第12号 令和2年5月12日(火曜日)
令和二年五月十二日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 吉野 正芳君
理事 池田 道孝君 理事 齋藤 健君
理事 野中 厚君 理事 細田 健一君
理事 簗 和生君 理事 石川 香織君
理事 近藤 和也君 理事 濱村 進君
泉田 裕彦君 稲田 朋美君
今枝宗一郎君 金子 俊平君
神谷 昇君 木村 次郎君
小寺 裕雄君 佐藤 明男君
坂本 哲志君 笹川 博義君
繁本 護君 鈴木 憲和君
高鳥 修一君 永岡 桂子君
西田 昭二君 福山 守君
古川 康君 穂坂 泰君
宮路 拓馬君 青山 大人君
大串 博志君 長谷川嘉一君
広田 一君 屋良 朝博君
石田 祝稔君 田村 貴昭君
森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 江藤 拓君
農林水産副大臣 伊東 良孝君
農林水産大臣政務官 河野 義博君
経済産業大臣政務官 中野 洋昌君
政府参考人
(総務省大臣官房政策立案総括審議官) 吉開正治郎君
政府参考人
(出入国在留管理庁在留管理支援部長) 丸山 秀治君
政府参考人
(文化庁審議官) 杉浦 久弘君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 枝元 真徹君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 浅川 京子君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官) 岩濱 洋海君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 新井ゆたか君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 横山 紳君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 天羽 隆君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 菱沼 義久君
政府参考人
(林野庁長官) 本郷 浩二君
政府参考人
(水産庁長官) 山口 英彰君
政府参考人
(中小企業庁次長) 鎌田 篤君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 淡野 博久君
政府参考人
(防衛省大臣官房政策立案総括審議官) 辰己 昌良君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
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委員の異動
五月十二日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 繁本 護君
古川 康君 佐藤 明男君
神谷 裕君 屋良 朝博君
同日
辞任 補欠選任
佐藤 明男君 古川 康君
繁本 護君 穂坂 泰君
屋良 朝博君 神谷 裕君
同日
辞任 補欠選任
穂坂 泰君 上杉謙太郎君
同日
理事谷公一君同日理事辞任につき、その補欠として簗和生君が理事に当選した。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○吉野委員長 これより会議を開きます。
理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事谷公一君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に簗和生君を指名いたします。
――――◇―――――
○吉野委員長 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長枝元真徹君、大臣官房総括審議官浅川京子君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官岩濱洋海君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長塩川白良君、生産局長水田正和君、経営局長横山紳君、政策統括官天羽隆君、農林水産技術会議事務局長菱沼義久君、林野庁長官本郷浩二君、水産庁長官山口英彰君、総務省大臣官房政策立案総括審議官吉開正治郎君、出入国在留管理庁在留管理支援部長丸山秀治君、文化庁審議官杉浦久弘君、中小企業庁次長鎌田篤君、国土交通省大臣官房審議官淡野博久君及び防衛省大臣官房政策立案総括審議官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○吉野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。木村次郎君。
○木村(次)委員 おはようございます。自由民主党、青森県の木村次郎です。
きょうは、質問の機会をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。
冒頭、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、罹患された全ての皆様にお見舞い申し上げたいと思います。
そして、きょうは、ナイチンゲールの生誕ちょうど二百年に当たる日となりますが、こうした看護師あるいは医師など、医療の現場を始め社会を支えておられるいわゆるエッセンシャルワーカーの全ての皆様に感謝申し上げたいと思います。
さて、去る三月三十一日に閣議決定となりました新たな食料・農業・農村基本計画について、翌四月一日の委員会で江藤大臣からその内容の御説明をいただいたところであり、また、同日、大臣を本部長とする農林水産物・食品輸出本部が設置されたところでございます。二〇三〇年度の食料自給率として、カロリーベースで四五%、生産額ベースで七五%と設定され、また、農産物の輸出額を五兆円とするなど、さらなる高みを目指していくということとしております。
しかし、残念ながら、今、私たちは、新型コロナウイルスという見えない脅威にさらされている状況にあります。後ほど質問でも触れさせていただきますが、先月末に成立した補正予算を受け、今後、大臣始め農水省の皆さんの御尽力により、さまざまな手だてが速やかに講じられていくよう期待するところ大でございますが、現下の状況に鑑みれば、設定されたそれぞれの目標に向かっていくその発射台自体が実態として大きく下がっているということは否めないわけであり、それだけハードルが高くなっていると真摯に受けとめる必要があるんだと思っております。
そうした意味において、まさにこの江藤丸はこの新たな計画においてはある意味前途多難な船出となったと思いますが、江藤大臣におかれましては、どうぞひるむことなく強力なリーダーシップを発揮されますよう御期待申し上げ、心からエールを送りたいと思います。
きょうは、私、このリンゴの絵柄をあしらったマスクをしてきております。赤もあるんですけれども、男性が赤をやるのはちょっとなかなか目立つので。
ことしは、リンゴの主力品種「ふじ」が、私が生をうけたこの青森県藤崎町で誕生してから八十年という節目の年にも当たります。余談でございますが、私が青森県庁に入庁した平成三年、この九月の台風十九号、いわゆるリンゴ台風と言われました。約九割のリンゴが出荷できず、青森のリンゴ農家は絶望のふちに追いやられました。そのとき、この藤崎町の若いリンゴ農園の経営者たちが、風速五十メートルを超える暴風にも耐え抜いたリンゴを起死回生の一助にしようと、落ちないリンゴと称して全国の神社で受験生をターゲットに販売し、当時メディアにも取り上げられ全国的にも有名になりました。
農林水産業はこうした幾多の困難を乗り越えて今に至っているものであり、農林水産業を営む生産者だけでなく、試験研究機関、あるいは加工、流通、販売など、さまざまな形で携わってこられた先人たちに改めて思いをはせながら、私たちは、新たな、また確かな歩みを進めていかなくてはならないというふうに思っております。
前置きが長くなりましたが、質問に入らせていただきます。まず、この新型コロナウイルスに対する対応でございます。
最初に、今回のこの新型ウイルスによる農林水産業への影響は非常に大きなものがあるというふうに感じております。先般成立した補正予算を踏まえ、どのような対策を講じようとしているのか、改めて、大臣の思いや決意も交えてお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 言われましたように大変厳しい状態になって、輸出に関しましては発射台が下がったということでありますけれども、いろいろエールもいただきましてありがとうございます。皆様方の御指導をいただきながら、農家の所得向上につながる形での輸出の拡大、そして商流の確保についてしっかり努力をしていきたいというふうに思っております。
今回のコロナウイルスの影響ははかり知れないものがあります。もう農業も漁業も、そして林業も、あらゆる産業、我々が所管する部分については大きな影響をこうむっております。それは今も拡大しているというふうに思っております。
これに対しまして、生産現場を維持することは我々の責任であると同時に、国民の皆様方に安心で安全な食料を安定的に供給する、そういう基本的な国家としての役割を我々は果たさなければなりませんので、それは生産現場だけじゃなくて、生産、加工それから流通、あらゆる業態にかかわる方々に対して、私からも心から感謝を申し上げたいと思っております。
特に、全ての対策について具体的に全てを申し上げることは今回は避けさせていただきますが、今回、五千四百億円を超える補正予算を組むことができました。TPP等関連対策大綱のときの予算が三千四百億ですから、それに比べてもかなり規模は大きいと思います。
しかし、これで十分だとは到底思っておりません。これに加えて、持続化給付金であるとか、あらゆるものをしっかりセットにしてやるということが大事だと思います。特にこの持続化給付金につきましては、私は、ほぼほぼ全ての農業者の方々が、いわゆる農林水産業に係る所得を申告しておられる方々、全ての方々が対象になるという理解をしておりますけれども、現場では、自分は対象になるのかどうか自体にまず疑問を持っている方々もおられますから、それぞれの業態について、水産はこう、畜産はこう、漁業はこう、そういったことをしっかり細かく御説明させていただくことが必要だと思っております。
水産についても在庫がたまる、それから畜産業についても在庫がはけない。価格も、連休中にスーパーに行きましたら、国産黒毛和牛四割引きというセールをやっておりました。これについても、国産農林水産物等販売促進対策事業、これを組みましたので、もちろん国の支援も行いますし、ネットにつきましても、しっかりとした、例えば要冷蔵だとかなり送料がかかりますので、これに対する補助も行いますし、それから、レストラン等で行うケータリングとかそういったものの容器についても、国がその補助をするようなことで今仕組んでおります。
それから、フードロスを防ぐという観点も含めて、いろいろなところで、いわゆる子供食堂とかフードバンクとか、そういったところにいかに食材を供給するかということについても今知恵を絞らせていただいております。
とにかく生産、流通の商流を断たないように、特に酪農につきましては、しっかり搾らないと病気になってしまいますから、国民の皆様方への消費拡大への御協力も、あらゆるSNS等のツールも利用しながら呼びかけてまいりたいというふうに考えております。
○木村(次)委員 ありがとうございます。大変積極的な、前向きな大臣のお話をいただきました。
既に、農林水産業に限らず、与野党ともに、二次補正という議論も出始めております。農林漁業者あるいは各団体、そのニーズになかなか応え切れていない、そういった実情があるのであれば、農水省におかれましても、ちゅうちょなく、この二次補正においても積極的な対応をお願い申し上げたいと思います。
一つだけ、補正予算翌日に農水省において、今回のさまざまな支援策を、ウエブサイトで一つに集約して設定されたというお話も伺いました。私ものぞいてみましたが、大変使い勝手がよく、ありがたいなというふうに大いに評価したいと思います。
それでは、コロナ関係、一つだけ、各論として、水産関係についてお尋ねします。
今回のコロナウイルスの影響、現場の実情を把握するために、私も東京から、地元のJA、漁協、あるいは森林組合などを始め各種団体、あるいは企業に電話がけを行ってヒアリングを行いました。水産関係について、ほとんどの漁協あるいは水産関係団体から、総じて魚価が下がっている、大衆魚二割、三割減に対して、とりわけ、青森県の魚となっておりますヒラメなど高級魚については四割あるいは五割減になっている、そういう深刻な状況も聞かされました。
こうした状況を踏まえるならば、大幅な収入減に直結する漁業者の救済策、あるいは水産物の需要が停滞している現状の打開策と、今後の需要喚起、販売促進策等々、同時並行的に進めていく必要があると考えます。こうした観点から、新型コロナウイルス対策についての支援策についてお伺いいたします。
○山口政府参考人 お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして減収が見込まれます漁業者に対します支援といたしましては、積立ぷらすについて基金の積み増しを行い、漁業者の減収補填に万全を期すこととしたところでございます。あわせて、積立ぷらすの漁業者積立金の仮払い、また積立金の積立て猶予といった措置も実施することとしております。
また、水産物需要の停滞への対応といたしましては、特定水産物供給平準化事業により、輸出の停滞等により需要又は取引価格が下落し、生産面での調整が困難な場合について、漁業者団体等が買い取り、保管するために必要な資金を借り入れる場合の金利相当分や、買い取った水産物を順次放出するまでの調整保管に要する経費を助成することとしております。
また、水産物の販売促進につきましては、インバウンドの減少や輸出の停滞等により国内に滞留している水産物を、家庭内消費や学校給食における有効活用を行い、持続的な国内生産及び供給体制を維持する、これが重要だというふうに考えております。このため、水産物販売促進緊急対策事業によりまして、業界団体等のネット販売での送料の支援、また学校給食への食材提供を含む食育活動への支援、また全国における販売促進会やPR活動、こういったさまざまな支援を行うこととしております。
○木村(次)委員 ありがとうございます。
ぜひ、あすの生活にも窮している漁業者あるいは水産加工業者の生活を守り、そしてまた、我が国の未来の水産業を担うそうした方々が希望を持って携わっていけるよう、そうした環境づくりに努めていただきたいと思います。
それでは、次に移らせていただきます。
昨年十月、私の地元青森県つがる市におきまして、ガの仲間でありますけれども、ツマジロクサヨトウというものがスイートコーン畑で発見されました。地球温暖化などが背景にあるのかもしれませんが、今後、発生地域の北上、あるいは、特に飼料用トウモロコシやスイートコーンの収穫期前の発生など、大変懸念されるところでございます。
そこで、国内における発生状況とその対応についてお伺いいたします。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
ツマジロクサヨトウは、世界的に広く分布いたしまして、長距離を飛来し、さまざまな農作物に被害を与える、そういう害虫でございます。
発生状況でございますけれども、我が国では、昨年七月に鹿児島県で初めて確認をされました。その後、十二月には、委員御地元の青森県のつがる市で、収穫後のスイートコーンでも確認をされております。これまで、東北から九州、沖縄までの広い範囲、二十一府県百十五市町村で、主として飼料用、餌用のトウモロコシの圃場で発見されているところでございます。
ツマジロクサヨトウは、早期発見し、早期に防除をいたしますと被害を低減できるということでございますので、農林水産省としては、昨年の経験を踏まえまして、四月一日にツマジロクサヨトウの防除マニュアルというのを取りまとめたところでございます。
この中におきましては、まず、早期発見、早期防除のための具体的な調査方法、それから、作物ごとに効果のある農薬とその使用時期、方法についてリスト化をしたものということでございまして、これを都道府県等を通じまして生産者に広く周知をしているところでございます。
この支援につきましては、早期発見の発生状況調査、それから飼料作物等の防除に要する費用につきましては、国の消費・安全対策交付金の中で支援を行っております。
ことしに入りましても、沖縄県それから鹿児島県で一月から発生が確認をされておりまして、今後も全国的に発生する可能性もあることから、まずは、全国の生産者の皆様方には、防除マニュアルを参考にいたしまして、圃場を定期的に見回って、まず早期発見、早期防除をしていただくということで、県と協力しながら指導を徹底していきたいというふうに考えております。
○木村(次)委員 ありがとうございました。
今、御答弁の中で、早期発見、早期防除が大事と二回ほどお話がありました。
ちなみに、おとといの日本農業新聞に記事が載っていましたけれども、JA全農で試験を行った結果、十五の農薬が有効だというふうに確認されたというような報道もございました。こうした部分も含め、関係自治体との連携をしっかり、また共有を図りながら、引き続きお力添えを賜れればと思っております。
次に、林政関係に移らせていただきます。
最初に、ナラ枯れの被害でございます。
昆虫が運ぶ病原菌、ナラ菌が原因となりますナラ枯れの被害が日本列島を北上しつつあり、世界自然遺産白神山地を抱える私の地元深浦町においても、昨年は対前年で六倍近くに上るなど、深刻な問題となっております。これもまた、国内における発生状況、またその対応についてお伺いいたします。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
ナラ枯れ被害については、全国では平成二十二年度がピークであり、三十二・五万立方メートル、昨年度の被害量は、速報値で五・六万立方メートルと、ピーク時の約六分の一にはなっております。
一方、東北地方などを含め一部の地域では近年被害量が増加しており、青森県における昨年度の被害量は約一万立方メートルと、前年度と比較して約六倍となっている状況でございます。
農林水産省においては、青森県に対しまして、森林病害虫等防除事業により、被害木の伐倒薫蒸、予防薬剤の樹木への注入、被害を媒介する昆虫の誘引捕殺といった被害対策に対して支援をしております。今後とも、被害の動向に注意を払いつつ、青森県と連携して、ナラ枯れ被害の防止を図ってまいります。よろしくお願いいたします。
○木村(次)委員 ありがとうございます。
県が設置するさまざまな会議等においても、林野庁の出先の職員の方々も同席いただいていろいろ助言をいただいていることを私も承知いたしており、また感謝を申し上げたいと思います。
例えば、青森県では、単独の事業として、ナラ等広葉樹の伐採・利用モデル構築事業というものを昨年度から二カ年で実施しております。これは、被害を受けやすい高齢木やあるいは太い木を罹患前に切り倒して、家具などの材料に有効活用していくとともに、森の若返りを図るというようなものでございます。
引き続き、林野庁等々におかれましては、御指導賜りますようよろしくお願い申し上げたいと思います。
次に、国産材の有効活用等についての質問に移らせていただきます。
国会議事堂正面入って南側の敷地、各都道府県の木が植えられております。私の地元では、毎年春や秋に中学二、三年生が修学旅行の一環として国会見学に訪れて、そしてあそこを通ることで、青森県の県木がヒバだということを初めて知る生徒さんも多いわけでございます。
ヒバは全国の八割が青森県に分布しておりまして、その大半は下北半島と津軽半島に集中しております。長野の木曽地方のヒノキ、また秋田の杉と並んで日本三大美林の一つに数えられ、特に耐久性あるいは耐湿性にすぐれた建築用材として、一般住宅はもちろん、全国の神社仏閣等々にも使用されております。また、最近では、この材に含まれますヒノキチオールの抗菌力が精油の芳香を活用したさまざまな製品に活用されるなど、利用価値もまた極めて高いものがあります。
資料を配付させていただきました。
