当たって、接種豚のトレーサビリティーや移動制限を厳格にしなければならないのではないかといったことが当時議論されていたところでございます。
まず、一番目の風評被害につきましては、あらゆる機会を通じて豚肉の安全性について周知をいたしました。その結果、現在におきましても、店頭価格あるいは不適切な表示といったものを国が注視をしておりますけれども、ワクチン接種の影響は見られないというふうに考えております。
それから、輸出についてでございます。これにつきましては、ワクチン接種開始の直前に、大臣、副大臣が主要な輸出国と交渉を行っていただきまして、ワクチン接種推奨地域以外からの輸出というのは継続できるということになりました。実績を見ましても、豚肉の輸出については、二〇一八年が十億円でございましたが、二〇一九年には十一億円ということで、実態的にも輸出についての影響はなかったというふうに考えております。それから、輸入につきましては、従前から懸念されていたような非清浄国からの輸入圧力の高まりは、現時点では特段見られないという状況でございます。
それから、トレーサビリティーについてでございます。これにつきましては、厳格に行った場合は、肉、あるいは肉製品、あるいは副産物といったものも域内に制限をしなければならないのではないかということで、牛豚等疾病小委員会の専門委員会で議論をしてまいりましたが、これにつきましては、リスクはそもそも余り大きくないということ、それから、餌の加熱条件の遵守と野外投棄の防止というものを徹底すればリスクは最低限に抑えられるという意見をいただきましたので、これについては流通の制限はしないという決断をしたところでございます。他方、生きた豚、精液、受精卵等につきましては、原則として接種地域内の農場、屠畜場、しかしながら、交差汚染防止対策を行った屠畜場は除くということで運用しておりまして、現時点におきまして特段の問題は発生していないというふうに考えております。
○濱村委員 しっかり対処をしていただいていることがよく理解できました。ありがとうございました。
続いて、家畜の所有者の責務について、これまでの委員会の質疑でも質問がありましたけれども、改めて伺いたいと思っております。
今回、第二条の二に、家畜の所有者の責務について新設されております。これは、現行法においては第六十二条の二を削除した上でのことでございまして、現行法の記載においては「重要な責任」としていたところが、「第一義的責任」ということに変わって規定されております。また、「必要な知識及び技術の習得に努めるとともに」が加わって、「消毒その他の措置」が、衛生管理などの適切な実施と置きかわっているということでございます。
内容については、余りここをぎりぎりやっても、当たり前のことじゃないかというような感じもするわけでございますけれども、なぜこのような規定ぶりに変えたのかということが、農水省の考えている課題認識に直結することなんだろうと思っております。この課題認識とともに、背景を伺いたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
現在の家畜伝染病予防法におきましては、国や都道府県、家畜の所有者などが講ずべき具体的な措置、例えば、都道府県知事はというような主語の条文は非常に多うございましたけれども、なぜその者がその措置を実施すべきなのかといった趣旨が必ずしも明確でなかったというふうに考えております。
今回、本改正法におきましては、各当事者の責務規定をまず総則にまとめて規定をいたしまして、まずはそれぞれの自覚を促すということにしたわけでございます。
御指摘がございました、特に家畜の所有者につきましては、家畜の伝染病の発生予防、それから蔓延防止が、自己の財産の保全だけではなく、一たび発生した場合には近隣の農場にも非常に大きな影響を及ぼすということ、それから、伝染病の予防が早期通報と早期発見というのが起点であるということでございますので、社会的責務といたしまして、第一義的責任を有しているというふうに規定したところでございます。
それから、家畜の所有者が取り組むべき内容につきましても、現行の六十二条におきましては消毒といった具体的な措置を例示していたところでございますが、基本的な精神が飼養衛生管理をしっかりやっていただくということでございますので、今回、条文としても、それを明記したところでございます。
○濱村委員 これは、家畜所有者がやはり、近隣へも影響を与えるということでは非常に重要な役割を担っているということで、第一義的責任ということで記載をしたということでございます。私も、そこについて非常に大事なポイントだなと思っております。
その上でお伺いしたいのが、ちょっと通告の順番は変わっておりますけれども、飼養衛生管理についてちょっと伺います。
十二条の六については、「勧告等」として、「等」の中には命令、公表について規定されているということでございます。勧告、命令については、従来は「その者に対し、」と記載されておりましたけれども、「飼養衛生管理指導等計画に即して、改善すべき事項を記載した文書の提示その他の農林水産省令で定める方法により、その者に対し、」と、改善すべき事項を提示するなど、こうしたことを伴った形での改正にしようとされておられます。
より具体的に改善点を提示するということを意識されておられるのであろうと捉えておりますけれども、どのような効果を期待されておられるのか。また、命令に従わない者には公表も可能となっておるわけでございます。どのような効果を見込んでおられるのか、伺いたいと思います。
○新井政府参考人 お答えいたします。
今般、CSFの発生事例につきまして、私ども、いろいろ分析をいたしました。その中におきまして、特に家畜所有者に対します飼養衛生管理の指導につきまして、都道府県の取組に相当ばらつきがある、結果的に適切な指導ができなかったという事例が散見されたところでございます。
このため、今回の改正案におきましては、農場のチェックを行う、まず、飼養衛生管理のPDCA、国が指針を示して、県が計画をつくって、それから都道府県がチェックをする、そういう制度を導入をするということ。それから、それに伴いまして、家畜防疫員の研修でありますとか、それから、今御指摘がございました、省令におきまして手続を明確化するということによりまして、県がきちんと指導するという体制をつくっていくということでございます。
これによりまして全国で指導が平準化されるということで、日本全体といたしまして疾病の発生を防止していきたいということでございます。
具体的には、この中におきましては、命令に従わない者は公表するということを新たに追加をしておりますけれども、これはやはり、病気の蔓延を引き起こしますと地域の畜産業に重大な損失が生ずるということでございますので、命令違反に対する抑止力を高めるという目的はもちろん、周辺の家畜の所有者に対しまして、このような事例、それからよい事例も共有することによりまして、地域全体としての防衛意識を高めてもらおうということでございます。
実際の公表に当たりましては、命令違反があった農場の農場名、それから代表者名、農場の所有地、違反事由等を公表することというふうにしております。
○濱村委員 この点、非常に重要なポイントだと思っておりまして、県が適切な指導ができなかったということ、そしてまた、指導したくても、なかなかそのレベル、ノウハウの蓄積というものがなかったのかもしれません。そうしたところをしっかりと積み上げていって、高位平準化を目指していくということだろうと思っております。これについて、今後もしっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思っております。
そしてまた、今回、公表も可能となるわけでございますが、これが、公表すると抑止力だという話もございました。確かにそれはあるでしょう。その上で言うと、抑止力もさることながら、重要なことは、好事例をしっかり共有していく。地域全体でしっかり飼養衛生管理基準を引き上げていこうじゃないか、こうした機運を高めていくためにも非常に重要な改正なんじゃないかというふうに思っております。
