第14号 令和2年5月27日(水曜日)
令和二年五月二十七日(水曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 吉野 正芳君
理事 池田 道孝君 理事 齋藤 健君
理事 野中 厚君 理事 細田 健一君
理事 簗 和生君 理事 石川 香織君
理事 近藤 和也君 理事 濱村 進君
泉田 裕彦君 稲田 朋美君
今枝宗一郎君 上杉謙太郎君
大西 宏幸君 岡下 昌平君
金子 俊平君 神谷 昇君
木村 次郎君 小寺 裕雄君
佐藤 明男君 坂本 哲志君
笹川 博義君 繁本 護君
鈴木 憲和君 高鳥 修一君
永岡 桂子君 西田 昭二君
鳩山 二郎君 福山 守君
古川 康君 古田 圭一君
宮腰 光寛君 宮路 拓馬君
浅野 哲君 大串 博志君
神谷 裕君 亀井亜紀子君
佐々木隆博君 佐藤 公治君
長谷川嘉一君 広田 一君
緑川 貴士君 山岡 達丸君
石田 祝稔君 田村 貴昭君
森 夏枝君
…………………………………
農林水産大臣 江藤 拓君
農林水産副大臣 伊東 良孝君
農林水産大臣政務官 河野 義博君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 塩川 白良君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 横山 紳君
政府参考人
(林野庁長官) 本郷 浩二君
政府参考人
(水産庁長官) 山口 英彰君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 春日原大樹君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
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委員の異動
五月二十七日
辞任 補欠選任
木村 次郎君 佐藤 明男君
谷 公一君 鳩山 二郎君
古川 康君 繁本 護君
宮路 拓馬君 大西 宏幸君
青山 大人君 山岡 達丸君
同日
辞任 補欠選任
大西 宏幸君 岡下 昌平君
佐藤 明男君 木村 次郎君
繁本 護君 古田 圭一君
鳩山 二郎君 谷 公一君
山岡 達丸君 浅野 哲君
同日
辞任 補欠選任
岡下 昌平君 宮路 拓馬君
古田 圭一君 古川 康君
浅野 哲君 青山 大人君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
森林組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)(参議院送付)
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○吉野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、森林組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省食料産業局長塩川白良君、生産局長水田正和君、経営局長横山紳君、林野庁長官本郷浩二君、水産庁長官山口英彰君及び経済産業省大臣官房審議官春日原大樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○吉野委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。西田昭二君。
○西田委員 皆さん、御苦労さまでございます。
自由民主党の石川三区選出の西田昭二でございます。
きょうは、久方ぶりに農林水産委員会での質疑の機会をいただいたわけでございます。初めて江藤大臣に質問する機会をいただきまして、大変光栄に思っているところでございます。
本当に、新型コロナウイルス発生により、多くの方々が大変な状況で苦しんでいるところでございます。また、ここにおいでる委員の先生方は、二カ月余り地元に帰れない、大変つらい状況であるかと思います。一日も早く、皆さん方の協力のもと、コロナに打ちかち、すばらしい地元を行き来できるように、これからも皆様方とともに協力をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
質問に入ります前に、現在、新型コロナウイルス感染症に現場で本当に果敢に闘っておいでる医療従事者、そしてまた関係者の皆様方に心から感謝と敬意を申し上げますとともに、感染症によってお亡くなりになられた方々、そしてまた引き続き治療を行っている方々に、お悔やみとともにお見舞いを申し上げるところでございます。
今週の月曜日、五月二十五日、安倍総理より、全ての都道府県について緊急事態宣言が解除の発表がなされたわけでございます。残念ながら、これまでのような生活様式に戻るのにはまだまだ時間がかかると思いますが、今回の緊急事態宣言の解除には全国民の大きな協力があったことだと、改めて深く感謝を申し上げるところでございます。
今回の新型コロナウイルス感染拡大により、全国的にさまざまな業種に影響が出ておりますし、もちろん、農林水産業に与える被害も甚大でございます。国による支援策については、速やかに実施をされなければなりません。
私の地元であります石川県の森林組合連合会からの話によりますと、石川県の林業分野においては、現在のところ、新型コロナウイルス感染症による大きな影響は出ていない状況ではあるそうでありますが、もともと県産材の価格の低迷や後継者不足で厳しい状況が続いているところ、今後、住宅需要が下がり、国産材の需要減少、原木価格の低下につながることも懸念されていることからも、国を挙げて、住宅分野を含め、国産材の需要を喚起する対策を講じていく必要があると思っております。
また、業界からは、人口減少が見込まれる中、林業従事者の確保は重要な課題であることから、林業分野が景気悪化により職を失った方や新卒者の受皿となることも視野に、人材確保への支援について要望等もいただいているところでございます。また、これから梅雨、台風シーズンを迎え、大雨による山崩れや流木災害などのリスクも高まっていく中、休むことなく継続的に山の手入れを行っていくことは極めて重要であると考えております。
コロナウイルス感染症の終息後をも見据えて、木材の生産や、山を守るため、引き続き山村で働いていただくためにも、働く場がなくなってしまう方々の雇用確保、維持は重要な課題と考えております。
このため、自由民主党による「令和二年度第二次補正予算の編成に向けて」、提言のとおり、主伐など木材生産を行っていた素材生産者や森林組合の方々の雇用を緊急時に確保するために、木材生産を伴わない森林整備、すなわち保育間伐や植林などの対策を講じる必要があると考えております。私の地元、石川県森林組合連合会を始め、多くの地域から同様な要望が届いております。ぜひ、政府としてこれらの点についてもしっかりと対策を講じていただきたいと思います。
また、第一次補正予算で措置された輸出原木保管等緊急支援事業においては、輸出向け原木の一時保管費用等の支援を行うこととなっておりますが、輸出向けではない原木についても支援の対象とするべきではないかと考えております。江藤農林水産大臣の見解と、二次補正に向けての決意をお伺いをさせていただきます。
○江藤国務大臣 大変長期間にわたって影響が出ておりまして、一次補正を組んだときと、山を取り巻く環境も大きく変わってきたと思っております。
一次補正では、輸出について、保管費について見るということで対策をやらせていただきました。あとは腐食防止等について見させていただきましたが、国内で県間の移動も厳しい状況の中にあっては、しかも家を建てるに当たっては、いろいろな資材、例えば、電気が届かないとか、いろいろな設備が整わないことによって民間住宅もなかなか建てられない状況にあるということであれば、国内での木材の需要に対する支援も二次補正では必要だというふうに思っています。
先生がおっしゃいますように、山においても、保育間伐とか、それから、今、皆伐によって植林がなされていないような山がありますので、そういった山で働いていただく。雇用の確保というところにも焦点を当てて二次補正はやりたいというふうに思っております。
ですから、輸出のみではなくて、国内への対策に加えて、今、山で切っても、例えば宮崎県も含めてですけれども、九州では二割ぐらい原木価格が下がっています。今の時期に無理して切って出しても、利益が出ません。ということであれば、今やるべきことは、山に入って下草を刈ったり、地ごしらえをしたり、枝打ちをしたり、間伐をしたり、山の環境をよくすることに山の方々の力をかりたいと思っています。そういった方々の人件費も含めて、今回の二次補正では手当てができないか、最終的な調整に今入っているところでございます。
○西田委員 ありがとうございます。
大臣から林業分野における人材確保や国土保全における森林整備の推進について力強いお言葉をいただいたわけでございますので、引き続き政府として対策を講じていただきたいと思います。
それでは、森林組合法の一部を改正する法律案に入らせていただきます。
この背景には、戦後造成された人工林の本格的な利用期の到来や、近年における森林経営管理制度の創設等を受けて、地域の林業経営の重要な担い手である森林組合は、森林経営管理制度の担い手である意欲と能力のある林業経営者として、森林の経営管理の集積、集約、木材の販売等の強化、さらに、これらを通じて山元への一層の利益還元を進めていくことが必要とされておりますが、具体的にはどのような形を目標としているのか、伺いたいと思います。
○伊東副大臣 森林組合の組合員が所有をします森林の面積は、民有林面積の約七割を占めているところであります。森林組合は、今大臣からもお話ございましたように、植林、下刈り、間伐といった森林整備の主な作業につきまして、これは重要な位置を占めておりまして、受託面積の約六割を占めるなど、これまでも林業の主要な担い手として、山村地域の活性化等に大いに貢献をしてきたところであります。
今後は、森林経営管理制度の創設等を受けまして、まさに意欲と能力のある林業経営者、委員今おっしゃられましたように、ここが大事でありまして、ますます大きな役割を果たすことが期待されているところであります。
このような中で、先生の地元であります石川県内におきましては、四組合まで合併が進展をいたしまして、経営基盤の強化が図られているところであります。また、石川県森林組合連合会におきましては、地元の大型合板工場への原木を安定供給するため、県内森林組合からの木材流通の取りまとめを行っているところでもあります。
今回の法改正におきましては、新たな連携手法によりまして、石川県のような合併が進展した地域におきましても、需要の変化に応じて機動的に対応し、価格交渉力の向上を図ることにより、山元への一層の利益還元を図ることができるよう措置することといたしております。山元への一層の利益還元を図りながら、組合員の再造林の意欲を高め、地域の森林整備に取り組んでいただくことで、農林水産省といたしましては、循環型の資源管理の実現を目指していきたい、このように考えているところであります。
○西田委員 ありがとうございます。
私も時折、組合長のもとを訪れて、その実情をお伺いをさせていただいております。本当に木材の価格が低迷する中で、やはり人手不足、いろいろな施策をしていただきながらも、本当になかなか昔のいい時代には戻れないな、そんな愚痴を聞くことの方が多いんですけれども、しっかりと利益を発生させ、そしてまた経営基盤をしっかりと強化しながら進めていただくことをお願い申し上げるところでございます。
今回の法改正において、組合間の多様な連携手法の導入について幾つかの項目がございますが、まず、これまでの合併による経営基盤の強化による手法についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
森林組合の合併は、全国で町村合併が進められたことを背景に、一九五五年前後から着手されており、その後、一九六三年から二〇〇一年度までの間は森林組合合併助成法による後押しを受けるなど、規模拡大による経営基盤の強化を図る目的で進められてきました。その結果、一九五四年度には五千二百九十八であった森林組合の数は、二〇一七年度末時点には六百二十一となっておりますが、これまでの合併による経営基盤の強化について、達成状況、評価について伺いたいと思います。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
森林組合の経営基盤強化については、合併の取組により、一組合当たりの組合員の所有面積が拡大する、あるいは一組合当たりの事業利益が増加する、一組合当たりの常勤役員数が増加する、こういう結果でございまして、昭和五十年度では黒字の組合が全体の約五割にとどまっておりましたけれども、平成二十九年度には全体の約八割の組合が黒字となっている、そういう成果があると評価しております。
一方で、大規模化する製材工場等に対して素材生産量の小さい組合も依然として相当数ございますし、全体の約二割の組合はまだ赤字であるといった課題もあると認識しているところでございます。経営基盤のさらなる強化が必要になっていると考えております。
○西田委員 五割から八割に至って経営が安定してきたという、黒字化ということのお話をいただいたわけでございます。まだ二割が経営が脆弱ということでもありますので、やはりしっかりと経営基盤を引き続き強化をすることが必要であろうかと思っております。引き続きの取組にお願いを申し上げるところでございます。
今回の法改正において、森林組合の多様な連携手法として、新たに、事業譲渡、吸収分割及び新設分割の制度を導入することとしておりますが、これらの制度を導入することにより、どのような効果が期待できるのか、また、具体的にどのように変わるのか、しっかりとした周知の必要も重要であると考えております。
あわせて、これまで推進されてきた合併による経営基盤の強化という手法は、事業譲渡等の制度の導入された後にはどのような位置づけになるのか、伺いたいと思います。
○河野大臣政務官 森林組合の経営基盤の強化を図る上で、引き続き合併の手法は有効であるというふうに考えてございますけれども、近年は、その合併が一定程度進展したことに加えまして、地理的に広域化には限界がある場合などがあること、また、森林組合を残したい地元市町村や地元組合員との関係などから地元調整が進まない場合があること、そして、一部の事業の連携によりまして効果は期待できるものの、組合間の財務格差がある場合や、一方の組合が他方の組合の不採算部門の引受けを嫌うようなケースがあること、こういったことなどによりまして、合併を進めることが難しい地域もあるといった状況でございます。
このため、引き続き合併にも取り組みつつ、合併を進めることが難しい地域につきましては、事業ごとの連携強化が可能となるよう、事業譲渡に加えまして、吸収分割、新設分割といったいろいろな連携手法を取り入れるということとしているものでございます。
こうした連携手法を導入することによりまして、販売事業における販路拡大や価格交渉力の向上などマーケティング力を強化をし、販路拡大に伴う素材生産や森林整備など事業全体の取扱高を増加をさせる、こういった効果を期待をされているところでございまして、これらを通じて山元への一層の利益還元を図ることといたしております。
森林組合系統には、合併や今回導入される新たな連携手法のそれぞれの特徴をよく御説明申し上げまして、それぞれの状況に応じた連携手法が選択されるよう、都道府県とも連携をしつつ取り組んでまいりたいと考えてございます。
○西田委員 引き続き、新たな制度の周知徹底、そしてまた連携を強化をして進めていただきたいと思います。
次に、組合員の資格についてでありますが、現行の森林組合法では、森林所有者たる個人と同一世帯に属する者で当該個人が森林所有者である森林についてその委託を受けて森林の経営を行うもののうち、当該個人が指定する一人の者を後継者として正組合員にすることができる制度になっておりますが、現状では、三九%の森林組合においてこの後継者規定が全く活用されていない状況にあります。この理由についてしっかりと確認し、改善をする必要があると考えます。
この点について、今回の法改正によりどのようなことが期待されるのか、伺いたいと思います。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
現行制度においては、森林所有者に加え、同一世帯に属する者のうち森林所有者から指定を受けた一人について正組合員となることを可能としております。しかしながら、子が所有者と同一世帯に属し得ないケースがふえていること、配偶者と子など複数の者が経営に参画している場合に、一人しか指定できないことにより、指定が行われにくく、配偶者や若年者が組合員になりにくいといった課題がございます。
このため、若年層や女性の参画を促進し、多様な意見を取り入れ、組合を活性化していく観点から、同一世帯に属する者を推定相続人に改めるとともに、指定を受けることができる人数の制限を設けないこと等、考えているところでございます。
○西田委員 法改正後は、全ての組合が使いやすい制度に改善を、ぜひとも願いたいと思います。
今回の法改正では、後継者規定の要件緩和として、推定相続人について、森林所有者の指定により正組合員となる資格を有することとされております。このことは、将来の森林所有者がわかりやすくなるとともに、推定相続人が相続の発生前から森林組合の運営に参画できるといったメリットがあると言われております。これに加えて、同一世帯に属する者及び一人の者という要件を撤廃することで、より効果が期待できるとのことでありますが、要件を緩和することにより、森林所有者と同居していない、その委託を受けて森林の経営を行う者にまで広げる場合においても一定のルールが必要と考えます。
確かに、現行法では、道を挟んで居住している親族等を後継者として指定できないという不自由さがあることは承知をしております。その点からも非常に有効な改正だと考えますが、同時に、不適切な法の運用が起こらないように、しっかりとした周知や啓発が必要であると考えます。
例えば、東京などの都市圏に居住し、就職や就学等をしている方で、その本人が残念ながらその意思を持ち合わせていないような場合については、このような点についてどのように対策をとっていくのか、伺いたいと思います。
○本郷政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正により森林所有者と別世帯の者も正組合員となり得ますが、森林の経営に参画している者である必要があることは今と変わらないところでございます。
新たに組合員となるのは、多くの場合、近隣に居住している子供であると考えておりますけれども、インターネット等の手段を活用して遠方から森林組合の経営に参画する者が組合員になることももちろんあると想定しております。森林の経営に参画している者でございますので、森林管理や森林組合の活動に関心を持ち、積極的に関与していただけると考えておりますけれども、農林水産省といたしましては、組合運営の活性化に向けて、御懸念のような事態が発生することのないよう、今回の制度改正の概要や趣旨について現場への周知徹底をしっかりと図ってまいるとともに、各森林組合でPRを行い、森林組合の活動に関心を持ってもらう、そういう取組をさせていきたいと思っております。
○西田委員 ぜひとも幅広い方々に森林経営に携わっていただき、経営の改善、そしてまた、その森林をしっかり守っていただきたいと思います。
本法律では、森林組合等は、理事の年齢及び性別に著しい偏りが生じないように配慮しなければならないという規定が追加されることになっておりますが、現在、森林組合の理事の年齢構成は、六十一歳から七十歳が最も多く、全体の約五〇%、次いで七十一歳から八十歳が約三五%を占めている状況でございます。また、森林組合の正組合員に占める女性の割合は一〇・四%となっており、役員に占める女性の割合は〇・五%となっております。
地域によってさまざまな事情があることは理解をしておりますが、今回の法改正により、理事の年齢及び性別に著しい偏りが生じないように配慮しなければならないとすること、この点について具体的にどの程度の目標を定めているのか、伺いたいと思います。
○本郷政府参考人 お答えいたします。
森林組合における若年層や女性の参画については、森林組合系統が自主的に取り組んでいただくことが重要であると考えております。そのためには、本年秋に策定される系統運動方針において系統としての数値目標が決定されることも重要であると考えており、農林水産省としても系統に働きかけてまいりたいと考えております。