左上一番、青森ヒバ復元プロジェクト、これは、林野庁、現地の青森森林管理署等々において取り組んでおられるプロジェクトでございます。私も現地視察して、また植林も一緒に経験させていただきました。息の長い取組になるのかもしれませんが、林野庁の出先機関や、あるいはまた地元林業者を始め現場の皆さんのこうした行動に敬意を表したいと思います。
また、この二から六まで、市役所、あるいは三番、中学校、県産材等を使って、いろいろ木の風合い、やわらかな雰囲気を醸し出す公共建築物、また、この四から五までは、地元の青森県の八戸市あるいは五戸町が拠点となります大山建工さんというところが、地元の技術を使って、あるいは県産材を使って、この技術も評価されて、博多の高級料亭とか東京都内のお寺さん、こういったものにもこういった技術がしっかりと生かされているというようなことを御紹介させていただきます。
木材というものは、地元の気候などに見合って育ったわけでございますので、できるだけその地域で使われるのが理想であるというのが私の考えであります。そして、この建築物には、自然の風合いが生かせる無垢材が理想的だと考えております。
そこで、無垢材の普及拡大、利用拡大を図るため、どのような取組を行っているのか、お伺いいたします。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
林業の採算性を向上させ、森林所有者の林業への経営意欲を持ってもらうためには、付加価値の高い無垢材の利用を拡大させることも重要であると考えております。
これまで、農林水産省では、無垢材を利用した商業施設等の建設への支援、川上から川下までの事業者が連携して取り組む、無垢材を活用した製品の開発普及などの取組に支援してきたところでございます。
令和二年度予算においても、川上から川下までの事業者が連携した、構造材、内装材、家具、建具などの普及啓発の取組への支援を措置したところであり、今後とも付加価値の高い無垢材の利用拡大を図ってまいりたいと考えております。
○木村(次)委員 ありがとうございます。
次に移らせていただきます。木材、木造住宅についての取組についてでございます。
場所、用途、あるいはまた使う側の好み、嗜好に応じて、建築物に使われる材というものは、当然、木材以外にもさまざまあってこれは当然だと思っております。しかし、我が国日本は、もともと木の文化が長い歴史の中で育まれてきたのもまた事実であり、木造住宅のよさ、こういったものは大事にしていきたいものだと思います。
そこで、木造住宅の担い手の育成、確保、あるいは地域の良質な木造住宅の整備に対しての支援の取組についてお伺いいたします。
○淡野政府参考人 お答え申し上げます。
日本の地域風土に根差した木造建築の文化は、将来にわたって継承していくべき重要なものであり、地域材を活用した木造住宅の振興は、そのような観点からも推進すべきものと考えております。
このため、担い手の育成や供給体制の整備などを通じ、青森ヒバ等の地域材を活用した良質な木造住宅が安定的に供給される環境を整備することが重要であると認識してございます。
まず、担い手の育成、確保につきましては、民間事業者団体が各地域で行います大工技能者の技能向上のための研修活動や、大工技能者が能力、経験に応じた処遇を受けられる環境の整備等に対し支援を行っているところでございます。
また、各地域における良質な木造住宅の供給体制の整備につきましては、原木供給者などのいわゆる川上から、大工、工務店などのいわゆる川下までの関係事業者のグループによる、地域材を用いた省エネ性能や耐久性能にすぐれた木造住宅の整備を支援しているところでございます。
今後とも、関係省庁と連携し、これらの施策を積極的に推進することを通じまして、地域材を活用した良質な木造住宅の整備を促進してまいりたいと存じます。
○木村(次)委員 ありがとうございます。
それでは、最後の質問に移らせていただきます。
このお配りした資料、最後の一番下、七、八をごらんください。
ブナコというのは、先ほどブナの白神山地、お話し申し上げましたブナの皮を薄く延ばして巻いて、こういったさまざまなお皿だとかお盆、こういったものの商品、大変評価されております。また、八は津軽塗、藩政時代から続く、非常に伝統的な技術を使った漆の塗り物でございます。
こうしたもの、それはそれとして、木造住宅だけでなく伝統的な建築物等もしっかりと守っていかなくてはならないというふうに思っております。
現在、ユネスコ無形文化遺産登録に向けて、伝統建築工匠の技、木造建造物を受け継ぐための伝統技術というものが提案されているというふうにも伺っております。昔ながらのこうした伝統建築を後世まで残していくためには、保存、修理などに必要な技術の継承や担い手育成、また、こうした建築物に活用される植物性資材等の維持、確保などが重要であると思います。
そこで、この文科省、文化庁の取組、支援策についてお伺いいたします。
○杉浦政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、伝統建築を始め、文化財を後世に継承していくためには、その修理等に必要なカヤぶきなどの技術の保護や、ヒバ、漆などの資材の確保が不可欠でございます。
このため、文化庁では、文化財の保存のために欠くことのできない伝統の技術のうち保存の措置を講ずる必要のあるものを選定保存技術といたしまして選定し、その保持者や保存団体が行う後継者養成や技術の向上等への支援を行っております。
これとともに、文化財建造物に必要な修理用資材の国内での安定確保等に向けて、文化庁では、ふるさと文化財の森を設定し、森の管理、資材採取等の研修や普及啓発事業に要する経費について補助を行っているところでございます。
また、委員御指摘の、伝統建築工匠の技、木造建造物を受け継ぐための伝統技術のユネスコ無形文化遺産登録に向けましては、現在、カヤぶき、ひわだぶき、こけらぶき、建造物木工や建造物漆塗りなどの選定保存技術についてユネスコへ提案しているところでございまして、本年十二月に登録の可否の審議が行われる予定でございます。
引き続き、文化財の確実な次世代への継承がなされていくよう、選定保存技術の保護や必要な資材確保に向けた取組への支援をしっかり行ってまいります。
○木村(次)委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
きょうは一般質疑でございますけれども、今、新型コロナウイルスが感染拡大している中で、農業者の皆様も大変制約を受けながら営農されておられるという状況がございます。
こうした状況の中でも、重要なのは、いろいろな支援メニューもある中で、常日ごろから、要は、新型コロナウイルスが感染拡大する、あるいはしないを関係なくして、農林水産省として、国として、どういった支援があるのか、こうした支援事業も十分に、フルに活用していただくということが重要だなということを考えているところでございます。
その一つとして、強い農業・担い手づくり総合支援交付金、いわゆる強農と言われるものがございますけれども、これは非常に重要な交付金だと思っております。私も、地元の農協からも、これを使いたいんだとかというようなこととか、話を聞くこともあるわけでございますけれども、よく聞くのが、私、昨年は政務官もさせていただきましたけれども、例えば、一つありましたのが、とある地域でライスセンターを改修したと。地域の農協さんで共同的に出資し合って改修をするというようなこともされたということを伺ったことがございます。そういう背景からしても、今どこの農協さんとかでもライスセンターが老朽化してきていて、それを統廃合したり建てかえをしたりというようなことを検討しているということも聞いております。
そもそも、ライスセンターの老朽化を対策するにはどのような支援メニューがあり得るのか、まず伺いたいと思います。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
農業者が共同利用するライスセンターの統廃合による建てかえについての御質問をいただきました。
このような場合には、先生御指摘の、強い農業・担い手づくり総合支援交付金の産地基幹施設等支援タイプ、また産地生産基盤パワーアップ事業により支援をしているところでございます。さらに、農業者が導入する穀物乾燥機などについては、強い農業・担い手づくり総合支援交付金のうち、先進的農業経営確立支援タイプ、また地域担い手育成支援タイプにより支援を行っているところでございます。
○濱村委員 これはメニューがさまざま、強い農業・担い手づくり総合支援交付金の中でも分かれているというようなところもございますけれども、この交付金自体の予算について伺いたいと思うんです。
これは、今いろいろな施設の整備に使えるわけでございます。広く国内利用されているわけなので、非常に重要なわけですけれども、令和二年度の予算額については総額幾らであったのか、そしてまた平成三十一年度はどうだったのか、あわせて伺いたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
平成三十一年度、令和元年度の強い農業・担い手づくり総合支援交付金の予算額でございますが、これは二百三十億円となっているところでございます。
そして、令和二年度におきます強い農業・担い手づくり総合支援交付金の予算額は二百億円でございますが、これに加えまして、この交付金事業として実施をしておりました食肉処理施設の整備に対する支援につきまして、新たに別の事業として食肉流通再編・輸出促進事業というものを創設いたしまして、より充実強化を図ったところでございます。この予算額が三十億円ございますので、これを加えますと二百三十億円ということでございまして、合わせまして対前年同規模の予算額となっているところでございます。
○濱村委員 食肉処理施設の、流通再編・輸出促進事業ということでございましたけれども、この強農の交付金だけを見れば二百三十億から二百億に減っているじゃないかというように見えてしまいがちですが、決してそうではなくて見合いでございますよという話で御答弁がありましたけれども、これは非常に重要な交付金であると私は思っておりますので、食肉処理施設の、流通再編とか輸出促進とか、これも非常に重要です。
これはこれで更に予算を上乗せしていくというのは、やはり食肉の輸出を強化していくという中であっては当然の話だと思っておりますけれども、一方で、日本の主食である米であったりとか、そういうものを処理するためのライスセンター、こうしたところについてもしっかりと予算を確保していくことが重要なのかなと思っております。引き続き予算の確保に努めていっていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
その上で、このそれぞれの事業なんですが、もともとは、都道府県や市町村を経由して農業者から申請されて、交付金が交付されるかどうか決定されるという枠組みでございました。間に都道府県や市町村が入っているということでございましたけれども、ことしの予算からは国が直接採択を決定するような事業が実施されることとなっております。これは生産構造の急速な変化に対応するための新たな生産事業モデルの確立ということとして支援するというふうに聞いておりますけれども、これはどのような目的で、どのような効果を期待されておられるのか、伺いたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
令和二年度の予算から、強い農業・担い手づくり総合支援交付金の中で国が直接採択する部分ができたところでございまして、この事業につきましては、主な対象品目と想定しております加工・業務用野菜などでございまして、食品の事業者の方々からも国産を利用したいという要望がありながらも、産地側が農業者の減少あるいは天候不順の多発などによりまして、定時、定量、定価格、定品質、この四定の確保に対応できないということから、供給の拡大がなかなか困難な状況にあったところでございます。
このため、中間流通事業者や食品加工事業者、あるいはJAなど、核となる事業者の方が拠点となりまして、需要者とつながるとともに生産者とも連携をしていただいて、加工とか冷蔵によります供給調整を行っていただいたり、あるいは、場合によっては生産者の作業を支援すること、こういうことによりまして生産の安定、効率化を図っていただく。こういった機能を発揮しながら、安定的な生産、供給を実現しようとする新たな生産事業モデルの育成というものをしていくことが大事だと考えておりまして、このため、こうした事業者の方が冷蔵とか貯蔵とか加工とかも含めましたさまざまな機能を備えたり強化したりするために行う機械、施設の導入、あるいは作柄の安定化とか出荷時期の調整のための生産技術体系の検証、こういった取組を、この国直接採択方式により総合的に支援していくこととしたところでございます。
この事業によりまして、国産の加工・業務用野菜の定時、定量、定価格、定品質による安定供給が図られるということを期待をしているところでございます。
○濱村委員 今おっしゃっていただいたのは、例で出てきたのは加工の業務用の野菜というのがありましたけれども、定時に、常に安定的に供給できるようにということ、そしてまた流通経路としても安定的にということだろうと思っておりますけれども、生産者が減少していくとかあるいは天候不順による影響を緩和するとか、そうしたことを、クッションとして柔軟性を持たせるというために、行政の区割りによる制限をなくした形での施策をやっていかなければいけないということでいえば、国が直接採択する事業となるのは非常に妥当だなというふうに考えております。そうした事業を活用しながら安定生産、供給体制を確保していかれるということでございますので、しっかりと運営をしていっていただきたいというふうに思います。
次の質問に移りたいと思いますけれども、もう一つお伺いしたい事業として、もともとこの強農の中での柱の一つでもございます産地基幹施設等支援タイプでございます。
これはどのような基準で採択が決まるんでしょうかということでございますけれども、いろいろな評価ポイント、評価する視点があるというふうに認識をしております。
まず、成果目標ポイントの現況と、成果目標の設定のあり方について、どのように設定されるのが適切と考えておられるのか、伺っておきたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
強い農業・担い手づくり総合支援交付金の産地基幹施設支援タイプでございますが、この配分に当たりましては、一つ、成果目標を事業実施主体がみずから二つ選んで設定をしていただいて、その内容をポイント化をしていただくということでございます。
この成果目標と申しますのは、例えば、十アール当たり物財費を削減するとか、十アール当たり労働時間を削減、米の例でございますけれども、削減するとか、食味の値等の品質を改善するとか、幾つもございまして、その中から二つを選択していただくということでございまして、その内容をポイント化をしていただくということでございます。
例えば、物財費の削減でありましたら、八%以上削減すれば十ポイントとかと決まっておりますので、取り組みやすいところを二つ選んでいただくということでございます。さらに、中山間地域の取組ですとか、スマート農業の取組ですとか、こういったものを対象にポイントを加算をするということがございます。これらのポイントを集計いたしまして、ポイントの高い順に配分をしていくという仕組みでございます。
この中では、先ほど申し上げました二つ選んでいただく成果目標に係るポイントにつきましては、成果目標として将来達成すべき目標、これのポイントに加えまして、今の現況についてもポイントがつくことになっておりまして、高い事業効果が見込まれる産地と、そして既に先進的になっている産地、このいずれもが評価をされる仕組みとしているところでございます。
この成果目標の設定に当たりましては、産地の関係者が都道府県などの指導を受けながら、みずからの強み、弱みを分析していただいて、産地の目指す方向を見定めた上で、より高いポイントが得られる項目を選択していただくことが適当と考えているところでございます。
こういった考え方で進めてまいりたいと考えております。
○濱村委員 今おっしゃっていただいた成果目標の話、現況をしっかり押さえた上で、仮にそれが弱い、弱点であったとしても、今の弱点の状況からどのように改善されるのか、そして、強み、これはもううちの地元の強みですよというような場合でも、現況は当然高いポイントになるわけでございますけれども、そこからどこまで目標として高い目標に到達できるかということを評価するということでございますので、合理的な成果の目標を立ててそれに取り組もうということを設定しての評価になっているんだろうということでございます。
また、一つだけの評価軸を設定するわけではなくて、二つ設定しながら、その産地の方向性をしっかりと見定めながら目標を設定していかれるということでございますので、非常に産地にとっても取り組みやすい、ポイントを上げられるのではないか、このように思っているところでございます。
非常に、成果目標設定とその成果の評価ということで、これをずっと、目標を立ててそれにどこまで到達できたかということを繰り返し評価をしていくことによって、産地の力も上がっていくんじゃないかなというふうに思っておりますので、こうした取組、ぜひとも今後も引き続きお願いをしたいというふうに思っております。
申請について伺いたいと思いますけれども、この申請をするための事前準備というのはどのようなものが必要であるのかということでございます。
まず、どの事業をやりたいのか、当然、農業者等の皆さんが交付金を申請するわけでございますけれども、その際に、間にまず市町村とか県が入っておられるわけでございますので、県の考え方とか市町村の考え方とすり合わせしていかなければいけないのも、当然やっておかなければいけないことと思っております。これをやらないと、みんながみんな、うちがやりたい、うちがやりたい、うちがやりたいということになって、じゃ、どうやって調整すればいいんですかねというようなことにもなりますので、ちゃんと事前に話をしていくということが重要かなと思っております。
私の地元の兵庫県のとある農協でいえば、管内にライスセンターが二十カ所あったりするわけですけれども、これを、大規模の四カ所と小規模の七カ所という、合計の十一カ所に統合していきたいということも考えておられるようでございます。その統廃合の事業を全て、うちが、うちがということで申請したとしても、ほかの農協さんやほかの事業について優先度がわからないということでございますので、県内で優先順位をつけなければなりません。
こうした事前の調整というのは非常に重要だと思っておりますし、地元農業の振興のためにも大きな影響を与えると思っております。どのようなプロセスを経てなされているのか、系統団体や中央会の、行政の役割分担も含めてお伺いできればと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
県や市町村そして農業団体等の役割ということでございますが、強い農業・担い手づくり総合支援交付金におきましては、この実施要綱の規定によりまして、都道府県には、本対策の効果的かつ適正な推進を図るため、市町村及び農業団体等の関係機関との密接な連携による推進指導体制の整備を図り、事業実施主体を指導する役割を担っていただくこととしておるところでございます。また、市町村におきましても、事業実施主体が作成した事業実施計画について、必要な指導及び調整を行っていただくとしているところでございます。
事業実施主体によりますこの交付金の要望に当たりましても、こうした取組の中で、県や市町村、関係者間の調整が進められていくものということを認識しておるところでございまして、委員御指摘の、委員の御地元のライスセンターの再編ということに当たりましても、JAが中心となりまして、地元農業者など、あるいは県、市町村としっかりと連携をしながら話合いが行われていると承知をしているところでございます。
引き続き、地域の農業団体や行政の連携を確保いたしまして、効果的な事業の実施に努めてまいりたいと考えております。
○濱村委員 これは実は、指導をしっかりとしていくということでございますけれども、いろいろな、先ほども申し上げたような成果目標ポイントとかがあるんですね。実は、食品流通の合理化とか、あるいは特別加算であったり、担い手加算、優先枠加算と、さまざまな加算ポイントもつくわけでございます。こうした加算ポイントを獲得できるような方向性で県あるいは市町村が指導できるかどうかということも非常に重要であると思っておりますので、こうしたところを、私どもも地元に帰ってしっかりと、こういう軸でお考えいただいたら加算ポイントがとれるんじゃないかということをお話ししながら、この交付金、しっかりと有効活用していきたいというふうに思っております。
