第2号 令和2年11月11日(水曜日)
令和二年十一月十一日(水曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 高鳥 修一君
理事 加藤 寛治君 理事 齋藤 健君
理事 津島 淳君 理事 宮腰 光寛君
理事 宮下 一郎君 理事 亀井亜紀子君
理事 矢上 雅義君 理事 稲津 久君
伊東 良孝君 池田 道孝君
泉田 裕彦君 今枝宗一郎君
上杉謙太郎君 江藤 拓君
金子 俊平君 木村 次郎君
国光あやの君 小林 鷹之君
佐々木 紀君 斎藤 洋明君
繁本 護君 鈴木 憲和君
高木 啓君 武部 新君
冨樫 博之君 西田 昭二君
根本 幸典君 野中 厚君
福田 達夫君 福山 守君
細田 健一君 八木 哲也君
石川 香織君 大串 博志君
金子 恵美君 神谷 裕君
近藤 和也君 佐々木隆博君
佐藤 公治君 緑川 貴士君
濱村 進君 田村 貴昭君
串田 誠一君 藤田 文武君
玉木雄一郎君
…………………………………
農林水産大臣 野上浩太郎君
農林水産副大臣 葉梨 康弘君
農林水産副大臣 宮内 秀樹君
外務大臣政務官 國場幸之助君
農林水産大臣政務官 池田 道孝君
国土交通大臣政務官 鳩山 二郎君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 青山 豊久君
政府参考人
(農林水産省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 信夫 隆生君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 新井ゆたか君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 太田 豊彦君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 光吉 一君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 牧元 幸司君
政府参考人
(農林水産省政策統括官) 天羽 隆君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 菱沼 義久君
政府参考人
(水産庁長官) 山口 英彰君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 宇野 善昌君
政府参考人
(海上保安庁海上保安監) 伊藤 裕康君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 大森 恵子君
農林水産委員会専門員 梶原 武君
―――――――――――――
委員の異動
十一月十一日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 高木 啓君
小寺 裕雄君 国光あやの君
佐々木 紀君 小林 鷹之君
武部 新君 繁本 護君
福山 守君 冨樫 博之君
藤田 文武君 串田 誠一君
同日
辞任 補欠選任
国光あやの君 小寺 裕雄君
小林 鷹之君 八木 哲也君
繁本 護君 武部 新君
高木 啓君 上杉謙太郎君
冨樫 博之君 福山 守君
串田 誠一君 藤田 文武君
同日
辞任 補欠選任
八木 哲也君 佐々木 紀君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出、第二百一回国会閣法第三七号)
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○高鳥委員長 これより会議を開きます。
農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官青山豊久君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官信夫隆生君、消費・安全局長新井ゆたか君、食料産業局長太田豊彦君、生産局長水田正和君、経営局長光吉一君、農村振興局長牧元幸司君、政策統括官天羽隆君、農林水産技術会議事務局長菱沼義久君、水産庁長官山口英彰君、国土交通省道路局次長宇野善昌君、海上保安庁海上保安監伊藤裕康君及び環境省大臣官房審議官大森恵子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。上杉謙太郎君。
○上杉委員 おはようございます。自民党福島三区の上杉謙太郎でございます。ありがとうございます。
臨時国会最初の質問を、しかもトップバッターということで質問の機会をいただきまして、理事の先生方に感謝を申し上げたいというふうに思います。
冒頭、コロナウイルス感染症で亡くなられた皆様にお悔やみを申し上げたいというふうに思います。また、農業従事者も、林業の方も、水産業の方も同様にコロナで苦しんでおります。一生懸命頑張っていらっしゃる、そのことに敬意と感謝を申し上げたいというふうに思います。
さて、野上大臣、御就任おめでとうございます。また、葉梨副大臣、池田政務官も、あわせておめでとうございます。菅政権になって、出身でいうと秋田県出身の総理が誕生した。思い返せば、安倍政権誕生のときに、東北の復興なくして日本の再生なしと安倍前総理がうたわれておりました。そして今、秋田出身の菅総理と。つまり、東北にこれから菅政権がより一層光をともしてくれるんじゃないかということを期待しております。
野上大臣におかれましては北陸ということで、東北と似たような、農林水産業が盛んな地域でありますので、きのうの所信の全体像といいますか意気込みも含めて、また、東北の皆様に対して、光が当たることを期待しておりますので、何かお言葉を賜れたらありがたいというふうに思います。
○野上国務大臣 おはようございます。
東日本大震災から十年がたとうといたしております。私も、大臣に就任させていただきまして最初の訪問を、まず福島県の一市三町、いわき市、楢葉町、富岡町、浪江町を訪問させていただきまして、内堀知事を始め首長の皆様方、あるいは農林水産関係者の皆様方とさまざまな話を直接お伺いをさせていただきました。
私自身、内閣官房副長官のときから復興には携わっておりましたので、福島に行きましたときに内堀知事の方から、これまで十一回ぐらいお会いしていろいろな話をさせていただいている、そういう御紹介もいただいたところでありますが、知事からは、前向きに復興が進んでいるところもあるが、まだまだ厳しい部分もあるんだ、こういう御意見もいただいたところであります。
被災地におきましては、津波被災農地の九四%で営農再開可能となっておりまして、インフラの復旧はそれなりに進展をしていると思いますが、しかし、依然として、原子力災害被災地域におきましては、営農再開や、水産業、林業の再生、風評払拭、まだまだ取り組むべき課題が多いというふうに思っております。
農水省としては、こうした課題の解決に向けまして、今、十二市町村に職員を派遣しておりますので、その職員との連携も、市町村との連携も密にしながら、農地集積や、高付加価値を通じた営農再開の加速化、あるいは森林整備、水揚げの回復、水産加工業の復興、風評被害の払拭、販路拡大等、被災された方々が立ち直るための万全の支援をまた引き続き行ってまいりたいというふうに思っております。
○上杉委員 ありがとうございます。
福島県、ちょうどことしで震災から十年という節目であります。復興庁の継続も決まって、十一年目、これから十年間、また更に加速して頑張っていきたいというふうに思っている中で、営農再開もそうでありますし、キノコの出荷制限、また、水産の方でいえば処理水の問題等々、課題は多々あります。
しかしながら、一方で、例えば農林水産物の輸出を五兆円にふやしていく等々、前向きで夢ある目標もありますから、そういったときに、東北、北陸も、そして北海道も、米どころ、そして農林水産業の盛んな地域でありますので、これからの日本の基幹となる輸出産業の一つが農林水産業ということで、ぜひこれからも東北にお力添えをよろしくお願いをしたいというふうに思います。
続いて、きのうの大臣の所信の中にあった中で、まず最初、次期作支援交付金についていろいろ聞いてみたいというふうに思うんですが、報道等でも出ているとおり、いろいろとあって、問題となっています。
まず先に、当初、コロナで大変な農家さんに何かしら支援をしないといけないというところから始まったというふうに思っています。自民党の中でも多々議論もしました。そういった中で、一次補正で措置されてスタートしたわけであります。
そういった中で、野菜も、お花も、果樹またお茶、そういったところで、最初は、減収は要件にしていなかったということですとか、市場が落ち込んだことを理由にしていましたから、出荷した、若しくは、それで出荷できずに廃棄してしまったということを条件にしていた。また、交付額の上限も決めていなくて、十アール八十万なり五万円なりという設定をした。これは、生産者の皆さんが、コロナになっても前向きに、次に向けて取り組めるように、また、営農を断念することがないように、農水省さんとして頑張る農家さんを後押しするという、すごく前向きな形でスタートしたはずでありました。
しかし、十月十二日ですか、申請もたくさんありましたから、要件を変更せざるを得なくなったという判断で、支払いの条件を強化したということでありましたが、大臣、今大きな混乱を来しているというところでありますので、その経緯などを含めて、ひとつ御説明をいただけたらと思います。
○野上国務大臣 御指摘のありました高収益作物次期作支援交付金につきましては、第一次補正予算で創設した事業でありますが、新型コロナウイルスによる影響を受けました花卉、茶、野菜、果樹等の高収益作物の次期作に取り組む農業者に対し支援するものであります。
事業を創設した当初は、生産現場には新型コロナウイルスの影響が更に拡大、深刻化することへの不安が蔓延をしておりまして、営農を断念する農家が発生する、こういう懸念があったところであります。このような状況下で、コロナの影響で困っている農業者の方が本事業の要件が厳しいために申請ができずに営農を断念するといったことが生じないことを最優先として、要件を簡素で弾力的にするなど、申請しやすい仕組みとしたところでありました。その結果、非常に多くの申請をいただいたところでありますが、減収を要件としなかったことから、中には減収していない品目の申請も含まれておりました。
これは決して農家の皆様の不手際ということではなくて、農業者の皆様には要件に即して申請をいただいたところでありますが、このまま交付金をお支払いすることになれば、コロナの影響を受けていないのに交付金が支払われることになりかねず、国民の理解を得ることは難しいものと考えております。このため、減収のあった品目を対象としまして、減収額を超えない範囲で交付金をお支払いすることとするなど、運用を見直すこととしたところであります。
他方、運用の見直しの前に、交付金を見込んで、コロナ禍においても積極的に機械や資材への投資を行った農業者の皆様の経営に影響が生じ、前向きな取組が続けられなくなることがないよう、追加措置も講じたところであります。
しかしながら、結果として関係者の皆様に御負担をおかけすることになりまして、大変申しわけなく思っておりますが、関係者の皆様に御理解いただけるように丁寧に説明をし、追加措置も含めて、しっかりと現場の皆様をお支えしてまいりたいと考えております。
○上杉委員 ありがとうございます。大臣の誠意ある思いはしっかりと受けとめさせていただきたいと思います。
また、私の後援会でも、二つの町村のトップの後援会長がお花をやっています。募集のときから、これは大丈夫なのかというのは言っておりました。今まさに混乱をしております。
率直に、例えば具体的に制度設計をやっていただいた農水省の事務方の方に、実際どうだったのかということをちょっと御説明いただきたいと思うんですが、局長、御答弁をお願いいたします。
○水田政府参考人 お答えいたします。
本事業の創設当時でございますけれども、生産現場には、新型コロナウイルスの影響が更に拡大する、あるいは深刻化する、こういったことへの不安が蔓延をしておりました。営農を断念する農家が発生する懸念というものが非常にあったわけでございます。こうした状況のもとで、この新型コロナウイルスの影響で困っている農家の方が、この事業の要件が厳しいために申請ができずに営農を断念するといったことが生じないようにするということを最優先とした事業の仕組みにしたところでございます。
しかしながら、今となってみれば、結果として見直さざるを得なくなり、関係者の皆様に御負担をおかけしていることにつきまして、まことに申しわけなく思っております。関係者の皆様には、御理解をいただけるよう、丁寧に説明してまいりたいと考えております。
○上杉委員 ありがとうございます。生産者の方は、ある意味後づけなわけですから、はしごを外されたというふうに思ってしまうわけでありますから、誠意ある対応をしっかりとしてもらいたいというふうに思います。
また、要件を強化したということは、いろいろ手続が大変になってきて、窓口をやってくださっているJAさんとかも、これから余計な事務がかかるわけでありますから、そこはしっかり補償しないといけないというふうに思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
今回の追加措置によりまして、現場の負担が増加して対応できないということがあってはならないと考えております。
このため、現場の負担軽減といたしまして、一つは、機械や資材等への投資額が運用見直し前の交付予定額を上回る場合には、減収額を確認する申告書の提出を不要といたすことで、農業者及び事業申請窓口の負担軽減を図ります。また、生産者団体等が農業者にかわって申告書の作成をできるようにすることで、農業者の負担軽減を図ってまいりたいと考えております。
他方、こうした運用見直しによりまして、事業申請窓口であります再生協議会、JA等の事務負担、事務費が増加するということが見込まれておりますので、これにつきましては必要額をしっかりと措置してまいりたいと考えております。
○上杉委員 ありがとうございます。稼働が発生するわけでありますので、しっかり対応してもらいたいというふうに思います。
また、先に、お金が入るというふうに思って、そうやって、先行投資といいますか、資材を購入したり、早くやった人はいいんですけれども、十月三十日というところを区切りにされていますよね。どうして十月三十日にしたのか、その理由をしっかりちょっと御説明をいただきたいと思うんですけれども。じゃないと、じゃ、先にやった人はある意味よかったということになって、これからしっかり精査をして申請しようとしていた人は対象にならないわけでありますから。
そもそも制度のふぐあいがあって、帳尻を合わすというわけではないですけれども、要件を追加して、その分、漏れちゃう人にしっかりとまた対応する。新たな不公平を生んではいけないというふうに思うわけであります。ですから、一旦十月三十日で区切るということについてはしっかりと誠意ある説明が必要だというふうに思うんですけれども、ここは大臣から御答弁いただけますでしょうか。
○野上国務大臣 運用見直しに伴いまして、交付金が減額又は交付されなくなる農業者のうち、既に機械や資材に投資して支出してしまった方につきましては、経営への影響が特に大きいことを踏まえて、こうした農業者の生産性の向上等を図ろうとする前向きな取組が続けられなくなってしまうことがないように、追加措置を講じたところであります。
追加措置の対象者を、今御指摘のありました公表日である十月三十日以前ということでありますが、十月三十日以前に投資を行った者とすることについて不公平であるとの御意見があることは承知をいたしておりますが、機械等への投資がこれからで、いまだ経費が発生していない方に同様の支援を行うことは、国民の理解を得ることは難しいと考えております。
関係者の皆様の御理解をいただけるように、丁寧に説明をしてまいりたいと思います。
○上杉委員 誠意ある御説明をどうぞよろしくお願いいたします。
もともと準備をした予算以上の募集が来て、こういうふうになっているわけであります。また、これに対して追加措置もするわけでありますから、予算が確保できないといけないわけであります。ここが一番心配なところであります。この交付金の予算確保に向けて、いろいろあったわけでありますから、生産者の皆さんに安心してもらうためにもしっかりと確保してもらいたいというふうに思いますけれども、意気込みを教えていただければと思います。
○野上国務大臣 現在三次公募を行っているところでありますし、更に今般、追加措置の公募も行うことといたしておりますが、今後追加の財政措置が必要と判断される場合には、今般編成指示のありました令和二年度の第三次補正予算におきまして必要な財源をしっかり確保してまいりたいと考えております。
○上杉委員 ありがとうございます。ぜひしっかりとお願いをしたいというふうに思います。
高収益の方は以上でありまして、もう一つ、コロナ対策で打ち出していた経営継続補助金、こちらについてもちょっと教えてもらいたいと思うんです。
こちらの方はそういうトラブルはありませんけれども、生産者の皆さんも非常に喜んでおりました。募集も大変たくさんあったということであります。一次募集、今ちょうど二次募集をしている最中でありますけれども、一旦一次募集は締め切っておりますから、応募状況ですとか予算額とか、教えていただけますでしょうか。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
経営継続補助金の第一回公募につきましては、申請がありました八万一千件につきまして補助金事務局が審査を行いまして、六万八千件を採択したところでございます。
この採択分につきまして補助金を交付するため、令和二年度第二次補正予算と、ほかの予算からの流用、新型コロナウイルス感染症対策予備費の活用によりまして、六百四十一億円を確保したところでございます。
○上杉委員 ありがとうございます。これもスムーズに進めていっていただきたいというふうに思います。この事業も、コロナの影響を受けて、それでも前に進んでやっていこうという方の経営継続を図るための仕組みでありますので、しっかりと対応してもらえたらありがたいというふうに思います。
時間も残り三分になってしまいましたので、所信の中から、私、これからの農業はデジタル化していかないといけないというふうに思っておりまして、その件でございます。
今、農水省さんもスマートアグリ等々をやっていらっしゃいます。新政権ではデジタル庁ということもありますし、どうも何か農業というと、アナログな感じで、デジタルというところからはすごく遠いのかなというようなイメージも一瞬持ってしまうんですが、全然そんなことはなくて、AIにしても、IoTにしても、ロボット、5G、データ、いろいろな最先端のテクノロジーを導入することによって、農業分野もどんどんどんどん変わっていって、これが日本の農業の諸課題を解決していって、すばらしく強い日本農業をつくっていくというふうに思うんですね。
担い手不足の解消にもなるでしょうし、若手の方々の新規就農もふえる可能性を秘めているというふうに思います。つらいとか大変だとかいう農業ではなくて、デジタル化していくことで、簡単というわけではないですけれども、効果的に便利に、また労力を今よりも随分激減して進ませていくことができる。また、つくる作物も、糖度の高い果物ができるようになるとか、いろいろな、いいことがあるというふうに思います。
どんどんどんどんこの農業分野におけるデジタルとリアルの融合というのが必要だというふうに思いますので、この点についてどのようにお考えか、教えていただければと思います。
○野上国務大臣 今お話のありましたスマート農業でありますが、担い手の高齢化などに対応するため、このスマート農業を推進していくということは極めて重要なことだと思っておりますし、全国百四十八カ所で今スマート農業の実証をやっております。
私も幾つか現場を回らせていただきましたが、あるカンショの産地に行きましたときに、若手の女性で農業に従事している方が、自分たちでもロボットトラクターであれば真っすぐにしっかりと運転できるんだという話があったり、年配の農業者の方でも、やはり後継者を確保していくためにはこういうものが必要なんだという思いを聞かせていただいたり、さまざまなお声を聞かせていただいております。
こうした取組の中で、省力化などの効果が確認される一方で、課題も明らかになってきておりますので、これらの課題の解決を図るために、スマート農業推進総合パッケージというものを十月一日に取りまとめて公表させていただきました。実証の着実な実施ですとかあるいは成果の普及、さらに、新たな農業支援サービスの創出、スマート農業に適した農業農村整備、スマート農業教育の充実等々、施策の方向性を示させていただいたところであります。
二〇二五年までに農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践することを目指して、施策を推進してまいりたいと考えております。
○上杉委員 ありがとうございました。
ぜひとも、どんどん進めてもらいたいというふうに思います。内閣府さん、経産省さん、総務省さんと連携をして進めていってもらいたいというふうに思います。
時間が来てしまいましたので、最後、スマート農業、デジタルも、やはり農水省さん自身がデジタル化していかないといけないというふうに思うんですね。補助金の申請にしても、こんな分厚い書類を提出して、精査しないといけないということでありますから、農水省さん自身のデジタルフォーメーション、ちょうどデジタル庁もつくられるわけでありますから、どのように進めていこうとしているのか、最後、伺って、質問を終わりたいと思います。お願いします。
○高鳥委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○信夫政府参考人 お答え申し上げます。
我が国全体においてデジタル技術を活用した変革が求められる中、農業者の高齢化や労働力不足に対応しつつ、生産性を向上させ、農業を成長産業にしていくためには、農業のデジタルトランスフォーメーションを実現することが不可欠であると考えております。
このため、農林水産省におきましては、データを活用したスマート農業の現場実証はもとより、令和四年度までに所管する法令や補助金など三千を超える行政手続の全てをオンライン化することを目指し、農林水産省共通申請サービスの構築に取り組むとともに、あわせて申請項目や添付書類の見直し等を進めております。また、デジタル地図を活用した農地台帳や水田台帳など現場の農地情報の一元的管理、それから、農業者等へのダイレクトな情報提供と現場情報の収集を可能にするスマートフォンアプリ、MAFFアプリの普及や機能の充実等、プロジェクトを精力的に進めておるところでございます。
今後、更にデジタル技術を活用した多様なプロジェクトに取り組み、農業のデジタルトランスフォーメーションを実現していく考えでございます。
○上杉委員 ありがとうございました。
質問を終わります。
○高鳥委員長 次に、鈴木憲和君。
○鈴木(憲)委員 自由民主党、山形二区選出の鈴木憲和です。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。きょうは、限られた時間ですので、私からは大きく二つの点をお伺いしたいというふうに思います。
まず第一点は、農林水産物・食品の輸出についてであります。
食品の輸出の目的は、海外への販路拡大を通じて、農業者、そして食品加工業者などの所得の向上を図ることにあるというふうに思います。菅内閣でも、成長戦略の一つとして、二〇三〇年に食品の輸出額五兆円の目標を立てているわけですが、コロナの影響を除いたとしても、その目標達成のためには、今現在の数字から年率で大体一七%から二〇%ぐらいの平均で伸びを達成しないと達成ができない、相当高い目標になっているというふうに思います。
きのう、大臣の所信の中でも、農林水産物・食品輸出立国という言葉がありました。私たち自民党の中でも、きょう福田達夫委員もいらっしゃいますが、輸出促進対策委員会というので議論を重ねています。あと五年で二兆円、そしてその後の更に五年でプラス三兆円、これを達成するためには、これまでの延長線上のやり方では相当難しいんじゃないかなということを感じているわけです。
今後、大切なことは、まず第一に、これまで取り組んできた物の輸出の拡大に向けた取組をしっかりと継続し、更に強化をしていくということ、そして第二点目は、拡大し続ける海外のマーケット、この需要を更に幅広くとっていくということ、そして三点目が、例えばですけれども、付加価値の高い品種などの知財で稼ぐとか、若しくは海外に行って営農するとか日本式農業を展開するとか、そうしたことも含めて国際収支ベースで農業者等が持続的に稼げる仕組みをいかに構築していくか、こういうことが必要であるというふうに考えますが、まず、大臣としてこれにどのように今後取り組んでいくのかをお伺いいたします。
