第7号 令和2年3月19日(木曜日)
令和二年三月十九日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 吉野 正芳君
理事 池田 道孝君 理事 齋藤 健君
理事 谷 公一君 理事 野中 厚君
理事 細田 健一君 理事 石川 香織君
理事 近藤 和也君 理事 濱村 進君
泉田 裕彦君 稲田 朋美君
今枝宗一郎君 金子 俊平君
神谷 昇君 木村 次郎君
小寺 裕雄君 坂本 哲志君
笹川 博義君 鈴木 憲和君
田所 嘉徳君 高木 啓君
高鳥 修一君 永岡 桂子君
西田 昭二君 福山 守君
古川 康君 宮腰 光寛君
宮路 拓馬君 簗 和生君
吉川 赳君 青山 大人君
大串 博志君 神谷 裕君
佐々木隆博君 佐藤 公治君
長谷川嘉一君 広田 一君
緑川 貴士君 山本和嘉子君
石田 祝稔君 田村 貴昭君
森 夏枝君
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農林水産大臣 江藤 拓君
厚生労働副大臣 橋本 岳君
農林水産副大臣 伊東 良孝君
農林水産大臣政務官 河野 義博君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉永 和生君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 光吉 一君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官) 岩濱 洋海君
政府参考人
(農林水産省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 信夫 隆生君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 天羽 隆君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 菱沼 義久君
政府参考人
(水産庁長官) 山口 英彰君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 磯野 正義君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
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委員の異動
三月十九日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 高木 啓君
福山 守君 田所 嘉徳君
宮腰 光寛君 吉川 赳君
亀井亜紀子君 山本和嘉子君
同日
辞任 補欠選任
田所 嘉徳君 福山 守君
高木 啓君 上杉謙太郎君
吉川 赳君 宮腰 光寛君
山本和嘉子君 亀井亜紀子君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
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○吉野委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官光吉一君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官岩濱洋海君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官信夫隆生君、食料産業局長塩川白良君、生産局長水田正和君、経営局長横山紳君、農村振興局長牧元幸司君、政策統括官天羽隆君、農林水産技術会議事務局長菱沼義久君、水産庁長官山口英彰君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君及び国土交通省大臣官房審議官磯野正義君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○吉野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。
○坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。
今回、四十分の質問の時間をいただきました。理事の皆さん方に心から感謝を申し上げたいと思います。
まず、酪農におきますヘルパー制度についてお伺いをいたしたいと思います。
我が国の酪農、とりわけ都府県酪農は、厳しい局面を迎えております。この十年間の動向を見ましても、十年前の平成二十二年の都府県の酪農家の戸数は一万四千三百戸でございました。昨年、平成三十一年、令和元年の都府県酪農の農家戸数は九千百戸ということで、この十年間で五千二百戸も減少をいたしております。
高額の設備投資やふん尿処理対策、そして年間平均の労働時間の長さ、こういったものが大きな障害となっているところであります。もし都府県酪農の中で、年間労働時間という働き方問題、そして流通コスト、さらには環境対策のこの三点が改善されれば、都府県酪農はこれほどの減少にはならないと思います。
世界の各国でも、この三点につきましてはさまざまな試行錯誤が行われ、酪農業の維持に努めているところであります。このうち今回は、働き方改革の問題もありまして、労働時間をできるだけ短縮するためのヘルパー制度について取り上げてみたいと思います。
酪農の先進地でございますヨーロッパの酪農は、企業型大規模経営を中心とするイギリスやフランスの酪農と、それから家族経営を中心といたしますスイス、ドイツ、フィンランドなど、二極化になっております。
イギリスは、十六―十八世紀に行われました囲い込み運動によりまして、多くの農民の方々が都市工場の労働者として供給をされました。その結果として、空洞化した農村部では結果的に大規模酪農が行われることになりました。フランスにおきましても、広大な農地を活用して大型酪農が進められております。
しかし一方、ドイツ、スイス、フィンランド等は家族経営中心で、家族経営に対してさまざまな支援策を行っているところであります。特にスイスにおきましては、景観保護の観点から、憲法で家族経営を規定しております。草地の面積や飼養頭数において、一定の直接支払いを実施する規模を規定いたしまして、農家に交付金を交付をいたしております。逆に、一定の規模以上になるとこれらの交付金が打ち切られるという徹底したものであります。
これら家族経営を重視する国で最も力を入れている制度が、ヘルパー制度でございます。家族の負担を少しでも減らし、家族経営を持続させることによって、国民一人一人の酪農業への意識を高め、景観や草地、国土を守るという気宇壮大な国家政策に基づいているからであります。
家族経営を重視する国のヘルパー制度の特徴は、まず、社会保障制度の枠組みの中で行われているということであります。そして、ヘルパー制度におきまして、ヘルパー専門の労働者として一定の所得が保障されているということであります。我が国も、近い将来、ヘルパー制度を社会保障制度の一環として位置づけ、ヘルパーの方々の所得を確保し、誇りあるヘルパー事業者として制度を確立させる必要があると思います。
そこで、我が国が最も取り入れ可能な制度として、フィンランドのヘルパー制度を紹介をいたしたいと思います。
フィンランドは、国土面積が三十三万八千平方キロメートルでありますので、三十七万平方キロメートルの我が国とほとんど変わりません。人口は五百五十万人で、我が国の二十四分の一であります。国土は平たんでありますけれども、四分の一が北極圏にあり、作物の作付が不可能と言ってもよい国土であります。国の七割が森林に覆われ、十八万もの湖沼があります。まさに我が国の森林面積割合と同じであり、湖沼の数も、我が国も二十二万と言われますため池の数と酷似をしているところであります。
ヘルパーの運営主体は、Melaと呼ばれます農業者社会保険組合で運営をされております。農業者の健康増進と酪農経営の持続性を維持することを目的としております。全国で四十二支部、そして職員数が百六十人。四十二支部は自治体単位であり、ヘルパーは、Melaと自治体が連携をして運営をしております。Melaの年間予算は十億ユーロ、日本円にいたしまして約千五百億円でございます。加入農家数は四万五千戸、農業従事者五万九千人、そして農業年金受給者十一万九千人となっているところであります。加入者は、農家、それから漁師、あるいはトナカイ等の牧畜家、そして林業家でございます。予算規模の十億ユーロのうち、年金徴収は一五%であり、残りは税収から補填をされております。
ヘルパー部門は、一九七四年にスタートいたしました。現在、四十六年が経過をしているところであります。現場マネジャーは、一地区一人の四十二人。現場チーフは、全国で二百人。フルタイムヘルパーが三千二百人、パートタイムヘルパーは千人登録をされております。
ヘルパー利用の手順は、まず、利用希望農家から、四十二地区のそれぞれの自治体に申請をいたします。自治体が、現場マネジャーと相談をして、必ず一人のベテランを加えて、二、三人のヘルパーを酪農家に派遣するということになっております。
フィンランドでは年間二十六日の有給休暇をとることが義務づけられておりますので、二十六日間のヘルパー派遣は無料であります。農家の傷病時の利用としては、原則として有料になります。
ヘルパーの収入は、時間当たり三十ユーロ、四千五百円であります。フルタイムヘルパーの平均年齢は五十歳、パートヘルパーは若者が多いと言われております。フルタイムヘルパーは、月収で四十万程度になりますので、専業が大部分を占めております。パートタイムヘルパーは、新規就農の希望を持つ者が多いというふうに言われております。
ただ、ヘルパー人材の確保の難しさは、フィンランドも日本も同じであります。Melaでは、自治体と連携をして人材確保のPRをしているところでありますけれども、給与確保が課題ということであります。ヘルパーの給与は、ヘルパー労働組合と自治体の交渉で決まるため、Melaは関与をいたしません。フルとパートの賃金割合も、自治体の予算によって割り振られます。労働時間が変則的であるために、ヘルパーの確保が今後フィンランドという国の生乳生産量の鍵を握るというふうにも言われております。
これが、フィンランドのヘルパー制度の概要であります。
それに対しまして、我が国のヘルパー制度はどういうふうになっているんでしょうか。
我が国の、一般社団法人酪農ヘルパー全国協会によりますと、全国のヘルパーの利用組合数は、平成三十年で二百八十八組合、北海道が八十六組合、都府県が二百二組合であります。組合組織の形態は、都府県の二百二組合でいえば、任意組合が百六十八、農協関連が三十一、それから法人が三であります。八割以上が任意の組合で、酪農家によってヘルパー制度が守られていると言っていいと思います。
ヘルパー要員は、平成三十年で専任が全国で千六十二人、臨時が八百二十六人の合計千八百八十八人であります。このうち都府県は、専任が五百五十九人、臨時が四百七十八人で、臨時の割合が非常に多くなっております。
一回当たりの派遣人数と利用料金は、全国平均で、派遣人数が一・六九人、一日の利用料金が二万三千九百七十二円。つまり、一人当たりの利用料金は一万四千六十円ということになりますが、これは利用料金でありますので、この中からヘルパーの給与が支払われるということになります。この金額は都府県も北海道も余り変わりませんし、一戸当たりの年間の利用日数は二十三・二日というふうになっております。
財源は、ほとんどが酪農家の拠出によるものであります。中には農協が補助したり、自治体が補助している例もありますけれども、その実態はさまざまであります。
つまり、我が国のヘルパー制度は、各農家による任意の利用組合で成り立っている。時給もヨーロッパに比べて低く、非常に不安定な仕組みであるということが浮き彫りになってまいります。このような制度の実態が続くならば、酪農の働き方改革はほど遠く、酪農家の減少、とりわけ都府県酪農の減少が続いていくことは間違いありません。
そこで、我が国の今後の酪農、とりわけ都府県酪農を持続させていくために、新たな視点に立った公的ヘルパー制度の確立が必要であるというふうに考えております。
まず、現在のように、各酪農家の任意による利用組合でいいのかという問題があります。各ブロックの指定団体を中心として、公的にヘルパーを組織をして、ヘルパーとの雇用契約を結ぶべきではないでしょうか。
二番目に、今回、国の働き方改革で、雇用契約を結んでいる一般企業につきましては年五日の有給休暇が義務づけられることになりました。その国の方針を酪農家にも当てはめるべきであります。まず、年間五日間については農家が無料でヘルパー利用を可能とすべきではないかというふうに考えます。
そして、三番目に、その財源としてALICからの補助が考えられないのでしょうか。あわせて、酪農家の利用料金を増加させるとともに、ヘルパーの時給もふやすべきであるというふうに考えますけれども、御答弁をお願いいたしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
坂本委員からは、今、ヨーロッパのヘルパー制度、特にフィンランドの制度を御紹介いただきまして、それを踏まえて、我が国のヘルパー制度につきまして、今我が国がやっているものよりも一歩も二歩も進んだ、先進的な御提言をいただいたものというふうに理解をしております。
我が国のヘルパー制度でございますが、我が国の酪農、御指摘いただいたとおり、家族経営が大宗になっておりまして、酪農の生産基盤を維持する上でこのヘルパー制度というものは酪農家の労働負担の軽減を図るものでございまして、非常に重要なものというふうに認識をしております。
このため、農林水産省では、酪農ヘルパー事業によりまして、ヘルパー要員の確保、育成、それから、傷病時のヘルパー利用料金の低減のほか、酪農ヘルパー利用組合の組織強化というものも支援をしているところでございます。
中でも、委員御指摘いただきました、ヘルパー組合の組織の強化の観点では、幾つかの助成をさせていただいております。一つは、ヘルパーの出役調整などを行うときに、パソコンとかスマホを活用いたしまして電子システムを入れる、こういった形で運営改善をするとか、広域移動、三十キロ以上の出役の場合に燃料費等を支援するとか、あるいは臨時ヘルパーの傷害保険、さらには対人対物の損害補償保険、こういった加入に要する経費などを支援をさせていただいているということでございます。
また、人材確保も大きな課題となっておりまして、酪農ヘルパーの人材確保の支援につきましては、学生インターンシップの受入れですとか、採用前後の研修の実施ですとか、人材コンサルタントを活用した採用、定着を促進するための取組、こういったものを支援をしているところでございます。
さらに、人材確保の取組が大きな課題となっている中で、就業前の業務のイメージと実際のギャップを埋めるための内定者研修ですとか、あるいは、ヘルパー組合が農業高校とか農業者大学校とかに出向いてPRとか説明会を行う取組、こういったものも令和二年から実施していくこととしておるところでございます。
酪農家の方が少しでも多く休日がとれるように、今後とも、委員の御質問ございました御意見と、それから関係者の御意見等を伺いながら、酪農ヘルパーの確保、育成、利用拡大、充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○坂本委員 私が言いたいのは、とにかく、個別の事業に対する支援というよりも、このヘルパー制度そのものを大きな酪農業の枠組みの中でどう位置づけるか、どう形づくっていくのか、このことが将来の日本酪農を決定づけるものであるというふうに思います。
ここで、熊本県酪連、らくのうマザーズのヘルパー事業の取組を御紹介をさせていただきます。これは全国でもモデルになるような制度でありますので、ぜひ御紹介をしたいというふうに思います。
熊本では、県酪連が一括して熊本県酪農ヘルパー利用組合というヘルパー制度を設立をしております。
ヘルパーの待遇と位置づけにつきましては、まず、県内の県立農業大学校や、農学部を持つ九州東海大学、県外は中四国の酪農大学、そして北海道の酪農大学に求人票を提出いたします。大卒、大学校卒のみの採用で、採用年齢は三十五歳までというふうになっております。
面接を行いまして、熊本県酪農ヘルパー利用組合の職員として採用をされます。ただ、本採用までには、五人のリーダーに同行をして、三カ月の研修が必要であります。その後、一年から二年の補助ヘルパーを経て、本採用となるわけであります。
リーダーになるためには、さまざまな試験あるいは推薦、昇格試験、こういったものが必要になってまいります。普通自動車免許や大型特殊、建設機械やフォークリフトの運転技能講習など、ヘルパーとして必要な免許は組合負担で取得をさせるということになっております。
給与は、研修期間は一日五千円、専任ヘルパーは一日一万四千円、補助ヘルパーは一日一万円。そのほかに、土日祝日手当四千円、あるいは宿泊手当七千円などが設けられております。
職員数、いわゆるヘルパーの数は三十六人前後で、ここ数年変わっておりません。年間一人か二人の退職者が出ますけれども、ほとんど、ヘルパーとして働くか、酪農の後継者として育っていきます。定年は六十五歳であります。
運営は、酪農家の出資とともに、県酪連が年間二千万円を助成をしております。
熊本県の酪農は、年間の生乳生産量が二十四万トンございます。熊本県酪連は、自社工場を二カ所、そして支店、営業所を九カ所持つとともに、らくのうマザーズのブランドで多数の自社商品も販売しておりまして、財政力が安定しているため、このようなヘルパー制度が可能となっております。
ただし、都府県のほとんどの酪連は、年間の生乳生産量が数万トン単位でございます。財政的にも非常に厳しいものがありますので、ヘルパー制度を任意の団体に任せているのが現状であります。
しかし、だからといって、このまま放っておけば、日本の酪農、北海道もそして都府県酪農も、衰退をする一方であります。財源的にも、あるいは、どのくらいの広域的にするか、非常に難しいものがありますけれども、ぜひ、国の制度設計の積極的な関与と公的資金の支援をお願いしなければならないと思います。