このような新型コロナウイルスの感染拡大がなされる中であっても、今ある制度をしっかりと使っていく、こうしたことも十分に意識しながら、生産者の皆様とともに頑張ってまいりたいと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 石川県能登半島、立国社会派の近藤和也でございます。
きょうはよろしくお願いいたします。
このたびのコロナ禍におきまして亡くなられた方々にお悔やみを申し上げます。そして、今も罹患されておられる方々、そして関係者の方々にお見舞いを申し上げます。そして、医療関係者の方々の御奮闘にも感謝申し上げたいと思いますし、さまざまな方面で御苦労、耐え忍んでいただいている方々にも感謝を申し上げたいと思います。
質問に入らせていただく前に、私の地元の状況を少しだけお伝えをしたいと思います。要望も含めて少しお伝えしたいと思います。
まず、石川県能登半島の小木という、イカのかつての日本一の漁港でございましたが、きょう初めて北太平洋に向けて出港するイカ釣り船があります。以前出ていた船もありますが、なぜかといいますと、今までであれば、大和堆、日本海へ向けて漁に出ていました。いつもは大体六月ぐらいに行くんですけれども、そこでイカがとれなくなった。産卵の影響だとか、若しくは北朝鮮、韓国、ロシアの乱獲のせいだという、そういった理由もさまざまありますけれども、現実問題として違う場所に漁に行かざるを得ないという、きょうはそういった日でもございます。
そういったところでいきますと、年々、もう過去最低の漁獲高がここ数年間連続してきています。そういったところは、例えば、きょうは経産省に来ていただいておりますけれども、持続化給付金ですね、その半分というのが、通常の半分であればクリア、クリアという言い方はよくないかもしれないですけれども、その分は超える可能性はありますが、もうどんどんどんどん減ってきている中で、ここから例えば倍にふえたところで従来の半分にも達していないという、そういった水準の業者さんもいらっしゃるということはぜひとも御認識をしていただきたいと思います。
そして、漁に出たらしばらく帰ってきませんから、申請がしばらくはできないといったことも、今後さまざまな要望があると思いますので、御理解をいただきたいと思います。
そして、先日は、能登半島で初めて豚熱に感染したイノシシが発見されました。とうとう能登半島にもやってきたという状況でございますが、苦悩指数という指数があるかわからないですが、一足す一は二じゃないんですよね。一つの苦労に二つ目の苦労が重なったら、一足す一は三にも四にもなってしまう。今の新型コロナ、そして豚熱が重なってきている、こういった苦しい状況にある方もたくさんいらっしゃるということも御理解をいただきたいと思います。
それでは、質問に入らせていただきます。
きょうは、肉用牛に少し集中してお話をしていきたいと思います。
川上から川下までということで、資料一をごらんいただければと思いますが、実際には、生産農家さんの左側に位置する、遺伝資源にかかわる法律が先月成立したわけですけれども、まずは、きょうは一番川下の外食店の状況から質問に入らせていただきたいと思いますが、次のページを見てください。
これは、私が具体的に相談をいただいた、ある焼き肉屋さんの例です。簡単に申し上げますと、一番下の列、ちなみにこの会社は六月決算なんですが、二〇二〇年の一月は三百五十万、二月三百三十万、三月は三百七十万、四月が九十五万円、途中からお店が休業に入っています。そして、今月もまだ売上げが全く立っていないというお店です。
持続化給付金についてはもう申込みが始まりましたが、持続化給付金は対前年同期比で見ます。ですから、ことし二〇二〇年の四月の対前年同期というのは二〇一九年の四月、ゼロになっています。これは、リニューアルをしている、四カ月リニューアルをしています。対前年同期比でいけば、むしろ売上げは、ゼロから比べれば当然ふえております。そして、二〇二〇年の二月で比べてみれば、三百三十万円に対して昨年は百五十六万円ということで、ちなみに、席数は大体三割程度ふえています、リニューアルのために四千八百万円新たに借入れをしているところでございます。
きょうは経産省さんにお越しいただいておりますが、この焼き肉屋さんAですが、持続化給付金の対象になるんでしょうか。
○中野大臣政務官 近藤委員の御質問にお答え申し上げます。
紹介いただいた事例、個別のケースでございますので、なかなかこの場で該当する、しないというのを明確に申し上げることは難しいんですけれども、あくまで原則論ということで御説明させていただきますと、持続化給付金は、原則、ことしの一月から十二月のうちの任意の一月以上の売上げと前年同月の売上げを比較をいたしまして、五〇%以上減少している事業者が対象ということでございます。
あくまで原則としては、委員より御紹介のあった事例のように、前年同月との売上げの比較が困難な事業者につきましては基本的に対象外になるという制度でございます。
○近藤(和)委員 原則論ばかりを言われたら話にならないですし、そもそも、この原則というのは最近つくられたものですよね。
この持続化給付金の目的のところに、はっきりと書いてございます。感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧としていただくためでございます。こちらが原則なのであれば、ルールは変えることが可能だと思います。
例えばですけれども、対前年同期比だけではなくて直近の三カ月の平均と比べる。例えば、私のペーパーでいけば、一月、二月、三月の三カ月平均でいけば三百五十万円になります、一月平均ですね。三百五十万円と比べれば、九十五万円、半分どころか三分の一です。
私は、この原則が、事業の継続を下支えし、再起の糧としていただくためということであれば、この基準は柔軟に対応すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○中野大臣政務官 給付金の算定に当たりましては、個々の事業者のさまざまな事情によりまして前年同月との売上げの比較を行うことが困難な事業者がいることも想定されるということは、まさに委員の御指摘のとおりだというふうに思います。こうしたことから、複数の算出方法の特例措置というものもこの補助金の申請に当たりましては設けているところでございます。
御紹介されたケースにつきましても、こうした特例の対象となる可能性もあるというふうに思います。まずは個別にやはり事務局に御相談をしていただければ、このように答弁させていただきます。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
個別にということでお答えいただきましたが、ちなみに、白色申告だと対象になるんですよね。残念ながら、こちらは法人ですから白色申告ではありません。白色であれば、例えばですけれども、二〇一八年度であれば、一千五百二十六万円の売上げに対して、九十五万円掛ける十二カ月、掛けた分を引きますと三百八十六万円で、百万円の対象になります。
ぜひとも、この特例といいますか個別の対応といいますか、柔軟に対処していただきたいと思います。緊急避難的に、まずはしゃくし定規的なルールというのはわかります。わかりますけれども、恐らくは数が少ないと思うんですよね。
例えば、私も何度か問合せしたことがありますが、今年度事業スタートした会社も対象にならないですよね。別のもので融資がありますとかいろいろおっしゃっていただいていますけれども、こういった企業もたくさんあります。
私の地元の例でいけば、七尾市というところでカルテットというのをやっています。地元の金融機関と政府系の金融機関と商工会議所とそして市、行政が加わって、四者で会社をつくっていこうということで、この六年間で、六万人もいない人口の市なんですけれども、八十社以上起業しています。すごいです。その多くが実は飲食店なんですね。そういった企業も相当苦しい状況に置かれております。ぜひとも柔軟な対応というのをしていただきたいと思います。
大臣にぜひともお力添えをいただきたいと思います。
ちなみに、去年の十月に消費税が上がりました。ことしの四月に、健康増進法で禁煙のスペースをしっかり確保していかなきゃいけないということで、かなり苦労されておられます。そして、六月にはHACCPの義務化ということで、あれもこれもこれもという大変な中で今コロナが起きてしまっている。こちらでいけば、本当に四重苦という状況です。この川上から川下までという考え方でいけば、この川下のところが苦しめば、売れないということであれば、結果的に、中間の方、川上の農家の方も苦しい状況に追い込まれると思います。あくまでも持続化給付金は、これは中小企業庁ということでありますが、大臣は新型コロナウイルスに関しての対策本部の本部員でございます。その本部の中にも、総合的かつ強力に推進するためという、一番最初の文章にありますので、総合的というところも含めてお力をかしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 御指摘の点は十分理解をいたしております。
例えば、農林水産の場合は、農繁期である時期と農繁期でない時期があって、一年をならして十二で割って、そして、これから来年の一月十五日が持続化給付金の締切りですから、その中で、所得の、売上げの低かった月と比較すればいいという極めて柔軟な対応を農林水産分野ではできるということになっております。
ですから、もちろん、経産省の分野のことを、私がこうすべきだという意見は閣内で言うことはできますが、それを断定的に申し上げることはできませんけれども、農林水産省ではこういう対応をいたしておりますということであれば、経産省でもこういった柔軟な対応も可能ではないかということを経産大臣の方にお話しすることは、私、本部員ですから。
そして、今お話ありましたように、禁煙であったりHACCPであったりいろいろなものが重なっていることも重々理解しております。やはり、今回のコロナに対する経営への影響、それは大変大きなものがあって、先生おっしゃるように、農林水産業はあくまでも出口戦略をしっかりと見出していかないと、いいものをつくっても消費していただかなければ農家の所得向上につながりませんので、そういった観点も含めて対策本部の中で意見を言っていきたいというふうに考えております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。前向きな御答弁、感謝いたします。柔軟かつ大胆にぜひともお願いをいたします。
そこで、一つ御提案をしたいことがございます。
この焼き肉屋さんのペーパーをもう一度見ていただきたいんですけれども、今、二〇二〇年の四月が九十五万円、五月は、今のところはまだお店を開いていないということで売上げが立っていませんが、どこかでコロナが終息して、どこかでお店をスタートしたい、持続化給付金が来る来ないにかかわらず、何とか頑張って耐え忍んで、次のお客さんを迎え入れたいと言われているわけですね。
そのときになんですが、じゃ、何も援助がないまま、そして今も借入れをいっぱいしている。お客さんを迎えるときに先立つものが必要です。焼き肉屋さんですから、お肉を仕入れなきゃいけません。大体二百万ぐらい仕入れていたらしいんですね。まず仕入れなきゃいけないけれども、お金がない。お客さんが来た、お肉がない、これではもう話になりません。
ですから、一つ提案なんですが、お肉ということに限ってがいいのか、お魚も含めてという、以前、お肉券、お魚券というのがありましたが、あれはあくまで消費者の立場です。供給側の立場として、円滑に供給していきますという仕入れ補助のようなもの。例えば、仕入れを全部ただ単に肩がわりするということではなくて、お客さんが来られて売上げが立った分は返していただけばいいんです。
先に、まずは在庫をそろえるということに対してのプッシュ型支援のような形で考えていただけないかということなんですが、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 アイデアとしてはありだと私も思います。
しかし、なかなか、焼き肉屋ということになると、品物はかなり限られている、肉と、まあ海産も多少出すかもしれませんけれども、あとはシイタケとか野菜一部、品目が限られますから、まあ不可能ではないと思います。しかし、各店舗で仕入れるものも多種多様であって、例えば居酒屋であれば、何十、何百という品目、その仕入れ先も多様である、それを仮払いのような形で国が肩がわりした後にどのように精算するかということを制度設計するのは、昨日質問要旨を見させていただいて、なるほどこういう考え方もあるなというふうに思いまして、検討も頭の体操をさせていただきましたけれども、なかなかやはり、正直に申しまして、これを制度設計して、次の補正があるとしてですよ、次の補正予算で組み立てるとすると、相当これを実行するまでに時間がかかってしまうだろうというふうに私は今思います。
ですから、大変紋切り型の答弁で申しわけないんですが、雇用調整助成金につきましても、八千三百三十円から一万五千円規模まで引き上げるということできのう総理が御答弁されたというふうに聞いておりますし、これから持続化給付金についても柔軟な運用をするように今御提案も先生からいただきましたし、それに加えて、国産農林水産物等の販売促進事業、これを使えばその焼き肉屋さんも通常よりもかなり安い値段で、促進事業については販促費、その部分を国が見ますから、その分、安く肉も購入できるということもあります。そしてさらには、無利子無担保、もう聞き飽きたと思いますけれども、この融資制度もありますので、こういったものを御活用することの方が、このV字回復のタイミングでは有効に働くのではないか。
先生の御提案は聞かせていただきますが、これを一つ一つの、いわゆるレストランとか居酒屋とか焼き肉屋さんで実行していって、これが不公平感のないものにして、最終的な財政的な裏づけにも基づいて、どういうふうに補填していくのかについては、なかなかこの制度設計というのは難しいというのが正直な感想でございます。
○近藤(和)委員 この「肉用牛の一生」のペーパーでもありますように、川上から川下までをきれいに流通させていくということが非常に重要だと思っております。特にお肉に関しては、高級な部分がかなり滞留をしているということですよね、卸、問屋さんであったり、食肉センターであったりですね。こういったことも含めて、私は全部が全部と言っているわけではなくて、一部の部位に関してということでいけば柔軟に対応できるんではないかなというふうに思います。
そして、ゴー・トゥー・キャンペーンもそうですけれども、基本的には消費者の立場に立っているんですよね。供給者の立場に立った側の、ちゃんとお店の棚に品をそろえておく、そうじゃないと、お客様が来られてもだめだ。きょうの日本農業新聞にもありましたけれども、個人への給付金の第一位が食費なんですよね。せっかくお店に行った、でも商品がそろっていない、だったらみんな不幸ですから。ぜひとも、供給側の視点というものを入れていただきたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
先ほど少し申し上げました、食肉センターを中心にちょっとお話をしたいと思うんですが、相当厳しいところもあるやに聞いております。ちなみに、昨年は、農林水産委員会として群馬県のセンターに視察に参りました。そのときには、コロナではなくて、まさしく豚熱ですよね。豚熱、アフリカ豚熱、両方合わせてですけれども、かなりの設備投資を強いられているといったことも伺いました。そして、私の地元の食肉センターも、十数年来、新しくつくり直してから、毎年毎年赤字です。
従来から厳しいところもあり、そして豚熱、アフリカ豚熱の対応で厳しいところもあり、そして今回のコロナで更に在庫を抱えるところもあり、流れが滞っているところもあり、厳しくなりということで、こちらも三重苦という状況なんですけれども、ここを何とかすべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 農林水産省におきましては、食肉処理場の経営状況の調査をいたしました。令和元年度に百八の処理施設を対象にアンケート調査を行いまして、七十五の施設から回答をいただいております。これについては、五十七の施設から回答がありました、そのうちの内数でですね。三十年度の平均経常利益は一千五百八十四万円の黒字ということになっております。
しかし、食肉処理センターは基本的には民間の施設でありますので、国が個別具体的な経営内容を法的に把握するのは、強制力を持って明示的に示しなさいというのはなかなか難しいということは御理解をいただきたいと思います。
食肉処理施設が生産者と消費者の結節点でありますから、引き続き経営状況を把握する努力はしていきたいと思っておりますが、今のところ、処理場につきましては、在庫がたまって、冷凍施設への保管が非常に厳しいという状況が今生まれています。お肉も、先生御存じのように、保管するに当たっては、基本的にはチルドという形で保存をいたしますが、六十日間ぐらいが限界ですので、これを超えるとフローズンにしなければなりません。フローズンにすると、肉の価格も、価値も落ちてしまう。三割から四割ぐらい市場価格が落ちてしまいますので、この部分についてどうするかということも大事だと思っています。
ですから、販売促進事業もやりながら、金利であったり、倉敷であったり、保管料の増加分であったり、そういったものに幅広く、前回通していただいた補正予算で見させていただきますが、引き続き、もし次の補正があれば、現場の状況をちゃんと踏まえた上で、また要求をさせていただいて、支援をさせていただきたいと考えております。
○近藤(和)委員 どうもありがとうございます。
改めて、今回の緊急事態宣言、そしてさらには、特別警戒都道府県も、今、我が石川県も入っておりますけれども、食料の安全保障に関しても、やはり地方分権、それぞれのセンターをしっかりと守っていくということが、その地域に住まわれる農家の方、そして消費者を守るということにつながっていきます。
ぜひともきめ細かくサポートしていただきますことをお願いをいたしまして、済みません、卸売市場の質問はできませんでしたけれども、ぜひともよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、長谷川嘉一君。
○長谷川委員 おはようございます。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの長谷川嘉一でございます。
まず冒頭でありますけれども、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた皆様方に対しまして心から哀悼の意を表し上げますと同時に、今、大変困窮をきわめたり心配なさっている全国民の皆様方に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。
極めて限られた時間でございますので、若干お聞き苦しい、また早口になる点を御了解いただければと思います。
早速質問に移らせていただいております。きょうは、三点について質問を予定しております。
まず、第一点目でございますが、スマート農業についてでございます。
これについては、まず、農業生産基盤強化プログラムの一つとして、スマート農業の現場実装を推進するとされております。具体的にはどのようなものか、お伺いをいたします。また、スマート農業の推進がさまざまな形で現在まで図られてきたと思いますが、大変複雑多岐にわたっておりますので、その普及の状況、また効果と課題についてもあわせてこの機会にお伺いいたします。
○菱沼政府参考人 お答えいたします。
スマート農業は、ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用して、作業の自動化による省力化やデータの共有などにより、誰もが高度な営農を行うことができる新しい農業であります。他方、中山間地域などの条件不利地域で導入できる機械が少ないことや、導入コストが高いなどの課題がございます。