また、若年層や女性が理事となって若年層や女性の参画が促進され、組合の活動が活性化している事例等を紹介し、横展開を図ることによって系統の取組を後押しするなど、取組状況の進展の度合いに応じた適切な対応を行うことにより、若年層や女性の参加の一層の後押しを行ってまいりたいと考えております。
○西田委員 後継者世代の拡充と女性の参画の拡充や理事会の活性化などを図るために、整備はしっかりと進めていただきたいと思います。
本法律では、事業体制の強化について、組合員の生産する林産物そのほかの物資の販売の事業を行う森林組合等の理事のうち一人以上は、林産物の販売若しくはこれに関連する事業又はこれらの事業を行う法人の経営に関し実践的な能力を有する者でなければならないこととするとありますが、実践的な能力を有する者というのは具体的にどのような者なのか、また、そのような人材をどのように確保していくのか、これらの点についても伺いたいと思います。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
販売事業等に関し実践的な能力を有する理事については、販売に関して実務経験のある者や経営の分析が可能な者などが当たると考えております。具体的には、各組合で実態に応じて判断していただくことになりますが、組合の販売事業において中心的な役割を担っている職員ですとか、木材共販所などに勤務した経験があって、木材販売に関してノウハウのある者などを登用することが想定されます。
令和二年度予算において新たに措置した、これからの林業経営を担う人材の育成を図るための予算も活用しながら、実践的な能力を有する理事の育成、確保を推進してまいりたいというふうに考えております。
○西田委員 森林は国土の礎そのものであると思います。恵み豊かな生活を享受するためには、森林が豊かであることが何よりも大切でありますし、そのためには、森林整備をしっかりと進め、森林組合の組織運営に係る制度の見直しをすることは極めて重要でございます。
引き続きそのことを求めて、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
本日は、森林組合法の改正案について質疑を行いたいと思います。
まず、組合間の連携手法につきましてお伺いをいたしますが、これまでも合併は可能ということで、森林組合同士が合併することは可能でございました。今回改正される案におきましては、事業譲渡であったり吸収分割あるいは新設分割が新たにできるようになるということでございます。
先ほど西田先生からの質問にもありましたが、合併については効果があったというような答弁もあったわけでございますけれども、合併は、これまで、一組合当たりの生産量は増加、増大してきたわけでございますし、森林組合の経営基盤の強化には大変資するものであったと私は認識をしております。これについて、まず、農水省としては、経営基盤強化についてはどのように評価されておられるのか。
そしてまた、合併では解消できなくて、事業譲渡、吸収分割、新設分割が可能でないとなかなかできないんだと。つまり、どのような課題があって、それを乗り越えられないという現状であったのか、この点について伺いたいと思います。
○河野大臣政務官 まず、合併の効果でございますけれども、濱村委員御指摘のとおり、森林組合の経営基盤に関しましては、合併の取組によりまして、一組合当たりの組合員所有林面積が拡大をし、事業利益が増大をし、常勤役員、職員数が増加した結果、昭和五十年度では黒字の組合は全体の約五割でしたけれども、平成二十九年度には全体の約八割の組合が黒字となるといった成果があるというふうに私ども評価をしてございます。
一方で、大規模化する製材工場などに対して素材生産量の小さい組合も依然として相当数あるほか、全体の約二割の組合が引き続き赤字である、こういった課題もあるというふうに認識をしております。
森林組合の経営基盤の強化を図る上で、引き続き合併は有効な手段であると考えておりますけれども、近年は、合併が一定程度進展したことに加えまして、地理的に広域化に限界があるといったこと、また地元調整が進まない場合があるということ、そして、一部の事業の連携により効果は期待できるものの、組合間の財務格差や不採算部門の引受けを嫌う場合がある、こういったことなどによりまして合併を進めることが難しい地域もあるところでございます。
このため、引き続き合併にも取り組みつつ、合併を進めることが難しい地域につきましては事業ごとの連携を可能とし、特に、販売事業について価格交渉力を持てるようにすることによりまして、その利益を山元に還元されるよう取り組んでいただくことが重要と考えております。
○濱村委員 合併を行うことで五割から八割まで黒字の組合がふえたということは非常に重要なことでありますし、そしてさらに、この残りの二割、まだ黒字化されていないようなところ、今政務官から御発言あったとおり、素材生産量が小さいような組合については、なかなか独力だけでは難しいということなのであろうと思っております。
そうした中において、吸収あるいは事業譲渡、こうした形をとる、あるいは新設分割をしていくと。不採算部門の引受けなどなかなかしにくいというような話もございましょうから、こうした連携手法が新たに生じることによって工夫がなされることと期待をしております。
続いて、組合において事業損益はどのように考えるべきなのかという点についてお伺いしますけれども、近年は素材生産量自体は増加しているということでございますが、販売部門の割合は、森林組合においても、森林組合連合、県森連とかでございますけれども、増加をしているところでございます。
現状の事業の柱というのは、森林整備部門と販売部門、この二つの部門で全体の九割を占めているということでございますけれども、今回、この法改正によって、全体の取扱高というのは、全体のパイですね、これ自体が増加するのかどうか、また割合が変化するのかどうか、この点についてどのように予見されておられるのか、伺いたいと思います。
○本郷政府参考人 お答えいたします。
森林組合系統における事業の取扱高については、近年の人工林資源の充実に伴い、素材生産に積極的に取り組んだ結果、主に販売部門の取扱高がふえたことにより、増加傾向にございます。
このような中で、今回の法改正においては、複数の組合の連携による安定供給体制の構築を可能にするための広域的な連携手法の導入、販売事業に精通した理事の配置の義務づけ等により、山元にとって有利で安定した価格で買ってもらうためのマーケティング力の強化、収益性の向上を図ることとしております。これらにより、今後の全体の取扱高のさらなる増加が図られるものと考えております。
一方で、事業ごとの割合がどのように変化するのかについては、地域の実態によりさまざまであると考えております。
今回の法改正により、地域の林業経営の重要な担い手である森林組合が販売事業を拡大し、山元への一層の利益還元を図りながら、組合員の再造林の意欲を高め、地域の森林整備に取り組んでいくことが重要だというふうに考えております。
○濱村委員 山元への利益還元をしっかりと果たしていく、この目的を達成するということが非常に重要なわけですが、地域によって、森林整備が多いところであったり、あるいは販売までつなげられるところがあったり、さまざま事情が違うということもございましょうから、なかなか一概に言うのは難しいんだろうというふうには思いますが、全体のパイを大きくしていくこと、これは重要だと私は思っております。ぜひ、そのために、農水省としても林野庁としても、取組を後押しをお願いしたいと思います。
続いて、専用契約の廃止についてお伺いをしたいと思いますけれども、もともと三十四条ということで専用契約の規定があったわけでございますけれども、今回、これが廃止されることとなりました。
そもそも専用契約というものが一体どのようなものであったのか、それで、なぜ今回この改正の中で削除されることとなったのかということ、この点について伺いたいと思います。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
専用契約につきましては、組合と契約を締結した組合員がその組合の事業の一部を利用する義務を負うというものでございまして、その趣旨は、森林組合の事業量を確保し、経営の安定を図ろうとするものでございます。
しかしながら、専用契約は、組合員にとって、その契約期間中、利用できる事業が組合のもののみに限定されるといった強い義務が課されるものであります。組合の経営の安定は、経営の合理化や合併などのほかの手段によって図ることもできます。現場で活用されておらず、今後も活用される見込みがこの専用契約にはないことから、廃止することとしたものでございます。
○濱村委員 今長官から現場で活用されていないという話がございました。これは確かに、義務を負うというところで非常に強力な制限がかかる、制約がかかるわけでございますが、なかなか活用されていなかったので今回削除いたしますということでございます。それはもう、活用されていないんだったらいいかなと私は思っております。
続いて、事業執行体制の強化について伺いたいと思います。
これについては、法でいえば大体第四十四条のあたりに書かれていたりするわけでございますけれども、今回、販売事業、販売部門がしっかり伸びていくことが山元への利益還元の重要なポイントだということであるので、販売に精通している方が理事に加わるとか役員に加わるとか、そういうことも事業執行体制の強化として取り組まれるというわけでございます。今回、四十四条の十項で、林産物その他の物資の販売の事業を行う組合にあっては、理事のうち一人以上は、販売若しくはこれに関連する事業又はこれらの事業を行う法人の経営に関し実践的な能力を有する者でなければならないとしております。
こういう形で、販売に精通している方が役員に入るということを言っているわけですけれども、これはあくまで販売を行う組合の場合のみであって、組合の行う事業が森林整備事業だけですよというような場合とかは対象外なのかどうかという点について伺いたいと思います。
○本郷政府参考人 お答えいたします。
これまでの森林組合法においては、販売事業等に関し実践的な能力を有する理事を配置すべき旨についての規定を置いておりませんでしたが、山元への一層の利益還元を図るためには、販売事業に精通した理事を配置することも重要でございます。
今回新設する第四十四条第十項は、これを法律上明文化し、森林組合のマーケティング力の強化を促進するものでございます。
このため、このような理事を配置することが求められる組合は販売事業を行う組合に限ることとしており、御指摘のような森林整備事業だけを行い販売事業を行わない組合については対象外と考えております。
○濱村委員 これは、今後、この改正を受けて、森林組合の皆様が、今まで森林整備をしっかりやってきたよという方々も継続して安定的に森林整備の事業についてはやっていただけるものということだと私は理解をしております。
この改正を受けて、森林整備部門と販売部門とそれぞれ、森林組合の皆様にとっては大事な大きな事業の柱であるわけでございますので、その安定性を損なってはならないということは、もう一度念押しをしておきたいと思っておりますし、何も全部が全部販売をしなきゃいけないとかというわけでは決してありませんよということが重要だなと思っております。
ちょっとなかなか、誤解をしておられるわけではないんでしょうけれども、そういうことにならないように確認をさせていただいたわけでございまして、今の森林組合の置かれている状況をよく把握するならば、やはり森林整備部門は取扱高でいっても全体の半分以上を占めるわけでございますので、しっかりこれを安定的に組合として運営していっていただく、このことを森林組合の皆様にもお願いを申し上げたいというふうに思っているところでございます。
最後の質問になりますけれども、これはちょっと形式的なところになってしまうわけでございますが、施行期日について伺いたいと思います。
今回の法案は施行期日が決められているわけでございますけれども、この施行期日について少し伺いたいと思いますが、令和三年四月一日から施行するということとなっているわけでございます。ただ、これについて更に追加的に規定されていることとしては、この法律の施行の際に現に存する森林組合等についてはということで、ただし書きがあるわけでございます。
これはどういうただし書きなのかというと、事業の執行体制の強化に関連して、販売を行う組合の理事に販売のプロを入れる規定であったりとか、あるいは年齢や性別に著しい偏りが生じないよう配慮するという規定、これは四十四条の十項であったり百九条三項が関係する、四十四条の十一項のところ、これは年齢、性別の偏りが生じないように配慮規定があるわけでございますけれども、こうした規定については、施行の日から起算して三年を経過した日以降最初に招集される通常総会の終了のときまで適用しないこととすると書いてあるわけでございますので、そのときに初めて適用してくださいと。
つまり、次の通常総会のときにはしっかり準備して適用してねということなんであろうかと思いますけれども、これは組合役員の任期は三年ということもあろうかと思いますけれども、このような規定にしたところについて、その背景、理由について伺いたいと思います。
○本郷政府参考人 お答えをいたします。
今委員お話しのとおり、本改正法の施行期日は令和三年四月一日としておりますが、理事の配置に係る規定については、御指摘のとおり、経過措置を置いているところでございます。
これは、現行法第四十五条第一項の規定により組合の役員の任期が三年以内において定款で定める期間とされていることを踏まえておりまして、改正時の、施行時の理事について、この規定を理由に任期満了前に改選を求めるといった事態が生じないよう、系統組織と議論をした上で、施行日から起算して三年を経過した日以後最初に招集される通常総会の終了のときまでは適用しないこととしたものでございます。
○濱村委員 ありがとうございます。しっかりと理由について確認できたというふうに思っております。
いずれにしても、この森林組合法を改正してどういうことが求められるかというと、やはり、製材用材がしっかりと使われる環境をつくっていく、このような事業環境を整えていくということも非常に重要だと思っております。
今は、新型コロナウイルスの感染が拡大しているという状況もあって、なかなか、新規の住宅着工とかそういうものも滞っている面も否めない状況にあるかと思っております。そうはいっても、例えばハウスメーカーさんとかは、現在進行中の案件については進めているというわけではございますけれども、新規契約に結びついているかどうかでいうとなかなかそういう状況になかったということでありますので、ある一定ストップしているんだろうというふうに思います。
また、製材用材が、中国産のものとかは輸入がなかなか滞ったりとかというようなこともあろうかとも思いますし、また一方で、住宅であれば設備、住宅設備ですね。トイレであったりとかお風呂であったりとか、そういったものも中国で生産されているものが輸入されないということで、なかなか物が入らないというような状況があったんだろうと思っておりますが、一番最も使われるそうした製材用材の用途が重要でございます。
一義的には、住宅政策ですので、国交省が政策の大まかな方向性はつくっていくんだろうと思っておりますけれども、ぜひ林野庁としても、重要な出口のところにありますので、積極的に関与していただいて、森林組合の皆様が安定的な経営環境を確保できるという状況をつくっていただけるようお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、広田一君。
○広田委員 立国社の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。
本日は、森林組合法の改正ということでございますけれども、お許しを頂戴しまして、新型コロナウイルス対策について何点か御質問をさせていただきたいと思います。
まず、新しい生活様式が地方の食文化に与える影響についてお伺いをいたします。
去る二十五日に緊急事態宣言が全ての都道府県で解除されました。ただ、解除後も、いわゆる三密を避けるなど、新しい生活様式が続けられます。五月十四日には、この新しい生活様式などを踏まえて、新しいビジネス様式とも言える新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインが示されたところでございます。
農林水産省所管や関係する業界もそれぞれガイドラインを作成をしているところでございます。内容は、消毒、マスク、仕切りなど、既に取り組んでいるところもあるわけでございますけれども、それは多岐にわたります。
こういった対策、取組というものは感染防止のためには必要不可欠でありますけれども、例えば飲食店ではこれまでのような客席というものの確保が難しくなってまいりますし、そうすると、物理的制約で、収益はこれまでのようにはなかなか上がってこないということが予想をされるところでございます。
そういったことを考えたときには、本当に、これからコロナと共存してビジネスを展開する、未知の世界に臨むわけでございますから、そのスタートに当たってはいろいろな設備投資とか備品の確保とかコストが必要になってまいりますので、そういったところに対する財政支援というものも充実強化をしていかなければならないんじゃないかなというふうに思います。
そして、あわせて、こういった新しい生活様式が定着してきますと、食品関連業者においては、賞味期限の長い商品の開発であるとか、持ち帰り、デリバリー食品の提供機会、そういったニーズも高まってくるわけでございますので、高度な冷凍とか乾燥機能を備えた機器、あとレトルト機器の導入、こういったところに対する支援というものもぜひ充実強化をしていただければなというふうに思います。
その上で、今回のこの新しい生活様式というのは地方の食文化にも大きな影響を与えるんじゃないか、このように考えるところでございます。
例えば、私ごとで恐縮でございますが、私は高知県出身なんですけれども、高知県は食文化、酒文化で、箸拳というお座敷の芸もあったり、そして献杯、返杯というものがございます。宴席が始まりますと、杯と日本酒を持ってそれぞれついで回って、返杯、献杯をしていくわけでございます。ふだんは本当に目上の方でしゃべりにくいなという人も、酒を通していろいろな会話ができて、本音の議論もできるわけでございます。
そしてまた、高知、土佐の場合は、皿鉢料理といいまして、大皿にカツオのたたきであるとかおすしであるとかそういうものを盛りつけて、それぞれ箸でつつき合いながら食べる、そういった土佐のおきゃく文化というものがあるわけでございます。
そういったものが、高知のみならず、地域地域では数多くあるんだろうと思います。そういった中で、新しい生活様式、ソーシャルディスタンスを確保してください云々というものが出たときに、本当に影響が出てくるのではないかなというふうに思いますので、そこで、江藤大臣に、この新しい生活様式が地方の食文化に与える影響というものをどう考えるのか、そして、この新しい生活様式と地域の食文化をどう両立させていくべきなのか、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
○江藤国務大臣 なかなか難しい御質問をいただいたと思います。
差しつ差されつというのは、先生おっしゃったように、目上の方であっても、その距離を一気に縮めて、酒席では上下はない、無礼講だということで、いろいろなことが言いやすい。そこによって社会的な交流も進むということもありますけれども、今はソーシャルディスタンスをとってくださいということで、レストランに行っても、トイメンではなくて、前を向いて、横に並んでやってくださいということでありますから。
確かに、私も土佐は何度かお邪魔いたしましたけれども、大変過剰に歓迎をいただいて、えらい目にも遭ったこともございますけれども、大変おいしいカツオもいただきました。
ですけれども、歴史を振り返れば、皿鉢料理なんかも、もともとは、ちょっと調べさせていただきましたけれども、農耕儀礼として五穀豊穣を祝う祈願祭とか、そういったものに起源を発しているということでありますから、歴史の長いものでありますので、いずれこういったものは、たとえ一定期間できなかったとしましても、差しつ差されつができなかったとしても、食文化は文化ですから、私は次の世代にもしっかり引き継がれていくと思います。それは、我々は、大戦であったり、いろいろな苦しい時代を乗り越えてまいりましたけれども、その時代を乗り越えてこれらのものは現代に引き継がれているわけでありますから、それは文化として引き継がれると思います。