将来に向かって、このヘルパー制度、非常に大事な制度と思いますので、大臣の決意をお願いいたしたいと思います。
○江藤国務大臣 いつもそう思っておりますけれども、現場のことを本当によく御存じで、何が起こっているかを捉えておられて、敬服するばかりでございます。大変傾聴させていただきました。
まず、国の関与がどうあるべきか。実際に国からこの酪農ヘルパー制度に出しているお金は年間二億円しかなくて、いわゆる給与に関することについてはまずノータッチ。ALICのお金が流用できないかという議論は党内でもこれまでもしたこともありますけれども、大変有意義な御提言だと思います。
フィンランドの例も示していただいて、もう随分長い歴史の中で確立しているということ、それから、日本も働き方改革というものを日本国民全体に対してアナウンスしたわけでありますから、酷農と言われる酪農の世界にも、それは当然反映される責任があるんだろうというふうに思います。
それで、いろいろ思うことはありますけれども、ほとんどのところが任意で、先生もおっしゃったように、熊本のように規模の大きいところは、集乳量も多いところは、財政的にもある程度余裕もあるし、それから公的な助成もいただけて、ある程度の、ちゃんとした職員として採用してということが基本だと。社会保障制度の充実した中において、やはり酪農家のお手伝いをするヘルパー制度は充実していくべきだと思っています。
しかし、現在、三年以内にやめる人が今、全国的にいうと半分というのが現状でございます。その理由を聞くと、一つは、思っていたのと違うと。これはもうどんな仕事でもあることだとは思いますけれども、それともう一つは、やはりつらいと。朝も早いし、労働も、重いものを持たなきゃいけないし、しんどいというのが、その理由の大宗を占めているということであります。
ということであれば、畜産クラスター事業とか、これからIoTとか、いろいろな技術の革新が進んでおりますが、都府県酪農においても、家族経営においても、ある程度いろいろな技術を導入して、労働の負荷を軽減する努力も、していく努力があるのかもしれません。
そして、給料も大体、先ほどの例では四十万ぐらいは確保されているというお話をいただきましたが、日本の場合は、低いと二十万、高くても四百万ちょっとというところが現状でございます。ということになると、なかなかそこで、ずっと自分の人生をそこにかけて頑張り抜こうというのは厳しい給与水準だと言わざるを得ないと思います。
ということであれば、この酪農ヘルパー制度を通じて、今、次の世代に、赤の他人であっても畜舎をそのまま継承できるような事業も今展開しておりますので、酪農ヘルパー制度で技術を習得した、熊本では大変、先輩方から研修して、その研修が認められなければ正職員になれない、すばらしい制度だということをお伺いしましたが、しかし、そこで身につけた技術が、将来独立する、そして高齢化が進んでいる都府県を含めた酪農家の家族経営を引き継ぐような担い手に更に育っていく、そういうようなことをしなきゃならぬと思いました。
ですから、きょう先生の御提言をいただいて、やはりこのヘルパー制度がないと、国が示している働き方改革という理念はこの世界では実現ができないし、そして、これが魅力ある産業として次の世代に引き継がれていくためには、やはり、しっかり休みもとれて、給与水準もしっかり上がるということであれば、酪農家の支出もいただいているわけですから、酪農家自体の所得の水準も上げていく努力も同時にしなければならないんだろうと、いろいろなことを、お話を伺いながら考えたところでありますが、この酪農ヘルパー制度の充実について、国の関与のあり方、公的な関与のあり方も含めて、しっかりと議論をしてまいりたいというふうに思っております。
○坂本委員 とにかく酪農がやはり一番きついんですね。朝夕の搾乳、それからふん尿処理も含めて、そして労働時間も長い、これを何とかクリアすれば、やはり誇りある酪農業。でも、酪農家の方々というのは、青い草を食べて白い牛乳を出すわけですので、本当に誇りを持ってやはりこの魔法の液体というのをつくっておられます。ぜひ、このヘルパー制度、これから非常に大切な制度でございますので、農業に特に造詣の深い大臣が就任時期に、何らかのきっかけをつくっていただけたらというふうに思います。
続きまして、集落営農と消費税につきまして御質問させていただきます。
私の町は熊本県菊池郡大津町というところでございます。そこで生まれて育ちました。そこに、集落営農組織、ネットワーク大津株式会社というのが設立をされております。設立時期は平成十九年一月。地域の専業農家の中堅、若手によって設立をされ、既に十三年を経過いたしました。
その構成は、十三の集落が参加をしておりまして、農地の総面積はおおむね三百三十ヘクタール。社長、副社長を置き、それぞれ十三集落の代表者が取締役となっております。十三の集落持ち株会と大津町、そしてJA菊池が株主で、十三集落の会員は二百八十七人、そのうち百四十九人がオペレーター及び補助員として登録をし、契約社員というふうになっております。専従社員として若者十人を雇用いたしまして、将来の農業後継者を目指す人材も育成をしているところでございます。
まず、年間の作付計画を取締役会で決定をいたします。昨年の場合は、水稲、主食用米ですが、五ヘクタール、そして大豆が百二十ヘクタール、そして飼料用米、これは飼料にするためのソフトグレーンサイレージ用の飼料米が六十ヘクタール、そして玄米の飼料用米が九ヘクタール、さらにはWCS、飼料稲が七十ヘクタールを、それぞれ輪作体系で決めました。そして、裏作として、麦が二百三十五ヘクタール、さらには牧草類などを作付けております。各集落の作付にはバランスをとっておりまして、一つの集落が同じ作物をずっとつくり続けるということがないような工夫はされているところでございます。
平成二十五年からは、飼料米から、水田飼料、いわゆるもみ米、発酵するやつを収穫した上で、そして今年度から、その発酵の飼料用米に、エコフィード、焼酎かすの濃縮液やビールかすを主原料として、自給飼料型活用のTMR飼料を製造、販売しております。熊本県の農業研究機関や大学の専門家の指導を受けて、質の高い発酵飼料づくりを目指しているところであります。地域の一帯は畜産酪農が盛んでありますので、需要は旺盛であります。
そして、この集落営農それぞれの作付に対して、耕うん、代かき、田植、播種、稲刈り、麦刈り、消毒などがあるわけでありますけれども、一連の特定農作業は、オペレーター、補助員として登録をいたしました百四十九人の契約社員が、決定された計画のもとに作業を行っております。タイムカード管理方式によりまして、毎月十日締めで賃金が支払われます。もちろん、各水田には利用権が設定してありまして、小作料が農地中間管理機構を通して各地権者に支払われるという仕組みになっております。
ネットワーク大津株式会社は、あくまで、地域の自然や環境、そして文化や伝統を次世代へとつなぎ、それぞれの農村集落と農村生活、文化の一体性を守り抜こうという目的のもとに設立をされたものであり、ビジネスにより利益を出そうとする一般的な株式会社とは明確に違います。
設立時に、株式会社組織にするのか、それとも農事組合法人組織にするのかということで大分検討をいたしました。しかし、地域全体への貢献度を高めるという趣旨を考えますと、農事組合法人の場合には、員外利用というのは二割に限定をされますので、同時にまた、一人一票制の決議権でありますので意思決定や合意形成に時間がかかるということで、すぐれた経営手腕を持った経営者がいても合理的な運営ができないだろうということで、株式会社を選択いたしました。しかし、株式会社といいましても、いわば公益法人である社団法人や財団法人に近い性格を持つものであります。
実際、総収入の九割は交付金であります。公的支援によるものであります。例えば、平成三十年度の総収入は七億一千万円でありました。そのうち、交付金の公的支援が六億三千万円でありました。農産物売上収入、いわゆる品代は七千三百万円しかありません。公的支援が八九%、品代が一一%になっております。
一方、支出は、あぜ切りなどの作業委託管理費が三億円、そして小作料が千三百万円、構成員への配分額は三億二千万円で、配分率が四五%であります。そのほかの支出は、機械購入費や原材料費、あるいは共済掛金積立金、こういったものを計上いたしまして、税引き後の当期利益が五百三十万円でございました。ただ、三十年度は、大きな設備投資をしたために構成員への配分率が四五%でありましたけれども、例年ですと六〇%であります。
しかし、このように順調に見える集落営農組織も、営利を目的としない社会的な組織であるにもかかわらず、今、非常に消費税に対して危機感を持っているところであります。特に、二〇二三年から導入予定のインボイス方式による課税におきましては、これは深刻であります。
インボイス方式といいますのは、商品の売上げに対しまして、仕入れにかかった経費を仕入れ時の消費税も含めて適格請求するというようなものであります。ですから、一万五千円の商品を売った、それには千五百円の消費税がかかっている、仕入れは一万円であった、それには千円の消費税がかかっているということで、最終的には、総売上げと、そして税額控除を提出をいたしまして、千五百円マイナス千円で五百円を納付するということであります。そして、請求後、残りの五百円につきましては還付金として戻ってまいります。
これで仕入れ税額控除というのを提出するわけでありますけれども、集落営農の場合に、仕入れにかかる費用は構成員が提供する労働力であります。労働が仕入れであります。これには、先ほど言いましたように、三億二千万の支出をしております。そういうことで、これまではそれに対して還付金制度がありましたけれども、今後、インボイス制度が導入されることになりますと、構成員はほとんどが低額所得者でございますので、免税事業者となります。免税事業者となれば、やはりそれに対して還付金が参りません。
先ほど言ったように、七億円の売上げ、そして三億円の人件費あるいは構成員への支払いということを考えると、これまでだと、その一〇%で七千万円、そして三千万円、その差引きの四千万円を支払い、残りの三千万円が還付金として戻ってくる、それで何とか息をついていたわけでございますけれども、二〇二三年からインボイス制度が導入をされますと、労働提供者、構成員は免税事業者が多いということになりますので、仕入れ税額控除が消滅をいたします。ですから、これまで戻ってきていた還付金がなくなるということであります。そうすると、集落営農の存続ができないということになります。非常に深刻な問題であります。
現在の集落営農数は全国で一万四千九百四十九、このうち法人化された集落営農法人は五千三百一であります。残りの九千六百四十八は非法人で、いわゆる交付金の受皿となっているだけの仕組みであります。これまで、農林省が農地中間管理機構をつくって、そして土地の大区画化を進めてきた、さらには、そこに集落営農法人を設立する、法人組織としてやってくださいというようなことでその政策を進めてきたところでございますが、これが、農林省の方針に沿って大規模化し、あるいは集落営農化したところが、今度のインボイス方式でやはり経営が立ち行かなくなる、次々に倒産をするということが考えられ、一方で、受皿として非法人の九千を超す組織、そこが生き残るという、本末転倒の状況になってくることが十分考えられます。
二〇二三年が導入時期でございますので、あと三年ありますけれども、もう三年しかありません。インボイス制度に対する対応策を早急に作成し、そして、経営意識が高く社会的使命を持った、こういった若い人たちが運営する集落営農組織をしっかり守っていかなければ、本当に米麦農家も含めて地域の集落は崩壊していくというふうに思いますけれども、どういう対応策を考えておられるのか、お伺いをいたします。
○横山政府参考人 お答え申し上げます。
坂本委員から、集落営農組織が数多くの集落、農業者の方々を束ねて、地域の農業を支えている実態をお聞かせいただきました。
委員からも御説明がありましたとおり、二三年からインボイスが導入されます。
まず、現在、基本的に、消費税の納税額、これは、売上げにかかる消費税から仕入れにかかる消費税を控除した額、これを納税する、こういった仕組みになってございます。現在は消費税の納税義務を免除されている免税事業者の方々からの仕入れについても全額仕入れ税額控除、こういう対象になっているところでございます。インボイス制度が導入されますと、免税事業者の方々の仕入れについては、免税事業者の方々はインボイスを発行することができませんので、仕入れ税額控除とすることができなくなります。その結果、免税事業者も含む農業者の方々から構成されている集落営農の納税額は、仕入れ税額控除ができなくなる分、現在よりも多くなるということに相なります。
ただ、免税事業者の仕入れにつきましては、激変緩和措置ということで、二三年十月から三年間は仕入れ税額相当額の八〇%、二〇二六年十月からの三年間は仕入れ税額相当額の五〇%、これをそれぞれ仕入れ税額として控除できるという経過措置が講じられているところでございます。
このような経過措置の期間が設けられていることも含めまして、導入までの間に農業者の方々に制度の周知を引き続き行ってまいりますとともに、委員から御指摘のありました集落営農についての影響、その実情の把握、これもしっかりやってまいりたいと思います。
○坂本委員 非常に、今までやはり誇りを持ってやってきた集落営農組織が、今後の経営に対して不安を持っております。これは最終的には、さまざまな支援措置、あるいは立法措置まで行くのかどうかわかりませんけれども、日本の農業の根幹をなすものでありますので、非常に重要なものであると思います。できるだけ早くその立ち上げをして、検討に入っていただきたいというふうに思います。
三番目に、それぞれ道府県立の農業大学校があります。ここに資料として出しましたけれども、全国で四十二の道府県立農業大学校がありますけれども、この大学校が、非常に今、教職員不足で苦慮しております。
子供たちの関心は、スマート農業やICT農業の導入に関する生産技術関連の充実、あるいはGAPやHACCPに対するさまざまな教育、こういったものを望んでいるわけですけれども、それを教える教員が不足をいたしております。また、農業改良普及員が大体ほとんど教師になっておりますので、それに対しての能力の不足ということもあります。
大切な大切な農業大学校でございますので、これはぜひ、今後、しっかりと国の関与をしながら、教育機関、実践農業従事者を育成する機関として充実をさせていただきたいと思いますけれども、御答弁をお願いいたしたいと思います。
○伊東副大臣 御答弁させていただきます。
農業大学校、今、お話にありますように、昭和五十二年に、これが、農業改良助長法の改正によりまして、農民の研修、教育施設として設けられて以降、地域農業の後継者の育成機関として重要な役割を果たしてきているところであります。全国で四十二カ所、これが設置されているところでありまして、それぞれの都道府県が運営をしている形であります。
議員の御地元の熊本県立農業大学校では、第一線で活躍する農業者によるアグリビジネス講座や農業用ドローン実習などに取り組み、また、私の地元の北海道では、道立農業大学校で、GPS操舵システムによるトラクターの操作など、応用先進農業機械学の演習を取り入れ、それぞれ時代に対応した実践的な農業教育に熱心に取り組んでいるところであります。
坂本議員には、いつも、各種会合におきまして、非常に重要な問題提起をいただいているところでありまして、農業高校を含めて、この教育機関の充実に熱心にお取り組みをいただいておりまして、感謝を申し上げる次第であります。
設立から四十年たちまして、対象者の拡大、教育内容の拡充を行った平成六年の改正から二十五年を経過しているところでありますが、この間、農業者の減少や高齢化が更に進行する一方、経営の高度化、多角化、輸出拡大、スマート農業技術の発展など、農業のあり方が変わってきており、若い就農者の育成、教育にも、新しい時代に合った内容、方法が求められている、このように認識をいたしております。これはまた、教師、教育者の皆さんの充実ということも、これに関係するわけであります。
このため、現在検討中の食料・農業・農村基本計画の見直しの中でも、農業大学校等における実践的、発展的な教育内容の充実、産業界や海外と連携した研修、専門職大学化など、農業教育を高度化していく方向を盛り込んでいきたいと考えております。
具体的に設置者たる都道府県とも議論しながら、農業大学校のあり方につきまして、検証及び施策の検討を更に進めてまいりたい、このように考えております。
○坂本委員 質問を終わらせていただきますけれども、最後に一言。
阿蘇の降灰が昨年の五月からとまりません。いろいろなところに農業関連被害が出ているところでございますので、ぜひ現場に寄り添って、降灰対策を要望をいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。
きょうは、食料・農業・農村基本計画の原案が示されたということで、これをベースにしながら、さまざまお伺いをしてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
まず食料自給率について伺いたいと思っておりますが、食料・農業・農村基本法の十五条三項には、食料自給率の目標は向上を図ることを旨としという記載がございます。これは理由は何なのか、食料自給率の向上によって国民にどういった恩恵がもたらされるのか、この点について、まず大臣にお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 日本の食は、高度成長の時期から現在に至るまで、さまざまに多様化をしてきて、その過程の中で食料自給率が低下してきたことは、委員もよく御存じのとおりでございます。
一九九九年、私が尊敬して、もうお亡くなりになりましたけれども、中川昭一先生が基本法をおつくりになって、それでこの十五条の三項の項目をお書きになったわけでありますけれども、やはり、独立国家である日本は、最終的には食料自給率についてしっかり意識をしないと、これは農家の問題だけではなくて国民の意識の問題だという御提言をされたというふうに私は理解をいたしております。