更につけ加えて言うならば、こうした好事例を共有していくとかレベルを引き上げていくとか、そのためには、今回の家伝法の改正だけでは十分ではないというような御指摘もあるんだろうと思っております。そのために、実は、議員立法でもともと制定された養豚農業振興法があるわけでございますけれども、家伝法は規制法でございます。一方で、規制強化するだけでは十分に飼養衛生管理基準のレベルが引き上がらないということだろうと思っております。
農家に寄り添った水準の引上げのためにも、養豚農業振興法が役立つと考えておりますけれども、農水省の見解を伺います。
○新井政府参考人 お答えいたします。
まさに議員から御指摘がありましたとおり、発生予防のためには飼養衛生管理の向上を速やかに行っていただくということが必要でございます。そのためには、農家の方に自覚を持っていただく、それから県等の指導体制も早急に整備をしていくということが必要でございます。
しかしながら、これらは規制の強化一辺倒ではなく、養豚農家の方々が納得した上でやっていただく、それから農水省としても支援策をあわせて推進していくということが必要だと考えております。
今般、与野党の共同で養豚農業振興法の改正をしていただけるということでございまして、私どもとしても大変ありがたいことだというふうに考えているところでございます。
現在、ASFの侵入の脅威が高まっておりまして、養豚農家の飼養衛生管理の向上を早急に行う時期と考えておりまして、予算措置につきましても早急に行った上で、必要な体制がとれるように協力して進めてまいりたいと考えております。
○濱村委員 ぜひお願いいたします。
ちょっと飛ばした質問について振り返りたいと思いますが、国と地方公共団体の責務について伺いたいと思います。
家畜所有者と同様に、第六十二条の二を削除した上で、第二条の三に「国及び地方公共団体の責務」を新設をされておられます。これは非常にるる記載があるわけでございますけれども、従来の自主的措置と比較するならばどのような責務を有していると解されるのか、今回なぜこのような規定にしたのか、この辺の課題認識についても伺いたいと思います。
○新井政府参考人 お答えいたします。
現行の六十二条の二、予防のための自主的な措置につきましては、まず所有者が行うということが第一項、それから第二項におきまして、それに国、地方公共団体は協力するということしか書いていないということでございます。
これにつきまして、先ほど御答弁いたしましたように、まずそれぞれの責務を明確にした上で、今回は第四項におきましてそれぞれがどのように協力をしていくかということを第二条の三で明らかにしたところでございます。
まず、国につきましては、最新の科学的な知見を踏まえまして、国家防疫の観点から総合的に施策を立案する、それから輸出入検疫を適切に実施をするということ。
それから、都道府県につきましては、地域の実情に応じて、国と市町村と連携して発生予防及び蔓延防止措置を的確に実施をするということをまず明記をいたしました。
それから、市町村については今まで役割が明確ではございませんでしたが、実際の発生のときには非常に御協力をいただいています。これにつきましては新しく項を起こしまして、国及び都道府県に協力すべきことというふうに明記をいたしました。
さらに、第四項におきましては、国及び地方公共団体が協議会の開催等によりまして平時から協力をする、さらには有事にもしっかりと連携をするということを明確にいたしまして、この家畜予防の、蔓延防止それから発生予防にそれぞれの主体が自覚を持って万全を期していくという体制を、今回、第二条の三におきまして、責務としてまとめて新設をしたところでございます。
○濱村委員 国家防疫をしっかりとやっていくこと、そしてまた国と地方公共団体、しっかり連携していくこと、市町村が県とも連携をしながら努力をできるようにということで、今回の規定になっているということでございます。
しっかりとこれをバックアップしていくのも農水省の役割だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
続いて、エコフィードの話についてお伺いいたします。
エコフィードについては、残念ながら沖縄県で発生した事例については、感染の原因として、食品残渣を利用した飼料でありますが、エコフィード、これが疑われる状況にある、あくまで疑われる状況ですということは私、重要だなと思っておりますけれども。であるがゆえに、エコフィードの業界団体の皆様も、そういう状況で我々が事業を推進、継続していくのはなかなか厳しいものがあるということで、自主的にも改善していきたいんだというような御発言も聞いております。
今般、エコフィードに関しての規格基準については、家伝法の施行規則でも定められておりましたのが七十度三十分以上又は八十度三分以上の加熱処理というのがございましたけれども、これを、攪拌しながら九十度六十分以上又はこれと同様以上の加熱処理と見直すこととなっております。
ただ、エコフィードにもさまざまな方式がございます。液状方式もございますれば、乾燥方式、減圧だったり、ロータリーキルンとか、てんぷらとか、さまざま言われているわけですけれども、こうした方式があったり、サイレージ、発酵させるようなものもございます。これは、乾燥方式ですと、新たな加熱処理基準を適用させてしまいますと飼料が焦げてしまうということでございますので、一律に適用するのは難しいというふうに考えております。
こうした事案についてはどのような基準を適用させるのか、また、エコフィード事業者に対しての支援策が必要だと思っておりますが、どのような支援を行うのか、伺いたいと思います。
○新井政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、見直し後の飼養衛生管理の基準、これにつきましては、摂氏九十度以上で六十分以上又はこれと同等以上の効果を有する加熱処理というふうに規定をするということでございます。したがいまして、九十度六十分以上という加熱方法に限定をしているわけではないということがまず第一点でございます。
さらに、御指摘がありましたとおり、エコフィードの製造方法というのも非常に多様でございます。現在、エコフィードのセミナー等を開催をいたしまして、実際に事業者の方のそれぞれ疑問、質問というのを聴取をしておりますけれども、この中で、例えば水分含有量が少ない食品残渣を主な原料として扱う施設では、九十度以上六十分以上の加熱というのはなかなか難しいというお話を聞いているところでございます。
私どもとしては、いろいろな加熱方法につきまして、それぞれデータをいただきまして、科学的な知見に基づきまして、同等以上の効果を有する加熱処理といったものがどのようなものなのかということを検証した上で、実際には飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令ということになりますけれども、このガイドラインによりまして具体的な事例についてお示しをしたいというふうに考えているところでございます。
それから、飼養衛生管理基準の中で、このエコフィードの部分については令和三年四月からの施行、一年間の猶予を持って施行するということを予定しております。当然ながら、できるだけ早くやっていただくということが前提でございますが、実際にエコフィード事業者の方の施設整備等が必要になる場合もあるというふうに聞いております。これにつきましては、関係者からも支援策を要望いただいているところでございまして、現場の実態を踏まえまして、必要があれば支援策を検討してまいりたいというふうに考えております。
○濱村委員 今、個別でどのような処理をやっておられるのか、科学的見地に立っていろいろ検証していただいているというふうに認識をしております。しっかりとこうしたエコフィード事業者の皆様の声を聞いて、適切に設定をしていただきたいとお願いを申し上げます。