ただ、政治の面からいいますと、先生がおっしゃったように、いろいろな設備投資とか、あらゆるものをやっていかないと、新しいライフスタイルというか生活様式に対応できないレストランなんかも出てくるし、冷凍であったり、賞味期限の問題だったり、そういったものに対応した商品開発、マーケティングというのも必要になってくると思いますので、それについては一次補正において措置をさせていただきました。
そして、デリバリーなんかについては、とかく御批判もいただきましたが、ゴー・トゥー・イートで、V字回復を目指すタイミングの手前で、この予算を生かして、今テークアウトとかデリバリーとかが進んでおりますので、そういった業態に対する支援もこのスキームを使ってできるように、今準備がだんだん進んでおりますので、このデリバリー等についても、一次の補正、それから二次の補正も使って支援をしていきたいと考えております。
○広田委員 ありがとうございます。
大臣おっしゃったように、地方の食文化というものは長年培った歴史あるものでございますので、新型コロナに負けるようなやわなものではないというふうに思っております。ただ一方で、当面は影響が出ることが避けられませんので、ぜひ、食品関連、食文化にも精通されている江藤大臣からも、しっかり、この文化というものが衰退しないように、またさまざまな形で御支援をしていただければなというふうに思います。そして、あわせて、現実的には、それぞれの飲食業の関係の方々、大変な状況でございますので、できる限りきめ細かい施策というものを打っていただいて、この危機を一緒になって乗り越えていければなというふうに思います。
ぜひ、コロナ終息後には、また再び、江藤大臣におかれましては、高知に来ていただいて、たっぷりと返杯、献杯ができるような機会ができればな、それが新型コロナに私たちが打ちかったという一つの証左にもなるんじゃないかなというふうにも思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、今度は木材産業関連でお伺いをしたいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、令和二年三月の木材輸出額が、前年同月比で約三〇%の減、特に中国向けは、前年同月比で約五〇%減になりました。そしてまた、同じく国内向けも深刻さを増しております。住宅建築のおくれ、先ほど濱村委員の方からも御指摘がございました。木材需要もまことに厳しい状態になってきております。木材製品の減産、原木在庫の増加、それに伴い、原木価格は低下をしているわけでございます。実際、高知県の調査によりますと、原木の価格は、五月は二月に比べて千円下落をしております。対前年同月比でも同じく千円下落。ある森林組合長さんにお聞きをしますと、地域によっては千五百円下がっているところも出てきているわけでございます。
そういった中で、参議院の質疑を見ておりますと、このような需給バランスのこれ以上の崩れや原木価格の下落を回避するために、国有林、民有林について地域の実態に沿った原木の生産量の調整をしているということでございますけれども、立木販売の搬出期間の延長など、具体的にどのように調整を図っているのか、お伺いいたします。
○江藤国務大臣 今先生がお答えになられたように、まず国有林におきましては、販売契約が済んでいる立木、こういったものの搬出期限をまず延長いたしております。市場が安定するまでは出さないということで調整をいたしております。
民有林においても、先ほども答弁させていただきましたが、今の時期に無理して切っても、まだ、千円、千五百円じゃなくて、宮崎あたりは二千円、熊本は二千五百円落ちておりますので、こういう時期に無理して立木を出すよりも、今は山の手入れをして次のタイミングに備えることの方が有効ですし、その間いかに雇用を山村地域で確保するか、継続させるかが大事ですので、そういった地ごしらえとか植林とか間伐とか、そういった育林にいわゆる従事する人たちに対して、人件費を含めて、今度の二次補正で支援をさせていただいて、需給調整を、需給調整という言葉が適当かどうかわかりませんが、価格下落に必要な歯どめができるような対策を打っていきたいというふうに考えております。
○広田委員 どうもありがとうございます。
それで、生産調整というものについて、参議院の答弁では、地域の実態に沿ったというふうなことでございます。それを受けて、国有林の場合だと思いますけれども、五月十三日現在では、各森林管理局では、それぞれ検討委員会というものを開催して、対応を協議しているわけでございます。
そういった中で、東北、関東、中部、九州、こういったものが生産調整に入っているわけでございますけれども、その効果というものがどのように出てきているというふうに分析をされているのでしょうか。つまり、原木価格の下落に歯どめがかかっているというふうな御認識を持たれているのかどうか、その点についてお伺いできればなというふうに思っております。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
原木価格につきましては、今もお話ございましたように、一割あるいは二割、千円、二千円の下落をしておりますけれども、ここ数カ月の状況を見ますと、必ずしも一方的に下がっているというだけでもございません。
そういう意味で、一定の効果もこれから出てくるのではないかというふうに感じております。
よろしくお願いいたします。
○広田委員 それは地域地域によっていろいろな動きがあるんだろうというふうに思いますので、ぜひともその効果が出るような取組をしていただきたいと思います。
一方で、北海道とか近畿とか四国については、まだこのいわゆる生産調整というものには入っていないわけでございますが、先ほど御紹介したように、既に、千五百円とか、原木価格も下落をしているわけでございます。
そういった意味で、早急な生産調整が必要なのか否かについても検討していただいて、迅速な対応をしていただければなというふうに思います。
ただ、原木価格の場合は、私は専門家ではないわけでございますけれども、打った生産調整といったものが効果を発揮するというのには非常に時間がかかるのではないかなというふうに思います。長いスパンで木材産業というものはあるわけでございまして、契約に基づいてやっているものもあるし、既に四国なんかでは八割が発注契約済みだというふうにも聞いているわけでございますので、そこを、先ほど大臣の方からも若干御紹介がございましたけれども、山の手入れ、間伐等々にシフトしていく、これも参議院の方でも議論があったわけであります。
特に、林業従事者の職を守るために、原木生産を伴わない造林とか、保育間伐、そして搬出間伐へのシフト、こういったことが有効であるというふうな御答弁もあったわけでございますけれども、しかし、それについても、なかなかすぐに、あしたからやれるというふうなものではないというふうに考えますけれども、こういったところへのシフトというものを具体的にどう進めているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 山では、それぞれの、みんな職能を持って仕事をされていますので、例えば、高性能林業機械のオペレーターをやっている方とか、ふだんから山の急斜面に入って下草刈りをしている人とか、枝打ちをしている人、それぞれ違いますけれども、基本的には、やはり、山に入るということについては余り抵抗のない方々でありますから、一度間伐したところであれば、作業道とか林道もできているわけでありますので、そういったところに、例えば植林に入っていただく。
そのときに日当当たり幾ら幾らを出しますということをしっかりやれば、やはり、そこで働く人にしてみれば、どれだけの手取りが確保できるのかということについて一番関心があるわけですから、森林組合の法案について今御議論いただいているわけでありますけれども、山に入って、大切な、何十年もかけて育てた木が安く売られるよりも、今は次世代のための植林であったり、それから主伐から搬出間伐、それから保育間伐等にシフトしていくということについては、山で働く人については、私は広く理解が得られるんじゃないかというふうに思っています。
ですから、それぞれの森林組合の方々に、今度の二次補正の内容が確定したら、その内容をしっかり通達させていただいて、今は、切るよりも、こういうことをやった方がよいのではないでしょうかと、やはり現場の理解を得る努力が、予算確保の次には必要になってくるというふうに考えております。
○広田委員 大臣、その方向性は賛同するところでございます。
そういった中で、本当に釈迦に説法になるわけでございますけれども、既に契約をしている、それぞれが、また計画に基づいて木の切り出しを図っていく、そういったところを一旦中断し、延期して、間伐の方であるとか、そういったところにシフトしていくというふうなところについても、それについて契約の中でいろいろ融通して、木を切り出すにしても、やはりそれまでには間伐もしなければいけない、作業道もつくらなければならない。
そういったところにまず従事してもらうというふうな、中でのやりくりというものももちろんあるというふうに思いますけれども、先ほど言いました、いわゆる保育間伐という、切捨て間伐ですよね、そういったところで何とか今のこの急場をしのいでいただくということであれば、先ほど大臣も、二次補正で一定の人件費等についても対応するということでありますけれども、それはやはり別枠で、保育間伐とかそういったものを推進する予算、財源的な措置を講ずる、そういうふうな理解でよろしいんでしょうか。
○江藤国務大臣 それぞれの地方で今何が必要かは、それぞれの地域によってニーズが違うと思います。
ですから、それぞれの森林組合、地域の方々で御相談をいただいて、今は、保育間伐が必要なところもあるでしょうし、皆伐が進んだり盗伐が進んだりしてはげ山が多いところは、再植林を今の時期に、六八%の補助事業も別にありますし、それから、杉の花粉が飛ばないようなやつを植えれば、一ヘクタール当たり四十五万円という事業も用意してありますので、そういった事業をやはりトータルパッケージとして、二次補正だけではなくて、いろいろな施策をパッケージとして皆様方に組み合わせていただいて、そして山をいい状態に持っていって、いずれ輸出も回復する日が来ますし、国内の民間の建物の建築もまた再開されますし、そして、我々は今、公共事業、一次補正でも公共建築物に対する国産木材の利用推進ということでやってきましたので、こういったものを総合的にやることによって次に備えていきたいというふうに考えております。
○広田委員 ありがとうございます。
先ほど大臣の答弁の最後の方で出ました経済対策、木材活用の支援策として公共建築物の木造化、木質化、これについてもしっかりと財源措置をしていただければなと思います。今、補助率二分の一なんですけれども、できればそれを引き上げるとか全体のパイをふやすとか、そういうふうな取組もぜひやっていただければなというふうに思うところでございます。
今、聞くところによると、第二次補正予算、いわゆる予備費が五兆円ともというふうな話なんかも、五兆円以上みたいな話もありますけれども、それはそれで、臨機応変に対応するためには必要かもしれませんが、やはりそれぞれ農林水産省の中でももっとやるべきこと、したいこと、たくさんあると思いますので、そういった施策に充当できるように、ぜひ、大臣も引き続き先頭に立って頑張っていただければなというふうに思います。
そして、この項の最後といたしまして、今、先ほどの答弁にもございましたけれども、販売は今何とか延期していただいて、そうすると、どうしても保管をする場所というものが必要になってまいります。
さきの一次補正では、先ほど申し上げたとおり木材輸出が激減しております。そして、滞留する輸出原木を一時保管するための運搬経費など、九億九千九百万円を確保して支援をしているところでございます。これについては高く評価するところでございます。
ただ一方で、滞留しているのは輸出向けだけではなくて、国内向けについても原木の在庫も増加をし、通常の土場だけでは対応できなくなっているわけであります。例えば高知県の森林組合連合会によりますと、傘下の原木市場の状況は、四月末時点で九カ所中七カ所が満杯状態になっております。他県もこれは同じ状態だというふうに考えます。
よって、国内用のこの国産原木についても、保管費などの支援を充実強化すべきだというふうに思いますけれども、江藤大臣の御所見をお伺いします。
○江藤国務大臣 今回のコロナによって、農林水産業は、在庫の滞留というのが大きな課題になりました。肉なんかも冷凍庫が満タンになってしまって、屠畜場でこれ以上屠畜ができないような状況に一時は追い込まれる寸前まで行きました。全国的にも、土場が足りないということも報告も受けております。
ですから、今回につきましては、第一次補正では輸出に関するものだけについて、在庫を抱える経費とそれから運搬経費について見させていただきましたけれども、二次補正については国内流通分もこれは見させていただくということで、ロットがふえたわけでありますから、ということであれば、冷凍工場のように多額の設備投資を要するものではないということでもあります。
土場の場合は、ある程度広い、車が入れる、そういった面積要件さえ満たせば比較的容易に確保できるという事情もありますので、それぞれの御事情に沿って、まあ、滞留している木材が利用されて出ていくことが一番いいんですけれども、これが更に滞留していって在庫が山積みになって土場があふれるということであれば、それぞれの地域の御要望を聞きながら、林野庁としてしっかり対応させていただきたいと考えております。
○広田委員 大臣、ぜひともよろしくお願いを申し上げます。
この問題に対応するため県単で取り組んでいこうというところもあるわけでございますから、ぜひとも連携して、保管場所とそれに対する支援、強化していただければなと思います。
そして、ちょっと水産関係について一点だけ、お伺いしたいと思います。
外国人の技能実習生の入国制限が続いておりまして、近海カツオの一本釣りとか、そんなところの操業にも影響が出ているわけでございます。
これについては、漁業、水産加工業における人手不足の解消を図る水産業労働力確保緊急支援事業で取り組まれているわけでありますが、ただ、これは実施期間が原則三カ月以内であります。三カ月だと余りにも短過ぎるということでありますので、農業分野と同様に、新型コロナの影響による代替の人材確保の必要性が解消されるまで事業期間を延長するとともに、あと提出期間も、要領を見ますと、あさっての五月二十九日までになっておりますので、これも延長するなど柔軟かつ必要な支援を講ずるべきと考えますけれども、御所見をお伺いします。
○江藤国務大臣 その要領の提出期限、それから、この期間が三カ月を原則とするということについては、農業分野については年内ということになっているわけでありますから、それにそろえさせていただきたいというふうに考えております。
○広田委員 済みません、あと、提出期限の方もあさってまでということでありますので、ちょっと、あさってだと余りにも期間が短過ぎますので、その点の延長についてもぜひお願いしたいと思います。
○江藤国務大臣 二次募集も重ねて行うということで対応させていただきたいと考えております。
○広田委員 ぜひ、二次募集も柔軟に対応していただきますように、よろしくお願いします。
それでは、森林組合法の改正についてお伺いします。
まず、第四条関係、目的規定についてお伺いしたいと思います。
今回の改正によりまして、営利を目的としてその事業を行ってはならない、このことが削除されました。その削除した理由と、あと、第二項で公益的機能の維持増進と林業所得の増大について規定をされたわけでございます。
そこでお伺いしたいんですけれども、今回のこの事業目的の変更、これが他の森林組合法の法改正とどのように関連しているのか、これについて江藤大臣にお伺いしたいと思います。
○江藤国務大臣 済みません、他の森林組合法の改正という意味がちょっとわからなかったんですけれども。
○広田委員 今回、多様な連携手法の導入であるとか、それとか正組合員の要件緩和であるとか、そして理事については販売事業に精通した方を置くなど、そういった、あわせて法改正がされておりますので、このたびの事業目的の改正、変更というものとどのような関連性があるのかという意味でございます。
○江藤国務大臣 御丁寧に説明していただいてありがとうございます。
これは一体だというふうに考えていただきたいと思います。
年齢とか性別に隔たりがないようにするということは、やはり経営を行うに当たって、多様な意見がやはり森林組合でも反映されるべきだ、それによって収益が上がるようにすべきだということが趣旨でございます。
それから、想定相続人の話も、今までおやじと一緒に山に入って仕事をしているのに、結婚して、道の反対側に家を建てて、そこで暮らしたら、同一世帯じゃないから、森林組合の方に、もうちゃんとした役職にもつけないということではおかしい。次、必ず彼がやるのに、そして一人しかできないということについても、限定性があったということであります。
今まで、森林施業プランナーとか、さまざまな施策を行ってまいりました。それはやはり、山の立木はできるだけ、先代が植えた、先々代が植えた山の木が高く売れて、そして山元に還元されて、還元されることによって、次の植林に対する意欲も湧く、山の保全に対する、循環に対する意欲も湧くということを触発したい。
しかし、現行の森林組合法を見ると、やはり協同組合という理念を余りにも強く出し過ぎていて、今までの森林施業プランナーのように利益を追求するような作業を行いながら、利益を追求してはいけないということが書いてあったことは、若干、現行行われている業務内容と矛盾するという部分がありましたので、今回は削除させていただいたということでございます。
○広田委員 自分自身の感想としては、やはり今回、第二項を規定して、公益的機能の維持増進と林業所得の増大というものがあるので、あえて営利目的の部分を削る必要はないんじゃないかなというふうに思ったところでもございます。
そういった中で、今回の法改正と関連している部分についての大臣からの御説明があったんですが、その前段にある公益的機能の維持増進、これが目的規定では入っているわけなんですけれども、今回の法改正の中で、その他の法改正の中で、これと連動している部分というのは具体的にあるんでしょうか。
○江藤国務大臣 なかなか体系的に答えるのは難しいんですけれども、やはり山がしっかり保全されるということは、業として成り立つということが一番大事だと思います。
山に手を入れても、山で働いても、金にもならないし、そして、再植林をしても、結局は次の世代に負の遺産を残すだけで、金だけかかって、どうせお金にはならないんだということになれば、山は荒れますし、そうなりますと山の保全が図れない。そして、結果として、山から水が出て、中流、下流に対して災害を起こす原因にもなりかねないということでありますから、やはり森林組合が果たすべき役割として、公益に対して、しっかりとその役割を組合として果たしていくということは、これからの法制度の中でも担保されるべきだと思います。
その中に加えて、やはり山主にいかにお金を還元するか、そして山の仕事というものが業としていかに成り立っていくか、次世代に継承できるかということに焦点を当てて、今回の法改正に取り組ませていただいたということでございます。
○広田委員 どうもありがとうございます。
そこで、一点確認をしたいところなんですけれども、今回、いろいろ事業目的が法改正されました。ただ、事業目的の中に残っているものの一つとして、「組合員又は会員のために直接の奉仕をすることを目的とする。」というふうな文言、この奉仕という理念がしっかりと残っているわけでございます。
これも私ごとで恐縮でございますが、私がかつて勤めていた会社も、感謝、奉仕というのが社是でございまして、営利を追求する企業においても、奉仕の精神というのは非常に大事なことだろうなというふうに思います。この奉仕という言葉は、農協の方も、あと漁協の方も、それぞれ法律の方には、奉仕という言葉が書かれております。特に一次産業の場合には、この奉仕の精神というものが非常に私は重要だなというふうに考えているところでございます。