○野上国務大臣 鈴木先生には、日ごろから農林水産物・食品の輸出につきまして熱心にお取組をいただいて、御提言等々もいただいておりますことに心から敬意を表したいというふうに思います。
今お話がありましたとおり、二〇三〇年に五兆円という目標を達成するということは、御指摘のとおり、現在の施策の延長ではなくて、マーケットインの発想に立っていく必要があると考えております。
このため、まず、御指摘のありました物の輸出拡大につきましては、輸出先国の規制やニーズに対応した輸出産地の育成ですとか、HACCP等に対応した施設の整備、また、本年四月に設置しました農林水産物・食品輸出本部のもとでの規制撤廃を進めるとともに、コールドチェーンの整備等による輸出物流の効率化、高度化の推進の必要があると考えております。
また、海外マーケットにつきましては、ジェトロによる輸出総合サポートですとかJFOODOによる海外マーケットの開拓を更に強化するとともに、品目別の目標を設定して海外マーケットの需要拡大に取り組んでいく必要があると考えております。
また、国際収支ベースでの稼げる仕組みという話もございましたが、その構築につきましては、食産業の海外展開や知的財産の活用等によるさまざまなビジネスモデルの創出に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
このため、令和三年度概算要求におきまして必要な予算要求を行うとともに、総理から、当面必要となる具体的な戦略を本年末までに策定するようにと指示がありましたので、本日いただいた御指摘も踏まえて、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
○鈴木(憲)委員 大臣、ありがとうございます。ぜひ、しっかりと戦略的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
私がその中できょう二点だけ申し上げたいのは、例えば、二〇一九年の輸出額、九千百二十一億円ですけれども、そのうち加工食品が三千二百七十一億なんです。加工食品のメーカーというのも大変大切だというふうに思います。
私自身、農水省の職員時代を思って今大変反省しているのは、農水省という組織は例えば生産者団体の皆さんとはよく話をしますけれども、なかなかそれ以外の、食品産業全体、例えば外食とか製造業の皆さん、そうした皆さんとはやはりコネクションが薄かったというふうに思っています。しかしながら、今後、この輸出目標というのを達成するためには、そういう皆さんといかに共通認識に立って同じ方向を向いて前に進んでいけるか、そしてその中で国ができることは何なのかという視点が必ず必要になってくるというふうに思います。
今後、この輸出目標達成のためにも、食品産業全体としてのグローバル戦略について、農林水産省としてどのように関与し、また、そこにどう貢献をしていくのかということをお伺いいたします。
○葉梨副大臣 どうもありがとうございます。
基本的に、やはり加工食品メーカーというのは非常に大事だと思います。そして、日本の農産品を使っていただいて、それを加工して輸出するという形を大きくしなければ、販路の拡大にも、あるいは雇用の創出にも、地域経済の発展にもならない。そういった意味で、やはりそういったメーカーとの連携というのは非常に大切だと思います。
農水省でも、グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会というのを設置いたしまして、そういう方々ともいろいろとお話をしています。特に、外に出ていくときに、冷凍冷蔵技術などを始めとしたコールドチェーンの整備、そういったインフラが非常に大事ですので、そこの構築を進めてまいります。
また、今大臣がお答えになられたように、ことしの末までに策定される輸出戦略、これにおいて重点的な品目を特定して輸出を加速させるという戦略をとりますので、そういったメーカーの方々ともよく連携をして、食品産業のグローバル化を促していきたいと思っています。
○鈴木(憲)委員 ありがとうございました。
日本のマーケットというのは、人口減少とともに胃袋自体は当然減っていくわけですから、外でどういうふうに稼ぐかという視点が欠かせません。そのときに、製造業の皆さんは、当然マーケットに、消費地に近いところで工場を立地した方が有利なわけですから、そのときに日本国内で何をやるのかというような、そういう視点の議論も、ぜひ、それぞれの事業者の皆さんと今後していってほしいというふうに思います。
そしてもう一点は、これは大規模な皆さんというわけではなくて、小さい生産者であっても、輸出に関心があるとか、輸出に自分事として取り組みたいと思っている人もたくさんいますし、そういう人をいかに巻き込んでいくかということも私は大切だと思います。そのためのプロジェクトとしてGFPというのがあるわけですけれども。
GFPに参加している生産者が実際に輸出で利益を得られるようになるまでは当然長い年月がかかるというふうに思いますので、私はこれは気長に支援をしていくべきだというふうに思いますが、今後の見通し、どのようになっているかお教えいただきたいと思います。
○池田大臣政務官 この件につきましては、委員も非常にお詳しいことでございますが、改めて申し上げますと、農林水産省では、輸出に意欲ある生産者や事業者等を支援するため、先ほどお話がありました農林水産物・食品輸出プロジェクトを立ち上げ、これまでに三千八百件を超える生産者などの登録がありました。
これに登録いたしますと、農林水産省、ジェトロ等が産地に直接出向いて無料で行う輸出診断、生産者が輸出したい商品を農林水産省と協力する輸出商社に情報提供、登録メンバー同士の交流イベントへの参加、コロナ禍においても輸出をとめないため、オンラインを活用した商談への橋渡し等の支援を受けることができます。
また、輸出先国のニーズや規制等に対応したグローバル産地の形成を進めるため、令和二年度当初予算におきましてグローバル産地づくり推進事業を計上し、産地づくりの計画策定、計画の実行に向けた体制整備等を三年以内の事業期間で継続して支援してきているとともに、関連するハード、ソフト事業の採択の優遇措置による生産、加工体制の構築等を支援してきており、今度の令和三年度当初予算におきましても継続すべき概算要求を行っているところでございます。
海外のニーズや農薬規制等に対応していくためには三年、五年要することが大半であり、その間の一時的な収入減少などのリスクをとって輸出に取り組む事業者への支援が必要と考えており、輸出に向けたチャレンジを後押ししてまいります。
○鈴木(憲)委員 ありがとうございました。ぜひこれは長い目で、時間のかかる話でありますので、大変いい生産者、また興味のある皆さんが集っている場、プロジェクトだというふうに思うので、ぜひ今後ともしっかり後押しをしていっていただきたいというふうに思います。
さて、話題はかわりまして、きょう私がしているマスクについているマークは、うちの山形県のつや姫のマークです。やはり、米どころですから、米どころの大臣に米について聞かなければいけないというふうに思います。
本年は、主食用の需要が、新型コロナの影響によって、想定をはるかに超えて減少するという事態となりました。そして、米価も同時に下がっているわけです。平成の最後の年が需要が大体七百三十五万トンだったのに対して、直近の需要が七百十三万トン、そして来年も、このままコロナの影響が続くとすれば、七百十万トンを更に切ってくるだろうということになっています。需給の均衡のためには、数万ヘクタールで作付転換をしていかないといけないということです。
地元に帰ると、やはり、豊作を喜べないこの事態というのはいかがなものかという生産者の複雑な気持ちがあるわけです。現状では、生産者の皆さんが大変いろいろな思いをしています。来年度、再来年度、来年だけではなくて更にその先も大丈夫なんだろうかという気持ちになっています。
ぜひ、米どころの大臣として、今後、来年度、再来年度に向けて安心できる状況をつくるために農水省としてどのように取り組んでいくのか、御決意も含め、お伺いしたいと思います。
○野上国務大臣 米につきましては、先般、食料・農業・農村政策審議会の食糧部会におきまして令和三年産の主食用米の生産量を六百九十三万トンとする見通しをお示しするなど、厳しい需給環境にあると認識をしております。
米政策については、主食用米の需要が毎年減少すると見込まれる中で、国内の消費拡大や輸出拡大の取組を進めつつ、みずからの経営判断による需要に応じた生産、販売を着実に推進していくことが基本であると考えております。
農林水産省としましては、現下の厳しい需給環境のもとで、需要に応じた米の生産、販売が進むように、国内の消費拡大や産地の調整保管、輸出拡大の対策の充実、また、需要のある麦、大豆、輸出用米等主食用米以外の生産拡大、高収益作物への転換に向けた水田活用の直接支払交付金等による効果的な推進方策などについて、近年で最大の戦略作物等の作付が行われました平成二十九年産の実績も踏まえつつ、これは十分に検討してまいりたいというふうに思っております。
○鈴木(憲)委員 ぜひ、やはり日本はほとんどが水田でありますから、ここに携わる皆さんが不安のないように、安定的に生産できるように取り組んでいただきたいと思います。ことしは何よりもコロナがありましたので、今大臣におっしゃっていただいた、いろいろなことを全部総動員してやるんだということがもちろん基本だと思いますが、そこから更に踏み越えて、思い切ったことをぜひやっていただきたいというふうに思います。
一つだけ申し上げれば、やはり、水田でつくられた作物が、特に米が、どんな形にしろ、最後、引取り先があるんだということ、これが一番だというふうに思うんです。そのためには、今直近で引取り先が一番あるのは、何といっても餌用の米です。
交付金の単価を考えると、やはり、主食用の米からの大幅な切りかえに踏み切るかどうかというのは、どういった支援がそこに見込まれるのかどうかというのにまさにかかっているわけなので、この課題をどのようにして農林水産省として乗り越えていこうというふうに思っているのか。きょうの段階で答えられることは知れているかもしれませんが、生産者の皆さんに向けて御発言をいただきたいというふうに思います。
○天羽政府参考人 飼料用米の助成単価などにつきまして御質問をいただきました。
水田活用の直接支払交付金におきましては、飼料用米につきまして、十アール当たり標準単価を八万円ということにしながら、収量増のインセンティブが働きますよう、収量に応じて最大十・五万円ということで数量払いを行うこととしてございます。また、実需者と複数年契約を結んでいただくような取組に対しては十アール当たり一・二万円を加算するという措置を行っているところでございます。
このような支援に加えまして、産地交付金により地域の裁量で餌米などへの支援を追加することが可能な仕組みとしておりまして、地域の実情に応じた対応は産地交付金で行うことが基本というふうに考えてございます。
令和三年度予算でもこのような単価なり仕組みを基本として要求をしておるところでございまして、産地において主食用米以外の需要のある作物、用途への転換が進むよう、今後とも効果的な推進方策などを検討してまいりたいというふうに考えております。
○鈴木(憲)委員 ありがとうございます。
ただ、今の支援の単価の水準だと、結局それで餌用の米によりドライブがかかるかというと、そうではないわけですので、その辺も含めて、私たち地元でも問題意識を共有して、私も努力をしたいというふうに思いますので、ぜひ、これは野上大臣の御指導のもとで思い切っていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
最後になりますが、もう時間が来ますので一点だけ。これは質問ではありません。頑張っていただいているのはよくわかっているので、ぜひお願いですが、水産の話に少しだけ触れさせていただきます。
大臣の御地元も日本海に面しています。私の地元も日本海に面しているわけです。私の地元山形からは、この時期、イカ釣り船が大和堆のいい漁場に向かって、皆さん漁に出かけるわけです。
ただ、その海域、現状では何が起きているかというと、中国の船が大量に出てきている。場合によっては某国の公船も出てきている。現場の皆さんのお話を伺うと、本当にこの国は私たちの漁場をしっかりと守ってくれる意思があるのかどうかということをすごく感じますと。いろいろな思いをして、危険もある中で海に出ていっているわけなので。
水産庁はもちろん問題意識を持って体を張ってやっていただいているというふうに思いますが、これは水産庁だけではできる話ではありませんので、海上保安庁も含めて、現場の皆さんから見て、国は頑張ってくれているんだ、ここでこれからも俺たちは漁をしていいんだというふうに思えるような、ぜひ現場での状況の改善というのを今後とも精いっぱいやっていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○高鳥委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。
それでは、通告に従って順次質問してまいります。
まず最初に、大変恐縮です、通告はしておりませんが、大臣に、新型コロナウイルス感染拡大の中で、きのうの所信表明にもございましたけれども、改めて伺いますが、コロナ対策、農林水産大臣としてこれはしっかりやっていきたいんだという御決意を含めてお伺いしたいと思うんですが、その前に一つだけ私も申し上げておきたいと思うんですけれども、この新型コロナウイルスの感染拡大、なかなか、まだ終息には到底及ぶところもなく、多くの方々に大変な御負担をおかけしているというのが現実だと思っています。
この蔓延防止を阻止していくのは、何といってもワクチンの開発、そして接種によると思うんですけれども、今、アメリカのファイザー社とかモデルナ社とかノババックスですか、イギリスのアストラゼネカ、それから、ワクチンを幅広く供給する国際枠組み、COVAXファシリティー、こういったところと日本がそれぞれ基本合意や契約が進む中で、大変うれしいことに、国内の方の開発についても総額二千億円の予算を二次補正で投じて、大きく五つの製薬会社に今開発を促している。動物実験からいよいよ臨床に入ってきている状況の中で期待があるんですけれども。特にうれしいのは、アメリカのファイザー社が、ワクチン有効性九〇%以上、そういう臨床試験の結果を公表したわけでございまして、これからこのワクチンの開発等々に期待をしていきたいと思うんです。
当面の間は、マスク、手洗い、手指消毒、換気、三密を避けるという基本的な対処をしていくしかないんだろうと思っています。生産者の方々や関係者の方々にも大変な御負担をおかけしていることを、本当に国民の一人として感謝をしなければいけないと思っています。
その上で、大臣、どうでしょうか。農林水産大臣として、この歴史的な新型コロナウイルス感染拡大の渦中にあっての使命は大変大きいと思うんです。決意も含めて、何を大臣としてやるぞと、明確にまたお示しいただければありがたいと思います。
○野上国務大臣 今お話がありましたとおり、今、我が国の農林水産業は、そもそも、人口減少に伴うマーケットの縮小ですとか、あるいは高齢化の進展による担い手の不足ですとか、さまざまな課題を抱えておりまして、大きな節目に差しかかっていると思います。それに加えまして、今、コロナの影響が極めて大きいということであります。農林水産物の需要も減少しておりますし、価格も下落をしてきておるわけであります。一方で、中長期的には、新たな生活様式による需要の変化などにも対応していく必要もあるというふうに考えております。
農林水産省では、国民への安定的な食料供給ということも最重要だと考えておりますので、そのことを最優先にしながら、影響を受けた農林水産業の生産基盤を守るために、今、第一次、第二次補正予算を合わせて六千百億円の支援策を措置しているところでありますが、こういうことも含めて万全の体制をとってまいりたいというふうに思っております。
○稲津委員 ありがとうございました。
やはり農林水産省の使命は大きいと思うんですね。例えばGoToイートもそうですけれども、今、感染拡大を抑えていくと同時に、社会的、経済的な活動を段階的に引き上げていかなければいけない。そういう意味で、ぜひ大臣の今の御決意のもとに必要な対策を適切に講じていただきたい、そのことを強くお願いさせていただきます。
その上で質問に入りますけれども、ちょっと順番を変えます。最初に主食用の米の需給についてお伺いをさせていただきたいと思いますが、まず一点目は、緊急事態だ、こういう位置づけで、備蓄米の運用改善を図るべきではないかという趣旨に立って質問させていただきます。
コロナ禍の影響によって、主食用米の需要減、こういったことが今言われておりまして、やはりコロナ禍の影響を鑑みて、需要を上回る場合の調整、これを図ることが今喫緊の課題の一つになっているんだろうと思います。先ほどの御質問にもありました。もちろん、輸出とか、飼料用米用途への仕向けとか、いわゆる消費拡大を喚起するなり、そういった方法もございますけれども、やはり一番即効性のあるものは、私は、緊急に検討していただきたい、備蓄米の運用改善ではないかなと思っています。
具体的には、米穀機構による対応が最も現実的かつ可能なものなのかと思っておりますが、ただ、ここは米穀機構の残余金が三十五億円しかないということで、これを使い果たしたとしても多分かなわない話だと思うんです。そういうことで、緊急事態だという位置づけで、備蓄米の運用改善についてどのような考え方を持ち、また検討されるのか、お答えいただきたいと思います。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
備蓄米の運用改善につきまして御質問をいただきました。
政府備蓄米につきましては、不作などによるお米の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備えまして、必要な数量の国産米を政府の在庫として保有するものでございます。このため、需給操作や価格の下支えを目的として主食用米を国が買い上げて市場隔離をするということにつきましては、政府備蓄米制度の趣旨には沿わず、また、みずからの経営判断による需要に応じた生産、販売を進める米政策改革の考えにもそぐわないというふうに考えてございます。
一方、農林水産省といたしましては、新型コロナウイルス感染症の影響などにより中食、外食向けの需要が落ち込んでいる状況も踏まえまして、一つには、米穀周年供給・需要拡大支援事業によりまして保管経費の支援対象期間を拡充してございます。
通常、四月からの調整保管につきまして金利なり倉敷料の支援をするという仕組みでございますけれども、その期間を五カ月前倒しいたしまして、十一月から支援を開始できる状態になってございます。農協系統、全農でございますけれども、二十万トンをこの事業の対象で保管したいというふうに表明をしておられます。
もう一つは、国産農林水産物等販売促進緊急対策でございます。この対象品目として、需要が大きく減少してございます中食、外食向けのお米を新たに追加いたしまして、販売促進の取組を実施することとしてございます。例えば、インターネット販売のときの送料の支援、中食、外食の販促キャンペーンで使用するお米の費用の支援ということを考えておるところでございますし、今後も対策につきましては十分検討してまいります。
以上でございます。
○稲津委員 令和二年産の米の作況指数は九九ということで発表がありました。しかし、北海道とか東北とか北陸とか関東とか、そこは良あるいはやや良ということで、偏在が指摘されているわけなんですね。九九でも三十万トン以上の米余りが予測されるということで、当然、毎年十万トンずつのトレンドで消費が減少しているということを考えていくと、非常に悩ましい問題になってくる。
私が先ほど申し上げましたように、今、直近の大きな課題というのは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、外食など業務用の需要が減少してきていることが最大の要因であるということは間違いないわけでございまして、その対応がやはり急務ということで、ここをまず検討していかなきゃならない。JA中央会あるいはJA北海道中央会からも強い要請をこの需給対策についていただいているところでございまして、しっかりまた御検討をお願いしたいと思っています。
そしてもう一つ、この主食用米のところで、水田フル活用を推進する助成の拡充をしっかり図っていったらどうかということについて、提言も含めて申し上げたいと思うんです。
これは令和三年産の主食米の需給対策についてということになりますけれども、農水省はさきに、令和三年産の適正生産量は六百九十三万トン、このように発表しました。これは当然、令和二年産の作況がもし一〇〇だったら三十六万トンの余りになるということで、その分減産しなきゃいけない。
やはり、需要に応じた生産を確実に実施するということがこの水田フル活用のところの大きな使命でありまして、ならば、このところの直接支払いの交付金等を拡充すべきだ、こういうことも当然考えていかなきゃならないんですが、ただ、このときに大変重要なことは、みんなが需要に応じた生産にやはり協力する、そういう流れを今再び構築していかなきゃいけないことだろう。
協力しないんだったらペナルティーを与えて強化せい、そういう強い意見もありますが、私はどうかと思っていて、むしろ、メリット、インセンティブ、これをつけていくということが重要ではないかな、このように思っておりまして、当然、飼料用米とか米粉などの非主食用米とか麦、大豆等への転換ということが大前提になりますけれども、いわゆる助成の拡充について、特に、インセンティブをつけていくんだ、そういう考え方の上に立って、これはぜひ大臣にお答えいただきたいと思います。
○野上国務大臣 今先生から御指摘がありましたとおり、やはり、産地ごとの実情に応じて、需要のある作物への転換を推進していくということが大変重要だと考えております。特に、令和三年産の生産量、六百九十三万トンということの見通しになりましたので、主食用米からの大幅な作付転換を図っていただく必要があります。
現在は、水田活用の直接支払交付金におきましては、戦略作物助成におきまして米粉用米、加工用米、麦、大豆、飼料米等の作付に対して全国一律の単価で支援をするとともに、地域の裁量で支援内容を設定可能な産地交付金におきまして加工用米、輸出用米や高収益作物等に転換した場合の拡大加算の単価を引き上げる等、転換のインセンティブを高めているところであります。
さらに、令和三年産に向けましては、産地において主食用米以外の需要のある作物や用途への転換が進むように、この交付金も含めてどのような工夫ができるか、財政当局とも議論をして、しっかり検討してまいりたいというふうに思います。
○稲津委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次は、高病原性鳥インフルエンザ対策についてお伺いしたいと思いますけれども、既にきょう三例目ということで、香川県の一番最初の市の鶏卵養鶏場の近くのところからまた三例目が発症したということで、地元のみならず近隣県等々、今このことについては、大変強い問題意識と、それから対応を望んでおるところでございます。
大臣は、さきに、初動対応の迅速な実施に万全を期し、蔓延を防止するための防疫措置を確実に実施してまいります、そういったことを内外に要請する形で発言がございました。非常に大事なことで、そうした大臣としてのメッセージを強く送っていただくことが、関係者の不安を抑えていくことになると思います。
公明党といたしましても、五日の日に党対策本部を設置しました。そして、十日の日には、公明党の香川県本部の鳥インフルエンザ対策本部から香川県知事に対して、対策の強化を望むということで要請があったところでございます。
そこで、具体的にお伺いしますけれども、香川県においては鳥肉とか鶏卵の生産は大変重要な産業で、近年は輸出も強化をしているということで、ただ、香川県においては、残念ながら、輸出については発生がとまってからということなので、少なくとも三カ月後からの再開になるということで、大きな影響があると思います。
こうした中で、やるべき対策は、まずは防疫措置だ、そして養鶏農家への早期の支援だ、特に速やかな融資については最大の支援を行うべきであると思っていますが、同時に、県内外の消費者に対して鳥肉や鶏卵、卵の安全性について正確かつ迅速な情報提供がされるよう、風評被害をしっかりと防止するということが必要だと思っています。
この点についての御見解をお伺いします。
○野上国務大臣 十一月五日に、香川県三豊市の養鶏場におきまして、一昨年一月以来でありますし、今シーズンで初の発生がありました。また、八日に、香川県東かがわ市におきまして二例目が発生をいたしました。そして、本日未明、香川県三豊市の養鶏場におきまして三例目の疑似患畜が確認をされたところであります。