最後に、エコフィードの基準の見直しの適用範囲について伺いたいと思っております。
今回、食品循環資源再生利用等の促進に関する法律第二条第三項に規定します食品循環資源を原材料とする飼料となりますが、その適用範囲は一体どこなんですかというのが、実は事業者さんから声が上がっております。肉を扱う事業者等から排出されたとの記載をどのように解すればいいのかという点でございます。
肉と残飯ではOIEコードにおける加熱要件は異なっていると理解しておりますが、一方で、事業者等との記載がございますけれども、これは、植物由来の残飯の処理施設にも、例えば社員食堂で肉を扱っているとか、そうしたところは事業所単位でいえば肉を扱う事業所として適用されてしまうのではないですかというような理解をされておられるところもございます。
ですので、植物由来残飯の処理施設と肉由来の原材料の処理施設の両方を持つ事業者であっても、肉由来原材料の処理施設のみ、つまり処理施設単位で適用させればよいというふうに理解してもいいのかなと思ったりもしたりするんですが、判然といたしません。どのように理解すればよろしいか、確認したいと思います。
○新井政府参考人 このエコフィードにつきましては、基準を徹底するために、全国の農場それからエコフィード製造業者の調査を行いました。この中におきますと、肉を扱う事業所等からいわゆる食品循環資源を収集して利用している農場が三百七十八戸、それから、肉を含む可能性のあるエコフィードの製造業者が五十四社ということでございます。これらにつきましては、具体的に、この農場それから会社につきまして、どこから何を持ってきてエコフィードにしているのかということをきちんと一個一個潰していくという作業が重要だと思っております。
その中におきまして、今お話をいただきました食品残渣だけのところから入っているものについてどう処理をするかということは、この中で検討していくということでございます。
今回、リスクを低減する観点から、大きくまず禁止をかけましたけれども、具体的に、例えば植物のみのところはいいですよといった、そういう形で一個一個しっかり対応してまいりたいと考えております。
○濱村委員 終わります。ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、古川康君。
○古川(康)委員 ありがとうございます。自由民主党の古川康でございます。
御配慮いただきまして五十五分という時間をいただいたところでございまして、さまざまな分野におきましてしっかりと確認をさせていただきたいと思います。
大きく一つ目が棚田地域振興、二つ目が新型コロナ、そして三つ目が家畜伝染病予防法、この大きく三点についてお尋ねをしてまいります。
まず、棚田地域振興法の関係でございます。
万葉集に、このような歌があります。
君がため山田の沢にえぐ摘むと雪消の水に裳の裾濡れぬ
えぐとは、セリのことであります。あなたのために山の田んぼを流れる小川のほとりでセリを摘もうとしていたら、雪解けの水に着物の裾をぬらしてしまいました、そういう意味のようであります。
日本の歴史の中で、山田、すなわち棚田が最も早く記されたのが、万葉集のこの歌であると思います。
それ以来、昭和の時代までは、いわば当然の存在でもあった棚田。それが、平成に入り、棚田に対する価値の確認、棚田に関する学会の創設、こうしたことを受けて、農林水産省において、すぐれた棚田を顕彰しようと、平成十一年、日本の棚田百選が選定をされました。これにより、全国で百三十四の地域が選ばれ、それぞれの地域においてさまざまな取組が行われるようになりました。
また、こうした条件不利地における耕作条件の不利性を改善すべく、中山間地域直接支払制度もスタートするなど、政府としての支援策も一定の充実を見てまいりました。
とはいえ、近年、この棚田地域においては、残念なことに耕作放棄地が増加しておりますし、棚田百選に選定されながらも、もはや耕作が行われているとは言いがたい地域がふえていることも事実であります。
このままでは、この世界的な遺産とも言える日本の棚田がなくなってしまう、その危機感を共有する議員たちによって議員連盟が組織されました。また、江藤拓衆議院議員が党内の議員有志を募って勉強会を組織され、棚田地域の支援のための議員立法を目指され、各方面と相談を重ねつつ、長い時間をかけて丁寧に案をまとめられました。
議員立法だけに、あらゆる党派からの御理解が必要となります。その各党との調整についても汗をかかれ、衆参ともに全会一致という形で、昨年、令和元年六月十二日、成立にこぎつけました。
私も、この間、実務的なお手伝いをさせていただき、衆議院においては、この農水委員会において筆頭提案者として仕事ができたことを誇りに思うところであります。
そこで、お尋ねをします。
今や農水大臣となられました江藤拓大臣の、この棚田地域振興にかける思いをお聞かせください。
○江藤国務大臣 古川先生にはお世話になりました。ありがとうございます。
足かけ四年かかりましたので、その間には随分悔しい思いもしましたし、私は短気ですので、途中で切れそうになったことも何度かあって、そのたびに古川先生が、そう短気を起こさずにといさめてくれたことも、本当にありがたかったなと思います。
最終的には、全ての党の皆様方、衆参全会一致で通させていただいた。非常に、立法府に身を置く者として、皆様方に改めて感謝を申し上げたいと思います。やはり、全ての国会議員が、このふるさと日本の原風景に対する思いを共有しているんだなということを確認させていただきました。
御指摘があったように、棚田百選、平成十一年に指定はいたしました。それぞれ、そのときは、名誉なことですから、百三十数地域のところはその名誉を持って頑張ろうという意識を高く持っていただいていた。しかし、今になってみると、三十以上のところが荒廃農地になってしまっている。また逆に、その百選から漏れたところが、それを逆ばねにして、百には選ばれなかったけれども、一丁やってやろうということで、頑張っているところもある。しかし、全体としてはじり貧状態であるということで、先生とも随分、現地視察もさせていただいたじゃないですか。
そのときに印象に残っているのは、最初、また議員が視察に来た、何となく視察をして、問題意識を持っているよぐらいの話だろうと、余り温かい雰囲気じゃなかったですよね。しかし、話をしているうちに、真剣に考えてくれているんだ、そういうことをわかって、だんだん空気も変わって、そういうことであれば協力もするし、自分たちももう一回地域で頑張るよというようなお言葉をいただいたことが、非常に励ましになったことを覚えております。
条件のいいところは、最近は法人の参入等も含めていろいろな提案がなされておりますけれども、条件のいいところはいろいろな営農の形があっていいと思いますが、しかし、条件の悪いところは、やはり、ふるさとに対する愛着であったり愛情であったり、中には責任感であったり、そういうものも高く評価して、そして、やはり日本国民全員がそのふるさとを守っていただいているということに感謝をして、そして、決して農林水産政策ではなくて、国として、この棚田地域が次の世代に受け継がれていくことの意義をしっかりと認めてやるべきだという法律にしたかったから、なかなかハードルが高かったということでありますけれども、計画は内閣総理大臣が作成をするということにもなっておりますので、これは大きな法律ですから、これをやはり根拠法として、いろいろな省にいろいろな施策がばらばらにありますけれども、それが複合的に融合して、地域にとって有効な政策が展開できるように、これからがまさに正念場だというふうに思っております。
○古川(康)委員 ありがとうございました。
大臣の、本当に、この棚田地域の振興にかける思いを改めてお伺いできて、感銘を受けたところでございます。
なお、最初にお話し申すべきでありましたけれども、私も、大臣のこの花いっぱいプロジェクトに賛同して、生花をこうやってつけさせていただいていますが、日本で最も多く花卉の店舗を展開している会社の社長に、大臣がこのフラワーバレンタインのことも含めこういったことをおっしゃったということを御報告させていただきました。今回、大変なことではあるけれども農林水産省が非常に機敏に反応していただいているということに感謝をしておられましたことを、御報告させていただきます。