これから時代状況がさまざま変わって、そしてその荒波に対応するためには、これから事業目的等も変わっていかなければならないというふうに思いますけれども、この奉仕という、社会のために私心を捨てて尽くすこと、こういったものは、私は、時代が変わってもしっかり掲げていかなければならない理念だというふうに思いますけれども、今後ともこの事業目的の中にこの奉仕という精神はしっかりと位置づけていただきたい、このように考えるわけですが、大臣の御所見をお伺いできればと思います。
○江藤国務大臣 今回、利益を追求してはならないというところについてはいじらせていただきましたけれども、この条文の中にも、奉仕という言葉は、この改正法の後も残っております。
そして、特に山の仕事は、まさに山を治め川を治めるのは国を治めるということでありまして、国民の生命財産にかかわる部分が多大にあるということもあります。そして、森林組合ですから、組合には組合の理念というものがあります。
そういったものをしっかりと継承しながら、長いスパンにわたって、国民に対して、森林組合の皆さん方はこれまでも大変な役割を果たしていただいてきました。このことに大変感謝をいたしておりますが、これから先も、山を守っていただく一番の防人として頑張っていただきたいという気持ちを持っております。
○広田委員 ただいまの大臣の答弁は、現場の森林組合の皆さんにも大変心強い御答弁になったんだろうというふうに思うわけでございます。
それでは次に、組合間の多様な連携手法の導入についてお伺いをいたします。
今回、新たな連携手法として新設分割と吸収分割が導入されることになります。これは会社法の規定を準用するとのことであります。
私は、多様な連携手法があることは歓迎すべきことと考えております。一方、鶏が先か、卵が先かは別にいたしまして、この新たな制度の活用を検討している森林組合があるのかどうか。参議院の質疑では、江藤大臣の御地元の宮崎県と、あと鹿児島県の一部の森林組合による海外輸出の取組、こういった取組を販売拡大の事例として紹介をしていたところでございます。
つまり、この新設分割と吸収分割について、何か、立法事実というとかたい言い方になりますけれども、こういうニーズがあるから今回法改正するんだ、そういうものがあれば、ぜひお示ししていただきたいと思いますし、一方で、現場の森林組合長さんにお聞きすると、今回の新設というのが、後々また組合合併を促進させる意図があるんじゃないか、そういったような声もありますので、あわせてお伺いしたいと思います。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
森林組合におきましては、今委員御指摘のような、宮崎県、鹿児島県の森林組合の輸出の取組、あるいは、北部九州一帯の県森連、県の森林組合連合会の、連携をして輸出をする取組、また、中部地方では、地域の合板工場に、県をまたがる形で森林組合連合会が連携をして安定供給をしていく、そういう取組が起こっております。
立法事実というお話もございましたけれども、そういう取組が既に行われていることも踏まえて、これがさらに、役割分担とか需要の状況に応じた機動的な対応が可能になるように、今回、事業譲渡あるいは新設分割、吸収分割という制度をつくらせていただこうというところでございます。
なお、合併の話がございましたけれども、合併につきましては、経営基盤の強化に大変効果的な手法と考えておりますけれども、先ほどもお話がございましたけれども、なかなか合併が進みにくい地域もございます。そういうところが、合併という手段をとらずに、そういう一部の、特に販売事業を中心とした事業の連携を図ることによって経営基盤の強化が図られるように取り組むために、今回の法改正を考えているところでございます。
○広田委員 最後に、確認の意味で質問をさせていただきたいと思います。
よく、こういった新しい制度をつくる場合には、税制優遇措置があるんだろうと思います。森林組合の合併を推進するときにも税制優遇措置があったわけでございますけれども、今回新設の、さまざまな多様な、新設分割と吸収分割、この導入を促進するために、農林水産省の中で独自の税制の優遇措置などは検討されなかったのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○本郷政府参考人 今委員御指摘の企業再編税制の特例につきましてでございます。
この森林組合法の施行期日、来年の四月一日、令和三年の四月一日ということでございまして、来年度の税制改正に向けて、今後、要望なりを考えてまいりたいというふうに考えております。
また、株式会社においては一般的な連携手法でございますけれども、森林組合においては新たな連携手法となるところでございますので、全国森林組合連合会や都道府県と連携して、制度の周知徹底とか手引書の作成、手続等の指導助言に努めてまいりたいというふうに考えております。
○広田委員 以上で質疑を終了いたします。どうもありがとうございました。
○吉野委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 皆様、審議、大変お疲れさまでございます。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの緑川貴士です。
法案、大事な質疑ですけれども、その前に何点か、間もなく閣議決定される見込みの第二次補正予算案で制度が拡充される予定になっている高収益次期作支援交付金について、大臣、お答えいただける範囲でお尋ねをさせていただきたいと思います。
対象品目が、野菜、花卉、果樹、茶の四品目で、ことしの二月から四月に対象品目の出荷の実績がある場合、あるいは廃棄して出荷できなかった場合に、農家が申請すれば交付を受けられるということであります。
生産コストのかかる作物について、今般、交付単価の大幅な引上げになるということは、会派としてこれは強く求めておりましたので、評価をしたいというふうに思います。
十アール当たり五万円だったものが、報道では、例えばワサビや大葉で八十万円、ブドウやサクランボ、マンゴーで二十五万円に引き上げられるということであります。
一方で、実際の交付は一アール単位で算定をされるということで、例えば、〇・五アールなら端数切上げで一アール、〇・四アール以下なら切下げでゼロになります。大葉とかワサビなら一アール当たり八万円になるわけですから、大変これは大きな額です。これが、端数の切上げ、切下げでもらえる額が大きく変わることになってしまいます。
交付額を大幅に引き上げたものについては、特に交付基準となる単位面積を細かく刻んで設定するべきだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 施設園芸につきましては、それぞれ、八十メートル、九十メートルの大型でやっている方もおられれば、非常に規模を小さくやっておられる場合もあります。単価は十アールごとで、一アールじゃなくて十アールごとで決めさせていただきますけれども、その切上げ、切捨てについては省内でしっかり検討させていただきたいと思います。
○緑川委員 すると、四アールだったらこれは交付されないということでしょうか。一アール当たりの単位単価としては交付されると聞いております。
○江藤国務大臣 ですから、高収益作物の施設について、非常に単価が低過ぎて、面積当たりの経営経費が非常に高いということに着目してこの制度をつくりましたので、〇・四とか、十アール単位ですから四アールとか三アールとか、そういったものでもしっかり設備投資をしている場合もあると思いますから、そういったものについてどういう対応ができるかについては、今般、補正予算が成立した後になるかもしれませんが、しっかりと整理をしたいと思います。
○緑川委員 今のところ、もらえるかわからないという状況であると思います。
○江藤国務大臣 私がこう言ったということは、前向きにやるということでございます。
○緑川委員 一応、これから決まっていく話とすれば、やはり不確定なところがありましたのでお聞きしたいなというところもありますし、規模の小さな家族経営、そして個人農家、やはり切実な話であります。多品目少量栽培で取り組んでいる農家さん、いらっしゃいますから、こういう農家さんについては特に、こういうぎりぎりのところでもらえなくなるんじゃないかという方もいらっしゃいますので、しっかり交付されるように、これはきめ細かく設定をお考えいただきたいというふうに思います。
特に、収入保険に加入していない農家の場合には、その減収を補う上で、やはり今回のこの交付金は大きな力、頼りになるものであります。その加入状況なんですが、日本政策金融公庫がことし一月に農家に行った調査では、加入している人は二六%でありました。つまり、全体の、四人のうちの三人は収入保険に入っていないということです。
大半の農家が未加入という状況が、昨年の災害もありましたけれども、やはり依然として続いているという中で、今回は、予見できないまさにこのコロナ禍の中で収入保険に加入していなかった人は、たとえこれが保険年度期間であったとしても、途中加入を何とか特例として認めるべきではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょう。
○江藤国務大臣 先ほどのことに若干補足をさせていただきたいと思います。
ハウスについても、例えば、低くて、パイプを張っただけのものを施設として認めるかどうか、これはなかなか難しい線引きだと思います、特にワサビなんかはそういう形態もありますので。例えば、給水装置がついているとか、自動開閉装置がついているとか、そういったもので、やはり一定のところでは整理をしなきゃならないということについては御理解をいただきたいと思います。
それから、収入保険につきましては、お気持ちはわからないではないんですが、しかしこれは、この品目、この品目、この品目、いろいろな品目をつくっていて、それで一年を締めて、農家としての収入を確定して、それに基づいて保険設計がなされておりますので、まずは税の収入算定の期間、これを一致させなければなりません。
ですから、ことし収入保険の対象になろうと思えば、昨年の一月から十二月の間に入っていてくれないとことしは無理だ、これは保険の制度の根幹にかかわることですから、何かまずい事態が起こっている、まずい事態が確実に予見されるタイミングで後からこの制度に乗っかるというのは、これはやはり、制度の、保険の性質上、それはちょっとできないということを正直申し上げておきたいと思います。
○緑川委員 今回は減収を重く見て保険料の延納も認めるという措置をとっているわけですから、無保険の方に対しても幅広い寛容な御対応というのはやはり重ねて申し上げていきたいところですけれども、いずれにしても、この厳しい経営状況というのは、交付金が十アール当たり五万円となっている、そのままの据置きの作物もあるわけですので、これだけではやはり足りないという農家さんは間違いなく出てくるというふうに思いますので、今後の対応をぜひ注視していただきたいというふうに思います。
重ねてですけれども、三月の質疑で収入保険について私も質疑させていただきましたが、これは質問じゃないんですけれども、やはり青色申告が必要であるというのがハードルになっている。これは正規簿記だとなかなか大変な手続というんですが、簡易簿記による申告であれば、白色と記帳の方法自体は大きな違いはないということと、簡易簿記の記帳では十万円の控除だけしか受けられないんですが、これを、やはり加入を促していくために、正規簿記で受けられるような大幅な控除ができるようにして、この制度を拡充して加入のインセンティブをつけていただきたいということを三月にも申しましたが、重ねて申し上げたいというふうに思います。
今後はしばらく、外食の需要はコロナ前の水準にはなかなか戻っていかないだろう。影響が長期化することを見据えて、各自治体では、例えば、私は秋田県の大館市というところに住んでいますけれども、大館では、余った農産物を活用した加工品また商品開発を行う地域の取組に対しては独自に助成をすることになりました。
ですから、国としても、機動的で柔軟な補填策、交付金を拡充させていきながら、今この営農の現場で減収に耐え切れなくなった結果、やはり離職に、離農に追い込まれることがないように、ぜひ最善を尽くしていただきたいというふうに思います。
営農を継続するに当たって、労働力の確保ということもちょっと触れたいんですが、地域の各JAも、取組、本当に奮闘しています。第一次補正予算で措置されたマッチング支援事業、これは活用には期待をしたいんですが、この事業の対象外になっているというケースもやはり聞かれます。
そこで、JA北海道中央会、連合会では、例えば、求人サイトに働き手を募集する広告を出す場合とか、募集チラシの制作にお金がかかったりする場合、また、ほかの産地と連携をしながら人材を確保したりする場合に、こういうかかる費用については国の事業の対象にはなっていないということで、独自にJAが負担しています。
これらの経費は、やはり現場の負担とせずに、マッチング支援に関係する費用として国が何とか面倒を見ていただく必要があると思うんですけれども、このあたりはいかがでしょうか。
○江藤国務大臣 今、先生から御指摘をいただいて、大変コミュニケーション不足を痛感いたしております。
交通費、宿泊費それから労賃、それらのかかり増し経費等について見るということでありますから、当然、このマッチングに係る、例えばネット上の募集であったりビラをつくったり、ほかの地域との連携に係る経費だったり、そういったものも、補助率二分の一ではありますけれども、このマッチング事業の、事業の対象の中に入っておりますので、このJAの方々も、我々のお知らせの仕方が足りなかった部分もあると思いますので、もう一度、この事業、四十六億円という金額も確保いたしておりますので、これが有効に使われるように徹底してまいりたいと思います。
○緑川委員 やはりこれは、今後の長期化することをしっかり見据えるべき対応をとる必要があると思います。
就農を予定していた外国人の技能実習生が入国できないという状況、これがいつまで続くのか、不透明な状況です。受入先の経費がやはり余計にかかっている。それを、やはりJAなんかはなかなか、そうしたところの情報を把握というところ、国との共有、これからまだまだ必要なところがあると思いますので、この新たな試みに、国の事業に大いに私も期待をしている分、さまざまなケースに対しても、やはり起こり得るケースに対して適用できるように、柔軟に御配慮いただきたいというふうに思います。
人だけではなくて、動物に感染しているウイルス、今度、豚熱の方ですけれども、豚熱に感染した野生イノシシがことしに入ってからも五百頭以上見つかっております。感染エリアが広がっているという報道がありました。
昨年一年間に感染したイノシシは、そもそも、ことしふえているだけじゃなくて、千六百頭ほど確認をされております。ことしに入ってから拡大が加速したというわけではありませんが、一方で、終息に向かっているとも言えない状況です。動き回って感染源になっている野生イノシシに対して、その発生地域を囲い込むいわゆるワクチンベルトに経口ワクチン入りの餌を散布する対策などをとっていますけれども、このベルトの外側へ感染域がやはり広がってしまって、その都度ベルトを修正して、またこの対応に当たっている。ややイタチごっこのような形になってしまっていると思います。
飼育する豚へのワクチンの接種推奨地域を広げていくということは確かに必要なんですが、この根本的な解決のために、繁殖力の高いイノシシの数を調整していく局面にやはり本格的に来ているんじゃないかというふうに思います。
そのために今も奮闘しているのがやはり猟友会の皆さんですが、現場の負担がとにかくきつい、増しています。担い手が減っているということと、やはり捕獲の、また駆除の技術、それも課題になっているという中で、猟友会への活動支援、処遇改善策について今後どのように考えていらっしゃるのか、御見解を伺いたいと思います。
○江藤国務大臣 確かに、二〇二三年までに農林省と環境省とで協力をいたしまして鹿とイノシシの生息頭数を半減させるという目標を立てておりますが、正直なところ、目標達成にはほど遠い状態です。
農林省で百億、環境省は二十三億、予算がありますので、これをしっかり執行しなければなりませんが、しかし、私の地元でも、なかなか山に入る人が減っている。やはり銃を持つことに対する抵抗、それから、銃が高かったり、更新料であったり、講習料に対する補助は行っておりますけれども、それをしても実数としては減っていっている。それから、平均年齢もどんどん上がってしまっているというのが実態だと思います。
ですから、今回、豚熱が出たタイミングにおいては、やはり猟友会の方々が山に入ったからといって必ずイノシシと出会えるわけではありませんので、山に入っていただいた場合、一人当たり一日一万円程度の日当を出させていただいて、できるだけ山に入っていただくようにいたしております。
ワクチンベルトも、確かにイタチごっこにはなっておりますが、ただ、ワクチンを散布したところで検体をとって結果を見ますと、随分、野生イノシシに対してワクチンが効いているという科学的なエビデンスも今積み上がっておりますので、確実にこのベルトをつくることは効果があると思いますが、やはり一気に広げることはできないんですよ、出てもいないところにワクチンをまくと、その自治体の方々が納得していただけないので。ですから、少しずつ広げていっていることについては御理解いただかなきゃなりませんが、しかし、いずれにしても、全体としての実数を減らす努力、それから猟友会の方々への御支援、そして免許を持っている方の実数をふやす努力というものは引き続きやらなければならないというふうに考えております。
○緑川委員 この自粛の影響もあり、猟友会の活動、なかなか制限されてしまっているところもやはりあると思うんですけれども、一方で、日々、神経をすり減らしながら、自粛の前の活動では、タイヤとか靴についた、ついたかもしれないウイルスに対してやはり慎重になって消毒を徹底するとか、また、山林のパトロールとか捕獲、さらにはイノシシの血液の採取とか、捕獲した後も、やはり処分についても最後まで猟友会がかかわっている。本当にこの一連の作業を一手に担っている大変な担い手だと思いますので、やはり今後の予算をしっかり措置していただくように強く求めていきたいと思います。
それでは、森林組合法の改正案についてお尋ねをいたします。
まず、数ですけれども、戦後の初めには五千余り、その後、一九六三年度から二〇〇一年度までは森林組合合併助成法の後押しがあって、二〇〇〇年に入ってからはその数が千を切り、現在は、直近の二〇一七年度末で六百二十一という組合の数です。
資料左側の一をごらんいただきたいというふうに思うんですけれども、赤い折れ線グラフ、これにあるように、組合の規模拡大によって総事業の取扱高もやはり右肩上がり、ふえています。経営基盤の強化が図られてきたということはこの図からもわかるんですが、一方で、この合併助成法が終了してから、二〇〇一年度以降も、特に二〇〇八年度以降ですが、組合の合併がほとんど実はこれは進んでいないんですね、二〇〇八年度以降は。それでも、一組合当たりの事業取扱高がふえて、これはまた資料をつけていませんが、一組合当たりの事業利益もかなりふえています。
合併以外のどんな方法で、この利益がふえてきたというふうにお考えでしょうか。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
平成二十年度以降、御指摘のように、一組合当たりの事業損益が増加しておりますけれども、これは、近年の人工林資源の充実に伴い、搬出を伴う間伐、こういうものに重点的に取り組み、素材生産に積極的に森林組合がなったということで、販売部門の取扱高がふえたことが主な原因であると考えております。
農林水産省としては、今回の法改正により導入する多様な連携手法を通じて、森林組合の販売事業を更に強化し、山元への一層の利益還元を図ってまいりたいと考えております。
○緑川委員 こういった素材生産がふえてきている、森林組合の役割の重要性がやはり一層増している、販売事業の強化という運びになっている。この合併の動きが一服している中で、今回の法改正で、今後は柔軟な連携を認める、組合間で一部の事業を譲渡したり、また複数の組合が事業を分割したり、受皿となる新設の広域の組織に引き継いだりするという仕組みを導入することになっています。地域に組合を残したまま、部門ごとの合併ができるようになる。
これは、全国四十五の道府県の森林組合連合会も対象になっていて、想定されている木材の販売事業については、県森連に例えば統合したりとか、また複数の組合で木材販売事業に特化した新しい組織を立ち上げることで、スケールメリットによる利益の拡大が期待できる。確かに、そういった面はあると思います。販売の窓口を集約することで、国産材を買い求めやすくしてもらう。あわせて、取引先の製材業者などに対する価格交渉力を高めていくということは、やはり、林業者、また山元への利益を還元していく上でも、確かに重要なステップだというふうに思います。