このため、昨年、全国六十九地区でスマート農業実証プロジェクトを開始するとともに、本年においても更に五十二地区を追加し、中山間地域や畜産、園芸などの多様な地域、品目での導入、シェアリング、リースによる導入コストの低減などの実証を行うこととしております。
○長谷川委員 ありがとうございました。
次に、関連して、二つ目でありますけれども、未来投資会議でのスマート農業実装工程表についてお伺いいたします。
令和二年四月十日の全農新聞によりますと、未来投資会議で、令和二年三月三十一日、構造改革徹底推進会合の「地域経済・インフラ」会合を開催し、スマート農業の社会実装に向けた工程表が取りまとめられ、研究開発と実証、普及について、二〇二二年度までの目標が示されておりますが、具体的にはどのような内容か、あわせてお伺いいたします。
○菱沼政府参考人 お答えいたします。
本年三月三十一日の未来投資会議の会合において示した工程表は、スマート農業の社会実装に向けた今後の取組方針を整理したものでございます。具体的には、研究開発、実証、普及、環境整備の三つの取組項目ごとの目標や進捗状況を示しており、現時点では順調に推移しているものと考えております。
この中で、委員御指摘の二〇二五年までに農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践するといった目標を示しておりまして、ただいま、本目標が達成できるよう、さまざまな地域や品目に対応したスマート農業技術の開発や、スマート農業実証プロジェクトで得られた知見などを全国に情報発信や横展開を努めて、目標達成に努めてまいる次第でございます。
○長谷川委員 この工程表作成に当たりましてでありますけれども、どのくらい現場農業者が参加をし、この意見が反映されているのかもあわせてお伺いいたします。
○菱沼政府参考人 お答えいたします。
まず、工程表をつくるに当たっては、さまざまなところから御議論をいただきました。さらに、この工程表の核となりますスマート農業実証プロジェクトでございますけれども、これについては、参加する前に、公募の前に全国説明会、さらには公募開始後でも全国や地域ブロック段階での事業説明会を行いまして、広く周知をいたしました。そういった中で課題を整理させていただいたということでございます。
○長谷川委員 質問の趣旨がうまく伝わっていなかったようですが、規制改革会議における、現場農業者がどのくらい参加をし、どのような意見が反映されたのかをお伺いいたしました。
○菱沼政府参考人 お答えいたします。
未来投資会議、工程表をつくる際には、我々、スマート農業の今の状況などを生産者、現場からもお聞きしました。それについては、先ほど申しましたけれども、事業を行う際にさまざまな全国説明会を行って要望等を聞かせていただいて、その具体的な課題について整理して、このプログラムにまとめたところでございます。
○長谷川委員 その参加者が農業者の最大公約数的な御代表であったという感覚は、残念ながら、いまだ私の方はつかめておりませんが、時間の関係で次に移らせていただきます。
今御答弁いただいた内容に含まれますが、スマート農業実証プロジェクトについてお伺いいたします。
この実証プロジェクトとして、令和元年度より全国六十九グループで開始をされ、新たに五十二グループが選ばれ、現在百二十一が選ばれているということでありますが、それらの状況についてお伺いしたいと思います。
まず、どのような基準で公募し、また、周知はどのように行われたか、選定方法はどのようなものであったかをお聞かせいただきたいと思います。
また、時間の関係もありますので、ちょっとはしょっておきますけれども、群馬県における公募の状況等についても、あわせてここでお伺いいたします。
○菱沼政府参考人 お答えいたします。
スマート農業実証プロジェクトは、先ほど申しましたけれども、公募の前に全国説明会を行いました。公募開始後も、全国、地域ブロック段階での事業説明会、各種問合せに対しての丁寧な事業内容の説明により広く周知を図りました。
応募された実証課題につきましては、その技術が定量的な目標設定がされているのかとか、新しく導入する技術が先進性、優位性があるのか、さらには実証に必要な機関の参画などの実施体制がされているのかなどの観点から、各課題ごとに、水田農業、施設園芸、果樹などのそれぞれの専門性を有する約百五十名程度の学識経験者などが採点し、その結果に基づいて、予算の範囲内で採択の可否を判断したものでございます。
さらに、群馬県の生産現場からは、昨年採択分の事業の公募において五件、本年採択分の事業の公募において一件、合計六件の応募がございました。
○長谷川委員 採択はされているということでよろしいんでしょうか、その六件について。
○菱沼政府参考人 残念ながら、合計六件の群馬県からの生産現場の採択は、不採択という結果になりました。
○長谷川委員 百二十一グループが選ばれて、群馬県ではないということでありますから、普遍的にこれを全ての農業者が活用できるために、このバランスが本当にいいのかどうか、改めて御指摘を申し上げたいと思います。
次の質問に移ります。
スマート農業実証プロジェクトの工程表によると、二〇二二年度に各都道府県の主要農産物品目でスマート農業技術体系の構築、実践、これは全国五百産地程度というふうにされているようでありますが、これまでの状況はどのようになっているのか。
また、具体的な内容について、計画が実施され、二〇二五年度までに農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践となっておりますが、スマート農業を実践するに当たっての投資額は、一団体、どのように見積もっていられるか。また、一農業者当たり、個人でいけばどのような投資額が必要になるか。時間の関係で、あわせてお伺いいたします。
○菱沼政府参考人 今まさにプログラムにつきましてはしっかり推進をさせていただいているところでございまして、この進捗状況についてはこれから精査させていただきたいというふうに考えております。
そういった中で、どれだけの事業規模といいますか、投資が必要なのかというところでございますけれども、このスマート農業実証プロジェクトをやってみますと、一地区当たり大体平均六千四百万円の事業費が必要だというふうに考えております。
そういった中で事業費を投入するんですけれども、経営の採算性があるのかどうかといった議論になりますので、そこについては、本事業の中で経営データを分析して採算性の検証を行っていく、さらに、今後その結果を生産現場に周知することで、地域の実情に合った効果的なスマート農業の導入を推進して図っていきたいと考えております。
○長谷川委員 まず、先ほど御指摘した、地域の採択の事業に偏りがあるということが一点。
また、それについての周知の度合いについてでありますけれども、私も、素人ながら地元の皆様方にお聞きしました。
県レベルでいくと、群馬県としては、スマート農業は推進していかなければならないという認識はあります。しかし、高齢のため農業経営体が縮小傾向にある中、人が少なくて継続できる農業も支援していく、昨今、技術が数多くできている、しかし、何が何でも技術を取り入れるというわけにはいかない、まず、コストが高く、農家さんにとっては大きな負担になり、健全な経営が難しくなってしまうというふうにされております。しかし、さりながら、県としては、JAや開発メーカーさんと連携して一生懸命取り組んでいることをあわせて申し上げておきますが、このような実態であります。
二〇二二年度に実施するためには、その事業規模、投資額、採算性、これを合わせた計画がここにないと実効性のあるものにはならないということを御指摘を申し上げます。
次に、出先機関についても調べてみました。スマート農業を国が推奨しているが、群馬県、地域の反応はどうでしょうかということでありますが、地元においては、具体的な取組は、現状では特化した形はいまだない、まだこれからでしょうかというお答えでありました。
それから、スマート農業の、農業法人の関心はということでありますけれども、自動自走ですかをイメージしているということでありまして、今挙げられた細かい項目についての理解は現場ではほとんど周知されていないというのが実態ではないかというふうに推測をされました。
今後、スマート農業の地域での展開については、水位の調整についてAI等を活用したものは利用可能ではないでしょうかというふうなまだ見解のレベルでありますので、この辺、この工程表に基づいて、二〇二五年に全ての農業者がこれに基づいた農業経営をしていくというこの工程表と現実の乖離があるということを御指摘して、次の質問に入らせていただきます。
次は、食料自給率についてでございます。
これについては、今まさに、新コロナウイルスということでございまして、大変な不安に駆られている方が大勢いらっしゃいます。そういった中で、感染症の世界的な拡大によって、お手元に資料も、そちらの方の資料ですけれども、配付させていただきましたけれども、農産品、食品の輸出規制に関する動きが、特にユーラシア経済同盟国やアジア、アフリカ諸国では出てきております。
こうした中で、本年四月九日の日農新聞で、東大名誉教授である谷口信和先生が、新型コロナウイルス感染症の問題は、社会生活に必要なものはある程度自国で賄うことが大事だということを白日のもとにさらした、感染拡大に伴ってマスクが不足しているが、一つ間違えると食料も同じになると述べられております。
また、国連のWFP等では、食料危機が目前に迫っているということは、コロナが発生する前から言われている問題でありました。また、今回のコロナによって、その後の試算でいくと、世界で約一億三千万人が餓死する可能性があるという推計も出ているわけであります。
こうした中で、まさにこの戦略物資としての食料、これをどのように守っていくか、この自給率は農林水産省として今、最大の課題ではないかと思っております。このことに関しての大臣の御所見をお伺いいたします。
○江藤国務大臣 食料・農業・農村基本計画の策定のときから食料自給率については大変活発な御議論をいただきました。今回の世界的なコロナの蔓延によって、まさに食料というものも安心はできない、やはり日本で主要なものについては自給する体制を築くべきだということについては全く私も同感であります。
私は、この職につかせていただいた段階で、農政を推進し農業の生産基盤を強化していくためには、国民の御理解がなければできない、国民の理解の醸成に努めたいということを何度も申し上げました。今回は、いいきっかけとは言いません、これは決していいことではありませんから。しかし、一つのきっかけになったことは事実でありまして、これから先、先生がおっしゃるように、戦略物資になるかもしれません、食料品が。しかし、そうなってはいけないということをG20の農業大臣会議のときに申し上げました。
かつてこのような事態が起こったときには、自分の国で貧困で苦しんでいる人がいるにもかかわらず、世界での穀物価格の上昇を見て、自国で食べる分を輸出に回してしまった国がありました。それによって餓死者がふえたという苦い経験がありますから、我々はG20を中心に国際協調のもとで、いわゆるこのエッセンシャルなものについては、やはり人間が生きていく上で基本でありますから、これについては秩序ある流通というものを貿易についてもしっかり確保していかなきゃいけないと思っております。
今、二〇一九年で七十七億人になった人口が二〇五〇年にはもう九十七億人になるわけですから、それに対して世界の農地面積はふえておりません。一人当たり農地面積は逆に減っていく傾向にあるわけですから、我々は今回の機会に、今、荒廃農地と言われているものをいかにいわゆる生産農地として回復させるか、これを今農林水産省として取りかかっております。ですから、さまざまな、米、麦、大豆のような戦略物資も含めて、国民の皆様方の不安にならないような食料の自給体制を築くべく、これから更に力を入れて頑張ってまいりたいと考えております。
○長谷川委員 私、この問題については四回目か五回目になります。しつこいかもしれませんけれども、私ども国民にとっては最大の課題になり得る問題であるからでございます。その辺は御了解いただけていると思います。
次に、こうした中で、食料自給率の向上が食料安保の上でも最重要な課題であることは大臣も私も共通認識である、ただ、そうならないようにするためには、外交努力を大臣というお立場でされているということは十分理解させていただきました。しかし、非常時に備えるというのが今回の趣旨でありますので、食料安保の趣旨でありますので、この辺は重々尊重していただき、御対応をお願い申し上げます。
こうした中で、食料自給率が食料安保上最も重要な課題であることは言うまでもありませんが、食料自給率設定から今日まで、どのような施策を講じ、どのような成果を生み出しているのか、お伺いいたします。また、今後どのようにして自給率四五%達成をしていこうとしているのか、あわせてお伺いいたします。
○浅川政府参考人 お答え申し上げます。
食料自給率目標ですが、その向上に向けて農業生産面と食料消費面で取り組むべき事項を明確にした上で、品目ごとに生産努力目標を設定し、それらを積み上げて、令和十二年度までにカロリーベース四五%、生産額ベースで七五%まで引き上げるという目標を設定したところでございます。
目標達成に向けた具体的な政策になりますが、農業生産面でまず申し上げますと、担い手への農地集積、集約化ですが、これは着実にこれまで農地中間管理機構の政策なども通じて増加させてきておりますが、これを加速化するということ、また、農地については大臣からも御答弁申し上げましたけれども、中山間地域等直接支払制度等の施策により荒廃農地の発生抑制、再生に努めていくということ、また、規模の大小や中山間地域といった条件にかかわらず、農業経営の底上げにつながるといった対策を講じて、国内農業の生産基盤の強化を図ってまいりたいと考えております。
また、品目別に見ますと、例えば、国産品へのニーズが大きい麦や大豆について、スマート農業や基盤整備といったことを通じ、新品種の開発、導入等により、実需者の求める量、品質、価格に着実に応えるほか、加工・業務用野菜について、輸入品から国産への置きかえを目指すということとしております。
また、食料消費面についても、食の外部化に対応し、生産者と食品事業者との連携強化、また、食育や国産農産物の消費拡大、地産地消の推進といったことに取り組むことにしております。
このような生産、消費両面における対策を通じて食料自給率の向上を図ってまいりたいと考えております。
○長谷川委員 施策はわかりました。
どの時期にどのくらいなレベルで自給率が上がっていくのかという実績が、いまだありません。このことは御指摘をしなければいけないのではないかと思います。
時間の関係で先に進みます。
先ほど触れた谷口先生の記事の中で、最も重要な食料安保という国家的課題について成果を出せなかったことへの検証がどのくらい真剣にされているのか、また、それに向けての工程表づくりがスマート農業以上に重要なのではないかというふうに述べられております。食料自給率は、これまでの目標が達成できなかった要因を十分に分析し、今回の基本計画が練られたと言っておりますが、私たちは、その実感があれを読んだだけでは伝わってまいりません。このこともあわせて御指摘を申し上げます。
また、谷口先生の……
○吉野委員長 時間が経過していますので、お急ぎください。
○長谷川委員 はい、急ぎます。
じゃ、最後になりますけれども、谷口先生の記事によりますと、基本計画は十年後の目標を提起しながら五年ごとに策定され、内容や重点が大きく変わる、農家は長期性がないと投資できない、先ほどのスマート農業の会見でも同じ御指摘をしましたと述べられています。
まさに今、自給率を上げられない大きな要因の一つであると私は思っています。農業政策、五年後、十年後をしっかり農業者に見通せる、希望を持てるものにしていただかなければいけない。
また、今回の新型コロナウイルス感染症を大きな教訓として、来る第二弾、第三弾の国難に備えるために、続いて食料自給を何としてでも反転し、目標達成のために軌道に乗せる工程表づくりが必要と指摘をされておりますが、私も同感であり、このことを御要望申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、大串博志君。
○大串(博)委員 立国社の大串です。早速質問に入らせていただきます。
新型コロナウイルス対策ですけれども、多くの方々が罹患され、命を落とされた方もいらっしゃいます。本当にお悔やみを申し上げ、お見舞い申し上げながら、かつ、多くの事業者の皆様、農業者の皆様も含めて、過去、経験のない需要の減退、生活が成り立たないという悲鳴のような声が、日々全国から上がってまいります。これに真摯にぜひ政府には応えていただきたいし、私たちも、その面においては野党も、国会において、補正予算の審議等々、協力していくべきは協力していくということでやっています。
四月の末に補正予算案の審議も、私、予算委員会でも行わせていただき、きのうも緊急事態宣言に関して予算委員会で審議させていただきましたけれども、この間、政府の新型コロナウイルス対策を見ると、やはり遅い、小さ過ぎる、こう言わざるを得ません。やはり現場の苦悩、苦労を十分踏まえているとは思えない。この観点から、きょうは農業面に関して議論させていただきます。
まず、私の地元は実はタマネギの産地なんです、佐賀県。日本で第二番目の産地です。北海道が第一位、圧倒的な第一位なんですけれども、大体春先まで北海道の方々がたくさんタマネギを出荷されます。春先ぐらいから北海道の方々の出荷は減っていって、佐賀県等々の出荷が出てきます。佐賀県でいうと、わせなんですね、今の時期は。まだ、わせがちょうど終わりぐらい。これから中晩、おくてと入っていくんですけれども。
そういう中で、実は、三月に小中学校の学校休校があって学校給食がなくなり、また、四月に緊急事態宣言が全国化されたことを受けて、需要がタマネギに関しては急減しました。出荷するにも市場でとってくれない、こういう状況が四月の半ば以降、急速にあらわれてきています。出しても出しても値がつかない、こういう状況なんです。ちょうど今、わせが四月から出ていくときだった、しかも豊作でもあった。にもかかわらず、出しても出してもマーケットで値がつかない、とってくれない、こういう状況なんです。
ゴールデンウイークは、残念ながら、本当に無念の思いがあられたと思いますけれども、タマネギ農家の方々は、これ以上出荷するとそれは赤字になり得るので、出荷しないで、すき込まれた、佐賀弁で言うとこれは打ち込むと言うんですけれども、そのまま地面に打ち込まれた方もいらっしゃいます。全国でも、野菜農家の方々が出荷できずに生産物を廃棄される、非常につらそうな姿を見ました。
タマネギのこの急速な価格低下、タマネギ農家に関してどのような支援策を講じているのか、大臣にお問合せしたいと思います。
○江藤国務大臣 先生も御存じのことをあえて申し上げますけれども、タマネギに特化してこれについて対策を打つというのは、なかなかこれは厳しいということはまず御理解をいただきたいと思います。
ただ、先生の御地元のやつは北海道と違って新タマネギですから、オニオンスライスとかで食べると非常にうまいタマネギですけれども、これは非常に水分が多くて保管に向かないので、いわゆる需給調整事業がありますけれども、出荷先送りをしたり一時保管に向かないという事情があるというふうに承知をいたしております。
そして、すき込みをされたということでありますと、すき込みをすると、たしかその補助率が四割しかありませんので、出荷先送りとかすると、品質の下がった部分について六割の補填が受けられますので、すき込むのに比べるとそちらの方が有利ではありますが、なかなか、タマネギについて特別なことをやったかというと、なかなかお答えがないということは申し上げなきゃならないと思います。
その前提で申し上げるのは、野菜価格安定制度、いわゆる指定野菜十四品目について、これについては、この制度がしっかりと補給金が出せるように、この間の補正予算におきまして追加の資金を五十六億円、積み増しをさせていただきました。これによって制度自体はしっかり運用されるというふうに思っておりますので、これに基づいてやらせていただくというのが今の体制でございます。
○大串(博)委員 野菜価格安定制度、これで対応をするということを考えているということをおっしゃいましたけれども、タマネギに関しては、恐らくほかの野菜も似たようなところはあると思うんですけれども、業務用が非常に伸びていたんですね。これは、いわゆる農業政策の方向性として、業務用で需要をふやしていただく、中食、外食ですね、これは恐らく推進されてきた方向だと思うんですよ。それに合う形でタマネギも相当業務用に出しています。もうかなり出しています。