農業は国の基であるということは私も所信で申し上げさせていただきましたし、総理も常におっしゃっていることでありますけれども、国民の生命と財産を守るということの、一つ加えれば、国民が決して飢えることがないような生産基盤を守っていくことも私は国家の責任ではないかということを思っております。
ですから、この食料自給率目標を掲げて、三七%ということは、私は国民に対して申しわけない数字だと思っております。目標四五%に向かってあらゆる施策を総動員して頑張るということを示すことが、国民の皆様方に、四五では足りないという御叱責をいただくことも覚悟した上で、これをお示しすることには意義があるというふうに考えております。
○濱村委員 今大臣がおっしゃった中に、四五%でいいのかというようなこともございました。まず、今現状が三七パーなので、四五%を目指していきましょうというのは合理的だと思っております。一方で、四五%だったら、国民の生命財産を守るといったような観点からの食料安全保障を守れるのかといった点については、まだまだ私は疑問があるんじゃないかと思っております。
そういった意味では、この食料自給率というのは一つの指標であって、こればかりを追い求めていったら何とかなるというものでは決してなくて、その数字は数字として追いかけつつも、これがどういった影響をもたらすのか、あるいは食料の確保といったところの安定性をしっかり担保していくということの方が非常に重要なのではないかと思っております。
そうした意味では、各国との外交において友好的な関係を結んでいくというようなことも非常に重要であると思っておりますし、これは農業者の皆様だけで何とかなるということではないということを、まず認識として共有をしておきたいなというふうに思っております。
その上で伺いたいと思いますが、品目別の食料自給率なんですけれども、米については自給率一〇〇%に近い水準になっております。あるいは芋、野菜も七〇%を超えております。一方で、小麦や大豆については一〇%前後の低い水準にございますが、品目ごとの食料自給率、これは指標としてどのように捉えていけばよろしいのか、お伺いいたします。
○河野大臣政務官 品目別自給率は、品目ごとの自給の程度を重量ベースであらわすものでありまして、個別品目の需給の程度の把握や他品目との比較に活用してございます。
このように、品目ごとの生産、消費の状況を把握することは、きめ細やかな施策を講じるために有益であると私どもは考えてございます。
このため、品目ごとの目標については、総合食料自給率の目標とあわせて生産努力目標を設定しているところでありまして、総合食料自給率の検証に当たっては、各品目の生産努力目標の達成状況についても個別に検証を行っているところであります。
○濱村委員 品目それぞれについてどのような生産の政策をとっていくのかということにおいても非常に重要であるというふうに認識をしております。
一方で、これが、各品目ごとに横横で比較するということもある意味では大事なんですけれども、それがそもそもどういった効果があるのかというのは、米が一〇〇%近いからといって何が低かったらだめだということにはならないと思いますし、日本には日本に適した作物というのはあるわけでございますので、それはそれとして見続けていくということが重要なんだろうと思っております。
その上で、伺います。
今、世界において、食料自給率を比較する場合に、カロリーベースというよりかは生産額ベースを用いるのが主流になっているのではないかと認識をしております。にもかかわらず、日本では、どちらかというとカロリーベースが先に来て、その後に生産額ベースが来ているんじゃないかと見受けられるんですけれども、この点、理由についてお伺いをいたします。
○河野大臣政務官 お答え申し上げます。
総合食料自給率目標のうち、カロリーベース自給率は、国民に対し基礎的な栄養価であるカロリーを供給するという姿勢が明確になり、一方で、生産額ベースの自給率は、需要に応じまして高付加価値化の取組を進めようとする我が国の農業生産の実態に即しているものと考えております。
今般お示しをいたしました新たな基本計画の原案におきましては、カロリーベース自給率を先に明記することに関しましては、災害など農業の持続性を脅かすリスクが日に日に増大する中で我が国のカロリーベース自給率が年々低下していくことを踏まえたものでありますが、需要に応じた生産を推進することも必要でありますので、カロリーベースと生産額ベースはいずれも重要な指標であるというふうに認識をしてございます。
なお、農林水産省で把握しているところによりますと、近年、カロリーベースの自給率及び生産額の自給率の両方を公表した実績がある国はスイス、台湾、カロリーベースの自給率のみを公表した実績があるのはドイツ、ノルウェー、韓国でありまして、一方で、生産額ベースの自給率のみを公表した実績があるのは英国のみとなっておりまして、世界各国では、生産額ベースよりもカロリーベースの方がやや多く用いられているものというふうに把握をしてございます。
○濱村委員 今ちょっと、生産額ベースが、私、主流だと思っておったんですが、勘違いでございました。失礼いたしました。ありがとうございます。(発言する者あり)ちょっとだけということですね。
そこについては、恐らく各国、指標として使っているわけでございまして、各国ごとに比較することに対して、どういった理由があるのかとか、さまざまこれは、農業大国、もっと言えば、自給率を優に超して農業輸出大国になっているような国からすれば、指標の持つ意味合いが変わってくるというふうに思うんですね。そうした観点からすれば、食料自給率自体がカロリーベースであるのか生産額ベースであるのか、これは国によって違ってしかるべきであるということだろうと思います。
ただ、先ほど来何度も申し上げているのが、ただ一つの指標であると。これをどのように受けとめながら、生産者の皆様と、直接的に生産をしていない、農林水産省さんも含めた、その生産者の皆様をサポートする立場の人たちの政策意思決定における大事な指標の一つであるということだろうと思っております。
引き続き、この指標を有効に活用しながら、そして、どういった意味合いを持つものかということもあわせて明示をしていただきながら御提示をいただき、政策を立案していっていただきたいとお願いを申し上げるものでございます。
その上で、ちょっと違う質問になります。
今回、食料・農業・農村基本計画の原案にも記載をされ始めておりますけれども、農業のデジタルトランスフォーメーションという言葉が出てまいりました。
我々の、公明党の部会でも議論に多少なったんですけれども、スマート農業と農業のデジタルトランスフォーメーションってどう違うんですかと。これは確かにどういうことなんだろうなというような気持ちもあるわけですけれども、これを具体的に整理して御提示をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○信夫政府参考人 お答えいたします。
スマート農業は、ロボット、AI、IoT等の先端技術を活用し、省力化、精密化や高品質生産といった農業の現場の課題を技術で解決する取組のことでございます。例えば、作業の自動化ですとか、技術、経営の継承、データの活用などにより、効率化や経営規模の拡大、高付加価値化といった効果が期待されるものであります。
他方、農業のデジタルトランスフォーメーションにつきましては、情報通信技術を活用いたしまして、農業にかかわるさまざまな主体がデータで切れ目なくつながることで、消費者ニーズに的確に対応した価値を創造し提供できるような農業の実現を目指す取組のことを広く指すものでございます。
例えば、データを活用して行うスマート農業はもとより、流通、小売段階から得られる消費者の嗜好に関するさまざまなデータを踏まえ、農業者が生産方法を思い切って変えていくような取組ですとか、あるいは、農業者がそういった工夫に注力できるように、手間のかかっていた行政手続をオンラインで簡便に行えるような基盤を行政が整備したり、あるいは、行政が保有しておりますデータをオープンデータとして提供するような取組もこれに該当すると考えてございます。
これらの取組を強力に推進いたしまして、農業の成長産業化の実現につなげてまいりたいと考えております。
○濱村委員 スマート農業はどちらかというと農業の現場の課題を解決していくために活用されるものというふうに理解をしました。
そしてまた、農業のデジタルトランスフォーメーションというのはもう少し広い概念で、さまざまな主体、まあ流通、小売というお話もございましたが、これは農林水産省も含めてでございましょうが、これは行政が電子化されるというような話もございましたけれども、そうした方々あるいは農業に関しての研究機構が保有しているようなデータをオープンデータとしても活用していく、そういうところから農業の生産現場へもデータの活用というものが広くわたっていくという点も重要でございますし、生産現場だけではなくて、さまざまな主体が連携をしていくという、そうした基盤を整えていくということなんだろうと理解をいたしました。
これは非常に重要な取組だと思っております。農業が、生産者だけではなくて、さまざまな視点から、要は、例えばITをやっていましたというような方が入ってくることによって、大きく農業の生産現場が開いていくというようなこともございますので、こうした農業の、今までの従来の生産者以外の方々が入ってくることによって大きくイノベーションが起こっていくということも期待されるわけでございますので、ぜひ取組を加速していっていただきたいとお願いを申し上げます。
そしてまた、農業が直面する課題の一つでございますけれども、リタイアする農業者の方から農地やあるいは経営資源をいかに次に引き継いでいくかということでございます。
今回の原案においては移譲希望者という言葉が出てきました。私、これは初めて記載されているんじゃないかなというふうに思っておりますが、極めて重要な考え方だろうと思っております。
この移譲希望者ということなんですけれども、実は農地についてもなかなか、機構ができても、農地バンクができても、農地集約が進まないということを、私も地元の皆さんから、何で進まないんですかねとかということを聞くと、やはり、JAさんであったりとか農業委員会であったりとか、そういう地域の顔が見える人たちに対して、俺、そろそろ手放そうと思っているんだということを言うこと自体が非常にネガティブなことであって、地域から疎外されてしまう、地域社会から受け入れられなくなってしまうというようなこともあって、なかなか言い出しにくいんだというようなこともございました。
これは非常に重要なことだなと思っているんですけれども、逆に言いますと、これを言い出しやすい環境をつくっていくということも非常に重要だと思っております。
そうした観点も含めて、移譲希望者の皆さんを把握することから始めていかなければいけないと思いますけれども、こうした移譲希望者の把握をどなたが推進するのか、伺いたいと思います。
○横山政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、これから農業者の高齢化、減少が進むという中で、農地を有効に利用して地域の農業生産を持続可能なものにしていくためには、円滑な経営継承、これを進めていかなければなりません。そういう中で、委員の御指摘にあったように、地域の取組、これは非常に重要だと考えてございます。
そうした観点から、現在、人・農地プランの実質化、これを集中的に進めているところでございます。
その中では、市町村が実施いたします農業者へのアンケート、これを通じまして、それぞれの農家の方々の年齢ですとか、後継者がいらっしゃる、いらっしゃらないというようなこと、こういったことを把握し、それを更に地図に落として見える化をする、それをもとに自治体でありますとかJA、農業委員会、土地改良区等の関係者が徹底した話合いを行っていただいて、五年後、十年後の農地利用を担う経営体のあり方を決めていっていただきたいということで進めているところでございます。
委員から御指摘のありました、特に農地ということに関して申し上げますと、農業委員会が農業者の農地等の利用意向の情報を提供するということも、これは農地バンク法の中にも盛り込まれているところでございます。
こうした地域の取組を土台として、農業委員会ですとか、あるいは農家の方と近いところにいるJAの方々、そういった方々も含めて、より具体的な意向の聞き取りなどを通じて経営移譲を希望する者の把握をした上で、次の担い手へのマッチングにつなげていく、そういった形で経営継承を促進してまいりたいと考えてございます。
○濱村委員 最後になりますが、多様な食の需要についてお伺いしたいと思います。
今、完全食というようなものがちまたでは出てきております。パウダー型であったりとかグミ型であったりとか、そういうものが出てきているんですけれども、栄養素を簡単にとることができるというようなことでございます。
そうしたことも需要が非常にふえてきているということを踏まえながら、大豆などの植物たんぱくを用いての代替肉の研究開発とか、あるいは食と先端技術を掛け合わせたフードテックを展開するというようなことが今後必要になってくるんだろうと思っておりますけれども、それぞれどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
○菱沼政府参考人 お答えいたします。
食品関連産業にありましては、産学官の連携を強化して最新のテクノロジーを駆使することで、今までにない新しい形での食品を加工製造する技術、いわゆるフードテックを開発することが重要であると考えています。
最近では、ベンチャーなどの民間企業を中心に、例えば、ミドリムシなどの微生物を活用し、機能性を持った食品の製造加工技術の開発や、大豆などの植物たんぱくを用いる代替肉の開発を通じて、食味や食感などの見える化技術、新たな食品製造加工技術の開発等が進んでおり、今までの発想にない食が生まれつつあります。この代替肉の開発に当たっては、世界的には、もともと肉を食べないベジタリアンの方々への新たな市場を創出して期待されているところであります。
今後、このような取組が加速化され、多様な食の需要に応じた新たな市場創出につながるよう、食品製造加工の面でイノベーション創出を推進してまいりたいと考えております。
○濱村委員 一つの需要としてベジタリアンの方々の需要に応えていくということも必要なことなんでしょうけれども、その方々のお考えをとやかく言う筋のものではありませんが、私はおいしいお肉やおいしい水産物をしっかり食べるということを旨としておりますので、そういう趣旨からいうと、こうしたこと、人間の体が健康であり続けるということのためには非常に重要だと思っております。
その上で、今、ちょっと関係ない話を最後にいたしますけれども、新型コロナウイルスの影響によって飲食店が非常に閑散としている状況でございます。私もたまに行くおすし屋さんで、なかなか人気があって予約がとれないんですけれども、当日に電話したら予約がとれたというような状況がございます。ぜひ、農林水産委員会の委員の皆様方におかれましては、自粛は過度になされぬよう、そしてまた飲食店をぜひ積極的に訪問いただければということをお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 おはようございます。
この前質問に立たせていただいたときに、基本計画について、ぜひ閣議決定前に議論をする時間をというお話をさせていただきましたら、委員長を始め理事の皆さん方に大変御配慮いただきましてきょうの時間がとれたということを、まずは感謝を申し上げたいというふうに思います。
きょうは、基本計画について、四十分いただきましたので質問をさせていただきますが、その前に一点、コロナについて質問をさせていただきます。
先日、三月十七日に、農林水産省関連のコロナの影響というものを農林水産省から報告をいただきました、ヒアリングをさせていただきました。
その中でちょっと気になったのが、前に外国人研修生等については質疑をさせていただいておりますけれども、その中に、今回、牛肉や子牛の価格が下落をしているという報告をいただきました。きょうの農業新聞にも、新型コロナの影響で枝肉が低迷をしているという報道がありましたけれども、それはそうなんでしょうけれども、一方で、経済連携協定の関連でも牛肉が下がっているという報道がありました。
今回のこの報告は、両方まじり合わさった報告なのかどうなのか。片方では経済連携で下がっているよ、片方ではコロナで下がっているよ、こういう話になっていて、データとしてどういうことになっているのかというのがよくわかりません。
これは実態の話でありますので参考人でも結構でございますが、この関連について、農水省からも国交省の在庫のデータというものをいただきましたが、これを見てもちょっとなかなか理解しがたいものですから、御説明をいただきたいというふうに思ってございますが、よろしくお願いいたします。
○江藤国務大臣 十七日に御党で説明したときに出したデータについての御質問という理解でよろしいでしょうか。(佐々木(隆)委員「それと、一連の経済連携で下がっているものとの関係です」と呼ぶ)
経済連携協定にかかわって牛肉の値段が下がったか、それから子牛の値段が下がったかと、因果関係を定量的に、断定的に申し上げることは難しいと思っています。
しかし、関税が下がったわけでありますから、外国から買いたい方にとってはアドバンテージはふえたわけであります。インセンティブは確実に上がっているので、その影響を否定するというつもりは全くありません。
その上で申し上げますけれども、事実関係だけ若干お話をさせていただきます。
例えば、牛肉の輸入量の九九%を占める11及び米国を合わせますと、本年の一月から二月の輸入量は、前年同月比で九二%。一月―二月ですから、まだコロナの影響はないわけでありますから。
二六・六%にそろったわけですよね、米国も発効したわけで。三八・五%から一一・九%下がったわけでありますが、しかし、三%下がっているということでありますから、関税が下がることイコールどっと入ってくるという状況には事実としてはなっていない。言いわけをしているわけではありません。