三例目につきましては、けさから殺処分等の防疫措置を開始したと聞いておりますが、国としても、引き続き、香川県との連携を緊密に保って、必要な人的、物的支援を実施してまいりたいと思います。
そして、今お話のありました正確かつ迅速な情報提供、極めて大事だと思っております。十一月五日にも総理指示がありました。これを踏まえまして、関係閣僚会議においてもその連携を確認したところであります。
具体的には、食品安全委員会では、鳥肉、鶏卵は安全であり、我が国の現状において家禽の肉や卵を食べることにより人が鳥インフルエンザに感染する可能性はないという考え方を改めて公表するとともに、消費者庁では消費者の皆様に対し冷静な対応をいただくよう呼びかけるなど、各府省においても国民に対して正確な情報を迅速に伝えていただいていると承知をいたしております。
また、農林水産省においても、これらの各府省の情報も含めて、鳥インフルエンザに関する情報の周知について関係団体へ通知したほか、随時、農水省のSNSやホームページにも掲載をするとともに、小売店舗ですとかあるいは外食店舗等、地方農政局等の職員が巡回する中で不適切な表示を確認した場合には表示の改善も今求めているところであります。
今後とも、正確な情報を迅速に伝えるために、やはりきめ細やかな対応が必要だと思いますので、しっかり対応してまいりたいと思います。
○稲津委員 よろしくお願いいたします。
もう一点、家畜防疫互助事業についてお伺いしますけれども、この事業は鳥インフルエンザが発生した場合の有効な手段だということで、基金の積立てはどのような状況なのかということと、当然、必要な支援をちゃんと受けられるのか。
国の対応としては、例えば期中増額が必要な場合は速やかな対応が求められると思いますけれどもどうかということと、それから、生産農家の加入状況、これをお伺いしますと、戸数でいうと六〇%ということで、高病原性鳥インフルエンザ等が発生してくるとやはり加入状況はふえるんですけれども、おさまってしばらく、何年かたつと当然減退してくるということもありまして、さらなる加入促進が必要ではないか、農水省の啓発をしっかり求めさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
家畜防疫互助基金事業は、加入者におきまして高病原性鳥インフルエンザそれから低病原性鳥インフルエンザが発生した場合に安心して経営を継続、維持できるよう、生産者がみずから積立てを行い、発生農場の空舎期間の固定経費相当分を経営支援互助金として支援する仕組み、これに国が支援するということでございます。本事業は三年を一期として実施しておりまして、現在の加入者は平成三十年四月から令和三年三月までが加入期間ということになります。
お尋ねがありました現在の基金規模でございますけれども、数百万羽の発生をカバーできるというものでございまして、過去の我が国における各シーズンの発生状況から見ますと十分な規模になっているというふうに考えております。しかしながら、万が一疾病が多発した場合に備えましては、関係団体と連携して速やかに対応ができるよう準備を進めていきたいというふうに考えております。
それから、加入状況でございます。
お話がありましたとおり、戸数ベースでは六割ぐらいでございます。今期は前期に比べては若干上昇しているという状況にございます。これを羽数ベースで見ますと、これは設立当時からほぼ同じでございますが、約八割をカバーしているという状況でございます。しかしながら、一戸でも多くの農家に参加していただきたいということでございまして、この事業は、重要なことは、随時加入が可能であるということでございます。
そういうことでございますので、今、大変危機感が高まっている状況でございますので、実施主体でございます日本養鶏協会とも連携をいたしまして、養鶏農家の方々が一戸でも多く加入していただけるように、私どもも加入促進に努めてまいりたいと考えております。
○稲津委員 よろしくお願いします。
時間が参りましたので質問はこれで終わりますけれども、高収益次期作支援交付金についてお伺いしようと思っていました。最終的に追加措置を講じたことによって落ちつきは見えていますけれども、運用見直しを図ったということはやはり多くの方々に不信を招いた。これはやはり、はっきり言いますけれども、制度設計に甘さがあったと指摘せざるを得ないわけでございます。
そこで、今後はやはり、不公平感がないように、それから丁寧な説明をしっかりやっていただきたい、このことを強く申し上げて、質問を終わります。
○高鳥委員長 次に、串田誠一君。
○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。
きょうは、アニマルウエルフェアを中心に質問させていただきたいと思いますが、オリンピック・パラリンピック、そしてアニマルウエルフェアと検索をいたしますと多くのページが出てくるわけですが、その中で海外選手が、東京オリンピックに出場するに当たっては選手村でケージフリーの卵、そしてストール飼育でない豚肉一〇〇%のものを求めたいということを多くの選手が要望をしております。その選手たちの発言は、日本はアニマルウエルフェアが非常に低いと。それでそういう抗議をされているわけでございます。
そこで、野上大臣には、ぜひ日本のこのアニマルウエルフェアをリーダーシップをとって更に牽引していただきたいという趣旨できょうは質問させていただきたいんですが、我が国の畜産動物に対するアニマルウエルフェアに関して大臣としてどのように取り組まれていくのかをまずお聞きしたいと思います。
○野上国務大臣 アニマルウエルフェアは、家畜を快適な環境下で飼育することにより家畜のストレスや疾病を減らす取組であり、その推進は重要な課題であると考えております。
このため、農林水産省では、アニマルウエルフェアの取組を普及させるため、OIEが示すアニマルウエルフェアに関する指針を踏まえて、平成二十九年及び令和二年に「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方について」、これは畜産振興課長通知でありますが、これを発出をしたところであります。
この通知の中で、アニマルウエルフェアの定義ですとか五つの自由を確保するための対応、あるいは家畜の飼養管理に携わる者の責務等を畜産農家に示して、アニマルウエルフェアに取り組むよう指導を行ってまいります。
また、今、オリンピックの話もございましたが、アニマルウエルフェアの実践も含んだGAPの認証取得の支援等にも取り組んでいます。
今後も、アニマルウエルフェアの一層の普及に努めてまいりたいと考えております。
○串田委員 これまでの歴史からも、オリンピックが開催されるたびに開催国がアニマルウエルフェアを推進する、そういうようなことを行ってきているという経緯があるんですが、日本のオリパラに関して、それでは、このオリンピックだからこそアニマルウエルフェアはここまで進むんだ、進んだんだというようなことが何かあるだろうかという点では、やはり選手たちが批判するのも無理からぬところもあるのかなという気がいたします。
EUではもう数年前から、バタリーケージ、卵を産ませる場合に、今は、巣も砂場もとまり木もない、ワイヤーだけのところに飼育させている鶏の卵は禁止するということになっておりますし、きょう参考資料でお送りしました、これはストール飼育ということでございますけれども、これもEUも全面的に禁止をしている。アメリカでも各州で禁止をしているところもある。
ところが、日本は、このストール飼育が九〇%以上と言われています。豚は生涯寝返りもできないようなところに飼育されているということでございまして、独立行政法人農畜産振興機構のレポートによりますと、今、アメリカでは、ミレニアル世代、要するに二〇〇〇年代以降に成人になった人たちの人口層が非常にふえていて、その人たちの食生活というのは、今までは食の安全、味というものが重視されていたのが、その背後にある飼養環境がどうであるのかということが非常に購買に対して影響を与えているというレポートが出されています。
そういう意味で、同じ豚肉でも、提供される直前まではアニマルウエルフェアで快適に過ごしている豚なのか、それとも寝返りを打つこともできないような豚なのかということは、これから消費者動向として非常に重視される。だからこそ、オリンピックに来る海外選手は、そういうものを選手村で出されては困るという抗議をされているわけでございます。
そういう意味で、日本の畜産業においても、今後、輸出をする、あるいはいろいろな部分に関しての競争において、やはりこれは高品質、高環境、そして高単価でもいいと思うんです。今のような状況であるとするならば、大打撃を私は受けるのではないかなというふうに思うんですけれども、先ほどアニマルウエルフェアの答弁を大臣にいただきましたが、この五つの自由、飢えや渇き、あるいは苦しみ、生態的な自由な行動ができる、病気や傷、そういったものを負わないというのが五つの自由で、これからアニマルウエルフェアが発展していったんだと思うんですけれども、どうもアニマルウエルフェアという言葉だけは前進しながらも、そこが行き着くところは人間の健康というところに持っていってしまっているような気がいたします。
五つの自由というのを農水省としてどのように捉えているのかをお聞きしたいと思います。
○葉梨副大臣 ありがとうございます。
それと、答弁します前に、豚のストール飼育ですけれども、生涯ストールではございませんので。種つけから子供が離れるまでということでございます。
このアニマルウエルフェアは大変大事だと思います。それで、先ほど大臣からも御答弁がありましたとおり、本年オリンピックが開かれるはずでございましたので、本年の三月に改めて、アニマルウエルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的考え方という畜産振興課長の通知を発出をいたしました。これは各農政局に出したわけですけれども、そこから都道府県を通じて全ての畜産の農家、それから動物愛護団体、そこら辺にもしっかり通知をしていただきたいということと、それから環境省とも当然連携をとっています。
それで、ちょっと御説明しますと、まず、飢え、渇き及び栄養不良からの自由という第一の自由については、量と質のバランスが適切な栄養と生理的欲求を満たす十分な飲用水を得ることができるようにすること。第二の、恐怖及び苦悩からの自由については、飼養管理施設について騒音が最小限となるよう維持管理することや、家畜を追う際に留意すること。第三の、物理的、熱の不快さからの自由については、快適な温度域は品種や発育段階によって異なるため、家畜に合わせた暑熱対策、さらに寒冷対策を行うこと。第四の、苦痛、傷害及び疾病からの自由については、痛みを伴うおそれのある処置を行う場合、若齢時に実施することなどによって苦痛を緩和すること。第五の、通常の行動様式を発現する自由については、家畜同士に優劣の順序をつける習性があることから、群れの構成に留意することなどのことを示しまして、徹底を図っておるところでございます。
○串田委員 葉梨副大臣には法務委員会でも随分お世話になりました。
今御説明をいただきましたが、いろいろな日本の立場というのもあるかとは思うんですけれども、諸外国の流れがそういう状況になって、特に二〇二五年というのが大変大きな転機になるのではないだろうかというふうに思っております。
今、マクドナルドも二〇二五年までには、二十億個の卵を毎年利用しているんですけれども、全部ケージフリーにするということを宣言しておりますし、アメリカでは二百以上の大手企業もケージフリーというようになっているわけでございまして、日本も、二〇二五年というと大阪万博のころなんですね。ですから、オリンピックのときにはこうだった、そして万博のときまでには日本もこうだったというようなことを積極的にアピールするようなことをしていかないと、かなり時代に追随できないのではないかという心配を大変私はしているんですけれども、大臣、このまま、畜産農業、大丈夫でしょうか。大臣にお聞きをしたいと思うんですが、いかがですか。
○葉梨副大臣 今お答えいたしましたように、特に、ことし三月に畜産振興課長通知を出して、そういったこともしっかり配慮するようにということを一生懸命努力をしております。
さらには、消費者に対しても、アニマルウエルフェアに配慮した飼育を行っていると。これは、それだけではないんですが、持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉JASというのを本年度から、その要素の中にアニマルウエルフェアに配慮しているということが入っておりまして、特色JASマークというもののロゴや文言を利用できることになっています。
また、平成二十八年からは、アニマルウェルフェア畜産協会が、アニマルウェルフェア畜産認証マークの使用を開始しています。
また、平成二十九年からは、一般財団法人の日本GAP協会が認証を行っているJGAP(家畜・畜産物)では、その要件としてアニマルウエルフェアというのを入れまして、平成二十九年からJGAP認証マークが貼付できる、そういうこととなっています。
諸外国においても民間のそういった団体が、オランダにしても、イギリスにしても、アメリカにしても、そういった努力を行っているということですので、私どもも、平成二十八年からということです、最近ではございますけれども、しっかり努力をさせていただいております。
○串田委員 このアニマルウエルフェアを推進すると、当然、経費もかかりますし、生産性も下がるということなんですね。EUなどでは国がそれを補助するというようなこともあるかと思います。そういうようなことをやっている、施策をしている国からしてみると、安いもの、要するに、環境が悪くても、安ければ価格競争では負けてしまうというようなこともあって、貿易に関して何らかの制限をかける、WTOも含めまして、条約として批准していくというようなことも考えられるというようなこともあります。そうなると、急に日本の畜産関係の輸出入に大きな打撃を受けるということにもなると思うんですが、この急激な変化というものについていくためには、やはり日ごろから徐々にそれを進展していくという必要があるかと思うんです。
今、葉梨副大臣が答弁していただきましたが、EUではロゴマークをつけてインセンティブをつけているということでございますが、日本の消費者にとってはそのロゴというのが大変わかりづらいというか、いろいろな複合的な要素でもってロゴがつけられているということなんですけれども、アニマルウエルフェアに特化したロゴというものはお考えいただけないでしょうか。消費者として非常に見分けしやすいということからインセンティブをとって、そういう畜産業に関してのインセンティブを与えて、経費をかけても、生産性が低くても、消費者としては見分けをつけて選んでいただけるんだ、そういうようなことがまだ十分でないような気がいたしますけれども、いかがでしょうか。
○葉梨副大臣 先ほども御答弁したとおりなんですが、例えば特色JASマークというのは一つの要素である、さらにはJGAPというのも一つの要素でありますけれども、平成二十八年から使用を開始している、アニマルウェルフェア畜産協会が民間の取組として行っているものは、まさにアニマルウェルフェア畜産認証マーク、これを使用しています。
私どもとしては、先ほど申し上げました畜産振興課長通知に基づきまして、やはりそういったことを、生産者はもちろんですけれども、動物愛護団体や環境関係の方々にもしっかり周知徹底をするというところをしっかりやっていきたいというふうに思っています。
○串田委員 このストールの飼養環境は、ストールというのは閉じ込めるという意味があるんですけれども、まさに閉じ込められている画像なんですが、大変批判も多い、国民からの意見も多いということなんですが、大臣、この画像を見て、率直な感想を聞かせていただけないでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
ストール飼育について若干御説明させていただきたいと思います。
我が国の養豚でございますけれども、繁殖の雌豚につきましてこのストール飼育という管理方式が広く行われているわけでございます。これは、群で飼いますと、ほかの雌豚からの攻撃を受けたりする、あるいは子豚が母豚の下敷きになって圧迫で死んでしまうということを防止するためにこのストール飼いというものが繁殖の雌豚について行われているという状況でございまして、OIEの基準でございますが、平成三十年五月に採択した豚のアニマルウエルフェアに関する指針におきましては、なるべく群れで飼うということが推奨されておりますけれども、群れで飼うことが義務とされているわけではございません。
また、ストールによる飼養自体、五つの自由の中で申し上げますと、傷害からの自由というものにもつながるというふうにも考えているところでございます。
○串田委員 日本側のそういう説明はよく聞くんですけれども、諸外国がそういうことで納得できるかどうかという観点もやはり考えていかなければいけないのかなというふうに申し上げておきたいと思います。
それでは、次に、競馬における競走馬についてお聞きをしたいと思うんですけれども、馬の寿命というのは二十年とか二十五年というようなことなんですが、競馬の競走馬が引退するのは、五歳、六歳、七歳ぐらいで引退をする。その後、多くの競走馬が殺処分をされているという状況にございまして、多くの国民が非常にそれに対して残念がっているというのは事実でございます。
そこで、引退馬に関して、殺処分されないような形で引き取って、クラウドファンディングなどで保護しているというものがよくニュースで流れているわけでございますけれども、まだまだ十分ではないように感じております。
そこで、国としてこの競走馬に関する、成績のよい競走馬は残されるんですけれども、成績の悪い馬は殺処分されるという例が非常に多いということなんですけれども、競馬というのは人馬一体となってやっているわけでございますので、国として、引退したら殺処分というようなことではなくて、支援というものを考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
競馬を引退いたしました競走馬でございますけれども、その約四分の三が、ほかの用途への転用と申しますか、例えば乗馬用に転用されるとか、あと、優秀な馬の場合、繁殖用で使われるとか、さらには、近年ではホースセラピーとかあるいは観光資源としての活用など、多様な利活用が行われていると承知しておるところでございます。
こうした引退競走馬のセカンドキャリアと申しますか、そういったものを進めていくという関係で、我が国の競馬関係者が集まりまして、引退競走馬に関する検討委員会というものをJRAに設置をしているところでございます。引退競走馬の利活用に関する施策を取りまとめまして、引退競走馬のセカンドキャリアを更に促進していくということで進めているところでございまして、JRAが引退競走馬支援事業というものをJRAの資金を使って実施しているところでございます。
農林水産省といたしましても、この検討委員会に参画をしておりまして、引退競走馬の利活用を促進しているところでございまして、今後ともしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○串田委員 JRAというのは、イギリスでいうとBHAと同じようなことなんだろうと思うんですけれども。
一方で、競馬法においては、二十三条の九で、競馬の収益に関しては、畜産の振興、社会福祉の増進、医療の普及、教育文化の発展、スポーツの振興、災害の復旧、こういったようなことが書かれているんですけれども、競走馬の馬のことに関しては何一つ、ねぎらうとか、引退後にどうしていきましょうとか、そういうようなことが一切書かれていないんですよ。
ここに書かれるといろいろな民間団体とか民間企業も応援しやすいという声も聞いているんですが、競馬法においてはギャンブルの馬券のこととかばかり書いてあって、これは馬がなければ成立しないものですから、引退後の馬やそういったようなことに対する何らかのねぎらいというか思いやりというか、そういったような規定を取り入れていただいて、国としても競走馬に関しての保護というものを表示していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
競馬法における位置づけというようなお話がございましたけれども、私どもといたしましては、競馬の主催者が、やはり、引退競走馬の利活用に向けた取組、これを主体的に実施をされているということでございまして、農林水産省としてはそれを引き続きしっかりと後押ししていくということをしっかり進めていきたいということで取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解を賜れればと思います。
○串田委員 ぜひ、競馬の収益に関しても、引退馬に関するものに対しての、何らかのものに対して振り分けていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
最後の項目で、犬肉についてお聞きをしたいと思うんですけれども、日本は二十トンぐらいの犬肉を輸入し、そしてレストランで提供されているというような状況で、多くの国民から、これは禁止した方がいいんじゃないかという声が非常に高まっているんです。
特に、輸入先がベトナムということ、あるいは中国もあるんですが、ベトナムが最近ではあるわけでして、ベトナムでは食用犬の養殖というのは国としては禁止されているんですね。ベトナムの肉は、要するに飼い犬が盗まれているということで社会的にも問題になっているというのは朝日新聞などでも報道されているんですけれども、そういったような犬の肉が日本に輸入されていく、その中にはマイクロチップが入っていたりというようなこともあるかと聞いています。
犬肉というものに関して、昨年の十月には、ベトナムの技能実習生が密輸入で逮捕されているという事例もありました。日本人以外の、日本人も食べているのかもしれませんが、そうでないところが多いのかなとも思えるんですけれども、輸入先におけるアニマルウエルフェアというのを日本だけが一生懸命やっても、輸入先でどういう形でそれを手に入れているか。場合によっては盗んでいる可能性もあるわけです、養殖が禁止されている国から輸入しているわけですから。そういったようなことを輸入し、そして日本でそれを食べられている。
去年、動物愛護管理法が改正されまして、ことしの六月一日から動物虐待が大変厳しくなって、特に犬や猫に対する数値規制というのが特別に規制されている。ほかの動物もそうなんですけれども、やはり犬や猫は、盲導犬だとか介護犬だとか救助犬だとかあるいは家族としているというようなこともあって、要するに法律でも特別扱いされているという部分から考えれば、犬肉に関しての輸入規制あるいは食用規制ということも考えていかなければならないと思うんですけれども、農水省としての御意見をお伺いしたいと思います。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
日本におきまして、犬肉につきましては、食品衛生法上の取扱い上、安全性が確保されれば日本でも流通、販売できるということになっていると承知をしております。
水際、輸入する場合ということでございます。お答えいたしますと、犬肉を食用として輸入する場合、食品衛生法に基づきまして輸入者に対して届出義務が課されているということ、それから、農林水産省といたしましては、家畜伝染病予防法に基づきまして、家畜衛生の観点から農林水産省動物検疫所が検査を行っております。犬につきましては、家畜の伝染病でございますレプトスピラ症というのがございますので、この蔓延防止のために検査をしているということでございます。
お話がありました輸入の状況でございますけれども、平成二十九年にベトナムから約二十トンの輸入実績がございますが、それ以降は実績がないという状況でございます。
水際ではこのように法律に基づいてそれぞれが検査なり届出を受けているという状況でございまして、輸入先国におきますアニマルウエルフェアにつきましては承知をしていないところでございます。
○串田委員 実は、環境省の小泉大臣にも聞きましたところ、自分は食べたくないということでした。消費者委員会で衛藤大臣にも聞きましたが、日本で食べられていることは知らなかった、ぜひ法律をつくってくれという話でした。厚労省にも聞きましたが、熱を通せば安全だ、そういうことでございました。農水省でも、伝染関係がクリアされていればと。