業務用に出す場合に、いわゆる系統出荷していないケースが多いんですね。直接、タマネギの流通業者さんと契約をして農家から事業者さんに出している、こういうケースがあるもので。もちろん、系統出荷していない場合には野菜安定基金に入らないということではないんですけれども、概して、系統出荷をしている方、その部分に関しては野菜安定基金に入っているけれども、系統出荷じゃない部分に関しては野菜安定基金に入っていない、価格安定基金に入っていない、これが現状なんですよ。だから、加入率は結構低いんです。
価格安定基金に入っていないから、じゃ、この有事とも言える際にこれを支援しなくていいのかというと、私はそうではないと思うんですね。価格安定基金に入っていなかったからあなたの自己責任ですよというのが今の新型コロナ対応に対する政府の態度かというと、私はそうであってはいけないと思うんです。
どうですか、大臣。価格安定基金に入っていなかったからといって、自己責任で立っていきなさいということじゃないと思うんですよ。
価格安定基金に入っていらっしゃらなかった方々に対しての支援策、どういうことが考えられるんでしょうか。
○江藤国務大臣 先ほど六割と申し上げましたが、三割の間違いでした、済みません。修正させていただきます。
この野菜価格安定制度に入るかどうかの、系統外のお話を先生、されましたけれども、まず大前提として、系統外の人たちが入れないということではまずないということは先生も御理解いただけていると思います。
生産組合とか農事組合法人とかそういう形で何戸かの農家が集まって、二ヘクタール以上の一定規模に集まっていただければ、いつでもこの野菜価格安定制度には入れるわけでありますので、これは、入る入らないは、大変申しわけないんですが、それぞれ農業者の方々の御判断によるところが大きいということは御理解いただかなければならないと思っております。
今回のウイルス対策については、二年度の補正予算で措置いたしました高収益作物の次期作支援交付金、これはもちろん系統外まで当然対象となりますので、これを御利用いただくというのが現時点でお答えできる最大限のところでございます。
○大串(博)委員 いわゆる野菜価格安定基金制度が第一だ、こう言われる発想は、私、まさに平時の発想だと思うんですよ。平時ですね。平時のツールを用いて対応するのは平時の困難ですよ。平時じゃないから何をしなきゃいけないかということで、今、新型コロナウイルス対策をみんなで考えているわけでしょう、平時じゃない対策を。ということだと思うんです。だから、野菜価格安定基金が対応だというふうに言っちゃうと、ここで思考がとまっちゃうんですよ。私はそうであってはならないと思うので、ぜひ、安定基金以外の支援策をもっと掘り込んでいただきたいと思いますね。
今、高収益作物の次期作支援の話もされました。しかし、これまた平時の発想なんですよ。
次期作に取り組む高収益作物、野菜、花卉、果樹、茶などということに対して、取組をしてくださった方々には十アール当たり五万円、こういうふうに言われています。一見よさそうに聞こえるけれども、条件がまたこれは平時なんです。生産、流通コストの削減に関する取組をしなさいとか、あるいは品質向上に要する資材の導入に関する取組をしなさいとか、土づくり、排水対策、作柄安定に対する取組をしなさいとか、作業環境の改善に関する取組をしなさいとか、いろいろな条件がついているわけです。
これは平時であればいいですよ、平時であれば。収穫を上げてください、作付をよりよくやってください、効率的にやってください、これはいいですよ。しかし、今、平時じゃないでしょう。どうですか、皆さん。新型コロナの影響を受けた今の私たちが担当している農林水産の状況って、平時なんですか。平時じゃないから言っているんですよ。
これは私、何となく読めるんですけれども、高収益作物次期作支援交付金、すぐに手を挙げる人なんかいないですよ。そんな気分じゃないですもの、今。全く実入りがなくなってどうしようかという状況なのに、こんないろいろな条件をつけられて、さあ来年どうしますかなんて考えないです。
しかも、タマネギは、次期作に向けた苗を買うというのも一つの支援対象になっているんですけれども、もう六月から佐賀県なんかは来年の苗を買い出すんです。もう来年のことは始まっているんですよ、実は。いや応なしに始まっている。始まっているにもかかわらず、今、平時の発想で、あれしろ、これしろ、これしたら十アール当たり五万円上げるぞ、この発想、この条件づけ。
大臣、ここは平時の発想じゃない発想で、条件を緩めて、十アール当たり五万円、こういうふうに政治決断していただくしかないと思いますけれども、どうですか。
○江藤国務大臣 この事業を立ち上げるに当たって、一番自分の頭の中にあったのは、やはりそのときは花でした。花については、例えばタマネギはすき込みをされたというお話もされましたけれども、花についてはすき込みをすることもできずに、これはもう廃棄しなければならない。下手すると廃棄する費用までかかってしまうという事情があって、しかし、これについて国が買い上げるということも、事業で一部は組みましたけれども、大規模にそれを全国的に買い上げるのも難しいということで、何とか次の次期作、例えば十一月になったら今度はクリスマスに向けての需要があるわけですから、それに向かって生産意欲を維持させていただけるような事業を組めないかということでやりました。
しかし、先生も御理解いただけるんじゃないですか。何か事業を組めば、全く要件をつけずに事業を組むというのは、これは財務との交渉上、不可能です。不可能です、正直なところ。もう正直に申しますけれども。
しかし、自分としては、この生産者の方々のところにも農水省の職員を多数派遣をして、このような内容であったらどうですか、皆様方、お取り組みいただけますでしょうかという聞き取りを事前に随分させていただきました。先生の御地元のことはちょっと存じ上げませんが、私のところに、派遣した役所の職員からの報告によれば、こういったものであれば比較的取り組みやすい、ぜひやらせていただけるという反応をいただいたので、やはり公金を、税金を投入する以上は、一定の要件を定めたことについては御理解をいただきながら、自分としては、お花であるとか野菜であるとかそういったところについては、極めて取り組みやすい、ハードルは下げさせていただいたつもりです。
そして、米、麦、大豆のように、ゲタ対策以外のものは全てほぼほぼ対象ですから、私は相当な数の手が挙がってくるのではないかというふうに逆に考えておりますので、次の補正予算等があれば、追加の予算の要求ももしかしたら必要かなというふうに考えておりますが、ちょっとそこら辺は認識のずれがあるのかなというふうに感じております。
○大串(博)委員 きのうの予算委員会でも、安倍総理、二次補正、私たち野党からも、とにかくつくるべし、つくるべしと、全然今やっていることは足りないから、つくるべし、つくるべしと言っているんだけれども、安倍総理もなかなか言葉を濁してはっきりしないんですね。その辺が危機感が緩いという感じがするんですけれども、二次補正の話もぜひしてください。ぜひした上で、先ほど申し上げたように、タマネギに関しても、平時の発想じゃなくて、野菜価格安定基金じゃない形でも支援ができるように、そして高収益作物のように条件は平時の発想でつけるということがないように、ぜひ考え直していただきたいと思います。
花ですけれども、この高収益作物は花のためにとおっしゃいました。花に関して、非常に需要が落ち込んで苦しんでいらっしゃいます、皆さん御案内のとおり。花に関しての支援策、これは余りに手薄なんじゃないかと私は思うんですね。どういうものがありますか。
○江藤国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたけれども、花については、季節性がある、特に四月は、母の日があって、これに向かって皆さん方は一生懸命生産をされていた。しかし、いわゆる緊急事態宣言であれば、町に出るなということであれば、花屋にも行くなということでありますから、私どもとしては、SNSやいろいろな媒体を通じて、私も記者会見等では毎回毎回、お花を買ってくださいということをお願いしてまいりました。それの結果というふうには申しませんけれども、ネットを通じた販売については二割三割、今回は伸びたということであります。価格も若干上向きに戻ってまいりましたが、しかし、厳選出荷をしておりますので、出荷の量自体が下がっておりますから、多少価格が戻っても、数掛ける価格ですから、当然、乗数で収入を見ると、収入が減っている状況は極めて厳しいということは重々承知をいたしております。
ですから、令和元年度の補正予算、元年の補正予算ですけれども、これは、産地生産基盤パワーアップ事業、これを活用させていただきまして、花卉の安定輸出に向けた長期鮮度、品質管理の技術を実証するんだ、こういう名目をつけさせていただいた上で、各産地から花の買上げをさせていただいております。これを保管をして実証実験をやらせていただくという事業が一つ。
そして、今回やらせていただいた緊急経済対策におきましては、いわゆる持続化給付金もやはり使えるんだということをよく知っていただかなきゃならないと思います。
農業者の方々も、青申をやっている方もおられれば、それから白の方もおられれば、青も白もやっていない、だけれども農林水産業によって得られた収入自体はちゃんと報告をしている、税務報告をしているという方もおられます。ですから、こういう方はちゃんと救われるんですよという、この持続化給付金の内容をしっかり知っていただくことは、花の生産農家の方々にも大変必要だと思っています。
そして、公共施設等における花きの活用拡大支援事業としまして、市場から花を直接、またこれも買い上げまして、公共施設、例えば役場とかですね、そういうところにも飾っていただくようなやつもやっておりますし、先ほど申し上げましたネット販売につきましては、送料等についてしっかりと我々で補助をさせていただこうと。
そして、六月にはまた父の日が来ますので、父の日はどうもバラらしいんですけれども、業界の方々とまた相談して、六月に向けての新たな花の販売促進事業、お金を使うばかりが能じゃありませんので、しっかり国民の皆様方の御協力も求めていきたいと考えております。
○大串(博)委員 花に関しても極めて平時の発想なんですね。先ほどおっしゃった令和元年度の産地生産パワーアップ事業、これは令和元年度の補正じゃないですか。新型コロナウイルスが起こる前の予算を流用してという話だから、これまた、いかにも霞が関的な平時の発想なんですよね。
公共施設で花を買っていただく、これはぜひやりましょう。私も、きょう、実は、本当は地元の、母の日のカーネーションをお届けしようかと思って地元に注文しようとしたら、今、運輸業が逼迫して届かないというんですよ。残念でした。申しわけないです。皆さんに次回ぜひ佐賀の花をお届けしますけれども、そういった苦労もされているんですね、花の皆さん。日にちがもたない中でも、でも、運輸も届かないものだから、なかなか外にも出せないという苦しみをされている。
公共施設、予算三十億じゃないですか。花の消費量は年間八千億ですよ。私は本当に、この微々たる量がちょっとだめだなというふうに思うんです。
そして、高収益作物の話も言われました。花を念頭に置かれていると言いましたけれども、これは、実はまさに花をつくっている皆さんの方から、私、この高収益作物支援交付金に関しては、大串さん、これはどうも私たちに合わぬという声がたくさん来ているんです。なぜかというと、十アール当たり五万円だから、花をつくるのは土地利用型というのとはちょっと違うから、十アール当たりと面積でやられると私たちは実入りがないんだ、こう言われるんです。やはり補助金の仕組みとして、いま一つなんですね。
ぜひ、平時じゃない発想で花に関しても支援をしていただきたいし、先ほど高収益作物の次期作支援に関して、私、条件が多過ぎると言いましたけれども、畜産、佐賀県は牛も多いんですけれども、影響を受けています。子牛の価格、今、実は六十万円を切ったという話もあるんですよ。肥育が伸びないから、どうしても子牛も下がる。肥育、本当に、子牛を高い値段で仕入れて、餌代をかけて、枝肉価格が今の状況ですから、マイナスですよ。
この肥育牛経営等緊急支援特別対策事業、これもやってもらっています。これはメニュー方式だというふうに言われますけれども、これも先ほどの高収益作物と同じで、条件が細か過ぎて。畜産農家の方がこれを見られて、これをやり出すとどれだけ金かかるんだ、逆にと、こんなことを言われていますよ。これも平時の発想なんです。
長期的に経営体力をつけるんだというのはいいんだけれども、平時の発想だから、畜産に関しても。ぜひここは考え直していただきたいというふうに、条件を緩める方向で、これを本当に使ってもらうんだったら。これはまた、ぜひ畜産に関しても議論させていただきますから、条件を緩める方向で、第二次補正予算に向けては平時じゃない発想をぜひやっていただきたいと思います。
持続化給付金が大きな柱だとおっしゃいました。正直言って、私、この緊急経済対策、これを穴があくほど、予算委員会の審議に向けて読みましたけれども、農業に関して、まず手元のお金がないんだという農家の方々、今有事に近いから、これに対する支援策ってほとんどないんですよね。先ほどの高収益作物も肥育牛も、今後の飛躍を目指してというセクションに入っているんですよ。今じゃないんです。今のところは持続化給付金だけ。持続化給付金だけで、じゃ、どうなのかと。
経産省にお尋ねしますけれども、持続化給付金、今農家の方々からどのくらい申請が来て、どのくらい採択されていますか。
○鎌田政府参考人 お答えいたします。
持続化給付金につきましては、幅広い業種を対象に百万社以上を支援するものでありますので、業種別の実績については集計していないところでございます。
全体の申請件数につきましては、初日に約五・六万件、二日目に……(大串(博)委員「全体はいいです」と呼ぶ)よろしいですか。
○大串(博)委員 農業の申請数は集約していないと。
農水省、知っていますか。どれだけ農家の方々が申請されているか。どうですか。事務方の方でもいいですよ。
○江藤国務大臣 農林水産省としてどれぐらいの、数は正直、把握はいたしておりませんが、これについては、先ほど申し上げましたように、多くの農業者の方々が、自分は規模も小さいし、小規模であるから対象にならないだろうというような判断をされていることも多い。
そして、農林の場合は、過去一年間の収入を十二で割って、この一月十五日までの期間で所得の低いときと比較していただければ、ほぼほぼこれは対象になる可能性が極めて高いということでありますから、役場とかそういうところだけじゃなくて、JA系統の皆様方にもお願いをして、JA中央会それから全農もいろいろなパンフレット等をつくって周知の御協力もいただいておりますから、あらゆる組織を使って、農業者のもとに、一日も早くこの制度が理解され、そして利用されるように努力をしていきたいと考えております。
○大串(博)委員 もう終わりますけれども、大臣、ちょっと甘いですよ。
農家の方々、私は持続化給付金対象だとみんな思っていらっしゃいますよ。私の地元では、かなりの方々から、俺、持続化給付金対象になるんだな、なれるわと、これはやらなきゃと。そのぐらい売上げが減少していらっしゃるんですよ。減少していらっしゃる。ただ、どうやっていいかわからない。これはオンラインで申請が原則ですよね。わからない。農協の皆さんなんかも御指導してくださるということですけれども、まだまだ農協の皆さんも、どうするのかなみたいなところがあるんです。
これは農水省がしっかり旗振って、農家の方々、基幹的農業従事者の方々、百数十万人いらっしゃるわけじゃないですか。かなりの方が申請されると思いますよ。これは相当、申請手続にもアシストしてあげて、農水省が旗を振らないと私はいかぬと思います。そうじゃないと、農水省、この危機の当面の局面に何をやっているかわからないということになりますよ。
ぜひその辺も踏まえて、かつ、二次補正をつくるべきだと思います。そのときには、条件とか、平時の発想じゃなくて、ぜひ、過去にない発想で、大臣、取り組んでいただきますようお願いして、私の質疑を終わります。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、石川香織さん。
○石川(香)委員 石川香織です。きょうは、十分という時間で大変恐縮ですけれども、質問させていただきたいと思います。
まずは生乳について伺いたいと思います。
牛は、六月ごろまで分娩ラッシュが続きまして、今まさに生産量がアップしているということで、今、牛乳をたくさん飲んでくださいという発信、プラスワンプロジェクトを発信されていると思います。
まず、この効果も含めて、牛乳の消費量はどうなのかということと、また今後の需給バランスの見通しについて、まず大臣にお伺いをします。
○江藤国務大臣 四月に比べて、先生おっしゃるように、二万トンほど増加をいたしておりますが、生乳生産ベースでですね。ということでありますので、プラスワンプロジェクト、いろいろな民間の方々にも御協力いただきながら、きょうの閣議後の記者会見でも、私の方から、非常に山場ですと。五月、それから六月になったら山をちょっと越えていきますから、今が頑張りどころなので、ぜひもう一杯、もう一本お願いしますということをきょうも申し上げました。
この状況につきましては、これらの皆様方の御協力のたまもので、昨年に比べて、大体二週間ベースで一・五トンほどふえましたから、二万トン増加した分については、ほぼほぼそれに見合う分いけておりますけれども、他方、業務用の分が、これにプラスアルファであります。学校給食がこれから順次再開されていくと思いますけれども、それもすぐではありませんので、やはりこの五月いっぱいは極めて緊張が高い状況が続いてまいります。
ですから、我々としては、何としてもこれを無駄にしないということを考えていきたいと思っておりますけれども、保存のきくチーズとかバター等の乳製品を積極的に加工する業者の方々に、キロ当たり五十円という金額を出させていただいて、生産者の努力が無駄にならないように、ましてや生産現場で頭数を減らすようなことにならないように、何とかあらゆる知恵を絞って頑張っていきたいと考えております。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
今のところは、そういった状況を説明していただきました。脱脂粉乳なんかも積み増しされていますし、今、生乳のやりくりをメーカーも含めて一生懸命やっているということで、私の地元の乳業メーカーも、絶対に廃棄はさせないという思いでフル稼働しているということでありました。
依然、予断を許さない状況だと思いますけれども、とにかく絶対廃棄をしないという強い思いを、引き続き、農水省、リーダーシップをとって発信をしていって支えていただきたいと思います。
続いての質問ですけれども、外国人の技能実習生のことについてお伺いをします。
外国人技能実習生なんですけれども、今回のこのコロナのさまざまな影響を受けまして、業種を隔てての実習が可能になりました。この制度は四月二十日からスタートいたしましたけれども、反応としてはいかがでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、法務省では、四月二十日から、特例措置としまして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により解雇等をされ、実習が継続困難となった技能実習生等に対する雇用維持支援を行っております。
具体的には、出入国在留管理庁が、技能実習生などの情報を、就労支援が可能な特定産業分野、これには農業が入りますけれども、特定産業分野の関係機関に提供し、迅速なマッチングを実施。在留資格上の措置としまして、一定の要件のもと、最大一年の特定活動の在留資格を許可することにより、特定産業分野における雇用維持をパッケージ支援しているところでございます。
実習が継続困難となった実習生について、マッチング支援の活用を希望する方から、私どもの現場の方を含めまして、相談や問合せをいただいております。
また、現時点では、本特例措置により特定活動の在留資格の許可を受けた方はおりませんけれども、地方出入国在留管理局において、現在、数十件の申請を受け付けて審査中でございます。