それから、特に輸入牛肉と競合するであろうと言われています乳雄の肉ですけれども、これも少し下がっています。少し下がっておりますけれども、そんなにどかんと下がっているということではない。二月で一千二十円ですから、大体三・三%ダウンということでありますから、影響がゼロだというふうに断定はいたしませんけれども、深刻な影響を与えているような状況では今のところはないというふうに思っています。
そして、輸入量は、先生も御存じのように、実需者の嗜好とか、為替とか、それからいろいろなものによってその量は決まってまいりますので、関税だけではないということでありますけれども、例えば二〇一八年の十二月三十日、これは11ですね、TPP11は三十六万九千四百九十一トンということになっています、一月から十二月の一年分で。この量がふえた分が、一〇三となっておりますので、三%はふえた。一〇三ですね。
ということでありますので、影響はなかったというふうに断定はいたしませんけれども、連携協定によって甚大な影響というふうな分析はいたしておりません。
コロナについては、大変な状況です。六十万円台という相場を久しぶりに見ました。
しかし、私も昨日、いろいろなところに電話したんですけれども、優良な繁殖雌牛の値段はいまだに百万円超で取引されているという状況でありますから、増頭奨励が効いているのかもしれません。ですから、将来に対して全く悲観的な展望を生産者が持っているということでは多分ないんだろうと思います。
そして、在庫の話もされましたので。
在庫もかなり積み上がってきておることは事実だと思っています。しかし、大分、私の宮崎でも、ミヤチクで在庫が積み上がっていたんですが、半額セールをコープでやりましたら、あっという間に全部売れてしまいまして、三割引きぐらいにしておけばよかったなと後で悔やんでおりましたけれども、そういう動きがやはりこの年度末に向かって、やはりこの際、国産牛肉の販促もかけようという動きも出てきておりますので、冷凍庫のあきの状況については注視してまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 大臣から丁寧な説明をいただきまして、ありがとうございます。
これは、経済連携で、どちらかというと影響を受けるのは大衆肉の方なわけですよね。北海道なんかはそっちの影響が大きいんですけれども。コロナでむしろ影響を受けているのは上質肉の方なわけで、これは大臣の御地元などの和牛の銘柄をつくっているところ。これは両方一緒に影響を受けているんですが、それぞれ違うわけでありますので、その辺のしっかりとした分析をしていただいて、それぞれの対策を求めておきたいというふうに思います。
それでは、農業基本計画について質問させていただきます。
食料・農業・農村基本計画、一九九九年に基本法ができて、それに基づいて五年ごとに基本計画というものをつくってきたわけでありますが、もとの基本法というのは一体何を目指したのかというと、食料の安定供給と多面的機能の十分な発揮、農業の持続的な発展、農村の振興、これが新しい基本法の目標です。
一九六一年に制定されたもとの基本法は、高度成長を目指すという中で、農業と他産業の生産性、所得、生活水準の格差縮小、そして農業生産の選択的拡大と農業総生産の増大というのがうたわれていたのがもとの基本法であります。つまり、農業の合理化、需要に見合った転換ということが模索をされたわけであります。
結果として何が起きたかというと、兼業化が進み、国際分業が進んで、結果として、自給率は、カロリーベースで、一九六五年七三%が二〇一八年には三七、生産額ベースで、一九六五年に八六%が二〇一八年に六六%まで落ち込んでしまった、こうした反省に基づいて新しい基本計画ができているというふうに私は認識をしております。
十年計画ではありますが、五年ごとに見直すわけでありますので、それぞれの基本計画は、その五年ごとに、今一番課題になっているということを、もっとがんと打ち出すべきだと思うんですね、そのときの情勢というものを。
そういう意味でいうと、今回はまだ副題はついておりませんが、私が副題をつける立場にはございませんけれども、食料でいえば、食料安保に加えて、今日的な状況からすると、安全ということをどうやって打ち出すのか。それから、農業については、効率化、集約化を目指してきたわけでありますが、多様性というものをどうやってここで位置づけるのか。そして、農村については、持続可能というコンセプトが私は必要だというふうに思いますが、こうした時代をしっかりとその基本計画のタイトルの中で打ち出せるような、そんなことが必要ではないかというふうに思うんですが、大臣のお考えを伺います。
○江藤国務大臣 それは副題に書けという御指摘……(佐々木(隆)委員「まあ、そういう意味では。それも含めて」と呼ぶ)それも含めてですね。全く異を唱えるつもりはございません。私も、今回はかなり詳細に読んでいます、今回の基本計画については。かなり厳しく添削もさせていただいております。
参議院の方でも御議論もいただきましたし、きょうも御議論もいただいておりますので、当然、与党だけの御意見じゃなくて、この委員会での御議論の内容も反映されるべきものだというふうに理解をいたしております。
一九六一年の農業基本法のときから、私は六〇年生まれなんですけれども、随分時代が流れて、中川昭一先生が九九年につくられたときに初めて法律の中に食料安全保障という言葉が法律用語として入って、それから、国民に対して、先生おっしゃったように、食料安全保障とかそういうものがメッセージとして出された。
大変、あれから二十年以上たっておりますけれども、すばらしい内容だと思います。その基本理念はしっかり受け継いでいきながら、これから五年後のまた見直しがありますけれども、今後、先生おっしゃったように、十年間の見通しを立てていかなきゃなりません。
そして、新しいコンセプトとしましては、当然、今回の、我々が今苦しんでいるコロナというものに対するもの、それから、昨年大変厳しかった気候変動による大雨とか豪雨とか台風の大型化とか、そういう気候変動に対する日本の農業のあり方とか、それから、全部言うとなかなか長くなりますので全部言いませんけれども、国際連携協定、たくさんこの数年間、この五年間の間で結んできました。国際経済の中における競争社会に置かれた日本の農業の立場もまた変わってまいりましたから、そのこともしっかり書く必要があるのだろうと思っています。
ですから、今起こっていること、そして将来に備えなければならないこと、そしてこういうところを目指すのだというところをできる限りしっかり書き込ませていただきたいというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 ぜひ御検討いただければと思います。
次に、先ほど濱村委員からもありました自給率についてお伺いをいたします。
私は、カロリーベースと生産額ベースというのをベースに、しゃれているわけではないんですが、それをベースにすべきだというふうに思っております。
もともとは穀物自給率だったわけですよね。それをカロリーベースに変えて、カロリーベースだけでは十分ではないということで生産額ベースというものが出てきた。この二つは、先ほどもお話がありましたが、私は、データですから、二つの要素があると思うんです。
長いスパンの推移をどうやって見ることができるのかという、そのスパン、推移を見ていくために、同じデータをずっととり続けることによってその違いが、あるいは推移がわかるというのが一つの要素です。もう一つは、先ほども話がありました、外国との比較ができるかできないかということだと思うんですね。
そういう意味でいうと、カロリーベースと生産額ベースというのは、外国との比較もできますし、長い間のデータもありますから、長い間の推移というものも見ることができるという意味で、この二つは私は意味があるというふうに思っております。
それからすると、今回出てきた食料国産率だとか、もう一つは前からありますが自給力とかというのは、私は、ほとんど意味がないのではないかと。なぜかというと、今申し上げた、データの長年の推移を見るのにも役立たない、外国で同じようなデータをやっているところもないといったら、何のためにこのデータが必要なのか。
私は、自給力について言えば、この間、学者の皆さん方がこれを使って何かを分析したという文献を見たことがありません。だから、ほとんどデータとして活用されていないデータを、わざわざ優秀な農水省の頭脳をここに使ってつくる必要が私はないのではないかと。
今、私どもの国では統計の部分というのがどんどんどんどん削られていく中で、内閣府と農水省は比較的この統計の部分がしっかりしている方なんです。ですから、それを、ここに労力を使うのではなくて、もっと別なところに使っていただいた方がいいというふうに思うので、今申し上げた食料国産率と自給力というのは、あえて労力を使う必要がないのではないかというふうに思うんですが、お考えを伺います。
○江藤国務大臣 佐々木先生のおっしゃることはよくわかります。よくよく理解した上で若干反論をさせていただきます。
データはとても大事だと私も思っております。国会議員になってから、農林水産省においても統計においての人員の削減がかなり激しくて、これは、将来の制度設計をする上でデータがないと将来を見通せないじゃないかという議論は、私も党内で随分させていただきました。その部分は、逆にこれから農地も含めてデータの管理というのが大事になっていきますので、統計についてもしっかりやらせていただきたいと思います。
その上で、食料自給率については全く同じ意見で、カロリーベースのものが中心であります。
参議院で申し上げたのか、こちらで申し上げたのかちょっと忘れてしまいましたけれども、大黒柱はこれでありまして、国民にまず示すべきは、この食料自給率、カロリーベース、熱供給ベースですよと。これをまず主題として出させていただいて、あとのものは、こういう分析の仕方もございます。限られたマンパワーをそんなところに使うのは役人がかわいそうじゃないかと言われれば、まあそういう見方もあるかなと思いますが。
ただ、食料国産率については、この四月一日から不肖私が輸出の対策本部にならせていただいて、日本の和牛はピュアブラッドでございます、もう血統も、耳標も鼻紋もつけて、トレサもつけてしっかり生産工程も管理しております、この日本の和牛をぜひ買ってくださいというセールスをするのに、今の計算方式では大体、牛一頭の一一%しか食料自給率に換算することができない、輸入している飼料によって生産されているわけですから。
しかし、国内に売るときも外に売るときも、日本のものでございますと言って売るわけでありますから、そして、畜産農家の方々も、自分たちが手塩にかけてつくったものが全く統計の数字に反映されないのも、これはいかがなものかということで、いろいろと議論した上で、輸出の一助にもなる、そしていろいろな多角的な分析を国民の皆様方にもしていただけるということです。
まあ、自給力については、芋の話ですから、なかなか学者さんの文献も出てまいりませんけれども、ただ、四百四十万ヘクタールの若干欠けた農地と、資料もいただいた今すぐ農地に戻せる荒廃農地の九・二万ヘクタール、これを合わせて、もし危機のときに国民に熱供給ベースで食料を供給するとすればこういうことができますよという参考にはしていただけるのではないかというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 いや、参考値にそれほど時間を費やす必要がないというふうに私は思います。
今大臣が輸出のことをお話をされましたが、この基本計画そのものにも、輸出についてはGIと連動してやっていくんだというふうに書いてあるわけで、GIという制度があるんですから、それを利用すれば私は今の大臣のお考えはある程度貫くことができるのではないかというふうに思っております。答えは求めません。(江藤国務大臣「両方で」と呼ぶ)連携とは書いてありました。
それで、とりわけ自給力の話について申し上げれば、ちょっと皆さんのところに資料を配らせていただきましたが、問題は荒廃農地だと思うんです。
今大臣もおっしゃいましたが、荒廃農地をどうするかというのが、私は自給力は必要ないと思っていますが、もし自給力を考えるのであれば、この荒廃農地をどうやって活用するかということにもう少し力と労力を注いだ方がいいのではないか。
耕作農地が四百四十九・六万ヘクタールで、そこにありますように、荒廃農地が二十八万ヘクタール、利用可能な荒廃農地が九・二万ヘクタール。これを単純計算しますと、利用可能な荒廃農地だけで一・九、約二%あるわけです。ですから、単純に計算しますと、二%自給率は上がることになるわけですよね、極めて単純な計算ですけれども。荒廃農地を全部復元をしますと六%ぐらい上昇することになるわけです、全部つくればですよ。
先ほど申し上げましたが、カロリーベースというのは、穀物自給率だけでは外国に依存している部分が高いので、国産のカロリーとして計算しようといってカロリーになった。そして、その後に、野菜や何かの種類が非常に、果物とかがふえてきたので、それはカロリーになかなか反映されないので、生産額というものをベースに、データに一つ加えたという経過があるわけですよね。
そういうことからすると、今の、単純に穀物でこれを補えば二%ないし六%自給率は上昇するということになるわけですから、むしろここをどうするかということにもう少しページを割いていただいた方が、幾ら計算してもわからないような自給力の計算方法を説くよりははるかにわかりやすいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 この農地のうちの九・二万ヘクタールについては私も大変注目をして、棚田法案をつくったときも、荒廃した棚田をもう一回棚田として復元してもらいたい、インセンティブを何とか与えたいということを目標として置かせていただきました。
大変有意義な御提言をいただきましたので、まだ最終案ではありませんので、そのまま書くとは申しませんけれども、私は、大変貴重な御意見を賜ったというふうに理解します。
○佐々木(隆)委員 少し乱暴な計算でしたけれども、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。
次に、農業の方の、この前大串委員も示して質問されておられました輸出目標について、少しお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
将来、五兆円という計画が今度の中に出てきているわけでありますが、農林水産全部合わせたって十二兆円です。それで五兆円というから、四五%ぐらいを輸出に頼るということになっちゃうわけで、これはどう考えても余り現実的でないなという話になるんです。と言ったら、多分、いや、加工品も含まれていますと言うんだと思うんですが、加工品の方が実は多いんだというのが次の資料二でございます。
これは前に大串委員も示した資料でありますけれども、加工食品が全体の中で約三六%ですが、上記以外の加工品というのが四九%あります。畜産物全体で八%ですが、畜産物以外の畜産品というのが二五%。穀物五%のうちの米以外九〇%。野菜、果物全体の五%のうちの三三%がその他であります。これはもう、その他が圧倒的に多くて、これが農産品では恐らくないだろうとは思われるものなわけですね。加工食品についても、米菓を除く菓子、あるいは、みそ、しょうゆなんというのは、これは輸入の大豆や輸入の小麦でありますから。
こういうことで、この上記以外というものについて、畜産物でいうと副産物ですよね、これはほとんど。穀物でも米以外となっていて、この上記以外というのは一体何なんだというのを、全部を説明しろとは言いませんが、例を幾つか挙げていただきたいというふうに思います。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今先生の御指摘いただきました、例えば畜産物の、畜産物以外の畜産品につきましては、例えばソーセージ、ハム、それからバター、ヨーグルト、それから粉卵というんですか、粉の卵、そういうのが入っております。
それから、穀物には、小麦粉、即席麺、うどん、そうめん、そば。それから、野菜、果実のその他は、果汁、缶詰、オイル漬け。それから、その他の農産物のところに入ってございますその他は、ココアの粉だとかインスタントコーヒーとか植物油などが入っているところでございます。
○佐々木(隆)委員 多分そういうことだろうというふうに思うんですが、私は、ソーセージなんかは国産の肉を使っている分もかなりあるんではないかというふうに思うので、これはちゃんと書いた方がいいと思うんですね。一方で、即席麺なんというのはほとんど輸入小麦ですから、ほとんど意味はありません。中には入るかもしれませんが、日本の農業者の所得に結びつくものではない。
ですから、もう少しこれは詳しく書かないと、ココアだって、ほとんど日本のものじゃない、日本で加工しているだけでありますから。ですから、これで一兆円だ、五兆円だと言っても、ちょっと空疎な議論になってしまうというふうに思うんですね。ですから、もう少しやはり農業者とのかかわりというものがわかるような表にしていただきたいということ、これは答弁は求めませんが、求めておきたいというふうに思います。
次に、農村について少し議論をさせていただきたいというふうに思います。
先ほど坂本委員からヨーロッパの仕組みについていろいろ議論があって、もう少し聞きたかったんですけれども、時間がなかったようでございますが、農村の振興、ここにも書かれていますが、農村に人が住み続けるための条件を整備するんだ、これが私は非常に正しい表現だというふうに思うんです。
日本の場合は、ヨーロッパとちょっと違って日本型直接支払いという名前をつけて、戸別所得とはちょっと違うものでありますが、その点についてはまた後ほど触れますが、三つあるわけです。資料の三でありますが、日本型直接支払いは、三種類というか三つで成り立っていると言った方がいいのかもしれませんが、一つは、多面的機能、左側のところです。これは主に地域づくりになります。右側の上の方が中山間の、これはいわゆるハンディキャップ助成であります。そして三つ目が、環境保全型農業支払いということになるわけでありますが、とりわけこの環境支払い、一番右下ですが、全体の額から見ても極めて小さい額でしかありません、ほかから比べると。これが非常に使いづらいんではないかというようなお話をいろいろいただいているんですが、この活用状況などについて、できるだけ簡潔にお答えをいただきたいというふうに思います。