要するに、今、アメリカでも禁止されている、台湾でも禁止されている、中国のシンセンでも禁止され、中国全土でも禁止されようとしている中で、日本というのが所管がないためにたらい回しになっているという状況であって、世界じゅう、今ヨーロッパでも議論されているその議論がなかなかすき間の関係でできないという状況の中で、国民としてはかなり意識が高いものがある。こういったところを、菅大臣がおっしゃっていらっしゃるような、縦割りを打破して、国民の意見というものも尊重しながら、動物愛護やアニマルウエルフェアを進めていただきたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 立憲民主党の佐々木でございます。
限られた時間でありますけれども、大臣、御就任されて初めての質問をさせていただきます。
大臣並びに三役の皆さん、御就任おめでとうございます。
時間がありませんので早速質問させていただきますが、最初に、これは予算委員会で石川委員も質問をしておりますが、先ほども質問がありました高収益作物の次期作支援についてまずお伺いをいたします。
先ほど来お話がありますので若干重複しますが、コロナウイルス感染症による減収を受けた農家の皆さんに、高収益作物について次期作に前向きに取り組むという支援なわけであります。
当初、そういうことで、二月から四月の出荷又は廃棄した実績があればということでこの話が進み、そして農機具や種苗などの購入に充てるということだったわけでありますが、御案内のように、十月の十二日に見直しがされて、減収した作物のみを補填する、いわゆる給付がいつの間にか補填に変わっちゃったということで、日本じゅうが、不満が殺到するというようなことになったわけであります。そして、十月三十日に再度見直しが行われて、当初の目的が大きく変わったわけではありません、積極的な取組ができなくなることがないように支援をするということなわけでありますので、目的そのものは変わっていないわけでありますけれども。
問題は、先ほども指摘がありましたけれども、既に投資した農家は対象にする。今、同じ申請なんですよ、同じ申請で、既に投資をしていれば対象になるけれども、それを待って、これから投資をしようとした者は対象の外になる。これは非常におかしな話で、同じ目的で同じ申請をしているのに、既に投資したか、これから投資するかによって分けられるなどということは、本来制度上はあってはならないことだというふうに思うんですが、この不公平感が生じるのではないかということについて、まずは局長にお伺いをさせていただきたいと思います。担当の方から。いないの。いなければいいです。それじゃ、大臣、お答えいただけますか。
○野上国務大臣 運用見直しに伴いまして、交付金が減額又は交付されなくなる農業者の方々のうち、既に機械や資材に投資して支出した方につきましては、経営への影響が特に大きいことを踏まえて、前向きな取組が続けられなくなってしまうことがないように、この新たな措置を講じたところであります。
先生御指摘のように、不公平だという御意見があることは承知をいたしておりますが、機械等への投資がこれからで、いまだ経費が発生していない方に同様の支援を行うことは、国民の理解を得ることは難しいと考えております。
追加措置の状況も含めて、しっかりと現場の皆様に御説明をしてまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 これから投資をしようとする人たちを対象にすると国民の理解を得られないという、何か全く私には理解のできない理由であります。同じ申請をしていて、投資したら対象になるけれども、真面目に申請が受理されるのを待ってこれから投資しようとしたらそれは対象にならないというのは、国民の理解、むしろその方が得られないというふうに思うんです。
大臣、どこかで申請総額は四百六十億だということをおっしゃっておられて、当初の約倍ぐらいなわけであります。千九百億円という報道もありますが、千九百億円ならこれは大変だなという話になりますが、四百六十億円なら二百億円積めばいい話ですよ。だから、二百億円の補正ができないということ自体がよくわからない。二百億円ぐらい積めるんじゃないですか、これから補正で。
予備費で十分にそれは間に合うんじゃないですか。四百六十億円しか申請がないんですから、二百四十億円ぐらいの予算に四百六十億円ですから、二百億円ちょっとですよ。これは予備費で十分間に合う話だと思うんですが、大臣、これはやるべきだというふうに私は思いますが、いかがですか。もう一度お願いします。
○野上国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、この制度につきましては、結果として非常に多くの御申請をいただいたところであります。
ただ、減収を要件にしていなかったことから、中には減収していない品目の申請も含まれておりまして、先ほどから申し上げましたとおり、コロナの影響を受けていないのに交付金が支払われることになりかねず、国民の理解を得ることは難しいと考えて、要件変更をさせていただいたところであります。
予備費の使用に当たっては、必要な予算額を明らかにするために所要額を確定することが必要であると認識しております。今第三次公募が実施中でありまして、追加措置についてもこれから公募することになりますので、現時点では必要な予算額が確定していないことから予備費の使用はできないという状況になっていると認識しております。
○佐々木(隆)委員 今ので納得した人は余りいないんじゃないかと思うんですが。
予備費が確定していないからできないというのであれば、今まで投資した人とこれから投資する人で線引きをするということとは関係ない話じゃないですか、それは。だから、既に投資した者は対象にするけれどもこれから投資する者は対象にしないという線引きは必要ないと思うんですよ。
予備費が確定していないから言えないというんなら、それはそれで予備費をぜひお願いしますよという話なのであって、そこで線引きをするということについては、同じことを繰り返していると余り時間がありませんので、ぜひこれは検討していただかなきゃならないと思うんですよね。これは混乱しますよ。既に投資したら対象になったけれども申請の受理を待っていた人は対象にならないという、そんな不公平なことはないというふうに思いますので、ぜひ見直していただくように強く申し上げておきたいというふうに思います。
次に、GoToイートについてお伺いをいたします。
十月一日からスタートしたわけでありますが、十一月五日の農業新聞の報道によりますと、利用は二〇%どまりというふうに報道されております。これは、予算が千五百億弱、千四百八十四億円。当初は千五百億円だったんですが。プレミアムつき食事券とネットによるポイント付与事業と二つあるわけでありますが、ほぼ半々になっているわけですが、主にネット予約の方が非常に不人気だということであります。
私も余りネットが得意な方ではありませんけれども、なぜかというと、ネット予約の会社に登録したお店が手数料を払わなきゃいけない。だから、ネット予約の会社というのは既にそこで事業費をもらっているんですけれども、その予約すべき会社に手数料を五十円から二百円ぐらい払わなきゃいけないんだそうであります。そういう制度を利用して、例のトリキ錬金というようなものも発生をしているわけでありますが。
このオンライン飲食予約事業者、ぐるなび、ヤフー、リクルートなどなど、十三事業者が選定をされているわけであります。ぐるなびは菅首相とも関係が深いなどということも言われていますが、そこをきょうはお話をするつもりはありませんが、何と何を組み合わせればお得ですみたいなのが連日のようにテレビなどで報道されるわけであります。
それが本当に目的だったのか。まるで国営でゲームをやっているような感じで、こことここを組み合わせて、これにGoToトラベルを使えばどうだとか、そんなことのために国がこのことをやっているのかというのは、私はちょっとやはりおかしいのではないかと。
ましてや、食事券については、県民割などということもそれぞれの都道府県がやっているわけです。なぜそれと組み合わせるということを考えなかったのか。みんなしていろいろなことをやって、利用者を混乱させているだけなのではないかというふうに思います。
イギリスなどでは、申請した飲食店で食事をすれば後日半額が戻ってくるという、極めてシンプルなサービスになっております。
何ゆえネット予約というものをやらなければならなかったのか、食事券だけでもよかったのではないか、その点について、これは局長かな、御答弁いただきます。
○太田政府参考人 お答えいたします。
GoToイート事業につきましては、今先生がおっしゃったように、オンライン予約と食事券を組み合わせたものでございます。
このうちのポイント事業につきましては、より多くの飲食店に速やかに参加していただき、かつ、既存のシステムという消費者にとっても使いなれたものとするために、既存のオンライン予約システムを活用するということとしたものでございます。
実際に、オンライン予約サイトを通じた予約状況は、十月一日から二十九日までの二十九日間で二千四百七十九万人となっております。そのうち、既に飲食店に足を運ばれた方の数も一千七百七十六万人となっております。短期間で非常に多くの方に御利用いただいているというふうに考えております。新型コロナウイルス感染症により甚大な影響を受けた飲食業の需要を速やかに喚起するというキャンペーンの目的を果たしているものと評価しております。
他方、十二月一日までには全ての都道府県で食事券の販売、利用が開始される見込みとなっております。オンライン予約事業から始まったキャンペーンの効果が、この後に続いていく食事券にうまくつながっていくことを期待しているところでございます。
○佐々木(隆)委員 今局長は、使いなれたものとか、あるいは利用者の人数だけ言いましたけれども、予算額でどのぐらい使われているかというのはあえておっしゃらなかったんだと思いますが、六百十六億円もこれに予算をつけているわけですね。
評価がむしろ、お店を助けるんだと今局長はおっしゃいましたが、お店の方の評判が悪いんですよ。申請をするそのほかに、事業者に一回一回、一人頭何ぼと払わなきゃいけないわけですね。こんな仕組みは決して事業者を助けるという仕組みにならないのではないかというふうに思いますので、もっとやはり使いやすい、本当に所期の目的が達成できるようなことをぜひ考えていただくべきだというふうに思いますし、入札のときも、企画競争入札というものなんですね。これはよくわかりません。普通の一般競争入札とはちょっとまた違うわけですよね、企画競争入札ですから。
私は、ネット時代になって、デジタル時代になって、菅政権の目玉でもあるわけですが、業者がまだそんなに多くないのと、もう一つは、発注側がちゃんと算定するための根拠をまだつくり上げていないわけですよね、発注側が。だから企画競争入札という仕組みをとらざるを得ないんだと思うんですが、一般の公共入札であれば、積算というものが発注者側にもあって、受注側も同じ積算根拠を使って、それで受注をするという仕組みなんですが、発注者側にないんですよ、まだ仕組みが。だから、出てきたものを見て、それで決めるということになるから、いろいろな不正も起きやすいし、国民にとってわかりづらい仕組みになってしまうということなので、デジタル発注がこれからふえていく中で、そこら辺はぜひ検討すべきだということを申し上げておきたいと思います。
次、米問題に触れさせていただきます。
先ほどもお話がありましたが、ことしのお米が九九というふうに発表されました。私は、このことを通じて二つ考える必要があるというふうに思っています。一つは米価をどうするのかという話と、もう一つは需給調整をどのようにやっていくんだという、二つの視点が必要だというふうに思うんです。
一つ目は、とりわけことし、二〇二〇年産のお米の値段、これがどうなるのかということなんですが、今、米価は下落しております。これは一四年以来、六年ぶりのことでありますが、なぜかというと、ここ数年は、残念なことに、あちらこちらで災害がありました。災害があったことによって作況が少し下がった、そのことによって米価の方はある程度下がらなくて済んできた、そういう仕組みなんですが、ずっとこの間、平年作を超えれば必ず米価は下がると言われ続けてきたんですね、ずっと。だから、ことしだって、作付が決まった時点で、もう米価はそこから下がり始めているわけですよ。
そういう状況の中で、今日まで私は対策を十分にやってきたとは思えない。思えないが、しかし、ことし現実に下がっている米価に対して、一定量を市場から隔離しなきゃいけないと思うんです。
先ほど、備蓄をしていただくところに補助金を出すなどという話がありましたが、幾ら備蓄をしたって、業者が備蓄があるということがわかっていれば、それは値段が上がる理屈にはならないわけですよ。流通がそこでストックされるだけの話であって。価格を戻すという意味からいうと、完全に市場から隔離するということを考えないと価格は戻らないということになるというふうに思うんですが、その点について、今どんなことをやろうとしているのか、ストック以外のもので答えてください。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
令和二年産米についてでございます。令和二年産米の作付につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響もありまして、地域で何をどのように作付けるかといった話合いを進めることが困難であるといったようなことから、取組計画書、例年は六月末の締切りなわけですけれども、この変更、追加を九月の十八日まで延長いたしまして検討期間を確保して、農林水産省としても積極的な情報の提供に努めてきたところでございます。
結果、今委員御指摘もありましたけれども、主食用米の作付面積は全国計で百三十六・六万ヘクタールとなったということでございます。
また、十月三十日に発表いたしました令和二年産水稲の作況、これは九九でございまして、予想収穫量は七百二十三万トンということになったわけでございます。この結果、令和三年、来年の六月末の民間在庫量は二百七万トンから二百十二万トンと見込んでいるところでございます。
さらに、価格についてでございます。令和二年産米の九月の相対取引価格、これは二年産米としては初めて公表する相対取引価格でございますけれども、全銘柄平均で前年同月比六百七十六円安の一万五千百四十三円ということとなったわけでございまして、引き続き動向を注視していく必要があるというふうに考えております。
このような状況に鑑みまして、農林水産省といたしましては、委員の御指摘ではございますが、中食、外食向けの事業者が落ち込んでいる状況を踏まえて、米穀周年供給・需要拡大支援事業による保管経費の支援対象期間の拡充、これは全農が二十万トン程度の調整保管を行うというふうに承知をしてございます。また、国産農林水産物等販売促進緊急対策の対象品目として中食、外食向けのお米を新たに追加をして、販売促進の取組を実施することとしてございます。
今後も、必要に応じて対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 局長、調整保管以外のことで答えてくれと私は言いました。
調整保管されたって、調整保管されている数なんて業者はみんな知っているわけですよ。それはいずれ出てくるわけですよ。価格に影響を与えるなどということにはならないわけですよ、全然。だから、完全に市場から分離するということをメッセージしない限り、価格というのは戻ってこない。
もっと言えば、これはことし急に起きた話でもないわけです。ずっとこの間、平年作になったら必ずそういう現象が起きるということはずっと言われてきたわけですよ。にもかかわらず何も、正直言ってしっかりとした対策を打ってこなかったというのがことしの結果でありますから、ことしはまだ九九でこれですから、一〇〇を超えたらもっとひどいことになっちゃうわけですよ。
だから、市場から完全に分離できる仕組みをぜひとも、もう市場には戻ってこないんだという仕組みをちゃんとメッセージしなければこの混乱はおさまらないというふうに思いますので、あえて申し上げます。
もう一つ、来年以降の話ですけれども、この需給調整をどうするんだということになるんですが、これは、主食米以外のものをつくってもらわないと同じ現象がずっと起きていくわけですよ。そのためには何をやるのかというと、畑作物をつくるか、あるいはまた、海抜マイナスというようなところがあって、田んぼ以外ではつくれないという地域があります、特に北陸などがそうですが、そういうようなところは稲をつくるけれども主食用米ではないものをつくってもらうという方法、この二つしかないわけですよ。
畑作に転換してもらうためには、排水対策あるいは基盤整備などをやって大型化するという方法、これを進めるという方法で畑作物をつくってもらう。もう一つは、いわゆる水田としてしか活用できないのであれば、主食用米以外のものをつくる。
そのときに、私は、今の餌米という仕組みは必ずしも有効だとは思えません。なぜかというと、餌米が消費できるのは鶏と豚だけです。ですから、一番食べる牛や何かには、ホールクロップサイレージとか別な仕組みを考えないといけない。それはもちろんやっていますけれども、むしろそちら側に重点を置いていかなきゃならないと思うんですね。そうしないと、また同じことを繰り返していくということになると思うんです。
同時に、来年以降この調整に取り組んでいくときに、今日まで真面目に取り組んできた地域が割を食うようなことがあってはならないというふうに思いますので、それも含めてお答えをいただきたいと思います。
○天羽政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおりでございます。
お米につきましては、食料・農業・農村政策審議会食糧部会におきまして、令和三年産の主食用米の生産量を六百九十三万トンとする見通しをお示ししてございます。
したがいまして、主食用米からそれ以外の用途、品目に転換していく必要があるということでございまして、主食用米につきましては、更に需要が毎年減少するという中で、一方では国内の消費の拡大、輸出拡大の取組も進めつつ、需要に応じた生産、販売を着実に実施していくということがやはり基本であるというふうに考えてございます。
農林水産省といたしましては、厳しい需給環境のもとで、需要に応じたお米の生産、販売が進みますよう、国内の消費拡大、産地の調整保管、輸出拡大等の対策の充実、需要のある麦、大豆、輸出用など主食用米以外の生産の拡大、もちろんWCSなり餌米といったものも対象になりますし、加工用米などにも転換を進めていかないといけないというふうに考えております。さらには、高収益作物、野菜ですとか果樹への転換に向けまして水田活用の直接支払交付金を活用して効果的に推進していくということを考えてございまして、近年で最大の戦略作物等の作付が行われました平成二十九年産の実績も踏まえながら、十分に検討してまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 今局長はそうお答えになったんですが、政府が調整を放してしまったわけですよね。だから、政府が調整をしているときはかなりそういうグリップがきいたと思うんですが、今、政府がみずからやらなくなったという状況の中でどうするかということをもっとやはり斬新に考えていただかないといけないというふうに思います。
農産物というのは工業製品と違うわけで、年度途中で調整できないわけですから、だから、もう少し計画的な取組が必要だということを私は申し上げております。
韓国でも、かつて生産調整をやっておりました。アメリカは、生産調整から保険制度に変わりました。EUは、生産計画からデカップリングに変わりました。価格支持は黄色の制度、需給調整は青の制度、デカップリングや地域政策は緑の政策ということになりますので、せめて青と緑を組み合わせたような仕組みをつくっていかないと、この需給調整というのはできないということになると思いますので、そこのところは強く求めておきます。
残された時間、十分を切ってしまいましたが、野上大臣に、野上農政の基本的展開についてお伺いをしたいというふうに思います。
首相は施政方針で、活力ある地方をつくるとして輸出拡大、あるいは予算委員会では農協改革だと言ったわけでありますが、これが農業の成長産業化ということで、つまり競争を促進するようなことしか答えていないわけです、首相は。
きのうの所信的発言を聞かせていただきました。野上大臣が、冒頭では、食料の安定供給と地域の経済、コミュニティーを支えというふうに言って、結びでは、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現するというふうにきのう発言されております。大いに期待をいたしております。
その期待を込めて、何点かお伺いをいたします。時間がありませんので三つ聞きたいんですが、時間がどうかということがありますが、まずは、野上農政が掲げたみどりの食料システム戦略というのはどういうものなのか。自治体の皆さんや農業者も期待をするとすれば、どんなイメージを抱けばそこに到達するのかという、プロセス的なものも含めてお答えをいただきたいと思います。
○野上国務大臣 今先生からお話がありましたとおり、食料、農林水産業、さまざまな課題があると思っております。自然災害や気候変動に伴う影響というものも大きくなってきておりますし、生産者が減少している、あるいは生産基盤が脆弱をしている、それによって農山漁村の地域コミュニティーも衰退をしておりましたり、あるいは新型コロナを契機とした人手不足などの課題に直面していると考えております。
このため、農林水産業ですとか加工、流通も含めた、持続可能な食料システムの構築が急務と考えております。SDGsや環境の重要性が国内外で高まっておりますので、このことが国産品への評価向上にもつながるものと考えております。
こうした中で、我が国の食料、農林水産業の生産力の向上と持続性という、これを両立させていかなければならないと思っておりますが、そのためにはやはり、イノベーションで実現させるための新たな戦略として、みどりの食料システム戦略の検討を進めているところであります。
具体的には、例えば肥料や飼料といった資材についての輸入から国内資源への転換ですとか、地域資源のエネルギー活用など脱炭素社会の牽引ですとか、あるいは持続的な地域の産業基盤の構築等々を図ることによって、雇用の増大、地域の所得向上、豊かな食生活の実現等々を目指してまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 完全にイメージできたかと言われると、ちょっとまだ。まあ、これからの政策ですから、SDGsとか、そういうものを意識するということは非常に大切だというふうに思いますし、同時にまた成長産業化一本やりではないというところに踏み込んでいかないと、これは実現できないというふうに私は思います。
そこで、あと五分ということでありますので、済みません、二つ聞きますので、端的にお願いをいたします。
一つは、国家戦略特区諮問会議、それから規制改革推進会議、いわゆる我々が官邸農政と言っているところなんですが、そこから、農産物検査規格表示のこと、それから、これはまたぞろでありますが、農地への企業参入の全国展開、農地所有適格法人の要件緩和、いわゆる農業法人の議決権の話ですが、などが議論をされております。我々がずっと一番危惧をして、安倍農政の検証をやってきたテーマの一つでもあるわけでありますが。菅政権では地方銀行の合併だとか中小企業制度の見直しだとかというようなことが言われていて、とても地方を大切にしているなどというふうには思えないわけでありますが、いわゆる地方創生と真逆のこの政策について、これは農業がターゲットになってしまうわけでありますので、これについての大臣のお考えをまずいただきたい。
もう一つは、農業と農村というのは私は表裏一体だというふうに思っておりますが、農業の多面的機能発揮促進法、三つの制度ですね、多面的機能支払いと中山間とそれから環境保全、これが二〇一五年に制定をされて五年を迎えて、検証を今されているというふうに認識をしております。何かこの間、結果が四点だか出ておりました。余りにも当然過ぎて唖然としてしまったんですが、PRをしなきゃいけないとか、理解を深めなきゃいけないとか、そんなことを今さら検証してもらってもどうしようもないんじゃないかというふうに思うんですが。その四つを除いて、これを踏まえて具体的に、これをどうやって、先ほど大臣は、みどりとかSDGsについても触れていただきましたが、これらについて、多面的機能発揮を更に促進していくためにどのように取り組むのか。
この二点について伺います。
○野上国務大臣 まず一点目についてでありますが、私は、先ほども申し上げましたが、農業、農村の持続可能性を高めて食と環境を次世代に継承していくために、生産から流通、加工まで、あらゆる面で取組を進めていかなければならないと考えております。