より有利な価格で売れるように販売力の強化は大切なんですが、また資料、同じ一なんですが、棒グラフを今度はごらんをいただきますと、平成二十五年と二十九年、これを比べたときに、右側の二つの棒グラフですね、組合のトータルの事業取扱高は、この五年ではほぼ横ばいです。同じですね。そういう中で、オレンジの販売部門がふえている一方、緑の森林整備部門の取扱高が減っています。
人工林が利用期を迎えている中で、丸太の生産などの販売事業が伸びている分、これまで組合が重要な役割を果たしてきた植林、下刈り、こういう森林整備の部門がやはり力を失っているように見えます。参議院の質疑では、大臣もお答えいただいておりましたけれども、販売部門に力を入れることによって、組合全体が余力を持って、給与水準が上がっていく、反映されて地道な森林整備の作業にも力が入るようにしていきたいという趣旨のお答えがありました。
資料の一で、また、今度はこの十年で見ていただきたいんですけれども、販売部門はどうかというと、これまでも実は力を入れて伸びてきているんですね、この十年。そして、一組合当たりで事業利益もやはり相当上がってきたというのは先ほど触れました。余力が出てきている実績が既にあるのに、期待どおりのシナリオになっていない。このあたりはどのようにお考えでしょうか。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
資料の一でございますけれども、ここにございますように、平成二十年から二十九年、この十年間に、先ほども申し上げましたけれども、搬出間伐ということを森林整備事業の主眼に置きまして、森林組合にも取り組んでいただきました。
そういう意味で、この森林整備の事業取扱高における搬出間伐の割合もそこでふえているわけでございますけれども、その搬出間伐の事業も森林整備事業の予算に縛られるという部分もございまして、このような状況になっておるというふうに思っております。
今後とも、森林整備事業の必要な予算を確保しまして、森林組合が、地域の森林所有者の信頼を得ながら森林整備事業をきちっとやっていけるように取り組んでまいりたいと考えております。
○緑川委員 森林整備部門について、ちょっと一定の何か上限みたいな、歯どめを、余り伸ばしていかないようなお話を伺いましたけれども、資料の三をごらんいただきたいんですが、間伐、当然これは保育で育っていくに当たって重要な作業になります。新植、植付けとか間伐の保育の面積は、そもそも、全体的に組合として、間伐がふえているといっても、やはりこれは下がっているんですね、全体として。一組合当たりの事業量が減ってしまっております。この間、合併によって、私も何度も申し上げますけれども、経営基盤を強化している、事業黒字という組合が八割ほどで推移をしているという中で、こういう森林整備部門の状況なんです。
林業所得の増大に最大限配慮しなければならないという条文を、この改正案では事業目的等として第四条に新設をして、利益を還元したいという狙い、組合員の皆さんに、また山元への利益還元をしていきたい、その意図はわかるんですけれども、販売部門に力を入れる目的が、やはり組合の活力を高める、結果、組合員への奉仕をするということが目的としてあるなら、これは堂々とこの非営利の規定は残すべきだったと思うんですね。それを旨としている、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」というこの現行法の条文は削る必要はやはり私はないと思います。
出資配当を目的として事業を行ってはならないというあくまでのこの規定であって、この規定を削除してしまうことが、かえって森林整備のように手間やコストがかかるような非採算事業の圧縮につながってしまうんじゃないかということも心配するんですけれども、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 大変いい表のまとめ方をしていただいたと思います。
やはり、木材の搬出量もふえている中にあって、国内の木材の自給率も上がっている中にあって、この森林整備の割合が、割合だけで議論するということもいかがなものかとも思いますが、総量も比較をされているので、やはりここには論点があるんだろうと思います。
過去の林野庁の予算は、今手元にはありませんけれども、正直言ってふえてきたとは言いがたい部分があります。やはり山についてもっと国はお金をかけるべきではなかったかというふうに私自身も思っています。
そして、材価が安かったことを受けて、切って出すまではやるけれども、森林プランナーが来て、そろそろ伐期が来ているのでこの価格で出しませんか、出しますと。じゃ、その後、再植林を森林組合にお願いしますかという話になると、いや、もうこれしか手元にお金をもらっていないのに、国が一〇〇%、それから人件費も一〇〇%出してくれるんだったら再植林してもいいけれども、自己負担分もあるからね、その後の面倒も、また下草も刈らなきゃいけないし、面倒だからもうできないというようなことであって、山元の方が再造林に対する意欲を失ってしまったという歴史的な経緯がやはりあると思います。
ですから、今回、確かに営利を目的とするということばかりがフィーチャーされることは私もいいことだと思いません、組合ですから。ですから、奉仕の精神はやはり、国民に対する、公共に対する責任を果たすという意味でも森林組合に期待する部分は大きくあるわけでありますけれども、やはり業としてこれが成り立っていく、山で木を植えて、世話をして、そして育てていくことによって、いずれしかるべき利益が手元には還元されるんだという形態を確立しないと、なかなか次の世代に循環型の山を残していけないという思いが強くあるものですから、今回、森林プランナー等で今までその単価も決めて山主に単価を示すようなことまでしてきたのに、この規定があることは現実との矛盾が生じているということもあって、削除させていただいたということでございます。
○緑川委員 やはり、その歴史の中で、プランナーという方も今は多くの組合はいらっしゃいますけれども、山元とのパイプ役、施業の集約化に当たって少しでも利益を山元に還元していきたいという思いでプランナーの皆さんも現場で働いていらっしゃると思います。
そして、あわせて、相変わらず、森林組合の中心的な担い手として、森林整備部門というのはやはり大事な主体的に担うべき存在であるというふうに私は思っています。
資料の二をごらんいただくとわかるように、やはりオレンジ色の部分が大半を占めている。森林組合は、面積でいうと六割ぐらいということですけれども、森林整備の中心を担っていらっしゃるわけです。全国の民有林面積の七割が、きょうのお答えもあるように組合員の所有であって、今後は、森林経営管理法における意欲と能力のある林業経営者の役割を、やはり森林組合が重要な担い手として役割を果たしていく。とって、使って、植えるというサイクルを回し、また、市町村が管理をする、採算の見込みが立たない民有林ということも一手に請け負って、委託を受けて管理をすることになっているわけです。
確かに、森林整備は労働集約的、手間が要る作業です。右側の四のように、再造林の推進に当たっての作業コストということも、これは平成三十年のデータですけれども、平成二十八年よりも、コストが、実は下刈り費用とかは上がっているんですね。ですから、造林のコストというのはやはり引き続きしっかりと推移を見ていかないとというふうに思います。
木をとった後の再造林の費用については、間伐で収益を上げられるようになるまで、この円グラフのように初期コストは七割を占めます。伐採した跡地の林地をまた初めからならしたりとか、いわゆる地ごしらえをした後に、苗木を植え付けて、その苗木を、またお日様が当たるように雑草を刈り払う、下刈りをする。中には、苗がなかなか芽を出さないとかしっかり伸びていかないものがあって、こういう形の悪いものもチェックしながら取り除いて、また植え直すという大変地道な、かつ夏場の蒸し暑い時期に行うという過酷な肉体労働というふうに聞いております。
一九九〇年代には十万人いた林業者の方が、今は四万五千人です。森林組合でも働き手は減っているんですが、労務班と言われる、やはり現場の作業員の確保が特に大きな課題になっています。この十五年余りの緑の雇用事業の施策の後押しも加わって、年間で平均して三千人以上の新たな就業者がふえているという計算にはなるんですが、トータルの林業者の数はふえていません。十五年前には、例えば二〇〇五年には五万二千人、毎年そこから三千人プラスになっていいはずなのに、ふえずに、二〇一〇年には五万一千人です。二〇一七年に四万五千人になって、近年は高齢化率もちょっと上がってきています。
こういう、高齢で引退される林業者も多いんですけれども、やはり若い就業者の定着の問題があると思います。高齢の林業者が残っている数の方が多いので、高齢化率がちょっと上がってしまっているという状況です。
確かに、緑の雇用事業による就業者の定着率を就業三年後で見た場合に、やはり七割ほどとほかの産業よりも高いんですが、問題はその後だと思います。三年からもう少したつと定着率が下がっていって、五年以内の定着率が半数以下だと。五年以内に半数がやめてしまっているという状況があります。チェーンソーとか刈り払い機など、こういう刃物系の機械をたくさん使う。足場の悪い斜面の現場も多い中で木を切り倒す、伐倒する。危険な作業を伴っていることについては、これは千人率の事故発生率で見てもやはり厳しい状況であります。
外国人の労働者を受け入れようという前に、まずは若手、国内の就業者の定着を支えるという努力をやはり求めていきたいと思いますし、外国人の受入れのための労力とか、こういう投入される税金を何とか国内の林業者に回せないだろうか。この処遇改善、待遇の改善に少しでも埋められないのか。主伐を含めた素材生産がこれから本格化してくるとすれば、なお高い技能を要する、そういう担い手がやはり必要になってくると思いますけれども、ここで国の一層の後押しを求めていきたいと思いますが、お考えを伺います。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のように、若手の林業従事者、作業者を育成していくことは喫緊の課題でございますし、またそれが将来の日本の林業の成長ということに大きく寄与するものと考えております。
緑の雇用事業につきましては、今もお話ございましたけれども、緑の雇用事業として、近年、毎年千人の新規就業がふえておりまして、その平均年齢は約三十一歳ということでございます。お話ございました三年後の定着率でございますけれども、全産業では六割というところが、緑の雇用の場合は七割ということでございまして、一定の成果は上げていると思っています。
ただ、委員御指摘のように、給与の問題でございます。もちろん、きつい作業と先ほどお話ございましたけれども、夏場のきつい作業が多いというようなこともございますけれども、やはり給与の問題で、五年あるいはそれ以上になっていくと、御家族もふえて、お子様の教育だとかそういう費用を考えておやめになっていく方もふえております。そういう意味で、従事者の就業環境の改善、こういうものをぜひしていかなければならない。
そのためには、一人一日どれだけ稼げるかという生産性を向上する取組も必要だと思いますし、先ほどの資料の四の話でございますれば、コストを下げるために早く育つ苗木を植える、エリートツリーとか早生樹とかと言っておりますけれども、そういうことによってかかるコストを下げる、そういうことも含めて、総合的に労働力、就業者の確保、育成、若手の定着に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○緑川委員 大臣、最後にちょっと伺いたいんですけれども、申しわけありません。
現場の作業員として経験しているノウハウ、また地道な肉体労働、そして過酷な夏の暑い炎天下での作業、こういうものをやはり悲観的に捉えるだけでなくて、自身のエピソードを、販売の部門で、加工の部門で、保育の除伐、間伐を続けてようやくできてくる山の宝というのを、木材製品の販売を行っていく。また、幼稚園とか学校を対象とした木育とか、整備した森林の広場をつくった交流の場で、しっかりエンドユーザーに、利用する人たちにつながっていくようなコミュニケーションをとっていく。
そういう、林業者であるがゆえにユーザーとしっかりつながっていくことがやはり六次産業化ということにもなるんですけれども、そういう取組をすることで、若い人たちのやはりこの林業への憧れとか定着につながっていくようになるというふうに考えておりますけれども、最後にお尋ねいたします。
○江藤国務大臣 林業ももちろんそうですけれども、やはり、生産されたものがどのような過程を経ていわゆるエンドユーザーの手元に来たのかというその歴史というものは、ぜひ消費者の方々には知っていただきたいと思います。そこにはやはり苦労もあり、ストーリーがあるわけですから。
そしてまた、先生おっしゃるように、特に山で、これから梅雨の季節になると山の仕事は大変ですよ、本当に。本当に大変な季節の中、大雨が降れば山にも入れませんし、そうなると、日当払いの人は、日払いの人はお金も入ってこない。そういう中で頑張ってきた人が、製品になったもの、その流通の過程の中で、やはり消費者の方々と接してそのストーリーを語っていただくということはとても大事だと思います。
「WOOD JOB!」という映画がありましたけれども、あれを見て、随分、林業に従事したいという若者も若干ふえました。我が宮崎でも林業大学校ができて、非常にみんな一生懸命頑張ってくれています。
ですから、これからの農林水産業の成長産業化のためには、やはり付加価値には、おいしいとかいうことはもちろん大事ですけれども、バックストーリー、バックグラウンドをエンドユーザーの方にいかに知っていただくかということは、先生の御指摘のように、これから必要になっていくことだろうというふうに思っております。
○緑川委員 物語を通じて森と人との距離を縮めていく取組、やはり国としても期待をしていきたいと思います。
終わります。
○吉野委員長 次に、山岡達丸君。
○山岡委員 質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。山岡達丸でございます。
委員長、そして理事の皆様、委員の皆様に心から感謝を申し上げながら、この農林水産委員会に、私もこうした機会をいただきました。
きょうは法案の質疑でありますけれども、この間、この農林水産委員会におかれましても、今ちまたで大きな影響を及ぼしております新型コロナウイルスによるさまざまな影響について、例えば農林水産物の生産支援等、さまざま、委員の皆様が闊達な御審議を行われてきたものということを理解しております。
今回、私は、まず、この機会をいただいた中で、私が主に活動させていただいているのは北海道の胆振と日高というエリアでございますが、この地域、軽種馬産業、皆様のなじみの深い言葉で言えば、いわゆる日本のサラブレッドの産地というエリアでございます。
全国でこのサラブレッドの繁殖牝馬、いわゆる母親の馬でありますけれども、一万頭ぐらいおるんですけれども、この九八%がこの胆振と日高のエリア、ここに集中しておりまして、ここで全国の競馬を支えているというエリアであるということを皆様に御理解いただいた上で、ここでも、新型コロナウイルスによって過去にないような悪影響が出ている、生産現場から悲痛な声が上がっているということを、この委員会の場でお伝えさせていただきながら、何とか状況を改善して、光明を照らしていただきたい、その地元の切なる思いを持って、きょうは質疑の機会をいただきました。
農水省に、まず伺いたいんです。
この軽種馬、サラブレッドというこの生産物は、農政の中でも、普通の生産物とはまた違う特殊な立ち位置ではあるということも理解しているんですけれども、今、農林水産省、農政として、どのような位置づけにあるのか、また、そして、この胆振、日高、私も今申し上げましたけれども、この軽種馬にとってどんな地域であるのか、農水省のまず見解を伺いたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
軽種馬の生産でございますけれども、中央競馬及び地方競馬に出場する競走馬を生産する産業でございまして、馬産地の地域経済を支える重要な産業であるだけではなく、生産された馬によって行われております競馬の収入の一部が畜産振興や社会福祉に充てられるということとされていることから、農政にも非常に重要な役割を担っていると考えているところでございます。
また、委員御指摘の北海道の日高、胆振地域でございますけれども、全国の軽種馬生産農家の八九%がここに位置している。それから、繁殖牝馬飼養頭数、日高、胆振地域では九七%から九八%、御指摘いただきましたけれども、そういった、ほとんどがそこにいるということ、それから、生産頭数についても九七%ということでございまして、非常にそれらが集中している重要な馬産地であるというふうに認識をしております。
○山岡委員 今、農水省からも御説明いただきました。
委員の皆様に、御存じの方も、お詳しい方もいらっしゃるかと思いますが、いわゆるサラブレッド、軽種馬というのは、一つ一つの生産物が極めて単価が高い業種でございます。例えば産駒、年齢にもよりますけれども、一頭五百万とか、一千万、二千万という値段がついて、そういう販売が行われて生計を立てていく、そんな産業でもあります。
その競りがいわゆる春から少しずつ始まって、この夏、七月、八月ごろ最も高い値段がつく、こういう競りも行われていって、そして、育てた馬をそこで売って収入を得て、九月ごろには、種つけをしなければなりませんから、いろいろな種つけ料を支払うということを九月に大体精算する。春に種つけしたことを九月に精算するに当たっては、この夏の競りで自分の育てた馬を販売して、そこの代金を充てたり、そして、余剰分をまた次の年の備えにしていく、次の年の投資にしていく、そういうサイクルで回っている。種つけ料自体も百万円単位の極めて高額な、そういう産業の体系であるというところであります。
この大きな金額が動いている産業の中で、この新型コロナウイルスの中で、競りが開けていないんです。五月に予定されていた二歳馬のセール、これは本当に中止になってしまって、百六十頭程度ということで規模はそんなに大きくないんですけれども、この農家さんは、独自に販売をどうやっていくかということを今非常に頭を悩まされているところであります。
七月には最も大きなセールもあるんですけれども、これは関係者はできればやりたいということを考えているわけでありますが、御存じのとおり、北海道は緊急事態宣言というのを知事独自で二月二十八日の時点でもされ、そして、ごく最近に解除されたとはいっても、今に至るまで、長期にわたる自粛、そして外からの方の渡航を遠慮していただいてきたというような経過があるわけであります。
この七月のセール、二千人ぐらいの規模の方が集まるんですけれども、もしできたとしても何らかの制限もあろうかと思いますけれども、しかし、これもまだ確定している状況ではないという状況であります。
そして、高い買物でありますから、この競走馬を買うということに当たっては、買い手の方、調教師の方とかそういう方が担当したりするんですが、馬主さんの依頼を受けて、事前に北海道に入ってきて、生産地に入ってきて、馬を見て、それを見定めるわけであります。しかし、それが一切、この緊急事態宣言の中で、できていない。住宅メーカーとかでも、この春のモデルハウスに今見学者がいなくて、秋には恐らくハウスは売れないだろう、出ていかないだろうということを強く心配しているわけでありますが、馬もやはり高い買物であるから、そういうメカニズムの中にあるんですけれども、そこが行われていない。
そして、馬主の方、そうした方々の本業も、このコロナウイルスでいろいろな影響を受けているということも今十分あり得るというか、そういう状況であるわけであります。
海外からも注目されている競走馬なんですけれども、アラブの方とか、今いろいろな国の方がこの日本のサラブレッドというのは注目をいただいていて、世界にも勝負できる農業分野の産業であるということも言えるわけでありますけれども、しかし、御存じのとおり、世界も新型コロナウイルスの影響で、競馬そのものが開けなかったり、今非常に買い手に関しての状況、あるいは事前の内覧というのができない、さまざま、競り自体も開けるかどうかわからないという状況が生産現場で今起きている状況であります。
