第8号 令和2年3月24日(火曜日)
令和二年三月二十四日(火曜日)午前十一時開議
出席委員
委員長 吉野 正芳君
理事 池田 道孝君 理事 齋藤 健君
理事 谷 公一君 理事 野中 厚君
理事 細田 健一君 理事 石川 香織君
理事 近藤 和也君 理事 濱村 進君
泉田 裕彦君 稲田 朋美君
今枝宗一郎君 上杉謙太郎君
上野 宏史君 金子 俊平君
神谷 昇君 木村 次郎君
小寺 裕雄君 坂本 哲志君
笹川 博義君 鈴木 憲和君
高木 啓君 高鳥 修一君
永岡 桂子君 西田 昭二君
福山 守君 古川 康君
宮腰 光寛君 宮路 拓馬君
簗 和生君 青山 大人君
大串 博志君 神谷 裕君
亀井亜紀子君 佐々木隆博君
佐藤 公治君 重徳 和彦君
長谷川嘉一君 広田 一君
緑川 貴士君 石田 祝稔君
田村 貴昭君 森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 江藤 拓君
内閣府副大臣 宮下 一郎君
農林水産副大臣 伊東 良孝君
農林水産大臣政務官 河野 義博君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 橋本 次郎君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 曽根 健孝君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 矢野 和彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官) 浅沼 一成君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 浅川 京子君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 新井ゆたか君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 天羽 隆君
政府参考人
(林野庁長官) 本郷 浩二君
政府参考人
(水産庁長官) 山口 英彰君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
―――――――――――――
委員の異動
三月二十四日
辞任 補欠選任
古川 康君 上野 宏史君
青山 大人君 重徳 和彦君
同日
辞任 補欠選任
上野 宏史君 高木 啓君
重徳 和彦君 青山 大人君
同日
辞任 補欠選任
高木 啓君 古川 康君
―――――――――――――
三月二十三日
家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)
家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案(内閣提出第三六号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)
家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案(内閣提出第三六号)
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○吉野委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長枝元真徹君、大臣官房総括審議官浅川京子君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長塩川白良君、生産局長水田正和君、経営局長横山紳君、農村振興局長牧元幸司君、政策統括官天羽隆君、林野庁長官本郷浩二君、水産庁長官山口英彰君、消費者庁政策立案総括審議官橋本次郎君、外務省大臣官房参事官曽根健孝君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君及び厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○吉野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。重徳和彦君。
○重徳委員 共同会派の重徳和彦です。
冒頭、十分だけ、同僚議員の御理解をいただいて、世紀の失政とも言える八丁味噌GI問題について質問をさせていただきたいと思います。
八丁味噌。八丁味噌は、語源は、岡崎城から西へ八丁、八百七十メートル行ったところが発祥地である、これが語源なんですね。ところが、ややこしいのは、ここ数十年、同じ八丁味噌という名前で類似の商品をつくっていると主張するメーカーが登場した。これはにせものとは言いません。類似の商品であります。
農水省が地理的表示保護制度、GI制度をスタートさせました二〇一五年六月、早速、二社でつくる元祖の八丁味噌組合が真っ先に登録申請をし、その他の類似品をつくっている県内のみそメーカーもそれに次いで登録申請をした、こういう経緯がございます。
それから二年間、農水省も、それはそれで苦労されたと思います。八丁味噌組合と何度かやりとりをして、岡崎以外のみそも八丁味噌と認めるように交渉されたんですね。農水省は、頑として譲らない岡崎の二社に手をやいたでありましょう。それはそれで頑固な二社であります。伝統の二社でありますので、それはそれで承知をいたしております。こういう経緯についてとやかく言うつもりはございません。
経緯はいろいろあったんですけれども、結論が一見明白、おかしいんですね。元祖、その岡崎の二社だけが八丁味噌のGIから外されて、その他のメーカーが八丁味噌GIに登録された。こういう結論が、非常にわかりやすく、かつおかしい、こういうことであります。
結論に納得しない岡崎市民始め、八丁味噌を愛する多くの人たちの間で署名活動が始まりまして、現在七万六千筆に上り、ふえ続けております。これはインターネットじゃなくて直筆の署名でありますので、相当な数だと言えると思います。
二〇一八年三月、八丁味噌組合は、農水省に対しまして、登録を取り消すよう、つまり、県味噌組合への登録を取り消すよう、行政不服審査請求を申し立てました。
それから一年ちょっとたった二〇一九年五月、審査庁たる農水大臣は、第三者機関たる総務省の行政不服審査会に対しまして、本件審査請求は棄却するべきであるとして諮問をしました。
その四カ月後、二〇一九年九月、その行政不服審査会は、総務省ですね、本件審査請求は棄却するべきであるとの審査庁、農水省の諮問に係る判断は、現時点において妥当とは言えないとの結論を答申した。つまり、農水省の判断は妥当ではない、こういう答申が出たんです。当たり前です。
さて、そこで、このたび、実はあした始まるというふうに聞いておりますが、改めて農水省に第三者委員会なるものが設置をされたということでございまして、これは資料に添付をさせていただいております。
この第三者委員会という名前ですけれども、これは何のための委員会なのか。
農水省の、八丁味噌組合が言っていることは棄却すべし、そのまま突き進めと、その根拠を更に検討するための委員会なのか、あるいは、農水省の方針を転換することもあり得るという前提の、完全なる第三者として検討する委員会なんでしょうか、どちらでしょうか、大臣。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今回の八丁味噌に関する第三者委員会につきましては、先ほど委員が御指摘いただきました行政不服審査会の答申を踏まえまして、八丁味噌の社会的評価につきまして調査検討するために設置したものでございます。
○重徳委員 ですから、今までの農水省の、妥当ではないと言われている方針を転換することがあり得るのかどうか、そこも含めて検討する委員会なのかどうかをお答えください。
○江藤国務大臣 今局長からお返事させていただきましたけれども、これは自由に意見を言ってくださいということでありますから、どちらの方向に農林水産省として答えを誘導するようなことは決してありませんので、どちらの方に向かうということは申し上げられませんけれども、その答えについては、まだ第一回目は始まっておりません、三回ほど行いますので、その結果を待ちたいと思います。
○重徳委員 では、どちらの方向を向いてもいいよということは、ちゃんと委員の皆さんには伝えてあるんですか。
○塩川政府参考人 事前に、委員に御就任いただくときには、まさに今までの経緯も踏まえて自由に御議論いただくということでお願いをしているところでございます。
○重徳委員 では、そのようには伝えてあるということで。
では、第三者委員会というからには、この委員の皆さんは第三者なんですね、今までの農水省のGIの施策にはかかわっていない、どなたもかかわっていない、あるいは今回の八丁味噌GI登録にかかわった学識経験者に、その本人だったらなおさら問題ですけれども、本人じゃなくても、そこに非常に近いとか、同じ大学学部・学科に所属している、先輩後輩関係があるとか、そういうことが全くない、第三者であると言い切れますか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今回の委員の選定に当たりましては、知的財産法だとか地域ブランドだとか、あるいは醸造学など、今回の八丁味噌のGI登録に関連する各分野につきまして専門性を有する方々で、かつ愛知県味噌溜醤油工業協同組合ともう一つの八丁味噌協同組合、いずれとも利害関係のない方から選出をしたところでございます。
今委員御指摘いただいた委員の中には、GI制度立ち上げの際にガイドラインの作成などの検討委員であった者も含まれております。この方につきましては、GI制度につきまして高い見識のある大学の先生でございまして、まさに専門的な見地から意見を述べていただくことを期待しておりまして、公平性を欠くということはないと思います。
また、大学のお話もございました。確かにその検討委員の同じ大学の出身者はいますが、同じ大学ということで特にそういうことではなくて、今申し上げたように、まさに必要な専門性を有する方ということでお選びをしているところでございまして、結論ありきだとか誘導するとか、そういうことは一切ございません。
○重徳委員 いや、本当に第三者だというのであれば、八丁組合と県組合、どっちとも利害関係が、関係ないというだけじゃなくて、やはり農水省との関係においても第三者でなければおかしいと思います。
それで、第三者といえる、これは専門家委員会ならいいですよ、何でわざわざ第三者委員会なんという名前をつけるのかというところが、これは非常に私は問題視しなきゃならないと思うんですよ。
第三者機関というのは既に総務省が、行政不服審査会が第三者なんですから。その第三者性というものは非常に厳しいですよ、行政不服審査会の第三者性というのは非常に厳しいです。在任中の職務上知り得ることができた秘密を漏らしたらその場合には罰則がかかるとか、そういう厳しい第三者性というものは担保されていないと思うんですよ。
それからもう一つ、この設置要領を見ますと、これまた会議は非公開なんですよ。会議は非公開。で、委員長の確認を得た後、議事概要を公開する、このパターンですよね。
何でこうなんですかね。だって、自由に討議してもらったらいいじゃないですか。その中のどういう議論を聞いて農水省が判断するのか、ここが大事な話なのであって、会議そのものを非公開にする理由はないと思いますし、我々が公開してくれと言ったら、それは、本当にまずいところは黒塗りにして出せばいいじゃないですか。何でそういう取扱いができないんですか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
第三者委員会では八丁味噌の社会的評価につきまして議論をするわけでございますが、その際には、個々の関係企業の流通実績あるいは売上げに関する情報など、営業上の非公開情報を取り扱うために、議論を公開することは適切でないという判断をしたところでございます。
しかしながら、会議開催後に速やかに議事概要を作成し公開する予定でございますが、その内容につきましては委員長それから各委員に確認をすることになっておりまして、農林水産省に都合のいいコメントだけが出るということにはならないというふうに考えております。
○重徳委員 繰り返しになりますけれども、GIのガイドラインにかかわった委員の先生がまた今回の委員じゃないですか。それから、同門の、八丁味噌GIを決めたときの学識経験者の一人の方と同門の方もいる。非常にそういう、第三者というものが全く担保されていないと私は思いますよ。そして、その上、その第三者が担保されていない方々の間でここまで議事概要として出そうねということを言われたとしても、それはやはり透明性、第三者性、客観性を欠くと言わざるを得ないと私は思うんですよ。
あしたから会議なんですから、この非公開ということをまずなくして、公開にしたらどうですか。それから、第三者委員会という名前も不適切だと思います。有識者委員会とか専門家委員会というふうに名前を改めてあしたに臨むべきだと思います。委員会の前の日にわざわざ私が質問させていただいているのはそういう意味ですよ。始まっちゃうと、いや、こういうルールで始まっているので公開できませんとなっちゃうじゃないですか。それをちゃんと改めていただきたいと思います。
大臣からちょっと一言。
○江藤国務大臣 第三者委員会は、行政不服審査会、これは総務省の答申を踏まえて行われるものでありますので、社会的評価について調査検討するために設置するものでありますので、こちらでやることについて客観性がないとか、そういうことにイコールではないのではないかというふうに評価いたしております。
○重徳委員 きょう夕方また大臣にお会いできると思いますので、またそのときにお話ししたいと思います。きょう夕方にアポは入れていますので、またこの件についてよろしくお願いいたします。
以上です。
○吉野委員長 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 石川県能登半島、共同会派の近藤和也でございます。
きょうは、石川県の花、旅立ちを祝う花、エアリーフローラをつけさせていただいて質疑に臨ませていただきます。大臣始め政務三役の方も、皆さんもおつけいただいて、ありがとうございます。開発されたのが八年前でして、今、十一色までふえてきています。花言葉は希望でして、今、世の中がなかなか明るくない雰囲気でございますが、何とか希望のある日本へ向かって、大臣も花いっぱいプロジェクトを進めておられるということで、私たちも一生懸命このプロジェクトにも参加して盛り上げていきたいなというふうに思います。よろしくお願いいたします。
まず、通告をしていないんですけれども、新型コロナの件について一件、質問させていただきます。
実際には、今、日本では、欧米諸国と比べて感染者の増加数は急激ではないですけれども、ふえていることは間違いありません。
その中で、やはり地元で、関係者、加工業者の方々ですね、食品加工の方々であったり市場関係者の方々から、やはりマスクがないだとか、そして若しくは、関係者で感染者が出た場合にどこまで仕事をとめなければいけないのか。特に、市場であれば深刻だと思います。あるところであれば、生鮮市場そして魚の市場が併設されておられるところもあります。例えば、市場の関係者で感染者が出た場合に全部がとまってしまうと、まさに地域の食の安全が保たれない、こちらも命にかかわる問題ではないかというふうに思っています。
ぜひとも、現状における農林水産省の管轄下の中で、感染者が出た場合にどういった対応をすべきかというガイドライン、どういったところまでできているかということ、そしてさらには、どこかの市場が都合が悪いときには違う市場から融通をする、そういう柔軟な姿勢も、当事者に任せるということではなくて、ある程度の方針が必要だと思いますし、そしてさらには市場の再開へ向けた何らかの決断を、全て現場の方々に責任を押しつけるというのは、やはり私はつらいことだと思います。
その入り口、そして迷い口といいますか、何とか途中のやりとりも含めて、そして最終的な出口も含めて、指針、ガイドラインになるものが必要だと思いますが、今どこまでできているか教えてください。
○江藤国務大臣 大変大事なことだと思っております。
北海道でクラスター的な発生が起こった、その事案を受けて伊東副大臣に北海道の方に飛んでいただきまして、そして、水産業それから大規模農業、家族経営、市場、そういったところの関係者とか農業団体の関係者の方々とも、訪問し、意見交換を重ねていただいて、本省からも五人、課長級をチームとして派遣をしまして、こういう場合、市場ではどうしたらいいのか、漁港ではどうしたらいいのか、漁船ではどうしたらいいのか、そういったことについてのガイド、指針のようなものの作成に着手していただきました。
帰ってきていただいて、本省で更にこれを横展開すべく検討を重ねた結果、完璧なものではもちろんありませんが、例えば、市場においては、なるべく距離を置いて競りも行ってほしいと。今まで、手競りなんかだと非常に距離が近い、飛沫感染しない距離をとってくださいとか、そして、市場の機能がとまりますと、毎日出ていくものが、受皿がなくなってしまうわけで、その先の、さらには国民の皆様方に安定的に食品を供給するという重大な責任が果たせないということでありますから、とめるわけに基本的にはいかないというふうに考えています。
ですから、それを、事業を継続するに当たってはこういう点に継続的に注意をしていただきたいというようなガイドラインは既に作成して、分厚いやつも配りましたけれども、そこに来られる方々にわかるような一枚紙のやつも、畜産それから市場、水産、漁業、それぞれの分野ごとに分けてガイドラインをつくらせていただいて、十三日に配付をさせていただき、インターネットにも公表させていただいております。
しかし、マスクがない。農林省で六万ぐらいしかマスクの備蓄がありませんので、それから動植物検疫所でもマスクが不可欠になってまいりますので、マスクの確保等については、官房長官のところを中心にマスク対策チームが今動いておりますから、何とか買占め等をやめていただいて、必要なところにマスクが渡るように、国民の皆様方にも御協力いただきたいと思っております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
まず、手前みそでございますが、大臣、お花、すてきです。
そして、関係者の方からもやはり言われましたのが、医療も命だけれども、食を預かる私たちも国民の命を預かっているんだ、ここをしっかりしてほしいということも言われましたので、よろしくお願いいたします。
そしてさらには、ガイドライン、分厚いものということも言われましたが、やはり現場の方々がすぐわかりやすいように、問合せの……(江藤国務大臣「一枚紙を配りました」と呼ぶ)はい。さらには、詳し過ぎるのもわかりにくい、簡単過ぎるのも逆にわかりにくいという場合もあると思いますので、問合せのことについてもしっかりと対応をお願いをしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
それでは、基本計画の質問に入らせていただきます。
食料・農業・農村基本計画は、そもそも、何のため、誰のため、誰が目を通すものなのか、このことについて、大臣の認識をお願いいたします。
○江藤国務大臣 先ほどの点について若干補足いたしますが、各地方農政局に相談窓口を設置いたしましたので、このガイドラインについては相談窓口の方に、更にお問い合わせいただくのであればこちらにお問い合わせくださいということを、ガイドラインの中に書き加えてございます。
食料・農村・農業基本計画は、もちろん基本法に基づいて、これから十年間の計画を練るものでありますから、農業生産にかかわる方々にはぜひ見ていただきたい、国の考え方ですから。
目指すべき方向、それから問題点、直面している課題、そういったものを書いてありますので、農業関係者の方々にはもちろん見ていただきたいんですが、私は、閣僚にならせていただいたときに申し上げたのは、国民の理解のもとに農業、農林水産政策を推進したい、国民の理解をもっと醸成したいということを申し上げてまいりましたので、国民に広く、これは読んでいただければありがたいという趣旨でつくらせていただいております。
○近藤(和)委員 農業関係者の方また消費者へ向けて、国民に広くということで、答えをいただきました。
私も関係者の方と、この基本計画についてどう思いますかということを、会話をこの一カ月ぐらい積み重ねてきましたが、皮肉を込めて優秀だとか、冷たい、ぬくもりがない、難しくてよくわからない、お代官様みたい、つくることが目的化していないか、こういうことを言われるわけですね。
例えばですけれども、今、一番新しい基本計画ですけれども、七十ページにある「第四 食料、農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」の部分で、「(三)効果的かつ効率的な施策の推進体制」の部分で、こう書いてあるんです。既存の施策の見直しや新たな施策の導入に当たっては、施策の趣旨や内容について、わかりやすい表現等を用い、農業者の理解に努める、こう書いてございます。