御指摘のあった規制改革会議や国家戦略特区諮問会議の議論に対しましては、実際に現場でどういう効果が上がっているのかという視点ですとか、あるいは試行した場合にはその検証ですとか評価の視点が必要でありまして、検討に当たっては政府内で緊密に議論、調整を行っていくことが重要だと考えております。やはり、農林水産業や食品産業の発展に向けてどうなのか、ここが目的でありますので、必要に応じて河野大臣や坂本大臣とも議論を重ねてまいりたいというふうに考えております。
また、多面的機能発揮法の件についてでございますが、先生御指摘のとおり、現在、点検、検証結果を取りまとめているところでありますが、これらの点検、検証については、アンケート調査では、やはりほとんどの都道府県及び市町村が法制化によって制度、予算の安定性が向上したと評価をしております。現行のままの継続を望む声が多い一方で、やはり、高齢化をされてきている、あるいは減少してきているということもありますので、事務負担の軽減ですとか運用改善を求める声も非常にありました。
また、アンケート調査結果を踏まえた委員会の論議では、広域化をしますので、広域化など将来に向けた組織体制の強化ですとか、事務負担の軽減を図るデジタル技術の活用の推進ですとか、あるいは他施策と連携した活動の高度化等々、相乗効果の発揮を図ることなどが提言されたところであります。
今後、これらを踏まえて本制度がよりよくなりますように、農業の有する多面的機能の発揮や活力ある農村の実現を図ってまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 時間が参りました。大臣、ありがとうございます。
官邸農政とずっと我々が言ってきたのは、農業を産業という一面だけで捉えて、そして競争をさせていくという、資本主義経済ですから競争はつきものですけれども、より競争を持ち込むということ、そして大型化していくということは、農村がどんどんどんどん疲弊していくことにつながっていくわけですよ。ですから、我々はそのことをずっと言ってきた。ぜひそこは大臣にも毅然と意見をしていただきたいと思いますし、農業は農村と一体ですが、農村という集落を形成して今日まできているわけで、その集落が今壊れつつあるということが一番大変なんです。
農業は再生できます。しかし、農村は再生できません。そういった意味での視点で、ぜひこれからも取り組んでいただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時五分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。近藤和也君。
○近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也と申します。立憲民主党・社民・無所属の会を代表して、質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、野上大臣、就任おめでとうございます。私は、隣の県の人間として、富山県までわずか車で十五分、石動山というところで、同じ文化圏でもありますので、同じ水、同じ食べ物、同じ空気を吸って生まれ育ってきたんだなということで、非常にうれしく思っています。どうかよろしくお願いいたします。
そして、質問に入らせていただく前に、済みません、通告になかったんですけれども、豊洲やほかの市場でコロナの感染者が出てきているという事案が出てきております。その中で、豊洲においては自主検査で感染がわかったということで、今特に、前政権から引き続いてPCR検査がなかなか思うように行き渡っていない、進んでいない、検査不足が結果的にはほかの国と比べて感染拡大を招いているのではないかということが言われております。
ですから、いろいろなコロナ対策はしてきていただいていると思いますが、食の安全といった点に関して、少なくとも、政府全体として遅いのであれば、農林水産省にかかわる管轄の部分において、自主検査に対して何らかの手当てをしていくとか検査を積極的にやっていくんだということについて、少なくとも、今政府のコロナ対策の本部の役員のお一人だと思いますので、全体としてだけではなくて、農林水産省としても積極的に検査を進めていくべきだと思いますが、この点についてお伺いいたします。
○野上国務大臣 一昨日、東京都から公表がありました、東京都中央卸売市場の豊洲市場における新型コロナウイルス感染症の感染拡大が十二件あったということは報告を受けております。これまでに公表された市場関係者の感染の確認件数は累計で三十七名に上るということも承知をいたしています。
これまで、豊洲市場を始めとする卸売市場は、農林水産省が定めます業務継続等のガイドラインですとか、あるいは市場関係者団体みずからが定めた感染拡大予防ガイドラインに沿いまして、マスクの着用、あるいは、人との間隔は二メートルを目安、最低でも一メートルを確保する等々、施設の規模に応じた感染予防策がとられて、市場の取引を継続して行っているということであります。
今回新たに感染確認された方は、体調の不良を感じて受診された方もおられると聞いておりますが、一日も早い御回復をお祈りいたしますが、農林水産省としましては、危機感を持って東京都の取組を注視し、ガイドラインに沿って感染予防策が適切にとられるよう、指導助言また情報提供等を徹底して行ってまいりたいと考えております。
○近藤(和)委員 何となく、注視、また待ちの姿勢といったところを非常に強く感じますので、やはり、市場機能が失われてしまえば、生産者がどんなに頑張っても消費者まで届かないということになってしまいますので、私は一歩踏み込んだ行動をするべきではないかなというふうに思います。
それでは、通告に従って質問いたします。
今回、私は、総理も秋田県の御出身で、そして大臣も富山県、同じ日本海側ということで期待をしていました。しかし、今回の大臣の所信、そして総理の所信、それぞれの演説の中に、違法操業という言葉、日本海という言葉、一切入っていませんでした。この部分については非常に強い憤りを覚えております。
先々月だったと思いますが、水産庁が漁師さんに対して、日本海の大和堆、EEZの中、危ないところから出ていってください、そういった退去の要請もあって、今は解除されたと伺っておりますが、漁師さんは命がけです。ただでさえ、魚がとれるかどうかわからない、そして天候でも命がけという中で、他国とのそういった争いに対して、何で国はほったらかしなんだと。この動きは何年も何年も続いております。
その点について、きょうは海上保安庁と水産庁さんにもお越しいただいておりますが、数字の方はもう私の方で把握しましたのできょうは聞きませんけれども、過去最高に近い水準まで船がやってきております、退去の件数も出てきております。こういった状況の中で、本気になっていない、特に、漁業関係者の方から言われるのが、臨検、拿捕、いわゆる立入検査、拿捕ですね、こちらについて全く動きが見られないということがあります。
そして、私もこの農林水産委員会では何度も何度も言ってきていますが、今までは北朝鮮がメーンでした、北朝鮮の船ばかりでした。北朝鮮は日本と国交がないし、国として認めているわけでもないし、そしてまた国連海洋法条約に入っているわけでもないし、だからなかなか立入検査をしにくいんだという言いわけも何回も聞いてきました。
ただ、しかし、今回は中国です。中国は日本と当然ながら国交もあるわけですし、日中の漁業協定も結んでおります。やれることはまだまだあるはずなのに、事態が一向に進行していません。このことについて御所見をお願いいたします。
○野上国務大臣 今御指摘のありました大和堆周辺水域におきまして、本年は十月三十一日までで延べ三千九百七十八隻の外国漁船等に退去警告を実施しておりまして、そのほとんどが中国漁船であります。
水産庁としましては、本年三月に新造の大型取締り船二隻を就航させ、イカ釣り漁業の漁期が始まる前の五月から、これら二隻を含め、大和堆周辺水域に重点配備をしております。漁業取締り船と巡視船等の配置の見直しなどを行って、海保との連携強化も図っているところであります。
このような中で、九月二十九日には、大和堆西方の我が国排他的経済水域内におきまして漁業取締り船が北朝鮮公船を確認したことから、我が国漁船に対して一時的に一部水域からの移動を要請していたところでありますが、今回は自粛期間が長期間にわたりまして漁業者の皆様には御迷惑をおかけいたしましたが、その後、安全確保のめどが立ったことから、十月二十八日から段階的に自粛要請を解除しました。
そして、違法操業につきましては、外務省において、これは外交ルートを通じて中国等に対して申入れを行っております。
また、農水省としても、令和三年度中に新たに二隻の大型漁業取締り船を就航させまして、取締り能力を強化をいたします。また、海保との一層の連携の強化を図って、漁業者が安全に操業していただくように全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○近藤(和)委員 外務省さんにも来ていただいていますが、今回の中国の違法操業に対して、どのような形で何回抗議をいたしましたでしょうか。
○國場大臣政務官 大和堆周辺水域における中国漁船による違法操業については、中国政府に対し、外交ルートを通じて日本側の懸念を伝達するとともに、漁業者への指導等の対策強化を含む実効的措置に取り組むよう繰り返し強く申し入れてきております。また、その際には、中国政府に対し、関係省庁から提供のあった漁船の写真や、レーダーで把握した位置情報等を含めた客観的データをあわせて提供しております。
外務省としても、引き続き、海上保安庁、水産庁を始めとする関係省庁と連携しつつ、我が国漁船の安全な操業の確保のため、しっかりと取り組んでまいります。
また、何回申入れをしているかという御質問でありますが、二〇〇九年の八月二十七日から十月二十一日までに十四回申入れを行っております。
○近藤(和)委員 二〇〇九年、二〇一九年、どちらですか。
○國場大臣政務官 二〇一九年です。
○近藤(和)委員 もうちょっと必死になってやっていただきたいんです。尖閣でも、過去最高で中国のさまざまな船がやってきております。そして日本海側、もう漁師さんは続けられないですから、そういった方が漁師をやめたら過疎化が進んでしまいますから、私たちの地域がもちません。本当に必死になってやっていただきたいと思います。
そういった点で、二つだけちょっと、お願いといいますか、それだけ言わせていただきたいんですが、まずは外に向けては、やはり中国との漁業協定ですね、漁業協定はこれでいいのか、そして日中漁業共同の委員会を開くべきだというふうに思いますので、こちらについて動いていただきたいと思います。
そして、内なる対策としては、これは農水省さんですが、韓国・中国等外国漁船操業対策事業ということで、平成の二十九年からですかね、一隻当たり三百万から四百万のお金が出ておりますけれども、こちらについても今年度もしっかりと、迷惑料というわけではないですけれども、皆さん困っていますので、こちらに対しての動きをしていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、質問をかえます。
外務省さん、そして海上保安庁さん、結構です。ありがとうございます。
それでは、宮内農林水産副大臣に伺います。
今、さまざまな形で報道で出ております中央自動車道天神橋ほか六橋耐震補強工事、特に緑橋の部分についてですが、耐震の工事が結果的に手抜きであったといった報道が出ております。この件について御存じでしょうか。
○宮内副大臣 お答えをいたします。
この件につきましては、報道のあった施工不良については全く承知をしておりませんでした。報道で知ったところでございます。
○近藤(和)委員 報道にあったということですが、いつの時点で知りましたでしょうか。
○宮内副大臣 お答えをいたします。
いつという、今すぐに正確なことを、いつの時点かというのはすぐに記憶が浮かんでこないわけでありますけれども、週刊誌に報道で載った時点ということだったと思います。
○近藤(和)委員 週刊誌ということなんですが、そちらで知られたということであれば、これは、自分のこと、お名前も出ていたわけですしね、調べられると思いますが。
それでは、その中に書いてありました、昨年九月に宮内副大臣の議員会館において、国交省やNEXCO中日本の方に来ていただいたということは事実でしょうか。
○宮内副大臣 お答えいたします。
今回の施工不良の件とは別なのでございますけれども、この工事に関することにつきまして、二〇一九年の九月だったと思いますけれども、私のところで国土交通省の担当者とそれからNEXCOの担当者の方と御相談をしたことは事実でございます。
○近藤(和)委員 済みません、ちょっと聞き間違いなのか確認したいんですが、施工不良の件とは別だけれども今回の工事にかかわることということでよろしいですか。
○宮内副大臣 そういうことでございます。
○近藤(和)委員 それでは、具体的に、その場、議員会館の部屋で、来られた方、国土交通省の方、NEXCOの方、どういった立場の方が来られたか、また、違う立場の方がいらっしゃったのかどうか、教えてください。
○宮内副大臣 お答えをいたします。
今、その方がどういうお立場で、どういうお名前だったかということを私は持ち合わせておりませんので、ここでは正確なお答えができないということでございますけれども、私の議員会館に、国土交通省の道路局それからNEXCOの関係者ということで、お越しいただいて相談をいたしました。
○近藤(和)委員 この件は、また別で伺いたいと思います。
それでは、この手抜き工事の元請であった大島産業が、パワハラや残業代不払い、そして指名停止を受けている過去があった、そういった企業という認識はあるでしょうか。
○宮内副大臣 過去に裁判をしたことがあったということは把握しておりますけれども、他の、何らかのペナルティーがあったとか、そういうことについては認識はしておりませんでした。
○近藤(和)委員 それでは、具体的に、記事の中では、宮内君、康朋さんという、じっこんの仲なんだというふうにも出ておりましたが、この件について、事実でしょうか。
○宮内副大臣 大島産業さんは私の選挙区にある会社でありまして、支援者でございます。人間関係はございました。特に、大島さん、宮内さんという普通の呼び名の関係でございまして、週刊誌報道は少しバイアスが入っているような気が私自身はいたしました。
○近藤(和)委員 それでは、事実確認ですが、二〇一六年十月二十二日、玄海ロイヤルホテルにおいて、大島産業の創業五十周年記念祝賀会で代表発起人として挨拶をされた。二〇一三年八月十一日、大島産業さんの安全大会で来賓として挨拶をした。これは事実でしょうか。
○宮内副大臣 選挙区のいろいろな支援者の方々からいろいろな御案内をいただくわけでございますので、私としましても、日程が許す限り、さまざまなところにお顔出しさせていただいたり御挨拶をしております。その中で、その五十周年記念のパーティーにも行ったと思います。
○近藤(和)委員 済みません、行った上で、代表発起人として挨拶をされたかどうか。
○宮内副大臣 お答えをいたします。
代表発起人として御挨拶をさせていただいたというふうに記憶いたしております。
○近藤(和)委員 相当仲がいいんだなというふうには思います。済みません。
そして、その上で、さまざまなところで大島産業の実質的なオーナーが金を出したのは俺だといったことを言われておられるようですけれども、実際にお金を出してもらったことはあるんでしょうか。
○宮内副大臣 週刊誌の一方的な報道だと思っております。全く金銭をいただいたりしたことはございません。
○近藤(和)委員 私の方でも収支報告書を調べさせていただきました。確かに、少なくとも、今私の方で知り得る関係の方からのお金は来ていないんだなというふうには思いました。
一方で、平成二十四年からですが、福岡と東京でパーティーを毎年されておられます。大体、通常国会が終わった後に福岡で、そして臨時国会が終わるぐらいに東京でということで。ここ数年間でいけば、大体、福岡では一千三百万ぐらいですかね、そして東京では一千九百万ぐらい、それぞれの対価の支払いをした者の数というのは三百人前後となっておりますが、このパーティー券を買っていただいていたということはあるでしょうか。
○宮内副大臣 お答えをいたします。
大島産業さんからパーティーの購入をしていただいたことはありません。
○近藤(和)委員 それは、直接的な本人、家族も含めてということでよろしいですか。
○宮内副大臣 そうでございます。
○近藤(和)委員 正直、仲のいい友達であれば、むしろ、パーティーをするときは、頼む、買ってくれというふうなことは私はあっておかしくないんじゃないかなと。口ききしなければいいだけであって、そこはちょっと違和感を覚えますが、ないということを確認をいたしました。
そして、その上で、お金ももらったことはない、そして選挙区の支持者だ、仲がいい、そして創業祭には代表発起人として挨拶もするぐらいだと。そういった関係の会社が、人命にかかわる、結果として手抜き工事をしていたということに対してはどのような思いをお持ちですか。
○宮内副大臣 お答えをいたします。
結果的に施工不良があったということは、ゆゆしき問題だというふうに思っております。ここは、発注元としっかり協議をして、補修して、また補償もすべきであるというふうに思っております。
○近藤(和)委員 ゆゆしき問題であって、怒りを覚えて当然だと思いますが、どうですか。
○宮内副大臣 怒りを覚えるといいますか、大変残念なことであると思いますし、とにかく工事がしっかりと完成をして国民の安全、安心が守られるということが第一でありますから、修正しなければいけないことであれば、すぐにしっかり修正をしていくということが何よりも大切だというふうに思っております。
○近藤(和)委員 今回は、大島産業は、九州を中心として二十六カ所、同じような耐震の工事を行っていると。もし同様の件が、一件だけでも人命にかかわる大変大きな問題です。第二の耐震偽装事件と言っても私はいいと思います。NEXCO中日本は笹子トンネルの事件もあったわけですし、そして今、特に自民党さんでは二階幹事長を旗振り役に国土強靱化ということをずっと進められてこられています。強靱化といいながらその真逆の弱体化をしようという、こういう事業者を私は許すわけにはいかないと思いますし、関係者には厳しい処分というものは必要だなと思っております。
それでは、続けたいと思いますが、国交省さんに伺います。
先ほど宮内副大臣が言われました、昨年の九月に議員会館で面談があったと。そして、国交省、そしてNEXCO中日本の方が来られた。それぞれ何名、どういう役職の方が来られたか。NEXCO中日本の方については、きのうの段階ではわからないと言われていましたので、聞いてくださいと私は先に通告しましたので、正確にお答えください。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省からは課長が一名、NEXCOからは何名来たか、ちょっと私、承知しておりません。その方の役職についても承知しておりません。
以上です。
○近藤(和)委員 きのうの段階で調べてくださいというふうに言ったんですけれども、これだけ大ごとになっているんですよ。調べるじゃないですか。本当はわかっているんじゃないですか。(発言する者あり)
○高鳥委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○高鳥委員長 速記を起こしてください。
国土交通省宇野道路局次長。
○宇野政府参考人 お答えします。
昨日通告があったということですが、私ども、それを承知しておりませんでしたので、調査しておりません。確認してお伝えしたいと思います。(発言する者あり)
○高鳥委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○高鳥委員長 速記を起こしてください。
宇野道路局次長。
○宇野政府参考人 お答えします。
調査の上、お答えしたいと思います。(発言する者あり)いや、昨日の段階での、通告の段階ではそういうお話を聞いておりませんでしたので、しっかり調査した上でお答えしたいと思います。(発言する者あり)
○高鳥委員長 質問を続けてください。(近藤(和)委員「できませんよ。議論にならないよ、そんなことしたら」と呼ぶ)質問を続けてください。(発言する者あり)
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○高鳥委員長 速記を起こしてください。
宇野道路局次長。
○宇野政府参考人 大変失礼をいたしました。
今調査しましたところ、NEXCO中日本の方からは二名、一人は部長クラス、一人は担当者ということでございます。大変失礼をいたしました。
○近藤(和)委員 野党の質問者だからといって、ばかにしたような態度はやめてくださいね。私の後ろにはたくさんの有権者がいるし、しかも、今回の耐震の手抜き工事に関しては、日本にいらっしゃるありとあらゆる方が被害者になる可能性があるわけですから、こんなところで時間をたくさん使わせないでください。よろしくお願いします。
それでは、今、道路局の課長と、NEXCO中日本の部長と担当者ということを確認をいたしました。そこでの話合いについてどういった中身であったのかということについて、宮内副大臣にお願いいたします。
○宮内副大臣 お答えをいたします。
そもそもこの件は、大島産業さんから私の事務所に対しまして、NEXCOの工事担当者から大島産業に対するメールによる指示の内容に著しいパワハラの表現が数々ありまして、そのメールを私のところに持ち込まれまして、そのことによって大島産業担当者がノイローゼになっているとの相談が持ち込まれたということでございます。
そのために、この事実関係の把握とスムーズな工事の進捗につきまして、二〇一九年の九月に国交省さんとNEXCOさんと面会をさせていただきまして、この工事に係るコミュニケーションの改善について相談をしたということでございます。
○近藤(和)委員 それでは、宮内議員はこのメールの中身は読まれたということでよろしいでしょうか。
○宮内副大臣 メールを拝見して、そういう指摘をさせていただきました。
○近藤(和)委員 それでは、国交省の道路局の課長はこの中身を見られたのか。国交省さん、わかりますか。
○宇野政府参考人 課長は、そのメールの内容を見た上で、そのまま中日本道路株式会社に送付した上で事実関係を調べてもらうよう依頼したと聞いております。
○近藤(和)委員 済みません、その場に担当の方はいらっしゃったわけですよね。だから、その場で確認すればいいんじゃないですか。
○宇野政府参考人 宮内議員の秘書さんの方からそのメールを事前にいただいていたので、それをそのまま中日本道路会社に送付した上で事実関係を調べてもらうよう依頼した、それを受けて宮内議員の事務所の方で打合せをしたということでございます。
○近藤(和)委員 それでは、宮内議員も国交省の課長さんも含めて、これはパワハラだということで、そう理解した上で、NEXCO中日本の担当の、これは課長さんだと思うんですけれども、彼に対してその場で謝罪をさせた。謝罪の相手が宮内議員であるということでよろしいでしょうか。
○宮内副大臣 謝罪をさせるのが目的では全くありませんで、私は当事者でありませんので、メールを見て、一方的にそれが事実かどうかということは断定できないんだと思います。
しかしながら、そういうメールが来ていまして、しかもそれはCCで、ほかの方にも送るようなメールの内容になっていましたので、それは一方的ではないんじゃないかというふうな判断をしまして、いずれにしましても、そういうやりとりがスムーズにいっていないというふうなことを私は直観的に感じたものですから、スムーズに運ぶ必要があるという判断のもとで、こういうことがあるんだけれども事実関係はどういうものかということをまずは把握していただいて、それがスムーズに進むようにいろいろ配慮をしてくださいよ、こういうお話をしたということでございます。
○近藤(和)委員 結果として、その担当の課長さん、NEXCO中日本の課長さんは担当を外された。飛ばされたという書き方をしているところもありますけれども、こういう事実でよろしいですか。
○宮内副大臣 お答えいたします。
外されたかどうかということが事実かどうかはよく把握しておりませんでしたけれども、NEXCOさんの、スムーズにこの工事が進捗するという、いろいろな判断のもとにその後の対応がとられたのではないかなというふうに私は思っております。
○近藤(和)委員 宮内議員はその後どうなったかよくわからないということでしたけれども、それでは、国交省はどこまで把握をされていますか。
○宇野政府参考人 お答えします。
中日本高速道路会社からは、受注者との間のコミュニケーションの改善を図るために、会社みずからの判断で当該施工管理員について担当業務の変更をしていると聞いております。
○近藤(和)委員 みずからの判断というのは、どういう判断だったんでしょうか。