○伊東副大臣 それでは、お答えいたします。
委員御指摘の環境保全型農業直接支払交付金につきましては、平成三十年度予算におきまして二十五億円を措置しておるところでありまして、この予算額で全国からの要望に対応することが現在できているところであります。
令和二年度からは、より多くの農業者の方がこの交付金の取組を実施できるよう、都道府県からの申請によりまして、地域特認取組と認められている取組のうち、環境保全効果が高いリビングマルチなどの五取組を、全国の農業者の方が取り組むことができる全国共通取組に追加するとともに、地域特認取組の支援対象の設定、運用を改善いたしまして、地域の環境課題に適切に対応できるよう、都道府県の裁量を拡大することとしているところであります。
取組全体の質の向上とともに、取組の面的拡大を図っていきたい、このように考えているところであります。
○佐々木(隆)委員 拡大していただいても、全体から見ると三%ぐらいしかありませんので、この二十五億円という予算そのものを拡大していただかないと十分な取組にはならないというふうに思います。
それで、なぜ使いづらいかというと、ほかの二つは、どちらかというと、多面的機能の場合は地域で取り組むというのが主体であります。中山間地域については、これはハンディキャップの地域だけの話になりますので、農家自身が取り組むことができるというのは、実はこの環境支払いなんですね。
私は、農村環境を守っていくという意味でいえば、農業というなりわいを通じて守られている環境というものをもっと評価すべきだという考え方を持っています。ですから、もともとはこれは一体だったんですね。戸別所得を始めたときは全部一体のものとしてつくられていたんですが、それが今の形になって、日本型直接支払いという形で、車の両輪という形で分けたわけですよね。
そういう中で、実は、例えばこの環境支払いの中で、化学肥料や化学合成農薬を原則五割以上低減する取組プラス、地球温暖化に効果の高い営農又は生物多様性保全に効果の高い営農と、これはプラスですから両方やらなきゃだめだということなんで、こんな難しいことを要求されると、結果、なかなか利用できないということになるわけであります。
それともう一つは、対象農家のところでも、GAPを実施していることプラス次の一から十四の中から一つ選びなさい、こうなっていて、GAPをとっているだけで私は十分だというふうに思うんですが、GAPにプラス条件までついているわけであります。結局、非常に難しい要件にしてしまっているものですから、この部分が、利用が低いんです。申請には間に合ったと今副大臣御答弁いただきましたが、申請すること自体が極めてハードルが高いんですね。これをもうちょっと使いやすくしてほしいというのは、農家の人たちから随分私も言われてございます。
そういった意味で、もう一度、より使いやすい制度に要件緩和を、予算をふやしただけではなくて、要件もやはり使いやすいものにしていくということについてお考えをいただきたいと思います。
○伊東副大臣 先ほど御答弁させていただきましたけれども、新たな五つの取組も認めるという話でありますが、基本原則は、先生の資料にもあります有機農業、堆肥の利用、またカバークロップ、これはいずれも、有機農業で一つ、そしてまた土壌に作物をすき込むことで有機物を供給し土壌中に炭素を貯留すること、カバークロップも同じ、土壌に炭素を貯留することを目的としております。
また、先ほど、リビングマルチを始めとして五つの事業というお話をしましたけれども、リビングマルチ、また草生栽培、不耕起播種、この三つは土壌に炭素を貯留するものでありまして、もう二つ、長期中干し、秋耕、これにつきましては土壌中のメタンの発生を抑えるという事業でありまして、先ほど御指摘いただきましたように、本当にそういう形の環境保全ということに、かなり高度な話になってきているか、こう思います。
ただ、畝と畝の間にほかの作物を植えて、それを土壌にすき込むということが大きな事業で、幾つも挙がっているところでありまして、御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(隆)委員 御理解をと言われましても、ちょっとできるだけ要件を緩和して、私は、共同活動で取り組むということだけではなくて、農業者が農業のなりわいを通じて環境にどうやっていい影響を与えていくかということをもう少しやはり取り組みやすくしていただくべきではないかということを改めてお願いを申し上げておきたい。
もう一つありますので、済みません。
もう一つ、農村という視点で、最後に、SDGsの十七の目標というものを掲げさせていただきました。これを見ていただいても、資料の四ですが、二番、六番、七番、十一番、十四番、十五番などはもうまさに農業にかかわりの深いものばかりです。
今度の基本計画の中にもSDGsを取り上げていただいてございますが、分野は幅広い。とりわけ農村にもかかわりが深いと基本計画の中でも記載はされているんですが、せっかくこのSDGsというのが、みんなで取り組もう、世界じゅうで取り組もうというときですから、農村というものをアピールするには、私はこれは絶好の機会だと思うんですね。これをうまく活用すべきだというふうに思うんですが、この点について、ちょっと具体策が見えないんですが、この点についてお伺いします。
○河野大臣政務官 お答え申し上げます。
農村では、森林、土壌、水、そして大気などの豊富な自然環境、それを利用した農業などの経済活動、人々の暮らしを支える地域社会といった、SDGsの理念を構成する環境、経済、社会の三要素が密接に関連をしてございます。このことを踏まえまして、地域経済循環の構築等に資する施策を次期基本計画に位置づけまして、持続可能な地域づくりを推進してまいりたいというふうに考えてございます。
具体的には、小水力発電や営農型太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入、また、家畜排せつ物や食品廃棄物等のバイオマスの利用促進、さらには、地域内の農畜産物などの学校や病院などの施設への給食としての活用や、農産物の直売所などでの提供、販売、そして、農村におけるSDGsの達成に向けた取組事例の普及などの施策を始めとして、農村の振興に関する施策全般について、SDGsの視点をしっかりと持ちながら、政府一丸となった取組を進めてまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 このSDGsの世界的な取組ですが、農村というものを維持発展していくためには、私は、これをうまく利用して、ぜひアピールをする機会にしていただきたいなという思いでありますので、できるだけ具体的に実行していただきたい。
最後の質問をさせていただきます。
この基本計画をつくるに当たって、相当、いろいろな人たちの意見を聞くんだということをやってこられて、我々が途中でこれの質問をしようとしても、まだ地域から人の意見を聞いている最中ですからとかいう話がずっと一年ぐらい続いてきたんですが、相当たくさん聞かれたんだというふうに思います。
その中で、実は、全国町村会というところが、この基本計画を出す五年に一度ずつ、必ず提言を出しているんです。これは資料にはつけておりませんが、皆さん方の基本計画の中にもある、国土の七割を占める中山間地域は、人口の一割の人々がこの広大な自然地域を支えているというふうに、これは皆さん方も書かれておりますが、この集合体、地域の、農業の発展、農村の振興、多面的機能の発揮の政策実現のため、農村価値創造政策として交付金の創設を提言をしているわけであります。
まさに、町村会ですから、農村地域を抱えている皆さん方の提言でありますので、当然農水省でもこれは検討されたと思いますが、こうした人たちの提言、あるいは、とりわけ農村価値創造政策、いわゆる交付金の創設まで提言をしているわけでありますが、これらについて、大臣のこれからの取組の決意も含めてお伺いをさせていただきます。
○江藤国務大臣 今回の基本計画の原案においては、前回の基本計画に比べて大体倍のロットで中山間地域についての記述をふやさせていただきました。全国のいろいろな組織の方々、特に中山間地域の市町村長の皆様方の御提言も当然読ませていただいております。交付金の創設のお話も聞かせていただいております。
この場でわかりましたと言うことはなかなか難しいですけれども、これから日本全体の人口が縮んでいく中で、特に、私は田舎がなくなるとは全く思っておりませんけれども、非常に病院にも遠い、学校も私の地元でも次々閉校になっています、小学校、中学校は。そして、買物弱者でもある。そういうところを維持するためには、だんだん、今までやってきた政策では追いつかない部分が私は当然出てくるんだろうと思っています。そういうものの一つの切り口として、そういうような御提言も参考にしながら、将来を見据えた考え方をしていきたいというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わらせていただきます。
何かというと人口減少という話が必ず出てくるんですね、枕言葉で。そういう意味でのニーズが減っているんだというんですが、自給率三七%なんですから、人口が減ったってまだまだ自給率を上げていけば、それはまだまだ日本の食がなくなるということとは違うんだということを申し上げて、終わらせていただきます。
○吉野委員長 次に、神谷裕君。
○神谷(裕)委員 共同会派の神谷裕でございます。
本日も質問の機会を頂戴いたしました。本当にありがとうございます。きょうは基本計画などについてさまざまお話をお聞かせをいただきたい、このように思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。
基本計画、五年に一度改定をされるということでございます。大変大事な計画だというふうに私も承知をいたしておりますけれども、当然、五年に一度ということでございますから、しっかりと検証していただいたのかなとも思うんですけれども、特にこの基本計画で注目をされるのは自給率だと思います。
この自給率について、前回の計画では四五%、やはり同じような数字だったと思うんですけれども、これが達成できなかったというのが現状かなと思っています。何が問題だったのかということについて検証されたのか、あるいはそれについて大臣から御所見をいただけたらと思います。
○江藤国務大臣 これはなかなか、短い時間にお答えするのが難しいお話で、この基本計画の見直しの時期になったから検証しているということではなくて、前の基本計画ができてから、この五年間の間に毎年毎年、その折々に触れて検証し、反省を重ねてきたところでございます。
農業政策において、一〇〇%うまくいったというふうに胸を張るつもりはありません。足らざるところもたくさんあったと思います。荒廃農地はふえているわけでありますし、若手の就労者はふえてはおりますけれども構造的にはやはり高齢者が占めている、そういうこともありますし、また、国民の皆様の中にもなかなか、食料自給率を気にしている、これが国家的な大問題であるという意識を持っていらっしゃる方の率も多分低かったんだろうと思います。それはやはり、私たちのお知らせの仕方とか告知の仕方がまずかった部分もあると思います。
いろいろ、役所にこういう文章を書かせると、例えば連作障害があったとかいろいろ言いますけれども、こんなことは余り私は関係ないと思っています。
やはり戦略作物を何とかふやして、麦、大豆をふやして食料自給率をふやそうと思って頑張ってまいりましたが、例えば小麦をつくれば、米よりも実は十アール当たりの収益は上がります。上がるんですけれども、それでもなかなか、湿田であれば畑地は、当然、排水暗渠を入れて畑地化しないとつくれませんし、基盤整備と一体となってやらないと。
小麦は有利ですよ、需要もありますよと、ラー麦のように、今、日本はとてつもないラーメンブームで、何かハンバーガーショップの五倍ぐらいあるとかいうような話を聞いたことが、間違っているかもしれませんけれども。ですから、そういう需要は確実にあるのに、日本の自給率は極めて低い。そういうところに誘導できなかったことも、我々の政策立案の中にやはり足らざるところがあったんだろうということも反省するところでございます。
○神谷(裕)委員 大臣おっしゃるとおりだと思います。
五年に一度のこの基本計画だから見直すということではなくて、毎年毎年、常に、どうやったら上がっていくかということを考えてきた五年間だったとは思います。ただ、この基本計画のときでございますから、やはり一回、この五年間について見直さなければいけませんし、現実に目標を掲げているということでございますから、何が足らざる部分なのか、あるいはどうなのかということはやはり見なきゃいけないんだろうと思っておるところでございます。
また、四五%に持っていくためには、さまざまやはり、何をふやしていこうか、ふやさなきゃいけないかという議論ももちろんなさっていると思います。それについて、改めて、何をどれだけふやすことによってこの四五%を達成ならしめるのかということについて、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。
○河野大臣政務官 今後、国内におきましては、少子高齢化、人口減少による消費減少や食の外部化の進展によりまして、畜産物や、業務、加工用野菜などの需要の増大が見込まれます。また、海外においては、人口増加、所得向上によりまして、我が国の農林水産物そして食品のマーケットの拡大が見込まれるところでございます。
こうした背景から、新たな食料自給率目標の設定に当たりましては、このような国内外の需要の変化に的確に対応できる農業生産を推進するとの方針のもと、各品目の生産努力目標を設定したいと考えておりまして、例えば、令和十二年度までに、主食用の米は、現状七百七十五万トンでございますが、七百二十三万トンへ減産、小麦は現状七十六万トンを百八万トンへ増産、大豆は二十一万トンを三十四万トンへ増産、生乳は現状七百二十八万トンを七百八十万トンへ増産、牛肉は現状三十三万トンを四十万トンへ増産、こういった目標を掲げているところでございます。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
さまざまなそういった数字の積み上げがあって初めて、この四五%目標を達成するんだということになると思います。
実際に、現状でいうと、その間にギャップがあるわけですね。三七%、それが、四五%に持っていくとなれば、今言っていただいたように、さまざまなものをどんどんつくっていただかなければいけないということになっていくわけでございます。
とするならば、この現実との乖離を埋める施策、これについてどのようにお考えなのか、伺わせてください。
○河野大臣政務官 食料自給率の向上に向けましては、需要に応じて、米、麦、大豆等の土地利用型作物の生産が重要というふうに私どもも認識をしております。
特に、国内需要が堅調に伸びております麦や大豆については、現在検討しております食料・農業・農村基本計画における生産努力目標の達成に向けまして、湿害や連作障害への対応、規模拡大に伴う労働負担の軽減等の課題に対応する必要があります。
このため、省内に麦・大豆増産プロジェクトを設置いたしまして、生産拡大の課題克服に向けた検討を進めております。作付の連担化及び団地化、スマート農業による生産性の向上などを通じたコスト削減、それから排水対策のさらなる強化、また、耐病性や加工適性などにすぐれた新品種の開発及び導入などによりまして、生産拡大に強力に取り組んでまいりたいと考えております。
○神谷(裕)委員 しっかりやっていただきたいんです。
そしてまた、特に熱供給量ベースでの自給率を考えたときには、耕作というか、米、麦、大豆等の耕地利用型ということが大事になると思いますし、そういったところもしっかりやっていただかなければいけないなと思って、今さまざま施策を言っていただいたんですけれども、今回の基本計画を拝見いたしましても、今、施策もそうなんですけれども、別に新しいものが必要だということではないのですが、やはりこれまでも、この四五%の目標を達成するために、この五年だけでなくてこれまでもさまざま頑張ってきたんだと思います。
ただ、このアプローチではなかなか難しかったのも現実なんだろうと思ったときに、もちろん、今の施策が足りない、足りないというか、もう少しこれを拡充していけばもっとふえるのにみたいなものもあると思いますし、あるいは、別の切り口からもう少し考えた方がいいんじゃないかなというのもあるんじゃないかなと思います。
そういった意味で、この基本計画にももう少し、そういった新しい角度というわけではないのですが、新味みたいなものを出していけたらいいのかなと思うんですけれども、これについての所感をいただけたらと思います。
○伊東副大臣 お答えいたします。
我が国の農業は現在、人口減少に伴う国内マーケットの縮小、あるいは農業者の減少、高齢化のほか、近年頻発する自然災害やCSFの発生、TPPや日米貿易協定による国際環境の変化など、新たな政策課題に直面しているわけであります。また、加えて、新型コロナウイルスの発生の問題等もあります。
このため、新たな基本計画におきましては、産業政策と地域政策の二つを車の両輪とする現行計画の考え方を基本としつつ、輸出促進を担う司令塔組織の創設、また、中小・家族経営など多様な経営体の生産基盤強化を通じた農業経営の底上げを図る、また、所得と雇用機会の確保、定住条件の整備、また関係人口の増加など、新たな活力の創出による農村政策の総合的な推進、そして、国産農産物の消費拡大に向けた食と農に関する新たな国民運動の展開といった新しい方向性を打ち出していきたい、このように考えております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