法務省としましては、在留資格許可申請について、迅速に審査を行うとともに、関係機関と緊密に連携を図り、技能実習生などの速やかな再就職を支援してまいりたいと思います。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
技能実習生の救済として非常に、とても大切だと思います。
この技能実習生の中で、まず、実習困難届というものを提出された中から、倒産とか、事業側に理由があるものというもの、これだけを取り出してカウントするというのは難しいということでしたけれども、その後に農水省に情報がおりて、またその後、中央会や農業法人協会などに情報がおりて、その後、農協や監理団体に情報が行って、初めて受入先が変わるということで、ややプロセスが複雑だと思います。
やはりスピード感も求められますし、この制度は、ある程度コロナが終息した後、その余波を受けてのということも考えますと、非常に長期的に有効な手段になり得るのではないかと思っています。
ぜひ、PR方法とかマッチング方法、それから、そもそも人の移動の制限というのも今かかっていますので、そういった課題もありますけれども、農水省との調整もぜひ急いでいただきまして、必要な人に対してのマッチングを地域一体となって取り組めるように、バックアップをしていただきたいと思っております。
最後に、漁業のことについてお伺いをさせていただきます。
ほかの委員からも御質問ありましたけれども、やはり漁業も非常に影響を受けております。インバウンドの減少や輸出の停滞の影響を大きく受けている漁業それから水産加工業なんですけれども、水産物の販売を促進するために、学校給食へ食材を提供する場合は納品する補助を行ったりですとか、在庫が積まれたマグロやホタテなどの販売支援など取り組まれていると思います。
こういった支援は最終的に生産者のためになる制度だと思いますけれども、やはり、今回のこのコロナの影響を直接受けている生産者の収入を支えていくという制度が必要だと思います。
この点について、ぜひ、漁業者、加工業者の方々に励ましの思いを込めて御回答いただければと思います。
○伊東副大臣 新型コロナウイルス感染拡大の影響によりまして、農業者だけではなく本当に漁業者も苦労しているところでありますし、ここ近年は、漁獲の減少ということにもあわせて悩まされているところであります。
この漁業者を支援するために、漁業収入安定対策、いわゆる積立ぷらすがあるわけでありますけれども、この積立ぷらすにつきましては、今申し上げましたように、不漁が続いておって、相当、漁業者の引き出しがここであるわけでありますので、令和二年度補正予算として、この積立ぷらすに百二億円を計上し、基金の積み増しを行ったところであります。これにより、漁業者の減収補填に万全を期すということでございます。
また、この積立ぷらすは、従来より漁業者が一、国が三の割合で積み立てているわけでありますけれども、このうち、漁業者の積立金につきましては、通常、漁期終了後に国費分と合わせて支払いをしてきたものを、契約を維持したまま、積立金については仮払いをすることができるとしたところでもあります。
また、これから契約更新をする方に対しましては、納入期限を超えても積立金の積立てを猶予するといった措置も実施することといたしております。
また、資金繰り対策として、農林漁業者の農林漁業セーフティネット資金等の運転資金の実質無利子化、無担保化、保証料助成等の措置を講じたところでもあります。
なお、中小企業や個人事業者に対する支援措置でもあります持続化給付金につきましては、漁業者も利用可能となっており、関係者への周知を行っているところであります。
今後も、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける漁業者の経営安定をしっかり図ってまいりたいと思っているところであります。
○石川(香)委員 ありがとうございます。
そもそもの不漁と重なって、このコロナの影響もあるということで、ぜひ、持続化給付金、さまざまな質問がありましたけれども、使い勝手のいい制度というふうにしていただきたいと思っております。
では、時間が来ましたので、終わらせていただきます。ありがとうございます。
○吉野委員長 次に、青山大人君。
○青山(大)委員 先日、五月十日、いわゆる母の日でございました。大臣も身近な方に感謝の気持ちも含めて花も贈られたと思いますけれども、今回、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う花卉の需要減少、その需要喚起策と、そして母の日一日に物流が集中しないように分散するという意味でも、いわゆるマザーズマンス、母の月キャンペーン、率直に大臣、トップダウンのこういった御決断、本当にありがとうございました。地元の花卉生産農家も、そして販売者の方も、とても感謝をしておりました。
ちょうどそのやさき、たしか四月の十六日に、我々旧民主党の花き産業振興議員連盟でも総会を開いて、まさに、母の日一日じゃなくて、需要喚起策ということで二週間のキャンペーン、大臣始め政務三役に要望したやさきだったので、二週間から一カ月ということで、本当に感謝を申し上げます。
ただ、母の日は終わりました。まさにここからですよね。なので、大臣、これは一点目ですけれども、もう一度、ことしは母の月ということでまだまだ、花を贈り忘れた方に対して、ぜひどうぞと、そういった発信を重ねて、まず一点目、お願いいたします。
そして、大臣も御承知のように、先ほども大串委員の答弁であったように、どうしても花というのが、需要の時期、ばらつきがありますよね。大体三月、四月、五月ぐらいまでは需要が上がってきますけれども、また一気に下がってしまう。また十二月にちょっと上がる。お店によっては、ピーク時との差が三倍、四倍もあるというお店もございます。
なので、大臣、先ほど答弁でも父の日について少し触れましたけれども、六月は父の月キャンペーンみたいな感じで、やはり、花、年々年々需要が減少している中で、花卉生産者も減っていく。まさにこういったコロナ、大変な状況ではございますけれども、こういったことをきっかけに花の需要をふやしてほしい。
母の月の情報発信、そして六月、父の月キャンペーンも含めて、大臣の御見解をまずはお伺いいたします。
○江藤国務大臣 きょうも閣議後記者会見がありましたので、母の日は終わりましたけれどもマザーズマンスでございます、ぜひお願いしますというふうに言いましたけれども、なかなかメディアの方々もこちらが望むものを流してくれるわけではないものですから、ちょっともどかしいところはありますけれども、本当に口を酸っぱくして、今月中はずっとマザーズマンス、マザーズマンスとあらゆる機会に言い続けたいと思っております。
そして、来月につきましても、私の方で例えばバラの花をというふうに言うとバラに偏ってしまいますので、例えばアレンジの方がいいのかもしれません。そういうことについては、やはり花の団体の方々の御意見をしっかり聞いて、どういう需要喚起をするのかは考えないとまずいと思いますので、もう先週の段階で業界に投げて、業界の意見を聞かせていただいております。
ですから、やはりこれだけ家に家族が集まっているときには、いろいろ、ぎすぎすするようなことも残念ながらあるかもしれませんけれども、花が家に飾ってあることで非常に心も和んだりする場面も、私は当然あると思います。
私、こうしておりますけれども、これは必ず持って帰って、女房に必ず毎日上げるんですが、その瞬間は非常に、なかなか見せてくれない、いい顔をしますので、花の力というのはすごいなと思いますので、五月、六月も、先生方の御意見もいただきながら、先生方からいただいたアレンジメントも、しばらく大臣室に飾った後に、嫁に持って帰りましたら、立派なものでしたので、大変喜んでおりました。大変ありがとうございました。
○青山(大)委員 まさに大臣、本当におっしゃったように、やはり花って人の心を和ませてくれるすごい効果があると思うんですよね。さらに、本当にこういった中で、やはり感謝の気持ちを伝えるという、その一環としても非常にいいと思いますので、ぜひ重ねての発信、そしてキャンペーンの方をお願いいたします。
もう一点ですけれども、先ほども大串委員の方からも、持続化給付金の件がございました。こうやって我々、こういう国会とかにいると、当然農業の方たちも持続化給付金の対象になるということはもちろんわかっていますけれども、やはり現場を回って、今、国会に先生方、もちろん地元に帰られる方もいますけれども、私の場合は東京に家がないもので、私は嫌でも通うしかないので、地元の農家の方を回っていますと、やはり、えっ、持続化給付金って我々農業者も使えるんですかと。そういった声を想像以上に私も聞いて、あっ、みんなやはり知られていないんだなと思いました。
例えば、うちの方ですと、イチゴ農家なんかは、まさにこの二月、三月、四月と、観光農園、イチゴ狩りで一番のピークだったんですよ。これが、観光大型バス五十台キャンセルとか、そんなイチゴ農家さんたち、悲鳴も聞こえてきます。もちろん、当然、こういう状況で売上げが伸びている農家さんもいるのは事実です。ただ、イチゴ農家さんとかメロンとか、減っているところも事実。それで、彼らが本当に持続化給付金を使えることがまだまだ知られていなかった。
そういった中で、たしかきのうの夕方ですか、農林水産省さんのホームページにも、持続化給付金、農業の方たちも使えますよということで丁寧な説明が載りましたけれども、これはやはりもう一回、持続化給付金、農家の方たちも使えますよということはもっと発信していってほしいなと思います。
全国農業協同組合中央会の方にも御協力をお願いしているかもしれませんけれども、含めまして、ちょっと、そういった農家の方への持続化給付金の周知徹底についてどう考えているのか、お伺いいたします。
○江藤国務大臣 先生のおっしゃるとおりだと思っておりまして、なかなか、農家の方々は、規模が小さいと、自分のことを事業者だと思っていらっしゃらない方々も多くて、最初から諦めていらっしゃる方も当然いらっしゃると思います。
先生から御指摘いただいたように、きのうこのようなものをつくらせていただいて、これもかなり、役所につくってもらうと、内容は正しいんですけれども読みづらかったり余りにも細か過ぎたりいろいろあって、ちょっとつくるのに手間取った経緯はありますけれども、これは、ネットに上げるだけじゃなくて、当然ビラにして、各農業者の方々になるべく渡るようにしたいと思います。
基本的に、私が声を大にして申し上げたいのは、確定申告も青とか白がありますが、これはもう当然、所得が確定しておりますから対象になりますし、住民税の申告、これについては、経産省とずっと実はちょっとやっておりまして、経産省の方も住民税を申告してくれていればいいということになりました。ということであれば、農林水産業からの収入を事業収入として報告している人はほぼほぼ全部ということになりますから、そうそう漏れる人はいないという仕組みになったと思います。
しかし、畜産であったり露地であったり施設であったり、花であったり漁業であったり林業であったり、それぞれ業態が違いますので、それぞれの業態別にばらばらにつくらせていただいたので、できる限り、地方農政局も叱咤激励をしながら、今、出勤に対しては半分の人数で役所を回しておりますのでなかなか苦しい部分はありますが、しかし、あらゆる団体、組織、そして我々の地方組織も駆使して、一月十五日までが期限ということもありますので、なるべく、自分としてこの月を採用したら一番申請しやすいという月を選ぶのも、すぐお金が欲しい人はすぐやった方がいいですけれども、その期間についてもまだ知らない方も多いので、周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
○青山(大)委員 今大臣から御答弁あったように、まさに、市町村民税やそういった住民税なんかでも大丈夫ですよという、本当にこれは非常に大きな前進だと私も思います。
ただ、恐らくこれは、なかなか理解している現場の農業の方はまだまだいないと思いますので、本当に、繰り返しますが、全中さんなんかにもちょっと御協力を仰ぎながら、しっかりと、本当に必要な方が必要に申請できるような、そういう体制を整えてほしいと思い、要望を重ねて、私の質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、屋良朝博君。
○屋良委員 立国社の屋良でございます。
きょうは、本当に貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。
前回農水委員会で質問させていただいたときには、豚熱で沖縄も非常に被害に遭っていた中で質問させていただきまして、農水省の対応、そして、豚、沖縄の在来種アグーの保護について、大臣からも非常に前向きな答弁をいただきまして、感謝しております。
きょうは、海の資源、水産資源をテーマに、ちょっとお話をさせていただきたいと思っております。
今、サンゴ礁が非常に世界的に危機に瀕している。国連が推奨しておりますSDGsでも、海の豊かさを守りましょうというふうなことなんですけれども、現状を見てみますと、世界の二〇%のサンゴが既に破壊されておりまして、二四%が人間の圧力、開発行為などによって非常に危機に瀕している、さらには、長期的に見ると、二六%が既に破壊の途に立っている、侵されているというふうなことで、それに加えて、温暖化などが加わりますと、二〇五〇年までには世界の九五%が死滅してしまうであろうというふうに予測されています。
そこで、豊かな海の資源を守りましょうということが全人類的な大きな課題でありますが、今、沖縄で一つ、防衛省が、普天間飛行場を移設するための辺野古の埋立工事、これの計画が変更されまして、大規模な工事になってしまうというふうな状況が今想定されておりまして、この辺野古の海、大浦湾なんですけれども、この写真、皆様にお配りしました資料の一枚目、この豊かな自然が、今、開発の危機にさらされようとしているということでございます。
二枚目をおめくりいただきたいんですけれども、そういう状況の中で何で農水省がかかわってきたのかということでございますけれども、防衛省は、その海域に生息している、埋立現場に生息しているサンゴ礁七万四千体を移植する、サンゴの保護のために移植するということなんですけれども、その移植をするためには、沖縄県から採捕許可を得ないといけない。それで、去年の四月と七月に採捕許可を出したんだけれども、それは沖縄県も、御承知のとおり、なかなか対応に苦慮しておりまして、それで、設計変更も予定されているということを当然知っていますので、その大規模な設計変更前にサンゴの採捕許可を出すことは厳しいだろうというふうなことで、ずっと判断を保留してまいりました。
ところが、ことしの一月と二月に、農水大臣が、とっととサンゴ礁の採捕許可を出しなさいということで、沖縄県に対して勧告をしております。それに従わないので、今度は是正指示を出しているというふうな事態である。それに不服を申し立てている沖縄県は、国地方係争委員会にこのケースを持ち込んだというのが現状でございます。
そして、四月二十一日、防衛省は設計変更申請を沖縄県に提出。その内容は、軟弱地盤を強化するために、くい七万本をその地域に打ち込まないといけない。このために、工期は当初予定の二倍、十二年かかってしまいます、予算も三倍、九千三百億円かかってしまいますよというふうな設計変更でございます。
この右下の写真は私が撮影した普天間第二小学校の写真でございますけれども、校庭の端っこにあるピンク色のこの構造物、これはシェルターでございます。ヘリコプターが飛んできたり、オスプレイが飛んできたりすると、子供たちはこのシェルターに駆け込むんですね、危ないから。そんな状態を十二年、これから続けますよというのが今回の設計変更であります。
それを前提に質問に入らせていただきたいと思いますけれども、今回大臣が勧告、指示を出した段階で、設計変更が予定されているということを御存じでしたか。知っていたか、知っていなかったかということだけで結構でございます。
○江藤国務大臣 オフィシャルに私の方にそのような内容の報告はなかったというふうに承知しております。
○屋良委員 なるほど。それはちょっとびっくりでございます。御存じじゃなかった。去年の十一月に……(江藤国務大臣「オフィシャルにはなかったと。知ってはいたけれども」と呼ぶ)オフィシャルにはなかった。知ってはいた。知っていらっしゃった。
オフィシャルに、沖縄防衛局が農水省に対してそれを説明しています、去年の十一月に。現状も説明していて、それでもって農水省は動き始めているということでございます。
それでは、知っていたという前提で質問を続けさせていただきますけれども、今回のような大規模な設計変更は許可できませんと仮に沖縄県が判断した場合、埋立工事はストップします。それは公有水面埋立法に基づいてそういうふうな手続になるわけですけれども、大臣はそのことを認識しておりましたか。
○江藤国務大臣 公有水面埋立法でしたね、これに基づいて、これは、なかなか長い歴史があるお話でありまして、仲井真知事の時代には、一度は辺野古の方に移転することについては御了解いただいて、翁長知事、そのときの副知事の御判断もあって、裁判があって、平成二十八年の十二月に、このときは国が勝訴をしました。しかし、その後、玉城デニーさんになって、そしてその設計変更があって、かなりいろいろな変化があるので、設計変更について沖縄県がどのような判断をされるかについて、私が予断を持ってああだこうだと言うことはできませんけれども、そうなった場合において、これが特別採捕を認めないという理由にはなかなか直結はしないのではないかというふうに思っております。
○屋良委員 済みません、今、特別採捕の話とはちょっと話がずれておりまして、今回沖縄県が設計変更を認めないと仮定した場合、工事がとまってしまうというのは当たり前のことなんでございます、今の手続法によりますと。そのことを大臣は知っていらっしゃったのか、認識なさっていたのかというのが私の質問でございます。
○江藤国務大臣 この工事がとまるかどうかについての判断をするのは当然私ではありませんので、そのことについては、予断を持って私の方から答弁することは差し控えさせていただきます。
○屋良委員 それはおっしゃるとおりで、沖縄県が判断するわけでございますから。
ただ、沖縄県が判断した場合、工事はとまっちゃう。工事が進まなくなれば、サンゴの移植は不要となるわけですね。ただ、恐らくそういうふうにはならないでしょう。多分、沖縄県が反対をするということに対して、防衛省はそれを裁判で争うことになります。これまでもそうでございました。それで、沖縄県の主張が認められれば、埋立工事はとまってしまいます。工事の一過程であるサンゴの採捕を許可するか許可しないかということは、その次の判断になるわけですね。工事が進むかどうかは、今よくわからないような、宙ぶらりんの状態になるかもしれないということでございます。
それで、今後裁判になるというふうに仮定した場合、裁判で沖縄県の主張が認められる可能性を否定するあるいは否定できる根拠は何でしょうか。
○辰己政府参考人 現在、設計変更の申請を防衛省からしておりますが、これに当たりましては、技術検討会、環境監視委員会、専門家の方々からの助言も得て詳細に検討しておりますので、沖縄県において適切に判断していただけるものと承知しております。
○屋良委員 まだ適切な判断が出されていない段階でございます。
工事が進むということを前提に、サンゴの採捕に絡んで農水省が勧告、指示を出す、それは、裁判の判断を先取りして、恐らく沖縄県が負けるであろうというふうな判断の前提に立った上でなければ、今回のような勧告、是正指示は出せないと思いますが、大臣、どう思いますか。
○江藤国務大臣 最初に申し上げておきますが、参議院の予算委員会だったと思いますけれども、私がこのような勧告、指示を行ったことは、工事をもっとがんがん進めなさいということを後押しする趣旨で行っているものではございません。これをまず申し上げておきたいと思います。
そして、私としましては、沖縄県の漁業調整規則に基づいて採捕の許可を出すかどうかが判断されるわけでありますが、この規則をつくる根拠法は漁業法と水産資源保護法ですから、これは私の、農林水産省の方で所管する法律ですので、この法律に基づいて、これは自治事務ではなくて法定受託事務ですから、国は一定の関与をしっかりしなければならないということが法的に担保されているわけであります。