先ほど、宮内議員の方からも、コミュニケーション不足だと。コミュニケーション不足であれば、より人間関係を強くして、ちゃんとコミュニケーションをとっていって仕事がよく流れるようにしていけばいいはずなんですが、逆に外しているわけですよね。外すことが本当にコミュニケーションをよくしていくことにつながるのかどうか。その判断はどうだったんですか。
○宇野政府参考人 事実関係を申し上げますと、中日本道路高速株式会社に確認しましたところ、施工管理員の担当業務を変更したのはその面談より前と聞いておりますので、会社の判断でコミュニケーションを改善するために配置がえをしたということだというふうに理解しております。
○近藤(和)委員 面談前にその方を担当から外して、その上で、お白州といいますか、国会議員、道路族のかなり重要な立場だというふうに仄聞しておりますので、これこそ逆に、パワハラのメールだといいながらパワハラをかけているんじゃないかというふうに思います。
それで、ちょっとこの部分については事実関係を、やはり伝言ゲームだと余りよくないので、NEXCO中日本の元担当者、そしてその場に同席された部長さんに来ていただきたいんですが、委員長、お計らいをよろしくお願いいたします。
○高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○近藤(和)委員 きょうは、なぜ六億の事業が十三億まで膨れ上がったのか、こういったことが一般的によくある話なのかということ、そしてさらに、一事業者の一つの案件に対して国会議員が出ていって、国交省の課長クラスが出てきて、それぞれの、NEXCOの部長さんまで来られるようなことが頻繁に起きていることなのかどうか、こういったことも含めて、相当、ちょっと問題があるのではないかなと思いますが、時間が参りましたので、きょうはここで終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。
野上農水大臣は、十月の三日、就任後初めての視察を、福島県入りということで、そのような形で、東日本大震災や東京電力第一原発事故の被害を受けた福島県の沿岸部の一市三町、いわき市、楢葉町、富岡町、浪江町を訪れたというふうに伺っております。
新聞報道もされましたし、そのときの、視察後の記者会見でのコメント等も拝読させていただいているところでありまして、まずは、菅内閣が、内閣の基本方針に大震災に関する記述がなかったということで、被災地の皆さんは本当に残念なことだというふうに感じていまして、そのことで確かに批判も受けていらっしゃったのではないかというふうに思いますが、その後、閣僚の皆さんが被災地に相次いでお入りになられたということで、政権として被災地の復興再生をしっかり注視するということもアピールできたのではないかというふうに思いますけれども。
野上大臣は心ある方だというふうに聞いております。単なるアピールではなくて、本当に、この福島の現状やたくさんの課題について視察をされるということで福島入りを選ばれたというふうに思っておりますので、改めて、福島を視察しての御所見と、そして、原発事故の被災地の農林水産業の復興再生のためにどのように取り組まれていくのか、御決意もお伺いしたいというふうに思います。
○野上国務大臣 今先生から御指摘いただきましたとおり、十月三日に、福島県の一市三町、いわき市、楢葉町、富岡町、浪江町を回らせていただきました。
当日は、まず、小名浜魚市場を視察させていただいた後、福島県の水産海洋研究センターも視察をさせていただきまして、そこで内堀知事とお会いをさせていただきました。知事からは、前向きに復興が進んでいるところもありますが、まだまだ厳しい部分もあるとの御意見をいただきましたし、営農再開や、水産業、林業の再生、風評払拭など、まだまだ取り組むべき課題があるということで認識も一致をいたしました。
その後、楢葉町に移動しまして、ことしの四月から農水省から十二市町村に対して職員を派遣をしておりますので、その当省職員と意見交換を行いました後、富岡町、浪江町を回りまして、営農ですとか森林再生の取組の状況をあわせてさせていただきまして、関係者と意見交換もさせていただいたところであります。
今回の視察先を回らせていただきまして、前向きに取り組んでおられる取組もあったわけですが、しかし一方で、移動中に帰還困難地域ですとか特定復興再生拠点等の区域の現状を見ますと、まだまだ当然のことながら営農再開に至っていない厳しい地域があるということも、本当に身にしみて実感をいたしました。
今後とも、やはり現場の声を聞きながら、被災地の農林水産業の復興再生に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○金子(恵)委員 もちろん、東日本大震災、原発事故の被災地というふうに、直接的な津波の被害や、そしてまた原発事故で大きな影響を受けて、そして避難を余儀なくされた地域という部分で今回視察されたんだと思いますけれども、実は、福島県全体で風評被害もありまして、大変厳しいさまざまな課題を乗り越えて今に至ってきたということもございますので、浜通り、中通り、会津地方と福島県はありますけれども、他の地域にもぜひ目を向けていただければありがたく感じます。
私は伊達市というところの人間なんですけれども、あんぽ柿の里、梁川町五十沢というところもありますが、台風十九号で昨年は大変甚大な被害を受けて、厳しい状況にもありました。そしてまた、ことしになりまして、近くの桑折町を中心といたしまして、御存じのとおりだと思いますけれども、桃の産地なんですけれども、献上桃の産地でありまして、ここでは桃せん孔細菌病が大変蔓延しまして、厳しい状況にありました。
これまで風評被害との闘いをしていて、そして、とにかく農業を何とかしよう、福島の農産物を多くの方々に食べていただこう、そうやって頑張ってきた農業者の方々には大きな打撃になっておりまして、この桃せん孔細菌病につきましては果樹農業生産力増強総合対策というものの中で対応していただけたということもありまして、JAさんを通してでもありますけれども、多くの桃生産者にはプラスになってきたと思います。ただ、若干やはり使い勝手も悪いですし、これからもその辺のところも含めて注視していただければありがたいというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いします。
そして、それ以外に、浜通りに今回入っていただきまして、浜といえば、今、処理水の問題が本当に一番の課題になっているわけですね。処理水と言ってしまうと、何だろうとまだまだ国民の皆さんの中でお思いになる方がいると思いますけれども。原発事故によってALPSで処理をした汚染水の問題なんですけれども、まだ十分に処理がされていないことから、多くの方々はそれを汚染水だというふうに言っています。原発から出ている水の問題ですけれども。こういう話を、国民的な理解を得るためにしっかりと情報発信をしていくということとか、国民的な議論をしっかりしていくということはとても重要だというふうに思っているんです。
大臣も記者会見で、復興に向けて農林漁業者の努力を妨げないことを最優先に、処理水の処分方法や風評被害対策を検討していくべきと考えており、その旨を経済産業省に伝えていきたいと考えておりますというふうにおっしゃっているんです。ここを読むと、処理水の処分方法も検討していくべき、風評被害対策を検討していくべきと、それでよろしいでしょうか。ということであれば、大臣、今、政府の小委員会で示されました大気放出、海洋放出、この二者択一のような議論になっているんですけれども、そうではなくて、海洋放出以外、特に漁業者の方々は海洋放出に極めて厳しい目を向けているわけなんですけれども、海洋放出以外の処分方法も検討すべきとお考えでしょうか。
○野上国務大臣 ALPS処理水の取扱いにつきましては、これまで、本年二月にALPS小委員会が報告書をまとめたことを踏まえまして、さまざまな方々と意見交換を重ねるとともに、福島県の農林水産業者を始め、広く国民の皆様から貴重な御意見をいただきつつ議論を積み上げているところと考えております。
先生から御指摘がありましたとおり、農林水産省といたしましては、復興に向けた農林漁業者の努力を妨げないことを最優先に、処理水の処分方法ですとか風評被害対策を検討していくべきと考えております。これまでの議論を踏まえつつ、更に政府内での検討を深めて、しかるべき時期に政府として対処方針を決めていくことになると承知いたしております。
○金子(恵)委員 十月の二十七日にも処分方法が決定するのではないかというふうに地元紙で大きく報道され、全国紙にも出ていたというふうに思いますが、実際はそれは先送りされました。それは、多くの漁業者の方々や多くの市民の皆さんの声があったからだというふうにも思います。
漁業者だけではなくて、JAの皆さんや、林業の、森林組合の皆さん等も、生産者の皆さんというのは基本的に大変慎重な姿勢でこのALPS処理水を見ていらっしゃるということで、そういう目を向けていらっしゃるということではあるんですが、特に、十月に要望書を全漁連の岸会長から受けていらっしゃるというふうに思います。
そこに書いてあることを覚えていらっしゃると思うんですけれども、
アルプス処理水の取扱いが、我が国として喫緊の重要課題であることは認識しているが、本処理水が海洋放出されることになれば、風評被害の発生は必至である。
その影響は極めて甚大なものとなることが憂慮され、これまでの漁業者の努力は水泡に帰すばかりか、改革に取り組もうとしている漁業者を失望させるとともに、我が国漁業の将来に壊滅的な影響をあたえかねない。
以上の観点から、漁業者・国民の理解を得られないアルプス処理水の海洋放出について、我が国漁業者の総意として、絶対反対である。
国においては、これまで以上に幅広い英知を結集して、政府を挙げて議論を深め、我々の意見を十分踏まえた慎重な判断を求める。
一部になりますけれども、この要請書の後半の部分を今朗読させていただきました。
そしてまた、実はきょう、朝に、福島県の町村会からも、要望といいますか、いろいろな要請をいただいたんですが、その一つは、トリチウム等の放射性物質を含んだ処理水の処分方法については、福島ありき、スケジュールありきではなく、これまで聴取した意見を十分に踏まえ、科学的根拠に基づいた、国民の理解が広く得られる最適な処分方法を決定すること、また、処分方法の決定に当たっては実効性のある風評対策を講じることということで、これはけさいただいたものなんですけれども、こうやって地元の町村会の皆様も要請されているということです。
改めて、処分方法の方針決定までの今後のプロセスというものがどうなっていくのか、そして、繰り返し申し上げますけれども、国民の皆さんにきちんと説明をしていくのか、どのような形でしていくのか、そして、国民的議論というものをしっかりと経てから決定すべきであるということは間違いのないことでありますけれども、御所見を伺いたいと思います。
○野上国務大臣 私も十月十六日に全漁連の岸会長と面会をさせていただきまして、今先生が朗読していただきました要請書の受取をさせていただきました。海洋放出には絶対反対である、さらには、政府を挙げて議論を深め、慎重な判断を求める、こういう御発言もいただいたところであります。
原発事故以来、復興に向けて懸命に取り組まれてきた漁業者の方々には本当に御労苦と御心配をおかけしているところでありまして、海洋放出された場合の風評被害を懸念される気持ちは当然のことだというふうに考えております。いただいた意見を重く受けとめて進めてまいりたいと思っております。
先ほど申しましたとおり、ALPS処理水の取扱いにつきましては、本年二月にALPS小委が報告をまとめ、更に意見交換を重ね、広く貴重な意見を国民の皆様からいただきつつ議論を積み重ねてきているところでありまして、議論を踏まえつつ、更に政府内での検討を深めて、しかるべき時期に政府として処分方針を決めていくことになると承知いたしております。
○金子(恵)委員 済みません、もう一度教えていただきたいんですけれども、大臣のお考えです。
今おっしゃっていただいたのは政府全体としてのお考えなんだと思いますが、最も漁業者に寄り添うべき農水大臣なので、やはり、政府小委員会の報告書を踏まえた形での議論ということでは足りないんだというふうにおっしゃっていただいて、もう少し処理水の処分方法については幅広く検討をすべきではないかというふうにお思いにはならないでしょうか。
○野上国務大臣 ALPS処理水の処分方法につきましてはまだ決定をしておりませんが、どのような処分方法であっても風評の発生が懸念されるというふうに思っております。
本年二月に公表されたALPS小委の報告書でも、処理水の処分によって生じる風評被害対策、細かくは申し上げませんが、その必要性が取りまとめられているところでありますが、私としては、先ほど来申し上げておりますが、復興に向けた漁業者の皆様の努力を妨げないことを最優先に、これは経産省に対しても働きかけをしております、十分な対策がとられるように主張していきたいと考えております。
○金子(恵)委員 その働きかけに大いに期待したいというふうに思うんですけれども、ここのところいろいろと報道されている中では、与党自民党の方からも、風評は必至、処理水は放出せず保管というような意見が出たということを伺っております。
そうすると、どうもこれまでは、どうしても、経産省を中心として、海洋放出を軸としてその処分方法を決定するのではないかと見えていたようなんですけれども、そうではない、もっと広い議論、検討もしていくということでよろしいですか。
○野上国務大臣 まだ処理水の処分方法は決定をされておりませんので、先ほど申し上げた、特に風評対策が十分にとられる対策ということになると思いますが、先ほど申し上げたとおりの方針で、私自身もこれはしっかりと働きかけをしていきたいと考えております。
○金子(恵)委員 これも地元紙で申しわけないんですけれども、十月の二十三日の福島民報新聞というものの地元紙の一面に政府の小委員会の委員を務めた福島大学の小山良太教授のコメント等が入っているんですけれども、もともとはこれはタスクフォースの作業部会で、処分方法については地層注入とか海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設などがあって、それを絞り込んだ形で小委員会の報告書というのが出されているわけなんですね。それが両方とも放出と、海洋放出、大気放出ということになっているんですけれども。
今、漁業者の方々が、現段階で全く国民的議論もなされないまま、今までも風評被害とずっと闘ってきて、そして、まだ輸入規制というものも世界ではある、日本の水産物を輸入はしないという国もまだまだある、こういう中で、しかも、検査体制も、本当に多くの方々が御苦労なさって、そして構築して何とかここまで来て、でも試験操業ですよ、まだ。福島県では試験操業なんですね。来年の四月には本格操業したいと思っていて、必死になって頑張って、歯を食いしばって何とか地元の漁業を守っていきたいというふうに思っている。
今回、先ほど申し上げました全漁連からの要請書というのは、この日本というのは島国です、海に囲まれているんですが、全ての漁業者の総意だというふうにおっしゃって、そしてその上で、理解なしで海洋放出というのはあってはいけない、現段階で海洋放出反対だというふうにおっしゃっているわけなんですね。これは重いことだというふうに思うんです。もし今のような状態で単に海洋放出を決めてしまったらば、さらなる風評が広がってしまうでしょうと。本当に本気で風評対策ができるとお思いになるのかというところは、ちょっとそこも疑問なんですけれども。
実際に、先ほど申し上げました小山教授によりますと、三年間にわたって十七回の会合で、先ほど申し上げました五つの方法以外にも貯蔵継続とか処理水の減容化とかトリチウムの分離技術などの議論も重ねて、そして福島第一原発敷地外へのタンク増設や処理水の持ち出しの法的課題についても整理をしたが、ただ、小委員会は処理水をどうするかの議論の場ではなく、あくまでも五つの処分方法の風評など社会的影響を比較検討すべきという点に制約されたというふうにおっしゃっているんですね。ここがすごく問題になっているんだと思います。
今の大臣の答弁も、まだ決まっていません、風評被害対策はしっかりやります、この御答弁になってしまっているんですが、今重要なのは、処分方法をどうするか、どうなっていくのか、私たちが注目しているのはそこです。一方で、海洋放出反対とおっしゃっている漁業者の方々がいる。そうなると、その漁業者の方々の思いというのはどこに吹っ飛んでいくんですか。決まっていない、だから後で風評被害対策をやるから大丈夫、こういうことを大臣がおっしゃっているとは思えないんですが、いかがですか。
○野上国務大臣 私も、福島県に訪問させていただきまして、その際、県漁連の会長さんともお話をさせていただきました。本年二月には全ての海産魚介類の出荷制限が解除されて、いよいよ今後は本格操業の再開に向けた議論が高まっていくんだというお話を切々とお聞きをいたしました。
発災から九年半たって、本当にここまで着実な歩みを進めてこられた皆様の多大な御努力に心から敬意を表したいというふうに思っておりますし、その御努力に対して、それを最優先にやっていかなければならないというのは先ほど来申し上げているとおりであります。
ALPS処理水の処分方法についてはまだ決定しておりませんので、私からそれ以上予断を申し上げることはできませんが、ただ、どのような処分方法であっても風評の被害が懸念されているところでありますので、これらの対策が十分にとられるように取り組んでまいりたいということであります。
○金子(恵)委員 いや、ですから、大臣に私が質問させていただいているのは、決定する前の段階で大臣がどのように動いてくれるかという話をしているんです。あるいは政府がどのように動くかということを申し上げているわけで、もう決定してしまって、海洋放出がもし決定してしまったら、その段階で何とか風評被害対策をやります、これで終わりでいいと思いますか。
日本の漁業を守る取組、どうされますか。御決意を伺います。
○野上国務大臣 先ほど来申し上げております懸念につきましては、既に水産庁長官を通じて経産省には当然伝えておりますし、また、廃炉・汚染水対策チーム会合におきまして葉梨副大臣からもこのような観点で意見を述べてもらいました。私からも梶山経済産業大臣に申入れを行っているところであります。
具体的なやりとりは控えさせていただきますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、本当に、復興に向けた漁業者の努力が妨げられないことを最優先にやっていきたいということであります。
○金子(恵)委員 それが処分方法をしっかりと検討していくということだと思うんですよ。それが見えないまま、葉梨副大臣がチームの中に入っているからいいということではないので、もちろん頑張って漁業者を守る発言をしていただきたいというふうには思っていますけれども、でも、ただ決定を待つということのスタンスでは、本当に漁業を守ることは私はできないと思います。
本年十二月に改正漁業法も施行されますし、また、この国会にも水産流通適正化法案というのがある。ぜひ、大臣、これからも日本の漁業を守るためにさまざまな場面でしっかりと漁業者の立場に立って御発言をいただきたいなというふうに思っているところでございますので、よろしくお願いいたします。
次に参ります。
新型コロナウイルス対策についてなんですが、もう既にきょうは先輩議員が、佐々木先生も質問をされましたので、多く細かいところを申し上げることはしませんけれども、でも、やはり問題になるのは、高収益作物次期作支援交付金、これによって、まずは申請数が予想以上に大幅にふえてしまったから、そういうことで支給要件を厳格化したということではありますけれども、批判が殺到したから急遽設けた救済措置でありますけれども、これも不公平だったということで先ほど来議論があったということです。一言で言えば制度設計の甘さということと、見切り発車なんだろうなというふうにも思っていますが。
これだけではなくて、GoToイートについても、一言で言えば錬金術などと話題になったぐらいですので、これも一定額の支払いを求めるように制度を見直しているということでありますけれども、多くの見直しを余儀なくされている状況です。
これ以上の混乱を引き起こさないようにしっかりと対策をしていかなくてはいけないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○野上国務大臣 今御指摘のございました高収益作物次期作支援交付金につきましては、運用の見直しを行わざるを得ず、現場の皆様に御負担をおかけしており、大変申しわけなく思っております。御理解が得られるように丁寧に説明をしてまいりたいと思います。
また、GoToイートキャンペーンにつきましても見直すべきところは見直して進めてまいらなければならないと思いますが、引き続き厳しい状況にある飲食店の需要を喚起し、食材を供給する農林水産業者を応援してまいりたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けまして、今、農林水産分野や食品産業分野におきましては需要の減少ですとか価格の下落など大きな影響が発生をしましたので、第一次、第二次補正予算を合わせて約六千百億円の措置をいたしているところでありますが、コロナの感染の状況を見ながら、拡大の状況を注視しながら、その影響を受けた農林漁業者の皆様や関連産業に従事される皆様の生産基盤を守るために、関係者の意見も聞きながら、生産の継続、販売促進の支援に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○金子(恵)委員 新型コロナ対策として、国産農畜産物供給力強靱化対策というのがあります。輸入農畜産物から国産に切りかえ、継続的、安定的な供給を図るための体制整備をするための対策だというふうに説明を受けています。
今回のコロナの問題で、もう第三波だろうというふうに言われているんですけれども、私たちがしっかりと認識をしなくてはいけなかったことというのは、やはり食料の安全保障だというふうに思うんです。食料の自給率がこれだけ低くて、特に加工品はそうなんですけれども、輸入の農産物等に頼ってきた我が国においては、今回のコロナ禍において本当に意識をしっかりと変えていかなくてはいけないというふうに思ったわけなんです。
ちょうど、さきの週末、先週末なんですが、私、JA中央会の副会長に就任されたJA福島五連の会長である菅野孝志さんの祝賀会に伺っておりまして、そこでいろいろな方々の御挨拶を聞いていると、JAさんの、特にJA中央会の中家会長がおっしゃっていた国消国産という言葉が印象に残っているんですけれども、今こそ過度な国際化とか自由化とか一極集中を見直さなくてはいけない、そういう契機になっているのが今回のコロナなんだということで、特に、国民の皆さんが消費する生活に必要なものは国内で生産する、国消国産というようなことを提唱されているわけなんです。
一言で言えば、よく地産地消というふうに言いますけれども、それを、国産国消、でも実際は地元のものは地元でつくりましょうということなんです。国内で私たちが食べるものはとにかく国内でつくりましょうという、基本的なことなんですけれども、これは最も重要なことでありまして、しっかりと命と暮らしを支えていくという意味で、食料輸入の不安定さとかマスク不足を経験した我々としては、やはり、基礎的物資、食料等、国産回帰と言ったらいいんですかね、そこに行き着くんだというふうに思います。
その中で、改めて、食料安全保障の強化、そして食料自給率向上に向けての取組についてお伺いしたいと思います。
○野上国務大臣 やはり、国民に対する食料の安定供給は国家の最も基本的な責務の一つであります。そして、今般、コロナウイルスの発生を契機としてその重要性が更に高まってきていると考えております。
食料自給率につきましては、本年三月に閣議決定をされた新たな基本計画におきまして、令和十二年度にカロリーベースで四五%、生産額ベースで七五%まで引き上げるという目標を設定しておりますが、この目標の達成に向けまして、輸入品からの代替が見込まれる小麦、大豆等の増産、加工食品や外食、中食向け原料の国産への切りかえ、畜産物や果樹の増産、あるいは農業経営の底上げにつながる生産基盤の強化、担い手の育成、確保等々に取り組んでいくこととしておりますが、先生御指摘のように、輸入品の多い農林水産物を国内生産に切りかえていくことは大変重要であると考えております。
例えば、輸入品が三割を占める加工・業務用野菜につきましては、周年での安定供給を図るための貯蔵・加工施設の整備等を図るなど、輸入を国内産に切りかえる支援を行っておりますが、こうした施策も着実に進めることによって、食料自給率の向上を図って、安定供給に万全を期してまいりたいと考えております。