大臣には、参議院の質疑があると伺っておりまして、どうか御退席いただければと存じます。
それでは、質問を続けます。
棚田地域振興法の運用についてでございます。
新しい地域立法でございます棚田地域振興法、この法律では、先ほど江藤大臣もおっしゃっておられましたが、内閣総理大臣が基本方針を示すことになっております。事務局を預かる内閣府としてもしっかり取り組んでいただきたいと考えているところでございますが、そこでお尋ねをいたします。
まず、内閣府としてどのように取り組んでいかれますでしょうか。
○菅家政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府といたしましては、委員御指摘のとおり、棚田地域振興法等に基づきまして、関係各省から成る連絡会議の事務局を担っているところでございます。本法の趣旨を踏まえまして、基本方針に基づき、しっかりと法制度の運用に当たってまいりたいと考えてございます。
具体的に申し上げますと、これまで、関係各省との連携のもとでブロック会議等を全国各地で開催をしておりますほか、棚田地域の支援に関する相談対応等を行いますコンシェルジュ、これを関係各府省の本省、地方機関の職員から選任をいたしまして、制度関連予算の活用促進に取り組んでいるところでございます。
また、これまで、同法に基づく指定棚田地域の指定を八県五十六地域について行ったところでございますけれども、現在も、これまでの指定件数を大きく上回る申請がなされているところでございまして、次回の指定に向けまして、主務省において、鋭意、審査作業が進められているところでございます。
内閣府といたしましては、関係各省の連携のかなめといたしまして、引き続き、棚田地域の振興にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○古川(康)委員 ありがとうございました。
昨日、つまり、令和二年三月十六日には第二回の指定棚田地域の指定が行われたところであります。これまで指定を受けていなかったたくさんの道県において指定がなされておりますし、こうやって拝見しておりますと、今回、三月十六日に指定されたところを見ると、例えば富山市などが非常に熱心にお取組をいただいております。こうしたものを見ておりますと、そうやって地域によってしっかりと取り組めば指定を受けられる可能性が十分にあるんだということの証左かと思っているところでございます。
また、せっかく各都道府県にコンシェルジュの方がいらっしゃいますので、これを十分に活用して、この制度のよさについて知っていただくようにお取組をお願いできればと思います。
そこで、お尋ねをいたしますが、農水省としては、この棚田地域振興のための施策をどのように展開しておられますか。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
農林水産省といたしましては、この棚田地域振興法を踏まえました施策の充実といたしまして、令和二年度当初予算におきましては、まず、認定棚田地域振興活動計画に基づきます、例えば棚田米のブランド化とか都市農村交流、こういったようなお取組に対しまして、中山間直接支払いによります十アール当たり一万円の加算措置の創設、また、中山間地農業ルネッサンス事業の支援対象地域への指定棚田地域の追加、また、指定棚田地域におきます基盤整備や交流施設整備、鳥獣被害防止施設整備に対します補助率のかさ上げといったようなものを盛り込みますとともに、令和元年度補正予算におきましては、棚田における耕作放棄地の有効利用等に対しまして、十アール当たり五万円を上限とする交付金を交付するなど、棚田地域振興法に基づく活動開始に向けた支援を行っているところでございます。
また、先ほど内閣府から御答弁をいただきました棚田地域振興コンシェルジュ、この職員も農水省が主力を担っているというふうに自負をしておりますので、この活動も通じまして、関係府省ともしっかり連携をして施策を講じてまいりたいと考えております。
○古川(康)委員 棚田そのものというよりは、まさに、棚田地域の振興に資するさまざまな施策が、農林水産省所管分だけでもこれだけ展開されているということが確認をできたところであります。
棚田地域と関係の深い中山間地域直接支払制度、これについてお尋ねをしたいと思います。
令和二年度から第五期がスタートをすることになっております。が、これまで、人に迷惑もかけられないし、五年間の計画をつくって五年間耕作を続けるのが大変という声をよく伺っておりました。すなわち、自分が途中でやめてしまうと、さかのぼって、その協定の、ほかの人の分まで返還をしなければならない、いわゆるペナルティー問題というものであります。
今回の棚田法でも計画をつくることになっています。五年間やるのは大変という声があると思いますが、それにどのように対応をされていかれますか。
○牧元政府参考人 お答えを申し上げます。
この棚田地域振興法に基づきます指定棚田地域振興活動計画は、地域協議会が地域の実情に即して実現可能な目標を設定いたしまして、それを実現するための活動内容を三年から五年の期間で柔軟に定めていただくものでございます。
この計画に基づきます地域の多様な活動に対しまして、農業だけではなくて、文化とか教育とか観光とかいろいろな、関係省庁で四十を超える施策を関連施策に位置づけますとともに、これらの施策を棚田地域振興コンシェルジュによりましてしっかり支援をしていくということになっているところでございます。
また、御指摘いただきました中山間地域等直接支払いについてでございますけれども、これにつきましては、集落戦略の作成を進めますほか、五年間の農業継続ができなくなった場合の交付金の返還を、集落全体から該当する農用地のみに変更するなど、農業者の不安を払拭いたしまして、より取り組みやすい制度となるように見直しを行ったところでございます。
○古川(康)委員 ありがとうございました。
特に、中山間直払いにおける返還制度の変更というものは、現場でも、非常にほっとした感じというものが伝わっているところでございます。
この棚田法の運用については、先ほど来、柔軟にという言葉が随分使われているところでございます。柔軟かつ実現可能な制度の運用ということを心からお願いしたいと思います。
耕して天に至るという言葉があります。司馬遼太郎によりますと、この言葉は、清の末期の政治家であり文人であった李鴻章が、瀬戸内海を汽船で神戸に向かいながら、内海の島々の耕作の状態を見て、驚嘆してつぶやいた言葉であるとされています。中国にも雲南などに棚田の地域がございますが、安徽省出身の李鴻章は、これほどの棚田は見たことがなかったのかもしれません。まさに中国の貴人をして驚かしめた日本の棚田だったのでありますが、この光景を何としても次世代に引き継いでいかなければならないと考えます。
一方、耕して天に至るという李鴻章の言葉には続きがあります。耕して天に至る、もって貧なるを知るべしというものであります。この後段の、もって貧なるを知るべしの言葉は、次の世代に継承していってはなりません。
この棚田地域振興法の成立と施行がこうした課題解決の大きな一助となることを心から期待して、私の、まず棚田法に関する質問を終わります。
次に、新型コロナウイルス関係の質問に移ります。
まずもって、今回の新型コロナウイルスによる感染症によってお亡くなりになられた皆様方にお悔やみを申し上げますとともに、被害や影響を受けておられる皆様方に心からお見舞いを申し上げます。これは大災害であるという認識のもとに、しっかりとした対策を講じていく必要があると考えます。
新型コロナウイルスに関連して農林水産部門で影響の出ている事柄について、以下、確認をさせてください。二週間、三週間にわたりまして、佐賀県内のさまざまな農家や関係の団体などを回りまして、現場で聞き取ってきたものばかりでございます。