早速その次のページ、「(四)行政のデジタルトランスフォーメーションの推進」、先日もこの部分についての質疑がございましたが、こう書いてあるんです。農業デジタルトランスフォーメーションを実現するためには、農業政策や行政手続などの事務についてもデジタルトランスフォーメーションを進めることが必要である。
これを見て、ぱっと理解できる人はほとんどいないと思います。しかも、農業デジタルトランスフォーメーションのこの記述は、農業DXと書いてあるんですね。なおさらわかりません。
例えば、これをわかりやすい言葉で言えば、牛の増産を実現するためには牛などの仕事についても増産を進めることが必要である、恐らくこういうような、何を言っているかよくわからない。私は改めて、わかりやすさということは重要じゃないかなというふうに思います。
片仮名が多いんですよ、レギュラトリーサイエンスの推進とかですね。そして、スマート農業はよくわかります。ただ、スマート農業、スマートミール、スマート育種、もうスマートをつければ何でもいいみたいな、こういったことも含めて、要は誰のため、読みやすさも含めて、考えていただきたいと思います。
私、一回目の、一番最初の基本計画も当然目を通しましたが、すごく易しいです、言葉も含めて、表現も。今回の基本計画は、前回もそうなんですが、正直、押しつけがましいです。美しくとか強いとか、成長産業とか強靱化とかですね。余り、農家の方々また消費者の方々にとっても響かない言葉だと思います。
SDGsは今回かなり多用されていますが、最初の基本計画でも、持続的な発展とか健全だとか、効率的、安定的ということも含めて、私は、変えなければいけないものもあると思いますが、変えてはいけない本当の基本理念といったことは忘れないで、今度のこの基本計画、魂を入れていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、外国人労働者についての質問をしたいと思いますが、今回の基本計画について、何点か外国人労働者について書いてございますが、彼女ら、彼らの位置づけをどのように捉えているか、お願いいたします。
○江藤国務大臣 基本計画におきましては、まだ最終原稿ではありません。御意見をしっかり承りましたので、また考えるところは考えさせていただきますが、四十三ページの方に、この外国人の皆様方の労働力については記載をさせていただいております。
技能実習生が三万二千人、三万一千八百八十八人ですけれども、それから特定技能外国人が五百四十五人、これは平成二年の二月末時点でございますので、これらの方々なくしてはなかなか農業の現場も回らない。私のところも、大規模なハウス栽培をやっているところは大体、女性を含めて、外国人労働者の方々、非常に勤勉に働いていただいております。
こういった方々を確保するのと同様に、新しい担い手を育成する、それから女性の活躍の場をつくる、そういったことも、それから、今度、今までは新規就農の場合は四十九歳以下ということで切っておりましたけれども、五十歳以上の研修の制度も設けましたので、年齢層も幅広く、労働力の確保には努めてまいりたいというふうに考えております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
実際には、今回三カ所記述がございますが、私、改めてお配りいたしました資料一を見ていただきますと、農業就業人口が減っていく、外国人材の受入れがふえている。そして今後、この右側の方ですが、まだまだ人材が足りませんねということで考えてみれば、今回の記述で一番象徴的なのが、ここがメーンだと思いますが、基本計画の四十三ページのところで、「農業現場を支える多様な人材や主体の活躍」、そして「多様な人材が活躍できる農業の「働き方改革」の推進」の部分で、最後にちょこっと書いてあるんです。「こうした取組を進めてもなお不足する人材を確保するため、特定技能制度による農業現場での外国人材の円滑な受け入れに向けた環境整備を推進する。」と書いてあります。ついでのついでのような書き方になっています。
ただしかし、この基本計画というのは基本的には十年ですよね。まあ、五年置きに見直すということもありますが、今回のコロナ騒動で実際には外国人の方がなかなか入ってこれなくなって、帰ってこれなくなって、新規でまた来ていただきにくくなって、現場が回らないという現状があります。今の日本の若者も少ないという現状、そして、農業、一次産業に携わろうという意欲がまだそこまで高まっていない悲しい現状を考えてみれば、五年、十年でなかなか改善ができない。
外国人の方々の位置づけというものは、正直、移民政策がいいか悪いかは別として、今後十年を考えた場合には、外国人の方々の働いていただくところの位置づけというものは、ついでという書き方であれば、また何か騒動、今騒動が現在進行形ですが、何かあった場合にやはり困ったということになると思います。
少なくとも、本当は、今回の基本計画については、ついでという、こういう書き方でなくて、ちゃんと段落を変えて、別の項目で私はすべきではないかなと。答えは求めませんが、ぜひともよろしくお願いいたします。(江藤国務大臣「線を引いていますから」と呼ぶ)はい、変わったということですね。(江藤国務大臣「いえいえ、ちゃんと問題意識を持って線を引いていますから」と呼ぶ)そうですね。ぜひともよろしくお願いいたします。
私は、別項目で正直にやるべきではないかなと。長期では要るか要らないかは別として、短中期ではやはり私は位置づけというものはしっかり捉えていくべきではないかなというふうに思います。
それでは、次、食料自給率のところに移りますが、資料の二を見ていただきますと、やはり、この基本計画がそもそもつくられたところは、食料自給率は何とかしていかなくてはいけないと。やはり、ずっと右肩下がり。一方で、世界の中で見ても食料自給率は極めて低い。世界の人口はふえていく。そしてさらには、日本の弱い小麦やトウモロコシでいけば、人口が爆発的にこれからふえていくであろうアジア地域、アフリカ地域はまだまだ輸入をしていかなければいけない。いわば、日本は買い負けるリスクというものはあるわけです。実際には食料自給率が目標を一回も達成できていないですよね。今回五回目、過去四回を見れば、ずっと下がってきています。
そして、次のページを見ていただきますが、これは都道府県別の自給率です。こう見てみると、我が石川県は四七%、生産額ベースでは五〇%。大臣のところは、カロリーベースでは六五%、生産額ベースでは二八一%というすばらしい数字を上げられておられるわけですが、この食料自給率をどうやって上げていくかということに対しての反省と今後の方針、こういったことについて御所見をお願いいたします。
○江藤国務大臣 なかなか難しい御質問だと思いますが、反省はたくさんしなきゃいけないと思っています。
食料自給率は一度も達成できていない目標、それは真摯に反省として受けとめなければなりませんが、やはり、国民の食の多様化ということは、いつも言われていることですけれども、これは言わざるを得ないんだろうと思います。
例えば、みんな、私も嫁と御飯を食べに行くと、よくパスタを食べに行きますけれども、小麦なんというのはほぼほぼ輸入でありますので、食料自給率の低い麺類、ラーメンも大変なブームですよね。ラーメンもパスタもうどんも、四国のうどんも、残念ながら余り国産ではないということであります。
そして、米の消費が、やはり白米を余り食べていただけなくなった。主食の米が、国民一人当たりの消費量が大きく下がったということ。
それから、野菜の場合は、カロリーベースでいうと二%ぐらいしか、委員も御存じだと思いますけれども、カロリーベースは貢献度がありません。牛なんかでも、輸入飼料がほとんどでありますから、一一%しか食料自給率には貢献しないということも多々あって、こういう結果になっているということは反省しなきゃいけないと思います。
そして、これから先、委員がおっしゃったように、かつて漁業であったように、サバとかそういったものが中国資本に買い負けをしたという経験を我々はもう既にしております。ですから、そういうことも考えながら、輸入のルートを維持することも片方で大事でしょうけれども、やはり、輸入に頼っている戦略作物を含めた品物について、飼料については飼料自給率を高め、そして外国に頼っている農林水産品については国産化を進めるという努力がこれからは求められるんだろうというふうに思っております。
○近藤(和)委員 実際には、各品目、小麦だとか大豆だとか、それぞれ品目ごとの目標はあります。ただし、各都道府県ごとの目標ということは今つくっていないですよね。
実は、一番最初の基本計画、第一回目の中ではこう書いてあるんです。「全国段階における生産努力目標の策定と併せて、地域段階において、地方公共団体、生産者団体等による地域の条件と特色を踏まえた生産努力目標の策定を促進する。」、こう書いてあります。実際には、各都道府県ごとにあれやれ、これやれというのは厳しい部分はあるとは思いますが、本気になって食料自給率を上げていこうとすれば、品目ごとの目標だけではなくて、品目、さらに各都道府県のところに御協力をお願いしていく。
そして、先ほどの都道府県の一覧じゃないですが、やはり、余り都会、個別でいうとあれですが、都会の部分は食料自給率一パーだとか三パーだとか。私たちのような田舎は結構貢献しているわけですよね。所属する委員会は違いますけれども、地方はこれだけ日本の食料の安全保障に貢献しているんだということを、声を大きくして、ぜひとも大臣始め関係の皆様、頑張っていただきたい。私ももちろん頑張っていきたいというふうに思います。
それでは、最後になります。経済連携についてです。
経済連携についての記載の部分は、私は気になったことが、やはり新市場の開拓。これもわからないでもないですが、いかに守っていくかといったところの記述、これも当然必要です。そして、さらにいけば、食料の安全保障ということに関して言えば、私は、一定量の輸入をどうやって確保していくか、この部分の記載は弱いと思いました。
この部分についてはいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 輸入の記載のところは、前回の基本計画においては、輸出禁止と規制に関する規律強化を図るなど食料の安定供給の確保に資するように交渉を進めるという書き方にしておりましたが、今回は主要穀物という書き方にさせていただきました。これは、食料というふうになるとトウモロコシとかそういう飼料が入らないので、ちょっと広目に書かせていただいたという理解でございます。
ですから、前回のとは違って、日豪EPAというような例示は特に書いてはありませんけれども、前回とそんなに、もうちょっとよく読んでみますけれども、遜色のない書き方をしているというふうに私は思っているんですが。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
きょうは、済みません、外務省にも来ていただきましたが、ちょっと時間がなくなりましたので。
私は、この一定量の輸入の確保といったところも、しっかりと国として攻めていかなきゃいけないなというふうに思います。安全保障につながる話です。
一応、最後のページだけ、資料七を見ていただきますと、自給率が低いという認識を多くの国民の方が持たれています。そして、一番右ですが、九割以上の方が、取組は必要である、九五%です。これだけの方々が食料の自給率を上げていかなきゃいけないねというふうに思われているわけです。心配もあるわけです。
ぜひとも、この部分について、多方面について努力をしていかなければいけないなというふうに思いますので、今後こういった質疑をどんどんしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、石川香織さん。
○石川(香)委員 石川香織です。きょうもよろしくお願いいたします。
まず、先日私が提案いたしました、衆議院の農水委員会で牛乳をという提案でしたけれども、委員長を始め理事の皆様の御協力をいただきまして、理事会室でパック牛乳が飲めるようになりました。本当を言えば、委員会室でごくごく飲めるスタイルがよかったなとは思ったんですけれども、今三十個ほど置いているパック牛乳も、ほとんど何かいつも品切れになるということでして、農水委員会らしく、これからも農家を応援することができればなと思っております。ありがとうございました。
まず、新型コロナウイルスに関して一つだけお伺いをさせていただきたいと思います。
新型コロナウイルスに農家が罹患した場合のガイドラインを農水省は示したと思います。一次産業のカテゴリーごとに提示をされておりますけれども、日々の餌やりですとか搾乳というのは穴をあけられない作業であります。万が一経営者の人若しくは従業員の人が罹患をしてしまった場合、従業員とか家族は濃厚接触者ということになります。まず、罹患した人はその場でまず入院といった措置で隔離をされてしまうということで、家族や従業員の人たちは濃厚接触者ということになりますけれども、こういった人たちは牛舎などで作業することができるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
まず、ガイドラインについて先生言及いただきましたけれども、農林水産省では、新型コロナウイルス感染症の北海道の発生状況を踏まえまして、本年三月八日に、伊東副大臣を本部長とした新型コロナウイルス対策に関する農林水産省北海道現地対策本部を設置いたしまして、酪農を始めとして、事業継続に向けての現場の意見を伺ってきたところでございます。
こういった検討も踏まえまして、農林水産省として、三月十三日に、ガイドラインでございます、これは正式名称、畜産の関係ですと、畜産事業者に新型コロナウイルス感染症が発生したときの対応及び事業継続に関する基本的なガイドラインというものを出させていただいております。
このガイドラインの中で、畜産事業者に感染者が発生する場合を念頭に、生産者団体、保健所等と連携を図りつつ予防対策を徹底したり、あと、感染者や濃厚接触者への対応、そして施設設備等の消毒の実施、さらには業務の継続の四つの観点から取り組んでいただく事項を整理いたしております。
先生御指摘のとおり、特に畜産とか酪農につきましては、家畜の飼養管理や搾乳など日々欠かすことができないことでございますので、あらかじめこの業務継続のための体制について検討、構築していただくということを、この中でお示しさせていただいているところでございます。
委員御質問の、万が一家族経営で感染者が発生した場合に、そのほかの家族の方とか従業員の方とかが濃厚接触者となる場合がございます。そういった場合には、自宅待機などの措置が要請されるということが想定されるわけでございます。
この場合に、牛舎での作業ができるかどうかということでございますが、例えば、その牛舎が自宅に隣接しているケースなどにおいて、保健所の指導のもと、ほかの人と接触しないなど、感染拡大防止のための措置を図りつつ牛舎で作業を行うことも可能な場合というのはあると考えられますが、そういう対応が難しい場合は、地域でかわりの方に作業をしていただくということになるわけでございます。
したがいまして、事業を継続するために、今般のガイドラインを踏まえて、事前に地域の関係者の方々が一体となって業務継続のための体制を検討していただくということが非常に重要だと考えております。この点につきまして、ガイドラインの周知をしっかり図ってまいりたいと考えております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
まさに地域全体で万が一のとき支えていくというのは、そのとおりだと思います。
空き農場とか公的牧場のあきの確保の確認というものも打つ手の一つになるということもあったと思います。簡単なことではないと思いますけれども、ぜひ、きめ細やかなガイドライン、ケース・バイ・ケースというお話ではありましたけれども、引き続きお知恵をかしていただければと思います。
きょうは、基本計画についてということで、引き続き質問させていただきます。
基本計画は五年ごとに見直すことになっておりますけれども、では、安倍農政の七年間はどうだったかということで、私たち、共同会派で、先週、安倍農政検証ワーキングチームというものを立ち上げました。
安倍農政を検証するときに象徴的であるのが、規制改革会議というものでありまして、改革と称していろいろなことが法案として出てきたということでありました。
その中に、平成二十八年、生乳、乳製品の生産、流通に関する規制改革が出てきまして、平成三十年四月に、生乳改革と言われる、指定団体以外にも牛乳が集められるようになって、加工原料乳補給金の交付対象を広げたということが行われました。
この制度が始まって二年ですけれども、それぞれいいところ、まだまだ足りないところというのはあると思います。それなりに私も思うところはあるんですけれども、先日、この制度によって新しく第一号対象事業者になったMMJが、生産者の生乳の受取ができなかった、拒否をしているという報道がありました。北海道での話でありますが。
実態把握に向けて調査をするということでありますけれども、現時点でわかっていることを教えていただきたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
先般の報道を受けまして、先週木曜日でございますが、委員御指摘のその生乳買取り販売事業者に農水省に来ていただきまして、状況について聞き取りを行うとともに、生産者側の方でございますけれども、生産者の属する組織に対しましても、北海道庁そして北海道農政事務所が協力して聞き取りを今行っているところでございます。
当該生乳買取り販売事業者の方からは、生産段階で生乳へ異物混入があって、それが原因となって受入れ先の乳業者から生乳の受入れを断られたことから生乳が廃棄されたこと、それからもう一つは、乳質基準、乳質の基準をクリアできなかった生産者がおられて、指導を行ったものの乳質が改善せず、やむなく生乳が廃棄されたといったことの報告を受けたところでございます。
他方、生産者側の方は、その生産者が属する組織の方からは、異物混入は事実であるけれども既に改善している、現在は当該業者を経由せずに乳業メーカーに出荷ができているということでございます。それからもう一つ、当該生乳買取り販売事業者の乳質検査については不満を持っているというふうなお話を聞いております。
これは北海道庁を通じてお話を今聞いているところでございますが、更に今後、北海道庁とともに北海道農政事務所が、この生産者側の聞き取りをしっかり行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○石川(香)委員 今まさに聞き取りが行われていて、まだ事実が全部明らかになっているわけではないと思いますけれども、ただ、生産者が昨年末から生乳を廃棄し続けている、今なお廃棄し続けていて、かなりの量の生乳が廃棄されているということでありまして、加えて、その間の乳代が払われていないということは、異常事態だと思います。
いいとこ取りの問題というのも今まで指摘されてきましたけれども、この事業者と生産者との問題の中で、江藤大臣は、十九日の閣議後の記者会見で、いかなるものも不断に見直すことが大事とおっしゃっておりまして、今回のことも議論のきっかけになるかもしれないということをお話しされておりますけれども、この制度の見直しも含めて議論が必要になるという認識なんでしょうか。
○江藤国務大臣 今、局長からお話がありましたように、しっかりとまず、事実をエビデンスとして確立することが大事だと思います。
しかし、委員がおっしゃったように、廃乳がちょっと続いているということも間違いのない事実であって、この畜安法の改正のときは、私も党内で一応コアメンバーでしたから、随分激しい議論をしたことを覚えております。いいとこ取りがまずだめだと。それから、生乳の流通、いわゆる加工原料乳の集送乳について支障が起こるようなことはだめだと。しかし、米もそうですけれども、生産者の御判断によって有利な売り先を選択する選択肢がふえる、生産者のためにいいということであれば、それは新しい方の参入を認めることも、閉鎖的であってはいけないから、いいだろうという話で、最終的にはこういうことになったんですが、しかし、二年運用してみてそういうことが起こっているということでありますから、農政局の方にはしっかりまず聞き取りとか事実の確認をしっかりした上で、私は、その結果を受けて、制度のどこに欠陥があるのかについての検証は当然行われることだというふうに思っております。
○石川(香)委員 MMJという事業者、加工原料乳調整金を受け取っているこのMMJが、酪農家が生乳を廃棄している、その原因はわかりませんけれども、このことは本当におかしいことですし、流通がまず確保される対応は大事だというのは、大臣も十九日におっしゃっていたと思います。
この生乳改革、新しい制度として走り出して二年ということで、まず、こういうトラブルが出てしまったというのは本当に残念だと思いますし、大臣もおっしゃっていたように、やはり悪いところは改善していくというのが当然だと思いますので、このことをきっかけに、この議論についてもう少し深める機会ができればなと思っておりますので、私もこの事案については今後も注視していきたいと思います。