○金子(恵)委員 食料自給率向上に向けて頑張るというような御決意はいただいたんですが、今回、組織の見直しが行われるということで伺っておりまして、特に、輸出・国際局を設置、新たな畜産局の設置についても今後のさらなる輸出拡大の主翼を担う畜産分野について新たな市場環境に適応した生産基盤の強化等を推進するというふうに言っていて、随分輸出に力を入れるという方向性を打ち出しているように見えてしまうんですけれども、いかがでしょうか。どのような農業を目指して組織再編をされるんですか。
○野上国務大臣 今ほど申し上げました、先生からも御指摘があった、国産の農産物をしっかりと生産していくのが大事だ、そのとおりだと思いますし、先ほど申し上げたとおり、輸入の多い農林水産物を国内生産に切りかえていく取組、先ほど具体的な取組も申し上げましたが、それを着実に進めてまいることも重要な取組だと考えております。
一方で、今後、人口減少によって国内の食市場が縮小していきますので、アジアを中心に世界の食市場の規模は大きく拡大することと見込まれておりますので、国内生産を維持、拡大するためにも、高品質といった日本産の強みを生かした輸出拡大も必要なことだというふうに思っております。
国内生産への切りかえと輸出の拡大とを図ることによって、国内生産の維持、増大、農林水産業者の所得向上を実現をしてまいりたいと考えております。
○金子(恵)委員 でも、農政改革を更に推進するとして今回組織再編をするわけなんですけれども、輸出・国際局を設置するんですよね。そして、畜産分野においても輸出に力を入れるということですよね。大丈夫ですか。どちらにまず力を入れましょう。
この時期に何が重要なのかといえば、やはり、先ほど来申し上げている、とにかく自給率をしっかり高めていく方向、今のこのコロナ禍にあってのピンチをチャンスに変えていくということだと思うんです。国民の皆さんも意識をすごく高めている時期になっていると思います。
ですから、私は、組織再編の中で輸出を前面に出している部分というのは大変懸念の材料になっているということなんですけれども、いかがですか。矛盾はないですか。
○野上国務大臣 今般の組織改編につきましては、二〇三〇年に五兆円の輸出目標達成のために、本年四月に農林水産物・食品輸出本部を設置をいたしました。輸出を拡大するとともに国内農業の生産基盤の強化をするということも極めて重要であると思っておりまして、これらの課題の解決を図るために体制の整備が必要であると考えたところであります。
今お話のありました輸出・国際局、これは、省内の輸出関連施策を中心に直接実行して、省横断的に強力に指揮、指導するとともに、対外関係ですとか国際協力等の業務について全体的な調整を一元的に行うということであります。一方で、耕種農業の高収益化を強力にするために、米、麦、大豆等と園芸作物を一体で担当する農産局を設置いたします。さらに、生産基盤の強化等を推進するための畜産局も設置するということでありまして、何かに特化するということではなくて、今申し上げたような目的で省庁再編を要求をしているというところであります。
○金子(恵)委員 時間が参りましたので終了させていただきますが、農福連携室も設置されるということであったり、それから、定員合理化計画によりますと、農林水産省の合理化目標数は二千八百二十人、今期はそのような人数となっているということで、ほかの省庁に比べると大変削減率が高いということでありまして、一言で言えば、こうやって大臣が一生懸命こういう農業をしっかり確立するんだというふうにおっしゃっていただいても、それをしっかりと進めていただく人員の確保というのができるのかどうかという、大変悩ましいことになっているわけなんです。
どうか、私は、農業を守る、第一次産業を守る、そして農水省を守るという意味では同じ思いでありますので、これからもよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
最初に、高収益作物次期作支援交付金について質問します。
けさから各党から質問が相次いでいます。本制度は、四月のコロナ対策補正予算で設置をされ、十月の見直しでは減収対策のみに変更され、十月三十日には追加措置がとられるという迷走、混乱が続いています。農家、申請団体には何の落ち度もありません。そうですよね、大臣。全てが農水省の見通しの甘さと対応の間違いによる問題であります。
これまでの申請額については四百五十六億円、事業実施主体は八百九十六、申請農家は約二万弱というふうに聞いていますけれども、その後の申請状況について教えてください。加えて、減収があって交付金が受けられる申請者はどのぐらいの割合になっているのか。追加措置、つまり、既に投資をした人で交付金が受けられる申請者というのはどのぐらいの割合になっているのか。説明してください。
○水田政府参考人 お答えいたします。
高収益作物次期作支援交付金につきましてでございますが、これまで、第一次の公募といたしまして、五月二十日から六月二日までの間、事業申請の窓口を対象といたしました一回目の事務費の申請を受け付けいたしました。また、第二次公募といたしまして、六月三十日から七月三十一日までの間、また七月豪雨の被災地域においては八月三十一日までの間、事業申請窓口を対象とした二回目の事務費の申請と、農業者を対象とした一回目の交付金の申請、これを受け付けたところでございます。
運用見直し前にいただきましたこれらの申請について精査をしたところ、十月三十日時点で、この第一次公募と第二次公募の申請を合わせまして、事業申請窓口からの申請件数は八百九十六件……(田村(貴)委員「それは私が言うた」と呼ぶ)はい。事業申請総額は四百六十億三千万円……(田村(貴)委員「それも言うた」と呼ぶ)はい。ということになっておるところでございます。
その後の申請状況ということでございますが、第三次の公募を現在実施中でございまして、更に追加措置につきましてもこれから公募するという状況になっているところでございまして、現時点で申請額や申請数を見込むことは困難だと考えております。
また、御指摘いただきました、運用見直し後の要件に沿って、減収があって交付金が受けられる申請者数とその割合ということでございますが、今申し上げましたように、運用見直し後の要件に沿いまして第三次公募を行っているところでございまして、農業者の皆様に減収確認のための申告書を書いていただいて、出していただくこととしているところでございます。このため、現段階では、お尋ねのあった、減収があって交付金が交付される申請者数とその割合、これを見通すことは困難と考えております。
それから、既に投資をした農業者などを対象といたしました追加措置、これによって交付が受けられる申請者数とその割合ということでございますが、先般の運用見直しに伴いまして交付金が減額又は交付されなくなる農業者の中に既に機械等に投資した方がおられることは承知しておりますが、この追加措置、これから公募でございますので、このため、現時点において、お尋ねのあった、追加措置によって交付金が受けられる申請者の数とその割合というのを見通すことは困難でございます。
○田村(貴)委員 何もわからないじゃないですか。
野上大臣は所信のときに、負担をかけて申しわけないと言われました。では、どれだけ申請者に、農家に負担がかかっているのか、迷惑がかかっているのか、それを言ってもらわないと審査にならないじゃないですか。何でそんな数字がわからないんですか。申請状況を見たら大体わかる範囲じゃないですか。言えないんですか。
委員長、交付に関する数字、それから認定にかかわる数字上の資料を本委員会に提出していただくことを求めたいと思います。お取り計らいをお願いします。
○高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○田村(貴)委員 追加措置の対象となる取組の例というのが示されていますけれども、従来使用しない肥料や土壌改良資材の購入、優良な種苗の購入、更新などの場合とか、それから品質向上のための肥料の施用量の増加分というふうにしています。
では、お伺いしますけれども、通常使っている資材を購入した場合はだめなんですか。また、肥料は、通常の施用量ないしそれ以下で購入した場合は交付金は出ないということですか。それから、コストをかけて販路拡大を、販路開拓を行ってきた農家さんは減収を回避した場合であっても交付金制度の対象とならないという理解になるんでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
運用見直しに伴いまして、交付金が減額又は交付されなくなる農業者の中で、既に機械や資材に対して投資し支出した方、こういった方に対する追加措置を講じることとしたわけでございます。
追加措置についての中身でございますけれども、肥料とか農薬等につきましてはかかり増し経費を対象とさせていただいているところでございまして、通常使用しております肥料、農薬等の資材につきましては、通常の営農行為において使用され、毎年購入されるものでございますので、減収がある場合にはその経費は通常の交付金の方で措置されるものでございます。今回の追加措置では、通常の営農以上に上乗せとなるかかり増しの経費につきまして支援の対象とさせていただいているところでございます。
また、販路開拓を頑張ったことで減収を回避できた方に対する御支援についてもお尋ねがございました。
新型コロナウイルス感染症、こういった発生を契機に、新たな需要へ対応するため、例えば、直販のためのホームページの開設ですとか、新品種の導入とか、GAPの実施、さらには高品質なものを厳選して出荷する取組など、一定の販売努力を行われた方につきましては、これは減収の有無を問わず、別途、通常の高収益作物次期作交付金の中のメニューで措置をさせていただいているということでございます。この措置も含めまして、しっかりと丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 つまり、収量アップをしなければいけない、より高品質な作物に対する取組をしなければ交付金を受けられないということです。
大臣、これはあんまりですよ。本当にあんまりだ。そもそも、当初の事業説明資料では、次期作に前向きに取り組む生産者を支援、これしか書いていないんですよ。新しいものを買えとか、肥料をふやせなんというのは条件になかったんですよ。
農水省はいい制度をつくってくれた、だから次期作を頑張ろう、そういう思いで申請した人を排除してはやはりだめですよ。販路拡大した生産者は、新たな需要の掘り起こし、それから農産物の消費の維持拡大につないでいるわけですよ。積極策として評価してあげるべきではないでしょうか。何かホームページ開設とかいろいろ言われましたけれども、販路開拓しているんだったら、これは消費の維持拡大につながっているじゃないですか。交付金を認めるべきです。
そして、交付金に期待して通常のやり方で申請した農家の方はたくさんおられます。現に私も聞きました。支援に差別を持ち込むことになります。これまでの質疑の中で、新たに投資する申請者は除外だと言った。問題が次から次へと起こっているじゃないですか。大臣、やはりこういうやり方はよくないと思います。
質問します。申請した農家やJA、自治体などから、頑張ろうと思ったやさきにはしごを外されてしまった、運用をもとに戻すべきだという声が続いています。そして、政府に対する怒りと不信の声が相次いでいます。野上大臣、この農水省に対する不信を解消するためには、運用をもとに戻す以外にありません。次期作に前向きな農家をあまねく支援する以外にないと思います。再検討すべきだと思いますが、いかがですか。
○野上国務大臣 高収益作物次期作支援金につきましては、第一次補正予算で措置したものであります。コロナの影響を受けた花卉、茶、野菜、果樹等の高収益作物の次期作に取り組む農業者に対して支援をするものであります。
当初の状況は、これも先ほど申し上げておりますが、営農を断念するような農家が発生する懸念があり、弾力的な申請をしやすい仕組みとしたところですが、その結果、非常に多くの申請をいただき、減収を要件としなかったことから、減収していない品目の申請も含まれておりました。
これも先生がおっしゃられたとおり、これは農業者の不手際とかそういうことでは全くありません。農業者の皆様には要件に即して申請をしていただいたところでありますが、このまま交付金をお支払いすることになれば、コロナの影響を受けていないのに交付金が支払われることになりかねず、国民の理解を得ることは難しいということを考え、運用見直しをしたところであります。
結果として関係者の皆様に御負担をおかけすることとなり、まことに申しわけなく思っておりますが、追加措置も含めて丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 謝って、説明すれば済むという問題ではありません。もうお金がかかっているわけであります。
私は長崎県の大規模農業者から声も聞いたんですけれども、かなりのものが交付対象外となってしまう、桁を聞いてびっくりしましたけれども、大損になると。また、なるほどと。この申請にはかなりの事務作業があるので、見えない人件費などもかかっているということですよね。そうやって苦労して、農水省を信頼してきて、当初の約束には減収要件はなかったんですから、ちゃっと初めの要件で認めて、そしてあとうべく交付をすべきであります。
私、九州なんですけれども、九州の野菜農家は、昨年、大きく価格が下落しました。そして、コロナになったことし、昨年に続いて生産費を割り込んでしまったというところがあるわけです。ところが、値下がりした去年と比べると、価格が若干上がってしまうという皮肉な結果になってしまいました。だから支援されないということになります。
だから、コロナ減収分、ほとんどは、苦しい畑作の現状を見ないということになりますね。当初の運用の条件で、そして申請者をしっかりと支援すべき、もとの立場に返っていただきたい。再考すること、再検討することを強く求めたいと思います。
次に、経営継続補助金について質問します。
この制度についても、引き合いが多い、それから、それがために機械などの納入が間に合わないという事例が起こっています。
一例を紹介します。ある県の農家さんなんですけれども、果樹の選別機を導入することで密を避ける、三密を避けるという事業で、一次審査を通過しました。ところが、梅の選果機は再来年に届くという話が来た、柿の選果機は二年後も無理かもわからないとJAの担当者がおっしゃったというんですよね。これでは実施期間内の事業終了もできないという、困った案件になっています。
しかし、こうした機械というのは、受注を受けて生産するという流れがあります。ならば、機械の発注とか契約をもってしてこの補助金制度を認めるとか、弾力的な対応、柔軟な対応があってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
○光吉政府参考人 お答えいたします。
経営継続補助金の第一回公募におきまして採択されました農林漁業者の方々には、本年十二月末までに機械等の購入支払いを終えていただいて、この期限内に事業が完了できるようにしていただくということが基本となります。
しかしながら、機械の納品が間に合わないといった声もお聞きしているところでございまして、こうしたやむを得ない事情がある場合につきましては、令和三年二月末まで期間を延長するということを可能としたところでございます。
今後、農林漁業者の方々に対しまして事業完了の見通しなどの調査を行いまして、現場の実態を丁寧に把握しながら、機械メーカーなどに対しまして円滑な供給に向けた協力要請をしていきたいというふうに思っております。
○田村(貴)委員 だから、柔軟に対応してほしいと言っているんですよ。
機械が来年に間に合わないという事例があるわけですよ。それを、どうして機械の納品で実施完了二月末などと言うんですか。それは余りにも、余りにも厳し過ぎるんじゃないですか。せっかくの制度を活用して頑張っていきたい、そして、農水省の補助金を当てにして、事業を考え出して申請した。問題は、引き合いが多くて、求めていた機械が届かないというだけの事情じゃないですか。これは、その実態をしっかり見てもらって、ちゃんとその方が機械を購入するという意思があって、契約があったら成り立つ話じゃないですか。
再考できませんか。柔軟な対応を強く求めたいと思います。
次に、米問題についてお伺いします。
新型コロナウイルスの感染拡大において、お米の外食需要が大きく縮小しています。民間在庫が拡大されています。先月、農水省は、二〇二一年産の主食用米の需要に見合った適正生産量を六百七十九万トンと設定しました。このことは全国に衝撃が広がりました。その後、西日本のウンカの被害とか、また作柄の悪化などによって、今月に入って六百九十三万トンに農水省は修正しました。これも大きいものです。この適正生産量に必要なお米の減産量というのは、お聞きすれば、作況指数が平年並みだと三十六万トンで、面積にして六・七万ヘクタール、作況指数が九九だと三十二万トンで、五・六万ヘクタールだというふうにお伺いしましたけれども、それでよろしいですか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
来年の生産量見通しでございますけれども、食料・農業・農村政策審議会の食糧部会に、令和三年産の主食用米の生産量、これは今委員御指摘のとおり六百九十三万トンというふうに見通しをお示ししてございまして、これは令和二年産の生産量七百二十三万トンからしますと三十万トンマイナスということになります。
いずれにいたしましても、厳しい需給状況であることには変わりはございません。
○田村(貴)委員 五万ヘクタールとか六万ヘクタールとかの主食用米が供給過多になっている、そして、転作をしていかなければならないと。
私、福岡県の北九州市というところに暮らしているんですけれども、政令指定都市で面積は大きいです。約五万ヘクタールあります。自分が住んでいる一つの自治体分が全部転作になっていく、主食用米がつくられない。大問題、相当深刻な状況に今来ているということを肌身で感じているところであります。
農家は、マーケットインだとか、それから、買い手が必要なものをと言われて、この間、売り先を確保してきました、一生懸命頑張ってきました。この先一体どうすればいいのかと不安が広がっているわけです。今さら転作と言われても契約上そんなことは簡単にできない、転作はそんなに利益が上がらないという声も、私、地元で聞いてまいりました。必要とされる減産に対して、転作をどの程度いけると見込んでいるんでしょうか。なおかつ、転作を頑張ってみたものの、主食用米がまた余れば、二〇二一年はどうなるんでしょうか。説明してください。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
主食用米の需要につきましては、委員も御承知のとおり、毎年約十万トンずつ減少していくトレンドにあるわけでございます。そういう中で、一方では国内の消費の拡大なり輸出の拡大の取組を進めつつ、他方で需要に応じた生産、販売を着実に推進していくことが基本だというふうに考えてございます。
農林水産省といたしましては、現下の需給環境のもとで、需要に応じたお米の生産、販売が進むよう、国内の消費拡大、産地の調整保管、輸出拡大の対策の充実、需要のある麦、大豆、輸出用米、九州であればWCSといった主食用米以外の生産拡大、野菜や果樹といった高収益作物への転換に向けた水田活用の直接支払交付金などによる効果的な推進方策を進めてまいりたいと思っておりまして、これは、近年で最大の戦略作物などの作付が行われた平成二十八年産の実績を踏まえて進めていくものというふうに考えております。
○田村(貴)委員 コロナ禍においては、感染拡大が終息しない、あるいは感染拡大が続く限り、外食、お米の需要減、目詰まりは回避できないんですよね。だから、この状況が来年にも続くということが考えられます。
今、過去の事例を挙げられましたけれども、来年、そうしたら、今のような状況で三十万トンからの減産量を転作で全部賄えるんですか。その可能性を聞いているんですよ。
○天羽政府参考人 お答え申し上げる前に、先ほど私は二十八年産の実績も踏まえつつと申し上げましたが、これは二十九年産の間違いでございました。
実際にこれは達成できるのかという御質問でございます。
これは役所も生産者も集荷業者、流通業者も含めてオール・ジャパンで取り組まなければならない課題だと思っておりますけれども、二十九年産の実績も踏まえれば達成は可能というふうに考えてございます。
○田村(貴)委員 いやいや、そんなに簡単にはいかないと思いますよ。これは、やはり異常事態ですから、特別な対策をもってしかるべきです。
大臣にお伺いします。
私たち日本共産党国会議員団は、八月四日に当時の江藤大臣に米価対策で申入れをしました。先ほど立憲民主党の佐々木議員からもお話がありましたように、やはり、市場から隔離すること、そして政府備蓄米をふやすこと、これは何よりの対策になるというふうに考えたからであります。
その後、検討は進んでいるんでしょうか。従来の考え方を変えなければいけません。先ほど言いましたように、コロナという未曽有の危機のさなかにあり、従来にない特別の対策をもってしなければ、この問題は解決できません。そんなに主食米をどんどんどんどん減らしていいんですか。備蓄で、そして別の方向で供給するという考え方にどうして至らないんですか。
これから世界は、人口増加時代、爆発時代とも言われています。食料困難時代を迎えます。また、異常気象が続いています。そうした状況、リスクに対応するならば、備蓄米をふやして対応するのがベストではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○野上国務大臣 政府備蓄米につきましては、不作等による米の生産量の減少によりましてその供給が不足する事態に備えて、必要な数量の国産米を在庫として保有するものであります。このため、需給操作や価格の下支えを目的として主食用米を国が買い上げて市場隔離することは、政府備蓄米制度の趣旨に沿わず、また、みずからの経営判断による需要に応じた生産、販売を進める米政策改革の考えにもそぐわないと考えております。
なお、米の備蓄が百万トン程度あるなど、主要穀物の備蓄は十分に存在しておりまして、食料品の流通状況の把握ですとか情報提供もしっかり行われておりますので、国民への食料供給に大きな問題は発生していないと考えております。
一方で、世界の人口増加に伴う食料需給の増加ですとか気候変動、大規模災害、今お話があったとおりでありますが、我が国の食料供給に影響を及ぼす可能性のあるリスクを踏まえて、輸入品から国産への切りかえですとか、不足時にも対応できる生産余力の向上等の対策もしっかり進めてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 備蓄米はある。しかし、コロナによって生活困窮者がふえている、子供の貧困も深刻さを増している。お米が食べられない、その日の食事に事欠いている方は今この時代にたくさんいる、そして、ふえているわけなんですよね。
需要喚起策の一つとして、お米券の発行を提案したいというふうに思っています。
お米券は、持っていればすぐに使う、そして即効性のある対策だというふうに思います。生活困窮者がふえている、そして、コロナ禍のもとで、本当に困っている人がいるもとで、お米の需要喚起策、その中でお米券の発行を農林水産省として取り扱う、拡大していく、そういうお考えはありますか。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
政府の生活困窮者対策といたしましては、子育て世帯や低所得の一人親世帯への臨時特別給付金の支給等、対応しているところでございます。また、自治体や民間の取組として、お米券又はお米そのものの無償交付、無償配付も実施されているところというふうに承知をしております。
農林省の対策でありますが、生活困窮者といったことではありませんけれども、政府備蓄米について、食育の一環として、従前より、学校給食用に無償交付ということをやってまいりました。最近、子供食堂などにおける食事の提供が学校給食の補完機能を果たすなど、その役割が再認識されるといったこともございまして、本年の五月から、政府備蓄米の無償交付の対象を、学校給食だけではなく、子供食堂等にも拡大をして支援をするということとしたところでございます。
○田村(貴)委員 お米の政策について、大臣は、需給状況の情報提供、それから輸出の取組、そして転作支援だと。それだけでいいんでしょうか。やはり備蓄をふやすべきです。そして、お米がこれだけ大変な状況になっているのに、ミニマムアクセス米は七十七万トン輸入している。おかしくないですか。これまでの差損について、私、手計算でやったんですけれども、二〇一九年と合わせたら三千億円を超えるかもわかりません。輸出戦略の前に、これだけ入ってくるお米を規制すべきではありませんか。
米政策についても、それからコロナ対策についても、後手後手、そして迷走を続けています。やはり、一から、立ちどまって考えるときに来ているのではないか。農林水産行政の転換を求めて、きょうの質問を終わります。