まずは、学校給食関連についてであります。
学校給食が休みになったことで、佐賀県においては、本来、今週の月曜日から学校を再開するということにしておりましたが、県内における感染者の確認により、そのこともできないことになってしまい、引き続き、学校給食は春休みまで休止が続くこととなっております。
こうすることによって、出荷量の一五%を占める学乳仕向け、これはキロ百十円、それを加工用キロ六十円に仕向けて対応をしているということで、農家の手取りの下がる影響が四月ごろに出る可能性があるということや、あるJAでは、学校給食がストップして、地場産品であるアスパラの単価に影響が出ている、あるいは、学校給食がストップして加工用出荷分の出荷先に苦慮している、こうした声を伺ったところであります。
この学校給食、特に生乳の問題については、飲用向けと加工向けの単価の違いもありますし、その仕向け先の変更に伴う輸送費の問題などもございます。
そこで、お尋ねをいたします。
このような状況に対しまして、緊急対応策としてどのように取り組もうとされているのか、お伺いをいたします。
○伊東副大臣 それでは、お答えいたします。
一週間前、三月十日でありますけれども、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策第二弾が出たところであります。この中で、今回の学校の休校により影響を受けます生産者の皆様への支援も措置させていただいたところであります。
具体的には、酪農家や乳業メーカー等の協力を得まして、学校給食用として行き場を失う生乳をやむを得ず脱脂粉乳やバター等の加工用に用途変更をすることで生じます、委員今お話ありました原料乳の価格差及び出荷先変更に伴う輸送費を支援することといたしました。
この際、地域によりまして飲用乳価等に差がありますことから、地域の実情、実態に合わせた価格差をベースにお支払いをしたいと考えております。具体的な予算額は、生産者への乳代価格差への支援を十億円、出荷先変更に伴う広域輸送への補助を二億円予定しているところであります。
これらによりまして、生産者の不安を解消し、意欲を持って今後も経営に取り組んでいただけるよう全力で支援をしてまいりたいと考えております。
○古川(康)委員 ありがとうございました。
それでは、こうした学校給食への食材供給を行っている人たちの声にはどのように対応していかれますか。
○伊東副大臣 先ほどアスパラの例をお示しいただいたところでありますけれども、学校給食用の野菜がキャンセルをされまして、野菜の需給が大幅な緩和基調に現在なっております。新たな出荷先を見つけることが大変であるという報告をお聞きしているところでありまして、私どもも極めて重大な事態と受けとめております。
三月十日に決定いたしました緊急対応策第二弾の中で、文部科学省を通じて、臨時休業期間中の学校給食の食材費に相当する費用への支援を行いますほか、農水省におきましても、学校給食にかわる販売先の確保に向けたマッチング等の支援を行うこととしたところであります。
これらの対策は、酪農家と同様、生産者の不安解消という観点で努力をしてまいりたいと考えております。
○古川(康)委員 ありがとうございました。
伊東副大臣の御地元におかれても大きな影響が出ていることと存じます。こうした政府の緊急対応策の活用を心から期待したいと思いますとともに、あわせて、学校給食については、直営で行っている公立のところについては、職員でありますから、学校給食があろうがなかろうが給料というものは月額で支払われます。一方で、民間委託しているところは、給食をつくらない分だけ、さまざまな経費の支払いが減ってしまう。ですから、働いている人から見たら、給食の仕事をしない分だけ、手に入る賃金、給料が下がってしまうというような問題もあるわけでありまして、こうしたさまざまな広がりを持った問題でありますので、ぜひ、政府全体としてのお取組をお願いしたいと思いますし、また、生産された食材を有効にどう活用していくのかという観点についてもよろしくお願いを申し上げたいと思います。
次に、花卉、花についてであります。
さまざまなイベントが佐賀県内でも、また日本全国でも中止になって需要が冷え込んでおりますし、こうした需要の冷え込みというものが単価下落につながっているということで、本来であれば三月は需要期であったにもかかわらず、今後、非常に心配だという声があちこちで聞かれたところでございます。
そこで、お尋ねをいたします。
先日、九州農政局の動画を拝見しました。男性の二人の職員がややぎこちない表情で、皆さん、花を使いましょう、お部屋に花をみたいなことをおっしゃっている。これが妙に、上手じゃない分、説得力があるという印象を受けたところでありますが、こうした一生懸命な取組というのを感じているところでありますが、この花卉農家やお花の販売店に対する手だて、これは何かお考えになっておられるでしょうか。
○伊東副大臣 古川委員もコサージュをつけておられますし、私どもも過日からずっとつけているところであります。
今般、卒業式あるいは送別会等の中止によりまして、大規模なイベントの中止、そして規模縮小、そういったものの中で、切り花の注文のキャンセルが相次いでいると聞いているところであります。
このため農水省では、庁舎内の花飾りなど率先して花卉の需要喚起に取り組んでおりまして、各出入り口のところに大きなお花を飾るようにやって実行しているところでもあります。また、自治体や関係団体にも需要喚起の取組をお願いしているところであります。また、国民の皆様に、フェイスブックやツイッター、ばずまふを通じた映像配信などによりまして、ネット配信で広く花卉の消費拡大への協力を呼びかけているところでもあります。
過日は、三月十四日、三日前でありますか、ホワイトデーということで、農水省といたしましても、バレンタインデーのお返しには花を贈りましょうというキャンペーンを張らせていただきました。三月十四日、私も花を相当買って、自宅と私の事務所に飾ったところでもあります。みんなが花を使う、これは大事なことではないか。これから一生懸命、また頑張ってまいりたいと思います。
○古川(康)委員 ありがとうございました。
まさに身近なところからさまざまなお取組をしていくことの必要性というのを感じたところであります。
野菜や畜産の世界にはマルキンとか野菜価格安定制度とか、そういったのがあるわけでありますけれども、このお花の、花卉の世界には、そういう価格安定制度というものがありません。本当はこうしたものについても考えなくていいんだろうか、そんなことすら思う次第であります。
また、収入保険の制度がスタートをしました。本来であれば、この収入保険の制度を使って花卉農家についても収入の補填があってしかるべきでありますし、制度的にはそのようになっておりますが、残念なことに、収入保険、いまだなかなか加入率が高くない。ましてや、花卉を中心にしておられる農家の加入率が高くないというのが現状でありまして、こうしたものについてもっときちんと制度が広まっていけばなということも感じたところでございます。
昨年、佐賀で大きな災害がありました。農業関係でも大きな豪雨被害があったわけでありますが、そのときにも収入保険に入っていた農家は助かった、そういう声がありました。ぜひとも、収入保険については、こうしたさまざまな実例を通じて理解の促進に努めていただきたいと思います。
地元を回っておりまして、この花卉農家から聞いた全く別の話について質問をさせていただきます。それは、外国人技能実習制度についてでございます。
お話をお伺いに行った花卉農家は、ミャンマーから外国人技能実習制度で働く方を引き受けておられました。この農園で学んだ技術を持って本国に帰っていただくということで、これまで二度にわたってミャンマーから来られていたようでありますが、最近の新型コロナウイルスによる感染症の影響で、こうした新しい方が来られるということについての影響がないでありましょうか。また逆に、本国への帰国がままならない、そういった話なども伺っていると聞いています。