では、次の質問に入らせていただきます。
基本計画の中に、消費者と食と農のつながりの変化という項目があります。
ここでは、ライフスタイルの変化によって、国民がふだんの食生活を通じて農業とか農村を意識する機会が減ってしまっているけれども、みずからの課題として捉えるべきだというふうに記載をされていると思います。
今、それぞれの生活ですとか価値観が変わっていく中で、例えばスーパーなどではカット野菜とかカットフルーツが非常に需要が高まっている。このライフスタイルの変化というのは、すごくこれから敏感になっていかなくてはいけないんだと思います。
そのお話をするに当たって、きょう、コンビニのおでんの例をちょっと出したいと思うんですけれども、今、コンビニのおでんをやめる店舗が非常にふえています。経済産業省の方で、コンビニのあり方検討会というものがあったそうなんですけれども、その中で、コンビニのオーナーにヒアリングをしておりますが、この内容を見ると、おでんが非常に店舗の経営の負担になっているということが浮き彫りになっています。どうやらおでんは廃棄が非常に多くて、そして、廃棄をした際の赤字は各店舗が負担するということが今まで行われてきたことであるということでありました。
コンビニを利用する人は何を買っているかというデータも見させていただきましたけれども、決しておでんを買う人の割合は少ないわけではないんですけれども、ファミリーマートの沢田社長という方も、令和元年十一月十五日に、今月末で、というのは昨年十一月時点で、販売を終了する予定、推奨は終える予定というふうに言っています。おでんを続けるかどうかは加盟店の判断にしたいということをおっしゃっています。
コンビニ自体に人が集まらないですとか、そんな中で、おでんというのは調理とか清掃にすごく時間がかかる。調理後も、温度管理であったり、食材を時間がたったものを廃棄する、それからつゆを追加したりとか、すごく手間がかかるそうなんです。コンビニ各社では、調理後四時間から八時間経過したおでんを廃棄するというルールもあるそうで、一方で、商品の見ばえをよくするために調理容器いっぱいにおでんを詰めるということもあるので、結局廃棄量が多くなってしまう傾向があるそうであります。
何でこの話をするかといいますと、先日、国産野菜の価格が低迷しているという質問をさせていただきましたけれども、その中に、私の地元でも大根がありまして、生産者の中には、このおでんをコンビニがやめているところが多くなっていることが、価格低下と相まって非常に経営に重くのしかかっているということで、おでんの例を現に挙げられている生産者の方がおりました。
このおでんの問題は、人手不足であったり人々のライフスタイルの変化、それから野菜の使い道が変わっていく、それから食品ロスの問題も含めて、非常に何かいろいろな問題が絡み合った事案じゃないかなと思っています。
おでんは、これから店舗で売るのではなくて、一人のパックにして、その都度電子レンジで温めて提供するという手法に変えたコンビニもあるそうですけれども、野菜の卸先が減るということは農家に影響が出るという意味で、非常に大事な問題ではないかなと思いまして、このおでんの例を挙げました。
こうしたライフスタイルの変化に伴う農作物の需要の増減、それから用途の変化に対応していく必要性というものは、生産者に求められていると思います。生産者も経営者ですから、常にアンテナを高くしていくのは当然でありますけれども、あらゆる変化に対応していくという判断は非常に難しいと思います。
農水省は生産者に指標となるものをわかりやすく示していく必要があると思いますけれども、このことについてお伺いをさせていただきます。
○浅川政府参考人 お答え申し上げます。
今回の基本計画の見直しに当たっては、需要が旺盛な畜産物ですとか加工、業務用需要に対応した野菜など、ライフスタイルの変化や国内外の需要の変化などに対応しながら、生産の維持増大と農業者の所得向上を実現するために、品目ごとの消費見通しや生産努力目標というのを設定しているところでございます。
私ども農林水産省としても、生産現場にこのような基本計画の考え方とそれぞれの目標の周知というのを行うということを今後していきたいと思いますけれども、地域の生産者が需要の変化にきめ細かく対応できるようにするためには、やはり、地方公共団体や農業団体との連携をしながら、現場にきめ細かく情報を流していくということも必要ではないかというふうに考えております。
特に御指摘の、小規模高齢農家など、なかなか需要の変化を自分のアンテナだけでは把握が難しいという方については、農業協同組合ですとか農業法人の品目部会などによって産地単位で統一的に販売戦略や共同販売をしていくということが今後一層重要になるのではないかと考えまして、今回の基本計画にもそれを明記することにしております。
○石川(香)委員 そうですね。おっしゃるとおりなんですけれども、先ほど近藤委員の指摘の中にもありました、横文字が多いですとか、誰のためというところが非常に難しいところでありまして、ライフスタイルの変化と簡単に言っても非常に難しいということで、ぜひ、これまで以上に、いろいろな変化というものに対して、どうそれをわかりやすく示していくかということに重きを置いて示していっていただきたいなと思っております。
今、おでんの質問の中でも触れましたけれども、食品ロスの削減というのも大切なテーマだと思います。この基本計画の中で、飲食店や消費者の双方が食べ切りや食べ残した料理を自己責任の範囲で持ち帰る取組の働きかけを推進すると書いてあります。
自治体ごとにお持ち帰りを推奨するような取組もあると聞いておりますけれども、そもそも、お持ち帰りを推奨するお店というのを私自身、見たことがありません。消費者からすれば、私も含めてですけれども、持ち帰れるんだったら持ち帰りたいなと思っています。ただ、生ものなんかは難しいなというのはわかるんですけれども、持ち帰ること自体が、エコというよりは、何だかがめつい人だなみたいなふうに思われるのではないかというような懸念も正直あるということで、なかなか言い出しづらいというのはあります。お店側には、積極的にお持ち帰りを推奨していますよと言っていただければ、もっと積極的に持ち帰れるのになと思います。
でも、そもそも、お店側にとっては、持って帰ってもらうことで、食中毒ですとかいろいろなリスクがある中で、必ずしも積極的にお持ち帰りを推奨しないのではないのかという思いもあります。
これらの問題をクリアして、どうお持ち帰りを推進していくんでしょうか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
外食産業から発生いたします食品ロス、それは百三十三万トンにも及んでおりまして、やはりこれを削減していくことが非常に重要だというふうに思っております。そのために、消費者の方には、まず適量を注文していただいて残さず食べていただくということが基本だと思いますが、その上で、食べ切れずに残した料理につきましては、持ち帰ることを推進しております。
ただ、持ち帰りにつきましては、今委員の御指摘のとおり、衛生上の問題が残るというふうに思っています。このため、昨年五月に消費者庁、環境省と連携をいたしまして、「外食時のおいしく「食べきり」ガイド」というものを作成しました。この中で、消費者が持ち帰る場合には、飲食店の説明をよく聞いて、食中毒のリスクなどを十分に理解した上で、自己責任の範囲で行うということを明確化しているところでございます。
また、持ち帰りは、今はまだ一般的に行われているとは言いがたいわけでございます。店舗によっては、推奨ステッカーみたいなので消費者の方にわかるようにやっている取組を進めておりますが、更にそういう機運を醸成するために、関係省庁と連携をいたしまして、食べ残しを持ち帰るという行為のまずネーミング自体を親しみやすいものにしていくとか、あるいは持ち帰り容器のパッケージデザイン、これも親しみやすいものにするというふうなことを近日中に募集をすることといたしております。
こうした取組を通じまして、飲食店と消費者の相互理解のもとで、食べ残しの持ち帰りの取組をぜひとも推進していきたいと思っております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
自己責任の範囲というのが一番難しいんですよね。持ち帰りのバッグ、ドギーバッグと言うそうですね。私はドギーバッグというのを余り知らなかったので、これから頑張っているところですというような内容の御答弁だったと思いますので、ドギーバッグにかわる名称を募集しているだとか、今食品ロスという言葉もだんだんメジャーになってきていますから、少しでも持ち帰りやすい環境になればいいなと思っています。
次は、食の安心、安全というものについてお伺いをしますけれども、きょうはゲノム編集食品についてお伺いをしたいと思います。
ゲノム編集食品ですけれども、幾つかの研究段階のものも含めましてこれから消費者のもとに届く日も近いと言われている日本ですけれども、このゲノム編集食品には、腐りにくいトマトですとか、涙の出ないタマネギ、芽に毒がないジャガイモなどがあるそうなんですけれども、こうやって聞くと、幾ら安全だと言われても抵抗がある方はいらっしゃると思います。
まず、農水の観点から、このゲノム食品が生態系に影響を及ぼさないような対策を講じているのかどうかということについて、お伺いをします。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
ゲノム編集技術、これは、ゲノムの狙った場所を切断して、狙った性質を改良するという技術でございまして、農水省としては、生物多様性の観点から、カルタヘナ法を所管いたします環境省の中央環境審議会、まず、ここの中で平成三十年七月から議論をしてきたところでございます。
このゲノム編集、いわゆる広義のゲノム編集というふうに呼んでもいいかもしれませんけれども、このゲノム編集に加えまして、外来のDNAを導入するという手法がございます。これにつきましては遺伝子組み換え体と同様ということでございますので、カルタヘナ法の対象にするということがまず決められました。
他方、DNAを導入しない、いわゆる狭義のゲノム編集技術により得た生物につきましては、その輸入、流通、栽培等に先立ち、所管省庁が事業者等に生物多様性の影響に関する情報提供を求め、把握した情報を公開するなど一定の管理を行うという方針が平成三十一年二月に示されたところでございます。
農林水産省は、このカルタヘナ法の所管の一つということでございますので、この方針に基づきまして、ゲノム編集技術で得られた農林水産物について、その利用に先立ちまして技術の内容や生物多様性の影響などについて開発者から情報を求める、それから、この情報につきまして、専門家の意見を伺いながら生物多様性への影響がないことを確認した上で、農林水産省のホームページで公開をするということにしております。
このような手続につきましては、昨年の七月から、関係省庁とともに全国五カ所でリスクコミュニケーションを行いまして、さらにパブリックコメントを経ております。その上で、昨年十月に通知として発出したところでございます。
○石川(香)委員 環境省と農水省でゴーサインが出たときに世に出るというような認識だと思います。
ただ、ゲノム編集食品かそうではないかというのは、現在は表示の義務というものがありません。これは、後から追跡をしてもゲノム編集食品かそうではないかということがわからないからというのが表示の義務に至らない理由なんですけれども、とはいえ、なるべく表示をしてくださいということを消費者庁は勧めているそうですけれども。
やはり、これは消費者に選択の権利はあるべきだというのが私の考えです。トレーサビリティーの観点から、後から追跡できないから表示の義務はなしというのは、消費者にとって食の安心、安全を確保できているのかということについてお伺いします。きょうは消費者庁と厚労省にも来ていただいておりますので、どちらからでも結構ですので、お答えをお願いいたします。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
ゲノム編集技術応用食品の食品衛生上の取扱いにつきましては、従来の品種改良技術を用いた食品と比べた安全性等の観点から、ゲノム編集技術応用食品のうち、自然界又は従来の品種改良技術でも起こり得る範囲の遺伝子変化により得られるものは開発者等から届出を求めて公表することとし、従来の品種改良技術では起こり得ない範囲の遺伝子変化のものは安全性審査の対象とすることとしております。
また、安全性審査の要否を確認するため、開発者等には、事前に厚生労働省に相談していただき、専門家の意見を伺う仕組みを設けているところであります。これが実効性のある仕組みとなるよう、制度の周知徹底を図るなど、適切に対応してまいります。
○橋本政府参考人 お答えいたします。
ゲノム編集技術応用食品の表示のあり方につきましては、昨年九月十九日に通知を発出して公表しているところでございます。
ゲノム編集技術応用食品の食品衛生上の取扱いについては、今御説明あったとおり、厚生労働省において事前相談を行って、専門家による確認の結果、まず、自然界又は従来の品種改良技術でも起こり得る範囲の遺伝子変化により得られるものは、従来の品種改良と同程度の安全性であることから、食品の開発者等から届出を求め公表、そして、それを超える遺伝子変化のものは安全性審査の対象ということでございます。このため、国内で流通している食品であれば、食品としての安全性は確保されていると承知しております。
表示につきましては、厚生労働省の整理におきまして安全性審査の対象となるものは、食品表示基準に基づきまして遺伝子組み換え表示を行う必要がございます。
そしてまた、厚生労働省の整理におきまして届出の対象となるものは、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保の観点から、事業者には表示等の情報提供を行っていただきたいと考えているところでございます。
なお、現段階におきましては、国内外において、ゲノム編集技術応用食品について取引記録等の書類による情報伝達の体制が不十分であること、そして、ゲノム編集技術を用いたものか科学的な判別が困難であることを踏まえまして、食品表示基準の表示の対象としないこととしております。
今後、流通実態や諸外国の表示制度に関する情報収集も随時行った上で、新たな知見等が得られた場合には、必要に応じて取扱いの見直しを検討するということとしております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
ゲノム食品を取り扱うときに、表示に関しては消費者庁、ゲノム食品の安全性については厚労省、ゲノム編集食品が生態系に与える影響については農水省ということで、この省庁が絡み合っているところがまず議論の妨げになっているんじゃないかなというふうに感じました。
トレーサビリティーは厚労省が努力目標に掲げていて、農水省はそのトレーサビリティーを普及啓発する立場だと。何かあったときのためにトレーサビリティーがあるのに、何かあっても、ゲノム編集か、そうでないというものがわからないから対応できないというのであれば、初めから、ゲノム編集食品に抵抗がある人がわかるように表示を義務化するべきではないかなと思います。
とはいえ、ゲノム編集食品については、全てを否定するわけではないんですけれども、私は、これは人間が調理しやすいとか、利便性とか合理性とか、あと、色とか形がきれいとか朽ちていかないとか、そういう見た目を重視する傾向が強くなった結果ではないかなと思っています。
最後に、大臣にお伺いします。
このゲノム編集食品、腐らないトマトとか、涙が出ないタマネギ、黒くなりにくいマッシュルームとか、一見合理的で魅力的に聞こえるようなものがありますけれども、仮に、本当は時間がたっていて新鮮さが欠けていても、それを見た目で判断できなくなるということが消費者にとっていいことなのかどうなのかと私は感じています。消費者は見た目を重視する購買傾向が強いと思います。スーパーなんかで、手にとって、見たりして買うと思います。仮にゲノム編集食品とそうでないものが店舗に一緒くたに並べられて、ゲノム編集食品は多少時間がたっても見た目がきれいなままで、一方、品質や安全性は抜群であっても、形が、見た目、自然のまま、でこぼこであったり、時間がたったりすれば黒くなったりするような、そういったものを消費者は選ばなくなるのではないかという懸念が私はあります。
こうした懸念は思い過ごしかもしれませんが、このゲノム編集食品が流通することに対しての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 最近は、随分地球を取り巻く自然環境が大きく変化をしてきて、世界じゅうが熱帯化をしてきて、日本でも地域によってつくれる作物が変化する。台風が激甚化するとか、大雨が大変な量で降るとか、そういったものに対応するための品種改良であるとか、そういったことはもう当然やらなければならないと思っています。
その中にゲノム編集もあるのかもしれませんが、私はこの世界は余り明るくないんですけれども、ただ、自然界で起こり得る変化をつかまえてその部分を切り取ってやるということであれば、自然界でも起こり得ることに若干人間が手を加えるということであれば、少し抵抗感は低いのかなというふうに思います。
ただ、それが非常に、色目もよくて、もちもよくて、扱いやすい、そしてやはり曲がっているキュウリよりも真っすぐの方がいいというのをみんな思っていますから、そういうことであれば、その優劣で商品価値として落ちてしまう場合もあるかもしれません。
しかし、その一方で、無農薬とかノングルテンとか、そういったものに対する国民の関心も強く最近はなってきておりますから、そういうものは、ちょっと答弁を一生懸命聞いていたんですけれども、全部私も聞き取れなかったんですね。外国の事例も踏まえながら、必要があれば表示するようなことも、そういうようなことも考えるような考えないようなことも言っていましたので、消費者になるべく情報を伝えるということは決して悪いことではないと思いますので、三つの省にはまたがっておりますが、ちょっとこのことについては注意を持って今後見ていきたいというふうに思っております。
○石川(香)委員 では、時間が来ましたので、終わります。
ありがとうございました。
○吉野委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時六分休憩
――――◇―――――
午後一時五十八分開議
○吉野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。亀井亜紀子さん。
○亀井委員 立国社共同会派の亀井亜紀子でございます。よろしくお願いいたします。
前回の大臣所信のときの質疑に続きまして、また食料安全保障、食料自給率の話から入りたいと思います。
前回、私は、食料自給率の指標が多過ぎるのではないかという指摘をいたしました。ただでさえ食料自給率と食料自給力という言葉があって、この二つはどう違うのかとわかりにくいところに加えて、今度は畜産について、飼料の自給を反映したものと反映しないものと、なぜまた指標をふやすのですかと大臣に尋ねました。その際、大臣は、これから輸出を促進していきたい、和牛も輸出をしていきたい、そのときに堂々と国産だと言いたいので、その際、現場で畜産関係者がいろいろ努力をされている中で、その努力が数字の上に反映されないのはやはりどうかと思うので、今回、指標を一つふやしたいんだということをおっしゃいました。それはそれで、お気持ちはわかります。書かれるのであれば、今度はわかりやすく書いていただきたいんです。
今回、産出食料自給率という言葉が食料国産率となりましたが、言葉というのは、つくってしまうとひとり歩きします。例えば豚コレラという言葉を使って、この言葉を置きかえるのに非常に苦労された、それと同じように、食料国産率という言葉をつくって、今はここに解説がありますけれども、常に解説がついて歩くわけじゃないですよね。きょう、この基本計画に片仮名が多いという指摘を近藤委員がされていまして、全くそのとおりだと思ったんですけれども、日本語までおかしくなってきた気がします。
一般的日本人が、食料自給率と食料自給力と食料国産率という言葉を並べられて、どこがどう違いますかと聞かれたときに、わかるでしょうか。ここの委員でさえ、わかりにくいんじゃないでしょうか。私も、食料自給率と食料国産率という今回の修正を見たときに、どう違うんだろう、えっ、国産じゃない自給ってあるのと思ってしまったくらい、わかりにくくなりました。かえってわかりにくいです、大臣。
じゃ、どうしたらいいんだと言われそうなので、私なりに考えてみました。私であれば、純食料自給率と食料自給率にすると思います。そして、純とは何ですかと聞かれたときに、これは国産の飼料を使ったものです、純がくっついていない方は輸入飼料も使っておりますと言った方が、よっぽどシンプルでわかりやすいですよ。