本来、やはり自給率を上げていくというのに、奇手、奇策というのはないのかなと思いますし、そういった意味で、真面目に地道にしっかりとやっていただくということが大事なんだろうと思います。
ただ、既存の施策の中でも、やはり、先ほど佐々木委員も言っていましたけれども、使い勝手をもっとよくしていくであるとか、例えば予算の幅をもっと大きくしていくであるとか、そういったことでもっとききがよくなる部分があるんじゃないかというのも多分あるんだろうと思います。そういったところもぜひしっかりと見ていただけたらと思いますし、この基本計画のタイミングでございますから、ぜひお願いをしたいと思います。
今、また、副大臣の中から、この五年間、産業政策と地域政策という両輪というお話をいただきました。ただ、私ども見ておりますと、この間、五年間は、どちらかというとやはり産業政策的な支援が前に出ていたんじゃないかなというふうに思っています。そういった意味で、この産業政策的なアプローチというのが特に自給率にとっては余りきかないんじゃないかなと、私自身は実は思っています。
もちろん、金額ベースというか、そちらの方には寄与するかなとも思ったりもするときもあるんですけれども、どちらかというと産業政策だけでなくて地域政策、両輪でやはりしっかりやっていただかなきゃいけないと思っています。
そういった意味で、ちょっと産業政策が前に出過ぎたことが、結果としてこの自給率というのか、成功させたのかどうか、私自身ちょっと気になるところなので、ここについての御答弁をいただけたらと思います。
○伊東副大臣 農業の有する潜在力を最大限に引き出し、成長産業とするため、これまで、農地中間管理機構の創設や輸出促進など、農政全般にわたる改革を進めてきたところであります。
この結果といたしまして、農林水産物、食品の輸出額につきましては七年連続で過去最高を更新しているところでありますし、生産農業所得につきましては平成十六年以降で最も高い水準を維持するなど、改革の成果は着実にあらわれてきているもの、このように認識をいたしております。
また一方、今後は、中山間地域を中心に農村人口が更に減少し、農業生産のみならず地域コミュニティーの維持が困難になることが懸念をされているところであります。このため、新たな基本計画におきましては、地域をいかに維持し、次の世代に継承するか、そういった観点からも必要な施策をしっかり講じてまいりたいと考えております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
今、光の当たっている部分についても言っていただきましたけれども、光が当たれば当然影の部分もあるんだろうと思いますので、そういった意味では、例えば産業政策的な側面であると、今まさにおっしゃっていただいたとおり、地域がどうなっていくかというところが非常に心配であります。
ただ、一方でいえば、残念ながら耕作放棄地も多くなっている。その土地を誰に耕してもらうかというやはり命題というのが残っているんだろうと思います。
そういった中で、農業者だけじゃなくて例えば企業さんにというような考え方があるんだろうということは理解をしつつも、それが本線なのかどうかということはあるとは思います。ただ、やはりそこはしっかり考えていかなきゃいけないんだろうと思っているところでございます。
先ほど御答弁いただいた中に、さまざまな作物についての積み上げの話がございました。その中で、私自身ちょっと気にしておりますのが、自給飼料としての飼料用米のことなんです。
今回の飼料用米の目標値が、前回の計画から、百十万トンから、七十万トンに変更されました。この変更された理由、これについてお伺いができればと思います。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
食料・農業・農村基本計画における飼料用米の生産努力目標について御質問をいただきました。
先生御指摘のとおり、現行の基本計画におきます百十万トンという生産努力目標は、主食用米の需要が減っていく中で、その全てを飼料用米の作付で対応するというのが基本的な考え方であったというふうに考えております。
今回の生産努力目標の設定でございますけれども、主食用米の需要が毎年減少傾向にある中で、国産需要が見込まれる小麦や大豆を増産していこうということ、それから、加工、業務用の需要の伸びが見込めます野菜、さらには高品質な果樹などの高収益作物への生産転換、海外需要に応えるお米さらにはお米の加工品の輸出の促進、米粉などお米の新たな需要の取組といったことも念頭に置きながら検討を進めてきたところでございます。
こういった取組を進めることとあわせまして、さらに、飼料用米に取り組むことにより水田のフル活用を図ることとしておりまして、近年の飼料用米の作付の動向、実績も踏まえまして、その生産努力目標の数量を七十万トンとする原案をお示しして、現在、食料・農業・農村政策審議会でも御議論いただいているところでございます。
今回の生産努力目標の案は、足元の生産量、平成三十年産で四十三万トンでございましたけれども、これと比べますと相当意欲的な目標であるということは変わりがないと考えております。
これらを踏まえまして、実需者である飼料業界などが求める飼料用米の需要に応えられますよう生産拡大を進め、生産と実需の複数年契約により長期安定的な取引の拡大を推進してまいりたいと考えております。
○神谷(裕)委員 今言っていただいたとおり、足元から見れば確かに百十万トンというのは大変な過大な目標と言えなくはないのかなと思いますし、この七十万トンでもかなり意欲的なのかなというふうには思います。
ただ、後ろ側にある事情といたしまして、米についての危機意識というのがございます。
昨年、一昨年ですか、としては、残念ながら風水害の影響もあって、基本的には米の、主食用米の方、需要もしっかりおさまったというか、きれいな形になっていると思います。ただ、こういった風水害がなかったとしたらどうなったかと考えると、結構危ない状況だったんじゃないか、それがずっと続いているんじゃないかというふうに思っています。
そういった中で、実は、この飼料用米であるとか、さまざまな水田活用の施策を打っていただいている、あるいは備蓄もそうですけれども、今一生懸命それこそ頑張っていただいて、何とかしようとされているんだと思います。ただ、そう頑張っている背景の裏側として、この飼料用米というのが非常に有力視されていたのも事実なんですが、逆に言うと、その目標が下げられたということがマイナスのメッセージにならないか、それを非常に気にしております。
ましてや、昨年、飼料用米の伸びがというか、主食用米に戻った方もいらっしゃいます。そういった中で、この飼料用米の位置づけが逆に落ちてくるというか、そのことによって、例えば水田活用交付金であるとか、水田活用であるとか、そういった予算に今後影響が出てくるんじゃないか、その結果として、米の需給そのもの、これがまた危ないことになるんじゃないか、そのことをやはり懸念をいたしております。
ここについて、この目標そのものは確かに七十万トンになったよ、だけれども、そういった米の供給であるとか水田の利用であるとか、ここについては大丈夫なんだ、あわせて、例えばこの水田活用についてもこれからもしっかりやっていくんだ、そういったところを大臣から改めてお言葉をいただけないでしょうか。
○江藤国務大臣 とても大切な話でありまして、決して風水害を喜ぶということは厳にあってはならないことでありますけれども、生産数量の割当てをやめてことしで三年目になりますが、米価は安定しております。ことしの政府の買入れも、昨年に比べて順調に、各県の御協力もいただいて、備蓄の部分についても順調でありますけれども、これが本当に、作況が例えば全国平均で一〇二とか一〇三とかになったらどうなっていたかということも、計数で計算すればすぐわかることでありますから、そういうことも想定して考えなければならない。
私たちは、飼料用米に、やはり飼料自給率が低い日本でありますから、できるだけ、先ほど佐々木先生とも随分議論させていただきましたけれども、一一%の部分をもっとふやしたい。牛に米を食わすというのはなかなか難しいですけれども、そのためにも飼料用米はつくりたい、水田をフル活用したいんですけれども、なかなか私どもが思ったようにうまくいかなかった。そして、作付けているところも余り、主食用の米ほどしっかりつくっていただけなかった例もあり、かなりそれが疲れてしまった結果、御存じかもしれませんが、複数年契約というところで、何とか制度そのもの、本体にはさわらせなかったというのが実態でございます。
ですから、これから、いわゆる米、麦、大豆、それから飼料用米、WCS、それから米粉用米、こういうものについての予算、水田活用直接支払交付金、これが削られるようなことがあると一気にテンションが下がってしまうことでありますので、先ほどから議論させていただきましたように、大変、小麦なんかは、佐賀なんかは輸入小麦に負けない小麦をつくっておりますし、技術はありますので、北海道もすばらしいものをつくっておりますので、ぜひ本作化に向けて政策誘導するためにはこの単価はしっかり張ることがまず基本だと思っておりますので、ここについては下がることはない。
ただ、その単価について適切かどうかは、私としては上に向けたいという気持ちは持っておりますけれども、しっかりした議論を委員会でもしていただきながら、私たちの党の中でも、御党の中でも御議論いただいて、いろいろな議論の醸成の中で、単価についてはまた議論ができればなというふうに考えております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
本当に、風水害を喜ぶことは絶対にあってはいけないんですけれども、結果として需給がきれいになっているというようなことでございまして、やはり米農家は相当不安だというふうに思います。主食用米に取り組んでいる方もそうなんですけれども、やはり水田はこの国の農業の基本だと思いますので、今後もぜひ御考慮をいただいた上で、しっかりと予算の方も御配慮いただきたいということを改めて申し述べさせていただきます。
その上で、西日本の水張り面積がやはり減ってきているということを聞いております。これはやはりすごく気になります。そういった意味で、昨年ですか、棚田法を、与野党でやはり通さなきゃいけないということでやらせていただきました。しかし、棚田もそうなんですけれども、条件不利地であるとかそういったところをしっかりと再生産可能ならしめるようにしていくこと、これがやはり農業全体に対して非常に大事なんだろうというふうに思っています。
そういったことについて、所感をお願いをしたいと思います。
○江藤国務大臣 これにつきましては、党派を超えて御協力いただきましたことに、改めてまたお礼を申し上げたいと思います。
なかなか一回目の応募の数が伸びなくて、コンシェルジュを全国に四百人以上配置しているんですが、私としては一体どういうことだという気持ちがないのではありませんけれども、私たちのアピールの仕方も足りなかったんだろうと思います。
しかし、中には、これだけの法案を、何といっても内閣総理大臣が基本計画をつくるという骨太の法案を通してくれたということであれば、国が、いわゆる産業政策、御批判もありますけれども、条件のいいところばかりに目が行っているんじゃなくて、中山間地域のような条件不利なところもやはり日本の中でしっかり残さなきゃいけないという意思を政治の意思としてしっかり示してくれたという評価もいただいておりますので、これを生かしていかなきゃいけないと思っております。
委員も御存じのとおり、中山間地域の直接支払い制度についても、今までは、最初に計画を出して、最後まで残っていなければ全額返金とか、厳しい要件がついておりましたけれども、それも、離脱した人の部分だけでもいいとか、地域を超えていいとか、新たな加算措置とか継続もたくさんつけさせていただきました。しかし、それだけでは十分だとは決して思っておりませんので、いろいろなことが必要だと思っています。
田舎は特に、少し話が脱線して申しわけないんですが、農業だけじゃなくて観光であったり、それから、観光であれば、例えば高千穂であれば、そこで仲居さんで働くとか、時には山に入って、ナバ、シイタケをつくるとか、そういう複合収入によって経営が成り立つことが好ましいと思います。
棚田法案は、いろいろな省庁を束ねた、ガバナンスがきくことになっていますから、その意味では有効性があるのではないかというふうに思っております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
そしてまた、今お話をいただいたように、棚田法案だけでは足りないんだろうと思います。お話にあったように、日本型直接支払いだけでなくて、この際、直接支払いということをしっかりとやはり考えていかなきゃいけないんじゃないかというのが個人的な思いであります。特に、条件不利地、中山間地、これを支えていくのにやはり直接支払いというのはかなり有効だろうと思いますし、ヨーロッパでもかなり成果を上げているんじゃないかなと私自身は思っています。先ほど、これも佐々木議員からもお話がありましたとおり、これはやはり要件緩和だけじゃなくてかなり大きく拡充していく、そして、できればそこに住まう皆さん方のなりわいを支えていくんだというようなことが必要だと思います。
そういった意味で、そういった条件不利の皆さん方、特に西日本の水張りが落ちているという現状を考えたときに、ここをしっかりやっていくんだということが大事だと思います。ここについて、大臣、改めてもう一言いただけないでしょうか。
○江藤国務大臣 何度か申し上げさせていただきましたけれども、一度なくなってしまったら再生不可能なものが中山間地域にはたくさんあって、私の高千穂なんかでも、のみで山を削って水路を切り開いたところが今でも残って、今でも生きています。それが水を供給している、そういうものをしっかり残していかなきゃいけない。そして、あの棚田の石積みなんというのは、マムシがいてちょっと嫌だという話もありますが、しかし、あの景色は、例えばイギリスなんかでもしっかりと環境保全という対象になっておりますし、欧州の事例というものは、しっかり我々は、日本は日本、ヨーロッパはヨーロッパだということではなくて、参考にすべきは参考にすべき点はたくさんあると思っています。
直接支払いに対する考え方は、私は全面的に否定するものではありません。全ての農地に対して直払いをするということについては、私は否定的な立場でありますが、WTO上も、条件不利なところについての支援については、手厚くすることについて、何も阻害するものはありませんので、本気でやはり中山間地域で、その地域を守り、定着し、そして子育てをし、次世代につないでいただくということであれば、そういう取組もこれから議論される議題にはなってくると思います。今はまだ、そういうタイミングというか、まだ私の一存でどうのこうのということではありませんけれども、やはり日々厳しくなっていく条件のもとで、そういうことは考えていくべきだと思います。
ただ、一つ申し上げさせていただきたいのは、ヨーロッパと日本の圧倒的違いは、スイスなんかは、まず、農地のほぼほぼ八〇%以上が条件不利地域ということで、そして、国民の皆さん方も、あんなところで営農してくれてありがとうという気持ちを強く、そういう地域の人たちに持っている、国民みんなが。だから、しなびたトマトやピーマンであっても、フランスなんかから入ってくるものよりも三割高くても、割高なものをピックアップして買っていく。
国民意識の醸成というものもやはり図っていかないと、なかなか中山間地域に対する直払いをまたやるということになっても、やはり国民の理解がないと政策は前に進められませんので、いろいろな超えなきゃならない課題はほかにもあるだろうというふうに考えております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
まだ国民の理解が進んでいない、あるいはまだタイミングではないというようなお話でございましたが、残念ながら、この国の自給率は三七%、あるいは西日本の水張りもどんどん落ちているんだ、しかも荒廃農地はどんどん進んでいるというようなことであります。そこを、地域をどう支えていくのか、そのなりわいをどう支えていくのかもやはり検討しなければいけない時期に私は来ていると思います。ぜひ前向きに御検討いただけたらと思いますし、国民の皆さんも、この国の農家さんというよりは、国産の食品、食料、これが大切だということは十分にわかっていると思います。また、多面的機能という意味で十分に農山村が発揮している機能についても、徐々に徐々にではありますけれども、国民の皆さん方に周知をされているんだろうと私は思います。
ここまで下がった自給率、あるいは農村社会が厳しくなっているという現状、これを考えたときに、ぜひこの直接支払いをしっかりと考えていただく、できれば現実のものとしていただく、そのことを心からお願いをしたいと思います。
質問を先に進めさせていただきます。
今回のコロナ等がございました。これがやはり現実に、農林水産業にも大きく影を落としていると思います。このコロナについても、災害と言っていいと思うんですけれども、このコロナについて、基本計画にというか、こういった災害について、基本計画の中にどう位置づけられているか、教えていただけますでしょうか。
○江藤国務大臣 済みません、先ほどスイスが八割と申し上げましたが、正確には五三%ほどだという紙が後から来まして、修正させていただきます。
○河野大臣政務官 新型コロナウイルス感染症と、それに伴う経済環境の悪化によりまして、我が国の農業、水産業、食品産業は、深刻な需要減少や人手不足等の課題に直面しておりまして、こうした認識や対策について、新たに食料・農業・農村基本計画にしっかりと反映させてまいりたいというふうに考えております。
具体的には、新型コロナウイルス感染症を始めとする新たな感染症への対応という項目を新たに追加をいたしまして、新型コロナウイルスにより生じている現在の状況を解消し、速やかに生産基盤、経営の安定を図るため、国産農産物の消費拡大運動などによる内需の喚起、輸出先国の情勢変化や輸出商流の維持に対応した輸出の促進、入国制限がかけられていない国々も含めた農業労働力の確保、国産原料への切りかえや経営改善など、中食、外食、加工業者対策を機動的に講じていくことを記述したいというふうに考えております。