そこでお尋ねをさせていただきます。今回の新型コロナウイルスによる感染症に関連して、外国人技能実習制度に影響は出ておりませんでしょうか。また、出ているとすれば、対応策は講じていただいておられますか。
○横山政府参考人 外国人技能実習生の件についてお答えさせていただきます。
委員から御指摘がございましたとおり、実習を終わられた方の帰国の見通しが立たないですとか、あるいは、他方、中国なりから来られる予定だった方がなかなか来られないといった事例、我々も承知をしているところでございます。
特に、現在受入れの見通しが立っていない技能実習生の方、これを都道府県から聞き取りをいたしまして数字を積み上げますと、約一千名程度ということになります。大宗は中国でございますが、ベトナム、カンボジアといったところからも、ごく少数ではありますが、なかなか来れないといった話を伺っております。
委員から御指摘のあったミャンマーにつきましては、今のところそういった声は聞いておりませんが、引き続き、アンテナを高く、情報収集をしっかりしてまいりたいと思います。
そうした中での対応ということでございます。まずは、今、日本におられる方々が引き続き就労していただくということが考えられるのではないかということでございまして、帰国困難な方が引き続き同じ等価で就労いただける場合、三十日間就労可能な在留資格への変更ができます。これは法務省出入国管理庁の措置でございますが、できるということでございます。
また、改めて法務省の方に確認いたしまして、その三十日間を更に再度延長することも可能ということでございましたので、その旨も現場に周知をさせていただいたところでございます。
今後とも、現場の要望をよくお伺いいたしまして、今申し上げましたような政策的な対応も含め、厚生労働省や法務省に働きかけるなど、必要な対応をとってまいりたいと存じます。
○古川(康)委員 ありがとうございました。
次に、肥育牛、牛肉の枝肉価格のことについてお尋ねをさせていただきます。
佐賀県は佐賀牛を始めとするブランド牛の産地でありますが、枝肉価格が、やはり昨年同期に比べてキロ三百円ないし五百円ぐらい下がっている。一頭当たり枝肉を五百キログラムとして、農家からしてみれば、一頭当たり十五万円から三十万円近い収入の減少になっている、こうした声が聞かれました。肥育農家にとっての死活問題であります。
確かに、マルキンの制度が充実をされました。こうしたことによって補填の幅も広がります。これは朗報であります。ですが、例えば佐賀県の場合、このマルキン制度は県平均の単価で支払うこととしておりまして、支払われる時期が二カ月後ということになります。その分だけ資金繰りの問題も出てくるところでありますし、よい肉質を出荷できない農家ほど厳しくなるというところもございます。
こうした声を踏まえて、何か対策が考えられないでありましょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
和牛の枝肉価格でございますが、新型コロナウイルスの発生に伴いますインバウンド需要の低下、それから、消費者の方が外出を控えておられることによりまして、外食需要の減少によりまして、昨年に比べて価格が大きく低下をしている状況にございます。こうした場合におきます肥育農家の経営安定対策といたしましては、委員御指摘のとおり、牛のマルキンが措置をされております。
これは、肥育牛一頭当たりの標準的な販売価格が標準的生産費を下回った場合にその差額を補填するものでございますが、この牛マルキンにつきましては、一昨年十二月のTPP11協定の発効に伴いまして制度を法制化いたしました。補填率を八割から九割に引き上げまして充実を図ったところでございますが、確かに委員御指摘のとおり、資金繰りの方が問題だということもございます。
今回、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策の第二弾の一つといたしまして、その資金繰り対策といたしまして、農林漁業セーフティネット資金につきまして、新たに、実質無利子化、そして実質無担保貸付けというものを措置させていただきました。こういった形で資金繰りの支援をさせていただくこととしております。
今後とも、枝肉価格を注視していくとともに、肥育農家の方々が不安を払拭して意欲を持って経営に取り組んでいただけるよう、しっかりと支援してまいりたいと考えております。
○古川(康)委員 ありがとうございました。
実質無利子、無担保の制度というものの活用というお話がございました。政府のこうした政策について現場に伝えますと、そういった制度について御理解をいただくものの、手続が面倒とか、あるいは、実質と書いてあるところが、実は一遍払ってしまわないといけなくて、後になって返ってくるというような、そういう制度であったりして、使い勝手というものについてもさまざまな御指摘をいただくこともあります。
ぜひとも、使う人から見て、安心して、しかも使いやすいものであることを心から希望する次第であります。
それでは、最後の質問に移ります。
家畜伝染病予防法の関係でございます。
平成二十二年度、口蹄疫の国内発生がありました。私は、当時、佐賀県で知事をいたしておりましたが、佐賀県においても、消毒ポイント設置、農場の緊急消毒などの対応に加えて、県の行動指針を策定いたしました。
当時は、法律や国の防疫指針に明記されていなかったために、九州各県が競うように消毒ポイントの設置をするような事態になりましたが、終息後は、飼養衛生管理基準の大幅な見直しなど、家伝法が改正されて、国の防疫指針も大きく見直されたところであります。
こうしたことを踏まえまして、今回のこの家伝法改正にも大きく期待を寄せるところでありますが、まずお伺いをさせていただきます。
最近のCSF及びASFについての発生状況について教えてください。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
まず、CSFでございます。
CSFは、世界的には多くの国で発生している病気ということでございます。日本におきましては、一昨年の九月でございますが、国内では二十六年ぶりに発生をいたしまして、現在まで、飼養豚での発生が八県、計五十八事例に及んでいるところでございます。現在までの殺処分の頭数は、合計約十六万六千頭ということでございます。
この感染の理由といたしましては、多くの発生農家におきまして飼養衛生管理基準の遵守が不十分だったということ、それから、今回の特徴といたしましては、CSFに感染した野生イノシシを媒介として広がったことというのが指摘されているところでございます。これに加えまして、各県におきます飼養衛生管理の水準の指導がなかなか、ばらつきがあったということも大きな要因ではないかと思っております。
それから、ASFにつきましては、現在、世界六十二カ国、アフリカ、アジア、欧州で広がっております。アメリカ大陸では現在は発生していないという状況でございます。特に、アジアでございますけれども、一昨年の八月の中国での発生以来、各国で感染が相次いでおりまして、現在、アジア十二カ国、特に近隣の韓国で昨年九月に発生をしたということで、侵入リスクは一段と高まっているというふうに承知をしております。
○古川(康)委員 まさに今そこにある危機とでもいうべき状況であって、何としても、CSFのこれ以上の蔓延、そしてASFの国内への侵入の防止、こうしたものが今喫緊の課題になっているということであろうと思っております。
こうしたことを受けて、このCSF、そしてASFも含めて、こういう状況の中で、どのような改正内容にしようとされているのか、改めて確認のためにお尋ねをさせていただきます。
○新井政府参考人 今回の家畜伝染病予防法の改正は、口蹄疫の発生以来ということでございます。今回、私ども、ASFの侵入の脅威、それからCSFの国内の発生等の教訓を踏まえまして、大きく四点で改正をしたいというふうに考えているところでございます。
まずは、飼養衛生管理基準の遵守のための制度の充実でございます。