また、この文章は国内向けの文章ですから、英訳することは少ないだろうと思いますけれども、先ほどの三つの言葉を英訳しろとなったときに、ますますわけがわからなくなります。私はもともと言葉を仕事にしていて、英語に訳していましたから、あの三つの言葉をどう訳そうかと悩みました。ですので、純食料自給率と食料自給率だったら、純の方は、頭にネットとつけるだけで済むので、海外の方にも説明はより簡単ですし、ここは考え直された方がよいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 もっともだなと思ってしまうのが非常にしんどいところなんですけれども。
実は、いろいろな案が省内でも党内からも示されて、もちろん省内で議論いたして、私は、私が独善的に決めるんじゃなくて、省議メンバー以外のメンバーが集まったときにも、みんな、どう思うということをよく聞くんですよ、職員のみんなに。そして、なるべく省内で、担当課以外の人間も含めて広く意見を募ったところ、私が推したのではない食料国産率に実はなりまして、民主主義の国でありますので、私が大臣であっても、みんなの意見を尊重して、こうしたわけであります。
国産車という売り方をトヨタも日産もマツダもしているわけですから、国産という言い方がとてもいいだろう、その上に食料をつけ、食料が国産というのがわかりやすいかなということで納得をしたのでありますが、何とかこれでやらせていただけないものかなというふうに思っております。
○亀井委員 まだ閣議決定していないので、今なら間に合います。やはり言葉が走り出すととめられませんし、本当に、外国人に対して、我が国では国産と自給というのは違う意味なんですと説明する羽目になりますから、ここはもう一度考え直していただきたいと思います。
恐らく、官僚の方がいろいろな人からいろいろなことを言われて、考えて考えて考えた結果、こういう言葉になってしまったのかしらと思うんですけれども、逆にわかりにくくなったということを申し上げまして、ぜひまた再修正していただけますようにお願いを申し上げます。
次の質問に移ります。
食料自給率をどうやって上げていくかという観点で質問をいたします。
食料自給率がなぜ下がったのかという質問が、先ほどやはりほかの委員からありました。それに対して、さまざまな要因がある、その一つは日本人が米を食べなくなったからだという御指摘がありました。そのとおりだと思います。
そして、もう減反政策は廃止されましたけれども、かつては価格調整政策をとっていて、需要に合わせて米をつくるという方向性で政策を進めてきたところ、耕作放棄地がふえてしまったという問題点がありました。
そういった背景があって、なかなか、また、転作も進まない。それは、転作しづらい土地もある、やはり米をつくりたいという農業者の要望もあったので、では、一つには、米粉などの加工を通じて、いわゆる白米として食べるのではなくて米の消費を拡大しようということがあり、もう一つが、人間が食べるだけじゃなくて、餌米も栽培しよう、それを補助金をつけて奨励しようということで、何年も進めてきたと思います。
今、国産飼料の割合をふやすということが食料自給率を上げるという意味で非常に大事なわけですけれども、餌米をふやしてきた、そのことについて、今、政府はどのように評価をされておられますでしょうか。農地保全に寄与をしているのか、もう十分な量、餌米は栽培をされているのか、また、その他の国産飼料をふやすに当たって、その取組と課題はどのようなものがあるのか、大臣にお伺いいたします。
○江藤国務大臣 おっしゃるとおり、減反政策をやった結果、耕作放棄地がふえてしまったということは御指摘のとおりだと思います。
現在は、生産数量目標の割当てもやめて、農家の方々が自主的な御判断によって、飼料米をつくるのか、戦略作物に転作するのか、それか主食用米に行くのか、自主的な判断のためのデータを国が提供するということに転換をさせていただいているところでありますが、このところ、この委員会の質疑でもありましたけれども、いろいろな、天候等の要因もあった上でのことですけれども、米価が比較的安定していたということがあって、やはり主食米をつくりたいというインセンティブが高くて、最近テレビを見ていても、米のCMが大変多いというようなこともあります。
しかし、我々としては、やはり水田フル活用、湿田でもつくれる、排水暗渠を入れなくてもすぐに転作が可能な飼料米への転作をして、粗飼料自給率も上げたいということで一生懸命やってきたんですが、三十年では下がってしまいました。二十八年で九万一ヘクタールだったのが、八万ヘクタールに作付面積も減っておりますし、当然、五十一万トンから四十三万トンに数量も減っております。
我々のこれからの政策目標としては、やはり湿田でもつくれる飼料用米の作付面積をふやしていきたいという考えは変わりませんが、しかし、その手前に、農家の方々の自主的な御判断にお任せするという一行がついておりますので、政策誘導しながら、農家の方々の御理解もいただいていきたいというふうに考えております。
○亀井委員 今は、家畜用の飼料の話でしたけれども、今度、養殖業の飼料の方の質問もしたいと思います。
この委員会で、漁業法の関連で沼津に視察に行きました。内浦漁協というところでアジの養殖業者さんを訪ねたときに、養殖の世界でも、生産コストの六割は飼料代で、これが経営を圧迫している、そういう発言がありました。畜産と同じような構図だなと感じたわけなんですけれども、この養殖用の餌について国産をふやす取組というのは行っているのでしょうか。
これは、一緒に視察に行った伊東副大臣にお伺いしたいと思います。
○伊東副大臣 質問にお答えいたします。
今委員お話しのように、たくさんの国産の魚類養殖で配合飼料が使用されているところでありますけれども、特に、ブリやマダイ、エビ類など、主にペルー等の外国産魚粉を原料としております。これはいずれもイワシが主たる成分であります。
このイワシ、これから夏になりますと、私の地元で、釧路で何万トンも揚がるものでございまして、このマイワシの漁獲量の増加や、食品リサイクルによります水産加工残渣の活用によりまして、国産魚粉の使用量は増加しているものの、いまだ半分以上は外国産の魚粉に頼っている状況にあります。
こうした状況から、配合飼料原料の調達先を多様化するために、低魚粉の配合飼料で成長のよい魚の選抜と飼育方法の開発、また鳥肉から生ずる国産チキンミール等の代替魚粉の活用、また細菌による配合飼料向け合成たんぱくの生産など、新たな研究開発に取り組んでいるところでもあります。
また、練り餌の原料となる冷凍生餌につきましては、例えば、北海道で水揚げされるマイワシを四国や九州で養殖用餌として使用が促進されるように、流通の支援を行っているところでもあります。
農水省といたしましても、養殖用餌につきまして、養殖業の成長産業化に向けまして国産をふやす取組を進めてまいりたいと考えております。
○亀井委員 食料自給率を上げる取組として、一つは米をつくる、それから飼料の国産率を上げていく、ぜひぜひ力を入れていただきたく、お願いをいたします。
そしてもう一つは、農地が足りない、十分にないという問題があります。
食料自給率の、カロリー別の換算のときになぜ芋換算になるかといえば、この一億人以上いる国民が、皆必要なカロリー、二千キロカロリーですか、二千百でしたっけ、とるためには今ある農地では足りない、なので、単位面積当たりのカロリーが、米をつくるより芋をつくる方が高いので芋換算になるということでございます。そうであるならば、これ以上農地を減らしてはいけないんだと思います。
私は、この国の住宅政策はおかしいなと思っているんです。特に、人口が減少しているのに、そして東京一極集中が問題なのに、なぜタワーマンションをどんどん建ててそれを規制しないのだろうかですとか、いろいろ思っていることはあるんですけれども、少なくともこの農水委員会においては、農地の転用については農水省は権限を持っているわけですから、これ以上農地は転用しないように、もっと厳しく対応されてはいかがでしょうか。
今、地元の松江でも、優良な農地だったところにまた道路ができたりスーパーができたりしているのを見て、どうしてここを潰してしまったかなと思うこともあるんです。人口が減少しているわけですから、もう農地の転用は基本的にだめだ、これ以上農地が減ったら私たちは緊急時に飢えますよということをもっとしっかりアピールされたらいいと思うんですけれども、大臣の御意見をお伺いいたします。
○江藤国務大臣 農地法は、宮腰先生がそちらに座っていらっしゃいますが、農地法の大家でいらっしゃいまして、一緒に宮腰先生のもとで勉強もさせていただきましたし、この転用について、農地、農用地については、基本的にやはり農地であってもらいたいと強く私は思っております。
しかし、大規模な農地については、数年前、何年前だったか、ちょっと記憶が定かじゃなくて申しわけないんですが、大規模農地については農林水産大臣の権限でした。しかし、それが地方分権の流れの中で今は知事権限になってしまっておりますので、若干、そういう顔をしないでください、これは事実を申し上げているわけでありますから。
しかし、確かに人口に対して芋換算にしなければならないところは苦しいし、四百四十万を切った農地の面積に九・二万ヘクタールの荒廃農地も加えた上での換算ですから、更に苦しい計算の仕方をしているというのは事実ですので、農政の根幹としては、やはり農地法をきちっと運用して、例えば、農地バンク法も、昨年十一月、五年後の見直しの改正において、農地の集積に支障を及ぼすような農地転用は認めないというふうなことにもいたしましたので、農政をこれからやるためには、食料安全保障の観点からも農地はしっかり保全すべきだというふうに私も考えております。
○亀井委員 食料安全保障は国民の命にかかわることなので、国が前面に立ってやるべきことだと私は思います。ですので、もう少し、私はここの分野は国が前面に立っていただきたいと思いますので、そういった方向でのまた改正等を検討していただければと思います。
次の質問です。
基本計画で、産業政策と地域政策が車の両輪であるとあります。確かにそうなんでしょうけれども、安倍農政を見てきて思うことは、私たち野党が感じていることは、産業政策に寄り過ぎているのではないだろうかと。農業が衰退した原因として、所得が少ない、だから農業者の所得を上げなければいけないので産業として強くしよう、そして輸出も促進しようというような方向で走ってきた結果として、少し産業政策に寄り過ぎたんじゃないだろうか、そういう印象を持っております。
この基本計画は、あらゆる農業の形態の人に対応するものですから、メニューはいろいろあるんです。総花的です。ただ、わかりにくいというか、国がどういう農政を目指しているのか、やはりわかりにくいですね。
私は、最近感じることですけれども、これは党ではまだ議論していないので、我が党でどういう農業政策を出すかわかりませんけれども、いわゆる産業型の農業者と地域振興型の農業者とはっきりと分けて、別々の政策をとるべきではないだろうかと。自分がどっちの型の農業者かというのを農業者自身にも自覚してもらう必要があるのかなという気がします。
例えば、確定申告で青色と白色がありますけれども、自分はどっちのパターンでいくのか。産業型で、所得を上げたい、ビジネスとして農業をしたいというのであれば、それなりの政策があるでしょうし、収入保険などもつくるというか、ある。そうではなくて、もうけようとは思っていないけれども、先祖代々の田畑を耕したいという家族農業あるいは兼業農家の場合には、所得補償をして少なくとも赤字にはならないようにするというようなことで、二パターンにはっきり分けた方がよいのではないかなと思うんです。
今まで、六次産業化法案なども通して、農協につくったものを出さずに、真っすぐにビジネスとして売っていく、それをできるように改正もしましたけれども、実際にはそこまでやりたい人は少ないですよね。ほとんどの人はやはり農業者、まあ漁業者も一緒ですけれども、つくること、とることだけに専念したい、その後は、売ってください、そこは得意じゃありませんという人たちが多数派じゃないかと思うので、そこはやはり切りかえて、いわゆる産業型と地域政策型に、別々の対応をした方がよいかと思いますが、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 大変難しいお話だと思います。
一次産業ですから、やはり産業であるということは決して逃れることはない。これは、販売をするわけですから、産業です。青申をしたから産業で、白申だからいわゆるもうけは考えていないんだということは決してなくて、例えば果樹農家であれば、正直なところ、皆さん、結構な規模でも白申のままの方もおられて、まあいろいろな事情がありますからここでは言いませんけれども、青申、白申にするというのは経営上の御判断であるので、かぶっている場合もあります。
極めて、どう見ても、客観的に見て産業政策的に、株式会社化もしてやっている方も、地域のいわゆるコミュニティーの中の一員としてやっていただいているという側面も持っておられます。
そして、兼業農家、それから専業農家、そして、もうけていない、先祖からの土地を守ろうという方々については区分けをして戸別所得補償というお話もいただきましたけれども、兼業で、その兼業以外のところで、例えばほかのところで働いていて結構な収入があるところに対して、それに戸別所得補償ということになると、なかなかこれも議論があるところだろうと思いますし、専業であっても、先日、農水委員会でも申し上げましたが、これからWTO上も、極めて耕作条件の厳しいところ、そういうところでやはり頑張ってくれている人については、国として、その営農、地域を保全していることについて評価をし感謝をするようなことが許されていくようなこともあってもいいのではないかというのは私も思っているところでありますので、戸別に所得補償すること自体を全般的に否定はいたしませんが、委員がおっしゃったみたいな、兼業、それから、もうけていないから、それから、グループ分けを完全にするということがいいかどうかは、もうちょっと勉強させていただきたいと思います。
○亀井委員 例えば、田舎暮らしを楽しみたいと新規就農の若者が田舎にやってきたとして、古民家で前に農地がついたようなところに入ったとします。その人は明らかに、まず自給自足を目指すといいますか、商売にはならないですよね。そういう人に所得補償を、例えばそれで対応したとして、もしそこの地域にそういう人たちが少しふえてきて、みんなで、じゃ、この地域のブランド米なりなんなりをつくって売っていこうというようなときに今度は産業型に転換するというような、そういう誘導の仕方ってできないんだろうかと、私も、頭の体操といいますか、いろいろ考えているんですけれども。
従来と同じように、いわゆる霞が関が一律に決めて、わっと日本全国に同じメニューで適用しようとすることが間違いのもとなんじゃないだろうかと考えておりまして、農水省の方でも少し御検討いただければと思います。
次の質問に移ります。今度は森林です。
きょう、皆様に資料をお配りしております。「民有林 一万ヘクタール再生進まず」とあります。
この委員会でここ二年間の間に、森林経営管理法と、あと国有林野の改正法案とを扱いました。林業を成長産業にするということで、大きな改正がされたわけです。そして、このときに問題となったのが、従来の持続可能な林業、自伐型の林業ではなくて、皆伐に寄った法律ではないかということで、随分議論がございました。
立憲民主党は森林経営管理法の方には賛成をしておりますけれども、その過程では、やはり、最初、八割の森林所有者は経営意欲がないと言われたんですけれども、この中には自伐型林業の人たちが含まれていて、彼らは別に経営意欲がないわけじゃないんだということで、自伐型林業という形態も認めていただいた上で、法律には賛成をいたしました。ただ、当初から、皆伐が進むのではないか、森林が再生されないのではないかと思っておりましたら、きょうお配りした記事が出てまいりました。
この三段目のところですけれども、森林再生のめどが立たない造林未済地、いろいろな県名が出ておりまして、一番ひどいのは北海道の七千九百八十五ヘクタール。その次が宮崎県、八百九十六ヘクタール、これはよく田村委員が、宮崎の盗伐、いわゆる違法伐採の質問を、写真をつけてされているんですけれども、これと一致いたします。二番目が宮崎県、八百九十六ヘクタール。そしてその次に、一四年度末はゼロだった栃木県が一七年度末には五十六ヘクタールとなるなどと書いてあります。
この委員会で視察に行ったのは那須塩原市、栃木県でございました。二宮木材というところに行きましたけれども、かなり大規模に林業を展開されていて、それとこれは一致するわけですね。別にこの企業のせいだと言うつもりはありませんが、ただ、やはり意欲的に林業を進めている地域で再生が追いつかないというのは現実だと思います。
この現状を大臣はどのようにお考えでしょうか。
○江藤国務大臣 我が宮崎県でも、私の選挙区のいわゆる宮崎県北と言われる地区は、耳川水系を中心に非常に森林管理が行き届いている地域なんですが、県央から県南にかけて、盗伐も含めて非常に皆伐もふえて、県外の業者さんが来て、ばばばっと切って、まともな作業道もつけずに、路網整備もきちっとやらずに、それが、雨が降ったら水が流れ落ちて、山の斜面が崩れる原因になったりしております。
そういうのを見ておると、やはり基本は、主伐、皆伐をするにしても、切ったらその場で植林を、ポット苗でやることをセットでやるということが基本だということで、そういう政策もやってはおりますけれども、なかなかそれが、自分の時代にはお金にはならないのが山ですから、次の世代のことを考えると、息子も後を継がないだろうし、もう植える気はないやという人もいて、なかなか難しいところがあります。
その際に、植える人がいて、国が補助をしようとしても、七割補助ですので、三割自己負担が残るので、そうなるとますます、やはりやめたという人もおられて、国土保全の観点からも林業政策の観点からも、これは大きな問題だというふうに思っております。
○亀井委員 今、気候変動が指摘されておりまして、毎年のように豪雨がございます。そして、日本のどこかで土砂崩れが起きている。その原因として、森林の荒廃あるいは皆伐が言われているわけですから、これは、農水省が放っておくと、全国に災害を広げるようなことになりはしないかと私は心配しています。
実際、例えば、岡山の西粟倉村というところは、林業によって地域振興している優良事例だそうなんですけれども、そこにも、呪われた皆伐跡地というところがあり、村有林なんですけれども、五、六回植えたけれども、なかなか木が生えないというところがあるそうです。西日本豪雨のときに、この皆伐された土地の上部が崩落して道路を潰してしまった、そういう事例が、きょうお配りした新聞記事の続きの記事で、そのようなことが書いてありました。
そこで、森林環境税の使い道なんですけれども、人口割の部分が三割ありまして、初年度の配分で森林が全くないところに配分されたことが問題視されております。ことしは総額約百億ですが、一位が横浜市、七千百四万四千円、二位が浜松市、六千六十七万一千円、三位が大阪市、五千四百八十万です。
こういうところに配分して一体何に使うのかということが問題視されているわけですけれども、ここで提案です。
これもやはり水資源の研究をしている団体からの提言なんですけれども、流域で森林を整備するという考え方があります。つまり、上流域の森林を保全することで水源を保全、災害を緩和。ですから、都市を流れている川の上流域の自治体に森林環境税を回して森林の整備をしていくという考え方なんですけれども、これは私はすごくいいアイデアじゃないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。大臣に伺います。
○江藤国務大臣 全く賛成でございます。一部、そういう例はあるようです。
林野の方から報告をいただいたのは、荒川水系と木曽川流域では一部行われているようでありますけれども、それだけの大きいお金をもらったところがこれをどのように使ったのか、これは公表の義務がありますから、まずは、その譲与税を受け取った横浜とかそういうところが何に使ったのか、やはり国民的議論としてしっかり見させていただきたいと思います。
それから、全く、流域は、山が荒れれば下流は絶対にやられるわけでありますから、山の保全をするということは人ごとではない。川沿いの人たちは、川上も川中も川下も、みんなでこれを、川、水源も含めて守っていくことは大事なことなので、そういったムーブメントを何とか林野の方でも、優良事例として紹介しながら進めていきたいと思っておりますが、なかなか横展開として、まだ十分じゃありません。
六千二百万人の方が納税されている、千円ずつ、都市の方も納税されている、自分たちにも権利があるんだというのにも、正直、三割というのはちょっとないだろうと私自身は思っておりますが、党内でもいろいろ議論がありました。結局のところ、こういうことになりましたので、こういったところで、大きなお金を受け取った地域のお金の使い方をしっかり見させていただいた上で、また議論させていただければと思っております。