ですから、このことについて国が口を出すことは、裁判の先行きを予見してやっているというふうなことではなくて、これは、あくまでも法律に基づいて、最初勧告をさせていただいたけれども、なかなかお答えをいただけない、そして、二月の何日だったでしょうか、知事の方からはっきりノーというお返事もありましたので、今に至っているということでございます。
○屋良委員 知事がノーと言ったということは、設計変更が出された場合、知事はそれも拒否するであろうということは容易に想定がつくわけですね。設計変更に対して知事がノーと言えば、工事がとまる可能性があるわけです。それで、裁判になっちゃう、裁判の判断を待たないといけないわけですね。漁業法と水産資源保護法というのはその後の判断じゃないかというふうな気がするわけです。
そこで、恐らく、標準処理期間のこととか、あるいはサンゴの緊急避難であるというふうなことを議論なさると思いますけれども、今この時点において、まだ設計変更が認められるか認められないかということがわからないこの時点において、是正の指示に至る農水省の一連の対応については、司法の判断を軽んじる高圧的な姿勢を示すものであり、極めて独善的な行政運営であると断じざるを得ないと私は思いますけれども、大臣、釈明があればお願いします。
○江藤国務大臣 そういうものではないと先ほど申し上げました。
私も、このサンゴについては、しっかり、資源の保護法と漁業法に基づいてこれを守らなければならないと思っています。
例えば、この時点で、設計書変更が出されておりますから、いつ工事が着工されるかについてはまだ予断を持って申し上げることは避けますけれども、採捕許可をいただけたからといって、すぐに採捕に移るというわけでは、これはありませんので。
しかし、行政の流れとして、勧告はさせていただいて、そして、もともと、四十五日間という、それは沖縄県さんが定められた期間ですよ、この期間を百日以上も過ぎて、これも二回、四月、七月、二回やっておりますから、この期間を大きく超えて、それでもお返事がいただけないということに対して、何のレスポンスも農林水産省としてしないということであれば、これはまさに行政の怠慢ということになりますので、これは法律に基づいて粛々とやらせていただいたというふうに御理解いただければと思います。
○屋良委員 標準処理期間を経過してずっと対応が沖縄県からなされていないので、農水省はそのレスポンスとして、サンゴ礁の採捕を認めなさいという勧告を出したわけですね。
これって、知事の一次判断権を著しく阻害して、過大な干渉じゃないんでしょうか。関与の制度趣旨を逸脱するものとして、私は今回は農水省の方が違法な状態だと思っていますけれども、どう思いますか、大臣。
○江藤国務大臣 いや、繰り返しの答弁になりますけれども、私のところで漁業法と水産資源保護法を所管しておりますので、ですから、この法律に基づいて私は職務を遂行させていただいているわけであって、知事には知事の地方自治法に基づく権限があることは重々承知しておりますが、この特別採捕につきましては、法定受託事務というくくりで、自治事務ではありませんので、我々は、一定の関与をするということについては、法的な論理性に矛盾はないというふうに考えております。
○屋良委員 百歩譲って、この段階で勧告、是正指示を出すのであれば、早く審査をして許可か不許可かはっきりさせた方がいいんじゃないですかというふうな勧告であれば、すっと入ってきます。
ところが、工事が進むかどうかというのは、これからの議論の進展あるいは裁判の進展によってでしか明らかにならないんですね。この段階で大臣が、どんどん工事を進めなさいということではないとおっしゃる大臣が、結果的にサンゴの採捕を認めなさいというふうなことを言うということは、やはり沖縄県の判断権を奪っちゃっている、過大な国による自治権への介入ではないか。私はこれは大きな問題だと思っております。
改めて伺いますけれども、その点、どうでしょうか。
○江藤国務大臣 国と地方はそれぞれの役割がありますので、沖縄県の自治に基づくものについて干渉する意図はそもそも持っておりません。
そして、今、三月三十日に国と地方の係争処理委員会に審査が提出されて、この審査の最中でもあります。そして、その後に、四月二十一日に設計変更を県に申請しているという時系列でありますので、そのもっと前の段階で私としては勧告、指示を行っております、一月と二月ですから。ですから、これの時系列の並びを見ていただくと、そのような御批判は当たらないのではないかというふうに考えております。
○屋良委員 四月二十一日に防衛省が設計変更を申請したということも驚きでございました。全国的なコロナの被害で緊急事態宣言が出されているさなか、何の前ぶれもなく、一千八百ページにも及ぶ申請書をどんと沖縄県に持ってきて、そのとき担当者は隔日出勤のテレワーク中だったんですね。だから、急いで事務所に上がっていくというふうな、そんなやり方だったんですよ。
そういうふうなことを行政として一自治体に、しかも、沖縄県もコロナで、その当時も大変な時期でありました。そんなさなかに、埋立てをがんがんやりなさいというふうなことを防衛省がやっていて、その側面支援をするようなことを僕は農水省ではやっていただきたくない。ましてや、水産資源を守る立場の農水省の仕事ではないと私は思っております。
ここで、標準処理期間という言葉が何度か出ましたけれども、総務省に伺います。
標準処理期間を規定する行政手続法の解説書が行政管理研究センターから出版されていますけれども、読んでみますと、一般的に、処理期間を経過したときでも、期間はあくまでも目安にすぎず、申請者が行政庁、申請者というのは今回は防衛省ですね、行政庁というのは今回は沖縄県の場合です、申請者が行政庁から何らかの応答を受けることを保障するものではないと解釈されている。申請に対する処分が標準処理期間を経過したからといって、そのことのみで直ちに不作為の違法に当たることにはならないと考えられるというふうにこの逐条解説では書いておりますけれども、そのとおりでしょうか。
○吉開政府参考人 お答え申し上げます。
行政手続法六条の規定に関しまして、今先生が御指摘いただきましたように、逐条解説に書いてあるとおりでございます。
標準処理期間を経過しましても申請に対する処分がなされていないことのみをもって、直ちにその不作為が違法に当たることになるものではございませんけれども、違法性の判断に当たっての考慮要素の一つにはなり得るというふうに考えております。
○屋良委員 今回、農水大臣が行った勧告、是正指示には二つの大きな理由があったと思います。この行政手続法に基づく処理期間を大きくオーバーしているということが一つ。もう一つは、埋立てが進んだらサンゴが壊されちゃうから、それを保護するために移植をするんでしょう、だから、その移植に対して異議を唱えている沖縄県の判断は余りにも適正を欠く、公益を害しているから、それが違法状態であるというふうな判断だというふうに、農水省の国地方係争処理委員会に出した答弁書には書いてあるんですね。
この二つの大きな理由なんですけれども、いま一つは、処理期間がオーバーしたからといって、それが直ちに違法状態でない、違法状態にはならないよというのがこの法の解釈なんですよ。もう一つ、サンゴの移植なんですけれども、移植の技術はまだ確立されておりません。これが常識なんですね。
サンゴ礁の移植、保護について水産庁に伺いますけれども、水産庁の漁港漁場整備部が発行しております有性生殖によるサンゴ増殖の手引きというのが、去年三月に改訂されたものがあります。これは水産庁が出しているものなんですけれども。サンゴ礁の移植には二種類ある。一つは、生きたサンゴを採取して別の場所に持っていく、これが無性生殖法と言われている移設方法でございます。もう一つは、サンゴ礁というのは動物なんですよね。卵を産むんです。一斉に産むんです、月夜の夜に。それを集めて、一つ一つ種苗をつくるんですよ、苗床をつくるんですね。それで養生して、それで大規模にこれを植えていくというふうなやり方、これが有性生殖法と言われているものです。
この二つの方法があるんですけれども、この手引書によると、無性生殖法によるサンゴ礁の回復は十分でないというふうに書いてあります。だから、水産庁は有性生殖法の技術開発を進めているところだというふうにちゃんと書いてあるんですね。
沖縄で、これまでに多くの無性生殖による移植が行われてきました。移植後の生存率はどれほどなんでしょうか。水産庁、お願いします。
○辰己政府参考人 現在我々がやっている移植におきましては、九群体、オキナワハマサンゴというものでございます。これについては、沖縄県知事から許可を得て移植をしているものでございます。現在、九群体を移植しましたが、六群体、これについては生存した状態をキープしています。二群体は死亡して、一群体は流失をしているという状況でございます。
あと、これは国交省の方から以前国会で答弁があったと思いますけれども、移植サンゴが生き残っている割合というのは、小型サンゴは四〇%、大型サンゴは一〇〇%、そういうふうなことが国会で答弁されていると承知しています。
○屋良委員 水産庁が出しているこの手引書によると、これまで沖縄で移植あるいは移設されたサンゴ群体は三十万株を超えるが、多くのサンゴの植え込み四年後の生存率は二〇%以下であるというふうにちゃんと書いてあります。
九群体を移して六群体生存している。しかし、この生存の判断基準も曖昧です。それは、防衛省が設置した環境監視委員会の議論の中にも、そういうふうにはっきりと委員は指摘している。そもそも移植の有効性、ある委員は、移植三年後の生存率が四〇%以上を目指すべきである、ほかの事業が目標に達していないのであれば、移植自体が避難措置として適切でないというふうに指摘しております。
この報告書を読んでみるとびっくりします。知見がない、サンゴの生態について知見がない、サンゴの移植について知見がないという言葉のオンパレードなんですね。
例えば、今、六群体健康であるというふうな答弁がございましたけれども、健康状態を判断する基準、ある委員は、学術的な知見のない中での判断であり非常に厳しいというふうに言っております。
報告書の中に、健康状態であるというふうな報告をされている六群体の写真が載っております。これは、ほとんど死滅しているんだけれども、ある一部分が生きていれば健康だというふうに防衛省は判断しているんですね。これはおかしいでしょう。ほとんどもう白化している状態だけれども、一部分だけが生きていればそれは健康であるというふうに判断しているけれども、委員はそうは言っていない、判断する知見がないと言っているんですね。
移設する先の移植先、これは重要ですよ。環境が違うんですから、サンゴ礁が今後生きていけるかどうかということの大変重要な判断基準になるんですけれども、委員は、一般的なサンゴの生育環境に何が良好かを判断する知見は今のところないというふうに言っているんですね。
そんな状態で、七万四千体、その中にオキナワハマサンゴとミドリイシというのが含まれています。これは絶滅危惧種なんですね。トキとかそういったものと一緒ですよ。そういった生態系の中で生きている植物あるいは動物をどこか移す方法とか、その成功例とか、成功する確率とかわかっていないのに、どんどん移しましょうというのが今のやり方なんですね。これは、SDGsの精神にも反するし、漁業法、水産資源保護法の精神にも反すると思います。
大臣、もう時間が来ましたので、最後にこの一点、どうお考えなのか、お答えください。
○江藤国務大臣 いろいろ、これまでの実績等、生存率等も大変勉強になりました。やはり、私がこの二つの法律に基づいて勧告、指示を出させていただいたのは、あくまでも、辺野古の建設を更に促進してくださいという意図ではなくて、漁場を守り、そして美しい海を守るという観点から移設が必要だろう、移植、採捕して移すことが必要だろうということでありますので、きょういただいた御指摘をしっかり胸にとめて、また勉強させていただきたいと思います。
○屋良委員 今回の事業、十二年かかるということだけで、これは事業の合理性、政治的な目標を喪失してしまったような事業なんですね。
お願いします。この事業に、日本の農林水産業を育成していく立場の農水省がかかわっていただきたくないということをお願いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う農漁業対策の拡充について質問します。
まず、江藤大臣に伺います。
この間、宿泊それから宴席、イベントのキャンセルが相次ぎました。そして、ホテルや飲食店を始め、農産物の納入先がなくなって、生産者は塗炭の苦しみの中にいます。既に廃業に至った方もおられます。報道を見ていても、廃業する農家がふえていくのではないか、町の漁業は終わってしまうなど、生産者の悲鳴が次々に上がっています。国民への食料供給に頑張っている生産者を廃業そして離農に追い込むことは、絶対にあってはならないというふうに考えます。
コロナ感染拡大に伴う、この死活問題に対する大臣の対応と決意について、まず最初にお伺いします。
○江藤国務大臣 まさに、これだけ世界じゅうでコロナが猛威を振るいますと、自国で食料を生産することの大切さというものが更に広く国民の間で理解されたというふうに思っております。そういう要望が国民の間で広がっている中で、生産基盤の崩壊を招くようなことは避けなければならない。
しかし、なかなか将来に光を見出せない方が、廃業に追い込まれそうになっている。そして、漁業者の方も、もう既に海に出ないと。魚はおるけれども、出てとったって売れないし、ガソリン代、いわゆる燃料代にもならぬから、漁に行くことをもうやめているんだ、私の地元でもそういう人はおります。そういう方々をどういうふうに支えることができるかということは、非常に日々悩んでおります。
今回の補正予算についても、先生方からの御指摘の中では、ALICの予算を加えれば五千四百億ほど積ませていただきましたけれども、なかなか行き届かないところが大いにあることは十分私も考えておりまして、足らざるところは反省しなければならぬと思っております。しかし、これをまず現場で御活用をいただいて、そして国民の方々の御期待に応えながら、そして、農家の方々がまさにエッセンシャルワークフォースとしてこれから将来にわたって頑張っていけるような施策を、今回の補正予算だけではなくて、もしかしたらもう一回あるかもしれませんので、それに向けても更に検討を進めているところでございます。
○田村(貴)委員 大臣、悩んでおられるとおっしゃったので、何点か提案させていただきたいと思います。
まず、肉牛農家の窮状を紹介したいと思います。岩手県の前沢牛は、一頭売っても手取りが、五十万円だったものが五千円になってしまった。餌代、水光熱費、税金も払えない。宮城県では、一時期、A5ランクの肉がキロ二千円を切る事態となっている。岐阜県でも、飛騨牛が高山市場でキロ二千円を切り、芝浦の市場ではキロ千七百円を割った瞬間もありました。宮崎県でも、八十万円で導入した子牛を育てたのに、三月に出荷したら八十八万円の値しかつかず、これまで三十万円以上かかった経費が丸々赤字となった、こういう状況であります。
そこで、農水省に、牛マルキン、肉用牛肥育経営安定交付金制度について伺います。
農水省は、ALIC事業の一環として、生産者負担金の納付を猶予するとしています。では、お伺いしますけれども、肥育農家が経営難で納付金を猶予され支払わなかったときに、交付金は従前どおり九割交付されるんでしょうか、確認したいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
生産者負担金の納付猶予でございますけれども、これは生産者負担金を納付猶予と言っておりますが、後で支払う必要はございませんでして、実質免除と同じでございます。
したがいまして、生産者負担金を支払わなくても、マルキンが発動したときには国費の分は支払われるということでございます。交付金の四分の三が交付されるということになる次第でございます。
○田村(貴)委員 それだったら、やはり緊急時の支援策にならないと思いますよ。だって、二十五カ月ぐらい一生懸命育てていただいた、今は厳しいから、農家の皆さん、納付金は猶予します、払わなくてもいいですよ、しかし、国が責任を持って交付金は九割払いますよというのがやはり緊急時の政策だと思いますよ。大臣、そう思われませんか。
昔、貸し渋り、貸し剥がしという言葉があったけれども、これは出し渋りじゃないですか。これを聞いたら農家の方はやはりびっくりしますよ。こういうときだからこそ、四分の一の負担金の支払いは免除する、そして国が全額責任を持ちますよと。そして、九割の補填も十割ぐらいに引き上げてこそ、やはりこの緊急時の対応策だと私は思うんですよ。検討されたらいかがですか。これだったら従前と変わらないと思います。
そして、これだけしたとしても、農家の利益は出てこないのであります。生産コストと販売価格、この乖離は埋まらないのであります。経営を維持するためには、大きなやはり制度の拡充が必要です。さらに、交付金は出るのに二カ月かかります。待っていられないという声が全国各地から上がっています。岐阜県では、肥育をやめる人も出てきたと伺っています。
大臣、離農者が現瞬間、出ています。緊急事態に即応した、この肉牛農家の支援策、強化すべきじゃないですか。
○江藤国務大臣 極めて厳しい御指摘をいただいたと思っております。
制度設計上、本来であれば、一対三の一の部分をお支払いいただかなければマルキンのお金は出ないというのが制度上の仕組みでありますけれども、今回は支払いの猶予をして、四分の三という数字にはなりますけれども、これを出させていただくということは、今までにない支援策であります。しかし、その分の、支払い猶予した分を払ったとみなして四分の四払うべきだという御指摘は、私もそういう意見を聞いたことは正直ありますので、私の胸にはとめさせていただきたいと思います。
それから、早く払えというお話でありますけれども、これはやはり生産費の計算もありますし、地域マルキンのところもあれば全国マルキンのところもあり、それぞれの地域の事情がそれぞれあります。これは公金を、やはりALICのお金といえども、これは支出するわけでありますから、積算して、きちっとした根拠に基づいて数字を出さなければなりません。これはどんなに急いでもやはり二カ月はどうしてもかかります。
そして、今度出すものが、三月のものが五月に出ますので、大体二カ月ありますけれども、これは東日本大震災のときから毎月出すということになっておりますので、生産者の方々からしてみれば、毎月毎月マルキンが発動されているというふうに受けとめていただけておりますので、できるだけ早くする努力はさせていただきたいと思いますが、生産者ベースでいうと、毎月マルキンも発動されているというふうに御理解をいただけるんじゃないかと思っております。
○田村(貴)委員 胸には届いたということであります。しかし、大臣なんですから、胸の中にしまっておくんじゃなくて、これはやはり実践に踏み出していただきたい。
先ほどからずっと議論が続いています。経済がとまって、流通が途絶えているんですよ。農家の方は全然悪くない。だけれども、どうしようもないんですよ、売れないから、価格が下がっているから。だから、平時でない緊急時のそれに即した対応が必要だと言っているわけです。牛マルキン制度一つとっても、大幅にやはり制度を拡充すべきじゃないですか。そのことを要求しておきます。
漁業も深刻であります。
北海道、青森のホタテは輸出がストップしています。北海道のエビ、タコ、ナマコ、青森のサクラマス、岩手のドンコ、ケガニ、千葉のカジキ、対馬の養殖マグロ、アワビ、サザエ、アナゴ、愛媛、香川の養殖ダイ、沖縄のマグロと、いずれも価格が三割から七割下落し、また、市場でも値がつかない、航空便が欠航などの理由で休漁を余儀なくされているところもあります。大臣も先ほど、休漁の話を出されました。
水産庁にお伺いします。
魚価の下落に対する対策の中心に、漁業共済、積立ぷらすがあります。そもそも、漁業者のうち、漁業共済に加入している割合はどのくらいなんでしょうか。数字を示して教えてください。
○山口政府参考人 お答えいたします。
魚価の下落等により収入が一定以上減少した場合に収入補填を行うのが漁業収入安定対策事業、積立ぷらすでございますが、この加入率につきましては、平成三十年度におきまして、生産金額ベースで七四%でございます。
○田村(貴)委員 漁業者に占める割合を聞いているんですよ。金額ベースで七四%、ずっとこれしか言われないんですよね。そうすると、今漁業者がどういう窮状に置かれているかという実態がわからないじゃないですか。漁済がある、積立ぷらすがある、制度も拡充していると。だけれども、実態がわからないと、やはり制度というのはできてこないと思いますよ。