家畜所有者の方の第一義的な責任ということで責務を明確化するとともに、飼養衛生管理に係る責任者をそれぞれの衛生管理区域で選任をしていただくこと、それから、この方々がしっかりとした農場内における教育をしていただけることがまず第一点でございます。
それから、飼養衛生管理を皆様に守っていただくための体制ということで、まず、国が指針を策定いたします。それに基づきまして都道府県が計画を策定し、その計画に基づいて指導していただくということ、それから、飼養衛生管理の遵守をしていただかない方、それから定期報告等、防疫措置の基礎になるデータを報告していただかない方々の罰金を引き上げるということが第一点目でございます。
それから第二点目が、今回のCSFが野生のイノシシを媒介にして広がったということでございますので、野生イノシシの蔓延防止のための措置、これは現在の家伝法上は明確ではなかったということでございますので、これを法律に位置づけるとともに、法定受託事務ということで国が責任を持って対応するということをまず明らかにするということでございます。
それから三点目が、先般の議員立法により措置をしていただきました、家畜又は野生動物でアフリカ豚熱の感染が発見された場合の予防的殺処分、これを今回の改正法案で恒久化するということでございます。これによりまして迅速に封じ込めを行いたいというのが第三点目でございます。
それから第四点目は、水際でございます。これにつきましても、現在の家畜防疫官の権限がなかなか強固なものではないということ、それから罰金、いわゆる不正を取り締まる予防的効果というかアナウンス効果もあるというふうに思っておりますが、罰金が十分ではないということで、これについても引き上げるということでございます。
具体的には、廃棄権限それから質問権限を家畜防疫官に与える、輸出入防疫の罰金を、現行の三年以下、百万円から、三百万円、それから、法人の場合ということで五千万円の措置を新設するということを今回の改正法に盛り込んでいるところでございます。
○古川(康)委員 飼養衛生管理基準、これをしっかり引き上げていくこと、そして野生イノシシからの侵入を防ぐこと、大きなこの二つをやっていくことによって、CSFさらにはASFに対して対応していこうというお考えということがよくわかりました。
そこで、これも念のためのお尋ねでありますが、これまで、飼養衛生管理基準についてどういう問題がこのCSFの発生現場で発生していたということでございましょうか。
○新井政府参考人 お答えいたします。
今般のCSFの発生事例それぞれにつきまして疫学調査を行い、それから県とも連携して農場の立入り等につきまして行っているところでございます。
その中で何点か指摘をさせていただきますと、まずは、死亡頭数の増加などを未報告ということで、早期通報がなかなか行われていないという事例がございました。それから、飼養衛生管理区域の区分けが十分になされていないということで、車両や豚舎の入り口の消毒が徹底をされていない事例ということ。さらには、いわゆる農場での長靴あるいは着がえが適切に行われていない、これによってウイルスが豚に近づいてしまったという残念な事例もございます。それから、沖縄につきましては、特にエコフィードの加熱が不十分であったということで、ここを介してウイルスが侵入をしたということが報告されているところでございます。
これらの状況を踏まえまして、昨年十月以降、審議会におきまして科学的、専門的な議論を重ねまして、今回、飼養衛生管理基準の改正を行ったところでございます。
○古川(康)委員 そのような残念ながら問題点が見られたということで、それを今回の改正により引き上げていく、厳しくしていくということであろうかと思うのでありますが、どういうレベルまで引き上げようとしていて、また、そうやって法律で決めていても、実効性というものの担保がなされるのか、そうしたことについても教えてください。
○新井政府参考人 お答えいたします。
まず、飼養衛生管理基準の内容の見直しでございます。これは法律の施行規則という形で措置をするものでございますけれども、これまで、生産者や関係者から、なかなか抽象的で、何をやったらいいかわからないという御指摘がございました。
今回は、各規定の内容ごとに、人や野生動物、飼養環境といった家畜の感染要因ごとにまず分類いたしまして、それをどこでやったらいいか、境界でやったらいいのか畜舎でやったらいいのかということで、それを明らかにするということでございます。これに基づきまして、従業員の方々のチェックポイントを明確にするという意味からも、マニュアルを作成していただく。ですから、毎日毎日、誰が何を、どこでいいかわかるようにするということを基本に飼養衛生管理を見直したところでございます。
これに加えまして、特に野生動物からの感染の脅威が高いイノシシが存在するところにおきましては、防護柵の設置でありますとか野生動物対策を徹底するということを今回追加したということでございます。
それから、加えまして、エコフィード、いわゆる食品残渣からの餌の加熱条件を引き上げることによりまして、これによります感染のリスクを低めるということを措置しているところでございます。
これらにつきましては、毎日毎日の飼養衛生管理が大切ということではございますが、やはり一定程度の設備投資等が必要になる場合もございます。これにつきましては、防護柵でありますとか消毒の噴霧器でありますとかそういうものにつきましては必要な支援をしていくということを考えております。
それから、どのように担保をしていくかという点でございますが、まず、家畜所有者の方々がその責任者を選任していただく、その責任者の方々に我々もしっかりと、どういうふうにやっていけばいいかということを適時適切に情報をまず提供したいと思っております。
それから、都道府県のいわゆるチェックをする体制も計画に基づいて定期的に指導していくということで、そういう外部からの目も生かしながら、皆さんが守っていただける体制をつくっていきたいと思っております。
○古川(康)委員 ありがとうございました。
続いて、水際対策の強化に移ってまいります。
水際対策の強化、ちょっと一問飛ばしまして、家伝法そのものではありませんが、これまでの国会におけるさまざまな議論を通じて、今回、税関の携帯品・別送品申告書の様式が変更されたと伺っているところでございまして、どのように変わったのか、教えてください。
○山名政府参考人 お答え申し上げます。
お手元の先生からの配付資料にございますように、これまでの税関申告書におきましては、裏面に日本への持込みが制限されている物品として肉製品が示され、肉製品を持っていれば、申告書表面の、日本への持込みが禁止又は制限されているものを所持しているかどうかとの質問に、はいと答えていただくことになっておりました。
この様式に対し、先般、農林水産省から、CSF、ASF対策等の観点からの改正の要望をいただいたことから、それに沿って様式の改正を行い、昨年末以降、全国の空港等において使用しているところでございます。
具体的には、肉製品の持込みの有無についても、質問されていることがわかりやすくなるよう、税関申告書の表面において、肉製品、野菜、果実、動植物等の日本への持込みが制限されているものと明記し、所持の有無を直接聞くようにしたところでございます。
この税関申告書は、航空会社、船会社に機内、船内での配付を依頼していることから、今回の様式変更により、肉製品等の持込み制限について入国者に対し一定の周知効果があったのではないかと考えているところでございます。
○古川(康)委員 ありがとうございました。
委員の皆様方にもごらんになっていただければ一目瞭然のように、改正前においては、一々裏面を見ないと、検疫確認が肉製品などは必要だということがわからなかったものが、現在においては、持っていますかという確認の二つ目に、表面に出てくるということで、非常にわかりやすくなったということは間違いないかと思います。