○亀井委員 私も三割はないと思っておりまして、先日、予算委員会の分科会で総務大臣に直接質問をいたしましたが、まだ見直しまでには数年はかかるようですので、具体的にはわかりませんけれども、見直しはしないわけではないけれどもまだ先というようなニュアンスでしたので、毎年配分されている間どのように使うのか、そのときに、木材の利用促進を進めていけば、この新聞記事のようなはげ山が広がるということにもなりかねないので、そうであるならば上流域の森林保全に使うべきだということを、農水省としても強く発信をしていただきたいということをお願い申し上げます。
最後に、震災復興について、三月ですので、一つ質問をいたします。
昨年の秋に、復興の様子を、被災地を見てほしいと個人的に声がかかりまして、一泊二日で大船渡、陸前高田、気仙沼と見てまいりました。それぞれの場所でいろいろ感じたことがありますが、きょうは気仙沼について質問いたします。
つい先日、NHKの番組で、復興道路についての特集をしていました。
そこで、その道路一本によってどのように地域が変わっていっているかという報道もございましたけれども、気仙沼、立派な漁業施設が完成しておりました。魚市場があります。けれども、船が戻っていません。
まず、水揚げが、震災前は十万三千トンあったところが、今は六万五千トンしかない。そのために仕入れ競争が激化している。これは先日のNHKの報道にもありまして、地元では勝ち組と言われているある業者さんは、釜石まで仕入れに行っています。
そして、気仙沼はもともと遠洋漁業の基地だったわけですけれども、遠洋漁業者が使うような風呂もない、なので、使いにくいので船が戻ってこないというようなことも、地元の方がおっしゃっていました。
ですので、この気仙沼の現在の状況を、どのように把握をされていますでしょうか。震災前と比較して、何割の漁船が漁港を利用しているのか、伊東副大臣に伺います。
また、時間がないのでまとめて質問してしまいます。
巨大な防潮堤が建設をされておりました、大体七メーターぐらいの高さで。今、大島という方向にその防潮堤が伸びようとしているわけなんですが、この大島の住民は、ここまで大きな防潮堤を望んでおりません。ですので、地元住民の方としっかり話していただきたい。
そして、堤防をつくるにしても、部分的にアクリルか何かを入れて、向こう側、海が見えるような堤防のつくり方があるんですよね。海の近くに住みながら海が見えないような高い堤防はつくらないでほしいという要望もいただいておりまして、これは十分に地元の意見を聞いていただきたいと思います。
既に、防潮堤の影響なのか、磯焼け、海藻が死んでいるというような報告もありまして、セメントから出るアルカリ成分が原因なのではないか、そんなようなこともうわさされているので、ぜひ調査などもしていただきたいんですが、まとめて伊東副大臣にお伺いいたします。
○伊東副大臣 まず、気仙沼漁港でありますけれども、岸壁の復旧のみならず、高度な衛生管理機能を有する新たな荷さばき施設が平成三十一年三月に完成し、四月から供用開始されているところであります。
また、復興に必要な漁船につきましては、漁船保険や共同利用漁船の復旧支援等によりまして、建造あるいは取得がなされているところであります。
今お話にありましたけれども、気仙沼漁港に登録する漁船は、被災前に比べまして、小型船を中心に、これは減少をしております。しかし、一方で、漁港を利用する延べ漁船の隻数では、平成二十九年度時点で、震災前に対して約九割まで回復をしているところであります。
特定第三種漁港でありまして、全国の水産業の拠点として、これは北海道の船もそうでありますし、全国各地の船が気仙沼漁港を利用されているということでありますので、重要な漁港としての機能が果たせるよう、今後とも支援をしてまいりたいと考えております。
また、防潮堤についてでありますけれども、宮城県もかなり長大な防潮堤を建設をされているところであります。
これにつきましては、令和二年三月までに、地元合意を得て、被災六県の二百四十二地区全てで防潮堤等の工事に着工しているところであります。
お尋ねのありました気仙沼市の大島地区における漁港海岸につきましては、七地区全てで、地元の合意の上、平成三十年度までに工事に着工しているところであります。
なお、一部の地域におきまして用地買収交渉が残っており、現在、海岸管理者である宮城県が地権者と交渉を鋭意進めていると聞いているところであります。円滑にこれが進むよう、宮城県等に指導してまいりたい、このように思う次第であります。
ちなみに、アクリル板というお話がありましたけれども、実は、北海道で南西沖地震という、津波が奥尻島に来たことがあります。たくさんの被害が出たものですから、もう島全体を全部防潮堤で囲って、一切海が見えなくなってしまったというのがありました。とはいえ、万が一のとき、穴があけてあったり弱いところがあったのではこれは困るということで、住民の皆さんがそれを理解、選択したんだろう、こう思うところでありますけれども、これはやはり地域の皆さん方の声をしっかり聞いて進めていくべきもの、このように感じております。
○亀井委員 地域の方としっかり話し合っていただきたいということを申し上げて、時間ですので、終わります。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、大串博志君。
○大串(博)委員 立国社会派の大串博志です。
まず、新型コロナウイルス対策のことから議論させていただきます。
大分この委員会でも議論させていただきましたけれども、非常に厳しい状況がいまだに全国的に続いている。全世界においては、更に非常に厳しい感染拡大がオーバーシュートという状況で続いている。こういう状況下で、さて私たちはどういうふうな対策をしていくかということでございます。
先週から、与野党協議会ということで始めさせていただきまして、野党側の声も聞いていただきながら、きょうもやっていると思うんですけれども、対策の取りまとめをしていただけるということなので、ぜひ私たちの声も、与野党協議の場でも、あるいはこういう委員会の場でも受けとめていただきたいと思うんです。
宮下副大臣にきょう来ていただいていますので、新型コロナウイルス感染症対策の経済対策の方ですね、取りまとめ、今、専門家といいますか、有識者といいますか、いろいろな方々の意見を聞きながら、ヒアリングをやりながら議論を進めていらっしゃると思います。
今までのところ、どういう方からヒアリングをやってきて、今後、あと何回、どういう方々からヒアリングをやっていこうというふうに思われているのか、お聞かせください。
○宮下副大臣 お答えをいたします。
三月十九日から開催しております新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関して現場の方々の声を伺う集中ヒアリングにつきましては、これまで既に四回開催しております。一回目はフリーランスや個人の皆様、二回目は飲食業の皆様、三回目は中小企業や小売業の皆様、第四回目は運輸業、宿泊、観光業の皆様からお声を伺ったところでございます。
まさに、今回の事態で御苦労されている現場の方々からの切実な声や率直な御意見を伺ったところであります。多くの声をいただいたんですが、特に、中身としましては、フリーランスの方々からは、イベントの中止、延期や学校一斉休校などに……(大串(博)委員「中身は細かいところはいいです。先ほど言ったように、どういう方から聞いて、今後どういうことをしようとするのか」と呼ぶ)はい。
今後のスケジュールとしましては、本日夕方、五回目を開催しますけれども、イベント、展示会また金融を代表する皆様から御意見を伺う予定にしております。
今後については、一部調整中のところはありますけれども、サプライチェーンの観点から、製造業の方々、また遠隔リモート化に取り組んでいる方々、そして、全体総括としてはエコノミストの皆様の意見も聞きたいと考えております。
○大串(博)委員 お聞きしているところによると、全体七回ということのようですね。先ほど言われたように、これまでは、冒頭が、個人の方からいろいろな話を聞かれた、個人を中心として、いろいろな方から聞かれた。それから、いわゆる飲食業、飲食業というかチェーン店を含めた方ですね。それから商工業の方々に聞かれて、きのう観光業と運輸と聞かれた。さらにこれから、先ほどおっしゃったように、イベントや金融に聞かれると言われていましたね。さらにはサプライチェーン、産業、さらにはエコノミスト、こう言われていましたけれども、この委員会でも大分農業への影響は議論してきました。私も、地元を歩いていまして、花、畜産、酪農、野菜、果樹等々、大変な打撃を受けていらっしゃって、厳しい状況にあるということの話を聞いてきました。私は市場も足を運びまして、大分聞いてきました。
宮下さんにまずお伺いしますけれども、農業関係者からヒアリングをするという回は設けられないんでしょうか。
○宮下副大臣 今のところの予定としては、農業だけを取り上げた回を設けるという予定はありませんけれども、二回目の飲食をテーマとした回には、生産や、また体験農園もやられている農業ベンチャーの皆様の方にもおいでいただき、お話を伺いました。また、その際は江藤大臣にも御同席をいただいたところであります。
また、昨日は観光関係の方々からヒアリングを行ったわけですけれども、ホテル等へ納入されている農家の方々の苦しい現状についてのお話も伺いました。
また、このヒアリングだけで政策を取りまとめるわけではございませんで、今、各党の皆様が対策の取りまとめをされておりますし、先ほど先生御指摘の与野党の協議会、こうした場も通じて、幅広い御意見を伺った上で最終取りまとめに向かうものと考えております。
○大串(博)委員 二回目のときに農業ベンチャーの方の話を聞かれたということではありましたけれども、でも、この委員会で議論したこととは大分違いますね。この委員会で議論したことは、畜産の現場や花の現場、花の生産から流通の現場、あるいは野菜、果樹、酪農と、まさに現場の話、現場の苦境の議論でございました。
大臣に私、ぜひお願いしたいんですけれども、政府の中でぜひ声を発揮していただいて、この政府のヒアリングの場で、ぜひ、農業の生産の現場にこれだけ影響を与えているわけだから声を聞いてくれ、そしてそれを対策に盛り込んでくれというぐらいのことを言わないと、やはり農業の存在、プレゼンスが非常に低下しちゃうんじゃないか、対策にも漏れができるんじゃないかと、私、非常に心配しているんですよ。
ぜひ大臣、ここは指導力を発揮していただいて、政府の中で、農林水産業からのヒアリングもぜひやってくれということは声を上げていただけないでしょうか。
○江藤国務大臣 総理に聞いていただくことも、メディア的にはというか世間の皆様方に御理解いただく上では一つかもしれませんが、私は、この農林水産関係の対策については、前例にとらわれず、もう強大なやつをしっかりやってくれと、総理からは君に任せると言っていただいているので、自分としては、かなりアンテナを高くして、省内でもかなりの時間を割いて、農業も林業も水産も畜産も、何ができるのか、何をすることが効果的なのか。中には、そんなことまでできるはずがないじゃないかというものまで、アイデアだけはとりあえず出せと、できるかどうかの実現性は別にして、徹底的にやっておりますので。
官邸で会議をやることも大切かもしれませんが、ここはやはり、御信頼いただけるかどうかはわかりませんけれども、農林水産省において責任を持って全体に対しての対策をまとめた上で、それを宮下大臣のところで最終的には取りまとめるという作業になるのが手順ではないかなというふうに思っております。
○大串(博)委員 私、何でこれを言っているかというと、このヒアリングが始まったときに、当然、農林水産の現場の方々の声を聞くセッションもあるんだろうなと思っていたんです。それがなさそうなものですから、あれっと思いまして。
やはり対策、大臣、期待しています、しっかりやっていただいて、前例にとらわれない大胆なものかつ大規模なものかつ効果的なものを盛り込んでいただきたいと思いますが、この政府で行っているウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリング、まさに今の農家の方々が聞いたら、ここで声を出させてほしいと思われるような会議の場で招かれないというのは、私はいかがなものかなというふうに思うので、ぜひ、大臣、そこは、私は、そうおっしゃらずに、イニシアチブを発揮して、総理にも近い大臣でいらっしゃいますから、やっていただきたいというふうに思います。
それと、対策ですけれども、今おっしゃったように非常にきちっとしたものをつくっていただきたいと思いますけれども、私は、一般的な対策というよりも、やはり生産物の種類、セクターがありますので、そこに、需要が今、蒸発したと言われている状況なわけですから、その需要を補うために、非常にピンポイントでポイントを突いた対策が必要になってくると思うんですよ。
これは、これまでのいろいろなスキームにとらわれずに、かつ非常にピンポイントに、畜産なら畜産、酪農なら酪農、花卉の生産、流通なら花卉の生産、流通、野菜なら野菜、果樹なら果樹、もうピンポイントでその需要が蒸発している、なくなっている部分を補うような策をとるべきだと思うんです。
例えば、観光においては今、旅館や観光、運輸、そういうところを利用したときの、そのためのクーポンをつくったらどうかという声があるというのを聞きました。そういったのも一つの手だと思うんですね。すなわち、貯蓄にため込まれるんじゃなくて、そのセクターでお金を使えばそのクーポンは生きるということであれば、そのセクターにお金を使うわけですから、そういったピンポイントの政策をとっていただく必要があると思いますけれども、大臣、いかがですか。
○江藤国務大臣 なかなか難しいとは思いますが、それに挑戦したいと思って、今、省内で懸命に政策を練っております。
やはり全般的に、例えば食料品のお買物券というと、何を買うかわからない。そうじゃなくて、今委員がおっしゃった、特に傷んでいるセクションがある。魚でも、マグロなんかが暴落している、ウニなんかが暴落している、高級料理店で使うノドグロなんかが安くなっている。かといって、イワシとかアジはほぼほぼ同じで、野菜も、若干下がっておりますが、国内価格は、そんなに大暴落はいたしておりません、大体一五パーとか一四パーとか、それぐらいでありますので。今すぐ手を打たないと倒れてしまいそうなところというのは、これはもう統計的に数字が毎日毎日上がってきていますので、ここだというところに狙い撃ちをするということをしたいと思っています。
輸出の対策も四月から立ち上がりますけれども、このままでは商売のラインが切れてしまうような気がしてなりません。今、日本の食材を使ってくれているところも、そういうラインを維持するために何ができるのか、WTO上のいろいろな規制はあるかもしれませんが、いろいろな法律の専門家の意見も聞きながら、委員がおっしゃったように、ピンポイントにきくような政策をできるようにして、今全力を挙げているところでございます。
○大串(博)委員 私も各地歩き回りましたから、先ほど申し上げた市場も、花市場も、青果市場も、魚市場も歩き回り、確かに、おっしゃるとおり、その種類にかなりよるところがあるんですよね。影響を受けていない魚種なり生産物種もある。しかし、がばっと影響を受けている魚種なり生産物種もある。魚市場もそうでした。そういうところで、まさに私が申し上げたような、そういう意味でピンポイントにやっていただきたい、そういうことなので、ぜひ工夫を凝らしていただきたいと思います。
宮下副大臣、ここで結構です。ありがとうございました。ぜひ、ここの議論を生かしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、食料・農業・農村基本計画に入りたいんですが、先般来から議論させていただいておりますけれども、いろいろ、まだ大臣御自身で筆を入れるような形で努力されていると思います。私がまた前回もこだわりました、規模にかかわらず、あるいは条件の厳しいところにおいても、こういったところへの踏み込みですけれども、この辺も、新しいバージョンも読ませていただきましたけれども、まだ、何というんですか、具体性が私は足りないような気がしまして。感覚的に言うと、言葉は躍っているんですよ、言葉はいろいろ出てきている、言葉は躍っているんだけれども、具体性を欠く気がしてならないんです。
例えば、今回、「地域政策の総合化」という言葉が出ました。「地域政策の総合化」という言葉が出て、それがどう働くのか。ここに書かれているのはわかりますよ、一、二、三、三つの柱が書かれています。では、これが具体的にどういう政策としてきいて、それによって地域が守られるような形になるのかというその具体性がわからないんです。この「地域政策の総合化」って、一体どういうふうに具体的に効果を発揮するんでしょうか、大臣。
○江藤国務大臣 地域ですから、まず、地域のコミュニティーでしっかりと話合いをしていただくことが私は基本だと思っております。
政策的には、せんだっての質疑でも御答弁させていただきましたけれども、例えば中山間地域の直払いでいいますと、新設が三つに拡充が一つというようなことも、これは有機的にお互いに作用し合うものだと思っています。棚田法案も、皆さん方の全会一致で通していただきましたけれども、これも農林水産省だけでやるのではなくて、観光庁であったり環境省であったり国土交通省であったり、いろいろな省の政策が有機的にそこで一つになって地域をもう一回盛り上げる。
例えば、私の田舎でいうと、椎葉村なんというところは、大変、椎葉祭りにたくさん人が来るんですけれども、なかなか、まだ二百四十六号線が離合できないような道なんですよ。そういうところを国がしっかりと、離合を少なくともできるような道に直してくれたら、地域の人口も維持されるでしょうし、地域のコミュニティーも維持されるでしょうし。
ですから、農業政策だけではなくて、やはり国を挙げて地域を守っていくということで具体性というものは発揮されていくのではないかというふうに考えております。
○大串(博)委員 今おっしゃった例の話でいうと、道路ですよね。今、確かに農林水産省だけじゃなくてとおっしゃいましたけれども、農林水産省以外のところは、大臣、残念ながら所管ではいらっしゃらないわけで、なかなかそうはならないですよね。やはり農林水産省の中でどういうふうにやっていくかという具体性を、皆さん、この食料・農業・農村基本計画においては求められるわけで、言葉はいいんですよ、言葉はいいけれども、実際できるのかという具体論に関して、非常に心もとないところがあるんですね。
先回も言いました、今回、規模にかかわらず、あるいは中山間地等々も含めてという記述が入ったことで何がどう変わるんですかという答弁をもらったところ、今大臣、また繰り返しておっしゃいましたけれども、例えば畜産クラスターの規模要件を変えたとか、あるいは棚田の法案のこと、あるいは中山間地直接支払いに関して、拡充、加算、新設をしているということをおっしゃいましたけれども、これは今までやってきていることであって、この新しい食料・農業・農村基本計画になったがゆえに、これが規模にかかわらない、あるいは中山間地にもという重点を変えたんだったら、具体的にこういう政策をこうしますという、何か大臣、具体的なおっしゃれるものはないんですか。
○江藤国務大臣 今思うと、中山間地域の直払いの要件等の見直しをこの基本計画の提出の後にすればよかったのかなと思ったりもしますが、私、昨年この席に就任させていただいて、やはりやりたいことは政治家としてたくさんありましたので、すぐにやれることから取りかかったというのが正直なところでございます。
ですから、地域では、やはり私の田舎の風景を思い出すと、いろいろなことが融合します。農業政策だけで議論しろということでありますから、農業に限ってだけお話をしますが、例えば、畜産をやりながら小さな畑も耕しながら、そして山ではシイタケをつくって乾燥シイタケなり生シイタケを出しながら、そして、中には高低差を生かして山の上の方でハウスをつくって高原野菜をつくっている人間もいます。花をやっている人間もいますし、かがまないでも農作業ができるような棚をつくってイチゴの栽培をしているような人もいます。ですから、そういった一つ一つの取組をやはり応援をしていきたい。
そのためにできることは、現場感覚を持って取り組んでいくことでやはり実現していきたいと思いますが、基本計画は基本計画なので、進むべき方向をこっちに行くぞということを示させていただいているので、内容に具体性がないというのは、これは政策集では若干ないので、これをもとにして、基本法のもとで基本計画をつくり、そして、この基本計画をつくったからには責任を持ってそれが実現する方向に向かって努力をするというのが道筋ではないかと考えております。
○大串(博)委員 確かに、これは基本計画なので政策集ではないんですけれども、実際問題はかなりいろいろな政策のことが書かれているんですよ。これだけ分厚いですから、かなりいろいろな政策は、もう総集積のように農林水産省の政策も書かれていますよね。
私は、具体性を持たせるとすると、やはり地域に対する直接払いだと思うんですよ、直払い。私たちは所得補償も言っています。
地域政策と産業政策を分けて、私たちの目から見ると産業政策の方がどうも重視され過ぎた。その間に地域はなくなりつつある。地域がない中で、産業だ、産業だ、もうけてと言っても、では誰にやってもらうのか、人がいない、こういう状況じゃないですか。