仮に競りが、おくればせながら開かれても、例えば七月に開かれる競りが一番高い値段がつくとすれば、おくれればおくれるほど価格というのは減少傾向になったりとか、あるいはその買い手のこともあれば、ことしの競りがどれだけの値段がつくのかということも、極めて大きな不安が広がっているという状況であります。
私も今るる申し上げましたけれども、農水省はこうした事態についてどのように把握されているのか、そのこともこの場で改めて伺いたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
軽種馬の関係の、市場の関係について、いろいろと御指摘をいただきました。
軽種馬の取引につきましては、委員御指摘のとおり、本年四月以降、現在までの間に、市場が、二歳馬の市場については二回開催される予定でございましたけれども、この新型コロナウイルス感染症の影響により、購買者を集めての通常どおりの開催はできなかったというふうに聞いております。
具体的に申し上げますと、JRAブリーズアップセールでございますが、これにつきましては、開催方法を見直しいたしまして、メールの入札方式で行われたというところでございます。ただ、平均価格は例年並みでございまして、売却率は一〇〇%だったと承知しております。
それから、もう一つ、中止したものでございますが、北海道トレーニングセール、市場開催は中止となったわけでございますが、関係者の方に御努力いただきまして、相対取引あるいはインターネットオークションに変更して、この軽種馬の販売を行っているところでございます。日高の軽種馬農協からは、売却率は例年と大きく変わらない見込みではないかというふうに聞いているところでございます。
また、今後の開催でございますが、一歳馬の市場でございます北海道のセレクションセールでございますが、七月に開催の予定でございましたが、八月に延期をされているところでございます。これについては、実際に購買者の方に集まっていただいて通常どおり円滑に開催することができるよう、関係者の方が御努力されていると承知をしておりますが、仮に集客が困難になった場合に備えて、インターネットなどの活用による競り方式もできるように、そういった準備も進められていると承知しているところでございます。
○山岡委員 今の農水省のお言葉にも象徴されているのかなと思いますが、私は、先ほど馬の産業の特性の説明として、事前にいろいろ物を見定めて、当然、高い買物でありますから、その中で競りが進むものだ、現場で、必ずしもその場で判断していろいろ五百万とか一千万という単位の入札をしないということを申し上げました。
そして、今、競り自体はネットとかで、結局、相対とか、いわゆる市場ではない形でやったけれども価格はついたというのは、まさにコロナ前から準備していたその段階において、そこの部分はそんなに規模の大きくないセール、競りが何とかクリアできたかなという状況。
こうした中で、今のお話にもありましたけれども、生産現場がいかに今、そもそも馬の内覧に来る人というのは、馬を事前に見に来る人というのは、町にとっても経済的にはすごく大きな効果をもたらしてくださる方々、その方たちも来なくて、町、地域自体も疲弊しているわけでありますけれども、その中で、セールもどうなるかわからない、そして事前にも見ていないということで、この競りを乗り越えられるかどうかというのが、極めて大きな危機感を持っているということが、私は伝わっていないんじゃないかなということを強く感じる御説明だったなという思いなわけであります。
今、手元に、これは農林水産省、令和二年四月にホームページで公表していただいたやつです。「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける農林漁業者・食品関連事業者の皆様へ」という中身、めくるといろいろ産業ごとにさまざま書いてあるところでありますが、では、あえて聞きますけれども、農水省の方に聞きますが、この中に軽種馬のことは書いていただいているんでしょうか、お聞きします。
○水田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の、農林水産省で作成しております「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける農林漁業者・食品関連事業者の皆様へ」の資料でございますけれども、広く農林漁業者及び食品事業者の方々が新型コロナウイルス感染症に伴う支援策を探しやすいようにまとめたものでございます。
このウエブサイトに掲載されている支援策につきましては、軽種馬経営の経営者向けに特化したものはございませんが、軽種馬経営においても御活用いただける支援策といたしまして、農林漁業セーフティネット資金などの経営維持、再建のための金融支援ですとか、これは他省庁の事業でもございますが、雇用調整助成金や持続化給付金についても掲載をされているところでございます。
その資料の中の、今、畜産関係で、肉用牛生産者が活用できる支援、そして酪農生産者が活用できる支援のほか、その他畜産関係者が活用できる支援というものも記載しておりまして、その、その他畜産関係者が活用できる支援の中に軽種馬経営者においても活用可能なものが入っているということでございます。
こうした支援策につきましては、日本軽種馬協会あるいは地元の軽種馬農協を通じまして、北海道の軽種馬経営の方々にも御案内をしているところでございまして、軽種馬経営の方々が引き続きしっかりと経営できるように対応してまいりたいと考えております。
○山岡委員 最初、農水省がいろいろ、競馬をめぐって、国庫納付金が社会福祉であったりさまざまな畜産の振興にも支援していただいている、重要だというお話があって、軽種馬産業のことを明示的に書いていないということをはっきりおっしゃいました。いやいや、使えるものはありますと。農林漁業者の皆様への支援ということで、新型コロナウイルスで、少なくとも私が生産現場を回っている上で極めて大きな不安がある中で、私は、農水省の姿勢というのはいかがなものかと、まず思います。
そして、今の説明で、二重にがっかりいたしました。
例えば、雇用調整助成金があるということをお話しされました。大臣も、産地は肉牛、特に多くあられると思うので十分御承知だと思いますし、酪農関係、エリアにあることはもう十分御承知だと思っていますけれども、生物を育てて産業にされている方が休業なんてとれますか。雇用調整助成金を申請して休業手当をとって、それでしのげる、このことを堂々とお話しされること自体、私は極めてがっかりしました。
そして、持続化給付金。私、申し上げましたけれども、生産規模、二百万とか三百万とか、牛、一千万、二千万するという中で、持続化給付金という制度が全職種に当たるのはわかっていても、これが根本的な解決にならないということは、当然、農水省であれば、よく理解していてしかるべき話だと思います。
金融支援というのは、もちろん、どの生産物にかかわらず、さまざまなものに使っているし、政策金融公庫の方々は頑張っていると思いますよ。ただ、今の説明で、それも使えます、これも使えますという中に、生産現場の話をする中でそういう指標を出されるというのは、極めて残念な思いがするところであります。しかも、持続化給付金の話は他省庁の話ですよ。
きょうは経済産業省さんにも来ていただいています。
経済産業省は、通常、なかなかこの農林水産委員会に経産省の方がいらっしゃるというのは余り多くないと思います。通常は、農水省と経産省というのは、通商部門であったり、さまざま意見が対立したりするわけでありますが、きょうあえてお呼びしたのは、馬という産業は、ある種、単価も高くて、いわゆる自己責任というような趣旨が強いような産業でもあります。一方で、世界にも通ずる、そういう産業でもありますけれども。
一般の事業者、経営者、町のいろいろな会社を、そういう部門を扱っている経産省が、今回、持続化給付金という、過去にない、職種広く、一定の条件を満たしたら皆さんにお金を給付する、補助じゃないんですよ、給付するという措置をもう実行されています。
また、報道によればですけれども、さまざま、大きな企業から中堅企業も含めて資本性資金を導入するとか、そういうことを検討しているんだということが、報道があるわけであります。
私は、異例の支援だと思っております。経産省は、どういう考え、どういう背景を持ってこの措置に今取り組まれようとしているのか、そのことを御説明してください。
○春日原政府参考人 お答え申し上げます。
これまで、私ども経済産業省では、リーマン・ショックのとき、それから東日本大震災など、経済危機や深刻な災害におきまして、低利融資それから信用保証など資金繰り支援、それから直接被害を受けた事業者に対するグループ補助金、それから実質無利子融資などによりまして、事業の復旧それから継続を支援をしてきたところでございます。
今般の新型コロナウイルスの対応に当たりましても、まず、実質無利子無担保かつ最大五年間元本返済据置きの融資などの強力な資金繰り支援、さらには、税、社会保険料、公共料金の延納による支払い負担の緩和などの取組を行ってきたところでございます。
その上で、今お話のございました持続化給付金でございますけれども、こちらは、戦後最大とも言える今般の危機に対応するという理由で、使い道に制限のない現金給付という、前例のない思い切った手段を初めて講じさせていただいたものでございます。
さらに、自粛要請などにより休業を余儀なくされる飲食店などのテナント事業者の皆様を始めとして、家賃の支払いが大きな負担になっているという認識をしております。先日、総理からも発表がございましたけれども、家賃負担を軽減するために、最大六百万円の給付金を新たに創設するということともしております。
こうした取組を通じまして、経済産業省といたしまして、事業者の皆様方の事業の継続をしっかり支援させていただきたい、そういう思いで対応したいと思います。
○山岡委員 今、御説明がありました。
あえて私が経済産業省の方をここにお招きして申し上げたのは、自己責任で事業者というのは当然倒産することまで法律で予定されている、そういう方々に対して、戦後最大とも言える危機だというお話を今御答弁でいただきました。そして、前例のない措置として給付するという形をとったという御説明をいただきました。
また、家賃については、与党の先生方も含め、我々野党もいろいろ提案をさせていただく中で、経済産業省が理解をしていただいた中で制度をつくっていただいたものと理解していますが、さまざま、今、こういう状況を改善しようということで、この新型コロナウイルス、前例にとらわれず、いろいろな措置をしていただいているところであります。
この軽種馬という産業は、まさにこの夏のセールがうまくいくかどうか、そして今、極めて厳しい状況が、今、生産現場にそうした予想が広がっている中で、ここの機会を逃すと結局、一年を越す資金が稼げないという状況が、今、目の前に来ているというところであります。
馬の産業は、確かに、価格ももともとついていて、例えばほかの農作物のように、生産物に対して直接支援がつくとか、そういうような措置をこれまでしてきたということは歴史上なかったんじゃないかなということは私は思うところでありますけれども、いみじくも農水省が他省庁の持続化給付金も当たりますと言った、その経産省が過去にないことをやっていると言うんですから、これまでいろいろな農作物のさまざまなことについて、皆様、御議論あったと思います。ただ、軽種馬、サラブレッド、馬の分野についても、どうかそこの部分を御理解いただいて、前例のない措置をしていただきたいんです。
今、新型コロナの中で、自粛というのが、皆様、本当に全国でこれまでずっと続けられてきて、まだ続いているところでありますけれども、農水省に伺います。
この新型コロナウイルスの中で、いわゆる生産現場がサラブレッドをつくって売り出していく、それが各地の競馬で走って、そして多くの方が馬券を買ったりした収入があるわけですけれども、インターネット販売、この馬券の売上げ、今どういう状況なんでしょうか。お伺いします。
○水田政府参考人 お答えいたします。
JRAにおきましては、本年二月二十六日の大規模イベントの自粛要請を踏まえまして、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策の一環といたしまして、無観客で開催をいたしまして、勝馬投票券の発売は、インターネットによる販売に限定して行っているところでございます。
このJRAの無観客競馬開始以降の売上げでございますが、従来、三割が競馬場及び場外馬券場における現金販売でございまして、七割がインターネット販売でございました。このインターネット販売の売上額でございますけれども、対前年比で一・三倍になっているところでございまして、現在までのところですね。その結果といたしまして、無観客競馬開始以降の売上額でございますが、対前年比で九二・一%という状況でございます。
○山岡委員 普通に考えればそのとおりだと思うんですけれども、インターネットで販売する、そして、御自宅で待機されている方、出かけるところもない、そして競馬を見て、ネットで買う。極めて今、盛り上がっているという話がありました。無観客だということもありますから、総合収入はまた必ずしもそうじゃないのかもしれませんが、しかし、競馬という、いわゆる一番川下と言ったらよくないんでしょうか、一番、そこの、一般の消費者がかかわる部分については、極めてみんなが親しんでいるという状況があるということのお話がありました。
そしてまた、騎手の皆様、これは報道にも出ていましたけれども、武豊騎手が、日本騎手クラブを代表して、ワンレース騎乗すると千円積み立てして影響を受けている方に支援する、コロナ全体に対する基金をつくろうということもやっていただいたり、騎手の皆さんの独自の取組とかいろいろしていただいているわけでありますけれども、じゃ、農水省はどうなんだという思いなんです。
そして、もう一つ聞きます。
JRAは、先ほど、一番最初の答弁にもありましたけれども、法律に基づいて、国庫納付金、売上げの一〇%、そして利益の五〇%を納めているかと思いますが、この納付金の直近の金額は幾らになりますか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、JRAは、日本中央競馬会法に基づきまして、売上げの一〇%を第一国庫納付金、さらには剰余金の二分の一を第二国庫納付金として国庫納付しているところでございます。
令和元年におきます国庫納付額でございますが、第一国庫納付金が二千九百億円、第二国庫納付金が三百六億円で、合計三千二百五億円となっているところでございます。
○山岡委員 今、三千二百五億円というお話がありました。最近、インターネット販売を通じて、極めて今、馬券の売上げも伸びている中で、国庫納付金も伸びておりまして、直近は三千二百億ですけれども、例えば二〇一三年ごろは二千五百億だったわけです。毎年のように、今、国庫納付金は上がっている。極めて大きな貢献をしているわけでありますが、例えば、今、この次の競りで、競走馬を売る環境が整うかわからないと言われている一つのセレクトセールというセールがあります。昨年、過去最大の売上高を記録したとして喜んでおりますが、この金額は二百億です。
三千億の国庫納付金をしていて、競馬で多くまた楽しんでいる方、コロナの方がいて、そこの現場を支えているのは俺たち生産現場じゃないのかと。国には多く納付するけれども、生産現場の不安は解消されないのか、そうした悲痛な思いを、いろいろな農作物についてさまざまな支援策が出てくる中で、この一覧の中にも軽種馬という言葉すらない。私、馬という言葉で検索したら、群馬県の馬しかひっかかりませんでした。本当に、今のこの状況について、私は改善をしていただきたい。
地元の日高町という生産現場にある競馬場を持っているところの町長ともお話をしましたが、やはり、これからさまざまな提案をしたいということも考えているわけであります。
大臣にお伺いしたいと思いますが、例えば、今のお話ありました三千億の国庫納付があって、競りの最大販売額二百億を超えたというふうになっているこの状況を考えたときに、この夏の、このことしの競りがやはり大成功におさまれば、皆様、生産者の方は、売れればそれに利益を得て、そして次の年に備えることができる。そして、馬主の方、いろいろな状況があっても、買ってもらえれば、また継続的にその馬の中で参加してもらえるという状況があるわけなんです。
今ゴー・トゥー・キャンペーンというのが政府で企画されていると思いますが、これは例えば、旅行に行ったらその二分の一をそのまま補助する、そういう政策であります。私は、この全体の状況を考えたときに、毎年やれとは言いません、ことしのこの競りに、例えば、販売額に対して半額の補助をしてくださる。
よく、例えば、農作物とかに補助金を乗せると、それが生産者に行かずに、結局流通の方のところの手元に行ってしまうんじゃないかとか、値段をいろいろ買いたたかれるんじゃないかということが言われる議論がありますが、軽種馬という産業はもともと単価が高いんです。その金額で売れてもこれは大きな利益になるし、この補助を乗せた分が、たまたま競りが競い合って高くなればそれは農家の収入だし、安く買えれば馬主さんの、これはお手ごろな価格となるということで、こういう販売促進策を打っていただければ市場が活性化する、こういう思いを生産現場は持っています。
そして、実際に北海道庁も、これは違う理由でありますけれども、販売した馬に百万円ぐらいの補助を乗せて、ホッカイドウ競馬で走ることを条件にすれば補助してもいいとか、そういう制度も設けたりとかして、実際に行われているものでもあります。
あるいは、持続化給付金、これにかわる生産者の規模に合った給付金、いろいろな手があると思うんですけれども、大臣、ぜひこの軽種馬についても、前例にとらわれず、これまでのことにとらわれず、生産現場の声に耳を傾けていただいて、この夏と秋のセールを何としても成功におさめるために、毎年やれとは言いません、こうした措置を検討していただきたい。大臣に御答弁をお願いします。
○江藤国務大臣 山岡先生の熱い気持ちはよくわかりました。現場をよく歩いておられるということもよくわかりました。
ただ、一つ御理解いただきたいことは、例えば牛肉について、枝肉価格が大きく下落しておりまして、マルキンの負担を、支払いを猶予するとか、さまざまな手を打っておりますけれども、それは市場価格が現実に落ちたという事実をまず受けとめた上で、その対策を打たせていただいている。
それから、高収益作物についても、これから見直しを五万円からいたしますけれども、これの単価の張り方にしても、やはり現場の価格下落であったり、高級な野菜とか果物とかについて滞留している事実をつかまえてやっているということであります。
現在、生産局長から、冷たいと言われましたけれども、現在、状態においては、七月、八月、秋ということでありますから、今の状態でサラブレッドの値段が下落しているということは蓋然性としては把握できないということは御理解をいただきたいと思います。
しかし、しょっちゅうしょっちゅう競りをやっているものではなくて、この夏、秋にかけているんだということはよくわかりました。ですから、その季節が近づくにつれて、県をまたいだ移動については今の状態ではまだ控えてほしいという状態の中にあるわけですから、緊急事態宣言が全国的に解除されてもですね。ということであれば、事前に馬場に馬を見に来る人もいないのではないかということもわかります。
しかし、実際にネット等で販売、対面、相対でやっているのも、牛も同じですけれども、やはり血統が一番物を言う世界だと思いますので、それについて、今回の落札率とか平均価格等を見ると、余り予想をして、例えば販売価格の半分を見るというような話になりますと、牛の例えば枝肉の価格の半分も見るのか、やはりそういうことにもなってまいりますので、なかなかそこまでは難しいとは思いますが、しかし、ぜひ、現場のお話も、私の方からももう一回聞き取りをさせていただきたいと思いますし、JRAの方には競走馬生産振興事業というものがありますから、ここで使えるお金はあります。これは三千億納めていただいたお金の一部ですから、こういったものを活用することも検討させていただければと思っております。
○山岡委員 大臣、極めて慎重な、前向きなお話もいただきましたけれども、慎重なお話もいただきました。