こうしたことを通じて、さらには、ほかの措置ともあわせて、我が国に肉製品を持ち込むことがちゃんと制限されているということを、全ての外国から来られる方々にしっかりと周知をさせていただきたいと心から願うものであります。
そして、次に、市町村と県の役割分担についてお尋ねをさせていただきます。
佐賀県においては、過去二回、高病原性鳥インフルエンザの県内発生がありました。また、その中では口蹄疫事案により改正された法律や国の防疫指針に基づいて対応しましたが、当時、市町村の位置づけが、先ほども議論になっておりましたが、防疫指針の中の、市町村は県の取組に協力する程度の記載だけでした。県として市町村にお願いするときにも、法律的な根拠がなかったものですから、非常にお願いがしにくかったということを聞いています。
こうしたことを踏まえて、県から市町村に業務の指揮とか割当てとかができるようにしておきたいという声が随分出されておりました。
これまでは全ての防疫対応を県主導で実施しておりましたが、市町村主導で対応する方が迅速に対応できるというものがいろいろあるというのが現場からの意見でした。
例えば、発生直後の住民説明会、防疫対応に必要な水の確保、埋却や消毒による周辺環境汚染に関する調査、埋却が終わった後に生じる少量の廃棄物の、例えば防護服とかそういったものの焼却処分、消毒ポイントにおける協力、こうしたものは県の仕事というよりは市町村の仕事が実際であるのに、根拠がないということが指摘されていたわけであります。
今回のこの改正法によっては、こうしたことについてどのように対応されておりますでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
家畜伝染病予防法におきます防疫措置は畜産振興と表裏一体でございまして、原則的には都道府県が主体となって行っていただくことということで、法律でもそのように措置をしているところでございます。しかしながら、より現場に近い立場である市町村におきましては、委員御指摘のとおり、発生直後の住民説明会、それから通行の制限や遮断、埋却地の確保、消毒ポイントの設置、ひいては発生農家への再建支援など、大変御協力をいただいているところでございます。都道府県、市町村、国がしっかりと連携いたしまして発生予防と蔓延防止に取り組むことは非常に重要というふうに考えております。
このため、本法案におきましては、第二条の三の第三項に新たに市町村の責務というものを新設いたしました。この中におきましては、市町村は国及び都道府県の施策に協力して家畜の伝染病疾病の発生予防及び蔓延防止に努めなければならないというふうに措置したところでございますし、加えまして、第四項におきましては、国、都道府県、家畜の所有者あるいは市町村等が協力をして連携をして当たっていくということも新設したところでございます。
このように、国と地方、それから家畜の所有者がしっかりとスクラムを組むことによって、この対策を、発生予防と蔓延防止に取り組んでまいりたいと考えております。
○古川(康)委員 ありがとうございました。
こうした規定を置くことによって、市町村、県、それぞれ仕事がしやすくなるものと思います。
次に、家畜防疫員など獣医師の増員についてお尋ねをさせていただきます。
これまでのこの委員会における議論でも出てきておりますように、今や、国の家畜防疫官、地方公共団体における家保、家畜保健衛生所の機能強化や、家畜防疫員、獣医師がメーンになりますが、この増員が非常に重要なものになってきています。
例えばCSFが発生した地域ではどのように対応しているのかというと、こうした専門家はなかなか緊急な増員が難しいので、地方公共団体又は国の有資格者が当該発生地域に派遣をされています。獣医師が不足する規模の県内農場でCSF等が発生した場合には、県外の家畜防疫員の動員を要請することになるわけでありますし、実際、佐賀県からも、岐阜県や愛知県へこれまで延べ十二名の家畜防疫員の派遣をいたしました。
これは、ある程度距離がある地域で限定的に発生していたために派遣できましたが、全国で点在するような状況になった場合には派遣が難しくなりますし、また、発生地へ派遣した職員が原因となって自分の県で発生するということを防ぐために、派遣した職員が自分の県に帰ってきた後、一定期間、テレワークで、職場の獣医師や畜産関係者と接触しないように対応をしています。通常業務に戻るまでに派遣期間プラス一週間程度必要となります。
十月十五日付で改正されたCSF及びASFに関する特定家畜伝染病防疫指針や、和牛精液の海外流出事件による家畜改良増殖法の見直しなどによりまして、県の家畜衛生部署の業務がただでさえ既に増大をしている状況でございます。
そこで、お尋ねをいたします。
家畜防疫官及び家畜防疫員の数の変化はどのようになっているのか、また、こうした状況の中、家畜防疫員、すなわち獣医師の増員についてどのように考えているのか、お尋ねをいたします。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
まず、家畜防疫官それから家畜防疫員の人員につきましてお答え申し上げます。
家畜防疫官につきましては、平成二十六年度から元年度まで五年間で八十七名の増員を行っております。令和二年度は更に十名の増員を行うという予定にしておりますので、合計四百九十一名で水際それから貨物等のチェックに当たっているところでございます。
それから家畜防疫員でございます。家畜防疫員は、都道府県に勤めます職員の獣医師を中心に、知事の任命によって配置をされているということでございます。毎年、都道府県から定期報告を受けておりますけれども、実は二百人増加をしておりまして、令和元年度四月一日時点におきましては、全国で六千二百名の体制というふうになっております。平成三十年から令和元年度にかけて二百名の増員ということでございます。
農林水産省におきましては、疾病の発生時におきましては、速やかに防疫措置を完了させるため、他県の家畜防疫員の現場への派遣というのを行って調整をしているところでございます。これらの旅費につきましては、家伝法に基づきまして全額国が負担をするという制度になっているところでございます。それから、家畜防疫員が不足している場合には、民間獣医師を臨時に家畜防疫員として任命をするということで、都道府県についても御尽力いただいているというふうに考えております。
このような中での獣医の確保についてでございます。特に産業獣医につきましては確保状況が非常に厳しいということでございまして、まず第一点は、獣医学生に対する修学資金の貸与、それから実際に興味を持っていただく、それから働いていただくための誘因となるという意味で、臨床実習や行政体験の研修への参加をしております。それから、特に女性獣医師につきましては、再就職、復帰する場合のいろいろな研修、セミナー等を行っているところでございます。
これに加えまして、今年度末までに、獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針というのを今検討しているところでございますが、ここの中におきましては、今申し上げた施策の一層の活用に加えまして、OBや一時的に職場を離れている獣医師の潜在的な人員を有効活用するということで、名簿をつくって緊急時に対応できるような体制を整備しようということ、それから、遠隔地、いわゆる通信機器を使った診療体制を整備することによって、より効率的に産業動物の診察ができるようにするということも広めていきたいというふうに考えているところでございます。
いろいろな手法を使いながら、産業獣医師の確保に努めてまいりたいと考えております。
○古川(康)委員 終わります。五十五分間、ありがとうございました。
○吉野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十七分休憩
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午後三時四十四分開議
○吉野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時四十五分散会