順序が逆なんですよ。順序が逆で、まず産業政策と地域政策を分けてということじゃなくて、これは産業政策と地域政策はもう一体なんですよ。一体で、かつ地域がないと産業は成り立たない、もうけもできないので、地域を守っていくために、まず営農を継続してもらわなきゃならない、人に残ってもらわなきゃならない。そのためには一定の所得が確固たる見通しのもとに残る、あるということを得心してもらわなきゃならない、確信してもらわなきゃならない。
そのためには、基盤となる直接支払い、所得補償をやはり制度としてきちんと盛り込む。そんな細かいことをここに書いてくださいとは私は言いません。しかし、直接支払いなり所得補償をやっていくんだということだけでもここに一言あれば、随分具体性は私は違うと思いますよ。本当に皆さん、ああ、なるほど、方向性が変わったんだなと思われると思います。そこを私は申し上げているんです。
大臣、大臣がうんと言われるとは思いませんけれども、私たちはきょう夕刻に、会派の議員で要望に行かせていただきます。そこに今申し上げたような私たちの思いを連ねております。ぜひこれは重く受けとめていただきたいと思います。ぜひ、大きくかじを切るのであれば、そこまでかじを切っていただきたいというふうに思います。
自給率ですけれども、今回、飼料用米の生産目標を百十万トンから七十万トンまで落とされました。これまで飼料用米を促進するということを随分やってこられました。確かに伸びていないという現状はある。その気持ちはわかります。しかし、目標として本当にいいものなのか。飼料用米、一生懸命つくろうと今でもコミットされている農家の方はたくさんいらっしゃいます。この間も申し上げました。ただ、確かに伸びていないので、目標を落とさざるを得ないのもわからぬでもない。
そこで、大臣にお尋ねしたいのは、飼料用米を促進していくという、予算三千億かかっていますから、この姿勢は変わらないのかということと、変わらないでいただきたいと私は思いますけれども、やはり飼料自給率は大切だから、変わらないのかというそのコミットメントと、それともう一つ、飼料用米の自給率の目標が下がってしまうのであれば、やはり何かで穴埋めしなきゃならない、四五%目標を維持するのであれば。そこで出てきているのは、麦、大豆回帰ですよね、麦、大豆回帰。
麦、大豆回帰というもので、それはいいんですよ、それはわかります。わかるんだけれども、麦、大豆回帰するのであれば、じゃ、何をやっていくのかということなんです。
今でも一生懸命、麦、大豆をつくっていらっしゃいます。麦なんかは非常に豊作でした、百万トン。かなりいいところまでいっているんですけれども、大豆はなかなか追いつかないですね。麦でもやはりかなり収量には跛行性がある。
こういうことを考えると、麦、大豆に力を入れるのはいいんだけれども、じゃ、麦、大豆というのは何をやっていくのか、この点も必要だと思うんですよ。そういうものがあって初めて、この食料自給率というのは、四五%を真剣に目指しているんだなと得心してもらえるようなものになると思うんですね。
どうも今のところの自給率目標は数字合わせ、実現性が乏しいというふうに思わざるを得ないんじゃないかなと思うんですけれども、飼料米や麦、大豆に関して、大臣、いかがですか。
○吉野委員長 天羽政策統括官。
○大串(博)委員 委員長、その前に、細かいことを答えていただくときには政府委員で結構ですと言いましたけれども、細かいことを聞いていないので、大臣からお願いします。
○江藤国務大臣 これまで食料自給率の目標を達成できていないという現実がありますので、これは、実現可能性が低いという御批判に対しては真摯に受けとめたいと思います。
しかし、佐賀県は、ラーメン用の麦もつくっていただいたりして、非常に先進的に戦略作物の作付、大豆も頑張っていただいている地域でありますので、成功事例だと思いますけれども、やはり食料自給率を上げていくということであれば、水田をフル活用して、フル活用の中に飼料用米が入っているんだろうと思います。湿田でも、いわゆる排水暗渠を入れなくてもすぐにつくれる飼料用米、それから子実トウモロコシのようなものも飼料自給率を上げていく上では大変大事だと思っています。
ですから、これからやはりこの麦、大豆に向かっていかに政策転換するかというのは難しいです、正直なところ。土地改良をまず伴わなきゃならないということもありますから。しかし、ちゃんと農家の方に説明させていただいて、麦もしっかりつくっていただければ、十アール当たりの所得は米よりも実は高いのだと。米は、非常に、この二年間は天候の事情もあって高値で取引されましたけれども、これが、ほかの先生からも御指摘ありましたように、台風がなくて作況が一〇三だったら、じゃ、米価が幾らになっていたんだということを考えると、やはり余りステーブルではないという側面があると思います。
ですから、足りないものをつくるということが、需要と供給の関係を考えても一番理屈としては合うわけで、国策としても合いますから、そちらへの誘導政策を自分としてはこれから厚くしていくことを考えていきたいと考えております。
○大串(博)委員 やはり、飼料用米で国産飼料自給率を上げることも大事です。なかなか達していないけれども、大事です。一方で、麦、大豆は、これは直接的にカロリーベースを上げるのには非常にやはりききます。だから、そういう意味で、実績を見て少々シフトが変わるというのはわかりますので、ぜひ本当に実効性の上がる策をとっていただきたい。さもなければ、四五%という数字は、大丈夫かな、また達成できないんだろうなで終わってしまってはやはり基本計画の意味がありませんから、ぜひお願いしたいと思います。
それから、亀井さんがおっしゃったように、食料国産率目標というのは、私もちょっと、産出食料自給率のときもいろいろ言いましたけれども、まだ産出食料自給率の方がよかったんじゃないかなと。多分、わかりづらい、わかりづらいと言われたから、何かわかりやすい言葉になって食料国産率になったのかもしれないけれども、食料国産率というのは、食料自給率と似過ぎていて、わかりやすくてちょっと逆に困っちゃうんですよ。これはやはり、逆に産出食料自給率の方がまだよかったと思います。
大臣が本当にカロリーベースのことが基本なんだと言われるのであれば、言葉にも少し差をつけないと、私は違った意味で誤解されて伝わっちゃうと思いますので、そこは亀井さんと同じ意見を述べさせておいていただきますので、閣議決定までにぜひ御深慮をお願いしたいというふうに思います。
輸出目標ですけれども、三〇年に五兆円とはまさかおっしゃらないだろうなと私は思って、この間も聞かせていただいたんですけれども、三〇年に五兆円というふうに書かれていました。
大臣、この三〇年に五兆円というのは現実的ですか。
○江藤国務大臣 大変意欲的な数字だと。しかし、世界の市場の、まあ、大串先生にそんなことを言っても、もう数字では意味がないので、人口の増大とか食の市場の大きさを見ていくと、日本の食料の生産量が、全体を考えても十三兆八千億、七千億ぐらいでしたか、それぐらいしかない。あとは加工で三十八兆ぐらい。そこを太らせていかないとなかなか到達できない数字ではあると思います。
しかし、正直に言いますけれども、この目標を立てさせていただいて、自分が対策本部長ということでいろいろな省を束ねてやらせていただけるということであれば、これを達成しなきゃいけないからこういう政策を立てねばならないんです、だから予算もしっかりいただかなければならないんです、そういう理屈はちょっと通させていただこうかなというふうに思っておりますので。これから、先生から今御指摘いただいたような麦、大豆をしっかり刺激をして食料自給率の向上を図るというような政策誘導をするときにも、この五兆円という非常に高目の目標を設置したことがいろいろな施策の新設その他には有効に働くのではないかというふうに考えております。
○大串(博)委員 私も、大臣が言われるように、大変意欲的と大臣自身認めていらっしゃいますけれども、本当にこれは大丈夫かなと、こういう目標を掲げて。単なる目標じゃありませんからね。国として食料安全保障を保っていくために食料自給率はかくあるべしということを定めるのが基本計画ですよね。ですから、基本的に国の農業の基となるような計画なので、高目の目標もいいけれども、やはり実効性と実現性のあるものじゃなきゃいかぬのじゃないかなと私は思うものですから聞いているんですね。
ちなみに、今回の計画の中では内訳が書かれていますね。農林水産物、食品の輸出額を五兆円ですね。農産物で一・四兆円、林産物で〇・二兆円、水産物で一・二兆円、初めて加工食品もくくり出されてきましたけれども、加工食品二・〇兆円、こうなっています。
これは、例えばですよ、例えば農産物の一・四兆円や加工食品の二・〇兆円の中には、その内訳はどうなっているんでしょうか。農産物の一・四兆円、あるいは加工食品の二・〇兆円、大変これも高い目標だと思いますけれども、内訳はどうなっているんでしょうか。これは事務方の方で結構ですので。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
五兆円の目標につきましては、品目ごとの取組が最大限進捗した場合に達成される目標を積み上げた、大変意欲的な目標でございますが、現在、この五兆円自体、食料・農業・農村政策審議会で御議論いただいているところでございますので、ちょっと内訳については、ここでお答えは控えさせていただきたいと思います。
○大串(博)委員 それで、今の答弁を前提とすると、この審議会で議論が終わってこれが確定したら、例えば農産物一・四兆円の内訳とか、あるいは加工食品の二・〇兆円の内訳とかも出してもらえる、そういうことですか。
○塩川政府参考人 決まり次第、また、どういう出し方がいいのか、よく大臣とも相談しながら決めたいと思います。
○大串(博)委員 もうちょっとお尋ねしますけれども、そうすると、内訳の議論はされているという理解でいいですか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、各品目それぞれ積み上げて出してございますので、当然、品目ごとにどうなるかという最大限のものについては、いろいろ議論をして決めております。
○大串(博)委員 積み上げの議論はされているのであれば、先ほど申し上げましたように、大臣は意欲的な五兆円目標と言われましたが、やはりみんな見ていますよ、これが本当に実現できるのかと。そういう内容であるので、私、別に、今議論をやっている最中に出せない理由もないなと。五兆円の内訳が農産物一・四兆円、加工食品二・〇兆円と書かれているんですから、じゃ、さらに、この農産物の中の一・四兆円がどういう内訳か、これは出されても全然問題ないんじゃないかなと私は思うんだけれども、どうも、御答弁を差し控えさせていただきますという答弁が最近多いので、私、実は遺憾なんですけれどもね。
最低限、早期にきちんと出して、国民の目で見て、これが本当に実効性のあるものかというところはみんなで検証できるようにしていただきたいと私は思いますよ。
大臣、いかがですか。
○江藤国務大臣 大変高い目標を立てさせていただいて、それを、今局長から言ったように、内部で検討した上で積み上げたものだということを御答弁させていただいた以上、この内容については当然、隠すつもりもありませんし、おくらせるつもりもありませんし、最終的にいつになるかまだ報告を受けておりませんけれども、出せるタイミングになったら、すぐに出すように指示をしたいと思います。
○大串(博)委員 ぜひよろしくお願いします。早目に、議論は進んでいますから、早目によろしくお願いします。
それで、食料自給率が四五%に達するか。みんなが本当に得心できるようにしなきゃいかぬところだと思いますけれども、ちなみに、輸出が増になる、つまり五兆円まで伸びることによって自給率が改善するというこの効果も、今回の四五%目標には換算しているんでしょうか。
○浅川政府参考人 お答え申し上げます。
自給率目標の設定に当たっては、国内の需要にも輸出にも対応できる農業の生産基盤の強化を図り、農地や労働力を活用して可能な限り高収益作物の生産拡大を進めるなど、需要に応じた生産を進めていくという考え方のもとで計算をしております。したがいまして、この中には輸出の分も入っております。
輸出目標五兆円のうち、カロリー自給率の輸出寄与分ですけれども、三%程度でございます。
○大串(博)委員 五兆円の目標が仮に達成できれば自給率を三%改善できる、こういうことですね。計算上、輸出がふえれば自給率は上がりますから、そういうことなんでしょう。
しかし、私、それでいいのかなと、あえて疑問を呈させていただきたいと思うんです。先ほどおっしゃいましたように、この五兆円、大変野心的な目標だと思うんですよ。実行できるとこの中でも思っていらっしゃる人はどのくらいいるか。農林水産委員会のこの微妙な空気、なかなか微妙じゃないかなと思うんですね。
ただし、食料自給率は、やはり、大臣として、これを達成するんだという、食料安全保障ですから、大変重要な目標だと思うんですよ。それが、今三%とおっしゃった。つまり、今三七%を四五%まで、八%ポイント上げていかなきゃならない、そのうち三%も、これは多分、寄与分でいうと最大項目じゃないかと思うんですよ。
こういう非常に達成が難しいんじゃないかなとみんなが思う項目を三%分も積み上げること自体がいいのかというのは、大臣、どう思われますか。私はちょっと疑念があるんですけれども、いかがですか。
○江藤国務大臣 この三%も、確定的な数字ではないわけでありまして、まだ積み上げの最中でありますから、どのものがどれだけふえるかということはまだ確定はできません。しかし、四五%に到達するそのすき間の部分の三%しか五兆円で埋められないという指摘は重く受けとめたいと思います。
それが三になるかもしれませんし、四になるかもしれません。それより低くなるということは多分ないんだろうと思います。それに加えて、先ほど申し上げたような戦略作物とか、今日本で十分に活用されていない農地九・二万ヘクタール、荒廃農地をもう一回農地に戻す努力とか、そういったことをやることによって、トータルでは四五%を目指していければなと。
大変私にとっては重い宿題でありますので、五兆円の目標も大事ですけれども、これについても更に重く受けとめていきたいと思っております。
○大串(博)委員 終わりにしますけれども、私が申し上げているのは、この四五%の持つクレディビリティーなんですよ。国民の皆さんが、ああ、ここまで行けば食料安全保障は大丈夫だと思える食料・農業・農村基本計画にしなきゃいけない。それにもかかわらず、三%分も換算するこの五兆円目標が実は相当難しい目標だと。そういう非常に、砂上の楼閣とは言いませんけれども、ソフトな土壌の上に乗っかっている四五%だと、私はそれだと意義を失するんじゃないかなと思うから言っているんです。
私は、できるだけ手がたい考え方でやっていただきたいと思うし、それに見合う政策を打っていただきたい。この問題を更に議論させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○吉野委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
早速、質問に入ります。
コロナウイルス感染拡大化のもとで、生産者への支援対策について、前回の大臣所信質疑に続いて質問をします。
所信質疑のときに、私は、学校給食の休止によって行き場を失った飲用乳の問題を取り上げました。加工乳に回されて、その差額補填については、このたび、学校給食牛乳供給停止に伴う需給緩和対策事業という事業の中で支援されることになりました。この事業の概略について簡単に説明していただけますか。
また、あわせて、もし新年度、学校が休校がまだ継続するような場合、あるいは学校が再開されて、この後ウイルス感染が拡大してまた再休止となった場合に、この事業というのはどうなるんでしょうか。というのは、予備費として二十二億九千九百万円計上されているんですけれども、これは今年度の予算ですよね。新年度で学校給食がまた休止になった場合はどういうふうに考えたらいいのか、教えてください。
○水田政府参考人 お答えいたします。
学校給食用牛乳供給がキャンセルされたことに対する酪農家への支援といたしまして、学校給食用牛乳を脱脂粉乳やバター等の加工用へ用途変更せざるを得なかったことに伴う原料乳の価格差への支援、そして出荷先変更に伴う輸送費への支援、これを行うこととしておるところでございます。その際、地域によって飲用乳価の価格等に差があることから、地域の実態に合わせた価格差をベースにお支払いをするということとしております。
さらに、乳業者への支援といたしまして、学校給食用向けの生乳の用途変更に伴いまして追加的に製造される脱脂粉乳でございますが、これを飼料用に用途変更することに伴う価格差への支援、そして輸送費、保管料への支援を行うこととしております。さらには、キャンセルの前に既に生産していた学校給食用牛乳が若干ございます。これの処分費用、これに対しても支援を行うこととしたところでございます。
こうした対策を通じまして、酪農家等の不安を解消し、意欲を持って経営に取り組んでいただけるよう、しっかりと支援してまいりたいと考えております。
また、お尋ねの本事業につきましては、今年度の予備費での対応ということでございまして、委員お尋ねのように、新年度に学校が休校が継続される、あるいは休校解除後にまた再休校といったことになった場合には、その際にまた対応を検討するということとなると考えております。
○田村(貴)委員 後段の部分は、そのことも想定して対策に当たっていかなければならないということで、問題提起させていただきました。
文部科学省にきょうはお越しいただいています。お尋ねします。
農家が学校給食以外に農産物の販路を求めざるを得ないという状況にあります。その場合の差額というのは、これは牛乳と同じように補填されてしかるべきだというふうに思いますけれども、これはどうなるんでしょうか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
今回の長期にわたる臨時休業により関係者に生じる負担につきましては、三月十日に決定された新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策第二弾におきまして、新たに学校臨時休業対策費補助金を創設し、政府として対応することとなりました。具体的には、学校設置者がキャンセルせずに事業者から購入した食材に係る経費及びその処分に要した経費や、既に発注した食材に係る違約金等が含まれます。
ですから、今の御指摘の金額も含まれるというふうに考えておりますが、事業者への違約金等の支払いにつきましては、補助金の適切な執行に留意しつつ、学校設置者と事業者の間で契約実態を踏まえて十分協議いただきたいと考えております。
○田村(貴)委員 要綱も見させていただくと、その支払いの負担割合なんですけれども、市町村の負担が四分の一、そして国が四分の三ということになっています。
そこで、教えていただきたいのは、市町村が全額業者に支払って、そして後で国に請求するというやり方です。その場合、市町村は年度内に請求を終えなければいけないというふうに聞いているわけなんですけれども、これは、生産農家とかによりますと、お米なんかはほかに売ろうと思ってもなかなか売り先が見つからない、そして、逸失利益、これがすぐに出せないという状況もあります。したがって、年度内に支払うことができないかもわからないという場合は十分想定されますね。これは年度内でないと絶対だめなんでしょうか、そのことについて。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
今般の補助事業の原資は予備費でございますので、基本的には年度内の執行ということになりますけれども、本補助事業の申請に係る協議や事務についても、やはり一定の期間、時間を要するというふうに考えておりまして、学校設置者、関係事業者の置かれている状況に十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 しっかり財務省とも協議をして、生産者に安心していただく、そのメッセージを出すことが非常に大事ではないかと思います。急いでやっていただきたいと思います。
文科省矢野審議官はここまでで結構です。ありがとうございました。
続いて、食料・農業・農村基本計画について質問をします。
所信質疑でもお伺いしました。私は、生産基盤の弱体化に歯どめがかかっていないと、資料も提出して、指摘をしました。すなわち、基幹的農業者数、販売農家戸数、それから農地面積、これが減少の一途にあります。なぜこういう状況になっているのかと質問したら、農水省の答弁は、農家世帯の高齢化により離農が進んだ、それから、荒廃農地の発生や宅地等への転用によるものだというふうにお答えがありました。
それはもう聞かなくてもわかっている話なんですよ。問題は、なぜ農業が継承できないのか、荒廃農地の発生や宅地等への転用をなぜ食いとめられない状況が続いているのか、その原因と対策を示すことこそが次の基本計画に求められるのではないかな。ここが一番大事なところです。