漁に出ても燃料代にならないと、出漁を諦める漁業者も多いわけです。そうした漁業者の実態、どのぐらい把握されていますか。今、漁に出られない、そして、出ても魚が売れない、だから支援を求めておられる方が漁業者のどのぐらいおられて、そして漁済に入っておられない方はどのぐらいいるのか、これはちゃんと示していただかないと、実効ある政策、実効ある対策は確立できないんじゃないですか。
その実態について把握されていますか、水産庁。
○山口政府参考人 今回のコロナウイルス感染症によりますことを含めまして、インバウンド需要や輸出が減少しているというお話につきましては、各地の漁業者の皆様、また漁業団体の方々からのお声を我々も伺っておるところでございます。
数として幾つかということにつきましては、残念ながら承知しているところではございません。
○田村(貴)委員 そこで、大臣にやはり要請しますけれども、漁業者はこの積立ぷらす、漁済に入っていなかったら、あとはもう融資ぐらいしかないわけですよね。非常にやはり手だてが薄いと言わざるを得ない。そして、その実態についても、どのぐらいの方が漁済に入っているか自体についても、私たち、教えてもらえない。こういう実態ですよ。もっと把握すべきだと思います。
そして、大臣、魚価の下落を補填するなどの直接の支援策、この際、やはり緊急時ですから、検討して取り組んでいくべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 魚価の下落分について支援するというのはなかなか、制度上、正直難しいです。物によって全く違う。
例えば、私たちがふだんから食べているような大衆魚についてはほぼほぼ価格の変動は見られませんが、高級料亭等で使われるようなノドグロとか、大間のマグロとか、それとかウニとか、そういったものは本当に半額とか三分の一の値段でしか、豊洲ドットコムあたりでも流通しておりますけれども、売られているような状況でありますから、これについて何とか支援したいという気持ちは私自身も強く持っております。しかし、それをピンポイントでこの魚種だけやるということは正直厳しいというのが正直なところでございます。
先ほどから、長官から答弁がありましたけれども、積立ぷらすに入っていない方もおられます。この実数を把握する努力はせねばならぬと私も思いますけれども、今入っていない方についても、ぜひ入っていただきたい。
そして、もう一つ申し上げたいのは、持続化給付金については、漁業者の方々はこれも確実に対象となりますので、持続化給付金についても、浜の方々にちゃんと内容を説明して、しっかり申請をしていただいて、給付を受けられるような体制を整えていきたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 持続化給付金、当然であります。これは一回じゃなくて連続してやっていただくことも要請したいと思います。
そして、大臣、直接のやはり支援が難しいと言うんですけれども、これはやっていますよ、外国では。その話をしたいと思うんですけれども。
その前に、政府の一次補正の概算を見たときに、物すごい、私、違和感を感じたんです。なぜならば、これを見て初め説明を受けたときに、農水省の対策のトップは、農林水産物の販売促進、飲食業の需要喚起、そして一ページ目に、もう既に非難ごうごうの、ゴー・トゥー・キャンペーンによる需要喚起と書いてあるんですよ。そして二番目には事業継続と雇用維持がありますけれども、労働力の確保と融資などの資金繰り、先ほど述べたALICの事業であります。
今最も必要とされているのは、生活となりわいを維持するための直接支援であると考えます。
農水省の補正予算は五千四百四十八億円であります。一方、アメリカではどうでしょうか。国立国会図書館に調べていただきました。
農家への直接支払いが一兆七千二百億円、五%の価格下落が生じた場合、損失額の八五%を補償する。そして、農畜産物の買上げ、出てきましたね、農畜産物の買上げ、配給に三千二百億円、野菜、果物、乳製品、食肉をそれぞれ百億円ずつ買い上げてフードバンクに供給する。さらに、主に穀物を対象とした価格暴落対策の財源を補充するために一兆五千億円。図書館で調べていただきました。さらに、低所得者、児童への食料支援、二兆六千八百億円を含めると、アメリカの農業、食料支援額は六兆二千億円にも達するんです。桁が違います。考えが違います。対策の中身が全然違います。
緊密な関係のアメリカがこれだけの対策をやっているんだったら、日本でもやったらどうですか。できないわけないと思いますよ。緊急事態に何としても農家を救おうという構え、これがやはり感じられません。離農、失業者は出さない、そうおっしゃるんだったら、やはりこれだけの直接の支援をやっていかないと、これはもう大変な窮状に追い込まれてまいります。
生産者への大規模な直払い、連続した農産物の買上げ、こうした対策をやはり二次補正も含めて打ち出すときに来ているのではないでしょうか。最後に大臣にこのことを質問しておきたいと思います。
○江藤国務大臣 今先生が、米国の分について六兆円というふうなお話だったんですけれども、これはフードスタンプの分も入れた数字ですよね。(田村(貴)委員「はい、説明しました」と呼ぶ)ですよね。ですから、いわゆるこの緊急対策の分は二兆三百三十億円と私は承知いたしております。
米国と比べて日本の数字の面で競争するつもりはありませんけれども、米国の農業の総産出額は四十一兆六千億ということであると、この予算規模は、全体に見る割合は四・九%になります。一方、日本は総農業産出額が九兆一千億ですから、今回立ち上げた五千四百億余りの予算は六%に当たりますので、決して、アメリカの予算の規模に対して日本の内容が見劣りをするというものではないということは申し上げておきますが、ただ、内容について、直接支払い的なことを入れる、それからフードバンクへの供給等を入れるということについては、これはしっかり勉強しなきゃいけない部分もありますが、なかなか日本の場合とアメリカの場合と若干事情が違いまして、この内容についてはまた精査をさせていただきたいと思っております。
○田村(貴)委員 時間が来ました。
きょうあすの生活に困っておられる生産者を今すぐ救済、支援すべき対策を急いで確立することを強く要求して、質問を終わります。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、森夏枝さん。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス対策について質問をさせていただきます。
まず、新型コロナウイルスによりお亡くなりになられた皆様にお悔やみを申し上げますとともに、現在も治療中の皆様、そしてさまざまな被害を受けておられる皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、医療関係者の皆様を始め、最前線で御活躍いただいている皆様に対しまして、心から感謝と敬意を申し上げます。
連日、私のところにも、新型コロナウイルスで多大な影響を受けている方々から悲鳴のような声が届いております。緊急事態宣言後、自粛要請により百貨店や飲食店などが休業となり、農業、漁業者も大変な影響を受けておりますが、農林水産省として、新型コロナウイルスによる影響について、現状をどのように把握、認識されているのでしょうか。
○横山政府参考人 お答え申し上げます。
委員からも御指摘がございましたとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、いろいろな自粛でございますとか、あるいは学校の休業に伴って給食需要がないといったようなこともございます。また、観光客の方が来られないといったこと、そういったさまざまな要因から、例えば和牛や高級水産物等の価格の下落や取引の減少、卒業式やイベントの中止などによる生花の、花の需要の大幅な落ち込み、インバウンドの減少などによるイチゴ等の観光農園への来場者の激減等々といった事態が発生してございます。
我々、日本政策金融公庫から、特に融資面での状況を逐次聴取させていただいておりますけれども、その中では、五月八日現在で千三百五十九の先から融資の申込みが寄せられているというふうに承知をしてございます。
○森(夏)委員 融資についてはちょっと質問はまだしていなかったんですけれども、資金繰りが困難となった事業者の方が大変多くおりまして、こういった方への支援策についても質問をさせていただきたいと思っております。
雇用調整助成金の申請に関しては、提出書類が煩雑で大変評判が悪いですけれども、農林漁業者向けの支援において申請手続などのサポートはしっかりとできているのでしょうか。支援が必要な方が申請できるように、申請時のサポート体制というのは整っているのでしょうか。この支援策について教えてください。
○江藤国務大臣 確かに、公金を支出するわけでありますから、財政民主主義の原点にのっとって、しっかりとしたある程度の審査が必要なことは御理解をいただきたいと思います。
しかし、農業者の中には大変高齢者の方々もおられますし、書類を見ただけで断念してしまう方もおられることを大変危惧いたしております。そういった方が、本来であれば持続化給付金の対象になるのに諦めてしまうようなことがないように、私としては、農政局の出先の方々にも、待っているのではなくて、こちらの方から、あなたもこういう対象になりますからこれで申し込んでくださいと、プッシュ型とは申しませんけれども、こちらの方から御案内するような形で持続化給付金については細かな説明をするようにという指示をいたしております。
幸い、例えば三カ月中ということであれば非常に厳しいですけれども、期間としては一月十五日まで期間がありますので、早く手元に資金が欲しい方は急がれる必要がありますけれども、ある程度そうでもない、農業でも、例えば白菜とかキャベツなんかは逆に価格が上がって収益が上がった方もおられますし、先生がおっしゃったように、観光農園の方は非常に厳しいところもあるわけでありまして、そういう業態によってそれぞれ御判断をいただいて、しかし、本来資格がある方が受けられないことがないように、我々の組織はもちろんですけれども、農業団体やいろいろなあらゆる組織を駆使して周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 大臣、ありがとうございます。
持続化給付金についてはしっかりと申請を受けられるように周知徹底をしていただけるということですので、支援が必要な方がしっかりと支援が受けられるように、サポートもしっかりとお願いをしたいと思っております。件数も大変多く、時間はかかると思いますけれども、一日も早く手元に届くようにしていただきたいと思います。
連日、行き場をなくした多くの野菜や果物の廃棄処分が行われております。
ある農家の方からお聞きをしましたが、タマネギを、ことし四千万円分の売上げを見込んで育ててきた二十町分を、全て廃棄処分をしないといけないそうです。保険を掛けておられたので約一千万円は入るようですが、三千万円の赤字となるようです。持続化給付金を申請して二百万円をもらっても全く足りないそうです。十数年前にも災害に遭い、五千万円の被害を受け、近年やっと立ち直ってきたところに、今回のコロナにより全て廃棄処分となる見込みのようです。
厳しい状況にあっても、経営者の方は、自分のことではなく従業員の生活だけは何とかしてほしいとおっしゃられておりました。タマネギは土にすき込むそうですが、業者に引き取ってもらうものもあり、廃棄処分に処理費、搬入経費がかかります。
出荷調整の必要性も理解はしておりますけれども、日本の食を支えてきてくださった農家の方々が借金を背負いながら大切につくってきたものを廃棄処分をする、本当につらいことだと思います。
今、失業者がふえ、きょうあすの食事がままならない方もいらっしゃいます。特別定額給付金、十万円の支給も始まりましたが、まだまだ全国民の手元に届くまでには時間がかかります。給食食材に関してはフードバンクを利用するなどの支援策があると聞いておりますが、飲食店の休業により、需要減により野菜などの廃棄処分がふえておりますが、支援策はないのでしょうか。
廃棄処分を減らす取組について伺います。
価格は安くはなってしまいますが、食品ロスをしない、廃棄処分をしない方法として、国が安く買い取り、配送料を国が負担して、生活に困っている大学生や失業者に野菜や牛乳を届けることはできないのでしょうか。こん包作業や配送作業においても雇用が生まれると思いますが、食品ロスの観点からも農林水産省としてできることはないでしょうか。
○塩川政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のとおり、今回の新型コロナウイルスの感染症の影響で販売先がなくて未利用となった食品が生じているということでございますが、我々は食品ロス削減の観点から、フードバンクへの寄附などを通じまして食品としての有効活用がされるように取り組んでいるところでございます。
具体的には、食品関連事業者で発生する未利用食品の情報を農林水産省の方で集約をいたしまして、全国で今約百三十ぐらいフードバンクがございますが、そこに情報提供を行っておりまして、具体的にしっかりそこで集約をしているところもあるところでございます。
また、先生、今、買上げというのはなかなか難しゅうございますが、輸配送費につきましては、学校給食の休止に伴って発生した未利用食品につきましては、令和元年度予備費、今先生御指摘のとおり、支援しておりますが、それ以外の新型コロナウイルス感染症の影響で発生しました未利用食品につきましても、地方自治体が、地方創生臨時交付金、これは令和二年度の補正予算で措置されているものでございますが、この活用の際に、実施計画に定めた場合にはこれで支援することが可能となっているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
一生懸命育ててきたものを廃棄処分するというのは、お金の面だけでなく精神的にきついと思います。農家の方々の心が折れないように、これからも頑張れるように、国としてもできる限りの支援をお願いしたいと思っております。今の支援では全く足りておりません。実際に、大量の廃棄処分をしている一方で、きょうあすの食事に困っている人のもとに支援が届いておりません。ぜひ、さらなる支援をよろしくお願いいたします。
先ほどお話もありましたけれども、給食に関して、「食べて応援学校給食キャンペーン」では、政府の負担で送料無料があったと思います。今、新型コロナウイルスの影響で廃棄処分を考えていたものをインターネットで割安で販売しているサイトをよく見かけます。買って食べて支援をする。買う側もお得に購入ができ、生産者も廃棄処分を避けることができるというので、よい取組かと思います。しかし、送料はかかります。
今後、ネット販売についても送料の支援など行っていただきたいと思っております。また、SNSをうまく使うことのできない高齢者に対しての支援などは何か考えられているのでしょうか。ネット販売の促進について伺います。
○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、今、新型コロナウイルスの影響を受けまして、さまざま在庫の滞留ですとか価格の低下、売上げの減少などが顕著な牛肉、花卉、果物、林水産物等につきまして、販売促進を支援することとしてございますけれども、その一環といたしまして、農林漁業団体ですとか個々の生産者が行いますネット販売での送料支援を行うということにしているところでございます。これまでそういうサイトをお持ちの方はなれていらっしゃると思うんですけれども、今御指摘があった高齢者のような方々、まだ経験されていない方々もいらっしゃるというふうに思います。
今回の事業は、複数のインターネットサイトを束ねるプラットフォームをつくりまして、そこに登録すれば送料を支援するということで、生産側、消費側にも非常にメリットのある施策でございますが、その中にはJAグループですとか全漁連などが運営いたしますサイトも含まれる予定でございまして、そういうなじみのある団体に御相談いただくですとか、そういうプラットフォームのところに御相談いただく、また地方農政局の相談窓口等でも相談を受け付ける。そのようなことで、なれていない方々にもそういう機会を与えていきたいというふうに考えてございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
ぜひ、丁寧なサポートをしていただいて、少しでも廃棄処分を減らせるように、多くの農家の方々を助けられるように、取り組んでいただきたいと思います。
青山委員からもお話がありましたけれども、今月を母の月とする取組、大変すばらしいと思います。五月十日が母の日だと荷物が集中しますので、配送業者の方が大変な負担であったと思います。
私自身も、お花や和牛を、母の月ということで日付の指定をせずに母やおばに送りました。お花は、千葉県の農家さんで昨年の台風被害から何とか守り切って育ててこられたアジサイで、今回のコロナの影響で全てキャンセルになり、行き場をなくしたアジサイということで、少しでも応援になればとネットで購入させていただきました。和牛も、オリンピック需要にあわせてふだんより多く育てていた農家さんから、行き場をなくしたものを購入をいたしました。五月もまだ半月以上ありますので、農水省を挙げて母の月をPRしていただき、今後も日本のおいしいものを買って送っていただきたいと思っております。
六月も父の月としてどんどんPRをしていただき、この行き場をなくした農水産物の販売促進に力を入れていただきたいと思っております。特に父の月は毎年忘れられがちで、私自身もことし知りましたが、父の日には黄色いバラや黄色いお花を贈るそうなのですが、どんどん発信をして皆さんにお花以外のものも贈っていただけるように、大臣も引き続きのPRをよろしくお願いいたします。
次に、失業者の就職支援について大臣に伺います。
新型コロナウイルスの影響により、長期休業中の方や失業者がふえ、生活に困っておられる方が大変ふえております。また、外国人技能実習生の来日ができておらず、人手不足の問題もあります。
失業者に対して、農林水産分野への就職支援やマッチングについて、農林水産省としての取組を教えてください。
○江藤国務大臣 大変、特に東北の方に今産地がシフトしてきておりますので、東北の方に行きますと、特に野菜農家は規模の大きいところが多くて、そういうところであると大変マンパワーを使う、一時期に集中してマンパワーを使う。そして酪農の方も、今はもう外国人の技能実習生の力がなければ酪農経営も厳しいというのが現実です。それから、水産の現場も、特に水産加工場あたりは外国人の方々の就労状況が非常に多かった、そこでも大変困っているということであります。
今回の補正で措置したのは、農業労働力確保緊急支援事業、これによってやらせていただきます。交通費、宿泊費、研修費、労賃等のかかり増し経費についても出させていただきますし、先ほど申しました水産分野につきましても、水産業労働力確保緊急支援事業、これがありますので、これによって、職を失った方、それから外国人労働者、そして、例えば私の田舎だと、高千穂あたりの旅館で働いている仲居さんとか、そういう方々は大変農業にも精通している方が多いので、そういう方々が非常に喜ばれておりますので、そういうマッチングでかかり増し経費等を見ることによって、そういう方々のウイン・ウインの関係、雇用する側も雇用される側も喜ばれるような体制を組む、その仲立ちをしっかりやらせていただきたいというふうに考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
失業して生活に困っておられる方、たくさんいらっしゃいますので、就職支援マッチングもぜひお願いいたします。
時間となりましたので、最後に質問を準備しておりましたが、できませんでしたけれども、ゴー・トゥー・イート・キャンペーンについての質問を準備しておりました。このキャンペーンというのは、コロナウイルスが終息して、国民が外食しよう、観光しようという気持ちになったときの後押しにはなると思いますが、今困っている方々に一日でも早く支援を届けることが必要ですので、このキャンペーンを実施する前に多くの方々が廃業してしまわないように、全力を挙げて支援のほど、よろしくお願いいたします。
以上で終わります。ありがとうございました。
○吉野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会