また、食料供給のリスクを見据えた総合的な食料安全保障の確立の項目に対しては、新型コロナウイルス感染症による食料供給への影響の実態も踏まえたリスクについて、中長期的な課題や取り組むべき方向性を議論することについても盛り込みたいというふうに考えてございます。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
まだ新しい事象なので、どういうふうに書き込むかというのはあるのかなと思っていますが、結構大きな影響を与えるんじゃないかなと思っていますので、ぜひいろいろ書いていただけたらと思います。
また、近年、毎年のように風水害が発生しております。
直接の被害に対して対処していくということは当然だと思いますが、やはり、災害というものを農業者個人の不運にしてはいけないと私は思っています。国を含めた社会でしっかりと対応していく必要があるんだと思っておりますし、現にこれまでもやっていただいているんだろうというふうに思います。
そういった、ここのところ特にひどくなっているということもありますので、この対処についても含めて、基本計画の中にどのように記載をされているのか、教えていただけますでしょうか。
○岩濱政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、近年は、多発する自然災害におきまして、農林水産関係被害が甚大な被害を生じているというような状況でございます。
このため、その新たな基本計画の中で、過去の災害の教訓を最大限生かして被害を最小化する事前防災の取組等について新たに項立てを行い、整理をさせていただいているところでございます。
具体的には、三点整理をさせていただいておりまして、一つ目が、自然災害等の農業経営のリスクに備えるため、農業用ハウスの補強、低コスト耐候性ハウスの導入、農業保険等の普及促進、利用拡大について。二点目は、国土強靱化基本計画等を踏まえました農業水利施設等の耐震化や非常用電源の設置、防災重点ため池の改修等の着実な推進。三点目が、被災農業者の早期の営農再開の支援のための査定前着工制度の活用促進、被災した地方公共団体への、国の技術職員、MAFF―SATの派遣などについて整理をさせていただいております。
新たな基本計画につきましては現在検討中でございますが、今後さらに事前防災の考え方を農村の現場に根づかせるとともに、災害発生の被害の拡大防止や早期復旧が可能となるよう、引き続きしっかり対応してまいります。
○神谷(裕)委員 ぜひ、災害の対応、お願いをしたいと思いますが、この災害の背景にあるのは気候変動でございます。その気候変動というのは、短期的に見たら今みたいな個別の災害という形であらわれるのかと思いますけれども、もう一つ、長期的な影響というのもあるんだろうと思います。
例えば、どんどん温暖化が進んでいる、それによって適地適作なんかも変わっていくというようなことでございます。従前つくれた地域でつくれなくなるみたいなこともあると思います。そうなったときに、当然、新しい品種の導入であるとか、新しい作物の導入であるとか、そういったことも恐らく必要になってくるでしょう。ただ、当然、新しい作物に取り組むというのは、これまでの知見とは全く違う技術なども必要になってくると思いますし、あるいは機械投資なんかも必要になってくるんだろうと思います。
そういった意味で、もちろん短期の、スポット的というか、災害については、これまでも、従前一生懸命取り組んでいただいていると思いますし、ある種メニュー化も進んでいる。ただ、もう一方、この気候変動においての長期のリスクというか、それに対する対処について、またやはりしっかり検討していただかなきゃいけないんじゃないかなと思います。
そういった点について御所感を伺えたらと思います。
○江藤国務大臣 ここ数年は、日本だけじゃなくて世界的に気候が本当におかしくなっているということがもうはっきり、南極、北極も含めてあるわけでありますから、これについては基本計画にもしっかり書かせていただきました。これに対応しなきゃならないと思います。
新しい作物に挑戦するということであれば当然リスクがありますが、いきなりつくって、いきなりいいものをつくれるはずがないのであって、それはリスクがあることは承知しています。それについて機械導入もしなければならない。それについては、産地パワーアップ事業であったり、いろいろな事業を使っていただくことは有効かと思っております。
例えば、改植なんかをする場合には、かんきつ系だと、新しい品種に改植するときは、御存じかもしれませんが二十三万円、省力樹形だと百十一万円つけることができます。リンゴなんかでいいますと十七万円で、若干下がりますけれども、こういったものも使いながら、気候変動に耐えられるようなものに作付を変えていくことは必要かもしれません。
それに伴って、農研機構とか県の農業試験場とかいろいろなところで、やはり新しいそういう、気候変動に耐えられる、例えば今まで、稲であれば、背が低くて風に強い稲とか、倒れにくいとか、いろいろつくってきているじゃないですか、そういうものを含めて、高温障害に耐えられる稲の開発であったり、そういうものについてはこれからもしっかり取り組んでいかなきゃいけないと思っています。
そういう気候変動への対応策は現場にお知らせをしなきゃいけませんので、地球温暖化影響調査レポート、これを毎年公表しております。ウエブで公開しておりますので、御参考にしていただきたいと思います。
ウエブは見る人と見ない人がおりますので、ことしでいいますと、現地の意見交換会をこの気候変動に関してやらせていただいております。三回やる予定であったんですけれども、そのうち二回は実行いたしましたが、一回はコロナの影響で流れましたけれども、それぞれの地域で、現場の生産者、いろいろな方々の団体にも集まっていただいて、この気候変動にどう対応するかということについても議論をしていきたいというふうに考えております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
ちょっと戻る形になるかもしれないんですけれども、先ほどお話をしたように、西日本の水張り面積が減っている。私は、案外、この気候変動、長期的な要因というのも結構影響があるんじゃないかなと実は思っています。西日本の水張りが落ちているのは、もちろん条件不利もありますし、高齢化もあります。ただ、やはり、気候による要因でなかなかいい作物ができないであるとか、災害であるとかでやめていくという要因も結構あるんじゃないかなと。因果関係が本当にあるかないかまでは、済みません、私の邪推かもしれないんですけれども、実は思っています。
そういったこともありますので、実は、もちろん、新しい作物にチャレンジするとき、今、先ほどメニューをさまざま言っていただきましたけれども、それだけじゃなくて、やはり相当しっかりと考えていかなきゃいけないんじゃないかという思いで、この質問をさせていただきました。さまざま、また大臣はいろいろお考えだと思いますけれども、ぜひこの部分、大きな目で、長い目で見ていただけたらと思います。
質問を進めさせていただきます。
外国からの農産物輸入に対する影響についてでございます。
昨年というか、ことしもですけれども、CPTPPであるとか、日・EUであるとか、日米であるとか、大型の経済連携協定などを次々と締結をしております。この影響についてはもう試算なども出されているんですけれども、この対策も含めたところ、こういうところについて基本計画にはどのように記載をされているのか、お伺いができればと思います。
○伊東副大臣 お答えいたします。
TPP11、日・EU、あるいはEPAに続く日米貿易協定等によりまして、我が国は名実ともに新たな国際環境に入ったと認識しております。
一方、これらの協定による影響に対しまして、生産現場には依然として懸念や不安があることから、これを払拭するために、昨年十二月に、総合的なTPP等関連政策大綱を改定したところであります。これに基づきまして、生産基盤の強化など、我が国農業の体質強化に向けた対策と、経営安定、安定供給に備えた措置を講ずることによりまして、経営規模の大小やあるいは中山間地域といった条件にかかわらず、意欲ある農業者が安心して経営に取り組めるようにすることが重要であると考えております。
新たな基本計画におきましてもこのような考え方を盛り込みまして、農業を国際競争にも負けない足腰の強い産業にするため、施策を講じてまいりたいと考えております。
○神谷(裕)委員 ありがとうございます。
やはり外国からの影響というのを極力しっかりと排除していかなきゃいけない、影響を排除していかなきゃいけないと思っておりますので、しっかりと支えていただきたいと思いますし、今後影響が出ないように、例のCPTPPと日豪の間でダブルカウントされているセーフガードの基準なんかもございますので、ここをなるべく早期に、何しろこの国の農業を守るのは大臣でございますから、大臣の方から、早期にこの辺が是正されるように、ぜひ発信をしていただけたらと思います。
さまざま、この後も質問を用意させていただいたのでございますけれども、済みません、時間が来てしまいました。せっかく来ていただいた国土交通省を始めとする、また農水省の、水産庁の皆様方には大変申しわけないんですけれども、時間でございますので、これで質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、青山大人君。
○青山(大)委員 昨年の相次ぐ大型台風、そして昨今の新型コロナ感染症の拡大によって、農林漁業者の皆様たちも大きな打撃を受けております。そういった方たちへの支援策を中心に、きょうは質問をさせていただきます。
昨年、この農林水産委員会で江藤大臣が、大臣就任に当たって、みずからの目標として、農林水産業の生産基盤の強化を掲げました。「たび重なる大雨、台風で多くの人命が犠牲となり、生産基盤が壊れていくのを目の当たりにし、無念でなりません。」と述べられました。大臣のその思いに私も深く共感しました。
大臣就任直後、私の地元の茨城県へ、台風十五号の被害状況の視察にもお越しいただきまして、本当にありがとうございました。農水省も、農林水産被害へのさまざまな支援対策を決定されました。ただ、そういった数ある支援策のメニューの中で、制度のはざまで支援を受けられない生産者がいるのも事実です。そういった方たちを救いたい、その思いでまずは質問をいたします。
一つ、例を挙げます。
茨城県の霞ケ浦では、網生けす養殖をしている方の網生けす六十三面が、台風によって水没をしました。養殖のフナ、コイの紛失も含めて、被害額は約三千万円とのことでした。これはかすみがうら市で公表している台風十五号による被害状況、被害額の中にも掲載をされております。
農水省の職員の方も、茨城県へ、台風十号、十三号及び十五号の暴風雨を含む、台風十七号による農林水産関係被害への支援対策の説明にもお越しいただきました。迅速な対応に感謝をいたします。
その支援策を見ますと、これはもう農水省に出ている支援策の中で、水産経営を再開したいということで、例えば、浜の活力再生・成長促進交付金によって共同施設の再建や修繕などを支援できますと。また、このメニューの中には、漁港等の「等」の周辺の瓦れき、廃棄水産物の処理に要する経費支援には水産多面的機能発揮対策事業が使えます、そういったことが書いてあり、丁寧な説明をいただきました。
まず、質問します。
昨年の台風被害の支援策として、これまで、浜の活力再生・成長促進交付金そして水産多面的機能発揮対策事業として、何件申請があり、そのうち何件が採択されたのでしょうか。また、それぞれ全体の金額、一件当たりの平均額も教えてください。
○山口政府参考人 お答えいたします。
令和元年に発生いたしました台風十五号等につきましては、全国の水産業に多大な被害をもたらしたところでございます。
水産庁では、速やかに現地調査を行い、地元の要望を伺いながら支援策を取りまとめ、漁業者、水産加工業の経営の再開等に向けた復興支援に全力を尽くしたところでございます。
お尋ねの浜の活力再生・成長促進交付金の申請件数は十九件でございまして、その全てを採択しております。採択した総額は国費で三億五千七百万円、一件当たりの採択額は一千九百万となりました。
また、水産多面的機能発揮対策事業につきましては、申請件数が十九件、これも全件採択しております。採択した総額は国費で二億二千七百万円でございまして、一件当たりの採択額は千二百万円ということでございます。
○青山(大)委員 今答弁で、それぞれ申請件数が十九件あって採択件数も十九件、すなわち申請が上がったものに対しては一〇〇%採択をされております。
もちろん台風、自然災害によって被災された方ですから当然そのように採択すべきと思いますけれども、ただ、申請しようと思っても申請できない、申請しようと思っても、その事前で、いや、あなたの場合はこの制度が使えませんよと申請すらできない、だから一〇〇%の採択になっているんじゃないでしょうか。
流木や漁港周辺の瓦れき処理への対策として掲げていますこの水産多面的機能発揮対策事業、こういったものを養殖漁業者が利用できないか、そう思ったところ、漁業者などが組織した活動組織が自然災害で発生した流木などを回収する活動を支援するものであり、所有者が明確な養殖施設の撤去作業を対象とすることは困難である、そんなことを言われました。そして、もう一個、養殖施設の再建への支援についても、養殖施設共済制度は、内水面の養殖施設については対象となっていないとのことでした。
すなわち、霞ケ浦での被災した網生けす、養殖いかだなどの撤去作業については、たくさんの被災者救援策、支援策が一切受けられないということでいいんでしょうか。
○山口政府参考人 お答えいたします。
今先生から御指摘がございました、自然災害により発生した、漁場等に堆積、漂着した流木などの回収処理に係る活動につきましては水産多面的機能発揮対策事業により支援しておりますが、これについては漁業者や地域住民で組織した活動組織による活動を対象としております。今回のお話のような生けす等の個人の養殖施設の撤去等につきましては、支援の対象となっていないところでございます。また、自然災害による備えとして設けております共済制度につきましては、現在、内水面の養殖施設は対象とされていないところでございます。
このような個人が所有する施設の復旧や事業再建に関しましては、農林漁業施設資金などの制度資金を措置しているところでございまして、その資金の活用をお願いしたいと考えております。
○青山(大)委員 今、長官からは個人はだめとありましたけれども、だって、別にこれは、被災された農業用のハウスなどの支援の措置については、当然個人の農家でも持ち込んでいろいろな支援が受けられるわけでございます。農家の方は受けられて、養殖業者は個人だから受けられない、そういった線引きをしてしまうと、こういった漁業者がどんどん減ってしまうんじゃないですか。農林水産省の役割というのは何ですか。
大臣が、本当に、こう言っておられました。繰り返します。たび重なる大雨、台風で多くの人命が犠牲となり、生産基盤が崩れていくのを目の当たりにし、無念でなりませんと。
内水面の台風被害に対する支援がない、被災された養殖業者さんは途方に暮れました。私も政治家としてとても悔しい思いになりました。私の力不足です、本当に申しわけないと謝りました。その養殖業者さんは、一時は廃業を考えましたが、何とか自力で材木を集めてきて、使っていない生けすを持ってきたりとか、今、自力で何とか再開をするところまで来ました。
今後も、ことしも台風などの自然災害は起こり得ると私は思います。養殖施設の再建について、漁業近代化資金とか農林漁業施設資金等の融資の話もありましたけれども、あくまでも借金、借入れでございます。
大臣、どうでしょう。農家の場合は個人への支援も行っております。今後は内水面漁業の個人、個社への支援策も検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 昨日の夕方、質問の御通告をいただいて、水産庁の方と大分長い時間、話をいたしました。
制度には、特に交付金においては政策目的がありますので、それにはまらなければ出せないということは、これは御理解いただかなければ仕方がないと思います。
しかし、内水面につきましては、いろいろな養殖形態があって、こういうコイとかフナとか、それとか、私のところだとアユとか、もうちょっと大規模なところでいうとウナギとか、そういうものも内水面でありますけれども、どうも聞くところによると、なかなか、内水面の方は今話がありましたように共同利用施設という縛りがかかっていて、等というところで読んでほしいというお気持ちなんでしょう、多分。
ですけれども、どこをうまく読んでも、今回、これについて適用対象とするのは、正直、今のところではとても難しいです。
そして、アユなんかは共済制度を立ち上げようとしているようですが、やはり国の共済では無理で、民間の保険会社が対象としてやるようなことを今検討しているような話もきのう聞きました。
ですが、委員が言われるように、ことしも起こるかもしれない、個社であるからだめだというのはおかしいのではないか、農家は個人であっても支援の対象で、農地の原形復旧をされているじゃないかと、大変切り口の鋭い御指摘をいただいたなと思っておりますので、なかなか私も、答弁に詰まることは余り経験がないんですけれども、きょう、ここに立つ瞬間まで、どうやって答えようかなと非常に悩みましたので、悩みながら帰らせていただきたいと思います。
○青山(大)委員 なので、私も御本人も、今回に関してはもういたし方ない、何とか自分たちで、使っていない生けすを解体して、移動して持ってきたとか、近所のいろいろな方が資材をかき集めて何とか再開できた。なので、今回に関して、無理にはめてくれとか、そういった個人的な要望をこの委員会で取り上げるつもりはありません。
ですから、自然災害が多発しています。また同じようなことが起こる可能性もあります。ぜひ、これを機にそういった内水面の個社についても前向きな検討をしていただきたく、重ねて要望をさせていただきます。長官もぜひともお願いいたします。