なぜこういう状況になっているのかということについて、改めて江藤大臣にお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 なかなか、すぐにお答えするのは難しい御質問だと思います。
やはり基本的に、私は田舎で暮らしてきて、同級生もたくさん都会に出ていきました。私のところだと福岡とか大阪に出る人間の方が多いです。若いうちにやはりどうしても一回都会に出たいと、都会への憧れというものは田舎の人間にとってはどうしてもとめられない一つの欲求といいますか、そういうものはやはりあると思います。地元に対する愛着もあるんですけれども、やはり都会に出たいという気持ち、そして、都会に出れば何か夢が開けるんではないかという淡い希望とか、そういうものもあるのかもしれません。
政策的にも十分でなかったという御指摘はあるかもしれませんが、若干数字的なことを申し上げさせていただくと、担い手に、そういう中でも頑張ってやろうという人たちには、農地を集約して生産効率を上げていただく努力をずっとしてまいりました。平成二十五年には担い手への集積率は四八・七%でしたけれども、三十年に五六・二%、ここまで上がってきましたので、令和五年度の目標が八割ということで、これもまた高い目標じゃないかという御指摘をいただくかもしれませんが、やはり、そういう中で、IoTとかスマート農業とか、いろいろな英知を結集して農家の所得を上げることによって、魅力のある農林水産業というものを発信することで地域は守られていくのではないかというふうに考えております。
○田村(貴)委員 大臣も農水省も、一番コアな部分についてお触れにならないんですけれども、長期にわたって生産基盤が縮小している、自給率が下がり続けているということは、これは輸入の割合がふえているということなんですよ。
農家の方に聞きますと、やはり将来への不安なんですよ。本当は代々の農業を受け継ぎたい、自分がやりたい。しかし、将来、本当にやっていけるんだろうか、食べていけるんだろうか。そして、自分の子供や孫にまたこれを受け継がせることができるんだろうか。この不安感が物すごくあるわけですね。
それは一つ、輸入拡大路線にあるわけです。この路線はどうだったのかという検証が、やはり、基本計画の策定、策定後もその検証は私は必要だと思います。企画部会でも、これまでの総括が必要だと各委員から言われてまいりました。基本計画案にも、これまでの自由貿易協定、協定の影響を注視、対策の実施を検証するとあっています。五年やってみてどうだったのか、十年やってみたけれどもどうだったのか、どこが間違っていたのか、何が足りなかったのか、こうした検証がないと、やはり基本計画というのは私はつくれないと思うんですよ。基本計画を読ませていただいたんだけれども、そうしたところの記述がやはり見受けられない。
食料自給率の論議がずっと続いているんですけれども、一度たりとて目標に近づいた、達成したことはない。じゃ、それは一体何だったのかというやはり根本的な総括、それから反省、そして検証が求められるというふうに思います。これは、ぜひ閣議決定まで、そして閣議決定後も深めていただきたいと強く要請していきたいというふうに思っております。
それで、食料自給率の話に入りますけれども、食料自給率は、TPPや日欧EPAの影響試算では、生産額は減るけれども、国内対策によって生産量や食料自給率は変更はないというふうにされているわけであります。
一方で、基本計画では、カロリーベースで、二〇三〇年には、今三七%の食料自給率が四五%に上がる、生産額ベースでは六六%が七五%に上がるとしています。
影響対策で食料自給率は変わらないと言っている一方で、食料自給率が上がるという計算が成り立っている。ここが私は理解できないわけです。どの品目がどう変化したら食料自給率がこういう数字として上がるんでしょうか。説明していただけますか。
○浅川政府参考人 お答え申し上げます。
TPP、日・EU影響試算ですが、協定の合意内容と総合的なTPP等関連政策大綱に基づく国内対策を前提として試算した結果、関税削減による価格低下により生産額の減少が見込まれるものの、国内対策の効果により、国内生産は維持され、食料自給率も同水準であると見込んでおります。
一方で、基本計画における食料自給率目標については、輸出目標に向けた取組や需要に即した麦、大豆等の増産により、各品目の生産拡大を図り、品目ごとに積み上げた結果として、供給熱量ベースで四五%、生産額ベースで七五%としております。
新たな基本計画においては、新たな国際環境のもとにおいても再生産可能な体制を維持しながら、国内外の需要の生産に応じて、国民への国産食料の供給拡大と輸出にもこれまで以上に取り組むことで、食料自給率の向上を図ることとしております。
○田村(貴)委員 よくわかりません。
農水省の食料自給率の推移、品目別で出されているものを見ます。例えばこの五年間で、麦とか大豆とかおっしゃいました、その麦はどうなっているかというと、減少傾向にある、芋類も減少傾向にある。それから、豆類もそうである、野菜もそうだ、果実もそうだと。牛肉も豚肉も全部、自給率が減っているじゃないですか。
何をもって、この中で、これからふえていくのか。しかも、TPP、EPA、それから日米貿易協定、ここで、関税撤廃、際限のない関税の引下げ、これから進んでいくわけですよね。食料自給率は下がる傾向にあるわけなんです、これだけで。この対策を持つことで、どうして食いとめられるのか。さらに、この自給率が逆に上がるということがわからないんですよ。どうやったらこれは上がるんですか。
先ほど大串議員の質問の中で、輸出で五兆円、今から五倍ですか、これによって三%上がる、この根拠も全然よくわからないんだけれども、本当は、農産物の輸入自由化に際限がきいていない、際限のない輸入拡大の中で、入ってくる、そして国産の生産は太刀打ちできないといった中で、生産は減少せざるを得ない。せざるを得ないのに、どうして自給率が上がるのか。この根本的な問題について教えていただけないですか。わからないんですよ、説明が。
○浅川政府参考人 お答え申し上げます。
新たな基本計画においては、それぞれの品目について、需要に即した生産を、それぞれの品目が抱えている課題を今後十年間解決していくことを通じて達成される目標を設定しているところでございます。
具体的には、国産需要の見込まれる小麦、大豆のほか、国産の粗飼料を多く用いる牛乳・乳製品などにおいて、農業生産基盤を強化し、需要に応じた生産をしっかりと進めることで、現行計画の目標を上回る目標を見込んでおります。
また、参考値としてお示ししている水産物についても、国内外の需要に対応し、過去十年前と同程度の漁獲量に回復させるなどにより、現行の水産基本計画の目標を上回る生産努力目標を見込んでおります。
その他、加工業務用需要に対応した野菜、高品質な果実など、国内外の需要の変化に対応した生産を見込んだ結果、カロリーベースの令和十二年度の食料自給率目標を四五%と設定しております。
○田村(貴)委員 やはり絵に描いた餅になってしまうのではないか。また、五年先、十年先の自給率の目標を立てたけれども、また達成できなかったねで終わるんじゃないか、そういう懸念を私は強く感じています。
やはり政策の脱却が必要です。農政のあり方としてどんな国境措置が必要なのか、この議論がない限り、結局今までと一緒になってしまうと私は思うわけであります。輸入依存からの脱却、それから自由貿易協定、FTA、こうしたところからの脱却が何よりも大事だといったことを指摘させていただきたいと思います。
この輸入依存の方向性は、コロナウイルス感染拡大の今、新たな問題を引き起こすのではないでしょうか。
学校給食の休止によって、飲用乳は、加工用乳に回されて、加工製品に回ってまいります。加工製品というのは、これはだぶついていくのではありませんか。EPAやTPPによって、チーズ、バター、脱脂粉乳、こうした乳製品の輸入というのは増加の傾向にあります。一方で、例えば、学校が休止になった、学校給食に牛乳を提供できない、加工用に回る、加工品もつくられていく、そうすると、それぞれの製品がだぶつきやせぬか、在庫が積み上がることの懸念はないか。
そうしたことの対策については、どういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
今回の学校給食の休止によりまして、約三万トンの学校給食用向けの生乳が脱脂粉乳やバターなどの加工用に用途変更されるという見込みでございます。
こうしたことから、この学校給食用向けの生乳の用途変更によりまして追加的に脱脂粉乳が製造されるということになるわけでございますが、現在、脱脂粉乳の在庫数量は非常に高い水準にございます。これを踏まえますと、これを飼料用に用途変更せざるを得ないという状況でございます。
これに伴う価格差への支援とか、あるいは輸送費、保管料等への支援を、措置をさせていただいたところでございます。新型コロナウイルス対策の第二弾で措置をさせていただいたところでございます。
御指摘の点でございますけれども、脱脂粉乳とかバターにつきましては、国内の需給状況を勘案いたしまして、国家貿易の適切な運用によりまして、国内需要の不足分を輸入するような仕組みになっておるところでございます。
それから、チーズにつきまして、非常に需要は旺盛でございまして、需要が伸びている状況にございますが、これまで生乳の生産が減少傾向であったため、なかなかそのチーズ用に十分な生乳が回らなかったということがございまして、国産チーズの製造が需要に十分対応し切れなかったというところがございます。そのし切れない分を輸入チーズで補っているという状況にございますので、輸入の乳製品が国産の乳製品の消費を脅かすような状況にはないというふうに考えているところでございます。
引き続き、生乳の需給安定、そして牛乳・乳製品の安定供給を図るため、脱脂粉乳の在庫数量の推移等を注視いたしまして、適切に対処してまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 そうなればいいわけなんですけれども、だぶついて、国産の加工業者の方が在庫を積み上げて、売れないという事態が絶対ないように、しっかりと対応に当たっていただきたいというふうに思います。
続いて、農業政策の決定過程についてお伺いします。
安倍政権のもとでのいわゆる農政、官邸農政は競争力強化一本やり。それから、農林水産業活力創造プランに盛り込んで、農政審にもかけないまま強行するというやり方が多々見受けられました。こうしたやり方に、日本農業新聞のモニターでも、安倍政権のもとでの農政は評価ができないというのが結構大きなウエートを占めていたということも、たびたび紹介してまいりました。
大臣に単刀直入にお伺いします。官邸の活力創造プランと農業基本計画では、どちらが上位の計画に当たるんでしょうか。
○江藤国務大臣 どちらが上かということは申し上げませんが、しかし、基本計画は、基本法に基づいて、根拠法に基づいてつくるものでありますので、これは、これからの進むべき道、今の課題、そして解決しなきゃいけない問題点などを網羅的に書いてあるものでありますから、これは極めて重いものだと思っております。
一方、活力創造プランについては、毎年毎年の話でありますので、スピード感を持って、これを目標でことしはやろうねという話でありますから、どちらが重いということは申し上げませんが、性質が違うということでございます。
○田村(貴)委員 基本計画は重いというふうに、大臣、一瞬おっしゃったので、重い方で頑張っていただきたいなと思っているんですよ。
それで、基本計画に記載のない政策がいきなり持ち出されてきて、そして強行されてきた。種子法の廃止しかり、それから漁業法の改悪しかりであります。重大な政策が農水の現場とかけ離れたところで決まっていく仕組みは改めるべきだと、この際、言っておきたいと思います。特に、農林ワーキング・グループ、それから水産ワーキング・グループ、こうした規制改革推進会議の中での会議などというのはもう廃止すべきだというふうに思います。
それから、暖冬続きで野菜の価格が下落しています。生産者が困窮しています。野菜の価格が著しく低落したときに、生産者補給金が交付されます。この野菜価格安定制度さえもなくそうという動きがあります。
御存じのように、財務省です。財務省が昨年十月十七日に公表した、「農林水産」という財政制度審議会の部会提出という資料の中に、野菜価格安定制度と穀物のナラシ対策を廃止して、収入保険への移行を掲げているわけであります。
野菜価格安定制度の国庫負担割合は六割、ナラシは七・五割、収入保険は五割という状況です。収入保険の五割を一元化して農家に負担させようというのが財務省の狙いであることは明らかであります。
大臣にお伺いします。
基本計画案では、読みますと、「野菜価格安定対策等の措置を安定的に実施する。」と書かれています。その一方で、こうした方向性とはまた違うところから、ほかのところから出されてくるわけなんですよ、この農政の分野というのは。政府の統一的な見解を伺いたいと思います。
野菜価格安定制度もナラシにわたっても、将来にわたって維持するということでよろしいんでしょうか。
○江藤国務大臣 収入保険につきましては、平成二十九年の導入に当たり、その法案審議のときに附帯決議をいただいております。
そのときの附帯決議は、同趣旨の制度など関連政策全体の検証を行って、総合的かつ効果的な農業経営安定対策のあり方について検討するという附帯決議でございますが、しかし、私も多分、委員会で何度か答弁させていただいたと思いますけれども、特に野菜価格安定制度は、地域によって十四の野菜のうちで指定されていて、今、国庫の補助率も触れていただきましたけれども、需給も含めて、収入の減少対策だけではなくて市場の安定にも一役を買っているという役割があります。ですから、一概にこれを私はすぐにやめるということはないのだろうと思っております。
ですから、今後やはり農家の皆様方の声をしっかり聞かなきゃいかぬというふうに思っています。いろいろな意見が財務やいろいろなところから飛んできますけれども、そういう声と戦うのも一つ私の仕事でもありますので。
しかし、収入保険について、もうちょっと理解を深めていただきたいと思います。最初の、初年度の積立金を考えなければですよ、共済よりも収入保険の方が安かったりします。果樹共済よりもですね。ですから、内容をよく説明すれば収入保険への加入率は上がると思いますので、そっちの努力も並行してやりながら、現場の意見もよく聞かせていただきたいと思っております。
○田村(貴)委員 共済の話も今出ましたので、最後に一問だけ。
その共済、長野のリンゴ農家、もう大変な被害を去年の水害で受けて、しかも、ことしは凍霜害、暖かくなってきましたけれども、霜で芽が焼けてしまうといった心配もあります。
共済の果樹の加入は、聞こうと思いましたけれども、私の方で言います。二〇一四年から一七年までは二四%、二〇一八年は二三%。下がっているんですね。下がっている。なぜ下がっているかというと、やはり掛金の高さ、そして給付の貧弱さにある。ここをやはり改善しなければ共済の加入率は上がらないと思いますけれども、方策はないんでしょうか、対応策はないんでしょうか。最後にお聞かせいただきたいと思います。
○江藤国務大臣 共済につきましても、令和一年の九月に、小規模な被害を補償範囲から除外できるというメニューも設けさせていただきました。これによって共済金が下がる。中には、ハウスなんかにつきましても、共済金が三割以下になるメニューもつくらせていただきました。集団加入によったら下がるというメニューも追加させていただきました。
ですから、いろいろ工夫をさせていただいて、しかし、こういうふうな見直しをしたということが現場に伝わっていないという現実もあるのだろうと思います。やはり、一回被害に遭うと、果樹は特に、共済に入っていた方がよかった、それから、収入保険に入っていればよかったという声はたくさん出ておりますので、見直しを行ったら、その見直しの内容等についてもしっかり現場に伝わる努力をさせていただきたいと思います。
○田村(貴)委員 時間が来ました。以上で終わります。
○吉野委員長 次に、森夏枝さん。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
本日も質問の時間をいただき、ありがとうございます。
本日は、まず捕鯨、鯨肉についての質問をさせていただきます。
昨年の七月から、三十一年ぶりに商業捕鯨が再開をされました。
昔は鯨肉が給食に出ていたという話を聞いておりますが、私は三十代で、給食に出たこともありませんし、地域的にも鯨を食べる習慣のないところで育ちましたので、余り食べる機会なく今まで過ごしてまいりました。もちろん、居酒屋などで一緒に行った方が鯨を食べたいといって注文されたりして、私も何度か食べたことがある、その程度でございます。
商業捕鯨が再開をされましたので、捕鯨業が商業として成り立つ産業になればと思っております。
まず、予算について伺いますが、調査捕鯨であった二〇一九年度やそれ以前の予算と同額の五十一億円が、二〇二〇年度も捕鯨関連経費として計上されておりますが、捕鯨関連経費の予算の概要について教えてください。
○山口政府参考人 お答えいたします。
昨年七月から商業捕鯨が開始されたところでございますが、令和二年度は、我が国周辺水域や南極海での非致死的な科学調査を引き続き実施するということになっております。
また、三十一年ぶりに再開した商業捕鯨が一日も早く軌道に乗るよう、漁場探索などの実証事業を支援することにしております。
このほか、科学的根拠に基づいて水産資源を持続的に利用するとの我が国の基本姿勢のもと、国際場裏での理解を深めるための持続的利用を支援する国々とのさらなる連携や消費拡大のための情報発信等を実施することとしております。
令和二年度予算では、これらの事業に要する経費といたしまして五十一億円を計上しているところでございます。この予算を活用して捕鯨業が漁業として一日も早く軌道に乗るよう引き続きしっかり対応してまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
私も同じ思いでおります。捕鯨業がしっかりと採算のとれるものとなるように願っております。
今後の商業捕鯨を進めていくということで、毎年のように五十一億円もの予算をつけるのではなくて、いずれは採算のとれる持続可能な捕鯨業となるようにしなければならないと思っております。
以前、水産庁の方にお聞きをしたときに、捕獲枠いっぱいの全ての鯨肉を販売した場合の売上げをお聞きしましたら、約十五億円とのことでした。五十一億円の予算に対して十五億円の売上げでは採算が合いません。持続可能な産業にするためには、鯨肉の販路拡大、需要促進が必要と考えますが、どのように取り組まれるのでしょうか。大臣、お願いします。
○江藤国務大臣 無理やり食べさせるわけにはいかないので、なかなか難しいお話だと思います。
お若いので学校給食でも食べたことがないということですが、私のころはかなりかたくて余りいい思い出がないんですけれども、しかし、EEZの中でとれる鯨肉については、今までは遠洋でとっていましたので、全部冷凍であったのでかなり血なまぐさい味、特に刺身で食べると。しかし、調査捕鯨の生のやつはおいしいです、相当うまいです。これは、今までの鯨肉とは本当に、私も、昔から食っていた人間からすると特に、こんなに違うのかというぐらい味が違います。特に、ミンクとニタリとイワシと種類があって、それぞれ味が違うので、そういったものを、もしできれば、農林水産省にばずまふというチームがおりまして、ユーチューブでいろいろな発信をさせていただいたりしておりますので、こういうチームにでもぜひやってほしいという話も実はしております。
いろいろなところで取り上げてもらいたいと思いますし、マスコミでも取り上げていただきたいと思いますが、平均的には、今、冷凍であって、それでも味的には変わりませんけれども、キロ当たり大体千五百円弱で今は手に入りますので、牛肉に比べればはるかに安い、キロですからね、キロ千四百、千五百円ぐらいですから。ぜひお店にも行っていただいて、お友達とも食べていただいて、しっかり、殺さない調査も行っていきますけれども、やはり食べてこの日本の文化を、長い文化があるわけですから、この文化として継承していく努力もあわせてしなければならないんだろうというふうに思っております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
今、大臣から生のものは大変おいしいと伺いましたので、私も機会をつくって食べに行ってみたいと思います。
この新型コロナウイルスの影響を受けた方々に対しても、もうずっとこの委員会のメンバーも、皆さんそうですけれども、お花であったりお肉であったり、牛乳もそうですけれども、委員会のたびに飲ませていただいておりますけれども、できることをできるだけ需要が伸びるように努力をしているところでございますが、この鯨のお肉というのは本当に、私やその下の年代からするとちょっとなじみがないものですので、また、先ほどユーチューブなどで発信をされるというお話がありましたけれども、身近に感じられるような文化となるように、時間はかかると思いますけれども、この鯨を食べるということを少しずつでも進めていければと思います。