きょうは、二〇二〇年五月であります。私、二〇一〇年、ちょうど十年前の五月でありますが、大臣が農林水産委員会で、当時は委員の立場でお訴えをされていたことをよく覚えています。私も農林水産委員、メンバーでございました。宮崎県で猛威を振るった口蹄疫のことについて、本当に熱量を持って大臣はお訴えになっていたということをよく覚えています。生産現場の声を聞いて、守ってほしいと。
さまざまありましたが、私は、大臣があのとき委員会で取組をされた、あるいはいろいろなところで取組をされたことが、宮崎の種牛を守ったことにつながったというように思っております。
どうか、今、具体的な話、大臣としての立場もあられるのでありましょうが、しかし、もう一つお答え願えないでしょうか。
この新型コロナウイルスにおいて、前例にとらわれない、過去にない、そうした視点も持って、この生産現場を守っていくために措置をとっていくんだ、そのことを御答弁いただけませんでしょうか。もう一言お願いします。
○江藤国務大臣 先ほど、JRAの事業について、三千億円のうちと申しましたけれども、どうも違うという指摘を生産局から受けたので、訂正させていただきます。
今回、一次補正から二次補正にかけて私も省内で何度も申し上げてきたことは、これまで諸君らが官僚として経験してきたこと、それは大変大切な知見ではあるけれども、しかしそののりを越えて考えなければならないよ、とてつもないことが起きたんだということは、何度も何度も省内の会議の中でも申し上げてきました。
ですから、今回、どのようなことが起こるか、まだわかりません。まだ第二波、第三波というような説もありますし、生産現場を守り、そして農業所得を上げ、その中にこのサラブレッドの世界も当然入っているわけでありますから、自分としては、今後あらゆることが起こっても、生産現場を守るために前例にとらわれない対策を検討することについてはポジティブだというふうにお答えさせていただきます。
○山岡委員 ありがとうございます。
ぜひ、今そうした不安の声、そして現に今、その競りがどうなっていくかというのがもう予兆として出ているということを御理解いただいた上で、ぜひ、この北海道胆振、日高の軽種馬の現場にまたよくよく目を向けていただければということを、改めてここで強くお願いさせていただきます。
きょうは、伊東副大臣にも御臨席をいただいております。北海道選出、きょうは北海道の選出の委員の皆様もたくさんおられますが、副大臣としてのお立場でもあります。
今、前例のない措置についてのお願いもさせていただきましたが、今、既存の措置としても金融措置があるということも説明もあったところであります。これもなかなか、軽種馬というのは、売れれば高く売れる、しかし、そうでもない年もあったり、不安定な要素があったりして、通常、融資というのも査定が難しいと言われている状況があります。
しかし、この新型コロナウイルスにおいては、そうした概念ではなくて、コロナウイルスでいろいろな影響を受けているのは本人たちの責任じゃありませんので、この金融措置についてもぜひ柔軟に対応いただきたいと思いますが、副大臣の御見解を伺えますでしょうか。
○伊東副大臣 山岡先生には、本当に熱意を持って、御地元の軽種馬農家をお守りする、そんな決意を本当に感ずるところであります。
私も、道議会議員になったときから、競馬振興議員連盟のメンバーとして、特に日高、胆振の馬産地の皆様方との話合いや、あるいは要望を聞いてきたところであります。地方競馬がだんだんだんだんだめになっていく中でありましたけれども、近年、これを盛り返して、中央競馬も地方競馬も振興してきている。そしてまた、昨年は史上最高額の子馬の入札であったというふうに聞いていたところでもあります。
今般のコロナウイルスの感染対策ということで、産地の皆さんには大分御苦労をかけているということは、私も十分理解しているところであります。特に、やはり生産農家の皆さん方が大事でありますし、また、あわせて、調教師の皆さん等々の関係者の皆さんであろうと思います。その上に立って、あとはその馬を買う馬主さんの皆さん方の入札いかんということになるわけでありまして、これから秋口、七月、八月にかけて行われる入札の結果が本当にいいことを期待をしているところであります。
ただ、馬産農家がこれによって極めて経営上厳しくなるということでありましたら、もちろん金融対策も、他の農家の金融対策に負けない、もっともっと必要な対策をやはり講じていかなければならないというふうに思っておりますので、これにつきましては、しっかりと見ていきたい、注視していきたい、そしてまた関係者の御意見を聞いていきたい、このように思っているところであります。
○山岡委員 御答弁ありがとうございます。
さまざま、大きい生産牧場から小さいところまであるんですが、裾野が大きいからこそ中央競馬が盛り上がって、多くの関係者の努力があって、今の軽種馬産業、そして競馬があるということをどうか御理解いただいて、そして、きょうは森林組合法の審議の中で、今、胆振東部地震とか、さまざま課題はあったんですが、また機会をいただいたときにこのことは御質問させていただくとして、きょう御答弁いただきました、やはり前例にとらわれず、そういう発想を持たずに、手を打つときには手を打つと、それは状況をよく見なきゃいけないけれども、手を打つときは手を打つという趣旨のことだということを理解しますので、ぜひ今後とも御指導いただければと思います。
御質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。
○吉野委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
コロナ禍の渦中において、生産者が大変困窮状態にあることをたびたび取り上げてまいりました。
大臣、大分県の竹田の肉牛農家の話も伺ったので、少し紹介したいと思います。
子牛の価格が去年の五月に比べて二〇%下落、十七万円安、六十三万円になってしまった、これを機会にもう繁殖をやめようという農家が出てきそうだ、後継者のいない高齢者の農家にとっては、これは特にそうだということを、生産農家の方も、それからJAの方もおっしゃっているということであります。困難に直面している全ての農家に、経営を下支えする、そういう対策が今喫緊に求められています。
そこで、お尋ねします。
本日は二次補正が閣議決定されます。そして、農水省からは新しく経営継続補助金というものが出されるというふうに伺っております。農業者向け持続化給付金とも言われているのです。ならば、持続化給付金を超えて生産者が利用しやすいものにする必要があると思います。
一つ例を申し上げたいんですけれども、南関東のある和牛農家です。一月に牛二頭を出荷して二百万円でやってきたんですね。ところが、今回、五頭出して二百万円なんですよ。五頭出して二百万円得ないと、次の経営にお金がない、飼料代を含めて。ですから、やむにやまれぬ出荷だったんです。ところが、前年同月と比較したら、二百万、二百万で変わらないから、持続化給付金の対象にはならない、こういう結果になっておるんですよね。
これは制度内でも、私は工夫したら給付されるものと思っているんですけれども、だからこそ、経営継続補助金、その名前が経営継続ですから、経営ができないという農家がいるわけですから、こういう補助金を全面的に適用できるように制度設計していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○江藤国務大臣 竹田の例を引いていただきましたけれども、宮崎でも同じような下落率で、大変なことになっております。
今度の補正につきましては、前回の一次補正では肥育農家について一定の対策を打たせていただきましたが、繁殖農家についても対策を打たせていただこうと思っております。追って御報告させていただきたいと思います。
今後設定されます、仮称でありますけれども経営継続補助金につきましては、基本的には持続化給付金については、対象にはなると思っています。一月十五日が締切りでありますから、農業の場合は、昨年の一年の収入を十二で割って、ことしの一月から、今からこの一月十五日までの間で二分の一になれば対象になりますから、やりようによってはかなりの確率で、私はもう九割以上を軽く超えると思いますけれども、給付金の対象になると思います。
しかし、さらに、この補助金の方は、いわゆる小規模な事業者を対象、二十名以下ということでございますけれども、そういうことになると、農林水産関係にかかわる人は、大規模な農家はおられますけれども、繁殖でもおられますけれども、大体もう九九%近い人が数字の上では対象となるというふうに計算されておりますから、対象が幅広く、できる限り漏れがないように、これが給付できるように工夫をしたいと思っております。
○田村(貴)委員 兼業農家の農業収入が減少した、そういう事例にも機敏に対応していただきたいというふうに思います。
農水省にお伺いしますけれども、この経営継続補助金、二百億円の予算額というふうに聞いていますけれども、これ、一件百五十万円として、一万三千件分ぐらいですよね。大丈夫ですか、足りますか。足りなくなったらどうしますか。お答えいただけますか。
○横山政府参考人 お答え申し上げます。
まず、兼業農家も含めての対象とはなり得るものだというふうに思います。それを前提に、ちょっと予算額の方は、まさにこれから閣議決定ということでございますし、今の段階で、足りる足らないというところ、なかなかお答えすることが難しいということは御理解いただきたいと思います。
○田村(貴)委員 多分、引き合いも申請も多いことは間違いないというふうに思いますよ。万全の策をとっていただきたいと思います。
それでは、法案について、森林組合法の改正案についてお伺いします。
林業は、未来投資戦略、いわゆる官邸農政によって、川下の大規模な製材企業への供給を図るために、この間、短伐期皆伐の方針がとられてきています。大規模伐採が広がる中でたくさんの問題が生じています。その一つが造林未済地のことであります。
資料をお配りしています。造林未済地の農林水産省の資料です。都道府県別に数字が出ていますけれども、これは三年ごとの調査で、平成二十六年、二〇一四年から、平成二十九年、二〇一七年までの三年間、全体で二千五百二十八ヘクタールも増加しています。これは再造林を放棄している、再造林放棄地とも言われる数字であります。
伐採しても植林をしない、これはだめですよね。なぜこういうことになっているんでしょうか、その理由を端的に教えてください。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
造林未済地の発生につきましては、今委員御指摘のとおりふえているところでございまして、これは林業採算性の長期低迷や経営意欲の低下等により発生しているものと考えております。
○田村(貴)委員 十四日の参議院先議、我が党の紙智子議員の質問にも、局長、そういうふうにお答えになりました。
実は、これ、今から十三年前の二〇〇七年、我が党の赤嶺政賢衆議院議員の質問主意書に対しても同じような答弁なんですよ。木材価格の低迷による森林所有者の経営意欲の減退等によって、伐採後も造林されない森林が発生している、そういうふうに承知しているというのが答弁でありました。
戦後の林業政策というのは、森林資源を枯渇させて木材の輸入自由化を招き、材価を低迷させました。森林所有者にとって、木材価格の低迷は今も昔も変わらないんですよね。造林未済地、この数字があらわすところ、増加しているということは、有効な山元に対する手だてが打たれてきていない、その証左ではありませんか。
これは法改正でこの状況を変えることができるんでしょうか。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
地域の林業経営の重要な担い手である森林組合が、山元への一層の利益還元を図りながら、組合員の再造林の意欲を高めるということのために、今回の法改正の仕組みも重要な対策というふうになると考えております。
特に、安定供給をすることによって丸太の値段を確保する、有利に販売するということが非常に重要な点だというふうに考えておりまして、そういうことを取り組みながら、造林未済地の解消にもつながるよう、今回の法制度の活用に取り組んでまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 今おっしゃった安定供給体制の構築というのは、どこに対する安定供給なのかという話ですよね。これは、川中、川下への大量、安価、安定供給を前提としたものではないんですか。そういう流れでずっとやってきていますよね。経営森林管理法、森林法から、国有林から。私、この流れがある限り、やはり山元還元というのはなかなか難しいと思いますよ。
大臣にお伺いします。
農林中金の二〇一七年総研レポートで、全国の組合に対するアンケートが紹介されています。再造林を実施しない理由について。どういう回答なのか。木材価格が安定、回復しないが一九%、造林費用を賄えないが五四%、造林への補助金が少ないが二三%。ここに森林所有者の苦悩があるわけですよね。材価が低いから、低迷しているから、再造林できない。この主要因があるわけです。
ですから、森林保有者における価格支持対策、そして価格向上政策に本気で取り組まないといけません。そうでないと山の荒廃は一層ひどくなると思いますけれども、大臣、手だてをとるべきじゃないですか。
○江藤国務大臣 最低価格を、例えば子牛のように補給金単価を決めて、五十四万一千円とかそういう単価が決められておりますけれども、そういう制度の導入をしたらどうかという議論は、私がこの職につく前も、議員になってからずっとされてきたことでありますけれども、なかなか、正直なところそれは難しいと思います。
そして、やはり、今回の法改正の趣旨として、いろいろな合併のやり方というものをお示しをさせていただきましたけれども、やはり、供給元に対して価格交渉力を持つには、ある程度のロットをまとめる、そして、相手の買い手にしてみれば、欲しいときに欲しいだけのものが手に入るということが求められます。それを満たせばこっちも高い値段で売ることができる。
やはり、我々の林業は、ホワイトウッド集成材とか外国の木材にやられてきたこの歴史をたどると、国内のいわゆる住宅メーカーなんかも、そういった外材に頼った方が安定的に画一的な製品が、製品的にも収縮が少ないとか曲がりが少ないとかいう材が安定的に供給される体制があるので、国産材よりもホワイトウッド集成材の方が高いけれども、やはりそちらを使うという現状がありました。
ですから、そういうものを解消するためには、CLTの技術開発とかさまざまなことがありますけれども、やはり、森林組合も、今までの合併一本やりではなくて、さまざまな事業の連携の仕方を構築しながら価格交渉力を持っていくことが全体の利益につながっていくことではないかというふうに考えております。
○田村(貴)委員 だけれども、それだったら造林未済地の問題は解決できないじゃないですか。宮崎県、どうなっていますか。この表にもありますけれども、七百五十九ヘクタールもありますよ。三年間で三・六倍にもなっていますよ。全国素材生産業協同組合の連合会、会長さんは宮崎県出身ですけれども、宮崎では切れ切れという状況でやってきたと。この短伐期主伐の方針で、やはり山がはげ山になっている、そして山元に利益が還元されていない。災害を誘発する大問題が今や引き起こされているわけですよ。
次に、大臣、やはり主伐を改めなければいけないという問題について、一問聞きます。
コロナ禍が続く中で、大雨の季節が迫ってまいりました。地震も各地で起こっています。切れ切れの号令のもとで、皆伐、無植林、そして路網放置が進めば、土砂災害は避けて通ることができません。短伐期皆伐の方針を改めて、適切な間伐、自伐型林業者などが行っている、大雨にも耐え得ることができる壊れない山道、こうした方式に、やはり災害対策一つとっても、林業の施業のあり方を変えていくべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
○江藤国務大臣 施業のあり方として、林道であったり作業道、特に作業道ですけれども、その作業道のつけ方が非常に雑であるがゆえに、山に降った雨をしっかりと流すことができない、山地崩壊につながっているという現状は、私は確実にあると思います。
そして、基本的には、林野庁としましては、伐採後には必ず植林をしてくださいということで指導してまいりました。ですから、苗木に対する補助も六八%という高い補助率でやらせていただいておりますし、そして山での施業についても補助をさせていただいております。
しかし、先ほど先生から御指摘があったように、補助金がまだ足りないんじゃないか、それから、材価が安いから手元にお金が残らない、残らなかったお金の中で、さらに、国の補助が七〇%近くあっても、三割は自己負担をかけながら、人件費を分けて、三十年先のためにそう投資はできない、投資をしたら、更に山の手入れも必要になってくるという、やはり、基本的には、山主に幾らの金が残るかということが問題になってくると思います。
しかし、この災害ということを考えると、森林法に基づきまして、森林が求められる機能に応じたゾーニングというものは林野庁は行っております。そして、そこについては、伐採方法についても規範を定めておるんですけれども、残念ながらそれに従ってくれない方もおられます。そして、中には盗伐をするようなやからも宮崎にもおりますので、そういうものも含めて、今後いかに再植林を進めて、再造林を進めて、循環型の林業をやるかということは大変大きな課題ですけれども、今回のこの森林組合法の改正がその一助となるということは御理解いただければありがたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 盗伐問題は、今度、いずれやりますけれども、大臣、やはり宮崎でも九州でも、こんなに刈っていいのかというところはいっぱいありますよね。こんな主伐、こんな皆伐をやっておって大丈夫かと。去年、おととしみたいな豪雨災害が来たらどうなるのか。そんなところはいっぱいありますよね。もう今が大切なので、直ちに手だてを打っていただきたいと思います。
最後に一問だけ。造林未済地の調査は、都道府県の受けとめもそれぞれまちまちで、数字が整合性がありません。ですから、無届け伐採の状況も含めてリアルに把握する必要があるんじゃないですか。
例えば、秋田県では、伐採後に自然更新、すなわち木が生えてくるかの判断をする基準を、国の五年以内ではなくて二年以内としているわけです。したがって、秋田県の基準では造林未済地が、二〇一七年度、五百六十九ヘクタールになる。しかし、国基準では八ヘクタールしかない。こういう矛盾が生じているわけなんですね。
こうした矛盾は、学識経験者もこれを見て判断できない。こうした委員会でもちゃんと論議ができない。県は県の言い分がある、国は国の言い分がある。もっとリアルに状況をつかむ必要があると思いますよ。
それから、自然更新、五年はちょっとないだろうと思いますけれども、いかがですか。リアルにつかむ必要で。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
造林未済地の面積につきましては、伐採後の人工造林を計画し二年以内の更新が完了していない人工林伐採跡地、伐採後の天然更新を計画し五年以内の更新が完了していない人工林伐採跡地などについて取りまとめたものでございまして、その把握に当たっては、市町村が現地を確認するなどにより調査しているところでございます。
県によって異なるという御指摘につきましては調査をさせていただきたいというふうに思いますけれども、私どもとしては、この基準に従って報告をいただいているものと認識しております。
なお、平成二十八年の森林法改正により、市町村が伐採後の造林の状況を効率的かつ的確に把握できるよう、伐採届を提出した森林所有者等がその後の状況を市町村長へ報告することを義務づけたところでございます。
今後は、市町村に対し順次行われる報告を活用しながら調査をお願いし、造林未済地面積についての精度向上を図ってまいりたいと考えております。
さらに、衛星画像を活用して伐採状況を確認するシステムの開発に取り組んでおり、昨年十一月から三道県で実証を始めているところでございまして、伐採箇所の発生を迅速に把握できるよう、実用化を早期に図ってまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 時間が参りました。終わりますけれども、状況はしっかりリアルにつかんでいただきたい、このことを要求したいと思います。
終わります。
○吉野委員長 次に、森夏枝さん。
○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。