同じ霞ケ浦という湖があるかすみがうら市ですけれども、ここは梨の栽培も盛んなんですけれども、昨年、梨を出荷する前にやはり台風がちょうど来て、大きなダメージを受けてしまいました。
その方は、実は梨と同時に学校給食用のニンジンもつくっていて、まさにそれを出すときに今回の新型コロナ感染症拡大で学校は休校になって、そのニンジンも大変なことになってしまった。本当につなぎの融資の相談とか来ます。
それで、彼に実は私、台風の後、収入保険に入っていますかと言って、入っていなかったんですね。今回、その後入りましたか、やはり収入保険に入っていなかったんですよね。
いろいろ、立憲、国民などの共同会派の新型コロナ感染症対策会議でも、農水省さんの方から、収入保険等でカバーできるように加入促進をやっていきたいということですけれども、私も今回、それで周りの農家さんとかに聞いたんですけれども、ほとんど収入保険に入っていない。そんなに少なかったんだと。
聞いてみると、青色申告の方が対象ですけれども、掛金が高いというイメージですかね。作業日誌が必要となって手間がかかる、掛金が高いので迷っているうちに今回のコロナ拡大で大きな打撃を受けてしまったとか、野菜価格安定対策にJA部会などで加入しているので、収入保険と野菜価格安定対策と兼ねて加入はできなかったので収入保険に入っていない、掛金が高い割には保障は少ないんじゃないか、どんどん農地を拡大して広げているので、逆に、拡大している農家にとってはメリットがないんじゃないかとか、そんな結構いろいろな話が聞こえてきました。
それで、私も平成二十九年のときの収入保険導入時の衆議院とか参議院の議事録をいろいろ拝見したんですけれども、やはりそのときにも、こういった制度を理解してもらえるのかとか、きちんと周知徹底できるのか、そういった課題がたくさん委員会でも上がっておりました。
改めて、現在の収入保険制度の現状の加入者数の推移などをまずお示しください。
○横山政府参考人 お答え申し上げます。
収入保険でございますけれども、昨年、令和元年が一年目ということでございます。その一年目の加入状況でございますが、全国で二万三千経営体の加入ということになってございます。
○青山(大)委員 せめて、大体、青色申告者の何%とか、目標に対してなど、もう少し詳しく言ってください。それはちょっと、余りにもひどい答弁です。
○横山政府参考人 申しわけございませんでした。
青色申告をしている農業所得者の方は四十六万経営体いらっしゃいますので、これを分母といたしますと、加入率は五%ということに相なります。
○青山(大)委員 そんなので大丈夫なんですか。
多分目標も掲げていると思うんですけれども、やはりもうちょっとわかりやすくしていただきたいと思うし、加入推進の強化をすべきと思います。
農林水産省でつくっているパンフレットを、これは多分大臣も見たことがあると思うんですけれども、これを見て、例えば、基準収入が一千万の方の場合とあって、基本タイプ、保険料が七・八万円、積立金が二十二・五万円、更に事務費が約二万円ですよね、大体三十万です。そうすると……(江藤国務大臣「初年度はね」と呼ぶ)おっしゃるとおりです。初年度が三十万で、二年目以降は、なければ保険料の七・八万円だけで済む。ですけれども、これを見ると誤解すると私は思いますし、実際そういう誤解も、私はしているなという認識でございます。
もう少しわかりやすく、変えてみませんか。
○江藤国務大臣 いつの時点のビラをお持ちかはちょっとわからないんですが、私も、最初のビラを見て、こんなのはわからないと。もっと、ぱっと見て、魅力的だ、これはいいじゃないか、これは入っておかないとまずいよねと思えるようなやつに編集しろということで、多分七、八回ぐらい行ったり来たりをして、かなりブラッシュアップしたやつになっていると思うんですけれども、ブラッシュアップしたやつでそういう御評価であれば更に反省をいたしますが、いつ時点のを持っていらっしゃるのかわかりませんけれども、後で見せていただいて、更に直すべき点については直させていただきたいと思います。
○青山(大)委員 ちなみに、これは二〇一九年の十一月のものでございます。
これはまさに、平成二十九年六月十五日の参議院の農林水産委員会でもこういった附帯決議が出されています。ちょっと略しますけれども、収入保険に関して、「農業者が負担する保険料と補填金との関係についてのモデルケースを示すなど、農業者の制度理解に資する分かりやすい説明を行い加入の促進に努めること。」と附帯決議もされていますので、ぜひもう少し見直してほしいと思います。
やはり今回、この大きな新型コロナ感染症の拡大で被害を受けた農家さんたち、やはり収入保険に入っていないと、本当にこれは大変なことですので、今さら、この後に入るのは厳しいことはわかっていますけれども、今後、大きな自然災害も発生しますし、ぜひ、収入保険の加入促進については、もう一度促進を、ふやすような工夫をお願いいたします。
次の質問に行きます。
まさに新型コロナ感染症の感染拡大が続いている中で、いまだ治療薬のないことが国民の皆様の不安の大きな要因であると言えます。
先週、三月十一日付で発表されたある民間調査では、効果的な治療薬やワクチンがないことが新型コロナウイルス感染症に対する不安の要因とする人が八割を超えているとの結果が出ています。治療薬の存在が周知されれば国民の不安の緩和につながることから、一刻も早く治療薬の存在を確認し、国民の皆様へ周知することが大変重要だと私は思っております。
このような問題意識から、私は、治療薬の候補であるアビガンなどについて、三月六日に質問主意書を提出しました。それに対して三月十七日に答弁書を得ましたが、その答弁書の中では得られなかった部分について、本日更にお伺いさせていただきます。
まず、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬の候補の一つとしてアビガンがあると承知しています。
二月二十二日の加藤厚生労働大臣の記者会見で、二月二十一日に国立国際医療研究センターを中心とする研究班を立ち上げ、二月二十二日からアビガンの投与が開始されたと聞いていますと発言されました。先日の私の質問主意書に対する答弁で、令和元年度厚生労働科学研究費補助金による研究などにおいて患者に投与された実績があると伺っています。
そこでまず、国立国際医療研究センターで実施されている観察研究の進捗状況、治療薬の早期開発に向けた状況について、投与された人の数、経過など、詳細を具体的にまずはお答えください。お願いいたします。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の治療薬につきましては、国内で既に患者等に投与経験のある抗ウイルス薬等の有効性の確認のために、委員御指摘のとおり、国立国際医療研究センターを中心にいたしまして、多数の医療機関におきまして臨床研究を速やかに開始するとともに、新規の治療薬候補を選定するため、国立感染症研究所等におきまして、国内外の情報を収集し、研究を進めているところでございます。
具体的な例としては、委員からもお話ございましたが、アビガンを始めといたしまして四つの薬につきまして、新型コロナウイルスに有効性があるかどうかを見きわめるため、観察研究としての患者への投与を既にスタートしているところでございます。
いずれも新型コロナウイルス等を用いた基礎研究では既に一定の有効性が認められていることから、実際の患者の皆さんの同意を得て使用することで、治療薬の早期開発につなげていくこととしているところでございます。
御質問にございました投与した人数とか経過につきましては、現時点では研究をまさに行っている段階でございまして、詳細についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えてございます。
○青山(大)委員 ちょうどきのう三月十八日の報道では、中国政府が、アビガンによる新型コロナウイルス感染症の治療について有効性を確認したとあります。中国では、ウイルス検査の結果が陽性から陰性になる日数の中央値が十一日だったのに対して、このアビガンを投与した患者では四日で陽性から陰性になったというふうに報告をされています。
もう一度質問いたします。二月二十二日からこれまで、アビガンなどを投与された人の数そして経過について、詳細を教えてください。
○橋本副大臣 お答えをいたします。
先ほど審議官が申しましたとおり、まさに今その患者の方に御同意をいただいて投与をして研究を行っているところというところまでは申し上げております。
ただ、結局何のためにそれをやっているかというと、有効性及び安全性を確認するために実際に同意をいただいて検査、確認をしているというところでありまして、それこそ研究の結果がどうなるのかということを予断を与えるということも私どもは控えるべきだと思っております。
そのため、そうした具体的な人数でありますとかそうした経過でありますところを申し上げることは差し控えさせていただきたい、こう思っているところでございます。
○青山(大)委員 では、中国がきのう発表した、中国政府は、アビガンが新型コロナウイルス感染症に有効である、こういった提言についてはどのように感じておりますか。
○橋本副大臣 中国政府におきまして、三月十七日に、アビガンを新型コロナウイルス感染症患者の治療薬として臨床研究を行い、その有効性が確認できたと発表したということは承知をしております。
ただ、一つ一つの薬がそれぞれの国内で使えるかどうかということにつきましては、きちんと私たちとして責任を持って確認をしなければなりません。そういう意味で、現在、研究をしておりますので、そこのところをしっかり進めていきたいと思っております。
○青山(大)委員 質問主意書の中に、私がアビガンの今の最新の備蓄状況をお伺いしたところ、今二百万人分を備蓄されているという回答がございまして、同時に、今後、備蓄量を増加する予定があるか聞いたところ、「現時点で、アビガン錠二百ミリグラムの備蓄量を増やす予定はない。」と、三月十七日の時点で答弁をいただきましたけれども、その後、こういった中国政府の発表もございました。アビガンの備蓄量をふやす姿勢に変化はないのでしょうか。
○橋本副大臣 アビガンの二百万人分の備蓄につきましては、新型インフルエンザ対策として備蓄をしているものでございます。これが今の新型コロナウイルス感染症に効くかどうかということについて研究をしているということは今まで申し上げてきたとおりでございますので、まずはその結果を待って、必要かどうかを判断するということになろうと思っております。
○青山(大)委員 まさに今、治療薬の候補として、アビガン以外にも幾つか治療薬の候補があるというふうにも認識しております。カレトラですとか、気管支ぜんそくの薬であるオルベスコが新型コロナウイルス感染症に対して効果があるとの報告も聞いております。これらについて、新型コロナウイルス感染症の治療に現在用いられているのか、現状をお伺いいたします。
また、これらの備蓄についての状況をお聞きいたします。
○橋本副大臣 現在、アビガン以外で観察研究としての患者への投与をスタートしたものとして、先ほど委員がお話しをいただきましたカレトラ、それからオルベスコというもの、それからもう一つ、レムデシビルというものがございます。こちらにつきましては、まさに今、患者の皆さんの同意を得て使用するということで研究を行っている、その効果等を確認する研究を行っているということでございます。
ですので、こちらにつきまして、カレトラだとかオルベスコ等は今流通している薬、アビガンというのは普通に流通しないので備蓄をするということになるわけですが、流通しているお薬でございますので、まずは、その有効性等の研究の結果を待ち、そうしてから、備蓄が必要なのかどうか、流通しているもので足りるのか足りないのか、そうしたことを含めて考えるということになろうと思っておりますが、まずは研究の結果を待ちたいと思っております。
○青山(大)委員 本当に、日本以外のほかの国々が、まさにこの治療薬ということで、日々状況は変わってくるわけでございます。私は、その候補であって今現在も、まさに今副大臣も答弁あったように、この質問主意書の答弁にもあるように、カレトラやレムデシビルについても現在も患者に投与されているわけですから、今のうちにそういったある程度備蓄、いつでもある程度の量が使える体制を早目に決定することが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○橋本副大臣 委員が今御質問をいただいていることというのは、まさにその治療薬が今確定しているものがない、なので多くの方が不安に思っていらっしゃる、そのことを私たちもしっかり受けとめなければならない、このように思っております。ですから、先ほど申し上げているように、まず研究をきっちりしていくということが大事だと思っております。
私ども厚生労働省は、残念ながら、薬害というものをたくさん生んだ歴史を持っています。感染症が今大変にはやっていて、これに対して一刻も早く対応しなければいけないという思い、そのことはしっかり受けとめますけれども、同時に、だからといって、決めた手順を飛ばすというわけにもいきません。
一歩一歩、地に足のついた対応を遅滞なくしていくことでしっかりと御期待に応えていけるように、私たちとしては全力を尽くして取り組んでまいりたいと思っておりますので、御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○青山(大)委員 まさにおっしゃった薬害、もちろんこれは大変なことですし、わかります。アビガンについても、催奇形、妊婦さんに投与しちゃうとそういった大きな副作用があるというふうにも聞いておりますし、もちろん、その使い方に関しては非常に慎重になるのは当然だと思いますけれども、政府が治療薬研究を行っており、検証中であることをもっと国民の皆様に周知、そして積極的な情報発信を私はもっとすべきじゃないかと考えます。
今現在も新型コロナウイルス感染症について不安をあおるような情報ですとかデマが散見される中で、新型コロナウイルス感染症の治療薬の研究が日々行われているという状況そのものをもっと発信することが、過剰な不安や、それによって引き起こされている不必要な混乱を防ぐためにも、私は意味のあることだと考えます。
治療薬の検証結果を得られるまで慎重であることはもっともですけれども、感染症拡大の影響を受けての経済対策のほかに、そもそもこの事態を根源的に収束させる方法として、新型コロナウイルス感染症治療薬研究に取り組んでいる国の姿勢をもっと発信していくべきだと考えますが、政府の見解を伺います。
○橋本副大臣 委員のお気持ちというか思いというものはしっかり私たちも共感をするし、そうしたことは必要だとも思います。
同時に、今研究をしている、それは有効性と安全性についてということでございます。逆に言えば、安全性が確立されていないものを、今、患者の方に同意をいただいてまさに実験をしているところであります。どのような結果が出るか誰にもわかりません。だから研究しているんです。だからこそ、私たちは、その内容とか今どういうことをやっているということをつぶさに申し上げることは、その人のためにも控えるべきだというふうに思っております。
もちろん、きちんと結果が整い、そして医療機関にこれが提供され、準備が整った、私たちはそれをできるだけ早く実現をしたいと思っておりますが、そうしたときにしっかりとそのことをお伝えをする、大事なことだと思います。そうした気持ちをしっかり受けとめて、これからも取り組んでまいりたいと思います。
○青山(大)委員 本当に、私、この質問主意書の一番の冒頭にも書いたんですけれども、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いている中、いまだ治療薬のないことが国民の不安の大きな要因であるといえる。治療薬の存在が周知されれば、国民の不安の緩和につながることから、一刻も早く治療薬の存在を確認し、国民へ周知することは大変重要であると考える。」
ぜひ積極的な情報発信を、重ねてお願いいたします。
最後の質問に行きます。
今後、治療薬やワクチンの開発、生産確保は国際的な競争となる可能性があります。既に、ワクチン開発について、アメリカとドイツとの争いを伝える報道も見られます。
一方、これもきのうですか、東京大学のチームで、急性膵炎などの治療薬として使用されているナファモスタットが新型コロナウイルス感染阻害に有効な可能性が明らかになったとの発表がありました。
これらを踏まえ、今後の国内での治療薬、ワクチン開発支援や国際競争が生じる場合への対応について、政府の先見性のある方針をお伺いいたします。
○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
三月十八日に東京大学医科学研究所から、ナファモスタットに新型コロナウイルスに対する効果が期待されることが明らかになった旨の発表がなされたものと承知してございます。当該発表において説明されておりますとおり、研究は、日本研究開発機構、AMEDの感染症研究国際展開戦略プログラム、J―GRIDの支援を受けたものでございます。
ナファモスタットにつきましては、今後その効果を見きわめていく必要があるものと承知しておりますけれども、いずれにせよ、ナファモスタットも含めまして、引き続き、国内外の知見を集めながら、関係機関と連携をして、新たな治療法の開発を進めてまいりたいと考えてございます。
○青山(大)委員 きょうは農林水産委員会ですけれども、ちょっと少し畑が違う分野の質問がふえてしまいましたけれども、私はその治療薬が開発されることが一番のコロナショックの対策につながると思っておりますので、引き続き、橋本副大臣始め、ぜひ一日も早い治療薬について効果が認められるよう要望し、私の質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次回は、来る二十四日火曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時六分散会