先ほども言いましたけれども、予算が五十一億円ついているということですので、ずっとこの予算をつけ続けるということではなくて、商業捕鯨に切りかえることができたので、これから後継者もしっかりと育つような捕鯨業になればと思っております。
以前に水産庁の方に伺ったときに、学校給食で鯨肉の利用をしていくというような御説明も伺いました。
需要促進ということで、利用を促進していかれるのはよいのではないかと思いますが、この鯨肉を学校給食で利用するというのは、全国の学校で導入を考えているものなのでしょうか。それとも、長崎とか、ふだんから食べる文化のあるような場所で積極的に更にふやしていくということなのでしょうか。また、年間何日ぐらい学校給食に導入をしようというような計画があるのでしょうか。あれば教えてください。
○山口政府参考人 お答えいたします。
鯨食は我が国の重要な食文化の一つでございまして、先生からもお話ございましたように、なかなか若い人が今食べていないという状況でございますが、その継承に取り組むことは大変重要であるというふうに考えております。
今、学校給食についてのお尋ねでございましたけれども、これにつきましては、鯨とか捕鯨にゆかりのある自治体を中心に、学校給食を活用した鯨肉供給に今取り組んでいるところでございます。
例えば下関市では、市内の小中学校に対しまして、これは全ての小中学校に対しまして月一回のペースで鯨肉を提供するといったような取組が行われているところでございます。また、直接の関係はございませんけれども、都市部におきましてもこの鯨肉の給食を行っている例がございます。東京都の豊島区や足立区などでも、小中学校に対しまして学校給食で鯨肉が提供されているという状況でございます。こういった形で、学校給食が供給されている延べ校数で申しますと、小学校が約二千三百校、中学校が約一千校という実績があるという状況でございます。
こういった学校給食もございますし、さらに、児童生徒に対しましては、夏休みに開催されるこども霞が関デーにおきまして、鯨の実物のひげに触れたり鯨肉を食べていただいたりとかして、鯨に対する親しみをふやす活動を行っておるところでございます。
今後も、機会を捉えて、次代を担う子供たちに対する鯨の普及活動に努めてまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
この鯨の普及活動というのは、引き続きお願いしたいと思います。
先ほど、鯨食は食文化の一つでありますというふうに言われましたけれども、私は、正直ぴんときませんでした。そういう方も多いのではないかなと。やはり食べる習慣がない人からすると、食文化の一つという認識はないのではないかなと思いますので、この給食などの機会を使って食べる機会をふやしていくというのは大切なことかと思います。食文化として定着するまでには時間がかかると思いますけれども、今後も取り組んでいただきたいと思います。
私は、この委員会でも何度もジビエの利活用も訴えておりますけれども、なかなか、食べる習慣のない人たちに食べてもらうというのは大変なことでございます。ですが、これも繰り返しになりますけれども、採算のとれる、職業として成り立つ捕鯨業にするためには、文化として根づくような取組もしていただきたいと思います。
次に、捕鯨に対するイメージ回復について伺いたいと思います。
商業捕鯨が再開され、さまざまな年代の方にこの鯨肉について意見を聞いてみましたが、鯨の肉を食べなくても牛や豚などほかにおいしいお肉があるから高いお金を出してまで食べたいと思わないとか、鯨やイルカ漁のイメージが悪い、需要がないからといって無理やり給食に出さないでほしいなどというような意見もありました。あと、鯨といえば貧しい時代を思い出すとか、そんなネガティブな意見を聞くことが多かったです。ですが、今大臣から、生でおいしいものがあると聞いたので、それを広められればなと思っております。
鯨肉を食べる文化のある地域と、またこれまで好んで食べてきた方は今後も食べられると思いますが、多くの国民は食べる習慣がなく、イメージを変えないと需要はふえないと思います。このイメージというのは、あのシーシェパードによる太地町のイルカ漁であったり、ああいう映像を見て、若い世代はちょっとイメージが悪いというのがあります。
このイメージ回復について、どのように取り組まれるのでしょうか。
○山口政府参考人 お答えいたします。
先生の方から、今、鯨に対するイメージが悪い、若い方は特にというようなお話でございまして、私ぐらいの世代から見ますと、特に食文化等は、各国それぞれ独自に伝統があって、それに基づいて育んできているものでございますので、余りよその、外国の文化的な価値等に左右されるのはいかがなものかと思っておりますが、我が国は古来から、鯨を食料としてのみならず、脂とかひげなど、さまざまな部位をさまざまな用途に利用しております。いわゆる文化財になるようなものとか伝統芸能になるようなもの、こういったものにも鯨の各部位が使われておりまして、各地域で鯨を最大限利用して、独自の文化を育んできたというところでございます。
一方で、鯨は絶滅のおそれがあるというような宣伝がよく行われるわけでございますが、世界には八十種を超える鯨が生息しておりますけれども、その中には、十分な資源が存在して、持続的な利用が可能であることが明らかなものがございます。
今回の捕鯨といいますのは、こういった持続的な利用をしても資源が枯渇するようなことがない、こういった科学的根拠に基づいて捕獲枠を設定して、商業的な捕鯨に利用しようというものでございます。
我々としましても、こうした事実を広く国民に知っていただく必要があると考えておりまして、水産庁のホームページでは「捕鯨をめぐる情勢」や「鯨問題に関するよくある質問と答え」というコーナーを設けておりまして、どなたでも鯨のことを知ることができるようにしているところでございます。
小学生などの子供さんに対しましては、小学校に鯨の科学者を派遣しまして、鯨や捕鯨についての授業を行う出張授業とか、また、巣鴨で行われておりますくじら祭りでは、巣鴨周辺の小学生を対象とした鯨川柳の募集や鯨料理の実習などを行っているところでございます。
また、大人の皆様に対しましては、鯨の肉は疲労回復に効果があると言われるバレニンという成分が多く含まれております。こういった鯨肉の機能性を広く知ってもらうためのPRを、キャラクター等を用いて行っているようなところでございます。
このような活動によりまして、多くの国民の皆様に、捕鯨を知り、また鯨肉に親しみを持ってもらうことで、鯨のイメージを新たにしていただきたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
国内においてイルカや鯨を食べる文化がある地域とそうでない地域があり、文化ですので、それは理解をしておりまして、先ほど御説明ありましたように、外国の方の意見というのはそんなに気にしなくてもいいのかなという思いもあります。
例えば、韓国が犬を食べるとか、オーストラリアがカンガルーやワラビーを食べるというのも、我々からすると理解しがたいものであっても、それは海外の文化ですので、これは相互の理解が必要かなと思います。
ですが、私がこのイメージ回復と言ったのは、日本人の若い方とかが、SNSをよく使う方々が、水族館で見るものというイメージなので、イルカがかわいそう、鯨がかわいそうといったことを言う方が多いので、これが食文化であるというようなことを、しっかりとイメージを回復させて、食文化の一つとなるように進めていっていただきたいと思っております。
以前の調査捕鯨のときには南極海で捕鯨を行っていたので、商業捕鯨に切りかえてからは日本近海での漁ということで、動物愛護団体や動物解放団体と言われるような団体も活動が以前よりはおとなしくなったというのも、水産庁の方から説明を受けました。
先ほども言いましたけれども、やはりネットで海外の情報また日本国内の情報も世界じゅうに流れる時代ですので、太地町のあの追い込み漁のようなものが余りいいイメージで発信されていないというのもありますけれども、それを更に回復させるような、これは今後考えていただきたいと思っております。
日本人の子供たちに、いいイメージに変わるといいますか、先ほど説明ありましたけれども、大人に対してはカロリーが低くて栄養価が高くて健康にいいんですという説明はつくかと思うんですけれども、子供たちに対してはカロリーが低いんですというのは余りいい勧めにはならないと思いますので、豚肉や牛肉の方がおいしいというふうなことになってしまうと思いますので。でも、本当に、繰り返しになりますけれども、食文化を根づかせるという意味では、子供たちにいいイメージを持って食べてもらうような取組をしていただきたいと思います。
農林水産分野はどの分野も人手不足が深刻ですが、この捕鯨業も後継者不足が深刻だと聞いております。やはりどの分野もそうですが、ある程度所得が安定しないと船に乗る方はふえないと思います。人材確保をするためにもこの採算確保が重要でありますが、冒頭にも言いましたけれども、全て売っても十五億ぐらいにしかならないというふうに聞きました。なかなか採算確保というのは難しいんだろうと思っております。
商業捕鯨再開後、すぐには難しいというのは理解をしておりますが、何年後かには予算を削減していくべきだと思っております。商業捕鯨の採算確保の見通しについて、どのように考えているのでしょうか。
○山口政府参考人 お答えいたします。
今お尋ねがございました件につきましては、ことしは商業捕鯨の操業が始まったばかりであるというところでございまして、現時点で事業収支とか採算性がどうなるかにつきましてははっきりとしたことは申し上げられない状況でございます。
このため、今、実証事業を実施しているところでございまして、漁場探索や加工技術の向上を捕鯨業者の方々に図っていただいているというところでございまして、この実証事業を通じて効率的な操業体制を確立していただきたいと考えております。また、操業区域も我が国の二百海里の中ということでございますので、いわゆる燃油費等コストの面でも削減等の効果が期待できると思っておりますが、いずれにしろ、そういう実証事業を通じての成果を待ちたいと思っております。
また、捕獲枠につきましては、引き続き科学調査を継続していく中で資源量の把握をしっかりと行いまして、持続的に捕鯨業が行えるよう、今後の捕獲可能量の算出を適切に行ってまいりたいと考えております。
いずれにしましても、捕鯨業が持続的かつ安定的な漁業として一日も早くひとり立ちできるよう、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
次に、東日本大震災からの復興、風評被害対策について伺いたいと思います。
東日本大震災から九年がたちました。国内外での福島県の農林水産物への風評被害がまだなくなっておりません。いまだ輸入規制をされている国や地域があります。まずは、日本国内での風評被害をなくす必要があるのではないかと思います。
日本人でも、福島の農水産物を食べないという人たちはまだいます。国内での風評被害がなくならなければ、海外での風評被害をなくすことはできないと思います。以前にも質問をさせていただきましたが、福島の農水産物は安全ですという、安全ですアピールをしただけでは改善されません。
国内向けの風評被害対策として、新しい取組など、現在行っている取組があれば教えてください。
○河野大臣政務官 福島県産品の風評払拭は大変重要な課題と私どもも認識しております。
一方で、福島県産品の全国平均との価格差は、例えば米でいいますとマイナス二・五%、牛肉でマイナス一〇・七%と、震災前と比較をいたしまして価格差が大きくなっておりまして、この解消というのは非常に大切な課題だと思います。
このため、私どもといたしましては、第三者認証のGAPや水産エコラベルの取得推進、また、農林水産物の放射性物質検査、さらには流通実態調査の実施や販売促進に向けた取組など、生産から流通、販売に至るまでの総合的な支援を行うため、令和二年度予算案に福島県農林水産業再生総合事業といたしまして四十七億円を計上しているところでございます。
農林水産省といたしましても、福島県産品の食品の安全性や魅力に関する情報を、復興庁始め関係省庁と連携をして、機会あるごとに幅広く発信してまいりたいというふうに考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
農林水産省としても、安全性をしっかり情報発信もしていただいていると思います。また、江藤大臣も、またこれまでの農林水産大臣も、この福島県の農水産品の安全性については、海外に対しても粘り強く交渉をしていただいていると思います。
ですが、福島県の農水産物の検査結果をしっかりと示し、安全性も何年も丁寧に説明をし、根気よく説得を続けても輸入規制を解除してくれない国や地域に対して、来年も再来年も引き続き粘り強く交渉しますと、いつまでも同じ対策を講じていても、何も変わらないと思います。
大臣に伺いたいと思います。
福島の安心、安全な農水産物については、これまでと同様の対応ではなく、海外のほかの国や地域に対して、新たな販路を開拓する方向にかじを切ってもよいのではないかと思います。今後の風評被害対策と、新規の、新しい国の販路開拓について、どのように考えられているのか、教えてください。
○江藤国務大臣 両方大事だと思っております。
新たな販路を開拓するということは、福島県に限らず、日本の輸出全体について、これは積極的にやるべきことであります。
しかし、貿易交渉をやると、向こうに入れるなら、ではこっちは何という話も必ずついてきますので、場合によっては、若干慎重にやる必要があると思います。
福島については、同じやり方では効果がないという御指摘はそのとおりかもしれませんが、ただ、やはり、こっちはお願いベースなので、どうしようもない部分があるんですよ。
ただ、例えば、米について言えば、今まで全袋検査でした、全部検査しなきゃいけなかった。今、政務官の方から、二・五%価格差があるという話がありましたけれども、これは全袋はもうやめました。抽出検査ということになったということは、少なくとも日本国内では、もう福島の米に対する斜めの見方というものはほぼほぼ解消されているんだということは一つ、外国に向かって言えると思います。牛肉についても、一〇%以上価格差があるという説明をさせていただきましたが、これも、今までは全頭検査だったものが、これからは、食肉処理場に出した一農場当たり一頭でいいというふうに検査体制も緩やかになった。ということは、それだけ現場の方々が頑張られて、いわゆる食品の中にある放射性物質の基準値も十分の一という話は前にもさせていただきましたけれども、そういう努力が実って、そういう検査体制も国内的にも緩んできているわけですから、そういったことも一つの海外へのアピール材料になるんだろうと。
つまり、日本人はもう全く心配していませんよ、福島のことについて、ですから、皆さん方も安心して買ってください、食べてくださいというようなアプローチも更にさせていただければ。残り二十カ国ですから、五十四分中の三十四は解決しましたので、あと二十、これについても引き続き努力をしたいと思います。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
そのためにも、国内での風評被害対策、国内でもまだゼロにはなっておりませんので、しっかりと対策を取り組んでいただきたいと思います。
ことしは東京オリンピック・パラリンピックで世界じゅうに福島、東北の復興をアピールする絶好の機会であったと思いますけれども、今この新型コロナウイルスの感染拡大により、延期の可能性も出てきました。聖火リレーも車で走るといったような話も出てまいりました。東北の方々も本当に楽しみにしておられたと思います。この東日本大震災からの復興支援というのは、引き続き被災者の皆さんの気持ちに寄り添った支援をよろしくお願いします。
以上で終わります。ありがとうございました。
――――◇―――――
○吉野委員長 次に、内閣提出、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣江藤拓君。
―――――――――――――
家畜改良増殖法の一部を改正する法律案
家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○江藤国務大臣 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
和牛を始めとする我が国の畜産物は世界的にも評価が高まっており、高品質な畜産物の生産を促進する上で、家畜人工授精及び家畜受精卵移植が適切に実施されることが一層重要となっております。しかしながら、一昨年、和牛の精液と受精卵の不正な輸出を図る事案が発生し、家畜人工授精用精液等の流通の適正化が強く求められているところであります。
こうした観点から、家畜人工授精用精液等について、流通に関する規制を強化するほか、容器への表示、譲渡等に関する記録の義務づけ等の規制を整備することとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、家畜人工授精用精液等の不適切な流通を防止するための規制の強化についてであります。
家畜人工授精所等以外の場所で家畜人工授精用精液等を保存してはならないこととするとともに、家畜人工授精所等で保存されていない家畜人工授精用精液等の譲渡等をしてはならないこととしております。
第二に、特定家畜人工授精用精液等に関する規制の整備についてであります。
特にその適正な流通を確保する必要がある家畜人工授精用精液等を、特定家畜人工授精用精液等とし、農林水産大臣が指定できることとし、その容器に畜種の名称等を表示すること及びその譲受け、譲渡し等について帳簿に記載して保存することを義務づけることとしております。
第三に、家畜人工授精等に関する規制違反に対する抑止力の強化についてであります。
農林水産大臣及び都道府県知事は、家畜人工授精所等で保存されていない家畜人工授精用精液等を譲渡した者に対し、その譲渡した家畜人工授精用精液等の回収及び廃棄等を命ずることができることとしております。
続きまして、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
家畜遺伝資源は、他の家畜との品質上の差別化を図る家畜の改良という創造的な活動によって生み出され、知的財産としての価値を有しているものであります。しかしながら、家畜遺伝資源が不正に流通し、改良の成果を不正に利用した家畜の再生産が行われる事態を放置すれば、さらなる改良へのインセンティブが失われ、ひいては国全体で畜産の振興に重大な影響を及ぼすおそれがあるところです。現に、一昨年の和牛の精液と受精卵の不正な輸出が図られた事案を受け、このような危機感が広く共有され、家畜遺伝資源の不適切な流通等を防止し、その知的財産としての価値の保護を強化すべきとの社会的要請が高まっております。
こうした観点から、家畜遺伝資源について、不正な取得等の不正競争を防止し、家畜遺伝資源生産事業者の利益の保護を図るため、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、不正競争の定義であります。
家畜遺伝資源について、人を欺いて、又は窃取する行為等により取得する行為や、その取得後に使用し、譲渡し、引渡し、輸出する行為、また、不正の利益を得る目的で、又は家畜遺伝資源生産事業者に損害を与える目的で、契約による制限を超えて家畜遺伝資源を使用し、譲渡等する行為を、不正競争とし、定義することとしております。
加えて、これらの行為の介在を知って、又は重大な過失によって知らないで当該家畜遺伝資源を取得し、使用等する行為、さらには、不正競争に該当する家畜遺伝資源の使用により生産された家畜や受精卵を譲渡する行為等についても、同様に不正競争とすることとしております。
第二に、不正競争による営業上の利益を侵害された者に対する民事上の救済措置等であります。
不正競争によって営業上の利益を侵害された家畜遺伝資源生産事業者は、その営業上の利益を侵害した者に対し、その差止め及び損害賠償を請求することができることとするとともに、家畜遺伝資源生産事業者の立証負担の軽減等を図ることとしております。
第三に、罰則による抑止であります。
家畜遺伝資源について、不正の利益を得る目的で、又は家畜遺伝資源生産事業者に損害を与える目的で、人を欺いて、又は窃取する行為等により取得する行為や、その取得後に使用し、譲渡し、引渡し、輸出する行為等について、個人に対しては十年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金又はそれらの併科、法人に対しては三億円以下の罰金を科すこととしております。
以上が、これらの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
○吉野委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、明二十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時九分散会