本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
新型コロナウイルスにより、さまざまな分野で多くの影響が出ております。緊急事態宣言が解除されましたが、経済がもとの状態に戻るまでにはまだまだ時間がかかります。第二波に備えながらも、新型コロナウイルスの影響を受けた方々に対しての支援はしっかりと行わなければなりません。
今回の法改正によって、森林組合の経営基盤強化に向け、事業の執行体制の強化を図っていかれると思いますが、森林組合の理事の年齢構成も、六十一歳以上の方が九割以上を占めており、年齢層に偏りがあります。
林業の分野では、機械化が進み、女性も働きやすくなったということは聞いておりますが、まだまだ性別にも大きな偏りがあり、女性活躍といった点では大変おくれている分野かと思います。
令和元年の農協の正組合員に占める女性の割合は二二・三%、森林組合は一〇・四%と、農協と比べても半分以下となっており、女性役員の登用状況も、農協では七・七%、森林組合では〇・五%と、農協と比べても十五分の一以下という状況でございます。
森林組合での女性参画の促進も重要であるとの認識で本法改正を進めておられると思いますが、まずは農協の状況について伺います。
農協では、いつごろから、どういった取組を行い、女性の数をふやしてきたのでしょうか。まだまだ数は少ないですけれども、農協において女性がふえたことによるよい事例などあれば、具体的に教えてください。
○横山政府参考人 お答え申し上げます。
農協系統における女性に係る取組でございます。
農協系統では、平成六年、第二十回のJA全国大会におきまして、女性の正組合員加入、総代、理事への就任、各種委員会への参加を進めることを決議をいたしました。さらに、平成三十一年の第二十八回大会におきまして、正組合員の三〇%以上、総代の一五%以上、理事等の一五%以上という目標を定め、それを受けまして各JAで取り組んできているところでございます。
また、法律上も、二十八年四月に施行されました改正農業協同組合法におきまして、理事について年齢及び性別に著しい偏りが生じないよう配慮しなければならない、こうした旨の規定も設けたところでございます。
こうした取組によりまして、令和元年度では、女性の割合は、正組合員で二二・四%、総代九・四%、役員八・四%となってございます。
農協における女性活躍の優良事例ということでございますが、JAグループの滋賀におきましては、JA役員体制検討委員会、これを立ち上げまして、女性登用の実現方法を検討いたしますとともに、女性の役員の方が、暮らし、健康など生活に関する女性組合員の声を理事会に届け、また、女性組合員にもJAの運営の考え方等を伝え、組合員と理事会との相互理解を深める取組、これを実施されました。そうした結果、令和元年に県全体で女性の役員の割合は一五・一%まで達成してございます。
農林水産省といたしましては、こうした事例を全国に展開いたしますとともに、地域農業をリードできる女性農業者を育成するための研修を実施いたしまして、農協の役員も含めまして、地域農業の方針策定に参画する女性を増加させていきたいと考えているところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
今、女性がふえた農協での事例を御紹介いただきました。森林組合でもぜひ参考にしていただいて、女性が活躍できるように努めていただきたいと思っております。森林組合員そして理事の若返りや女性の登用によって新しいアイデアが生まれると思いますし、新たな挑戦などもできるようになると思います。
本法改正により、正組合員資格の要件を同一世帯内から推定相続人に見直し、人数制限を撤廃されることとなっております。すぐに結果を出すことが難しいというのは理解をしておりますが、実際にこの改正でどのぐらい女性がふえると見込んでいるのでしょうか。また、このほかに、女性正組合員や役員をふやすために何か積極的に取り組まれることはあるのでしょうか。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
森林組合は、森林所有者を組合員とする協同組合でございまして、森林所有者というのは、いわゆる登記の名義を持っている者というようなことで、現実には男性が非常に多うございます。そういう意味で、森林組合は男性の組合員が多い組織ということでございます。
女性組合員や女性役員がどの程度ふえるかということをこの場ではっきりお答えすることは大変難しゅうございますけれども、今回の法改正により同一世帯要件を緩和することで、森林組合における女性の参画が進むと考えているところでございます。
森林組合における女性の参画については、今も農協のお話がございましたけれども、農協系統が自主的に取り組み、さまざまな活動をされた結果、女性の割合がふえている、そういうものを追いかけまして、森林組合系統が自主的に取り組んでいただくことが重要であると考えております。そのために、本年秋に策定される系統運動方針において、系統としての数値目標が決定されることも重要であると考えております。
農林水産省としても、このようなことを系統に働きかけてまいりたいと考えておりますし、女性が正組合員や役員となって活躍していくことで組合の活性化が図られている、そういう事例が出ればそういうものを紹介し、横展開を図ることによって、系統の取組を後押ししてまいりたいというふうに考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
第四十四条第十一項に、「組合は、その理事の年齢及び性別に著しい偏りが生じないように配慮しなければならない。」と規定が追加されることとなっておりますが、現在、女性は〇・五%ですから、九九・五%が男性ということで、著しい偏りがあるのが現状ですので、しっかりと対策を講じていかなければ、本当に女性が活躍するというのは大変難しいと思います。
組合の自主的な取組も国として後押しをする、サポートをしていかれると思いますけれども、自主的な取組だけではやはり女性はふえないと思いますので、しっかりと今後更に検討を進めていただきたいと思っております。
女性参画や森林組合の若返り、後継者問題においては、やはり一番必要なのは林業、木材産業従事者の所得向上だと思います。所得向上が実現しないと、意欲と能力のある林業経営者も育ちません。また、意欲があっても、職業として選ぶこともできませんし、続けることができません。
今回の改正において、組合間の多様な連携手法を導入して、販売促進にも力を入れていかれると思います。組合の合併により、経営基盤強化を進め、八割の組合が黒字化できているとのことですが、以前から林業従事者の所得向上のためにもコスト削減に力を入れると聞いておりますが、実際にうまくいっているのでしょうか。特に、若い世代の所得向上につながっているのでしょうか。
○伊東副大臣 農林水産省では、これまで、施業の集約化、路網整備の加速化、高性能林業機械の導入等、条件整備を進めるとともに、伐採コストの低減に資する列状間伐というやり方でありますけれども、この導入促進、また、地ごしらえコストの低減に資する伐採と造林の一貫作業の導入促進など、低コスト化、効率化に向けて取り組んできたところであります。
これによりまして、労働生産性、すなわち一人一日当たりの木材生産量は、五年前に比べまして一八%上昇と、向上が図られてきたところであります。
このような取組の成果もありまして、林業従事者の平均所得は、平成二十五年に三百五万円であったものが、平成二十九年には三百四十三万円に向上をいたしまして、特に、今委員おっしゃられた若い方々でありますけれども、二十代以下について見ますと、全産業と同程度の水準となっているところであります。全世代的に見れば、全産業の年間所得と比較して、まだ林業の従事者は百万円程度低い状況にあります。
今回の法改正によりまして、森林組合の販売事業の強化が図られ、その収益を山元に還元することによりまして、林業所得の増大、組合の事業の従事者の所得の改善につながるものと考えております。
さらに、農水省では、緑の雇用事業により、一年を通じた林業作業の習得を支援する通年雇用化の促進や、あるいは処遇の改善にもつながる技能検定制度への林業の追加などにも一層力を入れることとしております。
これらの取組を通じて、林業従事者の所得向上を図ってまいりたい、このように思うところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
平成二十五年と比べると所得も向上しているということであります。日本の森林を守っていく、次の世代を育てていくためにも、今後も若者が働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
森林整備も大変重要です。森林には水源の涵養という大変重要な役割がありますし、森林を手入れしておかないと、近年の大規模災害に対応ができません。収入が安定しない、安過ぎるから後継者がいない、人手が足りない、森林が荒れ放題では、大規模災害が起こった際に国民の命を守ることができません。必要な整備は後回しにせずに、しっかりと進めていただきたいと思っております。
原木価格が低迷している今、植林に力を入れていただきたいと思っておりますが、補助金もあるようですので、しっかりと周知をしていただいて、できるだけ花粉の少ないものを植林していただきたいと思っております。
本法改正に対しては、森林組合の基盤強化ということで、ぜひ進めていただきたいと思っておりますが、新型コロナウイルスの影響を考えますと、法改正をしたからといって全てがうまく進むとは思えません。やはり、新型コロナウイルスの影響を受けた従事者に対しては、しっかりと支援をし、仕事を続けられる環境を整えていかないといけません。
次に、新型コロナウイルス関連で質問をさせていただきます。
木材の輸出入が大変滞っている状況であると思います。近年、我が国の木材輸出は順調に伸びている状況だったと思いますが、木材の輸出について影響が出ていると思います。
木材の輸出の現状と、今後の見通しについて教えてください。
○本郷政府参考人 お答えを申し上げます。
新型コロナウイルスの感染拡大により、令和二年三月の木材輸出額は前年同月比で三割減、特に、輸出の多くを占める中国向け木材輸出額が前年同月比で五割減になるなど、我が国からの木材輸出に影響が生じているところでございます。
一方で、四月以降、中国の製材工場が動き始めたことにより、停滞していた輸出が再開するなどの動きも見られております。
先行きは不透明な状況でありまして、引き続き、影響を注視しつつ、滞留している輸出原木については、一時保管するためのかかり増し費用を支援するとともに、今後の輸出の回復、拡大に向けて、大径原木を付加価値の高い木材製品に加工するための施設整備への支援などを進めてまいりたいと考えております。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
輸出についても大変減少しているということで、皆さん大変不安な思いをされていると思います。
最後に、大臣に伺いたいと思います。
先ほど、支援策の一部も御紹介いただきましたけれども、前回の委員会でも、技能実習生が来日できないことによる人手不足に対しては、マッチングなどの支援もしていただいているとのことでした。
この新型コロナウイルスによる林業、木材産業従事者への支援策について、前回もお聞きしたんですけれども、持続化給付金や雇用調整助成金など他の産業とも共通するものではなくて、この林業、木材産業従事者に対する影響、支援策について、大臣、よろしくお願いします。
○江藤国務大臣 今お答えいただいたように、共通ではありますけれども、持続化給付金、それから雇用調整助成金は当然利用できますし、今度の補正で要求を予定いたしております経営継続補助金、仮称でありますけれども、これについても、小規模でありますから、全ての森林組合が対象になるとは言えません。二十人以下ということでありますけれども、大体そんなに大きいところはありませんので、常時雇いが二十人ですから。ということであれば、森林組合もまた対象になるということでありますから、これも山で使える事業だということを御理解いただきたいと思います。
最初のうちは、輸出木材についてのみ影響が出るということで、できれば国内でその分は消費できるような方向でやろうということでやっておりましたけれども、木材でも国内でもなかなか消費できないような状況になっておりますので、国内でも、先ほど御質問がありました土場の確保であったり、それから、腐らないような処理に対する補助であったり、運搬費であったり、さまざまなものについて補助をさせていただいて、そして、今の時期は、山で木を切って、原木を出して、立木を出すよりも、やはり、安いとわかっていて出すのはやめて、山を保全する作業について林業従事者の方々は汗を流していただくのがありがたいということもありますので、人件費も含めて、今度の補正予算で支援ができるように、最終的な詰めをさせていただいたところでございます。
○森(夏)委員 ありがとうございます。
大変な影響が出ておりますので、また第二次補正でも更に支援を拡大していただけるとのことで、この林業、木材産業従事者への支援をしっかりとお願いをいたします。
以上で終わります。ありがとうございました。
○吉野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○吉野委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。田村貴昭君。
○田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、森林組合法の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
今、全国の山林では、皆伐して再造林しない、あるいは、強度の間伐が行われ、残った木が風で倒れる、病気で枯れるといった施業が広がっています。山は、高性能林業機械を通すため、大きな作業道がジグザグに入れられ、そこから沢に向かって崩れ落ち、残った木も利用できない、荒れた状態が拡大しています。そして、それが、豪雨、台風の際に、土砂崩れ、山津波を引き起こし、河床の上昇と保水力の低下によって洪水が頻発しています。伐採による環境の激変が生態系を攪乱し、生物多様性を損なっています。何より、森林の持続的、永続的な利用を阻害しています。
ところが、安倍政権は、意欲と能力のある林業経営者に森林を集約し、大規模化を進めるとし、森林経営管理法を制定しました。昨年は、国民の共有財産である国有林をも売り渡す国有林野管理経営法の改悪を行いました。本法案はこれに続くもので、いずれも、未来投資戦略と規制改革推進会議の提言の具体化であります。
その目的は、森を大規模に伐採し、大型化した川下の木材産業、あるいは丸太ごと燃やすような大規模バイオマス発電に低価格で大量の素材供給を行うためであります。
本法案は、現行法四条から「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」との規定を削除し、森林の伐採を含む木材の生産、販売事業について、事業譲渡や吸収分割、新設分割といった営利事業の組織変更制度を導入します。これは、森林所有者の共同、相互扶助組織であるはずの森林組合を、企業的な性格の組織へと変容させるものです。
これによって、より大きな森林組合が、小さな森林組合の林産事業、販売事業に参入することが可能になります。不採算事業の整理縮小が進むとともに、リストラなどの人員整理にもつながりかねません。本法案は、森の荒廃を一層進めるものと言わざるを得ません。
森林組合の弱体化の原因は、復興期から高度成長期にかけての乱伐が木材の輸入自由化を招き、材価が長期にわたり低迷したことにあります。本法案はそこに何らメスを入れておらず、再び目先の利益を追うという過ちを繰り返すものです。大規模化、効率化、利益最優先のやり方では、森林の公益的機能が発揮されないばかりか、山村地域の一層の過疎化、空洞化が進みかねません。
森を守り育て、高い価値をつけて売る、そうした持続可能な林業を発展させることにこそ力を注ぐべきであることを強く主張し、反対討論とします。
○吉野委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○吉野委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、森林組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○吉野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○吉野委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中厚君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会・無所属の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。神谷裕君。
○神谷(裕)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。
森林組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎える中、森林経営管理制度や国有林野における樹木採取権制度の創設等を受けて、地域の林業経営の重要な担い手である森林組合には、森林の有する公益的機能の維持増進を図りつつ、「意欲と能力のある林業経営者」として、森林の経営管理の集積・集約、木材の販売等の強化、さらにこれらを通じた山元への一層の利益還元を進めていく役割が期待されている。
よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 組合間の多様な連携手法の導入に当たっては、その活用を通じた地域の森林整備の確実な実施と販売事業の拡大による経営基盤の強化が図られるよう、制度を周知すること。また、多様な連携手法を活用しない事業展開を進めようとする場合も含め、個々の森林組合の状況に応じて、経営基盤の強化に向けた自主的な取組を引き続き支援すること。
二 正組合員資格の拡大については、その活用により後継者等が森林組合の運営に参画することが促進されるよう、制度の周知と森林経営への意識の醸成を図ること。また、森林組合及び地域の実情に即し、理事への女性や若年者の登用が進むよう環境整備を図ること。
三 森林組合による林産物販売等の強化を通じ、地域林業の活性化、ひいては、地域経済への貢献が図られるよう、販売事業又は法人経営に関し実践的な能力を有する理事の配置はもとより、地域の実情に応じ多様な連携手法の活用に向けた総合的な指導、支援を行うこと。
四 森林組合がその事業実施を通じて森林経営管理制度や樹木採取権制度の円滑な実施を始め地域の林業経営の重要な担い手としての役割を発揮することができるよう、人材の育成・確保、施業技術の向上等に係る必要な支援を行うこと。併せて、林業従事者の所得の向上、労働安全対策を始めとする労働条件の改善に向けた対策の更なる強化を図ること。
五 台風等の自然災害による森林被害が頻発している現状に鑑み、災害からの復旧を迅速化するとともに、今後の災害発生を予防する観点から、倒木の防止や除去等を含め、間伐を始めとする適切な森林整備を推進すること。また、市町村が主体となった森林整備の着実な推進に向け、林地台帳の整備、境界の明確化、森林所有者の明確化等を一層推進すること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○吉野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○吉野委員長 起立多数。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。
○江藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○吉野委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
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○吉野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時二十一分散会