○高鳥委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
約三年半ぶりに農水委員会に里帰りをしまして、こうしてまた質問できることを大変うれしく思っております。ただ、三年離れていますと、農政も随分変わったな、あるいは農村の状況も変わったなということをひしひしと感じます。
先日、野上大臣の大臣所信を聞かせていただきましたけれども、例えば三年より前にずっと言われたことで言われなくなったことも結構多いなというのをちょっと離れていると感じるんですね。
例えば、飼料用米という言葉は大臣の所信には消えています。あれだけ一生懸命やろうとした餌米政策は、財務省からいろいろ言われたこともあるんでしょうけれども、主な政策課題としては明確に入らなくなっている。
あるいは、たしか二〇一三年、自民党農水部会が一番最初に決めたと思いますが、農業・農村所得倍増計画、あれはどこに行ったんでしょうか。
この委員会でも取り上げましたけれども、農業者の所得と農村の所得と両方を上げていって、たしか四兆円を八兆円にするという絵姿だったと思いますが、定義のよくわからない農村所得が四・五倍ぐらいになるという計算だったと思います。さっきいた天羽さんとかが計算していたんですけれども。そうすると、私はあのときこの委員会でも、議事録が残っていますが、年率一四%で成長しないと達成できないんですね。あれはたしか二〇二四年とか二五年目標ですから、そう余り残されていないんですね。そういうことも含めて、やはりもう一回検証し直してみる必要があるのではないのか。
輸出の五兆円も、この輸出も私この委員会で何度も取り上げましたが、加工品、特に飲料水というのは、リンゴジュースとかミカンジュースならいいんですけれども、第一位はアラブ首長国連邦向けのオロナミンCなんですよ。それも統計には入っているんです。それも含めて五兆円を目指す政策を農林水産省として進めることで果たしていいのか。こういうことも一回冷静に、私は検証してみるべき時期だと思うんです。
本当に、農業者の方が安心して、所得がふえて、特に若い人が将来展望を持って取り組める農業をどうやってつくっていくのかということについては、これは与野党を超えてぜひ取り組んでいきたいと思いますし、そのことに少しでも貢献できるような論議ができればと思って、またこの農水委員会で質問させていただきたいと思いますので、冒頭、決意を申し上げ、質問に入りたいと思います。
まず、地元の案件でちょっと申しわけないんですけれども、香川県における鳥インフルエンザの発生について質問したいと思います。
二年前も、私の地元のさぬき市で発生をいたしました。また香川県かということで、非常に関係者も心配をしております。特に、県の西部の三豊市と県の東部の東かがわ市に挟まれるように発生して、第三例も三豊市ということなので、発生していない県の真ん中の人も含めて、非常に関係者は今不安の中にいます。
ただ、この間、殺処分を、県の職員、そして葉梨副大臣も現地に行っていただいたと聞いております、心から敬意を、感謝を申し上げたいと思いますし、何より自衛隊の皆さんに、殺処分を本当によくやっていただいているし、しっかりと速やかに対応いただいていることに対しては感謝を申し上げたいと思います。
そこで、まずお伺いします。いつも、なかなかうやむやになってわからないんですが、感染経路と感染の原因についてでありますけれども、特に香川県で集中して発生したということも含めて、その感染経路、原因について大臣はどのようにお考えなのか、現在の認識をお聞かせください。
○野上国務大臣 今お話のありましたとおり、十一月五日に香川県三豊市の養鶏場におきまして一昨年一月以来の今シーズンの一例目、また、八日に東かがわ市で二例目、そして、本日未明に三豊市で三例目となる疑似患畜が確認をされたところであります。
三例目につきましては、けさから殺処分の防疫措置を開始しておりますが、国としても引き続き香川県と連携を密にとってやってまいりたいと思います。
今お尋ねのありました感染経路等についてでありますが、一例目、二例目の疫学調査チームによる現地調査によりますれば、いずれの農場の周辺においてもため池等への野鳥の飛来が確認をされたところであります。
一方で、飛来した野鳥が感染経路となっているかどうかにつきましては、今環境省が実施しております野鳥の監視調査の結果を踏まえる必要もありまして、現時点で詳細な分析には至っておりません。しかしながら、香川県で発生した二事例につきましては、今年度に国内外の野鳥でも確認されております高病原性のH5N8亜型であることが確認をされているところであります。
百六十七万羽が殺処分となった平成二十八年度におきましては、北海道から九州まで全国各地の十二農場で飛び地的に発生したことを踏まえますと、渡り鳥等により日本にウイルスが持ち込まれた可能性が高いと考えられているところであります。このため、今年度の発生につきましても、香川県など、渡り鳥等が飛来する池ですとか干潟が多く所在する地域において、地形的な要因により発生リスクも高まっているのではないかと考えております。
いずれにしても、今回香川県で発生した二事例につきましては、鳥の鶏舎間のところで長靴が交換されなかったことですとか、あるいは、ネズミが侵入した痕跡が見られたこと、また、野生動物の侵入が可能となるようなすき間があったことなどが確認をされておりまして、飼養衛生管理が徹底されなかったことも指摘をされており、そうした中で最終的には農場にウイルスが侵入したのではないかと考えているところであります。
三例目については、本日疫学チームが現地入りして調査をしているところでありますので、その結果も踏まえて更に分析を進めてまいりたいと考えております。
○玉木委員 正直、二年前は、朝鮮半島で、韓国でもかなり事例が出ていたので、警戒もしていました。ただ、今回はまだ韓国では野鳥だけだと思いますから、少し私自身もそこは警戒が薄く、弱かったと思います。
このH5N8亜型ということなんですが、シベリアとか、今そういったところでの発生が報告をされています。ヨーロッパでも報告があるので、この感染経路を、たまたま今コロナが発生しているので、人を通じた国境をまたぐ移動というのはかなり制限された中でこういうことが起こっているということは、いろいろな要素を分析する際にやはりこの渡り鳥のルートということが濃厚になるので、こういったことをしっかり分析をしていただきたい。
過去も何度もあるんですけれども、分析します、分析しますと言ってやるんですが、過去の発生については、経路というのは特定できたんでしょうか、できるんでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
ウイルスの侵入経路、まず日本にどのように入ったのかということと、農場にどのように入ったのか、二つが重要なポイントになってくると思います。
まず、日本にどのようにウイルスが侵入したかということについては、今大臣からもお答えをさせていただきましたが、過去の事例を見ましても、いずれも同じような状況が確認をされております。まず、平成二十八年度、これは北海道から九州まで、こちらもH5N6亜型。平成二十六年度は、岡山県から九州まで、こちらはH5N8亜型、ことしと同じ型でございます。その前は、平成二十二年度、これは北海道から九州まで九県で発生をしておりますが、いずれもH5N1亜型でございました。
これらの特徴は、一つは、飛び地的に発生をしているということ。それから、それぞれの亜型がその年に韓国や欧州で流行しているものと同じであるということ。それから、日本での発生は、渡り鳥が日本に来ております、まさに十一月ぐらいから三月、四月に限定をされるということでございます。
したがいまして、平成二十八年度の疫学報告書によりましても、実はシベリア等では夏に鳥インフルエンザが発生をしております。したがいまして、そういうことを踏まえますと、海外から人や物の移動を介して国内に持ち込まれた可能性よりも渡り鳥だということが疫学報告書でまとめられているところでございます。
このような状況を踏まえまして、最終的に農場にどのようにウイルスを侵入させないかという点でございます。
これにつきましても、まずは、鳥を防ぐということで、防鳥ネットをしかるべき網目で張っていただくということが重要。それから、人、車両あるいは野生動物を介して侵入するということが非常に危険性が高いということですので、農場のいろいろなすき間をできるだけ塞いでいただくということ。それから、それに加えまして、今年度改正した飼養衛生管理におきましては人の手首の消毒の徹底それから鶏舎の出入り口の交差汚染防止対策というものを追記いたしまして、飼養衛生管理を順次改正してきたところでございます。
○玉木委員 そういった分析も踏まえて、多分これからが本番だと思います、一月、二月ぐらいまでは緊張感が高まる時期だと思いますので、警戒を高めるように、全国の養鶏農家に対して、大臣からもしっかりと、今言ったような強化を奨励いただきたいというふうに思います。
次に、今回も、発生農家、あるいは移動制限、搬出制限規制を受けている農場に対する支援策について改めて伺いたいと思うんです。
やはり、患畜、疑似患畜、いろいろな形で通常の営業ができなくなって経済的な被害を受けるところが多数出てきますので、こういったところについては万全の補償をしていただきたい。家伝法に基づくもの、また、保険的なものでやっているもの、いろいろなものがありますけれども、そこは速やかに万全を期していただきたい。
具体的に、どのような形で、いつごろ支援が受けられるのかというめど、そういったものをもし教えていただければ、農家も安心すると思います。
というのは、いろいろなことを、地元に四国新聞というのがあるんですけれども、新聞情報でしか知れなくて、ああ殺処分するんだなとか、そもそも搬出制限規制の連絡が来ないとか、前回、二年前は解除したことも新聞で知ったとか、そういうこともあるんですよ。これは国と県との関係があると思うんだけれども。とにかく、対象者がそんなに多くないですから、きめ細かい情報提供。特に今回必要なのは、支援策の中身とタイミングについての情報がやはり欲しいと思っているので。
全部しゃべると多いので、大体どれぐらいから、きちんと、被害を受けたものについては評価額を全部やりますとか、あるいは、市場の値段が下がったら差額は全部埋めますとか、そういう大きな方針だけでも示していただければ非常に安心すると思いますが、いかがでしょうか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
発生農家の支援につきましては、お話がありましたとおり、幾つかの段階の支援がございます。
一つは、家伝法に基づく支援でございます。発生農家につきましては、原則として評価額の全額を手当金として交付をするということでございます。これは、法律に基づきまして、県等が必要な評価をしていただいた上で資料を提供して、国が支払うというものでございます。これにつきましては、県と協力してできるだけ、資料が出れば早くお支払いできるということでございまして、豚熱の経験を踏まえますと、早いところで二カ月から三カ月、豚は評価額に大分時間がかかるということがありますと少し遅くなりますが、鳥の場合は恐らくそのようなことは余りないかと思われますので、できるだけ早くお支払いができると思います。
それから、移動制限、搬出制限のところのかかり増し経費についても、国二分の一、県二分の一ということでございますので、これも県と相談して、できるだけ早期にお支払いをしたいと思っております。
それから、今回香川県においてはまだ措置をされたかどうか確認しておりませんが、豚熱の場合は、つなぎ融資の制度を地財を使って県が手当てしていただいたという事例がございます。今回の香川県についてもそのような措置をとられるのかどうかということは確認してみたいと思っております。
その上で、各種の経営維持資金、それからセーフティネット資金というのが活用が可能でございますので、これにつきましては、必要な金融機関でありますとか、それぞれの手順について御紹介をしたいと思います。
それから、家畜防疫互助事業、これに基づきます、家畜資金、互助基金の交付というのがございます。これも事業実施主体に既に連絡をしておりますので、今の発生農家の相談に応じるような体制をしいていきたいというふうに考えております。
○玉木委員 ぜひ万全を期していただきたいと思います。
一つ、お願いというか考えてもらいたいのは、例えば二年前にまた、さぬき市であったときに融資を受けている人がいるんですよ。今おっしゃったような融資制度もあるから。三年据置きなんですよね。さあ返そうと思ったんだけれどもコロナが発生して、いろいろ六次産業で卵を使った弁当屋みたいなのをやっている人がいて、なかなか売上げも下がってですね。さあ返そうと思ったらコロナが来ているので、このコロナも踏まえて、ちょっと据置期間を延長するとか、返済を少し柔軟にしてあげるということも含めて考えてあげてほしいなと。特に、鳥インフルに更にコロナによる経済低迷が覆いかぶさってきているので、そういう点も踏まえた柔軟な返済要件の見直し等々もぜひやっていただきたいなということをあわせてお願いしておきたいと思います。
もう一つお伺いしたいのは、風評被害対策であります。
香川県の卵は受けないよという話はないという報告は受けているんですけれども、農家に聞くと、あるというんですね。一件あったといいます。だから、その辺はやはり徹底しなきゃいけないなということ。
あと、これは私から提案なんですけれども、食べてもかからないというのは、例えば農林水産省のプレスリリースのペーパーにも書いているんです。我が国ではこれまで肉、卵を食べることにより鳥インフルエンザウイルスが人に感染した事例は報告されていませんとなっているんですけれども、食品安全委員会のホームページとかの言いぶりはもうちょっとはっきりしていて、感染する可能性はないと言っているんですよ。でも、農水省は、そういう事例は報告されていないと。同じ政府の中でも微妙に違うんですよ。
食品安全委員会が感染する可能性はないと言い切っているんだったら、ないと言い切ったらどうですか。少なくとも政府の中でこの言い方については統一した方が消費者も安心すると思うんですけれども、これはいかがですか。統一しませんか。さっき、大臣の答弁では、実は食品安全委員会の言いぶりに合わせた答弁を農水大臣はしていました。だから、このプレスリリースに書いている書き方も食品安全委員会に合わせて、食べても感染する可能性はないときちんと言い切った方がいいと思うんですが、これは見直しませんか。
○新井政府参考人 お答え申し上げます。
食品安全委員会が二〇一四年に出しておりますものは、「鶏肉・鶏卵は「安全」と考えます。」ということで、大きくホームページに載せていらっしゃいます。食品安全委員会のところの細かな情報を見ますと、やはり、我が国の現状において家禽肉や卵を食べることにより人が鳥インフルエンザウイルスに感染する可能性はないというふうにホームページ上で知らせて、それぞれの理由について書いております。
確かに、言い切るべきだというお話はあるかと思いますけれども、やはり、鳥インフルエンザは人獣共通感染症でございまして、海外におきましては可能性はゼロということは申し上げられません。日本におきまして、まさに我が国の現状においてということで、我が国の衛生条件でありますとか食習慣といったものを前提にということでございますので、そういう意味で、プレスリリースはそういう書き方をさせていただいております。
しかしながら、今申し上げたように、鶏肉、鶏卵は安全ということは食品安全委員会が説明しておりますので、その辺もしんしゃくして考えていきたいと思っております。
○玉木委員 我が国ではないと言い切った方が私はいいと思うんです。少なくとも、同じ政府の一部門である食品安全委員会はそう言っているんですから。そこはよく合い議して、農水省とも調整して、安全ですよというメッセージをもっと明確に出したらどうかなと思っております。
改めて、これから本当に寒い季節になってくるので警戒を強めていかなければならないと思いますので、どうか大臣以下、改めて気を引き締めて取り組んでいただきたいこと、また、発生農家あるいはいろいろな形で制限を受けた農家に対しては万全の支援を保証していただくことを強く求めたいと思います。
次に、きょう他の同僚委員からもありましたけれども、次期作支援交付金について、最後、ちょっと二問ぐらい聞きたいと思います。
やはり、私、農家の期待権という権利があると思うんですよ、あるいは期待の利益。そういう制度があるから、やろうと思ってやり始めた。確かに、コロナ対策だから減収が必要だというのは言われればわかるんですけれども、だったら最初からしておいたらいいということなので。
どれほど追加の予算がかかるか。アベノマスクで使った四百六十六億円もかからないんじゃないかという気がするので、今回はやった方がいいんじゃないかなと。それできちんと生産性が上がったり、更に規模を拡大して農業をやろうと。例えば、それを見越して土地の購入を準備している、あるいは地代を払うということまで契約している人がいるんですよ。そういうのは見てくれないとか。
ここはちょっと、頑張って、さあ前に行こうと思っていて、思い切り前に踏み出したら後ろから引っ張られたみたいになっているので、ここは、大臣、予備費で十分、だってまだ七兆円ぐらいあるんでしょう、これはどんなに積み増しても七兆円かかりませんから。かかるぐらいがいいなと。それをやってほしいんだけれども。
例えば、香川県でも三千三百人から二十億円ぐらいの申請が来ているんですよ。これも数字がありますから、JAが、香川県は単一農協なので全部まとめてとっていますから。そうすると、三千三百人、二十億円ですよ、これがやはり全部は無理だというふうになると、がっくりきているわけですよね、特に十月三十日までの人と十一月一日の人が。そこでもらえる、もらえないの大きな差があるというのは、どう考えても不公平。これはちょっと、ことしについてはやった方がいいと思いますが、大臣、どうですか、もう一回。
○野上国務大臣 高収益作物次期作支援金につきましては、事業創設当初の状況につきましては、先ほど来お話を申し上げたとおり、コロナの影響が更に拡大、深刻化することで営農を断念する農家が発生する懸念があった中で、なるべく要件を厳しくせず申請がしやすい仕組みとするということで制度が始まったわけであります。その結果、非常に多くの申請をいただいたところでありますが、減収を要件としていなかったことから、中には減収していない品目申請も含まれておりました。
農家の皆様には要件に即して申請いただいておりましたが、このまま交付金をお支払いすることになれば、新型コロナウイルスの影響を受けていないのに交付金が支払われることになりかねず、国民の理解を得ることは難しいものと考えたところであります。そのため、運用を見直すということにしたところであります。
結果として、今先生からお話があったような混乱が起きているということにつきまして、あるいは御負担をおかけすることにつきまして申しわけなく思っておりますが、運用見直し、あるいは追加措置の中身はどうなっていくのかということも含めて、しっかりと説明してまいりたいと考えております。
○玉木委員 いや、大臣、ここはやった方がいいですよ。国民の理解が得られないというか、得られない制度をつくっちゃったんですよ、最初から。やった以上は、それを前向きに捉えて、まさに次期作を頑張ってもらおうというふうに転換していくしかないんじゃないかなと思います。これは政治家しか判断できないので、政治判断をすべきだと思いますね。
最後に、では、これだけやってくださいよ。今、急な要件変更になって、十一月末までの第三回の締切りですよね。今、三次募集をしていますので、まだ全体像がわからないからよくわからないという答弁でしたけれども、十一月末の締切り期限も大変なんですよ。もう一回やり直して、つまり、厳しくなった要件で一回出してくださいと集めたりしているんですよ。またそれがちょっと変わって、違う要件で、新要件でもう一回申請してくださいと。
さっきもありましたけれども、経営継続補助金の申請も、今例えばJAなんかは同時に受けているので事務が大変なんですよ、今、現場の事務が。
だから、少なくとも第三回の申請は十一月末締切りじゃなくて年末とか一月末まで延ばして、やはり、よく丁寧にそれに対応するということをしないと余計混乱するので、せめて、第三回申請期限は十一月末になっていますけれども、これは延期して丁寧に対応するということ、これは、大臣、ぜひ決めていただきたいんですが、いかがですか。
○野上国務大臣 これまでも申請手続をできる限り簡単でわかりやすいものにするよう配慮してまいりましたが、今回の追加措置によって、更に現場の負担が増加して対応できないということがあってはならないと考えております。
申請期間につきましては、現在、十一月三十日を期限に受け付けているところですが、今般新たに追加措置を講ずることとしたことを踏まえて、これを延長する方向で再検討したいと考えております。
○玉木委員 延長する方向で。延長してください。大体一月末ぐらいまで延ばしてくれたらいいですよ。だから、そういうところでやはり、もうやっちゃったので、やっちゃった案件ですよ、だったらそれをいかに円滑に次につなげていくかという意味では、十分な時間をとってやっていただくことをお願いしたいと思います。
改めて、農家の現場に寄り添う、そういう質疑をしていくことをお誓い申し上げ、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
――――◇―――――
○高鳥委員長 次に、第二百一回国会、内閣提出、種苗法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣野上浩太郎君。
―――――――――――――
種苗法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○野上国務大臣 種苗法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
種苗法は、品種の育成の振興等を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的として、新品種の保護のための品種登録に関する制度等を設けているところであります。
近年、我が国の優良な登録品種が海外に流出し、他国で生産され第三国に輸出されるなど、我が国からの輸出等に支障が生じる事態が生じております。
こうした中で、我が国の農林水産業の発展を図るためには、登録品種の海外流出等を防止できるようにすることが重要であります。
また、登録品種を実効的に保護するためには、育成者権者が育成者権侵害を立証しやすくすることも重要であります。
こうした観点から、登録品種を育成者権者の意思に応じて海外流出の防止等の措置ができるようにするとともに、育成者権を活用しやすくするための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、育成者権者の意思に応じて登録品種の海外流出の防止等ができるようにするための措置についてであります。
登録品種について、出願時に輸出先国又は栽培地域に係る利用条件が届け出られた場合には、その種苗等が譲渡された後であっても、育成者権者は、その利用条件に違反する行為を制限することができることとしております。
また、譲渡する登録品種の種苗や包装、また広告等を行う場合に、登録品種である旨及び輸出先国又は栽培地域の制限がある旨の表示を義務づけることとしております。
また、農業者が登録品種等の収穫物の一部を次期収穫物の生産のために種苗として用いる自家増殖については、育成者権者の許諾に基づき行うこととしております。
さらに、品種登録の審査を充実させるため、出願者は、栽培試験等に係る手数料を納付することとしております。
第二に、育成者権を活用しやすくするための措置についてであります。
育成者権の侵害立証を行いやすくする観点から、品種登録簿に記載した登録品種の特性を利用して、育成者権が及ぶ品種であるかどうかを推定する規定を創設することとしております。
また、品種登録制度を充実させるため、他の知的財産制度に倣った規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○高鳥委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、明十二日木曜日、参考人として有限会社横田農場代表取締役横田修一君及び日本の種子を守る会アドバイザー・NPO法人民間稲作研究所アドバイザー印鑰智哉君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、明十二日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時十六分散会